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2008-04-24 第169回国会 参議院 内閣委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年四月二十四日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岡田  広君     理 事                 芝  博一君                 松井 孝治君                 有村 治子君                 松村 龍二君     委 員                 相原久美子君                 石井  一君                 神本美恵子君                 工藤堅太郎君                 自見庄三郎君                 島田智哉子君                 簗瀬  進君                 柳澤 光美君                 岩城 光英君                北川イッセイ君                 鴻池 祥肇君                 中川 義雄君                 風間  昶君                 糸数 慶子君    国務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣国民生        活))      岸田 文雄君    副大臣        内閣府副大臣   中川 義雄君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        西村 明宏君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 秀行君    政府参考人        内閣国民生活        局長       西  達男君        公正取引委員会        事務総局経済取        引局取引部長   鵜瀞 恵子君        経済産業大臣官        房審議官     橘高 公久君        環境大臣官房審        議官       黒田大三郎君        防衛省経理装備        局長       長岡 憲宗君    参考人        独立行政法人国        民生活センター        理事       島野  康君        特定営利活動        法人京都消費者        契約ネットワー        ク理事長        京都産業大学法        科大学院教授   野々山 宏君     ─────────────   本日の会議に付した案件独立行政法人国民生活センター法の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付) ○消費者契約法等の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○政府参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 岡田広

    委員長岡田広君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案及び消費者契約法等の一部を改正する法律案、両案を一括して議題とし、参考人方々から御意見を伺います。  本日は、独立行政法人国民生活センター理事島野康君及び特定営利活動法人京都消費者契約ネットワーク理事長京都産業大学法科大学院教授野々山宏君に参考人として御出席をいただいております。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございました。  参考人方々から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。  それでは、議事の進め方について申し上げます。  まず、島野参考人野々山参考人順序でお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員質疑にお答えいただきたいと存じます。  御発言いただく際は、その都度委員長の指名を受けてからお願いをいたします。  また、各委員質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、島野参考人からお願いいたします。島野参考人
  3. 島野康

    参考人島野康君) 島野です。よろしくお願いします。  本日は、このような機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。  国民生活センター法改正案に関連しまして、消費者相談中心に、国民生活センター業務裁判外紛争解決手続、ADRの整備について御説明いたします。若干意見も申し述べさせていただきたいというふうに思います。  私ども国民生活センター独立行政法人でございまして国の機関でありますが、業務の実施に当たりましては、地方公共団体組織であります各地消費生活センターと協力、連携しながら消費者利益を守る、擁護するというための業務を実施しております。消費生活センターは、今申し上げましたように、地方公共団体組織でございまして、国民生活センターと直接的なつながり組織的なつながりはございません。当然ながら上下関係があるわけでは全くなく、連携を取って業務に当たっているということでございます。  具体的には、悪質・悪徳商法製品事故、そういったことの消費者被害を防ぐために、一つ消費者相談への対応、二番目には全国相談情報収集分析提供というもの、三番目は製品事故原因等を調べるための商品テスト、四番目は消費生活相談員等研修といった事業を行っております。  現在、全国に五百か所以上ある消費生活センターになりましたが、昭和四十年でしたか、第一号は兵庫県立神戸生活科学センターというのができまして、そのころはぽつぽつしかございませんでしたが、今は五百か所以上消費生活センターがございます。  消費生活センターには消費者から年間百万件を超える苦情相談が寄せられているわけであります。これは十年前と比べると約三倍になっておりまして、二〇〇〇年度に比べても約二倍という水準であります。相談件数が多いというだけではなくて、内容も非常に複雑多様化しております。そしてまた、悪質化といいますか、悪質なものが増えてきているというのが一つの特徴だというふうに思います。この中で、国民生活センターは、消費者基本法第二十五条に規定されていますように、消費者問題の現場、第一線の業務を実施している全国の先ほどから申し上げている消費生活センターなどの中核的機関としての役割を果たしている、担っているというところであります。  そこで、今般、国民生活センター法改正案で提案されております裁判外紛争解決手続と密接に関係しております消費者相談業務について御説明したいというふうに思います。  当センターが実施しております相談といいますのは、消費者からの苦情相談を直接受ける直接相談、これは大体最初は電話でございますが、その直接相談と、各地消費生活センターではやや解決がちょっと難しいなというような相談消費生活センターを経由して受け付けて処理するという、消費生活センター相談員さんから受ける経由相談というものに分かれております。いずれの相談消費者問題に関する知識や相談処理能力を持った専門消費生活相談員対応しているところであります。  当センターにおきましては、これまで政府において決定された整理合理化計画というのがございまして、各地消費生活センターに対する中核機能を強化しなさいということでありまして、その観点から、消費者から直接相談を受ける先ほど申し上げました直接相談というのは段階的に縮小して、経由相談の強化を進めてまいりました。年間処理件数としては、直接相談経由相談、それぞれ約四千件ちょっとというようなところでありまして、合計八千から九千件程度相談対応を実施しております。  次に、相談対応処理についてでありますが、直接相談経由相談合計で、平成十八年度を見ますと全体で約八千五百件の相談を受け付けておりますが、八割ぐらいについては助言というような格好対応しております。助言といいますと非常にもう簡単なような感じが受け取られるかもしれませんが、契約書をきちっと確認したりその約款を調べたり、いろんな形で調べて、それで助言をするというような格好で、電話ですぐ答えるというようなことももちろんありますけれども、かなり助言でも難しいというところであります。  当事者同士で自主的な解決が難しい案件については、当センター消費者事業者の間に立ってあっせんを行っております。これが約三百件ぐらいでありますが、このあっせんによってトラブル解決されたものは二百五十件程度でありまして、六十件ぐらいは解決に至っていないということであります。  当センターが実施しておりますこれらの相談対応とか、更にその先の紛争解決仕組みですね、それは現行の国民生活センター法上では全く明確に規定されていないという問題があります。このため、消費者トラブル解決する上で当センターが現在行っているあっせんにはかなり限界がございまして、例えば交渉の入口で、事業者電話しても担当者が不在であるとして交渉に応じなかったり、我々から電話しても当センターからの電話に出ないというようなこともあります。交渉過程については、事実関係調査を拒否すると。一方的な申出で処理はできませんので、両者からいろんな話を聞くということなんですが、それにも調査を拒否するという場合もございます。さらには、合意した場合でも、クーリングオフの何とかがあったということで解除を認めて支払金額を返すというようなことを言っておいても、なかなかその合意内容の履行をしないということすらあるわけでございます。  今般、提案されております国民生活センター法改正案については、苦情処理のためのあっせん業務を明確に規定するとともに、消費者事業者間の紛争裁判によらず簡易迅速に解決するための仕組みを導入しております。この改正案は、消費者利益を守る上で有効な方策ではないかというふうに考えております。また、こうした紛争解決仕組みを整備することによって、現在実施しています極めて多数の相談処理においてもより一層実効性のあるものになるのではないかと、実効性あるものにしていく効果も持つものではないかというふうに考えております。  以上が消費者相談業務に関することでありますが、そのほか、先ほど申し上げましたような順序で簡潔に御説明いたしますと、相談情報収集分析提供でありますが、これは、全国各地消費生活センターにおいて受付処理した消費者相談情報は、全国消費生活相談情報ネットワークシステムということで、愛称PIO―NETと、こう言っていますが、そのシステムにより国民生活センターに集約されます。当センターでは、これらの情報整理分析した上で消費者行政機関に対して情報提供をしておるわけであります。これも、報道機関の力を借りたりしまして報道機関に公表するとともに、自分たちの持っております出版物だとかリーフレットとかテレビとかホームページなどの各種媒体を活用して広く情報提供をしているところであります。  次に、商品テストでありますが、各地消費生活センターからテスト依頼がございます。こういう製品事故が起きたという申出があるけれども、その原因は何だろうかということで究明を依頼されるわけでありますが、その製品事故原因を究明するためのテスト一つと、事故未然防止拡大防止、つまり再発防止のために複数の銘柄を、例えばコンニャクゼリー事故であったとすると、A食品B食品C食品というような幾つかの銘柄対象とした問題提起型テストというテストも実施しております。こうしたテスト結果はマスコミ等を通じて公表するとともに、行政機関とか業界団体に対して制度や規格あるいは基準改善を要望して、しかるべき対応を求めているところであります。  最後になりますが、全国消費生活相談員消費者行政職員などを対象といたしました研修も行っております。そして、相談員行政職員の日ごろの業務に生かしていただいておるところであります。また、消費生活相談員の資質あるいは能力の向上と人材の確保を図るために、消費生活相談員資格認定制度平成三年度からでありますが、これも実施いたしているところでございます。  以上、やや簡単でございますが、国民生活センター業務説明中心として、本当の若干の意見陳述とさせていただきます。  ありがとうございました。
  4. 岡田広

    委員長岡田広君) ありがとうございました。  次に、野々山参考人お願いいたします。野々山参考人
  5. 野々山宏

    参考人野々山宏君) 特定営利活動法人京都消費者契約ネットワーク理事長をしております野々山です。よろしくお願いいたします。  本日は、このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。私は、消費者契約法等の一部を改正する法律案に対しまして、消費者団体訴権を行使する立場から意見を述べさせていただきます。  まず、特定営利活動法人京都消費者契約ネットワークについて若干御説明させていただきます。  当法人は、京都におきまして消費者契約に関する問題に取り組んでおります消費者消費者団体消費生活専門相談員、学者、司法書士及び弁護士らで構成しているNPO法人であります。会員数は、現在のところ、個人、団体を合わせまして約百名となっております。これまでの活動としましては、一九九八年十一月に任意団体として発足いたしまして、二〇〇二年にNPO法人ということで設立をさせていただいております。  これまでに消費者契約をめぐる諸問題につきまして、被害救済とかあるいは消費者契約法の制定あるいは改正などの法律改正に取り組みまして、消費者団体訴訟制度ができる以前よりその制度実現とその担い手を目指して活動してきております。  具体的な被害救済あるいは約款改正等活動といたしましては、アパートマンション賃貸借契約やあるいはNOVAなどの外国語学校あるいは結婚式場携帯電話などの様々な継続的なサービス契約の中には不当条項が非常に多くあるわけでありますが、その不当条項改善申入れをしてまいりました。それから、高齢者に対する訪問販売などの不当な勧誘行為に対しましても、そのような活動をしている事業体に対しまして不当な事業活動をやめるように申入れをしております。さらに、その申入れに対してそれを改善しない場合、あるいは現実に被害者が生じているような場合につきましては、会員弁護士あるいは司法書士弁護団を構成して裁判提起をしております。具体的には、敷金の返還訴訟とかあるいはNOVA解約金返還訴訟を行ってきております。  それから、二〇〇七年、昨年の十二月二十五日に当法人は、改正されました消費者契約法に基づきまして、内閣府から消費者団体訴訟制度訴権を行使できる適格消費者団体認定を受けております。認定前の活動におきましても、不当契約条項改善あるいは不当な勧誘行為に対する防止などの消費者被害救済に一定の成果は上げてきたと自負しているところでありますけれども、今後は訴権を活用して消費者被害未然防止拡大防止実現することが可能となったわけであります。  この適格消費者団体認定を受けた後でありますけれども、本年の三月二十五日に当法人全国で初めて消費者団体訴訟制度に基づく訴訟提起しました。中身はアパートマンション賃貸借契約不当条項差止めというものであります。相手は京都では大手の賃貸業者賃貸の建物を経営している業者であります。私どもは、今後も消費者団体訴訟制度を活用しまして消費者被害未然防止あるいは拡大防止に努めていきたいというふうに考えております。  次に、消費者団体訴訟制度の現状について私どもの認識をお話ししたいと思います。  消費者団体訴訟制度は、二〇〇七年の六月に改正消費者契約法が施行されましてスタートしております。その後、昨年の八月に消費者機構日本消費者支援機構関西という二つの大きな消費者団体適格消費者団体認定されております。その後順次、私どもあるいはその他広島あるいは全相協その他の団体が順次認定されておりまして、現在五団体であります。兵庫消費者団体が現在申請中と聞いております。  これらの適格消費者団体が今どのような活動をしているかと申しますと、それぞれ不当な契約条項やあるいは不当な勧誘行為に対してその改善を求める活動をしております。より多くは、不当な契約条項の使用を改善するように求める活動をしております。現在のところ、訴訟に至らず改善が図られることが多いというふうに聞いております。私ども実感としてもそうであります。  現在、差止請求訴訟提起されているのは、先ほど申し上げた当法人の提訴のほかには、消費者支援機構関西が、貸金業者の繰上げ弁済に対して違約金を付加する条項貸金業者からお金を借りて繰上げ弁済をしたら、それは違約であるとして利息のほかに違約金を付加する条項を付けているところがあるわけでありますが、これについて、このような契約条項を使うべきではないという訴訟提起しております。この二件が現在消費者団体訴訟として提起されているものであります。  これらの消費者団体訴訟制度の運用、活用に対して事業者の皆さんがどのように対応しているかということでありますが、私ども実感としましては、事業者の方に契約書販売方法について見直すという、できるだけ適法なものにしていくというコンプライアンスの精神が進んできているというふうに実感しております。私どもあるいは他の適格消費者団体改善申入れをしておりますけれども消費者団体訴訟制度がスタートする前については、このような改善申入れに対しまして無視するところが多かったわけであります。しかしながら、最近は、申入れに対して、それを契機に社内で検討してこれを回答してくるということが非常に増えてきております。全面的な改善をするところもありますけれども、一部改善してくるところが非常に増えてきております。その場合においても、私ども適格消費者団体協議をしたいということで、協議の上で改善を行うことも増えてきております。  ただ、消費者機構日本のお話を聞きますと、これらの改善は、消費者契約法に関するものについてはその改善を積極的に行ってきますが、特商法を理由とする改善に対しては十分進んでいないという実態があるというふうに報告を聞いております。  それからさらに、改善申入れ等をしなくても、事業者の方が御自分で、自分たち消費者向けのパンフレットや、それから販売に関する説明方法につきまして、消費者の視点からの意見適格消費者団体に求めてくるケースも出てきております。これに対しては、適格消費者団体の方で意見書検討しまして意見書をお渡しするという活動もしております。  私ども実感としましては、消費者団体訴訟制度がスタートして以降、事業者消費者団体との関係が非常に対等なものになってきている、その中でより良い公正な取引実現しているという実感を持っております。消費者団体訴訟制度は、まだ国民には十分にその存在が浸透しておりません。これは訴訟が少ないからだというふうに私は思っておりますけれども取引現場におきましては着実に成果が上がっているというふうに実感しております。  このような消費者団体訴訟制度の実情と今回の改正の問題でありますが、スタートいたしました消費者団体訴訟制度には課題も多くあるわけであります。これは、消費者団体訴訟制度改正を議論した平成十八年のときにも指摘されてきたことであります。その幾つかにつきましては、消費者契約法の一部を改正する法律案平成十八年の法律案の際に、参議院の当内閣委員会附帯決議にも幾つかが指摘されております。  それらの課題の中の一つに、消費者団体訴訟制度対象消費者契約法に抵触する行為に限定しているという問題があります。しかも、それが差止めに限られているということであります。これは極めて狭い範囲でしかその訴権の行使ができないということであります。これにつきまして、参議院内閣委員会附帯決議の第八項に、以下のような附帯決議内容が決議されております。  消費者被害救済実効性を確保するため、適格消費者団体損害賠償等を請求する制度について、司法アクセス改善手法の展開や犯罪収益剥奪不当利益返還仕組み検討を踏まえつつ、その必要性等検討すること、また、特定商取引法独占禁止法景品表示法等消費者関連諸法についても、消費者団体訴訟制度の導入について検討を進めることとあります。  今回の改正は、ここに挙げられている課題の後半の部分の一つ実現と私どもは評価しております。  今回の改正案に対する評価でありますけれども、まず、景表法特商法消費者団体訴訟制度が導入されることは歓迎しております。これらの法律消費者被害救済に役立つということは明らかでありますので、また、消費者団体訴訟制度適用範囲が広がってくるという意味で、消費者被害未然防止拡大防止のためには非常に重要な課題であるというふうに考えており、その実現を歓迎しております。  さらに、当初、この改正を行う際には、法律所管官庁に対して別々に適格消費者団体認定、更新、監督が行われるかのような方向性が出されておりましたけれども改正案につきましては消費者契約法に横断的に一本化されております。このことにつきましては、適格消費者団体行政のコストや事務の軽減に資するものとして評価しているところであります。  ただし、問題点もある、今後の課題もあるというふうに考えております。  今回の改正に当たりまして、公正取引委員会あるいは経産省の下で産構審等では報告書が出されているわけでありますが、特に産構審の小委員会報告書では、特商法の中の行政命令対象となる行為、例えば特商法七条を具体的に挙げておりましたけれども、そういう行政命令対象となる行為消費者団体訴訟制度差止め対象とすべきであるとされてきました。しかしながら、改正案では、特商法七条などの行政命令対象行為の多くは差止請求対象になっておりません。景表法におきましても、四条一項三号の公正取引委員会が指定した不当表示差止請求対象にはなっていないわけであります。  これらの差止請求対象になっていなかったものといたしましては、書面交付義務違反あるいは禁止行為の一部、それから指示事項あるいは再勧誘禁止違反などの行政命令対象となる行為についても対象となってきませんでしたので、これらが差止め対象となることは非常に重要であるというふうに考えております。消費者被害拡大防止や予防には極めてこれらが入ることが重要であるというふうに考えております。  ただ、行政命令基準規定でありまして、特商法のこれらの規定行政命令基準規定ということでありますので、司法規定である差止請求の要件にこれを法文上組み替えることは、法改正でこれまで経験がなくて、かなり法技術的には困難性があることは私ども承知しておりますので、今後の検討課題としていただきたいというふうに考えております。是非、附帯決議に盛り込んでいただくことを求めるものであります。  さらに、消費者団体訴訟制度全体にも課題が残されております。とりわけ、以下の課題について今後早期に検討を開始されることを要望いたしております。  一つは、損害賠償や不当利益吐き出しを目的とする金銭請求制度の創設であります。このことは、平成十八年の参議院内閣委員会附帯決議にも記載されていることであります。  二つ目は、推奨行為、これは事業者団体やあるいは大きな企業がこのような条項を使いなさいということを推薦する行為でありますが、そういうようなものを差止め対象とすること、あるいは後訴の制限が行われておりますが、そういう後訴制限効の排除も、これを今後なくすように検討されるよう要請するものであります。  そしてさらに、適格消費者団体を始めとする消費者団体の体制強化のための支援を是非お願いしたいと考えております。  適格消費者団体活動範囲は現在広がっております。事業者との協議訴訟をする機会も増えてきております。一方で、消費者団体活動の多くはボランティアで支えられております。当法人も、少ない予算の中で会員のボランティア活動によって取り組まれているわけであります。活動範囲が広がることが今後私ども活動では予想されるわけでありますけれども、それに対応する適格消費者団体の人的、経済的体制の強化が急務だと考えております。  当法人でも、現在、会員の拡大などの努力を続けておりますが、是非、資金確保あるいは情報提供などの支援策を検討していただきたいと思っております。例えば、適格消費者団体への寄附を税額控除とする制度実現するならば、適格消費者団体活動に賛同する国民からの支援も得やすくなるというふうに考えております。  終わりに当たりまして、当法人は、今後も消費者団体訴訟制度を活用し、消費者被害の予防、拡大防止をする諸活動に取り組んでいく所存であります。消費者団体訴訟制度の広がりは、安心できる国民生活や公正な事業活動実現にとっては有益であると確信しております。今後とも、消費者団体訴訟制度がより良い制度となることに御尽力いただくことをお願いして、意見とさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  6. 岡田広

    委員長岡田広君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 相原久美子

    相原久美子君 おはようございます。民主党の相原久美子でございます。  今日は、国民生活センター島野参考人、そして京都野々山参考人、お二人においでいただきまして本当にありがとうございます。それで、幾つかということで御質問させていただきたいというふうに思います。  先に国民生活センターの方にお伺いしたいと思います。  実は、先日、私も民主党の一員といたしまして国民生活センターの方にお邪魔をさせていただきまして、いろいろと御説明をいただいたり、現場を見させていただきました。その上で、少し私自身も感じた、そしてこの状況を皆さんがどうとらえているのかという点で御質問させていただきたいというふうに思います。  まず、平成十九年に実施されました第三十八回の国民生活動向調査、これによりますと、窓口に実際に相談を寄せた件数というのは全体の約四%にすぎないのではないかと、あとはなかなか相談に応じられていないのではないか、そういうふうな統計上の数字が出てきております。  それで、実はこれは多分に相談に行かないでも済むというケースもあろうかとは思いますけれども、実は国民生活センターにお邪魔をさせていただいて感じましたし、それから各消費者生活センター、その情報も伺いますと、やはり人的な体制の不備というんですか、少なさ、これがどうしてもなかなか相談対応ができないというケースになるのではないかというふうに思われるのですが、これについて国民生活センター側から率直なところの御意見をいただければというふうに思います。
  8. 島野康

