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2008-05-20 第169回国会 参議院 内閣委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年五月二十日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月十五日     辞任         補欠選任         大石 尚子君     石井  一君      大久保潔重君     柳澤 光美君  五月十九日     辞任         補欠選任         石井  一君     藤谷 光信君      簗瀬  進君     谷岡 郁子君      鈴木 政二君     佐藤 正久君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岡田  広君     理 事                 芝  博一君                 松井 孝治君                 有村 治子君                 松村 龍二君     委 員                 相原久美子君                 神本美恵子君                 工藤堅太郎君                 自見庄三郎君                 島田智哉子君                 谷岡 郁子君                 藤谷 光信君                 柳澤 光美君                 岩城 光英君                北川イッセイ君                 鴻池 祥肇君                 佐藤 正久君                 中川 義雄君                 風間  昶君                 糸数 慶子君    衆議院議員        内閣委員長    中野  清君        内閣委員長代理  河村 建夫君        内閣委員長代理  櫻田 義孝君        内閣委員長代理  野田 佳彦君        内閣委員長代理  細野 豪志君        内閣委員長代理  西  博義君    国務大臣        国務大臣        (内閣官房長官) 町村 信孝君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 秀行君    政府参考人        外務省総合外交        政策局軍縮不拡        散・科学部長   中根  猛君        文部科学大臣官        房審議官     青山  伸君        経済産業省貿易        経済協力局貿易        管理部長     立岡 恒良君        防衛省防衛政策        局次長      松本隆太郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○宇宙基本法案衆議院提出)     ─────────────
  2. 岡田広

    委員長岡田広君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十五日、大久保潔重君及び大石尚子君が委員辞任され、その補欠として柳澤光美君及び石井一君が選任されました。  また、昨十九日、鈴木政二君、石井一君及び簗瀬進君が委員辞任され、その補欠として佐藤正久君、藤谷光信君及び谷岡郁子君が選任されました。     ─────────────
  3. 岡田広

    委員長岡田広君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  宇宙基本法案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長中根猛君外三名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岡田広

    委員長岡田広君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 岡田広

    委員長岡田広君) 宇宙基本法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 藤谷光信

    藤谷光信君 おはようございます。民主党藤谷でございます。よろしくお願いいたします。  先日来、ミャンマーの災害四川省の大地震等、大きな災害がございまして、被害に遭われた方には心からお見舞いを申し上げる次第でございます。  四川省災害の後、政府救援団を派遣しまして、テレビ報道によりますと大変な実績を上げておられるようでございまして、大変喜ばしいことだと私は思っておりますが、一方で、情報公開がなかなかないというので、報道関係では最近ようやく入っておりますが、それが盛んに言われております。つい先日の新聞を見ますと、台湾の人工衛星四川省の様子を災害前と災害後と比較したのが新聞に出ておりました。四、五日前です。そういうのを見ますと、今日のこの法案大変時宜を得たことだと私は思っております。  それから、先日、エンデバーの乗組員の方が国会を訪ねてこられまして、私も出席しまして歓迎会へ出ましたんですが、土井さんが大変頑張っておられまして、土井宇宙士外国宇宙士と肩を並べて同じように、同じ仲間としてみんなも扱う、土井さんもそのようにしておるということで大変心強く思ったのでございますが。端的に感じましたことは、案外乗組員というのは体が小さいんだなと思いまして、やっぱり身長というのが乗組員には関係するのかと、これは素朴な考えでございますが。  そのときに、今、司令官の、船長さん、ペギー・ウイットソンさんという人はまだ船内に残っておるそうでございます。いろんな面で科学技術の最先端を行っておるわけでございますが、向こうへ残る、船の中に残って孤独な闘いをしておるということはやっぱり科学技術を信頼し切っておる、いつかはちゃんと帰れるんだという気持ちがあるからこそいろんなことで頑張っておられるんだなということをつくづくと感じました。そういう意味で、この今宇宙基本法制定しようとしておるわけでございますので、そういうこと等も含めまして質問をさせていただきたいと思っております。  本法案制定のねらい、目的等趣旨をまず御説明いただきたいと思っております。
  7. 中野清

    衆議院議員中野清君) 今、藤谷委員から本法案制定趣旨、また、ねらい、目的等についてのお話でございましたけれども、この御質問にお答えをしたいと思います。  今日、人工衛星利用した位置情報サービスや通信・放送サービス災害監視資源探査等が実用化されまして、宇宙用開発された技術素材等が様々な分野に活用されるなど、宇宙開発利用は我々の身近な生活においても重要な役割を果たしておるようになってきております。また、我が国をめぐるところの安全保障環境変化や、中国を始めとするアジアや中東など諸外国における積極的な宇宙開発利用推進などの国際情勢変化もあり、宇宙開発利用重要性は今後更に増大していくことが予想されております。  我が国宇宙開発は、これまでも宇宙科学研究など限定、特化して進められてきましたが、政府として一体となった戦略的な取組が行われてきたとは言えない状況にあります。本法案は、このように宇宙開発利用重大性が増大していくことにかんがみまして、我が国において宇宙開発利用の果たす役割を拡大するため宇宙開発利用国家戦略として位置付け、司令塔となる宇宙開発戦略本部内閣に設置をし、日本国憲法平和主義理念にのっとり宇宙開発利用に関する施策を総合的かつ計画的に推進をし、国民生活向上及び経済社会の発展に寄与するとともに、世界の平和及び人類の福祉の向上に貢献しようとするものであります。  本法案我が国における宇宙開発利用に関する基本法となるものでありまして、具体的には、まず第一に宇宙開発利用に関する基本理念を定めること、第二に宇宙開発利用に関する国の責務を明らかにすること、第三に宇宙基本計画を作成すること、第四に宇宙開発利用に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、宇宙開発利用司令塔となるところの宇宙開発戦略本部を設置すること、第五に宇宙活動に関する法制を整備すること等について定めているものであります。  以上が本法案制定のねらいでもあり、目的趣旨でもございます。よろしく御審議を賜りますようお願いいたします。
  8. 藤谷光信

    藤谷光信君 この宇宙基本法案を全体的に見ますと、従来、宇宙開発に関しては主として文部科学省所管であったことに対して、内閣宇宙開発戦略本部を置いて、首相本部長として、さらに担当大臣を置いて、宇宙開発戦略に関して集中管理体制をしくことと私なりに読んだのでございますが、先ほど来の答弁がございますけれども、ちょっとまた私なりにまとめてみましたところですが、従来、文部科学省主管の下でJAXAが主体となって宇宙に関する研究を進めるとともに衛星等を打ち上げておりましたけれども、政府系衛星の長期打ち上げ計画を立てて、民間企業への発注を増やして宇宙産業を活発化させるということも大きな柱ではないかと思っております。  それから、自衛隊一定条件下宇宙開発利用防衛力として活用可能とすることに大きく絞られるような気がしておるわけでございますが、私の生まれたところは岩国市でございますが、山口岩国市には岩国米軍基地を有して、私は市議会議員県議会議員を経験しましたけれども、三十年以上地方政治にかかわってきたんでございますが、この防衛問題とも取り組んでまいりました。主として、この宇宙基本法防衛問題に関する問題に絞って御質問をさせていただきます。  我が国はそもそも平和憲法というものを保有して、かつ一九六九年に衆議院における、我が国における宇宙開発及び利用に関する決議の中で、宇宙開発及び利用平和利用目的に限り行うこととして、この平和目的の限りの解釈は、決議提案者発言及び当時の科学技術庁長官答弁により非軍事とされております。国民生活の安全、安心確保のため一定防衛力を保有することは必要不可欠であると認識しておりますけれども、国民の安全、安心確保に資する防衛力とは、相対的な、まあ相手があってのことでございますので、想定される軍事脅威との関係もその軍事力を構成する技術進歩との関係で決定されるべきものだと私は整理をしております。  一九六九年当時と現在では、我が国防衛力を決定する国際環境技術力も大きく変化していることは多くの国民の理解するところであると思います。とりわけ、防衛のために人工衛星活用した情報収集能力確保向上は必要ではないかと思っておるわけでございますが、本法案と一九六九年の衆議院決議との整合性をどのように整理しておるのか、お尋ねをいたします。
  9. 野田佳彦

    衆議院議員野田佳彦君) おはようございます。  藤谷委員におかれましては、私ども民主党宇宙基本法検討プロジェクトチーム参議院選挙に当選をされた直後からずっとメンバーとして加わっていただいて、民主党考え方をまとめるに当たり大変お力をいただきましたことをまず冒頭感謝申し上げたいと思います。僧籍を持っていらっしゃるからかどうか分かりませんが、宇宙観がやっぱりあるなというふうに思います。  御指摘の本法案と一九六九年の衆議院決議との整合性についてのお尋ねでございますけれども、昭和四十四年の衆議院における「わが国における宇宙開発及び利用基本に関する決議」、いわゆる平和利用決議では、宇宙開発及び利用を平和の目的に限り行うこととしており、この平和の目的に限りの解釈は、委員が御指摘いただいたとおり、提案者発言や当時の科技庁長官答弁により、非軍事とされてきたところでございます。  本法案では、宇宙開発利用我が国安全保障に資するよう行うものと位置付けており、憲法平和主義理念にのっとり、専守防衛範囲内で防衛目的での利用は行えるというのが本法案提出者趣旨でございます。  これまた委員がこれまでの経緯を整理をしていただきましたけれども、平和利用決議が採択された当時に比べ宇宙開発利用状況は大きく変わっておりまして、GPSなどにより我々の日常生活の中でも宇宙利用活用は行われております。  このように、宇宙開発利用が進展する中においても軍事的利用は一切認めないとするのが決議趣旨とは考えにくく、これまでも一般化した技術利用や、我が国国民の生命、財産を守るための純粋に防御的な他に代替手段のない唯一の手段であるBMDへの取組については、決議趣旨及びそのよって立つ平和国家としての基本理念に沿ったものとして認められてきたところでございます。  憲法平和主義にのっとり、専守防衛範囲内で我が国防衛のために宇宙開発利用を行うことは、一九六九年の決議文言及びその趣旨に反するものではなくて、本法案により平和利用決議を否定したりこれを無効にするようなものではないと考えております。  以上です。
  10. 藤谷光信

    藤谷光信君 それでは、憲法平和主義理念にのっとり、専守防衛範囲内で我が国防衛のために宇宙開発利用を行うということは、決議文言及びその趣旨に反するものではないという御答弁でございましたので、本法案により平和利用決議を否定したりこれを無効にするものではないと確認させていただきます。  次に、基本法に引き続く関連法案制定に関して、それぞれの省庁が省益を優先させたり、いわゆる骨抜きになるのではないかと危惧しております。関係法案策定、取決めに関する基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  11. 野田佳彦

    衆議院議員野田佳彦君) 今委員から御指摘のところは、宇宙基本法を起草するに当たって、一番ある意味本質的なところ、肝のところでございまして、これまでの我が国宇宙開発というのは、内閣官房とか文科省総務省国土交通省、経産省、それぞれの府省によってばらばら推進をされてきた嫌いがございました。それを諸外国と同じように、きちんと国家として戦略的に総合的に計画的に一体的に推進をしていこうというのが本法案の一番の趣旨でございますので、この基本法が成立をした暁に、それに続く関連法がまたばらばらにですと、いろいろな事態が生じれば全く意味がなくなってしまいますので、これよく気を付けなければいけないと思っています。  元々この法案では、宇宙開発利用を先ほど申し上げたように国家戦略と位置付けて、宇宙開発利用司令塔となる宇宙開発戦略本部内閣に設置して、日本国憲法平和主義理念にのっとって宇宙開発利用に関する施策を総合的かつ計画的に推進していくというのが一番の大事な含意というか本意でございますので、それを踏まえてきちんとした司令塔をスタートさせていくと同時に、当面本部内閣に設置するとともに、その事務の処理は内閣官房が行いますが、附則に書いてありますとおり、これ一年をめどにしてこれを内閣の方に移行をすることにしていまして、その中で必要な関連法整備を行っていくというのが法文に書いてあるところでございますが、委員の御懸念が生じないように、しっかり法案提出者としても今後の本法案趣旨目的に沿った行政組織の見直しが行われるよう立法府として適切に監視していきたいと考えておりますし、加えて、超党派でこういう形で議員立法として提出をさせていただいて、その法案が通った暁には当然のことながらフォローアップも必要になると思いますので、そういう議連も立ち上げて監視をしていくというような措置も併せて講じていきたいと思っています。  以上です。
  12. 藤谷光信

