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2008-03-25 第169回国会 参議院 文教科学委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年三月二十五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月十八日     辞任         補欠選任      川崎  稔君     植松恵美子君      広田  一君     友近 聡朗君  三月十九日     辞任         補欠選任      加賀谷 健君     水岡 俊一君  三月二十四日     辞任         補欠選任      植松恵美子君     姫井由美子君  三月二十五日     辞任         補欠選任      姫井由美子君     大河原雅子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         関口 昌一君     理 事                 佐藤 泰介君                 林 久美子君                 坂本由紀子君                 水落 敏栄君     委 員                 大河原雅子君                 大島九州男君                 亀井 郁夫君                 木俣 佳丈君                 谷岡 郁子君                 姫井由美子君                 藤谷 光信君                 中曽根弘文君                 西田 昌司君                 山谷えり子君                 義家 弘介君                 浮島とも子君                 浜四津敏子君    国務大臣        文部科学大臣   渡海紀三朗君    副大臣        文部科学大臣  池坊 保子君        文部科学大臣  松浪健四郎君    事務局側        常任委員会専門        員        渡井 敏雄君    国立国会図書館側        館長       長尾  真君    政府参考人        財務省主計局次        長        真砂  靖君        文部科学大臣官        房長       坂田 東一君        文部科学大臣官        房総括審議官   合田 隆史君        文部科学大臣官        房文教施設企画        部長       舌津 一良君        文部科学省生涯        学習政策局長   加茂川幸夫君        文部科学省初等        中等教育局長   金森 越哉君        文部科学省高等        教育局長     清水  潔君        文部科学省高等        教育局私学部長  磯田 文雄君        文部科学省研究        開発局長     藤田 明博君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        長        樋口 修資君        文化庁次長    高塩  至君        厚生労働大臣官        房審議官     中尾 昭弘君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○教育文化スポーツ学術及び科学技術に関  する調査  (文教科学行政基本施策に関する件)     ─────────────
  2. 関口昌一

    委員長関口昌一君) ただいまから文教科学委員会開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、川崎稔君、広田一君及び加賀谷健君が委員辞任され、その補欠として友近聡朗君、水岡俊一君及び姫井由美子君が選任されました。     ─────────────
  3. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  教育文化スポーツ学術及び科学技術に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、財務省主計局次長真砂靖君外十一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 教育文化スポーツ学術及び科学技術に関する調査を議題とし、文教科学行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 皆さん、おはようございます。民主党・新緑風会・国民新・日本の亀井でございますが、今日はトップバッターでいろいろと大臣質問をさせていただきますが、よろしくお願いいたします。  考えてみますと、三月十一日に打ち上げられたスペースシャトルによって、我が国初有人飛行が、実験棟「きぼう」の国際宇宙ステーションの組立てが一応成功して、今度、あさってですかね、土井飛行士も帰ってくるということですが、国民の一人として大変感激しており、関係者皆さん方に祝意を表する次第でありますが、無事帰還されることを祈りたいと思います。  今日はまた、自由民主党時代に何かと御指導いただいた渡海大臣に対していろいろと文教科学の問題についてお尋ねできることは本当に感慨無量でございますが、よろしくお願いしたいと思います。  最初に、中央教育審議会教育再生懇談会次世代教育考え懇談会三つあるものですから、これについてちょっとお尋ねしたいんですが、特に中央教育審議会諮問機関として、設けられたのは古い文科大臣諮問機関ですが、さらに教育再生会議に替わって教育懇談会が設けられたということだし、また池坊大臣私的諮問機関として昨年設立された次世代教育考え懇談会三つあるわけですけれども、これについてそれぞれどういう意義を持つのか、大臣に説明願いたいと思います。
  7. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) おはようございます。  今、三つ会議について御質問があったわけでございますが、言うまでもなく、中央教育審議会というのは法律に基づいて設置をされておりまして、私が様々な教育課題に対して有識者の御意見をまとめていただくということでございまして、例えば学習指導要領改訂等もこの中の部会で御審議をいただいて答申をいただくと、こういう形を取っておるわけでございます。時折々テーマをちゃんとお願いをしまして、それについての御意見をまとめていただくということであろうというふうに思っております。  また、教育再生懇談会、今日が懇談会としては初めての会合に実はなるわけでございますが、今夕開会をされます。この設置というのは、これは内閣において総理が要請をして設置をされたものでございまして、そういう意味では総理が開催をするということでありますし、幅広い大所高所の御意見をいただくということで、従来ございました教育再生会議、この提言を、もう既に実現しているものもたくさんあるわけでございますが、フォローアップをしていくという役割一つあります。これは非常にはっきりしております。  それからもう一点は、先ほど申し上げましたように大所高所から二十一世紀教育在り方といいますか、そういったことについて御議論をいただくということを今考えておられるわけでございますけれども、具体的に、じゃどういうことをやるかということにつきましては、むしろ今日から始まる議論の中で方向性が決まってくると。どういいますか、ばくっとしたところでは二十一世紀教育在り方全般ということでありますけれども、余り広がり過ぎますと、これはなかなか、かえって議論が、焦点が定まらないということになるわけでございますから、先生方議論をいただいた結果として、ある程度照準を絞っていろんな議論をしていただくということになろうかと思っております。  それからもう一つの、御本人がおられるから私からお答えするのがいいのかどうかということはありますけれども、池坊大臣が今主催をして、この教育に関する諸課題議論をするということは、主に中長期の課題についていろんな有識者意見を聴いて議論をしていただく、そういった会合であるというふうに承知をいたしております。  それぞれの会合の性格もあるわけでございますし、議論が場合によっては重なる場合もあると承知はいたしておりますけれども、様々な場でいろいろな意見が交換をされるということについては教育にとっても必要なことではないかと、そういう認識でございます。
  8. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 心配しているのは、三つあるからそれぞれ違うことをやるならいいけれども、違うような結論が出た場合に、大臣としては、交通整理をしないと教育行政をやっていくのに困るんじゃないかと思うものですから、そういう意味で、その辺の交通整理大臣はどう考えていますか。
  9. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) その点につきましては委員のおっしゃるとおりでございます。  事実、これはもう過去と言うとしかられるかもしれませんが、中教審教育再生会議意見が違う場合というのはありました。しかしながら、それはそれぞれの考え方があったわけでございますが、当然それを受け取ってどういうふうに交通整理するか、最終的にどういうふうに考えるかというのは、私がその役割を果たさなきゃいけないんだという思いでこれまでもやってまいりましたし、今後もそういうことは当然起こり得るということは考えております。  ただ、いろんな場で議論がなされることによって、より問題が明確になる、より意見のいい意味での違いというものがあるなということが分かるという利点も私はあると思っておりまして、そういう意味では、むしろ意見が違って困るなというふうに受け止めるんではなくて、中教審で、これは法律で基づいた、私がお願いをして答申をするわけでありますから、そういった意味では、ある非常に重い部分がございます。懇談会も、これは官邸の方で主催をされるわけですから、やっぱり総理の、どういいますか、参考意見として下りてくる部分、ここの部分は重いものがございます。  そういったものを最終的にどういうふうに仕上げていくかということに関して言うならば、それはここで今どっちが重いとかどっちが軽いとか、それを言うことはできないわけであります。これはいろんな課題によってやっぱり変わってくるというふうに私は思っておりますけれども、しかし、時折々、きちっとそのことを受け止めて、そしてやるべき役割を果たしていくというのが私の責任であり、また、私はそういうふうにしてやっていきたいというふうに考えておるところでございます。
  10. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 違った場合には非常に困るので、懇談会意見が出れば、総理大臣から文科大臣指示があったら、中教審から違うことを言ってきたということになると文科大臣困っちゃうと思うんだけれどもね、それは本当に辞めなきゃいけなくなるということもあるんだけれども、いざとなったら職を賭してもやるぐらいな決意を持って交通整理をされるんですか。
  11. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 私は内閣一員でございますから、これは総理の例えば指示が明確にあった場合は、それはやっぱり従わなきゃいけないというのは原則だと思います。  ただ、そこは総理としっかりと、例えば意見が違っていればお話をするということもまた内閣一員として、教育行政を預かる者の一員として、大臣としてそれは必要なことでありまして、最終的に命令に従わないというときは、それは辞表を出す覚悟でやっぱりやらなきゃいけないと。これはもう通常一般例としても当たり前のことであります。  しかし、そこのところはきちっとやっぱり話をして、まとめるべきものはまとめていかなきゃいけないと、そういうものであろうというふうに思っております。
  12. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 分かりました。身を賭してしっかり頑張るということで、頑張ってほしいと思いますが、この問題に絡んでもう一つ聞きたいのは、教育再生懇談会メンバー十人のうち、委員長は慶応義塾の塾長の安西さんですが、半分の五人が中教審メンバーなんですね、十人のうち。そのような形でやって本当に大丈夫なのかと。そういう意味はどこにあると思われますか。中教審懇談会メンバーが半分も一緒だということでちょっとどうかなと思うんですが、その辺はどうですか。
  13. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 事実関係から申し上げますと、このメンバーをこういうメンバーでやられるというときに、これはむしろ懇談会主催される側で選んでいただきました。それは、私は中教審に対して責任も背負っておるわけでありますから、そういうことも踏まえて、先ほど冒頭に申し上げましたような懇談会中教審、様々な役割があるわけでございますから、それはむしろそちらが主体で選んでいただいたらどうですかということを率直に申し上げて、このメンバーが選ばれたということでございます。  結果として中教審委員も数多く選ばれたということは、先ほど委員がおっしゃいましたような意味では、むしろ中教審でどういう議論がされているかということをよく分かっておられる委員も中に入っておられるという意味で、私はむしろそういう意味ではねじれが少なくなるんじゃないかと。  これは結果論です。中教審が半分入っておられるねという意識は実は全然ありませんでした。こういう方でこういう経歴を持っておられて、こういう立派な方が実は懇談会に入っておられるんだという意識でございましたから、結果として、ああ、そうなったのかという私としては受け止め方でございますし、また、それは前からも、例えば野依先生がそうでしたかね、座長はたしか中教審委員でもあるわけでございますから、数名の先生方はそういう形で教育再生会議段階でもそういうことが起こっていたわけでありますから、そのことによって何か問題が起こるということにはならないというふうに思っております。  いずれにしても、再生懇談会というのは前回に引き続きまして、枠に縛られたというか、特定のことをやるということが決められたということではないわけでありますから、そういったちょっと違った観点からいろんな御議論がいただけるというふうに思っておるところでございます。
  14. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 次に、例の再生会議フォローアップとして今度懇談会が設けられたわけですけれども、このフォローアップというのはどういうことなのか、中央教育審議会との関係どうなのか、説明願いたいと思います。
  15. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) フォローアップというのは、私の理解は、教育再生会議提言をされた様々なことがございます。これは四次までということになるんですかね、三次までありまして、最後に最終答申という結果が出されております。  その内容について、もう既にかなり、例えば具体的に法律にも反映されたこともございます。昨年の法改正はその一つであるわけでございますけれども、そういったものもありますが、まだ具体的な形ができていないものもあるわけでございまして、そういうものに対して今後どういうふうにそれを具現化していくか。もちろん、法律にするものもありますし、制度上の単なる改正でやれるものもありますし、そういったことを一つ一つやはり着実に、再生会議でせっかく議論していただいたことが言いっ放しということにならないように、再生会議を閉じるときにそういうフォローアップをするということをお決めをいただいて、その役割一つとして、今度の再生懇談会というものもその役割を担っているというふうにお考えをいただいたらいいんじゃないかなと。  項目は、細かいことは申し上げませんがかなり整理をされておりますので、そういったことについても進捗状況というものをチェックしていただく。我々がちょっとサボっているなと言われることもあるかもしれませんが、そういったことをしっかりと注視していただくというのがこのフォローアップという役割であるというふうに理解をいたしております。
  16. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 今のフォローアップのことに絡んで一つあるのは、再生会議で出した道徳教科化という問題がありましたね。非常に大きな問題ですけれども、こうした大事な問題を中教審は十分やっていないという状況ですけれども、そういう意味では、このフォローアップについては、道徳教科化という問題については大臣はどうお考えになられますか。
  17. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) この問題は、まさに見方によっては、中教審の御意見とそれから再生会議の御意見がねじれたというふうに見方によっては見れると思います。しかし、私が先ほど亀井委員にお答えをしましたのは、一見そうは見えますが、実はおっしゃっていることはそんなに変わっていないというのが私の当時の受け止め方でございました。  これは、教科化という言葉を書けば、書けばですね、道徳教育推進をするというふうに言われる意見もあったわけでございますが、教科化ということになりますと、通常検定教科書を使う、また数値をもって採点をする、そしてあとは、いわゆる免許ですね、教師にその免許を与えるというのを通常教科化と呼んでいるわけでありますから、ですから、あえてそういう表現は今回はしないということで学習指導要領も出させていただいております。  ただ、共通の理解としては、道徳教育充実をさせなきゃいけないと。そのために一番大事なことは、じゃ数値で点数を付けるのかといえば、それはそうじゃないと。これは再生会議もおっしゃるわけなんですね。ですから、一番大事なことは、ちゃんとやられること、授業がちゃんとやられること、それで、同時にいわゆるいい教材が使われて、どういいますか、子供たちが感動するようなという表現がされておりますが、そういった子供たちの心を豊かにするような教育内容が行われることというのが大事だと。  ここにおいては中教審も実は再生会議も全く同じような結論を出されておったわけでございまして、そういう内容を我々はどうやって担保していくかということで今回の学習指導要領も出させていただきたいと。パブリックコメントにかけておりますから、亀井先生ももう大体中身は御存じだと思いますが、かなりの記述を加えたところでありますし、同時に、執行体制として、我々はやっぱり各学校でこの教育責任を持って計画をし、その計画がちゃんとなされているかということをチェックをしていただくための道徳推進教諭という、そういう立場をしっかりと推進体制の中でつくっていただくということも決めさせていただいたわけでございます。  なお、現在、今日もいろいろ議論が出ると思いますが、作成をしようとしております教育振興基本計画、この中で今提言をされておりますのは、先ほど言いました教材充実をさせるための新しい制度、そういったものについても提言をされているということを聞いております。  そういうことを通じて、これはこの中の委員からも御指摘をいただいたことでございますが、一時間取っていてもちゃんと行われていないじゃないかということをちゃんと行われるようにするための体制、そしていい教材が使われて、その教材子供たちが豊かな心をはぐくむということに資する。心のノートという話もありました。心のノート全面改訂をいたします。そういったことも含めて、道徳充実というものを図っていきたいというふうに思っております。  加えて、少し長くなって恐縮でありますが、文部科学省の中に実は新しい研究会をつくりまして、これは外の研究会というのではなしに、専門家意見はもちろん聴きますが、もう少し総合的に幼児段階から、それからその家庭の問題もあります、それから幼児教育の問題もあります、初中教育の問題もあります、そういう発育段階に応じて子供たちにどういうことが必要なのかということも含めて考えていく、その中でまた、これが道徳教育の問題に発展をしていくということも含めて検討をするという検討会を我が省の中で立ち上げておりまして、引き続きそういった中でこの道徳の問題というのは検討していきたいというふうに考えておるところでございます。  少し長くなって恐縮でございますが、以上でございます。
  18. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 今お話に出ましたけれども、心のノートの問題は、数年前に作ったんですけどね、あのときもなかなか大変だったんだけれども。今その使い方が、学校によっては持って帰ってはいけないとか、いろいろ、十分利用されていないし、内容的にも一回も直されていないので、やはり改正する必要があると思いますけれども、大臣はこれ、責任持って心のノート内容をチェックして、もうちょっと充実したものにしてもらえますか。
  19. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) これは直します。現場で使われていないという、こういう御指摘も実はこの中の委員からもいただいておりますし、私がいつまでこの職にいるか、ちょっとこれはなかなか予測はしにくいわけでありますけれども、しっかりとそのことは我々考えておりますので、またいろんな御意見がございましたらいただければ有り難いというふうに思っております。
  20. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 今大臣責任を持って直すという話でしたから、信頼していきますけれども、是非いい立派な心のノート教材を作ってほしいし、これを利用してもらうように是非お願いしたいと思います。  それから、三つ関係ではもう一つ中教審は二年半前に教員免許の十年更新の問題を否定しましたよね。それが今度、安倍総理になってから逆にこれを肯定して、十年の教員免許改定が決まりましたけれども、こうして見ると総理の発言は中教審より重いんじゃないかと思いますし、そういう意味で、さっきの交通整理のときには十分考えていかなきゃいかぬと思うけれども、大臣はどう考えられますか。十年の教員免許改定は否定しておったんだから、それについてどう思われますか。
  21. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 中教審答申というのは平成十四年だと思います。  一つはやっぱり、その後かなり状況変化というものを考えなきゃいけない。一つ大きいのは、やっぱり国際化とかそれから科学技術発展とかいうことでやっぱり教師知識というものを定期的に、言葉が適当かどうか分かりませんが、バージョンアップをするといったようなことも非常に大事なことでございます。今回、今示されております免許制のときの更新というのはその時間に随分時間を割いているというふうなこともあります。  もう一つは、十四年の答申ではなお慎重にならざるを得ないということでございました。ですから、やっぱり慎重にならざるを得ないというのは、そのことが実は教育現場に混乱を来さないようにというそういう配慮だったと私は理解をいたしております。そういう配慮をしながら、やっぱり定期的にそういった技能を向上させる。十年研修というのも行われておりますけれども、そういう必要性もあるということでございますし、これは国会でも御議論をいただいて、そしてこういうものも必要であろうというふうになったというふうに認識をしております。  今まで教員ということについて少しある意味聖域的な扱われ方があったと思いますけれども、やっぱり基本的に最小限必要なそういった知識を身に付ける、また例えば適正な指導をするということは必要だという考え方の下でこの免許制というものが導入をされたと、私はそのように理解をいたしております。  やっぱり、ただ単に、先生の御質問でございますが、安倍総理が言ったからこれができるようになったとか、そういうことだけでもないというふうに御理解をいただきたい。やっぱり時代が進み、また状況変化というものもとらえていろんな議論を経た結果として免許制というものが導入をされたというふうに理解していただきたいというふうに思います。
  22. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 分かりました。安倍総理のおかげであれができたのかなと思いましたけれども、必ずしもそうじゃないということですから、これからもいろいろと頑張ってほしいと思います。  次に、池坊大臣にお尋ねしたいんですけれども、副大臣の私的懇談機関としてできました次世代教育考え懇談会、これは副大臣だけを拘束するんですか、どうなんですか。何か三月ごろいっぱいぐらいまでに答申案を出すつもりだとか、いろいろな話を聞きました。これは聞いただけのことなんですが、実際に会はうまく運営されているんですか、お尋ねします。
  23. 池坊保子

    ○副大臣池坊保子君) 少子高齢化を迎え、にもかかわらずさほど出生率が伸びていないのは、子供を取り巻く環境が必ずしも良好ではないから、先を歩む人たちが子供を産み育てることをちゅうちょするのではないだろうかと。家庭教育の低下、それからまた家族と家庭と地域との連携の希薄化、情報のはんらん、多発するいじめによる自殺など、様々な問題を教育現場は抱えております。  私は、せっかく副大臣にさせていただいたのですから、これから教育現場においてどのようなことを優先していったらいいのか、どうあるべきなのか、より深い勉強をしたいと思いまして、最初の副大臣のときには文部科学省の若手の役人たちと週一回勉強会をいたしておりました。留任させていただきましたので、文部科学省の中におりますと分からない問題もあるんじゃないか、気付かない新しい視点があるのではないかと思いまして、各界で御活躍の皆様方の御意見を伺いたいと思いましてこの懇談会を持ちました。  本当に多岐にわたる様々な意見が出ました。家庭教育在り方、あるいは入試の在り方、国立大学の在り方、教授会はどうあるべきなのか、あるいはまた、今情報がたくさんございまして、子供たちは携帯電話、インターネット等々でそれに使うのではなく使われてしまう、そういう中でどうあったらいいのか。余りにも面白く、かつ有意義な御意見をいただきまして、一月に一回ぐらいと思いましたが、二週間に一回ぐらい今開かせていただきまして、時間が終わってもまだ議論が沸いているという状況でございます。  たくさんのいい御意見をいただきましたので、意見をいただいただけではいけないと思いますので、それはきちんと大臣に御報告しながら御相談をし、教育現場にフィードバックできることをしてまいりたいというふうに思っております。  亀井委員の御心配のように、中教審と競合したりということは決してございません。様々な視点からの問題提起をいただくということは、これから教育考えていく上で絶対に大切なことだというふうに私は思っております。
  24. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 池坊大臣の積極的な姿勢には感激しておりますけれども、是非、皆さんの声を自分のものとして、しっかり文部行政に生かしてほしいと思いますので、御健闘をお祈りしたいと思います。  それから、学習指導要領の問題について次にお尋ねしたいんですけれども、いろいろと問題提起されておりますけれども、特に学習指導要領改正に当たって大臣としての基本的な考え方、今までの学習指導要領はこういう点が問題あったのでこうするんだという形で、基本的な大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  25. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 前回の学習指導要領で生きる力という、こういう理念が言われました。一言で言うと、生きる力というのは単に知識を身に付けるのではなくて、社会に出たときは待ったなしでございますから、その知識を生かして社会でちゃんと自立して生活をしていく、また社会に貢献していくと、こういう力のことを想定されていたというふうに思っております。  ただ、そのことを考えて、例えば総合学習というふうな時間、これを少し多めに取られたわけでございますが、なかなかそういった趣旨が現場に伝わらなかったという反省をいたしております。これは伝え方がまずかったのか、なかなか現場が戸惑った。どっちが悪いとかそんな話じゃなくて、これは結果論として私は反省すべきところだと思っております。  そのことも踏まえて、少し学力低下ということも言われておるわけでございますから、全体をどう考えるかというときに、やっぱりもう少し応用力を付けるためにも、例えば繰り返し学習をやるというふうなことも必要だという議論がなされまして、これは専門家議論しているわけでございますが、そういうことを考えたときに、やはり今回お出ししたような、例えば学力でいいますと基本的な部分では少し時間を増やす。その増やした時間の中で繰り返し学習をやるということが、知識を付けるという、身に付けるということも大事でありますけれども、応用力にもつながる。  同時に、やっぱり大事なことは、今回言語力というふうに言われておりますが、どの学科をやるにしても、やっぱり言葉の力がないとできないわけでありますから、そういったことをやる。それから、単に机上で勉強するんじゃなくて、いろんな実験をやったり、自然体験をやったり、そういうことの中で具体的にそういう力が生まれる。生きる力という考え方は基本的に同じであると。  それからもう一点は、これは大事なことでございますが、一昨年末、教育基本法が改正をされております。その教育基本法の改正の中に新しい目標なり理念が書かれております。これは公共の精神とか命や自然の尊重、環境の保全、また伝統や文化を尊重すると、こういった新しい教育基本法、新教育基本法の制定、これを前提とした新しい指導要領だということで、そのことをどうこの学習指導要領に盛り込んでいくかということが非常に大きな改正点であろうというふうに思っております。  具体的に余り細かくはお話ししませんが、時間の関係もありますから、基本的には、伝統と文化といったような部分が、例えば社会であれ国語であれ、例えば環境があらゆる科目でそういうことが配慮をされているとか、先ほど委員がおっしゃいましたこの道徳の問題、こういったものを充実するとか、そういった形で新しい教育基本法、これが学習指導要領に反映をされております。  ポイントとしてはこの二つが、要は、過去の反省があり、その上に新しい、どういいますか、授業の在り方、特に理数系の教科なんかが一つの特徴だと思いますが、そういったことが一つ。もう一点は、教育基本法、これで新しい理念が盛り込まれたこと、これが一つの大きな指導要領の私は特徴であろうというふうに考えております。
  26. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 今、大臣のお考え、よく分かりましたが、今回の改正教育基本法では、「目標を達成するよう行われるものとする。」ということを第二条で明記されているんですけれども、どうも読んで、目標達成の性格付けが必ずしも明らかでないというふうな感じが私にはするわけですけれども、それはどうしてだろうかということで、もっと子供たちに達成目標を与えて、希望と夢を持って子供たちが頑張るようにできないものだろうかという気がするんですけれども、大臣はどうお考えですか。
  27. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 学習指導要領の性格でございますが、これはやっぱり現場先生方子供たち教育をしていただく段階での指標といいますか、何をやらなければいけないか、何を教えてほしいかということが中心だというふうに理解をいたしております。  先生のおっしゃる、でもそれはやっぱり到達目標がなきゃいけないわけですから、それは、現在これも中教審お願いをして、今議論をしていただいておりまして、大体秋めどぐらいに、到達目標といいますか学習の努力目標といいますか、そういったものについてもより成果を具体的に示すといいますか、こういった検討を今行っていただいておりまして、二十年度は、この学習指導要領をとにかく現場先生方に正確に伝える、そういった期間でございますから、その途中で、そういった一つの努力目標的な具体的な案といいますか、そういうものも示していきたいというふうに思っております。  指導要領は、あくまでこれは先生用にといいますか出してあるもので、それが行き着くものはこれだというのは、ちょっとお時間をいただきたいというふうに思います。
  28. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 この秋ごろにはということですから、安心いたしました。大臣、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  次にお聞きしたいのは愛国心の問題ですけど、愛国心の規定の仕方が教育基本法の改正に当たっていろいろと議論されたわけですけれども、この教育基本法や学校教育法にはこの愛国心というのが盛り込まれているけれども、学習指導要領総則には明記されていないんですね。これはどういうことか、お尋ねしたいと思います。
  29. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 先ほどお話をいたしました改正教育基本法でございますが、第二条の教育の目標であるとか、そしてこれは学校教育法でございますが、第二十一条の義務教育の目標、こういうところに、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養う」ということが規定されているわけでございまして、そのことを反映をして、今回の学習指導要領の改訂におきましては、総則においては伝統と文化の継承、発展について新たに盛り込んでおります。伝統と文化に関する教育について、各教科の特質に応じた学習内容も大幅に充実をしておるところでございます。  なお、我が国と郷土を愛する態度をこの総則においてどう扱うかということにつきましても念頭に置きまして、最終的な告示にどういうふうな形を取るのが一番いいのかということをバランスのいい記述にしたいというふうに考えておるところでございます。
  30. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 大臣、今道徳が廃れた世の中になってしまいましたから、非常に大事ですから、道徳心の向上について是非とも頑張ってほしいと思います。特に、心のノートも直すということだったですけれども、是非期待しておきたいと思います。  それからもう一つ教科化の問題ですけれども、先ほどお話しありましたけれども、教科化については本当に真剣に考えてほしい。点数を付けないような教科もあっていいんじゃないかと思うし、いろいろと、教科によっては。だから、教科というのは点数付けて何点何点とやらなきゃいかぬということもあるのかもしれないけれども、そうじゃない教科もあっていいんじゃないかと思うので、教科化については前向きに大臣には検討してほしいと思うんですけれども、もう一度、前向きな回答をお願いしたいと思います。
  31. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 前向きということですが、例えば、亀井先生、この子はいい子だ、この子は悪い子だということも、これは、なかなかやっぱり何をもっていいかということも私は非常に難しいと思うんです。  もちろん、道徳というのは基本的な、命を大切にしましょうとか他人への思いやりを持ちましょうとか、例えばいわゆる公に対する態度、こういったものをしっかりと教育段階で教えていくということは私はもちろん必要だというふうに思います。これは社会も家庭も総掛かりでやっていかなきゃいけないんだと思うんですが、価値観というのは心の問題に対しては非常にやっぱり多様ですから、これはなかなか評価というのは難しいなというのが率直な私の実感でございます。  これを付けるということになるのであれば、やっぱり更なる国民的コンセンサスといいますか議論がないと、これはなかなか難しいだろうなと。これは再生会議でも随分御議論もいただいておりますけれども、点数だって付けられるというふうな御意見はなかなか私はなかったやに思っております。無理に付ければ付けられないことはないかもしれませんが。  ですから、やっぱり私は、教科という言葉にこだわるよりも、我々がやろうとしていること、要するに、さっきから何度もお答えをしておりますけれども、人間として必要なこと、また国民として必要なこと、そういったことをしっかりと子供たちに教えていくためにどういうものを用意しなきゃいけないか、どういうふうに教えていかなきゃいけないか。それを余りちゃんとやっていないこれまで経緯もあるわけですから、せっかく取った道徳の時間でしっかりやっていただくと。  これは、私は世論は形成されていると思います。道徳は大事だ、ちゃんとやれというのは、実は国民の九割がそうアンケートでも出ているわけですから、そういうことをしっかりとやっていくべきであって、積極的という、別に消極的なわけではありませんけれども、まだまだ点数を付けるということに関しては議論が必要だというのが今の私の見解といいますか、考えでございます。
  32. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 大臣、点数付けなさいと言っているわけじゃないので、やはり人間として大事なことは、右も左も大体いろいろあるけれども、集約していけば同じだろうと思うんですよね、人間としてやるべきことは。そういう点を子供にしっかり教えるように努力していただきたい。そういうお気持ちだと聞いて安心いたしました。  次に、もう一点お聞きしたいのは国土問題ですけれども、竹島問題や尖閣諸島なんか、そういった国境、国の境の問題について、これちょっと前もって予告していなかったんですけれども、この問題についてどう考えておられるのか、できれば、突然ですけれども教えていただきたいと思います。
  33. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 一点だけ、ちょっと前のことで補足。  しっかり、そういう先生がおっしゃるような趣旨は徹底していきたいというふうに思っております。  今、領土の問題で御質問がございました。これは、我々の見解は、竹島もそれから北方領土もこれは日本の領土だという認識でございますし、この二つについては領土問題という問題が存在をしているということでございます。それから、あと残っております尖閣諸島は、これはもう日本の領土だということは確定している事実だというふうに理解をいたしております。
  34. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 分かりました。  私がお聞きしたいのは、そういう分かったことをなぜ教科書に書かないのかという問題です。だから、もうちょっと勇気を持って書くべきところは書いていく必要があると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  それからもう一つ、今度は給食の問題についてお尋ねしたいんですけれども、中国産のギョーザ事件以来、食の安全性が非常に大事になってきたという状況でございますけれども、今、学校給食を全国でやっていますけれども、これについての安全性のチェックはどこでやるような仕組みで文科省は指導しているんですか。
  35. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。  学校給食は、子供の健康の増進はもちろん、学校における食育推進のための生きた教材として重要でありまして、食品の安全性を確保し、安全、安心な食事を提供することはその大前提となる極めて重要な課題であると認識をいたしております。  文部科学省といたしましては、従来から食品の購入、点検、保管につきまして、学校給食衛生管理の基準においてその方法等を示しておりまして、有害なもの又はその疑いのあるものは避けるよう留意することを学校給食実施者に対して指導しておるところでございます。  今回、御指摘のとおり、食の安全を揺るがす様々な事案の発生が報告される中で、食品の安全性の確保につきまして学校給食の実施者に対しまして随時最新の情報を提供しながら指導、助言を行ってきたところでありますが、更なる安全確保を図る観点から、加工食品の衛生管理や関係機関との連携体制等を含め、同基準の改正学校給食衛生管理基準の改正につきまして現在有識者の協力を得ながら検討を開始しているところでございます。  文部科学省といたしましては、本年六月を目途にこの基準の改正を行うとともに、引き続き教育委員会学校に対しまして食の安全性に関する情報の迅速な提供を行いながら安全、安心な学校給食の確保に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  36. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 局長から立派な回答をいただきましたけれども、ちょっと回答が立派過ぎて、現実には学校給食会に丸投げで、ほとんど学校給食会を文科省が管理しやっているということを知っている人は少ないんですよね。だから、もうそういう意味では真剣に指導してほしいと思います。  特にそれに絡んでもう一つお願いしたいのは、週五回のうち今三回以上が米の炊飯ということになっているんですけれども、国の自給率向上等を考えたら、これを四回以上にするとかいう形でもっともっと増やしていく必要があるんではないかと思いますし、同時に、パン業者についてはいろいろ無理を言った経緯があるから、今、パン業者を中心に助ける格好でやっていることは立派なんだけれども、やはりもっと自由に炊飯業者を含めて入っていけるようにしたらいいと思うんだけれども、とにかく三回を四回に増やすことは自給率の向上のためには非常に意味があると思うので考えてほしいと思うんですが、どうなんですか。
  37. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) 委員指摘の米飯給食につきましては、日本人の伝統的食生活の根幹であります米飯の正しい食習慣を身に付けさせることや、地域の食文化を通して郷土への関心を高めることができるという教育的な意義を持つものでありまして、その普及定着を図っていくことが重要と認識しております。  委員指摘のとおり、文部科学省では現在週三回程度を目標といたしまして米飯給食を積極的に導入するよう指導しておりまして、現在は二・九回が全国平均の数値となっておるわけでございます。目標値につきましては、この現在の二・九回というものを、すべての学校において現在の週三回という目標が達成されるようにまずは普及啓発に努めてまいりたいと考えておるわけでございますが、その上で、今後一層米飯給食を推進していくためにどのような取組が必要なのか、これは農林水産省とも十分連携を図りながら検討を進めていきたいと考えておるところでございます。  また、米飯の炊飯委託について御指摘ございましたが、これは炊飯につきましては、各学校給食実施者の判断によりまして自校炊飯かあるいは委託炊飯かの選択を行うとともに、委託炊飯の際の競争入札、随契の選択がなされているというふうにお聞きしておりまして、随契の状況についてはつまびらかにしておりませんが、学校給食実施者において随契が行われる背景は、単に学校給食の金額面の問題だけでなく、継続的、安定的な供給能力あるいは施設設備の整備状況、衛生面も含めた運営体制など、総合的な判断を行う必要があるという事情でもって随契が行われているものと思われるわけでございますが、こういう学校給食経費の節減というものも委員指摘のとおり重要な観点であろうと思うわけでございます。  一方、給食の安全性ということに対しての国民の関心が高まっている中で信用性の確保なども重要な観点となっているということで、こういったことを総合的に勘案しながら、この学校給食の実施形態、具体の米飯給食の実施形態につきましては、各地域の実情に応じて適切な判断を給食実施者が行っていただくように私どもとしても促してまいりたいと考えているところでございます。
  38. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 分かりました。米飯の消費にひとつ努力していただきたいと思います。  それから次に、奉仕活動の問題なんですけれども、私、互礼会に出ましてもういつも思うのは、消防活動に、自衛隊というわけにいきませんから、消防団活動に高校生や中学生を動員することを考えたらいいんじゃないかと、非常に規律ある行動を取って生命と財産を維持するためにやることなんですから非常にいいんじゃないかと私は思いますけれども、そういう意味では大臣検討の余地はありませんか。
  39. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 学校教育でボランティアとか、またいろんな意味で、先ほども申し上げましたけれども、体験をするということは大変有意義だというふうに思っております。  今、消防団という御提案でございました。大変私はすばらしいアイデアだと思います。事実、調べましたら、そういうことをやっているところが、子供が参加して団員と一緒に火の用心の巡回をするとか、あとは日曜日に消防団の入隊体験をするといったようなことが行われているようでございます。  これは、一義的には学校の判断とか地域の判断で行われるということであろうと思いますけれども、そのようなことがやはり一つの事例としてまたいろんな機会に示されるということについては我々もできるだけ協力をしていきたいというふうに思います。
  40. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 分かりました。是非協力してやっていただきたいと思います。  その次にお聞きしたいのは、教員の定員増加の問題で、今度千名増加するということになっているんですけど、これについてよくよく見ると、これは、主任教諭をつくるから、主任教諭がどうしても授業から外れるということで、そのために外れた分を補充しようという考え方で補てんすると、その人数が千人だということなんで、例の少人数学級をつくるということにはならないんだけれども、もっとこの辺考えられませんか。特に、この主任教諭制度については、聞いてみると、四十七都道府県のうちに、みんなびっくりしたんだけれども、十三の都道府県しか採用しないと、三十幾つの都道府県は採用しないということですよね。そういうことだったらもうちょっといろいろと考え方があるんじゃないかと思いますので。  とにかく、できるだけ少人数学級を実現するようにやってほしいと思うんですが、大臣考え方はどうですか。
  41. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) この主幹教諭というのは学校教育法で位置付けられておるわけでございまして、いろんな議論があったんだろうと思います。ただ、教頭、校長は非常にやっぱり、特に教頭ですね、仕事が多い。残業時間を見ても、データを取っても多いと。そういうことで、校長の指示を受けて学校のマネジメントに携わる、その分授業から抜けると、簡単に言えばこういうことですね。今回、その抜けた分を補充をするという意味で千名の定員を使わせていただいたと。今、実は今日、本会議で採決をしていただきますが、衆議院は既にもう質疑を終わっておりますが、そういったことだと理解をいたしております。  教員の定数改善というのはまた別の視点でいろいろあろうかと思いますが、今回千名の加配をさせていただいたのはそのような趣旨でございまして、このことによって結局は学校のマネジメント力が上がれば、結果として、これは私の理解もそうなんですが、ただ単に教頭の仕事が減るだけじゃないかということではなしに、全体との連絡も良くなるわけでございますから、普通の先生方がいろいろ、例えば会合を開くののアレンジをしたり、それから父兄への対応等の力が全体が上がりますから、そのことによって子供と向き合う時間が相乗的に大きくなるということを期待をしておりますし、そういうように運用をしていただきたい。  まだ十二県しかというのは、これは地方の方の対応が少しちょっと遅れているというところもございまして、今後そういったことも含めて、来年度からスタートするわけで、再来年度以降は我々もよりきっちりと増えていくように対応したいというふうに思っておるところでございまして、御理解をいただきたいというように思います。  それから一点だけ、ちょっと時間ない。先ほどちょっと私フライングをいたしまして、達成目標の話で秋ぐらいにはできると言いましたが、学習指導要領の高校版を出すのが実は秋でございまして、それが終わり次第その議論をスタートさせるということでございまして、ちょっとせっかちなものですから、間違っておりました、訂正をさせていただきたいと思います。
  42. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 分かりました。大臣、頑張ってください。  もう時間がありませんが、最後に一つ、留学生の三十万人計画の問題ですけれども、現在十二万人ですけれども、福田総理は三十万人と言いましたけれども、今私学はどんどん生徒が減るものだから困っているわけですね。そこで考え付いたのが留学生を入れようということで、今推薦入学が随分多くなってきていますけれども、四割ぐらい今推薦入学だという学校もあるわけだけれども。そういう状況で、留学生を入れれば手当がもらえる、補助金をもらえるということで、これは一石二鳥だということで、私学経営者の中には留学生をどんどん入れようと、いわゆる留学生置き換え論をやっているところがありますけれども、大臣はこの問題についてどうお考えになりますか。
  43. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 一部にそういう声があることは承知をいたしております。しかし、大学というのは、基本的にその質というものをきっちりと確保されていて初めて役割を果たしていただいておるわけですから、単なる数合わせでそういうことをやられるということがあってはいけないと思いますし、またあるべきでないというふうにも考えております。その辺のところは、ちゃんと質の確保というものがされるように、これはある種、別の問題として我々はしっかりと考えていきたいというふうに思っております。
  44. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 ありがとうございました。  終わります。どうもありがとうございました。
  45. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 民主党・新緑風会・国民新・日本の谷岡郁子でございます。  今日は、文教予算のバランス、高校・大学教育及びスポーツについてお聞きをしたいというふうに思っております。  私が皆様の手元にお配りしました資料、実は急いで準備しましたものの中で今日はちょっと順序が狂うかもしれませんけれども、その点についてはお許しをいただきたいというふうに思っております。  まず最初に、文教科学予算のバランスについてお聞きをしたいと思います。平成十四年度予算額が六兆五千七百九十八億円に対して、文教科学予算、二十年度、これは二〇%減の五兆二千七百三十九億円、間違いございませんでしょうか。
  46. 坂田東一

