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2008-05-27 第169回国会 参議院 文教科学委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年五月二十七日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十二日     辞任         補欠選任      大河原雅子君     藤谷 光信君      高橋 千秋君     木俣 佳丈君  五月二十六日     辞任         補欠選任      浜四津敏子君     山下 栄一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         関口 昌一君     理 事                 佐藤 泰介君                 林 久美子君                 坂本由紀子君                 水落 敏栄君     委 員                 植松恵美子君                 大島九州男君                 亀井 郁夫君                 木俣 佳丈君                 谷岡 郁子君                 友近 聡朗君                 西岡 武夫君                 藤谷 光信君                 水岡 俊一君                 中曽根弘文君                 西田 昌司君                 山谷えり子君                 義家 弘介君                 浮島とも子君                 山下 栄一君        発議者      水岡 俊一君    委員以外の議員        発議者      鈴木  寛君        発議者      加藤 敏幸君    国務大臣        文部科学大臣   渡海紀三朗君    副大臣        文部科学大臣  松浪健四郎君    事務局側        常任委員会専門        員        渡井 敏雄君    政府参考人        総務大臣官房審        議官       御園慎一郎君        文部科学大臣官        房総括審議官   合田 隆史君        文部科学大臣官        房文教施設企画        部長       舌津 一良君        文部科学省初等        中等教育局長   金森 越哉君        文部科学省科学        技術学術政策        局長       森口 泰孝君        文部科学省研究        開発局長     藤田 明博君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      西山 英彦君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院審議官   平岡 英治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部  を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○財政が破綻状態にある市町村の義務教育関係事  務の国への移管制度の創設に関する法律案(佐  藤泰介君外六名発議)     ─────────────
  2. 関口昌一

    委員長関口昌一君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、高橋千秋君、大河原雅子君、浜四津敏子君が委員辞任され、その補欠として木俣佳丈君、藤谷光信君及び山下栄一君が選任されました。     ─────────────
  3. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、文部科学大臣官房総括審議官合田隆史君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 大島九州男

    大島九州男君 おはようございます。本日、独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法案について質問をさせていただきます民主党・新緑風会・国民新日本大島九州男でございます。  御質問をさせていただきます本当にお手配をいただいて、皆様に感謝申し上げます。  それでは、早速ではございますけれども、この法案について質問をさせていただきます。  我が国原子力研究開発利用というのは、昭和三十一年、原子力基本法が制定されて、恒久平和、平和目的に限り、この安全確保を旨として進められてきたというふうに考えておりますが、平成十七年に策定をされました原子力政策大綱によれば、放射性廃棄物発生者自らが責任を持って処分を行うというふうな発生者責任原則とされておりますけれども、我が国においてこの発生者責任を有する廃棄物を排出する企業やその他団体というのはどういうのがあって、そしてまた、現在どのような保管又は処分というものを行っているのかというのを御説明をいただきたいと思います。
  7. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 委員の御質問のまず最初の発生者責任原則を果たさなければいけない事業者研究施設等廃棄物発生させている今回の法改正の対象となります事業者でございますけれども、研究機関、これには国立の試験研究機関でございますとか独立行政法人等がございますし、大学医療機関等ございまして、その事業所は全国で二千四百程度の事業所数でございます。  内訳につきましては、研究機関等といたしまして日本原子力研究開発機構や国の機関でございます気象研究所など三百五十事業所大学関係では約四百七十事業所、それから医療機関としては放射性同位元素を用いました画像診断治療などを行います病院約千二百六十事業所、それから民間企業としては株式会社東芝だとか三菱マテリアルなど約三百二十事業所というふうになっております。  それで、委員の御質問の二番目のどのような形で保管されているかということでございますけれども、文部科学省が最近実施をいたしました調査によりますと、研究施設等廃棄物につきましては、昨年末の段階で今申し上げました様々な研究機関事業所におきまして二百リットルドラム缶換算で約五十五万本が保管をされているという状況でございます。これらの研究施設等廃棄物につきましては、原子炉等規制法それから放射線障害防止法等の法令の規定に従いまして、各事業所において安全な形で管理がされているところでございます。  具体的には、各々の廃棄物につきましては、各事業所保管施設におきましてまず管理区域をあらかじめ設定をいたしまして、その管理区域についてあらかじめ認められた者以外の者の立入りを制限をするとか、それから管理区域内におきます放射線の量、それから放射性物質による汚染の状況等を定期的に測定をし異常がないことを確認をするなどの措置を講じるということによりまして適切に安全管理がなされているところでございます。
  8. 大島九州男

    大島九州男君 今御説明をいただきましたが、一般的に歯医者さんに行ったりいろんな病院へ行ってレントゲン撮ったりとかするような部分のそういった我々国民が身近な部分というものと、あとはやはり研究開発をするための部分とか国民とちょっと離れた部分とか、いろんな部分でそういったものがあるとは思うんですけれども、大きく分けると、資料でちょっとお出しをさせていただいておりますけれども、独立行政法人日本原子力研究開発機構、要は原子力科学研究所核燃料サイクル、そういった人形峠技術センターというような部分事業者が入るような部分が一つ。それから、社団法人日本アイソトープ協会、まさしくこれは廃棄物中継所やいろんな処理をするような団体というふうに認知をしているんですけれども、そういう部分。それからRI関係ですね、先ほど言った医療系部分のものから出るやつ。そして、あと一般企業ですね、先ほどちょっとありましたけれども、三菱マテリアル、旭化成、東芝、日立というような核燃料のそういった研究をするような企業というようなくくりで、大きくこのように四つに分けられるのかなという認識を持っているんですが。  日本は、原子力は当然平和利用ということですから、普通に考えたら、よく原子力潜水艦とか原子力空母なんていうのは聞きますが、当然日本のそういう技術というものはそういうものには転用されることはないわけだというふうに理解しているわけですよ。  そうすると、じゃ、いろんな事業所とか研究所とか企業とかでこの原子力を使った研究やいろんなものがなされているわけですが、その研究成果というのは例えばどういうところに活用されているのかというのはなかなか国民は、要は原子力発電と言えばもうこれは非常に分かりやすいんですね。ところが、次に聞いてみると、原子力空母とか原子力潜水艦とかいうふうなイメージが非常に強いのが一般的だと思うんです。だから、ここはちょっとはっきり、こういうものに非常に有効に活用されているんだというものがあれば教えていただきたいんですが、よろしくどうぞ。
  9. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 今委員から御指摘ございましたように、大きくくくりまして四つのクライテリアで委員指摘をされましたけれども、様々な事業者が様々な目的放射性同位元素でございますとか核燃料物質などを使いました結果として研究所等廃棄物が出てきているわけでございます。  例えば、日本原子力研究開発機構におきましては、高速増殖炉サイクル技術研究目的とする新しいタイプの発電実証を行おうとする「もんじゅ」の燃料核燃料物質が使われております。この燃料等を使いまして、「もんじゅ」が運転再開になりまして運転が行われるということになれば、高速増殖炉技術を用いた発電実証等がなされる、将来の軽水炉に続く本命のエネルギー源原子炉であるというふうに言われております。  また、同じ原子力研究開発機構では様々な研究用原子炉を動かしてございますが、その燃料としても核燃料物質使われております。これらの原子炉は、例えば燃料安全の分野でございますとか、それから原子炉工学的な安全の分野でございますとか、そういった様々な実験を行うための原子炉でございまして、そういった研究成果はこれは国の安全審査等のより精密化とか、そういった指針を作るとか、そういった場合のバックグラウンドデータ基礎データなどにも活用がされているわけでございます。  また、民間の例えば核燃料物質利用する民間事業者におきましては、新しい燃料の製造でございますとか、それから核燃料サイクルと呼ばれます、加工から再処理等々まで至る核燃料サイクルに関する様々な研究も行われておりまして、こういった技術が例えば再処理であれば六ケ所村の再処理工場技術に引き継がれるというようなことになっているわけでございます。  それから、放射性同位元素利用するというふうな事業者におきましては、例えば工業製品非破壊でもって検査をするのに放射性同位元素を使ったり、それから農業利用ということで、放射線育種ということで放射線を使いまして品種改良をすると、そういったのに放射性同位元素等を使うというようなことがございます。また、医療現場におきましては、放射線を用いましてがんの診断でございますとか治療等に幅広く放射性同位元素が使われておるというようなことで、なかなかすぐぱっと目に付かないところではあろうかと思いますけれども、様々な分野原子力それから核燃料物質放射性同位元素は使われているということでございます。
  10. 大島九州男

    大島九州男君 私もいろいろ聞かせていただくと、ジャガイモの芽を出させないためにそういう放射線を当ててやるというようなこともお聞きをしまして、ああ、そういうところにも使われているんだなと。なかなかそういった部分というのは我々が知る機会もないわけでありますけれども、やはり国民としては原子力というと、まず発電、それから今言う六ケ所村とかですね、何かそういうイメージでいくんですが、やはり政府としても、医療に当然使われているという分野で御存じの方は当然多いんでしょうけれども、そういった農業関係だとかそういう部分原子力が広く使われているということは事あるごとにやはり周知をしていくようなことも必要なのかと。  逆に言うと、それが本当にじゃその食品は大丈夫なのなんていうふうに言われる部分もあるんでしょうけれども、やはりその安全性とかそういうものはきっちりと、まあ担保されているからそういったところに技術をされているんでしょうから、あえて逆にそこら辺のところははっきり言える論拠を持ってしっかりと周知をしていくということが原子力平和利用について広く理解を深めていくところではないかなというのはふだんから感じているところなんですが。  それで、先ほど言いました独立行政法人日本原子力研究開発機構というものが、これは統合されてできたというふうに伺っております。この設立経緯ですね、どういうような形でこういうふうに統合していったのかというようなこと、それから社団法人日本アイソトープ、この団体設立経緯についてちょっとお伺いをしたいと思いますので、よろしくお願いします。
  11. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) まず原子力研究開発機構設立経緯でございますけれども、これは昭和の三十年代の初めにさかのぼるわけでございます。原子力基本法に基づきまして、昭和三十一年に、原子力開発に関する研究基礎研究から応用研究まで幅広く行うための機関として日本原子力研究所という特殊法人、それから、核燃料物質開発それから核燃料物質生産管理を行う法人としまして原子燃料公社、この二つが各々三十一年に設立されたわけでございます。  その後、原子燃料公社につきましては、先ほど御説明をしました高速増殖炉、こういった新型の原子炉実験炉とか原型炉の建設、運転、それからそういった分野での研究開発を一元的に推進するために原子燃料公社動力炉部門を設置をしまして、動力炉・核燃料開発事業団というのに改組がされたわけでございます。これが昭和四十二年でございます。  その後、動力炉・核燃料開発事業団は、あの平成七年の「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故平成九年の東海の再処理施設火災爆発事故などを契機といたしまして、組織体制抜本的改革をするんだというふうなことが求められまして、平成十年に核燃料サイクル開発機構というふうな形で再度改組がされているということでございます。  その後、平成十三年の十二月に閣議決定をされました特殊法人等整理合理化計画に基づきまして、先ほど申し上げました日本原子力研究所核燃料サイクル開発機構を統合して日本原子力研究開発を総合的に実施するための独立行政法人として平成十七年に日本原子力研究開発機構設立をされたという経緯でございます。  それから、日本アイソトープ協会設立経緯でございますが、これも第二次大戦後すぐということでございますけれども、先ほど申し上げましたような非破壊検査でございますとか厚さ計などに放射性同位元素等を用いるというふうなことで、そういった利用が拡大をしていく、それから放射性同位元素使用量の急速な増加、そういったものに対応するため、使用者の便宜を図り一括して放射性同位元素を輸入して配分をするという業務、さらにはそれらの安全取扱いのための技術訓練利用者相互連絡活動などを行う機関が必要となったということで、こういった放射性同位元素使用者研究者から構成されます全国的な任意組織として昭和二十六年に日本放射性同位元素協会設立をされ、その後、二十九年の五月に総理府所管社団法人となって、その後名称が四十六年に変わりまして現在の日本アイソトープ協会という形になってきたということでございます。  日本アイソトープ協会におきましては、先ほど申し上げました放射性同位元素の供給、それから供給した先で発生をしました廃棄物を受け入れて保管をするというような業務のほかに、放射性同位元素利用等に関します調査研究等を幅広く行っているところでございます。
  12. 大島九州男

    大島九州男君 独立行政法人日本原子力研究開発機構設立経緯についてはちょっと後に、私も思うところがありますので、そのときにちょっとお伺いをしたいと思うんですが。  日本アイソトープ社団法人ですね、本来ここではちょっとそこを余り突っ込む気はないんですけれども、よくいろんなところに天下りするとかいうようなことが聞かれますけれども、私が調べるところによると、ここが文科省とか何かの天下りになっているような意識は余り私は持っていないんですけれども、ここの役員さんとか理事長さんとか、そういう人たちはどういうような方たちがいらっしゃるのかと。世間の人は何かそういう外郭団体で、特にここだけしかやっていないというような独占のような社団法人のあれですから、逆に言いますと、こういうふうに透明にやっているんだよということの意味も含めて、どういう方が理事にいて、どういう方がメンバーなのかというようなことをもう一度聞きたいと思いますが、よろしくどうぞ。
  13. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 必ずしも全部の理事等、今手元にあるわけではございませんけれども、会長非常勤で有馬元文部大臣でございますか、東京大学の総長でございます。それから、副会長はやはり東京大学名誉教授で元原子力委員会委員をされました田畑米穂先生、それから常務理事等も主として大学先生それからお医者さん等がメンバーとなっておるというふうに承知をいたしております。  それから、社員数については四千四百人ということで社団法人でございますから、これは各放射性同位元素等をお使いになられる事業所等会員になっておるということでございます。職員数は百四十人ということでございます。
  14. 大島九州男

    大島九州男君 今非常勤ということですから、非常勤の人というのは当然給料とかそういうのはいただかない。常勤の方がいらっしゃるとしたら、常勤の方はどういう方なのかということですね。  それから、今会員企業、大体これ一社、会費というんですか、その社団に加盟しているその人たち会費というのは大体幾らぐらいなのかなと、ちょっと素朴な疑問なんですが、そこら辺が分かれば教えてください。
  15. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 申し訳ございません、突然のお尋ねでございますので、会費幾らなのか、ちょっと手元数字がございません。常務理事常勤理事につきましては、石榑顕吉さん、これは元東大の教授、今名誉教授だと思います。それから佐々木康人さん、これは放射線医学総合研究所の元所長、理事長研究者でございます。あとお二人、井戸さん、寺井さんとおっしゃられる方がいらっしゃるんですが、ちょっと肩書、過去の経歴承知しておりませんけれども、基本的には大学、元大学先生であるとか、それからお医者さんであるとか、そういった方たちがなっておられるのではないかというふうに推測をしておるところでございます。  申し訳ございません、手元資料がなくて。
  16. 大島九州男

    大島九州男君 今聞いていると、ほとんどの人が学者とかそういう人ですから、業務というのは先ほど言われた百四十名ぐらいの皆さんでしっかりやられているんだろうなという、そういうイメージですね。そうすると、その業務はしっかりそこでやられているんでしょうけど、じゃ今の常勤非常勤人たちは、あれですね、名前だけで、大体顧問のような感じで、給料なんというのはもらわなくてもよさそうな感じの人ばっかりですが、そこは給料というのは出しているんですか、そこは。
  17. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 今手元数字はございませんが、常勤の今申し上げました四人の役員の方には報酬をお出しをしているというふうに承知をいたしております。
  18. 大島九州男

    大島九州男君 分かりました。  その給料幾らかというのはまた後で教えて、今分かれば教えていただいていいんですけれども、分からなければ後で教えていただくといいんですが、一般的に企業だとかそういうものの経営の中に、ある程度その企業に貢献をずっとしてきた人が例えば会長になり、そしてまた顧問になるということで給料が払われていくような部分についてはそういうことはあっていいのかなと思うんですけれども、大体そういう非常勤とかの人たちというのは、常勤の人も、今、先ほど名前を聞くと大学教授さんとか学校の偉い先生とかいうような、いろんなお医者さんとかいう人であれば、逆に給料等はなくてボランティアでやってもらうぐらいでいいと思うんですよ。  というのは、なぜかといえば、それだけ日本のこれからの未来、原子力という部分に対してのいろんな処分だとかそういった方向性を担う社団でございますからね。だから、そういう意味での公益法人という性格からすると、まあそこら辺の上に行く人は余りそういった給料とかこういうこと関係なく奉仕の心で仕事をしていくぐらい、まあ十分食べていける人たちだと思うんで、逆に言うと、もっと職員の人とかそういうプロパーで頑張っている人をどんどんどんどん登用していってあげるというのは、やっぱり働く人の意識も上がってくるだろうし、また業務自体も活性化するんじゃないかというふうな思いがしておりますので、そういう方が望ましいかなというのは、これは私個人の見解ですね。  財団法人というのがまたあると思うんですが、原子力バックエンドセンターという、このバックエンドセンターというこれの役割ですね。この役割をしっかりちょっと教えていただいて、独立行政法人日本原子力研究開発機構とのかかわり、また、それから社団法人日本アイソトープとのかかわりというものもちょっと分かりやすく教えていただきたいと思います。
  19. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) お答え申し上げます。  財団法人原子力研究バックエンド推進センターRANDECと略称呼んでございますけれども、これにつきましては、放射性廃棄物処分事業重要性にかんがみまして、元々は財団法人原子力施設デコミッショニング研究協会という協会、やはり財団法人だったわけでございますが、それを改組をいたしまして、廃棄物事業に関する調査普及啓発などの業務を追加をしまして、平成十三年一月に設立をされた財団法人でございます。  そういう関係で、デコミッショニング関係デコミッショニングというのは、この場合は研究炉解体等廃炉措置デコミッショニングと呼んでいますが、そういったものに関する試験研究とか調査とか技術情報提供等々をやるほかに、RI研究所等廃棄物処理処分事業に関する調査、それからデコミッショニング及びRI研究所等廃棄物処理処分事業に関する普及啓発業務が現在付け加わって実施がされているというところでございます。  今私どもが法律改正をお願いをしております研究施設等廃棄物処分事業実施主体日本原子力研究開発機構でございますけれども、RANDECはそういったRI研究所等廃棄物処分事業に関する調査とか普及啓発、そういった業務を担っておるというふうなことから、原子力機構からの委託契約などに基づきまして、処分事業に関する調査普及啓発情報提供などの協力をこれまでも行ってきておりますし、今後も行っていくものというふうに認識をいたしております。  それからまた、RI協会との関係でございますけれども、RI協会との関係につきましては、これはRI協会、それからRANDEC原子力機構、この三者でRI研究所等廃棄物処分事業推進に関する協力協定を十九年の四月に、昨年の四月に締結をしておりまして、この中で様々な情報交換、意見交換等を行うということで、三者が協力をし合いながら処理処分について円滑に進んでいくようにというふうな協力体制を構築をしているというところでございます。
  20. 大島九州男

    大島九州男君 今お伺いをいたしましたのをちょっとイメージすると、独立行政法人日本原子力研究開発機構があって、そこのいろんな部分RIのアイソトープもそうですけど、そこら辺の原子力にかかわるいろんな啓発活動だとかそういったものをこのバックエンドセンターRANDECが担っていると。要は、ちょっと下請をやるような関係。  これを例えば一つの会社とすれば、そういう広報をしたり、また今度、いろんな収集をするための啓発活動をしたりとかいうような一部門であるのかなというような考え方を持てば、まあ財団法人独立行政法人社団法人が三位一体となって原子力協力をしているという言い方だと非常にこれは何かきれいな言い方で見た目はいいかもしれないけれども、お金がない中に、じゃ、ちょっと会社の中で統合しようかなと思えば何か一本にして統合できるようなものでもあるのかなと、逆に言えばね。そこら辺は、これからの業務の委託の仕方だとか、それからそういう実施していく事業のやり方を見ていく中で、やはり行革という部分でいうなら、この三つを一つの縦ラインに持っていくというのも一つ考えられるようなこともあるのかなと。  今日あえて、財団法人原子力調査バックエンドセンターでしたっけ、そのRANDEC部分のところについて、役員がどうだとか給料がどうだなんということはもうあえて聞きませんけれども、こういう部分を見たときに、業務のいろんな効率化だとかそういった部分を見たとき、いろいろと見直しが必要なのかと。特に、今度、財団法人社団法人を見直すといったときにもこれは大きな一つの視点にもなるのかなというふうな気がしておりますので、今後ともここら辺のかかわり、役割についてはしっかりと注視をしていきたいというふうに思っております。  次に、今度、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律というものが平成二十年四月に施行をされております。この改正の要点というものを私はちょっとお聞きをしました。これは経済産業省の方で答えていただけるということなので、じゃ、そちらの方からよろしくお願いしたいと思います。
  21. 西山英彦

    政府参考人(西山英彦君) 昨年六月の特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律の改正におきましては、原子力発電環境整備機構が行います最終処分の対象に、従来の高レベル放射性廃棄物に加えまして、再処理施設から発生するTRU廃棄物などを追加いたしたところでございます。
  22. 大島九州男

    大島九州男君 非常に簡潔な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。もう、一瞬ちょっと。  それで、TRUの廃棄物を追加したということでありますが、これは、私の受取は、なぜこのタイミングでこういうふうに法改正をしたのかなというのをちょっと考えましたら、今回の法案処分をするいろんな廃棄物の中に、当然、いろんな医療系から出る手袋だとか、そういったものはもう全然何ということはないんでしょうが、先ほどもちょっと話にありました研究炉ですよね、大学から出てくる研究炉の中には当然高いレベルといいますか、高濃度の放射性物質もあるんだろうというのは容易に推測ができるわけでありまして、それこそ今回法律改正をしなければそういったものの行き場所がないんじゃないのというのは、これはだれが考えてもそういうことなんですね。  だから、今回の法案を改正する前にこういう形で法案を改正するというのは当然しかるべきで、そういう意味では、ちゃんと連携して経済産業省と文科省とやっているのかなというのは素直に受けたんですが、そこら辺、今ちょっと私の見解がまさしくそのようなことでこういう改正に至っているのか、いや、関係ないですよと、文科省全然関係なく、今回の法案関係なく、いや経済産業省としてはこういうものを加えるんですよというような観点なのか、ちょっとそこら辺を教えていただきたいと思います。
  23. 西山英彦

    政府参考人(西山英彦君) 今私が申し上げました特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律の改正法の中では、原子力発電環境整備機構の業務といたしまして、本来の業務に支障を来さない範囲で、経済産業大臣の認可を受けた上で、研究所などから発生する地層処分を必要とする放射性廃棄物処分を受託できることとしたところでございまして、それは文部科学省とよく連携を取りながら先を見越してやった手はずでございます。
  24. 大島九州男

    大島九州男君 それは大変すばらしいことなので、今後もそういう連携をしながらしっかりやっていただきたいというふうに思うんですが。  私も六ケ所村に行かせていただきまして、そこの原子力発電にかかわるいろんな廃棄物というものは当然六ケ所村としてきっちり受けますけれども、それ以外のものは受け入れませんよというのが、もうはっきりおっしゃっているわけですね。  これは、私は、今言う研究開発で出ているやつは、商業的な原子炉とはまた違うから、それは別物ですよというふうなイメージは余りないんですよ。それは何でかというと、研究開発していったその成果がこういう商業炉とかに、要は原発の技術に応用されたりいろいろしているわけじゃないですか。そうすると、一連としてつながっているんだというふうな私はイメージ持っているんですけど、そこら辺は、経済産業省としてはその商業用の廃棄物研究所で出てくる廃棄物というものの性格についてどのように考えられているのかなというのは、ちょっとこれ素朴な疑問なので、ちょっとそれはお答えいただきたいと思います。  それともう一つ、三百メートルの地層処分というふうに低いところに埋めなきゃいけないというような、高レベル廃棄物と、こういうふうに言われておりますけど、この高レベル廃棄物というものの概念といいますか、低レベルと高レベルとこの二つしかないようなんですが、日本の分け方はね、この概念はどういう概念なのか、ちょっと分かりやすく教えていただきたいのと、今回、法律に想定されている処分をするものの中にこのように三百メートル以下に処理しなきゃいけないというように考えられているものがあるのかどうなのかというのをちょっと教えていただきたいと思います。
  25. 西山英彦

    政府参考人(西山英彦君) まず、商業用のものから出てくる放射性廃棄物と、それから研究用のものから出てくる放射性廃棄物の境目といいますか、そういうものに対する考え方ですけれども、これについては、今、高レベルあるいは地層処分を必要とする放射性廃棄物処分につきましては、文科省と連携して先ほど申し上げた法律改正をしたところでございます。  そういう意味で、共通に扱える部分もございますし、それから発生者責任の観点とか地元の考え方とか、そういうことからして一定の線引きをしなければいけないところもあるということだと思います。  それから、二番目のお尋ねの高レベルと低レベルの境目でございますけれども、基本的に、高レベル放射性廃棄物というのは使用済み燃料を再処理して出てまいりました廃液をガラス固化して固めたガラス固化体、これが高レベル放射性廃棄物で、それ以外のものはすべて低レベル放射性廃棄物ということでございます。
  26. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 大島委員の方から今回の埋設処分事業の対象となる放射性廃棄物には地層処分相当のものが含まれるのかというふうな御質問があったかと思いますけれども、地層処分が必要となります高レベル放射性廃棄物、それからTRU廃棄物、これにつきましては、先ほど経済産業省の方から御説明ございましたように、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に基づきまして原子力発電環境整備機構において処分をしていただくということで整理がされているところでございまして、今回の法改正では、それを除きます研究施設と廃棄物処分事業を行うというふうなことで整理をしているところでございます。
  27. 大島九州男

    大島九州男君 ちょっと、ここでもうちょっと整理したいんですけれども、高レベル廃棄物と言われるものはさっきおっしゃったガラス固化体だと、もうそれしかないんだということですね。その高レベル廃棄物というのは三百メートル以下の地層処分をしなきゃいけないと。  当然、ここで、今言う原子炉研究状況の中で出てくるやつとか、それこそリサイクルやるのに、「もんじゅ」に入れるいろんな核燃料の問題だとか、そういうものを研究しているわけでしょう。そうすると、そこの場所でも同じようなものが出てくるはずなんですよね。そうすると、それは今言うガラス固化体という固有のものではなくして、同じような高濃度の放射レベルのものもあるんではないかというのが客観的なものですよね。先ほどおっしゃった、だからNUMOに処分してもらうんですよという、ここには法案で分けていますよということでしょう。じゃ、法案でNUMOに渡すやつというのは、今言う三百メートル以下に処分しなきゃいけないものだという認識なんでしょう。  ということは、ガラス固化体じゃないやつでも高レベルの廃棄物として同じように扱う廃棄物は高レベルの廃棄物という認識を持つのは当然なんですが、ちょっとそこの見解はどうなんですか。
  28. 西山英彦

