運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2008-04-08 第169回国会 参議院 法務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年四月八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月一日     辞任         補欠選任         川合 孝典君     前川 清成君  四月八日     辞任         補欠選任         舛添 要一君     塚田 一郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         遠山 清彦君     理 事                 千葉 景子君                 松岡  徹君                 山内 俊夫君                 木庭健太郎君     委 員                 小川 敏夫君                 今野  東君                 鈴木  寛君                 前川 清成君                 松浦 大悟君                 松野 信夫君                 青木 幹雄君                 岡田 直樹君                 塚田 一郎君                 丸山 和也君                 山崎 正昭君                 仁比 聡平君                 近藤 正道君    国務大臣        法務大臣     鳩山 邦夫君    副大臣        法務大臣    河井 克行君    大臣政務官        法務大臣政務官  古川 禎久君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局総務局長   高橋 利文君        最高裁判所事務        総局人事局長   大谷 直人君        最高裁判所事務        総局刑事局長   小川 正持君    事務局側        常任委員会専門        員        山口 一夫君    政府参考人        警察庁長官官房        総括審議官    巽  高英君        警察庁刑事局長  米田  壯君        法務大臣官房司        法法制部長    深山 卓也君        法務省刑事局長  大野恒太郎君        法務省矯正局長  梶木  壽君        法務省入国管理        局長       稲見 敏夫君        外務大臣官房参        事官       渡邉 正人君        文部科学大臣官        房審議官     久保 公人君        経済産業大臣官        房審議官     本部 和彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る一日、川合孝典君が委員辞任され、その補欠として前川清成君が選任されました。     ─────────────
  3. 遠山清彦

  4. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 今野東

    今野東君 民主党の今野東でございます。  今日は裁判所職員定員法の一部を改正する法律案審議をさせていただくわけですけれども、私たちもほぼこれでいいのではないかと考えてはおりますが、周辺の事情を二、三お伺いしたいと思います。  この定員法の中に入るわけですが、裁判官を採用する場合ですけれども、これは司法修習生の中から、別の口もありますけれども一般的には司法修習生の中から採用するのだと思いますが、聞くところによりますと、司法修習をしている中で、修了が近くなってくると、教官に、君、君、裁判官にならないと声を掛けられた、検事になる人も同じような傾向があるそうですが、そうやって声を掛けられた人が裁判官として採用されていくということを聞くんですが、これ事実はどうなんでしょうか。お気に入りの人しか採用されないんでしょうか。
  7. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者大谷直人君) 少し御説明いたします。  司法研修所教官というのは、裁判教官あるいは弁護教官さらに検察教官、いろいろおられるわけですが、どの教官であれそれぞれ自分のクラスを持っておりまして、修習生の指導に当たっているわけでございます。その中で、修習生から進むべき道などについていろいろ相談を受けることがございます。このような場合に、法曹の一つは先輩として、それから教官として真摯な立場で相談に乗ることはむしろ望ましいことだろうと思うわけです。  そして、その過程で、修習生の能力あるいは人柄といったものを見て、裁判官任官が適当と思われる修習生に対しましては各教官任官を勧めることもあろうと思いますが、任官適性があるかどうかという客観的な判断に基づいて行われているものでありまして、例えば個人的な好き嫌いといったような恣意的な判断によることはない、このように承知しております。
  8. 今野東

    今野東君 当たり前ですよ、そんな好き嫌いでやられたら。まあここについて私は余り時間を取りたくないのでこれぐらいにしておきますが、要するに、司法試験という大変難しい試験を通る、そこはあるんですけれども、その先、検事になったり裁判官になったりしていくところで基準も何にもなくて、教官の人の、まあ好き嫌いはないといったって好き嫌いありますよ、実際のところ。そういう基準がないわけですから、私は、そこのところも基準を持って公明正大に任官されていく、採用していくということが必要なのではないかと思います。  さて、私たち法務委員会で、先月十二日のことですけれども、四谷の法テラス東京の視察をさせていただきました。その際、ここを訪れて相談する人のうち、生活保護を受けている人が一五%、無収入の方が七〇%を占めるというような状態、いわゆる社会的弱者方々利用が大変多いということを知りました。弁護士の費用が大変といって足を遠ざけていた人たちの役に立っているということを実感したわけですが、裁判所職員定員を増やすということも大切だとは思いますが、是非、この法テラスをしっかり育てていくということも重要なことと思います。今後の予算措置も含めて、この点をどのようにお考えか、伺います。
  9. 深山卓也

    政府参考人深山卓也君) 法テラス平成十八年十月に業務を開始して以来、おおむね順調に各種業務を行ってきておりますけれども情報提供業務を始めとして、国民に身近な業務を行う法テラスが真に国民の役に立つものとなるようにするためには、まずもって法テラスの存在を広く国民方々に知っていただく必要があると思っています。もっとも、そのコールセンターの現状での利用件数どもいまだ十分ではないというようなことからも明らかなように、まだまだ国民法テラスに対する認知度は低いということは否めないところでして、認知度をまずもって向上するということが今後の重要な課題だと思っております。  また、今お話に出ました民事法律扶助業務あるいは司法過疎対策業務あるいは国選弁護関係業務などと、法テラス各種業務を円滑に行う上では、法律事務の担い手である常勤弁護士一般契約弁護士司法書士方々を数多く確保するということも重要な課題だと考えておりまして、とりわけ本年度中には犯罪被害者のための国選弁護制度が導入されますし、来年度には被疑者国選弁護対象事件が大幅に拡大される、さらには裁判員制度の開始が予定されているというようなことから、これらに対応する体制を整備するために、常勤弁護士一般契約弁護士の更なる確保がこれまた重要な課題だと思っております。  今後、法テラスにおきましても、このような更なる周知、広報活動、とりわけ全国地方事務所を中心とした地域に根差した広報活動に努めていくと。また、二十一年度に向けた体制の整備も図っていくというようなことを聞いておりますけれども法務省としては予算関係を所管しておりますので、予算措置も含めて、こうした法テラスの努力を十分にバックアップしていきたいと思っております。
  10. 今野東

    今野東君 ということで、よろしくお願いしたいと思いますが。  さて、ここのところ司法判断が様々な話題になることがあります。それに伴って当然警察捜査在り方が問われるということもあるわけですけれども警察捜査、その在り方が問われた深刻な無罪判決事件冤罪事件志布志事件と並んで氷見事件があります。最近では北九州市の引野口事件どもありますが、この志布志富山氷見事件について、最高検察庁それから日弁連は両事件の言わば調査報告書を出しております。しかし、裁判所の側からはこれ出ていないんですね。これはどういうわけなんでしょうか。
  11. 小川正持

    最高裁判所長官代理者小川正持君) お答え申し上げます。  裁判所といたしましても、氷見事件のように無実の人が服役するようなこと、これは決してあってはならないことであるというふうに考えておりますし、今後、このような事態が二度と起きないように事件の教訓を最大限生かしていかなければならないというふうに思っております。  ただ、難しいのは、氷見事件のように、検察官が起訴した事実について被告人弁護人も事実を認めて全く疑問を提起しない場合に、どのようにして冤罪を見破るかという点でございます。  裁判所では、御指摘事件等をきっかけとして、昨年七月と十月に司法研修所において全国の高裁、地裁刑事事件を担当する裁判官が参加した研究会を開催したところでございます。この研究会の中で、誤判防止の観点から、自白をめぐる問題、真実発見の要請と当事者主義適正手続との調和について、また被疑者被告人身柄拘束をめぐる問題について意見交換を行いました。  その中で、自白をめぐる問題等につきましては、自白の裏付けとなる客観的証拠等、当然審理の対象とされるべき証拠を十分精査することが重要であるとの指摘や、立証責任を負う検察官立証に合理的な疑いがないかどうかについて、当事者から出された主張や証拠の枠組みの中で裁判所が適正に判断するという刑訴法の趣旨に沿った運用重要性を再確認するという意見などが出されたと承知しております。  また、身柄拘束をめぐる問題につきましては、東京地裁大阪地裁令状部裁判官による運用状況報告を踏まえまして、身柄拘束の要件である罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれについて率直な意見交換がなされて、身柄を釈放すべき事案で釈放の判断をこれまで以上適正に行うことができるようにするために、各庁で自主的に実施されている裁判官によるケース研究を積極的に行うべきである等の意見が出されたと承知しております。  最高裁といたしましては、今後も、個々裁判官が研さんを行う機会を設けるような配慮をして……(発言する者あり)そういう検証の点は、個別の事件について最高裁事務当局検証を行いますと個々裁判の当否の評価ということになりかねないものでございますので、そうした点に配慮して今申し上げましたような司法研修所研究会等において議論を行うと、その成果を共有していく方法が望ましいというふうに考えております。
  12. 今野東

    今野東君 私、今日は十時五十一分まで時間があるんですが、何しろこの質問が一週間延びたものですから内容が盛りだくさんになってしまいまして、果たしてこの時間内で用意した質問がし切れるかどうか分かりません。大変時間的に焦っております。どうぞ、これから答弁される方は手短に要領良くお答えいただきたいとお願いしておきます。  さて、裁判所の側で研究会意見交換会をやったということなんですけれども、この調査報告書という形では出さないんですか。出すか出さないか、出しているか出していないか、そのお考えを手短に。
  13. 小川正持

    最高裁判所長官代理者小川正持君) 今申し上げました意見交換会意見交換につきましては、公表を前提とせずに自由に意見を述べてもらうことを主眼に置いて行ったために、その内容報告書として取りまとめて公表することは予定しておりませんけれども、今後ともこうした研究会を通じて適正な処理を行うことができるように努めることが重要と考えております。
  14. 今野東

    今野東君 それ、記録は取っていますか。
  15. 小川正持

    最高裁判所長官代理者小川正持君) 正式な記録は取っていないというふうに思っておりますけれども
  16. 今野東

    今野東君 メモはありますか。
  17. 小川正持

    最高裁判所長官代理者小川正持君) 正式なメモといいますか、それはちょっと私、把握しておりませんけれども
  18. 今野東

    今野東君 研究会意見交換会をやっていながら記録も取っていないんですか。そんな研究会意見交換会だったんですか。
  19. 小川正持

    最高裁判所長官代理者小川正持君) ですから、今申し上げましたように、正式に議事録を取るとか、そういうようなことはしておりません。
  20. 今野東

    今野東君 あることはあるんですね。
  21. 小川正持

    最高裁判所長官代理者小川正持君) ですから、議事録とか、そういうものはございません。
  22. 今野東

    今野東君 それらをきちんとしたものにまとめてこの委員会に提出していただけるように、委員長、お願いします。
  23. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) ただいまの今野君の御提案につきましては、後刻、理事会で協議をいたします。
  24. 今野東

    今野東君 さて、氷見事件ですが、私はこの事件捜査在り方を細かく今日伺うつもりはありません。ただ、こうした事件に遭った本人にしてみれば、たとえ無罪判決があったとしても取り返しが付かない時間と心労があるわけで、その傷はどのような慰めがあってもいやされることはありません。しかし、それでも捜査上不適正なことはあったわけですから、できる限りの謝罪警察としてしなければならないのではないかと思いますが、検察警察謝罪はどのような形でしたんでしょうか。いつ、だれが、どこで、何について、どのようにされたか、明確にお答えください。
  25. 大野恒太郎