    藤谷光信君 基本法ですからすべてを網羅するわけにいかないわけでございますが、今答弁にありましたように、いろんなことがこの基本法策定までにいろいろと研究されたんだなということが理解をいたしました。  防衛といいますと、主としてハードパワーである抑止力としての軍備の問題に議論が偏りがちなんでございますが、戦争が起きる原因や要因を事前に摘み取るソフトパワーを強化、発揮させることが戦争を回避する有力な手段であります。戦争の大きな原因貧困と飢餓があり、天災により引き起こされることもしばしばあります。我々の先輩の国会議員先生が、国会議員の仕事は何かというと、戦争をいかに起こさないかという一点に尽きるんだということをおっしゃった先生がいらっしゃいますが、至言だなと私は思っておるわけでございますが。  人工衛星による地球環境情報軍事機密許容範囲内で我が国がこれら諸外国に提供することも有力な外交手段ともなります。現在、我が国アジア災害ネットワークであるADRRNなどを推進していると聞いておりますが、我が国宇宙開発ソフトパワーとして活用する典型的な例になると私は高く評価しておるわけでございます。  またさらに、我が国エネルギー探査食料増産への活用安全保障であると認識されております。法案第三条にある我が国安全保障とは、防衛力のみならず、これらをソフトパワーを含めた総合安全保障とすべきと認識されますが、その見解をお伺いいたします。
  13. 細野豪志

    衆議院議員細野豪志君) お答えさせていただきます。  先ほど野田議員の方からも御答弁がございましたとおり、本法では専守防衛範囲内で我が国安全保障に資する、そういう宇宙利用開発が認められているわけでありますが、それに限定をされるものではないということでございます。具体的に法案として説明をさせていただきますと、国民生活向上、安全で安心して暮らせる社会の形成、災害貧困その他の人間の生存及び生活に対する様々な脅威の除去にも資する、そういう宇宙開発利用を今後とも推進をしていくということでございます。  先ほど来、藤谷議員が再三指摘をしていただいておりますとおり、宇宙開発利用に関しましては、現在作付けをかなり宇宙から探査をできるというような、そういった食料品の様々な問題、さらには資源探査など様々な利活用がこれからできるという時代になってまいりました。我が国安全保障、もちろんそのために利用できるわけでございますけれども、これを幅広く世界にそうした技術活用していく、広げていくという意味においてまさに御指摘のとおり日本のソフトパワーにも資するわけでございますし、我が国総合安全保障観点から利活用が可能になってきているというふうに考えているところでございます。
  14. 藤谷光信

    藤谷光信君 総合安全保障という観点からその点を絞っていかなければいけないんじゃないかと思ったりもしております。  防衛力攻撃力というのは国の意図で決まるものでありますので、それを組織面制度面できちんとシビリアンコントロールする強力な担保が必要でございます。  自衛隊宇宙利用防衛のみに厳しく限定する担保として基本法制定されたと理解しておりますが、基本法第二十九条で、内閣宇宙戦略本部を設置し、首相本部長に就き担当大臣を置くとしていることは、宇宙開発戦略一元化による宇宙利用について、従前以上の推進が可能となるとともに周辺諸国安心感を与えるものと思っておりますが、これだけでは少し不十分ではないかと思っております。  発言の冒頭で、私は山口岩国市出身だと申しましたが、この岩国基地が、米海兵隊基地があるんですが、自衛隊も使っております、海上自衛隊でございますが。この岩国基地への米軍艦載機移駐問題で、地元行政に対して、また同僚議員は私に対して、防衛省の方ともいろいろお話合いをしましたが、何かそこに話合いの行き違いというものがすごく感じまして、なかなか納得できない答弁、回答などあった経験がございます。具体的な事例を今紹介するときではありませんので省きますけれども、当時の防衛事務次官の性格がこういうふうになったんだとも言われておりますけれども、防衛省には、自らの意図の実現のためには極端に言いましたら詭弁を弄してもという組織体質があったと思うような節があるわけでございます。  そういう意味で、今回の基本法では、平和憲法の下で防衛のために宇宙開発利用を行うことについて、しっかりとした透明性確保する制度的な歯止めが必要であると思います。  一つには、宇宙担当大臣任命に関して、我が国防衛のために宇宙開発利用を行うことについて、平和憲法理念に基づき専守防衛範囲でとの法的な歯止めに加えて、宇宙担当大臣として防衛大臣は兼務することを禁じる更なるシビリアンコントロールの徹底が必要じゃないかと思っております。  第二番目は、予算管理において、民生用費用防衛目的費用を明確に区分することが必要ではないかと思いますが、諸外国防衛費の不透明さがあればこれを問題視することは当然でございますが、我が国防衛費についても従来以上に透明性を徹底していく必要があります。宇宙開発費用について防衛関連予算を明確化し、シビリアンコントロールの最上位にある国会で、宇宙利用自衛隊に認めるが、その実行段階予算審議を通じ予算の面からきちんと審議、管理できるようにする必要があります。  それで、第三には、情報公開の問題です。  防衛関係予算対象について、防衛機密扱いとする必要があるケースもあることは私も認めております。一方で、それ以外の民生関連情報については、情報公開原則を徹底すべきであると思います。民生用宇宙利用技術防衛機密をカバーさせることを一部の人たちが議論しているとも聞こえておりますが、これを容認すれば、民生部門防衛部門がコントロールしてしまうことが可能になりますし、民生用予算の中に防衛関連予算を入り込ませることが可能な仕組みになってしまいます。こうした懸念を完全に払拭させるためには、民生用宇宙利用技術情報については防衛機密事項扱いにはできないことと明確にして、民生用宇宙に関する情報公開原則とする旨明確にしておく必要があると思うのでございます。  ついせんだっても、これは新聞報道でしたが、アメリカのノースカロライナのNLPの訓練基地が住民の反対で取りやめになったという記事が載っていますが、アメリカには情報公開というのが非常に大きな力を持っておりまして非常な透明性があるということが、これ新聞報道でございますが、つい二、三日前の新聞でありまして、大事なことだなと思って見ました。  それから、自衛隊宇宙利用を認めるに当たり、専守防衛原則を堅持するしっかりした担保を組み込むことが、国民及び近隣関係諸国に対して、我が国は従来どおり平和憲法を守り専守防衛に徹するという強いメッセージとなると思っております。  以上、担当大臣任命に当たり防衛大臣の兼務を禁止する、宇宙開発予算について防衛関連予算民生用宇宙開発関連予算を明確に区分する、あるいはまた、防衛機密防衛関連予算関連するものに限定して適用されるものとして、民生に関しては情報公開原則とする、この三つの歯止めを設けるべきじゃないかと思っておりますが、その件につきまして見解をお伺いいたします。
  15. 細野豪志

    衆議院議員細野豪志君) 三点それぞれについて答弁をさせていただきます。  まず、宇宙開発担当大臣でございますけれども、この大臣につきましては、内閣総理大臣の命を受けて、宇宙開発利用に関し内閣総理大臣を助けることをその職務とする国務大臣とされておりまして、総理大臣任命をするという形になっております。  当然、総理大臣としては、内閣総理大臣が様々なこれまでの宇宙政策の弊害をしっかりと考えて一元化をできる大臣任命をするということでございますけれども、様々な今、藤谷議員の方から御指摘がありましたような懸念を考えると、提出者としては、防衛大臣宇宙開発担当大臣任命することに関しては適切ではないというふうに考えておるところでございます。  続きまして、宇宙開発利用予算についての透明性について御質問をいただきました。  本法案では、宇宙開発利用我が国安全保障に資するよう行うものと位置付けておりまして、憲法平和主義理念にのっとり、専守防衛範囲内で防衛目的での宇宙開発利用は行えるというのが提案趣旨でございます。防衛目的での宇宙開発利用として何が可能かということに関しましては、科学技術の水準であるとか国際情勢に照らしてその都度適切に判断をされるものというふうに考えております。  また、本法案では、内閣総理大臣本部長とする宇宙開発戦略本部を設置をすることになっておりまして、宇宙開発利用に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために宇宙基本計画を作成をすることになっております。また、この宇宙基本計画につきましては、作成をした段階で遅滞なくインターネット等を通じて公開が義務付けられているところでございます。  この宇宙基本計画でございますけれども、中身といたしましては、宇宙開発利用推進に関する基本的な方針、宇宙開発利用に関し政府が総合的かつ計画的に実施すべき施策などが定められることになっておりますが、今回、新たに安全保障についてということで防衛目的宇宙開発利用が含まれるわけでございますけれども、それもこの基本計画の中に定められることになっております。  これまで、ともすればばらばら予算計上され、計画ばらばらにされてきたものが、この宇宙基本計画の下に整合的に情報公開をされるということでございますので、むしろ、その面からは透明性が高まるものというふうに考えております。  また、当然、この宇宙開発基本計画に基づいて予算というのは策定をされることになるわけでございますので、透明性の高い宇宙開発基本計画の下で予算がしっかり提示をされ、それが国会というまさに国民公開の場所で、徹底した情報公開の下で議論されることを提案者としては望むものでございます。  続きまして、防衛関係予算についての公開の問題について御質問をいただきました。  本法案の第二十三条では、宇宙開発利用に関する情報の適切な管理のために必要な措置を講ずる旨規定しているところでございますけれども、これは宇宙開発利用に関する情報を一切公開しないという趣旨ではございません。公開すべきものについては適切に公開するというのは当然前提としているところでございます。  宇宙に関しましては、軍事転用が可能な技術ございますし、高い付加価値を有する技術等ございますので、情報公開を制限をする必要があるというのはこれは御理解をいただけるというふうに思うんですけれども、宇宙にかかわる知識の集積が人類にとって極めて重要である、さらには研究開発の成果の活用を図るために重要であるということを考えれば、特に理学等の分野など、可能なものについては広く公開をしていくことが必要であるというふうに考えております。  衆議院での委員会決議の中でもこの情報公開の問題については議論されてきた経緯がございますし、また参議院の方でも、今回、附帯決議の中でこの情報公開について特段の決議をいただくというふうに承知をしておりますので、この決議を十分踏まえて今後運用されるように、我々としてもしっかりとチェックをしてまいりたいというふうに考えております。
  16. 藤谷光信

    藤谷光信君 これまでの我が国宇宙開発については、その成果を国民に広く理解してもらう必要があると思います。つまり、我が国は国際宇宙ステーションの共同開発国でありますし、アメリカやロシア、ヨーロッパ、カナダ、日本の四か国一集団のメンバーの一人でもありますし、国民の税金を使わせていただいてはいますが、周回遅れでスタートしたことを思いますと、これまで宇宙開発に携わってこられた方々の並々ならぬ御努力に対しては敬意を表するとともに、基礎研究を含めた宇宙研究開発予算について、今後ともきちんと確保されるべきものと思っております。  これと関連しまして、これまでの宇宙開発の実行部隊であるJAXAについて、基本法制定に伴い、その位置付け、改編を含め、どのような方針、取り進めを予定されておりますか、お伺いいたします。
  17. 野田佳彦

    衆議院議員野田佳彦君) これまでいただいた御質問の中で、すべて基本的には、枠組みとしては共通するものは、やっぱり我が国における宇宙開発利用は、それを総合的、計画的に推進するために宇宙開発戦略本部をつくり、そしてその本部が定める宇宙基本計画にのっとって実施をされるということが、これすべてのベースでございます。  その本法案趣旨と、そして宇宙基本計画に照らして、我が国宇宙開発利用の実施を担う機関、どのようなものがふさわしいかということは、委員が御指摘をされました独立行政法人のJAXAを始めとして宇宙開発利用に関する機関について、その目的、機能、業務の範囲、組織形態の在り方、当該機関を所管する行政機関等について検討を加え、見直しを行う旨、附則の第三条に規定をさせていただいております。  この附則の第三条は、むしろどちらかというと私ども野党側から強く要求をして入れさせたところがございますので、もう一度ちょっと正確に読まさせていただきたいと思いますけれども、「政府は、この法律の施行後一年を目途として、独立行政法人宇宙航空研究開発機構その他の宇宙開発利用に関する機関について、その目的、機能、業務の範囲、組織形態の在り方、当該機関を所管する行政機関等について検討を加え、見直しを行うものとする。」と。一年がめどということで見直しがされるということでございまして、当初この法案、与党案のときは必要に応じて見直しということだったんですが、一年をめどに必ずこれは見直しを行うということになっているということを付け加えさせていただきたいと思いますが。  特に、お尋ねのJAXAですが、これまで大変な実績を上げてきたことも事実でございまして、月の表側と裏側とで地殻の厚さや海の分布に明らかな非対称があること、これ月の二分性というらしいんですが、その発見をした「かぐや」であるとか、あるいは小惑星イトカワに着陸し、人類史上初めての地球圏外からの試料採取を試みている小惑星探査機「はやぶさ」など、その宇宙科学における世界的な成果というのはこれはきちっと正当に評価をすべきだと思います。その成果を踏まえつつ、先ほど申し上げたように、宇宙開発戦略本部において十分な検討が行われて、宇宙開発利用の総合的かつ計画的な推進という本法案趣旨に沿った見直しが行われるものと考えております。  以上でございます。
  18. 藤谷光信

