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2008-06-10 第169回国会 参議院 内閣委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年六月十日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月五日     辞任         補欠選任         徳永 久志君     相原久美子君      山下 栄一君     風間  昶君  六月六日     辞任         補欠選任         池口 修次君     簗瀬  進君      中山 恭子君     鈴木 政二君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岡田  広君     理 事                 芝  博一君                 松井 孝治君                 有村 治子君                 松村 龍二君     委 員                 相原久美子君                 石井  一君                 神本美恵子君                 工藤堅太郎君                 自見庄三郎君                 島田智哉子君                 簗瀬  進君                 柳澤 光美君                 岩城 光英君                北川イッセイ君                 鴻池 祥肇君                 中川 義雄君                 風間  昶君                 糸数 慶子君    衆議院議員        内閣委員長    中野  清君        青少年問題に関        する特別委員長  玄葉光一郎君        青少年問題に関        する特別委員長        代理       江崎洋一郎君        青少年問題に関        する特別委員長        代理       萩生田光一君        青少年問題に関        する特別委員長        代理       笹木 竜三君        青少年問題に関        する特別委員長        代理       高井 美穂君        青少年問題に関        する特別委員長        代理       松本 剛明君        青少年問題に関        する特別委員長        代理       古屋 範子君    国務大臣        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    泉  信也君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣少子化        対策男女共同        参画))     上川 陽子君    副大臣        文部科学大臣  池坊 保子君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 秀行君    政府参考人        警察庁生活安全        局長       片桐  裕君        警察庁刑事局長  米田  壯君        総務省総合通信        基盤局長     寺崎  明君        総務省総合通信        基盤局電気通信        事業部長     武内 信博君        経済産業省商務        情報政策局長   岡田 秀一君    参考人        松下電器産業株        式会社役員        東京教育委員        会委員        おやじ日本会長  竹花  豊君        慶應義塾大学大        学院メディアデ        ザイン研究科教        授        中村伊知哉君        社団法人日本民        間放送連盟報道        委員会委員・報        道小委員長        株式会社テレビ        朝日報道担当取        締役       渡辺興二郎君        マイクロソフト        株式会社技術統        括室CTO補佐  楠  正憲君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○青少年が安全に安心してインターネット利用  できる環境整備等に関する法律案衆議院提  出) ○参考人出席要求に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○オウム真理教犯罪被害者等を救済するための給  付金の支給に関する法律案衆議院提出)     ─────────────
  2. 岡田広

    委員長岡田広君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る五日、山下栄一君及び徳永久志君が委員辞任され、その補欠として風間昶君及び相原久美子さんが選任されました。  また、去る六日、池口修次君及び中山恭子さんが委員辞任され、その補欠として簗瀬進君及び鈴木政二君が選任されました。     ─────────────
  3. 岡田広

    委員長岡田広君) 青少年が安全に安心してインターネット利用できる環境整備等に関する法律案議題といたします。  提出者衆議院青少年問題に関する特別委員長玄葉光一郎君から趣旨説明を聴取いたします。玄葉衆議院青少年問題に関する特別委員長
  4. 玄葉光一郎

    衆議院議員玄葉光一郎君) ただいま議題となりました青少年が安全に安心してインターネット利用できる環境整備等に関する法律案につきまして、提案趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。  インターネットにおいて、犯罪、自殺及びいじめ等青少年の健全な成長を著しく阻害する青少年有害情報が多く流通し、それによる青少年被害が絶えない現状にかんがみ、表現の自由を保障しつつ、青少年がこのような有害情報に接することを少なくするとともに、安全に安心してインターネット利用できる環境整備推進することを目的として本案を提出した次第であります。  次に、本案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、青少年が安全に安心してインターネット利用できるようにする施策推進に当たっては、青少年自らがインターネットを適切に活用する能力を習得することを旨として行われなければならないこととし、また、民間における自主的かつ主体的な取組が大きな役割を担い、国又は地方公共団体はこれを尊重することを旨として行われなければならないこととする基本理念を定めるものとしております。  第二に、青少年が安全に安心してインターネット利用できるようにするための施策基本方針等を定めた基本計画を策定するため、内閣総理大臣会長とし、関係大臣で組織されるインターネット青少年有害情報対策環境整備推進会議設置するものとしております。  第三に、国及び地方公共団体は、青少年インターネットを適切に活用する能力を習得することができるよう、学校教育社会教育及び家庭教育において必要な施策を講ずるとともに、その効果的な手法の開発普及のための研究支援及び情報収集等の必要な施策を講ずるものとしております。  第四に、携帯電話事業者は、青少年インターネット接続サービス提供する場合、保護者フィルタリングサービス利用をしない旨の申出をした場合を除き、その利用を条件として、インターネット接続サービス提供することとするなど、インターネット関係事業者青少年フィルタリングサービス普及及び利用を促進するための措置を講ずるものとしております。  第五に、サイト管理者等特定サーバー管理者は、青少年有害情報が発信されていることを知ったときは、青少年による閲覧ができないようにするための措置をとるよう努め、当該措置をとったときは、その記録を作成し、保存するよう努めるものとしております。  第六に、青少年有害情報フィルタリングソフトウエア等に関する調査研究及び普及啓発又は同ソフトウエアの技術開発推進に係る業務を行う者は、フィルタリング推進機関として総務大臣及び経済産業大臣の登録を受けることができるものとしております。  第七に、国及び地方公共団体は、フィルタリング推進機関を含むインターネットの適切な利用に関する活動を行う民間団体又は事業者に対し、必要な支援に努めるものとしております。  第八に、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、政府は、この法律施行後三年以内に、この法律施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしております。  また、インターネット上の違法情報閲覧防止措置を講じた場合におけるサーバー管理者当該情報発信者に対する損害賠償の制限の在り方について、この法律施行後、速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしております。  以上が、この法律案提案趣旨及びその主な内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げる次第でございます。  以上です。
  5. 岡田広

    委員長岡田広君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。     ─────────────
  6. 岡田広

    委員長岡田広君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  青少年が安全に安心してインターネット利用できる環境整備等に関する法律案審査のため、本日の委員会参考人として松下電器産業株式会社役員東京教育委員会委員おやじ日本会長竹花豊君、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授中村伊知哉君及び社団法人日本民間放送連盟報道委員会委員報道小委員長株式会社テレビ朝日報道担当取締役渡辺興二郎君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 岡田広

    委員長岡田広君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  速記を止めてください。    〔速記中止
  8. 岡田広

    委員長岡田広君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  9. 岡田広

    委員長岡田広君) 青少年が安全に安心してインターネット利用できる環境整備等に関する法律案議題とし、参考人方々から御意見を伺います。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。  参考人方々から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、今後の審査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  それでは、議事の進め方について申し上げます。  まず、竹花参考人中村参考人渡辺参考人の順序でお一人二十分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員質疑にお答えいただきたいと存じます。  御発言いただく際は、その都度委員長の指名を受けてからお願いいたします。  また、各委員質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、竹花参考人からお願いいたします。竹花参考人
  10. 竹花豊

    参考人竹花豊君) 私は、本法案子供たちが置かれたインターネット社会の脅威を改善する上で力強い契機となることを期待する立場から、意見を申し上げたいと思います。  私は、平成十五年六月、治安担当東京都副知事を命ぜられまして、青少年問題にも深くかかわってまいりました。その当時、警察学校現場から、携帯電話子供たちを変えている、非行の原因ともなり非行を拡大、深化させている、何とかしてほしいという切実な声に直面をいたしてまいりました。何でもありの携帯電話実態に驚愕し、対策検討を迫られたわけでございます。  その結果、激論を経て、平成十七年の三月、東京青少年の健全な育成に関する条例を改正していただきまして、お手元に私の配付資料ということで、東京青少年の健全な育成に関する条例の抜粋がございます。その十八条の七以降に記載をされておりますけれども、インターネット事業者フィルタリングサービス提供努力義務を課すとともに、保護者等フィルタリング利用努力を促すというそうした責務を課すなどいたしました規定を新たに設けたわけでございます。当時、まだ携帯電話にはフィルタリング機能がそもそも開発されていない時期でもございましたし、その開発を急いでいただきまして、平成十七年の十月からこの条例施行をされました。  しかしながら、この条例は、実はその後の調査によりまして、事業者にも言わば軽視をされるという状況が続きまして、こうした子供たちに向けたフィルタリングの装置が付け加えられるという事態がなかなか進まないという状況が続きまして、私といたしましては非常に失望をしたような状況がございます。  しかしながら、その間にも子供たちのこの問題を介しての犠牲というものが膨大に積み重ねられていくという実態を目の当たりにいたしまして、平成十八年四月に、当時私が警察庁生活安全局長を務めていた立場から、多数の有識者にお集まりいただきましてバーチャル社会弊害から子どもを守る研究会というものを立ち上げ、携帯問題、ゲームの問題等につきまして現状と課題を整理していただきました。その最終報告書がお手元に配付されているかと存じます。  私のこの問題についての考え方は、この最終報告書に述べられたものとほぼ同一でございまして、現在でもこの立場正当性を保持しているというふうに考えておりますが、この最終報告書を作る過程でも、事業者方々の御意見もお伺いしようということで来ていただきましたけれども、当時、どの程度子供たちフィルタリングが付けられているのかという質問についても、個々の事業者からはお答えできない旨のお答えをいただくなど、なかなかこの問題を改善していくことの難しさを実感をさせられたわけでございます。  この最終報告書のちょっと十一ページを御覧をいただきたいと存じますけれども、この十一ページの枠の付いたところでございますけれども、当時この研究会は、子供携帯電話を持たせるかどうか、持たせるとしてもどのような機能の付いたものを持たせるかについて、保護者学校等議論を喚起し、携帯電話のもたらす弊害から子供を守るための方策についての社会的なコンセンサスづくりを早急に進める必要があること。  その次のページ、十二ページでございますが、同じく括弧付きの中に、(2)、子供携帯電話関係についての社会的コンセンサスを背景として、携帯電話がもたらす危険性子供に安全な携帯電話を持たせることの必要性等について子供保護者の間での理解が深まるように取組を広範、緊急に進めるべきであると。  さらに次のページ、(3)にございますが、携帯電話会社等に対し、子供を守るという取組方針の下、子供携帯電話提供する際には子供が違法・有害情報に触れないものを提供するなど、対策の格段の強化を求めていくべきである。  その(3)の①のところに続けて書いてございますが、大手量販店も含め、携帯電話会社販売店代理店は、子供を守るという取組方針の下、携帯電話販売時に利用者年齢を確認し、子供携帯電話提供する際には、インターネット接続機能を有しないものやフィルタリングを設定した状態で販売することを基本とすべきであるといったような内容についてまとめたわけでございます。  この最終報告書は十二月に出ておりますが、これは既に九月段階で中間的な報告としてまとめられ、公表されたわけでありますけれども、こうした研究会検討と相前後いたしまして、国会においてこの問題がしばしば取り上げられるようになったということを承知をいたしておりまして、そのことがこの問題を大きく改善をすることになりつつあるという期待を私は非常に強く持っておりました。その後、総務省等におかれましても、事業者に対して取組の要請を行い、大きな前進が見られたわけでありまして、私としては、長くこの問題にかかわってきた者として、ようやく山が動き始めたと感じたものでございます。  そのような私の目から見ますと、今回の法案が提出され、これが成立をいたしますということになりますと、この問題に国として強く危機感を持っていることを示すことになり、一国民として強く支持をいたしたいというふうに存ずる次第でございます。  この法案内容は、この法の施行によって直ちにインターネット上の違法・有害情報がきれいさっぱりなくなりますとかというものを期待できるような内容ではないことはそうでありますけれども、しかしながら、様々な利害あるいは理念がこの問題をめぐってはあるわけでございまして、そうした対立を持ち込まずに、事業者を含め大多数のこの問題にかかわる方々が納得できる線を提示したものであり、インターネット有害情報の国全体での取組の手堅い基盤をつくり出すものであるというふうに私は考えております。国会皆様方がよくこの法案をおまとめいただいたと、僣越ではございますけれども、非常に感謝を申し上げ、敬意を表したいというふうに存じております。  ところで、私は、この内容についていろいろ争点があったことをお聞きをしておりますけれども、もはやこの段階でそこを蒸し返すというようなことではなくて、私がこの法案施行する上で非常に大事だと思う点を次に申し上げたいというふうに存じます。  一つは、この法案は、この問題にかかわっている様々な国民各層の参加を促すものでございます。したがって、社会全体での取組を大きくすること、そのための司令塔、コーディネーターの役割が非常に重要であるというふうに思います。それは国レベルでもそうでありますし、また、地域あるいは地方自治体のレベルでも同じであろうというふうに思います。  この問題が多数の省庁にまたがる問題でありますので、こういう問題の性質上、絶えずどこかの省庁に、幾つかの省庁責任が分散されますと、やや無責任な法の施行ということにもなりかねないということも懸念をしておかなければなりませんし、何よりもこの法律議員立法であるということから、国会がなおこの法律施行について継続して取組の全体をチェックするということが強く望まれる、そうしなければ作った法律が、言わば東京都の条例ではありませんけれども、軽視されるというようなことがないようにお願いをいたしたいというふうに存ずる次第でございます。  二つ目は、この法律施行に当たって大事なことは、この法律施行成果を確認するということであります。例えば、フィルタリング設置年齢別にどのように進んできたのかということをやはりきちっとチェックをする必要があろうというふうに思います。あるいは、こうした携帯電話を介して子供たちが様々な犯罪被害に遭っている事例が減ったのかどうかといったことも重要な視点だろうというふうに思います。あるいは、そもそもインターネット上の違法・有害情報がどのように変化をしてきたのかということをとらえていくということがまた大事であろうというふうに思います。インターネットホットラインというものがございますけれども、これは現状をかなり正確に把握をしているというふうに思いますが、この法律施行後、このホットライン活動がどのように変化をしていくのかといったこともまたそうした成果を確認する上での一つのすべであろうというふうに思います。  その際に、警察において検挙した事件、あるいは他の公的機関がこの種の問題にかかわることはあろうかと存じますけれども、もしそうした事案が、どのような理由で、だれに責任があって、こうした違法情報にどういう経緯で接触、アクセスをして、どうしてそこがとどめられなかったのかといったような点についても十分な検討を加えられた情報提供されることが大事であろうと思います。同時に、インターネット関連事業者方々フィルタリング設置状況等について、率直な情報提供事業者ごとに行われるということも大事であろうというふうに存ずる次第でございます。  三つ目でございますけれども、やはりそれに関連いたしまして、通信事業者インターネット関連事業者役割はこの法律施行する上で非常に大きいものがあるというふうに思います。この方々対応の仕方がこの法全体の言わば施行の、何といいますか、かぎであるというふうに思いますし、そうした対応在り方ユーザー保護者の多様な要求にこたえたものであることが必要であろうと思います。  今携帯電話の中にもいろんな種類があるわけでございますけれども、もう電話機能だけでいいという方もおられますし、限られたメールのものだけでいいという方もおられるわけであります。そうした方々要求、あるいはフィルタリングについてもいろいろな制度には多様なものがあっていいわけでありまして、そうしたものがどういうものであるかということがクリアに説明をされて、ユーザー保護者方々選択にこたえられるようにしていただくことは非常に大きなことであろうというふうに存じます。  これまでもこうした事業者方々は様々な努力をされてきたことを承知をしております。子供たちを守ることが事業者社会的責任だ、今企業にはCSRということが強く求められているわけでありますけれども、そうしたことを御認識をされている事業者方々も多いというふうに承知をいたしておりまして、そういう観点で更なる努力が進められることを私自身は強く期待をいたしておりますし、また国会におかれてもその点での激励、支援といったものが必要ではないかというふうに存ずるものでございます。  四つ目でございますけれども、この法律はいろいろな取組が書かれているわけでありますけれども、中核を成す一つのものとしてフィルタリングを中心に子供たち被害を防いでいこうということが非常に色濃く出ているようなものであろう、そういうふうに受け止められているというふうに思います。  もちろん、そのことは非常に大事なわけでありますけれども、私、最近、最近といいますか、おやじ日本というボランティア団体を主宰をいたしておりまして、つい最近六月一日も埼玉で全国大会全国おやじ人たち議論をしたわけでございますけれども、ちょっとお手元に私、おやじ日本のパンフレットの一部を抜粋したものをお持ちをいたしましたけれども、そこで議論されたことの中に、やはり携帯電話子供たちに持たせるべきではないという議論もかなり強く主張されてきているということが感じ取ることができます。この法律施行することが、もちろんそのフィルタリングを通じて害を少なくしていこうということを訴えていくのは正しい方向でありますけれども、子供たちの安全を守るためにそういういろいろな選択があるのだということも包含をしていただいてこの法律施行を進めていただけるようにしていただければというふうに存じます。  ちなみに、このおやじ日本は今年からインターネットセーフティー運動iS運動というものを主唱いたしまして、全国のPTAの方々、それから関係事業者方々にも、それから全国お父さんお母さん方、あるいは学校方々にこの運動を広げようということで今取組を始めております。iというのは小文字であります。子供たちセーフティー、安全の中に包もうと、地域安全運動インターネット版だというふうに私どもはとらえて、この問題を多くの御家庭方々携帯電話の問題についてどんな実態なのかを知ろうよ、そして子供たちと話そうよと。そして、子供たちというのはなかなか親の言うことを簡単には聞いてくれません。友達はみんなフィルタリング付いていない電話持っているんだと、こう言い張りますと、なかなか御家庭子供を説得することが難しい。そういうことから、お父さんたちが手をつなごうよと。そして、あの家だってそうじゃないか、この家だってフィルタリング付けているよ、いや、持っていない家もあるよ、これは当たり前じゃないんだよということをお父さんたちが連帯して子供たちに言っていけるようにしようという運動として展開をしております。  そういう取組しているのは私どもばかりではなくて、多くの地域方々、ボランティアで進めておられるわけで、そうした動きをこの法律の中には推奨することが書かれておりますので、その点についても大きな期待を寄せているものでございます。  最後に、五つ目でありますけれども、違法情報有害情報が厳然と今あるわけでございまして、これへの取組についてでございます。これは附則の第四条に係る部分でございますけれども、違法情報有害情報についてのインターネットホットラインセンターの取組から、私は次の二つの点を感じております。  一つは、サイト管理者等において自発的な取組を支持する仕組み、これはこの附則の第四条が示唆をしている仕組みでありますけれども、これを実現をすることというのは、この問題についてかなり大きな改善を、大きな新しい局面をつくり出すことに寄与するであろうということを感じておりまして、是非ともこの問題について早めの措置をお願いできればというふうに存じます。  あわせて二つ目に、今ホットラインセンターの指摘を受けてもしぶとく違法情報であっても削除をしないという管理者が結構あります。こういう方々に対しては新たな措置を考えていくことが必要であろうというふうに思います。この問題は非常に難しい問題ではありますけれども、警察に取締りをゆだねるだけではこの問題は解決をしないというふうに存じます。やはりネット社会らしい迅速で余り手が掛からない、しかし関係者の利害がうまくバランスが取れるという、そういう新たな仕組みが別途専門的に検討されるべきだろう。それは不可能なことではないというふうにも私は感じておりますけれども、それはこれからやはり専門的な研究が必要だろうというふうに思いますので、そうした点について検討を進めていただければ有り難いなというふうに存じております。  時間になりましたので、以上で私の御説明を終わります。
  11. 岡田広

