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2008-06-10 第169回国会 参議院 総務委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年六月十日(火曜日)    午後一時二十五分開会     ─────────────    委員異動  六月六日     辞任         補欠選任      鈴木  寛君     梅村  聡君  六月九日     辞任         補欠選任      長谷川憲正君     川崎  稔君  六月十日     辞任         補欠選任      泉  信也君     佐藤 正久君      世耕 弘成君     牧野たかお君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         高嶋 良充君     理 事                 加藤 敏幸君                 那谷屋正義君                 内藤 正光君                 河合 常則君                 末松 信介君     委 員                 梅村  聡君                 加賀谷 健君                 川崎  稔君                 行田 邦子君                 榛葉賀津也君                 武内 則男君                 外山  斎君                 吉川 沙織君                 礒崎 陽輔君                 岸  信夫君                 佐藤 正久君                 二之湯 智君                 牧野たかお君                 溝手 顕正君                 吉村剛太郎君                 魚住裕一郎君                 弘友 和夫君                 山下 芳生君                 又市 征治君    衆議院議員        総務委員長    渡辺 博道君        総務委員長代理  菅原 一秀君        総務委員長代理  山口 俊一君        総務委員長代理  黄川田 徹君        総務委員長代理  原口 一博君    国務大臣        総務大臣     増田 寛也君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        警察庁長官官房        政策評価審議官  樋口 建史君        金融庁総務企画        局審議官     河野 正道君        総務省情報通信        政策局長     小笠原倫明君        総務省総合通信        基盤局長     寺崎  明君        総務省政策統括        官        中田  睦君        経済産業大臣官        房審議官     吉崎 正弘君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    由田 秀人君    説明員        会計検査院事務        総局第五局長   高山 丈二君    参考人        日本放送協会経        営委員会委員長  古森 重隆君        日本放送協会会        長        福地 茂雄君        日本放送協会専        務理事      金田  新君        日本放送協会理        事        日向 英実君        日本放送協会理        事        溝口 明秀君        日本放送協会理        事        八幡 恒二君        日本放送協会理        事        大西 典良君        日本放送協会職        員の株取引問題        に関する第三者        委員会委員長   久保利英明君        社団法人日本民        間放送連盟専務        理事       玉川 寿夫君        日本郵政株式会        社専務執行役   米澤 友宏君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○日本放送協会平成十七年度財産目録貸借対照  表及び損益計算書並びにこれに関する説明書(  第百六十六回国会提出) ○日本放送協会平成十八年度財産目録貸借対照  表及び損益計算書並びにこれに関する説明書携帯音声通信事業者による契約者等本人確認  等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に  関する法律の一部を改正する法律案衆議院提  出) ○地方自治法の一部を改正する法律案衆議院提  出)     ─────────────
  2. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、鈴木寛君及び長谷川憲正君が委員辞任され、その補欠として梅村聡君及び川崎稔君が選任されました。     ─────────────
  3. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本放送協会平成十七年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書及び日本放送協会平成十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書審査のため、本日の委員会総務省情報通信政策局長小笠原倫明君外一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本放送協会平成十七年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書及び日本放送協会平成十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書審査のため、本日の委員会日本放送協会経営委員会委員長古森重隆君外八名を参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 日本放送協会平成十七年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書及び日本放送協会平成十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書議題といたします。  まず、政府から説明を聴取いたします。増田総務大臣
  8. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) ただいま議題とされました日本放送協会平成十七年度及び平成十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書並びに監事意見書について、その概略を御説明申し上げます。  本資料は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  まず、平成十七年度についてですが、貸借対照表一般勘定については、平成十八年三月三十一日現在、資産合計は七千二百三億円、負債合計は二千五百八十四億円、資本合計は四千六百十九億円となっております。  損益計算書一般勘定については、経常事業収入は六千七百四十九億円、経常事業支出は六千六百六十億円となっており、経常事業収支差金は八十八億円となっております。  次に、平成十八年度についてですが、貸借対照表一般勘定については、平成十九年三月三十一日現在、資産合計は七千四百九十七億円、負債合計は二千六百四十三億円、資本合計は四千八百五十三億円となっております。  損益計算書一般勘定については、経常事業収入は六千七百五十六億円、経常事業支出は六千五百二十六億円となっており、経常事業収支差金は二百二十九億円となっております。  以上について、監事意見書においては、監査の結果、平成十七年度及び平成十八年度財務諸表は、日本放送協会財産及び損益状況を正しく示しているものと認められております。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  9. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。福地日本放送協会会長
  10. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) ただいま議題となっております日本放送協会平成十七年度及び平成十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並び監事意見書概要につきまして御説明申し上げます。  初めに、平成十七年度財産目録貸借対照表を御説明申し上げます。  一般勘定当年度末の資産総額は七千二百三億円、一方、これに対する負債総額は二千五百八十四億円、また、資本総額は四千六百十九億円でございます。  続いて、損益計算書における一般勘定経常事業収入は六千七百四十九億円、経常事業支出は六千六百六十億円でございます。  以上の結果、経常事業収支差金は八十八億円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加え又は差し引いた当期事業収支差金は四十三億円となりました。  このうち、債務償還に充てた資本支出充当は三十七億円であり、事業収支剰余金は五億円でございます。  なお、この事業収支剰余金は、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものでございます。  以上につきまして、監事意見書では、貸借対照表等は、監査の結果、協会財産及び損益状況を正しく示しているものと認めるとされております。  引き続きまして、平成十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並び監事意見書概要につきまして御説明申し上げます。  初めに、財産目録貸借対照表を御説明申し上げます。  一般勘定当年度末の資産総額は七千四百九十七億円、一方、これに対する負債総額は二千六百四十三億円、また、資本総額は四千八百五十三億円でございます。  続いて、損益計算書における一般勘定経常事業収入は六千七百五十六億円、経常事業支出は六千五百二十六億円でございます。  以上の結果、経常事業収支差金は二百二十九億円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加え又は差し引いた当期事業収支差金は二百三十四億円となりました。  なお、当期事業収支差金につきましては、全額、事業収支剰余金として、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものでございます。  以上につきまして、監事意見書では、貸借対照表等は、監査の結果、協会財産及び損益状況を正しく示しているものと認めるとされております。  これをもちまして概要説明を終わらせていただきますが、平成十七年度、十八年度は、不祥事により受信料収入が大幅に落ち込み、財政は大変厳しい状況でありました。組織を挙げて信頼回復に向けて取り組みました結果、受信料収入は徐々に回復しつつあり、今後の協会運営に当たりましては、公共放送としての使命と責務を深く認識し、視聴者から一層信頼される公共放送を目指した改革に取り組み、放送事業の一層の発展に努力してまいる所存でございます。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  11. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 次に、会計検査院から検査結果についての説明を聴取いたします。高山会計検査院事務総局第五局長
  12. 高山丈二

    説明員高山丈二君) 日本放送協会平成十七年度及び十八年度決算につきまして検査いたしました結果を御説明いたします。  協会の十七年度及び十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書等は、十七年度分については十八年六月二日、十八年度分については十九年六月十一日にそれぞれ内閣から送付を受け、その検査を行ってそれぞれ十八年十一月十日、十九年十一月九日に内閣に回付いたしました。  協会の十七年度決算につきまして検査いたしました結果、不当事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項一件を十七年度決算検査報告に掲記いたしました。  まず、不当事項につきましては、職員不正行為による損害が生じたものでありまして、スポーツ報道番組制作に当たるチーフプロデューサーが、出張を要する用務があるように装って本人の口座に振り込ませるなどして旅費等を領得したものであります。  なお、本件については、損害額のすべてが補てん済みとなっております。  また、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項につきましては、事業所等におけるテレビジョン受信機設置状況の把握などに関するものでありまして、検査いたしましたところ、官公庁等について、テレビ調査票記載内容が十分なものとなっていない、また、ホテル等について、契約率に大きな差があるなどの事態が見受けられましたので、これについて指摘いたしましたところ、協会では、テレビ調査票記載依頼等を適切に行うよう地方放送局等に周知徹底し、また、地方放送局等に統一的な取組を行わせるなどの処置を講じたものであります。  次に、十八年度決算につきましては、十八年六月七日に参議院から、国会法第百五条の規定に基づき、協会における不祥事に関し、番組制作費等経理実施状況不祥事再発防止に向けた体制整備状況及び関連団体余剰金状況について会計検査を行い、その結果を報告するよう要請があり、十九年九月十二日にこれに関する報告書参議院に提出し、その概要を十八年度決算検査報告に掲記いたしました。  このうち、まず番組制作費等経理実施状況及び不祥事再発防止に向けた体制整備状況について御説明をいたします。  検査いたしましたところ、不正経理や不適切な経理が行われていた放送料旅費等の経費について、検査した範囲では架空請求架空出張等の不正な事態は特に見受けられませんでした。また、協会再発防止を目的として実施した経理適正化策等遵守状況について、検査した範囲では特に不適切な事態は見受けられませんでした。  検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、協会ではコンプライアンス推進アクションプランに基づき不正防止機能強化に取り組んでおりますが、これを確実に実施していくことが必要であるとしております。本院としては、協会における不正防止機能強化に係る施策の実施状況番組制作費等経理全般実施状況について、引き続き検査していくこととしております。  次に、関連団体余剰金状況について御説明をいたします。  検査いたしましたところ、十七年度末の関連団体三十四団体のうち協会の直接出資子会社十九社は、全体として財務面での健全性が高いと認められ、中には十分な財務上の余力がある会社が見受けられました。また、関連団体との取引の大半は随意契約による業務委託であり、協会からの出向者に係る委託人件費相当額職員給与等委託費として支払ったものであるなどとなっておりました。  検査の結果を踏まえた本院の所見といたしましては、協会の直接出資子会社には、その資産状況等を勘案して特例配当を要請するなどし、協会財政に寄与させることが望まれるとしております。また、関連団体との業務委託では、出向者従事割合を減少させるなどして委託費を削減することなどに努める必要があるとしております。本院としては、これらについて、多角的な観点から引き続き検査をしていくこととしております。  以上をもって概要説明を終わります。
  13. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  14. 行田邦子

    行田邦子君 民主党・新緑風会・国民新日本行田邦子です。  本日はNHK平成十七年度、十八年度決算ということですので、本来は当該年度決算にかかわる事柄について質問をすべきとは思いますけれども、先般発覚しましたNHK職員によるインサイダー取引という、報道機関であるNHKの根幹を揺るがす大変重大な事件が起こりましたので、まずこのことについて初めに質問をさせていただきます。  改めてこの事件を振り返りますと、平成十九年三月八日に資本業務提携に関するニュース予定原稿を見て三人の職員が同時多発的に放送直前当該株を購入し、翌日売却して利益を確定させていた、このような事実が平成二十年、今年一月十六日の証券取引等監視委員会調査によって明らかとなり、インサイダー取引と認定されたということです。  この事件を知ってまず私が驚いたことは、NHKインサイダー取引職員株取引に関する規定がなかったという点です。私が会社員だったころの記憶でも、株取引内規を設けたり社員教育を行うなど、ここ数年特にそうですけれども、インサイダー取引未然防止策というものをそれぞれの企業において取られているものと認識をしておりました。そして、特に報道機関においては、一昨年の日経新聞の広告局員によるインサイダー取引という事件がありましたので、一層厳格な対応を行っているものと思っておりました。ところが、インサイダー取引株取引について、NHKでは内規というものが存在しないという事実を知りまして、私は大変衝撃を受けました。  そこで、福地会長に伺いたいと思います。  この事件が発覚したとき福地会長はまだNHK会長には就任されていなかったと思いますけれども、ほかの報道機関企業では設けられている内規NHKには存在しないということを外から見てどのようにお感じになりましたか。そしてまた、今後、職員株取引についてどのような制限を設けるのか、お教えいただけますでしょうか。
  15. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) インサイダー取引金融商品取引法で禁止されている違法行為でございまして、これはNHKに限らず一般企業でも一緒でございますが、まずはNHKでも取材で得た情報個人利益のために利用することは許されないという規定はございました。しかし、この規定はございましたけれども、それが認識されてなかったということが根本的な理由だというふうに思います。  この辺につきまして、第三者委員会久保利先生からの中でも、要するにNHK職員の中に危機意識がない、プロのジャーナリストとしての認識がない、そういったことをまず仕事場の中で徹底していくことだという御指摘をいただきました。  もう一つ非常にショッキングでしたのは、研修も実施していたようなんですが、三人の職員の中に、研修は受けてないとか、そういった規定があるのを知らなかったというような発言がありました。これはやっぱり、私は常々思っているんですが、いろんな制度とか仕組みとかマニュアルとかそういった規定、形はあるんだけれども心が伴っていない、徹底していないという、そういうふうな企業風土に問題があったというふうに思います。  研修の問題につきましては、これは何も研修担当だけではなくて、私自身の問題とも心得ておりまして、実は私も、ちょうど今異動の時期でございますけれども、六月には新任管理職研修だとか、あるいは新放送局長研修だとか、あるいは一般管理職研修だとか、関連団体の役員の研修だとか、六月に二回、七月に四回、私自身も私の口から計六回の研修を担当しておりますが、そういった経営研修の中でこういった基本的なものについて私の口からも徹底していきたいと、かように思っております。  以上です。
  16. 行田邦子

    行田邦子君 一般的なコンプライアンスに対する規定というのは確かにこれまでもNHKにあったようですけれども、ただ、インサイダー取引ということ、そして株取引ということをはっきりと明言した内規というものは今までなかったのではないかというふうに私は認識をしております。  NHK以外のほかの報道機関を見ますと、ここ数年、特に厳しくほかの報道機関インサイダー取引、そして株取引についてきちんと明文化をして規定を設けている、なのにNHKだけそういったものがなかった、公共放送機関にもかかわらずなかったということが私は今回起こった問題の原因ではないかなというふうに思っております。  私も放送局新聞社の方と接していてつくづく思うんですけれども、報道機関というのは業務を通じてあらゆる情報を入手することができる立場にあるわけです。報道に携わる者の特権とも言っていいと思いますけれども、その特権が与えられているのは、それは国民の知る権利にこたえるためにあるのであって、そして報道の自由を守るための担保であります。私的利益を得るためのものでは当然ないわけです。今までこういったインサイダー取引、そして株取引ということに対して明確な内規はなかったということですけれども、遅きに失した感はありますけれども、是非とも株取引についての明確なルールづくり、そして厳守を要望したいと思います。  次に、先ほども福地会長からも御答弁の中でお話がありましたけれども、インサイダー取引についての職員教育について伺いたいと思います。  この点についても、私、内規がないことに次いで二度目の驚きだったんですけれども、今回インサイダー取引を行った三人のうち二人の職員が、自分が行った株取引インサイダーになり得るという認識がなかったというふうに第三者委員会報告書には書かれています。そして、さらに、インサイダー取引についての認識の低さについては、事件を起こした職員だけの問題ではないようなんですね。第三者委員会に寄せられたアンケートの自由記載では、インサイダー取引に関する研修が不十分という意見が多数寄せられていたということです。また、入局以来一度もインサイダー取引について教育された覚えがないという意見も見受けられました。そして、こうした事件が起きた後でも、できれば株取引をしないようになんていうお達しは勘違い甚だしい、ばかじゃないのか、個人的な行為をなぜ会社に規制されなければいけないのか、NHK保身体質はうんざりだといった自由回答も寄せられています。報道に携わる者の株取引について、この期に及んでもまだ理解できていないというような状況ではないかと思います。  福地会長に改めて伺いたいと思いますけれども、先ほど社員教育職員教育というお話がありましたけれども、インサイダー取引株取引に限定しての職員教育というのはこれまで行われたことがあるんでしょうか。
  17. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) インサイダー取引、それから株取引だけについての研修というのは、あったかも分かりませんが、私の聞き及んでいるところでは承知しておりません。
  18. 行田邦子

    行田邦子君 私、これまでずっと会社員だったんですけれども、本当に特にここ数年というのはインサイダー取引というものについて各企業で非常に厳しく研修を行って、そして厳しく管理をしているというふうに認識しています。特に、あらゆる様々な情報を入手できる、そういう立場にある報道機関の方に対しては、しっかりと厳格にこのインサイダー取引、それから株取引について厳しく内規を設けて、そしてさらに職員教育というのも徹底して行っていくべきではないかということを申し上げておきます。  今回のこのインサイダー取引の問題なんですけれども、これは三人の方がインサイダーと認定されましたけれども、決して私はこの三人の方だけの問題ではないというふうに思っているんですね。そもそもこのようなインサイダー取引がこの期に及んで起こってしまうというのは、NHKという組織そのものの問題ではないかというふうに思っております。  今の貯蓄から投資という流れの中で個人投資家が増えています。特にネット証券の普及によって今まで株取引とは縁がなかったいわゆる一般会社員の方も手軽に株取引を行うようになりました。同時に、インサイダーという問題も、ごく一部のプロ投資家だけではなくて一般会社員のような投資家にも起こり得る問題として意識をされています。かつては企業も、そしてそこに働く従業員も余りインサイダーということについては意識が薄かったとは思うんですけれども、どういう行為インサイダーに当たるのか、そしてインサイダー取引は犯罪であるという教育企業内でしっかりと行うことによってインサイダーについて認識不足だった職員による不幸な事件は未然に防げるんだろうと思います。そういう意味では、今回の事件というのはNHK組織の問題というふうに私はとらえております。  本日は第三者委員会委員長を務められた久保利参考人にもお越しいただいていますので、久保利参考人に伺いたいと思います。  今回のインサイダー取引事件が発覚して思うんですけれども、NHKは今、不祥事とそれに対する形式主義的な対応を繰り返すうちに負の連鎖に陥ってしまっているように私には思えます。このような負の連鎖を断ち切るためにはNHKという組織は今何をなすべきなんでしょうか。今回の調査を実際に行われた上での御感想をいただけますでしょうか。
  19. 久保利英明

    参考人久保利英明君) 久保利でございます。今の委員の御質問にお答えします。  今回の事件は確かにインサイダー事件ではございます。しかし、根本をたどってみると、基本は、取材の自由というのはなぜ認められているのか、委員おっしゃるとおりでございまして、報道の自由の担保としてあるのだ、それを公共放送としてのNHKが担っているんだという意識が余りにも薄過ぎるのではないかという印象を受けました。そういう意味では、得た情報株取引で使うとインサイダーという問題が出てくる。しかし、それを第三者に譲渡する、あるいは対価を取ってその情報を売るというふうな形になりますと、これまた別の犯罪を構成するだろうと。そういう意味で、インサイダーだけではなくて、全体として、なぜ報道の自由、あるいは報道機関というものがなぜあるのか、NHKはなぜ存在するのかということを正確に認識する教育、これが必要だと考えまして、提言の中の第一番目に、プロのジャーナリスト、報道機関とは何かということを議論するように、そしてNHKの使命を実現させるための意識改革というものを是非お願いをしたいという提言をいたしました。  そして、今御指摘組織の問題でございますが、NHK組織論として考えますと、一つはコンプライアンスの在り方、これがいつもモグラたたきの後追いになっていて、リスクがどこにあるかというリスク管理という姿勢がなかったということが一つあります。もう一つは、この組織の縦割りという問題がございまして、交流がほとんどない、他分野との交流がない、あるいは報道一極集中といいますか、こういう問題があったのではないかということも考えまして幾つかの提言をさせていただいております。そういう点で、この問題はNHKの在り方そのものとかかわります。  そして、個人の問題として考えていけば、そこには具体的な規制というものがなかったということ、あるいは研修というものが不十分であったこと、こうなりますが、一番の根本には、実は、報道とは何か、取材の自由とは何か、このことについてのNHK職員の根本的な認識不足というものがあったと、こう理解をしております。
  20. 行田邦子

    行田邦子君 ありがとうございます。  それでは、古森経営委員長にも伺いたいと思います。  経営委員会としても今回のインサイダー取引について責任を負っているとお考えでしょうか。また、今回のインサイダー取引不祥事についてどのようにお考えでしょうか。
  21. 古森重隆

    参考人古森重隆君) お答え申し上げます。  今回のこの職員による株のインサイダー取引は、公共放送NHK報道機関としての信頼の根幹を揺るがすものだとして誠に遺憾だと考えております。支えていただいております国民視聴者の皆様に対しまして、経営委員会としても心からおわびを申し上げたいというふうに思います。  これまで経営委員会は、自らの諮問機関といたしましてコンプライアンス委員会を設置いたしました。その答申等を踏まえまして、執行部に対しまして都度提言を行う等のNHKコンプライアンス徹底のために様々な対応を行ってまいったというふうに考えております。しかし、それにもかかわらずコンプライアンス意識や倫理意識組織全体に徹底されていなかったことについては、経営委員会としても責任を感じております。  今後、第三者委員会の提言をも踏まえ、執行部とともに再発防止に向けた取組を進めるとともに、これまで以上に執行部に対する監督の役割を発揮し、再び信頼されるNHKを取り戻していく所存でございます。  さらに、付言いたしますと、このコンプライアンスの徹底というのは何回もやってきたわけでありまして、にもかかわらず起きたということを踏まえると、この徹底の仕方というやり方の問題を一ついろいろ考えなきゃいけないんじゃないか。徹底してやるということを具体的に考えなきゃいけないということと、そして、いろんな、途中で虚偽の報告があったとか虚偽の訂正があったとか、株取引した、三年間に取引した二千七百人のうちに九百有余人が適切な回答をしなかった、あるいは拒否した等々、これはもう信じられないような、企業として信じられないような私は問題だというふうに思います。職員のモラルという根幹にかかわる大変な問題だというふうに思います。  これはやはり、コンプライアンスの徹底のやり方と同時に、このモラルの在り方、モラルの見直しというものについて、やはり踏み込んで今後は対策を取っていかざるを得ないだろうというふうに考えております。  以上であります。
  22. 行田邦子

