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仁比聡平君 大野局長も、これまでのままでいいとは思っていらっしゃらないのかなというニュアンスを今の御
答弁の中でも感じるんですけど、もうちょっと拡大していかなきゃいけないんじゃないのかという方向をお持ちなんでしょうかね。どうなのかな。いや、いや、もう
答弁求めません、あえて。
検証の中で類型として二つ出ているのは、その一は、既に作成し
証拠調べ請求を予定している
自白調書、これを
被疑者に示すなどして
自白の中身について聴くという場合。
二つ目は、
被疑者の
供述を録取した
検察官調書について、
被疑者が読み聞かせを受け閲読する場面、それを確認して署名する場面を
録画、
録音するというものという、この二つと言っているんですよ。
だから、
警察庁がこれからやろうとしておられると御
説明になっているのと大して変わらないですよね、と私は思うんですよ。それを
裁判員を始めとした
裁判所に、
裁判員対象事件じゃなくてもですけれども、争われたときに出して、だからといって、これまでの
任意性をめぐる問題や
供述の
信用性をめぐる問題が解決されるとは私には到底思えないわけでございます。いずれにしても、その
録音、
録画を部分
可視化という場合は、どこをやるのかというのはこれは
捜査機関の側が決することになりますですね。
その
警察やあるいは
検察官が一体どのような立場でこれまで
捜査をしてきたのかということが随分問題とされてきたわけですが、
志布志事件について
一つだけちょっと紹介をいたしますと、
提案者の
松野先生もこれからも恐らく随分取り組んでいかれると思うんですが、
取調べ小票それから内部記録の問題がございます。例えば、ある
取調べ小票によりますと、ある
被疑者はその
志布志事件において、十三回の会合に
出席して総額百七十八万円のお金をそれぞれ受け取ったんだというようなことを
取調べ室で
供述させられているわけです。これはあり得ないことなんですね。
私もこの
委員会で四回の買収会合、その特定がどうしてなされたのかという議論をしてきましたけれども、実は、初めから四回というふうに
鹿児島県警は特定をしていたわけではなくて、ですから、たたき割りが続けられていた時期の元
被疑者の
供述の中には、四回だとか七回だとか、十回だとか十回以上だとか、十三回ありましただとか、様々な
供述が行われているわけです。こういったありもしない事実がさもあったかのように
供述がなされて、それがあり得ない形で
一つに収れんしていくというプロセスが
冤罪を生み出した、権力
犯罪だと
指摘をされているわけですよ。この過程を検証可能にすることなしに、一体どうやって再発を防止するのでしょうか。
もう
一つ、内部記録にかかわって、検察が県警と訴訟方針の打合せをしているわけですけれども、その中で川畑元
被疑者の踏み字の問題についてこう言っているくだりがあります。これは
松野先生、取り上げられたことがあったと思いますが、磯辺警部が、結論は、すべては
自白を得るための手段といえばそれまでであるが、それで
自白が取れるのかという疑問も感じる、結果的に有形力の行使と言われても仕方がないというふうにその会議で語ったときに、地検の検事は、今の警部の
考えは絶対言わない方がいい、言えば追及される、尋問されたらとぼけて、意見を聞かれたら門前払いにするか、
先ほどの警部の
考えを証言したら結果的に
自白を取るためと結論付けられ、国賠に対しても物すごい影響を与えかねないというふうに、法廷でどう臨むべきかのアドバイスをしているわけですよ。
こういう
警察官やあるいは
検察官が、一〇〇%みんながみんなそうだとは言いませんよ、だけれども、そういう
取調べ官が自ら、ここの場面は
録画する、こいつは今正直に語っているからこの映像を撮っていればこれは
裁判員にいい説得材料になるだろうと、こんなやり方やったら無法を覆い隠すということになるじゃないですか。そして、実際そういうことが起こるんじゃないかという懸念が
刑事司法への
国民の信頼をどんどん深く傷つけていくし、そういった事態が
取調べ室の中では行われているんじゃないかという思いを抱いたままの
市民の
裁判員が、どうやって出てくる
証拠を信頼すればいいんですか。
私は、こういう部分
可視化というのは本当に極めて問題だと思いますが、こういった
志布志事件の
取調べ状況、その教訓から
考えても、私は今こそ全面
可視化こそが求められていると思います。
提案者、いかがでしょう。