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2008-05-20 第169回国会 参議院 農林水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年五月二十日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  五月十九日     辞任         補欠選任         亀井亜紀子君     亀井 郁夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         郡司  彰君     理 事                 主濱  了君                 平野 達男君                 加治屋義人君                 野村 哲郎君     委 員                 青木  愛君                 一川 保夫君                 金子 恵美君                 亀井 郁夫君                 高橋 千秋君                 藤原 良信君                 舟山 康江君                 米長 晴信君                 市川 一朗君                 岩永 浩美君                 牧野たかお君                 山田 俊男君                 澤  雄二君                 谷合 正明君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   若林 正俊君    副大臣        農林水産大臣  岩永 浩美君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        加藤 勝信君        農林水産大臣政        務官       澤  雄二君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 朝雄君    政府参考人        内閣地方分権        改革推進委員会        事務局次長    坂本 森男君        外務大臣官房参        事官       石川 和秀君        文部科学大臣官        房審議官     布村 幸彦君        文部科学大臣官        房審議官     田中  敏君        農林水産大臣官        房総括審議官   吉村  馨君        農林水産大臣官        房技術総括審議        官        吉田 岳志君        農林水産省総合        食料局長     町田 勝弘君        農林水産省消費        ・安全局長    佐藤 正典君        農林水産省生産        局長       内藤 邦男君        農林水産省経営        局長       高橋  博君        農林水産省農村        振興局長     中條 康朗君        水産庁長官    山田 修路君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       上田 隆之君        資源エネルギー        庁資源燃料部        長        北川 慎介君        環境大臣官房審        議官       谷津龍太郎君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    由田 秀人君        環境省水・大気        環境局長     竹本 和彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (地球温暖化食料安定供給に関する件)  (米国産牛肉輸入に関する件)  (自然体験学習推進に関する件)  (農地面的集積推進に関する件)  (鳥インフルエンザ対策に関する件)  (食料価格高騰問題に関する件)  (ミニマムアクセス米に関する件) ○農林漁業有機物資源バイオ燃料の原材料とし  ての利用促進に関する法律案内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 郡司彰

    委員長郡司彰君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、亀井亜紀子君が委員を辞任され、その補欠として亀井郁夫君が選任されました。     ─────────────
  3. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、文部科学大臣官房審議官布幸彦君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 青木愛

    青木愛君 おはようございます。民主党の青木愛でございます。  質疑のお時間をいただきまして、ありがとうございます。  本日は、気候変動に伴う農産物などへの影響とその対策についてお伺いをさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  気候変動に関する政府間パネルIPCCの第四次評価報告書が昨年の総会で承認をされました。それによりますと、私たちを取り巻く気候システム温暖化は決定的に明確であり、その原因として人類の活動が直接的に関与していると断定をしています。また、地球温暖化は加速的に進行しており、気温や水温の変化や、また水資源生態系などへの影響のほか、人間の社会に及ぼす被害は深刻であると警告をしています。  そこで、まず若林農水大臣にお伺いをいたします。  報告書の中で、二〇三〇年までは十年当たり〇・二度の気温上昇予測されていますが、十年間で〇・二度の上昇、一見大したことのない小さな数値のようにも思えるのですが、このことについて大臣の所見をまずお聞かせいただきたいと思います。
  7. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 委員御承知のとおり、IPCC第四次の評価報告書で明らかにされておりますが、地球温暖化は加速的に進行をしております。そのことは農業生産にも深刻な影響を及ぼすと予測されておりますけれども、実はもう既に温暖化の傾向というのは現れているわけでありまして、日本でも、被害の形としていいますと、お米、水稲については出穂後の高温登熟による白未熟粒胴割れ病発生をしていると、九州地域ですけど。それから、ミカンについては、皮と果肉というものが分離する浮き皮症というのが見られております。また、リンゴについては、成熟期高温になるということから、赤い色が付きにくくなってきていると、そういうような着色不良といった現象報告をされております。  農林水産省としては、平成十九年六月二十一日に農林水産省地球温暖化対策総合戦略を策定いたしましたけれども、これに基づきまして地球温暖化にどう適応していくのか、対応していくのかということを定めておりますが、まず現在発生している農作物の被害状況というものを踏まえまして、当面の地球温暖化適応策生産現場への普及及び技術指導を進めるということでございます。  そして一方で、暑さに強い品種気象被害対応した栽培管理技術というものを、試験場レベルでありますが、開発を進めるというふうにしているところでございます。
  8. 青木愛

    青木愛君 ありがとうございます。  十年間で〇・二度の上昇というのは、私は大変大きな数値だと思うんですけれども、気候変動は、空間的あるいは時間的に変化平均を取ればわずかな変化でありましても、局所的には劇的な変化となって現れるものと思います。日本平均気温変動は、過去百年間でおよそ一度の上昇と言われています。しかし、ここ十年間を振り返っただけでも、日本の四季が大きく変化をしたように思います。また、真夏日が多くなって、しかも冬は寒く、しとしとと降り続いた梅雨は集中豪雨となったように私は感じております。  気候変動で最も影響の受けやすいものの一つとしてやはり農林水産業が挙げられるかと思いますけれども、日本のこの気候変動あるいは異常気象我が国日本農林水産業へ与える影響、この点についてどのように認識されていらっしゃいますでしょうか。  先ほど若干お答えもいただきましたけれども、米やまた温州ミカンリンゴなどの作物は、生産に適した地域が北上していくと予測をされていると伺っています。しかも、ただ北上するだけではなくて、降雨量降雨形態変化があって、日照時間や日照の強度にも変化が見られるそうであります。  このような変化に対してどのような認識を持ち、また対策を講じられようとしていらっしゃるのか、再度お伺いをさせていただきたいと思います。
  9. 内藤邦男

    政府参考人内藤邦男君) ただいま御質問ございました、特に地球温暖化進展我が国農業生産にどのような影響を与えるかということにつきましては、研究機関研究成果を出しております。  その前提としまして、例えば二〇六〇年代に約三度気温上昇するという前提の下で、例えば一部地域における水稲潜在的収量の減少、温州ミカンリンゴ栽培適地の移動が起こり得るという予測モデルが示されているわけでございます。このモデルにつきましては、今後より精度の高い将来予測とするべく更に研究を深めていく予定と聞いております。こういった研究進展を踏まえながら、産地における品目転換など適切な対策を検討してまいりたいと考えております。  また、当面の対策でございますが、先ほど大臣から答弁がございましたように、いろんな被害報告されております。例えば水稲作としましては、田植を遅くすることによりまして登熟初期高温を回避するという栽培方法の改善、あるいは「にこまる」など高温耐性品種への転換、それからリンゴの着色不良に対しましては反射シートを園地に敷設すること、あるいは秋映などといった高温でも着色する品種導入、それから温州ミカンにつきましては炭酸カルシウム剤の施用など、こういったものを主要品目ごと品目別適応策レポートとして昨年六月に取りまとめております。これも各都道府県担当部局に提示しているところでございます。さらに、二十年度予算といたしましては、高温でも着色するリンゴ優良品種導入など、地球温暖化対応し得る技術導入・実証に対する支援措置も盛り込んだところでございます。  今後とも、都道府県連携しまして、地球温暖化に伴う農業生産への影響実態把握、それからその適応技術普及を図ってまいりたいと考えております。
  10. 青木愛

    青木愛君 ありがとうございます。  そのときになってからですと、やっぱり現場は大変混乱すると思うんで、今から積極的な対応策の方をよろしくお願いいたします。  農産物だけではなくて、海洋の方でも温暖化やエルニーニョなどによりまして魚介類生息変化が見られています。現に、沖縄周辺海域では海水温上昇によりましてサンゴが白くなって死滅する白化現象が広範囲に確認をされています。また、反対に、私の地元であります南房総館山周辺の海ではサンゴ生息が認められるようになりました。また、オニヒトデ巨大クラゲ異常発生魚介類を食いあさるという現象増大しております。このような海洋での異常現象に対して政府はどのような対策を講じていらっしゃるか、民間、漁民に任せたままなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  11. 山田修路

    政府参考人山田修路君) 大型クラゲ等異常発生についての御質問でございます。  大型クラゲオニヒトデなどの異常発生原因でございますが、海水温上昇などの海洋環境変動富栄養化などの人為的な環境の改変によるのではないかと言われております。しかしながら、そのメカニズムは必ずしも明らかになっていない現状でございます。  このため、独立行政法人水産総合研究センターなどにおいて、発生分布域拡大メカニズム解明等に取り組んでいるところでございます。農林水産省といたしましても、有害生物異常発生メカニズム解明に取り組むことがまず重要と考えております。今後とも、研究促進について必要な支援をしていきたいと思っております。  また、被害防止あるいは抑制対策といたしまして、大型クラゲのように広域的に出現して漁業被害を及ぼす有害生物につきましては広域的な対策が効果的であるということから、国などが出現、発生の予報を出すということのほか、駆除等の事業を支援しております。また、都道府県漁業団体に対して対処方法等につきまして技術的な助言を行うなど、関係都道府県等連携を取って被害防止あるいは抑制に努めてまいりたいと考えております。
  12. 青木愛

    青木愛君 ありがとうございます。  農業にしましても水産業にいたしましても大きくこの前提条件が変わるわけですので、本当に抜本的な改革が必要であると思っております。また、今、世界はこうした食料をめぐって大変な事態となっています。最近では、地球温暖化危機そのものよりも、それがもたらす食料危機の方が直接的なものとして深刻に論じ始められています。食料自給率三九%と先進国で最も低い日本としては、世界食料事情変化に無関心であってはならないと考えます。  食料危機状況を一番よく示しているのが国際米価の動きでありますが、ここ三か月ほどで国際米価がほぼ二倍となりました。四月十八日には東南アジア産の米輸出価格が一トン一千ドルを超えたと伺いました。米や小麦日常生活で不可欠な物資であります。価格上昇が特に発展途上国で深刻な事態を引き起こしています。フィリピンではお米を取り扱っているお店の車両がゲリラに襲撃されました。エジプトでは政府支援のパンをもらう列で死傷者が出ております。中米のハイチでは価格鎮静化に対処できなかったとして、首相を議会が解任する政情不安にまで発展をしております。  このような世界食料危機をめぐる政情不安、社会暴動に対して農水大臣はどのような御認識をお持ちか、お聞かせをください。
  13. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 世界食料需給が急激に変わってきているわけでありますが、その要素は大きく三つ分けて考えております。  一つは、中国やインドなどの途上国経済発展、大変著しいわけでございます。その経済発展に伴いまして消費構造が変わってきている。所得水準が高くなれば、たんぱく質でありますとか油脂類とか、そういうものへの嗜好が強まってくるわけでございます。そうしますと、畜産物消費が増えればそのえさ需要が高まるといったような形の構造変化を伴いながら、量的拡大が進んでいるというのが一点目であります。  二点目は、世界的なバイオ燃料原料という食料以外の需要増大しています。化石燃料である石炭とかあるいはまた石油でありますとか、特に運輸関係エネルギーにつきまして、これをCO2を抑制するために抑制するという大きな流れが出てまいりました。そのために、トウモロコシなどの農産物原料としますエタノールを生産をして石油に代替するということが強く出てきておりまして、そのことによる穀物需要増大、作付けの変更というようなことが発生してきていることが二番目だと思います。  三番目は、これは地球温暖化のかかわりだというふうに思われるわけですが、豪州が二年連続して干ばつなどが起こっております。そして、地球温暖化などの、世界的な地球的規模での気候変動が各地で発生をしてきたといったような影響がありまして、逼迫度合いを強めていると、このように考えております。  こういうような需給要素要因に加えまして、最近は投機資金流入、あるいはまた輸出国による輸出規制の広がりといったことが見られまして、穀物国際価格が高騰をするという現象になっていると思います。委員がお米の例で挙げられましたけれども、本年二月小麦が、そして三月には大豆が、五月にはトウモロコシ、そして米もそれぞれ史上最高価格を更新しているという状況になっております。このような状況の下で、アフリカあるいはアジアの一部の国では食料をめぐって暴動だとか抗議行動発生して、国によっては死者を出すといったような事態も起こっているというふうになっております。  このような世界食料事情というのは、基本的には需給構造が大きく変化しつつあるということに加えまして、今の投機資金流入輸出規制といったようなことも加わって、これはこういう状況が続きますと更に逼迫度合いを強める可能性があるというふうに見ております。
  14. 青木愛

    青木愛君 ありがとうございます。  やはり食料というのは人の生き死ににかかわることですので、やはりこうした大変な事態を引き起こす結果になるんだろうと思います。お金があれば何でも買えるという考え方はこの食料に関しては適用されないのであろうと思われます。  この国民食料を安定的に確保するため、日本としての策としてどのような対応策を講じられているかを改めてお伺いしたいと思うんですが、自給率を四五%にするという数値目標だけがスローガンとして掲げられているだけで、その具体策がなかなか見えてこないのでありますけれども、今、日本で、国内のどこで何をどれだけ増やすのか、不足分をどこからどれだけ補えるのか、また備蓄は十分なのか、それらについて具体的にお示しをいただきたいと思います。
  15. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) まずは国民に対して食料を安定して供給するというのが国家の責任である、これはもう世界どの国も皆同じでございまして、国内生産対応をすることができない場合には、そういう事情のある国では輸入を安定的に確保する、そしてまた短期的変動に対しては備蓄を適切に組み合わせて行っていくということが必要だというふうに思います。我が国においてもそのような事情は同じでございまして、今委員がお話しになりましたように、この二十七年度までの生産努力目標として、カロリーベース食料自給率は四五%を目標にするというふうに設定しているわけでございます。でありますから、当然輸入も安定した輸入を確保していかなきゃいけませんし、短期変動に備えた備蓄もしていかなければいけない、こういうことになるわけでございます。  そこで、この国内生産増大につきましては、食料農業農村基本計画というのを定めておりますが、そこに品目ごと平成二十七年度における生産努力目標を掲げております。品目ごと一つ一つ説明をしますと時間が掛かりますので、ひとつその基本計画参考にしていただきたいと思いますが、それらを通じて何が大事かということでありますと、まず第一は、経営感覚に優れた担い手による需要に即した生産促進、つまり需要に合ったものを作っていくということがまず第一であると思います。二番目は、食品産業農業連携を強化いたします。いわゆる農商工連携と言われるのもその大きな有力な手段でありますが、いずれにしても、加工度の高いものを次第に求めるようになってきた国民消費動向に合わせまして、食品産業現場農業生産との連携を強めていくということが大事だというふうに考えております。そして、何よりも効率的な農地利用促進をする、つまりその単位当たり生産量あるいは生産効率、こういったことで農地利用を有効に進めていくということが重点の事項だと、こう考えて取り組んでいるところでございます。  輸入につきましては、その安定を図る角度から、そういう観点から、平素から国内外の需給動向に関する情報収集分析、そしてまた主要の輸出国との安定的な貿易関係の形成、緊密な情報交換といったようなことを行っているところでございまして、先ほど豪州が二年連続で干ばつ、大変な被害を受けたわけですが、豪州はかねてから日本との小麦での取引を重視しておりまして、そのような被害がありましても日本に対する輸出日本が期待している輸入に対しては責任を持って対応するという姿勢で豪州側がこれに今のところ対応してきているわけでございます。そういう意味では今のところ不安はないんですけれども、将来のいろいろなことを考えながら、輸入先はやはり多元化をすると。と同時に、国際貿易ルールとして、輸出規制輸出税といったような貿易を阻害する要因を除去していく、そんなことにこれから努めていかなければならないと思っております。  また、備蓄につきましては、主食である米と供給の多くを輸入に依存している小麦大豆、そして飼料穀物につきまして、これまでの需給逼迫したときの事例を勘案しまして必要な数量の備蓄を実施しているところでございます。現在のところ、穀物などの主要な供給国からの輸入について量的な確保に支障を来す見通しはありませんことから直ちにこの備蓄水準を引き上げる状況にはないと考えておりますけれども、食料需給価格動向収集分析をこれまで以上に強化をいたしまして、今年度から農林水産省本省官房食料安全保障課というものを新設いたしまして、そこで集中的に情報収集分析をするという体制を整えたところでありまして、今後の動向をよく見極めていく必要があると考えているところでございます。
  16. 青木愛

    青木愛君 ありがとうございます。  こうした気候変化ですとか世界の様々な情勢を考えたときに、やはり人ごとではなくて、いつ輸入できなくなるか分からないという事態も想定されるわけでありまして、やはり日本国民の食べ物は日本国で自給していくべきだと私は考えるんですけれども。  二〇〇三年におけるフィンランドの例ですけれども、穀物自給率が一一四%と高いそうでありますが、食料安全保障観点から一年分の食料備蓄を行っていると伺っています。我が日本備蓄は米がわずか一・四か月分と伺っています。小麦が二・三か月分だということであります。私は、もっともっと危機管理体制というか、危機管理の意識をまず高めていかなければならないと考えております。  最後の質問になりますけれども、今、他国への食料支援として日本備蓄米古米利用されておりますけれども、この際、古米ではなくて新米で支援したらいかがかと思っております。今の減反政策ではなくて、耕作放棄地をすべて生かして、大豆小麦がなかなか生産に難しいのであれば、米をどんどんどんどん作って、日本の米は世界一おいしいと自負しておりますので、援助を受けた国の人たちがおいしい日本米に理解をいただければ、将来的には日本米のファンが世界じゅうに広がって、米の輸出拡大にも結び付くのではないかと思うのですが、この点についていかがお考えでしょうか。
  17. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 日本短粒種の評判はアジア地域においてかなり上がってきております。しかし、何としても高いんですよね。もっと規模を大きくして生産性を上げるような形の経営が支配的になってきますと、競争力の付くような価格水準でも日本米作経営がやっていけるようになるかもしれませんが、今のところそういう展望は持ち合わせておりません。  そういうおいしいものというよりも、援助という点を委員がおっしゃるんであれば、今、実は援助が必要な国は、アジアについて言えば、長粒種食習慣が慣れているんですよね。長粒種なんです。それはまた大変安いお米になっているんですね。どちらかというと喜ばれるのは、まずは、すきっ腹ですから、質より量と。量がいっぱい出されれば、それが一番喜ばれるというのが現実なんですね。価格で言えば、もう三倍も四倍も違うわけですから、逆に言えば、同じ援助の金額で言えば、三倍も四倍も量が確保できるということが言えるでしょう。  ただ、今日のような逼迫した事情になってから、さあいざということになりましても、全体が非常に値上がりしてきます。それでも日本米よりも半分ぐらい、半分以下ですけれどもね。それにしても上がってきますから大変なんですけれども、これはやはり日本のお米を提供するとすればMA米を、加工用あるいはえさ用などでMA米を消費していますけれども、それはコストが低いですからね、そういう援助にMA米を使っていくということも大きな選択肢の一つだと考えているところでございます。  財政負担なども留意しながら、古米中心で対応しているという現状はやむを得ないことではないかと思っております。
  18. 青木愛

    青木愛君 ありがとうございます。  高いということだそうでございますが、やはり日本の米は味も良いですし、何とかブランド化でもして、まずはお金持ちの方々から日本米を好むようにできないものなのかなと、ちょっと希望的観測を持っております。  いずれにしましても、食料の安心及び安定的な供給の確保というのは、政府国民に対して果たすべき、国防と同列に最も重要かつ基本的な課題だと考えます。まして、先進国で最も今自給率の低い日本にとっては深刻な課題であると考えます。若林大臣にはこのことをしっかりと御認識をいただくことをお願いをいたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  19. 米長晴信

    ○米長晴信君 民主党の米長晴信です。  本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。三十分と限られた時間ですので、テンポ良く行ってまいりたいと思います。  冒頭、短くBSEの問題についておさらいをしたいんですけれども、これ、この前の吉野家のところで背骨が見付かったというところ以降、再三再四我々議員側から質問がありましたけれども、全面輸入ストップを含めて毅然として対応すべきだという問いに対して、個別事例であるということで輸入停止までには至らないと、サンプル数、抽出数を上げることで対処するということでしたけれども。  これなぜ我々の意識が、こんなにしつこくこの問題について追及しているかという部分なんですけれども、ちょっとおさらいしますけれども、資料を何枚か配らせていただいているうちのまず二枚目をちょっと見ていただきたいんですけれども、これよく出てくる表なんですけれども、確かにBSE発生件数というのはいっときに比べて激減していますが、アメリカは昔からほぼゼロとか一なんですね。この理由なんですけれども、これ決してアメリカで完全にないからというわけでも必ずしもないように思うんです。  そこで、一枚目の表なんですけど、これアメリカのホームページから取ったんですけれども、農水当局の。アメリカは年間三千三百万頭が屠殺されているというふうに聞いております。その三千三百万頭のうちアメリカが実際に検査しているのは、この表だとちょっと分かりにくいんですけれども、簡単に言うと年間で四万頭と。その四万頭も、幅広く統計学に基づいて全国的に検査するというものではなくて、実際に病気にかかっている牛だとか明らかに怪しいものに絞って検査をしていると。つまり、一般の食卓に行くような、食べることを目的として屠殺して売っている牛についてはこの検査対象にむしろ入っていないということなんですね。逆に言えば、日本に来るやつはサンプル調査すらされていないものが入ってきていると。  このBSE、まだ未知の部分もあるし、だんだん実態が解明されてきて、危険部位を取り除いたり月齢を若くすれば限りなくリスクはゼロに近づくということではありますけれども、そういう中で日本は、我が国は全頭検査をして、日本人の食の安全を確保しているわけですけれども、アメリカとはやはり余りにもこのBSEの危機管理の仕組みが違うわけですから、だからこそ一つでも入ってきたらやっぱりそれは大きな問題であると思うんです。  このBSEですけれども、異常プリオン、これ煮ても焼いても、一度肉に入っていればこれ消えないんですね。灰にしないとなくならないんです。それを万一食べて、摂取しなければ大丈夫ということなんですけれども、一度摂取してそれが体内に入ると、発症すると致死率が一〇〇%と。やっぱり万一というときには恐ろしいものでありますから、だから我々議員がこれもっとちゃんとストップをしてくれというお願いを申し上げているわけでございます。  恐らくそういうことについて質問しても前回と答え自体は変わらないと思うんですけれども、ただ、覚悟といいますか、これ命にかかわる問題ですので、万一、この期間の緩い対応で万一入ってきて、それが将来何かの事件につながったような場合に、今の時期の、今大臣の席に座っているという責任から、将来万一薬害の問題のようなものに発展した場合にこの責任についてどう思っておられるかという覚悟だけお伺いしたいと思います。
  20. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) まず、この度の脊柱が混載されたことが発生したということについてはもう極めて遺憾だと、大変遺憾だとまず考えているということを申し上げた上でお話ししたいと思います。  委員が資料をお配りをいたしました二ページのところで、アメリカの方のBSE牛の発生が極めて少ないと、日本と比べてみましても非常に少ないですよね。そういう少ない理由は、高リスク牛をサンプルとして選んでやっているからではないかと、こういう御見解を申し上げられたわけでございますが。  このことについては、実は専門家として食品安全委員会というのを我々は持っているわけでございます、食品安全委員会ですね、内閣に。その食品安全委員会平成十七年十二月にリスク評価をいたしておりまして、米国におけるBSEの有病率は百万頭分の一頭以下であるというふうに推定をしておりまして、そして現在、米国が実施しているサーベイランスについては、神経症状を示す牛などの高リスク牛を対象にしているということを評価した上で、この検査水準については、安全委員会平成十八年十二月に、米国の現在のサーベイランスについては高リスク牛により重点を置いたサーベイランスであり、その考え方自体は理解できるものであると、そして、サンプル数そのものは少ないからといって一概に問題であるとは言えないと考えるということを公式に表明しております。  この米国BSEサーベイランス見直しに対する見解というのを、政府として安全委員会が見解を示しているということをまず私から申し上げておきたいと思います。私自身は専門的な知識をこれ持っているわけじゃありませんので、これは食品安全委員会がこういう見解を示したということを申し上げて、言わば日本の国会で、アメリカの発生がどうも危ないぞと、この数字はそのまま評価できないんじゃないかというようなことであっては、ちょっとそれはそれとして一つの問題になりますから、政府としてはこの安全委員会の見解を持っているということをまず申し上げておきたいと思います。  そこで、本事案についてでございますが、これが、米国大使館からの我々への説明として第一報は、日本向けの輸出品でないものを誤って積載したものであるというふうに説明が行われたわけでございます。  この前に、十八年一月の事例との比較をしたわけでございますけれども、十八年一月の事例の場合は全面輸入停止措置を掛けました。これは、実際には不適格品であるにもかかわらず、米国農務省が日本向けの輸出条件に適合しているという証明をしてたんですね。だから、これは、米国政府が適格品だという証明をした製品が日本向けに輸出されたと、日本輸入してきたということでございますので、そういう意味では今回の場合とは違っているわけでございます。  また、他の施設からは、昨年七月の輸入手続を再開以来、これまで十八年一月の事例と類似の問題は発生していないといったようなことを踏まえまして、まずはこの発生した誤った施設からの輸入手続を止めて、これを保留することとして、そして詳細な調査をアメリカ政府に求めているわけでございます。それまでの間は、厚生労働省と農林省におきまして、輸入時の検査段階の抽出率を上げてチェック機能の強化措置を講じているところでございます。  米国政府に対して徹底した原因究明と改善措置の実施を含めます詳細な調査結果の報告を求めているところでありまして、まだ米国から調査結果の報告が来ておりませんけれども、これが提出された場合には、その報告を踏まえて、厚生労働省と連携して、この調査結果をしっかり検証をいたしまして、今後どうするかの対応をしていきたいと、このように考えているところでございます。
  21. 米長晴信

    ○米長晴信君 私の質問、端的に、万一のときの覚悟はという部分だったんですけれども、それを逆にお答えにならなかった部分も議事録に残っておりますのでこれぐらいにしたいと思いますが、ただ、やはり感覚的に、リスクが百万分の一以下ということですけれども、百万分の一だったとしても、三千三百万頭いるわけですから三十三件ある可能性があるんですよ。だから、母数が全然違うし、安全に関する意識も違いますので、食品安全委員会だとかアメリカ側の説明もあるでしょうけれども、やはりより毅然とした対応、万が一のことも考えて慎重にこれを扱っていただくことが国民の信頼と安心につながるかというふうに申し述べまして、次に移りたいと思います。  同じ食の安全ということでは、前の委員会でギョーザの問題、これ自体は事件として今捜査中ということでございますけれども、国民の意識の方は間違いなく食の安全ということに物すごく関心が高まって、とりわけ中国産の野菜についての疑念といいますか、そういうものも生じたように思うんです。  資料の三番なんですけれども、これは意識調査なんですけれども、このワーストスリー、三つ目、一般国民がこれは悪いというものに食糧、これ去年の一三%から一気に四一ぐらいになって三位に浮上したと、急浮上したと。これはBSEですとかギョーザ問題、こういうものが少なからず私影響していると思うんですけれども、実際に輸入数値ですけれども、これも中国産のものが輸入が減っているというふうに聞いていますけれども、今年一月にギョーザ問題発生しまして、それ以降の中国産野菜の輸入の現状をお答えいただきたいと思うんですけれども。
  22. 内藤邦男

