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2008-06-04 第169回国会 参議院 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年六月四日(水曜日)    午後零時三十分開会     ─────────────    委員異動  五月二十二日     辞任         補欠選任         山本 博司君     遠山 清彦君  五月二十三日     辞任         補欠選任         遠山 清彦君     山本 博司君  六月三日     辞任         補欠選任         田中 直紀君     塚田 一郎君      中山 恭子君     長谷川大紋君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         下田 敦子君     理 事                 川上 義博君                 白  眞勲君                 浅野 勝人君                 山本 一太君     委 員                 加賀谷 健君                 風間 直樹君                 川合 孝典君                 徳永 久志君                 藤田 幸久君                 前川 清成君                 水戸 将史君                 岡田 直樹君                 塚田 一郎君                 長谷川大紋君                 山谷えり子君                 風間  昶君                 山本 博司君                 山下 芳生君    国務大臣        外務大臣     高村 正彦君        国務大臣        (内閣官房長官) 町村 信孝君    大臣政務官        外務大臣政務官  小池 正勝君    事務局側        常任委員会専門        員        堀田 光明君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       樹下  尚君        内閣官房拉致問        題対策本部事務        局総合調整室長        兼内閣大臣官        房拉致被害者等        支援担当室長   河内  隆君        警察庁警備局長  池田 克彦君        総務省総合通信        基盤局電波部長  田中 栄一君        法務省人権擁護        局長       富田 善範君        法務省入国管理        局長       稲見 敏夫君        外務大臣官房参        事官       石川 和秀君        外務省アジア大        洋州局長     齋木 昭隆君        外務省北米局長  西宮 伸一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に  関する調査  (拉致問題の進展に関する件)  (六者会合日朝協議に関する件)  (特定失踪者問題に関する件)  (脱北者問題に関する件)  (拉致問題の啓発・広報に関する件)  (拉致情報収集強化に関する件)  (北朝鮮に対する人道支援に関する件)  (朝鮮半島の非核化に関する件)  (北朝鮮に対する経済制裁に関する件)  (米国の北朝鮮テロ支援国家指定解除に関する  件)  (北朝鮮ミサイル問題に関する件)     ─────────────
  2. 下田敦子

    委員長下田敦子君) ただいまから北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告を申し上げます。  昨日、田中直紀君及び中山恭子君が委員辞任され、その補欠として塚田一郎君及び長谷川大紋君が選任されました。     ─────────────
  3. 下田敦子

    委員長下田敦子君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣参事官樹下尚君外八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 下田敦子

    委員長下田敦子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 下田敦子

    委員長下田敦子君) 北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査議題として、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
  6. 川上義博

    川上義博君 民主党川上でございます。  最初に、民主党外務防衛部門会議で、四月八日だったと思うんですけれども、石川参事官から、私は、拉致の問題が解決しない限りエネルギー支援を行わないのか、どうするんだという話をいたしましたら、石川さんの方が、拉致の問題が解決しなければ一切エネルギー支援は行わない、これは間違いのないことだと、このようにおっしゃったわけであります。それは今でも変わりありませんか。
  7. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) お答え申し上げます。  まず、六者会合の事実関係でございますけれども、第二段階におきまして、北朝鮮無能力化をするということと申告をすると、こういった非核化措置を実施するのに合わせまして、五者の方で北朝鮮に対しまして重油九十五万相当、この経済エネルギー協力が実施されることになってございます。  御承知のとおり、我が国拉致問題に進展が見られないという現状の下ではこのエネルギー供与には参加しないという立場でございます。  御指摘の四月八日の民主党拉致対策本部外務防衛経済産業国土交通部門合同会議、この席におきまして、経済エネルギー協力に参加するのかという御質問をいただきました。その際、私の方から、拉致問題の進展が得られない限り、六者会合における北朝鮮に対するエネルギー供与には参加しないというふうにお答えしたものと記憶をしております。
  8. 川上義博

    川上義博君 今、拉致の問題が解決しない限りというのは進展という言葉になったんですね。拉致進展がない限りという話がありました。  実は、拉致進展制裁解除の条件にしているんですね。で、その進展というのはどういうことなんですかということなんですよ。  これは官房長官でもいいんですけれども、中山補佐官が去年の十月に、拉致被害者数人の帰国では進展ではないとおっしゃっているんですね。ところが外務大臣は、数人が日本に帰るということであれば進展になり得ると、参議院の外務防衛委員会での答弁なんですね。総理は、進展全員帰国なんだと。改めて中山補佐官が今年の五月二十八日に記者クラブで、帰国のための交渉が始まれば進展と言えると、こういう答弁があった。  したがって、進展ということはどういうことですか。ここで整理をしていただきたいと思うんです。官房長官外務大臣にお願いします。
  9. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 一般的に言えば、進展とは、拉致解決に向けて北朝鮮が何らかの具体的な行動を取ったと、解決に向けて具体的な行動が取られたときに進展というというふうに理解をしております。  私がここで、多分、白眞勲さんの質問だったと思いますけれども、数人帰ってきたら進展ですかと言われて、多分、できるだけ正確に言いますと、数人帰ってくれば進展となり得るかもしれないと、そういう言い方をしたと記憶をしております。(発言する者あり)よど号の件については、それだけで進展と言えるかどうかはなかなか分からないということを申し上げたというふうに記憶をしております。
  10. 川上義博

    川上義博君 具体的な行動というのは、またどういう行動なんですかね。北朝鮮が具体的な行動を取ればという、具体的な行動というのをちょっと具体的にお聞かせいただきたいと思います。
  11. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 私が今申し上げたのが、一般的に言えば進展とは解決に向けて動くことですよと、それが定義でありまして、じゃ具体的にどういうことかというと、その定義を当てはめて何がこうかということは、実際に北朝鮮がそういう行動を取ったときに、これはそれになるねとかならないとか、そういうことを言うのが適当かと思います。同じ行動を取っても、そのことが本当に拉致問題の解決に向けたことと評価できるかどうかと、周辺状況からいろいろしなきゃなりません、考えなきゃなりませんので、北朝鮮が具体的な行動を取った、そのことを見て、解決に向けた行動、すなわち進展と言えるかどうかということを日本政府としては判断していくと、そういうことでございます。
  12. 川上義博

    川上義博君 じゃ、具体的な進展北朝鮮拉致に向けての進展があればエネルギー支援を行うということですよね、逆に返せば。そういうことですよね。違いますか。
  13. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 進展というのは、それに当たるか当たらないかという、オンかオフかという関係じゃなくて、この程度進展ならそれに値するかとか値しないとか、そういう具体的な判断があると思うんですね。だから、確かにこれは進展と言えるけど、そんなに日本政府として評価すべき進展と言えないねと、いや、これならこのくらいは評価していいねとか、そういう具体的な判断がありますので、事前にこれだけやったらこうですよということはなかなか難しいということを従来から申し上げているところでございます。
  14. 川上義博

    川上義博君 じゃ、六者協議が近々始まるんじゃないかという報道があるんですけれども、これは月内ですか、月内に六者協議が多分始まるんではないかなと思うんですけれども、月内に六か国協議始まる。いつ始まるのか、その内容は、今回の六か国協議内容はどういうものか。私は、多分内容は、第二段階を総括して、最終段階に移行するんだという次の会合だと思うんですね。それは間違いありませんか。
  15. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 五月二十七日及び二十八日に米朝協議が行われて、米側から北朝鮮側に対し、同月十九日に行われた日米韓三か国会合の結果を踏まえて、申告早期議長国中国提出することを求めるとともに、米朝間で今後のプロセスについて議論が行われたものと承知をしております。  政府としては、北朝鮮早期申告提出し、六者会合プロセスが前進することを期待しておりますが、申告提出の時期や次回六者会合日程については現時点で具体的なめどが立っているわけではございません。次回六者会合日程議題等については、今後、議長国中国を中心に調整が行われるものと考えており、現時点で予断することを差し控えますけれども、第二段階措置実施状況についても当然取り上げられるものと考えております。
  16. 川上義博

    川上義博君 第二段階措置状況について議題になるということでありますけれども、それは当然エネルギー支援の百万トン、九十五万トンですか、それが議題に上がってくると、こういうことが考えられるんですね。そうすれば、六者会合の前に日朝との会談というのは当然やらなければいけないと思うんですね。あるいは、エネルギー作業部会も始まるという。これはあくまでも私の想像なんですけれども、当然、六者会合の前にエネルギー作業部会並びに日朝二か国だけの会談というのがあり得ると思うんですよ。なければいけないですよ。なければ六者に入れない、二段階の話するんですからね。どうですか、日朝会合あるでしょう。
  17. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 昨年の十月の六者会合成果文書におきましては、核計画申告提出などの非核化措置に加え、日朝関係についても日朝双方平壌宣言に従って早期国交を正常化するため誠実に努力すること、また精力的な協議を通じて具体的な行動を実施していくことが明記されているわけであります。このことも踏まえ、我が国としては、北朝鮮との間で真剣な対話を行う用意があることを明確にしてきているわけです。日朝国交正常化作業部会はしかしながら昨年九月以降開催されていないわけです。  いずれにしても、政府としては、日朝平壌宣言にのっとり、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して日朝国交正常化早期に実現するとの政府方針に何ら変更はないわけでありますから、北朝鮮が真摯に対話に応じることを期待しております。  したがって、委員がおっしゃった日朝協議開催されればそれは望ましいことだと、そうしたいとは思っておりますが、すぐできると、そういう状況かどうかはなかなか、何とも言えないというところでございます。
  18. 川上義博

    川上義博君 だから、日朝会合はやりたいということなんですね。だから、それは六者の協議の前になければいけないんじゃないですか。六者の後に日朝やったって意味成さないんじゃないですか、第二段階協議するんですから、包括的な。日朝協議は六者の前にあるんでしょう、ないんですか、やりたいと思っていらっしゃるんじゃないですか。
  19. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日朝協議もやりたいと思っていますし、六者会合もやりたいと思っています。日朝協議を前にできればそれにこしたことはありませんが、日朝協議がその前になければ六者会合をやっても全く無意味だとか、日朝協議がその後になったから全く無意味だとか、そういうわけでもないと思っております。委員がおっしゃるように、日朝協議がまずできたらそれはそれで大変いいことだと日本政府としては思っているということでございます。
  20. 川上義博

    川上義博君 日米韓協議が五月の十九日にアメリカでやられまして、齋木局長が行かれたんですね。そのときに、韓国外交通商部のある人なんですけれども、ワシントンで開かれた韓米日協議の際に、日本側ができるだけ早く経済エネルギー支援事業に参加したいという意思を明らかにしたという、こういうことが言われておるんですよ。日本が六者会議参加国としての重大な責任を認識しておる、日本だけエネルギー支援しないんだということは許されないという、裏を返せばそういう発言をされたということなんですね。エネルギー支援に参加したい、できるだけ早く、そういう表明が日本からあった、これは事実ですか。
  21. 齋木昭隆

    政府参考人齋木昭隆君) お答え申し上げます。  私、今委員が御指摘になられた五月十九日の日本アメリカ韓国の間の三か国の首席代表レベルでの協議に出ておりましたので御報告申し上げたいと思いますけれども、今御指摘になられたようなエネルギー支援会合日本としても早く出たいという言いぶりは私はした記憶がございません。  ただ、話の流れの中で、エネルギー支援についての作業部会韓国としてもなるべく早期開催したいと思っているけれどもということで、アメリカ日本はどういうふうに考えているかということで質問がございました。それに対しては、皆さん御案内のように、日本の置かれているこのエネルギー支援をめぐる状況については、日本拉致問題という大きな問題について進展が見られない限りはこれに参加することはできないという日本立場というのは御存じのとおりだと思うし、この点については六か国協議の場でも日本はもう既に説明しているとおりですよと。したがってそこで、日朝拉致問題で進展があれば日本としてはこのエネルギー支援皆さんと一緒に参加する、そういう状況になっていくんですというそういう説明を私はいたしましたけれども、それについてはアメリカ韓国日本立場はよく分かったと、こういうことでございました。
  22. 川上義博

    川上義博君 官房長官経済制裁を閣議決定されたんですけれども、延長をですね、この経済制裁を解除するときに、核計画申告いかん経済制裁を解除されるんですか。核計画ですからミサイルと核のことで経済制裁を発動されたわけですから、要するに核の計画申告いかん経済制裁を解除されるんですか、あるいは拉致問題の進展も含まれてその経済制裁を解除されるのか、どちらですか、両方ですか。
  23. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) かねてより申し上げておりますが、政府としては、核だけとか拉致だけということではなくて、核、拉致ミサイル、これらを総合的に判断をして制裁の効果が上がった、あるいは制裁を解除するに足るだけの成果があったので制裁を解除する、一部あるいは全部というようなことで判断をしようかなと、こう思っておりまして、ある一部分だけがこういったから自動的にそれで制裁を解除するとかしないとかということにはならない。やっぱり、常に総合的な判断政府としてする必要があるんだろうと思っております。
  24. 川上義博

    川上義博君 これは米朝の話なんですけれども、外務大臣に答えてもらいたいんですけれども、六者協議が始まるまでに、当然、北は核計画申告を多分すると思うんですね。六者協議の始まる前に、何日前か分かりませんけれども、核計画申告をして、その後、アメリカは議会に大統領が通告をすると思うんです。それは、テロ指定国家解除通告をする、そして六者協議に入っていく、こういうスケジュールでアメリカは考えていると思うんですけれども、どうですか。
  25. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) アメリカ立場は一貫しておりまして、テロ支援国家指定解除をするかどうかは北朝鮮非核化措置次第である、ただそのときには同時に日朝関係進展も考慮に入れる、日本とよく相談する、こういう一貫してかなり前からそういう立場を取り続けていると、こういうふうに理解をしております。
  26. 川上義博

    川上義博君 もう時間が来ましたから、最後に、私この前、小泉純一郎さんと会う機会を得ました。当時、小泉総理は、平壌宣言はもう究極目標国交正常化なんだと明確におっしゃったんですね。平壌宣言究極最終目標国交正常化なんだ、それが平壌宣言なんだと、こうおっしゃっているんですね。二回目の訪朝から帰られたときに語った小泉さんの言葉も、敵対から和解へ、対立から協力へという言葉だったんです。そのことについて、外務大臣官房長官、どのような感想をお持ちですか、私の今の質問に対しまして、それを最後にして質問を終わります。
  27. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 小泉総理平壌宣言究極的目的国交正常化と、こういうことをおっしゃったこと、それはそのとおりだと思います。  ただ、拉致、核、ミサイルの問題を解決して国交正常化、この拉致、核、ミサイルの問題を解決するというのは単なる国交正常化のための手段というだけじゃなくて、それ自体目的であると、そういうふうに私は理解をしております。
  28. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今外務大臣が言われたことと同じ考えであります。
  29. 下田敦子

