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2008-04-10 第169回国会 参議院 農林水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年四月十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         郡司  彰君     理 事                 主濱  了君                 平野 達男君                 加治屋義人君                 野村 哲郎君     委 員                 青木  愛君                 一川 保夫君                 金子 恵美君                 亀井亜紀子君                 高橋 千秋君                 藤原 良信君                 舟山 康江君                 米長 晴信君                 市川 一朗君                 岩永 浩美君                 牧野たかお君                 山田 俊男君                 澤  雄二君                 谷合 正明君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   若林 正俊君    副大臣        文部科学大臣  池坊 保子君        農林水産大臣  岩永 浩美君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       澤  雄二君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 朝雄君    政府参考人        公正取引委員会        事務総局経済取        引局長      松山 隆英君        外務大臣官房審        議官       田辺 靖雄君        外務大臣官房参        事官       小原 雅博君        農林水産大臣官        房総括審議官   吉村  馨君        農林水産省総合        食料局長     町田 勝弘君        農林水産省生産        局長       内藤 邦男君        農林水産省経営        局長       高橋  博君        経済産業省通商        政策局通商機構        部長       小川 恒弘君    参考人        全国農業協同組        合連合会代表理        事理事長     宮下  弘君        全国農業協同組        合連合会常務理        事        米本 博一君        全国農業協同組        合中央会専務理        事        向井地純一君        全国農業協同組        合中央会常務理        事        冨士 重夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○生糸輸入に係る調整等に関する法律廃止す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○農林水産に関する調査  (米緊急対策平成十九年十月二十九日)に関  する件)  (全国農業協同組合連合会による平成十八年産  米の販売残十万トン相当量の非主食用飼料)  処理に関する件)  (平成二十年産米生産調整に関する件)  (米の消費拡大に向けた取組に関する件)  (飼料用米生産取組に関する件)  (WTO交渉に関する件)     ─────────────
  2. 郡司彰

    委員長郡司彰君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  生糸輸入に係る調整等に関する法律廃止する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、農林水産省生産局長内藤邦男君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 生糸輸入に係る調整等に関する法律廃止する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 青木愛

    青木愛君 おはようございます。  民主党・新緑風会・国民新日本青木愛でございます。  政府から提出をされました生糸輸入に係る調整等に関する法律廃止する法律案について早速質問をいたします。  初めに、現在の日本蚕糸業現状についてお聞かせをください。
  6. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 蚕糸業規模は著しく縮小してきておりまして、平成十八年度には、まず養蚕農家数でございますが千三百四十五戸、繭の生産量は五百五トンとなっておりまして、五年前の平成十三年度と比べますとそれぞれ半減いたしております。また、器械製糸工場も二工場となりまして、五年前と比べて四工場減少いたしております。それから、種でございます蚕種製造業者については、業者数は五社となっておりまして、五年前に比べて一社の減少でありますけれども、蚕種製造数量はほぼ半減しているところでございます。  また、平成元年度と比べますと、養蚕農家数繭生産量は共に五十分の一、二%の水準まで減少いたしております。器械製糸工場は二十五分の一の水準まで減少をしております。蚕種製造業者数は六分の一の水準まで減少しています。この減少の大きな要因は、和装需要減少や安価な絹製品輸入増大などに伴いまして養蚕農家製糸業経営状況が悪化してきたことにあると考えられます。
  7. 青木愛

    青木愛君 昭和初期生糸絹織物輸出額輸出総額の四四%を占めていたと伺いました。蚕糸業は最大の輸出産業であったんですが、今大臣からお聞かせいただきましたとおり大変厳しい現状の中で、今回出された法案の内容、二点あるかと思うんですが、まず一点目の生糸輸入に係る調整金廃止についてまずお伺いをしたいと思います。  これまでの生糸輸入調整法仕組みと果たしてきた役割、そして今回この調整金廃止する理由についてお聞かせをください。
  8. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 生糸輸入調整法につきましては、生糸輸入する実需者から徴収した調整金によりまして繭代金補てんをしてきたものでございまして、これによって蚕糸業経営の安定に一定の役割を果たしてきたものと考えております。  しかしながら、最近の絹織物需要減少製品輸入の増加、生糸輸入量減少に伴う調整金収入減少など、蚕糸業をめぐる事業環境は大きく変化いたしてきております。今後、このような状況の著しい変化を踏まえまして、生糸輸入調整法廃止し、これまでのような輸入生糸国産生糸との価格調整仕組みではなく、養蚕製糸業絹織物業とが提携をしまして、国産繭特徴希少性を生かした純国産絹製品作りを推進することによりまして、付加価値の高い製品を作っていく、輸入品との差別化を図っていく、こういうことによりまして我が国蚕糸業経営の安定を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。
  9. 青木愛

    青木愛君 ありがとうございます。  絹織物業者生糸輸入する場合、一キロ当たり百九十円の調整金を支払っていたわけですが、今お話にありましたとおり、安い生糸輸入する代わりに養蚕農家に対して絹織物業者が支払うと、機構を通してその繭代補てん財源になっていたわけですけれども、調整金廃止絹織物業者にとっては大変メリットが高いと思うんですけれども、また要望もあったかと思うんですが、一方、この調整金をなくすことで養蚕農家の方の繭代補てんの維持ができるのかどうかというところが大変不安に思うわけですけれども、この調整金廃止によって欠けた分の財源、どのように補い維持されていくのか、また、この調整金廃止によって生糸輸入が急増するとも考えられるんですけれども、消滅の瀬戸際にあります国内生糸への追い打ちを掛けることになりかねないと思いますが、その辺についてお伺いをしたいと思います。
  10. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) この生糸輸入調整法廃止をしました後のことでございますが、養蚕製糸業絹織物業者とが提携をいたしまして、国産繭特徴希少性を生かした純国産絹製品作り支援をすることによりまして、養蚕農家に十分な繭代が確保できるようにしなければならない、こう考えております。それと同時に、それまでの間、そのように養蚕農家十分繭代が確保できるようになるまでの間でございますが、経過措置として従前の繭代補てんは継続することにいたしておりますが、この財源につきましては平成十九年度の補正予算におきまして蚕糸絹業提携支援緊急対策事業を起こしまして、ここに三十五億円を措置をいたしております。この対策の着実な実施に加えまして、生糸を新たに関税割当て対象にするということにいたしまして、需要を上回る生糸輸入を抑制することにしているところでございます。
  11. 青木愛

    青木愛君 ありがとうございます。その提携システムについてはまた後で質問をさせていただきたいと思うんですが。  今、関税割当て移行するというお話があったんですけれども、織物業者の今度は立場からしますと、その調整金廃止になってもこれまでと同じように実需者としての輸入分無税になるという措置が今後も継続されないと何の意味もないかなというところがあるかと思うんですけれども、その関税制度の在り方について、廃止後の、もう一度お聞かせいただけますでしょうか。
  12. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 委員が御心配になっておられますように、これからの絹織物などの実需者はどういうことになっていくのかと、関税制度との関係での御質問だと思います。  これまでの生糸輸入制度は、委員御承知のとおり、生糸輸入調整法に基づいて農林水産大臣実需者であると認定した絹織物業者などにつきましては、生糸一キログラム当たり百九十円の調整金を課す一方で、関税暫定措置法により関税無税措置がとられてきたところでございます。  生糸輸入調整法廃止されることによりまして実需者輸入制度はなくなるわけでありますが、その後も引き続き生糸実需者による安定的な輸入生糸の調達が可能となりますように、今般成立をいたしました関税暫定措置法改正におきまして、新たに生糸関税割当て対象となったところでございます。この関税割当て制度におきましては枠内の税率が無税となるように措置されたところでございまして、実需者についてはこの無税措置が適用され、従来同様円滑な輸入が図られますように関税割当て制度運用を適切に行ってまいる所存でございます。
  13. 青木愛

    青木愛君 ありがとうございます。いずれ、養蚕農家にとりましても、また絹織物業者にとりましても、今後より良い仕事ができるような環境を整えていただければと思います。  次に、この法案二点目の、独立行政法人農畜産業振興機構法の一部改正についてお尋ねをしたいと思います。  生糸調整法廃止に伴って、農畜産業振興機構蚕糸関係業務廃止することになるわけですけれども、機構スリム化目標達成の見通しについてお伺いをさせていただきます。  具体的に今、現在、役員が十名、職員が二百二十名、機構全体でいらっしゃるかと思いますが、その役職員数変化、また業務廃止に伴う政府からの交付金国庫補助金変化について教えてください。
  14. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 今回の法律改正によりまして、独立行政法人農畜産業振興機構が現在行っております蚕糸関係業務についてはこれをすべて廃止するということにいたしております。そして、蚕糸関係業務を区分をいたしまして生糸勘定というのを設けておりましたが、この生糸勘定廃止することにしているところでございます。  蚕糸関係業務につきましては、これまで二名の職員がこれを担当をいたしておりました。その業務廃止をいたすわけでございますので、定員は二名削減するということになります。なお、役員につきましては、蚕糸関係業務担当している理事砂糖関係業務とかでん粉関係業務などの業務担当をしておりますところから、蚕糸関係業務廃止に伴って役員の減員はございません。  また、予算面におきましては、十九年度政府予算では、生糸関係予算として蚕糸業安定対策交付金など約十四億円が計上されていたところでありますけれども、当該業務廃止に伴い、二十年度予算におきましては機構に対する生糸関係政府予算は計上しておりません。
  15. 青木愛

    青木愛君 この業務廃止に伴って、この法案の第三条にあるように、その生糸勘定国庫に返納されなければならないとあります。十九年度の決算は六月の末に公表されるようですので、見込みで結構ですので、おおよそどの程度の額に、その返還される金額がどの程度になるのかお聞かせをいただきたいということと、この十九年度についても一般会計からの補てんというのがあるのかどうか、どの程度になるのかを教えていただければと思います。
  16. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 今回のこの法律改正によりまして、機構におきましては、生糸関係業務及びこれを経理している生糸勘定については、今申し上げましたように廃止することにしているわけでございます。  そこで、現在生糸勘定において保有する資産は不要となりますので、その残額国庫に納付するということにしているところでございます。その額については、来年三月の決算終了後に確定することとなりますけれども、現在の見込みでは約六億円余と見込まれているところでございます。  また、輸入生糸から徴収した調整金政府からの交付金等財源として繭代金補てん等に充てております蚕糸業振興資金につきましても、その残額国庫に納付することとしており、今申し上げました六億円余の中に含まれているというふうに御理解いただきたいと思います。
  17. 青木愛

    青木愛君 分かりました。  重ねて質問なんですけれども、この一般会計からの補てん額というのはどの程度になるんでしょうか。
  18. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 生糸勘定繰越欠損金というのがございまして、平成十五年十月の独立行政法人への移行時に資産評価方法簿価から時価評価に変更されたことによって生じたものでありまして、以降、機構自身自助努力一般会計からその減少を図ってきたところでありまして、一般会計の面からは約十億円の予算措置を講じて、十九年度です、十億円の予算措置を講じているところでございます。  なお、この十九年度末の時点におきましても、四十数億円の繰越欠損金を計上する見込みでありますことから、機構蚕糸関係業務廃止に伴う生糸勘定廃止の際に、資本金を減資して繰越欠損金を解消するということにいたしております。
  19. 青木愛

    青木愛君 私まだこういう仕組み、余り詳しくなくて、よく分からない部分もあるんですけれども、一般会計から補てんしていながら、国庫に返しましたというのは、うまく言えないんですが、胸を張って言えることではないような気がするんです。まだちょっと素人感覚なんですけれども。  十九年度分は十億ということなんですけれども、過去の経過の流れもちょっと拝見した中で、厳しい背景はあったかと思うんですけれども、ここまでほうっておいたということについて、できれば一言御答弁いただければと思います。
  20. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 実はこの機構の方にこの業務を持っていく際に、これは全般にそうなんですけれども、資産評価方法の変更というのをいたしました。そこで、従来の簿価を、これは資産としては繭でございますが、その資産時価評価替えをいたしております。いや、生糸ですね、生糸評価替えをしたわけです。そのときに発生した評価替え損というのは百三十億余あったわけでございます。  これを逐次償却をするといいますか、補てんをすると同時に、機構自身自助努力によりましてだんだん減らしてきて、これが四十何億になっていると、こういうことでございまして、それを少しずつ減らしていくという意味一般会計の方から補てんをしてきたというふうに御理解いただきたいと思います。
  21. 青木愛

    青木愛君 ありがとうございます。私もまた勉強していきたいと思っております。  いずれにしても、先を見て前進していかなければならないわけなんですけれども、今後の蚕糸業振興策、また展望について改めてお伺いをさせていただきます。よろしくお願いします。
  22. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 私は実は長野県で育ちまして、養蚕地帯でもあったわけでございます。この養蚕による収入というものがその地域の農家にとりましては現金収入でありまして、そして子弟の教育あるいは生活に充てるというような、この養蚕に大きく依存した状況が続いておりました。そういうことを考えますと、今日のこのような状況を迎えたということは感慨無量でございますし、非常に寂しい思いをいたしますが、先ほどお話ししたような環境条件変化の中で養蚕業廃止をしまして、私のところでいいますと果樹、リンゴだとかブドウだとか、そういう方に転換が図れる人たち転換を図っていく、あるいは野菜生産に切り替えていくというようなことで、私の地帯ではもう養蚕農家はついに数年前にゼロになってしまいました。  そういうような状況でありますけれども、何といってもこの生糸というのは、委員が先ほどお話しありましたように、近代日本を支えた主要な産業でありますし、さらに歴史的にいいますと、この養蚕というのは我が国伝統文化を支える基にもなってきたわけでございます。そういう意味で、何とか今、先ほどお話ししました千四百余の養蚕農家が、引き続き我が国の特色のある繭、生糸、そして絹織物というものを作っていってもらいたいと、こういう思いを私自身も強く持っているところでございます。  そこで、これからの生糸の、蚕糸対策としましては、従来は繭代補てんするなどのように、輸入生糸国産生糸価格調整するという方式を取ってきたわけでございますが、それをこのたび廃止をいたしまして、養蚕農家製糸業者、それとそれを利用をします絹織物業者、これが連携を強めまして、より高品質な純国産絹製品作りを推進をしていこう、そこに活路を見出そうとしているわけでございまして、これによりまして蚕糸業経営の安定を図っていこうとしているわけでございます。  この蚕糸絹業連携によりまして、国産繭を使用して差別化する商品をつくると、こういう事例は既に幾つか出てきておりまして、新しい対策はこれらの事例を踏まえながらそれを更に強化していこうというものでございまして、蚕糸業養蚕とか製糸業でありますが、それと絹業絹織物だとか流通業小売業などが連携しやすくなるように、業界事情に精通した、結び付ける役割コーディネーターというものの役割によりまして、この連携システムづくりへのあっせん、あるいは調整などを行うこととすると同時に、この連携によりまして、消費者に高く評価される純国産絹製品製造し、その販売収益養蚕農家まで適切に配分していく、このような取組支援をしていこう、このことを通じて蚕糸業経営の安定を図っていこうというふうに考えているわけでございます。
  23. 青木愛

    青木愛君 ありがとうございます。  その蚕糸絹業との提携システムなんですけれども、そのコーディネーターの確保として、これは仮の名前でしたと思いますけれども、蚕糸絹業提携支援センターというものを財団法人の大日本蚕糸会の中に設置されるようですけれども、既に補正予算で三十五億円が計上されて、三十五億円の基金が大日本蚕糸会に預けられることが衆議院農林水産委員会で明らかにされました。その基金の使い道について積算の内訳がどうなっているのかお伺いしたいことと、またセンターの設置というと、やっぱりちょっと身構えてしまうんですが、新たな天下り先になるのではないかということが衆議院の方でも質疑にございました。改めてこの点について確認をさせていただきたいと思います。
  24. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 実は、この問題を御説明しますと、少し時間をいただかなきゃならなくなりますけれども、時間に限りがありますので結論のところを申し上げたいと思いますけれども、まずは、実際だれがコーディネーターになって、その役割はどんな役割を果たすのかということにつきましては、川下であります絹織物業者などを所管している経済産業省としっかりと連携を取りまして、新たな蚕糸対策として、養蚕産地絹織物産地の立地を踏まえまして、提携システム全国規模で多数形成されていくようにするということがポイントになると考えております。  こういうようなコーディネーターを中核にいたします連携のこのシステム、もう既に幾つかの事例があるわけでございますが、このシステム運用をしていくために、公募によりまして、この事業実施主体であります大日本蚕糸会公募で選定されたわけですが、蚕糸絹業提携支援センターというものを設置いたしまして養蚕農家に対して支援、指導を行うということでございます。  具体的にどういう支援を考えているのかということでございますが、大きく三つございまして、一つは、業界事情に非常に精通しています、先ほど申し上げたようなコーディネーターによる提携グループの形成に対して支援をすると。二つ目は、高品質な純国産絹製品製造に向けまして、品質の向上、ブランド化などの取組に必要となる経費を助成すると。そして、三つ目、これは大事なことなんですが、この提携システム移行をしていく、一気には行きません、逐次移行していくわけでございますが、この移行するまでの経過措置として、養蚕農家に対しては従来同様の繭代補てんを継続すると。  この三つ支援措置を講じていこうとしているわけでございまして、先ほども冒頭申し上げましたが、これらの対策実施の必要な予算としては平成十九年度の補正予算で約三十五億円を措置したところでございます。
  25. 青木愛

    青木愛君 その三十五億円の基金農林水産省OBの方々の人件費として使われるばかりにならないよう、重ねて申し上げておきたいと思います。  その提携システムについてもうちょっとお聞かせいただきたいんですけれども、ブランド製品作りをして付加価値を付けて高く売ってその利益を配分していくということなんですけれども、経産省との連携ということであるんですけれども、養蚕農家製糸業農水省管轄養蚕農家とか製糸業への適切な利益配分というのは行われるのかどうか。現実的にどの程度上乗せできるのかというその実現性部分をお聞かせいただきたいんですけど、要は川上まで行き渡っていくのかなと、利益配分が、と思うんですけれども、その点について具体的なもし数字が分かれば、目算で結構ですので。
  26. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) このコーディネーターに対して支援措置を講ずる際の条件といたしまして、経過期間は三年間を念頭に置いていますが、養蚕農家に対しては従来の繭代補てんを含みます繭代が、このコーディネーターの下につくられます新システムからそちらに補てんされると、生産者に交付されるということを前提条件といたしまして助成をすることにしているわけでございますから、そのような今までの繭の生産をします養蚕農家に対しては従来と同様の実質的な繭代が、あるいはそれ以上のもの、つまり高付加価値化によりまして全体で収益が上がるようになりましたら、内部の分配でございますから、それ以上の分配が可能になるようになると、このように考えております。
  27. 青木愛

    青木愛君 三年間の移行期間を経てそうした提携システムをつくられるということなんですけれども、消費者需要として、食料であれば国内の安心、安全なものをという意識も高いと思うんですけれども、なかなかこういう洋服、衣料となると安い方が、輸入品でも安い方がいいかなと庶民感覚ではあるかと思うんです。ただ、先だっても中国製の幼児服で有害物質も出ましたので、そんなこともあるのかもしれませんけれども、果たして三年かけて本当にこの提携システムが機能するのかどうかという部分については私は多少疑問も残るわけですけれども、いずれこの蚕糸業産業として発展させるために衣類以外の需要も研究した方がむしろ展望が開けるのではないかと考えます。  今、医療とか食品とか化粧品などの分野でも利用されているようですし、また蚕はたんぱく質を非常に効率良く生産できる特徴があるそうです。こうした蚕の遺伝資源を国家財産として管理をしていくことも大事かと思いますけれども、その点について最後に質問させていただきます。
  28. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 日本蚕糸にかかわる技術、産業というのは世界的にも大変技術的には進んでいるわけでございます。この繭のもとになります、お蚕のもとの蚕種、種ですね、この製造に不可欠な原原種というのが必要になります。それでふ卵をつくっていくわけですが、この原原種についても引き続き、これを保存している研究機関の協力を得ましてその確保に努めていきたいと、こう考えておりますが。  委員が御指摘のように、単に衣料、着物、何といってもやはり、しかし日本の和装、絹というのは高級品でございまして、その高級志向というのは実はますます高まってきておるんですね。全体の絹織物の、和装の絹の中に占める実は繭代というのはごくわずかなものなんですね。これがいいものができればそれだけ繭の方にも分配されますから、今後ともやはり日本文化としての和装は大いに進めていかなきゃいけないと思っておりますけれども。  しかし、蚕や繭の持っている、いろんな機能を持っておりますその機能に着目して、例えば絹のたんぱく質を用いた化粧品を作るとか、あるいは動物用の医薬品などの新規用途の開発もいろいろ進んでおります。そのようなことにつきましては、研究機関も参画しまして絹織物以外の新規用途に取り組む場合にも提携システムのこれを対象にするということにいたしまして、このような新規用途についての事業も全体の中でそういうコーディネーターを中心として進めていくということでやっていきたいと思っておりまして、医療の分野とか新たな食品の分野とか今申しました化粧品の分野でありますとか、既にいろいろと新しい分野が開発されております。これらに期待を掛けながら、この新しい制度の中の一つの連携の、コーディネーターによります連携事業の一つとして支援をしてまいりたいと、このように考えております。
  29. 青木愛