    政府参考人(坂田東一君) ただいま先生おっしゃいましたとおりの数字でございます。
  47. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 それでは、そのうち文教予算というふうに言われるものが、平成十四年度で五兆五千九十一億円に対して二十年度予算では三兆九千三百九十五億円の約二七%減であるということは間違いございませんでしょうか。
  48. 坂田東一

    政府参考人(坂田東一君) 御指摘のとおりでございます。
  49. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 そして、最後に、科学技術振興費、エネルギー対策費を合わせた研究費がそれぞれ八千六百六十億円から一兆八百億円の一二・四%増であるということで間違いございませんでしょうか。
  50. 坂田東一

    政府参考人(坂田東一君) 私、今手元に両方足した数字は持ち合わせていないんでございますけれども、平成十四年度の科学技術振興費は七千五百二億円、エネルギー対策費が一千百六十億円でございます。それから二十年度の予算、まあ今予算案でございますけれども、科学技術振興費は八千六百十九億円、エネルギー対策費が二千二百十四億円でございます。
  51. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 渡海大臣、今のことをお聞きになりまして、文部科学省に移行したということが言わば文部が下がって科学が上がると、全体予算二〇%減ということに対して文教予算は二七%減、そして一方の科学研究予算は一二%増と、これはバランスが取れたものとお考えになるでしょうか。
  52. 坂田東一

    政府参考人(坂田東一君) 事務的にちょっと御説明させていただきたいと存じます。  数字につきましては先ほど申し上げたとおりでございますけれども、平成十四年度から平成二十年度予算案までにつきまして、確かに文部科学省の所管経費は総額では一兆五千六百九十六億円が減になっております。  しかし、この主たる原因でございますけれども、これは三位一体の改革、それから人事院の勧告等でございまして、これらの影響額が合計で一兆六千二百四十七億円の減ということでございますので、両者を比較しますと、実質的には決して減ってはいないという具合に私ども考えております。
  53. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 その理由については私も存じ上げております。しかし、教育がそういう形でシーリング、あるいは減に実際なじむものなのかと。国際的な趨勢としては、むしろ教育にはよりお金を投じるということが一般的な国際的な趨勢であるという状況の中で、その結果、日本の学力というものが相対的に下がっているというふうには考えられないのか。  やはり、国のコミットメントが、たとえ人件費が二分の一から三分の一に変わるような状況がありましても、それはコミットメントが下がっているということでございまして、やはり国として教育に対する予算というものをきちっと確保するということが必要なのではないかと思われますが、大臣、いかがでございましょうか。
  54. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 谷岡委員も御理解をいただけると思いますが、私は二分の一が三分の一になったからといってコミットメントがそんなに変わったとは正直思っておりません。これが十分の一になったというならかなり変わったということが言えると思いますが。ただし、それ以外にもいろんな要素がありますから、このことだけをもっては言えないというふうには思っております。  例えば、今厳しい財政改革の中で、いろんな意味で、例えば定数削減とかそういった問題があるわけですね。そういうこと全般をやっぱりどう見るかということで考えていかないと、なかなかこの議論は難しいんじゃないかというふうに私は思っておりますが。
  55. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 元々の日本の教育費に対する資本投下というものが小さいというふうに私自身は考えております。それは今後の議論に送るものといたしまして、次に高校を中心としたところでお話を申し上げたいと思います。  現在、民主党は高校教育無償化の推進の法案というものを出させていただいておりますけれども、これはやはり高校に対する全体的な国費あるいは公費の支出が小さいのではないかという、その考えに立つのでございます。  そこでお聞きいたしますが、高校生一人当たりの公立高校及び私立高校生に対する公費の負担というのはそれぞれ幾らになっておりますでしょうか。そしてまた、経済的な理由で退学する公立、私立校の高校生の数というものは現在どのようになっておりますでしょうか。
  56. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) お答えをいたします。  公立高校生及び私立高校生の一人当たりの公費負担額についてのお尋ねでございます。私ども、毎年、地方教育調査というのを行っておりますが、これに基づいてお答えをいたしますと、平成十七年度における公立高校生一人当たりの公費負担額は百三万円となっております。  同調査では、私立高校生に関する調査は行っておりませんので、私ども別途の資料、すなわち日本私立学校振興・共済事業団のデータを基に算出をいたしましたが、このデータによる算出では、私立高校生一人当たりの公費負担額は三十二万円となっておるところでございます。
  57. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 二番目にお聞きいたしました経済的理由で退学する公立、私立高校の数はどうなっておりますでしょうか。
  58. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 私どもの調査によりますと、平成十八年度において高等学校を中途退学した者は約七万七千人でございます。このうち、経済的な理由により高等学校を中途退学した者につきましては、公立学校では千三百三十九人、在学者に占める割合は〇・〇五%になります。  また一方、私立学校につきましては千三百一人でございまして、同様に在籍者に占める割合は〇・一三%となっておるところでございます。
  59. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 約三倍近く私立高校の退学者が多いということでございます。  ところで、OECD諸国のうち高校教育が無償になっているものは、分かっている範囲で結構なんですけれども、幾つぐらいありますでしょうか。また、その中で、私立高校生が全高校生に占める割合というのは日本は何番目ぐらいに高いのでしょうか。
  60. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) お答えをいたします。  諸外国における公立学校の無償の状況についてでございますが、私どもすべての国の状況承知しておるわけではございません。ただ、現時点で把握しております欧米、アジア、あるいはオセアニアの主要十九か国のうち、十四か国は無償となっておるようでございます。具体には、例えばイギリス、フランス、ドイツ等主要国がこの中に含まれておるわけでございますが、一方で、ヨーロッパでもスペイン、アジアで申しますと中国、韓国等は無償になっておりません、有償でございます。  また、全高校生に占める私立高校生の割合についてのお尋ねでございました。OECD諸国について、OECDの諸国に関します調査によりますと、二〇〇五年度における後期中等教育段階の私立学校に在学している我が国の生徒の割合は三〇・六%でございまして、他のOECD諸国、データがありますのは二十八か国ございますが、これと比較しますと、高い方から四番目に日本は位置付けられておるところでございます。
  61. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 そのように、四番目というように、私立学校に占める割合が基本的には高いこの国にありまして、先ほど来出ておりますように、退学率も実は高うございます。そして、同時に、私が調べてみましたところでもそうかと思うんですが、高等学校において、特に私立において、都道府県によって私立学校へ通う生徒への助成に大きなばらつきがあると思いますが、そのことには気付いておられますでしょうか。
  62. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) ばらつきがあるというのは承知をいたしております。
  63. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 私が今回出しました資料の最初のところのページを御覧になっていただきたいと思います。この中で、三十三番目に岡山県が出てまいります。岡山県のこの実情というものが、実は、次のページ、はねていただきますと、このように書かれております。  これはどちらも全国私教連からいただいた資料でございますが、本校は、低所得層、母子家庭の子供たちが多く入学しているのが実情であり、岡山県でも授業料減免措置を受けている生徒が最も多い学校です。本校には八月末までに前期分の授業料を納めなければ出席停止という内規があります。もしこの内規どおりに実行すれば、約百人の生徒たちが出席停止、三十人の生徒たちが除籍となってしまいます。それでは学校も成り立ちませんので、授業料をいつまでに納めるという確約書を提出させたり、分納させたり、いろいろな緩和措置をとりながら、担任や事務員が家庭訪問を行ったり、保護者に奨学金の申請をさせたりし、何とか生徒を登校させています。生徒自身も授業料の足しにアルバイトをしています。それでも、一年以上確約が守れず授業料が支払えずに出席停止になってしまう生徒が二十人以上いますと。  これがそれほど、三十番目ということであればそれほど重要ではない、ここで見ますと私教連では十六位に全国で順位を付けているわけです、補助の度合いということに関しまして。その程度であって、学校においてはこのような状況が起こっているところもあると。  また、三十九番目に出てまいります高知県、御覧になっていただければ分かりますように、授業料の助成は、これは九校ほどあるうちの六校しか調べが付いていないということでありますけれども、しかしながら、そこにおきましてはたった八人しか実際には助成を受けることができなかったと。その一方で、一番充実していると言われております愛知県などでは本当に高い金額が、生徒一人当たりの助成金額というようなものが十二万円近くになっているというような状況があります。  これは、教育の機会均等ということから考えまして、地域によって大変大きな格差が出ているということにはなりませんでしょうか。
  64. 磯田文雄

    政府参考人(磯田文雄君) 今委員指摘の点は、各都道府県におきまして、生活保護世帯の生徒、あるいは保護者の失職などの家計急変による理由からの授業料納入が困難となった生徒に対する授業料減免制度を行っている状況についての御指摘理解をしております。  各都道府県におきましては、国が助成しております基準を超えまして、さらに市町村民税非課税世帯等に対します授業料減免等も行うなど、それぞれ事情は異なっておりますが、例えば今ございました高知県におきましては、生活保護世帯に対する授業料減免補助が十八年度実績で七十四万五千円、対象生徒数四人、家計急変世帯に対する授業料減免補助は百十四万四千円、対象世帯数六人ということで、いずれも学校法人から申請のあったものについてはすべて県が補助している状況でございます。
  65. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 そのとおりなのかもしれません。しかし、国民が格差なく、機会の均等というものを持ちながら教育を受ける権利というものはやはり確保されるべきであろうというふうに私は思っております。  先ほどの御指摘にもありましたように、六十万以上、公費の負担の格差というものが公立と私学の中にあると。しかも、私学は必ずしも望む者だけが行っているのではなくて、塾などに行けなかったがゆえに公立高校に受からなかった者たちもかなり多く含まれて私立学校に通っているという実態というものがございます。  これに対して、やはり国として、多くの者が、これは生活保護を受けている世帯だけではなくて、子供が一人、二人、三人といるというような状況になりますと、大変厳しい家計に対する負担になっているということは明らかであろうと思います。  二枚はねて、先ほどの岡山県からはねていただきますと、五ページ目の半ば過ぎのところにこのような記述がございます。これは、このような格差が起きているという理由に対して、歴史的には一つには、国が一貫して授業料助成を実施することを拒み、各県行政をリードしてこなかったこと、そこにあるのではないかという指摘があるわけでございます。  大臣、このことにつきましてどのような御感想をお持ちになっておりますでしょうか。
  66. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 今委員がおっしゃいましたような問題意識、そういう問題が実はあるんだということは私も認識をいたしております。  別に役人的な答弁をするつもりはないですが、一義的にこれは市町村ではなくて都道府県ですね、この設置者である、ここに対してどういうふうに我々はやっぱり働きかけていくのかと、格差が生じないように、この問題があろうかと思います。それから、国全体としては、これに対してどういう補助の体系を持っていくのかということがあるんだというふうに思います。  基本的に私学助成という制度があるわけでありますから、そういったものを通じてできる限り格差が生じないように我々は努力をするというのは国としては一つのやっぱり責任があるんだろうなと、それが率直な印象でございます。
  67. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 大臣、ありがとうございます。大変力強いお言葉をいただきました。  次にめくっていただきますと、これは国民生活金融公庫総合研究所の調査の結果が出ております。高校入学から大学卒業までに一人当たり千四十五万円という費用が掛かっていると。世帯の年収に対する在学費用の割合は平均して三三・六%であるということでございます。世帯の年収に対する在学費用の割合は年収が少ない世帯ほど高いと。そして、年収が二百万円以上四百万円未満の世帯では五四・三%というところに高校から大学教育の家計費負担が来ていると。  これは余りに重い負担ではないかというふうに思うのですが、これに対しては、大臣、いかがお考えでしょうか。
  68. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 大学教育に対する家計負担というのは大変重いものがあるなというのは正直あると思います。私も、これは高校から大学ですね、残念ながら大学は私学でございましたから親に随分迷惑を掛けた方かなとは思っておりますが。  そういう中で、やはりここ数年、奨学金制度充実というものをかなり広げてきたわけでございますし、より一層、大学に対して我々は、いろんなルールは設けなきゃいけないと思います、単純に基盤的経費を確保するとかそういう話じゃ私はないと正直思っておりますけれども、いろんな意味での支援というものをやっていかなきゃいけないというのが率直な実感でございます。
  69. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 戦後すぐの経済的な困窮、世界の最貧国の一つであったような日本の中で、小学校、中学校教育というものは全面的に無償化する、義務教育化するということがなされました。それは、国の競争力、活力というものが何よりも教育を基盤としているということの考え方において大変な英断ということが行われたと思います。  それから六十年以上が経過しております。世界の多くの国々で、先ほどの御指摘のように高校教育が既に無償化されております。それを、世界第二の経済大国であります日本がいまだに大変大きな家計費負担をこういう形で国民に強いているということ。私立学校はもちろんのことでございますけれども、公立高校もやはり十万円以上の年間の負担を強いているということ。二人、三人、四人子供がいれば、それは何倍にも跳ね返ってくるということ。これが言わば少子化の原因になっているということではないだろうかと私自身は考えております。加えて、大学教育ということになりますと、もっとそうでございます。  次の円グラフのありますところのページを見ていただきたいと思います。教育費の負担というもの、これがどのような率になっているかということは、世帯の年収に対してやはり裕福な層では比率は低い、そして貧しいところでは大きい。そうすると、一人の子供を私立大学にやらせたら、実は二人目、三人目ということはその大学教育をあきらめてもらわなければいけないというようなことが現実に起こっているわけです。  また、次のページを見ていただきますと、これはつい最近、三月十八日の日本経済新聞、ここから取りましたものでございます。私大生に対する仕送りというもの。中ほどを見ていただきますと、九七年の仕送り額は月十二万二千円であったと。それが昨年は九万五千九百円。つまり、十年たって二割以上が削減されたということでございます。それが家庭負担の限界にもう既に達していて、それができないがために仕送りは減っていて、その分、学生自身が食費を削ったりバイト生活に明け暮れるということで賄っているという状況だろうと思います。  確かに、先ほど大臣おっしゃいましたように、ローンというものがございます。奨学金というふうに私、呼ぶのはおこがましいと思っております。単なるローンだと思います。多くの者は利子を払って、そしてそれを返し続けるということになっておるわけです。  これをしばらくのところであと何枚かはねていただきますとこの棒グラフのようなものがございますけれども、それから次に三枚、四枚ぐらいはねていただけるといいと思いますが、カリフォルニア大学の学生総コストというものの表が出ております。この下段の表を見ていただきますと、親の収入が、年収が二万ドルを下回っている場合、学生ローンで学生が借りる金額というのが四千ドル少々、これ四十万円ちょっとですね、年間。そして、学生のアルバイトが三千ドルぐらいということで、貯金二千ドルを合わせると、ほぼ親の負担がゼロになるようになっていると。その一方で、同じことが起きた場合、年収が八万ドルの親の場合には、一万一千四百五十ドル、これを親が負担をするというような形になっていると。年収に合わせてやはりその負担が違うと。  その前のページを御覧ください。日本は学生支援機構からの有利子、無利子の貸与がございます。アメリカでは給与、貸与、両方ございます。イギリスもそうです。そして、フランスは給与する。ドイツも給与するというような形で、給与と貸与というものが何らかの形で組み合わされて、学生が卒業時に多額の借金を負うことがないようになっていると。  しかし、日本では、給与すると、給付ということが国として全くなされていない。それがために貧困層と、学生というものは、その多額の借金を四年間でするということに対して大変なちゅうちょを持ちながら、非常に厳しい生活をしていて十分に勉強をする時間も取れないような現実というものが起きていると思われます。私どもの大学でもそれは同じことでございまして、昼食を削りながら新しい靴を買うために頑張っているスポーツ関係の学生、これは日常茶飯事に私たちが見受けるような光景でございます。  こういうことに関しまして、やはり学生が十分な勉強時間を取る、あるいはバイトをするよりもボランティア活動をしてもらう、文化的なサークル活動をやる、そのような青春、そして社会的、人間的な成長というものが促されるような大学生活を私は学生たちに与えたいと思いますが、大臣、それについていかがお考えでしょうか。
  70. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 確かに奨学金制度だけを見ますとアメリカというのは大変充実しているなと正直思います。ただ、社会全般をどう見るかということもやらないと、例えば民間からのファンドとか、そういったものが非常に実は裕福なんですね、いろんな優秀だと言われている大学を見ますとね。そういったことを全体として見ないと、なかなかこの問題は簡単には言えないんだろうとは思います。  ただ、やはり学生が本来の目的である大学において勉強し、そして生活をし、なおかつ例えばスポーツという点も含めて学生として過ごす、そのこと自身がそがれるような生活環境に置かれ、また経済状況に置かれるというふうなことは、やっぱりそういうことができるだけないように我々はいろんな制度設計というものを考えていかなきゃいけないんだろうというふうに思います。
  71. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 それでは、私が作りました資料の中のこの表を見ていただきたいというふうに思います。グラフになっておるもので、色別になっております。青のところが公費、国費の負担でございます。高等教育支出に対するものでございます。  もちろん、その前のページを見ていただけば分かりますように、チェコ、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スロバキア、スウェーデンというようなOECDの国々は、既に平均授業料が無料になっておりまして、国立大学生の割合が九五%から九九・三%というような状況になっておりますので、この表を長く続けようと思えばその下に続けることができるわけですけれども、一応ここで切らせていただきました。  そして、それを含めまして考えまして、確かに大臣今おっしゃいましたように、アメリカのこの黄色い部分が様々な外部からの、公費以外から資金導入ということになっておりますから、アメリカや韓国というもの、あるいはカナダというものはそういうものが大変高いということが言えるかと思います。  しかし、この家計の負担ということで見ていただきますと、日本はやはりどこの国よりも高いんです。重いんです。そして、公費負担というものがやはり少ない、あるいは公費負担に代わる社会からの給与あるいは社会からの支援というものが余りに小さ過ぎるということが家計費負担を増大させているということが言えるわけです。  大臣、お聞きしたいのですが、教育の恩恵を、高等教育の恩恵を受けるのは本人あるいはその親兄弟だけでしょうか。
  72. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 結果として本人が高い教育を受けて社会に貢献をすると、そういった意味では、ただ単に本人ではなくて、家庭だけではなくて、社会に対しても貢献をし得るという意味では教育の恩恵というのは社会に及び得るというふうに考えております。
  73. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 私もそのように思います。二十一世紀の高度複雑化した社会において、私たちは高度で複雑化社会を多様に担う多様な高度な人材というものがいて初めて社会の経営、運営というものが正常に回るものだというふうに考えております。  それは各国もそのように考えているから、この二十年間に高等教育に対する国庫の支出というものを大幅に増やしてきたんだと思います。もちろん、経済状態、財政状態が楽なところばかりではないと思います。しかしながら、それにもかかわらず多くの国々は高等教育に対する支出というもの、これは国家の運営、競争力の維持と、あるいは活力というものを必要とする、そのためには必要な投資であるというふうに考えて増やしてきたと思います。しかるに日本では、それがやはり本当に小さい割合でしか増えてきていないということは事実ではないでしょうか。  この点につきまして、今後お考えを変えられるというようなことはないのでしょうか。
  74. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 私は、弁解はするつもりはありませんが、しかし、例えば大学教育を有償に切り替えた国もあるんですね。だから、国家の財政事情というものは一つやっぱり我々は未来への責任として考えなきゃいけない。これはうなずいていただいているから、よくお分かりだと思います。  国の形の在り方ということになりますと、確かに、今委員おっしゃるように将来に対して何を投資していくかということは、教育というのは将来に対する、これはもう間違いなく将来に対する投資であります、子供たちが未来の日本を背負うわけでありますから。そういったことを常に我々は念頭に置きながら、全体として財政というもののバランスも考えながら物事は決めていかなきゃいけないんだろうなというのが率直な実感でございます。  ただ、高等教育に関して言うならば、我々も問題意識を非常に持っておりまして、世界の中でやっぱり勝ち抜いていかないと、現実には日本の経済社会自身も衰退するわけでございますから、そういった点をどういうふうに考えていくのかということについては、遅いと言われるかもしれませんが、非常に喫緊の課題としてこの高等教育を中心にした議論というのは大いにやっぱり進めていかなきゃいけないと思っておりまして、今、これは中教審のワーキンググループにもそういうこともお願いをしておりますし、我々自身もそういった議論というものをしていかなきゃいけないというふうに思っておるところでございます。
  75. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 その意味大臣からは大変心強いお考えをいただきまして、私も今後を楽しみにしたいというふうに思っております。  そして、この点につきまして私がずっと調べてまいったところ、日本の学生たちというのは、先ほどもありましたように国家の運営を担う者であり、同時に将来の納税者である、また、かつ年金の給付者になる人たちであるというふうに考えます。同時に、日本の学生たちの保護者というものはおおむね納税者であって、そして日本の教育をこれまでも支えてきた人々である、また支え続けている人々であるということが言えると思います。  ところが、先ほど来議論をしておりますように、日本では、日本人の学生に対してはローンという形の貸与のみの奨学制度になっていると。ところが、取り切りのお金をもらっている人たちがいる。それは留学生でございます。  ここで御質問でございますが、留学生一人当たりに対しましてどのぐらいのものが払われているのか、これは貸与なのか給与なのか、そしてどのような基準で行われているのかということを御説明いただきたいと思います。
  76. 清水潔