    委員長下田敦子君) それでは、時間となりましたので、次の質疑に移らせていただきます。  次、加賀谷健委員からどうぞ、お願いします。
  30. 加賀谷健

    加賀谷健君 御指名いただきました加賀谷でございます。  私は、千葉県議会の当時、千葉県議会にありました拉致問題早期解決支援に関する議員連盟というのがありまして、たまたま私が副会長を仰せ付かりまして、横田御夫妻を千葉にお招きをしていろいろな集会を開いたりお話を聞かせていただいて、そのころからこの問題については大変関心を持っておりまして、たまたまこの拉致特に入れていただいたということでございますので、今日は少し質問をさせていただきたいと思います。  先ほど、今、川上委員質問の中で、高村外務大臣は、具体的に進展をするということは北朝鮮がある種の行動を取ったときだろうと、こういうお話がございましたけれども、過日ある新聞拉致被害者数人生存、帰国用意と、北朝鮮が米に伝達をしたというような記事が載っておりましたけれども、この辺についての真偽が分かりましたらちょっと教えていただけませんでしょうか。
  31. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 五月二十七日、毎日新聞でそういう報道が出て、私も大変びっくりしたわけでございますが、そのような事実があったということは承知をしておりませんし、また、その新聞が出された翌日ですか、齋木局長が北京でヒルアメリカ国務次官補と会ったとき、その報道について確認をしたけれども、ヒル次官補もそのような事実はないとお述べになったそうであります。
  32. 加賀谷健

    加賀谷健君 この記事を見たとき、私はこういうことになるとまさに大きな一つの進展かなと、こんなふうにも感じたわけでありますけれども、そういうことがないということで非常に残念なことでございます。  それでは、次の質問に入りたいと思います。まず、この拉致問題に対するいろいろな形で今政府取組をされておりますけれども、その辺の対応について少しお聞かせをいただきたいと思います。  二〇〇六年の九月に総理大臣本部長とする拉致問題対策本部設置をされて、すべての拉致被害者の生還を実現すべく対応方針を決めたと、こう聞いておりますけれども、最初に、その対策本部設置をされて以降の活動状況が分かりましたら教えていただけますでしょうか。
  33. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 委員指摘のように、十八年九月、拉致問題対策本部設置をされ、十月に第一回会合を開きました。そこで、対話と圧力という一貫した考え方の下で、拉致問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化はあり得ないということを改めて確認し、拉致問題における今後の対応方針というものを策定をし、現在もこの方針に基づいて関係省庁が必要な政策を遂行しているところであります。  その後どのような活動をしているかということでありますが、閣僚レベルで集まってこの対応方針を変更する事態にはなっていませんので、閣僚級本部会合自体はやっておりませんが、更にその対応方針を具体的に進めるために、下部組織であります関係省庁対策会議、これは局長級でございますが、あるいは広報分科会など所要の分科会を適宜開催をしておりまして、福田内閣になってからもその会合も適宜開いているところでございまして、こうした各種会議を有効に活用しながら、拉致問題解決に向けた取組を総合的に行っているというところでございます。
  34. 加賀谷健

    加賀谷健君 本部会合は十月に一回開かれたと。その後、余りはっきりお答えにならなかったわけでありますけれども、その対策本部関係省庁対策会議というのが私が調べたところでは四回しか開催をされていないわけですね。二〇〇六年の九月以降、会議というのはそれが四回開かれただけと。  ただ、私は、この拉致問題を積極的に取り組むと言われている割には会議が、会議やればいいとは思いませんけれども、何か取組が片手間的な感じがしてならないんですけれども、この辺のことと、今後どういうふうに取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。
  35. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 確かに局長級会議は、委員指摘のように四回でございます。今年のことについていえば、第四回目が四月十七日に開かれております。  それから、先ほど申し上げました広報分科会というのがございますが、これは既に十回開催をされているところでございまして、予算の話とか民間団体との連携とか、あるいはサミットに向けての話とか、あるいは情報発信の話、いろいろやっております。  それから、会議と銘打たないまでも、例えば官房長官室に必要な人員が集まってこの問題をどうしようかというような会議は、一々何とか会議とは申しておりませんが、そこは適宜弾力的に当然ながらやっていることを御報告をさせていただきます。
  36. 加賀谷健

    加賀谷健君 是非積極的に、年一回程度ずつしかそういう省庁対策会議は開かれていないということは非常に残念でございますんで、これからも積極的に、いろんな会議やられているということでございますんで、目に見えるような取組を是非ともやっていただきたいと思います。  次に、特定失踪者問題について少しお聞きをしたいと思います。  特定失踪者というのは、民間団体である特定失踪者問題調査会北朝鮮による拉致かもしれないという御家族の届出を受けて独自に調査の対象としている失踪者でございまして、この反対は認定された失踪者という方がいるわけでありますけれども、二〇〇六年十一月九日、安倍政権のときに、塩崎官房長官特定失踪者家族代表に会っていろんな要望を聞いておりますけれども、福田政権になって、この特定失踪者家族代表と会い、要望を聞いているという、こういう行為をした事実はありますでしょうか。
  37. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 私自身は、正直言って、団体の代表という方が必ずしもいらっしゃらないものですから、その代表と直接、代表と称する人といいましょうか、お目にかかったことはございませんけれども、例えばいろんな会合の席とか懇親会の席とかでこの失踪者の御家族の方とお目にかかったことはございます。  なお、昨年の十月には大野官房副長官が埼玉県の特定失踪者の御家族と、それから昨年の十一月には中山総理大臣補佐官が新潟県の特定失踪者の御家族とそれぞれお会いになったということで、その御要望は、これらの方々を通じて私も御要望は承っているところでございます。  また、私どもの内閣官房の拉致問題対策本部事務局が窓口になって、こうした御家族の抱えておられるいろいろな課題、問題点等々について、あるいは御要望についてはお伺いをしたり、御相談を受けたり、御報告を受けたり、こちらからの情報連絡をしたりというようなことで、できるだけ丁寧にきめ細やかな対応に心掛けているということでございます。
  38. 加賀谷健

    加賀谷健君 確かにそういう形でのお会いの仕方はしているんだろうと思いますけれども、やはりある意味、安倍政権当時のような会い方をしていろんなお話を聞いていただけることも私は必要なのではないかなと。  実は私のところに、今持っているんですけれども、この特定失踪者問題調査会から総理大臣、まさに拉致問題対策本部長の福田総理に昨年の十月三十一日付けで要請の文書が出ているんですけれども、この内容は、政府は認定、未認定者で差別することはないと、要するに取扱いの部分においてですね、と言いながら、実質上、特定失踪者政府認定拉致被害者との差別的取扱いがされているのではないかという指摘をして、政府に要請をしているわけでありますけれども、この調査会からの話によりますと、特定失踪者拉致被害者との間に政府は何らかの違い、対応の違いがあるというふうに指摘をしているんですけれども、この辺はどういうふうにお考えでしょうか、お伺いしたいと思います。
  39. 河内隆

    政府参考人(河内隆君) お答え申し上げます。  政府といたしましては、これまでにも拉致被害者として認定している十二件十七名の方以外にも、北朝鮮による拉致の可能性を否定できない方が存在しているというふうに認識しております。こうした認識に基づきまして、関係省庁関係機関が緊密に連携を図り、国内外からの情報収集や関連する調査、捜査を強力に推進し、事実の解明に努めているところでございます。  したがいまして、政府として今後とも事案の解明に向けて引き続き全力を傾けていくわけでございますし、認定されているいないにかかわりなく、拉致の可能性の排除できない方の御家族の皆様の御相談にも、先ほど官房長官が申し上げましたようにきめ細やかに対応してまいりたいと考えているところでございます。  以上です。
  40. 加賀谷健

    加賀谷健君 是非そういうふうにしていただきたいんですけれども。  実は、特定失踪者の中に古川了子さんという方がいらっしゃるんですけれども、この方は私の選挙区である千葉県の市原市で昭和四十八年に失踪したと。たまたま古川さんは私の自宅の近くにある千葉商業高校という学校の卒業生ということもありますけれども、この古川さんの行政訴訟においても政府はそういう差別はしていないという発言がされていますけれども、調査会等から言わせるとどうもそのようには映っていないと、全く相反しているのではないかというようなことが言われているわけでございまして、是非とも目に見えるような形で、総理又は官房長官特定失踪者家族の方々に会うと、こういう意思表示をしていただければ御家族の皆様方も勇気付くのではないかと思いますけれども、この辺についてはいかがでしょうか。
  41. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) この拉致関係の方以外でもいろいろな方々がお見えになったり、またアポイントの御要請もあります。時間が許す限り、日程が許す限り、一人でも多くの方々とお目にかかっていきたいと、国民の皆さん方のお声を聞くというのはもう当然のことであると、こう思っております。ただ、現実、なかなか日程が立て込んでいるというような事情もあることもひとつ先生御理解をいただければと思いますが、この特定失踪者皆さん方と、だからお目にかかりませんなどと言うつもりは更々ございません。
  42. 加賀谷健

    加賀谷健君 多分多忙だということは私も分かっておりますので、できるだけそういうチャンスをつくっていただいていろんなお話をお聞きいただければと、こんなふうに御要請をしたいと思います。  次に、特定失踪者についての刑事告発、告訴に関する件についてお聞きしたいと思います。  現在、特定失踪者問題調査会が、拉致の可能性が濃厚とするリストの中で約三十五人について既に刑事告発ないし告訴が行われていると聞いておりますけれども、この辺の実態について分かりましたら警察庁の方からお聞きをしたいと思います。
  43. 池田克彦

    政府参考人(池田克彦君) 警察におきましては、これまで北朝鮮による拉致ではないかとする相談等を九百件以上受けております。そのうち四十一件四十五名については告訴、告発を受理して現在鋭意捜査しているところでございます。また、ただいま御指摘ございました特定失踪者に関して申し上げれば、三十六件三十八名の告訴、告発を受けておるところでございます。この四十一件四十五名の告訴、告発のうち五件七名を拉致容疑事案と判断しているところでございます。  また、警察は、告訴、告発に係るものも含めまして、日本拉致容疑事案十二件十七名及び朝鮮籍の姉、弟が拉致された事案一件二名、合わせまして十三件十九名を北朝鮮による拉致容疑事案と判断しまして、拉致の実行犯といたしまして八件十一名の逮捕状の発付を受けまして、ICPOを通じて国際手配をしているところでございます。  警察におきましては、既に判明した拉致被害者の方以外にも北朝鮮による拉致の可能性はあると考えておりまして、そういう認識の下、引き続き全容解明に向け全力で捜査、調査を進めてまいりたいと考えております。
  44. 加賀谷健

    加賀谷健君 大変な数の方がそういう状況にあるということが分かったわけでありますけれども、この辺の進捗状況といいますか、捜索、捜査の状況というのは、これは当該家族の方にはある程度状況的な形での報告というのはされているのか、またすることができるのか、その辺ちょっと分かりますか。
  45. 池田克彦

    政府参考人(池田克彦君) 捜査が進展している場合、もちろんこれ個人のプライバシーに係ることもございますので、すべてというわけにはまいりませんが、必要に応じて御家族の方には説明することはできると考えております。
  46. 加賀谷健

    加賀谷健君 できるだけそういう形で説明をしていただければと思います。  次、時間が余りないんですけど、拉致の進捗状況について、拉致認定ですね。  小泉さんが平成十四年に訪朝されて以来六年経過をしているわけでありますけれども、この間政府によって拉致認定されたのは田中実さんと松本京子さんの二人ということでございますけれども、今警察の捜査状況もありましたけれども、新たな拉致認定者として近々認定をするというような動きというのはあるのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思うんですけど。
  47. 河内隆

    政府参考人(河内隆君) 先ほども御答弁申し上げましたように、政府におきましては、これまでに拉致被害者として認定している方、議員御指摘のように十二件十七名の方でございますが、それ以外にも、北朝鮮当局による拉致の可能性が排除できない方が存在しているというふうに認識しております。この認識に基づきまして、関係省庁関係機関が全力を挙げて国内外の調査、捜査を進めているわけでございますが、その結果、北朝鮮当局による拉致行為があったと確認された場合には速やかに拉致被害者として認定することとしているわけでございます。  お尋ねの新たな拉致被害者として認定する動きにつきましては、具体的に申し上げることは難しいわけでございますが、いずれにいたしましても、今後とも関係省庁関係機関と緊密な連携を図りながら、全力を挙げて国内外の調査、捜査を推し進め、事案の解明に向け取り組んでまいりたいと考えております。  以上です。
  48. 加賀谷健

    加賀谷健君 是非努力をしていただきたいと思います。  最後に、この調査会が実は北朝鮮に向け短波放送「しおかぜ」という電波を流しているわけでございますけれども、実は何か近々これに石原慎太郎東京都知事もメッセージを乗せるというような話も出ておりましたけれども、これが北朝鮮から妨害電波が流されて、現地の方ではなかなか聞き取れていないというような話が聞こえているようでありますけれども、この電波というのは決して違反な電波ではなくて、国際電気通信連合の正式な周波数の割当てを受けて行われている放送でございまして、こういう電波妨害に対して当然抗議すべきではないかと思いますけれども、政府としてはどのような対応をしているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  49. 田中栄一

    政府参考人田中栄一君) お答え申し上げます。  今先生御指摘になられましたように、特定失踪者問題調査会が平成十九年三月二十六日より短波帯を用いた情報発信を行う「しおかぜ」を運営されておられます。これにつきましては、今先生おっしゃいましたように、国際的な登録をされた正規の無線局でございます。周波数につきましては、国際的なルールに基づきまして半年ごとに周波数を変えると、これは季節的な電波の伝わり方の状況が異なるということで、そういうルールになっております。  総務省ではこの「しおかぜ」の電波の監視を行っておりまして、現時点では、周波数変更後数日後には「しおかぜ」とほぼ同一の周波数の電波が北朝鮮から発射されているということを確認いたしております。  受信の状況でございますが、韓国ソウルでの受信状況といたしましては、多少の雑音は入ることがあるものの、おおむね聴取には問題ない旨聞いております。  ただ、北朝鮮からの電波には、国際電気通信連合の定める無線通信規則において義務付けられております識別信号、どこの国からどういう無線局を出しているかという識別信号を送出する義務があるわけでございますけれども、これが付けられておりません。したがって、私ども、同規則違反ということで、国際電気通信連合を通じて北朝鮮に同規則違反の通報を行っておるところでございます。  私ども総務省といたしましては、今後とも電波の監視を継続いたしますとともに、万一受信に有害な混信を与える事態に至りました場合には、無線通信規則に基づきまして、国際電気通信連合に対して混信排除に向けた援助要請を行う所存でございます。  以上でございます。
  50. 加賀谷健

    加賀谷健君 この放送、北朝鮮の側でそれはひそかに聞いて大変心の支えになっている方々もかなりいらっしゃるのではないかと思います。是非しっかりサポートをしてやっていただきたいと思います。  予定の時間が来ましたので、終わります。
  51. 水戸将史