    青木愛君 ありがとうございました。
  30. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合です。  先日大臣から提案理由の説明がございました本法案につきまして質問をいたします。  蚕糸業につきましては、今日は質問も重なるところも多々あろうかと思いますが、確認の意味質問をさせていただきます。蚕糸業につきましては、明治以降、我が国の基幹産業として発達しまして、実際にその輸出によって得られた外貨が近代日本の発展を支えてまいりました。  調べたところによると、我が国蚕糸業が最盛期にあった昭和初期には全国の農家の約四〇%が養蚕に従事をしていたと。全耕地の約一〇%の六十二万ヘクタールで桑が栽培されておりました。戦後におきましても、政府は重要な産品としまして、昭和二十六年に制定された繭糸価格安定法により生糸価格の安定を図って様々な対策実施してまいりましたが、昭和三十年代以降、一貫して低落傾向をたどっております。特に、近年では著しい減少を示しているわけでございます。  この養蚕につきましては、私自身も大学の卒業論文で我が国蚕糸養蚕業を取り扱って、しかもタイ東北部に技術移転を我が国はしていたということでその辺辺りも調べたこともあって、私自身なりに感慨深いこの法案なんですけれども。  今回、生糸輸入調整法という法律廃止する法案提出したということで、政府として蚕糸業の振興から手を引く、蚕糸業の保護という役割を放棄するのではないかというふうに見られるおそれもあると。しかし、それは懸念であり、そういった心配は無用であるといった説明や配慮というものが必要であろうかと思っております。養蚕農家が今後とも安定的に養蚕を続けられるよう、政府としてしっかりとした対策を講じていくべきであると考えております。  そこで、冒頭に大臣の方に、なぜ今このときに生糸輸入調整法廃止することとしたのか、また今後の我が国蚕糸業をどのように振興していく考えなのか、御見解をお伺いいたします。
  31. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 今お伺いいたしました、委員十分御承知のことと思います。そして現在の仕組みを申し上げますと、生糸輸入調整法に基づきまして、生糸輸入する実需者から徴収した調整金によりまして繭代補てんをするということで国産生糸輸入生糸との価格差の縮小を図って、これによりまして蚕糸業経営の安定を図ろうとしてまいったわけでございます。  しかしながら、最近は和装需要の減退や海外での加工された絹製品輸入が増加をいたしまして、輸入生糸との価格調整を図ることによって国内生糸価格を維持するということは難しくなってまいりました。その結果として国内養蚕農家の数や繭生産量は大幅に減少をいたしました。絹製品需要全体の中で国産繭から作られるものの比率は実はわずか〇・九%という状態になっているわけでございまして、その意味生糸輸入調整法に基づく蚕糸業経営安定の仕組みがもう有効に機能しなくなったというふうに言わざるを得ないのでございます。  そこで、このような状況の著しい変化を踏まえまして、生糸輸入調整法は機能しなくなったわけでございますのでこれを廃止をしまして、これまでのような価格に着目した対策ではなくて、養蚕製糸業絹織物とが連携をいたしまして国産の繭の特性を生かした高品質の繭、その希少性を生かした純国産絹製品作りなどを進めるということによりまして、付加価値を高めて輸入品との差別化を進めて我が国蚕糸業経営の安定を図ってまいりたいと考えているわけでございます。  そういう新しいシステムが稼働をして、コーディネートして、養蚕、繭の生産者から最終的な加工そして販売に至るその一連の流れの中でこれが定着をして自立できるようなことになるまで、養蚕農家に対しましては従来と同じような形で、まあ三年間を前提にいたしておりますけれども、繭代金補てんは従来水準を維持したいと、このように考えております。その間に高付加価値製品を普及することによりまして、全体の収益分配として養蚕農家が従来以上の繭の所得が上げられるように持っていかなければいけないと、こう考えているところでございます。
  32. 谷合正明

    ○谷合正明君 この生糸輸入調整法廃止というのは、これがまあ機能しなくなったということと、そうは言ってもまた三年間はしっかり養蚕農家が自立する、しっかり自立していけるように政府としても見守っていくということでございます。  そうした中で、今後は川上の養蚕農家とそれから製糸業者と川下の絹織物業者流通業者との連携というふうに今御答弁がございましたが、このように純国産絹製品作りに取り組んでいくという取組支援していくために具体的にどういう支援をしていくのか、そしてまたそのためにはいわゆる政策的なバックアップも必要であろうと思っております。掛け声だけでは自発的にその連携が進むことを期待することはなかなか難しいというのが現状であろうと思いますので、連携を促進するための政策的なバックアップが必要だと思っております。あわせて、この新たな蚕糸対策とそれから川上と川下の連携の促進についてお伺いをいたします。
  33. 内藤邦男

    政府参考人内藤邦男君) お答え申し上げます。  新しい蚕糸対策を進めていく上では川上の養蚕農家と川下の絹織物業者との連携システムというものを迅速かつ円滑に形成させていくと、進めていくということが重要な点になるわけでございます。  他方、これまでの実態を見ますと、養蚕農家は、一部の方を除きましては、川下の絹織物業者小売業者とのつながりを持っておりませんでした。このため、新たな蚕糸対策において、蚕糸絹織物業界に幅広い人脈を有し業界事情に精通した方にコーディネーターとして働いてもらいまして、産地のJAなどと協力しながら絹織物業者等との提携システムづくりへの取組に向けて情報提供、あっせん、調整を行うこととしております。  なお、大臣からも答弁がございましたように、養蚕農家絹織物業者等との提携システムへの移行については三年を目標としておりますけれども、そのシステムに乗れるまでの間は引き続き現行の繭代補てん実施することとしております。  なお、川下の業界との連携を密接にしていくという上では、経済産業省との連携というのも非常に重要なポイントになっておりますので、経済産業省とも十分連携をしてその事業も活用しながらこの連携システムの早期形成に向けて努力していきたいと思っております。
  34. 谷合正明

    ○谷合正明君 それから、先ほども新技術の開発について質問がございましたが、この生糸需要を確保していくためには新技術、例えば化粧品ですとか、糸にしましてもいろいろとクモ糸の遺伝子を蚕の遺伝子に組み込んだような新型のスパイダーシルクといったものも開発されているようなんですけれども、こういった新技術の開発を促進、新規用途を開拓していくために、先ほども大臣の方から御答弁ございましたが、この点についてもし補足的に具体的に何か答弁ございましたら改めて御見解をお伺いいたします。
  35. 内藤邦男

    政府参考人内藤邦男君) やや最近どういう新しいものができているかということを御紹介いたしますと、委員御指摘にありましたスパイダーシルク、これは信州大学で開発されまして実用化に向けて研究開発が進んでいるわけでございますけれども、そのほか、繭を利用した化粧品、それから桑の葉を利用しました桑茶、こういったものも見られます。また、バイオテクノロジーを利用しまして、抗酸化性あるいは抗菌性等の機能性を有する糸を吐きます蚕品種、それから蚕の体内で有用物質を大量生産する昆虫工場のようなものでございますけれども、そういう技術についても研究開発が進められております。  こういった衣料分野ではない新しい用途への利用状況、それから革新的技術の開発状況も視野に入れまして、当然他産業との連携を図りながらということになるわけですが、蚕、繭、生糸の有する多様な機能を利用する産業として蚕糸業を育成していきたいと思っておりまして、こういったものに取り組む場合にも提携システムの助成対象としているところでございます。
  36. 谷合正明

    ○谷合正明君 もう最後の質問にいたしますが、養蚕につきましては中山間地域の複合経営の重要な一部門となっていると、そういう地域も日本には残されております。  それから、何といいましても着物文化、なかなか私も着物文化と自分で言えるほどの着物を持っているわけじゃないんですけれども、和装の文化を考えますと、この養蚕業というのは、これはやっぱりしっかり守っていく必要もあろうと思っております。  政府において、新たな蚕糸対策をしっかりと着実に実施し、是非とも我が国蚕糸業の活性化につなげていっていただきたいと思います。最後に、大臣の御決意を伺います。
  37. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) もう全く私もそのような思いでいっぱいでございます。  先ほども申し上げましたように、まさに長野の中山間地域はたばこと養蚕、そして自家飯米などによって維持されてきたと、そういうことがございます。そういう生産基盤が崩壊をしてきているわけでありますけれども、その中にありましても頑張っている養蚕農家日本伝統文化を支えている私は基盤だというふうに思っておりまして、新しいこの対策によりまして、そのような産地におきます養蚕農家が新技術を取り入れながら養蚕業というものを守っていただきたいと思いますし、同時にまた、高品質日本産の繭糸によりまして、伝統の和装につきましても、評価の高い着物など、着物以外の製品もございますけれども、特に着物の文化というようなものを支えていかなきゃいけない、このように思っておりまして、この新しい支援対策によりまして、養蚕農家製糸業者、それと絹織物業者などの提携がどうしても必要だと、この純国産絹製品作りというものを通じまして、養蚕農家が安定的に養蚕を続けられるように是非ともしたいと、今後この支援策を強力に推進をするため、全力を挙げて取り組みたいと思っております。
  38. 谷合正明

    ○谷合正明君 以上です。終わります。
  39. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  今回のこの生糸輸入調整法廃止、これは生糸生産国内事情に基づくものではなくて、昨年の十二月に閣議決定された独立行政法人整理合理化計画によって、農畜産業振興機構が現行の中期目標の期限の終了時にこの蚕糸関係業務について廃止するとされたことによって持ち出されたものなんじゃないんでしょうか。
  40. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) そのような決定を見るに至りました背景というのはございます。それは、誠に残念なことでありますけれども、蚕糸業をめぐります状況が著しく変化をしてきて、現行制度に基づく蚕糸業経営安定の仕組みがもう有効に機能しなくなってきているということがございまして、このような実態に即した新しい蚕糸対策への転換が必要だと、そういう前提が、背景があるわけでございまして、そういう中にありまして、独立行政法人の整理合理化計画におきましても独立法人農畜産業振興機構業務を見直すというふうにしたものでありまして、そちらの方の見直しがあるから蚕糸業のこのような制度を考え出したというものではございません。
  41. 紙智子

    ○紙智子君 昨年の三月に今後の蚕糸業のあり方に関する検討会最終報告書というのが取りまとめられていますよね。これ、ありますよね。それで、国産ブランドの確立を基本的な方向とする今後の蚕糸業振興の基本戦略をこの中で打ち出しているわけです。それで、打ち出したばかりというか、この中で打ち出しているわけですけど、この最終報告の中でも生糸輸入調整法の廃止、それから農畜産業振興機構蚕糸関係業務廃止などについては全く触れられていないですね。そして、提案もこの中でされていない。これはなぜなんでしょうか。
  42. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) この検討会は、全体で八回にわたってそれぞれ生産から需要織物業者を含めます、また流通業者を含めます専門家の皆さん方で蚕糸業の置かれた、めぐる状況の分析をしていただき、また繭、生糸生産流通の課題は何かというようなことを突っ込んで議論をしていただき、そして川上・川下の提携システムでありますとか養蚕業への支援の在り方とか、そして国境措置の在り方などの検討を踏まえまして、委員がおっしゃられましたような報告書になったわけでございます。  この報告書の中で具体的に今のようなシステムをつくり上げろといったわけではございませんけれども、消費者に、消費者の要望にこたえた製品が市場で評価され、蚕糸業収益が適切に配分されることによって、繭、生糸生産費が補償されることが基本であるという考え方、その考え方に即して、蚕糸業支援の負担の在り方と併せて検討していくことが必要だといって、その検討の方向を示しながら報告がなされていたわけでございます。  そういう報告を受けまして、農林水産省におきまして、具体的にそれではどのような新しいシステムをつくっていくべきかということを議論をした結果で、今のような今後の具体策の検討に当たっての留意事項として、この報告書にありますように、生糸輸入制度及び輸入調整金の在り方について、蚕糸業支援の負担の在り方と併せて検討をしたわけでございまして、政府部内でこれらを検討した結果、輸入糸の調整金廃止して、これに伴って機構蚕糸関係業務廃止するという結論に至り、新しいシステムを組み立てることとしたわけでございます。
  43. 紙智子

    ○紙智子君 政府部内でという話がありましたけれども、要するに、この蚕糸業振興の基本戦略話し合って、この中では、生糸輸入調整法の存続、それから農畜産振興機構による蚕糸関係業務の継続というのは、この話のときには前提になっていたんじゃないですか、元々は。
  44. 内藤邦男

    政府参考人内藤邦男君) 再度申し上げますと、この検討会の最終報告書をよく読んでいただきますと、四のところに今後の展開方向書いてございます。そこに、川上・川下連携システムの構築ということがうたわれておりまして、先ほど大臣答弁しましたように、その第二パラのところで、生産、流通、販売それぞれの努力に見合った適切な収益配分がグループ内で行われ、それぞれの経営の安定が図られることにすることが重要であると、これが基本的な方向として議論されたわけでございます。  そのためにはどうすればいいかということを、いろいろ具体的なのがその次に書かれてございまして、そうしますと、当然、今の仕組みとかなんとかについてもいろいろ考えなければいけないだろうということで、留意事項としまして、そのなお書きについて、輸入制度輸入調整金の在り方については今後検討していくことが必要であるということでございますので、そういうことも視野には、検討していかなければいけないということで視野にはありましたけれども、その方向性、具体的なものについてはなお検討すべきであるということでございまして、決してそれが前提になっていたということではございません。
  45. 紙智子

    ○紙智子君 生糸輸入調整法は、第十二条と第十三条、ここで、外国産繭と外国産絹糸の輸入急増によるこの生糸生産被害防止のための規制措置がとれる規定がありますよね。これらの規定と輸入調整機能を持っているこの生糸輸入調整法廃止するということは、今本当に存亡の危機にある日本生糸生産にとってプラスになるものではないと思うんですね。廃止してプラスになるということであれば、どういうことがプラスになるのかということを明らかにしていただきたいと思います。
  46. 内藤邦男

    政府参考人内藤邦男君) 委員御指摘のように、確かに十二条、十三条で売買の措置がございますけれども、昨今の輸入状況それから国産の繭、生糸輸入生糸との競争関係等を勘案しますと、既にこういった方法によって国内生糸の安定あるいは価格の安定を図っていくということは非常に難しくなってきているというのが実情でございます。  したがいまして、むしろそういった価格、そういった形で、国境措置あるいは繭代補てんという形で経営の安定を図っていくということが難しいという、そういう実態を踏まえまして、私ども今度の仕組みを考えたわけでございます。今度のように、こういう川上・川下連携をしまして、付加価値を高め、そして消費者にきちんとその評価をしていただくようにすれば、当然高く売れるわけでございます。そうすれば、原料代、原料である繭についても、当然今以上の繭代が確保できる。また、絹織物業者にしましても、製品輸入と対抗していくという意味においては、国産の繭を使ったという希少性、あるいはそういった消費者に訴えるということをアピールしまして、より高い価格で買っていただけるようなものを作っていく。そうすれば当然川下、当然そうすれば、こういった連携をすることによって繭の生産者、それから絹織物業者、双方にそれぞれメリットがある、それぞれ所得を上げることができる、そういう方向を目指していこうというものでございます。
  47. 紙智子

    ○紙智子君 どうも私はそういうふうに思えないんですけどね。やっぱり、結局じり貧の方向に行くんじゃないかという気がしますし、補正予算で三十五億円措置しているんだけど、結局、これ法案廃止の言わば手切れ金のようなものじゃないのかなというふうに思うわけです。継続的にこれが日本生糸生産を守り発展させる措置だというふうには思えないわけですね。  それから、農畜産業の振興機構に代わって業務を行うのが今度は大日本蚕糸会ということですよね。この大日本蚕糸会のホームページ見てみますと、財政基盤としても決して盤石ではないと思うんですよ。この中のホームページに書いてあるのを見ますと、結局貸しビル業で収入を得ているわけですよね。ビル自身がもう老朽化もしてきていると。そういう中で将来的には厳しいということも見解として出されているわけです。  だから、本来でいえば、やっぱり国が責任を持ってやるべきなんじゃないのかと。国が責任を持ってやるべきにもかかわらず、こういう形で、さっき手を引くように見えるんじゃないかという話もありましたけれども、このままやるということになると日本生糸生産というのは滅びてしまいかねないんじゃないかというふうに思うわけですけど、大臣、いかがでしょうか。
  48. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 今、委員がホームページで索引されてお話がありましたとおりで、大日本蚕糸会は、昔の蚕糸会館、有楽町のあれを建て替えまして、そのビルの貸し料によってその基盤を維持しているわけでございます。それによりまして研究所も二つ抱えて、もう精いっぱいの努力をしていると。おっしゃるように、いずれのときかビル自身も建て替えたりするような状況が必要になってくると思いますが、それらは、蚕糸関係の皆さん方がその大日本蚕糸会が果たしております役割というようなものを御理解いただきながらみんなで支えていかなきゃいけないことだと思っております。  今回の事業を、これは公募によって大日本蚕糸会が手を挙げ、そして審査をした結果、やはりいろいろな知見を有し、かつまたそれだけの能力のあるのは大日本蚕糸会しかやはりいないなという判断で大日本蚕糸会にこれらの新しい事業をしてもらうようにしたわけでございます。この事業、三十五億円から成る事業では、実は役員だとかそういうような報酬などはこの事業からは一切充てないと、大日本蚕糸会は今までの経営の中で運用をしていきまして、あとは、この事業に伴う旅費でありますとかあるいは研究費でありますとか、そしてこれらを業務を執行するに要する経費に充てるというふうに仕組んだわけでございまして、大日本蚕糸会の方も意を決してこの事業を責任を持ってやろうという、そういう意欲で取り組んでいくという、そういう決意を持っているわけでございます。  その意味で、それらの今置かれたような蚕糸関係業務を考えますと、今までの機構でありますとか、あるいはまた委員がおっしゃられたような政府が直接やるとかいうようなことではとても対応し切れないような多方面にわたりますコーディネート、産地から消費、絹織物、織物あるいは製品作りから流通の問屋、小売、そういうような幅広いものをコーディネートしていくという、そういう役割を国あるいは国のかかわる独立行政法人でこれをやるのはとても無理だという判断をいたしておりまして、その意味では、この明治以来、長い間の知識、経験、そしてまたいろんな指導、研究の実績のある民間の団体として大日本蚕糸会実施することが、より効率的に実施することが可能であり、そういう知見を有効に活用することによって高い事業効果が得られるということを考えまして、民間団体にこれを行うようにしたところでございます。  この三十五億円が、委員がおっしゃるように、これをもって手切れ金にするということではないかという手厳しいお話がございました。私の方としてはそんなことを今考えているわけではございませんが、これだけの三十五億円の資金を有効に活用をいたしまして、対策を計画的に実施を図ることによりまして、今言いました川上から川下に至るまでの連携を強化して、高付加価値製品を作り上げてお互い分配していくことによりまして、養蚕農家が安定的に養蚕を続けられるようにしていきたい、そういう意味で、言わば当初のこれが軌道に乗るまでの資金として三十五億円を措置したものでございます。
  49. 紙智子

    ○紙智子君 今回のこの法案廃止ということが蚕糸業界そのものにとってやっぱりプラスにはならないというふうに思います。そういう意味では、やっぱり賛成できないなということを申し上げまして、質問を終わります。
  50. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  51. 紙智子

    ○紙智子君 生糸輸入に係る調整等に関する法律廃止する法案に反対の立場で討論いたします。  反対の第一の理由は、生糸輸入調整法は、生糸輸入調整を行い、輸入に際し、関税相当量を課すことによって国内生糸生産を保護する機能を持っています。さらに、第十二条と第十三条で、外国産繭と外国産絹糸の輸入急増による生糸生産被害防止のための規制措置がとられる規定を持っています。  これらの規定と輸入調整機能を持っている生糸輸入調整法廃止することは、日本の存亡の危機にある生糸生産にプラスになるものではなく、賛成することはできないということです。  反対の第二の理由は、今回の生糸輸入調整法廃止は、生糸生産国内事情に基づくものではなく、昨年十二月に閣議決定された独立行政法人整理合理化計画によって、農畜産業振興機構が現行の中期目標期間の終了時に蚕糸関係業務について廃止するとされたことによって持ち出されたものであるということです。  昨年三月には、今後の蚕糸業のあり方に関する検討会最終報告書が取りまとめられ、国産ブランドの確立を基本的な方向とする今後の蚕糸業振興の基本戦略を打ち出したばかりでした。この最終報告書でも、生糸輸入調整法廃止農畜産業振興機構蚕糸関係業務廃止等は全く触れられていないし、提案もされていません。要するに、今後の蚕糸業振興の基本戦略では、生糸輸入調整法の存続と農畜産業振興機構による蚕糸関係業務の継続が前提となっていた。今回の廃止法は、このような蚕糸業振興にとっても障害を与えるものであり、賛成することはできません。  以上の反対の理由を述べて、討論といたします。
  52. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  生糸輸入に係る調整等に関する法律廃止する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  53. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  55. 郡司彰

    委員長郡司彰君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、公正取引委員会事務総局経済取引局長松山隆英君外六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  57. 郡司彰

    委員長郡司彰君) また、本日は、参考人として全国農業協同組合連合会代表理事理事長宮下弘君、全国農業協同組合連合会常務理事米本博一君、全国農業協同組合中央会専務理向井地純一君及び全国農業協同組合中央会常務理事冨士重夫君に御出席をいただいております。     ─────────────
  58. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 農林水産に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  59. 平野達男

    ○平野達男君 平野達男でございます。  今日は、全農の宮下理事長さん、米本常務さん、それから全中の向井地専務さん、それから冨士常務さん、お忙しい中、当委員会にようこそおいでいただきました。感謝を申し上げます。  今日は、この委員会でも、あるいは予算委員会でも取り上げさせていただきましたけれども、米の緊急対策の中の全農さんが担当した十万トンのえさ米の処理、この問題につきまして、政府並びに全農さん、全中さんにいろいろお聞きをしたいと思います。  私は、この問題は、やると言ってやらなかったということについてはいろんなまず背景があるんだろうと思いますけれども、この影響はいろんな意味で大きいんだろうと思います。特に、もう補正予算を計上して、そして団体を挙げて、あるいは党を挙げて、自民党さんですけれども、この問題を宣伝して、やるやると言った。そのやると言ったことによって市場に大きなインパクトが私はあるんだろうと思っています。しかし、結果としてやらなかった。そのやると言って宣言したことによるインパクトと、結果的にやらなかったということに対してのインパクト、これは両方とも私は大きいんだろうと思います。  そこで、今日は、なぜこういう対策を取ることになったのかという問題も含めまして、なぜできなかったのか、そして、今回こういったことが起こって、これからどういうふうに対応すればいいのか、そういった問題につきましていろいろ議論をさせていただきたいと思います。  まず冒頭に、これは質問通告しておりませんでしたけれども、全農さんに簡単に一点だけお伺いしますが、十万トンのえさ米処理、これは、米価の下落防止と価格の、米価の浮揚を主眼とした措置であったというふうに国会で答弁されておりますけれども、そういう理解でよろしいんでしょうか、全農さんにお伺いします。
  60. 宮下弘