    政府参考人(清水潔君) 留学生に対しては、支援の経費として国費留学生と私費外国人留学生に関する奨励がございます。  国費留学生の制度は、大学院で月額十七万円、学部で十三万四千円の奨学金を支給しており、給付総額、給付でございますが、総額は二百二十三億円となっております。また、私費外国人留学生に対する学習奨励費は、大学院で月額七万円、学部で月額五万円の奨学金を支給しており、給付総額は八十一億円となっております。  以上でございます。
  77. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 ただいま御説明がありましたように、三百億円以上の給付金が留学生に使われております。  彼らの親は日本の納税者ではございません。そして、この多くの学生たちはやがて卒業をして、そして自らの国へ帰ります。つまり、日本の国に税金を納めるわけでもございませんし、日本の国の活力あるいは経済的な競争力のために頑張るというわけでもございません。  日本の政府は、まず日本国民教育に対して第一義的な責任があるとお考えにはなりませんか、大臣
  78. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 責任があるというのは否定はいたしません。  ただ、この留学生の制度というのは、やっぱりある意味違った側面を持っているというのが私の理解でございます。ODAと言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、やっぱり外交戦略としての意味もあるわけでございますし、また日本が国際的にいろんな国々と関係を築いていく上で知的貢献をしていく、そういった意味もあるわけでございまして、一概に今委員がおっしゃったような視点だけで物事を決めていくというのはなかなか難しいというふうに考えます。
  79. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 おっしゃることも一面では理解できます。しかし、私に言わせれば、隣近所の付き合いのために隣の子の学費を出して自分の子の学費を出さないということに等しいことが行われているのではないかとやはり思ってしまうわけでございます。  最後から二枚目に付けました資料を皆様御覧いただきたいと思います。  ここに書きましたのは、留学生学費の国際比較ということで書きました。オーストラリアの公立の場合、自国学生の授業料は四十五・四万円に対して、外国から来る留学生に対しては百二十九・九万円。オーストリア、公立、自国学生では九・六万円であって、外国人学生は十九・二万円の二倍。カナダの公立では三十五・六万円、九十五・二万円で二・六七倍。トルコのような国であっても、三・二万円の自国留学生に対する授業料であって、外国人に対しては十・四万円。イギリスなどを見ていただきますと、二十一・五万円の授業料、これが自国生に対するものであるのに対して、外国人学生に対しては百六十九・三万円、七・八七倍取っております。そして、アメリカの公立では、自州の学生に対しては五十五・〇万円に対して、外から来る者、留学生を含むんですけれども、百四十七・八万円の二・六九倍。  大体平均して三倍ぐらい留学生の方が高い。なぜならば、先ほど申し上げましたように、既に国民の税金を投じているもの、州民の税金を投じているもの、それを払っている親の子たちというものは安くて当然だと。そして、その場限りの教育を受けに来る者たちに対しては一定重く払ってもらっても結構だと。その他特別な政府の事情がある場合に対しては、その上で留学生に対しては何らかの給付を行うということは当然あると思います。そして、大きな金額をもらっている留学生もいると思います。しかしながら、留学生の授業料の方が国民の授業料よりも高いのが普通でございます。  それに対して、日本を見ていただければ分かりますように、先ほどありましたように、国費留学生、私費留学生の違いはございますけれども、言わば国立大学では留学生は、国費留学生の場合はほぼただです。日本の学生は授業料を払っております。そして、私費留学生の場合でもほぼ半額でございます。私立大学に行っている学生でも三分の一程度は実は日本政府がお金を支給しているということでございます。  一方で、国民の多くが子女の教育に大変な家計負担を感じ、それを大きな負担に感じて老後の言わば蓄えを食いつぶしているような形でそういう教育費用を捻出させていると。その一方では、留学生に対しては通常の国とは全く逆のことをして、言わば大盤振る舞いに見えることをしている。  私は、留学生に対して支援することはいけないとは申しません。しかし、それは日本の学生に対する支援というものがもっとちゃんとできての上のことではないかというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
  80. 清水潔

    政府参考人(清水潔君) 留学生に対する支援ということについてでございますが、先ほど大臣から御答弁させていただきましたように、まず、それぞれ、先生指摘のように、例えばオーストラリアですとかイギリスでありますとか、ある意味で普遍語としての英語というものを一つの武器にしながら、その教育を国際的な一つのマーケットのような形で留学生獲得戦略というものを言わば成り立たせるということが申し上げられるかと思います。とは申し上げても、留学生、優れた留学生に対する支援の措置がイギリスというような国が持っていないわけではございません。給付制の奨学金も、割合は少のうございますけれども持っております。  そういう意味で、まさに留学生の施策は我が国の置かれた環境と高等教育在り方、そして国際的な貢献という部分で基本的にやはり進めていく、それが一種の呼び水になる、こういうふうな考え方であろうというふうに思っております。  奨学金事業でございますが、創設以来貸与制で事業を実施しておりますが、これは返還を通じて学生の自立心、自己責任あるいは社会への還元の意識の涵養というような効果、あるいはそれを再度原資として活用することにより限られた財源の中で希望する学生を幅広く対象とする、そういう理由に基づいて貸与を行っている、こういうふうなことであることを御理解賜れればというふうに思います。
  81. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 この通常国会総理の所信表明並びに渡海文科大臣の所信表明において、留学生をなお十万人から三十万人に増やすんだということが言われました。そして、もし今のような助成の制度を続けるのであるならば、この今掛かっている三百億円以上のお金の三倍の費用がまた必要になるということでございます。それだけの費用があればどれだけの学生が、少なくとも給与、給付ならぬものでありましても、貸与であっても無利子にできるかということをお考えいただきたいんです。  そして、私は、三十万人の留学生への増員ということは言語道断な話だと実は思っております。なぜなのか、それは現場に行けば簡単に分かることでございます。一人の留学生を受け入れるということは、職員も教員も大幅に手間暇を取られます。そして、大臣も御案内のように、このシーリングの状況の中で、高等教育機関におきまして定員が増えない状況の中でより多くの研究をする、そして委託研究を受ける、国立大学などもそうでございます。そういう状況で言わば資金を減らされてきた、そして事務員も減らされてきたと。そういう中で、人々は留学生一人一人に対して三倍から四倍手間暇、時間が掛かると言われている者たちを、これが面倒を見ているわけです。  その努力は尊いものだと思いますが、それは、言わば日本人学生をほうり出してでもそれをやらなければいけないという事情の中で、本来ならば日本人学生が教員から受ける指導であり、事務職の者から受けるサービスであるものを犠牲にしながら、現場はそれに対応してきたということであります。  これは単に金額だけの問題ではなくて、日本人学生たち、本来、日本の大学は日本人学生たちを中心とした、基本的には日本学生のためにあるものだというふうに私は考えておりますけれども、お金も掛かる、そして教育、サービス、そういうものもやはり留学生に多くを取られるということが現場においては日本人学生の犠牲の下になされているということを私は指摘したいと思いますし、それに対してはお考えを改めていただけるようにお願い申し上げたいんですが、大臣、いかがでございましょうか。
  82. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 今後、これは三十万人を前提としていろんな議論をすることになっております。これは急ぐと思っておりますが、その中で今先生がおっしゃったような視点もちゃんと我々は考えながら、そしてやらせていただきたいと思います。  この留学生の問題というのは、それぞれの国にそれぞれの事情というのがやっぱりある、受入れ側にもあるんだろうと思うんですね。これはやっぱり、先ほども言いました、ODAとは言いませんが、いわゆる外交戦略の一環ということももちろんあるわけでございますし、日本がやっぱり国際社会の中でこれから生きていくためにどういうことを考えていくかということの一環でもあると、そういった視点もあるわけなんですね。  ただ、そのことによって、先生が御指摘をいただいたように日本の側が非常に困るんだというようなことになるんであれば、そこはやっぱりそうならないように、これは、我々は大学を担当している、大学院を担当している文部科学省としてしっかりとやっぱり議論の中で進めていきたいと、そういうふうに思います。
  83. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 先ほど来何度も申し上げておりますように、日本の親たちは本当に高い大学の家計費負担というものにあえいでおります。そして、それが少子化の原因になっている側面というものが多くあります。それは、私どもがいろんな人たちに聞いて、やはり大学までやりたいということの中で、子供をつくる人数を考えるということが一般的な日本の家庭の考え方だろうと思うからです。  そして、このページに挙げさせていただきましたように、チェコからスウェーデンまで無料であり、そして多くの国々で十万円以下で大学にやれるというような状況の中で留学生に対して多くの支援をするということならば、本当に私も理解ができます。しかし、日本の親たちがこれだけ大きな負担を強いられている中で、留学生に対するその大盤振る舞いというものが言わば国際常識から考えてやはり突出している状況であるということ、それはむしろ留学生を削減するという方向ではなくて、日本の学生たちに対してしかるべき支援が行われるという形で是非改めていただきたいということが私の希望するところであります。  ところで、その留学生の中で、今十万人強いるということでございますが、その国の内訳、そして人数はどのようになっておりますでしょうか。
  84. 清水潔

    政府参考人(清水潔君) 今、国別の内訳は手元にございませんが、国費の地域別内訳で申し上げますと、アジアが六八・五%、中東が四・一%、アフリカが五・〇%、オセアニアが一・八%、北米一・九%、中南米六・六%、欧州一二・一%、このように相なっております。  今、国別でもう少し申し上げさせていただければ、人数でございますけれども、中国が七万四千人、韓国が一万六千人、台湾が四千二百人、マレーシア二千百人、ベトナム二千百人、米国千八百人、タイ一千七百人、インドネシア千五百人、バングラデシュ千五百人、スリランカ千百名、その他となっております。
  85. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 十万人強の中で、幾ら地球上の人口に占める割合が中国人一番多いといいましても、突出して中国が多いようにお聞きをするんですが、それはずっと、この年だけなんでしょうか、それとも、それまでも続いてきた傾向なんでしょうか。
  86. 清水潔

    政府参考人(清水潔君) 基本的に我が国に来る外国人留学生で一番国別に多いのは中国でございます。一貫して変わっておりません。
  87. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 この留学生十万人計画を中曽根首相が最初に打ち上げられましたころから、中国人の受入れというものが突出して多かったというふうに私は記憶をしております。今おっしゃるとおりだろうと思います。  かつては、文化大革命で中国の高等教育というものがずたずたになっておりました。そして、それが終わりましても、中国の大学において教鞭を執る者がほとんどいないような状況の中で、中国の大学教育を立て直すためには日本を始めとする先進諸国の大々的な支援が必要であった。そして、多くの中国人学生がアメリカ、ヨーロッパあるいは日本にやってきたという状況があったと思います。  しかし、それから約三十年が経過しております。しかしながら、日本の留学生の受入れの割合というものは相変わらず中国人が中心になっていると。現在、GDPで日本に追い付こうとしている中国、一億人の富裕層が現れてきていると言われている中国、そういう中国の中では既に文化大革命の傷跡というものもいえまして、中国独自の大学教育というものも現在はできるようになっております。その上で、なおこの文化大革命後以来のこの過重なとも言えそうな中国人に対する、そして留学生に対する日本の政府の恩恵というものは今後も必要なのでありましょうか。大臣、お答えいただきたいと思います。
  88. 清水潔

    政府参考人(清水潔君) 実務的な話だけお答えさせていただきます。  今、留学生の総数は十二万人おります。約十二万でございます。うち、国費留学生としてサポートしているのが一万人、そして私費として学習奨励費として支援しているのが一万二千ということで、全体として留学生総数の二〇%弱支援しているわけでございまして、大多数の留学生は自分で私費で来日しているという実情にございます。
  89. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 しかしながら、各私立大学などから、文部科学省の方から参っておりますものも、留学生に対する減免措置を制度として設けた場合には、一定を文科省がその金額すべて、フルではございませんけれども、三分の一から四分の一程度を補てんするという形で、文科省自身としてそういう私費留学生を多く受け入れるための誘導というものをずっとこの間やっていらっしゃるという事実がございます。しかし、日本人学生に対する助成というものはこの間増えておりません。一時は三〇%ぐらいまで大学私学助成というものは大学においてなされていましたけれども、現在は一〇%内外というようなことに収まっております。  そこでお聞きをいたしますけれども、私学に対する国庫の助成というもの、これを医学部、そして医学部を持っている大学、そして医学部以外の大学というふうに分けた場合には、一人当たり幾らぐらいになりますでしょうか。また、それは国立大学に比較するとどのようになりますでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  90. 磯田文雄

    政府参考人(磯田文雄君) 申し訳ございません。今お手元にデータがないんで、データ自身は御説明できませんが、委員指摘の趣旨からいたしますと、私学に対する助成の中で、医学関係に対する助成額と他の学校に対する助成額には差がございます。当然、医学については費用が掛かりますので、その分助成をしているという実態でございます。また、国立との観点につきましても、全体的には国立の方がより多く私学よりも国費が投入されているということも事実でございます。
  91. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 それでは、私の方の資料でお示しをしたいと思います。最初から半ばぐらいのところに表を、小さいものでございますけれども付けました。このようなものでございます。ここを見ていただきますと分かりますように、私が調べましたのは、すべてをやるのが大変でしたものですから、私立大学等の経常費補助金上位五十校グループ、ここに絞って見させていただきました。  医科大学に対しては補助金額は三百四十四・四億円、学生、大学院生の数で割りますと、一人当たりが二百七十三・六万円でございます。医学部のある総合大学ということになりますと、これが二十五・七万円でございます。そして、医学部のない大学ということになりますと、これは十二・一万円と。上位五十校ということは、比較的文科省から削られるような要素がない学校ばかりでございます。そうしますと、これは十一万円ぐらいに多分平均下がるんじゃないかと思いますし、十万円そこそこもらっていない学校もあるかもしれませんけど、この程度が今の私学助成なんです。  そして、その平均が幾らになるかということをもしお持ちでしたら言っていただきたいのと、国立大学に対する国費の給付というものが一人当たり、学生平均幾らになっているのかということをお示しいただきたいと思います。
  92. 清水潔

    政府参考人(清水潔君) まずお尋ねでございますけれども、私立大学経常費補助金額を在籍学生数で除してみたならば、平成十九年度では年間約十五万円ということになります。また、国立大学法人への運営費交付金には実は病院や附置研究所に関する経費も含んでおり、学生一人当たりの支出額について単純に比較はできないわけでありますけれども、運営費交付金予算額を在籍学生数で除してみるならば、平成十九年度では年間約百七十六万円ということになります。
  93. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 一概には言えないというお答えではありましたけれども、十五万円対百七十六万円。  ところで、日本の私立大学に通う学生は全学生の中でどのぐらいのパーセンテージになるんでございましょうか。
  94. 清水潔

    政府参考人(清水潔君) 七十数%というふうに承知しております。
  95. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 七十数%ということでございますけど、私もそうだと思います。つまり、先ほどの私学の国庫の助成が少ないがゆえの、あるいはほかからの導入というものが少ないがゆえの親の過大な負担というものは、現在の状況において、もはや実力がある者だとか、あるいは意思がある者だとかということではなくて、年収によって大学教育を受けられるか受けられないかということがはっきり決まってしまうような格差社会になっているということではないのでしょうか。大臣、どうお答えになりますか。
  96. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 今委員がおっしゃったように、単純には何か決められないという気はいたします。ただ、やっぱり公私の助成の格差というのは、これはこれまでも大変な議論になってきたところでありますし、私ども基本的にはこの私学助成というものを、学生数がこれだけ実は私学にいるわけでありますから、日本の高等教育でかなりの役割を果たしていただいているという観点に立ってこれからより充実をするように頑張っていかなきゃいけないんだろうなというのが率直な実感でございます。
  97. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 親の収入の差によって子が教育を受けられないということは、格差の再生産を世代間でするということになります。そして、その格差が広がっていく社会の中では、これは格差の拡大再生産ということになるだろうと思います。現在のように国立大学のキャパが限られていて、そのために多くの者が私立大学に行かなければならないということになれば、塾に行けなかった子たちが、そして御受験をさせてもらえなかったそういう子たちが言わば私立大学に行かねばならないという現実がございます。  それは、親の所得が高い者が国費の恩恵をより被る、そして親からそういう形では恩恵を受けられなかった者たちが高い大学教育を受けなければならない、そのために機会が、可能性が小さくなると。これはやはり我々国としてはやってはならないことであって、本当に行きたい者、可能性がある者、そういう者たちがもっと国立大学に受け入れられること、そうでないならば私立大学へ行きやすくすること。  私は、一律に幾らというような現在の形ではなくて、やはりより家計的に必要とする、あるいは子供の数が多くて家にいるすべての子を大学にやってやれない、そういう家庭の子たちに対して何とかみんなが大学に行く機会を与えられる、そして四年間で、今もローンはしてもらえますよ、しかしそれを返せるんだろうかということをちゅうちょし、就職できるんだろうかということをちゅうちょしながら、学生たちはやはり食費を削ることの方を選ぶ学生たちが本当にたくさんいるんです。この事実というものを是非御認識いただきたいと思います。  そして、先ほど高校教育のところで触れましたけれども、高校教育ぐらいの無償化は必要だと私は思います。大学教育についても今るる議論させていただいたところでございますけれども、その手前にある高校教育、その前提となる高校教育の無償化というものを私はやはり本当に真剣に考えていただきたい。  私がいろいろな資料で調べましたところ、定期が買えないために二十キロの道のりを自転車で毎日雨の日も通っているような高校生の記録に突き当たりました。また、制服が買えないから先輩のものをもらっているんだけれども、それをクリーニングに出すことができないでそのまま着ている生徒の記録に突き当たりました。同時に、毎日お昼御飯を工面ができないがために一口ずつ級友たちからもらっているような高校生たちの記録にも突き当たりました。  私たちのこの経済第二の大国は、高校生たちにお昼御飯も食べさせてやれないほど、雨の日にバスに乗らせてやることができないほど貧しいのかということを、委員の皆様も是非もう一度お考えいただきたい。そして、高校教育無償化に向けて我々が出しております法案に対しても、是非御理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。  そして、今申し上げましたように、留学生、ちゃんと面倒見ることは国策として大事なんでありましょう。しかし、私たちはやはり第一義的に日本の若者たちに対して責任があります。日本の若者たちが心おきなく大学で勉強できることのために責任がございます。そして、彼らが文化的な活動、部活、特にスポーツなどは若いころしかできないわけですから、副大臣よく御案内だと思いますけれども。彼らがバイトをする時間もなくて、実はスポーツをやりたいと思っている、そのために食費を削っている、どうやって合宿費を捻出しようか、いつもそういうことに困っている。うちの大学にも、朝六時から八時までの間に、夕方はできないからといってバイトをする学生が多くございます。  こういう学生たちに対してとりわけ何らかの、バイトをするにもままならないような学生たち、いろんな分野でいると思いますけれども、芸術系もそうでしょう、そういう学生たちに対する給付というものを今後何とか考えていただけないかということを私は痛感するわけでございます。大臣、いかがでございましょうか。
  98. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 様々な観点から御意見をいただきました。  まず、高校の無償化の件でございますが、これはやっぱり、そうはいいながら、やっぱり財源をちゃんと用意しなきゃこれはできないわけですよね、どこかから持ってこいという話なのかもしれませんが。そういったこともちゃんと考えた上で最終的には判断をせざるを得ないということだと思います。  ただ、現状、奨学金とか、これは高校の奨学金でございますけれども、それから学費免除とか、そういった制度もあるわけでございますから、まず、そのことがしっかりやっぱり行われるように我々も、これはお約束できると思いますから、やっていきたいというふうに思います。  それから、教育の格差という視点、これは大変私は大事な視点だと思います。ただ、それを埋めていく方法としていろんな方法が私はあると思います。そのことを我々はしっかりとやっぱり政策においてやっていかなきゃいけない、そう率直に感じます。  加えて、留学生の問題というのは、今回、三十万人という新たな目標設定をするわけでございますから、その中で、今委員から御指摘をいただいたような点も当然我々は勘案をしながら、これからこの計画をしっかり作っていくために検討していきたいというふうに思います。  いずれにしても、教育の機会がしっかりと若者に与えられるということは大変重要なことでもございますから、今後とも、我々も様々な面で努力をしていきたいというふうに思います。
  99. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 文科大臣のお考えというのは一方で有り難いと思います。しかし、私はこの国にお金がないわけではないと思います。例えば、イージス艦一隻に千数百億円掛かるわけでございます。そして、今問題になっております道路財源というものもございます。これが一般財源化することによって、やはり道路も大事でございましょう、しかし、国の競争力においては、国民をちゃんと教育するということはもっと大事なのではないでしょうか。  道路は造るのに十年掛かると、冬柴大臣、何度もおっしゃっております。私も予算委員会で聞きました。しかし、人間を一人ちゃんとつくるのには二十年掛かります。道路は、予算が途中で切れたら半年一年二年切れたままで置いておくこともできます。しかし、国民教育は一日も休むことはできません。  そういう意味におきまして、やはり抜本的な国庫の財源の予算の組替えというものが必要であると思いますし、我々民主党はそのことを主張しておりますし、今後も主張していきたいというふうに思うわけでございます。  そして、留学生三十万人計画に関しましては、先ほども申し上げましたように、これ以上の留学生への給付というものを、今の現状を、日本人学生を放置したままでしわ寄せすることに対して私は断固反対なのだということをいま一度申し上げておきたいと思います。  さて、次にスポーツの問題にちょっと行かせていただきたいと思います。  今年は、御案内のように北京オリンピックが行われるということでございます。そこでお聞きをしたいのでございますけれども、日本の国が求めているのは目的としてのメダルなのでしょうか、それとも結果としてのメダルなのでしょうか。どちらがふさわしいと大臣はお考えになりますか。
  100. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) それを目的にしているということでは私はないと思っております。ただし、やっぱりある種の目標を持たないと結果は出ないわけでありますから、やっぱりそういう意味でこれぐらいと、要するにこれはアテネ並みと言っているわけですが、そういうことを言われているのだと理解をいたしております。
  101. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 私は、オリンピックのメダルというようなものは、国民の活発な余暇活動、スポーツ活動、レクリエーション、こういうものの、国民の全般的な健康の増進といったものの結果で出てくるべきものだというふうに思っておりますし、現にドイツやオーストラリアの政府などはそういう方針を持って臨んでいるかなというふうに考えております。  もちろん、一方で、特別なアスリートたちというものは特別な配慮を必要とすると。それはちょうど、一般の私どもがポンコツ車だとすれば、トップアスリートはスポーツカーのようなものでございますから、しょっちゅうコックピット入りしなければならないということを含めまして、体の手入れもそうでしょうし、トレーナー、スポーツ栄養、その他の管理というのは本当に多くのものが必要だと思います。そのためにナショナルトレーニングセンターなどもおつくりになって頑張っていらっしゃるということだろうというふうに私は理解をしております。  しかし、その一方で、私が知るところでは、世界選手権やオリンピックで過去に既にメダリストであったような人も含めて、例えばトリノ、またアテネ、みんな選手たちはエコノミークラスで飛んでいるんですね。大臣は当然エコノミー症候群御存じだろうと思うんですけれども、北京はそれほど遠くないからそれほどのことにはならないかもしれませんけど、やはりそのメダルを確保するということになりますと、直前の体に与えられるストレスというものは大変大きゅうございます。  ですから、一定の距離を飛ぶというような状況になりましたときには、まず本当にメダルの可能性が高いと実証されているようなアスリートに対してビジネスクラスで飛ばせようとか、そういうようなことはできないものでしょうか。
  102. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。  御案内のとおり、オリンピック大会等に私ども、JOCが選手、コーチ等を派遣する場合には、国としてこの三分の二の補助をしているわけでございます。  アテネ・オリンピックにおきましても、選手団五百十三名のうち、JOCの職員十二名を含めた監督、コーチ二十六名、あるいは柔道の重量級の鈴木桂治選手あるいは井上康生、塚田真希選手、あるいはハンマー投げの室伏広治選手等、選手九名がビジネスクラスを利用していると把握しておるわけでございます。  私どもの国庫補助の対象は、申し訳ございませんがエコノミークラスでございまして、ビジネスクラスとの差額については、JOCあるいは競技団体、自己の負担となることから、多くの選手がエコノミークラスを利用しているという現状にあることは委員御案内のとおりでございます。  私ども、JOCに確認したところでは、アテネ、トリノ、いずれのオリンピックへの選手の派遣についてもエコノミー症候群を発症した選手はいないとはお聞きしているわけでございます。限られた予算の中で、すべての選手に対してビジネスクラスを国庫補助の対象とすることはなかなか難しいことについては御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  103. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 エコノミー症候群をもし発症してしまったら絶対に戦えないです。つまりは、エコノミー症候群になってしまう一般人がいるほど、やはり体の変調というものが起こる。つまりは、ベストコンディションで臨むべき選手たち、そしてそれまでに強化費等の多額の金額を使っている選手たちが最終場面でそういう直前状況に遭うということが、やはりそのメダルの可能性を減らしてしまうものとして、あとわずかの上乗せというものが可能でないかという意味で私はお聞きをいたしました。  それで、お伺いするわけでございますが、役員、選手、それぞれアテネ・オリンピック、トリノ・オリンピックにはどのような内訳で送られているのでございましょうか。
  104. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) 御案内のとおり、十六年の八月に開催されましたアテネ・オリンピック競技大会におきましては、選手三百十二名、監督、コーチ等二百一名、合わせまして五百十三名の選手団を派遣いたしまして、すべて国庫補助対象でございます。十八年の二月に開催されましたトリノ冬季オリンピック競技大会におきましても、選手百十二名、監督、コーチ等百二十六名、合わせて二百三十八名の選手団を派遣し、すべて国庫補助の対象でございます。  ただ、国庫補助の対象は、JOCに対して三分の二を補助すると、そしてそれはエコノミークラスを対象にしているという現状でございまして、ビジネスクラスとの差額分については、先ほど申し上げたとおり、競技団体等々の負担ということになろうかと思います。
  105. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 トリノ・オリンピックでは、選手百十二名に対してそのコーチ等が百二十六名というふうにお聞きいたしましたが、何で選手よりもコーチ等がそれほど多くなってしまうのでしょうか。
  106. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) 今の御指摘は、アテネにつきましては選手が三百十二名の監督、コーチ二百一名、あるいはトリノについては選手が百十二名に対して今御指摘のとおり監督、コーチ等百二十六名でございますが、御案内のとおり、選手のみならず、やはりそれを支える、これチームスポーツになってきておりますので、やはりいろんなスタッフというものがどうしても選手がメダルを獲得する上では必要なスタッフということでJOCの方で御判断をいただいて派遣をされているというふうに理解しておるところでございます。
  107. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 これは全員スタッフであって、役員等ではないというふうに了解してよろしゅうございますか。
  108. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) 私が申し上げました監督、コーチ等百二十六名の中にはJOCの役員も含まれているということでございます。
  109. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 そして、その役員の方々は選手村には入れないんではないでしょうか。
  110. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) 申し訳ございません。今、ちょっとその現状は定かではございません。申し訳ございません。競技によっては入れるというお話もお聞きいたしております。  それで、私どもその旅費と滞在費につきましては、役員等々につきましては当然滞在費を支給しておりますし、選手については選手村に入られますので、滞在費等については負担することはないであろうというふうに理解しております。
  111. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 私もそうではないかというふうに思っておりました。  御案内のように、オリンピックが開かれる都市というのは、オリンピック期間中は大体ホテル費が五倍ぐらいに跳ね上がるというのが通常のパターンでございます。したがいまして、滞在費というのは大変高く付きます。つまり、役員一人を送るのと選手一人を送るのであるならば、選手村に入れる選手の方はずっと安く付くということを私は申し上げたいんでございます。  そして、ただでさえ多くない、言わば選手のための費用、できるだけ選手本位で使っていただきたい。開会式で歩くとなれば、役員の方々でもすべてスーツケースいっぱいの一式、いろいろなウエアだとかブレザーだとか何だとか全部入ることになります。そういう費用というものはできるだけ役員等は御自分で行っていただく形になって、選手が強化費の恩恵を受けるように心掛けていただけたらなということを希望しておきたいと思います。  同時に、これは渡海文科大臣に是非お聞きしたいことであるわけなんですけれども、私は、この間見てまいりまして、選手の人権という問題に対して大変関心を持っております。  それは、行き過ぎた商業主義、メディアあるいは広告代理店というようなところにおいて、スポーツの選手たちを、本当にベストコンディションで臨まなければならないものを、言わば事前に芸能人扱いして追っかけ回すというようなこと。あるいは、試合が終わって疲れ切った体で、本当に心身共に消耗している段階でスタジオ回りを遅くまでさせられるというようなことが続いていると。  これは、スポンサー若しくは代理店というようなところに対してJOCなどもなかなか物が言えないお立場であろうかとは思いますけれども、私はやはり自分の生涯の戦いのようなものを一日、二日間というような形で全身を込めてやった学生たちには、そしてその選手たちには、その日の休息ぐらいは与えてあげたい。家族とメダルの喜びを分かち合ったりするような時間を与えてあげたい。ところが、メダルを取ると本当に引っ張り回されるという状況になってしまっているんですね。  こういうことに関して、文科大臣、少しは選手の休養ということに対して必要だというふうにお考えになりませんか。
  112. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 基本的な認識先生が今おっしゃったとおりでございます。  また、JOCにより、事情をちょっと聴取いたしておりますが、御指摘のようにやっぱり取材が深夜とか及ぶことがある。やっぱり、北京オリンピックにおける一部の競技について、各局への番組の出演は競技当日ではなくて翌日に行いたいというふうな申入れも行っているということでございます。選手が同意しているからということをよく言われるそうでございますが、選手はやっぱりJOCから言われますと同意するだろうと思いますよ、私も。だから、できるだけ今委員がおっしゃったようなことはやっぱりちゃんとやっていただきたい。  ただ一点、やっぱりメダルなんか取られますと、日本の国民は少なくともその後のインタビューぐらいはやっぱり答えてほしいと思っている国民もたくさんいらっしゃると思うんですね。ですから、その辺のバランスを考えて、そして選手に極度な疲労とかそういうものが掛からないように、また場合によっては委員がおっしゃるように、少し、家族と接触ができないようなことが起こらないような配慮というのは当然やっていただきたいなと、そんなふうに思っております。
  113. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 私も共同インタビューぐらいは必要であるというふうに思っております。  しかし、今大臣の御指摘にもありましたように、例えばアテネ・オリンピックの野口みずきちゃんは二日間、そしてトリノ・オリンピックでは荒川静香さんは例えば三日間ぐらい本当に親にも会えなかったというようなことが言われております。それは、やはりだれよりもそのメダルを取るために犠牲を払ってきた、まずだれに見せたいかといえば親だろうと思いますし、そのぐらいの配慮というものがやはりされるというようなJOCであっていただきたいということを私は思うわけでございます。  また一方で、これは代理店の仕掛けなのかテレビ局なのかスポンサーなのか分かりませんけれども、事前にどうせメダルは多分かなり難しいと思われるような種目が、テレビの視聴率を上げるためなのかスポンサー料を上げるためなのか分かりませんけれども、取れる取れると前評判だけ書き立てられるというようなケースがございます。これはアテネ・オリンピックでも、例えば女子バレーがそうでございました。そして、個人名を挙げて言わばスターをつくり出すというような状況の中でチームの関係までおかしくなったり、あるいは期待どおりに決勝リーグに進むことができなかったという状況の中でネット上で大変なバッシングが起きて、これは五十代、六十代の老獪な人生経験を経た人間たちではなくて、本当に若いうぶな人生経験のない者たちが突如大変なバッシングに遭って非常につらい目に遭うと。一生懸命スポーツをやってきただけの子が、自ら優勝できると宣伝なんか一回もしたことがないのに、そういう前評判によって大変傷付くというようなことがこれまで起こってきております。  このようなことに関しましても、文科大臣、今後JOC等に対しましても、またそこに群がる言わば商業主義に対しても、何らかの御意見を表明していただけると有り難いと思います。
  114. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 基本的には、特にオリンピックの場合はJOCという組織があるわけでございますから、組織がしっかり対応してその若いアスリートを守るということもそれはJOCの役割でありますし、各種競技団体もやはりそのような心構えを持っていただきたいというふうに思います。  それから、もう一点。メディアの問題は、これはやっぱりメディアが今のような視点をある程度これは自主的に考えていただかないといけないなというのが率直な印象でございます。ただ、報道の側もやっぱり国民に伝えたい、伝える義務があるという考えもありましょうし、やっぱり第一義的には、一番そばに付いている人が守ってあげるということが大事だというふうに思います。
  115. 谷岡郁子

