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2008-03-25 第169回国会 参議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年三月二十五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  三月二十五日     辞任         補欠選任         一川 保夫君     梅村  聡君      藤原 良信君     横峯 良郎君      米長 晴信君     川崎  稔君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         郡司  彰君     理 事                 主濱  了君                 平野 達男君                 加治屋義人君                 野村 哲郎君     委 員                 青木  愛君                 梅村  聡君                 金子 恵美君                 亀井亜紀子君                 川崎  稔君                 高橋 千秋君                 舟山 康江君                 横峯 良郎君                 市川 一朗君                 岩永 浩美君                 牧野たかお君                 山田 俊男君                 澤  雄二君                 谷合 正明君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   若林 正俊君    副大臣        農林水産大臣  岩永 浩美君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       澤  雄二君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 朝雄君    政府参考人        警察庁長官官房        審議官      小野 正博君        外務大臣官房審        議官       秋元 義孝君        文部科学大臣官        房審議官     田中  敏君        厚生労働大臣官        房審議官     中尾 昭弘君        農林水産大臣官        房総括審議官   吉村  馨君        農林水産省総合        食料局長     町田 勝弘君        農林水産省消費        ・安全局長    佐藤 正典君        農林水産省生産        局長       内藤 邦男君        農林水産省経営        局長       高橋  博君        農林水産省農村        振興局長     中條 康朗君        林野庁長官    井出 道雄君        水産庁長官    山田 修路君        国土交通省土地        ・水資源局次長  宮崎 正義君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    由田 秀人君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (平成二十年度の農林水産行政基本施策に関  する件) ○水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部  を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 郡司彰

    委員長郡司彰君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、警察庁長官官房審議官小野正博君外十三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 農林水産に関する調査のうち、平成二十年度の農林水産行政基本施策に関する件を議題といたします。  本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 平野達男

    平野達男君 平野達男でございます。  今日は大臣所信に対しての質疑ということで、トップバッターで立たせていただきました。今日は、まず米の緊急対策実施状況を中心に質疑を始めさせていただきたいと思います。  米の緊急対策、昨年の十月二十九日に農林水産省農政改革対策緊急検討本部というところから出されておりまして、御承知のように、大きくは五本、しかし主要なのは三本の柱から成っているかなと思います。  一点目は、備蓄米三十四万トン、緊急買い付けで百万トンの備蓄を確保しましょうと。それからもう一つは、二十年産米に対しての生産調整対策の強化ですね。そして三つ目が、十八年産米の十万トンの飼料米処理全農がやることに対して国が五〇%補助しましょうと、こういう対策だったと思います。  今日は、主として三番目の全農の十万トンの買い付けの話に話が集中すると思いますが、まず全農が行う十万トンの飼料米の買上げの趣旨というのは、これは価格浮揚策だったというふうに理解しておりますが、そういう理解でよろしいでしょうか。
  6. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 価格低下傾向歯止めを掛けると、そういう趣旨対策でございます。  委員承知のように、十九年産米米価は、作況が九九であるにもかかわらず大幅に下落するという異常事態になりました。このような価格大幅下落を確実に歯止めを掛けなければならないということで米の緊急対策決定したわけでありまして、委員がお話しいただきましたように、政府備蓄運営限界であります適正備蓄水準まで在庫は積み増すということにしまして三十四万トンを買い入れる。と同時に、二十年産米について、需給の均衡がしっかり図れるように対策を進めると。そして、全農も自らの十八年産販売残十万トンあると、こういうふうに全農自身が申しておりまして、その相当量えさ用処理をするということであったわけでございます。  この緊急対策については農協系統の十分な過剰対策要請がございました。そのことを踏まえながら、政府備蓄運営限界、過去の過剰発生時の対策、過去においても政府の買入れ、また全農による飼料用処理などをしたわけでございますが、そのことも考慮しまして政府・与党で決定したものでありまして、全農の十万トンの飼料用処理についても、農協系統がその実行約束をしたということで踏み切ったわけでございます。
  7. 平野達男

    平野達男君 答弁はできるだけ簡潔にしていただくようお願いを申し上げます。  今の答弁の中にもあると思うんですが、そうしますと、この十万トンの飼料米処理ということについては、これは全農というか、だれが言い出したかということの質問なんですが、全農が言い出したと、あるいは全国中央農協会が言い出したと、そういう理解でよろしいんでしょうか。
  8. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 全中及び全農両方がそのような要請をし、そして決定に同意をしたということでございます。
  9. 平野達男

    平野達男君 それでは、先般の農林水産委員会で、その十万トンの処理目標に対して実績は幾らかというお尋ねをしたところ、答えがございませんでした。今日段階で分かっておるでしょうか。
  10. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) この補助金交付申請におきまして、その処理量は一万四千六百三十二トンというふうに申請が出てまいりました。
  11. 平野達男

    平野達男君 十万トンをやるというふうに宣言をして、これ、補正予算にも五十億円、国負担分として計上いたしました。十万トンやるといって一万今六千トンですか、というその実績というのはもう極端に低いと言うしかありませんけれども、なぜこんなに実績が低いんでしょうか。
  12. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 今、全農に対しまして、どうしてこのような一万四千六百三十二トンというところまでしかえさ用に回せなかったのか、その事情をきちっと説明をしてもらいたいということで事情を聞いているところでございます。
  13. 平野達男

    平野達男君 これは、昨年の十月二十九日に緊急対策として出されました。私は不思議に思うのは、三月二十一日の予算委員会にこの問題を取り上げたときは農水省数値すら把握していなかった。数値という意味実績数値ですよ。全農がどれだけ今まで処理やってきたかということに対しての数字すら把握していなかったわけです。農林省は一体今まで何をやってきたんですか。
  14. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) この対策につきましては、ただいま言ったように、全農飼料用処理数量は一万四千六百トンという対応になったわけでございます。これにつきましては、私どもも機会あるごとにきちっとその対策実行するようにということを求めてきたところでございます。
  15. 平野達男

    平野達男君 求めてきたといっても、三月二十一日の段階実績すら把握していなかったじゃないですか。何をやってきたんですか、だから。
  16. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) 度々、確実に十万トンを処理するように指導してきたわけでございます。この間、農協系統の方からは飼料処理向けの米の集荷がなかなか容易ではないという状況説明あったわけでございますが、私どもの方からは、先ほど申しました、機会があるごとにきちっとこの十万トンの飼料処理を着実に実施するよう要請してきたところでございまして、具体的な処理数量につきましては、先ほど申しました三月二十一日の補助金交付数量まで具体的な数量については言及はございませんでした。
  17. 平野達男

    平野達男君 それは、農水省が求めたけれども全農が出さなかったということですか、それとも農水省は求めなかったということですか。
  18. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) 私どもは、繰り返しになりますが、機会あるごとに農協系統に対しては十万トンきちっと飼料処理を着実に実施するよう要請をしてきたところでございます。
  19. 平野達男

    平野達男君 私が聞いたのはそういうことじゃなくて、経過措置についての実績数値を求めたのか求めないのかと、そういう話ですよ。
  20. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) 先方からも具体的な数量についての申出もありませんでした。私ども具体的な数値について、そういったことで向こうからありませんでしたし、こちらからもそういった数字については求めておりませんでしたが、とにかくやってくれということをずっと言い続けてきたということでございます。
  21. 平野達男

    平野達男君 じゃ何をもって、だから要するに、じゃ全農に対して農水省はやってきたと言えるんですか。ただ適正に処理してくれ適正に処理してくれって言うんだったら、何もやっていないのと同じじゃないですか。  もう一回確認しますけれども農水省はその数字提出を求めてこなかったんですね、全農に対して。それに対して全農も途中経過についての一切報告はなかった。報告がないから、三月二十一日の段階では数字すら分かっていなかったということでしょう。それをちょっと確認させてください。
  22. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) 繰り返しになりますが、全農の方からは、なかなか飼料用処理向けの米が集まらないという状況報告がありまして、私どもはきちっとやれということで、その旨努力をしているというふうに私ども承知してきたところでございます。
  23. 平野達男

    平野達男君 これは、先ほど言いましたように、補正予算までしてやったんですよ。しかも、余りこれ、私も言いたくないんだけど、日本農業新聞に米緊急対策特集号まで作って、やりますって全国に宣言したんですよ、これ。そして、これは全国農業協同組合中央会が出していますよ。それで、実績数字農水省も出さない、また農水省も求めない。そもそも、これ本気でやる気あったんですかね、これは。大臣、どうぞ。
  24. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) それは、本気でやる気がなかったなどということを私の方は推測するわけにいきません。全く何もお互いにやり取りがなかったわけではなくて、マーケットはこのような対策を講ずるということを前提として価格取引形成が進んでいるわけでありますから、そういうアナウンスに対してはしっかりこれを実施してもらわなければ信用にかかわるわけで、そういう意味で、全中全農に対しては約束したことをきちっとやるように、そして同時に、大変難しい困難な情勢があるという、そういう担当者同士の話はありましたけれども、しかし、それを超えてしっかりやってもらわなければならないということを我が方としては言い続けてきたという意味でありまして、その間、何らお互いそういう情報、情勢について意見交換がなされなかったというわけではありません。
  25. 平野達男

    平野達男君 これは補正予算ですから、執行するとすれば年度内が原則ですね、確認だけさせてください。
  26. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) おっしゃるとおりです。
  27. 平野達男

    平野達男君 そうしますと、今日は三月の二十五日ですか、もう事実上、買い付け処理目標十万トンに対しての実績は一万六千八百トンですか、ちょっと……
  28. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 一万四千六百三十二トンであります。
  29. 平野達男

    平野達男君 一万四千六百トンの実績で終わると、こういう理解でよろしいですか。
  30. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) 今回のこの数量についての背景事情ということは今聞いているところでございますが、現時点において、全農の今聞いているところによれば、飼料用処理する米をこれ以上集めるのは困難だというふうに考えているということを聞いております。
  31. 平野達男

    平野達男君 お手元に資料として用意させていただきましたけれども、米の価格の推移、行っているでしょうか。これは前にも似たようなグラフをこの委員会で出させていただきましたけれども、十九年産米も今回のグラフでは入れさせていただきました。  ここで注意して見ていただきたいのは、十八年産米の全銘柄平均が一万四千八百二十六円、十九年産米、これはずっと通しの平均なんですが、一万四千百六十九円。最近ベースではちょっと価格が若干上がっているということも入っていますが、ニュースも入っていますが、十九年産米、十八年産米に比べてもこれだけまだ下がっているということですね。  そもそも、米緊急対策効果というのは、この数字を見て、あったのかどうか、これに対しての大臣評価をちょっと伺いたいと思います。
  32. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 先ほども申し上げたところでありますが、まずは歯止めを掛けると、低下傾向にある、そしてそれに輪を掛けて暴落をしたということについて歯止めを掛けるということについて言えば、それなり目標は達したというふうに、効果があったというふうに見ておりますが、今委員が御指摘のように、十八年産の同月価格に比較しますと、一部の銘柄を除きまして、単純平均ではなお四・六%低い水準にあるという意味で必ずしも十分であったというふうには言い切れないというふうに考えております。
  33. 平野達男

    平野達男君 分析は難しいと思いますけれども、十万トンやるといってやれなかったということが十九年産米のこれまでの米の価格形成についてどのような影響が出ているというふうに大臣は認識しておりますか。
  34. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) これは、価格形成にどのような影響があったかということは、私どもも、しかと申し上げることはできないわけであります。アナウンス効果として言えば市場形成それなりのインパクトを与えたものと思いますので、そのことが、市場としてはこの十万トンが一万四千六百三十二トンというようなところにとどまるというようなことをどこまで承知していたのか私どもは分かりませんけれども全農が集めるのに苦労しているというような話は今年に入ってからはある程度承知をしていたのではないかというふうに考えております。
  35. 平野達男

    平野達男君 今のその前段の大臣答弁の中に、評価はなかなか把握することができないんだと、難しいんだというような御答弁がありましたけれども数値的な定性、定量的な分析というのは難しいと思います。  しかし、今の発言は、私、非常に問題だと思います。何で問題かといいますと、十万トンやると言ったんです。しかも、緊急的な措置、しかも異常な、異常というか今までにない措置ですよ。そして、予算も五十億円計上している。あれをやったということは、価格に対してそれなり効果期待したはずなんですよ。それに対して、これを十万トンを目標にして出さなかったと、買えなかったということに対して、今の大臣答弁というのは少し無責任過ぎませんか。  もう一度ちょっと御答弁をお願い申し上げます。
  36. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 率直に事実を申し上げているわけでございまして、そのような効果期待はいたしたわけでございますし、そのような効果を生むでありましょうえさ用十万トンというのは、私どもとしては是非ともこれを達成してもらいたいという気持ちを持ち続けてきたわけでございます。  しかし、これは仕組みの問題でいいますと、その系統を代表して全農が決断をし、決意を我々に申し述べたものを信頼をしてこのような措置を講ずることを決定をしたわけでありまして、実行はあくまで全農自身の、そのような行為をした場合には所要の助成措置を講ずるというふうな仕組みになっているわけでありまして、その約束をした実行行為者であります全農がそのことを実行できなくなったというのは極めて遺憾でありますけれども、しかし、我々は、その系統組織を代表する全中と実際米を扱っております全農とが、両者代表が我々に要請をし、かつやりますということを言ったわけですから、これに信頼を持って補正予算においてもこのことを措置したわけでございます。
  37. 平野達男

    平野達男君 まあ、大臣言葉を、言葉じりとらえるようで申し訳ないんですけれども、もし信頼という言葉を使われるんであれば、もう今回の措置はその信頼を完全に裏切られたということだと思います。  何で私がこんなにこだわるかといいますと、まず、十九年産米価格が全然こういう形で十八年産米に比べて下がっていると。それから、大臣も先ほどの答弁でありましたけれども、やると言ってやらなかった。これは、国と団体に対する信頼関係だけじゃなくて、市場から見たときには全農は一体何をやっているんだという話なんです。そして、もう一つ問題点は、本来処理されるはずの十万トンが一万四千トンしか処理されなかったとなれば、どこかに残りのやつが、米があるということですから、二十年産米米価形成にも決してこれはプラスじゃないですよ。だから、十九年産米の米だけじゃなくて、信頼を損ねただけじゃなくて、二十年産米の米の価格に対してもマイナスの影響を与えているかもしれないという、私はこれは大変大きな問題だと思いますよ。  これ、全農さんも全中さんも悪気があってどうのこうのという話じゃないと思います。しかし、結果としてこういうことが起こってしまったということに対しては、これはやっぱり相当真剣に考える必要が私はあると思います。そして、事情を聴くとかなんとかという問題じゃないですよ。そもそも全中全農大臣のところに何かこれに対して釈明に来ましたか、これ。
  38. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 担当者同士の間でその背景事情などについて詳しく状況説明を聴取している段階でありまして、我々はこれで今分かったということを申し上げているわけでありません。まだ、全中全農代表者が私のところに釈明に来たということではございません。
  39. 平野達男

    平野達男君 もう一点、じゃ、先ほど私が申し上げたことで確認しますけれども、二十年産米に対しての影響は私はあると思っています。大臣はどのように考えておられますか。
  40. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 二十年産米につきましては、生産調整目標というものを定めまして、定めるに当たっては、減少しつつあります主食用米需要量を踏まえて設定をするということにしているわけでありますから、これが確実に実行されれば、もちろん平年作を前提としてでありますけれども、二十年産価格は安定をするというふうに考えております。そのためにも、二十年産米についてはその生産調整目標が達成できますように全力を挙げていく必要があると、こう考えております。
  41. 平野達男

    平野達男君 私の質問にちょっと答えてないと思いますけれども需給調整生産調整目標を達成するというのは、これは政府の方針として当然だと思います。  要は、期末在庫量につきましては、数字上については、この十万トンについては処理されない場合も想定して数字をやっていると。それは想定したというふうに私は聞いていますが、そのこと自体、私は非常におかしいと思っていますが、その話はまずいいです。  ただ、処理できなかったということが伝わるということは、期末在庫量の量がやっぱりこれは多少余っているんじゃないかということのメッセージを明らかにこれは市場に与えますよ。だからこそ生産調整をしっかりしなくちゃならないというなら分かりますが、この処理しなかったことに対する影響については、大臣の口から私の質問に対して影響ありますというのはなかなかはっきり言えないというのは重々分かっていますから、これ以上ここについては聞きませんが、こういうものがあるんだということを踏まえた上で、この農業団体についてはやっぱりしっかり対応する必要があると思います。  そして、ちなみに私は、この件については補正予算でやって国会の議決まで経て成立した予算です。それがそのとおりやれなかったということについては、農水省団体が話をするだけじゃなくて、この委員会でちゃんとチェックする必要があると思っています。  是非この委員会に、全中の会長さん、それから全農理事長さんなんでしょうか、経営委員長さんなんでしょうか、ちょっと私はどちらをお呼びすればいいのか分かりませんが、この委員会に呼んで、今回の一連のてんまつ、今の大臣答弁等々も踏まえて、この委員会できちっと明らかにして、そして、繰り返しになりますけれども、成立した予算、それを執行しなかったということに対してはきちっとしたこの当委員会としてのけじめというんですか総括が私は必要だと思いますので、委員長、是非この件については理事会で御協議をお願いしたいと思います。
  42. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 平野委員申出については、後刻理事会にて協議いたします。
  43. 平野達男

    平野達男君 それでは、米に関して引き続き質問をいたしますけれども、十九年産米も残念ながら下がってしまいました、下がっています。私は、地元に帰るたびに、最近はちょっと年越して米の価格について余り議論することも少なくなったんですが、それでもなおかつ、米の価格が下がったら大変だ大変だという合唱、大合唱です。  これ以上下がったらもう本当に大変だ大変だというのは前から言っているんですが、この下がり続けるそもそもの原因を、もう一度、大臣、どのように原因を認識されているか、お聞かせいただけますか。
  44. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) もう委員も十分御承知のとおりでございまして、米の価格というのは需要供給との中で市場形成されるものでございます。その意味では、予定をされております需要期待をしておりました需要に対しまして供給がこれを超えているということで下落が続いていると。その需要期待水準まで行かないということにつきましては、やはり残念なことでありますけれども、米の消費が間違いなく各年減少傾向をたどり、その傾向が続いているということにあると、こう考えております。
  45. 平野達男

    平野達男君 この件についてはこの委員会でも何回も議論いたしましたけれども、今農村はもう本当に超高齢化社会になっています。その高齢者の方々が、まず今農業をやって農地を守って農村を守っている、この状況はそんなに長く続かない、高齢化社会に入っていますから。で、これから農地流動化あるいは生産組織化はやっぱりこれは待ったなし、必要だと思います。  しかし、資料のもう一枚めくって二ページ目を見ていただきたいんでありますけれども、この表についても当委員会で取り上げて、るる私説明申し上げましたけれども、物財費と農家の手取りというのはほとんど接近している。こういう状況の中で、農地流動化、つまり受け手農家が現れないということが今本当に大きな問題になっているわけです。これから政府は、この農地流動化政策あるいは生産組織化、こういう低米価の中でどうやって進めていくつもりですか。
  46. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 大変悩み深い環境の中にあるということを率直に申し上げなければなりませんけれども、やはりこの農地を有効に利用をするという意欲と、そしてまたそういうことによる、できるだけの経営力を持っている農業者が農地を集積をしながら規模の拡大を図っていける、そういう農地制度を組み立てていかなきゃならないと、このように考えているわけでございます。
  47. 平野達男

    平野達男君 農家のいわゆる農地の受け手が出てくるそのインセンティブはどこから出てきますか。
  48. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) それは当然、経営をいたします中で、経営の採算ということを念頭に置くと同時に、自分の農業経営の将来を展望した中で農地の集積を図ろうという意欲が出てくるものと考えております。
  49. 平野達男

    平野達男君 その展望を図る上でやっぱり大事なことは経営収支の見通しなんだろうと思います。いずれ、この米価がこういう低落傾向にまだ私はあると思っておりますけれども、こういう状況の中で、農地流動化なり生産組織化を進めるためには、私どもは米についても所得補償をしたらどうかということを提案申し上げていますけれども、こういう政策がやっぱり必要ではないかというふうに思っています。このことを繰り返しこの場でも申し上げさせていただきたいと思います。  米の緊急対策については、質問、以上のとおりでありますけれども、先ほど申しましたように、この緊急対策については、やったことを実行できなかったということについては当委員会としても深刻にとらえる必要があると思っております。これを、繰り返しで申し訳ありませんけれども、しっかり総括することが二十年産米価格形成においても、あるいは各種農業団体のこれからの行動においても相当のプラスになるはずだというふうに確信しておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  引き続き質問通告に基づいて質問を進めさせてもらいますけれども、ちょっと順番を変えまして、食の安全対策について先に入らせていただきたいと思います。  私は、この件については質問主意書も出しまして、いろいろ農水省、厚生労働省にお聞きをいたしました。  まず一点目、中国で今どのような農薬が使われておるのか、そしてまたどのような農薬が禁止されているのか、こういった実態について先般の私の質問主意書に対しての答弁では把握していないという答えでありましたけれども、現段階ではどうでしょうか。
  50. 佐藤正典

    政府参考人(佐藤正典君) お答え申し上げます。  中国における農薬の使用実態等につきましては、地域によりまして栽培されている作物の種類あるいは栽培方法等が異なりますこと、さらには病害虫の種類あるいは発生状況が異なること、農作物の生育に応じて多種の農薬が使用されていることなどから、その把握は困難な状況でございます。  このため、農林水産省といたしましては、植物検疫のような相手国の防除実態を知る必要がある場合には関連する農薬使用の情報収集は行っておりますものの、諸外国での農薬の使用実態を網羅的に把握してはいないところでございます。
  51. 平野達男

    平野達男君 そういう農薬の使用実態が分からない状況の中で厚生労働省さんの方は検疫をやっているわけですね。どういう観点で、どういう農薬を想定した検疫をやっているんでしょうか。
  52. 中尾昭弘

    政府参考人(中尾昭弘君) 厚生労働省におきましては、食品衛生法に基づきまして毎年度、検疫所における残留農薬のモニタリング検査計画を含む輸入食品の監視の計画を策定をしております。  残留農薬のモニタリング検査項目につきましては、農薬の毒性、使用状況、検出状況等を勘案して五百項目を設定をしております。特に、御質問の中国を含む主要な輸出国の主要な農産物につきましては国立医薬品食品衛生研究所において情報収集に努めておりまして、その結果も考慮をしております。  今後とも、輸入時の残留農薬の効果的な検査を実施するため、必要な情報の収集に努めることとしております。
  53. 平野達男

    平野達男君 基本的にどういう農薬の全体像が、使われているか分からない、あるいは禁止されているかも分からないという中での検査というのは相当大変だと思います。  これは、中国に対してそういうことを求めても情報提供してもらえないのか、あるいは中国側に対して情報提供したんだけれども中国側はそういうことに対しての情報提供を断ったのか、これどちらなんでしょうか。
  54. 中尾昭弘

    政府参考人(中尾昭弘君) 厚生労働省と中国で輸出食品の検査を所管しております国家質量監督検験検疫総局との間におきましては、平成十七年に食品安全分野における日中間の交流及び協力の促進を目的として協議仕組みに関する覚書を結んでおります。この覚書に基づきまして、食品安全に関する課題についての協議、また法令や規則、我が国の残留農薬基準のような基準についての情報交換、また検査技術に関する情報交換ほか、問題発生時の協議や現地調査を行っておりまして、その際、対象となった農作物や企業における使用、農薬の情報収集に努めているところでございます。  今後とも、厚生労働省といたしましては、このような枠組みによる情報収集を行いますほか、先ほど申しました国立医薬品食品衛生研究所を通じた民間情報なども収集いたしまして、実態の把握に努めてまいりたいと考えております。
  55. 平野達男

    平野達男君 私の質問趣旨は、中国に対して今どのような農薬が使われているか、あるいはどのような農薬が禁止されているか、こういったことに対して、まず、そもそも農水省なのか厚生労働省なのか、求めた事実はありますか。
  56. 佐藤正典

    政府参考人(佐藤正典君) 私ども農水省といたしましては、農薬取締法を所管し農薬に関する専門家も有しているところでございますけれども、中国における農薬の登録制度あるいは農薬の登録状況につきまして、入手できたものについては関係省庁に提供するなど、協力して進めていきたいと思っているところでございます。  今回のギョーザの関係につきましては、調査団、政府全体として送っておりますけれども、その中でメタミドホス、ジクロルボス等々の資料につきまして要求をしているところでございます。
  57. 平野達男

    平野達男君 要は、中国全体でどういう法律に基づいてどういう規制が掛けられているか、その結果、どういう農薬が使われていて、どういう農薬が禁止されているか、あるいは更に言えば、禁止されている農薬にもかかわらずどういう農薬が使われているか、そういったことに対して包括的な情報提供を求めましたかという話なんです。
  58. 中尾昭弘

    政府参考人(中尾昭弘君) 済みません。中国における法令や規則などにつきましては、私どもの方で中国側から情報を得ております。  それから、先ほど申しました枠組みを平成十七年に作りましたので、これに基づいて法令ですとか規則ですとかそういったものの情報交換は日本と中国との間でお互いに行っているということでございますので、中国における規制の実態、こういう規則になっているよということにつきましては我々の方で中国側の情報を得ているということでございます。
  59. 平野達男