    行田邦子君 今の久保利参考人、そして古森委員長の御答弁、お話をお伺いしていまして、どうしても私は国の各省庁の今の状況とオーバーラップさせてしまうんですけれども、そこで増田大臣及び総務省に伺いたいと思います。  今回、インサイダー取引事件が起きて明らかになったことですけれども、あれだけコンプライアンスと叫んでいたにもかかわらず、インサイダー取引について、あるいは株取引について内規が存在しなかった。そして、職員への周知徹底、職員教育が十分に行われていなかったわけです。  そこでお伺いしたいんですけれども、国家公務員の株取引について、規制はどのようになっていますでしょうか。また、インサイダー取引について何か明文化されたものがありますでしょうか。
  23. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 国家公務員の株取引についてでありますが、これはまず、国家公務員倫理法という法律がございまして、この規定により規制をされています。一つは、職員は利害関係者から未公開株式を譲り受けてはならないこととされております。それからもう一つは、本省の審議官以上の職員、幹部職員ですが、本省審議官以上の職員については、前年に行った株券等の取得又は譲渡について株取引報告書を提出しなければならないと、このようにされております。法律に基づきます規制はこの二つでございます。  そのほか、国家公務員の株取引につきましては、事務次官等会議申合せというものがございまして、これは全職員に周知徹底を図っているわけでありますが、これは平成七年の九月に出されたものでございまして、インサイダー取引規制の周知徹底を始め、国民の疑惑や不信を招くことのないような必要な措置を講ずることとなっているところであります。  インサイダー取引自身は、もう何人が行ってもこれは犯罪でございまして、いけないわけでございますが、こうした取引規制の周知徹底ということで、国家公務員も様々な情報に接する機会がありますので、そうしたことをかんがみまして、このような事務次官等会議申合せということで、そのほかの事項もございますけれども、国民の皆さん方からの疑念や不信を招くことのないような措置を講ずると、こういうふうになっているところでございます。  総務省としても、当然こうした綱紀の一層の厳正な保持に努めていきたいと考えております。
  24. 行田邦子

    行田邦子君 今増田大臣がおっしゃられたように、報道に携わる方だけではなく、むしろ各省庁で働く国家公務員の方こそ、例えば企業に対して許認可を与えたりとか、株価に影響を与えるような秘密情報を知り得る立場に置かれているわけです。  この通常国会では、省庁の職員の倫理観が疑われるような税金の無駄遣いが次々と明らかになっています。先日も居酒屋タクシー、職員が公費を使って乗ったタクシーの運転手から、ビールやおつまみだけでなく金券を受け取っているといったような事実も発覚しております。このような国家公務員の倫理観が疑われるような状況になっているわけですから、これは言い方はちょっと悪いですけれども、未然防止ということも含めて、国家公務員の株取引について各府省共通のもっと明確な決まりを設けるべきではないかというふうに私は考えております。国家公務員の人事行政を所掌するお立場として、また内閣の一員として、増田大臣、いかがでしょうか。
  25. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 様々な最近公務員の不祥事が発覚をしているということで、やはり私も規律が緩んでいるという感じを持っております。ですから、綱紀粛正に一層取り組まなければいけないと。無駄ゼロですとか、それから職員一人一人の様々な行為についても、より透明性高く、そして規律を保持するために何がいいか、これは内閣全体として考えていかなければならないと思います。  株取引でありますけれども、これも経済行為でありまして、そのこと自体は正常な経済行為だというふうに思いますけれども、また株も、当然のことながら遺産相続等で本人がやらない人間も所持することがあるといったことがございますので、今私どもが持っておりますこの国家公務員の株取引の規制がございますが、これをきちんと理解をして、それで一人一人が守れば、そこに趣旨は全部書いてございますので私はいいのではないかと思うのですが、なお、今委員からも御指摘ございましたとおり、この株取引について何らかまた必要なことがあるのかどうか、これは私ども考えておきたいというふうに思いますし、いずれにしても、せっかく決められたことがきちんと守られるように、この周知徹底は一層厳密に図っていきたいというふうに思います。
  26. 行田邦子

    行田邦子君 先般、六月三日だったと思うんですけど、増田大臣も記者会見でおっしゃられていましたが、今、これもまたこの通常国会でいろいろと話題になりましたレクリエーション費についても、法律上は明確な規定がない、抽象的な表現にしかなっていないということです。そのことによって、いろいろな解釈、拡大解釈でとんでもないようなレクリエーションに税金が使われている、このようなことも起こっています。  今、国家公務員、省庁で行われていることを考えますと、残念ながら性善説ではもう成り立たなくなってしまっているのかなというふうに私は考えております。レクリエーション費もそうですけれども、この株取引、まだ何も問題は起こってはいないと思うんですけれども、未然防止ということを国としてもしっかりと考えていくべきではないかというふうに私は思っております。  次に、NHKの話に戻りまして、長野放送局記者の不祥事について伺います。  NHKのプレスリリースによると、今年三月三十一日に長野県域のローカルニュースで放送した、安曇野市が観光PRに有名人夫婦を起用という原稿について、信濃毎日新聞の記事から内容を写したのではないかとの指摘があり、記事を盗用していたことが明らかになったということです。しかも、取材もせずに原稿を書いた後も、事実の確認をしないまま原稿を出稿していたという、まさかあのNHKがというような、耳を疑いたくなってしまうような不祥事が起きました。  このようなお粗末な事件がなぜ起きたのでしょうか。そして、このプレスリリースは六月四日付けで出されていますけれども、つまりニュースが放送されてから不祥事を公表するまで二か月以上時間が経過しているのは何か理由があったのでしょうか。福地会長にお聞きします。
  27. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 私はかねがね、現場主義と申しますか、現場で現物を現実に確認しろということを口が酸っぱくなるほど言っておりますが、いやしくも記者が現場で取材をせずに他の新聞の原稿を盗用するということは、まさに報道倫理といいますか、プロのジャーナリストとしてのあるまじき行動だというふうに考えて、極めてざんきに堪えないところであります。  事実は事実でございますけれども、どういったいきさつでそういったことになったのかという社内で今調査をしております。極めて近いうちに規律委員会を開いて厳しく処分をいたしたいと、かように考えております。今後、報道倫理の確立に向けて全力で取り組むことが私に課せられた課題だというふうに考えております。  こういった事件が起こりまして二か月を経過したということは、これも一つはコンプライアンスの取扱いの問題がございますけれども、現地で室長とかそういったところにおわびを入れた段階でこの問題が片付いたというふうなことで、本部に対する報告義務がないというふうに考えていたと、この辺にも危機意識の問題がありますけれども、そういったことが遅れた原因でございます。本部に入ってきてからは本当に二日以内に物事が片付いているというふうに考えておりますが、報告義務を怠ったということが大きな原因だというふうに考えております。  以上です。
  28. 行田邦子

    行田邦子君 今お話をお伺いして、これはこの記者一人の問題ではないだろう、組織の問題なんだろうと、報道に携わる組織の気の緩みなのではないかというふうに考えました。恐らく、室長に謝罪に行ったときに、その時点ではこの記者とそれから恐らくその上司に当たる方も同行されたのではないかと思うんですけれども、ということは、この記者一人で問題を処理したということではないと思うんですね。上司が認識していた、このことを把握していたにもかかわらず、本部の方に情報を上げなかったというのは、これ大変重要な問題だと思っております。  報道の自由、表現の自由、それから編集の自由ということをNHKさんよく言われていますけれども、これはもちろん守らなければいけないことだと思いますけれども、自由には責任が伴うという自覚が全くないのではないかと、これはこの記者個人の問題だけではなく、NHKという組織全体が抱える問題ではないかというふうに思っています。このようなずさんな取材というか、取材すら行っていなかったということですけれども、ずさんな報道がまた再び起こるようであれば、これは本当にNHKという公共放送報道機関の自殺行為と言わざるを得ないというふうに思っております。このことを指摘しておきたいと思います。  それでは、これまでの時間を使いましてインサイダー取引それから記事盗用という職員不祥事について質問させていただきましたけれども、福地会長にお伺いしたいと思います。  NHKにとって最も大切な財産は何だとお考えでしょうか。
  29. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 人材であります。質の高い番組、正確で迅速な報道はすべて人によると。  その職員の今打ち続く不祥事によって、すべての職員とは言いませんが、多くの職員が伏し目がちになっております。第三者委員会を主宰していただきました久保利先生の結論の中には、中には非常に使命感に燃えた職員もいる、しかし多くの職員が危機感を持っていなかったということが書いてありますが、今これだけ不祥事が続いて辛うじてNHKがもっているのは、視聴者に愛されるいい番組といい報道をしているからだと。それはやっぱりすべて職員の手に成るものです。その職員のモチベーションをつくっていくのが私に与えられた使命だと思っております。  以上です。
  30. 行田邦子

    行田邦子君 福地会長おっしゃられるとおりだと思います。報道機関にとって財産というのはまさに人材以外にないと思います。今その職員というNHKにとって最も大切な人材、職員の方たちが希望を失ってしまっている、モチベーションが低くなってしまっている、そして公共放送機関で働くということに対する誇りを失ってしまっている、このような状況ではないかと思います。  ここは是非とも民間御出身の福地会長にはNHKに新しい風を送り込んでいただいて、そしてNHK財産である職員一人一人が希望を持って、そして誇りを持って、公共放送で働くという誇りを持って報道に携わることができるようにNHKという組織を変えていっていただきたいということをお願いを申し上げます。  次に、国際放送について伺わせていただきます。  改正放送法の施行に合わせて、外国人向けテレビ国際放送を行う新会社、株式会社日本国際放送が設立されました。平成二十年度の予算の審議の際にも質問をさせていただきました。今年四月に企画会社として資本金五千万円で設立されましたが、年内には民間からの出資も募り、三億円に増資し、本格的に事業を開始する予定とお聞きしています。  事業開始に向けての準備状況、特に民間からの出資者のめどについてお聞かせいただけますでしょうか。
  31. 日向英実

    参考人(日向英実君) お答えします。  今おっしゃっていただいたように、日本国際放送という株式会社が設立されております。それと同時に、NHKの中に事業化準備室というのを設けました。そこが中心になって、今、民間のノウハウをどのように取り入れていけばいいか、それから民放その他のほかの制作会社の参加をどのように確保すればいいかというようなことについて今様々な協議をしております。  また、民間会社からの出資、それから人材の派遣、それについても今要請を始めております。そのために、判断材料となるための事業化プランを早期に作りまして、改めて協力のお願いをする予定でございます。現時点ではまだ企業名は公表できませんけれども、出資について前向きな返事をいただいているところもございます。  以上でございます。
  32. 行田邦子

    行田邦子君 この新会社は、新会社の自主放送枠というのを設けて、スポンサーを募ってテレビCM枠を設ける予定というふうに聞いております。それは事実でしょうか。
  33. 日向英実

    参考人(日向英実君) NHKが委託をして、特にニュースが中心になると思いますけれども、それはNHKの編集の責任の下にやりますけれども、それ以外に独自番組、この会社の独自事業として、コマーシャルその他も含めてそのような番組をそのチャンネルの中で放送するということを予定しております。
  34. 行田邦子

    行田邦子君 私の経験上からも直感的に思うんですけれども、国際放送でスポンサーを募るというのは大変難しいことだというふうに思うんですね。そう簡単にはいかないというふうに思っております。ふたを開けてみたらば富士フイルムとアサヒビールのCMだらけだったということにならないように、しっかりと実現可能な事業計画を立てていただきたいというふうに思いますが、福地会長の御決意、いかがでしょうか。
  35. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 私も、民間のどういう方が参画してくれるかなと、それについては私の仕事だろうというふうに考えておりましたけれども、おかげさまで、まだ名前をここで申し上げるわけにはいきませんが、有力な方からも、福地さん、一緒にやっていいよというお話も私自身聞いております。現場で今具体的な打合せをさせておりますが、そういった事例もございます。  ただ、おっしゃるように、極めて採算的に難しいということは重々承知をしております。それだけにやっぱり慎重な事業計画が必要だろうというふうに思っております。なかなか黒字化していくのは当初から難しいということはよく承知をしております。  以上です。
  36. 行田邦子

    行田邦子君 国際放送については要請放送という名目で国費が投入されていますので、しっかりと計画倒れにならないようにお願いしたいというふうに思います。  最後に、この委員会NHKの株主総会だとすると、恐らく今日お越しの古森委員長には必ずこの質問が来るのではないかなと思いますので、質問させていただきます。市民団体による古森委員長の罷免運動の件について質問をいたします。  五月九日に福田総理に対して、市民団体団体古森委員長の罷免を求める六千二百九十人分の署名を提出したとのことです。これら市民団体からは私のところにも委員長の罷免の申入れという書面が送られてきました。また、罷免を求めるメールも、個人の方のお名前ですけれども、何通か私の事務所あてに届いています。  恐らくNHKにもお客様の声として、こういった罷免を求めるというか、クレームが寄せられているのではないかと思いますが、状況をお聞かせいただけますでしょうか。
  37. 金田新

    参考人(金田新君) お答えいたします。  今年四月から昨日まで、視聴者コールセンターとか全国の放送局の方に寄せられました意見のうち、いわゆる国益発言に関する批判的な意見、これが十八件でございました。もう一つ、国会議員を励ます会の出席に関する批判的な意見、これは二十九件ございました。  以上でございます。
  38. 行田邦子

    行田邦子君 今数をお聞きして、決して多いという数ではないと思いますけれども、事実としてNHKにこういった抗議の声が寄せられているということを確認させていただきました。  こういった市民団体古森委員長の罷免を要求する理由の一つとして、政治的発言を挙げています。最近物議を醸したものとしては、国際放送では国益を主張せよという発言がありました。この発言が報道された流れを受けて、民放連の広瀬会長が、狭い意味での国益中心の報道は私たちの手に負えないと国際放送への出資に難色を示したという報道がなされています。これはあくまでも報道です。  こういった古森委員長の言動が火種となってNHK業務執行の妨げになる、こういったことも言動の内容によっては十分起こり得ると思うのですけれども、古森委員長自身のお考え、お聞かせいただけたらと思います。
  39. 古森重隆

    参考人古森重隆君) ただいまの質問でございますけれども、まず民放連会長の発言でありますけれども、定例会見の報道を私拝見いたしまして、私の本意が伝わっていない可能性があると考えまして、事務局を通じまして、私が発言しました国益とは広く日本国民全体にとっての利益であるという意味で用いたものであり、単なる偏狭なナショナリズム、国益を追求する国策放送的な、意図したものではないというふうなことをお伝えいたしました。私の真意は一定の御理解をいただいたものというふうに考えております。  ただいま、先ほど説明がございましたように、国際放送新会社については立ち上げに向けて民間企業や民放各社と話合いも進んでいるというふうに受け止めております。ということでよろしいでしょうか。
  40. 行田邦子

    行田邦子君 古森委員長は本当にこれまでビジネスマンとして大変国際的にも活躍されて、経験豊富な方だというふうに認識しておりますけれども、今NHKの経営委員長というお立場であられるわけですので、十分御発言には御注意いただけたらなというふうに思っております。今日はこの委員会というのは、NHKにとっては株主総会のようなものだと私は認識しておりますので、あえてこの質問はさせていただきました。  増田大臣に伺います。  経営委員の罷免は総理大臣が衆参両院の同意を得て行うことができると放送法には規定されています。NHKを監督する大臣として、経営委員長の言動が市民団体の罷免運動に発展し、またNHK業務執行の妨げにも、その発言の内容によっては妨げにもなりかねない状況に対していかがお考えでしょうか。
  41. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 市民団体の動きは、それは、またNHKに対しての様々な御意見というのは常にこういう報道機関というのは存在するんですが、そうした報道機関に対しての一つの意見の表れと、こういうふうに受け止めております。内容等について私の方からコメントすることは申し上げませんが、NHKというその報道機関に対しての市民団体の一つの意見というふうに受け止めております。  それから、経営委員会あるいは経営委員長さん、それぞれ放送法で任命の事由も決められておりますし罷免の手続等も決められておりますし、それから、重要な職責を担うと、こういうことになっておりますので、今、放送法等に基づいて職務を十分に果たしていただきたいというのが私の考えでございます。
  42. 行田邦子

    行田邦子君 今日は四十分というお時間の大半をインサイダー取引職員不祥事について質問させていただきましたことを大変残念に思っております。来年の平成十九年度NHK決算のこの委員会での質問の場では、是非とも私たちの公共放送であるNHKの明るい未来が開けるような、そういった質疑をやっていきたいというふうに思っております。  そのためにも、福地会長には是非ともリーダーシップを発揮していただいて、そして今暗いトンネルの中にあるNHKを暗いトンネルから抜け出すように努めていただきたいと、このことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  43. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 民主党・新緑風会・国民新日本の加藤でございます。行田委員に引き続き質問をさせていただきたいと思います。  冒頭、これ、十七年度、十八年度決算についての審議でございますけれども、決算というのは数字が合っている合ってないと、これは予算も同じですけれども、どういうふうな数字を作るかと、こういうふうなことも含めまして議論の対象ではありますけれども、ただ、報道機関であるNHKの場合にはどのような社会的信頼があるのか、またそれが毀損されていくという事件、そういうようなことが発生をしておると、こういうことであれば、数字を議論する以前の問題としてNHKの事業、あるいは本来の使命を発揮するという意味で大変大きな課題であると。そういう視点で私ども、インサイダーということで非常に直近の課題であったわけでありますけれども、非常に根が深いと、こういうふうな思いの中で決算のこの場を使って御質問させていただいたわけであります。  十七年度決算については私どもは不同意と、こういうふうに態度を決めておりますけれども、それは不正経理にかかわる事件を含めまして、予算編成のときに相当な議論が行われた中で、予算について私どもは承服できないと、こういう態度の中で、決算についても同様だと、こういうふうなことでございまして、言ってみれば、インサイダーがあったから反対だとかそうだということではなくて、過去の大きな流れの中でそういうふうな態度を決めておるということでございまして、そのことは別に現執行部に対してということではなく、そういう議論のプロセスの中で発生した私どもの態度であり、まず、この後るる質問させていただきますけれども、是非頑張っていただいて国民が望むNHKの使命を果たしていただきたいということを冒頭、私ども討論を行いませんので、態度について明らかにしておきたいというふうに思います。  さて、久保利参考人の答弁を先ほどお聞きいたしまして、まさにインサイダーという刑事事件、これはその刑事事件ではなくて、本質的にNHKに事業に携わる皆さん方が報道の自由をどうとらまえ、またそれに伴う責任というものを現実どう受け止めているかと、大変傾聴に値する私はすばらしい答弁をいただいたというふうに思っております。今後とも、報告書等を十分私どもも検討、理解をし、この委員会においてもすばらしい意見交換並びにいろいろな討議もやっていきたいというふうに思います。  本日は、そういった意味で、NHKの基盤である信頼を獲得する意味での報道の自由と、そして当然、公平性並びに政治的中立性と、こういう視点で質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず、昨年末、放送法の改正を行いまして、そこの中におきましては、経営委員会における編集への介入を否定する法案修正を行いました。修正条文第十六条の二項は、経営委員は個別の放送番組の編集その他の協会業務を執行することができないと、このようにしたわけであります。また、政府からの要請放送に関しましても、報道の自由、編集の自由を保障することを前提に、放送法改正案、この原案に対する修正が行われ、これに関する確認の質疑が行われました。  放送における公平性、中立性は、公共放送、特にNHKにおいては報道の自由あるいは編集の自由が保障され、報道や番組制作の現場にまでこのことが保障されると、こういうことになっております。同時に、放送の番組制作者は、報道の自由、表現の自由を享受する、このこととの引換えに、それにふさわしい見識、責任意識、責務を負っているということでございます。したがって、放送における表現の自由あるいは報道の自由が保障されるということは、まずは公権力が不当に介入しないということ、あわせて放送関係者が政治的中立性を失わないよう自律的に不断の努力を行っていくこと、そういうふうなことが必要であるというふうに考えます。  これまでの経過を踏まえ、それぞれNHKの執行部、経営委員会、そして所管される総務省、それぞれ代表者からの御見解を伺いたいと思います。
  44. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) NHKでは、不偏不党を掲げます放送法の心に倣いまして国内番組基準を策定しております。全国民の基盤に立つ公共放送の機関として、何人にも干渉されず、不偏不党の立場を守って、放送による言論と表現の自由を確保することを明記をいたしております。  自らを厳しく律し、絶えず公平公正であろうと努めることによって初めて公平公正という立場を確保できるというふうに考えております。今までも、これからも不偏不党を貫いてまいります。  以上でございます。
  45. 古森重隆