    政府参考人内藤邦男君) まず中国からの野菜の輸入量、十七年から見ますと、貿易統計でございますが、十七年が百五十四万トンでありましたが、十九年は前年比八七%の百三十二万トンとなっております。これを二十年の一月から三月の輸入量で見ますと、前年同期比七八%となっております。その背景を輸入商社等から聴き取ったところ、薬物中毒事案の発生による輸入商社等の買い控え、それから中国側の輸出検疫検査が強化されたことによるということでございました。  また、これを四月下旬の植物検疫統計で中国からの輸入量を見ますと、回復基調に転じた感の見られるショウガなどの品目がある一方、ニンジンなど依然として輸入量が少ない品目もございまして、ばらつきがあるという状況でございます。
  23. 米長晴信

    ○米長晴信君 事前の説明では、去年の一月―三月期に比べて平均で三割弱ぐらい減っているというふうに聞いております。資料四、これ民間の新聞の報道ではそれ以上に、四割ぐらい減っちゃっているという調査もあるようですけれども、この中国産の野菜に対して消費者がちょっと離れているという中で、これは我が国生産の野菜を一気に増やすチャンスでもあると思うんですけれども、一方で、農家の人はこれで一斉に生産量を増やすというのにやや足踏みしている部分もあると。  つまり、この中国離れというのが一過性のものであって、また元に戻ってしまうのでないかというような不安もあるように思うんですけれども、この辺の現状を農水省としてどのように評価して、今後どのようにされていくか、ちょっとお伺いしたいんですけれども。
  24. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 今局長が答弁いたしましたけれども、この中国産の野菜の輸入の激減というのは品目によって非常に違います。それぞれ、もう十何%台まで落ちたものもありますし、四〇%のものもあります。六五%ぐらいでとどまっているものもあります。それぞれで違うんですけれども、これは輸入に当たって、輸入の商社が国内の不安感が背景にございますから輸入を控えると、あるいはまた中国側が輸出の検疫を強化したんですね。何重にもチェックの体制を取って強化したというようなことから、今度中国側の方、供給自身の方も抑制されたというような事情もございました。  しかし、いずれにしてもそういう中国産の野菜に対する不安が、不信が非常に根強くあるという事情があるわけですけれども、私は、こういうような中国産の野菜に、冷凍も含めてですが、大きく依存してきた理由に、私は国内農業者が生産をする際にそれぞれ自分の生産物を一度に大量に作って生産性を上げても、それをどういうふうに利用者に、需要者に結び付けていくかということが難しい。  今までの例ですと、卸売市場に出して、市場がその分配機能を持つわけですね。しかし、実は食料品の消費の形は外食が非常に多くなってきた、それから中食などのお弁当類、この中食需要が非常に多くなってきておりまして、そういうような消費が全体の四割から五割を占めるようになってくる。一方また、スーパーなどでもそうですけれども、やっぱり食の外部化が進んできますから、うちで全部初めから調理するという形よりもある程度の加工をされた状態のものを望むようになってきている。そういう需要変化にうまく供給を安定させる、安定的に供給させる。特に、加工品については品質、商品としての弁当なら弁当、日替わり弁当というのもありますけど、大体安定した素材を入れて安定した値段で供給するという営業パターンになっているわけですね、外食なんかもそういうのが多いんですけれども。  そうすると、時期によって振れがないようにきちっと納入されるということ、そして品質上も安定をしていく、そういう事業体が発達が遅れてきたということが非常に大きな原因だったと私は思っているんです。言わばコーディネートするコーディネーター産業というものが足りなくなっていたと。商社の方は、そういう意味では中国で産地を押さえて中国の方と組んだ方が同じものをそろえてやりやすい、例えば冷凍にしても人件費安いというようなことで中国物にシフトしていったんじゃないか。  こういう不信感、不安感によって中国産がブレーキが掛かっているときに、新しいビジネスとしてそういうコーディネートするようなビジネスというものを、生産者とそういう外食、中食あるいは加工の原材料とを結ぶような、情報を集約して安定して結ぶリスクを負う、そういう事業者が生まれてきつつあるんです。急速に生まれてきていますが、そういう事業者が活躍をしていくような場をつくっていくということは私は非常に大事なことじゃないかと思っています。実は、そういう事業者を対象として表彰制度を設けまして、この間農林大臣表彰を第一回やったんですけれども、なかなかこれから、今のところ少ないんですね、対象が。だから、そういうような事業者に心掛けて増やしていくということは大事なんじゃないか。  農林水産省でも、加工・業務用需要向けの国産野菜の供給体制の整備を進めるために、仮称、こういう言い方をしているんですけれども、加工・業務用需要対応プランというようなものを作っていこうと、そういうプランを進めて、それに基づいて生産に取り組む産地、農業経営というものにはこれから重点的に支援をしていくということが大事ではないかと。先般決定した新農政二〇〇八の中にも、その趣旨を実は盛り込まさせていただいたところでございます。
  25. 米長晴信

    ○米長晴信君 いろいろ取組が進んでいるということですけれども、ある程度ブームというのは一過性の部分もありますので、今進めているプランというのは、仮に急いでも来年度予算からということでなくて、できるものはもう予算措置緊急的にとってすぐにでも始めていただきたいというふうに思っています。  安定的に地場の食料供給するというのは、給食もそのうちの一つだと思うんですけれども、今日は文科省の方から参考人の方も御足労いただいていますけれども、文科省では二十二年度に地場産物の使用割合を三〇%にまで上げるという目標を定められているということですけれども、この食の安全に関する意識が急激に日本変化する中で、この目標というのは、よりもっと進めるとか、これ見通しはいかがでしょうか。
  26. 田中敏

    政府参考人(田中敏君) お答え申し上げます。  平成十八年三月に政府が策定をいたしました食育推進基本計画におきまして、先生御指摘のとおり、学校給食における地場産物を使用する割合を食材ベースで平成二十二年度までに三〇%とするということを目標としてございます。現在、約二三%というところまで至っている状況でございます。  文部科学省としては、これを更に目標に近づけていくということのために、学校給食において地場産物を活用することは、地域の自然、環境、食文化、産業について子供たちが理解を深めるということに役立ったり、あるいは生産者、生産過程を理解して食べ物への感謝の気持ちを抱くということなど、教育的意義を極めて重大なものだというふうに認識をしているところでございます。  このため、従来から文部科学省としては、食に関する指導の手引というようなことで、地場産物や郷土食の導入について工夫をするようにというような指導をすると同時に、地場産物活用事例集というようなものを作って各学校等に配付をしているところでございます。  さらに、地場産物を活用した魅力ある献立作りの推進について実践的な調査研究を行うためのモデル事業というようなことを実施をしてきているところでございますし、平成二十年度からは新たに地場産物の活用方策に関する調査研究として、例えばどんな流通体制が整っていったらいいのかなというようなことについての検討を進めていることとしてございます。  さらに、地場産物の活用の推進を図るため、学校と生産者の交流をどうやったら促進していったらいいのかというようなことについての検討についても、専門家による検討会議を早々立ち上げまして教育的観点を踏まえた検討を進めるということにしてございます。  文部科学省としては、今後とも地域の特性に十分配慮しながら、学校給食における地場産物の活用の推進を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  27. 米長晴信

    ○米長晴信君 ありがとうございます。  十八年度に決められた目標に向かって、今二三%まで上がっているということですけれども、先ほど言ったように、これ国民世論がわっと動いているときに一気に進めてしまうという柔軟性も必要だと思いますので、是非、農水省、文科省、タッグ組んで、この部分、より動きのある形で取り組んでいただきたいと思っております。  急いで行きますけれども、子供について関連で、子供にそういった農業に携わってもらうということで、子ども農山漁村交流プロジェクトというのが今年度予算から付けまして、全国で二百三十五校を対象に、田舎に行って共同生活をして農業現場で勉強するということが進められておりまして、私も先日、うちの県の山梨でも一つモデル地区がありまして、道志村というところなんですけれども、そこで現場を視察してまいりました。  本当に、受入れ側は、子供が来たときにこういうことをやろうということで非常に積極的に取り組んでいて、一刻も早く子供が来てほしいというところなんですけれども、ただ、現場で受入れをするに当たって、その村自体は毎年二十組前後、二百程度の規模で子供受入れの実績はあるそうなんですけれども、一週間ということになると、かつ、それが二百三十五校ということは、平均で大体四組ぐらい受け入れるということなんですけれども、そういう規模になりますと、なかなか今の体制では難しいと、非常に、そういった指導をする人とか担当者の育成にもうちょっと予算が必要だというようなことをおっしゃられたんですけれども、そういう現場の声があるんですけれども、その辺、五年後に全国一斉で二万三千校を対象にやるということであれば、なおさらその辺にはもうちょっと力を入れなきゃいけないと思うんですけれども、大臣の御所見をお伺いします。
  28. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) これは大変重要なことだというふうに認識いたしております。私も、かねて自然体験学習、山村留学制度の推進にずっと取り組んできたところでございます。そういう流れの中から、この度、子ども農山漁村交流プロジェクトというのを立ち上げることができたわけでございます。  これは委員も御承知のとおりでございますが、全国すべての小学校で、一応五年生というのを念頭に置いているんですけれども、すべての学年が農山漁村で一週間程度宿泊体験を行うということを目指して、文部科学省、総務省と連携して今年からその取組を開始し、まず、その受入れの方のモデル村、委員がおっしゃられた山梨県の道志村もその一つですけれども、やはり今まで受け入れてきた経験のある自治体をモデル地域としまして、そこでまずはモデル的に、今度は出す学校の側、これは文部省の方が選定をして希望を募って出していくわけですけれども、そこで体験を、経験を積み重ねながらそれを全国に逐次広げていって、五年後全体に広げようと、こういう構想を持っているものでございます。  そして、昨日、オリンピックの記念会場で全国のその指導者の、七百人ぐらい集まっていますかね、キックオフ大会というのがありまして、私もそこで出かけていって、皆さん方に、このことを大事にしながら制度としてこれを推進していこうということを呼びかけたところでございます。  御指摘のように、このプロジェクトを広く実施していくためには、様々な体験学習をしていくための体制整備というのが大事なんですね。多分、一週間通じて民宿するということではないのが多いんじゃないかなと、こう思います。一週間のうち二日とか、場合によっちゃ一日だけといったケースも、弾力的に受入れ体制に従ってやればいいと、こう考えているんですけれども、大事なのは、やっぱり指導者だと思うんですね。そういうインストラクターなどの子供たちの活動を支援をする人材というものがないと教育効果も出てこないし、村の中のいろんなトラブルが予想されますから、そういう意味でこの受入れのモデル地区というものは大事だと思います。  そこで、今年度は、こういう広域連携の共生・対流等対策交付金というのがございますが、そこで支援策を用意しまして、受入れモデル地区を中心に指導員などの人材の育成、確保に活用をすることができるというふうにしておりますし、ソフトの関係、あるいは施設の改修などに使う改修費やなんかも予算上の措置を講ずることにいたしまして、これを進めていきたいと、こう考えております。  それで、これ全部で実施しますと年間百二十万人になるんですよ、子供たち。五年生を一応念頭に置いていますがね。卒業までに一回は行ったことがあるという子供たちを、いっぱい体験をしてもらいたいというこの大きな構想のスタートですから、委員が御指摘になりましたような種々の問題については、このことは一つ一つ大切にしながら、間違いが起きないように進めていきたいと、このように考えているところでございます。
  29. 米長晴信

    ○米長晴信君 これについては文科省の方にも一つ質問を用意していたんですけれども、ちょっと時間がないので。  意見として、もう本当にその方向で進めていただきたいんですけれども、ただ、無理して百二十万人の全国の子を一斉に対象にするというよりは、私が視察した道志村自体は、村全部を合わせても一学年二十人いないような小さな村で、毎日が共同生活で毎日が農村生活であって、そういう子たちが無理してほかのところに行くというよりも、やはりこれはグリーンツーリズム的に、都市部の子供をしっかりと田舎が受け止めると。必ずしも全国一斉にという数だけのことでなくて、そういう一個一個モデル地区を増やして育てながら確実にやっていった方がいいんじゃないかなと。  これまだ四年間の猶予がございますんで、私はそういう方向で進めていただきたいという希望を申し上げまして、最後一つだけ。  先ほど中国の輸入のお話をしましたけれども、今度、輸出の方なんですけれども、これ幾つかの質問をまとめて一つにしてお伺いしますけれども、中国への輸出では、現状では植物検疫の規制が厳しくて、果実ですとリンゴとかナシに限られているということですけれども、この部分の中国との協議がどうなっているのかということと、あと台湾向けの桃やブドウの輸出、これを私の出身の山梨県では十八億円から三十八億円に五年間で増やしたいというようなプランを出しているんですけれども、やはり検疫等の規制が厳しくてなかなからちが明かないということなんですけれども、我が国産の高品質の果樹を中心とした作物の輸出について、現状と所感をお願いしたいんですけれども。
  30. 佐藤正典

    政府参考人(佐藤正典君) 御説明を申し上げます。  委員お尋ねの中国との植物検疫の協議の現状につきまして御説明いたします。  日中間の植物検疫分野におきましては、日中両国それぞれが輸出を希望する品目につきまして、病害虫の侵入を防止するための検疫条件につきまして技術的協議を行っているところでございます。我が国からは精米、桃、ブドウ等の農産物の解禁を要請してきたところでございます。このうち、日本産の精米の中国向け輸出につきましては今般恒常的な輸出条件が確立したところでございまして、その他の品目につきましては、現在、我が国の提出した要請内容につきまして中国側で技術的検討が行われているところでございます。  我が国として、引き続き中国側に対して速やかな検討を促すなど、技術的協議の促進に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  31. 米長晴信

    ○米長晴信君 今、中国の富裕層はもういいものだったら高いものでも買うというような方向がありますんで、いろいろ工夫をして輸出に取り組んでいただきたいとお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  32. 牧野たかお

    牧野たかお君 自民党の牧野たかおでございます。  今日は、まずは農地面的集積化について伺いたいと思いますけれども、国の農政の大きな指針の一つ農地の面的な集積化も入っていると思いますけれども、平成十八年度の統計でいきますと、国土の一三%、四百六十七万ヘクタールが農地でありまして、これはすべての農家二百八十五万戸で割ると、一戸当たり一・七六ヘクタールになると言われております。  ずっともう何年も前というよりか、もう何十年も前から農地の集積化というのはこれは進められてきたと思いますけれども、それで、そういう集積が進んでいるだろうとは思いますが、実際にどの程度進んでいるかということを資料というかデータをもらおうと思いまして農水省に求めましたけれども、それを全国ベースで表す資料が出てこなかったものですから、これは意外だったんですが、その予算を使った集積化政策の成果というのを検証、今のままじゃできないと思いますが、この点についていかがでしょうか。
  33. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 農地の集積状況に関します御指摘でございますけれども、私ども従来から把握しておりますのは、いわゆる農家一戸当たり経営耕地面積あるいはこの階層規模別の面積ということでございますけれども、御指摘のとおり、これはあくまでも数値的な情報でございます、平均レベルの数値ということで。じゃ具体的に面的にどの程度集積をしているのかということになりますと、個々一筆ごとの農地と実際に経営している農地との間でどのような関係になるかということで、サンプル的にはたしか御説明をさせていただいたとは思っておりますけれども、そういった個々の農地すべてについて一筆ごとに把握をしているものではございませんでした。これは当然のことながら技術的な問題等もあったわけでありますけれども、やはり今後、面的集積をきちんと推進をしていく際の基礎資料にもなるわけでございます。  従来から、農地情報につきましては、地図情報とそれから数値情報、これをきちんと結び付けていくということでGISシステムの活用等行っていたわけでありますけれども、今回、本格的にこういうような形、更にきちんとした面的な面積集積を行うためにもこれを強力に推進をしていくということで、本年度から、この農地情報の的確な把握を中心とするということで全市町村を対象にGIS化の取組を集中的に行うということに取り組んでいるところでございます。
  34. 牧野たかお

    牧野たかお君 データベースを今年からやるということで伺ったわけでありますけれども、是非、それがないと本当に予算を使ってそういう政策を進めていて、効果はもちろんあるんでしょうけれども、それを検証しなきゃいけないというのが私はやっぱり大切なことだと思いますので、その農地のデータベース化を早く進めていただきたいと思います。  それで、これ、今度は、私が現場で聞いた話なんですけれども、面的整備をする。農家の場合は、前に森林のときも申し上げましたけれども、それと同じように、まとまって農地を持っていらっしゃる農家というのはなかなか少なくて、こっちに何反、こっちに何反というか、そういう感じで分散をしている農家が多いと思いますけれども、そういう中で農家として自助努力で農地を集積しようとしている方たちもいっぱいいます。  そういうときに問題になってくるのが、伺ったところ、農地の登記費用と測量費用というのが今すごくかさんでいるらしいんですが、現在は、その該当する農地を例えば農家同士が交換分合しようとしたときには、該当する土地だけじゃなくて隣接する土地まで測量しなければならないということで、これは筆の大きさ、面積とか地目にかかわらず、大体一回当たり数十万の費用が掛かるそうなんですよ。それで、それについての今のところ国の制度でも支援策がないんですが、私は、やっぱり農地を面的に集約していくためには、こういったところにもちょっと配慮をしていかないとなかなか面的なその集約というのは進んでいかないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  35. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 面的集積につきまして様々な政策的な推進策を講じております。これのやはり一番大きなものは多分二点ほどあるかと思っております。  二つほど大きな推進方策ございます。一つは、現状の土地の状態のままで、いわゆる土地を貸し借りしていく。担い手に対して周辺の農家、様々な事情であるわけでありますけれども、土地を貸していくということが、まず第一点。それから、もう一つは圃場整備。いわゆる土地の区画形質を、水田なら水田で一定の区画にして大規模な機械化耕作ができるように土地基盤を整備をしていく。その際、当然土地をいじりますものですから、当然のことながら新たな区画に応じた筆の設定を行って、そこを例えば換地処分を通じて担い手に周知をしていくというようなことだろうと思います。  委員御指摘の、例えば測量等の場合でございますけれども、通常の貸し借りの場合であれば、大体一筆の土地の面積分かっておりますので、これについて測量を新たにしないと貸し借りが行われないということではないと思います。一方、土地改良事業、これはもう当然工事が伴いますので、区画形質あるいは面積自体も変わります。したがって、そういった場合には測量経費も必要になります。また、当然のことながら登記も新たに設定をし直さなきゃいかぬということになります。その場合には、基本的には、この土地改良の事業に対します補助の対象という中で、補助対象経費の中で、この測量経費でございますとか、あるいは登記等の費用についても見ることとしております。  ただ、例えば、本当に自主的に交換分合ということも事実上ないわけではございませんけれども、ただ、その場合に、あえて、よっぽど測量等どうしても必要な場合であれば、これはすべてではございませんけれども、プロジェクト交付金等の中で、どうしてもそういう場合、必要であれば見るというようなこともさせていただくような方式もございます。  いずれにいたしましても、集積に対しては生産現場の様々な課題を踏まえて、いろいろこれまでもやっていましたけれども、その助成についてより効率的に進めたいというふうに思っております。
  36. 牧野たかお

    牧野たかお君 おっしゃることは分かりますが、要するに、結局すべての農家を対象にとかすべての農地を対象に圃場整備ができるわけじゃないし、また、要するに、農家の場合は、前にも申し上げましたけれども、なかなか土地に対する所有意識というのがすごい強くて、だからなかなか貸し借りといっても、やっぱり貸すのは、確かに今制度的には要は相手のものにならないというふうにはなっておりますけれども、それでも意識の問題でいくと、なかなかそれがどうしても、自分の農地は自分で持ちたい、農家も新しく農地を増やすにしても、できることならば自分の農地としてまとめて一つの、水田にしても畑にしても、自分のものとして使い勝手がいいようにしたいというのは、これは農家の意識として私は潜在的にあると思うんですよね。  だから、そういった部分も全く無視は私はできないと思いますし、大きな事業をやるのと同時に、それとは別に、そこに当てはまらないような農地についても何らかの支援策を考えていかないと、日本全体の農地の集積というのはなかなか進んでいかないんじゃないかなというふうに思います。これは意見で言っておきます。  それで、時間がどんどんなくなっていきますので、石油高騰対策はちょっとやめます。  鳥インフルエンザに参りますけれども、これは、今強い毒性の鳥インフルエンザの感染した野鳥が最近また国内でも確認されましたけれども、これは野鳥から鶏、またペット、そういったものの感染が心配をされますけれども、最終的に一番心配されるのは人体への感染でございまして、これは一つの家畜の感染の病気というふうに考えるよりも、やっぱりこれは私たち人間に対する大きな脅威と考えるべきだと私は思っておりますが、ところが、現状の対策でいうとまだまだ十分ではないなというふうに感じるところもございます。  まず、養鶏農家が要するにそういう野鳥の侵入防止ネットを整備しようということを考えたときに、現在の制度ですと、組合だったり集団だったりということであれば助成制度が適用されるんですけれども、個々の養鶏農家がそういう感染を防ぐための防御ネットを張ろうとしても、今対象になっていないんですよね。それで、私の静岡県の中で見ると、やっぱりそういう養鶏場というのはふんが臭いから、だんだんだんだん山の奥の方にというか、人里離れたところに移っていくものですから、隣の養鶏場といってもかなり何キロもあって、なかなか一緒に共同でネットを張るとか物理的に一緒に張るとかということもできないでしょうし、また、やっぱり養鶏農家はなかなか個々で営農している方が多いかと思いますけれども、そういうこれは養鶏農家の、何というんでしょう、その事業を助成するというよりも、本当に防がなきゃいけない第一歩としてここで止めなきゃいけない重要な私はポイントだと思うんですが。ですので、ほかのものとちょっと違って、この鳥インフルエンザの対策として私は個々の養鶏農家の防御ネットを助成対象にしても私はいいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  37. 佐藤正典

    政府参考人(佐藤正典君) 御説明を申し上げます。  昨年末でございますけれども、農林水産省から都道府県に対しまして、全国の一千羽以上を飼養する養鶏場につきまして、飼養衛生管理状況の立入調査を行うように要請したところでございます。その結果によりますと、既にほとんどの養鶏場で適切な飼養衛生管理が行われていることが確認されたところでございます。残りの養鶏場につきまして、農林水産省から都道府県に対しまして、先ほど委員から御指摘ありましたような防鳥ネット、これの整備等の改善を指導するなどの要請をしたところでございます。  防鳥ネットの整備につきましては、国から引き続き、食の安全・安心確保交付金ということで、農場三戸以上から形成されます生産者集団に対して支援を行っているところでございます。個別の農場、先ほど申しました集団というのは距離的な制限というのはないんですけれども、個別の農場が購入する等の際に必要となる資金につきましては、これは農業近代化資金とかあるいは農林公庫資金などの低利の融資の枠を用意しておりまして、こういったものも利用して整備を進めてもらいたいということで都道府県を通じまして指導しているところでございます。  いずれにしても、本病の侵入防止、大変大切でございますので、万全を期して対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  38. 牧野たかお

    牧野たかお君 私の申し上げたことを今おっしゃっていただきましたけれども、私が指摘しているのは、ほかのものと違って、これは本当に、最終的には私たち人間に感染するのが一番恐れられる、言うならば人間の伝染病と同じふうに考えた方が私はいいと思うんですよね。  ですので、これを一番最初の段階で、養鶏場で防ぐというのは、養鶏場のためにやるというよりも私たち日本人のため、またもっと言えば日本社会のためにやることでありますんで、私はそこはもう、そういう集団じゃなきゃいけないというのはもう撤廃しちゃって、事業への助成じゃなくて、これは本当に感染を防ぐための予防策として、これはもうすべての養鶏場、その一戸一戸やることを認めちゃった方が、認めちゃった方がいいというよりも、認めないといざというときにまずいんじゃないかなと思って今私は申し上げているところでございます。  それと、次に関係するんですが、前にやっぱり京都で鳥インフルエンザが発生したときに、そこの養鶏農家が、養鶏農家というよりか大きな会社でしたけれども、浅田農産だったかな、要するに、それが発生したことが分かっちゃうと全部鶏を処分して多大な損失を受けるということで隠しちゃって、それが感染原因になったんですが。  これは確かにやってはいけないことでありますけれども、ただ、養鶏農家、養鶏の会社でもいいですが、そういうところからすると、やっぱりこれは、鳥インフルエンザというのは自然災害でもあるし、また、その感染をそこで食い止めるということは、今申し上げたみたいに社会に対して公共的な、要するに自分が犠牲になってもやるということでありますんで。  私は、もし発生した場合の、今あるのが、鶏舎の固定費とか経営再開までの、一部だと思いますけれども、そういう経費が家畜防疫互助基金というところから支払われているみたいなんですが、どうもいろいろ聞いてみると、休業補償全部が賄えるわけじゃないみたいで。例えば、今の養鶏場なんかでも、単位が大きい、何百万というところもあるんですが、飼っている鶏が、そういうところというのは従業員の方もかなりいるところなんですが、発生してから再開できるまでの間のそういうすべての休業補償というのは今のところまだ整備をされていないというふうに伺っているんですけれども、私は、感染を食い止めるこれも一つの方法でありますけれども、やっぱりそういうところの体制をちゃんとしないと、人間の良心を疑ってはいけませんけれども、前と同じようなケースが出ないとも限らないものですから、そういうところは、私は、くどいですけれども、これは単なる家畜の伝染病と考えずに万全の体制をやっぱり考えるべきじゃないかと思いますけれども、いかがでしょう。
  39. 佐藤正典

    政府参考人(佐藤正典君) 御説明を申し上げます。  家畜伝染病ということで、発生農家に対しまして、鳥インフルエンザ、高病原性の鳥インフルエンザの発生の場合も含まれているわけでございますが、殺処分した家畜への家畜伝染病予防法に基づく手当金の交付ということがまず行われるわけでございます。患畜に対しましては評価額の三分の一、それから疑似患畜に対しましては評価額の五分の四が手当金として交付されます。それから、経営の再開に必要な家畜の導入あるいは飼料の購入等に要します資金の低利融資というものが家畜疾病経営維持資金ということで用意されているところでございます。  また、委員説明にもあったところでございますが、経営を再開するために新たな鶏の導入等を支援する家畜防疫互助基金ということでございますけれども、国から二分の一の助成を措置しているところでございます。この互助基金におきましては、農家の経営再開を支援するということで、経営再開されるまでの間の家族労賃、それから雇用労賃、これは雇用労賃の二分の一でありますけれども、などの一定の経費を含め、その経済的な損失を経営支援互助資金として交付をしているところでございます。  万一、高病原性鳥インフルエンザが発生しました場合には、こうした家畜防疫互助金あるいは家畜伝染病予防法の手当金あるいは融資といった、こうした経営支援措置を適切に運用いたしまして発生農場の経営再開が円滑に行われるよう対応をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  40. 牧野たかお

