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2008-04-17 第169回国会 参議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年四月十七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月十五日     辞任         補欠選任         山根 隆治君     簗瀬  進君  四月十六日     辞任         補欠選任         柳澤 光美君     大島九州男君  四月十七日     辞任         補欠選任        北川イッセイ君     山田 俊男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岡田  広君     理 事                 芝  博一君                 松井 孝治君                 有村 治子君                 松村 龍二君     委 員                 相原久美子君                 石井  一君                 大島九州男君                 神本美恵子君                 工藤堅太郎君                 自見庄三郎君                 島田智哉子君                 簗瀬  進君                 岩城 光英君                 鴻池 祥肇君                 鈴木 政二君                 中川 義雄君                 山田 俊男君                 風間  昶君                 糸数 慶子君    国務大臣        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    泉  信也君    内閣官房長官        内閣官房長官  岩城 光英君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 秀行君    政府参考人        警察庁刑事局長  米田  壯君        警察庁刑事局組        織犯罪対策部長  宮本 和夫君        警察庁警備局長  池田 克彦君        法務大臣官房審        議官       二階 尚人君        外務大臣官房広        報文化交流部長  山本 忠通君        文部科学大臣官        房審議官     布村 幸彦君        文部科学大臣官        房審議官     田中  敏君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       藤崎 清道君        農林水産大臣官        房審議官     小風  茂君        防衛省地方協力        局次長      伊藤 盛夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○暴力団員による不当な行為防止等に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 岡田広

    委員長岡田広君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十五日、山根隆治君が委員辞任され、その補欠として簗瀬進君が選任されました。  また、昨十六日、柳澤光美君が委員辞任され、その補欠として大島九州男君が選任されました。     ─────────────
  3. 岡田広

    委員長岡田広君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岡田広

    委員長岡田広君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事芝博一君を指名いたします。     ─────────────
  5. 岡田広

    委員長岡田広君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  暴力団員による不当な行為防止等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として警察庁刑事局長米田壯君外九名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 岡田広

    委員長岡田広君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 岡田広

    委員長岡田広君) 暴力団員による不当な行為防止等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 芝博一

    芝博一君 おはようございます。ただいま委員長の方から理事選任をいただきました芝博一でございます。よろしくお願いを申し上げます。御存じのように、山根理事経済産業委員長に就任をされましたので、その後を受けてということでございますけれども、ひとつよろしくお願いをしたいと、こう思っております。  今日は、理事だけの後の部分と思っておりましたら山根理事が本日の質問も受けておりまして、そのこぶ付きの質問でございまして、急遽、おとつい、その役目を仰せ付かりまして、よって今日は、時間の関係で、議案聞き取り等も含めて、関係各位には大変時間的な部分で御迷惑をお掛けいたしましたことをお許しをいただきたいと、こう思います。  その中で、本日議題となっております暴対法の改正案につきまして、基本的に、昨今の社会情勢を見て多くの暴力事案発生している中で、よりその取締りを強化していくこと、摘発を図っていくことについては、これはもう当然ながら法案としても内容的にも賛成をさせていただきたいと、こう思っております。その中で、改めて今この機会をいただきまして、緊急事態的な形でどうしても政府方針並びに警察当局方針確認をさせていただかなければならない事案があろうと、こう思っておりまして、先にその部分から質問をさせていただきたいと、こう思っております。  そのまず第一点目は、どうも終結に近づいているような感じを受ける例の中国ギョーザ事件の問題であります。それが一点。もう一点は、今世界を騒がせておりますし、もう間もなく、あと十日もたたないうちに長野での聖火リレーが行われますけれども、チベット問題の人権問題に関する問題、そして日本聖火リレーの問題について冒頭にお聞きをさせていただきますことをよろしくお願いを申し上げます。  まず、中国毒入りギョーザ事件の問題につきましては、日本国民が大変不安になりました。よって、それ以降の食生活といいましょうか、それが大きく変わっておりますし、もろもろの食品売場ではその売行き等大変激変をしているという中であります。私どもも関心を持ってきたわけでありますけれども、どうもここ最近の情勢を見ておりますと、鎮静化してしまっているといいましょうか、捜査進展がないといいましょうか、若しくは、これからもっともっと本当は大事な問題点を追及しなければならないという部分でありますけれども状況は私どもの思う状況に進んでいないというようなことが危惧されておりますので、その点を少し問いたださせていただきたいと思います。  その前に、最近の中国ギョーザ毒物混入事件に対する捜査状況の全般について、概略で結構でございますから、公安委員長の方からお述べいただけますか。
  9. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 中国ギョーザ毒物混入事件につきましては、発覚以来、千葉兵庫の両県警察共同捜査本部を設置いたしまして、また関係都府県警察鑑定関係で応援をいたしまして、日本警察の総力を挙げて捜査を進めているところでございます。現在まで、流通経路解明関係者からの事情聴取、そして被害が生じましたギョーザ同一製造日ギョーザ鑑定等を行っているところでございまして、日本国内において捜査が可能であるというものはほぼ終了しつつあるというところでございます。  ただ、この本件事案真相解明のためには、これは日中両捜査当局間の連携が不可欠でございまして、私どもとしてはこれまでも中国側に多くの資料情報提供してまいりましたが、今後とも中国側にそういう資料情報、あるいは捜査共助手続を取ってもらえれば証拠物提供し、中国側捜査進展にも寄与してまいりたいというように考えております。
  10. 芝博一

    芝博一君 今御答弁いただきましたように、日本側における、国内における捜査鑑定等々を含めながらほぼ終結に向かっているという、こんな形で御報告をいただきました。しかし、これからは中国側当局との連携といいましょうか、そちらの、要請をしている部分も含めながら、解明が大変大事だと、これが捜査の今後のかぎを握っているという形で受け止めさせていただきました。  そこの部分についてもう少し詳しくお聞きをさせていただく前に、直近の、例のこのギョーザ被害によります方々の状況について御説明いただけますか。
  11. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 健康被害に遭われました方は、千葉兵庫両県で合わせて十名の方でございます。そのほとんどの方が入院をされまして、現在はいずれも退院をしておりましてほぼ回復をしておられますが、いまだに定期検診を受けられている方もいらっしゃるという状況でございます。
  12. 芝博一

    芝博一君 まだ完全回復とは行っていない状況だろうと、こう思っておりますが、被害者皆さん方の一日も早い回復をまずはお祈りをする次第でございます。  そこで、今御報告をいただきましたように、日本国内での捜査はほぼ終了した、ある意味ではさいは中国に投げられていると私は思っているわけであります。ところが、今日に至りますまで、日本捜査当局判断それから主張中国当局判断主張が大きく大きく食い違っていることは多くの皆さん方が認知しているところでございます。ここの問題についての改めての確認と、そしてこの先、五月のゴールデンウイーク明けでしょうか、ゴールデンウイークには中国胡錦濤国家主席が来日をされます。そこのことも含めながら今後の捜査進展についてお聞きをさせていただきたい、こう思うわけであります。  そこで、今申し上げましたように、日本側中国側捜査判断の違い、主張の違いについてまず確認をするためにお聞きをさせていただきたいと思いますけれども日本捜査判断をコメントすると、それに対して中国では否定するようなコメントがもろもろ続いております。それに対して日本でも遺憾の意を国内では表明をしているわけでありますけれども、大変ここの部分の大きなそご、差異が出ていることは今申し上げたとおりであります。  その中で、この状況について日本捜査当局は、捜査のまず全体的な主張、ここの部分について捜査当局の現在の主張をまずお述べいただけませんか。
  13. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 捜査の全般的な主張といいますか、どこで混入されたかということが一番の論点であろうかと思いますが、それに関します私ども見解を申し上げたいと思います。  私どもは、日本国内で混入された可能性は極めて低いものと認識しております。その根拠は、一つは、実際に健康被害が生じました千葉県で発生した事案ギョーザ、このギョーザの現物の中のメタミドホス定量分析に成功しております。極めて高濃度、数個食べただけで大人、成人でも亡くなるかもしれないというような極めて高濃度メタミドホスが検出をされております。この数値は、中国側包装紙メタミドホス浸透するような実験結果も発表しておりますが、私ども浸透しないと考えておりますけれども、仮に浸透するとしても、到底浸透とかというレベルではない大変高濃度メタミドホスギョーザの、しかも具の中から出ているということ、しかもその袋には穴も傷もなく再密封した形跡もないということがまず第一点でございます。  それから、検出されましたメタミドホスは不純物が非常に多いメタミドホスでございまして、日本国内には試薬として出回っている純粋な、ほぼ一〇〇%純粋なメタミドホスしかございませんので、そういう意味からいいますと日本国内で流通しているメタミドホスではないということ。  それから三点目に、千葉兵庫という全然別々の地域でこの健康被害が生じたわけでございますが、この二つ事案ギョーザ中国天津新港を出て以降、一度も日本国内でその流通経路が交わる部分がございません。接点がないということで、それでこの二つがたまたま偶然に両方で起こったということは極めて考えにくいわけでございまして、そういった三点の根拠で私ども日本国内で混入された可能性は極めて低いということを申し上げているわけでございます。このことは単に日本国内発表しているということだけではなくて、中国側に再三にわたってお伝えをしているというところでございます。  現在のところ、中国側認識が完全に一致しているわけではございませんけれども日中両国捜査当局間の協力が不可欠であるということは、これは中国側も同じ認識でございまして、引き続き協力して捜査を進めてまいりたいと考えております。
  14. 芝博一

    芝博一君 今お答えいただきましたように、日本国内で入った可能性は非常に低いというのが捜査当局主張であります。ところが、中国公安当局は、ギョーザの袋の外からでもメタミドホスが、農薬が混入できる、そんな実験結果を突き付けておりますし公表もしております。  正反対に日本中国との捜査結果が対立をしている中で、今申し上げましたように日本主張中国へは伝えていると、こういう形でありますけれども、伝えているのは、いつどんな形で中国当局主張し抗議をしているんでしょうか。
  15. 米田壯

    政府参考人米田壯君) これは、現在まで中国と四回にわたり実務者協議を行っておるところでございますし、また警察庁次長が訪中をして日中両当局間の捜査における協力確認をしたところでございます。また、そもそもこの事案発覚をしました当初から中国との連携は不可欠であるということで連絡窓口を設定をしておりまして、これはもう日常的に日本警察と接触をしております。  そういうようなチャンネルを通じまして、相手国には私ども見解、さらには私ども捜査進展状況、いろんな情報資料等提供するということも含めまして中国側にそのようなことを伝えているということでございます。
  16. 芝博一

    芝博一君 警察当局では、警察当局が持てるルートの中でそこの部分を伝えていると、こう理解をさせていただきますが、日本政府としてこの問題を大きく取り上げて正式なルートでまだ伝えていないと私は理解をしておりまして、その後は後で確認をさせていただきたいと、こう思います。  その中で、特に私は看過できないのは、日本捜査能力鑑定能力を含めて世界一だと、こう思っております。その日本警察能力を否定するような、具体的な形で今回の発言がなされているわけでありますし、もっと日本警察日本中国に対して協力をしていない、すなわち証拠物件物的証拠提供されていない、こんな苦言を呈しておりますし、鑑定結果も提供されていない、こんなことも向こう発表しているわけでありますが、事実でありましょうか。
  17. 米田壯

    政府参考人米田壯君) これは二月に警察庁長官記者会見で述べたところで明らかになっていることでございますけれども、全くそれは事実と違います。  まず、物的証拠につきましては、これは証拠物でございますので、証拠物やり取り国際捜査共助法に基づいて、現在、日中間の条約はございませんけれども国際捜査共助法に基づいて証拠物やり取りはできますし、またかつて何度も中国との間ではそういう捜査共助をやってきておるわけです。そういう手続向こうも十分に承知しておるところでございまして、そして警察庁からは、中国に対しまして証拠物が欲しいならばいつでもそれは提供すると、ただ、捜査共助手続は踏んでくださいということをこちらは向こうに申し向けているわけでございます。にもかかわらず、証拠物提供されないというような発表をされたということでございまして、それは私どもからすれば事実と違うということでございます。  それから、鑑定結果につきましても、日本国内で検出されましたメタミドホスの詳細な鑑定結果あるいは袋の浸透実験に関します詳細な資料相手方提供しておりまして、これは向こう提供されていないともし言うならば、それは事実と違うということでございます。
  18. 芝博一

    芝博一君 中国主張日本の今の主張が大変大きく違っている、こういうことでありますけれども、もう一点簡潔に。  中国から日本に対する多くの情報提供物的証拠提供等々は満足のいくものですか。
  19. 米田壯

    政府参考人米田壯君) これは時間を経るに従って、逐次相手方から提供する資料も次第に充実をしてまいりまして、もちろん私どもとしてこれでいいというレベルにはまだ達しておりませんけれども、かなり満足のいく部分も出てきたという段階であろうと思います。
  20. 芝博一