    参考人古森重隆君) 番組の公平公正、不偏不党を確保し、何人からの、あるいは外部からの活力や働きかけに左右されないということは公共放送NHKの言わば生命線だと考えております。委員の御指摘のように、こうした編集の自由が認められておりますのは、先ほど久保利さんもちょっとおっしゃいましたけれども、NHKが番組編集に当たって自ら厳しく律し、公共放送としての責任を自覚した上で絶えず公平公正であろうと努めることが言わば前提になっているというものだと理解しております。  経営委員会といたしましては、改正放送法の趣旨を踏まえまして、個々の編集権については会長以下執行部が責任を持って行うものと認識しており、経営委員会として関与するものではないと承知しております。一方、こうした公平公正たらんとする努力が常に十分に行われているか、なされるよう、番組編集の基本計画の審議等を通じまして、これは経営委員会の機能でありますけれども、執行部の職務執行を監督してまいりたいというふうに考えております。
  46. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 総務省といたしまして、放送法の趣旨を踏まえるということと、それから、今お話がございましたとおり、先般の放送法改正における当議院での修正の趣旨というものを真摯に受け止めてそして放送行政に取り組んでいきたいと、これが総務省の考え方でございまして、そうした中で、NHKにおかれましても、放送法の趣旨を踏まえて自主自律の中でこの公共放送としてふさわしい優れた放送番組の提供に努めていただきたいと、このように考えております。
  47. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 どうもありがとうございました。  そういうふうな基本的な考え方にのっとって、今後ともよろしくお願いをしたいというふうに思います。  さて、さる五月二十日の当総務委員会におきまして、NHK参考人に対し質疑が行われました。私は、その質問者の指摘内容を真剣に受け止める中で、私なりに問題点を整理をしてみました。大きく二つに集約できるのではないかということであります。  一つは、委員会指摘された五月十一日放映のNHKスペシャル「日本の社会保障が危ない」というこの報道番組の編集方針が本当に政治的中立性を保たれているのか、並びに政治的中立性を担保するために関係者の自律的な編集責任が貫徹されたかどうかと、こういう問題ではないかというふうに思います。  二つ目は、こういったNHKの個々の番組に関して委員会の場においてこれを取り上げ、その政治的中立性を議論するというプロセスが、報道の自由とか表現の自由とか、そういうふうな非常に大切な価値観との関係においてどのような影響を及ぼしていくのか。これは、報道する側の受け止め方も含めてどうなのかと、こういうふうな課題も持っているというふうに考えております。  そこで、第一の問題について申し上げれば、事例として、当該の報道に関し保険料滞納についての背景説明がなかったこと、つまり、現在、国民皆保険制度が完備されている日本において、特に低所得者に関して保険料の減免措置や生活保護制度がある中で、保険料滞納によって保険証を取り上げられ、それで病院に行けなくなって結果として死に至ったということは、言ってみればこの日本全体の中で制度上極めて特異な現象である、この特異性をまず説明すべきではないかと、こういうふうな主張であったというふうに受け止めております。つまり、起こっている現象面のみ取り上げて、あたかも政策不在のような深刻な状況一般的現象として取り上げているのは、いたずらに不安を拡大させるという意味において問題ではないかという御主張ではあったというふうに思います。  これはこれで一つの私は主張であると。ただし、報道する側の立場でいえば、毎回一から十まですべてを一々説明するということでいけば全く時間が足らないわけですから、時間に追われる報道は成立しないという反論もあろうということもございます。  また、こういった保険料滞納がかなりの規模で現実広がっている状況が社会的に問題視されておるという状況の中で、行政なり立法府、立法の責任というふうなことを当然追及していくという姿勢は報道機関にとって当然あり得るということをも考えられるということで、これはそれぞれに理のある主張ではないかというふうに受け止めております。  次に、問題の指摘といたしまして、取材対象とした病院がよりによって二つとも特定政党の政策を支持している団体の関係病院であったこと、こういうふうな問題提起がされています。このことは、取材、編集したスタッフに特定政党にある種シンパシーを持つ方がおられるのではないかと、こういうふうな疑念を抱かせる、あるいはこういったスタッフを抱えていたんではNHKの政治的中立性は保てないんじゃないかと、こういうふうな御主張も内部に含んでいたと、こういうふうに伺われます。  二つの病院の取材先選択が偶然であったのか、あるいは意図的であったのかということにつきましては、これはNHK自身の問題としてそのことについて対応されることと、あるいは調査をされるということだと思います。しかし、一般論として考えれば、同じような医療に関する番組を編集する際、先ほど指摘された政党支持、あるいは他の政党を支持しておられる団体の病院のみを殊更取材しようということになると、なかなか取材選択として難しいというようなことも発生するわけでありまして、この手の問題については番組制作現場において、特に取材対象の選択という面では十分な吟味と当然プロフェッショナルとしての判断というふうなことが必要ではないかと。  NHK側の今井副会長の答弁にございましたように、政治的中立性を確保するための様々な手だてが現場として講じられている、またこれはしなければならない、それはNHKプロの皆さんが長年培われてきた政治的中立性確保のためのノウハウ、これを持っておられるし、そのことを駆使して私は展開をしていくと、こういうふうな必要性があるのではないかというふうに思います。  ただ、いろいろと申し上げましたけれども、今回指摘のあったような疑念を抱く視聴者も間々おられたということでございます。私は前回の今井副会長の国会答弁で理解をしたわけでございますけれども、その後も含めまして、NHKとして、今私が申し上げましたような問題についての対応なり新たな見解等がございましたら披瀝をしていただきたいし、現時点において政治的中立性あるいは公平性の確保に関しどういうふうな努力をされていくのか、方針などあれば御説明いただきたいと思います。
  48. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 私は、会長就任以来、役職員に対しまして、放送にあっては自主自律の姿勢を堅持し、正確でかつ公平公正、不偏不党の立場を取ることが、守ることが基本だと常々言っております。これからもこうした姿勢を堅持いたしまして、視聴者の皆様の信頼いただけるように努力してまいりたいと思います。  この御指摘のございましたNHKスペシャルでは、現状での課題を映像で紹介しました上で、スタジオで三人の関係者や識者がそれぞれの立場から日本の社会保障について発言いたしました。番組として多角的視点それから公平性を確保していると考えております。個別の番組で異なる意見を紹介できないときでも、放送全体として公平性を確保するように努めておりますし、これからも努めてまいります。  以上でございます。
  49. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 是非ともそういうふうな姿勢を堅持し、それがよく分かるような私はことが必要だと思いますし、同時に、報道機関としてやっぱり常に勇気を持って私は対応していくことも必要ではないかと、このように考えております。  さて、この問題に関しまして、更に基本的な論議をさせていただきたいと思います。  報道関係者、テレビ、ラジオ制作スタッフ含めまして、思想、信教の自由、あるいは政党支持の自由という個人の自由と、一方、報道や番組制作における政治的中立性、これをどのように保障していくのかという問題は、これは非常に大きな問題、日本に限らず私は報道機関としての大変重要な課題であるというふうに思っています。当然、憲法によって、たとえ報道にかかわる者であっても国民としての思想、信条、宗教、政党支持の自由を持っているわけであります。当然、NHKとして職員の思想、信条調査をやっているわけではないと、このように考えます。  この個人が持つ自由と報道、番組制作の政治的中立性の確保に関し、私はNHKとしてどのような基本的姿勢で臨んでおられるのか、お伺いしたいと思います。
  50. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 放送に当たります職員やスタッフも当然国民でございまして、憲法によって思想、信条の自由が保障されているわけでございます。ただ、放送という業務を遂行する上では、職員とスタッフは、不偏不党、公平公正を定めた放送法でございますとか、あるいはNHKの国内番組基準それから国際番組基準、新放送ガイドラインにのっとりまして取材、制作業務に当たらなければならない、かように認識いたしております。  以上です。
  51. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 個人の思想、信条、政党支持の自由というのは憲法が掲げる基本的な権利であり価値であるということでございますけれども、同時に、職業倫理としての私は報道の公平性、中立性というふうなことを十分職員全員が理解をされた上でより良い報道に携わっていただきたいということを一言付言をしておきたいと思います。  最後に、少し長々となって申し訳ないんですけれども、一般論として私はこの場で考えておくべきこととして、つまり国会が個々のテレビ番組を取り上げてその政治的中立性を議論するということの言ってみれば政治的あるいは制度的な問題について考えてみたいというふうに思います。  既に放送法によって公権力は放送の自由を保障しなければならないし、NHK経営委員会さえも編集、個別編集には介入できないという構造をつくっておるわけであります。虚偽報道ややらせなどについては当然NHK内部の様々な自己管理システム、これが働き、加えてBPOという第三者機関をも対応すると、こういう仕組みをつくってきたということでございます。  そういう仕組みがあるといえども、余りにも公平性を欠く報道国民に誤った情報を与えるような番組であれば、あるいは今回の株のインサイダー取引など法令に違反するものなどに対しては、私は、国会は自らこれらの問題を取り上げ、その責任の追及あるいは対処策、改善、改革を要求し、かつそれを望む、これは当然のことだと。したがって、個々の番組について一切国会の場において議論を私はできないということではないと思うんです。ここははっきりしていると思うんです。  私は、国会が行政や公益法人などの問題を取り上げること、例えばNHKに関して経営問題や不祥事に関する問題を取り上げこれを調査したり、参考人を呼んで実情を聴くということは、社会の公平公正性を追求し、不正を防止するという全体の利益を求める当然の政治的行為であると考えております。  しかし、そこで留意しなければならないのは、国会、立法府は三つの政治権力の重要な一つであり、また国政調査権という個人企業団体の持つ情報をプライバシーを制限してまで調査できる権利を保有している、大きな意味で公権力の一部を有している国会が個々のテレビ番組に細かいチェックを入れるということは、基本的には行き過ぎではないかと、このように考えております。  国会の機能は、むしろ放送文化の向上に向けて放送関係の法案を審議したり、基盤を整備したり、行政権の介入を監視したり、あるいは内部の不正、不法行為を追及するなど、報道の自由、表現の自由を守る立場を通すと、ここにあると考えております。その最前線がこの参議院総務委員会であるというふうなことを申し述べたいと思います。  これらのことを再認識し、そして報道の自由や表現の自由を守るために国会はどのような役割、機能を持つべきか、果たすべきかという視点に立ち、私ども一人一人、総務委員会としてNHKが放送文化の更なる高揚と報道、放送の自由を確立できるように応援をしていくと、そういうふうなことが必要であると考えております。  もしよろしければ、以上の私の問題意識認識を受け止めていただきまして、尊敬する総務委員長の御見解等があればお伺いをしたいと、このように思います。
  52. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 委員長に対する質問でございますので、若干協議をさせていただきますので、速記を止めてください。    〔速記中止〕
  53. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 速記を起こしてください。  筆頭理事間協議も含めまして、委員長として見解を申し述べた方がいいと、こういうことでございますので、委員長の方から、ただいま加藤委員からの質問について見解を申し上げたいと思います。  NHKを始めとする放送局には、国民の知る権利に奉仕するため、表現の自由が確保されております。放送法においても、何人も法律に定める権限に基づかなければ放送番組に干渉、規律することができない旨の放送番組編集の自由が保障されているわけでございます。  しかし一方では、公共放送としてのNHKには、その番組編成に当たって政治的公平性、中立性をしっかりと担保していただくことが求められていることもこれまた事実でございます。  本総務委員会は、放送を所管する委員会として、NHKの予算や決算等の委員会審議を通じて、放送の健全な発展と公共放送としての番組の政治的公平性の確保を図り、さらに、報道の自由や表現の自由を守っていくという責務を有しておるというふうに考えております。  以上の観点から申し上げますと、総務委員会における審議に際しても、これらのことを再認識をしていただいて、個別の放送番組に対する発言は、その内容が番組編成権の干渉に及んだり、放送番組編集の自由を阻害するおそれのないものでなければならないというふうに思っております。  もとより、委員会質疑に当たっての議員の質問権の尊重は当然のことでございますが、しかし、委員会における発言がNHKの放送番組編集の自由を侵害しているのではないかとの疑念を招くようなこととか、あるいは番組制作を萎縮させることがないような、そういう慎重な、より注意深い質問に当たることが委員各位には求められているのではないかというふうに思っております。  委員長としては、この際、この点につきまして、改めて委員各位にも認識を深めていただきたいと考えておりまして、以上の見解を申し述べて、加藤委員質問の答弁に代えさせていただきたいと思います。
  54. 加藤敏幸

    ○加藤敏幸君 委員長に深甚なる感謝の意を表しまして、早いようですけれども、質問を終わります。ありがとうございました。
  55. 岸信夫

    ○岸信夫君 自民党の岸信夫でございます。  本日は平成十七年、十八年度NHK決算ということでございますけれども、この前年度平成十六年度に表に出てまいりました一連の不祥事、この影響で、特に平成十七年度については、受信料の支払拒否、保留の件数が大変増加をいたしました。NHKの経営の根幹を成します受信料の収入が大幅にこの年下がったわけであります。そういう意味で、この平成十七年、十八年、更に言えばこの十九年度といいますのは、NHKがもう一度社会的責任というものを再認識する中で経営の改革を行っていく年度だったんだろう、こういうふうに認識をしておるわけでございます。  実際には、そのさなかにおいて、報道のとおり、職員による株取引の問題等が表にまた出てきたわけでございます。そういうことで、まずこの株取引問題に関しての御質問をさせていただきたいというふうに思っています。  インサイダー取引に関する報告書が先月二十七日に発表されたわけですけれども、その内容につきましては、問題となった三名にとどまらずに、NHKの役職員危機意識の低さというものが問題として指摘をされているわけでございます。さらに、三月三十一日には長野放送局での記者による新聞記事の流用というものが行われたわけであります。  実は、三月三十一日というのは、同じ日、この総務委員会におきましてもNHK予算についての審議が行われたわけであります。そのとき私もちょうど質問に立たせていただきました。福地会長への御質問に対しまして、会長からは、組織は人なり、あるいは、視聴者の皆様に喜んでいただける番組報道をすることがNHKの使命である、そういった企業風土をつくり出すことが私の与えられた使命だと心得ていますと、こういう御答弁をいただきまして、組織改革の決意を述べていただいたわけでありますけれども、ちょうど同じ日にそういう問題が実際には起こっていたということでございます。残念ながら会長の思いというものは職員の一人一人には十分に伝わっていなかったところもあるのかなと、こういうふうに思うわけであります。  報告書の中では、NHK信頼回復よりも個人のプライバシーを、あるいは財産権が重要だと、こういう回答をした職員もいるということでありまして、危機意識の共有というものができていたのかということに対して大きな疑問が呈されているわけでございます。  この点、職員、役職員危機意識の共有ということについて、福地会長の現状認識を伺いたいと思います。
  56. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 職員によりますインサイダー問題に引き続きまして、長野放送局の記者が事もあろうにほかの新聞社の記事を盗用するという、プロのジャーナリストとしてはあるまじき、倫理にもとる行動をやったわけです。会長といたしまして、誠にざんきに堪えない、国民の皆様に深くおわびを申し上げたいと思います。  職員株取引問題に関する第三者委員会報告書でも、緊張感に欠けた危機意識のない組織だというふうに大変厳しい御指摘を受けました。今回の事態を大変深刻に受け止めまして、早急に幾つかの対策を実施するように指示をいたしました。  例えば、全国すべての報道現場で報道に携わる職員の緊急討議を行って、ジャーナリストとしての根幹を成す職業倫理を改めて確認する、現場の問題やリスクを洗い出すこと、それから報道局の幹部が現場の一人一人の職員と対話をして現場の課題を詳しく把握すること、これらを通じてジャーナリスト教育の根本的な改革を実施することなどを指示いたしました。  私は、就任いたしましてから毎月ビデオメッセージを職員に発信しております。毎月月初に会長からのメッセージということでビデオで語りかけております。その中で、倫理観と誇りは高く、そして姿勢は謙虚にということを訴えております。この意識改革に努めております。私に与えられた最大のミッションは、今御指摘のとおり、NHKに対する信頼の回復、国民の皆様からの信頼の回復ということにあるのは変わらぬ信念でございます。今後も強力に推進してまいりたいと思います。  以上でございます。
  57. 岸信夫

    ○岸信夫君 ありがとうございます。  先日からいろいろ会長のお話を伺っておりまして、現場によく足を運んでおられる、現場主義を徹底されておられるということに関しまして大変敬服をしておるわけでございます。今のビデオメッセージのこともございますけれども、様々な手法を通じて、是非その福地会長の思いというものをそれぞれの地域の職員、役職員の皆さんに徹底をしていただきたいというふうに思っております。  次に、この第三者委員会、久保利委員長にお尋ねをしたいわけでございますけれども、この報告書によりますと、委員会が設置した情報窓口、情報提供窓口に対して、ある種の集団の陰謀を主張し、特定の役職員を中傷する真偽が定かでない匿名通報が一定数行われている、このような種類の通報は、当委員会調査を利用して、一定の、例えば人事上の目的を達しようとする意図さえ疑わせるものであったなどといたしまして、社内の派閥抗争などの存在を指摘をされておるわけです。  今回の危機的状況というものをこのNHK全体の問題としてとらえずに内部抗争を展開しているということなどは誠に言語道断の状況であるわけです。インサイダー取引という今回表面化をしている問題以上にある意味では深刻な、組織が病んでいるのではないかと、こういうふうにも思うわけでございますけれども、久保利委員長はこういうことを報告書上に盛られたわけでございます。こういう指摘するに至ったことについて御所見をいただきたいと思います。
  58. 久保利英明

    参考人久保利英明君) 御指摘のとおり、情報窓口、情報提供窓口というふうに言っておりますけれども、これをつくりました。なぜつくったかというと、この本来の第三者委員会調査というのは決して犯人捜しでもなければ処分目的でもない、しかしなるべく正確な情報をいただきたい。そうすると、この調査に対する自主的な協力というのがベースにあるわけですから、そうするとその中には虚偽の申告というのがあり得るかもしれない。その虚偽に対して、例えばあの人は大変頻繁に株の取引をやっていますよ、にもかかわらずその人は株を持っていませんというふうな話があれば、それを突き合わせることによって、さあ本当だろうかということで、もちろん情報窓口の情報だけを信用するわけではありませんけど、本人へのヒアリングというふうな機会が設けられるわけです。そういう意味で、この情報提供窓口によって実は何人か本来の正しい申告でないものをしていた人たちがあぶり出されるということがありました。これはプラスの効果であります。  しかし、委員今おっしゃったとおり、我々のところへ非常に具体的な固有名詞等を挙げて、こういう懸念がある、ああいう懸念があるという通報が参りまして、調べていってみると、どう考えてみても現実性がないというようなものでありました。しかも、それが、この調査というのはもう二、三か月でやれということで、大変タイトなスケジュールでやっている最中にそのような陽動作戦がありますと、我々そちらへエネルギーを取られてしまって別の調査がお留守になってしまうという危険もあったわけです。  そういう点で、この具体的な内容そのものについて申し上げるわけには、守秘義務等の関係もございますので申し上げるわけにはいきませんけれども、組織全体としてこんなことをしている場合かと思われるようなケースが幾つかございまして、そのことはやはり、我々この調査というのは、言わば疫学的調査として、大量に一万数千人のデータを取ることによってこの組織がどんなふうに病んでいるかというのが数字の上で見えてくる。Aさんがどう、Bさんがどうという話よりは、そういう問題があるのではないかと考えたものですから、それは全国民に対して、委員の皆さんを含めてオープンにすべきだと、こう考えたものですから報告書に記載をさせていただきました。そのことは、やはりある一定の人数、そういう人たちがいたんだという事実において疫学的なこの組織が病んでいることの証拠だというふうに私は認識をしております。  そういう意味では、福地会長も大変御苦労さまではございますけれども、そういう風土というものを変え、そして組織の中で足を引っ張ったり、あるいは個人を引っ張ったりという、そういう組織であったのではこの不祥事は永久に変わらない。そういう意味では、このインサイダー事件というのをきっかけにして組織が変わっていただきたい、人々の認識危機意識というものがNHKの役職員一同みんな変わってほしいという思いで記載させていただいた一文でございます。どうぞ御理解いただきたいと思います。
  59. 岸信夫

    ○岸信夫君 ありがとうございます。  福地会長はこの件について、また今、久保利委員長からのお話を伺ってどのようにお考えでございましょうか。
  60. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) かつては派閥抗争が大変厳しかったというふうに私も聞き及んでおります。一つの派閥人事がある、それに対する反対の人事になる、またその反対の人事になるというふうなことが繰り返されたこともあったように聞いておりますが、現在は比較的そういったことが少なくなってきたと。消極的な態度ばかりが決して多いと私は思っておりませんけれども、しかし、この指摘は厳しく受け止めまして、この組織を通じた風通しの良さというものは是非つくり上げていきたいと思います。  そういった意味もございまして、私、役員の個室を廃して大部屋にしたのも、まずは役員の横の風通しを良くしよう、そういった派閥人事の中でなくそうということでしたのも大きな意味でございますし、今回の一連の幹部の人事も、そういった趣旨も踏まえて、この派閥人事をなくしていこうというふうなことで現在も取り組んでおりますし、これからも心してまいりたいと思います。  以上です。
  61. 岸信夫

    ○岸信夫君 ありがとうございました。  久保利委員長に対する御質問は以上ですので、どうぞ御退席ください。
  62. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 久保利参考人は御退席いただいて結構です。
  63. 岸信夫

    ○岸信夫君 職員からの意見の中には、報道と言えば何でも許してしまう、いわゆる報道至上主義が一番の問題だとか、あるいは報道のおごり体質を指摘したものもあったわけでございます。調査に当たっての第三者委員会の問題意識として、報道の自由を確保するための取材の自由について、取材情報が目的外に用いられるとすれば取材の自由が危機に瀕することになると指摘をしております。  今回の事件というものは、報道機関として重大な認識をしなければならないわけでございます。放送法の下にあります報道の自由、あるいは更に言えば、憲法に保障されております言論、出版、その他一切の表現の自由というものでございますけれども、この報道機関にとっての報道の自由というものは、どうなんでしょう、報道機関に対して無条件に与えられている自由なんでしょうか。  私は、自由には常に一定の規律というものが求められる、一定の規律の下に認められた権利だというふうに思っておるわけでございますけれども、組織内にはびこります報道至上主義という問題に対しましての会長の考えをいただきたいと思います。
  64. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 報道機関にとりまして最も重要なことは、民主主義社会の発展のために、国民の知る権利にこたえて、国民に様々な判断の材料を提供することにあると考えております。そのために、報道の自由は極めて重要な理念といたしまして、表現の自由をうたう憲法二十一条によりまして保障されていると認識をしております。  一方、報道至上主義ではないかとの御指摘でございますが、報道のためなら何でも許されるとか、あるいは報道の自由は無条件に与えられるといった考え方は全く持っておりません。報道の自由というこの理念が国民に広く認められ、信頼され続けるためには、報道機関が自らを厳しく律する不断の努力が必要であると認識をしております。  今回、報道に携わる職員が自己の利益のために取材情報を悪用してインサイダー取引を行ったことは、報道の自由、取材の自由を危うくしかねない行為でございまして、極めて深刻に受け止めております。報道の自由を堅持していくためにも、報道倫理の確立に全力を挙げてまいりたいと思います。  以上でございます。
  65. 岸信夫