    政府参考人(西山英彦君) これは法律の定義の問題でございまして、今、法律上の定義の中ではガラス固化体のみを高レベルというふうに扱っておりますけれども、先生おっしゃるように地層処分という観点で整理すれば、地層処分をしなくてはいけないような高レベルに近いレベルの放射能的な性格を持った、定義でいえば低レベルだけれども、そういう性質を持ったものというのはあるわけでございまして、これは同じくNUMOが扱うということが法律で決められたわけでございます。  文科省関係の施設からそういうものが出てくれば、それはNUMOが受託することは可能であるという法律の整理になっているということでございます。
  29. 大島九州男

    大島九州男君 これは、今言う法律の定義でいえばどうなのかというと、観点があって、我々国民としては、やはりそれだけ地下の低いところに処分しなきゃいけないというものは、まあ極端な話でいえば危険なものと、放射濃度が高いものというふうな認識でいれば、高レベル、低レベルというふうにして分けたときに、これは低レベルだけれども三百メートル以下に埋めるんですよなんというのは分かりにくいわけですよ。だから、そういうところが国民原子力政策における不信を招く一点であるんだということをちょっと指摘をさせておいていただきます。またこれは後日やります。  それで、ここで発生者責任というのについてお伺いをさせていただきたいんですよ。  整理しますが、商業原子炉から出てくる廃棄物というものは日本原燃株式会社が処分をしますと。それで、独立行政法人日本原子力研究開発機構は、自らの研究開発から発生した放射性廃棄物は当然自分の責任でやりますよと。それに加え、理化学研究所等研究開発を行う独立行政法人や国立大学医療機関民間事業所から発生する放射性廃棄物を委託して処理を受けますよというふうなことですよね。  ということは、発生者責任原則を見たとき、それは民間事業者発生させたんだと、その部分を見たときに、いや、原子力開発機構が委託して受けるんですけどと言ったら、これは責任はどこにあるのかと。原子力政策大綱に矛盾しないのかというのがちょっと素朴な疑問なんですが、そこら辺の見解を。
  30. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 御説明申し上げますが、研究施設等廃棄物発生する事業者原子力機構にその廃棄物処分を委託する場合には、廃棄物量に応じまして必要となります処分費用を負担をするというふうなことで処分を委託をするという、費用についてきちっといただいた上で原子力機構処分業務を行うというふうなことでございまして、そういうことでもって当該事業者については発生者責任を適切に果たしたというふうなことになるというふうに認識をいたしております。  そういうことで原子力政策大綱発生者責任原則は果たしたというふうなことになるものと私どもは考えているところでございます。
  31. 大島九州男

    大島九州男君 それはちょっと解釈変えた方がいいと思いますよ。それ何でかというと、例えば研究所で、私が例えば研究所から、先ほど、低レベルであるけれども三百メートル以下に入れなきゃいけないやつを原子力開発機構にお願いしたら、ああ、原子力開発機構がNUMOにやりましたと。じゃ、NUMOはそれを受けましたけれども、でも、今埋めるところないんでしょう。決まってないですよね。どこ行くか分からないと。いや、でも僕はお金払ったんだからおれは関係ないよと、あれはもう発生者責任はここの機構の方にもう行っているんだと。  だから、金さえ払えば発生者責任は免れるんだという、そういう認識は持たずに、お金を払って委託をすることにより発生者としての責任の一部の一端は、ちゃんと廃棄をしようとする場所に持っていこうとするその心はいいですよ。ところが、現実にそれが本当に廃棄をされて、そしてちゃんと安全なところに処理をされているのかどうなのかというところにじゃ責任を持てるのかといえば、その研究所は持てないわけですよ。そうしたら、最終的にそれはどこが責任持つのかということになるわけでしょう。ということは、一体となって責任を持つような形に持っていかないと駄目なわけですよ。  だから、これはじゃどこが一体かと。機構がじゃ全部なのかといったら、そうじゃないわけですよ。機構も結局はNUMOに持っていくわけでしょう。そうしたら、NUMOはどこ持っていこうかと。たまたま場所が見付かってそこに、安定的に処分できるようなところに入れましたと。でも、これが落ち着くのに三百年掛かりますとかいうようなことになったときに、じゃ機構もNUMOも私、研究所責任持てるのかといったら、持てないわけでしょう、三百年先生きてないんですから。そうしたら、少なくとも三百年先に生きているのは何かというと、日本は何とか生きているんじゃないのということは想定できるわけですから、そこにしっかり責任を持てるのは日本国なんですよ。  だから、この発生者責任という言葉で逃げるんではなくて、これは国がきっちり責任を持っていくという、そういう法にしていかなきゃいけないんだろうなという気はしているわけですが、ここでちょっと具体的に法案の中身に入りたいと思うんですが、まず機構のところからいきますよ。  機構は旧動力炉・核燃料開発事業団、動燃と言われるところですね、旧核燃料サイクル機構の流れをくむ研究機関であったわけですよ。動燃は、「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故が平成七年十二月にありましたね。それから、アスファルト固化処理施設火災爆発事故平成九年三月にありました。事故の虚偽報告や不十分な連絡通報などの事故後の不適切な対応が問題となって国民原子力に対する信頼を大きく失墜させたわけですよ。こういった不祥事を受けて、いわゆる動燃改革によって旧核燃料サイクル開発機構となった経緯がある。この経緯を踏まえていったときに、安全情報公開、事故時の適切な対応が何よりも求められる放射性廃棄物の埋設処分を機構が行うことは妥当なの、大丈夫なのというのが国民の思いだと思うんです。  動燃の度重なる事故を教訓として、機構ではこのコンプライアンス体制を確立するためにどのようなことをやっているのかと。まあ研修しているとかいうことは聞いていますが、そういう機構の法令遵守体制について簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  32. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 原子力機構におきますコンプライアンス教育の実施でございますけれども、全職員を対象といたしまして法令遵守の重要性原子力機構の行動基準、それから原子力科学研究所などにおきます汚染に係る法令報告漏れ等を踏まえた再発防止策について、それから研究開発活動における不正行為の防止について、こういった事柄につきまして教育を実施しておるところでございまして、定期的に様々な事例等を踏まえて職員の教育を行っているというふうなことでございます。
  33. 大島九州男

    大島九州男君 当然そういうことをやって、それが現実的にきっちりできるかどうかというのは、今後しっかりと我々も注視をしながら見ていきたいというふうなことを考えております。  それから、機構が定める実施計画について、基本方針の策定に当たっては科学技術・学術審議会に諮るのか、それとかパブリックコメントの実施など国民の意見を反映させるような形で進めていくのか、それぞれ教えていただきたいと思いますし、基本方針に盛り込まれる事項について、条文いろいろありますが、それは漠然としていますから、ちょっと具体的に説明をしていただくとどうなのかというのをよろしくお願いをいたしたいと思います。
  34. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) まず、基本方針、実施計画におきます手続、策定に至る手続でございますけれども、今回の改正におきまして、まず廃棄物処分事業について国が処分に当たっての基本方針を策定をすると。そして、その基本方針に基づいて原子力機構が具体的な処分業務に関する実施計画を作成をして、国が認可をするというふうなことにしておるわけでございますが、まず国が基本方針を策定する際には、科学技術・学術審議会の下に設置されております原子力分野研究開発に関する委員会において公開で審議を行うということと、それから、国の方針でございますので、国としてしっかりパブリックコメントを実施をして、その結果を踏まえて基本方針を策定をするというふうなことで進めてまいりたいと思っております。  また、国が機構から出てまいりました実施計画を認可する際にも、原子力分野研究開発に関する委員会において同じく公開の場で審議を行うというふうなことを考えております。さらに、基本方針や実施計画を策定又は認可した際には、これを遅滞なく公表するとともに、原子力委員会、内閣府にございます原子力委員会にも報告をするというふうなことで考えているところでございます。  それから、基本方針におきましては、埋設処分業務の対象とすべき放射性廃棄物についてどういう種類のものを対象とするのか。それから、埋設施設の設置に関する事項といたしまして、機構が適切な時期までに現在稼働中の施設の廃止後の解体も考慮した廃棄物量の埋設処分に十分な規模、処分能力を有する埋設施設を設置すること。それから、埋設処分業務の方法に関する事項といたしましては、例えば対象となる処分の方法、コンクリートピット処分とかトレンチ処分だとか、そういったことを特定をする。それから、対象となります廃棄物、性状等様々でございますので、機構への廃棄物の引渡し後における品質保証をきちっとやるというようなことなどにつきまして大きな方針を示すということでございます。  それを受けまして、機構におきましては、埋設処分の対象といたします放射性廃棄物の種類、量、その見込み、これにつきまして、機構のみならず機構以外のものからの受託にかかわるものまでも含めまして、現在量、今後の発生の見込み量等を示すということ。それから、埋設処分を行う時期、量及び必要な埋設施設の規模、能力、こういったものにつきましては、発生見込み量を基に埋設施設の規模、能力、処分開始時期、こういったものについてのめどを示す。それから、施設の設置に関する事項につきましては、埋設施設の立地の具体的な進め方でございますとか建設スケジュール、こういったものを示していくなどという形で具体的な計画を提出をしていただくというふうなことで考えているところでございます。  いずれにいたしましても、これは実際に法律をお認めいただきました後、基本方針、実施計画については更に詳細に詰めていくということになろうかと思っております。
  35. 大島九州男

    大島九州男君 今いろいろ御説明をいただきましたから、ちょっと具体的に質問をさせていただきたいと思いますね。当然、法案が通った後ですから、我々は反対するつもりで質問しているわけじゃないですからね。  そこで、ちょっと簡単にお答えいただきたいんですが、今回の法案の対象となる放射性廃棄物の中で研究炉などから出てくる放射能濃度の高い廃棄物というのはどれぐらい出てくるかというのはもう既に計算してあるんでしょうね、五十五万本のうちのどれぐらいとかいうのを。ちょっとそれを教えていただきたいのと、もう一つ、諸外国における放射性廃棄物処分の現状から見た場合に放射能濃度に応じた処分体系を僕は確立すべきだと思っているわけです。それは何かというと、出所、出てきたところが、例えば商業用原発から出てきたところだからこうですよとか、研究から出てきたとか医療から出てきたとかいうような、その生まれたところで区分するのではなくて、先ほど言ったレベルですよね、濃度、そういうものでこれは地下三百メートルとか、これは表面でいいとか、そういうふうに分けるべきと私は思うんですが、その見解を教えてください。
  36. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) まず、一番目の御質問でございます研究施設等廃棄物発生させる事業者から生じます廃棄物のうちで特に高いレベルのもの、具体的にはNUMO、原子力発電環境整備機構による埋設処分の対象となる廃棄物の見込み量でございますけれども、これにつきましては、現在保管中及び今後平成六十年度までに発生が見込まれる廃棄物量として、高レベル放射性廃棄物、ガラス固化体でございますが、これがガラス固化体換算で約千本。それから、TRU廃棄物につきまして、圧縮、焼却などにより埋設可能な形態である廃棄体に直しまして、廃棄体で換算をいたしますと約二百リットルドラム缶ベースで五万本というふうな試算になっているというふうなことでございます。これらにつきましては、ちなみに先ほど御説明をしました五十五万本の数字とは別の数字でございます。  それから、諸外国では一般的に濃度に応じた処分がなされているというふうなことについての御質問でございますけれども、海外におきましては、それぞれの国の事情等があって、発電廃棄物研究施設等廃棄物を同じ処分場で埋設処分をしているアメリカとかフランスなどの国もございます。それから、チェコ、ルーマニアのように別々の処分場で処分をしているという国もございます。  我が国におきましては、まず地層処分を除きました発電廃棄物につきましては、平成四年から電気事業者が出資して設立しました日本原燃が埋設処分実施しているところでございますが、これにつきましては、先ほども委員指摘されましたとおり、電気事業連合会、日本原燃は、当該処分研究施設等廃棄物の受入れは想定されていないというふうなことを言っておるところでございます。このような状況を踏まえまして、我が国研究施設等廃棄物については、その大半を発生させ、技術能力を有する原子力機構が、今回法改正をお願いしますように、ほかの事業者の分も含めてまとめて処分をするということが適切と判断をした次第でございます。
  37. 大島九州男

    大島九州男君 ちょっと時間も押してきましたんで、今おっしゃったことを受けて、私自身は、国がイニシアチブを発揮してRI研究所等廃棄物の埋設処分の枠組みなんかはつくる必要があるんだというふうに思っているんですね。  ちょっと現実的なことを言いますけど、放射性廃棄物を最終的に埋設処分するのに、いわゆる生ベースの放射性廃棄物を焼却、圧縮などの減容処理を行って詰めて入れると、できるだけドラム缶一個ですから体積を少なくしてやろうとするのは当然だと思うんですね。  この放射性廃棄物を適切に運搬、減容処理、そしてまた運搬して埋設処分するというような工程が考えられると思うんですけれども、放射線障害防止法や原子炉規制法等の関係法令によって各段階ごとに申請して許可をもらうという今の状況だとそういう複雑な手続を経なくちゃいけないと思うんです。だから、そうなれば、放射性廃棄物を自社倉庫などに保管して貯蔵している業者の中にはこうした手順やノウハウを十分知らないところもあったり、事業運営に当たって廃棄物とかそういうものをちゃんと運搬、そして埋設するように事業者へのマニュアルの作成やそういう説明会の開催などが必要になってくると思います。だから、その点についてはしっかりやっていただきたいというふうに思っておりますので、これはちょっと要望しておきますね。  そして、処分場の建設なんですが、今、当然場所はどこか分からない、分かっているはずもないし分かっていたら大変だというそういう話で、建設が決まってからどれぐらいの期間で建設ができるのかというのを端的にお答えいただきたいと思いますが。
  38. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 法律お認めいただきました後、所要の手続等をしまして、立地の選定作業を行いまして、そして立地が決まりました後、環境調査でございますとか用地の取得でございますとか、施設の設計だとか、それから国の安全審査、そういったものを経て建設工事等を行いまして、処分場が操業に至るまで、立地及びこれらの一連の手続に要する時間は合わせて大体十年程度というふうに想定をしているところでございます。
  39. 大島九州男

    大島九州男君 まあ、十年ということは、用地が決まって十年ですから、用地が決まるまでに十年掛かりゃ二十年ということですからね、そういった意味では早急にやらなければいけないという認識はしております。  そこで、最後、またちょっと要望しておきます。区分経理の関係ですが、機構の予算は一般会計と特別会計の両方から出されておりまして、現行法十八条は、機構が、核燃料サイクルに関する業務のうち、特別会計に関する法律八十五条に規定する電源利用対策に関する業務とそれ以外の業務とに経理を区分して、それぞれ勘定を設けて整理していかなければなりませんよというふうに規定をされております。  しっかりとそういったお金の部分、そういった基金の部分とかいろんな部分が明確にされて、不正が起こらないように透明にし、そしてなおかつ、当然これ処分量が増えていったりするとお金も掛かっていくわけですから、そこら辺は定期的に見直しながらしっかりと進めていっていただきたいということを要望して、最後に、せっかくあれですから、大臣に一言もお答えをしていただいておりませんので、高速増殖炉もんじゅ」の耐震の安全性等について。  まず、当然、聞けば安全だというふうにおっしゃると思います。これ問題ないというふうにおっしゃると思うんですが、今年十月に運転再開に向けて今準備しているということもお聞きをしております。これも含めて、この「もんじゅ」の部分が本当に大丈夫なのかという部分の答えをいただくのが一つ。  それともう一つは、先ほど私が言いましたように、この原子力の問題というのは、三百年先とか言われたら我々だれもいないわけですから、そうするともう国がすべて責任を持つという姿勢が根底にあって初めて説得力のある話ができると思うんです。だから、いろんな機構がやっているからとか、これはNUMOが深いところに埋めるからとか、これは機構が医療廃棄物の形の中のやつを受けてやるから大丈夫だとかいうんじゃなくて、これは最後は全部国が責任を持ってやるから大丈夫なんだというふうなことが、僕は、法律に明記されてこそ国民の皆さんにいろんな原子力政策は訴えられるというふうに思っているんですが、そこら辺を含めて答弁をよろしくお願いいたします。
  40. 渡海紀三朗

    ○国務大臣渡海紀三朗君) 局長とのやり取りを興味深く聞かせていただきました。  様々な観点から、原子力政策というのは、まず大事なことは、やっぱり国民の信頼と、それから安心ということであろうと思います。特に、大島委員指摘をされました、過去において核燃料サイクル機構が様々な事故を起こしまして、何よりもいけなかったことはその情報が隠されたということなんですね。  私は、ちょうどあのときの事故対策の副大臣でございまして、何よりも信頼を回復するというためにとにかくやっていくんだと。核燃料サイクルという、こういうものが揺るぎがあってはいけないというような発言はしてはいけない、それはまず結果ありきということにつながるということを申し上げたわけでございます。  やっぱり信頼、これが一番大事でございますし、情報公開、そしてそのことによって国民の皆さんに安心をしていただくということが大事であろうと考えておるということをまず申し上げたいと思います。  それから、耐震の問題でございますが、地震が近くで起こりまして、これは柏崎の問題もございました。たしか九百八十ガルぐらいだったと思います。すさまじいエネルギーですね。そのことを考えたときに「もんじゅ」が大丈夫かということで非常に心配になったわけでございますが、現在、いろいろな安全評価をした結果、まあ安全性は確保されているという結果が得られていると聞いてはおります。そして、それに基づいて、この耐震安全評価について、原子力安全・保安院による専門家の議論を踏まえつつ確認が行われているところでございまして、より慎重にこの結果を見守っていきたいというふうに思っております。  最後に、今回の法律に対する、国とのかかわりでございます。  先ほど来、発生者責任というようなお話がございました。お金を払えば責任が果たされるのか、それは私も実は内部でした議論でございますが、やはり今回の場合、非常に小規模な事業所が多いわけでございますから、最終的に新しい会社をつくるという選択もあったと思うんですね、NUMOのような。しかしながら、それよりも、八割ぐらい持っているこの原研が、ある意味で代表者として引き受けるということが非常に現実的な対応であろうという選択をしたと御理解をいただきたいというふうに思います。  その上で、やっぱりこれは立地も、それからその後の実施、これは三百年置くわけでございますから当然国が責任を持って見守っていくということになるわけでございまして、原子力研究開発機構が、例えば独立行政法人でありますから、いつこの組織体が変わるかという、こういった心配もあるわけでございますが、これは中期計画を見直すときに、常に、常にこの法律改正も含めて通則法で見直していくわけでありますから、その中で、これは法律改正を伴うということでありますから、国家が当然責任を持ってこの仕事というものをちゃんと見守っていくということでありますので、そういう意味では国が責任を持っているということだというふうに御理解をいただきたいというふうに思います。  以上でございます。
  41. 大島九州男

    大島九州男君 ありがとうございました。本当はもっと大臣に長くしゃべっていただければよかったんですが、申し訳ございません。次回よろしくどうぞ。  それで、最後ですけれども、国が責任を持つということを法案の中に一言入れていただくような、そういう法改正をしていただくことを要望して、終わります。  以上です。
  42. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 民主党・新緑風会・国民新日本の谷岡郁子でございます。  ただいま同僚の大島議員の方から、分かりにくいこの問題を随分分かるようにしてもらったのではないかと思います。私の方としては、準備いたしました質問に対して、重複を避けながら、少し順番も入れ替えながら御質問をしたいというふうに思っております。  ただいま大変有り難いことに渡海文科大臣の方からは、やはり隠すということをやってはならないのだという基本的な精神が出てきたように思うわけですけれども、今後の政策においてもこれがこの法案の下でなされるということをこれ再度確認しておきたいんですが、渡海文科大臣、いかがでございましょうか、隠す隠さないということについて。
  43. 渡海紀三朗

    ○国務大臣渡海紀三朗君) 情報公開というのは行政が責任を果たしていく上で大変大事な問題だと私は思っております。今後の政策立案、途中過程でまだ議論が固まらない、そういったことについて言えば、私は、隠すということではなくて、まだ出さないということはあり得ると思いますけれども、しかしながら、断じて情報を操作するとか隠すとか、これはもう、この信頼で「もんじゅ」が何年遅れたかということを我々は痛いほど経験をしておりますから、原子力政策に関してそのようなことが断じてあってはいけないというふうに思っておりますし、そういう常に姿勢で臨んでいきたいというふうに申し上げたいと思います。
  44. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 おっしゃるとおりだと思います。  ただし、混乱させるような状況をつくるためにそのプロセス上明らかにできないことというものはあると思いますが、それは私は一定限定されるのではないかと思っております。決まってしまってから、例えば住民の方々が要望を出す時点ではもうそれは今更変えられないというようなことが多々起こってきますと、これはダム建設でありましょうと、あるいはその他の迷惑施設、産廃場等を誘致する場合でありましょうとも、何でもそうなんですけれども、どこで問題ができてくるかというと、いわゆる住民等が意見を出せるときは遅過ぎて、これはもう決まっていますというふうな状況になってしまうことが多いからだと思います。  この件に関しまして、やはり合意形成必要な部分というものを後から時間を掛けるよりは、あらかじめ情報提供できるところではできるだけする、また、あらかじめいろいろな方々の意見を聴いておくべきところではできるだけ広く皆さんの意見を聴くということを基本的な精神にしなければならないと思いますが、その点いかがでございましょうか。
  45. 渡海紀三朗

    ○国務大臣渡海紀三朗君) 基本的な精神としては委員のおっしゃるとおりで結構だと思います。  私は、もう一つはやっぱり、これはもう以前のような時代じゃないということを、行政も政治もこれは心して掛からなきゃいけないわけでありますけれども、よく分かった上でこれからは政策立案なり、またいわゆる物事を決めていくときの過程というものを考えていかなきゃいけないというふうに考えておるところでございます。
  46. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 それに関しまして、この法案はそういう意味におきましてとても難しい法案であると私は感じております。  日本はもちろん唯一の原爆の被害者となった国であるということからいいまして、大変強い核アレルギーというものが一方に存在しております。  また、この問題は科学的に非常に込み入った問題であると。私も今回、十数時間から二十時間にわたっていただいた資料等を読み込ませていただいて、それから五時間以上様々なところからヒアリングをさせていただいて、そして、それでも分からない部分を今日の大島議員の議論を聞いておりましてやっと分かったというような点がございます。その分かりにくい、訳が分からないということについて国民は不安に陥るものだと思います。  例えば私が素朴に感じましたのも、テラだとかギガだとかメガ、ペタ、こういう恐ろしく大きな数字がたくさん並んでいるのになぜ低レベルと言われるんだろうというようなことがございました。一定、その低レベルとは何だということを何度も聞きながら考え込んだということがあったわけです。それは先ほどの大島議員の質疑の中で明らかになったように、これは、低レベルとは法的な定義であって科学的な定義ではないのだということだと思います。しかし、それこそが私は非常にこの法律の大きな問題ではないかと思っているんですね。法律に低レベルと定義すれば何だって低レベルと呼んでしまえる。でも、実際にはその中に一定高レベル。したがって、コンクリートのピット処分であるとか、あるいは地層処分であるとかまで含めて必要とするような危険物だってその中に含まれているということが、これが国民を国が翻弄して何となく出し抜いているのではないかとか、まただますんではないかという。  ただでさえこういう施設というものは立地するところの住民などは非常に不安と猜疑心を持つものであるのに対して、法的な定義というものが科学的な定義と余りにも懸け離れているということが、これが不信を生み出すもとになっているのではないかなということを強く感じるわけです。  今後の問題といたしましては、やはり体系として、いわゆるその発生元を中心とした状況にたとえなっているということがあるにしても、やはり科学的な低レベル、中レベル、そしてそのレベルのある種の分け方の区分というようなものを明らかにしていくということを今後の準備状況、あるいは政令ですとか、ある種のガイドラインとかというものを作っていく上ではやっていかないと、その辺のところで低レベルと言ってだましているんだみたいな話になってしまいがちなのではないかというふうに私は懸念するわけでございます。  したがいまして、大臣、今後の方針といたしまして、この辺のところが科学的な低レベルと、そしてその法的な低レベルというものの乖離を何らかやはり埋めて説明していくような、それが明らかになっていくような状況というのはつくっていっていただけますでしょうか。
  47. 渡海紀三朗