    参考人島野康君) 先ほど冒頭に申し上げましたように、政府の方針でございまして、直接相談というのは、各地にいろんな消費生活センターがいっぱい、今五百か所もできたということですから、そういうところの中核的機能をしなさいということで、直接相談の窓口をやや制限したわけですね。あれを全部、相談電話回線をいっぱい広げていればかなり多くの件数も来ると思いますけれども、そういった形で経由相談の方に力を入れてきたということですね。平成十一年度ではたったの六百七件が経由相談だったんですが、今は五千件を超えております。ということで、そちらの方にシフトしてきたというのが国民生活センターの、何といいますか、政府の方針に沿ってやってきたということですね。  ただ、当初、消費生活センター相談があるというのはそんな件数余り多く、先ほど申し上げましたように、十年前のもう三倍になっているわけですから、やや余裕があったときもあるわけですね。ところが、今は百万件を超えるということになると、もう相談員さんは忙しくて忙しくてというところで、やはりちょっと人数的にやや足らないとか、そういうところも見られるのではないかと。これはもう自治体の方ですと自治体の自治事務でありまして、これを何人にした方がいいとかというようなことは政府の方でも言えないと思いますけれども、これ、各自治体がもう少し消費者行政に力を入れていただければ有り難いなというのは先生おっしゃったように率直な感じはいたします。
  9. 相原久美子

    相原久美子君 ありがとうございます。  現場は政治に翻弄されているという部分もあるのかなというふうにお伺いいたしましたが。  二点目でございますが、最前線で相談を担っている相談員さん、これは、先ほどもおっしゃっておりましたけれども、資格を有し、そして様々な法改正についても対処をしなければならない。そして、消費者相談そのものが多様化し悪質化してきているということのようです。しかし、この基幹的で本格的な業務であるここの相談員さんのところは、お伺いいたしますと非常勤職員だということでございますが、正規の職員ではなくて非常勤職員として配置している理由というのがありましたら、お伺いしたいと思います。
  10. 島野康

    参考人島野康君) これは、当初、消費生活相談というのは余り、何といいますか、それこそ和解みたいなので合意をしてこれこれしましょうという、余り法律的な専門性をそれほど有したものではなかったような気がするんですね、当初、昭和四十三年に消費者保護基本法ができたとかそういったとき。そうすると、買物相談だとかあるいは品質に対してどうのこうのの相談ということで、いろんな社会的な知識を有した、主婦経験といいますか、そういう生活を重視したような方々といいますと、余り、常勤の方々だとなかなか難しかったような時期もありまして、元々はそういう方々が、あるいは地方ですと婦人団体の長とかそういう方がやられていたんで、非常勤というのが割合、十日ぐらいだったら行けますよみたいなのが元々だったんですね。  ただ、今は、先生御指摘のように、もう法律が今現在、日本で施行されているのが千七百八十一本ぐらいあると思いますが、その中に、本来的消費者法とか機能的消費者法というとかなりありますね。そういうのをかなり勉強されて、法的にどういうふうに考えればいいんだとか、あるいは判例は今どういう状況にあるのかと、消費者法における司法の積極主義みたいなことを言われる先生もいますけれども、そういうことをいろいろいろいろ勉強しなくちゃいけないということで、非常勤でずっとそういう形でやっていくのがいいかどうかというのは今後いろんな形で検討されるべきことではないかなというふうには思います。
  11. 相原久美子

    相原久美子君 ありがとうございます。  時代の変遷とともに体制についても考えていかなければならない、そういう時期に来ているのかなというふうな思いがいたします。  次に、野々山参考人にお伺いしたいと思います。  昨今は本当に、昨年はやりました「偽」という字に表れているように、企業モラルが問われているのではないかというような消費者トラブルが多発しております。その意味で、広範な国民の生命、財産を守るという意味で皆さんが御活躍いただいているということに対して敬意を表したいというふうに思っておりますが。  調べてみますと、今回の訴訟制度にかかわる部分では、適格消費者団体、この数が、調べてみますと少ない。先ほども報告いただきました。それで、この適格消費者団体になるための認定ですね、ここで、私は当然として基準はあるべきだと思うんですけれども、何かこの適格消費者団体になるために認定基準のところで皆さんがお考えになっている点がありましたら、お答えいただければと思いますが。
  12. 野々山宏

    参考人野々山宏君) 認定基準は、活動実績あるいは予算とか、そういう体制の問題があるわけでありますけれども。  一つは、私ども、なかなかきついなというのは活動実績の問題があります。なぜかといいますと、これらの適格消費者団体になる団体は一定の専門性を要するところがありますので、様々な団体が集まって、そして新しいネットワークを築いて、そこから認定の申請をしていくということがあるわけですね。そうしますと、そのネットワークをつくってから、今のところ二年の活動実績がないと認定をしてもらえないというのがあるわけです。それまでのそれぞれの団体活動が十分評価されてこないという面があります。そういう意味では、団体が構成員となっているようなこういう新しいネットワーク組織適格消費者団体を目指す団体については、その構成員となっている消費者団体活動等も十分評価して認定をしていただきたいということであります。現在、兵庫県のネットワークが申請していますが、当初はもっと早く申請を出しましたけれども、その点が若干問題になって認定が遅れてきたということがあります。  それからもう一つは、体制の問題であります。  私どもは、特に私どもの当法人はそれほど多くない予算の中でボランティアで活動しておりますけれども、そういう活動について、やはり脆弱であるという評価が下りますと認定が下りないということになります。ですから、やはりそういうボランティアでやっていることも十分評価はしてもらっていると思いますけれども、その点の評価、体制の評価についても実際の活動を十分考慮してもらいたいというふうに思っております。
  13. 相原久美子

    相原久美子君 ありがとうございます。  活動資金等々についてお伺いしようと思ったんですが、きちっと要望等々についても先ほど御説明いただきましたので、あと一点のみ。  消費者生活相談を行っているという意味では、今こちらの方にいらっしゃいますように国民生活センター、それから全国各地地方公共団体が設置しております消費者生活センター、こういうところがあるわけですけれども、皆さんの団体との連携というのはあるのでしょうか。
  14. 野々山宏

    参考人野々山宏君) 具体的な連携というのは、定期的な懇談会等開いております。それから、情報提供等につきましては、各自治体のセンターとの間で協議をして、どのような情報を出してもらえるかということにつきましてお話をしております。それから、相談者の中には、こういう団体があるので情報提供をして消費者全体のために差止請求等について検討してもらったらというアドバイスをしてもらったりしていただいております。そういうことから当団体の方に情報提供していただいているということもあります。そういう形でも、ネットワークというか意見交換をさせていただいております。
  15. 相原久美子

    相原久美子君 ありがとうございます。  時間ですので、私どもも、私たち自身も消費者でございますから、やはり消費者として皆さんの活動、これには本当に御期待を申し上げるのですが、ただ、それは皆さんの善意にだけということではなくて行政としてもしっかりかかわれる、そして我々も法律等々によるバックアップができるというような形で考えてまいりたいと思います。  本日は本当にありがとうございました。
  16. 有村治子

    ○有村治子君 おはようございます。自由民主党の有村治子でございます。  今日は、国民生活センター理事島野さん、そして京都消費者契約ネットワークの理事長野々山さん、それぞれに貴重なお話を伺いました。またお二方が代表される団体や、同じ機能を持って、目標を持って、安心できる国民生活、消費生活のために、粘り強く、またたゆまない御尽力をいただいていますことに、まず心からの敬意を申し上げ、幾つかの質問をさせていただきたいと存じます。  まず、島野理事にお伺いさせていただこうと存じます。  今日のレジュメを拝見させていただきまして、二番、最近の消費生活センター年間百万件を超える苦情相談が出ている、これは十年前の三倍にも上るというふうに御指摘がありました。内容も複雑化、多様化、悪質化というふうにおっしゃいましたけれども、例えばどんな消費者トラブルが起こっているのか、悪質化というものの典型的な類型とかパターンとかあるいは現在の潮流というものにはどういうものがあるのか、お教えいただきたいと存じます。
  17. 島野康

    参考人島野康君) 悪質化という、複雑化、多様化というのはよく分かる話だと思いますけれども消費者問題というものはいろんな面で広くなってきましたけれども、いわゆる業法違反といいますか、業法に対する違反というのが多く見られたんだと思うんです。  ところが、いわゆる刑法違反というか、確信犯的に、もう捕まったら向こう行くよというようなのが、特に高齢者などに対して金員を詐取するというようなのもセンターに入ってくるようになりました。これは我々の方ではなかなか手に負えない部分があって、野々山弁護士等にもいろいろ御助言いただいたり、弁護士会と連携したりしてやる場合もありますが、先ほどの違法収益吐き出し法制などについてもいろんな面で検討される余地があるのかなというふうに思ったりします。  個々の事案を言いますともう本当に多いですので、簡単にこの辺でというふうに思います。
  18. 有村治子

    ○有村治子君 先ほどのお話を伺いまして、悪質化というのは、私も、いわゆる確信犯、うっかりミスというのではなく、やっちゃえばいいやというような、そんな消費者に対する欺瞞というか偽善ということをやっているのがあるのかなというふうに思っておりました。これは国民生活、私たち消費者であり生産者であるということのやっぱり国民としての倫理観を高めていくことも重要かなというふうに思っております。  次の質問に入らせていただきます。  昨年末に出された「国民生活センターによる消費者紛争解決制度の在り方について」の附属データを拝見させていただきますと、昨年の調査では、国民生活センターの存在を知っている人は半数に満たないという結果を御報告されています。一方、消費生活センター全国で、私の認識が間違っていなかったら、五百三十一か所というふうに承りましたが、この消費生活センターの存在を知っているという人は八割近くに上っておりまして、この状況からいたしますと、紛争解決委員会の存在については、国民の皆さんのより近いところにある消費生活センター経由で認知されることが重要と考えられますし、また事案についても、先ほど島野参考人からお話があったように、消費生活センター経由で委員会にもたらされることが多いのだと推察をいたします。  そういう意味で、国民生活センターについては、紛争解決機関という機能を持つということを周知徹底していただく一方、現実的には、五百三十一か所の消費生活センターとの連携による紛争解決というのが現実的なファンクションかと思います。  そういう意味で、先ほどレジュメの三でおっしゃいましたけれども、いわゆる経由相談の中で、各地消費生活センター解決困難な相談について受付、処理をするというのはどういうすみ分けがあるのか。それぞれの消費生活センター、また国民生活センターの持ち味、強み、またすみ分けについてお話しをいただければ有り難いと存じます。
  19. 島野康

    参考人島野康君) 今、センターの認知度というので先生御指摘になりましたけれども、私どもの、ちょっと手元にないんですが、国民生活動向調査、先ほど相原先生が引用しました四%の云々というのですが、あそこの調査ですと、私の記憶なんですが、国民生活センター及び消費生活センターを知っているというのは八六%ぐらいになると思うんですが、国民生活センターだけを知っている、消費生活センターだけを知っている、あるいはいずれかを知っていると、まあそういう意味でありますが。といって、結構新聞等には毎日のように国民生活センターというのが報道されていますので、やや認知度、もうちょっとあるのかなと。だから、そう思いましたけれども、そういう調査もあるんだったらもう少し頑張らないといけないなというふうに思いましたが。  すみ分け論なんですが、各地消費生活センターといいましても、名前が生活科学センターがあったり消費生活総合センターがあったり、あるいは週数日開くだけのセンターもあるということになりますと、経由相談の難しさといっても、相対的といいますか、Aというセンターでは結構難しいけれどもBというセンターではそんなに難しくない場合もありますね。であるから、余り基準を設けて、これは国民生活センター経由相談になじむとか何々ということはしませんでした。その消費生活相談員がこれは難しいなとかあるいはこれは聞きたいなと思ったら自由に訪ねていただくというような格好でつくったものが経由相談の窓口であります。  あと、紛争解決委員会委員会のお話になりましたけれども、これもやっぱりいろんな面で周知しますとか、各地国民に対する、こういうものを国民生活センターに行ったらADR機関としてこういうことをやっているよというのは、この法案が通していただければ、それこそ死に物狂いじゃないですけれども、多くのメディアの御協力も得ながら周知徹底を図りたいというふうに思います。  ただ、各地センターがというか、地方公共団体が扱う紛争国民生活センター委員会で扱う紛争というのは、我々は、やや重要の消費者紛争と、いわゆる何県かで広域的にあるものとか、本当に新手なものとか、非常に重篤なものとか、そういうのを今は考えているところであります。
  20. 有村治子

    ○有村治子君 またレジュメの三の③についてお伺いします。  あっせん処理ということで先ほど御紹介がありました。三百件ほど受け付けられて、解決に至ったのは二百五十件、約六十件は解決に至らずという、そんな御言及がございました。この六十件というのは、なぜあっせんでは解決に至らないのか、どのような傾向、あるいはどのようなパターンがあるのか、御紹介いただきたいと存じます。
  21. 島野康

    参考人島野康君) これはあっせん不調と我々は言いますけれども事業者が全く先ほどのように、ラウンドテーブルではありませんが、一つのところに着いてくださいよ、着いたとしても全く、言い方はちょっと厳しいかもしれませんけれども、聞く耳を持たないというものとか、先ほどより、もうあっせんしようにもあっせんしようがないというようなのも、我々がちょっとケーススタディー的にやりますと、三分の二ぐらいは事業者側によるものかなと。ただ、消費者側にもやや、かなり過大な要求をされる方もなくはないということで、このくらいが一般的ではないかなといろんな専門家などにも話を聞きながらやっても、いや、それじゃちょっとというのも、それはなくはないわけですね。  ですから、多くは事業者側によると思いますけれども消費者にもややそういう部分もなくはないということですね。
  22. 有村治子

    ○有村治子君 ありがとうございます。  今の話を伺っても、利害関係が異なる両者の中であっせんをするという、大変な御尽力をいただいているんだなと拝察を申し上げます。  それでは、京都消費者契約ネットワークの野々山理事長にお伺いさせていただきたいと存じます。  今の島野参考人の話に関連するんですけれども、今まで京都で大変な御活躍を、何もないところからNPOとして立ち上げられたことに本当に敬意と関心を持ちつつ伺いますけれどもアパートマンションの契約とか高齢者に対する訪問販売というような、それを是正する実績おありになるようでございますが、申入れと書いてあるんですが、この申入れがどのくらい機能するんでしょうか。それが機能しない場合は裁判提起ということで書いてあるんですが、申入れからちょっと裁判というのは随分と拘束力というか、コミットしなきゃいけない労力も随分とこの間には差がある、ギャップがあるような気もいたしますが、申入れというのはそもそもどのくらい機能するものなんでしょうか。
  23. 野々山宏

    参考人野々山宏君) 消費者団体訴訟制度ができる前は、申入れは全く法的な根拠のないというか法的な裏付けのないものであります。消費者団体がその活動として事業体の方に改善を要求していくわけですね。そうすると、事業体の方でコンプライアンスの精神の下でそれに改善していければ対応できますけど、悪質業者、およそそういう対応のない者については無視されるということが多くありました。また、悪質業者じゃないとしても、改善の気持ちが全くなければ無視をする。賃貸関係のところでは申入れを何回もしていますけれども、それに対して改善するということでのお答えをいただいたことはないわけであります。そういう意味では、本当に事業者の皆さんの自覚にまつことが、この消費者団体訴訟制度ができる前はそれに負うところが多かったわけであります。  ところが、消費者団体訴訟制度ができますと、もし申入れに対してこたえなかった場合、それが消費者契約法の各法規に抵触するような場合につきましては、提訴が後に控えているということになるわけですね。おのずとそこには真剣に検討しなくては企業の対応を誤るということがあるわけであります。そういう意味で、消費者団体訴訟制度ができ上がった以降につきましては、申入れについては、コンプライアンスを考えているところではそのほとんどが対応検討をしていただいております。ただ、それを全く無視する悪質業者につきましては、当然それは、あとはもう訴訟をしていくということになるわけであります。  そういう意味で、消費者団体訴訟制度ができ上がったことによりまして、私どもからの、適格消費者団体からの改善要求に対しては効果が出てきているというふうに考えております。
  24. 有村治子

    ○有村治子君 時間の関係で最後の質問になろうかと存じます。お二方のうちどちらか、あるいは御両人とも適切であればお答えいただきたいと思います。  先ほどから何度か出ておりますけれども、ADR、裁判紛争解決については、オルタナティブ・ディスピュート・レゾリューションでしたっけ、ちょっと耳慣れないなという感じがいたします。今後これが、私も行政書士の先生方のADRにかかわったことがあるんですけれども、ADRあるいは裁判紛争解決というのは、今後、語句として、概念とともにやっぱり語句も広げていくためには大事なことだと思うんですが、この語句はこれから定着していくんでしょうか。それとも、もう少し国民にフレンドリーな言葉になっていくべきとお考えになられるのか、その辺、教えていただきたいと存じます。
  25. 島野康

    参考人島野康君) ADRって割合なじみ、おっしゃるように、ないかもしれませんね。  私も昔、朝日の「論壇」というところに製造物責任法の早期制定をと書いたことがありますけれども、そのときに担当の方が、製造物責任法ってだれも知らないよと、こんなの違う言い方をしたらどうですかというふうに電話で連絡をいただいたことがあるんですよ。ところが、それはもう製造物責任法というのを広めたいという部分もあったので、それでお願いしますと。今だと、製造物責任法って、PL法と言うとかなり皆さん知っておられることだと思うんですね。  だから、ADRも、オルタナティブ・ディスピュート・レゾリューションなんて言うとなかなか分からないんですが、日本語に訳しても裁判外紛争解決手続なんて言うとまた分からないかもしれませんけれども、多分だんだん機能することによって、ただ置いてあるだけだと全く人の耳にも入らないと思いますけれども、それが活用されていることによって人々に普及していくのではないかというふうに思っています。
  26. 野々山宏

    参考人野々山宏君) 私も適当な言葉があればいいとは確かに思います。裁判によらない紛争解決手段、紛争解決手続とか、そういうような言葉でうまく浸透していけばいいわけですけれども、今、島野さんがおっしゃられたようにやはりADRというものは次第に浸透してきているんではないかというふうに私も思いますので、適当な言葉が出てこないのであればこの言葉をこれからも広めていくということになるかというふうに思っております。
  27. 有村治子

    ○有村治子君 以上で質問を完了させていただきます。御協力ありがとうございました。
  28. 風間昶

    ○風間昶君 公明党の風間です。  今日はありがとうございます。  まず、適格消費者団体認定されました野々山さんにお伺いしたいというふうに思います。認定されて四か月弱でもうすばらしい活動をされていることにまず敬意を表します。  それで、問題は、今まで四つの団体認定されて、これから更に増えてくる可能性があると思います。先ほどお話の中で、要するに活動資金の問題で、恐らく会員のボランティアあるいは賛同者の方々の資金がメーンだと思うんですけれども、まさか企業に寄附をお願いするわけにいかないでしょうから、それも一つの方法かもしれませんが、税制控除を具体的にどういうふうに、もし端的に分かりやすく、私素人ですので教えていただければ有り難いということ。もう一つ、国からの公的支援も一つの方法かと私は思うものですから、これについてのお考えをお伺いしたいということが一つ。  それから、財政の話じゃなくて今度は、消費者救済のために被害を未然に防止することが本来の私は目的でなければならないというふうに思いますが、消費者団体訴訟制度ができて、ある意味では、何というんでしょうか、紛争解決の手段で裁判訴訟が目的になっていることになると、これはある意味では、それは当該者の方からは理解されるかもしれぬけれども、多くの国民方々からは大きな運動論として展開していくにはかなり厳しいと思うんですが、その懸念を払拭していくにはどうしたらいいかという、この二点をお伺いしたいと思います。
  29. 野々山宏

    参考人野々山宏君) 財政の問題につきましては、現在私どもの財政を支えているのは会費と寄附であります。寄附は個人の方から寄附をいただいておるわけでありますが、会費は個人が年間三千円、それから団体が六千円で一口として何口でもということでお願いはしているわけです。それで集まっても百人程度会員ですのでたかが知れているわけであります。個人の方の寄附を入れても現在百数十万円の予算で活動しております。パートの方を事務の方でお願いしまして事務作業と、あとはもうほとんどボランティアでやっているということであります。  同じようなこういう団体が世界にあるわけですけれども、いずれも様々な資金を集めているわけであります。一つは、イギリス等で行われているように本を発行します。雑誌を発行しまして、その雑誌の収益でやっていると、ただ私どもはまだまだそこまでの力はないわけであります。それから、ドイツ等では公的な資金、自治体とかあるいは国が資金援助を直接しております。アメリカ等へ行きますと、これは寄附が多いんですね。寄附をする、恐らく、私も細かく税制のことを調べたわけではありませんけれども、税制の様々な優遇措置が公的な活動をしているところに対する寄附にはあるというふうに考えております。認定NPOになればそれは現在の制度の中でも所得控除という形ではなるかと思いますけれども、あくまで所得の中で控除されていくことになるわけでありますから、より直接的ではない。税額控除、税額の中から一定、寄附をすれば税額から控除されるような制度があれば、それはより個人の方でも寄附をしていこうという気持ちが、動機付けになるかというふうに思っております。そういうような、日本はまだ社会として寄附社会でありませんので、そういう税制等の措置をとることによってそういう背景的なものを、そういう社会的な定着をしていったらどうかと、寄附社会の方にしていったらどうかというふうに思っております。  アメリカの消費者団体へ行きますと、壁のところに寄附をしていた方の名前がずっと書いてありまして、ランクをしてあって、一緒に行った通訳の方が弁護士だったんですけれども、その方がその壁の表示を見まして、自分の尊敬する法律事務所の方がやはり高い寄附をしているということをおっしゃっていましたので、やはりそういう寄附をこういう公的団体にするような制度的な措置を是非とってもらいたいなというふうには思っております。  それから、訴訟がどうなのかということですが、先ほどの御質問にもお答えしましたけれども、やはり訴訟が目的では私どもないわけであります。不当な契約条項とかあるいは不当な広告、不当な勧誘行為がなくなることがやはり大事でありまして、そういう意味では、現在のところは訴訟に至らず解決することが非常に多い。  ただ、それはなぜなのかというと、訴訟制度があるからであります。訴訟制度が背景にあるからでありまして、現在、私どもの資金の状況あるいは人的な構成からすると、そんなにたくさんの訴訟を起こすようなものはありません。ただ、やはり訴訟を起こさなければ、問題のあるものに対して訴訟を起こさなければ、その前の申入れに対しても適切な対応をしていただけないということは考えております。ですので、やはりそれをバランス良くやっていくことが大事かというふうに思っております。  消費者機構日本とかあるいは消費者支援機構関西という二つの大きな適格消費者団体があるわけですけれども、そこは一千万以上の資金を持って活動しているわけでありますけれども、その中でも百万ないし二百万程度訴訟費用で今運営をして、予算で活動していると聞いております。そうなってくると、それ自体、一件か二件、二、三件の訴訟をできる資金になりますので、実際にお金を払う、弁護士に払うということになれば、そういう意味では、そんなにたくさんの訴訟が行われるということを前提とした活動にはなっていないということになっております。
  30. 風間昶