    ○水戸将史君 民主党の水戸将史でございます。  お二人の委員に引き続きまして、私も何点かお聞きをしていきたいと思っておりますが、時間も限られておりますので、絞ってお答えを賜りたいと思っております。  特に、ちょうど二年前、これは議員立法だったんでしょうか、拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律、これが国会を通過し、また施行されておりますことは、御案内のとおりであります。あれから二年間を経過しようとしておりますので、そろそろ中間的な検証も加えていく必要があるかなと思っておりまして、それにのっとった形で質問をさせていただきたいと思いますので、簡潔な御答弁をよろしくお願い申し上げます。  この法律の第六条を御覧いただければ、この第六条におきましては、政府は、北朝鮮当局によって拉致され、また拉致されたことが疑われる日本国民、さらに脱北者に対して様々な支援をしていく必要があるという必要性をここに明記しているんですね。この第一項の中におきましては、こうしたいわゆる拉致されたことが疑われる日本国民、脱北者に対する支援活動を行う国内外の民間団体との密接な連携の確保に努めるものとすると、こう明記されておりますが、この二年間、この間、政府はどういう団体に対してどのような情報の提供や財政的な支援をしてきたのか。この団体というのは、どういう団体を対象にしてきたのかということを明確にお答えいただきたいと思っております。官房長官
  52. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 民間団体のお尋ねでございます。  具体的には、拉致被害者支援する家族会、救う会に対しまして拉致問題の解決に関連する様々な情報提供を行っております。また、財政上の支援としては、拉致被害者家族によります国際連携のための外国訪問旅費、次に北朝鮮人権侵害問題啓発週間におきます家族会、救う会等が主催をいたします国際会議への海外出席者の訪日旅費をそれぞれ負担をするという形でこの民間団体への支援を行ってきているところでございまして、今後、この法の趣旨にのっとりまして、必要に応じてNGO等の支援団体の協力も得ながら、この人権問題解決に向けて努力をしていきたいと、こう考えておるところでございます。
  53. 水戸将史

    ○水戸将史君 この法律の第六条第二項は、脱北者の保護、支援をうたっております。これまでも、NGO等を含めて民間の諸団体は、脱北者難民に対して、日本に来た脱北者に対して様々な支援をしていくべきであるという必要性を訴えております。例えば教育を施したり、また生活の資金を提供したりとか日本語学習の機会を提供したりとか、いろんな形で支援策を求めてきておりますけれども、政府は今までこの条項に基づいてどのような脱北者に対する定住的な支援を行ってきたのか。また、そうすることによって脱北者は日本にどの程度定着しているのか、その定着率ですね、これはどの程度でございますでしょうか。
  54. 樹下尚

    政府参考人樹下尚君) 脱北者に対する支援に関しましては、いわゆる北朝鮮人権法の趣旨を踏まえまして、関係省庁の連携の下、各種支援のための施策を推進していくこととしているものでございます。具体的には、脱北者に対し、個別のケースに応じまして、生活保護受給等の各種支援に向けた手配でありますとか、職業相談、精神的なケア等の実施を行うこととしております。
  55. 水戸将史

    ○水戸将史君 定着率、定着率。
  56. 下田敦子

    委員長下田敦子君) 答弁漏れ。
  57. 水戸将史

    ○水戸将史君 そう、定着率。どの程度やってきてどの程度定着されているんですかということ。質問通告していますよ。どういう人たちが、その人たちは定着しているんですか。日本にずっと定着されて、定着という概念もあるだろうけど、定着率ってあるでしょう。どの程度定着されているんですかという話。
  58. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今ちょっと手元に正確な数字等ございませんが、脱北者の中で、日本に来られるときにそれを支える方々がいらっしゃるか、あるいは御親戚等々がいらっしゃるかというのを見て受け入れるということをしておりますから、また日本からアメリカへ行くとか韓国へ行くという方がそれは若干名いるのかもしれませんけれども、私の知り得る限りではかなりの高い率で日本に来られた方はそのまま日本におられるんじゃないかと、こう理解をいたしております。
  59. 水戸将史

    ○水戸将史君 質問通告しておりますので、是非資料を、定住支援を行ってきたということを先ほどとうとうとお述べになっているので、日本に脱北者がどの程度入ってきて定住されているのかどうか、またいみじくもおっしゃったようにそれが海外にまた行かれているということも考えられますので、その定着率ですね、どの程度であるかということは把握できますね、調べられますね。もう一回御答弁いただきたいと思います。
  60. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 調べるように努力いたします。
  61. 水戸将史

    ○水戸将史君 是非後ほど資料等をいただきたいと思います。  そして、この脱北者に対して難民認定をしているのか、していないのか。していたらその件数は何人なのか。また、難民認定をする基準、この人は難民であるよ、脱北者は難民であるという、これを定める認定の基準は何か。どういう基準に基づいてこうした難民認定をされているのか、そのことを明確に、具体的にお答えいただきたいと思います。
  62. 稲見敏夫

    政府参考人(稲見敏夫君) お答えいたします。  入管法上、難民につきましては、難民条約あるいは難民の地位に関する議定書、その適用を受ける難民と定義されております。したがいまして、難民条約に規定されます難民に該当するか否かという、このことが難民認定基準ということになります。これ以外に難民認定の基準はございません。  さらに、脱北者であるとして難民認定申請に及んだ者の数でございますが、今年まですべて調べまして二件でございます。結果でございますが、一件は結論が出る前に手続の途中で申請が取り下げられております。残りの一件につきましては難民に当たらないという結論に達しております。  以上でございます。
  63. 水戸将史

    ○水戸将史君 日本の法律に比して、アメリカでも既に北朝鮮人権法というものが制定をされておりまして、御存じだと思いますけれども、非常に米国は北朝鮮、特に人権問題に関しましてはかなり議会でも取り上げられておりまして、そしてこの法律でもかなり手厚い形でそうした人を支援をしていこう、保護をしていこうということが明確にうたわれております。  例えば、先ほど言った民間団体に対して毎年二百万ドルを援助しようとか、それから北朝鮮内外の情報を収集するため毎年二百万ドルを、これを経費として使っていこうとか、そして脱北者を支援する団体等に年間二千万ドルの援助を行っていこう等々、こういう形で非常に、日本の今までのお答えになった取組と比べて、直接的な被害や脅威を持っていないアメリカですらこういう形で、法律にのっとった形でアメリカ政府がそういう形で支援をしている、保護をしているということなんですけれども、こうした、別にアメリカがやっているからどうのこうのではなくて、やはり日本も直接な被害がある、直接な脅威があるという、そういうような国際情勢の中においてやはり日本政府対応がこれからますます北朝鮮に対して、またそうした脱北者等々、人権問題に絡んで求められてくることになってくるんではないかと思っているんですけれども、こういう実態を踏まえて、日本は今後どういう対応をしていくべきだと思われますか。
  64. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) アメリカの様子は今委員から大体お話のとおりでございまして、法律でこうなって、これが実際どう運用されているかというのは実はよくまだ分かっておりません。本当にこれこれの予算を出す用意があるよといったものが全部そのとおり出ていくかですね、これはちょっとアメリカ政府のことだからよく分かりません。いずれにしても、大変意欲的な姿勢を示しているわけであります。  私どもも、先ほど申し上げましたけれども、こうした民間団体に対して、外国訪問、国際会議出席等の際の支援などの予算を活用して、こうした様々な活動が行えるように努力をしておりますし、また、脱北者の受入れに際してもいろいろなきめ細やかな配慮をする等々のことはやっているつもりでございますが、また今後、状況を見ながら更に必要な政策はしっかりやっていきたいと考えております。
  65. 水戸将史

    ○水戸将史君 是非アメリカ状況も調べていただいて、どの程度の実効性があるのかどうかに関しましても、やはりアメリカともいろんな形で関係強化をしながら進めていっていただきたいと思いますし、その物的な支援も更に一層それに対して御努力をしていただきたいことを強く要望しておきたいと思っております。  また、これ両方の法律を見てみましても、北朝鮮人権週間というのを設けているんですね、一週間。今年の四月二十六日や五月、これはアメリカの人権法ですけれども、北朝鮮人権週間というのがありまして、この人権週間の一週間の間に、ブッシュ大統領が、この北朝鮮の人権週間を過ごすに当たりまして、言論や報道、宗教、集会、結社の自由の否定や移動の自由、労働者の権利の制限など、北朝鮮における人権侵害状況に深く憂慮する旨の大統領声明までこれは出しております。  日本もこの法律が施行されて二年間たとうとしておりますけれども、過去二回のこうした啓発する週間がございました。日本の場合は十二月十日から十六日まででしょうか。こういうような、いわゆるブッシュ大統領ですらというか、やはり効果的な演出を内外共にこういう形で北朝鮮に絡んで大統領自らが声明を発表されているということでありますが、日本政府はこういう週間に倣って、この北朝鮮拉致、人権問題に関して、日本総理大臣が、また日本政府がどのような声明、談話を発表されたんでしょうか。
  66. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 昨年十二月の北朝鮮人権侵害問題啓発週間、私も出席をして皆さん方にごあいさつをし、またお目にかかっていろいろなお話もさせていただきました。国際シンポジウム、北朝鮮人権状況拉致問題というのが開かれまして、中山補佐官あるいは齋賀人権担当大使、当時でございますが、基調講演を行って、政府の考え方、立場というものを明らかにしてきたところでございます。  また、多くの人々に知っていただきたいということで、関係省庁あるいは地方自治体においてもポスターを出したりチラシを配布したり、またメディアによる広報、写真展、講演会の開催など様々な活動を行いまして、国民の皆様方にも広く、この北朝鮮による人権侵害問題があるんだということも活動として行っております。  また、拉致被害者の御家族皆さん方の献身的な活動というのも、まさに幅広い国民の皆様方に対するアピールとして極めて有効であり、映画をお作りになったりするなど大変活発な活動もしていただいておりまして、この問題についての、まさに国家による日本人の人権侵害問題であるという認識は相当程度我が国の国内では広まっているのではないかと、こう思っております。  いずれにしても、今後とも、この週間あるいは週間に限らず、平時から政府の考え方を幅広く国民の皆様方に御理解をいただくような努力を引き続きやっていきたいと考えております。
  67. 水戸将史

    ○水戸将史君 やはり一国を代表する立場の者の発言というのは非常に重いし、また中身もあるわけでございますし、その姿勢が問われてくるわけですね。アメリカの大統領もそうですし、また韓国の李明博大統領が、新たな政権発足に当たりまして、この北朝鮮の人権問題を最優先課題として取り扱っていこうという方針を明らかにしております。  これをかいつまんでみますと、韓国人の拉致問題及び国軍捕虜問題につきましては、自国民の保護は国家の基本責務であるという観点から最重要課題として推進していこう、脱北者問題については、韓国に入国した脱北者の定着支援を一層強化していこうという非常に力強い大統領の考え方を示しているわけでございますが、これについて日本政府はどう評価されますか。
  68. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 李明博大統領は、大統領就任前から公約として朝鮮戦争時に北朝鮮側の捕虜となった韓国軍兵士に関する諸問題を最優先課題とする旨明らかにしてきたものと承知をしております。  また、本年三月、韓国政府は、北朝鮮の人権問題等に関して、韓国拉致問題及び国軍捕虜問題について、自国民保護は国家の基本的責務であるという観点から最優先課題として推進すること、脱北者問題について、韓国に入国した脱北者の定着支援を強化すること、北朝鮮の人権状況を改善すべく努力することといった方針を明らかにしているものと承知をしております。  四月二十一日に行われた日韓首脳会談では、北朝鮮による拉致問題を含む人道、人権の問題が日韓両国にとって重要であることを両国首脳間で確認し、特に李明博大統領から、拉致問題の解決のためできる限りの協力をしたいとの立場が示されたわけであります。  今後とも、非核化拉致問題を含む日朝関係が共に前進するように、韓国とも緊密に協力しつつ、北朝鮮に対し粘り強く働きかけていく考えでございます。
  69. 水戸将史

    ○水戸将史君 この委員会でもいろいろと御発言、御答弁をいただきますが、なかなか拉致問題が進展していかない大きな要因として、日本政府の、日本取組はそれなりにやっているんですけれども、情報を収集するという能力が、非常にこれが劣っているんじゃないかということを私は危惧しております。  確かに、外務省も公安調査庁もいろんな形で情報収集するために働きをしているわけでありますけれども、もちろん、北朝鮮国内に入り込んでいくわけにいきませんので、やっぱり内部に通じた人間に対していろいろとそこから聞き取り調査とか、いろんな形で諸外国と連携を取りながらやっていくことは、これは必要なことでありますし、ますますそれに対しては皆さんも力を入れていただきたいと思うんです。  特に、釈迦に説法でありますけれども、脱北者に対して、そのような北朝鮮に住んでいた方々がどういうような形でそこにいたのか、どういう方々との連携、そういうつながりがあるのかということを、やはり脱北者に対しても更に一層働きかけをしていく必要がある。特に、今韓国に入ってきている脱北者が一万二千人以上いるわけでありますし、こういうような形で韓国政府とも相連携を取りながらも、脱北者支援ということを通じて、そこで北朝鮮は実際どういうような今政情なのか、どういう形で今社会的な流れがあるか、社会的にまたそれが拉致問題にどういう形でリンクしていくのかということを、この情報の量とその質をやっぱり高めていく必要があると思いますし、そういう中においての脱北者に対する保護、定住支援というのは、当然これは政府としてやっていく必要があるんですね。  しかし、先ほどから聞いていますと、非常に心もとない、アメリカ韓国に比べても非常に日本は見劣りをしているんじゃないかということすら危惧されているわけでありますので、こういうことを含めて、是非これからの、せっかく二年前に作った法律をより一層実効性を高める意味におきまして、日本政府の姿勢を問うていきたいと思っています。  これについて最後外務大臣の御答弁をいただきながら、私の質問を終わります。
  70. 小池正勝

    大臣政務官(小池正勝君) 韓国に対する脱北者についての御答弁を申し上げます。  本年一月現在、韓国統一部の発表によると、韓国に入国した脱北者は一万二千二百五十九名であるというふうに承知をいたしております。  政府といたしましては、脱北者の皆さんに対する情報収集、様々な形での情報収集を行っておるところでございますけれども、その詳細につきましては、事柄の性質上、御答弁は差し控えさせていただきます。
  71. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) おっしゃるように、情報はあればあるほどいいわけでありますから、これからも更にあらゆる面を通じて情報を収集してまいります。
  72. 白眞勲

    白眞勲君 民主党白眞勲でございます。  まず、今年三月下旬にラオスの日本大使館に北朝鮮から逃れた脱北者と見られる男性が駆け込んだことについて外務大臣にお聞きいたします。  この男性は、かつて北朝鮮に渡った在日朝鮮人夫婦の子供だったと本人が話しているとも伝えられているわけなんですけれども、今現在、この男性はどうなっているんでしょうか、お答えください。
  73. 小池正勝

    大臣政務官(小池正勝君) 在ラオス大使館への脱北者についての御質問に御答弁を申し上げます。  脱北者事案につきましては、政府としては、北朝鮮人権法の趣旨をも踏まえて、個別具体的な事情を勘案しながら適切に対処するという方針で臨んできております。  この種の事案に関する事実関係につきましては、本人及び関係者の身の安全並びに今後の類似の事案に及ぼし得る影響等を考慮しまして、その有無を含めましてコメントは差し控えさせていただきますので、その点御理解を賜りたいと存じます。
  74. 白眞勲