    政府参考人大野恒太郎君) 氷見事件につきましては、平成十九年一月二十六日、富山地方検察庁におきまして、富山地方検察庁検事正、それから次席検事が元被告人の方と面談して謝罪をしたものというように承知しております。
  26. 米田壯

    政府参考人米田壯君) この事件につきましては、まず平成十九年一月十七日、この男性無実がほぼ明らかになった時点でございますが、男性の行方が分かりませんので、まずお兄様、お姉様、合計三名でございますが、これ、一月十七日に富山県警の幹部が訪れて謝罪をしております。それから、一月二十三日にこの男性を発見できましたので、刑事部首席参事官、それから富山地検検事も同席しておりますが、謝罪をいたしました。さらに、一月二十六日、先ほど法務省から御答弁あったのと同じ日でございますが、警察本部長及び刑事部長がこの男性に対し謝罪をしております。
  27. 今野東

    今野東君 検察側、それから警察側もそれぞれ謝罪をしたと言っているんですが、そのときにきちんと名刺を出していますか。
  28. 大野恒太郎

    政府参考人大野恒太郎君) 先ほど申し上げた検事正次席検事謝罪の際のことでございますけれども名刺を渡した事実はないということでありますが、官職氏名は名のったというように承知しております。
  29. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 警察も同じでございまして、名刺は渡さず、官職氏名を名のったということでございます。
  30. 今野東

    今野東君 本人に話を聞いたんですが、私は電話で。名刺も受け取ってないし、だれかと名のられた記憶もない。だから、だれに謝罪されたのか分からないと言っているんです。  スナックで飲んでいるところを私服の警察官が来て、来てくれと言われて連れていかれて、そして会議室に入れられて、名刺も出さず、どこのだれかも名のらず、それは謝罪でしょうか。それ、正式な謝罪だと思いますか。謝罪というのは、相手のところに訪ねていって私はどこのだれそれでございますと、少なくともこの場合は名刺をきちんと出して、この地位にある私があなたに謝罪をしますといって謝罪するのが謝罪じゃないんですか。
  31. 大野恒太郎

    政府参考人大野恒太郎君) 先ほど、検事正次席謝罪富山地方検察庁でしたというふうに申し上げたわけでありますけれども、元被告人の方を応接室に招き入れまして、そして、検事正検事正のだれそれです、次席次席検事のだれそれです、それぞれ起立して自己紹介をして、その上で謝罪をしたというように私どもは承知しておるところでございます。
  32. 米田壯

    政府参考人米田壯君) この元被告人の方の当時居所がなかなかはっきりしませんで、また明らかになかなかしていただかないという事情もございまして、それで警察本部の方に来ていただいたということでございます。もちろん、官職氏名はこちらは名のっております。
  33. 今野東

    今野東君 この被疑者とされていた方はおびえているんですよ、今でも。ですから、ちょっと来いと言われて警察に連れていかれて、それは応接間か会議室か分かりませんが、口で名のられてもだれなのか分からない、名のったかどうか分かりません。そういうときには、やっぱりきちんと名刺を出して私はこれこれこういう者ですというのが、何で出さないんですかね。私はそこのところがとても不思議に思うんですが。  そして、それに先立って一月の二十三日、本人を連れていって調書を取っていますね。その調書内容は、私はすべての取調べを通じて、刑事さんから暴力を振るわれたり、脅されたりしたことは一度もありませんでしたという内容調書なんですよ。  一月二十四日には富山地方検察庁に呼び出されて、検察官から暴力を振るわれたり、脅かされたりしたことは一切ありませんでした。私は、検察官に対しては刑事さんに認めたとおりに話しただけですので、恨みに思っているような気持ちは全くありませんし、特に何も思っていないというのが正直な気持ちです。  こんな調書、何のために必要なんですか。
  34. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 答弁者は。
  35. 今野東

    今野東君 両方
  36. 大野恒太郎

    政府参考人大野恒太郎君) その時点では真犯人が一方で現れてきたというようなこともありまして、事実関係の確定をするというのが第一のことでございました。  したがいまして、元被告人の方からも有罪とされた事件捜査手続状況等につきまして事実関係を確認する必要があり、その過程で先ほど御指摘のあったような質問がなされたというように承知しているところでございます。
  37. 米田壯

    政府参考人米田壯君) これは、富山地方検察庁の方の事情聴取のことだと思います。警察といたしましては、その当時、謝罪をしただけでございます。
  38. 今野東

    今野東君 警察もやっているんじゃないですか。私は、すべての取調べを通じて刑事さんから暴力を振るわれたり脅されたりしたことは一度もありませんでしたという調書にサインさせているでしょう、一月二十三日に。
  39. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 一月二十三日は、こちらは謝罪をして、そして富山地検検事さんもそこに同席をして、そして事情聴取をされたというふうに聞いております。
  40. 今野東

    今野東君 そこのところをごちゃごちゃ細かくやりたくありませんが、時間も限られていますから。  これ、調書を全部柳原さんが出したわけじゃないんです。私、見たいと言って、それを手に入れたいと思ったんですが、こういうものを出すとまた何をされるか分からないから怖くて出せない。もうおびえているんです、今でも。  一月二十六日、富山地方検察庁に再度この被疑者とされていた方が呼び出されて作成された調書三通のうちの一部には、こういうことも書いてあります。  取調べに当たった担当刑事、長能氏のことですが、私の長能さんへの思いなどについてお話しします。最初任意取調べを受けたときは、何で呼出しを受けなければならないのかと思って、長能さんのことを何だこいつと思っていました。その後、母親の話をされたりして、絶望的な気持ちになって罪を認めましたが、そのような気持ちになって罪を認めたので、罪を認めたことに対して長能さんに恨みは全くありませんでした。逆に、長能さんは私のことを気に掛けてくれて、房から出していろいろと私の過去の話などを親身になって聞いてくれました。私は、そのような長能さんの態度から、長能さんについては私の話をよく聞いてくれる変ないい刑事さんがいるんだなと思って長能さんに対して親しみを持ちました。さすがに刑務所に入ったときは、長能さんにこんな目に遭わされたと思って長能さんのことを恨めしく思ったことはありましたが、恨んでも何も変わらないと思い、逆に良くしてくれたことを思い出して自然と恨めしい気持ちはなくなりました。私は長能さんに恨みなどは持っていません。警察については、わざとやったことでないことは分かりますので、恨みなどはありませんし、警察官裁判官弁護士についても恨みはありません。ただ、もうちょっときちんと捜査をしてくれていればこういうことにはならなかったのになと思っていますと。  要するに、警察に対して、取調べのこの長能さんに対して恨めしく思っていませんよということをわざわざ調書にしているわけです。この調書は何で必要なんですか。警察
  41. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 警察としては承知していない調書でございます。それは検察庁調書だと思いますが。
  42. 今野東

    今野東君 これは本人から聞いた話ではありません、弁護士さんが要約をして私のところに大事なところというので、ちょっと私が無理に伺ったものですけれども。  一月二十六日に謝罪をしていると言いながら、そのときにこういう調書を取っているわけです。これ、謝罪じゃないでしょう。調書を取るために呼んだんでしょう。謝罪なら相手のところに行くでしょう。  もう一度伺いますが、謝罪ですか、これ。
  43. 大野恒太郎

    政府参考人大野恒太郎君) 一月二十六日には、検事正次席が元被告人の方に謝罪すると同時に、また、この真犯人についての捜査関係で元被告人の方から事情も聴取しているというように承知しております。
  44. 今野東

    今野東君 両方に私はやってほしいことがあります。もう一度謝罪をきちんとし直してください。文書にして、どこのだれがどういう思いであなたに謝罪をしているのかということをきちんと文書に出して、そして伺っておわびをするべきじゃないですか。それ、やりますか、やりませんか。
  45. 大野恒太郎

    政府参考人大野恒太郎君) 富山地方検察庁の当時の責任者におきましては、先ほど申し上げたように、直接元被告人の方に謝罪を申し上げたわけでございます。先ほど、謝罪になっていないという御指摘もございましたけれども、実際に私どもが承知している限りでは、検事正次席もきちんと官職氏名を名のり、立ち上がり、しかも大変御迷惑を掛けたということについて謝罪したというように理解しているところでございます。
  46. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 警察庁からも答弁お求めになりますか。
  47. 今野東

    今野東君 はい。
  48. 米田壯

    政府参考人米田壯君) この問題は富山県警察において判断されるべき問題であろうかと思いますけれども、私どもの聞いている限り、当時適切に謝罪をしたというように考えております。
  49. 今野東

    今野東君 ここでのやり取りは相当時間が掛かると思いますのでこれぐらいにしますが、私は、文書にして、きちんと訪ねていって謝罪をするということを両者に求めます。それが謝罪の姿です。本来のところです。そうやって公正な検察警察という思い国民の皆さんに持っていただく。失敗したときにはきちんと謝罪をするということをしていかなければ、信頼される検察警察にはなれないと思います。  さて、今年の三月五日、福岡地裁小倉支部は二〇〇四年に起きたいわゆる引野口事件で、お兄さんを殺害して自宅に放火したとして懲役十八年を求刑されていた女性に無罪判決を言い渡しました。この捜査でも警察は、ずさんな陰湿な捜査をしています。  そもそも、この女性の逮捕は、亡くなったお兄さんの預金口座から現金を無断で引き出したという窃盗罪と、学習塾を経営するお兄さんの妻とトラブルがあったとして威力業務妨害罪でそれぞれ、これは別件逮捕でありました。さらに、警察はこの女性の家族にも執拗な尾行を付けました。御主人は連日、女房の犯行を知っているだろうと警察から厳しく問い詰められて、奥さんが逮捕されてから十日後に自殺しております。  無実の人を逮捕、勾留して、家族を自殺にまで追い込んだ警察のやり方は到底許されるものではありません。別件で逮捕されたこの女性は一千三百日以上も身柄を勾留されています。  容疑を認めないこの女性について警察は何をしたかというと、女性と留置所の房が一緒になった女性にスパイをさせたんです。車上ねらいで県警に逮捕された女性がおりました。この女性を、被疑者であった女性から事件の引き出しを、話を引き出させるスパイとして送り込んだ様子の一部が判決の事情聴取に至る経緯のところでこう述べられています。  特捜班は、七月十五日、捜査本部会議において、同日、このスパイだった女性の名前が実際にここに出ておりますけれどもBとします、同日、Bが被告人と同房となることが報告されたことを受けて、会議終了後、先にBの事情聴取を行った警察官を今後事情聴取専従としてBから事情聴取を行うこととし、七月十六日から九月二十九日までの七十六日間中四十八日間、ほぼ連日、Bから房内での被告人との会話の内容を確認した。事情聴取専従の警察官は、八幡西署におけるBからの事情聴取初日である七月十六日、Bに対し、被告人の件でBから事情聴取していることについて被告人に話さないよう明示あるいは黙示で注意し、Bもそのことを了承した。  つまり、このことは黙っていろよと、おまえと一緒になったあの女性が犯行をほのめかすようなことを引き出せ。担当の人を決めて、警察官を決めて聞きに回っているというとんでもない捜査です。  この事件についての反省はどこでどのように出されていますか。
  50. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 確かに、そのような御指摘の判決がありまして、特に判決の中では、捜査情報を得る目的で意図的に同房にしたのではないかと、それから同房者を介して取調べを受けさせられていたのと同様の状態にあったというようなことが指摘をされておるわけでございます。もちろん、同房者にそういう事情聴取をすることそのものは、その判決の中でも認めておられるところであります。  また、福岡県警におきましては、この同房者の留置先の選択というものは、これはあくまでその同房者の事件捜査に最も適切であるということで、要するに留置業務上の判断でございまして、今回の本件事件への便宜というものの判断は入っていないという報告を受けております。  また、同房者からの事情聴取に当たりましては、事前に取調べ官に対しまして、その同房者には捜査情報を一切与えない、それから客観的事実と反したことを言われても訂正しない、こちら側から聞きたい情報は要望しない、便宜を図るような約束はしないというようなことを具体的に指示しており、そういう意味では配慮はなされておりました。  しかしながら、この判決で指摘されたということは、これは捜査側にとりましても捜査と留置の分離について配慮が十分でなかったというようなことが反省点として認められるところでございまして、そこで、もちろん福岡県警におきましてもそのような反省をいたしまして、また警察庁といたしましても、この判決を受けまして三月二十五日に通達を出しまして、捜査と留置の分離の徹底、それから同室者の取調べに際しての相当性の検討、そして起訴後勾留中の被告人の拘置所への移送措置の促進などについて指示を行って、指導をしているところでございます。
  51. 今野東