    ○岸信夫君 また、一方では、この報告書には、視聴者のための公共放送の使命を果たそうと必死に努力している職員がたくさんいる、いや大多数であることも絶対忘れないでいただきたい、あるいはNHKで働く者全員が疑惑の目で見られることがとても悲しいといった、平素からまじめに働いている職員の中からの今回のこの問題に対する、深刻にとらえているという意見も多く載せられているわけであります。  本年二月の十二日に第二次コンプライアンス委員会が取りまとめました「経営委員会からの特別要請事項に対する緊急提言」というものにおきまして、いわゆるいろいろなしがらみにとらわれない若手職員によります組織改革のための緊急特別プロジェクトチームというものを会長直属に設置をするということが提言されておりました。その後、このことがどういうふうになっているか、現状についてお答えください。
  66. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 第二次コンプライアンス委員会、これは経営委員会の中のコンプライアンス委員会でございますが、そこからの提言を受けまして、この組織風土、先ほどから出ております風通しのいい組織にするという組織風土の改革に向けまして、若手職員が会長に対して直接意見を出すという会長直属の、何といいますか、緊急特別プロジェクトチームとでもいうんでしょうか、そういうものを組織いたしました。四月九日に立ち上げました。全国から、ディレクターとか記者、アナウンサー、それから技術系、管理、営業の各職場から、大体二十歳代から三十歳代の若者ばかりでございます。大変熱心に論議をしております。箱根の山にこもったり、この前は渋谷のセンターで夜遅くまでやっておりました。私が外から帰ってきましたら、七時半か八時ごろ、まだ朝からの会議を続けておりました。私も二、三回その中に入って、次回も入るという約束をしておりますが。  それで、彼らのやっぱり要望は、自分たちがこういった提言をしていることが計画の中に生かしてほしい、聞きっ放しにならぬようにしてほしいと言うから、必ず君たちの発言といいますか意のあるところは第二次の中期計画の組織のところに織り込むから、是非実のある討議をして結論を出してくれと、そういうふうな要請をしております。  以上でございます。
  67. 岸信夫

    ○岸信夫君 ありがとうございます。  是非そういったフレッシュな意見というものもこれからの経営に生かしていただきたいというふうに思っております。  今回の全職員に対します株取引調査に当たりまして、九百四十三名から有効な委任状の提出がなかったというふうにされております。このうち、明確に調査協力を拒否したと理解されるような者が百三十五名いたと、こういうことでございます。この対象者に対します追加調査というものはできないということについては、これは理解をするわけでございますけれども、しかしながら、この調査に協力しなかった百三十五名という者がいまだにNHKという組織の中にいるということでございます。  三名によるインサイダー取引に端を発したわけでございますけれども、NHKが社会全体あるいは国民から批判を浴びて信頼が失墜した、こういうことを理解していない、また信頼回復のための調査に協力をしない、こういう人間がまだ組織内に相当いるということは、先ほどもお話ししましたけれども、危機意識の共有が全くなされてないんではないかというふうにも思うわけでございます。  この状況をどのように会長はお考えでしょうか。
  68. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 大部分の職員がこの調査に協力をする中で、明確に拒否した者、また無視した職員が百三十五名いましたということは大変遺憾でございまして、とりわけ、私、会長の名前で今回の調査には全幅の協力をするようにというメッセージを流しているにもかかわらず無視をしたということは大変、会長としてのリーダーシップにもとるというふうにざんきに堪えませんが、しかし、先ほども久保利第三者委員長が御報告申し上げましたように、この調査が当初から職員の自主申告に、調査権を持たないということから自主申告に基づく、氏名を明らかにしない、罰しないということを前提にして、もちろん氏名を明らかにして罰すると言ったらだれも申告する者はいないと思いますからある程度やむを得ないかと思いますけれども、そういった中で出されている。したがって、この百三十五人を私として特定できない極めてもどかしさがありますが、しかし、どうしようかといろいろ悩みました。  悩みました結果、せめてもの何かの形で訴えたいなということで、久保利委員長に相談をいたしました。こういったNHK職員が一体となって企業風土といいますか、視聴者からの信頼を取り戻そうという努力をスタートさせようといったときに協力してくれなかったことは極めて残念だと、しかしこれから先の再発防止策の中で積極的に協力して取り組んでほしいと、そういった趣旨の手紙を書いて、久保利委員長に、これはどこに出していいか分からないから第三者委員会の方で出していただけますかとお聞きしましたら、出しましょうということでございましたので、そういったことに早急に取り組みたい、せめてそういったことで彼らに訴えていきたいというふうに考えております。  以上です。
  69. 岸信夫

    ○岸信夫君 是非、この百三十五名の方がこの福地会長からの手紙というものをきっちりと考えて、これからいわゆる倫理観を高めていっていただきたい、こういうふうに思っております。  それでは、委員会による七項目の提言というものがございました。会長には強い決意を持ってこの改革を実行していただきたいわけでございますけれども、特に一番目のプロフェッショナル意識の再生、そして第二の公共放送としての使命の認識についてですけれども、プロとは何か、また公共放送の使命とは何かという議論を活発に社内で行うということが提言をされておるわけでございます。  改革は待ったなしなわけでございますけれども、具体的にどのようなアクションを起こされるおつもりでしょうか。
  70. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 十項目にわたる提言をいただきました。つまり再発防止策でございますが、その中が二つございまして、職員意識改革、研修とかそういった対話を通じて意識改革を求める点と、それから報道情報システムの改善のような、システム、形を変えるものとございます。形を変えるものは即刻できますから、報道情報システムのアクセスを人間を制限するとか、いろんなことは即刻取り組みました。  問題は、形じゃなくて意識を変える問題、これはやっぱり極めて難しい問題でありますが、しかしこれを変えない限りはまた同じことが起こるということで、先ほども御報告申し上げましたが、研修につきましても、役職員任せじゃなく、研修担当任せじゃなくて、私自身も今月二回、来月四回、関連団体を含む幹部研修でそういったもの、部下指導について、部下のそういった面での指導について訴えていきますし、それから毎月月初の中の会長からのメッセージでも訴えていきますし、それから、時間を見まして各地の放送局の現場とか、あるいは放送局に限らず現場を歩いておりますが、現場に出向きますと必ずそこの職員との四十分から六十分ぐらいの時間の対話集会を、数十人が大体集まりますが、対話集会を開いております。そういった中で根気よく私自身もやっぱり訴えていくことが大事ですし、それから各管理職組織内で訴えていく、そういった積み重ねがやっぱり一番大事だと思うので、これはまさに根比べの世界だろうと思うんですが、そういったことに心掛けていきたいと思っております。  以上です。
  71. 岸信夫

    ○岸信夫君 経営委員会はこの提言を受けての執行部の迅速な対応についてきっちりと検証をしていただきたいわけでございますけれども、古森委員長はこの度の報告書を総括的にどのようにとらえておられますでしょうか。
  72. 古森重隆

    参考人古森重隆君) 先ほども申し上げましたけれども、いろんな事実といいますか背景というものがこの報告書から読み取れる、読み取ることができると思います。  まず、一番驚きましたのは、かなりの数のやはりグレーの部分がある、疑わしいところがあるということでありまして、それから捜査に協力しない、あるいは有効な答えを出さなかったというふうなことで、先ほども言いましたけれども、これはやはりコンプライアンスの内容を知っているか知っていないかという問題よりも、NHK公共放送としての在り方自身の理解というのがきちんとされていないんではないかと、一部では。全部とはもちろん言いませんけれども。つまり、公共放送であると。先ほど来話がございます、中立公正ですか、中立公正の放送で何人からも束縛されない報道の自由、編集の自由があると。しかし、その陰には、それでは、中立公正である、公平公正であるかという厳しい自覚に基づかなければならない。  それからもう一つは、表現の自由というようなことがありますけれども、これは、やはり表現の自由、あるいは報道の自由、取材の自由というもの、そういうものの特権が与えられていますけれども、これは、逆に言うと、その得られた情報を自分の利益、自らの利益のためには使わない、これは当然のことで、そういう厳しい不文律、不文律というか、考え方があってしかるべきである。  それからもう一つは、NHK公共放送という受信料によって経営が成立しているということならば、みんなのものである、みんなのお金を使っているんだという、言わば公僕の意識、こういうものの基本的な理解が十分ではないんではないかということでございますから、インサイダー取引のいろんな具体的な、インサイダーも含めましてコンプライアンスのいろんな取組方があろうかと思いますが、もう一回NHKとは何かという原点の社員に対しての徹底的な教育が必要だろうというふうに思っております。  以上であります。
  73. 岸信夫

    ○岸信夫君 ありがとうございました。  続きまして、これは五月二十七日に発表されました平成十九年のNHK「約束」評価についてちょっとお伺いをしたいと思います。  この中で、バリュー・フォー・マネー、VFMについての記載がございましたけれども、平成十七年度比較、十九年、二年後には比較的向上したと、こういうふうになっております。分母である事業支出総額が減少しているということも一つあるわけでございます。分子でありますウィリングネス・ツー・ペイですか、WTPの総額の増加というものと事業支出の減少というものがあるわけです。  番組、NHKの放送に対する評価が高まってきている、これ自体は非常にいいことだと思っております。しかしながら、一方で、事業支出の減少というのは、無駄なコストの削減という意味では評価されるのかもしれませんけれども、やはりいい番組を作るためには一定の資源を投入しなければいけないわけですし、逆に言いますと、その部分が行われなければならないそういう資源の投入がカットされていたとすれば、それは残念なことであると、こういうふうに言わざるを得ないわけでございますけれども、こういったことにつきまして全体的な評価を、このVFMが向上したということにつきまして御意見をいただきたいと思います。
  74. 金田新

    参考人(金田新君) 御指摘のように、NHKの「約束」評価委員会、この三年目の報告を五月二十七日に受領いたしました。その中で、VFM、バリュー・フォー・マネー、つまりコストに見合う成果ということで御評価をいただきまして、平成十七年度に引き続きまして十九年度で二回目になります。  その結果でございますが、視聴者の支払意思額、つまりNHKが生み出した価値額を事業支出総額で割ったものでありますが、平成十七年度が一・五七、平成十九年度が一・六六ということでございまして、〇・〇九ポイント向上しているという御評価をいただきました。御指摘のように、分母、つまり支出の減少の貢献と、分子、視聴者の支払意思額の向上、二つの要素があるわけでございます。これは算数だけの話でございますが、向上幅の三分の一が支出の減少による効果でございまして、三分の二が支払意思額、つまりNHKが生み出した価値の向上の効果と評価されています。  ちなみに、視聴者の支払意思額は、地上放送が千八百十四円、衛星放送が千二百六十九円とされています。この価値向上の寄与が大きかったということでございまして、引き続き視聴者にとって評価いただける番組の提供に努力してまいりたいと存じます。  一方、支出削減につきましては、「約束」評価委員会から、今後もこの形でのみ経営の効率性を追求していくことは現実的でないと御指摘を受けています。現在行っています経営計画の策定の上でもしっかりと受け止めて対応していきたいと存じております。  以上でございます。
  75. 岸信夫

    ○岸信夫君 ありがとうございました。  番組制作、特に視聴者に評価される番組を作っていくということは大変大事なわけでございますけれども、それが結果として受信料収入の回復につながってきているのかなという部分もあるわけでございますけれども、十七年度が大幅に落ち込んで、その後十八年、十九年と徐々に回復はしておるわけでございますけれども、まだそれでも十九年度のレベルというのは十六年度に届いていないわけであります。まだまだ多くの受信料未払というものがあるわけでございますけれども、受信料の不公平感というものがまだまだあるというふうになっております。  遵法意識あるいは対価意識、そういう番組であれば払ってもいいと、こういう意見が高まっているわけですけれども、一方で、ほかの人が払わないのであれば自分もまだ払いたくないという意見もまた五〇%ぐらい存在をするわけであります。この不払の中にはいろいろなものがあると思います。現実には契約をしていない場合、あるいは契約を解除した場合、契約はあるけれども支払を拒否している場合、あるいは家計的な事情から支払ができない場合など事情はいろいろあると思います。  そうした中で、受信料不払者に対する民事手続による支払督促申立てというものも実施をされているわけでございます。この督促の状況というものがどうなっているのか、さらに不公平感の払拭に向けてどのように取り組んでいかれるおつもりか、会長にお聞きしたいと思います。
  76. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 受信契約を締結していただきながら支払が滞っている方、こういった方に対して、六月四日現在、十三都道府県で二百三件の支払督促の申立てを行っております。このうち、既に全額支払った方、分割で支払中の方及び支払意思を表明している方が百四十二件、七〇%となっておりまして、こういったことから、この支払督促は今後全国に拡大していきたいというふうに考えております。  また、テレビを設置していることが確認できていて、それで受信料制度などについて誠心誠意説明してもなお御理解いただけないという未契約の世帯あるいは未契約の事業所につきましては、受信契約の締結と受信料の支払を求める民事訴訟を第一次の経営計画の最終年度であります本年度中に提起したいと考えております。  受信料の公平負担を徹底して視聴者の皆様の不公平感を解消することはNHKの重要な責務でございます。今後も、訪問集金廃止によります不払対策へのパワーシフト、あるいは支払督促の実施地域の拡大とかあるいは受信料体系の見直しなどによりまして、公平負担の徹底、不公平感の解消に取り組んでまいります。  以上でございます。
  77. 岸信夫

    ○岸信夫君 この公平負担、不公平感の払拭というものは大変、今会長がおっしゃられるとおり重要な視点だと思いますので、是非この点を真摯に取り組んでいただきたいというふうに思っております。  決算の中身といいますか、各年度年度末の繰越金についての御質問でございます。  平成十六年、十七年、十八年、そして十九年末のこの繰越金、財政安定のための繰越金の推移を見てまいりますと、十六年末が三百六十六億、十七年末で三百七十二億、十八年末で五百五十七億、そして十九年末で九百二十四億と、こういうふうに積み上がってきておるわけでございます。主に受信料収入の増加によって経営が成り立っておるわけでございますけれども、十八年、十九年とこれが改善してきた結果としてこの繰越金も積み上がっているんだと思いますけれども、過去最高のレベルになっておりますね。これが普通の一般営利企業であればこれはこれで経営の安定ということでいいんだと思うんですけれども、これが原資がやはり受信料であります。基本的には受信料をお支払いいただいた方に返していくと、返していくといいますか、業務を通じて、番組制作を通じて還元していくというのが本来の趣旨であろうと思います。  この金額がどの程度が妥当というふうにお考えなのか、あるいは今後どういう形でこれを有効活用していこうとお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  78. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 十九年度受信料収入は、契約総数あるいは衛星契約の増加など公平負担の徹底に努めましたことによりましておかげさまで大幅な増収となりました。また、支出面におきましても、すべての業務について見直しを行い、効率的な事業運営を徹底いたしましたことで三百七十五億円の事業収支差金を生み出すことができました。その結果、繰越金は九百二十四億円となったわけでございます。  繰越金は、これまでは地上デジタル放送の設備投資など、将来の放送サービスの充実のための長期的な投資などに使用してきました。しかし、一方、十七、十八年度不祥事の中で受信料が低迷する中で、本来、処理しなければならないリスク要因もそのまま、放置ということではございませんが、先延ばしされてきたということもございます。  そういったものを見直しまして、繰越金の在り方につきましては、今後の完全デジタル化時代に対応する諸施策の財源、あるいは経営リスクに対する対策、また視聴者本位の観点からも検討いたしました。この秋に公表を予定しております新しい経営計画の中でその繰越金をどういうふうに処理をしていくかということを提言してまいりたいと思います。発表してまいりたいと思います。  以上でございます。
  79. 岸信夫

    ○岸信夫君 この決算内容、十七年度から十八年、十九年度改善が見られることはこれはいいことだと思いますけれども、やはり先ほどから各委員からも問題とされております公共放送としての使命、そしてNHK信頼回復、これが何より今求められております。そのことを通じて更に健全な経営に心掛けていただきたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  80. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。与えられた時間も少ないものですから、早速質問させていただきたいと思います。  質問に入る前に、先ほど加藤理事から大変重要な御発言がございました。また、これに対して委員長から見解が述べられたところでございます。国会の議員の質問報道の自由という観点で非常に適切な御見解の表示があったものというふうに私も理解をするところでございます。これは、いわゆる国会議員の質問権の行使、公権力の行使としての質問権の行使と、いわゆる基本的人権の保障のこういう問題の一部門でございます。  かつて国会議員のある方が個人名を出して質問をしたところ、逆にその質問をとらまえて名誉毀損だとして裁判ざたになったことがございました。結論は、これ札幌の地裁か高裁かよく覚えておりませんが、免責特権ということで棄却になったわけでございますが、ただ、今はもうインターネットの時代でございます。議事録のみではなく生の声が全国民あるいは全世界に流れていくということを考えますと、我々は、先ほど委員長の御見解にありましたように、この質問、発言がどのような人権上の影響を与えるか、襟を正しながら質問に立たせていただく、こういうことが互いに必要になってくるんではないのか、こんなことを確認しながら、先ほど加藤理事の御意見とまた委員長の見解を聞かせていただいたところでございます。  じゃ早速、その趣旨にのっとっているかどうか分かりませんけれども、質問に入らせていただきたいと思います。  まず、決算に関連してでございますが、積立金不足、私、三月三十一日にこの委員会で会長に、一千数百億積立金の不足がありますね、だから受信料下げることができないんだということでどうなるのかと。ところが今度、二千七百億という数字がぼこんと出てきたわけでございますが、二か月たったら変わってくるのかというような感じになるわけでございますが、この不足が増加した理由、事務当局でも他の方でも結構でございますが、理由をお伺いをしたいと思います。
  81. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 平成二十年三月三十一日の参議院総務委員会で御説明しましたとおり、平成十三年三月期決算から民間企業では退職給付会計が導入されまして、NHKでも平成十五年度予算から導入をいたしました。この会計基準に基づきまして算出しました退職給付債務と、それから既に積み立てております引当金及び年金資産との差額が積立不足の額でございますが、積立不足が拡大しました理由は、金利低下を織り込んで割引率を設定したことによりまして退職給付債務が増大したこと、十九年度決算で二・三%でございます。資産運用の悪化により年金資産が減少したことによるものでございます。この積立不足につきましては、監査法人とも相談の上、財政に与える影響、とりわけ放送の充実に充てる経費への影響も勘案いたしまして、毎年度の予算で計画的に対応してきております。これは今まででございます。  今後の対応につきましては、これは大変大きな経営上のリスクの一つでもございます。次期経営計画の策定に当たりまして検討すべき課題の一つとして取り組んでおります。  以上でございます。
  82. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今ほぼ二か月前の御答弁と同じような趣旨で御答弁いただいたわけでございますが、ただ、同じような答弁でありますけれども、一千億以上、その単位で増えてきている。じゃその利率がどうだったのか。見直した、それはあるけれども、だけれども、そもそもこの十年来四・五%とかそういう率でやっているということ自体がどこの会社でもあり得ないだろうと私は思うんですね。多分そういう問題意識はあったと思うんですよ。じゃそれをずっと先送りしていたのか、こういう指摘が今回初めて出てきたのか、その辺は先ほどからある体質問題みたいなものもあるのかもしれませんけれども、やはりこの不足額というのは、解消というのはしっかりやっていかなきゃいけないなというふうに私自身も思っているところでございます。  ただ、会長の御答弁の中で前回は、経営の安定を考えていく上では余り先送りせずに短年度で償却する方が好ましいというふうにおっしゃっておりました。十年間あるいは十六年間、そうかもしれないけれども、それが短年度かどうか分かりませんけれども、やはりしっかりやっていただきたい。  ただ、本当に解消だけではなくして、この例えば給付額を引き下げるみたいな形、あるいは確定給付じゃなくて確定拠出にするとか、いろんな形があるんだろう、多分労使の協議が必要だと思っているわけでございますが、その辺も含めた会長としての御見解を再度お伺いをしたいと思います。
  83. 八幡恒二

    参考人(八幡恒二君) お答えいたします。  当然、今回の二千七百億を含めて、NHKのこれは年金の制度とか確定拠出とかを含めてこの経営計画の中できちっと検討していきたいと思っております。  以上でございます。
  84. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 本当に、労働組合との協議も必要ですからなかなか軽々に言えないと思いますが、しっかりその辺議論をしていただきたいと思います。  ただ、先行委員質問からもございましたこのインサイダー取引、発覚後取り組んでこられて、かつ第三者委員会の提言を受けているわけでございますが、今後どのように取り組んでいくのか、会長に確認をしたいと思っております。  再発を防止するにはやはり原因が大事だと、原因をしっかり把握しておくということが、組織体質と言われても難しい部分があるかもしれませんけれども、このインサイダー取引をもたらした様々な原因が挙げられていたわけでございますが、会長御自身がこの報告書でこんなこともあったのと初めて知ったみたいな部分がありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  85. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 今回の第三者委員会の報告を見まして、何といいますか、委任状を出さない、拒否する、それから休憩時間を含む執務時間中に株取引をした者が八十一名おる、こういった報告に大変ショックを受けました。  元々このインサイダーに対する関心、何といいますか、注目が一般企業とどこと違うんだろうなということも考えてみました。  私も前職のときには、まず、よその会社情報は単一の企業では入ってきませんけれども自分の会社インサイダー情報はたくさんあるわけでございますから、これは厳しくインサイダー規制が執り行われております。私も、こちらに参ります一年間、前職の会社からいただきましたストックオプション、これを一年間、いつ売却できるか、インサイダー情報にかかわらない日を設定してくれということで法務部長に頼んでおりましたが、三百六十五日一日もございませんでした。  それほど厳しくインサイダー情報、これは他社の情報ではなく、まず自分の会社情報ですが、考えてみますと、やっぱりNHK、株式会社ではございませんので、一般職員の間はそういった自社の株に対するインサイダーの関心というのは薄いと。それだけ逆に報道に携わる者はよそのインサイダー情報をたくさん持っているわけですから、民間と同じようなやっぱり意識が要るんじゃないかと思うんですが、その辺が株式会社とこういった、何というんですか、こういった事業体との差ではないかと。  しかし、そういったことばかり言っておっても始まりません。やっぱりそういった意識をこれから先植え付けていくというものが私の使命じゃないかというふうに考えております。
  86. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今日は、同じ報道機関、またテレビ局ということで、社団法人日本民間放送連盟の専務理事、玉川さんにおいでいただいているところでございますけれども、今お話を聞いていただいて、やはり民放の各社あるいは民放連も同じ報道機関として、今、株式会社というのがありましたけれども、放送局も株式会社だと。また、報道だけじゃなくて、当然NHKと違って、それは広告収入で運営するといいますか会社利益を上げる。だから、どこぞのビール会社が新しい銘柄出すぞというのが入ったら、広告する部局でもそれ自体が大変なインサイダー情報になるんだろうというふうに思っておりまして、それはやはり民放各社も非常に重要なものとして受け止めていただいているものと思っております。また、二年前の二月に日経新聞の広告局社員による事件が発覚しました。  いろいろ対応をしていると思いますが、民放連として、あるいは民放各社においてこのインサイダー取引防止において十分な対策が取られているのか、その取組状況というものをお知らせをしていただければと思います。
  87. 玉川寿夫