    参考人(宮下弘君) 全農の宮下でございます。お答えをいたします。  JAグループは、十九年産の過剰生産によるオーバー分の二十三万トンと、十八年産の持ち越し在庫相当分である十一万トンを過剰と考え、政府買入れ及び政府米の販売抑制等の緊急対策を要請をいたしました。  十月下旬に決定した緊急対策では、三十四万トンの政府買入れが実現されるとともに、政府支援の下、JAグループによる十万トンの非主食用処理が併せて決定をされました。これらの対策につきましては、十一月九日の全中の機関会議において、JAグループ自ら十九年産の需給改善と価格安定効果をより高める対策を行うという観点から取り組むことを決定いたしました。  なお、このことにつきましては、全農単独のことではありませんで、JAグループ全体としての取組でございます。
  61. 平野達男

    ○平野達男君 私の質問の趣旨に沿ってお答えいただければ有り難いと思うんですが、今の答弁の中にあったと思いますが、米価の下落対策価格浮揚だというふうに理解いたします。  そこで、私のこれからの質問は十万トンの件に限って質問いたしますので、その件に限ってのお答えをお願いしたいと思います。  十万トンのえさ米の処理というのは、これは全農と全中さん、全農さんがこれは政府に対して要望したと、えさ米を処理をするんだということを要望したと、こういう理解でよろしいでしょうか。
  62. 宮下弘

    参考人(宮下弘君) 先ほどお答えをいたしましたとおり、私どもの要請としましては、十九年産の過剰生産によるオーバー分二十三万トンと十八年産の持ち越し在庫相当分である十一万トンの政府買上げと政府米の販売抑制をお願いをしたということでございます。
  63. 平野達男

    ○平野達男君 つまり、その要望の中にはえさ米としての処理は入っていなかったという理解でよろしいでしょうか。
  64. 宮下弘

    参考人(宮下弘君) 今お答えしたとおりでございます。要望はそのとおりでございます。
  65. 平野達男

    ○平野達男君 これ私、何回もこれ委員会で御質問いたしました、この十万トンのえさ米の処理というのはだれが要望したんでしょうか。大臣は、私の質問に対してこう答えています。予算委員会では、生産者団体が、予算委員会、三月二十一日です、生産者団体側からの強い要請といいますか、決意の表明がございましたと、それを受けて決定したと答えています。三月二十五日の農林水産委員会、全中及び全農両方が要請をして、そして決定に同意したと、こう言っています。  今の宮下理事長さんのお言葉の中には、要請をした、要望をしたという言葉は一言もございませんでした。これはどちらが正しいんでしょうか。
  66. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 今、宮下理事長がお答えになったとおりでございますが、私は委員会の答弁でも申し上げておりますけれども、米価の下落に歯止めを掛けるという、そういう必要性を認識として共有しておりまして、そのために講ずる緊急対策につきましては農協系統の十分な過剰対策ということで要請があったわけであります。そういうことを踏まえて、政府の備蓄運営の限界、過去の過剰発生時における諸対策、過去においても政府の買入れ、また全農による飼料用の処理などをしたわけでございますので、そのことも考慮いたしまして、政府・与党が協議の上、決定したものでございます。それで、その決定につきまして、全農の十万トンの飼料用処理について農協系統がその実行を、組織内の相談の上で実行を約束をしたと、こういう経緯でございました。  特に違うことはないと私は思っておりますけれども。
  67. 平野達男

    ○平野達男君 今のその答弁は、少なくとも私は初めて聞きました、大臣の口から。大臣の口から私が聞いたのは、全中及び全農両方がそのような要請をしたと私は何回も聞きました。十万トンのえさ米の処理というのはだれが要望したんですかと。今の大臣の答弁は、衆議院農林水産委員会では確かにそういう答弁はされていました。議事録にも残っています。だから、私は今日は、これは全農は、衆議院農林水産委員会の中では全農さんも全中さんも一言も要望した、要請したとは言っていないんです。ここのところはだれが主体で考えたかという起点ですから、非常に大事なことなんです。  だから、一点だけ確認します。全農が十万トンとしてえさ米を処理するんだという要請はなかった、要望はなかった。ただ、別な形で二十三万トンプラス十一万トン、これは突き出しで来る部分なんですけれども、三十四万トンの政府の買入れを要望したということだけであって、その協議の結果、過程の中で十万トンのえさ米の処理が出てきたんだという、こういう理解でよろしいんでしょうか。
  68. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 委員の三月二十五日の当農林水産委員会におきます御質問に対しまして、私は実は今その議事録読みながら答弁をしたわけでございます。その中で、全中及び全農両方がそのような要望をし、そして決定に同意をしたということでございますと答弁をしました。  しかし、それはその前段がありまして、この全中及び全農両方が要請をしたというのは、全体についてそういう文書で要請が出たわけでございまして、えさ用というふうに書いてあったわけじゃありません。緊急対策として三十四万トン相当のものを政府が買って、対策として緊急に講じてもらいたいという要請であったわけであります。  その要請を受けて、先ほど答弁いたしましたように、この議事録にもありますけれども、この緊急対策については、農協系統の十分な過剰対策の要請があったということをそこで申し上げまして、そのことを踏まえながら政府の備蓄運営の限界、過去の過剰発生時の対策、過去において全農による飼料用の処理などをしたわけでございますが、そのことも考慮しまして政府・与党で決定したものであります。  全農の十万トンの飼料用処理についても、その決定過程で、政府・与党が決定する過程で、全中、全農の代表者に、全農の系統としてそれを飼料用処理をしてもらいたいと、そのことについてどうだと意見を交わしまして、農協系統組織が考慮した上でその実行をその場で実は約束をしたということで、農協系統がその実行を約束したということで踏み切ったわけでありますというふうに答弁をしております。
  69. 平野達男

    ○平野達男君 私も、三月二十五日の答弁については私も何回か読みましたけれども、そういうふうに読めないんですね。私は、十万トンということについてのえさ米の処理という一点に集中して質問しますということで、前置きしてやっています。全体の像がなおさら分かったなと思ったのは、実は衆議院農林水産委員会の答弁でした。  大臣、ここは本当に大事なことなんです。全農、全中さんは、自分たちでえさ米を処理するという要望はしてないんです。そこがスタートなんです、ここは。本当に自分たちがやるというふうに要望出したのであれば、これから次の質問も全然違ってくるんです。だから、これ二回か三回私は聞きました、このことについては。  今の段階の要望は、大臣の言い方だったのか私の聞き方が悪かったのか分かりませんが、少なくとも議事録を読む限りにおいては、私は読めないと思っています。  全中、全農さんにもう一回確認しますけれども、全中、全農さんが要望したのは三十四万トンの政府による買上げだけであったと、こういう理解でよろしいですね。
  70. 冨士重夫

    参考人(冨士重夫君) 宮下理事長も申し述べましたとおりで、十九年産米の米価下落の歯止めと価格浮揚のための需給対策として、十九年産の過剰分の二十三万トンとJAグループで持っていました十八年産の在庫相当分である十一万トン、これ合わせて三十四万トンを政府買入れと、それから販売抑制という緊急対策で要請いたしました。ただ、その十月下旬に決定された三十四万トンの政府買入れと合わせてこの十万トンのえさ処理というのがあって、それについて我々として取り組むということを決定したということであります。
  71. 平野達男

    ○平野達男君 質問に沿った形の答弁だけしていただければいいです。繰り返しになりますけれども、私は何を要請したか、要望したかというのを聞いているわけですから。  ですから、三十四万トン、全中、全農さんは要望したんだけれども、実は備蓄米で十一万トンもう吐く予定になっていたと。それで、備蓄米の水準は百万トンですから、その十一万トンの分も合わせて買えば三十四万トンで、もう百万トン目いっぱい。しかし、全農さんの言うところの十一万トン分の突き出し分がどこかに行き場所がなくなったということで、その過程の中から、恐らくどういう、だれが判断したのか分かりませんが、だれが判断したのかというのは私はこれから聞きたいと思っていますが、十万トンのえさ米が出てきたという、こういう筋道なわけだろうと思います。  やっと私はそこの部分で、何回か説明して、今日の段階で流れは納得したというふうに今一応申し上げさせていただきます。  それで、えさ米の処理なんですが、これは基本的には政府が発案したことなんでしょうか、それとも自民党さんが発案したことなんでしょうか。
  72. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 自由民主党と我々農林水産省との緊急対策の協議の中で決定をしたものでございます。
  73. 平野達男

    ○平野達男君 その決定過程の中に全農さんも全中さんも入っていないということですね。
  74. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) その決定をする協議の中には入っておりませんが、その決定をするに当たって全中、全農の代表者に、このような緊急対策、内容で、系統組織として十万トン分をえさ用の処理をするということをこの緊急対策の中に加えたいけどどうだというお話を申入れをしたわけであります。全中、全農の代表者は少し時間を欲しいということで我々との協議の場から離れまして、内部の打合せをした結果として了承しましたと、約束しますと、こういうことがありましたので、その日のうちに系統組織で十万トンを飼料用に処理することを含めて全体の緊急対策を決定したものでございます。
  75. 平野達男

    ○平野達男君 全農さんあるいは全中さんにお伺いしますけれども、その要請があったときに、それを受け入れるという決断をしたという根拠は何でしょうか。根拠というか理由は何でしょうか。また、その段階で受け入れる以上はやれるというふうに判断したはずですけれども、やれるとした、判断したその理由をちょっと聞かせていただけますか。
  76. 冨士重夫

    参考人(冨士重夫君) JAグループとしても十九年産米の需給改善と価格安定効果をより高める対策を取る必要があるという観点から取り組むことを決定したということであります。そして、例年ですと、ふるい下米の発生数量、それから生産者からJAへの販売数量、それからJAから県本部への販売数量等々から考えて、JAグループとしても十万トンのふるい下米での処理対応というのは可能というふうに見通しておりました。
  77. 平野達男

    ○平野達男君 その決定に至るまでにえさ米の処理をするということに対しての準備もしていないし、そういった体制の構築もしているわけではなかったと、こういう理解でよろしいでしょうか。
  78. 冨士重夫

    参考人(冨士重夫君) 十月の下旬にその緊急対策が決定されたときには、先ほど申しましたように、需給改善、十九年産米の需給改善と価格安定のためにこの対策を取り組むということは判断をし決定したということでありますが、その後持ち帰って、どういう対象米穀でやるかとかやり方とか、そういうものを協議していったということであります。
  79. 平野達男

    ○平野達男君 つまり、十分な準備をした上でその決定に臨んだということではなくて、要するに、ある日突然出てきた、そこに対してそれを受け入れたと、こういう理解でよろしいですね。──分かりました。  それでは、全農さんにお伺いしますけれども、米価の価格下落防止若しくは浮揚策としての緊急、米の飼料用米としての処理なわけですが、これは私は、米価形成といいますか米価の市場に対しての介入だというふうに理解します。こういった役割を全農さんが、これはやっている仕事というのは農業協同組合法に基づいてやっているんですけれども、農業協同組合法の中のどこに規定があるんでしょうか。
  80. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 全農に聞いているんですか。
  81. 平野達男

    ○平野達男君 どちらでもいいですよ。  全中さんでしたね、ごめんなさい。
  82. 向井地純一

    参考人向井地純一君) ただいまのことにお答えいたします。  JAグループとしましては、今回のえさ米処理の取組につきましては、組合員から販売委託を受けた米の需給と価格の安定を図るという目的で実施したわけでございまして、農協法第十条第八項で規定しております販売事業の範囲内であり、かつ組合員の手取りを向上させるという農協法第一条の目的に沿ったものと認識しております。
  83. 平野達男

    ○平野達男君 今の解釈は農林水産省はどのように思われますか。
  84. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 今全中の方からお答えがございましたとおり、この今回の米のえさ処理につきましては、これまでも米の過剰時に全農が行っておりました飼料用処理と同様に、農協法の規定に基づく販売事業に該当しておると。また、その趣旨も農協法の目的としておりますところの組合員及び会員のための最大奉仕をするという目的に沿うというふうに考えているところでございます。
  85. 平野達男

    ○平野達男君 そうしますと、全農はそういった処理を米価の価格下落防止若しくは価格浮揚対策のためにやっていいというのが、これは政府の見解だというふうに理解してよろしいですか。
  86. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 今回の事業は、先ほど申し上げましたように、販売事業に該当するということでございます。基本的に販売事業、まあ生産物の販売ということでございますので、その態様も非常に多種にわたりますし、またその形態につきましても目的との間で様々のものがあるということで、過去も同様の処理を行っておりますので、今回についてもこの範疇に入るというふうに考えております。
  87. 平野達男

    ○平野達男君 答えをずらさないでください。私、全中も政府も米価の下落防止若しくは価格浮揚対策としてやったと言っているんです。米価の下落防止若しくは価格浮揚対策として全農がこういった買上げというものをできるという役割が与えられているという理解でよろしいですかということです。
  88. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 販売事業の範疇でできるということでございます。
  89. 平野達男

    ○平野達男君 販売というのは、そうすると価格の下落防止策と価格浮揚策が入っているという理解でよろしいですか。
  90. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 先ほども申し上げましたように、全農の販売事業は、すべての事業がそうでございますけれども、組合及び会員のために行うということでございます。  今回の趣旨につきましても、価格の浮揚を目的として行うという限りにおきまして、この事業、趣旨、目的に合致しているというふうに考えております。
  91. 平野達男

    ○平野達男君 それは全農がどういう基準で、例えば価格浮揚、下落対策できるということですか。これ、過剰米が発生したときということですか。
  92. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 基本的に米につきましては、食糧法に変わりまして国の統制が非常に緩和されたわけでございます。したがいまして、いわゆる経済事業といたしまして、農協も一経済主体として、全農も同じでございますけれども、この販売事業、様々な形態が行われている。その目的の範囲、それからその形態については様々な実態があるというふうに思っております。  先ほど来申し上げておりますように、その目的、意図がこの組合員、会員のための最大奉仕を目的とするために価格を浮揚させていく。そして、そのメリットを組合員に与えるということでございますので、この販売事業の形態の中で十分に妥当するものというふうに考えております。
  93. 平野達男

    ○平野達男君 販売事業というのは分かりました。私は今回の答弁の中で何回も聞いているのは、米価の下落策と価格浮揚対策を目的としてとはっきり言っているんです。  これは、全農が価格に対して介入できるということなんです。結果としてそうなるという話と、これを目的としてやるという話とは全然違うんです。もし今の高橋局長の答弁が、価格下落対策価格浮揚に対して全農がそういうことができるんだということをもし規定するんであれば、どういう条件のときにそれができるのか、どういう条件の中でできるのか、だれの判断でできるのか。これは、きっちり示してもらわにゃいかぬと思いますよ。
  94. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 農産物の販売事業でございますので、当然のことながら自由な経済事業の一環を成すわけでございます。そして、価格をどのような形で設定するかにつきましても、市場経済下におきまして当事者である、販売の主体であります全農としてどのような価格が望ましいか、そういったことの判断の下に様々な形で様々な価格の米の販売が行われているというふうに理解しております。  したがいまして、主食用の米の価格を維持するために、全体のボリュームを少なくするための飼料価格としての処理ということは、これは当然販売事業の一環として考えられるものでございます。
  95. 平野達男

    ○平野達男君 これはもう全然、答弁をずらしちゃ駄目ですよ。  いいですか、販売をするというのは自由ですよ。販売するときにその価格がどういうふうに形成されるか。ふるい下米とか何でもいいですよ、それは市場で決定されるんです。今回は十万トンを要するにえさ米として処理することによって、主食米の価格の下落防止策と価格浮揚策をねらったんですよ。これは米の価格形成に対しての介入なんですよ。介入することを、要するに全農の仕事の中にあるというふうに理解していいのか。  それとも、高橋局長は先ほど販売価格の一環、一環、一環と言っているけれども、私の、今までの答弁の中では、米価の下落防止と価格浮揚を目的としてと言っているんだから。要するに、米のいわゆる販売を目的として云々じゃないんですよ。そこの違いは明確にちょっと意識してもらって答弁していただかないと、この後の質問がちょっとまたすれ違うと困りますから。  一点です。全中にそういう価格形成に対して、市場価格の形成に対して介入する権限があるのかどうかという話です。
  96. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 御質問の趣旨の市場の価格形成に介入をするということの、まあ質問を取り違えておるのかもしれませんので、そこはちょっとお許しいただきたいんですが、基本的に、自由な市場におきまして売手が価格に何らかの関与をしないということは、これはあり得ないというふうに考えられます。  当然のことながら、販売事業、自由な市場価格において売り方がどのような手法で、量を絞って売るのかあるいは多数の量のものを販売するのかによりまして、価格は当然のことながら変わるわけでございますので、これはもう米に限らず、すべての農産品についてそのような価格生産者にとって有利な形で販売をするというのが農協の目的でございますし、その範囲で経済事業は行われます。したがって、価格に対してどのような思いを持って販売するかは、当然のことながら与えられている権能というふうに理解しております。
  97. 平野達男

    ○平野達男君 販売と計画、米価の下落防止を目的として、価格浮揚を目的として米を販売するのは違いますよ。販売は経済行為なんですよ。米価の下落防止と価格浮揚対策を目的としてやれば、それは販売行為じゃないですよ。それは販売行為を手段として利用しているんですよ。物事を、要するに米を売って、それで結果として価格の形成に影響を与えると、これは当たり前ですよ、何でもそういう性格がありますから。  ところが、日本農業新聞の平成十九年、米緊急対策特集号、米価浮揚へ需給引締め、これを前面に出して、要するにえさ米を集めて、えさ米の処理をするといえばこれは販売行為じゃないんですよ、私に言わせれば。これは販売行為は、繰り返しますけれども、販売行為は価格を上げるためにやるんじゃないですから。米価の下落を防止するためにやるんじゃないですよ、これは商取引ですよ。商取引は商取引なんです。繰り返しますけれども、結果として米価の形成に与えます。だけれども、私は、主と従が完全に置き換わっている。ところが、その主の、本来従であるべきところが、米価浮揚へ需給引締め、国会の答弁で繰り返し繰り返し言っているんですよ、米価の下落防止、価格の浮揚対策、これを前面に出してやるというのは、これは私に言わせれば、米価形成の市場介入なんです。こういうことを野方図に許して私はいいとは思いません。  高橋局長の言っているのは、販売ということを前面に出して言っていますけれども、私の質問に対してずらしながら答弁していますよ。  だから、販売価格、販売が結果として価格形成に影響を与える、その中で有利な形でやるというのは、それは有利な形で価格をつくるような形で販売するというのはこれは商行為として当たり前です。  しかし、一気に十万トンも集めて、繰り返しになりますけれども、価格下落防止だと、価格浮揚対策だと言ってこれをやらせることは、私は農業協同組合法の範囲の中には入っていないというふうに断じざるを得ないと思いますけれども、局長の見解をもう一回伺っておきます。
  98. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 農業協同組合が、その事業を通じまして組合員のために最大の利益を生じるということは協同組合の本旨でございます。  したがいまして、例えば、今委員御指摘のとおり、お米の販売において、その結果として組合員に最大の利益を与えるために価格を浮上させる、これについては、販売事業と呼ぶのか、あるいはこれを共同利用施設事業と呼ぶのかはあるかとは思いますけれども、基本的には組合員の権能の中に入っていると思っておりますし、その一つの表れといたしまして、農業協同組合が、公正取引委員会にもあるかと思いますけれども、いわゆる生産調整について独禁法の適用除外になっているという部分につきましても、協同組合の事業が独禁法の適用除外になっているということについても、そういった一つの表れであるというふうに考えております。
  99. 平野達男

    ○平野達男君 生産調整は、だから、法律で認められているからいいんです。販売も認められているからいいんです。  ただし、米価の下落防止策と価格の浮揚を目的とした行為というのはどこにも私は規定はないと思いますよ。結果としてそうなるということなんですよ。ここの部分をきっちり整理しないで、価格下落防止対策だ、価格浮揚対策だというふうにばんばんばんばん言っていくというのは、これは私はいかがなものかと思いますよ。  次の質問に移りましょうか、どうも見解が割れるようですから。  高橋局長、まだ言いたいことあったら言ってもいいですけれども。
  100. 高橋博

    政府参考人高橋博君) ちょっと、委員との間で見解が随分異なるということだと思いますが、基本的にこれまでのお米の販売あるいは米価浮揚策の歴史を見ましても、これは食管法の時代もそうでございますし、食糧法になってもそうでございますけれども、米価浮揚のために、例えば今回のようなえさ米処理という事業を全農が事業主体となって行っていると、こういったことについては米価の対策あるいは米価浮揚対策としてやってきております。  したがって、この件について、あるいはほかの作物との関係におきましても、価格の維持あるいは上昇を目的とした販売行為というのは協同組合の本旨に沿っているというふうに思っております。
  101. 平野達男

    ○平野達男君 それは旧食管時代はそうだったかもしれません。しかし、価格は市場で形成すると言っているわけだから、価格を市場で形成するというのは、商行為を通じて価格が形成されるんです。一気に十万トンもえさ米で処理をする。しかも、繰り返しになりますけれども、冒頭の目的の中に米価浮揚、価格下落防止、これは商行為の範囲を逸脱していると思います、私は。旧食管時代は、それはそうですよ。価格政府決定して、その後流通がちょっと変わってきて、今現段階に至っていますけれども、今価格は、米価格センターを形成して、そこで指標価格を決定するという仕組みになっているじゃないですか。それは何かといえば、自由な取引の中で価格が形成されるという前提ですよ。それが価格形成のメカニズムだというふうに思いますが、というふうに理解します。  いずれ、この米価浮揚、価格下落防止というのは、もう一回確認しますけど、農業協同組合法にうたわれているという理解でいいんですね、それじゃ。
  102. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 農業協同組合法の目的でございます組合員及び会員のための最大奉仕、この範疇に入っているということで、妥当であるというふうに見ております。
  103. 平野達男

