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2008-02-20 第169回国会 参議院 農林水産委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年二月二十日(水曜日)    午後一時三十分開会     ─────────────    委員氏名     委員長         郡司  彰君     理 事         主濱  了君     理 事         平野 達男君     理 事         加治屋義人君     理 事         野村 哲郎君                 青木  愛君                 一川 保夫君                 金子 恵美君                 亀井亜紀子君                 高橋 千秋君                 藤原 良信君                 舟山 康江君                 米長 晴信君                 市川 一朗君                 岩永 浩美君                 牧野たかお君                 山田 俊男君                 澤  雄二君                 谷合 正明君                 紙  智子君     ─────────────    委員異動  二月十九日     辞任         補欠選任         高橋 千秋君     芝  博一君      米長 晴信君     川崎  稔君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         郡司  彰君     理 事                 主濱  了君                 平野 達男君                 加治屋義人君                 野村 哲郎君     委 員                 青木  愛君                 一川 保夫君                 金子 恵美君                 亀井亜紀子君                 川崎  稔君                 芝  博一君                 藤原 良信君                 舟山 康江君                 市川 一朗君                 岩永 浩美君                 牧野たかお君                 山田 俊男君                 澤  雄二君                 谷合 正明君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   若林 正俊君    副大臣        農林水産大臣  岩永 浩美君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       伊藤  渉君        農林水産大臣政        務官       澤  雄二君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 朝雄君    政府参考人        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       藤崎 清道君        農林水産省消費        ・安全局長    佐藤 正典君        農林水産省生産        局長       内藤 邦男君        中小企業庁事業        環境部長     高原 一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国政調査に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (畜産物等価格安定等に関する件)  (畜産物価格等に関する決議の件)     ─────────────
  2. 郡司彰

    委員長郡司彰君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、米長晴信君及び高橋千秋君が委員を辞任され、その補欠として川崎稔君及び芝博一君が選任されました。     ─────────────
  3. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、農林水産に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省医薬食品局食品安全部長藤崎清道君外三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 農林水産に関する調査のうち、畜産物等価格安定等に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 主濱了

    ○主濱了君 民主党・新緑風会・国民新日本の主濱了でございます。  畜産物価格テーマとした農林水産委員会につきましては、従前から、食料農業農村政策審議会の開催より前に開くべきであると、こういう御指摘がありました。昨年も、和田ひろ子議員あるいは岩永大臣、また松岡元農林水産大臣からもそのような御答弁があったということでございます。このような経過の中で、今年は委員長それから両筆頭理事ほか皆さんの御努力により、農産物価格テーマとしたこの委員会審議会前に開催できましたこと、関係される皆様にまず御礼を申し上げたいと思います。  それでは、質問に入ってまいりたいと思います。  まず、食料農業農村基本計画における畜産関係食料自給率飼料自給率についてお伺いをいたしたいと思います。  食料農業農村基本計画における牛乳それから乳製品肉類自給率、この目標ですが、これが牛乳の方が平成十五年で六九%、そして二十七年目標で七五%、それから肉類の方が十五年実績で五四%、そして二十七年目標で六二%となっております。かなり高率だと私、思います。しかし、この基本法計画自給率目標と、それから食料農業農村白書白書の方ですね、白書自給率とが整合性が取れていないのではないかと思っております。  食料自給率を四〇%とか、十八年においては三九%としているその白書では、輸入飼料によって生産された部分はこれは自給にはカウントしないと、こういう扱いになっております。それで自給率を算出をしている状況でございます。その結果、畜産物自給率は一七%ということになっております。私自身は、国内生産された飼料で、かつ国内生産された畜産物での自給率算定、まさに白書方式ですけれども、この白書方式が妥当だというふうに思っております。  現在の畜産物自給率は一七%ですが、例えば飼料自給努力をして、自給飼料が一〇〇%になれば、四九%プラスされることになりますけれども、プラスして結果として六六%にするであるとか、こんなことでいいのではないかと私自身考えているところでございます。  そこで、国内生産された飼料で、かつ国内生産された畜産物で算定した場合の基本計画における牛乳乳製品、それから肉類、それぞれの自給率が何%になるのか、これについてお伺いをしたいと思います。  併せまして、重なり合うことなんですけれども、この基本計画における飼料自給率というのが別途決まっております。飼料自給率というのが決まっているんですが、これが平成十五年実績で二四%、飼料の方はですね。そして、二十七年目標飼料自給率三五%と、こういうふうに決まっているんですが、この食料自給率飼料自給率との関係も併せてお聞かせいただければ幸いであります。
  9. 澤雄二

    大臣政務官澤雄二君) 今委員指摘のように、食料農業農村基本計画自給率数字の出し方、これは飼料国内のものであるか外国のものであるかということは勘案しないで出しております。一方、総合自給率については、これはカロリーベースでございますので、外国飼料を使ったものについては、これは計算の中には入れておりません。御指摘のとおりでございます。  カロリーベース自給率を試算をいたしますと、御質問の趣旨でございますが、牛乳乳製品は四八%、肉類が一二%となっています。平成二十七年に総合食料自給率四五%を政府目標としておりますので、これに対応する数字といたしましては、牛乳乳製品は四八%、肉類が一二%となっております。  ちなみに、現在の自給率は三九%でございますが、これに見合う数字としては、牛乳は二八%、肉類は七%というふうになっております。  それから、もう一つの御質問でございますが、四五%を算定するに当たって、畜産物の、飼料自給率目標三五%とどういう関係なのかということでございますが、総合食料自給率を出すときには、飼料国産であるか国外であるかということを完全にリンクはさせていません。ただし、平成二十七年度が目標達成年度でございます。そのときに四五%。それで、そのときの飼料自給率目標は三五%でありますが、これは国産国外かということを勘案して完全にリンクして出したものではございません。畜産物自給率は二十七年度までに一体全体の幾ら日本国内生産するかという数字計算したものであります。  また、飼料自給率も上げなきゃいけない。上げなきゃいけない目標としては、二十七年度までに幾らかというと、三五%まで上げようじゃないかと。その到達年度平成二十七年度で、一緒だということは勘案してございますが、完璧にリンクして数字を出したものではございません。
  10. 主濱了

    ○主濱了君 よく分かったような、よく分からないような。いずれにせよ、食料自給率三九に合わせた自給率目標を作るのが私は正解だというふうに思うわけであります。  これに統一した方が、とにかく飼料はどうであれ日本国内生産された畜産物であればそれはすべて自給率にカウントするというのは、やっぱりこれはおかしいと思うんですよ。じゃ何のために飼料自給率を上げようとしているのか、それが、全くその努力が目に見えてこないと、こういうことになろうかなというふうに思っております。  あと、この前提に立ちますと、この前提というのは三九%と同列目標を作るとか、そういうふうな前提に立ちますと、八月に公表された平成十八年食料需給表というんですか、これも実は修正する必要があるのではないかなというふうに思っております。  その中身をちょっと見ますと、平成十八年度の食料需給表ポイントの中で、しっかり平成十八年度の食料自給率カロリーベースでは前年度から一ポイント低下して三九%、こういうふうに表現しているんですよ。にもかかわらず、その参考資料の方で肉類がやっぱり五五%であるとか、それから牛乳乳製品が六六%であるとか、また高率なものになっているわけなんですよね。  この件、通告しておりませんので、もし政府参考人の方からこの修正とかそのようなことについてお考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
  11. 内藤邦男

    政府参考人内藤邦男君) 食料需給表計算の仕方でございますけれども、その際には飼料自給率を加味して計算してございますので、その意味では修正の必要はないかと思っておりますが。
  12. 主濱了

    ○主濱了君 先ほど澤政務官からお話のあった数字と違う数字が載っかっているんですよね。ですから、もしその三九%と同列に扱ってお話を論ずるのであればそうではないかということで、これは突然でございますので答弁は要しません。  私は、実はここで自給率のことを述べるのが本意ではございません。実は、自給率をいかに達成するか、自給率目標をいかに達成するかと、こういうところが実はポイントだったわけであります。自給率の中には生産面の問題も含まれますし、それから消費面の問題も様々含まれてくると思います。もちろん、飼料自給も含まれてくるというふうに思っております。  この観点から、今お話があったように若干目標が、自給率達成目標が定まらないようではありますけれども、畜産物自給率目標達成について農林水産大臣の御決意をお伺いいたしたいと思います。
  13. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 我が国カロリーベース自給率目標年度で四五%に引き上げていく、それを目標に頑張っていくというのはもう農業政策基本でございます。その際の大きな問題として飼料国内自給率の問題が重要な要素になるということについての主濱委員の認識は、私もそのように思うところでございます。  その意味で、この食料自給率目標幾らに定めるかという、今整合性がないじゃないかというお話ございましたが、目標年度におきます飼料自給率目標に達するように努力するために、草地などの飼料生産基盤のまず整備をする必要があると。稲発酵飼料生産拡大していく必要があると。また、国産稲わら広域流通を促進して、有効にこれが利用されるようにしなければならない。そしてまた、可能な限り放牧を推進をする。そして、エコフィードといいますか、食品残渣飼料化をして、これを配合飼料原料として使っていくといったようなこと、これらを政府としても支援をしているところでございます。  平成二十年度予算におきましては、現在すき込まれております緑肥の作物すき込みではなくて飼料にこれを転換をする、あるいはまた、耕作放棄地草地に利用するというようなこと。また、水田の裏作での飼料作物生産、これを供給を高めていくこと。地域の食品残渣飼料化をする業者と配合飼料メーカーが連携したエコフィード増産をするといったようなことを支援するための対策を盛り込んでいるところでございます。  また、肉類自給率目標達成のためには、牛肉については肉用牛増産に資する取組を強力に推進するとともに、肉豚や鶏肉については衛生管理対策の徹底などによりまして生産性向上をすると。その取組を促進して国産食肉供給拡大を図っていくということでございますが、今後とも、えさ、飼料自給率だとかあるいは肉類自給率達成に向けてはいろいろな政策を総合しましてこの施策を推進してまいりたい、このように考えております。
  14. 主濱了

    ○主濱了君 確かに様々あります。生産面それから消費面、様々あると思います。やるべきことはいっぱいありますので、是非ともこれはよろしくお願いしたいと思います。  さて、飼料高騰が続いているわけであります。私があえて申し上げるまでもありません。一方、畜産物価格は横ばいないし低下傾向にあるということでございます。畜産酪農農家は本当に苦しんでいるということでございます。  これは私の管内の話なんですが、乳牛百頭規模の酪農家、これまでの負債とそれから追い打ちを掛けるかのようなこの度の飼料価格高騰、このために自ら、昨年末でしたけれども、自らの命を絶つと、こういったような悲惨な事件も起きております。一刻も早く私は何らかの対策を打つべきであろうと、こういうふうに考えているところであります。  対策には緊急に取り組むべきものと中長期的に取り組むべきもの様々あるわけですが、民主党におきましては緊急に取り組むべき対策の中で、畜産酪農農家が危機的な状況にあることをとらえまして、生産コストの中で大きな比重を占めている配合飼料、この配合飼料の使用の実績に応じて特別交付金を交付することによって経営支援をしましょうと、こういったような緊急対策を講ずることを提言をしているところでございます。  この民主党提言緊急対策、これができるだけ早く実現することにつきまして御意見があれば大臣からお願いをいたしたいと思いますし、また、今日の報道にもちらっとあったわけですけれども、政府として別に緊急対策を準備しているのであればそれも併せてお示しをいただきたいと思います。
  15. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 今、主濱議員の方から、民主党内で御検討をされ提案をしておられます配合飼料価格現行安定制度では対応が不十分だという部分を補完する形で新たに補給金を交付するというようなお考えについてお話がございました。  この案について申し上げますと、現行配合飼料価格安定制度というのは、実はこういう生産資材に対する支援政策としては他に例のない極めて特異な特例的な措置としてこれを設けているところでありますし、したがいまして、原油、今高騰で大変、水産を始め大変な苦境に立っておりますが、そういう原油などの他の生産資材対策についても、このような御提案のような中身の直接的な国庫補てんを行うというようなことはしないで今頑張っていただくような関連対策でこれに対応するということにしております。  そういう意味でいえば、この飼料について直接補てんの仕組みを行うということになりますと、財政負担考えても膨大な財政負担を要するわけでありますし、それがそういうような形で生産資材そのものについて助成の対策を講ずるということをいたしますと、結局、構造的な問題であればあるほど、それを最終的には製品価格として転嫁をして消費者に最終的には負担してもらうということでなければ日本のこのような畜産はやっていけなくなるわけでありまして、そういうようなことを考えますといろいろ問題が多いというふうに思うのでございます。  したがいまして、農林省としては、今回の配合飼料価格高騰に対しましては、配合飼料価格安定制度が有効に機能するような、このことを、現行制度前提にしながら家畜飼料特別支援資金によりまして農家負担の影響を緩和するという措置を講ずるわけでございまして、これらを講じている間に国産飼料生産拡大でありますとか家畜生産性向上などの取組を一層進める、そして生産コスト上昇畜産物価格に適正に反映していくということ、そのための各般の施策を講じてまいりたい、そのような対応を取ってまいりたいと、こう考えているところでございます。
  16. 主濱了

    ○主濱了君 ちょっとおっしゃっている内容がすっかりつかめなかったところでありますけれども、また後ほどこの問題についてはお話をさせていただくことになると思います。  やはり、先ほど冒頭に申し上げましたように、畜産農家は本当に困っているわけです。悲鳴を上げているわけであります。今すぐ何とかしなければ、どんどんどんどんもうやめていってしまうと。これ、私、今日は入れておりませんですが、昨年一年間で五%も畜産酪農農家が減ってきていると、こういう、一年間でですよ。そんな状況になっているわけですから、これはもう早く手を打たないといけないのだと。今いろいろ考えている私はいとまはないのではないかなと、こういうふうに思っております。これはまた後で触れさせていただきたいと思います。  それで、次は飼料自給、特にトウモロコシ自給についてお伺いいたしたいんですが、飼料自給率向上の中で、やはり日本においては濃厚飼料、特にトウモロコシが重要であると私は思っております。それで、濃厚飼料自給率、十八年度の概算では一〇%と低迷をしているということでございます。  まず、国内での濃厚飼料原料としてのトウモロコシ、このトウモロコシ生産状況がどうなっているか、これを政府としてどう認識しているのか、そして増産に向けてどう取り組んでいくのか、これが第一点目であります。  また、自給のためには、今度は種子としてのトウモロコシですね、種子としてのトウモロコシもこれは輸入しなければならないわけであります。これ、ちょっと調べてみましたら、平成十八年度は種子としてのトウモロコシは千八百三十九トン、九億円余りが輸入をされているんですが、果たしてこれで十分なんでしょうか。こういったような問題。  加えまして、これはもうあくまで輸入に頼るということなんですが、播種用種子としてのトウモロコシ国内自給考える必要があるのではないか、もう自前で種を用意する必要があるんじゃないかと、こういうことであります。このためには、やはり日本の土壌とか日本の気候に合った種子研究開発の必要があると私は思います。現在の研究開発状況、どうなっているのか、今後どう対処されていくのか。  この三点についてお伺いをいたします。
  17. 澤雄二