    牧野たかお君 そうやって何分の一、二分の一とか三分の一とか五分の四とかあるんですが、早い話が、何回も言うようですけれども、この鳥インフルエンザの感染というのをどういうふうに見るかなんですけれども、これは私は自然災害の被害者だというふうに養鶏農家については思った方がいいと思いますよね。その上で、さらに自分のところだけで被害を食い止めて、外に感染を広げないということでその養鶏農家は犠牲になるわけですから、私はほかのものとちょっと扱いが違うべきじゃないかなと思っているんですよ。だから、これは極論で言えば、その損失というのは国が一〇〇%全部補てんしてもいいと私は思っています。それぐらいやらないと、いざというときの、私はこの被害拡大が防げないんじゃないかなと、そういう心配をしているところです。  それで、最後、この件について大臣伺いたいんですが、実はこの件を調べていたら、発生をした鶏は直ちに処分をしなきゃいけないんですが、それが過去の例を見たり、また今現在の制度を見てみますと、結局は各市町村とか市町村の広域の事務組合なんかでやっている一般廃棄物の焼却場、そこで処分するのが一番早く処理できて、しかも感染を防げるということなんですが。  実は、何回も自分の県のことを言って申し訳ないんですが、静岡県で、もし発生した場合、大変なことになりますので、各市町村に、そのときには市町村の焼却場を優先的に貸していただけませんかというんで全部回ったそうなんですよ。ところが、必ずしもいいですよと言った市町村ばっかりじゃなくて、そういう感染した鶏を自分の市や町の焼却場で処分するのはやっぱり市民感情として余りいいとしないだろうという、そういう予測の下に、そのときまでは返事ができないとかそういった答えが結構多かったらしいんですけれども、私は、こういう鳥インフルエンザのような、家畜であり、またそれから更に毒性が強いインフルエンザになって人間に感染するおそれがある伝染病というのは、これは法律で、発生したときには市町村が処理をするというようなことを私は義務付けないと、そういうときにトラブルが起きたり、また、そのときに適切に処理できなかったために被害拡大したりということがあってはならないと思っております。  ですので、発生時のまずは即応体制として、家畜伝染病の予防法で義務付けるようなことが可能かどうか私も分かりませんけれども、そういったことも検討なさった方がいいんじゃないかなという気がいたしますが、大臣、いかがでしょう。
  41. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 高病原性鳥インフルエンザに感染した鶏の処理の問題でございます。このことについては、国が防疫指針、家畜伝染病予防法に基づくものですが、防疫指針というのを決めておりまして、家畜防疫員の指示の下で、原則として、その処分すべき鶏の所有者が焼却又は埋却、埋めるということですね、これを行うことを原則とし、これが困難なときには発酵という方法による消毒、これは発酵による消毒というのは、堆肥を作る過程でふんの中で熱が出ますが、その熱の発酵によって六十度ないし八十度の熱を利用して消毒をするというような発酵による消毒方法を行うことができるというふうにしているところでございます。  これ、移動させることをできるだけ少なくした方がいいんですね。だから、焼却場に持っていくのも、もちろん焼却場で焼却してもいいんです、受け入れてもらったら焼却してもらっていいんですけれども、できるだけ移動を少なくして、その病気にかかった鶏のその近くで穴を掘って埋めるとか焼却するとか、そういうことの方が広がりを防ぐという意味で非常に有効だというふうに考えているわけでございます。  今、静岡県下の一般廃棄物処理場の処理の受入れ状況のことをお話がございました。私の方も聞いてみましたら、受入れ可能だと言ったのが富士宮市始め六市町、焼却炉の構造上これは受け入れられないと言っているところが二市町、それから、受け入れできないと、まあいろんな事情があるんでしょう、受け入れられないと言っているところが五つの市であると聞いております。  ですから、確かにそういういろんな事情の下で受け入れられないということがあるんですけれども、原則は、今申し上げましたような処理方法が最も望ましいということで対処しておりまして、この防疫指針では、埋める、埋却又は焼却を行う場合のその場所の選定に当たっては、所有者そして関係者が事前に協議をするという仕組みにしてありまして、具体的な処理方法について、一義的にもう義務付けてどこへ持っていくというよりも迅速にその近くで処理をすることの方が適当だというふうに考えておりまして、そういう意味では、しかしそうは言っても、大量に出てきた場合には大変なことになりますから、移動可能な形の組立て式の焼却炉の開発とかその整備ということをやることにしておりまして、処分する鶏を円滑に処分場に輸送するために必要な今度は密閉容器なども整備して備蓄しておいて、ほかに散らないような形で輸送できる体制もその中の選択肢の一つとしては検討をしていくということにしております。  どうも、一般焼却施設、まあ大体自治体が経営しているんですが、そこに義務付けるというのは、今、私はいかがなものかという意味で考えておりません。
  42. 牧野たかお

    牧野たかお君 義務付けというのが本当に適切かどうか私もまだ分かりませんけれども、ただ、本当にいざというときのための、私は何を申し上げたいかというのは、あの防御ネットから今の処理のことについてもですが、要は本当に万全な体制を取っていただけないと、本当に発生したときに、それが更に被害拡大して、鶏だけじゃなくて人体にもし感染するようなことになったらこれは本当に大変なことだと思っておりますんで、そういう意識で、厚生労働省と共同しながらその体制をとにかく検討していただきたいということでございます。  それでは、時間がなくなりましたんで最後の質問にさせていただきますが、最後は永年作物の話をさせていただきます。  永年作物といってもお茶とミカンの話ですけれども、お茶がおいしい、ちょうど一番茶が出ているころでございまして、早く委員会でもそこにお茶を置いてくれないかなと思っておりますけれども。  そのお茶の中の話でいうと、実は国の方の交付金の制度でありますが、お茶というのもミカンというのも植えてから大体五年ぐらいは収穫ができません。それから大体三十年から四十年、収穫があるわけですけれども、だんだんこれがやっぱり、今、各産地、これは静岡だけじゃないと思いますけれども、木がどんどん老齢化していきまして、要は、取れるものがなかなかその新しい木から取れるものと比べればやっぱり味も落ちてくるし、収穫量も減ってくるということで、ちょうど改植の時期になっているところも多いかと思います、静岡県は特にそうなんですけれども。  それで、今の強い農業づくり交付金制度というのは、お茶にしても、同じ品種に植え替えるとそれは対象になりません。例を言うと、静岡県は実は、鹿児島のお二人もいらっしゃいますけれども、「やぶきた」という品種が九二%を占めています。これは静岡県のもうお茶のブランドとして本当にその柱の部分として「やぶきた」がそれを担っているわけですけれども、同じ品種から、四十年たったりしたその茶樹をまた「やぶきた」に変えようとしても今はその対象に、同一品種は対象にならないというのがこの強い農業づくり交付金制度なんですけれども、私は物によっては、幾ら新しい品種普及させようということも分かるんですが、物によってはもうそれしかないというものも私はあるかと思います。ですので、この同一品種が駄目というと、もう静岡県でいえばお茶の振興というのはほとんど不可能になりますので、私は、農家として次の世代につなげていくためには同一品種の要するにそういう植え替えなんかもこういう交付金制度の対象とすべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  43. 内藤邦男

    政府参考人内藤邦男君) 済みません。強い農業づくり交付金の話でございますので、私の方から答えさせていただきます。  これは委員御指摘のように、今、交付金の対象にしておりますのは、産地ぐるみで行います茶やミカン優良品種への導入に対する改植費用等の支援でございます。  品種転換を伴わない同一品種への改植は、果樹の矮化栽培の導入、これが例外でございますが、それを除きまして交付金の対象とはしていないわけでございます。これは、優良な新品種転換をしていくというのはリスクが伴います。他方、消費ニーズに対応したお茶やミカン供給体制を構築する、あるいは産地全体として優良な品種をバランス良く組み込むということによりまして、まず気象災害に対するリスクの軽減が図られます。それから、荒茶加工場等の共同利用施設の稼働率も向上することが期待できます。それから、収穫期の分散などによる規模拡大にもつながります。こういった産地の体質強化が図られるということから、国としても交付金の対象としているところでございます。  なお、委員御指摘のように、静岡県のお茶の振興につきましては、私ども、静岡県の茶業振興基本計画というものも確認してみましたけれども、県の方も「やぶきた」の導入率が九〇%以上であって、今後、わせ品種あるいはおくて品種というものを積極的に導入して、これをバランス良く組み合わせることで茶工場の稼働率を向上させるという振興計画も立てておりますので、こういった形での、私ども、県の計画に沿ったような支援を行っていくことがいいのではないかと考えております。  他方、御指摘のように、申し訳ございません、ちょっと繰り返しになるようで。同一品種への改植というのは品種転換を行う場合に比べましてリスクは小さいわけでございます。それから、収穫等の作業、それから共同利用施設の稼働のピーク改善にも結び付きにくい、あるいは、いわゆる施設の更新については補助対象としていないという施設整備の考え方との整合性などから、私ども交付金の対象とすることは困難であると思っておりまして、その点御理解いただきたいと思っております。
  44. 牧野たかお

    牧野たかお君 もう時間ですので終わりますが、正直言って、今のお答え、全然お茶のことを分かっていないと思います。  お茶というのはいろんな品種を混ぜて最終的に商品にするわけですけれども、その一番のメーンが静岡県の場合はこの「やぶきた」なんですよ。たとえほかの品種を入れていくにしても、静岡県のお茶の中で「やぶきた」品種がこれから、じゃ九二%から五〇%になることは絶対ありません。ですので、下がっていろんな品種がこれから加わるにしたって、あくまでも幹の部分は絶対「やぶきた」なんですよ。そういうところをちゃんと振興していかなければ、そういう農業というのは続けられなくなってしまう。だから、私は一回、担当者も、事前に話をしたときに、正直言って、全然お茶のことを分かっていなかったですよ。
  45. 郡司彰

    委員長郡司彰君) まとめてください。
  46. 牧野たかお

    牧野たかお君 だから、もうちょっとそこら辺は現実的なところの部分を見ていただきたいというふうに申し上げて、また次の機会に質問させていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  47. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合です。  先週に引き続きまして、食料価格高騰問題の関連質問をさせていただきたいと思います。  この食料価格高騰問題につきましては、我が国としてもこれは当然国益にかなう取組課題でございます。また、国際社会の中でも先頭に立って取り組むべき課題であります。しかしながら、国内を見てみると、いろいろな意味で矛盾に近いような問題がございます。その一つが深刻な食べ残しの問題であります。  日本国内の食品廃棄物が約一千九百万トンでございます。年間の米消費量が八百万トンぐらいでございましょうから、相当大きな、大量な規模であります。この一千九百万トンというのは、二〇〇四年、世界食料援助をした、その食料援助量の重量ベースでいいますと三倍にも上る大量の廃棄物が出たということであります。熱量ベースでは国内では供給された量の約七割ぐらいしか実際口にしていないと、あとは廃棄されているという計算になっているそうであります。  その一方で、食べ残ししている割にはその一方で国内でメタボが進行しているという、何かよく分からない矛盾が生じております。今は地球温暖化対策ということで省エネということが盛んに言われておりますけれども、昨日の読売新聞なんかにはもう省フードといったことも考えなきゃいけないんじゃないかというふうに指摘されておりました。  例えば、食品加工、いわゆる業界から出る産業ごみについては肥料、飼料としてしっかりエコフィードみたいな形でリサイクルしていくという、有効に活用していくということをまずもって進めていくことが大事だと思います。  一方、家庭から出るごみというのが腐敗とか異物混入がありますので、なかなかそれを再利用していくというのは難しいということになってきますと、先ほどやはり食べ残しのそもそもの問題としては、食の何というんですか、生活というか、食生活の見直しもそうですし、そもそも世界を見渡したときに、食料危機で困っている人たちがたくさんいる中でこういう食生活でいいのかどうかということを真摯に反省する必要があろうと思います。  この食料の残渣の問題についてどう取り組んでいかれるのか、まずお尋ねをしたいと思います。
  48. 澤雄二

    大臣政務官(澤雄二君) 御質問の趣旨が二つあったと思います。エコフィードの取組とそれから食生活の見直し、無駄な食料を残さない、この二つだと思います。  最初のエコフィードの取組についてお答えをしたいと思っておりますが、エコフィードは、言うまでもなく、食料自給率の向上のみならず、最近、配合飼料価格高騰しております。この対応の上でも重要な課題だと思って、農水省ではその推進に努めているところでございます。  現状でありますけれども、農水省の調査によりますと、平成十八年度に食品産業から排出された食品残渣千百三十五万トンのうち、二二%の二百四十八万トンが飼料向けに現在利用されております。委員が挙げられました千九百万トン、それは委員自らもおっしゃっておりましたが、これは家庭用の生ごみもこの中には入っております。そして、この家庭用の生ごみは残念ながら現状では多くの異物が混入しているためにエコフィードの対象とはなっておりません。したがって、この家庭用の生ごみを将来どのようにエコフィードに活用していくかということは今後の大きな課題であろうというふうに思っております。  そして、昨年十二月に施行されました改正食品リサイクル法に基づく基本方針で、再生利用においては飼料化を最優先するということが決められております。これまでどういうことをしてきたかというと、食品関連事業者と畜産農家等のマッチングをしてまいりました。それから、食品残渣飼料化施設のモデル整備等をやってまいりました。これに加えて、今年度予算では、配合飼料メーカーと食品残渣飼料化業者が連携してエコフィードを生産拡大する取組にも支援をするというところを決めたところでございます。現在、飼料化でいいますと先ほど申しました二二%でございますが、五年後の二十七年度にはこれを四五%に引き上げていきたいと、このように考えております。  二つ目の御質問の食生活の見直しに向けた取組でございますが、もう委員御指摘のように、日本では食料が豊富に存在して、もったいないという、食べ物を大事にする気持ちが薄れてきております。このため、農水省では、国民の食に関する感謝の念や理解が深まり、食品を大切にする機運が高まるよう、食育を推進する中で様々な施策を実施しております。  具体的に申し上げますと、食生活の改善などを図るための指針として食生活指針が平成十二年に定められましたけれども、これに基づいて、これまでも、買い過ぎ、作り過ぎに注意して食べ残しのない適量を心掛けること、賞味期限や消費期限を考えて利用することなど幅広く広報普及活動を持続的に現在行っているところでございます。  また、命の大切さ、自然の恩恵、食にかかわる人々の様々な活動について理解を深めるための生産者と消費者との交流、教育ファーム、つまり農林漁業体験でございますが、先ほど話がございましたが、これも、大人も子供も農業漁業体験ができるという教育ファームを進めております。同時に、先ほど議論されておりました、一年間で百二十万の子供たちを農林漁業体験をさせるというプロジェクトも進めさせていただいております。  以上です。
  49. 谷合正明

    ○谷合正明君 もう一つ国内問題として、特異な事情というのが、実は米が余っている日本が米を輸入して、一方で今世界食料、米不足の危機になっているという問題がございます。  国内問題としては、我が国は言うまでもなく今農業者の減少であるとか耕作放棄地増大、米の生産過剰といった問題もあります。消費の減少といった問題もあります。これは政策的に対応することが重要であります。米はそういう状態で、じゃ、麦が国際価格が高騰しているので、農家が潤っているかというと、国内生産者の収入が増加しているわけではないということであります。  一方で、国際的な主要な食料である米、麦の需給逼迫して、麦、米の価格が急騰していると。現時点で、国内での農業問題と国際的な食料価格高騰問題というのは、ある意味別の観点からしっかり取り組んでいく必要もあると思います。しかし、別の観点といいましても、日本農業をしっかりと支え安定した営農が続けられるような施策と、現在直面している国際的な問題との整合性というものもしっかりこれ図っていくことが重要でございます。  例えば、何が言いたいかというと、もう少し米を作りながら世界的な問題にも対応していけるというようなメッセージを発信できないだろうかと。もちろん生産調整という具体的、現実的な課題はございます。しかし、例えば今年は胡錦濤さんが来られまして、中国への米輸出解禁という話がありました。米については一般の主食とは別の用途として、米の輸出促進をすることでこの世界的な問題にも、米不足の解消にもつながっていく、行く行くは、というふうに考えております。  こうした日本の国益と世界的な問題への対応について、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  50. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 日本のお米は本当に高いんですよ。なぜ高いかというと、技術は優れているんです。水田の基盤もかなりもう整ってきておりますから、機械も入りやすくなってきているんですね。非常に省力経営ができるようになっていますが、何としても、経営単位当たりの面積が小さいから、そしてまた圃場が分散錯圃でフルに機械が使えないというような状況の中で、私はコストが高くなっているというふうに思うんです。  ちなみに、もう委員も御承知のことですから申し上げますと、昨年ですね、昨年十一月、国がいろいろお米を買いましたね、備蓄用に。そのときがトン二十三万八千円なんですよ。しかし、実は、例えば台湾には輸出いろいろしていますが、台湾産の在来種はトン九万から十二万円ぐらいなんですね、台湾で。だから、台湾に輸出する、一番いっぱい実は輸出している先なんですけどね、台湾に輸出するといっても、台湾が今のようなことであります。それで、台湾産の日本品種の場合が、中には日本品種を作っています、三十万ないし四十万トンでいっていますから、輸送費を入れて何とか台湾には出せるのかなというようなことがあるんではないかと思っております。  中国は、十倍ぐらいの値段で売れているというふうに言われます。実は、私は昨年約一年掛かって中国と民民ベースの輸出ができるように努力をしてきました。温家宝首相ともそのことでお会いしましたし、向こうの植物検疫の担当の大臣とも非常に難しい交渉をしてきました。ようやく先般、胡錦濤さん来られるときに決着しようということで実務的な詰めをやって民民ベースの輸出ができるようになりました。  しかし、これは、輸出しているという部分は自給率の計算上はそれだけプラスに作用しますからおっしゃるとおりなんですけれども、中国側も見ておりますが、私どももそう思っていますけれども、これは期待しながら売り込んでいますが、富裕層の主として贈答用米に使われているんですね。一般にはとても、もしこれが民民ベースでいっぱい輸出するようなことになると、自給が下がって今のような価格じゃなくなると思いますけれども、しかし、どうでしょうかね、半分まで下がったとしてもなお日本のお米のベースでは難しいんじゃないかというふうに思います。  ですから、これからも日本食ブームがあります。そして、日本食ブームの基礎はやはり食材が日本のものであるということをレストランのシェフなどが言っておりますから、徐々に日本のお米というものがなじんでくるとそれなりの価格に見合った評価が得られるように徐々になっていくんじゃないかということを期待していますが、富裕層とか高級レストラン向けに今販売されるということからスタートをして、徐々に拡大をしていくことになるのではないかなというふうに思っていますが、これらは今後とも普及推進に努めてまいりたいと思っております。  民間ベースにおける米の貿易輸出というのは、台湾が一番多いんですけれども、次は香港、そしてシンガポールなどでございます。そういう意味で、これからも努力はいたしますが、世界的な今の穀物需給逼迫価格の高騰に何らかのお役に立つほどの量に行くには程遠い状況にあると、残念ながらそう言わざるを得ないと思っております。  国内の水田を有効に活用していくということについて言えば、米がなじみやすいという意味でいけば、これから生産性上げながら、えさ用の米でありますとか、あるいはパン用の米粉によるパンだとかあるいはめんだとか、そういったような新規需要の方を開発をしていくことに力を入れたいと、こう思っております。
  51. 谷合正明

    ○谷合正明君 大臣の言わんとすることもよく分かります。その上で質問させていただきました。  来週は横浜でTICADⅣが、アフリカ開発会議がございます。そして、八月の洞爺湖サミットもこの食料問題が議題に上ろうかと言われております。六月上旬にはローマの食料サミットもございます。  先週は、私、同じ参議院のODA特別委員会の中で、参考人に来られたアフリカの大使であるとか、あるいはJICAの理事長の緒方さんから、いわゆるアフリカの農業問題についての話を聞く機会がございました。もちろん緊急支援的な対応ということはあるんですけれども、それ以上に、いわゆる中長期的な観点でアフリカの農業開発を支援していくということが大事ではないかという話もございました。  例えばネリカ米、これはニュー・ライス・フォー・アフリカですけれども、こういったネリカ米の品種改良であるとか、そのためにネリカ米だけやってもしようがないです、インフラ、かんがいだとか流通とかあるいは、食料を運ぶための道路も実際アフリカも整備しないと効率のいい流通ができないわけでありますが、ところで、農水省で約五十億円、ODA予算を持っております。ODAは外務省とかJICAが基本的にやっているものだと思っていたんですけれども、農水省も五十億円持っていると。一体何をやっているのかよく分からないというふうに指摘されております。実際、この五十億円を有効に使っていく必要があろうかと思います。  私は、今回質問させていただきますが、実際に農水省のODAのメニューの中にも農業、農村、貧困問題への対応というのがあろうかと思いますが、農水省として一体何を今後されていきたいのか、この対応についてお伺いしたいと思います。
  52. 吉村馨

    政府参考人(吉村馨君) 委員御指摘のとおり、今年はTICADⅣ、それからFAO、サミットと、そういった重要な会議がありまして、アフリカの農業開発という問題は非常に重要なテーマになってくるというふうに考えております。そういう中で、アフリカを始めとする多くの開発途上国においては農林水産業が基幹産業になっておりますので、農村の開発や貧困の削減を図っていく上で農林水産業の振興が極めて重要であるというふうに考えております。  農林水産省といたしましては、先ほど委員が御指摘になりましたネリカの開発、こういったもの、それから、そういった品種普及、それから、かんがい整備、流通や水管理のための農民の組織化、人材育成等の取組、こういったことをこれまでもやってきております。今後とも、こういったことを通じて農業生産性向上、生産拡大支援していくことが重要であるというふうに考えております。  もちろん、これは私どもだけではできませんので、今後とも外務省やJICAなどの関係機関と連携しながら、我が国が有する技術を活用した協力を通じて途上国発展に貢献していきたいというふうに考えております。
  53. 谷合正明

    ○谷合正明君 もう時間でございますので、最後、このODAの問題は、農水省だけじゃなくて、ほかの省庁もたくさんありまして、もっと効率よく、連携すればもっともっと食料農業問題に対応できると私は考えております。この点については、しっかりまたこれからも、どういう使い道をするのか等、この委員会でもしっかりと質問、追及していきたいというふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  以上です。
  54. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  今日は、ミニマムアクセス米の問題についてお聞きします。  平成十九年度の第十回MA一般輸入米の入札で、入札予定数量六万二千五百二トンのうち、四万一千五百二トンについては入札がなくて不成立、二万一千トンについては価格が高騰しているために価格が折り合わず不落札になったわけです。要するに、これは日本に米を売る国がなく、また売りたい国も価格が高過ぎて日本も買えない実態のためにミニマムアクセス米輸入ができなかったわけですけれども、その点、まず間違いがないかということと、この事態政府としてはどのように見て受け止めているのか、見解についてお聞かせいただきたいと思います。
  55. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) ちょうど政府ミニマムアクセス米で国際的な日本としての輸入義務を負っているものの義務を果たすための量を確保すると、それには輸入機会を提供するということでございます。その輸入機会の提供ということで、長粒種をベースにした、タイの米の価格をベースにしたお米を買入れをしようということで入札に入ったところ、今おっしゃられたような形でこれが落札できなかったと。  率直に言って、世界中でほかのお米がないかというと、私はないとは断言できないんですよ。しかし、我々は、今入れたMA米を国内消費することが前提ですから、入れたものを飼料用の米だとかあるいはその他の加工用に回すということを前提にすると、そういう長粒種の安いお米を入れたいという意味でそういう入札を掛けたわけでありますので、ちょうどアジアの方が二倍、三倍と高騰しているときでありますので応札が得られなかったということでございます。  そういう意味で、なかなかデリケートな話になるんですけど、全く世界で今、本当に日本が欲しいという逼迫した状況の中で米の買入れが難しくなっているというわけでも実はないと私は思っておるんです。
  56. 紙智子

    ○紙智子君 この事態というのは、現在の穀物価格の高騰、また世界的な食料危機問題の中で起こっている問題なわけです。  それで、世界的な米の価格は、麦や大豆小麦大豆トウモロコシ価格の高騰のレベルを超えるほど米について言いますと高騰しているわけです。  先ごろのミャンマーでサイクロンがありましたけど、この被害でミャンマーの米の主産地が甚大な被害を受けるということになっていますし、そういう中で一層価格高騰を招こうとしているということですね。それから、アメリカでも、スーパーなどで米の販売制限を行う事態になっているわけです。フィリピンでは、米が庶民の間に手に入らなくなっていると。そういう中で米不足が深刻な事態になっているわけですね。  こういうときに日本ミニマムアクセス米は義務輸入なんだとして輸入を続けるということになりますと、更なる価格の高騰を招くとともに、世界的な米の需給逼迫させることになるんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  57. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 米の市場というのは特殊性がありまして、麦や大豆などに比べまして、まずは生産量に比して貿易量が非常に少ないという特徴があるんですね。そういう意味で、少しの変動によって価格変動が起きやすいという状況がございます。  そういう状況の中で、今回、どうも投機的資金が大分入ったというふうに指摘する向きもあるんですけれども、異常な高騰ぶりを示しております。このアジアにおける米価格の今の状態の高騰ぶりというのが、他の小麦大豆などと同じように少し高止まりをするのかどうかということについては、まだはっきりした見通しを私たちは持っておりません。どのような状況になるか、しばらく様子を見てみなければ分からないと思います。  しかし、いずれにいたしましても、そのことによって大変途上国で貧困層の人たちが困っているという事情にあるわけでございます。そういう中で日本があえてここでそういう地域の米を買うということは価格を更につり上げるという、そういう弊害を生むわけでございますから、そういう国際的な米需給に悪影響を与えることがないように留意しなければいけないと思うのです。  だからといって、今後ともこれを中止せざるを得ない、中止しなければならなくなるとは思っておりません。
  58. 紙智子

    ○紙智子君 本来、このミニマムアクセスというのは輸入機会の提供ということなんですよね、輸入義務ではないというふうに思うんです。政府は、国家貿易だから輸入義務なんだと、義務だ、義務だということを言ってきたわけですけれども、そういう規定はそもそもWTO協定の中にはどこを見ても書いていないんですね。あくまでもやっぱり輸入機会の提供なわけです。だから、欧米などは未消化が多いわけですよね。こういう、だから根拠のない輸入義務に基づいてミニマムアクセス米輸入を強行して、この世界的な米需給を更に逼迫させてアジアの諸国民被害を与えるようなことは、これは中止することはないと言うんですけれども、やっぱりやめるべきじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
  59. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 今当面は見送っているわけでございまして、今のような価格高騰を招いている国際的な需給事情というのは十分留意しながら運用していくということだと思います。  だからといって、新年度始まっておりますけれども、二十年度におきますミニマムアクセス米我が国が国際的に約束をした輸入というものにつきまして、これを履行しなければならないという義務は一方で負っていることは事実でございまして、これらの国際的に約束をして負っている義務をいずれの機会かにこれを履行しなければならない状況というのは引き続きあるわけでございますので、国際市場の状況を慎重に見極めながら対処してまいりたい、このように考えております。
  60. 紙智子