    ○平野達男君 あのね、妥当か云々じゃないんですよ。答弁をずらさないでください。もう質問一回やめますよ。私の質問は、価格下落防止対策価格浮揚対策が農業協同組合法の中に入っているかという質問ですよ。
  104. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 基本的な対応としては米の販売でございますので、先ほど来申し上げておりますように、米の販売事業の中でこの事業についても位置付けられると思っておりますし、また、基本的に農業協同組合については共同利用施設ということで組合員の様々な利用施設についての一般的な規定もございますので、その中でも読み込めるというふうに思っております。
  105. 平野達男

    ○平野達男君 もう一回だけ確認します。  農業協同組合法の中に、全農は価格下落対策価格浮揚対策をやってもいいという規定が入っているという理解でいいですね。
  106. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 組合員のために行う価格浮揚については可能であるということでございます。
  107. 平野達男

    ○平野達男君 組合員以外のための価格浮揚対策ってあるんですか。
  108. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 農協の事業そのものが、先ほど来申し上げておりますように、組合員及び会員のために最大の奉仕をすることを目的として事業規定が決まっておりますので、販売事業につきましても、先ほど来申し上げておりますように、その効果、目的が価格浮揚であるということでありましても、これは当然のことながら許されるということでございます。
  109. 平野達男

    ○平野達男君 食糧法に関してお聞きしますけれども、政府にはこの米価の価格下落あるいは価格浮揚対策というのは政府役割として認められているんでしょうか。
  110. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) もう委員も御承知のとおりでございます。食糧法に基づきまして政府が行う備蓄は、不作などの場合の供給が不足する事態に備えた備蓄を運営するためにその備蓄をしているわけでございまして、そのために国産米について買い入れる措置を行っているわけでございます。したがいまして、政府の買入れというのは適正な備蓄運営の範囲であれば需給価格状況等を踏まえて買入れ数量を決定することは当然のことと考えている次第でございます。  さらに、このたびのことを考えますと、こうしたことから昨年秋の時点においては米価が大幅に下落をしていたこと、政府の在庫は十九年六月末で七十七万トン、十月末で六十七万トンになっておりまして、二十年六月末の在庫を適正水準百万トンにするというためには言わば三十四万トンのすき間があるということでございますので、これらを考慮して、先ほど申し上げました需給価格状況等も踏まえた上で三十四万トンと決定をしたものでありまして、このことは当然許されていることだと考えております。
  111. 平野達男

    ○平野達男君 備蓄も、要するに備蓄米の範囲の中で買入れの操作の結果として価格に影響を与えることができるという、そういう答弁だったと思います。  公正取引委員会さんにお尋ねしますけれども、民間団体がこういった価格下落防止対策価格浮揚対策をやれるという規定は、これはほかの業界の中には認められていることなんでしょうか。あるいは、一般的に、特定の民間団体がその市場価格形成、この場合は米なんですけれども、価格形成に、任意にといいますか、もう農業協同組合法で認められているというんでしょうから、という答弁でしたから、そういう価格下落防止を目的としたり価格浮揚を目的として、介入という言葉をあえて使わせていただきますけれども、そういうことができるんでしょうか。一般論としての見解で結構ですから、お聞かせください。
  112. 松山隆英

    政府参考人(松山隆英君) お答えいたします。  公正取引委員会、独占禁止法を所管しておりますが、独占禁止法では事業者あるいは事業者団体の行為を規制しておりまして、それで、今先生御指摘のような形で、一般論で申し上げますれば、通常の商品において事業者団体等が価格を左右するという形で市場から一定のものを買い上げるとか、あるいはそれによって競争を制限するという行為があれば、これは独禁法で八条違反であるとか、あるいは事業者の行為であればカルテル等で、三条等で規制がなされるということになっております。
  113. 平野達男

    ○平野達男君 野菜なんかでは、本当に生産過剰なんかになった場合には、野菜そのものを要するに市場に出さないで投棄するというようなこともそれは一般的に行われまして、これも結局は、巡り巡っては価格の下落防止対策なんだろうと思います。  しかし、今回の米価下落防止、価格浮揚対策というのは結果として云々というのではないんですよね。需給の引締めということを前面に出しています。これは本来の価格形成に対して人為的に横から入れたというふうにしか私には読めないんです。  それから、繰り返しになりますけれども、結果として一年間の、十九年産米でも十八年産米でもいいですけれども、余った米を処理するというのは今までも集荷円滑化対策事業でやっていますから、まあそれはそれの仕組みの中でやっていくんでしょう。しかし、今回のようにこういう形で市場に強烈なメッセージを出してやるということについては、私は、これは繰り返しになりますけれども、政府見解、高橋局長の見解は先ほどのような見解でしたけれども、農業協同組合法あるいは全農さんの与えられている役割から逸脱しているのではないかというふうに思っています。  ここの部分については、もし本当にやるのであれば、もうちょっとした私は法律の枠組みの設定が必要ではないかということをちょっと意見として、これは強い意見として申し上げさせていただきます。  そこで、ちょっと別な質問に入りますけれども、十一万トン、十八年産米の十一万トンについてお伺いしますが、これは緊急対策が決定された段階では既に契約ができていたというふうにお聞きしています。そして、しかも業務用として安い価格での販売が決定されていたと聞いていますが、そういう理解でよろしいでしょうか。
  114. 米本博一

    参考人(米本博一君) 十八年産の十一万トン、これは通常ベースなら、販売するときには翌年の、生産年の翌年の十月末までに引き取ってもらうという契約で我々は売っていきます。そういう形で売らないと、十一月以降になると、量販店で年産が古い、一年古い米を売ると古米になりますので、消費者に買ってもらえなくなるということなので、そういうことで十月末まで売るんですが、十八年産は、残念ながらそういう形の契約はし切れなかったと。  八月段階で、推進はそういう形でやっていたわけでございますが、一方で十九年産が過剰だという状況にもなってくる中で、買手さんに本当に一トンも契約が追加されない状況になったもので、八月の終わりから十月の中旬にかけて、十一月以降の、量販店じゃなくて業務用ですね、いわゆる外食産業なり、それから無菌パック御飯の原料なり、こういうのなら十一月以降使ってもらえるということであったので、八月の終わりから十月の中旬にかけて、そういう原料として十一月以降の引取りということで契約を進めようということで進めさせてもらいました。  業務用ですので価格は、業務用の値段は大体一万二千円前後のところでありましたので、去年は、そういう価格で契約を進めたということです。
  115. 平野達男

    ○平野達男君 その契約した相手というのは卸でしょうか。
  116. 米本博一

    参考人(米本博一君) 先ほど言いましたように、無菌パックのようなところはそういう無菌パックを作られている実需者でございます。ただ、量的には卸を通じて外食なりに売るという部分業務用で売るという部分が多いので、ほとんどが卸でございます。
  117. 平野達男

    ○平野達男君 その卸の中にはパールライスも入っておりますか。
  118. 米本博一

    参考人(米本博一君) パールライスの子会社も入っております。
  119. 平野達男

    ○平野達男君 私、ここでちょっと一つの疑問を呈さなくてはならないのは、その契約が終わった後に政府に対して三十四万トンの米の買上げを要望している、その結果、それが認められて、まあ半分認められた形なんですけれども、十万トンはえさ米処理という形で市場にメッセージを出す、その結果、多分価格の、全農さんの、この間の日本農業新聞さんの記事によると絶大な効果があったという話をされておりました。絶大な効果がどういう意味かは分かりませんが、まず、その前提でお話をしましょう。  そうしますと、まずパールライスさんは多分全農の子会社、一〇〇%子会社じゃないかと思いますが、そういった子会社は安い価格で買っておいて、価格が上がった段階で要するに小売業者なりあるいは一般の小口需要者に売ることができたということになっちゃうんです。これは意図的にやったとすれば、私に言わせればもうインサイダーに近い、もうまさにインサイダーと言われかねない行為になると思います。  何を言いたいかといいますと、全農は子会社として卸を抱えておるんですよ。先ほど来、何回も私も農業協同組合法の話でしましたけれども、そういう行為を通じて自分の子会社がいったん安い価格で入れたものが途中で市場介入してぽんと上がると。その差益を子会社が得ることができるんですよ。それが親会社たる全農と子会社たるパールライスの中での関係がつながっていますから、こういう中で市場のところに介入するというような行為をするというのは、私は一般的に見たら非常に危なっかしいと思います。もちろん、そういうのを意図的にやったんですかと聞いたってそんなことはありませんと言うに決まっていますから、ここでは聞きませんけれども、そういうことがあるということなんですよ。  大臣、こういう団体には、自分の傘下がいったん安い価格で米を買っておきながら途中で介入して米がぼんと上がる、そして小売価格の中に転嫁できるかもしれない、したかもしれない。これが全農グループとしてできちゃうんですよ。そういうところに、先ほど何回も言いましたけれども、農業協同組合法も私はおかしいと思いますけれども、こういう介入をやらせていいのかどうかという話なんです。  これは、農家とか何かさっき高橋局長言いましたけれども、農家のためにはなっていないんですよ、この十一万トンに関しては。何となれば、安い米でもう出しているから。結局その効果はだれが得たかといえば、卸若しくは仲卸、その売買人ですよ。だから、さっきの答弁はその段階によっても違っているんですよ。農家農家農家って金科玉条のごとく言うけれども。そういうところに全部注目した上で今回の措置のことについては私は判断しなくちゃならないと思います。  まあ今長々と話しましたけれども、そういう、全農が介入をする、米価の価格に影響を与える、そして子会社がひょっとしたらその中で利益を受けるかもしれない、こういう状況というのは美しい姿でしょうか。美しい姿という聞き方もおかしいですけれども。大臣どうでしょうか。
  120. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 介入、介入としきりとおっしゃっておられるんですけれども、全体の米の価格形成というのはなかなか複雑なんですよね。委員も御承知だと思うんですよ。  産地、銘柄、それぞれ品質によっていろいろ違うけれども、マクロで見まして、マクロでどういう状態で需給があるかということを心理的に卸も業務需要需要者たちも、あるいは売る方も考えながら取引が行われているという現実があるところから、センター価格が急激に低下をしたことに歯止めを掛けていきたいということのための緊急対策を講じたわけでございまして、そういう緊急対策の中で需給を安定させるための努力というものを系統組織に求めてきたわけでございます。そういう需給を安定させる生産調整への協力を求めてきたという延長線上でこのような事態になっていることにかんがみて、やはり系統組織としても、歯止めを掛けるということに系統組織としての役割、責任もあるのではないかという考え方で、我々は系統組織としてのえさ用処理ということを求めたわけでございまして、それが、介入をして価格をつり上げるというような認識とは食い違っていると私は思うんですよ。
  121. 平野達男

    ○平野達男君 だから、本当に事あるごとに答弁の質を変えるんですよ、そうやって。答弁の中では米価の下落防止と価格浮揚っておっしゃったじゃないですか。そういう言葉を変えないでいただきたいと思います。  そして、今の大臣の答弁も私の質問に答えておられないと思います。全農及び子会社は米の販売ができるんですよ。全農ももちろんできます。その販売ができる人間が価格浮揚対策というものの名を打って大規模に米を扱っていくと、こういうことは私は構造としてはやっぱりおかしいと思います。  ましてや、食管時代なら別ですよ。何のために、だけど、コメ価格センターつくったんですか。市場で決定すると言っているじゃないですか。私は米市場価格のことについても三年前の決算委員会でいろいろ質問して、あれからいろいろ改善がされていると聞いています。米市場はまだ旧食管のしっぽをずっと引きずって、しっぽと言ったら言葉は悪いですけれども、急に変えられませんから、その流れをずっと引いていると思います。  しかし、いったん米の価格が市場で形成されるんだといったら、それを、例えば価格浮揚でも米価下落でもいいんですが、だれがやるか。それをやることによって、農民だ農民だと言っていますけれども、その中間に流通業者がいるんですよ。その流通業者というのは一体何なのかということまで全体を見てやらないと、これは私は、本来の米市場の形成の観点からいったら市場をゆがめることになりかねないかという危惧を私は持ちます。  そして、私は財政金融委員会に六年間いましたけれども、こういう仕組みは、普通のあれからいったらやっぱりちょっとないですよ。片っ方で価格の形成に関与しておいて、自分の子会社が要するに米の販売をやっているんだから。これは、旧食管の中での流れからこれ当然と、仕方がないといえば仕方がないんですが、そういう状況に今はある中で、繰り返しになりますけれども、米の価格は市場で形成されますと言っているということです。だから、そこの部分については、よくこれは整理して掛かる必要があると思います。  そして、最後、最後というか、ここまで来ましたから、まだまだ聞きたいことがあるんですが、今後ともこういった価格下落防止対策価格浮揚対策と名を打って、全農にえさ米処理あるいは価格の処理というのをやらせるおつもりですか、大臣
  122. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) ただいま委員が展開されました一つの御意見、論理というようなものも十分検討させていただきながら、今後の問題ですから、慎重に対応したいと思いますけれども、私は委員と見解を異にいたしておりまして、このような異常な低下に歯止めを掛けるというようなことに関して言えば、その低下に何らかの形で深くかかわっております、いろんな形でかかわっております系統が、そのために自分の持てる能力、その権限の範囲内で最大限の関与をするというようなことはあって私はおかしくない、こう思っております。
  123. 平野達男

    ○平野達男君 それから、最後に、私は、全農さん、若しくは全中さんでもいいんですけれども、この十万トンのえさ米処理というのは、質問の問いかけ方がちょっとおかしいかもしれませんが、どこまで本気でやろうと思いましたか。
  124. 米本博一

    参考人(米本博一君) 今の御質問にお答えする前に、先ほどから問題になっている持ち越し米、十八年産関係、全農の子会社もありますが、子会社に売った比率は二〇%でございます。これは全農が通常売っている比率も二〇%でございます、子会社には。特に子会社だけに数量を増やして売ったわけじゃございません。  それから、価格にしても、先ほど言いましたが、一万二千円前後の価格で設定しますが、子会社だけ安くした経過もございませんし、古米として十一月以降業務用米で売るという価格水準なら、これは妥当な水準だというふうに認識しております。そこは一つだけちょっと加えさせていただきます。  それから、十万トンの今の御質問関係でございます。  例年、ふるい下米というのは六十万トンぐらい発生するという、これはきちっとした統計データはございません、推計でそれぐらいあるというデータになっています。そのうちの十万トン、これを必死でやれば何とかなるだろうということでスタートしました。ただ、当然、全農がそれをスタートしたということの中で、当初六千円ぐらいだった相場が七千円を超え、相場も上がりましたし、そういうお米で生業をやられている集荷の業者の方もおられます。そういうところと一部トラブルもあったりもしました。そういう中でこういう結果になってしまったということは、見通しが甘かったと考えています。申し訳ありませんでした。
  125. 平野達男

    ○平野達男君 農水省にお伺いしますけれども、十万トンの処理百億、五十、五十億で折半、これはどういう考え方で決めたんでしょうか。
  126. 町田勝弘

    政府参考人(町田勝弘君) お答えいたします。  今回の米緊急対策におきます全農による飼料用処理のスキームにつきましては、平成十六年産から豊作時の対策として処理されております集荷円滑化対策を参考としたところでございます。この集荷円滑化対策におきましては、豊作分を主食用として出荷しないように区分保管するということになっておりまして、この場合、生産者手取りでございますが、短期融資、これは六十キログラム当たり三千円、一年後現物弁済もできます。これと生産者支援金、六十キログラム当たり四千円、これを合わせまして六十キログラム当たり七千円というふうになっております。今回の飼料用処理につきましては、これを参考に生産者手取りを七千円と設定したところでございます。  なお、飼料用の販売代金等といたしまして六十キログラム当たり一千円を見込みまして、この一千円と生産者手取りの七千円との差であります六千円につきまして、政府が二分の一、六十キログラム三千円を上限といたしまして助成するということとしたものでございます。
  127. 平野達男

    ○平野達男君 いわゆる集荷円滑化の考え方を基本にしたということのようですけれども、あくまでもこれはもう主食用の米と、ふるい下米なんですけれども、それを対象にするということであります。その一方で、三十四万トンの米の買上げ、十万トンのえさ米の処理ということで市場にメッセージを発しています。  そうしますと、米の価格の下落に防止が掛かると同時に、価格の上昇期待が出てきます。そういう安い単価でそもそも十万トンを集めようという話自体が、私は制度設計上非常に無理があったんではないかというふうに思います。ましてや、全農さんも当初予定してなかったわけですね、五十億の出費というのは。下手をすれば、全農十万トン買い入れようとすれば五十億で済まなくなる可能性があります。えさ米、ふるい下米でもトン当たり十二万とか十三万とか、あるいは場合によっては十五万するとお聞きしました。ところが、今回はトン当たり十万ですから、集められるはずがないんじゃないかと。このことが要するに全農さんが当初から見通しがなかったというのは、私は正直言って不思議でしようがないです。だから冒頭、本気でやる気があったんですかということをお聞きしたわけです。  それで、私は、こういうことがこう積み重なってきますと、実はもう政府も自民党も、これは無理だと分かっていて口先介入だけしたんじゃないかという疑問も出てくるんですよ。はい、そうでございますとは、そんなこと、答えは出てくるとは思っていません。しかし、結果的にそうなってしまっていますよ。制度設計上にも無理がある、時期的にも非常に無理がある。こんなものだれができるかと思ったんじゃないですか、多分全農さんも全中さんも。しかし、まず三十四万トンの政府の買上げ、十万トンのえさ米の処理ということで市場にメッセージを発した、これは大きなインパクトですよ。  というふうに私は推理小説家の一人になったような気分で今申し上げましたけれども、多分それに対しては違うというコメントを出さなくちゃいけないと思いますので、全農さん、どうぞ。
  128. 米本博一

    参考人(米本博一君) 先ほども申し上げたとおり、六十万トンぐらいのうちの十万トンは組織を挙げてやれば可能だというふうに考えてやったわけでございますが、六千円、そこに千円のえさを処理した代金を、千円は、恐らくそこまでは無理だと思うんですけれども、千円更に乗っけて七千円という指示も出して、農協にもそれでとにかく集めてくれということでやったわけでございますが、結果的にこういうことになってしまったということです。見通しが甘いと言われれば、そういうことだと思います。申し訳ありませんでした。
  129. 平野達男

    ○平野達男君 いや、もう謝罪の言葉はもう、ここで謝ってもらうとか、そういう委員会じゃないですから、結構です、本当にそこは。  いずれ、米の三十四万トンについては予定どおり集まりました、政府買上げは。これは全農さんも全面的に協力したと思います。そして、今でも市場の流通の米の四〇%は私は全農が扱っていると聞いています。プロ中のプロがこの十万トンのやつができなかったというのは、見通しが甘かったから云々じゃない、もう一つ何か別の要素があるんじゃないかという疑惑をどうしても私は捨て切れません。しかし、だからといって、おかしいじゃないかと言うつもりはありません。制度設計上私は元々無理があったと思っていますから。  ただ、問題は、やると言ってやらなかったことに対する影響が大きいということなんですよ。天下の全農さん方、自民党も入れて、政府補正予算を組んでやると言ったんだから。そうしたら、もう全農さんも全中さんの言うことも、私、一つは信用されなくなる可能性がある。それからもう一つ、私は十九年産米価格の形成、ひいては二十年産米価格の形成にも決してプラスじゃない、むしろマイナスだと思います。  全農さんと全中さんの見解をちょっと伺いたいと思います。この価格形成に対して。
  130. 宮下弘

    参考人(宮下弘君) ふるい下米の十万トンという予定で進めましたけれども、三十四万トンの政府買入れのおかげもございまして、一般主食用、さらにはふるい下米も価格が高騰し、結果的に私どもの努力にかかわらず一万五千トン弱の数字になったことに対しましては、私どもの代表、会長がお受けをするというふうに決めたことに対して、誠にぶざまな結果でございまして、そのことについてはおわびを申し上げます。  二十年産米につきましては、そういう意味で、全農としては計画生産にかかわる全農の機能の部分でございますえさ米へのスキームの構築実行と、米の直接販売、あるいは播種米、収穫米契約等の特に販売力強化に全力を挙げて、二十年産米の確立に向けて努力をするつもりでございます。
  131. 冨士重夫

    参考人(冨士重夫君) 十万トンの十九年産飼料用処理を実施できていれば、さらに価格に対する効果があったわけでありまして、そういう意味で、我々の見通しの甘さから、措置いただいた期待にこたえられなかったことに対しては深く反省し、心よりおわびを申し上げます。  二十年産につきましては、二十年産価格形成については、二十年産米の作柄、需給動向が決定的に価格に与える影響が大きいというふうに考えております。そういう意味で、二十年産の米の計画生産生産調整に徹底して取り組むということが極めて大事だというふうに思っております。
  132. 平野達男

    ○平野達男君 いずれ、全農さんが十八年産米の十一万トンの契約、それから手渡しの時期で十一万トンの玉突きで出てきたと、これが価格形成に悪影響を与えると主張されたわけですね。  今回、十万トン処理するといって一万四千六百トンしか処理できなかった、これ逆の立場になるわけです。処理するはずの米が市場のどこかにあるということですよ。だから、全農さんが米の買上げを要求した背景のときの時点とやや似通った時点がまだ継続しているということなんです。だから、影響は私は大きいと思いますよ。問題は、あとは二十年産米については米の需給対策をきっちりやれるかどうかです。  そこで、政府にお伺いしますけれども、五百億の十万ヘクタールの生産調整面積の拡大、今実施状況どうなっていますか。
  133. 町田勝弘