    委員長岡田広君) ありがとうございました。  次に、中村参考人にお願いいたします。中村参考人
  12. 中村伊知哉

    参考人中村伊知哉君) 慶應義塾大学、中村伊知哉と申します。よろしくどうぞお願いいたします。  この法案の提出に至るまで与野党にて様々な案が議論されてきたものと承知をしております。その結果、現行の法案は表現に対する規制色が弱くて幾つかの懸念事項はありますものの、表現の自由と安全、安心の確保とのバランスが図られる方向に落ち着いたものと存じます。  インターネットや携帯の利用の安全、安心を確保するためには、民間でのフィルタリング等への取組、それから技術の開発情報リテラシー教育の充実といった施策を進めることが重要であります。表現に介入するような規制というのはできれば避けるべきであって、最後の手段と考えます。しかし、今、日本を覆う不安感を除去するために、最低限の法的な措置を導入するのもやむを得ないという考え方も理解できる状況にあります。そうした立場から、一枚お配りしたペーパーに沿って本法案への考え方を申し上げます。  まず第一に基本的考え方ですが、まずインターネットは便利で楽しい手段であるということを共有すべきだということであります。  なぜ青少年はネットや携帯を使うのか。それは、いじめや有害情報にアクセスをするためではありません。なぜ親は自分の小遣いを節約してまで高価な携帯を小学生の約三割、中学生の約六割に持たせるのか、それは子供を不安に陥れるためではありません。  先ごろ中高生に簡単なアンケートを取ってみました。携帯というのはあなたにとって何ですかということを聞いてみました。答えとしては、家族、守り神、命の次に大切なもの、体の一部、時には友達で時にはお母さん、そういった回答がありました。また、そのほかには、入院したときに友達がメールをしてくれてうれしかったとか、メールのやり取りがあったから不登校の子が少しでも中学校に来ることができたとか、個人情報関係で連絡網が作れないからクラスの連絡は携帯のメールでしていますというような回答ばかりでありました。  また、ある携帯のサイトの青少年ユーザーからも声をもらってきました。携帯小説で本が大好きになりました。つらいのは一人だけじゃない、その言葉に私は救われました、だからこの言葉を教えてくれた携帯小説のサイトに感謝したいです。このサイトで自分を表現できて学校でも明るくなれた気がします。これが彼ら、彼女たちの日常です。親にとっても同じことで、私も中高生を持つ親ですけれども、携帯やインターネットのメールあるいはサイトでコミュニケーションが円滑になっている面もあります。  携帯やネットというのは、百害あって一利なしの酒、たばこと異なりまして、百利あって一害あるというものです。その一害のために百利をつぶしてはならず、百利をいかに大きくするかということをまず考えるべきだろうというふうに考えます。  次に、知財立国との取組との整合も求められます。政府は、コンテンツ産業を数少ない成長領域と見て発展を促しています。特に、携帯のコンテンツの産業は日本が世界をリードする分野であります。文化の面でとらえましても、その善しあしはともかくとして、最近の新しい表現文化は多くがネットや携帯から生まれてきています。こういう原動力は大切にすべきでしょう。  この法案がそうした取組と整合が取れているかどうかも問われるところです。こうした法案あるいは規制が経済社会にとってどういう効果や企業行動をもたらすのか、産業文化面での萎縮効果はないのかなど、いろいろときちんと検証すべきだろうというふうに考えます。さらに、こうした法案施策が世界へどういうふうなメッセージを発することになるのかについても気を付けておくべきだろうと思います。  私は、かつてマサチューセッツ工科大学に所属をしておりました。今そこが中心となって百ドルのパソコン、安いパソコンを開発をして途上国のすべての子供インターネットを使えるようにするという、そういうプロジェクトを進めています。この推進者であるネグロポンテ教授は、コンピューターという言葉は教育と同じ意味だと訴えて各国に働きかけています。学校を建設して、教師を雇って、教科書をそろえる代わりに、ネットワーク化されたコンピューターを与えるという、そういう考え方ですね。これに対して、最近日本から発信されているメッセージというのは随分後ろ向きではないかという声が海外の知人から寄せられています。我々はどのような情報社会をつくろうとしているのか、しっかりした理念を構築すべき段階にあると考えます。  次に、民間取組について、これは進んでいる面もあれば不十分な面もあります。  まず、フィルタリング審査監視機関ですが、EMA、モバイルコンテンツ審査・運用監視機構、それからI―ROI、インターネット・コンテンツ審査監視機構といった複数の組織が立ち上がりました。ほかにも動きがあります。コンテンツ業界も健全化に向けて人員を強化するなどの対策に力を入れておりまして、利用者の関心も高まっているところです。  ただ、総務省によるフィルタリングサービス導入の要請ですとか、立法府における法案策定の動きなどがあるまでは民間の動きは鈍くて、努力も十全ではなかったと思います。この法案議論民間対応を促した効果はあったと考えます。  私は、EMAの基準策定委員会に属しておりまして、I―ROIの理事も務めています。EMAでは、役所からもあるいは業界からも距離を置いて、フィルタリングの基準作りに着手をしたところです。こうした取組を見ておいていただきたいと存じます。  映画業界も放送業界も、自主規制機関が成果を上げています。放送は、放送法が各局に番組審議委員会をつくらせていますけれども、それに対する国の介入というものを避けて、民間の長年の努力で番組の健全化を保ってきました。ネットの安全についても、もしこの法案のスキームでスタートされるのであれば、それ以上の介入をできるだけ避けて、まずは民間にしっかりと運用をさせることが妥当だというふうに考えます。  次に、技術開発についてです。  フィルタリングに今強い光が当たっているんですけれども、フィルタリングは万能ではありません。現在の携帯のフィルタリングはきめも粗いです。運用の仕方次第では、大事なサイトも見られなくなります。また、本当の悪人というものはそうしたシステムをかいくぐることに頭を働かせるでしょう。言わば、フィルタリングというのは一手段であって、応急処置であります。もちろん、我々民間サイドも法規制を待つまでもなく、その性能向上あるいはサービスの充実に向けて努力をしていくこととしておりますけれども、それでもなお、そうした単一の技術や機能に全幅の信頼を寄せるのは危険かと存じます。そうしたものを法規制で何とかしようとするには限界があります。むしろ、そうした様々な技術を開発して改良をして普及をさせてそして試してという、そういったことを繰り返すことの方が大事だというふうに考えます。  また、そうした技術にもいろんなものがあります。例えば、違法、有害な言葉をネット上で自動検知するような、そういったプログラムの性能を上げて普及させることですとか、あるいは子供がアクセスしたサイトを親に通知してそれを親子で共有するような、そういったサービスを開発することですとか、子供向けの携帯、より良いものを開発していくことですとか、様々なアプローチが考えられますので、そういったことに力を入れていただきたいと存じます。  そして、最も大事なのは教育です。そして、最も取組が不十分なのも教育だと思います。情報リテラシー教育は学校現場でも試みられておりまして、三月に告示をされた義務教育の新学習指導要領でも情報モラルを身に付けることが規定されましたけれども、現状では先生方の対応にも限界があります。民間の専門家も少ないです。ネットの使い方を教えたり、ネットいじめへの対応法を教えたりする専門家を養成する必要があります。リテラシー講座を開いているe―ネットキャラバンのような取組を充実すべきだと思います。  教材も不足をしています。文部科学省が教員向けのガイドブックを作ったり、あるいは総務省が小学生向けのリテラシープログラムを作ったりしているんですけれども、十分に普及しているとは言えないと思います。私も、文部科学省や東京都とともに携帯利用の教本作りを行ったり、あるいは世田谷区の子供たちが自らネットの作法をかるたにするといった、そういう活動に携わったりしているんですけれども、まだ全国の面的な広がりとはなっていません。  子供の安全確保に最も責任が重いのは家庭です。しかし、親子でどのように学んでいけばよいのか、どのようにリスク管理あるいは危機対応すればよいのか、その手法が分からないのが実情だと思います。家庭内で携帯の使用ルールを設けている小中学生は四割程度だという、そういう調査結果もあります。これまでのいじめというのは学校の問題だったんですが、ネットいじめは家の中が問題になります。学校から家に逃げ込んでも、家のパソコンや携帯にそのいじめは入ってきますし、家の中からもいじめ情報を発信することができるわけです。しかし、何かまずいことがあっても、親に話をすると携帯を取り上げられるという恐怖があるのでなかなか子供は親に言わないという、そういう実情もあります。家の中が安全で安心に、そういう空間になるように考えていく必要があろうかと存じます。  こうしたこと以上に強調をしたいのは、より楽しく使いこなす、表現をするということです。抑制ではなくて促進することを進めたいと思います。デジタル技術の恩恵を最大限に子供たちに与えるための教育的な取組を強化したいというふうに思います。  私は、デジタル時代の子供の創造力や表現力をはぐくむためのNPO、CANVASという名前のNPOに五年前から携わっております。今日はオレンジ色のパンフレットを、このようなものをお配りいたしました。(資料提示)今日は詳しくは説明いたしませんけれども、このNPO法人が行っておりますのは、パソコンや携帯でアニメを作る、あるいは映画を作る、文章を書く、新聞を作る、そして音楽を作る、そのような表現で全国の相手あるいは海外の子供たちとコミュニケーションを取る、あるいは地域のニュースをブログなどで発信をする、そのような活動を通じまして表現をすること、コミュニケーションをすることの意味、大切さ、あるいはしきたり、さらには危険性などを学んでいくという、そういうものです。  これまで二百四十校ぐらいのワークショップを開催いたしまして、三万人ぐらいの子供たちが参加をしています。本来このような活動は行政あるいは教育現場が進めるべきものだと思いますが、まずは産学連携の形で、課外活動の形で今は進めています。学校の先生方、保護者、企業の方々、自治体、アーティスト、あるいは大学の研究者など、この分野に関心のある人たち五百人ぐらいが集まって活動しておりまして、ユネスコですとか海外の大学などとも連携をしています。  日本の子供たちはデジタルの技術で表現するのが上手です。デジタルの創造力とか表現力といったものは今後の国際競争力の源になるとも考えます。このような力を摘み取ってしまうのではなくて、どのようにして伸ばしていくのか、こうした教育的な活動をどのように支援していくのか、この法案に言うインターネットを適切に活用する能力をどのように育てていくのか、こうしたポジティブな方向の政策を考えることも重要だと思います。  次、三点目、法案のポイントであります。こうした考え方を踏まえまして法案について若干コメントを申し上げたいと存じます。  まず、評価できる点を三つ挙げます。第一に法案の題名です。これまでの幾つかの案に見られた有害情報閲覧の防止といった禁止的で抑制的、規制色の強いものではなくて、利用できる環境整備という前向きな施策となったことです。法案内容民間による安全確保への取組と教育の推進といったバランスの取れたものに落ち着いてきたこと、これは国会の英知を絞られた結果だというふうに考えます。  次に第三条、基本理念です。基本理念の第一項、「青少年自らが、主体的に情報通信機器を使い、インターネットにおいて流通する情報を適切に取捨選択して利用するとともに、適切にインターネットによる情報発信を行う能力を習得することを旨」とする。それから、第三項、「自由な表現活動の重要性及び多様な主体が世界に向け多様な表現活動を行うことができるインターネットの特性に配慮し、民間における自主的かつ主体的な取組が大きな役割を担い、国及び地方公共団体はこれを尊重することを旨」とする。  これはまさに先ほど申し上げたことを具現化していただいた条項だというふうに読みました。青少年の主体的な能力の習得ということと、民間取組の尊重、この基本理念をしっかりと踏まえた施策を今後講じていただくとともに、これを損なうような国の介入を避けるということを願う次第です。  そして第十三条、教育の推進等です。学校社会家庭教育推進、そして研究の支援について必要な施策を講ずるという規定であります。豊かな情報社会をつくるための研究あるいは活動を進めてきた私どもとしては、情報教育あるいは研究開発の充実といったポジティブな施策を進めるためのネット利用促進法ですとか支援法を求めてまいりました。この法案が成立するのであれば、そうした具体的な施策につながってくれることを期待いたします。  更に言いますと、第六条の保護者の責務、これを明記されたことも評価できます。買い与えて使わせているのは保護者です。子供に携帯を持たせる際に親がきちんと指導をしておくという必要があります。その子供を守る責任というものを企業や学校あるいは国や法規制に求める前に親の責務を社会として確認をしておくというのがよいというふうに思います。  最後に、懸念事項として今後の法運用に関して三つ申し上げたいと思います。  まず、第十二条の基本計画です。基本計画は今後、立法府や国民の手を離れて政府が策定をするということになります。その際に、基本理念の第一項や第三項が言うようなしっかりとした考え方の下で策定されるということを望みます。逆に、民間取組を過度に縛ったり、あるいは法の趣旨を超える表現規制的な介入が行われたりすることがないように立法府として行政府をチェックしていただきたいと存じます。  次に、第二十四条のフィルタリング推進機関の登録というものです。私にはこの登録制度の法的効果が分かりません。第三十条において、登録された機関は支援を受けられるという記述があるんですけれども、その他の団体、事業者は登録制度なしに支援団体となっているということの比較からしますと、支援するために登録に係らしめる意味とも取れます。とすれば、当然国の関与を認めざるを得ないスキームでして、公正中立性が損なわれないかが懸念されるところであります。国の事務としてフィルタリング推進機関を指定する指定法人制度に比べると、民間の発意に基づく登録制度というのは随分法の趣旨にかなうと存じますけれども、運用上、国の関与がどの程度になってくるのかというのがなお論点が残るかと存じます。  最後に、法案決定のプロセスについてです。今回の法案は外から見ておりますと、何やらとても早い動きといいますか、早い調整のうちに提出されたように見えます。短い期間に様々な案が闘わされてこの案になってきたというふうに伺っております。また、附則には見直し条項も付いておりますので、今後の改定というのも視野に入っているものと承知をいたします。  しかしながら、表現の自由にかかわる法規制をそのような急速なプロセスで今後も進めていってよいのか、国民として一抹の不安を感じるところもあります。日本は戦後六十年、表現の自由を大切にして、例えば放送の番組規制も他国に比べて国の関与が薄い形で運用してきました。これからのネット社会情報内容規制というのをどうするのか、どっしりした国民的な議論が必要になっているというふうに考えます。また、関係業界にとっても法規制というのは産業界を大きく左右します。日本市場の予見可能性あるいは透明性を確保するためにも、制度論議の予見可能性ですとか透明性というのは重要だと考えます。  現在、総務省情報通信審議会において情報通信法の論議が進められています。通信、放送の法体系を見直す作業でありまして、それには私も参画しています。その中で、コンテンツの規制、情報内容の規制をどうするかというのは非常に重要なテーマでありまして、表現の自由との関係でとても神経質かつ慎重に今論議をしています。この論議は二年前からスタートしておりまして、基本的にはウエブサイト等への情報には国が直接関与しない形での法体系を構築すべく議論をしつつ、さらに、数度にわたるパブリックコメントを募集して、幅広い関係者との意見交換を経て、なお二年程度の時間を掛けて検討をしようということになっています。政府で行っておりますようなこのような議論国会での立法措置とがうまく整合の取れる形できちんと国民の意思が反映されるように今後も制度をおつくりいただければというふうに希望する次第です。  インターネットや携帯が普及してわずか十年余りです。その間にも技術やサービスは目覚ましい変化と進化を遂げております。日本の青少年は先端ユーザーで、大人の側が追い付いていない面があります。そのようにして情報社会を今後何世代も掛けて築いていくものだと存じます。世代を超えて、デジタル技術を使いながら、あるいは学びながら、時間を掛けて安全で安心な社会をつくり上げていくという社会としての覚悟が必要な状況にあると思います。  まずは、この法案法律として施行されるのであれば、それでどのように民間社会対応していくのか、しかと見極めていただきたくお願い申し上げる次第です。  以上でございます。
  13. 岡田広

    委員長岡田広君) ありがとうございました。  次に、渡辺参考人にお願いいたします。渡辺参考人
  14. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) 渡辺でございます。本日はよろしくお願いいたします。座って失礼いたします。  本日は、発言の機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。冒頭、御礼を申し上げたいと思います。  私からは、この法案に盛り込まれた規定について民放連として危惧する事柄、それから言論報道機関である放送界として懸念される事項について、いただいた時間の範囲内で御説明を申し上げたいというふうに考えております。  先生方御案内のとおり、私ども民放連は、今月に入りまして二回ですけれども、この法案について民放連としての意見というものを表明させていただいております。放送メディアとしましても、だれもが簡単にアクセスできるインターネット上に一部青少年に好ましくない情報が掲載されているという状況は非常に憂慮すべき事態であると強く認識し、危機感を持っております。そうした違法であったり言わば悪意を持った情報によって児童が犯罪に巻き込まれる、青少年がいじめに遭う、そして挙げ句の果てに自殺してしまうという悲惨な被害が絶えないことは、同じ情報伝達メディアとして大変残念でありまして、自らが視聴者に伝える情報内容選択、それから伝える際の配慮や留意について現場でも常に議論を深めているところでございます。  現在、インターネット上に青少年有害情報が掲載されて、これに青少年が安易にアクセスできる、そして影響されているという事態は、これは決して看過できない、放置してはいけないというふうに考えております。  そして、先生方に同時に是非とも御理解いただきたい点は、情報内容の制限とか規制というのは、やはり憲法二十一条の保障します言論、表現の自由に深くかかわる問題でございまして、いわゆる有害情報の基準の策定とか判断に、たとえ間接的ではあれ国が関与すべきではないのではないか。どのような形であれ、たとえ例示という形であっても、有害か否かの判断を法令で示すことになれば、それは表現内容への公権力介入の道を開くことになって、我々放送を含むすべてのメディアに対するコンテンツ規制の初めの一歩につながりかねないと、そのような強い危惧を我々は感じているところでございます。  今回のインターネット上の青少年有害情報規制に関するこの法律案提出に至る経緯につきましては、与野党の間で五、六年前から議論をされていると認識しております。おととし十一月ですか、開催されましたこの貴内閣委員会での審議概要も承知しておるつもりでございます。また、ここ数か月ほどは、与野党あるいは与野党間で法案作成に向けた精力的な御議論がございましたので、民放連は新聞協会と連携して数回にわたり意見交換をさせていただきました。  そうした中で、今回の法案が、三条の三項、それから六条、これは先ほど中村参考人がるるお述べになったところと同じでありますけれども、大事なことですので、繰り返させていただきたいと存じます。  基本理念においては、この法案では、環境整備に関する施策推進は、自由な表現活動の重要性及び多様な主体が世界に向けて多様な表現活動を行うことができるインターネットの特性に配慮して、民間における自主的かつ主体的な取組が大きな役割を担って、国及び地方公共団体はこれを尊重することと規定しているのが三条の三項と認識しております。さらに、保護者責任を六条で明記したこともございます。  こういった国会における御配慮、御判断というのは、我々は最大限評価したいと思っておるところでございます。であればこそ、我々といたしましては、青少年のためにインターネット上の情報内容について何らかの対策がやはり必要ではありますけれども、その方策として法令による規制を選択してしまっては、言論、表現の自由を守って健全な民主主義を発展させるという憲法の理念、そして、世界が求める言わば社会のありように照らして、必ずや将来に禍根を残すもとになるのではないかと考えております。  我々はやはり、同じ情報伝達メディアといたしまして、インターネット上の有害情報から青少年を守るその方策は、あくまでも民間によります自主的な、自律的な対応にゆだねられてしかるべきではないか、ここ数年の様々な議論の中で、携帯、インターネット業界が、開発整備やそういったものを強化しつつある、自主的な方策というものを最大限尊重すべきであろうと私は考えております。  ここで、既に民放連の意見として公表している内容でございますが、私どもが今回の法案に関して強く懸念している主な点を改めて具体的に申し述べさせていただきたいと存じます。  まず、法案の第二条四項にございます青少年有害情報の例示でございます。これは、先生方は様々な方面に御配慮されて御苦心された上での例示であるともちろん理解しております。しかし、我々言論表現に携わる者の側から拝見しますと、ここに青少年有害情報として例示された「著しく残虐な内容」と、例えばそういった文言が独り歩きして法律の運用面で拡大解釈されることがあれば、放送メディアだけではない、活字メディアにとっても影響が出てくるのではないかとの懸念と危惧が生じてくるわけでございます。  最近は、自殺、それから悲惨な事件、事故、最近の秋葉原も含めまして目立ちます。報道機関、我々が事件、事故を報じる目的、そして使命というものは、やはり、その出来事の背景などを探って、関連する様々な情報社会のみんなで共有するんだと、そのことによって市民の皆さん方の不安が多少でも解消されて、多少なりとも再発防止を図ることに寄与できるならばそれにこしたことはないというのが犯罪報道の目的の一つでございます。被害者への配慮を十分に考えながらも、場合によっては事件、事故の残虐な内容も、報道の使命として配慮しつつも伝えなければならないケースが出てくることも考えられるわけでございます。こうしたほかのメディアの言論、表現規制の拡大につながる、そのことを危惧するものでございます。  次に、第八条でございます。内閣総理大臣、官房長官、関係閣僚等で構成する、インターネット青少年有害情報対策環境整備推進会議の所掌事務の範囲拡大に関する懸念でございます。この会議では、法案によれば基本計画を策定する、施策に関する重要事項を審議すると規定されておりますが、これにつきましても我々の立場から申し上げますと、法案の文案はともかく、法律の運用次第では青少年有害情報の判断基準策定が重要な施策一つとして盛り込まれることになりはしないかという懸念が生じるわけでございます。万一そのような事態になれば、国等が言論、表現に介入できるきっかけになるわけでございまして、これは放送だけではない、すべてのメディアが危惧を表明しているところでございます。  もう一つ付け加えさせていただきますと、これは法案の二十四条から三十条にるる書かれているところでございます、青少年有害情報を実質的に判断するとも受け取られるフィルタリング推進機構に関する懸念でございます。この法案では、フィルタリング推進業務を行う者は総務大臣及び経済産業大臣の登録を受けることができる、登録を受けたフィルタリング推進機関に対して大臣は資料の提出を求めることができて、国及び地方公共団体は必要な支援に努めるというふうになっております。  この規定も、法案成立後の例えば政令の策定、それから法律の運用次第では、国がそして行政が、間接的にではあれ、言論、表現に介入、関与するとともに、実際にフィルタリングソフトをどのように開発するのかなど、フィルタリング推進業務の方向性にも関与することにもなりかねないという危惧を持つ次第でございます。支援というものを通じて国や地方公共団体が一定の影響力を持つという、我々としては懸念を持たざるを得ないわけでございます。  ところで、我々民放連は、この間一貫しまして、言論、表現の自由、報道の自由、そして健全な民主主義の発展等の観点から、表現、情報内容への国や行政による関与は非常に問題が多いとその都度反対してまいりました。我々は、放送番組の適正化を図ることは放送界全体の責務であると、社会的な責任であると考えまして、それぞれの放送局で番組基準に基づく考査は当然行っておりますが、それだけではなく、第三者機関、BPOを設置して、放送界全体で放送倫理確立に向けた取組を随時行っているところでございます。  先生方御案内のように、BPOというのは放送倫理・番組向上機構と申しまして、NHKと我々民放連が共同して、放送界が自主的に自浄機能、自律機能を確立することによって、放送による言論、報道の自由を守る、それを唯一の目的に、今から五年前に組織を統合して新たに設立した機構でございます。  BPOの中に設置した第三者委員会は、放送された番組の放送倫理上の問題、あるいは人権と権利が侵害された場合について厳正な審理を行って、勧告なり見解なりを出します。それを受けた放送局は、なぜこのような事案が起こったのかということを自主的に精査して、再発の防止策や放送倫理向上策を委員会報告する義務を負っております。  こうした放送界は、放送倫理の確立を第一義的に考えまして、真剣にBPOの機能向上を図って自主自律を一つ一つ実践しているところでございます。BPOなど放送界が独自につくったシステム、取組がもし参考になるのであるならば、我々は積極的に携帯やインターネット関係する業界に情報提供、お手伝いをすることを考えておりまして、そうしたことも含めまして当該業界による自主自律の対応期待したいと思っているところでございます。  先ほどの参考人の御意見の中にも出ましたが、例えば映画界における映倫、それから今申し述べました放送界のBPO、これは共に自主自律の精神で自らが築いた第三者機関でありまして、法律設置を求められたり、国への登録制度の下に設立した組織ではございません。  確かに急激に成長して、今や私たちの生活に深く浸透して、今後も今まで以上に我々の生活を豊かにする情報提供すると期待されておりますインターネット上に、これまで申し述べてきましたように、青少年にとって決して好ましくない情報が掲載されている状況は看過できない、誠に憂慮すべき状態であります。  実は、我々放送界も苦慮しているところがございます。一部のインターネットサイトに投稿サイトなどと称して番組が無断で掲載されて流されている状況があるわけでございます。これに対して我々放送界は、NHKも含めまして、その都度その都度毅然とした態度で削除してくれということを要請してきています。もし我々がきちんと要請をすれば、その後はそうした無法な状態は、現在、相当程度緩和されて効果が出てきていると私どもは理解しております。  冒頭で申し上げましたように、情報内容の規制は言論、表現にかかわる問題でいわゆる有害情報の基準策定、これに国が関与したり、間接的ではあれ、主務大臣が行政指導権を持つようなスキームには我々は残念ながら反対をせざるを得ないわけでございます。私どもは、こうした表現内容への公的介入の道を開く可能性が払拭できない限り、やはり強い危惧を重ねて改めて表明させていただきたいと思います。  最後に、民放連としましては、青少年のためにインターネット上の情報内容について何らかの対策が当然必要なわけでありますが、これは先ほども出ました。青少年有害情報から守るための方策は、例えばEMAなどがやっておりますこの間の急速な動き、こうした極めて前向きで自主自律的な施策は、この数か月、半年間、相当程度活発化しているということがございます。さらに、言論、表現の自由にかかわるテーマについては、拙速に規制強化に走るのではなくて、新聞、放送など他のメディアの考え方を改めてヒアリングしていただくなど、広範かつ慎重な検討が必要であろうと考えます。私どもは、この問題は民主主義社会を支えるインフラの問題であると基本的に認識しております。こうした立法化の動きが、もしかしたらかえって自主的な取組をつぶしてしまわないだろうかと危惧するところであります。法的な規制が適切であるかどうかを含めて、先生方には時間を掛けて十分な審議を更に続けていただきたいことを改めて要望をさせていただきたいと存じます。  以上、るる申し述べましたが、私ども民放連の意見が杞憂に終わることを祈りつつ、お時間をいただきました。  御清聴ありがとうございました。
  15. 岡田広

    委員長岡田広君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  16. 松井孝治

    ○松井孝治君 おはようございます。  本日は、急な設定であったにもかかわらず、三人の参考人方々にはお出ましをいただきまして、そしてそれぞれがそれぞれの立場から貴重な御意見をいただきましたことを私の方からも感謝を申し上げます。ありがとうございました。  それで、今、一番最後に渡辺参考人から、非常にこの法案自身についての厳しい懸念がるる述べられたわけでございます。当然、竹花参考人中村参考人もこの法案が持つ懸念や限界というものを一定程度指摘されたわけでありますが、竹花参考人中村参考人に伺いたいと思うんですが、今非常に渡辺参考人から、やっぱりまず民間が、民の自主的・自律的取組として、このインターネットの中での有害とされる情報については自主的規律でそれは対応すべきだということを強くおっしゃいました。  竹花参考人におかれましては、政府におられたときからこの議論を私もこの委員会でさせていただいた記憶がまだ新しいものがございますが、私自身は、もちろん自主的・自律的取組がこの法案の中でも基礎というふうに考えているんですが、しかし、その自主的・自律的取組だけを促している中でなかなか事態が改善してこなかった。そういう部分もあり、これはどういう法案にするかについては与野党それぞれの中にいろんな意見がありつつも、やはり一定の枠組みで民間方々の自主的な取組を促していく、そういう仕組みは最低限必要ではないかということで、これは衆議院の方ではございますが、法案提出に至ったわけでありますが。今の渡辺参考人の強い懸念というのも私はそれはやはり耳を傾けていかなければいけないと思うんですが、そういうことも含めて、先ほど竹花参考人通信事業者の自主的取組がもっと必要だということもおっしゃいました。そこら辺も含めて竹花参考人。  そして、中村参考人におかれましても、自主的・自律的取組の重要性は中村参考人も同じく強く主張しておられましたけど、しかし、じゃこういう法的枠組みが全く要らないのか。今の法的枠組み、懸念はあるけれども、やはりこういうものが存在としては何らかの形で必要なんではないかという意味において、渡辺参考人の御意見も踏まえて、竹花参考人中村参考人から、もし御意見があれば伺いたいと思います。
  17. 竹花豊

    参考人竹花豊君) 私は、今、私ども大人社会に突き付けられている課題は、急速に普及してきた携帯電話によって子供たちが危険な状況に置かれ、少なからずの子供たち犯罪被害者になり一生を狂わせてしまっている実態が、もうここ数年の間に莫大な数の子供たちがそうなっていっている、これをどう改善していくのかということであるというふうに思います。  そのために様々な取組がこれまで行われてきたわけでありますけれども、そうした取組一つとして、国会があるいは政府が、事業者がそれぞれの立場で今の課題にどうかかわっていくのかということが問われているのだろうというふうに思うんです。したがって、この問題は民間の自主だけでいいとか、そういう話ではない。子供たちの将来に責任を負う大人は、それぞれがそれぞれの責任を果たすべきだというふうに思います。  今、渡辺参考人のお話、いろいろありました。これに反論を加えるのは私の立場ではありませんけれども、一つ申し上げれば、そうした子供たちの置かれた状況を改善するために、今、中村参考人からもちょっとお話がございましたけれども、事業者を含めて様々の役割を果たすべき方々が十分な役割を果たしてこなかったという事実がやはりございます。ここをどう真剣な取組を促していくのかということを検討しなければならない。そこでは、国あるいは地方自治体といったものが役割を果たすべきだろうというふうに思います。  渡辺参考人がいろいろ懸念を表明されておられましたけれども、私は、この法案は、懸念を入れるようなそれほど大それたものではなかろうというふうに考えております。むしろ、今問われているのは、マスメディアあるいはこのネットにかかわる様々の方たちがこういう状況を解決するために自分が何ができるのかということを明らかにして取り組むことだというふうに考えます。そういう意味で、マスメディアの皆さん方もやれることがあるはずですし、そうしたものの追求を是非ともしていただきたいというふうに存ずる次第でございます。  更に言いますと、インターネットの世界は、リアルな世界、映画の世界、テレビの世界とは異なります。ここに参加する方々は匿名で極めて無責任な言論をなされる方々がいるという、もうそこは大きくリアルな情報の質とは違った情報があるのだということも十分念頭に置かなければならないというふうに存じます。  以上です。
  18. 中村伊知哉

    参考人中村伊知哉君) 情報社会の安全、安心を確保するためには様々な手段、アプローチがあると思います。例えば、民間の自主的な努力、企業による努力ですとか、あるいは行政によるルール化、さらには指導といったものもあります。技術を開発するという手もありますし、教育を充実させるというのもあります。モラルをつくっていくということもあるでしょう。そうした中で、法規制というのは、表現の自由とも絡みますので最後の手段だというふうに考えます。なくて済めばそれにこしたことはなかったというふうに思いますが、先ほど指摘しましたとおり、そうはいいましても、民間の業界の取組というのは遅かった面がありますし、掛けるコストも少なかったと思います。  そして、今後は、民間業界の取組も高まってきたということで、私もそこに参加をして活動を広げていきたいというふうに思いますけれども、同時に、業界の問題だけではなく教育機関での取組家庭での取組、総合的な取組社会の中で必要になってきているんだというふうに考えます。  したがって、今回の法案がそういったネット、携帯への規制だけではなく総合的に目くばせをされているというところは評価できるかというふうに存じます。  以上です。
  19. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございました。  竹花参考人におかれましては、この法案の附則四条を言及をいただきました。先ほど、渡辺参考人には、有害情報、この法律の二条の方について懸念を表明されたわけでありますが、さらに、有害情報だけではなくて違法な情報、違法と思われる情報について、これは、その削除の免責規定を検討しろという規定であるわけですが、何をもって違法情報と言うのかということになってくると、これは有害情報民間が判断する、そこには国は基本的には中身について立ち入らないという、例示はしていますけれども個々の具体的な有害情報の判断には立ち入らないということになっています。  ただ、先ほど竹花参考人がおっしゃった、さらに、明らかに違法性があるような情報について、これはどういうふうに、そういうものがネット上にはんらんしていることについてどう扱うかということになってくると、この違法性というのはだれが最終的に判断するかということになってくると、極めてその有害情報とはまた異なる難しさをはらむものだと私は考えております。  要するに、その違法性の判断というのは、何らかの法権力が最終的に判断せざるを得ない部分があると思うんですね。それをあいまいにして、これは何でもかんでも違法の疑いがあるということで、どんどんそこの中身についてこれは削除していくべきだ、あるいは閲覧防止をしていくべきだということになってくるとなかなか大変ですし、それこそ言論の自由を侵す。  ところが、その違法性、違法情報というものをじゃだれが判断するのかということになってくるとこれは極めて難しくて、今回もその違法情報の取扱いについて法案に盛り込むべきだという意見はありました。ありましたが、そこは慎重な議論が更に必要だろうということで法案への盛り込みは見送ったわけでありますが。  ここはむしろ中村参考人あるいは渡辺参考人にもその違法情報の取扱いについて伺いたいわけでありますが、今後、例えばプロバイダーの責任、その情報を削除した場合、違法情報を削除した場合の免責を考える。あるいは、先ほど竹花参考人がおっしゃったように、何度例えばホットラインセンターが削除してくださいという要請を違法と思われる情報についてしても、なかなか削除してくださらないサーバー管理者あるいはサイト運営者の方がいらっしゃる。  それについて、もう少し強い形で、強い権限で削除あるいは閲覧防止措置を講じてください、あるいはそういうものを行ったときに一定のプロバイダーの責任を免除してあげようと、そういうことが次に議論するべきだとおっしゃっている方々がいらっしゃるわけですが、そういう議論をするときにどういうリスクがあるのか、あるいはそれを行政庁の判断で、どういう形でどの行政庁が判断すべきなのか、あるいはそこの違法性の判断というのは場合によっては裁判所とか司法が判断をしないと、行政庁がどんどんどんどんこれは違法の疑いがあるということでそこの削除命令を出していくような構成は非常に危険だというような議論もあったわけですが、この違法情報の取扱いについて、中村参考人、そして渡辺参考人に御意見をいただきたいと思います。
  20. 中村伊知哉

