○
長浜博行君
民主党・
新緑風会・
国民新・
日本の
長浜博行です。
ただいま
議題となりました
国土交通省設置法等の一部を
改正する
法律案に対して、
関係大臣に
質問いたします。
今般、
政府が
提出した
法案は、
国土交通省の
組織に関し、
観光庁や
運輸安全委員会の
設置などが盛り込まれています。が、今まずやらなければならないことは、
国土交通省そのものが
国民からどのように見られているかということをまず立ち止まって考えてみることです。
昨年三月、
公正取引委員会が
水門工事をめぐる談合問題で
国土交通省に
官製談合防止法を適用するという前代未聞の不祥事を起こしました。
さらに、
耐震強度偽装の
再発防止のために昨年六月から施行された
改正建築基準法によって、
住宅着工を急速かつ大胆に落ち込ませ、
内閣府や
民間シンクタンクの分析にもあるように、
GDPを押し下げる要因となっております。これは、
大臣認定プログラムが間に合わないなど
国交省の不手際、
周知不足などで、厳格化された
建築確認審査の現場が大
混乱に陥ったことによります。まさに
官製不況と言われるゆえんでございます。
また、
国民の安心、安全を脅かすような事実が次々に露呈しました。
住宅の耐火性能に重大な
影響を及ぼす軒裏天井材に関する大臣
認定制度を使った偽装、この件では、大臣は詐欺罪での刑事告訴も考えると
発言されておられましたが、どうなったんでしょうか。御答弁を願います。
その他、エレベーターやエスカレーター、公園遊具等々、いわゆるお墨付きを与える指定性能
評価機関の審査の在り方についても
国交省としての責任の明確化が求められるのではないでしょうか。また、建材として使用されたアスベスト問題も後手後手の対応で、
国民の健康被害は収まることがないわけです。
さらに、看過できないことは、役所自体のモラルハザードについてであります。
今月、国営沖縄記念公園事務所の発注工事をめぐり、収賄容疑でキャリア職員が逮捕されました。
委員会でも綱紀粛正については大臣と
質疑をしましたが、天下り、そしてそのための人件費
確保のためと思われるような随意契約による過大な国費、すなわち
国民の血税の支出、数々の
委員会質疑で明らかになった事象、すべてを
説明しておりますと、今回の
国交省の一部を
改正する
法律案どころか
国交省の
設置そのものが問われるような事態になりますので、今はこの程度にしますが、大衆の中から出た庶民政治家である冬柴大臣、私はそう思っておりますので、お嫌いかもしれませんが、時には何とかをぶっ壊すと絶叫しながら選挙を戦われた総理大臣もいらっしゃいましたが、役所や役人を守るのではなく、
国民の知る
権利を守ることが御自身の役目であることを認識されて大胆な
組織改革を断行されますことを、議場におられます与野党議員とともに願っておるわけでございます。御
見解を伺います。
さて、この
法案は、天下り拡大、
組織肥大化とは無縁のものであり、
国民の利益向上のためのものと位置付けることが必要です。先議された
衆議院段階において、
民主党の衆参両院議員が参加する、私が担当しております次の
内閣、国土交通部会で作り上げた修正案をベースにして与党との協議を丁寧に行いました。閣法への修正が与党との地味な
政策協議の積み重ねでなされたことは、いわゆるねじれ
国会においてより良き
法律を作ろうとする与野党双方の努力が結実したものとして
一定の
評価がなされるべきだと思います。
といっても、まだまだ私のサイドから言わせていただくと不十分な点も見られますことから、二院制という本来の議会
制度の原点に立って
参議院でも審議を深めていきたいと思っております。この点について
政府はどのような態度で臨むのか、国交大臣から明快なる答弁をいただきたいと思っております。
昨年の
参議院選挙で
民主党は、労働条件を含めた
運輸に関する安全規制を
強化し、それらの
社会規制の遵守徹底を監査、点検する体制を
整備するとともに、
事故や
トラブルを調査し、
勧告するための
組織として
運輸安全委員会を
設置することを提唱しました。
民主党が主張する
運輸安全委員会の
機能は、運行と労働に関する監視、
事故と
トラブルの調査と
勧告、被害者
支援、経験やデータの蓄積とそれらを生かした
事故防止
対策であります。その範囲は、鉄道、航空、バス、タクシー、船舶など、
運輸事業として対価としての運賃を収受して人や物を輸送する
機関へ拡大することとしております。
今回、
政府提出法案は、
運輸安全委員会の名前こそ同じになりましたが、
民主党の提案よりは後退した
内容となっています。私たちは修正を求め、
原因関係者への
勧告の公表、
被害者等への情報の提供、
関係行政機関等の協力、五年後の
法律の
検討にかかわる事項について
法律の見直しが
実現をしました。
しかし、以下の二点については
政府・与党の壁はなかなか厚く、いまだ大きな問題が残されているわけであります。
第一は、
政府案において
委員会は
国土交通省の
外局にとどまっているわけであります。新
委員会を三条
委員会とすることは一歩前進ですが、
国交省の管轄では独立性を