    政府参考人(町田勝弘君) 二十年産生産調整につきましては、従来からの産地づくり交付金と、委員今御指摘いただきました地域水田農業活性化緊急対策、これを最大限活用しながら、農協系統と行政が連携しながら全都道府県、全地域における生産調整目標が達成できるように取り組んでおります。  地域水田農業活性化緊急対策実施状況でございますが、都道府県ごとの生産調整拡大目標を勘案いたしまして、都道府県水田農業推進協議会に基金を造成いたしまして、各地域で手続を進めているところでございます。まさに今現地で真っ最中、この推進が全力を挙げて図られているというふうに承知しております。
  134. 平野達男

    ○平野達男君 五百億円、もう補正予算でありますから、執行はもう年度内。年度はもう、実はもう過ぎているわけですね。  十万ヘクタールの面積は、大体今実施状況がどれだけとか分かりませんか。
  135. 町田勝弘

    政府参考人(町田勝弘君) まず、今回の補正予算の執行でございますが、補正予算事業につきましては、先ほど申し上げました都道府県の水田協議会に対しまして基金を交付するといったことで、国としてのすべての支出負担行為、これは年度内に完了しております。  現在、まさに取組の真っ最中ということでございまして、現在ではそれ以上という具体的な数値は把握しておりませんが、各地の作付けが終了した段階で執行状況を集計して公表していきたいというふうに思います。
  136. 平野達男

    ○平野達男君 いずれ私は、この間の委員会でも申し述べましたけれども、指摘させていただきましたけれども、現場ではかなり混乱をしている向きもあります。しかし、本当にここで需給調整しっかりやらないと、生産調整しっかりやらないと、私は本当に大変なことになると思います。  最後に、全農さんと全中さんにこれからの需給対策に向けた覚悟をお伺いして、私の質問をちょっと終わらせていただきたいと思います。
  137. 宮下弘

    参考人(宮下弘君) 私どもは、全中を中心として、JAグループを挙げて生産調整の実効に全力を挙げたいと。その中で、私ども全農としましては、事業分野でございますから、計画生産の実効にかかわるえさ米へのスキームの構築と実行、あるいは私どもとしての事業であります販売という面では、播種前契約あるいは収穫前契約、場合によれば買取り等を実施しながら販売力を強化することで生産者の期待にこたえるということで計画生産取組支援をしていく、そういう立場でございます。
  138. 向井地純一

    参考人向井地純一君) 二十年産米生産調整の必達につきましては、JAグループとしては何が何でもしっかりやり遂げなければいけないという具合に思っております。  そういう意味で、三月七日の全中総会におきまして、私どもの農協法に基づく中央会と全中が一体となります経営指導に関する基本方針に米の計画的生産についてしっかり盛り込んでおりますし、三月二十八日にも、初めてJA以外の集荷団体あるいは行政や流通段階の団体を招致いたしまして、全国計画生産推進大会も実施しております。  いずれにしましても、需給と価格を安定させるために、何としても二十年産米の計画生産、達成しなければならない、徹底をしなければならないと思っておりまして、行政や関係機関とも連携を密にしてしっかり対応してまいりたいという具合に思っております。
  139. 平野達男

    ○平野達男君 時間になりましたから締めますが、いずれにせよ、私は、米緊急対策は強い副作用を持った劇薬というニックネームを付けさしていただきましたけれども、確かに私は効果はあったんだろうと思います。しかし、あの十万トンの処理がちょっと、若干不足に、かなり不足に終わりましたけれども、効果はあったんだろうと私も理解します、三十四万トンも買い上げたんですから。  しかし、その効果は、需給調整に参加している農家、参加していない農家にも全部及んでいるということで、今一方で需給調整を一生懸命になって進めようとしている。市場には参加しなくたって、何かやってくれりゃ、どうも今日は、大臣の答弁では、いつでも全農さんにそういうことをやらせられる可能性もあるんだというふうな答弁だったんですけれども、そういうメッセージを送っている限りにおいては需給調整も私はうまく進まないと思います。  今回の措置は、もう本当に、大臣の本当に答弁今日期待したかったのは、今回限りの措置ですと、もうありませんというぐらいの本当は強いメッセージを私は出すべきだったと思います。そのメッセージが出なかったことは本当残念だと思うし、そのメッセージをばねにして需給調整が進まなかったら、やらなかったら、私は現場もやっぱり軸が一本入らないと思いますよ。  そのことだけ申し上げて、私の質問を終わります。関連で千秋さんが質問しますので、大臣はこれに関しての答弁がございますれば、それでお願いをいたします。
  140. 高橋千秋

    高橋千秋君 民主党の高橋千秋でございます。今日は、全農、全中の皆さん、ありがとうございます。  先ほど来、ずっと話を聞いておりまして、私は、緊急で措置をしていただいた三十四万トン、これ自体は価格を下げ止まる効果は非常に与えたということで評価はできるんではないかなと思うんですが、実は今年の平成二十年産米、私はこっちが物すごく心配をしています。  というのは、先ほど来、大臣は、先ほどのような平野さんの質問の中でも、今年限りだということは言わなかったというお話でありますが、五十億を用意をして、実質七億ぐらいしか使えなかった、使わなかったわけですね。これは、コスト削減で使わなかったとかいうんではなくて、当初の計画をもう全然、もう非常に一割強ぐらいしか使えなかったということで、一般の農業に関係のない方々から見たら何なんだと、JAは何なんだ、農業界は何しているんだ、農水省は何しているんだというような物すごく不信に私はつながるんではないかな、その意味で、農業に関係をする人から見ると、私は大変不幸なことではないかなというふうに思うんですね。  全中さんの方には質問通告していなかったんですけれども、全中さんの方でこの三十四万トンの買入れについては、米価の歯止めと価格浮揚に絶大な効果が発揮されたと評価をされているというコメントを出されたと聞いておりますけれども、それは事実でしょうか。また、実際そのように感じておられるんでしょうか。
  141. 向井地純一

    参考人向井地純一君) 三十四万トンの政府買入れにつきましては、やはりその措置がなければ、大変な需給緩和状況になりまして十九年産米の米価は更に下落し続けていたという具合に想定しております。そうなければ、生産調整実施しているまじめな農業者、集落営農を含む担い手の所得が大幅に減少しまして、水田農業の経営と営農に大変な悪影響を与えたものという具合に思っております。緊急対策の決定、実施によりまして、十九年産米主要銘柄の価格は十九年十月中旬以降上昇に転じまして、米価下落の歯止め、浮揚の効果が発揮されたという具合に理解しております。  こうしたことから、措置いただきました緊急対策の三十四万トンの政府買入れは極めて大きな効果があったと認識しているところでございます。
  142. 高橋千秋

    高橋千秋君 改めて、極めて大きな効果があったということの認識を示していただきましたけれども、であれば、なぜ十万トンが出てきたのかということです。三十四万トンで極めて効果が出た。今の日本の、この政府の中にお金がない中で五十億もの、まあ余分のお金といったら怒られますが、五十億ものお金が用意をしていただいたわけですね。極めて効果が出たんであれば、私は、その時点でもうそれで良かったんじゃないか。五十億ものお金が、まあだれが言ったか分からないけれども、ある日ぽんと用意をされたと。こんな気前のいい分野というのは今、国の中にないはずなんですね。  ところが、私のいろんな調査の中で、ある日突然十万トンというのが決まったと、朝行ったら決まっていたという話でした。これ、先ほど平野委員の方から大臣に対して質問が冒頭にありましたけれども、要請をしたのか、だれがしたのかというお話でしたが、私はこれは非常に大事な問題だろうと思います。三十四万トンで大変極めて効果があったという、JAグループはそれで評価をしているのに、なぜ十万トンというのが突然出てきたのか。これはJAグループが、ずうっと衆議院委員会も、この農水委員会の今日の答弁も聞かしていただいても、これは要請をしたとは一言も言ってないですね。  大臣、だけど、これはそれじゃだれが要請したんですか。突然出てきたというのはだれが要請をしたんでしょうか、そこを確認をさせていただきたいと思います。
  143. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) それは、高橋委員に申し上げますけれども、米の相場がどういう形で歯止めが掛かるかというのは、数量合わせで数字合わせをすれば管理されたる米の取引でこうなるということを予測することはできないんですよ。あの時点で、どういう、どこまで落ち込んでいくかというのが非常にみんなで不安に思ったときですからね。  だから、数字の上でトータルとしての需給はどこでセットされるかと。数字の上では、三十四万トンであれば、系統の方から言ってきた二十三万トンに押し出してきた十一万トン、たまたまですけれども三十四万トンと。こちらも百万トンの適正備蓄水準との間の言わばすき間がありまして、三十四万トンができるということはございました。しかし、それで止まるとは私自身責任者としても本当に不安でしたよ。分かりませんでした。  だから、そういう意味では、取引関係者に対してしっかりとしたアナウンスと決意を示していくには、何がしか数字で、とんとん、三十四万トン以上のものが、やるんだということをメッセージとして出したかったのと、あわせて、二十年産がどうなるんだというのをにらんでいますから、この緊急対策は、ただ買い上げて済ましたんではなくて、二十年産をどういうふうに需給調整を図っていくか、政府、地方公共団体と系統組織が一体となって二十年産米にしっかりと取り組んでいくんだということもこの対策の中に入っているわけなんです。  それら総体、オールセットで価格下落に歯止めが掛かったと考えているわけで、結果だけ見てやらなくてもよかったじゃないかなんというような話ではないと私は思っております。
  144. 高橋千秋

    高橋千秋君 長々と答弁されますが、答えていません。JAから要請があったんでしょうか。それだけを聞きたいと思います。
  145. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) これは平野委員にお答え申し上げましたとおりでありまして、JAの方は飼料用米として十万トンを別途処理するということの要請はありませんでした。十分なる緊急対策を講じてほしいという要請がありました。その十分なる対策という意味でこちらで検討した中で政府・自民党と協議をいたしました。その中で、今言いましたような背景を念頭に置きながら、この米価の下落がもたらされた中には、やはり系統としてもこれに役割を十分果たせなかったというようなこともあるんじゃないかというような点を我々も考えながら、系統としてもできる限りの汗をかいてもらいたいということで、こちらからそういう考え方を案として提示をして見解を求めたわけでございまして、系統の方はその提示した我々の案に対しまして、検討の結果やりますということを決意して決定を見たと、こういうことでございます。
  146. 高橋千秋

    高橋千秋君 今ようやくそういうふうに言われましたが、平野委員も冒頭言いましたけれども、前回の答弁では、全農、全中を呼び付けてしかったというような話もありました。  まさに、先ほど全中の方から三十四万トンの効果は非常に絶大だったという評価の中で、今こういう財政状況大変厳しい中でこの十万トンを買い付ける、それを、主食米をえさ米にするというそういうやり方。そして、これは五十億は税金として用意をするわけでありますが、もう五十億、全農グループとすれば用意をしなければならない、そういうお金です。それは大変なお金なんですよ。これ自らが積み上げているお金を使うということでありますから、そんな、はい今日決まりました、五十億出しなさいというような話はそう簡単にできるものではないはずなんです。しかし、それをやっておられる。  今までの委員会の話を聞いていると、全農、全中から要請があったから渋々やって、できなかったから我々は怒ったんだという、そういう話でした。だけど、今日の話を聞いていると、そういうことではないということを今認められた。  私は、この経過も非常におかしいと思うんですが、しかし、私はこの十月二十六日に決まった直後に、地元の農協の関係者からいろいろ話を聞いたときに大変困った困ったという話を聞きました。集まるわけがないんだという話をそのときにもう既に聞いていました。  当初からそういうことは分かっていたんじゃないですか。これは農水省として、その時点で当初から分かっていたというふうにいろんな私の情報を集める中で聞いておりますけれども、それはいかがでしょうか。
  147. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 絶対にそんなことはありません。農林省が、当初からそういう無理だということを分かってこのような検討をし、案を作って提示をしたというようなことは全くありません。これは実行できるものと、そこで決意を両全中、全農の代表者にどうだということを求めて、その全中、全農の代表者は持ち帰った上で検討してやりますと、こういう話が返ってきたわけで、私はやってもらえるものと考えておりました。
  148. 高橋千秋

    高橋千秋君 それじゃ、十万トンの積算基礎はどういうことでしょうか。十万トンという数字はどこから出ているんでしょうか。
  149. 町田勝弘

    政府参考人(町田勝弘君) この十万トンという数字につきましては、農協系統が政府買入れの対象としてほしいと主張していた数量、これに相当する十万トンでございます。
  150. 高橋千秋

    高橋千秋君 でも、それは既に三十四万トンの中に入っているんじゃないでしょうか。それはダブって計算していませんか。事実、一万四千トンしか集まらなかったということからも、ダブって計算をしておる。ましてや、ふるい下米でしか集められなかった。それも価格が六千円プラス千幾ら足して七千幾らで買ったとしても、それで主食米が集まるわけないじゃないですか。だのに、十万トンというのがそこから出てきたというのは、これおかしくないですか。
  151. 町田勝弘

    政府参考人(町田勝弘君) 十九年産政府買入れの考え方でございますが、十九年六月末に七十七万トンであった政府備蓄水準を二十年六月末に適正水準である百万トンに積み増すというものでございます。したがいまして、在庫積み増しは百万トンからこの七十七万トン差し引きました二十三万トンということになります。この分が市場から隔離をされるわけでございます。  この在庫積み増しを二十三万トンとするために、じゃ何万トン買ったらいいかという必要な買入れ数量でございますが、これにつきましては、十九年の七月から十月までに政府米の販売数量等、これが十一万トンあるということで、二十三万トンにこの十一万トンを加えた三十四万トンということでございます。  いずれにいたしましても、この政府の買入れは適正な備蓄への範囲内で十九年産生産オーバー分に対して市場隔離措置を講じたものでございまして、全農の十八年産販売残についてはここには含んでおりません。
  152. 高橋千秋

    高橋千秋君 六千円、政府側が三千円、全農側が三千円、この六千円の積算根拠は何でしょうか。
  153. 町田勝弘

    政府参考人(町田勝弘君) この六千円につきましては、平成十六年産から豊作時の対策として措置されております集荷円滑化対策、これを参考としたところでございます。  集荷円滑化対策におきましては豊作分を主食用として出荷しないよう区分保管することとしておりまして、この場合、生産者手取りは、短期融資六十キログラム当たり三千円と生産者支援金六十キログラム当たり四千円を合わせまして六十キログラム当たり七千円というふうになっております。今回の飼料用処理につきましては、これを参考に生産者手取りを七千円と設定したところでございます。  なお、六千円につきましては、飼料用販売代金等として六十キログラム当たり一千円を見込みまして、この一千円と生産者手取り七千円との差の金額でございます。
  154. 高橋千秋

    高橋千秋君 そもそも、主食用を当初、えさ米にするというお話でした。ということは、主食用を集めなきゃいけないわけですよね。それが七千円で集まるというふうにそのときに判断をされたんでしょうか。それは農水省としてそういう判断をされていたんですか。私はどう見ても七千円で主食用のお米が、去年幾ら値が下がったといっても集まるはずがないというふうに私は考えますけれども、いかがなんでしょうか。
  155. 町田勝弘

    政府参考人(町田勝弘君) 需要を超える米を低価格であっても非主食用に処分するということによりまして主食用価格を維持しようというのが今回のこの対策の目的でございます。先ほど申しました集荷円滑化対策、これも同じ考え方でつくられておりまして、十七年産は実際に発動されているというところでございます。
  156. 高橋千秋

    高橋千秋君 いや、それは、集めるというのはそれは分かりますが、出すのは農家ですから、それは安ければ出しませんよ。それで、結果的には一万四千トンしか集まらなかったという事実がもうそこにあるわけで。  そして、これ、いつの間に、主食用のお米をえさ米にするというのがいつの間にふるい下米に変わったんですか。これ、いつの時点でそうなったんですか。
  157. 町田勝弘

    政府参考人(町田勝弘君) 農協系統におきまして具体的な飼料用処理のやり方を決定されたのは十一月九日であるというふうに承知をしております。
  158. 高橋千秋

    高橋千秋君 そもそも、ふるい下米というのは、私も百姓の息子でよく分かりますが、下の方に落ちてくるんですよね、サイズで決まっていて。しかし、それは県によってそのサイズがいろいろ違いますから、いい米も中にはあって、それをきっちりと集めれば主食米になるのもあります。  しかし、これ、幾らふるい下米といえども七千円前後で集まるというふうに考えること自体がおかしいし、十一月の九日時点ではもうそんなのはほとんどないというのは、ほとんどの方、関係者は分かっていたはずです。当然、全農も全中も各単協も、私が知っているぐらいですから、みんな知っているはずです。農水省が知らないはずがないんですけれども、いかがなんでしょうか。
  159. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) いや、私の方はふるい下米ということを前提にしてこれを進めたわけではございません。集荷円滑化対策の中でもございました。その意味で、系統組織も汗を流し、それだけの努力をするということでどうだというふうに提示をして意見を求めたというふうに私は理解をいたしておりまして、それをふるい下米で対応するというようなことを決めたのはその系統組織内部におきます対応の仕方でありまして、私どもがそれを、ふるい下米も含めてでございますけれども、十万トンを飼料米として、飼料用として処理をしてもらうということを求めたわけであります。  ちなみに、もう委員も御承知のことだと思いますけれども、ふるい下米一・七ミリ以上が三十四万トンあり、一・七ミリ以下が十八万トンあると。これだけの数量が全体の数量でございます。
  160. 高橋千秋

    高橋千秋君 しかし、十一月九日といったら、私の三重県では八月の末にもう稲刈り終わるんですよ。十一月九日に決まった時点でふるい下米を探そうと思ったら、JAのカントリーエレベーターに残っているやつを集めるしかないわけです。ましてや、幾らふるい下米といっても七千円で集めるということ自体が、元々主食米を大体七千円で集められるわけがないわけですよ。農協の方とすれば必死に頭ひねって、もうそれじゃ、農協も損できませんから、だから必死に集めようと思ったらもうふるい下米しかない。実際、全国の倉庫をそれぞれ指令を出して見てみたら一万四千トンしかない。これ当たり前のことですよ。こんなの当初からだれが考えたって分かっている。分かっているのにやってしまったというところが私は非常に大きな問題があると思うんです。  だから、冒頭言ったのは、私が今年の、平成二十年産米を大変心配しているというのは、JAも農業界も農水省もまた昔と同じようなことをやっているのかと。だれも信用してくれなくなりますよ。本当にこのようなことをやっていたら、私は一番不幸なのは生産者であり消費者だと思います。その意味で、私は是非この部分はきっちりと責任も、そして経過もはっきりさせていただきたいなというふうに思います。  読んでおられると思いますけれども、業界紙の、米と麦の業界紙の中に、三月二十七日号の中に、もう織り込み済みだったと。この記者によると、もう早い時点で分かっていたというのは取材で、出ているというのは記事にもなっています。こんなの知らないはずがありません、農水省が。それは大臣、首ひねっても、そういうもの、私も聞いていたんだから、当初から。それは大臣が聞いていないだけですよ。大臣のアンテナが低いんです、それは。だから、私はそれは反省をしていただきたいと思います。  そして、今年私は大変心配しているのは生産調整。今平野委員からも質問がありました、どうなっているんだと。これ、平成二十年産生産調整目標達成合意書という、これは通称血判状か、そのようなことを言われておりますが、現在の時点で何県これに合意しているんでしょうか。お答えいただけますでしょうか。
  161. 町田勝弘

    政府参考人(町田勝弘君) 二十年産生産調整の実効性を確保いたしますためには、農業者団体、集荷団体、都道府県等の地域の関係者がそれぞれ相互に連携して、生産調整目標を達成するために全力を挙げるということが重要でございます。特に、十九年産において大幅な過剰作付けとなっているなど、これまでの生産調整の推進状況などから見て必要な場合は生産調整目標達成合意書の締結を行うことが有効ではないかというふうに考えています。  今の状況でございますが、これまでのところ全国段階で合意書を締結したほか、二十府県において合意書が締結されております。全県で合意書の締結を求めることは考えておりませんが、合意書を締結した県、またしない県も生産調整目標が達成できるよう全力を挙げていただくよう強く要請をしているところでございます。
  162. 高橋千秋

    高橋千秋君 今それぞれの産地、それからJAの関係者、行政の関係者、それぞれで今言われていることがあります。生産調整が今年達成できなかった場合の仮定の話すらしちゃいけないような雰囲気が今この業界の中にあるというようなことが言われています。今必死に頑張っておられる、それは分かります。しかし、この合意書、まだ半分ぐらいしか出していない中でこれ本当に達成できますか。いかがでしょうか。
  163. 町田勝弘

    政府参考人(町田勝弘君) 現在、二十年産生産調整につきましては、先ほども申し上げましたが、農協系統等と行政が連携をいたしまして、全都道府県、全地域において生産調整目標が達成できるように全力を挙げて取り組んでいるところでございまして、現時点で目標達成見込みを申し上げるということは困難でございます。  今後も、水稲の作付け、収穫といった各ステージごとに状況を把握いたしまして、必要な場合には適切な善後策を講じることとしておりますが、現在、作付け前の現段階が最も重要でございますので、産地づくり交付金、また地域水田農業活性化緊急対策、最大限活用して生産調整目標が達成されるように引き続き全力を挙げていく考えでございます。
  164. 高橋千秋

    高橋千秋君 頑張っているのは分かります。頑張っているのは評価します。しかし、頑張っているだけじゃ駄目なんです、結果出さないと。もし、今年生産調整できなかったら今年とまた同じようなことをやる予定ですか。やるつもりですか。まず大臣に。大臣
  165. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) そういう仮定で、今の段階で私が申し上げるのは差し控えたいと思います。  とにかく、計画をいたしております生産調整の目標は何としても達成してもらわなければならないと、また行政側も達成すべく指導を強化し協力をしていきたいと、このように考えているわけでございます。ましてや、先ほど来お話がありましたけれども、私は全中、全農が、高橋さんが言われるように、分かっていてやったんじゃないかといったように悪意を持っているとは思っておりませんけれども、結果としてそういうことになっているということについては、なったということについては、やはり系統組織においても十分自覚をいただきまして、この二十年産米生産調整の実効性の確保につきましてはもう全力を傾けてもらいたいと思っておりますし、そのような結果が出ることを期待しているところでございます。
  166. 高橋千秋