    ○風間昶君 それでは、センター島野さんにお伺いします。  まずは、国民生活審議会の意見の中にもありましたけれども救済機能強化のためにセンター自身が事業者の違法行為に対するある一定程度の権限を、請求権を含めて持つことが議論されておりますが、この事業者そのものに対する請求権をセンター自身が持つことについての意見をいただきたいというふうに思います。  それから、先ほどの、直接相談よりも経由相談の方が多いということで、直接国民センターが受け入れるやつ、あるいは地方の消費生活センターと共同でやるやつ、あるいはその助言という三通りのかかわり方があると思いますが、どれが今一番多いのか、教えてください。それが二つ目。じゃ、たくさんあるので。
  31. 島野康

    参考人島野康君) いろんな請求権というのは、例えば出頭要求請求権とか文書提出請求権とか、そういうことだと思いますけれども、ADRの手続というのは、基本的に当事者間の合意ということを前提としているのではないかということで、そういう権限を、出席の要求権とか、出席をしない場合には何か過料を付すとかというのは、ややこういうADRにはなじまないのではないかというふうに思っています。  それから、経由相談、あるいは直接相談もそうなんですが、もうこれは助言というのが圧倒的なものでありまして九割近く、経由相談ですと八八%、言わば九割ぐらいが助言になっております。各地消費生活センター消費者に対するのも助言が多くなっているということです。  これはやや古文書のようになっている通達で、内閣府の人も余り知らないんじゃないかと思いますけれども、昭和四十五年五月四日に国民生活局長通達というのがございまして、それは国民生活局長から都道府県の知事あての通達で、地方公共団体における苦情処理体制の整備についてというので、苦情のあっせんという項目がございまして、そこでは、窓口で受け付けた苦情については、単に相手方に伝えるだけでなく、解決に必要な情報提供し、当事者の希望があればあっせん案を提示するなど積極的に取り組み、その苦情が最終的に解決するまで見届ける必要があるというすばらしいものが昔出たことがあるんですが、それはもう、昭和四十五年とか何年とかというと、そんなに苦情が多かったときじゃないんですね。そうすると、一つ一つ結構あっせんをしながらやっていくということで、件数の非常に多くなったことにもよりますし、助言という形で、そうせざるを得ない面もありますが、そういう形で助言が圧倒的になっております。
  32. 風間昶

    ○風間昶君 あと三分少々しかないので、よろしくお願いしたいと思います。  地方の消費生活センターとの連携は極めて大事で、そのためにハードの部分ではPIO―NETがあるということで理解していますが、全国の五百四十七にすべてこれ配置されていない、配置されているとしても機能していないという実態がありますから、要するに、ちゃんと機能できるようにするための、まず、どのぐらい今配置されているのかということを伺って、それを機能させるためにどうするのかというハードの問題。  それから、人の問題ですけれども相談員が三千数百名いるんだけれども、資格を持っている人が実際にはそのうちの三分の一ぐらいしか仕事をしていない。仕事をしていないというとおかしいかな、いろんな条件があるんでしょう、非常勤だとかいろんなこともあるんでしょうし、あれなんですけれども。そのことをしっかり相談員方々が、資格認定研修はいいんですけれども、受けた、資格取れた三千名近くいても、千四百名ぐらいしか実際に業務に携わっていないということは、あと眠っている資格相談員がおいでになるので、そのことに対してどうしていくのかという問題、二つ目ですね。  そして、人の問題でいうと、特に全国的な大きな問題になれば、国民生活審議会でもいわゆる消費者Gメンというものを設置すべきだという意見を述べられております。これは、金融の専門家とか何かも含めた、法曹の方々のこともあるんでしょうし、このことについてどういう今お考えなのか、三点、お伺いしたいと思います。
  33. 島野康

    参考人島野康君) 今のPIO―NETの設置の状況でございますが、各地センターというのが、内閣府の調査ですと五百三十八か所というふうに聞いております。そのうち四百八十五がPIO―NETを今設置済みでございまして、九〇%なんですね。あと一割というところであります。そういったところへ全部、一〇〇%にするというのは、我々の親元といいますか内閣府にいろいろ検討していただくと、我々もそういう面で内閣府にお願いしているというようなところであります。  それから、死んでいる、死んでいるといいますか、かなり難しい消費生活相談員専門研修といいますか、その資格なんですが、先生おっしゃるように、三千二、三百人ですか、いらっしゃって、今は千五百人、千四百六十名ぐらいが各地センターに就職しているわけなんですが、この人たちも、やや、東京とか割に大都市の方が多いんですね。そうすると、消費生活センターにキャパシティーじゃないですけれども、人員がこのくらいの定員しかないというとなかなかそこまで入り切れないのと、その方の中で、資格を持っていても必ずしも消費生活センターだけではなくて、企業にいる方もなくはないんですね。ですから、その資格が全く死んでいるということではないというふうに私らは理解しているところです。  もう一点は何でしたっけ。
  34. 風間昶

    ○風間昶君 Gメン。
  35. 島野康

    参考人島野康君) 消費者Gメンですか。消費者Gメンについては、また審議会等で言われ、あるいは今後推進会議などでどういう形で、結果的にはどういうふうにそれが活動させるのか、どういう性格付けなのかというのをもう少し見させていただいて、まだよく我々も十分理解できない部分もありますので、国民生活センターとしてどうするというのはちょっと控えさせていただきます。
  36. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  37. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数慶子と申します。よろしくお願いいたします。  本日は、国民生活センター島野理事、そして京都消費者契約ネットワークの野々山理事長、お忙しい中参考人として御出席いただきまして、ありがとうございました。  まず最初に、国民生活センター島野理事にお伺いしたいと思います。  国民生活センターに集められた消費生活相談事例は、平成十八年度においておおよそ百十一万件にも及んでいると伺っています。こうした情報収集されて、さらに分析調査されることは、独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案における解決対象となる重要消費者紛争を判断する上で非常に重要な意味を持つものであります。  また、この調査分析された情報行政機関関係団体提供されることによりまして消費者行政に何が求められているかを示す指標ともなるわけですが、そこで、これらの情報集積、分析などはどのように行われて、いかなる判断によって選ばれた情報行政機関関係団体提供されているのか、それぞれにかかわる職員数と、それから併せて国民生活センター内における体制について御説明をお伺いいたします。その際、その現状における所感も是非お伺いいたします。
  38. 島野康

    参考人島野康君) PIO―NETの収集ですけれども、これは先ほど申し上げましたように、四百八十五か所あるところから皆さんの御協力で一件一件入れていただいていると、そういうのが集積するということです。  それで、どういうものを分析して出すのかということですが、これはやっぱり新たな手口とか、非常に重篤性があるとか、あるいは何か急増してきたぞとか、そういうのを早期警戒指標みたいな形で、我々の方で今開発中ではあるんですけれども、そんな格好で、今までは職員のやや勘みたいなのがありますが、そういう形で情報提供してきたということですね。  国民生活センターの体制でございますが、職員数は現在百十七名でございます。百十七名でございまして、もちろん総務とか経理というのはもちろんあるわけですけれども、その情報分析するようなところですと情報部と、こう申しますが、二十名でございます。それから、やや、体制ですから、分析とはちょっと離れるかもしれませんけれども相談の受付処理をしているのは相談部が管理職みんな含めて十四名ということで、商品テストは危害情報室と、危害情報のを入れまして二十七名と、研修部が九名と、そういうような人数配置になっております。
  39. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  最近の消費者トラブル、大変複雑化しておりますし、解決が困難になっている事例も多いと思います。消費者とそれから直接接しながら相談業務に当たる消費生活相談員の資質の維持あるいは向上は切実な課題でもあると思うわけですが、国民生活センターが実施するこの研修の受講を消費生活相談員が希望しても、定員の都合でなかなか受けられないこともあるというふうに聞き及んでおります。そうした事実があるのでしょうか。もしあるのであれば、研修の充実を検討しているのかどうか、併せてお伺いいたします。
  40. 島野康

    参考人島野康君) 昨年の九月ぐらいまでですか、先生の御指摘のように、研修を申し込んでも、部屋が六十名とか五十名とかというふうにしか入れませんのでお断りせざるを得なかったということなんですが、やはり要望のあるところは皆、全員受けていただきたいということで、その部屋には入り切れないんですが、その部屋からテレビを引きまして、そこで受けていただくということで、今は一切、一人もお断りすることはないというふうであります。  ただ、一点、そういうゼミみたいな形で、小さいところである事例研究なんてなるとちょっと難しい面、トレードオフみたいな部分がありますので、それはありますけれども、お断りするということは今現在はございません。
  41. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  じゃ、続きまして、京都消費者契約ネットワーク野々山理事長にお伺いをいたします。  消費者契約法等の一部を改正する法律案によりまして適格消費者団体による差止請求対象が拡大して、今後一層の活躍が適格消費者団体に期待されるわけですが、しかし現在認定されている適格消費者団体が五団体と、大変少ないように思います。なかなか適格消費者団体の数が増えない原因は何だと感じていらっしゃるのか、お伺いいたします。
  42. 野々山宏

    参考人野々山宏君) まず、訴訟をしていくということについて、これまで消費者団体がこれを担っていくという経験がまだないわけであります。そういう意味では、そういう体制をつくるのに多少時間が掛かるということがあります。それから、やはり訴訟をしていく上においては、一定の経済的なものとか人的な体制も必要になってくるわけであります。そういう経済的な体制につきまして、現在の日本の消費者団体というものは十分なものがまだないということが挙げられます。それによって慎重になっているというふうに思っております。  それともう一つは、消費者団体訴訟制度が一昨年制定されましたけれども、その際の法律は、これらの適格消費者団体に対しまして極めて強い監督権限、監督条項を設けているんですね。それから、事務手数料も極めて多いということが挙げられます。そういうものを担っていくということにつきまして、それをやるのも、先ほど申し上げた体制の問題もありまして、そういう監督が非常にきついと、事務作業が非常に多いということも認定を申請するのを妨げる一つ原因になっているというふうに考えております。
  43. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  続きまして、先ほども似たような御質問もございましたけれども、改めてお伺いしたいと思います。  京都消費者契約ネットワークにおける平成十八年度の収支計算書を見ていきますと、およそ二百五十二万円の収入のうちの約六割の百五十六万円は消費者支援基金による補助金の収入でございますね。それで、消費者支援基金とは、NPO法人企業社会責任フォーラムが事務局となって、事業者消費者、大学などからの寄附金によりまして消費者団体を助成するものであるわけですが、今後、適格消費者団体の数が増加する可能性から考えていきますと、この支援基金による助成が今後も同様に続くとは限らないわけですね。  そこで、その支援基金による補助金が減額された場合、京都消費者契約ネットワークの活動に支障が生じることがないか懸念されますけれども、現在の財政状況と併せて、今後の説明お願いいたします。
  44. 野々山宏

    参考人野々山宏君) 消費者支援基金は、消費者団体訴訟制度を援助しようということで設立された基金であります。  平成十八年度のその補助金というのは、一般的な活動、それまでの一一〇番であるとか、様々な活動に対して補助が出たものでありますけれども、御指摘のように、資金の、当然有限でありますので、現在ではそういう一般的な活動については補助が出ずに、具体的な訴訟活動において、その訴訟に係る経費について補助をしていこうという方向であるというふうに聞いております。  私ども活動において一般的な運営は、やはり自分たちの資金で今はやっておるわけであります。当然、経済的にはかなり苦しい中でやっております。ですから、先ほど申し上げましたように、ボランティアで支えられてきているということがあります。ただ、今後、事務作業がどんどん増えてくる、訴訟活動もどんどん増えてくるということになれば体制の整備もしなくちゃいけませんので、その意味では、先ほど申し上げましたような公的資金の援助あるいは税制その他の制度的な援助というのを是非お願いしたいというふうに考えております。
  45. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  今お答えがございましたように、ボランティアによって支えられているという実態と、今後の公的資金、やはり投入をしていくという状況の中から、むしろ国民生活に近いところで活躍をしていらっしゃる、これから活躍していただく方々を増やしていくということにつながるかと思います。  そういうことも併せまして考えていきますと、やはりこれからの国民の消費生活において最も必要なところでございますので、国民の意識という面から考えていきますと、やはりイギリスやアメリカにかんがみて、やはり国民も支えていく、ある意味、寄附行為であるとか、そういうことももちろん必要とされるわけでございますけど、やはり国からの、ある意味、公的な援助も併せて活動ができやすい状況に持っていくべきだというふうに考えております。  これからますます御活躍をしていただくお二方でございますけれども、今日は本当にお忙しい中、こうやって出席をいただきまして、参考人質疑に御出席いただきましたことを感謝いたしまして、今の質疑にかかわる答弁を踏まえて、また午後の質疑につなげさせていただきたいと思います。ありがとうございました。  終わります。
  46. 岡田広

    委員長岡田広君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。当委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時二十九分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  47. 岡田広

    委員長岡田広君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案及び消費者契約法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事協議のとおり、政府参考人として内閣国民生活局長西達男君外四名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 岡田広

    委員長岡田広君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  49. 岡田広

    委員長岡田広君) 独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案及び消費者契約法等の一部を改正する法律案、両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  50. 相原久美子

    相原久美子君 民主党の相原久美子でございます。本日はよろしくお願いいたします。  まず、消費者契約法改正案についてお伺いをしてまいりたいというふうに思います。  二〇〇四年に成立しました消費者基本法では、消費者の安全の確保、選択の機会の確保、そして情報提供、政策に対する意見の反映と、本当に消費者にとってその被害が生じたときに適切かつ迅速な救済の権利が保障されるというものになりました。  そして、この法案によりまして更なる強化が図られる消費者契約法、これは事業者消費者との間にある情報の質及び量並びに交渉力の格差があるということにかんがみまして、消費者消費者契約の取消しや消費者契約条項の無効を主張できる場合を類型的に定めた法律であるというふうに思います。  その上で、今回の消費者契約法改正案についてお伺いをしたいと思います。  まず、一点目でございます。  消費者契約法でも言われております消費者の自立支援へと移行する現在の消費者行政における改正案の位置付け、そして今後の消費者行政方向性についてお伺いしたいと思います。
  51. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) ただいま委員から御指摘がありましたように、平成十六年に消費者保護基本法を改正しました消費者基本法、この中で消費者というもの、保護される対象から自立した存在、自立した主体というふうにとらえ直されまして、消費者の権利の尊重、そして消費者の自立の支援、こういったものが基本理念とされたところでございます。  そして、その中に、この消費者団体に期待される役割といたしまして、消費者の被害の防止及び救済のための活動に努めるということが記されております。平成十八年に消費者契約法改正する形で発足しました消費者団体訴訟制度は、今申し上げました消費者団体に期待される役割、これを踏まえた形でこの制度がスタートしたというふうに位置付けられると存じます。  この消費者団体に期待される役割、消費者に支えられた消費者団体が不当な行為について差止請求権を行使することによって消費者の権利を尊重し、そして消費者の自立に資するということになると考えております。今回の改正はその消費者団体訴訟制度を更に拡大するということで、景表法及び特商法にも拡張していくということになっております。今御指摘の中でのこの今回の法改正の位置付けは、そういうことだというふうに思っています。  将来に向けての消費者行政のありようについて御質問いただきましたが、大きな方向性としては、こうした法整備、あるいはこの制度の充実に努めなければいけないと思っていますが、あわせて、消費者行政組織自体もいま一度見直す必要があるんではないか、こうした問題意識の下に消費者行政の一元化の議論も今進めているということでございます。
  52. 相原久美子

    相原久美子君 今、組織の見直しの点についてもお触れいただきました。今国会における福田総理の施政方針演説で、今年を生活者や消費者が主役となる社会へ向けたスタートの年と位置付けていらっしゃいました。そして、内閣の一員である大臣は、この言葉が意味するところ、多分に今お答えいただいた部分も含まれているかとは思いますけれども、どういうふうにとらえられているでしょうか。
  53. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 消費者、生活者が主役となる社会のこの意味合いでありますが、明治以来、日本の行政組織というのは、生産者あるいはサービスの提供者を発想の基点にしてつくられてきたという歴史があるというふうに思っています。こうした産業振興官庁が中心行政組織を形成してきたわけですが、そういった形の中でも消費者行政は大切だということで努力はしてきたわけですが、結果としまして、こうした産業振興官庁それぞれに消費者を担当する組織が分散するという形になってしまったということかと思います。ですから、消費者というのは、所管官庁の規制を通じて間接的に保護される存在ということになってしまっていたというふうに認識をしています。  是非こうした体制の見直しを通じて、やっぱり消費者の役割、存在というものをもっと主役としてクローズアップして対応していく、そうした組織を考えなければいけないんではないか、これがこの意味の一つだと思っていますし、更に言いますと、今、消費者に対する考え方は、最近欧米諸国では随分と言われているようですが、消費者市民社会という考え方、要は消費者というものは、まずは経済合理性に基づいて行動する、節約をする、より経済合理性にかなった行動をする、こういったことが求められる、これは当然のことですが、それだけにとどまらずに、やはり消費者というものは、消費者行動を通じてエネルギー問題ですとか環境問題ですとか、さらには倫理問題とか、こうした大きなテーマについても消費者の立場からかかわっていく、役割を果たしていく、こういった考え方、消費者市民社会というふうに訳しているようですが、こういった考え方が欧米社会では随分と議論されているようであります。  日本の消費者行政消費者社会においても、こういった考え方もしっかり取り入れた上で、消費者に自立した存在としてしっかりとした役割を果たしていただきたい、こういった思いがこの生活者や消費者が主役となる社会という言葉に込められているんだというふうに認識をしております。
  54. 相原久美子

    相原久美子君 ありがとうございます。  私自身はそこまでもなかなか思えなかったんですけれども、本当にしかりというふうに思っておりますので、是非今後についてもよろしくお願いしたいと思います。  それで、適格消費者団体による損害賠償請求制度、これはそもそも二〇〇六年の改正時において幾つかの点が議論になっているかというふうに思います。衆議院及び参議院内閣委員会における附帯決議に必要性の検討が盛り込まれていました。この損害賠償請求制度、本法案には導入されませんでした。  また、二〇〇八年の三月四日、五つの適格消費者団体によりまして、本法案の改正に対して、消費者被害救済事業者の不当利益剥奪の機能強化を求めるコメント等も出されていたわけですけれども、今回こたえられてないという観点からお伺いしたいと思います。  消費者団体による損害賠償請求制度について、二〇〇六年の附帯決議、そして今回の適格消費者団体の要望にもかかわりませず、本法案に消費者団体による損害賠償請求制度が盛り込まれなかった理由についてお伺いしたいと思います。そしてまた、この制度導入に向けた検討状況についてもお伺いできればと思います。
  55. 西達男

    政府参考人(西達男君) 先生御指摘のとおり、消費者団体による損害賠償請求制度につきましては、前回の消費者契約法改正の際の両院の附帯決議あるいは消費者団体からの要望、こういったものが出てきておることは承知をしております。今回の法改正は、同じく衆参の附帯決議にございました適格消費者団体制度景表法とそれから特商法に導入すべきと、これについておこたえをしたものでございます。  今回、損害賠償請求制度内容としていないことにつきましては、この制度の導入に際しては、少額訴訟手続の適用範囲の拡大など司法アクセス改善手法の展開状況、あるいは我が国において新しい制度であります消費者団体訴訟制度の社会への定着の度合いや実績、さらに適格消費者団体に対する社会の評価、こういったものを踏まえる必要があるというふうに考えておりますし、さらに法的な面でも、個々の消費者が有する請求権と適格消費者団体が有する請求権との関係でありますとか、それから損害賠償額の算定の方法、さらには適格消費者団体が取得した金額の個々の消費者への配分方法、こういった更に詰めなければならない問題点がございまして、我々としてはこれを更に検討していく必要があるというふうに考えているところでございます。  内閣府といたしましては、諸外国の制度参考にしながらこうした検討を進めていきたいと思っておりますけれども、この進捗状況でございますけれども、まずはそういった諸外国への制度の状況について調査を開始をしておりまして、具体的には、外部の有識者に対しまして、ドイツやフランス、アメリカ等における消費者被害の金銭的な救済手法の動向について調査を委託して報告書をいただいたりしておりまして、こうした動向を踏まえながら更に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  56. 相原久美子