    今野東君 こうしたことが次々に明るみに出てくるわけでありまして、反省をきちんと文書にして出すべきだと思います。  さて、そのいわゆる氷見事件や鹿児島の志布志事件で長く被告人とされていた方々に掛けた心労、負担は、それを知った国民にとっても、警察捜査に対する信頼を大きくそぐ結果になって大変残念なことでありました。  警察庁は、この冤罪をつくり出してしまったことを深く反省して、「富山事件及び志布志事件における警察捜査の問題点等について」という文書と、今後このようなことが起きないようにという強い思いからなんでしょうね、「警察捜査における取調べ適正化指針」をこの一月に出しています。  日本での取調べ体制については、国際基準に反することが多い点が度々指摘をされております。  例えば、二〇〇七年五月の国連拷問禁止委員会の最終見解で、法律を改正して捜査と拘禁を完全に分離すること、国際基準に適合するよう警察拘禁期間の上限を設定すること、逮捕直後からの弁護権、弁護人取調べ立会いや起訴後の警察保有記録のアクセスを確保し、かつ十分な医療を保障すること、留置施設視察委員会には弁護士会の推薦する弁護士を任命することにより、警察拘禁に対する外部監査機関の独立性を保障することなどなど求められているんですが、この適正化指針の中にはこれら国連拷問禁止委員会の勧告が取り入れられておりません。表面上は反省したことをきちんと盛り込んだように見せかけて、実はこれまでどおり自白を強要したり、自白を強要できる道を残しているのではないかと疑われる箇所があります。  例えば、「取調べに対する監督の強化」のところで、ここの「取調べに関する監督を的確に行うことができるよう、次に掲げる取調べに係る不適正行為につながるおそれがある行為を監督の対象となる行為として国家公安委員会規則に類型的に規定する。」とあって、こういうことがあったら注意しますよということを書いてあるわけですね。  その一つ、「被疑者の身体に接触すること。」、被疑者の身体に接触してはならない、これ監督しますということを書いてあるわけですが、これは不適正行為ですよと言っているわけですけれども、そこに括弧があって、「(やむを得ない場合を除く。)」とあるんです。  もう一点指摘させていただきます。取調べ時間の厳格化についてです。「取調べは、」「深夜に又は長時間にわたり行うことを避けなければならない旨を犯罪捜査規範に規定する。」とあるんですが、ここにも「やむを得ない理由がある場合のほか、」という言葉が入っています。このやむを得ない場合ってどういうことですか。
  52. 米田壯

    政府参考人米田壯君) まず、身体接触のやむを得ない場合の話なんでございますけれども、一番典型的な場合は、病気とか障害とかといったことでその被疑者の方が介助を要するような状態になった場合に、それはもうその体に触るしかないわけでございまして、そのようにして助けるということが一番典型的でございます。それから、中には実は気の荒い被疑者というのも結構おりまして、暴れ出すということも確かにございます。そういう場合も、それはやはりこちらも体に触って制圧をするということもあろうかと思います。そういうものが典型的でございます。  それから、取調べ時間の関係でのやむを得ない理由でございますけれども、これはそれぞれの個々事件によりまして、その必要性、合理性、方法、態様等で個別具体的に判断されるべきものであると考えておりますけれども、典型的な場合としては、例えば、深夜は控えなければいけないといいましても、そもそも深夜に逮捕してしまった被疑者については、これはもう深夜に取り調べるしかないわけでございます。あるいは、誘拐事件のような個人の生命、身体などに急迫不正の侵害が現に存在しているときに、それはもう、例えばその関連の一味を捕まえてもう厳しくその行方を捜すというようなことだって、これはもう時間を問わずやらなければいけないだろうというようなこともございます。あるいは、事件の重大性によっては取調べ時間が延長するということもそれはあり得ることだと思います。そういったような典型的な場合が考えられるということでございます。
  53. 今野東

    今野東君 今おっしゃったようなことはあるでしょう。では、それはなぜ書き込んでいないんですか。
  54. 米田壯

    政府参考人米田壯君) それぞれ個別のことでございまして、今言ったようなことを、指針というのは割合、何といいますか、大まかに書きまして、そしてそれを個別に指導をしていくために、それぞれまた細かい、何といいますか、ガイドラインといいますか、そういった指導のための基準のようなものを策定をして、そして適切に都道府県警察を指導してまいりたいと思っております。
  55. 今野東

    今野東君 指針という字の中に針というのがあるように、針のように細かいんです、指針というのは。細かく書き込まなきゃいけないんです。書き込んでいないから、そのことを反省して、志布志氷見事件のことを反省して、あるいは引野口のことを反省して指針を書いているんでしょう。やむを得ない場合って漠としたものを作っておいて、それは指針というのは漠としたものって、何ですか、それは。保障する措置になっていないじゃないですか。これなっているんですか。書いてください。書き込むべきです。
  56. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 先ほども申しましたように、捜査というのはいろんな場合がありまして、今申しましたようなのが典型的な場合でございます。しかしながら、個別の中でその他のこともそれはあるかもしれません。そういったことは、こういう方向でやるということで、そしてそれぞれの都道府県警察の中でも細かく捜査員をそのように指導するでありましょうし、警察庁といたしましてもそのような方針でやりたいということでございます。
  57. 今野東

    今野東君 こんなあいまいな指針を出して、これでよしとしているのならば、また今後も冤罪やあるいは人の人権を無視したような捜査が行われるのではないかという大きな心配があります。  さて、もう一点お伺いしたいんですが、取調べ状況を外形的に把握することができるようにするため、すべての取調べ室に透視鏡の設置を図るとなっています。  私どもの部門会議で聞いたところでは、何かのぞき窓を作ってのぞけるようにするんだという話なんですけど、のぞく人はだれですか。
  58. 米田壯

    政府参考人米田壯君) この適正化指針で定めております仕組みは、適正捜査のチェックを今まで捜査の部門の縦ラインでやっておりましたのを、捜査関係のない、警察でいくと総務とか警務部門でございますが、そちらが行うと。そういうチェックを行う総務、警務の部門の人間が透視鏡によって取調べ状況をチェックをするということでございます。
  59. 今野東

    今野東君 取調べ関係のないといっても、警察の身内の方がのぞいて何の役に立つんですか、これ。
  60. 米田壯

    政府参考人米田壯君) これは一般の企業も同じでしょうが、犯人を捕まえなきゃいけない、要するに実績を上げなければいけないという部門と別に、まさにチェックすることそのものを任務とする部署をつくるというのは、大変これは効果が上がるものであるというふうに期待をしておりまして、そのような仕組みでやってまいりたいと考えております。
  61. 今野東

    今野東君 身内の人がのぞいて、ああやっているなという程度では、これはこの効果は出ないだろうなと思います。  志布志事件氷見事件あるいは引野口事件の例を見ても、取調べの不適切な技法が蓄積されてこのようなことが起こっているわけですけれども、これをさらに、この指針の中に技能伝承官として受け継いでいこうという表記があることには私はびっくりしました。こけしや民芸家具を作る人は技能伝承官あります。私、仙台の出身ですが、仙台にも仙台箪笥技能伝承館というのがありますが、取調べの技能伝承官というのは、これはどういうのを伝承するんですか。
  62. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 各都道府県警察の中には、取調べにおいて本当に、志布志事件のようなことではなくて、まさに被疑者が十分に納得をし、そして本当にその真情を吐露して、そして真実を解明するということができる取調べ官もおります。そういった者の技能というものを、なかなかこれはそれぞれのパーソナリティーにくっついているもので難しい点はございますけれども、この技能というものを後輩にも伝授をしてもらいたいということでそういう技能伝承官がいるわけでございます。
  63. 今野東

    今野東君 強引に警察としての成果を上げる成果主義、そこに走っていて、そこで強引なあるいは人権を無視した取調べ捜査が行われていて、それを伝承されるのではたまったものじゃないわけですね。今まで適正な捜査が行われていたという自信のある人がそういう技能を伝承するんじゃないかと思うんですけれども、これは役に立たないんじゃないでしょうか。むしろ成果主義というのを改めて、適正な捜査に力を注ぐべきだと思います。  この警察捜査における取調べ適正化指針、これは国連の拷問禁止委員会の見解も入れてもう一度見直しをするべきではないかと思いますが、いかがですか。
  64. 米田壯

    政府参考人米田壯君) これは私どもといたしましては、もちろん都道府県警察意見、それから有識者の意見、そして志布志事件氷見事件等の反省に立った上で定めましたものでございまして、この指針に基づいて、現在様々な国家公安委員会規則、さらには組織や予算の手当てもしなければなりませんが、まずこれでもって警察として襟を正して、そして適正な捜査ができるように努めてまいりたいというふうに考えております。
  65. 今野東

    今野東君 さて、最高裁にここのところの最後にお尋ねしますが、今私たちの頭にある事件は、志布志とか氷見とか引野口とか、違法収集証拠排除の論理が徹底されていない結果起こっているのではないでしょうか。今後、こうした拷問若しくはそれに近い状態で収集されたものについては徹底して排除をしていくという決意を伺いたいと思います。裁判所
  66. 小川正持

    最高裁判所長官代理者小川正持君) 証拠能力の判断、それから事実認定の判断、これはいずれも大変重要なことでございまして、裁判所はそうした点について個々裁判官あるいは研究会を通してしっかり研さんをしていくという、そういう機会を最高裁も提供してまいりたいというふうに考えております。
  67. 今野東

    今野東君 もう少し具体的にお話を聞きたいところですが、時間がありません。次の質問に移ります。  さて、大臣、出番が参りました。大臣、三月二十五日の閣議後の記者会見で、日本から強制退去処分を受けていたサルマン・タスクンさんらクルド人一家三人に対して在留特別許可を出すことを明らかにしてくださいました。私は、これまでも二度、大臣にクルド人難民の方々への理解をお願いしてきました。八百人ものクルド人が迫害の理由を背負って難民申請をしているのに、一人も難民認定していないというのはおかしいと指摘をさせていただいております。なので、今回の対応については大変うれしく思っているんですが、このタスクンさんはクルド人の同胞に銃を向けたくないという理由で兵役を拒否して一九九三年に来日しています。  今回の対応は大臣の勉強の成果で、クルド人は政治的な迫害を受けていないという法務省の従来の認識を変えたと理解していいんでしょうか。
  68. 鳩山邦夫