    高橋千秋君 大臣、勘違いしていただいては困るんですが、全中、全農が分かっていてやっていたんじゃないかと言っているんじゃなくて、農水省も分かっていたんじゃないかということを私は言っているんです。
  167. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) それはだけれども、ディーラーであります実際物を扱っているところが一番現場から委託を受けたりあるいは買取りをしたりしながら現場をやっているわけでありますから、農林省が、私の方は実は承知していなかったんですけれども、全農、全中の方で、全農の方でそのような状況をあらかじめ承知をした上でこれをアナウンスしたというふうには私は決して思っていないんですよ。そういう悪意があるとは思っていません。実際、話し合った中で決めた当事者の一人として、系統組織がそんな悪意を持ってこれを扱ったとはいまだにそれは考えていないところでございます。そのことを申し上げているわけであります。
  168. 高橋千秋

    高橋千秋君 私は、全農、全中が悪い悪くないという話しているんじゃなくて、農水省も分かっていたじゃないかと、そういうことですよ。これは、それで知らなかったとなれば私はアンテナが余りにも低かったというふうに思います。  そして、先ほどの生産調整頑張りますという、それは頑張ってもらわなきゃ困ります。しかし、頑張っても結果出なかったらどうするんだ、そのこともやっぱり結果責任は取らなきゃいけない。農水大臣が秋に農水大臣やられておるかどうか分かりませんけれども、しかし、それはやっぱりきっちりと結果責任というのは出てくるんです。そのときにどうするのかということもやっぱり考えていかなきゃいけないし、まして私は生産調整が今のような状態になってしまったというのは、やはり生産団体、作る側にそれを任せてしまったというところに私は大きな問題があると思うんです。  主要食糧法の第二条の第二項に、これは生産者団体が自主的に調整をしてやるということになっています。この法律がある限り、みんなが一生懸命、先ほどの答弁で行政も系統も一生懸命連携を組んでやりますと言いながらも、やっぱり最終的にはそこがある限り行政はやっぱり知りませんよという話になってしまうんです。責任逃れになってしまいますよ。やっぱり、農家というのは農協に対して、農協がそうやって言ってきたら、まあある程度は付き合うけれども、そんなにきっちりはやらないんですよ。やっぱり行政がちゃんと指導をしていかないとその生産調整というのはできないものなんですよ。それは実態です。それは実際に今そうなっているじゃないですか。  ましてや、先ほどどなたかがおっしゃいましたけれども、米を集めているのはJAグループだけじゃないんです。ほかのいわゆる商系と言われているところがあります。こういうところと連携を初めて組んだというお話がありましたけれども、なかなかそう簡単にはいかない。そういう中で生産調整をきっちりやりますと言ったって、それじゃ今年の秋できませんでした、済みませんでしたといって謝るだけで終わるのか。これは大変大きな問題だと思います。やはり、これは農業界がほかの分野の方々にやっぱり理解をしていただく、信用していただくためには、私はここをきっちりとしていくべきだと、そのことを申し上げて、私の質問を終わります。
  169. 加治屋義人

    加治屋義人君 自民党の加治屋でございます。  十分の時間をいただいておりますので、簡単に質問をさせていただきたいと思います。  本日は、全中、全農さん、こうして大変お忙しい中に御出席をいただき、お礼を申し上げたいと思います。  十万トンの処理問題については、さきの衆議院での質疑の内容をすべて見させていただいて、その経過あるいは要因等についてはよく理解をさせていただいております。今回の米価格の下落による緊急対策の柱は、先ほどから話ありましたとおり、三十四万トン政府買上げ、そして十万トンのこの非主食用への処理、この二つがあったと思っております。  私どもの自民党の緊急対策PTでも、本当にこの生産者の気持ちを思い、全力で努力をしてきたわけでありますけれども、今回の全農さんのこの十万トンの処理の結果について、そういう意味では非常に残念でなりません。何かコメントありましたら一言お願いしたいと思います。
  170. 向井地純一

    参考人向井地純一君) 十万トンのえさ米処理についてでございますけれども、ちょうど政府支援の下に我々JAグループとしましても、自前の基金も手当てをし、かつ飼料用米は価格が非常に安いと、あるいはJAグループに販売委託している生産者の負担を極力少なくするという趣旨の下にふるい下米で取り組むこととしたわけでございます。  御承知のとおりでございます。十万トンに向けた数量積み上げの特例も行ってきました。賢明に取組も進めてきましたけれども、ふるい下米が、発生量が想定したよりも大変少なかったと、あるいは相場が上昇する中でふるい下米の販売が現場で進んでしまっていたということによりまして、一万四千六百三十二トンという処理数量という結果になってしまったわけでございます。  十万トンの飼料用処理を実施しているならば、私ども農家組合員にとっても、より一層価格対策という意味では効果が発揮できただろうと思っておりますけれども、残念なことに、我々としては見通しが大変甘かったということもございまして、対策措置をいただいた期待にこたえられなかったという意味で、大変心からおわびを申し上げたいという具合に思っております。  以上です。
  171. 加治屋義人

    加治屋義人君 かねて全中、全農さんの幹部の皆さんとお話をする場もなくて、今日こうしていい機会をつくっていただきましたので、一つ二つ質問をさせていただきたいと思います。  昨年十月二十六日、緊急対策の決定以降、米価の急落に歯止めが掛かったと、私どもはそういうふうに理解をしているところでありますけれども、仮にこうした緊急対策を講じていなければどういう状況になったのかねと、そのことも考えたりしておりますけれども、その結果と意義について、どうお考えになっているか、一言お伺いしたいと思います。
  172. 冨士重夫

    参考人(冨士重夫君) 仮に、この緊急対策が講じられなかったとすれば、大幅な需給緩和状況の中で十九年産の米価は更に下落し続けていたと想定されます。そうなれば、生産調整実施しているまじめな農業者、集落営農を営む担い手の所得が大幅に減少し、水田農業の経営と営農に大変大きな悪影響を与えていたというふうに思っております。  緊急対策の決定、実施によりまして、十九年産米の主要銘柄の価格は十月中旬以降上昇に転じ、米価下落の歯止め、浮揚の効果が発揮されました。全農が緊急対策決定前に契約した数量は九十万トン程度ですけれども、決定後に契約した数量は約百六十万トンということで、緊急対策の効果が反映されるということで、これまで多くの県で概算金の追加払いを実施するということになって、こうしたことから、今回の措置された緊急対策の効果は極めて大きかったというふうに認識しております。  ただ、一方で、先ほどからありますように、非主食用の十万トン処理について、我々の見通しの甘さから対策措置していただいた期待に十分こたえられなかったということで、深く反省し、心よりおわび申し上げます。
  173. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございました。  今後の対応について一点だけお尋ねをしておきたいと思いますが、全農の今回の飼料用処理が十分でなかった、今お話しのとおりでございますが、この農協系統が用意した資金のうち、その相当部分が残るだろうと思います。全中、全農さん、この今回処理するために残った資金について、多分生産者にはお返しになるんだろうと、こういう気持ちも持っているんですけれども、今回のこのような、必要な場合に備えて自らプールしておかれることもまた大切ではないかと、そういうことも思うんですが、どうお考えでしょうか。
  174. 冨士重夫

    参考人(冨士重夫君) JAグループへの販売委託を行う米について、需給調整対策、それと消費拡大対策を行うことを目的に、全国の生産者から十アール当たり五百円の拠出をいただいて基金を造成しております。これはJAグループ独自の基金がございます。  今回の非主食用処理につきましても、全国のJAグループ全体の取組であるということから、JAグループに求められた負担五十億につきましては、米需給調整消費拡大基金の残高から充てるということを組織的に決めまして、その内容で事業計画も修正いたしました。  この非主食用の処理を実施した後の基金の残余金につきましては、二十年度末までに基金の拠出元であります各県へ返還するということをあらかじめ決定しておりますけれども、今回の結果を踏まえまして、四十二億円につきましては、今後改めてJAグループ組織内で協議、検討していきたいというふうに思っております。
  175. 加治屋義人

    加治屋義人君 来年、将来のことを考えたときに、私は、やっぱり米生産農家自助努力、まさにここだと思っているんです。そういうことも考えて、是非善処していただければ有り難いと思っております。  時間がなくなりましたけれども、生産調整についてお聞きをするつもりでしたけれども、今たくさん御意見もございました。やはり来年、二十年産米の緊急対策もまた必要なのかねと聞かれた場合には、全くそういう気持ちは私はないと思っておりますだけに、やはり生産調整しっかり取り組んでいただきたいと思っておりますが、再度、全中、全農さんの生産調整に懸ける決意を一言お聞かせいただければ有り難いと思います。
  176. 向井地純一

    参考人向井地純一君) 二十年産米生産調整につきましては、私どもとしては不退転の決意で取り組んでまいりたいという具合に思っております。  重点転作作物やあるいは重点推進地域を設定するなど、各県ごとに行動計画を策定しまして、その進捗状況を時期別に点検しながら、生産調整の達成に向け全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。  組織的にも関係諸団体と連携を強化しておりますし、同時に、何よりも行政とも関係を密にして取り組んでまいりたいという具合に思っております。
  177. 加治屋義人

    加治屋義人君 十分というのは早いもので、あと一分になって、割愛をさせていただきますが、最後に我が国が直面している農業、もう御承知のとおりでありますが、その解決の原点というのは、やはり私どもの国会、そして農林水産省、そしてJAグループ、農業者、しっかりスクラム組んで取り組むことが私は原点だと思っております。今回のような誤解が生じるようなことがあっては信頼を失うと、そういうことも考えておりますので、どうか全中、全農さんにも、我々も頑張りますんで、どうか今後の御努力をお願い申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  178. 山田俊男

    ○山田俊男君 ありがとうございます。  私は、現下の最大の大きな課題でありますWTOの交渉等を中心に質疑をさせていただきます。  もう御案内のとおり、新しいドーハ・ラウンドが始まりましてから七年であります。この間、中断、決裂、さらにはこの間、閣僚宣言、それから枠組み合意、そしてモダリティーに関する議長提案さらには改訂版、それから新聞等の報道によりますと再改訂版が出てくると、こうした事態になっているところであります。  この間、我が国は一貫して、農業が果たす多面的機能をしっかり評価したルールを作る、さらには、世界最大の食料輸入国であるわけですから、この我が国としまして、輸出入国間のバランスをしっかり確立したルールを作るということでも取組を行ってきているところであります。香港閣僚会議に際しましては、ドーハ・ラウンドの開発ラウンドの趣旨に沿った後発開発途上国に対します百億ドルの支援を打ち出して、そして会議をリードしてきた経緯もあるところであります。  ところで、若林農林水産大臣は、三月十八日の当委員会におきます所信表明におきまして、WTO交渉が現在重要な節目に来ていること、こうおっしゃっておられたわけであります。さらには、三月二十五日の当委員会におきまして、今交渉は大詰めを迎えていると、こうおっしゃっておられたわけであります。  大臣にお聞きしますが、大詰めを迎えているというのは場合によっては決まりかねないという状況なのか、どうとらえておられるのか、お聞きしたいというふうに存じます。
  179. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 今年の一月にスイス・ダボスでWTO非公式の閣僚会議が開催をされました。私もこの会議に出席をしたわけでございますが、この会議では、年内に合意をすると、これ決着を見る合意をするということです、ということがその閣僚会議で共通の認識を得て合意されたわけでございます。    〔委員長退席、理事平野達男君着席〕  そこから逆算をしますと、譲許表をそれぞれ出して、年内に終結を見るということで逆算をしていきますと、もうぎりぎり五月でモダリティーが確立されないとその合意ができないわけですね。そういう意味では、WTO関係の主要な国々でありますこの非公式閣僚会議でのその目標というのは五月がぎりぎりかなと、こういう認識でいるわけであります。  そうした中にありまして、この二月に、委員御承知のとおりでございますが、ファルコナー農業交渉議長が改訂テキストを提示をされたと、それに基づき議論が集中的に今行われているところでございます。  このような動きを基礎にしまして、私は、現在の交渉関係者間で、モダリティー合意を目指した閣僚会議が五月中旬にでも開催されるのではないか、そういう認識が関係国の中で広まっているというふうに承知いたしております。  だから、そういうような状況を踏まえますと、大変緊張感を持ってこの交渉に臨んでいかなければならない、こう考えております。
  180. 山田俊男

    ○山田俊男君 緊張感を持って交渉に当たられるということでありますので、是非そうしていただきたいというふうに思うわけでありますが。  今、大臣おっしゃっていただきました議長の改訂版、さらには五月に出てくるというふうにおっしゃっています再改訂版、これを見ますに、どうも重要品目の数が不十分であること、さらにはその重要品目の数を拡大するにしましても代償措置として追加的な関税割当ての拡大が必要であること、さらには重要品目についての関税の引下げ率が低い場合は関税割当てを拡大することが求められること、さらには上限関税については触れていないということなんですが、一〇〇%を超える品目の数によっては、それが一定以上あるということであればこれも関税割当ての相当部分の拡大が必要だというふうに言われた内容だと聞いております。  果たしてこれが受入れ可能なものかどうか、この点についてどう受け止めておられるか、お聞きしたいと思います。
  181. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 今、一月のダボス会議のお話を申し上げました。その後、二月にファルコナー議長の方からモダリティーの改訂版が出たということもお話を申し上げ、その改訂版をベースにしまして活発な議論が行われているところでございます。  議長におかれましては、現在行われています交渉会合での議論の状況を踏まえて四月下旬にでも再改訂版を出したいというどうも意向があるようだというふうに受け止められるわけでございます。五月の閣僚会議が開催されれば、再改訂版が閣僚会議での議論のベースになってくるという意味で、この四月下旬にも出されるかもしれない再改訂版というのは大変大きな重い意味を持っているというふうに思っておりまして、その意味でファルコナー議長を中心としまして関係の国との間で、我々はかねてからのこの主張を更に強めまして、バイの会談あるいはまた関係諸国との間の協議などを深めているところでございます。  今お話ございましたその改訂版につきましては、委員も御承知のように、上限関税には言及がないわけでございます。これに対しまして、かなり強力な国から、上限関税は設けるべきであるという主張をなお強くしている国があるわけでございまして、これは、我々は何としても上限関税は設けるべきではないということを繰り返し、私自身もファルコナー議長にもラミー事務局長にも強力に伝えてはいるんですが、議長や事務局長が決めるわけじゃない、関係国間の協議で決まるんだと、こういうお話がございました。その意味では、今なお上限関税を設けるべきであると主張している国々への働き掛けが大事だと思っておりますが、上限関税は全く受け入れられないという基本姿勢は変わっておりません。  そしてまた、委員がおっしゃられました一〇〇%を超える高関税が一定割合以上、一定数以上残る場合には関税割当ての追加的拡大が必要なんじゃないかということが求められております。これも大変問題でありまして、我々はそのような措置、更に重要品目にも言及されましたが、重要品目についてもいまだ不十分だということでありまして、その取扱いについてもファルコナー議長の改訂提案に対しても大変不満でございまして、そういう意味では、我が国は更に再改訂に向かっての今の協議の過程におきまして、上限関税を設けないということはもちろんでありますけれども、重要品目の数についても計算の基礎を全品目ベースとすることを主張し、また、各国のタリフラインの違いに基づいて起こってきます不公平を是正するなどを通じまして、十分な数を確保していかなきゃならない。また、重要品目と決められた中のその取扱いにつきましては、特に米の関税割当ての拡大が我が国にとって極めてセンシティブな問題であるという認識の下で、品目ごとに柔軟な取扱いが十分確保されるということを主張しておりまして、そのような結果になることを目指しまして粘り強く交渉を行ってまいりたいと考えているところでございます。    〔理事平野達男君退席、委員長着席〕
  182. 山田俊男

    ○山田俊男君 今、大臣のそれぞれの焦点になっております課題について御説明いただいたわけでありますが、吉村審議官にお聞きしたいんですけれども、どれを取ってみても、それぞれ重要品目に入れても、その関税の引下げ水準いかんによっては関税割当て数量の枠の拡大という代償措置が求められると、こういうことになっているわけですが、その関税割当て数量というのは、例えば米でいうと現在のMA米のような義務的輸入をねらったものなのかどうか、どういったものなのかどうか。さらには、輸入枠の算定基準として国内消費量の扱いが議論になっているというふうにも報道されているわけですが、その点について、どういう議論になっているかを御報告いただきたいと思います。
  183. 吉村馨

    政府参考人(吉村馨君) お答えいたします。  本年二月に提示された議長テキストの改訂版では、重要品目の関税割当て枠の拡大幅は、原則的に関税削減の大きさに応じて消費量の三%から六%の幅が示されているところであります。我が国としては、このような拡大幅は、特に米の関税割当てが極めてセンシティブであるということを考えると非常に厳しいものであると認識しておりまして、先ほど大臣から御答弁申しましたとおり、拡大幅を極力小さくするように粘り強く交渉を続けているところであります。  また、議長テキストの改訂版では、重要品目についての拡大分の関税割当て枠、拡大枠、これ現行の関税割当て枠とは分けて設定されるとされておるわけでありますけれども、その具体的な取扱いは更に交渉が必要な状況にございます。  ただ、仮にその拡大分が現在の米のミニマムアクセスに係る関税割当て枠の取扱いと同様のもの、つまり国家貿易企業が一元的に有するということになりますれば、平成六年五月の政府統一見解で示されたとおり、通常の場合では当該数量の輸入を行うべきものというふうに考えております。  また、消費量に関する交渉の状況でございますけれども、重要品目の関税割当ての拡大の基準になる国内消費量につきましては、議長テキスト改訂版発出後、中心的な技術的論点として、関係国間で精力的に議論が行われているところでございます。我が国としては、効率的に重要品目を指定できるように、タリフラインごとに細分化して重要品目を指定できるようにするとともに、作物ごとの消費実態をできるだけ正確に反映できるように、消費量の基準年は直近のものを用いるようにするということを目標に精力的に交渉を重ねているところでございます。
  184. 山田俊男

    ○山田俊男君 ところで、外務省にお聞きしますが、今回のWTO交渉はシングルアンダーテーキングということで一括交渉合意であることが、これは原則になっているというふうに思いますが、その点についてお聞きしたいと思います。
  185. 田辺靖雄

    政府参考人(田辺靖雄君) 議員御指摘のとおり、二〇〇一年十一月のドーハ閣僚宣言によりまして、今回のラウンド交渉の妥結は一括受諾、シングルアンダーテーキングという原則の下で行われるという旨が決定されておるところでございます。
  186. 山田俊男

    ○山田俊男君 重ねて外務省にお聞きいたしますが、現在、NAMAそれからサービス、ルールの分野で並行して交渉が進められているわけでありますが、これらの進行状況はどうなっているのかということであります。  さきの質問でお答えいただきましたように、一括交渉合意ということであれば、NAMAやサービスを除いて農業分野だけで合意が進むということは決してないということですね、これを確認したいと思います。
  187. 田辺靖雄

    政府参考人(田辺靖雄君) 現在、ドーハ・ラウンド交渉、年内妥結の目標に向けまして、先ほど若林大臣の御答弁にございましたように、これから閣僚レベルで農業及びNAMAのモダリティーにつきまして合意できるかどうかという重要な局面にあるわけでございます。そして、私ども日本といたしましては、農業のみが先行する形で合意するということは適当ではない、農業のモダリティーが合意される際にはNAMAのモダリティーも併せて合意されなければならないと考えております。また、その際にはサービス交渉における進展も図られなければならない、そしてまた、ルール等のその他の分野においても我が国の立場が適切に反映されなければならない、そのように努めておるところでございます。  日本といたしまして、農業のみならず、その他の分野も含めまして、全体としてバランスの取れた合意が得られるよう、今後とも精力的に交渉に参加していきたいと考えております。
  188. 山田俊男

    ○山田俊男君 続きまして、経済産業省にお尋ねしたいと思いますが、NAMAの交渉において、我が国は米国と一緒になりまして、スイス・フォーミュラによる大幅な関税削減を要求していると聞いておりますが、これまでの交渉や、さらにステファンソンNAMA議長さんのこの案で十分な成果を得られるというふうに考えておられるのかどうか、今の段階をお聞きしたいと思います。
  189. 小川恒弘

    政府参考人(小川恒弘君) お答え申し上げます。  我が国といたしましては、世界貿易の約九割を占めます非農産品、農産品以外の物品の市場アクセスの改善を図ることは、我が国の経済の活性化のためにも、また発展途上国の貿易の拡大を通じた今次ラウンドのテーマでございます開発という要請にも資するものであるとの認識の下、日本として積極的にNAMA交渉に貢献をしてきたところでございます。  交渉は最終局面を迎えつつございまして、一部途上国には関税削減に難色を示している国もございますが、我が国としては引き続き途上国に対する配慮の必要性にも留意をしつつ、攻めるべきところは攻めるとの姿勢で非農産品分野において高い成果を目指して交渉に臨んでいるところでございます。  以上でございます。
  190. 山田俊男

    ○山田俊男君 更に経済産業省小川部長さんにお聞きしたいわけでありますが、ルールの分野におきますアンチダンピング措置につきまして、米国のダンピング防止措置、ゼロイングというんですか、の存続については、パネルで米国が敗訴しているわけですね。しかし、これを盛り込んだ議長提案になっている。これは全く理解できないものであります。このことだけを取ってみても、到底このルールの分野では合意できないというふうに考えていいですね。
  191. 小川恒弘

    政府参考人(小川恒弘君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、現在のルール議長テキストは、これまでの交渉会合において大多数の国が禁止を主張してきました米国のダンピング措置手続、いわゆる委員も御指摘ございましたゼロイングを容認した、バランスの欠けた内容になっております。全体といたしましてもバランスを極めて逸しておりまして、私どもといたしましては、現在の議長案では到底日本として合意できるものではございません。  私どもといたしましては、今後の交渉において現在のこのルール議長テキストを改めるよう強く求め、最終的に我が国の国益に即した内容のアンチダンピング協定になるように努力していく考えでございます。  以上でございます。
  192. 山田俊男