    芝博一君 それで今後、四月の八日から十日まで日本警察当局が訪中されまして、この事件についての打合せ捜査会議を行っていると思いますが、その結果の概略についても聞かせていただきたいと思いますけれども、大事なことは、公安委員長、今、日本中国でこれだけのとらえ方の部分主張の違いがあるわけでありますけれども、ここの部分をどうしても埋めていかなければ事件は解決いたしません。今後、日本捜査当局としてどんな形で捜査を進めていくのか、また中国協力を求めていくのか、そのお考えをまず当局として、公安委員長としてお答えください。
  21. 泉信也

    国務大臣泉信也君) ただいま刑事局長からお話をいたしましたように、一つずつお互い捜査当局情報を交換する、資料を交換する中で解明されてきた部分もございますし、また見解の相違があることも事実であります。これからは、更に中国協力が必要な部分は残されておりますので従来以上に緊密な連携をしていく、そして解明に努力をするということを続けなければならないと思っております。  なお、警察庁といたしましては、先ほど申し上げましたように、次長を派遣して首脳級会談をする、それでこの問題の解決に中国側日本側が一致協力しなければならないということを確認する中で進めておりますので、なお一層、この立場でお互い協力して事態の解明に当たるということに努めてまいりたいと思っておるところでございます。
  22. 芝博一

    芝博一君 公安委員長の意気込みといいましょうかお考えは分かりました。しかし、それは日本側思いであって、果たしてそれが中国当局捜査当局に受け入れてもらえるかどうかというのは私は別問題だと思っているんです。  私は、一国民として見るならば、どうも昨今の中国の言動、要するに発表であったり行動については、むしろ捜査をこの辺でそろそろ打ち切って収束させようとしているんではないかという、そんな懸念まで持っているわけなんですよ。日本思い思いとしながら、向こうがそれを受け入れてくれない、同じスタンスでやってくれないという思いを持っているわけでありますけれども、これから先は、捜査当局だけの問題じゃなしに国家間の問題にするぐらいの私は問題を含んでいると、こう思っているんです。  そのことを含めて以下のことをお聞きいたしますが、ごく最近、兵庫県と警視庁事案で、爽健美茶農薬混入事件ヘルシア緑茶ドリンク混入事件がございましたけれども、ここの部分捜査状況について概略、簡単で結構ですので、お聞かせください。
  23. 米田壯

    政府参考人米田壯君) 御指摘の事件につきましては、警視庁及び兵庫県警察におきまして、関係者事情聴取納入ルート解明など所要の捜査を推進しているところでございます。現在のところは、まだその被疑者の特定には至っていないということでございます。
  24. 芝博一

    芝博一君 この事案は軽微な部分といいましょうか、余り大きな被害は出ていないようで一安心はしているわけでありますけれども、引き続き捜査を進めていただきたいと思います。  念のため確認に、今ちまたで、インターネット、週刊誌等々で、今回のこのドリンク混入事件、それからペットボトルの混入事件農薬混入事件について、これは中国毒入りギョーザ事件に対する報復行動ではないかといういろんなちまたのうわさが流れておりますが、この事件との関連性について当局のお考えをお聞かせください。
  25. 米田壯

    政府参考人米田壯君) まだ解決していないので、それは確たることを申し上げることはできませんけれども、現在のところ本件、このギョーザ事件関連性を疑わせるという状況は把握しておりません。
  26. 芝博一

    芝博一君 私もその部分安心をしましたし、国民安心をするものだと思っています。  それで、もう一点お聞かせいただきたいんですが、ギョーザ事件発生してから日本食生活が大きく変わっているし、輸入状況も大きく変わっています。その中で、国民安心をしてもらうためにはチェック体制の強化を図っていると聞いております。  厚生労働省部分でありますけれども、簡潔に、現在、全国の何か所の検疫所でどんな体制でやっているのか、それが事件発生前とどれだけの要員が増員されているのか、この部分も含め、そして残留農薬検査、ここの部分についても概略、簡単で結構ですのでお聞かせください。
  27. 藤崎清道

    政府参考人藤崎清道君) お答え申し上げます。  まず、輸入食品チェック体制でございますけれども中国食品も含めまして輸入食品監視につきましては、全国三十一か所の海空港に設置いたしました検疫所に三百四十一人の食品衛生監視員が配置されて実施をしているところでございます。また、輸入時のその検査につきましては、多種多様な輸入食品につきまして食品衛生上の状況を幅広く監視することを目的として、年間計画に基づいて国が実施するモニタリングがございます。またあわせまして、このようなモニタリング検査等において法違反が判明するなど、あるいは法違反可能性が高いと見込まれる食品等につきまして、輸入者に対して輸入の都度実施を命じる検査命令などを行っておりまして、このようなことを通じて重点的、効果的な検査実施に努めているところでございます。  現時点で本事案発生後に増員を行っているということはございませんけれども、この事案を踏まえまして、本年の二月二十二日に、加工食品残留農薬につきまして、従来なかなかその検査の感度、加工食品につきましては、あるいは精度の確保が難しいこと、あるいは原材料で管理をすると、残留農薬につきましては、こういう観点から比較的シンプルなものの加工食品についてのモニタリングに限定されておりましたが、この対象を拡大いたしまして、その検査を強化したところでございます。  これまでのところ、四月十四日まででございますが、三百六十二件につきまして新たに検査実施しまして法違反ケース確認されていないと、こういう状況でございます。
  28. 芝博一

    芝博一君 事件以降検査体制を強化されているし、改めて加工食品残留農薬検査チェックをしているけれども、今のところ異常であったり違反ケースはないということでございますね。
  29. 藤崎清道

    政府参考人藤崎清道君) 申し訳ありません、一点ちょっと訂正をさせていただきますが、今増員がないと申し上げたのですけれども、昨年度中の時点では増員がなかったんですが、四月一日の新しい年度になりまして、要求していた分が認められましたので七名の増ということでございました。申し訳ございません、訂正させていただきます。
  30. 芝博一

    芝博一君 いずれにいたしましても、水際での食の安全に対するチェック体制を今後とも続けていただきまして、国民の安全のために頑張っていただきたい、貢献をいただきたいと思っております。  そこで、問題は、今中国からの農産物の輸入加工品等々の輸入の大きな経済問題にまで発展をしてきている、日中関係にも影響を及ぼしてくるだろうと、こう思っておりますけれども、農林水産省の方で、ギョーザ事件が起こる前の中国から日本への輸入量、それから起こった後の輸入量の変化についてお答えいただけませんか。
  31. 小風茂

    政府参考人(小風茂君) 中国からの農産物の輸入状況でございます。  我が国の農産物の輸入相手国としては第二位ということで、近年農産物の輸入金額は増加を続けております。平成十九年には六千九百億円の輸入というふうになっております。本年の農産物の輸入動向、事案発生報告されましたのが一月三十日でございます。この前後で比較しますと、輸入量では、例えば生鮮の野菜では一月には二万六千トンございましたが、二月には二万二千トン、前月比で比べますと一六%の減、それから冷凍野菜で見ますと、一月の三万トンが二月には二万四千トンで一八%の減というふうになっております。  加工食品の鳥肉の調製品では一月は一万四千トンが二月は一万一千トン、二二%の減となっております。金額で見ますと、農産物全体で一月の五百八十億円ございましたけれども、二月には四百四十億円、前月比で見ますと二五%の減、前年の同期比で見ますと、二三%の減というふうになっております。
  32. 芝博一

    芝博一君 中国から日本への輸入関係が大幅にほぼ半分近くにまで落ち込んでいるということは、大変大きな、日本にとっても大きな問題であります。そして、国民生活も今食料品等々の値上げ等を含めて大きな影響を来しているわけであります。  そこで、このギョーザ問題の解決も含めながらこの輸入関係の問題も絡めて、今後日本としてどう対応していくのが大事なことだろうと、こう思っております。  今後、捜査当局では今も中国協力いただきながら捜査を進めていくということでありますけれども、そこの部分を含めて、まず中国ギョーザ問題をきちっと事件解明をして、中国の農産物も中国当局で食の安全を徹底的に図っていただいた上で日本が安全な食品、農産物を輸入するという本来の姿に戻らなければ、日本の自給率三九%ありますから、今後大変な影響が出てくるわけであります。ここの部分をしっかり議論しなくちゃならぬと思うんですよ。その機会が胡錦濤主席が見える首脳会談だろうと、こう思っております。  だから、ギョーザ問題に対する問題解決どうしていくのか、そして、中国での食の安全をしっかりと高めていただかないと、日本国民が受入れをしないわけでありますから、今後大きな農業問題、そして食生活の問題になってくるわけでありますけれども、この胡錦濤さんと総理との首脳会談の中で、日本のその考えをしっかりと議論をする、伝えるという、そういう機会を持つ方針があるんでしょうか、ないんでしょうか。
  33. 岩城光英

    内閣官房長官岩城光英君) 食の安全は国民にとって重要な関心事項であります。そして、その不安を解消するためには一日も早い真相究明、これが大切だと考えております。そういった観点から、日中の関係当局が緊密な協力を行ってくるべく様々な機会をとらえて、これまで福田総理からも、あるいは外務大臣からもハイレベル中国側に伝えてまいりました。  そこで、両国捜査当局間で今様々な協力して連携を取りながら早期解決に向けまして努力をしているわけでありますけれども、まだまだ日中の主張が食い違っていることは先ほどの御指摘のとおりであります。  こういった状況の中、胡錦濤国家主席の訪日については、首脳会談の議題等は未定でありますが、十年ぶりの中国国家主席の公式訪問であり、今後の日中関係にとって重要な意義を有する会談となるよう、準備を進めていきたいと考えています。  かかる観点から、本件問題が一日も早く解決するよう、引き続き日中間協力を進めていく所存であり、真相究明に向けまして、特に捜査当局間での協力進展するよう、最大限努力をしていく考えであります。
  34. 芝博一

    芝博一君 官房副長官、是非、この問題は捜査当局当局でやっていきますけれども日本として、国民としては、ギョーザ問題の解決がなければ安心して中国の農産物や加工品を食べられないという状況になるんですよ。当然ながら輸入の方がそれに比例していきます。だから、是非ともこの問題を早期に解決するという、両首脳間での確約と、そして中国国内での農産物に対する、加工品に対する食の安全の向上、ここのところをしっかりと両首脳で話し合っていただいて中国で対策を立てていただかないと、日本への輸入すなわち私たちの食料品が不足をする、値上がりをするという現象になってきているわけであります。これが恒久的に続いていいとは思っておりませんから、日中関係の改善のためにも、そして向上のためにもどうしても首脳会談のテーマとして取り上げていただきたいと、こう思っているんです。そこのところをしっかりと明言いただけませんか。
  35. 岩城光英

    内閣官房長官岩城光英君) 本日午後に中国の楊潔チ外交部長が来日する予定であります。それで、この日中外相会談等の機会に、食の安全等の問題も含めまして様々な課題について意見交換することになっておりますが、この場で高村外務大臣の方からこのことについて取りあえず強く申し上げると、こういうふうに私も伺っておりますので、そういったことも踏まえまして今後検討してまいりたいと考えております。
  36. 芝博一

    芝博一君 とにかく、両首脳が世界に向かって、日本国民に向かって、中国国民に向かって、世界に向かってそのことをはっきりと申し上げること、声明を出すといいましょうか、言葉で発することが大事だろうと、国民の不安を払拭するまず最初のスタートだろうと、こう思っておりますから、強く要望をしておきたいと、こう思います。  あわせて、今世界で問題になっておりますチベットの問題、そして聖火リレーの問題、この部分についてお聞きをさせていただきたいと思いますけれども。  日本の長野での聖火リレーが四月の二十六日と、もうあと十日を切ってきました。ところが、世界の聖火リレーをめぐる情勢は混沌としております。これは根源はといいますとやっぱりチベットの人権問題だろうと、こう思っております。それに対する抗議活動と。そこの部分に含めて、端的に今のチベットに対する日本政府見解をお聞かせください。
  37. 岩城光英

    内閣官房長官岩城光英君) チベット問題につきましては、委員が御理解されていますとおり、歴史的に複雑な背景もありまして、従来から中国政府そしてチベット亡命政府との間で異なる立場の主張がなされております。  三月十四日にチベット自治区ラサ市で発生した市民と当局との衝突につきましても、その原因や背景に関して様々な異なる見解が示されております。また、直接的に入手できる情報も依然として限られております。そのため政府として確たる認定を行うことは容易ではありません。三月十四日以降も、青海省やあるいは甘粛省、四川省のチベット族自治州におけるものも含めまして、抗議デモや市民と当局の衝突に関する情報が断続的に出ております。最近は新たな情報は出ておりませんけれども、引き続き関係者間の冷静な対応を求めますとともに、事態の推移を注視しつつ政府として適切に対処してまいる考えであります。
  38. 芝博一