    ○紙智子君 国際的に負っている約束はやらなきゃいけないというお話されるんですけど、しかし、この状況がやっぱりこれからどうなるかということについてはそう簡単にもう来年から、再来年から収まるというわけではないわけで、非常にそういう意味では不安定な中で、例えば、国際的な約束だというけれども、これは十八日の日経新聞ですけれども、EUなどはそういう大きな変化を踏まえて食料高騰に対応して減反政策を撤廃するということを今これ、ここは小麦ですけれども、そういう対応なんかも出てきているわけですから、今のやっぱり状況をとらえて考え直すべきではないかと思うんです。  それから、ミニマムアクセス米は、これ一九九五年の四月から二〇〇六年の三月末までの十一年間に全部で七百二十三万トン輸入されました。その在庫の経費には一千七百二十六億円です。援助用の仕向けのための国の負担としては九百十五億円ということですから、合わせますと二千六百四十一億円の税金が投入されたわけです。これが根拠のない義務輸入ということで、その結果、国民が負担しなければならなくなったものなわけです。こういうミニマムアクセス米の在り方というのはやっぱり見直すべきではないかと思うんです。  我が党は農業再生プランの中でこの義務的な輸入の中止を求めているわけですけれども、是非検討すべきではないんでしょうか。
  61. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) これは国際協定に基づいて国際約束として日本が負っている義務でありまして、検討して日本がいろいろ事情があるからやめたと日本が言ってやめられるような性質のものではございません。
  62. 紙智子

    ○紙智子君 このことは我が党だけが言っているわけじゃないんですよね。先日、五月十二日の日本農業新聞ですけれども、ここでは、MA米異変と、日本輸入、時代に逆行というふうに書いていて、焦って調達するのは禁物なんだと。しょうちゅうだとかみそだとか使われるMA米だけど、国内ではそもそも不人気で、在庫が百五十二万トンあって、一トンの保管に年間一万円掛かるので、保管料だけでざっと百五十億円だと。これ以上無駄なお金を掛けてはならないんだと。国際的な批判も呼ぶ可能性もあるんだということを日本農業新聞でも言っているわけです。  多くの生産者の中でもやっぱりそういう声が上がっている中で、絶対変えられないということじゃなくて、やっぱり協定そのものの見直しが必要になってくるところでは必要な見直しをすべきだということを申し上げまして、時間になったかなと思うので、終わらせていただきます。
  63. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  64. 郡司彰

    委員長郡司彰君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林漁業有機物資源バイオ燃料の原材料としての利用促進に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣地方分権改革推進委員会事務局次長坂本森男君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  66. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 農林漁業有機物資源バイオ燃料の原材料としての利用促進に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  67. 高橋千秋

    高橋千秋君 民主党の高橋千秋でございます。一時間お時間をいただきましたので、よろしくお願いをしたいと思います。  このバイオ燃料の問題は、いろいろ調べさせていただくと、技術的にはかなり歴史のあるもので、そう急に出てきたものではないなというのが改めて分かりました。随分前からブラジルの話やらいろんな話を聞かせていただいておりまして、これについては、基本的には賛成の法案でございますし、前向きに農業の分野で考えればやるべきことがたくさんあるなというのは理解ができますので、その視点で質問をさせていただきたいと思います。  土曜日に私の地元で我々民主党の政治スクールというのをやっていまして、土曜日に、私が塾長なんですが、農業問題、環境問題で半日、スクールをやったんですね。私もしゃべれということで、この農業問題全般にわたっていろいろ話をしました後で意見交換をしましたら、かなり多くの方からこのバイオ燃料に対するいろんな意見が出ました。多くは、非常に、日本とすれば、ほとんどの燃料を輸入している我が国とすればやらなきゃいけないと。ただ、疑念もあるという声が非常にありまして、その点をやっぱり留意していかないといけないなというふうに思うんですが。  冒頭に大臣にお伺いをしたいのは、この法案の目的、それから国としてこのバイオ燃料をどうしていくのかという姿勢ですね。このときに、バイオ燃料を主目的にしていくのか。要は、京都議定書の問題だとかいろいろあります。それから、これだけ燃料が、ガソリン等も高くなってくる中で、バイオ燃料という道もやっぱり探らなきゃいけないという、そういうバイオ燃料をどうやって使っていくかという問題と、もう一方で農業の振興という問題、この両方の視点でやっぱり考えなきゃいけないと思うんですが。  この法律そのものは、農水省という立場でいえば農業の振興ということが、両方だと言われるかも分かりませんけれども、農業の振興ということがやっぱり中心になっていくのかなとも思うんですが、大臣として、そして国としてこの法律を出すに当たっての一番の主眼となるところはどこなのかということをまずお聞きをしたいと思います。
  68. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 農林漁業に由来するバイオマスをバイオ燃料の原材料として活用するということは、委員が冒頭おっしゃいましたように、実はもう昔からの検討課題でありまして、このバイオマスはバイオエタノールに限らないわけですね。そういう意味では古くから取組が行われてきたものでございます。  そういうものをこの機会に一つ法律案として御審議をお願いをいたしておりますのは、まず第一は、農林水産物の新たな需要の開拓ということを目的にしております。そして、農林漁業における資源の有効な利用を確保すると、そしてそれらからバイオ燃料生産拡大によるエネルギー資源の確保に直接的につながる、こういうことを目的にしているわけでございます。このために、この法律案にありますように、直接的な目的を農林漁業の持続的かつ健全な発展というものとエネルギー供給源の多様化というふうにしているところでございます。  しかしながら、このバイオ燃料というのは地球温暖化防止にも資するという位置付けでありまして、本法に基づいてバイオ燃料生産拡大が図られることによりまして結果として地球温暖化防止にも寄与するというふうに考えているわけでございまして、このため本法案では、地球温暖化防止を図るための施策に関する国の計画と調和した基本方針を策定すると。つまり、地球温暖化防止を図るための施策というのがございまして、この法律に基づいて定めます基本方針を策定するときはそれと調和を図っていけと、こういうふうに定めまして、地球温暖化防止対策と整合性を持ってこの法律の施策を推進していくつもりでございます。
  69. 高橋千秋

    高橋千秋君 バイオ燃料ってどういうことなのかなと改めて見ますと、いろいろあるのはもう皆さん御存じのことで、さっき話出ましたバイオエタノールとかバイオメタノール、バイオディーゼル、バイオガス、それから、まきというのもそもそもバイオ燃料ですね。  先ほど、地球温暖化防止に、抑制に資するというお話がございました。京都議定書が結ばれまして、それを基にいろいろ世界中が動いているわけですけれども、いろいろ調べていくと、果たしてバイオ燃料普及させることが本当に地球温暖化抑制につながるのかどうかという疑念もあるという論文もかなり出ております。特にここ半年ぐらいのいろいろなニュースを検索していくと、それに対する疑念というのがかなり出ているのも、これは当然大臣も御存じのことだろうと思います。  その中で、先ほど申しましたように、このバイオ燃料、特にバイオエタノール等は、ブラジルでもう随分前からこのバイオエタノールで走っているんだという話は随分聞いていまして、歴史を見ると、早くから、燃料が高騰し始めたころにそのバイオエタノールというのができて、サトウキビ等、あの辺はそういう普及が出てきているわけなんですけれども、燃料が数年前までは、数年前というかもうちょっと前までは、オイルもバレル二十五ドルとか三十ドルとかそういう時代には、まあこのまま、またブラジルも元に戻ろうかなという動きもあったようにも聞いておりますけれども。  非常に長い歴史の中で、このバイオ燃料というのはずうっとつながってきておりますけれども、日本は意外とこのことに対して冷淡というか、冷淡と言うと語弊があるかも分かりませんが、余り興味を持ってこなかったように思うんですね。特にブラジルなんかでは、どの燃料でも走れる、いわゆるバイオエタノールでも走れるしガソリンでも走れるというような、そういう車がもうほとんど、七割から八割がそういう車だというふうに聞いていますけれども、遠い、何か本当、異国は当たり前ですが、遠い地の話という感じで、非常に関心が私は日本というのは低かったんだろうと思うんですね。  そういう中で今回こういう法案を出して、普及を、多分普及をしていこうということだろうと思うんですが、この法案をその中でどういうふうに位置付けていかれるのか。これを整備することによってどんどんバイオ燃料をこの国の中の基軸としていくんだというようなお考えなのか、やっぱり京都議定書の中で日本としてもどうしても整備をしなければいけない、そういうレベルの問題なのか、その辺のお考えはいかがなのかということをお聞きをさせていただきたいと思います。
  70. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) これはまさに、先ほど私が申し上げましたように、我々としては、農林水産物の新たな需要を開拓すると、新規分野の開拓だという、そういう認識がベースでございます。  そして、農林水産業における資源、資源は農場残渣でありますとか、あるいは規格外の通常商品にならないような、そういう低質の規格外の農産物でありますとか、そういうようなもののほか、森林、林地資源としていえば間伐あるいは林地残材といったような、そういうものでありますとか、そんなもの、地方にあります農林水産資源、水産関係でいえば藻などが、海藻類なんかもそうなんですけれども、そういうようなものを有効に活用をして、それに価値を付けて地域の資源として積極的に使っていくと、こういうことでございます。  それと、そのことが、これはエタノールだけじゃありません。委員もおっしゃられましたように、例えば畜産廃棄物なんかをメタンとして、そしてメタンガスを基にして発電をするとか、あるいはメタンガスをそのまま熱源として家庭、事業に使っていくとか、まだまだ有効に使える資源があると。  それから、木についていえば、間伐材などで、材木として使いにくいけれどもペレットにして使えるというような場合はペレットにして、しかもそれが燃えやすく利用しやすいというふうに加工することによって、今ペレット発電というようなものも実験的に出てきておりますし、ディーゼルなんかは昔からある話です。  そういう意味で、やっぱり農山漁村にある農林水産関係資源というものを有効に活用するということが基本のベースでございます。そこに視点が置かれていると。その中で、地球温暖化に資することが、温暖化防止に寄与するというような結果が出てくるということが期待されているというふうに位置付けております。  京都議定書の方はCO2、化石燃料の部分を置き換えていくということで目標を決めておりますから、そういうエタノールによって石油資源を置き換えていくという、そっちはそっちの目標でありますが、それに合わせてこちらで、農山漁村で作る新しい資源活用による燃料がそういう輸送燃料に代替可能であるという意味でそれなりの効果が出てくると、こういうふうに位置付けているつもりでございます。
  71. 高橋千秋

    高橋千秋君 その環境面については後ほどまた詳しく質問したいと思うんですが、今はまだ技術がそれほど成熟していないということもあって、現状では一リッターのバイオエタノール作るのに二リッターぐらい石油が要るというような現実もあったりとか、果たして本当にそれでいいのかということもあるんですけれども、当面、この中で目標とされている生産量というのが示されております。二〇一〇年に五十万キロリットル、二〇三〇年に六百万キロリットルという目標値が定められていまして、六百万キロリットルというと大体日本が今使う石油の約十分の一、一〇%ぐらいになるわけですね。かなりの量になっている。本当にそれだけのものが国産でできるのかどうかというのは大変難しいのかなという気もしないでもないんですが、この五十万キロリットルの方は、当面国産は五万キロリットルで、残りの四十五万キロリットルは輸入で取りあえずやると。それはまあ致し方ないところあると思うんですけれども、本当にこの最終、最終になるのかどうか分かりませんけれども、二〇三〇年の六百万キロリットル、これが果たしてできるのかどうかちょっと疑問もあるんですが、この目標達成に対して、この法律を作ることによって、それが本当に可能なのかどうか、それにどういうふうに寄与していくのか、その辺を簡単で結構ですので教えていただきたいと思います。
  72. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 二〇三〇年におきます六百万キロリットルというのは、革新的技術開発が行われ、そしてそれによってセルロース系の新たな資源というものがエタノール原料としてうまく使われていくというような事態を想定して、そういう状況をつくり上げていけばここまで行く可能性があるという意味で、そういう意味での目標といいますか、めどを農林水産省として定めたもので、これを政府としてそういう目標を定めたというような性格のものでは実はないのです。  昨日、私は、政府の中にあります総合科学技術会議というのがございまして、通常、私は委員じゃないんですけれども、特別委員として出席を求められてそこに出たんですが、その中に、脱石油社会の実現に向けた微生物の貢献について農林水産省の方が研究課題として提案をしているものが取り上げられまして、この革新的環境に資する、環境エネルギー技術革新計画というようなのがあるんですけれども、その中の環境エネルギー技術としてこの技術を位置付けるということで、大変革新的な技術として可能性が高いと。セルロースからすべてを発酵させるようなそういう酵母を開発をして、そして糖分とセルロース系へ分解してすべてをエタノール化するというような技術可能性が、先端の技術者全部集まった代表の人たちの中で紹介をされまして、これは地球的規模での新たな技術開発分野だというふうな紹介がございました。  だから、そこは経済計算でいきますと、今の時点の価格でいうとリッター当たり百円ぐらいでできなければガソリン代替、経済的にできない。これは補助金付けたりなんかすれば別ですけど、リッター当たり百円ということです。今とても実験室段階でセルロース系のものを見ますとリッター当たり百円にはなりませんから、それにはまだまだ技術開発の課題というのはいっぱいあるんですね。  そこに到達するには、まず糖分、セルロース系に行く前に糖分からエタノールを作るというそのシステムをしっかりとして、それをシステム開発する中で次に連続的にセルロースに入っていくというような研究過程が実証的に必要なんだというふうに言われております。
  73. 高橋千秋

    高橋千秋君 まさに大臣が今言われたセルロース系がどこまで普及するかが大きな私は課題だろうと思うんですね。  バイオ燃料の本とかそれから論文とかいろいろありまして、私も幾つか見てみますと、ここにも本屋さんで見付けてきたのは、「バイオ燃料で、パンが消える」という本が出ているんですね。ここのサブタイトルで「食べ物を暖炉にくべる時代が幕を開ける」と書いてある。まさにパンを何か暖炉にくべているような、これはちょっと極端かも分かりませんけれども、果たしてそれでいいんだろうかと。  今、後で自給率の話も聞きたいなと思うんですが、農業がこういう状況になってきて、今日の午前中の質疑にもありました、米の価格の問題、それからトウモロコシ小麦、それぞれ暴騰しているのは御存じのとおりです。午前中の青木さんの質問の中でも暴動が起きているという話もありました。  私はこの連休中にボルネオ島へ行ったんですが、そこの地元の新聞で毎日のように一面、二面に出てくる記事が米の価格、それから小麦等のそういう食品の価格暴騰の話が連日出ておりました。多くインターネット等を見ると指摘されているのは、このバイオエネルギー普及というのは、確かに環境の問題を考えればある一面いいのかなと。ただ、果たして、このまま食べ物をそういうことに回すということを普及してしまうということになると、これだけ人口がこれから増え続ける、二〇三〇年には八十億人を超えるという、八十五億人ぐらいになるというふうに言われていますけれども、こういう中で本当にこのままで普及させてしまっていいんだろうかという、そういう声もあります。  まさに、この食品価格の高騰というのはこのバイオエネルギー促進ということから来ているのではないかという、そういう声がたくさん出ているようですし、今日の新聞にも幾つかそういう指摘も出ておりました。そのことについて、大臣、どういうふうにお考えでございますか。
  74. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 国際的に、特にアメリカがトウモロコシ原料としてエタノールを生産するということを政策的にも進めたということで、急速にトウモロコシがえさとか食料に回るのではなくてバイオの原料として使われるようになったということが引き金になっているというふうに言う議論がございます。それは承知いたしております。カナダなんかでは小麦を使っているんですね。ブラジルは、委員が御指摘になったように、砂糖を使っております。  私も、連休を活用して、お許しいただいてブラジル行ってきましたけれども、非常に気合が入っていましてね。向こうの農牧大臣は、ブラジルの場合は、あそこは無限と言っていいほどまだまだ農用地、可耕地、いっぱい持っているということもありまして、大豆生産拡大しているんだよと、サトウキビの方も拡大していると。お互いにそれが競合して消し合っているような関係にはないと。そういう意味では、食料問題に関して言えば、ブラジルの砂糖から作るエタノールは無罪であるというようなことをしきりと強調していましたけどね。  ただ、そのときにブラジルの大臣も、今は砂糖から作っているんですけれども、日本は御承知のように宮古で実験していますのは砂糖を搾った後の糖みつから作っているんですね。さらに言えば、その糖みつを搾った後、またそのバカス、かすが出ているわけですね、それはセルロースを含んでいると。そういうようなものを原料にしてエタノールを作っていくということについて、日本は大変高い技術水準があるので、そういう共同研究をできないだろうかといったような話も出ておりました。  どこまで日本技術がそういう国際的評価を受けているのかというのはこれからの課題なんですけれども、先ほどもお話ししたように、総合科学技術会議においても革新的な新しい技術として日本がかなりこの研究に力を入れていこうという意気込みがございますし、そういうことがあるのかなというふうに思ったところでございます。  そして、私は日本型のバイオ燃料生産拡大対策と、こう位置付けているんですけれども、少なくとも我々日本は御承知のように食料と同じ原料からバイオエタノールを生産していく、これが食料の安定供給影響を与えるというようなことは避けていかなきゃいかぬということでございまして、そういう意味で間伐材でありますとかあるいは稲わら、農場残渣、そういったようなものを食料と競合しない形のセルロース系原料を活用したバイオ燃料生産すると。これを日本型のバイオ燃料生産拡大対策なんだということでアピールして、これを推進していきたいと、このように思っているところでございます。
  75. 高橋千秋

    高橋千秋君 まさに、先ほど大臣も言われましたけれども、いわゆる食料以外の部分、いわゆるセルロース系をなるべく使えるような開発を進めていくというのがやはり日本にとっては大きな課題だろうと思います。  ただ、思惑買いじゃないですけれども、石油があれだけ価格高騰してバレル百三十ドル近くなってくると、やはりそういうバイオ燃料価格もそれに釣られて上がっていく。先ほどのブラジルが悪くないんだよというお話があるかも分かりませんけれども、みんな思惑でどんどんどんどん動いていく経済の中で、やはり日本が余りそれに軽々に同じような調子で乗ってしまうというのは、大変危険ではないかなという指摘もあります。  私の知り合いが私の地元の三重県の亀山というところでセルロース系のバイオエタノールの実証プラントをこれからやりたいということで、今実は市に申請を出させていただいています。岐阜大学の応用生物科学部の高見澤一裕さんという教授がお見えになるんですが、この方の指導を受けながら、小さなプラントをあちこちに造っていく技術をもう既に開発をされていまして、実証プラントをこれからやるということなんですが、問題は、そういうセルロール系の方に対する、この法律はいわゆる農水省が出しているわけですから、やはり農業に資するということは当然一番の主眼のところがありますから、なかなか、農業以外と言ったらちょっと語弊があるかも分かりませんが、農業としてやっていくんだけれども、農業以外の分野からもその原料となるものを入れようとするといろいろどうも支障が出てくるというようなところもあって、農水省、経済産業省、環境省、それぞれの分野がそれぞれにいろんな研究もされていますし、いろんな法案を作ったり対策をされているというところもあります。  私は、是非、これ協力をするっていうことになっているんですけれども、やはり日本の今のいわゆる燃料の、エネルギーのことを考えれば、これは政府一体となってやるべきじゃないかなと。ここは農水省じゃないからこれは除外しますよとか、これは経済産業省のメニューに載ったから農業の分野は駄目ですよとかいうんではなくて、やっぱりいろんなことを包含をして一体となってやっていくべきではないかなというふうに思うんですね。是非そのことを農水大臣としてリーダーシップを取っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  76. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 委員のおっしゃるとおりだと思います。  このバイオ燃料推進当たりましては、関係省庁が連携をして、平成十八年三月に閣議決定したんですけれども、バイオマス・ニッポン総合戦略というものを決めております。それに基づいて着実に推進すると。このために各府省が一層の連携と機動的な対応を図るということが必要になってまいります。農林水産省が事務局となりまして、関係省庁、内閣府、総務省、文部科学省、経済産業省、国土交通省、環境省と、これらを構成員といたしますバイオマス・ニッポン総合戦略推進会議というものをこの下に置いております。  そのバイオマス総合戦略推進会議を設置し、ここで総合的な調整を図りながら進めていくということを意図しているわけでございまして、農林水産省としては、今後とも現場での円滑な取組が行われますように、各種補助事業などの関係施策についても関係省庁や関連のこれ民間事業も一緒に入っていただくというのはこれから推進する上に必要になってまいります。そういうことの連携を取りながら、バイオ燃料を始めとするバイオマスの利活用を進めていくべきだと考えております。  私、環境大臣のときに、大阪の、委員も御承知かもしれませんが、堺市で、廃木材、建築廃材、廃木材からエタノールを作るという実証、小規模ですけれども、これがもう竣工して稼働をしたんです、テープカットに行ってきたんですが。これは生木よりもちょっと難しいところあるんですけれども、この建築廃材のリサイクルというのが義務付けられているわけですね。あるいは、建築廃材の適正な処理、その適正処理の中で燃やしちゃうというんじゃなくて、できるだけ活用できないかということで、廃材を集めてくる業者と組みまして、廃材を硫酸でまず加工して、その後糖分を取り出してエタノール作って、それで車を動かすというそういう事業でございました。我々いろいろ考えているのも、今のこれも建築廃材ですから、国土交通省の言わば建築行政の川下の方の問題になってくるわけですね。  あと、これはエタノールではありませんけれども、廃棄物ですね、一般の、この廃棄物を活用したバイオマス利用の燃料化というのもあるんですね。そういう研究開発というものをお互いに連絡を環境省と取りながら進めるとか、まさに各省庁の連携がしっかりいかなければこれはうまくいかないというふうに思っております。
  77. 高橋千秋

    高橋千秋君 是非農水大臣としてリーダーシップ取っていただきたいと思うんですが、実際、私の地元で見させてもらったセルロース系のところは、雑草とかそういうものからバイオエタノールを作るという技術なんですね。かなりレベルの高いものだそうで、なるべく小さなプラントを幾つか造っていけば、例えばゴルフ場に一個ずつ置けば日本中のゴルフ場が油田になるという発想なんですね。  それだとか、私、昔、木曽川の堤防の草を刈る仕事をしていたことがあるんですが、一級河川ですね、あそこの川の雑草を全部刈るんですよ。当時は野焼きできたんです。刈ってそのまま火付けて、いっときその中にいた木造船が燃えて大騒ぎになったことがあるんですが、野焼きをしていました。ただ、今はもうそういうことも当然できません。  そうなると、今、例えば堤防の雑草を刈ったときのそういう草だとか、それからゴルフ場の芝、これ刈ると年間何トンって出るんですね。こういうものもそのままにしておくわけにいかないので、産廃として処分を、お金を払って処分をしてもらっているんです。こういうものを集めて例えばバイオエタノールにするという技術が大分できてきているようですので、そういうことにやっていきたいと。  ところが、これは農水省のメニューでいくと、そういう例えばゴルフ場の雑草だとか堤防の雑草というのはその農水省のメニューにはちょっと入れづらいという状況があるらしいんですね。これは農業に資するかというと、ちょっとなかなか難しいところもある。だけど、コスト面とか考えて、なるべく田んぼのできた稲わらやらそういうものを使っていくことになると、それだけではコストは合いませんから、そういうものも使えるようにしていってはどうかなというような意見もあります。  ですので、先ほども申しましたように、一つのところに限らず、やはりコストということも考えていかなきゃなりませんから、各省庁連携を組んでいただいて、やはり日本のバイオエタノールをどういうふうに普及をさせていくのか、作っていくのかということを、食料影響の出ないためにそのことを是非考えていただきたいなと、そのことは要望としてお願いをしておきたいなと思います。  ただ、問題は、これ先ほど申しましたように、草は産廃になってしまうと。それから、先日私は一般質疑のときに、鶏ふんの発電、鶏ふんから出るガスの発電のことをちょっと聞かせていただいたんですが、これ鶏ふんも、鶏ふんのままだとごみになる、産廃になってしまう。ところが、それを発電に使うということになると、先ほどの草と一緒で、草も鶏ふんもこれ燃料になるんですね。  それでいくと燃料になるんですが、ただ、その申請を、そういうプラントを造ろうと思うと産廃業者の資格を取らないといけない。確かに、それはみんな燃料に使うかどうか分からないからそういう資格を取らなきゃいけないのかも分からないんだけれども、こういう分野に限ってはやはりある程度、燃料に使うということが分かるのであればもう少し大目に見てやってもらえないのかなというふうに思うんですね。これは質問通告していないので答えられないかも分からないんですけれども、そういうことの特別枠みたいなものも考えていただくことによってもっとフレキシブルないろんな応用ができると思いますので、是非考えていただきたいと思うんですが、大臣、何かコメントございますでしょうか。どなたでも結構ですが。
  78. 由田秀人

    政府参考人由田秀人君) 今御指摘のような農林漁業有機物資源のほか様々なものが廃棄物に該当いたします場合に、この当該廃棄物がぞんざいに扱われるという可能性もございまして、生活環境の保全の立場から、廃棄物処理法では生活環境を保全するための必要な基準を定めておるところであります。  廃棄物を原料としましたバイオエネルギー生産施設を設置する際に、施設の種類や規模によりましては廃棄物処理施設として設置の許可の手続が必要となるわけでありますが、こうした手続を経ることは生活環境の保全の堅持とそれから当該施設の地域住民等からの信頼性の確保のために必要なものとは考えておりますが、御指摘のような点も踏まえまして、これらの手続につきましてはよりスムースに進むように、制度の運用をする自治体にまた要請をしてまいりたいというふうに考えております。
  79. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 実は、バイオマスタウン三百、全国で三百地区を募集しまして、今言ったいろいろな使い方があるわけですね、バイオマス。バイオマスという形でディーゼルの話もそうですけれども、メタンの燃料、家庭などでの、何といいますか、ガスとして使うということもありますね。そこで、今全国で手を挙げてもらって、幾つか手を挙げてきているんですね。地域としてそれほど大型の装置産業のようなものでなくてもできる、ある程度の小型のものでも対応できる、そして、地域住民がそれにかかわって廃棄物や何かもそこでバイオマス活用していくというような、そんな総合的なバイオマス活用構想で地域資源使っていこうということも始めているところでございます。  それから、先ほど六百万キロリットルの話ですが、我々が想定しておるものを申し上げますと、まず糖とかでん粉質、今そこから手を付けているわけですが、食料生産過程の副産物、今の宮古の場合もそうですし北海道で考えているのもそうですが、そういう副産物であるとか、あるいは規格外の農産物なんかのものというのは、そこから技術を蓄積するという意味でやりますけれども、これは全体の中で五万キロリットルという小さいことを想定しております。  しかし、今委員が言われた草なんかも含めて、草木類、草木系のものです、これは稲わらとか間伐、林地残材なんかも、草木系の方で百八十万から二百万キロリットルという規模のものを想定をいたしております。あと、木質系、間伐材とか、先ほど建築廃材、そういう間伐材の部分で二百から二百二十万キロリットルを想定しています。それで、腐食、食物の残渣、あるいは油、家庭用の油の後処理、そういうような廃油などの処理でバイオディーゼル燃料部分で十万から二十万キロリットル。新たな遊休地、遊休地というか、耕作放棄地や何かに新しい作物を、非常に簡易で生育のいいもの、そういうようなものの新品種の開発などで、資源作物といいますけれども、その資源作物について二百万から二百二十万キロリットルどうだろうかと。そういうことで合わせまして六百万キロリットルという構想を持っているんです。  これら進めようとしますと、どうしても関係省庁、由来はみんな、原料のほとんどは農林漁業由来なんですけれども、それを複合、総合してまとめていくには関係省庁との協力体制がなければできない、こんなふうに認識しております。
  80. 高橋千秋