    大臣政務官澤雄二君) お答えをいたします。  先ほど、もしかしたら誤解があったかもしれないんで少し訂正をさせていただきますが、三つ自給率関係でございますが、畜産物自給率、それから総合食料自給率、それから飼料自給率、この三つ関係でございますが、総合食料自給率につきましては、畜産関係は要するに国内産飼料を食べたものしか勘案をされませんので、二十七年度の飼料自給率目標三五%というのは当然、総合食料自給率の方にリンクしている数字でございます。  そして、なぜこの三つ数字があるのか、これは政府目標がばらばらではないかという御指摘でございますが、例えば極端なことを申し上げますと、国内産の牛、肉牛が一〇〇%だったと、例えば生産できたとします。ところが、その一〇〇%のお肉は実は全部外国産飼料で食べていたと。そうすると飼料自給率はゼロであって、総合食料自給率にはそれは換算されてまいります。  政策考えるときに、一体どこの数字を取って政策考えるんだと。だから、飼料がゼロだからカロリーベースではゼロになってしまう政策考えるのか、そうではなくて、やっぱり国内で取れる肉の多さというのは、それは別途政策として考えなきゃいけないんじゃないか。それも、できれば総合自給率を上げたいので、飼料の方についても自給率を上げていかなければいけないじゃないかという数字が六五%と三五%という数字関連をしてくるということでございますので、政府としては、畜産酪農政策考えるときに、少し幾つかの数字を持って政策づくりが必要だということで別々の数字があるというふうに御理解をいただければというふうに思います。  ただいまの質問でありますけれども、委員の御指摘のとおり、やっぱり飼料自給率を上げなきゃいけないと農水省としても考えておりますが、トウモロコシについては、もうこれは委員、先刻御承知だと思いますが、非常に雨が多い我が国ではなかなか生産に適さないという面がございます。  したがって、全般的に濃厚飼料生産というのは今、日本では行われていないわけでございますが、ただ、青刈りトウモロコシというのは、委員も御承知だと思いますけれども、要するに完熟まで行かない、乳熟期で取り入れることができる、しかもその葉っぱも茎も飼料として使えるということでございますので、これなら我が国でも生産をできると、飼料としても適しているということで、我が国としては今この青刈りトウモロコシ生産を一生懸命促進をしているところでございます。  今年度から、草地青刈りに変えたときには補助金も出しております。その効果もあって、十九年の作付面積については、この青刈りについては対前年比千七百ヘクタール増、二・三%増えて八万六千百ヘクタールというふうになっております。この青刈りトウモロコシがどんどんどんどん推進されるということになると飼料自給率も上がってまいりますし、畜産経営の安定、そういうことにも寄与してまいりますので、政府としてはこれを推進していきたいというふうに思っております。  それから、この青刈りトウモロコシ種子は足りているのかということでございますが、これは外国から輸入をしておりますけれども、現在、種苗会社その他が一生懸命努力をしておりまして、現在のところ十分輸入量は足りております。それから、今後もこの種子については外国から安定的に供給がされるように、農水省としては各方面に働きかけをしていきたいというふうに思っております。  それから、穀実を使えるトウモロコシ生産はできないのかということでございますが、これも我が国の気候風土からいうとやっぱり雨が多いということで、今のところ、完熟したトウモロコシの実を飼料にするというのはなかなか生産ができないというようなことになってきています。ですから、農水省としては、まず粗飼料国内自給率向上も図っていくということをまず第一に考えておりまして、その品種や栽培技術の開発に取り組んでいるところでございます。  具体的にどんなものがあるのかという御指摘がございましたので、北海道や東北なんかの寒冷地の生産に適した寒さに強い品種というのを開発をいたしました。それから、九州など暖かい地域、二期作ができるというようなところでは二期作ができる品種の開発もいたしました。それから、水田の跡、ここが大変湿度が高いところでございますが、そういう耐湿性の高い育成というのも研究も進めております。  それから、省力栽培技術とかサイレージ調製技術、こういうものの開発にも取り組んでいるところでございます。具体的な品種で申し上げますと、北海道道東向けの「ぱぴりか」、これは平成十七年に育成ができました。そして、九州の夏まきでは九交、九つの交わると書きますが、これは平成十九年に新しい品種が育成されたところでございます。  こういうことを今現状としては御説明申し上げたとおりでございますが、委員指摘のとおり、穀実を使う飼料、なかなか難しいんでありますが、こういうものの生産もやっていきたいという決意をしておりまして、研究には力を入れているところでございます。
  18. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございました。是非とも進めていただきたいというふうに思います。  さて、全酪新報に掲載されました「日本酪農危機突破への提言」についてお伺いいたします。  全酪新報、これは業界紙なんですけれども、この全酪新報、平成二十年の一月二十日付けの二面に「日本酪農危機突破への提言」として御省の畜産環境・経営安定対策御担当の職員が御意見を述べられておりました。この提言に対する農林水産大臣としての率直な御感想をまずお聞かせいただきたいと思います。
  19. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 私もこの記事を読みました。この記事は、長く酪農行政に携わっておりまして酪農の実態を大変熟知した担当官が、現下の厳しい酪農情勢の中にあっても、しかし前向きに酪農に取り組んでいただきたい、そういう思いを込めた、言わば応援のような論文であるというふうに考えているところでございます。  現在、酪農家が大変ナーバスになっておりますために、その文章、表現その他についていろいろ御批判もあったかとも思いますけれども、本人は、我が農林行政の中にありましても酪農には大変な情熱と責任感を持って取り組んでいる担当者でございます。そういう意味で、この担当者は多分最も多く現場にも出向いて、最も多く生産者の声に耳を傾けて熱心に取り組んでいるということを私からも申し上げて御理解を願いたいと、こう思うところでございます。
  20. 主濱了

    ○主濱了君 ちょっと私の見解と違う御感想であったわけですけれども、私もじっくり読みました。何回も読みました。一つのことを二か所か三か所ぐらいのところで御発言をされていると。  私、非常に残念に思った点が三つあります。  生産者乳価は三円の引上げで十分であると。生産価格十円の引上げはもってのほか、かつ三十年ぶりの引上げに感謝するべきであると。こういったような御発言がありました。  二つ目は、小売価格への反映について消費者の理解を得ていくためには、都府県の生産者はせめて粗飼料だけでも自給率向上に向けた努力をすることは必要であろうと、こういったような提言であります。しかし、これは、これまでの生産者の努力が全くなかったとも取れるニュアンスのお話だというふうに思います。  はたまた、コストの上昇分を政策的に負担するべきとの乱暴な意見も聞くが、仮に財政的に負担するようなことがあれば、乳業メーカーは価格転嫁の努力を放棄し、財政負担なしには経営ができないという状況を固定化しかねない、こういったような御発言もありました。これは乱暴な意見ではなくて、悲痛な切実な心の訴えなんですよ。これを乱暴な意見ということで片付けられては、非常に畜産農家、それから酪農家は非常に残念に思うと思います。しかも、経営安定担当の方ですよね。  この個別の提言について、大臣、いかが思うか、もう一回御答弁をいただきたいと思います。
  21. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 酪農家が今のような状況の中で大変ナーバスになっているということについては私自身も十分理解をしているところでございますけれども、先ほども申し上げましたように、この担当者は、担当部局内において酪農経営を一番理解をし、そしてまた情熱を持って日本酪農を推進をすると、それで経営者がこれにどう取り組むかということにつきまして、多くの経営者の皆さん方とも接しながら、言い分も聞きながら仕事をしている期待すべき担当者だと、私はそう思っております。  この提言の中で、言葉一つ一つを見ると見方によってはいろいろな見方が確かに、そういう見方もあるかもしれませんが、今の三円の部分についても、三円の引上げで十分であるというふうに言っているわけではありませんで、三円の引上げでは全く足りないという都道府県の生産者の気持ちは十分に理解できるけれども、まずは経営にとってポジティブな変化だとか、三十年ぶりの変化をもたらした関係者の努力、これはもう生産者団体と乳業メーカーとの間の大変真剣な、真剣勝負のような中で価格が決まってきたという、そういう関係者の努力というのを素直に評価すべきであろうというふうに書いているわけでございまして、見方によれば、だからそれで我慢しろと言っているんだと、けしからぬという見方もあるかもしれませんけれども、担当者がこうしてそれらの決定過程にも触れながら、しかも加工乳のことでチーズなどの問題にも触れて、全体として見ているという意味で私は是非御理解をいただきたいと、このように思うのでございます。
  22. 主濱了

    ○主濱了君 実は、この件を私に訴えてきたその酪農家に書き物をくれと、要するに新聞を持ってこいと、こういうことをお願いしたんですが、その農家は、農家の実態を無視した提言に余りにも腹が立ってぐちゃぐちゃに丸めて火を付けてくべてしまったと、こういうことでありました。これは農家自体がそのように感じているわけであります。  長らく農水委員会を経験されている岩永大臣、是非御感想をお聞かせいただきたいと思います。
  23. 岩永浩美

    ○副大臣岩永浩美君) 先ほど主濱議員からいろいろな御説明ございました。正直に申し上げて、酪農家の皆さん方の現状の飼料高騰に対する怒り、それから想定し得ないような形で高騰しているその現実に本当に悲鳴を上げておられることを私もよく耳にしていますし、酪農家の皆さん方にお会いした中でそういう切実な声があることは事実です。  ただ、私自身もこの室長、本郷さんにも会って確認をいたしました。しかし、彼の表現にいろいろ刺激的なところが、受け取りとしてある方もおられるかもしれませんが、ただ、私自身が聞き、かつまた今の仕事ぶりを拝見すると、本当に酪農家の皆さん方の応援隊の一員というその一つの熱い思いでこういう一つの提言をしておられたこと、そういうことにおいては先ほど大臣からもお話をいただいたように、本当に酪農家の現状を憂えながら、今後、自給率の一つの向上のためにやっぱり農家も努力をしていくこと、これは言うまでもありません。  配合飼料に依存した中で本当に畜産経営が成り立っていくわけではないわけだし、そういう意味で、自らに言い聞かせつつ農林行政の推進のために努力していく、その一つの思いだということを私自身もお聞きしたので、是非そういう一つの現実の姿をよく見て、今後もその推進をしてほしいということを伝えたことを披露しておきたいと思います。
  24. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございます。  文章の中にあります「乱暴な意見も聞くが、」と、こういうことではなくて、これはもう農家の切実な悲鳴なんだと、こういうことでひとつ施策を進めていただきたいと、このように思います。  最後になりますが、トウモロコシ食料とバイオ燃料の原料としての、何といいますか、振り分けを何とかしたらいいじゃないかと、こういう提言でございます。  米国はバイオエタノールの製造を二〇一〇年には倍増すると、こういうことであるようでございます。そして、それが実現しますと、トウモロコシの三分の二がバイオ原料として回ってしまうと、このようなことでございます。  私も先日APPFに行ってきまして、地球温暖化防止について日本の立場を説明させていただきました。確かに、地球温暖化、その防止というのは大切であるというふうに思います。しかし、毎日毎日の食事あるいは飼料、この確保も同様に、あるいはそれ以上大事だというふうに思うわけであります。  つきましては、日本として主要農産物、特にトウモロコシにつきまして、食料飼料とバイオ原料との適切なバランスを図ることを世界に提案してみてはいかがかと、こういうふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  25. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 委員は地球環境問題にも大変に熱心に取り組んでいただいておりますのでお分かりいただけると思いますけれども、それらの、この地球温暖化を阻止するという点からいいますと、何といっても石油、ガソリンの使用をどこまで抑制するかというのは大変な重要な課題、世界的なこれまた課題でございまして、特にアメリカのように、ガソリンを多消費している、あるいは垂れ流しとも言われるようなガソリン消費をしている国が、大統領が決断をいたしましてこれをエタノールに転換をするという大きな方針を打ち出してやっていることでございます。  そのこと自身について、それぞれの国との関係でそれに異議を申し述べるということは大変に難しいことであると、外交的にも難しい課題だと私は思っておりますけれども、しかし、人類の将来を考えますと、結局このエネルギーと食料という問題が大きなこれは競合関係に立っておるだけに、これは大変な課題なんだということも提言をしているレスター・ブラウンとか、その他の人たちからもいろいろ問題が提起されていると承知いたしております。  そこで、まずは我が国としてみますと、食料とか飼料用の安定供給を図るということが大事でございますので、我が国国産バイオ燃料の生産拡大につきましては、食料とか飼料供給と競合しない稲わらとか間伐材のセルロース系の原料を活用した国産バイオ燃料の大幅な生産拡大を図るという方針を打ち立てているわけでございまして、平成二十年度予算においても日本型のバイオ燃料生産拡大対策というものを重点的にこれを進めることにしております。  そういう我が国の姿勢というようなものを、我が国はこういう取組をしていると、そういうソフト、ハードのセルロース系のものをエタノール原料として使って食料との競合を避けるような方向で研究開発あるいは実証実験、そして実用化に取り組んでいるんだということは大いに発信をしていく必要があるというふうに考えておりまして、バイオ燃料に関する我が国取組を国際的に表明できる機会として言えば、バイオマス利活用につきまして、バイオ燃料政策に関する国際シンポジウムがバンコクで今月二十五日から二十六日、ございます。アジア各国九カ国が参加します。そこで発信をすると。あるいはまた、FAOも非常に危機感を持っております。このFAOでの会議、またワシントンで行われます再生エネルギーの国際会議、これは三月の上旬にあるわけでございます。  そういう会議には、我が国はこういう問題意識でこういうふうに取り組んでいるんだということもアピールをしていきたいと思っていますし、このほかに御承知のように北海道の洞爺湖サミットがございます。このサミットに向けましてあらゆる機会を活用して、人類の危機という意味で、これからはセルロース系のエタノール化ということに真剣に共同開発をし、あるいはそれを推進していこうじゃないかというようなことを訴えてまいりたいと、こう考えております。
  26. 主濱了

    ○主濱了君 是非ともその訴えが食料を少なくする方向にならないように是非ともお願いをいたしたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  27. 金子恵美

    金子恵美君 民主党・新緑風会・国民新日本金子恵美でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  配合飼料価格の急激な高騰、そしてWTO農業交渉及びEPA交渉の本格化など、畜産酪農経営を取り巻く情勢は大変厳しく、多くの関係者から悲鳴のような声が聞こえてきます。既に先に質問されました主濱委員の方から、私が通告をいたしました一つ目の質問と重複している質問がありますので、一部割愛させていただきながら申し上げさせていただきます。  飼料価格高騰に伴う緊急対策なんですけれども、現在の通常補てん基金や異常補てん基金からの補てん、あくまでも畜産酪農経営に及ぼす影響を一時的に緩和するための措置でございます。今後も飼料価格の高値傾向が続けば農家の直接負担も増え続けることになります。農家の経営状況を悪化させるだけでございます。こうした点を踏まえ、民主党としては、今月、農家の実質的な負担を軽減するべく、現行価格補てんに加え、緊急対策として国庫による総額六百五十億円に上る飼料購入費への更なる補てん策を提案したわけでございます。是非、我々のまずこの案を取り上げていただきたいという思いでおりますので、まずはこれをお願いいたしたいと思います。答弁は結構でございますが。  次の抜本的な対策ということでございますけれども、先ほども主濱委員の方からもございました二月十四日の日本農業新聞の記事に、アメリカ農務省は、十二日に発表した農産物長期予測、目標年は二〇一七年で、トウモロコシ原料とするエタノールなどのバイオ燃料について二〇一〇年には百二十億ガロンと現行に比べ倍増するとの見通しを示したとあります。トウモロコシの国際的な争奪戦、つまり米国内のエタノールや畜産業界と日本を含む海外の需要者との奪い合いが始まる可能性があります。それを我々も懸念しているわけでございます。  まずは、この件についての御見解、そしてこのような状況下で今後、飼料価格が下がる可能性は極めて低いと思うわけですが、抜本的対策としての新しい制度の創設が必要であろうかと思いますので、それについての御所見を伺いたいと思います。
  28. 岩永浩美

    ○副大臣岩永浩美君) トウモロコシの国際価格については、バイオエタノールの原料としてトウモロコシの需要が増大していることはもう御案内のとおりですね。我々もそういう認識に立っています。特に、中国やインドなどの途上国の経済発展によって食料飼料の需要の増大などがその一つの高騰の要因として示されたこと、それから一昨年秋ぐらいから高騰してきていることはもう御指摘いただいたとおりです。  それに対して、今、金子委員の方からお話しいただいた配合飼料価格が高止まった場合の補てん金が交付されるようにというお話ですが、この件については畜産農家の負担軽減を図る意味から御指摘のような意見が多くの畜産農家から出ていることは私自身承知をいたしております。そのために、その見直しについては、他の生産資材にない極めて特例的な措置であること、それから原油などほかの生産資材にも直接的な国庫補てんは行われていないことなどがあって、今以上の補てんを行おうとすると補てんに多額の財政負担が必要な上に、生産コスト縮減に向けた生産者の経営努力を阻害するおそれが出てこないかということなど、慎重な検討を要する問題と考えております。  いずれにしても、今後の配合飼料価格の動向を十分に見極めた上で、今後の中長期的な課題として政府として十分検討をしていきたいと考えております。
  29. 金子恵美