    ○国務大臣渡海紀三朗君) 放射能の問題を扱うときに、ちょっと時間をいただきますが、私が一番実は反省をいたしておりますのは人形峠の問題なんですね。これはレベルでいうと、まあ問題のないと言うと語弊があるかもしれませんが、元々あったやつですから、それの残りですから。ですから、まあ本来は問題がないはずなんですが、住民の皆さんは、鳥取県の方面町の皆さんは実は危ないと思っていらっしゃるんです。危ないと思っていらっしゃることの不安を解くのにどういうふうにやったらいいかという問題だったんです。ところが、我々の方にはこのレベルは全然問題ないのになという意識が実はあったんじゃないかなという、そういう反省をいたしております。  今委員がおっしゃったように、放射能を扱うときに、これは大丈夫なんだと。まあ低レベル、高レベルというような分け方もございましょうけれども、そういったことをもっと分かりやすく説明をする工夫というのが必ず要るんだというふうに思っております。よりそのことが一層分かりやすくなるように、これは法律上は書いているという、ああ、もういなくなったか、というふうに先ほど他省庁がお答えになりましたから、私がとやかく言うのはまずいかもしれません。まあ政府として言っているわけですから、より我々は工夫をしていかなきゃいけないというふうに思っております。  私が受けております説明は、私もこれ非常に分かりにくいと思っているんですが、一メーターの距離でふだんいても大丈夫なぐらいの放射能のレベルと、まあ一メーターで一日ぐらいいるとちょっとレントゲン二回ぐらいの照射を受けるよというふうなこととか、一メーター近寄っただけで数分間で駄目になる、抱きついたらもう一瞬で駄目になるというのが高レベルだとか、こういった説明をよく聞くわけでありますが、いずれにしても、分かりやすい説明というのを常に我々は心掛けるように今後ともいろいろな局面で努力をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  48. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 ありがとうございます。  大臣の御認識というのは大変有り難いものだというふうに私は思っております。  今回、各国、先ほども大島議員の指摘にもありましたように、レベルによって分別していくのではなくて、レベルの区別ではなくて、むしろ発生由来による区別、つまり発電所とそれ以外のものと。そして、発電所から出てくる廃液を基本的に高レベルと呼び、その他を低レベルと呼ぶということの問題、この奥にやはりありますのは、いわゆる動燃を中心とした経済産業省の元々の分掌分野と、そして文科省研究医療を中心としたようなところに係る分野というものの分け方というものがあるんですね。つまり、科学的な違いであるよりは、やはり縦割り省庁であるところの違いというものが出てしまった結果、こういう形でそれぞれ役割分担をしましょうということが出てきたような気がいたします。  これが絶対にいけないというわけでもありません。また、その状況というものを理解しておりますし、今回の法案にそれをもって反対しようというものでもありません。しかしながら、将来はやはり何らかの形でそれを一元化していく方向性ということを考えていくということの方がいいのではないのかな、すっきりするのではないかなということを私自身は考えております。  それで、他省庁いらっしゃらなくなったところで言うのも何なんですが、私自身は先ほど、動燃はやはり発電所を造っている電力会社等も含めて出資した上でつくっている会社であって、それがその他のところからのを何で引き受けなきゃならないんだというふうに取れるような答弁を聞いておりまして非常に不審に思ったわけでございます。  今まで、原子力開発機構、これは国費を投じて行われたものであり、そして電力を使う使用者の皆さんからの特別会計を使ってできてきた成果、こういうものの成果というものは、それが電力会社等あるいはそれを設置する関係企業等に言わば技術移転され、そしてその恩恵を被った上で、言わばその分研究費用が少なくなるような形でやられてきたと。それを、今度廃棄という観点からきたら、自分たち廃棄物以外は受けられないんだというふうにも取れるような発言がなされたと思うんですね。  やはりそのようなことを企業等が言い続けるような状況というものが続きますと、今後じゃ一定の企業にしか技術移転できないような高度な研究国民の税金から平たく取るということについてはいかがなものかというようなことが議論、国民の中からそういう声が沸き上がるということも懸念されるわけでございます。これは政府間の問題として、今後そういうような形の言わば企業のエゴというようなものを省庁が代弁するようなことはやめていただきたいなということを私の方としては指摘を申し上げておきたいと思います。  さて、この法案の中身に入っていきたいわけなんですが、私が一つ懸念いたしますのは、先ほどの高レベル、低レベルという問題に関して、平成二十年度四月一日からの施行で今のクリアランスレベルというものが決められております。しかし、それは、言わばより厳しい基準になるのではなくて、より緩い基準になっているように思われることでございます。  私が参議院文教科学委員会調査室からいただいた資料というのがあるわけなんですけれども、それについて、ピット処分ですとかトレンチ処分ですとか埋設処分であるというところについて、それぞれのアイソトープについてどの程度が上限なんだということが示されている。  その一方で、この間、御省の方からいただきましたその資料というものを見ていて、それぞれのアイソトープを、例えばコバルト60はということで比べますと、かつて八・一ギガベクレル毎トンであったものが十ギガ、これは大した増え方ではないんですが、例えばコンクリートピット処分のコバルト60などを取ってみますと、十一・一テラベクレル毎トン、皆さん分からなくても気にしないでください、私も分からなかったんです、昨日まで、が一ペタベクレル毎トンというふうになっていまして、約九十倍の上限値が上がっているんですね。これは基準が厳しくなっているのではなくて、緩くなったように見えるんですが、それで大丈夫なのでしょうかということをまず最初に参考人に御質問いたしたいと思います。
  49. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) ただいま委員指摘になりました二つの資料数字の違いにつきましては、委員がお話しされましたように、最新のデータというのが本年四月一日の原子炉等規制法の改正に基づく数字、これを私どもの方から委員の方にお届けをしたところで、それが古い数字と比べて緩くなっているのではないかという御指摘でございます。  これにつきましては、今回の原子炉等規制法の改正は、濃度上限値の算出におきまして最新の知見を反映をさせました国際原子力機関におきます考え方が改正がされたというふうなことを受けましてこの考え方を取り入れたというふうなことでございまして、何か恣意的に数字を直したというふうなことではないというふうに、私どもは規制当局ではございませんので本来説明できる立場ではないんですが、そういうふうなことであるというふうにお聞きをしているところでございます。
  50. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 ひとまず、そういうことで結構です。  それで、この問題についてはまた今後の問題だというふうに思っておきますが、取りあえず次に、処分場が今ないと、そして五十五万本のドラム缶量が野ざらしに言わばなっていて各所に散らばっているというような状況があるということなんですが、これほど長期間なぜ処分場ができてこなかったのか。当然、廃棄物が出ればその必要性があるというのは明らかになってきた。何が障害になってきたのか。と同時に、その障害は今クリアされてこの法案は出てきたのでしょうか。
  51. 渡海紀三朗

    ○国務大臣渡海紀三朗君) 先ほど、発生主体、原因者責任といいますか、発生者責任という話がございました。  今回対象にしておりますこの低レベル放射性廃棄物につきましては、非常に事業所は小さいところが多くて、なかなか、どういいますか、民間業者が集まっていろんな組織をつくるといっても、話が率直に言えばなかなかできなかったという、こういった経緯もございます。  その中で、ある程度置いておくスペースもまだあったというふうな事情もあるわけでございますが、いよいよここへ来て、なかなか将来見ると心配だなという状況になって、そして、先ほどお話がありました、私は原燃との話というのも随分したというふうに聞いておるわけでございますが、そういった中で解決策を早急につくらなきゃいけないということで話合いが行われまして、将来、八割ぐらいはこの原子力機構が低レベル放射性廃棄物発生をするわけでございますから、ここが処分主体となって事業を行うことが一番適当であり現実的であろうという、時間が掛かったのは、そういった経緯で時間が掛かったというふうに承知をしております。私はそのような説明を受けているという意味承知をいたしております。
  52. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 そうしますと、本当に、これは私は妥当な考えだと思って確認するわけでございますけれども、例えば産廃業者さんの中には、中小のところだと本当にどんな勝手なことをするか分からない、埋めてはならないものを埋めてはならないところに埋めて、その結果、周囲の例えば水の循環というようなものを本当に取り返しの付かないような形で汚染するようなケースだってないわけではないと、あるいは土壌汚染の問題もあると。  そういうことから考えて、やはり一元化して、そして責任を持ってきちんとやることができるということから考えれば、この形で、現在お示しいただいているような、機構が責任を持って、そして最終的にちゃんとやるという形が一番適切だということの判断だと理解してよろしいでしょうか。
  53. 渡海紀三朗

    ○国務大臣渡海紀三朗君) 基本的にそのような御理解で結構かと思います。  一つちょっと説明が抜けておりました。平成十七年に核燃料サイクル機構と原研が統合されまして、独立行政法人の改革ということで、実施主体がより大きくなり、なおかつ先ほど言いました一番発生源として非常に大きな割合を占めていると、このことも非常に大きかったというふうに理解をいたしております。
  54. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 そこで、平成十八年、科学技術・学術審議会が出しておりますところによりますと、研究施設等廃棄物に係る処分場の立地条件についてということが定められていると思います。基本的に、この中には自然環境要件、社会環境要件、並びに円滑な事業実施の確保として用地、輸送というものを見越した上での観点、また地域との共生ということが大きな要件であるその諸条件だということで、それをクリアしなければならないということが書かれております。  この要件をその諸条件として立地条件が定められ、最終的な処分場が決まるというふうに考えてよろしいでしょうか。
  55. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 研究施設等廃棄物処分施設の立地選定につきましては、今委員が御指摘をされましたような自然環境でございますとか社会環境、そういった面からの安全性の担保、それから用地や輸送条件の利便性、地域共生、そういった観点からの円滑な事業実施の担保などを踏まえて行うというふうなことでございますので、これらの要件を適切に満たす地域は処分施設の立地の候補地となり得るものと考えてございます。  ただ、今回、委員も先ほど来御指摘をされましたように、このような処分施設の立地というのは非常に、単に技術的な要件等だけではなくて、地域の御理解、御協力が得られることなど、多面的な観点から慎重にやっぱり検討しながら立地を進めていくということが必要であろうかというふうに思っております。
  56. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 そこで、御質問申し上げるわけですが、例えば自然環境要件ということでこの立地条件が示しておりますものは、例えば、一、地震、津波、地すべり、陥没、台風、高潮、洪水、異常寒波、豪雪等の自然現象から安全確保上支障がないこと、四つまであるんですが、二、地盤、地耐力、耐える力ですね、断層等の地質及び地形等が安全確保上支障がないこと、風向き、風速、降水量等の気象が安全確保上支障がないこと、河川、地下水等の水象及び水理が安全確保上支障がないことということになっておるんですね。こんな場所が日本にあるのだろうかということが私の素朴な質問なんでございます。  と申しますのは、東濃地域の瑞浪の方で今高レベルのための言わば掘削調査が行われていると。それが二〇〇二年から行われているわけですけれども、今約八年間たっていて、当初、そのくらいまで行けば五百メートルは掘り進めるというふうに考えられていたものが二百メートル強ぐらいしか掘り進んでいないと。なぜなのかというと、水が物すごく出てくると。一日六百トンから七百トン水がわいてくると。この水の処理に大変で、プール造って、そしてポンプの施設を造って、言わばその工事を追加しながらやっていけないとその水の処理ができていかないというような現実を私はそこの地域の関係者から聞いておるわけでございます。  そうしますと、例えば水の、言わば生活水系に入る様々な水循環というもの、ここに全く触れないでやれるところってあるんだろうか。例えば地震や台風のおそれ、両方ともが全くその危険性がない場所なんて日本にあるんだろうかということ、これについて素朴に疑問を感じてしまったのでお聞きするわけですが、いかがなんでしょうか。
  57. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) なかなかお答えするのは難しいんでございますけれども、ちなみに原子力発電関係の施設として六ケ所村に廃棄物処分施設が既に立地をされているという実例があるということ、それから、日本ではそれ以外廃棄物処分場についてはございませんけれども、諸外国におきましても低レベルの廃棄物処分場というのは十分な実績があること、そういったことを考えますと、絶対にないのかというふうなことは必ずしも言えない、私どもとしては十分可能性があるのではないかということで適地を探していきたいというふうに考えているところでございます。
  58. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 あくまでもその条件で探すんだということを言っていただきまして、心強く感じます。というのは、勝手なところでどこかで条件が緩和されてしまえば、それこそ本当に取り返しの付かないことが起き得るというふうに感じるからでございますし、よろしくお願い申し上げたいと思います。  次に、社会環境要件というのがありまして、そこには近接工場等における火災、爆発物から安全確保上支障がない程度離れていること、河川水、地下水等の利用状況、農業、畜産業、漁業等食物に関する土地利用等状況及び人口分布にかんがみ安全確保上支障がない場所であること、石炭、鉱石等の天然資源から安全確保上支障がない程度離れていることということ、また原子力機構は本処分事業においては安全性に係る要件に加え、事業を円滑に実施するための要件も十分に検討するようにというふうな形のことが書き加えられているわけなんですが、そうしますと、人口分布なんて話になりますと必ず過疎的な地域にこれを持っていくということが容易に推測できるわけです。  一方で、電気需要を始めとして、言わば産業の集積、人口の集積、消費の集積というものが当然都市部にありながら、過疎部の方にそういう形でこういう廃棄物を最終的に押し付けるということになってしまうのかなというふうに思うわけですが、これはまた先ほどの自然的な状況からいきましても、言わば過疎部に行くほど源流に近いと、水の源流に近いというようなことがその一方で言えるわけなんですけれども、この辺については、これはちょっとあいまいな書き方がしてあると思いますので、具体的にはどういうことをお考えなのかなということを確認しておきたいと思います。
  59. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 今委員がお触れになりましたその社会環境要件というのは、まさに原子力安全委員会放射性廃棄物埋設施設の安全審査の基本的考え方というのに基づく要件でございまして、具体的にこれをどう理解をし反映をさせていくのか、これにつきましては個別具体的にどういう地点がどういう条件に合うのかということを検討しながらやっていくということで、ここにおいて、例えば安全確保上支障がない程度というのはどの程度とか、そういったことを今定かに私どもとして申し上げられるというふうなことでは必ずしもないということを御理解いただければと思います。
  60. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 ということは、今後議論をされていくわけでしょうし、こういう細かいことについては決定されていくということで、必ずしも私は十分だとは思いませんが、しかしながら、今後の経緯についてはやはりきちんとその折々で情報公開をしていただいて、そしてその議論の経過等もできるだけ透明化していただいて、そして国民の皆さんが納得、安心してその施設に付き合えるようにしていただきたいというふうにお願いを申し上げておきます。  その他用地については、矩形、つまり長方形らしいんですが、長方形に近い形であること、十分な広さがあること、おおむね百ヘクタール、できるだけ平たんであること、価格が妥当なことということが付いてまいりまして、その輸送の観点では、例えば道路等適切な輸送方法が確保できること、公道から候補地までの輸送経路、取付け道路等が確保されていて妥当な距離であることというふうなことが書かれております。  これもしっかり守っていただきたいということをお願いしたいわけですが、最後の三といたしまして、地域との共生ということが書かれております。この地域との共生ということは、施設の立地により周辺地域の社会活動、交通、産業活動に著しく影響を与えない等立地地域の住民の生活環境が可能な限り守られることが一つで、二つ目が所在市町村、所在地都道府県、周辺市町村等の理解と協力を得ることができることということが書かれております。  この二番目の所在市町村、所在地都道府県、周辺市町村等の理解と書いてあるんですが、この周辺市町村等というのはどのくらいの範囲を考えたらよろしいんでしょうか。
  61. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) これもなかなか一概には申せないところでございますけれども、立地市町村に隣接をしている市町村とか、そういった形で一般的には考えているところでございますけれども、これも個別具体的なケースごとに判断をしていくということになろうかと思っております。
  62. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 先ほど申し上げましたように、水や空気あるいは土壌というのは簡単に分断できるものではないとすれば、周辺、隣接した地域の方々が理解をするということは大変重要なものだと思うんですね。一概に言えないと今おっしゃったんですけれども、やはり周辺市町村等の理解と協力を得るということは、そのために誠心誠意努力をしていただきたいですし、そういう条件を確保していただきたいと思います。  また、所在市町村というのと、それから所在地都道府県というふうに書かれておりますけれども、それぞれ所在自治体、そしてその県と、そしてその議会、県知事ということの承諾が必要だというふうに理解していいということでございましょうか。
  63. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 基本的には、所在をしております市町村長それから所在しております都道府県の知事さんの御了解を得ながら進めていくということであろうかというふうに考えております。
  64. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 この件に関しましては、既に、地元というふうになるのかならないのか分かりませんが、言わば候補の一つに今後なっていくかもしれないような地域でかなりいろいろな状況が起きてきているということがございます。そして、今、県名まで申し上げるつもりもありませんし、その自治体名も申し上げるつもりはありませんけれども、もう今からこういう状況になっているということがあります。  できるだけ早い時期に早急に立地条件等をお示しいただきたいというふうに思いますし、今後、その選定に入っていかれる上での手続そしてプロセスというものが明らかになっていかないと、今まで、こういう法律ができる、こういうことをやっていくんだという状況がありながら、具体的なものが示されないままに来てしまっているということが、言わばいろいろな思惑を呼び、それがまた疑心暗鬼を呼んでいるという状況の中で、今から、何も始まらないうちからもう混乱が始まっているというような状況もあると思いますし、また当然、その地元というふうに言われるような方々にとっては、必要ではないかもしれないような心配もたくさんしていらっしゃるというような現実というものが現在起こってきていて、これがメディアを通して新聞などにも取り上げられてくるというようなことが起こってまいっております。  ここで、できたら、今後の手続、プロセス、そのスケジュールのめどというようなものが、今分かる範囲で、分かっていれば是非御開示いただきたいと思います。
  65. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 処分場の立地選定につきましては、法律改正をお認めいただきまして法が施行されました後、できるだけ早く、数か月のうちに国として基本方針を定め、そしてその中で立地の基本的な考え方を明確にいたします。そして、それに基づいて原子力機構出してまいります実施計画の中に立地に向けた具体的な手順を明らかにしていくというふうな形で、事業を開始する前にそういった実施計画のレベルで手続等を明らかにしていきたいというふうに考えているところでございます。  そして、その上で立地の作業を進めていくわけでございますけれども、立地から施設の運用の開始まで約十年というふうに見込んだときには、立地の決定まで最終的に至るのに三年ないし四年とか五年とか、その程度を見込んでおるというふうなことでございます。
  66. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 今数か月というふうにおっしゃいましたけれども、現在のところはそうしますと、どのような自治体とも一切接触をしておられないということでよろしゅうございますか。これは確認でございます。
  67. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 私どもないし原子力機構におきましては、現在までに立地に関連して具体的な取組は全く行っておりません。
  68. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 ありがとうございます。  そうしますと、今後の問題といたしましては、立地の条件、そして手続、そのプロセス、スケジュール等についてはできるだけ早く条件等を明らかにしていただきたいと思いますし、そしてその後、一斉というような形でできるだけ白日の下にそういうことを進めていっていただきたいということをお願い申し上げます。  と同時に、用地調査に関することですけれども、これはアセス法に準じて条件が調べられるというふうに考えてよろしゅうございますでしょうか。
  69. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 環境影響評価法につきましては、規模が大きく、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業を対象としているというふうなことでございます。現時点では、研究施設等廃棄物処分事業はこの法律の対象事業に該当するものでは必ずしもないというふうに考えておるところでございます。  しかしながら、今回の研究施設等廃棄物処分事業は、原子力安全・保安院それから原子力安全委員会等による安全審査によりまして、研究施設等廃棄物処分事業について、埋設施設の敷地、それからその周辺における地質、水理等の自然環境、それから土地利用等の社会環境がきちっと考慮されているかどうか、先ほどの条件に照らしてきちっと考慮されているかどうかを安全審査の段階で確認をするというふうなことになっております。したがいまして、そういう手続を踏む中で機構として必要な調査や住民への説明が確保されるものというふうに考えております。  なお、今回の処分事業に関します環境影響評価の在り方につきましては、今後、環境省とよく相談をさせていただいて適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
  70. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 規模の問題ということは今御指摘いただきました。これは規模をどういう規模と考えるか、自然の改変の例えばヘクタール的な意味においての規模ということも考えられます。しかし、その規模というのは、社会的影響の大きさ、あるいは何かあった場合の自然破壊等を含めて自然改変の可能性の大きさ、またその影響を被る時間の長さ、例えば放射能というようなものはその半減期が何時間というものもある一方で、何十年、何百年もあれば、ウラン238のように半減期が四十五億年という、地球誕生してからまだ四十六億年じゃないですかというような、そういうたぐいのものも一方にはあるわけです。  そうしますと、非常に何かあれば影響が長い、その分だけ大きくなっていくという可能性が考えられるとするならば、単なるヘクタール的、あるいは自然の改変というものの動かす土の数量的な問題だけではなくて、当然やはりこれは非常に心配で、その影響、また心配の大きい事業であるということから考えて、その規模等を勘案してアセス法というものをできるだけきちっとのっとってやるということによって、住民の皆さん方にも安心を確保することができるということだろうと思いますから、今の御答弁でございますけれども、再度アセス法にのっとって調査をやっていただきたいということでございますが、いかがでございましょうか。
  71. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 今も申し上げましたけれども、安全委員会等の審査におきましてそういった必要な調査、住民への説明等確保されるというふうなことでございますけれども、今の委員の御指摘も踏まえまして適切な環境影響評価の在り方について環境省ともよく相談をして対応させていただきたいと思っております。
  72. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 環境省とその辺のところは相談いただくということでございますが、その意見を踏まえていただくというふうに言われましたので有り難いと思いつつ、しかし、しつこいようですが、いわゆる環境省のみならず、環境団体、そして地域のいろいろな方々、御心配をしていらっしゃるような方々、そういう人たちの意見も聴いていただいて、その方々が納得されるような方向で準備を進めていただきたいと。  環境省にいいと言われましたからというのは、これは皆さんの中では通るかもしれませんけれども、国民は今、各省庁をそのようには信用しておりません、はっきり申し上げて。ですから、省庁間で官僚の方々がいいとおっしゃったことを、ある意味でこれまでの状況の中で信用できないという状況があるんですよ。だからこそ、今後のことを考えますと、本当にその対象となる方々の意見を広く聴いていただくということが大事だと思いますので、是非その方向でお願いをしたいというふうに思います。  そして、その次に参りたいと思います。  現在、保管をしている場所がたくさんある。そして、その中には大学と、私どもの大学もそうなんですけれども、非常に中小のところがたくさんあるわけですね。こういうものを変えていくとなれば、何万本も持っているようなところは別としまして、一定の時間で、これは実施が始まれば、この施設の運用が始まればということでございますけれども、それは十年後からはどんどんなくなっていくということだろうと思います。そのときには言わば保管庫になっている場所が空くということで、今後その場所を新たな用途に使うということが想定し得るわけです。  その場合に、例えば、何もなければ当然汚染だとかそういうことは考えられないわけですけれども、例えばこれまでの経緯保管の状態であるとか、あるいは動かしたときに何が起こるかというようなことにおいては、土壌ですとか、それから施設自身が汚染されるというような可能性もないわけではないと思います。そういう問題に対してはどのようにお考えになっていて、今後どのような形で対応していかれるおつもりなのかということをお聞きしたいと思います。
  73. 森口泰孝

    政府参考人(森口泰孝君) 今先生からお話のございました原子炉とかあるいは核燃料物質の使用の施設、これらを廃止して跡地を利用しようと、そういう場合におきましては、一つは原子炉等規制法、これに基づきまして、核燃料物質による汚染の除去、核燃料物質によって汚染されたものの廃棄等の措置を講じなければならないと、このようになってございます。そして、これらの廃止措置を終了するに当たりましては、同法に基づきまして、核燃料物質によって汚染されたものが廃棄されていること、残存する施設及び土地が放射線による障害の防止のための措置を必要としないことなどについて国の確認を受けるということになってございます。  それから、もう一つの体系として、放射性同位元素、これの使用施設等を廃止して跡地を利用しようとする場合には、放射線障害防止法、これの二十八条の第一項の規定に基づきまして、廃棄物保管施設を含めまして放射性同位元素による汚染を除去し、その結果を報告すること等が義務付けられております。  文科省におきましては、この報告のあった内容を精査して確認するとともに、廃止に伴う措置の内容が適切でないと認めるときには、同法の二十八条三項により必要な措置を講ずることを命ずることができると、このようになってございます。  以上、御説明申し上げましたように、廃棄物保管施設の跡地を利用しようとする場合には、これら原子炉等規制法それから放射線障害防止法、この各規定に基づきまして安全確保に万全を期してまいりたいと、そのように思っております。
  74. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 次に、当該施設はいったん造られれば、それこそ何百年というスパンで最低その運営が続けられるということになろうかと思います。それに対しましてのやはりモニター、モニタリングと、そしてそのモニタリングの結果の公表、また勤務する人々の健康保全の問題及び地域住民の方々の健康保全の問題、これについては今どのようにお考えになっているのでしょうか。
  75. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 処分事業実施に当たりましては、国の原子力安全委員会の考え方に基づく原子炉等規制法などの関係法令を遵守をして周辺住民や従業員の安全確保に万全を期していくというふうなこととなっております。  具体的には、周辺の一般公衆が受ける放射線量は、原子炉等規制法等の規定に基づきまして、年間、これも難しい単位で申し訳ございません、一ミリシーベルト以下になるよう立入禁止措置や環境モニタリングなど生活環境に影響を及ぼさないための措置が講じられることとなっております。また、従業員につきましては、年間に受ける放射線量が五十ミリシーベルトということで一般公衆の五十倍以下とされておりまして、その安全を確保するために原子炉等規制法等に基づく保安規定、そしてその内容をより詳細に示しました安全作業基準などのマニュアルを徹底したり、フィルムバッジの着用などによります被曝管理などを行うことによって従業員の安全性をきちっと確保していくこととしております。
  76. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 今、従業員の方々、これは多分地元に近い方々も一定割合になると思います、専門技術者にプラスして。この方々は、例えば年間五十ミリシーベルト、訳も分からずに言うわけですが、五十ミリシーベルトだとお聞きしましたが、これは継続的に例えば何年間ぐらいこの形を続けるということが想定されているんでしょうか。
  77. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 年間最大五十ミリシーベルト以下でございますけれども、五年間で百ミリシーベルト以下ということで、五年間継続して放射線を浴びる場合には、その全体五年間での被曝線量は年間で受けるものの二年分以下というふうなことになろうかと思います。
  78. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 そうしますと、五年間で百ミリシーベルトがその上限で、またその次の五年間は百ミリシーベルトでオーケーだということなんでしょうか。それはいかがですか。
  79. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 委員指摘のとおりでございます。
  80. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 私がなぜこのようなことを心配するかということを言いますと、これは非常に細心の注意を払って、言わば熟練、慣れが必要な仕事、例えばトラックからの荷降ろし一つを取っても通常のものよりも管理等が必要なような仕事になろうかというふうに思うんですね。片っ方でベテランを必要としながら、片っ方では、言わば被曝という関係からいって、言わば新しい人を次々とつぎ込まないと、熟練したころにはそれが、その被曝量が一定になってしまうという、ある意味では相反するようなことを追求しなければいけないということが起こってくるのだろうなと。  そういうことに関して、例えばしっかりとした新人が入ってきても、つまりまだ被曝していない人が入ってきても研修ということが行われなければならないでしょうし、ベテランの人たちが欲しい場面でも必ずしもそういうことが手当てできない可能性が出てくるということになると思うんですが、この辺についての今後の継続的な安定的な、いわゆる質の高い、レベルの高い技術者の確保、従業員の確保ということについてはどのようにお考えになっているんでしょうか。
  81. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) これも原子力機構が実際に施設を運用する前にきちっと計画的に熟練者をまず集め、そして、若手の職員を採用しながら、年間計画的に訓練をしていくというような訓練計画等も立てながらきちっと人材育成等を図っていく必要があると思います。そういったことも含めまして、きちっと対応をさせていただきたいというふうに考えております。
  82. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 今すぐ始めても操業までには十年掛かるというこういう問題、この問題につきまして、私はこの中で法案に対しては反対しようというような意図は全く思っておりません。  しかし、その一方で、やはりその施設を最終的に受け入れることになるであろう地域の方々、またそこで働く方々にとっては、本当に命を懸けたような心配であったり、言わば恐怖であったりするところのものと付き合わなきゃいけないということでもありますし、それが永続的に行われるということだろうと思います。先ほど来申し上げましたように、法的には何だって低レベルであろうと、高レベルであろうというふうに呼べるわけではございますけれども、それはやはり科学的な知見の高レベル、低レベルとは乖離していると。そういう中で、何となくもやもやとだまされているような気分になってしまうようなその現実、こういうものを今後はやはり考えていっていただきたい。  また、経済省区分とそれから文部科学省区分ということの中でお互いに、今回のヒアリングの中で何度かあったんですけれども、言わばそれはうちの問題ではないのでお答えできませんみたいな話になってしまったりと、これではやはり国としての一体の事業としては受け入れ難いということがございます。そして、省庁がこういうふうに分かれている、役割分担がこうだということは、これは行政の論理ではあっても、これは国民が受け入れる論理とは全く懸け離れたものであるというふうに思います。こういうものが言わば盾になって住民が御理解をいただくということを阻むようなことがないように、この事業を是非円滑に進めていっていただきたいということをお願いしたいと思いますが、大臣、いかがでございましょうか。
  83. 渡海紀三朗