    参考人(玉川寿夫君) 日本民間放送連盟の専務理事をやっている玉川でございます。ただいまの御質問にお答えさせていただきます。  まず、民間放送事業者個々の取組についてでございますけれども、インサイダー情報に接する可能性が高い在京テレビキー局、これを始め、名古屋、大阪のテレビ局、あるいは株式を上場している社、あるいは店頭公開している社、こういう社につきましては、金融商品取引法等の法令遵守はもとより、各種社内規定により全役職員インサイダー取引の禁止を明確に規定しております。  具体的には、行動憲章あるいは行動指針といったような行動規範を定め、さらに、インサイダー取引に関する規定あるいはインサイダー取引の禁止に関する規定という名称によりましてより具体的な社内規定を設けておりまして、社によってはインサイダー取引規制を遵守するのはもちろんのこと、インサイダー取引の疑いを招きかねない行為は行わないというような定めを行っており、関連会社職員や派遣スタッフを含め年に一回から数回の研修会を実施しております。  また、ある社では、報道関係の部署の役職員及びスタッフは一般企業の重要情報に接する機会が多いことから、放送倫理ガイドラインなどという別途の内規によりまして、株式の短期売買の全面禁止、あるいは現職を離れても一定期間は縛りの対象にするというような規定を設けており、また自社の株売買に関しましては役員クラスの決裁を必要とする、あるいは役員は半年以上の売買を禁止するというような定めをいたしております。  そのほか、在京キー局では、先般のNHKさんのインサイダー取引の事例を教訓にしまして、改めて社内セミナーや系列局への連絡等で注意喚起を行っております。  こうした各社の取組に加えまして、民放連といたしましても、NHKさんの事例が明らかになった直後には会員全社のトップ経営者に対して社内規定の再点検と社員への注意喚起を要請する一方、六月二日には証券取引等監視委員会の担当課長を招きまして、会員各社のコンプライアンス担当部門や報道部門の責任者等を対象とするインサイダー取引防止に関する勉強会を開催し、併せて各社の取組について情報交換もいたしております。  なお、先般NHK第三者委員会がまとめられました報告書の提言などに関しましては、民放にとっても参考にすべき点がございますので、こうしたものも参考にしながら会員各社におけるインサイダー取引防止に万全を期していきたい、このように考えている次第でございます。
  88. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 お取組に心から敬意を表するものでございますが、報道にしても何にしても多くのスタッフがおいでになると思うんですね。役職員だけではなくして、アルバイトの人もいるかもしれないし、あるいは契約スタッフで来てもらっている人もいるかもしれません。あるいは、画面で見れば職員じゃない方が報道番組で報道されている場合がありますね、タレントの方もおいでになるわけでございますが。そういう方々は準じて、あるんだろうとは思いますけれども、その辺はちょっとどういうふうになっているのか確認させていただけますか。
  89. 玉川寿夫

    参考人(玉川寿夫君) ただいま申し上げましたように、報道現場では別途の社内規定を作りまして、もちろん役職員全員を対象に、更に外部のスタッフを交えてこの規定を適用しているという状況でございます。
  90. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今、注意喚起であるとか、あるいは民放連としてSECの方に来てもらってセミナーをというお話がございました。すばらしい取組だなと思っているわけでありますが、同じように、例えば全銀協、全国銀行協会の方でも、内部者取引未然防止体制の整備についてのガイドラインというのを各会員銀行に発出したようでございますけれども、やはりそういうことも、逆に各社に任せていれば十分だという部分もあるかもしれませんけれども、やはり民放連としてもそういう取組、ガイドラインみたいなものがあってもいいんではないのかなというふうにも考えますが、いかがでございましょうか。
  91. 玉川寿夫

    参考人(玉川寿夫君) おっしゃるとおりでございまして、私どもも非常に、千五百人とか千二百人とかそういう職員がいる社と、十数名で運営している社と、大変大小ばらばらでございますし、またテレビ局の取材体制とFM局のニュースの取得方法とかなり違いますので、一概にひな形を作るというわけにはまいりませんけれども、これまで出されております東京証券所のマニュアルなどを参考にしながら、そういうものを各社から問い合わせがあれば指導をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  92. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 確かにおっしゃるとおり、大NHKさんと比較して社員数がもう全然違うというところもあるでしょうから、その中で更に民放連さんも責任重大といいますかね、その機能が重要になってくるなというふうに思っております。  大臣、こういうふうなインサイダー取引というのをやはり各社で取り組んでいるわけでございますが、やはりきちっとした取組が行っていくことが本当に必要ではないのか。この点について、大臣、ちょっと御見解をお伺いをしたいと思います。
  93. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) このインサイダー取引というのは、もういかなる国民にとっても許されないものであるのはもちろんのことですが、この場でもお話がございましたが、特に報道に携わる者にとりましては様々な情報に接するということから、この信頼関係という上からもあってはならないと。これは一人残らず、どういう現場にいる人にとっても肝に銘じて、必ず遵守をしていただかなければならないものというふうに思います。  NHKがこの今回の事案に見られるがごとく、その取組が十分でなかったという反省に立って、今回きちんとした取組をすると。是非これを実行していただきたいと思っておりますし、それから民間放送事業者各社も、様々な事案が他の報道機関であったということが契機だったと思いますが、いろいろもう既に内部規定等もお持ちになって、今お話がございましたとおり、様々な研修等もやっていただいているようでございますが、更に改めて、まあNHKを他山の石と言うのもなんでございますけれども、今回のこういったこともございますから、なお一層気を引き締めて、そうしたそれぞれの規定の遵守を徹底をしていただきたいと。  いずれにしても、放送法の下で放送の自由というのが保障されているというのはもう国民報道機関の皆さん方に対する信頼感というのがベースにあるわけでございますので、是非この点は、自主自律の中で、自律的に是非こうしたことをしっかりと行っていただきたいと、このように考えております。
  94. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 民放連の玉川専務理事、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。  続きまして、NHKさんに二、三質問をさせていただきたいと思います。  子会社、関連会社の件でございますが、関連団体更に削減というような報道がございました。もちろん、業務の効率的推進や資産、ノウハウの社会への還元、あるいはNHK財政への寄与という形で設立したことでございますけれども、ただ余りにも肥大化されてきたという指摘がずっとなされたわけでございます。  合併などにより更に子会社を削減する余地があると思いますけれども、今後の整理合理化案についてお伺いをしたいと思います。
  95. 溝口明秀

    参考人(溝口明秀君) お答えします。  子会社の再編統合につきましては、まずは何よりも視聴者の皆さんに非常に分かりやすくまず貢献するグループに再構築しなきゃいけないと、このように思っています。  具体的に実施、検討を進めてまいりましたけれども、まず、今年の四月、地域制作会社が六社ございますけれども、これをNHKプラネットという会社に統合いたしました。これまで以上に地域情報、地域、全国だけではなくて、世界にも発信するという新しいミッションも持たせました。それから、同じく四月でございますけれども、放送の完全デジタル化に対応するという必要もございましたので、技術子会社二社をメディアテクノロジーという社名にして統合をいたしました。一方で、映像国際放送の実施をするということで、放送法規定にもあります新設子会社として日本国際放送を四月に設立をいたしました。これによって、今現在、関連団体の数は十九年度末の三十四団体から二十九団体ということになっております。  さらに、具体的な計画でございますけれども、来年の四月がめどでありますけれども、二つの再編統合を計画しております。一つは、報道業務の更なる強化ということのために、報道系子会社、二社ございます、NHK情報ネットワークと日本文字放送、この二つを統合いたします。さらに、事務系の業務、この一元化を図るという趣旨で、NHK共同ビジネスとNHKオフィス企画も統合いたします。来年の四月を予定しております。  このほか、今回の再編の検討に当たっては、株式会社のみではなく、関連公益法人、これを含む横断的な再編ということで、今後、段階的、計画的に実施をしてまいりたいと思っております。
  96. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 確かに、公益法人改革は、どの公益法人もそうでございますが、公益とは何なのかということを含めて、かなりきついといいますか、公益を冠せられないというような状況になりますので、しっかりやっていただきたいと思います。  契約関係についてお尋ねしたいと思いますが、随意契約見直し計画というものを発表されておいでになりますけれども、やはり関連団体との取引、この取引を通じて関連団体側に過剰な利益を与えることになっている。取引の大半が随意契約による業務委託であるということから、やはり契約の競争性を確保しなきゃいけないということで、一般調達への移行を含めたこの在り方が検討されることが求められているものと思っておりますが、一般競争入札に移行しているというふうに考えておりますが、どの程度この随契から一般競争入札に移行されたのか、どのようなものがあるのかお伺いをしたいと思います。会計検査院指摘もあるわけでございますので、御答弁いただきたいと思います。
  97. 八幡恒二

    参考人(八幡恒二君) お答えいたします。  御指摘関連団体随意契約については、これまでも毎年見直しを実施して競争契約の推進に取り組んでまいりました。特に、十九年度は競争契約率を五ポイント向上させ、金額で言えば前年度二十八億から九十四億円へ拡大してきました。さらに、この二十年四月には、番組制作を除いた契約について企画競争の拡大や公募で新たな競争相手を求めるなど、新たな随意契約の見直し計画を公表して、関連団体を含めた随意契約の適正化に取り組んでいるところであります。  また、次期経営計画を取りまとめる今年の九月までに、グループ経営の在り方、併せて関連団体との随意契約について更に検討してまいります。特に、随意契約の七割を占めます番組の企画制作についても、今後さらに、企画の公募や審査の透明性などルールを整えて、NHK本体、関連団体、外部制作会社の三者による企画競争を順次拡大していくことを検討しているところであります。  以上でございます。
  98. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 また、その見直し計画によれば、今までは関連団体との三千万円を超える随意契約についてホームページなどで公表されていたようでございますが、今後は工事や製造については二百五十万を超える契約、あるいは物件の借入れについては八十万を超える契約、こういうふうに公表基準が見直されているわけでございますが、これは今後だけなんでしょうか。あるいは、やはり透明性とか公平公正性、そういうことから考えると、ある程度過去にさかのぼってお知らせいただいた方がこの趣旨にかなうのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  99. 八幡恒二

    参考人(八幡恒二君) お答えいたします。  関連団体の二百五十万を超える公表については、今、十八年度から公表しております。今御指摘の十七年度以前については、これはデータ整理にかなり膨大な作業が掛かるものですから、まず国と同じレベルで十七年度分について実施、検討して、公表をまず進めていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  100. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 先ほどお話ございましたNHKの次期経営計画、この中に、収入の低い高齢者に対しては割引、免除などを検討するという項目がございました。  今NHKさんでも大変放送していただいております後期高齢者の皆さん、あの人たち、我々の世代あるいはもっと若い人たちよりもデジタルデバイドの比率が多分でかいんだろうというふうに思っておりまして、一概にはもちろん言えないわけでございますが、そうなると一気に、パソコンということよりも、文字どおりテレビが情報取得のライフラインというべきことになるんだろうなと。今保険料月額千円が高いとかいろいろあるわけでございますが、こういう収入の低い高齢者にとって月額千三百四十五円の受信料というのが高いのか安いのかという、そんな議論になるだろう。  だから、次期経営計画の中で、この割引・免除制度を導入する、非常にこれから高齢社会へどんどんなっていく中で大事なポイントだというふうに思っているところでございますが、先ほど九月みたいなこともちらっと出ましたけれども、今の検討状況について御報告をいただきたいと思います。
  101. 大西典良

    参考人(大西典良君) お答えいたします。  NHKではこれまで、公的扶助を受給されている方、それから収入の低い障害者の方を対象とした免除を実施してきました。また、高齢者についても、特別養護老人ホームなどの社会福祉施設に入居されている方が設置するテレビなどについては受診料の免除として、対象としてきました。先ほど先生の質問にありました収入の低い高齢者については、視聴者からの要望もあり、公的扶助を受給している方以外についても割引、免除などを検討することを先日公表した次期経営計画の中間的な取りまとめの中に記載しました。具体的な対象や実施時期については、全体の収支を見極めた上で次期経営計画をまとめる平成二十年の九月までに結論を出していきたいというふうに思います。  以上でございます。
  102. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  103. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  まず、古森経営委員長質問をさせていただきます。  四月八日の経営委員会において、去る二月二十六日、武藤容治自民党衆議院議員を励ます会に古森委員長出席された問題が議論されておりますけれども、どのような議論がなされてどのような結論になったのか、御報告いただけますでしょうか。
  104. 古森重隆

    参考人古森重隆君) 四月八日の経営委員会におきまして、私から経営委員全部に報告いたしまして、経営委員会の見解をまとめました。  経緯につきましては、三月三十一日のこの総務委員会でも御説明したとおりでございますけれども、武藤さんは、武藤氏は、富士フイルムに十年以上勤めた方でございまして、当社の総務課を通じて出席したものでありますこと、そして、自己紹介の中でといいますか、実は司会者から紹介がありまして、富士フイルムの社長と同時にNHKの経営委員長と紹介がございましたものですから、私は今日は富士フイルムの社長の立場で出ております、武藤さんとはしかじかかくかくの関係でということを一つ申し上げたときに、私は紹介がありましたようにNHKの経営委員長もしております、NHKをひとつよろしくお願いしますと、まあ言わなくてよかったんですけれども、これを言うと皆さんわっときたりすることが多いものですから、つい言ってしまいました。ということでございます。具体的に何かお願いしたものではなくて、そういうことでございます。  さらに、経営委員長立場で武藤先生を、武藤さんをどうぞよろしくというふうに申し上げたわけではなくて、NHKをよろしくと申し上げたわけで、武藤さんに対しては、いろいろ政治的課題もたくさんあるでしょう、しっかり頑張ってくださいというお話を申し上げたことにとどまりました。念のために申し添えます。  それからさらに、経営委員会では、経営委員長の職務においては、不偏不党、政治的公平の立場を堅持しておりますと、企業の社長と委員長立場は切り分けていると申し上げたということも報告いたしました。  この報告を経営委員会受けまして、放送法上、一民間人として励ます会に出席することまで禁止されているわけではなく、経営委員会の職務を遂行する上で、不偏不党を遵守している、又は遵守していれば問題ないと見解をまとめまして、これは公表いたしました。  以上であります。
  105. 山下芳生

    ○山下芳生君 私は、不偏不党、政治的に公平であるべき、またあらねばならない公共放送NHK管理監督すべき立場にある経営委員長が特定の政治家の励ます会の発起人となり、出席し、あいさつするというのは、国民視聴者に誤解を与えることになり、慎むべきであると考えますと三月三十一日の当委員会でも申し上げたんですが、同時に、この武藤容治議員はNHKにとっては普通の議員ではないと私は考えます。NHKを国営放送と位置付ける必要があると主張をされている方で、放送産業を考える議員の会のメンバーであります。  武藤容治衆議院議員、公式ホームページを見せていただきますと、二〇〇六年に、国営放送の位置付けが必要であるという認識から放送産業を考える議員の会を立ち上げ、今後国営放送のあるべき姿など提言していくことになりましたというふうに書いてありますが、こういう議員だということを御認識されていたんでしょうか。
  106. 古森重隆

    参考人古森重隆君) 先ほど言いましたような経緯で出席を引き受けましたために、武藤さんの、武藤議員のNHKに関する主張については知りません、後で知りました。出席した時点では承知しておりませんでした。
  107. 山下芳生

    ○山下芳生君 出席した時点では御存じなかったということですが、NHKを国営放送と位置付ける必要があるということですから、国営放送とは何ぞやといいますと、一般的には国家によって直接運営される放送局、又は国家権力によって国民に対して強い統制を掛けて行われる放送と理解するのが一般的であろうかと思います。これは、現在の公共放送としてのNHKとは相入れない考え方だと言わなければなりません。ですから、こういう考え方を持つ議員の励ます会に現職のNHK経営委員長が発起人となり、あいさつするのは、私は問題だと思います。  御存じなかったということですが、現在そういう議員だということをお知りになった上で、出席されたことを反省し、今後は、こういう経歴をお持ち、また考え方をお持ちの方でありますから、古森さん自身が経営委員長である時期は出席を見合わせるのが当然だと思いますが、いかがでしょうか。
  108. 古森重隆

    参考人古森重隆君) 私企業の社長という個人立場と、経営委員長としての職務というのは、私の場合には切り分けなければいけません。そういう切り分けという立場の中で考えておりますから、私はこの問題は大きな問題ではないというふうに考えております。  以上でよろしいですか。今後、今後のことですか。
  109. 山下芳生

    ○山下芳生君 今後。
  110. 古森重隆

    参考人古森重隆君) 今後のことは、呼ばれるかどうか分かりません。仮定の問題にはお答えできません。
  111. 山下芳生

    ○山下芳生君 仮定の問題じゃないんです。今後の前に、そういうNHKを国営放送として位置付ける必要があるということを議員の会をつくられた中心メンバーの一人なんですね。そういう方に、現職の公共放送NHKとして、国民を代表して管理監督するあなたが行ったということ自身、私は、知らなかったとはいえ反省する必要があると思いますし、今後は呼ばれるかどうか分からないじゃなくて、呼ばれたとしても行きませんというのがこれは普通だと思いますが、どうですか。
  112. 古森重隆

    参考人古森重隆君) 先ほどお答え申し上げたとおりであります。
  113. 山下芳生

    ○山下芳生君 ということは、あれですか、国営放送と位置付けるという武藤さんの励ます会の発起人になったこと、あるいは参加されたこと、今でも、現在でも、そういう方だということを知った上でも間違いではなかったと、反省する必要はないとお思いなんですか。
  114. 古森重隆

    参考人古森重隆君) 毎回申し上げておりますとおり、私の個人的な立場と経営委員長立場というのは切り分けなければ、私は社会に存在し得ません。そういう意味で、完全に切り分けたつもりでおります。  ただし、武藤さんの考え方に賛成したからということで参加したわけではありません。あくまでも富士フイルムのOBということでございましたから参加したということであります。
  115. 山下芳生

    ○山下芳生君 それは通用しないんですね。古森さんはお一人なんですから。富士フイルムの社長であると同時にNHKの経営委員長なんですから。ですから、行ったら司会者の方が、意図してはなかったんでしょうけれども、古森さんは、NHKの経営委員長ですと紹介されるんですよね。だから、公式には、公的には、世間では古森さんはNHKの経営委員長なんですよ。その経営委員長が、NHKを国営放送として位置付けるべきだということを公式に議員の会で中心的に活動をされている方に、これは深い関係になっていくというのは、私は世間では通用しないと思うんですよ。その通用しないということを自覚されないんでしょうか。もう一度確認します。
  116. 古森重隆

    参考人古森重隆君) 何と言ったらいいんでしょうか。そうですね、関係がないことはありません。そういう意味で考えていけば、関係はないことはないというふうには思います。  ただし、私はあくまでも経営委員長としての職務は中立公正でやっているつもりであります。それは今後もそういうふうに続けていくつもりでありますから、それ以上のお答えはできません。
  117. 山下芳生

    ○山下芳生君 それはおかしいでしょう。中立公正であろうとすれば、国民から見て中立公正だと思われなければ、NHKの放送に対する不偏不党性が信頼が揺らぐんですよ。私はそういう問題として前回も提起した。  その後、今、武藤さんという方がどういう方か、国営放送としてNHKを位置付けるべきだと主張し活動している中心的な方だということが明らかになったら、私は、個人的な関係が、かつて同じ社員だったということまで消し去りなさいとは言っていません。しかし、武藤さんという議員がNHKを国営放送として位置付けるべきだと言っている方だという以上、そして古森さんが現職のNHK経営委員長、不偏不党であるべきNHK管理監督する、国民を代表して、立場にある責任者である以上、これはやはり相入れないじゃありませんか。それを、それ以上言えないとかという認識なんですか。ちょっと深く考えていただきたいですよ。
  118. 古森重隆

    参考人古森重隆君) そうですね、これ以上は言えませんですね。  彼はそういうふうに考えているかもしれないけれども、私は必ずしもそう考えていない。彼はそういうことを言ったから、彼との関係を一切絶つわけにはいかない。(発言する者あり)だから、だから、十年も勤めていましたから私は出たわけであります。  ですから、私は彼の考え方を知っての責任ある行動ではありませんし、私的な立場でありますから、関係がないと申し上げている。関係がないと言わざるを得ないじゃないですか。そうでしょう、違いますか。
  119. 山下芳生

    ○山下芳生君 関係がないと言えない立場NHKの経営委員長になった以上、立たれているんですよ。もしそれが本当にこれだけ繰り返し意見を伺っても自覚されないというんだったら、これは私はNHK経営委員長としての資格が問われてくると言わざるを得ませんね。  もう一度聞きますけれども、いかがですか。
  120. 古森重隆

    参考人古森重隆君) 毎回申し上げますけれども、私は経営委員長としては中立公正の立場で臨みます、今後も臨みます。それ以上のことは言えません。
  121. 山下芳生