    平野達男君 先ほどの農水省答弁と若干違うんじゃないですか。  要するに、じゃその状況は分かっているということですか。
  60. 中尾昭弘

    政府参考人(中尾昭弘君) 要するに、中国における残留農薬の規制の法令でありますとか規則であるとか、そういったものは、我々の方では中国との情報交換の中で聞いておるところでございます。  実際に、先ほど先生の方から御質問ございました、どのようにじゃそれが使われているのかというようなことにつきましては、その詳細につきましては、先ほどお話ありましたように我々の方で十分につかんでいるわけではないということはございます。
  61. 平野達男

    平野達男君 じゃ、規則の上ではこの農薬は使っていけませんというようなリストはできていると、こういう理解でよろしいですか。規則の上では、中国の国内法の中ではこういう農薬は使っていけないという、使ってはいけない、あるいはこういう農薬は使っていいというネガティブ・ポジティブリストというんでしょうか、そういうものはあるという理解でよろしいですか。
  62. 中尾昭弘

    政府参考人(中尾昭弘君) 中国における規制のルールということにつきましては、我々の方で情報を把握をしているということでございます。
  63. 平野達男

    平野達男君 じゃ、そういうリストはあるという理解でよろしいんですね。あるんであれば、それ是非出してください。
  64. 中尾昭弘

    政府参考人(中尾昭弘君) 我々の方で得ている情報につきましては、情報提供したいと思います。
  65. 平野達男

    平野達男君 それでは、厚生労働省さんは厚生労働省の方で輸入食品の監視指導計画とか、また先般では新しいまた指針が出されましたですね、最近。  これ見ますと、基本的に食品輸入業者に対しての指導ですね、規制とまではいかないようですが、指導なんですが。輸出国に対してこういった同種のいろんなチェックをするとか、あるいは安全面において監視体制をもっと厳重にしてもらいたいというような要望というのは、これはできないんでしょうか。
  66. 中尾昭弘

    政府参考人(中尾昭弘君) 先ほども申し上げました厚生労働省と中国政府との覚書の中におきまして、両国が相互に輸出産品の生産・販売者に対しまして輸出相手国の衛生法規を遵守するよう指導すると、こういう取決めがございますので、中国から日本に輸出する生産者、販売者に対しては日本側の衛生法規を遵守するよう指導することが取り決められておりまして、中国の国家質量監督検験検疫総局におきましては、日本側の残留農薬基準、こういったものを守るようなものを輸出するようにという指導を行っているということでございます。
  67. 平野達男

    平野達男君 それは中国政府が行っているということですか。
  68. 中尾昭弘

    政府参考人(中尾昭弘君) 中国政府が行っているということでございます。  それは、先ほど申しました日中間の覚書に基づいて中国政府がそのような措置をとっておるということでございます。
  69. 平野達男

    平野達男君 EUでは、例えばHACCPがEUの中で導入されているというふうに聞いておりまして、それゆえに、ヨーロッパに対して我が国から例えば農産物を輸出するときには同様の規制が掛けられる、内外無差別の原則というやつですね。これがあるために、EUはかなり強いことを言ってきているというふうにも聞いています。特に、海産物の輸出なんかは結構大変らしいですね。  ところが、日本はそれに類する国内の規制が今まだ整備されていないわけです。HACCPについてはまだ推奨ですね。今回も新しい法律が出されて、更に進めようということをやっているようですが、こういうことが対中国あるいは中国以外の各国の食料、食品輸出国に対していろんな交渉するときの一つの大きな障壁になっているというような事実はございませんか。  質問通告していなくて申し訳ないです。
  70. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 厚労省、答弁できますか。
  71. 中尾昭弘

    政府参考人(中尾昭弘君) 済みません。質問の御趣旨がちょっと正確に理解できているかどうか分かりませんけれども、我が国におきましてはHACCPというのは義務ではございませんで、HACCPを取得したものについては一定のメリットを与えるという仕組みになっております。  実は、外国に対してHACCPの取得を、海外から日本に入ってくるものに対して義務付けるということは、我が国国内において同じことをしなければ内外差別をしたことになりますので、我が国国内法上、HACCPそのものが任意の推奨の制度である以上は、それを外国に求めるということは現行の制度の中でできないと、こういう制度でございます。
  72. 平野達男

    平野達男君 そうしますと、中国と二国間の協議の中で覚書を結んで、相互にそれを遵守するということでやっているんだろうと思いますが、例えばEUのような内外無差別の原則をバックとした強い言い方というのは、表現はおかしいですけれども、中国との交渉はなかなか難しいということでしょうか。
  73. 中尾昭弘

    政府参考人(中尾昭弘君) 我が国の国内における規制を中国に求めるということは、これはできるので今もやっておるわけでございます。ただ、御指摘のHACCPのような、我が国においても国内の業者に対して義務となっていないものについてこれを求めるということは、これは難しいということを今申し上げたところでございます。  したがいまして、我が国の残留農薬基準に満たないもの、入ってくるものについては、それは我が国の検疫の方でもチェックをしておりますし、それから中国政府におきましては、対日輸出用のものは日本の基準を守るという指導をしているということでございます。
  74. 平野達男

    平野達男君 大体分かりましたけれども、私は日本の食品産業、食品加工業、加工の話に今入っていますけれども、それに対しての規制というのはそんなにきつくないんじゃないかと思います。しかし、常々申しましたけれども、日本はそれきつくなくても守るんですね、食品の安全については。それは我々の国民の中に一つの衛生観念というのがあるんだろうと思います。  ところが、今これだけ外国産の輸入品が入ってくる中で、外国産に物を言おうと思えば日本も同様の規制を掛けなくちゃならないという内外無差別の原則があって、これが今大変、これがあるために、私は、中国に対していろんな物事を要求するに当たっても、その根拠がちょっと薄いんじゃないかというそういうジレンマ抱えているんじゃないかと思います。  日本でやっている規制は中国に求めているというふうにおっしゃいましたけれども、多分、日本の規制は日本だからできる、緩い規制でもちゃんとみんなやるということで担保されている措置であって、それを中国に求めるというのは、中国に対して失礼だけれども、ちょっと余り十分ではないという意味において、これは消費者の方々と、あるいは生産者の方々との真摯な相談になってくると思いますが、国内の規制掛けたら、これは実は国内の中小の食品加工業者も迷惑するし、コストが掛かるわけです。  しかし、さはさりながら、これだけ食品を輸入している国も世界中にないという状況の中で、実は国内規制というのは外国に対して求めるための一つの必要なツールとして我々がある程度確保しなくちゃならない段階に来ているんではないかと。  だから、本来なら、規制というのは国内産のための食品の安全の確保ということなんですが、繰り返しになりますけれども、私は、日本はそんな規制掛けなくたってちゃんとやってきましたからやれるんだけれども、そのやれるという規範がよその国に利かない、よその国にそういった安全な食品を作ってもらうためには自ら、つらい話だけれども、律する必要があるんだということを少し政府の方も真っ正面にとらえて言っていく必要があるんじゃないかと思いますが、大臣と厚労省の御見解をちょっと伺っておきたいと思います。
  75. 中尾昭弘

    政府参考人(中尾昭弘君) 最近の輸入食品についての関心の高まり、これは御指摘の薬物中毒事案の発生などもあるわけでございまして、こういったことにつきましては、実は今ある基準、残留農薬の基準、こういったものが守られていないということでございます。新たに国内のその義務の程度を高めるというよりも、今我々が国内を含めて我が国の国内基準として決めているものが海外において守られていないということでございますので、まずはその遵守を図っていくということではないかと思っております。  そこで、先ほど委員からもお話ございましたように食品等事業者、これ海外から食品を輸入する方もおられるわけでございますけれども、こういった方々につきましては新しく指針を策定をして、海外で作る段階において輸入業者が、輸出国において適切に生産されたり製造加工されたものであること、こういったことをきちんと確認をするようなことを私ども求めようということで考えております。  この指針自体はこれから意見募集を行いましてきちんと制定をして徹底を図ってまいりたいと思っておりますけれども、当面我々が取ろうとしておりますのは、今ある規制をきちっと守るような仕組みをつくっていきたいということでございます。  したがいまして、今の委員のお話というのは国内のレベルもより厳しくした方がいいのではないかというお話なんですが、私どもの認識としては、まず足下の今ある規制をきちんと守っていく、こういうことがまず第一ではないかと考えております。
  76. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 平野委員が、内外無差別原則の中で外国から入ってくる加工食料品などについて厳しい言わば規制を掛けることの前提として、国内は十分守られているんだけれども、国内における規制というものも法的な措置を含めまして考えてはどうかという御提案でございます。そのような発想を今までしておりませんでしたが、一つの御提案としてそれを受け止めていきたいと、こう思います。  しかし、直接かかわりございませんけれども、実は今日、私の指示に基づきまして食品業界の信頼性向上自主行動計画を策定をする場合の策定の手引き、五つの基本原則というものを定めました。かなり膨大なものであります。それは、食品産業というのは中小企業が多いものですから、大企業はもうおっしゃるように大体きちっと守られるわけですが、中小企業になりますとなかなか、コンプライアンスを実行するということを申しておりまして、精神的に経営者も、企業の存亡が懸かるわけですから、従業員にしっかりやろうとこう言っていますが、なかなか、どういうふうに具体的に何に気を付けたらいいかというのがよく分からない部分があります。その意味で、全食品産業業界を通じましてマニュアルを作成をし、これを一つ一つチェックをすればきちっとしたことができるということを指導をしていきたいという意味で本日公表をし、業界にこれから徹底させたいと思います。  そういう中で、どこまでが法規制として必要であるかどうか、法規制を、ちょっと角度は違うかもしれませんけれども、ここまで行けば法規制、法制上の規制を掛けてもいいというような状況になってくれば、それについて、今まで単に指導でやっておりますものを法的な規制措置が可能になるかもしれないなというふうに思います。まずは指導を徹底したいと、このように考えております。
  77. 平野達男

    平野達男君 まず、本当に輸入、まずできるものからやっていくという意味において、輸入業者さんにいろいろお願いをしていくということは本当に大事だと思います。しかし、やっぱり同時に消費者の方にも世界の仕組みはどうなっているんだといった情報提供をするという意味も含めまして、先ほど私が申し上げたようなことについてはちょっと検討をする価値は十分あるんじゃないかなというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  次の質問に入ります。残り十分ですから。  地域水田農業活性化緊急対策五百億円。これは、十万ヘクタールの生産調整の面積を増やすその農家に対して、反当たり五万円交付するという制度であります。その条件として五年間米を作付けないという制度でありますけれども、この制度に対して今現地がどういう状況になっているか。私は多少混乱しているんではないかと思いますけれども、その状況について農水省はどのように把握しているか、町田局長さん、お願いします。
  78. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) 今お話しいただきました地域水田活性化緊急対策でございますが、これは二十年産米生産調整が十九年産に比べまして面積ベースで約十万ヘクタール拡大が必要であるということで、これを達成するためには、これまで生産調整を実施していただいた農業者の方々にこれはもちろん引き続きやっていただくわけでございますが、これまでやっておられなかった方、また、これまでも取り組んでおられましたが更に拡大をしていただく方、こういった対応によって対策を実施していくということが必要不可欠だというふうに考えております。これまでも産地づくり交付金、これが交付されておりまして、生産調整を継続する分につきましては従来どおりでいくというわけでございます。  この活性化緊急対策でございますが、これは二十年産から新たに生産調整に取り組んでいただく方、その拡大分につきまして緊急一時金を支払うというものでございまして、私ども今この制度の周知徹底に努めている、普及推進に努めているところでございます。
  79. 平野達男

    平野達男君 現場の状況についての御質問をしたわけですけれども、その答えがちょっと今なかったわけです。私の把握しているところでは、五年間継続で反当たり五万ということは、一年当たりで一万ということですね、生産調整に参加することによって国から受ける支援というのは。一方で産地づくり交付金がございますけれども、この産地づくり交付金はたしか変わらないと。額が固定されているはずです。  そこで、今現地ではどういうことが起こっているかといいますと、新たに生産調整に参加する農地については、産地づくり交付金は対象にできないと言っているところもあるわけです。それはなぜかといいますと、面積が増えて産地づくり交付金の額が変わらないとすれば反当たりの産地づくりの交付金の額が薄まりますから、低くなるんですね。これは今までやってきた、それを当てにして経営をやってきた農家にとってはこれは許容できないということで、新たに参加する農家については五万円だけ、産地づくり交付金はございませんという状況になっているわけです。ここで今結構混乱が起きているということです。  なぜこの産地づくり交付金を拡大しなかったのかという問いを発すれば、財務省の理解が得られなかったということになるんでしょうけど、この状況については今、農水省把握しておりますか。
  80. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) 先ほどお答えさせていただきましたが、私どもこの産地づくり交付金と緊急一時金、これはいずれも生産調整推進のための助成金という点で共通のものというふうに考えていただきまして、地域内でいろいろなケースがあろうと思うんですが、それぞれ地域内の農業者相互間の公平を確保していただきながら、うまくこの両方を活用していただきたいということで、先ほど言いましたように、この内容と周知また普及推進を図っているというところでございます。
  81. 平野達男

    平野達男君 生産調整を、あるいは水田に米以外の作物を本当に導入するというのであれば、産地づくり交付金を増やさないで、十万ヘクタールが五年間五万円ですよと。一体どうやって拡大できるんですか。この問題については、農水省も当初から分かっていたでしょう。そこで、現に今現場では、そういうことの、これをどうやって調整するかで大変苦労していますよ。  それでは、先ほどの話に戻りますが、二十年産米価格どうなるか。これ大変大きな問題になってきます。その前提になるのが生産調整でありますけれども、今現場で混乱している。さて、どうするかですよ、これから。政府として農水省として、大臣、どのようにお考え、何か考えございますか。
  82. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 二十年産につきまして生産調整目標を達成するということは、もう待ったなしぎりぎりの命題でございまして、そのことについては我が農林水産省のみならず都道府県、市町村という行政と、そしてまた生産者の皆さん方、生産団体の皆さん方もそのことを真剣に考えていると理解をいたしておりまして、そのために関係者協議をいたしまして、これを実行する体制を改めて組み直して、全国レベル、都道府県レベル、そして市町村レベルにみんなで力を合わせてやっていこうという状況になってきているわけでございます。  そういうような仕組みをしっかりつくると同時にこの配分、それぞれの二十年産米の配分、更にこれが播種されていくその段階ごとに、ステージごとにチェックをいたしまして、でき上がって出来合い品になってからどうするというんではなくて、そのステージごとの段階でチェックをした上でこれが守られるように、場合によっては途中で青刈りを求めるというような場合も含めて、結果的にこの調整がしっかりと目標を達成できるようにするシステムをつくり上げているところでございまして、そのシステムをしっかりと運用をすることによってこの目標の達成を図ってまいりたいと、このように考えております。
  83. 平野達男

    平野達男君 システムはしっかりつくるというのはそのとおりだと思います。私が言いたいのは、しかしシステムが動くためには、実際に耕作をする農家のインセンティブが出てこなくちゃならないということでありまして、今のシステムではなかなか私、これ進まないと思いますよ。そして繰り返しになりますけれども、水田に米以外の作物を作るためには、それなりのやっぱり支援をしてやらないとなかなか難しいというのは、もう皆さんよく御存じのとおりですね。それで、その状況を踏まえますと、産地づくり交付金あるいはこれに代わる何か一段の支援をしないと、やっぱりこれ現場は本当困ると思います。  そのことを申し上げまして、高橋千秋さんが満を持して待っておりますので、私の質問を終わらせていただきます。     ─────────────
  84. 郡司彰

    委員長郡司彰君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、米長晴信君、藤原良信君及び一川保夫君が委員を辞任され、その補欠として川崎稔君、横峯良郎君及び梅村聡君がそれぞれ選任されました。     ─────────────
  85. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 再開いたします。  高橋千秋君。
  86. 高橋千秋

    高橋千秋君 おはようございます。民主党の高橋千秋でございます。  大臣の所信に対して質問をさせていただく機会を得まして、ありがとうございます。  週末、毎週末、皆さんもそうだと思うんですが、地元の方に帰りまして、あちこちの農村や、それから生産現場等いろいろ行ってまいりまして、特に私どもの三重県の方ではもうそろそろ田植のシーズンが近づいておりまして、あちこちでもうその準備が進んでおりますけれども、どこへ行ってもやっぱりもう農業は大変だ、農村は大変だ、そういう話をよく聞きます。私の家も農家ですので、その実感は非常に感じているわけですけれども大臣が所信の中で、今まで攻めの農政というキーワードでずっとやってこられて、これはそのまま変わらないんだろうと思いますが、今回の所信の中では生活者や消費者が主役となる社会の実現というのが一つのキーワードになっているのかなと思います。まさにそうだろうと思うんですね。ただ、私が現場を歩いていて思うのは、なかなかその言葉とは違ってなかなかやりづらい、思うようにやっていけないということがたくさんございまして、いろんなところでいろんな要望をいただきます。そのことを中心に御質問をさせていただきたいなというふうに思っております。  特に、まず最初にその大臣の所信の中で述べられた生活者や消費者が主役となるという、そういう部分も含めて、それは具体的にどういうことをお考えになっておられるのか、どういうイメージを持っておられるのか、まず冒頭お伺いをしたいと思います。
  87. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 食は委員も御承知のとおり命の源泉でございます。その意味で、農業は食料を安定的に供給するという重要な役割を担っている産業であるわけでありますが、同時に、自然環境の保全とか文化の伝承といった農業が持っている多面的な機能というもの、これが大事でございまして、これらの機能は農業生産活動が行われることによって実は発揮されているというものであると思います。国民の期待にこたえて、こうした農業が役割を将来にわたって安定的に果たしていくためには、以前から申し上げておりますが、産業政策と地域振興政策のこの両面からの取組が必要だと考えているわけでございます。  また、食は国民の健康で充実した生活の基礎であるわけでありますので、農業生産や加工食品への工程管理手法の導入とか推進などによりまして農場から食卓までを通じた食品の安全確保ということが大事でありますし、そのような角度から、食品表示特別Gメンの新設によります監視体制の強化とか、食品の製造、流通等にかかわる企業の法令遵守、コンプライアンスの徹底などを通じた消費者の信頼確保など、消費者の視点に立った取組を進めることとしているわけであります。  さらに、農業は自然の循環機能を利用しながら営まれる活動でありますところから、その特徴を生かした持続可能な農業を推進することによりまして、地球温暖化を始めとした資源・環境問題にも積極的に取り組んでいるということでございまして、このように、農政は、現場に密着した政策課題であると同時に、私たちの毎日の生活に深くかかわっているというものでありますから、生産現場の取組や消費者の声というものを政策に反映するという意味で、分かりやすく丁寧な政策運営をするということによりまして、委員が御質問になりました生活者、生産消費者の豊かな安全な生活を支えていくという視点に貢献してまいりたいと考えているわけでございます。
  88. 高橋千秋

    高橋千秋君 消費者、生活者が主役ということになると、当然これも、生産者の方もしっかりしていかないとそういうことはできないわけですね。さっき大臣答弁の中で持続可能な農業というお話がございました。ただ、現状は持続可能というよりも、どんどんどんどん先細りというか、持続不可能な状態が続いているのが実態ではないかというふうに思うんですね。  資料を今配らさせていただきました。二枚ありますが、二枚目を見ていただきたいんですけれども。  これは農水省さんが出された資料でございますけれども、これ見ていただくと、ちょっと分かりづらいんですが、左の折れ線グラフが年齢別農業就業者数の推移ということで出ております。毎年毎年、これ一番下のちょっと濃い赤のグラフが一番新しいわけでありますけれども、見ていただいて分かるように、農業者はどんどんどんどん減っています。これはもうみんなが知っていることでありますけれども、それとともに、もっと問題なのは、右にどんどんどんどん偏ってきているんですね。つまり、高齢者の就業者がどんどん割合的には増えている。数は全体としては減っているわけでありますけれども高齢者がどんどん増えて、地域の農業の主役というのはもうほとんど今高齢者になっているわけです。  それで、一方で、新規就農者見ると、その右のグラフです、これで見ると、就農者の数は増えておりますけれども、いわゆる卒業してすぐに、学校等を出てすぐに就農するという人はほとんど変わっておりません。変わっていないといっても、もうこれ数千人、千人か、これははっきりした数字は、これは括弧にあるのは最初のところを一〇〇としている数字ですのではっきりした数字は出ておりませんけれども、ほとんど変わっていない。だけど、やはり高齢者、それから四十代、五十代、退職していろいろな企業に勤めて、もう疲れて地元へ帰って農業でもしようかというような方が増えているというのが実態でございます。  いろいろ地域で聞くと、農業に就きたい、農業をやりたいという人は結構いるんですね。若い人でもたくさんいます。しかし、彼らが実際に農業に就こうと思うとなかなかこれが大変で、特に若い人たちはその最初の資金どうやって工面するかとか、そういうことも大変ですし、技術的に今まではお父さんから代々教わってきたというのがありますけれども、今はそういうわけになかなかいかない。そういう新規就農というのが大変厳しい状況にあるんですね。やはり消費者、生活者が主役ということを考えていくと、農業のその生産の舞台がきっちりとしていくためには、やはり若い人たちがその主役になっていっていただくという政策を考えていかないといけないんですね。  ところが、やはり現場では、なかなかそうはいっても給料は安いし、給料というか、自分のところで、さっき米の話を平野さんがされましたけれども、とても利益が出ない中で農業に就こうって、親も、今まではうちの百姓を継げって言っていたのも、最近はもうそういうことも言わなくなってきているというのが現状です。その辺のファストフードのアルバイト行っている方がまだ収入が多いぐらいですから、親としてもそんなことを継がせたくないと思うのもこれもしようがないところなのかなと思うんですね。  その意味で、この新規就農に対するもっと手助けというか、そういう仕組みを私はもっとつくっていってほしいと思うんですけれども大臣、何かお考えございますでしょうか。
  89. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 今委員が新規就農者に対する支援の拡充について御意見がございました。  その前に、何か非常に暗いイメージを皆さんが受け止めるようなお話が前段にあったような気がいたしますけれども、私、ちょっとお許しをいただきまして、農業に新たに入ってくる人たちの形というようなものをちょっとお話ししたいと思います。  農業高校を出てすぐ就農するという人たちは七百八十五名にすぎません。しかし、農業高校を出て県の農業者大学校に進学している人は千三十三名おります。そして、農業者大学校から新規就農をしている人は九百二十七名。そして、民間の教育機関など、農業者大学校なども含めまして、大学出ての、農学系の大学出た人が五百二十名ほど新規就農しています。それ以外に、社会人の経験者で、三十九歳以下で新規就農をするという人が九千二百名おります。そういうような状況を念頭に置きまして、三十九歳以下で今新規に就農をしていく人たちは、全国的に一万二千名強の状態になっております。  そういう意味では、もちろんこの新規就農者がもう少し多くなるということが望ましいんですけれども、長期目標との関係でいいますと、一万二、三千名が新規就農で継続的に新規就農をしていけば、全体の二十七年の目標の経営体の形成ということについては、それは確保できるんじゃないかというふうに考えております。  さらに、先週の土曜日ですけれども、私は日本農業賞の表彰に行きました。農林大臣賞も交付してきたんでありますけれども、三人の経営者にこの日本農業賞が授与されました。そのうちの一人は実は長野県の農事組合法人なんですけれども、この代表者であります倉本強さんという人は脱サラなんですね。そして、脱サラで、しかも定年になって脱サラをしましてイチゴの養液栽培に取り組んでおりまして、サラリーマン時代に培ったいろいろな知識を取り込みながら、経験と勘によるところが多いこの栽培技術というようなものを、気温とか日照とか養液濃度などの栽培の基本データを計数化しながら安定した、安全な生産を図ってきたという人でございまして、更にその施設を規模を拡大すると、相当大きな施設型の農業をやっているわけです。  ですから、私は、いろんな各世代の中で特徴を生かした農業が進められていると。ほかにも、若い人だけではなく、中年から農業を始めた人もおりましたけれども、そういう人たちがたくましく、元気よくやっているということも御認識いただきたいと思うのでございます。  そして、新規就農の施設につきましては、もう詳しく言うと時間がないような顔をしておられますから申し上げませんけれども、その情報の提供から、個人相談から始まりまして、体験・研修段階、そして参入の準備段階で各種農業法人とのマッチングだとか、あるいは資金調達の面でいえば、就農に向けた研修や、機械、施設の導入に対しては無利子の融資制度を設けておると。また、就農可能な農地情報の提供やあっせんというようなことをいたしておりまして、定着段階では早期の経営定着化への支援というのを、普及指導センターによる技術・経営指導などを行っております。  詳しく一つ一つ申し上げませんけれども、無利子資金の供与につきましても、新規就農者がいよいよ農業をやろうとするときのその農業経営の状況に応じまして、私はそれが不足して就農に踏み切れないということはそれほど大きな今障害になっておると思っておりません。むしろ、そういうのをマッチングさせると、現場でマッチングさせるということをもう少しきめ細かくやっていかなきゃいけないんじゃないかというのが私の印象でございます。
  90. 高橋千秋