    芝博一君 事は中国国内のこととはいいながら、人権に絡む大きな問題だと、こう思っております。  これまで総理は中国当局にも、透明性の確保、すなわち現地への外交官であったりマスコミの開放である、このことも進めるべきだ、そして双方が話合いをするべきだということを伝えていると、こう言っておりますけれども、いまだに進展といいましょうか、ないのも事実であります。改めて、胡錦濤主席が日本を来日する際に、それまでにこの事態が鎮静化をしていない、そんな状況が見受けられる場合は、改めて日本として日本思いを持って、考えを持って言葉でやっぱり私は声明として伝えるべきだと、こう思っているんです。そこの部分の御予定はおありでしょうか。
  39. 岩城光英

    内閣官房長官岩城光英君) この三月十五日に発生しました直後、情勢を懸念し注視するとともに、関係者の冷静な対応を求め、事態が早期にかつ平和裏に鎮静化することを強く期待する旨の外務報道官談話を出しております。そしてまた、我が国の立場につきましては外交ルートを通じて中国側にしかるべく申し入れますとともに、邦人の安全確保、こういったものを要請してまいりました。福田総理、それから町村長官、また高村外務大臣におきましても、こうした考えを国会や記者会見の場で明らかにしてきておりますし、総理からは胡錦濤国家主席あてに親書を出され、チベットの問題についての考えを改めて今般伝えたところであります。  そこで、先ほども申し上げました本日午後より楊潔チ外交部長が来日いたしますけれども、夕刻には高村外務大臣との間で会談が持たれます。取りあえず、その会談の中で外務大臣の方からこのチベット問題についてしっかりと対応するように強く要請する予定でありますので、御理解いただきたいと思います。
  40. 芝博一

    芝博一君 一日も早い正常化、鎮静化を望むわけでありますけれども、今申し上げましたように、日本の外交として一番弱いのは、正確に、明らかに日本思い考えを伝えない、言わないところが日本外交の唯一の欠点、弱点だろうと、こう思っているわけであります。確かに、今親書を中国当局にお渡しをしたということでありますけれども、いずれにいたしましても、こういう胡錦濤主席が来るまでに、来たときに鎮静化されていない部分については、是非とも日本思い、その思いを総理が国家主席に伝えるべきだと、こう思っておりますし、この中身については、当然ながら情報の公開、すなわち透明性の確保、そして対話が大事でありますから、そこの部分をしっかりと日中の首脳会談の中でのテーマとして位置付けていただきますことをお願いをしておきたいと、こう思います。  そこの部分につきまして、二十六日からの長野の聖火リレーの件についてお尋ねをしたいと思います。  今テレビの映像では世界各地の、ロンドン、パリ等々での聖火リレーで、青い服を着た聖火の軍団が話題になっております。ここの部分は当然チベットの暴動に対する、人権問題に対する抗議活動の一端を鎮圧するための部分だろうと、こう思っておりますけれども、これに対して、去る十一日、国家公安委員長は記者会見で、日本聖火リレーの警備は日本警察がするのが大原則である、今申し上げました白いウエアの軍団、伴走者の身分が分からないのできちっとしないといけない、日本ではこの青いウエアの軍団を歓迎しない、長野県警が責任を持ってやっていく、こういう記者会見、コメントを表明されました。今も考えは同じでしょうか。
  41. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 全く変わっておりません。警備、安全の確保は日本警察が責任を持って担うべきものだと思っております。
  42. 芝博一

    芝博一君 大変心強い御答弁をいただきました。是非、万全を期して警備態勢に当たっていただきたいと、こう思っております。  しかし、この青い軍団、すなわち聖火防衛隊が中国では約三十人要員がいるそうでありまして、世界各地を聖火とともに回って帰国すると発表されておりますし、中国外務省の発表によりますと、中国警察学校の訓練生、研修生のボランティアで構成をしている、このこともコメントされていますけれども、実態は分かりません。実態が分からない中でこの軍団を日本側が受入れをするかしないかというのも判断できないだろうと、こう思っております。当然ながら、中国からのそういう警備隊の部分を、日本国内で公権力を行使してもらっては困るわけでありますけれども、この皆さん方、青いウエアを着た軍団の身元の把握、チェックはされているんでしょうか。警察当局並びにここの部分については法務省になりますか。
  43. 池田克彦

    政府参考人(池田克彦君) 聖火リレーの具体的方法、構成につきましては主催者側において検討されるものでございまして、現在、聖火リレーの際の伴走者の有無、あるいは付ける場合の任務、人数等について、長野県警察において主催者側に確認しているところでございます。  四月十日、十五日に行われました中国外交部の記者会見によりますと、今御指摘のあった人たちはボランティアであって法執行機関の職員ではないということでございますけれども、いずれにいたしましても、どのような者でありましても、我が国において法執行の権限を有するものではありませんので、聖火リレーの警備については日本警察が責任を持って実施したいというふうに考えております。
  44. 芝博一

    芝博一君 そこの部分、まだ身元は確認できていないということでありますけれども、いずれにしても日本国内で、法執行といいましょうか、公権力を発揮してもらっては困るという立場には変わりはないと、こう思います。ところが、これは日本考えであって、中国当局は聖火と一緒にこの防衛隊を付いて回らせると、こういうコメントも出しているわけですよ。  ところで、それじゃ、その部分ではっきり日本が拒否するというなら、警備を日本でやるから拒否をするというなら、事前に中国当局へも伝えなければ成田なり羽田に来たときには混乱を来します。国家間の信頼も損なうでしょう。その辺も含めて、今からしっかりとどう対応するのかという部分については決めなければならないと、こう思っているわけでありますけれども、来てから考えるでは私は事は済まないと、こう思っております。その辺の部分の調整についてはどうなっているんでしょう。
  45. 池田克彦

    政府参考人(池田克彦君) IOC、国際オリンピック委員会のガイドラインによりますと、聖火リレーの警備につきましては地元の警察が責任を負うということとされております。これは国際法上も当然のことでありまして、警察におきましてもそのことは明確に申し上げておりますので、主催者側も認識しているものと承知しております。  一方、先ほども少し申し上げましたけれども聖火リレーの方法等につきましては主催者側において検討されるものでございますけれども、その場合におきましても、例えば聖火の保全に当たる者が法執行に及ぶというようなことは決して認められないということは申し上げております。このことにつきましては関係省庁間での意見のそごはございませんで、また今回の聖火リレーを円滑に実施するために必要な意見交換を現在行っているところでございます。
  46. 芝博一

    芝博一君 お考えは分かりました。  そういう形で、日本での警備は日本が責任を持ってやるという方針だと思っておりますが、改めて確認をさせていただきたいと思いますが、この警備隊が日本へ来る若しくは来たときには入国させないんですね、法務省。そういう考えでよろしいでしょうか。
  47. 二階尚人

    政府参考人(二階尚人君) お答え申し上げます。  御質問の北京オリンピック聖火リレーの伴走者につきましては、入管法に定める上陸条件への適合性を審査した上で上陸を認めるか否かを決定することになりますが、この判断に当たっては伴走者が具体的にどのような活動を行うのかなどの情報が不可欠でございますので、関係省庁と連携を図り対応してまいりたいと考えております。
  48. 芝博一

    芝博一君 事は国家の信頼関係にも及ぶ問題でありますし、日本警察の威信に懸けても私は日本警察はしっかりと警備をしていただいて、長野の聖火リレーをしっかりと完遂をしていただきたいと、こう思いますから、そこのところは是非とも警察当局、外務省そして法務省等々含めて連携を取りながら対応をしていただきたいと希望をしておきます。  それでは、本題の暴対法の問題に移らさせていただきたいと思います。  冒頭申し上げましたように、今回の暴対法の法改正は、平成三年にこの暴力団対策法が制定されてから過去三回改正をされております。当然ながら、改正をされた都度都度、その部分におきましてそれぞれの効果、実効性があったんだろうと、こう思っておりますけれども、その点について過去の総括をしていただけませんでしょうか。公安委員長
  49. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 暴力団対策法は、従来、必ずしもその有効な取締りができていなかったということがございまして、暴力団員による不当な行為を規制の対象とするものでございまして、平成三年の成立以降、御指摘のように三度改正をしてまいりました。  その時々の情勢を把握し、また状況の変化を受けてでございますが、平成五年は暴力団への加入を強要する行為に対する規制の強化ということでございました。平成九年の改正は、指定暴力団員と特別な関係を有する者による準暴力的要求の行為に対する規制を導入するということでございました。これらの不当な行為の防止に一定の効果があったというふうに考えております。十六年の改正は、対立抗争等に伴う指定暴力団員の暴力行為について代表者等に損害賠償責任に関する規定がなされたところでございまして、その後の対立抗争の事件は減少しておる。念のため申し上げますと、平成十六年の改正前四年間を見ますと発生件数が二十六件でございましたが、平成十六年から改正後、今日までのところ十二件に減っておるという、こうした効果が出ておるところでございます。  今後とも、こうした状況を踏まえまして、今回改正をお願いしましたことを実現をさせていただき、暴力団対策に全力を挙げていきたいと思っておるところでございます。
  50. 芝博一

    芝博一君 岩城官房副長官、どうぞ御退席いただいて結構でございます。
  51. 岡田広

    委員長岡田広君) 岩城内閣官房長官は御退席いただいて結構です。
  52. 芝博一

    芝博一君 今、それぞれの改正ごとにこの効果といいましょうか実効性の総括をいただきましたけれども、今回もそれなりの目的を持って法改正をいただけると考えております。  ところが、一点私が気になっていますのは、平成九年に暴対法が改正されたこのポイントの中に、実は、指定暴力団の構成員のみならず、それまで余り対象にされていなかった準構成員、予備軍ですね、これを法の網に掛けると、こういう形になりました。ところが、法の網を掛けてから以降、残念ながら、平成十七年には構成員よりも準構成員の方が増えてきているんですよ。ここの部分についての評価と現状について総括いただけませんか。
  53. 宮本和夫

    政府参考人(宮本和夫君) 平成九年の暴力団対策法の改正によりまして規制されましたのは、指定暴力団員ではないけれども指定暴力団員と特別な関係を有する者が行う準暴力的要求行為という形でございまして、準暴力的要求行為が規制の対象とされたというものでございます。これはもちろん準構成員の平素の行動パターンと重なり合う部分もございますけれども、その範囲と必ずしも一致するというものではないわけでございます。  しかしながら、こうした準暴力的要求行為に対する規制の導入によりまして、指定暴力団員が準構成員でありますとかそういった指定暴力団員以外の者を利用して行う資金獲得活動、これをこれまで以上に効果的に取り締まることが可能となったものと考えておりまして、その面では、指定暴力団の威力の抑え込みということに効果を上げておるというふうに考えております。  ところで、準構成員の数でございますが、平成九年三万五千四百人、昨年が四万三千三百人と、この十年間で約七千九百人増加をいたしております。  その準構成員の実態というのは様々でございまして、こうした増加の背景、要因もまたそれに応じて様々なものがあると考えております。基本的には、暴力団対策法でありますとか、その後、各種の暴力団排除活動の進展、社会から暴力団排除機運が高まり、こういったことの結果、構成員として資金獲得活動を行うことが困難化してきていると、こういったことが大きな理由ではないかと。  具体的には、こうしたことの結果、特定の組織と一定の関係を保ちながらも組織から離れて活動する者でありますとか、離脱はしたというものの不特定の暴力団と関係を持った上で生活をしているという者が多数いること、また、一般企業を装った暴力団関係企業でありますとか、あるいは社会運動などを標榜して活動する者たち、こういったものの傾向は相変わらず続いていると、こういったものが主なものであるというふうに考えております。
  54. 芝博一