    金子恵美君 多くの人たちはもう経営努力というのはしていると思いますので、まずそれは御理解いただいて、その上で、これだけのもう声が聞こえているわけです、助けてくれというそういう声でございますので、是非早い時期に新しい制度というものを確立していただければというふうに思います。  次に、家畜飼料特別支援資金について伺います。  昨年三月に、畜産物価格関連対策の一環としてこの家畜飼料特別支援資金制度が創設されております。この制度は、全畜種の畜産農家が対象でありまして、配合飼料価格が、経営努力を踏まえても生産コストが収益を上回る水準となったときに発動される低利融資制度であります。  先日、私のところに全国の養鶏団体の方、日本鶏卵生産者協会、日本養鶏協会が養鶏経営危機救済のための緊急対策の実施を要望したいとお見えになりまして、この融資制度についても言及されていかれました。また、都道府県農業会議会長会議、全国農業会議所などからの平成二十年度の畜産酪農対策に関する要請でも、制度の普及推進を図るとともに円滑な融資が図られるよう、支援体制を強化するよう求められています。  そこで、養鶏業者ということもありますけれども、配合飼料価格が急騰する中、この特別支援資金は昨年の十月に基準の見直しも図られ発動されているわけですけれども、資金繰りに困っている畜産関係農家にとってみれば大変有り難い事業ではあると思います。その必要性も高くなっているとも思われます。融資枠は四百五十億円ということですけれども、更にこれを大きくしてほしいという要望もあります。特に養鶏団体からは鶏卵農家が必要とする五百億円規模の融資をとの具体的要望も出てきているところでございますが、その点も踏まえまして、今後、融資枠全体を拡充するお考えはないのか、まずお答えいただきたいと思います。
  30. 澤雄二

    大臣政務官澤雄二君) 今日審議されているテーマにつきましては、畜産酪農については、私は今月の初め大分へ行って酪農農家見てまいりました。涙ながらに家族の方が訴えられている現状というのをこの目で見てまいりましたので、認識としては皆さんと同じものを持っていて、できるだけ早く何とかしたいという気持ちは一緒でございます。  今御質問のあった家畜飼料特別支援資金でございますけれども、去年の四月に創設をされて、十月に発動条件の見直しをされました。これは、去年の夏大変暑くて、要するに乳量が下がってしまった、それと原油が上がって光熱費が上がったということがあって、融資のハードルを下げたわけでございます。  融資枠についてでございますが、現在四百五十億でございますけれども、二月十二日現在でまだ貸付見込額は四十億円少々でございます。これから多分どんどん申込みが増えてくるんだろうと思っておりますが、そういう状況を見て融資の限度額、融資枠全体については検討させていただきたいというふうに思っております。
  31. 金子恵美

    金子恵美君 今、つまり今現在ですけれども、四十億ぐらいの貸付けということで、私が前に農水省さんの方からいただいた資料では、当時、見込み、一月十八日現在の見込みだったんですが、四十五億円ということでしたのでそれより減っていることになるんですけれども、いずれにいたしましても希望はあるわけです。これを使いたい、活用はしたいと。  しかし、実は、そこでまた問題もあるのではないかと思います。それが実は利便性の問題なんですけれども、この基金の融資を農家が受けるに当たっては、各県の農業信用基金協会の債務保証も使えるようではあります。そして、各県の基金協会による債務保証の条件は、具体的な融資額や各農家の経営規模、あるいは当該県の農業信用基金協会の財政状況によって様々となっています。一律同じ条件でないものの、物的担保や連帯保証人などが求められるケースも多いと聞いています。しかし、この特別支援基金は、飼料高騰が続いて経営の維持が厳しくなって早急に飼料購入費として融資を受けたい農家にとっては、債務保証に係る手続のための物的保証や連帯保証人の確保というのは容易なことではないということも言えます。関係者はこの資金をつなぎ融資として位置付けているわけですので、原則無担保での融資を望んでいるとも言われています。  せっかく設けた融資枠、十分活用されていない。是非これ活用されるように、国として各県の信用基金協会や融資機関に対して指導等を行うことができないのか、見解をお伺いしたいと思います。
  32. 内藤邦男

    政府参考人内藤邦男君) この本資金でございますけれども、まずえさの高騰対応するということでございますので、基本的には運転資金の性格でございます。さはさりながら、その償還期限を十年という形で、しかも貸付利率の一・二五というのは災害に被災された場合のときの融資とか今般の原油高騰対策のときの融資と比べましても遜色のない、むしろ災害と同じくらいに低い利率となっております。したがいまして、これ以上の利率の引下げというのは金利のバランスからいって難しいのではないかと思っております。  また他方、畜産農家経営が非常に厳しく、担保能力も限られているということが指摘されておりましたので、本資金におきましては、私ども、その保証機関であります都道府県農業信用基金協会が、仮に代位弁済というふうな事態になった場合、その代位弁済額の四分の一について助成ができるような措置をしてございます。したがって、こういうことによりますと、県の農業信用基金協会も保証を非常にやりやすくなっているというふうに理解しております。  こういう形で、私ども、この資金の活用、それから当然PR、それから分かりやすさということについては、各県に窓口を設けましたので、そういった身近な窓口で御相談いただきながら活用していただきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  33. 金子恵美

    金子恵美君 今、PRもしてくださった、いろいろと配慮もしているというようなお答えではあったと思います。  ですけれども、まずは実際にどの辺までこの制度自体が周知されているのか。一方では分かっていらっしゃる方々にとっては枠を広げてほしいという思いがあったり、一方ではなかなか活用がされていないという現状であったりということですので、もう少しその辺のところを考えていただいて、特に窓口というのは中央畜産会、そして都道府県畜産協会ですので、どういう形できちんとその相談の機能を強化していくのかということも今後お考えいただきながら進めていただきたいと、決して悪い制度ではないわけですので。ただ、活用をもっとしていただけるような、つまり強化をしていただければというふうにお願いを申し上げるところです。  今質問しました家畜飼料特別支援資金制度についても養鶏団体からちょっと要望がありましたんで、これに関連しまして鶏卵の価格について質問をさせていただきたいというふうに思っています。  鶏卵の価格補てんに際しての基準価格の設定方法の改善ということで、先日、二月十一日付けの日本農業新聞によれば、鶏卵の生産コストがここ一年で二割強も増える一方、鶏卵価格は過剰生産もあって低水準にあるため、一キロ当たり四十五円の赤字となっているという記事がありました。また、十三日付け産経新聞では、昨年のような低価格で推移すると、鶏卵業界全体で千百億円前後の赤字が発生するとの試算もあると報道されております。  このままの状況で推移すると、全国で養鶏業の廃業が増加し、鶏卵の安定的な供給が危ぶまれる状況に陥るものと考えられます。政府も、鶏卵価格の変動が鶏卵生産に及ぼす影響を緩和するため、鶏卵価格安定対策事業を実施し、卵価安定基金が鶏卵価格補てん事業を実施するための基金造成について一部助成しています。  しかし、現在の補てん基準価格は百六十六円、鶏卵卸売価格と基準価格との差額の九割が補てんされていますけれども、この基準価格飼料価格等の高騰に伴う生産費の大幅な上昇が適正に的確に反映されていない状況ではないかと思います。  価格補てんを行う卵価安定基金には約二百億円近くの基金残高があるというふうに伺っております。その有効活用も今現在は行われていないと思われますが、今後、鶏卵価格安定対策事業が養鶏農家の経営安定を図るものときちんとなるためには、生産費の上昇分を適切に反映するということが必要です。基準価格の設定方法を改善すべきなのではないかとも思われますが、御所見を伺いたいと思います。
  34. 内藤邦男

    政府参考人内藤邦男君) まず、日本鶏卵生産者協会がまとめた試算でございますが、私どもも協会に確認しましたところ、このコストの試算といいますのは、配合飼料価格の値上がりを単純に卵価に反映させたということでございます。御案内のとおり、配合飼料価格安定制度による補てんがあるわけでございますので、そういった補てんについてはこの中に配慮されていないという試算でございます。  それから、鶏卵の価格、卸売価格は下がってきているわけでございますけれども、委員指摘のように、特に関東地方の飼養羽数が増加したという供給の問題がございます。生産者サイドも自らの判断に基づく需要に見合った計画的な生産を現在推進しているところでございます。  それから、基金残高がございましたが、その基金団体におけます平成十八年度末の基金残高は二百十六億円ございます。しかしながら、これは十八年度から二十年度までの三か年の事業として補てんを行うというための財源となるものでございます。かつて、我が国で高病原性鳥インフルエンザが発生した平成十五年には二百十億円という規模で基金を発動したという経緯もございますので、我々としましては、この二百十六億円の基金というのは将来のそういった疾病発生、いろんな事態を考えますと必要な水準ではないかと考えているわけでございます。  二十年度の補てん基準価格の決定でございますけれども、これも委員御案内のとおり、算定ルールがございます。過去六年間の標準取引価格の平均を基に飼料価格の上昇と生産コストの変化率を織り込むというものでございますので、この算定ルールに従って適切に対応してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  35. 金子恵美

    金子恵美君 今御説明いただいたように、その基金、いざというときのために使う、鳥インフルエンザなどの問題の発生があったときのためにという、セーフティーネットということでの基金というふうなことは理解はできます。でも、今現在飼料高騰という本当に厳しい現状を見たときに、本当にこの時期こそこういう基金をきちんと活用しなくてはいけないのではないかとも思います。ですので、その辺のところを御検討いただきたいというふうに思っております。  次に、酪農についての質問に移ります。  酪農においても飼料価格高騰が農家の経営を大きく圧迫しております。特に飲用乳生産が八割を占める都府県における酪農の廃業率は六%を超え、高い水準にあります。バターや脱脂粉乳等の加工原料生産が八割を占める北海道の廃業率は二・六%であることを踏まえれば、都府県酪農の廃業率は異常に高いというふうに言えます。  まず、そこで最初に加工原料乳の生産補給金の対象数量の拡大ということで、この補給金制度について御質問させていただきます。  現在、加工原料生産者に対しては、再生産の確保を図るべく補給金が交付されているわけです。補給金単価自体は生産費の変動等に基づく一定のルールによって算定されているわけですが、まず、この単価設定に対する基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。そして、まとめて質問させていただきます。そしてまた、二十年度の補給金単価は生産費の高騰を的確にもちろん反映させるものにする必要があるわけですが、いかがでしょうか。
  36. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 二十年度の補給金の単価につきましてはルールがございます。法律に定められました趣旨に沿いまして、直近の配合飼料価格だとかあるいは光熱水道料などの値上げの状況などもできるだけ織り込みまして、そのルールに基づいて適正に算定してまいりたいと、こう思っております。  また、限度数量につきましては、生乳の需給見通しを基本にしまして適正に設定してまいるという方向で今鋭意詰めているところでございます。
  37. 金子恵美

    金子恵美君 そのルールがあるわけなんですけれども、平成十四年度はBSEの影響を織り込んで単価を算定しています。単価設定において搾乳量も含めて算出しているわけですけれども、配合飼料高騰でえさを変えざるを得ない状況があって乳量に影響を与えることもあると聞いています。そのことを加味して単価設定をするのでしょうか。
  38. 内藤邦男

    政府参考人内藤邦男君) この現在の算定ルールにより我々は算定するわけでございますけれども、変化率、コストの増減率を算定する際には、一年前の単価と基本的には直近の単価を比較してやるというルールになっておりますので、そのルールに沿って算定をしたいと考えております。  以上でございます。
  39. 金子恵美

    金子恵美君 今申し上げた様々な環境的なもの、それを加味することがあるかどうか伺います。
  40. 内藤邦男

    政府参考人内藤邦男君) 当然、この生産コストの中にはいろんなものが入ってまいります。えさも入ってまいりますし、水道、それから光熱動力費、それから機械費、それから労働費、そういったコストが入ってまいりますと、そのコストの状況をきちんと算入して算定いたします。  以上でございます。
  41. 金子恵美

    金子恵美君 それでは、その補給金の対象となる限度数量についておただしいたします。  平成十三年度以降、毎年下がり続けているわけです。限度数量は牛乳の需給事情、そしてバターや脱脂粉乳の在庫量等を考慮して設定されるものです。しかし、飼料価格高騰により農家の経営状況が厳しくなっている中で、その補給金の対象となる限度数量拡大を農家も強く望んでいるわけです。また、十八年度、十九年度と減産型の生乳の計画生産を行い、さらに国際乳製品価格高騰による国産乳製品の需要増加等から、過剰であったバターと脱脂粉乳の在庫も現在はほぼ適正在庫水準になったと見られています。  そうしたことを踏まえて、二十年度は生乳生産増産計画生産にすると伝えられていますが、農家の期待にこたえるために加工原料乳の限度数量を増やすべきであると考えますが、この点についての政府の見解をお伺いいたします。
  42. 内藤邦男

    政府参考人内藤邦男君) 限度数量につきましては、生乳の生産事情、それから乳製品の需給事情その他の経済事情を考慮して定めるというふうな決まりになっておるわけでございますけれども、委員指摘のように、世界的には乳製品価格上昇というふうなこともございまして、国産品についての需要増ということがあるわけでございます。  しかしながら、我々、乳業メーカー等からこれは本当に継続的に起きるのかどうかということも確認しませんと、なかなかその算定にどういうふうに反映していいか分からないところがございます。それについては、やはりいろんなメーカーの方の意見によれば、一過性ではないかという意見もございます。それから、生クリームですとか濃縮脱脂粉乳とか、そういった違うタイプの風味が出るような新しい需要も出ております。それもどういうふうに勘案すればいいのかという、単に脱粉、バターだけではなくて、いろんな乳製品の需給状況を勘案して限度数量については決めていく必要があろうかと思っております。
  43. 金子恵美

    金子恵美君 いずれにしましても、是非適正な限度数量決定をお願いいたしたいと思いますが。  次に参ります。飲用乳の生産者に対する緊急対策について質問させていただきます。  現在、加工原料乳の生産者に対する補給金制度がある、今ほど御質問したとおりでございますが、その一方で、飲用乳の生産者に対する補給金制度はありません。飲用乳は各地区のブロックごとに生産者団体と乳業メーカーとの交渉によって乳価を決定しております。生産者は、飼料価格高騰等を背景とした生産費の上昇を反映させるべく、乳業メーカーに大幅な乳価の引上げを求めてまいりました。その中で、昨年十二月には関東生乳販連と大手三社の乳業メーカーの交渉で今年四月からの飲用乳価の三%値上げが合意されたところですが、この飼料価格の異常な高騰の中では三%の値上げは農家の経営状況の改善に役立つものとはなっていません。一〇%以上の値上げを酪農家は要求もしているわけです。まずは、もちろんこのことは御承知だというふうに思います、確認をさせていただきたいと思います。  そしてまた、農水省も十八日までに、配合飼料価格農家負担の増加分を小売価格に転嫁すると五%から一〇%高になるというふうに試算をしていて、そして生乳については六・六%高と試算を出しているわけです。ですので、またこれについての御意見をいただければというふうに思います。  民間団体による乳価交渉に国としての関与を求めていくこと、これは確かに難しいことだというふうには思いますが、しかし、やはり飲用乳生産者に対する緊急措置的な何らかの対応を国として行っていかなくてはいけないと思いますが、御見解をいただきたいと思います。
  44. 岩永浩美

    ○副大臣岩永浩美君) 二十年度の飲用牛乳向け乳価について、今、金子委員の方からお話があったように、例年より早くその交渉が始まって、大手乳業メーカーとの間で十二月中に三円の引上げで合意に至ったことは聞いております。農水省の試算で配合飼料価格高騰によって生産コストが一年半で五円上昇していますが、酪農家の方々は、そのコストの増加をカバーするために乳価の更なる引上げを引き続き求めていることも承知をいたしています。  そんな中で、農林水産省としては、生産性向上自給飼料増産にも努めて経営体質の強化を図ることが重要であることは言うまでもありません。我々としてもそういった取組支援していきたいと思っております。なお、消費者への理解醸成を図って生産コストの上昇が小売価格に適切に反映されるよう、環境づくりに努めてまいりたいと考えております。  今申し上げましたように、生産者の自助努力だけでこの問題をクリアしていくことはできないので、消費者の皆さん方にもそれだけのコストが掛かっていることを理解をしていただく啓蒙活動を十分にしていきたいと考えております。
  45. 金子恵美