    相原久美子君 諸外国の調査をされているということですから検討は進んでいるんだろうというふうには思いますが、何よりも今悪質化してきているという状況の中で、逃げ得を許さないという観点から、本当に早急な形の検討お願いしたいなというふうに思っております。  それでは、次なんですが、消費者契約法の第四十条、独立行政法人国センター及び地方公共団体は、当該適格消費者団体差止請求権を適切に行使するために必要な限度において、消費生活相談に関する情報内閣府令で定めるものを提供できるというふうになっております。消費者被害拡大防止に迅速に対処するためにも、公正取引委員会、経済産業省が有する情報についても提供、交換の連携を図るべきと考えるのですが、いかがでしょうか。
  57. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の消費者契約法第四十条ですが、国民生活センター及び地方公共団体から適格消費者団体に対する情報提供について規定をしております。  これにつきまして、いわゆるPIO―NET情報等の提供が行われているわけですが、これは適格消費者団体差止請求をする際に大変有益なことだというふうに考えております。そして、それに加えて、他の行政機関が有する情報提供ということにつきまして、今御質問いただきましたが、これにつきましては他の行政機関行政処分等をすることもあり得るということで、性質上機密性が必要であるという場合もあるようではありますが、その辺は配慮しつつも、公正取引委員会とか経済産業省が適格消費者団体情報交換あるいは意見交換を行うことですとか、専門的な見地に基づいて助言を与えるとか、こういったことは連携の方策としてこれ十分考えてもいいのではないかというふうに思っております。ですから、内閣府としましては、こうした情報の共有とか連携を進めていくように促していきたい、そのように思っています。
  58. 相原久美子

    相原久美子君 不当条項推奨行為についてでございます。  最近の新聞報道にもありましたように、訪問販売事業者団体による過大な解約損料の設定の推奨、これは契約書のひな形があるようでございます。また、今日参考人の方にもお伺いいたしましたが、建物の賃貸借契約の原状回復条項等に見られるように、別の事業者契約書を作成、提供、そういうような事案があるということです。それで、これによる被害が拡大しているという指摘がございます。今まさに京都団体一つ提訴しているという状況のようでございますが、このような実態からお伺いをしたいというふうに思います。  過大な解約損料の設定等、不当条項推奨行為について今回の改正法で差止請求対象としなかった理由についてお伺いしたいと思います。私は、消費者被害の発生、拡大防止の観点から考えますと推奨行為についても差止請求対象とすべきではないかと考えているのですが、いかがお考えでしょうか。
  59. 西達男

    政府参考人(西達男君) 先生御指摘の不当な契約条項に関してのモデルとかひな形となります契約書書式、こういったものを、あるいは約款、こういったものを推薦したり提案したりする行為、いわゆる推奨行為でございますけれども、これにつきましては、推奨の概念、要するに推奨の程度というのが非常に様々でございます。こうした概念が不明確なまま差止請求対象とするということになりますと、事業者団体等による自主的なルール作りまで萎縮させてしまうおそれがあるのではないかということが懸念されますほか、推奨された不当な契約条項を使用する事業者に対しては差止請求は可能ということになりますし、それから、差止判決が出されれば、それを広くPRする、周知公表することによって事実上同じような契約条項が使用されなくなるのではないかと、そういうことが期待されるということを踏まえまして、前回の議論の際もそうでございますけれども、今回も差止請求対象とするには至らなかったところでございます。  ただし、この問題については、御指摘のとおり、前回の消費者契約法改正の際のやはり同じく衆参の両院の附帯決議におきましても検討事項というふうにされておりますところでございますので、こうした制度のまた施行状況、実施状況を見ながら更に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  60. 相原久美子

    相原久美子君 附帯決議にも示された、そして被害が出ているということでございますので、是非とも検討お願いしたいというふうに思います。  二〇〇六年の消費者契約法の一部改正案質疑におきまして、内閣委員会の今の理事でもあります芝先生の質問の中で、消費者被害防止に向けあらゆる策を講じていくことが必要なのではないか、こういうような指摘をさせていただきましたところ、当時の猪口担当大臣は、消費者団体訴訟制度の導入により、消費者被害の発生や拡大の防止が期待されているとしまして、本制度が社会に円滑に定着し、法の目的が着実に実現されるように努力していくと答弁なされました。  そこで、お伺いをしたいと思います。昨年六月からスタートいたしました消費者団体訴訟制度の活用状況及び同制度国民の認知度の把握状況についてお伺いしたいと思います。
  61. 西達男

    政府参考人(西達男君) 昨年六月から施行されました消費者団体訴訟制度、この運用開始から現時点までに、現在までに合計五つの団体適格消費者団体として認定をされまして、現在、消費者利益擁護のための活動を行っているという状況にございます。  この適格消費者団体から受けた報告によりますれば、それによって把握している限りでは、これまで訴えの提起をしたものが二件ございます。それから、訴えの提起には至っておりませんけれども裁判外で差止請求がされたものが五件というふうになっております。訴えの提起がされましたのはいずれも最近のことでございますので、まだ判決が得られたわけではございませんけれども裁判外の差止請求がされた中には交渉によって自主的に改善をしたとして報告があったものもございまして、徐々にではございますけれども効果が現れ始めているというふうに認識をしております。  また、消費者団体制度にかかわる国民の認知度でございますけれども、これは詳細に何か実態把握をしているわけではございませんが、前回の契約法の改正以来、これは全都道府県において説明会を開催したり、あるいはシンポジウムとか、あるいは適格消費者団体との意見交換会を開催するなど、制度の周知、普及に努めているというところでございます。
  62. 相原久美子

    相原久美子君 今日、実は午前中に参考人の方のお話を伺いました。団体の方のお話を伺いまして、確かに先ほどおっしゃいましたように、この訴訟制度ができたことによって相当の効果は上がっているというようなお話も伺いました。まだまだその認知度という点では問題もあろうかと思いますけれども、そこは少しPRも積極的に行っていただきたいと思いますが、同様に、この適格消費者団体活動資金の部分についての問題点があるかというふうに思うんです。  さきに申し上げましたように、二〇〇六年当時の担当大臣である猪口担当大臣ですね、消費者適格消費者団体を支援する団体等からの会費収入を通じて円滑に確保されることが重要である、そのように答えられているんですが、しかし、今日参考人からもお伺いいたしましたが、消費者団体訴訟制度の認知度、これもまだいまいち、そして適格消費者団体活動資金が消費者やその支援団体による会費で潤沢に賄われているとは言い難いとかがありました。もちろん、今日の参考人の要望もございました。  そこで、現在活動しております適格消費者団体活動資金状況について、把握していらっしゃいましたら、お伺いをしたいと思います。
  63. 中川義雄

    ○副大臣中川義雄君) 非常に大切な御指摘だと考えております。  この制度がうまくいくかいかないかは、一つにこの活動資金をどうやって円滑に確保するかに懸かっていると思うんです。この法律に基づきますと、第十三条第三項第六号において「経理的基礎」という言葉が使われておりますが、これは分かりやすく言いますと、適格消費者団体差止め関係業務を安定的かつ継続的に行うに足る財政基盤だと、私はそう見ているわけであります。この財政基盤を現在どうなっているかということについて若干説明させていただきますと、適格消費者団体から提出された財務諸表による限り、適格消費者団体は会費、それから寄附金、その他消費者団体を支援する基金、これも非常に大きく活動を支援しているわけですが、それから、この基金からの補助金というものによって支えられていると思います。  しかし、このような会費や基金による収入が得られるためには、消費者団体訴訟制度をもっと周知徹底する必要があると考えております。適格消費者団体活動を広く紹介すること、これは内閣府の大きな使命だと考えておりますので、内閣府としては引き続きこのような周知徹底を十分やって資金の円滑な確保に全面的に協力したいと考えております。
  64. 相原久美子

    相原久美子君 活動資金の不足というものがなかなかこの団体訴訟法律をうまく使うことができないという要因にもなるかというふうに思うんです。  それで、ドイツ等では公的な資金援助ということもあるようでございますので、是非私は国ですとか地方公共団体が何らかの財政支援をすべきではないかというふうに考えているのですが、この点についてはどうでしょうか。
  65. 中川義雄

    ○副大臣中川義雄君) 前回の消費者契約法改正の後に、適格消費者団体に対する寄附等の支援がされるための環境整備に努めて、このために全都道府県において制度説明会を行い、さらにシンポジウムや適格消費者団体との意見交換を行う、こういったことをやってきておりますが、しかしまだまだこれを普及するためには環境整備を整えていかなければならないと考えております。  できる限り適格消費者団体事務処理の負担を軽減する、そのことにも努めていかなければなりません。そのためには、国民生活センター等の有する情報、そういったものをスムーズに提供するような、そのことをもっと進めてまいりたいと考えておりますし、それから今回の改正、いや、その前には申請書類の簡素化だとか、それからインターネットを利用しての周知の徹底、そして今回の改正では内閣府への手続の一本化、消費者団体の負担のためにはそれが有用になるのではないかと、こう思っています。  これに加えて、今お話のあった財政支援についてでありますが、消費者団体の必要な活動資金の状況をよく見極めて、制度の社会への定着の度合いをしっかり見た上でその点についても検討を加えていきたいと、こう考えております。
  66. 相原久美子

    相原久美子君 財政的な部分、それと適格消費者団体のこれからの数の増というような形についてもお答えをいただいたのではないかというふうに思います。  消費者契約法については最後の質問とさせていただきます。  今回の改正により景品表示法及び特定商取引法においても差止請求が可能となりました。その意味では活動の幅が広がるというふうに考えます。ただ、適格消費者団体においても現在の進捗状況、これは数の部分、財政的な部分、非常に困難であろうというふうに思いますので、認定について、先ほどちょっと事務処理的なところはお話しをいただきましたけれども、改めて消費者が本当に十分に活用できるようなそういう団体、そしてそういう制度であるべく内閣府としても努めていただければ有り難いなというふうに思います。  それでは、国民センター法の改正法案について次に質問をさせていただきます。  福田内閣の発足後に消費者重視の視点が強調されまして、今年、消費者行政一元化のため、消費者庁構想というものが出されております。新組織の在り方を検討するために、消費者行政推進会議が二月より議論を始めております。最近では、この秋の臨時国会に内閣府の設置改正法案を提出して、来年春には消費者庁を設置、そのような報道が随分と出されております。  そこで、お伺いをしたいと思います。  消費者行政を一元化すべくこのような方向で進められている中で、今回の国民生活センターのこの部分だけ改正案提出するということの意味合いはどこにあるのかなというふうに思います。この改正案を先行させる必要性についてお伺いできればと思います。
  67. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、委員御案内のとおり、近年、商品、役務等に関する消費者事業者の間の紛争、増加傾向にあります。また、内容も多様化、複雑化しております。そして、今これは消費者行政も事前監督から事後チェックへという大きな流れがあります。こういったことを考えますと、こうした紛争の発生が増えるという趨勢はこれからも続くんではないか、こんなふうに感じています。  こういった状況の中で、紛争解決手段として、やはり対等な当事者同士の争いを前提とする裁判上の解決手段だけでいいのか、あるいは国民生活センターも、こうした紛争に当たって様々なあっせんを行っているわけですけれど、こうしたあっせんにしましても法的な根拠がないということで、なかなか大変困難な場合も多いということを聞いております。こういった中でありますので、やはり新たに法改正を行って、国民生活センターにADR機能、新たな裁判紛争解決機能を早急に備えるということ、これは緊急の課題だというふうに認識をしております。  そういった認識の下に今この法律お願いしているわけですが、御質問の中で、今消費者行政全体を見直している中でこの法律提出する意味合いは何かということでございましたが、要は、今消費者行政の一元化、消費者行政の見直しを行っていますが、これは大きな目的としてこの消費者利益の擁護、増進だというふうに思っています。そして、今この紛争解決手段、新たな紛争解決手段を法改正の中でお願いしているのも、大きな目的としてこの消費者利益の擁護、増進だというふうに思っています。目的は同じでありますし、また、今回お願いしているADR機能は、紛争解決委員会という、今度、第三者委員会、独立した委員会にこうした機能をお願いしておりますので、全体のこの組織がどうなったとしてもこうした独立のADR機能というのは大変重要でありますし、やっぱり存続するものだというふうに思っています。  この緊急性とこうしたADR機能の特殊性、両方を考え合わせまして、こうした消費者行政全体の見直しと言わば並行する形で議論を進め、そして法改正の方を今先行してお願いしているということでございます。
  68. 相原久美子

    相原久美子君 まず、そもそも論から入らせていただかなきゃならないんですが、そもそも消費者紛争にかかわる和解、仲裁というようなものは国がやるべきなのか、それともちょっと国から距離を置いたところでするべきなのか、それとも完全な民間でするべきなのか。政府としては、どのような性格の団体がこういう消費者紛争を担うべきかということで考えていらっしゃるのかなと。  今お話ありましたように、今後の消費者行政の一元化の政策次第では、この紛争解決委員会が設置される機関、在り方自体も大きく変わってくることも考えられると思うんです。今若干ちょっと踏み込まれたかなというふうに思うのは、独立した機関であると、国民生活センターに置くにしてもというようなことはお話しになっていたわけですけれども、全体を含めてもう一度お答えをいただければと思います。
  69. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、御質問の最初の部分ですが、こうしたADR機能、裁判紛争解決機能をどういった団体が担うべきなのか、民間なのか行政なのかあるいは独法なのか、この主体についての御質問がありましたが、まずこの機能が民間が担うべきなのか公が担うべきかというこのことにつきましては、結論は両方が協力し合わなければいけないというふうに思っています。  民間の団体におきましてもこうしたADR機能はしっかりと担っていただくこと、これは期待されるところであります。ただ、民間の場合、こうした消費者紛争というのは概して少額の紛争が多いものですから、民間が担った場合、手数料等で活動を支えていくのが大変難しいという事情があるようであります。結果としまして、関係団体とか関係業界が様々な形で支援するという形で民間のADR機能を支えているというケースが多いようでございます。そうなりますと、特殊な分野におきましては大変強みを発揮する、特徴を発揮して大きな成果を上げるということになるのでありましょうが、ただ、業界にまたがるような課題についてどう対応するのか、あるいはアウトサイダーに対してどう対応するのか、なかなか難しい面もあるようであります。  ですから、公の機関におきましては、ADR機能を担う際にはやはり分野においてしっかりとバランス感覚を持つ、要は特定の分野に偏らない、こういったしっかりとした活動をしなければいけないというふうに思っていますし、公正中立性は当たり前でありますし、また、全国的にもあまねくバランスよくこうした活動が享受できるようなことを考えなければいけないんではないか、このように思っています。民間と公の役割分担はそういうことだというふうに思っていますので、ですから、公の方が逆に民間の機関に対してこうした強みや特徴があればこうした案件を紹介するというような連携も考えられるのではないか、こんな関係だと思っています。  そして、公の中で今回どうして国民生活センターにこの機能を担わせるかということでありますが、国民生活センター、御案内のとおり、消費者基本法の中でこうした苦情のあっせん等において中核機関として位置付けられています。様々な実績もあります。それなりの信頼性も確保しているものと思います。公の機関の中でどこが担うかということを考えますと、国が直接やるということになりますと、新たな機関をつくらなければいけない等々の行革との関係もありますので、まずは国民生活センターにこの役を担っていただく、公の中ではそういった形が一番適切ではないか、こういった判断の下に今回国民生活センターにADR機能をお願いしている、こういったことでございます。  そして、こうした一元化の議論の中でこのADR機能、国民生活センターのADR機能がどうなるかということにつきましては、こうした今申し上げたような中での国民生活センターのADR機能ですから、民間と協力していくという意味においてもこれからも大切だというふうに思いますし、行政の中においても独立した大変重要な存在だと認識しておりますので、全体が大きく変わったとしてもその役割、機能は変わらないと思っておりますので、全体の位置付けはこれから議論が進むわけですが、この機能はしっかりと大きな役割を担っていただきたいと思いまして、こういった形で法改正お願いしている、そういうことでございます。
  70. 相原久美子

    相原久美子君 国民生活センターにつきましては、消費者の、先ほどおっしゃっておりましたように、利益の擁護、促進を図るという後見的な機関として存在しています。相談件数につきましても、経由と直接相談と合わせましても年間一万件に近いと聞いております。衆議院での審議の中でも言われましたように、仲介委員、仲裁委員については中立公正な立場で職務を行うとされております。私も公正はいいと思うんですけれども、しかし、中立というスタンスは消費者の後見的な機関であるセンターの性格とはややそごがあるのではないかと。最初にセンター相談をする消費者も戸惑いを感じるのではないか、違和感を持つのではないかというふうに思うのですが、そこでお伺いをしたいというふうに思います。  紛争解決委員会の仲介委員、仲裁委員については、その委員会国民生活センターに置かれる機関として、消費者と当事者の情報力の格差、交渉力の格差からして消費者の立場に即したことを前提とする考え方、これについてはいかがでしょうか。
  71. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、国民生活センター、第三条におきまして国民生活の安定及び向上に寄与することを目的としておりますので、その中に設けられますこの紛争解決委員会もやはり消費者利益の擁護、増進を図ることを目的としているというふうに認識をしております。ですから、消費者事業者情報力ですとか交渉力の格差、こういったものを踏まえつつ、必要に応じて消費者のために積極的に後見的な役割を果たすということ、これが期待されているというふうに認識をしております。  一方、御指摘のとおり、第二十条第四項及び第三十条第五項におきまして「中立かつ公正な立場において、」というふうに記されております。これは、まず中立かつ公正な立場においてその委員会が運営されませんと、これ事業者も和解、仲裁に応じることは考えにくいということでありますので、この基本は大切にしなければいけないというふうに思っています。  ただ、それもやはり必要に応じて消費者のために積極的に、先ほど言いました交渉力等の格差を踏まえて後見的な役割を果たす、これが前提になっているというふうに考えております。こうした後見的な役割を前提とした上で、この法律の中にありますような中立かつ公正な立場において活動する、これが紛争解決委員会の立場だというふうに認識をしております。
  72. 相原久美子

    相原久美子君 ありがとうございます。  紛争解決委員会案件を迅速に処理し、消費者等に負担を掛けないためには、常勤を想定してない仲介委員、仲裁委員を助けて、事案の解決に向けての前段の業務にかかわる事務局が重要になるだろうというふうに思います。そこで、国民生活センターの見込みでは、委員会年間二百件ほどの紛争を取り扱い、委員への謝金も最低三千万円程度は必要であり、事務局規模も最低二十人程度は要するのではないかという発言が衆議院の審議の中でもなされております。  そこで、この件についてお伺いしたいと思うのですが、紛争解決委員会事務局の重要性について、衆議院の審議等でも指摘されております、現行の国民生活センターの百十七名の職員数からしますと、他部門の人員から体制をつくるのではなくて、センターの職員数そのものを増やすのでなければ、重要消費者紛争解決をも含めて国民生活センターとして国民の期待にはこたえられないのではないかというふうに思いますが、どのような体制を想定されているのでしょうか。
  73. 中川義雄

    ○副大臣中川義雄君) ただいま御指摘のように、国民生活センターがADR機関事務局としての役割をしっかりやっていくためにはそれなりの体制が必要だと思っているんです。ただ、委員も御承知のように、行政改革推進法では、独立行政法人については五%減員しろというような法律があるものですから、これとの間でどう調整するかという難しい問題もあると考えておりますが、しかし、総理も大変この問題については熱心に考えておりますので、内閣といたしましては、事務局体制の整備に当たっては国民生活審議会、それから消費者行政推進会議、そういった専門家の意見も十分聴きながら、そしてまたこの議会でいろいろと議論されるそういう御意見、そういったものを十分参酌しながら事務局体制はしっかりとしたものを構築しなければならないと、法で規制はされているがそこをどうやって切り抜けていくのか、これが我々にとって与えられた大きな課題だと思って、大きな責任を持ってやっていきたいと、こう考えております。
  74. 相原久美子

    相原久美子君 やはり、新たな役割ということになりますし、国民の安心、安全の担保ということになりますので、是非ともその辺は、国センに投げるだけではなくきちっと政府としても責任を持っていただければというふうに思います。  次に、独立行政法人のこの計画、先ほどもおっしゃっておりましたが、様々な今課題となっておりますところで、この国民生活センターにおいては、東京事務所について移転も含めその在り方について検討をするとされています。しかし、どの辺りから委員の方を選任されてくるのかちょっと分かりませんけれども、各委員の方ですとかそれから消費者の利便性を考慮しますと、東京事務所の移転というのは見直す必要があるのではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  75. 西達男