    藤谷光信君 どうもありがとうございました。  いろいろと問題点を細かく分析しながら基本法に取り組んでおるということがよく分かったわけでございます。  時間の問題もありますので、今日はそういう防衛問題との関連についてのみを特化した質問になりましたんですが、科学技術の進展、あるいはいろんな素材の研究とか、人間の研究、訓練とかあるいは電波の利用とか、いろいろ大きな政治的な問題もたくさんあると思うのでございますが、またほかの議員さんも質問されるでありましょうし、他の機会にも今後とも質問させていただきたいと思っておりますが、最後に私のちょっと意見を申し上げますと、昭和二十年の終戦からもう六十二年たっておりまして、戦争を経験されておる人がもうだんだん、この中にも何人か戦争体験者、まあ戦地に行ったという人はほとんどないんじゃないかと思いますが、私はちょうど八歳のときが終戦でございましたので、東京大空襲というのを盛んに言われますが、私は山口岩国市の爆撃を経験をしておりまして、八月の十四日、八月には毎日日本中が爆撃を受けたわけでございますが、八月十四日、もう日本がポツダム宣言受諾した後でございますが、岩国市の岩国駅に爆弾がたくさん落とされました。五百人余りが一挙に、民間人が死んだわけでございますが、列車が、客車が、上り下りが岩国駅に入ったわけです。逃げたわけです。そこへ爆弾が落ちました。  それから、広島の爆心地から私のところは四十キロでございますが、四十キロといいますと、今ごろ車で行けばわずか三十分で行きますが、昔は、以前は列車で一時間半ぐらい掛かっていたところでございますが、原爆が落ちましたときに、私は朝八時十五分にそれを経験しておりまして、原爆というのは四十キロ離れておりましても、ピカドンと言うんですが、落ちましたら、授業中でしたが、視野が全部ピンク色になるんです。四十キロ離れておるんですよ。全部ピンク色に、人の顔も、見えておるものが全部ピンク一色のモノトーンになるんです。それで、あら、何事だろうかと思ったら、二分ぐらいしましたら、今の大地震のようにどうっと揺れてきました。四十キロ離れておるんです。  ですから、もちろん広島市は一瞬のうちに壊滅したわけでございます。その光とか音とかあるいは爆風とか、そういうものを私は、いわゆる被爆者じゃございませんけれども、経験をした一人として、こういうことはどうしてもいろいろの機会があるたびに申し上げたいと思っておるわけでございます。国会議員先生の中にも過酷な厳しい経験あるいは戦後のつらいときを経験された方もありますが、私はその一人として申し上げておるわけでございます。  また、地元の岩国の米軍基地がありますが、日米地位協定がありまして治外法権になっておるということもよく知っておりますが、一方では住民は非常に厳しい立ち退きとかなんとかいうのを経験しました。苦しいときもありましたが、また共存もしております。  私は陸上自衛隊の開隊記念日にはいつも行きまして、自衛隊員を激励もしております。自衛隊入隊のときの入隊者の激励会がございますが、これにも必ず私は行きまして、皆さんに激励をし、海上自衛隊の開隊式にも、米軍のあれは騎兵隊というんですが、騎兵隊の二百七十何周年と今年ありましたが、今年もそれに行きました。決して敵対するのではなくて、正しく自衛隊が育っていくといいますか、機能を発揮するというふうに私は努力をしておるわけでございますけれども、この宇宙基本法制定に当たりまして、こうして私がトップバッターとして質問に立たせてもらいましたというのも何かの御縁かなと思っております。  時間の関係がございますので余り多く申し上げられませんが、宇宙基本法制定に、すべての全国の社説は、自衛隊宇宙利用できる法案が今国会で承認されると紹介をしております。その論調は、これは当たり前だという論調と、社説と、危惧する論調と、二つに分かれております。しかしながら、国会議員の皆さんも私も、国民のほとんどがその共有する考え方というのは、二度と我が国戦争をしないこと、将来にわたって他国に侵略又は占領されないことのこの二点であると思います。ですから、国を守るという崇高な任務に就いておられる自衛隊の方々は、国の防衛に関して想定されるあらゆる危機に対して、その回避を、あるいはそれについての検討をされることが当然の任務であると思っております。  しかしながら、防衛力というのは一方では攻撃力ともなり得ることでございますので、世界平和の強い思いから、軍事力の保有は望ましくないとか言いながら、これを否定する立場の主張もありますので、争い事が全くない理想の世界というものは将来ともこれを実現することは残念ながら見出せないかも分かりません。他国からの侵略の脅威に対しても、やはりそれなりの防衛というのも、防衛科学技術というのも大変大事になってくるんじゃないかと思っております。  私は、先ほど野田先生から話がありましたように、今、浄土真宗の僧侶でございますので、世の中安穏なれというのが私のテーマでございますので、これからも必要な防衛力というものは当然備えていきますが、その防衛力攻撃力として使用したり他国と戦争することは将来にわたって我が国は絶対しない、させない仕組みづくりというこの軸を、微動だにしないという絶対的な基本理念を持って、こういう考えをきっちりと反映させていただけるものと確信をしております。  私の質問を終わります。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  19. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 民主党谷岡郁子でございます。  本日は、お時間をいただきまして本当に感謝申し上げます。ただし、時間は二十分と短うございますので、できるだけ簡潔にお答えをいただきたいと思っております。  かつて私の大学へ公安関係の方がいらっしゃって、学生の写真を示してこの学生の学籍簿を見せろと言われたことがございます。たまたま観光旅行をしていて、広島に旅をしていて、そして広島で原水協の大会と突き当たり、そこで無断で写真を撮られたという学生でございました。もちろん学籍簿を見せるということは断りました。  私が今心配をしておりますのは、宇宙技術推進とその利用ということによって安全保障のための防衛の偵察ということが海外に向けて行われるということは大変有効だという反面、解像度の高い衛星写真を使ってデモ、集会等に参加する国民の写真を無断で撮影し、国民監視するということに利用されるということがないだろうかということでございます。  これについて、そのようなことはないのだということを是非御確認いただきたいと思います。また、こういう形で国民の思想や表現の自由を侵害しないということを今後の実施法等の中で是非書き込んでいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  20. 細野豪志

    衆議院議員細野豪志君) 谷岡委員におかれましては、民主党宇宙基本法PTにおきまして度々御示唆をいただいておりまして、まず心より感謝申し上げたいというふうに思います。また、非常に重要な御質問をいただいたというふうに承知をしております。  まず、我が国の保有する情報収集衛星でございますけれども、外交、防衛などの安全保障及び大規模の災害等への対応ということで、危機管理のための情報収集を主な目的とするものでございまして、国民監視そのものを目的とするということはございませんし、将来的にもそのような構想はないというふうにまず承知をしているということを申し上げたいと思います。  その上で、現在のこの情報収集衛星の能力でございますけれども、その精度であるとか運用など、これを見てまいりますと、解像度が個人を特定をし、更に個人の行動を監視をできるレベルではございませんで、観測頻度につきましても地球上の任意の箇所について一日一回程度をモニタリングできるという程度のものでございまして、現段階においては御懸念のようなことはないのではないかというふうに考えております。  ただし、今後の宇宙開発利用推進に当たりまして、技術面からもまた監視範囲におきましても、個人の行動を監視をし得るような技術を持ち得ることについては否定をできるものではございませんので、今後の個人情報保護の在り方、目的限定をし、そして目的利用を制限をすることも含めて、プライバシーの保護について必要な検討が行われることは十分これからやっていかなければならないことなのではないかというふうに考えているところでございます。
  21. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 ありがとうございます。  次に、本法案に係る宇宙開発利用が動き出した場合、年間予算の規模がどの程度になるというふうに推測されておりますでしょうか。
  22. 野田佳彦

    衆議院議員野田佳彦君) 平成二十年度予算における宇宙関係予算というのが約三千二百八十六億円と、今までよりは少し増えてきたというふうに承知をしておりますが、本法案の成立後はこれは内閣に設置される宇宙開発戦略本部において宇宙基本計画を定め、それに基づいて宇宙開発利用を総合的、計画的に推進をすると、そのための必要な予算をつくるということでございますので、まだ戦略本部もつくられている状況ではないので、予想される予算額と言われてもちょっと法案担当者としてはお答えはできかねるところでございますが、いずれにしても、無駄を省きつつということは必要だろうというふうに思っております。  加えて、やっぱりもし御懸念があるとすると、宇宙開発予算確保するために、例えば文科省とか国土交通省総務省とか経産省とかそれぞれ予算がございましたよね。それぞれの関連省庁の予算を削って宇宙関連予算をつくっていくという考え方を取るということではないと思っていまして、あくまで戦略本部で総合的、計画的に考えると。  個人的な意見を言えば、例えば国土交通省宇宙関連予算がありますが、狭い国土に道路ばっかり造るよりはもうちょっと宇宙にということを個人的には思いますけれども、こんなことを言うとちょっと法案担当者のチームワークが乱れますから言いません。例えば、文科省だと宇宙関連予算確保するために高等教育の予算を削るとか、そういう特定省庁の特定の予算を削るために宇宙開発予算確保するという考え方は取っておりません。
  23. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 私が調べましたところ、米国はNASAと防衛省を合わせまして宇宙予算は大体年間四兆円弱、そして欧州は全体としてやっておりますけれども、五千億程度だというふうに聞いております。そして、これを支える米国のGDPは約千四百兆円、また欧州のそれは二千兆円弱ということでございます。これに対して我が国のGDPは五百兆円足らずで、日本の体力で、つまり三分の一から四分の一しかGDPがないわけですけれども、本当に互角に競争ができるんだろうかと。これが、老人医療を取り上げる、あるいは収入のない学生に年金を払わせているようなこの状況の中で、本当に競争力のあるような状況でやっていけるのだろうかということが私の心配でございます。  例えば、宇宙開発利用すべき理由の一つとして防災が挙げられております。しかし、我が国の小学校では今も四割近くが耐震工事を待っている。一割近くは検査もされていません。これは予算が不足しているからであります。四川省の地震のような悪夢を防止するということから、宇宙開発利用よりも予算としての優先順位が私は高いんではないかと思うんですが、これに賛成していただけますでしょうか。  また、科学技術の基盤は産業育成である以上に高等教育であるというふうに私は考えます。しかし、我が国の学生は十年前から仕送りが毎月三万円減少しております。そして、二十歳になったら収入がなくとも年金を一万四千円払う状況で、バイト漬けになっています。勉強時間は取れず、お昼御飯を抜くことが常態化しております。これは国の高等教育負担が圧倒的に小さいということに起因しております。日本の競争力を向上させるために、宇宙予算は果たして高等教育予算以上に大事なものなんでありましょうか。  また、本法案目的には環境問題への寄与ということが挙げられております。しかし、現在、我が国の環境省の年間総予算は二千二百億円足らずでございます。地球温暖化対策推進費は十六億二千万円、これが環境サミットをやろうという我が国の平成二十年度の予算であります。  このような予算不足を早急に解消するということは、宇宙開発利用の成果からの遠い将来の間接的な効果を見込んでいくよりも、そしてそこに多大の投資をするよりも重要ではないかということで、国としての財布が一つしかない以上、これが、このまま歯止めが掛けられないで予算が増大していくということを私は大変心配しております。そういうことについては大丈夫なんでしょうか。
  24. 野田佳彦