    ○国務大臣渡海紀三朗君) 省庁の縦割りとよく言われます。私は、これは政治家がだらしないからだと思っています。ただ現場は、そうはいっておりましても今委員が御指摘をいただいたようなことが起こるわけでございまして、そういうことは断じてあってはならない。「もんじゅ」は、そういう意味では研究開発文部科学省がやっておりますし、発電もやりますから、そういう意味では経済産業省、私はいい意味であそこでいろんなことがやられたらもっともっと縦割りはなくなるなと思っております。  いろんな質問に関しまして総合的にお答えをいたしますと、原子力政策というのは、国民の信頼、また理解がないとこれは先へ進みません。そのためのやっぱり一番の基本は情報公開、それから丁寧な説明をしていくということです。その説明に当たって一番大事なことは、要するにこちら側の論理ではなくて、住民の皆さんは一体どういうふうに思っておられるのかという、総理がよく言われる国民の目線という、この目線でやっぱり説明をする努力をする必要があろうかと考えております。  今後ともそういう姿勢で、原子力は今、エネルギーが大変、石油が高騰しております、そういった面でも必要でございますし、また環境問題ですね、このことを考えた場合に、これは国民の理解と安全、安心ということが前提でございますが、非常にクリーンでCO2にもいいわけでございますから、時間を気にされておるようでございますからこの辺で答弁はやめますけれども、しっかりと我々は推進をしていきたいと思っております。
  84. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 ありがとうございます。  この問題の議論を終えて、ちょっと残りの時間を使って次の問題をお願いをしたいと思います。  昨日、実は決算委員会の方で質問をさせていただきました。その中で私どもが明らかにしたことというのは、これまでに衆議院の方の同僚の議員を通じて分かっていることとして、大島さんと倉重さんという逮捕者を出したこの事件に関して、実は、あと文科省の施設部内のOB等を含めたところで四、五人のゴルフ、言わば宴席等のお付き合いがあった方がいらっしゃったということ。また施設部のOB等の方々が文教施設協会に二十数名天下っていらっしゃるということ。各国立大学等へ部長、そして課長レベルですと六十人程度の人がいろいろな形で各大学の施設部の枢要な部門にいられるというような形で構造的な問題が考えられること。  また、歴代施設部長、九代ここにお出しをしておりますけれども、昭和六十年の高野文雄さんから大島寛さん、この方が逮捕されたわけですが、この九代の中で文教施設協会の専務理事に天下った方が、その次二枚を見ていただいたら分かるわけですけれども、最初の佐川政夫さん、平成六年から平成十三年の五月まで社団法人文教施設協会の専務理事でございます。その後、その前の施設部長であられました高野文雄さん、この方は引き継ぐように平成十三年から十六年まで社団法人の文教施設協会の専務理事であったと。そして同時に、次のページに行きまして、平成八年から平成十年まで文教施設部長でありました勝山さんが平成十六年五月から現在まで社団法人文教施設協会の専務理事であるということを昨日の時点で御指摘を申し上げました。  と同時に、それは、ついては文科省の施設部とそして文教施設協会というのは、倉重さんを通じた単なる何かのお付き合いというよりは、もっと構造的な、つまり平成六年以来に限って言えば、ここ以前がまだ分かっていないわけですけれども、文教施設協会の専務理事職というのは文教施設部長でかつてあった方々の指定ポストであるということを昨日の時点で御指摘申し上げたわけです。  それは決算委員会であったからですけれども、ここ文科の委員会の中で今日私は御指摘したいのは、私は大島さんが元施設部長として、その時代の問題として逮捕されたわけなんですけれども、この方が逮捕された時点で沼津高専の校長であったということに注目をさせていただいております。沼津高専の校長、つまり校長という教育の、言わば学校の生徒、学生たちにとってのロールモデルであり、言わば目指すべき人間像であるべき方がこのような恥ずかしい事件で逮捕されてしまったということを大変悲しく思うわけでございます。  と同時に、調べてみますと、この九代の施設部長で見ていただくと分かるんですけれども、言わば二人、一人の文教施設協会の専務理事へ直接天下られた方と萩原さんというその大島さんの前の東北大学の副学長に行かれた方以外はすべて高専に校長として行かれているわけですね。  私が調べたところでは、高専の校長職というのは、言わば設置基準上、また法律の体系からいきますと、大体短大の学長というものとその条件設定、資格設定等については同等だと思われますが、それはいかがなんでしょうか。
  85. 合田隆史

    政府参考人合田隆史君) 御案内のように、高等専門学校は中学校を卒業してから五年間の学校でございます。一方、短期大学は高等学校を卒業してから二年間の課程でございます。したがって、言わば、いわゆる中等後の教育段階としては二年間の教育を受ける機関でございます。そういうこともございまして、制度的にはいろんな意味で短大、短期大学に対応するような制度設計が行われていると、一般論としてはそういうふうに申し上げてよろしいかというふうに存じます。
  86. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 高専は、もちろん学校教育法の中で何を置くかということが決められて、校長を置くということにもなっておりますし、そして設置基準等の中に校長の資格要件が書いてありますけれども、そこには何て書かれておりますでしょうか。
  87. 合田隆史

    政府参考人合田隆史君) 恐縮でございます。今手元に条文が持ち合わせがございませんので、正確にちょっと今申し上げることができません。申し訳ございません。
  88. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 では、今お調べいただいているんでしょうか。もしそうでなければ私の方から、私、一字一句までは覚えていないんですけど申し上げますと、人格高潔にして、教育の業績と見識があるというようなことがたしか書かれているはずでございます。つまりは、人格高潔にしてと。これ普通、犯罪を、そういう贈収賄なんかやる人は人格高潔とは当然言えないわけでございます。と同時に、教育に対して経験や見識があると。これは通常、具体的にどういうふうにとらえられるかというと、教育などの分野において様々な研究等論文を書いておられるということであり、そういうことでの見識というようなものが、その経験上、教職を持ったというような形も含めて行っているということが通常だと思います。  また、給料についてはですけれども、高専の校長というのは給料の位置付けというのはどういう形で、何職の何等級になっているんでしょうか。これもそちらからこの間いただいた資料に書いてあったんですが。  時間がないので私の方から申し上げます。これは教育職職員の五級という指定になっております。  どちらを見ましても、これは教育職なんですよ。それで、教育職で、もちろん私も学長を長年やっておりますから分かっておりますけれども、行政の職でもあり、また管理職でもあるということは否めません。しかしながら、経営ということの中心というのは、今もう高専の機構ができているということ。そちらが重点的に行うといえば、例えばやはりこれは、校長というのは明らかに教育職であると。この教育職に文科省の施設部の方々がこれほど大量に入っていかれるということはやはり私としては奇異に感じざるを得ないと思いますし、ふさわしいことではないというふうに思われます。  そこで、私どもの方の事務所で作りましたこの色刷りの紙を見ていただきたいと思うんですが、これは中を今細かくやる時間ございませんのでやりませんが、これは何を示しているかということを申し上げますと、まだ空いている空欄のところもございますが、一番右端の緑の柱になっているところ、これが現在のものです。そして、薄いオレンジの肌色のカラーのところ、これが生え抜きの、つまり元々高専というものについて一番よく知っていて経験があるであろう生え抜きの方々が校長であるところでございます。そして、ブルーは施設部を始めとして何らかの、文科省にかつて勤められたというような形での行政職の方々がこの紺のラインになっております。そして、グリーンは大体大学教授の方々というものが就職されていると。前に衆議院の方の答弁でも既になされていて、いろんな側面があって、高専からの要請等もあってというようなことを大臣としてもお答えになっておりました。  しかし、ここで見ていただきたいんですね。この歴代、左の方はずっと代を重ねるごとに、これ同じ年限で、例えば二〇〇〇年という形でそろえているのではありません。第一期の校長から歴代の校長がどのようになっているのかということで作った資料でございます。  ここで見ていただきますと、ブルーのラインがずっと続いているところというのが結構何本かあるわけですよ。ここに、施設部長のところでも出てきております木更津ですとか沼津というようなところを含めて七、八校のところというものは、何代も重ねて歴代の校長が言わば文科省から来ているというようなことが分かるわけです。  また、同時にこれを、本当はもっとほかのところを見ていただいたら分かるんですが、色付きでないところ、つまり大学教授の方々が来ていらっしゃるところも、北海道はすべて北海道大学教授、そして鹿児島県の地域なんかだと全部鹿児島大の教授と。  もう明らかに植民地としてしか見えない。もちろんこれは、そして文科省含めてある種の指定的に、植民地のように校長が、教育的な配慮ではなく、指定職のような形で使われていると。こんなことで高等専門学校が本当に教育的な意味で発展していくということはあり得ることなんだろうかと。これはたまたま事件の関係を調べておりまして、疑問に思ったところを進んで調べていったらこういう結果が出てきたと。  言わば、このような不自然な、天下り的な形ではなくて、高専の校長というのはそれぞれの高専の事情に従って、本当に生徒やそして今後の発展のために必要な人が言わば広く大きいところから選ばれると。国立大学、例えば北海道地域にしましても、いろんな中部、関東の地域にしましても、例えば国立大学だけに一番本当にいい先生がいらっしゃるとは限らない。また、生え抜きというようなことをもっと考えていかないと、今後の出世を楽しみに、またそういうふうにある種の力を、今後そのポジションになればこの学校をこういうふうに変えられると思っている生え抜きの方々も利用できないという状況があると思うんですが、今私が述べましたこと、この資料でお示ししたことについて、今後の改善について大臣の方からお願いをいたします。
  89. 渡海紀三朗

    ○国務大臣渡海紀三朗君) この問題につきましては、衆議院で別の委員からも御指摘をいただきました。  過去、平成十六年に独立行政法人になるまではやはり国立高専として、国立大学も含めて、人事の一環として行われていたと私も思っております。そのことをまだちょっと引きずっているなという感じはないとは言いませんが、要は広く、今委員がおっしゃいましたように広い分野から多くの人材をリクルートするということ、これはそのとおりであろうと思います。今国立高専機構が基本的に人選をされておりまして、ふだんからどういう人材がいるかということは、かなり幅広く動いておられるようでございますから、そういった中で行っていただくのがやはりいいんじゃないかと。逆に言うと、今マネジメントは国立高専がやりゃいいじゃないかというふうにおっしゃったわけですから、要は、我々の方からこれをどうするとかいうよりも、そこの今やろうとしておられる努力、それに対して協力があれば我々も協力をしていくという考え方で、高専機構そのものが自分の考えというものをより広く広げていかれたらどうかなというのが率直な印象でございます。  個別にお答えをしていませんから、一つ一つお答えをすれば長くなりますので、現在のところ私はそのように考えております。  ただ、外形的に天下り的とか交流で、どういいますか、癒着をして行われるというようなことは厳に避けなきゃいけないというのが私の考えでございます。
  90. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 もう時間が参りました。  この大島さんが逮捕されたという事件をきっかけにいろいろ調べてまいりますと、本当に文科省、昨日の決算委員会でもやらせていただいたんですけれども、九八%以上、九九%以上の工事数が異常に多いというようなことも含めて、やはりたださなければいけないことというものは今後もたくさんあるだろうと思います。  また、高専の問題につきましても、今日は一つの問題だけを御指摘いたしましたけれども、調べているうちにいろんな問題というものを私も考えるようになりました。また次の機会にそういう問題については審議をさせていただくこととしまして、今日はこれで質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  91. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十一分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  92. 関口昌一

    委員長関口昌一君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  93. 義家弘介

    義家弘介君 自由民主党の義家弘介です。今回は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。  まず初めに、今回の文部科学省で起こった文教施設整備事業をめぐる汚職事件について御質問をさせていただきます。  これはともすれば教育行政の説得力を著しく傷つける重大な事件であったと認識しておりますけれども、今、現時点における文部科学省の具体的な対応、それから構造についての問題点の認識等、現時点における現状を是非文部科学大臣にお聞かせ願いたいと思います。
  94. 渡海紀三朗

    ○国務大臣渡海紀三朗君) このような事件が起こりましたことは、義家委員も御指摘のように、教育を行政としております我々の言うメッセージが非常にやっぱり届きにくくなるという面におきまして大変遺憾なことだと思っております。我々は信頼回復にまずしっかりと努めてまいる所存でございます。  委員の御質問でございますが、事件が起こりましたといいますか、我々が分かった時点で、私の直轄下に文教施設企画部とは業務のラインが違う総括審議官をリーダーといたしまして調査チームをつくりました。我々が行う調査というのは聴き取りが中心でございますから、おのずと限界があるということは御理解をいただきたいというふうに思いますが、同時に、この聴き取り調査を行うとともに、再発防止といいますか、この起こった原因というものを我々は今分析をいたしまして、これを検討させていただいております。  現在までに省内の幹部、それから文教施設企画部幹部OB等に対する事実関係を行いました。また、この文教施設部に関しましては、課長補佐級以上三十二名、この職員の中には倉重被告と面識のある者がおりまして、この中にはゴルフや会食の際に倉重被告と一緒になったことがあるとする者が四、五名いるということが確認をされております。  また、文教施設部長OB及び技術参事官のOB、合わせて十一名の中にはやはり面識のある者がおりましたが、この中にはゴルフや会合の際に倉重被告と一緒になったことがあるとする者が若干名いるということが分かっておるわけでございます。  その他省内幹部、文教施設企画部以外の課長級以上百七名について調査をいたしておりますが、これまでのところ、名前は聞いたことがある、倉重被告人の名前は聞いたことがある者はいたものの、面識があるという者は確認をされておりません。  また、国立大学法人等に対する調査もいたしております。一々詳細には申し上げませんが、現在までのところ、倉重被告人と面識があったり来訪を受けたりした大学職員がおり、この中にはゴルフや会食等の際に倉重被告と一緒になったとする者が若干名いるという状況でございます。  また、名前が出ております五洋建設又はペンタビルダーズ株式会社が受注実績を有する国立大学法人等について不自然な点があったと認められている事例は、我々の調査の中では確認をされておりません。  引き続き、我々は、まあ何しろ一方的な聴き取り調査でございます。これからまた被疑者とお会いできる機会、そういうものもできれば設けたいと思っておりまして、そういった中で事実を確定をしていくという作業をすると同時に、原因はいろいろ考えられると思いますが、そういったことを分析をして、再発防止、また信頼回復に努めていきたいと考えておるところでございます。
  95. 義家弘介

    義家弘介君 ありがとうございます。  まず、この問題についてはしっかりと分けた上で考え、その上で具体的な対策を出していかなければならないことだと思いますけれども、まず、個人の倫理の問題について、これの徹底、これは現時点では文部科学省は聴き取りができないということですけれども、職員全体の倫理に対する問題意識、それからこれは省庁全体の体質なのかどうか、こういう問題が起こることが文部科学省を含めた省庁全体の体質であるかどうかの精査、そして文部科学整備事業の受注、発注の決め方の構造上の問題、そういったことを一つ一つ分けながら具体的な対策を出しながら、一日も早い真相究明、そして具体的対策を出していくということを強く強く求めたいと思います。よろしくお願いいたします。  それでは、本題について移っていきますけれども、法律の内容についてお尋ねする前に、原子力をめぐる最近の国際的な趨勢も念頭に置きながら、基本的なことをまず最初に確認しておきたいと思います。  近年、地球温暖化を始めとした環境問題への関心の高まりや原油価格の高騰を受けて、世界的に原子力重要性が再認識されています。特に資源の乏しい我が国では、原子力発電を基幹電源として推進してきました。現在は、総発電電力量の約三割を占めるという電力供給の中心的役割を果たしています。  このように、原子力発電は我々の生活に今現在はなくてはならないものになっているわけですけれども、原子力は、発電以外にも放射線治療を始めとして様々な分野で活用されていると聞いています。  そこで、まず、我が国における原子力利用状況国民生活にどのように具体的に役に立っているのか、御確認させていただきたいと思います。
  96. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 原子力につきましては、発電分野において利用されるのみでなく、放射線利用などによりまして様々な分野研究開発の発展や国民生活の質の向上にも役立つものでございます。  例えば、午前中も申し上げましたけれども、医療分野におきまして、放射線の物質を透過する能力、それから細胞の殺傷能力、こういったものを活用いたしまして、エックス線、CTを用いた身体内部の画像検査でございますとか、患者に対する身体的負担が少ない放射線によるがん治療などが行われているところでございます。  また、農業分野におきましては、放射性同位元素放射線を使いまして、品種改良それから害虫防除などが行われておりますし、また、ジャガイモでございますか、食品に放射線を照射することにより、発芽防止、それから殺菌、殺虫を行うことにも利用されており、食料の安定供給にも貢献をしているところでございます。  さらに、工業分野におきましても、製品の厚さでございますとか、密度、水分含有量などの精密な測定や非破壊検査、それから材料の強度、耐熱性、耐摩耗性の向上などに放射線利用されており、様々な工業製品の性能向上に役立っているところでございます。  このように原子力は、電力はもとより、生活の多くの場面で利用をされている、役に立っているというふうなことが言えるかと思います。
  97. 義家弘介

    義家弘介君 農業分野にもこの技術を役立てていると、これは意外と国民的に見れば知られていないことでもあるわけですけれども、安全性を確保するとともに、その有用性についての発信、そういうものもしっかり行っていく必要もあろうかと思います。  しかし、その際に、でき上がった技術をそのまま海外から持ってくるというような安直なやり方ではこれからの厳しい国際競争の中では生き残ってはいけません。エネルギーの安全保障という観点からも、日本独自の研究開発、これに裏打ちされた技術を保有していくことが重要だと思います。  そこで、質問させていただきますが、原子力分野における研究開発の意義について大臣はどのようにお考えになっているか、是非お答え願いたいと思います。
  98. 渡海紀三朗

    ○国務大臣渡海紀三朗君) 今委員がおっしゃいましたように、エネルギーに乏しい我が国において安定的に、しかも安定的にという意味は、安定的な価格でエネルギーを供給するという意味で、まず原子力は大きな意義を持っております。加えて、今局長がいろいろと話をいたしましたような原子力の応用分野というのが、まあ応用分野というのはおかしいかもしれませんが、あるわけでございまして、そういったことを考えたときに、我々はこの研究をやっぱり強力に進めていかなきゃいけないというふうに思っております。  国際的に見ましても、様々な分野で、特にこのエネルギーの分野日本が持っております技術を海外に展開していくということも非常に役に立つことでございまして、地球温暖化という観点からは世界にも貢献をできるというふうにも考えておるところでございます。  このことは、これは委員の御指摘にもありましたように、日本が高い技術を自ら持っているということによって安定的に供給ができる、また国際貢献ができるということでありますから、我々はしっかりとそういった独自の研究開発というものを不断なく続けていかなければいけないというふうに考えているところでございます。
  99. 義家弘介

    義家弘介君 まさにそれを進めていく必要性を私自身も感じています。  今おっしゃられたように、原子力エネルギーの有用性については、原油価格の高騰、そして地球環境問題への関心の高まりも受けて、世界的にも再認識されています。例えば、最近の調査結果によると、本年一月現在、世界で運転中の原子力発電所は四百三十五基と、前年から六基増えて、合計出力は過去最高を更新したとのことです。また、建設中の原子力発電所の数も前年から増えているということで、このような原子力復興の動きを称して原子力ルネサンスなんというふうに呼ばれているとも聞いております。このような状況の中で、原子力分野の国際協力・協調も活発化していると伺っています。具体的には、先日のフランスの首相の訪日の際に、福田首相との間で、両国間の原子力協力を進めていく旨の共同宣言が出されたり、また日米仏の間でも高速炉についての協力が進められていると聞いています。  先ほど、我が国は独自の技術を持つべきである、独自の研究をしていくべきであると申し上げましたけれども、これは決して孤立していくという意味ではなくて、日本は国際社会の一員として協力していく、必要な協力はしっかりとしていくということも重要だと思います。  そこで、お尋ねしますが、原子力研究開発における国際協力に対してどのような姿勢で取り組んでいるか、そして今後取り組んでいくと考えているのか、お聞かせください。
  100. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 委員指摘のとおり、現在、地球環境問題、エネルギー問題を解決するため、原子力への期待が世界的に高まっているところでございます。原子力研究開発を担っております文部科学省といたしましても、平和利用、それから安全確保などを大前提といたしまして、原子力分野の先進国として、二国間、多国間、そして国際機関を通じた国際協力によって我が国の持っております知識、技術、そして外国の技術、知識の交流、それから共同研究等を実施をしているところでございます。  具体的には、今委員も御指摘になられましたけれども、次世代高速炉などの次世代の原子力システムの開発につきまして、フランスなどを中心といたしました国際協力の枠組みでございます第四世代原子力システムに関する国際フォーラムでございますとか、アメリカ、フランス等をやはり中心として、核不拡散を確保しながら、原子力の世界的な拡大を進める国際原子力エネルギーパートナーシップ、GNEPなどの構想に参画をして、専門家による意見交換等を行っております。  それから、高速炉に関しては、先日のあの日仏の首脳の会談の共同声明でもうたわれましたように、フランスやそしてアメリカと緊密な協力を進め、共同研究等を鋭意進めているところでございます。  また、昨年の国会で御承認をいただきました核融合の国際協力につきましては、将来のエネルギー源というふうに期待されております核融合について、我が国を含みます七極によるITER計画なども進めているところでございます。  さらに、アジア諸国におきましては、我が国が主導をいたしますアジア原子力協力フォーラムの枠組みの下で、放射線利用研究炉利用などの幅広い分野研究について協力実施しているところでございます。  このほか、国際原子力機関や経済協力開発機構などの国際機関での枠組みの下で、国際的な原子力研究開発シナリオの調査でございますとか、原子力研究開発に必要となります基礎的なデータ、計算コードの整備などの分野におきます協力も着実に進めておるところでございます。  文部科学省としては、今後とも平和利用安全性の確保、先ほども申し上げましたが、これを大前提に国際協力を着実に進めてまいりたいというふうに考えております。
  101. 義家弘介

    義家弘介君 この原子力開発、そして国際協力については、まさに日本がリーダーシップを発揮しながら進めていかなければならない問題であろうと思います。先ほど民主党の委員の方からも出ましたが、日本は世界唯一の被爆国である、そのことをしっかりと念頭に置きながら、原子力研究開発利用を厳に平和の目的に限ってしっかりと進めていく、そのリーダーシップを取るということが国際社会の中でも重要なことだと思っています。最近では北朝鮮の核開発の疑惑、それからイランの核開発問題など核不拡散に対する課題も散見されている現状です。是非とも、強いリーダーシップを持って国際協力を進めていっていただきたいと思います。  続いて、処分体制の整備についての質問に参ります。  今後とも原子力推進していくと考えた場合、避けては通れないのがこの放射性廃棄物の問題ではないかと思います。  ほかの産業活動と同様に、原子力についても様々な活動に伴って廃棄物発生しますが、特に原子力の場合は、その中に放射性物質が含まれるといった通常の産業廃棄物にはない特徴があることになり、その取扱いに最も注意が必要となるわけですが、現在このような放射性廃棄物のうち、原子力発電所等から発生する低レベルの放射性廃棄物については日本原燃株式会社が処分事業実施していますが、各種研究開発医療、工業、農業等の様々な分野から発生する放射性廃棄物については処分体制が整備されていないというものが現在の状態です。このため各事業所での保管を余儀なくされていて、その量は、平成十九年の十二月末現在、二百リットルドラム缶換算で約五十五万本にも上ると聞いています。  そこで、お伺いします。  現在、研究施設等の廃棄物処分場が存在せず、各事業所で長期にわたって放射性物質保管されていることにより、具体的にどのような問題が発生しているのでしょうか。
  102. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 委員今御指摘のとおり、大学研究機関などから発生をいたします研究施設等廃棄物につきましては累積で、昨年の十二月末現在で約五十五万本、ドラム缶換算で、貯蔵がされているわけでございます。  このうち、例えば廃棄物の大半を発生をさせております日本原子力研究開発機構の主要拠点におきましては、廃棄物量が保管容量の限界に達しつつあるなど、研究開発に支障を来すおそれが生じてきているところでございます。また、原子力研究開発機構以外でも、処分場がまだ存在をしていないということのために、既に事業をもう終了はしているんだけれども、過去に発生をしました廃棄物保管管理のみの継続を余儀なくされている例でございますとか、それから、老朽化いたしました施設設備の解体が困難となっている例などがございます。それらの事業者にとっては大きな負担になっているという状況でございます。  このために、今後ともこれらの原子力研究開発放射線利用を円滑に推進していくために研究施設等廃棄物処分体制の早急な整備が必要であるというふうに考えて今回の法律改正をさせていただいた次第でございます。
  103. 義家弘介