    金子恵美君 ありがとうございました。  確かに、そのコスト、値段が、小売価格が上がるということは消費者側の御理解も得なくてはいけないわけですから、その辺のところのPR、しっかりやっていただきたいという部分と、そしてまた、今生産性向上ということでもお言葉をちょうだいいたしましたので、ここで、もちろん配合飼料価格上昇に対処可能な畜産の確立ということでのその生産性向上についての取組をしなくてはいけないということで、少しシフトしまして別な質問をさせていただきたいと思いますが。  生産性向上のその目標達成のための手法についてであるわけですけれども、一つとしては改良があります。そこで、肉用牛の改良体制について少し質問をさせていただきたいと思います。  税源移譲による肉用牛の改良体制が停滞していないかどうかというようなことなんですが、実際に家畜を扱う畜産にとっては、即効性はありますけれども効果が一時的である飼養環境の改善と、そして時間は掛かるけれども恒久的な効果をもたらす遺伝的な改良が、生産性や品質向上の重要な手法の両輪となっていると伺います。特に、遺伝的な改良は、飼養環境の改善と異なり家畜の飼養者にとっては経済的な負担が少なく、また改良された効果が恒久的に持続するメリットがあります。その反面、遺伝的な改良の成果を得るまでには長い時間とそして膨大な費用が掛かるために、民間や個人で担うことには限界があります。さらに、一時の経済性を追求するような改良では将来的な改良の行き詰まりを招く可能性もあります。  そこで、改良するということについて我が国畜産酪農全体の利益を考えて行うという必要があると思いますが、その辺のところのお考え伺いたいと思います。
  46. 岩永浩美

    ○副大臣岩永浩美君) 金子委員質問の中でもうすべてこちらが答弁しようというその認識は全部お持ちで御質問をいただいているんで、私も非常に答弁をしやすい面としにくい面とあるんですね。  それで、この肉用牛生産においてコストの低減、肉質の向上、これを図るために飼養管理技術を改善するということはもう一番必要なことなんですね。それで、その改善は遺伝的な改良を推進する必要があることは言うまでもありません。そのために、家畜の改良予算は十八年度に税源移譲をされていることから、各道府県が必要な予算を確保して肉用牛改良に取り組んでいただいているところです。  また、国において、先ほどどういう方針かということですが、優良な育種資源のやっぱり広域的な利用、今そういう点では各県だけでやっていくという、広域的な一つの交流というのが十分になされていない部分がございます。全国規模での能力評価体制の確立をしたり県域を越えた高能力種雄牛の利用促進を図るほか、家畜改良増殖目標を策定し、また公表して、改良における国の方向性を示させていただいております。  今後とも、各道府県と連携しつつ国がイニシアチブを取って全国的に肉用牛の改良を推進し、名実共に日本の和牛が世界に評価をされるように育成をしていきたいと考えております。
  47. 金子恵美

    金子恵美君 三位一体の改革により家畜改良関係のメニューが税源移譲の対象となってしまった。改良事業が各県が自主的に財源を確保することというふうになっているんですけれども、実際には難しい状況にあります。そして、やはり家畜改良に対する国のイニシアチブが大変低くなってしまっているという状況でもあります。  こういう状況の中で、例えば食料農業農村基本計画にある、あるいは家畜改良増殖目標などに挙げられた改良目標、増殖目標を二十七年度までに達成できるということだというふうにお思いでしょうか。
  48. 岩永浩美

    ○副大臣岩永浩美君) その目標に向かって精いっぱい頑張っていきたいということです。
  49. 金子恵美

    金子恵美君 私は今後その家畜改良の停滞を招く可能性が非常に大きいというふうに思っております。もちろん、目標に向かっては進んでいただきたいと思いますが、努力はしていただきたいというふうに思っておりますけれども。  実際に、税源移譲時の十八年度は、前年どおりの肉用牛改良関係予算を確保できた県はわずか二県だけだったという統計もあります。十八年度においては、十七年度比では約八割程度の予算確保ができている都道府県が多いものの、事業規模の縮小を検討せざるを得ない状況になっていたというふうに聞いております。将来を見据えた場合、やはり元に戻して国がリーダーシップと責任をしっかりと持って対処すべきというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  50. 内藤邦男

    政府参考人内藤邦男君) 委員指摘のように、私どももその税源移譲後の肉用牛改良予算の措置状況についても各県から聞いているところでございます。各県ともに予算状況が厳しい中にありまして、やはり何とか確保していただいている県も数多いわけでございます。  とりわけ私ども力を入れておりますのが、種雄牛の後代検定でございます。よりいい種雄牛を確保していくためには、やはり各県ばらばらではなくて、まとまってこれに取り組むということが非常に重要であると。国も選定のための基準を作り、それから各県と連携をしながら、より多くの種雄牛の中から高能力な種雄牛を選んで、そしてそれを全国に波及、広めていくという事業をやっているわけでございまして、そういった形で我々も肉用牛の改良を進めていきたいというふうに思っております。
  51. 金子恵美

    金子恵美君 是非その予算確保ということと、それからやはり強化をしていくという、この改良事業の強化をしていくという体制づくりをお願いしたいと思います。実際的には、その恒久的な効果を得るために重要な課題かというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  最後になりますけれども、国産飼料のうち、食品残渣の利用についておただしをしたいと思います。  先ほども主濱委員の御質問の中での答弁にもありました。これはこの食品残渣の利用率を向上していくということをこれから進めていかなくてはいけないというふうなことでございましたが、現時点での食品残渣の利用状況をお示しいただきたいというふうに思います。  十八年度においては、食品産業から出される食品残渣というのは二割程度で、このうち食品製造業における食品残渣の再生利用率が八割程度、飼料化率は四割程度、そしてまた卸売・小売業や外食産業からの食品残渣の再生利用率は同年度で三割程度、飼料化率は一割弱というふうになっていると思います。  ですから、改正食品リサイクル法が平成十九年ですので、昨年の十二月に施行されておりますので、この状況も少しずつ良くなってきているのではないかと思いますので、その辺のところ、ますますこの飼料化の割合を高めていく余地はあるというふうにも思いますので、見解と一緒にお聞かせいただきたいと思います。
  52. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 委員もおっしゃっておられました調査によりますと、平成十八年度の食品産業から排出された食品残渣千百三十五万トンのうち、二二%が循環資源として飼料向け、えさ向けに利用されております。  これを更なるエコフィードの利用拡大を図るために、これまでも食品関連産業の事業者と畜産農家との間のマッチングを進める、食品残渣飼料化施設のモデル整備を進めるといったようなことで取り組んできておりますが、平成二十年度の予算案におきましても、食品残渣飼料化を進めます業者と配合飼料メーカーとが連携をしたエコフィード生産拡大を推進するということを予算の面でも手当てをしているところでございます。  また、昨年十二月に施行されましたが、食品リサイクル法の改正が行われました。その改正によりまして、再生利用において飼料化を最優先するという趣旨でこれを実行してまいりたいと、このように考えておりまして、今後、エコフィード取組を更に一層推進をしていくつもりでおります。
  53. 金子恵美

    金子恵美君 どのように推進をしていくかということを伺いたかったんですけれども、これからに期待をしたいというふうに思っております。  もう時間がなくなってしまいましたけれども、国産飼料拡大、とにかくしっかりと取り組んでいただきたいということをお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。  ありがとうございます。
  54. 舟山康江

    舟山康江君 民主党・新緑風会・国民新日本舟山康江でございます。  本日は、畜産物等価格安定等に関する件ということで委員会が開かれているわけでありますので、広く我が国畜産を取り巻く現下の問題点などを中心に質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  その前に、一点だけちょっと別の質問をさせていただきたいと思います。  昨日の未明に、イージス艦が小さな漁船に、マグロはえ縄漁船に衝突いたしまして、これは、世界最高水準のレーダーを搭載しているハイテク船艦が小さな漁船に衝突し、犠牲になり、そこに乗り組んでいた親子が今行方不明という本当に痛ましい事故でありますけれども、この事故に関する大臣のお考えをまずお聞かせいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  55. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 巨大な近代的なイージス艦と本当に七・五トン程度のマグロはえ縄の零細な中小の漁業者の持っている船の衝突という痛ましいことが発生をいたしまして、このようなことによりまして事故に遭われた漁業者に対し、またその漁業者の仲間の皆さん、必死に救援の努力もしておられたわけでございます。こういう皆さん方のことを考えますと、胸の痛む思いでございます。
  56. 舟山康江

    舟山康江君 続きまして、米国産牛肉の輸入問題についてお伺いしたいと思います。  昨年末の農林水産委員会でも議論ありましたけれども、その後の経過を含めてお答えいただきたいと思いますけれども、そのときのお答えにも日米両国の専門家による技術協議、この結果を受けていろいろ物事を進めていくというお答えがありましたけれども、この技術協議は昨年の六月と八月の二回開催されておりまして、当初、報告書というのはもう恐らく八月ぐらいにまとまるんではないかというような見通しもありましたけれども、いまだにまとめられていないというふうに認識しております。  そのような中で、報告書の取りまとめ時期がいつぐらいになるのかというその見通しと、それから新聞報道によりますと九月末に報告書案を米国に提示済みだと、そのような新聞報道もあるわけでありますけれども、このことの真意と、それを含めてお答えいただきたいと思います。
  57. 佐藤正典

    政府参考人(佐藤正典君) 御説明申し上げます。  米国産牛肉につきましては、現在、日米間の技術的な会合におきまして、米国側から提供されましたデータについて日米共同でその評価も含めた報告書の取りまとめ作業を行っているところでございます。現時点で取りまとめの時期について申し上げられる状況にはないところでございます。それから、日本側の報告書案につきましては昨年の九月末に米国側に提示をしたところでございます。  いずれにいたしましても、農林水産省といたしまして、食の安全と消費者の信頼確保を大前提といたしまして科学的知見に基づいて対応することが重要だと考えております。引き続き、厚生労働省と連携して適切に対応していくことといたしております。
  58. 舟山康江

    舟山康江君 ありがとうございます。  続きまして、アメリカの飼料規制の実施状況について我が国はどのように評価しているかということをお聞きしたいんですけれども、牛の肉骨粉につきましては我が国では使用が全面的に禁止されております。一方、アメリカにつきましては、牛に対しては禁止されておりますけれども、そのほかのものに関しては禁止されていないというような状況でありまして、これは本当にきちんと牛の肉骨粉が使われていないかとかいうことを検証できるのかどうかと。非常にこれ、我が国の食の安全、安心にもかかわる重要な問題だと思いますけれども、その実施状況について我が国がどれだけ把握をし、評価をしているのか、その点よろしくお願いいたします。
  59. 佐藤正典

    政府参考人(佐藤正典君) 御説明申し上げます。  平成十七年の十二月、米国産の牛肉の輸入再開の際に、食品安全委員会によりまして米国の飼料規制の実施状況も含めてリスク評価が行われたところでございます。日本向け輸出プログラムが遵守されていれば、米国産輸入牛肉と国産の牛肉のBSEリスクの差は非常に小さいとされたところでございます。ただし、この評価の結果の附帯事項といたしまして、交差汚染防止の観点から飼料規制の強化等が指摘されております。  したがいまして、我が国といたしましては、米国の規制改革及び競争政策に関する日本政府の要望事項ということで、平成十八年に続きまして平成十九年におきましても飼料規制の強化を求めているところでございます。  それで現在でございますが、飼料規制につきましては米国政府内におきまして食品医薬品局、通称FDAと言っておりますけれども、そちらの最終規制強化案ができまして、それが行政予算管理局の審査を受けているという状況承知しているところでございます。
  60. 舟山康江

    舟山康江君 そのような飼料規制、やはりきちんと我が国としても、輸入国としてしっかりとその強化を求めるだけではなく、しっかりとその監視をしていかなければいけないというふうに思っておりますけれども、そのような輸入先国の監視の一環として、このたび中国でのギョーザ問題を受けまして、このことはかねてから私たち民主党はずっと主張していたわけでありますけれども、やはり輸入先国に査察官を派遣してしっかりと安全性の検査に当たる職員を派遣するべきだと、そういったものを設けるべきだと主張しておりましたけれども、この主張が一部取り入れられたのかなというふうに思ってはいるわけでありますけれども、中国につきましては派遣を決定されたということになっております。  このような流れで、やはり是非、最大の農産物の輸入先国であるアメリカにつきましても、こういった飼料規制の問題、それから安全性を確保するような観点から、是非、中国だけこういった個別の事件が起きてからではなく、今のこういった時期においても派遣をするべく検討を進めるべきではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  61. 伊藤渉

    大臣政務官(伊藤渉君) 中国産ギョーザの薬物中毒事案につきましては、国民の食の安全を脅かす重大な事態と受け止めておりまして、本事案の発生を踏まえ、技術的な情報収集体制の強化を図るために、在北京日本大使館における食品安全担当官の駐在を検討をしているところでございます。  一方、輸入食品の基本的な安全対策につきましては、従来から検疫所における監視体制の整備を進めるとともに、違反事例や輸出国で発生した事故事例を把握した場合には、輸入時の検査の強化、二国間協議を通じて輸出国政府に対して安全性確保対策の実施の要請を行ってきたところでございまして、二国間協議の過程では必要に応じて職員を輸出国に派遣をして現地調査を実施をしているところでございます。
  62. 舟山康江

    舟山康江君 輸入検疫体制の強化はもちろんだと思いますけれども、やはり私は何かが起きてからでは遅いんじゃないかというふうに思うんですね。今回もこういった重大な問題が起きたから派遣を検討するという形になっていますけれども、その前にやっぱりしっかりと、やはり私たちは今残念ながら輸入に頼らざるを得ないようなこの今の日本の食生活の状況になっておりますので、しっかりと安全、安心の確保をするためにも、そういったことも含めて事前に各国に派遣を検討するということをお願いしたいというふうに思っております。  次の質問に移らせていただきます。  OIEによるステータス評価につきましてお聞きしたいと思います。  このOIE評価、これは今アメリカからOIEでのステータス評価、この認定されたことをもって全面開放を迫られているというような状況があると思いますけれども、私の認識では、このOIE評価というのは国際参照基準ということにすぎず、二国間交渉を縛るほどの拘束力はないものというふうに理解しているんですけれども、この認識でよろしいのでしょうか。
  63. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) OIEによりますステータス評価につきましては、各国におけるリスク管理措置の国際的な基準というふうに定められているわけでありますが、SPS協定、これは正確に言いますと衛生植物検疫措置の適用に関する協定、これはWTOの協定でありますが、このSPS協定に基づきまして、科学的な根拠があればそれを上回るリスク管理措置をとってもいいということで、そのことについては各国の判断にゆだねられているというふうに考えておるところでございます。
  64. 舟山康江

    舟山康江君 今、その輸入制限緩和について、先ほど申しましたとおりアメリカ側から執拗に何度も条件緩和を迫られているわけでありますけれども、直近の世論調査なんかを見ましても、国民の反対はまだまだ根強いんじゃないかというふうに思っております。加えて、つい最近、アメリカでへたり牛問題というものが浮き彫りになりまして、かなりずさんさが明らかになったということで、更に一層米国の牛肉に対する日本消費者の不安というのは、私も含めてでありますけれども、強まっているんじゃないかと、こういった状況にあります。  今、そういったことで、恐らくこの事件を受けてさらに世論調査なんかを見ますと、輸入制限の緩和、条件の緩和はとんでもないと。多分この数字は上がるんじゃないかというふうに思っておりますけれども、こういった状況を踏まえても、そもそも条件見直し交渉のテーブルに着くこと自体ちょっとおかしいんじゃないかというふうに思うんですけれども、その辺の御認識はいかがでしょうか。
  65. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) テーブルに着くこと自身もおかしいと、こういってそっぽを向いておれるほどの日本の今の国際情勢、生易しいものではありませんということを一言付け加えさせていただきまして、日米の米国産牛肉につきましては技術的な会合を重ねておりまして、米国からいろいろなデータも提供されております。そういう意味で、日米共同でその評価を含めた報告書の取りまとめ作業を委員承知のとおり行っているところでありまして、輸入条件を見直すかどうかについてはその取りまとめ結果を踏まえて対応するという方針でいるわけでございます。したがって、現時点で見直しがどうかというようなことを申し上げるわけにはまいりません。  しかし、いずれにしましても、繰り返し申し上げておりますが、農林水産省としてはあくまでも科学的知見に基づいて対応するということが重要だと考えておりまして、引き続き厚生労働省と連携して適切に対応していくという方針に変わりはございません。
  66. 舟山康江