    衆議院議員野田佳彦君) いかなる政策分野にどうやって予算を付けていくかということは、まさにこれは政治の役割の一番そのものであって、まさに資源配分で政策の優先順位を付けるというのが政治の役割だと思うんです。  今委員から御指摘があった何を重視すべきか、それはそれぞれいろいろ御意見があると思いますが、やっぱり時の政権によってしっかりと戦略的に資源配分をするということに尽きると思っておりまして、ただこれが、宇宙基本法が作られたから野方図に宇宙開発予算が増えていくのかということではなくて、先ほども申し上げましたとおり、これまでばらばらでやってきたことを戦略的に、統一的に推進するわけですから、無駄を省きながら必要な宇宙開発予算確保していくということであって、あとは医療と高等教育とか、いろいろ比べながらいろいろなお話はあるかもしれませんが、これはやっぱり時の政権の政策判断と国会のあと意思、チェックによるだろうと思います。
  25. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 次にお聞きしたいことは、先ほどの藤谷委員ともちょっと関連するんですけれども、宇宙開発利用安全保障分野というものが軍需産業の育成ということになり、日本が産軍複合国家への道を歩む突破口になることがあるのではないかということが懸念されるわけでございますが、これについての法整備というものが、今後、実施法等について行われていくのだろうかということの懸念でございます。  二〇〇六年の提言で経団連は、民間企業のリスクの軽減のために国が重要な顧客として継続的に有力なユーザーとなることが重要であるというふうにしておりますが、この提言というものを受けてこの法案があるということではないのだということでよろしゅうございますね。一方で国民には自己責任を求め、企業は保護するというような矛盾ということがないようにしたいと思います。  また一方で、本法案にはなぜ企業等民間事業者の義務や責任が書き込まれていないのか、これに疑問を持っております。マンションから食品の数々の偽装、コムスンやNOVAを考えれば、企業が利潤追求のために国民の利益や安全を犠牲にすることがあるということは明らかでございます。これは、今後の法整備の中で解決されるというふうに約束していただけますでしょうか。
  26. 細野豪志

    衆議院議員細野豪志君) 藤谷委員に対する答弁でもお答え申し上げましたけれども、本法案では宇宙開発利用我が国安全保障に資するよう行うものというふうに位置付けてはおりますけれども、これはあくまで憲法平和主義理念にのっとったものでございまして、専守防衛範囲内で防衛目的利用するということであるということをまず確認をさせていただきたいと思います。  その上で、経団連の御提案についても言及をいただきましたけれども、私どもは、この目的範囲において民間企業が様々な開発を行うことについては、これはもちろん是とするものでございます。ただし、今回、法案制定の過程で、私ども民主党はもちろんでございますけれども、法案提出者として、経団連から後押しを受けたからやったということでは当然ございませんで、様々な意見の中の一つの声として経団連からの意見を聴かせていただいたということでございます。  したがいまして、これをもって、それこそ、先ほど野田提出者の方からも御答弁申し上げましたけれども、宇宙開発予算が莫大なものとなり、また軍需産業を振興するというようなことになることは、これはあり得ないし、私どもの望むところではないというところは是非御理解をいただきたいというふうに思います。  後段の部分については、野田議員の方からお答えをさせていただきます。
  27. 野田佳彦

    衆議院議員野田佳彦君) 民間事業者の義務と責任について今後の国内法で整備をしていくのかという後段のお尋ねでございますが、我が国宇宙関連条約に批准、加盟をしておりましたが、全般的にやっぱり国内法が未整備であって、ロケットの打ち上げ等の実施機関であるJAXAなどの関連法はありますけれども、今委員から御指摘があった民間事業者の問題を含めて、国内法でこれから対応していかなければならないものがたくさんあるかと思います。  御指摘いただいた民間事業者の責任の在り方等については、今後、国内法できちっと整備をしていくものと承知をしております。
  28. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 ありがとうございました。大変心強い御答弁をいただいたというふうに思っております。  先ほど野田先生の方から触れていただきましたことの中に、フォローアップの議連を設けて今後ちゃんと監視をしていくんだということがございました。私のいま一つありました懸念ということの中には、なぜ議員立法でありながら今後の法整備については内閣官房に任されるのであろうか、行政府に丸投げされるのであろうかということがございました。宇宙開発戦略本部安全保障上の機密を盾に国会への報告を拒むというようなことは絶対にあってはならないと思いますし、また、国会は、議員立法である以上、当然それ以上の責任を持って本当に監視をしていくということでございますけれども、これについては改めて念押しをさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。  そしてまた、議連というふうに先ほどおっしゃったわけでございますが、これには、様々な懸念を持ついろいろな議員たちがみんな希望に応じて十分な審議を尽くせるような形を取っていただけるというようなことでございましょうか。
  29. 細野豪志

    衆議院議員細野豪志君) 情報公開でございますけれども、これも先ほど答弁をさせていただきましたけれども、いわゆる宇宙機密にどうしてもかかわるようなところについての情報の管理については書かせていただいておりますけれども、様々な民生利用が可能な部分についてできるだけ公開をしていくということは当然行われるべきだというふうに考えておりますし、当然予算が付いたものが一体どういうものなのかということについては、国会という場所は基本的に公開に基づいて議論される場所でございますので、それを最大限生かす形で、これからも私どもとしてもチェックをしてまいりたいというふうに思っております。
  30. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 私は、これから議論されるであろうことでございますけれども、有識者のチェックと、あるいは研究成果に対する公開ということはこれまでも強く主張をさせていただきました。先ほど藤谷議員の方からもその旨の質問がございまして大分解けたかなと思っております。  ただ、その一方、書かれておりますことは、その開発利用等、かかわる有識者の意見を反映するということであって、もっと広い、例えば、憲法の見地からとか、あるいは安全保障上の分野の方であるとか、あるいは国民の歴史というようなことにかかわる見地からというような様々な、あるいは行政改革等ですね、私は様々な分野の識者の実は意見を聴くことが大事だと思っておりまして、ともすればその関連分野の方々の意見を聴くということになりますと国民の広い意見というものが反映できない嫌いがあるのではないかというふうに思っておりますが、今後、有識者等に参考に聴いていくということになりますときに、そういう分野に限らない、広い分野のところから聴いていただけるというふうに理解してよろしゅうございますでしょうか。
  31. 細野豪志

    衆議院議員細野豪志君) 本法案に基づいて定められます宇宙基本計画でございますけれども、この計画そのものに関しましては、国家戦略として宇宙開発をどう進めていくかということについての基本的な考え方ということでございますので、若干機微な情報も取り扱うということで、これは宇宙開発戦略本部の閣僚で構成する開発本部策定をするということになっております。  その一方で、宇宙開発利用については、専門性の高い分野であること、また民間事業者による宇宙開発利用を促進をすることも重要であるということから、有識者や産業界の知見を活用するため、三十四条で、政令において、有識者等を加えた専門調査会を設置できる形になっておりますし、それを私どもとしても望むところでございます。  衆議院内閣委員会における決議においても、宇宙科学の振興にかかわる有識者の意見を十分に取り入れ、施策に反映をするよう努めることというふうにされているところでございます。  御指摘の、特に人文や社会科学系の、いわゆる宇宙開発そのものの専門家ではないけれども、様々な法律的、さらには宇宙利用の方の観点から、様々な御意見をいただけるような専門家の方についても、こうした専門家の中の一つの専門分野として、十分入っていただいて議論をする価値はあるのではないかというふうに考えます。  特に、付け加えますと、これから宇宙利用に関しましては、様々な、これから我々が予想し得ないような拡大が考え得るところでございまして、特に専門家については、本当に宇宙のコアの部分だけに特定しないような、そこの配慮はなされるよう、私どもとしてもしっかり見てまいりたいというふうに考えるところでございます。
  32. 谷岡郁子

    谷岡郁子君 非常に短時間にもかかわらず、可能な範囲で大変誠実にお答えいただきありがとうございました。  私は、これで国民がどれくらいこの議論について安心をしていただけたかなというふうに思っております。本当にこれで十分だったのかと。  宇宙基本法案に関しましては、これが軍事国家への歯止めを外すのではないか。産軍複合国家への第一歩になるのではないかという懸念国民の自由を侵す警察国家への出発となることへの懸念。企業に手厚い支援がなされる一方で、教育、防災、環境や福祉等、国民生活にますますのしわ寄せが起きる可能性の懸念。新たな産官学の癒着構造の懸念などがこれまで存在してきたというふうに思います。  これは単なる杞憂ではなくて、歴史的事実や私たちの体験を背景にした懸念であると思います。ただし、これらの懸念を丁寧に取り上げ、審議の過程で与野党が真摯に知恵を出し合っていけばこれは解消するものと思いますし、今日のこの審議の中でも一定程度解消されたというふうに私は信じたいと思います。  ただ、その一方で、やはりもっと修正の作業が必要なのではないか、十分な歯止めを掛ければ、この法案によって日本の競争力を増大させ、国民生活にもっと寄与することができるのではないかと私は思います。  私自身、かつて宇宙飛行士になることを夢見た者として、宇宙基本法が祝福されて誕生することを望みたいと思います。しかし、この重大な法案に費やされた審議時間は短過ぎます。この間、企業が偽装や労働搾取で国民への責任を無視し、官僚が国民を裏切る現実を見続けた私たちにとって、今のままでこの法律が国民のために益であると信じるにはやはり楽観的なのではないかというふうに考えてしまいます。良識の府たる参議院の名において必要十分な審議を尽くし、すべての懸念を払拭する修正というものが行われるということを望みたいと思います。  一年生議員の私は国会のルールや手続を知らないからそんなことが言えるのだと、そういう声があるかもしれません。しかし、国会のルールや慣行が国民の素直な思いや常識から離れているのであるならば、変えるべきは国民の思いや常識の側だと私は思いません。宇宙基本法の成立を危ぶむ声はあちらこちらから上がっております。私の元へもメールや電話で拙速過ぎないかということが言われております。どうかこのような国民の声にこたえる審議をお願いしたいと思います。  そして、本法案を通過させた後に関しても、実施法を始めとする今後の法整備に関しては、官僚に丸投げしないで、国会としての十分な関与を保障していただきたいと思います。この法律が議員立法である以上、将来何が起ころうとも、私たちはそれを時の政府のせいにすることは許されないと思います。どうかこの点を十分に配慮した上で、今後の見通しを含め対応していただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  どうもありがとうございました。質問を終わります。
  33. 佐藤正久

    佐藤正久君 自由民主党佐藤正久です。内閣委員会では初めての質問になります。よろしくお願いします。  まず最初に、本法案提出していただいた議員の先生の方々に御礼申し上げます。  この法案というのは、与党だけではなくて、民主党の議員の方々の賛同を得て提出いただいたと。これは、いろんな意味で日本の活力創造へ向けての新たな挑戦でもありますし、また、ねじれと言われる国会の中で、安全保障という分野も踏まえた上での与野党の一致した先生方の議員立法ということは恐らく初めての今回のケースだと思います。大変意義があることだと思います。  また、私事ですが、私の自宅のはす向かいは、実は宇宙飛行士の若田光一さんの実家でもあります。近くの小学校の塀にはスペースシャトルやあるいは若田さんの絵も小学生によってかかれていると。先ほど来ありますように、GPSの利用、あるいは気象衛星、災害監視等、今まで以上に衛星利用というものが国民生活にやっぱり近くなっているというふうな感じもあります。さらには、日本を取り巻く安全保障環境変化とか諸外国の積極的な宇宙開発利用といった国際状況変化からも、この宇宙開発利用の促進というのは重要な課題だと私も思います。  ただ、この宇宙開発利用状況はこのままではいけないと、更に進めなければいけないというのが恐らく多くの議員あるいは国民の考えではないかと思います。現状のままでは、宇宙開発利用基本理念も不明確でありますし、またその政策もいろんな省庁にまたがっている。国際競争で苦戦するばかりか、国民安心、安全といった面でも将来危惧される事態が起きないともやっぱり言えないと私は思います。とりわけ、一昨年、北朝鮮が中距離弾道ミサイルを連続発射したことを考えれば、安全保障上、国民生活を守るためにこのままではいけないと、何とかしないといけないという思いを持つことは、多分議員としても当たり前のことだと思います。  さらに、日本の宇宙開発というのは、約年間三千億の予算を投じながらも、残念ながら、いろんな要因から、安全保障の面だけではなく、産業の活性化という面でも十分な成果が上げられてこなかったという指摘もございます。いろんな要因がありますが、その原因の一つに、宇宙利用を平和の目的に限るとした昭和四十四年の衆議院本会議における国会決議があり、一部その競争力あるいは開発を制限してきたという面もあるのではないかと考えます。  そこで、今回提出された法案とその平和利用決議関係について再度伺います。  その昭和四十四年の国会審議においては、平和とは非軍事意味解釈され、防衛目的宇宙開発利用が制限されてまいりました。本宇宙基本法の第三条におきましては、憲法平和主義理念を踏まえて、国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国安全保障に資するように行うと記載されております。先ほどの藤谷委員提案者の問答の中で、結論からいいますと、平和利用決議と本法案は両立をするんだというふうに理解するということになっておりますけれども、両立するとなると平和利用解釈が変わったような感じもどうしても持ってしまいます。  参考として、他国の、宇宙開発利用先進国の解釈状況、これを聞きたいと思います。特に、米国やロシアでは宇宙開発平和利用というものをどのように解釈しているか、外務省の方にお伺いいたします。
  34. 中根猛

