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2008-03-27 第169回国会 参議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年三月二十七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月二十六日     辞任         補欠選任         長谷川憲正君     自見庄三郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岡田  広君     理 事                 松井 孝治君                 山根 隆治君                 有村 治子君                 松村 龍二君     委 員                 相原久美子君                 神本美恵子君                 工藤堅太郎君                 自見庄三郎君                 芝  博一君                 島田智哉子君                 柳澤 光美君                 岩城 光英君                北川イッセイ君                 鴻池 祥肇君                 中川 義雄君                 風間  昶君                 糸数 慶子君    国務大臣        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    泉  信也君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣少子化        対策男女共同        参画))     上川 陽子君        国務大臣     渡辺 喜美君    内閣官房長官        内閣官房長官  岩城 光英君    大臣政務官        外務大臣政務官  小池 正勝君        文部科学大臣政        務官       保坂  武君         ─────        会計検査院長   伏屋 和彦君         ─────    事務局側        事務総長     小幡 幹雄君        常任委員会専門        員        小林 秀行君    衆議院事務局側        事務総長     駒崎 義弘君    裁判官弾劾裁判所事務局側        事務局長     濱坂 豊澄君    裁判官訴追委員会事務局側        事務局長     白井  始君    国立国会図書館側        館長       長尾  真君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       木坂 愼一君        内閣規制改革        推進室長     小島愛之助君        内閣府政策統括        官        柴田 雅人君        内閣仕事と生        活の調和推進室        次長       山田  亮君        内閣男女共同        参画局長     板東久美子君        宮内庁次長    風岡 典之君        警察庁生活安全        局長       片桐  裕君        警察庁刑事局長  米田  壯君        警察庁警備局長  池田 克彦君        総務省行政評価        局長       関  有一君        外務大臣官房長  林  景一君        外務大臣官房審        議官       猪俣 弘司君        外務省北米局長  西宮 伸一君        文部科学大臣官        房審議官     土屋 定之君        文化庁文化部長  尾山眞之助君        厚生労働大臣官        房審議官     中尾 昭弘君        厚生労働大臣官        房審議官     森山  寛君        厚生労働大臣官        房審議官     村木 厚子君        厚生労働省職業        安定局次長    大槻 勝啓君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○平成二十年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成二十年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成二十年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (皇室費国会所管会計検査院所管内閣所  管(人事院を除く)及び内閣府所管内閣本府  (沖縄関係経費を除く)、国際平和協力本部、  日本学術会議官民人材交流センター宮内庁  、警察庁))     ─────────────
  2. 岡田広

    委員長岡田広君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十六日、長谷川憲正君が委員を辞任され、その補欠として自見庄三郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 岡田広

    委員長岡田広君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官木坂愼一君外十八名の出席を求め、その説明聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岡田広

    委員長岡田広君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 岡田広

    委員長岡田広君) 昨二十六日、予算委員会から、本日一日間、平成二十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、皇室費国会所管会計検査院所管人事院を除く内閣所管及び内閣府所管のうち沖縄関係経費を除く内閣本府、国際平和協力本部日本学術会議官民人材交流センター宮内庁警察庁について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  国会所管及び会計検査院所管予算説明聴取いたします。  まず、国会所管のうち衆議院関係予算説明を求めます。駒崎衆議院事務総長
  6. 駒崎義弘

    衆議院事務総長駒崎義弘君) 平成二十年度の衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成二十年度の国会所管衆議院関係歳出予算要求額は六百六十九億九千万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと十五億一千万円余の増額となっております。  その概要を御説明申し上げますと、まず、国会権能行使に必要な経費として四百十八億五千万円余、本院の運営に必要な経費として二百十五億二千三百万円余を計上いたしております。これらの経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局事務を処理するために必要な経費でございます。  増加した主なものは、新議員会館整備等事業費、G8下院議長会議の開催に必要な経費、新会議録作成システム構築経費でございます。一方、減少した主なものは、職員手当、青山・高輪議員宿舎維持管理経費でございます。  次に、本院の施設整備に必要な経費として十五億四千万円余、民間資金等を活用した本院施設整備に必要な経費として二十億六千九百万円余を計上いたしております。これらの主なものは、本館外部建具改修費国会審議テレビ中継施設整備費及びその他本館等庁舎整備費並びに新議員会館等整備に係る不動産購入費でございます。  次に、国会予備金に必要な経費でございまして、七百万円を計上いたしております。  以上、衆議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  7. 岡田広

    委員長岡田広君) 次に、国会所管のうち参議院関係予算説明を求めます。小幡参議院事務総長
  8. 小幡幹雄

    事務総長小幡幹雄君) 平成二十年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成二十年度国会所管参議院関係歳出予算額は四百三億九千百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと十六億一千五百万円余の減額となっております。これは、主に、前年度に計上されました通常選挙に伴う改選関係経費減額によるものであります。  次に、その概要を御説明申し上げます。  まず、国会権能行使に必要な経費として二百十九億五千万円余、参議院運営に必要な経費として百五十九億八千九百万円余を計上いたしております。これらの経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局所掌事務を処理するために必要な経費であります。  次に、参議院施設整備に必要な経費として十七億六千七百万円余、民間資金等を活用した参議院施設整備に必要な経費として六億七千九百万円余を計上いたしております。これらの経費は、国会審議テレビ中継施設整備、新清水谷議員宿舎整備本館外壁建具改修議員控室内装改修等に必要な経費及び新議員会館整備に係る不動産購入費であります。  次に、国会予備金に必要な経費でありまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。  以上、平成二十年度参議院関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  9. 岡田広

  10. 長尾真

    国立国会図書館長長尾真君) 平成二十年度の国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成二十年度の国立国会図書館関係歳出予算要求額は二百十九億六千五百円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと九億九千二百万円余の減額となっております。  次に、その概要を御説明申し上げます。  第一は、運営に必要な経費でありまして、九十六億九百万円余を計上しております。これを前年度予算額と比較いたしますと七億三千五百万円余の減額で、これは、主として、退職手当減額によるものであります。  第二は、業務に必要な経費でありまして、資料費及び事務費等として九十四億四千五百円余を計上しております。これを前年度予算額と比較いたしますと三億四千七百万円余の減額となっておりますが、特に、デジタル・アーカイブ及び電子図書館コンテンツ構築重点を置いて増額を図っております。  第三は、科学技術関係資料収集整備に必要な経費でありまして、十一億七百万円余を計上しております。これを前年度予算額と比較いたしますと四千万円余の増額となっております。  第四は、施設整備に必要な経費でありまして、十八億百万円余を計上しております。これを前年度予算額と比較いたしますと四千九百万円余の増額となっており、関西館第二期建設準備重点を置いております。  以上、平成二十年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  11. 岡田広

  12. 濱坂豊澄

    裁判官弾劾裁判所参事濱坂豊澄君) 平成二十年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成二十年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係歳出予算要求額は一億一千七百九十六万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと百二十八万円余の減額となっております。  この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長職務雑費委員旅費及び事務局職員給与に関する経費、その他の事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官弾劾裁判に直接必要な旅費及び庁費であります。  以上、簡単でありますが、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  13. 岡田広

  14. 白井始

    裁判官訴追委員会参事白井始君) 平成二十年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成二十年度国会所管裁判官訴追委員会関係歳出予算要求額は一億三千四百八十三万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと百四十万円余の増額となっております。  この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長職務雑費及び事務局職員給与に関する経費並びに訴追事案審査に要する旅費その他の事務費でございます。  以上、簡単ではございますが、裁判官訴追委員会関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  15. 岡田広

  16. 伏屋和彦

    会計検査院長伏屋和彦君) 平成二十年度会計検査院所管歳出予算について御説明申し上げます。  会計検査院平成二十年度予定経費要求額は百七十五億一千二百五十一万円余でありまして、これを前年度当初予算額二百十五億九百七十九万円余に比較いたしますと三十九億九千七百二十八万円の減額となっております。これは、会計検査院の移転に必要な経費等の計上がなくなったことによるものであります。ただいま申し上げました要求額は、日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく会計検査院運営及び会計検査業務に必要な経費であります。  この要求額の主な内容について御説明申し上げますと、人件費として百四十億八千七百万円余、中央合同庁舎第七号館の維持管理等経費として六億七千百万円余、その他の経費として二十七億五千三百万円余を計上いたしております。  以上の経費には、会計検査機能充実強化するため、次のような経費を計上しております。  第一に、国会からの検査要請への対応行財政改革の動向に適切かつ機動的に対応した検査を遂行するための検査体制充実強化経費として八千四百万円余を計上いたしております。  第二に、情報通信技術を活用した検査及び海外検査等充実を図るための検査活動充実強化経費として二十億八千七百万円余を計上いたしております。  第三に、検査活動に資する研究及び検査能力向上のための研修充実を図るための研究研修経費として二億八千八百万円余を計上いたしております。  以上、会計検査院平成二十年度予定経費要求額概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  17. 岡田広

    委員長岡田広君) 以上で予算説明聴取は終わりました。  説明者は退席いただいて結構です。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  18. 島田智哉子

    島田智哉子君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新日本島田智哉子でございます。  私からは、まず、来年度予算案の中から、少子化対策関連予算案についてお聞きをしてまいりたいと思います。  内閣府がおまとめになった資料によりますと、来年度予算案の中で少子化社会対策予算額は、政府全体の総額で一兆五千七百十四億円、対前年度比三・五%増ということでございます。上川大臣のこれまでの御発言では、限られた予算の中で政策的に効率を高め、その効果が最大限発揮できるよう運用を図っていくと、このようにおっしゃっていらっしゃいますが、来年度の少子化対策予算案に対する上川少子化担当大臣御所感からお伺いしたいと思います。
  19. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) おはようございます。  政府全体の平成二十年度の少子化社会対策関係予算案ということで、ただいま委員から一兆五千七百十四億、前年度比三・五%増というお話を触れていただきましたけれども、今年も歳入歳出一体改革による大変厳しい歳出削減が求められ、政府全体の一般歳出伸びも〇・七%増という状況である中にありまして、この少子化社会対策関係予算案は三・五%増ということで比較的高い伸びであるというふうに考えております。  平成二十年度の予算案につきましては、昨年末に取りまとめられました仕事生活調和憲章及び行動指針、そして「子どもと家族を応援する日本重点戦略を反映させ、働き方の改革のための取組や、あるいは多様な働き方に対応した保育サービス等子育て支援策充実を図るとともに、当面差し迫った問題であります安全、安心な産科医療確保重点を置いた内容となっているところでございます。  具体的に申し上げますと、まず、業界トップクラス企業における先進的なモデル事業や、また地域ごと取組のためのワークライフバランス推進会議の設置など、働き方の改革を推し進めていくための取組に要する費用を計上しているところでございます。  また、子育てにかかわる対策といたしましても、地域における子育て支援拠点の拡充や保育所受入れ児童数の拡大、さらに保育ママさんの充実、そして延長保育や一時保育推進など多様な保育サービス充実等に心掛け、同時に、多様な働き方に対応した保育サービス等子育て支援策充実に資するよう経費を計上しているところでございます。  また、三点目として、当面差し迫った課題であります安全、安心な産科医療等確保対策といたしまして、地域的な事情により分娩件数が少なく経営が困難な産科医療機関への財政的支援に要する経費などを盛り込んでいるところでございます。  私の所掌している内閣府ということでの予算案について触れさせていただきますと、総枠は二億六千四百万でございまして、対前年度比が八・五%増ということで、高い伸び確保しているところでございます。  新たな施策といたしまして、企業におけるワークライフバランス取組従業員意識に関する調査経費、あるいは利用者の視点に立った施策の点検、評価の手法の開発のための利用者満足度調査に関する調査研究経費などを盛り込んだほか、引き続きの取組といたしまして、家族地域のきずなの再生のための国民的な運動のための経費等を計上しているところでございます。
  20. 島田智哉子

    島田智哉子君 それでは、その少子化対策予算案の中から、一点目として児童虐待防止対策について、そして二点目として内閣府の少子化対策推進経費についてお聞きしてまいりたいと思います。  まず、一点目の児童虐待防止対策関係予算についてお聞きをしてまいります。  児童虐待防止対策につきましては、昨年、議員立法によりまして、児童安全確認等のための立入調査などの強化保護者に対する面会、通信等の制限の強化保護者に対する指導に従わない場合の措置の明確化、このような改正が行われました。また、来年度予算案資料を拝見いたしますと、予算面での対応として児童相談所体制整備、市町村の機能強化など、また運用の見直しという点では、通告受理安全確認などの基本ルールの徹底などとされております。  そこで、上川大臣にお聞きをいたしますが、昨年議員立法により改正された児童虐待防止法に対する今回の政府対応についてどのような御見解をお持ちでしょうか。
  21. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 昨年の九月に成立いたしました改正児童虐待防止法等につきましては、立法府におきまして党派を超えて議員立法ということで大変熱心な御議論をいただいて、その結果として、先生御指摘の児童安全確認等のための立入調査等強化を図ることができるよう施策推進を図るということでございますし、また同時に、従来に比べまして保護者家庭へのアプローチをより強く制度の中に位置付けていただいたものというふうに思っているところでございます。  施行は四月一日ということでございまして、大変あとわずかな期間が残されているのみということでございますが、厚生労働省を始めとして関係省庁におきまして、省令の制定や改正都道府県等への通知を行うなど、施行に向けた準備が進められているということでございます。  子供を取り巻く環境も大変厳しいものがございますし、同時に、児童虐待の大変痛ましい事件も起こっているということでございますので、その予防、また防止に向けまして、この改正法内容にしっかりと沿った形で対応を適切に取られていくということを大きく前進できるように努めてまいりたいと思っております。
  22. 島田智哉子

    島田智哉子君 児童虐待防止対策については、確かに年々強化されているということは事実であると思います。しかし一方で、大臣も御案内のとおり、児童虐待に伴う死亡事件が残念なことに後を絶ちません。今月も、埼玉三郷市において、子供が三人、十日間も置き去りにされ、二歳の男の子が亡くなるという痛ましい事件がございました。またもや小さな命を守ることができませんでした。亡くなった子供さんの御冥福をお祈りしますとともに、このお子さんの死を無にしないためにも徹底的な検証と再発防止策が必要なことは言うまでもございません。  まず、今回の事案の事実関係につきまして御報告をいただきたいと思いますが、報道によりますと、この事案については、警察児童相談所共に、近隣の住民あるいは亡くなった子供が入院していた病院から通告があったということであります。それぞれ事実関係について御報告いただきたいと思います。
  23. 片桐裕

    政府参考人片桐裕君) では、まず私の方から埼玉県警における対応状況について御説明申し上げます。  今県警から聴取をしておりまして、現段階において私どもが承知している状況は次のとおりでございます。  まず、埼玉県警では、昨年の八月に、今回この事件が発生しました三郷二丁目周辺子供が道路で親を捜しているようだという通報を受けまして、付近を捜したところでございますが、子供の発見には至らなかったということでございます。ただ、これが本件のこの事件との関係があるかどうかについては確認をされておりません。  その後しばらく通報等はなかったのでございますけれども、本年一月中旬以降に、頻繁に子供の泣き声がするなどの通報が行われるようになりました。埼玉県警は、当初、これがどこの子供さんであるのか特定ができませんでしたので、周辺にチラシを配って情報の提供を求めたということでございます。その結果、本件被疑者宅子供であるようだという情報があったということでございます。  そこで、一月中旬になって埼玉県警職員本件被疑者宅を訪れまして、この被疑者には会えなかったのでございますけれども、被疑者おばあさん祖母の方と面接ができました。祖母の方からは、ひ孫が夜泣きをするので困っている、家庭内暴力とか虐待はないといった説明を受けております。  ただ、その後もこういった子供が泣いているといった通報が相次いだわけでございまして、県警ではそのたびに付近捜索等を行ったのでございますけれども、子供を発見したとか、また子供が泣いているといった事実も確認ができなかったということでございます。  そして、三月上旬に至って再び県警職員被疑者宅を訪ねまして、このときもこの被疑者おばあさん祖母の方と面接をしております。ただ、対応中身は前回と同じような中身だったということでございます。  さらに、その二日後には、被疑者本人から本署の方に電話がございまして、虐待などはしていない、警察官が来るのは迷惑だといった申入れがあったというふうに聞いております。そして、残念ながらその一週間後に本件が発生をしたということでございます。  こういった経緯から、埼玉県警としましては、児童虐待であるとの認識を持つまでには至らなかったというふうな報告を受けております。
  24. 村木厚子

    政府参考人村木厚子君) 厚生労働省からも事実関係、御報告申し上げます。  埼玉県からは、児童相談所対応でございますが、昨年十月、当該児童が病気で入院している病院からネグレクトの疑いで通告があったことから、母親面接をしようと何度も家庭訪問等を試みたところでございますが、拒否をされ、結局、電話でのみの連絡ができる状態にとどまっていたと。その後、母親が転居した後も繰り返し家庭訪問を試みたが会うことができず、事件に至ったという報告を聞いているところでございます。  事実関係につきましては、今後とも埼玉県に対して詳細に報告を求めていく予定でございます。
  25. 島田智哉子

    島田智哉子君 そこで、まず本事案に対する警察対応についてお伺いをいたします。  警察庁では、平成十八年九月二十六日付けで、児童安全確認及び安全確保を最優先とした対応についてという生活安全局長、刑事局長連名による通達が出されております。この通達の趣旨について御説明ください。
  26. 片桐裕

    政府参考人片桐裕君) お答え申し上げます。  警察庁では、平成十八年当時に、児童虐待の検挙件数や検挙人員、また被害児童数が著しく増加をしたという状況、そしてまたネグレクトによって子供を餓死させるといったような悲惨な事件が相次いだということを受けまして、平成十八年九月二十六日に御指摘のように各都道府県警察に対して通達を発しまして、児童虐待への取組強化を指示したところでございます。  その内容でございますけれども、まず一つには、児童安全確認及び安全確保を最優先とした対応の徹底を図ること、二つには、児童の保護に向けた関係機関との連携を強化すること、三つには、厳正な捜査を進めるとともに被害児童に対するカウンセリングなどの支援を実施すること、四つ目には、少年警察部門への情報の集約化を進めるとともに、組織としての的確な対応を行うことなどとなっております。
  27. 島田智哉子

    島田智哉子君 ここで言われている、児童安全が疑われる事案については児童安全警察職員が直接確認することが重要でありという、この点について今回の事案ではどういった対応が取られたんでしょうか。
  28. 片桐裕

    政府参考人片桐裕君) 御指摘のように、この通達におきましては児童安全確認及び安全確保を最優先とした対応の徹底を図ることを求めておりまして、特に、児童安全が疑われる事案については児童安全警察職員が直接確認することが重要であるというふうにいたしております。  今回の事件におきましては、地域住民からの子供の泣き声に関する通報などに基づきましてパトロールを実施し、また二度家庭訪問も実施いたしましたが、ひ孫の夜泣きで困っている、虐待はないといった本件被疑者祖母、被害児童の曾祖母になりますけれども、のお話を聴いて、児童虐待が行われるというまでの認識には至っていなかったということでございまして、したがって児童安全を直接確認することまではしなかったという報告を受けております。
  29. 島田智哉子

    島田智哉子君 また、児童相談所に対しても児童安全確保を最優先とした対応を取るよう働きかけることが必要であるとされていますが、この点の対応についてはどうだったんでしょうか。
  30. 片桐裕

    政府参考人片桐裕君) 御指摘のように、通達におきましては、児童相談所等の連携体制を日ごろから整備するとともに、個別事案についての情報を入手した早期の段階において相互に情報を交換し、対応の検討を進めること等を求めております。  しかしながら、今回の事件につきましては、ただいま申し上げましたように、誠に残念ながら、その時点で児童虐待が行われているという認識にまでは至らなかったということで、児童相談所等への働きかけについても行っていなかったというふうに聞いております。
  31. 島田智哉子

    島田智哉子君 そこのところを今後しっかり検証していただきたいと思いますが、しかし、もう来月から改正法が実施されるというわけなんです。そのような中で、今回のケースに限っては先ほどの通達の趣旨が徹底されていないということは明らかでございますので、早急にそれが確実に実行されますよう改めて通知を出すなどしていただいて徹底をしていただきたいと思いますが、泉大臣より明確な御指示をここでいただきたいと思います。
  32. 泉信也

    国務大臣(泉信也君) 今回の悲惨な事件については、大変残念な思いを持っております。  局長から御答弁をさせていただきました中で、第一線の警察官としては訪問をするなどいろいろなことをさせていただきましたけれども、強いて申し上げるならば、児童相談所との連携に欠けていたということが問題の解決につながらなかったという反省を私自身いたしておるところでございます。これまでも、御指摘いただきましたように、通達を出して担当課長等を一堂に集めるなどの会議を開催し、実施をより充実させるように努めてまいりました。  しかし、今回の事案を考えますと、またさらに、この四月の児童虐待防止法改正施行されることも踏まえまして、警察庁では、本年二月に改めて全国会議を開催し、全国警察の現場第一線におけるその周知徹底を図ったところでございます。さらに、近く児童虐待対応マニュアルを作成をいたしまして配付することとしております。既に現物が実はここにございます。これを配付をし、これまでの通達の内容も再確認することを指示し、更に徹底に努めてまいることといたしておるところでございます。  今後とも、悲惨な児童虐待事故防止に向けて、各都道府県警察において、職員に対する教養の徹底、それから関係機関との緊密な連携、こうしたことを通じて適切に対応してまいるよう努めてまいる所存でございます。
  33. 島田智哉子

    島田智哉子君 子供たちというのは自分の気持ちを言葉で大人に伝えることがなかなかそういった状況では困難だと思いますので、やはりもう一歩踏み込んでいただいて、健康であるかどうか子供の状態を目で確認していただくというのが本当に大切なのではないかと思います。徹底していただきたいと思います。  それでは、今回の事案における児童相談所等の対応についてお聞きをしたいと思います。  先ほどの説明にありましたように、昨年十月二十四日、今回亡くなった子供が入院している病院からネグレクトの疑いがあると、こういう通告があったということでございます。このケース、病院からの通告ということでありますから、医師が疑いを持ったのであり、専門家による通告でありますから極めて重要な通告であったということであります。  本日提出しております資料一が、私が厚生労働省資料要求をして提出していただいた本事案に対する事実関係についての資料でございます。ここにございますように、通告があり、それから死亡している子供が発見されるまでの間の経緯が書かれておりますけれども、しかし極めて重要なことが書かれておりません。私どもが確認した事実として、この間に市の要保護児童対策地域協議会の実務者会議と個別ケース検討会議が何回となく開催されております。ところが、この数回の会議においてこの事案が一度も取り上げられなかったということなんです。  厚生労働省はこの事実を把握されていたんでしょうか。
  34. 村木厚子