    義家弘介君 確かに、事業を終了したにもかかわらず保管のみの継続をしていかなければならないという現状の中で、新たなる取組を進めていくということは意義深いことであると思います。  そこで、法案の内容について質問させていただきます。  この法案の成立によって、研究施設等の廃棄物処分体制は具体的にはどのように確立されるのでしょうか、お聞かせください。
  104. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 今回お願いをいたしております原子力機構法の改正法案におきましては、一つは、対象となります廃棄物、先ほども申し上げましたが、発生量のほとんどを占めまして、そして技術的にも多様な放射性物質の取扱いの経験等を有しております原子力機構処分実施主体とするために、法律の第十七条を改正をいたしまして、原子力機構が自らの廃棄物と、それから機構以外の者からの処分の委託を受けた廃棄物処分することを本来業務に位置付けることといたしているところでございます。  それに加えまして、原子力機構処分業務を計画的、合理的に実施させるため、第十八条及び第十九条を設けまして、国の定める基本方針に即して原子力機構処分業務に関する実施計画を作成させ、国が認可をするというふうなことといたしております。  さらに、処分業務の独立性、透明性を確保するために、第二十条を改正をいたしまして、勘定の新設などによりまして処分費用を原子力機構のほかの研究開発費と分けて管理することといたしております。  これらの措置を講ずることによりまして、原子力機構処分実施主体とする研究施設等廃棄物処分体制が整備がなされるというふうなことになろうかと考えているところでございます。
  105. 義家弘介

    義家弘介君 ほかの教育問題と同様に、まず運用のための環境整備というものをしっかりとしていかなければならない、そのとおりのことだと思います。是非進めていただきたいと思います。  ただし、この問題に関しては、やはり安全確保に向けた取組、これが何よりも担保されていなければならないと思います。処分事業実施する上で特に重要なことは、やはり安全確保に万全を、もう万全を期するということです。それなくして地元の理解は到底得られないでしょうし、信頼関係も築くことはできないと思います。  本法案の成立によって原子力機構放射性廃棄物の埋設処分事業実施することになるわけですけれども、放射性廃棄物の性質上、埋設を行ってそれで終了というわけにはいかない。放射能が安全上問題のないレベルまで長期間の保管が必要となってきます。すなわち、処分場の操業期間だけではなくて、処分場を閉鎖した後も約三百年、三百年という長期にわたり安全を確保する必要があるわけですが、どのようにして安全確保を図っていくことになるのか、是非具体的に大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  106. 渡海紀三朗

    ○国務大臣渡海紀三朗君) この研究施設等の廃棄物処分につきまして、原子力安全委員会において既に処分実施をされております。これは、原子力発電廃棄物と同様の考え方によりまして安全が確保されるというふうに考えております。  すなわち、低レベル放射性廃棄物の浅地中処分ということについては、これは実績もあるわけでございますけれども、放射能レベルが時間の経過に伴い減衰して安全上問題のないレベル以下になるまでの間、しっかりと放射性廃棄物放射性物質が例えば地下水へ流入することなどをしっかりと防ぐということが重要でございまして、生活環境に影響を及ぼさないための措置を講ずることにより安全の確保を図るということを基本といたしております。  これらにつきましては、原子力安全委員会の考え方に基づく原子炉等規制法等の関係法令に基づきまして機構において安全の確保が図られるよう万全を期してまいりたいと考えておりますが、委員指摘のように、常にこれはそのことをしっかりと情報も公開し、また要請があれば説明もするということをやることによって国民の信頼にこたえていきたいというふうに考えているところでございます。
  107. 義家弘介

    義家弘介君 法令を遵守して安全の確保に万全を期して事業を進めていただくよう強くお願いいたします。  しかしながら、同じような低レベル放射性廃棄物の取扱いの実績は日本原燃にもあります。先ほど申し上げたように、既に廃棄物を埋設処分し始めているという実績も有しています。このように考えると、日本原燃が研究施設等廃棄物処分することも考えられると思うのですが、どうしてそうしなかったのでしょうか、お答え願いたいと思います。
  108. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 朝からの御質疑の中で発生者責任原則というのが何回も出てきておりますけれども、放射性廃棄物につきましては、発生者責任原則に基づいて発生事業者責任を持って処分を行うということが基本でございます。この原則に基づいて、研究施設等廃棄物については、今回の法改正によりそのほとんどを発生させている原子力機構処分実施主体とすることとしているものでございます。  一方、御指摘のとおり、日本原燃におきまして低レベル放射性廃棄物の浅地中処分事業平成四年から実施をしているところでございますが、これは発生者でございます電気事業者発生者責任原則に基づいて原子力発電所などから発生する廃棄物処分するために、日本原燃という会社を設立をいたしまして実施をしているというものでございます。当該処分事業につきましては、電気事業連合会及び日本原燃は、研究施設等廃棄物の受入れはいろんな環境条件の中で想定されていないというふうにしているところでございます。  国といたしましては、民間事業者でございます日本原燃に対して研究施設等廃棄物処分を強制することができないというふうに考えたところであり、今回の法改正原子力機構にやらせるというふうなことといたしたものでございます。
  109. 義家弘介

    義家弘介君 そのような考えの下であることは理解できましたけれども、続いて、処分における費用の確保の問題についてお聞かせ願いたいと思います。  原子力機構は、原子力基本法でも位置付けられているように、研究開発を総合的に行う我が国唯一の研究開発機関です。発生者責任原則に基づいて廃棄物処分を行うことは重要ですが、しかし、だからといって研究開発業務に支障が出るようなことはあってはなりません。特に予算面において、高速増殖炉サイクル技術開発やITER計画等を始めとした重要プロジェクトにこの処分の費用がかさむことによって支障が出るようなことがあってはならないと思います。  そこで、まず質問いたしますが、研究施設等廃棄物処分事業の中で原子力機構が負担すべき処分費用はどの程度と見込んでいるのでしょうか、お聞かせください。
  110. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) お答え申し上げます。  今回の法改正によりまして原子力機構が行うこととなります処分事業については、まずこれまで発生している廃棄物、それから今後四十年間、平成六十年度までに発生が見込まれる廃棄物を対象とするというのが当面の第一期の計画でございますが、その物量は、埋設処分が可能な廃棄体に換算をいたしまして二百リットルドラム缶で約五十三万本というふうに試算をしているところでございます。これらの廃棄体の処分を行うために必要な総事業費につきましては、処分場の建設でございますとか操業、それから閉鎖後の放射能が安全上問題のないレベルになるまでの段階管理など、処分事業実施に必要なすべての経費を合わせまして約二千億円と試算をいたしているところでございます。  廃棄物処分につきまして、先ほど来申し上げております発生者責任原則に基づきまして、自らの廃棄物処分に係る経費をその物量に応じて各々の事業者が負担をするということを基本にしまして計算をいたしますと、原子力機構につきましては約千七百億円の負担をするというふうなことになるという試算結果でございます。
  111. 義家弘介

    義家弘介君 今お答えいただいたように、原子力機構が負担することになる処分費用が千七百億円ということですけれども、このような多額の費用を一独立行政法人にすぎない原子力機構が負担するのは現実には厳しいのではないかと考えます。近年、ずっと右肩下がりの傾向が続いている原子力機構の予算にあってはなおさらだと思いますが、そこでもう一度お尋ねしますが、このように厳しい予算状況の中で原子力機構が負担する処分費用をどのようにして確保していくことを考えているのか、改めてお聞かせください。
  112. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 今申し上げましたように、原子力機構は今回の廃棄物処分場の事業を進めるに当たりまして約千七百億円の経費を負担をするというふうなことになるわけでございます。その処分費用を確実に措置をするとともに、ほかの研究開発活動への影響を極力少なくするために平成二十年度から毎年度計画的に積立てを行うというふうなこととしております。平成二十年度におきましては約四十三億円の積立てを行うことといたしておりますが、これは原子力機構の全予算の約二・三%ということでございますので、何とか他の研究開発活動に大きな影響を与えることなく事業を実施することが可能なのではないかというふうに考えております。  いずれにいたしましても、今後とも、廃棄物処分の事業も重要でございますし、また高速増殖炉もんじゅ」などの研究開発活動も重要でございます。選択と集中を図りながら、必要なプロジェクト、必要な事業に予算をしっかりと確保してまいりたいと考えております。
  113. 義家弘介

    義家弘介君 ありがとうございます。  研究開発と、それからそこから発生する廃棄物処分は言わば両輪であります。どちらも重要ですので、しっかりとバランスを取って進めていただくように要望しておきます。  この仕組みの前提にある総事業費はあくまでも現時点の廃棄物の物流調査に基づくものになっていると思います。このため、今後状況が変われば、実際に処分を行う際に必要な費用も大きく変わってくる可能性があるのではないかと考えています。過去の経験からすると、そのような場合金額が増える方向に変わるのが通例です。  今回、実施主体となる原子力機構のほかのプロジェクトについても大幅に総事業費が増えた例がございます。廃棄物処理事業についても万一同じような事態が発生し総事業費が大幅に膨らんでしまうということになると、原子力機構の負担分が増えて結果的に税金を追加投入することになってしまうのではないかと懸念されるところですが、この点について改めてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  114. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 低レベルの放射性廃棄物の浅地中処分につきましては、先ほど来御説明を申し上げておりますように、日本原燃株式会社が青森県の六ケ所村でもう既に事業を行っておるという実績もございます。そして、国内だけでなくて海外におきましても似たような施設の建設、運用の実績もございます。そういう意味で、新たな技術開発要素はほとんどないというふうに言ってもいいプロジェクトでございます。そういう観点から、将来総事業費が大幅に増える可能性は極めて低いのではないかというふうに現時点では考えているところでございます。  ただ、処分事業は非常に長期にわたる事業でございます。そういうことから、例えば物価変動などで事業費が変わるという可能性もございます。そういった要因を考慮に入れまして、必要に応じて処分実施計画を見直すということなどをいたしまして、合理的な費用見積りを行うことといたしたいと考えております。そういったことによって、物価上昇などによりまして総事業費が増加する場合には、その時点で原子力機構を含む全事業者に対して廃棄物の量それから種類に応じた料金改定を行いまして応分の費用負担を求めるということなどによりまして、国庫でもって過度の処分費を負担することにならないように措置をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  115. 義家弘介

    義家弘介君 国の財政状況も今後ますます厳しいものになっていくでしょうから、効率的な事業の実施に努めていただくよう強く要望しておきます。  続きまして、処分場の立地に向けた取組への質問をさせていただきます。  本法案によって原子力機構実施主体とした処分体制が整備されていくこと、それと実際に処分が適切に行われるかということはまた別の問題だと思います。実際に処分が適切に行われるためには、私が最も重要だと考えているのがやはり処分場の立地の問題に関してです。処分場の立地の選定に当たっては地元自治体や地元住民の理解が不可欠であるとともに、処分場の立地がその地域にとってメリットのあるものにしなければならない、それが必要だということは改めて言うまでもありません。しかしながら、実際にこれら立地活動を行うのは現実には容易ではありません。これは高レベル放射性廃棄物の例を見ても明らかです。  そこで、処分場の立地活動は原子力機構に行わせるのではなく、国が積極的に先頭に立って行うべきだと考えていますが、大臣のお考えをお聞かせください。
  116. 渡海紀三朗

    ○国務大臣渡海紀三朗君) 立地問題につきましては、これは午前中にもお答えをしたところでございますが、大変様々な意味から困難があると考えております。そして、その中でやっぱり国が果たす役割、これは国が一体となって行わなければいけない、一義的には発生責任からしましても実施主体となるこの原研が行うわけでございますが、実際上は一体となって国が行う必要があると考えておりますし、その意味でも積極的に国がその役割を果たしていきたい、責任を果たしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  117. 義家弘介

    義家弘介君 おっしゃるとおり、一義的には処分実施主体である原子力機構が考えるべきなのはそのとおりですけれども、やはりこういった重要な局面の中では国が前面に立たないと地元の理解を得られない、それはまさにそのとおりだと思います。是非、大臣も先頭に立って立地活動に精力的に取り組んでいただきたいとお願いいたします。  研究施設等廃棄物処分体制の整備は、廃棄物の累積、保管状況を考えればこれ以上は先送りできない喫緊の課題であります。本法案により原子力機構処分実施主体とする体制が構築されるのは大きな前進ですが、今後とも処分事業推進に向けた動きを止めることなく、その具体化に全力を尽くす必要があります。  そこで、研究施設等廃棄物処分事業に取り組む大臣の決意を改めてお伺いしたいと思います。
  118. 渡海紀三朗

    ○国務大臣渡海紀三朗君) 委員が御指摘になりましたようにもう時間が余りないわけでございまして、実施計画ができてから大体こう、基本計画策定からですかね、十年ぐらいというふうに午前中もお答えをしたと思います。そのことを考えても、これは遅滞なく我々は進めていかなければいけないと考えておるわけでございます。  これは研究開発という観点からも御議論をいただいたわけでありますけれども、そのことがスムーズに行われるためにもこのことは必要であるわけでありますから、我々としては、この法案を通していただければ、早急に様々な基本計画の策定、また実施計画を策定していただく作業等を進めまして、立地という動きに遅滞なく我々も積極的に行動してまいりたいというふうに考えております。また、委員各位の御協力もよろしくお願いしたいというふうに考えております。
  119. 義家弘介

    義家弘介君 力強い決意のお言葉、ありがとうございました。  研究施設等廃棄物を適切に処分することは、原子力分野研究開発、そのため、ひいては人類の福祉や国民生活の質の向上にも大きく寄与するものだと思います。私もこの問題には注目しておりますので、引き続き大臣のリーダーシップの下、しっかりと取り組んでいただくことを要望して、私からの質問は終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  120. 山下栄一

    山下栄一君 公明党の山下でございます。  今日午前中からの質疑とダブる部分もあると思いますけど、この法案については私が最後の質問者ということになっておりますので、まとめていろいろお聞きしたいと思います。  この法案につきましては公明党といたしましても大変強い関心を持ち、繰り返し問題点につきまして担当部局の方と意見交換し、そして、一生懸命その対応にも取り組んでいただいてきたところでございまして、感謝を申し上げたいと思いますが、そのときにもいろいろ提案させていただいたり問題提起したことを、改めて確認も含めて質問させていただきたいというふうに思います。  まず初めに、放射性廃棄物放射性廃棄物という同じ廃棄物でも、放射性廃棄物というのは環境省の所管ではなくて経産省並びに文科省の所管になっていると。全部同じところで一元的にしたらどうかなというふうなことも思うことがあるんですけれども、いろんなノウハウのごみですからね、廃棄物に対する意識ということについて、本当にこれ今も不安を持ったままでございます、特に放射性廃棄物。  特別管理廃棄物も含めまして、日本全国に不法投棄がおびただしくありまして、考えられない不法投棄が景勝豊かな国立公園の中にあったりとかいうようなこともございます。廃棄物を直視するということを怠りがちだというふうに、一番最後の部分ですので直視することが私は非常に大事だなというふうに思いまして、この問題はいろんな観点から関心を持ってきたんですけれどもね。  まずRI法、RI法という法律は文科省だけの所管だと理解しておりますが、この法律は昭和三十二年にできました。そのときに廃棄の観点、最終処分だけじゃないのかも分かりませんけれども、こういう観点は、昭和三十二年にできたときに、いずれこれ途中で減容したり減量したり、焼却というようなことは余りないのかも分かりませんけれども、どこかに埋めないかぬというふうなことは初めから分かっていたんじゃないかなと思うんですけれども、そういうことを想定した規定ぶりだったのかなと。四条とか七条とか、いろいろ廃棄に関する条文がありますが、途中で改正されたりしていますのでよく分かっておりません。  そういう意味で、廃棄にかかわる観点というのは今までどんなふうに法律上処理されてきたのかと。平成十六年は途中でやったのか、それとも元々そういう発想があって規定されておったのか、この点確認させていただきたいと思います。
  121. 森口泰孝

    政府参考人(森口泰孝君) いわゆる放射線障害防止法、RI法でございますけれども、この規制におきまして、その法律が制定された当時から廃棄という概念はございました。その具体的な廃棄の方法についてはいろいろ考え方として変遷ございましたが、基本的に法律制定時から放射性廃棄物を廃棄するということは規定をされております。
  122. 山下栄一

    山下栄一君 ちょっと今の答弁に関連して、この第四条の二の七号ですか、途中、時間の関係で省きますけれども、「最終的な処分(以下「廃棄物埋設」という。)を行う場合にあつては、次に掲げる事項」ということで、こういう事項を記載した申請書を廃棄業者は、廃棄業者ということですけれども、特に最終処分廃棄業者というか、その規定がこれに書いてある。これは初めから書いていたんでしょうか、途中で入ったんですか、これ。ちょっと通告していなくて申し訳ない。
  123. 森口泰孝

    政府参考人(森口泰孝君) 廃棄業者につきましては、法案の策定当初からございますが、埋設については、先ほどのその後のいろいろな処分の仕方の変遷という中で新たに設けられた規定になってございます。
  124. 山下栄一

    山下栄一君 ということは、途中の保管とか貯蔵じゃなくて、一番最後は最終処分、埋めるんだということは作ったときは想定してなかったんでしょうかね。要するに、廃棄業者の許可ですから、一般、民間の人がやるという前提ですよね、これ。ちょっとそれ、済みません。
  125. 森口泰孝

    政府参考人(森口泰孝君) 今先生おっしゃられましたように、いわゆるいろいろ変遷があったんですが、RI廃棄物については、当初はいわゆる海洋処分、海洋投棄ということを念頭に置いておりましたので、そういう中で事実上国際条約等でもその海洋処分が禁止になって、そういう中でいわゆる埋設ということの概念が出てきたということでございます。
  126. 山下栄一

    山下栄一君 ちょっとはっきりしませんけど、次に行きます。  経産省来ていただいておると思いますが、今日の議論にもありましたけど、商業用の電力、発電ですとかエネルギー関係、これは経産省の所管だと。そちらの方の最終処分に係る事業は、これはいまだまだ処分地決まってないと。特に、地層処分のところについては平成十二年から法律準備して体制をつくったわけですけど、これは結局どんなふうに理解したらよろしいんですかね。これは税金でやるという形じゃないですよね、これ。お金は、貯蔵施設も含めて全部基本的には税金じゃない形で最終処分施設を造るということになっていると思うんですね。  先ほど話あったように、浅地中処分については、これは全く民民でやっていると、六ケ所村でもう既に最終処分は何年前からかやっていると。地層処分のところは、まだ場所は決まってないけど法の仕組みはできたと。その実施主体は独法でもなくて特別の認可法人だと、NUMOという言い方されていますよね。  いずれにしても、この負担は税金ではやらないということが前提だと思うんですけど、経産省の方は大体そういう感じで考えられていると思う。ちょっとその辺説明していただけますか。
  127. 西山英彦

    政府参考人(西山英彦君) 今先生がおおむねおっしゃったとおりでございまして、高レベル放射性廃棄物の地層処分に関しましては、国がその法律を作り、今おっしゃった特別認可法人でありますNUMOと言われています原子力発電環境整備機構、ここが担当するということになっておりまして、その費用につきましては、電力会社が、発生責任者であります電力会社が資金をNUMOの関連の法人に蓄積しているという状況でございます。
  128. 山下栄一

    山下栄一君 今回は事業主体が独立行政法人だと。この独立行政法人にちょっと私また別の関心がございまして、これはちょっと難しいやり方だなというふうに今もまだ思い続けているんですけど、それも質問させていただきますが、まず、独立行政法人原子力研究開発機構に別勘定を設けてそこにお金を入れて、いつまで続くであろうか分からないようなそういう事業に税金も、結果的に税金投入するということになっていくので、これはきちっとした透明性のある公平な負担割合、先ほどから話ありましたけど、発生者責任原則を貫いて、そしてきちっとやらないかぬ、そうしないと国民は納得できないと、こういうことだと思います。  そういう意味で、まず、じゃ一体、長年の懸案ですよね、これ。最後のごみだけがちょっと決着付かぬままにずっと、放置されてきたわけじゃないんでしょうけど、問題意識持ちつつも決着が付かなかったと。やっと今年この法案が提出できたという、そういう意味では非常に大前進だと思うんですけれども、まず、これ既に議論済みなんです、確認させてください。  一体、たくさんの事業者があると、放射線を使った科学技術の発達によって私たちの生活、大変な恩恵を被っていると。がん治療もそうかも分かりません。様々な意味でこの放射線にかかわるものは大活躍しているわけです。しかし、その最終のところが、医療廃棄物も含めて、何かすっきりせぬという形になっていると。  全事業者が、民間もあれば独立行政法人も原研、この機構だけじゃないと思うんですけど、発生するところは様々な研究施設もあると。それが一体どれだけ現在この低レベル放射性廃棄物あるんだということがはっきりしていなかったということで対応していただいたわけですけど、そのことを簡潔にお願いしたいと思います。
  129. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 御指摘のとおり、午前中もお答えをさせていただきましたけれども、研究施設等廃棄物発生をさせます事業所数は総計で約二千四百事業所でございます。これにつきまして、早急にその現在量を把握せよというふうな公明党からの御指示等もございまして、この二月から三月にかけまして私ども調査実施をいたしました。この二千四百の事業所に対して調査票をお送りをして回答を得るというやり方で調査をいたしまして、昨年の十二月末現在で、二百リットルドラム缶換算で合計五十五万本が各事業所において保管をされているというふうなことでございます。
  130. 山下栄一

    山下栄一君 私そういうことを聞いたんじゃなくて、最終処分場を造るわけですから、ではどれだけの量を埋めないかぬのかと。これからどんどん出てくるけれども、今現在どれだけあるのかということは、これはきちっと掌握をしていないといかぬのに、きちっと掌握をしていなかったということだったと思うんですけどね。それをする仕組みをつくっていただいたと。これはもう当然やるべきことができていなかったと。アンケート調査というふうなやり方でやっていたと。  これはそれぞれの事業所保管しているはずだけれども、それをこっそり一般廃棄物で流していないかとか、そういう心配にならなかったのかなと思ってこの問題きちっと申し上げてきたわけですけど、それではいかぬということで、アンケート調査レベルではできないと。そうでないと、この施設の規模すら、どんなふうにして積算してその一千七百億とか二千億と計算したんですかと、現在処分量も掌握していなかったんですかということで申し上げたわけで、それについて仕組みをつくっていただいたと思うんで、そのことを私申し上げているわけです。
  131. 森口泰孝

    政府参考人(森口泰孝君) 今先生おっしゃられた点につきましては、文部科学省におきまして、放射性廃棄物の埋設処分実施に向けた体制整備ということの検討をしている段階で先生といろいろお話をさせていただいて、やはり法令に基づいてしっかりとしたそういう情報が集まる仕組みをつくるべきであると、そういうこともございまして、まず放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律に関しましてはその施行規則で、それから核燃料物質の使用等に関する規則のこの一部を改正をいたしまして、それを平成二十年、本年の三月三十一日に施行したところでございます。  具体的に申し上げますと、放射性同位元素の許可届出使用者、それから許可廃棄事業者に対しまして、放射線障害防止法施行規則を改正いたしまして、毎年度、放射性廃棄物の種類、数量、保管本数の報告を求めることとしております。これにつきましては三か月以内ということですので、今、逐次集まっているところでございます。  それから、核燃料物質使用者につきましては、保安検査が義務付けられていないために、法令に基づきまして、現在、放射性廃棄物の量等を把握できない一定量未満の核燃料物質使用者に対しまして、核燃料物質使用規則を改正いたしまして、毎年度、放射性廃棄物の種類、数量、保管本数の報告を求めたところでございます。これにつきましては一月以内ということで、既にデータが集まっておりまして、今整理をしているところでございます。
  132. 山下栄一

    山下栄一君 放射性廃棄物が、各事業所というのは民間もあるわけで、それがどれだけ出してどのように保管しているかということの監視がきちっとできていないところが、この廃棄物行政のどうしてもそこを直視しないということからきていると思うんです。今、四川省でこの放射性廃棄物の問題、また不安を広げておりますけれども、そういう仕組みがなかったということの問題点を、私は、何というのかな、きちっと思いっ切りこれはそういうことができてなかった、この法律作る段階でもできてなかったと。  PCBの保管が、これは各電力会社、自然に減ってしまったりなくなったりしているというようなことが大きな問題になりましたけれども、放射性廃棄物なんて国民にとっては物すごい関心事なのに、病院がちゃんとそれを、民間病院は経営どんどん難しくなっていますけれども、こういうのはきちっとして、運搬から保管から厳重体制でやらないかぬわけで、えらい金が掛かってしゃあないと、だから一般のごみと一緒になって捨ててしまっておるのではないかというふうなことの不安があったわけでございまして、そんなことちゃんとやっているはずだろうというふうな、そんな行政がされていたということは驚くべきことだということから、もうきちっと対応していただいて、二つの法律の規則改正をして、きちっと報告する義務を課して、毎年どれだけ出しているのかということの仕組みをつくっていただいたと。しかし、それは遅過ぎたんだということの自覚がないと、これからこの大変な最終処分するときの意識改革、そんなに簡単にできませんのでしつこく申し上げておるわけでございます。  この積算ですけれども、先ほどちょっと言いました発生者責任原則、これが本当に公平に各事業者が本来少量であろうとちゃんと負担して、そしてお金出し合ってつくるべきものだというふうに思うんですね。それがちょっと心配だということで、これも問題点として取り上げさせていただきました。嫌な質問しますけれども、もう確認の意味で、済みません。  もう乗り越えて、私も気持ちは乗り越えておりますけれども、この費用負担については外部積立方式でやるべきだと。今回の法案はそうなってないと。外部積立方式を提案したのは、この審議会の作業部会、研究所等廃棄物作業部会が、これもう二年前になりますか、十八年七月二十一日に提案したのは、それは排出業者が金出し合って、それで外部に積立てをして、そして負担割合を明確にしてやるべきだという形を取るべきだと提案したけれども、それはいろんな都合で難しいので、内部積立方式といいますか、原子力機構の中にそういう勘定を設けて、その代わり公平な負担ということで出してもらっているはずなんですけれども、それがちょっと本当に公平なのかということを分かるように説明をお願いしたいと思います。
  133. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 研究施設等廃棄物処分の費用の確保策につきましては、委員今御指摘ございましたとおり、科学技術・学術審議会の原子力研究開発に関する委員会の報告書、作業部会が作りましたものをこの委員会が承認をしたものでございますが、におきまして、長期にわたる資金の積立て及び支出が適切かつ確実に行われるとともに、資金管理の中立性、透明性を確保できる制度を構築することが望ましいとの考え方に基づき、拠出金方式又は外部積立方式を中心に検討することが適切というふうにされたところでございます。  しかしながら、先ほど来申し上げておりますとおり、大半の廃棄物発生者であります原子力機構におきましては、総事業費の約八五%を負担しなければいけないということで、二十年度から毎年度処分費用を計画的に積み立てることとしておりますこと、それから、第二の廃棄物保有者となります社団法人日本アイソトープ協会におきましては、RI廃棄物の集荷に当たりまして処分費用まで含めて料金の徴収を行いまして、既に資金の積立てを行っているということ、そして、それ以外の事業者につきましては、処分費用を積み立てておかなければならないほどの量の廃棄物が必ずしもあるわけでもないということから、各事業者の実情に応じた支払方法とすることが合理的ではないかと考えられることということから、拠出金方式や外部積立て方式のように一律に強制的な積立て義務を課さなくても、発生者責任原則に基づいて円滑に処分事業実施できるのではないかというふうに判断をいたしたものでございます。  またさらに、原子力機構の中に独立した勘定を設けて対応をいたしたとしましても、法律によります明確な区分経理、それから実施計画についての国の認可、監査法人や会計検査院等による財務諸表のチェックなどによりまして資金管理の中立性、透明性を十分確保できるものと判断をいたしたところでございます。  以上を踏まえまして、報告書の趣旨を可能な限り実現しつつ、最も実効性の高い方策として現行の案という形にさせていただいたものでございます。  なお、この考え方につきましては、今年の三月十日、原子力分野研究開発に関する委員会にも報告をし、廃棄物発生事業者の実情を踏まえると適切なものであるというふうな見解をいただいているところでございます。
  134. 山下栄一