    白眞勲君 それはおかしいんじゃないんですか。いるかいないかぐらいはおっしゃってもいいんじゃないかと思うんですけれどもね。その事情について、それは説明していただかないと困りますね、もう一度お答えください。
  75. 小池正勝

    大臣政務官(小池正勝君) 今も申し上げましたけれども、本人及び関係者の身の安全であるとか今後の類似の事案に及ぼし得る影響等を考慮して、その有無を含めてコメントは差し控えさせていただいておりますが、その上であえて申し上げれば、脱北者については、我が国は、日本国籍を有する者である場合には邦人保護の観点から当該者をしかるべく保護して、その安全を図るなど、北朝鮮人権法の趣旨をも踏まえた上で対応を取ってきているところであります。
  76. 白眞勲

    白眞勲君 もう報道されているんですよね、ラオスに入ったということは。それを、有無も含めてお話しされない理由というのは今全然納得いかないんですね。これじゃ聞けないですよ、これ以上。もう一度お答えください。
  77. 小池正勝

    大臣政務官(小池正勝君) これは先ほども申しましたけれども、本人及び関係者の身の安全及び今後の類似の事案に及ぼし得る影響等を考慮して、その有無を含めてコメントは差し控えさせていただくということで御理解を賜りたいと存じます。
  78. 下田敦子

    委員長下田敦子君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  79. 下田敦子

    委員長下田敦子君) 速記を始めてください。
  80. 白眞勲

    白眞勲君 じゃ、今二か月以上経過しているわけですけれども、その結果についても一切答えないというのはちょっと余りにも長過ぎるんじゃないかなと思うんですけれども。その結論としてどうなのか、じゃ、外務大臣高村外務大臣、お答えください。
  81. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今、大臣政務官が答えたとおりでありまして、報道されていることが事実かどうかも含めて、これはお答えしないということになっておりますが、一般的な対応についても、先ほど政務官が答えたとおりでございます。
  82. 白眞勲

    白眞勲君 今現在、瀋陽や北京などの日本の公館に何名の脱北者とされる方がいるのかもお答えできないんでしょうか。お答えください。
  83. 小池正勝

    大臣政務官(小池正勝君) 在瀋陽、在北京その他の在外公館についてのという御質問でございました。  これは、先ほど来御答弁申し上げておりますように、一般に、脱北者事案につきましては、政府としては、北朝鮮人権法の趣旨をも踏まえ、個別具体的な事情を勘案して適切に対処することとしておりまして、この種の事案に関する事実関係については、今後の類似の事案に及ぼし得る影響等を考慮して、答弁を差し控えさせていただくことにしております。御理解を賜りたいと存じます。
  84. 白眞勲

    白眞勲君 全然理解できませんね。  当然、その脱北者の中には日本人とその子供たちもいるんじゃないかなと思うんですけれども、それについてなぜ国民に対して報告する必要がないというふうに言えるんでしょうか。その理由についてお答えいただきたいと思います。
  85. 小池正勝

    大臣政務官(小池正勝君) 理由についてということでございました。  この事実関係が公表できない理由でございますけれども、関係国との信頼関係あるいは類似の事案に及ぼし得る影響等を考慮して、答弁は差し控えさせていただいておるところでございます。
  86. 白眞勲

    白眞勲君 その関係国との信頼関係関係国ってどこですか。
  87. 小池正勝

    大臣政務官(小池正勝君) 繰り返しになって恐縮でございますけれども、この脱北者事案につきましては、我が国として、人道的な観点に立ちまして、脱北者の人定事項、希望、総合的に考慮した上で、脱北者が現に滞在している国及び行き先となる国との間で慎重に調整を行うことといたしております。  その際、在外公館における保護等の実態を含め、事実関係を明らかにすることは関係国との調整に支障を来す場合があることから、我が国としては、脱北者の早期出国という人道的観点を優先的に考えて、個別具体的な内容は明らかにしないということにいたしております。
  88. 白眞勲

    白眞勲君 それは、ちょっと私たちとしては納得いかない御答弁ですね。  この件については、またほかの委員会も含めてやりたいと思っています。
  89. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) その国がどこだとか何だとか具体的なことはちょっと差し控えますけれども、ある公館で脱北者が、日本が身柄を預かっていると。それを外に出す場合に、そこの国の協力が得たいと。ただし、そこの国の協力という場合には非常に、国のそれぞれの事情が違いますけれども、それぞれの国が北朝鮮との関係についていろいろおもんぱかっていると、そういうような事情がいろいろあるわけです。そういうところで、幾つかの国、引き受ける国、あるいはそこから出す国、そして日本、そういった国のそれぞれの事情を考慮して我々がそれを言えないということは外交上私は当たり前のことだと、こういうふうに考えておりますので、是非御理解をいただきたいと思います。
  90. 白眞勲

    白眞勲君 我が国の邦人、なかんずく、もしかしたら拉致された方もその中にいらっしゃるかもしれない。そういう中で、やはり国民に対して、今一体その在外公館にどのぐらいの人数のどういう方々がいるか、人数ぐらいはおっしゃっていただいてもいいんじゃないのかなと。個別具体的なことについては、それぞれの事情があるだろうから、それを答えられないということは分かりますけれども、せめて何人ぐらいいるというぐらいのことは私は日本国民に説明してもいいんではないかなというふうに、これ外務大臣の御見解とはちょっと違うようですけれども、考えております。  次の質問に参ります。  アメリカが五月十六日に北朝鮮に対して五十万トンの食糧支援を表明しました。また、韓国も柳外交通商部長官が十九日の記者会見で食糧支援を実施すると述べたわけで、これは齋木局長にお聞きいたします。  アメリカや北京でいろいろな一連の話合いが行われましたけれども、その中でこの辺りの話というのは、つまり、その人道支援日本もしてくれないかというような話というのはあったんでしょうか。
  91. 齋木昭隆

    政府参考人齋木昭隆君) お答えいたします。  ワシントンでの日米、日米韓、あるいは日韓の協議、それから北京における日米等の一連の協議を通じましていろんな、核の問題についてが中心でございましたけれども、協議いたしましたけれども、今委員が御指摘になられた件につきましては、私どもに対する要請はございませんでした。
  92. 白眞勲

    白眞勲君 日本政府としましては、この食糧支援、人道的な食糧支援に関しまして、官房長官、どのようにお考えでしょうか。
  93. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 北朝鮮に対する人道支援を行うかどうか、これは従来から議論をしたことはございますけれども、そのときの状況において一番適切であるという形で判断するしかないだろう、余り一般論で考えても意味がないんだろうと思います。今の状況で、それでは人道支援をやる用意があるかといえば、私は、今その必要を考える状態にはないと、こう思っております。
  94. 白眞勲

    白眞勲君 北朝鮮からアメリカ側に核計画の膨大な資料が五月に提出されているわけですけれども、このいわゆる基本的なポイントとして、プルトニウムとその関連の資料だということらしいんですけれども。  外務大臣にお聞きいたします。これ大臣も再三にわたって指摘されているとおり、ウランについても完全かつ正確な申告が必要であり、それがされていない限り第二段階には至っていないという理解でよろしいでしょうね。
  95. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日本政府立場とすれば、核兵器計画あるいはウラン濃縮の問題、そういうことがされていることが望ましいと、そういうことを考えて、そういう主張をしているところでございます。
  96. 白眞勲

    白眞勲君 最近の報道によりますと、北朝鮮が核無能力化の象徴として、寧辺の核施設の冷却塔を爆破して、その模様を世界に中継する案が浮上しているということがあるんですけれども、齋木局長にお聞きしますが、アメリカや北京でいろいろな協議があったと思うんですけど、その辺の話というのはあったんでしょうか。
  97. 齋木昭隆

    政府参考人齋木昭隆君) お答えいたします。  そういう報道があるということについては、我々として意見交換をいたしました。
  98. 白眞勲

    白眞勲君 報道があるという意見交換をされたんですか。そうすると、報道があるという意見交換ってどういう意見交換なんでしょうか、もう一回お聞きしたいと思います。
  99. 齋木昭隆

    政府参考人齋木昭隆君) そういう計画があるという報道が流れていたということを踏まえての意見交換でございます。
  100. 白眞勲

    白眞勲君 それに対して意見交換でどのような結論といいますか、それが出たんでしょうか。
  101. 齋木昭隆

    政府参考人齋木昭隆君) 特段結論めいたものは出ておりません。
  102. 白眞勲

    白眞勲君 高村大臣にお聞きいたします。  私はこのような、もちろんこれ爆破するということ自体どうこうということではないんですけれども、セレモニーのような感じが私はしてしようがないんですね。セレモニーをすることはもちろんいいんですけれども、一番重要なことは、いわゆるこういった爆破する、それを世界に生中継する、あるいは中継するということで、北朝鮮の核施設を全部爆破していくんだという北朝鮮のセレモニーだったら、それはそれなりに理解できますけれども、そうではなくて、一か所そこをぼんと爆破して、それを見てというのだったら、それは単なるパフォーマンスであるというふうに私は思っているんですけれども、全く意味もないんじゃないかなとも思えるんですけれども、高村大臣はこういったことについてどういうふうに御見解を持っていらっしゃいますでしょうか。
  103. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 私は元々余りパフォーマンスが好きな人間じゃありませんけれども、それは、そのことは、世界に生中継するというのはパフォーマンスだと言われれば、そうだと思います。私は、そういうことがあるかどうか齋木局長からも報告を受けておりませんので、そういうことが本当にあるのかどうか知りませんけれども。  無能力化というのは、すぐにまた再開できないようにするということで、一部であっても、完全にその一部については核の廃棄が行われるということ、そのことは、もし報道されていることが事実であれば、それはそれで結構なことだと。ただし、世界に中継することに意味があるかどうかというのは、私は余りそういうパフォーマンスに意味を認める人間ではありませんと、こういうことです。
  104. 白眞勲

    白眞勲君 私は高村大臣とはちょっと見解が違いまして、別にそれは、爆破することでパフォーマンスとしてやっていくんですということだったら、それはそれでも意味はあるかもしれません。しかしながら、ポイント、一番重要なのは、我々が目標としているのは、北朝鮮のすべての核並びに関連する施設を無能力化することではないのかなと。つまり、そういうふうに思っているんですけれども、そういった中での一部を爆破することによって、それが世界中に中継されることによって、ああ北朝鮮の核がそれで爆破されてなくなっちゃったんだという誤ったメッセージを与えることに対する懸念というのを私は持っているんですけれども、それについて高村大臣、どういうふうに考えているでしょうか。
  105. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 目的は核の無能力化じゃありません。無能力化というのは途中の段階であります。だから、途中の段階でも、それを爆破させて、ほんの一部についてでもそれが核の廃棄になったということ自体は、それはそれで意味があることだと思います。  それから、世界がどう思うかといいますけど、プロフェッショナルはちゃんと分かっていますから、交渉をするプロフェッショナルについては、どれだけが完全に廃棄されて、あとはそんなことはないよということは分かっていますから、余り心配には及ばないと。だから、ほんの一部についても、無能力化でとどまっているよりも、廃棄されればそれはそれで結構なことだと、こういうふうに思うということを申し上げたんです。
  106. 白眞勲

    白眞勲君 そこがポイントだと思うんですけれども、専門家は分かっておるんだといっても、一般の人たちはやっぱり映像というのは非常にセンセーショナルな部分が私はあると思うんですね。核施設が爆破されてなくなっちゃった、少なくともそこの場所は。確かにそれは一歩前進だというふうに今高村大臣おっしゃいましたけれども、本当にささやかな一歩前進であって、とてもじゃないけど我々が認められるような一歩前進にはならないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、それについてどういうふうにお考えでしょうか。
  107. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ほんの一部であっても、それは完全に廃棄されることは結構であると。ただし、それはほんの一部であるというのは委員がおっしゃっているとおりであります。  それを世界中に放映するというのはそれはメディアの問題でありますから、北朝鮮は放映したいと、させたいと思うし、それに対して世界中のメディアがどう考えるかという話なんだろうと。我々日本政府がそんなことを、そんな宣伝をやってくれと言うはずはないわけであります。
  108. 白眞勲

    白眞勲君 町村官房長官にもお聞きしたいんですが、こういったパフォーマンスについて町村官房長官はお好きでいらっしゃいますでしょうか。
  109. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 特段の感想はございません。
  110. 白眞勲

    白眞勲君 もう一度ちょっとお聞きしたいんですけれども、北朝鮮をめぐる日米韓三か国の首脳の会議とそれから北京の会談で、齋木局長にちょっとお聞きしたいんですけれども、ロシアが参加していないこの理由は何なんでしょうか。
  111. 齋木昭隆

    政府参考人齋木昭隆君) ロシアの新しい六か国協議における首席代表、最近任命されたばかりだというふうに聞いておりますけれども、恐らく御都合が付かなかったんではないかと思います。私どもは、別にロシアの代表を排除してということは全く考えておりませんでした。
  112. 白眞勲

    白眞勲君 終わります。
  113. 塚田一郎

    塚田一郎君 自由民主党塚田一郎でございます。今日は当委員会で初めての質問に立たせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。  初めに、自由民主党の貴重な質疑の時間を私にお与えをいただきました浅野理事、そしてまた山本理事始め各委員の御配慮に感謝を申し上げさせていただきます。  質問に入る前に、私自身この拉致問題にかかわってきたことのお話を少し最初にさせていただきたいというふうに思います。  私は、新潟県新潟市で育ちました。今から三十年ほど前、私は新潟市立寄居中学校の二年生でありました。十四歳であります。当時、一つ下の一年生の学年のクラスに横田めぐみさんが在学をされていらっしゃいました。三十年前の話であります。したがいまして、当然、この横田めぐみさんが十一月の十五日、なぞの失踪を遂げたときのことも大変よく記憶にとどめております。  わずか十三歳のめぐみさんが失踪されて既に三十年という大変長い歳月が流れてしまいました。残念ながら、この事件が発生をしてから二十年の長きにわたって政治はこの問題を十分に対応してこれなかったというふうに私自身は思っておりますし、各委員もその部分については御共有をいただけるんではないかなと思います。  私も新潟で、国会議員にならせていただく以前からこの問題についてはボランティアの立場活動を続けさせていただいております。今お席にいらっしゃいませんけれども、民主党の参議院議員の風間直樹先生も当時県議会議員として大変にこの問題に御尽力をいただいたというふうな記憶をとどめております。  そうした意味で、私自身もかけがえのない後輩である横田めぐみさん、そして御家族の思いを大変に切実に受け止めている者の一人であります。今日は傍聴席に増元さんもいらっしゃっていますけれども、こうした皆さんの気持ちも込めて今日は質問させていただきたい、そんな思いでありますので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。  まず初めに、最近頻発をしている大変不可解な北朝鮮拉致問題に関するマスコミ等の報道新聞記事、こうしたことについてお伺いをしたいというふうに思います。  資料を提出をさせていただきました。幾つか頻発しているためにあるんですけれども、まず読売新聞の五月九日の金曜日の記事、この朝刊のトップに掲載をされた記事であります。これは、いわゆるキム・ヘギョンちゃん、横田御夫妻の孫娘が韓国で御夫妻と面会をするという案を政府韓国に打診をしていたというような内容記事であります。またさらには、毎日新聞の五月二十六日、そして五月二十七日の夕刊等々、この拉致問題があたかも今進んでいるかのような記事が各紙に、しかも全国紙に頻発して登場してきているわけであります。  まず初めにお伺いしたいのは、これらの内容について、政府として事実関係を確認をされていることがあるのか、その点について御答弁いただきたいと思います。
  114. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 一つ一つについて申し上げた方がいいのかもしれませんけれども、ことごとく事実ではございません。ことごとく事実ではない。しかも、名前が出された中山総理補佐官とか地村さんとか、あるいはその他の方についても、何か政府関係者とか、それらしき人に当たっても、すべてこれらの記事は取材をしていない。  大体、取材をして人の名前を出すというのはもうイのイロハだと、こう思っているんですが、取材もしないで大新聞が平気でこうやって特定の名前を挙げて、あたかも事実であるかのようなことを報道するのは誠に不愉快であると。こういうことで、私も数次にわたって記者会見等で大変遺憾であると、拉致被害者、御家族のお気持ちを考えたときに、こうした報道が流れるたびに一体どういう思いをされるであろうかといったようなことを含めて、ある場合には新聞社にきちんと訂正記事を出せとか、あるいは、どういう考えでこういう記事を出したのかということを強く問いただしたりもしたりしております。場合によっては、訂正記事は出さないけれども、政府はこう言っているということを小さく載せたりはしておりますけれども。  いずれにしても、どういう意図に基づいてこうした大マスコミが報道しているのか私には分かりません。いろんな推測はできますが、それは適切ではないと思いますから申し上げませんけれども、誠に不愉快かつ不可解な報道が最近多いと私も考えておりまして、事実に基づいた報道が行われることを強く希望しているところであります。
  115. 塚田一郎

