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2008-06-05 第169回国会 参議院 総務委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年六月五日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十九日     辞任         補欠選任      相原久美子君     梅村  聡君      大久保潔重君     榛葉賀津也君  五月三十日     辞任         補欠選任      谷合 正明君     弘友 和夫君  六月二日     辞任         補欠選任      武内 則男君     相原久美子君      礒崎 陽輔君     中村 博彦君  六月三日     辞任         補欠選任      相原久美子君     武内 則男君      中村 博彦君     礒崎 陽輔君  六月五日     辞任         補欠選任      梅村  聡君     鈴木  寛君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         高嶋 良充君     理 事                 加藤 敏幸君                 那谷屋正義君                 内藤 正光君                 河合 常則君                 末松 信介君     委 員                 加賀谷 健君                 行田 邦子君                 榛葉賀津也君                 鈴木  寛君                 武内 則男君                 外山  斎君                 長谷川憲正君                 吉川 沙織君                 礒崎 陽輔君                 岸  信夫君                 世耕 弘成君                 二之湯 智君                 溝手 顕正君                 吉村剛太郎君                 魚住裕一郎君                 弘友 和夫君                 山下 芳生君                 又市 征治君    国務大臣        総務大臣     増田 寛也君    副大臣        内閣府副大臣   山本 明彦君    政府特別補佐人        人事院総裁    谷  公士君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        人事院事務総局        給与局長     吉田 耕三君        総務大臣官房長  田中 順一君        総務省人事・恩        給局長      藤井 昭夫君        総務省行政評価        局長       関  有一君        総務省自治行政        局長       岡本  保君        総務省自治財政        局長       久保 信保君        総務省郵政行政        局長       橋口 典央君        総務省政策統括        官        中田  睦君        厚生労働省政策        統括官      薄井 康紀君        国土交通省土地        ・水資源局次長  宮崎 正義君        国土交通省航空        局次長      小野 芳清君    参考人        日本放送協会会        長        福地 茂雄君        日本放送協会理        事        日向 英実君        日本郵政株式会        社取締役代表        執行役社長    西川 善文君        日本郵政株式会        社取締役代表        執行役社長   高木 祥吉君        日本郵政株式会        社常務執行役   伊東 敏朗君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○行政制度公務員制度地方行財政選挙、消  防、情報通信及び郵政事業等に関する調査  (地方分権改革推進に関する件)  (地方交付税在り方に関する件)  (公務員早期退職慣行の是正に関する件)  (日本郵政グループ業務運営に関する件)  (行政評価評価手法に関する件)  (地方公共団体に対する人的支援に関する件)  (情報通信省構想に関する件)  (NHK職員の不祥事に関する件)     ─────────────
  2. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、大久保潔重君、相原久美子君及び谷合正明君が委員辞任され、その補欠として榛葉賀津也君鈴木寛君及び弘友和夫君が選任されました。     ─────────────