    ○山田俊男君 ところで、視点を変えてもう一度経済産業省にお聞きしたいというふうに存じますが、どういう係数にするかにもよるけれども、スイス・フォーミュラという極端な関税撤廃要求は途上国の鉱工業分野の漸進的な発展、段階的な発展ですね、これを一気につぶしかねないという側面があるんじゃないかというふうに私は思っております。そして、そのことが逆に、言うなればスイス・フォーミュラ、極端なスイス・フォーミュラを要求することが逆に途上国を刺激して、そのことが途上国の農業分野における我が国に対する極端な市場開放要求になって跳ね返ってきているというふうに受け止めているところであります。  我が国もかつてはそうだったわけです。途上国は、その国づくりの中で鉱工業分野の漸進的、段階的な発展を考えていかざるを得ないという側面を持っておると思うんです。先進国としての我が国は、これを十分理解した対応が必要ではないかというふうに思っております。  ドーハ・ラウンドが開発ラウンドであるという趣旨もそこから発展している、出発していると、こう思うわけでありますが、ややもすると、我が国産業界、さらには自由貿易主義者の学者の皆さんは、鉱工業分野での国際化を急ぐ余りに日ごろから我が国の農業が市場開放の邪魔をしているという論調を張っておられるわけでありますが、今、冷静に考えてみて、それらの主張だけではこの問題は解決しない段階にあるのではないかと、こんなふうに思っております。  産業界、農業界が共に、それぞれの国の実態や発展を踏まえた共感が必要なわけでありまして、経済産業省としてのお考えをお聞きしたいというふうに思います。
  193. 小川恒弘

    政府参考人(小川恒弘君) お答え申し上げます。  幾つかの論点があったところでございます。順次お答えをさせていただきます。  まず、現状の交渉でございますけれども、世界貿易における中国やブラジルなどを含む途上国の地位は近年飛躍的に向上しておりまして、特に途上国と途上国との間の貿易、これは飛躍的に拡大しているところでございます。そういう意味で、農業以外の分野における市場アクセスの改善というものは途上国自体の鉱工業品分野の発展に大きく寄与するものと考えております。  途上国にも、今申し上げましたような中国、ブラジルといったような途上国から極めて規模の小さい脆弱な国、さらにはLDCと言われる後発開発途上国といったようなものがございます。  現在のNAMA議長テキストにおきましては、例えば後発開発途上国、いわゆるLDCについては関税削減を求めない、要するに関税削減をしなくていいといったような配慮を行ったり、貿易の小さい国に対しては、中国やブラジルなどに求める関税削減に比べましてほんの少しの実質的な削減しか求めないような内容になっているなど、現行のテキストはそういう途上国に対してきめ細かい配慮が行われているという状況でございまして、私どもといたしましては、NAMA交渉の合意が途上国の鉱工業分野の発展をつぶすことには必ずしもならないのではないかというふうに考えております。  それで、そういうことでございますので、私どもといたしましては、そういうNAMA議長のテキストが途上国に対してきめ細かい配慮が行われておりますので、NAMA交渉の合意が途上国の鉱工業分野の発展をつぶすことにはならないわけでございますので、直ちにこの交渉結果が我が国の農業分野に対する極端な市場開放要求になって跳ね返ってくることはないのではないかというふうに考えております。  なお、万が一にも、無用な矛先が日本に向かわないよう、現に私四年間このNAMA交渉に実際携わっているわけでございますけれども、NAMA交渉の現場では、むしろ局面によっては先進国と途上国との懸け橋となるべく交渉に臨んでいるところでございます。  いずれにいたしましても、ジュネーブの交渉の現場におきましては、委員御指摘のような事態に万が一にもならないように、農業御担当農林水産省と密接に連携をしながら交渉に当たっているところでございます。  最後の点でございますけれども、委員御指摘のとおり、WTOにつきましては、各分野への影響も考えつつ、我が国全体として国益が最大化され、バランスの取れた成果を得ることが非常に重要と考えております。そうした観点から、今までも農水省、外務省と十分連携を取りながら、産業界に対して、交渉の現状、農業も含めた我が国の立場を機会をとらえて説明をしてきたところでございます。  以上でございます。
  194. 山田俊男

    ○山田俊男君 ところで、外務省にもう一度お聞きしたいわけでありますが、途上国に配慮をした開発ラウンドとしてWTO交渉を進めるという観点で、香港の閣僚会議で小泉イニシアチブを提案したわけでありますが、今これはどういう扱いになっているのか。言うなれば、バランスのあるWTOの交渉を進めていく、そして一方で、農業の交渉だけが割を食うことのないようにしっかりしなきゃいかんというふうに思うわけでありますが、その観点で意義があったというふうに思うわけですが、どうなっていますか。
  195. 田辺靖雄

    政府参考人(田辺靖雄君) 先生御指摘にございましたように、このラウンドは途上国のための開発ラウンドと、そういう趣旨がございますので、二〇〇五年十二月のWTO香港閣僚会合に際しまして、日本といたしまして、途上国が自由貿易の利益を十分享受できるように、途上国の自立を手助けできるように、生産、流通販売、購入、そういう三つの局面で、インフラ整備も含めまして、先ほど先生から御紹介のありましたような資金協力、あるいは技術協力といったものを含みます支援の包括的なパッケージといたしまして開発イニシアチブというものを表明したところでございます。この日本の開発イニシアチブは、貿易促進を通じて途上国の開発に貢献するということで、途上国からは高い評価を得ているところでございます。  我が国といたしましては、この開発イニシアチブを今後とも着実に実施していくことによって、このラウンドの早期妥結、バランスのある妥結につなげていきたいと考えているところでございます。
  196. 山田俊男

    ○山田俊男君 重ねて外務省にお聞きしたいというふうに思いますけれども。  御案内のとおり、世界的な地球温暖化、そして各地における災害、それから穀物とエネルギーの争奪の状況、そして穀物価格の高騰という全く新しい局面が今生じてきているわけであります。米国の大統領選挙、今進んでおりますが、このラウンドの交渉を左右しかねないこの米国の動きでありますから、共に候補者であります民主党のオバマ、クリントン、両陣営、両候補とも、現下の地球的規模での環境変化の中で、WTOの交渉の在り方についてもこのままでいいということではないという観点での見方を変えてきているという報道もあるわけでありまして、ましてや、この七月に我が国でG8サミットが開かれるわけでありまして、もうこのG8サミットは、環境はもちろんでありますが、同時に世界的な食料の問題を取り上げていくということが必要になっているやに議論されております。  何としても我が国としてもそれらの面での主導的な役割を果たしていきたいと、果たしてもらいたいと、こう思うわけでありますけれども、輸出国主導の市場開放一点張りのこの七年間進められてきたWTO交渉の経緯からしまして環境は大きく変わってきているんだと。こうなりますと、今山場でありますという観点だけではなくて、新しい状況の下で新しいラウンド交渉をしっかり構えて進めるという視点があってもいいんではないかというふうに思いますが、その点、お考えをお聞きしたいと思います。
  197. 田辺靖雄

    政府参考人(田辺靖雄君) 先生御指摘のとおり、世界の食料需給の状況を見ますと、人口増加に伴いまして需要が増加する一方で、水資源の不足ですとか地球温暖化の影響などによりまして供給面でも中長期的に多くの不安定要因が確認されつつあるところでございます。  そのような状況の中で、日本は、我が国は熱量ベースで食料供給の約六割を海外に依存していると、そういう食料輸入国、そして年間約五兆円の農産物を輸入している世界最大の農産物の純輸入国ということなわけでございます。  そういう状況におきまして、私ども、これまで、WTO交渉におきましても、農産物純輸出国と私どものような輸入国に適用されるルールがバランスの取れたものとなるように努力をしてきておるところでございます。日本のイニシアチブによりまして、一定の輸出、農産物、とりわけ農産物の輸出に関する規制、規律を導入すべきというような提案にも基づきまして、現在、農産物に関しましてそのような輸出規律に関する取扱いも議論がなされるようになっているところでございます。  このような現状におきまして、今度のWTO交渉、私どものこうした主張が反映されるように、関係省庁とも連携しながら今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
  198. 山田俊男

    ○山田俊男君 交渉に当たっておられる皆さんは、これまで長い交渉の経緯もありますから、交渉の場面場面の中で貸し借りがあったり、いろんなことがこれまであったんだというふうに思います。  そうしてきますと、だんだん階段を上がってくるわけですから、先ほど申し上げましたように、合意に向けて動きが出てきていると、ついついそういうふうに思いがちなんでありますが、しかし、基本に立ち返って見てみますと、我が国の農業生産の実態からするとこれは到底譲れないというぎりぎりのものがあるはずであります。  農林水産大臣は、先ほどおっしゃっているように大詰めを迎えているというのであれば、なおさら、ぎりぎりの要求が実現しないのであれば合意できないという姿勢を明確にしていく必要があるんではないかと。さらには、今もありましたように、新しい環境の中での新しいWTOラウンドが想定されてもいい環境にあるわけであります。  フランスのサルコジ大統領は、EU農業に犠牲を強いる合意には一切反対すべきである、こうおっしゃっているやに報道されていますし、さらに、フランスのバルニエ農業大臣も、現在のWTO交渉食料、農業分野の特性が適正に取り扱われているかどうかは疑わしいと、悪い合意なら合意しない方がいいと発言されているやに報道されているわけであります。  我が国の農水大臣はどう発言されているんでしょうか。大臣の決意をお聞きしたいと思います。
  199. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) フランスのサルコジ大統領などが、今委員がおっしゃられたような発言をある総会の場でなさっておられるということは私も承知いたしております。それぞれの国は、その国の命運を懸けてこのWTO交渉に臨んでいるわけですから、固い決意をそれぞれ持っていることだと思い、その気持ちの表れだと思いますが。  フランスの場合は、交渉事はEUがやっているんですね。EU・マンデルソンが代表になって我々は会って、フランスの農林大臣などと直接話はいたしておりません。フランスはEUに対して、そういうEU全体の交渉をまとめるに当たっては、EUにしっかり当たれということをメッセージとして強く出しているというふうに思っております。それはそれなりに意味のあることですから、サルコジさんがそのような強い立場を取られているということについては十分承知した上で、私はEUの代表の皆さん方とも、お互いEUとは共通の認識、共通の利益を持っておりますので、しっかり一緒にやっていきたいと思っております。  そこで、交渉は今ぎりぎりのライン、ぎりぎりのところに来ているわけでございますが、このことは交渉事でありますから、この場でどういうことであるかということを申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、私はかねて申し上げておりますが、交渉である以上、もう譲れない線というものはしっかりと腹に置いて我が国の主張が反映できるように交渉に全力を挙げてまいりたい、このように申し上げるところでございます。
  200. 山田俊男

    ○山田俊男君 WTO農業交渉とも関連して、農業補助金の扱いについて議論が出ておるところであります。我が国はそのWTOルールにのっとって、生産刺激的でない補助金、いわゆる緑の補助金に該当させるために、御案内のとおり、水田・畑作経営所得安定対策という固定支払に一歩踏み出したわけであります。それは、過去の作付けの実績をベースに直接支払を行うという仕組みにしたわけでありますが。  今、先ほど私も申し上げたとおり、食料輸入国であって、さらに食料を取り巻く環境が大きく変わっている、自給率の向上を求める政策が必要、生産振興を更に進めていくことが必要と言われているこの状況の中で、一体過去実績に基づく支払の、固定支払の仕組みだけでこの環境にこたえていくことになるのかどうかという大きな疑問があります。この点について、大臣、見解をお聞きしたいと思います。
  201. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) まず、このドーハ・ラウンドにおきます生産刺激的な農業補助金の扱い、どのような扱いになっているかというのをまず申し上げておきたいと思います。  この貿易歪曲的な農業補助金というものは大幅に削減すると。何をもって大幅と言うかということについてはなお合意していないところがあるわけですが、それは削減をしていくということで共通の認識を持って具体的な交渉が進んでいるわけであります。  ウルグアイ・ラウンドで削減対象外とされました青の政策や農業生産額の一定割合以下の補助金でありますデミニミスについても、これも削減するという方向で議論が行われ、歪曲的農業補助金に対しては思い切って削減するんだという方向で議論が進んでいるわけであります。一方、緑の政策についてはその基本的な仕組みが維持される方向で議論をいたしております。  我が国はこれまでの農政改革の結果、黄色の政策を大幅に削減をいたしました。そこで、今回削減対象となります青の政策やデミニミスというものに絞ってきつい制限が設けられたとしても、上限に比べますと我が国としては余裕を持っているという認識でございます。したがって、この農業補助金削減の議論は大きな問題ではないというふうに認識をし、むしろアメリカに対して、途上国と一緒になりまして、これは形を変えた輸出国における農業補助金というのは輸出助成につながっていくということも含めまして、極めて貿易を歪曲化しているという意味で、強い姿勢でこの補助金削減を主張をしているところでございます。  そして、そういう中にありまして、余裕はあるというものの、生産刺激的な農業補助金については全体できつく締めていくというそういう流れの中にございますので、もう既に踏み切っております水田・畑作経営安定対策におきます過去の生産実績に基づく支払、いわゆる固定払いにつきましては、不足払いや価格支持などで生産を刺激するような国内農業支持は品目全体としても、また個別の品目としても削減対象とされるというWTOの方向を踏まえますと、今後、安定的かつ継続的に制度を運営するためには、削減対象とならない緑の政策であることを明らかにした上でこれを導入したものでありまして、やはりこの線は大事にしていかなければならないというふうに考えているところでございます。
  202. 山田俊男

    ○山田俊男君 時間が参りましたので、大変残念であります。経営局長には、今大臣がおっしゃっていただきました過去実績の支払による緑の固定支払の部分について踏み込んだのはいいんですが、しかし、全国の生産者からほうはいとして、もっと改善の余地はないのかという声が上がってきておるわけでありますから、その点について質問したかったんですが、後日に譲りたいというふうに思います。  さらには日韓EPAの話、さらには日豪EPAの話につきましても、農業のこの立場を損なわない隣国とのEPAの連携取組を絶対に工夫しなければならないということを質疑したかったんですが、残念でありますが、次回に回したいと思います。  いずれにしろ、このWTOの長い交渉で、長い年月掛かっておるわけでありますけれど、しかし今、農業者がかたずをのんでこの動向を見守っております。ともかく粘り強い焦らない取組を断固やっていただきたいと、こんなふうに思って、質問を終わります。  ありがとうございました。
  203. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合です。  本日は、前段に米の消費拡大について質問をさせていただきまして、また、後ほど、後段におきまして平成十九年産米米緊急対策についての質問をさせていただきたいと思います。  まず初めに、米の消費拡大への取組について伺います。  もう御案内のとおり、日本人一人当たり米の消費量が大変減ってきておりまして、この五十年で、例えば昭和三十年代には一人当たり年間で百二十キロほどの消費量でありましたけども、今は約半分、六十キロと半減をいたしました。この理由については、食の洋風化であるとか、あるいは食のいわゆる個食が進んだとか、ライフスタイルの影響もあるというふうに言われております。さらに、平成十八年度の食料・農業・農村白書を見ますと、特にこの食料の消費形態の変化というのは昭和六十年ごろに見られた農産物輸入の増大、輸入品目の変化とも関連していると分析をされているわけでありますが、いずれにしましても、これまで一貫してこの米の消費は減少しております。  まず、澤政務官にお伺いしますが、これまでにどういったそれに対する対策が取られてきたのかという点と。そしてまた、今、食料自給率が四〇%を割り込みましたけども、食料自給率向上の取組における米消費促進が重要と考えておりますけども、昨日でしょうか、平成二十年度の米消費拡大国民運動というものも発表されましたが、これが今までとどういう違いがあるのか、この国民運動の内容と効果等をまず冒頭にお答えいただければと思います。
  204. 澤雄二

    大臣政務官(澤雄二君) 委員御指摘のとおり、おとといでございますけれども、平成二十年度の米消費拡大運動、大国民運動と言っておりますけれども、発表させていただきました。少し説明をさせていただきたいと思います。  御指摘のとおり、近年、平成五年を除きまして、お米の消費量というのは四十六年間、前年比減り続けています。我々は、まずこれを今年度は必ず前年比上げると、上回りたい、こういう決意をさせていただいております。それは、米の消費量を上げることが最良の米政策であると思うからでございます。  皆様も御存じのように、米の消費をめぐる背景につきましては、一つ、米の消費拡大は自給率を上げる、二つ、輸入を減らして地産地消をすればCO2の削減につながる、三つ日本型食生活の拡大が健康増進につながる、この三つの大きなバックグラウンドをまず再確認をさせていただきました。  今、世界の穀物が高騰しています。一方、国内では、先ほどから議論されておりますけれども、米価が下落しています。生産調整も水田の四割に達しています。しかし、ピンチはチャンスだと、現在の流れをこうとらえております。今までも消費拡大策はやってきましたが、今年違うのは、大事なことは人の気持ちをつかまえることだと、どうしたらお米を食べてもらえるか、どうしたらお米を食べたくなるか、それを今回は徹底的に追求をさせていただきました。  具体的に人の気持ちをつかまえるのはどういうことかというと、例えば、皆さん御存じのとおりでありますが、小中学校の生徒の試験の結果、朝御飯を食べている子と食べていない子はどれぐらい成績が違うのか。A問題、B問題とありますが、A問題というのは記憶力、B問題は応用力を試すテストでありますが、これA問題で二〇%、B問題で四〇%の点数の差がございます。このことをある塾でお母さん方に話をしましたら、パニックが起きた。明日からうちの子供には必ず朝御飯を食べさせるという話があったということでございます。  また、十代後半から三十代前半というのは一番朝飯を食べていない世代、つまり若いサラリーマンが朝飯を食べていないのでございますが、これも集中力、持久力、それからミスをしないというテスト結果において、食べている人が食べていない人よりもはるかに優れているという結果が出ております。このようなことを例えば塾、PTA、会社の経営者に伝えていくということが、人の気持ちをつかまえることではないだろうかということでございます。  そして、このような人の気持ちをつかまえるためにはどうしたらいいかというアイデアを農水省の全職員にアンケート調査をさせていただきました。一職員から部長、審議官クラスまで八百六十七件のアイデアが寄せられました。これらをすべて検討させてもらいました。  また、日本人の食の実態、好み、嗜好について四千二百人のアンケート調査を実施いたしまして、徹底的に分析し、その結果を今年具体的な消費拡大策にまとめさせていただきました。  まず、集中的なキャンペーンを年三回分けてやります。ホップ・ステップ・ジャンプでありますが、一回目は四月の新入学、新入社員に向けてのキャンペーンであります。二回目は六月の食育月間に合わせます。三回目は秋以降の新米出回り時期に。この三つに分けてメディアミックスでさせていただきたいというふうに思っております。  具体的には、幾つかの大項目がありますが、その中の一つに朝御飯ビジネスの推進という項目を立てました。朝食向け新業態開発や新商品、新しいメニューの投入などを進めてまいります。どういうことが具体的にできるかということをずっとアイデアで並べてございます。もう時間がございませんので大項目だけを申し上げますが、簡便化、個食化への対応の推進、米飯学校給食の推進、家族そろって夕御飯の推進、これはワーク・ライフ・バランスの実践でございます。それから、健康志向、環境問題への対応の推進などの項目別に幅広く知恵を絞った多くの政策を展開していきたいというふうに思っております。  以上です。
  205. 谷合正明

    ○谷合正明君 分かりました。後で議事録、しっかりと読ませていただきますけれども、自給率向上ですとか、あるいは環境、健康増進というキーワードが出てまいりました。  その中で、もうこれは別に米を消費拡大とするわけじゃないわけですが、米飯給食の拡充というのは従来から言われてきております。私自身は、これは次の世代というか、今の若い児童たちに日本型食生活をしっかり身に付けてもらうとか、そんないろいろな観点から、学校における米飯給食の推進というのは大事だと思っております。この点について、更にお伺いをいたします、どういう取組を今後されるのかということについて。
  206. 澤雄二

    大臣政務官(澤雄二君) 米飯給食の拡大というのも米の消費拡大につながるというふうに思っております。今、文科省は、一週間の米飯給食を週三回というのを基準の目標にしてくださっております。全国でその推進に努めていますけれども、全国平均で今二・九まで上がってまいりました。しかし、大都市は低いんですね。東京、埼玉、神奈川、大阪というところが低い。これを上げていきたいというふうに思っております。さらに、できればその三・〇を更に上回るところまで持っていきたいというふうに思っております。  農水省としては、これまで具体的に何をしてきたかというと、地方農政局等から実施回数の三回未満の市町村の学校給食関係者へ更に要請を今しております。ずうっと学校を回って要請を続けております。学校給食関係者の啓発のための米飯学校給食フォーラムや学校栄養職員向けのメニュー講座等を開催をしております。また、米飯学校給食の実施回数増加分の一部、これは全体の六割でございますけれども、政府備蓄米の無償提供等の支援措置を講じているところでございます。  また、お米の味というのは子供のときからおいしい味を知ってもらいたいということも考えておりまして、農林水産省としても実施回数が更に増えるように文部科学省とも連携をして、更に米飯給食を食べてもらえるような工夫をするなど、積極的に対応していきたいと思っております。
  207. 谷合正明

    ○谷合正明君 備蓄米じゃなくて違う、おいしいお米という声もありましたけれども、今日は文部科学大臣に来ていただきました。  いわゆる米飯給食の回数のことなんですね、まず。これは三・〇回を目標にするというのは昭和六十年代ですかね、目標が出されまして、もう既に、もう年月はたっておりまして、ほぼ八割の学校で三回を達成しております。もう五回を達成しているところ、週五回やっているところもあるわけでありまして、この新たなステージ行くには、私も例えば週四回とか、そういう目標も意欲的にやってもいいと思っております。  まず、この米飯給食の一層の普及拡大、あるいは米粉を使ったメニューの普及等、この点について文部科学省としてどう今後取り組んでいかれるのかという点と、学校におけます食育推進の観点から、御飯を食べることの大切さ等を子供たちに理解していただくことが大事だと思いますが、副大臣の御所見を賜りたいと思います。
  208. 池坊保子