    政府参考人村木厚子君) この事案に対する要保護児童対策地域協議会のかかわりでございます。事件が生じた後、埼玉県に確認をいたしましたところ、今回の事例については、先生が御指摘のように、実務者会議、個別ケース検討会議のいずれの会議でも協議の対象とされていなかったというふうに聞いております。  一方、先生御指摘のように、今回の事例につきまして、虐待通告がありました平成十九年十月二十四日から児童が死亡をして発見をされた平成二十年の三月十四日までの間でございますが、三郷市要保護児童対策地域協議会は実務者会議が二回、個別ケース検討会議が九回開催されたということを把握をしております。
  35. 島田智哉子

    島田智哉子君 警察も当然この協議会に参加されていますが、警察通告を受けて以後、その会議への出席状況について警察庁は把握していますか。いかがですか。
  36. 片桐裕

    政府参考人片桐裕君) 先ほども申し上げましたように、この事件らしいという通報を受けましたのは昨年の八月でございますが、それ以降、三郷市では要保護児童対策協議会の実務者会議は四回開催されているというふうに伺っております。県警ではこのうち都合が付かなかった一回を除きまして出席をしておりますけれども、協議会で今回のケースが扱われたということはなかったと聞いております。  また、個別事案を扱うケース検討会議につきましてはこの間数回開催されているようでございますけれども、警察に対しては出席要請はなかったというふうに聞いております。
  37. 島田智哉子

    島田智哉子君 厚生労働省に申し上げたいのですが、当初私がいたしました資料要求に対して、その事実関係を把握していらっしゃるにもかかわらず、そんな大切なことが書かれていないということは極めて遺憾でございます。私に提出してきた資料というのは、この埼玉県から送られてきた資料でございました。それはもうとっくに私どもは入手しておりましたので、事実関係を把握していらっしゃったのであればきちんと資料を最初から提出していただきたいと思いますが、いかがですか。
  38. 村木厚子

    政府参考人村木厚子君) 今回の事例につきまして、地域対策協議会の関与につきましては、私ども、県から事情をお伺いする中で三郷市との連携をしている状況というのが分かりましたので、その際に地域対策協議会と連携を取っているかどうかということについて、この事案をかけたかどうかについて埼玉県に電話でございますが御質問をし、この案件はかかっていないという事実を把握をしておりました。  先生から御質問をいただいたときに、児相の対応状況について事実関係報告するようにということでございましたので、埼玉県からいただいたこの資料について先生に御提出をさせていただいたところでございます。  その後、先生からこの大変重要な地域協議会の開催状況についてきちんと事実を把握をし報告をするようにという御指示を受けましたので、埼玉県にその実際の開催状況等について問い合わせをいたしまして、事実確認をして先生に再度御報告をしたところでございます。  先生からのお問い合わせにつきまして、スピーディーに的確な情報がお返しができなかったということであればおわびを申し上げたいと存じます。
  39. 島田智哉子

    島田智哉子君 今後気を付けていただきたいと思います。  現在既に明らかとなっております、報道でも問題としているのは、警察児童相談所がそれぞれ通告を受けながら、お互いに情報交換もなく、もちろん連携もされていなかったという点でございます。まさに、そうした関係機関の連携を図るため設置をしている地域協議会の実務者会議などが開催されながら、本事案、議題にすらならなかったということなんですが、平成十六年の虐待防止法の改正で市町村が児童虐待の担い手となったわけですが、今後、更に児童虐待防止対策を進めていく上で市町村の体制強化が極めて重要な課題ではないかと、私はそのように考えております。  そこで、来年度予算案の中では、子どもを守る地域ネットワーク機能強化事業という新規事業に次世代育成支援対策交付金として三百七十五億円が計上されております。この事業の概要と三百七十五億円の内訳について御説明ください。
  40. 村木厚子

    政府参考人村木厚子君) 次世代育成支援対策交付金は、市町村に対しまして子ども・子育て応援プランに基づく事業や市町村の地域特性を生かした事業について市町村から事業計画をお出しいただきまして、これを総合的に評価をし、それに基づきまして交付金を交付するという仕組みでございます。  交付をした交付金の各事業への事業費の配分につきましては、市町村の裁量によって自由にお決めいただくというものでございます。先生が御指摘になられましたとおり、平成二十年度でございますが、子どもを守る地域ネットワーク機能強化事業、先ほどの協議会の強化の事業でございますが、この事業を交付金の中で、その交付金が使える事業として新たに盛り込んだところでございます。  事業の内容を若干申し上げますと、これは協議会につきましてその機能強化を図るということで、この協議会には調整機関を置くことになっておりますが、この調整機関の職員の専門性を高める、またネットワークの構成員の専門性を高めるために研修を行うとか、あるいは学識経験者等の専門家を招聘できる、こういった取組を支援するものでございます。
  41. 島田智哉子

    島田智哉子君 今回のケースでは、まさにその地域協議会において実務者会議が二回、個別ケース検討会議が九回も開催されながら今回の事例が取り上げられることはなかったと。  これは昨年の五月ですが、厚生労働省では、この地域協議会のマニュアルをお作りになっておられます。その中で、例えば実務者会議について、「毎月開催する実務者会議は、新規事例と「見守りケース」などを中心に、経過の確認が主な目的である。」、また、「実務者会議では、児童相談所の積極的な関わりが必要である。」「この実務者会議等を利用して、ケースの進行状況の突合を行うなど、連携を密にした対応が必要である。」と、このように示されておりますけれども、しかし今回のケースでは、その基本中の基本的なことさえできていなかったわけです。  では、そのような市町村はここだけなのか、たまたま起こってしまったまれなケースなのか、私は決してそういったことではないんだろうと思っております。それぞれの市町村としても急速に設置を進めてきたという中で、今回のケースを見ましても、実際には運営方法のノウハウがないという自治体も少なくないのが実情なんだろうと思います。  例えば、厚生労働省では児童相談所による地域協議会への必要な情報提供の義務化を行うとしていらっしゃいますけれども、必要な情報とは何か、どの情報が必要で必要でないのか、そこの判断が誤ってしまえば幾ら義務化したとしても意味がないわけでありまして、やはりそれぞれの自治体の状況によって必要とする支援の内容もかなり異なってくるんだと思います。まさに、市町村の体制強化が今後の児童虐待防止対策のかぎになるんだろうと思います。  その意味では、機能強化事業についてはそれぞれの市町村の実情を踏まえた支援でなければならないと思います。具体的にどのような市町村に対してどのような支援を行う目的の事業であるのか、また対象となる市町村数をどのように想定されているのか、それぞれ御説明ください。
  42. 村木厚子

    政府参考人村木厚子君) 先生御指摘のように、このネットワーク機能強化というのは本当に私ども大事なことだというふうに考えております。そういう意味では、このネットワークの設置そのものについてはすべての市町村でやっていただきたいというふうに考えております。その上で、ただ設置しただけでは問題の解決になりませんので、設置をし、さらに機能強化を図っていただくということで、先ほど申し上げた機能強化の事業等も予算に盛り込んだところでございます。  その意味で、この機能強化の事業につきましては、ネットワークを設置しているすべての市町村でこの事業を活用していただきたいというふうに思っておりますし、市町村にそのようにお願いをしてまいりたいというふうに考えております。
  43. 島田智哉子

    島田智哉子君 ただ単に、高いハードルを掲げてそれをクリアすれば交付金を上乗せするということだけでなく、是非きめ細かい支援をお願いしたいと思います。  そこで、総務省にお聞きをいたします。  総務省行政評価局では、来年度、再来年度にわたって児童虐待防止について評価のための調査を行うとされております。その中においては、今回の事案でも明らかになったように、この市町村における地域協議会がどの程度機能しているのかいないのか、また、国の予算に伴う支援事業に対する評価につきましても、しっかりと政策の効果を把握し、的確な政策評価を実施していただくことを強く要請いたしたいと思います。総務省には、政策評価を行う目的と、併せての御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  44. 関有一

    政府参考人(関有一君) 政策評価につきましては、総務省は、複数の省庁にかかわる政策の総合的な推進を図る見地から、必要があると認めるものについて実施をするということになっております。  児童虐待防止に関する政策につきまして、関係府省の間、関係府省と都道府県、市町村等との間、また被害者の保護に関する機関等との密接な連携の下に総合的な取組が必要と考えられるところでございます。  児童虐待防止に関する政策評価を行う場合には、児童虐待防止に関する関係行政機関の各種施策の現状及び効果の発現状況等を調査分析いたしまして、各種施策が総体としてどのような効果を上げているかなどの総合的な観点から評価することが重要であるというふうに考えておるところでございます。  委員御指摘の点も含めまして、様々な観点から調査を行うことを検討していきたいというふうに思っているところでございます。
  45. 島田智哉子

    島田智哉子君 是非よろしくお願い申し上げます。  このような虐待による死亡事例については、何としましても社会としても未然に防ぐ努力をなお一層高めていかなければならないと改めて強く感じます。  これまで、今回の死亡事例に対して、また来年度の予算事業も含めた今後の対応について警察庁厚生労働省、そして総務省にもお伺いしてまいりましたけれども、少子化担当、また青少年の安全を担当されている上川大臣に、児童虐待防止対策に対して具体的にどのような対応をお取りになっていくのか、そのお考えをお聞きしたいと思います。
  46. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 子供が最も安らぐ場所であるはずの家庭の中で親等から虐待子供が受けているという状況については、その子の心身の健全な発達という観点からも大変問題が大きいと改めて感じておりますし、また、今回のように子供が命を落とすというところまで悲惨な状況になっているというケースも、今回発生の事件もそうでありますが、可能性としては非常に大きなものがあるということに対して遺憾に思っているところでございますし、また大変悔しい思いでございます。  子供虐待から守るためには、早期にそうした状況を発見していくということ、そして同時に、地域協議会等を通じて関係する機関の皆さんがよく連携を取りながら、また、情報交換をするのみならず、よく意思疎通をしながらこの問題に対応していくということが大変大事ではないかというふうに思っております。  今回の法改正ということで、特に強化されました立入りの調査権ということでございまして、仕組みとしては整えられてきているわけでありますが、関係省庁関係機関がより連携を取って当たることがこの立入調査権の仕組みをより実のあるものにしていくためにも不可欠ではないかというふうに思っているところでございます。  関係機関の連携強化につきましては、今いろいろなやり取りの中でもこの不足ということについて今回の痛ましい事件が起きたというような認識を共有しているところでございますし、また、こうした事件が二度と起こることのないように、改正された制度も生かすことができるような施策の相互の連携も十分に図っていくということに全力で取り組む必要があると私自身は認識しております。  私自身は、少子化と青少年の対策ということで担当させていただきまして、特に連携の部分、各省庁の力を結集して、そして子供の命を守るという強い決意で取り組んでいくということをしていただけることができるように強く見守り続けていきたいというふうに思っておりますし、必要に応じてのかかわりを積極的に果たしてまいりたいというふうに思っております。
  47. 島田智哉子

    島田智哉子君 母親としても大臣としても力強い御答弁をいただいて、本当にありがとうございます。是非力を入れていっていただきたいと思います。  それでは、二点目として、内閣府の少子化対策予算についてお聞きしてまいりたいと思います。  ここで、泉大臣警察庁は御退席いただいて結構です。委員長、お願いいたします。
  48. 岡田広

    委員長岡田広君) 泉国務大臣政府参考人の方は御退席いただいて結構です。
  49. 島田智哉子

    島田智哉子君 内閣府における少子化対策予算は、少子化社会対策の総合的な推進として二億六千万が計上されておりまして、内閣府よりこの経費の内訳を資料で提出いただいたのが本日提出しております資料の二でございます。  主に調査研究経費と普及啓発経費、それぞれ数千万円の単位の経費の積み上げとなっているわけですが、時間の関係もございますので、その中から少子化社会対策に関する先進的取組事例情報事業経費について具体的にお聞きをしたいと思います。  まずは、その事業の目的、それから十八年度以降の事業の成果についてお聞かせください。
  50. 柴田雅人

    政府参考人(柴田雅人君) ただいま少子化対策に関する先進的取組事例情報事業についてのお尋ねがございました。  少子化対策、国の取組はもとよりですけれども、地方公共団体とか企業とか、あるいは民間団体がいろんな工夫をしていただきながら進めていくというのが非常に大事だと。そのためには、いろんな先進的な取組事例というのを情報収集して、それをまた全国に情報提供するというのがこの事業の目的でございます。  予算額で申し上げますと、当初予算ベースで申し上げますが、十八年度は千二百十二万六千円ですが、そのうちのほとんどを占めます外部に発注する経費でございます、諸謝金と言っていますけれども、これが千九十九万三千円ということでございます。それから、十九年度は千百七十一万二千円ですが、諸謝金は同じく千九十九万三千円、二十年度は千六百五十二万九千円ですが、諸謝金は千五百九万というふうになっております。  それから、これの成果というか、これをどういうふうにしているのかということでありますけれども、十八年度は地域取組ということについていろんな角度から収集をしたわけですけれども、十九年度は、今度は家族地域のきずなの再生ということに的を絞っていろんな取組を収集いたしました。  その成果につきましては、十八年度は内閣府のホームページで公表するというふうにしております。それから、十九年度につきましては、まだ年度少し残っておりますけれども、できるだけ早い時期に内閣府のホームページに公表するということと、それから平成二十年度に実施します家族地域のきずなフォーラム、こういうところを通じてこの先進的取組についての情報提供を行うということで考えております。
  51. 島田智哉子

    島田智哉子君 この事業につきましては、資料三に提出しておりますように、平成十八年度の予算額一千九十九万三千円、それに対して実績額九百二十九万五千円、平成十九年度も同額の予算額に対して実績額は六百三十万円。いずれも実績額が予算額を下回っておりますが、その差額につきましては、これは不用を出した、あるいは出されるということになるんでしょうか。
  52. 柴田雅人

    政府参考人(柴田雅人君) まず十八年度でございますが、この先生お示しいただきました資料でございます。この予算額、当初予算額になっていますが、さらに補正では九百九十九万六千円と少し補正後の金額が下がっております。そして、実際には、この補正後の金額と実際の実績額との差額七十万一千円というものを不用額として処理をいたしました。  それから、十九年度の予算額でございますけれども、これにつきましては先生の資料にあるとおりでございます。これまだ年度途中でありますが、実績額、ほぼこの六百三十万ということでございまして、これは一般競争入札を行った結果、この額で契約できたものでありますけれども、これについても不用額として計上することになるということで、まだ今全部終わっていませんけれども、そういうことで考えております。
  53. 島田智哉子

    島田智哉子君 ちなみに、十八年度の内閣府の少子化対策予算のうち何%の不用額が生じておりますでしょうか。
  54. 柴田雅人

    政府参考人(柴田雅人君) 済みません。ちょっとパーセントが今すぐ出ないんで申し訳ないんですけれども、金額で申し上げます。  十八年度の少子化社会対策推進経費、当初予算は一億四千二百十五万七千円ですが、補正後が一億二千九百十九万九千円です。それで、執行額は一億一千二万円ということでございまして、差引き千八百十七万九千円ということでございます。ですから、補正後の予算額よりも執行額の方が少なくて、その差が千八百十七万九千円出ているということでございます。
  55. 島田智哉子

    島田智哉子君 不用額が千八百十七万九千円ということですから、およそ一四%程度ということだと思いますけれども、一概には言えないんですが、普通、不用額というのは大体二、三%レベルというふうにお聞きをいたしております。  国民の血税ですから一円たりとも無駄にしないという観点から当初の見積りよりもいい事業が安くできたということであればそれはそれでよろしいんだと思うんですけれども、しかし、来年度予算については、そうした不用が生じているにもかかわらず今年度予算の五割増しの予算額になっております。事前に御担当者の方にお聞きいたしますと、調査項目を一から二に増やすのです、ただ、だからといって倍増するのではなく、効率化することで一・五倍にしたんですと、このような御説明がございました。  では、なぜ四割以上も不用が生じていながら前年の予算額をベースに一・五倍にされているのか、二年連続不用額を出しているわけですからそれを反映させた額を基準とした方がいいんではないか、すべきだと思うんですが、この点について御説明いただきたいと思います。
  56. 柴田雅人

    政府参考人(柴田雅人君) ただいま先生からもお話がありましたのでもう重なる説明は省略いたしますけれども、今回、企業取組地域取組と二種類調査をすることにしましたので、中身は増えております。予算額は、今先生お話ありましたように千五百九万ということで、約十八年度の予算の一・四倍ということになっております。  今までの十八年、十九年、実際にこの差額が出た要素というのは、先ほど申し上げましたように、十八年はこれは企画競争という形でやりまして、十九年度はもう全部入札にしようということで一般競争入札でやっているわけでございまして、そこで差額が出ているわけでございますけれども、こういうこの辺の傾向というのを見ながら、今後の話としては、やはりなかなか入札ですとすぐにどのくらいになるのかというのが見極めにくいところがあるのは正直なところあるんですけれども、今までの予算の実績というのを踏まえながら次の予算の要求には反映させていかなければならないと私どもも考えております。
  57. 島田智哉子

    島田智哉子君 様々な御説明、何度もお聞きしたんですけれども、ちょっと分かりにくい。国民の感性で予算というものは行っていただきたいと思うんですが。  確かに、予算要求の各段階でそうした技術的な面の理屈があるかもしれませんが、ただ財務省の「予算の効率化の徹底」という中には「決算結果の反映」という項目がございまして、「予算の適正かつ効率的な使用の観点から、多額の不用が生じている事業等について、決算結果を踏まえ、個々の予算内容等を厳正に見直し、その結果を予算に的確に反映。」と、このように書かれているわけですね。その具体例も示されておりますけれども、十八年度決算実績を踏まえるのは当然として、直近の委託手数料の契約単価を精査するとか、あるいは十九年度の事業の執行見込みを踏まえるとか、そういった対応によって予算に的確に反映させている事業も多々あるんだと思います。  少子化対策予算に対して政府全体で三・五%増になったと。それに対して冒頭大臣より御所感をお聞かせいただきましたけれども、それはこうした一つ一つの積み上げの結果でありまして、今後、なお一層適正かつ効率的な観点から予算編成にお取り組みいただきたいと思いますが、上川大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  58. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 予算につきましては、できる限り効率的な執行を心掛け、その決算結果を次の予算に反映をしていくということについては、そのとおりだというふうに思います。  その中で、少子化社会対策関係予算につきましては、内閣府におきまして、平成十八年の六月の参議院の決算委員会の措置要求決議というのを受けまして、従来からの予算の取りまとめに加えて、その使用実績につきましても取りまとめることとし、白書等につきましても明確に記載をしているところでございます。十九年末に策定した「子どもと家族を応援する日本重点戦略におきましては、利用者の視点に立った点検、評価を実施し、そしてその結果を予算編成や事業実施等に反映させることの重要性が指摘されたところでございます。  そういう指摘もございましたので、今回、そうしたことも踏まえまして、少子化社会対策関係の各施策につきましても、内閣府を始めとして関係省庁におきまして、決算結果の反映に加えて、重点戦略で指摘されましたこの利用者の視点に立った点検、評価を踏まえた予算要求を行うとともに、予算の効率的執行に努めることが重要であるというふうに考えております。  先ほど不用のお話がございましたけれども、私の担当をしてからの率直な印象にまだとどまるんですが、所掌が男女共同参画少子化、また食育、青少年ということで、いずれも子供家族にかかわるテーマでございます。そういう意味では、予算ごとの施策の効果と同時に相乗的な効果が上げられるなということで、ある意味では、こちらの予算は通っているけれども、少し広げて実態の部分について把握するようにとかということについて少しチャンスを最大限に生かすべく実務的には取り組ませていただいているということでございまして、そういったことも省庁連携型のこの内閣府の予算の部分に少し考えていくべき点があるなということを感じておりまして、この点、まだ大変短い期間の中での判断でございますが、少し考えていきたいなという点でございます。  不用論、不用額という一般的なルールと同時に、そうした利用者の視点、さらには、そうした総合調整という形での内閣府の位置付けにかかわる予算の在り方ということについてもこれからも検討してまいりたいというふうに思っております。
  59. 島田智哉子

    島田智哉子君 ありがとうございます。  それでは次に、妊婦健診の支援の在り方についてお聞きをしてまいりたいと思います。  この妊婦健診につきましては、政府が掲げていらっしゃる「子どもと家族を応援する日本重点戦略において、望ましい受診回数を確保するための支援充実ということが書かれてございます。私、本委員会でもこれまで周産期医療体制について質問させていただき、上川大臣にもその都度御答弁をいただきました。私も直接産科の先生にお話をお聞きしたときにもおっしゃっておられましたけれども、やはり妊娠経過の状況が全く分からない状況で救急搬送の要請があったとしても、受け入れる医療機関が決まらない可能性が高くなるということがございます。  その背景には、やはり健診を受ける施設そのものが減少していることも当然あるんでしょうけれども、一方で経済的な問題も大きいんだと思います。特に、若い方にとりましては、病院に行って全額自己負担を経験をするという場合がほとんどなんですね。ですから、いつもお財布の中身を気にしながら不安を持ちつつ行く方も多いと。その妊婦健診は、出産までに十三回から十五回受けるわけですけれども、一回に五千円から、検査内容によっては一万円、一万五千円掛かるところもあるわけですけれども、この金額、やはり収入の低い方にとっては行こうにも行けないケースは少なくないということです。  この妊婦健診の公費負担については平成十年から一般財源化されていて、市町村が地域の実情に応じて実施することになっておりますから、市町村によっては、公費による健診を一回というところもあれば、多いところで十四回以上というところもあって、かなり地域間のばらつきがございます。  厚生労働省では昨年この辺りの調査をされていると承知しておりますけれども、その状況について御説明ください。
  60. 村木厚子

    政府参考人村木厚子君) 妊婦健診でございますが、先生御指摘のように、健康な妊娠、出産を迎える上で非常に大事なことだというふうに思っております。  この妊婦健診につきましては、母子保健法におきまして、市町村が必要に応じて妊婦に対して健康診査を行い、又は健康診査を受けることを勧奨するということが定められております。この法律に基づきまして、公費負担等の取組について各自治体で御努力をいただいているところでございます。  これに関しましては一般財源化をされておりますが、平成十九年度予算におきまして、この妊婦健診を充実するための地方財政上の措置を講じたところでございます。健康な妊娠、出産を迎える上で最低限必要な五回を基準として公費負担を拡充するよう自治体にお願いをしております。  こういった状況の下で、平成十九年の八月時点で、私ども、公費助成の状況を調査をしております。かなりばらつきがございまして、秋田県のように公費助成が十回というところもございますが、全国で平均をいたしますと二・八回という状況でございます。
  61. 島田智哉子

    島田智哉子君 昨年の一月から地方財政措置の基準を二回から五回に引き上げられ、全国平均二・八回ということですけれども、この重点戦略で書かれている、望ましい受診回数を確保するとある、この望ましい受診回数とは何回のことをおっしゃっていて、そのうち公費負担による受診回数を何回にされようとなさっているのでしょうか。
  62. 村木厚子