    政府参考人中根猛君) お答え申し上げます。  米国及びロシアは、関連の国際法に従って、自国の安全保障上の目的のために宇宙空間を利用することが認められているとの立場を取っていると承知しております。
  35. 佐藤正久

    佐藤正久君 その解釈というのは、どちらかというと非攻撃、非侵略というような解釈にのっとっているというふうに理解してよろしいでしょうか。外務省にお伺いします。
  36. 中根猛

    政府参考人中根猛君) お答え申し上げます。  例えばアメリカは、二〇〇六年に発表をいたしました米国家宇宙政策の中で、平和目的とは米国の国益に沿った防衛や諜報活動を容認するというふうに言っております。
  37. 佐藤正久

    佐藤正久君 なかなかはっきりした答弁が得られないんですけれども、私のいろんな人から聞いたりあるいは調べた資料でも、国際標準の多くの国は、平和利用というものを非攻撃とかあるいは非侵略というものに置いているところが多いというふうに感じています。  今回の宇宙基本法における平和という部分についても、非軍事という解釈を、どちらかというと非侵略というふうに変わったような感触を私はどうしても持っているんですけれども、これについて提案者はどのようにお考えか、お聞かせください。
  38. 河村建夫

    衆議院議員(河村建夫君) 佐藤委員は、御案内のように、イラクの支援、ひげの隊長さんとして国民みんな承知をしておりますけれども、そういう視点から、国の守り、防衛力強化をどう考えていったらいいかの視点で、宇宙平和利用について大変な御関心を持って今日ここに質疑に立たれたということに心から敬意を表したいと思います。  今御指摘のあった点については、私どももこの法案を草案、起草するに当たって、これからの宇宙平和利用の在り方について考えていこうといったときに、やっぱりこの平和利用決議に当たるわけでございます。  しかし、もちろんこの平和利用決議というものは非常に大事な視点でございまして、これをしかし世界宇宙条約の、世界の常識的な考え方にどういうふうに考えていったらいいだろうかという視点に立ってこの法案を起草したのでありますが、これはもちろん専守防衛の中で考えていかなきゃならぬというこの法の理念にのっとっておるわけでございますが、先ほど来御指摘のように、この平和の目的に限りという解釈、これは当時の提案者発言あるいは答弁等々を見ますと、特に当時の科学技術庁長官答弁というのは非軍事という表現を持たれたと思います。しかし、一方では御指摘のような宇宙条約があるわけでございまして、月その他天体を含む宇宙空間の探査及び利用に関する国家活動を律する原則に関する条約というのがあるのでありますが、ここでは「もっぱら平和的目的のために」という言葉になっております。  しかし、この平和的目的解釈というのは、必ずしも非軍事ではなくて、委員も今お話ありましたように、非侵略であるというのが一般的な考え方であるというふうに、我々もこの起草に当たってそういうふうに承知をしたところでございまして、したがって、例えば情報収集のための宇宙平和利用等はこの平和的目的に合致するということで、条約上認められているというふうに考えておるところでございます。  そういう観点に立ちますけれども、もちろんこの法案では、憲法平和主義理念にのっとりまして、専守防衛範囲内で防衛目的での宇宙開発利用を行えるものだと、こうやっておるわけでありますから、条約上認められる宇宙開発利用よりもやや狭い範囲での宇宙開発利用が認められると、日本の憲法下においてはそういうふうに考えておるところでございます。
  39. 佐藤正久

    佐藤正久君 分かりました。ありがとうございました。  やはり昭和四十四年の平和利用決議というのを、これもやっぱり立法府で、この国会でなされました。今回の宇宙基本法も、やっぱり議員立法という形でもしも採決されれば、この国会における責任になります。やはり両方とも立法府の話ですので、国民に分かりやすくこれをどんどん説明していく、あるいは周辺国の懸念を払拭していく、あるいはどんどん国内の産業を活性化するためのいろんな政策を打っていくんだと、あるいは防衛上の目的利用といっても、それが野方図的にどんどん拡大するんではないんだという、その懸念を払拭するためにも、立法府として、この二つの関係についてのやっぱり解釈含めて、それをできるだけ分かりやすく議論をし示すということが立法府の責任だと私は考えます。  次に、この法案が成立した場合の安全保障上の効果についてお伺いいたします。  本法案が成立したらどのような効果が期待されるのか、政策判断というものは政府がするわけですので、それはともかくとして、法的にどういうことが可能なのか、御質問したいと思います。  まずは、防衛上の現在の宇宙利用とその状況について防衛省にお伺いいたします。
  40. 松本隆太郎

    政府参考人松本隆太郎君) お答え申し上げます。  防衛省自衛隊におきましては、これまで情報収集、情報通信、測位、気象といった分野で宇宙利用してきております。このうち、我が国政府あるいは民間企業の保有する衛星につきましては、情報収集衛星で収集した情報の入手、気象衛星、通信衛星の利用といったものが挙げられます。  国際機関又は他国の民間企業の保有する衛星につきましては、通信衛星、画像衛星への利用、さらには他国政府の保有する衛星については、例えば米国のGPS、気象衛星の利用、米国からの早期警戒衛星で収集した情報の入手といったものが挙げられます。
  41. 佐藤正久

    佐藤正久君 今説明がありましたのは、昭和六十年に、その利用が一般化しているような衛星及びそれと同種の機能を有する衛星については自衛隊にその利用が認められているという政府見解に基づいて、防衛上の宇宙利用も、限定的ではありますけれども、商用ベースでなされている分野とかあるいはそういう技術レベルであれば構わないという中で今行われているというふうに承知しています。  今、答弁の中で、情報収集衛星の話がございました。平成十年八月に北朝鮮のテポドンミサイルがこの日本の、我が国領土の上空を通過をし、太平洋上に落下いたしました。その際も、偵察衛星保有の必要性が叫ばれました。議論の結果、我が国の安全の確保、大規模災害への対応、その他の内閣の重要政策に関する画像の収集を目的とした多目的情報収集衛星であれば平和利用決議に反しないとされて、それから約五年後の平成十五年三月に情報収集衛星が導入されました。  しかしながら、一般化原則との関係、あるいは民間水準を超える技術利用が制限されていること、日本の衛星技術等々、種々の要因から、防衛上入手できる映像の解像度は、米国の軍事衛星が約十五センチであるのに対して日本は約一メートルで、米国の衛星は人間を一人一人識別できるが、日本の衛星はトラックと乗用車の違いを識別できるぐらいだという新聞報道もなされました。これが事実であれば、安全保障上やはり十分というふうには言えないと私は思います。  それでは、仮にこの法案が成立した場合、安全保障分野において具体的にどのようなことが可能となるのか、提案者の方にお伺いいたします。
  42. 櫻田義孝

    衆議院議員(櫻田義孝君) 本案では、宇宙開発利用は、宇宙開発利用に関する条約その他国際約束に従い、日本国憲法平和主義理念にのっとり、我が国安全保障に資するよう行うものとしているところでございます。これまではいわゆる一般化理論により、その利用が一般化している衛星等については自衛隊での利用が認められるものとされてきたが、今後は専守防衛範囲内での防衛目的での宇宙開発利用が可能となると考えておるところでございます。  専守防衛範囲内での防衛目的での宇宙開発利用として具体的に何が可能となるかにつきましては、科学技術の水準や国際情勢等に照らし、その都度判断されるものと考えております。
  43. 佐藤正久

    佐藤正久君 少し突っ込んだ質問をあえてさせていただきます。  具体的なものについてはその時々の政策判断ということでございましたが、仮に、法案が成立した後、政府の意思決定があれば、早期警戒衛星あるいは宇宙追尾監視衛星など、ミサイル防衛というものについて宇宙開発利用を進めることは法的に可能というふうに認識してよろしいでしょうか。提案者にお伺いいたします。
  44. 河村建夫

    衆議院議員(河村建夫君) 基本的な考え方は、今、櫻田議員の方から答弁を申し上げたとおりでございますが、更に具体的な御提言でございます。現時点で、御指摘のような具体的な構想が今あるわけではございませんが、おっしゃるように政府の決定によってということですから、例えば早期警戒衛星等々を導入するかしないかというような問題があれば、これは当然我が国防衛の在り方、考え、あるいはまた日本国憲法平和主義、この考え方の中で検討をされるべきものであろうというふうに私も思うわけでございますが、しかし、この本法との関係であれば、これは可能であるというふうには我々考えておるところであります。
  45. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  そういうミサイル防衛分野で衛星を専守防衛範囲内で使うということは法的には可能だと、あとは時々の政策判断ということだと理解いたします。  実際、今国民の安全を守るためにミサイル防衛というものを政府の方でも進めているわけですけれども、このミサイル防衛も、これも憲法の平和理念に基づいて、しかも専守防衛考え方に基づいて今進めているわけでありまして、その意味ではこの宇宙基本法の精神と軌を一にする部分もあろうかと思います。特に、日本に向けて発射された弾道ミサイルの打ち上げの事実、あるいはその軌道を探知するための情報収集というのは、やっぱり米国に頼りきりではなく、信頼性あるいは抗堪性、代替性といった観点からも、日本独自で早期警戒衛星とか追尾監視衛星を持つことが私は必要であり望ましいというふうに考えます。  よく私は、講演等で質問を受けます。市民の方々は聞かれます。仮に日本に向けて周辺国からミサイルが発射された場合、米国から本当に情報は入るんですかと。しかも、その情報というのは対応するために間に合うんですかと。そして、実際にそのミサイルというのは撃ち落とせるんですかと。日本に落ちることはないでしょうね、しっかりと守ってくださいよという質問もよく受けます。  国民生活、これも当然大事です。しかしながら、国民の命、これを守ることは、我々国政の立場にいる者として、国会議員として何よりも大事なことだと思います。その意味で、今後ともいろんな観点から、時々の情勢をかんがみながらも、やはり安全というものに十分思いを致しながら、実際の宇宙利用防衛の分野でも推進していっていただきたいというふうに心から願います。  それでは、さらにもう一つ、国際貢献絡みで質問をさせていただきます。  本法案が成立した場合、政府のこれも意思決定があればですけれども、自衛隊や警察あるいは国際緊急援助隊などの国際協力活動のために専用の衛星通信の保有というものは可能となるのでしょうか。提案者にお伺いいたします。
  46. 櫻田義孝

    衆議院議員(櫻田義孝君) お答えさせていただきます。  本法案では、宇宙開発利用は、宇宙開発利用に関する条約その他の国際約束に従い、日本国憲法平和主義理念にのっとり、国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国安全保障に資するよう行うものとしております。国際平和協力や我が国防衛のための宇宙開発利用は可能であると考えておるところでございます。  お尋ね防衛専用通信衛星の利用を含め、国際平和協力や防衛目的での宇宙開発利用として何が可能かは、先ほどもお答えしましたけれども、科学技術の水準や国際情勢等に照らして、その都度判断されるものと思っております。
  47. 佐藤正久

    佐藤正久君 やはり、海外と本邦との通信というものは、実際に現場におけるNGOの方あるいはJICAの方含めて国際緊急援助隊におけるいろんな活動を把握し、適切な支援を行う意味でも、これからは非常に大事な手段だと私は考えます。引き続き御検討の方をまた政府と一体となって進めていただきたいというふうにお願いいたします。  次に、武器輸出三原則との関係についてお伺いいたします。  これまでは、宇宙利用とそれと防衛というものは原則的には切り離されており、宇宙ロケット関係あるいは衛星関係は武器ではありませんということから基本的には武器輸出三原則は適用されることはないと考えられていたと思います。今般、この法案が成立した場合、防衛目的に衛星などを開発できると、法的には担保が取られると私は理解しており、政策判断でそういう部分に踏み込んだ場合、仮の話ですけれども、他国との共同研究の必要性も生起するかもしれません。実際、新興国の中国、インドなどもアメリカ、ロシアあるいは途上国と協力しながら宇宙開発利用に本腰を入れております。  今後、仮に防衛目的での衛星の共同開発研究の必要性が生起した場合、これは武器輸出三原則との関係はどのように整理することになるのでしょうか。経済産業省の方にお伺いいたします。
  48. 立岡恒良