    政府参考人(西達男君) 国民生活センターにつきましては、本部が神奈川県の相模原にございまして、一方、東京の方には東京事務所がございます。それで、先生御指摘のとおり、この紛争解決国民生活センターが担うということになりますと、これは相模原の本部ではなくて東京事務所の方で機能を担うことになるんではないかというふうに思っております。  したがいまして、この整理合理化計画でもございますけれども、この東京事務所において実施する業務を精査しつつということでございますので、こうした新たに担う業務、こういったものも勘案して、移転を含めてのこの移転というのは、相模原に移転するだけではなくて東京の都内でまた更に適切な立地を求めて移転するということを含めての移転でございますけれども、その移転の在り方、東京事務所の在り方について更に検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  76. 相原久美子

    相原久美子君 消費者紛争につきまして、これ手数料なしで行うものとなっております。そうであれば、紛争解決に要する費用、これは国からの運営交付金で賄うしかないというふうに考えますけれども、国は先ほど言われたように独立行政法人への運営交付金についても削減を進めております。今回の事務所費というか事務局の体制だけの問題ではなくて、この重要消費者紛争にかかわって、恐らく出張等々ですとか様々な附帯のものが出てくるかというふうに思うのですが、そういう部分の予算というか増額部分についてはどう考えているんでしょうか。
  77. 中川義雄

    ○副大臣中川義雄君) 委員御指摘のような制約があることは十分承知しております。しかし、この国民生活センターの新たな使命としてのADR機能を十分に発揮していくためには、財政基盤もしっかりさせなければならないことも大切だと、こう思っております。  その中でどのようにやりくりするかはこれからの問題ではありますが、やはり国民生活センターの予算のうち、合理化できるといいますか軽減できるものは軽減しながら、この機能だけはしっかりさせなければならない、そんな考え方で今後とも進めていきたいと、こう考えております。
  78. 相原久美子

    相原久美子君 あくまでも国民の立場に立って、消費者の立場に立ってということでお願いをしたいというふうに思います。  重要消費者紛争については、内閣府令でその定義について三点ですか、ただされております。ここについてはちょっと省略させていただきますけれども、この一つにあります、被害が複数の都道府県にまたがるものというような記載があるのですが、相当多数の被害と複数の都道府県にまたがる被害ということになりますと、例えば私などは北海道の出身です。北海道、一都道府県という形で言われましても、あの全道で被害が拡大するとなると、これはまた大きな被害だろうというふうに私どもは思うのですが、被害の範囲が一都道府県にとどまっていても重要消費者紛争となるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  79. 西達男

    政府参考人(西達男君) 今御指摘の重要消費者紛争につきましては、内閣府令において詳しい定義を定める予定でございまして、これについては現在検討中でございますけれども、ただし、これまでの国民生活審議会等での意見も踏まえますと、複数都道府県において同種の被害が相当多数生じているような事件、あるいはその時点では一都道府県内に収まっておりましても、その後に同様の被害が相当広域、多数発生するような事件、こういったものを扱うことが適当であろうというふうに考えております。  ただし、具体的に何件の被害があればということについては、個々の被害の内容とか状況に応じて異なり得るというふうに思われますので、具体的な数字については定めることは困難であろうと思っておりますけれども、ただし原則的には、一都道府県内でしか発生していないような紛争については、消費者基本法での国と地方の役割分担ということにかんがみても、一義的には地方公共団体あるいは都道府県が紛争処理に当たるべきであろうというふうに考えておりまして、国民生活センターは、それによっては対処し難い事情のあるものについて、その処理に当たるのが基本というふうに考えております。  これは消費者の利便性という観点から見ても、身近な地方公共団体で担当していただくというのが適当かなと考えてございますけれども、ただし、先ほども述べましたとおり、ある時点では一都道府県内に収まっていても、その後に同様の被害が相当多数に及ぶ、あるいは広範囲に及ぶというものについては国民生活センター委員会で扱うことが適当であるというふうに考えておりまして、そのような場合にはこの重要消費者紛争に当たるという方向で内閣府令を定めていきたいというふうに考えております。
  80. 相原久美子

    相原久美子君 多分これからまた定められるというふうに思いますが、こういうときだけ分権分権と言わないでいただきたいんですよ、実は。やはり消費者の被害の拡大防止ということが一番の観点でこの委員会ができるわけです。それと、今、地方の紛争処理委員会というふうに条例等々で定められているところの実態も多分御存じだろうと思います。ですから、是非本当に積極的な形でこの被害防止に努めるのだという観点から検討をいただきたいというふうに思います。  次に、紛争解決委員会が行う仲介、それから仲裁手続について、手続終了時に必要と認めるときは結果の概要を公表できるとしております。すべての事案の公表をすることにはなっておりません。紛争解決委員会の透明性の確保のためには、事案についての年次報告、これを行い、提起された紛争内容、処理経過等について概括的に把握できるようにするとともに、事例集を作成するなど、消費者被害未然防止委員会運営の透明性を担保するために情報開示の措置が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
  81. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 紛争解決委員会で取り扱います紛争解決につきましては、同種のそして多数の紛争がこの背後には存在するものと考えています。ですから、一つ紛争解決するということは、同種の多くの紛争解決にもつながるでしょうし、未然発生防止にもつながるというふうに考えます。ですから、この法案におきましては紛争解決手続による結果の概要を公表できるように措置しているということであります。これ、結果の概要の公表制度解決基準の安定が図られる、あるいは予測可能性が高まる、あるいはこの委員会の透明性が高まる等々、これは大きな意味があるというふうに思っています。是非、この結果の公表につきましては積極的に進めていかなければいけない、そのように思っています。  今の質問の中で、年次報告とか事例集はできないかという御指摘でありました。取りあえず、今そういった予定は存在いたしませんが、何か工夫ができないか、御指摘もいただきましたので検討したいと思います。
  82. 相原久美子

    相原久美子君 前向きな検討をよろしくお願いいたします。  国民生活センターは私も先日お邪魔をいたしまして、中を見させていただきました。御説明も伺いました。センターの最前線で電話相談をしている相談員は十四人、しかもその身分は全員非常勤職員。恐らく国の非常勤職員と勤務時間を同じくしているということだろうと思いますので、通常、常時十四人が受けているという状況ではありません。また、雇用更新をしているとはいいながら一年雇用の不安定さがある。消費者問題が高度化し、悪質化し、適用法律改正も掌握しなければならない、このような本当に専門性の高い相談員でございます。  先ほど、国民生活センターの方からもお伺いをいたしました。そもそもの、できた当初は相談員業務はこれほどの専門性も必要なく、そして周りの状況も違ってきたと。今はやはり高度な専門性、スキルのアップということが必要だということが言われております。ところが、新聞報道等々にも大きく指摘をされておりますけれども、こういうセンターにいる最前線の相談員の方、この方はなかなか地方公共団体のように権限の付与がないということで、あっせんとか何かの行為に移ろうと思っても事業主等々がなかなかそれに応じてくれないというような悩みもあるようでございます。  そういう点で、処遇についても一つ、それからこういう権限の問題についても一つなんですが、この辺についてお伺いできればというふうに思います。
  83. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 消費生活に関します相談、ますます内容が複雑になり、また多様化しております。  御指摘のように、苦情相談件数も大変高水準が続いているという中でありますので、相談員に求められる専門性もますます高まっているということでございます。相談員の役割、ますます重要になってきているというふうに認識をしておりますが、一方で、御指摘のように、予算の制約ですとか厳しい定員事情から非常勤職員という形態を取らざるを得ない等々、この処遇につきましては大変厳しいものがあるということ、認識をしております。  まず、内閣府としましては、こうした状況をしっかりと認識した上で、相談員の皆さん方の働きやすい環境整備に努めなければいけないというふうに思っていますが、その際に、やはり予算要求等でしっかりと努力することによって環境整備に努める、こういったことを考えていかなければいけないんではないか、そのように思っています。  そして、権限ということにつきましては、御指摘のように、従来、苦情処理におけるあっせん対応ですが、法的な根拠がない等々、相談員の皆様方、いろいろと苦労をされておられる、困難に直面しているということがございます。ですから、今回もADR機能をしっかり法律の中に明記する形で新たな権限を国民生活センターに付与して、しっかりとこうした紛争処理に当たっても役割を果たしていただきたい、こういったことを考えたわけでありますし、また、それ以外の権限につきましても国民生活審議会等々で様々な議論が行われています。こうした議論も参考にしながら今後また検討を続けていきたい、そのように思っています。
  84. 相原久美子

    相原久美子君 できればADR機能を使わなくても済むくらいの段階で迅速な解決が望ましいわけですので、検討をよろしくお願いいたします。  次に、全国消費生活センターについてお伺いをしたいというふうに思います。  国民生活動向調査によりますと、相談窓口に申出のない相談、相当数の消費者被害が存在するのではないかというふうに指摘されております。そして、一方では、内閣消費者調整課の調査で、この十年における地方公共団体消費者行政関係予算そして担当職員数は大きく削減されてきております。このような状況は結果として相談員の不足ですとか電話回線の不足、そして窓口の開設時間、開設日の縮小につながってきていて、先ほど申したように、結果として、相談をしたくても相談ができないという実態が出てくるのではないかというふうに思います。  このような地方公共団体の現状、これは総理の言われる消費者重視の行政から大きく乖離しているのではないかというふうに思いますが、御見解を伺いたいと思います。
  85. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) まず、地方の消費者行政につきましては、地方公共団体が処理する自治事務でありますが、おっしゃるように、予算、人員等も減少傾向が続いているというふうに認識をしております。一方で、地方の消費者行政の窓口は、やはり国民との接点という意味で、消費者行政にとりまして大変重要な位置付けにあるというふうに認識をしております。ですから、今、消費者行政の一元化あるいは見直しの議論が行われているわけですが、その議論の中でも、消費者行政を見直す際に、国だけが変わってもなかなか成果につながらない、国の行政組織の見直しとセットで地方の消費者行政組織も見直していかなければいけない、国と地方が連携してこの改革を進めることが大切だ、こういった議論が行われているところであります。  是非、消費者行政の中で、地方の消費者行政の在り方、消費生活センターを始めとするこうした窓口の在り方についてもしっかりと検討を行って充実に努めていかなければいけない、そのように思っています。その際に、国もこうした地方の消費者行政窓口の重要性にかんがみて、何ができるのか、地方自治体も何ができるのか、さらには、こうした財政厳しい中でありますので、例えば、こうした地方の消費生活センター相談員の皆様方を支えるために、NPOですとか公益法人ですとか、こういった仕掛けも活用することができないだろうか、こんな議論が今行われているところであります。  国、地方自治体、そしてそれ以外の民間のセクターも含めて、こうした地方の消費者行政の体制、窓口をしっかり支えていかなければいけない、このように考えておりまして、今こういった議論の行方を見守っているところでございます。
  86. 相原久美子

    相原久美子君 まさにそういう状況が次のちょっと質問につながっていくわけですけれども、相当数の今報道がなされております。いかに消費者行政国民の期待が集まっているか、そしてメディアも注目しているかということだろうと思うのですが、二〇〇八年二月の全国消費者相談員協会調査、これでは相談員の約七割が一年雇用契約、そして五六%が年収二百万円未満である、このような結果が出ております。最近の新聞にも、官製ワーキングプアの代表であると、このように報道されている。経験とスキルが要求される職において、雇用の不安と生活不安を抱える人たちに頼る消費者行政であってよいのかというふうに思います。  消費者被害の拡大を未然に防いでいく相談員の人員の充実と処遇も含めた改善、これが消費者の声をいち早く吸い上げる、そして未然防止につながっていくのではないかというふうに思います。引き続きますが、見解をお伺いしたいというふうに思います。
  87. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 今も申し上げましたように、地方の相談員の皆さん方の役割、ますます重要度が増しているというふうに認識をしております。  こうした相談員の皆さんの待遇につきましても、国として様々な支援をしなければいけない。従来はこの経由相談国民生活センター対応するとか、あるいは研修を行うとか、情報提供を行うとか、様々な形での環境整備を行ってきたわけですが、更に一層の支援を考えるべきではないか、こういった議論が国民生活審議会あるいは消費者行政推進会議、こういった中でも行われておりまして、まずは消費生活センター、この地方の窓口を法律的に位置付けることができないかどうか、こんな議論もありますし、その上でどんな支援ができるんだろうか、こんな議論が行われているところでございます。  そして、その中身としまして、先ほど申し上げました国からの支援、地方交付税の話とか地方交付金の話ですとか、こんな在り方について見直すことができないか、こんな議論もありますし、そもそもこれは自治事務でありますので、地方公共団体にまず消費者行政に対する認識をしっかり持ってもらってしっかり支援をしてもらわなければいけないんではないか。そして、財政厳しい中でありますので、民間セクターにおいても、こうした相談員の皆さん方、特に人件費の部分はいろいろな制約があるものですから、そういった部分について何か支える仕掛けをつくることができないだろうか、こんな議論が今行われておりまして、是非その辺でしっかりとした結果を出したい、そのように思っております。
  88. 相原久美子

    相原久美子君 国民生活センター情報の部分でちょっとお伺いをしたいと思います。  機能の一つとしましてPIO―NETによる情報提供がありますが、この情報を地方が十分に活用するためには各地消費生活センターとつながっていなければならないだろうというふうに思いますが、現在つながっているのはどの程度か、そして今後の計画についてお伺いしたいと思います。
  89. 西達男

    政府参考人(西達男君) 国民生活センター各地消費生活センターをオンラインで結んでおりますPIO―NETの端末でございますが、この設置基準として、週四日以上相談窓口を開設している消費生活センターあるいは相談窓口に設置するという基準で運用しておりまして、平成二十年三月末、今年の三月末現在で四百八十五か所、これは設置率は約九〇%に当たりますけれども、に設置をしておるところでございます。  今後のPIO―NETの端末の設置につきましては、先ほど大臣からもお話がありましたように、現在、消費者行政推進会議において、地方の消費者行政の充実強化あるいは消費生活センターの充実強化、こういったことが議論されております。こういった検討を更に踏まえて、普及のためにも対応してまいりたいというふうに考えております。
  90. 相原久美子

    相原久美子君 週四日以上ということになりますと、逆に言えば週四日開いていないところがまたあるということだろうというふうに思いますが、消費者はそれぞれ地方にたくさんおります。そして、まさに情報がどんどんどんどん逆の意味で入ってきているわけです。被害がそれだけ進むということになりますので、それに対応するためのまた情報も本当に必要だろうと。地域は特に何日かしか開いていなくても、その情報があることによってということが明らかでございますので、是非とも早急に設置できるような形で検討いただければなというふうに思います。  最後になりますけれども、これは本当に蛇足的な質問で申し訳ないのですが、今回の改正案では、センター業務として第四十条に、訴訟の準備又は追行の用に供するための資料提供について新たに規定されました。これにかかわり、第四十八条では消費者の罰則規定が設けられております。  多分に私も使用外目的というのはこういうことだろうなとは何となくは分かるのですが、消費者がこの法案を周知するためにもこの罰則にかかわる目的外使用とはどのようなことを想定しているのか、お聞かせいただければと思います。
  91. 西達男

    政府参考人(西達男君) 先生御指摘のとおり、本法案の第四十条第一項で、和解の仲介の申請をした消費者がその手続によって解決されなかった場合であって、また、目的となった請求について裁判所に訴えを提起するときは国民生活センターからその必要な資料の提供を受けることができるというふうにされておりまして、ただし、その資料の提供を受けた消費者は、その訴訟の準備又は追行の用に供する目的以外の目的に使用してはならず、それに違反した場合は三十万円以下の過料に処せられるとなっております。  この目的外利用ということでございますけれども、具体的には、国民生活センターから提供された資料を消費者がその相手方事業者に対する嫌がらせとかあるいは信用を失わせるということを目的としてインターネット上のサイトやブログに掲載するとか、あるいは相手方である事業者の競争相手、競争事業者に売却するとか、そういった場合を想定しておるところでございます。
  92. 相原久美子

    相原久美子君 ありがとうございます。  時間が若干残りましたけれども、質問については終わりたいと思います。  最後でございますが、二大臣いらっしゃっております。今回の改正案について私どもは反対するものではございません。ただ、しっかりとやはり消費者の立場に立った行政をしていくというところで、この運営をしていくためにもまだまだ課題が残されているというふうに思います。是非とも、政府としてしっかりとした支援、対策を行っていただければというふうに思います。  終わります。
  93. 有村治子

    ○有村治子君 自由民主党の有村治子でございます。  福田内閣一つの大きな目玉であり、また日本の現在の状況からしても大変大きな潮流であります消費者行政の一大改革に向けて、岸田大臣中川大臣始めリーダーシップを強く発揮されながら新しい動きが今できようとしていること、そのことに敬意を表しながら質問をさせていただきたいと存じます。  まず最初に、消費者行政総論についてお伺いをさせていただきます。  今まで各省庁縦割りになってきた消費者行政を統一して、一元的に推進するために強い権限を持つ新しい組織の在り方が検討されています。その組織消費者の的確な保護を優先する機能を持たせて、また消費者を主役とする政府のかじ取り役を担わせるということを目指して、現在消費者行政推進会議が開催をなされていると理解しております。  現在、新組織の在り方について鋭意御検討いただいていると存じますけれども、この議論の方向性として新しい組織がどのようなものになる見込みなのか、その大きさやあるいはどういった専門性を持たれることになるのか、予算規模などについても現時点で分かる範囲で御説明を願いたいと存じます。
  94. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、この消費者行政を一元的に推進するための新しい組織の在り方につきまして、消費者行政推進会議で議論を行っているわけですが、昨日まで六回の議論を積み重ねてまいりました。  これから五月末までに取りまとめを行うということで今議論を行っている最中ではありますが、現在のところ、様々な議論の中で、大きな方向性として申し上げるならば、まずは国民から見て分かりやすい行政組織をつくらなければいけないということで、国民から寄せられた苦情、相談、こうした情報を一元化するような仕組みをつくらなければいけないんではないか。そして、集約された情報をやっぱり受ける新しい組織が必要ではないか。そして、新しい組織において情報分析対応する。そして対応する際には強い権限が必要ではないか。監督権、総合調整権ももちろんでありますが、法執行権も備えるべきではないか。こんな議論が行われています。要は、この消費者行政の司令塔的新しい組織をつくるべきではないか、こんな議論が行われています。  そして、昨日の会議で、総理からこうした議論につきまして方向性が示されました。組織の形につきましては、今申し上げましたような方向性だというふうに思いますが、総理から、その中で、地方の消費者行政の重要性ですとか、さらには組織の肥大化を招いてはならないというようなこと、さらには、消費者行政の活性化も重要であるけれど産業の活性化という面も大切だと、これが両方とも活性化するような仕掛けをつくらなければいけない。こうした総理の発言もございました。  こうした発言も踏まえまして、今五月の議論の取りまとめに向けて議論が続けられているという現状でございます。
  95. 有村治子

    ○有村治子君 的確な御答弁、ありがとうございます。  今御紹介をいただきました総理の御発言にもありました、やはり私たち国民は、消費者であり、かつ生産的な活動をしている、そういう生産者の立場でもありますので、ともすると、生産者が何かこちら側にいて、消費者がこちら側にいるような、そんな感覚を持つことも少なくないんですが、やはり生産者がしっかりとした倫理とか、それを、倫理観に基づく高い専門性を発揮して商品を世に出して、そしてそれを見識ある消費者が求め、たたえていくというような相互作用がなされることがすごく大事だと思いますので、その両方の視点の啓発を引き続き御指導賜りたいと存じます。  これはちょっと質問通告をしていないんですが、私の七年間の議会の中で初めて、ちょっと恐縮ですが、質問通告していないので後ほどお答えいただければ大変有り難いと存じますが。  私も一昨年まで文部科学大臣政務官を仰せ付かっておりました。そのときに痛感をしたんですけれども、例えば、これから私が取り上げます外国語学校NOVAとか、あるいは進学塾、大手予備校とか、いわゆる文化教室、カルチャーセンターとかというその所管というのは、文化庁とか文部科学省ではなくて経済産業省なんですね。それで、例えば英語の英検の指導なんかをする、あるいは留学の指導なんかをするというのも、文部科学省とは一切御縁がなくて経済産業省ということにちょっと私は違和感を感じます。  そして、その説明は、そういう塾産業とか語学学校の産業の育成だから経済産業省だという御説明なんですが、これはやっぱり学習指導要領に準拠していただく、あるいは文化を推進する文化庁がその検証をしていくという意味でも、それぞれ連携をしていただいた方が国民のためにはなるんじゃないかなというふうに思っております。  この辺の連携の是非についても、後ほどコメントをいただければ大変に有り難いと思います。経済産業省さんからコメントをいただければ有り難いと存じます。今答えられますか、それとも後にいたしましょうか。──じゃ、よろしくお願いします。
  96. 橘高公久

    政府参考人(橘高公久君) 私、直接には消費者政策を担当させていただくということで、大変先生に恐縮でございますが、いわゆる当該担当部局としてきちんとお答えするという立場にないことをあらかじめ一言お断り申させていただきますが、ただ、先ほどお触れになりましたような英語学校問題なども含めまして、多少の経験を踏まえて申し上げますと、基本的には、おっしゃられましたような、様々な教育関連の民間事業が行っておるような分野につきまして、まずもって大事なことは、教育を預かっておられる立場の文部科学省という立場と、それから私ども、広い意味でサービス業、こういう分野も含めましたサービス業を担当させていただく、そして、それは内容的にも営業的にも健全な意味で営業してもらうという産業所管の立場と、それぞれございますので、分担しつつも、何か問題がある、あるいは業界としていろいろ検討し取組をしていただかないといけないときには、やはりそれぞれ、同じ分野につきまして両省に関係する組織でございますとか、あるいは窓口間の連携というものを図っておりますものですから、先ほどおっしゃられました中で、何か機械的にこういうものは経産省が専ら担当するとか、この部分は専ら文科省にお願いをするというような意味での、何といいましょうか、縦割り的な運用にならないように実態上も心掛けているというふうに理解をしております。
  97. 有村治子