    政府参考人村木厚子君) この重点戦略会議で望ましい妊婦健診の回数というふうに言っておりますが、これにつきましては、従来からおおむね私ども、こういうふうに考えております。  妊娠初期より妊娠二十三週までは四週間に一回、妊娠二十四週より妊娠三十五週までは二週間に一回、妊娠三十六週以降分娩までは一週間に一回程度受診をすることが望ましいということでございます。これに沿いまして受診をしていただいて、大体出産予定日に出産をされるということになりますと、受診回数は十四回程度となるということでございます。これが望ましい受診回数というふうに考えております。  それから、地方の財政事情等もございますので、少なくとも是非これだけはということにつきましては、五回ということを私どもはお願いをしているところでございます。
  63. 島田智哉子

    島田智哉子君 五回ですか。  それでは、そのための支援の充実とは、具体的にどのような支援をお考えでしょうか。
  64. 村木厚子

    政府参考人村木厚子君) 先ほど申し上げましたとおり、十九年度から地方財政措置、拡充をしていただきまして、五回分を確保するための財政措置をとっていただいておりますが、申し上げたとおり、昨年の八月現在では全国平均で二・八回という状況でございました。ただ、その時点で調査をしたときに、多くの市町村が今後増やす方針であるということを回答をしていただいております。全市町村の五八・八%が今後増やすということを言っていただいております。  こうしたことから、平成二十年度、これは四月時点をと思っておりますが、この公費助成の状況について再度調査を実施をすることといたしております。この調査結果も踏まえながら、自治体と連携を取って、引き続き、受診回数が上がりますように努力をしていきたいというふうに考えております。
  65. 島田智哉子

    島田智哉子君 これを一般財源化されたのは政府であるわけですから、この状況のままではなかなか厳しいのではないかと思うんです。私も妊婦健診の公費による支援はとても重要であると思っております。ただ、その実現のためには現状の地方財政措置の枠を超えた対応を考える必要があるのではないかと私は思っております。  少子化担当大臣として、この妊婦健診の支援についてお考えをお聞かせいただき、私の質問を終わらせていただきます。
  66. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 妊婦健診に係る公費助成ということでの御質問でございますが、ただいま現状の取組あるいは調査の結果等については厚労省からの報告のとおりということで、私も二・八回という実態に対しては大変残念な実態だなというふうに思っています。  とりわけ妊娠の各ステージに応じてリスクの部分も変わってきますので、そういう意味では定期的にしっかりと健診を受けていくということが、全国どこにおいても安全、安心で気持ち安らかにお産をすることができる環境を整備するという意味でも大変大切なことだというふうに思っております。  今、予算ということで五回ということが原則ということでございますが、自治体によってはかなり前向きに取り組んでいらっしゃるところもあるということでございますので、やはり意識をしっかり持っていただいて、そして実が上がるようにしていくということについて、四月の実態調査も再度掛けていただくということでありますので、その部分をよく見極めながら、この健診は大変大事なことであるということを妊婦さんの方も思っていただかなければいけないということでありますので、そういう面でも全力で取り組んでまいりたいと思っております。
  67. 島田智哉子

    島田智哉子君 質問を終わります。  ありがとうございました。
  68. 神本美恵子

    神本美恵子君 民主党・新緑風会・国民新日本神本美恵子でございます。  今日は予算委嘱審査でございますが、本題に入る前に一点お伺いしたいことがございます。  実は昨日、全国偽装ラブホテルをなくす会という方々が要請に来られました。この偽装ラブホテルというのは私も余り耳慣れない言葉だったんですけれども、ラブホテルというのは普通、普通といいますか、旅館業法にのっとってビジネスホテルなどとして自治体に許可を取るわけですけれども、その旅館業法にのっとった許可を受けながら、料金設定や外観などからいかにもといいますか、実際はラブホテルとして営業されている、そういうホテルのことを偽装ラブホテルというふうにいうそうでございます。  このラブホテルについては、一九八五年に風営法によって営業できる範囲が限定されることになりまして、例えば商業地というようなところで、学校などの文化施設とか、そういうところからは二百メートル離れていないとできないというようなことが風営法で規制が掛けられているんですけれども、届けたときはビジネスホテル、シティーホテルとして届けて、実際はラブホテルとして営業している、こういうホテルが近年全国各地で増えているということで、昨日いらした方の中のお一人も、我が子が通っている学校のもうすぐ目の前、道路を挟んで目の前のホテルが、外観最初は白だったのがあるときピンクに塗り替えられて、そしてそれは住民が反対をして、これではもう学校の教育上も困るということで抗議をされまして、そしたらそれが白に塗り替えられたけれども、夜になるとライトアップされてまたピンクになるというような、何とかこれはしてほしいというせっぱ詰まった御要望も昨日いただいたんですけれども、これについては今朝の神戸新聞にもこのことについて載っておりますが、まずこういう状況について、これもそういう関係者の方々の調査によりますと、この偽装ラブホテルの数は二万件とも三万件とも全国で言われているそうでございます、その根拠はよく分かりませんけれども。  ですから、その数を警察庁としてどのように各都道府県ごとに把握していらっしゃるかどうかということをまずお伺いしたいと思います。
  69. 片桐裕

    政府参考人片桐裕君) お答え申し上げます。  偽装ラブホテルといった場合にどういうものを指すのかという問題がございまして、一つは、実際には風営法の言う基準に該当するラブホテルでありながら届出を出していない違法なラブホテルと、それからまた、風営法の基準には該当しない、ただ似ている、類似しているというラブホテルと両方あると思います。  各都道府県警察では、そういった営業の実態について可能な限り調査するように努めておりますけれども、何をもって、特に類似のホテルの方は何をもって類似ホテルというかという基準が明らかでないものですから、したがってなかなかその数の集計ができないという問題がございます。  ただ、そういった中で、住民の方からの要望だとか苦情だとかがありまして、取り締まってほしいというような要望もございますけれども、そういったものがあれば警察としては可能な限り中に、これは風営法の厳密に言えば立入り権限が該当しないものですから、同意をいただいて中に入って見せてもらって実態を調べるとかいうことは可能な限りしておりまして、そこで違法な営業である、風営法に言うところのラブホテルに当たると、しかしながら届出してないということがあれば指導、警告を行い、また取締りを行うということにいたしております。
  70. 神本美恵子

    神本美恵子君 今朝のその神戸新聞によりますと、これは兵庫県警だと思いますが、昨年六月に偽装ラブホテルについて調査をしたところ、百五十一店を確認したと、このうち百十六店がいわゆる旅館業法で必要とされる宿泊者名簿等を設置していないなど旅館業法の違反もそこで発覚しているということでございます。ですから、今立入検査がなかなか何をもって偽装ラブホテルとするかということでやりにくいというお話でございましたけれども、現に、例えば兵庫県警等はこういう立入調査をして偽装ラブホテルを摘発しているんですけれども、そして兵庫県警としては、風営法違反、禁止地域営業違反ということで捜索するなど異例の摘発に踏み切ったというふうに書かれております。  これは旅館業法から見ても、明らかに宿泊者名簿等を置いていなければ旅館業法違反になるわけですので、所管の厚労省としても、それから警察庁としては風営法違反ということで早急に実態把握をする必要があると思うのですけれども、厚労省の方、いかがでしょうか。
  71. 中尾昭弘

    政府参考人(中尾昭弘君) 旅館業の施設につきましては、旅館業法及び同法に基づく政令によりまして、宿泊しようとする者との面接に適する玄関帳場を設けるなど一定の構造設備を有すること、また営業者は宿泊者名簿を備え付けることなどが義務付けられております。しかしながら、いわゆるラブホテルと呼ばれる施設の中にはこうした旅館業法の規定に違反するものがあるというように承知をしております。  このため、厚生労働省といたしましては、個々の旅館業の営業の許可や指導監督を行う都道府県等に対しまして、適切な指導監督が行われるようかねてから所要の助言、指導を行っているところでございます。
  72. 神本美恵子

    神本美恵子君 先ほど言いました、学校のすぐそばにそういう偽装ホテルらしき、これは実際に住民の方が行ってみて調べられたのかどうかはよく分かりませんが、明らかに外観から見て、また料金設定等が書かれているものを見ると偽装ラブホテルらしいということで通報があった場合には早急にそれに対する取組が必要だと思いますけれども、先ほどの警察庁の方の御答弁ではなかなか難しいと。  これは、例えば風営法の法律的な罰則規定等も含めて、法律的な問題があるのであればこれは早急に法改正が必要であると思いますし、旅館業法としても、こういったものを全国に、いったん摘発しても、それで勧告、警告を受けても、その後またしばらくしたら切り替えるというような事例も起きているということをお聞きしましたので、私は、これは早急に、双方強力な連携の下に旅館業法違反、風営法違反がないのかということをきちっと全国各都道府県警に指導をしていただいて、あるいは各都道府県に指導していただいて実態把握をまずしていただきたいと思うのですけれども、両方にその点についてお伺いしたいと思います。
  73. 片桐裕

    政府参考人片桐裕君) ただいま申し上げましたように、どういう基準で実態を把握するかということが明確でないので非常に難しい問題がございますが、ただ、先生御指摘のように、可能な限り実態をきちんと把握するように努めてまいりたいと思っております。  その中で、例えば今の問題で、中に立ち入ってはいないけれども、利用者の話とか、それからまた旅館業法の関係の立入りの実態をお話を聞かせていただいた上で、明らかにそれが風営法上のラブホテルであるということが分かれば捜査として中に入っていくというようなことも現にやっておりますので、そういったことも含めて、違法営業があれば厳しく取り締まるということでやってまいりたいと考えております。
  74. 中尾昭弘

    政府参考人(中尾昭弘君) 旅館業法上は、必要があると認める場合には都道府県の職員が立入検査を行うとか報告徴収をするという権限が認められておりますし、また、旅館業法違反が認められた場合には、改善命令を出すあるいは営業許可の取消しを行うというような措置も可能でございます。  地域住民の方々から旅館業法違反の施設があるという連絡があった場合には、それぞれの都道府県におきましてこのような旅館業法の規定を踏まえた対応を行っていくべきものと考えておりまして、委員の御指摘も踏まえまして、今後とも都道府県等に対する助言、指導を適切に行っていきたいと考えております。
  75. 神本美恵子

    神本美恵子君 どうぞよろしくお願いしたいと思います。  先ほど言いましたように、学校のそばにそういうものがあるということについては、そこから急発進で車が出てきて、通学路で子供が通っているところに交通事故の心配もございますし、もちろん教育上の環境としてもよろしくないという意味で早急な取組をお願いしたいと思います。  国家公安委員長、この件についての御見解をお願いしたいと思います。
  76. 泉信也

    国務大臣(泉信也君) 先ほど生活安全局長から答弁をさしていただきましたように、警察としては取締りをやっている。また、現に十八年の十月には、ラブホテル等への対応についてという文書を各都道府県に出しておりまして、問題のホテルに対する対応を取っておるところでございます。  まず、警察庁においては実態を把握すると、的確に実態を把握した上で的確な対応をするようにということを指示しておりまして、具体的には、ラブホテルの要件を満たすに至っている場合には直ちに警告、指導を行う、そしてそれに従わない場合には罰則を適用する、これは風営適正化法の罰則を適用する、厳正な取締りをするようにという指示をいたしております。  また、先ほど申し上げました各都道府県への文書の中では、建築基準法あるいは旅館業法等の違反が認められる場合には、都道府県の関係部局に対し措置命令等の的確な執行について積極的に申入れをするようにという対応をしておるところでございまして、御指摘の学校等の付近にあるものについては従来以上に対応をしていかなければならないと、このように考えているところでございます。
  77. 神本美恵子

    神本美恵子君 ありがとうございました。  この件終わりますので、国家公安委員長、それから警察庁、厚労省の方、御退席いただいて結構でございます。
  78. 岡田広

    委員長岡田広君) 泉国務大臣関係政府参考人は退席いただいて結構です。
  79. 神本美恵子

    神本美恵子君 それでは、本題の予算についてお伺いしたいと思います。  少子化対策関連予算についてでございますが、少子化対策といいますと、一・五七ショック以来、政府としても、本当にこれについては今後の日本の将来にも大きくかかわる問題として、エンゼルプラン、新エンゼルプラン、また少子化社会対策基本法の制定、それに基づく大綱の閣議決定等、そして最近では重点戦略として「子どもと家族を応援する日本」、こういった取組がずっとなされているわけですけれども、なかなかそれによる効果が出てこないという今現状にあるんではないかと思います。  この「子どもと家族を応援する日本重点戦略会議の中間報告を読ませていただいたんですが、その中には、経済財政改革の基本方針二〇〇七にも反映されて、少子化対策については国や社会の存立基盤にかかわる最重要課題であるという認識の下に取組強化するというふうに書かれているというふうに載っておりました。  そこで、お尋ねしたいんですけれども、いわゆる少子化対策大綱が作られて以降で結構ですが、この少子化に関連する予算の推移とそれから来年度予算、今まさに審議の対象でございます二十年度予算まで含めた推移と、それから二十年度予算を組むに当たって特に、ただいま申し上げました重点戦略の中間報告において最重要課題であると、そういう認識の下に取組強化するというふうに掲げてあるわけでございますので、来年度予算重点といいますか、それについてお伺いをしたいと思います。
  80. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 平成十七年度からということで少子化社会対策関係予算額の推移ということでの御質問にまずお答えさせていただきたいと思いますが、十七年度の予算額が一兆五千九百三十三億でございます。十八年度が一兆三千五百四十一億、十九年度の予算額が一兆五千百七十六億、二十年度の予算案でございますが、一兆五千七百十四億ということでございます。  平成二十年度の少子化社会対策関係予算案につきましては、歳入歳出一体改革によります大変厳しい歳出削減が求められており、また政府全体の一般歳出伸びが〇・七%増という中にありまして三・五%の増となっておりまして、比較的高い伸びであるというふうに考えているところでございます。  二十年度予算重点化ということでの御質問でございますが、昨年の末に仕事生活の調和の憲章と行動指針が取りまとめられました。そして、「子どもと家族を応援する日本重点戦略ということで、こうした戦略を反映させまして、働き方の改革のための取組、そして多様な働き方に応じた保育サービス等子育て支援策の再構築充実ということで、これの二つを車の両輪として取り組むという方針に基づき、この二十年度予算案におきましてもこの二つの項目について重点的な取組をしているところでございます。  さらに、当面差し迫った問題であるということで、安全、安心な産科医療確保ということにつきましても重点を置いた内容としているところでございます。
  81. 神本美恵子

    神本美恵子君 来年度の重点ということで今お話しをいただきました。そのことは私も非常に重要な今差し迫った課題として取り組むべき課題だというふうに認識をして、後で内容についてはお伺いしたいんですけれども、そのことが最重要課題という認識で取り組まれようとしているにもかかわらず予算に反映されていない。ずっと今紹介していただきましたここ四、五年の少子化対策関連予算は一・五兆円前後で推移をしている。  今回、総枠抑制が掛かっていながら三・五%増ということで、それは上川大臣、頑張られたんだと思いますけれども、それにしても、額からすれば一・五兆円前後を推移したままで何ら予算の中に、これはもう、日本は、福田内閣少子化対策に本腰を入れてやるんだなということがなかなか見えにくい、見えてこない予算編成ではないかというふうに感じております。  今日お手元に委員の皆様にも資料をお配りしておりますけれども、これも少子化白書の中に載っていたんですが、各国の家族関係社会支出の対GDP比、二〇〇三年度の分ですけれども、もう見ていただくと分かりますように、これは家族手当等の現金給付、それから子育てサービス、支援ということでの様々な現物給付も含めたものでございますが、日本は対GDP比、全部合わせて〇・七五%でございます。近年、少子化、出生率の回復を見ていると言われるフランスやスウェーデン等を見ますと、GDP比三・二、三・五四というふうに、日本の約五倍ぐらいGDP比で予算が充てられている。その下に置いておりますやはり四つの国の社会支出額の推移ですけれども、これを見てもお分かりいただけるように、圧倒的に額が少ないということが見て取れると思います。  この家族関係支出というもの、どういう範囲でここに充てるかというところでも、少し少子化関係予算とは同じ枠組みではないと思いますけれども、それにしても余りにも少ないということと、それから推移を見ましても、日本の場合、先ほど言いましたように、九〇年、一・五七ショック以来、国を挙げての少子化取組を様々なプランを立てたり、法律を作ったり、大綱を作ったりしてやってきているわけですけれども、それにしては予算伸びがわずかずつで、伸びがないということがこれで見て取れるのではないかと思います。  それで、「子どもと家族を応援する日本重点戦略の議論の中でも、ヨーロッパ諸国に比べて現金給付、現物給付を通じて家族政策全体の財政規模が日本は小さいというふうに指摘されております。上川大臣として、担当大臣として、この少子化対策といいますか、子供家族を応援する、そういう観点からの家族関係支出、社会的支出、もっと財政投入が必要ではないかというふうに私は思うんですけれども、大臣の見解をお願いします。
  82. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 先生から御指摘がございました一九八九年の一・五七ショックということから一連の子育ての支援策ということで精力的に取り組んできたということでございますが、ある一定程度につきましては効果が上がったのではないかというふうに思っているところでございます。  しかしながら、今御指摘いただきました各国の状況と比較してみますと、いろいろな経済的な、あるいは社会状況が違うということを留意していかなければいけないということは言うまでもございませんが、総じて言いますと、ヨーロッパ諸国に比べて家族政策全体の財政的な規模が小さくて、また同時に、家族政策を支えている負担についての明確な国民的な合意も形成されているとは言い難い状況にあるのではないかというふうに思っております。  先ほど二〇〇三年ということで比較の数字がございましたとおりでございまして、GDP比、日本の場合には〇・七五%ということでございます。二〇〇六年は〇・八三になっておりますが、他の国との比較が実績値としてございませんので、二〇〇三年ということでの比較で〇・七五ということでございますが、そこの時点におきましても二、三%は各国支出をしているということでございます。  また、別の観点から見てみまして、先ほど経済的な支援ということで現物給付のお話とそして現金給付のお話がございましたけれども、出生率の回復しているフランスやスウェーデンの家族政策の特徴を見てみますと、かつては経済的支援ということに大変重点を置いてきたものが、その後、出産と子育てと就労に関して幅広い選択ができるような環境整備という形で、政策のウイングを広げてきているということでございます。つまり、両立支援というところに重きを置かないと経済的な部分についても生きてこないということだというふうに思っております。  ドイツは、日本と比較的出生率が低位でこの間推移してきた国として私ども注目しているところでございますが、最近になりまして、現金給付よりもむしろ育児休業制度とかあるいは保育サービスのような形での現物給付を重視していくという施策を相次いで打ち出しているところでございまして、その結果、最近値でございますが、二〇〇六年と二〇〇七年の合計特殊出生率を見てみますと一・三三から一・四五に上昇しているという大変短期の成果が出ているという、こんな報告もいただいているところでございます。  今回、「子どもと家族を応援する日本重点戦略の取りまとめに当たりましては、まず働き方の改革をする、そして仕事生活の調和の実現を図っていくということ、そして多様な働き方に対応して子育て支援策をもう一度再評価をし再構築をしていくという車の両輪の取組ということでまとめさせていただいたところでありますが、これにはやはり一定規模の財源が、財政的な投入が必要であるということでの認識をしているところでございます。  そういう意味では、この費用の負担ということにつきましては、未来への投資という形でしっかりと位置付けて、そしてその負担を次世代に回すということにならないように、そういう意味での合意形成に向けて私も全力で取り組んでまいっているところでございますし、これからもそういうことでの必要な経費確保するように全力で取り組んでまいりたいというふうに思っているところでございます。
  83. 神本美恵子

    神本美恵子君 やっぱり財政投入が余りにも小さ過ぎる、大ざっぱな言い方ですけれども、諸外国と比べてですね。やっぱりフランスにしてもスウェーデンにしても、出生率が回復してきたのはそれだけのお金を掛けて、国を挙げてやってきたというところがあると思うんですね。  今、上川大臣もそれに向けてなかなか日本は国民的な合意形成が進んでいないというところでおっしゃいました。私もこの「応援する日本」を読んでまして、子育てなり家族に対するサービスなり給付なりというのは社会的コストというとらえ方ではなくて未来への投資であるという考え方をしようということが書かれていまして、これは私は非常に大事な認識だと思うんですね。  今、コストが掛かっている、これは官民フォーラムの講演記録を読んだんですが、パク・ジョアン・スックチャさんという方の講演読ませていただいたんですけれども、この中に、経済が発展してくると社会的な子供の位置付けが変わってくると。昔はたくさん産んで労働力として家庭家族を支えてきた、その一員としてやってきたけれども、経済発展してくる先進国の中では子供は単なる金食い虫の位置付けになってしまうというふうに、ちょっと言い方はあれですけれども、そういうふうになってきている。  だから、子供には金が掛かってしようがないという認識で、社会的にコストが掛かる存在というとらえ方ではなくて、未来を担う、未来への先行投資として子育て家族に対する財政投入が必要だというとらえ方がこの「応援する日本」の中にありますので、是非これを上川大臣としては生かしてこれからの予算編成なり、来年度からの、また今年度の施策実現に向けてもやっていただきたいと応援する気持ちで申し上げたいというふうに思います。  今お話にもございましたように、現金給付だけでは駄目だと、やっぱり両立支援といいますか、ワークライフバランスのための現物給付も含めた支援が大事だということでございますが、それもそのとおりだと思います。それにしても、フランスが今シフトして現物給付の方に行っているとすれば、その前に現金給付として十分な家族手当なり税制の家族に対する支援なりが進められた上で現物給付が今行われているという認識が、まずとらえ方が必要ではないかということを指摘しておきたいと思います。  次に、働き方の改革によるワークライフバランスの実現ということについてお尋ねをしたいと思います。  今の御答弁の中にもございましたように、車の両輪として、働き方の見直しによる仕事生活の調和の実現と社会的基盤となる包括的な次世代育成支援の枠組みの構築、これを同時並行的に取り組んでいくことが不可欠である、まさにそのとおりだというふうに思います。  これらに取り組む根底として、諸外国の成功例を見ても、子育てというのは単に家庭家族、とりわけ日本の場合は家族の中でも母親、女性がその責任を担うんだというような考え方がいまだにあるという中で、これを本当に発想の転換をして、社会連帯で、社会全体で子供というのは育てる責任があるんだ、そういう責任を担うんだというこの考え方が非常に重要ではないかと、国民的な合意形成をする上でも重要ではないかというふうに思っています。  それともう一つは、子育て母親、女の責任ではなくて、男女が平等に仕事家庭と両方に進出できて、そして男女共同参画推進される、これももう一つ非常に重要なかぎではないかと思います。余りこの「応援する日本」の中にはこのことについては触れていなかったような印象を持っておりますけれども、今日は限られた時間ですので、ワークライフバランスを中心にお聞きしたいと思います。  この重点戦略の中では、これについて、個々の企業の実情に合った効果的な進め方を労使で話し合い、自主的に取り組んでいく、国と地方公共団体もそれを積極的に支援する、社会基盤づくりを積極的に行うというふうなことが書かれているんですが、読んでいて、これで本当にワークライフバランスが実現できるのかなと。非常に抽象的で、政府として何をしようとしているのかということが見えてこないんですが、これについては、昨年末ですか、憲章と行動指針が作られておりますので、数値目標等も私も見せていただきました。  現在のように、ワークライフが非常にアンバランスになっている、特に男性の働き方、働かせられ方といいますか、長時間労働ということ、これをやっぱり何とかしなければ、子育てということだけでなくても、一人の人間の生活、人生としてもワークに偏り過ぎてライフがほとんど、自分の人生を生きることができない状況になっているという、こういう不幸な状況を変えていくことがやっぱり子供の育ちにとっても非常に大事だという意味で、この長時間労働を何とかしなければいけないというふうに、私はまずはここから取り組まなければというふうに思うんですが、上川大臣はどのようにお考えでしょうか。
  84. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 昨年の暮れに、政労使の合意によりまして、仕事生活の調和、ワークライフバランスの憲章と行動指針が定められたわけでございます。その中には、十四の項目を掲げながら、数値目標を掲げて、十年後到達すべき目標ということで、国民的合意で国民運動として推進していこうと、こういう政労使の合意が成立したということについては、私は大変大きな起爆力にこれからなっていくものというふうに思っております。  労使の自主性にゆだねられていたということで、この間、ワークライフバランスにつきましても各企業でも取組はやられていたわけでございますが、なかなか社会的広がりに欠けていたということがございまして、そういったことから憲章、行動指針については政労使で合意をしていくということが大切ではないかと、こういうことに立って昨年の末の合意になったところというふうに思っております。  国民の皆さんがそれぞれ意欲を持って働きながら、また豊かさを実感して暮らすことができるような、多様な選択ができるような社会づくりというのが大変大事であると、こういう一つの共有した社会のイメージというものを持ちながら、それぞれの地域の中で、企業の中でふさわしい在り方についてみんなで共同して参加していただきながら決めていくということだというふうに思っております。  ただいま、長時間労働の解消というのがその中でも大変大きな要素になってくるということについては私もそのような認識でおりまして、この憲章及び行動指針におきましても、労使によって労働時間等の設定改善の取組を支援するなど、仕事生活の調和の実現に向けて関係省庁や労使とよくよく連携をしながら実現に向けての取組をしてまいりたいというふうに思っております。  とりわけ、今先ほど少子の問題に触れられましたし、男女共同参画のお話にも触れられましたけれども、二十代、三十代の若い世代の働き方ということで様々な調査を見ておりましても、六十時間以上の大変大きな長い時間残業していらっしゃる比率がこの二十代、三十代に比較的多いということについては大変注目をいたしているところでございまして、これが少子化との影響も大変大きいのではないかというふうに危惧しているところでございます。  先般改正されました労働時間等見直しのガイドラインということをあらゆる機会を通じて事業者への浸透をしっかり働きかけながら、長時間労働の解消に向けて全力を尽くしてまいりたいと思っているところでございます。
  85. 神本美恵子