    塚田一郎君 ありがとうございます。  政府として明確に、こうしたことは根拠のないことだということを官房長官の方から御説明をいただいたものと理解をしております。  実は、こうした内容記事は今年この時期に限ったことではありません。読売新聞は、毎年恒例のように五月ごろになるとこうした内容記事を実は書いているということを皆様に御理解をいただきたいと思います。  資料の八ページ目になります。  これは、平成十九年の五月二十八日の読売新聞に記載をされた内容であります。実は、非常にこれが今年の五月九日の読売新聞記事と似たような内容なんですね、内容を見ていただけると分かるんですが。先ほど御紹介した記事は、韓国でキム・ヘギョンさん、つまりお孫さんが横田御夫妻と面会をすると、そして、その際に遺骨を返す用意があるといったような内容であります。一方で、一年前に書かれたこの記事内容は、舞台は中国であります。これはキム・ヘギョンさんを北京の大学に留学をさせて、そこで横田御夫妻と面会をさせる、その際に、一つの前提として中国の専門家が遺骨のDNA鑑定を再度行うという話であります。  非常に共通した事項が多いわけであります。横田めぐみさんが常に主人公であって、これに関する横田めぐみさんのお父さん、お母さん、そしてキム・ヘギョンちゃん、こうした登場人物が描かれる。そしてまた、中山補佐官がそうしたことを政府の側として交渉しているような形がある。それで必ず出てくるのが遺骨であります。前回は、一年前の記事のときはDNA鑑定を再度やるという話。そして、今回は遺骨を返すという話であります。  非常にこうした共通項のあることが、まあ新聞ですからフィクションを書くわけはないわけで、だれかが何かの意図を持ってこうしたことを、いかにもあるかのように表現をしていることを、新聞がそれをあたかも本当のことのように語っているんではないかというふうに私は考えるわけです。  そこで、政府にちょっとお伺いをしたいんですが、この中国のDNA鑑定の話も、こういった事実はないと思うんですけれども、そもそも遺骨を返すとかDNA鑑定をどこか第三国でやるとか、そういったような政府方針はおありになるのか、その点を御確認したいと思います。
  116. 池田克彦

    政府参考人(池田克彦君) 私ども警察としてはそのような事実は全くないと、承知していないということでございます。
  117. 塚田一郎

    塚田一郎君 そういったことはないということをしっかりと否定をしていただいたわけですし、こうしたことが度々出てくるということは、私、本当に不可解なことだと思います。  実は、今日、中山補佐官が、この読売新聞記事は大々的に取り上げられているので、補佐官に御答弁をお願いしたいなと思いましたが、残念ながら補佐官の御答弁は今日いただけないということでありましたので、御本人からも御了解を得て、最近、中山補佐官が記者会見あるいは自由民主党会合等で発言をされている内容の御引用をさせていただきたいというふうに思います。これは、補佐官が自由民主党拉致の特命委員会で御発言をされている内容であります。  読売新聞の五月九日付けの記事は、自分が四月二十五日に訪韓したという、韓国に行ったということ以外すべて作文である。また、この記事からは、横田御夫妻に、これは御両親ですね、孫娘のヘギョンちゃんを会わせ、孫娘から母、つまり横田めぐみさんは亡くなったと言わせ、家族を納得させ、その折に遺骨を取り戻そうとの意図が読み取れる。北朝鮮が遺骨を取り戻したいと思っており、また、日本側にも遺骨を返した方がよいと考えている人がいるのかもしれない。横田御夫妻が、めぐみさんが死亡したと納得すれば、八人死亡とされたうち、ほかの七人も死亡したということに持っていけるとの筋書だろう。そういう形で拉致問題を終局させ、国交正常化に進むという筋書の最初の部分を、全国の人に何となくそういうものかと思わせる意図を持った記事である。拉致問題を被害者本人の帰国ではなく周辺の事柄で終局させ、国交正常化を進めたいということは北朝鮮側の考えである。これが読売新聞一面に大きく載り、日本政府があたかもその方針対応するかのように書かれている。日本新聞がそのような対応を取ることはあってはならない。こんなようなことを中山補佐官発言をされております。補佐官のおっしゃりたいことは、この記事内容はまさに北朝鮮の思惑どおりのことが記事になっているのではないかということではないかと思うんですね。  こういう補佐官の発言も踏まえて官房長官にお伺いをしたいのは、何で今こういう形の記事が出てくるのか、あるいはこの発言について政府としてどのように考えられるか、御説明いただければと思います。
  118. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 恐縮ですが、私が北朝鮮政府の意図を説明をする立場にはございませんので、説明をもっとせよと言われても、それはできないのでありますが、さっき推測はできると言ったその一つが、今委員がおっしゃったようなことも該当するのかなと思ったりもいたします。  いずれにしても、この記事中山さんに取材をしないで書いたということがまず第一の出発点としておかしいということ、あるいは横田さんにも取材をしていない。したがって、私は、これは捏造記事ではないかということまで申し上げたわけであります。その背景には何らかの機関、団体、個人の一定の意図が働いている、そんな気もいたしますが、それは残念ながら確証はございません。
  119. 塚田一郎

    塚田一郎君 済みません。お答えにくいことをお聞きしたのかもしれませんが、非常にこうしたことが出ていることに対して、政府としても本当にきちっと認識をしていただいていると思うんですが、その点を再度御認識をいただいて、適切な措置をとっていただきたいと思います。  実は、この記事については、中山補佐官が読売新聞社に抗議の文書を送られたそうです。しかしながら、読売新聞の回答は、新聞紙上に載っておりました内容は、関係者らの取材に基づき適切に書かれた記事ですというふうに反論をされています。したがって、読売新聞自体は、このこと自体はちゃんとした記事であって、取材に基づいたということを今も主張しているわけでありまして、そうしたことも含めて引き続き政府としてきちっとした対応を取っていただきたい、このことを切にお願いをさせていただきたいというふうに思います。  横田早紀江さん、先週、私、電話で少しお話をする機会がありました。大変に聞きにくいことでしたが、こうした記事が盛んに最近報道されていることについてお伺いをしたところ、大変に当惑をされている様子でありましたし、しかし、これだけは御本人、細かいことは申し上げられませんが、強調されていたのは、自分は横田めぐみさんとヘギョンちゃん、これを一緒の形でなければ決して今会うことはできないということを横田早紀江さんは強調されていました。お孫さんですから当然、自分の、お会いになりたい気持ちはあると思うんですね。しかしながら、めぐみさんの問題と切り離しては会うことはできないというような思いを切々と語っていらっしゃいました。  是非、こうした記事が本当に御家族の皆様に対しても大変な思いを、当惑をさせるということを報道関係の方にも御理解をいただきたいと思いますし、また、やはり全国の方が拉致問題が進展しているのかなと、全国新聞に載れば誤解をしてしまう状況になりますので、その点についても申し上げておきたいというふうに思います。  そうしたことも踏まえて、過去にもこの委員会でも質疑があったと思いますが、改めて政府方針について確認をさせていただきたいと思います。  政府は、平成十八年十月十六日の拉致問題対策本部で確認された、拉致問題の解決なくして北朝鮮との日朝国交正常化はあり得ないとされている方針、これは今も変わっていないというふうに理解をしておりますが、その形でよろしいのか。また、拉致、核、ミサイルという問題のすべてが解決の前提であるというふうに同様に理解をしておりますが、この点について改めてお聞かせをいただきたいと思います。
  120. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 平成十八年十月十六日の拉致問題対策本部の決定、これは現在も生きておるというか、その方針に基づいていろいろな活動をやっているわけでございまして、一体となって拉致問題の解決に向け最大限努力を行う考えでありますし、また、日朝平壌宣言にのっとりまして拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して日朝国交正常化を実現する、この方針は何ら変更はございません。
  121. 塚田一郎

    塚田一郎君 ありがとうございます。改めて御確認をいただきました。  あわせて、拉致解決は、拉致被害者の安全を確保し、直ちに帰国をさせること、そして真相を究明すること、また、実行犯の引渡しを含むということも政府方針として明確にされていますので、これについても引き続ききちっと方針として打ち立てていっていただきたいというふうに思います。  改めてこうしたことを確認をさせていただいているのは、最近やはりいろんな議論がある中で、国交正常化を進めていくことがこうした懸案事項が解決をする前提になるんではないかという御意見があるようであります。様々な意見があることは大変結構なことであるかもしれませんけれども、私は、やはり何よりも大切なことは、国交正常化以前に拉致被害者全員を取り戻すと、これが絶対の前提でなければならないというふうに思っております。  帰国された被害者お話によると、拉致の被害に遭われた方というのは、一般の人とは接触できないような場所に北朝鮮で隔離をされていると。そのような状態に置かれた被害者が、国交正常化が成ったからといって自由に出てこれるという保証は全くないというふうに考えます。つまり、国交正常化を急ぐことは決してこの拉致被害の解決にはならないだろうと私自身は考えますし、是非その点を政府もきちっと引き続き、ぶれない姿勢で取り組んでいただきたいというふうに思う次第であります。  参考までに資料を付けさせていただきました。福田総理が五月十七日のワシントン・ポスト紙のインタビューで、資料の九ページと十ページでありますけれども、こうした問題について発言をされております。ポイントだけを御説明しますと、核問題、ミサイル拉致問題は三つのセットを成しており、これら三つのうち一つでも欠ければ問題解決にならない。北朝鮮にとって日本との懸案事項を解決することは経済的利益につながる。よって、北朝鮮の側に立てば、拉致問題を解決せずに核問題のみ解決することは得策とは言えないだろうというふうに、この五月十七日のワシントン・ポスト紙のインタビューで福田総理も語られております。まさにこれが総理としての日本の今の立場での明確な御発言だと思っておりますし、政府におかれてはこの方針を貫いていただきたい。そして、北朝鮮に対しても、問題解決をすることを前進することが経済的な利益にもつながるということも含めて、きちっとこれからも交渉の場で発信をしていっていただきたいというふうに思います。  次に、いわゆる経済制裁北朝鮮に対する措置について御質問をさせていただきます。  先ほども類似の御質問がありましたので重複は避けさせていただきますが、今の北朝鮮に対する日本経済制裁措置、入港禁止措置及び輸入禁止措置は、これは我が国の独自の判断日本の国益のために発動されたというふうに理解をしております。その要件は当然ミサイルであり核と、こうしたことが起きたことが一つの発端でありますけれども、拉致問題も、当然その解決の前進がなければこの制裁は安易に緩和をされたり解除をされたりすることはないというふうに御答弁をいただいております。  それで、一つ御質問をしたいことは、今盛んに米朝協議での進展によっては、アメリカがいわゆる対北朝鮮テロ支援国家指定を解除するかもしれないということが取りざたをされています。そうならないように政府としても大変に強い交渉を、あるいはアメリカとの協議を行っていただいているものと信じておりますけれども、しかしながら、アメリカが最終的に判断をすることでありますから、第二段階進展によってはこのテロ支援国家指定が解除されるかもしれない。しかし、これはアメリカの解除であって、私は直接、日本のこうした経済措置、いわゆる経済制裁に影響があるものとは考えておりません。  そこで、お伺いしたいのは、我が国経済制裁措置を緩和することの理由の一つとして、こうした動きになる可能性があるのか、その辺について御答弁をいただければと思います。
  122. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 我が国の対北朝鮮措置につきましては、拉致、核、ミサイルといった諸懸案に対する北朝鮮対応や、六者会合、国連安保理等における国際社会の動き等を踏まえ、総合的に判断することとしております。こうした観点に立てば、現在の我が国の対北朝鮮措置は、北朝鮮拉致、核、ミサイルといった諸懸案の解決に向けた具体的な行動を取る場合には、諸般の情勢を総合的に勘案してその一部又は全部を終了することが可能であります。  政府としては、北朝鮮我が国と真摯な対話を行い具体的な行動を取ることを改めて求めたいと、こう思っております。北朝鮮がこういった問題に対して具体的な行動を取る、我が国からいえば取らせるということが、これが目的でありますから、そういう方向で考えていきたいと思っております。
  123. 塚田一郎