    政府参考人(立岡恒良君) お答えいたします。  武器あるいは武器技術の輸出につきましては、国際紛争の助長を回避するという平和国家理念に基づきまして、政府としてはこれまで武器輸出三原則を堅持してきているところでございます。この三原則における武器といいますのは、軍隊が使用するものであって、直接戦闘の用に供されるものをいい、具体的には輸出貿易管理令別表第一の一項に掲げるもののうちこの定義に当たるものをいいます。したがいまして、ある貨物がこれに該当するかどうかにつきましては、その形状、属性から見まして、客観的にそれが武器の特性にかかわるものかどうか否かを基準として、個々のケースごとに判断いたしてございます。  それで、御質問のございました防衛目的での衛星の共同研究開発につきましては、私ども、具体的案件としては承知しておりませんが、私どもといたしましては、衛星の共同研究に伴う貨物や技術の輸出が武器輸出三原則の武器の輸出に当たるかどうかについては、今申し上げました枠組みの下で個々のケースに即して判断をいたしたいというふうに考えてございます。
  49. 佐藤正久

    佐藤正久君 現在、弾道ミサイル対処という観点からは、米国との間では共同技術研究という特別な枠組みというものを用いて今進めているという状況にあります。今後、そのような衛星分野でも状況が生起した場合は、国民の安全を守るという観点から適切な政策判断をしていただきたいというふうにお願いいたします。  また、武器輸出三原則関係ですけれども、今いろいろと武器輸出三原則原則というものを御説明いただきました。この法案が成立すれば、原則宇宙関係の構成品、部品が今まで以上に防衛上で利用できるレベルの精度に向上したとしても、基本的には輸出に当たっては、純粋に、武器輸出三原則ではなく、貿易輸出管理令に規定されている貨物の種類と仕向け先によって輸出の許可の適否が判断されると思っております。  すなわち、デュアルユースのようなロケットエンジンの部分が仮に高性能であってもこれに該当すると。例えば、現在開発中のGXロケット、このエンジン部分などを輸出する場合は、武器輸出三原則ではなく、貿易輸出管理令の範囲で輸出は可能となると、そういう場合があると私は考えます。これについて提案者の御見解をお聞かせください。
  50. 河村建夫

    衆議院議員(河村建夫君) 御指摘の武器輸出三原則基本的な考え方の中でこれまでこの法律についても考えてきたところでございますが、今のような御指摘のようなケースでありますけれども、これは、本法の十六条においては、民間における宇宙開発利用に関する事業活動、研究開発を含むものを促進して、我が国宇宙産業その他の技術力及び国際競争力の強化を図るということが規定をされているわけでございます。  我々提案者といたしましては、武器輸出三原則の下での適切な判断を得なければならぬと思っておりますが、しかしその中で武器に当たらないものについては、例えば今御指摘のあったロケットのようなものについては、これは輸出の振興が図られることを我々は期待をしておる、こういう部分があるわけでございます。
  51. 佐藤正久

    佐藤正久君 これからこの宇宙技術を民間レベルまで含めて利用促進をするんだという法案趣旨であれば、やはり輸出という部分についてもしっかりと腰を据えて、焦点を当ててやっぱり議論をし、産業界の活性という、あるいはそれがひいては国民生活のレベルの向上あるいは安心、安全にもつながりますので、輸出分野まで含めていろいろと考えていくべきだと私も思います。  続いて、宇宙基本法の今出ました第十六条というものがございます。この第十六条と日米衛星調達合意との関係についてお伺いいたします。  これまでWTOのルールというものに照らした場合、安全保障分野とか研究分野にかかわる衛星というものは一般国際競争入札に掛ける必要はないというふうにされていたと思います。我が国宇宙開発平和利用決議観点から防衛専用の衛星開発ができませんでした。よって、一般競争に掛からない衛星というものは研究分野に限られてきたというふうに理解しております。  一九九〇年の日米通商交渉におきまして、政府調達衛星に対し、米国通商法、いわゆるスーパー三〇一条が適用される覚書が締結されました。以降に計画される実用通信衛星はすべて一般国際競争入札となり、結果として日本の商用放送通信衛星はすべてが海外調達と現在のところなっているというふうに認識しています。これは日本の産業界としては大きな後れを取ってしまったというふうに私は認識し、その原因がやはりここの、一つは日米衛星調達合意という部分があろうかと思います。  今回の宇宙基本法の十六条、いろいろ書いてありますけれども、この趣旨というのは、これまで国の機関が中心となって行ってきた宇宙開発利用というものを、その研究成果を民間にも拡大するんだと、それによって民間を含めた我が国宇宙産業技術力、国際競争力を更に進めていくんだ、強化をするんだというふうな趣旨だと読み取れました。そのため、物品とか役務の調達の際には国内の業者に配慮するということが書かれております。すなわち、国内の宇宙産業の育成強化の観点から、安全保障研究以外の分野の衛星開発でも一般的な国際競争入札をしない場合もあると読めます。とすれば、日本も米国との調整、そして理解というものを得ながら、日米衛星合意も見直すべきと私は考えます。提案者の御見解をお伺いいたします。
  52. 河村建夫

    衆議院議員(河村建夫君) 今の御指摘の点、この本法の第十六条でございます。  御指摘のように、この中では、我が国宇宙産業その他の産業の技術力及び国際競争力の強化を図るために、自ら宇宙開発利用に係る事業を行うに際しては民間事業者の能力を活用しと、こうなっておるわけでございます。  そこで、佐藤委員も御指摘ありましたように、第十六条とそれから今御指摘のあった日米衛星調達合意、これは平成二年六月十四日のアクション・プログラム実行推進委員会の決定との関係でございます。確かに日米衛星調達合意によって我が国宇宙産業は深刻な影響を受けた面があるだろうと、私もそう思います。この法案が成立いたしました後においては、これからの戦略については宇宙開発戦略本部において、我が国宇宙産業の国際競争力を強化するために技術力向上や強化のための施策の実施とか、あるいは衛星調達の在り方等々について必要な検討がそこで行われ、御指摘のように、アメリカ側の理解を得て今後協議をしていくということが望まれるというふうに私どもも考えております。
  53. 佐藤正久

    佐藤正久君 この点は非常に大事な点だと思っています。当然、外交という観点もありますので日本だけでできるというわけではないでしょうけれども、これはやっぱり真摯に我々の思いというものを伝えながら米側の理解を得て、この日米調達合意というものの見直しというのは是非ともやっていくべきだと私も思いますので、私も、一議員としても、先生とともに汗をかいていきたいというふうに思います。  続いて、宇宙基本推進のための国内法の整備についてお伺いいたします。  我が国は、宇宙条約及びそれに関連する条約に署名、加入しております。これら条約では、宇宙物体の登録、管理、宇宙物体の打ち上げ、宇宙物体の打ち上げ国の損害賠償責任、遭難した宇宙飛行士の救助などを規定しております。  これまでは、実施機関が国又は独立行政法人のJAXAであったこと、民間ではなかったということから、なかなかそこが進んでいなかったと、あるいは、省庁間の調整が難航したという理由から、その国内法の整備が進んでいなかったという指摘もございます。今般、民間の方にこの宇宙開発利用の分野を拡大していくんだということになれば、やはり国内法の整備というのは喫緊の課題だと私は考えます。提案者の御認識をお聞かせください。
  54. 櫻田義孝

    衆議院議員(櫻田義孝君) 今後、民間における宇宙開発利用推進するためにも国内法の整備は急務でありまして、本案では政府に対し、宇宙活動にかかわる規制に関する事項を始め、宇宙開発利用に関する条約その他の国際約束を実施するために必要な事項に関する法制の整備を総合的、計画的かつ速やかに実施することを義務付けることとしております。  このような法制の整備に当たっては、国際社会における我が国の利益の増進及び民間における宇宙開発利用推進に資するよう行うものとすることとしたところでございます。
  55. 佐藤正久

    佐藤正久君 やはり民間の方に拡大する場合には、本当、これは喫緊の課題だと思いますので、是非とも強力に推進の方お願いしたいと思います。  続いて、法案の附則について幾つか質問させていただきます。  附則の第三条で、施策を総合的に推進するための既存の関係機関を見直すとあります。その見直すとは、JAXAとかあるいは独立行政法人の情報通信研究機構、NICTというものだけなのか、宇宙開発利用を戦略的に総合的に推進するために財団法人のUSEFというものまで巻き込んでいくことを想定しておられるのか。提案者にその思いあるいは考えについて御質問をいたします。
  56. 櫻田義孝

    衆議院議員(櫻田義孝君) 附則第三条の関係機関としては、具体的には宇宙開発の実施を担う独立行政法人でありますJAXA及び独立行政法人情報通信研究機構などが考えられるところでございます。いわゆるNICTでございます。宇宙開発の実施を担っている無人宇宙実験システム研究開発機構、いわゆるUSEFを始めとする財団法人については、民間の機構であるため、政府側からの一方的な見直しを行うことは困難と承知しておりますが、宇宙開発利用の総合的かつ計画的な推進という本法案制定趣旨を踏まえ、官民一体となって効率性の観点を含めた見直しが行われるということを期待しておるところでございます。
  57. 佐藤正久

    佐藤正久君 今回の宇宙基本法制定趣旨にもありましたように、やっぱり宇宙開発利用国家戦略と位置付けるという観点が私は基本だと思っています。そういう国家戦略と、そこまで位置付けるんだと。だから、内閣の方にそういう司令塔をつくるんだという観点から踏まえれば、やはり実行部隊がいなかったら結果が出ないわけで、結果が出なければ国民生活向上とか安心、安全というのは図れないわけですから。ここは、そういう機関というのは多くありません。そういう面では、政府関係の機関だけではなく、やはり民間のそういう研究機構というものまで協力をお願いして、トータルで日本としての国力、これを進めていくんだという強い思いで今後とも対応をお願いしたいというふうにお願いいたします。  続いて、JAXA法第四条について御質問をいたします。  JAXA法の第四条で、平和目的に限りという文言を使用しております。宇宙平和利用との関係で、この解釈は非軍事というふうにされてまいりました。今後、宇宙開発利用安全保障の分野まで含めて推進するとなると、実態的にはJAXA抜きには考えられないというふうに私は思います。  今後、附則の第三条に書いてありますJAXAなどの宇宙開発利用機関の見直し、それに合わせまして、このJAXA法第四条の平和目的に限りの解釈変更も私は必要だと思います。それをやらないと非常に分かりにくい、国民に対しても非常にそこは分かりにくいメッセージを与えてしまうと思います。今回、法案が通った場合、JAXA法第四条の平和目的に限りのその部分の解釈の変更をするのか、その見解を文部科学省、そして提案者の順にお伺いいたします。
  58. 青山伸

    政府参考人(青山伸君) ただいまお尋ねのJAXA法の第四条の規定でございますけれども、これは旧宇宙開発事業団、NASDAの法律第一条の規定を継承したもので、平和の目的に限りの解釈についても旧NASDA法制定時から変更なく、御指摘の非軍事という解釈としているところでございます。  宇宙基本法が成立し施行された後は、この法律に基づき、政府において宇宙開発戦略本部等を中心に必要な検討を進めていくことになると考えられます。このため、現行のJAXA法第四条中の平和の目的に限りの扱いについて、現時点でお答えできる段階にはございませんけれども、宇宙基本法目的趣旨を踏まえて検討を進めていくことになるものと考えております。
  59. 河村建夫