    高橋千秋君 たくさん来ていただいていますので、簡潔にお願いします。  大臣はそういうふうに言われますが、一万二千人という数字、これ、人口一億三千万の中で一万二千人、果たしてそれが多いと言えるのか、私はちょっと首をかしげますし、実態はもっと厳しいと思います。  で、その方々がどれだけやめていくかというのは統計は取られていますか、これは質問通告してありませんが。
  91. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) いや、この新規就農の人たちが離脱、今のは三十九歳以下の話ですね。そんなに、統計は取っておりませんけれども、いろいろな事情の中で農業に新たに就農しようという決意を持って農業に取り組み始めている人たちでありますから、そう私は、農業から再び離脱、再びといいますか、農業から離脱していくような人たちはそんなに多くないと思っておりますけれどもね。
  92. 高橋千秋

    高橋千秋君 いや、推測で言っていただいていると思うんですが、是非それも調べていただきたいと思います。現実はかなりやめています。  結局、明るいお話もされました。確かに明るい、そういう展望ある方もいます。全国を探せばそれはあります。しかし、ほとんどの方が実際は就農をしても、特に、さっき平野さんからの米の話ありましたけれども、どんどんどんどん、まあ米だけではありませんが、収入が減っていく。減っていくというよりも赤字ばっかり出てきて、実際は兼業農家でサラリーマンをやって、そっちの給料で何とかそっちを補てんしているというのがほとんどですね。  そういう中で、さっきちゃんとやっておられるというお話でしたが、現場ではとてもそのようにとらえていなくて、もっとやっぱり就農に対して若い人たちがどんどんどんどん入れるようなそういう仕組みをつくってほしいということでございましたので、もう一度そこも見直していただきたい、これは要望しておきたいと思います。  それともう一つは、この就農にも関係あるのかも分かりませんが、グリーンツーリズムということがずっと言われてまいりました。今もあちこちで、長野にも幾つかあると思うんですけれども、そういうことを一生懸命取り組んでいる法人もあります。  ところが、実際にそのグリーンツーリズムをやろうとすると、いろんな法律上の制約とかありまして、具体的な例でいうと、私の地元にモクモク手づくりファームというのがあって、これも農業賞を、先日大臣出られたときに、受賞しておりますけれども、ここで農学舎という、まあ関西圏ですので大阪の都会の方々来ていただいて、週末に農業をやっていただくと。貸し農園のようなものなんですが、そこでみんなが集まって、自分たちで収穫したものをそこで食べれるような施設を造りました。で、かなり好評でいろんな方々が来ていただいています。  ところが、そこをもっと充実させようと思って、週末土曜日に来て、土日とやって日曜日の夜帰るというような形を考えておられるんですけれども、そこで宿泊施設を造ろうと思うと造れないんですね。なぜかというと、その宿泊施設を造るときには五つの法律がかかわってきます。建築基準法だとか旅館業法だとか、いろいろなものがかかわってくるんですが、そういうものは全部クリアできていくんですが、実は農振法、農業にかかわる法律の中でそこに引っ掛かってくるということで宿泊施設が造れない。だから、それでは固定式じゃなくて移動式の、例えばトレーラーのようなものでとにかくそこに泊まっていただいて、自然に触れてもらって、農業というものに触れてもらおうということで計画をしたら、やはりその農振法で移動式も駄目だというような具体的な例があります。  ほかにも幾つかそういう、農業を振興させようと思ってやっている部分の法律ではありますけれども、一方で農業をみんなに知っていただこう、農業に就業していただこうというような方々もそういう泊まっていただくということ自体ができないというような、そういう農水省絡みの法律で制約が幾つか出てきています。こういう部分、やっぱりそれがいい方向に行くんであれば改善をしていただきたいし、これは法律を変えないといけないのかも分かりませんが、そういう対応をきっちりできるように、攻めの農政ということであればしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  93. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 今お話のありましたグリーンツーリズムとしてのモクモクファームですか、委員の例のお話がありました。個別具体的にモクモクファームのその案件、個別の案件についてどうだということを今ここで私が申し上げるほど承知しているわけではございませんけれども、非常に結構な試みだというふうに高く評価されてしかるべきだと考えるわけでございます。  そういう意味で、その宿泊施設を伴うような形での貸し農園といいますか、そのような場合に、農振農用地区域内におきます宿泊施設が設置できないというようなお話がございました。  一つは、手続を踏めばやれると思うんですよ。だから、農用地区域の中からその部分を除外すればいいということで、区域除外を行った上で市民農園整備の計画変更をしていただければいいと思いますけれども、これについて、今のような農業の経営の一つの発展形態としての農園、貸し農園を含む農業生産であるということからすれば、農振の趣旨からいってそう難しい除外に当たっての問題はないんではないかというふうに思いますけれども、これは個別の問題でございますから、また個別によく相談に乗るように指示したいと思います。  いずれにいたしましても、このグリーンツーリズムを推進するという観点から、都市住民のニーズに対応した農林漁家の民宿でありますとか市民農園などの整備は、進めていくことは大変重要な、多角的な農業のパターンとして重要だと私も考えておりますので、これからも各省と連携した農林漁家の民宿でありますとか滞在型の市民農園などに対する規制の緩和でありますとか、あるいは地域資源を生かした魅力ある交流拠点の整備などの施策を更に進めていきたいと、このように考えるところでございます。
  94. 高橋千秋

    高橋千秋君 個別の話ですのでここで細かいことを言うべきではないと思うんですが、実際はいろんな制約が掛かっています、除外するにも。細かい、ちょっとこれはと思うような指摘もあったり、さっき大臣が言われるように、除外は簡単だというようなお話ありましたけれども、実際はそうでもないのが現状です。これはいろんなところで、長野のいろんなところでもありますよね、そういうところでも結構困っておられるんです。是非、それもう一度指示をしていただけるように要請をしておきたいと思います。  それともう一つは、食育のことについてお聞きをしたいと思います。  私の資料付けました一ページ、一枚目を見ていただきたいと思うんですが、これは今東京では一館しかやっていませんが、「いのちの食べかた」という映画でございます。これはオーストリアの監督が撮って、ドイツとオランダの農業を、記録映画なんですが、どういう農業をやっているかというのを延々と約一時間半ぐらいやるものなんですが、是非大臣にも御覧をいただきたいなと思うんですけれども、かなり先進的なヨーロッパの農業のことをやっています。屠殺の現場、牛が屠殺される場もその場では映っておりますし、かなりショッキングな部分もあります。それを見ると、まさに我々人間は植物も含めて命を食べているんだというようなことが非常に実感ができるんですね。  ここに、その付けさせていただいた資料の右側の女性が、これは映画を見ると分かるんですが、黙々とお昼御飯を食べているところなんですけれども、その下に、「学校でも教えてくれない、テレビでも見られない。のぞいてみよう。これが食料生産のグローバル・スタンダード」というふうに書いてあるところがあると思うんですけれども。  先日も農家の方々の集まりでいろいろ話をしたんですけれども、農家の子供も朝パン食べて、昼間ハンバーガー食って、夜はステーキ食うというふうな、ステーキはいいのか分かりませんが、そのような状況にあると。学校でも本当にどういうものが食育として必要なのか現場もよく分からない。  私は、自給率向上という大目標を掲げていく中で、よく農業者戸別所得補償の法案の審議の中でも日本型食生活とかいう話が出てきましたけれども、やはりどんどんどんどん日本型食生活が崩れていっている。一方で、食はこれどこから来るのか分からないというような話もあったり、後でギョーザの質問もさせていただきますけれども、食育ということをもっと取り上げるべきではないかなというふうに思っておりまして、農家の方々からは、是非小学校、中学校の授業の科目に入れていただいて必修にしてほしいという、そういう要望もありました。  今日、文科省の方にも来ていただいておると思いますが、これはそういう方向性考えていただけないでしょうか、いかがでしょうか。
  95. 田中敏

    政府参考人(田中敏君) お答え申し上げます。  近年の食生活を取り巻く社会環境の変化などに伴いまして、偏った栄養摂取あるいは朝食欠食という子供たちの食生活の乱れということが見られることでございますものですから、食育の果たす役割というのは今後ますます重要になるというふうに文部科学省としても認識をしてございます。  そのため、今回の学習指導要領の改訂案では、教育課程の編成、実施について各教科にわたる通則的事項を示した総則というのがございます。そこで新たに食育という概念を明記をいたしまして、学校の教育活動全体を通じて適切にその指導を行うということとしてございます。具体的には、体育の保健領域、あるいは家庭科、社会科等におきまして食に関する指導ということを行っていくこととしてございます。  先生御指摘の農業ということでございますけれども、食育推進の一環としても大変重要であるというふうに考えてございまして、従来から社会科を中心に、小学校社会科の第五学年というところで農業の様子、あるいは農業の国民食料を確保する上での重要な役割というようなことを指導申し上げてございます。  また、中学校でございますけれども、地理というところで、地域の地理的条件ということと関連付けて、農業と産業の様子ということなどを理解させるという指導が行われてございます。  さらに、特別活動あるいは総合的な学習の時間というところにおいて、勤労の貴さや生産の喜び、農業の重要性などを体験することができますように農家にホームステイということをしていただいたり、お米、野菜などの収穫、出荷作業、田や畑の手入れ、家畜の世話ということに対しての体験活動ということも実施してございます。  さらに、学習指導要領の改訂案では、技術・家庭科というところにおきまして、生物の生育環境と育成技術ということを勉強していただきまして、その技術を利用した栽培あるいは飼育ということについての内容を新たに設けるということで充実を図ってございます。  以上のように、食育の推進ということにつきましては、特別の科目を設定するということではなくて、学校教育活動全体においてその重要性について指導を充実していくことがふさわしいのではないかというふうに考えているところでございます。
  96. 高橋千秋

    高橋千秋君 食ということ、農業ということを意識するという意味では、やっぱりその科目を設けていただければいいなと思うんですが、今の話だと年間どれぐらいやっているかと、何時間ぐらいやっているかというのは分かりますか。
  97. 田中敏

    政府参考人(田中敏君) 申し訳ございません。それぞれの学校で取組が違うと思いますけれども、今正確な数字は持ち合わせてございません。
  98. 高橋千秋

    高橋千秋君 やっぱり小さいころに食べたものというのは一生覚えていますから、やっぱりなるべく小さいころからそういう科目を是非設けていただいて、食に対してもっと意識を高めていただくということが私は大変重要なことだと思いますし、さっきの就農者という話でも、農業というのはこういうものなんだよということが是非分かってもらえるように小さいころから教えてもらう。これは農村でも最近ほとんど知らないんですよね。私の家の周辺にも田んぼいっぱいありますけど、大体田植もしたことないという子供がたくさんいますから。  その意味では、私は是非そういうことを考えていただきたいと思うんですが、大臣、どういうふうにお考えですか。
  99. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) もう全く委員と認識を同じくいたしております。  私も長野で孫が小学校二人いるんですね。ばあさんが子供のためにお芋なんかも一列残したり、リンゴも下の方は取れるようにしたりするんだけど、なかなか行って農場でそういう喜びをするというようなのをそれほど喜ばないんですね。私はそういうことを通じてやはり命の大切さ、農業というものを実感してもらいたいと常々思っております。そこは、さはさりながら、現実はおっしゃるようなことでございます。  今お話を聞きながら思ったんですけど、この国会に学校給食法の改正が出されているんです。この学校給食法の法律の目的に、今までは国民の食生活の改善に寄与するというふうに書いていたものに対して、このように目的から改正をしようとしております。児童及び生徒の食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で重要な役割を果たすというふうに明記した上で、学校給食を活用した食に関する指導の実施に関し必要な事項を定める、もって学校給食の普及充実及び学校における食育の推進を図ることを目的とするということで、学校給食法の目的の中に食育の推進ということも入れまして、これから学校給食というものを教育の中で、食育というものを位置付けた上で、委員がおっしゃられましたように、また私も期待していますような学校教育の中における正しい食の教育と、それを通じて生産農業状況ということも分かってもらえるように、学校給食は大体今、週三回、米の給食三回ぐらいになってきていますけれども、米に限らず食は文化ですからいろんなものがあっていいとも思うんです。ウイークデーで学校給食をやっているわけですから、給食の機会などにおいてもそのようなことをしっかりと身に付けていけるように教育の中に組み込んでもらいたいと、こう思っております。
  100. 高橋千秋

    高橋千秋君 その給食法の方はそれはそれでいいことだと思うんですが、是非、大臣の方からも文科省等にもこれからも働き掛けを強めていただきたいなと思っております。  ちなみに、この映画館で話を聞いてきましたら、都内の高校生が授業で何校か来たそうです。見て、見た学生がみんな一様に結構ショックも受け、命の大切さみたいなものもよく分かったという感想も、そこにノートが置いてありましていろんな感想が書いてありました。是非このことを重視をしていただきたいなというふうに思っております。  次に、そのことにもかかわってくるのかも分かりませんが、食の安全のことでさっき平野さんが質問をされましたけれども、別の視点でお聞きをしたいというふうに思っています。  GAPというのがございます。グッド・アグリカルチュラル・プラクティスという略ですが、日本ではJGAPと呼んでいるそうですけれども、あしたそれの全国大会が東大の方でございます。  これは、そういう残留農薬等、いろんなものをどういうふうにしていくかという、適正農業規範というふうに日本語では訳されているそうですけれども、このこと自体は私はいいことだろうと思います。  ただ、現場で聞くと、これは国と県、市、それぞれいろんなものがあったりして、どれを見たらいいのか分からない、非常に複雑で生産者もどれをやっていけばいいのか分からない、それから消費者の方もよく分からないというような状況が続いているそうです。私は、是非農水省の方で、これは厚労省になるのかも分かりませんけれども、リーダーシップを取っていただいて、このそれぞれの統一をしていただけないかなと。  実は、三重県でも赤福問題がありまして、食の安全性の条例を今県議会で作る準備をしております。ところが、条例ですと、県内の生産物に対しては規制が掛けられるんですね。  どういう中身かというと、一つは、農産物、野菜とかに残留農薬が発見をされた場合はその畑を全部出荷停止にするという条例なんですね。これはいろいろ意見もあって、賛成、反対いろいろあって、今それをもんでいる最中なんですけれども、ただ、それが三重県の中にある畑であれば規制が利きますけれども、条例ですから。ところが、例えばお隣の愛知県とか奈良県とか、そういうところからのやつは規制ができなかったり、またそれを県外に持っていけばそれが抜けられるとか、そういう条例の限界みたいなのがございまして、是非全国的にきっちりとした、今、ギョーザの問題がいろいろ出ておりますけれども、いろんな形であるやつを農水省がリーダーシップを取って統一をしてほしい、分かりやすくしてほしいという御要望がございます。  これに対してどういう見解でございましょうか。
  101. 内藤邦男

    政府参考人(内藤邦男君) お答え申し上げます。  委員御指摘のGAP、あるいはギャップと呼んでいますけれども、これは農業生産における工程管理手法でございまして、現在、国、県、JAグループあるいは量販店等がそれぞれのGAPを推進していると。  これらのGAPは、例えば食品の安全性に重点を置いたものであったり、あるいは環境保全も重視したものであったり、あるいは国のGAPのように汎用性の高い項目に絞った基礎的なGAPであったりと、ねらいがそれぞれ違っておることもございまして、内容が異なる部分があるというのが実態でございます。  このような中で、農水省としましても、まず、行政、学識経験者、生産団体、流通団体消費団体等、いろんな方がかかわっているわけでございますので、こういったいろんな方から構成されるGAP手法導入・推進会議を昨年の六月に設けました。そこで意見交換などを通じましてまず関係者の相互理解を深めるということが重要ではないかと思って、これに取り組んでいるところでございます。  加えまして、新たに、この推進会議の下で、GAPにかかわる実務者が意見あるいは情報の交換を行う場を設けることとしております。  こうした取組を通じまして、生産者及び消費者にとってより分かりやすいGAPが推進されるよう努めてまいりたいと考えております。
  102. 高橋千秋

    高橋千秋君 生産者から言わすと、例えば、どこかのスーパーのGAPに合わすと、今度はこっちに持っていくとまた別のことをやらなきゃいけないとか、非常に混乱もあるんですね。  今、それを進めていくということでありますけれども、是非早いうちに、攻めの農政ということであれば、どんどんどんどんいいものを出していくということでありますから、そのためにもやっぱりこのGAPは農水省がリーダーシップを取って是非やっていただきたいなと思っています。  あした、そのGAPの全国大会、農水省の補助事業としてやるわけですけれども、是非早急に、現場にも分かりやすく流していただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  それと、さっき残留農薬の話も出ましたけれども、そういうGAPにもかかわってくるのかも分かりませんが、残留農薬の検査ですね。これ、中国の残留農薬の話が今話題でありますけれども、国内でもこの検査をしようと思うと、非常に高額なんですね、この検査費用が。機械を自ら買ってやろうかとするともう数百万とか何千万とかするし、それをどこかの施設に持っていくと一検体二万とか三万とか取られると。そうすると、自分たちで安全なものを作ろうとしている、安全なものを市場に流通させようとしている、そういう積極的な農家にしては、お金が掛かり過ぎて対応できないという話を聞きます。これを是非もっとやりやすくできないかと。  これは法的に全部しなきゃいけないということではないということなんですが、しかしこれは、差別化を図る農業、積極的な農業ということになれば、安心ということを積極的に打ち出していくためにもこういうものをもっとやっていきたいという農家は多いんですね。多いけれどもやっぱりお金が掛かってしまうということで、何とかこの辺を制度的に、それぞれの地区で簡単にやれるような、そういう仕組みをつくっていただきたいということなんですが、いかがでしょうか。
  103. 佐藤正典

    政府参考人(佐藤正典君) 御説明申し上げます。  農薬が使用基準に従いまして適正に使用されているかどうか、これをチェックする観点から農作物の残留農薬分析を行うことは大変必要なことだというふうに考えております。  このため、適切な農薬使用を検証する観点から、産地におきます農産物中の残留農薬検査やあるいは分析に必要な機器の整備等につきまして支援をしているところでございます。強い農業づくり交付金あるいは食の安全・安心確保交付金等で支援をしているところでございます。  それから、先ほど委員からの御質問の中で出てまいりましたけれども、他方、もう一つは、いわゆる工程管理による安全性の確保ということも大変重要でございまして、これGAPというような考え方に通ずるわけでございますけれども、農薬につきましては、作物ごとに農薬の効果あるいは残留性を勘案いたしまして、残留農薬基準を超えないように農薬使用基準が設定されているところでございます。したがいまして、農薬の使用に当たりましては、この使用基準に従って適切に使用するとともに、農薬の使用状況あるいは使用方法等につきまして正確に記録をしておくということが大切でございまして、これによりましていつでも確認できると、こういうことが最重点であると考えているところでございます。併せてしっかり指導してまいりたいというふうに思っております。
  104. 高橋千秋

    高橋千秋君 工程管理をしっかりするというのは、これはまあ当然のことだろうと思います。ただ、信用しないわけではありませんけれども、やっぱりそれ、記録書くということだけで検査しないということになれば、やはり消費者の方から見るとまだまだ信用できないというような話もあると思いますので、その検査の費用、なかなかこれ法律で全部がやらなきゃいけないわけではないので、難しいところあるのかも分かりませんけれども、是非その検査の仕組みをもっと簡単にできるように体制を整えていただきたいと思うんですが、もう一度いかがでしょうか。
  105. 佐藤正典

    政府参考人(佐藤正典君) 残留農薬の検査の関係でございますが、少しく先ほどの説明、敷衍させていただきますと、強い農業づくり交付金におきまして残留農薬分析等の自主検査に必要な分析機器の整備への支援、それから、食の安全・安心確保交付金によりますもので残留農薬分析等の自主検査の実施、あるいはその農薬関係ではその使用履歴の記帳に係る研修会、あるいはその調査等々につきまして、農林水産省としてもしっかり支援をしてまいる考えでございます。
  106. 高橋千秋

    高橋千秋君 是非よろしくお願いします。  それと、食品のリサイクルなんですが、生ごみ等が出てきて、それを堆肥にしたりとか、いろんな施設が今造られています。しかし、これに対して農水省の方の体制が余りできていないという御指摘を受けてまいりました。それとともに、地方自治体の方も、行くところ行くところで話が違ったりとか、そういうことで体制が不十分だという御意見を伺ったんですが、この点いかがでございましょうか。
  107. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) 委員御指摘いただきましたように、この食品残渣の循環資源としての有効利用を確保するとともに、食品廃棄物の排出抑制を図るということは大変重要だというふうに私ども認識しております。このため、農林水産省におきましては、平成十二年に制定されました食品リサイクル法に基づきまして、食品廃棄物の発生の抑制や資源としての再生利用等を推進しているところでございます。  また、この食品リサイクルでございますが、食品産業が主体的に取り組む必要があるということ、さらに、食品リサイクルの主な仕向け先は肥料及び飼料でありますことから、これを所管しているのは私ども農林水産省でございますので、リーダーシップを取って推進しているところでございます。  私どもとしては、農政局の方にきちっと専任の係を配置するとか、あるいは農政局内でバイオマスの利活用、堆肥等の施設、こういった整備を担当している部署と連携いたしまして、一体となって食品リサイクル施設の整備を推進しているところでございますし、当然のことながら、この食品リサイクル、関連する制度が多岐にわたっておりますので、関係機関、中央省庁、また御指摘いただきました地方公共団体との連携や指導体制の整備、重要だと認識しております。更にこういった整備を推進していきたいというふうに考えております。
  108. 高橋千秋

    高橋千秋君 是非お願いしたいんですが、実際、堆肥センターとか食品のリサイクルセンター造っても、一方でごみが出てこないんですね。ごみはいっぱいあるんだけれども、そこに来ないんですよ。結局捨てられることが多くて、そういう利活用するという体制が、もう情報も分からなくて、そのリサイクルセンターの人が個別にスーパー行って頼んだりとか、そういうことをやらないとなかなか集まってこないというのが現状でして、これはごみを減らすという意味でも大変いいことですし、有機農業等の推進にも非常にいいことだと思いますので、そういう体制を是非早いうちにつくっていただきたい。情報も、それがもう苦労せずに集まるような、ごみを変なところに捨てずにちゃんとそういう活用できるような体制というのを是非農水省としてもリーダーシップ取ってやってほしいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  それで、そこで言われたのは、食品循環資源の再生と利用というところが、これは環境省になるんですかね、廃棄物処理法というもので縛られてしまって、結局産廃になってしまうと。さっきの話とかかわってきますけれども、実際はリサイクルでそういう堆肥とかそういうものにできるのに産廃になってしまって、プラントを造るということにも非常に制約があるということで、この辺もちょっと見直してほしいということなんですが、いかがですか。環境省さん。
  109. 由田秀人

    政府参考人由田秀人君) 生ごみを含めまして廃棄物につきましては、これ自身が人が不要となりましたりあるいは汚物というものでありますから、まずぞんざいに扱われやすいという側面があるわけであります。  このようなことから、不適切に扱われた場合には臭気と汚水の発生など、生活環境の保全上問題が生ずるおそれがありますことから、生活環境保全上のルールを定める廃棄物処理法を遵守していただくこととしているところであります。  この廃棄物処理がリサイクル目的を有するものであったといたしましても、人が不要となったもの、あるいは汚物であるというふうな場合は、これまでもリサイクルと称して不法投棄等不適切な処理が行われていることもあるものであります。この不適切な処理が行われる場合としましては、リサイクルによって得られた製品の販売、流通が滞ったような場合などに生じやすいのでありますけれども、いずれにいたしましても廃棄物のリサイクルを行う事業や施設等に関しまして、生活環境保全上の支障が生じない適切なリサイクルを確保するためのルールを定めた廃棄物処理法を遵守していただくことが必要だというふうに考えております。  また、昨年の食品リサイクル法の改正におきましては、環境保全上適切なリサイクルを確保しながら食品リサイクルの取組を円滑にするための廃棄物処理法の特例を拡充する措置が講じられたところであります。具体的には、食品関連事業者が、その食品廃棄物をリサイクルして得られた肥料、飼料を利用しまして生産された農産物を利用するという完結したリサイクルの実施について国の認定を受けた場合には、食品廃棄物に係る一般廃棄物処理業の許可は不要とされる特例が設けられておりまして、食品廃棄物の広域的な収集、運搬の円滑化が図られたところであります。  今後は、農林水産省等の関係府省とも連携いたしまして、改正食品リサイクル法の適切な運用をいたしまして食品リサイクルの推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
  110. 高橋千秋