    舟山康江君 日米のこの話からちょっと話をEUとアメリカの話に移らせていただきたいと思いますけれども、EUではアメリカからの牛肉の輸入を禁止しております。  この理由といたしまして、アメリカでホルモン剤を使った牛の生産が行われているということでありまして、これに関しましては実は平成十七年、二年ほど前のこの本会議におきまして、参議院の本会議におきまして、EUがなぜアメリカ産の牛肉の輸入を禁止をしているのかということについて我が主濱委員質問させていただいたところ、これに対するお答えは、肥育ホルモン、合成ホルモンの発がん性、生殖機能への影響への懸念によるものだと、そういった理由から輸入を禁止しているんじゃないかというような見解を当時の副大臣がおっしゃられておりましたけれども。  それに対する、そういったEUの措置に対する我が国の評価、これは、EUはWTOのパネル裁定で実はこれ黒となっているわけです。黒となっているにもかかわらず、それでも、それこそ制裁措置を科されてもなおかつそれでも輸入禁止をするんだと、強い姿勢に出ているわけでありますけれども、そういったEUの姿勢に対する我が国の評価というものを、我が国はどのように考えているのか、お聞かせください。
  67. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) EUはEUとしての考え方に基づいて、そのような肥育ホルモン使用を禁止をいたしまして、そしてこれを使用した食肉の輸入を禁止したところであります。  しかし、アメリカは、このEUの措置はSPS協定に違反していると、つまり科学的根拠に基づいて十分な理由があるものではないということでWTOに提訴をいたしまして、それでパネルが設けられました。そのパネルではEUの輸入禁止措置はSPS協定に違反しているという認定をしたところでございまして、WTOはEUに対しまして、その措置を正当化するリスク評価を行うか禁止措置を解除するかというふうに勧告をしたところでございます。  それで、同時に、アメリカ側は、これは対抗措置がとれることになるわけでありますから、農産物の関税率の引上げ措置、三十四品目について一億一千七百万ドル相当の対抗措置を講ずるというようなことで、米国とEUとの間でこのことをめぐっては大変外交的にも大きな問題になっているわけでございます。  したがって、我が国自身としては、このことは食品の安全性に係る措置は、やはりSPS協定、WTOを尊重しながらいくことの利益というのは日本に非常にあるわけですね。そういう意味で、WTO加盟国は科学的な原則に基づいた措置をとるということにされているわけでございます。したがって、国際基準を上回るリスク管理措置につきましてはSPS協定に基づいて科学的な根拠があれば各国の判断で講ずることができるわけでございますので、そういう観点に立って対応をしているということを御理解いただきたいと思います。
  68. 舟山康江

    舟山康江君 ありがとうございます。  私がなぜこのEUの問題をここで取り上げたかと申しますと、日本は何かにつけ科学的知見ということを持ち出して、まあこれは大事だと思いますよ、科学的知見は大事だと思いますけれども、時には、私は、EUのような判断、それこそWTOではリスク評価に基づくものではないと黒裁定が下され、報復措置も下され、それでも、なおかつある目的達成のためには、この場合は多分がんのリスクとか、そういった生殖機能の異常のリスクとか、もしかしたら国内の産業云々ということもあるかもしれません。いずれにしても、ある一つの目的達成のために国内である判断を下すといった、そういった姿勢も必要なのではないのかなということを申し上げたかったわけであります。  例えば、米国産牛肉の輸入問題について、アメリカから現在執拗に条件緩和を迫られているわけでありますけれども、これについては技術協議に基づく報告書を受けて適切に対応と、そういうことを言っているわけでありますけれども、まさにこのときのEUの対応のように、例えば食の安全とか消費者への信頼確保とか、それこそ国内農業をしっかりと守ると、そういった目的達成のためには断固たる姿勢を取るときも時には必要なんじゃないのかなというふうに思っております。  ましてこれは、OIE基準で、そういった拘束力のないOIE基準で単に準清浄国でしょうか、そういった形で認定されているだけでありますので、そこはまさに判断というか姿勢だというふうに思うんですけれども、そこはいかがでしょうか。
  69. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 繰り返し申し上げておりますけれども、我が国もOIE基準のランクによって入れるということを決めるということはありません。OIE基準はOIE基準として、国際的な基準としてそれを踏まえながら、我が国としては科学的な根拠に基づきまして、SPS協定によって、許される形で科学的な根拠があればそれは規制をするという、そういう趣旨でアメリカに伝えておりまして、もちろんアメリカはこのOIE基準でやればいいじゃないかと、こう言っていますが、それをのんでいるわけではございませんで、お互いに合同会議をし、協議をし、科学的知見の有無についてなお議論をしているところでありまして、議論などすることもない、もう駄目なんだというような姿勢は、我が国は、これは別に対アメリカについてだけではございませんけれども、やはり国際的なお互いの秩序、ルールを尊重していくという姿勢で臨んでいるところでございます。  なお、EUにおきましても、このWTOパネルから勧告を受けまして、二〇〇二年から二〇〇三年にリスク評価を実施するなど、科学的原則に基づいて対応をする努力をしているというふうに承知いたしております。
  70. 舟山康江

    舟山康江君 私は、国際ルールをすべて壊せとか、そんなものを無視していいんだと言うつもりはありませんけれども、ただ、申し上げたいのは、時にはやはり、そういった決断というんでしょうか、そういった断固たる姿勢というのも必要なのじゃないのかなということを、是非、そこも踏まえて、これは政治も同じだと思いますけれども、政治決断というのも時には必要なのかなというふうに思っているということを付け加えさせていただきたいというふうに思います。  今、ホルモンの話が出ましたので、次に、ホルモンというと一般的に肉用牛に対するホルモンというのは随分話題になっておりますけれども、乳用牛に対する成長ホルモン投与についてちょっとお聞きしたいというふうに思っております。  実はこれ乳用牛につきましても、アメリカで遺伝子組換えによって合成ホルモンが作られているわけでありますけれども、我が国ではこれは使っていないというふうに承知しております。  海外における使用状況をまず御認識されているかどうか、その点からお聞きしたいと思います。
  71. 藤崎清道

    政府参考人藤崎清道君) お答え申し上げます。  ボバインソマトトロピン、BSTと略されておりますが、これにつきましては、米国及びアジア、中南米、中東、アフリカの一部の国において、動物用医薬品として乳牛に対して乳量増加を目的として使用が認められているものと承知をいたしております。
  72. 舟山康江

    舟山康江君 ありがとうございます。  その成長ホルモン、別名BST、BSTを使用している国からの我が国乳製品はかなり入ってきているんでしょうか。その輸入状況をお聞かせください。
  73. 藤崎清道

    政府参考人藤崎清道君) お答え申し上げます。  ただいま申し上げました国々が、使用が認められている国々でございますが、二十か国と我々承知しておりますが、そのうち五か国から我が国には輸入がされているという状況でございます。  届出件数でございますけれども、平成十八年時で千四百件、およそでございますが、それから届出重量で一万六千八百トンというふうに承知をいたしております。
  74. 舟山康江

    舟山康江君 実はこれ、アメリカなどの研究の中には、発がんリスクを指摘されていたりとか、あとは実際にがんの発現率が高い、いろんな影響があるといった、そんな研究結果も出されているかに聞いておりますけれども、我が国として使用に伴う影響についての評価、そのようなものはされているでしょうか。
  75. 藤崎清道

    政府参考人藤崎清道君) お答え申し上げます。  このBSTにつきましては、先生御指摘のように脳下垂体前葉から分泌されているホルモンでございまして、いわゆる生体たんぱく質ホルモンということでございます。この場合には、経口投与といいましょうか、食した場合には活性はなくなるということでございまして、また、過量投与下においても残留性、毒性が低いということで、JECFAでございますが、そちらの方では、十分に安全性のマージンがあるということで、ADI、MRLの設定は必要ないというふうに評価されておるところでございます。  私ども、国内でのじゃ規定はどうなっているかということでございますが、これは食品衛生法第十一条に食品等の成分の規格に関する規定がございまして、そのところで、BSTは牛生体内の自然に含まれる物質でありますので、このような物質の場合はこの規格において食品中に牛の生体由来で通常含まれる量を超えてはならないと、このような規定の中で処理をいたしておるところでございます。
  76. 舟山康江

    舟山康江君 ありがとうございます。  ちょっと、まずこのBSTに関しましては、遺伝子組換えによって開発された合成ホルモンだということもありまして、私はこのBSTに限らないと思うんですけれども、これからこういった技術の進展によって新しい様々なホルモンですとか化学物質などというのが出てくるというふうに思います。そういったものに関してやはり常に監視の目を光らせて、しっかりと影響評価とか安全評価とかそういったものをしていかないと、知らないうちに摂取する中で、影響が出てきてからさあ大変だと、そういったことになっては遅いというふうに思うんです。是非、こういった新しく開発される様々な薬剤、薬などに対してしっかりと監視をしていただき、安全、安心に努めていただきたいということをお願いしたいというふうに思っております。  次に、飼料価格高騰についてお聞きしたいというふうに思います。  先ほど来、二人の委員からの質問の中で様々なお答えもいただきました。私は、大臣その他参考人の皆さんからお答えいただいたとおり、やはりまずは飼料自給率向上を図っていかなければいけない、自給飼料生産拡大、放牧の推進、またエコフィード等、未利用資源の利用促進という方向性に全く異存はありません。そして、今こういった価格高騰を機に、輸入飼料に依存した畜産からの転換をやはり少しずつ図っていかなきゃいけないというふうに思っております。さらには、これちょっと後でまた詳しく質問させていただきますけれども、適切な価格転嫁を図っていかなければいけないというふうに思っております。  しかし、そういった構造転換を図らなきゃいけないのはこれもちろんですし、そうした政策誘導をしていかなきゃいけないのはもちろんなんですけれども、しかし、一昨年以降のこの急激な高騰というのは、恐らくこれ政府関係者の皆さんも現場の皆さんももう予想を超える、もう本当にひどい激しいレベルであったというふうに思います。まあ自給飼料に変えればいいんじゃないか、価格転嫁すればいいじゃないかと、それが間に合わないような状況輸入配合飼料に頼らざるを得ないような畜産状況が非常に今苦しい打撃を受けているというのはもう皆さん御承知のとおりだというふうに思いますけれども、そういった状況の中で、やはり緊急に何らかの対策を取らなければいけないというふうに思っています。  先ほどから主濱委員金子委員も御指摘いたしましたけれども、やはり抜本的な、我々民主党提案しているような、これは中長期的な対策ではなく、まず短期的な緊急対策として何らかの対策をしなければいけないんじゃないかといった、その必要性をもう一度お聞きしたいことが一つと、もう一つ、今の政府対策といたしましては、配合飼料価格安定制度の中で、まあこれは激変緩和という意味もありますけれども、通常補てん、異常補てんといった二段構えで基金を造成して補てん制度を取っているわけであります。そして、今通常補てんがかなりずっともう何期にもわたって発動が続いたわけでありますので、十—十二月分の支給でもう底をついて、異常補てんから百億円の無利子貸付けをしたというふうに聞いておりますけれども、恐らく今後も残念ながら趨勢的に飼料価格高騰が予想される中、どうもこれで中長期的な対策になるのかな、抜本対策になるのかなといった疑問を感じざるを得ません。  異常補てんに六十億円国庫から増資するように聞いておりますけれども、この程度で本当にこれ大丈夫なのかなというような気がいたしますので、是非そこの今の対策についての御認識と緊急対策の必要性、もう一度是非、私はこれずっと繰り返せ、この構造転換を阻害するほどずっと繰り返せというわけではありません、まずは緊急に今やらなきゃいけないんじゃないかといったこの御認識を是非お聞かせいただきたいと思います。
  77. 岩永浩美

    ○副大臣岩永浩美君) 舟山議員が御指摘いただいたように、本当に飼料高騰がこの二年間の間にこれだけ高騰するということは、農林省の役人も、我々も本当に想定外のことでした。それだけに、非常に大きな問題ととらえて、真剣に今協議をしているさなかでございます。  申すまでもなく、一昨年秋以降の配合飼料の上昇に対応して、安定制度による補てんが行われていることはもう御案内のとおりです。今御指摘いただいたように、基金残高について、十九年度末には、通常補てん基金は約百億円が不足を生じる、異常補てん基金も約四百億円に低下すると見込まれています。そうした状況を踏まえて、本年度においては、異常補てん基金から通常補てん基金への貸付けを行うことにし、通常補てん基金の財源不足が生じた場合、必要な基金財源の借入れに対する利子助成が行えるようにすることにいたしております。  異常補てん基金の計画的な積立てとして、国庫負担分の六十億円、先ほど委員質問なさったように六十億円と、配合飼料メーカーの積立分と合わせて、これは半分、六十億円、百二十億円を計上させていただいております。こうした対応を通じて、今後の配合飼料価格安定制度の安定的な運用に支障が生じることがないようにしていきたいと思っております。  また、配合飼料の上昇に対してこうした農家負担の激変緩和措置が講じられている間に、生産段階における国産飼料生産拡大家畜生産性向上、あるいは加工流通業者や消費者の理解醸成を図って、生産コストの上昇が小売価格に適切に反映されるように環境づくりを進めていくことが重要であることは先ほど来答弁をさせていただいているとおりです。  議員がおっしゃるとおりに、長期的な対応も必要だが、即効性がある対応も必要という認識は一致いたしています。更に必要な対策については、平成二十年度の畜産物価格等の決定と併せて、今御意見があったことを踏まえて十分に検討をしてまいりたいと考えております。
  78. 舟山康江

    舟山康江君 ありがとうございます。  ちょっと済みません、時間がなくなってしまったので、次、価格の低迷問題についてちょっと御質問させていただきたいというふうに思います。  飼料価格、私はやはり今のこの根本的な問題は、適切にこの飼料価格高騰などによる生産コストの上昇分が小売価格に転嫁されていないという問題があるというふうに思っております。  一方で、諸外国においては、農産物価格の国際価格の上昇に対応いたしまして、穀物製品の消費者物価指数ですとか、それから乳製品についても二割から三割上がっているといったような、そんな実態も聞いておりますけれども、一方、我が国は穀物製品の消費者物価指数は逆に下落しております。これは実は米が下がっているからだというような気もしたんですけれども、これ米を除いても下落しています。  このような状況の理由と、どうとらえているかということを大臣の御見解をお聞かせください。
  79. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 委員が御指摘になられましたように、諸外国と比べまして穀物価格消費者物価指数は我が国は上昇率が低いですね。米を除いて一〇三・三、イギリスは一一一・八、フランスでは一〇四・一、米国でも一〇八・四、こういうふうになっております。相対的に低い水準になっていると思います。  これは、これらの特に小麦粉製品を使うパンの業者でありますとかあるいはめん類の業者、中小企業が多いんですけど、そういうような皆さん方と、さらに畜産物につきましてはかなりスーパーのような量販店が多いですね。こういう皆さん方はその場、その販売面では非常に過当な競争をしているということだと思うんです。そういう過当競争体質というのが消費者との接点でありまして、あるいは目玉商品として食品を安く売るとか、そういうことがかなり広く行われてきたというようなことが今日まで続いてきたからだと思うんですけれども、これはもう構造的に正当な、正常な経済活動をしながらも、どうしても必要でありますコストというものはやはり転嫁されないと経済活動が進まなくなるわけでございますから、そういう意味では、もうそういう流通過程において流通業者が過当な競争をしているわけですけれども、最終的にはやはり消費者との問題になると思います。  消費者の皆さん方には、そういう食品にかかわるコストの上昇分は合理的な範囲内で小売価格に転嫁されて、適正な価格形成が行われることが必要なんだということをいろんな機会を通じてやはりアピールしていかなけりゃならない、理解を求めなければならないというふうに考えております。
  80. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 舟山康江さん、まとめてください。
  81. 舟山康江

    舟山康江君 済みません。はい。  ありがとうございます。私もやはり、今大手量販店の価格形成主導権が高まっていること、過当競争が進んでいることが非常に、何というんですか、低価格路線に結び付いているというふうに思っております。  そして、食品の低価格路線というのは、短期的には安いから消費者にとって利益じゃないかというふうに思われますけれども、中長期的に見れば結局……
  82. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 時間が来ております。
  83. 舟山康江

    舟山康江君 国内生産の弱体化を招くだけじゃなくて、企業の倒産とかにも結び付いて、これは本当に良くないことだというふうに思いますので、是非その風潮を払拭するべく、皆さん挙げて是非、中小企業庁の皆さんも今日来ていただきましたけれども、是非そのようなことも一緒に考えていただければというふうに思います。  どうも、以上で終わりにいたします。
  84. 野村哲郎