    神本美恵子君 長時間労働を解消あるいは抑制していくということ、非常に重要なかぎだと思うんですけれども、これにつきまして規制改革会議が第二次答申を昨年末の十二月二十五日に発表しておりますが、この第二次答申の「機会均等の実現」、「労働分野」というところに長時間労働についての記述がございます。  私はこれを読んで、今、上川大臣ワークライフバランスをする上で長時間労働、特に二、三十代の子育て真っ最中の世代の長時間労働が六時間以上に及んでいるという、週六十時間ですね、及んでいるというようなお話、そういう認識で私も共通するんですけれども、この規制改革会議の長時間労働に対するとらえ方がこのように書かれております。「長時間労働に問題があるからといって、画一的に労働時間の上限を規制することは、自由な意思で適正で十分な対価給付を得て働く労働者の利益と、そのような労働によって生産効率を高めることができる使用者の利益の双方を増進する機会を無理やりに放棄させる。」というふうに書かれております。  私なりに何を意味しているのかなということで読んでみたんですけれども、要するに、自由な意思で適正で十分な対価給付を得て働く労働者の利益、それからそれによって、使用者側はその労働によって生産効率を高める、その両方の利益のためには労使のお互いの契約で労働時間なり決めればいいのであって、長時間労働を抑制するなりということで規制を掛けることは問題だというふうに私には読み取れるんですけれども、これは規制改革会議、担当していらっしゃる内閣府だとお聞きしましたが、どのような議論の中でこういうふうな取りまとめ、二次答申でありますけれども、になったんでしょうか。
  86. 小島愛之助

    政府参考人小島愛之助君) お答え申し上げます。  ただいま先生が御指摘されました記述は、規制改革会議第二次答申中の「労働分野」の「問題意識」の中に書かれているところでございます。  その意味するところでというお尋ねでございますが、個々の労働者にとりましては、その人生の段階におきまして、仕事に専念する時期もあれば家庭に時間を割きたい時期もある、また自己研さんに時間を割きたい時期もあるのではないか、また一方で、そのような労働者の雇用を望む使用者もいるのではないか、こうしたことから、画一的に労働時間の上限を規制することは必ずしも適切ではないのではないかといったような議論を踏まえた考え方を示したものであると承知しております。
  87. 神本美恵子

    神本美恵子君 それにしても、先ほど上川大臣もおっしゃったように、週六十時間以上働くということは、単純に考えて、週六十時間ですから所定労働時間四十時間を二十時間オーバーする、五日間で割り算しますと一日に四時間ですか、オーバーワークをするわけですが、一日四時間であれば、九時—五時と考えても九時まで働くわけですね、夜の。そうすると、それから通勤時間一、二時間見ますと、家に帰るのは早くても十時、十一時になると。それは、子育て中でなければそれでいいというお考えなのか。  その辺が人生のいろんな時期で選べるようにすべきだというふうにおっしゃいますけれども、どの時期であっても週六十時間以上働くなんというのは考えられないというふうに、だれかがその分、例えば子供が育ち上がったら今度は両親の介護などの問題も出てくるわけですから。ワークの時間とライフの時間のバランスを取りましょうというのが今政府として出しているワークライフバランスの実現、ということを一方でやりながら、今おっしゃったような、これについては自由な意思で労働者が決めるんだからいいんだという考え方が規制改革会議で出されている。私は、こういうことで本当にワークライフバランスというものが取れるのか。  これについて、厚労省の方が、ここの問題ではないんですけれども、この規制改革会議は、ほかにも、もう一つこれももう絶対に看過できないと私は思う部分があったんですが、例えば、過度に女性労働者の権利を強化するとかえって最初から雇用を手控える結果になるなどの副作用を生じる可能性もある、これもちょっとよく分からないんですが、どういうことなんですかね。厚労省に後でまとめてお伺いしますが。
  88. 小島愛之助

    政府参考人小島愛之助君) お答え申し上げます。  ただいまの御指摘の記述も第二次答申中の「労働分野」の「問題意識」の中に書かれているものでございます。その意味するところというお尋ねでございますが、人権上の観点から必要とされる性差別の防止や、妊娠、出産に係る女性の保護が必要であるということは当然のことでありますが、こうした目的を達成する手法として、使用者側に法的な義務を課す手法が最善であるとは限らないのではないか、女性労働者の権利保護をすべて個別企業に課すことによって達成しようとする方法を取る場合には副作用が生じる可能性があるのではないかという考え方を示したものであると承知いたしております。
  89. 神本美恵子

    神本美恵子君 皆さんお分かりですか。その意味が私には分からないんですね。女性労働者の権利を強化すると最初から雇用を手控えるというのは、例えば具体例でいうとどういうことなんでしょうか、一つでも例を。
  90. 小島愛之助

    政府参考人小島愛之助君) お答え申し上げます。  これは、その権利を強化するとそういう女性労働者の雇用を手控える可能性があるんではないかという一つの考え方を示したものと承知しております。
  91. 神本美恵子

    神本美恵子君 昨日、ちょっと担当の方とやり取りをさせてもらったんですが、例えばといってそのとき教えてもらって私はよく分かったのは、例えば妊娠、出産の可能性のある女性が入社してきた、そこで育児休業制度がそこにあったとしますね。そうすると、その人が育児休業を取ると、まあ女性労働者の権利として取るとすれば、その分コストが掛かるわけですね。というようなことで、育児休業制度を一律に導入せよと言うと、そういう妊娠、出産の可能性というか、おそれというか、使用者側から見れば、おそれを持っている女性の雇入れを手控えるようになるから、一律にそういう女性労働者の権利を強化するということは良くないんだというようなことだろうと昨日説明された方は例としてお話をいただいたんですが、そう言っていただくとここに書かれている意味がよく分かるんですが、意味はよく分かりますが、私はこんなのはとんでもない誤りだと思いますし、国の施策から見ればこれまでやってきたことに全く逆行する内容だと思うんですけれども、これについて厚労省は、ここだけではなくて規制改革会議の第二次答申について反論をなさっておりますので、長時間労働やそれから労使の対等な関係ということについて反論されていることをちょっと御紹介いただきたいと思います。
  92. 村木厚子

    政府参考人村木厚子君) まず、反論を個別の問題についてそれぞれしておりますので、私の方から、先ほどの女性の採用の手控え云々というところについて私どもの反論を述べさせていただきたいと思います。  女性労働者の権利の保護ということにつきましては、人権上の観点から当然のことでございまして、日本におきましても男女雇用機会均等法という法律があって、性によって差別をされず、妊娠、出産等についても差別を受けないという当然のことを定めているところでございます。  規制改革会議二次答申の表現につきましては、もちろん人権上の保護の必要性を否定をするようにも読めますし、また、先ほどの女性の採用を手控えるというようなことが本当にありますとその行為自体が男女雇用機会均等法の指導の対象になるような行為でございますので、この辺りのことを容認しているかのような記述というのは大変問題があるのではないかということで反論をさせていただいたところでございます。
  93. 神本美恵子

    神本美恵子君 同じ政府内の規制改革会議ということで議論をされて、これはお聞きしますと、まだ問題意識ということで提起をされていることなので、このことが直ちに実施され、政策化されるということではないということですけれども、今ワークライフバランスを言っているときに、長時間労働はそれぞれの自由意思で、労使で話し合えばいいんだとか、女性が働く権利を認めると雇い控えをするという、そのことを容認するようなことが同じ政府会議の中でやられているということ自体が、私はもう最初からワークライフバランスの実現に向けてアクセルとブレーキを同時に踏んでいるような感じがしまして、本当に「子どもと家族を応援する日本重点戦略というものに対する大きな懸念といいますか、はてながこれを見た途端に付いたわけでございます。  これについては、是非、上川大臣、しっかりと旗を持ってといいますか、あらゆるところに目配りをして、ワークライフバランスの実現のためには何が必要なのかということを大きな決意を持って取り組んでいただきたいと思います。  特に、一番最初に言いました労使の自主的な取組、これはもちろんそれを否定するものではありませんけれども、必要な規制なり労働者の保護なり、長時間労働に歯止めを掛けるような法的な整備、制度的な整備というのはこれはやっぱり十分に検討しなければいけないというふうに思うんですけれども、これについての大臣の、今の規制改革会議の考え方も含めて、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  94. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 仕事生活のまず調和を社会全体として取り組んでいこうということでございます。  先ほどの長時間労働ということにつきましても、十四の数値目標、政策目標の中で六十時間以上の長時間の部分については十年後半減をするということを具体的に目標を掲げてやっていくわけでございます。ここは政労使の合意で決められた憲章と行動指針でございますので、自主的な効果的な、それぞれの企業に合った形で、労使でよくよく相談をしていただきながらワークライフバランスの実現に向けて知恵を出して、また行動していただきたいというふうに思っておりますし、そうした動きについて国としても積極的にしっかりと支援をしていくということで、国民運動としての旗振りをしてまいりたいというふうに思っております。
  95. 神本美恵子

    神本美恵子君 資料の裏側に、お配りしているんですけれども、この長時間労働についてなんですが、今、政労使の合意で週六十時間以上を十年後には半減するという数値目標を立ててやっていくということでございますけれども、六十時間といえば、先ほど言いましたように九時過ぎにしか帰れないと。どんなに早くても会社を九時過ぎに退社してということになりますが。  先進国と日本の両立環境の比較ということでそこに出しておりますけれども、例えば週五十時間以上の労働者の割合というところを見ましても、日本の場合二八・一%、フランス、スウェーデンはそこにあるとおりでございます。それから、子供の側からちょっと見てみますと、父親の、夫の帰宅時間ということで見ると、十九時以前に帰宅と答えた者の割合が、これは全国的なものではなくて都市で調査されたようですが、東京の場合二二・六%、七時前に帰れば夕食は一緒にできるかなという時間だと思います。それから、十九時ごろ以前に帰宅と答えたフランスの場合は、パリで五〇・四%、リヨンで六一・九%。半数以上のお父さん、夫が七時前に帰ってきているということです。スウェーデンの場合は、平均・最頻帰宅時刻十七時ごろ。これはもう本当に何かうれしくなるようなことだと思いますけれども、一気にここまでは行かなくても、日本の場合、これで想像しますと、夕方七時以前に帰ってくる人が二二%ですから、圧倒的な家庭の、もしここ子供がいらっしゃれば、子供と一緒に食事ができない働き方、働かされ方をしている状況だと思います。  これをやっぱり何とかするには、本人の人生の選択だとかいうことに任せるのではなくて、やっぱりワークライフバランスを取って、子供を育てるのに父親も母親もかかわるという、そういう施策が私は必要なのではないかと思います。  そういう意味で、この数値目標も、週六十時間以上の雇用者の割合ではなくて、週五十時間以上の雇用者の割合二八%を半減させるというような、もう一歩進んだ取組が必要なのではないかということを御指摘しておきたいと思います。  ちょっと時間が限られておりますので、次に行きたいと思いますが、このワークライフバランスのためには長時間労働の解消と、もう一つ大事なのは、実際に子育てをしている人たちが短時間勤務で働き続けることができる。いったん就業を辞めないでも、朝遅く行くとか、夕方早く帰る、これはもちろん男女を問わずですね、正社員であっても短時間勤務制度がその期間、一年なり二年なり必要な期間取ることができるというような制度や、それから、実際に今短時間勤務、パート労働をやっている方たちも、今正規ではなくて非正規であるということで、賃金が同じ仕事をしていても正社員の約六割というような現状を変えて、短時間パート労働であっても同一価値の労働をしていれば同一賃金がもらえるというような法整備も必要なのではないかというふうに思いますが、この短時間勤務制度についての数値目標が行動指針で挙げられております。  これは正社員の場合が中心になると思いますが、これについて、私はワークライフバランス少子化対策として有効に機能するためにはこれは非常に重要なことだと思いますけれども、これについて厚労省なり上川大臣取組をお伺いしたいと思います。
  96. 村木厚子

    政府参考人村木厚子君) 御指摘の短時間正社員でございますが、これは大変私どもも大事な制度だと思っております。フルタイム正社員よりも労働時間が短いということで多様な働き方ができる、その上で就業時間に比例した待遇が得られるというこの制度、非常に大事なものと受け止めております。  御指摘ありましたように、昨年十二月に取りまとめられましたワークライフバランス行動指針におきまして、五年後に一〇%、十年後に二五%の企業での導入というものを目標に掲げているところでございます。  厚生労働省、これまでこの導入を促進をするために制度の周知でございますとか助成金の支給等を行ってまいりましたが、まだなかなか普及率が低いという状況でございますので、さらに、二十年度でございますが、実態把握のための調査を実施をするということ、またそれを踏まえまして導入マニュアルを使いやすいものに改定をするということ、それから、この導入をするための事業主の方々にノウハウを提供するための専用のサイトの開設をしたいということで予算要求をしているところでございます。  こういった制度も利用しまして、短時間正社員制度の普及定着に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  97. 神本美恵子

    神本美恵子君 上川大臣は十分にはここを出なければいけないとさっきお伺いしましたので、次の全体的な問題と一緒に答えていただきたいと思いますが。  この短時間勤務制度と、それからあとフリーターの問題ですね。本当にこれ今大きな問題になっていますが、ここに挙げられているフリーターの現状の数値なんですけれども、昨日お聞きをしましたら派遣や契約等の人数はこれには入っていないようなんですね。それで、実際に今派遣や契約等の非正規で働いている方たちも入れると三百万人を超えるフリーターの数になっているのではないかと思います。  この辺の数値の設定もそうなんですけれども、いずれにしてもこのフリーターの人たち、特に就職氷河期と言われました八〇年代に就職をする時期だったのに就職ができなかった、そのためにアルバイトやパートでずっとやってきたと。今、今度は求人が増えてきておりますけれども、もう大手企業などはこのフリーターをやってきた三十を超えた人たちを正社員として雇うという企業は一・何%、本当にわずかしかないんですね。ほとんどが新規卒、新卒者を雇いたい、正社員としては雇いたいというような状況の中で、この三十代を超えたフリーターの人たちの人生といいますか、それを考えただけでも、少子化対策と限らなくても、何とかこれは手を打たなければいけない問題だというふうに私は認識しておりますので、このワークライフバランス取組の中でフリーターに対しての取組目標も掲げられておりますので、それも含めて、上川大臣として最後に御決意をお伺いしたいと思います。  私、強調したいのは、この「子どもと家族を応援する日本」で、先ほど、財政投入の必要性書かれているけれども、現物給付からまずやるべきだというようなことを書かれているのはちょっと気になるんですね。  さっき言いましたように、フランスの場合は現金給付がもう充当され、充当といいますか、日本では考えられないぐらい、例えば児童手当一つ取ってみても日本とは比べ物にならない手当が出ている。その上で現物給付をこれからと、今政策としてやられている。日本の場合の子供児童手当などを見ますと、諸外国に本当に見劣りがする。特に、長時間労働でやっている分の残業手当、時間を圧縮しまして残業手当が入らなくなると家計の収入に響くわけですね。そうすると、その分現金収入として給付を厚くしないとなかなか残業をやめられないという悪循環に陥ってしまいますので、現金給付ということも是非財政投入の中には考えていただきたいというふうに私、考えております。  総括的に上川大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  98. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 今年、ワークライフバランス仕事生活の調和元年ということで、国民運動として取り組むという大変大事なスタートを切ったところでございます。  現物給付、現金給付、いずれにしても、そのすべてをやはり同時に達成していかなければいけない大変ぎりぎりの時期に我が国日本は直面しているのではないかという認識を持っておりまして、先ほどの御指摘では、現金給付がないとその上にという、フランスのようなお話がございましたけれども、そのいずれにおきましてもしっかりと取り組んでいくという前提でこのワークライフバランスの元年に臨んでいきたいというふうに思って、決意をしているところでございます。  特に、今回のワークライフバランスにおきましては、労使の自主的な取組を前提としながらも、国、地方公共団体と力を合わせてということでの全員参加という国民運動でございますので、そうした部分をより前向きにすることができるように、実現度指標を作ってフォローしたり、そして、それぞれの項目についても施策と、また施策の効果をしっかりと見据えながら取り組んでいくというふうに考えておりますし、短時間労働やフリーターの皆さんの正規化ということにつきましても、ワークライフバランスという多様な働き方をしっかりと受け入れるというような考え方の中でも大変大事な部分であるというふうに思っております。  昨年末から、日本経団連や連合さん、ここは署名をした組織でございますけれども、そちらの方に具体的な御協力をお願いをしてきておりまして、その取組については加速をしていきたいというふうに思っております。  仕事生活の調和は男女共同参画ともかかわりますし、もちろん少子化とかかわる、三位一体ということで大変大事なことでございますので、まず、トップ等への働きかけも十分にしながら、それぞれの組織で頑張っていただけるようにということで、職場を変えようキャラバンという運動を展開をして、先頭に立って頑張っていきたいというふうに思っております。
  99. 神本美恵子

    神本美恵子君 上川大臣、御退席なさって結構でございます。
  100. 岡田広

    委員長岡田広君) 上川国務大臣は退席いただいて結構です。
  101. 神本美恵子

    神本美恵子君 あと二分しか残っておりませんけれども、最後に、じゃ、一問だけ厚労省にお伺いしたいと思います。  新たな子育て支援サービスとして、今度、児童福祉法を改正して家庭保育を制度化するというふうにお伺いしております。これについて、もう時間がありませんので、資格要件を緩和して、実施基準等は省令で定めるというふうになっておりますけれども、今現状のいわゆる保育ママと言われる家庭保育に従事している方のお話を聞きますと、ボランティアからスタートしているために非常に報酬、待遇、労働条件といいますか、そういうものも自治体によってまちまちでありますし不安定だということをお聞きしております。ですから、最低でも施設保育者並みの基準になるようにということを私は思っております。  それともう一つ、施設保育と違って、個室といいますか家庭内、密室で行われますので、それだけの不安定さといいますか、危機管理の面からも、やっていらっしゃる方は大変その分のリスクも負っていらっしゃるということで、そういうことに対する配慮といいますか、も含めて、省令で定められる基準というものは是非、実際やっている方の話も十分に聞いた上で定めてほしいと思うんですけれども、どのようにお考えでしょうか。
  102. 村木厚子

    政府参考人村木厚子君) この保育ママ制度につきましては、大変期待も大きいというふうに承知をしております。法律にきちんと位置付けるということで、法改正について国会に提出をするとともに、実施基準等につきましては今後検討していきたいと思っております。  その際には、先ほど先生が御指摘をされましたように、保育者の資質をどう担保するか、研修をどのようにするか、それから密室性という問題にどう対応するか、そういったこともしっかりと検討をしていきたいと思っております。  検討につきましては、先生御指摘のように、実際にこの分野で既に御活躍のところがございますので、こういった関係者の方々を巻き込んだ形で検討をしっかりとしていきたいというふうに思っております。
  103. 神本美恵子

    神本美恵子君 終わります。
  104. 岡田広

    委員長岡田広君) 午後一時十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十五分休憩      ─────・─────    午後一時十分開会
  105. 岡田広

    委員長岡田広君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成二十年度総予算委嘱審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  106. 有村治子

    ○有村治子君 自由民主党の有村治子でございます。  今日は、担当させていただく質問、九十六分間でございますが、それを主に、日本情報ということをどのように重要に思っているのか、また国家の機密に対してどのような整備があるべきなのかということ、インテリジェンスについて前半お伺いし、また後ほどには文化行政における予算の適切な執行ということの是非について質問をさせていただきたいと存じます。  それぞれの政府参考人の方々、また官房副長官始め政務官の皆様の御協力に心から敬意を申し上げます。  今朝の朝刊各紙でも防衛秘密に関する記事が報じられておりますが、国家のたがが緩んでいるんじゃないかと感じずにはいられないような機密、国家機密に対しての漏えい事件が相次いでおります。例えば、本当に大変残念なことでございますが、内閣情報調査室の職員であった清水稔彦氏が在日ロシア大使館員に情報を渡して現金を受け取っていたという事件が明るみになりました。清水氏は世界各国の画像処理を行う、町村官房長官も言及されていました内閣衛星情報センターに勤務していたこともあり、情報調査室研究部、つまり情報機関の中枢にいた人物でございます。  報道によれば、この清水氏は、十年にわたって、歴代五人の駐日ロシア大使館所属の書記官、という名の実は情報員でございますが、の間で情報提供協力者となって現金四百万円を受け取っていたと報じられています。これは典型的なスパイ事件だと認識をしています。  清水氏は収賄と国家公務員法違反、守秘義務違反の疑いで書類送検をされていましたが、どんなたぐいの秘密を漏らしたのでしょうか。
  107. 池田克彦