    ○谷岡郁子君 ありがとうございました。  これで私の質問を終わらせていただきます。
  116. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十九分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  117. 関口昌一

    委員長関口昌一君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、姫井由美子君が委員辞任され、その補欠として大河原雅子君が選任されました。     ─────────────
  118. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 休憩前に引き続き、教育文化スポーツ学術及び科学技術に関する調査を議題とし、文教科学行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  119. 林久美子

    ○林久美子君 民主党・新緑風会・国民新・日本の林久美子でございます。  本日は、大臣所信に対する質疑を行わせていただきます。よろしくお願いいたします。  先日の予算委員会では、渡海大臣に拡大教科書についてお伺いをさせていただきました。非常に前向きな御答弁をいただきまして、あの予算委員会の数日後でございましたか、大臣の方から各教科書発行会社に対しまして書簡を出していただきました。そのスピード感ある行動と前向きな姿勢に、まずは心から感謝と敬意を表させていただきたいと思います。ありがとうございました。  この書簡の内容につきましては後ほどじっくりとお伺いをさせていただきたいと思いますが、この拡大教科書に関しまして早速お伺いをしてまいりたいと思います。  日本政府は、昨年の九月に国連の障害者権利条約に署名をいたしました。これから関係国内法の整備を進めて批准手続に入っていくことになるわけでございます。  そこで、渡海大臣にお伺いをしたいんですが、まず、昨年から実施されている全国一斉学力調査と言われる調査、これは制度上、全数調査になっているんでしょうか。特別支援学校、特別支援学級で通常の教科書を使っていない場合はテストの対象となっているのかどうか、お伺いいたします。
  120. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 点字・拡大教科書を使用されております児童生徒、これは、国語、算数、数学について、通常教育課程の授業を受けておられればという前提でこの学力調査、実施をいたしております。そういう意味からすると、今の御質問の趣旨からすれば、通常の授業を受けておられない方に対しては現段階では対象となっていないというふうに理解をいたしております。
  121. 林久美子

    ○林久美子君 では、弱視の子供さんたちで、弱視であるけれどもしっかりと学んでいるというお子様方は対象になっているという理解でよろしいということでございますよね。
  122. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 通常教育課程の授業を受けておられるということでございますから、対象として入っておられるというふうに考えていただいて結構でございます。
  123. 林久美子

    ○林久美子君 非常に、点字のテストあるいは拡大のテストでも対応なさっているということでございまして、これはしっかりと配慮がなされているということであるかと思うんですが、しかしながら、前回の委員会でも申し上げさせていただきましたように、テストでは対応がされているけれども、肝心の学びの場である通常の授業において拡大教科書が行き渡っていないという現実があるわけでございます。  ここでまず確認をさせていただきたいんですが、普通学校に通う弱視の児童生徒に対しまして、これは、国公私立の小中学校通常学級に在籍する弱視の児童生徒さんが今現在何人いらっしゃって、そのうちの何人に拡大教科書が無償給与されているのか、お伺いしたいと思います。
  124. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。  小中学校通常学級に在籍する弱視児童生徒数につきましては、平成十七年に文部科学省が行った調査によりますと、小中学校合わせて千七百三十九人でございます。また、平成十六年度から、小中学校通常学級に在籍する児童生徒に対しまして拡大教科書を無償で給与しているところでございます。拡大教科書を給与した児童生徒数は、平成十七年度は六百四人に対しまして約九千冊を給与いたしました。また、平成十八年度は六百三十四人に対しまして約一万一千冊を給与したところでございます。
  125. 林久美子

    ○林久美子君 今併せて冊数のお話もございましたが、子供の数で見ると平成十七年は六百三十四人ということで、大体三人に一人にしか届いていないという現実があるわけでございます。  さらに、この拡大教科書で学んでいる子供たちの多くは、もう皆さんよく御存じかと思いますが、八割以上が実はボランティアの皆様の手作りの教科書によって支えられているという現実がございます。このボランティア団体は全国でおよそ七十団体ございますけれども、もう実際の現場というのは、依頼が殺到して、そこにきちっとこたえてあげたくても、とてもじゃないこたえられないという状況が生まれてしまっていると。  さらには、弱視のお子さんをお持ちの御両親にしても、保護者の方も、相談窓口すら分からない。どこに言ったら教科書がもらえるのかも分からない。さらには、対応し切れないときは、学校の授業でもう本当に拡大コピーをして子供が学んでいるという現状があるわけでございます。そういうことを考えますと、この拡大教科書に関しましては相当な潜在的なニーズがあるのではないかということも考えられると思います。  文科省は、今回渡海大臣が書簡を出してくださいましたが、その以前に小坂文科大臣時代にも、各教科書会社に対しまして、拡大教科書の発行あるいはデジタルデータの提供を積極的に行うように呼びかける書簡を出していただいております。こうした結果なのかもしれませんが、昨年末から多少デジタルデータの取組がボランティア団体でも受けやすくなっていたりしているんですけれども、実際はまだまだ不十分であるというふうに思っています。  大臣書簡を出してもなかなか進まないという現状がある中で、先日、教科書発行会社の皆様方でつくる教科書協会の方々とお話しする機会をいただきました。できるだけ早く拡大教科書の発行に努めていただきたいと、教科書発行会社というのは教科書を発行するのが業務の本分であるわけですから、やはりしっかりとそれを十分にできていないというのは問題ではないでしょうかということを申し上げさせていただきました。  しかしながら、非常にデジタルデータの加工をしたりするのも大変だという意見であるとか、あるいはやはり採算の問題をかなり強くおっしゃっていらっしゃった、この部分を何とかしてほしいという声が相当ありました。ただ、現実を見ると、拡大教科書を無償給与するときはきちっと一回国の方で買って給与しているわけですから、実際には採算の話はどうなのかなというのは正直私あるんですけれども、教科書発行会社の言い分としてはそういうことをおっしゃるわけです。  さらには、こんなふうにおっしゃいました。平成二十三年から予定されている新教育課程の小学校用教科書から実施することが現実的であると、こういう報告書もまとめていらっしゃいまして、お持ちになられました。  でも、今平成二十年でございまして、午前中、谷岡議員の質疑にもございましたが、今この瞬間も子供たちは育っていっている、今この瞬間も子供たちにはしっかりとした適切な配慮、合理的配慮をなされながら教材は提供されるべきだし、学びの環境は支えられなくてはいけないということを考えたときに、大臣御自身は二十三年からでよしと考えていらっしゃるのかということが一点と、今回大臣書簡を出していただきました、小坂大臣に続いて二回目、出していただいたわけですけれども、なお、それでも進まない場合というのは、より一層強い手段をもって各教科書発行者に対しまして要請をされると考えていらっしゃるのかどうか、お聞かせください。
  126. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) まず、二十三年で構わないと、これは決してそういうことを考えているわけではありません。現実的な対応としてそういう答えをされるという教科書協会側のそういう御意見があるということは私も聞いておったところでございますけれども、これはまだ、今現実に、二十三年でございます、先のことでありますから、やっぱりそれ以前にできるだけやってくれということはきっちりと要請をいたしまして、そして同時に、先日もお答えをいたしましたが、検討会議というのを立ち上げまして、視覚障害者の専門家とか教科書発行者、また拡大教材の製作会社、そして今御苦労をいただいておりますボランティア団体、教育委員会学校、こういった方々の代表者お集まりをいただきまして、この問題にどう対応していくか、どういうことを今やるのが一番教科書会社にもやっていただけやすくて、またボランティアの皆さんに負荷が掛からなくてやれるのかということを早急にこの会議検討していただいて、そしてしかるべき対応を取っていただくと、そのように進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  127. 林久美子

    ○林久美子君 では、その二十三年、書簡を出してもなお進まない場合により強い対応を考えていらっしゃるのかどうかという点についてはいかがでしょうか。
  128. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) これは、まずは現状の中で実は様子を見ていきたい、見守りたいということでございますし、今申し上げましたように、この予算が成立しまして二十年度になりましたら早急に先ほどの検討会議というものも立ち上げ、しっかり対応していきたいというふうに考えておりますので、今の段階でできなかったらどうだということをお答えするのはむしろ適当でないというふうに考えます。やるんだという下でこの検討会議を活用していきたいというふうに考えております。
  129. 林久美子

    ○林久美子君 大臣は、そういう意味では教科書発行会社はしっかりとやってくれるというふうに信じていらっしゃるんだと思うんですが。どうも、済みません、前回、小坂大臣のときから余り進んでいませんので、どうしてもちょっとその辺が懐疑的になってしまっておりまして、しっかりとより一層進めるように、大臣の強いリーダーシップをお願いをしたいというふうに思います。  ちょっと、これ通告してなくて大変申し訳ないんですが、少しお聞かせいただきたいんですが。先ほど全国一斉学力テストは拡大テストも対応できるというふうなお話があったんですが、ちょっとこれ分かればなんですが、今公立高校の普通学級で学んでいる弱視の生徒さんが何人いらっしゃって、高校入試のテストは拡大入試問題となっているのかどうか、ちょっと分かればお聞かせいただきたいんですが、どうですか。
  130. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) 高校入試につきましては、各都道府県の教育委員会が入試問題を作成し、また入試を実施いたしますので、そこでどういう取扱いがなされているかということにつきまして、今手元にデータを持っておりませんけれども、通常学校でいろいろと入試問題あるいは試験問題を行います際には、障害を持った方への配慮ということも考えて実施をしているところでございます。  例えば、点字や代筆による解答とか、あるいは調査時間を延長いたしましたりとか、あるいは場合によっては別室で実施をいたしましたり、調査時間中を含めた付添い者の同伴、こういった配慮を行って障害を持った方々への入試や試験の実施に配慮をしているところもあると承知をいたしております。
  131. 林久美子

    ○林久美子君 人数は分かりますか。
  132. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) 恐縮でございます。突然のお尋ねでございますので、ちょっと今人数につきましては持ち合わせてございません。
  133. 林久美子

    ○林久美子君 それでは、済みません、委員長の方に資料要求でお願いしたいんですが、生徒さんが何人いらっしゃって、そして入試問題が各都道府県によって違うというお話もございましたので、実態がどうなっているのかというのをちょっと資料要求としてお願いをいたします。  では、済みません、話を戻したいと思います。  先ほど、渡海大臣が、新年度以降検討会議を立ち上げると、これは書簡の中でも触れていただきました。メンバーについても、先ほど、専門家であるとか教科書発行会社であるとか、あるいはボランティア団体の皆様にも参加をいただくという御答弁をいただきました。  では、お伺いをしたいのですが、具体的にはいつごろ検討会議を立ち上げて、メンバーは何人ぐらいを想定していらっしゃるのかお聞かせください。
  134. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 先ほど申し上げましたような方々、十数名というふうに考えております。  検討会議を立ち上げるのは、この予算が通りましたら、二十年度へ入りましたらできるだけ早急に、まあ二十年度当初からというふうにお考えをいただいて結構かと思いますが。
  135. 林久美子

    ○林久美子君 二十年度当初からということなので、四月ぐらいから是非立ち上げていただきたいと思うわけでございますが、この書簡の中に、今回の書簡の特徴としては、教科書発行会社にちゃんとやってよということと併せて、文科省としてもちゃんと頑張るんだよという姿勢を示されたところが前回と違うところなのかなとも思いながら大臣書簡を拝見させていただいておったんですが、この中にいろんなことをやりますよというお話が書かれておりまして、書簡の中に標準規格の策定をするというような記述があるわけでございますが、これは具体的にどのようなことを考えていらっしゃるんでしょうか。
  136. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) これはもう委員は御承知のことでございますが、弱視の児童生徒の障害の程度に対応して、文字の例えば大きさとかレイアウトとか、また配色などの様々な工夫が実はなされているわけでございます。  これがほとんど今はボランティアによってなされているということでございますけれども、できるだけ多くの弱視の児童生徒のニーズに対応することができるような規格を作るということでございまして、そういった意味で、この検討会議において、教科書の発行者や拡大教材の製作会社、こういった方々の知恵も借りながら、先ほど申し上げましたように、できるだけ多くの弱視の児童生徒のニーズに対応した拡大教科書、こういった標準的なものを検討したいというふうに、これを標準規格というふうに表現をさせていただいたところでございます。
  137. 林久美子

    ○林久美子君 では、続きまして、拡大教科書の作成ノウハウの普及啓発、そして実践モデル集の作成ということも書かれておりますけれども、どういうことをなさるのか。  この実践モデル集というのは、本当にモデルとして何か作るだけなのか、それとも何冊も発行するようなものなのか、そうした具体的なイメージがちょっとわきませんので、その辺もお聞かせください。
  138. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答えをいたします。  現状におきましては、教科書発行者から発行される拡大教科書が依然として少なく、また拡大教科書製作ノウハウの普及が進んでいない状況にございます。このため、私どもでは、多くの弱視児童生徒のニーズがカバーできます標準規格を策定いたしますとともに、この標準規格に基づく教科や学年ごとの特質に配慮した拡大教科書の作成の具体的な実例をまとめた実践的モデル集を作成することが必要と考えているところでございます。  また、こういったものを活用いたしまして、教科書編集者や全国のボランティア団体などを対象とした研修会などによりまして、標準規格やまた拡大教科書作成のノウハウの普及を図っていくことが必要であると考えているところでございます。
  139. 林久美子

    ○林久美子君 この実践モデル集は何部ぐらい作るとかというのは、大体見通しというのはおありなんですか。それも併せて伺ったかと思うんですが。
  140. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) まだこの実践モデル集を何部作成するかということについてはこれからの検討でございますけれども、できるだけたくさんの方が利用できるような形で発行いたしたいと考えているところでございます。
  141. 林久美子

    ○林久美子君 ありがとうございました。  この大臣書簡の中で大きく柱が四つほどございまして、今これについて順次伺わせていただいたわけでございます。  まず、一つ目が検討会議の設置による標準規格の策定等、二つ目が実践的モデル集の作成、これがまだ、できるだけ多くの方にという話ですね。標準規格、拡大教科書製作ノウハウの普及、さらにはデジタルデータ提供拡大の支援と、四本柱で出していらっしゃるわけですけれども、これそれぞれ、検討会議は新年度早々にもというお話がございましたが、いつぐらいまでに着手をして、いつぐらいまでにモデル集は作り上げるのかとか、タイムスケジュールを教えていただきたいと思います。
  142. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 今、正直申し上げまして、いつまでにということが明確にお答えできるという状況にはございません。検討会議を立ち上げてその中で見極めを付けようというふうに考えておりますが、できるだけ早くやっぱりやるということがこういうのは大事だと思いますので、そういったことで取り組んでいきたい。まず検討会議の中で少しいろいろ意見を聴きまして、それならばこれぐらいのタイムスケジュールでできるんではないかとか、そういった見極めを付けさせていただきたい。いましばらく、いつということは実はお待ちをいただきたいというふうに考えております。そのことが、むしろ逆に言いますと、やっぱり誠実な態度といいますか、ちゃんとしたことがやれるというふうに思いますので、少し時間をいただきたいというふうに思います。
  143. 林久美子

    ○林久美子君 一部聞くところによりますと、遅くとも二十三年までにはみたいな話もちらっと聞いたりもするわけでございますね。この二十三年というのは教科書発行会社が言っている時期と重なってしまうわけですけれども、まさかそんなに遅くなるということはないんだと信じておりますが。  大臣、しっかりとしたものを作っていただくのは大いに結構だと思うんですが、やはりこれ、先ほども申し上げましたように、今この瞬間も子供たちが育っていっておりますので、そのスピード感というのは非常に重要になってくると思うんですね。そこにはやはり政治のリーダーシップというのが必要なわけで、とりわけこの文部科学行政においては渡海大臣のリーダーシップあってこそだと思いますので、いつというのはなかなか言いにくいところもあるのかもしれませんけれども、もう私の思いとしてはここ一年ぐらいで決着は付けていただきたいということはお願いをさせていただきたいと思います。  たしか今回の事業は大体二十年度予算で二千数百万円を見込んでいらっしゃったかと思うんですけれども、いろいろマニュアルを作ったりされるということではあったんですが、実はこのマニュアルというのは以前作られたことがあるわけですね。文科省所管の独法の国立特殊教育総合研究所、今これ、特別支援教育のときに名称が変わりまして国立特別支援教育総合研究所というふうに名称は変わっておるんですけれども、ここが拡大教科書作成へのアプローチ、拡大教科書作成マニュアルというのを作っていらっしゃいます。  具体的にお伺いをしたいと思いますが、この拡大教科書作成マニュアルはいつ作られて、どのように使われているのかお答えをいただきたいと思います。
  144. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。  国立特別支援教育総合研究所におきましては、平成十四年度から十五年度にかけて実施をいたしましたプロジェクト研究である弱視児の視覚特性を踏まえた拡大教材に関する調査研究、弱視用拡大教材作成に関する開発及び支援についてというプロジェクト研究の成果を踏まえまして、平成十七年一月に拡大教科書作成マニュアルを発行いたしました。このマニュアルの内容は、理科や社会の拡大教科書作成に関しまして、文字の大きさや配色などの基本的事項について解説をいたしたものでございます。  この拡大教科書作成マニュアルにつきましては当初三百部ほど発行をいたしまして、各都道府県の特殊教育センターや盲学校、また全国拡大教材製作協議会、全国教材作成ボランティアグループ、教科書会社その他に配付をいたしたところでございます。また併せて、民間の会社からも市販をいたしているところでございまして、発行部数が二千部と伺っているところでございます。  さらに、特別支援教育総合研究所におきましては、ホームページにおいてこの拡大教科書作成マニュアルを公開いたしまして、拡大教科書作成に関するノウハウを広く一般にも提供いたしているところでございます。
  145. 林久美子

    ○林久美子君 済みません、どういうふうに使われているのかということについての御答弁もお願いします。
  146. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。  この国立特別支援教育総合研究所が作成いたしました拡大教科書作成マニュアルでございますけれども、全国で拡大教科書を作成いたしておりますボランティアグループの方でございますとか教科書会社がこれを参考に拡大教科書の作成に取り組んでいると承知をいたしております。
  147. 林久美子

    ○林久美子君 ということは、これから作ろうと思っているものと一体何が違うのだろうかと思うわけでございます。しかも、この独法がやっている事業をいろいろ見ると、いろいろ報告書を作るということもやっていらっしゃいまして、いわゆる特別支援教育にかかわること全般に取り組んでいらっしゃいまして、弱視児童にとって見やすいコンピューターフォントの分析と試作とかいう研究もしていらっしゃいます。これは、今お話しいただいたように、社会や理科の作成に関するノウハウでございますが、これより前にも国語、算数、数学についてのノウハウの冊子も出ているはずです。  では、今回、わざわざ検討会議を立ち上げて作成をされるマニュアル集ですね、何が違うんでしょうか。
  148. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。  国立特別支援教育総合研究所が作成をいたしました拡大教科書作成マニュアルは、文字の大きさや配色など、拡大教科書を作成する際のノウハウが示されているところでございますが、平成十八年度におきましても、ボランティア団体作成の拡大教科書が八割を占めているということ、また教科書発行者などが作成する拡大教科書の態様なども依然として一様でないということがございます。必ずしも教科書発行者における拡大教科書の作成のノウハウの普及が十分に進んでいるとは言えないというのが現状でございます。  私どもといたしましては、この国立特別支援教育総合研究所で作成いたしました拡大教科書作成マニュアルをベースとしつつも、ボランティア団体や拡大教材作成会社、また特別支援教育専門家の方々の知見もお借りしながら、文部科学省設置する検討会議におきまして、多くの弱視の児童生徒のニーズに対応した標準的な拡大教科書作成に当たっての障害に配慮した体裁や態様などのきめ細やかな留意事項を示した標準規格の策定を行いますとともに、外部機関にも委託をいたしまして、標準規格に基づく教科や学年ごとの特質に配慮した拡大教科書作成の具体的な実践的モデル集を作成する予定といたしております。  こういったことによりまして、教科書発行者等への拡大教科書作成の普及充実を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  149. 林久美子

    ○林久美子君 検討会議、先ほど十数人で立ち上げるというお話がございましたけれども、このマニュアルを作るときには、研究者とか、それこそいろいろ専門家入れて二十二人がかかわっているわけです。その上での知見を結集して作られているわけですね。  今お話にございました、外部機関に委託をするというお話もございましたが、どこに何を委託されるんですか。
  150. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) まだ具体的にどこにということが決まっているわけではございません。これから検討会を立ち上げまして、そういったことも含め検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  151. 林久美子

    ○林久美子君 では、何を、何について委託をされるんですか。
  152. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) 拡大教科書に関しまして、標準規格に基づく教科や学年ごとの特質に配慮した拡大教科書作成の具体的な実践マニュアルの作成につきまして、外部の方々のお知恵もお借りをしたいと考えておるところでございます。
  153. 林久美子

    ○林久美子君 外部の方々のお知恵というのは、検討会議のメンバーに含まれないんですか、外部の方々のお知恵というのは。しかも、各学年に配慮したということは、これ十分書かれていますよ、マニュアルに。いかがですか。
  154. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。  拡大教科書の標準規格の策定など、拡大教科書を普及充実するための検討会議のメンバーにつきましては、視覚障害教育専門家のほかに、教科書発行者や拡大教材作成会社、ボランティア団体、教育委員会学校などの関係者十数名程度を予定しているところでございますが、こういった拡大教科書の発行やまたその普及ということにつきましては、できるだけいろいろな方々のお知恵もお借りしながら進めてまいりたいと考えているところでございまして、既に国立特殊教育総合研究所におきましても拡大教科書作成マニュアルというのがございますが、この既にあるマニュアルもベースにしながら更により良いものにしていきたいと、こう考えているところでございます。
  155. 林久美子

    ○林久美子君 今おっしゃったメンバーは、すべてこのマニュアルを作るときにも入っていらっしゃる方々ですよ。人が替わるかもしれません。肩書が替わるかもしれない。だけど、それぞれの専門家であり、それぞれの発行会社の代表であり、それぞれの研究機関の代表が二十二人も入ってやっているわけですよね。  そう考えていただけば、じゃそれを、これをおいてもなおわざわざ検討会議をつくるんだというのであれば、まさかこれがあることを御存じないわけがないと思います。ここの何が問題があって、何が足りないから、何をこれをベースにして作っていくのかと、それをやることで本当に教科書発行会社が作りやすくなるんですかと、ボランティアの方が利用しやすくなるんですかと、子供たちにちゃんと拡大教科書が届くようになるんですかということを伺っているわけです。
  156. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。  平成十四年度から平成十五年度にかけまして国立特殊教育総合研究所におきまして拡大教科書に関する調査研究が行われ、その研究成果として拡大教科書作成マニュアルが取りまとめられたところでございます。  ただ、その後の現状を申し上げますと、先ほど申し上げましたように、平成十八年度におきましてもボランティア団体作成のものが八割を占めておること、また教科書発行者などが作成する拡大教科書の態様なども依然として一様でないということから、必ずしも教科書発行者における拡大教科書作成のノウハウの普及が十分に進んでいるとは言えない状況にあるのが現状でございます。  私どもといたしましては、このマニュアルをベースにしつつも、ボランティア団体やまた拡大教材作成会社、特別支援教育専門家の方々のお知恵もお借りしながら、教科書発行者等への拡大教科書作成への普及充実を図ってまいりたいと考えているところでございまして、現在のマニュアルに何が足らないのか、もう少しどこを補うと効果的なのかということにつきましても具体的に検討会議の中で検討していきたいと考えているところでございます。
  157. 林久美子

    ○林久美子君 先ほど図らずもおっしゃいました、これはホームページで見れるわけです、ホームページで見れる。しかも、こんなことを申し上げたくありませんけれども、ここの独法、四人役員がいて、二人、常勤役員は文科省の方が、天下りの方ですよ。しかも、要するにこれを作ってホームページで出しても、ダウンロードできるようにしてもなお進まないと、拡大教科書が普及をしないと、発行会社はなかなか協力しないと。そうしたら、もうこれの意味がないわけですよね。そうしたら、本当に無駄遣いじゃないですかみたいな話も出てきちゃうわけですよ。  そうじゃなくて、ちゃんと本当に子供たちの手に拡大教科書が届くようにするためには、これの何に問題があって、これからやるんじゃなくて、立ち上げる前にそれは精査をしてくださいよ、考えてくださいよ。これから考えるんじゃ余りにも遅い。時間稼ぎをしているようにしか見えないというのはまさにそこなわけです。  この瞬間も子供たちは大きくなっていく。大臣が書簡を出した。一生懸命やろうとしている。でも、片一方でこんなことが行われているわけですよ。だから、こういうことでいいんですかということを、大臣、いかがでしょうか。
  158. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 今も局長がお答えをしましたように、やっぱり歴史があるんだと思うんですね。そのマニュアルを作って普及を図ったと、しかし考えていたようになかなか思うように進まない。  ですから、林委員がおっしゃっているように、じゃそこは、どこが原因だったのかなという分析は確かにできてなきゃいけないのかもしれません。かもしれませんが、それは例えば、一点を挙げれば、なかなか現実には、教科書会社の持っているソフトと現実にこのデジタルデータをうまく組み合わせてボランティアの方々に供給できないとか、そういった支援体制の問題も分かってきたわけでありますから、そういったことも含めて改めて、やっぱりこの普及をさせるためにはもう一度、これはスピード感を持ってやりますよ。やりますが、そのしっかりとした検討をするというのは私はあってもいいんじゃないかと。  何か物すごいものを立ち上げてどうのこうのするわけじゃありませんから、そういう意味で今回もこういう提起がされておるわけでございますし、以前から予算委員会等でも、ほかの委員からも実はこういった問題が提起されているわけでありますから、きっちりとここで、やっぱりもっと現実に、今まさにお話しされているように、子供たちにちゃんと供給できるためには今何をやらなきゃいけないのかということを一度しっかりと検証をして、そして目的は子供たちの手元に教科書が届くことでありますから、決して我々は何も引き延ばしをしようというふうに図っているわけではございませんので、そこは私の責任においてスピード感を持って検討させていただくというふうにお答えをさせていただきたいと思いますので、御理解をいただきたい。  やっぱり、過去やったことがすべてではないと思うんですよ。やっぱり見直すときは見直して、しかも仕切り直すこともあっていいと思いますので、御理解をいただきたいというふうに思っております。
  159. 林久美子

    ○林久美子君 検討会議の立ち上げ等々で二十年度予算案では二千数百万円、そしてこの拡大教科書作成マニュアルで掛かっているのは十四年度で一千十二万三千円、十五年度では八百万円、二千万弱掛かっているわけです。だから、そうしたことをしっかりと踏まえていただいて、そうじゃなくても教育予算が少ない、ちゃんと拡充していかなきゃいけないと、これはもうみんなの認識としてあるわけですよね。ですから、無駄にしないでいただきたいと思うわけです。  スピード感を持ってとおっしゃっていただきました。これは本当にもう大臣、是非、本当は期限を切って言っていただきたいぐらいなんです、私としては。もう二十一年度までにきちっとめどを付けるんだとか。そこら辺の大臣の決意を伺いたいんですが、いかがでしょうか。
  160. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 期限の問題は先ほどお答えをいたしました。  これは正直、私もお答えをいたしますけれども、一度そういった今議論が出てきたようなやつをちょっと整理させてください。その結果としてこれぐらいの感じでいけるだろうと責任を持ってお答えをさせていただかないと、後ろを切ったからうまくいくというものじゃないというふうに思っておりますし、そこは御信頼をいただいて、二十年度早急に立ち上げるということを今お答えをしておりますので、その中でどういう作業が要るのか、またそのためにどれぐらい時間が掛かるのか。決して、私はどっちかというとせっかちでございますから、できるだけスピード感を持って結論を出したいと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
  161. 林久美子

    ○林久美子君 では、是非またこうして大臣と次に質疑をさせていただくときまでに、いつぐらいにはめどを付けるよというようなお答えがいただけると有り難いなと思いますので、是非お願いします。  もう一つ、こうやってマニュアルを作りましたと、今度検討会議も立ち上げますと、しかも大臣も書簡を出しましたということで来ているわけですね、過去から。それが進んでいないと。私、これは行政指導一つとしての大臣書簡だと思うんですけれども、やはりもっと強く国が指導力を発揮しなきゃいけないと思うわけですね。  そのためには、やはり教科書発行会社に拡大教科書の発行を義務付けるような法整備を行うことが私は大切であるというふうに思っております。実際、アメリカでは国立教材アクセスセンターを立ち上げて、国として障害児の教科書の保障を進めているという現状もございまして、これやはり、予算でもそうですね、法律に裏付けられていればしっかりと何とかのせていける部分もあるわけで、やはり各教科書会社にもしっかりと指導力を発揮するためにも、そしてその先にある子供たちに拡大教科書を必要なところに届けるためにもやはり法整備の必要があると思います。  私たち民主党は、先週の火曜日に、教科書バリアフリー法という形で議員立法で参議院に提出をさせていただきました。これ是非成立に向けて取り組んでいきたいというふうに思っているんですが、大臣御自身はこうしたものの法整備についてどのようにお考えなのか、御答弁お願いします。
  162. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) そのようなことも念頭に入れて検討会議で検討されるべきというふうに思っております。また、これは民主党さんはもう既にお出しになったということでありますから、国会での議論というものもあるんだろうと思うんですね。そういったことも踏まえて判断をしていきたいというふうに思っております。
  163. 林久美子