    ○山下芳生君 極めて残念な御答弁しか返ってこなかったというふうに申し上げたいと思います。  そういう姿勢を国民の皆さんが聞いて、NHKの不偏不党というのが本当にどこまで貫かれるのかという私は疑念を持ち、信頼を低下させることになりはしないかということを指摘しておきたいと思います。  次に、福地会長に伺いたいと思います。  先ほども議論がありました、五月二十日、当委員会で行われたNHKスペシャルをめぐるやり取りです。私もその場におりまして、福地会長が御退席された後、少し発言をさせていただきました。NHKスペシャル「セーフティーネット・クライシス」の感想を述べた上で、こうした番組から政治の責任と役割を重く受け止めるのならともかく、あたかも取材先に問題があるかのような発言で番組制作を萎縮させるような行いこそ公正性を欠き、政治的介入になると一言申し上げた次第であります。  先ほど福地会長は、同僚委員質問に答えられて、この番組については現状を取材した上で三人の関係者に討論してもらい、公平性は確保しておると明確に答弁されました。また、放送の不偏不党にのっとった取材、編集をしなければならないとしつつ、憲法に保障された思想、信条の自由が職員にも保障される旨御答弁されました。どちらも非常に重要な御認識だと思います。  そこで、五月二十日の当委員会における自民党委員質問の中では、偏った取材、偏った編集というふうな疑念があるということをお言いになった上で、NHKの内部の調査をしてみる必要もあるとの発言まで飛び出したわけであります。私は、非常に公平公正な番組であったという先ほどの会長の御認識からすれば、かつてハリウッドで吹き荒れたような赤狩り、悪名高い赤狩りですね、こういうことにも通じるような思想、信条の自由やあるいは言論、表現の自由を侵害するような行いはやるべきじゃないと思うんですが、ここで出された問題ですから、NHKの会長としてはきっぱりそのことははねのけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  122. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 私は会長就任以来、不偏不党ということを絶えず言ってまいりました。しかし、私は今の立場上、全番組をチェックすることは不可能でございますので、放送分野につきましては放送総局長業務を分掌しております。しかし、それだけでは無責任でございますので、やはり自分の主義主張といいますか、これは放送法の心がどれだけやっぱり現場で実施をされているかということをやっぱり自分の目で検証する必要があるということで、いろんな番組ございますけれども、私がとりわけ関心を持っておりますのは、今も話題になっておりますNHKスペシャルです。NHKスペシャルについて、担当局長にシーズはどのぐらいあるんだと、このぐらいの厚さのシーズを持って、一枚ずつですからかなりあります、それだけ多くの中から、ちゃんと提案書の中から選ばれているんだな。  じゃ、その一枚一枚の提案書について、どういうふうな企画と申しますか、既に提案の段階で取材がなされておりますけれども、取り上げた企画の中で更に追加をして取材をしていくわけですが、どういうふうな形で取材ができているかということは、企画会議にこれは黙って飛び込みまして、予約せずに飛び込んで、そこで二十人以上の職員が、いろんな立場職員が極めて活発な意見、いろんな立場からの意見を闘わせておるのを見まして、あっ、こういった両方の意見がこういった場で闘わされているんなら大丈夫だというふうに私は安心いたしました。  また、そういった、今度、企画が進みまして次の段階は、処理した映像を編集していく段階ですが、どういうふうな映像にしていくかと、それは別の機会に、また別の編集会議にこれも黙って飛び込みました。そこでは、粗撮りしたというんでしょうか、フィルムを、映像を何分かに、所定の時間に編集していく、その編集の現場の中でやっぱりこれも十数人の職員が極めて熱心な討議をしております。  そういった中でNHKスペシャルができ上がっていくんだという、例えば一例でございますけれども、そういったものをかいま見ることができました。別の機会に解説委員室にも飛び込みまして、あの解説、ニュース解説というのがどういうふうな討議の中でということも検証してまいりました。  以上でございます。
  123. 山下芳生

    ○山下芳生君 会長自らいろいろ現場に飛び込んで放送の不偏不党、また放送の自由というものがどのように行われているのか、現場を直で見られるというのは大変いいことだと思います。  ただ、そのときに、この間のやり取りを通じて少し私が心配したのは、そういうふうに会長が現場にいろいろ行く中で、間違っても思想調査みたいなことに感じられたら、これは逆に萎縮するというふうに思いますので、伸び伸びと自由に仕事がされるように、当然そういう会長の視察には配慮といいますか気の配り方が大事だと思いますが、いかがでしょうか。会長どうぞ。
  124. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) その辺を一番心しておりまして、私が出ていきますのは討議の状況を見ていくのでありまして、私の意見をそこに差し挟むようなことはいたしておりません。  ただ、私が申し上げますのは、編集権の自律という権利は不偏不党という意味で担保されなければならない、編集権の自律の下に何を言ってもいいんじゃないんだよということは念のために申しております。  以上です。
  125. 山下芳生

    ○山下芳生君 それは私も理解しておるつもりなんですが、同時に、放送法にある放送の不偏不党というのは、国家が放送あるいは放送事業者を縛るための手段として使われては絶対にならないと。国家や政党、特に政権党の介入から放送事業者の表現の自由を守る手段、逆に言うと国家を縛る手段として放送の不偏不党、放送の自由というものが戦前の痛苦の教訓から導き出されていると。この理解はやはり何をもって不偏不党とするのかという点で非常に大事だと思うんですが、その点、確認したいと思います。
  126. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 政治的にまずは不偏不党の中立を確保することだと心得ております。
  127. 山下芳生

    ○山下芳生君 終わります。
  128. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  冒頭に、先ほど加藤委員から委員長に対する質問がございまして、委員長から見解が述べられた。特に、我々、委員会における発言がNHKの放送番組編成、編集の自由を侵害しているのではないかとの疑念を招いたり、番組制作萎縮をさせることがないよう、より慎重かつ注意深く質問に当たることが求められております。委員長としては、この際、この点につきまして改めて委員各位に認識を深めていただきたいと考えておりますという、このくだりを含めて委員長の見識に感謝を申し上げると同時に、先ほどは拍手万雷でございましたから、心してお互い臨んでいきたい、このことをまず冒頭に見解表明をしておきたいと思います。  そこで、インサイダー取引事件については私は去る三日のこの委員会でも質問をいたしまして、究極は公共放送機関としての職員のモラルに係る部分が多いのではないか、最高幹部は職員の末端に至るまでそのための対話を十分にして合意形成を図ってほしい、こう申し上げました。誠実な会長からの御答弁をいただきましたので結果は注視をしてまいりたい、このように思います。  その上で、前回紹介しましたが、職員のモラルの低下の背景には、最高幹部における公共放送としての独立性の喪失があったという有識者の指摘もまた想起しておいていただきたい、この点も申し添えたいと思うんです。  そこで、お伺いするんですが、同じインサイダー事件を起こした野村証券では、社長以下役員の減給処分を行いました。減給がいいか悪いか、そのことよりも問題は、就任したばかりの福地会長にそのようなことを私は求めるわけじゃありませんが、ただトップとしての責任についてどのようにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
  129. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) NHKといたしまして今回のインサイダー事件を極めて深刻に受け止めております。そういったこともございまして、橋本前会長が任期が終わる直前にその責任を負って辞任をいたしました。報道担当理事らも責任を取って辞任をしております。また、今の役員も十七年以来ずっと、これは報酬カットといいますか、報酬カットをもうベースにしておる、そういうふうな状態でございます。  私は、会長に就任した当初から不偏不党を貫くことと、それから公共放送として変えてはならない基本的な姿勢だとしましてその重要性を繰り返し強調してきておりますが、私といたしましては、こういった私の考え方を職員に徹底いたしまして、モラルを向上させるとともに、コンプライアンス意識組織の中に浸透させることが私の会長としての責任を果たすことだというふうに心得ております。  以上です。
  130. 又市征治

    ○又市征治君 是非しっかりと頑張っていただきたいと思います。  このインサイダー事件の背景には、NHKに限らず、広く事業所におけるネット社会の現状というのがあります。つまり、職場ではほぼ一台ずつ与えられたパソコン、インターネットの上に社内、社外の大量の情報が流れているわけでありますし、それを活用することが業務上求められているという職場環境にあります。また、パソコンの使用が業務上であるのか私的行為なのか判然としないという、こういう現状もございます。  こういうネット社会においては、インサイダーやそれに近い情報私物化の誘惑というのがNHKに限らずどこの会社でも起こり得る、特に公共性を看板にしてNHKが集めた確度の高い情報というのは金銭的価値にもなり得る、こういうことなんだと思うんですね。しかし、だからこそ私物化が許されるんではなくて、国民の共有財産だという高い倫理観を持って公共放送にふさわしい番組作りに専念されるようにこれは求めておきたい、よろしくお願いしたいと思います。  そこで、決算から若干離れますが、NHKの扱うコンテンツの在り方について伺っておきたいと思います。  総務省の研究会が昨年十二月に最終報告書を出して、放送と通信を一本化した情報通信法を作って、これまで規律のなかったインターネット上の違法・有害情報対策を行うというふうにしています。これに対して、メディア関係者からは、コンテンツへの規律が言論、表現の自由を侵害するおそれがある、また行政が規律するメディアとしないメディアを分類するのは公権力の介入につながるんではないかなどなどの意見が出されていることは御承知のとおりであります。当面は、放送局については特別メディアとして規制の除外とされているようですけれども、NHK立場としてコンテンツの規制の可否等について御意見を伺うわけですが、つまり放送局がネット配信によってニュースや番組を出す場合、その内容については既に現行の放送法で自己規制規律があるわけですから、それ以上更に別の法規によって具体的に政府に規制されるべきではないというふうに考えるのは至当だと、こう思うんですが、そのお考えはいかがですか。
  131. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) ネットコンテンツへの在り方はいろいろな議論があるかと思いますが、一般的に言いますと、情報内容への規制は表現の自由との関係もございますし、仮に認める場合でも、最小限にといいますか、例外的であって、必要最小限にとどめなければいけないと考えます。  放送でもこのことは同様でございまして、NHKでは、規制によるのではなくて、自主的、自律的な編集判断によって良質な番組を視聴者にお届けするように努めてまいります。
  132. 又市征治

    ○又市征治君 こう申し上げたのは、今日、多分、内閣委員会審議をされている青少年有害情報対策法案の準備段階において、発案者のお一人から、残虐な情報との条項について、これは戦争報道などを想定しているんだという発言をしたというのが聞いております。私は、以前に、NHKにイラク戦争における米軍への従軍取材ならぬ従属的な取材条件についても問題だということを申し上げてまいりましたが、戦争の残虐さ、悲惨さを伝えることこそ報道の使命である、このように思います。  ネットコンテンツ規制の一環、青少年対策という口実で、例えば、じゃ原爆などの問題をどう扱うのか。少なくとも、この戦争の悲惨さ、残虐さ、こういう映像を排除、除外するという規定が作られるとしたら、一体NHKはどうなさるのかお伺いしたいと思う。
  133. 日向英実

    参考人(日向英実君) NHKは、従来から戦争の問題については継続的に取り組んでまいりました。これは、この姿勢はこれからも変わりません。
  134. 又市征治

    ○又市征治君 聞こえない。
  135. 日向英実

    参考人(日向英実君) はい。  表現については、NHKは国内番組基準それから放送ガイドラインというのがございます。その中に、表現についての注意事項、それから自主的に決めた、例えば過度に残虐な映像を使わないとか、そういう基準を定めております。その範囲の中で我々はやっていきたいというふうに思っております。
  136. 又市征治

    ○又市征治君 自主規制いろいろのことをやっておいでになるんですが、従来どおりの姿勢はやっぱりしっかり堅持をして頑張っていただきたいと、こう思います。  総務大臣出席になっているんですが、答弁の機会がなくて大変退屈だろうと思いますから、総務大臣に一つお答えをいただきたいと思っています。  一方で、最近、例えば硫化水素自殺について短時間で方向性を示すことも可能だという、つまり有害情報か否かの判断を行政や諮問機関がどんどん即決できるかのような発言もこれあるわけですね。青少年有害情報対策法案については、総務省は今の段階でコメントできないというのでこれは質問いたしませんが、何が有害情報であるのか、それが憲法二十一条の保障する表現の自由であり、放送法の趣旨でもありますけれども、権力による規制、判断というのはこれはやっぱり極力排除すべきだということだと思うんですね。  大臣、そこで、今後の行政や立法作業において、また何々推進会議だとかということの形を受けて有害情報の内容を決める指針を出すなど、表現の自由に干渉するようなことは、これはもう当然お考えないんだろうと思うんですが、そこらのところのお考えをお伺いしておきたいと思います。
  137. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 違法・有害情報をどうするかというとき、違法なものはきちんと規制しなければいけないんですが、今お話しあったような有害、これは何が有害かというのは、これは定義が大変難しい。それで、私ども総務省としては、そういった有害性というのは第三者機関が、私どもが関与しない第三者機関が判断すべきではないかということでいろいろ御意見申し上げた過程もございます。  したがって、今の点については私どもそういう考え方で臨んでいるということを申し上げますと同時に、あと、先ほど引用していただきました、昨年十二月私どもがまとめた、研究会でございますけれども、研究会の中でもコンテンツ規制について最も重要視すべきはこの表現の自由を確保することだと研究会にもはっきりと書かれておりますので、私どもはそういった研究会の考え方というのも当然受けて、それを重視して今後も行政を行っていきたいと、こういうふうに考えております。
  138. 又市征治

    ○又市征治君 先ほど、委員長の見解を私高く評価をすると申し上げました。委員長は当総務委員会の使命についても述べているわけですが、そういう意味では、総務委員会の使命ということは総務省の使命でもあるということでも私あると思うんで、是非大臣にそこらのかじ取りはしっかりとお願いをしておきたいと、こう思います。  NHKに重ねてお伺いをいたしますが、昨年九月にNHK関連団体について検査院報告が出ております。端的に言えば、利益を子会社にため込んできたという批判があったので、二〇〇八年に特例配当させてNHK本体にも還元をさせた、だけどまだ甘いからもっと締めろというふうに私には読めてしようがない、会計検査院指摘がですよ。  そこで、まず、二〇〇五年、二〇〇六年度に子会社、関連会社が行った配当額、その上位三社の名前とその金額、本社への配当額、それと、配当以外でNHK本社が子会社などから得た副次収入の額、主な内容をちょっと御紹介をいただきたいと思います。
  139. 溝口明秀

    参考人(溝口明秀君) まず、配当の方から申し上げます。  子会社の十七年度決算に基づく十八年度の配当、配当総額で四十九億円であります。このうちNHK受取が三十六億円というふうになっております。それから、上位三社ですが、NHKエンタープライズが二十五億円、NHK情報ネットワークが十三億円、NHKエデュケーショナルが五億円となっています。  続きまして、十八年度決算に基づく十九年度配当の総額です。こちらは三十三億円、NHKの受取額は十八億円です。こちらも上位の配当総額でまいりますと、NHKアイテックが十七億円、NHKエンタープライズが三億円、NHKテクニカルサービスが二億円というふうになっております。  なお、十九年度決算に基づく今年度の配当ですが、総額で七十三億円、NHK受取額が五十三億円と、これを予定しております。  したがって、子会社の配当について、財務状況に応じて特例配当を含む配当を積極的に行うという方針を十七年度に決めまして、十八年度から実施しているわけですが、十八年度—二十年度のこの三か年ですね、この配当の総額は百五十六億円、NHKに入ってくる受取の額ですが、これが百六億円と、こういうことになります。  あと一方、副次収入です。十七年度の副次収入の総額は八十九億円。主な内訳ですが、DVDですとか海外への番組販売、関連書籍といった放送番組の多角的活用というジャンルがございますが、これが五十四億円を占めています。続いて、関連団体NHKの施設を使った利用料、施設利用料と言っていますが、これが十一億円というふうになっております。続いて、十八年度の副次収入の総額ですが、八十八億円。主な内訳は、前年と同様番組の多角的活用五十四億円、施設利用料十一億円というふうになっております。ちなみに、十九年度は九十二億円ということになっています。
  140. 又市征治

    ○又市征治君 中身はいいですから。  改善をされてきたから今挙がった数字が出てきたということだと思うんですね。  NHKは受信料で成り立つ公共放送ですから、子会社利益をため込んだということじゃ、これは困るわけで、隠しちゃならぬと、こう思います。しかし、子会社から搾れるだけ搾り取って本社に利益上げりゃいいというものでもこれまたないんですね。  NHKは一貫して人員削減を行って、その多くが子会社などに行っているという例があります。検査院は、子会社へ行った人に本社並みの給料を払っていると指摘していますが、これは一体悪いことなのか、私はどうもこれも疑問だと。むしろ同一労働同一賃金のために子会社の労働者にも正当な賃金を支払うべきであって、賃金差別をして配当の形で本社に吸い上げればいいというのは、これこそが公正さを欠くんではないか、こういうふうに思っています。まさか会計検査院、賃金の二重構造を奨励しているわけではないと思いますが、この御指摘の趣旨を御説明ちょっといただきたい。
  141. 高山丈二

    説明員高山丈二君) お答えいたします。  会計検査院は、今回の日本放送協会に関する検査要請に係る検査を行うに当たりまして、視聴者からの受信料収入財源としている協会財政状況改善させるために実施された定員削減を背景とする出資対象事業の拡大及びこれに伴う子会社等への業務委託の増大が協会の経費効率化、ひいては協会財政への寄与等の目的に沿ったものになっているかという視点から検査をいたしました。  この点について検査いたしました結果についての報告書の趣旨でございますが、子会社職員の給与を低く抑えるべきであるとかということではございませんで、業務委託に従事している協会からの出資者の人件費については協会での給与をそのまま委託費として支払っていることから委託費の削減につながっていないとしたものでございまして、当面、子会社随意契約による業務委託を継続せざるを得ない場合であっても、委託従事者に占める出向者の割合を減少させるなどして委託費を削減することに努める必要があるというものでございます。  したがいまして、報告書では、子会社職員の給与の水準までには言及しておりませんで、今御指摘の給与の二重構造を奨励している趣旨ではないものでございます。
  142. 又市征治

    ○又市征治君 それに関連しまして、私はどの産業、企業、公務部門であれ、子会社、外郭団体の労働者の賃金が低くていいという考え方にはもう大反対であります。賃金は、今お話がございましたように、会計検査院の主眼であるべきは不正な支出であるとか無駄な事業、そういうことを正すということでありますから、賃金問題とは別だと思うんですね。適正な賃金、社会的公正さの観点を失って、委託は安くて当たり前だ、もっと安くしろという、このような風潮が今や世間一般にありますから。しかし、これは会計検査院としては是非とも、今御趣旨述べられましたけれども、社会全体の低賃金化、非正規労働化を推奨するようなことがあってはならない、そういう姿勢ではないということに今ございましたから、是非そういう立場を貫いていただきたい。このことはNHKに限らず、すべての会計検査に必要な観点でございますから、その点を重ねて会計検査院にはお願いを申し上げておきたいと、このように思います。  いずれにいたしましても、今日も論議、NHKがまさに公正公平、政治的中立、こういう立場で良質な報道番組を作っていただく、このことがみんな述べられている中身でございますから、引き続きそういう方向で会長以下御奮闘いただきますようにお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。     ─────────────
  143. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、泉信也君及び世耕弘成君委員辞任され、その補欠として佐藤正久君及び牧野たかお君が選任されました。     ─────────────
  144. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 他に御発言もないようですから、両件に対する質疑は終局したものと認めます。  これより両件について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  145. 山下芳生

    ○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、NHKの二〇〇五年度、二〇〇六年度決算に対して反対の意見を述べます。  〇五年度NHK予算案については、不正経理事件に加えて、ETV二〇〇一「問われる戦時性暴力」番組への政治介入が明らかになる中で、大幅な受信料の落ち込みが予想されていました。我が党は、受信料の支払拒否、保留数が大幅に増えていることを指摘し、実態を反映した予算案ではないと批判しました。しかし、NHKは、落ち込みが予想を上回った場合はシビアな予算管理をその段階で行っていきたいと言って、受信料の落ち込みを的確に反映しない予算案に固執したのであります。したがって、我が党は反対しました。  決算において明確なように、支払拒否・保留数は過去最高となり、受信料はNHKが見込んだ額より大幅に落ち込み、四百五十四億円も減収になりました。その結果、国内放送費が当初予算額から三百四億円も削減される事態となりました。受信料の落ち込みは予算編成の段階から十分予想されていたにもかかわらず、手だてを打たなかったNHK執行部の姿勢が問われているものであります。  また、〇五年、〇六年は、不正経理事件やETV二〇〇一「問われる戦時性暴力」の番組改編への対応についてNHK執行部の姿勢が鋭く問われていました。しかし、NHK執行部は、不正経理事件や政治介入による番組改編という重大な問題に真摯に向き合おうとせず、不正経理は解決済み、政治介入による番組改編はなかったという姿勢に終始したのであります。今も基本的に変化は見られず、遺憾であると言わなければなりません。  なお、〇五年度、〇六年度は、日経職員インサイダー取引が発覚し、逮捕された時期でもあり、NHK記者によるインサイダー取引が行われた時期でもあります。NHK執行部は、日経職員インサイダー取引の教訓に学ばず、全くの無策のままでした。この問題でもNHK執行部の姿勢が厳しく問われる時期の決算であることを指摘し、討論を終わります。
  146. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより両件の採決に入ります。  まず、日本放送協会平成十七年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書について、これを是認すべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  147. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 少数と認めます。よって、本件は賛成少数により是認すべきものでないと決定いたしました。  次に、日本放送協会平成十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書について、これを是認すべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  148. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって是認すべきものと決定いたしました。  なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  150. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  携帯音声通信事業者による契約者等本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会警察庁長官官房政策評価審議官樋口建史君外四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  152. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  携帯音声通信事業者による契約者等本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会日本郵政株式会社専務執行役米澤友宏君を参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  154. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 携帯音声通信事業者による契約者等本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  提出者衆議院総務委員長渡辺博道君から趣旨説明を聴取いたします。渡辺博道君。
  155. 渡辺博道