    芝博一君 いずれにいたしましても、今言いましたように、準構成員に網を掛けても増えているという現象も含めながら、その中には、構成員がある意味ではノルマが大変、やくざ社会といいましょうか、暴力団社会では増えてきている、割に合わない、だから構成員にならずに準構成員にとどまっているというようなことも聞いたりしますけれども、いずれにしても、構成員、準構成員とも、社会にひそかに侵入している、浸透してきている、それも、ごく普通の格好をして、昔のやくざ風の格好じゃなしにごく普通の格好をして、ビジネススーツを着て町を歩いているわけでありますから私たちは大変困るわけでありますけれども、そこの部分も含めて捜査が大変難しくなってきているんだろうと、こう思います。  それで、今までの暴対法とこれから改正する暴対法だけでは今後はなかなか法の網を掛けられなくなってきているんじゃないかという危惧をしているわけですよ。  例えば、暴対法の取締りには三つの柱があると、こう言われて、私も聞いております。人、物、金、すなわち、人は何回でも反復して集中して検挙する、それから、金は当然ながら資金源ですよ、そして、物はけん銃であったり銃刀法等の部分でありますけれども、ここの摘発を徹底してやることによって対策になるんだと、こういうことであります。  そのためには情報収集が欠かせないだろうと、こう思いますが、その情報収集がなかなかうまくいっていない、このことも漏れ聞いたりする時代でもございます。  そこで、暴対法の網の部分のみにかかわらず、一般的には、いろんな内部情報を収集する、そのことを含めながらそろそろ新たな発想、すなわち捜査手法であったり司法の手続等について新たな視点から検討していく、こんな時期にも来ているんじゃないかと、こう思っておりますけれども、その辺の考えについて国家公安委員長のお考えがございましたらお聞かせください。
  55. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 委員御指摘のように、大変暴力団の活動の姿が変わってきておる、潜在化するというようなこと、あるいは先ほど部長から御答弁申し上げましたように、いわゆる構成員ではない形で広がりがある部分に見られると、こうした状況がございまして、活動の実態、組織の実態が不透明化している、そして資金獲得活動が多様化して巧妙化している、こういう中で情報収集活動をしていくということが大変難しい時期になっておることは御指摘のとおりでございます。  特に、かつての捜査費等の使用についても厳しい枠の中で行わなければならないと、これは当然のことでありますけれども、そうしたことが一つの現場の警察官にとって情報収集がやや能力が落ちておるのかもしれません。  しかし、警察といたしましては、今申し上げました状況の中であらゆる警察活動を通じて暴力団の実態解明に努力しなけりゃならないということは当然でございまして、組織犯罪情報の集約化あるいは分析を一層強化する。取締り手法につきましても、通信傍受の一層の活用を図る。これは大変厳しい枠がはめられておりますけれども、今日の状況からしますと、もう少し通信傍受の活用の余地を広げていいのではないか、こういうことも考え、そしてさらに、これまでの手法を更に創意工夫をすることによりまして高度化を図っていくという方向で取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。
  56. 芝博一

    芝博一君 いずれにいたしましても、暴力を一掃するという目標の部分において、いろんな形で暴対法の徹底、これは当然でありますけれども、いろんな角度から今後考えていただきながら社会の安定のために頑張っていただく、これが本意でございますのでお聞きをさせていただきました。  その中で、具体的に今回の法律の中で、損害賠償請求等の妨害の規制が整備されました。その中でありますけれども改正案においては、不法行為による損害賠償請求等と組事務所の明渡し等に限定しているんですね。これはなぜなんでしょう。趣旨をお尋ねをさせていただきたいと思います。
  57. 泉信也

    国務大臣泉信也君) この二つが暴力団を壊滅に向けて進めていく上に非常に大きな影響があるということに一言で言うならば尽きるわけでございますが、損害賠償等の請求につきましては、指定暴力団に経済的なダメージを与える、組織の存続にも影響するという極めてその大きな要素である、このように考えておりまして、最終的には、指定暴力団そのものの存在が否定される、威力のそのものが否定されるということになると考えておるからであります。  また、事務所の使用差止め等の請求につきましても、活動の拠点として今暴力団が使っておるわけでございますが、この拠点を失わしめるということになるわけでありまして、指定暴力団の活動に深刻な影響を与える、こう考えておるわけであります。  指定暴力団員により妨害が行われるおそれが高く、また現に妨害されている実態もあることでございますので、これらの類型を今回請求妨害の規制対象として特に二つ取り上げさせていただいたところでございます。
  58. 芝博一

    芝博一君 確かに、不法行為であるとか組事務所等の部分は顕著な事例だと思っていますが、より私たち国民に身近なのは民事訴訟にかかわる分野なんですよ。これに対しての、一般的に言われるお礼参り、ここの部分に対する部分がまるっきり今回の中には入っておりません。  そこで、日本弁護士連合会も、その意見書の中で、民事訴訟の手続に対する暴力団員のお礼参りを禁止する施策についても取り組むべきだ、考えるべきだと、こういう意見書を出しているわけでありますけれども、この部分についてのお考えがございましたらお聞かせください。
  59. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 日本弁護士会から御指摘のような御意見をちょうだいをいたしております。  この問題については、基本的にはこれからの検討課題だというふうに思っておりますが、いわゆる指定暴力団員に対する損害賠償等の請求や、先ほど申し上げました事務所の使用差止めの請求以外の事案につきまして、請求につきましては、組織的に妨害されているとまでは言えないんではないかというようなことから、先ほど御説明いたしました規制の対象として今回はいたしておりません。  しかし、規制の対象とはしていない請求につきましても、暴力団員のお礼参り等のおそれがあれば、保護対策を講ずるなど適切に対処していくよう警察として取り組んでまいりたい、このように考えておるところでございます。
  60. 芝博一

    芝博一君 民事訴訟については警察権力の行使で対応していきたいと、こういうことだと思いますけれども、いずれにいたしましても、国民が直接的な部分にいるのは、今言ったこの民事訴訟等と一般的な部分での暴力団等からの嫌がらせ、お礼参り等々でございますから、そこの部分の法の整備についても引き続き御検討いただきたいと思います。  その中で、一般的に見られる事例として暴力団の事務所の問題であります。今法整備と、これまでも取り組んでいただきましたように暴力団の事務所の撤去が進められている。このことはよくテレビや新聞でも見るわけでありますけれども、いろいろな問題を克服した上で撤去したけれども、暴力団は事務所をやっぱりどこかに置かなくちゃなりませんから、次の新たな物件を探していく、またそこで新たな問題を生む、こういうことになってイタチごっこが繰り返されているわけであります。  撤去に関する部分はある意味では法整備がされてきましたけれども、入居に対する部分とか移転に対する部分については、どちらかというと余り対応が取られておりませんけれども、この辺の取組はどうされるんでしょうか。
  61. 宮本和夫

    政府参考人(宮本和夫君) 暴力団事務所、これが付近にございますその地域住民の方々は大変な迷惑を受け、悩まされているということで、明渡し請求でありますとか使用差止め請求を行われております。  警察といたしましてもこういった事務所撤去の支援を全面的に行っているところでありますけれども、一方で、賃貸住宅を扱う不動産会社、こういったものが、その契約の中で、暴力団事務所としての使用を排除する条項、こういったものを設ける動きも一方で広がっておるところでございますし、警察としてもこういった動きを積極的に推進をいたしておるところでございます。  こうした結果、暴力団が例えば他人の名義で賃借権を不正に取得する、又は一般に居住するというような形で契約を結んでおいて実際は事務所で使う、こういった場合、こういった事実をとらえまして犯罪として検挙した事例もございます。  このように、不動産賃貸住宅、こういったところからの暴力団の排除と併せて進めてまいりたいというふうに考えております。
  62. 芝博一

    芝博一君 より一層厳格な取締りをお願いしたいと思います。  その中で、暴力団の代表者、すなわち組長とか代表、総長とか、そういう方たちに関する損害賠償責任が強化をされると、こうなりました。  その中で、威力利用資金獲得行為、ここの部分については条例の中で難しく説明をされているわけでありますけれども、具体的に世間一般的に言うとどういう行為を指すんですか。よく一般的にはみかじめ料を取るんだと、こういう話は聞くわけでありますけれども、その辺について具体的にちょっと簡単に御説明ください。
  63. 宮本和夫

    政府参考人(宮本和夫君) 威力利用資金獲得行為でございますが、指定暴力団員がその所属する指定暴力団の威力を利用して資金を得、又は資金を得るために必要な地位を得ると、こういった行為考えておりまして、典型的に申しますと、その相手方に指定暴力団の威力を示して行う恐喝行為でありますとか、今御指摘のありましたみかじめ料の要求でありますとか、用心棒代の要求といった暴力的要求行為、こういったものが該当するというふうに考えております。
  64. 芝博一

    芝博一君 ここの部分で損害賠償責任が追及されるわけでありますけれども、その代表者は、それを請求するのはいわゆる被害者であります。その被害者が請求をするために立証しなければならない項目というのは、どういうことが簡単に挙げられるんでしょう。
  65. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 被害者が立証しなければならないことを一つ二つ例示的に挙げますと、指定暴力団の暴力団員によってその不法行為が行われたということが一つ。それからまた、当該不法行為が威力利用資金獲得行為を行うにつき行われたもの、この資金獲得行為をすることに伴って行われたものであること。さらに、当該損害が不法行為により生じたものである、一般の方々がその不法行為によって損害が生じたものである。こういうことを被害者の方には立証していただく必要があると考えております。
  66. 芝博一

    芝博一君 今説明をいただいても、被害者は非常に分かりにくいんです。被害者を守るための法律なんですが、被害者は分かりにくい、手続がしにくいというのがここの盲点なんですよ。  いいですか。そうすると、例えばこの中で、立証するためには相手が指定暴力団員であることを証明しなさいと、こうなっているんですよ。一般の方は分かりません、例えばこの方が指定暴力団か、この方は違うかということは。この立証の部分って、言葉だけは単純なんですけど、世間的には難しいんです。一々立証の皆さん方警察が問い合わせに行って、答えているか、そこの部分を十分に連携をしないと立証ができなくなる。  今言ったように、威力利用資金獲得行為、ここの部分の範疇についても一般の方は分かりません。被害部分は分かるでしょう、身体とか生命とか金額ですから。それは私たち国民は分かりますよ。ここのところは非常に私は分かりにくい法律になっているのが欠点だと、こう思っております。それを請求しようと思うと、申立書を相手の組事務所に持っていくわけにいきません。民事になるんですよ、民事に。優秀な弁護士にお願いしなくてはなりません。ところが、弁護士にお願いすれば、高いか安いかは別として弁護士費用が掛かるわけですよ。時間が掛かります、裁判になりますから。そうすると、日数が掛かるんですよ、日にちが掛かる。  目的はいいんですけれども、大事なのは、被害者を守るという観点からいくと、そこの部分が非常にフォローされていない。ここの部分を今後、いろんな省令とか、部分を含めながら、どうフォローしていくか、そしてどう国民に周知していくか、ここの部分についてしっかりとお答えください。
  67. 宮本和夫

    政府参考人(宮本和夫君) まず、指定暴力団員かどうかということでございますけれども、通常、先ほど申し上げましたように、恐喝事案でありますとか暴力的要求行為でありますとか、いわゆる暴力団がその威力を示して行う不当な行為でございますので、通常でありますと、当然被害者の方はこれが暴力団だからということで怖い。通常の場合は、大抵、組の名前を出して脅かしたりしますし、これが恐喝ということになれば当然警察として検挙いたしますので、そういう形で事案としては明らかになると。  また、一般的にそういう被害を受けられた場合に、警察としては積極的に被害相談に応じておりまして、そうした民事的な被害を受けられた方、その民事回復のためのいろいろな相談、バックアップ、支援、こうしたことも行っております。こういったことを通じて積極的に被害者の方々を支援をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  68. 芝博一

    芝博一君 いや、今の説明でも私はよく分からない。ということは、国民は分からない。  今言ったように、確かに摘発をされる、事件としてやられる、検挙されるわけでありますから警察は分かるんですけれども、要は、この法律の大事なことは、損害が与えられた、損害を被った人が請求をすることによって、組の代表者を罰して、罰するというか、請求をして、組の存続を立ち行かなくなるようにさせるのが目的でありますけれども法律は整備されているんですけれども、運用されなかったら効果ができないんですよ。  ここの部分をもっともっと私は研究して徹底して周知する義務があると、こう思うんです。ここの部分をいろんな形で広報をしていただきたい。広報をされることによって暴力団もある意味では警戒をして行為に及ばなくなると、こう思っておりますから、ここの部分は本当に周知をしてもらうこと、ここの部分はより徹底してもらうことの決意表明をいただいて、質問を終わりたいと思いますが、公安委員長、どうぞ。
  69. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 御指摘の分野が非常に重要であるということは私も認識をいたしております。被害者の方が思い切って被害状況等を明らかにして、暴力団のトップにその損害賠償を求めるという行為に出ていただくためには、まず今回、法律改正で国の責務としても書き加えさせていただいております。何条だったか、広報等をしっかりやれということを書かせていただいております。三十二条の第一項でございます。ここに書かせていただいております。そのことは周知徹底するように努力をいたしますし、先ほど少し申し上げましたが、万全を期すと、被害者の方々の支援に万全を期すことが極めて重要であるという認識の下で、これから暴力追放運動推進センターの皆さん方あるいは弁護士会の皆さん方、そうした方々と連携を取りながらしっかりやってまいりたいと思います。
  70. 芝博一