    高橋千秋君 是非農水省中心で頑張っていただきたいと思うんですが、いろいろ資料を調べると、例えばホンダなんかも、ホンダがそういうのをやっているというのは意外な感じしましたけれども、そういうのをやったりとか、キリンだとか、そういういわゆる大手企業も今そういうことを研究をしているようです。  先日、私、都内である企業の社長さんというか若い方だったんですけれども、食事会でお会いしたときに、職業は何ですかと聞いたら、いや、都内で油田を掘っていますと言うんですよね。何のことですかって聞いたら、さっき大臣が言われたてんぷら油等を回収をする仕事をしていると。まあ確かに油田といえば油田かも分かりませんが、そのようなことをやっているベンチャービジネスの方もお見えになったり、それから、私が先ほど紹介しました地元の亀山でやろうとしているのもベンチャーでやろうとしているんですけれども。  さっき環境省の方からお話がございましたが、例えばプラントを造ろうと思うと、建築確認申請とそれから環境の方の申請と両方出すんですね。建築確認申請については、昨年のあの建築基準法の改正で随分許認可が遅れるという大きな問題がありまして、それ自体も大変なんですけれども、環境の方についてもなかなか認可が下りない。ところが、市としてもやったことがないものだから分からないんですね。環境省の方に問い合わせをしてもなかなかスムーズに、なかなか簡単にはいかないというようないろんな問題が、まだこれは取っかかりですから当然そういういろいろ試行錯誤もあって難しいところはあると思います。  これは、やはり食料影響を与えずにそういうバイオエタノールを推進をさせていく、これは日本にとっては大変重要なことだろうと思うんですが、そのためにはやはりそういう省庁の枠を超えて、是非国一丸となって、これは国家レベルで全体としてやっぱり考えるべきことなんだろうと思うんで、是非これは大臣にも頑張っていただきたいなと思います。  ただ、いろいろ調べていくと、インターネットでバイオ燃料で調べると、最初の方の項目はほとんどこのバイオ燃料は本当に環境にいいのかという項目がずらっと並ぶんですよ。グーグルなんかで探しても、もうほとんど最初のところはバイオ燃料は果たして環境にいいと言えるのかどうかという、そういう疑問が物すごく出ております。  これは、先ほども申しましたけれども、当然、今の段階でそういうバイオ燃料を作っても運ぶにはディーゼルのトラックで運ぶとか、いろいろな食物を作るについてもやっぱり今の段階では石油が要るわけで、果たしてそれでいいのかという問題と、もう一つは、CO2は確かに理屈で言うとカーボンニュートラルという形になりますが、さっき申しましたように、ほかの燃料を使いますからそれ全体を考えるとカーボンニュートラルにならない。もう一方で、これは本当かどうか分かれるところかも分かりませんけれども、NOxについては、いわゆる石油等よりもNOxについては多いんじゃないかという指摘もあります。果たしてこれが環境の改善となるのかどうかという指摘があるんですね。  このことについて、どういうふうにお考えでしょうか。
  81. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) まず、温暖化観点からお答えを申し上げます。  バイオエタノールを始めといたしますバイオ燃料につきましては、御案内のとおりでございますけれども、京都議定書におきましては、その燃焼の際に生じるCO2は排出量に算入しない、いわゆるカーボンニュートラルとされているわけでございます。しかしながら、先生御指摘のように、原料生産から燃料としての使用に至る一連の行程において化石燃料由来のエネルギー利用するということもありますので、いわゆるライフサイクル全体を通じた温室効果ガスの削減効果を把握するというのは極めて重要だと私どもも認識しております。  そこで、私ども一定の前提を置いた上でのことでございますけれども、原料生産からエタノールの燃焼までのライフサイクルでのCO2排出量、これをガソリンと比較した試算をやってございます。  この前提によってなかなか出てくる答えも変わってこようかと思いますけれども、一応、私どもの試算の結果を御披露いたしますと、国内で廃木材から製造したエタノールの場合にCO2排出量はガソリンより約八八%少ないと、仮にブラジルでサトウキビから製造して日本輸入したエタノールというケースを試算した場合はガソリンよりも約八一%少ないという試算結果を得ております。EUにおいてどんな議論がされているかということを見てみますと、サトウキビエタノールにつきましては約七四%、廃材エタノールにつきましても同じく七四%程度の削減効果があるという情報を得ておりまして、大体私どもの試算もそんなに外れていないんじゃないかなと思っている次第でございます。  こうした試算を踏まえますと、バイオ燃料が適切な方法で生産された場合には、ライフサイクル全体の温室効果ガスの排出を考慮いたしましても、温暖化対策として有効ではないかと考えられるわけでございます。  今後とも、ライフサイクル全体での削減効果へも留意しながら導入を進めてまいりたいと考えております。
  82. 高橋千秋

    高橋千秋君 そういう見方もあるのかも分かりませんが、やはり最近のイギリス、EUの動きを見ると、かなり懐疑的な声も強いように思います。  京都議定書そのものが果たして日本にとって良かったのかどうかという、そういう論議は、農水委員会でしても仕方ないのかも分かりませんが、これは若林大臣の前の大臣のときに聞くべきだったのかも分かりませんけれども、大体が一九九〇年を基礎に、それから何%削減するという話になっていますが、例えばロシアだとかドイツなんというのは一九九〇年の方が計算すると多いんですよね。逆に、そこから削減をするといっても、むしろ今からいうとロシアやドイツはプラスなんですよね。まだ増やしていいという、そういう数字になっている。アメリカは離脱をしている。オーストラリアも離脱をしている。結局、いろいろ見ていくと、あの京都議定書どおりにやろうとしているのは日本だけだという今状況に、削減をするのは日本だけだという、そういう状況にあるという指摘もあります。  それで考えていくと、あの京都議定書そのものが良かったのかどうか。アメリカなんかは、バイオエタノールを二〇%まで、バイオ燃料を二〇%までという話は、自分のところの燃料を保管をしておいて、ともかくほかのものを使うということに専念をしているんではないかという指摘もあります。その環境問題そのものはこの農水委員会でテーマにはなりづらいのかも分かりませんけれども、やはりそういう大きな視点で見ていく必要もあるんではないかなということは意見として言っておきたいというふうに思います。  それともう一点は、先日、マレーシア、ボルネオ島へ行ったんですが、アブラヤシのプランテーションへ行ってまいりました。アブラヤシもいわゆるバイオ燃料原料と、それだけではありませんけれども、石けんだとかいろんなことに使うわけでありますが、そのプランテーションがどんどんできること、それから、ブラジルでそういうサトウキビをどんどん作っていく、森林伐採の問題等もあります。一概にこのバイオ燃料環境にすべていいんだというような、あんまりそれで突き進んでしまうというのはちょっと危険ではないかな、やっぱりちょっとしっかりと冷静に見て、本当にいいのかどうか。確かに京都議定書の点でいけば、理論上というか議定書上はカーボンニュートラルかも分かりませんけれども、実際は本当に地球がそれでいいのかということもやっぱり日本とすれば考えていくべきではないかなということも指摘をしておきたいなというふうに思います。  それで、問題は、このセルロース系にしろ、いわゆる穀物そのものを使っていくにしろ、安定供給ということを考えていかなければなりません。それで、先ほどの草の話でもそうなんですが、特にセルロース系でいうと、草だとか稲わらだとか、そういうものをどうやって安定的に確保していくのか、これは大変難しい問題だろうと思うんですね。  さっきのてんぷら油でもそうですが、今はまあみんなが余っているのをくださいみたいな形にしたり、私の知り合いが今世界中の町をてんぷら油をもらいながら世界一周をしている人がいるんですけれども、これは一日、油をどうやって、てんぷら油をどうやって集めるかというのに苦労をされているんですね。今はまだ何かアルゼンチンかあの辺にいると思うんですが、日本のトヨタの車でてんぷら油を、てんぷら油というかサラダオイル等をもらいながら世界を一周、ともかく本当に帰ってこれるのかどうか分かりませんけれども、今そういうことをやっている人もいたり、それぞれに努力をされていますが、やはり安定供給ということが一番これは石油に代わってやっていくことが大変重要なことだろうと。  その意味では、特に雑草だとかそういうものになれば、今そういう雑草なんかは処理をしてもらうために金を払って処分をしてもらっている。だから、それを別に金を払わずにただで受け取ってもらえるのであれば、それはそれでいいんですけれども、ただこのメニューでいくと、農業生産に資するということになっていくとこれは売れないと意味がない、原料となるものが売れないと意味がないわけですね。だから、ただリッター幾らというそういうコスト計算をしていくと、高く売るというのもなかなか難しい、そういう安定供給の問題があると思うんですね。だから、これをどうしていくのか、これは一番大きな課題だろうと思います。  時間がありませんのでまとめて質問をさせていただきたいと思うんですけれども。その中で、原料の安定的な確保と、それから安定的に一般の方々にこの燃料を買っていただくという、その体制も大変重要。だから、試験的に今、神奈川だとかいろんなところでガソリンスタンドでそういうものを販売をする仕組みもつくっておられるようでありますけれども、なかなかまだまだ普及をしていないというふうに聞いています。  特に、E3方式とETBE方式、新日本石油だとかのホームページを見ると、まず最初にバイオエタノールについてホームページ出てくるんですが、このETBE方式の話しか出てこないんですね。E3については出てこない。どうも石油業界はこのE3については反対をしている、拒否をしているということですね。例えば、アメリカなんかでE10だとか、それからブラジルはE20、これどうも石油元売会社の表現を見るとこれは危険だからとか、そういう話もあるようでありますが、実際にこれを普及させていこうと思うとE3だけではなかなか消化できないのではないかなとも思いますし、それともう一つ、ETBE方式とE3方式と両方あると、これ一番困るのは消費者なんですよね、消費者も困るしガソリンスタンドの方も困る。これもそろそろ方式をある程度固めるべきではないかなと、一つにやっぱり一元化すべきではないかなという指摘もあるんですけれども、そのことをお伺いをしたいと思います。どうぞ。
  83. 吉田岳志

    政府参考人(吉田岳志君) まず、私の方からセルロース系からのバイオエタノール生産についてのお答えをしたいと思います。  委員御指摘の、例えば草という事例挙げられましたけれども、セルロースからバイオエタノール生産をする場合の課題としては、一つ原料から効率的にバイオ燃料変換をする、この技術開発というのが何よりも重要であろうと思っています。これは今他省庁とも協議をしながら研究開発を進めているところでございますが、あわせまして、その原料を、セルロース系の原料というのは非常に広く薄く存在をしておりまして、これを効率的に集めて、そしてこれを一か所に集め貯蔵するというこのシステム並びにそれのための機械等の開発が必要でございます。これが重要であろうというふうに考えておりまして、この点に焦点を当てた実証事業を平成二十年度から、先ほど大臣の方からも紹介ありました日本バイオ燃料生産拡大対策、その一環として実施をしていくこととしておりまして、そういった事業を通じて課題の解決を図っていきたいというふうに考えております。
  84. 北川慎介

    政府参考人(北川慎介君) お答え申し上げます。  バイオエタノールの導入につきましては、委員御指摘のとおり、E3方式それからETBE方式、両方今、日本にございます。  このどちらがいいかという点につきましては、それぞれの方式におきましてメリット、デメリット両方まだ見極めるという状況にあると思ってございまして、例えば御指摘のその石油連盟が行うETBEガソリン、これの流通実証実験も行ってございますし、一方で関係府省で連携して宮古島におきましてE3方式の実証実験も行っておると、こういうことでございます。  いずれにいたしましても、どちらを取るかというのは、消費者との関係あるいは製造物責任と、こういったことをにらみながら民間事業者の方が選んでいくということになると思いますけれども、いずれの方式でありましても、消費者の安心、安全が確保されるようなそのような制度整備を進めてまいりたいと、かようなことで普及を図ってまいりたいと考えてございます。
  85. 高橋千秋

    高橋千秋君 今の日本状況を見ると、ブラジルなんかを見ると、一周遅れという感じなんですよね。一周どころか、もう二、三周遅れの中で今から出発しようかなと、そういう状況の中で先進例を見るというのも非常にいい例だと思いますけれども、さっきのE3方式の云々の話でも、世界は大体情勢が見えておりますし、ETBE方式というのはほとんどが輸入だということも聞いておりますし、やはり国益ということを考えていただいて、石油元売業者の思惑も当然あるのは分かりますが、やはり政府としてリーダーシップを取っていただいて、これの、食料に危害を加えないような形で是非推進をしていただきたいなというふうに思いまして、舟山さんが時間をくれということですので、パスをします。
  86. 舟山康江

    ○舟山康江君 民主党の舟山康江です。大臣始め皆様よろしくお願いいたします。  バイオマスの利活用につきましては、温室効果ガスの排出抑制による地球温暖化防止、また資源の有効利活用による循環型社会の形成又は地域の活性化や雇用につながるという意味で積極的に推進すべきものだというふうに考えております。そのような中で、大臣は、今日も御答弁ありましたけれども、様々な場所におきまして、バイオ燃料生産推進に当たっては食料との競合を避ける、それから森林破壊などを引き起こさないようにすると、こういったことに十分留意する必要があるというふうに認識していると私も理解しております。  そのような中で、国内的にもセルロース系原料を活用した言わば日本バイオ燃料生産拡大を目指すとしておりますし、先日、五月十二日の決算委員会における公明党、浜田委員の御質問に対する答弁の中でも、例えばこういったことはサミットなどの場においても、食料供給と競合しない形でのバイオ燃料生産拡大の重要性を主張していくと、そんな決意も述べられておりました。私は、その方向はまさに正しいと思っています。  ただ、一方で、今の高橋委員からの質問に対する御答弁の中にもありましたけれども、当面の生産目標、二〇三〇年の生産目標の六百万キロリットルのうち、二百から二百二十万キロリットルは資源作物を原料とすると。これは、だから目標値の三分の一はいわゆる未利用とかセルロース系ではなく資源作物を原料にすると、そういう方針のようであります。私はこれは、日本バイオ燃料生産拡大、これを中心にセルロース系、未利用を中心に進めていくといった趣旨と矛盾するんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  87. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 考え方だと思うんですけれどもね。  実は、耕作放棄地が約四十万ヘクタールほどあるんですよね。その耕作放棄地は、言わば耕作限界地みたいなところにかなりあると思われるんです。これはもう全部、全筆調査しますけれどもね。そこで農業生産の通常の農家が、農業生産者が利用できるようなものはできるだけ農業生産に復活、再利用といいますか、有効な利用ができるように進めていくつもりでいますけれども、しかしなかなか生産者とそこのところが結び付きがうまくいくかどうか、まだやってみなきゃ分からないところがあります。  私は、そういう耕作放棄・限界地あるいは草地などで有効に利用されていないようなそういうところに、どういう資源作物が、これから研究開発しながら、そういう劣悪な条件の中でも生育がいい、しかし、実取りをするようなものではない、まあ草といいますかね、そういうものが利用できるというような新作物も一方技術会議、研究所を通じて研究しているわけで、そういうものを作付けをする、新作物を作付けすることによって活用していますと、食料の方でそれを使うというふうになってきたときには、食料の言わば生産基盤ということにもつながるから、そういう意味で、私は当面の研究開発の成果というのを生かしていくという意味で、そのような新作物の利活用というものを考えてもいいんじゃないかと、こんなふうに考えておりまして、そういうことを矛盾というふうに言われれば矛盾かもしれませんけれども、当面、そういう資源作物で利用できるというようなところは利用し、もちろん食用作物でもっとお芋の需要なんかが出てくればお芋を作るというようなことはあるかもしれませんね。  だから、そういう意味で可耕地を可耕状態、耕してできる状態に造っていくというようなことになるならば、それはそれで食料生産にもプラスになるんじゃないかというふうに考え、このことを容認していこうと思っているわけでございます。
  88. 舟山康江

    ○舟山康江君 そうしますと、今までの国の政策の基本方針というのは、例えば耕作放棄地の解消につきましても、できるだけその耕作放棄地についてはきちんと、いわゆる食用の作物を植えてもらう方向で政策誘導していたと思うんですけれども、今回は短期的なのか中長期的なのかは別にしても、その耕作放棄地の解消策としては、基本的にはこういったバイオ燃料としての資源作物の栽培を推進していこうと、そういう方向なんでしょうか。
  89. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) それはもう食用作物ができるところは食用作物、これは作る人たち技術を持っていますし、研究開発がそうなくても作れるわけですから、まずその里の中にあってそれが作れるようなものは、やっぱりそれを優先的に、食用作物を作ってもらうということを優先すべきだと思っています。ただ、限界地なんかで、これはまあ畜産利用ということも考えられますから、畜産利用ができるところは畜産利用でいいと思うんですね。  ただ、非常に多様ですからね。だから、しかし、具体的にどんな新作物、資源作物が考えられるかということについては、技術の幹部が来ていますので、一言答弁させます。
  90. 吉田岳志

    政府参考人(吉田岳志君) 資源作物としてどういうものが想定されるかということでございますが、大幅な生産拡大の工程表を作ったときに想定しておりましたものといたしましては、まず乾田、非常に排水状況のいい田んぼですとかあるいは畑、こういったところではソルガム、カンショなど、それから排水条件の悪い水田においては水稲を想定をしておりました。ただ、これはいずれも、この資源作物というのは、食料や飼料向けではないバイオマス量の大きい新品種等を育成をした結果のものというふうに考えております。  それで、それぞれ高収量を前提にいたしまして、活用農地を二百万キロリッターの生産に必要な農地として二十万ヘクタール程度の農地があれば生産できる、そういう高収量な品種の開発を前提にして試算をしているものでございます。
  91. 舟山康江

    ○舟山康江君 このバイオエタノールの生産、いわゆる資源作物二百万から二百二十万キロリットルの資源作物を生産するのに必要な面積というのは大体二十万ヘクタールを想定しているというお答えでしたけれども、結局、結果としてこれで耕作放棄地の大多数が解消されるということかもしれませんけれども、相当の面積を必要とするというのは事実だと思います。  私は、これは、短期的に見れば非常に簡単な耕作放棄地の解消の一方策だと思いますけれども、非常にこれ慎重でなければいけないのかなと思っています。基本的には、耕作放棄地対策というのはやはり自給率の向上と併せましてしっかりと食料生産拡大の方向で政策を推進すべきだと思っておりますし、現在まさに日本食料自給率が三九%というこういう状況の中で、もちろん食料の安定供給に加えまして、今非常に飼料自給率の向上も喫緊の課題として取り上げられておりまして、この一つの形態としては飼料用米への取組も今始まっているようなところであります。  そういった意味で、まさに資源作物の生産というのが、こういったいわゆる主食用、飼料用、こういった食用の食料の安定供給というものと競合しないのかなという懸念があるんですけれども、いかがでしょうか。
  92. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) やっぱり需要と結び付かないと食用作物作っても食用に供されない、供されなきゃ自給率は上がらないんですよね、食用できなければ。だから、食生活の中でどこまでが組み込めるか。  例えば、お米、作れば簡単にどんどん作れるわけですね。お米作れないという状況の中で、例えば、耕作放棄になっているというようなことを考えますと、それを食用、御飯のお米を作ってしまいますと、これは、もしそれを出せばこれはまた別の話です。需要を超えて供給が出れば値段が安くなっちゃうと、こういう話になってしまうわけですね。  だから、飼料用米、で、飼料用米だとどの程度まで家畜に食べさせても大丈夫かというのは今いろんな試用実験しています。肉の場合だったら、最近、先進的な畜産肥育農家に言わせると、一〇%でやってみて大丈夫だと、二〇%もどうも大丈夫のようだと、三〇%までいいかなというような形で、今試行錯誤をしているわけですね。そういう畜産農家と結び付かないと、耕種の稲作の人が飼料用の米を作るというのは難しいわけですね。  そういうような制約条件考えますと、とにかく空いている土地を有効に作物を作っていくということをしておけば、食用需要が出てくれば食用需要の方に転換は可能になってくるわけですね、空けておくよりも。そういうようなのはしばらくそういう状態が続かざるを得ないだろうというふうに考えているんです。  それで、この六百万キロリットルというのは、何が何でもそれだけ作ろうというんではないんで、可能性としてはそのぐらいの可能性があるということですから、これを目標にしてどんどんと計画的に、今の二百万から二百二十万キロリットルに見合うようなものを計画的に作っていくというところまでの、言わば目標生産をして計画生産をしていくというようなことは今考えていないんです。推定としてこのぐらいの可能性はあるなという中で作ったものですから、これ技術開発がどこまで付いてくるか、そういう状況変化というのをにらんでいかなきゃいけませんし、セルロース系のものが非常に進んでいきますと、コストの面でも、これはもうセルロース系に置き換わっていく、理想はやはりセルロース系のものに置き換わるということなんだろうと思っております。  それで、そのセルロース系の方に置き換わるというのは、先ほど紹介したように、まさに先端的技術開発としてそこに着目して、国が重点的にその研究開発を進める分野として国として指定しようとしている段階ですから、それがどんどんと進んでいきますと、研究成果が出てくればそちらの方を原材料にするということになっていくことを期待できると思っております。
  93. 舟山康江

    ○舟山康江君 どうもやはり私、そこが引っかかるところなんですけれども、今、日本がもう自給率も高くて本当にいろんなものが余っている状況であれば分かるんですけれども、やはり例えば小麦大豆も、まあ米だけは過剰傾向でありますけれども、ほかの品目というのは基本的にその自給率が非常に低い状況なわけで、そこをいかに自給率を上げる生産振興策を考えていくのかという方向でないと、需要がないものを作ってもしようがないとおっしゃいましたけれども、やはりそういった需要をにらみながらも、やはりそういった今自給率の低いものを生産振興というのはまず一義的に考えていかないといけないんじゃないかというふうに思うんです。  そんな中で、特にやはり私が気になりますのは、米、その資源作物としての米をどうとらえるかだと思うんですけれども、平成十九年度からの米を利用してのバイオエタノールの大規模実証プラントの整備に着手しております。これは、まず一つ、米を有力なバイオエタノールの供給作物と位置付けているのでしょうか。もう一つ、今後、米を利用しての大規模生産の方向にかじを切ろうとしているのか。その二点を教えていただきたいと思います。
  94. 吉田岳志

    政府参考人(吉田岳志君) お答え申し上げます。  若干繰り返しになりますが、バイオ燃料生産拡大、これは従来の食料などの生産の枠を超えまして、農林水産業の新たな領域を開拓するものであるというふうに認識をしております。また、農林漁業の持続的かつ健全な発展エネルギー供給源の多様化につながるというふうに認識をしておるわけでございます。  そこで、ただ、これまでバイオ燃料の取組というのは、我が国は、先ほどブラジルに比べて一周遅れというお話もございましたけれども、非常にまだ遅れております。現状では三十キロリッター程度の実績しかないというのが実態であります。そういった我が国におきまして、国産バイオ燃料生産流通体制を早急に整えていくためには、現時点でエタノール製造技術が実用段階にまで来ています糖質あるいはでん粉質の原料、これを利用しまして大規模実証を行うことで、原料供給から燃料生産、そして供給までを含めた一貫したバイオ燃料生産供給体制を整備する、これが急務となっておるということでございます。  このために、農林水産省では平成十九年度からバイオ燃料地域利活用モデル実証事業を実施したわけでございます。その中で、御指摘のお米でございますが、北海道二地区のうちの一地区、それから新潟、この二地区におきまして、水田の生産調整に伴う一形態としてバイオ燃料用の多収穫米の生産に取り組むこととしております。これは、将来のセルロース系の原料を活用した国産バイオ燃料生産の実用化を図る上で不可欠なものであると。要は、糖質あるいはでん粉質から大規模に低コストで生産をする、その技術実証を経なければ、セルロース系からエタノールを大規模に低コストで作るというところまで行かない、避けて通れないものであるというふうに認識をしております。  ただ、これも先ほど大臣の答弁ございましたけれども、こういったものは、糖質系の、でん粉質系のものは食料、飼料とバッティングをする可能性がございます。それを避けてやろうとしますと、原料供給に限りがありまして、せいぜい五万キロリッター程度までが限界であろうということでございまして、この実証事業を契機に米をどんどんエタノールの方に振り向けていくというところにかじを切ったというようなものではございません。あくまで、セルロース系の技術確立を図っていく上での一工程というふうに認識をしていただければと思います。
  95. 舟山康江