    高橋千秋君 是非、厳しくする部分は厳しくしていただくのはこれは当然だと思いますけれども、やはり食品リサイクルでもう明らかに再活用するというのは分かっているところも一括に取り締まらなきゃいけないというふうな現状がありますので、その辺はやっぱり適宜対応していただきたいなと思います。  それと、もう時間がございませんので先を急ぎたいと思いますが、一部質問通告をして飛ばしているところがあるかも分かりませんが、先ほど平野さんから食の安全のことでギョーザの話も少し答弁に出ておりましたが、このギョーザの問題、中国製のギョーザの問題をお聞きをしたいと思います。  先日、二月の中旬に参議院で日中議員会議というのを派遣がありました。私行ってまいりました。超党派で十人の国会議員が行ってきたんですが、そこで向こうの全人代のトップの方ともお会いをしていろんな会議をしてまいりました。  その中で、このギョーザの問題は随分我々も強く言ってまいりました。早く対応をしてくれと、対応しないとむしろ中国にとって不利益になるわけだから早く対応してくれということで言ってまいりました。向こうからは、すぐやるというような話だったんですが、帰ってきたらいきなり向こう側の発表が、中国では入っていないというような話があったり外から入るというような話があったり、我々としても帰ってきて頭に来たんですが、ただこれについて最近、暫定税率の話やら中国のチベットの話やらで、何かこのギョーザの問題、どこかもう消えてしまって何か終わってしまったような雰囲気になっているんですね。ただ、これは結論まだ出ていないわけで、このままうやむやにしていってはいけないと思うんですね。  その意味で、先ほど資料要求の話がございましたけれども、この件に関して、警察庁の方も向こうへ行っていろいろ調査もされたようでありますけれども、捜査協力というのは進んでいるんでしょうか。今どういう状況になっているのか御報告をいただきたいと思います。
  111. 小野正博

    政府参考人小野正博君) いろいろ御心配をお掛けしておりまして恐縮でございます。  日中の捜査当局間におきましては、これまでも捜査部門の首脳級の会談や実務者レベルの情報交換を行うなど継続して連絡を取り合い、緊密に連携を図っているところでございます。  御指摘の中国側に対し日本側が要求している資料等の問題につきましても、既にその一部につきましては私どもに提供を受けておりまして、捜査協力は進みつつあるというふうに考えております。また、本日から二十七日までの間でございますが、中国から鑑定の専門家等も実は来日をしております。私どもの科学警察研究所の研究者等と情報交換を行わせたいというふうに考えておりまして、このように、警察といたしましては、中国捜査当局と緊密な連携を図り、事案の早期解明に努めてまいりたいというふうに思っております。
  112. 高橋千秋

    高橋千秋君 そこで問題になったのが、外から農薬が入ったという言い方を中国はしていますよね。その実験結果を警察庁の方は要求をされたと思うんですが、それは来ているんでしょうか。それと、マスコミでも指摘をされましたけれども、中国側がそうやって言い張るんであれば、同じところで中国も日本も一緒になって実験してみれば簡単に済む話だと思うんですが、その辺はいかがですか。
  113. 小野正博

    政府参考人小野正博君) 今御質問の件につきましては、私どもから資料要求をいたしまして、十分かどうかという点はございますが、それなりの回答をいただいております。本日から向こうの鑑定の専門家も来ておりますので、お互いの浸透実験につきましても、高度の科学的知見に基づく意見交換が本日からなされるというふうに理解をしております。  いずれにしましても、この問題につきましては日中の捜査当局間における協力というのは不可欠でございますので、中国側に対して国内の捜査に必要な情報提供を私どもからいたしますとともに、また、我が国の捜査に必要な情報の提供を要請しつつ必要な捜査をそれぞれに尽くすということが大事であるというふうに考えております。
  114. 高橋千秋

    高橋千秋君 意見交換は大事だと思うんですが、是非、同じところでやれば簡単に済む話ですから、やってみていただければと思いますし、もしそれならマスコミに公開してでもやれば白黒はっきりするんじゃないかと思いますので、もう時間がありませんので、是非それをやっていただきたいなという要望をしておきます。結構です。  それで、ギョーザの問題で、これは中国の野菜の輸入量が四〇%減ったという話が出ています。そんなに日本に来ていたのかということも改めてびっくりしましたけれども、例えばニンニクなんかは青森のものが随分高くなっていると。高くなることは農家にとってはいいことなのかも分かりませんが、結構そういうものを使うところに支障が出てきて、手に入らない、野菜が手に入らないというような話もあったり、野菜に限らず中国産の食品がほとんど入らないという状況になっています。  先日、地元にあるカップめんの乾燥野菜を輸入している会社に行きましたら、天津で全部通関が止まっていると、いつ入ってくるかめども立たないというような話でございました。これは、マスコミ報道等であれだけやりますと、何か全部駄目なような感じになってしまった過剰反応であるかも分からないんですけれども、これで食品業界でかなり困っているところが多いと聞きます。これに対する対策というのは何か取られておられますでしょうか。
  115. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) 今お話しいただきました乾燥ネギとニンニクの例を出していただきましたので、私ども、食品関係事業者にちょっと聞いてみました。  中国における輸出検疫の強化による影響ということでございますが、乾燥ネギにつきましては、天津港など一部の地域からはやっぱり輸出が滞っているということでございますが、広東省あるいは福建省といったところで輸出がされているということで、全体がとどまっているわけではないということのようでございます。また、ニンニクにつきましては、輸出検疫に時間が掛かっているものの最近は輸入がされているということで、大きな影響が、何といいましょうか、生じているという状況ではないということのようでございます。  当然のことながら、食品製造事業者、在庫を活用したり新たな調達先を確保するといったことで各自御工夫をして対応していただいているところでございまして、仮にこうした国産のものを使って取り組みたいといったような場合には、必要な食品加工施設の整備につきまして農林漁業金融公庫から低利融資を活用すると、こういった支援措置があるところでございます。
  116. 高橋千秋

    高橋千秋君 一時的に終わればいいですけれども、これが長く続くようなことになれば大変な事態になってくると思いますので、是非適切な対応をしていただきたいと思いますし、それにはさっきの警察庁の方の検査もやっていただいて、これはやっぱり白黒はっきりさせるということが重要なことになってきますので、その辺は両者に是非お願いを申し上げておきたいと思います。  時間が少なくなってまいりましたので、最後の質問になるかも分かりませんが。  えさの、飼料の高騰については、これはもう何度もこの委員会でも出ております。緊急対策等も取られておりますけれども、その中で、先日、二月の十二日に養鶏危機突破全国生産者大会というのが行われました。大臣は出られたのかどうかちょっと分かりませんが、この中でも、我々のところにも御要望があったんですが、卵の基金ですね、昨日、今日とそれぞれの団体でこの基金の引上げが協議をされて、農水省の方に、農水大臣の方にですかね、答申がされてそれが承認されるということなんだそうですけれども。今まで百六十六円まで価格が下がるとその基金の発動があったと、それを百八十五円にするというふうに聞いています、十九円上げるということなんですが。  ただ、実際は、卵のそういう生産者から聞くと、卵というのはスーパーで特売の目玉になるようなもので、物価の優等生ともずっと言われてきておりますけれども、えさはどんどんどんどん高くなっていく、それからほかに、燃料をいっぱい使うわけですから経費はどんどんどんどん上がっていますけれども、卵の価格は上がらない。そういうことで、卵価の基金の水準をもっと上げてくれと。  今、二百数十億までたまっているんですね。去年は七十、八十億近く発動されているということなんですが、これは八分の一は国が補助していますけれども、八分の七は自分たちで積み立てているものです。それを考えると、本当に今は危機だから、こういうときこそもっと基準を上げてこれを拠出をしてほしいという御要請大臣のところにも当然来ていると思いますけれども、これの百八十五円という価格が適正かどうか分かりませんが、その生産者の方からはもっと二百円ぐらいに上げてくれというお話も来ております。  このことに対してもう少し見直しをするということは、今日、十九円ですか、上がるということでありますけれども、これでもまだなかなかそれが拠出されない状況にあります。是非これを見直していただきたいんですが、いかがでしょうか。
  117. 内藤邦男

    政府参考人(内藤邦男君) お答え申し上げます。  鶏卵価格につきまして、鶏卵生産者の関係でございますけれども、配合飼料価格の上昇につきましては、御案内のとおり、配合飼料価格安定制度によりましてその価格の補てんが行われているわけでございます。  他方、その価格がやはりかなり下落しているということで、この価格の補てん基準価格を引き上げたいということで、二十年度につきまして二つの基金団体がそれぞれ議論しているところでございます。その際、当然、基金残高あるいは鶏卵の生産状況、これが卵価に非常に大きな影響を与えますので、そういったものを踏まえながらそれぞれの団体が議論しているわけでございますが、昨日の、一つ団体でございます社団法人全日本卵価安定基金の理事会におきましては、委員御指摘のとおり、前年度に対しまして十九円引き上げて一キログラム当たり百八十五円という方針を決定したと。本日、もう一つの基金団体でございます社団法人全国鶏卵価格安定基金の理事会が開催される予定と聞いております。  今後、この基金団体から補てん基準価格の承認申請があるわけでございますけれども、それを受けまして速やかに審査を行い、決定してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  118. 高橋千秋

    高橋千秋君 質問を終わりますけれども、是非、農業の現場、大臣の冒頭のところで明るいところもあるというお話でありましたけれども、明るいところも確かにありますが、しかしそういうところはごくわずかでございまして、なかなか全部が全部明るいというわけではございません。是非、いろいろな対応を適宜柔軟に対応していただけることを要望して、私の質問とさせていただきます。
  119. 主濱了

    ○主濱了君 主濱了でございます。  大臣所信に対する質問、早速入らせていただきます。  まず、農業政策者の責任者としての基本的な考え方についてお伺いをいたしたいと思います。  これは、まさに所信の中にある言葉あるいは食料・農業農村基本計画の中にある言葉についてちょっと言わさせていただきたいんですが、能力と意欲のある担い手、これは食料・農業農村基本計画の中にある言葉でございます。それから、意欲ある担い手、これは最近の若林大臣の所信表明演説の中にある言葉でございます。  端的に言いまして、どのような農業者を想定しているのかということでございますが、平成十六年の所信を見ますと、やる気と能力のある農業経営に対する施策の集中化、重点化と、こういったような表現がありますし、平成十七年の所信では、将来にわたって地域農業を担う、やる気と能力のある経営の育成、それから十七年の基本計画では能力と意欲のある担い手と、こういうふうな表現になっています。それから、十八年は単に担い手を対象とした新たな経営安定対策と、こう言っておりますし、十九年そして二十年については意欲ある担い手の育成と、こういうふうになっております。  私の地元の農家はこう言っております。おらもうめえ米も作ってるんだし、これからも農業をやりてえと思ってたと。要するに、今後とも農業を続けてやりたいと、おいしい米も作っていると、こういうことなんですけれども、ちょっとこっちの方が分からなかったですかね、そういうふうに言っているわけなんですよ。  このような中で、能力と意欲のある担い手とか、それから大臣所信にあります意欲ある担い手とはどういう農家なのか。農業政策の責任者としての大臣の御見解を伺いたいと思います。
  120. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) もう委員も御承知のとおりでございますけれども、食料・農業農村基本法、平成十一年に成立をいたしました。その基本法の中で、食料の安定供給の確保の重要性にかんがみまして、政策展開に当たっての基本理念として農業の持続的な発展を図るということを明確に位置付けた上で、その理念の具体化に当たっては、この基本法の二十一条でございます、この二十一条の中で、効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの農業経営が農業生産の相当部分を担う望ましい農業構造を確立するために必要な施策を講ずるというふうに基本法の上で規定されているわけであります。  そこで、これを受けまして、平成十七年に閣議決定をいたしました食料・農業農村基本計画におきましては、農業を魅力ある産業として安定的に従事できるものとすると、そういう観点から、農業で他産業並みの所得を上げ得る経営体や、これを目指す経営というものを担い手として位置付けているところでございます。そして、このような経営を目指す意欲とその能力のある担い手の育成確保に積極的に取り組むというふうに位置付けられているところであります。  この意欲と能力のある担い手ということにつきましては、自らの経営を発展させようという意欲や、同時に、他産業並みの所得を確保しようということのための経営能力を備えているというふうに考えておりまして、そういう意味で、まずは自ら計画的に経営改善を図ろうとする者というものとして御承知のとおり認定された認定農業者がございますが、土地利用型農業における地域の実態を踏まえまして、個別経営のほかに集団営農などの一元的な経理を行って法人化の方向を進めようというような集落など、経営主体としての実体を有し、将来も効率的、安定的に農業経営に発展していくということを見込まれるような集落営農組織を位置付けているわけでございます。  もちろん、この担い手以外の農業者についても意欲や能力がないなどと考えているわけではありませんで、そのような人については、その持てる力を農地の保全や多面的機能の維持確保に発揮されて、農業農村の維持、活性化に貢献していただくことを期待しているわけでございまして、集落営農の構成員として参加されるということも大いに期待しているところでございます。
  121. 主濱了

    ○主濱了君 今農業を取り巻く環境は極めて厳しいわけであります。こういう中で、農家というのは、赤字なんですけれども、自分の、要するに兼業であったり、兼業のボーナスなんかもつぎ込んで農業を続けている、一生懸命頑張っている農家であるというふうに私は思っております。まさに、今度こそ、やる気もあるし能力もあると、こう言っていいんじゃないかなと、こういうふうに思います。いわゆるその担い手ですね、担い手だけが能力とか意欲があるとも取れる表現、これは避けるべきであると私は思いますが、いかがでしょうか。
  122. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) いや、担い手だけが意欲や能力があるというふうに言っているつもりはありません。意欲があり、そしてまたそれだけの経営能力を有している、あるいはそれを求めて努力をしているという人たちも含んでいるわけでございまして、そういうような幅広い人の中で、将来を見てこの農業で精進しながら担い手になっていこうという人たちを含めまして、市町村の計画の中ではそれらの人たちも含めて認定をしていくという道も開かれているものと承知いたしております。
  123. 主濱了

    ○主濱了君 それじゃ、次の質問をさせていただきたいんですが、同じような質問ですが、東北農政局が作成したポスターでございます。  この地元紙の報道概要ですが、この東北農政局が作成した「米の作りすぎはもったいない」というポスターについて、三月六日開かれた岩手県議会農林水産常任委員会で、政権与党の県議から、農家の気持ちが分かっていないと批判の声が上がったと。御自身も農家で、農家にすれば生産調整により米を作ることができず、そのまま放置している農地の方がもったいないと指摘と。米価が低下する中、農家が落ち込むようなポスターを作ったことに憤りを感ずると、東北農政局の姿勢を厳しく批判したというふうなことでございます。これは岩手県内に五千枚ほど配布されたと、こういうことでございました。  私は、このことに関する答弁とかそういうふうなものは求めませんが、このポスターの中に様々なことが書いてあります。この様々な方について二つほどお伺いをしたいと思います。  一つは、余っている主食用米から不足している麦・大豆等へ転作し、自給率を向上させましょうと、このような表現がありました。農家にとって、これは先ほど平野達男委員の方からもお話ありましたけれども、農家にとって米から他の作目に変えるというのは本当に大変なことであります。気候の面であるとか、それから技術の面であるとか、大きいのは収入の面ですね、収入の面であるとか、様々解決しなければならない課題があるわけであります。  このようなことを乗り越えて転作を奨励している国として、この転作についていかなる支援を考えておられるのか、まずお伺いしたいと思います。
  124. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 水田において米以外の大豆とか麦とか作るということは、委員がおっしゃるように大変なことだと思います。これは長い歴史を経てこの水田というのは、まさに稲作、米を作るのにふさわしいような基盤の整備、水路の整備も含めまして行ってきたわけですし、また、生産者の側もこの稲作というものの技術というものを伝承しながら非常に高い水準で今日に来ているという意味で、その主食用の米から麦、大豆などに転作をするということは大変な御努力だというふうに思っております。  そういう意味で、この転作のための支援につきましては産地づくり交付金を措置しておりまして、現在の実施期間は十九年度から二十一年度までの三年間としているところでございますけれども、この産地づくり交付金は地域の判断によりまして助成金の使い道あるいは単価をどう設定するかということをそれぞれ地域で決めることができる仕組みになっております。また、十九年度の補正予算措置された地域水田農業活性化緊急対策におきましては、生産調整の拡大を図るために麦、大豆、飼料作物などを作付ける長期契約を締結した農業者に対しては緊急一時金を交付して支援するというふうにしているところでございます。  これらはお互いにそれぞれの地域において緊急一時金と毎年の産地づくり交付金とを一体のものと考えていただきましてこれを適切に組み合わせていくと、また地域内の農業者相互間のそのことによる公平を確保しながら、これをうまく活用していくことができますように地域で論議を進めていただきたいと、このように考えているところでございます。
  125. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  ちょっと質問の予定で出しておらなかったんですが、今大臣言葉にありました産地づくり対策、この産地づくり対策につきましては二十一年限りと、このように今伺ったわけですが、これでは私は農家は納得しないと思います。二十一年で切れるんであれば、その後はどうなるんだと。じゃ、おいそれと転作はできないんじゃないかなと、このように思うんですが、いかがでしょうか。これ、政府参考人で構いません。
  126. 内藤邦男

    政府参考人(内藤邦男君) 委員御指摘のとおり、現在の実施期間は二十一年度までの三年間となっているわけでございますが、二十二年度以降の扱いでございますが、これは生産現場の課題あるいは対策効果を検証しながら、米政策改革の施策方向の検討を併せまして今後十分に議論を進めていくこととしております。いずれにしても、産地づくり交付金が効果的に活用されますように、二十年度における生産調整の着実な実施と麦、大豆、飼料作物の定着につきまして、生産現場と一体となって取り組んでまいりたいと考えております。
  127. 主濱了

    ○主濱了君 もう一点でありますけれども、この産地づくり交付金というのは担い手でなくても対象になるかならないかと、こういう点でございます。もし担い手以外の人が対象にならないとすれば、その人はもう最初から補助金の対象外ですから、もうずっと米を作り続ける、あるいはもうこれは参ったということで耕作放棄しちゃうか、どちらかだというふうに思うわけでありますけれども、この点いかがでしょうか。
  128. 内藤邦男

    政府参考人(内藤邦男君) この産地づくり交付金は生産調整を行った人に対して交付されるというものでございますので、認定農業者であるか否かということは問うておりません。
  129. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  それでは、ポスターの内容の第二に入りたいわけですが、米でも、主食用以外の飼料・輸出等の用途であれば、新たな需要を開拓して増産できますと、このような内容のことが、このとおり書かれております。米でも、主食用以外の飼料・輸出等の用途であれば、新たな需要を開拓して増産できますと、このように表現してあったわけですが、この飼料用米や輸出用米、これに対する支援、どのようなものがあるか、御説明をいただきたいと思います。
  130. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 麦、大豆などの生産に取り組むことは自給率を向上させていくという意味で非常に大事なことだという認識は委員もお分かりいただけることだと思いますが、水田でこれらのものを作るというのはなかなか困難がある、そういう地域、そういう場所もございます。  そういう意味で、飼料用の米などの非主食用の米の生産や輸出に取り組んでいくということもこれまた重要なことであると考えているわけでございまして、そういうことから、非主食用米につきまして、生産調整の取組についてこれまでは用途ごとに細かく定めていた主食にしない米の仕組みというものを見直しまして、分かりやすく一本にまとめまして新規需要米という制度として仕組んでいるわけでございます。この主食にしない非主食用米につきましては、低コストの生産技術の確立に取り組む農家に対しまして、十九年度の補正予算であります地域水田農業活性化緊急対策におきましては、十アール当たり五万円の一時金を交付するというふうにしたところであります。  また、畜産における飼料用米の利用拡大を図るために、飼料用米を利用した畜産物の付加価値化や給与方法のモデル実証などを推進してきたところでありますけれども、二十年度では畜産・酪農緊急対策におきまして更にこのモデル実証を全国的に展開するとともに、飼料用米の運搬、保管に係る経費の支援、あるいは飼料用米の利活用に必要な機械などの整備を推進するというふうにしているところでございます。  また、米の輸出拡大を図るためには、輸出に関心のある人への主要輸出先国の制度の情報でありますとか市場の動向などを提供したり、生産団体の海外における販売促進活動に対する支援をしたり、また日本食の普及の相乗効果をねらった日本産米のPR活動をしたりというような形でこれを実施しているところでございます。
  131. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  それで、次は、品目横断的経営安定対策、これは名称を変えたということでございます。水田・畑作経営所得安定対策と、このように名前が変わったと、変えると、こういうふうなことでございます。これらを通じまして、他産業並みの収入についてまでお伺いをしたいと思います。  端的に伺いますが、この経営所得安定対策の対象、これを現在のまま、一定規模以上の農家だけを担い手として絞り込んだ場合、三十年後とか五十年後日本の農業大丈夫かと、ここからお伺いしたいと思うんです。  今の日本の生産構造を富士山にとらえて、そして例えば九合目辺りで全部切り捨ててしまう、要するに鉛筆のような格好にしてしまう、そういったような中で五十年後の日本の農業を考えられるであろうか。私は、すそ野の中から将来頂上の方の、要するに大規模化してくるような農家もあると思います。こういったようなことが考えられるわけですが、それらを全部切ってしまって、今はいいかもしれない、じゃ五十年後、百年後、日本の農業はそのままやっていけるのかどうか、その辺の想定をお伺いいたしたいと思います。
  132. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 委員は、いわゆる一定規模以上のない農業者、農家は切り捨てるというふうにまずおっしゃられて、そこから議論をスタートさせておられるわけでございますけれども、この対策は土地利用型農業の構造改革を進めていくという視点で、土地利用型農業についての対策ではございます。ございますけれども、その中にありましても、小規模な農家につきましては、一つは、前から申し上げております、集落営農としてまとまった形で対策に参加できるというふうにしていると同時に、農地が少ない場合でも、よくそれぞれの地域でございますが、複合経営などによって相当水準の所得を確保している場合、野菜をやっている、あるいは果樹をやっている、畜産である、花を作っている、そういう人たちが複合経営で小規模ではありますが水田も経営をしていると、これ概してこういう方々は施設型、集約型の農業でありますから規模は小さいということがあるわけでありますが、これらについては、所得の面で一定水準がありますれば、これは特例が設けられております。  また、小規模な農家であっても、様々な形で対象となり得るように措置をしてきているところでございますが、さらに、地域の実態に応じましてきめ細かな運用を図るために、これらの措置に加えまして、地域農業の担い手として周囲からも認められ、そして熱意を持って営農に取り組む者につきましては、本対策への加入の道を開く必要があるという生産現場からの強い要請を踏まえまして、今般、市町村特認制度を創設したところでございまして、そして、そういう人については、これらの加入の道を開いたわけでございます。  このように、本対策は、面積要件など制度の根幹の仕組み自身は維持はしておりますけれども、もう既にあります特例でありますとか新たに設けました特認などによりまして地域の実態に即してきめ細かな運用も図られるようにしているわけでございまして、小規模・高齢農家も含めた地域農業の担い手を確保するという意味で、地域農業の維持発展が図られるような政策ですそ野をしっかりと確保し維持をしていくという効果もあるものと考えておりまして、地域全体で将来の方向性を考えてもらうこれが契機となる役割も期待しているところでございます。
  133. 主濱了

    ○主濱了君 再三にわたって私お話ししておりますが、私は効果的、効率的な農業を否定しているものではありません。決してその集落営農も否定しているものではありません。ただ、平成二十七年の農業展望を見ますと、これ大体四十万前後の経営体、これが中心となった日本の農業を考えていると、こういうことでございます。ただ、そこに至るまでは、やはり政府が、あるいは国として一定の基準を作って、それにのらないものは農業政策の対象にしない、あるいはかつての品目横断的経営安定対策の対象にしないと、こういうことであってはいけないと私は思うんですよ。  よく農家の皆さんに考えていただいて、時間を与えて、その中で納得ずくで規模拡大が図られていく、そういう時間を持つことが必要だというふうに思うわけでありますが、その点についてはいかがでしょうか。
  134. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) お言葉ではございますけれども平成二十七年にこのような姿の農業経営者の、また農村の形を考えているという部分につきまして、家族の農業経営で効率的かつ安定的な農業経営体としては三十三万ないし三十七万経営体を目標にしていると。法人とか集落営農の経営は三万ないし五万、法人経営は一万と、それで集落営農が二万—四万で、そういう意味で法人と集落営農で三万ないし五万でありますが、この中で、実は販売、自給的農業者は四十万ないし七十万ぐらいは存在するだろうということもその想定の中に入れているわけでございます。  その他のいろいろな種々の販売農家が百三十万ないし百四十万という人たちがおりまして、これらが集落営農の組織化だとか法人化だということにかかわっていく、そこで農業を完全にやめてしまうということまで前提にしているわけではないと私は理解をしているわけでございます。  そういう意味で、言わばこの中で主たる農業の主業の経営体として四十万程度のものを念頭に置いている、目標にしていると、こう御理解いただきたいと思います。
  135. 主濱了