    参考人中村伊知哉君) 違法情報有害情報は確かに分けて考えるべきだと存じます。そして違法情報についてはまず取締りを強化していく必要があろうかと思います。まずは、そうした場を貸しているプロバイダーよりも発信者への対策を進めるという、それが現在必要だと思います。更なる手段として幾つかあると思います。その法規制を強化すること、あるいは司法の機能を強化すること、あるいはパトロール体制、監視を強化すること、いろいろあると思います。  まず、法規制を強化するということでいいますと、プロバイダーの削除義務あるいは責任制限を掛けるといった方向性が考えられますけれども、ではそれに伴うコスト、いかほどになるのか、あるいはそれによって情報活動に萎縮効果がどれだけ働くのかといった、つまりどこまで徹底してやるのかといったことについてなお議論の余地があろうかと思いますし、また何が違法かどうかということを例えば児童ポルノとか麻薬売買広告のようなホットラインセンターが削除要請をする対象としているようなものについては削除することについて一定のコンセンサスがあるかと思います。そういった明らかなものはいいんですけれども、どちらだか判断に迷うようなグレーのもの、不明確なものも出てくるかと思います。そうしたことに行政が関与するというのは、これも慎重に考えるべきといいますか、なお議論の余地があろうかと思います。いずれにしろ、そのようなことは慎重に考える必要があろうかと思います。  それと同時に、司法による手続を迅速にするという方向でありますとか、ADRを支援していくというようなやり方もあるでしょうし、産学官や国際的な監視連絡体制、パトロールへの支援を充実させるというようなこともあろうかと思います。  附則四条で言っておるような「この法律施行後速やかに検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。」という、その検討の部分については十分な検討をしていただきたいと思います。その際に、私自身明確な答えがあるわけではありませんけれども、行政の迅速性とそれから司法の公正性を程よく組み合わせたような仕組みのようなものが考えられればというふうに期待をするところです。  以上です。
  21. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) 先生の御質問にお答え申し上げます。  私どもは、やはり有害情報違法情報というのは質が違うものであろうというふうに基本的には考えております。ですから、やはり取締りの強化ももちろん必要なんですけれども、それをだれが判断するのかということでいいますと、やはり国や行政が判断するというのは違うのではないか。先ほど来申し述べております言論、表現の自由にやはりかかわってくるであろうというふうに私どもは考えております。  例えばでいいますと、児童ポルノを規制する法律はございます。児童虐待を規制する法律はございます。麻薬に関する取締りの法律もございます。そういったものを十分に活用しつつ、さらにそういった法制面での強化というのは当然図るべきであろうと私どもは考えております。法制面の強化というのは行政や国の恣意ではございません。  ただ、今、中村参考人がるる述べられたように、パトロールも強化する、何々も強化するというと相当行政的な負担、人数も掛かると思いますが、それはそれでこの事態を解決するには致し方のない要素ではないかというふうに私どもは考えております。  以上です。
  22. 松井孝治

    ○松井孝治君 今の渡辺参考人の御意見についてもう少し補足的に伺いたいんですが、それぞれの例えば麻薬取締法とか個別の法律があるわけで、違法なものについてはその法律の枠組みの中でどういうふうに取り締まっていくべきか、それをまず強化するべきであって、その法律を超えて、例えばインターネットに関して、インターネットを通じて、そういう違法な情報が得られたからといって横断的な違法情報の取締りのようなことを行うのではなくて、個別の法律の枠内で、それは司法も含めてしっかりとした取締りを行えという趣旨でよろしいのか、もう少し補足的に御説明いただければと思います。
  23. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) 基本的には、今先生がおっしゃったとおりでございます。やはり、個別の法律が現在あるわけですが、その法律にのっとりながらやるということで、一気に横断的にというのはやはり危険な要素が残るのではないか、我々はそう危惧いたします。  以上です。
  24. 松井孝治

    ○松井孝治君 この問題について竹花参考人にはまだ御意見をお伺いしておりませんでしたが、竹花参考人は、政府警察庁にも長く奉職をされて、今の個別の法律の中でいろんなことを、例えばホットラインセンターの要請であるとか、いろいろなことをやっておられたわけですが、今の渡辺参考人の御意見、私はそれは筋論だと思うんですが、それでどういう、基本的に各個別の法律の執行の中で、それは警察が違法なものの取締りというものをやっておられる部分もあるわけですが、そこで更に努力をするべきではないかというお話がありました。  元々、竹花参考人がその違法情報の問題についてもきちんと取組が必要だということをおっしゃったことも含めて、この問題についての参考人の御意見をいただきたいと思います。
  25. 竹花豊

    参考人竹花豊君) 幾つか問題があろうかと思いますけれども、私は、今ネット社会で流れている違法あるいは有害な情報をどういうところに持っていくのが社会としていいのかという、そうした何といいますか理念といったものがまず必要であろうというふうに思うんです。もう何が流れていてもいいのだという立場なのか、それとも、もう少し抑制してもいいんじゃないかという立場なのか、そこをまずはっきりさせなければならないと思うんです。  そうしますと、いや、いろんな考え方があろうと思うんです。もうネット社会で、匿名社会で無責任情報も多いんだから、もう何でもしゃべらせておけと、いいじゃないかと、それで憂さ晴らししている人もいるだろうという考え方もあろうと思うんですけれども、しかし、私は、この情報が、やはり子供たちを含めていろんな方々が御覧になるわけでありますので、そういう観点で見るならば、やはりそれなりの収まり方があるのではないか、それを一つ考えるときの法律上の視点というのを検討していく必要があるというふうに思っております。  今、違法、有害な情報というのは、何か天から下りてきたものとして基準が決められるとか、いや、それは駄目だとかいう言い方でありますけれども、ユーザーあるいは消費者といいますか、一国民として、見たくない情報子供たちが簡単に見ることができる状況、あるいは大人においても、特に例えば女性でありますれば、こんな情報がだれでも見ることができる状況というのは、やはり女性の権利あるいは子供たちの権利というものを侵害しているんじゃないかという考え方が一方であろうというふうに思うんです。言わば、見たくない権利、アクセスを拒否する権利、そういう情報が流れていることを告発する権利といいますか、そうしたものもやはり一方で考え合わせなければならないだろうと。  かつて、犯罪をめぐっては被疑者の権利というものが非常に重要な問題、これはもう今でもそうでありますから、そのとおりなんですが、あわせて、被害者といったものの立場を考えるということが非常に強く打ち出されてきたのは何も古い話ではないわけでありまして、そういう視点がこのインターネット世界においても十分考えられるべき視点ではないかというふうに思います。  違法・有害情報の基準というのは抽象的なものが考えられるわけでありますけれども、実際、違法な情報あるいは有害な情報といったものをインターネット世界からなくしていくという取組は、これは公的な権力でできるものではないというふうに思います。それは、やはり自主的な取組関係者の皆さん方の自主的な取組がもう絶対に欠かせないわけで、しかしながら、このインターネット世界にかかわっている事業者方々の中にはいろんな考え方を持った方がおられて、利害もいろんな利害がある。ある程度のスタンダードといったものをだれかが示してくれないと、この多くの関係者の利害が調整できないんじゃないかというふうに私は感じます。  そういう意味で、公的な機関が果たす大枠づくりといったものはやはりきちっとしていきませんと、話はいつまでたっても進まないと。違法な、有害な情報を実際的には放置しているというふうになりかねないと私は感じます。
  26. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございました。  本来、最後にもう一言、中村参考人からいただこうと思っていたんですが、後の質疑者に譲りたいと思います。  ありがとうございました。終わります。
  27. 松村龍二

    ○松村龍二君 自民党の松村委員でございます。  本日は、竹花参考人中村参考人渡辺参考人、どうも御苦労さまでございます。  それぞれの立場から先ほどは貴重なお話をいただいたわけですが、目に余る有害な情報が現存するということについては三者とも認めていると。しかし、それをどうしたらいいかということについて、渡辺参考人は、あくまでも表現の自由が将来とも損なわれることのないようにということを絶対担保するというような立場でのお話かなと思います。中村参考人は学者の立場から御覧になっていると、こういうことかと思います。また、竹花参考人は、実践を踏まえて有害な情報から子供を守るという運動をしておられるのかなというふうに思うわけです。  昔、ある方が、政治家が審議するのにふさわしくないテーマがあると。それは、一つは原子力の問題だと、一つは臓器移植の問題だと。これは、余り専門過ぎて政治家が扱うのには適したテーマではないと、こう言われた方がいるわけですけれども、今回のインターネットの話も非常に高度な、専門的な話が多いわけでありまして、だれもが有害な情報子供から引き離すようにしないといかぬという思いを持ちながらも、その方法がなかなか難しい。今日ようやく与野党が協議調いましてこの法律案になったわけですけれども、与党の中でも、また自民党の中でもピンからキリまで考えがあるという状況の中でなるべく収れんするものは何かといった努力をして、関係者が努力されまして今回の法案になったということでございます。  まず、中村先生にお伺いするわけですが、この運動、この問題が始まりましたとき、文書図画に違法、有害な情報があると、それを取り締まるという法律も併せて、規制するという法律も併せてやったらどうかという考え方があったわけですが、御承知のとおり条例においてもうかなりの、四十府県に近いような多くのところでこれらの取組をしておられると、こういうことです。  そこでお伺いしたいのは、文書と今回のインターネット、これが規制といいましょうか、有害情報、触れないようにするためにどのように違うのか。先ほど、匿名性、無責任性もあって大変難しい問題だというお話もありましたけれども、まず、今回の問題が文書と違ってどのような難しさを持っているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  28. 中村伊知哉

    参考人中村伊知哉君) 紙の文書によるそういったメディアと、それからインターネット、携帯、デジタル技術によるそういったメディアとの違いといいますのは、まず第一に、子供たちを含めてだれもが情報を発信することができる、そして瞬時にそれが非常にたくさんの方々手元に行き着く、さらには、そういったものを回収して消そうとしてもなかなか消せないで、一つそれが残っているとまたコピーをされて同じものが出回るという具合に大きな性格の違いがあります。そして、それが日本を越えて、場所を越えて世界にも広がるということでありますので、いい面もあれば、非常に深刻な事態ももたらすという意味で質的に違っている面があると存じます。  以上です。
  29. 松村龍二

    ○松村龍二君 渡辺参考人にお伺いしますが、民放連というお立場から、映倫その他の存在もお示しになりながら、将来ともに表現の自由が絶対に侵されないということを守るお立場からの御発言であったと思いますけれども、しかし、百メートルを走る滑走路がありまして、九十五メートルまで立派に舗装されて、インターネット情報が世界に有益なことをもたらすという例えでいうわけですが、九十五メートルまで非常に立派であるけれども、最後の二、三メーターががたがたであると、あるいは走れないということ、これが現に被害を受けている方々、そういうような存在だろうと思うんですけれども、渡辺参考人も、原理原則は示されながらも、もしも自分の息子さん、娘さんがこの深刻な被害に遭ったということになってもなおかつ同じようなお立場なのかどうか、お伺いします。
  30. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) 松村先生にお答え申し上げます。  先生おっしゃったように、今この状況が深刻であるということはおっしゃるとおりでございます。  それで、先生の例示としては、あなたの子供がこのようなことに巻き込まれたときに同じ立場なのかという御質問だったと思います。  私ども民放連は、先ほど来繰り返し申し述べておりますように、自主規制というものをもちろん前面に打ち出しているわけですが、自主規制だけではこれは到達できないだろうなということも同時に存じております。先ほどの中で申し上げました、これは中村参考人も述べられていたんですけれども、やはり啓発啓蒙、教育、いわゆるリテラシーということですけれども、これに関してどのように向き合っていくかというのもやはり極めて重要な、我々メディアが参加することが十分できる分野だと思っております。教育、啓発ということに関して言えば、先ほども出ましたように、家庭であり学校であり地域社会であると、それの重層化された取組なんだと私は思います。ただ、それは保護者を含めて彼らだけのリテラシーではなくて、この業界の人間のリテラシーも当然問われてくるわけですし、報道の世界の人間も当然問われてくるんだと思っておるところでございます。  具体的に言いますと、例えばある事件をどのように報道するかということに関しましても、我々は、報道の目的というのは先ほど述べたとおりなのでありますけれども、青少年たちにそれをどのくらいきちんと伝えるかということについては我々はやはりまだまだ努力が十分ではないというふうに考えております。  更に具体的に言いますと、我々はテレビの場合に、メディアリテラシーを高めていただくために、例えばある局などは出前授業という形で皆さんに、皆さんというのは中学生が多いわけですけれども、中学校に行って現場の人間がいろいろ話をする。カメラを使いながら、いろんなものを使いながらやって、テレビはこういうふうに作るんだよと、でも、こういうふうに編集するからこういうこともあるんだよということを実際に手に取るようにやっているというのもございます。それから、こういう動きがあるということをニュースで伝えるということもございます。  そういう経験を基に、インターネット、モバイルも含めた業界の方も、ある種のそういう新しい出前授業ではないですけれども、そういうことをやるのも啓発の一つではないかな、リテラシーの一つではないかなというふうに考えていますので、ある意味では自主規制という要素と、自分たちも、メディアも含めてやる啓発、教育の要素、これが両方相まって初めて成り立つのではないかなと。  先生の御質問にお答え最後にいたしますれば、自分の子供の場合だったらどうなんだ、民放連の代表としては、それにもかかわらず主張はし続けますと言わざるを得ません。  以上です。
  31. 松村龍二

    ○松村龍二君 どうもありがとうございます。そのような努力を是非今後ともお願いしたいと思います。  竹花参考人にお伺いしますが、東京都の副知事をしておられるころからこの問題に手を付け、東京都の条例ですか、を作られたり、また今はおやじ何とか会というふうなことで取り組まれていると。しかし、現実にこれを浸透していくということは非常に難しいことであろうと思います。  ただいまお話渡辺参考人からありましたように、最近テレビを見ておりましても、そういうような学校その他で親がリテラシーの教育をして、コンピューターの、携帯電話等について、危険の問題について教育していると、あるいは警察が来て教育しているといった報道をするようになったり、あるいはバラエティー番組等の中でもこういうことを取り上げるといったことになると思いますが、これも竹花参考人が早くから種をまいたことが実りつつあるというふうにも言えるかと思いますけれども。  しかし、親への働きかけといっても本当に気の遠くなるような、親自身が積極的でない、忙しいというようなことから参加してこないといった大変なもどかしさを感じるんではないかなと思いますが、そのような努力状況、また将来性についてお話をお聞かせいただきたいと思います。
  32. 竹花豊

    参考人竹花豊君) ありがとうございます。  私は、家庭の問題に少年非行の問題ですとか様々な要因があるということはやはり指摘されてしかるべきことであるというふうに思いますけれども、そのときに親の問題だと言ったら多くの問題はそこでおしまいになってしまうということを実感もしてまいりました。お父さんたち、お母さんたちにはいろんな考え方があるわけですし、自分の子供を信頼して何が悪いという意見もあるわけですし、おれの子供は大丈夫だという御家庭もあるわけでありまして、そういう意味で、それを、子供の問題は家庭の問題だと言ってしまったときに、子供の問題はそこでストップするというふうに僕は感じてきました。  しかしながら、やはりお父さん、お母さんの果たす役割というのは非常に大きいわけですので、私自身としては、これが大変微力であることは重々承知しておりますけれども、お父さんたち学校に行ってもらおうと、学校でみんなで子供たちのことを考えよう、自分の子供も他人の子供のことも考えようと、そういう動きを、まあこれまでもあったわけですけれども、大きくすることで、多くの家庭にこの問題についても理解を深めてもらおうという、そういうつもりで今、おやじ日本活動を進めているところでございます。  そういう活動は多くの視点で、今、中村参考人もおっしゃいましたけれども、多くの方たちがやっておられるわけでありまして、それぞれは小さいかもしれないけれども、その総和がやはり大きな社会の流れをつくるのだということを私は信じておりまして、そういうところでこれからも対処していきたいというふうに存じます。
  33. 松村龍二

    ○松村龍二君 ありがとうございます。  一つ具体的な例で中村参考人にお伺いするわけですが、硫化水素の自殺が昨今日本中にはやっておると。それで、硫化水素の作り方はインターネット等に載ったので、これがこのような自殺を広げているというふうな現象が指摘されるわけですが、私もヤフーの検索で硫化水素と硫化水素自殺というのを開けてみますと、だあっと十か二十ぐらい出てきますが、作り方というものはヤフーの中にはなかったわけですけれども、ほかのサイトで硫化水素が簡単にできるものだということを具体的に教えているようなページが出ているんだと思います。  それに対しまして、新聞等を見ておりますと、警察庁がサイトに、媒体を握っている方にこれを載せないようにというふうなことを指導したとか指導するとか、あるいは総務省が同じような対応をするというふうなことを役所からも伺うわけなんですけれども、こういうものの、これは少なくとも違法な情報ではない、有害と言えば有害と言えるかも分からないというようなことで、これに対して現にそういう省庁が動くというようなことについて中村先生のお考えはどのようなことでしょうか。
  34. 中村伊知哉

    参考人中村伊知哉君) 麻薬売買の広告のような違法とされている情報と違いまして、今御指摘のような情報というのはなかなか難しい面がございます。薬品ですとか、それから凶器の作り方そのものがすべていかぬと言い難いものもあるでしょうが、その一方で、そうしたサイトが自殺を助長するもの、自殺を助長する目的のようなものであれば、それはいかにしてそういったものに子供がアクセスしないようにするかということは考えざるを得ないだろうというふうに考えます。  私も参加をしておりますフィルタリングの機関においてもそういったことの今議論をしておりまして、どのような基準でフィルターを掛けるのか、どういった場合であればセーフなのか、今御指摘のところはそのボーダーラインにある難しいところだと思います。  我々の今の議論の中では、そういった自殺を助長するもの、そのようなものが明らかなものというのはすべてきちんとチェックに掛けるといいますか、フィルターを掛けるという方向で議論しておりますけれども、なお、そういった民間サイドでの議論をしながら、実際にフィルターを運用しながら、社会として望ましい関与を見付けていきたいと考えております。
  35. 松村龍二

    ○松村龍二君 同じ問いに対しまして、竹花参考人はどのようにお考えでしょうか。
  36. 竹花豊

    参考人竹花豊君) そうですね、フィルタリングの精度をどう高めていくのか、あるいは違法、有害の判断基準をどうするのかというのはやはり今後様々な事例を蓄積をしながら検討されていかなければならないだろうというふうに思います。
  37. 松村龍二

    ○松村龍二君 以上で終わります。
  38. 風間昶

    風間昶君 公明党の風間ですけれども、最初に渡辺参考人に。  先ほど、民間による自律、自主的対応にゆだねるべきだという御結論で、青少年有害情報の中で、犯罪報道が犯罪防止に役に立つという観点でなされているといったようなお話をされましたけれども、実際に私はいろんなテレビや新聞見ていて、犯罪報道が本当に犯罪抑止にあるいは防止になったんだろうかということをやっぱり検証した上でお話されたのかな、どうなのかなということを感じたものですから、まずそのことについて教えていただきたいと思いますけれども。
  39. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) 風間先生の御質問にお答え申し上げます。  先生が御指摘されたことは極めて大事なことだと思っております。本委員会議題とは直接関係ございませんけれども、裁判員制度下における取材報道と極めて類似した問題提起というふうに受け止めております。  私どもの基本的なスタンス、もう一度繰り返させていただきますと、ある事件、事案が起きました、これはどのような状況でだれが何で起こしたんだろうか、周辺の人たちはどういうふうにずっとその人を見ていたんだろうか、容疑者、被疑者の話です、家族関係はどうだったんだろうかということを、一定のプライバシー配慮しながらそれを独自に取材して報道していくことで、社会の共通の知識といいますか、そういったものを得るというのが一つあると思います。  犯罪の中身によっても違いますけれども、ある犯罪がほかの地域にも不安感を与えるという、飛び火するという意味ですけれども、それを防ぐためにも、やはり情報提供というのは極めて大事ではないかなというふうに私どもは思っています。予断とか偏見が出てくるもとというのは情報が少ないことだと我々は考えております。情報が多ければ予断、偏見がなくなるとは申しません。ただ、少なければ予断、偏見の可能性、危険性は増大すると我々は思っております。  ある具体的な犯罪が起きました。これは実際にあった例ですけれども、そうすると、子供が殺人事件を起こしたと。ある母親から、やはり連絡といいますか、今電話とかメールがあるんですけれども、それで、うちの子供と同じ年齢である、私も心配である、どのような子供だったのか、どのような家庭環境だったのか、どのような地域社会環境だったのか、そういうのを知る中で私も子供に向き合っていきたいという趣旨の手紙なり電話なりメールをいただいたこともございます。やはりそういうものにこたえるのも我々の役目ではないかなと。  今先生御指摘のように、それが具体的に調査をしてどのぐらい効果があったのかという御質問に対しては、明示的なお答えはありません。しかし、それを続けていくことが我々の役目の一つではないかな、このように認識しております。
  40. 風間昶

    風間昶君 ありがとうございます。  刑法や警察が幾ら、いろんなことが行われたとしても犯罪というのはなくならないわけであります。したがって、法整備を通じて、本当に、法整備そのものについて自主的・自律的規制が行われるということの、要するに御反対の気持ちは分かりましたけれども、だったら、問題点をむしろメディアが、人と人の間に入り込んでいる、仲介しているわけですから、犯罪が起こったときの現実を踏まえて議論を提起するような、そういうメディア報道にしてもらいたいなというふうに思います。済みません。  それで、この法案についてですけれども、先ほどから議論になっておりますが、二十一条の青少年閲覧防止措置のところで、サーバー管理者は義務でなく努力義務で、しかもペナルティーがないということに法案ではなったわけでありますけれども、このことに関して、本来、違法情報というのは青少年だけでなくて大人も見れないように削除すべきだと私は思うんです。そういう意味では、この法案とは直接関係ありませんが、例えばインターネット規制法だとかあるいはプロバイダーに対する法的規制といったようなことが必要に今後なってくるような気がするわけでありますけど。  まず、この努力義務でペナルティーないとなると、さらに、ある意味では悪質事業者が出てきたときにその対応をどうするのかということが問題になると思うんですけれども、このことについては先ほどから議論がありますのであれですが、悪質事業者による対応の改善ということについて、なかなか難しいと思うんですけれども、法的規制とかいろいろあるでしょうけれども、それぞれの参考人についてお考えをいただければ有り難いと思います。
  41. 竹花豊

    参考人竹花豊君) 先ほど来申し上げておりますけれども、やはり違法や有害のスタンダードというものをある程度の大枠を公的な立場でつくった上で、それをどう運用していくかはこのインターネットの世界に深くかかわっている方々、それはユーザーも含めてでありますけれども、そうしたところが十分な事例を踏まえて議論をして対処をしていかなければならないというふうに存じますが、その際に、私がインターネットらしい取組をという話を冒頭させていただきましたけれども、それは刑罰法規で措置をするということや、この一塊の違法・有害情報についてどう措置するかということと少し離れて、このインターネット世界で活動できるような人たちとできない人たちもまたいるんではないだろうか。  違法・有害情報と知りながら、あるいはそういう懸念があるものを言わば放置をしているということについてのペナルティーが、刑罰の世界ではなくて、例えば、このインターネット世界から一定期間、例えばサイト管理者としての立場はしばらくの間退場していただく、そうした立場は失いますよといった取組も考えられるわけでしょうし、またそうした違法情報有害情報を流したことで多くの国民に不快感をもたらした、あるいは場合によって具体的な被害子供たちにもたらしたといったような場合には、そのことについての民事上の責任を迅速に追及できる仕組みといったものもまた考えられるのではないか。  いずれ、この匿名で膨大で物すごい量があふれている世界の中で静的ながっちりとした仕組みはなかなか効果がないかもしれないということを考えますと、今申し上げたようなことも考えながら少し柔軟に対応できる仕組みといったものをどこかで検討していかなければこの問題は改善できないのではないかというふうに考えております。
  42. 中村伊知哉

    参考人中村伊知哉君) この法案が対象としております有害な情報というのは、受け手、それぞれ価値観によってもとらえ方が違うところありますので、それに対しては削除義務を掛けない形で民間取組、そしてフィルタリング等の手段によって何とか安全を保とうとする、この法案の考え方は見識があるものというふうに考えますが、今御指摘のありました違法の情報というのは、これは取締りといいますか取組は強化すべきだと私は考えます。その場合も、まずはその場を貸しているプロバイダー以上に発信者への対策というものを強める必要があろうかと思います。  法律の強化という面でも、例えばプロバイダーの削除義務を掛けるとか、その場合に責任制限を掛けるといった措置もとられてしかるべきだと思いますし、さらには、司法的な手続を迅速化するとか国際的な監視体制を組むといったことに力を入れていくべきだと思いますが、同時に、これも先ほど来申し上げましたとおり、受け手側、社会側の例えば民間におけるフィルタリング機能を強化していく、第三者機関の活動を活発にしていくということも必要ですし、教育を厚くしていくということで身を守るという方向の施策も大事かと思います。  要するに、そういった様々な手段を使って、つまり社会的なコストをこれまで以上に掛けて安全、安心な社会を築くという、そういう取組が必要だと考えます。  以上です。
  43. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) 先生への直接のお答えにならないかもしれませんけれども、報道機関に属する人間として先ほどの流れで言わせていただきますと、先ほど先生、最後に、議論の提起をするような報道にしてほしいというお話をされて、これ身にしみてそのとおりだというふうに考えております。その流れでいきますと、今の御質問に関しても、我々のある種の報道の仕方がこれから問われているのではないかなというふうに考えております。  ちょっと話は飛びますが、これまでの大きな流れですと、新聞の報道というのがあった、それがやっぱりテレビの報道になってくると。これ、広告面とか収入面とか影響力いろいろあるんですけれども、それがインターネットにずっと変わっているというそういう大まかな流れの中で、我々が、インターネットが発信する情報じゃなくて既成のメディアが何で既成のメディアとして成り立ち得るのかというと、やはり匿名性ではない、責任の所在なんだと思っております。  そういうふうに、我々は責任を持って、これはテレビも新聞も同じでありますけれども、報道をするんだというときに、この有害情報サイトの問題、違法も含めてですけれども、この問題をこれまでどのくらいきちんと問題として提起してきたかということにつきましては、やはり我々のこれからやるべきことが多々残されているのではないかなと、報道機関からはそのように受け止めております。
  44. 風間昶