    ○有村治子君 質問通告がなされた質問ではなかったにもかかわらず、実に的確なコメントをちょうだいして大変有り難いと存じます。  私が政務官のときに初めて、文部科学省といわゆる学習塾との顔合わせを、私政務官として、文部科学省の代表としてさせていただきました。そのときに実感をしたことは、初めての顔合わせだったんですが、やはり子供たちと日々向き合っていらっしゃる進学校あるいは学習塾、補習校の先生方ですから、今の子供たちが十年前、二十年前の子供たちと比べて何が違うのかということを実に的確に、いわゆる放課後の後から次の日の朝に至るまでの子供たちの動向というのはこの方々にノウハウがあるんだなということをすごく痛感をいたしました。  そういう意味では、今でも文部科学省にそのときからの交流の窓口というのは残っているというふうに聞いておりますけれども、引き続きこの部分は経済産業省さんから文部科学省あるいは文化庁に適宜御紹介を賜りたいとお願いを申し上げて、次の質問に入らせていただきたいと存じます。  それでは、語学学校NOVAをめぐるトラブルの経緯を踏まえながら幾つか質問をさせていただきます。  御承知のとおり、大変な、そのCMの言葉などが国民的な、一時的とはいえ、認知度を上げたNOVAでございますけれども、このNOVAに関する相談というのは長年各地消費生活センターに寄せられ続けてきました。平成九年度には既に五百五十二件ほどあった苦情は、十年後の平成十九年度には九千四百三十二件にも及んでいたと伺っております。この十年の間に、苦情の数は何と約十七倍にも膨れ上がっています。  平成十九年の六月、NOVAは、書面記載の不備、誇大広告、それから不実告知、役務提供契約の解除によって生ずる債務の履行拒否などの特定取引の違法行為認定され、行政処分を受けています。しかし、その後も解約関連のトラブルは止まらず、同年十月には元受講生十数人が集団訴訟に踏み切りましたが、NOVA社は同月下旬に会社更生法適用を申請するに至りました。  平成十九年八月、国民生活センターは、NOVAに関する緊急アンケート調査全国消費生活センターなどに対し実施しています。この調査によっては、NOVAに関する相談のうち、あっせん解決できたと答えられた方はそのアンケート調査に答えたうちの三・四%にしかすぎませんでした。たった三・四%です。あっせん解決が困難になった主な原因として、その二番目に挙げられている理由はNOVA社自社の契約システムについては経済産業省の了承済みであるとNOVA社が主張してきたからというものが挙げられています。  経済産業省がNOVAの解約条項について合理性が認められないとは言えない、つまり一定の合理性はある旨の通知文を平成十四年七月一日に各自治体の消費生活行政担当に向けて出されており、結果的には行政のお墨付きを盾にしてNOVAが適正な解約交渉に応じようとしなかった様子が浮かび上がってきます。経済産業省はなぜこのような通知書を出されるに至ったのか、その経緯を御説明願いたいと存じます。
  98. 橘高公久

    政府参考人(橘高公久君) お答え申し上げます。  平成十四年当時、調べてみますと、経済産業省、当時NOVAから幾つかの相談を受けたわけでございます。その中で、背景としまして契約の中途解約時における清算金の計算方式について消費者の方からも随分相談があるということでNOVA社から相談があったわけでございます。  当時、経済産業省といたしましては、まずもってNOVAがどのような仕組みでどのような説明をしてこの契約をし、また清算金を支払っているのかというようなところにつきましてまずきちんと実態を聞かなければいけないということで説明を聴取いたしました。それを踏まえまして、基本的な考え方といたしましては清算においてどのような単価で計算をするかということにつきましては、あくまで実際に説明をし、それに基づいて取引をされているということが計算の根拠として大事であって、実際に用いられていないような割高なポイント単価というようなものを恣意的に用いて清算を行うというようなことは合理性がないというふうにまずもって指導をしたわけでございます。  ただ、その際、あわせて数量割引といいましょうか、あるいはある程度まとまって買った場合には少し割引をするというようなそういう数量割引の考え方というもの自体については一般的な商慣行からしますと場合によっては合理性があるんではないだろうかという判断を当時いたしまして、実際に消費者との取引においてNOVA社の場合においても用いている単価であれば清算に当たりまして契約時とは異なる単価を用いると、契約時にはそのディスカウント単価で、清算時にはディスカウント単価とは違う単価を用いるというようなことも場合によっては合理性があると認められる場合もあるのではないかということを併せて意見交換をしたということでございます。  御指摘の通知文でございますが、以上のようなNOVAから聴取した現状、それから経産省から指導をいたしました指導内容、そして求めに応じまして示しました解釈、こういうものを一連の一つの文書にいたしまして本省から各経済産業局に通知をしたと、このようなやり取りであるので周知をするということで通知をいたしたものでございます。  当時の記録によりますと、本省から経産局にあてて出しましたのは平成十四年の六月十日ということになっておりますが、さらにその後、各関係方面に一定の時間の中で通知がなされたものと考えております。
  99. 有村治子

    ○有村治子君 非常に分かりやすく御説明をいただきました。今るる御説明をいただきました判断、またその判断に基づく経済産業省の行為というのは正しかったと認識されているでしょうか。いかがでしょうか。
  100. 橘高公久

    政府参考人(橘高公久君) 今お答え申し上げましたように、当時といたしましてはやはり事実関係の聴取を踏まえまして、担当部局としましては真摯に厳正に検討をして判断をしたものと認識をいたしております。  しかしながら、これは委員もその後の経緯を恐らくよく詳しく御承知であろうかと存じますが、平成十九年に至りまして同様の解約の際のポイントをめぐります最高裁の判決が出されましたことを受けまして、これはやはり最高裁の判決ということで我が国の制度に基づきまして、これを尊重する必要がございますので、私どもの解釈通達もその点につきましては解釈通達を変更をした次第でございます。
  101. 有村治子

    ○有村治子君 NOVAに関しての相談は十年以上にわたっております。また、相談件数が千件を超えた、つまり最後の二年で大変急増しているようですね。平成十七年以降急増していたにもかかわらず、経済産業省により行政処分の対象となったのが平成十九年、最後の年だったことをかんがみますと、経済産業省の対応は遅過ぎたのではないかという指摘もあります。  消費者被害の拡大に心ならずも手を掛けたという批判も残念ながら免れないのではないかと思われますけれども、なぜ経済産業省の対応がこのように遅れてしまったのか、その御説明を願いたいと存じます。
  102. 橘高公久

    政府参考人(橘高公久君) 今委員からお示しありましたように、経済産業省としての本件に対する処分のタイミング等々につきまして、いろいろな御批判を含めた御意見があることは十分承知をいたしております。  これも少し当時の経緯を確認をいたしてみますと、NOVA社におきましては、特に今お話にもございましたように、平成十七年度以降、まず営業として店舗数が急拡大をしたと。店舗数が全国的に五割近く一年の間に増えるというような状況の中で、当然講師の必要数が増えるわけでございますが、なかなかにわかに店舗数の増加に対応して一定の質の高い講師を確保することに非常な困難が生じたというふうに認識をしております。  その結果といたしまして、苦情件数が十八年度に入ってかなり増えたわけでございますが、特にその内容につきまして、元々はいつでもアポイントが、予約が取れるということが一つの利便性の売りだったわけでございますが、その肝心かなめの予約が、いつでも取れるどころか、なかなかいつになったら取れるのか分からないというような、大変予約をめぐるトラブルが増えてまいりました。これは言わば契約を最初結ばれるときの前提になる話でございますので、私どもといたしましては、大変こういう苦情が増えたということを認知をいたしました時点から、非常に緊張感を持って分析を始めたわけでございます。  ただ、当時、国民生活センターのPIO―NETというのは当時から重要な情報収集システムでございましたが、現在と違いまして、当時は直接私どもが日々端末を拝見することができない状況であったこともありまして、十八年の初夏に至りまして、かなり苦情がそういう意味で質的な変化をしているというふうに私どもとしては認識をした次第でございます。  これを踏まえまして、実際の苦情をおっしゃっておられる消費者方々からの最新の証言を鋭意収集しますとともに、東京都との合同調査チームを十八年の秋に設置をいたしまして鋭意調査を進めました結果、平成十九年二月に準備が整いましたので立入りの検査をさせていただきました。この結果、先ほど触れましたように、特に虚偽の説明、なかんずく予約をめぐる虚偽の説明を含め、こういうものを始めとしまして、幾つかのやはり看過できない特商法に関する違反行為が見受けられましたものですから、これを違反事実として認定をし、六月に処分をした次第でございます。  そのタイミング等につきましては、当時、既に一方では相当数の受講生がおられる、これもある意味で利用者、消費者の方でございます、他方で多数の苦情をおっしゃっておられる消費者がおられるという中で、我々としまして、相当緊張感を持った中で厳正かつできるだけ早く判断を下さねばならないということで、他の法令における検討も並行してなされておったとは思いますが、結果的には、経済産業省が行政といたしまして先駆けて特商法に基づく処分を行ったということでございまして、いろいろ御批判、御意見はあることは承知はいたしておりますが、私ども、そういう総合的な観点から、できるだけ丁寧かつ迅速な対応を心掛けたというふうに考えております。
  103. 有村治子

    ○有村治子君 当時の構図について分かりやすく御説明いただいたと思っております。  NOVA社に関しましては、本当に急激に店舗を拡大して、本当に学校という名がふさわしいのかどうかということを私自身も思っていました。その後、社長がかなり恣意的に、会社を自らの経済的な利益とそして欲望のために恣意的に運営をしていたということが後ほど明らかになるのですが、やはりある意味で経済産業省も翻弄されたというのが偽らざる実感ではないだろうかというふうに思っております。経済産業省がNOVAの言い分を受け入れた背景には、心ならずも結果的に受け入れたという結果論でございますが、その背景には、消費者の視点が十分ではなく、産業を育成するという省庁の限界を露呈したのではないかという見方も、そういう解釈もなされようかと思います。  そこで、岸田大臣にお伺いをさせていただきます。今後の消費者行政を考える上で、今NOVAをケーススタディーにしていろいろお話しをいただきましたけれども、この件における経済産業省の対応について岸田大臣はどのように認識をされるでしょうか。
  104. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、これまでの消費者行政につきましては、体制とか対応に問題があるのではないかと指摘される事案が数多く起こっております。  その背景には、やはりこの日本の行政組織、生産者あるいはサービスの供給者の立場を基点につくられてきたということがあるのではないか、その結果として消費者から見て分かりにくい行政のありようになっているんではないかということがあるんではないかというふうに思っています。もちろん、今経済産業省からありましたように、経済産業省においても消費者行政の重要性はしっかり認識をし、その時点において最大限努力をしたものだというふうに思っております。  ただ、こうした対応につきましても、先ほど委員の方から、英会話教室、進学塾あるいはカルチャースクールというものが経済産業省の所管であるということにつきまして御指摘がございましたが、どうも国民から見てやはり分かりにくい部分があったんではないかということは感じております。そして、こうした省庁縦割りによる国民から見て分かりにくい行政の在り方というのはこれからもどんどんと増えていくんではないかな、そんなふうに思っています。  今のNOVAの件もそうですが、例えばコンニャクゼリーによって十数名の方々がもう亡くなられている。ところが、この事案につきましても、これは食品の成分の問題ではなくして形状の問題ではないかということから食品衛生法の対象にならないということから、こうした対応に時間が掛かったということが指摘をされています。  また、おもちゃにつきましても、幼児のおもちゃにつきましては食品衛生法の対象になるということでございます。これは口に入れるからということなのでありましょうが、この辺の法律の所管等も国民にとって分かりにくいというふうに思いますし、また最近は更にいろんな新しい製品ができてくることから、例えば殺虫剤につきましても、従来、殺虫成分がある殺虫剤は厚生労働省の所管なのでありましょうが、最近は新しい殺虫剤で凍らせて虫を殺すものがありますが、あれは殺虫成分が入っていないということから厚生労働省の所轄にならないということで、聞いておりますところによりますと、これは経済産業省の所管になったというようなことを聞いておりますが、等々国民感覚から見てなかなか難しい事案がこれからもどんどん増えるんではないかと、こんなことを感じています。  こうした時代の変化を感じるにつきましても、消費者行政の一元化を進めて国民から見て分かりやすい消費者行政の在り方を考えていかなければいけない、これは時代の要請だというふうに感じています。
  105. 有村治子

    ○有村治子君 殺虫剤についての御説明や幼児のおもちゃなど、キッチンを預かり、子供の安全を預かる主婦としても大変有益な情報を教えていただいて、大変有り難いと存じます。  今までの経済産業省さんのコメント、また現在の岸田大臣のお言葉を伺っていても、やはりポイントの一つ、かぎの一つになるのは、情報格差をどう埋めるかということだと思っております。経済産業省さんのコメントにもありました、当時、PIO―NETがあって、どのような事象が消費者の、国民の間に起こっているのかが随時リアルタイムで見ることができたら、もう少し違う判断が的確になされたかもしれません。そういう意味では、今どういうことが起こっているのか、その情報がより透明に、より多くの人に、よりフェアに公開されれば、それぞれ私たち消費者も対等に渡り合っていけるだけの交渉力を持ち得るということを考えると、やはり分かりやすい情報開示にも引き続き御検討いただきたいと存じます。  では、公正取引委員会の方にお伺いをさせていただきます。  NOVAに関しては、入学金無料としながら解約時には入学金の一部を差し引いた上で返金を少なくしているということが景品表示法違反の疑いがあるとして、公正取引委員会平成十八年に調査をされています。しかし、契約時に説明をしているというNOVA側の言い分に処分を見送ったという経緯があると伺っています。被害が急増しつつあった時期において、公正取引委員会は、なぜNOVA事業者側の主張を受け入れて処分を見送られたのか、その説明をいただきたいと存じます。
  106. 鵜瀞恵子

    政府参考人鵜瀞恵子君) 恐縮でございますが、個別の事案につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。  一般論として申し上げれば、入学金などの取引条件につきまして、実際のものよりも著しく有利であると誤認されるような表示を行った場合には不当表示として景品表示法上問題のあるところでございまして、公正取引委員会としましては、景品表示法に違反する行為が認められた場合には厳正に対処しているところでございます。
  107. 有村治子

    ○有村治子君 個別の案件についてはコメントを差し控えると今おっしゃっていただきましたけれども、私が関心があるのは、この教訓から私たちが何を学べばいいのか、どういうパターンを理解した上でこのようなことを二度と起こさせないようにするのかということでございます。そういう意味では、私は、やはり説明をしていただきたい。どういうパターンがあったのか、なぜここで処分を見送ったのかというところの公正取引委員会のその根拠が明らかにされなければ私たち国民がこの教訓から学ぶことはできないと思いますが、いかがでしょうか。
  108. 鵜瀞恵子

    政府参考人鵜瀞恵子君) 恐縮でございますが、個別の事案について、処分を取らなかった事案についての御説明は差し控えさせていただきたいと思います。  また、入学金の無料とか学費の表示につきましては、ほかの各種学校あるいは学習塾につきまして問題の見られた事案に法的措置を講じた事例がございます。
  109. 有村治子

    ○有村治子君 再度お伺いをしたにもかかわらず、公正取引委員会としては、正式な見解、その論拠をお示しいただけなかったというのは、私たち、この教訓から学んでいかなきゃいけない国政調査の一環としては大変残念なことだなという思いを表明をさせていただきます。なぜなれば、やはり入学金を無料ということで打ち出しておかれながらその契約を解約したときには入学金の一部を引かれているというのは大変アンフェアだと思っています。アンフェアなことを是正していただくのが、国民のその是正をしていただく前線に立っていただくのが公正取引委員会だという認識、公正取引委員会を信じたいと思っております。そういう意味では、チャンスボールでもある質問だと思っております。いかがでしょうか。
  110. 鵜瀞恵子

    政府参考人鵜瀞恵子君) チャンスボールをいただいて大変有り難いと思いますけれども、私どもとしましては、違反を認定しましたときには法的措置その他の指導を行っているところでございます。
  111. 有村治子

    ○有村治子君 私もくどくなる意図は全然ないんです。もうこれはつまずくような質問じゃ全然ないはずなんですが。  公正取引委員会調査に入っていらっしゃるんですね、それも景品表示法違反の疑いということで調査入っていらっしゃるんです。それで、調査したにもかかわらずこれは白だと、入学金無料と言いながら入学金を差し引いて契約を解除しているというのは白だと思われた根拠というのはどういう正当性がおありになるのか。個別の事例に入らなくても、そういうことは間々あるんだと思います。そういう意味で、公正取引委員会の正当性を述べていただきたいということを申し上げているつもりでございます。
  112. 鵜瀞恵子

    政府参考人鵜瀞恵子君) 一般論として申し上げれば、表示と実態の乖離がなければ問題にならないということでございます。
  113. 有村治子

    ○有村治子君 済みません、表示と実態の乖離がなければ問題はない。そうすると、入学金無料という表示があって、実態は入学金の一部を差し引かれないと解約してもらえないということのギャップはないと公正取引委員会は今も認識しているという、そういう国会の議事録でよろしいのでしょうか。
  114. 鵜瀞恵子

    政府参考人鵜瀞恵子君) 個別の事案についてはお答えしておりません。調べたときに表示と実態の乖離がないということで、問題にならないという処理をすることがございます。
  115. 有村治子

    ○有村治子君 それでは、反論がなかったので、表示と実態の乖離はないという、そういう見識でよろしいのかどうかの質問に関しては、それについて異論がなかったという記録でよろしゅうございますね。(発言する者あり)
  116. 鵜瀞恵子

    政府参考人鵜瀞恵子君) はい。表示と実態の乖離があって違反事実を認めるに至らなかったということでございます。
  117. 有村治子

    ○有村治子君 公正取引委員会が文字どおり私たちの公序良俗に沿って公正であることを引き続き願いたいと存じます。  それでは、次の質問に入らせていただきます。  複数の行政機関NOVA消費者トラブルに気付いていらっしゃりながら迅速的確な対応ができなかったその背景には、各省庁縦割りになっている消費者行政の連携の悪さが弊害として挙げられようかと存じます。  消費者行政の一元化においては、こうした事例の反省を踏まえて、二度とこのような被害を見過ごさない組織づくりを期待したいと存じますが、大臣、新組織構築に向けた大臣の御決意を伺いたいと存じます。
  118. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 先ほど申し上げましたように、消費者行政に関しましては、その体制ですとか対応につきまして問題があるのではないかという指摘を受けるような事案が増えております。そして、その背景には、分かりにくい行政の在り方というのも一つの要因としてあるんではないかというふうに認識をしております。  是非、新しい行政組織、この行政組織の見直しに当たっては、やはり国民から見て分かりやすいという視点、これが大変重要だというふうに思っています。ですから、国民から寄せられた苦情相談、こうした情報がどのように取り扱われたのか、そして、その情報に基づいてどのように行動したのか、これが分かりやすい組織、新しい組織をつくっていかなければいけない、そのように思っています。  そういった考えの下に、消費者行政の一元化、消費者行政の司令塔的役割を果たす新組織の構築に努めていきたい、そのように考えています。
  119. 有村治子

    ○有村治子君 今大臣がおっしゃっていただいた国民から見て分かりやすいというのは、本当に大事な姿勢だと思います。国民の皆さんの常識的な感覚からしても理解しやすいというのも大事な要素であろうかと思います。そういう意味では、今私どもが経験をした公正取引委員会さんの御説明というのは、ちょっと国民的な常識からすると納得することが困難かなというコメントでございました。  私の感覚からすると、公正取引委員会というのは正義の味方、本当に国民を守ってくれる、フェアな対応を勇気を持ってしてくれているところだという、そういう認識がございます。その公正取引委員会さんともしっかりと連携をしていただいて、私たち納税者である、また国民から見て分かりやすい消費者行政の大きな変革を岸田大臣の下で成し遂げていただきたい、打ち立てていただきたいと存じます。  それでは、国民生活センター法改正案についてお伺いをさせていただきます。  先ほども相原委員から御指摘がありましたように、事業者、生産者側から見た場合は、消費者保護を任務とする国民生活センターに置かれた紛争解決委員会に対して、利害関係が一致しないゆえに、その事業者からは違和感を持たれるのではないかという懸念もあります。  国民生活センター政府関連法人でございますから不公平なことは恐らくしないだろうという一定の信頼はあるものの、それでも紛争解決委員会の和解仲裁によって、仲裁、仲介は消費者寄りになってしまうんじゃないかという先入観を持たれるおそれがあります。事業者側は紛争解決委員会による決着を避けたがるのではないかという危惧もなされます。  条文では、紛争解決委員会は独立してその職権を行うとありますけれども、中立性をアピールして紛争解決委員会事業者、生産者側からも信頼される方策を取ることが、結果的にはウイン・ウインというか、痛みをいかに少なくするかという意味でのウイン・ウイン、早期の紛争解決つながり消費者利益にもなると考えます。  中立性をどう担保し、どのようにしてバランスのある公正な職権執行を打ち立てようとされているのか、お考えをお聞かせいただきたいと存じます。
  120. 西達男