    山下栄一君 次に行きます。  これも質問あったかも分かりませんけれども、原子力研究開発機構独立行政法人の法令遵守意識、これが心配だと。去年の六月に発覚した事故、事故を起こしたのはだけれども去年じゃないんですけれども、内部告発で発覚したと。この事故処理、事故処理というか、何でこんなことが放置されておったのかと、特殊法人時代に。というふうな驚くべき、私にとっては驚くべきことで、そういうことは職員間でそんな意識はなかったのかと。それは下請業者の人が内部告発したと。民間の人です。  この事故は、現在の理事長関係ないと。昔のことの話だけれども、区域外で核燃料廃棄物の汚染の、汚染水、水でしたか、あれ、跡が見付かって、何十年も前のことでしょうけれども、そうしたら、それ一つだけじゃなくてほかにもあったというようなことが。この処理の仕方が私はちょっと分からないんですけれども、この事故についてどんな責任の取り方をしたのかということの説明をお願いします。
  135. 森口泰孝

    政府参考人(森口泰孝君) まず、安全規制という観点から申し上げますと、これはいわゆる原子炉等規制法あるいは放射線障害防止法によって規制を受けているわけでございますけれども、両法律に基づきまして、規制を所管しております文部科学省といたしまして、その理事長に対しましていわゆる行政指導としての厳重注意を行っております。  あと、具体的な違反の中身といたしましては、一つは法律上のいわゆる許認可手続に不備があったということで、高速炉臨界実験装置それから定常臨界実験装置、過度臨界実験装置について、原子炉等規制法三十六条一項の規定に基づき是正措置を講じること、それから是正措置が講じられるまでの間、当該施設の使用を停止することと、こういう命令を下しております。  また、若干汚染が確認されているわけでございますけれども、これにつきましても法令報告を求めまして、その中で原因、再発防止策、当該汚染の計画的除去等に関する措置について報告を受けておるところでございます。これは規制上の措置でございます。
  136. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 原子力機構におきましては、本件の汚染にかかわりまして規制当局の方に何回かにわたりまして、なぜ起こったのか、原因の究明、それから再発防止策等について報告をしてまいったところでございますが、最終的な報告を今年の二月ないし三月に提出をさせていただきました際に、本件汚染については多くが昭和三十年代から四十年代に発生をした事象ということでございますので、汚染を引き起こした者は既に対象者全員退職をしているということから雇用関係を前提とした人事処分の対象とはできないというふうなことではございましたけれども、汚染の発覚、昨年発覚をしたときの当時の原子力科学研究所管理責任者ということで所長及び副所長に対して厳重注意処分を行っておるというふうに承知をいたしております。
  137. 山下栄一

    山下栄一君 それで、大臣にちょっと確認さしていただきたいんですけれども。  この原子力研究開発機構の事業の中で、規制を受ける法律は原子炉等規制法RI法、この二つの法律だと思うんですけれども、この法律の規制対象が独立行政法人だと。独立行政法人に何かいろいろな事故起きたり、問題点があった場合に、法律上の行政処分なり罰則なり、これは法律の規制対象なんだから、それは独法であろうとどこであろうと、当然処分したり罰則できると思うんですね、そういうふうになっているわけですけれども。しかし、それが独立行政法人だと。独立行政法人というのは、大臣の関与というのは極めて限定されていると。この辺がちょっと難しいなというふうに私は思います。ちょっと分かりにくい質問かも分かりませんけれども。  放射性廃棄物を扱うところというのは、国民は物すごく関心持っていると。今は「もんじゅ」の方も全部この独法が管理しているけれども、監督責任大臣にはないわけですよね。これは独法の性質上そうなっていると思うんです。だから、限られた関与しかできないと。何か起こしたからといって指導するいうても、まあ求めることはできるんでしょうけれども、直接処分なんか、それは解任とかはできるということ、伝家の宝刀はありますけれども、この辺がちょっと私は分かりにくいというか、正直にそう思っているんですよ。これ、大臣はどのように理解されるかなんですけれどもね。
  138. 渡海紀三朗

    ○国務大臣渡海紀三朗君) 法律上の解釈はちょっと政策局長に任せたいと思いますが、私の理解をしている限り、この原子炉等規制法とか放射線障害防止法、これは独立行政法人であるとかないとか、民間企業大学、国の機関、こういうものすべて規制対象でございますから、この規制対象である法人に対して行政的な指導やら注意を行うということはしなければいけないし、またできることであろうというふうに考えております。この法律の対象という意味ではそういうことになろうかと思います。  独法と従来の様々な形態、研究所等との違いというものを考えた場合に、今委員が御指摘のような疑問があるということでありましょうが、少なくとも、原子炉等規制法とか放射線障害防止法というものにおいては、しっかりと行政指導をしていくべき対象であるというふうに考えておるところでございます。
  139. 森口泰孝

    政府参考人(森口泰孝君) 若干補足させていただきますと、山下先生おっしゃっているのは、いわゆる独立行政法人通則法がございまして、この六十五条で、主務大臣は、独立行政法人又はその役員若しくは職員の行為がこの法律、個別法若しくは他の法令に違反して、又は違反するおそれがあると認めるときは、当該独立行政法人に対し、当該行為の是正のため必要な措置を講ずることを求めることができるとなっている点であろうかと思います。  これを、この法人の前身でありますいわゆる特殊法人時代にはいわゆる監督上必要な命令をすることができるとなっているので、この違いをおっしゃっていると思うんですけれども、ここで言うところは、いわゆる通則法において「主務大臣は、」となっておりますので、その主務大臣としての、通則法の体系下においては今申し上げたような「必要な措置を講ずることを求めることができる。」という範囲だと思いますけれども、これは、いわゆる別の規制、原子炉等規制法に基づく場合には、これは当然これとは別の問題としてできるんではないかと。  だから、具体的に分かりやすく申し上げると、例えばこの主務大臣、ある別のA省の独立行政法人でこういう何らかの問題が起きたときに、規制法を所管している文部科学大臣は当然ながら行政指導をすることができるわけでございます。そのA省の主務大臣はこの通則法に縛られると思いますけれども、というふうに考えると、で、それがたまたま一致しているんで分かりにくくなっておりますけれども、いわゆる規制法上の行政処分、厳重注意と、そういったことはできるのではないかなというふうに思っております。
  140. 山下栄一

    山下栄一君 これは原子力研究開発機構じゃないんですけれども、ちょっと関連して、ちょっとそれますけれども。  放射性廃棄物に対する管理のこの感覚が私は本当に弱いなと思っています。これはRI法に限定しますけれども、RI昭和三十二年から今まで、この五十数年の間にどんな事故があったんですかということを報告していただきました。  これはもう言いっ放しでいきますからね。紛失していると、放射性廃棄物が紛失してどこに行ったか分からぬと。こういうことは一つ、二つじゃありません、これ。それで、それどうなったんですかと、分からぬままですと。一般ごみとして処理した、これも名立たる研究所とか大学附属病院とかいうところがやっていると。そういう報告がされているんですね。私は、この廃棄物、もちろん、それは高レベルやったらこんなことはあり得ない、そういうことはひた隠しに隠すかも分かりませんけれども。こういう報告が平然とされていると。  一般ごみで一緒になって混ぜて捨てられていたと。これ大変なことじゃないかなと。大したことはない量ですとかというふうなことになっていくんですけれども、紛失してもどこ行ったか分からないというようなことで報告されていると。職員の人が被曝したというか、そういう例も、数多くと言うたら怒られますけれども、何件か報告されていると。労働安全衛生法上どんな処理をしたんですかと聞いてもすぐ返ってこないと。私は、この放射性廃棄物の扱いが非常に直視されてないなということを大変感じました。  それで去年の事故、ここにだけれども最終処分の事業主体としてゆだねるという、金額も、先ほどの話にありましたように、平成六十年までで二千億近い。それも増えるかも分からぬし、平成六十年でストップしません、もうずっと続く話です。それは途中で、だからもう、この原研、原子力研究法でその事業にするのをやめましょうかという話出てくる可能性も、こんなこと今から言うのは不謹慎ですけど。それぐらい私は危機管理とか法令遵守の、事故が起こるたびに職員の教育しますというようなことでやっていると、再発防止は。職員の教育って、そんなのやって当然でしょうと、起きてから一生懸命やっていると。そんなふうにして今日まで来ている。それは、だけど過去の研究所なり事業団の引きずっている今の組織があって、平成十七年でしたか独法化されているわけで。独法というのは、何遍も言いますけど、これは直接行政の権限が行かないところだと。日常業務についての、独立ですから、そこが移管になっていると、この辺が私は物すごく不安になっていく背景なんですけどね。  だから、去年の六月にこういうことが報告されたときには、もうこの機構で最終処分の事業をするということは検討されて結論も出ていた。それでもこんなことが、まあそれは過去のことか知りませんけど、こうやって報告されて、理事長が呼ばれて厳重注意を受けていると。その厳重注意を受けた法律の根拠はと言って聞いても、それは文科省設置法とかそういうことがあったのかも分かりませんけどはっきりしないと。  こうなってくると、私はスタートの時点に当たってよっぽど覚悟してやっていただかないと、この放射性廃棄物行政に対する不安というのはなくならないのではないかというふうに感じております。じゃ、だれが最終責任を取るんだと、今回の事業もそうです。先ほど義家さんも質問されていましたけど、選定、どこを選ぶんですかということは、国が先頭に立ってやれというたかて、そんな仕組みになっていないと。それはまあ法律上ないわけです、そんな規定、何にもないと。基本的には独立行政法人がやらなきゃいかぬわけで、というようなことを感じております。  何か、大臣、あります。
  141. 渡海紀三朗

    ○国務大臣渡海紀三朗君) 委員の御指摘の懸念がまずはなくなるように、十年間あるわけですからしっかりと体質を変えていかなきゃいけない。今までも、これは動燃の時代、それから核燃料サイクル事業団の時代から様々なことが指摘をされておりました。その多くが、分析をしますと、やっぱりある意味、体質に由来をするという分析もされていたわけでございますから、そのことが原研と一緒になってどう変わったのかと、こういうこともしっかりと検証しながら体制を立て直していかないといけないんだろうという思いを持って今話を聞かせていただいたところでございます。我々もそういうつもりでやっていきます。  それから、立地の問題は朝から何度もお答えを実はしておるわけでございますが、今までのケースからしましても、例えば動燃がやっていた人形峠の問題等につきましても、結局は、最後やっぱり国が出ていかないと解決しない。例えば、今の「もんじゅ」の問題がございます。これは国の研究開発でございますから一義的には原子力開発機構だけの責任ではないわけでありますけれども、実際、これを動かす、また様々な地域との調整ということになりますと、どちらかというと、むしろ国が主体でやっていることが非常に多いわけでございまして、そういった役割というのは、今後ともこの事業に関しても国がこの原子力研究開発機構と一緒になって行っていくべきものと考えておるところでございます。
  142. 山下栄一

    山下栄一君 基本方針、基本計画については審議会、また国民へのパブコメをやるということ、法律には書いてございませんけれども、それはこの委員会でも確約をされておるわけでございます。  お金の投入のことを確認させていただきますけれども、さっき四十三億円のお話がございました。今回の法案は予算関連法案じゃございません。どれだけ掛かるかということも、これはどこかに書かれるんですか、これ。五年間でこれだけとか十年間でこれだけとかというようなことは文部省令かどこかに書くんでしょうか、これ。お金の話です。
  143. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 処分費用を何年間でどのぐらいを原子力機構として積立て、そしてどういう事業に使っていくのか、そういったことについては、機構から基本方針を受けまして提出されます実施計画の中に具体的に明記をしていくというふうな形で今考えているところでございます。
  144. 山下栄一

    山下栄一君 計画ということは、機構が策定し、文部……
  145. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 認可をします。
  146. 山下栄一

    山下栄一君 大臣やったっけな、あれ。大臣が認可すると。そこで閣議決定しはりますからね、何やらと。  道路の計画は十年、五年ごとにチェックしましょうかということになっておりますけれども。これは、要するに、中期目標、中期計画のところでチェックできるという考え方でよろしいんでしょうか。
  147. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 御指摘のとおりでございまして、基本方針及び実施計画についてはより長期の実施計画を策定をするわけでございますけれども、それは中期計画、中期目標の中にも記述をされていくこととなりますので、中期計画、中期目標、評価を行う際にきちっとこれについても評価がなされるというふうなことでございます。
  148. 山下栄一

    山下栄一君 これは国会は関与しませんので、ここは関与しないけれども、投入されるお金は税金が大変な金額なっていくと。先ほど千七百億円、ちょっとこれ確認です、これは全額税金でしょうか。
  149. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) お答え申し上げます。  千七百億円につきましては、先ほど来申し上げておりますように、計画的に積み立てるということでやってまいりますが、国費を積み立てるというふうなことでございます。
  150. 山下栄一

    山下栄一君 全額税金ということなので、やっぱりこれは、何度もよう言いませんけど、もう大臣認可で国会の審議はかからないと。その根拠はどこから来ているんですか言われても、それ、そこそこしゃべったり示すことはできるんでしょうけど、いずれにしましても、基本計画、基本方針出す段階でこの件についてこの委員会なりどこかでやるしかないかも分かりませんけど、法律の仕組みがないので、これはちょっと不安だなということしか、意見を申し上げたいと思います。  あと二問だけ質問させていただきます。  一つは余裕深度処分の件ですけれども、いわゆる浅地中処分の次にレベルの高い放射性廃棄物についてはどうするんですかということは今後検討していくということの審議会の報告になっておりますが、この部分についても、機構が事業主体でこの仕組みを使ってお金の面も処置していくという、そういうことなんでしょうか。
  151. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) お答え申し上げます。  今回の法改正によりまして原子力機構が行うこととなります業務は、先ほど来申し上げてございます特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に基づいて、NUMO、原子力発電環境整備機構が実施することとされております地層処分など、非常に放射能レベルの高い放射性廃棄物を除きました研究施設等廃棄物の埋設処分業務でございます。したがいまして、研究施設などから発生をいたします余裕深度処分対象の放射性物質もこの機構が行う処分業務の中に含まれるということでございます。  したがいまして、現時点では第一期計画ということで浅地中処分の計画でございますけれども、今後、例えば原子炉や再処理施設等が解体されるというような時期になりました計画が具体化されていく中で、余裕深度処分についても事業計画の中に追加をしていくというふうなことで考えているところでございます。
  152. 山下栄一

    山下栄一君 どのぐらいお金掛かるかというようなことは答えられませんね。
  153. 藤田明博

    政府参考人藤田明博君) 現時点におきましては積算の数字はまだございません。
  154. 山下栄一

    山下栄一君 どれだけの量になるのかとか、推測こうだとか、これぐらいお金掛かりますとかいうことは専門家の審議等を経て決まっていくんだろうと思いますけれども、そういうことも追加でまた税金投入することになるということだけは指摘しておきたいと思います。  最後に、候補地選びの件ですけれども、これも繰り返し質問されておりますけれども、私よく分かっていないんですけれども、こういう、低レベルだからうちの自治体でどうぞというふうな立候補を考えておられる自治体もあるかも分かりませんが、これもう質問あったことでございますけれども、公平な立地選定をせないかぬと。ということは、事前に全部情報公開して、具体的な、どんなふうにして選ぶんですか、どんな手順で選ぶんですか、どこが決めるんですかということを明確にして、国民が分かるようにして、そしてこんなふうにして決まりましたということを明確にすることをお約束願いたいと思います。いかがでしょうか。
  155. 渡海紀三朗

    ○国務大臣渡海紀三朗君) 今日午前中の質問で、こういう場所ということを谷岡議員がまた読み上げていただきました。そういう点をきちっとお示しをし、実施計画の中において、今委員がおっしゃったような選定手順といいますか、選定基準といいますか、そういうこともしっかりと決めていきたい。また、これは、実施計画は機構が作るわけでございますから、求めていきたいというふうに思っております。
  156. 山下栄一

    山下栄一君 放射性廃棄物の最終処分地は、現在、レベル関係なしに、決まっておるのは浅地中の経産省関連の発電関係だけだというふうに思うんです。あとは一切決まっていないと。そんな中で、非常にみんなが心配しながらなかなか進まないという、そういうことを文科省そして機構が担うということ、大変な御苦労があると思うわけでございますけれども、しかし一方で、安心、安全、国民に信頼される原子力行政、放射性廃棄物行政を期待しておりますので、どうぞ心して御準備し、取り組んでいただきたいということを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  157. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  158. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政が破綻状態にある市町村の義務教育関係事務の国への移管制度の創設に関する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、総務大臣官房審議官御園慎一郎君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  160. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 財政が破綻状態にある市町村の義務教育関係事務の国への移管制度の創設に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  161. 西田昌司

    ○西田昌司君 自民党の西田昌司でございます。  まず、この法案を審議する前に、先日来、本当にお隣の中国の四川省で大きな地震が出たわけですけれども、ここでは大変、小学校なんかも壊れまして、非常に大きな被害が出ているんです。我が国におきましても、地震国でありますから、常にこの耐震化ということは我が党だけじゃなくてそれぞれの党から、これ党派を超えて耐震化ということが喫緊の課題として言われてきたわけでございますけれども、この地震、本当に身近なところで、目の前で起こったわけで、対岸の火事というんじゃなくて、まさに他山の石としてしっかりと治めていかなければならないと思うわけでありますけれども、この地震を受けて文部省の方ではどのようにこの耐震化推進を考えておられるのか、まず冒頭、このことだけお聞かせいただきたいと思います。
  162. 舌津一良

    政府参考人舌津一良君) お答えいたします。  学校施設の耐震化は、子供たちにとっても地域住民にとっても大変重要な課題でございます。現在、公立小中学校施設の全国平均の耐震化率は、昨年春の段階でございますけれども、十九年の四月一日現在で五八・六%でございます。  このようなことを踏まえまして、昨年十二月に政府として生活安心プロジェクトなどにおきまして、大規模地震により倒壊等の危険性が高い公立小中学校施設、これ現在一万棟あるということが判明しておるわけでありますが、これを今後五年を目途に耐震化を図るという方針を示しているところでございます。  文部科学省では、耐震化を速やかに進めるために、耐震診断実施及び公表につきまして地方公共団体に対し数次にわたり指導を行っておるところでございます。また、財政支援ということで、地震補強事業に係ります補助率につきましては、一般の改修に比べて三分の一から二分の一のかさ上げを行っておるところでございます。また、予算につきましても所要の額を計上しておるわけでございます。またさらに、地方財政措置につきましても、従来一部地域に限られておりました地財措置につきまして平成十九年度から全国に拡大しているところでございます。  今後は、危険性の高い建物につきましてはできるだけ早期に耐震化を図る必要があるということから、いろいろな対策を講じようというふうに現在考えておるところでございますけれども、なかなか地方公共団体の財政状況が厳しいということを踏まえまして、現在、補助率の話題がいろいろ出ておるわけでございますけれども、そういうようなことも踏まえまして、文部科学省としても耐震化の一層の推進に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  163. 西田昌司

    ○西田昌司君 この耐震化は本当に今日出席委員どなたも推進を言っているわけで、党派の対立というのは何もないんですよね。そして同時に、先ほど言いましたように、やはり日本自身が地震列島ですから、いつどこで起きるか分からないと。たまたまこの前の阪神・淡路大震災のときは学校が開いている時間じゃない時間でしたから直接的な子供たちの学校での被害というのはなかったんですけれども、中国の場合にはまともにそれが起こってしまったと。  だから、これは本当にいつ起こるか分からないので、とにかく一〇〇%すぐ早急にできるように、これやっぱりそういう大きな、向かいの国でありますけれども、ああいう災害が起きたことを真剣にやっぱり自分のことだとフィードバックして、是非ともこれは早急な対策を要望させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  それでは、民主党が提案されましたこの法案について質問させていただきますが、まず総論的なことからお聞かせいただきたいと思うんです。  この法律、財政が破綻状態にある市町村の義務教育関係事務の国への移管制度の創設に関する法律ということでありますけれども、そもそもこの法律を出された経緯、趣旨をまずお聞かせいただきたいと思います。
  164. 水岡俊一

    水岡俊一君 発議者水岡俊一でございます。  まずは私からお答えをいたします。  二〇〇七年の三月に財政再建団体となりました夕張市は、今後厳しい財政再建に取り組むことになりました。予算編成は困難を極めており、とりわけ教育に係る歳出額は、二〇〇八年度予算において再建団体への移行前と比べますと約五五%の大幅な削減となっています。そして、市内の公立小学校及び中学校を今後それぞれ一校ずつに統合することが計画をされています。  また、全国には財政が悪化し財政再生団体の指定要件を満たしそうな市町村がまだ幾つか存在をしており、今後も第二の夕張が出現する可能性も考えられます。  地方公共団体の財政再生は一刻の猶予を待たない喫緊の課題でありますが、義務教育にかかわる国の責任は、財政が破綻状態にある市町村の児童生徒に対しても当然果たしていかなきゃならないわけであります。  このような状況に思いをはせ、民主党は、発議者である西岡武夫議員、また鈴木議員らが二度にわたり夕張を視察をいたしまして、夕張の子供たちの学習権を保障するためにこの法案の土台づくりをしました。そして、子供たちが安心して学べるようにと文部科学部門が中心になり議論をして本法案を作り上げ、国会に提出をしたところであります。一回目は百六十六回通常国会、二〇〇七年六月十三日でありましたが、参議院へ法案提出を行いましたが、誠に残念ながら与党に無視をされまして審議未了、廃案となりました。二回目は今次百六十九回通常国会、二〇〇八年四月九日、参議院へ法案提出をしたところであります。  財政が破綻状態になった地方公共団体では、民主的手続によって義務教育に係る適切な教育環境を確保することが困難であると考えられます。市町村にこのまま任せておくとナショナルミニマムが満たされないおそれがあることから、本法案は、新たに義務教育関係事務の緊急移管制度を創設することにより、財政が破綻状態にある市町村の義務教育を国の責任において確実に保障していくことを考えております。  児童生徒一人一人が義務教育を受ける機会というのは、該当年齢を過ぎてしまいますと取り戻せるものではありません。そういった実態を見て見ぬふりはできないというふうに考えました。最終的な教育の責任を持つ国としては、何人たりとも見捨てることはできないと考えております。本法律案は、憲法第二十六条の教育を受ける権利の重要性にかんがみ、緊急避難的な措置として一時的に市町村から国へ義務教育に係る事務を移管するものであります。  以上です。
  165. 西田昌司

    ○西田昌司君 今おっしゃったんですが、具体的にはこれ夕張を想定していると、こういうことでございますね。それであと二、三、しかもそういうところがあると。これ具体的にどの辺のことを思っておられるのか、お答えできるのなら。しかし、お答えしていただくと、そのところがそんなことはないと言われるやもしれませんが、もし想定なさっているのならどこを思っておられるのか、それを是非お聞かせいただきたいのと、それと、この中には第二条に一定期間国に移管するというふうに書いてありますが、この一定期間というのはどういう期間のことを想定されておられるのか。それと、これは国の責任でするんだと、教育権の保障をするんだということをおっしゃいましたけれども、これどれぐらいの予算を、特に夕張なんかの場合、具体的に夕張とおっしゃっているんですから、想定されているんでしょう、予算。またそれから、これが国立化して、その人員も国家公務員となるんだと、義務教育に係る教職員は、そういう形言っておられますけれども、具体的にその場合どれぐらいの人数を思っておられるのか。まず総論として、そこまでまずお聞かせいただきたいと思います。
  166. 水岡俊一

    水岡俊一君 幾つか御質問がありました。  まず、どこかは想定をしているのかというお話でありますが、軽々な考えをここで申し述べると大きな問題となりますので、基本的には私たちはそれを答える立場にないというふうに思っております。  ただ、様々な情報から考えますと、今、実質赤字比率というマーカーだけじゃなくて、連結実質赤字比率というマーカーを使って二〇〇九年度には測るというような理解をしておりますので、そういった面から行くと、既に九自治体ほど挙がっているのではないかという情報もあるということを私たちは聞いております。そのことについては以上にしたいと思います。  それから、どれくらいの期間かということでありますが、これは地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づいている期間でございまして、これは、総務大臣の同意を得た財政再生計画を定めている市町村について、総務大臣それから文部科学大臣が指定する期間適用されるというふうに考えております。それは大臣が指定するということでありますから、財政再建の期間と同じかも分かりませんし、短くなるかもしれません。そういったふうに考えております。  以上、取りあえず私からは二つ。
  167. 西田昌司