    芝博一君 それでは、期待いたしまして、終了させていただきます。  ありがとうございました。
  71. 松村龍二

    ○松村龍二君 自民党の松村でございます。  暴力団員による不当な行為防止等に関する法律案について質問をいたします。  今、芝委員から質問があったわけでございまして、多分に重なるような質問もあろうかと思いますが、よろしくお願いします。  暴力団対策法は、平成三年に成立、翌四年から施行されておりまして、昨年で十五年が経過したところであります。同法の成立により、暴力団は反社会的集団として法律上明確に位置付けられるとともに、それまで必ずしも有効な取締りができなかった暴力団員による不当な行為に規制の網をかぶせることができたところであります。このように同法の成立、施行により一定の成果が得られているものと考えますが、暴力団対策法の意義及びこれまでの運用の成果を大臣はどのように評価しているか、お伺いします。
  72. 宮本和夫

    政府参考人(宮本和夫君) 暴力団対策法につきましては、暴力団を明確に反社会的集団として法的に位置付けるものでございまして、その成立を契機といたしまして、暴力排除の気運が高まり、暴力団が社会的に孤立する傾向が強まったものというふうに認識をいたしております。  また、従来有効な取締りができなかった暴力団員による不当な行為を規制の対象とするものでございまして、一部の暴力団が資金に窮するなど、暴力団の資金獲得活動は一定程度困難になってきているということがうかがわれます。また、暴力団構成員の数は減少傾向にあると認められます。  さらに、平成十六年の同法の改正によりまして、対立抗争等に伴う指定暴力団員の暴力行為についての代表者等の損害賠償に関する規定が整備されたところでございまして、その後の対立抗争事件の減少というその抑止に結び付いているものと考えております。  今後とも、暴力団の弱体化、壊滅ということを最終的な目標といたしまして、暴力団犯罪の取締り及び暴力団排除活動の推進と併せまして、今回、改正で新設される規定も含めた暴力団対策法の効果的な運用に努めてまいりたいと考えております。
  73. 松村龍二

    ○松村龍二君 次、大臣にお伺いいたしますが、我が国におきましては暴力団の存在は言わば必要悪として許容する社会風土が払拭されていないところでございます。昔から森の石松、清水次郎長等が講談でもてはやされたり、戦後も東映のやくざ映画、あるいは女やくざ親分が主演となるような映画等がもてはやされるといったようなことを見てもそういうようなことが言えるんではないかなというふうに思います。  そこで、このような風土を払拭するためにも、暴力団の結成自体、暴力団が犯罪集団であるならば、その犯罪集団である暴力団そのものを存在さしてはいかぬということで、暴力団の結成自体を禁止すべきではないかというような指摘もする人もあるわけでございますが、大臣の見解をお伺いします。
  74. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 暴力団対策法は、委員御承知のように、団員による暴力団の威力を利用した反社会的活動に効果的に着目をする、対処するために個々の行為をとらえて規制を行う、こうした考え方に立っておるわけであります。もとより暴力団の存在を容認するというものではございませんし、団体の結成そのものを禁止したらどうかということを今委員御指摘があったわけでございます。  確かにドイツとかフランスというようなところにそれに類するような法律があることは承知をいたしておりますが、今の我が国の状況からしますと、憲法に保障します結社の自由との関係、あるいは我が国の刑罰法規の体系との整合性、規制の実効性等の観点から更に十分な検討が必要である、このように考えておるところでございます。
  75. 松村龍二

    ○松村龍二君 現在の社会の状況、あるいは警察もこれだけ長い間暴力団を取り締まってきた状況からしますと、今大臣のお答えのような考え方が常識かなというふうにも思うわけですけれども、一面そのような指摘もされるわけでございますので、絶えずそれのことを念頭に置いて今後とも対応していただきたいというふうに思います。  それでは、個々の部分に入っていくわけですが、法改正の背景、暴力団犯罪の現状についてお伺いするわけですが、昨年十一月、佐賀県内の病院において暴力団員が入院中の男性を対立抗争中の暴力団の関係者と誤認して射殺するという事件発生いたしました。また、このほかにも暴力団員による長崎市長に対するけん銃使用殺人事件、町田市等におけるけん銃使用立てこもり事件などが続発いたしております。  そこで、対立抗争事件及び暴力団に係る銃器使用犯罪の発生状況をお伺いします。
  76. 宮本和夫

    政府参考人(宮本和夫君) 対立抗争事件発生につきましては、組長に対する使用者責任の追及といった対策の効果もあってと思いますが、近年、低水準で推移しております。昨年は三件、山口組と住吉会、東京で、山口組と住吉会、やはり宮城県で、道仁会と九州誠道会の、これは福岡県などで、三件の対立抗争が発生をして、さらに、本年に入ってからも山口組と住吉会の間で一件の対立抗争が発生していると、こういう状況でございます。  また、昨年は、ただいま申し上げました対立抗争におけるけん銃使用事件といったものに加えまして、御指摘の山口組傘下幹部組織による長崎市長に対するけん銃使用殺人事件でありますとか、極東会傘下組織組員によるけん銃使用立てこもり事件などが発生をいたしまして、暴力団によると見られる銃器発砲事件発生件数が四十二件と、前年同期の三十六件に比べまして六件増加をいたしております。  対立抗争や銃器等を使用した凶悪犯罪につきましては、市民生活の平穏に対する重大な脅威でありまして、警察といたしましては、暴力団が関与する銃器事犯の摘発を徹底いたしますとともに、対立抗争事案等が発生した場合、被疑者の早期検挙はもとよりでありまして、暴力団対策法に基づく事務所使用制限命令等の積極的な活用、また効果的な警戒活動の実施によりまして抗争の拡大防止及び地域住民の安全確保を図っているところであります。
  77. 松村龍二

    ○松村龍二君 他方、そのような凶悪事件を引き起こす背景には暴力団による資金獲得活動があると考えます。対立抗争事件も、その背景に資金獲得をめぐってのトラブルがあることが多いというふうに聞くわけでございます。地元におきましても、昨年五月、地元農政局発注に係る用水路工事絡みの談合で不正に利益を図ったとして暴力団関係者が検挙されたとの報道もあったところでございます。  そこで、暴力団の資金獲得犯罪の検挙状況をお伺いします。
  78. 宮本和夫

    政府参考人(宮本和夫君) まず暴力団の伝統的な資金獲得犯罪ということで、覚せい剤取締法違反、恐喝、賭博及びのみ行為、これらに係ります昨年の暴力団構成員等の検挙人員を申し上げますが、これら伝統的な資金源犯罪の検挙人員、昨年は九千二百七十五人でございます。暴力団構成員等の総検挙人員の三四・一%を占めております。この割合、近年減少傾向にあるとはいいながら現在でも三割を超えているという、この意味で伝統的な資金獲得犯罪が依然として暴力団の有力な資金源となっている様子がうかがえるところであります。  一方、暴力団は、実質的に暴力団自らが経営に関与している暴力団関係企業、こういったものを通じるなどいたしまして各種の事業活動に進出をいたしておりまして、暴力団の威力を背景としつつも一般の経済取引を装って様々な犯罪を引き起こしているところでございます。例えば、昨年中の暴力団構成員等の貸金業法違反に係る検挙人員は百二十五人、出資法違反に係る検挙人員は百十五人、廃棄物処理法違反に係る検挙人員は百九十二人と、こういった状況となっております。  警察といたしましては、引き続き暴力団によるこれら資金獲得活動に打撃を与えるため、これら違法な資金獲得活動の取締りを徹底をしてまいりたいと、こう考えております。
  79. 松村龍二

    ○松村龍二君 暴力団の収入及び資金源の実態をどのように把握しているのか。ただいま御説明がある程度ありましたが、暴力団は、伝統的に恐喝、薬物犯罪などを資金源としていると言われますが、建設業等、一般の事業活動に進出しての資金獲得活動を活発させているのかどうか、お伺いします。
  80. 宮本和夫

    政府参考人(宮本和夫君) 暴力団は、先ほど御答弁申し上げました伝統的な資金獲得活動、こうしたものに加えまして、その経営に関与している暴力団関係企業を通じるなどして建設業に進出したり、暴力団の威力を用いて公共工事の談合を差配したり、又は公共工事を受注をしたり、同業者を脅かして下請参入を強要するなどの公共工事を資金源としているという一面がございます。また、このほかにも、先ほど検挙人員申し上げました金融業でありますとか産業廃棄物処理業等、各種の事業活動にも進出をし、こうして暴力団の威力を背景としつつ一般の経済取引を装って様々な犯罪を引き起こしているところでございます。また、特に最近の暴力団、景気が回復基調と、こういったことに乗じて、いわゆるバブル経済期によく見られたような不動産取引、証券取引、これの利用による犯罪を敢行している状況も見受けられるところでございます。  こうしたように、暴力団は、その時々の社会経済情勢の変化に対応いたしまして、多額の資金を獲得できると、そういった場所を巧みに探り当てながら資金獲得活動を行っていると、こういう実態がうかがえるところであります。
  81. 松村龍二

    ○松村龍二君 ただいま説明のありました暴力団犯罪をめぐる情勢を踏まえまして、具体的な暴力団対策についてお尋ねいたします。  まず、対立抗争事件につきましてお伺いしますが、対立抗争を抑止するための警察の取組状況をお伺いします。
  82. 宮本和夫

    政府参考人(宮本和夫君) 暴力団の対立抗争につきましては、国民に不安を与える極めて悪質な犯罪であります。  警察では、対立抗争事件発生した際に、早期における被疑者の徹底検挙また暴力団対策法に基づく事務所使用制限命令の発出、こういったことを実施をいたしまして対立抗争の防圧を図っているところであります。また、平成十六年には、指定暴力団の代表者等が、対立抗争に伴う不法行為につきまして無過失損害賠償責任を負うこととするための暴力団対策法の改正を行ったところでございます。また、いわゆる藤武訴訟と言われております被害者等による民事責任追及がございますが、こういった民事責任追及の支援を実施をしているところでございます。  こういった施策が対立抗争の抑止に効果を上げているものと考えております。
  83. 松村龍二

    ○松村龍二君 対立抗争等におきまして、いわゆるヒットマンと言われる暴力団員が長期服役のリスクを冒してまで殺人等の犯罪を敢行するにはそれなりの理由があると考えられますが、御説明をいただきたいと思います。
  84. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 委員御指摘のように、長期服役のリスクを冒してまで殺人等の犯罪を行うということにはやはりそれなりの背景があるという認識でございます。  殺人等の罪を犯して服役をした構成員が出所した場合に多額の功労金を出す、あるいは出所祝いというようなことをやる、こうしたことが慣行になっているようでございまして、警察としては、指定暴力団員がこのような服役の賞揚あるいは慰労行為により与えられる経済的な利益を期待しておる、そのことが暴力をあえて長期の服役もいとわずに行うということにつながっておるという考え方を持っておるところでございます。  そこで、今回の法改正においては、このような賞揚・慰労行為を抑制する、規制することによって暴力団員による暴力行為、これからの暴力行為を抑止できるのではないかということでお願いをしておるところでございます。
  85. 松村龍二

    ○松村龍二君 具体的にどのような賞揚・慰労行為の事例を把握しているのか、お伺いいたします。  こういった暴力団特有の慣行について具体的に掌握することが可能なのかどうか、またこうした賞揚・慰労行為を規制することによりどのような効果が得られるというふうにお考えでしょうか。
  86. 宮本和夫

    政府参考人(宮本和夫君) 暴力団の行います賞揚・慰労行為がどういう形で行われているかということでございますけれども、対立抗争などで殺人などの罪を犯す、服役をすると、こうした構成員が出所をいたした場合にしばしば多額の功労金を出したり、それから検挙前の地位と比べその組の中で格段に高い地位を与えて迎え入れるとか、いわゆる彼らの縄張を与えるとか、また放免祝いなどと申しまして、これは各地からいわゆる暴力団の幹部を集めて盛大な祝い事を開催すると、こういった賞揚・慰労行為、こういう行為をしている例を把握をしているところでございます。  こうした賞揚・慰労行為には、他の指定暴力団員に将来の対立抗争で同様の働きをすることを奨励をする、賞揚、慰労でございますので、そういった行為を行うことによってほかの暴力団員も自分も今度機会があればと、そういうような働きを奨励するという意味でございますが、こういったような意味合いがございます。  今回の改正案が成立をいたしました場合、その施行後におきましても恐らくこういう賞揚・慰労目的でなされる行為でございますので、彼らの世界では周知されるような形態で行われるであろうと、そういう行為でございますので、こうした情報警察が把握するといったことは十分可能であるというふうに考えております。  いずれにいたしましても、これらの事案を把握をし、禁止命令を出した後で賞揚、慰労が行われたと、こういうような情報を把握をすれば、これは命令違反ということで罰則が掛かります、犯罪の捜査が行うことになりますので、適切に捜査を行い、厳正に対処をしてまいりたいということで考えております。  また、こうした行為を規制することによりましてどのような効果が得られるかという御質問でございますけれども、賞揚・慰労行為を規制することによりまして、将来、対立抗争などにおきまして自ら自発的に暴力行為を行おうと思う者が減るということが当然期待ができるわけでございまして、暴力行為を行わせること等によって組織の維持拡大を図る、対立抗争などでいわゆるヒットマンなどを出す、これはもう組織の維持拡大のためでございますが、そういうことを図っている指定暴力団の構造に打撃を加えることができるものと考えております。  警察といたしましては、こうした効果が最大限に発揮されるよう、賞揚、慰労のおそれがある事案につきましては確実に命令を発出いたしまして、命令違反があった場合には厳正に対処してまいりたいと考えております。
  87. 松村龍二