    塚田一郎君 ありがとうございます。  アメリカが非常に前のめりにヒルを含めて外交交渉上なっているのではないのかという懸念は、度々問題を提起をされております。この参議院の委員会においてもそうしたことを踏まえて決議がなされたということの背景もあるわけですから、当然政府はそのことをきちっと受け止めて交渉いただいていると思うんですが、それと同時に、私、大事なことは、日本の独自の経済制裁というツールを日本判断できちっと外交交渉上に生かしていただくという視点が非常に大事だと思うんですね。その点もう十分御理解をいただいていると思うんですが、今後もそうした視点をきちっと持っていただきたいと思う次第であります。  交渉を今、日朝でもしていただく、そしてこの拉致問題が、その大きな解決に向けた交渉が進んでいる。でありますから、この制裁というのは、制裁自体目的ではありません。もしこの拉致問題の進展あるいは核やミサイル進展があれば、緩和や解除がされていくこともあると思います。しかしながら、一方で、もし進展がなくて北朝鮮が何らかの、これからも日本に対して、あるいは六者協議の場に対しても誠意ある対応を示さなかったり、昨日もありましたけれども、更にミサイルの発射を行うような、こういったことが起きてきたときに、あるいは日本としては追加のオプションとしての経済制裁も検討をしていくことは必要なのではないかなと考える次第であります。  救う会の皆様からも問題提起をいただいている内容の一つに、実はこうした経済制裁措置を行っているんだけれども、抜け道があるんだという御指摘があります。資料の十一ページに読売新聞記事を付けさせていただきました。  この内容は、読売新聞はこの点については評価をする記事を書いていただいているわけですけれども、北への自転車輸出が八万台というタイトルであります。要するに、今、北朝鮮の船の出入りはできないんだけれども、北朝鮮籍の代わりに中国やカンボジアなどの貨物船をチャーターをして日本から物品を輸出させる動きが活発化していると。これはその一例として、大量の中古自転車でしょうか、トラックに積まれて北朝鮮に輸出すると見られているというような記事が載っているわけです。  こうしたいわゆる迂回の抜け道の輸出を取り締まるようなことも含めて、追加オプションとしての制裁措置について政府は御検討をいただいているのか、その辺りについて御説明をいただければと思います。
  124. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 先ほども述べましたように、我が国の対北朝鮮措置については、拉致、核、ミサイルといった諸懸案に対する北朝鮮対応や六者会合、国連安保理等における国際社会の動きを踏まえ総合的に判断すると、こういうことでございます。追加的な措置については、現時点で具体的な検討が行われているわけではありません。  理論的に言えば、いい方向に進めば、緩和ないし解除ということがあるでしょう、あるいは、悪い方向に進めば、それと反対のことは絶対ないとは言えないと。理論的に言えばそういうことですが、現時点で追加的検討が行われているわけではないと、こういうふうに承知しております。私が答えるのが適当かどうか分かりませんが、私はそのように承知をしております。
  125. 塚田一郎

    塚田一郎君 ありがとうございました。  外務大臣のお立場として追加の制裁について触れるということは、これは難しいことだというのは重々承知をしております。ただ、大変踏み込んだ意味での御認識を御説明いただいたことを感謝をいたします。  今おっしゃっていただいたとおり、これはあくまでも現状としてということではなくて、そうしたこともやはり交渉の中ではあり得るんだということを我々がきちっと一つのツールとして持っていることが交渉上も大変に重要なのではないかと思います。過去の北朝鮮日本、そしてまたアメリカ等の交渉の経緯を見ていると、必ずしも譲歩したときに北朝鮮が何か新しい前向きな進展をするかといえば、そうは言えない。圧力がきちっと効いていたときほど、むしろそうした北朝鮮の側からの譲歩が得られているというようなことが私は十分に認識できると思います。  一つの端的な例を申し上げれば、アメリカがイラクに対しての攻撃を行った際、すぐに協議が再開をした。まさにこうしたことについて北朝鮮はきちっと見ているわけですね、世界の動勢も。そして、自国の安全保障ということは、これは当然でありますけれども、一番大きな北朝鮮にとっても課題であります。それが行き詰まって核の実験に至ってしまったことは大変に残念なことでありますけれども、その意味で、対話と圧力というよりも圧力と交渉というスタンスでこれからも頑張っていただきたいというふうに思います。  次に、米朝協議について、先ほどからも幾つかお話が出ておりますが、これについてお伺いをしたいと思います。  もうこれは過去にも委員会等で議論されていることだと思いますけれども、そもそも核の放棄というのは、CVID、つまり、包括的で検証可能かつ透明性があり逆戻りできない核放棄を前提になされるべきであります。  第二段階の言うところの措置は、この寧辺の三施設の無能力化、そしてすべての核計画の完全かつ正確な申告であります。このことはもちろん、進めば前進でありますし、これからの交渉に期待が持てるわけでありますけれども、高濃縮ウランを利用した核開発計画や保有済核兵器の問題、あるいは核関連施設、これは外国の、シリアの核拡散の問題等々、現実にこうした問題もある中で、本当に今のこの第二段階進展だけでアメリカテロ支援国家指定解除をすることがいいことなんだろうかと。もう少しやはり状況を見極めて、第二段階から次の段階に進んでいく中でこうしたカードを切ることの方が外交上はいいんではないかというふうに考えるわけであります。そうした背景も踏まえて、やはり日米の同盟、この立場の中で日本にとっても核とミサイルの脅威は大変に深刻な問題でありますし、確実にそれが進展をしていくときまでアメリカ指定国家解除はしてもらいたくないと思うわけであります。  こうした点を踏まえて、もう少し、今も交渉いただいていると思いますが、アメリカに対してどうした形でこのテロ指定国家解除に向けて待ったを掛ける交渉を今していただいているのか、そうしたことを少し御説明いただければと思います。
  126. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) テロ支援国家指定解除の問題は米国内法の適用に関する問題でありまして、米国は、北朝鮮テロ支援国家指定が解除されるか否かは北朝鮮による非核化措置次第であるという立場を維持しているわけであります。一方で、拉致問題に対する我が国立場をよく理解しており、これまでもあらゆる機会をとらえ北朝鮮拉致問題の解決に向けた具体的な行動を働きかけるなど協力をしてきています。  ライス米国務長官も、拉致問題は米国の非常に高い優先事項であり、米国にとっても重要な問題である旨を確認しております。五月二十二日に私がライス長官と電話会談を行った際にも、非核化拉致問題を含む日朝関係の双方が共に前進するよう引き続き日米間で協力していくことを確認したわけであります。また、五月二十七日及び二十八日に北京で行われた米朝協議においても、ヒル国務次官補は金桂冠北朝鮮外務副相に対し拉致問題の解決に向けて具体的な行動を働きかけたと、こういうふうに承知をしております。  いずれにいたしましても、米国はテロ支援国家指定解除の問題について日本と十分協議するという立場であります。政府としては、この問題を含め、引き続き米国と緊密に連携していく考えでございます。
  127. 塚田一郎

    塚田一郎君 拉致問題を大変重要な問題として、米朝からもこうした協議の中で扱ってもらいたいということを政府が再三アメリカに対しても要請をいただいているということは私も理解をしております。それと併せて、核の問題は今協議をされています。ミサイルの問題、この三点セットの重要性も是非外交上強調していただきたいということを私としては申し上げたいということなんであります。  それに関連してなんですけれども、ミサイルはどうなっているのかということでありまして、日本としてはこの三つの大きな問題、拉致、核、ミサイル。この核の問題は今米朝協議が進んでおります。拉致問題については、やはりこれは日本としてもきちっと対応していただいている。ミサイルの問題は、残念ながら六者協議でこの議論がされているという形跡が見当たらない、そんな感じがするわけであります。しかし、現実にはミサイルの発射実験をまだ頻繁に北朝鮮も行っていると。最もこのミサイルの問題で脅威の状況にあるのは、我々日本であります。  その意味で、このミサイル協議をどのように今後進展をしていくかということを六者協議の場でどのように日本がイニシアチブを取っていかれるのか、この点について、外務大臣、お答えいただけますでしょうか。
  128. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 北朝鮮によるミサイル開発は核開発と相まって我が国の安全保障にとって重大な脅威となっているわけであります。政府としては、六者会合等を通じてこの脅威の排除に全力で取り組んでまいります。  六者会合作業部会では、日朝国交正常化のための作業部会においてミサイル問題についても取り上げると同時に、北東アジアの平和及び安全メカニズムの作業部会においてもミサイル問題を含めた懸案事項を包括的に解決し、国交正常化を実現するよう努力することが北東アジアの安全保障環境を改善する上で重要である旨表明するなど、北朝鮮側ミサイル脅威の除去を働きかけてきているわけであります。  政府としては、日朝平壌宣言にのっとり、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を実現するとの方針で、北朝鮮ミサイル問題についても今後とも六者会合の枠組みにおいて取り上げていくと、そういう考えでございます。ミサイルを決して軽視しているわけではございません。
  129. 塚田一郎

    塚田一郎君 是非よろしくお願いをしたいと思います。  日本にとってはもうこれ三つのセットでありますから、残念ながら今核のことに世界中、まあ六者と言った方がいいのかもしれませんが、非常に焦点がそこに合ってしまって、またアメリカ状況を考えるとこの核がアメリカにとっては一番の脅威であります。しかし、そのミサイルはそれに比べるとややプライオリティーがアメリカとしては低いのかもしれません。そうしたことはあってはならないと思いますけれども、特にこの点は日本にとっては非常に重要なことでありますし、それぞれの国の立場で、国益の中でこの協議は行われているわけでありますから、拉致の問題はもう日本がやらなければ絶対に解決ができないわけでありますし、ミサイルも併せてそうした交渉の中にきちっとコミットしていっていただきたい、そのことを重ねてお願いをさせていただきます。  見通しでも結構ですが、今後、六者協議で核の問題が進展をするのに併せてミサイル協議が進むようなそうした方向があるのか、少し分かれば御答弁をいただければと思いますが、どなたでも結構です。
  130. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) お答え申し上げます。  今大臣から御答弁申し上げましたとおり、六者会合の中にいろいろな作業部会がございます。一つは日朝国交正常化作業部会でございます。ここの場では当然のことながら拉致、核、ミサイルというこの三つの問題についてきちんと提起をしていくという方針でございます。  それから、作業部会のうちのもう一つが北東アジアの平和及び安全メカニズムという作業部会がございます。ここでその北東アジアの安全保障環境について今後六者で協議をしていくということでございますので、この過程においてもミサイル問題をしっかりと提起していくという方針でございます。
  131. 塚田一郎

    塚田一郎君 是非よろしくお願いをしたいと思います。  時間も限られてまいりましたので、次の質問項目に移らせていただきます。  特定失踪者拉致被害に向けた認定について、先ほども別の委員からも御質問がありましたが、私もこの点について少し御質問をさせていただきたいというふうに思います。  先ほども、質問お話を聞いていたときに脱北者の問題でありますとか、今の逮捕状が出ているケースが八件十一名、これを国際的に手配をしているといったような話も出ておりました。今まさに拉致被害に遭われたと認定をされている方についてはこうした捜査を進めていっていただいて、逮捕状を出して、そうしたいわゆる首謀者というか、そういう拉致に関与した方々についてきちっと追及をしていっていただくということであります。さらには、特定失踪者の中でまだ拉致被害者に認定をされてない皆さんについては、できる限りその作業を進めていっていただきたいというふうに考えるわけであります。  そこで、先ほども具体の例が出ておりましたが、私の新潟県でも大変多くの特定失踪者の方がいらっしゃいます。その中で特に大澤孝司さん、この方は一九七四年の二月二十四日に失踪されております。あるいは、中村三奈子さん、この方は一九九八年の四月の六日に失踪されている、それぞれ特定失踪者でありますが、こうした方々について拉致の被害に遭われた可能性も高いと言われていますが、どのような形で今捜査は進んでいるのか、その辺について御説明いただければと思います。
  132. 池田克彦

    政府参考人(池田克彦君) 御指摘の大澤孝司さんにつきましては、昭和四十九年二月、新潟県佐渡郡において所在不明になりまして、当時、御家族から新潟県警察に対して家出人捜索願が提出されているほか、平成十六年一月には同県警本部に国外移送目的略取誘拐の罪で告発状が出ております。また、中村三奈子さんにつきましては、平成十年に新潟空港から空路韓国に入国していることが確認されて以降、所在が不明になっているものでありまして、やはり当時御家族から新潟県警察に対して家出人捜索願が提出されております。  この大澤さんと中村さんの事案につきましては、現在警察においてあらゆる可能性を視野に入れながら鋭意所要の捜査、調査をやっておるところでございますが、現在までのところ、北朝鮮による拉致容疑事案と判断するにはまだ至っておりません。  拉致容疑事案というのは非常に捜査が難しい部分がございまして、まず被害者の所在が不明である、また事案発生時点での目撃者もいない、証拠もほとんど残されていないと、こういういろいろ難しい部分がございますけれども、既に判断している拉致容疑事案以外にも北朝鮮による拉致の可能性は排除できない事案はあるという認識の下に、御指摘の二つの事案についても引き続き所要の捜査、調査をしてまいりたいと考えております。
  133. 塚田一郎

    塚田一郎君 是非、何名の方が正確に拉致の被害に遭われたかということは分からないわけですけれども、特定失踪者の御家族の皆様に共通して言えることは、この拉致が認定をされないことで特定失踪者の方が拉致被害の救済の中から漏れてしまうんではないかといった懸念を大変に御家族の方は共通に持っていらっしゃいます。  北朝鮮は、日本からこうしたリストに上がってこなければ、自分たちは分かりませんと言う可能性も十分にあるわけでありまして、これはやはりきちっとした捜査も必要ですけれども、是非こうした認定作業を前向きに引き続き進めていっていただきたいと思います。  先ほど、北朝鮮拉致の確認ということがこうした捜査の上で拉致認定の一つの要素になるというような御答弁があったというふうに理解をしたんですが、そうしたことを考えると、新しい韓国の李明博政権との間で、是非今まで以上に捜査協力進展をしていっていただきたい。政権が替わったことで捜査当局の対応がどのように変わってくるか分かりませんけれども、少なくとも前政権よりはこの拉致問題に対しても日本の声に対して真摯に李明博政権は受け止めていただいているというふうに我々理解をしておりますので、更なる捜査の協力進展をしていただいて、脱北者の方のいわゆる証言ですとか、過去に韓国で逮捕をされて、その後、残念ながら解放されてしまった、そうした実行犯もいるわけですから、こうした方々の捜査あるいは韓国からの捜査資料の提供も含めてやっていっていただくことが、まさに北朝鮮拉致をしたという一つの大きな証拠に至る。したがって、特定失踪者が新たに認定をされるという可能性を膨らませることだと思いますので、その点についてちょっと御答弁いただければと思います。
  134. 池田克彦

    政府参考人(池田克彦君) 先ほども御答弁いたしましたとおり、拉致容疑事案につきましては非常に証拠が少ないわけでございまして、そのため、あらゆる情報の収集が必要だというふうに私ども考えております。その意味で、今御指摘韓国の脱北者の情報あるいは元工作員の情報と、こういうものを十分に参考にしていかなければいけないと、そういうふうに認識しております。  そういう観点から、従来から必要に応じまして韓国当局を含め海外の捜査機関と情報交換をやってまいりましたけれども、今後更に一層推進してまいりたいというふうに考えております。
  135. 塚田一郎

    塚田一郎君 ありがとうございます。  そろそろ時間になりますので、これぐらいに質問をさせていただきますが、最後に、この拉致問題に大変に精力的にお取組をいただいている安倍前総理が先日、自由民主党拉致特命委員会で御発言をされた内容を少し私から皆さんに御紹介をしたいと思います。  安倍前総理はこのようにおっしゃっています。政府の交渉、駆け引きが行われている最中に議会が北朝鮮に対して甘い態度を取ってしまうと、政府はそれ以上甘い主張しかできなくなってしまう。我々、つまり国会議員だと思いますが、議会はこうした寛容な態度を控えて、交渉は政府に任せるという姿勢が大切であると。北朝鮮との過去の経緯を踏まえてきちっとした対応政府にお願いをしていきたいということを安倍前総理はこの会でおっしゃっていらっしゃいました。  私は、まさにそのとおりだというふうに思います。政府には引き続ききちっとした態度で交渉に当たっていただきたいと思いますし、我々も議会としてそれをきちっとした形でバックアップできるように、私自身も含めて頑張っていきたいという思いを込めて、この質問を終わらせていただきたいと思います。  本日はありがとうございました。
  136. 風間昶