    ○舟山康江君 今の御答弁の中で、生産調整の一形態としてこういった米も利用しているというようなお話でしたけれども、やはり私は、現場に行けば、皆さん、できれば米を作りたい、生産調整で麦を作れ、大豆を作れ、ほかのものを作れというよりも、やはりできれば米で何とか生産調整をしたいという思いはあると思います。  そういった中で、実験段階の一つで重要なんだとおっしゃっていましたけれども、一度その方向でこういう大規模化の実証プラントを造れば、やはりその流れというのは止められない、後戻りできない。まさに、あっ、国はそういう方向を目指すといった、そんなメッセージを与えることにもなりかねないというふうに思うんです。  ある意味、一つの例外、過渡的な措置、耕作放棄地の解消の一つの手段ということだと思いますけれども、じゃ、どこに歯止めを掛けていくのか、どの規模まではエタノール米を作るけれどもどこからは駄目だというその垣根というんでしょうか、そこをどうするのか。食料と競合しない、飼料と競合しないといいますけれども、その競合しないというレベルはどこなのか。それをだれが判断するのか。どういう基準で判断するのか。私は、一つの例外を設けるとなかなかブレーキが利かなくなるおそれがあるような気がするんです。  ですから、もちろん、先ほどのずっと大臣の御答弁を聞いておりましても、これをメーンに位置付けるわけではない。やはり、セルロース系だとか木質系だとか草木系だとか、そういったものを中心として、その補完というんでしょうか、それで資源作物もその一つとして位置付けるということは分かるんです。それで、しかも資源作物の生産というのは、食用、食料との競合を避けるとか、そういった御認識も分かるんです。ただ、競合しないそのレベルはどこなのか、どこまでは作っていいのかということをだれがどう判断するかというのが非常に見えにくくて、こういったものに一つ踏み出してしまうと、私は止めどもなく走ってしまう、動いてしまうというおそれがあると思うんですけれども、そこはいかがお考えでしょうか。
  96. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) この法律では、主務大臣が基本方針を定めることになっております。基本方針の中で、今私が御答弁申し上げているような、農林漁業の有機物の資源バイオ燃料原料とするこの利用促進というものをどういうふうな方向に持っていくかというのは基本方針の中で明らかにいたします。  その実際の実証事業をやります生産製造連携生産者と製造事業者とが連携して作って計画を立てることにしているんですけれども、その連携した計画は、大臣に提出をしてその生産製造連携事業計画というものの適当である旨の認定を受けるというふうにしていまして、やりたいからやるんだということで出てきてどんどん広がるというようなことは想定をしておりませんし、実は相当のこれ設備投資を必要としますから、今のところこれが次々にできるというようなことは念頭に置いておりません。  このバイオエタノールの米を生産調整の中の一つの作物として位置付けてやろうというそういう部分については、今委員が御心配になられましたように、それが永続的に各地で製造できるような形でこれを認定をしていこうということは考えておりませんし、基本方針を定める際にそういう、何といいますか、これが一つの実証事業としての性格のものであるということを認定で明らかにするということだと私は思うんですけれどもね。
  97. 舟山康江

    ○舟山康江君 国が国の事業としてこういう方向の大規模実証プラント整備事業をするということは、やはりそういう方向に進もうとしている甘いメッセージ与えているんじゃないかと思うんですけれども、もう一つ観点でいいますと、先ほど高橋委員からも何度か御指摘がありましたけれども、やはり世界的な食料危機の中、また特に海外においてはバイオ燃料ブームが熱帯雨林の破壊とか土地の新規開拓につながり、実はこれは昨日ですか、生物多様性条約の締約国会議がありましたけれども、この中でも、生物多様性の減少の一因となっていると、そんな指摘もされているようであります。  また、アメリカの報告などでも、むしろ地球温暖化促進するといったそんな報告もありまして、こういったいろいろ環境破壊だとか生物多様性の減少とか地球温暖化云々というものの、なぜそういう指摘もあるのかというと、それはやはりいわゆる資源作物の生産拡大が、例えば熱帯雨林を破壊して大豆生産を広げるとかサトウキビ生産を広げるとかそういったこと、だからいわゆる資源作物の生産拡大というのがそういう懸念に当たると思うんです。そういった意味におきましては、やはりそういう懸念のない、まさに資源の有効利用であります日本型のバイオ燃料というセルロース系、木質系、そういったものの生産拡大にもっと重点を置くべきじゃないかというふうに考えるもう一つの理由であります。  特に、この未利用バイオマスのエネルギーポテンシャルというんでしょうか、それは、これも政府のバイオマス・ニッポン総合戦略推進会議の中での報告によりますと、この未利用バイオマスのエネルギーポテンシャルというのは、原油換算で千四百万キロリットル、エタノール換算で二千三百万キロリットルと、かなりの賦存量があるというふうにされています。  つまり、いろいろ技術開発、これからの開発次第でもあるんでしょうけれども、実際に先ほども例に出されておりましたホンダなどの取組の情報を聞きますと、植物廃材でかなりその量産体制ができた、非常にコスト的にも安くできる、そういった実証も、これはRITEですね、独立行政法人のRITEとの共同研究開発の中でそういった技術の開発も進んでいると。これまだ始まったばかりですので、こういった技術開発というのはどんどん進んでいくと思うんですね。  まさに、こういった賦存量がこれだけある、そして未利用、今まで捨てていたものの有効利用という意味でも、こちらにもっともっと重点を置いて、まさにこれだけで十分目標生産というのは実現できると思いますので、こっちの方をもっと伸ばすような、そんなところに少し重点をもっとシフトしていくべきじゃないかと考えているんですけれども、いかがでしょうか。
  98. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) そういうふうに展開していくといいなというふうに思っているんですが、実はまだまだインファントなんですよ、技術開発が。特に、実験室の段階ではいろいろできているんですけれども、ある一定の規模生産システムに乗せていくための技術というのは、本当にまだ何も分からないでいるんです。先ほど政府参考人の方で説明しましたけれども。  だから、どうしても、我が国で実証的に可能なものというのは糖質、つまりでん粉性のものまでは行けるんですね、そこから先というのは、先ほど堺の、私も見に行きました、堺の廃木材からやるのも物すごくコストが掛かっているんですね、コストが掛かっているんですよ。それじゃ、実際にリッター百円レベルまで行くには相当大きなスケールのものを作らなければいけないんでしょう。しかし、その相当大きなスケールのものをやるリスクというのは、投資リスクが大変なんですよ。果たしてそれが有効、効率的に動くかどうかというのは分からない。  しかし、でん粉性のものでスケールが発揮できるようなものを作って、それで糖質系のものからこういうシステムができ、それに稲わらを入れ、いろいろなものをやってもやれるというような、そういうステップを踏んでいかないと展開することはできないというふうに我々は判断しているんです。  ブラジルに行ったときに、ブラジルの大臣が私に、日本はかなりセルロース系のものは進んでいるようだから、そういう共同開発しませんかというようなことを言っていました。ブラジルの方もまだ知見がないんですね。ブラジルではサトウキビ自身は燃料に使っているんですね、製糖過程で。それをエタノールにするときのまた燃料に使っている。しかし、燃料にそれを使うということよりも、それがエタノールになって、搾らないでもそのまま使えればいいなという夢を持っているんですね。ところが、できていないんですよ。  だから、これ全く未知の世界に入っていくわけですから、そういう意味で、もう当然のことながら、私が強調していますように、日本は森林国でありますし、七割に及ぶこの森林資源というものがどういうふうに有効に使われていくかということがもう大事な要素だと思っています。ですから、それに力を入れる、特に地域産業として、地域の資源産業としてこれを考えていくという位置付けをしたいなというのがベースにあります。  ですから、一方で生産調整をやむなくやっている中で、作付けするものが大豆や麦というわけにいかないと言っているところがあるのも事実なものですから、そういうところで多収の稲を、そういう地域は、周囲の皆さんの協力を得て、そういう生産をしてもいいという人がいるようなのが生産者と組織を組んで、これ、今実証事業に手を挙げてきたという状況にあると、こう思っております。
  99. 舟山康江

    ○舟山康江君 なかなか議論は平行線なんですけれども、いや、本当に、私はやはり米をエネルギー源として作ることが本当にどこできちんと歯止めが掛けられるのかなという懸念、やはりそこをきちんとしていかないといけないと思いますし、冒頭に紹介させていただきましたけれども、まさにサミットの場において日本バイオ燃料生産拡大ということ、その重要性を主張すると。まさに、そういった意味では日本がリーダーシップを取って、そういった食用じゃない、木質系、廃棄物系、草木系のそういったものの生産をみんなで進めていこうというリーダーシップを取るという意味でも、やはりきちんとそこを意識して進めていただきたいと思います。  今の大臣の御答弁の中で木材の話も出ましたけれども、まさしく私は、過日ですね、間伐の実施を促進する法律が成立いたしまして、切ることも大事ですけれども、間伐をしたその木をどうやって利用していくのか、その利用策の一つとしてもやはりこの木材の利用、バイオマス利用推進というのは非常に重要だと思っています。これは単に間接的にガス化、液化というような利用だけではなく、まさにチップとかペレットとか、そういった直接燃焼での利用も必要だと思います。  同じ森林国である北欧、例えばスウェーデンなんかでは、木質バイオマス利用の場合、かなり税制面での優遇措置などがあり非常に進んでいると聞いていますけれども、日本の場合、なかなか普及が進んでいない。その理由の一つとして、収集、運搬に非常にコストが掛かるということがあるようですけれども、一つ、草木系である稲わらについては、ソフトセルロース利活用技術確立事業などで収集、運搬、利用を確立する支援事業が今回予算措置されていますけれども、こういった間伐材、林地残材についても何らかの支援によってもっと有効利用が図られるべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  100. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 薄く広く存在している農林水産資源なんですよね、いずれにしても。これを集めるコストというのは、全体の生産をある一定の規模で軌道に乗せていく一番の課題だと思っています。稲わらも集めるの大変なんですよね、実際。これ、企業が動き出せば三百六十五日動いていくわけですから、その間切れ目なく原料を集めてこなきゃいけないというようなことになってくるんで、今の予算措置としては、稲わらを集めるという、ああいう予算でこれはみんなできるかというと、私はそんなできないと思います。  これは、システムとしてそういうシステムをどうやって組み立てていくかという今後の課題だと思うんですけれども、特に林地の場合は、間伐材のみならず林地残材、つまり枝打ちをしたようなものとかいろいろなものがあるわけで、そういうものをどうやって里に下ろしてきて、それを運んでいくのかといったようなことはこれからの、まさにそれが軌道に乗っていくときにはこれを収集することの効率化、そのために助成が必要であれば合理的な範囲で、全体コストの中でのみ込めない部分であるならば、それはやっぱり助成をしていかなきゃいけなくなるでしょう。できれば、そうやってでき上がってきた燃料が競争的であれば、そういうコストものみ込んでやってもらうことが一番軌道に乗る基礎だと私は思っているんですよ。
  101. 舟山康江

    ○舟山康江君 バイオマスタウン構想というのを進めておりますけれども、やはり北欧の事例を見ても、地域完結型のエネルギー供給体制というのを組んでいるわけですよね。そう考えると、やはりこういったバイオマスタウン構想の中で、その地域で様々なバイオマス利用を進めていくというのは方向的には非常に今後期待のできる方向かなと思っておりますので、是非積極的に進めていただきたいと思います。  最後に一点、簡単にですけれども。
  102. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 時間が来ております。
  103. 舟山康江

    ○舟山康江君 一点だけ、指摘にとどめておきたいと思います。  先ほど高橋委員からもありましたけれども、生産とやはり供給方式、使って何ぼのもんだと思いますけれども、E3とETBE方式が二つある中で、国の実証事業はE3を基本的に推進していると。ただ一方で、石油連盟はETBEをということで、なかなかE3の供給に関して石油連盟の理解が得られず進んでいないという現状があるように聞いています。これも五月十二日の決算委員会で公明党の浜田委員が指摘しておりましたけれども、やはりE3の普及を進めていく上では、業者に強制できないというのはもちろんなんですけれども、国がこういった事業を進めていく以上、何らかの障害を除去する努力というのはきちんと進めていかなきゃいけないと思います。  昨日の担当者からの説明の中で、いや、進まないのはそれは、環境省の事業が進んでいないというのは環境省が悪いんじゃないかと、そんな話も聞かれましたけれども、ちょっとそれは無責任な発言だったかと思うんです。私は、経産省としても、やはり市場に任せるにしても障害を除去する、そういった指導はしていただかなきゃいけないんじゃないかと思うんですけれども、それは事業の主体が悪いという認識部長さんも同じなんでしょうか。
  104. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 時間が過ぎております。簡潔に答弁をしてください。
  105. 北川慎介

    政府参考人(北川慎介君) 特に事業の実施主体が悪いというようなことは思っておりませんで、いずれにいたしましても、どちらの方式でも進むように制度整備を図り、今国会におきましても品質の確保に関する法律を提示していると、こういう状況でございます。
  106. 舟山康江

    ○舟山康江君 以上です。
  107. 山田俊男

    山田俊男君 私も、農林漁業有機物資源バイオ燃料としての利活用の促進に関するこの法律については基本的には賛成であります。とりわけ大変な石油の高騰が生じていること、さらには地球温暖化問題への対応が迫られていること、さらには国内耕作放棄地が著しく拡大していてこの利用をどう進めるかということがありますし、さらには、先ほど来議論になっておりますが、間伐材とセルロース系のこれら利用拡大をどう進めるか、これは山林維持のためにも地球温暖化のためにも、そうした観点での取組が必要であります。  そういう意味からして、まさに今ほどこれを着実に進めていくチャンスはないと、この考えでいるわけですが、しかし具体的な実施に当たってそれぞれ課題が生じておりますので、これらを中心にして申し上げさせていただきたいというふうに思います。  これまで我が国では、七か所の施設が設置されておりまして、これも三十キロリッターのバイオエタノールが製造されている、わずか現段階ではそれだけであります。十九年度からは新たに大規模な施設を三か所造るということで、そのうちの二か所は新潟と、それから北海道におきますJAグループの取組になっております。一つは、北海道におきます規格外の麦と、それと交付金対象外のてん菜ですね、これを使用しました一万五千キロリットルの燃料用バイオエタノールの製造施設であります。もう一つは、新潟におきます多収量米を使用しました一千キロリットルの燃料用バイオエタノールの製造施設であります。  これらの取組は、今も舟山委員の方から相当議論があったわけでありますが、商品化できない規格外の麦や、さらには交付金の対象にならないてん菜のトップ等、これを有効に活用するという意味合いでの意義、さらには多収穫米につきましては、やはり多収穫米を栽培して同時にその技術を向上させる、さらにはどうしても計画生産の関係で遊んでおります水田をどう有効活用を図るかという意味合いでも意味がある。そして、あわせまして、いささかなりとも農業者の所得を向上させることにつながっていかないかという意味もあろうかと、こんなふうに思っております。そういう面では新しい挑戦であります。しかし、新しい挑戦であるだけに課題が多いわけです。  一つは、原料作物に対する安定的な助成水準の確保が何としてでも必要だと、こういうことであります。新潟の取組を見ますと、原料玄米の価格はキログラム当たり二十円であります。作付け予定の北陸一九三号、これは多収穫品種でありますが、この収量は八百八十キログラム、これは十八年産の収量の実証があるわけで、それに基づいて見込んでおります。これに二十円掛けまして、十アール当たり一万七千六百円であります。これに産地づくり交付金十アール当たり三万円を措置しまして、合わせまして合計四万七千六百円でしかないわけでありますが、主食用の生産費は十アール当たり十一万円程度になります。これでは生産費を割ってしまいます。  そこで、生産費の半分を占める機械代、さらには土地改良費の費用分ですね、これらを規模拡大して取り組む、ないしは遊んでいる田んぼを活用するという意味合いからして、これはそれじゃ計算しないで省こうというふうにしましても、しかしまだ生産費を、これ半分の生産費になりましてもそれを賄う水準にはなっていないわけであります。  さらに課題は、輸送費が掛かるということであります。新潟の場合におきましても三百ヘクタールから四百ヘクタール、新潟の各所に分かれまして取り組んでおりますから、当然、圃場が広がっている分だけ県内からその原料玄米を集めなきゃいかぬということがありますので、輸送費もばかにならないということであります。  安定したバイオ燃料生産するためには新たな交付金の仕組みが必要であります。この点について、農林省吉田技術総括審議官、この点どんなふうに、そうですか、大臣、御発言いただけるなら有り難いです、よろしくお願いします。
  108. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) これは重要な問題ですから、私が答弁いたします。  これは、先ほど来議論がありましたように、基本的には木質系の、セルロース系の原料でバイオマスを作っていくということを方向として進めるわけですよ。ただ、そのためには、そのためには糖質、でん粉のものを基盤にして一定のスケールのものがないと次の、先への展開が難しいということで、さあどこだといったら、北海道と新潟が手を挙げて、生産者がみんなで協力をして、周辺も協力するからひとつここでやろうじゃないかという話から始まった話でありまして、そういうことをやるために生産者に、それを集めてくるための経費も含めまして、ましてや主食用の米を念頭に置きながら、そのバランスの中でその原料助成をするということは私は考えておりません。
  109. 山田俊男

    山田俊男君 この点について、実は新潟の場合、エタノールにしまして、そしてリッター当たり二百円台ないしは三百円台になります。今ガソリンはリッター百六十円程度でありますので、そこの差、当然出ておるわけです。その差を、これは設置主体であります全農がそれを補てんすると、こうした取組であります。  これだけの差をしかし本当にちゃんと埋めるということになりますと、これは大臣、それぞれ自分たちが手を挙げて、そして崇高な取組の理念の下に頑張ろうというふうにしましても、その差は非常に大きいわけでありますから、当然のこと、実証試験の中でこれらの課題につきましても当然検討をしていかなきゃいけないことではなかろうかと、こんなふうに考えています。もちろん、コスト低減の様々な努力をやるのは、これも実証の取組の課題であります。
  110. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) いや、これは大事な問題なんですよ。私は、実証事業でこれを行うということを前提にかなり政府部内の議論をした上で、固定資産税を半分軽減するということをやっているんですよ、相当の設備投資しますからね。そういう固定資産税を半分の減税をすること、そしてでき上がったエタノールについて免税措置を講ずることということを前提にこれやれるかねという話で、やりますということからこれスタートしているというふうに御理解いただきたいと思うんですよ。  それで、リッター当たり今百六十円というお話ありました。それは今たまたまガソリンが高いからそういうことですが、我々は、これやっぱり百円から百二十円ぐらいのものでないと持続的にはならないんじゃないかという情報も入れているんです。そういうことをみんなで、産地づくり交付金は、これはほかの作物作れば出るわけですから、産地づくり交付金は前提にする。そのほかのものは、周辺の皆さん方がここで言わば転作分を消化するというようなことで、じゃ協力しようという中でこれ成り立っていくものだというふうに考えておりまして、八百キロその他のこれからの多収生産がどこまで行くかということにもかかっていますが、一応多収米として八百キロ程度のことを前提にして、それでやれるというんでなければ、これ法律の中で私は認可できないと思いますよ、それじゃできないと言うなら。  私はそのぐらいの決意で、そういう原料生産についてここで、今ある他の作物との関係で出されている助成措置以上のものを特にやるという考えはありません。
  111. 山田俊男

    山田俊男君 製造施設について、この点についての、設置について二分の一の助成が出ております。さらには、五年間にわたりまして製造施設の運営経費についてこれを助成するということについても手だてがあります。さらには、大臣おっしゃいましたように、固定資産税についてこれは軽減措置を講ずる。さらには、ガソリン税について減免の措置を講ずると。これ、いずれにしても、税制措置については今後の税制の対策に引き続きなろうかというふうに思いますけれど、これらについてちゃんとやることはやぶさかではありません。  しかし、先ほど言いましたように、三百ヘクタール、四百ヘクタール、これらの農地を確保するだけでも新潟県下全域にわたっているわけです。それをどう集めるかということがあります。現にあります。もちろん、一か所に集められればそれにこしたことはありません。  それからさらに、北海道の場合は、先ほど来、これも高橋さんなり舟山さんの議論の中で出ておりますけれども、ETBE方式かE3方式かという議論がありまして、北海道の場合はETBE方式を取っておりまして、それで、北海道からわざわざ横浜までバイオエタノールを運んでいるんですよ。当然それに伴います運賃が必要になるわけで、逆に言いますと、ただで来ませんから、その分だけのコストが掛かっておる。CO2もそこで排出しているという部分があるかもしれない。  地域の中でどう還元するか、利用還元するかという観点が多分この取組の大きな理念だというふうに思いますが、そう考えてみると、今、ETBE方式の場合はどうしても施設が必要でありますから横浜へ来ているという問題を、それじゃこれも実証試験の中で整理をしていく必要が私はあるというふうに思いますので、大臣、もう手を挙げてやったから後は動きませんじゃ、大臣、実証試験になりませんので、是非ここは一つ一つ詰めていこうじゃないですか。  当然のこと、コストの削減も必要になるわけで、コストの削減については、今ありました収量の増大、コストの低減、それからやっぱり地域でできるだけ原材料を集めること、それからさらに安い手だてが、様々な形で取組が必要になるということは事実だろうというふうに思います。是非、もう一度お願いします。
  112. 吉田岳志

    政府参考人(吉田岳志君) 若干ちょっと事実関係といいますか、この間の経過をちょっと説明させていただきたいと思いますが、この新潟の実証事業につきまして、北海道に比べて規模が非常に小さいわけでございます。北海道の場合には一万五千キロリッター、それに対して千キロリッター。  これは、上がってきた当初から、千キロリッターではコスト合いませんよと。大体、系統が試算しているシミュレーションでも、やはり一万五千キロリッター程度のものでないと百円でバイオ燃料生産するということがなかなかできないと。その場合の、百円で生産するとして原料価格が五十円、これ、原単位に直しますと、米でしますと大体キロ二十円ということでございます。  先ほどの委員の御指摘は、それが千キロリッターなんでもっとコストが掛かるんだと、だからそこの原料への負担をというお話でございますが、これにつきましては、当初から規模拡大しないと無理ですよというお話をした上で、事業主体としてはまず千キロリッターでちょっとやってみて、それで可能性を見て、うまくめどが付けば将来的にはこれを一万なり二万なり規模を増やして、そして低コスト生産を実現していきますというお話で申請を受けておりますので、その点どうか御了承よろしくお願いいたします。
  113. 山田俊男

    山田俊男君 はい、分かりました。  ここまで設置して踏み込んでくるまでにはいろんな経緯があろうかというふうに思いますので、十分検証、検討した上で是非是非成功させていきたい、こんなふうに思います。  また、そのことと関連して、規模拡大して是非やりたいという意向は当然のことあるわけでありますけれども、規模拡大していくということになれば、それを、できましたバイオエタノールをどう利用するかという観点が必要で、これも先ほど来出ておりますけれども、利用するに当たりまして是非、今E3の方式につきまして一定割合の混合で進めているわけでありますけれども、ガソリンに一定の割合で混合を義務化すると、当然そうしたことも取り組んでいかない限り利用拡大しないという問題を抱えておりますので、その点について経済産業省に考えをお聞きしたいと思います。
  114. 上田隆之

    政府参考人(上田隆之君) お答え申し上げます。  御案内のとおり、京都議定書目標達成計画におきまして、政府全体といたしましては、当面五十万キロリットルのバイオ燃料利用を予定しているわけでございます。それで、現在、今の国産のお話はまだ数十キロリットル、数年先に数万キロリットルという規模でございまして、国産を利用する、もちろん価格の問題等々あるかと思いますけれども、その余地というのは十分あるわけでございます。  しかしながら、義務化そのものにつきましては、エネルギーとしての供給安定性あるいは経済性、食料としての競合の問題、様々な問題があると考えておりますので、当面は五十万キロリットルをしっかりと達成していくということを目標にしていきたいと考えております。
  115. 山田俊男

    山田俊男君 もう一点の課題は、先ほども議論になっていますが、セルロース系への拡大についてであります。  御案内のとおり、今里山を見てみますと、とりわけ西日本の里山を見てみますと、竹の繁茂が物すごいわけであります。きちっとタケノコをその都度取って出荷できておればいいんですが、それができておりませんから、ましてや畑を中心ですが、それは田んぼもそうですが、耕作放棄地にしてしまいますと、後は一年で竹がもう徹底して繁茂します。もう何ともしようがない景観が西日本の各地に現れています。  この竹を利用して、もちろん間伐材をどう扱うかという大事な課題もありますが、同時に、この竹を何とかセルロース系の一環として原材料にできないかと、こういうふうに考えますが、その点、経済産業省、農林省から検討の状況をお聞きしたいというふうに思います。
  116. 吉田岳志

    政府参考人(吉田岳志君) セルロースからのバイオ燃料生産拡大というのは非常に重要だということは先ほどからも議論が出ております。  お尋ねの竹の利用でございます。これは平成二十年度から森林資源活用型ニュービジネス創造対策事業によりまして、林地残材や間伐材と併せまして、竹などの森林資源につきましてエネルギー利用やマテリアル利用に向けた製造システムの構築などに取り組むことというふうにしております。  ただ、竹につきましては、木材と同様、稲わらなどのソフトセルロースと比べましてリグニン量が非常に多うございます。また、セルロースなどと強固に結合しておりましてリグニンの分離が非常に難しい、さらには固いというようなこともありまして、実用化へのハードルが高いというのは実態でございます。そうではございますけれども、非常に賦存量も多いわけでございますので、技術開発に努めてまいりたいというふうに考えております。
  117. 上田隆之

    政府参考人(上田隆之君) 私どもも、セルロース系からのバイオ燃料を作製していくというのは重要な課題であると考えておりまして、様々な技術開発を行っているところでございます。  ただ、今お話ございましたように、なかなか、このセルロースというのは非常に強固な結び付きを持っております。特に竹の場合はそうでございますので、それを一度ほぐしまして糖にして発酵させていくというところのその供給安定性、コスト等、様々な課題があると思いますので、こういった技術開発の中で勉強をしてまいりたいと考えております。
  118. 山田俊男