    ○林久美子君 ありがとうございます。  是非、念頭に入れてという御答弁がございましたので、そこに期待を掛けて検討会議の議論の行方を見守りたいと思いますし、私たちも委員会でしっかりと我が党案についても質疑をさせていただきたいというふうに思っています。  これは非常に将来的な長い長いテーマになるんですが、この拡大教科書に関して、やはり私は法的位置付けって大事だと思うんですね。確認なんですが、この拡大教科書はいわゆる法律に位置付けられた教科用図書でしょうか、どうでしょうか。
  164. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答え申し上げます。  拡大教科書は、視覚に障害のある児童生徒が使用するため、検定教科書の文字などを拡大などした図書でございますが、視覚に障害のある児童生徒が使いやすいように検定教科書のレイアウトなど体裁や態様の変更をいたしてございます。したがいまして、視覚に障害のある児童生徒が通常学級で使用いたします拡大教科書は、厳密な意味では学校教育法第三十四条に言う文部科学大臣の検定を経た教科用図書とは言えないものでございます。
  165. 林久美子

    ○林久美子君 やはりこの辺の問題というのが根底に私はあると思っております。非常に、簡単なことではないと思うんですね、この教科用図書の規定を見直していくということは。様々な法律にも絡んでくるし、じゃどこでどういうふうにしていくんだというのはかなり議論を積み重ねないといけない。しかし、やっぱり本来教科書なわけで、これは、子供たちにとってですね。  ということであれば、やはり教科用図書にしっかりと位置付けるということも含めてこれから法整備に取り組んでいくと、そういう長い視点で向き合っていくということが重要かと思いますが、大臣、この点についてはいかがでしょうか。認識を共有させていただければと思います。
  166. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) これも先ほどと同じ検討課題だとは認識はいたしております。ただ、実態上は、今まだ普及率が非常に低いということでありますから、これがしっかり普及すれば、無償で提供するという意味も含めて、教科書と同じ扱いに実態上はなるんじゃないかなというふうには思いますが。
  167. 林久美子

    ○林久美子君 是非、様々な面で我々は法整備が必要だとも訴えておりますし、この教科用図書の規定もしっかりと議論をしていかなくちゃいけないと思っておりますので。教育というのは本当に、ある意味では与野党を超えて、そこにいる子供たち教育環境をどうやってつくっていくかということに尽きると思いますので、もうこれは、でも大臣のリーダーシップというのが非常に重要になってきますので、どうか御尽力いただきますようにお願いをいたします。  では、続きまして、教育振興基本計画についてお伺いをしたいと思います。  おととし教育基本法が改正をされました。その中の第十七条、教育振興基本計画の項目の中で、政府は教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずべき施策その他必要な事項について基本的な計画を定め、これを国会に報告するとともに公表しなければならないというふうに定められています。また、第二項には、これを受けて、地方公共団体は前項の計画を参酌し、その地域の実情に応じて当該地方公共団体における教育の振興のための施策に関する基本的な計画を定めるよう努めなければならないというふうにされました。つまり、この教育振興基本計画というのは様々な地域における取組のベースになるものでもあるわけでございまして、教育条件を整備するためにどういったことが必要なのかと、何をしていくべきなのか、まさにグランドデザインなんだというふうに思います。  この教育振興基本計画、当初の予定では今年度末に作成される予定であったかと思いますが、現在どういうふうになっているのかお聞かせください。
  168. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) お答えをする前に、今日は、実は何か傍聴席にパラリンピックで頑張られる、これは委員長がおっしゃることかもしれませんが、来られているという話も先ほど聞いておりました。もう出られたかもしれませんが、それはお伝えしたいと思います。  教育振興基本計画でございますけれども、これにつきましては、年度末までに答申中教審からいただきたいということで作業をいたしておりました。同時に、これは閣議決定するわけでございますから、政府部内でいろいろ調整もございます。そういった状況の中で、現在、同時並行的にこの中教審の特別部会における審議とそして政府部内の調整というものを行っている時期でございまして、できるだけ早急にまとめたいというふうには思っておりますが、現時点ではそういう状況であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  169. 林久美子

    ○林久美子君 政府部内の調整を行っているということでございましたが、要は遅れているんだと思います。遅れている理由は何ですか。
  170. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 一言で言いますと、より良いものを作りたいために時間が掛かっているというふうにお答えをさせていただきたいと思います。
  171. 林久美子

    ○林久美子君 分かりました。  この中教審の、先ほどお話がございましたが、教育基本計画特別部会における答申素案を見せていただきました。すると、第二章の今後十年間を通じて目指すべき教育の姿の中の求められる教育投資の方向という項目と、もう一つ、第四章、施策の総合的かつ計画的な推進のために必要な事項の中の教育に対する財政措置というところの二つが現在検討中というふうになっておりまして、何も書かれていないわけですね。これ普通に見るとやっぱり予算措置のところが、財政措置がハードルになっているのかなと、これ見た感じですよ、という気が私いたします。  ということで、財務省の方に本日はお越しをいただいております。伺わせていただきたいと思いますけれども、財務省の皆さんはこの財政措置について消極的であるんですか。
  172. 真砂靖

    政府参考人真砂靖君) 教育予算のお尋ねでございますが、私ども、総理も常々おっしゃっておられますように、単に予算を増やせばよいというものではなくて、限られた財政の枠の中でどうやって有効に活用していただくかということが重要だと私どもも考えているところでございます。
  173. 林久美子

    ○林久美子君 それでは、財務省としては今の教育予算で十分だと現場を知った上で思っていらっしゃるんですか。
  174. 真砂靖

    政府参考人真砂靖君) 十分かどうかという認識を問われているわけでございますが、平成に入りまして、生徒児童数が約三割、四百五十万人減少しております。一方、公教育費は減少しておりませんので、実質的に児童生徒当たりの公教育費は五割増しになっているところでございます。また、教職員もほとんど減少しておりませんので、実質的に児童生徒当たりの教職員数というのは三割増しになっているところでございまして、今問題は、こうした投入量との関係で果たして教育の成果が十分上がっているかどうかというところがいろいろ御議論があるところではないかというふうに考えているところでございます。
  175. 林久美子

    ○林久美子君 恐らく今の答弁を伺っておりますと足りているんだというふうに思っていらっしゃるんだと思います。  今ほど、子供の数が減っているんだからと、一人当たりの費用は決して少なくはないんだというお話がございました。学校先生に関してもそういう御答弁でございました。でも、考えてみてください、子供たちを取り巻く環境は変わっているんですよ。  もう一つ学校先生、日本と諸外国、状況が違うのは御存じですよね、当然。放課後も含めて、部活動も含めて学校先生やっているわけです、日本は。海外は違うわけですよね。拘束されている時間が長い、やっている業務の量が多い。一時間当たりの単価、御存じですか、財務省の方。御紹介しましょうか。日本の教員の勤務時間ですね、一時間当たり日本はドル換算でいうと二十四ドルですよ。アメリカは三十一ドル、ドイツ二十九ドルですよ。こういう状況子供たちと向き合っている。  子供たちを取り巻く環境、今までは何世代も一緒に暮らしてきたけれども、核家族化が進んでいる。午前中の谷岡議員の質疑にもありました。親の経済格差が子供たちの学びの環境の格差につながっていると。こういう状況の中で、それでもなおかつ足りていると。財務省の方よくおっしゃいますよ、お金さえ付ければいいんですかと、教育良くなるんですかとおっしゃいますよ。でも、やろうと思ったら先立つものがなきゃできないじゃないですか。学校の耐震化だってそうじゃないですか。何でもやっぱりやろうと思ったら掛かるんですよ。その辺はいかがですか。
  176. 真砂靖

    政府参考人真砂靖君) 今議論になっております教育振興基本計画にどういうものを書くかということでございますけれども、私ども、やはり投入量という手段を数値化するということについては、それは手段の目的化につながるものでないかと、むしろ成果目標のところをしっかり書き込んでいくということが求められているのではないかというふうに考えているところでございます。
  177. 林久美子

    ○林久美子君 分かりました。手段の数値化は図れないと、要するに数は書けないということなんでしょうけれども。より一層の充実を目指すとか、それぐらいはできるんじゃないですか。だって、福田総理もおっしゃったじゃないですか、人づくりこそが国づくりだと、教育が大事だと施政方針演説でもおっしゃっているんですよ。どうですか。
  178. 真砂靖

    政府参考人真砂靖君) 総理の御発言、いろいろ御発言されておられますけれども、私どもも総理の御発言注意深くいつも聞いておりますけれども、例えば去年の十月の十六日の参議院の予算委員会での御答弁を聞かせていただきますと、単に予算を増やせばいいというだけの話ではないだろうというふうに思いますと、それは、何でもかんでもお金はあった方がいいですよ、それはと、だけれども、限られた財政の枠の中でどうやって有効にお金を使っていくかということだろうと思いますと、教育の中も同じようなことがあると思いますと。こういう答弁も総理されておられるところでございます。
  179. 林久美子

    ○林久美子君 福田総理らしい御答弁だなと思いながら今伺っておったんですが。  でも、先ほど私、外形的なデータもお話ししましたね。学校教員先生お話も申し上げました。もう御存じだと思いますけれども、まあ一応念のため申し上げますね。いわゆる対GDP比の教育予算ですね、初等中等教育、日本二・七%、アメリカ三・七、イギリス三・八、フランス三・九、ドイツ二・八ですよ。OECDの平均は三・六%。それは、財務省の皆さんは自分たちが使い勝手がいいように子供一人頭の数字を言うでしょう。だけれども、それだけがすべてじゃないんですよ。いろんな角度から数字を組み合わせて現状を見なきゃいけない。  そうしたことを考えたときに私が申し上げたいのは、振興計画の中で、教育予算について、今後の財政措置について、しっかりとより一層の充実を目指すということが書けるか書けないか、聞かせていただきたいと思います。
  180. 真砂靖

    政府参考人真砂靖君) 今、策定中でございますので、私どもの立場から現段階で申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、御質問でございますのであえて何点か申し上げさせていただきたいと思います。  一つは、成果目標と手段の関係でございます。この点については、先ほどからるる申し上げましたものですからあえて更に申し上げませんけれども、いずれにしても、投入量を目標とするということは手段の目的化を招きかねないという点をどう考えるかという問題がございます。  また、今先生、諸外国と比較をされましたけれども、我が国の教育投資の水準は主要国と比べても遜色のない水準であるというふうに私ども考えておりまして、こういった点についてこれから引き続き文科省ともよく議論してまいりたいと考えております。
  181. 林久美子

    ○林久美子君 より一層の充実を目指すということも投入量の目標化につながるという御認識だということで、私ちょっと正直びっくりなんですけれども、渡海大臣、こういう状況で多分御苦労なさっていらっしゃるんだと思うんですね。  しかしながら、やはり私は、経済が発展してくると人心が荒廃するとも言われているわけですね、歴史の中で繰り返されている。そういったときこそ、やっぱり教育予算を確保して、それはある意味では与野党超えて、しっかりと拡充をして子供たちの学びの環境を支えていかなきゃいけないというふうに思っておりますので、そこは御理解をいただきたいと思います。  財務省の方も多分いろんな数値を引っ張ってこられて、いろいろとそちらはそちらの論理がおありなんだと思いますけれども、でも実際の現場に目を向けていただきたいと思うわけですね。  私、やはり地元に帰りましていろんな人と話をしても、何が一番してもらいたいと、何を政治に求めるというと、子供がいる親はみんな言いますよ、やっぱり教育環境の改善だってだれもが言う。年金の選挙、昨年の参議院選挙ありました。あの中ですら、子供を持つ親はみんな教育でしたよ。だから、それぐらいに今子供を持つ親たちは教育環境について危機感を感じているんだと。そうしたことも含めて、省庁間の壁を乗り越えて、省壁を乗り越えて、やっぱり現場のニーズにこたえていく。更に突き詰めれば、今の社会に求められているものに対して対応できる予算編成をしていくことが政治に課せられた役割だと私は思っていますので、是非そこは積極的に御協力をいただきたいということをお願い申し上げます。  その上で、渡海大臣にお伺いをいたします。  今この教育振興計画、今遅れているという状況の中で、学習指導要領パブリックコメントも終わってもうほぼ最終段階に入っているんだと思います。しかしながら、やはりこれは、私は本来セットであるべきだと思っている。学習指導要領の中で、例えばいわゆる日本の武道の振興を図りましょうという話がありますと。そうしたら、それは振興計画の中で、武道場どうするの、竹刀どうするの、そういうことを裏付ける環境整備の計画教育振興基本計画なわけで、やっぱりそれは一体でなければならないというふうに思うわけですね。じゃなければ、あのタイミングで教育基本法改正をあれだけ強く与党の皆さん押し切られたのも、今回の学習指導要領の改訂に合わせてやっぱりセットでやっていくからこそより効果的だというふうに思っていらっしゃったからなんじゃないかなと思うわけですね。  そうした中で、ある意味では今学習指導要領だけ走っていっているみたいなところがありまして、これについて大臣、どのようにお考えなのかお聞かせいただきたいと思います。
  182. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 学習指導要領が変われば、当然現場の環境が変わりますから、それに応じてその環境づくりというのは当然なされるべきであろうというふうに思っております。  振興計画は、十年先を見据えて五年間の具体的な計画ということでございますから、指導要領が、これは順次スタートするわけでございますから、いろいろと段階があるというふうに思いますけれども、本格実施が小学校が二十三年、中学二十四年だったと思います。そういうところを見ながら、環境をどういうふうに整えていくか。  今おっしゃいましたように、武道ということになりますと、これは教師といいますか、先生も確保しなきゃいけないでしょうし、いろんなやり方があると思います。我々の中学校のときの柔道も、地元にありました道場を使って、そのときは出掛けていって実はやっておりましたから、そういうことも含めながら、そういった環境整備、また小学校の外国語の問題もあります。それから、時間、時数を今度増やすというふうな問題もありますから、そういったことに応じて、どういうふうに見合った環境整備を整えていくかというのは我々もしっかり考えていかなきゃ、そういう意味では、委員おっしゃったようにセットであるというふうにお考えをいただいて結構かと思いますけれども。
  183. 林久美子

    ○林久美子君 ということであれば、教育振興計画ができるまで学習指導要領は告示しないということですか、ということにはならないわけですか、どうですか。
  184. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) それはちょっと、そういうふうには考えておりません。  というのは、やっぱりこれは学校現場考えますと、指導要領を早く出させていただいて、そして来年一年間掛かってしっかりとこの指導要領が徹底するようにしないと、十年前の間違いをまた繰り返すことになりますから、もうそれだけはしたくないというのが正直な気持ちでございます。我々としては、この指導要領に戻って、ただ、時間があるわけですからね、先ほども言いましたように、来年からすぐ何かが変わるということではありません、一部は変わりますけれども。ですから、そういったことでこれから考えていきたい。  指導要領とそれから振興計画というのは、先ほどから盛んに申し上げていますように、目指すもの、今財務省の方から成果目標と言われましたが、それは十年先に描き出すわけですね。それで五年間、具体的に何をやっていくかというのを書くというのが今の振興計画でございますから、そういった意味で、我々は指導要領が決められてもちゃんと振興計画というのは書けるというふうに考えておるところでございます。
  185. 林久美子

    ○林久美子君 たしか学習指導要領も、二十三年とか二十四年を待たずにできるところから速やかに対応していくというのが文科省の皆さんのスタンスだったと思いますけれども。  何が申し上げたいかといいますと、学習指導要領を支えるというか、それの条件整備が教育振興基本計画であるわけで、学習指導要領で幾らこれやりますよ、あれやりますよと言っても、それはいろんな時間的な問題はあるかもしれません、しかしながら、やはりそれを支えるものがないと空手形になってしまうと私は思うわけですね。だから、それは大臣御自身も認めていらっしゃるように、セットであるべきだし、そうした意味では教育振興基本計画を早急に進めていかなくちゃいけないと。  その中では、先ほども御答弁いただきましたけれども、省庁間の調整というか、闘いというか、意見の違いとかいろいろあると思うんですけれども、しっかりとそこは全力で御議論をいただいて、やはり私は、いろんなテーマがこの国に今あると思いますけれども、やはり何よりも大事なのは人を育てることなんだと思うわけですね。  確かに、今日やってあした結果が出るものじゃないし、たまには、これは自分の子育ても含めてそうですが、こうなったらいいなと思っていても全然違うふうになっていったり、いろんなことがあるけれども、やはり一人の人間を育てていくと、その人間、その次の世代の子供たちがこれからの日本を支えていくんだということを考えれば、物差しだけでは測り切れない価値がやはり教育には私はあると思っています。  いろいろ御苦労も多いかと思いますけれども、是非、振興計画策定に向けてしっかりとお取り組みをいただきたいということをお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  186. 水落敏栄

    ○水落敏栄君 自由民主党の水落敏栄でございます。  ようやく大臣の所信をお聞きして、ようやく今日、本委員会が開かれて、ようやく私の順番が回ってきて、ほっとしているところでありますけれども、私は、混迷する今国会の中で本委員会が開けたのは本当に有り難いことで、内心ほっとしているところであります。  既に民主党の皆さんから各般にわたっていろんな質問がございましたので、重複する部分があるかと思いますけれども、その点は大臣、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  一昨年の十二月に教育基本法が約六十年ぶりに改正をされて、さらに昨年は学校教育法など関連法案三法案が成立をさせていただいて、しかも、私が文部科学大臣政務官のときに成立をさせていただいたということで、私も非常に責任の重大さを痛感をしているところであります。  私は、昨年の十月の本委員会でも申し上げたんですけれども、一九八〇年ごろからの教育のやり方というものは個人を全面的に押し出す教育であったと思っています。つまり、個人の尊重、個人の自由、あるいは個人の権利、そうした個人が最も大切だという教育をやってきた、このように思っています。その反面、個人の義務だとか個人の責任だとか、余り触れておりません。ましてや、日本の文化や伝統や家族や家庭の大切さ、こうしたものはほとんど教えてこなかったと思っています。その結果、ゆがんだ自己中心主義が広がってしまって、自分さえ良ければそれでいい、こうした自己中で短絡的な考えが広がってしまった、このように私は思っています。  そして、そのツケが、今はどうでしょう、子供が親を殺したり、あるいはせっかくできた自分の子供を殺してしまう。この間、新聞に出ておりましたけれども、自分の子供が泣きやまないので口をふさいで殺してしまったと、こんなことが新聞に出ておりましたけれども、本当に悲しい事件が起こっています。小学校六年生の女の子がカッターナイフで友達の首を切って殺してしまった。最近では何と妻が夫を殺したり、夫が妻を殺したりして、そしてばらばらにして遺体を捨ててしまうような、こんな恐ろしい事件が毎日のように報道されていますけれども、これはもうまさに二十年前、三十年前には考えられなかったことであります。申し上げたように、ゆがんだ自己中心主義、自分さえ良ければという短絡的な発想からこうした悲しい事件が起きてしまったわけであります。  改正された教育基本法には、伝統と文化の尊重とか、あるいは公共の精神、生命の尊重、あるいは規範意識等々が盛り込まれておりますから、この教育基本法の改正を機に、今から三十年あるいは四十年掛かるかも分かりませんが、日本の未来を担う子供たちがこの国を愛して、そしてこの国に住んでよかったと、こう誇りが持てるような、そうした人づくり、国づくりの教育をしっかりとやっていかなくちゃいけない、私は固く信じているわけであります。  そこで、教育基本法の理念の実現に向けて、教育施策の総合的、計画的な推進を図るために、今後十年先を見通して、平成二十年度から五年間の期間とする教育振興基本計画を策定するとしておりますけれども、策定するに当たっては私は国民の皆様にも分かりやすいものにすべきだと、こう考えていますけれども、中央教育審議会の、中教審検討状況、どのようになっているのか、渡海大臣にお聞きいたします。
  187. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 委員指摘の、やっぱり日本の国がこうなってほしい、そのためには、基本となる日本人、現在の子供たち、未来の日本を背負う人材育成というものが非常に重要であるというのは、ここにいらっしゃる皆さん、これは共通の認識だと思います。  同時に、やっぱり国づくりという点でも我々は政治家として努力をしていかなきゃいけないんだろう、子供たちが将来誇りを持てるような国づくりをしなきゃいけないだろうと、まずそんな所感を持っております。  その上で、今教育振興基本計画のお尋ねがございました。先ほどもお答えをさせていただきましたが、中教審の特別部会で御議論をいただいておりまして、ほぼもうまとまりかかっているところでございます。  ただ、同時に、やはりこれは閣議決定をするということで政府部内の調整というものを同時並行でやっておりまして、私としては、いつまでにやるということも大事です、年度末までに答申をいただきたいということを申し上げておったわけでございますが、これにこだわることなくいいものを作りたいと、とにかく、ということで若干今時間が掛かっていると。同時並行で中教審議論と政府部内の様々な調整が進行しているというふうに御理解をいただきたい。  そして、中身に、分かりやすいということでありましたが、そういう意味でも、できるだけしっかりと具体的なことをやっぱり書き込んでいきたいなというのが今の思いでございます。
  188. 水落敏栄

    ○水落敏栄君 検討状況をお伺いいたしました。  お話しのように、十年先を見通して取りあえず五年計画を作ると、これは大変良いことだと思っていますけれども、お話しのようにまだ計画が示されておらないわけであります。お話しのように、中間報告ではこの三月中旬までに教育基本振興計画特別部会というんでしょうか、そこで検討して、三月下旬を目途に中教審総会を開催して答申すると、こう伺っておりますけれども、今日は二十五日ですから、あと六日間でもう今年度終わるわけでありますが。  私はむしろ、今大臣お話しのように、三月下旬に出すというのが遅れているといっても、それを別にとがめることはいたしませんし、むしろ私は、大事な大事な今後の日本の教育のあるべき姿を示される基本計画でありますから、これはもう四月にずれ込んでもいいんじゃないか、じっくりとこの計画を練っていただきたいと、こう思っておりますけれども。  お話しのように、作成の時期はお示しいただきまして、まだこれからゆっくり考えるんだ、いいものを作るんだと言っておりましたけれども、この作成に向けての文部科学省の決意について、大臣の御決意といいますか、お伺いしたいと思います。
  189. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 何度も申し上げておりますけれども、中途半端なものを出したくない、しっかりしたものを作りたいということで今鋭意取り組んでいるところでございます。  いろんな考えも今ありますし、それから先ほど来、林委員からも私に代わって財務省に質問をいただいたわけでございますが、政府部内の調整も大変であります。しかし、やっぱりそういうしっかりした議論をして、そして我々としても納得ができるといいますか、それは初め言っていたものがそのままできる、これは常にそういうことはなかなか難しいことではありますけれども、ああこれなら納得ができるという、そういう形に何としても私は、これは初めての基本計画でございますから、振興基本計画というのは初めてだと思います。  これはたしか平成十二年ですか、教育国民会議というのがありまして、あそこから実は基本法を変えなきゃいけない、そして当然この振興計画というものを具体的にやっぱり作っていかなきゃいけないという議論がされていたわけでありまして、その第一回目の第一次基本計画でございますから、本当に私としてはいいかげんなものじゃなくてしっかりしたものを作りたいということで若干時間が掛かっていると御理解をいただきたいと思います。
  190. 水落敏栄

    ○水落敏栄君 分かりました。  そこで、教育は国家百年の計と、こういうことを言われておりますけれども、やはり申し上げたように、三十年先、四十年先を見据えて、きっちりと基本計画を策定していくということが大切なんじゃないかなと思うわけであります。  また、ますます少子高齢化をしていく中で、子供が少なくなることから、学校の統廃合なんかが行われて、後でまた触れさせていただきますけれども、公立小学校の施設の耐震化が進まないのも、子供たちが少なくなっていることで自治体は学校に掛かる予算を多く取れない、こう言っているんですね。  今、道路特定財源について、とりわけガソリンの暫定税率をなくすと野党さんの皆さん言っておられまして、今大変な状況になっているんですが、関係委員会も開かれないと、こういうことでございますけれども、地方においては道路が必要なんですね。特に子供たちの通学路の確保、これも喫緊の課題でもあるわけであります。そして道路を造る予算もきっちりと確保しなけりゃなりませんけれども、教育予算も充実させなければいけない。子供と教師が向き合って話をする時間が欲しい、したがって教師も増やさなけりゃならない。  こういうことは一例でありますけれども、教育振興基本計画の策定を機に教育予算を充実していくことも、これまた大切なことでありまして、OECDの先進国二十八か国の中で、教育の財政支出は我が国二十七番目とびりから二番目で、我が国の教育予算がいかに低いか分かるわけでありますけれども、こうしたことを踏まえて、教育予算の充実について大臣の御所見を伺いたい、このように思います。
  191. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 教育予算の充実というのは図っていかなければいけないし、またその先頭に立って私は努力をさせていただかなきゃいけないというふうに思っております。ただ、このOECDの数字というのは本当によく出てくるんですが、これはいろいろ分析しますと、非常に複雑だなと正直思うんですね。  ですから、そういう意味では、やっぱり今の学校現場というのは一体どうなっているか。これは何も初中だけに限ったことではありませんで、幼児教育をどうするか、初中教育をどうするか、また高等教育をどうするか、そういったいわゆる目標、これこそ、先ほど議論になっておりましたある意味での成果目標だと思いますが、そのことをしっかりとやっぱり議論をした上で、その上で必要な予算はこうだという組立てをしていかないと、なかなか私は議論は平行線になっていつまでも収束しないなというのが正直な実感でございます。  そういう意味では、昨年末、定数増で大変力添えを当委員会皆さんにもいただいたわけでございますが、やっぱり今の学校現場がどうなんだと。また今日は、高校また大学について谷岡委員からも御質問をいただいたわけでございますけれども、実態に応じたことをしっかりとやっぱりやっていかなきゃいけない。同時に、我が国は財政再建という大きな課題を抱えていることも事実でありますから、本当に効果的な、効率的なお金の使い方をしていくという、この両面から、我々はあるべき姿というものをつくっていかなきゃいけないんだろうと、そのように考えております。
  192. 水落敏栄

    ○水落敏栄君 大臣の御決意をお伺いいたしました。  次に、学習指導要領についてであります。  教育基本法の改正を受けて学習指導要領の見直しも行うわけでありますけれども、これも既に中教審検討されていると。そして、二月中旬から三月中旬にかけて広く国民の皆様から意見を聴く、パブリックコメントを十分反映させてこの三月下旬に改訂すると、こういう手順になっています。  そもそも私は、教育振興計画を受けて、そして学習指導要領が改訂されるべきだと、こういうふうに私は思っているんですが、十分反映されているのかどうか、このことについてお伺いするとともに、学習指導要領をどのように改訂されていくのか、大変大きな質問で恐縮ですが、大臣にお伺いしたいと思います。
  193. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 今回の学習指導要領一つの大きな特徴は、一昨年末に教育基本法が六十年ぶりに改正をされたということであろうと思います。  委員の冒頭の御意見の中にあったわけでございますが、従来はどちらかというと個人の尊厳とかそういったことが理念としてうたわれておりました。こういうことは当然引き続いて大事なことだと理解をいたしておりますけれども、こういう普遍的な理念に加えて新しい教育基本法の理念、目標の中で、やっぱり特徴的なのは公共の精神であるとか命や自然の尊重、また伝統や文化の尊重、そして環境の保全といった、こういった新しい概念、先ほど言われました国とふるさとを愛する態度とか、こういうことが盛り込まれたわけでございまして、当然これは今回の学習指導要領の改訂の中でもしっかりとそのような部分が書かれております。  道徳教育もそうでございますし、社会とか理科とかもそういったことが反映された内容になっていると御理解をいただきたい。また、環境、これは今大変な問題になっておるわけでありますけれども、全般を通じて環境という、こういう項立てはしておりませんが、すべてにおいて環境に配慮したような教育、こういったこともあります。それからもう一つは、やっぱり従来の反省として、何を勉強するにもやっぱり言葉の力がなければ、これは言語力と言っておりますけれども、それはなかなか身に付かないということで、この言語力というものをしっかりやっていこうと、こういったこともございます。  あと一点、やはりこの学力の問題がございまして、従来の指導要領の下で少し学力が低下しているんじゃないかというある意味の反省もございます。そのために、主要な教科では約一割程度授業時間数を増やすと。内容も、これは時間数を増やしただけ増やすということではありませんけれども、増やすというようなことも考えておりまして、それらを通じて全般的に学力の向上と、それから心身共に健全な児童生徒の育成ということを図るという内容にしたところでございます。
  194. 水落敏栄

    ○水落敏栄君 教育振興基本計画はやっぱり教育基本法の理念を受けて作られて、そうした中で教育基本法の第二条の教育の目標について、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養う、こう明記されているんですね。これは、いわゆる愛国心教育だと私は思っているんですね。この部分につきましては法案審議段階で様々な議論がなされました。そこで、今後の課題は、伝統と文化の尊重とか我が国と郷土を愛する態度にかかわる教育学校現場において具体的にいかになされるべきかと、こういうことだと思っているんですね。  特に、この点については家庭と地域社会との連携が大切であると、こう考えますし、現実には家庭、地域社会、学校との関係、現在極めて希薄な状態に私はなっていると思うんですね。したがいまして、この問題につきましては、学校側から家庭や地域社会に積極的に働きかけて連携を求める姿勢が必要だと、こう私は思っていますけれども、文部科学省としてのお考えをお聞きしたいと思います。
  195. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答え申し上げます。  改正教育基本法の第二条では教育の目標の一つといたしまして、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。」と規定されたところでございます。  今回の学習指導要領の改訂案におきましても、このことを踏まえ、伝統と文化に関する教育について各教科等の特質に応じた学習内容を大幅に充実しているところでございます。  具体的に申し上げますと、例えば道徳教育におきまして、先人の生き方や伝統と文化など児童生徒が感動を覚える教材を活用し、指導充実すること、また社会科におきましては、歴史教育、宗教、文化遺産に関する学習を充実すること、そのほか各教科におきまして、そろばんや和楽器、唱歌、美術文化、和装などの指導充実や武道の必修化などを行っているところでございます。  また、小学校の総合的な学習の時間におきましても、学校の実態に応じて行う学習活動の例示といたしまして、地域の人々の暮らし、伝統と文化など地域や学校の特色に応じた課題についての学習活動を新たに加えたところでございまして、学校と地域社会などが連携を進めることが期待をされているところでございます。  今後、新しい学習指導要領の下、このような取組を通して、児童生徒に伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を一層育ててまいりたいと存じます。
  196. 水落敏栄