    風間昶君 もう一つ、先ほど中村先生のおっしゃっていました基本理念の三条の三のところが極めて私は大事なことだというふうに思うんです。民間における自主的かつ主体的取組が大きな役割を担い、国と地方はこれを尊重するということでありますけれども、これはまさに、国が関与することはなく民間の自主自律規制にゆだねるという姿勢の表れだと思うんですけれども、将来的に、だけど、そうはいっても万々が一登録要件などが拡大するような機運が出たりなんかして、国が基準作りに少しでも関与するというような事態がないとは言えない。  これは当然そうさせてはいけないわけでありますけれども。そういうことをブロック掛けれるような何か知恵いただければ有り難いし、またそう万が一なった場合にどういう対処したらいいのかなということは私もちょっと考えておかなきゃならないんですけれども、そうさせないためにブロックを掛けれるような、法文上の問題もあるのかもしれませんけれども、それぞれ御所感をいただければ有り難いというふうに思います。
  45. 竹花豊

    参考人竹花豊君) この二十四条の登録の仕組みは、いろいろな議論を踏まえて非常によく考え出された仕組みであろうというふうに思います。  今の先生御指摘の懸念というものが全くないとは言えないかもしれませんけれども、この法律が、多くの国民の注目の下で今後の施行、成立していけば施行されていくわけでありますので、そうした国会を含めて多くの国民が、この法律をどのように施行されているのか、その効果はどうなのか、問題点が生じていないのかということをやはり関心を集めていく中で今のような懸念も消えていくのではないか。  私は、冒頭申し上げたのは、この法律はそこまで行かないんじゃないかと。むしろ、ちゃんと機能しない側面も懸念されるので、そこをしっかり国会の側でも見ていただければということをお願い申し上げたわけでありますが、そういう営みの中でまた今のような問題も解決されていくのではないかというふうに存じます。
  46. 中村伊知哉

    参考人中村伊知哉君) 民間努力が本格化しております。これから体制も整備してフィルタリングの機関を運用するという取組も始まります。そういう意味でいいますと、民間がどのように取り組むのか、関係業界がどのようなコストや努力を払うのかということは非常に重要なポイントだと思いますが、それでもなお、それだけではなかなか完全に安全で安心な社会というのは達成できないだろうと思います。漏れも出てくるだろうと思いますし、こんなサイトがまだ存在するではないかというような批判を受けるような事態も発生するだろうというふうに思います。  まずは、そのような簡単にクリーンになるわけではないということを社会全体で共有するといいますか認識をすることが必要なのではないか。つまり、このような安全や安心を確保するのは、片一方で携帯やネットの技術も進んでいきますし、それに乗じて何か悪巧みをする人たちも増えていくでしょうから、時間が掛かるものだという認識が必要だと思います。そうした中で性急に法規制を強化していくということは、それはやろうと思ったらたやすくできることだろうとは思いますが、しかしながら、そういった表現の自由を簡単に崩すとなかなか後戻りができないということも事実でございましょうから、その辺り慎重に皆さんで、監視といいますか、しばらく時間を掛けて効果を見極めていくということをしていただければと存じます。  以上です。
  47. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) お答え申し上げます。  先ほど来の繰り返しで恐縮なんですが、やっぱり民放連としては、言論、表現の自由というのが大前提に立つわけでございます。これはやはり、これをベースに今回のこの問題を考えましても、何らかの手は打たなければならない、我々としてはそれを自主的な努力で一生懸命やらなくちゃいけないということは共有するところでありますけれども、今参考人がおっしゃったように、性急な即決、即断的なものというのは残念ながら難しいのではないか、機能と効果ということで申し上げていますけれども。居直るつもりはありませんけれども、時間が掛かる側面というのは我々は否定できないというふうに思っています。  それで、我々社会が全体となって取り組んでいって、時間も掛かるね、お金も掛かるね、人手も掛かるね、恐らくこれは民主主義社会というのをこれまでどおり維持して発展させていくための、あえて申し上げれば社会的なコストなのではないかなと、社会的な負担なのではないかなと。えいやで、どんと決めれば時間も掛からない、人手も掛からない、お金も余り掛からないよとなるかもしれませんけれども、それはやっぱりアリの一穴になってしまうだろうというのが我々の基本的な立場でございます。  先ほど先生の御質問の中に、フィルタリング推進機関、二十四条の話もございました。これは民放連の見解表明でも先ほどるる述べたところであります。二十四条では、やはり総務大臣及び経産大臣の登録を受けることができるということでございます。ただ、我々は、二十七条に、やはり推進機関に対して資料の提出等というものの縛りは、「求めることができる。」という表現ではありますけれども、それがある種の縛りに運用上なるのは危惧を持たざるを得ません。  三十条では、これも先ほど申し上げました、国や地方公共団体は必要な支援に努めるものとする。努める相手は推進機関もあるし推進機関でないものも法案には列挙されております。いろいろな事情で、フィルタリング推進機関、つまり登録しない人たちも出てくる可能性はあります。三十条の、まあこれは法案が成立したらということですけれども、三十条の実施に当たっては、推進機関か否かで区別、差別をすることはよもやないであろうと、法案自体に必ずしも賛成していない我々が言及するのは変な話ではありますけれども、あえて申し上げるならばそういうことも考えていただきたいと思う次第でございます。
  48. 風間昶

    風間昶君 終わります。
  49. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数慶子でございます。  最後の質問でございますので重なることもあるかと思いますが、また御答弁よろしくお願いいたします。  今年の四月に行われました文部科学省の調査によりましたら、中高校生のいじめの温床になっていると指摘されております学校裏サイト、これは全国でおよそ三万八千件あると言われていますが、そのうち群馬、静岡、兵庫の三県で約二千十件を詳しく調べましたところ、きもいとかうざいといった誹謗中傷の表現を含むものが半数近くありまして、それと個人に向けた中傷が六〇%もあったと言われております。さらに、死ねなど暴力的な表現が二七%、そして、わいせつ的な表現が三七%あったと言われておりますが、この学校裏サイトでは、身体的な特徴をあげつらったり、万引きをしている、そして援助交際をしているといったうそを掲載したり、下半身裸の合成写真を作られサイトに載せられた女子生徒がいるなど、多くの児童を傷つける深刻な問題が発生していると聞いています。  そこで、参考人の皆さんに、学校裏サイトにおけるいじめを始めとするインターネットがもたらした現在の青少年を取り巻く環境変化について、どのような御所見をお持ちか、それぞれお伺いしたいと思います。
  50. 竹花豊

    参考人竹花豊君) 最初に答えなければならないことが多いものですから十分考えた意見を申し述べることができないかもしれませんけれども、先生御指摘のように、裏サイトの問題が今大きな問題として取り上げられておりますけれども、これは、いじめの問題というのは必ずしもネットの問題だけではなくて、その前提となっている子供たちの人を差別をしたり排除をしたりするような、そうした考え方が一定程度あるということについて、教育的観点あるいは家庭の教育からどういう取組をしていくのかという社会全体の問題が一つあるわけでございます。  サイトの問題にいじめの原因を持っていくのは、それは少し、何でもかんでもネットが悪いぞという、そういうことになりかねない議論であると思いますので、そこはそういう立場ではないということを申し上げた上で、しかしながら、この裏サイトの問題について大人社会が余り知らないで、子供たちの間だけでこういうことが行われていると、そういうことに大人社会としてえらく無頓着であり過ぎたのではないかということを感じているところでございます。  これに対してどう対応するのかということは非常に難しい問題で、東京都の教育委員会におきましてもどう対応するかということをあれこれ今議論を進めているところであります。ただこのネットを閉鎖してしまえばそれで済むというような問題でもないであろう。保護者学校等、みんな一体となってこの問題、どう子供たちに伝えていくのかということを、少し時間を掛けてしっかりと大人のメッセージを子供たちに伝えていく、そういう道を少しエネルギーを注いでいく必要があるという、そういう方向で考えているところでございます。
  51. 中村伊知哉

    参考人中村伊知哉君) 学校裏サイトすべてがいけないものではなく、その多くは連絡用といいますか部活動取組など、そういった連絡に使ったりして、楽しく便利に使っているというものが多い。その一方で、一部そういった誹謗中傷が乱れ飛ぶという実態もあろうかと思いまして、その一部の事例については深刻なことだろうというふうに考えます。  これに対しては、私どもも、フィルタリングでどの程度カバーできるのか、あるいはその誹謗中傷の情報、匿名による情報をどのように削除していくのかということも検討しております。おりますけれども、それには一定の限界もあるだろうということも感じております。また、そういった学校裏サイトで良くない発言をしている人たちに対して、学校の先生とか親がそこに入っていってうまく誘導するという努力を続けておられる方も存じておりますけれども、それもまだ全体の広がりにはなっておりません。  思いますのは、そうした学校裏サイトで行われているということは実社会のそのままの反映でもありますので、それは、サイト上どうするかという問題以上に、学校での教育、家庭での指導をどうしていくのかという社会全体の問題になっているだろうと思います。  一方で、これをウエブサイト上どのようにしていくのかという教育の面でいいますと、情報教育、リテラシー教育というのがまだまだなかなか不足をしています。二〇〇七年に全国の高等学校PTA連合会が調べたところによると、高校生の男性でいうと七割、女性の五割がまだそうしたリテラシー教育を受けていないと、経験がないということを答えていますし、それから先ほども少し申し上げましたが、家庭の中で携帯のマナーを決めているという小中学生は、これは二〇〇六年の日本PTA全国協議会の調べですけれども、四割程度しかないということでありますので、まだまだそういったモラル教育のようなものが行き届いていないという実態にあります。  それ以上にそもそも親の問題があります。今もお話がありましたけれども、親がこういった事態を知らないということが大きな問題ではないかと。高校生の保護者でいいますと八割以上がそういった親の方がリテラシー教育を受けていないというようなデータもありまして、そういったところから力を入れていく必要があろうかと存じます。  以上です。
  52. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) お答え申し上げます。  私も、先生御指摘になった問題というのは極めて深刻だというふうに受け止めております。  これは民放連ではなくて私個人的な意見として述べさせていただきたいんですけれども、先ほども意見出ましたように、町内会の回覧板的なサイトは別にして、やはり一部のいわゆる裏サイトなんですけれども、やっぱりこれは匿名性というのが物すごく隠れみのになっているというふうに私は感じております。匿名性だと気が楽で何に投稿しても責任は問われないよというのがやはり安易にそういう行為に走る明らかなインセンティブになっているんだと私は思っております。  今も出ましたけれども、親の問題ももちろん大きいですけれども、やはり一つ本丸に入っていくということでは、このリテラシーということでいいますと、業界の方がやっぱり中心になってそれぞれの学校に入っていって、先ほど私は出前授業という、今テレビ界でやっているあれを言ったんですけれども、出前授業みたいに、彼らは全部分かっているわけですから、こういうことはこれだけ便利だけれども、こういうことは駄目なんだよ、だから我々はこういう規制をしているんだよ、これは年齢によって分けているんだよ、十七歳まではこういうのは駄目なんだという、例えばそういう、ともすると隠そう隠そう、遮断しよう遮断しようと、一定の情報を遮断するのは当然だと思いますが、プラスアルファいかに彼らに伝えていくかという、それがリテラシーといいますか、読み解き能力なんだと私は考えておりますので、繰り返しになりますけれども、そういう作業がこれから特に学校の中においては大事なのではないかなと。子供たちを中心に先生も親もというふうにやっていくのがいいのではないかなと、私は個人的に思っております。
  53. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  次に、表現の自由の保護についてでありますが、渡辺参考人にお伺いしたいと思います。  本法案における青少年有害情報対策は民が主導して取り組まれるとされています。しかし、様々な団体から表現の自由が侵害されるのではないかと危惧する声があるのも実態でありますが、先ほど申し上げました学校裏サイトやネットいじめといった青少年を取り巻く環境の悪化をかんがみれば現状を放置することはできないと考えますが、青少年の健全な育成とそして表現の自由を両立させるためにはどのような方策が考えられるのか、御意見をお伺いいたします。
  54. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) お答え申し上げます。  これも非常に正直申しまして難しい問題がございます。そうきれい事だけでは済まないことがあると思います。  先ほどの答弁させていただいた内容とかなりダブるんですけれども、やはり繰り返しになりますが両立ということで考えますと、一義的にはメディアリテラシーの向上であるというふうに私は思っております。教育によって正しいインターネット利用法、多種多様な情報の受け止め方について、子供保護者地域社会、リテラシー教育が適切に実践されることがポイントであり、繰り返しになりますが、そこに業者も含めて、報道機関も含めていかに入っていくかというのがポイントなんだと思います。  これは全体的にこういうことをやるんだという決意表明はもちろん政府、国がおやりになるのは当然だと思いますが、実態は、やはり実践は個々の業者も含めた民間がやっていくのが一番、効率的という言い方はおかしいですが、なのではないかなと私は思っています。自主的な、自律的な民間業者による対応と、それからリテラシーというのが両立して相互に作用すれば何とか先生が御懸念されていることが維持できるのではないかなというふうに考えております。
  55. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  次に、フィルタリング推進機関、それから国と地方自治体の関係についてでありますが、中村参考人にお伺いをいたします。  本法案によって、立案作業の過程において、ネットに対する過剰な規制である、あるいは国が表現の自由の制約に関与すべきではないとの意見が出ておりますし、国が有害な情報の判断を行ったり、有害情報の削除を義務付けるといった仕組みは見送られ、基本的にはフィルタリング推進機関などの民間機関がフィルタリングのソフトを開発したり普及啓発に努めたりするという構図になっていますが。  しかし、フィルタリングソフトの開発フィルタリングソフトの基準作りを民間機関に任せたとしましても、こうした機関に国や地方公共団体がお金を出したり人を派遣することで実質的に国や地方自治体がフィルタリング在り方に関与することができるという懸念があるわけですが、そこで、国、地方自治体とフィルタリング推進機関との関係はどのようにあるべきだと考えていらっしゃるのか、御所見を伺います。
  56. 中村伊知哉

    参考人中村伊知哉君) 私自身、複数の第三者機関の活動に今携わっているんですけれども、そういったフィルタリングの機関がやりますことというのは、同時に、非常に大きく関係業界のビジネスを左右するものでもあります。個々のページとか個々の書き込みをフィルターで通す通さないではなくて、サイトそのものを通すかどうかというような、そういった振り分けになりますので、大きく対象にとってはビジネスを左右されることになります。それが一つの機関であるとか、あるいは非常に国に近い立場のものになりますと準公権力に近いことになってしまいますので、その辺りの距離感は非常に大事だろうと思います。  もちろん国の全体の方向性、政策の方向性との整合というのは取っていくことが望ましいと考えますので、私ども、関係省庁方々との意見交換とかを進めておりますけれども、一方で、我々の機関としては、そういった基準作りあるいは審査をするときにも、業界の代表が集まるというよりも第三者の学識者がその部分を取り仕切るということの取決めをしておりまして、例えば法学者ですとか主婦連の代表の方とか弁護士とかといった集まりで今そこの審議をしているところであります。  また、そういった機関が複数あるということで、国民あるいは業界にとっても選択可能な状況になっているということで、ひとまずこれを推し進めようとしておりますので、その運用を後押しするような制度といいますか政策を取っていただければと存じます。  以上です。
  57. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 最後になりますが、竹花参考人にお伺いをいたします。  本法案では、インターネット青少年有害情報対策、そして環境整備推進会議設置青少年が安全に安心してインターネット利用できる基本的な計画の策定、そしてインターネットの適切な利用に関する教育及び啓発活動推進といった取組が盛り込まれています。  先ほども御答弁もございましたけれども、本法案に盛り込まれてはいませんが、今後青少年が安全に安心してインターネット利用できるようにして、青少年の権利の擁護を図るために必要だと思われる施策は何か、お伺いいたします。また逆に、法案に盛り込まれていますけれども、必要ではないと考える施策があるかどうか、お伺いいたします。
  58. 竹花豊

    参考人竹花豊君) まず、この法案の中に必要でない施策はあるかということについてお答えいたしますと、それはありませんと私は思います。非常にいずれも重要なものが書かれているというふうに考えます。  青少年に対する有害な情報あるいは違法な情報から青少年をどう守っていくのかという点でこの法律の足らざるところがあるのかと言われますと、それはこの法律の運用に係る、何といいますか、結果というんですか、そうしたものが大きく左右するのではないかというふうに存じます。  この法律関係者の自主的な取組というのを基本に据えておりますので、そうした関係者の自発的な取組、自主的な取組がいかに進められるかということによってこの法案が目指しているところが達成できるかどうか決まるわけでありまして、もしそれが達成できないようであればこの法案は不十分だったと評価をされて、改めて見直すことが必要になるのだろうというふうに私は考えております。  再三申し上げましたけど、とりわけ関係事業者方々の、この法案趣旨に沿って社会全体をリードをしていくという、そういう姿勢というんですか、役割の認識の仕方に基づく対応がこの法案を価値あらしめるかどうか、そういう大きなかぎを握っているというふうに考えます。
  59. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 同じ今の質問を渡辺参考人の方にもお伺いいたします。
  60. 渡辺興二郎

    参考人渡辺興二郎君) まず、糸数先生の御質問の中で、本法案に盛り込まれていない必要と思われる政策は何かという趣旨の御質問だと思いますけれども、これも繰り返しになりますが、リテラシーというのをもう少し強調していただきたいというのはあります。  それから、盛り込まれているが不要と考えるのは例えばどんなものかということになりますと、民放連で今日先生方にいろいろお話を申し上げましたけれども、法案そのものもそうですが、法律の運用次第ではということを私は繰り返し申し上げたつもりでございます。やっぱり、この法案に含まれている中身は、先生方が真剣に御議論なさった法案ですからむちゃくちゃでどうしようもないなんということは元々あり得ないんです。我々、それの影響を受ける者としては、報道機関としては、運用次第ではこうなるかもしれないよという危惧は持っていますということを再三再四申し上げたつもりでございます。  したがいまして、運用次第では国や行政が言論、表現行為に関与できる余地を残したスキームには我々は賛同できないという、そういう趣旨でございました。  以上です。
  61. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  お忙しい中、御出席いただきましてお答えをいただきました三人の参考人の皆さんに心から感謝いたします。  ありがとうございました。
  62. 岡田広

    委員長岡田広君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。当委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十三分休憩      ─────・─────    午後一時三十三分開会
  63. 岡田広

    委員長岡田広君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  青少年が安全に安心してインターネット利用できる環境整備等に関する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として警察庁生活安全局長片桐裕君外四名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 岡田広

    委員長岡田広君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  65. 岡田広

    委員長岡田広君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  青少年が安全に安心してインターネット利用できる環境整備等に関する法律案審査のため、本日の委員会参考人としてマイクロソフト株式会社技術統室CTO補佐楠正憲君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 岡田広

    委員長岡田広君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  67. 岡田広

    委員長岡田広君) 青少年が安全に安心してインターネット利用できる環境整備等に関する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  68. 松井孝治

    ○松井孝治君 お疲れさまでございます。  今日は、衆議院でこの法案を提出をされた玄葉委員長、そして政府側からは上川大臣、そして池坊副大臣も御出席をいただいて、委員長の下で法案の協議を事実上なさっていた与野党の議員の皆さんにも御出席をいただきまして審議の場を設けていただきました。  この法案は非常に大切な法案だと思います。今日は、参議院の内閣委員会では、午前中には参考人質疑ということで、竹花豊さん、そして中村伊知哉さん、そして民放連からも渡辺報道小委員長においでをいただいて、いろいろと御議論をお聞かせいただいたところであります。その内容も含めて、場合によっては通告していないことも含めて多少お伺いするかもしれませんけれども、そこは議員間のやり取りであれば多少お許しをいただいて柔軟にお答えいただきたいと思います。  まず、この法案をざっと読ませていただきました。今日の午前中の質疑でも、参考人の皆さんから、インターネットの違法、有害な情報の問題、そこから青少年を守る問題、今までこの内閣委員会でもあるいは衆議院の委員会でもいろいろ議論があったと思うんですが、各省庁の権限が乱立していまして、例えば内閣府だけでも、この問題を扱うのは、上川大臣の下でも扱っておられるし、岸田大臣の下でもIT安心会議というようなものがあって、縦横にいろんな所管官庁がかかわっているということで、司令塔がないのが問題点だということは、今日、竹花参考人、前の警察庁生活安全局長ですが、竹花さんからも従来から問題だったという話がございます。  そこで、まず最初に法案提案者に伺いたいんですが、この法案が成立したときに、内閣において、この法案、これの有権解釈権を持つ官庁、あるいは主務大臣と言うべきでしょうか、個々の規定は別ですよ、全体を通してそういう官庁、主務大臣というのはどこになるんでしょうか。
  69. 松本剛明

    衆議院議員(松本剛明君) 委員御指摘のとおりでございまして、縦割りの弊害といったものを排除することは大変重要であるというふうに私どもも認識をしておりますが、本法案につきましては、関係をする省庁、想定をされるものだけでも、青少年対策を所管をする内閣府の長である内閣総理大臣、また通信に携わる総務大臣経済産業大臣、そして文部科学大臣、法務大臣国家公安委員長などが想定をされますので、有権解釈という意味ではそれぞれの施策を所管をする官庁ということになるものというふうに考えているところでございます。
  70. 松井孝治

    ○松井孝治君 それだと全く縦割りのままじゃないですか、有権解釈はそれぞれの制度ということでは。  では、これ、一般の国民が見て、何かあったときにどこが責任持って取りまとめをしているのか。個々にはそれは例えば総務省であるとか経産省とかいうことはあろうと思いますよ。だけど、この法律全体の運用あるいは制度の窓口を決めていただかないと、個々の主務官庁というふうに言われたって、それは国民的には全く分からない。松本議員とも思えない答弁だと思うんですが、もう一度御答弁いただけますでしょうか。
  71. 松本剛明

    衆議院議員(松本剛明君) 主務大臣の扱いについては政府における御判断が入るものというふうに思いますけれども、本法が、この題名にもありますように、青少年のためにこの法律を私どもも作るわけでありますから、提案者といたしましては、青少年対策を担当するという意味での内閣総理大臣が中心になって全体の法案の運用に当たっていただけるものと期待をしているところでございます。
  72. 松井孝治

    ○松井孝治君 上川大臣、通告していませんが、そういうことで取りまとめをなさっていただけるということでよろしいでしょうか。
  73. 上川陽子

    国務大臣(上川陽子君) 今回、議員立法ということで御議論いただいた上での今回の提案ということでございますので、その趣旨を十分に反映したものという形で推進していく覚悟でございます。
  74. 松井孝治

    ○松井孝治君 じゃ、その覚悟で是非、必要に応じてそういう部署を設置していただくなり、きちんとした対応をお願いしたいと思います。  それで、実は、池坊副大臣は所管委員会があるにもかかわらずちょっと無理を言って来ていただきました。なぜ無理を言ったかというと、午前中も、多くの、三人の参考人それぞれが、やっぱりメディアリテラシー教育というのが一番大事だと、これ、法律でいろんな規制でがんじがらめにしたってなかなかそんなすべてのことが解決するわけじゃないと、一番大切なのは教育の面で、やっぱりインターネットというのは光と影、両方あるんで、そこを上手にいい部分を使って、悪い部分はできるだけそこに巻き込まれないようにしていくという教育が非常に大事だという議論参考人方々からもありました。  他方、そこの、例えば先生でインターネットのリテラシーを教えられる先生が非常に少ないとか、あるいは専門家をもっと導入していかなけりゃいけない、そういう点の問題点も多々指摘されました。  副大臣、この問題をずっと重要だというふうに認識していただいていると私は思っておりますので、今の現状どうなのか、そしてどういう覚悟でインターネットのメディアリテラシー教育というものを推進していかれる、そういう覚悟はあるのか、是非副大臣、思い切った御答弁をいただきたいと思います。
  75. 池坊保子

    ○副大臣(池坊保子君) 今、松井委員がおっしゃいますように、急激に社会情報化に進んでおります中にあっては、インターネットの光と影に対しての教育が必要というふうに思っております。光は言うまでもなく、皆様黙っていても享受なさるわけです。影に対しては、なかなか教育をされないと分からないということではないかと思います。  私は、副大臣になりましてすぐに子どもを守り育てる体制づくりのための有識者会議というのを主宰いたしまして、その中にあって、今インターネットの影に対してどのように子供たちを守り、また多くの方々に教育を推進していくことができるかということで、このような四つの、学校保護者地域、先生方に対する、「お父さん!お母さん!お子さんのケータイ・ネットの利用は大丈夫ですか?」というリーフレットを作りました。これに基づいて皆様、一生懸命推進をしていただいております。  そして、文部科学省においては、学校における指導の充実を図るために、平成十八年度、情報モラル指導のモデルカリキュラムの開発提供や教員向けガイドブックの作成、配付を行っております。また、平成十九年度は情報モラル指導の普及のためのセミナーの開催、こういうのを松井委員、御覧になったことがございますでしょうか。(資料提示)後でお手元にお届けしたいと思っております。  きめ細やかに教員たちに教育をいたしておりますし、また学習指導要領の中においても、小学校段階においてはコンピューターなどに慣れ親しみ適切に活用する、中学校及び高等学校段階においてはコンピューター等を積極的に活用できるようにすることなどを明記いたしております。中学校及び高等学校段階では、情報活用能力育成する必修の教科を設けてまいりました。  ただ、これだけでは足りないのではないかと思いまして、本年三月に新学習指導要領の告示をいたしました。その中には、特に各教科等における指導の中で、コンピューターや情報通信ネットワークなどの情報手段に慣れ親しみ、適切に活用できるようにするための学習活動を充実する、情報モラルを身に付けると明記して指導の充実を図っております。また、主に保護者や教職員を対象としたインターネットの安全、安心な利用に向けた講座を総務省と、先ほどそれぞれが縦割りだったらできないじゃないかというお話でございました。私ども文部科学省は、総務省と連携して実施するなど、家庭地域を対象とした取組をいたしております。  今、松井委員がおっしゃいますように、学校現場においてはきちんとした情報モラル教育を推進してまいりますが、これだけでは足りないと思います。地域方々とかあるいは企業の方々にも御協力いただかなければ子供たち有害情報から守ることはできないというふうに思っております。是非、これに対しては私は本当に力を注いでやってきておりますので、超党派で、松井委員のお力もいただきながら、みんなで子供たちを守っていく、これは私たちの役目ではないかというふうに思っておりますので、企業の方々も巻き込みながら、強い力で子供を守るためのリテラシー教育をしてまいりたいと思います。どうぞお力添えをいただきたいと思います。
  76. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございます。御丁寧な答弁をいただきました。  それで、この法案、後で具体的に審議していく中で、やっぱり例えば学校裏サイトとかプロフとか、そういう場面でのいろんないじめみたいなことまで、なかなか全部対応できないんですね。ですから、そういうものはじゃ規制で対応するということでは必ずしもなくて、学校の教育現場でいろいろもう先生方、あるいは地域方々、あるいは家庭内でどう親が対応するか、あるいは保護者の方が対応するかということも含めてしっかり対応しなければいけない問題だと思うんで、引き続き是非御尽力いただきたいと思います。  委員長、副大臣もう結構です。
  77. 岡田広