    山田俊男君 大臣と白熱した議論がちょっとできましたんで、私としては、ここの部分についてしっかりした、手を挙げた立場としても、この実行をちゃんと定着させていく、その取組を進めてまいりたい、こんなふうに思うところでありますが、同時に、税制上の措置でありましたり、さらには支援措置でありましたり、これらのことについては引き続き十分な検討をお願いしたい。そうして、我が国の今、本当にまさに荒れなんとしている、この地球環境のこれだけの食料不足の中で本当にこんなことでいいのかという課題を我々は抱えているわけでありまして、そういう面でこのバイオ燃料の利活用の取組が一つの大きな力になることを是非一緒に展開させてもらったら有り難い、こんなふうに思います。  実は、時間をいただきまして五月十三日の当委員会におきまして、私、質問だけして答えをいただかないという、何ともはや委員長からもおしかりをいただきましたが、それでこの際、大変失礼なことをしたわけでありますので、この時間をいただきまして、それで若林大臣始め関係の皆さんに当日の質問の項目につきましてまず御回答をいただきたい、こんなふうに思っております。  先般の質問は、一つは、農産物輸出に関する規律の強化をWTOに我が国はスイスと共同で提案されているということでありますので、この提案の内容をお聞きしたいと思います。  二つには、こうした新たな提案を行う事態になっているという環境があるわけですが、さらには今朝ほどの当委員会質疑の中でもありましたが、MA米の入札が落札できないという事態もできていて、その一方でMA米について米不足のアジア輸出すると、食料支援するという動きがあるという、まさに今、地球温暖化の中で、さらに食料危機の中で、もうWTOを取り巻きます環境は新しい環境ができてきているかというふうに思います。聞くところによりますと、ファルコナー議長さんが新しい提案をお出しになったということのようでありますけれども、新しい提案の内容もこの日本とスイスの共同提案を踏まえたものにどうもなっていないやに聞いております。こうした環境からしますと、思い切って新しい視点でのWTO交渉を再構築していっていいんではないかと、こう考えるわけでありまして、これは若林大臣に是非お願いしたいというふうに思います。  それからなお、FAOサミットには是非、この前も申し上げましたが、総理と一緒にどうしてでも出席していただきたい、こんなふうに思っておりますので、その場で食料輸入国としての立場をしっかり主張してきていただいたら有り難いというふうに思います。  三つ目には、これはWTO農業交渉における農業補助金の扱いとも関連しまして、過去実績による固定支払を我が国は実施したわけでありますが、新しい基準期間の設定や環境変化をとらえた見直しや改善が何としても必要じゃないかというふうに思っておりまして、これは農水省の経営局長にお願いしたいというふうに思います。  四つ目は、日韓EPA交渉の再開についてでありまして、この点、外務省に先般も申し上げましたが、私は日韓EPA交渉、賛成なんですが、我が国農産物のオファーが悪いから進まないんだというような誤解や、我が国農業への一方的な攻撃がなされるようなことのないように、今後、隣国、一番近い隣国ですが、ともに発展するという立場での丁寧な交渉をお願いしたいということを申し上げたわけでありまして、この点は外務省にお聞きしたいというふうに思っています。  五つ目は、日本農業批判を続けさせるだけになっております日豪EPA交渉は中断すべきじゃないかということを先般申し上げさせていただいたわけで、この点について若林大臣にお聞きできたらというふうに思っております。  繰り返して申し上げましたが、よろしくお願いいたします。
  119. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) またもや五つも連続して、つながりがないというわけじゃないんですけれども、それぞれ話の展開としては一つ一つお話をしていかないと御理解いただけないようなことをまとめてぼんと言われたんでは大変私もお答えをするのに苦慮するわけでございますけれども、丁寧にお答えをいたしましょう。  まず、輸出規制のことでございます。  今、委員がおっしゃられましたように、今朝の明け方、明け方というより午前二時ごろですかね、ファルコナーの再改訂ペーパーが出ました。その再改訂ペーパーでは、日本とスイスが提案をしております輸出規制のルール化ということについては全く触れておりません。したがいまして、我々としては、スイスとも相談をいたしますし、また、同じような趣旨に賛同をいただいている国々とも相談をしながら、これから、ファルコナーは二十六日から再度農業交渉会議を開くと言っておりますので、二十六日からの農業交渉会議においては重ねて我々の主張をそこで展開をさせていただいて、是非とも前進が図られるようにしていきたいと思っております。  そこで、現行のWTO協定上は、輸出規制するときに通報をするのは義務になっていないんですね。そしてまた、その通報をした一定の実施期間、この期間の規定も何もないというような極めて不十分な規定になっております。  そこで、日本は、このWTO交渉が始まった当初から日本提案というのをいたしております。その日本提案の中に、輸出国輸入国のバランスの取れた貿易秩序ということを主張しておりまして、その中に、輸出国側が今のように勝手にできているのはおかしいんじゃないかということで、これをルール化すべきであるということを主張しておりました。そのことが、ファルコナーも一応認識をいたしまして、それでファルコナー提案の中には、議長提案として、輸出規制についてファルコナーは今の提案の中に書き込んでいるわけでございます。それは、通報の義務を強化しますと。九十日以内に通報して、これは毎年更新しなきゃいけないと。それから、現行にある措置は、輸出規制のですね、これはもう撤廃してもらって、新規の措置は原則一年以内に撤廃すると。最長は十八か月。そして、先進国途上国問わず規制対象にするといったようなことを、議長がもう既に提案としてあるわけでございます。  しかし、これでも、それじゃそれによって輸入国側が不満がある場合、どうやってこれを解決するのかということについて何ら規定がないわけですね。したがって、輸入国側の意見というものをWTOが取り上げる。どこが取り上げるんだと。農業委員会なら農業委員会が取り上げると。取り上げて、パネルのような議論をして結論が出るまでの間は、例えば輸出規制は止めててもらわなきゃ、もう我々としては、先行しちまっちゃ具合悪いんじゃないかというような、そういうルールを明確にして、これがちゃんと働くような形にしてもらいたいというふうに考えております。  そういう意味で、通報は必ず義務化すると。輸出規制するときはWTOに通報を義務化してもらいたい、そして、その輸入国側の要請によって協議をする場合には、協議中は輸出規制の措置は発動しないようにすると、そして協議の場合の基準というものを明らかにしておかなければいけないんじゃないかというようなことを申入れをしているということでございます。  これは前にも申し上げましたけれども、これに対して非公式にいろんな意見が出ておりますが、途上国輸入も相当しながら輸出をしている国、今、今度、輸出規制掛けているのは途上国が多いんですよね。そういう途上国国内暴動が起きそうだと、大変なんだというような状況の中で規制掛けざるを得なくて規制を掛けているというような途上国もあるわけでありまして、そういうところはやはり特別の配慮をしていかないと、同じ輸出規制といっても性格が違うんじゃないかという意見が出ているわけです。私もそれはもっともだなという気持ちがありまして、そういう途上国への配慮というのをどのような形で配慮をするのかということが考えられると思うんです。  中国も輸出規制しましたからね。中国の場合は輸入をしながら輸出をしていると、こういう関係になってくるわけですね。中国のような国をどう扱うのかということもあるでしょう。そういう意味では、これから詰めていく過程で、途上国あるいは先進的途上国といいますかね、そういう国をどう扱うかといったようなことについて関係国と協議をしながら、WTOの場合は協議調わないと生きてきませんから、そういうのを精力的に生かしていくようにしたいと、このように思います。  そして、委員が、状況が変わったんだから新しい提案でWTOをやり直したらどうだと、こういう趣旨とも受け取れるお話が、御意見がありました。これはできません。これは世界の、御承知のように、百五十か国が六年前にドーハ・ラウンドということで立ち上げて、ずっと積み上げて今日まで来ていよいよ大詰めの今段階になっているわけですね。だから、世界中の最大の課題、貿易関係でいえば最大の課題になって百五十か国がここで積み上げてきたのに、日本がもう今までの議論はチャラにして新しい議論をしようじゃないかというようなことで言えば、もう日本はこれ完全につぶしに入ったということになることは明らかであります。  農業だけじゃありませんで、みんながNAMAの交渉、サービスの交渉、ルールの交渉、交渉分野がいっぱいあって、それらをずっと百五十か国が積み上げて今日来ているものを、我々がこれをここでストップを掛ける、新たにやろうじゃないかということはもうこれを、今までやってきたことをチャラにするということですから、そういうことはやはり私はできないというふうに思います。  委員のお話でございますが、私の承知する限り、委員の御出身の全中の会長以下幹部の皆さんもそこまでは私の方にはおっしゃっておられないんですよ。やはり今まで積み上げてきたことを積み上げてきたこととして尊重しながら、どうやって交渉過程で我が国が大きな被害を受けないような形で我が国農業が存続可能なことにしていくかということで大変御苦労いただいているわけでございまして、新提案というのは、ちょっとドーハ・ラウンドをひっくり返すようなことというのは私はできないというふうに申し上げざるを得ないのであります。  それから、韓国との関係ですが、韓国側は確かにそういうことを言ったかのように伝えられております。しかし、私どもはそういうふうにちゃんと聞いたわけじゃございませんで、再開に当たりましては、福田総理からも言われておりますが、ここでつぶれるようなことがあってはならないので非常に慎重に進めていこうということでありまして、ですから、お互いがリクエストオファーに至る前にそういう誤解によって日韓の話合いがつぶれることがないように進めていかなきゃいけないというふうに、慎重に関係省庁と連携取りながら進めようという姿勢でおります。  しかし、今何も進んでおりません。今具体的には何も出てきておりませんので、何か、委員のお話で、農業の方で日本がかたくなで妥協する余地を全然示さないのでこれをチャラにしたんだというふうに巷間伝わっておりますけれども、私は、実はその関係者からいろいろ聞きますと、どうも農業ではなかったように思うんですね。だから、そういうようなことが広がるようなことがないように、お互いの交渉過程というのが誤解を生むことがないような慎重な進め方をしていかなきゃいけないというふうに考えているわけでございます。  あと何でしたかね……
  120. 郡司彰

    委員長郡司彰君) また次に指しますので。
  121. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) それじゃ、先に。
  122. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 御指摘の水田・畑作所得経営安定対策の過去の生産実績に基づきます固定払い、固定支払の関係でございます。  これにつきましては、不足払いあるいは価格支持政策など生産を刺激するような国内農業支持につきましては、WTO交渉の中で、全体、農業生産、国の農業生産全体といたしましても、また個々の作物、品目ごとにおきましても削減対象としていくという方向性がございます。この部分につきましては基本的に各国の共通認識となっているということでございます。したがって、我が国といたしましても安定的かつ継続的な制度運用という観点を考えますと、削減対象とならないような緑の政策をやはり政策の中心に据えることが重要であるということで導入したものであります。  具体的には、過去の生産実績を算定する基準期間につきまして、平成十六年から平成十八年までに固定した上でその実績に応じた支払を行うということにしたわけでございます。この件については、この担い手経営安定法の御審議の際についても非常に多くの御議論があったわけでございますが、今申し上げたいろんな理由から、この基準期間の見直しというのは考えていないという答弁をさせていただいておるところでございますし、また四月の当委員会におきましても大臣から御答弁申し上げておりますけれども、やはりこの線は大事にしていく必要があるんだろうというふうに思っております。  なお、ただし、この過去の生産実績に基づく支払のほかに、この制度の中では毎年の生産、品質に応じます支払、成績払いを併せて措置しているところでございます。これは、農業生産消費者、実需者ニーズに応じた良品質な農産物生産に応じて支払われるということでございます。最近の販売価格上昇とも相まって、収入が増加する要因でございます。さらに、新規参入者でございますとか経営規模拡大生産調整強化の対応等については、麦、大豆などの作付け拡大に関して担い手経営革新促進事業という別途の措置を講じておるということで、この場合は過去の生産実績なくても経営安定が図られる水準の支援を行うということでございますので、この点について御理解いただきたいと思います。
  123. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 済みません、大臣、ちょっと待ってくださいね。外務省……
  124. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) あと二点あると思うんですね。
  125. 郡司彰

    委員長郡司彰君) ちょっと、大臣、済みません。
  126. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 外務省、じゃ先やってください。
  127. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) 申し訳ございません。  日韓のEPAの関係でございます。もう大臣が御答弁をされましたので、一点だけ補足をさせていただきます。  四月の日韓首脳会談におきまして、この日韓のEPAの締結交渉の再開に向けた検討及び環境醸成のための実務協議を行うということを両首脳間で合意をいたしております。これを本年の六月中に開催するということになっておりまして、今、韓国側と具体的な日程の調整の詰めを行っているというところでございます。  まさに委員の御指摘のとおり、この実務協議におきまして精力的に検討を進めようと思っておりますし、この中で誤解が生じないよう丁寧に話合いをしていきまして、早期に交渉を再開するというところに持っていきたいと、このように考えております。
  128. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) あと二点、簡単に申し上げます。  一つは日豪でございます。日豪をもう中断したらどうだというような趣旨のお話でございます。  この日豪の戦略的な関係というのは大変深い関係、大事な関係でございまして、交渉が始まったばかりで、向こうが非常にかたくなな、全面的な開放と見られるようなオファーを出してきたからといって、これはもう中断するんだというふうにしてしまうというのは、我が国の国益の点から見ていかがなものだろうかというふうに考えざるを得ないわけでございまして、どうも気に食わないからもうやめたというわけにはなかなかいきません。もう地道に豪州側から提起されましたリクエストオファーに関しましては丁寧に粘り強く今説明しているところでございます。  もちろん、平成十八年十二月に本委員会で決議がされていることは十分承知の上、その決議の趣旨に従って、守るべきものはしっかりと守っていくという方針の下で日本としての最大限の利益が得られるような交渉を続けていくということでありまして、もう中断するんだというような決断にはまだ早いんじゃないかと思いますけどね。もっと誠意を持って、お互いが外交上の意見交換をし、交渉を続けていくべきものと考えております。  サミットその他の重要な会議があります。サミットの会議で私が一緒に出席すべきじゃないかと、こういうことですが、これ首脳会議なものですから、世界全体でフォローする人間が付いていって会議に出るということはルールになっておりませんので、私自身が会議に行くというわけにはまいりません。しかし、総理をしっかりと支えていくという立場で議論の準備、そしてまた総理の相談に応じてこれにこたえていけるような体制を整えて臨んでいくというふうに考えているところでございます。  なお、この六月にはFAOの食料サミットが国連事務総長から言われて総理が呼びかけられております。こちらはサミットのようなルールが明確になっているわけじゃありませんので、当委員会始め国会のお許しがいただければ、私は総理が行かれる場合にも私もFAOの食料サミットには同行したいと思っていますし、万一総理が行けなくなったときは私がこの会議に出て責任を果たしてまいりたい、こう思っております。  引き続きOECDの食料問題の会議がパリで行われますが、これは私もお許しいただければ引き続きそちらにも出ると。その機会に、豪州が呼びかけておりまして、非公式の農業関係の閣僚会議をするということが予定されております。これもやはりWTO閣僚会議には私出させていただきたいなというふうに今考えているところでございます。
  129. 山田俊男

    山田俊男君 ありがとうございました。答弁いただきまして本当にありがとうございます。答弁の中身はともかく、大きな重い荷物を肩から下ろしたような気持ちでおりまして、大変ありがとうございました。  ところで、内閣府の加藤大臣政務官にもおいでいただいておりまして、最後に一点だけお願いしたいと思います。  地方分権改革推進委員会におきまして、四ヘクタール超の農地転用権限、さらには保安林の指定・解除権限等の知事への移譲の論議が出ているところでありまして、まず地方分権改革推進委員会事務局からおいでになっているというふうに思いますので、最初にお願いしたいんですが、地方分権委員会では食料の安定供給や国土保全といった視点での議論が行われているのかどうかですね。さらには、当委員会でもしょっちゅう出ているわけでありますが、現下の地球規模での食料環境エネルギーをめぐります状況はもう一変しているわけでありますが、そうした国家全体、地球規模全体で議論しなければいけない課題についての議論がなされているのかどうかなんです。  同時に、これまで四ヘクタール以下についてはこれは農地転用の権限を都道府県知事へ移譲しているわけですよね。この移譲しているのは本当に不適切な農地転用になっているのかいないのか、これらについての実態把握はできているのかということが大変気になっております。加藤大臣政務官にもちょっと御発言いただきたいものですから、簡潔にお願いします。
  130. 坂本森男

    政府参考人(坂本森男君) お答えを申し上げます。  農地転用あるいは保安林につきまして、委員会を開きまして調査審議を行っているところでございます。調査審議におきましては、農林水産省から食料の安定供給や国土保全の観点に立った意見が示されたことも踏まえまして、委員会といたしましては、土地利用に関する個別の許可等は地方政府に一元化することが望ましいのではないかという認識に基づいた調査審議が行われているところでございます。  そのほか、いろいろと国際的な環境の問題につきましても何回かヒアリングをいたしまして、農林水産省からのヒアリングを実施して調査審議を行っているところでございます。  以上でございます。
  131. 山田俊男

    山田俊男君 加藤大臣政務官、今日はありがとうございます。  私も地方分権はいかぬなんと言っているつもりはないんです。地方分権は大変大事なことというふうに思っております。しかし、それは常に地域の実態を踏まえた議論が着実になされて、そして行われるべきだというふうに考えるわけですが、加藤大臣政務官は、まさに地域の実態をよく御存じであるわけでありまして、そういう立場から、この国の方向を間違わないように、是非、地方分権改革推進委員会をリードいただきたい、こんなふうに思います。  政務官の決意のほどを是非お聞かせ願います。
  132. 加藤勝信

    大臣政務官(加藤勝信君) ありがとうございます。  御承知のように、もう地方分権改革、福田内閣の最重要課題でもあります。内閣総理大臣が本部長として、本部を中心に今政府一体として取り組んでおります。今後、今地方分権推進委員会で第一次勧告に向けて議論が進んでおりますし、また政府としては委員会勧告を受けて対処方針を本部決定すると、こういう予定の中で今進んでいるところでございます。  また、今御指摘のように、地方の実態、さらには食料の安定確保、優良農地の確保、あるいは保安林の絡みでいえば国土保全、こういった課題も大変重要な課題であることはもう間違いないところであります。  いずれにいたしましても、勧告の内容あるいは本部決定をいたします対処方針、こういったものが国民の期待にしっかりこたえ、そして実のあるものにしていかなければならないところでございます。  昨日も、若林大臣そして町村官房長官そして私どもの増田大臣、三大臣の間で一時間を超える意見交換を行っていただくように、今それぞれ大臣間の意見交換も進めていただいているところでございます。  私としても、地方分権改革担当の大臣政務官といたしまして、御指摘の点も踏まえて、間違いのない方向に向けて改革が進んでいけるように努力をしていきたいと思っております。
  133. 山田俊男

    山田俊男君 加藤政務官、大変ありがとうございました。  また、若林大臣におかれては、FAOサミットへちゃんと出ていただけるということでありますので、大いに期待しておりますので、食料輸入国、最大の輸入国としての日本の姿勢を発言してきていただきたい、こんなふうに思います。  どうも大変ありがとうございました。
  134. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合正明です。  政府提出の農林漁業有機物資源バイオ燃料の原材料としての利用促進に関する法律案、いわゆる農林漁業バイオ燃料法案について質問をいたします。  バイオ燃料については大きく三つの目的、意図があるということであります。一つは、CO2を増加させないという大きな目的もあります。もう一つは、エネルギー安全保障上の、エネルギーを受け入れる際の多様化、また地域産業の振興という話も先ほど来ございました。  私の地元の岡山県も、真庭市、新見市がバイオマスタウンになっております。特に真庭については、従前からこのバイオマスについては非常に熱心に取り組んでまして、製材工場の残材からの燃料用エタノール製造実証とE3実証、これはもう既にやっているところでございます。  こうした中で、やはり地方の活性化を図っていくためにこれまでと違った視点での施策を講じていく、そういう意味でのこのバイオ燃料法案、非常に農林漁業の振興を図る上でも大切なものであるというふうに考えております。農林漁業に由来する資源をバイオ燃料の原材料として活用していくことを促進する法案の趣旨については賛成をするものであります。  まず、一点目にお伺いしますが、これまで、先ほど来出されている質問でありますが、食料それから飼料の供給とのバランスの確保についてのお尋ねであります。  実は、ある大手食品メーカーのトップの方が、バイオ燃料原料として小麦トウモロコシなどを使うことは世界食料危機を加速することになると警告をいたしました。それによると、石油製品需要の増加分二〇%をバイオ燃料で代替すると食用に回す穀物はなくなってしまうということでもあります。  また、バイオ燃料についての懸念はほかからも表明されておりまして、二〇〇七年には国連の食料の権利に関する特別報告官が、食料危機の回避策としてバイオ燃料の開発を五年間凍結するという案を提唱しております。そこまで言っているわけであります。  バイオ燃料に関しては、もちろん今後は食料以外の原料を使った生産法の開発などが主流になってこようかと思います。  まず、そこで一点目、我が国自給率が四〇%を切ってしまっているわけであります。まずは、麦、大豆といった作物の生産を振興することによっての農地の有効活用を図っていくことが重要ではないかと思っておりますが、まず、この食料、飼料の安定供給と国産バイオ燃料生産拡大のバランスをどのように取っていくかについてのお考えをお聞かせください。
  135. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 委員がおっしゃるとおりだと思います。食料、そしてまたえさを通じて畜産物という食料を作るということが最優先さるべきものというふうに考えているわけでございます。  したがいまして、日本型のバイオ燃料生産拡大対策と銘打っておりますけれども、方向性としてはセルロース系の原料でバイオエタノールを生産していくということを方向付けとして持っているわけでございまして、そのほかは、今委員がおっしゃられました、元々、木質系のペレットなどを作ってそのペレット利用をしていくとか、あるいはまた畜産の方で、廃棄ふん尿からだけではありませんけれども、それでガスを燃料に使うとか、いろいろな方策があるんですけれども、エタノールとの関係で言えば、やはり食料と競合を来さないということを政策の推進の方向としてそれを定めていきたいと、それを推進していきたいと思っています。  ただ、先ほども議論がありましたけれども、そういう木質系のバイオエタノールの生産システムを確立するためにはどうしても、まだ大変幼稚な、インファントの状態ですから、糖質系のエタノール製造システムという知見を得なければならないという意味で、五万キロリットル以上やる予定はありませんけれども、そういう糖質系のものを対象とするものをこの法律では対象にしてスタートを切らざるを得ないというふうに考えております。
  136. 谷合正明

    ○谷合正明君 食料価格高騰の要因としてこのバイオ燃料ブームがあるということも一因だということで委員会質疑でやり取りさせていただきましたが、今の大臣の答弁で、まずは日本型のバイオということで食料、飼料と競合しないバイオ燃料生産拡大を図っていくという話でございました。  こうした我が国の方針というものをもっともっと国民の皆様に知っていただくということが大事であろうかと思っております。国際会議でアピールするという以前の話として、国民の皆さんにどのようにこの理解を得る努力をされてきたのか、またどのように取り組んでいくかについての説明を、御答弁をお願いします。
  137. 吉田岳志

    政府参考人(吉田岳志君) バイオ燃料生産拡大につきましては、本法案による措置のほか、平成十九年度から開始しております大規模実証事業と併せまして、平成二十年度予算におきまして、食料供給と競合しない稲わらや間伐材などの未利用バイオマスを有効に活用しました日本バイオ燃料生産拡大対策、これを新たに開始いたします。あわせまして、平成二十年度税制改正措置におきまして、バイオ燃料製造設備に係る固定資産税の軽減措置の創設などの様々な支援策を講じることとしておるわけでございますが、今委員御指摘のように、これを国民の皆様にどう理解していただくかということでございます。  これらの支援策につきまして、関係者への周知と理解醸成を深めることを目的に、四月下旬から五月中旬にかけまして、全国九ブロックにおきまして日本バイオ燃料生産拡大対策に向けての対話集会というものを開催してまいりました。大変盛況でございまして、関係者に対して支援策の説明を行いますとともに、バイオ燃料やバイオマスの活用の促進についての意見交換、活発な意見交換を行えたと思っております。  バイオマスの活用につきましては、バイオマスの賦存状況等が地域によって大きく異なっております。そういったことから、地域の実態を踏まえて進めることが肝要というふうに考えておりまして、バイオ燃料の施策の推進当たりましては、こういった現場の様々な声、これをよく聞いて進めてまいりたいというふうに思っております。  今後とも、より分かりやすくきめ細かな説明を通じまして国民の理解の増進に努めますとともに、本法案による措置、補助事業や税制措置などを総合的に実施をいたしましてバイオ燃料生産拡大を図ってまいりたいと、このように考えております。
  138. 谷合正明

    ○谷合正明君 国民の皆様から具体的にどういう御意見があったのか、すべて承知しているわけではありませんが、地域の実態、実情に合わせた形の進め方というのが大事であるということがいろいろ説明会の中で分かってきたという話でございました。  こうした国民への対話というか、国民の皆様との意見交換を踏まえるような形で、大臣におかれましては、食料サミットであるとか国際会議の中で、まさにこのバイオ燃料食料、飼料とのバランスの問題についての、我が国、サミット議長国として世界をリードしていくというような発信というものが大事であろうというふうに考えておりますので、まず大臣に、この情報発信、国外に向けた情報発信についての取組について、あるいは御決意についてお伺いしたいと思います。
  139. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 洞爺湖サミットで、会場あるいはプレスセンターなどのエネルギー、これも、自然エネルギーそれからバイオエネルギーをベースにしたようなことをいたしまして、できるだけ日本の姿勢というものを広く理解できるような状況環境の中で、日本バイオ燃料はこういう方向で臨むということをアピールしていきたいと、こんなふうに考えているわけでございます。  議長国というのは、議長国が全体を環境をつくりながらリードしていくということはあるわけですが、議長国が余り自分の意見でそれでリードするというよりも、いろんな意見をそこで出してもらった中でいくと。ただ、我が方はこういうことを考えているということで会議を進めていくことになるんだろうと思っております。
  140. 谷合正明

    ○谷合正明君 分かりました。  次に、耕作放棄地の活用についての質問をさせていただきます。  基本的には食料、飼料と競合しない形で進めていくわけでありますが、しかしながら、今我が国国内においては埼玉県の面積に匹敵する耕作放棄地がございます。また、不作付け地も含めた遊休農地というのはたくさんあるわけでございます。こうした現在利用されていない農地バイオ燃料原料作物を作付けすることができていくのであれば、農業振興だけでなく、国土の保全といった面でも有用ではないかというふうにも考えております。このバイオ燃料が適切な方法で生産拡大が図られるのであればということであります。  そこで、例えば、じゃ耕作放棄されている現場にこれがすぐに簡単にできるかというと、高齢化に伴う労働力不足であるとか農産物価格の問題等もございますので一朝一夕にいくとは考えておりませんが、こうした原料作物の耕作放棄地への作付けについてどのような展望を持っているのかについて、考えをお聞かせください。
  141. 吉田岳志

    政府参考人(吉田岳志君) 耕作放棄地利用したバイオ燃料原料作物の作付けについてのお尋ねでございます。  耕作放棄地利用当たりましては、先ほどから議論がございますように、所有者や担い手、畜産農家などによりまして食料、飼料の生産が行われること、これが最も望ましいということは言うまでもないと思っております。  ただ、地域の条件によりまして、食料、飼料の生産を行うことが必ずしも合理的でないという場合も考えられますので、こうしたケースにおきましては、代替作物としてバイオ燃料用の作物の生産が位置付けられるものであるというふうに考えております。これによって農地農地として有効に活用できるんであろうというふうに考えております。  ただ、このような場合でありましても、バイオ燃料用作物の作付けに当たりましては、低コスト生産が必要不可欠でございます。そういったことから、当省におきましては、機械化一貫体系等の確立によります低労働力生産システムの構築、それから農薬や肥料といった資材の投入量が少なくて、そして多収穫が期待できる品種の育成、こういった研究開発に取り組んでいるところでございます。  今後とも、こうした取組の推進によりまして国産バイオ燃料生産拡大を通じた農林漁業の振興を図ってまいりたい、このように考えております。
  142. 谷合正明

    ○谷合正明君 実は、バイオディーゼルの方なんですけれども、ジャトロハという何か植物があるそうでありまして、今我が国としてもその開発、開発というんですか、どういう土地でこれが利用可能なのか。特に、アフリカだとかいろんなところでこのジャトロハという作物が干ばつや害虫に強く特別な手入れを必要としないものでありまして、種子からの搾油効率が高い上に、非食用のため、大豆トウモロコシといったバイオ燃料と違って価格高騰につながらないというような利点があるというところまで出ているわけでありますが、こうしたことも、国内に適用するとかあるいは国外への技術移転であるとかということも進めていただきたいなと思っております。  そこで、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大についてのお尋ねなんですが、二〇三〇年には六百万キロリットル、これは可能性としての数字だということであります。これには前提条件があって、革新的技術開発が行われることと。三点の革新的技術があって、一つ収集・運搬コストの低減、一つは資源作物の開発、もう一つはエタノール変換効率の向上でございます。  まず一点目お伺いしますが、この収集・運搬コストの低減を本当にこれはどのように図っていくのか。本当に地域地域に行きますと、私たち地域にはこんなにたくさんの未利用のバイオマスがあるんだと、ここにすごく期待しているわけでありますね。この収集・運搬コストの低減が図られると。これバイオマスだけじゃなくて林業全体の話かもしれませんが、この点についての取組についてお尋ねいたしたいと思います。
  143. 吉田岳志