    ○国務大臣(鳩山邦夫君) クルド人のサルマン・タスクンさんの一家、奥さんはフィリピン人だったかと思いますが、御案内のように、これは在留特別許可をすべきという人道的な配慮からそういう結論を出したわけでございまして、町を歩きますとジランちゃんを救ってくれて良かったですよと随分言われるわけでございまして、やっぱりお子さんのこと、あるいは奥様の体調のこともあるのかもしれませんが、そういうことで世の中もしっかり見ているんだなということをつくづく感じます。  これは、結局、退去強制令書というのを、そういう退去強制の処分に最初したわけですね、別々だったと思いますけれども、御主人あるいは奥さんとお子さんかな。しかし、その後のいろんな事情の変更等を慎重かつ総合的に判断をして、これは今先生御指摘のような部分もありますし、人道的見地で退去強制の方を取り消して在留特別許可、これは定住かと思いますが、という形にしたわけでございまして、あくまでも個別の案件ということで人道的見地で判断をしたわけなんです。  先生から何度も御指摘いただいているこのクルド人の件については今もまだ勉強中で、いろいろ調査をいたしております。それは、例えば公教育はまだトルコ語でやってはいけないと、あるいは放送も三十分ですか、クルド語が、とかいろんな事情がある。逆に、クルド語の使用制限はやや緩和しているとか、集団デモの方の規制もやや緩和したとか、いろんな要素があるので、更に研究を重ねていきたいと思います。
  69. 今野東

    今野東君 さて、時間がありません。  最後に、私、この間、タイに行ってまいりました。ビルマから難民の方々がタイ側にたくさん流れてきておりまして、今十五万人とも十六万人とも言われております。このキャンプに行ってまいりまして、多くの方々が政治的な迫害を受けて、あるいは経済的な理由のある方もいらっしゃいますが、ビルマから、軍政下から逃れてきているわけです。アメリカやイギリスなどは既にそういう方々の自国への定住を決めておりまして、このプログラムを実施しております。  日本でも、この間の衆議院での委員会で、大臣、私が中心になってやりますということをおっしゃいましたけれども、第三国定住について日本での受入れについてどのような形で進んでいるんでしょうか。例えば、外務省、法務省、厚生労働省と委員会のようなものをつくって今後進めていくのか、あるいは人数、基準はどうなのかというようなことをお伺いしたいと思います。
  70. 鳩山邦夫

    ○国務大臣(鳩山邦夫君) 先生御指摘のとおり、私、予算委員会法務省が中心となって検討していくとはっきり答弁をしているわけですね。  現在、第三国定住を私はグテーレスさんからも、何というんでしょうか、依頼というのか陳情というのか、そういう話も受けておりますし、いずれ日本もそういう意味で国際貢献をすべきだと考えておりますが、前から申し上げておりますように、日本は移民法とかそういうものはありませんし、その辺で難民施策をどうするかという観点で第三国定住も考えていかなければならないんだと思っております。  十一省庁で今勉強会、何でも勉強会で済みませんが、勉強会をどんどん進めているわけで、これ、じゃどこが中心なんだと、こう聞きますと、それぞれがそれぞれですという話ですから、これは私は、法務省が中心となると言ったんだから、我が入管局長をこの十一省庁の中心に据えてどんどん検討を進めていきたいと、これが私の考え方でございます。
  71. 今野東

    今野東君 是非速やかに実行に移していただきたいと思いますが。  さて、難民キャンプの方々を日本側に受け入れるについて、受け入れることを決定したにしても、ビルマ側の軍事政権が民主的に変わっていかなければ、これは難民の方は流れ続けて、生まれ続けているわけですね。  ODAのことについて私はここでちょっと最後にお伺いしたいんですが、外務省は今、草の根無償だけしかやっておりませんと言っておりますけれども、この草の根無償が引受先がどういうところなのかというと、例えば人間の安全保障協力資金として小学校建設のために三件、二千五百九十八万三千七百六十八円か、これ出しているんですけれども、この受入先は連邦連帯開発協会というところなんです。これはどういうところかというと、軍政の翼賛組織で幹部はアメリカの対ビルマ制裁の対象になっている人なんですね。  それからもう一つ、草の根無償といいながら、医療機材整備のために七百三十二万円余りを出しているんですが、この引受先はミャンマー母子福祉協会であって、アメリカ国務省が報告書で述べているように、この組織も軍政の大衆動員組織でありまして、会長はテインセイン将軍の妻キンキンウィンさんなんですよ。こういうところに草の根無償を出している。こういう草の根無償の在り方について、外務省はもう一度検討すべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  72. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 外務大臣官房渡邉事官質疑時間、終局しておりますので、簡潔に御答弁ください。
  73. 渡邉正人

    政府参考人渡邉正人君) はい。二〇〇三年五月のスーチー女史の拘束事件以降、我が国のミャンマーに対する支援は、ミャンマー国民が直接裨益する人道的な支援などに絞って実施してきております。  このような方針にのっとりまして、御指摘のとおり、政府は、草の根・人間の安全保障無償資金協力によりまして、二〇〇六年に連邦連帯開発協会を被供与団体とした小学校建設案件、それからミャンマー母子福祉協会を被供与団体とする医療機材供与案件を実施しております。  政府といたしましては、連邦連帯開発協会につきましては、基礎教育、保健、安全な水の確保、村落部の道路建設等、経済社会分野全般を対象とした草の根レベルの住民に対して事業を実施する社会団体であり、また母子福祉協会につきましては、全国で簡易診療所の建設、啓蒙セミナーの実施、栄養剤、避妊具などの医薬品の普及等の活動を行っている社会団体であると承知しております。  政府としては、いずれにいたしましても、案件内容を個別に、慎重に吟味した上で、貧困層児童の小学校教育の環境改善や、貧困層女性の婦人病にかかわる医療サービス提供といった人道案件であるとの考えにより実施を決定したものでございます。
  74. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 今野東君、質疑時間終了しております。
  75. 今野東

    今野東君 はい。慎重にといいながら、慎重に検討していない。より人道的な立場で、そして引受先がどういうところなのかということをきちんと検討してもらいたいと思います。  ミャンマーへのこの資金については、経産省においでいただいて質問する予定でしたけれども、時間がなくなってしまいまして申し訳ありませんでした。  日本の日石ミャンマー石油開発というところがありまして、日石とそれから政府が五〇%ずつ出資をしている会社、天然ガス資源の開発を行っています。これは天然ガス、ビルマの輸出総額の二五%を占めておりまして、軍政にとって重要な外貨資源となっております。  こういった資金を使って、軍事政権は国民の医療や教育ではなくて、軍の存続と拡大のために使っている、ここのところも日本としてはきちんと考えなければならない、そうじゃなければ難民の流出は止まらないということを指摘させていただいて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  76. 岡田直樹

    ○岡田直樹君 自由民主党の岡田直樹でございます。  法務委員会で初めての質問となりますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。  議題の裁判所職員定員法でございますが、先日、私は議院運営委員会の視察で最高裁判所に参りまして、幹部と意見交換もさせていただきました。裁判官を増員することの急務であることは十分改めて認識をいたしましたし、この法律の速やかな改正と施行を願うものであります。有能な裁判官を増やすためにはその前提として、やはり良質な法曹の人口を増やしていく、確保していくということが必要であることは言うまでもないと思うわけであります。今日は二十分という短い質問時間でございますので、端的にこの法曹人口の問題に絞ってお伺いをしたいと思います。  まず大臣にお伺いをする前に、もう何度も読まれた文書だと思いますが、この規制改革推進のための三か年計画という文書をもう一度読ませていただきます。  司法試験合格者数の拡大について、法科大学院を含む法曹制度の整備状況等を見定めながら、現在の目標、平成二十二年ころまでに三千人程度を前倒ししてこれを達成することを検討するとともに、その達成後のあるべき法曹人口について、法曹としての質の確保にも配意しつつ、社会的要請等を十分に勘案して、更なる増大について検討を行うと、こうされていたわけであります。しかし、先月二十五日に閣議決定をされました三か年計画の改定では、この中にありました前倒し達成とか、あるいは更なる増大という言葉はすっぱりと思い切りよく削除されたわけでございます。  法務大臣はこの法曹人口について再三持論を述べておられますし、先ほども勉強会のお話が出ましたけれども、この法曹人口に関する勉強会も法務省の中で主宰をしておられるとお伺いしております。  そこで、改めて先ほどの閣議決定に込められた大臣思い、将来の法曹人口に関するお考えというものをお伺いをしたいと思います。
  77. 鳩山邦夫

    ○国務大臣(鳩山邦夫君) 規制改革推進のための三か年計画の中身が今回変更になりまして、私といたしましては私ども考え方に近づいてくれてよかったなというふうに思っておりますが、これを言っては本当はいけないのかもしれませんが、そもそも法曹というものは、やはり格別の人格、識見、能力、法律知識を持たれた方々がなられて、司法試験という難関を通ってなってこられているわけでございまして、もちろんその数を増やそうという司法制度改革の中で意見が出てきて、三千人という当面の目標が出てきたことは私は否定はしないんですが、これは規制改革とか規制緩和の問題かなと。正直言ってそこは、要するに、弁護士というか法曹になるのが難しい、これを一種の規制と見てこの門戸を広げることが規制緩和とか規制改革なのかなという、実は根源的な疑問というのは持っていないわけではありません。  そこで、将来的な法曹人口の在り方は、平成二十二年に向かって状況を見ながら三千人にするということは閣議決定されているわけで、私もこれは認めているわけでございますが、問題は質の問題で、質の高い法曹をどの程度確保することができるかということを考えなければならないと思う。  それから、法曹に対してどのような需要があるかということも考えなければならない。例えば、企業の法務部門というのが相当日本は充実をしてきておりまして、そういうところが充実すればするほど、実は会社の顧問弁護士はおられるにしても、法曹資格のある方が法務部門を形成しているとは必ずしも限らないという状況もあります。  それから、これはいつも申し上げることですが、縄文文明以来、和の文明、和をなす文明をつくってきている日本は、何かあれば全部裁判で決着を付けるという、そういう国民性ではない。これは日本の国の最も優れている部分ではないかというふうに考えておりまして、これ、仮に五千人も七千人も、一万という数字を言った人もいると思うんですね、毎年法曹が誕生したら、肩触れ合うだけで裁判かということにもなりかねない。それはちょっと極端な例ですが、私はそういう訴訟社会にしたくないという考えを持っているということを御理解をいただきたい。  それから、よく法曹人口の話が諸外国との比較が出ますけれども、やっぱり隣接法律専門職種、司法書士さん、行政書士さん、いろいろあられるわけでございまして、土地家屋調査士さんもそうかもしれませんが、そうしたものをどういうふうにカウントするかという点もございましょう。それらを総合的に考慮して考えていきたいと思って省内での猛勉強も続けているところでございまして、そもそも閣議決定の内容も三千人で固定すると言っているわけではありませんので、三千人にいったんなったとして、その後の数をどうするかという重大な問題については、今のうちから取り組んでいかなければいけないと考えております。
  78. 岡田直樹