    政府参考人(池田克彦君) ただいま御指摘の職員でございますけれども、内閣情報調査室における勤務を通じまして、その職務上知り得た情報を漏えいしたものでございますけれども、具体的にどのような情報を漏えいしたかについてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  108. 有村治子

    ○有村治子君 ありがとうございます。  昨日通告をさせていただいた上で、私も国家機密の調査そのものについてつまびらかにするということはよろしくないという判断をいたしました。十分なお答えというふうに受け止めます。  今の御発言を伺いますと、そこの職場にいなければ、そこの職に就いていなければ知り得ない情報を漏らしたというチャージであったというふうに認識をしています。  一昨日、この清水氏が、書類送検をされていたんですが、起訴猶予、事実上の不起訴となりました。つまり、懲戒免職以外おとがめなしという制裁でございます。罰金刑もなく、ロシアの情報員から受け取った四百万円の提出を求められてもいません。えっ、単に書類送検の後不起訴なの、これでは業務上過失傷害と何が違うのという不思議な感じがいたします。  国民の安全を左右する安全保障や対外情報を集めて国のかじ取りをする首相や官房長官などトップリーダーに報告する部門の人間が、国を売って、国民を危険に陥れたかもしれないロシアのスパイ行為に加担したという国民国家に対する背信に対して、これが適切、適量な制裁だと認識されているのでしょうか。官房副長官に伺いたいと存じますが。  ちなみに、諸外国では、国家の安全保障に対する秘密を漏らした場合、国家機密法などによって、深刻な場合はアメリカやフランス、ロシア等では最高刑として死刑、ドイツでは無期懲役刑が科せられます。私は、清水さんの処分をどうすべきと言うつもりではありません。国家機密、その情報員が対外のインテリジェンスに対して国家国民を背信したということが懲戒免職以外のおとがめなしというこの状況が果たして適切、適量なのかという御認識を伺います。
  109. 岩城光英

    内閣官房長官岩城光英君) 政府といたしまして情報機能の強化に努めている最中にこのような事案が起きてしまったこと、本当に遺憾であると考えております。  ただいま委員からも御指摘がありましたけれども、当該職員に対しましては、本年一月十七日に、国家公務員法に定める処分としましては最も重い懲戒免職とするとともに、一月二十四日には、管理監督者についても懲戒処分等の所要の措置を講じております。  また、これもお話にありましたとおり、東京地方検察庁において不起訴処分に付されております。この処分につきましては、検察当局において法とそれから証拠に基づきなされたものと承知しておりますけれども、個別事件の刑事処分のその判断につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと考えております。  いずれにしましても、本件の重大性にかんがみまして、当該職員に対して国家公務員法上最も重い懲戒処分を行ったところでありまして、今後こうした事案防止に関し、政府としては万全を期してまいりたいと、このように考えております。
  110. 有村治子

    ○有村治子君 単なる秘密を漏らしたというのではなくて、やはり諜報に加担をしていた、国を、国民を危険に陥れるかもしれないおそれがあったということを考えれば、もう少しこのことを教訓として私たちはその現実に向き合っていかなければならないと考えております。  ロシアは、グローバル情報戦、スパイ活動を展開しているという認識を、今回のことを勉強させていただいてつくづくそういう実感を持ちました。金をもらい恩義を感じた、悪いことだとは思っていたが金をもらっていてやめられなかったというふうにS氏、清水さんは答えていらっしゃるようでございますけれども、それで官房副長官がおっしゃったように、一番重いのが懲戒免職、つまりその職場を去れというだけで適切なのかなというのは、今の御答弁を伺っても私はまだ完全には納得し切れないような思いでおります。  この清水氏は、時に、一か月に一回と言われるほど頻繁なコンタクトを駐日ロシア大使館のベラノフ・コンスタンチン二等書記官と取っていました。この二等書記官は、いわゆるプロパーの外交官ではなくて、ロシア軍の諜報機関、軍参謀本部情報総局所属の情報員でございます。この事件発覚後、コンスタンチン書記官はロシア本国に帰国してしまっています。  このGRU、軍参謀本部情報機関というロシアの情報組織はどういう性質の組織でしょうか。
  111. 池田克彦

    政府参考人(池田克彦君) 御質問のGRUでございますけれども、ロシア連邦軍に属します対外情報機関でございまして、軍事政策、軍事技術等の分野に関して活動を行う機関であるというふうに認識しております。
  112. 有村治子

    ○有村治子君 ソ連の崩壊後、KGBは解体されて対外情報局SVRに引き継がれたにもかかわらず、このGRUというコンスタンチン書記官が所属していた機関は、冷戦後も資金、要員を削られずに暗躍しているロシア最大の情報機関だと学びました。また、軍事機密だけではなくて、現在は産業的なスパイの活動もやっているというふうに通常のインターネットなどで調べても出てまいりました。  さて、この書記官以外も、ロシア大使館員はGRU所属の情報員だった疑いを持たれています。GRUなどの情報員が外交官、大使館付き武官として合法的な身分で日本に入国することというのはよくあることなんでしょうか。
  113. 池田克彦

    政府参考人(池田克彦君) 我が国におきまして、今御指摘のGRUを含めましてロシアの情報機関員の相当な数が、大使館員、通商代表部員等の身分を装って活動しているというふうに認識しております。
  114. 有村治子

    ○有村治子君 残念なことですが、そのことも、やはり合法的な外交官として入国されたら、その方が国内で自由に泳いでいてもコントロールができないという現実に直面している状況でございます。コンスタンチン元書記官も、今回のことで贈賄などの疑いで書類送検をされ、後に不起訴となりましたけれども、日本がこのような合法的なステータスで入ってきている実態はロシアの諜報員に対してできるおとがめというのは実質ゼロであります。この情報員は、帰国したロシア本国では、おとがめどころか、でかした、優秀な情報員だと敬意が向けられるはずだと思います。  今日も配付資料として警察庁からいただいた資料を皆様にお配りさせていただいております。戦後、日本の旧ソ連、ロシア関係から仕掛けられたスパイ事件、一覧をしたものでございます。これによりますと、本当に自衛隊、陸海空それぞれの部隊がその諜報の対象として、また実際に仕掛けられているということが一目しただけでも分かります。  そこで伺います。スパイに対する日本のセキュリティー、守りはどのくらい万全なんでしょうか。GRUなど対外国のインテリジェンスに日本は振り回されっ放しなんでしょうか。
  115. 木坂愼一

    政府参考人木坂愼一君) スパイというのをどのような言葉で定義するかということはございますけれども、我が国におきましては、外国の情報機関員による違法な情報収集活動が摘発されるなど、外国情報機関による情報収集活動が依然として行われているものと認識しております。  この種の活動に関しましては、捜査当局において情報収集・分析を行うとともに、違法行為に対しては厳正に対処されているということを承知しておるところでございます。  政府全体におきましても、こうした外国情報機関員による情報収集活動から我が国の重要な情報を守るべく、昨年の八月でございますが、各行政機関が統一的な対策を取るためのカウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針を策定したところでございます。  今後は、これに基づきまして本年四月一日に内閣情報調査室に設置されますところのカウンターインテリジェンス・センターを中心にしまして、政府全体としてカウンターインテリジェンスの強化に取り組んでいくという考えでございます。
  116. 有村治子

    ○有村治子君 一週間もしないうちにカウンターインテリジェンスの強化が図られるということ、国民の一人としても是非ともよろしくお願いしたいと思う次第でございます。  四百万円の現金を清水氏が受け取ったとされていますが、そんな単位の対価では済まされない機密情報がロシアのスパイに渡る危険性もあったわけです。そもそも、国家機密を官邸、日本の最高指導者に届けねばならない身内も身内、内閣情報調査室の人間がスパイにしてやられたというのは、悔しいですが、残念ですが、国家のたがが外れているというふうに言わざるを得ない状況でございます。情報の価値が国家国民の運命を左右するという緊張感の下に、世界各国が張り巡らせている諜報や情報戦、喧伝戦に日本という国が、また日本人という民族がなぜこれほどまでに無頓着になってしまったのかという思いを持ちます。  戦時中、日本が発した機密情報は傍受され、暗号が解読され、ことごとく作戦がアメリカに筒抜けになっており、陸軍中野学校で情報戦に備えようとするも、日本は二十世紀最大のスパイと称されるソ連、スターリンと通じていたゾルゲの暗躍を許し、その後、ソ連は日ソ中立条約を破棄してソ連の対日参戦を許し、戦後に武装して北方領土を不法占拠した、その状態が続いています。  情報の価値が国家の運命を左右し、国民の安否に直結するというのは、第二次世界大戦で日本が学ばなければならない痛い教訓であったはずです。もっと言えば、この世界情勢が分かっていたら、果たして、本当に正確で的確な情報が意思決定者に伝えられていたら、日本はあの時代、戦争に本当に突入したであろうか、あれだけの大国を敵に回すということを本気で考えたであろうか、そんな思いが、その教訓を学び取らなきゃいけない若手として思っている私にはその問いにはまだ解決を見出しておりません。  戦争を紛争解決の手段として選ばずに、平和国家として実績を積み上げてきている現在の日本を慈しむからこそ、戦わずして安全保障を確保するための的確な情報が必要になると信じています。  上海での日本総領事館のスタッフが中国情報当局との情報戦において自殺に追い込まれた事件が起こって四年近く、また、この一件が当時の首相、小泉首相、安倍官房長官、官邸に初めて知らされ、国民が報道によって広く知ることになってから二年余りがたちます。  情報戦のターゲットとなり、国の機密を中国当局に売ることはできないと自らの命を絶って情報戦の犠牲者となったのは、総領事館と本国外務省本省との間でやり取りをされる機密性の高い文書の暗号通信を担当する電信官でございました。職責上、重要な情報は彼のところに集まる仕組みでございました。  そこで、伺います。  情報、諜報のプロが外交官や国家機密を知り得る立場の者をねらってくる、時に籠絡したり、時にその情報を封殺する典型的な方法にはどういったものがあるのでしょうか。
  117. 木坂愼一

    政府参考人木坂愼一君) すべてのことについてつまびらかに承知しておるわけではございませんけれども、外国の情報機関が違法な情報収集活動を行うに際しまして相手方から情報を提供させるために用いる方法としましては、例えばシンポジウム等の会合で知り合った後、飲食店等で接触を繰り返しまして情報提供の見返りに報酬として現金を提供するといったようなケース、あるいは私生活上の弱みを把握しまして、脅迫や恫喝といった行為を行って情報を得るというようなことがあるということなどを承知しておるところでございます。
  118. 有村治子

    ○有村治子君 私のような素人が理解しているだけでも、今私生活とかなりマイルドな言い方をされましたけれども、典型的なものにはいわゆるハニートラップ、女性を送り込んで交遊を展開させて相手の性的な弱みを握る、いわゆる色気仕掛けというものや、あるいは現地の女性と結婚、家族家庭をもうけた日本人に対して妻子を人質にコントロールを強めていく方策や、あるいは今回の内調にいた清水氏の事例に当てはまるように、飲食の接待から始まって、だんだん高額な現金を授受するまでエスカレートする過激な接待によって対人アプローチをする、あるいは技術的に盗聴を行う、監視を行うというものがあり得ると思っております。これは、当然、外務省さんあるいは内閣で常套手段としてのノウハウを持ち得ていらっしゃると思います。  上海の事件情報戦においてはクラシックな籠絡方法が取られたと思っております。この不幸な事件を契機として、大森義夫元内閣情報調査室長が新聞紙上でコメントを出されています。これは情報戦での日本の敗北だというふうにおっしゃった上で、新人にインテリジェンスのイロハを教えるカリキュラムが全くなく、実質的なインテリジェンスに対するオペレーションの教育訓練を全くしていないとおっしゃっています。その上で、大森氏は、大使館員、領事館員、公務員の何かあったときの申立て制度、コンサルティングの充実をして、脅迫の現場を逆に録音、撮影するようにして、例えばウィーン条約違反として訴えることができるような体制づくりや、あるいは旧共産圏の国に派遣される館員を対象に情報防御、カウンターインテリジェンスの事前教育を徹底するということが大事だ、大切だと訴えられていらっしゃいます。  今回のことを契機に、外務省やあるいは日本政府が取った防諜、工作対策にはどんなものがありますでしょうか。
  119. 木坂愼一

    政府参考人木坂愼一君) 外国情報機関によります情報収集活動から我が国の重要な情報を保護することについて更なる対策強化が必要だということで、先ほども申し上げたところでございますけれども、平成十八年十二月に内閣官房内閣府、外務省を含めますところの各省庁から構成されますカウンターインテリジェンス推進会議が設置されまして、同会議におきまして昨年八月、先ほど申し上げましたカウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針を策定しまして、行政機関が統一的な対策を取るという考えでおります。  これに基づきまして、本年四月一日から、カウンターインテリジェンスに関する情報の収集それから共有、カウンターインテリジェンス意識の啓発、事案発生時における組織としての対処、管理責任体制の構築につきまして施行をするという段取りになっておりまして、また来年の四月一日からは、特別に秘匿すべき情報に関しまして、厳格な物的管理でありますとか、秘密取扱者適格性確認制度、管理責任体制の明確化、秘密保全研修制度に関しまして政府の統一的な基準を設けまして、カウンターインテリジェンスにかかわる施策政府一体として取り組むという考えでおるところでございます。
  120. 有村治子

    ○有村治子君 今、政府全体の防諜、工作対策ということを、防諜対策をおっしゃっていただきました。  今回の事件を機に外務省さんが取られた防諜の対策というのは、防諜研修受講者を約三倍に増やす、防諜工作のターゲットとなってしまった場合の対処ルールを策定する、それから在外公館の機密情報を扱う部署、本省とのコミュニケーションですね、重要な機密のコミュニケーションを行う部署では、現地採用、いわゆるそれぞれの在外のローカルハイヤーの外国人職員との別室化を徹底して、物理的に困難な場合はそのローカルハイヤーの外国人職員との仕切り等を設置するという対策が取られました。  典型的な情報を取る一つの方策としては、例えば運転手さんや家政婦、料理・給仕人、ホテルマン、通訳など、要人の身の回りにいても不思議ではない役職に成り済まして情報員を送り込むということもあり得ます。  その中では、そういうことを考えますと、やはり在外公館の機密情報を扱う部門を物理的に仕切り等で設置するというのは、私の観念では、仕切りというのは、例えばつい立てとかアコーディオンドアとかカーテンとかパーティションとかブラインド、植木くらいかで、本当にそのような仕切りを置いたくらいで情報の不正アクセスの抑止力になるのかどうかということを疑問も持ちます。  このような在外の公館はどのくらいあるのでしょうか。小池外務大臣政務官に伺います。
  121. 小池正勝

    大臣政務官(小池正勝君) 御指摘の、現地職員の執務室の仕切り対策ということでは不十分ではないかと、こういう御趣旨だろうと思っておりますが、私ども、この仕切り対策だけでこれを対応しているわけではございません。  先ほどおっしゃられましたけれども、まず、御指摘の現地職員対策といたしましては、在外公館施設への出入りに制限を設けること、それから極めて限定された、例えば秘書というような極めて例外的な人を除いて秘密文書を扱わせてはならないこと等々、現地職員と執務区域を区分すべきことなど詳細に定めて対応しているところでございます。
  122. 有村治子

    ○有村治子君 そうであっていただきたいと心から願います。  と同時に、昨日の外務省の方等伺ったところ、パーティションで仕切られているような在外公館が幾つあるかというのは把握していないということでございました。やはり私は、在外公館において、ワインも大事かもしれませんけれども、やっぱりパーティションというんじゃなくて、情報機密を守るというためにしっかりと別室化をするような予算、こういうところにこそ予算を使っていただきたいというふうに思います。  そういう意味では、小池外務政務官におかれましても引き続き御活躍をいただいて、こういう指摘があるから別室化はちゃんと予算を取るんだという動きをつくっていただきたいと存じます。  次に、官房副長官にお伺いさせていただきます。  今私が申し上げたような事件以外にも、自衛官によるイージス艦の機密情報がコピーにコピーに孫コピーというふうにどんどんと広がって、そのイージス艦の機密情報が、一般の隊員の間では趣味、娯楽あるいは女性の映像と同じようなCDやCD—ROMなどに収められていた。そして、この調査に当たった警察の方々は、どこからその機密情報を入手したかもみんなが分かっていないというぐらいの危機感のなさに驚いたという報道がございました。  イージス艦は、日本のみならずスペインなども買っていると思います。そこの情報機密が、アメリカは中国などに流れたということを大変懸念されたというふうに思いますけれども、スペインなどもイージス艦を買っています。日本がその情報を漏えいしたとすると、どこがイージス艦は強くて、逆にどこがイージス艦の弱みなのか、どこが守れてどこが守り切れないのかという情報を世界で共有することになってしまいます。  そうすると、日本には自らの危険を賭して莫大な費用を掛けて知り得たあるいは作ってきた我が国の情報機密を共有できるだけの安全性がないと友好国に判断されれば、国際的な情報収集活動の連携、共有にも支障を来します。アメリカ中央情報局、CIAなどの友好国の情報機関から新鮮で的確な情報が入らなくなり、また米国製の最新鋭の技術を搭載した防衛備品が購入できなくなるなど安全保障上の損失も案じられると思いますが、この点についての官房副長官の御所見を伺います。
  123. 岩城光英

    内閣官房長官岩城光英君) 有村委員御指摘のとおりだと私も思っておりますし、国家としてきちんと機能するためには、情報管理の徹底、また情報保全の徹底、これはあらゆる情報活動の前提であると、このように考えておりますので、しっかりと対応していかなければいけないと考えております。
  124. 有村治子

    ○有村治子君 情報を守れない人には情報を分けてもらえなくなるということをやはり私たち肝に銘じなければならないと、私自身、自戒の念を持っております。  諜報工作の対象としては政治家がそのターゲットになる可能性は非常に大きいのですが、特に国会議員ですね、がターゲットになる可能性は非常に大きいのですが、こうやって不正アクセスを防ぐ、防諜という意味でのトレーニングの対象にはほとんどなっていません。小泉総理が訪朝をされたとき、おにぎりを持参されて、つまり先方から供されたものは一切食べずに、また盗聴のおそれのある場所で寝ないということで、政府専用機を使って日帰りをされました。盗聴に対する手段も複数取られていたと伺っておりますが、通常の議員外交の場合は何の研修もオリエンテーションもなく、言わば丸腰で、極めて友好ムードで行われる場合も少なくありません。私も参議院を代表してなどで海外に派遣をしていただいたことがありますが、そのときにトレーニングを受けたという記憶は一切ありません。  情報の扱いにナイーブな日本だからこそ、こういう実態があることを共有して警戒をする習慣、また警戒できる体制を持っていないと次もターゲットになって犠牲者が出るおそれが払拭できません。国の重要な機密に関しては、その情報に触れる人たち、私たち国会議員も含めて、国家公務員、防衛産業に携わる一部の民間人なども、その重要性をかんがみた上で決して対外的な漏えいがなされないよう適切な機密情報保護法制を整備することも重要だと思われますが、官房副長官の御所見を伺います
  125. 岩城光英

    内閣官房長官岩城光英君) 今お話ありました現在の我が国の秘密保全に関する法制でありますけれども、個別法によって差異が大きいんですよね。例えば国家公務員法等の守秘義務規定、これに係る罰則の懲役刑は一年以下とされております。その抑止力が必ずしも十分でないと、そういった問題を抱えているものと認識をしております。このため、先般、町村官房長官から指示がございまして、二橋官房副長官を長とする検討チームを設置いたしまして、我が国にとって本当にふさわしい法制の在り方について検討を進めることといたしました。  いずれにいたしましても、この種法制につきましては国民の広範な理解を得ることが必要でありまして、いろいろな様々な場における議論にも十分に留意しつつ、政府として対応していきたいと考えております。
  126. 有村治子

    ○有村治子君 インテリジェンスに対しての知識や御経験、また御関心も非常に高い町村官房長官の下で、日本の国民を守るという視点でこの分野の探求を進めていただけることを願います。  申し上げるまでもなく、私が関心を持っているのは対外情報、インテリジェンスであって、一般市民に向けて捜査権の濫用があったり情報戦の対象となるようなことがあってはならないと固く信じています。機密保全に関する法体系を整備する場合は、やはり情報公開、国民の皆さんに対する説明責任の視点も当然重要になってきます。何年たってどういう基準がクリアされたらこのような機密も公文書として公開するというルールを明確にすることも肝要です。やはり、国民の知る権利をしっかりと保障し、また的確な報道の自由ということを守ろうとする、そういう視野も入れながら法整備の在り方について御検討いただきたいと存じます。  今回の事件で露呈したように、インテリジェンスにおける攻防の訓練というのは、外務省所属で在外公館に勤務する国家公務員ばかりではなくて、実際に日本に暮らす公務員がねらわれて協力者に仕立て上げられていた、この教訓を基に、やはりそのトレーニングは国内要員も対象にすべきだというのが今回の教訓だと思っています。  戦後、旧ソ連とロシアの情報員によって日本国内で起こった諜報事件は二十件を超えているというふうに聞きました。KGB、ソ連の国家保安委員会出身のプーチン政権の下、ロシアは情報機関を強化していると聞いています。日本でも諜報活動を活発化させて、日本の内外情勢、軍事動向、あるいは今回のように中国をどう見ているのかということも関心があるのかもしれません。  先端科学技術に食指を伸ばしているという報道がありますが、これは信憑性の高い認識でしょうか。
  127. 池田克彦

    政府参考人(池田克彦君) 我が国におきましてロシアの情報機関員によります違法な情報収集活動でございますが、今御指摘のとおり、依然として大変活発でございます。ソ連崩壊後も、本件を含めてロシアによる諜報事件は八件検挙しております。また、今御指摘のとおり、最近では、我が国の民間企業が持っている先端科学技術を違法な手段で入手するというような諜報事件平成十七年、十八年と連続して検挙しております。  警察といたしましては、このような犯罪行為で我が国の国益が損なわれることのないように、今後とも厳正な取締りをしてまいりたいと考えております。
  128. 有村治子