    ○水落敏栄君 是非、申し上げたように、そうした連携を深めていかなくちゃいけないと思っていますので、お進めいただきたいと思います。  次に、国旗・国歌の問題についてお伺いしたいと思います。  現行の学習指導要領におきましても、小中学校共に、特別活動における指導計画の作成と内容の取扱いにおいて、「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする。」、こう明記されているわけであります。しかし、国旗・国歌が法制された以降もその指導が徹底されていない。そして、教師自ら我が国の国旗・国歌に対する国際常識をも無視した振る舞い、こうしたものが見られるわけでありまして、誠に私は遺憾と言わざるを得ないと思っています。  神奈川県は、公教育における学校教育現場での教員の行為が一人一人の信条でなされてしまっては学校運営に支障が出るとして、教職員が君が代斉唱時に起立することを職務であると判断したと。文部科学省はこうした問題についてどのような姿勢で対処していくのか、新しい学習指導要領においてこの点をどう徹底していくのか、この点をお伺いしたいと思います。
  197. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。  学校教育における国旗及び国歌に関する指導につきましては、児童生徒が、我が国の国旗・国歌の意義を理解させ、これを尊重する態度を育てるとともに、諸外国の国旗・国歌も同様に尊重する態度を育てるために行っているものでございます。今回の学習指導要領改訂案におきましても、引き続き、入学式や卒業式においては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとすると記述をしているところでございまして、校長や各教員は、このような学習指導要領に基づいて国旗・国歌について児童生徒を指導すべき責務を負っているところでございます。  入学式などにおきまして、校長が国旗を掲揚し国歌を斉唱することを決定し、その実施のため教育に必要な指導を行ったにもかかわらず教員がこれに従わなかった場合、教育委員会が当該教員に対して職務上の義務違反として懲戒処分等を行うこともあり得るところでございますが、実際に懲戒処分等を行うかどうかは任命権を有する都道府県教育委員会等において個別の事案に照らして判断すべき事柄であると考えているところでございます。
  198. 水落敏栄

    ○水落敏栄君 それぞれ自治体の教育委員会に任せるんだというお話でありますけれども、やはりこうしたことが明記されているわけでありますから、これはもう是非きちっと教師自らが国旗・国歌を斉唱すると、こうしたことを徹底していただきたいなと、このようにもお願いを申し上げておきます。  さっき金森局長から、道徳の問題にも触れられましたけれども、この際、その道徳教育についてお伺いしたいと思います。  道徳教科化をめぐっては中教審とか教育再生会議においていろんな議論があったことは承知をいたしております。人に対する思いやりなど、すなわち私が冒頭申し上げた自己中からくるものですけれども、青少年の規範意識の低下が指摘されております。一方、そうした中で道徳教育に対する国民の関心も高まっているわけであります。そして、新しい学習指導要領の告示案においては各学校道徳教育推進教師を置くということになっておりますけれども、現状を見れば、文部科学省教科化を含めてより積極的な姿勢を示すことが大切だというふうに私は思うんです。  私は、幸いにも日本にも外国にも子供たち道徳を易しく学ぶにふさわしい寓話とか童話とか、あるいは教訓話が多いと思っているんですね。こうした寓話などを参考にしたら面白い道徳の教科書ができるんじゃないかなと思っていますけれども、道徳教育充実に向けた文部科学省の具体的な施策、教えていただきたいと思います。
  199. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) この件につきましては随分いろいろ議論がありました。ただ、多くの議論を集約いたしますと、道徳をきっちりと学校教育の中に位置付けて教えるべきであるということ、そして教材をそのためには充実をする必要があると、これが私は集約するところではないかと考えております。  そのためにまず、いわゆる指導体制として我々は今回、道徳推進教諭というものを各学校に置いていただくということを今指導をいたしております。道徳の時間がちゃんと道徳の時間として使われるように計画も立て、また指導もすると、こういった先生を決めてくださいということでありまして、これがまず一点。  それから第二点は、学習指導要領の中では発達段階に応じてきめ細かく、例えば低学年では命の大切さを教えるとか、善いこととか悪いことということを教えるとか、そういった記述を具体的にいたしまして、より指導がしやすくするというふうに計画をいたしております。  もう一点は、教材の点につきましては、やっぱり今委員がおっしゃいましたような子供が感動するようなというのはこれは多くの方々がおっしゃることでございまして、そのために今振興計画議論をいただいておりますが、その中では新たな補助制度、そういったものもつくってはどうかという提案もいただいておるところでございまして、これは概算要求としては来年度の概算要求になりますから、そういうことも考えておりますし、加えて、心のノートを全面的に改善をして、より道徳教育充実するようにと。我々としてはこのことによって、これを現場にしっかりとやっぱり指導していく、徹底をしていくことによって、より道徳教育充実をするというふうに考えておるところでございます。
  200. 水落敏栄

    ○水落敏栄君 ありがとうございました。  是非道徳教育充実について現場皆さんにも徹底をしていただきたいな、このようにお願いをいたしておきます。  そこで、今回の学習指導要領改訂の答申中教審は日本史の必修化は見送ったわけであります。誠に私としては残念なことでありますけれども、神奈川県など一都三県は二〇〇六年に、高校生が日本史を学習する意義は大きい、こうしたことから文科省に必修化を求めましたけれども、申し上げたように文科省としては取り上げなかったと。したがいまして、独自の取組が必要であるということから、神奈川県ではすべての県立高校で日本史を平成二十五年度を目途に必修化にすると、こうしたことをもう発表しております。私としては大賛成でありまして、神奈川県の松沢知事は、しっかりとした日本人、国際人の育成に日本史は不可欠だと、こう言っておられます。  私は、国際化の中でこそ国の歴史や文化を学んで日本人としての自覚をはぐくむ教育が求められていると思っておりまして、例えば外国人との交流で日本のことを、自国のことを聞かれてもうまく答えられないような事態であるというのは誠にまずいわけでありますから、是非これは私は必要だと思っておりますし、また、近現代史を中心に殊更日本を悪者にする自虐史観を押し付けるような授業が今まであったことも否定できないわけでありますから、日本史を通じて正しい歴史観を養うことも必要ではないかなと私は思っています。  したがいまして、日本史の必修化について文部科学省はこれからどうしていくのか、お考えをお聞きしたいなと思います。
  201. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。  我が国の伝統や文化、歴史を理解することは、国家社会の形成者として必要なことでございます。また、国際社会を生きていく日本人としても大切なことでございます。  このため、小学校におきましては、我が国の歴史を人物を中心に学習し、また中学校では、世界の歴史を背景に我が国の歴史の大きな流れを学習するなど、義務教育終了段階までに日本の歴史をしっかり教えることといたしております。その上で、高等学校におきましては、高校生に必要な幅広い知識と教養を身に付けさせますとともに、世界の歴史の大きな流れを学び、我が国と諸外国の歴史や文化が相互に深くかかわっていることを考えさせるという観点から、世界史を必修とした上で、日本史又は地理から一科目を選択させることとしているところでございます。  御指摘の神奈川県教育委員会における日本史必修化の取組につきましては、地理歴史科におきまして、地理を選択した生徒について更に教育委員会が独自に設定する日本史の内容を含む科目も履修させようとするものでございまして、神奈川県としては、学習指導要領その他関係法令の規定に抵触しない範囲で、教育委員会として設定する独自の科目の内容などについて、平成二十年度より研究を開始するものと聞いております。神奈川県のこうした取組は、歴史学習充実のための一つ考え方と受け止めておりまして、具体的にどのような研究を進められるか見守ってまいりたいと存じます。
  202. 水落敏栄

    ○水落敏栄君 やはり自分の国のことの歴史が分からないようでは、その人の人格形成についても非常に私は欠陥が生じるんじゃないかなと思っていまして、是非、この日本史の必修化について積極的に、前向きに検討いただきたいなと、このように私は思います。  次に、がらっと質問を変えまして、学校施設の耐震化についてちょっと何点かお聞きをしたいと思っています。  児童生徒が大半を過ごす小中学校の校舎とか体育館、地震や水害などの災害時には避難場所になるわけであります。私の出身地であります新潟県は、二〇〇四年の中越地震、そして二〇〇七年の中越沖地震と二度にわたって地震に見舞われて、そのたびに、仮設住宅ができるまで、あるいは災害を受けなかった親戚に身を寄せるまでの間、そうしたところにお世話になるわけでありますけれども、こういう施設があることは大変有り難いことでもあるわけであります。  それゆえに、公立小中学校施設の耐震化についてもその必要性を十分私は認識しておりまして、将来、東海地震とか予測される地震に備えるためにも、今聞いてみましたら、全国の公立小中学校の建物、十二万五千九百九十五棟の五八・六%は地震に耐えられるけれども、残りの四一・四%は耐震診断さえ受けていないという状況であるそうでありますので、こうした状況からはもう早く脱しなければならない、こう思っています。  そして、一日も早く耐震化を進めなきゃならないと思うわけでありますけれども、十九年度補正予算あるいは二十年度予算における耐震化に対する予算、それからどのように本年度は公立小中学校の施設の耐震化を進めていくのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  203. 舌津一良

    政府参考人舌津一良君) お答えいたします。  委員指摘のとおり、学校施設の安全性の確保というのは大変重要な課題でございます。  特に、耐震化を推進するために、御案内のとおり、平成十九年度補正予算並びに平成二十年度当初予算案におきまして、それぞれ一千百億円強の予算を計上しているところでございます。また、昨年十二月に政府全体として取りまとめました生活安心プロジェクトなどにおきまして、大規模な地震により倒壊等の危険性が高い公立小中学校施設、これが約一万棟ございますが、これにつきましては今後五年を目途に耐震化を図るということとされたわけでございます。  具体的には、構造耐震指標、これはIs値と言っておりますけれども、これが〇・三を下回るものにつきましては優先的に耐震化を図るという、こういうような方針でおりまして、これらに対しまして予算を重点的に配分するということで、こういうようなことを通じまして耐震化の更なる推進に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  204. 水落敏栄

    ○水落敏栄君 公立小中学校施設の耐震化の取組について積極的に推進してくださる文部科学省には、私、感謝しておりますけれども、私の県のことばかり言って恐縮ですけれども、我が新潟県における耐震化は全国でワーストテンに入っているんですね。二度の地震にもかかわらず、二度の地震の教訓があるにもかかわらずにワーストテンに入っていると。  私、そういうことでありますから県の担当者に聞きましたところ、災害の復旧復興が先で、とても財政が付いていけないと。国は耐震診断やれといっても、耐震診断には約三百万円掛かると。少子高齢化で子供が少なくなっているときに学校施設に予算を使いにくいと言っているんですね、自治体では。耐震化に係る費用も、国は二分の一の補助をしてくれるけれども、あとの二分の一は自治体で負担しなくちゃならない。もうそうすると一千万、二千万の金がすぐ必要で、とても耐震化まで手が回らないと、こう言っているんですね。  そこで、お伺いするんですが、現行の二分の一の補助について補助率を上げるなど知恵を出さないと、なかなかこの耐震化というのは進んでいかないんじゃないかなと私は思っているんですが、文部科学省のお考えをお聞きしたいと思います。
  205. 舌津一良

    政府参考人舌津一良君) お答えいたします。  学校の校舎の地震補強事業に係ります国庫補助率につきましては、原則三分の一だったわけでございますけれども、これを現在二分の一にかさ上げしているところでございます。また、平成十八年度からは体育館につきまして三分の一を二分の一にかさ上げしたという、そういうような措置を講じているところでございます。  また、今委員指摘のように、公立学校施設の耐震化の推進に当たりましては、学校設置者でございます市町村の取組に負うところが大きいわけでございます。したがいまして、その地方負担分に対する財政支援と、こういうようなこともその充実が必要になってくるわけでございます。  このため、これまで地域によって地方負担分に対する地方財政措置が異なっていたわけでございますけれども、現在、従来東海地域だけに限られておりました地方財政措置につきまして、十八年度からは太平洋側、それから十九年度からはこれが全国に拡大されたと、こういうようないわゆる地財措置につきましても拡充が図られているところでございます。
  206. 水落敏栄

    ○水落敏栄君 是非、やっぱり今ここで補助率を上げるとは言えないんでしょうから、いい知恵を少し出していただくように考えていただきたいなと、このように思います。  時間がだんだん過ぎてまいりまして、ちょっと質問を幾つか飛ばさしてもらって、スペースシャトルのことについてちょっとお伺いしたいと思います。  三月十一日にアメリカのスペースシャトル・エンデバー号で、我が国の実験棟「きぼう」が打ち上げられました。日本の宇宙開発史に新たな一ページが加えられたと私は思っています。土井宇宙飛行士が、エンデバーの貨物室から「きぼう」の第一区画であります直径四メートルの円筒形をした船内保管室を、ロボットアームを操作して見事に国際宇宙ステーション、ISSに設置をしたわけであります。  私は、アメリカのヒューストンにあるジョンソン宇宙センターで訓練する宇宙飛行士の皆さんをお訪ねして昨年激励した。そして、「きぼう」の船内も見せていただいた。こうしたことがございますので、本当に成功してもらいたいなと祈るような気持ちであの土井さんの操作を見ておりましたけれども、本当に見事に成功して、思わず私、拍手したわけでありますけれども。  これは我が国日本のうちが、家が最初に宇宙に設置されたと、こう思っておりまして、このたびの「きぼう」の打ち上げ、そして国際宇宙ステーションへの設置について、渡海大臣どのように思っておられるか御感想をお聞かせいただきたいと思います。
  207. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 今まだミッション途中でございますが、これまでのところ大変成功裏に、しかも予定の時間よりもいい意味で短縮をして少し時間の余裕ができたというふうなそんなスキルも発揮をされまして、順調に進んでいるというのを大変うれしく思っております。  私も、去る二十日の日に、官邸で総理とそれから土井宇宙飛行士の母校の中学生の皆さんと一緒に交信をさせていただきました。何か非常に正直不思議な感じがしましたですね。目の前に画面があって、少し遅れますが声が届くというか、随分時代が変わったんだなという、そんな印象も受けました。  宇宙の利用というのは、これはある意味人類の夢でございますし、また我々日本人にとっても有人宇宙飛行、この分野を切り開く、そういった意味でも非常に意義が大きいと思いますし、これから本体のユニットが取り付けられますと、そこでいろんな実験が行われて新たな産業利用にもつながると、こういうことも言われているわけでございますから、大変意義があったというふうに思っておるところでございます。  それともう一点思いますのは、やっぱり子供たちに大変大きな夢を与えるということですね。宇宙の開発というのは、そういった意味で私は教育意味も非常にあるなというふうに考えておりまして、たしか二十七日に、日本時間二十七日に御帰還だというふうに聞いておりますが、ミッションを無事終えられまして無事にお帰りになるように、今は帰還をお待ちしているという状況でございます。
  208. 水落敏栄

    ○水落敏栄君 大臣からもいろんな利用ができるというお話がございましたけれども、私、今後の計画がどうなっているかなどもお聞きしたいわけですけれども、時間が迫っておりますので先を急がせていただきますが、商業利用、この宇宙ステーションのですね、ISSの無重量環境を利用して行う言わば自前の本格的な宇宙実験が可能になるわけであります。  例えば、重さが消えれば熱対流も起こらない、あるいは比重の異なる物質が均等に混ざる、地上では作りにくい新素材とか医療品の開発にもつながる。したがって、こうしたことをにらんで、JAXAが新たな試みとして、企業などに対して「きぼう」の有償利用を呼びかけた、こんな記事が載っていました。  「きぼう」の利用期間も来年六月から三月までの間に約二時間商業利用枠に充てられると、製薬会社の実験もできるし、宇宙からのコマーシャルの制作も可能になると、こんな内容の記事でございましたけれども、これが事実であるなら本当にすばらしいことであるわけでありまして、この商業利用について現状はどうなっているのかお聞かせいただきたい、このように思います。
  209. 藤田明博

    政府参考人(藤田明博君) 御説明申し上げます。  我が国初の有人宇宙施設でございます「きぼう」が広く国民一般に開かれた施設になるということが重要でございます。そういう意味で、この「きぼう」の幅広い利用活動を促進することが我々にとって重要なことであるというふうに認識をしているところでございます。  今委員から御指摘ございました商業利用につきましては、まさに委員指摘のとおり、平成二十年度から、「きぼう」の潜在的な価値を最大限に活用するということを目的に有償でもって民間等の商業利用も進めようということで公募をしたところでございます。  平成二十年度は、食品メーカーでございます株式会社ロッテさんとか、教育事業を行っておられる株式会社リバネスさんなど、こういったところからの三テーマにつきまして利用をしようというふうなことを予定をしているところでございます。  このほかにも、先ほど委員から御指摘ございました、様々な宇宙環境という特殊性を利用しまして、生命科学、物理・化学分野での科学実験でございますとか、それから船外の実験装置を用いて宇宙の起源の解明等にかかわります観測等も進めてまいりますし、また、たんぱく質の結晶生成、新素材の創製など、実利用につながるような応用的な分野の研究でございますとか、また、「きぼう」の船内で植物の種子を一時保管をしまして、それを地上に降ろして学校に配ったりして、教育文化的な利用にも「きぼう」を使っていきたいというふうに考えているところでございます。  今後とも、「きぼう」の幅広い利用を通じまして、科学的な貢献を含む多様な成果が最大限得られるように努力をさせていただきたいと思っております。
  210. 水落敏栄

    ○水落敏栄君 宇宙開発は国民の支持があってからこそ行えるものでありまして、「きぼう」の有償利用が行われれば民間からの活力と知恵が加わっていくわけでありますので、もっともっと開発が進むんじゃないかなと、私はそのように思っています。  そして、松浪副大臣おいででございますけれども、私は日本大相撲に対する、協会に対する指導についてもお伺いしたかったんですが、誠に残念でありますけれども、ちょっと時間がなくなりまして、お許しをいただきたいなと思います。  私、ついこの間、二本の映画を見たわけであります。  そのうち一本は「明日への遺言」という映画でありまして、名古屋地域を無差別爆撃をして十数万人の民間人を死傷させて、その際パラシュートで脱出したアメリカの飛行兵三十数人ですけれども、処刑した方面軍司令官の岡田資中将の裁判の映画でございますけれども、国際法に違反する無差別爆撃によるアメリカ側の人道に対する罪について追及しながら、アメリカ兵を処刑したことによるすべての責任は私にある、こうした毅然とした態度に日本の武士道を思わせ、感激をしたわけでありますけれども。  もう一つ見た「靖国」という映画ですね、これは誠に不愉快、不快極まりない映画でありました。映画をどう感じるかは見た人の問題で様々でありますけれども、私はこの映画、反靖国の映画と見ました。それは、国や靖国神社を相手取ったいわゆる靖国神社訴訟の原告である真宗の僧侶や台湾の高砂族を登場させて彼らの主張を語らせていますけれども、靖国神社支持者のコメントはもう断片的で、映画に盛り込まれている様々な映像とか写真の中には中国側による事実誤認や捏造が指摘されるものが多く含まれているんですね。そして、靖国神社、日本刀、軍国主義など残虐なイメージを刷り込もうとしておりまして、反靖国プロパガンダ映画だと私は思っています。しかし、申し上げたように、どう感じるかは見た人の問題でありますから、反靖国がどうのこうのということはこの際問題にはいたしません。  しかし、この映画ですけれども、極めて客観性に欠けるということは否定できない。こうした客観性に欠けるものや政治的なものを意図する映画に我々の税金が出ていることに問題があるわけであります。すなわち、文化庁が主導する芸術文化振興基金からこの映画に七百五十万円の助成金が出ていることは誠に大きな問題であると思っています。  まず、文化庁にお尋ねしますけれども、この映画は日本映画でしょうか。会社は日本で登記をしていると言っておりますけれども、監督のこの李纓は中国人であって、共同プロデューサーには日本人の名前もありますけれども、共同製作は北京電影学院など中国で、しかもタイトルは「YASUKUNI」と英語で示されています。映画の始まる前のスタッフ紹介等も、八割方が中国名です。  こうしたことから私は中国の映画だと思っていますけれども、助成の対象となるのは日本映画でありますから、まずこの点について文化庁の答弁を聞きたい、このように思います。
  211. 高塩至

    政府参考人(高塩至君) 独立行政法人の日本芸術文化振興会の芸術文化振興基金によります映画の製作活動の助成対象者につきましては、映画の製作活動を行うことを主たる目的とする団体で、過去に国内で一般公開をされた日本映画を製作した実績を有する団体というふうにされているところでございます。そして、日本映画とは、我が国の法令により設立された法人により製作された映画であります。また、外国の製作者との共同製作された映画につきましても、日本芸術文化振興会がその著作権の帰属につきまして検討して、日本映画として認めているところでございます。  御指摘の映画「靖国」の製作者でございます有限会社龍影は我が国の法令により設立されました法人でございまして、また過去に日本映画を製作した実績もあることから、独立行政法人日本芸術文化振興会の審査会において助成の対象になると判断されたものと承知いたしているところでございます。
  212. 水落敏栄

    ○水落敏栄君 文化庁はそういうふうに言うんでしょうけれども、映画の中では日本語で話していますから錯覚するんですけれども、私は日本の映画とは思えない。中国映画になぜ日本の芸術文化の金を出すのか。問題ないとお答えいただいても、私は到底納得がいかない。そして、商業的、宗教的又は政治的な宣伝意図を有するものには助成金は出せない、こうありますけれども、小泉首相が総理就任以来、靖国神社参拝を続けていることに中国が大きく問題視していた政治的背景があるんですね、このときは。小泉首相の靖国神社参拝、こうしたことをこの李纓監督は中国側の考え方を十分意識していたのではないかと私は思っているんですね。  反日的で客観性に欠ける、また政治的背景がある映画に助成金を出していいのか、この点をお尋ねします。
  213. 高塩至

    政府参考人(高塩至君) 芸術文化振興基金の助成交付の基本方針といたしまして、基金による助成につきましては、今先生指摘がございましたように、政治的、宗教的宣伝意図を有するものではないということとされているところでございます。また、本記録映画を審査をいたします専門委員会の評価の観点といたしまして、活動の目的、内容が優れていること、また具体的であること、社会的に開かれていること、さらに過去の実績から推測して実現可能であること、さらに予算や経理が適正であることなどの評価の観点が定められているところでございます。  この映画「靖国」の審査を行いました平成十八年度の記録映画専門委員会におきましては、ただいま申し上げました基本方針や評価の観点を基に六名の専門委員の合議の上審査が行われ、助成が決定されたというふうに承知いたしております。
  214. 水落敏栄

    ○水落敏栄君 いや、問題ありますよ、これね。この映画が記録映画の助成金対象活動に採択されて助成金が出ていると、こういうことでありますけれども、そして一方、記録映画の審査は審査委員会の決定にゆだねられて、特に台本が存在しないことが多い記録映画については、提出された企画書等を中心に審査、審議して助成すると、こういうことになっていますね。つまり、完成された作品の内容審査が行われずに、映画が完成すれば助成を行うということでありますから、いいかげんとしか言いようがない。七百五十万円もの税金を出すのに審査もしないというのは、文化庁としても指導監督上責任があると私は思っています。  今から一年前に審査会は試写会でこの映画見ていると、こういうふうに発表していますけれども、そのときの委員皆さん意見はどうだったのか。議事録があれば是非お聞かせいただきたいし、繰り返しますけれども、客観性に欠ける映画であって、助成の対象にはならないんじゃないかと思いますよ。  したがいまして、この助成金七百五十万円はこの際返還すべきだと思っていますけれども、この点をお伺いします。
  215. 高塩至

    政府参考人(高塩至君) 芸術文化振興基金の映画製作支援に当たりましては、専門委員会におきまして合議審査が行われ、助成を内定した後に完成試写会を実施いたしまして、映画の完成を確認してから助成金の支払を行う手続を取っているところでございます。  映画「靖国」につきましても、平成十八年の九月に専門委員会において合議審査が行われ、同年十月に助成が内定した後、平成十九年三月に完成試写会が実施され、専門委員会として映画の内容を確認した上で同年四月に助成金が支出されたところでございます。このように今回の件につきましては、独立行政法人日本芸術文化振興会におきまして所定の手続に従いまして審査が行われているものであると承知をいたしております。  独立行政法人に対しましては、定められました中期目標、中期計画に従いまして業務の運営が行われていることにつきまして国として評価を行うという仕組みになっているところでございまして、所管の官庁として一般的な監督権限はないというふうに考えているところでございます。
  216. 水落敏栄

    ○水落敏栄君 誠にそうした答弁について私は残念であります。  委員長お願いします。資料要求として、この審査会の委員メンバーを是非御報告いただきたい。よろしくお願いします。  やはりそうしたこういう客観性に欠ける、また政治的な意味合いも含めたこうした映画は、やはり見る人によっていろいろと違いはあると思いますけれども、明らかにこれは中国の映画であって、そして客観性に欠ける映画だと、こう思っていますので、もうこれは是非再検討していただいて、是非この我々の税金である七百五十万返していただきたい。このようにお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  217. 義家弘介

    義家弘介君 自由民主党義家弘介です。本日はどうぞよろしくお願いします。  先ほど大臣子供たちが誇りに持てる国をつくっていかなければというお話をされていましたが、私は高校で政治・経済を教えてきましたが、経済分野で日銀の役割、日銀総裁の役割などを必死に生徒に説きながら、実は日銀総裁不在と。とにかく話合いをしっかりしなければならないと教えてきましたが、国会では話合いさえできないと。そういう子供たちにとって非常に説得力のない状態が実は国の中で行われてしまっている現状の中で、しかし一方で、だからこそ教育再生をきっちりと行っていきながら、大切なものは何なのかということを彼らにどう示していくのかが問われている時代のような気がします。今日は所信内容に従いまして一つ一つ思うところを質問させていただきます。  まず、教員の質の向上、能力の向上について、多様化が進む現在の中で、二十年、三十年前に教職課程で学んだ内容、それを新たに継ぎ足していかなければならない内容がたくさん出てきているように思いますが、その中でまず教員免許更新制、これの運用についてですけれども、現在のところの検討状況を是非文部科学省の方からお聞かせ願いたいと思います。
  218. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。  平成二十一年四月から実施をいたします教員免許更新制の運用についての検討状況でございますけれども、昨年六月の教育職員免許法の改正を受けまして、中央教育審議会教員養成部会において教員免許更新制の具体的な運用方針について審議がなされ、昨年十二月に報告が取りまとめられたところでございます。この報告に基づき、現在、教員免許更新制の実施に必要な省令等を準備しているところでございまして、今月中の公布を予定をいたしております。  二十年度は、平成二十一年度からの制度開始に向けまして、免許更新講習の試行の実施やまた制度の周知等の様々な準備を行ってまいりたいと考えております。
  219. 義家弘介

    義家弘介君 この免許更新する、これは教員にとっては負担も非常に大きいものでもあります。だからこそ、この内容についてはしっかりしたもの、説得力のあるものであらなければならないと思いますけれども、今お聞きした限りの話ではほとんど中身が詰まっていないというようにしか聞こえないわけですけれども、その辺についていかがお考えでしょうか。
  220. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。  教員免許更新制の具体的な運用方針につきましては、ただいま申し上げましたように、中央教育審議会教員養成部会から昨年十二月に報告が取りまとめられました。それによりますと、例えば講習の内容などにつきましても、教職についての省察や子供の変化についての理解、また教育政策の動向についての理解学校の内外における連携協力についての理解に関する事項、これを十二時間二日相当、また教科指導、生徒指導その他教育充実に関する事項、十八時間三日相当など、教育内容について御報告をいただきましたし、また講習の免除対象者や開設者、また受講対象者、受講時期、あるいは講習の質の確保など、多岐にわたって運用の詳細に関する御報告をいただいたところでございます。  現在、教員免許更新制の実施に必要な省令の準備を進めているところでございますが、その省令におきましては、ただいま申し上げましたような報告の内容に沿った省令にしてまいりたいと考えているところでございます。
  221. 義家弘介

    義家弘介君 それでは、現在のところで結構ですので、免許更新しない条件、この免許更新しないのはどういった場合においてなのかお聞かせ願いたいと思います。
  222. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。  免許更新がなされない場合ということでございますけれども、免許状の有効期間がございますが、有効期間の満了までに教員として必要な最新の知識、技能が習得されず、大学などが実施する免許更新講習の課程を修了できない場合には、免許状は更新されないということになっております。
  223. 義家弘介

    義家弘介君 昨年の十二月二十五日に出されている中教審の養成部会の報告の中においては、筆記試験又は実技試験の成績審査を設置者の下で行うということが明記されていますが、それについては間違いないでしょうか。
  224. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) 免許更新講習の修了の認定につきましては、講習内容についての適切な理解を有する場合に行うことといたしておりまして、認定の方法は、客観性を担保いたしますため試験による成績審査によることとしているところでございます。
  225. 義家弘介

    義家弘介君 その基準の中では、Sが九十点から百点、Aが八十点から八十九点、Bが七十点から七十九点、Cが六十点から六十九点で、Fが零点から五十九点。  この零点から五十九点のFが更新しない条件ということの理解でよろしいでしょうか。
  226. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。  修了認定は、開設者の行う筆記試験又は実技試験による成績審査に合格した者に対して行うわけでございますけれども、ただいま御指摘がございましたように、成績審査につきましては、各事項の到達目標の内容について、対応する確認指標に照らし、S、A、B、C、Fの評価を行います。Fと評価された者、これは点数で申しますと零点から五十九点で当該事項の到達目標に及ばないということでございますが、このFと評価された者のみ不認定とするというふうに考えてございます。
  227. 義家弘介

    義家弘介君 この免許更新するかしないか、これはその先生の職のみならず、目の前の生徒たちのことも大きく影響してくるところだと思いますので、この中身についてもっと具体的に、じゃ基準は設置者によって本当に同じ、開設者によって全く同じにできるのか、どこかの自治体の、どこかの大学の研修では甘くて、どこかはすごく厳しくてというようなことが起きないのか、これ様々な議論が今後とも必要だと思いますが。  ただ一点、この免許更新制について、私自身再生会議のころからずっと関心を持ちながら見守り続けてきましたけれども、二つの側面があったと思うんです。まず一つは、指導力不足教員の、不適格教員、それをこの免許更新制によって退場していただくと、それから学び直し、この両輪があったと思うんですけれども、現在の審議の中の中心というのは学び直し一本になってしまっているような感覚を私自身感じているんですけれども、その辺については、渡海文部科学大臣、いかがでしょうか。
  228. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) やっぱり、教員免許というのは、子供がしっかりした教育を受けるという意味においてまず一義的に大変重要でありますから、ですから、こういう制度によって、しっかり十年に一回は実は研修を受けていただく、新しい知識、新しい知見もちゃんと学んでいただくと、こういう意味があるんだというふうに思っております。そういうことをまずベースとした上で、今義家委員が言われたように、それでもなおかつ不適格であればこの免許というものを結局停止をするといいますか、そういうことなんだと思うんですね。  ですから、どうしてもやっぱり、私と義家委員、今順序を逆にしたわけでありますけれども、まず順序としては、そういったことがまずベースにあって、そして不適格であればなおかつ再度研修もちゃんと受けていただいて、それでも駄目だという、こういう仕組みになっていると。  要するに、すぐ退場ということではなくて、やっぱりこれは教員にとっても大変重いわけですから、そのことをちゃんと分かっていただいた上でやっぱり納得をしていただいて、駄目なときは駄目だという形になっているので、どうしても、どっちかというと学びの方が中心になっているんじゃないかというふうに見えてしまうんだというふうに私は思っております。似たような印象は、当初、案が出てきましたときに私も持ちましたから、そのように理解するのが今正しいかと思っておりますが。
  229. 義家弘介