    ○岡田直樹君 ここから少し副大臣にお伺いをしたいと思います。  今も大臣からお話がありましたとおり、質の確保ということは大前提の条件であると思います。平成二十二年ころに三千人、その前提にはやはりしっかりとした教育、法曹の養成ということも必要である。  しかしながら、実際に新しい司法試験の採点をした考査委員方々のヒアリングの結果というのを少し拝見をいたしました。その中に、例えば刑事系の科目の考査委員の方。今回の試験の答案の絶対的な評価としては、出題者としては率直なところ不満が残っている、それは出題の趣旨によく合致した答案は多くはなかったからであると。こういう基本的な評価のほかに、前提となる刑法の基本的な理解ないし知識に問題があるのではないかということである、この点は司法研修所で教育することはほとんど不可能であることから、試験に合格した段階では既に身に付けていてもらわないと困るのだが、残念ながら必ずしも十分とは言えないと、こういうことをいろんな科目にわたって綿々と書かれているわけであります。合格者の質が相当低下をしている、あるいは受験者全般に応用はもとより法律の基礎が分かっていないのではないかと、こういう懸念があるようでございます。  それから、いわゆる二回試験というものの不合格者数も増加をしている。私は法学部ではありますが法学部政治学科でありまして、法律の成績云々をすることは大変おこがましいわけでありますけれども、受験者あるいは合格者の質に若干の問題があるのではないかということを思います。  それから、先月発表されましたが、法科大学院の第三者評価で認証基準に不適合とされた法科大学院が五校ございました。名前をはっきり申しますと、一橋とか北海道とか千葉とか、なかなか有名な大学の名前も入っているわけでありますけれども、この不適合とされた五校の基準についても評価が分かれると思うんです。  確かに、この学校は新しいロースクールの理念形から少し外れるところがあったのかもしれないけれども、伝統的な法学教育という見地では比較的しっかりと基礎教育をしていたのかもしれない。受験偏重と見るか基礎重視と見るかは紙一重というか、見る人によってまた判断も違ってくるところではないかと思っております。まだ日の浅い日本のロースクールでありますから、試行錯誤、そしてなかなか順調にいかない部分もあるんだと思います。  こうした状況をいろいろと見まして、副大臣、非常に熱心に問題意識を持って取り組んでおられるようでございますから、その御見識、御見解をお伺いしたいということが一つ。  それから、はっきり言いまして、現状は合格者が新旧合わせて二千百人ぐらいでしょうか、そういうふうに伺っておりますが、平成二十二年といいますと、あと二十、二十一、二十二と、このぐらいで合格者を本当に三千人に、しかも質を落とさずに持っていくことができるんでしょうか、ちょっと若干私は心配になるわけでありますけれども、この辺の見通しというものもお伺いをしたいと存じます。
  79. 河井克行

    ○副大臣(河井克行君) 先生から大変すばらしい御質問をいただきまして、感謝をしております。  私の問題意識はすべて鳩山邦夫大臣の問題意識にのっとっておりまして、先ほど大臣がいろいろと御答弁をされましたその意識にのっとり、御指示によりまして、二月の二十日に省内に勉強会、法曹人口の在り方についての勉強会を発足をいたしておりまして、先ほど先生御指摘いただきましたいろんな観点から勉強を積み重ねておりまして、私も法学部の政治学科でありますので、法曹人口のことについて、いろいろと質のことについて本当にとやかく言う資格があるのかなと日ごろからじくじたる思いでありますけれども大臣から与えられた特命でありますので、しっかり心を鬼にして今勉強をさせていただいております。  先生御指摘いただきました第三者評価機関のいろんな基準につきましても、これも大臣、会見でおっしゃっていらっしゃいます。第三者評価機関が果たして複数あっていいのかどうか。あるいは、今御指摘いただきました、それはたしかもう法務省のホームページで公開されている情報ですね、いろんな考査委員の先生方の厳しい御意見、そういったことも含めて今勉強を積み重ねております。  この司法試験の合格者の数につきましては、法曹の質の維持向上、これが法曹人口の拡大の大前提とされているというふうに考えております。  それで、このことは具体的に二つの文書でも文言として明記されておりまして、一つは、平成十三年六月十二日の司法制度改革審議会の意見書におきまして、「国民が必要とする質と量の法曹の確保・向上こそが本質的な課題である。」というふうにされております。いま一つは、これよく引用されるんですが、平成十四年三月十九日の閣議決定におきまして、「新たな法曹養成制度の整備の状況等を見定めながら、平成二十二年ころには司法試験の合格者数を年間三千人程度とすることを目指す。」と、あくまでもその前段があるんですね。文部科学省の答弁を拝見しておりますと、前段が時々すっぽかされている傾向にあるというふうに思いますけれども。  もう一つ、先生、言わせていただきますと、この閣議決定におきましては、平成十四年に千二百人程度、平成十六年に千五百人程度に増やすことについて所要の措置を講ずると書いてあるんですね。一方、今先生お尋ねの三千人程度の増加の問題につきましては、状況等を見定めながら三千人程度とすることを目指すということですから、表現が異なっているということについてもしっかり留意をしなきゃいけないというふうに考えております。  したがいまして、先生の今の御質問に対するお答えになるかどうか分かりませんが、法曹の質の確保が図られないで数だけ三千人に増やすということは私はあり得ないというふうに考えておりますし、質の確保をしながら数の増加を目指すことこそが平成十四年の閣議決定の誠実かつ忠実な遵守だというふうに確信をいたしております。
  80. 岡田直樹

    ○岡田直樹君 ただいまの副大臣の御答弁大臣と一体の御答弁というふうに思います。この点につきましては、もう少し時間のあるときにまた御議論をさせていただきたいと思います。  今日は文科省にもわざわざおいでいただいたので、法科大学院の現状についてどう見ておられるか、短い時間ですがお伺いをしたいと思います。  当初は、構想は十五校前後、定員四千人程度と、こういうふうな構想であったようでありますが、現状は七十四校、五千八百人余りと。学校によってはどうしてもばらつきも多いようでありますが、その教育内容や水準についてどのように認識をしておられるか。必ずしもその合格率が所期の水準に達していないと。受験生の人たちは、資金的にもあるいは時間的にも多くのコストを掛けてこの大学院に通っておられるわけでありますが、それは、頑張ればかなりの確率で合格することができると、こういう期待を抱いておられるわけであると思います。  文科省も結果を出すように努力をしてほしいと思うんですが、この辺りどうでしょうか。
  81. 久保公人

    政府参考人久保公人君) お答えいたします。  法科大学院は、新たな法曹養成制度の中核的機関として、様々な能力を身に付けさせるべく平成十六年度に開校して以来、各地域で大変な努力を今されているところでございまして、私ども、財政的支援も含め、いろいろな支援を現在させていただいているところでございます。  まだ法科大学院におきましては、一昨年に既修者、昨年に未修者の修了生を初めて輩出した現段階でございますので、今後ますます法科大学院の質を高めていく、育てつつ、法科大学院も含めて法曹養成プロセスを、全体の質を検証しながらいい法科大学院をつくっていく必要があると考えておりまして、私どもといたしましては、第三者評価の結果も踏まえながら、より一層の教育の質の充実を図っていくことができるように、今後、中央教育審議会法科大学院特別委員会、ここには法曹三者も入っていただいておりますが、ここにおきまして、入学者選抜、カリキュラム、教育体制、認証評価機関の評価の在り方、それから出口における質の保証も含めて、様々な法科大学院の質の向上、保証に関します具体的施策の検討を進め、いい法科大学院をつくっていきたいというふうに考えているところでございます。
  82. 岡田直樹

    ○岡田直樹君 現状では、文科省におかれてもやはり一段の努力が必要だと思います。よろしくお願いをしたいと思います。  もう一つだけ最後に、法学教官あるいは研究者の養成についてどんなふうに文科省お考えであるか、お伺いしたいと思います。  大学の法学部から修士、博士と上がっていく従来のコースとともに、ロースクールから教官に転ずると、そういう場合もあると思うんですけれども、この関係をどうお考えであるか。大学はどうしてもロースクールを新しい目玉と考えて、そこに重点的に人材を配置するといった傾向もあるんじゃないかと思いますし、またその結果、教官の養成という地道な仕事がなおざりになっておるんではないかというような懸念もございます。  また、優秀な方が余り研究者や教官になりたがらないという傾向も最近ちょっと耳にするところであります。そして、団塊の世代の方々がリタイアをしますと、ロースクールで教える人も少なくなるんじゃないか、特に地方では決定的に不足をしてくるのではないかと、こういうふうに聞くわけであります。  良質な法曹を育てるには、やはり処遇なども含めた研究者あるいは教官の養成ということも大事だと思いますので、この点について、最後に文科省の御見解を伺いたいと思います。
  83. 久保公人

    政府参考人久保公人君) 現在、各大学で既存の法学研究科、それから法科大学院、両方それぞれ担当している先生が頑張っておられるわけでございますけれども、やはり法科大学院制度の創設に伴いまして、どうしても法学研究科の入学希望者が減少しているという話も伺っております。その点は、先生おっしゃるように、今後の研究者養成としての課題と認識しておりまして、私どもいろいろな手だてを考えていかなければいけないと思っているところでございます。  元々、この法科大学院制度の導入に当たりまして、法科大学院の修了者が博士課程、大学院に進学しやすいように、その大学院博士課程の修了要件を二年とするなど制度上の配慮も行ってきたところでございますけれども、今後さらに法学研究者に有為な人材が得られますように、中央教育審議会におきまして議論を深めまして、現状把握しながら適切な対応を図っていきたいと考えているところでございます。  以上でございます。
  84. 岡田直樹

    ○岡田直樹君 終わります。ありがとうございました。
  85. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今日は、裁判所職員定員法、増員することに関して私どもも是非必要だと、この認識を持っております。  裁判にかかわる問題で私も関連する問題を幾つかお尋ねしたいんですけれども、前回も質疑をいたしましたが、裁判員制度についてもう一、二点ちょっとお伺いしたいことがございます。  それは何かといいますと、今年中にこの裁判員の候補者の名簿作成が始まりますが、今後その裁判員の選任手続が具体的に始まっていくわけですけれども、まずちょっとお尋ねしておきたいのは、そういう具体的に始まる中で、この裁判員の候補に障害がある方たち、障害者がそういう候補になった場合、どのような配慮をするお考えがあるのかをまずちょっとお伺いしておきたいと思います。
  86. 小川正持