    ○有村治子君 コメントありがとうございます。  今のお話によっても、日本で普通に暮らしている私たちのそう遠くはないところでインテリジェンスの活動が外国の人々によってなされているということが不思議ではないという、そんな認識を新たにいたしました。  もとより、各国が相反する国益、思惑を持ってそれぞれ国益を懸けて展開される対外情報・諜報戦は、常に危険と誘惑、権力と孤独と隣り合わせだと思います。尋常ならぬ緊張を強いられ続けます。インテリジェンスは、この人は大丈夫と判を押された人が外国のプロの情報員の手に落ちて、何でこの人がと驚嘆される歴史の積み重ねでもあります。実際、今回報道にありました清水さんも、かなり勉強熱心で、自らも一生懸命まじめにやられていた、職務を遂行されていた、元々はそういう方だったと伺っております。  国民が安心して心豊かに暮らせる国家像を最高の価値として、そしてそれに貢献できることに誇りを持って国民国家に忠誠を誓い、また卓越した専門知識や語学力などを駆使して使命を全うできるだけの技能を持ち得る人しか就いてはいけないのがこのインテリジェンスのポジションだと認識します。  そこで、官房副長官にお伺いします。  果たして現代の日本はこのインテリジェンスの宿命、大変厳しい宿命でございます、危険も伴います、この宿命に耐え得る人材をつくっているのかどうか、国家機密を守るという国としての基本的な体制が築けているかどうか、御所見を伺います。
  129. 岩城光英

    内閣官房長官岩城光英君) 一昨年の十二月に、官房長官を議長として情報機能強化検討会議が設置されました。それは、複雑多様化する国際情勢の下、我が国の国益を守り、また国民の安全確保するためには情報機能の強化が不可欠であると、こういった考え方によるものでございます。  先般、その取りまとめが行われました。これによりまして、我が国の国家戦略の策定に資する情報機能の構築、あるいは情報コミュニティーの英知を結集した情報分析を行う体制を確保する、さらには、政府情報機能強化のための研修その他の基盤整備等に道筋を付けることができたわけであります。  そこで、御指摘の、国民の理解、あるいはインテリジェンスに当たる人たちの能力、体制に関してでありますけれども、今後も取り組むべき課題、これは少なくないと考えております。これから広く国民の理解を得ながら対外人的情報収集に携わる専門家の育成や、より専門的かつ組織的な体制の在り方の研究など、引き続き政府情報機能の充実強化に全力を挙げて取り組んでまいりたいと、このように考えております。
  130. 有村治子

    ○有村治子君 是非、的確かつ健全な調査研究をしていただけますよう、よろしくお願いいたします。  インテリジェンスに関する質問は以上です。  次に、宮内庁に伺ってまいります。  複数のメディアで、皇太子殿下がもうあと四か月に迫った北京オリンピックの開会式に御出席のため訪中されるのではないかというような記事が出回っています。外務省を中心とする政府の検討事項として、皇太子殿下を始め皇族方の北京オリンピック開会式御出席の打診は宮内庁に実際にあるのでしょうか。
  131. 風岡典之

    政府参考人(風岡典之君) 最初に、手続的なことについて触れさせていただきたいと思います。  一般的に、皇族方の公式な外国御訪問は、外務省を中心とした政府関係機関において検討がなされた後、外務大臣から宮内庁長官に対しての御訪問の要請がなされ、これを受けて宮内庁が外務省等政府関係機関と調整をした後、政府として閣議了解などの手続が取られております。  そこで、皇太子殿下の北京オリンピック開会式御出席のための訪中について、外務省から宮内庁に対して中国御訪問の要請はあったのかとのお尋ねでございますけれども、これにつきましては、今のところ宮内庁は外務省からそのような要請を受けておりません。
  132. 有村治子

    ○有村治子君 今上陛下が訪中された一九九二年の十月、中国からの再三の招聘を受けてということでございましたけれども、報道によりますと、中国の元外相はその回顧録で、天皇陛下による訪中が、八九年の天安門事件で西側諸国が態度を硬化させて対中政策をしていました。それを打破する上でのきっかけとなって積極的な効果を発揮した、その意義は日中二国間の関係の範囲を超えたというふうに皇族、天皇陛下、皇后両陛下の政治利用を活用したということを認めていらっしゃいます。  もとより、オリンピックというのは、それぞれの地域や言葉やいろんな政治体制の違いを乗り越えて、それぞれが本当に丹精込めて練習をしたスポーツアスリートがスポーツマンシップを発揮して技を競い合う、心身を競い合うという本当にフェアなすばらしい活動だと思っていますが、胡錦濤政権は、現在、北京五輪を政権の求心力を増すために全力的に活用するという構えで、やはり皇族方の開会式の御出席というのは、その成功を内外に誇示できる機会というふうな見方もございます。当然、国家の威信を懸けて取り組む北京五輪の成功を最大限に演出したいという思惑があると思われます。  しかし、チベットでは、先日、皆様御承知のとおり、僧侶や市民によるデモに対して、中国当局の下、武装鎮圧が行われて、中国の人権問題を案じる国際世論が高まっています。チャールズ皇太子を含めイギリスの皇室もこの問題を懸念されていると、その旨報道されています。また、フランスのサルコジ大統領もこのことにコメントをされています。  皇室、皇族方の対外的な政治利用がないよう、このようなチベットの武力、武装鎮圧ということもかんがみて、くれぐれも慎重の上に慎重を期して国際情勢を判断していただきたいと考えますが、官房副長官のお考えを伺います。
  133. 岩城光英

    内閣官房長官岩城光英君) これまで皇室の外国訪問につきましては、政府としましては、もろもろの事情を踏まえつつ慎重な検討を経て決定してまいりました。  したがいまして、おただしの北京オリンピックの開会式につきましても、諸般の事情を踏まえつつ慎重に検討してまいる考えでございます。
  134. 有村治子

    ○有村治子君 日本を始めそれぞれの国を代表するスポーツアスリートの皆さんの健闘を私も心から願い、応援もしたいと思っております。  ただ、やはり皇室の、今官房副長官がおっしゃっていただいたように、政治利用ということは極めて、ここにも視野を配っていただいての御判断、検討をしていただきたいと存じます。  官房副長官は公務が重なっていらっしゃる旨伺っておりますので、これで向かっていただいて結構でございます。
  135. 岡田広

    委員長岡田広君) 岩城内閣官房長官は退席いただいて結構です。
  136. 有村治子

    ○有村治子君 それでは、文化行政に対する予算の適切な執行がなされたかどうかという点におきまして、映画「靖国」について質問をさせていただきます。  映画「靖国」は、文化庁所管の独立行政法人日本芸術文化振興会において平成十八年度の芸術文化振興基金、記録映画募集分の助成対象に採択されて七百五十万円の公的助成金を受けた映画で、来月公開予定というふうに理解をしております。  文化庁尾山文化部長、今日参考人でお越しになっていただいています。また、この日本芸術文化振興会の会長はこれらの映画を御覧になりましたでしょうか。本件を所管される系統、直接の責任のある系統において、見たことのある人の中で責任、権限が一番高い職員の人はどなたでしょうか。
  137. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 私、文化部長でございますが、私が一番責任が高い立場にございます。
  138. 有村治子

    ○有村治子君 この芸術文化振興基金は、助成金を交付するに当たり、配付資料で私の事務所が書かせていただきました、出典は元々助成金募集案内でございますけれども、助成金を交付するに当たり芸術文化振興基金助成金交付の基本方針を出しておられます。そこで書いてございますように、これは灰色で囲んでおります、以下以下これこれのことを助成すると。「ただし、商業的、宗教的又は政治的な宣伝意図を有しないものとします。」というふうに明確に書かれています。ここが最大のポイントの一つになると認識をしております。  そこで、文部科学大臣政務官に伺います。  小泉総理の靖国参拝について、世論のみならず国政を預かる私たち国会でも、八月十五日前後には与野党の最大の関心事となり、是非が議論されました。このことは政治的な事柄でしょうか。
  139. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 独立行政法人日本芸術文化振興会の芸術文化振興助成金交付の基本方針におきまして、基金による助成につきましては、政治的、宗教的宣伝意図を有するものは除くとされておるところでございます。この映画「靖国」の審査を行った記録映画専門委員会におきましてこの方針についての判断が行われたものと承知しております。  政治的テーマを取り上げることと、それから政治的な宣伝意図を有するということは一応分けて考えられると思っておるところでございまして、本件につきましては、政治的なテーマを取り上げていても政治的な宣伝意図を有するものとまでは言えないと専門委員会で判断されたと聞いておるところでございます。
  140. 有村治子

    ○有村治子君 分かりました。  小泉総理の靖国神社参拝の是非をめぐって、宗教的、思想的な相違などの理由によって靖国神社を相手に裁判を起こし、自らの政治的主張を展開することは、これは政治的な事柄でしょうか、宗教的な事柄でしょうか。私は文部科学大臣政務官にお伺いしたいと存じます。
  141. 保坂武

    大臣政務官(保坂武君) 本質問につきましては、これは時の総理が御判断をし対応をしている事柄と私どもは思っている次第であります。
  142. 有村治子

    ○有村治子君 総理が御判断されるもので、政治的なんでしょうか、どうなのか、その点をお伺いします。
  143. 保坂武

    大臣政務官(保坂武君) 私ども政務官の立場といたしまして、政府の最高責任者の立場でこの参拝については御判断をするものかと存じております。
  144. 有村治子

    ○有村治子君 参拝の是非をめぐって御意見を伺っているのではありません。このような靖国神社の参拝の是非をめぐって靖国神社を相手に裁判を起こしている、そして自らの政治的主張を展開すること、このことは政治マターか宗教マターですか、どうですか、そうじゃないんですかということを伺っております。
  145. 保坂武

    大臣政務官(保坂武君) いずれにいたしましても、これら問題は国際的な世論を巻き起こす問題でもありますので、私の答弁の方では差し控えさせていただきたいと存じます。
  146. 有村治子

    ○有村治子君 今いみじくもおっしゃいました。国際的な世論を喚起するもの、つまり国際政治の場でも議論をされている極めて政治的なことでございます。今うなずかれたとおりでございます。私もそう思います。  今日、皆様に配付をいたしておりますように、この映画宣伝用のパンフレット二ページ目に記載されているとおり、この右、二ページ目の裏のキャストというところには三人の名前が書かれています。  この映画に出てくる中心人物のうち、三人のうちの二人であるこの菅原龍憲さん、高金素梅さん両氏は、小泉前首相の靖国神社参拝について、この映画の申請が出された当時も現在も靖国神社を相手取って訴訟を起こしており、当該映画のテーマである靖国神社とは係争関係にあります。しかも、この映画の中で両氏は彼らが現実の社会で提起している訴訟と同じ趣旨の主張をそのまま展開をされており、一連の靖国関係訴訟を代弁する政治的宣伝がキャスティングにそのまま反映をされています。にもかかわらず、この映画が宗教的、政治的宣伝意図を持っていないとどうやって断言されるのでしょうか。
  147. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 御指摘のように、高金素梅さん、菅原龍憲さんがインタビューで出ておられるのは事実でございますけれども、全体として政治的な意図を有するものとは言えないと、先ほど申し上げた記録専門委員会で判断されたということと承知しております。
  148. 有村治子

    ○有村治子君 全体としては政治的意図を持っていないとおっしゃいますけれども、キャストとして挙がっている名前は三人しかないんです。そのうちの二人は靖国訴訟の原告なんです。  そして、ここに刈谷直治さんと、残り一名のキャストの名前が挙がっていますが、この刈谷直治さんはこの映画のキャストになることを知りませんでした。そして、今もキャストになることを了承していらっしゃいません。そして、この靖国神社に関してこの刈谷さんは政治的発言は展開をしておられません。  こんないびつな状態の映画がどうして政治的ではないとおっしゃるのでしょうか。三分の二は原告、靖国訴訟、今も係争中の原告でございます。もう一人は何も政治的コメントをしていない。三分の二が原告であるにもかかわらず、どうして政治的意図がないと言えるんでしょうか。教えていただきたいと存じます。
  149. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 審査に当たっては、制作会社から提出されました企画書、そして最終的に完成試写で専門委員会確認しておりますが、その結果として、政治的な宣伝意図は有するものとまでは言えないというふうに専門委員会で判断されたというふうに承知しておるところでございます。
  150. 有村治子

    ○有村治子君 尾山部長、随分強弁されていらっしゃるようですが、その強弁は後に苦しい立場をつくることと私は思います。  芸術文化振興基金から、今、尾山部長がおっしゃったように、審査を厳正にしていただいたというふうにおっしゃっていますが、助成金を受けようとしたこの有限会社龍影のチャンイ代表取締役は、助成金交付要望書を提出した最初の段階、十八年七月十九日です、その最初の段階から、その資料に、映画の概略には、小泉参拝をめぐり、靖国の政教関係を透視すると明確に書かれています。そして、主な主演者、キャストとしては、小泉首相靖国参拝を違憲と考えられる東京訴訟の会のメンバーを登場させる旨明記をして交付金交付の申請書を提出されます。つまり、申請者は、意図してこの問題を取り上げますと明確に書かれた上で最初の助成金交付要望書を出されているわけです。つまり、この助成金交付要望書が正式に提出された時点で、振興会がこれを公式に受理した時点で、この基金が助成を禁じている政治的、宗教的喧伝意図を有するものに当たるはずでありますが、それでも文化庁は、いや、この映画には、これには政治的、宗教的宣伝意図は入っていませんよと強弁されるおつもりでしょうか。御見解を伺います。
  151. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 先ほど申し上げましたように、政治的テーマを取り上げるということと政治的な宣伝意図を有するということは一応分けて考えられると考えておるところでございまして、本件につきましては、政治的なテーマを取り上げていても政治的な宣伝意図を有するものとまでは言えないと、その独立行政日本芸術文化振興会の専門委員会で判断されたと文化庁は聞いておるところでございます。
  152. 有村治子

    ○有村治子君 それでは、別の観点から伺います。  靖国訴訟、つまり宗教法人である靖国神社を訴えている方が原告となってメーンキャストを成している。その方が実社会で実際に裁判で展開されている主張をそのまま映画の中でも宣伝されているのに、これが宗教的意図ではない、政治的ではないとおっしゃるのなら、何が宗教的宣伝、政治的宣伝に該当するのでしょうか。これから応募される方々、応募を希望していらっしゃる方々に向けても、また国民の税金の配分を決めるということでの調査権を行使している私たちにも分かる形で具体的に明示していただきたいと存じます。
  153. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 政治的、宗教的な宣伝意図を有するものかどうかは、交付要望書の内容を踏まえまして専門委員会において個別に検討されるものであると考えます。過去にそのような事例があるわけではございませんけれども、例えば特定の政党や特定の宗教法人のPR映画であれば該当するのではないかと思われるところでございます。
  154. 有村治子

    ○有村治子君 PRではなくて、では、その方々の趣旨と全く違う、むしろ反日をしているというような場合はどうなるのですか。いいもの、PRだけはそれがアウトで、反PRであればそれはオーケーということでしょうか。
  155. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 具体の事例に即して専門委員会において個別に検討されるものと考えております。
  156. 有村治子

    ○有村治子君 ということは、専門委員がキーの一つになってまいりますね。この映画を制作した李纓監督は、「北京周報」の日本語版でこのようなことをおっしゃっています。私の映画が具体的に示しているのは「菊と刀」で、その二者の間の関係だ、最後に問いただす最もかぎとなるのはやはり天皇の問題だ、天皇の問題が解決されず、永遠にあいまいのままに過ぎ去れば、靖国神社の問題を解決することはできないと北京週報に答えられているんです。公言されているんですね。ここでもこの映画に特定の政治的喧伝意図があることは明白になっているんです。  ちなみに、こちらのパンフレットにありますこの右側にはキャストとかスタッフとかいろいろ書かれていますが、委員の先生方御覧になってお分かりになってくださいますように、ほとんどが中国名でございます。これが果たして日本映画なのかなというふうに私は素直に疑問を呈じずにはいられないんですけれども。  この中で、八人のプロデューサーの名前が出ていますが、八人のプロデューサーのうち七人は中国の方でございます。日本人としてただ一人協力プロデューサーとして名前が挙がっている山上徹二郎氏は、この映画の影響はアジアを飛び越し、世界的に注目を集めることになる、「靖国」が日中韓と欧米で公開されれば、日本は戦争責任問題を本当に反省せざるを得なくなると人民日報の国際版サイトで語っておられます。  常識的に考えますに、戦争責任というのは、戦争を終結して、戦争に勝った国と負けた国がそれぞれ負うべき、持つべき責任、制裁、権限を明確に出し合い、当事国双方が折り合いの付く条件を明文化して講和を結び、国境を定めるという極めて政治的なプロセスです。戦争状態を終結し、当事国同士の国際関係を正常化していくというプロセスは政治そのものです。  いかがでしょうか。この見解に何か間違いはありますでしょうか。外務省、政務官、教えてくださいませ。
  157. 小池正勝

    大臣政務官(小池正勝君) 戦争責任という言葉は様々な文脈で用いられるものでございまして、一概に申し上げることは困難ではありますけれども、一般的には、戦争後、当事国間でいわゆる平和条約を締結することによりまして、戦争状態の終了、それに伴う領土問題及び戦争賠償等に係る問題等を解決しております。  戦後、我が国も当事国との間で平和条約等を締結して平和国家として歩んでまいりました。このような戦後の日本の対外政策が当時の政治指導者の重要な決断の下に進められてきたことは疑いのないところでございます。
  158. 有村治子

    ○有村治子君 小池政務官、本当に簡潔な御見解を示していただいて、ありがとうございました。外務省を代表してのいわゆる常識的な見解だと思います。私が日々感じている感覚と何ら違いがない。つまり、今おっしゃったように、戦後の平和国家としての歩みをつくる原点でございます。まさに国際政治そのものでございます。  この政治そのものである戦争責任をテーマにし、しかも主張を一方的にしか論じていない映画が政治的喧伝意図がないと認識される理由を、尾山部長、私たちに分かる平易な、通常の常識人が理解できる日本語で説明をしていただきたいと思います。
  159. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 先生、北京週報の記事を御引用なさいましたけれども、この映画の審査に当たりましては、有限会社龍影から提出されました企画書、そしてその後完成した試写によって行っているわけでございまして、その結果としてその助成が行われたということでございます。
  160. 有村治子

    ○有村治子君 質問に答えていただいておりませんが。
  161. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 北京週報にどのようなことを監督がおっしゃっているかは別として、審査は提出された書類によって行っておるということでございます。北京週報で行っているということではございません。
  162. 有村治子

    ○有村治子君 政治的宣伝意図がないと認識される理由を私たちに分かる日本語で説明をしていただきたいと申し上げているんです。自民党の議員だけではなくて与野党を超えて、やはり議員の先生方にちゃんと分かるような、私自身に分かるような説明をしてください。
  163. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 本件審査をゆだねられました日本芸術文化振興会の記録映画専門委員会においてそのような判断をしたということでございます。
  164. 有村治子

    ○有村治子君 手続論を伺っているのではありません。さっきから二度も三度もその御説明は伺っています。  これが政治的意図ではないというふうに言い切られるその背景を教えてくださいと申し上げているんです。
  165. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 審査を行った専門委員会の判断について御説明をさせていただいておるわけでございます。
  166. 有村治子

    ○有村治子君 その審査を行ったとおっしゃいますけれども、その先生方が見てくださったはずの最初の申請書類の、明確に、このチャンイ代表が、小泉総理の靖国参拝の政教問題を透視すると明確に書かれているんですよ。それが政治的意図ではないと断言されているわけですから、その理由を聞かせてくださいと聞いているんです。  いま一度申し上げます。手続を聞いているのではありません、お分かりになられると思いますが。
  167. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 私どもはその専門委員会審査の結果について御説明を申し上げているわけでございまして、そういう宣伝的意図を有するものではないという判断をしたということを確認しておるわけでございます。ただ、どういう理由かということにつきましては、その間の議事録を作成しているわけではございませんので、これ以上の説明はちょっと難しいところでございます。
  168. 有村治子

    ○有村治子君 議事録を作っていらっしゃらないんですか。  では、どうやってその審議の正当性を証明されるんですか。
  169. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 専門委員会の先生方が高い見地から審査をされた結果ということでございます。
  170. 有村治子

    ○有村治子君 それをおっしゃると、専門委員のメンバーの中に入っていらっしゃる方の思想、信条を聞かざるを得なくなります。そのようなリスクを取られたのは尾山部長の答弁からだということを御承知おきください。  委員長、この点について私は、議事録で皆様お分かりいただけますように、再三再四、手続論を伺っているのではなく、これが政治的意図を持っていないと断言されるその背景を教えてほしいと。限られた時間なのに、この時間で随分浪費がありました。後に文化庁によって正式に文書でコメントをしていただけるよう、一週間以内の提出を求めたいと思います。是非御検討いただきたく、委員長にお願いを申し上げます。
  171. 岡田広

    委員長岡田広君) 後日理事会で協議をいたします。
  172. 有村治子

    ○有村治子君 そもそも李纓監督は、元々は南京事件に関する映画を作りたいと思っていたと北京週報で答えていらっしゃいます。この映画のクライマックスでは、南京事件に関して、中国側から証拠写真として出されている写真の中でも捏造と断定されたり、現在も学術界からその信憑性が著しく問われているような写真が、あれよこれよとコラージュのように出てきます。これはまさに特定の政治的意図の最たる証左ではありませんか。
  173. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 日本芸術文化振興会から、映画で使用されている写真や映像の真偽を判定する立場にはないので、そのことについては審査していないということを聞いておるところでございます。
  174. 有村治子

    ○有村治子君 とぼけないでいただきたいと思います。その写真が本物ですか、偽物ですかなんて聞いていません。そのような信憑性が極めて疑われている、学術界でも問題になっているあれを次から次へと出してくる、これは特定の政治的喧伝意図の最たる証左じゃないかと伺っているんです。
  175. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 日本芸術文化振興会は、そういったことの内容については審査対象としていないということを言っておるところでございます。
  176. 有村治子

    ○有村治子君 済みません。いやしくも専門委員の方々は給料、報酬を得てこの審査をしていらっしゃるんです。そして、この最後の映画のクライマックスというのは、映画人ならずも私たちも、みんなクライマックスは大事だというのは分かっているんです。そこに、南京事件でこれは捏造写真だって明らかに言われているもの、また疑義が疑われるものが次から次へと出てくる、そこを審査していないで、どこを御覧になっているんですか。
  177. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 写真、映像の真偽を判断する立場にはないので、そのことを審査対象としていないということを申し上げています。
  178. 有村治子

    ○有村治子君 その写真の真偽なんて聞いていません。その真偽が疑われる写真を次から次へと出しているところは政治的意図だと私は思うんです。そうじゃないと断言されるその理由を述べてくださいと先ほどから申し上げています。
  179. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) この判断をいたしましたのは、再々で恐縮でございますけれども、専門委員会でございまして、その間の議事録等は作成されておりませんので、これ以上の答弁はしかねるところでございます。
  180. 有村治子