    義家弘介君 私自身の今の感覚としては、現行のままこれが導入されたときは、恐らく運転免許証の更新のように、さらっと研修を受けて大体受かるというような制度になっていくような気がするんですね。  そうすると、教員の場合、十年研も同じようにあるわけですけれども、その免許更新制と十年研の明確な差ですね、その差別化が図られていないと、単に負担だけを増やしてしまう。極端に言うと、単純な運転免許証の更新のような更新であるならば、十年研を充実させるということで成り立ってしまう、極端に言えば成り立ってしまうわけですけれども、その辺の明確な違いというのは今文部科学省はどう考えていらっしゃいますか。
  230. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。  十年経験者研修は、任命権者である各教育委員会により、採用されて十年程度を経た公立学校教員に対しまして、得意分野づくりや専門性を高めることを促すための制度として平成十五年度より実施されているものでございます。また一方、教員免許更新制は、国公私立すべての教員に対して、教員免許状取得後十年ごとに、最新の知識、技能を身に付けさせるための制度と位置付けているものでございまして、両者はその趣旨、目的等を異にするものでございます。  その運用におきましても、開設者や実施形態、期間、職務との関係において両者は異なっておりますし、特に教員免許更新制では、講習の課程の修了の認定が試験による成績審査により厳格に行われるなどの点におきまして、十年経験者研修と大きく異なっているものと考えております。
  231. 義家弘介

    義家弘介君 いずれにしてもまだ途上ですけれども、この件について、現場にいる教員皆さんは戦々恐々しているわけですね。どのような議論が行われ、どのようにして下りてくるのかということで、かなり戦々恐々しながら見守っている。だから、途中経過の発信というのも納得のいく形で下りていくべきだと思いますので、是非それは十分にしていっていただきたいと思うことの一方、なぜその指導力不足教員の認定というものに私はこだわるのかというと、毎年四月になると学校周辺から必ず聞こえてくる言葉があります。  うちの今年の先生は当たりだから、うちの今年の先生は外れだから、うちは最悪、あの先生だからという形で、必ず聞こえてくる声がありますが、教育公務員特例法が改正されて、指導が不適切な教員の認定及び指導改善研修についての規定が盛り込まれて、この四月から義務付けられましたけれども、現実問題として、現行の指導力不足教員の認定ガイドラインの中で本当に実情に合った指導力不足教員の認定ができると大臣考えていらっしゃいますか。いかがでしょうか。
  232. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) その前に、この免許制というのは、二十年度、一年間試行をやるという期間がございます。そういう中でしっかりと制度がうまく働くのかどうか、そういったことも検証しながら、初めて導入する制度でございますから、より良いものということで御審議をいただいて中教審で、出していただいておりますが、常にやっぱり検証ということも重ねながら運用していきたいということを申し上げたいというふうに思っております。  ガイドラインについて実はお答えがございました。うまく働くのかと言われれば、そうするために実はガイドラインを作ったというふうにお答えをせざるを得ないと思うんですけれども、むしろそういうものがうまく働くように現場状況を見守りながら、我々は適正に都道府県教育委員会に対してやっぱり指導をしていかなきゃいけないんだろうというふうに思っております。    〔委員長退席、理事水落敏栄君着席〕
  233. 義家弘介

    義家弘介君 これまで多くの学校長たちと話をしてきたんですけれども、この問題について、基本的には学校長が教育委員会にこの先生という形で言うわけですけれども、これ考えてみると、例えば企業だったら、リストラを行うときに直属の部課長が行うようなことはないわけですね、人事の担当の人が行う。これ学校長がそれを行った途端に教員の協力、賛同が得られないと。つまり、明らかにだれの目から見ても指導力不足教員という者に対してはできるけれども、規定が結構あいまいで抽象的ですから、そういう中でグレーゾーンの教師というのは、じゃ認定できると、この人は指導力不足だなんていうことは言えないと。だから、結果として、学校から出すことは校長の権限で可能だから、グレーゾーンの教師教育現場をたらい回しにされているような現状なんです、先日お話しした学校長ともそのような話をしましたけれども。  だからこそ、校長先生だけにそれを押し付けるのではなくて、この先生は駄目だというようなシステム、そういうものを外部でも内部でもあるいは教員免許更新制でもいいけれども、つくっていく必要がある。なぜなら、一番これで苦しむのは当然授業を受けている子供たちであり、ホームルーム運営を受けている子供たちであるというものなんですね。だから、これは校長の権限強化含めて後押しを教育委員会及び文科省も積極的に行っていかなければ、結果として難しい。  さらに、研修といいますけれども、例えば私が教育委員をしてきた横浜は約五百校がありますけれども、その中でぼんぼんぼんぼん指導力不足の具体的なガイドラインをして機械的にはねたら、これ研修する場所ありません。現実には研修に当たる人間も確保できないという。今は指導主事の先生等がやっておられますけれども、現実にはこれ、研修のガイドラインが盛り込まれた、規定が盛り込まれたといっても、現実にこれ運用するといっても整備しなければならないものがあるわけですね。  そこに対して応援のための予算措置であったり、応援のための問題であったりというのはできるのかどうなのか、是非、ちょっとどういう方向で考えていらっしゃるのかお聞かせ願いたいと思います。
  234. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) この二月に指導が不適切な教員に対する人事管理システムのガイドラインというのを私ども作成をいたしまして、必要な措置が公正かつ適正に行われるよう各種の条件整備を促しているところでございます。  例えば、御指摘のございました、指導が不適切である教諭の認定に係る報告、申請に当たって校長の負担が重いというようなことにつきましては、教育委員会指導が不適切である教諭等の認定に係る報告、申請に当たって指導主事や校長経験のある教員などによる学校訪問を行いまして、校長とともに指導が不適切であるか否かの判断を行うなど校長と一体となって取り組むこと、また教育委員会が校長に対し認定に必要となる観点や評価項目などを示しまして、あらかじめ評価のポイントとなる点や記入例、記録の目安などを整理し明示しておくことなど、校長の負担を軽減するための教育委員会の対応策を示したところでございます。  このガイドラインを踏まえ、各教育委員会において指導が不適切な教員に対する人事管理システムが適正かつ公正に運営されるよう指導してまいりたいと考えております。
  235. 義家弘介

    義家弘介君 お話内容はよく分かりますけれども、現場、実際に校長先生の気持ちになると非常に複雑な思いだろうなと。  教育というのは一人のカリスマではできない、ある意味で、いい意味でも悪い意味でもみんなでやっていかなきゃいけない、協力しなかったらできないわけですよね。その中で、でも一方で校長と教育委員会がそれを認定するといっても、なかなかそこに一歩を踏み出せない現実がある。だから、これはもう少し具体的な後押しをつくっていく必要があろうと私自身は思っています。  その上で、次の質問をさせていただきます。  所信の中にもありましたが、めり張りある教員給与体系の構築とあるが、具体的にはどのようにするのか。頑張っている先生を徹底的に応援していくことは何よりも大切だと思いますが、めり張りある教員給与体系の構築、是非その具体的案を教えていただきたいと思います。
  236. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。  教員給与の見直しにつきましては、いわゆる基本方針二〇〇六や二〇〇七、また、教育再生会議の報告や平成十九年三月の中央教育審議会答申を踏まえ、めり張りある教員給与体系の実現を図ってまいりたいと思っております。  このため、具体的には、部活動手当など教員特殊業務手当の倍増や、副校長、主幹教諭、指導教諭の処遇に要する経費を平成二十年度の義務教育費国庫負担金予算案に計上しているところでございます。  一方、基本方針二〇〇六に基づき、人材確保法による教員給与の優遇措置の縮減といたしまして、義務教育教員特別手当の縮減にも着手をすることといたしておりまして、引き続き、平成二十一年度以降の課題として、教職調整額や給料の調整額、管理職手当等の見直しについても検討していきたいと考えております。
  237. 義家弘介

    義家弘介君 給与にめり張りを付ける、これは難しいといえば確かに難しいんですが、一方で、だれの目から見ても頑張っている先生と、だれの目から見ても頑張っていない先生、これは明らかなわけですね。その辺にしっかりとした差を付けていく、モチベーションを付けるということはすごく大事なことの一環だと思いますけれども。  一方で、この一月、そのめり張りある給与体系をめぐって大きな事件が起きました。北海道教職員組合が査定昇給制度導入に反対して何と時限ストライキを行い、そして処分されると。その人数は、道内の公立学校教職員の四万五千人のうちの三分の一に当たる約一万四千人が勤務中に校外に出て時限ストライキと。  この大問題について、渡海大臣、いかがお考えですか。
  238. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 今御指摘がありました件については、大変極めて遺憾なことだというふうに考えております。  そういえば、私が子供のころも、今日はストで実は学校は自習だというふうなことがあったなと思い出しておりました。  我々は、今、北海道教育委員会及び札幌市教育委員会幹部をそれぞれ文部科学省に呼びまして状況の報告を受けますとともに、スト参加者に対しては任命権者としての権限と責任というもので厳正に対処していただきたいということを申し上げて、要請をしたところでございます。  文部科学省としては、北海道教育委員会及び札幌市教育委員会に対し、教職員の服務規律というものの確保に厳正を期していただくようにしていただきたいと、そのように考えておるところでございます。
  239. 義家弘介

    義家弘介君 私も北海道に十二年間住みましたけれども、北教組はかなり北海道の教育界には大きな影響力、力を持っているところですけれども、公務員の争議行為を禁止した地方公務員法違反、これは明らかだと思うんですけれども、教育基本法の十六条違反にこれは該当するかどうか、大臣はいかがお考えでしょうか。  ちょっと説明が足りませんでした。不当な支配に服することなく、この法律及びほかの法律の定めるところにより教育は行われるべきであるという規定について。
  240. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 職務命令違反でございますから、不法行為だという認識でございます。
  241. 義家弘介

    義家弘介君 子供たちは失敗をすると裁かれます。どんな言い訳をしようとも、駄目なものは駄目という形で切り捨てられていく。これは当然、昔の私もそうでしたけれども、自ら行ってしまったものには責任を当然取るべきだ。しかし、一方で、教員が明らかな法律に抵触するような行為、それを三分の一も堂々と行えてしまうという、このゆゆしき状況の中でめり張りある給与体系をつくっていくと、これはまさに大きな闘いとなっていくことだと思いますけれども。  実は、私の友人でもこの北教組に加入している先生がいます。その先生に、すごくまじめで、そして生徒のために熱心な男なんですけれども、その先生もここに参加して実は処分されました。そのときに、何でおまえが部活をほうり出してこんなことをするんだという連絡をしたところ、彼は、自分だけ参加しないと言ったら逆に大変なことになるんだというふうに、かなり大げさなのかと思われるように言っていたわけですけれども、そういう縛り自体も存在するということなんですけどね。    〔理事水落敏栄君退席、委員長着席〕  それどういうことなのかというと、そんな大変なことになるなんて大げさなものじゃないだろうと思われる方も多いですけれども、この処分された中には教頭昇進試験に合格して候補者名簿に登録されている教員四十九人、受験者六十七人もこの中には含まれていて、そして教頭がいなくなる事態を避けるために現状ではそのまま登用には影響させないという方針も出されています。つまり、そういう人たちも管理職になっていくわけですね。そうすると、その私の友人が言うには、そんなことをした日には四月から始まる校務分掌とか授業の持ち時間の時間割の部分とかが大変なことになってしまうと、だから結果として、自分は部活やりたかったけれども結局できなかったんだという話でしたけれども。  こういう平然とストライキ、時限ストを打ってしまえる、そういう人が管理職になるということについては、渡海文部科学大臣、どのように考えますか。
  242. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答え申し上げます。  教頭に登用されようとする者が御指摘のように今回の争議行為に参加したということは極めて不適切であると言わざるを得ないと考えております。過去に処分を受けた者を教頭として登用するかどうかにつきましては、任命権者である北海道教育委員会におきまして、その権限と責任に基づき判断されるものではございますが、学校責任ある管理運営体制を確立するためには、管理職の登用を厳格に行い、適格者を任命することが重要であると考えております。  いずれにいたしましても、文部科学省といたしましては、北海道教育委員会に対し、教職員の服務規律の確保に厳正を期していただくよう、引き続き指導してまいりたいと存じます。
  243. 義家弘介

    義家弘介君 一方で、札幌市は政令市ですから、処分が道教委と札幌市教委の二つに分かれるわけですけれども、この処分は同一性がないわけですね。北海道は参加者の大半を処分した、九九%を処分したわけですけれども、札幌は、授業を放棄したと、授業をやらなかった人間だけを、それを理由として処分、ほかは文書訓告としたわけですけれども、この違い、同じ北海道にありながら教育委員会の対応自体が、同じ行為で同じ組合活動で行われたのに処分が違う、この辺については文部科学省としてどのようにお考えになるでしょうか。
  244. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) 北海道におきまして、教職員のストライキという法令上禁止されている違法行為により約一万四千人の教職員が懲戒処分等を受けたということは極めて遺憾なことでございます。実際にどのような処分を行うかは基本的には任命権者の裁量にゆだねられておりまして、今回の処分につきましては、任命権者である北海道教育委員会と札幌市教育委員会においてその権限と責任に基づきそれぞれ判断をされたものと考えているところでございます。  いずれにいたしましても、教職員の服務規律の確保を厳正に期していただくよう、北海道教育委員会及び札幌市教育委員会に対し引き続き指導してまいりたいと存じます。
  245. 義家弘介

    義家弘介君 行為が同じでも管轄によって、教育委員会によって処分はばらばら、これは教育として全く説得力のないことのような気がするんですけど、その辺はいかがお感じになりますか。
  246. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。  御指摘のように、北海道教育委員会と札幌市教育委員会で今回のストライキに対する処分の内容に違いがあるわけでございますけれども、先ほど御答弁いたしましたように、実際にどのような処分を行うかは基本的には任命権者の裁量にゆだねられておりますことからこういった違いが生じたものと考えているところでございます。
  247. 義家弘介

    義家弘介君 違いが生じたものと考えるのはよく分かるんですけれども、本当にこれでいいんですか。同じ行為、同じ場所で、同じ目的の下で行われている者に対して管轄者によって処分が異なるということで、これはいいと言うしかないというのが今の文部科学省の姿勢でしょうけれども、今後ともこういうことというのは起こり得ることであって、教育の説得力という意味ではこれは全くない。同じことをやったのに、ある子は無罪放免で、ある子は処分されるというようなことが起こり得るわけですから、こういうところについて、地教行法の改正もありましたけれども、文部科学省としてどのようなガイドラインを出していくのか、どのような要求をしていくのか、今後問われることだと思います。  また、この北教組は一昨年十二月のいじめの再調査学校に対して拒否しろという形で、滝川事件も含めていじめ自殺も起こった中で、再調査さえ組合活動として拒否しろという要求をしている。かなり問題のある部分だと思いますので、これについて、後押しも含めて国の方でもしていかなければならないのではないかと私は強く感じています。  さて、この北教組ですけれども、日教組に属する組織なわけですけれども、中教審の中にも日教組関係の方が入っていますけれども、現実的にこのような問題が日教組の中で起きている中で、本当にスピードを持った教育改革、教育再生というのはできるのか、少し心配になるわけですね。そして、今の答弁にもあるように、かなり文部科学省はこの問題に対しては一足引いて対応しているようにさえ感じるわけですけど。そしてこの中教審の中にも日教組関係の方が入っているという、その部分についての資料等をお願いしたんですけれども、ほかの資料はスピーディーに持ってきてくれるんですけど、この資料については全く持ってきてくれませんでした。これはずっと最後まで待っていたんですけど、くれませんでしたけど、その辺についていかがお考えでしょうか。
  248. 加茂川幸夫

    政府参考人加茂川幸夫君) 中央教育審議会委員構成と会議の運営についてのお尋ねでございます。  まず、事実関係を申し上げさせていただきますと、中央教育審議会委員には現在三十名の学識経験者が任命をされておりまして、いわゆる総会を構成をいたしております。この委員の中には御指摘の団体の出身の委員は含まれておりません。ただ、委員とは別に臨時委員という方が発令をされておりまして、この臨時委員としましては御指摘の団体の出身者が一名任命されておりまして、初等中等教育分科会等に分属をいたしております。  また、中央教育審議会審議、運営についてでございますが、様々な知識、経験を有する学識経験者の合議によって進行が行われます、会議が行われますと同時に、議事は報道機関に公開をされております。さらに、会議終了後には議事録を広く一般にも公表しておりまして、御指摘のような議論に対する制約といいますか、不都合があるものとは私たちは承知をいたしておりません。
  249. 義家弘介

    義家弘介君 非常にがっかりする回答でした。平場の議論で議事に起こされる問題ではなくて、本来公開の場でそんなことを主張したりするわけはなくて、その裏側でいろんな思惑、思いが交錯するのが会議というか行政の世界だと思いますけれども、私自身は非常に心配はしております。また、この北教組を代表するようなこういう問題というのは、北海道だけではなくていろんなところに現実として起こっているわけですよね。その辺を明らかにすることもまた今必要となってきたのではないかと強く強く思っています。  さて、次の質問に移りますが、まず教員の質を向上させること、これも大事なことですけれども、一方で子供たちに、じゃ具体的にどのように豊かな学力、そして豊かな心を育成していくのかということも大事なわけですけれども、午前中の質疑でもありましたが、もう一度お尋ねしたいと思います。  大臣、生きる力とはどんな力なんでしょうか。
  250. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 私の解釈は、学校教育で学んだいろんな知識とか技術、そういったものが、ただ単に知識が身に付くということではなくて、社会でそれをうまく表現をしたり、また応用したり活用したりして生き抜いていく力、そういったことを生きる力というふうに表現されたというふうに理解をいたしております。
  251. 義家弘介

    義家弘介君 私、今大学で授業を持っているわけですけど、先日ゼミでこの生きる力についての議論をしたわけですけれども、ある男子がこう言いました。生きる力とは巧妙に立ち回る力であると。ちょっと私自身噴き出してしまいましたけれども、まあこれ受け取り方によっては非常に抽象的なんですよね。巧妙に立ち回らないと成功しないような状態もこの社会の中では現実にありますし、その中で、改正学習指導要領にも生きる力を残したという意味も踏まえた上で、生きる力を具体的に定義することが必要だと私は思うんですけど。  これは私の個人の考えですけど、生きる力というのは選択する力だと思っています。責任を持ってより良い未来を、自分自身の人生を選択していく力、それが生きる力だと思います。  一方で、これまでのゆとり教育の名の下で、ある意味では選択肢を狭めるような教育が行われてきた。選択するためには様々な基礎学力、様々な学びというのを必要としたわけですけれども、授業時間数を大幅に減らせ、基礎知識を減らしてきたように感じます。  大臣、是非ひとつ、これすごく答えづらいところだと思いますが、このゆとり教育の総括、簡単に総括をしていただければと思います。
  252. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) ゆとり教育というのは、私が理解している限り、十年前の改訂でこの生きる力で授業の時間を減らしたり、それから内容も少し減らしたりした。そのことを一般的にゆとり教育と自然に呼ぶようになったというふうに、どういいますか、理解をいたしております。メディアが作った言葉だとも言われておるわけでございますが。  あの教育の中で目指したものというのは、これ当時、生きる力ということが言われたわけでございまして、詰め込み式ではなくて自分で考える、自分でいろんなことを工夫をするといった、そういうことを例えば総合学習といったような新たに設けられた学習時間で子供たちにはぐくむということが当時意図されたというふうに理解をされております。  ところが、なかなか現場にその趣旨がうまく伝わらなかった。これは伝え方が悪かったという反省も含めて、結果的に余り生きなかったと。要するに、自分で考えさせるんだから例えば教える方は黙ってじっと見ていなきゃいけないんだということで、結局うまくそういうものが働かなかったというふうなことが検証されているわけですね。  そういったことを反省にして今回どういうふうに変えていくかということで、大事なことはやっぱり、生きる力というのをあえて残したのは、先ほど来、委員考え方一つだと思いますし、ある意味これは同じことなんだと思うんですね、選択する力というのも。実際、選択するというのは自分の力で未来を決めていくということだと思いますから、ある意味知識を活用して自分はどういうふうに生きていけばいいんだということをしっかりと子供たち考える、大きくなったときに。そういうことだと思いますが、そういうふうにするためには、やっぱり今までのやり方では駄目だという反省がなされたんだと理解をしております。  私は反省は常にあっていいと思うんですね。前に意図したけれども、しかし、やっぱり目指すものは、実は理念としては生きる力だとあえて残したのは、何も前のが間違ってなかったんだということを言うわけじゃなくて、そういった力、今例えば委員表現でいいますと選択する力みたいなものがやっぱり理念としては要るねということで、そのまま生きる力という形で残ったと。そして、それを具体的に実現していくために、今までの指導要領ではなくて、今回、細かいところはもう言いませんけれども、出させていただこうとしているような学習指導要領になっているというふうにお考えをいただいたらいいのではないかなと思っております。
  253. 義家弘介

    義家弘介君 非常に誠実で実直な御感想で、非常に感激しました。  選択するためには、人生を選択するわけですから、それは簡単ではないわけです。そのためにはあらゆる情報が必要と。その情報を基礎知識とするならば、今までの教育というのは、ある意味ドレミを教えないで作曲しろと要求してきたようなものだと、私自身なんかは教育現場にいながら、特にいわゆるできないと言われてきた子供たちと向き合いながら特に感じます。  詰め込み詰め込みと言いますが、私は基礎知識は詰め込みでいいと思っている人間です。例えば、スポーツ選手だって必死になって自分の型を決めるために素振りをし続けるわけですね、打ち込みをするわけですね。そういう基礎的な徹底反復というのはまさに考えること、選ぶことの土台になっている。  例えば、私のころはよく詰め込みがあしきものだと言われてきたころですけれども、だから年表なんかも全部詰め込みさせられましたよ。でも、そのおかげで世界の歴史と日本の歴史の関係なんかは結構勉強できた。例えば、清教徒革命のときに日本では鎖国が起こっていたとか、あるいは名誉革命のころは生類憐みの令が出されていたとか、世界との比較の中で詰め込みの結果としていろんなことを考えることができた。  その意味では、この一〇%増というのは大きく評価すべきものだろうと思いますが、しかし一方で、その一〇%の内容の中に質が伴っていなければ、単に授業時間が増えたというだけでは、これはもう教える先生、子供の負担になるだけなんですね。その中で、一こまを四十五分にして七こまをなんというような取組が今行われているようですけれども、これは落ち着いた学校ならできるかもしれませんが、非常に荒れている学校で七時間目だったら、私は教員として教室に行きたくないような状況が起こり得る。だから、その学校に応じて様々な工夫が必要になってきたなという思いはあります。  その中で、時間も迫ってきたので次の質問に移りますが、小学校英語についてです。  今回の指導要領で、外国語に親しむという観点から、年間三十五時間、小学校五、六年生に小学校英語が行われると。この中では世論は分かれていて、英語より国語の方が大事だろうというような、分かれているところなんですけれども、この小学校英語について、渡海大臣はどのようにお考えでしょうか。
  254. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 私は英語力が余り強くない人間なので、そのせいかもしれませんが、早い時期からコミュニケーション能力をやっぱり養うということは大変重要だと思っております。日本の社会、これはもう当然、国際社会の中で生き抜いていくというのは当たり前でありますし、世界がグローバル化しているわけであります。やっぱりその中で英語が一応国際語というのは、これはもう認めなきゃいけない事実だろうと思います。  昨日、ベトナムの実は副首相、これは教育大臣もされているそうですが、来られまして、いろんな話をされておりましたが、彼もドイツ語と英語としゃべれるんですね。まあ留学しているから当然だという話なんだけれども。  やっぱりそういう中で、子供たちが早い時期から音に慣れるということ、それから要するにコミュニケーション能力ですね、こういうものを身に付けていく。英語というから非常にどういうか、多少抵抗があるんですね、国語もちゃんとできないうちに英語をやるというのは。ただ、今意図しているものは、子供たちがやっぱりコミュニケーションするという能力を身に付けるというために外国語教育を小学校の高学年で取り入れようということでありますから、私はこれは必要だという認識でございます。  そのことによって、私はある意味、国語力だって上がると思うんです。要するに、それは言葉なんですから。言語力という意味から考えれば、国語も英語も同じように私は関連をしていると思いますから、そういうことをやることによって、中学からの英語の能力というものをスムーズにスタートをさせるためにも私は必要なことであると。これは私の考えでありますけれども、はっきりと申し上げたいというふうに思います。
  255. 義家弘介

    義家弘介君 この問題に対して人と話すとき、随分認識がずれるときがあるんですけれども。それは、実は今現在もう小学校で英語教育は実際には行われていると。しかし、物差しがないものだから教員によってばらばらな英語の学習になっているという中で一定の線を文科省が今回の指導要領で示したことは自然だろうなと思うわけですけれども。  文部科学省にお尋ねします。現在、小学校英語、どの程度の学校で行われているんでしょうか。
  256. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。  平成十九年度の小学校英語活動実施状況調査によりますと、全国の公立小学校の約九七%で英語活動が実施されておりまして、年間平均実施時間数は小学校第六学年で平均十五・九時間となっているところでございます。  ただ、委員指摘がございましたように、各小学校の取組には相当のばらつきがございまして、今回の学習指導要領の改訂で小学校第五学年、第六学年に外国語活動を導入し、共通的な指導内容を示すことで中学校への接続の円滑化を図りたいと考えているところでございます。
  257. 義家弘介

    義家弘介君 私自身も渡海大臣意見と全く同じなわけですけれども、中学校三年間、高校三年間、大学四年間、あれだけ一生懸命英語の勉強をしたはずなのに、私はしゃべれないと。非常に、何だったんだろう、英語の勉強というような、ちょっとむなしい思い、もちろん私の努力不足もありますけれども、そういうむなしい思いも抱えながらなんですが。  しかし一方で、どういう英語教育をするのかということについてはもう少し検証が必要であろうと私は思います。というのは、文部科学省指定の英語、特別に英語を学習している学校に視察に行ったわけですけれども、そこでとんでもない英語の授業が行われていたわけですね。予算も付いているから恵まれていたわけですけれども、ネイティブの先生、担任の先生、アシスタントティーチャー、三人で楽しく英語劇をやっていました。桃太郎の劇をやっていたんですが、そのときに、桃太郎のことをネイティブの先生に続いて子供たちは何と言っていたかというと、みんなで笑顔でピーチボーイ、ピーチボーイと言っていたんですね。私は、唖然としたんですよ。桃太郎というのは固有名詞なわけで、名前というのは親からもらった何より大事なもの、それさえピーチボーイと言ってしまう英語教育、そんな英語教育は百害あって一利なしだと思うわけです。  どうしてなんですかって、授業が終わった後お尋ねしたら、桃太郎、桃太郎と言うよりはピーチボーイ、ピーチボーイの方がリズムがいいから子供たちに親しみやすいと、だからピーチボーイにしましたと。これはおかしな英語教育だと私は強く強く主張しましたけれども、まさにこの固有名詞さえピーチボーイと言ってしまうような教育が、もし小学校英語の中で行われていったならばこれは大変なことだと思いますけれども、渡海大臣、いかがお考えになりますか。
  258. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 率直にお答えをさせていただきますが、確かに間違いであると思います。固有名詞はそのまま使うべきであります。  日本の、日本語というのはそのまま英語になっていることもたくさんあるわけでございますし、言うまでもなく固有名詞はそのまま使うべきでありますが、まあ委員がおっしゃるほどそれは大変なことだというようなことではこれは私はないのかなと。正直、ちょっとしたしゃれかなということでもいいのかなというふうには正直思います。これはむしろ正直申し上げます。いろんな受け取り方の違いがあろうかと思います。正しくは、だけど桃太郎というふうに言うべきだろうというのは思います。
  259. 義家弘介