    最高裁判所長官代理者小川正持君) お答えを申し上げます。  裁判所といたしましては、障害のある方が裁判員候補者に選定された場合、裁判員等選任手続の段階からできる限りの配慮を行ってまいりたいと考えております。例えば、視覚に障害のある方から裁判員等選任手続の過程で書類の点字翻訳の御要望があった場合は、以後の呼出し状等、関係する書類を点字翻訳することを考えているところでございます。また、聴覚に障害のある方から事前に手話通訳や要約筆記の御要望があった場合は、裁判員等選任手続期日において手話通訳者や要約筆記者を手配することを考えているところでございます。  裁判所といたしましては、障害のある方を含め、広く国民一般方々裁判裁判に参加していただけるよう、できる限り環境整備に努めていく所存でございます。
  87. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今、視覚障害者のお話もありました。確かに点字というものがあって、それを活用することによっていろんなことができるのも事実でございます。ただ、視覚障害者というのが、今、手帳保持者が三十万人ぐらいいらっしゃいますけれども、実際にその中で点字を理解して利用される方というのは大体その中の一〇%前後しかいらっしゃいません。そういう意味では、そのほかの方たちにどう、こういういろんなものを徹底していくかというのは難しい課題の一つなんです。    〔委員長退席、理事山内俊夫君着席〕  今、いろんなものが開発されているんですけれども、特にITが発達していく中でいろんなことができるようになってきているんですけれども、その中の一つにSPコードというものが今できてきております。スーパーコードともいいます。ここにちょっと持ってきましたけれども、二センチ四方ぐらいのこのコード、点々点々なんですけれども、この中に八百字分の情報が入れられるんです。これに専用の機械なんですけれども、これを当てますと、八百字分の音声が、この小さなこれだけです、これに要約されていますから、聞き取ることができるというような仕組みなんです。  これは視覚障害者の団体が今進めて、紙が話すといって進めているやつなんですけれども、実際にこういうものができてきていて、私たち、いろんな働きかけをしながら、例えば市町村の広報とか、この前は実は総務省にもお願いして、選挙のときに選挙公報にこれ付ければいいわけですから、SPコード、これをやることによって各政党の公約とかそんなものが分かるようなことをちょっとやっていただいたり、やってきたんですけれども。  やっぱり、これからまさに裁判員制度を始めようとしていると、そういう方たちも当然候補になるわけであって、そういうことが起こり得るんであるならば、このSPコードのような問題、そのほかにもいろいろあるんでしょうが、是非こういったものも、SPコードのようなものも、音声コード、是非取り入れるようなことを工夫をしていただきたいと、このように考えておるんですが、御見解を伺っておきたいと思います。
  88. 小川正持

    最高裁判所長官代理者小川正持君) お答え申し上げます。  裁判所といたしましては、委員指摘のような点を踏まえまして、障害のある方の障害の程度やニーズ等に応じて適切な配慮をしてまいりたいと考えているところでございます。  裁判員等選任手続の関係書類についても、必要に応じまして、委員指摘の音声コードと申しますか、SPコードでございますか、そうしたものを付すことができないかどうか、現在検討しているところでございます。
  89. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 是非、様々な工夫をしながらこういう問題に是非取り組んでいただくことが、裁判員制度をあらゆる人々に知っていただくという一つの広報にもなりますので、是非こういう点は研究、そして取り上げるように、開始までに、是非お願いをしておきたいと思います。  そして、岡田委員大臣の間で法曹人口の問題、これ三月二十五日ですか、閣議決定の中で、これは何か法務大臣、非常に喜ばれたそうでございまして、何を喜ばれたかというと、この三千人という、前倒しという文言が取れたこと、更なる増大という、検討という二点が削除されたと、望むところだという何かお話をされたようでございますが、ただ、司法制度改革という問題に取り組んできた当参議院の法務委員会としては、司法制度の改革の中でやはりこの法曹人口の拡大という問題は一つの大きなテーマで、議論をした中である意味では一つの方向性としてこの三千人という問題も討議した経過はございます。  そういった意味では、大臣は、この司法制度改革という一つの大きな流れとこの法曹人口問題というのを実はどう認識されているのかなというところを是非この際お伺いしておきたいなと思いますんで。
  90. 鳩山邦夫

    ○国務大臣(鳩山邦夫君) 木庭先生おっしゃるように、司法制度改革の中では当然法曹人口の拡大ということがかなり大きな位置を占めていると思いますし、また、その法曹を養成するに当たってロースクール、法科大学院というものをつくる、最終的には法科大学院に行かないと極めて法曹にはなりにくいという状況になっていくんだろうと、旧試験がどんどん減ってまいりますから。  そういう意味合いは私も十二分に理解をしておるわけで、先ほど副大臣が御答弁申し上げましたように、途中の段階で千二百人ぐらいとか千四百人ぐらいというような年次も限っているわけでございまして、これは、私も法学部政治学科でございますので余りでかいことは言えないんですけれども、まあ我々の時代は五百人の合格者だったと。小川先生のころは五百人ですよね。そういう時代からもちろん徐々に増えてきておりますが、これは千二百だ、千四百だ、三千というのは私は大変大きな数字だろうと思っておりまして、それで司法制度改革の中で法曹人口を増やすという目的は十分に足りるのではないかと。これを前倒しするというのも、私は決して否定はしておらなかった。平成二十二年に三千人にするということについても、私は否定はしていないわけでございます。    〔理事山内俊夫君退席、委員長着席〕  ただ問題は、それだけ拡大していく中で質の高い法曹が確保できるかと、この一点でございまして、今、岡田先生からお話があったような第三者評価の問題ですね、非常に微妙な点についても岡田先生触れられました。  私が第三者評価をするところが三か所あっていいんだろうかと言ったのも事実でございまして、それは、人数多く、まあすし詰めという、昔でいえばすし詰めでしょうが、人数多く教えたからバツというのと、人数少し多めに一か所に集めて教えたけれどもまあマルというふうに意見が分かれたりしておりますので、第三者評価するところを法科大学院が自ら選んでそれでいいのかなというふうな疑問も実は感じないわけではありませんが、今後の法科大学院のありよう、先ほどからお話が出ている考査委員方々のお話、あるいは二回試験の落ちる率が高まっているその実態とか、その辺を総合的に勘案して三千人を目指すと、平成二十二年に三千人を目指すということで御理解をいただければと思います。
  91. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 この問題、また本格的にちょっと一回論議はさせてもらいたいと思っております。  私は、まだその質の問題、確かに増やしたことによって法科大学院も質が落ちてきているというような問題が確かに指摘されている。でも、やはり現実、訴訟社会まで行かなくても、日本全体考えて、ゼロワン地域の解消の問題含めて今できているか。できていないですよ、まだ。ある意味ではもう少しその司法等携われるような問題というのは、私は、裁判官の増員の問題やっていますけれども弁護士の問題も含めてもう少しこれ増やすという問題については、少し法務省としては取り組むというような気持ちを持っていただきたいという気持ちがあるし、だけど、質が良くないなら三千人もそれはつくる必要ないじゃない。何か議論が、どう質を高めるための教育を充実させるか、それだけの合格者を出しても大丈夫なだけの質をどうやって確保するかというようなことをもうちょっと何か具体的に取り組むような方向性というのも逆に必要じゃないかな。  またこれ是非議論をさせていただきたいとは──ありますか。じゃ一言、はい。
  92. 鳩山邦夫

    ○国務大臣(鳩山邦夫君) それはもう尊敬する木庭先生のおっしゃるとおりでございまして、郷土福岡の大先輩でございますので、それはもう心から尊敬申し上げておりますし、おっしゃるとおりだと思います。非常に難しい問題で、弁護士さんにも需給関係というのはやっぱりないわけではない。そういうような問題も含めて、要は何千人と決めることがおかしいという意見もあるんですね。今年はこれだけ質の高い人がいたから三千人だ、三千二百人採ったと、今年は質が悪いから二千三百人しか採らなかったというのでもいいというような意見を私に真剣におっしゃる方もおられるわけで、その辺は総合的にこれからも勉強していきたいと思います。  ただ、ゼロワン地域の問題は確かにあるんですけれども、これは弁護士の方が増えても結局ゼロワン地域になかなか行かないということになりますと、先ほどは、あれ今野先生の御質問だったでしょうか、これはもう法テラスですよ、法テラスを使って、契約するのか専任にするのか分かりませんが、法テラスによってこのゼロワン地域の解消を目指したいと考えております。
  93. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つ、裁判官裁判員、弁護士という問題のほかに、ADRという問題に今法務省として取組をしているところなんですけど、社会自体が事後チェック制に移行するという問題の中で、こういうことは近々の課題だと私たちも思っております。  それぞれの専門分野があるわけですから、国民がいろんなトラブルに巻き込まれればその分野の専門家がやるという、いわゆる裁判外紛争解決手続、ADR、まさにこのような要請にそれぞれの専門分野がこたえるということで期待が寄せられている。  認証制度も始まりました。もう一年を経過しているんですけれども、実際現地回ってみると、ADRの問題、この認証制度、身近な国民の制度として定着しているかというと、これはまだそこに至っていないような気もするんです。もちろん、法テラスなんかもそういうところのいろんな仕組みの中で大きな役割を果たしているんでしょうが、やっぱりもう少しこのADRという問題について周知徹底をどうするかということが、ある意味では一年ぐらい、始まって一番大事な時期であるような気もしているんです。  私は、やっぱりこのADRの問題、今もっと周知、広報を徹底的に展開するべきだと思っておりますから、またそういう分野に携わる人たちの人材確保の問題もあるんですが、こういった点も含めてADR制度の定着について御意見を伺っておきたいと思います。
  94. 深山卓也

    政府参考人深山卓也君) 今委員指摘のADR制度、これは認証制度もございまして、この認証を受けたADRが国民に身近な紛争解決手段として定着すること、それが大事だと思っています。そのためには、今御指摘があった二点、一つは周知、広報の点、それからもう一つは手続を実施する人の確保、養成といった点、この二点が大変ポイントになると思います。  まず、周知、広報につきましては、法務省においてもこれまでもやっておりますし、今後も引き続き全国各地で認証制度の説明会などを実施して、国民の皆さんに情報提供を努めるということを続けていくつもりですし、今後、認証を受けたADR事業者による協議の場なども設けて、協議会のようなものですね、こういう事業者の協議の場で国民に対する情報提供の在り方について、事業者全体としてどうしていくかというような議論もしていただいて、一層効果的な周知、広報を行っていきたいと思っております。  また、手続を実施する専門家の確保、養成の点につきましても、各ADR事業者において自主的に取組をされているということは承知しているんですけれども法務省としても、先ほど申し上げたような協議会のような場を設けまして、そこで各事業所が持っているノウハウを交換してそれを共有してもらうと、あるいは人材育成や能力向上のためのいろんな仕組みを共有化してもらうというようなことを通じて事業者の取組を支援していくつもりでございます。  今後とも、これらの手段を通じて、ADRが国民の権利利益の適切な実現に資するものとして定着するよう努力していきたいと思っております。
  95. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 最後に、法務大臣に法教育の問題をちょっとお伺いしておきたいと思うんです。  つまり、先ほどもお話ししましたが、裁判員制度、一年後なんですね。もちろんこれが安定的にやられるということは大事なことですが、その中でやっぱり子供たちがこの裁判員制度、新しく始まる、一つの日本としては新たな取組になるわけですが、学校教育の中でもやっぱり司法の意義とか、そういったものを理解してもらう必要もあるし、法務大臣自身も法制審議会に諮問されたいわゆる成年年齢の引下げみたいなことも提言もされておりますし、つまり、学校教育の中でいわゆる司法の意義、民主主義、契約の重要性みたいな根本的理解ですね、そういったものについてどう取り組むつもりでいらっしゃるのか。  文部科学省の方も新学習指導要領を示されましたが、その中で法教育の充実もうたっていますし、実際に私もちょっと見させていただきましたが、例えば小学校の社会科では国民司法参加みたいな問題を新たに取り上げるようになっていますし、中学校の社会科では、具体的にどこまでこれ勉強されるのか分かりませんが、裁判員制度という項目も設けるというようなこともあるようです。  ただ、やはり法教育という問題、これまでも当委員会で私何回か質問をさせていただきましたが、こういったことを本当にどう取り組むかということは、もう一年後ですからとても大事な問題になっていると思いますし、まして大臣は文部大臣経験者でもございます。こういった法教育の充実についての大臣の見解を伺って、質問を終わりたいと思います。
  96. 鳩山邦夫