    野村哲郎君 自由民主党野村哲郎でございます。  私はこの一か月余り、今回の畜産酪農価格それから政策決定を前にしまして、北海道に二回ほど、そして南九州と、畜産農家の皆さん方の生の声をお伺いをいたしました。私は、その中で非常に生産者の皆さん方の言葉に頭に残ったのがありまして、あきらめるわけにゃいかないけれどもあきらめる寸前だと、あきらめるわけにはいかないけれどもあきらめる寸前だと、まさに経営破綻と背中合わせだと、こういう、それぞれの畜産農家の皆さんが口々におっしゃいました。  この週末には、私は鹿児島の酪農家の皆さんとも話合いをさしていただきました。三十五歳の後継者夫婦と一緒にやっているんだけれども、もう私の時代はいいと、だけれどもこの子たちが今後、本当に希望と夢を持って経営をやっていけるのだろうかと、それが一番心配だという切実な訴えがございました。  宮崎では、都城でありましたけれども、酪農地帯でありますのでおおよそ三十戸ぐらいの酪農家の方々がおられました。八割の皆さんが後継者がいるとおっしゃっているんです。ですから、これだけ後継者不足だとか担い手不足だとかいろいろ言っておりますけれども、宮崎の都城を見てもほかの地帯を見てもほとんど後継者がいるのがこの畜産であります。本当にこの子供たちに後をずっとやっていいのかどうか、今大変心配しているんだということも宮崎でも伺いました。  北海道では、農家の奥様が涙ながらに私どもにお訴えをされました。それは、息子の子供、孫でありますけれども、三歳の子が朝五時に一緒に父親と牛舎に行っていると。本当は牛が好きなんだ、そして酪農を天職と思っている、どうしてもやっぱりやらせたいけれどもやれないのではないかという、大変そういう声を聞きました。  今朝は大変ショックなお話を実は聞きました。同僚の山田議員が今朝私どもの党の平場の中で、ついに犠牲者が出た、ついに犠牲者が出たと。今月の十一日に北海道の四十四歳の酪農家が自殺をされました。その農協の組合長さん、電話をして聞きました。夫婦二人、子供三人。夫婦で酪農と畑作をやっている。そして、今農協の組合勘定の営農計画を作っている最中だったんだそうですが、今回からどうしても酪農一本でやってみようという計画幾ら作っても何回作っても帳じりが合わない。そこで悩んだ末での自殺であります。  私はこういう状況を、大臣日本全国で聞きました。今、こういった状況の中で、大臣がこういう生産者の皆さん方の血の叫びに似た悲痛な気持ちをどう受け止めておられるか、お伺いしたいと思います。
  85. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 我々も、飼料高騰、急激な高騰、それだけではありませんけれども、高騰を主たる原因として畜産経営、特に酪農が行き詰まっているという状況については認識を共有できていると思います。  私の方も、北海道とそれから鹿児島、宮崎を含む九州の各県の生産現場の意見をよく聴いてこいと、よく話を聴いて実情をよく把握してこいということを昨年来、指示をいたしておりまして、一つ一つ中身を申し上げるわけにいきませんけれども、北海道については、道北、北見、道南、道央、十勝、肉用牛についてもやっています、釧路、根室、九州では宮崎、鹿児島、熊本といった各地域の生産現場に出かけていっていろいろなお話を聴いてきております。それも共有した情報として私も受け止めております。  本当に今痛ましいお話がございましたけれども、生産現場が悲痛な声を上げているという状況については、私どももそういう現状は認識をいたしております。そういう現状を踏まえまして、この畜産経営が存続できますように、このえさをどうするかという問題は、それぞれの畜種別の経営というのは個別それぞれの事情によって対応が違ってまいりますので、そういう意味では、畜種別に畜産経営状況に応じまして、価格決定のみならず、それと併せて必要な施策を講じていかなきゃいかぬというふうに考えているところでございます。
  86. 野村哲郎

    野村哲郎君 私は、今回のこの畜産危機というのは、農水の方でもおっしゃっておられますように、平成畜産危機だというふうに思いますが、先ほど私の資料を、農水の方のいろんな資料から作らせていただきましたのを配付いたしました。  昭和の畜産危機もございました。ちょうどオイルショック等々の五十年代であります。このころはトン当たり七万円を超えた。私も農協の現場でこのときほど惨めな思いをしたことはありません。  そして、今日の畜産危機でございます。私は、今回の危機は飼料価格高騰という面では昭和の畜産危機と似ておりますけれども、実態は異なるものがあるというふうに思います。その異なる点は、私は二つあるのではないかというふうに思っております。  一つは、トウモロコシ等の、先ほど来お話がありますように、バイオ燃料への転換なりあるいは投資等々、非常に昭和の時代のような、ここにありますように不作だとか凶作だとかそういうものではなくて、一過性のものではなくて非常に構造的な今回は畜産危機だというふうに思います。  それからもう一つ、こちらの方が私はもっと大きい要因だと思うんですが、違う要因だと思うんですが、真ん中ほどの畜産農家の推移を見ていただきたいと思います。当時、五十年代の畜産危機のころはまだ二百万人からの畜産農家がおられました。今日、一番右端を見ていただきますと、わずか十二万戸であります。二百万から十二万戸になっているわけであります。  皆さん、このころは、畜産をあきらめて離農していった、そして農協に借金は残った、いろんな不幸な出来事もこの五十年代の畜産危機のときはございました。これを契機にして異常基金の制度ができたり、あるいは団体や役所の皆さんと一緒になって、ピッグサイクルあるいはエッグサイクルの価格を安定させなきゃいかぬ、そのサイクルをどうにか平準化しなけりゃいけないということで長期平均払い制度というのがこの時期できて、農家の経営安定を資するようじゃないかと、こういう話、こういうことも私どもは実施してまいりました。  しかし、もうわずか十二万戸の農家しかおりません。この農家がもしこの今回の畜産危機で離農するようなことがあったら、私は、これは日本消費者にとっても、もちろん生産者にとってもでありますが、これは大変不幸な出来事だというふうに思います。  畜産というのは、なかなかこの技術は一朝一夕にはできません。御承知のとおり、飼料の配合割合だとか子牛の離乳の仕方だとか、あるいは肥育の管理だとか、大変なこれは技術であります。ですから、そういう意味におきましては、私は今残っているこの十二万戸というのは技術者集団だと、技術者集団だというふうに思うんです。しかも、農業のほかの作目と違って、本当にこの畜産危機を生き延びてきた、努力して努力して歯を食いしばって生き延びてきた方々であります。その方々が先ほど言ったような状況に陥っている。  私は、この技術者集団というのを申し上げましたけれども、まさに畜産というのは職人と一緒でたくみの技なんです。この畜産の皆さん方がもしやめるようなことになれば、これはもう取り返しは付かない、そういう思いがいたしております。  そこで、私は、この農家をどうしても守らなきゃいけないし、守ることが私は国の責任だと、こういうふうに思っております。したがいまして、その農家を守るということは、先ほども言いましたように消費者を守ることにもなる。いろいろ先ほどから出ていますように、安心、安全といういろんな面におきましても、あるいは国策として国土の保全という意味からも私はそのことは是非必要だというふうに思っております。  したがいまして、若林大臣も長野でいろんな農家を見られておられますし、また畜産農家お話をお伺いされていると思いますが、これからの日本畜産酪農をどのような方向に持っていこうとされておるのか、お考えをお伺いしたいと思います。
  87. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 深刻な現場のお話野村委員から伺ったところでございます。  野村委員がおっしゃられましたように、昭和五十年というか、私のデータで四十八年では、全畜産の戸数が百九十八万六千戸、約二百万戸という状況でございます。今は、おっしゃられますように、十九年の速報で十二万一千戸という状況になっております。もうこれは、この資料にございますように、もうまさに一直線で下降をしておるこのグラフを深刻に受け止めております。ただ、その中を詳細見ますと、この二百万戸という戸数レベルから十二万戸というのは、畜種によってそれぞれ違うわけですね。何といっても、構造的な問題として言えば、採卵鶏が八十四万戸がありましたのが三千戸になっていると、あるいはブロイラーが一万四千戸ございましたのが二千数百戸、三千戸ぐらいになっているというのは、これは極端な例であります。  つまり、生産単位が拡大をし、そして厳しい経済状況の中でそれぞれ脱落をする人、あるいはもう承知でリタイアして転職をする人、いろいろな人が出てきたわけでございますけれども、そういう苦しい中で生き延びてきた、本当にもう苦しさを乗り越えて今日頑張ってきた、優れた技術集団とおっしゃられましたけれども、優れた畜産経営者がこの十二万戸だと思いますから、これはもう本当に大事に大事にしなければいけない、そういう意味での担い手でございます。  よく担い手対策というと、どうしても水田農業が課題であるというふうになり、私もしばしばお話させていただいています農業基本法二十一条でありますような、効率的で安定した経営が相当部分供給をしていくような構造にしなきゃいけないというのが言わば農業基本法でも定めた構造政策なんですね。そういう意味では、畜産はまさに効率的な経営の中で相当部分、もう畜種によって違いますから八割から九割という供給を担っているんですね。ところが、決して安定していないと。  しかし、ここで歯止めを掛けて安定させなければならないという意味で、経営対策ということをしっかりと考えなきゃいけないし、畜種別の特徴に即した形のきめ細かな対策が今求められているのではないかというふうに認識をしておりまして、まさに価格決定と併せて個別の、畜種別の畜産経営経営対策というもの、そしてその中には担い手を、しっかりと踏みとどまってやっていけるような形の対策ということを考えていかなきゃいけないという問題意識を持っております。そういうことをお話ししたいと思います。  酪農の話ございましたけれども、酪農もやはり同じなんですね。悩みは同じです。ただ、酪農の場合は北海道と都府県の場合と対応がやや違っておりますけれども、それにしてもやはりこういう大家畜経営の場合には、土地との結び付きということを明確に経営の中に位置付けて、自分で土地を持たなければ耕種農家との結び付き、耕畜連携というようなものをしっかり組み立てて、土地との結び付きの中で大家畜経営が安定するような方向に経営対策を持っていかなきゃいけないんじゃないか、こんなふうに考えております。
  88. 野村哲郎

    野村哲郎君 今大臣からお答えいただきましたけれども、今回のこの危機というのは今までとやはり違うという、もう一つ私はあるような気がしてならないんです。  それは、大臣も今御答弁いただきましたように、酪農であっても北海道と府県のまた課題が違う。それから、同じ肉用牛であってもホルスタイン種と肉用牛は違う。養鶏であってもブロイラーとレーヤーのまた課題が違う。非常にえさの高騰というのは、これはもう全畜種に及ぶわけですけれども、今度は一方では肉の価格であったり卵の価格を見ていきますと、それぞれ同じ、例えば鶏でもブロイラーはこんなに久しぶりの値段を付けておるわけでありますから、あるいは飼料の高くなってもそこは吸収できるのかもしれません。しかし、酪農とレーヤー農家というのは、えさは高くなって物は下がっている。乳価は下がっている、卵価は下がっている。もう非常にこの二種、二つの畜種が悲鳴を上げております。これはまだみんな悲鳴というのはあるわけですけれども、非常にそういう意味では畜種ごとに違うし、地帯別にも抱えている課題が違うものですから、そこは今大臣おっしゃいましたように、きめ細かな対策を是非とも取らないといけないという思いでございますので、どうかそのことはお願いしたいと思います。  それともう一つ、お願いついでに、大臣、先ほど申し上げましたように、この十二万戸をどうして守るんだというはっきりしたお話はお伺いできませんでした。これだけの危機感、危機になっているわけでありますから、是非、これは提案でございますが、若林大臣を本部長にして全省で当たる危機管理対策本部みたいなのを是非つくっていただいて、生産者の皆さん方にも、農水を挙げて、あるいは国を挙げて皆さん方をきっちり守っていくんですよという、是非ともそういう取組をお願いをしたいなというふうに思いますので、これはもう質問にもありませんでしたので要望としてひとつお受け止めいただきたいと思います。  そこで、もう先ほど来お話がありますように、配合飼料がやっぱり今回の最大の原因なんです、危機の原因は。先ほど来、自給飼料をこれはもう向上していかなけりゃならないというのは、もうこれは国を挙げてやっぱりやっていかなきゃならない。他国にえさを求められるような時代じゃないし、金があれば買える時代でもなくなってくるというのは、先ほどそれぞれの委員の皆さん方から出たとおりであります。  私は、自給飼料はそういう形でやっていただかなきゃなりませんが、当面、生産者の皆さん方がどのような不安を持っているか。三つあります。一つは、この飼料価格高騰がどの高さまで、どのぐらいまで高くなるんだというのが一つあります。もう一つは、いつまで続くんだという期間の問題があります。それから三つ目は、今こうして飼料基金でどうにか補てんしてもらう、もらうというのは言い方としてはおかしいんですが、基金制度があって何とか、何とかやっていける人たちもおります。だから、この基金だけは是非守ってほしいという、この不安であります。  もう既に、生産者の皆さん方の話を聞きますと、先ほどありましたように、通常基金は空っぽだそうですね、いよいよ借金に入っていくんだそうですね、いつまでじゃこの基金がもつんですか。だから、そこは今回も、先ほど舟山委員の方からもありましたように、今回の予算の中で異常基金に六十億、えさ会社から六十億の百二十億、異常基金を造成していくわけですけれども、じゃ今後、これはなかなか見通しとしては難しいと思うんですけれども、どういった形で価格がこの二十年度、いろんなトウモロコシ自体の原料代の話もあるでしょう、船賃の話もあるでしょう、あるいは為替の話もあるだろうと思いますが、いろいろそういう要素を考えたときに、どの程度上がっていくのか、そして実質的に農家の負担というのがどうなるのか、もしお見通しがあれば教えていただければ有り難いと思います。
  89. 内藤邦男

    政府参考人内藤邦男君) 委員指摘のとおり、この配合飼料価格、その構成要素であります主原料でありますトウモロコシ、それから船賃、こういったものを見通すというのは正直申し上げて大変難しいわけでございます。  当然、上げ要因、下げ要因あるわけでございますが、例えばトウモロコシを一つ取ってみても、来年度は、今、大豆の価格が大幅に、急激に上がっておりますので大豆の方に作付けがシフトするのではないかと、そうなると結果的にトウモロコシの作付けは減少すると。これは上げ要因になるわけでございます。他方、単収を見てみますと、米国での単収増加というのは依然続いていると。そうすれば、この単収増が続けば増収、生産量の増大ということになります。そうなれば下げ要因に働いてまいります。  例えば、ほかの需要としてもバイオエタノール向けの需要があるわけでございます。あと、一般的に小麦それから大豆といった代替原料との関係も出てまいります。そうすると、バイオエタノール向け需要あるいは中国需要が増えれば当然これは上げ要因になるわけでございますが、他方、競合しております小麦、これは豪州、欧州が不作であったわけでございますけれども、これが雨、降雨に恵まれて増産ということになれば当然小麦価格が下がる。そうしますと、小麦価格が下がりますと、今までの傾向からいきますとトウモロコシ価格も下がるという下げ要因がございます。  それから海上運賃については、中国の鉄鋼需要が引き続き好調だという見方もあれば、いや、オリンピックが終われば一段落するんだという見方もあるということでございますので、こういったいろんな要因を我々ちょっと見ながら今後考えなければいけないと、注視する必要があろうかと思っております。
  90. 野村哲郎

    野村哲郎君 いずれにしましても、今の内藤局長、これはまた難しい質問というのを申し上げましたけれども、大変これは見通しというのは厳しいと思います。我々も昨年、本当にこのまんまでえさが上がり続けるのかどうかというのも、先ほど副大臣がお答えになりましたように、それはもう予想をはるかに超えた値上がりになっているわけですから、今回もどうなっていくかはまさしく分かりません。  ただ、何を言いたかったかといいますと、いずれにしても、先ほどお話もありましたように、下げ基調にはないというふうに思うんですね。そうなったときに、これからじゃぶじゃぶ通常基金は借入れをして、そして補てんを農家にはするんですよ。それはそれでいいと思うんですよ。じゃ、この借入先はどこですか。借りるのはだれが借りるんですか。
  91. 内藤邦男

    政府参考人内藤邦男君) 財源、現十九年度の場合は異常補てん基金から貸付けをしているわけでございますけれども、二十年度はその異常補てん基金から利子助成を行いまして、実際に借入れをするのは社団法人の配合飼料供給安定機構が借ります。それは金融機関から借りるわけでございます。
  92. 野村哲郎

    野村哲郎君 その借り入れた金はだれが返すんですか。
  93. 内藤邦男

    政府参考人内藤邦男君) これは現在、今のスキームでいきますと、通常補てん基金の積立てをしていただいている生産者及び配合飼料メーカーからの積立金で返済するということになります。
  94. 野村哲郎