    ○主濱了君 それでは、他産業並みの所得についてという点について伺いたいと思いますが、これ、生産農業所得で見ていきたいと思います。  釈迦に説法ということになりますか、この生産農業所得、これは農業所得に産地づくり交付金、あるいは中山間直接支払交付金等の交付金を加えた額、要するにすべての農家の所得であると、こう言って差し支えないと思うんですが、この生産農業所得は、五十年代の前半は大体五兆円台、それから平成六年が五兆一千億、それから平成七年が四兆六千億、五年後の平成十二年、三兆五千五百億、更に五年後の平成十七年が三兆三千億で、平成十八年が三兆二千億と、ここまでずっと低下をしてきているところでございます。  これをどうするかと、こういう問題なんですけれども、他産業並みの所得、いろいろ考えたんですが、これを、この平成十八年の生産農業所得を例えば先ほど数字が出てきましたその四十万経営体で配分すれば約八百万円になりますが、この他産業並みの所得というのはこういったような考え方なのかどうか、これについてお伺いをしたいと思います。
  136. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 他産業の従事者と均衡のある所得という場合には、生涯所得を実は前提にいたしております。他産業の、一般的には自営業を除きまして定年というものがございます。六十歳前後でありましょう。そして、そういう方々は定年によって他産業従事の所得がなくなるわけでございますが、農業の場合は定年がございません。もう委員も御承知のとおり、六十、七十、七十代も健康である限り、かなり立派な農業を営んでいるわけでございます。そういう、先ほども申し上げました今年の農業賞の受賞者も六十代でございます。そういう意味で、生涯所得の均衡ということを考えて設けられている概念だというふうにまず御認識をいただきたいと思います。  あわせて、その際に、我々は十年先を目標にしまして、効率的、安定的な農業経営というものを、四十万経営体ということを想定をしたわけでございますが、その際に、農業経営の展望というものを例示的に示しております。  この農業経営の展望におきましては、代表的な経営形態ごとに策定時におきます直近の農産物価格農業資材価格水準に基づきまして今後の新品種、新技術の開発、農用地の利用集積の成果といったようなものを反映をさせた上で、経営規模や主たる農業従事者一人当たりの農業所得等を示しておりまして、例えば米、麦、大豆の水田作につきましては、家族経営で十五ないし二十五ヘクタールの規模で、水田作専業でありますと年間所得が七百万ないし七百五十万、露地の野菜作について言いますと、家族経営で五ないし七・五ヘクタールの規模でやりますと、年間の所得が六百五十万から七百万といったように定めて例示をしているところでございますが。  いずれにしても、このような一定水準の所得を確保し得る担い手の育成に向けまして、現在、委員がお話しになりました経営所得安定対策を実施などの施策を展開しているところでありますけれども、当然のことながら、それ以上の、その水準以上の所得が確保できるということは更なる農業の発展につながり望ましいものでありまして、そのような経営を目指す者に対する支援も更に積極的に視野に入れていくというふうに考えているところでございます。
  137. 主濱了

    ○主濱了君 確かに、食料・農業農村基本計画の後ろの方に今の資料が付いていたのは知っております。ただ、これはあくまで代表的な例と言っていいと思うんですよ。やはり、平均的なところでお話をしないとやっぱり農政というのは成り立たないのではないかなと、こういうふうに思います。平均的にどうなんだと、平均的にこれを満たすんだと、それが農政の目指すべきところではないかなと私はまずは思います。  その上で、今後、農家の農業所得向上のために、この生産農業所得、これは低下傾向にあるわけですけれども、これを何らかの下支えをするのか否か、今のままで本当に農業生産所得が上がってくるのかどうか、今後どのような方法で、どのような手段を講じて、どのような、どの程度の所得を確保しようとしているのか、この点についてしっかりお示しをいただきたいと思います。
  138. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) そういう経営をどのようにしてつくり上げていくのか、それに、そのつくり上げていくことに対してどのような形で経営安定対策など、技術支援などを展開していくのかということだと思います。  これなかなか、ここで言う農業、他産業従事者と遜色のない生涯所得を確保するようなそういう経営というのは、経営の類型によって様々でございます。そういう経営を念頭に置きながら、各種経営安定対策を推進しながら担い手の育成のために金融政策、技術政策その他をいたすわけでございますけれども、水田経営につきましては、産地づくり交付金を活用した地域の特色のある水田農業を展開すると。野菜、果樹、畜産などについては、新鮮でおいしいという、そういう強みを生かした営農を展開していくといったような多様な農業者の創意工夫を生かした取組を支援する政策をそれぞれの実態に応じて展開するというふうに申し上げるところでございます。  それは、北海道から沖縄まで、地域における、置かれた農業の諸条件というのは違いますから、その地域の特色の中でそれぞれが創意工夫を凝らしながら経営の目標というのを定めていく、そういう経営者に対して積極的な支援をしていくということであろうかと思うのでございます。
  139. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。  終わります。
  140. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十四分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  141. 郡司彰

    委員長郡司彰君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林水産に関する調査のうち、平成二十年度の農林水産行政基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  142. 加治屋義人

    加治屋義人君 自由民主党の加治屋でございます。  我が国の農林水産業は、午前中の質疑でもありましたように、大変未曾有の状況にあるのではないかと、そういうふうに感じております。そうした中にあって、若林大臣、そして岩永大臣、澤政務官の大変な御苦労とそして種々の御努力に対して心から敬意を表する次第であります。水田・畑作経営所得安定対策の改善、あるいは十九年産米の過剰生産による価格下落、あるいは飼料高騰による畜産経営の不振、水産業の燃費の対策、あるいは森林の間伐等々の、国家の責務としてしっかり取り組んでいただいていることに、生産者も私どもも高く評価をさせていただいております。  質問に先立って、国会論議の在り方について少し意見を述べさせていただきます。  昨年夏の参議院選挙以来、参議院の勢力が逆転をしていわゆる衆参ねじれ国会が現出しております。そのため、多くの政治テーマで意見の対立が起こり、決議に手間取るようになりました。当委員会のことを言っているのではありません。そして、御承知のとおり、国会を空転させている有様であります。  その昔、太平洋戦争のときに、我が国の陸軍と海軍が、お互いの権力、お互いの立場を主張するだけで、連係プレーができずに敗戦を迎えたと言われております。結局、行き着くところは何だったかといいますと、その犠牲はすべて国民であったと思っております。今、その歴史を繰り返してはならない、そういうふうに思えてならないのであります。そこには私があって公がなく、党利党略があって国政がない、大変悲しむべき事態だと思っております。  年金問題、イージス艦など不祥事が起こると、責任追及などですぐ国会が混乱をする。不祥事の解明はしなければなりませんけれども、そのために本来の審議が停滞したりストップすることはいかがなものかと思えてならないのであります。私は、不祥事の追及をしながら、同時に本来の審議も並行して粛々と進めることが国会のあるべき姿であり、そのことが私ども国会議員の責務だと思います。  今、年度予算や日切れ法案など待ったなしの重要案件がひしめいている中で、日銀総裁人事をめぐる混乱が国民をあきれさせているのであります。最近、有権者から電話や手紙で、参議院もっとしっかりしろよ、参議院は本当に必要なのかね、そういう声が聞かれます。国民のそういった気持ちも私はよく分かります。私は、こんなときだからこそ、議会制民主主義の原点に立ち返って、参議院がしっかりと議論することで混乱を解消し、国会正常化を果たすべきだと考えますが、これについて大臣として、また大臣は参議院でもございますので、所感をお願い申し上げたいと思います。
  143. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 御承知のように、一月三十日の衆参両院議長のあっせんにもありますように、徹底した国会の審議を行うということは、議会として、また議会人としての務めであると思います。参議院がしっかりとした審議を行うことは極めて重要であると考えております。  幸い、私の所信に対する質疑が真剣に行われているところでございます。委員長始め各与野党委員の皆さん方の御理解の下に、農林水産委員会における真剣な審議が続けていただいていることに敬意を表しながら、私もしっかりとした答弁をしなければならない、そのように心に決しているところでございます。
  144. 加治屋義人

    加治屋義人君 我が国のこの二院制の中で参議院の役割、責務というものを、今、私ども国会議員自らがしっかり考えてみるときなんだろうと、そういうふうに思っております。  数ある政治課題の中で、教育、環境、そして農業などはじっくりと取り組むべき問題であって、解散で任期を左右されない参議院が担当するのに適しているというのが私の考えであります。  農業問題を食料問題としてとらえた場合、今、我が国の食料については質と量の両面で危機的な状況に直面をしております。釈迦に説法でありますけれども、毒入りギョーザで象徴される中国産食品への不信感、BSEや鳥インフルエンザの究明、遺伝子組換え食品の安全性、バイオ燃料化による穀物の品不足と価格の高騰、国際関係、紛争などによる輸入ストップの危機、地球温暖化による異常気象と世界的凶作、こうした不安要素を抱えながら我が国の食料自給率三九%の現状を考えるときに、本当に背筋が寒くなる思いがいたします。  大臣、山のお猿さんというのは群れを成して生活をしておりまして、そこにはボス猿が存在しております。ボス猿の役割というのは二つありまして、一つは外敵から群れをしっかり守ることが一つあります。もう一つはえさを群れの仲間に与えるという、食料を与える、飢えさせないという役割を担っているわけでして、我が国に置き換えますと、まさに若林大臣はボス猿的な存在でそういう責任を負っておられると、そういうふうに思っております。  質問でありますが、日本民族の食料を質、量ともにどう確保されていかれようとするのか、大臣のお考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  145. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 国民に対しまして食料を安定的に供給をする、国民に食料の不安を与えないようにするというのは国家の責任であるというふうに受け止めているところでございます。  食料・農業農村基本法におきましても、そのような意味で、国民に対し将来にわたって良質な食料を合理的な価格で安定的に供給するということ、またその際に、国内の農業生産の増大を図っていくことを基本とするというふうに定められているわけでございます。  こういう考え方を踏まえまして、食料の安定供給を将来にわたって確保するために食料の自給率の向上を図っていくことは極めて重要な課題でございます。平成十七年三月に策定されました食料・農業農村基本計画では、消費面及び生産面での課題を示しながらも、平成二十七年度の目標を四五%というふうに設定しているところでございます。この目標の達成に向けまして、これまでの取組を点検、検証しながら施策の推進に最大限の努力を払っていくということで努めているところでございますが、特に自給率に影響の大きい米、飼料作物、油脂、そして野菜の重点品目につきましては、集中的に消費生産の両面での取組を強化してまいりたいと思います。  具体的な取組としては、米については、米粉の利用の推進を含みます米の何といっても消費の拡大を図ること。えさにつきまして、飼料の自給率の向上を図ること。油脂類につきましては、どうしてもここのところ過剰摂取でございます。油脂類の過剰摂取の抑制を進めること。加工・業務用需要に対応した野菜の生産の拡大と同時に供給システム、特に業務用を中心として輸入に依存してきておりますので、それらの業務用需要に対しましても野菜類の供給のシステムというものをしっかりつくり上げていくこと。そして、しばしば議論されておりますが、何といっても日本型食生活を進めるために食育を一層推進すること。そして、そのために国民運動を展開をする、そういう戦略的広報の推進を図るということ。  この六つの取組を中心にいたしまして、消費者、生産者そして食品産業従事者などの関係者との連携を図りながら施策を着実に推進してまいりたいと、このように考えております。
  146. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございました。  やはり何といっても、私はかねて思っているんですけれども生産者の自助努力がまず大切だと。そういう意味では、この生産者の皆様方がしっかり自助努力ができるようにその舞台づくりをしていくのが国の責任なんだろうと、そういうように思っておりますので、しっかり取り組んでいただいて自給率の向上に努めていただきたいと、そういうふうに思います。  今年の七月に開催される洞爺湖サミットについて、自然と環境という立場でお伺いをしたいと思います。  地球温暖化問題への対応が最も重要な課題の一つと考えております。このため、二酸化炭素を吸収する森林にかかわる諸課題への取組を含め、農林水産業を環境に優しく持続的、循環的な産業へ更に誘導をしていくことが必要だと考えております。  北海道洞爺湖サミットに向けてどのように対応していかれるのか、その取組等について大臣のお考えをお聞かせください。
  147. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 農林水産業は、委員もそのようにお考えのとおりでございますが、自然の循環機能というものを利用しながら営まれる活動、産業でございます。したがって、持続可能な農林水産業を推進すること、これが地球温暖化を始めとした環境問題に適切に対応をしていくことになっていくと思うのでございます。  農林水産省としても、本年七月に開催される北海道洞爺湖サミットに向けまして、農林水産分野における資源・環境対策に積極的に取り組んでまいるつもりでございます。特に、食料や飼料の安定供給に配慮しながら国産バイオ燃料の大幅な生産拡大に向けたバイオマス利活用の加速化、森林吸収源対策を始めとした温暖化防止策・適合策、そして国際協力を柱とする地球温暖化対策を加速すること、田園地域、森林、海洋を保全しまして生物多様性を重視する農林水産業の推進ということにつきまして、関係府省とも連携を図りながらイニシアチブを発揮して省を挙げてこれに取り組んでまいりたいと、このように考えております。
  148. 加治屋義人

    加治屋義人君 是非、我が国が世界のリーダーとしての役割をしっかり果たしていただきますように御期待をしております。  京都議定書における森林吸収目標の達成に向けて、温暖化防止に重要な役割を果たしている我が国の森林問題についてお伺いしたいと思います。  京都議定書に基づく我が国の削減目標、六%であります。その中の三・八%に相当する千三百万炭素トンの森林吸収量を確保することが不可欠であると言われております。このため、森林整備について補正予算も活用をしつつ必要な財源を確保して、また美しい森林づくり推進国民運動を行い、国民的機運も高めながら進めていただいているところでありますが、今年からこの京都議定書第一約束期間が始まったところでありますので、森林吸収目標の達成に向けた、改めて大臣のお考え方を、決意をお聞かせいただきたいと思います。
  149. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 本年から京都議定書第一約束期間が始まるわけでございますが、これに加えまして、我が国が議長国となって洞爺湖サミットにおきまして地球温暖化対策を講じていくことが主要な議題になると見込まれているところでございます。  私、農林水産大臣の前には環境大臣として美しい星50の策定とか、あるいはまた環境立国戦略の企画立案とか、そういうことにかかわっていたわけでございますが、京都議定書の目標を達成するには、六%の削減約束のうち森林吸収量が千三百万炭素トン、三・八%を占めるということでございますので、これに一層努力することが不可欠でございます。  このために、平成二十年度におきましては、平成十九年度補正と合わせまして総額五百四十六億円の追加的な予算を計上をしまして、目標とする毎年五十五万ヘクタールの間伐を推進することとしているところでございます。また、追加的な間伐等を地方債の対象とすることなどを内容とする新たな法案を今国会に提出させていただいたところでございます。さらに、平成十九年二月から、政府一体となって、間伐の遅れの解消などを目標としまして展開しております美しい森林づくり推進国民運動、これを積極的に進めているところでありまして、今後とも国民各層の理解と協力を得ながら森林吸収目標の達成に向けて全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
  150. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございました。  この森林整備を進める中で、特に心しなければならないのが今お話ありました間伐の推進、その中で特にこの担い手対策であろうと思っております。農林水産省は、今国会に今お話ありました間伐等を促進するための新たな法案を提出をされておられます。国として間伐を推進するために、財源面では国の予算を確保しているわけでありますけれども、次の段階として、厳しい状況となっている地方公共団体の財政負担、ここが大変問題でありまして、今度の法律は少しでもこの地方の公共団体の負担を軽減しようよ、こういう内容であるようであります。  私もこのような政策は極めて大事だと考えておりますが、実際に間伐を実行するのは森林組合とか地域の事業体の方々であります。ところが、現状を見てみますと、なかなか厳しい状況にあって、私はこの担い手の、作業をする人のことが一番心配でなりません。そういう意味で、この担い手に対する大臣のお考え方を、特に心していただきたいことも含めてお願いを申し上げたいと思います。
  151. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 委員がただいま御指摘ございましたように、何といっても、現場で間伐を進めていくためには、森林組合、つまり森林、林地所有者の組織であります森林組合と、同時にまた素材を生産する事業者、これがしっかりと機能しなければ間伐は進まないわけでございます。  ところが、我が国の民有林について見ますと、森林の所有の構造というのは御承知のように小規模分散的でございます。したがって、間伐を効率的に着実に推進するためには、森林施業を集約して効率的に実施するために森林組合などの林業事業体の果たす役割というのは非常に大きいわけでございます。  私は、先週の金曜日に群馬県の神流町というところに出掛けてきました。これはもう大変な奥山でございましたが、そこで、この民有林、神流町の神流川森林組合、大変、組合長始め経営感覚に優れ積極的な取組をしておられますが、いろいろお聞きしますと、非常に苦労するのはやはり、平均四、五ヘクタールだそうですが、この所有者をどうやってまとめていくか、まとめて施業しないと間伐の効率が上がらない。したがって、収支からいいますと所有者の負担になってしまうわけでありますから、所有者の同意を取り付けるというのに非常に苦労しているというお話と、これからはやはり施業の機械化、近代化、高度化を図っていかなきゃいけない。それにはやはり、それらの施業がしやすくなるような路網の整備というものと併せて人づくりが大事だということをしきりと強調をしておられたわけでございます。  その意味で、今お話しの担い手の問題として言えば、緑の雇用によります新規就業者の確保というのは大きな役割を果たしております。私は、お昼の時間に、七人の緑の雇用で作業をしてもらっている若い世代の人たちと一緒に食事をしながら、皆さん方の動機だとかあるいは今作業に従事している皆さん方の悩みだとかこれからの要望だとか、そういうようなことを伺ってきたところでございますが、この緑の雇用の促進事業を非常に有効に活用しながら森林組合が力を入れて担い手を育てているという現場を訪ねて感銘を受けたところでございます。  平成二十年度の予算案におきましても、緑の雇用を拡充をしまして、低コスト作業システムによる作業だとか施業プランの提案等に関します研修を対象に追加するなどの対策の強化を図っているところであります。今後とも、間伐の着実な実施のためには森林組合など林業の担い手の育成に努めてまいる考え方でございます。
  152. 加治屋義人

    加治屋義人君 大臣、大変山の方に詳しくて、感心をしておりました。是非、これからも良き御指導をいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  林野庁長官に二点ほどお伺いをいたします。  一つは、木質バイオマスの利用促進についてであります。  現在、伐採跡地には未利用の林地残材が大量にあると聞いておりまして、今後、間伐がどんどんどんどん進んでいくとすれば、これは更に増えるものと懸念をされております。しかし、これが木質バイオマスとして燃料やプラスチック原料などに有効に利用できるとすれば、化石燃料への依存を減らし、温暖化防止等に寄与することはもちろん、山村地域の活性化や雇用の確保に役立つものと考えております。  そこで、林地残材など木質バイオマスの利用拡大に今どのように取り組まれようとしているのか、長官の御意見をお伺いしたいと思います。
  153. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 今、バイオマス、特に木質バイオマスの利用拡大についてのお尋ねでございますが、御承知のように、バイオマスの利活用というのは、地球温暖化の防止でありますとか循環型社会の形成といったことだけでなく、地域の活性化や雇用の確保にもつながっていくものでございます。これは、政府全体といたしましてはバイオマス・ニッポン総合戦略というものを出しておりまして、バイオエタノールなどのバイオ燃料の利用促進、あるいは地域に賦存する様々なバイオマスを総合的に利活用するバイオマスタウンの構築など、バイオマスの利活用の推進を図っております。  こうした中で、木質バイオマスにつきましては、今委員から御指摘がありましたように、製材工場から出る残廃材とか建設発生木材といったものについては相当程度利活用がなされるようになっておりますが、林地残材については現在ほとんど利用されておらず、その利用促進が喫緊の課題でございます。  このため、従来から、この林地残材などを直接燃料とする発電施設ですとかペレットの製造施設の整備など、既に確立された技術の利用等の取組を支援をいたしておりますが、平成二十年度におきましては、更にこれに加えまして、伐採搬出に係るコストが高いために利用が進んでいない林地残材の利用を促進するため、民間企業などから提案されております低コスト化につながる取組を実践をいたしまして、間伐を促進しつつ木質バイオマスを安定的に供給するモデルをつくっていくと。さらには、先進的な技術を活用いたしまして、木質系からのバイオ燃料等のエネルギー利用やマテリアル利用を効率的に低コストでできるようなシステムと新しい製造システムの構築に取り組んでいく考えでございます。  今、ほとんど資源として利用されていない未利用資源でございますので、これの利活用が図られれば山村、林業にとっても大きな福音になると考えておりまして、これについては全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
  154. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございました。この木質バイオマスだけでなくして、農林漁業有機物資源を原材料として総合的に利用できるように、そういう御努力をいただければ大変有り難いと思っております。  二点目は、公的な森林整備についてであります。  森林は、地球温暖化防止だけでなくて、土砂災害や水害から国民の生活を守るという国土保全機能など、様々な機能を有しております。現在、民間だけではなかなか対応できない奥地水源地域等の保安林の整備については水源林造成事業があって、緑資源機構の廃止後も適切に実施をしていくとお聞きをいたしております。  このように、緑資源機構や国有林などの公的セクターによる森林整備、この保全が進められることが重要でありまして、地域の実情を踏まえながら民有林、国有林が連携して対応していくべきと考えておりますけれども、この点について林野庁長官、どうお考えでございますか。
  155. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) ただいま委員から御指摘のございました民有林における森林整備でございますが、原則的には森林所有者、森林組合等による整備が基本となりますが、しかしながら、これによっては適切な整備が進まないという場合も多々ございます。その場合には、立地条件などに応じまして、森林の保全という点では都道府県による治山事業を実施するとか、整備という点では今御指摘のありました、従来、緑資源機構によりまして水源林造成事業等を行ってきております。水源林造成事業については、今般の緑資源機構の廃止に伴いまして森林総合研究所に承継していただくつもりでございますが、この場において引き続き従来どおり事業は実施していきたいと考えております。  また、国有林野事業におきましても、国有林野内の整備はもちろんでございますが、目の前に民有林におきまして大規模な崩壊地があるというようなことによれば、国直轄によって直轄治山事業でこれを修復するとか、あるいは流域全体の保全の観点から、近接した民有林と国有林が一体となって治山事業を行うような取組もいたしております。  また、森林整備という面でも、同一の流域内に、市町村等と協定を締結しまして、民有林と国有林とが連携をしまして効率的な森林整備を進める、具体的には民有林と国有林を出たり入ったりする路網なども整備しまして効率的に整備をしていくというようなことも進めているところでございます。  今後とも、こういった取組を通じまして、国土の保全を始めとする森林の有する公益的機能が十分に発揮されるよう、公的セクターとしてもしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
  156. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございました。  これは、緑資源機構の法案も出ておりますので、またその機会に審議できるかと思っております。  シイタケ等にかかわる輸入品の判別について、岩永大臣にお尋ねをしたいと思います。  国産の干しシイタケの市況が昨年後半からキロ五千円を超える価格を推移しておりまして、産地の生産者にとっては大変明るい兆しが見えてきております。今後しっかり国内生産を進めていただくのはもちろんのことでありますけれども、輸入品が国産と偽って販売されないかが生産者の皆様方が一番心配をされているところであります。当然JAS法などで取り締まることはもちろんでありますけれども、シイタケに限らず野菜なども含めて、国産品か輸入品かどうかを、産地をはっきりと判別できる新たな技術開発を国としてきちんと行っていくべきであると、そういうふうに思っておりまして、この点について岩永大臣の御意見いただきたいと思います。
  157. 岩永浩美

    ○副大臣岩永浩美君) 農林水産物の産地判別技術について、海外からの輸入農林水産物が大変増加している中で、特に偽装表示の防止に有効な技術としてその重要性が大変高まっていることは議員の御指摘のとおりでございます。  これまで農林水産省では、技術開発独立行政法人等を中心に産地判別技術の開発に取り組んできております。例えば、原産地の土壌の違いによってその農産物中に含まれる微量元素組成が異なることを利用して判別する技術を開発して、マニュアル化して判別に利用をされております。これまでにネギ、黒大豆などの判別技術が開発をされ、既にマニュアル化もされております。現在はカボチャ等の判別技術の開発に取り組んでいるところであります。今後とも、特に輸入品と競合する品目やブランド化されている品目を中心として積極的に取り組んでまいりたいと思います。  なお、今議員より御指摘をいただいた干しシイタケについては、国産シイタケのほぼすべてが原木栽培であるのに対して、主な輸入先である中国での栽培方法は菌床栽培が中心であることから、原産地と栽培法の違いを考慮した微量元素組成の違いによる産地判別方法が開発をされて、判別に利用されているところでございます。
  158. 加治屋義人

    加治屋義人君 ありがとうございました。  中国からの輸入が制限されている今、先ほども申し上げましたとおり大変価格が上がっておりまして、生産者が生産の拡大を今取り組みつつあるところであります。そういう意味を含めて、この体制をしっかり取っていただきますようにお願いを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  159. 市川一朗

    ○市川一朗君 自由民主党の市川一朗でございます。  引き続き質問を続けますが、若林大臣は三月十八日の所信表明におきましてこのようなことを述べておられます。昨今、途上国の経済発展に伴う食料需要の大幅な増加、バイオ燃料需要の増加や地球温暖化による農業生産への悪影響など、食料をめぐる世界情勢に大きな変化が見られますと、そして、将来にわたり食料を安定的に供給するための施策を積極的に展開してまいりますというふうに述べておられまして、私も基本的認識は若林大臣と全く同じにするものでございます。  非常に、午前中も議論ありましたように、暗いテーマも多いんですが、ある意味ではチャンスであると、一つの大きなチャンスが巡ってきているのではないかというとらまえ方もできると思いますので、是非この問題、積極的に展開していただきたいと思うわけでございますが、今日はその辺をめぐる少し細かな周辺についていろいろと御質問してみたいと思います。  まず、食料をめぐる世界情勢の大きな変化の象徴的な出来事の一つが穀物価格の急激な急騰が挙げられると思うわけでございますが、トウモロコシ、小麦、大豆それぞれについて、価格の高騰の実態とその理由を政府はどのように分析しておられるのかお尋ねしたいと思いますが、何か、事前に質問通告しましたところ、一斉に上がっているのでなかなか個別の分析は難しいというお話もありましたが、私は私なりに勉強している限りにおいて、それぞれ違うんですよね。どの程度専門的にやっているかというテストも含めて質問したいと思います。
  160. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) お答え申し上げます。  トウモロコシ、小麦、大豆の国際価格でございますが、一昨年秋ごろより高騰いたしまして、本年二月には小麦が、また三月にはトウモロコシと大豆が共に史上最高値を更新しておりまして、現在の価格を一昨年秋ごろの価格と比較いたしますと、小麦は二・六倍、トウモロコシは二・三倍、大豆は二・二倍と、もう近年にない高値となっているところでございます。  こうした高騰の理由を品目ごとにということでございますので、分析いたしましたところ、トウモロコシにつきましては、米国のバイオエタノールの原料としての需要や世界的な飼料用需要の増大、小麦につきましては、豪州の二年連続の干ばつや欧州の天候不順による減産、三番目の大豆でございますが、中国需要の増大や米国のトウモロコシへの作付け転換による減産、こういった要因が挙げられるのではないかと考えているところでございます。
  161. 市川一朗