    委員長岡田広君) 池坊文部科学大臣は御退出いただいて結構です。
  78. 松井孝治

    ○松井孝治君 じゃ、具体的にこの条文に沿って主要な論点をどんどんお伺いしていきたいと思います。できるだけ網羅していきたいので、簡潔にお答えいただければと思います。  第二条に青少年有害情報という規定があります。このことは、どのような情報有害情報かについて政府、主務官庁は個別に判断を行い得るということを意味しないのか。国が関与しないとするならば、具体的にどのような情報が二条の第四項の一から三号の例示に当たるかを判断するのはどういう主体が判断するのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  79. 笹木竜三

    衆議院議員(笹木竜三君) お答えします。  この法案では、政府、主務官庁が青少年有害情報について行政権限を発動する規定はないから、個別にその該当性を判断する場合が想定されておりません。  具体的にどのような情報が第二条第四項一号から三号までに当たるか、これについては、青少年閲覧防止措置をとる努力義務を負うサーバー管理者、そしてフィルタリングソフトによる閲覧の制限、範囲を決定するフィルタリングソフト開発事業者など、あくまで民間の主体というふうに規定しております。
  80. 松井孝治

    ○松井孝治君 今の御答弁は大事な答弁で、午前中も民放連の方が非常にここの部分は気にしておられた部分の一つでもございますので、今の御答弁をしっかり受け止めていきたいと思います。  次に、二条四項第一号に規定する情報について伺いたいんですが、例えば売春防止法とか出会い系サイト規制法とか麻薬特例法等には誘引罪というのが存在するわけですね。そういう意味では、二条第四項第一号に規定する情報というのは違法情報を含むんではないかというふうに考えますが、それはそういう理解でよろしいんでしょうか。
  81. 松本剛明

    衆議院議員(松本剛明君) お答えを申し上げたいと思います。  御指摘のとおり、二条第四項一号、これについては誘引等でありますから、違法な情報も含むというふうに解していただいて結構かというふうに思っております。  この法案では、先ほど笹木委員からもお答えをさせていただきましたように、個別に有害であるとかいうのを行政が判断する事態を想定をしておりません。そういう意味で、有害というものは広く違法を含むという形でこの法案を規定をしているところでございまして、この点については、これも同様というふうに御理解をいただけたらというふうに思います。
  82. 松井孝治

    ○松井孝治君 念のために警察庁の判断をいただきたいわけですが、今の趣旨でいって、この法律に書かれているものは警察庁の区分分けでも違法情報に当たるようなものを含んでいると解してよろしいでしょうか。生活安全局長の御答弁を求めたいと思います。
  83. 片桐裕

    政府参考人(片桐裕君) お答え申し上げます。  この辺の解釈については私どもがお答えすべき立場かどうか分かりませんが、私どもがインターネットホットラインセンターで違法情報と言っておりますのは、今御指摘があった出会い系サイトの不正誘引情報とか、こういうものはすべて違法情報という整理をいたしております。  ただ、御指摘のように、例えば児童買春というふうな犯罪行為があって、それを誘引するというふうにもこの条文読めますから、そういう意味では違法情報を含んでいるのかなというふうにも読めるというふうに思います。
  84. 松井孝治

    ○松井孝治君 確認的に御答弁いただきたいんですが、違法情報を含んでいると、含んでいるけれども、その違法性の判断というのは、この場合、この法律の場合は民間主体が判断をして対応するという理解でよろしいんですね。提案者に伺います。
  85. 松本剛明

    衆議院議員(松本剛明君) 御指摘のとおりでございます。  違法性のあるものについては、しっかりとその違法性をもってしかるべき法に従って適宜対応されるべきものというふうに考えておりますけれども、この法案において求めているものは違法、有害の情報に対してそれぞれ、例えば特定サーバーの管理者に対する、違法情報青少年有害情報に対する対応などを定めているところでございまして、この法案に対する対応に関してはそこを区別をしていないということになります。
  86. 松井孝治

    ○松井孝治君 分かりました。  もう少し具体的に伺いましょう。最近、硫化水素の製造方法などをサイトで明らかにし自殺を誘引するような、そういう情報が問題になっています。あるいは、学校裏サイトなどのネットいじめみたいなものもあって、だれだれ、具体的な個人名を挙げて、死ねというようなことが書き込まれて、そのことが一つの誘因になって自殺という痛ましい事件が起こってしまっている事例があります。あるいは、いろんな隠語を使った取引ですね、例えば鉄砲のことをレンコンと言ったり、実包をマメと言ったり、あるいは麻薬のことをハッパとかスピードとかエスとか、そういう隠語を、業界用語を使った取引誘引、こういうものは有害情報なのか違法情報なのか、それらの判断というのはだれが行うことになるんでしょうか。
  87. 高井美穂

    衆議院議員(高井美穂君) 個人名を挙げて死ねとかいう、そういう設例について言えば脅迫罪などに該当する場合もあるかもしれませんけれども、多くの場合は違法情報ではないというふうに思われます。麻薬取引と先ほど御指摘があった設例について言えば、隠語、業界用語を用いたとしても、それが違法な広告、誘引行為であれば違法情報であるということでございます。また、その個々の情報違法情報かどうか判断するのは、あくまでも閲覧防止措置を講ずるサーバー管理者であるというふうに考えております。
  88. 松井孝治

    ○松井孝治君 提案者にちょっと確認しておきたいんですが、違法情報も含めて民間が判断をするということに若干の違和感があるわけですが、それはこの法律で規定されている行為との関係で、もしそれが何らかの法的措置を伴うような、例えば削除命令とか、あるいは例えばプロバイダーの責任の免責とか、そういう法律的効果を明確に生じるものであれば、それはなかなか民間の判断でその効果を生ぜしめるという法構成は取りにくいけれども、この場合は民間フィルタリングであるとか民間の主体が行ういろんな努力義務であるとか一般的な義務規定にかかわるものであるから、それは民間主体が判断をしていると、そういう理解でよろしいでしょうか。
  89. 松本剛明

    衆議院議員(松本剛明君) 松井委員御指摘のとおりでございます。  あくまで、ここで民間で御判断をいただくのは、本法に定めるようなサーバーの管理者としてその閲覧防止措置をとっていただくなどのことをするためにそれぞれ御判断をいただくという意味での民間の主体ということでございまして、今設例でお挙げになった麻薬であるとか銃砲などの取扱い等についてはそれぞれの法律にのっとって、違法であるかということはそれぞれしかるべく判断をされて、法にのっとって処断をされるべきものというふうに考えております。
  90. 松井孝治

    ○松井孝治君 分かりました。  次に移ります。  第八条には閣僚会議会議というのが規定されています。これは午前中の参考人質疑でもここら辺の閣僚会議とか、あるいはその後に伺いますけれども、基本計画というのは何のためにやっているんだろうと、余りよく意味が分からない、法律的には、という指摘もあったわけですが。まず第一に、この閣僚会議というのはどういう必要性があって設けられたんでしょうか、法律事項として。
  91. 玄葉光一郎

    衆議院議員玄葉光一郎君) ただいま御質問のあった閣僚会議でありますけれども、国全体としてこの有害情報から青少年を守るということについて、一般的に言えばほとんど野放しだったというふうに申し上げてもよいのではないかと思います。個々のレベル対応していてもそれはまさに個々の省庁対応するというレベルでとどまっていて、果たして効果的な対策をこれまで講じることができたのかというと不十分だったのではないかと。  そこで、そういう意味では横の連携を取っていただかなくてはならないだろう。多くの案件に見られることでありますけれども、ここにおいても縦割りの弊害というのが出ているのではないかと。そういう意味において、全体として政府が一体となった効果的な施策を講じてもらうためにも閣僚会議というものを設けていただかなくてはならないと、このように考えたわけでございます。
  92. 松井孝治

    ○松井孝治君 分かりました。実態上のものでもいいような気もしますけれども、まあこれぐらいにしておきましょう。  それで、閣僚会議にかけて基本計画政府は作るわけでありますが、これはちょっとこういう情報がありまして、閣僚会議有害情報について一定の基準を定めると、そういうことを法案提出者のどなたかが与党内で説明されたという話が伝わってきています。まあ与党内ですから与党内の方から伝わってきています。  それで、この基本計画の中で、本当にその有害情報の基準というものが、そういうものを規定するという条項は私が見た限りではないんですけれども、それは含まれ得るのかどうなのか。もしそれが有害情報の基準というようなものを基本計画の中で策定するとしたら、具体的にどの規定を根拠として策定するのか、その辺りをしっかりと御答弁いただけませんでしょうか。
  93. 江崎洋一郎

    衆議院議員江崎洋一郎君) この基本計画では、インターネットの適切な利用に関する教育あるいはフィルタリング普及啓発技術開発、また民間におきます取組に対する支援等を定めております。  本法案におきましては、有害情報について、国はその定義について例示するにとどめてございまして、その判断基準の策定あるいは該当性の判断については、民間にあくまでゆだねているということでございます。そのため、この関係閣僚会議基本計画におきまして有害情報について一定の基準を定めることは、この法案理念、目的から想定してございません。
  94. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございます。大体分かりました。  大体分かりましたが、最後の文末が気になるわけでありまして、想定していないと。想定していないということは、これちょっと委員長に、責任ある立場で、今与党の話が出ましたんで、これはもう与党、野党を超えて合意をされて、委員長提案ですから、想定しないということは、想定はしていないけれども場合によってはそういうことはやり得るということでございましょうか。  委員長じゃなくていいですか。──委員長、松本議員を御指名ください。
  95. 岡田広

    委員長岡田広君) 松本衆議院議員
  96. 松本剛明

    衆議院議員(松本剛明君) 委員長から改めて御回答いただけると思いますけれども、想定をしていないというより、この法律におきましては表現の自由の尊重であるとか民間の自主的な取組というのを尊重するということを基本的にうたっておりますので、この基本計画については、もちろん法で定めるところは大きなところを定めているわけでありますが、今おっしゃったような一定の基準を定めるというのは法の趣旨には合わないものであるというふうに考えておりますので、計画にはこういったものは入ることにはならないというのが私どもの解釈だということでございます。
  97. 松井孝治

    ○松井孝治君 今、与党、野党からそれぞれ御答弁がありましたんで、では委員長立場でその有害情報の基準というようなものが、この基本計画の中で入らないという趣旨について責任ある御答弁をいただいておきたいんですが。
  98. 玄葉光一郎

    衆議院議員玄葉光一郎君) お二人の御答弁で尽きているとは思いますけれども、委員長として改めて申し上げれば、今回の法律民間の自主的なあるいは主体的な取組の後押しをするというのが基本的な理念でございますので、そういった基本理念あるいは目的から考えると、この法律においてこの閣僚会議基本計画において有害情報について一定の基準を定めるということはないというふうに解していただいて結構でございます。
  99. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございました。  上川大臣が御出席いただいておりますので、上川大臣、先ほどもちょっと縦割りの話申し上げましたけれども、この法律が成立した後のことでありますが、今まさに、午前中も有害情報の基準をやっぱり国が定めようとしているんじゃないかと、何だかんだ言いながらこの閣僚会議でかけて基本計画の中に定めようと思ったら定められるじゃないかと、それは非常に危ないことである、危惧するということは明確に複数の参考人からそういう議論がございました。  今の提案者の御答弁も踏まえて、しかし戦略的にはきちんと上川大臣の下でこの制度を運用していく、今の趣旨を踏まえてしっかり運用をしていくということを御答弁いただいておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  100. 上川陽子

    国務大臣(上川陽子君) ただいま御答弁がございましたとおり、表現の自由の尊重と民間の自主的・主体的取組の尊重ということでの法案ということでございまして、基準作りは民間にゆだねるということの中での定義をしていらっしゃるということでございます。  法の趣旨にのっとって適切にしっかりと対応してまいりたいというふうに思います。
  101. 松井孝治

    ○松井孝治君 大臣からも明確な答弁いただいて、ありがとうございました。  次に進みます。  メディアリテラシーの話は、本当はもう少し議論をしたいと思っていたんですが、池坊副大臣が御答弁をして別の委員会に移られましたので、次、第十七条について伺いたいと思います。  第十七条は、携帯電話インターネット接続役務提供事業者の責務を定めていますけれども、携帯電話とPDAの境界などがどんどん不分明になっていく中で、携帯電話インターネット接続役務提供事業者の定義というのはどうなっているんでしょうか。
  102. 高井美穂

    衆議院議員(高井美穂君) 本法案における携帯電話インターネット接続役務提供事業者は、携帯電話端末又はPHS端末からインターネット接続を提供する電気通信サービスで、青少年青少年有害情報閲覧をする可能性が高いものとして政令で定める携帯電話インターネット接続役務、第二条第七項でございます、これを提供する電気通信事業者をいいます。第二条の第八項に入っております。したがって、携帯電話端末又はPHS端末そのものを用いてインターネット接続ができるサービスが対象となります。  また、政令で青少年青少年有害情報閲覧する可能性が高いものとして定める電気通信サービスについては、具体的には今後政府において青少年利用実態を踏まえて定めることというふうにしております。
  103. 松井孝治

    ○松井孝治君 政令にゆだねるということですから、しっかりと政令を規定していただく。政令にゆだねるというのはいろんな技術の発展ということも踏まえてしっかり書いていくということでしょうから、そのことはお願いしておきたいと思います。  次に、フィルタリングサービス提供義務というのは、携帯電話事業者、今の十七条のところと、次は十九条でしたか、パソコン製造事業者、パソコンとは書いてないですが、一般的には一番多いのはパソコンだと思いますが、パソコン製造事業者、これは義務規定が違うわけですね。  ところが、今の話とも関連するんですが、現在では携帯電話とパソコンという二分法ということでは明確に端末を判断できないような端末がどんどん増えているわけであります。例えば、PSPとかアイポッド・タッチとか、アクトビラ対応テレビとかスマートフォンとか、ちょっと私も直ちにどれがどれか秋葉原へ行っても区別が付かないようなものがどんどん出てきているわけで、これに対してきちんと民間事業者に対してどういう義務規定が掛かるのかということを明らかにしておく必要があると思いますけれども、今申し上げたようなもの、それぞれ十七条で定める責務を負うのは何なのか、あるいは十九条で定める責務を負うのは何なのか、ある程度具体的に例示をしながらお答えいただけますか。
  104. 高井美穂

    衆議院議員(高井美穂君) 御指摘の点は、最近市場に登場しているモバイル情報端末機器等についての御質問というふうに思います。  この携帯電話端末とPHS端末については、第十七条の規定に基づいて携帯ISPがフィルタリングサービス提供するということを義務付けるものとなっています。一方、携帯電話端末、PHS端末以外のモバイル端末機器等については、第十九条の規定に基づいて当該端末を製造する事業者に対してフィルタリングソフトウエアを組み込むことやフィルタリングサービス利用を容易にする措置を講じた上で機器を販売するという義務を課しております。  先生から御質問のあった新たなモバイル情報端末機器等については、基本的に第十九条が適用されるものというふうに考えております。
  105. 松井孝治

    ○松井孝治君 先ほど一部言及がありましたけれども、十九条のただし書で、ただし、青少年による青少年有害情報閲覧に及ぼす影響が軽微な場合として政令で定める場合はこの限りではないという、そういう規定があるんですね。  これは一つ間違うと全部規定逃れになってしまうというふうにも思うわけでありますが、具体的にこの政令で定める場合というのはどういうものを想定しておられるんでしょうか。
  106. 高井美穂

    衆議院議員(高井美穂君) 御指摘のあった点、具体的には企業の業務用などとして出荷されるパソコンや、少量生産される一部マニア向けのパソコン、インターネット機能は付いているけれども実際にそのような使い方をしないゲーム等を想定しておるわけであります。
  107. 松井孝治

    ○松井孝治君 それが嫌らしいわけですよ、それが。そういう機能が付いているけれどもそんな使い方はしないだろうとだれが判断するんですか、それは。役所が判断するんですか、それ。そういうことだと、結局恣意的な運用になってしまうんじゃないかという、私はそこを恐れて質問している。そこのつぼにはまっていただいたわけでありますが、ちょっと補足的に、訂正答弁でも結構ですからいただけますか。
  108. 松本剛明

    衆議院議員(松本剛明君) 先ほどのモバイルに対する御質問も同様でございます。現在の区分、この法律では、端末の形態とか法の適用で対応していくということで、十七条と十九条、義務の違う形の負担をそれぞれしていただくことになりますが、この法で求めているのは、それぞれの民間の主体が、子供たち青少年に対して、例えばフィルタリングサービスを通してしっかりと青少年有害情報に対する対策が取られることでありまして、この対応によって携帯の皆さんにはフィルタリングサービス提供を義務付け、また、パソコンについてはそういったソフトウエアの提供を義務付けているわけでありますが、自主的にそれがやはり機能するように民間の団体に取り組んでいただきたいという趣旨で本法の制定をお願いをしているところであります。  その意味では、この十九条のただし書につきましても、このただし書を入れました趣旨は、過度に、関係をする中小のプロバイダーであるとかパソコン製造メーカーとかに過度の負担を与えることのないようにという意味でこのただし書を設けたわけでありますが、今、松井委員御指摘のように、この政令の範囲が著しく広くなることによって本法の趣旨を逸脱する場合は、私どもとしても、国会としてもこの運用はしっかり監視をしていく必要があると思いますし、今答弁を申し上げましたが、そういう意味では業務用、それから一部マニア向けなどが対象となるものと思いますが、私ども提案者としては、ゲーム機などは、インターネット機能が付いていれば、やはりフィルタリングサービス等を掛けていただくべきであるというふうに考えております。
  109. 松井孝治

    ○松井孝治君 ちょっと玄葉委員長にお答えいただきたいんですが、今ちょっと答弁者二人によってニュアンスが違いましたが、委員長として責任持っていただくのは後の方の答弁だというふうに解してよろしいですか。
  110. 玄葉光一郎

    衆議院議員玄葉光一郎君) 後者の方で結構でございます。
  111. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございました。  なかなかやっぱり、一生懸命法案作られている方々でも混乱することもあるぐらいどんどん技術も進んでいますし、いろんな商品も、新しい商品が開発されていて、確かにこれはもう付加的にこの機能は付いているだけというふうに見なされるものはあるかもしれませんが、じゃ、そこは適用対象にならないということになったら、多分、子供たちはやっぱりそこに流れ込んでいくと思うんですね。だから、パソコンで見ないで、例えばPSPでインターネットを、それがもしフィルタリング義務が掛からないんならそっちで見ようというふうに流れていくと思うんで、そこは十分慎重に御判断いただきたいと思います。  それとも関連するんですが、例えば今、リナックスマシンというのは基本的には法人向けで、一般の個人は使っている方は非常に少ないと思うんで、そういう意味では、リナックスマシンがさっきおっしゃったような政令で定める適用除外というふうに解するのかもしれませんが、これ、楠参考人に伺いたいんですが、リナックスマシンイコールもう法人向けで、青少年がそういうものは基本的に使わないと、今そういう実態なのか、あるいは今後の新商品、新しい技術の開発の流れから見ると必ずしもそうでもないのか、その辺りを楠参考人から御教示いただきたいと思います。
  112. 楠正憲

    参考人(楠正憲君) 今御指摘の点につきまして、既に日本国内でも大手家電メーカー二、三社からリナックスを使った廉価なインターネット接続可能な端末が販売されているという状況がございます。  また、世界の流れを見ましても、今大体人口六十億人の中で十億人近くがコンピューターを使っているんですけれども、残りの五十億人の方々にきっちりインターネットの恩恵というものを広げていかなくてはいけないという考えで、例えばMITなんかでは百ドルのパソコンでもって生徒一人一人に一台一台のコンピューターを配っていこうというようなプロジェクトをやられていまして、これなんかはリナックスを使っておりますし、また、今年の夏ぐらいから、いわゆるモバイル・インターネット・デバイスというものがかなり市場に多く出てきまして、これが大体パソコンの半分ぐらいの価格でインターネットに自由につなげるものになりますけれども、海外の例を見ますと、こういったものにリナックスが採用されている例というのは非常に多くございますので、今後は青少年利用し得る端末でリナックス等が採用されるということは増えてくるのではないかというふうに考えております。
  113. 松井孝治

    ○松井孝治君 まさにそういうことだと思うんです。午前中の参考人でも、中村伊知哉参考人が、まさにMIT、中村さんはMITのフェローでもありますから、MITで百ドルPCという構想があって、そういうことで世界の子供たちインターネット普及させようという運動をしておられる。まさにそういうものが例えば政令で除かれてしまうということがないように、政令の書き方も余り、そういう意味では、リナックスマシンを規定するような政令の書き方がいいのか工夫をしていただいて、しっかり、きちんとフィルタリングが掛かっていくように施行をしていただきたい、この点は上川大臣にお願いをしておきたいと思います。  次に参ります。  そういう意味では、法案提出者は、もうほとんど、うなずいておられるからいいですね、政令もきちんと適宜改正をしていただかなければいけないし、そしてきちっとその書き方も工夫していただいて、硬直的になって実態から乖離しないように努めていただきたいと思いますが、努めますと言うだけで結構です。
  114. 松本剛明

    衆議院議員(松本剛明君) 御指摘の政令は、この除外の政令という理解でよろしいんでしょうか。
  115. 松井孝治

    ○松井孝治君 はい。
  116. 松本剛明

    衆議院議員(松本剛明君) この除外をするという意味では、ですから、やむを得ぬ場合、過度の負担になる場合に除外をするわけでありますので、先ほど委員御指摘のとおり、本法の趣旨に沿って青少年のためにしっかりとこの対応ができるような定め方をしていただきたいというふうに私どもは政府の方に求めていきたいし、国会の方ではその政令の定め方、また運用について監視をするように努めていきたいというふうに思っております。
  117. 松井孝治

    ○松井孝治君 繰り返しになって恐縮ですが、例えばその機器の普及が始まったばかりだとか、あるいは従たる機能で主たる機能ではないとか、そういうことで解釈されると、すぐさま、もう数か月単位でその規定は陳腐化して、それが主たる機能になる。あるいは、爆発的に数か月で売れて子供たちが持つなんてこともあるわけですから、是非この規定で余り、何というんでしょうか、これはまだ出始めだからというようなことではなくて、本当に政令も、政令の手続も面倒くさいかもしれませんけど、小まめに改定をしていただくようにお願いしておきたいと思います。  楠参考人にもう一つ、ちょっと技術的なことですが、大事なことなんで伺っておきたいんですけれども、先ほどちょっと例示しましたPSPとかアイポッド・タッチとかアクトビラ対応テレビとかリナックスマシン、これ、それぞれに組み込み可能なフィルタリングソフトというのはあるんでしょうか。
  118. 楠正憲

    参考人(楠正憲君) 残念ながらまだ市場に出て間もないということもございまして、個別にフィルタリングサービス等が提供されているデバイスはPSP等に限られるというふうに考えております。また、こういった機器は組み込み機器でございまして、後からフィルタリングソフトウエア等を導入することが難しいといった制限もございます。  ですけれども、元々多くの機器がプロキシーサーバー設定機能という、いわゆるインターネットに接続する際のサーバーを指定する機能を持っておりまして、PSP向けにフィルタリングサービス提供しているベンダー等もこのプロキシーサーバー設定機能を用いて提供しておりまして、同様のことはデジタルテレビ等でも対応可能であろうというふうに考えております。  また、現段階で幾つかのデバイスにつきましてはプロキシーサーバー設定機能を持っていない現状がございますけれども、こういった機器もファームウエアの更新で容易にこういった機能を付加できるようには作られておりますので、今回のような法律ができることによってそういった適切な対応を促すことができるのではないかというふうに考えております。
  119. 松井孝治

    ○松井孝治君 ほとんど普通に聞いていても分からないと思うんですけれども、後でよく議事録を精査をいただいて、専門家の御意見ですので、参考にしていただきたいと思うわけでありますが、十九条の規定を見ますと、要するに、まあコンピューターなんかは典型ですが、そういう機械の場合には、携帯電話等でない場合には、フィルタリングソフトウエアを組み込むこと又はフィルタリングサービス利用を容易にする措置を講ずるということが書いてあるわけですね。  例えば、僕が聞いたことは、フィルタリングソフトウエアを組み込むことができない端末がありますねと言って、それはありますという話だったわけです。その場合、後者の方の、フィルタリングサービス利用を容易にする措置を講ずるということが求められるわけでありますが、例えば今参考人がおっしゃったような言葉で言うと、組み込みソフトが現時点でないという場合はプロキシーサーバーの設定機能提供することをもってして、この十九条に言うところのフィルタリングサービス利用を容易にする措置であると、そういうふうにみなしていいかどうか、これは法案提案者の見解を伺いたいと思います。
  120. 松本剛明

    衆議院議員(松本剛明君) 松井委員御指摘のとおり、そういった措置フィルタリング利用を容易にする措置を講じたものというふうに解されると考えているところでございます。
  121. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございます。  楠参考人に伺いたいわけですが、この法案有害情報から青少年を守る一つの大きな手だてとしてフィルタリングというのを採用しています。午前中の参考人質疑でも、しかしフィルタリングというのは決して万能ではないと、しかも技術的に言うと、それがずっと有効であるかどうかも分からないというようなお話もありました。  フィルタリング以外に青少年が有害な情報にさらされないようにする、あるいは青少年だけに限りませんけれども、大人も含めて違法な情報、いろんなトラブルに巻き込まれないようにするために、今のインターネットの世界ではどういう技術が有効なものとして考えられるのか、具体的に例示いただけませんでしょうか。
  122. 楠正憲