    政府参考人(西達男君) 先生御指摘のように、この制度実効性を持って活用されるようにするためには、ADRが合意による紛争解決を図るものである以上、委員会消費者のみならず事業者からも公平、妥当な解決指針を示す機関として信頼される必要があるだろうというふうに思っております。このため、法律案上も、紛争解決委員会センター理事長の指揮監督から離れて独立して職権を行うというふうに定めているところでございます。  また、仲介委員とか仲裁委員につきましては、紛争解決の手続を実施するに当たりまして、紛争の当事者である消費者事業者の間にございます情報交渉力の格差、こういったものを踏まえながらも、その実質的な中立性、公正性を確保するものというふうにしておるところでございまして、これらの措置によって、当事者双方から信頼される制度として実効ある運用を図ってもらいたいというふうに考えております。
  121. 有村治子

    ○有村治子君 仲介、仲裁はあくまでも当事者の合意がなければ手続に入れないと伺っておりますけれども事業者、生産者側が仲介、仲裁を受け入れやすい素地、土壌をつくっておくということは、その後の経過ということを考えても大変重要になると私も理解しております。  事業者、生産者にとって重要な紛争解決手続に乗るメリットというのは何なんでしょうか。紛争解決に向けて事業者交渉のテーブルに着きやすいように、落ち着いて解決に臨もうというコミットをしやすいようにするための環境整備としてはどのようなことをお考えになっていらっしゃるのか、御答弁いただきたいと存じます。
  122. 西達男

    政府参考人(西達男君) 委員会が行う紛争解決手続につきましては、まず、迅速な解決が図られるものであること、それから非公開で行われること等、その事業者にとっても十分メリットのある制度であるというふうに考えてございます。  非公開で手続を行うということについては法案上も規定をしてございますが、この迅速な解決につきましては内閣府令で目標とする手続実施の期間、これを定めることにして、その期間内で迅速に行うというふうな予定をしております。  そのほかに、同一事業者が同じような事案で訴えられた場合には、一回的な解決を図るための手続の併合、それから手続を簡易で柔軟なものとするために面談とか書面とかの手続の実施方法について希望を述べることができるというように内閣府令でするように予定をしておりますし、それからやはり裁判と比べましてもより柔軟な解決が図られる、可能であるといった点においても、その事業者が手続に乗るインセンティブが確保されるのではないかというふうに考えておりますし、さらに、私どもの期待としては、本制度が定着をして、本制度による解決を図ろうとする事業者であることが社会的に認知をされるようになって、消費者の信用が増して事業活動へのプラスの効果が生じると、こういった点も期待をしているところでございます。
  123. 有村治子

    ○有村治子君 ありがとうございます。  国民生活センターの新たな機能について質問を続けます。  国民生活センターでは、これまでも消費者からの苦情を受けて、事業者、生産者などに対して苦情処理紛争解決のためのあっせんということを行ってこられました。  しかし、今まではこのことが法律上明記されていなかったために、センターとしては苦情の処理のためのあっせんというのがなかなか機動的に進められなかったと伺っております。NOVAの事案では、NOVA各地消費者センター苦情処理あっせんに応じなかった事例が多数報告をされていると理解しております。  今回、第四十一条に苦情の処理のためのあっせんをするということを明記されましたが、これによってどのような効果があるのでしょうか。  確かに、消費者紛争に至る前に、シリアスになる前に苦情として持ち込まれてきた事案をセンターが間に入ってあっせん解決できれば、消費者にとっても生産事業者にとっても時間の節約にもなり、いいことではありますが、苦情の処理のためのあっせん法律上明記したことの効果と、今後のあっせんを行う体制の充実強化について伺います。
  124. 西達男

    政府参考人(西達男君) 平成十六年に消費者基本法改正をされまして、その際、国民生活センターは、苦情の処理のあっせんにおける中核的な機関として積極的な役割を果たすものというふうに規定をされておりまして、また国民からもそうした機関として大きな期待を寄せられていたところでございます。  しかしながら、国民生活センター法上は、センターがこうした業務を行うことが明確に規定されておりませんで、今述べたような実態と規定上の位置付けがバランスを欠いておりました。こうしたことのために、先生御指摘のように、法律上の根拠が明確でないということをもってあっせんに応じない一部事業者も見られてきたということでございます。  今回、相談員が行う苦情処理あっせんを法的に明確に位置付けることとしたのはそうした背景でございまして、このことによりまして相談員の行う苦情の処理のあっせん実効性が高まって、そして消費者、重要紛争解決手続と相まって、センターにおける紛争解決機能の充実強化が図られるんではないかということを期待しているところでございます。
  125. 有村治子

    ○有村治子君 御指摘のように、やっぱりあっせんする機能があるということがより多くの方に共有されること、大事だと思いますので、引き続き御活躍をお祈り申し上げます。  それでは、消費者契約法改正案について質問を続けます。  経済産業省による特定商取引法違反の行政処分の状況、差止請求との関係について詳細を伺います。  特定商取引法への消費者団体訴訟制度の導入によって、特定商取引法の違反行為に対して、経済産業省ないしは場合によっては都道府県による改善指示や業務停止命令などといった行政処分に加えて、今回新たに適格消費者団体によって違反行為差止請求訴訟提起ができる。その両方によって消費者被害の拡大措置が可能となると理解しております。  行政規制である行政処分と民事のルールである差止請求関係は、じゃ、どうこの両者が整理されるのかという点に関し、一つのケーススタディーでお伺いしたいと思います。  例えば、ある事業者が事実ではないのに、この浄水器を付けずに水を飲み続けますとあなたは将来病気になってしまいますよと言って高価な浄水器を購入させることは、特定商取引法のうち訪問販売に係る不実の告知に該当して、不当な勧誘行為として禁止されています。  この事業者が不特定かつ多数の消費者に対して同じような勧誘行動を行った場合、経済産業省が一方で行政処分を行って、他方、同時並行的に適格消費者団体がこの禁じられている勧誘行為差止請求を行うことは可能なのでしょうか。分かりやすい御説明を経済産業省にお願いしたいと存じます。
  126. 橘高公久

    政府参考人(橘高公久君) 法技術的な部分もございますが、できるだけ分かりやすい形で御説明に努めたいと存じます。  今委員から御質問ございました行政処分と差止請求関係でございます。これは法律的に考えてみますと、特定商取引法上の行政処分、現在までやってきております行政庁の処分につきましては、行政当局がこれは主体となって、そして法律の要件に照らしまして、それに合致しているもの、そして情状等が非常に悪いものにつきまして、行政庁の判断として、事業者に対して業務改善等の指示あるいは業務停止命令というような行政の判断を示すものでございます。  他方で、差止請求、今回お認めをいただきたいと考えております差止請求につきましては、まず、主体が適格消費者団体でございます。また、手続といたしましては訴訟提起という手続が必要になります。したがいまして、判断をするのは今度は裁判所が判断をする。その際に、差止請求権というようなものを認めるのに十分な事実関係があるかどうかという、そういう訴えておる団体差止請求権が充足されているかどうかというところの判断を裁判所がされるということになるわけでございます。  したがいまして、後段の御質問にございましたが、これは手続上、効果としてある面似た部分がございますんですけれども、手続上はあくまで法律上それぞれ独立した考え方に基づく独立の手続になるものでございます。したがいまして、先ほど一つ例示ございましたこの不実告知というものも今回対象になるわけでございますが、両方並行してできるかどうかという点につきましては、行政当局であります例えば私ども経済産業省が行政処分が必要だと判断した具体的なその同じ案件につきまして、適格消費者団体がやはり自分たちとしても差止請求をする必要があるという御判断のときには、これは制度上何ら否定されておるわけではございません。  ただ、一言、実態という意味であえて付言をさせていただきますと、実際に行政処分が適切なタイミングで行われることが必要でございますが、適切に行われている場合に、事業者が不当行為をこれは止めなきゃいけなくなるわけでございます。したがいまして、適格消費者団体が求める差止請求も実は内容としてはそういう不当行為を止めろということでございますので、実態的には行政処分が適時に行われた案件につきましては、重ねて差止請求を行う実態がどれだけあるかというところは実態上はあろうかと思いますけれども、手続上は否定されているものではございません。
  127. 有村治子

    ○有村治子君 今お述べになりましたように、かなり強い権限を両者で行使することができるゆえに公正で的確であっていただきたいと心から私も願います。  特定商取引法差止請求対象とすることによって被害を拡大防止するということで、関連の質問をさせていただきます。  適格消費者団体による特定商取引法違反行為に対する差止請求は、言わば違反行為を是正するための新たな手段を増すということになりますけれども、その効果を冒頭に触れました外国語会話教室NOVAの事例に当てはめて考えていきたいと存じます。  NOVAのような語学学校は、特定商取引法のうち特定継続的役務提供という取引類型に当てはまり、平成十九年六月に行われました経済産業省による行政処分も特定商取引法違反ゆえになされたものであると理解をしております。NOVA年間を通じて恒常的にいつも入学金の全額免除を実施していたにもかかわらず、キャンペーン期間中に入学した場合は入学金を全額免除しますという旨の広告を出していました。これは誇大広告として特定商取引法違反と認定をされましたが、今後これと同様の違反行為があった場合、適格消費者団体はこの違反行為に対して差止請求ができるのでしょうか。いかがでしょう。
  128. 橘高公久

    政府参考人(橘高公久君) 端的にお答え申し上げますならば、おっしゃられましたような入学金キャンペーン等を含めた誇大広告につきまして差止請求対象となります。
  129. 有村治子

    ○有村治子君 そのほかにもNOVAは違反行為として認定されたものがあると言われていますが、例えばどのようなものがあったのでしょうか。また、これから御指摘いただく違反行為についても差止請求ができるのか、併せ御説明いただきたいと存じます。
  130. 橘高公久

    政府参考人(橘高公久君) お答え申し上げます。  昨年、平成十九年六月十三日に処分をし、国民にお示しをいたしました処分理由に基づいてポイントを御説明申し上げますと、一つ目は今の例に出されました誇大広告でございます。また、より悪質な部分といたしまして、前段で御質疑ございましたけれども、レッスンの予約が好きなときに入るというものが売り文句だったけれども、実際には全くそのような簡単な予約ができないというような意味での不実の告知。これは、例えばクーリングオフなどにつきましても、一定の法律上の要件に合致したものについては、NOVAのケースでもクーリングオフできるケースであったにもかかわらず、クーリングオフができないというふうに説明したようなケースもございました。これも不実告知の類型でございます。そのほか、当時の事実認定によりますと、重要事項で告げなければいけないことをきちんと告げていなかった、あるいは書面の不備とか不交付があったとか、幾つかの事例を挙げておるところでございます。
  131. 有村治子

    ○有村治子君 何か経営の失敗というよりは、今挙げていただいたのは本当に倫理観の欠如という、人間性としての人道的な意識の欠如というような感じがいたします。  最後に、大臣に御質問をさせていただきますが、今出てきましたように、NOVAの事例については十年以上消費者からの相談が寄せられていた、そして徐々にその数は増えていくんですが、その中にやはり消費者側がつかんでいた真実の側面があったんだと思います。しかし、それに聞く耳を持てなかった、あるいは、聞く耳を持っていてもそれを生かすだけの手段や構図、構造を持つことができなかったというのは非常に残念なことだと思っています。  経済産業省による行政処分がなかなか行われなかったこと、非常に残念なことでございますが、行政対応が遅れていたとしても、そのときもし今回のように適格消費者団体による特定商取引法違反に対する差止請求が私たち国民消費者の近いところで実現していたならば、これほどの国民的な被害拡大には至らなかった可能性もあります。  適格消費者団体による差止請求対象範囲の拡大は、消費者被害拡大防止に大変効果的になる可能性を持ち得ると私は希望も持っております。今回の改正による消費者団体訴訟制度の充実が消費者の的確な権利や利便の保護に一層資するものとなるように大臣の御決意を伺いたいと思います。  恐らく、私たちの知人や友達の中で、NOVAに通っている人がだれもいないという人はほとんどいないんじゃないかなというぐらいNOVAというのは国民的に大きな影響力、マスメディアの広告力を持ち得た。そういう教訓からも、私たちは今後国民がこのようなことに翻弄され、経済産業省も翻弄されることのないように、この消費者行政の大きな変革期に期待をしております。大臣の御決意を承ります。
  132. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 今回の改正は、景表法そして特商法消費者団体訴訟制度を拡大しよう、導入しようとするものでありますが、近年、御指摘のように、NOVAの問題も含めて、商品それから役務も多様化しております。ますますこの景表法及び特商法違反による消費者被害が多数発生していますし、これからも発生するんではないかというふうに考えています。  ですから、こうした消費者被害に対しまして、公正取引委員会あるいは経済産業省の行政規制とは別に、こうした消費者団体訴訟制度差止請求権を適格消費者団体に与えるということ、これは消費者利益を擁護するという意味で大変大きな意味があるというふうに認識をしております。  そして、これは適格消費者団体認定とか監督について消費者契約法に一本化するということでありますので、消費者団体事務負担を軽減するとか、あるいは行政コストを削減するという観点からも意味があるというふうに思いますし、こうした一本化するということは今進めています消費者行政の一元化とも方向性が一致するというふうに考えております。  このように、今回の消費者契約法改正、様々な意味があるというふうに思いますが、引き続きまして、この消費者団体訴訟制度の充実につきましては、対象法令ですとかあるいは様々な権限につきましても今後拡大や見直しをする必要があるかどうか、この辺もしっかりと検討しながら充実に努めていかなければいけない、そのように思っています。
  133. 有村治子

    ○有村治子君 今から二千五百年前、中国の思想家孔子が論語に残したとされるところで、国が長期的、安定的に治められるためには何が必要かというお弟子さんの問いに対して孔子先生が最後に挙げられている、本当に一番大事なものは信用だというふうにおっしゃっています。信なくんば立たずというのもこのようなところから出てきたのかと存じます。  そういう意味で、去年一年の日本社会を総括する言葉として、日本漢字検定協会が公募をして清水寺で書かれた漢字一字が「偽」、偽り、うそという漢字一字だったことは、非常に日本が長期的、安定的に治められるという土壌という意味では危機的状況にあるという認識を持っております。  そういう意味で、今回、福田内閣の下、岸田大臣の強いリーダーシップの下、その危機的状況で国民が選んだたった一字が偽りだったという現状をしっかりと見据えていただいて、その「偽」を近い将来、信という言葉に変えていただけるように御活躍いただけるよう、そして私たちもできることを、精いっぱい走っていけることをお互いに語り合って、私の、有村の質問を完了させていただきます。  ありがとうございました。
  134. 風間昶

    ○風間昶君 公明党の風間ですけれども。  今回の法改正でADR機能をきちっと位置付けして新たに加わったということは大変いいことではありますが、問題は、先ほど大臣もおっしゃったように、情報の迅速な収集、そして分析機能をどうやってきちっとスピーディーにやっていくかということが大変大事でありまして、そういう意味ではこの十四名のADR機能の、十四名であるかどうかはまだ正式には決まってないんでしょうけれども、どっちにしても今の段階で言えることは、そういう情報の迅速収集と、そしてそれに対する分析と発信につなげていくためには人員がやっぱり足りないと私は思います。  そういう意味で、どこまで大臣としてやれるかどうか分かりませんけれども、どこまでやるつもりですか、伺いたいと思います。
  135. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、国民生活センター情報収集分析をすることの重要性、ますます高まっていると認識をしています。ADR機能を具備するということでありますならば、なおさらそういった重要性は高まるというふうに認識をしております。  まず、昨年十二月に閣議決定しました独立行政法人整理合理化計画、この計画を踏まえまして、PIO―NETを刷新する、そして能力アップ、バージョンアップを図って、こうした機能的に高度化を図る、分析能力の向上を図る、こういったことを考えなければいけないというふうに思っています。  人員等につきましては、御案内のとおり様々な制約があります。しかし、環境整備等を考えますと、この予算の獲得等においては我々内閣府としても努力をする余地があるんではないか、そのように思っています。是非予算要求等においては最大限努力をしたい、当面そのように考えています。
  136. 風間昶

    ○風間昶君 ですから、人員体制の強化を図るためにはどのぐらいイメージされているのかと具体的に聞いているんです。
  137. 西達男

    政府参考人(西達男君) 今回のADRを、要するに紛争処理機能を国民生活センターに付与するということについて、この新たに加わる紛争委員会事務局体制としては、年間処理件数が大体二百件程度ということを想定しておりまして、それに伴う必要人員としては十人から二十人程度ということを想定しておりまして、そのための必要ないろんな要求については事務局としてもしっかりやっていきたいと考えております。
  138. 風間昶

    ○風間昶君 分かりました。  是非獲得、これでも少ないとは思いますけれども、応援をいたしますので、是非それが実現できるようにしてほしいというふうに思います。  もう一つは、あとこの国民生活センター各地消費生活センターの連携が大事で、そういう意味では消費生活センターの体制もきちっと取っていかなきゃならない。これも内閣府がただ投げているだけでは進まないわけであります。それはなぜならば、先ほども議論になっておりますように、相談員方々は半分以上は年収二百万円以下だとか、あるいは残業代が出ないだとか、雇い止めなどで契約期間が不安定だとか、休日を使って研修を受けている、またその研修を受けるための足代も実費で自分で払っているということがあるわけでありますから、実際に自治事務ではあるけれども消費生活センターの機能の重要性考えますと、少なくとも資格認定相談員制度を、三千人もつくっておきながらそれが機能的に発揮できない状況だとなると、もうかかわってくる人が少なくなってくるということになってまいりますから、そういう意味では研修あるいは様々な実費負担を何とかやりくりして財政支援をしてやらないと、これはもう、ある意味では国民生活センターの手足、手足という言い方は悪いですが、実質的に機能しなくなる。幾らPIO―NETをやったって、それを担っていく人がいないと、これは実際には役に立たないわけであります。  そういう意味で、生活安心プロジェクトとわざわざ消費担当大臣が三つ、四つの柱の一項目に、大臣が五つの分野の中で守るということの一つにこれきちっとおっしゃっているわけですから、相談員に重点を置いた研修の充実というふうにあるんですが、具体的にやっぱり進めていく必要があると思いますけれども、これは大臣の直接の私はお考えだと思いますし、役所の方が作った文章じゃないと思うので、これは是非、大臣に聞きたいと思いますけれども
  139. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 地方の消費生活センター相談員の役割というものは大変重要だと認識をしております。  今新しい行政組織について議論をしていますが、この組織情報を集約するに当たっても、まず最初に国民が接するのが消費生活センター相談員の皆様方でありますし、その対応次第によって情報の流れ方も変わってくる、行政に対する見方も変わってくる。この新しい消費者行政組織を考える上で、消費生活センターのありようというのは大変重要だというふうに認識をしております。  ですから、こうした消費生活センター相談員の質の向上ということで、緊急に講ずべき施策の中にも相談員研修の充実等、こうした施策を盛り込んだところでありますし、それ以外にも、情報提供ですとか国民生活センター経由相談を行うとか、様々な形でこの消費生活センター相談員を支援していかなければいけないというふうに考えていますし、加えて、財政的な面でも何か支援をすることができないかというようなことで、国民生活審議会の議論の中では、消費生活センター法律的に位置付けることができないか、こういった提言もいただいております。  こういった仕掛けを通じて国としてどんな支援ができるのか、自治事務でありますので、地方自治体とも連携しながら国として何ができるのか、こういったものをしっかり考えていきたい、このように考えています。
  140. 風間昶

    ○風間昶君 まさにおっしゃるとおりなんですが、国と地方との連携という言葉ではなくて、連携していくための協議が実際に行われないと意味がないわけです。形の上ではやられているんですよ、何か所か、何回か。だけども、具体的な踏み込んだ形での協議というふうには進んでいないのが実態です。だから、そういう意味ではこの国民生活審議会が、今大臣もおっしゃったように、消費生活センター法律上にきちっと位置付けろという提言をしているわけで、このことについては私は重く受け止めないとならないんではないかというふうに思います。  実際に、ちょっと調べただけで、消費生活センターのあるいは行政相談窓口で、例えば埼玉のデータなんかでは六十八自治体があるんだけども、五市町村でこの行政相談窓口が設けられていないんですね。これは恐らく、埼玉に限らず全国レベルでもきちっと調べればそういうことが出てくるはずです。だから、そういう意味で、消費者行政の言わば地域間格差をきちっとまたやっていかないと、先ほどの、週に四日以上稼働しなければこのPIO―NETをつくらないといったことだって、えらいしゃくし定規であって、PIO―NET、PIO―NETと言うんなら、一〇〇%を目指すためにその四日を何とか弾力的に運用できるようにしなきゃならないし、そういうことをしなければ、幾ら中央でいいことばかり言っても、現実に地域地域の、特にPIO―NETがないところは、むしろ切実なニーズが高いわけですよ、だれにも相談できないわけですから。そういうところほど先にやるということを含めて、消費生活センターの法的位置付けを今の段階で大臣はどのようにお考えなのか、伺いたいと思います。
  141. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、消費生活センター法律上位置付けるということ、大変重要な点だというふうに認識をしております。法律上しっかりと位置付けた上で国として何ができるのか、地方自治体とどのような連携が取れるのか、これにつきましても、たしかあしただったと思いますが、増田総務大臣と私とこの点につきまして意見交換をする予定にしております。具体的に何ができるのか、総務省ともしっかり連携をして考えていきたい、そのように思っています。  そして、消費生活センターも、地方の実情を見ますと本当に様々であり、御指摘のように格差があると思います。消費生活センターの中でも、やはり都道府県レベルの消費生活センター、こうしたものはその地方における中核の消費生活センターとして位置付ける必要があるのではないか。地方の消費生活センターの中においても中核となる消費生活センター、こういったものをしっかりと位置付けて、その連携を取る、こういった地方における消費生活センター同士の連携というのも大切なのではないか、こんな議論が消費者行政推進会議の中でも行われております。この辺りも参考にしながら地方の消費生活センターのありようにつきましてしっかりと検討していきたい、そのように思っています。
  142. 風間昶