    ○松村龍二君 次に、資金源対策についてお伺いするわけですが、指定暴力団は資金獲得を目的とした団体であると認識しております。したがって、暴力団対策においてはいわゆる資金源対策、すなわち暴力団の資金源を封じるための対策が特に必要であると、重要であろうと思われます。この点については、暴力団側も常に新たな資金源を求めて策を巡らしているので、様々な対策を地道に積み重ねることが大切であると思います。  暴力団の資金獲得活動を封じ込めるための警察の取組状況をお伺いいたします。
  88. 宮本和夫

    政府参考人(宮本和夫君) 暴力団対策といたしまして、従来から資金源対策、極めて重要な位置付けをいたしております。また、それと併せまして、当然その資金獲得を行う暴力団員、その人間を検挙をして資金獲得活動を起こさせないような状態にする、刑務所に入れるということも重要なんでございますけれども、最近の暴力団の資金獲得活動の多様化ということを前提といたしますと、こういった人員をとにかく検挙をするというのみでは不十分でございまして、やはり直接その資金源に打撃を与えるということがますます重要になってきておるというふうに認識をいたしております。  警察といたしましては、こうした認識から、この暴力団の資金獲得活動を封じ込めるためにこうした資金獲得活動に絡む犯罪の取締りと、これはもちろんでございますけれども、組織的犯罪処罰法の適用、特に組織的犯罪処罰法を効果的に活用しての、彼らが犯罪により得た犯罪収益の没収なり追徴なりという形での資金の剥奪、また税務当局に対する課税通報をいたしまして資金を剥奪をすると、こういったことを行っております。  また、更に加えまして、暴力的要求行為に対する暴力団対策法に基づく中止命令、また再発防止命令の発出、それと併せまして、いわゆる暴力団排除条項による各種事業からの暴力団の排除、いわゆるいろいろな事業活動から暴力団は資金を得ております。事業者の方々にいろいろと働きかけ、暴力団排除活動などを活用していただきまして暴力団の活躍する場を奪っていくと、こういったような施策を強力に推進をしているところでございます。
  89. 松村龍二

    ○松村龍二君 資金源を封じるためには暴力団が獲得した資金を取り上げること、とりわけ組織を構えていることを根拠に暴力団幹部の責任を問い、暴力団組織を維持していることがマイナスになるようにすることが重要だと考えます。  これまでも、暴力団員の不法行為による被害回復のため、代表者や傘下組織の組長の損害賠償責任を追及する努力がなされてきたものと承知しておりますが、このような訴訟の提起の状況についてお伺いいたします。
  90. 宮本和夫

    政府参考人(宮本和夫君) 暴力団員が犯した不法行為、特に末端の組員などが犯した不法行為につきまして、その暴力団の代表者でありますとか傘下組織の組長、幹部クラス、これに対して損害賠償責任を追及すると、こういった訴訟、最近頻繁に行われるようになってきておりまして、警察庁で把握をしている限りにおきましては二十件提起をしております。  こうした中で、使用者責任が認められた事例、そうした末端の組員が行った不法行為を上の者に責任を追及するということで、民法の使用者責任とか又は共同して行ったということで共同不法行為責任、こういったことで訴訟が提起されておるわけでございますけれども、使用者責任又は共同不法行為責任、これが認められたものが十件、訴訟の途中で和解が成立をしたというものが六件、係争中のものが四件ということでございます。  また、こうした訴訟のうち、指定暴力団の代表者等の損害賠償を追及する訴訟、指定暴力団のトップでございますが、これに対する損害賠償責任を追及する訴訟は八件提起をされております。使用者責任を認容したものが一件、共同不法行為責任を認容したものが二件、和解が成立したものが二件、係争中のものが三件というふうになっております。  暴力団の代表者、また傘下の組長の民事責任を追及する仕組みは、被害者の受けた被害回復、末端の被害者では資力がございませんし、なかなか訴訟も起こしづらいということで被害者の受けたそうした被害回復に非常に資するというふうに考えておりますが、またその一方で、末端の組員が集めた資金がトップの方に流れていくということでございます。暴力団から資金を剥奪して経済的打撃を加えると、そういう意味で非常に有効であるというふうに考えております。  警察といたしましては、弁護士会、また暴力追放運動推進センター、こういった機関と連携をいたしましてこうした訴訟を積極的に支援をしているところでございます。
  91. 松村龍二

    ○松村龍二君 一方、これらの訴訟において被害者の方はどのような御苦労をされているのか、お伺いします。
  92. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 不法行為を行った暴力団の代表者あるいは傘下の組織の組長の損害賠償責任を追及するためには、現在では民法の使用者責任七百十五条の規定によることとなるわけでありますが、この場合には、被害者側においていわゆる事業性、使用者性及び事業執行性、ちょっと難しいことでございますが、こうした事柄を主張、立証しなければならないわけであります。  しかし、そのためには被害者側において、不法行為を行った暴力団員の所属する暴力団内部の組織形態、意思決定過程、代表者や傘下組織の組長による内部統制の状況、上納金の徴収システム、こうした事柄を具体的に解明、立証しなければならないということになるわけであります。こうしたことは一般の方々にとっては大変難しいことでございまして、例えば法人や法令に基づく許認可等を受けた事業を行うものとは暴力団は異なっておりまして、その事業の範囲や定款、法令において明確化されていないという状況でございます。  また、暴力団は最近組織の内部を隠す、運営事項等を隠していくという方向に走っておりまして、これらの点を具体的に解明、立証するということは警察の支援が不可欠である、警察の現法体系の中ではなかなか難しい、警察自身もなかなか難しい点がある、こういうことでございまして、被害者の方に大きな負担をお掛けしておるというのが実態でございます。
  93. 松村龍二

    ○松村龍二君 今回の法案では、威力利用資金獲得行為、先ほど芝先生の質問でるる御説明があったわけでございますが、私もちょっと分かりにくいものを感ずるわけでございますが、この威力利用資金獲得行為についての損害賠償責任を暴力団の代表者等に負わせようとしているが、威力利用資金獲得行為とは何なのか、威力利用資金獲得行為に関連してどのような被害発生しているのか、お伺いします。
  94. 宮本和夫

    政府参考人(宮本和夫君) 威力利用資金獲得行為でございますけれども、指定暴力団員がその所属する指定暴力団員の威力を利用して資金を得、又は資金を得るために必要な地位を得る行為ということをいっております。  具体的には、典型的な例といたしましては、相手方に暴力団の威力を示して行う恐喝行為というものが考えられます。また、彼らの有力な資金源となっておりますみかじめ料要求とか用心棒要求とか、暴対法で規制の対象としております暴力的要求行為、こういったものが典型的な事例として該当するものでございます。  そこで、こうしたものの実態でございます。平成十九年中に恐喝により検挙された暴力団構成員等の人数を言いますと、これ二千百七十五人に上っております。これは統計上の数字でございますので、指定暴力団の威力を利用したものすべてを含むというわけではございませんが、彼らの典型的な事例である恐喝行為では二千百七十五人検挙をいたしております。  また、指定暴力団員の暴力的要求行為に係る中止命令の件数、これも千六百四件に上っておるところでございまして、そしてこの威力利用資金獲得行為に関連して深刻な被害発生していると、こういう状況がうかがわれるところでございます。  また、この被害でございますが、これも具体的な事案で様々でございます。先ほど申し上げましたみかじめ料といったもの、これ、みかじめ料だけでも様々なんですけれども、全体としては個々の被害というのは比較的少額、例えば一定の、盛り場などで営業を営む人から比較的少額ずつ集めて、多数集めれば全部になりますが、一つ一つの金額は少額といったものもございますけれども、また店によっては極めて高額な料金を取るものもある。またさらに、そうした必ずしもみかじめ料でなくても威力を利用した形で過去、数千万円から数億円単位の金品などを恐喝をしたと、こうした事案も把握をいたしておりますし、また、今回の事案の対象になりますのは、そうした資金獲得活動を行うについて与えた損害ということでございます。そういった、例えばみかじめ料の支払要求などをする際にこれに応じない業者に傷害を与えたりとか、又はその店舗を破壊をしたりする、こういったような事案、こういった深刻な事態が生じております。  今回の改正案につきましては、民法の使用者責任の規定による場合と比べまして、こうした今申し上げたような被害に遭われた方が、代表者等の損害賠償責任を追及するに当たりまして、訴訟上の負担が相当程度軽減され、被害回復の促進が図られるものと考えております。  加えまして、今回の規定が新設をされて、代表者等を相手方とする損害賠償請求が増加することによりまして、またむしろこうした威力利用資金獲得行為そのものが抑止されると、こういった効果も期待されるところでございます。威力利用資金獲得行為に伴う損害について、代表者等が賠償しなければならないことになって、これは組織中枢に経済的な打撃が加わる、資金獲得のために組織を維持することの意味は減殺されると、こういった意味も含めて多面的な効果を期待されるところでございます。
  95. 松村龍二

    ○松村龍二君 他方、暴力団が一般の事業活動に進出して資金獲得活動を行う傾向が見られるということでありますが、各種事業から暴力団を排除するためこれまでどのような施策を講じてきたのか、お伺いいたします。
  96. 宮本和夫

    政府参考人(宮本和夫君) 警察におきましては、暴力団の資金源を封圧をし、それぞれ業の健全化を図るために国及び地方公共団体と連携をいたしまして、建設業、産業廃棄物処理業、貸金業等、各種業からの暴力団排除活動を推進をしているところでございます。  また、国及び地方公共団体と連携をいたしまして、公共工事の請負業者から暴力団関係企業を排除するためのいわゆる暴力団排除要綱とか条例など、こういったものを整備をするなどして公共工事からの暴力排除活動、これを推進をいたしております。さらに、近年、各種の業法でございますとか、また規制改革等により新たに成立した法律の中に、いわゆる暴力団排除条項を整備をしているところでございます。
  97. 松村龍二

    ○松村龍二君 事業者やさらには国民全体を巻き込んで暴力排除活動の機運を更に盛り上げていく必要があると考えますが、どのようにお考えでしょうか。
  98. 宮本和夫

    政府参考人(宮本和夫君) 暴力団を壊滅するためには警察の取組だけで十分ではないというのはもとよりでございまして、国、地方公共団体、事業者、国民が一体となって暴力排除活動を推進していくことが必要であろうというふうに考えております。  こうした認識から、警察におきましてはこれまでも暴力排除活動を積極的に推進をしてきておるところでございまして、近年、証券取引を始めまして公営住宅、生活保護、国有地等の売払いなど、様々な分野で暴力団排除のための新たな仕組みが構築されてきているところでございます。  今後とも、昨年、犯罪対策閣僚会議の幹事会におきまして策定されました企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針と、こういう指針を策定をしたところでございますけれども、これの普及啓発活動を通じるなどして暴力排除活動の機運をより一層盛り上げてまいりたいというふうに考えております。
  99. 松村龍二

    ○松村龍二君 先回、被害者に対する支援の問題を当委員会でも検討したわけですが、今回の改正では暴力団の代表者等の損害賠償責任を拡大強化することとしております。同制度を活用するなどして被害回復及び暴力団からの資金剥奪を促進するに当たっては、警察による被害者支援が重要な役割を果たすものと考えますが、大臣の見解をお伺いします。
  100. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 暴力団から被害を受けた方々が代表者等の損害賠償責任を追及するということは、これは、警察、暴力追放運動推進センター及び弁護士会、そうした方々が力を合わせて訴訟支援あるいは暴力団の組織的な嫌がらせや報復から保護対策に万全を期すということが極めて重要であると思っておるわけであります。  今回の改正を機に、暴力団の代表者等の損害賠償責任を追及する取組を更に活発化させる、被害回復及び暴力団からの資金の剥奪を推進する、そうして、そのために被害者に対する訴訟支援あるいは保護対策に万全を期してまいりたいと考えております。
  101. 松村龍二