    野村哲郎君 私はそこが問題だと思うんです。  今年どれだけ上がるかは分かりませんけれども、四%適用でずっといったにしても、今年一年間で借りるこの基金のお金は一千億とも一千二、三百億とも分かりません。そうしますと、今基金で積み立てている生産者の皆さんとメーカーの皆さんが積み立てるのは年間に三百五十億じゃないですか。七百億借りたとすれば、二年間は借金返済にこの基金が回ってしまうんです。  もし、もしもの話で恐縮なんですけれども、高止まりしたら、いつも払っている基金が借金戻しになるとなったら、私だったら基金からもう脱退します。そうすると、基金自体の仕組みが成り立たなくなってくるという、そういうことがございます。  ですから、もう委員の皆さん方からもあったと思うんですが、やっぱりこの基金制度、確かにあの五十年代のえさの価格が乱高下するときにおつくりになった、それは高くなったり低くなったりのときの激変緩和であって、まさかまさかこんなに右肩上がりで上がっていくという、それはまさしく制度設計の時点では想像だにできなかったと思います。そのときには確かに機能を果たしておりましたけれども、今の時代ではもう完全な機能不全になってまいると思います。  ですから、一遍ここは是非ともこの制度の見直しを、これは是非ともお願いをしていかないと、先ほど言いましたように、農家の皆さんの三つ目の心配は基金が本当に今後も持続できるのか、維持できるのかということでございますので、是非そのことをお答えをいただきたいと思います。
  95. 内藤邦男

    政府参考人内藤邦男君) この件につきましては、もう既に大臣、副大臣からも御答弁があったところでございます。私の方から繰り返す必要はないかと思いますけれども、いろんな問題、課題があるわけでございます。また、今後の配合飼料価格の動向も見極める必要もあるということもございます。今後の中長期的な課題として検討していきたいと思っております。
  96. 野村哲郎

    野村哲郎君 もう時間が参りましたので、あとの質問はもう答弁は要りません。  私は、もう一本の質問の事項を経営安定対策に置いていたんですけれども、二つまででもう時間が過ぎてしまいました。ただ、最後にお願いをしたいのは、要は農家のやっぱり経営を安定させなきゃいかぬというのは大臣もお答えいただきました。経営を安定させるためにどういう仕組みが今後必要なのか、ここはじっくりお互いに検討していかないと十二万戸の農家は守れないというふうに私は思います。  ですから、一番私は今農家の中でセーフティーネットをしいてもらっているのは肉用牛だと思うんです。いわゆるマル緊事業があります。マル緊事業で物財費まで、まあ今回どうなっていくか分かりませんが、要は物財費までそこまで補てんが可能だと、BSEのときのような補てんが可能だということになっていきますれば、これは肉用牛農家はもう完全にセーフティーネットがある、今もありますけれども、今後もそうだと思います。  そうしますと、じゃ、日本のこの肉資源を守っているのは肉用牛だけじゃないです。五八%は豚が占めているわけですから、じゃ、豚にもやっぱりそこはきっちりしたセーフティーネットを仕組む必要があるのではないかと。あるいは、先ほど来出ております卵もブロイラーもそうです。ですから、この十二万戸を守るための経営安定対策制度というものを是非とも創設、構築をしていただきますようにお願いいたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  97. 谷合正明

    谷合正明君 公明党の谷合正明です。  畜産は今、高騰する輸入穀物、また原油高騰によりまして未曾有の危機を迎えております。米、麦などの土地利用型の農作物については先般、経営安定対策が取られたわけでございます。一方、畜産酪農については野菜、果樹同様、土地利用型農業と比べ構造改革がある程度進んでいるということで、従来の対策が取られることになったわけであります。  しかし、今日の議論でも度々出ているように、えさを中心とした価格高騰、これが、えさの価格安定制度価格の高止まりに対しては十分対応し切れないという問題、また畜種別経営安定対策についても、言わばその畜産物価格下落については機能をするけれども、生産コスト上昇についてはこれまた十分対応し切れないという今日的な問題があるということが分かっているわけであります。しかも、飼料価格については、先ほど野村委員質問の中にもありましたとおり、今後どういうふうに動くか分からないけれども、しかしながら、これが下がるという要因は少ないんではないかと、私自身もそういう認識でおるわけであります。畜産酪農家、今現在、飼料高騰分をコスト削減ということでしのいでいるという状態でございます。これは小規模農家だけでなく、大規模の農家についても大変厳しい経営努力をされている中で大変厳しい経営環境にもあるということでございます。  そこで、質問は、畜産農家の収入安定に直接響く対策もこれまた検討していく必要があるんだろうと。緊急対策とこれからの畜産酪農経営安定対策の在り方について、政府大臣の方はどういうふうなお考えをお持ちなのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
  98. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 繰り返しの御説明になるわけでございますけれども、まずは、当面直面しております異常な緊急の経営難、それは主として飼料価格高騰にあるわけでございます。  これについては、まずは激変緩和措置を講じなければならない。そういう意味で、飼料価格安定制度、これはどうしても守り抜かなければいけないわけですが、この飼料価格安定制度、そしてまた、それぞれの農家の飼料費につきます特別支援資金、これを支援を実施をすると。そこで時間を稼いでいる間に、生産段階の、国産飼料生産拡大とか家畜生産性向上を推進する。そしてまた同時に、私はここが大事だと思うんですけれども、加工流通業者や消費者の理解を求め、生産のコストの上昇というものが適正に小売価格に反映されるようなそういう環境づくり、それがなければ畜産というのはその部分で救済をしていっても続かないわけですから、そういう意味では、消費者の理解を真剣に求めていくということが必要だというふうに考えております。  と同時に、今の直面している課題に対しては、先ほども申し上げました経営対策といえば畜種別に非常に事情が異なっておりますから、畜種ごとにその需給だとか価格の動向というようなものを反映をしながら、畜種別の適切な経営安定対策というものを講じていかなければいけないと、このように思っておりまして、二十年度の畜産物価格の決定におきましても、畜産経営の安定が図られるように、これら経営安定対策と法を併せまして必要な対策を総合的に検討していくと、こういう考え方で対応したいと思っております。
  99. 谷合正明

    谷合正明君 今回の政策価格決定が一か月前倒しになっているということは、やはりそれなりに危機感をそれぞれ関係者が抱いた共通の事項だと思っております。やはり即効性のある緊急対策も含めて、是非御決断をしていただきたいというふうに考えております。  その際、また、経営安定対策について、今後、この制度自体が私、個人的に率直な思いとして、余りにちょっと複雑過ぎているのではないかなという思いも一方でしております。これは、具体的にどうとかこうとかいうのはちょっと今日は時間がありませんので申し述べませんが、分かりやすい制度を、やはり十分それをやっていただきたいというふうに思っております。  大臣の方から価格の問題提起をしていただきました。今、畜産酪農家飼料高騰に加えて価格転嫁が思うように進まないという現状があるわけであります。  先ほどの質問の中で価格転嫁、小売価格の転嫁の問題が提起がありましたが、私は、小売価格はもとより、卸売市場での価格形成というのは適正な価格が反映されているのだろうかと。食肉の中央市場での取引方法に関しては、食肉は九〇%以上が競りで取引されます。これは、青果、水産、花卉に比べてかなり高率な割合でございます。  基本的に価格というものは市場で決めるものというのが大原則であろうと思うんですが、しかし、そもそもその市場の価格というのは生産費が適正に反映されたものなのか、この認識、あるいはこれが適正なものでないとすれば、私は適正さを欠いているんだと思っているんですが、この対策についてどう取られるのか、この点についてお伺いをいたします。副大臣
  100. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) この食肉の卸売市場、食肉の卸売価格の形成は、おっしゃるように競りの形態を取っております。これはもう個体、それ一つ一つ違って、規格というのが生体の場合にございませんので、どうしても一つ一つ確認をして、質も見て、それでそれぞれが評価して競りで取引するという形態は避けられないんだろうと思うんです。  問題は、だから買う側が、競りで落としたものが流通過程を経て商品として消費者の手に渡る、その過程の合理化と併せて、やはり消費者段階でどのような価格形成が行われるかということが私は大事なポイントになると思っております。  ちなみに、小売価格への今度の生産コスト飼料価格の値上がり分の、まあこれ仮定の計算ですが、すべてを小売価格に反映した場合に、小売価格はいろいろそれぞれによって違うんですけれども、五円ないし十円の上昇と。生乳については、生乳一キログラム当たりでいえば五円、六・六%ですが、牛肉でも、乳用種のものについては四・九%、二十円上がる、上げなければ吸収できない。ブロイラーは七円、六・一%。豚肉については十二円、四・八%。鶏卵が大変でございますが、二十二円、一パック当たりで二十二円で一〇・三%と。  こういう、これは計算を適正に反映していくとすれば、これが実現しなければ畜産経営経営としては維持できなくなるんですという話を、我々行政も、市場に任せるというだけではなくて、積極的にPRをしていかなきゃいけないというふうに思うわけでございます。  こういう小売価格への適正な反映をしていく際によく問題にされますのは、量販店などの優越的地位の濫用行為というのがあるんじゃないかと。これは、実は公取のある責任者とも話をしているんですけれども、なかなか捕まえられないといいますか、話としてはあるんだけれども、いざとなると言ってもらえないんだと。そうするとその後の取引に影響してしまう、他の取引に影響してしまうというようなことがあって、なかなか優越的地位の濫用行為を具体的に取り締まるということが現実としては非常に難しいというお話がございました。  我々、そういう情報を入手したときにはやはり公正取引委員会にしっかりと連絡していく、そういうことを関係者の中に周知をして、公正取引委員会も立ち上がらざるを得なくなるというような状況を、我々、関係者がそういう取組をしていくということもお願いしなきゃいけないんじゃないか。私自身は、公正取引委員会におきます優越的地位の濫用行為というにらみをここでしっかり利かしてもらいたいなという思いを込めまして、情報の提供などをしていかなきゃいけないと、こんなふうに思っております。
  101. 谷合正明

    谷合正明君 公取の優越的地位の濫用行為ですね、疑いがあった場合には、まあこれ畜産だけじゃなくてほかのすべてのものに言えるんですけれども、なかなか公取も動いていただけないという悩みもあって、これ是非、大臣としても是非問題を取り上げていっていただきたいというふうに考えております。  次に、この飼料価格高騰輸入飼料価格高騰があるので、この輸入飼料に影響されないように国内でいわゆる自給飼料をどうやって増産していくのかというのが一つ課題であろうというわけであります。その中で、従来、粗飼料増産というのは中心的に行われてきたんですけれども、濃厚飼料自給対策については結構今もその自給割合がかなり低いということで、ここがまだネックになっているわけであります。  そこで、飼料米についてお伺いしますけれども、まだこの飼料用米の作付面積というのは全国で百ヘクタール程度ということで、まだまだ少ないのが現実でございます。課題はいろいろございます。トウモロコシとの価格差をどうやって埋めるのかとか、あるいは多収穫米の開発であるとか、いろいろやることがあろうかと思うんですが、しかしながら、今のこの畜産を取り巻く現状を考えると、ここを本当に本腰入れないと私はいけないと思っています。  この飼料自給アップの切り札として期待されている飼料米の増産対策、またこれがしっかり定着するまでの工程についての管理についてお伺いをいたします。
  102. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 私も同じような認識で同じような視点の下にこの十九年度の補正予算の地域水田農業活性化緊急対策というのをお願いをして組み立てたわけでございます。  水田を活用した飼料用米の生産というのは本当に重要だと考えております。主食用米の需給バランスを図りながら、米の生産調整の一環として飼料用米などの非主食用米の低コスト生産技術を確立し、定着を進めていくということを大きな方針として打ち出していくと。そして、畜産における利用拡大を図るために、飼料用の米を利用した畜産物の付加価値化、これは現実に実証事業で青森などであるんですけれども、お米を多く食べたえさでつくると、卵が余り黄身が黄色くならないんですね、白っぽくなると。何となく、これ御承知かもしれませんが、卵の黄身を黄色く見せるために、カロチンですけれども、パプリカなんかの粉末を入れて黄色く見せるというようなことを配合飼料なんかはやっているんですね。それはそういう消費者とのかかわりですから、いろんな工夫が行われるんでしょうけれども、逆手を取って、お米を食べた鶏ですよ、卵ですよということで青森ではむしろ高い付加価値を付けた形の高い鶏卵を流していると、売れているというようなケースもあるわけでございます。  そういうようなことで、本格的に飼料用米の生産とその活用というものに取り組んでいきまして飼料自給率向上に努めていきたいと、このように思っております。
  103. 谷合正明

    谷合正明君 私は、地元の岡山県内回っている中で普及の課題として聞いたのが、いわゆる転作奨励金だとか、あれがいつまで続くのか分からないとか、産地づくり交付金ですね、というのがあったり、あるいは機械の導入の話を受けました。これ飼料米というのは新しい新規の機械要らないんじゃないかと最初私は思っていたんですが、よくよく聞いてみると、その稲発酵飼料用の、ロール状にしてラッピングにしてまとめる専用の機械が必要だと、効率良くその飼料用米を増産していくためには。しかしながら、その機械が津山、美作といった岡山の県北、東部ですけれども、一台しかないという現実でございました。  この機械導入というのが欠かせないんですが、ただこれ高額な上で、そういう購入に踏み切る地域が少ないんではないかなということを推測するわけでありますが、この耕畜連携における機械類の導入に対する支援の現状、取組についてちょっと手短にお願いします。
  104. 内藤邦男

    政府参考人内藤邦男君) 御指摘のように、稲発酵飼料の収穫作業、既存の機械でもできるわけでございますけれども、最近開発されました専用機械でより効率的にできるということで我々も普及を進めております。その支援の事業としましては、強い農業づくり交付金あるいは耕畜連携水田活用対策事業でございます。これらの事業のPRをしながら、その普及に努めていきたいと思っております。  ちなみに、メーカーから聞いている販売台数では全国で百二十台強という状況になっております。  以上でございます。
  105. 谷合正明

    谷合正明君 最後に、政務官質問いたします。  新型インフルエンザ対策でございます。新型インフルエンザが発生した場合、我が国にこれが広範にかつ急速に広がると言われておりまして、日本で発生した場合は人口の約四分の一が感染するだろうと、で、死者は最大で六十四万に上るという報告があるわけであります。  こうした事態が発生した場合にどういう対応をするのかと。厚生労働省が出したガイドラインについては、これは医療面のことはいろいろ書いてあるんですが、食料品の確保という点については書いてないという。ここについて、農林水産省として事態想定だとか対応策を検討すべきだと私は思っておるわけでありますが、国民への食料品の安定的供給という観点で今どのように考えていらっしゃるのか、この点についてお伺いいたします。
  106. 澤雄二

    大臣政務官澤雄二君) この新型インフルエンザ対策につきましては、おととし私は初めて国会で質問させてもらいまして、政府対策の後押しといいますか、後押しというよりも引っ張り上げてきたというふうに思っていますが、この食料の安定供給については質問したことはありませんでした。今回御指摘があって、これは非常に重要な問題であるというふうに認識をしておりますが、物すごく難しい多岐にわたる問題がいろいろございます。  今ガイドラインについてお話をされましたけれども、実はガイドラインに一部述べているところがあります。それは、治安維持、ライフラインの維持、輸送関係者等は、その機能の破綻が及ぼす社会的影響が大きいことから社会機能維持者として位置付けられていて、食料販売関係者及び食料品などを搬送する者もこれに含まれております。  この社会機能維持者については、新型インフルエンザが流行した場合における業務を継続するための計画を策定することが望ましいということが行動計画の中に書かれています。つまり、感染してどんどんどんどんその輸送業務者が少なくなっていく。しかも、仕事に就けば就くほど感染をしていきますから、感染をしていくと致死率が高いので仕事には行きたくないということになったら、食料供給する人がいなくなってしまう。だから、そういうことがないように業務を継続するための計画を策定しなさいというのがガイドラインでございます。  農水省では、この行動計画に沿って、平成十九年の四月、去年の四月に、食品製造業や小売業、外食産業等の業界団体及び会員企業に対してガイドラインを周知徹底いたしました。と同時に、今年の一月以降、食品製造業及び小売業界において業界説明会を実施し、ガイドラインを踏まえた業務継続計画の策定を要請しているところでございます。  いずれにしましても、この新型インフルエンザ発生時に食料の安定供給を確保するためには、食品業界のみならず、運送業者など食料品の輸送を所管する関係府省との連携が重要と考えております。  具体的に、食料品については、まず第一に、どのような品目を供給しなければいけないのか、そしてその供給しなければいけない品目についてはどのように確保するのか、そして確保したその品目をどのように消費者の手元に届けていくのか、こういうことについて、いろんな関係省庁にかかわる分野もございますが、検討を始めたところでございます。  今後とも、新型インフルエンザ及び鳥インフルエンザに関する関係省庁対策会議を通じて、関係省庁と一体となって取組を進めていきたいというふうに考えております。
  107. 谷合正明