    ○市川一朗君 例えば、干ばつが理由で生産が落ち込んで、その結果として需給バランスが崩れて価格が上がったということだとすると、それは干ばつが収まれば復活するかもしれないとか、そういった問題があるわけですが、一例として最初に挙げられたトウモロコシについて考えてみますと、バイオエタノールに使うということがかなり最近の大きな、顕著であるということのようですから、これは簡単には収まらないかもしれませんよね、この問題は。だから、価格が上がるのが止まるかどうかというより、むしろ上がり続けるかもしれないというような非常に厳しい状況も想定されるのではないかと思うわけですね。  私があえて申し上げるまでもないわけでございますが、今回、酪農・畜産業界、もう悲鳴を上げましたね。この間のこの委員会でもいろいろ議論されておりますが、そういったところで政府としては緊急対策を打っていただいたわけでございますが、それはまあ言わば急場のしのぎみたいなものだと私は思うんですけれども。  やっぱり今後のことを考えますと、相当この問題は深刻に受け止めなきゃならないと。と同時に、一つの別な角度からいえばチャンスでもあると。今までの農業の在り方を変えるチャンスになるかもしれないというような問題意識を私は持っておるわけなんですけれども、その辺のところを少し探りを入れて勉強をしてみたいと思うんですが。  私が知る限りでは、我が国が輸入している飼料穀物は年間約二千四百万トン。米の消費が八百万トンですから、何とその三倍以上のものを輸入しているわけですね。それで、トウモロコシはその半分なはずなんですね。だから、千二百万トンのトウモロコシを日本は輸入して、それを飼料として使っているということになるのではないかなと思うんですが、その辺、もし違っていたら違っていたということでよろしいんですけれども。  そこで、さっき私は一つのチャンスではないかということを申し上げているわけでございますが、例えばですよ、仮の計算なんですが、米の消費量と同じ程度のという、まあヒントとして約八百万トンと。それは、たまたま日本が輸入している飼料穀物でいくとその三分の一、それからトウモロコシでいえば千二百万トンのうちの八百万トンですから、なかなか面白い数字じゃないかと思うんですが。その八百万トンを飼料として生産するとすると、約百万ヘクタールの農地が必要ではないかという計算になるんですよね。その辺がどうかなということはありますが。  私、是非ここで確認したいのは、今我々は食料自給率の問題、非常に深刻な状況であるというふうに受け止めておりますが、しかしカロリー計算でいきますと、肉の場合、国産の牛を食べ、国産の豚を食べ、いろいろ全部国産でやっても、鳥もね、飼料が輸入だと自給率限りなくゼロになるわけでしょう。だから、二千四百万トンのうちの三分の一の八百万トンの飼料穀物を国産化することに成功したら自給率はどれぐらい上がるのかなと。これはちょっと残念ながら私計算できないんですね。この委員会の場でお答えいただきたいと思います。
  162. 内藤邦男

    政府参考人(内藤邦男君) お答え申し上げます。  まず飼料でございますけれども、我々は通常、飼料につきましてはTDN、可消化養分総量ということで換算して計算させていただいております。この十八年度の我が国の飼料需要量は、このTDNベースでいきますと約二千五百万TDNトンでございます。このうち約六百二十万TDNトンを国内産飼料で賄っております。この結果、飼料自給率は約二五%ということになります。  御質問のあった年間八百万トンの飼料穀物を飼料用米により国産化できたとした場合、当然この場合、農地や水の確保といった問題あるわけでございますけれども、これが確保できたとした場合でございますけれども、穀物のTDN率を玄米並みの約八〇%と仮定して試算いたしますと国内産の濃厚飼料供給量は約六百四十万TDNトン、八百万トンが約六百四十万TDNトン増加ということになります。  この増加分がすべて飼料穀物の輸入量と置き換わるというふうに仮定いたしますと、飼料自給率は二五ポイント増加しまして五〇%程度になります。この結果、食料自給率でございますけれども、飼料自給率が二五ポイント増加し、食料自給率の方は二・六ポイント、約十分の一でございますが、約二・六ポイント程度増加すると見込まれます。  以上でございます。
  163. 市川一朗

    ○市川一朗君 やっぱりそんなに上がらないんですね。僕はもっと上がるんじゃないかなと思ったんですが、どうも計算してどうなるのかなと分からなかったのでちょっと今日は聞いてみたんですが。  大臣、そういうことで、だから数字の上では、今四割の自給率を上げるというときに、目標を四五にして、これがもっと、私、これだけでもう五ポイントぐらい上がるんじゃないかなと思って実は質問に立ったわけなんですが、やっぱりそう簡単な話じゃないなということは今改めて実感したわけでございますが。  しかし、やはり大臣も所信表明で言っておられますように、今回のこの世界情勢の大きな変化を踏まえて、やっぱり飼料作物の国産化ということに政策を大幅にシフトした方がいいんじゃないかなと私は思うんでございますが、大臣はベテラン中のベテランでございますし、市川君、そう言ったって過去にこういう例があるだろう、こういう例があるだろうと言われるかもしれませんが、なるべく余りそういうことなしに、大臣としての決意で、飼料穀物の国産化ということに思い切って政策をシフトすると。  百万ヘクタールの農地といいますと、大体耕作放棄地が大ざっぱに言って四十万ヘクタールです、弱ですけれども。日本の耕作面積は約四百万ヘクタールですから約一割が耕作放棄地で、そのうちどれぐらい転換できるか分かりません。それと、新しい生産調整としての参入もあると思いますし、いろいろ計算しても私の計算では一〇〇にはなかなか到達しないんですが、しかしやはりこれは政策としてきちっと取り組む、そしてそれが農家にとって、農村にとって非常に将来展望の明るいものであるとするならば、また事態は開けてくるというふうに思うわけでございます。  その辺についての大臣の御見解を改めてお聞きしたいと思います。
  164. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) カロリーベースでの食料自給率をしっかり上げていくと、目標の四五%に達するように上げるということのためには、何といっても一つは米の消費拡大だと思います。これはただ粒としての米を食べるというだけではなくて、米加工品の新たな商品開発、その需要の増進ということを図って、米自身の消費の減退を食い止めるということがまず第一に図らなきゃいけないと思っておりますが、生産面でいえば、まさに委員が御指摘になられましたように、えさ用の穀物の輸入を少なくしていくということであると私も考えるわけでございます。  その場合に焦点になりますのはトウモロコシでございますが、もう委員も十分御承知のとおり、トウモロコシというのはどうも我が国の風土に合わないと、雨が多いといったような気象条件などのために不向きですから、やはり水田を活用した飼料用の米、これはちょうどまたすぐ御説明いたしますけれども、そういう米も飼料用に利用していくということ、大事なことだと思いますが、同時に穀物に、穀類に代替するための高栄養の粗飼料、稲全体を無駄なく利用できるような稲のホールクロップサイレージだとか青刈り、トウモロコシも実取りじゃなくて青刈りであればかなりえさとして高栄養のものが確保できますので、青刈りトウモロコシといったようなものを生産拡大していくということが大きな課題であると考えております。  しかし、そのような努力をしながらも、飼料用の米につきましてはやはり将来を展望して取り組んでいかなきゃいけないと私は考えておりまして、委員の御努力もございました十九年度の補正予算、この補正予算で、主食用の米の需給バランスを図りながらも、米の生産調整の一環として低コスト生産技術を確立し定着を進めるということで、二十年度の畜産・酪農緊急対策においても、畜産での利用拡大を図るために、飼料用の米を利用した畜産物の付加価値化でありますとか給与方法のモデル実証を拡大しまして、このモデル実証を全国的に展開をしてみようということでございます。こうした対策によりまして、飼料用の米、また稲のホールクロップサイレージや青刈りトウモロコシなどの生産、利用の拡大を推進をすることによりまして、飼料用のトウモロコシ、穀物としてのトウモロコシの輸入に代替するような、そういう役割を期待をしていかなきゃいけない、このように考えているところでございます。
  165. 市川一朗

    ○市川一朗君 私も、前に質問に立ったときに、平野さんといろいろ議論をした記憶があるんですが、東北の稲作地帯が選挙区でございます、出身でございますので、今回の措置の中で、飼料用米をしっかり位置付けていただいたと。いわゆる新規需要米として、燃料用も含めて、生産調整、転作の対象にしてもらったということは、地元ではそれなり評価を受けていると思っております。  実際、これから取り組むわけですから、展開していかなきゃいけないわけでございますが、今の大臣のお話、非常にしっかり受け止めました。どうぞよろしくお願いしたいと思います。  それで、今の米の問題でも燃料用米ということを申し上げましたけれども、先ほど加治屋先生が木質バイオマスの問題を取り上げましたので、ちょっと私もその辺の問題で一つ質問したいと思いますけれども、今回の穀物価格の高騰の大きな原因として、先ほども触れましたように、トウモロコシの燃料への転換とか、そういった問題があるわけでございますが、資源の乏しい我が国では国内各地に広く薄く存在しているものとして、稲わらとか、それから先ほど加治屋先生取り上げられました間伐材があるわけでございまして、それをバイオマスとして有効に活用するということとか、それから今申し上げました米を中心としてバイオ燃料向けの作物を生産させる、それを軌道に乗せるということは、やっぱりこれは明るいテーマなんじゃないかと。もしこれが成功すれば、それはそのまま農山漁村の活性化にストレートに直結すると私は思います。  先ほど大臣のお話の中にも若干触れてはおられますけれども、改めて、これからの新しい大事なテーマであるバイオ燃料問題にどういうふうに取り組む御所存であるのか、若林大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  166. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) バイオマスの利活用によりますバイオ燃料の生産の振興でございます。  これは、地球温暖化の防止に役立つだけではなくて、やはりお話しございましたように、地域の素材を活用して、それで地域で産業を興すという意味での地域の活性化にもつながっていくものというふうに位置付けておりまして、従来の食料などの生産の枠を超えて農林水産業の新たな領域を開くという意味で、このことに注目をしているところでございます。  昨年の二月に取りまとめました国産バイオ燃料の大幅な生産拡大に向けた工程表というものを農林省作成をいたしました。農林省としては、二十三年度においては五万キロリットルの生産目標を掲げておりまして、その五万キロリットルに向けまして、本年度からは北海道で二地区、新潟県に一地区、バイオエタノールの本格的導入に向けた大規模の実証事業を開始したところでございます。  また、生産拡大を図るために、二十年度予算におきましては、食料供給と競合しない、委員が御指摘の稲わらでありますとか間伐材などの未利用のバイオマスを有効に活用した言わば日本型のバイオ燃料の生産拡大策というものを新たに開始をするとともに、平成二十年度の税制改正におきましても、バイオエタノールの混合ガソリンに係るガソリン税の軽減措置を講ずると。また、バイオ燃料の製造設備について固定資産税の軽減措置というものも創設をするということを予定をしているわけでございます。  これらの取組を進めていくためにはバイオ燃料の低コストかつ安定した供給が不可欠でありますので、農林漁業者とバイオ燃料製造業者が一体となった取組を地域において進めていくということのために、農林漁業バイオ燃料法案(仮称)、こういう法案を去る二月十五日に閣議決定をし、今国会の提出をし、その成立に向けて準備を我々は進めているところでございます。また御審議を賜らなければならないと思っております。  今後とも関係府省と連携を図りながら国産バイオ燃料の大幅な生産拡大の実現に向けまして戦略的にこれを進めてまいりたい、このように考えております。
  167. 市川一朗

    ○市川一朗君 食料をめぐる世界情勢ということでありますとやっぱりWTOの問題になるわけなんですが、現在WTO交渉が行われているわけですけれども、我が国は世界に冠たる輸入大国、食料輸入大国であるにもかかわらず、輸出国からもっと自由化を進め輸入量を増加すべきであると何か責められているような実は印象があるんでございます。  第一次世界大戦、第二次世界大戦ともに発端は貿易問題であったと。そういう世界的反省の下にできたのがガットであり、その延長線上にあるのが現在のWTOでございますから、バランスの取れた貿易ルールの確立、この言葉は所信表明に入っていますが、このバランスの取れた貿易ルールの確立という世界の大きな流れに逆らうということは、我が国としては極めて難しいことは認めざるを得ないと思いますけれども、しかし、我が国の食料安全保障の観点に立ちますと、やはりどうしても譲れない一線はあると思うわけでございます。  しかし、今日はそれほど時間あるわけでもありませんし、また、時期的にはまた次のチャンスもあると思いますので、今日は譲れない一線があるということを述べるにとどめまして、そこのところ、そこから先の議論は今日はしないようにしておきたいと思います。私なぞはそう思っているということを大臣にお伝えしたいと思います。  それで、ちょっと話は少し飛びますけれども、今、先ほど来挙げてきている穀物の価格の高騰ということも含めまして、最近、輸出国の一部に穀物を中心にした輸出禁止の動きが見られるわけですよね。WTOでは日本の輸入の自由化についての議論はよく聞かれますが、この輸出国の輸出規制についてはどんな議論がされているのかなということなんですよね。もし輸出規制に対して何らかの有効な措置をとり得ないとすると、これは文字どおりバランスの取れた貿易ルールの確立にならないんじゃないかなと思うんですが、どうも輸出規制は簡単ではなさそうな気もするんです。  大臣、答えていただけますか。その辺、お願いしたいと思います。
  168. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) もうまさに委員が御指摘のとおりでございまして、このWTOの交渉に入りましたときに我が国は日本提案というのをいたしました。その提案の中に、貿易の拡大といってもこれは各国の農業がそれぞれ共存できる形で行わなきゃいけないということと同時に、輸出国と輸入国とのバランスが取れたものでなければ合意を成立させるわけにはいかないということを前提にこの交渉に入っていったわけでございまして、その意味では、関税を引き下げるとか、あるいはまた自由化を進めるとか、いろいろな面で輸入国に対していろんな注文が付くんですけれども、やはり輸出国も、例えば国内の農業補助につきましては、これは輸出国の農業補助というのは輸出補助金と同じですから、そういうことについてはきちっとした規律が必要だということを主張し、このことについてはもう輸出補助金はやめるんだという方向を出したわけでございます。同時に、我が方は、今委員が御指摘のような、輸出国が国内を優先する余りに国内事情によりまして輸出規制を勝手に掛けるというようなことは、輸入に大きく食料供給期待をしている国々にとっては大変なこれは不安になるわけでありまして、まさに食料安全保障上の問題だというふうに考えております。  その意味でこの協定というのは、この輸出禁止、輸出制限につきましては大変弱い状態になっておりまして、現行の協定上は通報が明確な義務となっていない、そういう規制を設けるときにきちっと通報するということが明確に義務付けられていないとか、実施期間についての期限が定められていないといったようなことをかねて主張をしてきたところでございます。  このために我が国は、今回のドーハ・ラウンドの交渉の中で、今言った輸入国と輸出国との権利義務のバランスの回復、食料輸入国の安全保障という観点からこの規律の強化を主張してきたところでありますが、二月の八日に議長の改訂モダリティというのが出されました。このモダリティの中では輸出の禁止・制限措置につきまして二つの大きなことが盛り込まれております。一つは輸出規制などをする場合の通報の義務の強化を図るということ、それから既存の、今あるんですね、今いろいろな輸出規制をしております。既存の措置というのは、まずこの新しい協定が成立したときは一度全部廃止すると。そして、新しい措置というのも原則十二か月間の有効だということで、長期にわたってそういうことはしないといったような、十二か月で廃止するといったような趣旨のことが盛り込まれるように議長モダリティの提案の中にあるわけでございます。  我が国としては、こういったモダリティ議長案につきまして、一定の進展はあるのかなというふうに評価しつつも、今後更に各国との議論をいたしまして、実効性のある規律の強化が図られますように更に協定交渉の中で明らかにしていきたいという考え方でおります。
  169. 市川一朗

    ○市川一朗君 今の大臣の御説明である程度分かりましたけれども、日本でいえば米が一番中心ですが、重要な作物について、食料については、そういう輸出禁止等の措置について、しっかりした歯止めがない場合は輸入拡大ということを、それを理由に拒否してもいいんじゃないかなというくらい私は重要なテーマだと思っておりますが、今日は吉村総括審議官もおられますけれども、ちょっと嫌な答弁だけ求めますが、今大臣の意気込み、それから議長モダリティ等は分かりましたけれども、現実に今、WTOの世界で今軒並み始まっているじゃないですか、中国とかあちこちで輸出規制。それはWTOでは議論しているんですか。
  170. 吉村馨

    政府参考人(吉村馨君) ただいま市川先生から御指摘がありましたように、現在、私ども承知している限りでも、アルゼンチン、インド等の七か国で輸出規制が行われているという状況にございます。  もちろん私どもは、こういった現実に行われている輸出規制というものを頭に置いて、先ほど大臣から御答弁申し上げましたような輸出規制に対する規律の強化というものを求めてまいりましたし、また、現在のモダリティ案で一定の進展があるわけでございますけれども、現実にあるそういった措置、その影響をよく頭に置いて実効ある規律の強化を目指して更に交渉していきたいというふうに考えております。
  171. 市川一朗

    ○市川一朗君 ちょっと話を別のテーマに移したいと思いますが、米の緊急対策についてでございますけれども、先ほど午前中に平野議員から五万円の一時金では五年間であれすると一万円でもあるし、やはり産地づくり交付金をもっと増やすとかやらないと問題ではないかという御指摘がありました。私もそれなりにうなずいて聞いておったんですが。  ただ、私の地元では、それよりも一番大きいのは、今まで生産調整をしっかりやってきたところが、つまり去年までやってきた部分について、今度何にもメリットがないと、こういう不満があるわけですよ。これは若干説明も不十分だと思うんですよ。我々はしかし政治家ですから、あなた理解不十分だとは言えない。やっぱりこれはもっと政府が徹底して説明をして理解をいただかないと、午前中と午後の私の両方をあれすると、今までやってきた人も不満があり、これからやろうとしている人も不満があるというようなそういう政策では、また実行段階で混乱しますよ。もっともっと徹底した説明をしなきゃいかぬのじゃないかと。私が聞こうと思っていたことと逆の角度からの質問があった。でも、多分それは耳に入っているでしょう、恐らく現地では。  この辺やっぱり大事な政策をせっかくやるわけですから、そして今年度あれですよ、二十年度に生産調整にもし失敗して米価下がったら終わりですよ、もう。それくらいの意気込みでやっているとは思いますが、どうも現場から上がってくる感じだと疑問視せざるを得ない。午前中あの話聞いて、いよいよ私はそう思ったのでしっかりやってもらいたいと思いますが、どうですか。
  172. 町田勝弘

    政府参考人町田勝弘君) 議員御指摘のとおりでございまして、この二十年産生産調整の実効性が確保できるかどうか、これがまさに今後十年、将来にわたる水田農業はずっとできるかどうかという本当ポイントだと思っておりまして、私ども系統組織と連携を取りながら、もう全都道府県、全地域で何としてでも達成すると、そういう強い意気込みで臨んでいるところでございます。  今、現場の方でよく理解が進んでいないという御指摘をいただきました。これにつきましては、二十年産米につきましては、午前中来の繰り返しになりますが、十万ヘクタールの生産調整の拡大、面積ベースで必要だということでございます。何分大きな面積でございますので、この生産調整を達成するためには、これまで生産調整を実施してこられた農業者の方にこれは引き続き生産調整を実施していただく、ただこれだけではなくて、これまで生産調整を実施していなかった農業者の方にも生産調整に取り組んでいただいたり、あるいはこれまでの実施者に更に生産調整を拡大していただくということがどうしても必要だというふうに考えているところでございます。  このうち、これまで生産調整を継続している方、この分につきましては従来同様産地づくり交付金が出るわけでございます。これに対して二十年から新たに生産調整に取り組んだり拡大する分、これにつきましては、別途十九年度補正予算措置をしていただいた地域水田農業活性化緊急対策の緊急一時金を措置してこれにより対応するということで、私どもそういったきめ細かい対応をしたつもりでございます。  したがいまして、産地づくりの交付金もこの緊急一時金も生産調整推進のための助成金という点では共通のものとして考えていただいて、地域内いろんな取組、産地づくり交付金についても単価も地域様々でございますので、地域のそういった中の公平性に確保して留意しながらうまく使っていただきたいと考えております。  こうした趣旨につきましては、これまで私ども生産現場の皆様に周知徹底を図ってきたつもりでございますが、まだまだ足りないという御指摘をいただいております。更に一層努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  173. 市川一朗

    ○市川一朗君 要するに、公平にうまくやってほしいと、おっしゃるとおりなんですけれどもね。その前提としては、正確な理解がまず必要なんですね、理解とそれから納得なんですよ。その上でどうするかという話になる、その入口のところがまだこなれていないんですよ。これは局長の責任じゃもちろんないですよ。組織全体の問題だと思います。  それで、米政策の転換のときに私も関係議員としていろいろやってみて分かったのは、本省の局長クラスが来て説明してくれたら大体収まるんですね。話は分かる、一応取りあえずね。まあうちの県に来た局長は良かったのかな、分かった。ところが、それからどんどんどんどんブレークダウンしていって現地になると、直接の農家と接触して説明している人の話は、もう人によってまるっきり違うんですよね。この差はもうしようがない、人間がやることですから。そこのところ一つね。そういうことも含めて徹底して理解してもらい、納得してもらって初めて、公平でそしてうまい組合せができるわけです。そのことを改めて強調しておきたいと思います。  時間もあと十分しかなくなりましたので、水産問題についても質問させていただきます。  まず、今回の原油価格の高騰は、道路財源問題で議論が沸騰しておりますが、実は道路財源とは全く関係ないんです、漁船の燃油は。この漁船の燃油高騰で漁船漁業、大変大きな打撃を受けております。いろいろ緊急対策も打っていただいておるわけでございますが、現時点でどのような対策が講ぜられ、どんな状況になっていると認識しておられるか、お伺いしたいと思います。
  174. 山田修路

    政府参考人山田修路君) 燃油高騰対策についての御質問でございます。  漁業用A重油の価格、これは高騰前の平成十六年三月と比べまして現在は約二倍に上がっているということで、おおむね一キロリットル当たり八万五千円余りになっております。漁業におきましては、その生産コストに占める燃油費の割合が他の産業に比べて高い状況でございます。これは大体二〇%から三〇%が燃油費ということでございまして、現場では不漁の時期に出漁を見合わせるというような、経営に深刻な影響が出ております。  このような状況に対応しまして、平成十九年度補正予算で百二億円の基金を設置をいたしまして、省エネルギー型漁業への転換等を緊急に推進しているところでございます。具体的には三つの内容がございます。第一番目といたしまして、輪番制で休漁する者に対しまして、藻場、干潟の整備などを行う場合に人件費などを支援するというものが一つ目でございます。それから二つ目の内容としまして、イカ釣りなどで地域あるいはグループで一斉に集魚灯、魚を集める灯ですけれども、その集魚灯の光の強さを落とすなど省エネ型操業形態に転換するための費用を支援するものでございます。それから三番目といたしまして、効率の高いエンジンなど省エネ施設への転換やグループでの共同操業を支援するというようなものでございます。  このような燃油高騰対策を迅速かつ効果的に実施をするため、水産庁といたしましても今懸命にその普及推進に努めております。これまでに、全国説明会や、全国を五つのブロックに分けまして説明会を開催するなど、漁業関係者への周知あるいは利用促進を図っております。また、こういった燃油高騰対策と合わせまして、既存の事業を活用しまして燃油タンクの整備など燃油の流通の効率化を推進することや、それから発光ダイオードの集魚灯や、あるいは抵抗の少ない船型の漁船の導入等の技術開発を図るなど、総合的に対策を進めております。
  175. 市川一朗