    ○松村龍二君 最後に、暴力団を弱体化、壊滅させるためには資金源対策が何より重要であるということを、今繰り返し検討してきたところでございます。  そこで、社会から暴力団の違法、不当な資金獲得活動を抑止するため、今後、警察としてどのような取組を行っていくのか、掛け声にとどまらない大臣の決意をお伺いいたします。
  102. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 改めて申し上げるようなことでもございませんが、暴力団は虞犯性の強い反社会的な存在であると認識をいたしておりまして、凶悪な銃器発砲事件を敢行するなど誠に許し難いものであると考えております。  警察といたしましては、こうした暴力団の弱体化あるいは壊滅ということを究極の目的といたしまして、暴力団犯罪の取締りの徹底、暴力団対策法の効果的な運用、そしてまた暴力団排除活動の推進を柱とする総合的な対策を展開してきたところでございますけれども、特に組織の資金源に打撃を与えるということが暴力団対策の大変大きな要素であると、こうした認識の中で、今回、資金源対策について一層の根絶、暴力団にとっては大変痛手になるということを考えておりますが、資金源対策を強力に推進してまいりたいと思っております。  こうしたこれらの取組に加えまして、今申し上げましたような資金源を断つということによって、暴力団を的確かつ厳正に法律の運用をして、弱体化及び壊滅に向けて暴力団を追い詰めていく、このことが重要であると思っております。  委員から御指摘ございました、そもそも暴力団の組織そのものを壊滅するという立法ということも今後とも視野の中に入れていく必要があるかと思いますが、当面は資金源を断つことによって暴力団の存在が社会からついえていくという取組を実行いたしたいと思っております。
  103. 松村龍二

    ○松村龍二君 それでは、少し時間を余しましたけれども、これで私の質問を終わらせていただきます。
  104. 風間昶

    ○風間昶君 公明党の風間ですけれども。ちょっとオーバーラップすることがあろうかと思いますけれども、お許しいただきたいと思います。  暴対法の施行から十五年たって、警察白書を見ましても、暴力団の構成員等は八万人台の半ば過ぎというか、八万五、六千人台ずっと来て、暴対法ができて、実際には暴対法直接は構成員に掛けるあれはないにしても、数がそのままずっと同じということは暴対法がある意味では効力がきちっと、人員を減らすことが暴対法の目的ではないにしてもどうなのかなという、やっぱり検証しなきゃならないかなというふうに思っています。  その中で、平成十八年から、これまでは構成員の方が準構成員を上回っておったのが、逆に今度は準構成員が構成員を上回るような逆転状況になったということは、恐らく暴力団の組織のありようが、何といいましょうか、暴力団内部でも考え始めてきたのかなということを私は思っているわけでありますけれども警察庁としては準構成員の方が上回ったということについての認識を持っていると思いますが、その要因、背景といったものをどうつかんでいるのか、教えてもらいたいと思います。
  105. 宮本和夫

    政府参考人(宮本和夫君) 確かに準構成員が構成員を上回った、これは一つの現在の暴力団情勢、実態の大きな特徴、傾向であろうかというふうに考えております。  ちなみに、暴力団対策法が制定をされました平成三年の末から昨年末までの十五年間で暴力団構成員の数は、約六万三千八百人から四万九百人へと、二万二千九百人減少をいたしております。その一方で、準構成員の数が約二万七千二百人から約四万三千三百人へと、一万六千百人増加ということでございまして、両者の合計が約九万一千人から約八万四千二百と、六千八百の減少ということにとどまっておるわけでございます。  実は、その準構成員というものの実態、活動実態が様々でございまして、こうしたものの背景、要因、やはり様々なものが考えられるところでございますけれども、いわゆる暴力団対策法の施行、こういったものに加えまして、その後、組織的犯罪処罰法が施行されました。また、使用者責任を追及した損害賠償請求訴訟の提起などもございました。  こういったもので、上位者への民事、刑事責任追及、特に暴力団組織の上位の者への責任追及の流れと、こういったことが生まれてきた。さらには、各種の業から暴力団排除活動、排除というものが進んでおります。社会において暴力団排除活動機運が高まり、構成員として資金獲得活動を行う、これはその資金獲得活動、資金の種類にもよりますけれども、従来に比べればやはりいろいろな分野で資金獲得活動が困難化しておるというものがあろうかと思います。  そうしたことから、むしろ構成員としていろいろ活動するよりは、そういった組織とは関係は保ちつつも組織から離れて活動する者、また、なかなか構成員として活動していくというのはもう困難にはなっているんですが、しかし、やはり暴力団と関係を持っていろいろとその周辺で悪さをしているような者、こういった者が多数になってきておるのではないか。  また、これは従来からあるところでございますけれども、一般企業を装った暴力団関係企業でありますとか、社会運動などを標榜して活動すると、こういった傾向は相変わらず続いていると。こういったものがこういった背景の要因の主なものであろうかと認識をいたしております。
  106. 風間昶

    ○風間昶君 今るる述べていただきましたが、要するに、暴力団組織そのものは、構成状況が社会の情勢に応じて変わってきているけれども、本質的には変わっていないという認識でいいんですね。
  107. 宮本和夫

    政府参考人(宮本和夫君) 暴力団の基本的な性格というものは変わっていないというふうに認識をいたしております。ただいま準構成員のいろいろ態様があると申しましたけれども、基本的には暴力団組織ではなくともその暴力団の威力というものを利用しながら社会に害悪を流しておる、こういう存在であると、こういうふうに認識をいたしております。
  108. 風間昶

    ○風間昶君 そうしますと、いわゆる資金の今獲得の議論が行われている中にあって、これまでの伝統的な資金獲得方法からやや変わってきて、例えば産廃だとか、あるいは人材派遣だとか、あるいは警備業を仮装した形でいろんな資金活動が巧妙化している、多様化している状況の中で、やっぱり組織的な壊滅につながるような暴力団そのものに対する規制の在り方というのをきちっと政府として立てなきゃならないんじゃないかというふうに思いますが、それについての検討はどうでしょうか。
  109. 宮本和夫

    政府参考人(宮本和夫君) 御指摘のとおり、近年、暴力団、暴力団関係企業を通じて各種の事業活動に介入するなどして資金獲得活動を巧妙化、多様化させているという実態がございます。  警察といたしましては、このような暴力団に対して、暴力団犯罪の取締りの徹底、暴力団対策法の効果的な運用、暴力排除活動の推進と、これを柱とした総合的な対策を推進をいたしておるところでございます。  こうした暴力団そのものに対する規制の在り方ということでございますけれども、暴力団対策法、もちろん暴力団の存在そのものを容認するといったものではございませんけれども、いろいろな暴力団対策法の中でこれまで累次の改正などを通じて個々の暴力団の行為の規制をいたしてきている、そのことから暴力団の威力というものが社会に与える害悪というものもいろいろな面で封じてきている面があろうかと思います。決して十分とは考えておりませんので、取締り、暴力排除活動などと総合的に、併せて今後ともこうした暴力団対策というものを強化してまいりたいと考えておりますが。  例えば、団体そのものを規制する制度ということについて申し上げますと、これにつきましては、やはり結社の自由との関係でございますとか、刑罰法規の体系との関係、また規制の実効性といった点、こういった点なども踏まえてこれらの検討というのは十分慎重に行わなければならないものと考えております。
  110. 風間昶

    ○風間昶君 今のお話を伺っておると、言わば暴力団といっても一人の人間で構成されている、結社の自由がある、基本的人権を尊重しなきゃならない、そういったことからするとなかなか難しいと、したがって外堀の活動の規制だけでいきたいというふうに受け止めていいんですね、じゃ。
  111. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 委員御指摘のこと、団体そのものを規制する制度というのはしばしばこうした場で議論がなされておりますし、そういうことに取り組まなければならないという思い当局、我々が捨てておるわけではありません。  ただ、この問題は、部長が答弁をさせていただきましたように、結社の自由という、そういう憲法の根幹に触れる事柄が常に指摘されるわけでございまして、そうした中で団体そのものを規制するという制度に入っていくにはもう少し時間をちょうだいしたい。したがって、資金源を断つという事柄、そうした外的な事柄で暴力団の組織の壊滅に向けて進みたいというのが現在の私ども考え方でございます。
  112. 風間昶

    ○風間昶君 分かりました。  そうしますと、じゃ暴力団そのものに対する規制の在り方はこれからの課題としたとしても、今度は暴力団のいわゆるトップ、代表者についての刑事責任の追及、これが実行できるようなことを当然考えなきゃならないと。そうしないと組織の壊滅に有効なことにはならないわけでありまして、そういう意味では、昨年の十一月二十二日でしたか、銃刀法改正のときに、私、ドンの話を大臣にお尋ねいたしました。そして附帯決議でも、首領等幹部の責任をより実効的に追及できるよう法制の在り方を含め検討することというふうに附帯決議でも委員会の決議としてなされたわけでありまして、あのとき大臣は、タイムテーブル出すのは難しいと、しかし検討するというふうにおっしゃったわけであります。いつまでにやるんだというふうに聞きましたら、難しいというふうにおっしゃいました。  あれから五か月近くも今たっているわけでありますけれども、法制の検討は大臣としてはどこまでお考えになって御指示されたのか、伺いたいと思いますけれども
  113. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 銃刀法の改正の際にも、今委員から御指摘のありましたように、もっと根本的なと申しましょうか、そうした取組が必要ではないかという御指摘もございました。また、大変重たい附帯決議も付けていただいたわけでございます。今日までこうした思いを持って警察庁の内部で今いろんな角度から議論をしておりますが、さきに御答弁を申し上げましたように、いつまでにどうこうするというほどの煮詰まり具合ではないというのが現在の状況でございます。  これからも、御指摘を踏まえて、もう一歩別の観点からの暴力団対策ということが考えられないか。こうした、今回お願いしております法改正を徹底させると同時に、我々の課題として取り組まさせていただきたいと思います。
  114. 風間昶

    ○風間昶君 そういう意味では、先ほども議論のありました暴力団の代表者の損害賠償責任の拡大強化が今回の法案に盛り込まれていることによって被害者側の負担が軽くなるという側面はあるんだけれども、先ほど議論のありましたように、具体的に被害者がどういう形でアプローチしていくかということについてのまだ詰まり切れてない部分があるように感じます。  そういう中で、一昨年でしょうか、暴力団資金源等総合対策ワーキングチームがつくられたというふうに警察白書にも載っているわけであります。その中で何を話されたか私分かりませんけれども、お聞きしますと、今年になってまだそれが開かれてないということでありますから、これはもし開かれてない事情があるんだったらそのことで答弁いただきたいと思いますが、ここはどうなっているのか一つ伺いたいということと、もう一つは、十九年度の警察白書の中に組織の中枢へ経済打撃を与えて資金獲得のための組織維持を無意味とする制度について検討を進めていく必要があるというふうに書いてございます。これ、どのように具体化していくのかということがお聞きしたい。  この二点であります。
  115. 宮本和夫

    政府参考人(宮本和夫君) 暴力団取締り等総合対策ワーキングチームについてまずお答えをいたします。  暴力団取締り等総合対策ワーキングチーム、これは平成十八年六月の第七回犯罪対策閣僚会議における国家公安委員会委員長からの提案を受けて同年七月二十一日に設置をされて、それ以後、昨年十二月までに六回開催をされておりまして、警察庁が中心となって公共事業や企業活動からの暴力団排除活動等について検討をしてきたところでございます。  これまで、公共事業からの暴力団排除については、各省庁から、公共工事からの排除対象の明確化と警察との連携強化、暴力団員等による不当介入に対する通報報告制度の導入、こういったものについて合意をいたしますとともに、これらの施策に関する合意書でありますとか通達のモデル案を策定をし、他省庁発注の公共工事への導入の促進などを図っているところでございます。  また、企業活動からの暴力団排除につきましては、企業における反社会的勢力による被害を防止するための基本的な理念や具体的な対応について取りまとめをいたしました、企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針、これが策定をされておりまして、この指針の普及や活用に努めております。  また、各省庁の共通認識といたしまして、暴力団を利用する行為が反社会的行為であること、これを確認するとともに、企業による当該行為を防止するための施策の検討、当該行為が行われてはならない行為であるといった機運の醸成に努めることといたしております。  このワーキングチーム、各省庁を通じて暴力団の取締り、資金源活動に向けて大変有効に機能をいたしておるところでございます。継続的に開かれておりまして、昨年十二月に開かれておりますが、今年においてもまた引き続き継続して開催をして暴力団取締りに寄与してまいりたいと、このように考えております。
  116. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 白書を引用いただきましたが、暴力団の特性として、その暴力団の威力を使って資金を獲得するというのが暴力団の本質ということと言えるかと思います。  このところに根差した行為によって損害が発生した場合に代表者等に損害賠償責任を持たせるという事柄を今回の法改正でお願いをしておるわけでございまして、この威力利用資金獲得行為によって生じた損害については代表者等が賠償しなければならないということでございますので、まさに組織の中枢に経済的打撃を加えることができる、資金獲得によって組織を維持しておるという、そうしたことが具体的にできなくなってくる、減殺されてくると、こう考えておるわけであります。  なお、このことをより効果的に行いますためには、今朝ほど来御議論ございましたような被害者を支援するということが大変重要でございまして、本制度を積極的に活用して被害者を支援していくということをやっていきたいと思いますし、また、マネーロンダリング行為に関する情報の活用でありますとか組織的犯罪処罰法等に基づく犯罪収益の剥奪、こうしたあらゆる手段を用いて暴力団の資金源を断っていく、そのことが、白書に書きました組織を維持することができなくなる、無意味とする制度の一つの具体的な法改正として今回提案をさせていただいているところでございます。
  117. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  118. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数です。よろしくお願いいたします。  まず、暴力団対策法の一部改正について警察庁にお伺いいたします。  今回の一部改正に当たって注視すべきなのは、暴力団に関する情報の共有だと考えます。情報の共有は暴力団を社会から締め出す有効な手段だと考えるからであります。警察庁は、平成十二年、暴力団排除等のための外部への情報提供についてという暴力団対策部長通達を出されています。この通達は、外部への暴力団に対する情報提供判断基準や手続を定めているわけでありますが、今回改正された第三十二条には、事業者、国民、民間団体が自発的に行う暴力排除活動の促進を図るため、国及び地方公共団体が情報提供する等必要な措置を講ずるものとされています。  そこで、お伺いいたしますが、市民が立ち上がって暴力団の排除活動等の活動を始める際どのような情報提供が受けられるのか、その地域に所在する暴力団の事務所、暴力団構成員等がかかわる企業、構成員の数とか活動するために必要な情報は共有できるのでしょうかということであります。できましたら、具体的に情報提供の中身についてお答えをお願いいたします。
  119. 宮本和夫