    風間昶君 最初に、官房長官お疲れのようですから、先に官房長官にお伺いします。  七月の七日、洞爺湖で行われるサミットで、拉致問題の展示のみならず様々な北海道としても取組を今企画をさせていただいているところでありますけれども、要は議長国として、例えば議長たるべく日本総理が世界に拉致問題の早期解決を図る国際メッセージを強力に打ち出す必要が私はあると思います。総理の女房役であります官房長官、家庭でも女の人の手のひらに乗って男は自在に動きますので、そういう意味では官房長官の役割は極めて大きいと思いますが、このことに関して、サミットで拉致問題に対する世界発信をどのように考えて、また具体化プランを持っていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  137. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) サミットにおきましては、世界経済の問題、あるいは環境、気候変動の問題、アフリカ開発の問題、そして様々な政治問題を取り上げるという大きな四つのくくりで議論をされることになっております。  御指摘拉致問題を含む北朝鮮の問題、これは核の不拡散といったようなことも大きく関係がするものですから、この政治問題の中で取り上げられていくであろうというふうに考えているわけでございますし、政府としてもそういう方針で、今、具体にどういう発言ぶりにするのかというところまで煮詰まっているわけではございませんけれども、この拉致問題に関して日本立場が主要な国々から理解が得られますように積極的に発言をし、取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
  138. 風間昶

    風間昶君 あともう一か月切る話ですから、具体案を持ち合わせていないということではないと思うんですが、持っていらっしゃると思うんだけど、今つまびらかにできないというふうに善意に誤解しますが、是非積極的に日本国挙げて、この拉致問題はまさに核、ミサイルと三本の大きな課題になっているわけでありますから、国民の関心も極めて高いわけですので、しっかりと発信していただきたいというふうに思います。  お疲れのようですから、私の質問中はもう退席して結構です。  外務大臣、お疲れのところ済みません。  北朝鮮の方から、というか提出を、アメリカ国務省のソン・キム朝鮮部長が受け取った例のプルトニウム計画でありますけれども、一万八千ページで三百十四冊ですか、そして、しかも朝鮮語ですから、そこからの翻訳と、初めてそれから検証に入るということなんだと思うんですけれども、検証作業の完了には当然このファイル、北核ファイルだけじゃなくて、やはり私は、北朝鮮の科学者らからのヒアリングとか、あるいは現場の核施設の、日本もこの間原子力担当の外務省の課長さんがお行きになりましたけれども、視察調査、実地調査も必要だというふうに思いますが、この件に関して御同意いただけますか、外務大臣
  139. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 北朝鮮が米国に提出した寧辺の五メガワット実験炉及び再処理工場の運転記録等に関する資料に関しましては、現在検討、分析が進められているところでございますが、その概要については、五月十九日に行われた日米韓三か国会合等の機会において米国より我が国説明を受けたところでございます。  政府としては、北朝鮮申告議長国中国提出した後に、今述べました運転記録等に関する資料も参考にその内容を検証することが重要と考えており、米国を始めとする関係国と緊密に連携しながら取り組んでいく考えでございます。  この稼働記録そのものは申告ではないわけで、これから申告が出てくるんです。申告を検証するための参考資料がこの膨大な資料であるわけであります。そういう検証を行う際に、今委員がおっしゃったようなことも当然参考にさせていただきながら、日本政府としても考えていきたいと、こういうふうに思います。
  140. 風間昶

    風間昶君 そこで、ある意味では第二段階ですが、問題は、先ほども塚田委員質問されておりましたように、第三段階の核廃棄と本来ならば同時並行で進んでいかないと私は駄目だと思うんですけれども、この点に関しては通告していませんけれども、大臣はどのように思いますか。
  141. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) むしろ、核廃棄すべき範囲はどれだけのものを廃棄するかということを第二段階で明らかにして、そして第三段階で廃棄に至ると、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。だからこそ我々は、廃棄するものがこれだけだよということの範囲を明らかにすることが重要ですよということを一生懸命主張させていただいているところでございます。
  142. 風間昶

    風間昶君 この文書がアメリカに渡って、それを受けるかのように数日してアメリカ北朝鮮への食糧支援を再開するという発表がなされておりまして、うがった見方かもしれませんけれども、米朝間でこの北核ファイルの資料提出、見返りに食糧支援という交渉がなされたのかなという憶測もないわけじゃないわけでありまして、米朝主導でこの検証が進んでいってしまうとなると、日本としては幾ら米国と緊密な連携といっても、どうしても後追い後追いになるということが懸念としてあるわけですけれども、これについては日本がどういうふうにかかわっていくのかということは、一方的な向こうからの情報提供だけではいかぬだろうというふうに思うんですが、具体的にはどのように進めていくおつもりか、伺いたいと思います。
  143. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 北朝鮮は、昨年十月の六者会合成果文書におきまして、すべての核計画申告を行うことを約束しております。残念ながら、いまだこれを行っていないわけであります。  米国は、北朝鮮による申告提出早期に実現するよう努力を重ねており、米朝協議にそういう意味で積極的に取り組んでいるわけであります。その際、米国は我が国韓国、中国等と緊密に協議をした上で米朝協議に臨んでおり、また我が国も米国、韓国、中国等との間で随時協議を行い、我が国立場を十分に説明しながら考え方をすり合わせてきております。  このように、実際には六者が実質的に関与する形で第二段階措置の実施に向けた議論は進められているわけであります。  特に、北朝鮮申告早期議長国中国提出することが重要であること、また、その内容を検証する必要があること等について日米間の立場は全く一致をしております。  また、米国は拉致問題に関する我が国立場をよく理解しており、これまでも、あらゆる機会をとらえ、北朝鮮拉致問題の解決に向けて具体的行動を働きかけるなど協力してきているわけであります。  五月二十二日に私がライス米国務長官と電話会談を行った際にも、非核化拉致問題を含む日朝関係が共に前進するように、引き続き日米間で協力していくことを確認したところであります。  今後とも、六者会合共同声明を全体としてバランスよく実施すべく最大限努力をしていく考えであります。  米朝が今協議を積極的にやっているわけでありますが、そのこと自体悪いことじゃない、いいことであるわけで、米朝が幾ら親密になっても日米ほど親密になることはあり得ませんから、私たちはそれはそれなりにしっかり日米間で連携をしながらやっていきたいと、こういうふうに思っております。
  144. 風間昶

    風間昶君 今の大臣の御発言は極めて、言い方はあれですけど、お人よしだなという面もないわけじゃありませんけれども、信頼関係は極めて大事ですから否定はしません、大臣の今の御発言を。  それでもう一つ、北朝鮮は、六か国協議の議長国である中国にも四、五十ページの核報告書を、申告書を提出するというふうになっていると思いますけれども、このことについて事実関係は、大臣でなくても結構ですけれども、日本政府としてはつかんでいるかどうか、お知らせください。
  145. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) 先ほど来大臣から御答弁申し上げましたとおり、第二段階において核計画申告をすることになっております、北朝鮮申告をすることになっております。この申告は議長国である中国に提出をするということになっておりまして、この申告はまだ提出されていないという状況と認識をしております。
  146. 風間昶

    風間昶君 まだ提出されていないということだけの情報ですか、それとも、どのぐらいの時期に、例えば今月中にとかということの情報も入っていないということですか。
  147. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) そういう具体的な日程についての情報は持っておりません。
  148. 風間昶

    風間昶君 分かりました。  それからもう一つ、先ほど議論になりました核施設の無能力化についてでありますけれども、中央日報では、北朝鮮の核無能力化十一工程のうち八工程がもう完成していると、そして寧辺の使用済燃料棒の三分の一以上がもう抜き取られたということを中央日報は発表しております。  このことについて、事実確認でありますけれども、日本としては知り得ているんでしょうか、いないんでしょうか。
  149. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) 御指摘のとおり、今北朝鮮は寧辺の核施設の無能力化作業をしております。  これについてはIAEAが観察をしているところでございまして、二日でございますけれども、エルバラダイIAEAの事務局長が発表したところによりますと、五メガワット実験炉から三分の一を超える使用済燃料棒が取り出されたということを発言をされております。
  150. 風間昶

    風間昶君 そもそも、これは昨年、二〇〇七年度末まで完了という予定でありましたけれども、いまだにまだ三分の一だということでありまして、遅れていることについての日本政府の認識は、理由はどういうふうにとらえているんでしょうか、遅れていることの理由。
  151. 小池正勝

    大臣政務官(小池正勝君) 御答弁を申し上げます。  要因として考えておりますのは、安全性に留意しつつ作業が行われていることが挙げられておりますが、また北朝鮮は、重油提供などの他の六者会合参加国の義務履行が遅れているため、無能力化作業の速度も一部調整が行われている旨主張しているものと承知いたしております。
  152. 風間昶

    風間昶君 それに対して日本は働きかけは考えているのかいないのかを教えてください。
  153. 小池正勝

    大臣政務官(小池正勝君) 核施設の無能力化と申しますのは、これら施設の放棄に向けたステップの一つと位置付けられているものでございます。我が国としては、核施設の無能力化にとどまることなく、共同声明に掲げられたすべての核兵器及び既存の核計画の放棄を早期に達成することが必要と考えており、引き続き他の関係国と緊密に連携を図っていきたいと考えております。
  154. 風間昶

    風間昶君 ですから、緊密に連携ということの中身を日本としてはどのように考えているのか教えてください。
  155. 石川和秀

    政府参考人石川和秀君) 当面の課題としましては、第二段階において北朝鮮が実施することを約束したこと、すなわち寧辺の核施設の無能力化、それからすべての核計画申告と、この二つをできるだけ早期に実施をしてほしいということを各方面に働きかけているところでございます。
  156. 風間昶

    風間昶君 分かりました。  もう一つ、今ほど塚田委員からの質疑のやり取りを伺って、テロ支援国家指定解除に向けた動きについて、政権交代を前にして、アメリカが十一月に大統領が新しく替わるということで、現在のブッシュ政権自身も北朝鮮問題に対して何らかの成果を上げたいというふうに思っているでしょうし、北朝鮮北朝鮮で、テロ指定解除に全力を尽くしておるのを今のアメリカのブッシュさんの任期内に解決願っているんじゃないかなという、この双方の思惑が加速的に指定解除の機運が今高まっていることは我々としては無視できない話でありますから、受け入れ難いということを、この日本がですね、そういう動きが受け入れ難いということについて、先ほども質問をされました。  本当に指定解除に、最終的に決めるのはアメリカかもしれないけれども、我々がどう言ったって、この参議院の数、一番多い民主党さんがやろうと思えば何でもできるのと同じように、指定解除を米国に対して待った掛けれるのかどうかということが極めて大事な問題だと思うんですけれども、最大限の努力を含めて、日本としての今やらなきゃならないこと、そして、そういう動きがあることについて、例えば国連等の場で日本としての立場をプレゼンスを行うといったようなことは考えられないのかどうかも含めて、待った掛けれるんでしょうか、大臣に伺いたいと思います。
  157. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) テロ支援国指定解除の問題については、米国は北朝鮮非核化次第であるとの立場であり、現時点では北朝鮮テロ支援国家指定解除を決定したわけではないと理解をしております。  この問題は、米国法の適用に関する問題であります。米国は、北朝鮮テロ支援国家指定が解除されるかは、先ほど申しましたように、北朝鮮による非核化措置次第であるとの立場を維持する一方で、拉致問題に関する我が国立場をよく理解しており、これまでもあらゆる機会をとらえ、北朝鮮拉致問題の解決に向けた具体的な行動を働きかけるなど協力してきているわけであります。  ライス米国務長官も、拉致問題が米国の非常に高い優先事項であり、米国にとっても重要な問題である旨を確認しております。五月二十二日に私がライス長官と電話会談を行った際にも、非核化拉致問題を含む日朝関係の双方が共に前進するよう、引き続き日米間で協力していくことを確認しました。  また、五月二十七日及び二十八日、北京で行われた米朝協議においても、ヒル国務次官補は金桂冠北朝鮮外務副相に対し、拉致問題の解決に向けて具体的な行動を働きかけたものと承知をしております。  いずれにしても、米国はテロ支援国家指定解除の問題についても日本側と十分に協議するとの立場であります。政府としては、この問題を含め、引き続き米国と緊密に連携していく考えであります。  日本政府とすれば、拉致問題が全く動かない状況の中で指定解除がなされるなどということはとんでもないことだということは、従前から今日に至るまで、またこれからも引き続き言い続けてまいりたいと、こういうふうに思っております。
  158. 風間昶

    風間昶君 先ほどの十時過ぎのCNNニュースで、民主党の大統領候補にオバマ氏が確定したという報道が流れました。十一月にはもう間違いなく新しい大統領が選ばれるんでしょうけれども。  問題は、日本の外交における日米関係を、これまでのある意味では、見方はいろいろあるかもしれませんけれども、従属的だと言われておったのを本当にイーブンな日米関係にするには、どっちが大統領になるにしても極めて日本にとっては大事な問題だというふうに思いますので、大臣としての、オバマ氏になるか、あるいはマケイン氏になるか、対日観が、どういうふうに思われているのか。とりわけ、両方の候補、日本を含むアジア政策にどういうスタンスを取っているのかということを把握しておかなきゃならないと私は思います。  そういう意味では、オバマ氏は、オバマまんじゅうは聞いていることはあるけれども、政策面での日本専門家というのは余りいないようです、調べてみると。強いて挙げれば、元国防長官特別補佐官のデレク・ミッチェル一人のみで、この人自身もアジア政策が、必ずしも関心があるようにも見えません。  しかし、マケイン氏の方は、とにかくアーミテージ元国務副長官や、あるいはジェームズ・ケリー、前の東アジアの担当の国務次官補がおったり、マイケル・グリーン国家安保会議のアジア担当上席部長がおったりということで極めて、またマケイン氏自身も、おじいさんからお父さんから日本と縁が深いということで、一見、こうすると日本重視に赴いているのはマケインさんの方が赴いているのかなというふうな感じがあるわけですけれども。  今、私、大事なのは、単なる日米関係の重視だけではなくて、世界の中の日本を考えると、環境だ、核不拡散だ、テロだ、アジア地域政策問題だと、いろんな重要問題で日本との協力なしにはアメリカの掲げている多くの目標が達成されないということをきちっと結論できる人が我々にとってはプラスになるというふうに思っておりまして、そういう意味では、日本の外交力が試される絶好のチャンスでもあるというふうに私は思うんですが、済みません、前振りが長くて。  日本外交におけるアメリカ大統領候補の対日観の把握についての所感を外務大臣はどのようにお持ちなのか。そして、付け加えて挙げるならば、日本にとって都合いいのはだれというぐらいまで所感を述べていただければ有り難いというふうに思います。
  159. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 大変含蓄深い前置きをありがとうございました。  いずれの候補者も日米同盟の重要性を理解し、支持をしていると、こういうふうに認識をしております。  現職の日本国の外務大臣が公の場でこれ以上申し上げることは、だれかを好ましいと思っている、支持している、そのように勘ぐられるおそれがありますので、それ以上のコメントは差し控えたいと思います。
  160. 風間昶