    ○西田昌司君 予算と人員はどれぐらいと思っておられますか。
  168. 水岡俊一

    水岡俊一君 基本的にこの法案は直接的に予算を執行する法律ではありませんので、私がこの場で答弁として予算をお答えするのは適当でないというふうに思っております。ただ、全く想定をしていない中での話なのかということであれば、それはそうではありませんので、一つの指標として私たちが考えている数字を少し申し述べたいと思っております。  二〇〇五年度、北海道における公立小学校、それから中学校一校当たりの教育費を算出してみました。それによりますと、公立小学校が約二億二千二百万円、それから公立中学校が二億五千六百万円になります。これは北海道の小学校及び中学校の学校教育費総額、人件費も含めた総額、その中から寄附金を引いた額を学校数で割り算出したものであります。これが一応一つの指標として考えているということであります。
  169. 鈴木寛

    委員以外の議員(鈴木寛君) ちょっと今の予算の点を若干補足をさせていただきたいと思いますが、今申し上げましたように、小学校は約二億二千万円、公立が二億五千五百万円余ということなんですが、その内訳は、要するに国庫とそれから県費と市町村財政負担と、この三つに分かれるわけですね。  それで、現段階でも公立の場合は、小学校の場合は国庫が四千七百十五万円入っています。それで、大体県費はその倍ぐらいだというふうに思っていただいたらいいと思いますので、純然、この市町村、夕張市が負担をしてというかすべきというか、今もうしていないのでこういう法律を出しているわけですが、標準形で申し上げますと、市町村が負担している額というのは七、八千万円と、こういうことになるわけですね。  公立も同じ考え方で申し上げますと、約二億五千五百万余があって、公立学校の補助金は五千四百九十万五千円でございます、これ国庫補助がですね。県費が大体倍ぐらいでございまして、それを引きますと約一億円ぐらい、通常、市町村が単費で負担をするというのが大体のイメージでございます。  それで、夕張の場合は、これほっておきますと七校ある小学校が一校に、そして四校ある中学校が一校にと、こういうことになってしまいます。もちろん、こういう事情で財政再建が必要な団体になったわけでありますので、七校そのままということは考えてございませんが、私も地元に行っていろいろのお話を伺ったり、あるいは地域的な、何というんですか、地形とか道路状況とかを見ますと、やはり三校ずつ、要するに七校を一校じゃなくて、七校を三校、あるいは四校を三校というのが大体望ましいところでございまして、したがって、今申し上げました一校、小学校については七、八千万、あるいは中学校については一校一億円分ぐらい、これを小学校でありますと、国がやれば、今申し上げた三校分ずつぐらいの、ネットで申し上げるとですね、ということになるというふうにお考えいただければと思います。  これはもうお分かりだと思いますが、県費負担の部分はこれ今度国立になりますから、それは全部国が持つわけでありますけれども、一方で義務教育国庫補助金の分の北海道に行く分は減らしますので、ネットで申し上げると大体そういうイメージでお考えをいただければというふうに思います。
  170. 西田昌司

    ○西田昌司君 それで、今お話しいただいたんですけれども、今のお話伺っていますと、要するに、夕張で破綻して義務教育の負担がそのまま市町村では教育権が保障できないと、だからそれをやっていこうと、こういう趣旨ですよね、大体。  ただ、そのおっしゃる趣旨は分かるんですけれども、私は、現状の教育制度、また夕張が破綻になった経緯も含め随分我々と認識が違うところがありまして、その辺を含めてこの法案の矛盾点を指摘したいと思うんです。  まず、これは総務省にお伺いします。  今、夕張が財政再建団体になったわけですけれども、私はこれ聞いていますと、夕張の財政再建団体というのは普通の財政再建団体になった経緯と随分経緯が違うんですよ。いわゆる一時借入金はもう極端な金額ですよね、三百億円を超えるという、そういう借入れがなぜ可能になったのかと。普通ですと、逆に言いますと、これはそんなに大きな金額になる前にむしろ財政再建団体になり、もっと言えば、もっと早い段階で手当てできていますからこんな大騒ぎにならなかったはずなんですね。  ですから、その経緯をまずお聞かせいただきたいのと、そして今財政再建の計画が出されているはずなんですけれども、どういう形で今夕張自身がされようとしているのか、まずそれをお聞かせいただきたいと思います。
  171. 御園慎一郎

    政府参考人御園慎一郎君) 御質問いただきました夕張市の現状と、それから今どういうことをしているかということをお答えしたいと思います。  御承知のように、夕張は炭鉱町でございまして、炭鉱が閉山になりました。これに伴って人が減る、人が減ることによって税収が減ると、こういう状況、まあこういうことはどこでも炭鉱町であれば、日本中というか炭鉱の地域ではあったことでございますけれども、それに対応して行政サービスの水準等を見直すとか、それから組織のスリム化を行うとか、いわゆる行革努力というのをやっぱりこれは遅れていたと言わざるを得ないと思います。ちなみに申し上げれば、職員数でいっても標準的な団体の大体倍ぐらいあって、それが結果として人件費が非常に重たい負担となる。
  172. 西田昌司

    ○西田昌司君 ちょっとそういう質問じゃなくて、私がまず指摘しておきたいのは、要は、財政再建団体に指定されましたけれども、それが一時借入金、この問題が一番大きいんじゃないのかということですよ。それは、まさに言えば、これ会社でいえば粉飾決算ですよ。とんでもない話なんですよ。そこが一番大きな問題で、実はこの問題について、普通、粉飾決算会社ですればとんでもない話で、これは、その責任者、経営者は当然逮捕なり刑事責任、当然、これ訴追されます。そして、その中で財政再建やっていこうと、こういう話ですよね。ところが、夕張はそういう話になっているんですかね。そこをお聞かせいただきたいんです。
  173. 御園慎一郎

    政府参考人御園慎一郎君) 大変失礼いたしました。  前提としてそういうことがありますが、赤字が三百五十三億と多額になったのは、まさに委員指摘のように、観光事業等のいろんな事業に手を出した、それが思ったとおりいかない、思ったとおりいかなくて赤字が出たときに、まさに御指摘のように、会計間で年度をまたがる貸付け、償還というような不当な会計処理を、不適切な会計処理をしたことによって、その赤字が見えないまま、まさにもっと早い段階で手を打てば三百五十三なんかにならなかったのが、見えないままここに来てしまったということがあったということが原因で、したがって、こういう団体はそんなに、ほかのところはもっと早めに手を打っているわけですからこんなことにはなっていないということが現状でございます。  今どのような再建をしているかというと、御質問にあったことで申し上げますと、十八年度から三十六年までの十八年間という非常に厳しい期間の中で、市を挙げて償還計画を立てて、歳入歳出の徹底した見直しを行っていくということをしているところでございます。  具体的に言わせていただきますと、歳入でも税率、市民税でいっても制限税率いっぱいに取る、いただくように市民にも負担をお願いするとか、それからごみ処理みたいなものはこれは手数料なかったようでございますが、そこでそんなのも遅きに失しましたが、これもやるようにした。それから、行革もいろんな努力をして、事務事業の抜本的な見直しだとか、それから観光事業は指定管理者に渡す、あるいは病院も診療所に落として公設民営にするとか、様々な努力をしているところでありますが、大変厳しい状況の中で努力をしていただいているというふうに認識しております。
  174. 西田昌司

    ○西田昌司君 それと、もう一つだけちょっとお聞きしますが、これ財政再建今しているのは平成十八年から平成三十六年ですか、期間。間違いないですね。この十八年間にわたってやると、やっているということですよね。そうすると、今この夕張の話を前提とされているんでしたら、大臣の指定ということですから、そうなったというわけじゃないんですけれども、十八年間にわたって、十八年間にわたってこの義務教育の小中学校を国が国営でするということ自体果たしていかがなものかなと私は思います。それはまた後で指摘しますが、まずそういう問題があります。  それから、文科省にこれはお聞きしますが、先ほどからこの夕張の話で、要は義務教育が立ち行かなくなっているんだと、こういう御指摘があるんですけれども、私は、そうじゃなくて、そもそも、提案者からも話ありましたけれども、要するに、義務教育の経費については、これは基本的に道と国がその大半を持っているわけなんですよね。ですから、本来こういう財政再建団体になっても義務教育だけはちゃんと担保できるように、元々そういう制度の仕組みになっていると思うんですよ。  ですから、そういう意味でいいますと、夕張が今財政再建団体になったということでありますけれども、それがために直接的な影響は出ないはずになっていると思うんですけれども、文科省のこの見解をお聞かせいただきたいと思います。
  175. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。  義務教育につきましては、憲法の要請に基づき、全国すべての地域におきまして一定水準の教育を確保し、教育の機会均等を図ることが重要でございます。このため、市町村の財政力によって教育の格差が生じることのないよう、現行制度におきましては、義務教育費の大半を占める教職員給与費につきましては国と都道府県の負担でその全額を保障いたしておりますとともに、授業料の無償や教科書の無償給与などにより憲法第二十六条に定める教育の機会均等を担保しているところでございます。  市町村の財政が破綻したからといって、義務教育の根幹に直ちに重大な支障が生じる仕組みとはなっていないところでございます。
  176. 西田昌司

    ○西田昌司君 今局長の方から答弁あったとおりだと思うんですね。  ですから、これは夕張を支援したいというお気持ちは私も分かるんですよ。分かるんですけれども、そもそもこの法律を作ることの意味が果たしてあるのかということをまず御指摘させていただきたいと思います。  そして、その上で、これ個別にちょっといろんな条文の質問をしますが、逆にこの法律がもし通ってしまうととんでもない様々な問題が出てきますので、そこを私指摘したいと思うんです。  まず、これは第七条になるんですか、第七条で、国に移管された義務教育関係事務の処理は、適用市町村が財政再建団体となる前の小学校及び中学校に係る教育環境を確保することを基本としつつと、こう書いてあるわけですね。ということは、今ちょっとお話しになりましたけれども、元々これは小学校が七つ、中学校が四つでしたっけ、ありまして、今統廃合の話がされていますよね。しかし、今提案者はちょっとそれが三つというような形でおっしゃったような気がしますけれども、そもそも移管される前のその教育環境を確保しつつということでしたら、そのまま前の七つ、四つの体制を守るということを意味しているのかなと私は思ったんですけれども、それと違うことをおっしゃいましたね。だから、ここに書いてある意味は一体どういうことなんでしょう。  その今おっしゃった話によりますと、市の財政再建の方では、これはそれぞれ一つにするんですよね。一つにするのが市の方針なんですよ。それを国立化することによって前の環境にするという、前のまま担保するというんでしたら、そのまま前の七つ、四つの体制を担保するんだと答えられるのならそれはそれで私分かるんですけれども、そうじゃない答えされましたね、今。それじゃ、その三つに決めるというのは、今民主党の方が言われているけれども、住民の方がおっしゃっているんですが、大体、その基準は一体どこから出てきたんでしょう。そもそもそれがおかしいんじゃないかと。  つまり、本来、この今やっている、財政を立て直ししているまさに現場の夕張市では、一つ一つでいいと言っているわけです、やっていくと。それを無視してそういうような提案ができるものなのかなと。ここのところ、いかがお考えなんでしょう。統合についてどう考えておられるのか。
  177. 水岡俊一

    水岡俊一君 お答えします。  第七条に書いてございますのは、二行目に「適用市町村の住民の意向に配慮し、」ということでありまして、西田委員も今その点はとらまえておっしゃっていただいたものというふうに思っております。  住民の意向というのは一体どういうことかということからひとつお答えをいたしますと、例えば小学校、中学校の統合の件に関して言えば、住民の中にいろんなお考えがあるわけですよね。統合ということについて反対だというふうにおっしゃる。例えばそれは、少人数の学校でもいいから近くの学校に通わせたいという保護者の方々もあるかもしれない。しかし、少人数では社会性が育たないからこれはやっぱり統合して大きな学校にしてほしいという意向もあるかもしれない。そういったことをつぶさに住民の意向を聴いていきながら最大公約数的なところを探していくというのが本当の姿だろうというふうに思っております。  その中で、じゃ、小学校は住民は一校でいいと言っているじゃないかというお話が今ございました。これは実は破綻に陥る前に、財政再生団体に陥る前に実は市の方の考え方は三校であったというふうにお聞きをしております。その辺りは鈴木の方からまたフォロー、カバーをしていただきたいと思いますが、そういった中で、実際には財政再建団体になったときに、財政再生計画の中ではもう一校にして極力予算を縮めていくんだということがそこに盛り込まれた。ですから、いや応なしに一校にされたんではないかというふうに私たちはまた考えるところであります。  とりあえず私の方から。
  178. 西田昌司

    ○西田昌司君 いや、これ、夕張の再建の話がされていまして、要するに今現状が七つ、四つのを三つにという話されましたけれどもね。要は、それは夕張自身が、夕張市の住民自身が、今再建していこうと思うとこれは前のときの体制ではできないと。国がこうせいとか、ああせいというよりも、また民主党がどうせいというんじゃなくて、自主的にこれ決めてこられているわけですよね。  再建団体になる前までは三つだというふうにおっしゃっているけれども、実は今一番大事なのは、この財政再建していきますと、三つになるというふうにおっしゃっているけれども、その後、これ十八年例えばたって平成三十六年になったときに、じゃ本来、今財政再建で一校にしていこうと思ったのに三校体制にしましたら、その分の負担は非常に大きなものになってくるんですね、これ。つまり、今民主党の方は一挙に減らすよりも三校でいいような話をおっしゃっていますけれども、これは財政再建し終わった後が大変な負担出てくるわけですよ。  ですから、それはそもそもそういうことも含めて住民が、自分たちの町自身がどうやってやっていけるのかということでこれ一校という話にしているんですからね。それを、今のをそのまま持っていくというならまだ分かるんだけれども、何か我々にとっては根拠のない数字で、民主党案という形で三校だというふうに私は理解しておりますけれども、これはどうか、いかがなものかなというふうに思います。  それともう一つ、六条に国立化ということで、要するに文部科学大臣がこの事務処理をすると、つまり国立化ということを言っておられるんですけれどもね。先ほど言いましたけれども、そもそも、今現在の財源的に言いますと、義務教育に関しては国と道がこれ大半持っているわけでございますからね、そもそも国立化にする意味が果たしてどこにあるのかということなんですよ。  そして、国立化していくときに様々な問題で、例えば「義務教育関係事務の」ということでありますから、教職員だけじゃなしに、その義務教育の関係をする市町村の職員も当然その義務教育関係の対象になりますよね。そうしますと、学校の先生だけじゃなくて、教育委員会の中のある特定のその担当者が今度これ国立になってきますと国の公務員だという形に当然なるわけですよね。そうなってきたときに、一体その人はどこから呼んでくるわけですか。国から要するに市の教育委員会のうち小中学校担当の委員として派遣するのか、それとも、たまたま今までされていたその担当者を今日から指定団体になったので、財政再建の間は、今度は国家公務員としてやりなさいと、こういうことになるのか、これちょっと意味が分からないんですよ。それは、そういうことはどういうふうに考えておられるんですか。
  179. 水岡俊一

    水岡俊一君 先ほどから幾つかございますので、順に答えたいと思います。  一つは、一校が住民の意思ではないかというお話でございました。それで、先ほど御説明をいたしましたように、民主党の方で現地に参りましてヒアリングをいたしました。そのときに出てきた一つの意向として三校という数字があったので、そういったものを一つ私たちは考えているというふうにお答えをしたわけであります。ただ、この法律を成立の暁にはどういったふうに進めるかというのは、これは改めて住民の意向をきちっと酌み取らなきゃいけないというふうに思っておりますし、そのときに一校というのが本当に住民の意向であるならば、それはそうすることになろうかというふうに思っております。  ただ、私は学校現場にいた人間として思いますのは、七校あったものを一校に統合するということであれば、大規模改修をするというようなお話がございましたし、そういったことでいろんな経費的な面で三校、例えば三校であるとか四校に統合することと一校に統合することがどちらが経費が安いかという問題はよくつぶさに検討しないといけないというふうに思っております。  それから、スパンが長いわけでありますから、そういったスパンの中で新たな統合計画も出てくるかもしれません。それはなぜならば、子供の数を年次的に見ていく中でどういった統合計画が妥当なものかということはやはり検討をきちっとしていかなきゃいけないと、こういうふうに思っております。  それから、国と都道府県が大半を持っているのでここで国立化にする意味があるのかというお話でありました。  実際には人件費の部分でいえばそうですね、その点についてはそのとおりだというふうに思っております。ただ、子供たち、児童生徒にとってみれば学校という施設にかかわる部分というのは非常に多うございますね。そういった学校施設というのは設置者の責任によって建設をし運営をされていくということから見ると、市町村の影響が非常に大きいというふうに思っております。だから、ここの部分で国が関与をしていかなければ実際に建物を健全な状態に保っていくというのは難しい部分が出てくるのじゃないか。これは西田委員が先ほど御指摘になった耐震構造にしていくということが求められていたとしても厳しい財政計画の市町村の財政の中ではそれは無理だと、あるいは順位が、プライオリティーが後に回っていくというようなことになれば子供の安全を確保することはできないということになりますので、国が関与をするという意味は非常に大きいというふうに思っております。
  180. 鈴木寛

    委員以外の議員(鈴木寛君) ちょっと幾つか補足で情報を御提供申し上げた方がいいかと思いますのでお話を申し上げたいと思います。  先ほど、夕張以外にどういうところがあるのかというところで、提案者水岡委員からの御発言がちょっと途中になっておりましたが、もう一つ、実質公債費比率という手法もありまして……
  181. 西田昌司

    ○西田昌司君 その話は、私の質問したことに先答えてください、それはいいですから。
  182. 鈴木寛

    委員以外の議員(鈴木寛君) いや、ですけれども、そもそもこれは夕張だけなのかという誤解があるので、これは夕張だけではございませんということをきちっと御理解をいただきたいので御説明を申し上げています。
  183. 西田昌司

    ○西田昌司君 質問時間は私に与えられているんですから、私が言った質問に答えてくれればいいんですよ、今言っていることは。
  184. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 委員長の指示を受けて答弁また質問をしてください。
  185. 鈴木寛

    委員以外の議員(鈴木寛君) であれば、子供に罪はないということだけ御理解いただきたいということでお答えをさせていただきます。
  186. 西田昌司

    ○西田昌司君 まず私が聞いたのは、総論で聞きまして、その中で今各論で夕張の話をしていますから、夕張の話を答えてください。それで、その上で私が今言っているのは、国立化したときに今言いましたように国家公務員になるんですねと、そのときに教育委員会の中で義務教育担当の職員も当然国家公務員となるということですねと。そのときに、じゃそれは、その人はどういう方が具体的になるんでしょうかと。例えば今いる人がそのまま国家公務員となるのか、それは今の教職員も多分そうだし、そうなんだろうと思いますね。そうなのか、それとも国が直接派遣することを思っておられるのか、まずこのことをお聞きします。
  187. 水岡俊一

    水岡俊一君 教育委員会、いわゆる教育委員会というのは広義的な意味でいえば教育委員会事務局を含んでおりますので、今、西田委員のおっしゃっているのは、教育委員会事務局のスタッフが、つまり学校、義務教育にかかわっているスタッフを国家公務員とするのではないかというお話だったと思います。  それも一つの方法だというふうに思っておりますが、この法案ではまだそこまで決めておりません。実際には、国立としたとしても現地にそれの対応できる部署をつくらなきゃいけませんから、そういったときに市町村から職員を出向させていただくとかいうようなことは検討する課題だというふうに思っております。
  188. 西田昌司

    ○西田昌司君 それと、今、だから具体的なことは決めてない、分からないと、こういうことですよね。だから、具体的なことを是非考えた前提の上でこれを提案していただきたいなと思うんですよ。  私が言いたいのは、なぜこういうことを言うたかというと、もし今言いましたようにスタッフとして国が派遣するんであるならば、文字どおり国立化なりますが、しかし、果たしてその人が現場のことを、今までずっとその地元にあった人間じゃなくて国がやってきて、果たしてそれが全うできるのかというのは非常に疑問に感じます。  逆にですよ、逆にそのままの人間がそのまま国立の職員だといえば、何の形式も変わらないわけなんですよね。つまり、国が負担しているだけの話なんですよ、それは、財政的な話でいうと。そうなってくると、今と何も変わらないじゃないですかと、私が言いたいのは。つまり、地元で混乱を起こすだけで何も変わらないわけですよ。  そして、もっと問題なのは、皆さん方、人件費分は確かにそうだけれども、学校施設費とかそれは市がやっているんですよと、まあこういう話でおっしゃるんですけどね。確かにそうかもしれないけれども、しかし夕張は一体、実際どうなんですか。独自財源あるんですか。そもそもが非常に財源的に厳しくて交付税でこれやらなきゃならないんですよ。ということは、その分で、これ国の国立化なってしまいますと、反対に要は地方交付税が減るだけなんですよ。だから、プラスマイナスしたとき、本当に夕張の役に立ちますかと。  皆さん方の具体的な提案をこれ見ても、結局は具体的なこと聞くとそこまでは考えていませんということになるし、しかし大枠の仕組みで、今現行の制度がある中でそのことと損得関係を考えてみましても非常に無理があるんですよ。つまり、意図されていることは、私も困っておられるのなら助けてあげようと、これは分かりますよ。政治家として当然ですよ。しかし、実際問題はこの法律を通したところでプラスにならない、むしろマイナスになるんです。何がマイナスかというと、現場が非常に混乱してしまうわけですよ。  もっと一番大きな問題は、例えばこれ人事異動どうするんですか。今でしたら、これ県の教育委員会の人事異動で全部回っていけるんですよ。ところが、国立化しました、文部大臣が全部処理しますということでやってしまったら、この職員は十八年間ずっとここにいるんですか。そんなばかなことしてできますか、これ。それはかなりむちゃくちゃで、多分これ、これもお尋ねしますが、恐らくそこまでは考えていませんとか、そういう話じゃないんですかね。  だから、そこは、私は言いたいんだけれども、要は現実問題、今やっている制度で何が一体不備があるのかというと、ほとんど不備がないんですよ。むしろやらなきゃならないのは、ほかのこれは措置なんですよね。つまり、一般的な財源として夕張を支援する方法はないのかと。本来議論するのはそちらの方なんですよ。義務教育に関しては、元々今の制度できちんと手当てされているわけですよ。だから、本来、皆さん方のその意向を私が酌んでもし提案するとするなら、一般的な財政支援ができる仕組みにすべきなんですよね。  ところが、ところが問題は、この財政再建団体に何でなったかというのが一番大きい問題なんですよ。つまり、この財政再建団体になった理由というのが、先ほど私言いましたように、一般のこの財政再建団体の理由と違うんですよ。当時の市長さんが非常に無理な行政をしてきたと。本来でしたら予算を組めないんですよ。予算を組めずに、新たな事業ができずに、財政再建団体にとうの昔になっているんですよ。ですからこういう事態は起こらない。  先ほど、あと幾つかこの財政再生団体、今度新しい制度としてこれを連結決算するとそういうことも出てくるかもしれないとおっしゃっているけれども、しかし、そういうところは恐らく、もし財政再生になったとしても、この夕張のような巨額な一時金が基になって借金になると、つまりその赤字がこれだけ膨らむということは普通考えられませんよ、これはね。考えられないし、もっと言えば、そういうところがもし仮になっても、今言いましたように国の制度で、今制度上義務教育は国が持っているんですから、道と国がね。施設の方についても、結局交付税措置されてきているんですから、大きな被害を受けない、これは。だから、議論している方向が私、随分違うと思うんですね。だから、そのところはやっぱりこれは指摘させていただきたいんですよ。  そのことを私は指摘すると同時に、今回のこの提案の中で、やっぱりかなり無理がある、非常に無理があると。無理があって、私自身は、このままやっていきますと、結局は現場で混乱するということになってしまうと思うんですね。ですから、提案者に一つだけお聞きするのは、人事異動をどういうふうにするつもりでいるのか、それだけ教えてくださいよ、じゃ。
  189. 鈴木寛

    委員以外の議員(鈴木寛君) 幾つか全然前提の御理解が違うんですよね。それをだけど答えようとするとまた阻まれますからね。そういう指摘だけするのは良くないということを申し上げますが。  人事異動は、これも御存じだと思いますけど、霞が関に、あるいは国立の研究機関とかにどれだけ県の職員とか市町村の職員が一時的に来て、国家公務員の身分になって、そして戻っていっていますか。それと全く同じことをやればいいんじゃないですか。私も国家公務員でした、それで地方公務員でした、また国家公務員に戻りました。そのことをやるということですね。  そのときの考え方は、極力現場に混乱を、支障を来さず、人事的にもですよ、それから財政的にも工夫をして、なるべく国庫の支出を抑えながら、ただ、先ほど申し上げましたけれども、私も西岡先生と一緒に現場へ行きましたけど、財政再建計画ができている段階では、これは住民の意向は無視されて一校になっているんです。  どこがいいことがあるかといったら、もう端的ですよ、一校になるところを三校にできるというか、三校残せるということ、三校以上残せるということです。そのことに伴う経費はもちろん節約しますけれども、その間に、先ほど結局一番最初の過剰な財政負担のお話ありましたけれども、長野県の、先ほど申し上げました公債費比率が高い三つの中に、長野県、一つあります。かなり夕張と似ています。これはスキー場の過剰設備です。ですから、この長野県のある件についても、もう既に基準であります三五%を上回っておりますので、こういったことはケースとして想定し得るということで今回の法律を出しているわけでありますので、そこのところは御理解をいただきたいと思います。
  190. 西田昌司

    ○西田昌司君 そもそも財政再建をするということがどういうことかということがお分かりになっていないと思うんですよね。つまり、財政再建すると……
  191. 鈴木寛

    委員以外の議員(鈴木寛君) 財政再生計画の作り方、分かっていないんですよ。
  192. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 委員長の指名を受けてから発言をお願いします。
  193. 西田昌司

    ○西田昌司君 あなた、今は私の質問時間なんですから。財政再建するということは、これから借金を返していくということですよ。
  194. 鈴木寛

    委員以外の議員(鈴木寛君) だったら、ちゃんと答えさせてくださいよ。
  195. 西田昌司

    ○西田昌司君 だから、あのね、私が質問しているんだから。
  196. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 質疑者、発議者に申し上げます。委員長の指名を受けてから発言するように。
  197. 西田昌司