    ○風間昶君 もう一つ大臣の五つの分野の守るのところであるんですが、地方の苦情処理委員会の活性化を図るよう地方公共団体に要請するというふうにおっしゃっているわけでありますから、このことも、今お話のあった、増田総務大臣と是非突っ込んで、もちろん大臣同士での話だけではなくて、実務的なそれぞれの府と省の担当の方も合わさって議論していただきたいというふうに思います。  四十七都道府県に苦情処理委員会つくられていますけれども、機能しているのは何か所だと思いますか、七か所だけなんですよ、四十七のうち。だから、機能していない理由が大変これは大きなことがあるんだと思うんです、たった四十七のうち七か所だけしか機能していないわけですから。だから、そういう意味では根本的な問題を含んでいると思うので、このことの分析をやっていただいて機能していけるようにしていただきたいと思いますけれども、それについてはどうでしょうか。
  143. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、都道府県知事が苦情処理委員会等に付託した処理の件数、この五年間で年平均七・六件程度にとどまっているということのようであります。  活用がされていない理由としましては、当事者からの申請ではなくして知事が付託するという形を取っているとか、時間と労力の割に強制力がないとしている地方公共団体もあるようでございます。そして、何よりも予算額ですが、苦情処理委員会等の開催のために措置されている予算、平均で四十五万円程度ということでありまして、予算面あるいは人員面でも問題があるというふうに認識をしております。  この点につきましては国民生活審議会においても提言をいただいております。是非方策につきまして総務省とも検討したいと思っています。
  144. 風間昶

    ○風間昶君 次に、消費者契約法の方で、先ほども中川大臣がお答えありましたけれども適格消費者団体に対する財政的な支援を是非、会員の会費と寄附と基金とやっていることでありますから、午前中に京都団体の方から、所得控除じゃなくて税額控除制度を、寄附のですね、これを実現していただくともっと団体活動に対する国民の支援が得やすくなるという御発言がありました。  だから、これについては、少なくとも企業から寄附金をもらうなんということはほとんど難しい話なんで、寄附文化というか寄附社会を一方では進めなきゃならない話ですけれども、寄附の税額控除についての制度導入について前向きに支援してやる必要があるのではないかというふうに思いますので、この件に関して政府の考えを伺いたいと思います。
  145. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 政府の支援としましては、適格消費者団体に対して情報提供ですとか、あるいはこの制度の周知徹底ですとか、いろいろな支援を今行っているところですが、やはり財政的に厳しいということを指摘される方は大変多いことも認識をしています。  財政的な支援につきましては、この消費者団体訴訟制度、施行されたのが昨年の六月ですので、施行されてから十か月であります。十か月の間に適格消費者団体として認定された団体が五団体、そして実際に起こされました訴訟が二件ということであります。こうした十か月の間の成果でありますが、この辺の成果のありよう、そして今後の社会的な評価のありようも見定めた上で具体的に財政支援についても検討していかなければいけないんではないかと思っています。  十か月の成果を見ながら、これからの課題として財政支援ということも一つ検討課題として挙げていきたいとは考えています。
  146. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  147. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数です。よろしくお願いいたします。  独立行政法人国民生活センター、このセンター法の一部改正の趣旨は消費者紛争の適正かつ迅速な解決を目指しているわけですから、その趣旨からいたしますと、一番に重要視されるのは現場を預かる自治体の消費生活相談員でございます。この消費者行政を担う相談窓口の現状に触れながら、相談員の資質の向上と待遇の改善についてお伺いをいたします。  先ほどから何度も議論になっているところでありますが、消費生活に関する相談件数、格段に増加しているにもかかわらず、人は削られて予算も削られ、相談窓口は縮小の一途にございます。二〇〇七年度の自治体の消費者行政予算は総額で百八億円ですが、これはピーク時の九五年度の五四%に落ち込んでいます。そのしわ寄せは消費者行政を足下で支える全国約三千五百人の消費生活相談員に向けられています。相談窓口は一日の相談員が一人という一人体制も目立ち、窓口が開いているのが週一日から数日という機能低下の実態が浮き彫りになっています。  これは社団法人全国消費生活相談員協会による実態調査で、一七%の窓口で一日一人で対応しています。あっせん相談に十分ではないと感じているというふうにおっしゃっておりますが、また五割以上が五年から三年で契約更新が打ち止めとなって経験が生かされていないというふうに答えが出ております。このような現状において重視されるべきは、やはり経験豊富な相談員を生かすことだと思います。  先ほどもございましたけれども、東京都の新宿区では打って出る消費者相談成果を上げています。これは、相談を待つのではなくて被害を掘り起こしていくという発想にあるようでして、その打って出る消費者相談を支えているのが何といっても経験年数二十年から八年のベテランの相談員がいらっしゃるからですね。しかし、その多くの現場で経験が生かされずに、資質の向上のための研修などが自己負担になっているという現状もございますが、国としてこの研修等の費用を負担するなど、相談員の資質の向上のための手当てについてどのような考えに立っておられるのか、お伺いいたします。
  148. 中川義雄

    ○副大臣中川義雄君) 消費生活相談員の待遇については、最近特に新聞紙上でも大きく扱われておりますし、またいろんな調査の中からもその実態が明らかになってきております。その大半が非常勤職員であること、しかも非常に報酬が安くて大きな問題になっていること、にもかかわらず、消費相談員の役割というものは非常に大きくなってきております。  特に、消費生活の相談というのは地方へ行けば地方へ行くほど大きな問題も抱えておりますし、また必要性もあるわけでありますから、消費生活センター相談員の資質の向上、そしてその待遇の向上を図っていかないとこれは大変大きな問題になると、そう考えておりますので、消費者行政推進会議等でも大きく取り上げられておりますので、いろんな機関とも相談し、またこの国会での皆さん方の意見も聴きながら待遇の改善に積極的に努めていきたいと考えております。
  149. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 よろしくお願いいたします。  次に、相談員の待遇に関してでありますが、今もございましたけれども、先ほど紹介いたしました新宿区では、相談員が六人で、一年更新の非常勤ですが、給与が二十七万五千円で、再契約に期限はないというふうに言われています。しかし、大多数の相談員の待遇は厳し過ぎる現状にございますけれども、賃金は安く、そして勤務条件は、これ他の地域では劣悪で、働く貧困層との指摘があるほどです。予算削減のしわ寄せはこのように相談員に向けられていますけれども、残業代や通勤交通費が削られて、賞与の支給はごくまれであって、サービス残業を加味すると時給五百円の人も珍しくないというふうに言われております。  二割近い自治体で任用の更新回数にも限度がございます。そして、ベテランが追い出されていくという状況にございますが、全国消費生活相談員協会のアンケートでは、勤務時間に差はありますが、年収百五十万円未満が四四・七%、そして、百五十万円から二百五十万円未満が四五・六%になっています。これでは自立した生活ができない、中には、プライドだけで仕事をしているという、そういう悲痛な回答が寄せられている状況でございます。  最前線で活動する消費生活相談員の職の安定はやはり何といっても消費者行政の根幹にかかわるものでございますが、この点は早急に改善すべきだと思います。国としての取組について大臣にお伺いいたします。
  150. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、地方の消費生活センター相談員の待遇、大変厳しいものがあると認識をしております。自治事務ではありますが、一方で、消費者行政にとって消費生活センター相談員の役割がますます高まっているということでありますので、しっかりとした専門性が期待されるところであります。  そして、この専門性を支えるために、研修ですとか専門講座ですとか、あるいは様々な資格認定制度をつくっているわけですが、この専門性を支えるためにも、御指摘のような待遇面でも考えていかなければいけない。大変重要な御指摘だというふうに思っています。  ということで、先ほど中川大臣の方からも御答弁させていただきましたように、今、消費者行政推進会議の中でこの問題大変大きな課題として取り上げられ、議論が続けられています。是非、この議論の行方も見守りながら、どう対応するべきなのか、政府としても対応を考えていきたい、そのように思っています。
  151. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今、私の手元の方に、これは「国民生活」二〇〇八年の二月号でございますが、この中に紹介されております福島県の消費生活センターの亀岡のり子さんの文章がございます。実際に現場で二十五年以上頑張っていらっしゃる相談員の方でございますけれども、この方の文章の中に、やはりいろんな意味で相談員は期待をされているというふうな部分がございます。  センターには相談員さんがいるのでそういうセンターはもっているなどと職員から頼りにされるときもある。何にせよ、期待にこたえるべく、日々の業務に真摯に取り組んでいかなくてはならない。行政は頑張っている相談員を正当に評価し、これ以上相談員を疲弊させないようにお願いしたい。これは、何といっても身分の安定が図られ、そして、相談員自身の足下がしっかりしていればこそ国民のために身を粉にして頑張っていくことであると、このように書かれておりまして、やっぱり何といっても消費生活相談員が職業として社会的に認められるようにきちんと待遇をしていただきたいということもございますので、是非とも、この国民センター法の一部改正の趣旨からいたしますと、消費生活相談員の資質の向上、待遇の改善は不可欠でございますので、大臣今おっしゃいましたように、自治体のすることであると無視することなく、国として相談員の労働条件の実態等に目を向けて、是非とも支援の手を差し伸べていただくことを強く要望いたしまして、次の質問に移ります。  次に、アオサンゴの保全についてでございます。  これは環境省に、世界最大と絶賛されておりますアオサンゴの群集についてお伺いをいたしますが、まず、その前に、岸田沖縄担当大臣にこのアオサンゴの群集に対する認識をお伺いしたいと思います。  名護市の辺野古の新基地建設の海域に面した大浦湾で発見されました世界最大級のアオサンゴ、この群集を御存じでしょうか。もし御存じでしたら、そのアオサンゴ保全の観点からのコメントを一言いただきたいと思います。
  152. 中川義雄

    ○副大臣中川義雄君) 大浦湾でのアオサンゴの群落、これが発見されたということは報道で承知しております。  アオサンゴの群落については、防衛省において実施している普天間飛行場代替施設建設にかかわるアセスメント、その調査に含まれていると、これも承知しております。  いずれにしても、普天間飛行場の移設・返還については、防衛省において環境影響評価を実施し、アオサンゴの群落の調査も含め自然環境に十分配慮していくものと考えておりますが、しかし内閣府としてもこの問題に重大な関心を持って見守っていきたいと考えております。
  153. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  次に、環境省にお伺いをしたいと思います。  環境省は、米軍普天間飛行場に代わる沖縄名護市の新基地建設予定地沖で世界最大級のアオサンゴ群集が発見されたことは御存じでしょうか。お答えをお願いいたします。
  154. 黒田大三郎

    政府参考人(黒田大三郎君) アオサンゴに関しましては、環境省はこれまでも全国的な分布の把握というのを実施しておりまして、自然環境保全基礎調査というような調査を通じて情報収集をしてきております。  これまで、今回話題になっております大浦湾につきましても調査を実施してきておりますが、環境省の調査ではアオサンゴの群集については確認をしていないところでございます。  また、今回報道がございましたので、調査を実施いたしましたWWFジャパン、また日本自然保護協会等に情報提供お願いしているところでございますが、現在、報告書の取りまとめをしているということで、少し時間が掛かっているようで取りまとめ六月ぐらいになると聞いておりますが、まずこれを入手して、その他専門家からの意見も聴きながら情報収集に努めていきたいと、こういうふうに考えております。
  155. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 東京新聞に、本年の四月十五日付けの科学のページで、「命の多様性どう守る」という大きな見出しで紹介がされておりました。環境省がまだ調査をせず、認識もないという状況、大変ショックでございます。  このアオサンゴの群集は、名護市の大浦湾の汀間、先ほどもお話がございましたが、約四百メートルにありまして、水深が二十メートルの海底に幅約三十メートル、長さがおよそ五十メートルにわたって生息をしております。世界での最北限に位置しているというこのアオサンゴのことを南山大学の目崎茂和教授はこのようにコメントをしております。世界での最北限に位置しており、これは、石垣の白保のアオサンゴの高さが九メートル程度なのに対しここは高さが十メートル以上ありまして、群集としての大きさは世界最大級というふうに述べていらっしゃいます。  そこで、環境省に再びお伺いいたしますが、このアオサンゴ群集の調査を、今WWFJの方の調査を待ってというふうにお伺いをいたしましたけれども、これだけのすばらしい、世界遺産にも匹敵するようなサンゴの群集でございますけれども、環境省自身で調査をされる意思はございますでしょうか。
  156. 黒田大三郎

    政府参考人(黒田大三郎君) 先ほど申し上げましたとおり、かなり詳しい報告書が出ることを期待しておりまして、まずはその報告書を入手して、それをしっかり読み込んで、その上で更なる現地の調査が必要かどうかということも含めて適切に対応していきたいと、こういうふうに考えております。
  157. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 この現場なんですけれども、この海域では絶滅危惧種とされておりますジュゴンが発見されています。そのえさ場にもなっているところで、このアオサンゴの群集とともに共生をしております魚介類、そして極めて生物多様性に富んでいる場所でありまして、希少な生物が住んでいるホットスポットです。守るべき重要な地点でございますけれども、そこに新基地を建設することは、何といってもこのアオサンゴの群集を始めとして、一帯の海域に生息する生き物を死滅させ命の多様性を奪うことになるわけです。  そこで、再び環境省にお伺いいたしますけれども、このアオサンゴ群集の保全は第一に生息環境を破壊しないことだというふうに考えますが、環境省の御見解をお伺いいたします。サンゴを保全するというその一般論としても結構でございますので、御答弁お願いいたします。
  158. 黒田大三郎

    政府参考人(黒田大三郎君) 今お話がありましたとおり、サンゴ礁、今年国際サンゴ礁年ということで世界各地でサンゴについての人々の認識を深めてもらおうという年にこういう新しい情報が来たということでございます。  サンゴ礁につきましては、サンゴそのものが残るようにいろいろな役割を示す、今お話のありました生物多様性にとって非常に重要でもありますし、それは取りも直さず漁業を支えているということでもありますし、天然の堤防であるというようなことも言われています。  そういう非常にいろいろな多面的な機能を持ちますサンゴ礁をしっかり守っていくということは非常に大事なことだろうと思っておりまして、そういうものがきちんと先々保全されるように、しっかりとそのサンゴ礁が保たれている場所を見守っていくということが一番大事かと、このように考えております。
  159. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございます。  世界最大級とされるこのアオサンゴの群集ですが、これ沖縄だけの財産ではありません。世界の遺産に匹敵するような貴重なものでございますので、今後の環境省の取組に御期待を申し上げたいと思います。  次に、防衛省にお伺いをいたします。  関連して御質問いたしますが、新基地建設に伴う公有水面の埋立て、およそ百六十ヘクタールございます。広大な埋立てです。これは、従来の方法書に記載されてなかった戦闘機の装弾場や二百四十メートルにわたる岸壁の建設、埋立て用の土砂を近くの金武ダム辺りから採取する問題、これは先ほども指摘いたしましたこのアオサンゴ群集のごく近くでありまして、大浦湾の中央海域には作業ヤードが造られます。赤土の流出などによる海域の汚染は、それこそ海草や魚介類など多様な海洋生物を死滅させることになってしまいます。  ここで防衛省にお伺いいたしますが、世界最大級とされるアオサンゴの群集やジュゴンの生息海域を守ることができますでしょうか。守ることができるとするなら、その根拠を是非示していただきたいと思います。
  160. 長岡憲宗

    政府参考人(長岡憲宗君) 普天間飛行場の代替施設に係る建設予定地の北側、先生御指摘の大浦湾に大規模なアオサンゴの群落が存在するということでございます。このことにつきましては、昨年の十二月二十一日それから本年の一月二十一日付けの環境影響方法書に対する沖縄県知事さんの意見の中で述べられております。  私どももこれを受けまして、本年の三月十四日、沖縄県に送付をさせていただきました環境影響評価方法書の追加・修正資料、この修正版の中で、この知事さんの御意見を勘案いたしまして、サンゴの群生としての生息状況及び生息環境等の調査、これを追加をさせていただいておるところでございます。  当省といたしましては、沖縄県等ともよく調整をさせていただきながら環境影響評価手続を進めてまいりまして、客観的なデータを集めた上、アオサンゴを始めといたします大浦湾における貴重な天然、自然環境に対する影響、これを極力そういった影響を及ぼさないよう適切な環境保全措置の検討を行ってまいりたいと思っておるところでございます。
  161. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 防衛省は、本当に真剣にこの埋立ての海域とその海域と一体を成す大浦湾の生態系に是非目を向けて環境の保全に努めるべきでありますし、是非とも、この自然を壊して取り返しの付かなくなるようなことは止めていただくように心からお願いを申し上げまして、私の質問は終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  162. 岡田広

    委員長岡田広君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより両案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  163. 岡田広

    委員長岡田広君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、芝博一君から発言を求められておりますので、これを許します。芝君。
  164. 芝博一

    ○芝博一君 私は、ただいま可決されました独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党・無所属の会及び公明党の各派並びに各派に属しない議員糸数慶子君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項に万全を期すべきである。  一、国民生活センターの消費生活相談業務については、消費者契約をめぐるトラブルが急増・多様化している現状にかんがみ、これら消費者相談について的確・迅速な対応が可能となるよう、相談員の増強、その専門性の向上、待遇の改善等による体制強化を図ること。  二、紛争解決委員会の仲介委員・仲裁委員が職務を行うに当たっては、消費者利益の擁護・増進を図るという国民生活センターの役割にかんがみ、消費者事業者情報力や交渉力に格差があることを踏まえつつ、必要に応じて、消費者のために積極的に後見的役割を果たすこと。  三、和解仲介手続及び仲裁の手続については、消費者を始めとした当事者にとって時間的、経済的負担の少ないものとすること。また、紛争解決委員会事務局の機能を整備すること。  四、住民により身近な消費生活センター等において、消費者契約をめぐるトラブルの迅速なる解決拡大防止を進めるため、国民生活センターとの連携強化・情報共有により適切な対処を可能とし、相談員の増強、専門性の向上、待遇の改善、有資格相談員の配置等による体制充実が図られるよう、全国消費生活センターを始め地方公共団体を積極的に支援するとともに適切な施策を実施すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ、議員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  165. 岡田広

    委員長岡田広君) ただいま芝君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  166. 岡田広

    委員長岡田広君) 全会一致と認めます。よって、芝君提出附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、岸田内閣特命担大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。岸田内閣特命担大臣
  167. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重して、適切な措置の実施に努めてまいります。
  168. 岡田広

    委員長岡田広君) 次に、消費者契約法等の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  169. 岡田広

    委員長岡田広君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、芝博一君から発言を求められておりますので、これを許します。芝君。
  170. 芝博一

    ○芝博一君 私は、ただいま可決されました消費者契約法等の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党・無所属の会及び公明党の各派並びに各派に属しない議員糸数慶子君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     消費者契約法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。  一、景品表示法及び特定商取引法への消費者団体訴訟制度の導入の意義を踏まえ、公正取引委員会及び経済産業省と適格消費者団体が相互に情報提供を行う等により連携を図り、制度を適切かつ効率的に運用すること。  二、消費者被害救済実効性を確保するため、適格消費者団体損害賠償等を請求する制度の導入について、引き続き検討すること。  三、適格消費者団体による差止請求対象行為については、特定商取引法において本法案の対象とならなかった条項(政省令事項を含む)にかかる行為や、詐欺・強迫行為を伴う勧誘行為、民法の公序良俗に違反する条項を含む消費者契約の意思表示、不当な契約条項を含む消費者契約の意思表示を行うことを推薦・提案する、いわゆる推奨行為等を始めとして、その範囲の拡大について引き続き検討を進めること。また、独占禁止法等の消費者関連諸法についても、消費者団体訴訟制度の導入について検討を進めること。  四、国及び地方公共団体は、適格消費者団体活動が促進されるよう、円滑な資金の確保や情報提供など環境整備に努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  171. 岡田広

    委員長岡田広君) ただいま芝君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  172. 岡田広

    委員長岡田広君) 全会一致と認めます。よって、芝君提出附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、岸田内閣特命担大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。岸田内閣特命担大臣
  173. 岸田文雄

    国務大臣(岸田文雄君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重して、適切な措置の実施に努めてまいります。
  174. 岡田広

    委員長岡田広君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  175. 岡田広

    委員長岡田広君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十七分散会