    衆議院議員(渡辺博道君) ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の理由及び内容を御説明申し上げます。  本案は、最近、いわゆる振り込め詐欺等の犯罪において、携帯電話端末の契約者特定記録媒体、いわゆるSIMカードや貸与業者から借り受けた携帯電話端末が頻繁に悪用されている実情にかんがみ、携帯音声通信役務の不正な利用の防止を図るため、SIMカードについて携帯電話端末と同様の規制を課すとともに、携帯電話端末等の貸与業者について、貸与時における本人確認の義務を厳格化した上、当該本人確認の記録の作成及び保存を義務付けようとするものであります。  その主な内容は次のとおりであります。  第一に、契約者特定記録媒体について、その譲渡時に携帯音声通信事業者の承諾を得る義務等、通話可能端末設備と同様の規制を課すこととしております。  第二に、通話可能端末設備及び契約者特定記録媒体の貸与業者は、通話可能端末設備等の貸与契約を締結するに際しては、貸与の相手方について、運転免許証の提示を受ける方法等により氏名、住所等の本人確認を行わずに通話可能端末設備等を交付してはならないこととしております。  第三に、通話可能端末設備等の貸与業者は、貸与時本人確認を行ったときは、総務省令で定める期間内に貸与時本人確認に関する事項の記録を作成しなければならないこととするとともに、当該記録を貸与契約が終了した日から三年間保存しなければならないこととしております。  第四に、国家公安委員会は、携帯音声通信役務の不正な利用を防止するために携帯音声通信事業者が講ずる措置に資するため、携帯音声通信事業者に対し、役務提供契約の締結の際の本人特定事項の隠ぺいに係る手口に関する情報の提供を行うこととしております。  第五に、国及び地方公共団体は、携帯音声通信役務の不正な利用の防止の重要性について国民の理解を深めるため必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととしております。  第六に、通話可能端末設備等の貸与業者が貸与時本人確認を行わずに通話可能端末設備等を交付したとき、貸与時本人確認記録を作成しなかったとき等について、罰則を科すこととしております。  なお、この法律は、交付の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上が本案の提案の理由及び内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  156. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  157. 内藤正光

    ○内藤正光君 民主党の内藤正光です。  これから法案について質疑をさせていただくわけでございますが、その前に一言申し上げたいことがあります。この法案は委員長提案です。中には、委員長提案というのは全会派が一致して出した法案だから質疑は必要ないのではないのかというような指摘もございます。しかし、私はそれは違うと思います。法案の運用については、あくまで委員会審議を通じて出された様々な答弁、これがベースになるわけでございます。こういった審議もないまま、もっと言えば答弁もないまま法案を通過してしまうということは、その運用については官僚にすべて白紙委任をしてしまうということになりかねないわけでございます。ですから、私は、その運用の在り方についても責任を負う、これが国会の責務であり、私は参議院の見識だと思います。そのことを申し上げた上で、幾つか、何点か確認をさせていただきたいと思います。  まず、警察庁にお伺いをしたいと思います。  法案改正の背景についてお伺いしたいわけでございますが、この法案は平成十七年度に立法化されたわけでございます。その際、つまり現行法なんですが、レンタル携帯電話の貸出し時の本人確認手続は売り切り時に比べてかなり甘かったわけでございます。それを今回、レンタル携帯電話の貸出し時における本人確認手続を厳格化しようとするものであるわけでございますが、そのように変更をした、改正をしたというか、改正をしようとするその背景について説明をしていただけますでしょうか。
  158. 樋口建史

    政府参考人(樋口建史君) お答えをいたします。  振り込め詐欺の現状について、簡単にまず申し上げたいと存じます。  比較的これは新しい形態の犯罪でございまして、出始めましたのが平成十五年の夏ごろからでございました。短期間に急増いたしまして、平成十六年、翌年には認知件数が二万五千七百件、被害総額が約二百八十四億円に達しまして、これまでのピークを記録したところでございます。  その後、摘発、検挙の努力はもちろんのことでございますけれども、立法措置等のいろいろな対策を講じていただきまして、また我々も努力をいたしまして何度も減少に転じた時期があったのでございますけれども、残念ながら一進一退の、ここのところは高止まりの状態でございました。今年に入りましてからは、もう五か月が過ぎますけれども、明らかな増加傾向を示しておりまして、極めて遺憾なことでございますけれども、一月から四月末までの被害総額が約百十二億円でございます。これは過去一月—四月の統計としては最悪の状況にございます。  これらの振り込め詐欺には不可欠の犯罪ツールがありまして、不可欠の犯罪ツールといたしましては、だれが使っているのか分からない状態になった、つまり匿名化した携帯電話が使われているのでございますけれども、平成十九年中に振り込め詐欺の捜査の過程で犯行に使われたものとして把握した匿名化した携帯電話のうちの約四分の一がこのレンタル事業者からのレンタルされた携帯電話でございました。  このレンタル事業者に対しましては、現行の携帯電話不正利用防止法におきましても顧客の本人確認義務が課されているのでありますけれども、本人確認記録の作成でありますとか保存義務が課されておりませんために違反行為の摘発、検挙が困難な現状にございます。このような現状を踏まえまして、今回、本人確認手続の厳格化の改正の御検討がなされているものと承知をいたしております。  今回のこの改正が行われますれば、悪質なレンタル事業者の摘発、検挙の強化が可能となります。ひいては、匿名化した携帯電話という主要な犯行ツールの供給の遮断に大きな効果が期待できるものと考えております。
  159. 内藤正光

    ○内藤正光君 分かりました。法案改正の必要性については十分理解をいたしました。  さて、次に、改正案提出者に確認をさせていただきたいと思います。  今回、新たに設けられた条文がございます。第十六条でございます。その十六条の一、「情報の提供」という条文が加わっております。簡単に読ませていただきますと、「国家公安委員会は、携帯音声通信役務の不正な利用を防止するために携帯音声通信事業者が講ずる措置に資するため、携帯音声通信事業者に対し、役務提供契約の締結の際の本人特定事項の隠ぺいに係る手口に関する情報の提供を行うものとする。」と、こういう条文でございますが、この規定を新たに設けたその趣旨を改正案提出者に改めてお伺いをいたします。
  160. 原口一博

    衆議院議員(原口一博君) お答え申し上げます。  まず、答弁させていただく前に、内藤委員、それから菅原委員を中心にすばらしい法律を改正をしていただきましたことをまずお礼を申し上げたいと思います。また、先ほどお話しになりましたように、やはり運用をしっかりするためにもしっかりとした質疑が必要だと、私も同じ認識でございます。  振り込め詐欺の被害は過去五年間で総額一千八十四億円に上っています。しかも、このような被害に遭う方は高齢者、社会的に立場の弱い方々が大変な多くの被害に遭っておられます。  被害発生の未然防止に万全を期す必要があるという考えの下で、携帯通信事業者には契約締結の際の本人確認義務が課されておりますが、しかし、本人特定事項の隠ぺいに係る手口は巧妙化しています。例えば、多重債務者に無理やり名義を貸せと言って、その人たちがどこへ行ったか分からないと、こういうようなことも起きているわけで、かかる巧妙化する手口を携帯通信事業者がこれに対し的確に対応できるように知っておかなければ実効ある本人確認が期待できません。そこで、警察から携帯通信事業者に対し本人特定事項の隠ぺいに係る手口に関する情報提供を行うことが必要と考え、本条を新設するものとしたものでございます。  ただ、一方で、じゃ携帯通信事業者に何でも要請していいのかと、この議論も私たちさせていただきました。ログの保存を長期にわたって求めたり、あるいは会話の内容開示を行き過ぎて求めるということは、これは事業者に対する過重な負担になるし、あるいは通信の秘密への介入にもなるので、そういったことについての議論も踏まえながらこの条項を置いたことを付言しておきたいというふうに思います。
  161. 内藤正光

    ○内藤正光君 最後の方で通信履歴に関するくだりがございました。このくだりについては私、最後の方で大臣にまた確認をさせていただきたいと思いますので、改めて御答弁をお願いをしたいと思います。  さて、その十六条の一に関連してなんですが、携帯電話の不正利用防止に万全を期するためには、情報提供のほかにも関係する事業者との間で連携をしていくことも併せて必要ではないかと私は考えます。  そこで、総務省にお尋ねをしたいと思いますが、国として何らかの取組を検討していますでしょうか。あるいはまた事業者がこれからやろうとしていることを国として、総務省として何か承知をしていることはございますでしょうか。御答弁を願います。
  162. 寺崎明

    政府参考人(寺崎明君) お答え申し上げます。  携帯電話事業各社は、従前から電気通信事業者の業界団体であります電気通信事業者協会内に電気通信の不適正利用防止のための方策について検討する部会を設置しておりまして、対策の検討や情報共有に努めているところでございます。  現在は、犯罪に利用されていると認められ、携帯電話不正利用防止法の規定に基づいて役務提供を停止された携帯電話の名義人情報を事業者間で共有し、当該名義人が改めて契約を行う際の審査を厳格に行うなど、こういったことが検討されていると聞いております。  なお、現在、この事業者間の間では、既に行われている情報共有としては、事業者間の連携として、料金の不払者リストの交換だとか、そういったものが行われております。それに加えて、今申し上げたことをちょっと検討しているという状況でございます。  総務省といたしましては、こうした事業者間の取組が促進され、不正利用防止が図られることを期待しておるところでございます。
  163. 内藤正光

    ○内藤正光君 分かりました。  では、続きまして、警察庁に確認をさせていただきたいことがあります。  今回、犯罪防止の観点から本人確認手続を厳格化するということですが、私はその方向性は間違っていないと思います。しかし、当の事業者からは様々な悩みが伝わってくるわけなんです。本人確認手続を厳格化しろといっても、その確認証、示された本人確認証が本物かどうか、これを確認するすべがないということでございます。偽装の確認証を提出されても、それをチェックできないわけなんです。写真入りならばともかく、写真が入っていない健康保険証だとかそういったもの、これ、なかなか本物かどうかも分からないわけなんですね。  そういった悩みを警察庁としても受け止めていらっしゃるとは思うんですが、本人確認作業において警察庁として何らかの協力をしていく考え方はあるのか、お尋ねをしたいと思います。
  164. 樋口建史

    政府参考人(樋口建史君) お答えを申し上げます。  御指摘のとおりでございまして、携帯電話の不正利用を真に防止するためには、確実な本人確認が契約現場の実務で実践をされるということが大変重要であると考えております。警察といたしましても、その点で事業者の方々との緊密な協力連携が今後も重要であると考えております。  これまでにつきましても、一、二申し上げますと、実際の事例を基にいたしまして、不正契約の具体的な手口でありますとか各種の偽造身分証明書の特徴点等々につきまして、適宜、事業者の方々に情報提供を申し上げているところでございます。  また、代理店等からの一一〇番通報でありますとかホットライン通報によりまして、偽造の身分証明書使用事犯、使用して携帯電話をだまし取ろうとした詐欺未遂事件でございますけれども、これらにつきましても年間相当数検挙をいたしているところでございます。  いずれにいたしましても、事業者が不正契約事犯に的確に対処していただきますように、販売店と所轄の警察署との連携を始めといたしまして、事業者との連携協力を一層緊密にしてまいりたいと考えております。
  165. 内藤正光

    ○内藤正光君 その御答弁なさったことをしっかりと実現していっていただきたい、実行していっていただきたい、お願いを申し上げます。  さて、続きまして、第十六条の二についてお尋ねをしたいと思います。  国民の理解を深めるための措置としてこうあります。国及び地方公共団体は、携帯音声通信役務の不正な利用の防止の重要性について国民の理解を深めるため必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとするとありますが、そこで改正案提出者にお尋ねをしたいと思います。  これは具体的にはどのような措置を考えていらっしゃいますでしょうか、お尋ねいたします。
  166. 菅原一秀

    衆議院議員(菅原一秀君) まず、この改正案につきまして、内藤委員にも大変な専門的なお立場から御協力を賜りまして、感謝を申し上げたいと思います。  今お尋ねの点でございますが、これまで警察におきましても、大変巧妙化する手口に対しまして、あらゆる機会を通じ、振り込め詐欺の手口、被害実態を紹介してまいりました。国民に対して不審な電話が来た場合の対応等、注意喚起を行ってきたところでございます。また現在、ホームページ、ポスター等を通じまして、この携帯電話の不正な売買、やり取りを禁止をしていることにつきまして周知をしているところでございます。  今後とも、広く国民にこの不審な電話に対する注意を呼びかけますとともに、この改正案、成された場合には、総務省を始めとする関係省庁とともに、言わば企業とともにも連携しながら、法の周知とともに携帯音声通信役務の不正な利用の防止の重要性についてしっかりと広報啓発が行われるように努めてまいりたい、このように考えております。
  167. 内藤正光

    ○内藤正光君 確認ですが、改正案提出者は、先ほどの答弁がございましたが、第一義的には総務省が国民の理解を深めるための対応をしていくべきだと思いますが、しっかりと取り組んでいっていただけますね。御答弁をお願いします。
  168. 寺崎明

    政府参考人(寺崎明君) ただいまの立法の趣旨を踏まえまして、しっかりとそういったような周知活動、そういったものを、国民に対する働きかけ、しっかりやっていきたいと思っております。
  169. 内藤正光

    ○内藤正光君 続きまして、大臣に、通信履歴の取扱いについて、確認といいますか、お尋ねをさせていただきたいと思います。  現在、電気通信事業者というのは、サービス運営上の都合から、二か月間程度の通信履歴を保存しているというふうに私は承知をしております。しかし、昨今、振り込め詐欺等々、携帯電話を使った犯罪が多発しているということもあり、この通信履歴、もっと長い期間保存しろという主張も一部には聞こえてくるわけでございます。しかし、先ほど答弁者の指摘もございましたが、私、実は先月末に通信履歴の取扱いに関する質問主意書を提出をいたしました。一週間程度でその答弁は返ってきたわけでございますが、どういう答弁か、ちょっと長いんですが、読み上げさせていただきたいと思います。  電気通信事業者は、電気通信設備の安全性の確保や利用者への課金などのため、通信履歴を記録、保存しているが、通信内容はもちろんのこと、通信履歴についても電気通信事業法第四条に規定する通信の秘密の保護となることから、その漏えい等の危険があることを勘案すれば、通信履歴の記録、保存は必要最小限にとどめるべきと考えると閣議決定された答弁を私は手にしております。  そこで、大臣に確認をさせていただきたいんですが、犯罪を撲滅しなきゃいけない、その思いは分かるんですが、犯罪捜査のために通信履歴をもっと長い期間保存しろと、そして、目的も本来はサービス運営上のために保存しているわけでして、犯罪捜査のためにそもそも保存しているわけじゃないと。そういったことを考えたときには、通信の秘密、そしてさらにはこういうことを事業者に要請すると当然事業者は莫大なコストを、負担を強いられるわけでございますから、そういった観点から、私は軽々にそういった主張にくみすることはあってはならないと考えますが、総務大臣の御見解を確認をさせていただきたいと思います。
  170. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 先ほどの質問主意書に対する答弁にもございましたんですが、通信の内容、これはもう当然のことながら秘密の保護の対象となるわけですが、その内容のみならず、通信の履歴、これも同じように法律の保護の対象となるということであります。そして、現実に、そうした通信の履歴も今の技術的等の問題から、場合によっては漏えい等の危険があると、これも一方の事実でございますので、そういう履歴も漏えい等の危険があるということを勘案すれば、この通信履歴の記録それから保存は必要最小限に限るべきであると、これが私どもの考え方でございますから、この点を必要最小限のものに限るということでこれを運用していかなければならないと、こういうふうに考えております。
  171. 内藤正光

    ○内藤正光君 通信履歴の保存期間については明確な答弁はいただけたかと思うんですが、その使用目的ですね、犯罪捜査のために長くすべきだという主張もあるわけでございますが、その使用目的についてはどのように大臣お考えでしょうか。
  172. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 電気通信事業法はそうしたことについて特に規定をしているものでございませんけれども、通信の秘密保護を図ると、これは憲法上の要請から来ているものでありますので、そうした内容についていたずらに他の目的に使われるというのはこれは当然抑制されるべきである。もちろんそういったことが全くないかどうかという微妙な問題はあるかと思いますけれども、いずれにしても、法律としては当然抑制されてしかるべきと、こういうふうに考えております。
  173. 内藤正光

    ○内藤正光君 質問時間まだ十分残っておりますが、私としては大変珍しいことでありますが、この辺りで終えたいと思います。
  174. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  提案者の皆さんに敬意を表したいと思います。  まず、警察庁に伺いたいと思いますが、振り込め詐欺、おれおれ詐欺、全体としてはこの数年間ずっと減っていたものが去年の二月以降増加しているというふうに聞いておりますが、どうしてか、またどのような対応を取ろうとされているのでしょうか。
  175. 樋口建史

    政府参考人(樋口建史君) お答えいたします。  振り込め詐欺の発生状況でございますけれども、御指摘のとおりでございまして、平成十九年一月以降でございますが、月ごとの認知件数、被害総額を比較してみますと増加した月が目立ってきている状況にございます。今年に入りましてからは明らかな増加傾向に転じておりまして、今年四月の数字が一番新しい数字でございますが、月間の被害額が約三十三億円に達したところでございます。大変ゆゆしい状況であると認識しております。  このような増加傾向の背景、原因といたしましては、これは推測を超えない部分が多いんでございますけれども、まずは犯行グループが次々と手口を変化、進化させてきているということがございます。また、不可欠の犯行ツールでございますところの匿名化した携帯電話や、金融機関の口座の供給あるいは流通の遮断が徹底できていないことがあろうかと思います。さらには、もう一つ申し上げますと、振り込め詐欺の捜査にはいろいろな困難な状況がございまして、懸命の努力を警察といたしましても続けているのではありますけれども、摘発、検挙が必ずしもはかどっていないといったことがあるものと考えております。  今般のこの携帯電話不正利用防止法の改正が行われましたならば、警察といたしましても、悪質なレンタル事業者の取締りの徹底でありますとかSIMカードの無断譲渡の取締りが可能となりますので、犯罪ツールの供給、流通の遮断に一層努めたいと考えているところでございます。
  176. 山下芳生

    ○山下芳生君 御答弁なかったんですけれども、レクチャーの段階では、還付金詐欺というものが非常に増えているということが具体的には要因になっているというふうに聞きました。いろんな保険ですとか税金の還付金があります、ついては最寄りのATMに行ってください、携帯電話でいろいろ指示をするふりをしてうまいことそれを被害者からかすめ取るということですね、そういうこともあるというふうに聞いたんです。  だから、私感じますのは、金融機関がやはり、ATMは無人がいっぱい増えていますけれども、そういうところにちゃんと人を配置するというふうなことも今回の法改正と併せて重要なことではないかなというふうに感じました。  続いて、ゆうちょ銀行と金融庁に伺います。  振り込め詐欺、おれおれ詐欺、これ今お話あったように、被害者は振り込むわけですから、これはATMか窓口が絶対要ります。それから、犯罪者の側はそれを受け取るわけですから、口座が要ります。金融機関なしには成立しない犯罪だと思います。  そこで、ゆうちょ銀行、それから金融機関、民間のですね、自分たちの顧客がどれぐらい被害に遭っているのか、ちゃんと把握しているんでしょうか。
  177. 米澤友宏

    参考人(米澤友宏君) お答え申し上げます。  ゆうちょ銀行といたしましては、お客様から被害のありました旨のお届けがあった場合には、直ちに送金先口座を凍結する等の所要の措置を講じているところでございます。  被害者数につきましては、凍結した口座の取引がすべて被害を受けたものかどうか把握が困難なこと、あるいは一つの口座で複数回被害に遭われたお客様がいる場合があることなどから、件数については集計はしておりません。  ただ、振り込め詐欺、先ほど申し上げましたように、振り込め詐欺等に利用されているとして利用を停止した口座数につきましては、平成十九年三月末には約一万一千件ほどございます。
  178. 河野正道

    政府参考人(河野正道君) お答え申し上げます。  銀行等の民間金融機関におきましても、ただいま郵政の方からお話のございましたのと同様に、犯罪に利用されたというような形跡がございました口座につきましては、基本的に利用停止ないしは強制解約ということを行うことを通例としておりますが、このようにしまして事実上凍結をされました口座の数及び残高につきましては、手元にございます一番新しい数字が平成十九年三月末時点になりますけれども、それぞれ約十七万口座、金額にして八十三億円程度となっております。
  179. 山下芳生

    ○山下芳生君 大変な額なんですね。これどうやって防止するか。今回の法改正とともに、先ほども申しましたけれども、金融機関の窓口の対応というのは非常に有効だと思います。  読売新聞の六月四日付けに東京武蔵野市のある信用金庫に勤める女性職員の記事が載っておりました。振り込め詐欺三回阻止という記事です。窓口に来た六十代後半の女性が百三十万円振り込みたいと言うので、不審に思って事情を聞くと、いかにも怪しいと思って、上司や警察にも連絡を取って被害を食い止めたという事例があります。この方は四月にも、それから二月にも振り込め詐欺、還付金詐欺を食い止めたということが紹介されておりました。この記事の最後に、この女性職員の方、二十四歳、まだ若い方ですけれども、自分が勤務する支店からは絶対に被害者を出したくなかった、お客様の大切な預金が守れて良かったと述べておられました。これは金融機関としての社会的な使命、責任ということを非常に感じるコメントだなと思いまして、やはりそういう金融機関の窓口での対応、これは非常に有効だなというふうに思ったわけですが。  ゆうちょ銀行、金融庁、それから警察庁、そういう窓口対応をお互い連携しながら強化していく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  180. 米澤友宏

    参考人(米澤友宏君) ゆうちょ銀行におきましては、窓口で送金の御請求を受けた際にお客様の御様子から詐欺被害のおそれがある場合には、御家族等に御確認いただくよう説得したり、場合によりましては警察の方に御連絡申し上げて警察官の方から説得を行っていただくこととしております。こうした現場の第一線の努力、先ほど御指摘のありました現場の職員の第一線の努力によりまして振り込め詐欺が未然に防止された事例も複数報告されております。警察署からも感謝状等もいただいている事例もございます。また、振り込め詐欺防止のポスターを掲出したり当行のホームページに犯行の手口や被害事例を掲載するなど、注意喚起に努めております。また、被害をできるだけ少額に抑えるためのATMによる引き出し限度額の設定等、あるいはカード紛失センターにおいての二十四時間受付等も実施しております。  いずれにいたしましても、振り込め詐欺防止につきましては窓口での働きかけが有効であるというふうに認識しておりますので、今後とも窓口事務に従事する社員に対しましては振り込め詐欺の手口、被害者の送金時の特徴等を周知するなど、未然防止に努めてまいりたいと、かように考えているところでございます。
  181. 樋口建史