    風間昶君 分かりました。  後で私にこっそり教えていただくことでよしとして、質問を終わります。
  161. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  初めに、先月二十七日から二日間にわたって北京で行われた米朝協議について伺います。──齋木局長が来られていませんね。
  162. 下田敦子

    委員長下田敦子君) 今いらっしゃるそうです。  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  163. 下田敦子

    委員長下田敦子君) 速記を起こしてください。
  164. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  先日、北京で行われた米朝協議について伺いたいと思います。  米代表ヒル国務次官補は、協議の終了後、記者団に対して、前向きな議論ができ、事態は着実に進展しているとの認識を示されました。その上で、今後二、三週間ほどのうちに技術的な問題を話し合う会合を開くことになるだろう、その会合より前には核申告は行われないと思うとも述べて、申告の実現に向けてなお詰めの協議が必要であるとの考えを明らかにされました。  ヒル次官補と直接会談された齋木局長は、今回の米朝協議についてどのように評価されているのでしょうか。ヒル次官補がおっしゃったように、事態は着実に進展していると受け止めておられるのでしょうか。
  165. 齋木昭隆

    政府参考人齋木昭隆君) お答え申し上げます。  五月の二十七日と二十八日に北京でアメリカ北朝鮮協議を行いまして、二十八日の夜に私も北京でヒル次官補とお会いして米朝協議の結果についていろいろと話を聞いてまいりました。  ヒルさんの説明では、米朝協議の場では、アメリカから北朝鮮側に対して、その一週間前の五月の十九日に日米韓の三つの国でワシントンで協議いたしましたけれども、その三か国の会合の結果を踏まえて、早く申告を議長国である中国に対して出すようにということを改めて求めたということと、それからまた、今後のプロセスについていろいろと議論をしたという、そういう説明を受けました。またあわせて、ヒルさんから北朝鮮側に対して、拉致問題を含む日朝関係についても是非具体的な行動を取るべきであるということを北朝鮮側に対して働きかけを行ったということを聞きました。  今回の米朝協議におきまして、北朝鮮が本来去年の末までに出すべきであった申告でございますけれども、これを議長国である中国に対して提出する、その具体的な時期についてのめどが立つといったことを含めた進展がそういう意味であったわけではございませんけれども、米朝間で実質的な意見交換を行われたというふうに私も理解しております。  私がヒルさんとの間で確認いたしましたとおり、北朝鮮が早く申告を中国に対して提出して、六者のプロセスが再び動き出すように、引き続き日本としてもアメリカ、中国等と、韓国も含めて六者会合の参加国との間で協力し努力をしていくという、そういう考えでございます。
  166. 山下芳生

    ○山下芳生君 六か国協議韓国代表の金塾朝鮮半島平和交渉本部長はこの一日にソウルで記者会見をされて、北朝鮮の核申告について、北は申告書を提出するための準備をほぼ終了したことを確認した、申告書の提出時期が決まっていないだけで、大きな問題はすべて解決されつつあると述べておられます。その上で金本部長は、米側は北から提出された一万八千ページの資料を分析している、完全かつ正確な申告にするためには資料の分析は大変重要だと語って、この資料のほかにも、現場の視察でありますとかサンプルの採取などを通じて専門的に検証していく必要があるとの考えを強調されました。  北朝鮮による今後の核申告に向けたプロセスについて、齋木局長の見通し、どのようにお持ちでしょうか。
  167. 齋木昭隆

    政府参考人齋木昭隆君) お答え申し上げます。  北朝鮮は、去年の十月の六か国会合成果文書、この中ですべての核計画申告をするということを約束しておりますけれども、遺憾ながらいまだにこれを行っていない状況でございます。先ほど申し上げましたように、五月の十九日に行いました日米韓の三者会合等で、我々は、それまでの間、米朝間でいろんなやり取りをしてきたその内容について説明を受けたわけでございますけれども、特に日米韓の三者の間では、申告にはどういう要素が盛り込まれなきゃいけないかということについて突っ込んだ意見交換を行ったわけでございます。また、北京で行われた米朝協議、五月の二十七日、二十八日の米朝協議でございますけれども、アメリカ側から北に対して、申告を早く出すようにということを求めたということは先ほどお答え申し上げたとおりでございます。  ただ、さっきも申し上げましたけれども、今の時点で北朝鮮がいつ中国に対して申告を出すのかというその具体的な時期のめどが立っているわけじゃございません。また、出てきた申告内容につきましては、いずれにしましても六か国の間で、例えば日本日本としてもこの内容についてはきちんと検証していくべきだと思いますし、また、それぞれの国々が受け取った申告内容についてはよく精査するというそのプロセスが必要だろうと思っております。申告が出てきたからそれでもって完了したということでは決してないんであろうと理解しております。  いずれにしましても、この非核化プロセスを前に進めていくためには、まずは早く北朝鮮がほかの国々に対して申告を出すということ、これがまず大事だろうと思います。その上で、その申告内容についてこれを検証していくと。やはり検証をしないことには、果たしてその申告内容が正しいのかどうかということについても判断が付かないという、そういう問題がございますので、これは六か国の中でそういう検証のプロセスというものを踏んでいくということが非常に重要であろうというふうに考えております。
  168. 山下芳生

    ○山下芳生君 今回の米朝協議では、先ほど齋木局長からお話があったように、日朝関係についても取り上げられました。ヒル次官補は、北朝鮮に対し、拉致問題を含め進展させるべきだと申し入れたとされておりますが、この米側の要請に対して北朝鮮側の反応はどうだったと聞いておられますか。
  169. 齋木昭隆

    政府参考人齋木昭隆君) 五月二十七日、二十八日の両日にわたって米朝間ヒルさんと金桂冠外務次官との間でやり取りがありました中で、先ほど申し上げましたように、改めてアメリカの方からは、日朝関係の前進を図るべきだということを強く指摘したというふうに聞きました。拉致問題を含めて、日朝関係全体について具体的な行動を取るべきだということを北朝鮮側に求めたということでございます。  ヒル次官補からの働きかけを受けて、金桂冠次官の方は、話を聞いて、本国に伝達をしますという姿勢を示したというふうに聞きました。金桂冠さんは、日本の担当の次官ではございませんものですから、米国担当でございますので、むしろ本国に伝えますというのが彼の答えだったというふうに理解しております。
  170. 山下芳生

    ○山下芳生君 続いて齋木さんにお伺いしますけれども、なぜヒル次官補はこの時期にこのような申入れを北朝鮮に対して行ったとお考えですか。
  171. 齋木昭隆

    政府参考人齋木昭隆君) 今この時期に限定された話ではございませんで、これは日米関係が非常に緊密であるということ、やはり同盟国であるアメリカとしては、六か国会議プロセスの中で非核化プロセスと併せて、日朝また米朝も含めてバランスの取れた形で進んでいくということが非常に重要であるという認識を前から持っているわけでございますけれども、その中でも日朝が全く動かない状況であるということについては、これはやはり北朝鮮側に対してきちんとやるべきであるということは、今回も含めて従来からこれは北朝鮮に対して申し入れているということでございます。
  172. 山下芳生

    ○山下芳生君 私は、これから最終段階に進む場合に、北朝鮮に対する支援を実施する際に、日本を除く四者で行うよりも日本を含む五者で行う方が各国の負担は軽くなるとの考えもあるのかなと。そのためには、日本が参加できるよう拉致問題も含め進展をと申し入れたのかなと、この報道を聞きながら感じたんですが、その点はあるんでしょうか、ないんでしょうか。齋木局長
  173. 齋木昭隆

    政府参考人齋木昭隆君) 先ほど申し上げましたように、六か国協議究極的な目標については二〇〇五年九月の共同声明の中でも明示的に書かれているところでございますけれども、朝鮮半島の非核化北朝鮮の核廃棄を、これを求めるプロセスとしての交渉でございますが、あわせて日朝関係また米朝関係についても前進させる、究極的には懸案を解決して正常化に向かって努力していくということも約束事としてあるわけでございます。そういう中で、日朝の間で全く物事が動いていないということについてはやはり問題ではないかと、こういう問題意識に基づいてアメリカ北朝鮮に対して促していると、こういうふうに理解しております。
  174. 山下芳生

    ○山下芳生君 しかし、否定はされませんでした。  官房長官に伺いたいと思います。関連して、日朝関係にかかわる点なんですが、町村官房長官は四月十一日、対北朝鮮制裁の継続に当たって次のような談話を発表されました。  現在我が国北朝鮮に対して取っている措置は、北朝鮮側拉致、核、ミサイルといった諸懸案の解決に向けた具体的な行動を取る場合にはいつでも、諸般の情勢を総合的に勘案して、その一部又は全部を終了することができる。この官房長官談話は、半年前に制裁継続を決めたときの談話、去年の十月九日ですけれども、では見られなかったものでありますけれども、今回こうした言及をされたのはなぜでしょうか。
  175. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) よくそこまで読んでいただいて感謝をいたします。北朝鮮が読んでいるかどうか知りたいところではございます。  同じ考え方でいるつもりであります。十月の時点と四月の時点で何か大きく政府が考え方が変わったということを意味することではございません。ただ、より明確に私どもの意図をこの際言っておこうという思いがあったことは事実でございまして、北朝鮮が具体的行動を取ること、それが重要だというメッセージを伝えたつもりで、従前からこれはもう何度も何度も言っているわけでありますけれども、改めてこの措置の延長に当たってそのことを強調をしたかったという思いでございます。
  176. 山下芳生

    ○山下芳生君 元々、この制裁というのは北朝鮮に前向きな対応をしてほしいというメッセージだということも政府は述べておりましたので、その流れの一環かなというふうに受け止めました。  そこで、官房長官談話で言う制裁の一部を終了することができる具体的な行動というのは例えばどのようなことになるんでしょうか。
  177. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 先ほど外務大臣が大変丁寧に御質問に答えておられたわけでございますけれども、この具体的行動は何かということを具体的に申し上げることは難しいわけでありまして、実際に北朝鮮側がどういう対応を取ってくるのかと、これを見て個別具体的にやはり判断をしていかなければならない。  要は、北朝鮮が諸懸案の解決に向けてその意思を持ち、その意思の下で具体的な行動を取ってくる。それを見ながら私どもとしては、その北朝鮮に対する措置の一部又は全部を、全部というのは、まさにそれはすべての拉致被害者帰国をし、そしてその原因を究明をし、そしてその実行犯をしかるべき処分をするというような、かねてより言っていることでございますけれども、じゃ一部というのは何かというのが今の委員のお尋ねでございますから、そのまさにゴールに向けてのどういうアクションを取ってくるかということを見て政府として判断をしたいということでございます。
  178. 山下芳生

    ○山下芳生君 そうしますと、拉致、核、ミサイルのうち、例えば核問題での一定の前進があれば、それが諸懸案を解決する意思があるというふうに判断できるような具体的な行動であれば、制裁の一部を終了することができる具体的な行動判断することもあり得るんでしょうか。
  179. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) そこの具体論に入っていくと、じゃこのケースはどうだ、このケースはどうだというすべてのケーススタディーになってまいりますので、そこはやはり外交交渉上、私どもとしては言わない方がいいんだろうと、こう思っております。そういう意味で、この三つのテーマのうち一つだけが大きく進んで一つが残った場合とか、あるいは三つが少しずつ進んだ場合とか、二つは進んで一つはとか、いろんな組合せがきっとあるんだろうと思いますけれども、それはひとつ具体に申し上げることはお許しをいただきたいと思います。
  180. 山下芳生

    ○山下芳生君 最後に、拉致問題と核問題の関係について伺いたいと思います。  私は、日朝平壌宣言の諸課題の包括的解決という立場、そして六か国協議の枠組み、これらの下で核問題の道理ある解決が図られるなら、拉致問題の早期解決の新しい条件も開かれると考えております。  昨年十一月五日、当委員会での私の質問に対し町村長官も、「核の問題が前進をするための第一歩が踏み出されつつある、この状況を私どもも歓迎をするわけであります。」、「六者協議というフレームワークも一つの有効な、私どもにとりましては、拉致問題を解決するための有効な手段として、この場を活用しながら拉致問題の一刻も早い正しい解決を図るべく全力を挙げていきたいと思っております。」と答弁されました。  また、高村大臣も、「核問題が先に進むということは、必ずしも拉致問題が取り残されて不利になるということではないと思っています。核問題が進むということで拉致問題が解決しやすい条件になってくる場合もありますので、私たちは、核が先に進めば、それに負けないように拉致も進むように全力を尽くしていく考えでございます。」と答弁をされました。  どちらも非常に重要な認識だと受け止めました。  それから半年たって、私はこの間の関係各国の様々な動きを見ておりますと、まさに長官や大臣が認識した方向で事態がじわりと進んでいるような印象を受けているんですが、その点での感触、感想、どうお持ちか、町村長官、高村大臣、それぞれ伺いたいと思います。
  181. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今ちょうど第二段階の出口に近づいているのかどうか微妙な時期なんだろうと思いますし、ただこれは第三段階というものを、先ほど来申し上げておりますように想定をしてでの第二段階だということだろうと思います。そういう意味で、核問題が今の段階でどこまで進展したということは難しゅうございますが、しかし少なくとも後退はしていないし、米朝双方の努力、また議長国である中国の努力等々も相まって、少なくともいい方向に進みつつあるという状況はあるのではないかと、こう思っております。ただ、もちろん楽観ができる状況ではございません。  そういう状況の中でありますが、残念ながら日朝関係については具体的な進展が得られていないと。しかし、この六者協議のフレームワークが有効であると私どもが考えております理由は、一つの項目だけ進んであとが取り残された状態というのは、この全体の六者協議のフレームワークの中で全体としての目標にやっぱり反するので、例えば拉致問題が解決されず日朝関係がもし進まないということになると、それは六者協議の共同声明に言わば反することになるわけでありまして、六者協議の共同声明を全体としてバランスよく実施していくということが必要になっているんだと、こういう認識でございますから、そういう意味で、この拉致問題の前進というものも当然なくてはならないプロセスの重要な一環であるというふうに考えているわけでございます。
  182. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 核、拉致ミサイル、これがバランスよく進むのがベストだと、こういうふうに思っておりますが、何も進まないよりはどれか一つが進んだ方がいいし、どれか一つが先に進んじゃうとほかが進みにくくなるということは私は、場合によったらあるかもしれないけれども、むしろそうでないことの方が多いのではないかと思っております。  ベストは、核、拉致ミサイル、これがバランスよく進むということでありまして、今、残念ながら日朝関係、過去を含む日朝関係が遅れておりますので、ここを遅れないように全力を尽くしたいと、こういうふうに思っているところでございます。
  183. 山下芳生

    ○山下芳生君 終わります。
  184. 下田敦子

    委員長下田敦子君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時二十一分散会