    政府参考人(宮本和夫君) 暴力団に対する情報提供、ここで改正法の三十二条の規定は、国及び地方公共団体がその促進のために措置を講ずべき内容の一つとして情報提供ということを掲げてございます。  当然、警察といたしましては、暴力団に関するいろいろな情報ということで、具体的な情報についてもその事案に応じ適切に提供してまいる所存でございますけれども、しかし一方で、従来から暴力団情報そのものにつきましては、警察が保有いたしております暴力団情報そのものは、一方で厳格に管理する責任を負っておるところでございます。そして、それを上回る公益性が認められた場合に暴力団情報提供するということを考えておりまして、御指摘がございました平成十二年通達、これもそういった考え方に基づいて出されております。  したがいまして、一般的な暴力団の情勢でありますとか暴力団の被害対策のための手段でありますとか、こういったことは当然でございますが、個別具体の暴力団員に関する情報ということになりますと、御相談をいただいた個別具体の中身に応じて検討させていただくと、こういうことになるものというふうに考えております。
  120. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 せっかくこの三十二条を改正されたわけでありますから、やはり地域住民あるいは市民が立ち上がって暴力団の排除活動のための活動を始める際に的確な情報提供する、そのことは最も大切ではないかというふうに考えます。これに関しまして、泉大臣、一言御見解をお伺いいたします。
  121. 泉信也

    国務大臣泉信也君) 今回の法改正で新たに規定をさせていただいたわけでございますので、この条項の重みということは十分私ども考えておるわけでございます。  御指摘いただきましたように、多くの方々が暴力団に立ち上がっていただけるような、そうした情報提供していく。そして、個別の案件については、部長お答えいたしましたように、その御要望の中でおこたえをしていくように努めてまいるつもりでございます。
  122. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  次に、米軍による訓練施設外への爆弾投下についてお伺いいたします。  これは米海兵隊のハリアー戦闘攻撃機が提供水域外に五百ポンドの実弾の爆弾二発を投下するという極めて重大でかつ危険極まりない訓練が発覚をいたしました。  防衛省にお伺いいたします。  米軍の提供施設外での訓練は、本年三月二十日、名護市のキャンプ・シュワブ沿岸部に近い安部オール島で、それから米軍ヘリコプターが離着陸訓練の実施などをしたというふうに報道されています。それから、四月の三日ですが、名護市辺野古の国立高等工業専門学校、国立高専の上空でヘリコプターによるホバリングが確認をされています。在沖米軍による提供施設外での訓練は、事故や騒音等地域住民に多大な不安を与えるばかりでなく、日米地位協定等にも抵触するおそれがあり、看過できない問題であります。  この二件の施設外での訓練の真相が明らかにされない中、また、去る四月九日に沖縄本島に近い久米島北方の鳥島射爆場の提供施設外の海域に米海兵隊のハリアー戦闘攻撃機が五百ポンド、約二百二十七キロの実弾の投下をしたとされています。この爆弾投下には、投下日時、投下地点、そして投下状況、爆弾の種類、それから規模、米軍の通報日時など、米海兵隊の報道部と沖縄防衛局との間でこの情報やり取りがあったとされ、この投下地点とされる海域で操業する久米島漁協では、不安を募らせ、真相の究明を強く求めています。久米島町議会では、十四日に開いた臨時議会で、原因の徹底究明と再発防止等を求める抗議決議を採択をしております。漁協では、同海域が豊かな漁場であることから、操業船に実弾が落ちたらどうするのか、安心して漁や航海ができない、強い姿勢で抗議をすると怒りをあらわにしています。  そこでお伺いいたしますが、今回の提供水域外への爆弾投下について事実関係を明らかにしていただきたい。今回のこの爆弾投下を含めて、提供施設外のずさんな訓練に対して米軍に対してどのような申入れを行ったのか、防衛省に説明を求めます。
  123. 伊藤盛夫

    政府参考人(伊藤盛夫君) 糸数先生にお答えいたします。  まず、事実関係でございますが、米側からの情報によりますと、四月九日水曜日十四時四十五分、米海兵隊所属のAV8ハリアー攻撃機が鳥島射爆撃場をターゲットに通常訓練中、五百ポンド航空機爆弾二発を鳥島射爆撃場提供水域外の海上に誤投下したということでございます。着弾ポイントは、鳥島の中央から二百四十度方向に六・三海里、約十二キロ、提供水域の端から三・三海里、約六キロ、北緯二十六度三十二・二分、東経百十六度四十三・九分であるということであります。なお、現在までのところ、被害情報はございません。  沖縄防衛局は、在沖米海兵隊から入手しました情報につきまして、現地関係機関に情報提供をしております。また、今回の米海兵隊所属のAV8ハリアー攻撃機による航空機爆弾の誤投下につきましては大変遺憾でございまして、防衛省から在日米軍司令部、沖縄防衛局から在沖米海兵隊司令部外交政策部に対しましてその旨を伝えるとともに、事故の詳細を早急に明らかにするよう、原因究明、公表、安全管理の徹底等について申し入れているところでございます。
  124. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今のところ、まだその状況というのは分かっていないんでしょうか。
  125. 伊藤盛夫

    政府参考人(伊藤盛夫君) 現在のところ、事実関係の詳細につきましては米側で調査中でございまして、まだその状況についての説明はございません。
  126. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 久米島町では、鳥島の射爆場の使用実態を明らかにすることや、それからその返還なども今強く求めています。  なぜ繰り返し先ほどお伺いしたかといいますと、防衛局とそれから米軍との間の情報、誤った情報が流布されている状況でございますので、是非この爆弾投下について毅然とした対応を取って、豊かな漁場を守り、操業の安全を確保して、漁民の生命と財産を守るように防衛省の方には強く要望したいと思います。  次に、教科書問題についてお伺いをしたいと思います。  御存じのとおり、昨年、沖縄における悲惨な戦争、特にあの凄惨を極めた集団自決、それから沖縄の学識者の間では強制集団死と表現をしておりますが、この集団自決に関する記述が高校の歴史教科書から削除、修正されるという許し難い問題が起こりました。  問題の発端は文科省の教科書調査官によって付された検定意見にございました。沖縄では、この検定意見の撤回と記述の回復を求める県民大会が昨年九月二十九日に開催されましたが、その後、文科省始め国に対して抗議行動と検定意見の撤回、記述回復等の要請が行われました。その結果、文科省は教科書会社からの訂正申請を受け、軍の関与という記述を認めましたが、かたくなに検定意見の撤回には応じていません。  その代わり、渡海文科大臣は同年十二月の二十六日に談話を発表いたしまして、七項目に検定制度の改善策について述べていらっしゃいます。この中で、検定手続の改善方策について、今後、教科用図書検定調査審議会において検討を開始し、来年の夏ごろまでには一定の方向を示すとされておりますけれども、この談話を受け、本年二月二十八日に教科用図書検定調査審議会は総会を開き、検定制度の透明性など改善策に着手しています。  そこでお伺いいたしますが、今年の夏ごろには一定の方向を示すとされている検定制度の改善策について、どの程度審議が進んでいるのでしょうか。教科用図書検定調査審議会の現在の審議内容それから検討事項、改善策について具体的に説明をいただきたいと思います。議事録も公開すべきだとの意見もあるようですから、透明化というその趣旨も踏まえてお答えをお願いいたします。
  127. 布村幸彦

    政府参考人(布村幸彦君) お答えいたします。  今先生お尋ねの教科書検定制度の改善につきまして、お話しいただいたように、二月の二十八日に教科用図書検定調査審議会を開催し、渡海文部科学大臣から、教科書検定手続の改善方策、そしてもう一点は新しい教育課程の実施に対応した教科書の改善について、この二点の事項について審議要請を行ったところでございます。  一つの教科書検定手続の改善方策につきましては、具体的に審議における透明性の向上、また専門的見地からのきめ細やかな審議の必要性という課題がございます。それらの課題につきましての審議の要請という形になってございます。特に透明性の向上につきましての検討において、議事録を含め議事の公開の在り方についても検討をお願いすることにいたしております。  なお、今回二つのワーキンググループで審議をしておりますけれども、その審議につきましては公開することを審議会で決定いただき、公開の下で審議を行っているところでございます。  この審議の状況でございますが、審議会におきましては、今申し上げたように二つのワーキンググループを設置し、既に審議を重ねていただいているところでございます。  今後、この検定制度それから検定基準の在り方、二つについて夏ごろまでに一定の方向性をお示しをしていただけるものと考えております。この審議会の検討結果、成果を受けまして、新しい教育課程に対応した教科書検定が平成二十一年度から行うことになりますので、その手続の改善に反映していきたいというふうに考えているところでございます。
  128. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 よろしくお願いいたします。  次に、大江・岩波訴訟についてお伺いをしたいと思います。  この判決が出たわけでございますけれども、この訴訟については、文科省の見解を伺うのは、さきにも述べましたが、集団自決の本質を問う訴訟だからであります。その上、教科書の検定意見に多大な影響を与えた訴訟であり、この判決の結果は極めて重要な意味を持ちます。  大江・岩波裁判は、本年三月二十八日、大阪地方裁判所で判決が出され、判決の骨子は、元戦隊長の命令があったとは断定できないが、関与は十分推認できるとし、集団自決には旧日本軍が深くかかわったと認定をいたしました。  本判決に対する文科省の見解をお示しをいただきたいと思います。
  129. 布村幸彦

    政府参考人(布村幸彦君) お示しの判決につきましては大臣から国会等でも答弁させていただいておりますけれども、私人間、私人の間の法的紛争でございますので、司法が下された判決ということで、政府の立場からコメントすることは差し控えさせていただきたいというふうに申し上げているところでございます。
  130. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 大江・岩波訴訟のその判決は、文部科学省の検定意見の根拠を覆すものであり、今後の高等学校用日本史の教科書検定において重大な影響を与え、かつ集団自決で生き残った住民の証言、犠牲者、遺族にとって極めて重い意味を持つものであるわけです。先ほども申し上げましたけれども、この大阪の裁判の結果というのは、この遺族の皆さんに大変勇気を与えたものであります。  文科省と審議会は、集団自決に対するこの検定意見は撤回すべきであるというふうに考えます。集団自決は沖縄戦の実相であり、沖縄の歴史であります。集団自決で生き残った住民、亡くなった人々、そして遺族にとっても、軍の強制、命令、そして誘導というのは史実としてしっかり脳裏に深く刻み込まれています。文科省は、子供たちに真実を教えるためにも、二度と戦争を起こさないためにも、沖縄戦のその悲惨な歴史を史実としてしっかりと受け止めて、教科書できちんと多くの戦争を知らない次の世代に伝えていくべきであるということを強く申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。     ─────────────
  131. 岡田広

    委員長岡田広君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、北川イッセイ君が委員辞任され、その補欠として山田俊男君が選任されました。     ─────────────
  132. 岡田広

    委員長岡田広君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  暴力団員による不当な行為防止等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  133. 岡田広

    委員長岡田広君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 岡田広

    委員長岡田広君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十二分散会