    衆議院議員(河村建夫君) この法案と、それからJAXA法第四条の関係に触れながら御指摘をいただいたのでありますが、この法案宇宙開発利用に関する基本法であるのに対しまして、独立行政法人の宇宙航空研究開発機構法、いわゆるJAXA法、これは宇宙科学技術に関する研究開発及び人工衛星開発、打ち上げ、追跡及び運用というJAXAの設置法になっておるわけでありまして、本法案とJAXA法とは基本法と個別法と、こういう関係にあるわけでございます。  そこで、御指摘のJAXA法の第四条の平和目的に限るということは、今御答弁もありましたように、非軍事という形で解釈されてきたというふうに私ども思っておりますが、現行法の解釈そのものについては政府が行うものでございますけれども、本法案宇宙開発利用我が国安全保障に資するように行うものと、こういうふうに位置付けておるところでありますから、憲法平和主義理念にのっとって専守防衛範囲内で防衛目的利用は行える、またそれを踏まえた解釈は今後行われていくと、こういうことになるわけでございます。  いずれにいたしましても、附則第三条においては、宇宙開発利用に関する機関については、その目的、機能、業務の範囲、組織形態の在り方、当該機関を所管する行政機関等について検討を加え、見直しを行うと、こうなっておるわけでございますから、JAXAの在り方あるいはJAXA法についても当然見直しが行われることになると、このように考えております。
  60. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  この法律あるいは基本法あるいは個別法を実効的なものにするという観点からも、国民に分かりやすく説明するという観点からも引き続き解釈の検討を含めて推進をお願いしたいというふうに思います。  次に、附則第四条において行政組織の在り方検討が述べられております。宇宙開発戦略本部が総合的に調整し、計画を一体的に推進するために権限を強化すべきだと私は考えます。内閣府において、単なる総合調整あるいは計画の作成だけではなく、それを推進をするという観点からも、私は予算措置まで行うようにすべきだというふうな見解を持っております。提案者の御見解をお伺いいたします。
  61. 河村建夫

    衆議院議員(河村建夫君) 御指摘のように、附則第四条におきまして、政府は、宇宙開発利用に関する施策を総合的かつ一体的に推進するための行政組織の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものと、こうなっておるわけでございます。  我が国宇宙開発利用は、宇宙開発利用の主体とかあるいは宇宙利用産業の所管、研究開発推進、産業の振興、あるいは対外関係等と種々の観点から、内閣官房総務省、文部科学省、経済産業省及び国土交通省、こうした多くの行政機関が関与しているわけでございますが、これまで政府として一体となった戦略的取組が必ずしもうまくやってきたと言えない状況にあったことは事実だというふうに思います。  このために、この法律におきましては、これらの行政機関の施策の総合調整を行って、我が国宇宙開発利用戦略の司令塔となるべき機関として内閣宇宙開発戦略本部を設置すると、こうしておるところでありまして、宇宙開発利用予算についても、無駄を省きながら、宇宙開発利用に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための必要な予算確保されるように、将来的には内閣府による一元的な予算管理を含めた、本部において適切な予算措置の在り方等々もこれから検討されていく、そういうふうに考えておるところであります。
  62. 佐藤正久

    佐藤正久君 やはり国家戦略としていろんな省庁にまたがっているものを総合的に計画推進していくんだというふうになれば、やっぱりどうしても予算というのが大きなファクターになってくる、要因になってくると思います。  どうしても各省庁、役所の中から出てくるとなると、ほかの、先ほどの谷岡委員からの指摘もありましたように、いろんなものとの予算のバランス、一つの省庁の中だと、そのためにあるべき姿からまた違う分野で出てくるという形もありますので、そこは省庁からの外で、はみ出したところで総合的に計画推進するんであれば、やっぱり私は予算措置までというのが望ましい姿だと思います。でなければ、せっかくの宇宙基本法理念というものが結果として表れない、国民に提供することができないと私は思いますので、今後とも真摯にこの点については、提案者の方々のリーダーシップも踏まえて、私も一緒に努力をしていきたいというふうに考えております。  いろいろと御答弁ありがとうございました。この法案に対する私の理解というのは、やはり宇宙開発、その利用というものを国家戦略と位置付けて、そしてまずは基本理念を明確にしているという面で、この法案は極めて分かりやすいと私は思います。そして、その理念の中に防衛というものをどういうふうに取り込むんだということも明確に憲法との関係でも規定をされていると。そして、司令塔となる宇宙開発戦略本部もつくって、首相本部長とし、そして担当大臣をつくっていくんだと。非常にとんとんとんとんと落ちてきて分かりやすいと。その宇宙開発戦略本部基本計画を作成し、長期的な視野からいろんなものを調整をし、計画を更に推進していく、総合で進めていくというふうなつくりになっていると。これは非常に分かりやすい法案だと私は思います。改めて提案者の方々に敬意を表します。  冒頭申しましたように、このねじれと言われる国会の中で、安全保障の分野まで含んだ法案を与党だけではなく民主党委員の方の共同提案という形でなされたということは初めてのケースであります。非常に私は意義の深い法案だと思い、国民に対してもこういう国会運営の進め方もあるんだという一つの提示にもなったように思います。  今後とも、この法案、大事なのはこれからだと思います。法案は作りました、いかにこれを結果を出すために魂を入れていくかというのがこれから非常に大事な段階、作業に入っていくと思います。引き続き、私も自民党のそういう委員のメンバーでありますので、皆さんとともに結果を出すための努力を、そして汗をかいていきたいと思います。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  63. 風間昶

    ○風間昶君 公明党の風間でございます。  時間がそんなに私与えられておりませんので、三点ばかりお伺いしたいと思います。  何度も何度も議論してきたと思いますけれども、結局、今回の基本法の第一条できちっと「日本国憲法平和主義理念を踏まえ、」として、なおかつ第二条で「憲法平和主義理念にのっとり、」と、あくまで宇宙の平和的利用ということが明示はされているんですが、本当に、しかし、先ほども議論がありましたように、一部では軍事拡大が進んでしまうのではないかという懸念がやっぱりあるんです。だから、本法案の一条、二条の、要するに精神をきちっと入れ込んではいるものの、絶対軍事利用はないのかということをどうやって担保するのかということが私は大事な観点だと思うのですけれども、今まで起草された提案者の皆様方の議論、そしてまた今後、国内法の整備やあるいはその予算の獲得に向けてのいろんなことが進んでいく中にあって、現時点で担保をどうやってするのかということのお考え方をきちっと伺っておきたいと思います。
  64. 西博義

    衆議院議員(西博義君) 風間先生からの御質問にお答えしたいと思います。  もう御存じのように、我が国、第二次世界大戦の後、再び戦争を繰り返さないと、こういう精神の下で平和国家の建設を目指して日本国憲法ができました。その肝心なところはやはり恒久平和、これは日本国民共通の念願であり、そのことが憲法九条を中心にきっちりと平和主義理念がうたわれております。  委員の御指摘のとおり、宇宙開発利用はこの憲法平和主義理念にのっとるべきだという議論が当然ございまして、特に与党の間での提案者との打合せの中でも是非このことについてこの法律にも盛り込むべきだと、もちろん、憲法の精神は踏まえてのことは当然でございますが、この法案の中にも盛り込むべきだということで、とりわけその気持ちを強く訴えたところでございます。  そんな意味で、さらに第二条で平和主義理念にのっとるということが規定されておりましたけれども、さらに与野党の協議の中で、この平和主義理念、第一条のところにもきちっと明記をすべきだという議論がございまして、こういうふうに二重に平和主義ということを強調した今回のこの法案提案というふうになってまいったわけでございます。  宇宙開発利用に関する様々な取組、これを日本国憲法平和主義理念に沿ってこれから運営していくべきだと、こういう提案者の強い決意をこの法案に盛り込み、また先ほどから議論がありましたように、我々立法府のメンバーとして、今後もこの趣旨のとおり運営していけるのかどうか、していくべきだという強い意志をいろんな場で監視をしながら、また先ほど議連という話がございましたけれども、そういう形で監視をしていくことが肝要だというふうに思っているところでございます。
  65. 風間昶

    ○風間昶君 十分な、絶対軍事利用はないという担保になっているとは思えない答弁のように私は感じましたけれども。  どっちにしても、これ、本当に多くの国民の方々の理解を得るためには、ここの部分の担保を、単なる精神論ではなくてきちっと、国内法整備にもかかわってくる話だと思いますけれども、ここは明確に示していく必要が今後あろうかと思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。  それからもう一点は、先ほど来議論になっておりますけれども、宇宙開発利用に伴うこの予算の問題でありますけれども、やっぱり国民の税金投入されるわけですから、使い方に関して、使い道に関してのチェックをどう国民の皆様方に対して情報提供できるのかということが極めて大事でありまして、宇宙基本計画作られて宇宙産業にどのぐらいの額が投入されて、それで国民にとってどういう恩恵が得られるのかといった、どういうサービスが国民が受けられるのかという部分まで、税金が有効に使われるのかどうかという情報をどう発信していくかということが私は極めて大事だと思います。恐らく共通認識だと思います、提案者の皆さん方におかれましては。  具体的にじゃどうするのかと。この宇宙基本法における宇宙利用予算だけ明確に、これはこういう形で国民の皆様方にとって使われますというふうに出せるのか出せないのかということもあるとは思うんですけれども、どちらにしてもそういう観点がきちっと国民の方々に提示できるようにしなきゃと思いますが、どうでしょうか。
  66. 西博義

    衆議院議員(西博義君) まさしく先ほどの議論にもありましたように、今まで宇宙開発に関するその予算、さらにその使途につきましては、それぞれの省庁で必要な部分を賄って予算計上し実行してきた。特にJAXAを中心とする部分が多いわけですが、それ以外にも国土交通省もあり、また総務省、経済産業省、それぞれの分野で支出をしてきたという、言わば分かりにくい、それぞれを総合して初めて全体像が見えるという形であったものが、今回はそれを一元化することによって全体の宇宙開発費用、さらにその目的というものが一体化されてくる、そのことによって初めて国民の皆さんにもこの分野における政府の方針、さらにはそれの実施ということが明確になってくる、このように思っているところでございます。
  67. 風間昶

    ○風間昶君 おっしゃるとおりで、国民の側にとってみれば、どういう本当に恩恵受けているのかということは極めて大事で、そういう視点に立って、使われ方、使い方をきちっと吟味していく必要があると思うんですけれども。  この法案の第四条の産業の振興ということに関して若干お伺いしたいと思いますけれども。  現在でもGPSを使ったカーナビだとか、あるいは通信衛星を利用した衛星放送だとか、あるいは、特に北海道なんかでは行われているんですけれども、衛星を利用した遠隔医療、あるいは遠隔教育も含めてかなり実用化されている技術が多くの国民の方々にとってこの利便性を得ていることでありますけれども。  民間事業者への技術移転でいえば、例えばロケットの点火技術を自動車のエアバッグに使うとか、あるいはセンサー技術を果物の糖度の、何といいましょうかセンサーに使うというように、いろんな取組が行われているわけであります。  したがって、今後様々なこの技術をどういう形で民生にしていくかということが、極めて、宇宙産業の振興が国民生活向上につながっていくという観点からもっとやらなきゃならない、知恵を出していく必要があるんじゃないかというふうに思いますし、また私が個人的に危惧しているのは、世界各国がぼんぼんぼんぼん通信衛星を立ち上げているのはいいんですけれども、どうせ、しょせんあれは何年かするとごみになるわけです、宇宙の。  そうすると、宇宙のごみをどう処理していくかということは、ある意味では日本が持っている技術を使っていく上では極めてこれは大事な視点になっていくかなということを感じておりまして、将来的な話ではあるものの、このことを含めて、どんな宇宙産業の振興が国民生活向上につながるのかということを今まで皆様方議論をされてきて、またどういうふうにしたらいいのかなということの具体的な部分を教えていただければ有り難いというふうに思います。
  68. 西博義

