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政府参考人(宮本和夫君) 威力利用資金獲得
行為でございますけれ
ども、指定
暴力団員がその所属する指定
暴力団員の威力を利用して資金を得、又は資金を得るために必要な地位を得る
行為ということをいっております。
具体的には、典型的な例といたしましては、
相手方に暴力団の威力を示して行う恐喝
行為というものが
考えられます。また、彼らの有力な資金源となっておりますみかじめ料要求とか用心棒要求とか、暴対法で規制の対象としております暴力的要求
行為、こういったものが典型的な事例として該当するものでございます。
そこで、こうしたものの実態でございます。平成十九年中に恐喝により検挙された暴力団構成員等の人数を言いますと、これ二千百七十五人に上っております。これは統計上の数字でございますので、指定暴力団の威力を利用したものすべてを含むというわけではございませんが、彼らの典型的な事例である恐喝
行為では二千百七十五人検挙をいたしております。
また、指定
暴力団員の暴力的要求
行為に係る中止命令の件数、これも千六百四件に上っておるところでございまして、そしてこの威力利用資金獲得
行為に関連して深刻な
被害が
発生していると、こういう
状況がうかがわれるところでございます。
また、この
被害でございますが、これも具体的な
事案で様々でございます。先ほど申し上げましたみかじめ料といったもの、これ、みかじめ料だけでも様々なんですけれ
ども、全体としては個々の
被害というのは比較的少額、例えば一定の、盛り場などで営業を営む人から比較的少額ずつ集めて、多数集めれば全部になりますが、
一つ一つの金額は少額といったものもございますけれ
ども、また店によっては極めて高額な料金を取るものもある。またさらに、そうした必ずしもみかじめ料でなくても威力を利用した形で過去、数千万円から数億円単位の金品などを恐喝をしたと、こうした
事案も把握をいたしておりますし、また、今回の
事案の対象になりますのは、そうした資金獲得活動を行うについて与えた損害ということでございます。そういった、例えばみかじめ料の支払要求などをする際にこれに応じない業者に傷害を与えたりとか、又はその店舗を破壊をしたりする、こういったような
事案、こういった深刻な事態が生じております。
今回の
改正案につきましては、民法の使用者責任の規定による場合と比べまして、こうした今申し上げたような
被害に遭われた方が、代表者等の損害賠償責任を追及するに当たりまして、訴訟上の負担が相当程度軽減され、
被害の
回復の促進が図られるものと
考えております。
加えまして、今回の規定が新設をされて、代表者等を
相手方とする損害賠償請求が増加することによりまして、またむしろこうした威力利用資金獲得
行為そのものが抑止されると、こういった効果も期待されるところでございます。威力利用資金獲得
行為に伴う損害について、代表者等が賠償しなければならないことになって、これは組織中枢に経済的な打撃が加わる、資金獲得のために組織を維持することの
意味は減殺されると、こういった
意味も含めて多面的な効果を期待されるところでございます。