    ○有村治子君 役職上答弁者に立たされている尾山さんの苦しさも私は理解しないわけではありません。しかし、これは文化行政の、ちゃんとした税金の、元々の原資となっている予算の執行がちゃんとなっているかと、国民の皆さんの代表として私たちが本当に与野党を超えて正式な委員会で検討をしている、質問通告も明確にしております。その中でそんなに確信犯としてはぐらかされるというのは国会を軽視しているとしか私には聞こえません。  この映画が助成金の対象として選ばれたことに疑問を呈している人々は、国民の貴重な税金の適正な予算執行について関心を持っている私たち議会人だけではありません。納税者、世論に多くの読者を持ち、世論形成にも大きな影響力を持つ大手の週刊誌も、この助成金の交付を疑問視され、問題視され、複数回にわたり疑義を呈しておられます。  私の手元には、週刊新潮が二度にわたって、この反日映画「靖国」は日本の助成金七百五十万で作られたという記事がございます。読んでみます。靖国神社のドキュメンタリー映画が中国人監督によって作られた。中国が反日プロパガンダに用いた南京事件の捏造写真も挿入され、反日映画と言わざるを得ないのだが、何と文部科学省所管の独立行政法人日本芸術文化振興会から助成金が出ているんだというふうに書かれています。  事前書類審査の段階で、映画作成者の政治的意図は申請書で明言されております。そこでチェックをしなければならない、その瑕疵はあると今でも私は思っていますが、たとえそのチェックを専門委員の先生方全員が万が一見過ごしてしまったとしても、この助成金を受ける映画を選考する際の基本方針を遵守するために、完成作品において特定の政治的、宗教的活動を代弁するような政治的意図を有するものが含まれていないかどうか、しっかり試写確認をした上で助成金交付を決定するというのは尾山部長がおっしゃったとおりでございます。  この週刊新潮の記事にも、芸術文化振興会は、映画「靖国」に対する助成金に対して、記録映画は社会性、政治性などのメッセージ性が強い作品が多く、「靖国」についても相当議論されたようです、しかし専門委員会で、助成対象として採択され、完成確認でも疑義があったわけではない、企画書から大きく違っていない以上、作家性を尊重する観点から、ここがおかしい、あそこが修正してほしいとは言いません、基金部コメントというふうに週刊新潮、去年の十二月二十日号に書かれています。  ここに記載されていることは事実でしょうか。もし見解が違うなら、明確に述べていただきたいと存じます。
  181. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 週刊誌の記事の中の、独立行政法人日本芸術文化振興会から助成金が支出されていることは事実でございますし、また、これに対して同法人が取材した記者に説明した内容に誤りはないと聞いておるところでございます。
  182. 有村治子

    ○有村治子君 週刊新潮に書かれていますように、助成金交付映画の選定に当たっては、何度も慎重な検討を行ったというのは果たして事実でしょうか。相当議論されたと御発言にありますが、選定に当たる専門委員の先生方は何回会合を持たれたのですか。この映画の申請を審査するために開催された会合の正確な日時、時間を教えてください。質問通告はしてあるはずです。
  183. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 本件につきましては、平成十八年の九月十四日の日に三時間にわたって審議がされております。その審議の前に、申請された書類を各委員の先生方がよく読んでいらっしゃるところでございます。
  184. 有村治子

    ○有村治子君 つまり、相当議論されたとおっしゃっていますが、実際にこの映画「靖国」も含めて十六本の映画の審査をしたのは九月十四日の三時間だけでございますね。(発言する者あり)十六本です。十六本のうちの四本を選ばれたわけですが、実際に先生方が意見交換をしたのはこの三時間だけですね。ここではどんな議論がなされていたんですか。
  185. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 専門委員会では、政治的、宗教的宣伝意図を有するものは除く等が定めてある助成金交付の基本方針に基づき、また、活動の目的及び内容が優れているか、社会的に開かれているか、あるいは過去の実績から推測して実現可能であるか、予算や経理が適正であるかなどの評価の観点により審査が行われたと聞いております。  ただ、専門委員会の議事録につきましては、先ほど来申し上げておりますように作成されておりませんので、具体的な審査内容は承知していないところでございます。
  186. 有村治子

    ○有村治子君 こんなに大事なことに議事録も記録の一つも残していない、これは恣意的ですよと、このように非難されたときに、日本芸術文化振興会の判断の正当性をどう立証されるおつもりでしょうか。尾山部長も振興会御自身も困られることだと思いますが、いかがですか。
  187. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 審査につきましては、専門家の先生方に専門的な見地から自由に審議していただくわけでございますし、また、個々の審査の過程は公開しない取扱いにしておりますので、通常このような場合は議事録は作成しておりません。
  188. 有村治子

    ○有村治子君 議論は公開できないとおっしゃいますが、では、国民の知る権利を守るために国民の代表として議会に送っていただき、国権の最高機関である国会の公式な参議院内閣委員会で、岡田委員長の指名の下、質問通告もしっかりとした上で私は質問を展開しております。すなわち、私が取るべき手続は正当にすべて踏まえた上での公的な質問でございます。  この選考に当たられた専門委員の方々は、ボランティアでされているのではありません。公的機関の要請に基づいて報酬の手当を受けられて専門委員となっておられるのですから、そのときにどんな議論があったのか、これだけ国民的な、マスコミも交えてこれだけの議論があるんですから、そのときの議論がどんなものであったのか参加者にヒアリングをすればいいことだと思いますが、国権の調査権をそんなに軽々しく軽視していただくのは極めて残念だと思います。いかがでしょう。
  189. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 議事録を作成していないという事実を申し上げているところでございます。
  190. 有村治子

    ○有村治子君 通告してからでも、昨日の夜でも電話で皆様に確認されればいいんじゃないですか。私たちは正式な調査権を行使しているんですよ。
  191. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 確認できた範囲で正確なところをお答えさせていただいたところでございます。
  192. 有村治子

    ○有村治子君 正確な情報は何も出ていません。先ほどおっしゃっていただいたのは、基準を読んでいただいただけでございます。  コメントを求めます。
  193. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 現時点で確認できていることを御説明申し上げました。(発言する者あり)
  194. 有村治子

    ○有村治子君 副大臣もおっしゃっていただいているように、何の説明にもなっていません。どのような議論が行われたのか書面によって提出をしていただきたいと、御検討いただきたいと存じます。文書でお願いいたします。  週刊新潮に基金部が答えているように、完成確認でも疑義があったわけではないというのは本当でしょうか。作品が完成してから試写をされた段階で政治的、宗教的宣伝の意図について疑義が全く呈されないとしたら、それ自体、一体何をチェックされているのだろう、本当に専門委員の先生方は目を開けて、助成金交付選定基準に照らし合わせてこの試写を審査していただいたのですかと言わざるを得ません。  大事な税金が原資となっている予算の執行です。文化芸術振興の名の下、七百五十万円の助成をするにふさわしい映画かどうか、選定基準が満たされているかどうかのファイナルチェックともいうべき完成後の試写は、いつどこで行われ、選考に当たった専門委員六人のうち何人の方がこの映画を最初から最後まで見られたのでしょうか、また欠席されたのは何人ですか、教えてください。
  195. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 完成試写会は平成十九年の三月三十日にtogen虎ノ門試写室において行われております。専門委員の方は六名中四名の方が出席をされ、確認をされておるところでございます。
  196. 有村治子

    ○有村治子君 この試写会後、異論が出なかったのはある意味当然なんです。試写会後の専門委員の先生方の御意見を聴くような会合は、その後一切開かれておりません。試写会が終わって、はい、さようならということですね。  そもそも、この完成後の試写をすることに日当は一切払われていないのです。これでは、日給も出しません、見るも見ないもボランティアですからねということになり、ファイナルチェックの機能を果たすべき完成品の試写を履行されなかったということにとがめることはできませんし、会議も意見交換も開かれていません。  このことで本当にファイナルチェックをしたとおっしゃれるんですか。
  197. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 四人の専門委員の先生方が完成試写会を御覧になった上で、助成を取りやめるような重大な変更はないということを確認していただいたというふうに聞いておるところでございます。
  198. 有村治子

    ○有村治子君 その確認を一人一人取っていませんね。例えば、ファイナルチェックの機能を果たすべき完成品の試写をしていない専門委員は二人いらっしゃるんですが、その方々に対して完成ビデオをその後送付して、あるいはCD—ROMを送付して、DVDを送付して意見を聴くというプロセスも取られていません。つまり、ファイナルチェックとしての試写の後、御意見どうでしたか、かなっていましたかという意見の確認はなされていません。それでもファイナルチェックしたとおっしゃるんですか、しかも日当を払わずに。
  199. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 専門委員会の六名の先生方のうち四名の先生方は御覧になって確認をされているわけですので、ファイナルチェックと言ってよろしいかというふうに考えております。
  200. 有村治子

    ○有村治子君 ですと、実はこの問答というのは、私たちのみならず多くのマスメディアが注目をしているんです。この問答、ちゃんちゃらおかしいということは、私たちが判断するまでもなくマスコミによって皆さんが知ることになられます。そうすると、文化行政の信頼が揺らぐわけですね。私はそこを心配しているんです。  つまり、企画段階での書面での申請段階は審査するけれども、実際の映画の完成品、いわゆる出口の審査はなされていない、つまり放映はしたけれども、その後どうでしたかという確認は全然取っていない、出口の調査はしていないというそのそしりを逃れない現状ですが、今回、企画書段階から完成、上映までにという状況ですが、それに対してどうやってそのファイナルチェックをした先生方の意見を集めたと言えるんですか。
  201. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 三月三十日の完成試写会の場において確認をされているということを聞いておるところでございます。
  202. 有村治子

    ○有村治子君 つまり、何もエビデンスがないということですね。  先ほどからエビデンスを一切出していただいておりません。試写が行われて、その中に四人が参加したというだけで、その後先生方が何を見たのが、何がいいと思って、何が違和感を感じたのかという意見の聴取は行われていません。つまり、企画段階での申請は審査するが、出口はしていない。先ほど尾山部長が強弁された、ちゃんとファイナルチェックしています、完成の試写もやっていますというのがいかに苦し紛れの答弁かというのが露呈したわけでございます。  今回、企画書段階、つまり助成金の申請段階から完成、上映までに変更がなされ申請がされたというものにはどういうものがあるでしょうか。
  203. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 助成金の交付内定後、変更理由書が二度提出されておるところでございます。一度目は平成十八年の十二月でございまして、上映時間の変更、これは百八十分であったものが百二十分にするということと、それから二つ目は制作スケジュールの延長ということで、当初八か月を予定しておったものを九か月にするということでございます。それから、二度目は平成十九年の三月でございまして、一つは出演者の変更、二つ目は共同制作者の変更、三つ目は他からの助成金の追加、四つ目は協賛会社の取消しの四点でございます。  いずれの変更につきましても、完成試写において専門委員内容を見て、助成決定に影響を及ぼすような変更ではないと確認したと聞いておるところでございます。
  204. 有村治子

    ○有村治子君 スケジュールや上映時間の変更というのはよくあることだと私も思います。  今おっしゃっていない中でも、映画のタイトルが変更されていますね。それから、出演者も変わっています。共同制作者も変わっています。御覧になっていただきますように、このパンフレットの右側のコラムにありますように、共同制作として書かれているのは、チャンイさんの会社と北京電影学院、青年電影制何とか何とか、北京中何とか何とか有限公司ということで、全部これチャイニーズですよね。これが日本映画なんでしょうかね。つまり、映画のタイトル、出演者、共同制作者、協賛にも変更を来しています。映画の屋台骨そのものが変わっているんですね。あれもこれもと変わっているんですね。  それで、本名で申請しなければならない申請代表者、このチャンイ代表の、代表取締役の名前そのものが、本名が変わっているんです。そして、いつの間にか制作総指揮者、チョウウンキと読むんでしょうかね、旧名チャンイということで、申請者の本名までが変わっているんですね。  このことに対して変更がほとんどなかったということを言い切れるんですかね。
  205. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 先ほど変更点について私から御答弁させていただいた以外の変更については、大変恐縮ですが、私、現在承知いたしておりません。
  206. 有村治子

    ○有村治子君 済みません、私が把握しているだけでも、しかも私がこれを本格的に調査したのは三日前でございます。質問が決まってからでございます。それでも私はこういう情報を入手しているんです。答弁される方がそれを把握していないというのは、事務方のスタッフさんも含めてやっぱり答弁者は、一生懸命チームを守ろうと頑張ってくださっているんですから、御協力いただけますよう、調査権に御協力くださいませ。  私は、靖国神社賛成派、反対派というレッテルを付けること自体くみしておりませんけれども、企画段階では靖国神社に対して賛否両論を題材とするというふうにしていた文書が、実際に十九年の三月に出された変更理由書によって、いわゆる靖国支持者の主張はこの映画の対象にしないことが明確に申請をされています。この時点で、この映画が完全な反靖国となることが決定的になったものですが、これらの大規模な変更が行われても問題ありという認識をだれも専門委員の方々は一切されなかったんでしょうか。反靖国となることが決定的になって、これは中国政府の歴史認識や主張そのものを取り上げる映画とこの時点で決定的になったわけですが、これに疑義を、おかしいな、えっ、何かあるんじゃないかなと思われた人がだれもいなかったんですか。
  207. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 完成試写におきまして専門委員の先生方が内容を見て、助成決定に影響を及ぼすような変更ではないと確認したということを聞いておるわけでございます。
  208. 有村治子

    ○有村治子君 試写会を見てとおっしゃいますけれども、見た後に意見は聴いていない。つまり、エビデンスを全然出していないんですから、それをロジックにされるのは御遠慮いただきたいと思います。ほかの先生方も説得力がないということをおっしゃっているんですから。  別の聞き方をします。  平成十七年、二〇〇五年は終戦六十周年でございました。終戦四十周年、五十周年、六十周年となる一九八五年、一九九五年、二〇〇五年、つまり西暦の一けたが五になる年は決まって中国、韓国が歴史認識を外交カードとして日本を揺さぶらせる戦略に来ています。そして、私たち自身も、歴史に向き合う機会ということから逃げることは全く許されません。しかし、この平成十七年、大騒動があった二〇〇五年の翌年に申請が出されているんです。こんな当たり前の、みんなが理解をしている政治的意図が見抜けないような、社会人としての常識的感覚がない人ばかりが専門委員になっていらっしゃるんですか。
  209. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 専門委員の先生方の判断としては、これは政治的宣伝意図は持たないという判断をなされたということでございます。
  210. 有村治子

    ○有村治子君 じゃ、専門委員の先生方、お給料出ていますから、どうしてそう考えられるのか、どうしてこれが政治的意図がないというふうに断言できるのか、その根拠を示していただきたい。文書でお出しいただきたいと存じます。  この専門委員というのはどういう基準で選ばれた人たちでしょうか。
  211. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 映画について幅広い学識を有する方の中から、日本芸術文化振興会において選任し委嘱をしておるものでございます。
  212. 有村治子

    ○有村治子君 幅広い見識を有しということでございますが、専門委員の一人であるY氏、この方の信教の自由、思想の自由ということを尊重して、私は昨日は通告で明確にそちらにお伝えしてありますけれども、Y氏とこの場では言わせていただきましょう。  Y氏は映画人九条の会のメンバーであり、その旨の発信をされていることを日本芸術文化振興会は御存じでしたか。九条の会というのは、御承知のとおり、憲法九条をめぐって護憲という立場で政治的メッセージを明確に打ち出し活動をされていらっしゃる団体です。その映画人九条の会のメンバーであること、御存じでしたでしょうか。
  213. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 日本芸術文化振興会におきましては、専門委員委嘱の際に、先生御指摘の専門委員の方が御指摘の会のメンバーであることは承知していなかったと聞いておるところでございます。
  214. 有村治子

    ○有村治子君 先ほども申し上げたように、私がこの調査に乗り出したのは三日前でございます。こんなことさえ知らなかった。私たちがインターネットでも検索できる情報日本芸術文化振興会は把握もしないで専門委員を選んでいらっしゃるんでしょうか。  専門委員会の中立性、もちろんYさんにも思想の自由はあります。そして、それは尊ばれなければなりません。しかし、常識に照らして公正な立場で審議をされたとは到底思えない判断が次から次へとまかり通っている現状をかんがみますと、このY氏の政治的、思想的活動が当該映画の助成金交付決定に影響を与えたのではないかという国民の皆さん、私たちの疑念を振興会の公的責任として払拭していただきたいと思います。どうか払拭してください。御意見をお願いします。説明をお願いします。
  215. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 専門委員会は、基本方針や評価の観点を基に六人の専門委員会が合議の上で審査が行われ助成が決定される仕組みを取ることで、一人の委員の意見が大きく影響することがないような仕組みにしているということを聞いておるわけでございます。
  216. 有村治子

    ○有村治子君 つまり、思想的には大きな信念を持っている方が入っていらっしゃったということで、その影響を与えたのではないかという疑念を払拭するには当たっていない、そんなお答えだと私は認識しています。  そして、この「靖国」のパンフレットにも書かれていますけれども、そして知られざる事実がある、靖国神社の御神体は日本刀であり、昭和八年から敗戦までの十二年間、靖国神社の境内において靖国刀が鋳造されていたというふうに書かれていますけれども、これは事実誤謬でございます。知られざる事実があるというふうに言って、靖国神社の御神体は日本刀であるというふうに主張されていますが、この認識自体が誤謬なんです。事実誤認でございます。これは私自身が靖国神社の広報に問い合わせています。神社で大切にされていらっしゃる神剣は、一般的に世に言う日本刀、片刃でワンエッジですね、片刃で反りのある日本刀とは形状も異なっておりまして、この御神体は日本刀ではありません。  この誤謬を知られざる事実としてドキュメンタリーとして豪語されること自体が大変に遺憾なことでございます。もちろん、中国の監督が外国語である日本語で基礎事実を理解するのは難しいのかもしれませんが、この御神体について、靖国神社に対する事実確認や問い合わせも一切されずに、この事実誤認をドキュメントと称し広く喧伝されていること自体が欺瞞だと思いますが、やはり文化的考証などの前線に立たれるはずの文化庁ではないんですか。この点、コメントください。
  217. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 日本芸術文化振興会の専門委員会においては、映画全体の企画を審査して助成を決定されたということでございます。
  218. 有村治子

    ○有村治子君 この誤謬に対して、こんな誤謬をドキュメントだというふうにおっしゃっている。文化の考証をしていかなきゃいけない前線の文化庁がこのようなコメントをされなきゃいけないということ、これが周知の事実になって信頼を失うことを私は極めて残念だと思います。  映画の中で最も多くの時間を割かれて登場される刈谷直治さんは、靖国刀を作っていた現役最後の刀匠、刀のたくみでございまして、現在九十歳の御高齢です。美術品として純粋に靖国刀匠、たくみのドキュメンタリーを撮りたいという若い中国人の青年の申出に、刀を作る自らの映像を撮影することは承諾され、これが私の現役最後の仕事になるなと覚悟を決めて協力をされました。映画パンフレットによると、キャストというふうに刈谷さん書かれていますが、この刈谷さんは実際には本映画でキャストになることを全く知らされておらず、このことを承諾されていないばかりか、完成品の映画を見る機会すら与えられていません。  いっとき、進行過程での映像を御覧になって、当時政治問題化していた小泉総理の参拝映像や終戦記念日の靖国境内の政治的喧騒の映像と交ぜ合わせて刈谷さんの刀を作る映像が交錯されて使われていることに違和感を覚え、ここからです、刈谷夫妻は不安と異論を唱えられました。  すると、刈谷さんの御自宅に赴いた李纓監督と助監督の中村さんは、この映画には日本の助成金が出ているし、助成金を受けているというそのマークも付いているから大丈夫ですよと夫婦をなだめていらっしゃいます。助成金が公的お墨付きとして使われ、刈谷さん本人がキャストに仕立て上げられる、本人は嫌がっているんです、キャストに仕立て上げられることを承諾するよう、助成金のマークが入っているから大丈夫ですよ、日本政府も助成しているんですよという説得の材料になってしまっています。  このような経過から、最終作品は刈谷氏の善意を踏みにじっており、刈谷さん夫妻はこの映画において刈谷氏の肖像が入ることを全く承服しておらず、作品から刈谷さんの映像を一切外してほしいと希望をされています。これは、私自身が一昨日、平成二十年三月二十五日、刈谷さん本人と御確認を取りました。  このパンフレットに載っている制服姿の青年、この青年ですね、この青年は現役自衛官であり、彼が靖国神社に参拝しているところをこの映画「靖国」を作った人たちが無許可で撮影をし、その映像が無許可でこの映画に使われ、このパンフレットにおける掲載がされていることもこの自衛官の方は一切知らなかったんです。この現役自衛官の方がたまたま靖国神社にお参りしたときに勝手に無許可で撮られた肖像権は全く守られていないという状態が今も続いています。  事実誤認をドキュメンタリーと主張し、十月十七日の霊璽奉安祭を始め、撮影が禁じられている場所や時においても撮影し、知らない間にキャストに仕立て上げられた刈谷さんのお気持ち、希望を無視して上映を重ねるなど、手段を選ばない取材、撮影によって肖像権をじゅうりんされた人々との間に数々のトラブルを起こしているこの映像を文化庁が芸術文化振興の名の下で公金を使ってまで後押しをすることが果たして適切なんでしょうか。
  219. 尾山眞之助

    政府参考人尾山眞之助君) 日本芸術文化振興会における映画の助成におきましては、企画書の内容審査基準に照らして審査し、完成試写会において審査内容と大きな違いがないかを確認しているところでございますけれども、個々の映像がすべて肖像権の問題をクリアしているかどうかまでは審査対象としていないということを聞いておるところでございます。
  220. 有村治子

    ○有村治子君 個々の肖像権じゃないんです、メーンの肖像権なんです、刈谷さんもこの人にしても。本人は承諾していないのにキャストって書かれているし、本人の映像が使われているんですよ。のべつ幕なし、無許可のことを繰り返している映像なんですよ。これが文化振興なんですかね。これが日本の映画なんですかね。  そして、今おっしゃるその日本映画の助成ということでございますが、配付資料のように、日本映画とは、国民、日本に永住を許可された者又は日本の法令によって設立された法人によって作られた映画を指しています。つまり、日本の法令によって設立された法人が、たとえ構成員がすべて外国人でもオーケーということになります。ノルウェーの人々によって構成される法人がケニアのキクユ族を撮った映画も日本映画というカテゴリーになってしまうんです。不思議な定義だなと思います。  この問題を契機に、助成の対象となる日本映画の定義を見直しして、フェアに公平に助成対象を審査して、信頼される文化行政になるよう出直された方がいいと思います。そして、そもそも、政治的、宗教的宣伝意図がないことという助成金の申請要件を満たしていない映画を助成してしまったことにかんがみ、この助成金返還の是非をいま一度検討されることを希望します。  文部科学大臣政務官のお答えを希望いたします。
  221. 保坂武

    大臣政務官(保坂武君) 大変御指摘をいただいているところであります。  ただいま御質問をされた最後のところの補助金の問題につきましては、十分協議はしなければならぬところもあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、映画「靖国」については、私ども、芸術文化振興基金の助成に当たって、独立行政法人の振興会において所定の手続を従い、審査を行ってきているところであります。  十分、本内閣委員会で有村先生の御教示や御指摘、またこれらのやり取りを聞いておりまして、今後、内容について適切な審査を努めるよう努力をしなければいけないなと、こう思っているところであります。
  222. 有村治子