    義家弘介君 私はそうは思いません。  改正教育基本法の中でも、様々な伝統とか文化とかを大切にしようという中で、桃太郎というのは本当に代表的な男の子なわけですから、その男の子をピーチボーイと笑顔で言ってしまうということは、私自身の中ではしゃれだとは全然思えないわけですけれども。  先ほど大臣が、国語の勉強にもなると、まあ語学だからこそと。その意見は全く実は同じなわけですね。例えば「吾輩は猫である」、すばらしいタイトルの、信じられないタイトルというか、衝撃的なタイトルというか、あの漱石の代表書、それを英語に直したらアイ・アム・ア・キャットなわけですね。だからやっぱり、我が輩、わたくし、わたし、僕、おれと、英語を学ぶことによって日本語というものの奥深さも子供たちが知っていくという意味では楽しい、外国の文化である語学を勉強することによって日本語をもう一回考えていくという契機にもなる。だからこそ、親からもらった名前をピーチボーイと言ってしまう、固有名詞さえ外国語に変えてしまうような英語教育ではなくて、もっと日本語とか、それからその言葉に込められている思いというものを大切にする英語教育を、小学校段階だからこそより充実していく必要があろうと私自身は考えています。  まだまだ聞きたいことがたくさんあるわけですけれども、ちょっと時間が来ましたので質問の方はこのぐらいにしますが、今、一歩一歩教育再生を具体的に進めていかなければならない。その具体的に進める中では、様々なあつれきも様々な抵抗もあると思いますけれども、やっぱり未来をつくっていくという意味では覚悟を決めて歩んでいかなきゃいけない重要なもの、私も微力ながらそのために自分自身の存在を懸けてこれからも頑張っていこうと思っています。  本日はありがとうございました。
  260. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 公明党の浜四津でございます。  私は、まず学校給食における食の安全についてお伺いしたいと思います。  最近、殊にお子さんを持つお母さんあるいはお父さんたちとお話ししますと、必ず出てくるのが食品の安全性の問題でございます。本年一月三十日に、毒性の強い農薬が混入した中国製の冷凍ギョーザによる中毒事件が起きていることが明らかになりました。その後、回収された中国製冷凍食品から次々と農薬が検出されておりまして、中国製食品に対する国民の皆様の不安は著しく高まっております。主婦の方々にお話を伺いますと、家族の健康を守るためにはもうなるべく国産の食品を、食材を買うと、こういうお話でございますが、学校給食ではどのような対応がなされているのか、お伺いしたいと思います。  日本は食料の六割を海外に依存しておりますから、給食で使用する食材について全面的に中国製食品等を排除することは現実的に難しいと思われますけれども、学校給食の食材の安全性をどのようにチェックし守っていくのか、お伺いしたいと思います。
  261. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。  学校給食は、先生御案内のとおり、子供の健康の増進はもちろん、学校における食育推進のための生きた教材として重要でありまして、食品の安全性を確保し安全、安心な学校給食を提供することは、その大前提となる極めて重要な問題だと認識しております。  文科省といたしましても、従来から食品の購入、点検、保管につきまして学校給食衛生管理基準というものを定めておりまして、ここにおきましてその方法等を示し、有害なもの又はその疑いのあるものは避けるよう留意することを学校給食の実施者に指導をしておるところでございます。  今回、御案内のとおり、食の安全を揺るがす様々な事案の発生が報告される中で、食品の安全性の確保につきまして、学校給食の実施者に対しまして文部科学省といたしましても随時最新の情報を提供しながら指導、助言を行ってきたところでありますが、更なる安全確保を図る観点から、加工食品の衛生管理でありますとかあるいは関係機関との連絡体制等を含め、この学校給食衛生管理基準の改正につきまして、現在、有識者の協力を得て検討を進めているところであります。  本年六月を目途にこの学校給食衛生管理基準を改正を行う方向で今検討さしていただいておりまして、引き続き、教育委員会学校に対しまして食の安全性に関する情報の迅速な提供を行いながら安全、安心な学校給食の確保に努めてまいりたいと考えております。
  262. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 次に、学校給食における地産地消の取組及び食育についてお伺いいたします。  地域で取れた野菜やお米あるいは大豆などの食材を学校給食で使用することは、安心、安全の面からも、また子供たちと地域のつながりを深めたり、子供たちが地域の農業や自然について肌で感じて理解するための生きた教材にもなり、食育を進めることになると思います。  私は、一昨年の七月、ある学校を視察いたしました。それは、二十年以上前から学校給食で地産地消の取組をしている日野市の学校でございます。この学校では、地元で取れた食材、地元の農家の協力を得て、子供たちはサツマイモやキュウリやあるいはお米、大豆といったものについて、種まきから始めて、夏の水やりやあるいは草抜き、秋にそれらを収穫してそれを給食に用いているわけでございます。  農家になったつもりで農業作業を体験して、それを食べること、それによって野菜嫌いが直ったと、そういう声を多く聞きました。例えば、これまではニンジンが嫌いだった、ピーマンを見るのも嫌だった。ところが、自分でニンジンを種から育てる、あるいはピーマンを育てる、それによって愛着が生じてといいますか、嫌いだったはずのニンジン、ピーマンを喜んで食べるようになったと、こんな話も聞いてまいりました。こういう生きた学習に直結する食育というものを更に進めていただきたいと思っております。  平成十七年に成立した食育基本法に基づきまして、食育推進基本計画というものが策定されました。そこでは、学校給食における地場産物の使用率を平成十八年度の二一%から平成二十二年度には三〇%に引き上げると、こういうことが掲げられております。  食育推進基本計画がスタートして二年がたちますけれども、この地場産物の利用は現在どこまで進んでいるんでしょうか。目標の三〇%実現のために今後どのように取り組まれるのかをお伺いいたします。
  263. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。  政府が平成十八年の三月に策定をいたしました食育推進基本計画におきましては、学校給食におきます地場産物の使用割合を食材数ベースで平成二十二年度までに三〇%以上とすることを目標としておりますが、現在は約二三%となっておるわけでございます。学校給食におきます地場産物の活用につきましては、委員指摘のとおり、子供たちが身近に実感を持って地域の自然や環境、食文化、産業について理解を深めたり、生産者や生産過程を理解し、食べ物への感謝の気持ちを抱くことができるなど、極めて大きな教育的意義を有するものであると考えております。  このため、文部科学省におきましても、従来から食に関する指導の手引でありますとか通知におきまして、地場産物や郷土食の導入について工夫するよう指導するとともに、地場産物の活用事例集というものを平成十八年度に作成をいたしまして各学校に配付し、その活用を促しているところでございます。また、児童生徒用の食生活の学習教材の中におきましても、地域の産物や郷土料理等を取り上げているわけであります。  このほか、地場産物を活用した魅力ある献立作りの推進等についての実践的な調査研究を行うモデル事業を平成十八年度から三十三か所において実施をするなど、私どもといたしましても、各種の施策を通じて学校給食における地場産物の積極的な促進を図って三〇%目標を何とか達成したいと思っているわけでございます。
  264. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 次に、大臣にお伺いいたします。  こうした食育を進めるためには、その中核を担う専門の栄養教諭の力が不可欠であると、こういうふうに思っております。今国会学校給食法の一部改正案が提出されまして、栄養教諭が法的に位置付けられることになりました。しかし、約三万二千校ある公立小中学校のうち、栄養教諭が配置されているのは平成十九年度で九百八十六人にすぎないと伺っております。今後、栄養教諭の全校配置を強力に進める必要があると考えておりますが、大臣はこの栄養教諭の果たすべき役割、また今後の配置の促進についてどのように取り組まれるお考えでしょうか、お伺いいたします。
  265. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 先ほど来委員が御指摘いただきましたように、この食育という面において、子供たちが正しい食習慣を身に付ける、また、いろいろな意味で正しい知識、そういうものを得るためにも栄養教諭が果たす役割というのは非常に大きいと思います。  我々も、長年にわたってこの制度創設のために実は運動してきた一人でございまして、ただ、現実になかなか配置が進んでいないということもございます。先ほど十九年度で九百八十六名という御指摘がございましたが、二十年度は一応予定でございますけれども千八百三十二名、ここへ来て大分増えてくるというか、スピードが上がってきまして、いろんな意味でこの意味というものが理解されるようになったのかなと思っております。  私の経験でございますが、実は一昨年まで兵庫県はゼロでございました。去年五十一名で今年二百名という、非常に熱心に今県が取り組んでくれております。都道府県がやっぱり基本的に配置をするという意味からすれば、都道府県に対して我々ももっとこのことを促進するように促してまいりたいというふうにも思っておるところでございますし、また、栄養職の職員が、今大体栄養教諭という資格を持っておられる方が約一万名ぐらい、一万二千人ぐらいだと思うんですね。ですから、まだちょっとそれは足りないわけでございまして、この栄養教諭の免許状を円滑に取れるように講習会等を開催をする。また同時に、やっぱりこれからいろんなモデル事業といいますか、各都道府県に対して様々な会合を通じてやっぱり督促をして配置の促進が図られるように努力をしていきたいと、そのように考えておるところでございます。
  266. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 是非御尽力をお願いしたいと思います。  続きまして、また大臣にお伺いいたしますが、最近、子供たちの間でアトピーとかぜんそく、あるいは食物アレルギーといった、いわゆるアレルギーが増えております。このアレルギーについて学校現場でどう対策を取られているのかについてお伺いしたいと思います。  昨年三月、文部科学省は、児童生徒のアレルギー疾患の有病率などの調査を行って、アレルギー疾患に関する調査報告書をまとめました。それによりますと、アレルギー疾患を持つ子供が増加しているということが数字の上でも明らかになりました。  学校現場では一人一人の子供に合った対応が望まれております。なぜかといいますと、アレルギーの症状というのは一人一人異なるからでございます。これまで学校現場では十分なアレルギーを持つ子供への対応というものができているとは言い難いと思います。アトピーやぜんそく、あるいは、例えばおそばとか牛乳とかピーナツとかそういう食物アレルギーを持つ子供たち、こういう食物アレルギーや、あるいはぜんそく、シックハウス症候群などを持つ子供やあるいはその御家族からは、学校現場先生方理解が得られない、学校での支援が得られない、こういう不安や不満の声が多数寄せられております。  昨年の報告書を受けて、文部科学省ではどのような取組をしているのか、またする予定なのかをお伺いいたします。
  267. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) このアレルギー疾患に関する調査研究報告書には、学校やクラスにアレルギー疾患を持つ子供たちがいるという前提に立った取組が必要である、こういう御指摘をいただいております。  同時に、アレルギー疾患を持つ個々の児童生徒に対して、学校が医師の指示に基づき必要な教育上の配慮を行うことができるような仕組みづくりというものを提言されておるわけでございまして、この報告書の提言を踏まえて、現在、財団法人日本学校保健会において、アレルギーを持つ児童生徒の病状や学校生活上の配慮事項について主治医の所見を記載するための学校生活管理指導表、このアレルギー疾患用の指導表を作成しているところでございまして、四月中ぐらいにはできるというように理解をいたしております。  さらに、学校生活管理指導表を受け取った学校において適切な取組が実施されるように、疾患の特徴や具体的な配慮などを説明した学校アレルギー疾患に対する取組のガイドラインというものも併せて作成をいたしまして、四月中に各学校に配付をさせていただくということになっておりまして、文部科学省といたしましては、教職員がアレルギー疾患に対するやっぱり認識をしっかりと深めていただいて、適切な取組が学校で行われるように我々も努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  268. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 指導表、またガイドラインが近々完成して、各学校に配付されると、こういうお答えで、大変心強く思っております。  このガイドラインの内容、また指導表の内容について何点か確認させていただきます。  文部科学省調査では、食物アレルギーの児童生徒は全国で約三十三万人、そのうち重いアナフィラキシーショック、これは死に至ることもあるわけですけれども、こういうショックを起こす子供は一万八千人という結果が出ております。決して少ない数字ではありません。学校給食が原因でアレルギー症状を起こした事例は二年間で六百三十七件、そのうち命の危険が、命を脅かす可能性のあるアナフィラキシーショックを起こした事例というのは約五十例あったと伺っております。このショックを起こす子供には、通常医師によってエピペンが処方されております。  本日、委員長の御許可をいただきまして、実物を持ってまいりました。エピペンというのはこういうものでございます。  この小さな箱に入っておりまして、ふたを取ると、これが中身でございます。ショックを起こしたときに、これを腰に、太ももにぽんと押し当てるだけでショック症状が改善する、つまり命が救われると、非常に簡単な子供でもできるものでございます。  しかし、担任の先生、あるいは養護教諭から、そういうショックを起こしても私はこのエピペンなんて打てないと、こういうふうに言われて心配された保護者が、万一自分の子供がショック症状を起こして自分でエピペンを打てないような状態になったときにはもう本当に死ぬ可能性があるわけですから、それを心配して保護者の方が毎日学校の門のところで見守っていると、こういうお母さんもいらっしゃいます。  ショックを起こして子供自身が打てないというときに、子供の一番身近にいる先生にエピペンを打ってもらいたいというのが強い要望でございます。命にかかわる緊急事態での対応でありまして、しかも簡単な対応で救えるわけですから、是非これを学校先生に実施していただきたい、進めていただきたいと思っておりますが、このガイドブックではどのように対応することになっておられるんでしょうか。
  269. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘のアナフィラキシーの児童生徒にとりましては、アドレナリンの自己注射薬でありますエピペンは、重症化を防ぐ重要な緊急治療薬であると考えております。  エピペンは、アナフィラキシーの兆候を感じた場合に速やかに本人が注射することを意図し開発されたものでありますが、本人が注射することができない状況において救急救命士が注射することについては、現在厚生労働省において検討がなされているものとお聞きしております。  一方、救命の現場に居合わせた学校の教職員が、エピペンの注射を、反復継続する意思を持って業務として行うのではなく、自ら注射できない状況にある児童生徒に代わって注射することについては、私どもは人命救助の観点からやむを得ず行った行為であると認められる場合には、関係法令の規定によりその責任が問われないものと考えられるという認識を、厚生労働省等との理解を得つつ、大臣が先ほど申し上げましたガイドラインの中に示して、学校側に対しての啓発を行わせていただこうと思っておるわけでございます。
  270. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 今お示ししましたように、非常に簡単な注射でございます。目の前で子供が苦しんでいる、あるいは死の危険に直面しているというときに先生がこれをぽんと押すということによって、例えば刑法上の責任を問われるとか何らかの責任を問われるなんということはあり得ないわけで、先生方は多分責任が生じることを恐れて手を出さないという方が多いんだろうと思いますので、こういう場合にはエピペンを打っても責任は問われませんよということを是非多くの先生方に知らせていただきたい、こういうふうに思います。  次に、学校で、環境教育の一環として給食の牛乳パックを開いて洗うと、こういうことが行われております。このパックを開くときや洗うときに、実は牛乳に対するアレルギーを持った子供は、一滴でも飛び散って体にそれが触れますとショックを起こすと、こういう可能性があります。非常に危険な状況になると、アナフィラキシーショックというのはそれほど大変重篤なものでございます。ほんの一滴、ほんの少しのことで命にかかわると、こういうものでございます。  環境教育と称して牛乳パックを洗うと、こういうことによって牛乳のアレルギーを持つ子供たちが命の危険にさらされる、これは何とかやめてもらいたいと、こういう声がありますけれども、ガイドブックではどのように対応されるのでしょうか。
  271. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。  委員指摘の重症の食物アレルギーの児童生徒におきましては、ごく少量の原因物質に触れるだけでもアレルギー症状を起こす場合がございまして、微量の摂取、接触により発症する児童生徒に対する配慮事項といたしまして、今回作成いたしますガイドラインにおきましては、牛乳パックの洗浄でありますとか、そば打ち体験授業あるいは小麦粘土を使った図工授業などの回避すべき具体例を示しまして、適切な配慮学校側にしていただくように、私ども、ガイドラインの中にきちんと明記をさせていただきたいと思っているわけでございます。
  272. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 関係者が待ち望んでおられたアレルギーのガイドラインが完成したわけでございますけれども、問題は、このガイドラインが現場教師にきちんと十分理解して、実際に取り組んでもらえるかどうかということだろうと思います。  以前、アナフィラキシー対応ブックというものが各学校五冊程度配付されたことがありましたけれども、現場教師の手に届き、十分理解して対応されたとは言い難いと思います。今回配付されるガイドライン、ガイドブックというのが現場教師全員の手に渡るように、また十分理解されるように文部科学省としてはどのような取組をされるのでしょうか。
  273. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。  学校でのアレルギー疾患への取組を推進するためには、養護教諭を始めとした教職員全員がアレルギー疾患に対する知識を持ち、認識を深めることが重要であると認識しております。  このため、ガイドラインにつきましては、各学校に適切に配付をいたしまして、教職員の理解、啓発に努めさせていただきたいと思っておりますが、同時に、私ども、新たに二十年度におきましては、アレルギー研修会を東西二か所で、それぞれ七百名程度を対象にした研修会を開催をさせていただきまして、そういった機会を通じまして、このアレルギー疾患への対処について教職員の理解、啓発を深めていきたいと思っておるわけでございます。  この研修会のほかにも、私ども、従来から、養護教諭の研究全国大会、学校保健研究大会あるいは独立行政法人の教員研修センターが開催しております学校保健の指導者に関する研修会等々、様々の研修の場を設けておりますので、そういう機会を通じましてガイドラインの趣旨を明確に学校側にお伝えしながら、学校での取組を促してまいりたいと思っております。
  274. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 是非よろしくお願いいたします。  次に、大臣にお伺いいたします。学校のAEDの設置推進についてお伺いいたします。  学校生活やクラブ活動の最中に突然心肺停止状態に陥り、尊い命を失うと、こういう事件が少なからず発生しております。突然の心肺停止状態になった場合に使用するAEDの設置が、今、駅やあるいは公共の施設などを中心に広く進んでおります。この国会の中にも設置されております。  全国の学校施設でもAEDの設置を急ぐべきだと考えておりますが、現在どの程度設置が進んでいるのでしょうか。また、地域によって設置率に差があるというふうに言われておりますが、どうなのでしょうか。学校での設置率一〇〇%を目指すべきと考えますけれども、今後どのように取り組まれる御予定でしょうか。
  275. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) AEDについてのお尋ねでございますが、平成十九年に実施いたしました文部科学省調査では、十八年度末に、幼稚園から高校において約二四・五%と、設置率がですね、ということになっておりまして、本年度中に新たに一五・五%の学校設置をする予定であるという回答を得ておりますので、現在約四〇%の学校設置しているという調査でございます。  また、御指摘をいただきましたように、ただ、都道府県別で、本年度約八割の学校設置されている県もある一方、一割ぐらいにとどまっている県もありまして、地域間の格差というものが大変大きくあるということでございます。  そのため、文部科学省としましては、各学校設置者に対して、やっぱりこのAEDの有用性及び調査結果を踏まえてAEDの設置について検討をすることということを要請をしているところでございます。  来年度の予算においては、教職員向けの安全教育資料を作成するという予算を計上いたしておりますが、その中でAEDについても取り上げておりまして、今後ともAEDの普及がなされるように都道府県教育委員会等に対して要請をしてまいりたいというふうに考えております。
  276. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 是非、全校にAEDが設置されるように御努力いただきたいと思います。  また、このAEDですけれども、ただ設置すればいいというだけではなくて、その設置する場所もきめ細かい配慮お願いしたいと思います。  先般、現実にこういう事件が起きました。ある学校で日曜日に学校を開放している。そこでスポーツをしていたときに心肺停止状態になった子供がいた。すぐにAEDを使えば救えると、こういうことでAEDを探しましたら、かぎの掛かった体育館の中にAEDがあった。どうしたらいいのかと聞きましたら、かぎを壊して、あるいは窓を破って開けてAEDを使えと、こういうお話でございましたけれども、設置場所が適切かどうか、また野外活動に携帯できる移動可能なAEDの普及などを検討すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  277. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。  学校におきますAEDの設置場所については、残念ながら私ども詳細を把握しておりませんが、保健室や体育館等、校舎内に置かれている場合が多いものと伺っております。  学校は、学校教育活動のみならず、校庭開放など学校関係者以外の様々な方々が活用することも多く、その際、スポーツ等で学校を利用する方々がAEDを使用できることが望ましいと考えられるわけでございますが、他方、AEDの適切な管理を行うことも求められているわけでございます。  このため、一つの取組として、校庭開放において激しいスポーツ等を行う団体利用者に配慮いたしまして、学校の判断によりまして雨の降りかからないピロティー等の下に設置している例もあると伺っておりまして、文部科学省といたしましても、こういった教育委員会等の関係者の参加する会議において様々な取組を行っている事例を御紹介をさせていただきながら、そういった校庭開放等によるスポーツ団体の利用者に配慮した形でのAEDの活用についても情報提供する形の中で取組を促してまいりたいと考えておるところでございます。
  278. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 教職員全員がAEDを適切に使えるように講習も進めていただきたいと思いますし、さらに、小学校高学年あるいは中学、高校などで生徒たちに心肺蘇生法やAEDの使用などの講習を定期的に開催して、すべての子供が救急手当ての方法を身に付けることができるように取り組むべきだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、池坊大臣にお伺いいたします。  昨年四月、これまで学校教育の中で置き去りにされてきたLD児やADHD、あるいは高機能自閉症などの発達障害のある子供たちに対しても、一人一人に合った適切な指導や支援を行う特別支援教育がスタートいたしました。学校現場では、特別支援教育に関する校内委員会設置や、一人一人に合った個別の教育計画が作成されまして、それに基づいて特別支援教育が行われております。こうした新しい取組等が学校現場でどのように定着し、成果を上げているのか、一年間の評価及び今後の課題についてお伺いいたします。
  279. 池坊保子

    ○副大臣池坊保子君) 浜四津委員には、いつも特別支援教育について深い御理解をいただき、御尽力をいただいておりますことに対して、心強く、感謝いたしております。  特別支援教育推進に当たっては、校内委員会などの学校体制整備とともに、一人一人の教育的ニーズに応じた個別の教育支援計画の策定などを進めていくことが大変重要ではないかと思っております。  文部科学省が実施いたしました平成十九年度特別支援教育体制整備状況調査、これは今初めて発表いたします調査結果、ほやほやの調査結果でございますけれども、それによりますと、校内委員会、個別の指導計画、個別の教育支援計画などのすべての項目で公立の幼稚園、小学校、中学校、高等学校とも昨年度の実績を上回っており、特別支援教育元年と言われております本年、全体としては体制整備が進んでいると考えております。  ただ、各学校ごとに見ますと、小中学校においては、例えば校内委員会とか実態把握とかコーディネーターなどはきちんとされておりますけれども、個別の指導計画、個別の教育支援計画などはまだもっともっと頑張ってもらいたいというふうに考えております。  また、幼稚園、高等学校については、校内委員会設置など学校体制整備が本当にこれからもっと進まなければいけないという状態になっておりまして、校内委員会がようやっと五〇%である、コーディネーターもそれからまた個別の指導計画などはまだまだこれからというところでございます。  文部科学省といたしましては、平成二十年度予算案において、各都道府県における特別支援教育体制の整備を図るための発達障害等支援・特別支援教育総合推進事業、これは一億九千万でございましたが、来年度は五億円というふうに考えております。  そしてまた、今出ました調査結果を各都道府県とか指定都市教育委員会等に通知をいたしまして、各県の教育委員会の取組を更に更に進めてまいりたいというふうに思っております。
  280. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 よろしくお願いいたします。  特に財政力が弱い自治体も含めまして、全学校に特別支援教育支援員というものが円滑に配備されるように取り組んでいただきたいと、これは要望させていただきます。  次に、文化芸術の振興についてお伺いいたします。  音楽文化の位置付けでございますけれども、音楽は人類普遍の言葉、音楽には国境がないと、こういうふうに言われておりますけれども、音楽は、例えば音楽療法ということが実施されておりますように、非常に人の心をいやしたりあるいは励ましたり、こういう大きな力を持っていると言われております。  しかし、国の文化行政では音楽の位置付けというのが明確ではありません。文化財保護法や博物館法等はありましても、音楽文化を保護、支援する法律というのは存在いたしません。また、国立の美術館や博物館はあっても、音楽に関する資料を展示する国立の施設も一つもありません。  文化庁では文化行政の中で音楽をどのように位置付けておられるのかお尋ねいたします。
  281. 高塩至

    政府参考人(高塩至君) お答え申し上げます。  音楽芸術につきましては、私ども文化庁といたしましても、文化芸術の中でも最も重要な地位を占めるものであるというふうに考えておりまして、文化庁といたしましても、音楽の芸術団体や音楽家の行う様々な公演に対する支援、さらには若手の音楽家の人材育成、これは海外派遣や発表の機会の確保、さらには私ども自ら新国立劇場など国立の施設を設置いたしまして音楽の振興に努めているところでございます。  先生からお話のございました音楽に関する資料につきましては、昨年二月に閣議決定をされました文化芸術に関する基本的な方針におきましても、文化芸術に関する各種の情報や資料の保存、活用について検討して、国、地方、民間それぞれが役割分担を図って国民への提供を進めるというふうにされているところでございまして、各主体の持つ役割を勘案しながら、その保存、収集、利活用が図られるべきものというふうに考えているところでございます。  文化庁といたしましては、我が国の文化芸術の発展にとりまして重要な地位を占める音楽の振興について、更に引き続き努めてまいりたいというふうに思っております。
  282. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 音楽の資料は、心ある愛好家や、個人、関係団体あるいは大学などの熱意と努力で多くの資料が保存されているというのが現状でございます。国民の皆様あるいは海外の人がこうした資料を利用しようとしても、どのような資料がどこに保存されているのか、これを調べることができないという状況でございます。また、収集された音楽資料も、時の経過とともに経費の面からも維持することが困難になって、散逸したり、劣化したり、消滅したり、そういうおそれが高くなっております。  日本近代音楽館など民間のこういう機関では多くの資料が保存されておりますけれども、こうした膨大な音楽資料の収集、保存、活用、こういったことを文化行政の一環として位置付けて、早急にデータベース化を図り、ポータルサイトを設け、音楽文化の振興を図るということは、文化芸術教育による国づくりを進める上で大変重要なことだと思っております。  現在、国立国会図書館を中心にこれらの取組がなされていると伺っておりますけれども、具体的にどのような取組をされておられるのか、国立国会図書館の方にお伺いいたします。
  283. 長尾真

    ○国立国会図書館長(長尾真君) 国立国会図書館では、主として納本制度によって音楽資料を収集しておりまして、アナログレコードや音楽CD約五十五万枚、カセットテープ一万巻、ビデオカセットやDVDビデオ六万点、楽譜資料二万五千点を所蔵しております。  収集した音楽資料について書誌データベースを作成しておりまして、国立国会図書館蔵書検索・申込システム、これはNDL—OPACと呼んでおりますが、これを通じてインターネットで提供しております。そのデータ数は現在四十六万件余りでございます。  音楽コンテンツのデジタルデータベース化につきましては、アナログレコード等劣化していく所蔵資料をどう保存するかの問題がありまして、デジタル化も含め検討すべき課題であると認識しておりますが、著作権等の権利関係が非常に複雑なこともありまして、当館だけではなかなか進め難いというのが現実でございます。  なお、当館では納本制度の普及に努めておりますが、音楽資料につきましても納本率を高めるようにしてまいる所存でございます。
  284. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 次に、池坊大臣にお伺いいたします。  日本映画の日本語字幕についてでございます。  近年、日本映画が復興いたしまして、大変質のいい作品が相次いで上映されております。しかし、耳が聞こえない方々にとっては、日本語字幕のない日本映画というのは内容理解することができないと、大変寂しい思いをされているという声が寄せられております。  耳の不自由な方は我が国で約三十五万人と言われておりますが、高齢化等に伴いまして、実際には約百万人ぐらいいるのではないかとも言われております。また、これからますます増えていくだろうと思います。聴覚障害があっても日本映画を楽しむことができるように、日本映画にも字幕表示を是非実現していただきたいと。現にテレビでは一部そうした字幕が表示されているものもあります。  文化庁はこれまでもこうした要望を受けてきたと思いますけれども、映画製作会社やあるいは関係団体に対してどのような働きかけをしてきたのかを伺いたいと思います。また、聴覚に障害があっても映画を楽しむことができるために、日本映画に日本語の字幕が付くよう更に是非御努力をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  285. 池坊保子

    ○副大臣池坊保子君) 委員がおっしゃいますように、耳の不自由な方が、外国映画を見て本当に感動した、日本映画にもたくさんのすばらしい感動を呼ぶ映画があるにもかかわらず、その言葉を知ることができないのは大変残念だという声を私も耳にしております。  じゃ、どれぐらい公開中の日本映画の中で字幕の上映映画があるのだろうかと調べましたところ、幾つかはございました。「明日への遺言」とか「ドラえもん のび太と緑の巨人伝」、「クロサギ」、「ガチボーイ」、「チーム・バチスタの栄光」などというのは字幕が入ってございましたが、ただ残念なのは、上映劇場すべてに字幕が入っているのではなくて、そのうちの本当に四分の一だとか五分の一しか入ってないという実情を知りまして、今御指摘がございますように、これは、映画製作会社や映画祭関係者などに対して、日本映画に是非字幕を表示していくよう様々な機会を捉えて文化庁が本当に積極的に働きかけない限り、映画製作会社はいろんな経費の面などで消極的になると思いますので、これは今の御質問を受けまして文化庁挙げて頑張っていくつもりでございます。
  286. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 大変心強い御答弁で、是非よろしくお願いしたいと思います。  次に、がん対策についてお伺いいたします。  平成十八年六月に成立いたしましたがん対策基本法の大きな柱として、放射線治療の普及と、また治療の初期段階からの緩和ケアの導入が挙げられております。この二つを推進するためには、大学が果たす役割が非常に大きいと思っております。ところが、日本では放射線治療の専門医はわずか五百人程度にすぎません。アメリカの五千人に比べますとわずか十分の一、余りに不足しているという状況でございます。  放射線治療の専門医の育成のためには、大学の医学部で放射線診断を中心とする講座は今行われておりますけれども、今後は放射線治療に特化した講座を増やすことが必要だと考えますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
  287. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 放射線治療の有用性、これはがん治療また緩和ケア、こういった意味において有用であると。私も実は東大の中川先生、斉藤政調会長の御紹介で来られましていろいろとお話を聞かせていただいたところでございます。  現代、すべての大学で一応放射線治療や緩和ケアに関する教育というものは実施はされておりますが、専門に行っている専任教員等の体制、すなわち講座等を有する大学というものは、放射線治療で二十四大学、緩和ケアでは二大学ということで、この大学の教育研究体制、これの整備が喫緊の課題だということで認識をいたしております。  このために、平成十九年度より実施しておりますがんプロフェッショナル養成プランにおきましては、放射線療法や緩和ケアの教育を専門に行う専任教員の配置等、教育研究組織の整備に取り組むということを求めておりまして、本プログラムを通じてその整備充実というものを図っていきたい、また図られることを期待をしておるところでございます。
  288. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 最後に大臣にお伺いいたします。  日本では、今二人に一人ががんにかかると、三人に一人ががんで亡くなっていると、こういう状況でございます。ですから、今日この部屋にいる人の半分はがんにかかると、こういうことになっておりまして、大臣も決して例外ではないと是非認識していただきたいと思っております。  日本では、がんの末期には激痛に苦しみながら亡くなっていくと、こういうのがほとんど大半でございます。御自分やあるいは御家族やあるいは親しい友人がそういう状態になるとしたら大変悲しいことではないだろうかと、こういうふうに思います。  是非、日本でも、この激痛を取り除くと、こういうことに積極的に取り組んでいただきたいと思います。激痛を緩和するための薬の使用も欧米諸国に比べて非常に少ない、お医者さんにとって緩和ケアというのはほとんど関心がない。要するに、もうがんで、これで治らないと、こういうふうになるともう後はほったらかしという、ちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、そういう状況でございます。  是非、患者さんの立場に立った治療を進めるためにも、医学教育の中に緩和ケアというのをしっかり位置付けて、すべての医学生がきちんと痛みを取る緩和ケアというのをしっかり学び、また現在既にお医者さんになっておられる方にも研修等を行うことによって患者さんのこうした激痛を取り除くと、こういうことに取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  289. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 医療の問題は、これは別に逃げるわけじゃありませんが、厚生労働省がしっかりやっぱりそういう方向でやっていただきたいと。早い段階から薬を使うということも含めて、このがんの問題について総合的にどう考えるかということをしっかりと、これは国会の場でも大いに議論したらいいと思うんですね。  そして、私は、放射線治療とか緩和ケアというものは大変重要だというふうに認識をいたしておりますから、そういった教育研究体制がつくれるように、先ほどもお答えいたしましたが、我が省としては努力をしていかなきゃいけないと思っております。  ただ、カリキュラムの問題というのは、一義的にはこれは大学がいろんなカリキュラムというものを作られるわけでございますから、先ほど言いましたプロフェッショナル養成プランというのは、ある意味これが促進をされるための政策ということで今やらせていただいておるわけでございまして、そういうことを通じてこういったことに関する知識が大いに大学の中でも広まるように我々も努めてまいりたいというふうに思っております。
  290. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 よろしくお願いいたします。  以上で終わります。
  291. 関口昌一

    委員長関口昌一君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時二分散会