担保することは不可能です。関係当事者間の利害調整の
リスクを避け、中立公正な
機関とするためには、
委員会を
内閣府に
設置することが考えられます。
第二は、
委員会の
所掌事務が狭く、死者が生じたものや重大な
社会的
影響を及ぼした特定の自動車
事故の原因究明のための調査を加えることが求められます。近時、長距離高速バス、スキーのときのあの長距離バスを御想像いただければ分かりますが、タクシー、トラック等についての多数の
事故が
報告されているところでもあり、その原因を究明し、
再発防止を図る必要があります。
なお、付言しますと、特定自動車
事故とは、自動車運送
事業用に供する自動車の転覆、火災その他の
事故であって、
当該事故により死者を生じたもの、又は重大な
社会的
影響を及ぼしたと認められるもののうち
内閣府令で定める重大な
事故をいいます。その件数は
年間数十件と思われます。
以上、
運輸安全委員会について主要な問題点を二つ述べました。こうした私どもの提言に
政府はどうこたえていくのか、国交大臣の答弁を求めます。
次に、海難審判庁から
海難審判所への見直しについて一点
お尋ねします。
海難については原因追及と懲戒を分離することとし、前者については
運輸安全委員会にゆだね、懲戒にかかわる海難審判を二審制から一審制に改めるなどの
措置が盛り込まれています。国際海事
機関における条約の成文化、国際的潮流を踏まえた
動きであると受け止めております。
海難審判所で補佐人を選任することができますが、
運輸安全委員会において、船長などの
事故関係者は補佐人なしで
事故調査官による調査のために呼び出されることになります。また、非公開の
運輸安全委員会で審議された
報告書を基に
海難審判所における懲戒の判断がなされるおそれがあり、
権利擁護という点で不利になるのではという懸念をどうやって払拭するのか、私事で恐縮ですが、私自身、小型船舶一級の海技免許を所持していることもあり大変関心のあるところでありますが、国土交通大臣の明快なる答弁を求めます。
この際、イージス艦
事故について
お尋ねします。
第三管区海上保安本部は、一昨日及び昨日、
事故現場海域で「あたご」の洋上検証を行ったようでありますが、現行法上、捜査権がある海上保安庁の存在を無視するがごとく頭越しに防衛大臣自らが関係当事者から事情聴取を行ったことは問題であり、証拠隠滅、口裏合わせの疑念を抱かせるものと考えますが、
法律の専門家でもある国交大臣はどのようにお考えになりますか。また、
運輸安全委員会ができれば、この点はどのように
改善されるのでしょうか。
私の地元は千葉県でありますが、
事故後に知事と面会した際に、地元自治体への連絡体制に問題があるように感じられました。
当該水域から東京湾に至るまでの海域で、日ごろの海自、海保、そして漁船の所属する地元自治体とのコミュニケーションはどのようになっているのでしょうか。海洋担当大臣でもある冬柴国交大臣の御所見を伺います。
以下、今度は
観光庁の
設置について
質問を行います。
民主党は一昨年、
観光政策推進調査会を発足させ、関係者からのヒアリングや
観光地の現地視察を重ね、
観光政策の草案を取りまとめています。基本原則は
地方の主導性に置いているわけであります。
与党は百六十四通常
国会に
観光立国推進基本法を
提出しましたが、国際
観光振興にのみ焦点を当て、
経済効果ばかりを優先している等々問題が多く、到底受け入れられない
内容でした。しかし、住民、地域が
観光立国推進の主役になること、
観光旅行者全体に対する接遇の向上、民間の
活力を十分に発揮する旨の
規定等、
民主党の提案を全面的に受け入れた
観光立国推進基本法が取りまとめられ、先ほど大臣からも御
報告がありましたが、超党派議員立法として二〇〇六年十二月十三日の
参議院本
会議において
全会一致で成立をしたわけでございます。附帯決議でも
観光庁等の
設置に触れられており、今般の
法案は、
観光庁の
設置ということは時代的要請にこたえるものと受け止めています。
大事なことは、海難審判庁を廃止するからもう一つ庁をつくるという看板のすげ替え、
表面的なスクラップ・アンド・ビルドだけでは駄目ですよということなのであります。また、縦割り行政の弊害を打破し、まさに真に必要な
観光政策を打ち立てるためには、
民主党が主張する文化庁との連携も含めて、関係省庁と常に緊密な共同作業、運営をする
組織とすべきではありませんか。
観光立国推進基本法がうたうような地域や住民を
中心とした
施策を展開するため、今までの行
政府とは異なる
組織体とし、例えば長官には民間人を受け入れるなど斬新な人材登用を図るべきではないかということも御
指摘を申し上げるわけであります。
以上の点について国交大臣の答弁を求めます。
主要な部分に関する
質問をいたしてまいりました。その他の事項においては
委員会質疑で明らかにしてまいります。
重ねて申し上げますが、今
国交省は
国民の目にどのように映っているのかということを忘れずに謙虚な姿勢で行政に当たられますことを強く希望しまして、
質問を終わらせていただきます。(
拍手)
〔
国務大臣冬柴鐵三君
登壇、
拍手〕