    ○副大臣(池坊保子君) 谷合委員がおっしゃるように、私は御飯が大好きですから、もう本当に学校給食の中で御飯をもっともっと増やしたいと思っておりますし、また、我が国食料の安全保障の上からも自給率を上げなければなりません。  それからまた、教育の意義から申しますと、教育基本法で日本の伝統と文化を尊重しという一項が入りました。私は、御飯というのはすばらしい日本伝統文化だと思います。おはしを使いますのは脳の活性化、そして手先も器用になる、あるいはまた御飯の食べ方、これは私は日本が誇り得る文化じゃないか。だからこそ、欧米においてもおすしというのは、御飯がおいしいということも加味されて普及しているのだというふうに考えております。  私たち文部科学省は「早寝早起き朝ごはん」というのを提唱してまいりました。この朝御飯の中に、パンでミルクというのもあるでしょうけれども、やはり御飯とおみおつけ、これはおなかもちがいいというだけでなくて、ちょっとした親が手間暇を日常生活の中に子供のために掛けるということが、私はこれが習慣になってきたらこれもしつけの一つではないかというふうに思っております。  委員がおっしゃるように、福井は三・七とか高知は三・六とか高いところもあるんですね。ところが、川崎だとか又は大阪の貝塚とか、これは地域等のいろんな問題があると思いますが、人口の多い東京も二・六というふうに低いので、是非、まずこれは三にしていくということが先決だと思います。私は、もちろん、三・五、四というような数字を上げたいと思いますけれども、上げましても、昭和六十年に三にしましょうよと言いましても三になってないところがございますから、数字だけ上げても駄目なんであって、いろんな運動が必要かと思っております。  今年は食育の充実のために学校教育法を改正しようと思っておりますので、五月中には地場産物の活用に関する専門会議というのを立ち上げます。この中で教育的な意義ということもきちんと検証されれば更に学校給食が進むのではないかというふうに思っておりますので、農水関係の方々も委員になっていただきながらこのようなことを進めて、これは週四ぐらいになりたいなというふうに思っておりますので、その推進に努めていきたいというふうに思っております。  さっき、備蓄米を提供しているというお話しでございましたが、なかなか子供たちは備蓄米は食べてくれません。農水の方々、どうでしょうか。新米を無償提供していただいたならばなお学校給食が進むのにということで、私はこの際お願いをしたいというふうに思っております。
  209. 谷合正明

    ○谷合正明君 せっかくですから澤政務官に、通告していませんけれども。今、六割を政府備蓄米で無償交付するわけですね、純増分については。この辺り、もし、お答えできます、新米等に関して。
  210. 澤雄二

    大臣政務官(澤雄二君) 厳しく言われておりまして、口が滑らないようにというふうに言われておりますが、先ほどの答弁、詳細に検討していただきたいと思いますが、増加分について、備蓄米ですね、六割をね。私が申し上げましたのは、更に米飯給食を食べてもらえるような工夫をするなど積極的に対応してまいりますと申し上げました。その前に、小さいときに食べた食べ物の味は大人まで持ち続けます、ですから子供にはおいしいお米を食べさせなければいけませんねという話が前段にあって、後段にそういうふうに言っておりますので、気持ちを酌んでいただければというふうに思います。
  211. 谷合正明

    ○谷合正明君 米消費拡大につきまして全中さんにお伺いいたします。  今の農林水産省と文部科学省の議論を聞いて、そのことを踏まえていただいて、その感想も含めて答えていただきたいというのもありますし、また、米粉ですね、この加工用途向けの米生産、販売の促進をどう考えるかということなんですが、米粉は今、年間六千トンでしょうか。これは確かに平成十五年が一千トンでありますので六倍に増えておりますが、実際、食糧用小麦の需要は年間五百三十六万トンでございますので、そのうち九割が輸入でしょうか、そのベースに比べますとまだまだ少ないと思っております。この米粉を活用した米生産、販売の促進について全中さんにお伺いをしたいと思います。
  212. 冨士重夫

    参考人(冨士重夫君) JAグループといたしましても、食料自給率を向上させる観点から日本型の食生活を定着させることは極めて重要であるということで、日本の農業の財産であります水田を維持していくためにも米の消費拡大は重要というふうに認識しております。  全中の中に米消費拡大の専門部署を設置いたしまして、我々としてもPR拠点として東京国際フォーラムにごはんミュージアムというものを設置して情報発信活動をやっております。また、先ほどありましたような朝ごはんキャンペーンを展開しております。それから、次世代の子供たちについてはふれあい田んぼ教室、バケツ稲づくりコンテスト等々、様々な米消費拡大取組を積極的に展開をしております。  それから、主食用の米の消費が減少する中で、主食用以外の米の生産振興による水田農業の確立ということで、とりわけ最近国際的な穀物相場の高騰、小麦、大豆等々穀物相場の高騰を踏まえれば、米粉パン、それから小麦粉代替等の加工用途向け等の需要拡大を図り、販路の拡大を図っていくということは極めて重要であるということで認識しておりまして、そうした取組を強化してまいりたいというふうに考えております。
  213. 谷合正明

    ○谷合正明君 是非よろしくお願いいたします。  文部科学大臣、もう結構でございます。  次に、この十九年産米米緊急対策におけますえさ米処理の問題でございます。先ほど来出てまいりました全中、全農が十万トンえさ処理するということでありましたが、実際のところ一万四千六百三十二トンであったと。この実行できなかった理由についてはるる説明もあったわけでありますが、改めてお伺いいたしますが、そうした経緯、背景といった、どういったものがあったのか。今後、過剰分が市場に出回って価格下落圧力にならないのか。その点について確認をさせてください。
  214. 向井地純一

    参考人向井地純一君) 十万トンのえさ米処理につきましては、十九年十月下旬の米の緊急対策決定におきまして、JAグループとして、需給改善と価格安定効果をより高める対策を行うという観点から、政府米三十四万トンの買入れとセットにしまして取り組むことを決定したわけでございます。  緊急対策の決定を踏まえまして、政府支援の下、JAグループの負担については生産者から積み立てている基金から手当てをすることとしまして、飼料用米は価格が非常に安いということで、JAグループに販売委託している生産者の負担を極力少なくするよう、ふるい下米で取り組むこととしたわけでございます。十万トンに向けた数量積み上げの特例も行ってきまして懸命に取組をしてきましたけれども、ふるい下米の発生量を想定したよりも少なく、相場が上昇する中でふるい下米の販売が現場で進んでしまっていたというようなことから、一万四千六百三十二トンの処理数量という結果にとどまったわけでございます。  当初は、従来からふるい下米というのは大体六十万トンぐらい発生をしていたわけでございますけれども、そういう意味合いからいいましても十万トンというのは達成ができる数字ではないかということで懸命に取り組んできたわけでございますが、残念なことに一万四千六百三十二トンという結果になりました。我々のふるい下米の市場における相場の見通しといいますか、流通の見通し等々、大変甘さもあったことから、対策措置していただいた期待にこたえられなかったという結果となったことを深く反省し、心からおわびを申し上げます。  また、十万トンのえさ米処理を実施できていれば価格上昇に更なる効果があったものと考えております。十九年産米につきましては、価格も下げ止まり、反転しており、三十四万トンの政府買入れも含め、全体として緊急対策の効果が絶大であったと認識しております。このことを踏まえまして、二十年産米につきましても計画生産を徹底することが極めて重要と考えております。  以上でございます。
  215. 谷合正明

    ○谷合正明君 それで、価格下落圧力にならないというふうに今、御判断されているんでしょうか。
  216. 米本博一

    参考人(米本博一君) 十万トンのえさ米処理を更にやっていれば更に価格が上がったというふうな効果があったものと考えますが、そこは先ほど、結果的にやれなくてこういう事態になったということを誠に申し訳ないというふうに思っておるわけでございますが、じゃ、十九年産米が今どういう状況になっているかというと、緊急対策思い切って打っていただいたというおかげで価格も下げ止まり、反転もし、一方で契約も通常ベースで十月末までの引取りという契約でほぼ一〇〇%もう完了したと。  一方で、ふるい下米の方のところでありますが、ふるい下米の方も、全農は一万四千六百三十二トンですけれども、残りの方のふるい下米はほかの業者がもう集荷されたということでございますから、逆に言うと、それがまたこれから出てきて市場をまた悪影響するということはないというように認識しています。  ただ、二十年産に関しては生産調整をきちっとして需給をやはり均衡させるということが非常に極めて重要でありますので、そこのところをきちっとやっていかないといけないかなというように考えています。
  217. 谷合正明

    ○谷合正明君 価格下落はもうないという御答弁でありましたが、それは言い換えると、過剰分が市場に出回ることはもうないんだという認識であろうかと思います。  それはそれとして受け止めましたが、続いて全農さんにもう一度別の角度で質問させていただきますが、今回のような事態を招かないためにも全農の販売力を付けるということが今求められていることでもございます。例えば、買取り集荷をして自らのリスクを取って、今、手数料等の商売ということじゃなくて、スーパー、外食を含めて安定的な販路を大量に確保していくということも求められておりますが、具体的な取組についてお伺いをしたいと思います。
  218. 宮下弘

    参考人(宮下弘君) 今委員がおっしゃったように、まさに私どもとしては販売力を強化することが生産者、JAにこたえる道だというふうに、大変重要な課題だというふうに認識をしております。  事業面では、卸売流通に頼るばかりではなく、実需者でございます生協なり大手量販店等への直接販売を強化、拡大をしていくということを通じて売り先をしっかり確保することが私どもの仕事の主たる任務だというふうに心得ておりますので、播種前契約なり収穫前契約、あるいは場合によれば買取り販売等、多様な手法を取りながらそういう販売力強化に努めてまいりたいというふうに考えております。
  219. 谷合正明

    ○谷合正明君 いずれにしましても、今回見通しの甘さという答弁もございましたが、実際衆議院質疑録を読んでみますと、それが実際に無理だと分かったのが三月上旬というような御答弁もありまして、見通しだけじゃなくて実施の甘さというのもあったんだろうと思っております。  平成二十年産米は、たとえ米価が下がったからといって、備蓄がもうこのような状態でございますので、政府がこれ以上買い取る、買い上げるわけにはいきません。そういう意味で、生産調整の達成に全中、全農さんにおきましては責任を持ってしっかりと取り組んでいただきたいということを最後に申し上げまして、質問を終わりにしたいと思います。
  220. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。今日は、全農さん、全中さん、四人の参考人の皆さん、大変御苦労さまでございます。  既に各委員の方から、このたびの米価下落に伴う緊急対策、そして今後の対策生産調整にかかわっての質問などが行われています。  それで、我が党も、昨年米価が下落した際にやはり緊急の対策として政府に対して備蓄の積み増しということが必要じゃないかということで、米価ずっと下がってきて、もう生産費を割る事態ですよね。平均価格で二千円も下回るという事態になっている中で、これ以上下がったらもう本当に続けられないという生産者の声もある中で、やっぱり何らかの対策を取らないと大変だということで、質問を去年予算委員会でしました。  そのときに農水大臣は、備蓄制度そのものは価格調整仕組みじゃないと言いつつも、すき間があるということで、七十七万トンまで買い入れているわけだけれども百万トンまで買えるというふうになっているわけだから、そこを使って、その範囲内でという形で、二十三万トンですか、余裕あるということだったわけで、そのことと併せて政府米の放出もこの際やめたらどうかという話もしまして、それも制度の中で、運用の中でということで、そういうことで対策は取られて歯止めが掛かったということについては、私はこれ良かったなと思っているわけです。  ただ、私自身もそのやり取りして、最終的には三十四万トンになったというこのやっぱり過程というか、どういうふうな経過でそういうふうに決まったのかということもよく見えなかったですし、その意味では、その決定の経過ですとか明らかにされていくことだとか、それからやっぱり税金が投入されているわけですから、それが実際どうだったのかという検証や、それからどういう効果があったのかとか、こういうことがちゃんと透明性を持って説明されないといけないことだというふうに思います。そういう意味では、先ほどもやり取りがあって、やっぱりその処理が約束どおりにいかなかったという問題などについては厳しく総括をして、これからの教訓にしていかなきゃいけないだろうと思います。  ちょっと何度も繰り返されているんですけれども、主に教訓にしなきゃいけない点について、全農さんにまずお伺いしたいと思います。
  221. 米本博一

    参考人(米本博一君) 教訓と言われるわけでございますが、十一月九日にふるい下でやろうと決めた後、組織、各県にそういう方針を示して、県でまた農協を集めてカントリーエレベーターのふるい下だとか、それから県によっては農協ごとに目標数量を決めてみんなでとにかく集めようと。農家に茶わん一杯持ってきてもらおうみたいなこともやったり、いろいろ運動でやってまいりました。  ただ、運動でやってまいりましたが、先ほど言いましたように、我々の集める農家にお支払いする価格は六千円プラス千円の七千円と、こういうことの中で、それ以上に相場も上がったということの中で、とにかく頑張ろうということだけで三月まで来てしまったわけでございますが、それだけではやはりやり切れなかったということです。そこのところが一番の総括かというふうに思っております。
  222. 紙智子

    ○紙智子君 これからの対策の問題も話いろいろされていて、二十年度産の計画生産の実効ということもお話しされているわけです。  生産調整というのは、なかなかやっぱり現実は本当に大変だというふうに思いますね。これまでもずっとそういうことというのはあるわけですけど、やっぱりいろいろ苦労する背景というのはあるわけですけれども、現実には、減反ということでいえば大変な面もいろいろあるんですけれども、見通しとしてはどういうふうに思われていますでしょうか。これは全農さんと全中さんに、両方にお聞きします。
  223. 冨士重夫

    参考人(冨士重夫君) JAグループでは、一月に全県の中央会会長会議を開きまして、二十年産に向けた計画生産の徹底と水田農業の確立に向けたJAグループの取組方針ということで、グループ全体の二十年産に向けたこの計画生産取組の方針を決定しております。その方針に基づきまして、今、全都道府県、全JAでの二十年産米の計画生産の達成を目指して、JA、県、全国段階においてかつてないような今取組を展開しておる最中でございます。  それぞれ各段階で、推進体制、人の体制をきちんと整備して、それから各県、各地域ごとに重点転作作物を設定する。それから重点推進地域ということを設定するということなどして、各県ごとに行動計画というものを立てて、その進捗状況を播種前でありますとか播種後だとか、そういう形で時期別にそれぞれ行動計画を点検しながら生産調整の達成に向けて、今全力を挙げて取り組んでおります。  いずれにいたしましても、二十年産米計画生産の実効確保を図り、需給と価格を安定させることが極めて重要だというふうに認識しております。そういう意味で、行政、関係機関と連携して、より一層計画生産の徹底に向けて全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  224. 米本博一

    参考人(米本博一君) 全農としては、とにかく生産調整ができなければ、今は需給で価格が決まる仕組みだと、政府米の買入れはもう百万トンの水準になっているということでありますから、そういうことになりますんで、そういうことをまず農家に理解をしていただかなきゃならないんだというふうに思っています。  そういう上で、じゃ、転作作物をまず作っていただく。麦、大豆、今から、だから大豆が中心に拡大になると思います。その大豆の取扱いを全農できちっとやると、だから安心して作ってくださいということもやらなきゃなりません。  それから、えさ米でございます。えさ米は初めて入った試験的取組でございますんで、理解を得ることが大事でありますが、えさ米も作っても、近くに畜産農家がいればその方とやれるわけでございますが、そういうような米だけの地帯もございます。そういうところは全農の方で全国スキームをつくって、全農のえさ工場もございます、商系のえさ工場にも協力していただいて、そういうスキームもつくって、安心して作っていただいても大丈夫だというような生産、集荷、そういう供給体制を組みたい。  それから、ホールクロップサイレージだとか、そういうのをやろうとすると、専用農機みたいなのが要ります。これをどうすればいいのかというようなお問い合わせもあります。こういうところ、それから営農体系がどうなるかという質問もあったり、やります。全農は事業連でございますんで、まさにそういうところの、私は米担当常務でございますが、米穀事業だけじゃなくて畜産、生産資材、園芸農産、それから肥料農薬、こういう各部門を横断したそういう本部をつくりました。そういうところで農家のそういう転作をするというところを支援してまいりたいというふうに考えております。
  225. 紙智子

    ○紙智子君 我が党は、三月七日の日に農業再生プランというのを発表しました。これは全中さんにもお届けしていろいろ説明させていただいたんですけれども、この中でやっぱり生産調整について、米については転作作物への手厚い支援と並行して実施するということを提言しているわけです。  それで、さっきもちょっと話あったんですけど、まずは需給というか、米を食べるというか消費そのものがすごく下がっていて、ピークのときの五二%までということがあるので、米の需給拡大に力を入れると、これは本当に大事なことだというふうに思っているんですよね。それを優先しつつ、その生産調整を行う場合は、未達成とか未達成地域に、補助金カットだとかこういうふうなやり方ではなくて、今もちょっと紹介がありましたけど、転作作物の条件思い切って有利にして、農家が自主的、自発的に選択できるようなそういうやっぱり方向が必要だということと、加えて、水田、稲作が適している我が国条件を生かして、今話もあったけれども、家畜用のえさにできる発酵飼料の稲ですとか飼料米とか、こういう実用化に力を注いでいくというのを提案をしています。  そして、これについては、今もお話ありましたけれども、全中さんも全農さんも飼料米の問題も、今日も日本農業新聞に載っていましたけど、取り組んでいくという方向で進めやすくなるんだろうと思うんですけど、これを発展させていくということでは何が必要かということについて双方から一言ずつお願いいたします。
  226. 冨士重夫

    参考人(冨士重夫君) 二十年産米においての飼料用米につきましては、去年措置されました地域水田農業活性化緊急対策への五百億でありますが、これとあと、二月の畜産のときに措置されました飼料用米導入定着化緊急対策事業、これを活用して全国一元的な生産から集荷、販売までのスキームを構築して取り組んでいきたいというふうに考えております。  そして、将来的にではありますが、今世界的に穀物需給が逼迫する中で、我が国における自給飼料生産というものも極めて重要であります。この転作の水田、我が国の貴重な財産である水田を最大限活用すると、そして水田で、ホールクロップサイレージ、飼料用稲というのはいわゆる連作障害を起こさない形で、稲作で転作ができるという意味で、この飼料用米なりホールクロップサイレージを戦略的に位置付けていくことが極めて重要だと思っております。  そういう意味で、飼料用米、非主食用の拡大ということに戦略を持って継続的に取り組んでいくことが極めて大事だというふうに思っております。
  227. 米本博一

    参考人(米本博一君) 飼料用米をやるに当たって、今年はまず農家の理解を得て試験的にという形にやっぱりなってくるのかなと。ただ、これ今主食用の米が余っているから飼料用米だというだけの発想でやっていくと、飼料用米を作る農家、それから使われる畜産農家、それぞれいろいろ工夫をして、やっぱり飼料用米を使うと肉の質が変わったり、いろいろやるから、配合飼料の設計も変えたりいろいろ工夫をしながらやっているわけでございます。  だから、そういうのを考えると、これが短期的な形での取組でなくて、いろいろ今年一年やる中で課題も恐らく出てくると思います。ただ、それでもう課題が出てきたからやめるということじゃなくて、もう少し中期的な、五年、場合によっては十年のスパンも含めて、我が国の水田を守ってやっぱり我が国の自給率を上げていくというような、そういう視点も含めて国民の理解と当然生産者の理解も得てやっていくということが大事だと思っておりますし、そういうような観点で進めていきたいというふうに思っております。
  228. 紙智子

    ○紙智子君 せっかくの機会なのでもう一つお聞かせ願いたい、意見を聞きたいと思うんですけど、我が党の再生プランの中で食料主権ということについて押し出しています。それで、食料主権ということでいうと、各国が輸出のためではなくて自国民のための食料生産を最優先にして、実効ある輸入規制や価格保障などの食料・農業政策を自主的に決定する権利と。  それで、食料自給率が今日本は三九%ということなわけですけれども、必要な国境措置を撤廃をして国内生産の縮小を放置したままにしておいたら、重大な危機に直面するというふうに思うわけです。今各国でもこの食料主権を保障する貿易ルールの確立ということが流れとしても出てきているわけですけれども、この立場に立ってWTOの農業協定見直しがされる必要があるんじゃないかというふうに思うわけですけど、これについての御意見を、全中さんと全農さんからお聞かせいただきたいと思います。
  229. 冨士重夫

    参考人(冨士重夫君) 先生おっしゃるように、JAグループでも世界各国の多様な農業の共存という基本的な考え方の下で、公正でバランスの取れた農産物の貿易ルールを求めてきております。  そういう取組の中で、昨年六月には全中を含みます世界五十四か国の農業者の代表がWTO農業交渉に向けた共通のポジションとして共同宣言を採択する取組を行いました。その中で、すべてのWTO加盟国が十分な国内生産を維持し、食料安全保障を確立する権利を有する、すなわち各国の食料主権が尊重されるべきであるということをこの五十四か国の共同宣言の中で確認をしております。  地球規模で人口増加、食料供給、気象変動、農地面積、限られた農地面積等々考えれば、食料輸入国もその持てる農業生産力を維持向上させなければ世界的なレベルで食料需要を賄うということはできないというふうに考えます。そういう意味で、JAグループとしてもこの食料主権の考え方を基に、WTOやEPA交渉を進めるべきだというふうに考えております。
  230. 米本博一

    参考人(米本博一君) 全農もJAグループの一員として、今全中が述べたとおりでございます。
  231. 紙智子

    ○紙智子君 ありがとうございました。
  232. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時一分散会