    ○国務大臣(鳩山邦夫君) 国民司法の距離が縮まるというか、国民司法というものを理解するということが一番大事で、そのかなめは法教育であろうと思っておりますので、文部科学省と打合せして進めていかなければなりません。今回、新しい学習指導要領が告示をされていくわけでございますので、今木庭先生がおっしゃったような項目が入っておりますので、これをチャンスとして、大いに進めてもらう部分、我々が進めていく部分があろうかと思います。  大体、私自身の小中学校の経験を言うと、日本国憲法というのがあります、それから裁判には地裁、高裁、最高裁というのがあって、控訴、上告というのがあります、その程度だったんだろうと思うんですね。契約というのは重要ですよなんという話はないし、もちろん裁判員制度もなかったわけでございまして、今回、裁判員制度を来年の五月の二十一日から始めようという、これはビッグチャンスだと思うし、裁判員制度を成功させるためにも子供たちへの法教育が重要だと、そういうふうに考えて努力をしていきたいと思います。
  97. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  98. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  裁判官定員増を図る本法案に我が党はもちろん賛成でございます。裁判官あるいは裁判所職員を始めとして、抜本的な増員が私はむしろ望ましい、それこそと思っておりますので、その点で最高裁関係の部局の方々にエールを心からお送りをしておきたいと思います。  今日は、私も、刑事司法在り方に関連して、三月の五日、福岡地裁小倉支部で殺人と放火の公訴事実について無罪判決が下され、検察庁も控訴せずに確定しました引野口事件について、大臣の御認識をお尋ねしたいと思うんです。  この事件では、被告人と犯行を直接結び付ける唯一の証拠として、警察の留置場、つまり代用監獄で一緒に勾留された別事件被告人、A子と申し上げておきますけれども、このA子が留置場で被告人から聞いたという犯行告白ですね、これが中心的な争点になりました。  判決を私なりに要約をいたしますと、判決は、捜査機関は、同房者を通じて捜査情報を得る目的で意図的に被告人と同房者を同房状態にしたのであり、代用監獄への身柄拘束捜査利用したとのそしりを免れないとした上で、本来、取調べと区別されるべき房内での身柄留置が犯罪捜査のために濫用されたこと、それは被告人の供述拒否権、黙秘権への配慮に欠けること。そして、同房者自身も捜査機関に処分をゆだねている身なわけですから、捜査機関に迎合するおそれがあり、その同房者を介して聴取、聴き取りする内容には虚偽が入り込む危険性があること。  これらを厳しく指摘をした上で、こう言っています。本件における聴取は、単なる参考聴取の域を超え、同房者を通じて被告人の供述を得ようとするもので、虚偽供述を誘発しかねない不当な方法であり、被告人の犯行告白が任意になされたものとは言えない。身柄留置を犯罪捜査に濫用するもので、捜査手法の相当性を欠いており、適正手続確保のためにも証拠能力を肯定することはできないと厳しく指弾しているわけですね。平たく言いますと、卑劣、ひきょうな人権侵害で、刑事司法を誤らせる許されない捜査手法だと、そういう判決だと私は受け止めました。  無罪判決は出たんですけれども、その捜査の結果もたらされた犠牲は余りにも大きいものがございます。  この事件被告人とされた片岸みつ子さんという女性に私もお会いしました。物静かな、本当にいいお母さんなんですよ。平成十六年の五月に逮捕をされて以来、身柄拘束はこの無罪判決まで三年九か月に及びました。釈放されてから、周りから、うその自白をせずによく頑張ったねとみんなから励まされるそうなんですけれども、そのたんびに戸惑ってしまうんだそうです。やってないことはやってないとしか答えようがないとそのたんびにその片岸さんはずっと思い続けられているんですね。しかし、事件の話になりますと、捜査機関のおごりあるいはむごさ、これに対する憤りは抑えることができないという御様子だと私は思いました。人を人間と扱わない取調べで、人の話も聞かずに初めから犯人扱いして自白を強要し続ける。自白が取れないとなると同房者を送り込んで、犯行告白なるものまで獲得しようとすると。人間としてどうしてこんなことができるんですかというのが片岸さんの思いなんですよね。  先ほど今野委員からもございましたように、殺人罪で逮捕されて十日目に御主人が自殺をされました。片岸さんは身柄拘束をされていて、そして接見も禁止されていましたから、御家族とは全く会えません、弁護士としか会えない。ですから、弁護士から御主人が亡くなられたということは聞いていたけれども、そのときに本当に大きな衝撃を受けたけれども、だけれども三月に釈放されて、解放されて、御主人が共犯扱いされ、精神科に通わなければならないほどどんどん落ち込んでいって、そして最後は自殺にまで追い込まれたというその経過を少しずつ知りつつあるわけですよね、今。そのことが片岸さんにとってどれほどのショックか。  御長男がいらっしゃいます。和彦さんとおっしゃいますけれども、今三十三歳になられましたが、この事件が起きて、勤めていた仕事を辞めたんですよ。それは、お母さんを信じて、その無実を明かすために支える活動、支援する活動に奔走をする上で仕事を続けられなくなったからです。片岸さんは、この一か月間、無罪判決の後の一か月間、自分の不幸の四年間よりも、釈放されて子供の四年間の苦労を知っていくたびに、時がたてばたつほどひしひしとその苦労を感じ続けている、その子供の苦労や怒り、悔しさを思うと、家族の時間を返してくれ、夫を返してくれと、そういう思いが募るばかりですというふうにおっしゃっておられました。  失われたものは余りにも重たいと思うんです。ですので、大臣にお尋ねしたいと思うんですけれども、訴訟のルールだとか証拠の理屈というのはあります。ただ、それをおいても、人間として、政治家として、こんなひきょうなやり方で人の家族と人生が台なしにされると、そんなことなんかあってはならないと思われませんか。
  99. 鳩山邦夫

    ○国務大臣(鳩山邦夫君) 警察庁もあるいは検察、最高検も取調べの適正化ということで様々に真剣に反省をして指針を出したり、いろんな方針を決めたりいたしておるわけでございますが、要は、氷見志布志も同様だと思うのですが、取調べが適正を欠いたがために大変な裁判になってしまう。それの結果だけで済めばいいわけですけれども、長い間拘束をされる、その間に家族に異変が起きるという意味で、その方自身の人生だけじゃなくて周辺の御家族の人生まで破壊されてしまうということが十二分にあり得るわけですよね。  私は個別の司法判断についてはもちろん物は申しませんけれども、この片岸みつ子さんからは手紙をいただいて何度も読んでおりますし、こういうことが二度とないように厳しく指導をしたいと、今その一点を思っております。
  100. 仁比聡平

    仁比聡平君 判決は、そもそも本件捜査においては被告人と犯行を直接結び付けるような客観的な証拠はなかったと明確に述べているんですね。にもかかわらず、本件のような捜査手法を選択し、被告人の犯行告白を獲得して、同房者供述によってそれを立証しようという捜査機関に対して、将来における適正手続確保の見地からして相当でないと断罪しているわけです。  私どもの憲法三十一条は適正手続、デュープロセスを保障しているわけですよね。代用監獄での身柄拘束を濫用し、自白やそれに代わる犯行告白を獲得しようと、こういった卑劣な捜査手法による人権侵害を二度と起こさないというために、大臣が、私はこの場で、こういうやり方は許されないと、こんなやり方は絶対に許さないとはっきりおっしゃるべきだと思いますが、もう一度その決意をお尋ねしたいと思います。
  101. 鳩山邦夫

    ○国務大臣(鳩山邦夫君) 事件の概要は私も存じておりますけれども、本当に細かいところまで熟知しているわけではありません。ただ、先ほど申し上げたように、お手紙もいただいて、私なりに強いショックを受けていることは正直に申し上げたいと思っております。  結局、同房者の勾留手続を他の被疑者捜査利用したというやり方、検察当局は、これはたまたまそういう形で話が聞けたということで違法でないという主張をしたわけでしょうが、裁判所において身柄留置を犯罪捜査に濫用したと、したがって証拠能力はないということで、犯人である推定はできないという無罪なんだろうと、こう思うわけでございまして、そういう裁判所判断についてはもちろん私コメントできませんが、一般論として申し上げれば、とにかく捜査というものは適正でなければならないと。  何度も申し上げておりますが、検察警察も今後の捜査の適正ということには全力を尽くすべきだし、我々はそういう指導をまた強めていかなければならないと。なぜならば、そういう適正さを欠いたがゆえに人生や御家族を破壊するような恐ろしい結果があり得るので、厳しく指導しなければならないと。やや一般論にはなりますが、私は今そう考えております。
  102. 仁比聡平

    仁比聡平君 今日は、最高裁刑事局長とそれから法務省刑事局長、それから梶木矯正局長とおいでいただいているわけですけれども、ちょっと時間がなくなってまいりまして、最高裁刑事局長の御認識だけしかお伺いをする時間がないと思うんですけれど、代用監獄という勾留場所で勾留するというのは、これは裁判官判断であり決定であるわけです。裁判所が決定したその代用監獄という場所を濫用してこういった捜査が行われ、地裁がこういう断罪をしていると。こういった捜査を代用監獄を濫用してやるなんというようなことは許せない、その意思を裁判所としても私ははっきり示すべきだと思いますが、いかがでしょう。
  103. 小川正持

    最高裁判所長官代理者小川正持君) 委員指摘の判決では、委員指摘のように、同房者を通じて捜査情報を得る目的で意図的に二人を同房状態にするために代用監獄を利用したということができて、代用監獄への身柄拘束捜査利用したとのそしりを免れないと、そういう認定をされているということは承知しております。  代用監獄についてどのように考えるのかと、こういう委員の御指摘でございますけれども、これ、やはり個別の事件についての御質問ということになろうかと思いますので、その点についてちょっと御意見を事務当局として述べることは差し控えたいと思いますが、勾留場所の指定については、諸般の事情、例えば被疑者の年齢や心身の状況、被疑者の供述態度、拘置所と警察の留置場の所在地、引き当たりや面通しの必要性などを総合考慮して判断していると、個々裁判官判断しているというふうに承知しております。
  104. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 仁比聡平君、質疑時間は終局しております。
  105. 仁比聡平

    仁比聡平君 今の局長の制度と判断一般的な基準を述べて済むような話ではないということは、もう局長も恐らく一人の裁判官としてはお分かりなんだと思うんですよね。  私は、自白の強要と冤罪の温床になってきた代用監獄は廃止すべきだとかねてから申し上げてまいりました。この事件を深刻な教訓にして、改めて代用監獄の廃止、起訴後の拘置所への移監、あるいは否認している被疑者は拘置所で勾留するということなどを含めて抜本的な再発防止策を、今おいでいただいている部局、それぞれ関係をしているわけで、私は真剣に検討するべきだと思います。そのことを強くお願いと要望申し上げまして、今日は質問を終わります。     ─────────────
  106. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、舛添要一君が委員辞任され、その補欠として塚田一郎君が選任をされました。     ─────────────
  107. 近藤正道