    政府参考人(樋口建史君) お答えをいたします。  御指摘のとおりでございまして、この振り込め詐欺の被害を未然に防止するためには、最後のとりでとも言えると思いますが、金融機関との連携が極めて重要であると警察としても考えておるところでございます。これまでも、私ども警察からの依頼による速やかな口座凍結でありますとか窓口の職員の方々による顧客への声掛けでありますとか、金融機関の御協力の下で諸対策を講じてきたところでございます。  金融機関の方々との協議は継続的に続けておりまして、先般もATMによる口座間振り込みの利用限度額の引下げの推奨につきまして、これはただいま議員から御指摘がありましたけれども、最近急増の還付金詐欺対策として極めて有効な対策でございますけれども、この利用限度額の引下げの推奨につきましてあらゆる機会を通じて口座開設者の方々に働きかけていくことで合意をさせていただいたところでございます。  今後とも連携を緊密にいたしまして、振り込め詐欺被害の予防のために諸対策を進めてまいりたいと考えております。
  182. 河野正道

    政府参考人(河野正道君) お答え申し上げます。  やはり委員指摘のとおり、私どもといたしましても金融機関の窓口対応が極めて重要と考えておりまして、金融機関の監督に当たりまして指針といたします監督指針というものにおきましても、本人確認の実施や口座の利用目的等の確認を行うための体制の整備ということを金融機関に求めております。また、金融機関のサイドでも、これはもう常日ごろから厳格な本人確認のほか窓口やATMコーナーでのお声掛け等の取組を実施しておりまして、さらに、ただいま警察庁の方からもお話もございましたような追加的な対策についても様々相談をしておりまして、今御紹介のございましたATMの利用限度額の変更の制度の周知徹底のほか、例えば金融機関におけます口座不正利用の監視システムの運用を強化するといったようなことも検討しております。
  183. 山下芳生

    ○山下芳生君 終わります。
  184. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  議員立法の提案者の皆さん方の御努力に心から敬意を表して、当然この法案に賛意を、冒頭、表しておきたいと思います。  ただ、適正な法運用のために幾つか確認の御質問をさせていただきたいと、こう思っております。  まず初めに総務省にお伺いをいたしますが、現在、レンタル携帯の台数や、事業者はどういう業者のもので数はどうなっているか、大手三つぐらいの名前をまずお聞きをしたいと思います。  次に、レンタル業者への携帯を大口で販売したのはドコモその他の通信事業でしょうけれども、どういう事業者か、また一口で最大何機ぐらい売っているのか。  三つ目に、この振り込め詐欺など、さっきからも出ておりますが、統計がありますが、うちレンタル携帯によるものはどの程度だとか、どうやってこれを判別しているのか、この三点についてまずお伺いします。
  185. 寺崎明

    政府参考人(寺崎明君) お答え申し上げます。  携帯電話のレンタルサービスは、海外旅行者の利用や修学旅行等の学校の利用、選挙やイベント等の事務局における利用など幅広く用いられているものと承知しております。大手携帯電話事業者の子会社として行っている事業者を始め多数の中小の事業者が存在しているものと認識しております。  なお、大手のレンタル事業者につきましては、各社数千から一万台程度の携帯電話を保有しているものと聞いております。具体的には、ドコモ・センツウ、これが通常時約二千五百台、最大対応可能数として一万二千台という数字を聞いております。それから、GSM、ヨーロッパの方式ですけれども、GSMレンタフォンですね、これが通常時約一万台という数字を聞いております。  それから、レンタル事業者は、携帯電話事業者と通常の携帯音声通信役務提供契約を締結いたしまして、携帯電話を入手した上でサービスに利用しているものと認識しております。  携帯電話事業者は、契約する際にその用途を把握していないということで、具体的に何台の携帯電話がレンタル事業者に使われるかについては、お答えするのは困難でございます。
  186. 又市征治

    ○又市征治君 最後のところは把握されていないというんですが、先ほどの警察庁のお答えでは、レンタルによる犯罪というのは約四分の一、警察庁の資料を見ますと二六%ということですね。そうすると、このレンタルによる、つまりはおれおれ詐欺だとか振り込み詐欺だとかの四分の三はレンタルではないということになるわけで、そうすると、この立法強化の実効性という問題について言うなら、別のことをやっぱり本当に真剣に考えていかなきゃいかぬ、もちろんこれもあるということはあるんですが、そういうことが課題としてあるということを確認をしておきたいと思うんです。  そこで、提案者の方々にお伺いしたいと思うんですが、三年前の法制定時の議事録を見まして、よく分からないことがあります。提案者の答弁で、匿名のレンタルを排除するには実質的には譲渡のようなレンタル行為だけを規制することで足ります、こう断言をされているんですが、ちょっとそういう意味では甘い答弁というか、甘い立法をしたのではないかという疑念がどうしても持つわけです。現に今、被害の大きさはここまで広がって、だから何とかしようよということで皆さん方も御努力いただいている、レンタルを直接に取り締まろうとしている、こういうことになるわけですが、ということは、前回の網の掛け方についてはいささか問題があったかなと、こう思うんですが、そこのところの御認識、いかがでしょう。
  187. 菅原一秀

    衆議院議員(菅原一秀君) 又市委員指摘のとおり、四分の一のレンタル携帯、これはここ数年伸びてきておりまして、しかも捜査上に現れた数字であります。実態はもっと多いかもしれません。その上で、今御指摘がございました三年前の、この改正になる前の法律制定時に、いわゆるレンタル業に対する規制が不十分なのではないかと、こういう御指摘があったということでございます。この点はよく承知をいたしております。  当時は、この振り込め詐欺に悪用される携帯電話の多くが使用者の判明をしないいわゆるプリペイドカードの形式の携帯電話であったこと、そしてまた、この全く身分確認がされていないレンタルは実質的には譲渡という実態がありまして、現行法の第七条の無承諾譲渡として取締りが可能であると、当時はそう考えておりました。したがって、このレンタル業につきましては、最低限の規制として匿名貸与営業を罰則をもって禁止をしたと、このように認識をいたしております。  しかしながら、最近のレンタル業者の中には、先ほども御議論ありましたように、偽変造の免許証やパスポート、こういったものの本人確認証が増えてきていることや、あるいはファクスによって送信をされた身分証明書の写し、これは不鮮明なものが非常に多いものでございますから、こういったことの補完など、言わば外形的にはこの本人確認をしたような体裁を整えて、その当時、立法当時にはなかった手口が非常に増えてきている、こういった点を取り締まるべきであろうと、こういう論議がされてまいりました。このために、今回の法改正の中で、レンタル事業者に対しましても携帯音声通信事業者と同様に本人確認の方法を厳格にいたしまして、本人確認記録の保存義務、三年間としておりますが、これを課することとしたものでございます。
  188. 又市征治

    ○又市征治君 ありがとうございました。  そういう、今おっしゃったような三年前の事情からなんでしょうか、もう一つ私大変疑問に思ったのは、前回も答弁者の方が、レンタル行為を記録させることは事業者に過大な負担を掛けるからしないと、こういうふうな答弁なさっているという問題も、これいかがかなという、こういう思いがいたしました。これは時間の関係で御答弁は、お考えはお聞きをいたしません。  そこで、第十六条のうち新しく提案された部分に、国家公安委員会、つまり警察ということなんですが、通信事業者に対し、「本人特定事項の隠ぺいに係る手口に関する情報の提供を行うものとする。」というふうにあるわけですが、ここのところをもう若干御説明をいただきたいなと、こう思っているんです。  まとめて申し上げますが、一つは、本人特定事項の隠ぺいに関する手口とは、具体的にどんな手口を指すというふうにお考えになっているのか。次に、この手口に係る情報はいつどのような形で警察から通信事業者に提供されるべきだというふうにお考えになっているか。三つ目に、それから、これを提供された事業者は何か義務が生じるのか。例えば、これの利用法を探知したら犯罪だとみなして通報する義務だとか、又はその情報を利用者に対して秘密にしておく義務だとか、こういうことがあるのかどうか。この三点についてお伺いしたいと思います。
  189. 原口一博

    衆議院議員(原口一博君) お答え申し上げます。  又市委員におかれましては、適正な法的運用のために御質問いただいて本当にありがとうございます。  今三点御質問いただきましたが、本人特定事項の隠ぺいに関する手口とは、まさに携帯電話の真の使用者がだれであるか分からないようにする、先ほど答弁をしましたけれども、ファクスでだれのものか分からないようなものを送り付けたり、そういうような形で携帯電話を手に入れるための手口です。これはもう人間がやること、無限にあると言ってもいいかもわかりません。  ただ、これまでも警察は携帯電話事業者と恒常的に緊密な連携を取っているものと承知しておりますが、新たな手口が見られたならば、その都度速やかに事業者に情報が提供されるものと、このように考えています。  ただ、三点目の御質問でございますが、これによって事業者に何らかの義務が生じるものではございません。事業者には、本条が設けられた趣旨にかんがみ、提供を受けた情報を活用して不正利用の防止措置を講ずるということは期待はいたしますが、この法文をもって直ちに何かの義務が生ずるものではないということを御理解いただければというふうに思います。
  190. 又市征治

    ○又市征治君 最後にいたしますが、警察が手口について知らせるべき相手というのは、通信事業者ももちろんございますけれども、最も大事なのは、むしろ国民一般に知らせるべきだろうと、こう思うわけでございまして、この十六条、むしろそのように運用すべきではないかと私は思いますが、その点、提案者側の御意向はいかがですか。
  191. 原口一博

    衆議院議員(原口一博君) まさに又市委員指摘のとおり、国民に対して振り込め詐欺の手口について情報を提供し、そして、あらかじめそういうものの被害に遭わないように注意喚起することは、大変大事なことだというふうに考えております。  警察においてはこれまでにも各種の媒体を通じて国民に所要の広報啓発を行ってきたものと承知しておりますが、今後ますます積極的に推進していくことを期待しております。  また、この国会で初めてリテラシーという言葉も、前回、私たち御説明させていただきましたが、こういう新しい機器に対して、きっちりとその使い方、それから犯罪からの防御、これを伝えてくることが御指摘のとおり大変大事なものだというふうに考えております。
  192. 又市征治

    ○又市征治君 終わります。  ありがとうございました。
  193. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  携帯音声通信事業者による契約者等本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  194. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、那谷屋君から発言を求められておりますので、これを許します。那谷屋正義君。
  195. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 私は、ただいま可決されました携帯音声通信事業者による契約者等本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新日本、自由民主党・無所属の会、公明党、日本共産党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     携帯音声通信事業者による契約者等本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に努めるべきである。  一、政府は、携帯音声通信役務の不正利用に係る手口に関する情報を広く国民に提供するなど、犯罪による被害発生の未然防止に万全を期すこと。  二、いわゆる振り込め詐欺等の犯罪にレンタルされた携帯電話等が数多く使用されていることを踏まえ、携帯電話等の貸与業者の実態を把握するとともに、今改正法の周知徹底を図ること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  196. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいま那谷屋君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  197. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 全会一致と認めます。よって、那谷屋君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、増田総務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。増田総務大臣
  198. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  199. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  201. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 地方自治法の一部を改正する法律案議題といたします。  提出者衆議院総務委員長渡辺博道君から趣旨説明を聴取いたします。渡辺博道君。
  202. 渡辺博道

    衆議院議員(渡辺博道君) ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の理由及び内容を御説明申し上げます。  地方議会は、住民の負託にこたえ幅広い活動を行っておりますが、地方分権改革の進展により、地方公共団体の権限や機能が拡大する中で、地方議会の果たすべき役割と責任はますます重要なものとなっており、これを反映して、地方議員に求められる活動領域も拡大しております。  このような地方議会の実態等を踏まえ、これまで以上に積極的に議員活動を展開していくためには、地方議員の位置付けの明確化が必要であります。  このことから、議会活動の範囲を明確化するとともに、議員の報酬に関する規定を整備するため、本案を提出した次第であります。  次に、その内容について申し上げます。  第一に、地方議会は、会議規則の定めるところにより、議案の審査又は議会の運営に関し協議又は調整を行うための場を設けることができるものとしております。  第二に、地方議員の報酬の支給方法等に関する規定を他の行政委員会委員等の報酬の支給方法等に関する規定から分離するとともに、報酬の名称を議員報酬に改めることとしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するとともに、関係法律について所要の改正を行うこととしております。  以上が本案の提案の理由及び内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  203. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  204. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 余り時間を取らないように一生懸命質問させていただきます。  民主党・新緑風会・国民新日本の加賀谷でございます。今回の地方自治法の改正について、少し質問をさせていただきます。  渡辺委員長とは千葉県議会で席を同じゅうした仲でございまして、またこういう場面で会うとは思いませんでした。  まず初めに、今回の改正、最終的には委員長提案ということになったわけでありますけれども、経過について簡単に御説明をいただきたいと思います。
  205. 原口一博

    衆議院議員(原口一博君) お答え申し上げます。  加賀谷議員におかれましても、組織委員会のトップとして大変多くのまとめをいただきまして、ありがとうございます。  本法案、様々な各党各会派に要請をされた、特に都道府県議会あるいは全国三議長会からの要請、あるいは私たちの議会の中でこの総務の常任委員会の中に実務者協議会を設けました。そして、具体的に、一党一派によるものではなくて、これは民主主義の学校と言われる地方議会のことでございますから、その改正に当たってはまずはこの協議会でオープンに協議をしていこうと。そして、今回この改正案になりましたが、これは改革の第一歩であって、今後もこの協議を続けていくと、地方議会におけるなお一層の改革、説明責任、そして情報公開と、こういったものを申し合わせて進めてきたものでございます。  都道府県議長会を始めとする全国三議長会からは様々な要望があったわけでございますが、その中の第一歩として今回の改正に至ったということを御理解をいただきたいというふうに思います。  以上でございます。
  206. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 三議長会からの要請を受けたということでございますけれども、今回の改正見てみますと、議会活動の範囲の明確化あるいは議員報酬の名称の変更ということで、私も、地方議会経験した者から言わせますと少し寂しいかなと。その三議長会からの意見書の願意というのがこの程度にとどまっていたということで、この改正、ここだけの改正になったというふうに理解をしていいのか。先ほど原口さんの方から今後の問題は残っているよということもございましたけれども、この辺についてちょっとお伺いをしたいと思います。
  207. 原口一博

    衆議院議員(原口一博君) まさに加賀谷委員お話しのとおり、私も佐賀県議会議員二期させていただきましたので地方議会の気持ちというのはよく分かります。  都道府県議長会を始めとする全国三議長会からは、地方議会議員の位置付けの明確化に関して以下のような要請がございました。地方議会議員の職責又は職務を明確にするために、地方自治法に新たな規定を設けてほしいと。それから、地方自治法第二百三条から議会の議員に関する規定を他の非常勤職員と分離し、独立の条文とするとともに、職務遂行の対価については単なる役務の提供に対する対価としての報酬ではなくて、広範な職務遂行に対する補償を表す名称とするため、報酬を、まあ私たち国会議員と同じように歳費に改めてほしい。  ほかにも政務調査費などの要請を受けたところでございますが、三議長会の要望は議員の活動に関して明確化してほしいということでございましたが、この今回の改正内容においては、まずその第一歩として、議員活動の主たる範囲である議会の活動、この範囲を明確化したものであります。また、地方議員の報酬を報酬から歳費にという、改める要望はありましたけれども、歳費ということではなくて議員報酬という固有の名称を設けることとしたものでございます。  以上が今回の改正内容と要望内容の主な相違点でございますが、改めて申し上げますが、これはまず第一歩だということで御理解をいただきたいというふうに思います。
  208. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 意見書の中には、今のお話にありましたように、報酬を歳費にしてほしいと。この中には多くの意味が含まれているとは思うんですけれども、歳費という名称にできなかったというところを、まあ私は報酬と歳費がどう違うのかというのは余り分からないんですけれども、国会議員の場合は歳費ということになっているわけでありますけれども、この歳費という言葉、名称を使わなかった理由というのは特にございますか。
  209. 黄川田徹

    衆議院議員(黄川田徹君) お答えいたしたいと思います。  長らく地方議員もなされました加賀谷さんでありますのでよく御理解いただけることと思いますけれども、地方議会の議員の報酬については、地方自治法上に定める非常勤の職員等の報酬とは異なる性質を持っていることから、この違いにかんがみ、固有の名称を設けることとし、議員報酬というふうな形にしたわけであります。  この歳費との名称を採用することについても検討したわけでありますけれども、この歳費という名称は年俸といった性格、色彩を強く帯びるものであると考えられるところでありまして、地方議会の議員には町村議会と小規模な団体の議会の議員も含まれておるということから、このような議会の議員の報酬についても年俸といった性格、色彩を強く帯びるような名称を用いることは必ずしも実態にそぐわないんではないかと、こう考えておるところであります。そのため、歳費、地方歳費との名称は今回取らなかったわけであります。  以上であります。
  210. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 憲法の中では国会議員は歳費という言葉が使われているというふうに聞いておりますけれども、歳費にしてほしいという願意の中にはそのように今の地方議員の在り方を含めての願意があったような気がしてならないわけでございまして、これはまた将来、次のステップの中の課題にしていきたいと、こんなふうに思います。  次に、公選職という概念について少しお聞きをしたいんですけれども、今回の改正に関しては、平成十七年から都道府県議会の有識者懇談会、都道府県議会制度研究会でもいろいろ研究されていたと聞いているわけでありますけれども、十七年に出した、「今こそ地方議会の改革を 都道府県議会制度研究会中間報告」という中身では、「地方自治法第二百三条から「議会の議員」を削除し、新たに「公選職」にかかる条項を設けるとともに、議会の議員に対する「報酬」を「歳費」に改めよ」とあるわけですね。だから、歳費と公選職ということをリンクさせてこういう報告がなされていることも事実でございます。  また、さらに平成十八年のこの同じ研究会の報告においても、この報告で、「さらなる前進へ向けて」という中でも、公選職の考え方は、議員や首長のように住民の直接選挙により選任される政治家の職務の内容や範囲、さらにはその職務遂行の態様などを考える場合、一般職や委員とは別に考えるべきではないかというような意見が付いているわけでありますけれども、この公選職という概念について、この中でどのように、何といいますか、検討されたのか、もし検討経過がありましたらお答えいただきたいと思います。
  211. 原口一博

    衆議院議員(原口一博君) お答え申し上げます。  まさに、先ほどおっしゃいましたような地方制度調査会の中でその答申は、議員の位置付けについて、公選職にどのような法的効果を持たせられるのか、このことも検討課題だというふうに認識をしております。すなわち、一般職や委員とは全く別に考えるべきであると、つまり選挙によって選ばれた人たちをどう位置付けるかと、このことについても議論をしてきたところでございます。ただ、今回の要望の中にはそれは含まれておらず、また、このことについても各種審議会の中でも法的な位置付け、これもなかなかまだ定まっていないのが現状でございます。  また、一方で、私たちこれは民主党の中でも議論をしていますが、私たち国会議員と同じような選定要件で本当にいいのか。地方議会、例えば四六時中、通年議会にされるところもあれば、むしろ逆に限定されるところもある。同じような選定要件であるために、逆に代表制のそごが起きてしまう、こういったことも議論をしてきたところでございますが、今回の改正の中にはそれは入っておらないところでございます。今後の課題として検討してまいりたいと、更に議論を深めていきたいと、このように考えております。
  212. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 今日、総務大臣出ていただいて質問をしないと申し訳ないわけでありますけれども、総務大臣、今回の改正について、地方議員の仕事の範囲と議員の報酬という形になったわけでありますけれども、これらについて長い間県知事をされたわけでありますけれども、意見が、御見解があればちょっとお聞かせいただきたいんですけれども。通告してないですけれども、済みません。
  213. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今回の改正でございますけれども、いわゆる地方議員の皆さん方も議員の活動として大変大きな活動をしていると同時に議会活動として様々なことを行っておられたと。それを、議会活動というのは一体何ぞやと、いかなるものかということを今回この法律で明らかにしてその活動の範囲というのを明確に定めたと。これは、これから分権もずっと進んでいくわけですが、そうした中で議会として、地方議会としてこういう活動をしているということは住民にそういったことが明確に伝わる必要がありますし、そういうことによってまた分権を担っていくこの二元代表制の中での一つの議会としての存在意義というのが更に高まっていくんではないかと、こういうふうに思うわけでございます。  先ほど原口先生から今回の改正もこれまた第一歩ということで、さらに先があるというような、こういう趣旨の御発言だったと思いますが、公共団体の責任ということが重く問われていく中でこの議会の活動の責務をはっきりと明らかにしたということで、私は大変意義深い今回の自治法の改正ではないかと、こういうふうに思っております。
  214. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 最後にお伺いをしたいと思います。  衆議院の方で附帯決議が付いておりますので、このちょっと文言を借りまして決意のほどをお伺いをしたいと思います。  この中に、今後も引き続き制度、運用の両面にわたり国民の幅広い議論を喚起し、これを踏まえて地方議会の活動が国民の負託にこたえられるものとなるよう更なる改革を進めるべきであると、こういう文言が入っているわけでありますけれども、私はやはりこの言葉というのは大変重いと思います。政務調査費、先ほど原口議員の方からもお話がありましたけれども、政務調査費の在り方を含め、地方自治法の全般的な改革というのは今後ますます必要になってきたと思っているわけでありますけれども、この辺についての、先ほどもちょっとありましたけれども、もう一度考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  215. 原口一博

    衆議院議員(原口一博君) まさに加賀谷委員指摘のとおり、地方議会の果たす役割がますます増大する中でその活動の充実強化とともに説明責任の徹底及び情報公開による透明性の向上が重要な課題となっております。  例えば、今回の改正に当たっても、各派代表者会議や全員協議会あるいは正副委員長会議等が議案の審査や議会運営の充実を図る目的で広く行われております。それが実態です。しかし、それは果たしてどこまで開示されているのか。これまで必ずしも開示されていなかった活動を含め、議会活動についての説明責任の徹底と透明性の向上を図る、やっぱり主役は国民であり地方自治体の住民であります。その皆さんに対してきっちりと説明責任を果たす、そういう意味で地方議会の改革が進むことを期待しておるところでございます。  改革を進める、これにはタブーはありません。私たちも一生懸命頑張ってまいりたい、このことを申し上げたいと思います。ありがとうございます。
  216. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 終わります。
  217. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  地方自治法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  218. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  219. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十四分散会