    衆議院議員(西博義君) 委員指摘のように、宇宙産業技術民生分野に既に数多く取り入れられているということは、それは多くの国民が直接間接にひしひしと感じている部分だと思います。御指摘のようなところがたくさんあろうかと思います。例えば、今の中国の大地震による土石流の可能性にしても、もう衛星から直接、こことこことがこうなりそうだというようなことも言われているということを見ましても、日々の生活に大変重要な役割を果たしているというふうに思います。  私は、この技術、今までは衛星を飛ばす宇宙技術をほかに転用して、そしてそこに有効なものをたくさん今展開しているわけですが、これからは、例えば新しいお薬を作るというような創薬の部分なんかは、実験室を宇宙にすることによって、この地上における、重力下における反応とはまた違う反応が宇宙、無重力下で起こるということで、新しいこの空間における新しい価値の創造というものが積極的に行われる可能性のある、そういう時代に差しかかってきたのではないかというふうに思っておりまして、ますます我々が、新しい条件の下に新しい考え方、新しい文化というものも、私はそういうものを通じて国民の間にでき上がってくるのではないかというふうなことを感じているわけでございます。  もう一つ重要なこととして、宇宙の環境といいますか宇宙ごみの話を今ちょっとお話がございました。  これ、例えば具体的な例で申しますと、平成十九年一月、去年中国が行った衛星破壊実験という事件がございましたが、そのことによってスペースデブリ、いわゆる宇宙ごみが宇宙空間に更に広がったというような事件がございました。小さなごみであっても、我々の信じられない大変高速で回っているものですから、それが大変な危害を例えば宇宙船なんかに起こすということもございまして、深刻な問題になりつつございます。  そんなときに、この問題についていかに対処するかということについても、この第七条について基本的な考え方を述べたところでございます。同時に、宇宙空間だけではなくて打ち上げに対する地球上への影響なんかについても当然この第七条の中に含まれると、こういうふうに理解しているところでございます。
  69. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  70. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数です。限られた時間でございますので三点ばかりお伺いしたいと思います。  提出されました宇宙基本法案のこの重要性は理解できます。それだけに、国民的な議論やそして広報活動、これは十分になされるべきだとの立場に立ってお伺いをしたいと思います。  国民からいたしますと、宇宙開発とかそれから利用という面において具体的にどのような施策がなされて、どう計画立案されてかつ最も重要である国民への情報公開等について十分な説明や広報活動がなされるのかどうか、その点を危惧いたしております。国民の中には宇宙開発とか利用というのは宇宙軍事利用するためのものであるとして法案の成立を懸念する声もございます。表面的には宇宙飛行士に代表されるように宇宙空間での活動あるいは気象衛星の利用等がマスメディアで取り上げられて平和利用が前面に出ておりますが、しかし実際に宇宙空間では軍事目的のための情報収集衛星が飛び交い、その衛星の数も情報収集の中身についても全く知り得ない状況にあります。国民には知らされておりませんし、知らせようともいたしません。  そこで、お伺いいたしますが、今回のこの宇宙基本法案ではその基本施策基本計画において広報の充実や宇宙基本計画作成に際しての公表等を定めておりますが、同法案基本施策そして基本計画宇宙開発基本戦略本部に関するすべての事項において公表されると理解してよろしいですか。それとも、その公表に関しまして、するしないの線引きなどがあるのでしょうか。お伺いいたします。
  71. 西博義

    衆議院議員(西博義君) この法案において情報の公表、公開ということは大変重要なことだというふうに私どもも理解をしております。  この法案の中で、例えば第二十二条で国民の理解と関心が深まるように広報活動の充実を図るというふうに書かせていただいたのも、単なる興味が広まるとかいうようなことだけではなくて、すべてのことを極力公開をしていくことによって様々な御懸念も理解をしていただけるきっかけになるのではないかというふうに考えております。  特に具体的な施策に関しては、今後、宇宙基本法に基づく基本計画を作っていくわけですが、これにつきましてもインターネット等で広く公表していくということを明記させていただきまして、計画段階からきちっと国民に分かるようにしていきたい、こう思っているところでございます。  このようなことで、基本施策の内容それから実施状況、それから宇宙開発戦略本部が立ち上がるわけですが、その中の活動状況等すべて広報をしていくことによって国民情報が提供されるようにというふうに、このことを我々盛り込みましたので、政府において適切に対処していただきたいというふうに思っているところでございます。  他方、宇宙開発利用は大変高度な技術の集積でございます。付加価値も大変高い最高の技術を組み立ててでき上がっているというものでありまして、一方ではロケット技術といえども、それは軍事利用にも可能なものというふうに理解することもできます。宇宙基本計画にロケットの打ち上げが例えば明示されましても、実際のロケット技術のすべてが公開されるということにはそれはならないのではないかというふうに思います。その一方で、科学技術の発展のためには宇宙開発利用の成果が我々に公開されるということは大変大事なことでございまして、それが活用されて更に宇宙開発が進みまた我々の生活が豊かになる、こういうふうになるわけでございますので、この特性に応じて適切な管理が必要だというふうに考えているところでございます。
  72. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に、安全保障文言についてでありますが、この宇宙基本法案基本理念において、我が国安全保障に資するという文言がございます。しかし、安全保障というその文言宇宙開発やその利用に関し、内容等を覆い隠し、軍事利用に道を開くのではないかというふうに危惧されています。なぜかと申しますと、我が国安全保障アメリカと一体化し、すべてにおいてアメリカに追従しているわけで、宇宙開発利用においても同様だというふうに認識をいたしております。  そこで、お伺いいたしますが、一九六九年五月九日の国会決議であります宇宙の平和的利用は遵守され、どう法案に生かされているのか、御見解をお伺いいたします。
  73. 河村建夫

    衆議院議員(河村建夫君) 御指摘の点につきましては、私どもも法案を起草するに当たり、最大注意を払い、またそういう声があることを承知の上で出させていただいているものでございます。  御指摘のように、宇宙開発利用我が国安全保障に資するように行うものという位置付けがなされております。それも憲法平和主義理念にのっとって、専守防衛範囲内で防衛目的での宇宙開発利用が行われるというのが提案者の、我々の趣旨になっておるところでございます。  いわゆる、先ほど、今御指摘ございました平和利用決議、昭和四十四年の衆議院における「わが国における宇宙開発及び利用基本に関する決議」におきましては、宇宙開発及び利用を平和の目的に限り行うと、こうなっておりまして、この平和目的に限りという解釈は、決議案の提案者、当時の発言あるいは当時の科学技術庁長官答弁により非軍事という理解がされてきたところでございます。  しかしながら、当時の状況に比べまして、宇宙開発利用状況が非常に大きく変わってまいったことも事実であります。特にGPSなど、御承知のように、もう我々の日常生活の中に宇宙利用というものが大きな地位を占めるようになりました。このような宇宙開発利用の進展する中において、軍事的利用は一切認めないというのが決議趣旨とは考えにくくなってきておりまして、これまでも既に一般化した技術利用あるいは我が国国民の生命、財産を守るための純粋に防御的な、あるいはほかに代替手段のない唯一の手段でありますBMDへの取組等については、決議趣旨及びそれによって立つ平和国家としての理念に沿ったものとしてこれまでも認められてきたものでございます。  憲法平和主義理念にのっとりまして、専守防衛範囲内で我が国防衛のために宇宙開発利用を行うということは、決議文言及びその趣旨に反するものではなくて、本法案によって平和利用決議が否定されたり、あるいはこれを無効にするものであるというようなことは考えていないところでございまして、そのようなことから考えまして、特にこの法案におきましても、本法第二条において、宇宙開発利用は、いわゆる宇宙条約等の定めるところに従い、日本国憲法平和主義理念にのっとって行われるものということをしっかりと定めておりまして、宇宙平和利用基本理念の一つとしてここに掲げておるということからしても明らかになっておると、このように考えます。
  74. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に、宇宙開発戦略本部についてお伺いいたします。  宇宙基本法案におきまして、宇宙開発戦略本部の設置を定めて、本部長には内閣総理大臣を充て、副本部長には内閣官房長官及び宇宙開発担当大臣を充てるというふうにしておりますが、この宇宙開発担当大臣と称される大臣は、実質的には宇宙開発利用に関しすべてを統括するというふうに考えられます。そこで、宇宙開発担当大臣宇宙の平和的利用理念からして、防衛大臣を始めとして産学官の国防関係者が当たるべきではないというふうに考えます。  そこでお伺いいたしますが、提案者宇宙開発担当大臣のあるべき人材をどうとらえていますか。具体的に、その宇宙開発担当大臣に兼務するにふさわしい国務大臣と、そのイメージできる人材についてお答え願います。
  75. 野田佳彦

    衆議院議員野田佳彦君) お答え申し上げます。  宇宙開発担当大臣は、これは法案では二十九条で規定されておりまして、内閣総理大臣の命を受けて、宇宙開発利用に関し内閣総理大臣を助けることをその職務とする国務大臣でございます。したがって、内閣総理大臣任命をするわけでございますが、諸般の事情を総合考慮し、最も適任と考える人を任命するというのが、先ほど藤谷委員に対する細野内閣委員長代理答弁でも同じなんですが、特に御指摘のように、防衛大臣始めとする産学官の国防関係者が当たるかどうか、これはやっぱり基本的には望ましくないだろうと思います。  法案提出者の議論の中では、これまで経産や国土や文部科学がいろんなところでばらばらでやってきた宇宙開発利用を、これは総合的、戦略的にまとめていこうという趣旨ですから、それをいきなり国防のくくりでまとめるというのは、やっぱり基本的には望ましくないと思います。  同様の意味で、今まではいろいろ宇宙開発利用、各省庁かかわってまいりましたが、中心であったのは文科省でございました。文科省が今までのばらばらだったものをまた統合してやるというのも、これもある意味望ましくないというふうに法案提出者は考えている次第であります。
  76. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 時間ですので終わらせていただきたいと思いますが、先ほど谷岡委員からもございましたけれども、国家予算を使っての政策の実現というのは、何としても、予算の優先順位というのを考えますと、やはり民生にかかわる今の国家としてやるべき優先順位があるのではないかということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  77. 岡田広

    委員長岡田広君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  宇宙基本法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  78. 岡田広

    委員長岡田広君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、芝博一君から発言を求められておりますので、これを許します。芝君。
  79. 芝博一

    ○芝博一君 私は、ただいま可決されました宇宙基本法案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党・無所属の会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     宇宙基本法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項に万全を期すべきである。  一、宇宙開発利用日本国憲法平和主義理念を基調とし、宇宙環境との調和・共生を図りつつ、国民生活向上のみならず、地球全体の利益向上に資するよう配慮して行うこと。    また、宇宙開発利用に関する情報の適切な管理のため、必要な施策を講じるに当たっては、情報透明性を可能な限り確保し、宇宙開発利用に伴い生じた成果を十分に国民に伝え広める体制を整備するよう努めること。  二、内閣宇宙開発戦略本部を設置し、中枢機関として我が国宇宙開発利用に関する施策を総合的かつ計画的に推進するに当たっては、宇宙科学の振興に携わる有識者の意見を十分に取り入れ、施策に反映させるよう努めること。  三、宇宙開発戦略本部に関する事務の処理を行う組織を整備するに当たっては、宇宙基本計画の作成、宇宙開発利用に係る関連法案の整備、宇宙開発利用に係る予算の管理等について、宇宙開発利用に関する政策を戦略的、総合的かつ一体的に推進するよう努めること。    また、その組織の長には特定の省益にとらわれない、大局的な判断ができる者を充てるよう努めることとし、その組織の職員については、特定の省庁から偏った登用をすることなく、独立行政法人宇宙航空研究開発機構その他宇宙開発利用関係する機関、あるいは宇宙開発利用に携わる民間企業から幅広く登用するよう努めること。  四、本法の施行後一年を目途に、内閣府に宇宙開発戦略本部に関する事務の処理を行わせるに当たっては、宇宙開発戦略本部に関する事務の処理を行う組織の在り方について、宇宙開発利用に関する政策を戦略的、総合的かつ一体的に推進するための、将来の推進体制を見据えて検討した上で、必要な法制の準備その他の措置を講じること。    また、内閣府において宇宙開発戦略本部に関する事務を処理するに当たっては、関係省庁と緊密な連携をとり、一体的かつ戦略的に行うこと。  五、独立行政法人宇宙航空研究開発機構については、本法に掲げる宇宙開発に関する基本理念を実現するため、宇宙基本計画に従って運営するとともに、目的、機能、業務の範囲、組織形態の在り方、所管する行政機関等について、独立行政法人宇宙航空研究開発機構法の見直しも含め、本法の施行後一年を目途に検討すること。    その他の宇宙開発利用関係する機関の統合等についても、本法の施行後一年を目途に検討すること。    なお、宇宙開発委員会については、宇宙開発戦略本部との関係において、その在り方について検討すること。  六、本法の施行後二年以内を目途に、宇宙開発利用に関する条約等に従い、宇宙活動に係る規制などに関する法制を整備するよう努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  80. 岡田広

    委員長岡田広君) ただいま芝君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  81. 岡田広

    委員長岡田広君) 多数と認めます。よって、芝君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、町村内閣官房長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。町村内閣官房長官
  82. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重し、宇宙開発利用推進に努めてまいります。
  83. 岡田広

    委員長岡田広君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 岡田広

    委員長岡田広君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十六分散会