    参考人(楠正憲君) 様々な技術がございまして、例えばネットいじめ等に関しましては電子メールでの中傷等も非常に大きな問題になっておりますけれども、こういったものに対して、保護者子供のネット利用状況を確認して、いじめられているというような状況にいち早く気付くことのできる機能でございますとか、あるいは中毒といったことが言われておりますけれども、こういったものに対して利用時間についてきっちり保護者が管理をしていく仕組みでございますとか、あるいは最近、パーソナライズといいまして、元々その人に適したコンテンツを表示するような機能というのが提供されておりまして、その人が見ても大丈夫な、有害情報を含まないコンテンツをあらかじめ提供する機能、様々なものが提供されているということがございます。
  123. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございます。  提案者に伺いたいんですが、今お話があったような、本人確認とかセルフラベリング、あるいはゾーニングを企図したパーソナライズ、ペアレンタルコントロール、ペアレンタルコントロールは午前中、中村伊知哉参考人からもお話があったわけであります。そういう新たな技術がいろいろ青少年に対して、青少年有害情報から守る技術として想定されるわけですが、こういうフィルタリング以外の技術開発推進とか、あるいは精度の向上、ブロッキングなんというのもありますね、ちょっとこれは違うのかもしれませんけれども、そういうものもこの法案では技術開発支援普及支援の対象になるかどうか、伺いたいと思います。
  124. 松本剛明

    衆議院議員(松本剛明君) 委員御指摘のとおり、様々な今御案内がありましたような技術、こういった技術開発が進むことは有害情報から青少年を守るために大変有益であるというふうに私どもも考えておりまして、本法の三十条の定める支援というものは、幅広くこういった青少年有害情報から守るための措置を行うことを全体的にも支援することを想定をしているというふうに私どもは考えておりますので、今御指摘があったような技術の開発等についてもこの三十条を基に政府において支援を行っていただきたいというのが私ども提案者の期待するところでございます。
  125. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございます。  次に伺いたいのは、二十四条以降のフィルタリング推進機関の登録でありまして、ここもまた今日の午前中でも非常に懸念を表明する方がいらっしゃいました。こういう登録団体、登録という形で行政が関与することによってそこで何が行われるのか、その登録の効果というのは何があるのか、余り趣旨がよく分からない、中村参考人などもそういう御発言をされていたわけでありますが。これは提案者と、必要に応じて総務省、経産省からも御答弁をいただきたいと思うんですが、主務大臣が総務相、経産相でございますので。  この登録を受けた場合の効果というのは何なのか、民間への支援を引き出すという趣旨なのか、逆に言うと、登録を受けない団体のフィルタリングソフトの技術開発調査研究は国から支援を受けられないということを意味するのか。これは役所に聞いた方がいいですか。経産省、総務省、それぞれ局長お見えいただいておりますけれども、御答弁いただけますか。
  126. 寺崎明

    政府参考人(寺崎明君) お答えいたします。  まず、効果ですけれども、私どもとしましては、フィルタリング推進機関が行うフィルタリングサービスに関する調査研究及びその普及啓発活動又は技術開発につきまして、必要な情報提供や関連する施策の共同立案等の支援検討してまいりたいと思っております。  なお、登録したフィルタリング推進機関以外のフィルタリング推進業務を行う者につきましても支援検討してまいりたいというふうに思っております。
  127. 岡田秀一

    政府参考人岡田秀一君) 私どもも全く同じような考え方に立っておりまして、青少年有害情報から守るためにはフィルタリングの性能向上と利用普及を促進することが最も重要な施策一つであると考えておりますので、登録機関に対しましては、フィルタリング推進機関が行う技術開発普及や啓発が有意義なものとなるように必要な情報提供などを通じてできる限りの支援をしてまいりたいと存じますし、また、それ以外の民間団体につきましても積極的な支援を講じてまいりたいと考えております。
  128. 松井孝治

    ○松井孝治君 分かりました。  そうすると、ちょっと提案者に伺いたいんですが、登録があってもなくても支援するんだったら、何で登録が必要なんですか。
  129. 松本剛明

    衆議院議員(松本剛明君) この点については大変議論のあったところでございますけれども、そういう意味では、第二十四条にも、「青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能の向上及び利用普及を目的として、次に掲げるいずれかの業務」、フィルタリング推進業務と定義をしておりますが、「を行う者は、総務大臣及び経済産業大臣の登録を受けることができる。」と、こういう規定になってございます。  登録を受けるというステップを踏むことによって国との関係情報提供を受けるなどといったことによる登録のメリットというのが生じてくるということ、これを、団体によって希望をすれば登録を受けることができるということでございますから、受けるということができるということで登録の機関を設けたものでございます。  ただし、今お話がありましたように、登録を受けない団体であるから支援等の対象にならないということであってはこのフィルタリング普及促進を進めていきたいという本法の趣旨に合いませんので、そういった者についても支援の対象としていただきたいということで全体としてこの法律を組み立てたということでございます。
  130. 松井孝治

    ○松井孝治君 分かりました。  その登録機関の事務に具体的にフィルタリングソフトの性能指針みたいなものは入るんですか。
  131. 江崎洋一郎

    衆議院議員江崎洋一郎君) 繰り返しになりますが、フィルタリング推進機関の業務は、一つフィルタリングソフト又はフィルタリングサービスに関する調査研究及びその普及啓発であります。そして、二つ目にはフィルタリングソフトの技術開発支援ということを挙げさせていただいておりまして、これらいずれかが登録業務でございまして、今御指摘のありましたフィルタリングソフトの性能指針につきましては登録業務ではございません。
  132. 松井孝治

    ○松井孝治君 今度は想定していないということではなくて、ないとはっきり言い切っていただきましたので安心をいたしました。ここも非常に懸念が午前中も表明されていた部分ですので、よろしくお願いします。  経済産業省、総務省は特段、今の解釈でよろしいですよね。もううなずいておられますから、それで結構です。  次に、二十四条の主務大臣ですね。総務省、経産省に来ていただいておるわけですが、総務大臣、経産大臣並んでいるわけでありますが、いつもこの二つの役所はセットで並ぶわけですが、今回はこれはどういう趣旨総務大臣経済産業大臣が、縦割りはもうやめようというふうにおっしゃっているんですが、二つ並んでいるというのは趣旨はどういうことなんでしょうか。
  133. 松本剛明

    衆議院議員(松本剛明君) 縦割りの弊害については御指摘のとおりでございますが、冒頭御答弁を申し上げたように、本法は青少年対策という意味では総括的に青少年担当の方でお取りまとめをいただきたいというのが私ども提案者の希望でございますが、この登録の扱いにつきましては、電気通信業の関係を所管をする総務省、それから情報処理に係るものを所管をする経済産業省のいずれにもやはり携わっていただくべきだろうということで両大臣の所管という形で本法を定めたところでございます。
  134. 松井孝治

    ○松井孝治君 あと、先ほど三十条の方に登録の効果は必ずしも影響しないという話がありましたけれども、三十条の一号は登録事務に係る推進機関でありますが、二号から八号に定める団体とか事業者、これはこの法律上何らかの主務大臣規定が掛かるんでしょうか、掛からないんでしょうか。
  135. 松本剛明

    衆議院議員(松本剛明君) 法律としては、先ほど申し上げたような趣旨での運用を期待をしているわけでありますが、それぞれの団体、事業者等が業務内容によって監督官庁を有するということはあると思いますが、法律としてこの主務大臣というのは、先ほどの冒頭の議論を除くほか、それぞれのというのは、先ほども、今申し上げたように、業務内容等によりというふうにお考えをいただくのが適切ではないかというふうに思います。
  136. 松井孝治

    ○松井孝治君 分かりました。  サーバー管理者有害情報閲覧防止措置努力義務をこの法律は課しているわけでありますが、その以前に、やっぱりその発信者、もとの部分の、サーバー管理者の義務も分かりますけれども、もとの発信者の取締りというものをしっかり強化していかなければいけないんじゃないかと思うんですが、提案者はどういうふうに考えておられますか。
  137. 笹木竜三

    衆議院議員(笹木竜三君) 御質問のとおりで、このインターネットで発信された違法情報について、情報の仲介者にすぎないサーバー管理者よりも犯罪を発した発信者がはるかに大きな責任がある、これは明らかであると思います。是非、発信者の取締りの強化、これが今後の課題としては重要だと思いますが、特に、例えばサイバーパトロールにかかわるようなITの人員、こうしたものの適正な配置が非常に大事じゃないかというふうに思っております。  しかし、インターネットにおいては発信者の特定が困難な場合とかも非常に多いわけですから、捜査のみで対応することは困難でもあります。本法案にあるように、サーバー管理者有害情報閲覧防止措置努力義務を課すこともそういう面でも必要だと考えております。
  138. 松井孝治

    ○松井孝治君 今の御答弁はありがとうございます。  それで、今後、そういう発信者に対する取締りという意味では、警察庁に伺いたいんですが、違法情報、これはサイバーパトロールを今一生懸命やっておられるの存じ上げていますが、やっぱりもう少し積極的に、情報収集だけではなくて検挙をしていくべきではないか、そこの部分がどうしても野放しになっているという批判があります。この点についてはどう取り組んでいかれますでしょうか。
  139. 片桐裕

    政府参考人(片桐裕君) インターネット上に大変違法情報がはんらんをしておりまして、これは大変大きな問題であると私ども認識しています。我が国の治安問題を考える上で避けて通れない大変重要な問題だと考えています。  そこで、まず取締りでございますけれども、そのためには警察としてはまず実態の把握がどうしても必要でございますので、今御指摘があったように警察自身がサイバーパトロールを行っていると。このほかに、インターネットホットラインセンターの運用等によってインターネット上にはんらんする違法情報のまず実態把握に努めているところでございます。  そこで、取締りでございますけれども、私どもとしては、こうして把握した違法情報について、特に悪質な事犯に重点を指向した取締りを鋭意推進しているところでございます。  しかし、もとより委員御指摘があったように、私ども今やっている取締りがこれで満足すべきレベルであるとは、また十分であるとは私ども考えておりませんで、更に努力していかなければならないというふうに考えています。  しかしながら、他方で、インターネット上にはんらんする違法情報は大変膨大でございまして、これを捜査だけで解決するということはできないわけであります。捜査等の取締りも大変大事でございますけれども、むしろ大事なのは、現実空間において犯罪の予防ということをやっておりますけれども、これはネット上においてむしろより大きなそういった重要性がこの犯罪の予防については重要性を持っているというふうに認識しておりまして、したがって、いかにこの違法情報インターネット上からなくしていって被害を防止するかということが大事であるというふうに考えております。このために、警察では警察自ら違法情報の削除の要請を行っております。  このほかに、今申し上げましたインターネットホットラインセンターに委託をいたしまして、ここから違法情報の削除依頼を行うということもやっているわけでございますが、ただ、こうした努力だけでもまだまだ不十分であると。独り警察努力だけでは不十分でございますし、したがって関係の機関とか団体とか事業者、さらにはインターネットに参加する様々な方々、みんなができることをし、力を合わせてこういった違法情報をネット上からいかに駆逐していくか、そのための努力を今後とも強化していくことが大事だというふうに考えております。
  140. 松井孝治

    ○松井孝治君 是非しっかりお願いしたいと思います。  今日は刑事局長もおいでをいただいております。規制薬物に関していろんな情報がネット上に散見される。隠語を使われてそれが書かれている。それで現実にそういう取引に手を染めていく、いろんな犯罪に巻き込まれていくというケースが多々あるわけでありますが、これは、薬物捜査を主管する刑事部門が当該書き込みが法に違反するかどうかについて法の所管省庁である厚生労働省ときちんと協議をして、やっぱり積極的にもっと検挙できる体制を構築すべきではないかと考えるんですが、御答弁をいただきたいと思います。
  141. 米田壯

    政府参考人(米田壯君) 先ほどの生安局長の答弁と少し矛盾するようなことを申し上げますが、フィルタリングの導入であるとかいろんなネット上の削除をするとかというのは大変重要で、これは薬物に関しましてもその乱用防止に非常に役立っていると思います。しかしながら、これだけでありますと、犯罪者の方は言わばリスクがなくて、言わば駄目元でネットに、いろいろ掲示板に書き込んだりサイトを開設したりということでありますので、どうしてもやはりやれば捕まるかもしれないと思わせるということがこれは乱用防止に極めて重要であるというように考えています。  そこで、警察自体のサイバーパトロールあるいはホットラインセンターからの情報、それから末端乱用者を捕まえたときに、その供述から実は買ったサイトが分かるということがございます。それを突き止めて、そしてそのサイトで売っている密売人の方を検挙をするということを進めておるわけでございますが、その際は、今御指摘の言わば広告とか唆しとかいうことで検挙することもございますが、やはりより重い譲渡しという犯罪で検挙をすることが多いわけでございます。  特に最近は、有効な手法として私ども都道府県警察にノウハウをいろいろ還元をしておりますのは、いわゆる買受け捜査でございまして、ネット上、そういうものを見付けた場合に、顧客を装って警察の方がこれを買うと。そしてその相手をおびき出して、その場で検挙することもあれば、しばらく泳がしてさらに本拠地を突き止めるというようなこともやります。これをやりますと、もうネット上からそういう違法・有害サイトが次々と閉鎖されていくと。非常に大きな衝撃を言わば密売人側に与えるということでございまして、今後とも、厚生労働省はもちろんでございますが、現場では検察庁もそうでございますが、関係省庁と連携しながら、こういう積極的な取締りに努めてまいりたいというように考えております。
  142. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございました。  もう少し本当は詳しく議論したいんですけれども、時間がありませんので次に移ります。  附則四条に、いわゆる違法情報についての削除免責規定についての検討条項が盛り込まれておりますが、そもそも個別の情報違法情報に該当するか否かはだれが判断するんでしょうか。
  143. 笹木竜三

    衆議院議員(笹木竜三君) この法案においては、サーバー管理者によって違法情報、公衆閲覧防止措置を講じた場合における損害賠償責任の制限の在り方、これについて今後の検討課題としております。文字どおり、今後の検討にゆだねることになりますが、ただ、類似のプロバイダー責任制限法の規定を踏まえると、第一義的にはサーバー管理者が判断するということになるのだと思います。また、その内容が民事上の損害賠償責任についての特別の措置であることにかんがみると、最終的には裁判所において判断されることになるんだろうかと思います。
  144. 松井孝治

    ○松井孝治君 今、裁判所という話が出ました。そこは重要なポイントだと思うんですね。  その免責の部分だけじゃなくて、今後の違法情報閲覧防止等の措置検討する、そういう検討すべきだという意見が各党の中であるのは、特に自民党の中であるということは承知しているわけでありますが、そういう際に、違法性の判断というのはいかなる主体が行うことが適切なのか。原則として司法判断にゆだねるべきか。行政庁の中で違法性を判断する主体は法律の所管官庁というふうに解すべきなのか。警察あるいは総務省の横断的な違法性の判断、警察あるいは総務省というのは必ずしも横断的な違法性の判断権限を有するものではないと私は思いますけれども、この辺りについて提案者の御見解を伺いたいと思います。
  145. 江崎洋一郎

    衆議院議員江崎洋一郎君) 今、松井委員御指摘のとおり、この法案検討におきましても熱心な議論がこの違法情報対策については行われてきた次第でございます。  その中で、今御指摘のありましたように、違法か否かの判断は最終的に裁判所で行われるものでありまして、その前に行政庁による判断だけで命令、罰則まで行うのは行き過ぎの可能性があるという議論もあったことは御報告申し上げたいと思います。  また、違法情報は大人にも見せるべきでないものもあるわけでありまして、これを本法案に盛り込むことは有害情報から青少年を守るという本法案の枠組みを超える可能性がある。  いろいろな議論がありましたが、先ほどのポイントで申しますと、最終的に裁判所で行われるものでありまして、違法か否かの判断はですね、こういった議論がかなり強く行われたということでございます。
  146. 松本剛明

    衆議院議員(松本剛明君) 今、江崎議員の方からお答えを申し上げたとおりでございますが、違法情報対策が極めて必要であるという認識は提案者共有をしているところでございます。ただ、表現の自由、通信の秘密にかかわる問題であるだけに、取れる対策については今後とも司法の枠組みを生かしていきながら是非考えていただきたいということを今回の提案者共通の認識として改めて申し上げたいと思っております。
  147. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございました。  私が伺ったのは別にそういう違法情報の削除みたいなことをどんどんやれという意味ではなくて、むしろそこは慎重に議論しなければいけない、そのためにもだれが違法情報の判断を、例えば削除のような強制措置に対しては持つのかということを明確にしなければいけないという意味で、午前中の質疑も踏まえて申し上げたものであります。  そして、もう時間ですので、最後の質問になるかもしれません。  この法律のそもそも目的が何なのかということにもかかわる質問なんですけれども、附則三条というのがありまして、この附則三条の今後の見直しというか、検討の規定というのはどういうことを勘案して行うかということについて質問していきたいと思います。  インターネットに関連しては青少年犯罪被害事案の抑制がこの法律の法目的なのかどうか、そこも含めて附則三条の規定というのはインターネットに関連した青少年犯罪の抑止がかなわなかったときには規制を強化するんだと、そういうふうに解釈するのか。私は、そんなシンプルなものではなくて、犯罪件数というのは当然フォローしていかなければいけないし、ウオッチしていかなければいけないけれども、いろんな要因で犯罪というのは起こるわけであって、犯罪が増えたらこの規制が緩かった、したがって規制を強化しなければいけない、こういうシンプルな理屈で安易に規制強化を行うべきではないと考えるわけでありますが、この法律の目的、そして附則三条の規定の趣旨、どういう場合に規制を見直すのか、そのときに例えば強化するのかという趣旨を少し御説明いただきたいと思います。
  148. 松本剛明

    衆議院議員(松本剛明君) 本法では、その意味では効果としては青少年インターネットに関連して被害に遭わないようになるということを期待をしていることは間違いないところでございますが、本法案の目的は、題にもありますように、青少年が安全に安心してインターネット利用できるようにすることということでありますし、またこの第一条の目的にも、青少年の権利の擁護に資するというふうに記しましたのも青少年が意図せずに、若しくは図らずも接したくない情報に接することがないようにする権利が青少年にはあるんだと、情報を言わば自ら管理をする権利があるんだということを私どもとしては考えておりまして、そういったものを確保するためのこの法律ということになります。  その意味では、犯罪が増えたとかそういった事実をもってこの見直しに端的につながるものではないというふうに考えておりますし、またこの法律を制定をするに当たっても、表現の自由、通信の秘密などを考えますと、そもそも規制を今回も青少年の大変な今の危機的な状況にかんがみれば、やむを得ずせざるを得なかったという状況でこの法律は制定をされているものというふうに解しておりますので、今後も更なるリテラシーの強化などといったことも考えられると思いますが、一概に規制強化というものは私ども提案者は考えていないというふうに申し上げたいと思います。
  149. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございました。  終わりますが、何か一言委員長が御答弁を求めておられますので、お願いします。
  150. 玄葉光一郎

    衆議院議員玄葉光一郎君) ただいまの点でありますけれども、今、松本委員から答弁があったとおり、単純に規制強化というものを念頭に置いているわけではございません。ただ、委員長としては、やはり特にインターネット関係者の皆さんに、今回の有害情報から子供を守るということについての施策のほとんどを、まさに民間の自主的、主体的な取組にゆだねているわけでございます。したがって、そのゆだねているということの意味をインターネット関係者の皆様にはよくお考えをいただきたいと、そういうことは併せて申し上げておきたいと思います。
  151. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございました。  終わります。
  152. 松村龍二

    ○松村龍二君 自民党の松村でございます。  会期末とも言われるようなこの通常国会の終末の時期に、この法案が我が内閣委員会に審議されるということは大変感慨深いことであります。この法案をまとめるに当たりまして、それぞれの主張をされてこの法案に寄与されたということに対して敬意を表する次第でございます。  まず、総務省に御質問申し上げます。  現在、小学生の三割、中学生の六割、高校生の九割以上は携帯電話を所持している状況で、そのほとんどがインターネットへの接続可能となっており、急速にその利用が広まっているというふうに言われます。携帯電話及びインターネットは生活に欠かせないものとなっており、有益なツールである反面、そのマイナス面として違法・有害情報が多く流通していることが問題となっています。  昨今は、テレビを見ておりましても、インターネットが有害、違法な情報に接しないように通話機能が三本だけあるような携帯を品川区ですか、全児童に配っておるというふうな報道ほか、毎日毎日このインターネットに関する情報が町にあふれ、テレビ等にあふれるわけでございます。  また、大変ショッキングだったのは、今回の秋葉原の事件に関しましても、直接今日審議する分野でありませんけれども、携帯電話があのように利用されているということを見るわけでございます。  このような違法・有害情報から青少年を守る手段としてはフィルタリングサービスが有効であり、今回の法案でもフィルタリングの導入促進が重要な施策一つとして位置付けられております。また、フィルタリングの対象となる青少年有害情報について例示をしています。  そこで、総務省にお伺いしますが、現在の携帯電話フィルタリングサービス有害情報としてアクセス制限の対象となっている情報はどのようなものでありましょうか。  また、本法第二条第四項で例示をいたしております。有害情報を例示すると、次のとおりである。一、犯罪若しくは刑罰法令に触れる行為を直接かつ明示的に請け負い、仲介し、若しくは誘引し、又は自殺を直接的かつ明示的に誘引する情報、二、人の性行為又は性器等のわいせつな描写その他の著しく性欲を興奮させ又は刺激する情報、三、殺人、処刑、虐待等の場面の陰惨な描写その他の著しく残虐な内容情報という例示をしているようなわけでありますが、このような情報は対象になっているのでしょうか、お伺いします。
  153. 武内信博

    政府参考人(武内信博君) お答え申し上げます。  今御質問ございました携帯電話フィルタリングサービスでございますが、各事業者とも詐欺や薬物などの不法な行為に関する情報、自殺の方法などに関する情報、あるいは性行為などのわいせつな情報、それから死体画像などのグロテスクな情報、こういうものはアクセスできないようにというふうになってございます。したがいまして、本法案第二条第四項に例示されている情報につきましては、おおむね含まれているものと考えております。  また、このほかに、誹謗中傷ですとか家出に関する情報あるいは出会い系サイトなどにつきましてもアクセス制限の対象となっているところでございます。
  154. 松村龍二

    ○松村龍二君 一方で、そのほかにも、サイトを通じて青少年が事件に巻き込まれる例も多いと聞いています。例えば、携帯電話を通じて出会い系サイトにアクセスし事件に巻き込まれる事例が後を絶たず、実際、毎年年間千人を超える十八歳未満の青少年被害に遭っております。  また、文部科学省が公表していますが、いわゆる学校裏サイトと呼ばれるサイトが全国で少なくとも三万八千を超えるということであります。そのすべてに問題があるというわけではないのでしょうが、抽出調査をしたところによりますと、きもい、うざい等の誹謗中傷語が五割、性器の俗称などわいせつな語が約四割、死ね、消えろなど暴力を誘発する語が約三割含まれているということであります。  そこで、総務省にお聞きしますが、このようなインターネット上の違法・有害情報に対して携帯電話事業者やプロバイダー等はどのように対応しているのでしょうか。また、総務省はどのような取組を行っているか、お聞かせ願いたいと思います。
  155. 武内信博

    政府参考人(武内信博君) まず、発信者側の取組でございますけれども、プロバイダーですとか電子掲示板の管理者等は、インターネット上の違法な情報犯罪や自殺を誘発するなどの公序良俗に反する情報につきましては、契約約款等に基づく削除を行っているところでございます。  総務省といたしましては、こうした情報の削除等を促す観点から、電気通信事業体におけるインターネット上の違法な情報への対応に関するガイドライン及び違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項の策定、運用を支援しているところでございます。  また、受信者側の取組でございますけれども、青少年に有害な情報につきましては、携帯電話事業者ですとかISPにおいてその閲覧防止に有効な手段の一つであるフィルタリングにつきまして、平成十八年三月にフィルタリング普及啓発アクションプランを策定いたしまして、その普及啓発に努めているところでございます。  さらに、民間におきましては、コンテンツの健全化を目的といたしまして、青少年にとって有害でないサイトの基準を作成し認定する第三者機関、この第三者機関を設立いたしまして、その活動を開始したところでございます。  総務省といたしましても、特に青少年の出会い系サイト等の事件の多くが発生しております携帯電話、PHS、これらにつきましてフィルタリングの導入促進に関する要請を三回行ってきており、取組強化を促しているところでございます。  また、省内でインターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会を開催しておりまして、更なる対応につきまして今後とも検討してまいりたいと考えているところでございます。
  156. 松村龍二

    ○松村龍二君 それでは、次に警察庁に御質問いたします。  インターネットは日常の生活に不可欠なものとなっているにもかかわらず、インターネット上にわいせつ画像や児童ポルノが公然と掲載されているなど、インターネット上に違法情報があふれている状況は大きな社会問題と考えます。様々な犯罪が発生する中で、限られた体制によりすべての違法情報を取り締まるということは現実的ではありませんし、発信者の特定に困難が伴うなど問題もあるとは思いますが、悪質なものについてはしっかりと取締りを行い、警鐘を与えるべきかと考えます。  また、違法ではないけれども本法が対象としているような青少年の健全な成長を著しく害する情報や硫化水素ガスの製造を誘引する情報など、青少年のみならず公共の安全や秩序の維持の観点から放置すべきではない情報への対策も必要と考えます。  ついては、インターネット上の違法情報有害情報に対する警察における取組を、先ほどの質問と重複するかも分かりませんが、お答えをお願いします。
  157. 片桐裕

    政府参考人(片桐裕君) 先ほど申し上げましたように、インターネット上の違法情報有害情報対策は、関係省庁、機関、団体また事業者等々と連携して対策推進する必要がありますが、警察としては主に次の五つの対策を進めているところでございます。まず、一つ違法情報有害情報実態の把握であります。二つ目には違法情報の取締り、三つには違法情報有害情報の削除措置四つ目には広報啓発活動、五つ目には民間団体事業者との連携ということでございます。  まず第一に、違法情報有害情報実態把握についてでありますけれども、警察におきましては、これもさきに申し上げましたとおり、自らサイバーパトロールを実施しておりますほかに、インターネット上には膨大な情報がありますことから、平成十八年六月からは警察庁が委託をした団体がインターネット利用者から広く違法情報有害情報に関する通報を受けまして、そのうち違法情報については警察庁に連絡をするインターネットホットラインセンター制度の運用を開始をしたところでございます。  さらに、本年度におきましては、民間の団体にサイバーパトロールを委託をするという制度を新設いたしますほかに、インターネットホットラインセンターの体制の充実を図るということにしているところでございます。  第二に、把握した情報のうち違法情報に係る取締りについてでありますけれども、これにつきましては、各都道府県警察におきまして悪質な事案を中心にして鋭意取締りを推進しているところでございます。また、取締りの推進のために、国、都道府県警察それぞれにおいて捜査等の体制整備等を行うとともに、捜査部門、情報技術部門等の連携の仕組みを強化しているところでございます。  第三に、違法情報有害情報の削除措置についてでございますけれども、インターネットホットラインセンターにおきましては、平成十九年中に約八万五千件の通報を受理しておりまして、分析の結果、違法情報と判断をいたしました一万二千八百十八件の通報のうち、八千三百十件を警察庁に通報し、五千五百九十二件についてプロバイダーや電子掲示板の管理者等へ削除依頼を実施し、その結果約八五%が削除されたということになっております。  また、有害情報と判断されました三千六百件の通報のうち、一千六百三十九件についてプロバイダーや電子掲示板の管理者等に対して削除依頼を行いまして、この結果約七四%が削除されたということでございます。  第四に、広報啓発活動についてでございますけれども、学校等において警察が行っておりますサイバーセキュリティーに関する講習や非行防止教室等の機会を通じて、違法情報有害情報への対策としてフィルタリングサービス利用が役立つことなどの広報啓発に努めているところでございます。  また、昨年に続きまして本年も、総務省及び文部科学省が連名でフィルタリングソフトの普及促進のため、都道府県知事、都道府県教育委員会等あてに通知を発出したのに併せまして、警察庁から都道府県警察に対してその普及促進に取り組むよう指示したところでございます。  第五に、民間団体事業者との連携についてでございますけれども、例えば東京の警視庁では、収集した情報フィルタリングソフト又はサービスの開発事業者提供するほか、ホットラインセンターからも同様に情報提供するなどの取組推進しているところでございます。  警察としましては、今後とも関係省庁関係団体、事業者等とも連携しまして、違法情報有害情報に関する各種対策推進してまいりたいと考えております。
  158. 松村龍二