    谷合正明君 終わります。
  108. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  国際的な穀物価格高騰によって、全国の畜産酪農農家が非常にその経営を維持できない大変な事態になるということで、私、昨年も大臣質問させていただきました。  耐え切れずに、黙っていたらえさ代がもう高く付くので牛を売ってしまうと。そうすると、生産基盤そのものがなくなっていくということで、もう早くメッセージを出していく必要があるんだということでお話をさせていただきました。  今回、例年よりも早く乳価を決定するということで、こういうふうに早くやることになっているということ自体は良かったというふうに思いますけれども、問題はその中身だと思うんですね。それで、新聞報道などでは三十年ぶり大幅アップ、四月から八%ということで報道されているわけですよ。  北海道で酪農家を回って聞きますと、配合飼料価格が二〇〇六年度以降二〇%も上がっている中で酪農経営を維持するためには、生産者が受け取るその乳価というのは実質的には十円は上がらないといかないということをみんなおっしゃっているんですよね。生産者にとっては八%というのは実質的には五円十銭なんですよ、来るのは。限度数量の話も今日ありましたけれども、これを引き上げるというのはもちろん切実な声ですし、あわせて、最低限で加工原料乳の生産補給金をキロ当たりで五円以上は上げてほしいというのが強い要求として上がっているわけです。  大臣、これにこたえるということで、そういうおつもりはありませんか。まず、お答え願います。
  109. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) この加工原料乳の補給金単価につきましては、委員も御承知のとおりでございますが、生産者補給交付金の金額の算定のルールというのがございまして、この補給金の単価につきましては法律の十一条でございますが、そのルールに基づきまして、できるだけこの飼料価格が上昇を続けてきているという意味で直近の配合飼料価格をできるだけそれを採用していく。また、光熱水道費などの値上がりもございます。これらも織り込んで、このルールに基づいて適正に算定をするという考え方でございます。
  110. 紙智子

    ○紙智子君 算定ルールに基づいてということがいつも決まって返ってくるんですけれども、やっぱりちょっと低過ぎるんじゃないかなと思うんですよね。  時々、申し入れしますと、いや、BSEのときでも七十銭という話がされるんですけれども、実際に〇三年から〇六年までもこれ引下げだったり維持だったりということが続いてきたわけですし、〇七年でやっと十五銭ですから、もう円じゃなくて銭の単位ですよね。だから、これ自体が本当に低過ぎるということなんですね。  生産者が実際に受け取っている乳代、これ大臣御存じでしょうか。一リットル当たりで見た場合には、全道平均でいいますとおよそ六十七円八十銭がメーカーから受け取る金額なんですよ、六十七円八十銭。これには飲用向けも加工用もチーズ向けも全部ひっくるめたプール乳価という形で農家が受け取っている額なんですね。これに対して国から十円五十五銭の補給金が出されているわけですけれども、実際の乳量で割り出していくと、全道の乳量で割り出していくと、実際には農家当たりに行く額というのは四円二十六銭なんですよ。ですから、メーカー側と国から出てくるものを合わせて、一リットル当たりで七十円から七十二円ぐらいのところを上下しているというのが実際の手取りということなんですよね。  一リットルの牛乳を私たちがスーパーに行って買うとき、一リットルのあのパックで今幾らしていますかね、実際には二百円とか二百八円とか、ちょっと脂肪の高いものになると二百二十円とか二百二十何円とかというぐらいだと思うんですけれども、大体そのぐらいで私たちは一リットルの牛乳を買うわけですけれども、これがだから生産者の手取りになっているのは三分の一でしかないということなんですよ。そのぐらいやっぱり差があるということですね。  私はもっと分かりやすくするために今日これを持ってきたんですけれども、こっち水ですよね。これで大体百円から百十円で手に入れることができるんですけれども、容器代は別として、これと匹敵する量で牛乳が、生産者が受け取る額ってお分かりでしょうか。これは三十五円なんですよ。こっちは百円、百十円、こっちは三十五円と。だからね、おかしいなと思うんですよね。だって、朝から晩まで、朝四時から起きてですよ、それで牛を飼って一年間三百六十五日休みなく働いて本当に大変な思いして、そして付く価格が三十五円ですから。今酪農家の皆さんは、この三十五円をせめて四十円にしてもらえないかという話なんですよ。こんなことができないのかというのがもう率直な思いとして私、したものですから、今日はあえてこういう形で示させていただいたんです。これについて大臣、どのように思われますか。
  111. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) まず、水との比較において生乳、牛乳価格が安いんじゃないかということについては、私もそういうふうに常日ごろ認識しております。  ただ、委員がお示しになられました百円と三十五円ですという、大体農産物について生産者の取り分、お米とか何かもそうですけれども、最終、末端の消費価格との比較になれば、まあ三分の一以下に大体なっているんですよ。それじゃどこか流通過程がもうけ過ぎておかしいかといいますと、これ諸外国と比べてみましても、大体生産者側の方の手取り部分というのは三分の一程度、うまく自分で販売組織を持って売っているところで四割ぐらい、あとは流通過程、段階を踏みますから流通コスト、輸送コスト、そういうようなものになっているのはまあ普通ではないでしょうかね。  そういう意味では、スーパーならスーパー、コンビニならコンビニにおける販売価格の比較の中において、その販売価格を正当な価格が形成されるように、そういう環境条件をつくっていくということがポイントになるというふうに考えているところでございます。
  112. 紙智子

    ○紙智子君 やはり生産者の実感からして、これだけ朝から晩まで苦労して頑張って働いてもそんなものなのかという思いが、さっき本当に痛ましいお話ありましたけど、もう本当にそういうやっぱり生きる希望すら奪われてしまうような事態に立ち至ってしまうんだと思うんですね。働いても借金が残るという話になっているわけで、このせめて十円は手元に来るように上げてほしいという要求は、これは本当に地元の皆さん皆言っていますし、自民党の酪農政治連盟だって言っていますよね。そういう要求上げていると思うんですよ。  だから、やっぱり是非、ルールに基づいてということであれば、そのルール自体ももっと何とか引き上げていくことで変えていくべきじゃないかと思うんですけど、いかがですか。
  113. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) しかし、ルールを直接的に変えるというのは、それなりに合理的なシステムになってきているわけでありますから、異常事態に対応するという意味でおっしゃるのであれば、それはやっぱり個別の経営酪農なら酪農、それは酪農の中であっても牛乳、生乳用のものと今の加工原料乳の場合と、もう一つ最近、チーズとか液状のミルクについて、別途の生産者との間で需要拡大に応じて生産体制取ってきています。それらの全体の価格の中で決定されていくなど、牛なら牛も、もう細かく言いませんけど、牛と一言に言ってもやはりF1、乳雄の場合と和牛の場合と違いますしね。それぞれごとに抱えている経営状況に応じた経営対策を講じていくということが大事だと私は思っているんです。
  114. 紙智子

    ○紙智子君 もちろん、そういう経営ごとにやっていくということなんですけど、再生産できるそういう対策ということでやっていかなきゃいけないんだろうというふうに思うんです。  これ先ほども議論になっていたんですけれども、私もあえて言わせていただきますが、都府県で、今度飲用向けで酪農生産をやっている酪農経営に対しても同様の生産を継続できるような経営安定対策を導入すべきだと思うんですけれども、これについても改めて伺っておきたいと思います。
  115. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 都府県と北海道とでは生産の構造が確かに違うわけでございまして、都府県の酪農につきましては、生乳需給の緩和に伴う減産型の計画生産の実施をしてまいったということにあるわけですが、それに配合飼料価格の上昇ということによって収益性が低下してきたと、非常に苦しい状況になっているというふうに認識をいたしております。  そういう意味で、配合飼料価格の上昇については、これは制度の設計として言いますと、この対策はすべての畜種、そしてまた地域共通の対策ということになるわけでございますが、都府県の酪農には都府県の酪農経営状況に応じた生産性向上などについての取組でありますとか、先ほど野村委員がいろいろとおっしゃっておられました都府県の酪農経営の安定対策というようなことについては、総合的な対策価格と併せて講じてまいらなきゃならないと、こういうふうに考えております。
  116. 紙智子

    ○紙智子君 ずっと先ほど来議論聞いていまして大体共通の認識なんじゃないのかなと思っているんですけれども、配合飼料価格安定制度についてです。  これ、全畜種の平均で、一—三月期で一トン五万八千円になっていて、前年の同時期に比べますと、生産者の負担というのがトン当たりで七千七百円になっているわけですよね。これがもう経営危機を一層追い詰めてきているということだと思うんです。この生産者負担分に対する新たな支援制度を創設すべきじゃないかということが一つと、それから、現行配合飼料価格安定制度、これ、飼料価格が結局、さっきも乱高下という話ありましたけど、もうずっと上がり続けてきているという最初から想定しなかった中で今の事態迎えている中では、やっぱり限界が来るということでは、配合飼料価格安定制度そのものを抜本的に見直す必要があるんじゃないかと。  大体、先ほどの議論の中でも出ていたわけですから、ここは本当に受け止めていただいて、政府としてしっかりと対策考えていただきたいと思いますが、これについても御答弁をお願いいたします。
  117. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 繰り返し御答弁申し上げながら皆さんに御理解をお願いしているわけでありますが、配合飼料価格安定制度自身については、私は、この今のこういう激変緩和措置として設けられたこの制度は、ほかの生産資材にはない、極めて特殊な、特例的な措置として実績を獲得して今日に来ているということ。さらに、原油価格高騰によりまして、中小企業や漁船漁業を始めとして、農業も施設園芸なんかがございます。その原油価格高騰による生産資材の圧迫というものを大変受けているわけでありますが、これらについても直接的な助成というのは行われていないと。それらのことを考えますと、ここで配合飼料価格安定制度について、特別の、今抜本的というお話がございましたが、下手にいじって元をなくしてしまうようなことになっては困るという心配の方を私がするぐらい、大変特例的な措置でございます。したがって、このことについては、これをいじるということについてはやはり慎重な検討を要するというふうに考えております。  今後の配合飼料価格の動向を十分見極める必要がございますけれども、中長期的に一体これが、高止まりするような形の中で経常的なコストとして他で吸収できないというような状況の見通しが出てきますれば、先ほど来言いましたように、まず上げて、消費者の皆さんに御理解をお願いして、消費者がその価格の、経営のぎりぎりのところで要求を出してきます価格について消費者に御理解をまず求めて、一定の消費者価格の中で吸収してもらうということをまず私は訴えていくことが必要だというふうに考え、あとは個別の畜種ごとの経営対策として対応したい、こう思っております。
  118. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっと時間が詰まってきたので二問をひっくるめてちょっとやらせていただきますけれども、これも議論されてきているわけですけれども、飼料米の問題ですね、飼料自給を高めていくという問題で、これもずっと続けて質問させていただいているんですけれども、飼料用米の方は結構……
  119. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 時間ですのでまとめてください。
  120. 紙智子

    ○紙智子君 はい。  やられているんですが、飼料米ですね、米粒の方。こっちの方はなかなか強調されないんですけれども、こっちの方もすごく大事な話で、先ほど大臣が紹介されていた例ですけれども、実際にこれをやっているところでいいますと、今本当に効果を発揮しつつあるということでもありまして、非常に生産者の皆さんは希望を懸けてやっていこうという意欲を持っているわけですので、これに対しての積極的な対策を取ってほしいということと、もう一つは、肉用牛の肥育経営安定対策の事業の補てん、これも出された問題ではありますけれども、家族労働費と所得の格差の八割補てんということではもう今は対応できなくなってきているということでもありまして、この維持をしていくということでは、本当にこの再生産を確保できるような補てんができる仕組みにすべきだという声が上がっているわけです。  加えて、養豚経営についても安定価格の引上げなどの安定対策を強めるということの要求が出されているんですけれども、これをひっくるめて、ちょっと分量がありますけれども、お答えをしていただきたいと思います。
  121. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 既に時間が過ぎておりますので、もし答弁なさる場合には簡潔にお願いいたします。
  122. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) 米粒としての言わば飼料米につきましては、この十九年度の補正予算、お認めをいただきました地域水田農業活性化緊急対策の中におきまして、米の生産調整の一環として、飼料用米を、非主食用米の低コスト生産技術の普及と定着を促進するというような形でこれを積極的に取り上げていくという姿勢でおります。  それから、畜産物のその他の価格についていろいろいただいたわけでございますが、これらについては、まさに明日、畜産部会、審議会畜産部会の意見を伺いながら、そして、今まで各方面からいただいていた意見を踏まえて、ルールに従った適正な的確な価格の決定と関連した諸対策を実施したいと、こう考えております。
  123. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  主濱君から発言を求められておりますので、これを許します。主濱了君。
  124. 主濱了

    ○主濱了君 民主党・新緑風会・国民新日本の主濱了でございます。  私は、民主党・新緑風会・国民新日本、自由民主党・無所属の会、公明党及び日本共産党の各派共同提案による畜産物価格等に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     畜産物価格等に関する決議(案)   配合飼料価格の急激な高騰、WTO農業交渉及びEPA交渉の本格化など、我が国畜産酪農経営を取り巻く情勢は、極めて厳しいものがある。   よって政府は、こうした情勢を踏まえ、平成二十年度の畜産物価格及び関連対策の決定に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。  一 飼料原油価格高騰等による生産コストの急激な上昇やWTO農業交渉、EPA交渉の本格化等を踏まえ、自給率向上と安全・安心な畜産物の安定供給を目指した生産者が意欲を持って取り組めるよう、畜産酪農政策を確立すること。  二 配合飼料価格安定制度については、同制度による補てん金の支払が農家にとって重要な役割を果たしていることにかんがみ、通常補てん基金が財源の上で安定的に運営されるよう万全の措置を講ずること。    また、今後制度の見直しについても検討を行うこと。  三 加工原料生産補給金単価については、生産者の努力が報われ、意欲を持って営農に取り組めるよう、飼料価格高騰等を反映し、再生産の確保を図ることを旨として適正に決定すること。また、加工原料乳限度数量については、バター及び脱脂粉乳の安定的な需給を確保する観点から、生乳の生産事情、牛乳乳製品の需給動向等を踏まえて適正に決定すること。    さらに、生乳の需給安定を図るため、脱脂乳の需要開発、液状乳製品・チーズ向けの生乳の供給拡大牛乳乳製品の消費拡大等に努めること。  四 牛肉・豚肉の安定価格及び肉用子牛の保証基準価格等については、畜産農家経営安定に資するよう、需給動向、価格の推移、飼料価格高騰などに十分配慮し、再生産の確保を図ることを旨として適正に決定するとともに、肉用牛農家及び養豚農家の経営安定対策の充実・強化を図ること。  五 飼料輸入依存体質を転換し、国産飼料に立脚した畜産酪農を確立する観点から、青刈りとうもろこし等の高栄養飼料作物生産拡大エコフィード、未活用・低利用資源の利用拡大稲発酵飼料飼料用米の利用拡大及び水田・耕作放棄地への放牧等の耕畜連携を強力に推進すること。  六 家畜生産性向上を図るため、乳量の増加や乳質の改善、出荷頭数の増加に向けた繁殖性向上対策や事故率低減のための家畜疾病対策を強化するとともに、効率的な飼養管理技術の普及を推進すること。  七 飼料価格高騰に伴い、農家の生産性向上に向けた努力にもかかわらず、畜産物価格が上昇せざるを得ない状況について流通業者や消費者の理解が得られるよう、広報・啓発に努めるとともに、生産者団体や消費者団体の取組支援すること。  八 山場を迎えたWTO農業交渉やEPA交渉に当たっては、平成十八年十二月に行った本委員会の「日豪EPAの交渉開始に関する決議」の趣旨を踏まえ、我が国畜産酪農が今後とも安定的に発展できるよう、適切な国境措置等の確保に向けて、確固たる決意をもって臨むこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ各委員の御賛同をお願い申し上げます。
  125. 郡司彰

    委員長郡司彰君) ただいまの主濱君提出の決議案の採決を行います。  本決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  126. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、若林農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。若林大臣
  127. 若林正俊

    国務大臣若林正俊君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従いまして、最近の畜産をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。
  128. 郡司彰

    委員長郡司彰君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十四分散会