    ○有村治子君 今政務官としての御答弁をいただきました。  政治家としての先生、今の答弁を聞いていて、いかにひどい手続で、いかにずさんな審査をされているかというのが明確にこの一時間でなったと思います。その御感想、ちゃんちゃらおかしいということが次から次へと出てきているんですね。このやり取りを聞いていらしての御感想を求めます。
  223. 保坂武

    大臣政務官(保坂武君) 文化行政にわたりまして、特に映画は最近、世界的にも国民の中でも普及されるものでありまして、今のやり取りの中で、これの審査については十分、所定の手続等々検討するところは大変あるというふうに個人的には思っております。
  224. 有村治子

    ○有村治子君 先ほどの政務官の御答弁に、本当に真摯に聞いていただいて、この助成金の要件を満たしていない映画を助成してしまったことにかんがみて助成金返還の是非を検討されることを希望して、それも重要な観点だというふうに私は聞きました。  どうかこの内閣委員会で、その検討していただいた結果を報告をしていただきたいと思います。これに関しては私自身の判断ではいけませんので、委員長始め、後ほど理事会で御検討いただけたら有り難いと存じます。
  225. 岡田広

    委員長岡田広君) 後日理事会で協議をさせていただきます。
  226. 有村治子

    ○有村治子君 今回のことに関しましては、国民としても、文化行政を応援したいと思っている議会人としても極めて残念なことだと思っています。やはり正式なフェアな審議をしていただきたいなと思っております。  しかし、芸術文化振興会の名誉のために私は申し上げます。今回のことは極めて遺憾でございますが、この芸術文化振興会は、国立劇場で歌舞伎や文楽の公演を後押ししたり、あるいは琉球の舞踊、音楽を上映する国立劇場おきなわを持ってみたり、あるいは国立能楽堂をしっかりと運営されたり、本当にいい活動をされているんです。日本人の文化をしっかりと応援していくように一生懸命やられているんですね。  やはり、今回の助成金の原資は税金なんです。公益に資する活動をするという信頼があってこその文化行政です。国民から慕われて、支持されてこその文化振興でございます。この原点をしっかりと心に刻んで、今の検討を再検討していただきたいと思っております。  最後に、私自身、今までの質問はすべてロジックだけでやってまいりました。私自身、靖国神社に対してどう思っているかというと、右翼も左翼もないと思っています。どんな立場を取るにせよ、もちろんそれは自由です。しかし、この靖国神社というのは、本来、御霊と静かに向き合う場所で、国の未来を信じて命をささげられた御霊や、その人、お父さんに一度も抱かれたことのない子供たちがお父さんの無言の遺骨を抱かねばならなかった、そんな方々がもう六十歳、七十歳になって、唯一、お父さんに会える、好きだった恋人に会える、あるいは息子に会えるというところのその遺族のお気持ちに静かに心を添わせる人間としての常識は持たねばならないと思っています。やれ反対だ、やれ賛成だとプラカードを片手に意見の異なる相手をそれぞれの数の論理や声のボリュームで威嚇して、思想的に相入れない相手をにらみつけて中傷合戦をするイデオロギー論争の場であり続けるというのは、極めて御霊やあるいは御遺族に対して不遜なことだと思っています。そういう意味で、この映画を助成をしてしまってオーソライズしてしまった文化行政の過失というのは決して小さくない、極めて残念だ、私たち、裏切られたなという気持ちが本当にしています。  この映画の助成金選考の轍を教訓に、国民から信頼される文化行政、助成金の適切な執行が行われることを切に願って、私の質問を完了させていただきます。ありがとうございました。
  227. 風間昶

    ○風間昶君 白熱した論議の後でちょっとあれでしょうけれども、済みません、公明党の風間ですが。  渡辺大臣は、メーンの委員会ある中おいでいただきまして恐縮でございます。  渡辺大臣に、先般もちょっとはしりだけお話しさせていただきましたけれども、国家公務員制度改革基本法の件で今まさに検討されている状況ではあると思いますけれども。何回も同じことを言わせていただきますけれども、大臣も所信の中で、優秀な人材はとにかく国民の立場で誇りと責任を持って職務できるような、そういう制度を抜本的に見直す必要があるということは、まあいい方向に変えていきたいという思いだと思います、所信の中で述べられた言葉はですね。総理も、常に国民の立場に立ってというふうにおっしゃっております。  それにしても、この一連の公務員の不祥事はもう目に余るものが私はあると思いますので、そこで、大臣の下でつくられました公務員制度改革のための懇談会、有識者懇談会の中でも、公務員の倫理の問題について述べられております。「国のことを第一に考えて行動する使命感と強い倫理観を持ち、謙虚な誇りと矜恃」、矜恃というのは誇りという意味だと思うんですけれども、あえて重ねられていらっしゃいますが、「謙虚な誇りと矜恃を保つ公務員を養成する。」と。ここが実は私は最も大事なところだと思っております。  だから、今、公務員制度改革基本法案が、採用の件での問題だとか、あるいは組織の再編というか、人事管理を一括してやれるところとかという、これはこれで大事なことなんだけれども、本来はその前に国家公務員としての公務員倫理法に基づく、ここの部分が最も大事ではないかと思うもんですから、この間もちょっとはしりで言いましたけれども、そこの部分がメーンに出てこないような国家公務員制度改革基本法案だと私は承服できないという意味で申し上げたわけですが、もう一度明確に大臣の方からこのことについて、公務員の倫理、そして倫理の確立ということについてどういうふうに具体的にこの懇談会で述べられていることを生かしていくのかという御所見を、また所見だけではなくて、大臣としての明確な方向性を伺いたいと思います。
  228. 渡辺喜美

    国務大臣(渡辺喜美君) 国家公務員が国家と国民のために奉仕をするというのは当たり前のことであります。当たり前のことを当たり前にやることがいかに難しい時代になってしまっているかということを私も懇談会のメンバーの委員の方々も憂えたのだと考えます。  風間先生の問題認識は私も共有させていただいていると思っております。まさしく、この国家公務員の一番の基本にある倫理観、これを確立してこそ誇りと責任につながっていくものと考えます。懇談会の答申の中に、公務員が国家と国民に奉仕するふさわしい職業倫理を確立し、能力と実績により適正な評価を得られる人事運用を目指すという項目がございます。まさしくこれは職業倫理の確立をうたったものでございます。この当たり前のことをきちんとやれる体制が、まさに今回の基本法の一番の基本にあるところでございます。
  229. 風間昶

    ○風間昶君 是非、いろいろなこれまでの大臣の行政改革の中でも、キャリアシステムの廃止を含めた公務員制度改革に取り組んでこられている中で、閣僚の中からも言わばブレーキ掛かるような発言があったり動きがあったりする中で大臣が頑張っている姿を見て、きちっと応援したいと思いますので、速やかな施行が行われるようにリーダーシップを発揮していただきたいというふうに思いますので、委員長、よろしければ御退席いただければ有り難いと思いますが。
  230. 岡田広

    委員長岡田広君) 渡辺国務大臣は退席いただいて結構です。
  231. 風間昶

    ○風間昶君 そこで、泉国家公安委員長、大変申し訳ございません。  ちょっと話題を変えまして、先般の時津風部屋の青年力士のああいう事件があって、それだけではありませんが、犯罪が完全に絡む、あるいは犯罪のにおいがする形でお亡くなりになる方が相当いらっしゃるわけであります。十四万人ぐらい、十五万人ぐらいいらっしゃるわけでありますけれども、その変死体の死因究明率をやっぱり高めていかなきゃならないというふうに思っていまして、そういう意味で、大臣は所信の中で、捜査力を強化して、そして重要犯罪の検挙をきちっと高めるために先進的な医学あるいは科学技術を駆使してやっていかなきゃならないというふうにこの間所信でおっしゃいました。  特に私は、そういう中で、警察における検視体制、諸外国に比べて極めてまだまだ十分になっておりません。御承知のように、司法警察員が御遺体の元に駆け付けたときに、言わば警官が見て、触ることは余りしないですよ、外見から見てこれ危ないなと、危ないというか犯罪のにおいがするなということで、言わば警察と嘱託関係を結んでいるいわゆる警察医、あるいは何というんでしょうか嘱託医の方が来て、最終的にその判断で解剖に付す付さないというふうになっていく流れですけれども、そういう中で検視体制の強化を是非していきたいという、所信にこの間おっしゃっていました。  この取組について、率直にどういう具体的にやっていったらいいのかということの大臣の、この所信で述べられたからには当然どういうふうにしていくのかなというイメージと方針があると思いますけど、お聞かせ願いたいと思います。
  232. 泉信也

    国務大臣(泉信也君) 御指摘の検視体制の強化というのは、本当に犯罪の原点にとって重要なことだと思っております。  今、我々がやっておりますのは、いわゆる誤認検視の防止ということが大変重要だと思っておりまして、いわゆる検査体制強化、それから死体を取り扱う警察官の教養を高める、さらに的確な検視の実施に資する資機材の活用、整備ということをやらせていただいておるわけでございます。  検視体制の強化につきましては、相当な刑事経験者、その道十年以上というような経験者、しかも法医学の専門教養課程を修了した検視の専門官である刑事調査官を増強すると、こういうことが大変重要であると考えております。  しかし、刑事調査官がすべての取扱死体についてその場に行けないという実態があるわけでございます。これは全国で百四十七名しか現在いないという実態もございまして、現場の第一線で検査業務に携わる警察官の能力向上を図る、いわゆる教養を充実するということが第一でございますし、CT検査やあるいは薬物検査キット、これは血液で、まあ先生御専門でございますけれども、血液を通じてその状況を測るという、そうした資機材を活用、整備するということが重要と考えておるわけでございます。  こういうもろもろの強化策を通じまして、警察が取り扱う死体について犯罪を見逃すことがないよう、これから検査体制強化を効果あるものにしていきたいと思っておるところでございます。
  233. 風間昶

    ○風間昶君 今大臣おっしゃったように、人の部分でいえば、検視官の数が百四十七名、極めて少ない。そしてまた、検視官の方々の技能能力向上、これが人の問題では大事ですし、もう一つはその施設、検査機器、CTを含めた画像診断が極めて大事で、現実に全国の医科大学の司法解剖を担っていらっしゃる法医学講座における画像診断をやられているところ、すべてそろっていないんですよ。これは、文科省来てもらっていますので、今幾つあるか教えてください。
  234. 土屋定之

    政府参考人(土屋定之君) 御説明申し上げます。  法医学におきます画像診断検査の活用に関しましては、その手法あるいは技術開発等につきまして関係学会などにおいて議論が行われているなど、発展段階にあると認識してございます。  現在、死因究明という目的のために画像診断検査を行っている大学等の全国的な実態につきましては私ども把握してございませんが、学会におきまして、死亡時にルーチンとして死亡時画像診断が行うことのできる基本的な体制ができている施設として三大学の施設が認定されているというふうに認識してございます。
  235. 風間昶

    ○風間昶君 七十何ぼもある医科大学の法医で、しかも死亡時診断機器をそろえているところはたった三つですから推して知るべしで、極めてそういう意味では大変な状態だと私は思います。この死亡の画像診断と解剖、剖検というのを併せた形で死因究明がなされなきゃならないわけでありますから、是非これについては文部科学省ももう少し、要するに病死で亡くなる方々以外のいわゆる変死体、あるいは変死体の中にも病死で亡くなる方がおいでになっているわけでありますから、ここの究明に是非もう少し積極的な取組を、予算も含めて、現実に警察庁は二千五百万円でこの死亡時の画像診断を予算付けております、今年も予算付けています。二千五百万円というと千体分の処置、診断ができるものでありますから、二千五百万で千体分診れるんですよ。文部科学省の方、もう少しきちっとそこのところを把握していただいて、まずは、把握していないとさっきおっしゃいましたから、把握していただくことを心からお願いしまして、内閣官房の下で死因究明する検討会もでき上がっているというふうに聞いておりますから、もうちょっと明確にしていくことが必要ではないかというふうに思います。  変死体で発見された御遺族から、私の身内は何で死んだんでしょうかと。警察に行っても分からない、どこに行っても分からない、結局は遺族の方がお願いして解剖される場合もある。ほとんど今、日本の中では少ないですけれども。  いずれにしても、死因究明のためにもうちょっときちっと文科省、警察庁、厚労省も含めて積極的に取り組んでいただくことをお願いしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  236. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数です。  今日は、保育士等の職員確保について、第一点目、お伺いしたいと思います。  第百六十九回通常国会におきまして、福田首相の施政方針演説は、少子化対策の一環として保育の重要性を述べていらっしゃいます。福田首相の施政方針演説を受けて、本年二月二十七日、厚生労働省は新待機児童ゼロ作戦を発表いたしました。新待機児童ゼロ作戦は、これは十年後をめどに希望するすべての人が子供を預けて働くことができる社会を実現するとの目標を掲げています。そのためのサービスの受け皿を確保し、待機児童をゼロにすること、特に今後三年間を集中重点期間として取組を進めることとしています。  そこで、厚生労働省に伺いたいのですが、新待機児童ゼロ作戦の実施に当たっては保育士等の職員確保が重要なわけでありますが、大幅な児童の受入れを拡大を図る一方で、サービスの量的拡充も重要となります。もちろん質の確保、向上も看過できないわけですが、拡大するサービスの担い手である保育士等の職員確保の見通しはどうなっているのか、厚生労働省にお伺いいたします。
  237. 村木厚子

    政府参考人村木厚子君) お答え申し上げます。  御指摘をいただきました本年二月に取りまとめました新待機児童ゼロ作戦におきましては、従来の待機児童ゼロ作戦とは異なり、質と量の両面にわたって保育施策や放課後対策推進することとしているところでございます。量的な拡大も非常に大事なことでございますし、また、保育の質を高めるということにも力を入れていきたいというふうに考えております。  保育士の需要に関して若干数字を申し上げますと、保育士資格を現在持っておられる方々が、平成十九年十月の数字でございますが、およそ八十四万人おられます。それから、実際にこの資格を持っている方のうち保育所において実際に勤務をしておられる保育士の方、これは平成十八年の数字でございますが、三十四万人余りでございます。毎年新規に資格を取られる方が大体五万人、そのうち就職をされる方が四万人弱ということでございますので、資格をお持ちの方はたくさんいらっしゃるということで、こういう方々が勤めたい、あるいは勤め続けたいと思うような保育という職場であるということが大事なことだろうと思っております。  また、保育の専門性ということも大変重要でございますので、保育の質を高める、人材の質を高めるということも今回一生懸命取り組んでいきたいと思っております。特に、今回改正予定をしております保育所保育指針におきまして、職員の資質向上による保育充実をうたったところでございます。指針の改定と併せまして、職員研修充実でございますとか、保育実践の向上等を内容とする、保育所における質の向上のためのアクションプログラムというものを今月中に策定をする予定でございます。  こういったものによりまして、保育の量、質、双方を担保していくことに努めていきたいと考えております。
  238. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 どうぞよろしくお願いいたします。  次に、学童保育等の職員の待遇改善についてお伺いいたします。  学童保育等の職員の待遇改善についてでありますが、独立行政法人国民生活センターは、先月二月二十一日に学童保育の実態と課題に関する調査研究という学童保育に関する調査を発表しております。  この調査研究では次のようなことが提案されています。学童保育の施設及びその自治体は、消費者に情報提供を十分行うことが必要であること、契約書の作成と利用者への交付が不可欠であること、安全対策強化、事故時の体制の整備、事故予防への取組が重要であること等の提言がなされています。  しかし、提言がされても学童保育の実態は憂慮すべき点が多々ございまして、具体的に数字を挙げていきたいのですが、時間が限られておりますので、学童保育の指導員の待遇について今日はお伺いしたいと思います。  これは、同調査研究によりますと、学童保育の指導員の半数以上を占める非常勤指導員の給与の水準が十万円未満が七三・〇%、そして常勤職員でも二十万円未満が七四・九%であることが明らかになっています。指導員の給与等の待遇は厳しいものがありまして、提言を受け実施に向けて取り組んでいくには、指導員と職員の待遇改善は不可欠だと思います。  そこで、上川大臣にお伺いいたしますが、指導員と職員の待遇の現状をどう認識されていらっしゃるのか、待遇等の改善が必要と思われるのか、御所見をお伺いいたします。
  239. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 放課後児童クラブにつきましては、新待機児童ゼロ作戦の中でも大変大きな柱の一つになっているということで、今厚生労働省の御説明のとおり質と量の確保をしっかりと、しかも三年の、大変重点戦略の期間を絞って整えていくということが大切だというふうに思っております。親の働く状況、そして子供の育成の両立を支えるという意味でも大変大事な施策の一つというふうに思っております。  この間、厚生労働省におきましても、放課後児童指導員の安定的な確保や放課後児童クラブの運営に必要な経費の補助等を累次の施策の中で取り組まれてきたということでございまして、厳しい財政状況の中でもこの補助基準額の見直し等の必要な改善を図ってきたというふうに思っております。  また、平成二十年度の予算案につきましても、障害を持っていらっしゃるお子さんたちを受け入れるクラブにつきましては、指導員の加配等のための経費の改善を図るということでございまして、そうした点について質と量の両面からの取組ということについては、しっかりと関係省庁と連携をしながら努めてまいりたいというふうに思っております。  御指摘のところの、国民生活センターの実態調査のところでも、実態を踏まえて様々な御意見があるということでございますので、こうした面も十分に考慮しながら、厚生労働省の方でも対応につきましての取組に一層力を入れていただきたいというふうに私の方からも強く要請していきたいというふうに思っております。
  240. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 是非待遇の改善に関してもお力を入れていただきますようによろしくお願いをしたいと思います。  次に、日米地位協定改定案に対する政府の見解についてお伺いいたします。  今、在日米軍の軍人軍属、そしてその家族が重大な事件、事故を起こすたびに取り上げられる問題、それが、米軍基地を抱える自治体、特に沖縄から申し上げます悲痛な声は、日米地位協定の改定の問題であります。御存じのとおり、政府の立場は米軍人軍属、その家族の優遇であり、改定に対しては一貫して運用の改善だけを述べています。このような政府の姿勢では、米軍人軍属の引き起こす犯罪を減らすことはできないというふうに考えます。  初めに、事件、事故の抑止と再発防止の面からも、日米地位協定の抜本的改正を強く求めて、お伺いをしたいと思います。  民主、社民、国民新党の三党が、去る二十五日の実務者レベルの協議で日米地位協定の改定案に対して合意をいたしました。本日二十七日に各幹事長が正式に合意をして、三十一日には政府に要請する日程になっているようであります。この改正案の柱ですが、一点目に基地外居住米軍関係者への外国人登録義務、二点目に起訴前の身柄引渡し要請に対する米軍の同意、三点目に基地の使用目的、範囲、条件などを明示した使用計画書を提出、四点目に施設返還時の環境浄化、環境汚染浄化は米国の責任という、この四点になっておりますが、そこで外務省にお尋ねいたします。改定案に対する外務省の見解をお伺いいたします。
  241. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) お答え申し上げます。  まず、昨今、米軍関係者による事件、事故が相次ぎ発生しておることにつきましては大変遺憾でありまして、このような事件の再発を防ぐためより実効的かつ包括的な再発防止策を講ずることが極めて重要であると考えておりまして、日米間で協議もし協力もし、継続的にこうした再発防止策について検討を実施していく必要があると考えております。  お尋ねの民主党、国民新党、社会民主党の日米地位協定改正案につきましては、大変恐縮ながら、報道等により承知しておりますが、恐縮ながらまだ改正案そのものを拝見していないので個別具体的なお答えはいたしかねます。  政府といたしましては、従来から、日米地位協定につきましては引き続き運用の改善によって対処していきたいというふうに申し上げてきております。これは、その時々の問題につきより機敏に対応していくためには、運用の改善により対応していくことがより合理的であると考えているからでございまして、御指摘の刑事分野につきましても、刑事裁判手続の分野を始め様々な改善例を積み重ねてきておるわけでございますが、今後とも目に見える運用改善の成果を一歩一歩出していきたい、積み上げていきたいと、かように考えている次第でございます。
  242. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 今の答弁を県民が聞きますと大変がっかりするような答弁でございますけれども、最後に一点だけ。  今申し上げました四点の中で、特に環境問題についてお伺いをしたいと思いますが、実は返還されました米軍の基地の跡地で、二〇〇二年、北谷町で米軍の射撃場の跡地の民間の工事現場で発見されました百本余りの原油、廃油の入ったドラム缶が見付かりましたけれども、これに関しまして、北谷町議会が日米両政府の責任に基づく原状回復や責任を明確にするための日米地位協定の改正を求めましたけれども、それは実は、米軍は、返還された跡地だからということでそのまま原状回復もせずに放置しているという状況です。  それ以外にも、例えば読谷村であるいは恩納村で返還された軍用地の跡地でPCB、六価クロム、鉛、有害物質が次から次に発見されております。  そういう米軍のずさんな環境対策が幾度となく現在の沖縄の返還跡地で発見されており、それは県議会でも何度も取り上げられましたけれども、それがそのままの状態で放置されて、それでもなおかつ、やはり運用の改善で十分だというふうにおっしゃいますけれども、それは到底容認できない状況であります。  米軍側との交渉において何が障害になっているのか、明らかにしていただきたいと思います。
  243. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) 環境保全の問題につきお尋ねでございます。  申し上げましたように、日米地位協定につきましては、環境分野につきましても運用の改善の実績を積み重ねてきておりますし、今後も努力をしたいというふうに考えております。  現に、具体的に申し上げますと、在日米軍は、我が国の国内法上の様々な基準と米国国内法基準のうちのより厳格なものを選択するとの基本的な考え方の下に環境管理基準というものを作成しておりまして、厳格な環境管理行動を取っており、その結果、一般的に申し上げますれば、在日米軍の管理基準は日本関係法令上の基準を満たすもの又はそれを上回るものとなっていると承知しております。  また、汚染除去につきましては、去る二〇〇〇年九月にいわゆる2プラス2、日米四閣僚の環境原則に関する共同発表というものを発出いたしまして、両国政府の高いレベルにおいて、返還を待たずしていつでも、在日米軍を起因として人の健康への明らかになっている差し迫った実質的脅威となる汚染については浄化に直ちに取り組むとの政治的意思が確認されております。  お尋ねの点につきまして逐一お答え申し上げる立場にございませんが、現在、こうした努力を踏まえまして更なる運用改善というものを目指していくつもりでございまして、そうしたことを通じまして環境問題に適切に対処していく考えであります。日米地位協定をそのために改正する必要があるとは考えておりません。
  244. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 時間もありませんので、今回終わりますけれども、改めてまた御質問させていただきたいと思います。
  245. 岡田広

    委員長岡田広君) 以上をもちまして、平成二十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、皇室費国会所管会計検査院所管人事院を除く内閣所管及び内閣府本府の所管のうち沖縄関係経費を除く内閣本府、国際平和協力本部日本学術会議官民人材交流センター宮内庁警察庁についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  246. 岡田広

    委員長岡田広君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十六分散会