    ○松村龍二君 ただいま総務省、警察庁からお話がありましたように、現在インターネット上での有害・違法情報状況は目を覆わんばかりのものがあり、これに対処するため何らかの措置が必要であることはほぼ異論のないところであります。そこで、今回の立法になるわけでございますが。  ただ、基本的な問題として、インターネットにおける有害情報対策につきましては、事民間の自由な情報発信にかかわることですので、どのような基本的態度で臨むかが大きな問題になってまいります。  すなわち、民間における自主的な活動期待するか、あるいは国の関与に大きな役割期待するかであります。民間におきます自主的な活動にゆだねた場合、インターネットにおける情報発信の重要性には配慮することになりますが、一方で有害情報対策の実効性に疑問が生じます。逆に、国の関与に大きな役割期待した場合には、インターネット社会の発展に支障を及ぼすおそれがあるのであります。  各政党におかれましても、またあるいは政党内におきましても様々な案が提起され、活発な議論が展開されてきたことは私も存じ上げておりますし、今回、衆議院において、青少年を守るという共通の目的に立ってこのような案がまとめられたことに深く敬意を表するところであります。  今回、御提案になりましたこの法律案はどのような基本的考えの下にまとめられたのか、特に民間におきます自由な情報発信に対する国の関与についての考え方に重点を置いて、提案者に御答弁をいただきたいと思います。
  159. 玄葉光一郎

    衆議院議員玄葉光一郎君) ただいまの御質問でございますけれども、結論から申し上げれば、民間における自主的な活動期待をするということを本立法におきましては基本的な態度ということにいたしております。  それは、おっしゃるとおり様々な議論がございました。率直に申し上げて、行政もそうでありますけれども、民間団体もこれまで子供をあるいは青少年有害情報から守るということについては不十分な対応だったと申し上げても過言ではないと思います。ただ、昨年秋からの、特に、我々委員会のメンバーだから申し上げるわけではありませんけれども、衆議院の青少年特など様々なところの議論を踏まえて、各民間企業、民間団体がかなり自主的・主体的取組を本格化し始めたところでございます。  したがって、ようやく本腰を入れ始めたその民間企業の主体的な取組、自律的な取組を我々は、表現の自由の問題もあるわけですから、後押しするというのがやはり本筋であろうということで今回の基本的態度になったというふうに御説明申し上げたいと思います。  具体的に、例えば青少年有害情報の定義などでも、あくまで、三類型示しておりますけれども、例示というふうにさせていただいておりますし、あるいは、サーバー管理者青少年有害情報が発信された場合の青少年閲覧防止措置も義務ではなく努力義務だというふうにしております。更に申し上げれば、フィルタリングソフトの性能向上、これも開発事業者に義務ではなく努力義務ということにとどめているということで、ある意味では具体化されていると申し上げてもよいのではないかなというふうに思います。  他方、先ほどの議論でもございましたけれども、内閣府に、こちらに大臣もいらっしゃいますけれども、総理その他の閣僚から成る関係閣僚会議というものを設けていただいて、政府一体となった施策の展開を効果的に図っていただこうではないかと、そういうことにしているところでございます。  以上です。
  160. 松村龍二

    ○松村龍二君 本法案を見ますと、官が登場する場面が二つ規定されております。一か所目が、ただいま御指摘がありました内閣府に総理その他の閣僚から成るインターネット青少年有害情報対策環境整備推進会議を置き、基本計画を定めることとする部分。二か所目が、総務大臣経済産業大臣の共管の登録法人であるフィルタリング推進機関の部分であります。  まず、インターネット青少年有害情報対策環境整備推進会議役割基本計画を定めることとした趣旨提案者にお伺いしたいと思います。
  161. 江崎洋一郎

    衆議院議員江崎洋一郎君) インターネット上の有害情報から子供を守ることは国全体の責務でございます。しかしながら、有害情報対策はこれまで複数の省庁にまたがって行われておりまして、横の連携が十分でなかったということもございます。  今回、関係閣僚会議設置しまして、国全体で取り組む施策を盛り込んだ基本的な計画を定めることによりまして、省庁間の縦割りを排しまして、政府一体で有害情報対策を迅速かつ強力に推進することが可能になるものと考えております。  また、関係閣僚会議につきましては、政府において削減するという現在の内閣におきましての方針もございましたが、官房長官に御意見を伺ったところ、やはり青少年有害情報から守るということは現在喫緊の課題であるという強い意思もお示しいただきまして、政府一丸となった機動的な対応を行うように本会議は必要であるとのことで、設置に御理解をいただいたところでございます。  なお、基本計画では、例えばインターネット教育、フィルタリング普及啓発及び技術開発民間におきます取組支援、例えば附則にうたわれております違法情報対策の強化等についても議論がされるのではないかというふうに考えてございます。  また、先ほどインターネット教育の話も松井議員の質問の中にも出てございましたが、これらにも関連してくるのではないか。インターネット教育という意味では、青少年がリテラシーを身に付けてインターネットから生ずる危険に巻き込まれないようにすることが何より重要であると。青少年自らがインターネットを適切に活用する能力を習得するための施策基本計画に盛り込むことも想定して考えていいのではないかと感じておる次第でございます。  現在、インターネット教育を行う事業には、総務省、文科省が支援しております主に保護者や教職員を対象としましたインターネットの安全、安心利用のための啓発を目的としたe―ネットキャラバンでありますとか、あるいは経産省とNPO法人が行っております、家庭学校からインターネットにアクセスする一般の利用者を対象としまして、情報リテラシーに関する基礎知識を学習できるインターネット安全教室などの取組も既に存在しております。  これらのインターネット利用する際に必要となる知識、能力に関する教育事業は有害情報対策において極めて重要な役割を占めていると考えておりまして、国としても適切に支援していくことが重要であると考えております。これらの施策の強化策が基本計画に盛り込まれることもイメージとして考えております。  以上です。
  162. 松村龍二

    ○松村龍二君 関連してお聞きしますけれども、基本計画を定めるという場合、従来、何か基本計画をいったん定めますとこれが不動の計画になりまして、ほとんど触らないというようなことで、また、この法律は必要な重要な事項はこの会議において決めるというふうなことも決めてあるわけですけれども、先ほどの硫化水素の事案ではありませんけれども、想像もしなかったような事案が、自殺を幇助すると、あるいは爆弾の作り方というようなことが従来ともこういうものに載ったということは聞くわけですけれども、あれほど安易に自殺の方法が扱われるということになりますと、いったん基本計画を定めても、その在り方が、また柔軟に作り直す、加えるというようなこともあろうかと思いますが、そのような柔軟な対応が将来期待されているのか、あるいは硬直的なといいましょうか、基本計画を決めるという、それがずっとあれするというようなことになるのか、今後の運用について一言お話しいただきたいと思います。
  163. 江崎洋一郎

    衆議院議員江崎洋一郎君) 今、松村先生おっしゃるとおり、ここはやはりインターネット情報交流というのは非常に速いスピード感のあるものでありますし、またそれに付随して、結果として残念な事件も発生することもあり得るということでありますので、ここは柔軟に、またそういった社会問題化した内容によっては即応性を持って対応していただくということをもちまして、今回関係閣僚会議という位置付けにさせていただいた次第でございます。
  164. 松村龍二

    ○松村龍二君 次に、この法律におきます総務大臣経済産業大臣役割、あるいはそれ以外の官の役割として重要なものがあれば、それについても提案者に御説明いただければと思います。
  165. 江崎洋一郎

    衆議院議員江崎洋一郎君) 本法案では、総務大臣経済産業大臣役割としまして、民間法人の登録制度の運用が規定されておるわけでございます。先ほど松井議員の御質問の中にもございましたが、この登録につきましては、民間法人があらかじめ国に登録しますことによって、ふだんから国との意思疎通が促進されまして、予算措置の共同立案等が円滑化するんではないかということを期待しているわけでございます。また、省庁が予算措置検討する際に、事前に民間団体と協議することによりまして、より良い施策の実施が可能となることが期待されるわけでございます。  なお、これらの措置は通常の予算要求の手続をもって行われるものでありまして、別枠で確保されているような補助金のようなものではないというふうに考えているわけでございます。  また、技術開発等に関しましても、フィルタリングソフトの性能向上を図るため、フィルタリングソフト開発事業者に性能及び利便性の向上の努力義務をこの法案では課してございます。特に現在、携帯電話提供されているフィルタリングにつきましては、携帯キャリアしかフィルタリングサービス提供できません。さらに、子供の成長段階家庭の教育方針に従ってフィルタリングの設定をきめ細かくできない状態にございます。  これらの課題についても早急に解決できますよう、民間取組を国が適切に支援しながら、応援しながら、スピード感を持って技術開発を進めていくこと、この登録制度などで支援してまいりたいと思います。また、これらの規定によりまして、民間努力をうまく活用しながら、青少年有害情報から守るという目的の達成を目指すことが本法の理念でもございます。
  166. 松村龍二

    ○松村龍二君 法案基本的な考え方、思想について質問してまいりましたが、各論的な質問に移らしていただきます。  有害な情報から青少年を守るための手法としては様々なものがあると考えられます。フィルタリング利用普及を図ること、インターネット上の有害情報についてフィルタリングが掛かるようにすること、インターネット上の有害情報を削除することといった方向性が考えられますし、仮に民間の主体に何らかの措置をとることを求めるのであれば、義務とするか、努力義務にとどめるのか、行政機関にある命令や罰則を設けるかといった議論も出ております。  提案者にお伺いしますが、本法案では、有害な情報から青少年を守るための手法として何をどういう理由で定めたのか、お伺いします。
  167. 萩生田光一

    衆議院議員萩生田光一君) 本法案では、青少年有害情報閲覧することを防止するための措置として、第十七条以下において、フィルタリング推進のための措置及びサーバー管理者に対する措置を設けております。  具体的には、フィルタリング推進のための措置として、一つ目として、携帯ISPに対する契約の相手方等が青少年である場合におけるフィルタリングサービス提供義務、二つ目としまして、ISPに対するフィルタリングソフト等の提供義務、三つ目として、パソコンメーカーに対するフィルタリングソフトのプレインストール等を講じた上で販売する義務、四つ目としまして、フィルタリングソフト開発事業者に対する性能及び利便性の向上の努力義務を設けております。なお、過度の規制にならないよう、行政機関による命令や罰則は今回設けておりません。  また、サーバー管理者に対する措置として、一つ目として、会員制サイトへの移行、フィルタリングソフトとの連動、管理権限に基づく削除等の有害情報に対する閲覧防止措置を講ずる努力義務を設けているほか、二つ目として、インターネット利用者からの連絡受付体制を整備する努力義務三つ目として、閲覧防止措置をとったときの記録作成及び保存の努力義務を設けております。  なお、本法案では、青少年有害情報から守るため、インターネットの適切な利用に関する教育の推進についても規定をしているところであります。
  168. 松村龍二

    ○松村龍二君 現在でも、良心的なプロバイダー等のサーバー管理者は、違法あるいは有害な情報がホームページに掲載されたことを知った場合には、これについて削除等の措置を講じております。また、このような民間におきます取組を後押しする機関として、インターネット上の違法あるいは有害な情報について国民からの通報を受理し、サーバー管理者対応を依頼するインターネットホットラインセンターが活動していることも広く知られてまいりました。  私は、インターネットホットラインセンターは極めて重要な活動を行っていると考えております。また、今後は、インターネットホットラインセンターに限らず、多くの団体がこのような活動を行い、有害情報対策に重要な役割を担ってほしいと思っております。  本法案において、有害情報の通報を受理してサーバー管理者に通知する機関にどのような役割期待しているか、提案者にお伺いいたします。
  169. 萩生田光一

    衆議院議員萩生田光一君) 青少年有害情報に関する通報の受理、通知を行う民間団体は、例えば現時点ではインターネットホットラインセンターなど、青少年による違法・有害情報閲覧を防止するための重要な役割を担っていると思っておりまして、質問者と同じ価値観を持っております。  本法案では、サーバー管理者青少年有害情報の発信を知った場合、青少年閲覧防止措置を講じる努力義務が規定されておりますが、これを実効あらしめるためには御指摘のような活動を行う機関の活動が必要であり、多くの団体がこうした業務を担うことを期待をしております。  一方、御指摘のございましたホットラインセンターでございますが、この質疑の中でも度々先生方が御指摘をするわけでございますが、現状を伺ったところ、毎日寄せられる大量の違法・有害情報に関する分析、判断に膨大な手間とコストが掛かっていることを聞き、大変驚きました。先ほど、警察庁の片桐局長からも、十月以降体制の充実をするという御答弁がございましたが、現在の勤務状況は常勤十名、非常勤四名の十四名体制でありまして、十四名体制で日本中の違法・有害情報の様々な情報の受付をしているということを考えますと、この団体一つでこれから有効な手段が講じられるとは私も思っておりません。ちなみに、十月以降の充実ですけれども、常勤が一名増えるのみでありますから、こんな点も我々としては今後御支援を申し上げていきたいというふうに思っております。  この法案につきましてこうした団体に対して国が支援をすることを努めることを規定をしておりますので、多くの団体がホットラインセンターの今までの取組を倣って、全国各地でこういった取組をしていただくことを期待をしているところでございます。
  170. 松村龍二

    ○松村龍二君 次、本法案では、二十一条におきまして、発信された有害情報についてプロバイダー等のサーバー管理者青少年による閲覧ができないようにするための措置をとる努力を課しております。この規定は、削除やフィルタリングが掛かるようにすることなどをサーバー管理者期待していると理解しております。  しかし、サーバー管理者がこのような措置をとる場合、情報発信者から不法行為や債務不履行を理由に損害賠償を請求されるリスクが付きまとうのではないかと思います。サーバー管理者がこのような措置をためらわずに行うためには、情報発信者への損害賠償を制限する規定が有効なように思います。  類似の制度は既にプロバイダー責任制限法にありますし、また本法案の附則では、インターネット利用して公衆の閲覧に供することが犯罪又は刑罰法令に触れる行為となる情報についての責任制限の在り方について検討を行うことが規定されております。  本法案違法情報あるいは有害情報について責任制限条項についてどのような考え方に立って作成されたのか、提案者の説明をお伺いしたいと思います。
  171. 萩生田光一

    衆議院議員萩生田光一君) まず、本法案は、青少年有害情報内容の詳細について法令で定めることをせず、民間の解釈にゆだねておりまして、また、発信に何ら制約がない青少年有害情報についてサーバー管理者措置を求めることは均衡を失することから、責任制限条項の対象とすることは困難と考えております。よって、仮にこれを設けるとすれば違法情報についてであろうというふうに思います。  御指摘のように、サーバー管理者違法情報閲覧防止措置をとろうとするときに情報の発信者から損害賠償を請求される可能性があると、閲覧防止措置をとることを踏みとどまってしまうことが想定されます。よって、閲覧防止措置に関する責任制限規定はこうした懸念を払拭し、サーバー管理者による自主的措置を促進するものと考えられます。  そこで、本法案検討段階においては、サーバー管理者による違法情報閲覧防止措置に関する責任制限規定を導入できないかという議論をいたしましたけれども、しかしながら、違法情報を個別列挙する必要があるのではないかといった課題が明らかになったため、今回の法案ではこうした責任制限規定は設けないこととし、附則にこの点についての検討規定を置くこととしたものであります。
  172. 松村龍二

    ○松村龍二君 次、違法情報への対応についてお伺いいたします。  本法案では違法情報についても特別な規制は設けず、有害情報の一種として対策を講じるにとどめております。しかし、違法情報は、例えば児童ポルノの公然陳列、わいせつ物公然陳列、麻薬広告等は情報の掲載自体が犯罪であり、一般の有害情報より強力な規制を行うべきであるとの議論があったとも聞いております。  違法情報対策についての今後の対応につきまして、提案者の御意見を伺いたい次第でございます。
  173. 萩生田光一

    衆議院議員萩生田光一君) 違法情報対策については、青少年の健全な育成に資するものとして、法案検討においても大変熱心な議論が行われました。他方で、違法情報対策の導入に当たっては、違法か否かの判断は最終的に裁判所で行われるものであり、その前に行政庁による判断だけで命令、罰則まで行うのは行き過ぎではないかという可能性について議論をしたところでございます。  また、違法情報は大人にも見せるべきではないものであり、これを例えば今回のこの法案に盛り込むことによって、有害情報から青少年を守るという本法案の枠組みを超える可能性があることなど、多くの意見が存在するため、今回の法案では見送ることといたしました。  しかし、附則にも明記したとおり、違法情報についてサーバー管理者がその情報の公衆による閲覧を防止する措置を講じた場合における損害賠償責任の制限の在り方については、速やかに検討がされるべきだと考えております。
  174. 松村龍二

    ○松村龍二君 多少時間がありますので、本日、マイクロソフト株式会社の技術統括室CTO補佐の楠さんが御出席いただきまして、先ほどは非常に専門的な、私ども理解できないような専門的なお話がございました。  私、午前中にも言ったことであるんですが、ある政治家が、政治家が議論するのに最もふさわしくないテーマが二つあると。一つは原子力の問題だと、もう一つは臓器移植の問題だということを昔聞いたことがあるんですけれども、コンピューターの方も大変専門的な話でありまして、知識があるのとないのとではこれはもう打つ手もぴったりするのかしないのかという面もあろうかと思いますが、先ほどからお聞きされていて、その世界におって日夜この問題にも関心をお持ちの楠さんから、一、二点、何かお話があればお聞かせいただきたいと思います。
  175. 楠正憲

    参考人(楠正憲君) ありがとうございます。  私ども、元々米国では九六年に同様の通信品位法をめぐる議論がございまして、会社の製品戦略といたしましては、九七年ごろから有害情報対策に取り組んできたのでございますけれども、事日本に関しましては、総合セキュリティ対策会議警察庁さんで、たしか二〇〇五年ぐらいに自殺の問題が出てから徐々に日本でもいろいろ独自の取組が必要ではないかということになって、弊社でも対応を進めてきたというようなことがございます。  ただ、今回、やはり昨年の秋から衆議院の青少年特別委員会で大きな議論となるまでは、決して民間事業者として私どもの努力も十分でなかった部分というのが多くあろうかと思っておりまして、今回、一つの大きなきっかけとして、民間事業者間でも非常に多くの議論が始まっておるところでございますし、是非、三年後を予定されている見直しのときに、きちっと民間事業者対応したというふうに言っていただけるような結果を出していきたいというふうに考えております。
  176. 松村龍二

    ○松村龍二君 どうもありがとうございました。  上川大臣にお聞きするわけですけれども、この法律の一番最後に、内閣府の仕事にこの仕事を加えているという条文が、内閣設置法の一部を変えまして、青少年が安全に安心してインターネット利用できる環境整備等に関する法律に規定する基本計画の作成及び推進に関することという条文が加えられております。したがいまして、非常に重い責務を持っておられると思います。内閣府もいろいろな仕事を、少子高齢化の話からありとあらゆる問題を扱っておられる中にこの問題が一つ青少年の問題とはいえ、加わると、こういうことになろうかと思います。  そしてまた、ただいまのお話ありましたように、このインターネットの世界といいましょうか、日進月歩、モバゲーサイトなんかは一日のうちに五億通アクセスがあるというんですね。五億通というと、日本の人口が一億ですから、全国民が五回使っているようなアクセスを受けていると。これが日夜変更するわけですから、大変な世界の話かと思います。  そういう意味においては、内閣府においてもこういう基本計画は、関係省庁の知恵をお借りすると同時に、また内閣府においても専門の方を用意されるといったことも大事かと思います。  そういう意味におきまして、今後、この法律ができました後、主管官庁になります上川大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
  177. 上川陽子

    国務大臣(上川陽子君) 有害情報から子供を守るための対策につきましては、子供の健やかな成長を支えるという視点が大変重要であります。青少年施策を担当している者として、その大変重要な重みを感じております。  こうした観点を大切にして、これまでも関係閣僚と意見交換を行うなどの各府省連携した施策を進めてきたところではございますが、本日も縦割りのというお話もございましたし、また民間の中での取組の遅れということでのお話もございまして、そうした問題意識は子供の健やかな成長という一点に掛かって皆さんが力を合わせていただいたものと思っております。  インターネット青少年有害情報対策環境整備推進会議ということでこの法律の中に規定されておりますこの会議におきましては基本計画を策定することとされておりますが、この会議におきましては子供を守るための対策ということについてしっかりと議論をしていくということが大変大事だと考えておりますし、また、委員御指摘のように日進月歩の分野でございますので、柔軟かつ迅速な対応ということについても、そうした御指摘も踏まえまして、これまでよりも一層緊密に連携を取りながら、政府一体となって青少年が安全に安心してインターネット利用できる環境整備推進に努めてまいる所存でございます。  先ほども犯罪等というお話がございましたけれども、現に様々な被害が生じているということでございます。これに対して、子供の健やかな成長を確保するため、青少年育成を担当する大臣として適切に取り組んでまいる所存でございます。
  178. 松村龍二

    ○松村龍二君 どうもありがとうございました。  それじゃ、終わります。
  179. 風間昶

    風間昶君 公明党の風間です。  私も大臣呼んでいなかったので、大臣いらっしゃらなくなったんだけれども、本当は大臣に聞けば一番いい話なんだと思いますけれども。  いずれにしても、ネット犯罪が急激にここ増えて、インターネットが身近になったことによって青少年犯罪を起こしたり巻き込まれたりというケースが極めて大きい中で、今回のネットを利用できる環境整備法が作られるということには極めて大きな意義があるというふうに思っています。  ただ、午前中の参考人質疑の中にもいろいろ課題点がたくさん出ておりまして、また、先ほど楠さんもその部分をお話をされておりましたので、問題は、内閣府の下でこの青少年育成施策大綱が平成十五年に作られて、そして、それを受けて子供の安全・安心加速プランがきちっと動いていく、プランどおり動いていけばいいわけでありますけれども、この法案青少年育成大綱の中にきちっと、法案基本理念が入れ込まれないと意味がないというふうに思いますけれども、基本理念の三つは極めて大事な問題で、適切に青少年が活用する能力を習得する、あるいは青少年に有害な情報が与えられないようにする、それから民間の力を、その自主的な主体的な取組をというこの基本理念がちゃんと青少年育成大綱の中に具体的に入れ込まれなきゃならないというふうに思っておりますが、ここの部分を、この法案はそのことを考えてやっていらしたんだと思いますけれども、確認ですが、お聞きしたいと思いますけれども、提案者に。
  180. 古屋範子

    衆議院議員(古屋範子君) お答えいたします。  現在、政府におきまして平成十五年十二月に策定いたしました青少年育成に係る政府の方針でございます青少年育成施策大綱を見直し、本年内を目途に新しい大綱を策定すべく作業を行っているところと承知をいたしております。  将来を担う青少年育成するという視点におきまして、今回の法律案が目指す方向と、また政府における青少年育成の方向は同じであると認識をしております。青少年を取り巻く有害環境への対応につきましては、現大綱にも盛り込まれておりますが、その重要性にかんがみ新しい大綱におきましても引き続き盛り込まれることになるものと考えております。
  181. 風間昶

    風間昶君 分かりました。  その中で、その基本理念の三条の三項で、民間における自主的かつ主体的な取組が大きな役割を担い、国及び地方公共団体がその手助け、手助けというか、これを尊重することを旨としなければならないというふうにうたわれておりまして、国が判断基準へ関与することはないと。あくまで民間の自主規制にゆだねるという姿勢の表れであるというふうに思いますが、将来的に国がその基準づくりに本当に関与しないのかという担保はないわけでありますから、そうあってはならないわけで、国が関与するということは、だから、そうならないためのブロッキングをどうするかという問題と、万が一そういうふうになった場合にどういう対応をしていくのかということ、これから法律が動いていく中にあって問題が生じたようなときにどうしていくかということをやっぱりきちっと押さえておく必要があると思いますが、そこはどうでしょうか。
  182. 古屋範子

    衆議院議員(古屋範子君) ただいま風間議員から重要な御指摘をいただきました。本法律案作成の過程におきましても、最も大きな議論になった点でございます。  御指摘のとおり、本法案では、表現の自由に配慮するために、国は民間の自主的かつ主体的な取組を尊重することといたしております。有害情報に関しましても、国はその定義について犯罪誘引情報等を例示するにとどめておりまして、その該当性の判断あるいは判断基準については民間にゆだねるということにしております。  本法案では、青少年インターネット環境を取り巻く状況変化を勘案して、附則三条には制度の見直しの検討条項を設けておりますけれども、国の有害情報の判断基準への関与に関しましては、憲法における表現の自由にかんがみ、想定はしておりません。
  183. 風間昶

    風間昶君 それじゃ、具体的にちょっと法案について、先ほど来からも議論になっておりますけれども、三十条では登録のフィルタリング推進機関を始めとして、インターネット利用環境整備にかかわる民間団体への国や地方公共団体支援が盛り込まれておりますけど、これは、今回は指定ではなくて登録ということにまず一つはなったわけでありますけれども、ここもだから登録要件がいろいろあると思います。登録要件が緩いと、また逆にフィルタリング推進機関がどんどんどんどん増えてきて混乱が起きるといった面も、これは否定できないわけでありますけれども、どっちにしても、登録機関に偏ることなく様々な団体の自主的な取組を最大限尊重して、登録の有無にかかわらず支援が受けられるといったことが大事だと思うんですけれども、じゃ具体的に、当初想定していた団体だけじゃなくて今、現時点でどのような団体を想定して、どのような支援を想定していくのかということについて、現状、お考えを伺いたいと思いますけど。
  184. 古屋範子