    ○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道です。  本日は、裁判所職員定員法の一部改正法案が審議対象になっております。私どもも、現下の情勢の中で裁判所職員定員増ということにつきましては基本的に賛成したいと、こういうふうに思っておることを冒頭申し上げさせていただきたい、こういうふうに思っています。  先ほど大臣もおっしゃいましたし、今日のまた新聞でも出ておりましたけれども、いよいよ政令案が公表されて、裁判員制度が来年の五月の二十一日に施行、初公判は来年の七月下旬ころになると、こういう報道がなされておりまして、いよいよ秒読み段階に達しているんだな、来たんだなと、こういうふうな思いひとしおでございますが、最初にお聞きしたいのは、裁判員法の附則の第二条の第二項で、例の配慮規定、この制度を円滑かつ適正に実施をするという規定があるわけでございますが、この規定とのかかわりで今回の定員法定員の増、これはどういうふうな意味を持っているのか、法務省の方からお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  108. 深山卓也

    政府参考人深山卓也君) 今御指摘裁判員制度ですけれども、これまで全国各地の裁判所で模擬裁判を実施してきた結果、あるいは刑事事件事件数などを基にしますと、裁判員制度を導入することに伴いまして増員が必要であると。裁判官についてはおおむね百五十人程度、裁判所の書記官についても相当程度の増員が必要になるというふうに聞いております。  このようなことから、平成十七年度以降、計画的に裁判官及び裁判所職員の増員を図ってきているところでございまして、今回の裁判所職員定員法の改正法案におきましても、裁判員制度導入のための体制整備を理由の一つとして増員をお願いしているところで、まさにこの附則の規定を受けた形での増員をお願いしているところでございます。  裁判所においては、今後とも裁判員制度の円滑適正な実施に向けて計画的な増員を、まだ一年ありますので、考えていると聞いておりますので、法務省としても、このような裁判所の人的体制の整備について必要な協力を十分行っていきたいと思っております。
  109. 近藤正道

    ○近藤正道君 分かりました。そういうまさに一年後に裁判裁判制度が始まる、その言わばやさきに、今年の二月の末に新潟県弁護士会が裁判裁判実施の延期に関する決議というものを可決をいたしました。新潟県の弁護士会は私が所属をしているところでありまして、私は国会用務がありまして、当日この議決には参加をしていないわけでございますが、この延期に関する決議、同様のものは埼玉弁護士会あるいは仙台弁護士会にも出されておりますが、可決をしたのは新潟県弁護士会が唯一ということでありまして、この時期では大変なことで、それなりの評判を呼んでいるわけでございます。  これは、内容が国会及び政府に対し提言をするということでありまして、問題点がやっぱり幾つかあると。その問題点について抜本的にやっぱりちゃんと検討して改善をしていただきたい、それまで延期だと、できなければ廃止だと、こういう中身になっておりまして、問題点、言わば制度的な欠陥の問題として五点言っております。  一点目が、国民的理解、支持が不十分ではないか。おっしゃるとおりだと思うんですね。支持率、非常にまだ七〇%台、かかわりたくないという声が七割を超えているわけでございます。  二つ目は、思想、良心の自由。これはとりわけ死刑の問題にかかわって、思想、良心の自由を侵す危険があるのではないか。  三つ目は、誤判や冤罪の危険がある。これはまさに今議論がありました代用監獄の廃止の問題だとか、あるいは取調べの可視化が実現していない、こういう状況の下で果たして裁判員制度を実施していいのか。国民が言わば冤罪、誤判にやっぱり事実上巻き込まれるという、こういう問題意識がありまして、これも問題点として大きく指摘をしております。  四つ目として、拙速な審理がなされる危険。そして、被告人が言わば職業裁判官裁判裁判、この二つを選択する権利が保障されていない。  こういう五点を指摘をして、とりわけ誤判や冤罪の危険、これはやっぱり制度的にきちんとなくさないと、代用監獄だとかあるいは取調べの可視化を実現しない状況の下でこういう裁判裁判を実施していいのか、厳しく指摘をしているわけであります。  私も、自分のところの所属の弁護士会でありますので重く受け止めておりますが、政府、つまり大臣としては、この新潟県弁護士会の全国唯一の決議でありますが、この時期こういう決議がなされたということをどういうふうに受け止めておられるのか、所見を伺いたいというふうに思います。
  110. 鳩山邦夫

    ○国務大臣(鳩山邦夫君) 新潟県の弁護士会の決議ですから、それはショックです。  ショックでしたけれども、ただ、世の中にはいろんな意見があるのが当たり前で、すべてがみんな意見が同じだったらかえって気持ち悪い部分もあるわけですから、いろんな意見がある中で、もちろん鋭い御指摘があるわけですから、これは参考にしなければならないとは思うんです。  特に、今五点言われた中で、国民の理解が得られていないという点については、これからさらに一層、広報宣伝あるいは啓発、模擬裁判等いろいろやっていきたいと。私も、地元で二、三百人集まってもらって、そこに私が説明し、また専門家が説明をしましたら、説明の前と後では全然反応が違うわけですから、もっともっと説明しなければいけないなというふうに思っております。  ただ、裁判員法ができていく過程で、今先生御指摘されたような、新潟弁護士会からの御意見なんでしょうが、かなりの問題については委員会等で審議されて、その結果、平成十六年の五月にほぼ全会一致で成立をしているわけですね。衆議院も参議院もほぼ全会一致で成立をしているわけでございますから、その中で相当議論がなされていることばかりだろうと思いますので、これは先生方の御理解を得て、一つずつ問題が起きないように対処していきたいと、こう思います。
  111. 近藤正道

    ○近藤正道君 これは答弁は求めませんけれども国民の理解、支持が不十分であるという問題のほかに、先ほど来議論が出ております誤判や冤罪の危険、とりわけ代用監獄の問題、取調べの可視化の実現、これは、これとはまた別に当委員会の最大の論点でありまして、このことに対するやっぱり懸念が単なる懸念ではなくて、現実に、今ほど来議論もありましたけれども冤罪が繰り返してやっぱり起こっているという、そういう形で出ておりまして、このことについては是非重く受け止めていただいて、私ども取調べの全面可視化、代用監獄の廃止、こういう立場を鮮明にしておりますので、是非これからも議論を深めていっていただきたい。こういう声はやっぱり弁護士会の中に極めて高い、大きな声としてあるということを申し上げておきたいというふうに思っています。  時間がありませんので次の問題に行きたいというふうに思っておりますが、前回私は、例のプリンスホテルが日教組に集会を断った、このことについて表現の自由との関係大臣の御意見をお聞きをいたしました。今日はそれの言わばさらに関連の問題でありますけれども、ドキュメンタリー映画「靖国」という中国の方の作った映画、この「靖国」の上映自粛の動きが今広まっておりまして、大変大きな問題になっております。表現の自由を損なうことになるんではないかという懸念、あるいは表現することの萎縮の連鎖が懸念されているわけでございます。  このことのきっかけは、内容が非常に反日的ではないか、こういう指摘で、問題意識で、一部の国会議員から成る国会議員の皆さんが、文化庁のこの映画に助成がされているわけでありますが、これを疑問視する声を上げまして、国政調査権を根拠に事前の試写会を要求をした。異例ではありますけれども、文化庁が中に入って国会議員向けに異例の試写会が行われた。この後、映画館に上映中止を求める電話が掛かったり周辺で抗議行動があったりして、映画館は近隣や他の観客に迷惑が掛かる、こういうことで中止を決めた。それが続々と中止がつながって、中止の連鎖が連なっているということでございます。  こうした一部国会議員の行動に対しまして、日本映画監督協会は強く抗議する、こういう声明を出しておりますし、日本弁護士連合会につきましても、今回の事態、政治権力にかかわる国会議員としては慎重な配慮に欠けるところがあったものと言わざるを得ない、こういう会長声明を出しているわけでございます。  この事件の私は一番の特徴、これは単に右翼が騒いで映画が中止になったということではなくて、国会議員からの要請による試写会の実施、これを一つの契機としてこういう映画中止という、こういう事態が連続して起こった、ここがやっぱり一番の私は特徴ではないか、こういうふうに思っておりまして、いろんな各方面から、戦前を想起しながら、表現の自由あるいは言論の自由に対するこれは大きな問題ではないかという声が出ております。  これについては、総理も官房長官も文科相もコメントを出しておられますけれども、人権擁護行政のまさに担い手としての鳩山大臣の所見をお伺いしたい。これが一点と、もう一つ、私は、この一部の国会議員の皆さんが試写会を求めた、事前に、公開される前に試写会を求めた、このことは事前検閲あるいは表現の自由に対する侵害ではないか、そういう思いも私は持っておりますが、人権行政の担い手としての大臣の所見を是非聞かせていただきたい。この二点でございます。
  112. 鳩山邦夫

    ○国務大臣(鳩山邦夫君) 正直言って、私、この「靖国」の上映が禁止されているわけでもない、自粛、あるいは萎縮して自粛みたいなことが起きているということの細かい事情が分かっていませんので、多くを議論はできません。ただ、前に日教組の教研集会をプリンスホテルが開かせなかったという点については、これは裁判所の保全命令というんでしょうか、仮処分というんでしょうか、これに従わない当事者が出てくれば、これは法治国家にあるまじき行為で、これでは法治国家にたり得ないという意味で、これは一般論でございますけれども、きっぱりと申し上げたんですが。  これは、いろんな表現の自由とか集会、結社の自由とか良心の自由というのが様々にぶつかり合うケースというのもあるわけでしょうから、なかなか微妙で難しい問題であると思いますが、何かどこかに強力な圧力とか、あるいは後から難ですね、後難を恐れるような、何かそういう事柄が物すごい勢いであった、存在したのかどうかということが私にはまだよく分かりませんので、それ以上のことは申し上げられないわけでございます。ただ、映画のようなものはできる限り、もうどんな内容であっても、これはすべて表現の自由というか見る自由もあるわけですから、どんどん上映されればいいなというのが私の基本的な思いです。  ただ、試写会を開いたということは、これは文化庁が金を出したというのなら、これは言わば国政調査権の範囲内で、じゃ、どんな映画って見るということは、別にあっては、これは事前の検閲に、憲法で禁止されている検閲だと私は思いません。また、そういう、何人かの国会議員の方が映画を上映するなというふうに言ったということはなかったように私は聞いております。
  113. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 近藤正道君、質疑時間が終局しておりますのでおまとめください。
  114. 近藤正道

    ○近藤正道君 はい、済みません。最後にします。  日弁連の会長声明でも明らかなように、あるいは素直にやっぱり事実の流れを見ても明らかなように、少なくともやっぱり一部の国会議員の皆さんの試写会の要求に基づいて試写会が行われた。そのことを契機として様々な圧力、現実に映画館に対する抗議だとか街宣行動が行われたことは事実。そのことをきっかけに、連続をして映画館、映写中止ということが行われたわけでありまして、まさに試写会を契機にして無言、有形無形のやっぱり圧力が働いた、そのことをきっかけに映写の中止が行われたと、これは事実ではないでしょうか。  このことに対するやっぱり懸念の声、これがたくさん上がっているわけでありまして、これについてはやっぱり大臣がきちっと、これはやっぱり問題だと言うということが、私は人権を確立する大臣の立場ではないかというふうに思うんですが、もう一度お願いいたします。これで終わりますから。
  115. 鳩山邦夫

    ○国務大臣(鳩山邦夫君) 表現の自由は侵してはならないと思いますが、表現の自由と表現の自由がぶつかるということもあり得るわけでございまして、非常に微妙な問題でございますので、私なりにまた中身を研究、勉強しようと思っております。
  116. 近藤正道

    ○近藤正道君 終わります。
  117. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  118. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 遠山清彦

    委員長遠山清彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時八分散会