    ○市川一朗君 今、日本の水産業、本当に厳しい状況にありますので、ここへ来ての燃油の高騰はもうほとんど壊滅的な打撃を受けているような状況でございます。  こういったことで、本当に暗い話になってしまうんですが、しかし日本の水産業を取り巻く状況は必ずしも暗い話ばっかりではないと。世界的にも、最近健康志向ということで魚というものに対する需要が非常に増大しつつありますし、特に中国を始めとする新興国での需要も大幅に伸びていると。何よりもかによりも、日本の場合はもう排他的経済水域約四百五十万平方キロメートルと言われておりますが、三大漁場の一つでしょう、世界の。あれは北海と、それからカナダの東部側と、それから日本近海と。ただ、日本の近海漁業等もそういう意味では非常にチャンスは広がっているんですが、これから先を望みますと、展望はかなり望めなくもないと思っているんです、私は。  私どもの宮城県も、気仙沼、石巻等を中心にかなりの水産業集積地であります。これは地域社会の活性化のために非常に大事な問題だと思います。したがって、やはりそういう明るい展望を実現できるような水産業政策、水産政策、それはそのものずばり農山漁村の活性化にもつながる、地域社会の活性化にもつながる。さっきから申し上げておりますように、農業の問題もある意味で今チャンスなんですね。僕は追い風じゃないかと思ってもいいんじゃないかと思います。  そういった意味で、やはり関係者はもちろん頑張りますが、政府側もしっかり取り組んでいただきたいと。特に水産問題について、あと三分ぐらいしかありませんが、どうぞ三分間スピーチをよろしくお願いしたいと思います。
  176. 山田修路

    政府参考人山田修路君) ただいま委員からお話がありましたように、水産業を取り巻く状況は、燃油価格の問題、あるいは資源の状況、それから漁業者の減少、高齢化といった厳しい面がある一方で、委員が言われましたように、世界的には水産物の消費が増えている、また日本の水産物が評価されて輸出もこれかなり増加をしているということで、委員がおっしゃいましたように、まさにその厳しい中にも新しい芽生えが見えてきているようにも思っております。  そういう中で、私どもといたしましても、昨年の三月に水産基本計画というのを策定をいたしまして、各般の施策を総合的に推進をしようということで、厳しい中にあって、また新しい動きが見られる中にあって、新しい政策を総合的に講じていくということでございます。  具体的に一、二申し上げますと、やはり低水準にあります水産資源の回復・管理、これが基本でございますが、特に経営の面ではやはり漁船漁業をめぐる、先ほども問題点として高齢化が進んでいるあるいは漁船の船齢が非常に古くなっているということもありまして、そういう漁船漁業の改革を進める、あるいは流通システムの改革を進める、また特に経営安定対策を新しく導入をして経営の安定を図る、また漁港、漁場、漁村の総合的な推進を図るというようなことで、できるだけその明るい面が伸ばせるような、また厳しい面についてはこれに対応できるような施策を総合的に講じてまいりたいと考えております。
  177. 市川一朗

    ○市川一朗君 終わります。
  178. 谷合正明

    ○谷合正明君 公明党の谷合正明です。  本日は、まず初めに、明石海峡で起きました船舶衝突事故に伴います漁業被害について一問質問をさせていただきたいと思います。  これは三月五日に、明石海峡の特定航路内で三隻の船が衝突して、うち一隻が沈没してしまうと、そういう事故でございました。その沈没した船に七十七トンの燃料油が搭載されていたということで、油の流出被害によりまして、兵庫県の明石ですとかまた神戸市等、たくさんの被害が出たところでございます。私も予算委員会質問をさせていただきましたが、改めてこの農林水産委員会質問させていただこうと考えております。  特に、兵庫県、ノリの養殖が盛んでございまして、ただ、油がノリに付着してしまったということで、付近の漁業組合の方はノリを全面撤去という苦渋の選択をしたわけでございます。全国で第二位のノリの生産量をこの兵庫県誇っているわけでありますが、今回のノリ漁の中止ということで、ノリの被害だけでも約四十億円以上に上るということでありました。  私も現場の神戸市の漁業協同組合さんに伺いました。ノリの養殖業というのは先行投資型の産業なんですと、まず言われました。というのは、秋口、十月ごろに網を仕掛けて種付けをして、その際に育苗だとか船舶などの整備などへ借金をまずするんですと。実際お会いした方は、七百万円ほど借金をして秋口からノリ漁を開始してきたと。いよいよこの三月、四月でノリをいわゆる収穫する段階になったときにこの船舶の事故が起きたということで、まさに借金の返済から利益に転じるこの今どきに、今回この事故のタイミングが本当に最悪だというふうに訴えられて、この先どうして食べていけばいいのかという切実な訴えを聞いてまいりました。  私もその翌日、予算委員会質問をして、現行制度上なかなかいかんともし難い。船舶が、特定されている船舶もおりますし、責任者がはっきりしているわけでございますので、第一義的にはその船舶が責任を背負うということなんでありますが、ただ、四十億円のノリの被害に比べると、今回の船舶が、船主責任保険の関係上六億から七億までの保険金の出る上限が決められているということで、十分な対応がし切れていないというのが現場での非常な悩みでございました。  私は今回、農林水産省さんに特に聞きたいのは、水産庁として何ができるのかという話でございます。  いろいろ現行制度上課題は残されているんですけれども、例えば漁業共済の早期支払ですとか融資制度、これも特段の配慮をお願いしたいというのが現場の願いでございます。融資制度一つ取ってみても、実は元々借金をして今まさに利益を得る寸前の被害でございましたから、その上で更に融資を受けるというのはなかなか難しいんですけれども、しかし、そうはいっても、農林水産省としてできることは何ができるのかということをまず冒頭に伺いたいと思います。  今回、実際、現場から要望を受け取っていただいた澤政務官にまず質問させていただきたいと思います。
  179. 澤雄二

    大臣政務官(澤雄二君) まず最初に、今回の事故で漁業被害に遭われました漁業関係者の皆様方に心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。  農水省といたしましても、十八日には、直ちに水産庁の栽培養殖課長ほかを現地に急遽派遣いたしまして、現況調査を行わさせていただきました。  御質問の点でございますが、委員も先ほど言われましたように、基本的には、漁業被害の補償につきましては加害者と被害者の間で解決されることが基本となっております。農林水産省といたしましても、できる限り速やかに漁業共済金が支払われるように水産庁から全国漁業共済組合連合会に対し要請をしたところでございます。  また、災害を受けられました漁業者が運転資金の融資を受けられるように、これはいわゆる農林漁業セーフティーネット資金でございますが、この資金の金利が、たまたまでございますが今回〇・五%また安くなりました。一・二五%で償還十年でございますが、農林漁業金融公庫に対して、漁業者の方の相談に的確かつ迅速に対応するよう依頼したところでございます。これを受けて、農林漁業金融公庫では大阪支店に相談窓口を設けたところでございます。また、地元の兵庫県におきましては、出先機関などに金融相談窓口を設置しているところでございます。  農林水産省としましても、引き続き、関係地方公共団体と密接な連携を取りつつ、適切に対処していきたいと思っております。  また、今回被害を受けられた地域におきましては、従来から地域の特色を生かしたノリの養殖、そしてイカナゴの漁業等が営まれております。特にイカナゴにつきましては、くぎ煮といった創意工夫を持った特産品も産出をされております。  農林水産省としても、漁業者が一刻も早く今回の被害から立ち直っていただけるように、地域の漁業の振興を図ることができるように、漁業共済金の早期支払に努めるとともに、関係地方公共団体と連携を取って、また関係省庁とも連携を取りまして、ノリの色落ち対策などの地域の実情に応じた振興策を積極的に進めてまいりたいと考えております。また、地元から要望があった場合でございますが、先ほども答弁でありましたけれども、燃油高騰対策資金、これの柔軟活用についても検討したいというふうに考えております。
  180. 谷合正明

    ○谷合正明君 是非きめ細かい対応を今後ともお願いしたいと思います。  制度上の欠陥については、これは国交省の方に私もこれからしっかりと政治家として働きかけてまいる決意でございます。欠陥というのは、要は、タンカー船なんかで油が流出した場合は、そこは漁業被害が大きく広がるわけでありますから、油濁損害防止法に関する基金の創設という取組があるわけでありますが、ただし貨物船に入っている燃料油の場合は十分な対応がないわけでありまして、この辺り、明石海峡というのは特定航路でございまして、非常に船舶がたくさん通航していると。かつ、潮の流れも速くて、一方でそれは漁業者にとってみると非常に漁業盛んな地域でもございます。こういった特定航路とそういう重なっている漁場、これ瀬戸内にはかなり多くあるわけでありまして、私は、これ今後の教訓に生かしていかなければならない、そういうふうに考えております。  次に、森林・林業についての質問に移りたいと思います。  私は、先日、鳥取県の若桜町というところに行ってまいりました。林業の振興について地元の、御存じでしょうか、地元の小林町長始め林業関係者と懇談をしてまいりました。この若桜町というのは、兵庫県、岡山両県に接する急峻な山々に囲まれた山間地でございまして、町の総面積の九五%を山林が占めるというところでございます。  昭和四十年代は林業が盛んな町で非常に活気があったというふうに地元の方は口々に言われておりました。しかし、林業従事者の高齢化と、またその減少によりまして森林施業が困難になっているので、森林経営の衰退とともに森林の荒廃が進んできていると。森林が担う多面的機能も低下するのではないかというふうに危惧をしていると。旧森林組合もこの町では解散をしておりまして、木材の流通機能も衰退しているわけでございます。こういう状況のところというのは幾多もあるんだというふうに私は思います。  公明党が昨年の十一月から十二月まで過疎集落実態調査というものを行いました。ここでは高齢化率の高い四百七十六の全国の集落から調査回答、実際に現地に行って、地元の首長さん、あるいは集落に住んでいる方から聞き取り調査を行いました。その結果、十年以内に集落が消滅すると予測している自治体の首長さんというのはもう三〇%にも上っているわけですね。  この過疎化、集落の過疎化が進んだ原因としては、高齢化、後継者不足、そして農林水産業の衰退というものを挙げられると。これは集落に住んでいる方も、また自治体の方もそういうふうに理由を挙げるわけであります。  全国には今六万の過疎集落がありまして、このうち林野率が八〇%以上の山間地は約二万集落ですね、約三分の一を占めております。先ほど私が言いました鳥取県の若桜町も、昭和四十年代、林業が盛んだったと。木を切った、木材出荷した昭和五十年ごろ、そのときに植林したものが今ちょうど樹齢で三十二年とかそのぐらいになっているわけですね。間伐の時期をまさに迎えているわけでございます。かつて、そういうふうに林業が盛んだった町が、今ちょうどその当時に植林した木が三十年ぐらいになってきているというのが今全国の過疎集落の実態ではなかろうかというふうに思います。今過疎化が進んでいるそういった山間部の町村では、ある意味そういう森林資源がたくさん埋まっている、眠っているということになります。  公明党としては、今回の調査で、農林水産業は国土保全、雇用確保として効果が大きく、その多面的機能を森林の荒廃や耕作地の放棄など過疎対策として活用することが重要だというふうに考えております。その際、農林水産業を単なる産業施策としてだけではなくて、過疎対策の重要な柱として公的施策を活用、採用すべきというふうに考えているわけでありますが。  まず、この森林また林業についての考えを大臣にお伺いしたいんですが、過疎地域における集落、特に山村を維持し国土を保全していく上で林業という産業が果たしてきた役割についてどのように認識されているのか。また、今後、山にしっかり人が入って、森林整備を進めていくことができるようにしていくべきだというふうに考えておりますが、二十一世紀の林業をどのように再構築していこうと考えていらっしゃるのか、まず所見をお伺いしたいと思います。
  181. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 公明党が昨年、いわゆる限界集落と言われるような過疎地の集落の実態調査をなさいました。その状況については報告を受けまして、大変きめ細かな調査、地域の状況に即して、それを類型区分しながら大変有効な資料を私もいただいたというふうに考えております。  その中に、お話がございました若桜でありますような圧倒的に森林の占める比率の高い地域において林業というものが果たしている役割、これが役割を果たせなくなったことによって今おっしゃるような形の地域の崩壊、崩落が進んできているんじゃないかという御認識、私もそのようなことを心配いたしております。私も長野県でございまして、長野県の北部のそういう山地が圧倒的でありますような地域の皆さんとも親しく付き合っておりまして、そういう山村の状況というのは私なりに承知いたしていると思います。  この森林が持っている国土保全とか水源涵養とか、そういういろいろな多面的な機能は持っているわけですけれども、その受益は言ってみればその川下のみんなで受益をしているということになっているわけでございます。ですから、この林業というのは、こういうような役割は果たしているという意味では緑の私は社会資本だというふうに思い、この社会資本である森林を支える上で重要な役割を果たしてきていると、こう思うわけでございまして、また、林業というのは山村地域の主要な実は産業でありますから、山村地域を活性化していくためには、林業の発展がなければそこに人が住み着いていくことができない、そういう意味でこの林業というのは大事な役割を果たしているわけでございまして、一方で、今おっしゃられましたような、ちょうどこの間伐適期といいますか、もう三十年生、三十五年生になるような人工林が各地に放置されたままあるということでございまして、この利用可能な森林資源は年々拡充されているわけでございます。  そのために、農林水産省としては、二十一世紀における森林・林業に関する施策の基本指針となります森林・林業基本法に基づいて策定されました森林・林業基本計画、これに基づきまして国産材の利用の拡大を軸とした林業・木材産業の再生を図ることにいたしております。また同時に、国民運動を展開しなければならないという意味で、美しい森林づくりの国民運動、これはもう企業の皆さん方も含めまして幅広く国民運動を展開しつつあるわけでございます。  具体的な林業政策としては、森林施業をやはり集約化して、作業道などの路網と高性能林業機械の一体的な組合せによります林業生産コストを下げていくということ。そして、緑の雇用対策がございます。その緑の雇用対策によりまして新しい林業就業者、若い林業就業者を確保してこれを育成すること。そして、市場のニーズに合わせた木材製品の安定供給体制を整備すること。そして、四つ目でありますが、木材バイオマスなどの木材の総合的な利用の促進というものを積極的に図ってまいりたいと、こう考えているわけであります。  私は、先ほど、宮城県に参りまして非常に新しい技術革新によります国産材をカツラむきにして合板を作っている大変進んだ企業を拝見させていただきました。驚いたことに、この宮城県の工場ですけれども、今まで処理に困っていました長野県のカラマツですね、どうしてもカラマツというのは曲がっていたりして利用しにくいという問題があり、油が多いとか、いろんな問題があって実は地元で利用できなくて困っておりましたが、この間伐材が宮城県に運ばれて、もうどんどん持ってきてくれと、こういうお話でございました。やはりそういう新しい製品というものが開発されてきておるということも踏まえまして、合板でありますとか集成材でありますとか、そういうようなニーズと山の川上の部門の生産体制を再構築するものとが結び付くような形で一つのシステムをこれからつくっていかなきゃいけないなとしみじみ思ったところでございます。  それに加えまして、先ほど来指摘されておりますバイオマスの利活用という意味で、林地残材なども、間伐材なども一つの商品としての価値が出てくるような対策を講ずることによって地域におきます産業を育てていくということが大事ではないかと、こんなふうに考えているわけでございます。
  182. 谷合正明

    ○谷合正明君 ありがとうございます。  まさに今、若桜町は、先ほどは何か大分過疎化が進んで進んでばっかり言ってしまったんですけれども、実際立ち上がっているわけですね。何とか町の有効な資源を活用できないかと、まさに緑の社会資本だということで立ち上がっておりまして、まさにそういう地域をバックアップするような施策を展開していただきたいというふうに思います。  それで、林業についてなんですが、木材自給率が平成十七年、七年ぶりに二〇%台を回復したということでございます。木材価格を見ると、中国等における需要増などにより外材価格は上昇傾向にありまして、国産丸太の競争力は高まっているというふうに認識をしております。  まず、国産材と外材の価格を比較すると、杉丸太などは国産の方が安くなっているのではないかと。外材に比べ価格が安くなっているとすれば、じゃ果たして何が国産材の生産量をもっと増やすことがなかなかできないそのネックになっているのか、この点についての考えをお聞かせください。
  183. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 御指摘のように、近年では国産材の価格の方が外材の一部よりも安いという現状にありますけれども、せっかく価格が安くなっているにもかかわらず国産材の生産量が伸びていない原因でありますが、やはり今大臣からも御答弁いたしましたように、国内の森林の所有構造が小規模零細で原木の安定供給体制ができていないということ、さらには、原木を加工、流通する体制も小規模、多段階で、市場ニーズに応じた製品の供給が進んでいないということが主たる原因ではないかと考えられております。  このため、山元では、施業の集約化ですとか、路網と高性能の機械を組み合わせた低コスト作業システムを開発、普及することによって原木を低コストで安定供給する体制をつくっていくと。また、受け取る側では、乾燥材等の品質、性能の確かな製品を安定供給できるような流通確保体制を整備すると。この二点においてしっかり施策を講じていくことによりまして、原木の確保から製品供給に至るまでの国産材の競争力が確保されていくというふうに考えております。
  184. 谷合正明

    ○谷合正明君 政府は、競争力の高い製材加工体制を整備するために、平成十八年度から五年間の予定で新生産システムを推進されております。まさに、先ほど言われたようなネックとなっていることの事項を克服するための新生産システムであろうかと思いますが、十八年度から開始された新生産システムの実施状況をまず伺いたいと思います。また、このシステムを今全国で十一か所のモデル地域でやっているところかと思いますが、全国的に展開させることについての見通しについてもお伺いいたします。
  185. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 新生産システムと言われるものにつきましては、大ロットで安定的な木材供給体制の確立を通じまして林業を再生したいということで仕組んでいるシステムでございます。今委員からお話がありましたように、平成十八年度から五か年計画で全国十一か所のモデル地域において、川上、川下一体となりまして大規模な加工施設と直結した木材の安定供給体制を確立することを目標にして今推進をいたしております。  現在、この十一のモデル地域におきましては、施業の集約化を実行するモデル的な林業事業体が育成される、あるいは伐採可能な立木資源情報のデータベースの整備が進んでいる、あるいは高性能な林業機械の活用によります森林施業、素材生産、流通のコストダウンのための取組が具体的に実践、普及されつつある、さらに製材工場の大型化等のための木材加工施設の整備が計画的に進んでおります。  この生産システムにつきましては、五年間実施して、この大規模なモデルとしての評価を踏まえまして今後の展開方向を検討していく考えでございます。
  186. 谷合正明

    ○谷合正明君 はい、分かりました。  間伐材の利用拡大についてなんですが、先ほど大臣答弁の中で宮城県の例を出されて、間伐材をどんどん利用しているんだという話がありましたけれども、林業の採算性向上を図る上でも間伐材の利用拡大というのは非常に大事だと思いますけれども政府は間伐材の利用拡大について具体的にどのように取り組まれているのか、重複する部分も多々あろうかと思いますが、重ねてお聞きいたします。
  187. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) やはり間伐材の用途としましては、大きなものはやはり合板、集成材等の原料として大量に利用する取組というのがまず第一であろうと思っております。  そのほかにもいろいろと工夫はいたしておりまして、例えば公共事業の土木資材への利用促進ということで、斜面の土砂を固定する土止め工等への利用等を関係府省にもお願いしまして公共事業で扱っていただくとか、あるいはガードレール等といったものにも新たな間伐材の利用用途の拡大ということで取り組んでおります。さらに、先ほど御説明いたしましたやはりバイオマス、バイオ燃料等への木質資源の転換ということも今後の大きな課題であり、また大きな期待を持っているところでございます。
  188. 谷合正明

    ○谷合正明君 いろいろな森林関係者にお会いするたびに言われるのが、間伐材にしても木を切り出すにしても運び出すにしても、路網が整備されていないんだと。路網が整備されていないから林業が衰退したんだというようなことも言われるわけですね。卵と鶏の議論のような感じもしないでもないんですけれども、実際に林業を成立させるために今後新しい例えば林業機械を導入することにより伐採、搬出作業等の生産性を上げると、いわゆるコストを下げるという必要性があるわけですね。  路網が整備されているかどうかが非常に大事なわけで、しかも、今高齢化していてますます作業が困難になっているわけで、まず路網について、現在の整備状況、我が国の整備状況、そして、これは諸外国と比べた場合、整備水準についての、これはどのように認識をされているのか、この点について伺います。
  189. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) まさに一番のポイントだと私思っております。  先週の金曜日に群馬県に出かけまして、まさに間伐を進めているある森林組合を訪ねたわけでございます。そこでは、まさに高性能の林業機械を導入をして、緑の雇用で就労するようになりました青年たち七人が非常に力強く希望を持って作業に従事していたわけでございますが、このような高性能の機械が入るということは、まさにこの林道と路網とがセットで整備されていくということが必要になってくるわけでございます。  お話にございました、我が国の場合に路網が大変整備が遅れていると、林道路網の整備が遅れているという現状、そして外国との比較はどうだというお話がございましたが、日本はヘクタール当たり十六メートル、オーストリアはヘクタール当たり八十七メートル、ドイツはヘクタール当たり百十八メートルというような大きな差があります。これは、やはり日本の場合は急傾斜地が多いということで道路を入れにくいといったような事情も当然あるわけで、ドイツやオーストリアのような平地林というのと違いますから林道路網の整備が難しかったということもありますが、同時に、それだけではなくて、今までの進め方が皆伐方式でやってきたと。皆伐方式で、一斉造林で一斉皆伐というような、それに応じた作業システムとして林道から、よくありますが、ケーブル引いて架線で引っ張り出すという、そういう集材方式を長く取ってきたというようなことが林道の整備の中心として行われてきたということもあったと思うんです。もちろん、そうでなければ集材できないところもあるわけでございますけれども、できるだけ路網の整備の効率を上げ、技術的にも非常に工法も進んできておりますから、やはり林道の整備と路網の整備を調整して、連携した形で進めていくということがこの間伐を進めるために高性能機械の導入のためにはどうしても必要なことだと、このように考えております。
  190. 谷合正明

    ○谷合正明君 そうなんですよね。ヘクタール当たり十六メートルという、オーストリア、ドイツに比べると本当に数字が低いわけでありまして、私が先ほど言った鳥取の若桜町でいうと、国有林野だとヘクタール当たり十メートルですね、民有林野だと五メートルだけなんですよね。これは非常に、確かにこの数字を言われると、確かにこれで林業というか、間伐頑張れといってもなかなか頑張れない実情が、状況があるのではないかなというふうに思います。  今後の具体的な計画、大臣いろいろな技術のやり方の見直しだとか言われましたけれども、これは林道路網、路網というのは計画的に整備することというのはできないんですか、将来、何年までにどのくらい造るとかいう。こういうことについて、まずちょっと認識を伺いたいんですけれども
  191. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 我が方におきましても、平成十八年九月に閣議決定されました森林・林業基本計画におきまして、こういった高性能林業機械を活用した効率的な作業システムが構築できるように、そのためには林道と作業道、作業路の適切な組合せによる路網整備は進めなければならぬということをうたってきております。  ただ、具体的には、今若桜町の例を挙げられましたように、その地域の山の状況ですね、急峻であるか、なだらかであるかとか、そういうことにもよりまして、その林道と作業道、作業路の組合せというものが変わってまいります。従来、我が国では、林道の開設延長に比べると、やっぱり作業道、作業路の開設延長が少ないということがございまして、ここ数年では、林道に比べて作業道、作業路の開設延長が三倍から四倍というふうにだんだん作業道、作業路にシフトしてきております。  そういった具体的な地域地域の実情も踏まえてその路網整備はやっていかなきゃならないということでございますが、もちろん補助事業においても、今申し上げました高性能林業機械導入等とセットにして、そういうまとまって団地間伐をするような地域において作業道、作業路を入れていくということもセットでできるような事業も今急速に展開をいたしているところでございます。
  192. 谷合正明

    ○谷合正明君 時間がなくなってまいりましたので次の質問に移りますが、環境対策としての面からこの林業振興ということで質問したいんですが、先ほど来の質問の中にありましたが、京都議定書によるCO2削減約束のうちの森林吸収目標の達成ですね、これが平成十九年度から二十四年度まで六年間において毎年五十五万ヘクタールの間伐等の森林整備を行っていくんだと。合計三百三十万ヘクタールの森林を整備する必要があるわけであります。  追加的整備として、十九年度から二十万ヘクタール間伐が新たに求められ、付け加えられたわけでありますが、このための予算もしっかり付いているんだという話なんですが、実際、この追加的整備について予算を確保されたわけですが、この事業の執行実績について確認をさせてください。
  193. 井出道雄

    政府参考人(井出道雄君) 御指摘のように、平成十九年度につきましては、この追加整備量はその二十万ヘクタールを超えまして二十三万ヘクタールやれるだけの予算は確保されておりますけれども、間伐は主として時期的には木々の成長が止まる秋以降に実施されるものが多うございまして、現在、まさにその実施に向けてひしと取り組んでいるところでございます。  執行実績については、現在時点ではまとまっておりません。しかし、これだけの追加整備をするということで努力をいたしてきておりますので、昨年に比べれば当然相当程度の整備量増加が見込まれると考えております。
  194. 谷合正明