    衆議院議員(古屋範子君) ただいまの点も作成の過程で非常に議論になった、最後まで議論になった点でございます。  本法案では、国、地方公共団体に対しまして、登録されたフィルタリング推進機関に限らず、フィルタリングソフト開発業者、リテラシーの習得に関する活動を行う民間団体、また有害情報の通報を受理、通知する団体など、有害情報対策フィルタリングに関する活動を行う民間法人や事業者を広く支援していくということを求めております。  これらのものに対する支援内容といたしましては、例えば助成措置、必要な情報提供、セミナー開催に当たっての後援等が考えられると思います。こうした支援を通じまして、民間における多様な自主的取組が進められていくことを期待をしております。
  185. 風間昶

    風間昶君 分かりました。  本当に登録要件の外的要件が、どこがどういうふうに決めるのかということがあるんですが、議論した上で、余り緩めますと、本当にいろんな団体がどんどこどんどこ出てきて混乱しかねないということもあるので、ここは具体的に進めていく上で注意が必要かなというふうに思います。  次に、二十一条の青少年有害情報について、インターネット利用して青少年閲覧ができないようにするための措置、いわゆる青少年閲覧防止措置でありますけれども、このことに関しても今日おいでになっている楠さんはおっしゃっていますよね。青少年閲覧防止措置って一体何なのか、はっきりしていないと、削除なのかあるいは事業者へ通知することなのか、あるいは、ちょっとよく分からないんだけど、PICSとかといういろんな措置の仕方があるけれども、要するに分からないと、はっきりしていないという御指摘を楠さんもされておりますけれども。  問題は、有害情報の通報を行っている民間団体サーバー管理者に削除して、削除してというふうに要請をする際の逃げ道になってしまうんではないかという心配する声もあります。したがって、青少年閲覧防止措置のこの考え方というのは、いわゆる公衆の閲覧を防止する、つまり削除も含んでいるという考え方でいいのかどうか、含んでいるとするならばこれまた一つの大議論になっていくわけでありますけど、この辺は草案者の皆さん方ではどのように議論され、どういうふうにしたのか、教えてください。
  186. 古屋範子

    衆議院議員(古屋範子君) 本法律案が定めております青少年閲覧防止措置は、会員サイトへの移行、あるいはフィルタリングソフトとの連動のみならず、管理権限に基づいて公衆が閲覧できないようにする措置も含んでおり、これらの措置のいずれかをとることを期待しております。  なお、有害情報違法情報と異なりまして情報を発信した者自身も規制をされていないために、サーバー管理者に対して公衆閲覧防止措置のみを義務付けるのは行き過ぎであることから、公衆閲覧防止措置だけでなく会員制サイトへの移行、あるいはフィルタリングソフトとの連動でも努力義務の履行となるものと規定をいたしております。
  187. 風間昶

    風間昶君 午前中の参考人の方の意見も、フィルタリングで止めて削除ではない方向にすべきだと、むしろ発信者へのペナルティーをしっかり検討すべきだという御意見でございましたし、またペナルティーというのは刑罰ではなくて、一定程度の期間退場してもらうというようなことも、民事上の責任をきちっと課すことも一つの方法ではないかという、参考人の方、おっしゃっていました。こういった議論はあったんでしょうか。
  188. 古屋範子

    衆議院議員(古屋範子君) この違法情報対策につきまして、法案検討においても熱心な議論が行われました。他方で、違法情報対策の導入に当たりまして、違法か否かの判断は最終的に裁判所で行われるものであり、その前に行政庁による判断だけで命令、罰則まで行うのは行き過ぎになる可能性もあること、また違法情報は大人にも見せるべきではないものでありまして、これを本法案に盛り込むということは有害情報から青少年を守るという本法案の枠組みを超えてしまう可能性がある等、多くの意見が存在するため、今回の法案では見送ることといたしたわけでございます。  しかし、附則にも明記したとおり、違法情報についてサーバー管理者がその情報の公衆による閲覧を防止する措置を講じた場合における損害賠償責任の制限の在り方については速やかに検討されるべきと考えます。今、風間委員がおっしゃった御意見参考にしつつ、これは今後検討していかなければいけない課題であると考えております。
  189. 玄葉光一郎

    衆議院議員玄葉光一郎君) 委員長として補足をさせていただきますと、今の風間委員の御指摘のように、まさにおっしゃるとおり発信者により大きな責任があるということは私どもは共通認識でございます。したがって、先ほども議論がありましたけれども、刑事上の責任においてやはり刑罰、しっかり取締りを強化するということをしていくべきだということがまず第一でございます。  今、御指摘があったのは、午前中の参考人質疑で御発言があったということでありますけれども、民事上も今の御発言によりますと例えば一定程度退場すべきだ、こういうことも検討すべきじゃないかということでございますけれども、そういう議論も実務者の中ではございましたけれども、この法律では必ずしも規定するというところには至っていないと、こういうことでございます。
  190. 風間昶

    風間昶君 恐らくこれはきっと、三年以内の見直しというこの条項はありますけれども、現実的な問題が起こってきたときに、これ具体的に三年以内でというか、もっと前に倒れて議論をした上で何らかの措置を加えざるを得ないようなことが想定されるんじゃないかというふうに思いますので、またこれは法がどういうふうに動いていくかによって決めていかなきゃならないかなというふうに思います。  それから、済みません、附則の第四条で、先ほども議論ありましたけれども、この違法情報有害情報じゃなくて、違法情報を削除したサーバー管理者が訴えられたときの損害賠償の制限の在り方を速やかに検討というふうにありますけれども、そもそもサーバー管理者が自らが違法情報を削除するのは八五%で、大体一五%ぐらい残っているわけです。問題はこの管理者が削除要請に応じないという実態を見ると、違法情報をきちっとした対策を取っていく上ではこれは十分でないということになりますから、取締りの強化を含めた仕組みやあるいは体制をこれこそむしろ法整備、司法的な手続を含めて必要ではないかというふうに思っておりますけれども、このことについてお答えをいただければ有り難いと思います。
  191. 玄葉光一郎

    衆議院議員玄葉光一郎君) まさに先ほども議論があったんですけれども、この違法情報対策はこれから大いに検討してもらわなければならないというふうに考えております。ただ、今回の法律基本的に青少年が対象でございます。今の御指摘は青少年を含めて公衆全般ということでございますので、ここはまた別の場でしっかりとした検討を行っていただいて結論を得ていかなければならないだろうと、今回私たちがそのことを法律に盛り込むというのは、やはり拙速に過ぎるのではないかと、こういう判断をさせていただいた次第でございます。  以上です。
  192. 風間昶

    風間昶君 終わります。
  193. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数です。よろしくお願いいたします。  まず、本法案において最も懸念されますのは、有害情報のその定義と、有害情報と表現の自由との兼ね合いの問題ですが、国が有害情報を定義付けることによって表現の自由が損なわれるのではないかと危惧いたします。  そこでお伺いいたしますが、有害情報青少年犯罪との因果関係です。有害情報があって、その有害情報によって青少年犯罪を引き起こしたという具体的なケースですが、要するに有害情報青少年犯罪にどのような影響を及ぼしているのか、犯罪との因果関係は統計上も明確に表れているのかという点について、具体的にお伺いいたします。
  194. 松本剛明

    衆議院議員(松本剛明君) 今、糸数先生御指摘のとおり、この表現の自由というのは大変重要な、私どもとしても大変尊重しなければいけないというふうに認識をしております。その意味で、今、国が有害情報を定義付けると、このように御指摘がございましたが、先ほどからも議論を重ねてまいりましたように、この法律において有害情報という言葉を使っておりますけれども、国において個別に有害情報を判断をするということにはならないようにということでこの法律を策定をさせていただいたことを改めて申し上げたいというふうに思っております。  また、この法律は、目的としましては青少年が安全に安心してインターネット利用できる環境整備を主たる目的としておりまして、その効果として青少年犯罪等が減っていくことを期待をしているところはあるわけでございますけれども、青少年犯罪抑止を目的としてこの法律を直接的に作ったのではないということも申し上げてまいりたいと思っております。  その上で、今先生の御指摘でございますが、例えば平成十八年の十二月に、政府において「バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守るために」という報告書が出ておるんですが、この中でも暴力的なゲームというものが青少年犯罪を引き起こすのに影響を与えた例というのが、これは家庭裁判所の決定から何点か指摘をされております。  一つだけ例を取り上げれば、十五歳の男子が警察官を刺してけん銃を奪おうとした事件、これについては、少年は従前から興味の範囲が格闘系のアニメーションやテレビゲーム、空想科学や死を扱った映像、書籍等といったものに集中し、これらの媒体で描写される刺激的な場面等に影響されやすかったことによると見られるということで、因果関係の指摘についてはこれは一例でありまして、ほかにも幾つか例があります。  ただ、犯罪を引き起こすに当たっては、恐らく複合的な要因も重なって犯罪が起こされるということであろうと思いますので、直接的に今取り上げられているインターネット有害情報と例えば犯罪の件数といったような統計が、今私どもの手元にはあるわけではないということは答弁として申し上げておきたいと思います。  その上で更に申し上げれば、この法律を策定をするに当たって私どもが危惧をいたしましたのは、犯罪を引き起こす方ではなく、むしろ犯罪に巻き込まれるといったようなケースでありまして、この国会でもいわゆる出会い系サイトの規制の法律の改正も行われたところでありますが、インターネットを契機として児童、青少年犯罪に巻き込まれるといったようなケースも多々指摘されているということも併せて付言をさせていただきたいと思っております。
  195. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  次に、基本法のこの策定についてでありますが、社団法人日本新聞協会や同日本民間放送連盟等メディアからの意見、そして提言は、国の関与への懸念であります。有害情報の基準策定に国が関与することは表現の自由を脅かすものであるというふうな指摘です。  民放連のこれは放送基準審議会の提言を引用いたしますと、情報内容の規制は言論そして表現の自由にかかわる問題であり、いわゆる有害情報の基準策定に国が関与したり、間接的であれ主務大臣が行政指導権を持つようなスキームは採用すべきではない。有害か否かのその基準を法令で定義することになれば、表現内容に公権力の介入を許すことになり、すべてのメディアに対する規制の拡大につながりかねず、強い危惧を覚えると指摘しています。  本法案については、有害情報のその判断について国が関与しない仕組みになっていると説明されていますが、その認識でよいのか、確認のためにお伺いいたします。
  196. 玄葉光一郎

    衆議院議員玄葉光一郎君) これまでの議論にもございましたように、有害性の判断については国は関与しないと、こういう仕組みであることを改めて申し上げておきたいというふうに思います。それは、そもそもこの法律基本理念、目的からして当然のことだと申し上げたいと思います。  なお、ただいま糸数委員から御指摘のあった日本新聞協会あるいは民放連の声明を私も読ませていただきました。日本新聞協会には、私から、電話でありますが、正式に認識が誤っているのではないかということを申し上げた経緯がございますが、それはどこかといいますと、この声明文の、有害情報を実質的に判断するフィルタリング推進機関を国への登録制にすると。我々、これまでも申し上げてきたとおり、有害情報を実質的に判断するフィルタリング推進機関というのはございません。つまり、フィルタリング推進機関役割は、第二十四条にございますが、まさに調査研究並びにその普及及び啓発、そしてフィルタリングソフトウエアの技術開発推進であって、決して有害情報の判断にかかわるものではないということを申し上げたいと思います。  更に申し上げれば、この民放連の意見も読ませていただきましたけれども、国会における審議というのがどこまでなされたのかということが書いてございますけれども、昨年秋から、この青少年有害情報から守るという観点でいえば、審議だけでも、この点だけでも五回、そして視察も含めて七回させていただいて、かなり熱心な議論をいただいてこういった立法に至ったということを改めて申し上げたいと思いますし、同時に、青少年有害情報の例示を問題にされていますが、まさに国民的な合意を得られている類型だけを例示をさせていただいたということで、こういった危惧はまさに杞憂に終わるのではないかというふうに申し上げたいと思います。
  197. 松本剛明

    衆議院議員(松本剛明君) 委員長の方から、玄葉議員の方からお答えをさせていただいたとおりでございますが、この社団法人日本民間放送連盟の方でも、有害情報の例示、それから関係閣僚等による会議基本計画、それからフィルタリング推進機関、これは調査研究普及啓発ということでありますが、この登録等が運用次第で容易に国の介入を起こすことを危惧をされておられるわけであります。この点については、今後の運用という意味では、いたずらに拡大をされることのないようにということで先ほど質疑でも各党の御意見で取り上げられているところでございますし、御案内のとおり、先ほど法の趣旨に従ってしっかりと運用していただくということを上川大臣からもここで答弁をいただいたところでございますので、こういった危惧等には当たらないように今後とも私どもも注視をしていきながら、青少年育成に努めていきたいと思っております。  なお、これも玄葉委員長からお話がありましたが、私の方も、この新聞協会の方でフィルタリング推進機関について、有害情報を実質的に判断をするというふうに形容されたというのは適切な言葉でないということで、新聞という言葉を大変大切に扱われるところが正確に表現をいただけなかったのは私も大変残念だというふうに思っておるところでございます。
  198. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  危惧するようなことは杞憂に終わるということでお答えいただいたわけですけど、是非そのように進めていただきたいと思います。  次に、フィルタリングのソフトウエアの開発についてでありますが、本法案の第十七条から二十三条にかけては、契約の相手方が青少年の場合、有害情報に触れないためのフィルタリング利用を条件付けたりそのサービスの提供を義務付けたりと、業者側への様々な義務規定が設けられています。  二十条一号では、フィルタリングのソフトウエア開発事業に対して、閲覧の制限をなるべく少なくする観点から、その開発について、閲覧制限を行う情報青少年の発達段階及び利用者選択に応じきめ細かく設定できるようにすることとしています。具体的には年齢別の設定ということになると思いますが、青少年の発達段階及び利用者選択に応じきめ細かな設定というのはどの程度のバリエーションを求めているのか、お伺いいたします。
  199. 笹木竜三

    衆議院議員(笹木竜三君) 今御指摘があった点については委員の間でも再三議論をした点なんですが、おっしゃるとおり、有害情報閲覧を防止するためのフィルタリングは、閲覧の制限を行う必要がない情報についても閲覧を制限するおそれがある、現状でもそうした問題が全くないとは言えない。今後、こうした弊害を少なくしてフィルタリングの利便性を向上させるためにも、利用者が自身の選択等に応じてフィルタリングをきめ細やかに設定できることが非常に重要かと思っています。実際、パソコン向けのフィルタリングではそういう設定がされているわけでして、小学生向け、中学生向け、高校生向け、年代ごとに分けられた設定が可能だということです。  現状では携帯電話向けのフィルタリングではそうなっていないわけですが、参考人質疑等においても、実際に例えば携帯のキャリアの方ですとかそうした方とのやり取りもしました。技術的には決して不可能じゃない、携帯電話に対しても、そういう実感を持っております。  今後、利用者がホームページ単位でフィルタリングの設定を変えることができる、変えることが、現状はできないわけですが、そうしたことを可能にすることがどうしても必要だと。例えば、青少年が通う学校の公式サイト等であっても、今は書き込み機能を持っているとフィルタリングをされてしまう、そうしたことがあるわけですが、こういう問題を克服することがどうしても必要だと思っております。  年代ごと、あるいは閲覧できるサイトを利用者が個別に設定できるようなフィルタリングの仕組み、これを是非、施行期間までにスピードアップして実現することを我々は期待をしているわけです。
  200. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  次に、民間団体活動についてでありますが、法案基本理念におきまして、民間における自主的かつ主体的な取組が大きな役割を担うとうたっています。二十四条以下ではフィルタリング推進する機関について定めていますが、このような自発的な団体がある程度の数設立される見込みはあるのかどうかということなんですが、なぜフィルタリング推進機関がある程度その数が必要かと申し上げますと、やはり、一団体しかできないということになればその団体による独占的な検閲機関になってしまうおそれがございます。やはり表現の自由が脅かされるとの指摘もあるわけですから、検閲などという批判が出たのでは本法案趣旨が生かされません。  フィルタリング推進機関を一定数確保しなければならないと思いますが、その方策と、そのために望まれる国、地方団体の措置についての御見解をお伺いいたします。
  201. 松本剛明

    衆議院議員(松本剛明君) 糸数先生御指摘のとおりでありまして、私どもも、この法律を策定するに当たっては、国の検閲といったことには絶対にならないようにということは一つの大きなポイントだということで取組をさせていただきました。  その意味で、先生御指摘の、この法律第二十四条で定めるフィルタリング推進機関という登録をされる機関については、フィルタリングソフトウエアの性能の向上及び利用普及を目的とするということで内容を限定をさせていただいて、フィルタリング内容には入っていかないようにということに細心の注意を払って法律の構成をさせていただきました。  例えば、第二十七条で報告又は資料の提出というのを求めておりますが、これについても、フィルタリング推進業務、これはこの法律の定義の上では、いわゆるフィルタリングソフトウエアの性能の向上及び利用普及を目的とする業務ということで、そのフィルタリング推進業務の適正な運営を確保するために必要な限度において、フィルタリング推進機関に対して、業務の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができる、このように規定をさせていただいたように、内容にかかわる部分については国が関与をすることのないようにということを細心の構成をさせていただいたつもりでございます。  その上で、さらにこの第二十四条は、御案内のとおり、登録をすることができると、こういう設定になっておりますので、この二十四条に当たる登録機関がどの程度できるかというところは現段階でまだ確たることを申し上げることはできませんけれども、これが複数存在をするかしないかということが直接的には検閲とはかかわらないような構成にさせていただいているというふうに御理解をいただければ幸いに存じております。  その上で、このフィルタリングの性能若しくは技術開発である、又はフィルタリングの基準の設定などについては、御指摘のように民間が多様な形で取組をするということは大変重要だというふうに私どもも考えておりまして、法律の第三十条で、こういったフィルタリングなどの様々な業務を進める機関について国が必要な支援を行う。私どもとしては積極的に行うことを期待をしているわけでありますが、法第三十条の支援を通じて様々な民間団体が活発にこの活動を展開をしていただくことを期待をしていると、こういう構成にさせていただいているところでございます。
  202. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に、この三十条に定める、今御答弁もございましたが、フィルタリング推進機構等の団体に対して国及び地方公共団体は必要な支援を認めるというふうにされています。要するに、その支援の中身ですが、これは、その団体が国や地方公共団体から再就職者あるいは出向者を受け入れ、多額の補助金を受け入れるというような構図になれば、国の出先機関のようなものとなり、今回の有害情報の判定に国が関与しないという枠組みが実態として崩れるのではないかというふうな懸念が生じます。  それで、この国の出先機関というような懸念に対してどのように対応していくのか、お伺いいたします。
  203. 松本剛明

    衆議院議員(松本剛明君) 先生御指摘の、こういった国や地方公共団体からの再就職者あるいは出向者の受入れといったことは、そしてこれと補助金の交付との関連というのは、これまでも広く指摘をされてきたところで、これについては、ある意味では既に党派を超えて国民的に大変こういった補助金の交付がそういったものと関連付けられているということには問題があると、このような認識に立っているものと考えております。  その意味で、既に様々な方策が取られているわけでありますけれども、さらに厳正な補助金の交付の適正化などの手続によって、こういった補助金の交付とそれから再就職者、出向者の受入れというものが関連をすることのないような透明な補助、支援の体制というものを確立するということは、本法にかかわる支援にとどまらず、広く必要なことであるというふうに考えているところであります。  特に、この法律においては、先生御指摘のとおり、国の関与というものを行わないようにするということが非常に重要なポイントでございますので、この補助金の交付というものを通して、何らかの国の関与、これは再就職者、出向者の受入れにとどまらず、支援を行う際に、これが内容に対して影響を与えることのないように、こういう制度づくりと監視は極めて重要なポイントであるというふうに考えておりまして、透明な形での運用によってそういったものが担保される、そういう仕組みで推移することを、また政府においてそのように運用されることを期待をするとともに、私どもも引き続き国会においてその運用状況をしっかりと注視をし、監視をしていくことが必要であると、このように認識をしているところでございます。
  204. 玄葉光一郎

    衆議院議員玄葉光一郎君) 委員長として改めて申し上げたいと思いますが、今御指摘は、フィルタリング推進機関がたくさんの言わば官僚の再就職先になっていったときにどうなるんだと、こういうことでございますが、今答弁したとおりなんですが、改めて申し上げますけれども、この推進機関は、あくまでフィルタリング調査研究あるいは普及啓発技術開発だけでございますので、そういった意味では、国が有害性の判断等に関与してくるということにはなりませんので、改めてその点は付け加えたいと思います。  以上です。
  205. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 時間でございますので、もう終わらせていただきますけれども、先ほど、用意いたしました質問の中で、有害情報の定義については、委員長の方から答弁の中でしっかり得られましたので質問を割愛をさせていただきました。  ありがとうございました。
  206. 岡田広

    委員長岡田広君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  青少年が安全に安心してインターネット利用できる環境整備等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  207. 岡田広

    委員長岡田広君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、松井孝治君から発言を求められておりますので、これを許します。松井君。
  208. 松井孝治

    ○松井孝治君 私は、ただいま可決されました青少年が安全に安心してインターネット利用できる環境整備等に関する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党・無所属の会及び公明党の各派並びに各派に属しない議員糸数慶子君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     青少年が安全に安心してインターネット利用できる環境整備等に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の制定に当たり、次の事項について万全を期すべきである。  一、インターネットが、青少年を含む全ての人々にとって、社会参画と幸福追求のための極めて重要な手段となっていることに留意し、個人や少数者を含む多様な主体がインターネット利用した表現の自由、多様な情報に関する情報発信やアクセスを不当に制約することのないようにすること。  二、内閣総理大臣のリーダーシップの下、青少年が安全に安心してインターネット利用できる環境整備に関し、政府一体となって、広報啓発活動を積極的に行い、広く周知徹底を図ること。  三、情報リテラシー・モラル教育を学校教育等あらゆる機会を利用して拡充するとともに、保護者等への更なる理解の浸透を図ること。  四、フィルタリングの基準設定の内容によっては、インターネット利用に際しての表現や通信の自由を制限するおそれがあることを十分に認識し、その開発等に当たっては、事業者及び事業者団体等の自主的な取組を尊重すること。また、事業者等が行う有害情報の判断、フィルタリングの基準設定等に干渉することがないようにすること。  五、本法第三十条各号に定める者の自主的、主体的な取組を最大限尊重するとともに、それらの者に対し、財政支援等を行うよう努めること。  六、子どもの発達段階に応じたきめ細かな設定が可能となる携帯電話及びインターネット端末用のフィルタリングサービス閲覧制限の範囲を最小限にとどめる技術の実現等、インターネットに関する技術の進展に速やかに対応できる体制の整備に努めること。  七、インターネット上の違法情報対策については、本法の措置に基づく民主導の取組を注視すること。また、公務員の告発義務から行う司法手続きを基本とした対応を行うこと。  八、海外から発信されるインターネット上の違法有害情報対策に関する国際協力の在り方について、広く検討すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  209. 岡田広

    委員長岡田広君) ただいま松井君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  210. 岡田広

    委員長岡田広君) 全会一致と認めます。よって、松井君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、上川内閣特命担大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。上川内閣特命担大臣
  211. 上川陽子

    国務大臣(上川陽子君) ただいま御決議がありました青少年が安全に安心してインターネット利用できる環境整備推進につきましては、その御趣旨を踏まえまして配慮してまいりたいと存じます。  以上です。
  212. 岡田広

    委員長岡田広君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  213. 岡田広

    委員長岡田広君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  法案提出者及び上川大臣は御退席いただいて結構です。     ─────────────
  214. 岡田広

    委員長岡田広君) 次に、オウム真理教犯罪被害者等を救済するための給付金の支給に関する法律案議題といたします。  提出者衆議院内閣委員長中野清君から趣旨説明を聴取いたします。中野衆議院内閣委員長
  215. 中野清

    衆議院議員(中野清君) 中野でございます。  ただいま議題となりました法律案につきまして、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。  まず、本案趣旨について御説明申し上げます。  平成七年三月二十日に発生した地下鉄サリン事件等は、暴力で国の統治機構を破壊するなどの主義の下に行われた無差別大量の殺傷行為であり、悪質重大な国家的テロリズムであります。また、これらテロ行為に至る過程でも、坂本弁護士事件に見られるように、教団に立ち向かった者やその家族が、教団の発展を阻害する者として殺傷行為の犠牲となっております。すなわち、これらの被害者は、言わば国の身代わりとして犠牲になったもので、これらの被害者の救済を図ることは、テロリズムと戦う我が国の姿勢を明らかにするものでもあります。本案は、このような趣旨から、オウム真理教による犯罪被害者等に対し、給付金を支給するものであります。  次に、本案の主な内容について御説明申し上げます。  まず、給付金の支給対象者につきましては、以上のような趣旨を踏まえ、オウム真理教によるテロリズム等の犯罪として八つの対象事件を掲げた上で、それらの事件の被害者や遺族の方を対象としております。  給付金の性質については、見舞金的性格の給付とされております。これにかんがみ、給付額につきましても、被害の程度と金額を六段階に類型的に定めております。具体的には、死亡された方や重度の後遺障害を負った方について二千万円とする一方、介護を要する後遺障害を負った方については、介護の負担などを考慮して特に手厚い給付を行うべく、三千万円とするなどとしております。  給付の手続及び事務については、被害者や遺族の方が、提出資料について過重な手続負担を負わないようにするなどの観点を踏まえ、所要の規定を置いております。このような観点からの措置として、裁定に必要な記録等の分類、整理、提出については、公務所のみならず、オウム真理教に対する破産申立て事件の破産管財人等にも求めることができることとしております。  また、国による求償権の取得について規定を置き、国が、給付を行った額の限度において、損害賠償請求権を取得することとしております。なお、この国が取得した求償権については、被害者の残存損害賠償請求権と競合する場合、その行使に当たり、本件給付金の支給が被害者救済の趣旨によるものであることを踏まえ、慎重かつ適切になされることを要望するものであります。  最後に、テロリズムによる被害者の救済の在り方について、検討規定を置いております。  以上が、本案趣旨及び内容であります。  本案は、去る六月四日、衆議院内閣委員会において、委員会提出の法律案とすることと決し、翌五日、衆議院本会議で可決したものであります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいまするようお願い申し上げます。
  216. 岡田広

    委員長岡田広君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  オウム真理教犯罪被害者等を救済するための給付金の支給に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  217. 岡田広

    委員長岡田広君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  218. 岡田広

    委員長岡田広君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十一分散会