    ○西田昌司君 ちゃんとルール守りなさいよ、あなた。  あのね、問題は、ちょっと次、文科省と総務省にお聞きしますが、今こういう形でおっしゃったんだけれども、例えば三校の話を非常にこだわっておられるんですけれども、一校じゃなくて三校だと。それは民主党さんの御意見で、そう言われるのはそれはそれとしておいて、仮に三校になったときに、これ財政再建するのが平成三十六年までの間これ掛かっているわけですよ、今から十八年、二十年近く後になりますが。そのときに、夕張、そもそも今の人口が幾らで、これから先の財政再建上今想定している人口幾らになっているのか、ちょっとお答えいただきたいと思います。
  198. 御園慎一郎

    政府参考人御園慎一郎君) 今すぐに数字が出なくて恐縮でございますが、少なくともこの財政再建計画がスタートしてからの一年間で見ても、人口の減少率というのは予定したよりも速いスピードで進んでいるという状況でございますので、いずれにしても今の人口よりも少ない中で、減っていく中で、減少していく中での再建の作業をしていくということになるというふうに思っております。
  199. 西田昌司

    ○西田昌司君 私も今資料がちょっとあれなんですが、今審議官おっしゃいましたように、要するに今人口が一万人ちょっとですよね、一万何千人。それがその半分以下になってくるはずですよ、提案者も御存じのようにね。そうしたときに、今で七校あるやつが一校にしていこうという形でこれやっているわけですけれども、三校体制にしてしまって、果たして次の財政再建が終わったときに、国立化して取りあえず三校にしましたと、例えば。終わればもう一度やってくださいと。そのときに、これは負担が、後に回ってくる負担が大きくなるだけなんですよ。結局再建の先送りになるだけで、実際の話はこれは助からないと思うんです。  だから、だから要するに、そういうことも踏まえて、大事なのは財政再建団体になっているということと、そしてそのことを財政再建団体になる前までは例えば三校でいっていたんだとおっしゃっているけれども、財政再建団体になって地元の方があらゆる事業を削ってやっているわけですね。それで一校ということを選択してきているわけですよ。やっぱりそのことをしっかり尊重しなければならないし、それを無責任に三校でいいんだということを言ったら、それは今はね、今おられる方は三校の方がいいと思われるかもしれませんよ。ところが、その後一体だれが責任持てるんですか。それは大変な話になってくるんですよ。だから、私は、こういう形で提案するということ自体非常に無責任なんですよ。そこはやっぱりこれ納得することはできないし、そういう形での提案で、(発言する者あり)黙らない。  それと、もう一つ大事なことは、是非これは聞いておいていただきたい、御存じだと思いますけれどもね。今、夕張市の職員給料を三割ほどカットされているんじゃないですか。ところが、教職員の方々はカットなしですよ、そういう。私は何もカットしろと言っているんじゃないんですよ。同じ夕張市の職員でありながら、ほかの事務をやっている人間はみんな三割カットですよ。再建のために汗流しているんですよ。ところが、教職員は今のこの制度のおかげで給料もそのままなんですよ。これは同じ職員としてどうなんですか、再生していくときに。納得できる話じゃないんです、本来ね。ところが、これは、それだけやっぱり義務教育というのは大事だから、私もそれで何も三割下げろなんて言っているんじゃないんですよ。じゃないんだけれども、事実として現場の職員の方はそうなんですよと。  そういうことも含め考えると、皆さん方の提案というのは、一見すると、これなるほど心優しそうな、そういうふうに見えるんだけれども、実際には現場で非常に混乱するだけじゃなしに、この財政再建ということ自体ができなくなってしまうし、そして現場でもっと苦労されている方たくさんいるわけですよ。  また、もっと言えば、この一番大きな問題は、このそもそも責任つくったのはだれなのかと。私はやっぱりそこは、この委員会で議論する場じゃないけれども、やっぱりそこはしっかりしていかなければならないし、そして最後に、私自身、もうこれで質問終わりますが、要するに、夕張の支援というのは義務教育のこういう支援の仕方じゃなくて、先ほど言いましたように、もうちょっと違う仕方があると思うんですね、それは。本当に夕張含めこれからもしそういうことが出てくるというんなら、違う仕組み取らないと、義務教育自体は初めから財政担保されているんですよ。そのことだけはこれ御理解いただかなければならないし、その上で本当にもし支援する方法があるんなら違う方法を考えていかないと、私はこれは決してプラスにならぬと思いますよ。  先ほど言いましたように、プラスマイナスで言えば、なるほど国立にすることによって幾らかの人件費も浮いてきますと、施設費も浮いてくるかもしれませんが、マイナスとして、当然、お金だけの話言っても、地方交付税減りますから、大してプラス出てこないはずなんですよ、これは実際。今の制度の仕組みでは、そういうふうにプラスマイナスでいうと、今のこの民主党案の提案では実際にはプラスになってくるのは非常に少ないと、財政的に、思うんですけれども、総務省の方、これいかがお考えでしょうか。
  200. 鈴木寛

    委員以外の議員(鈴木寛君) 委員長、ありがとうございます。  委員は間違った法律解釈に基づいて御発言されているので、そこだけ御理解をいただきたいと思います。  我々の方で出している法律は、平成三十六年度まで三校体制を維持するということはどこを読んでも出てきません。これは住民の方々が、まずは七校を三校ですけれども、その後いろんな議論があって、人口減少があって、それを更にいろんな手当てをして、例えば五年後とか十年後の動態で一校にするということがあれば、それはそういうふうにいたします。  それから、平成十八年から三十六年までの間の期間で総務大臣文部大臣が決めた期間を指定するわけでありますから、例えば平成二十五年ぐらいでいろいろな状況が改善をしてくればそれは指定解除をするということでありますから、そこは前提の御認識が違うということ。  それから、この委員会でも長年議論をしてきましたけれども、義務教育国庫負担制度というものがどんどんどんどん毎年三位一体の改革の中で削減をされてきて、そういう状況の中でこの法律が出ているということ、そして子供にはみじんの何ら瑕疵はないということを是非御理解をいただきたいと思います。
  201. 御園慎一郎

    政府参考人御園慎一郎君) この法律の費用負担関係が最終的に私ども十分理解していない部分もございますので、今委員の御質問の最終的にプラスになるかマイナスになるかということは、私ども、今の段階では計算できません。  ただ、先ほどから御議論がありましたように、御指摘もございましたように、地方交付税の件に関して申し上げますと、交付税は市町村の行政に対して、行政需要に対して交付するものですから、これが国立になればこれは交付ができなくなりますので、ちなみに十九年度で申し上げますと、小中学校費で二億二千万算入されていますが、これがなくなるということだけは言えると思います。
  202. 西田昌司

    ○西田昌司君 今おっしゃいましたように、かなりの影響を受けるわけなんです。  大事なことは、要するに、私は民主党さんがこういうことを提案された背景というか心、心根と申しましょうか、それはもう理解しているんですよ。だから、それは分かると言っているんですよ。ただ、ただですね、ただ言っているのは、それは支援していこうというその気持ちは分かるんだけれども、この法律ではそれができないんじゃないかと。今言いましたように、現状の制度の中でできることでやる方が、むしろ住民そのもののところで決めたことをそのまま支援していくんですし、それについてはほとんどが国の費用、道の費用でこれは賄われているわけですから、何もそこで国立化するんじゃなしに、やるんなら違う制度ですよ、むしろ。そういうことをやるべきなんです。(発言する者あり)  ところが、今外部から対案出せとおっしゃったけれども、そのことについて答える必要ないんだけれども、まあ答えさせていただくと、つまり、そうやっていこうと思うと、大事なのは、要は、じゃそのために様々な、これは例えば借金棒引きということも含めいろいろあるかもしれません、やり方が。そうすると、それはだれが負担するかというと、当然ほかの、国の要するに税金で負担するわけですよね。そうしたときに、この財政再建団体になったのが、普通の制度上でなれば私は分かりますよ。ところが、これ粉飾決算しているわけですよ、これ、早い話が。そういう粉飾決算したところにそれはどうなのかと。やっぱりそれやる前提としてそこのところの処置をしないと、これはやっぱり国民の納得できるものじゃないと、そのことを指摘しまして、時間ちょっと余っていますけれども、私の質問は終わらせていただきたいと思います。答弁は私要求していませんから、結構です。
  203. 浮島とも子

    浮島とも子君 公明党の浮島とも子です。  本日は、財政が破綻状態にある市町村の義務教育関係事務の国への移管制度の創設に関する法律案について御質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。  本法律案は、財政が破綻状態にある市町村において小学校及び中学校に係る適切な教育環境を確保することが困難であることから、義務教育関係事務の緊急移管制度を創設するために定めるものであるとの御説明がございました。  ここでは、財政が破綻状態になると市町村が適切な教育環境を確保することが困難になるとされておられます。適切な教育環境とは様々な文脈で用いられますけれども、本法律案においてこの適切な教育環境とは具体的にどのような事柄を想定しているのか、まずお伺いをさせていただきたいと思います。
  204. 水岡俊一

    水岡俊一君 お答えします。  教育環境と一言で言うと大変広い分野がございますので、具体性がないので、例えばの例でお答えをしたいと思いますが、先ほどから問題となっております学校数の問題、これは非常に教育環境として大きなものだというふうに思っております。  実際七校ありました小学校が例えば一校になるということになりますれば、中心地に置いたとしても、この夕張市は南北に三十五キロ、東西に二十五キロの広い地域の中から子供が通うことになります。そうしますと、一つの学校に通う中で非常に遠くから時間を掛けて通う子供が出てくるということはもう否めないということに思います。  そういった通学環境というものについて大きな障害が出てくるのではないか、そういった面から教育環境を守っていきたいという、そういう趣旨があるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  205. 浮島とも子

    浮島とも子君 今学校の校数の話がございましたけれども、この財政再建団体にある夕張市におきましては、先ほどもちょっと御答弁があったと思いますけれども、平成十九年度の予算では一般会計の教育予算が約五四%減って、今度の平成二十年度予算では、先ほどもありました、約五五%削減がされると聞いております。しかし、この市町村の行っている教育関係の事務は義務教育のみではないと私は考えております。  したがって、一般会計の大きな項目であります、先ほど来からございました、何%削減があったとありますけれども、この教育予算のみを見て教育環境が悪化したと言うのは少し私は違うのではないかなと考えております。この教育予算の中で義務教育にかかわる部分、そして全国的に見て標準を確保しなくてはならない部分の内容を見て個別に判断していくことが必要、重要であると考えます。  この削減された予算額は三億七千四百万ということでございますが、そのうちの四分の三は社会教育など義務教育に関係しないものでございます。残りの四分の一が義務教育関係費の小中学校費でございますけれども、ここで削減されているのは主に、市単独事業で行っていた学校事務員の配置をまずやめたこと、そして学校給食を合理化して人件費を削減したことなど、学校の管理費を中心に合理化を行ったという範囲で削減を行っております。このような合理化というのは、私は、現在の地方財政をめぐる厳しい環境から、財政再建団体ではない団体でも行っているものと思います。  そうした意味で、この教育予算が五四%削減されたとか、あるいはまた五五%削減された、だから教育環境が悪化したという論理は少なくとも私は正確でないと思います。教育予算全体の削減額をもって教育事務費がこれだけ削減されてしまったという何かすごく削減されてしまったかのような表現をすることは、正確でない表現であり、また人に誤解を与えてしまうということも否めないと思います。また、今申し上げた意味で、法案に書かれているような適切な教育環境を確保することが困難であるという認識は、この事実の裏付けがなく、論理的な正確性も足りないと私は考えますが、御見解をお伺いいたします。
  206. 鈴木寛

    委員以外の議員(鈴木寛君) 私も夕張に行きました。そのとき、ちょうど雪が大変積もっておりまして、事務費を削るということの意味について是非御理解をいただきたいんですけど、やっぱり雪かきをちゃんとしないと子供たちは毎日学校に通えないんですね。それから、いろいろなところが壊れたり、そういう人員にこの事務費あるいは事務員さんというのはやっぱり充てられていると。そのことが、例えば雪かきの回数が半分に減ってしまったとか三分の一に減ってしまったとかというようなこととか、そして、もちろん公道まではそれは別の予算でやるんですけど、学校の校内の大きな、大きなというか、それは事務員さんがやっているような部分もあるということは是非御理解をいただきたいと思います。  それから、確かに社会教育費など別な予算も入っています。先ほど総務省の方から御答弁いただいたんで逆に分かりやすくなったと思いますが、おっしゃるように、地方交付税は二億円減るんですよ。先ほど私申し上げましたように、小学校で約七千万、中学校で一億、それ掛ける三校ですから約五億円ぐらい増えると。そうすると、プラスマイナスで三億円ぐらい夕張の学校現場に、何といいますか、行くお金が増えていって、そういうものは今申し上げたような体制の整備に使われていくということで御理解をいただきたいと思います。
  207. 浮島とも子

    浮島とも子君 用務員と事務員がちょっと私も違うんではないかというふうに今ちょっと感じたんでございますけれども、(発言する者あり)事務費。  言うまでもなく、この義務教育におけるナショナルミニマムの保障を図るために幾つかの制度が設けられております。この義務教育を現場で実施する教職員の給与は、三分の一が国庫補助と三分の二の都道府県の県費負担制度があります。また、図書費などを含め、交付税措置もされているところでございます。  現在の制度の中では、これらによりナショナルミニマムを担保していくという形になっておりますが、それ以外の部分については都道府県、市町村の裁量により決定をすることができるようにしてあるのは、義務教育が市町村事務であり、市町村が行うことが適切であるという制度上の思想があるからだと私は考えております。制度的にナショナルミニマムが保障されている中で、本法律案のような特別法を制定し例外を設ける必要は私はないのではないかと考えます。  次に、総務省にお伺いをさせていただきたいと思いますが、この趣旨説明の中でもございました、また先ほどの御答弁の中でも、たしか九自治体でしたか、とございましたけれども、今後財政破綻をするところが予想されるという趣旨の御発言があったんですけれども、実際にはどのような見通しなのか、今後財政再生団体になる見込みの団体がどの程度あるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
  208. 御園慎一郎

    政府参考人御園慎一郎君) 地方公共団体財政健全化法上の財政再生団体というのは、平成二十年度決算に基づいて、二十一年度に計算された数字でやるということになっています。今年も、二十年度も十九年度決算に基づいた数字は計算していただきますが、今全国の地方団体やっています、やっていますが、それは公表するだけで、本当にこれで、じゃ、レッドカードです、イエローカードですということは来年からになりますので、今の段階で見込みを言うことは困難でございます。もちろん、地方団体いろいろ心配しておりますから自らの計算をしておりますし、マスコミの皆さんも計算しておりますからいろんな、何団体ぐらいなんという情報は出ておりますけれども、今の段階で言える状態ではないというふうに私ども思っております。  ただ、私どもとして申し上げられるのは、十八年度の決算数値を使ってどういう状況かということを実質赤字比率と実質公債費比率で申し上げることができようかと思いまして申し上げますと、実質赤字比率では財政再生基準以上となるのは夕張市一団体、それから実質公債費比率という公債費の方で財政再建基準以上となる団体は夕張市を含んで三団体でございます。  ただ、夕張市以外の実質公債費比率が財政再生基準以上となる団体、二団体ございますけれども、これらもやはり再生計画を作って再生に取り組むということよりも、その前にその数値を下げるということの努力をしておりますから、私どもが今聞いている限りで申し上げますと、十八年度以降の公債費の繰上償還というような財政上の措置をとることによって数値を下げていく努力をしておりますので、今彼らから聞いているのは、彼らの希望的なところもあると思いますが、二十年度決算においては再生基準を下回る、あるいは下回るべく努力しているというふうに聞いているところでございます。
  209. 浮島とも子

    浮島とも子君 今回のこの法案は、義務教育制度について、本来市町村の教育委員会の事務である義務教育事務を国が行うという現在の教育制度の例外を創設するものでございます。このような教育制度の改正に当たっては、多様な意見を踏まえ多角的に検討すべきと考えておりますけれども、この本法律案について専門家や関係者の意見を聴くなどの取組をされたのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
  210. 鈴木寛

    委員以外の議員(鈴木寛君) もちろんこの法律の、我々、最初に提出をさせていただいた年は、日本国教育基本法案とパッケージで出させていただいているんですね。  それで、まず二つ申し上げさせていただきたいのは、この日本国教育基本法案を作る過程で、当然様々な教育現場、専門家の方々を踏まえて我々は日本国教育基本法案を国会にお出しをしており、今日お諮りをしております国への移管制度創設に関する法律も出させていただいているということでございます。  申し上げたいことは、要するにもう従来の、あるいは自民党、公明党、与党の皆さんと民主党とで教育についての基本的な考え方が違うということだと思います。今までの考え方と当然違うことが入っているんです。なぜならば、我々、日本国教育基本法では、国は教育の最終的責任を負うということを重要な考え方の方針に盛り込んでおりますので、その考え方に基づくとこういう法律になるということでございますから、そこは、御指摘はおっしゃるとおりだと思いますので、それは基本的な考え方の違いということでございます。  それから、もう一つ申し上げますと、確かに義務教育国庫負担制度と、そして地方交付税制度で理論的には、数十年前に制度設計がなされたときには理論的には我が国の義務教育というのはそれによって十分な財源が確保されるという精神で作られました。しかしながら、この三位一体の議論を始め、世界的に見ましても義務教育に占める公財政支出が極めて低い我が国の財政状況の中で、先ほども申し上げましたけれども、例えば小学校などでいえば、事実上、七千万円から八千万円の不足分が出ていて、そういうふうな事態に陥っているということで、理念は理念として、この財源確保の厳しい中で、特に教育予算が長期自民党政権下で削られ続けてきた結果として、事実上、そこにそうした破綻が生じているという現状をも踏まえこのような制度設計を御提案をしているということで御理解をいただきたいと思います。
  211. 浮島とも子

    浮島とも子君 おっしゃるとおり認識に違いがあるようなので、次の質問に移らせていただきたいと思います。  この制度の実施期間をどの程度見込んでいるのか、お答えしていただきたいと思います。
  212. 水岡俊一

    水岡俊一君 先ほどもお答えをいたしましたが、指定を受けている期間内で大臣が指定をしますので、それはケースによって変わってくるものというふうに思っております。  浮島委員、一つ、先ほど教育環境を確保するのは困難であるという私たち指摘は当たらないということをおっしゃった部分があるので、一つ答えていいですか。  実は、義務教育費を国がきっちりと担保していくという制度があるんだというふうにおっしゃった、それはもちろんそのとおりだというふうに思っております。ただ、今教員の給与費は三分の一になったということは、若干厳しくなっているということはもう浮島委員も御存じのとおり。  そこで、もう一つ申し上げたいのは、かつて学校の教材費と言われる部分、あるいは図書費と言われる部分、これは義務教育費国庫負担制度の中で負担をされてきたものであります。つまり、縛りのあったお金だったんですね。これが実は今一般財源化、どんどんと一般財源化をされてしまったという中で、これは西田委員もおっしゃったように、市町に入るお金として、色の付いてないお金として入ってくる、だから市町としては使いやすいんだというお話はもう指摘のとおりであります。ということは、言い換えてみると、市町にとって使いやすいお金であって子供には回らないお金かもしれないという点が問題なんですね。ですから……(発言する者あり)いや、それは要するに、そういう市町の一般財源化の中で考えているわけですから、それは市町の責任になるわけです。  だから、そういった意味からすると、財政が非常に厳しい団体の中ではこれは学校に回らない可能性が非常に大きいということで私たちは心配をしていると、こういうことです。
  213. 浮島とも子

    浮島とも子君 ちょっと質問を戻させていただきますけれども、実施期間、今そのときで変わると言われましたけれども、夕張においてはどのくらいを想定されているのか、お伺いさせていただきたいと思います。
  214. 水岡俊一

    水岡俊一君 財政再建団体として、財政再生計画が総合的に十八年だったということに思いますので、十八年以内ということで考えていきたいというふうに思っております。
  215. 浮島とも子

    浮島とも子君 今十八年以内とおっしゃいましたけれども、十八年を想定されているということは、私はこれは非常に長い期間だと思います。この間に社会情勢も変わり、学校も時代に合った形に変わっていかなければならないと考えています。  そもそも、市町村の事務をこれほどの長期間国が行うことに、逆に市町村に国に対する依存を生んでしまうのではないかということも思われますけれども、その点どうお考えでしょうか。
  216. 水岡俊一

    水岡俊一君 先ほどからお答え申し上げているのは、十八年以内ということでありますので、これは財政再生状態によって短くなる可能性もあるわけでありますから、基本的には、おっしゃるとおりに、地方自治体の責任で義務教育をやっていくという、本来の姿に戻していくということが前提だというふうに思っておりますので、それを前提に協力をしながら、子供たちに義務教育を守っていく制度としてこの法案を考えたというふうに御理解をいただきたいと思います。
  217. 浮島とも子

    浮島とも子君 次の質問に移らせていただきたいと思いますけれども、この本法律案では市町村の学校を移管するということですけれども、市町村の教育委員会の担当している義務教育に関するすべての事務を国が行うという理解でよろしいのでしょうか。
  218. 水岡俊一

    水岡俊一君 教育委員会事務局の行っている業務の中には社会教育も含め様々なものがありますが、その中の義務教育に関する部分の事務はすべて移管するというふうに考えていただきたいと思います。
  219. 浮島とも子

    浮島とも子君 この本法律案によりますと、移管期間中は文部科学大臣が事務処理をするということとされておりますけれども、今お話ございましたように、この教育委員会職員のうち小中学校の関係の事務を処理している職員、これを国家公務員、先ほども西田委員の方からちょっとお話ございましたけれども、国家公務員とすることでよろしいのか、そうでなければ、文科省職員を派遣をして、そして夕張市で事務に従事するということでよろしいのか、また市町村が行う義務教育に関する事務は、例えば就学年齢に達した子供たちに対して、どの小学校に入るか、就学をするかという指定する事務など個別具体の事務が多数あると思います。  これらの事務を国が処理するということになりますと、地域の実情に合わせた教育行政がなかなか難しい、できなくなるのではないかという懸念も私は考えているところでございますけれども、その三点、併せてお伺いをさせていただきたいと思います。
  220. 水岡俊一

    水岡俊一君 第七条に「適用市町村の住民の意向に配慮し、」という言葉を入れておりまして、あらゆる時点、あらゆる場所において住民の意向を酌み入れるということはもう絶対やっていかなきゃいけないことだろうというふうに思っております。  ですから、実際には十八年間すべて同じ計画のままで進むというわけではありませんし、常に変化をしていく可能性は高いわけでありまして、それから教育委員会事務局のスタッフをどのように国家公務員に移行するのかということについては、先ほどお答えしたとおり、それも一つの方法だというふうに思いますし、文科省から派遣をするという方法もあろうかというふうに思います。それはこれから考えていかなきゃいけない問題だというふうに思っておりまして、しかしながら、例えばどの学校に進むのかというような地域に密着した情報というのは、これは文科省から直接派遣された人間には分かりにくいことでありますから、市町の元々いらっしゃる教育委員会事務局の方々のお力を絶対いただかなきゃいけないというふうに思っておりまして、そこは相互に協力関係をつくっていかなきゃいけないというふうに考えております。
  221. 浮島とも子

    浮島とも子君 ありがとうございました。  いろいろ様々お伺いさせていただきましたけれども、本当に認識の違いがたくさんありまして、私も、今回のような、この本法律案のような特別法を制定する必要はないんではないかということを申し上げさせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  222. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  223. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対する質疑は既に終局いたしておりますので、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  224. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、林君から発言を求められておりますので、これを許します。林久美子君。
  225. 林久美子

    ○林久美子君 私は、ただいま可決されました独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新日本、自由民主党・無所属の会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。  一、原子力研究開発及び利用に伴って発生する低レベル放射性廃棄物の最終処分に関して、その必要性、安全性について国民の理解と協力が得られるよう積極的な情報公開に努めること。  二、政府が定める埋設処分業務実施に関する基本的な方針及び独立行政法人日本原子力研究開発機構が作成する埋設処分業務実施に関する計画について、国民の理解が得られるよう情報提供を行うとともに、放射性廃棄物に係る研究開発の進展、社会経済状況の変化等を勘案し、定期的に検証すること。    また、埋設処分業務実施に関する基本的な方針の策定に当たっては、科学技術・学術審議会において審議を行い、パブリックコメントを行うなど広く国民の意見を聴き、その反映に努めること。  三、放射性廃棄物の埋設処分地の選定に当たっては、地域住民の不安を解消し、理解と協力が得られるよう努めること。    その際、独立行政法人日本原子力研究開発機構は、立地計画を策定し、公平な立地選定をするよう努めること。  四、政府は、放射性廃棄物処分のための埋設施設の安全審査に当たっては、安全審査体制を整備し、審査の過程に万全を期すること。    また、独立行政法人日本原子力研究開発機構は、施設を管理する者として、放射性廃棄物埋設処分施設の安全を確保するとともに、十分な説明責任を果たすこと。  五、放射性廃棄物処分事業が安全かつ確実に実施されるよう、放射性廃棄物の輸送、処理等に関し、発生者の経済的負担や引き渡される放射性廃棄物の性状等を考慮し、国、独立行政法人日本原子力研究開発機構関係者の間で密接な連携協力を図ること。  六、独立行政法人日本原子力研究開発機構は、放射性廃棄物の埋設処分業務をその他の業務と独立した勘定として区分し、厳正に経理を行うとともに、安全性に留意した上で効率的な事業の実施に努めること。    また、政府は、放射性廃棄物の埋設処分が確実に行われるよう独立行政法人日本原子力研究開発機構の予算及び人員の確保に万全を期すること。  七、政府は、放射性廃棄物処分について責任を持って安全かつ確実に行われるよう措置すること。  八、研究機関医療機関等から発生する放射性廃棄物のうち、余裕深度処分が必要となる放射能レベルが高いものについて、その処分方策の検討を進めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  226. 関口昌一

    委員長関口昌一君) ただいま林君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  227. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 全会一致と認めます。よって、林君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、渡海文部科学大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。渡海文部科学大臣
  228. 渡海紀三朗

    ○国務大臣渡海紀三朗君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいります。
  229. 関口昌一

    委員長関口昌一君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  230. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  231. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 財政が破綻状態にある市町村の義務教育関係事務の国への移管制度の創設に関する法律案を議題といたします。  本案に対する質疑は既に終局いたしておりますので、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  財政が破綻状態にある市町村の義務教育関係事務の国への移管制度の創設に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  232. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十分散会