    政府参考人(吉田岳志君) お答え申し上げます。  今御指摘のように、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大のためには、原料となる未利用バイオマスを低コストで安定的に供給すること、これが不可欠でございます。これらの未利用バイオマスは収集・運搬コストが高いと、そのために利用が進んでいないというのが現状でございます。  そこで農林水産省では、間伐材あるいは稲わら等の未利用バイオマスにつきまして、効率的に収集可能な農業機械あるいは林業機械、そういったものの開発ですね、それから収集・運搬システムの構築に係る研究開発、結局個々の技術だけではありませんで、それをどう組み合わせて地域でシステムとして根付かせていくかということが大変重要であろうということを考えておりまして、そういった研究を進めることというふうにしてございます。これらの研究開発を通じまして、間伐材あるいは稲わらなどのセルロース系原料からの大幅なバイオ燃料生産拡大に向けた実用化技術を確立してまいりたいと、このように考えております。
  144. 谷合正明

    ○谷合正明君 私はもう一つ、やはりエタノールの変換効率の向上の技術開発が一番大事であるというふうに考えておりまして、今世界的に研究開発競争が行われている中で、ここに力を注いでいくことが本当に国策にかなっていると私は思います。これは、技術分野、技術研究開発は我が国得意分野でございます。その意味で、この技術開発の重要性について、新品種の育成も含めてこの変換効率の向上と資源作物の開発について、この二点について現在どのように取組が行われているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  145. 吉田岳志

    政府参考人(吉田岳志君) お答え申し上げます。  バイオ燃料生産コストを低減させまして化石燃料生産力をもたせるというためには、今御指摘のありました、先ほど申し上げました生産収集コストの低減と併せまして、資源作物の開発ですとかあるいは燃料変換技術の開発、こういった技術的な課題を解決することが必要でございます。  そこで、今やっておることでございますが、具体的に申し上げますと、独立行政法人を中心にいたしまして、平成十九年度から多収穫で病害抵抗性等を有します新品種の開発や、直播栽培等の省力化が可能な栽培技術の開発を開始をしてございます。  また、稲わらなどの原料を効率的に収集するシステムやセルロース系原料の低コスト燃料化技術の開発、実証など、民間企業等による取組に対する支援を実施することとしているところでございます。  また、今、これ経済産業省等とも協力をしながらバイオ燃料技術革新協議会というものを立ち上げまして、その中で、コスト目標を明確にしまして、それぞれの技術ごとにどういった課題があって、それをいつまでにどうやって解決するかといった個々の工程管理も含めた検討をしておるところでございます。  さらに、この法案におきましても、こうした研究開発に係る計画認定制度を設けておりまして、認定計画に基づき育成された品種に対する種苗登録等の減免といった支援措置を講じることとしております。  今後とも、関係省庁と連携しながら研究開発の加速化を図ってまいりたいと考えております。
  146. 谷合正明

    ○谷合正明君 やはり革新的技術開発というふうに称されているこの三つの分野、本当に力を入れていく必要があると思っております。特に、再三申し上げますが、このセルロース系原料の効率いい糖化、ここを本当にどうやってやっていくのか。これがもうできれば、我が国の将来って本当に大きく変わるんじゃないかというふうに私は思っております。  最後に、残されている時間、大臣に、改めてこのバイオ燃料という新たな取組の実施に当たって、法案そのものだけでなくて、先ほど来言っているこの研究開発の推進、この辺についてのしっかり取り組んでいくんだという最後、大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。また、さらにその推進の意義について、これを国民に十分周知していくことも必要であろうと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  147. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 私、このバイオ燃料農林水産物由来の開発というのは、農林水産業に新しい分野を開くことになるんではないかという、そういう期待を掛けております。  農業分野は、もう比較的身近なことで非常に分かりやすいわけですけれども、新作物もございましょう。あるいは、今まで副産物で捨ててしまったようなものを有効に利用するということもありましょう。あるいは、規格に外れているためにそれがそれなりに評価されなかったようなものを有効に利用するということもあると思うんですね。  それから、林業については、もう委員が先ほど御指摘になりましたように、森林整備に伴って生じてまいります間伐材あるいは枝打ちその他の今までですと林地にそのまま残してきた林地残材、それから、製材をしたときに出てくる言わば製材残渣ですね、こういうようなものなども利用可能になってくるというふうに思うんですね。  それから、海の方が意外と海藻類でもう何とも邪魔者であったような海藻が原料に使えるということが言われておりまして、海の方も、それは場所は限られてきますけれども、そういう海藻類を原料に使うというようなことも可能になってくると。  それらはいずれも農山漁村の地域資源でもあるわけですから、そういう眠っている未利用のあるいは低利用の資源を使って地域の活性化にもつなげていけるような、そういうバイオインダストリーというようなものを立ち上げていくことが必要なんじゃないかというふうに思うわけでございます。  その際に大事なことは、何といっても、委員も強調しておられますセルロース系の原料を糖化すると、糖分にしてそれでエタノールにしていくということになるわけですが、これは酵母が、酵母、エンチームですね、これがどういうのが一番いいのかというのが大変難しい課題になっていると承知しております。  技術的なことはよく分からないんですけれども、先ほどお話ししました、昨日、総合科学技術会議、これはもう各大学の、あるいは日本学術会議の会長とか、そういう人たちがこのメンバーになっている会議なんですけれども、そこで国としての技術開発の先端的あるいは革新的技術開発の重点を何にするかということをずっと議論してきたんですね。  いろんなテーマが挙がっていますけれども、その中に我々が期待をしているこのことがテーマに挙げられ、そして、具体的にこういうものなんですよということをその学者が説明をされたモデルになったんですね。装置持ってきていまして、総理も出ておられたんですけれども、こっちに稲わらがあって、これだけの稲わらをこういうふうに酵母で、これ実験室の話ですけれども、こうやって、段階を踏んでいくと最後はこれだけのものができます、この稲わらの量でこれだけのエタノールが生産されているんですという、実感がわあっと伴ってくるような、そういう装置もそこで御披露になりまして、しかし、それをやるためにはどうしても先端的な、ゲノムの活用による先端的な酵母とでもいうんですかね、その発見というか開発、育成ということが大事なんだということを強調しておられました。そこのところに国としても集中的に研究資源を投入をして研究開発を加速させていくという姿勢で臨んでいきたいと、こう思っております。
  148. 谷合正明

    ○谷合正明君 ありがとうございました。  以上です。
  149. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  バイオ燃料の法案について質問いたします。  食料、飼料と競合しない地域の未利用資源を使い、そして地域循環型のバイオエネルギー生産を目指す取組は重要であって、それを支援することは必要だと思います。また、第二世代と言われるセルロース系の原料に関する技術開発を進めるということも必要だということでは賛成の立場なんですけれども、しかし、世界的には輸送用バイオ燃料利用拡大が、市場原理に任せて拡大した結果、食料との競合や自然や生態系破壊の問題が生じていて、やっぱり慎重さが求められているということだと思うんです。  これまでの法案の審議の中で大臣は、バイオ燃料への農産物利用促進を進める際は食料、飼料と競合しないようにするという答弁がされているわけですけれども、法案の対象となる農産物に米、麦といった食用、飼料用の穀物も含まれるわけですよね。我が国の農政の最大課題は食料自給率の引上げであることは議論の余地がないわけですけれども、そこから考えますと、米や麦などの穀物は燃料に回すよりは食料や飼料にいかにするのかということを政策課題にすべきだと。というときに、なぜ米や麦などを対象に含めることにしたのか、これについてまずお答え願いたいと思います。
  150. 吉田岳志

    政府参考人(吉田岳志君) バイオ燃料生産拡大についての意義、あるいは食料と競合しない取組ということについては先ほど来議論の出ておるところでございます。  今お尋ねの、食料と競合しないことが必要と考える中でどうして米や麦などの穀物を法案の対象としておるのかというお尋ねでございます。  これは先ほどにもちょっと議論出ましたけれども、我が国ではこれまでバイオ燃料の本格的な取組実績がございません。こういった我が国におきまして、国産バイオ燃料生産・流通体制を早急に整えるためには、現時点でエタノール製造技術が実用段階に来ています糖質やでん粉質の原料利用いたしまして大規模実証を行うこと、これを通じまして、原料供給から燃料生産、そして供給までを含めた一貫したバイオ燃料生産供給体制を整備するということが急務となっております。このことは、それ自体の目的もございますけれども、将来のセルロース系の原料を活用した国産バイオ燃料生産の実用化を図る上で避けて通れない道筋であるというふうに認識をしてございます。  なお、当然のことながら、その際には食用に向けられない非食用米ですとか規格外小麦などを用いることといたしまして、食料の安定供給には悪影響を与えないよう配慮をしておるということでございます。
  151. 紙智子

    ○紙智子君 農産物利用してバイオ燃料生産を行う場合に、食料、飼料との競合を避けるためにはどういう基本方針を示すのかというのはかぎになるわけです。基本方針で、食料、飼料と競合を避けるためにどのような条件を付けるのかということをまず具体的に示してほしいということが一つです。  もう一つ、現在既にモデル実証事業ということで、先ほど来議論もあるわけですけれども、飼料米やMA米を利用したバイオ燃料製造が農水省などの補助金を受けながら進められているわけです。法案にあります連携事業計画、この連携事業計画で、米を原料とする計画が出された場合には認定するかどうかというような判断基準というのは一体どうなるのかということなんですけれども、この二点、お願いします。
  152. 吉田岳志

    政府参考人(吉田岳志君) お答え申し上げます。  まず最初の、食料と競合しないということを基本方針でどのように定めることとしておるのかというお尋ねでございます。  法律案に基づき定めます基本方針の中で、当面はエタノール製造技術が実用段階にある糖質あるいはでん粉質の原料利用しますが、この場合にあっても食料や飼料の用途には供されない糖みつなどの副産物や規格外の農産物利用することとし、中長期的には食料や飼料の需給影響のない稲わら、間伐材などのセルロース系原料耕作放棄地などを活用して作付けられた資源作物を利用すること、これを基本として制度運用を行っていくということを基本方針の中で明記をするというふうに考えております。  二つ目の、既に始まっております米を原材料とする事業、こういったものを生産製造連携事業計画の認定の際にどういった判断基準で認めていくのかということでございます。  生産製造連携事業計画の認定に当たりましては、これは法律の中に書いてございますが、当該事業の目標、内容などが基本方針に照らし適切であるかどうか、二つ目といたしまして、当該事業の内容や資金計画などが事業を確実に遂行するため適切なものであるかどうか、こういった点を確認するというふうになってございます。これを米を原材料として利用する場合に当てはめてみますと、基本方針に明記する食料及び飼料の安定供給の確保のために配慮すべき重要事項、これが基本方針に書かれますが、その重要事項に照らして適切なものかどうか。それから、原料調達や燃料製造コスト面等から見まして事業内容が適切であるかどうか、実際にそれで事業が運営できるかどうかといった点ですね、こういったことを確認することになろうというふうに考えております。  ただ、いずれにいたしましても具体的な判断基準はこれからでございまして、法律の施行までに関係者の意見を踏まえまして基本方針において定めてまいりたい、このように考えております。
  153. 紙智子

    ○紙智子君 耕作放棄地や減反で作付けしていない農地を、どのようなものであってもこのバイオマス生産ができるように耕地に戻すということはこれは必要だと思うんですが、しかし、もし米作りが復活できるのであれば、これも先ほど来議論があるところですけれども、まず食料や飼料に利用できるように誘導、支援すべきではないかと思うんです。  飼料用米と稲発酵粗飼料を水田四十万ヘクタール生産すると自給率が一一・五%アップするという推計がされているわけです。それから、小麦需要を米粉に代えるということで自給率を上げていくというような取組もされているわけです。日本農地に、食料需要を賄った上で燃料需要にもこたえるような余裕があるのかと。米を安易にバイオ燃料原料とすることは私は認めるべきではないというふうに思うんですけれども、これについて大臣、お答え願います。
  154. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 耕作放棄地は約四十万ヘクタールあるわけですけれども、様々な賦存状況になっております。いろいろ調査が行われているわけですけれども、今年からもう一筆ごとに全部悉皆的に調査をしようと、そして、どういう利用が可能かということを関係者相寄って相談して利用促進を図っていこうと。中にはもう林地に戻すしかないかなというようなものもかなりあるんではないかというふうに聞いておりますが、できるだけ林地に戻すというようなことを避けて、せっかく耕地として利用していたものについては、作物が作付けできるような、それに適するような作物を考えていくというようなことが必要なんではないかというふうに考えているわけでございます。  水田については、今なら米は作れるといったような場合も、その米を主食に回していくというようなことであると、御飯というのはもう腹いっぱいという状況になっているわけですから、それは自給率を高めることにならないんですね。まあ輸出すれば別ですけどね。ところが、輸出はもうコストの面でなかなか通常の輸出は難しいと。こういう事情にありますから、他の作物あるいは御飯としての主食用の米以外の利用方法を考える、そういうことしか今置かれているところで道がないわけでございます。  ですから、耕作放棄地を農用地に利用していくという場合はもちろん食料それから飼料、えさですね、この生産をしていけるところは生産をしていくことが合理的であるというふうに考えているわけですけれども、労働力がないなどの理由によりまして、食品として利用可能な高品質作物の生産が困難であるというような場合とか、あるいはえさについていえば近隣に畜産農家がなくて、飼料を生産しても長距離輸送などが必要となってとても価格競争力がないとか、そういうような事情のある耕作の放棄地というようなものは、一方でこういうバイオ燃料原料作物を作付けすることが可能である限りそちらをまた作付けをしていくと、そういう考え方で仕分をして進めていくというふうに考えているわけでございます。
  155. 紙智子

    ○紙智子君 大臣はセルロース系への移行を強調されているわけですけれども、危惧を覚えるのは農水省の広報誌で「あふ」、農業、林業、水産業の頭文字、AFF、「あふ」っていうこの雑誌、これ去年の二〇〇七年の一月号なんですけれども、この中に、未来のエネルギーは水田、畑から生まれるというところがあるんですね。御存じかなと。
  156. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 知りません。
  157. 紙智子

    ○紙智子君 ああ、そうですか。  それでこの中に、東大の小宮山宏総長がバイオ燃料原料としてアジアの米生産のコストは安いからペイすると。で、アジアの水田に着目をして日本も協力してやっていくべきだというふうに述べていて、これに対して、アジアは水田が一番基盤ですからこれを生かしていく、そのとおりだというふうに当時の農水大臣が答えているわけです。  それで、アジア地域での米のバイオ燃料化の促進ということは、これはちょっと今のこの議論からいいますと農水省の方針じゃないんじゃないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。大臣、お願いします。
  158. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 今の時点で申し上げさせていただくと、農林省の方針、これが大臣の方針であるとすれば、そういう方針でありません。大臣だけではなくて、先般、アジアの諸国でバイオ燃料にどう取り組むかというセミナーを、会議を開きました。そのアジア諸国の皆さん方に、私どもが設営したわけですけれども、私どもが申し上げましたのは、やはりこのバイオ燃料日本はこういう形で食料生産と競合しないセルロース系のものに進んでいくんだというお話をしまして、これはタイ・バンコクで行いました会議なんですけれども、そこでディスカッションをしたわけですが、パームオイル、パームとか、そのパームヤシのかす、かすっていうかオイルを取った後のものだとか、いろいろ利用の道はあるなと、アジアの中でもそういうようなセルロース系のものを利用する道はあるということについて理解も深まっておりまして、そういう課題に取り組む場合の政府間協力について話合いをしたところでございます。そこで、食料の安定供給に最大の注意を払いながらバイオ燃料政策を進める必要があるという、そのことについては共通の認識、共通の意識の醸成が図られたというふうに担当者から聞いております。  我が国がやはり世界にアピールしていくにはそういう姿勢をアジア地域、足下のアジア地域の皆さん方にもそのことをアピールしていくという姿勢で臨むべきだと思っております。そういう公式の会議を開いて進めておりますから、その一月のは私承知しておりませんでしたけれども、お答え申し上げました。
  159. 紙智子

    ○紙智子君 分かりました。  あと、北海道で進められているモデル実証事業なんですけれども、これ私も行って話を聞いてきました。北海道ではこの間、てん菜の生産抑制が畑作の輪作体系の維持にとって大問題ということで、動機というか、そこら辺もあるということなんですけれども、そのために交付金の対象外のてん菜などを使ったバイオ燃料生産に活路を見出そうということで取り組んできたわけです。  その中で、道内の原料を使って道内で燃料として消費する地域循環型、地産地消を目指してやってきているんですけれども、現在建設中の工場の規模でできるバイオエタノール一・五万キロリットル、これをE3として道内で消費するというのは無理だということなんですね。それで、ETBE原料として売るしかないということで、さっきも山田議員がお話しになっていましたけれども、温暖化対策ということが一方で言われながら、結局、北海道から神奈川まで輸送するということになるとこれはどうなのかなというふうに思うわけです。それで、現在は輸送経費も助成があるんですけれども、これ五年まで、五年間の限りと。自立経営となったときに、果たして採算が取れるのかという問題もあるわけです。  そういうことも考えますと、やっぱり計画を認める基準の中に地域循環とか地産地消とか、それが可能な適正規模という視点といいますか、それも入れるべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  160. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 資源循環というのはまさに循環型社会が基本であるべきだという理念、思想から見てもそうでありますし、まさに農林漁業というのは大きな自然循環の中に営まれる産業であってほしいと思うんです。  ただ、でき上がった製品については、地産地消で賄わない、外に出ていくような、エタノールなんかもそうですけれども、実はこのバイオのできてきた中で、プラスチックのようなそういう原料もできるんですね。だから、できた製品は、そういう科学技術の進歩あるいは実需の変化というようなことの中で、もっともっと広い範囲のマーケットというのが期待される場合も出てくるということがありますから、法律制度として地域循環の中のものであることというふうに決め付けるんではなくて、やはり地域循環ができて地域でこれが利用されるということが望ましいというような考え方というのはあると思うんですけれども、それが更に広がって利用されたら駄目なんだというところまで縛ることはないんじゃないかと私は思っております。  なお、E3とETBEの話、これは私環境大臣のときに大変に苦労したんですよ。それで、経済産業省・エネルギー庁は必ず説得すると私には言っておられたんですね。ところが、石油連盟の方は説得に応じないということがありまして、ガソリンを売らないよという話になってくるわけですね。だから、宮古でもそうですし大阪も苦労するんですが、ガソリンを売ってもらえなければエタノールだけで走らせるというわけにはいきませんからね、ガソリンと混合するという意味で、ETBEであれば幾らでも供給しますよというような話があるんですよ。  私は、ここはやはり産業政策としてきちっと話を詰め、どっちもいいんですよ、いいんだけれども、どっちもいいというにはガソリンを売ってくれるということを待ってどっちもいいというふうにならなきゃいけない。ガソリンを売らないということになりますと、ETBEに行くしかないわけですね。その辺はやはりしっかりと調整をし指導をしていかなきゃいけないんじゃないかと環境大臣のときにしみじみ思っておりまして、それは鴨下大臣に引き継いでいるところでございます。  しかし、なかなか力の強い企業のようでございまして、これでやると危険があるとかいろいろあります。ところが、この間決算委員会で経産大臣は、品確法ができたらそういう問題も調整できてうまくいくはずだと、こういうことを言ったでしょう。だから、そういうことに期待しております。
  161. 紙智子

    ○紙智子君 経産省に、じゃ、お呼びしていますのでお聞きします。  我が国バイオ燃料政策について、食料、飼料とは競合しない、環境負荷も考慮すると言うんだけれども、その理念を輸入バイオ燃料にまで及ぼす必要があると。現状では二〇一〇年までに五十万キロリットルという目標なんですけれども、圧倒的な部分を輸入に依存しなければならないというのは否定できないと思うんですね。  バイオ燃料の製造に、食料への影響だけじゃなくて、生態系やあるいは水資源や児童労働の問題や小農民からの農地の取上げの問題など様々な問題の指摘があります。五月二日の東京新聞でも、「バイオ燃料が生物絶滅招く」と、「多様性条約事務局が警鐘」という報道がされております。  バイオ燃料輸入に当たって、環境生態系社会影響を回避する措置が必要じゃないかと思うんですけれども、この点についてお願いします。
  162. 北川慎介

    政府参考人(北川慎介君) お答え申し上げます。  京都議定書目標達成計画におきまして、ここで五十万キロリットルの目標が掲げられてございます。しかしながら、委員御指摘のとおり、当面は輸入に頼っていかなければならないと、こういう状況でございます。  この原油換算五十万キロリットルという量、これにつきましては、世界的に見れば非常に微量でございますけれども、今後大規模になってくるとすれば、いかに輸入とはいえ、委員御指摘のような生態系あるいは社会、様々な環境について考慮しなければならない時期は必ず来るというふうに思ってございます。  したがいまして、私どもといたしましては、世界のいろいろな議論を十分見極めながら、バイオ燃料導入状況を見極めて段階的に進めていきたいと考えてございますし、特に食料との競合という大変最近議論になっている点につきまして、これにつきましては、特にセルロース系バイオエタノールの開発、これを進めていくべきだと考えてございます。何度もこの委員会で先ほどから御説明がございますけれども、農水省さんと連携しまして、バイオマス燃料技術革新計画を取りまとめてございます。これに基づきましてセルロース系バイオ燃料技術開発を進めていきたいと、かように考えてございます。  いずれにいたしましても、関係各省と連携しながら、それぞれの課題をきちんと押さえて導入に取り組んでまいりたいと考えてございます。
  163. 紙智子

    ○紙智子君 ブラジルでは日本輸入に期待を寄せて生産拡大を図ろうとしているわけですけど、サトウキビの生産拡大に伴って大豆生産地が移動して、それが熱帯雨林の破壊につながっているという懸念がされているわけです。五十万キロリットルだったらまだ影響はないという、そういう問題ではないわけですよね。  EUは、自然環境地域経済や社会への影響を考慮する必要から、厳格な遵守事項を定めるということが検討されているわけです。我が国もやはり食料需給と競合しない植物資源に限定する、国内産・地域産の資源を優先的に活用する、生産、加工、流通、消費のすべての段階で環境を悪化させない持続的な方法を採用するとか、新たな環境破壊を引き起こさないためのガイドラインというのは必要だし、我が国もそれを検討するべきではないかということを最後にお聞きしたいと思います。これ、経産省と農水大臣にも一言ずつ言ってもらって、終わりたいと思います。
  164. 北川慎介

    政府参考人(北川慎介君) 今御指摘のとおり、バイオ燃料導入当たりまして、食料との競合、森林破壊あるいは生態系への悪影響と、こういったことが指摘されてきているところでございまして、特にEU当局におきましてもそのような方向で議論がなされているということを承知してございます。  私どもといたしましても、いたずらにバイオ燃料導入を急ぐということではございませんで、様々な関係に配慮しながら段階的に導入を図っていきたいと、かように考えてございます。
  165. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 私の信念的にお話を続けてきたわけでございますけれども、これは環境配慮型の事業としていかなければならないというベースは当然でございますが、それを何か今、基準に、基準のようなこと……
  166. 紙智子

    ○紙智子君 ガイドライン。ガイドラインですね。
  167. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) ガイドライン。やっぱり、まだインファントで、これから始まるところですから、やはりよく相談をしながら進めていかなきゃいけないと思うんですよ。国の方でこうだと、こうだと言ってやるほどまだ私は成熟度というものができていることじゃないんで、やっぱり研究開発から始まって実証実験と、そういうものを通じながら進めていくという意味で、すぐさまガイドラインを作るということは、今私は念頭にございません。
  168. 紙智子

    ○紙智子君 終わります。
  169. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  農林漁業有機物資源バイオ燃料の原材料としての利用促進に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  170. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、主濱君から発言を求められておりますので、これを許します。主濱了君。
  171. 主濱了

    ○主濱了君 民主党の主濱了でございます。  私は、ただいま可決されました農林漁業有機物資源バイオ燃料の原材料としての利用促進に関する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党・無所属の会、公明党及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     農林漁業有機物資源バイオ燃料の原材料としての利用促進に関する法律案に対する附帯決議(案)   バイオマスの利活用は、温室効果ガスの排出を抑制し、地球温暖化防止する上で有効なものと位置付けられている。また、資源小国である我が国にとって、化石資源への依存度を減らしエネルギー供給源の多様化を図るなど、エネルギー安全保障の観点から、バイオ燃料に対する期待が高まっている。   しかし、アジア諸国等における人口増加と経済発展等に伴う食料・飼料需要増大バイオ燃料の原材料としての穀物需要増大地球温暖化による気候変動影響等により、世界的に食料需給がひっ迫し、食料価格が高騰する中で、バイオ燃料の原材料として穀物利用する場合には、バイオ燃料食料・飼料との間に競合が生じ、我が国をはじめ食料・飼料の多くを輸入に依存せざるを得ない国々は、その影響を直接被るおそれがある。   よって政府は、本法の施行に当たり食料・飼料の安定供給の確保及びバイオ燃料生産拡大が適切に図られるよう、次の事項の実現に万全を期すべきである。  一 穀物を原材料とするバイオ燃料生産については、食料不足や飼料価格上昇等の弊害が指摘されていることにかんがみ、食料・飼料生産バイオ燃料生産の適切なバランスに配慮したバイオ燃料生産の取組が各国でなされるよう、我が国としても国際会議等を通じて積極的な働きかけを行うこと。  二 稲わら及び間伐材等、食料供給と競合しないセルロース系の原材料からバイオエタノールを低コストで製造する技術開発について、各省庁間の連携を強め政府一体となって重点的に進めるとともに、その迅速化を図ること。  三 諸外国で生産されたバイオ燃料について、穀物国際価格上昇を促すとともに、バイオ燃料の原材料となる穀物を作付けるために熱帯雨林等の大量破壊を招くおそれがあるものについての輸入は極力避け、国産バイオ燃料生産を大幅に拡大するよう施策を進めること。  四 農林水産業から生じる残さ等は産業廃棄物に分類されるものもあるが、これらの適正処理を図りつつバイオ燃料としての利活用を促進するための施策を進めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  172. 郡司彰

    委員長郡司彰君) ただいま主濱君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  173. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 全会一致と認めます。よって、主濱君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、若林農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。若林農林水産大臣
  174. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、関係省庁とも連携を図りながら、今後、最善の努力をしてまいる所存でございます。
  175. 郡司彰

    委員長郡司彰君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十分散会