    ○谷合正明君 今はっきりおっしゃっていただかなかったわけですが、多分、恐らくまだ目標には届いていないんだと思うんですね。  そこで、特に民有林についての間伐がなかなか国有林に比べれば遅れているんだと思いますが、その原因一つとして、間伐を実施する際、所有者負担があると思います。基本的に国が五割、県が二割、所有者負担三割という理解でよろしいんでしょうか。例えば、それが一ヘクタール三十五万円とすると、個人負担はやっぱり十万円ぐらい掛かるわけですね。  この所有者負担を限りなくゼロにしていくということをしていかないと、この間伐へのインセンティブってなかなか働かないんじゃないかなというふうに考えるわけでありますが、この点についてどのように考えていらっしゃるのか、御所見を伺います。
  195. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) この間伐を進めるに当たって、民有林の場合、これは所有者がその間伐をすることに同意をしてくれなければ間伐できないわけですね。間伐をする主体は、森林組合の場合もあれば、あるいは施業をする素材生産事業者の場合もあるんですけれども、いずれにしてもその森林所有者と合意をして、区画をきちっと確定をして、この区画についてはどういう形で間伐を進めるかということを森林所有者の同意をいただかなければ事業ができない。  そこで、その同意をいただくに当たって、最終的にあなたが、所有者がですよ、将来、木が立派に成長することを考えて、今ここは投資のつもりで負担してくださいと、こう言っても、二十年先、三十年先どうなるか分からないものに、負担までして同意するというようなことがなかなか難しいんですね。  実際進んでいる間伐の事例を聞きますと、まあせいぜいその負担のない、とんとんで、あとは事業者がいろいろやってもらって間伐材を処分をして売りますね。そうやって、それが収入になって費用を賄うと。まあ補助金を得ながらやれるようなものでないと所有者がうんと言わないというのが現実なんですね。  そういう意味では、おっしゃるように、その森林所有者の負担がゼロになるような形で、その間伐材あるいは間伐に伴って発生をいたしますその林地での資材というものが有効に処分されるという、そういうシステムと同時に、間伐をするその作業の効率を上げないと、生産性を上げないとゼロになるというのは、なかなか難しいんですね。  先ほど私お話ししました群馬県の森林組合は、組合長、大変マネジメント、経営の感覚があるんでございましょう。話を聞きますと、間伐します、それで材木として売れる物は市場に出すと。しかし、その先の方の細い部分は、市場まで持っていけば運賃で大体マイナスになってしまうという細い部分は、細い部分だけでまとめまして、そして地場の建設業などに自分たちで売り込みに行っているんだそうです。  それを自分たちで売って、それを収入にカウントして、私が行きました林班、その事業地区について言うと、ヘクタール当たりで二十万ぐらいの所有者に対する還元ができるかなと、こういうことを言っておりました。その辺は手堅く踏んでいかないと、二十万と言っていて十万だったら怒られるから、手堅く手堅く、十万と言って二十万ぐらい上がれば喜んでもらえると。そうすると、次の林地についてもまた任せてもらえると。  そういうようなお話をしておりまして、やっぱり現地現地の状況で、どのようにしてその間伐をした材が売れるか、そしてまた、そのためにどのような能率を上げた間伐施業ができるかといったようなことが現場では非常に大事だというふうに思っております。
  196. 谷合正明

    ○谷合正明君 ありがとうございます。  もう時間が一分ぐらいしか残っていないので、最後に、せっかく国土交通省さんに来ていただいていますので、質問させていただきます。それは地籍調査の件であります。  山の地籍調査が、林地ですけど、これ四〇%しかまだ明らかにされておりません。こうした低い理由問うと、余り理由のところはもう時間ないですから、これを今後やはりしっかり把握すべきではないかと思います。さらに、都道府県によってばらつきがございます。鳥取県では、この地籍調査ではっきりしているのが一九%でございます。一方、青森、岩手だと九〇%ぐらい地籍調査がしっかり進んでいるわけですね、林地の部分が。済みません、これは林地じゃないのかな、平均ですね、農村、いわゆる農地も含めた地籍調査です。  こうしたばらつきの差があるというのもどうなのかなと思いますし、今後、この地籍調査、山を持っている方が高齢化して、あと何年いらっしゃるかは分かりませんけれども、早くもう手を打たないと駄目だと思いますので、ここ国交省さんにちょっと最後、決意だけお願いします。
  197. 宮崎正義

    政府参考人(宮崎正義君) 地籍調査の進捗率、先ほど委員お話ございましたように、十八年度末で全国平均で四七%でございますけれども、林地は四〇%という状況でございます。  元々、山林原野の公図というものは精度に問題があるものが多いと、それから測量等に、急傾斜で測量が困難であると、そういった事情もございます。  先ほど委員がおっしゃいましたように、最近では所有者の高齢化あるいは不在村化が進んでおりまして、なかなか境界の確認が困難となってきていると、そういったこともあろうかと思います。  それともう一つ、林地と併せまして、都市部につきましては、さらに現在、特に一九%と進捗率が低くなっておりまして、都市部でございますので、土地が細分化されて筆数が多いとか、権利関係が錯綜している、そういったこともございます。  地域における進捗の差につきましては、当然、実施主体であります自治体の体制、そういったこともあるかと思いますけれども、こういった土地の種類ごとの事情、こういったものも反映しているかと考えております。  このような状況でございますので、国土交通省といたしましても、都道府県、市町村等に対しまして地籍調査の推進を従来から働きかけているところでございますけれども、特に進捗が遅れております都市部あるいは山村地域につきまして、例えば山村地域におきましては、取りあえず山林のおおむねの境界を保全する、こういった事業を国が直轄で行い、実施主体である市町村が今後取り組みやすい環境づくり、こういったものを整備すべく努めているところでございます。  今後とも、これらによりまして、地籍調査の推進に一層努力してまいりたいと存じております。
  198. 谷合正明

    ○谷合正明君 終わります。
  199. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  今、食料と農業をめぐって世界情勢が激変をしているということですけれども、そういう中でまさに日本農業の再生が求められています。  最初に外務省にお聞きしたいんですけれども、よろしいですか。二〇〇四年に国連人権委員会が採択をした食料への権利、この決議以来、毎年国連人権委員会、国連総会において上げているこの決議に日本政府は賛成をしておりますけれども、それについて、どのような考え方に立って賛成してきたのか、お話しいただきたいと思います。
  200. 秋元義孝

    政府参考人(秋元義孝君) 委員御指摘のとおり、我が国は二〇〇四年の国連人権委員会で採択されました食料の権利という決議に賛成しております。また、そのほかにも国連総会で毎年採択されております食料の権利決議に対しても賛成票を投じております。  これらの食料権利決議におきましては、国、地域、国際的なレベルにおいて貧困を取り除くための緊急措置をとること、またすべての人は十分な食料を確保し、飢餓から解放される権利を有することなどが盛り込まれております。我が国としまして、これらの決議はすべての人々に対する基本的人権の保護に資するものであると、このような考えに立って賛成票を投じております。
  201. 紙智子

    ○紙智子君 人道上もといいますか、各国の食料の権利を認めていくということだと思うんですね。つまり、国民の一人一人が例えば飢餓というような、そういう食料への権利を損なうような事態になったときには、その国民の権利を守るためにその国が何らかの対策をするということも認めるということだと思うんですね。当然のことだというように思うんです。  それで、農水大臣にお聞きしたいんですけれども、この食料を確保する権利というのはその国の人々にあるということなわけですけれども、これは食料主権ということとも相通ずるのではないかというふうに思うんですけれども、まずこの点についての御認識を伺いたいと思います。
  202. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) まず、冒頭お話がありました国連人権委員会で二〇〇四年に採択された決議は、今外務省の方からもお話ございましたように、飢餓にあえいでいる途上国のもう大変な人たちというものが生きていくために食料を得るという権利を持っているということを決めているわけで、我が国が賛成しているのは、もちろん先進国たる我が国の立場において、そういう立場の途上国の人にもそれはそうだと。それで、我々はそれに支援できる限りの支援をしていくなどの、又はそういうことに配慮していくなどの義務を負っているというような意味合いの決議だと私は受け止めているわけでありまして、そのことが我が国の、おっしゃられましたような食料主権と直接かかわり合いがあるというふうに認識しているわけではございません。  ただ、食料主権というのは何を意味するのかというのは明確でございませんけれども、私も、WTO交渉などで途上国の人も含めた全体の会議の中では、それぞれの国家は国民に対して食料を安定的に供給する国家としての責任を負っていると、そのために、国家は国民に食料を供給する立場において、国内においても多様な農業お互い共存していく中において、食料を供給する責任を果たすための食料に対して主張をする権利をそれぞれの国が持っているんだということを会議において主張したことがございます。  そういう意味で、我が国はそういう多様な農業の共存ということを基本理念にしまして、食料の輸出国と輸入国のバランスの取れた貿易ルールを確立すべきであるという主張の根拠にしているというふうに申し上げることができると思います。
  203. 紙智子

    ○紙智子君 実際に大臣自身もそういう発言をされて、やっぱり食料を守っていく国家としての責任、食料主権ということはそういう意味では相通ずるものがあるというふうに受け止めたわけですけれども理解できるということだと思うんですけれども。  そこでお聞きするんですけれども大臣は先日の所信表明の中で、昨今の食料をめぐる世界情勢に大きな変化が見られるというふうにおっしゃられて、大臣が主催する食料の未来を描く戦略会議、ここにおいて議論をしていますというふうにおっしゃられました。この間の、これ私も見させていただいているんですけれども、これをずっと中身を見ていきますといろんな今の変化なんかも分析をされていると思うんですけれども、この中身が示すところ、いろいろな議論もされていると思うんですけれども、はっきりとその中で言えることというのは、私はやっぱり、食料は欲しいときにいつでも外国から安く手に入るというふうな考えというのはやっぱりこの先通用しないということが一つ思うことと、それから、やっぱりそういう中で今こそ食料の自給率向上という問題を真剣に取り組んでいかなきゃいけないなというふうな、いろいろな指標を見ながら思ったわけですけれども、そういう受け止めをしたわけですけれども、それはそれでよろしいでしょうかと。どうでしょうか。
  204. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 紙委員が私が主催をいたしております食料の未来を描く戦略会議、今まで四回ございました、その資料などを引用されながらのお話でありました。本当に関心を持っていただいて敬意を表する次第でございます。  五回で一応のまとまりを得ようというつもりで今その取りまとめに入っているところでございまして、これはその有識者の会議で取りまとめていくわけでございますので、私からこうだと、こういうふうに申し上げるわけにはいきません。座長は東大の生源寺先生が座長になり、座長代理はやはり養老先生が座長代理をして今取りまとめに入っているところでございます。  いずれにいたしましても、この議論の中で出ていますのは、食料の未来を確かなものにしていくためには、政府だけということではできないわけで、国民とそれから農業生産者、食料を口にするまでにある流通、加工、そして最近非常に外食が進んでおりますその外食、こういったような関係者が一体になって様々な課題を解決していく努力が不可欠なんだというような認識が示されていると思うわけでありまして、食料自給率の向上も取り組むべき課題の一つに、大きな課題の一つとして位置付けているというふうに受け止めております。  政府としても、今後取りまとめをいただく戦略会議の提言を踏まえまして、食料の自給率の向上ということに向けまして、その提言にありますいろんな考え方を実現すべく取り組んでいきたいと思っております。
  205. 紙智子

    ○紙智子君 大きな見方でいうと、やっぱり本当に全力を挙げて自給率を上げていくということで、もちろん国民も含めてといいますか、そういうことを話ししながらやっていくということはそうだと思うんです。  その次なんですけれども、それを本当にやっていこうと思うのであれば、私はやっぱり国内生産を拡大していくことに結び付く価格政策というのが今必要じゃないかというふうに思うわけです。  それで、かつてイギリスが食料自給率が四〇%台に下がったと。それで、大変だということで、これ国を挙げて引き上げるために取り組んでいった経過があるわけですけれども、このとき打開するために行ったのが価格保障制度だと思うんですね。これによって今イギリスは七〇%台になっていると思うんですけれども、これ日本でできないことはないんじゃないかと思うわけですね。価格をやっぱり引き上げていく、そういう生産を拡大していくことに結び付く価格政策という問題を改めてやっぱり取っていく必要があるんじゃないかということですけれども、これについていかがでしょうか。
  206. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) その辺になりますと委員とかなり認識が違うわけでございまして、我々、この戦後の日本の大変な高度の経済成長の過程で食料が足りないような状況もございました。主食の米も不足するような事態もございました。そういうような段階における主食を確保するという視点から、価格政府がまずは全面管理をしたわけでございます。  そして、価格を支持しながら生産をそちらに誘導をするということもあったわけでありますが、しかし、消費が多様化してきますと、食品の需要構造というのはうんと変わってきているわけでありまして、同じ米であっても、どういう米を欲しがっているかといったようなことを敏感に感知しながら生産者は、作ったものが売れるという時代ではなくて、買ってくれるようなそういう生産物を作っていくという、そういうことが必要になってきていると考えているわけでありまして、そういう生産を拡大をしていかなければならないと。そのために、この農産物価格というのは、需給事情とか品質に対するマーケット、市場評価を反映してでき上がります価格でございますので、生産現場に伝達するシグナルとしては、そういうマーケットのシグナルとしての機能が発揮できているということが大事だというふうに私どもは考えているわけでございます。  そこで、国内の農業生産の維持拡大を図って、将来にわたる食料の安定供給を確保していくというためには、需要に即した生産が行うことができるような、言わば経営感覚に優れたそういう生産者というものを育成をしていけるように各種の施策を実施をしていかなければならないと、こんなふうに考えているところでございます。
  207. 紙智子

    ○紙智子君 私も、かつての食管制度のような、全量を国が買い上げてもう厳しく管理するというものに戻るというような話では全然ないんですよね。今のやっぱり市場の流通で定着しているわけですから、その現状に即してやっていくというやり方が必要だとは思うんですけれども。  やはり今の農業の現状がここまで、非常に生産者も後を継ぐ人が少なくなってきているというような事態になってきているのは、やっぱりWTO協定の中で、今大臣説明されたような、要するに市場原理ですよね、市場に任せていろいろ価格なんかもそれでもって決まっていくわけですけれども、そういう市場原理、WTO協定、農業協定の中で、結局、価格支持制度を削減していく路線で合意をしたということがあると思うんですね。そのことに合意しているということを理由に、国内の価格政策をやっぱり転換してきたということがあると思うんです。それによって今現場というのは本当に窮地に立たされている現状があるわけで、WTOのルールに則して、本当にこのルールの枠内でやっていくんだという話になるわけですけれども、そのやり方自体が今の今日の現状をつくっているんじゃないかというふうに思うわけですよ。  それで、そういったこと自体をもう一遍やっぱり見直す必要があるということがあるわけですけれども、そのWTOのルールそのものをもっと変えていく必要というか、それはWTO協定の中にも改定できるという中身があるわけですけれども、そのことをやるということは我が党が主張していることですけれども、それを今すぐできないにしても、当面やれる、今の枠内でやれることがあるじゃないかということをこれまでも主張してきたわけです。  例えば、そのルールの枠内ということであれば、認められてきた国内助成の問題ありますね、AMSですか、これを活用して、例えば価格保障、不足払い制度というような形でできるんじゃないかということについてはこれまで我が党の先輩議員が何度か質問もやり取りをしてきたと思うんですよ。そういう中で、農水省の回答としては、理論的には可能ですということも答えていることがあるわけで、しかしやりませんということだったわけですけれどもね。だから、その枠の中で実際にWTO協定の中でも国内支持ということでは各国に与えられた枠があるわけですけれども、その範囲内で活用してやれば、今の下でも不足払い制度なりやること十分できるんじゃないかと思うわけですけれども、この点いかがですか。
  208. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 理論的には可能であるといったようなお話ございましたが、この理論というのは国内の農業生産をどういう形で需要に合わせて生産需要に合わせた生産を拡大をし、そしてこれが持続可能な状態に持っていくかという政策の理論というのがあるわけで、WTO上の黄色の政策、AMSの範囲内であるということについてはこれは明白でありますから、そういう枠があることは、確かにおっしゃるように現実にはあるわけでございます。したがって、仮に現在よりも増加させても協定違反になるというような状況には今ございません。  しかし、実は今、大詰めを迎えておりますけれども、現在のWTO交渉では、実はこの黄色の政策ということについて、黄色の政策については大幅に削減が求められております。それはどちらかというと、アメリカなどが、あれだけの食料の大生産国であり輸出国であるアメリカの国内補助というのが物すごく多いんですね。これは言ってみれば、ますます輸出国が輸出を拡大するための国内保護ではないかという意味で、大生産国に対して、日本を含めヨーロッパも、この輸出補助金、そしてその輸出補助金につながるようなこのAMSについて、黄色の政策は大幅に削減すべきであるという、そういう流れがございます。  そういうような観点からしますと、現在は枠の中であるということでありましても、この黄色の政策に該当する施策については、長期にわたり安定的に、そして継続的に講じていくということについては難しい事情が出てくるということを心配をいたしているところでございまして、我が国自身が黄色の政策を世界の主要国に減らせと言っているわけですから、我が国はその方向をできるだけ回避しながら政策を展開したいと思うところでございます。
  209. 紙智子

    ○紙智子君 日本の場合、アメリカ、EUもそうですけれども、そのAMS、国内助成はWTOの協定の中でも認められた中身で、アメリカでいいますと八八%実績約束水準の枠内で八八%まで実績上げてますし、それからEUも七〇%を超えていると。そういう中で、日本は約束水準の一九%というのが今実績ですよね。  私は、日本が確かに食料自給率で、いや八〇%だ九〇%だと、いや一〇〇%だと、そういう段階にあるんであれば、何というんですか、そのことを使わなくてもという話になるかもしれませんけれども、日本の食料自給率はもう今や四〇%を割っているわけですよね。この議論がされたときの段階、もう今から六年前の話ですからね、そのときよりも更に一層日本の食料自給率でいうと下がり傾向になって、しかも農村地域には担い手と言われる人たちが、六十五歳以上の方たちが相当部分占めるような事態になっているわけですから、そういう中でやっぱり価格保障を、何らかの形での、そういうものをやっぱりやって、意欲を持って国内で生産、増産できるようなそういう仕組みをつくるということは、やっぱり今の時期本当に真剣に検討すべきではないかというふうに思うんですよ。  我が党は、先日、農業再生プランということで、こういう食料自給率の向上を真剣に、向上することを真剣に目指して、安心して農業に励める農政への転換ということで、これ政策を出させていただきました。  それで、このプランの中で、農業再生にとってまず必要なことは、やはり農業経営を安定して維持できる条件を保障する制度の整備、拡充、強化だというふうに思うんです。その中心は、やはり生産コストをカバーする農産物の価格保障、プラスそれを補完していく所得補償という、この組み合わせでやっていく必要があるというふうに思っているわけです。  WTOの農業交渉以降、十年過ぎてといいますか、アメリカでも不足払い制度を復活したことに見られるように、やはり市場原理一辺倒では農業は守れないということが明らかになってきたというふうに思うんです。  先進十二か国の中で自給率が最低の方に位置しているのが日本ですから、そういう今の現実を直視するならば、やはり国内で本当に生産意欲を引き出せるような価格政策をできるようにするべきじゃないかと思うんですけれども、もう一度、いかがですか。
  210. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 価格政策といってもいろいろあるわけでございまして、激変緩和のための価格政策というのは畜産についても講じておりますし、今の農業につきましても価格変動に伴う過度な変動を緩和するための施策などは講じているわけでございます。  委員がおっしゃられた、保護するという意味価格政策を活用する対象にもしお米に価格差補給金のようなことを念頭に置いているとすれば、米はこれ以上増産をするということが今の時点ではもう重荷になっているわけですよね、国内で消費できないわけで。それじゃ輸出するといっても、輸出もごく限られたものしかできません。そうではなくて、それじゃ麦とか大豆ということをお考えであるとすれば、今のWTOの交渉の中で示された議長のモダリティ案によりますと、非常に厳しい黄色の政策制限が出ておりまして、併せて品目別の上限を導入してはどうかというような提案も中になされてきているわけでございます。  品目別のものでいいますと、もう既に我が国は小麦とか大豆についてはモダリティの上限をかなり超えた助成策を講じているということがあります。もちろん、それに我々は反対はしておりますけど、米についてを念頭に置いているとしたら全く考えが違うわけでございます。  それから、WTO交渉で品目別のものがどう入ってくるかということは、今のまさに交渉過程の話でありまして、我々は品目別に上限を設定するというような考え方には反対はしております。しかし、そういう流動的な国際情勢の中で、WTO協定上それが実行できなくなるような制度設計は今考えていないわけでございます。
  211. 紙智子

    ○紙智子君 オーストラリアで食料自給率二三七%ですよね。カナダで一四五%、米国で一二八%、フランスで一二二%、みんなそういう高い自給率を持っているわけですよね。日本は四割を割っていると。本当に何かのことがあったら、もし輸入ストップしたら、そのときにはもう日本の国というのは本当に食料が手に入らない、そういう大変な状況にあるんだというふうに思うんですね。そのことをなぜ海外、外国に対して説明をして理解を得ることができないのかというふうに思うわけですよ。  そういう、交渉というのはあくまでも交渉があったから今日のWTOの今の到達点があるわけで、やっぱり問題があるよということを強く叫べばなかなか決まらないけれども、ずっと話合いで来ているという経過はあるわけですから、やっぱり交渉なわけですから、そこは本当に日本の国民の食料を守る立場に立って強く主張すべきだと思うんですよ。  それで、お米の問題、去年、米価の暴落でもって、緊急対策で一時的に備蓄積み増しという形でこれは下落をストップをさせているんだけれども、これは確かに一時的ですからこの後のことが心配されるということなわけですけれども。私は、この問題の打開の方向としても、生産調整の未達成あるいは未達成地区、ここに対しては補助金はカットだというような強権的なやり方ではなくて、やっぱり農家の側が転作作物の条件について、こっちをやっても大丈夫だと、やりくりできるなと、そういうことを判断できるような、転作作物の条件を思い切って有利にして、そうやって自主的、自発的に選べるようにするべきだというふうに思います。  ちょっと時間が迫ってきたので、もう一つ併せて言いますと、輸入に多くを依存している麦や大豆や飼料作物について、これは所信の中でも大臣言われていましたけれども、これについての生産を今後進めていくんだということを述べられていて、これは大事だと思うんですよ、もっと増やさなきゃいけないというふうに思います。  そういう中で、水田を生かして、茎や葉も丸ごと家畜用えさにできる発酵飼料の稲や飼料米の実用化というところでもって取組を進めていくということ、これは大いに進めていくべきことだと思うわけです。そういったことも含めて、やっぱり本当にそれをやるためにはある程度補てんも必要だということですから、価格の保障ということですよね、そういうことも重ねてやっていけるようにすべきだと。  そういうことを考えると、やっぱりここで今、価格政策というものを変えていく必要があるんじゃないかというふうに思うわけですけれども、いかがですか。
  212. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) いろいろと委員がおっしゃっておられることについては、私も同感をし、共感を覚えるところがあるんですけれども、結論が、だから価格政策でいくんだという、そういう結論に結び付かないんですね。委員の御提案の、価格政策をそういう意味で見直して価格政策で支えるということについては、私どもはそのような政策を取るつもりはございません。
  213. 紙智子

    ○紙智子君 これ、四月一日のエコノミストなんですけど、ここで特集しているんですね。それで、飽食というけれども、食料自給率三九%の危機と。日本が飢え死にするということで、特集でいろいろな方が書いておられますけれども、その中で、競争力を付けるために保護はなくすべきだという主張は誤りだと、欧米でも米国でも農業に手厚い保護の結果、食料自給率と輸出力を保っているんだと、日本はむしろ保護水準が低く、これほど開放度が高い国も少ないということを指摘されているわけですよ。  私は、やっぱり今農村の現場に行って話を聞くにつれて、米もそうだし、ほかのものも含めてそうですけれども、この状況だったら、自分たちの子供たちや新しく入ってくる人に農業を是非やってほしいということを言えないというわけですよ。昔は泣いて頼んで後を継いでほしいと言ったと。ところが今は、泣いて頼んで、頼むから継がないでくれと言わなきゃならないような事態にあるという話を聞きますと、やっぱり今の農政を大きく方向転換することが必要だということを指摘をして、時間になりましたので、質問を終わらせていただきたいと思います。
  214. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  215. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 次に、水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。若林農林水産大臣
  216. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  水産加工業施設改良資金融通臨時措置法は、北洋における外国政府による漁業水域の設定等に伴い、水産加工原材料の供給事情が著しく変化したことに対応し、水産加工施設の改良等に必要な長期かつ低利の資金の貸付けを行うことを目的として昭和五十二年に制定されたものであります。  その後、国際的な水産資源の保存管理措置の強化や、我が国周辺水域における水産資源の減少に伴う水産加工原材料の供給事情の悪化、水産加工品の輸入の増大に対処するため、新製品、新技術の研究開発に係る施設の改良等に必要な資金を貸付対象に追加するなど、同法の内容について所要の見直しを行いつつ、同法に基づく融資措置を通じ、水産加工業の体質強化の促進に努めてきたところであります。  同法は、本年三月三十一日限りでその効力を失うこととされておりますが、最近における水産加工業を取り巻く状況を見ますと、世界的な水産物需要の増大を背景に水産加工原材料の供給事情が更に悪化するなど、状況は厳しさを増しております。  このような状況にかんがみ、引き続き、水産加工施設の改良等に必要な長期かつ低利の資金の貸付けを行うため、同法の有効期限を五年間延長し、平成二十五年三月三十一日までとするとともに、加工残渣などの未利用・低利用資源を有効利用し、魚粉などの食用でない水産加工品を製造する施設等についても貸付けが行えることを明確にするため、所要の規定の整備を行うこととした次第であります。  以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  217. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 以上で本案の趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十九分散会