  3. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政制度公務員制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、人事院事務総局給与局長吉田耕三君外十名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政制度公務員制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、日本放送協会会長福地茂雄君外四名を参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 行政制度公務員制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 内藤正光

    内藤正光君 おはようございます。民主党内藤正光ですが、本日は三十分のお時間をいただきまして、主に二点質疑をさせていただきたいと思います。地方分権改革公務員制度改革でございます。  そこで、まず地方分権改革から質問をしたいと思いますが、御案内のように、先月の二十八日、地方分権改革推進委員会が第一次勧告をまとめたわけでございます。この勧告中身、いろいろな評価もございます。踏み込み不足ではないかだとか、具体性に欠けるではないかだとか、あるいは、まだまだ各省庁に検討をゆだねてしまっている部分が多過ぎやしないかというような批判もあるわけでございますが、取りあえずは包括的な分権改革案がここにまとめ上げられたわけでございます。そして、これを踏まえて第二次勧告へとつながっていくわけでございますが。  そこで、まず冒頭お伺いしたいのは、この第一次勧告、様々なことが盛り込まれておりますが、この実現に向けての課題は一体何だとお考えでしょうか、お尋ねをいたします。
  9. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) お答え申し上げますが、今先生からお話がございましたとおり、分権改革推進委員会で五月二十八日に勧告をまとめて、五月三十日に総理の方にその提出がございました。  今後、これを具体化する形としてはどういうふうにしていくかということがまず問題になりますが、六月の中旬に、総理本部長とする地方分権改革推進本部というものが政府でございます、この本部会議開催をして、そこで政府としてこの委員会がお出しになった第一次勧告に対しての対処方針というものをまとめようと、今そういうふうに筋道を考えております。  そして、その際に、具体化するに当たって何が課題であるかというお尋ねでございましたんですが、今回の勧告内容でございますが、これは、まず全国知事会全国市町会など地方団体から具体的な支障事例改善要望などがいろいろ出されてまいりました。それから、第一次分権委員会というのが平成七年から十二年までございました。そこでいろいろ議論された積み残しのような案件もございました。そうしたものをまとめて今回、議論の俎上にのせて勧告していただいているということでございますので、関係者として、もちろん政府の各府省がございますし、それから地方団体関係者としてございます。それから、当然これは各党にも関係のあることでございますので、こうした府省、それから各党地方団体、こういう関係者にやはり様々な意見がございます。この意見をまとめて、そして同じ方向にそれを決めていかなければならないということでございますので、今その間のいろいろな議論をさせていただいておりますが、そういった関係者が多数ある中でそれを一つ方向意思決定をしていくと、そのための様々な困難さというのが非常に大きな課題であろうというふうに思っております。  ただ、大変いい勧告をまとめていただきましたので、政府としての先ほど言いました対処方針といいますものは、この勧告にできるだけ沿った形で当然決めていかなければならないということでございまして、私も今までも関係する閣僚皆さん方といろいろ話合いをしてまいりましたけれども、今後も関係閣僚皆さん方と引き続きこうしたことを行っていきたいと。  それから、そのほか地方団体とも話をせにゃいかぬと思いますが、いずれにしても関係者それぞれとよくお話合いをして、そして一つ方向にまとめていきたいと、こういうふうに考えております。
  10. 内藤正光

    内藤正光君 地方分権改革論議の歴史を振り返ってみますと、何度もあったわけなんですが、ただ残念ながら、その都度骨抜きにされたり、あるいはまた総論では賛成だと言いながらも各論で反対、最後はしぼんでしまったと、この繰り返しではなかったかというふうに思っております。そこで今回、今回こそ本当分権推進するためにはどうすればいいのか。内閣として何が何でもやり遂げるんだという決意がやはりにじみ出てこなきゃいけない。  そこで、まず具体的にはということで、六月中旬に総理本部長とする推進本部を開かれるということですが、その先にはやはり骨太方針をまとめ上げるわけですね、六月末に向けて。そこで、この骨太方針にどれだけその決意がにじみ出ているのか、それも具体的に。そこを多くの人たちは見ているんじゃないでしょうか。私は、その中には当然のことながら地方への税財源移譲というものは要素として盛り込まれているべきだろうとは思うんですが。  そこでお尋ねしたいのは、今こそこの地方分権を確実に着実に推進していくために、この骨太方針総務大臣は何を具体的に盛り込むべきだと御主張をされているんでしょうか、あるいは御主張をされていくんでしょうか。具体的にお尋ねをしたいと思います。
  11. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) お答えを申し上げますが、まず骨太方針の方は、まだ議論がこれから諮問会議でスタートしますので、今の段階では分権改革は必ず盛り込むと、こういうことを申し上げておりますし、これは間違いなくその中に盛り込みたいというふうに思っております。  それから、その具体的な中身でございますが、これについては政府が六月の中旬に決める本部決定、この内容を盛り込むということになるわけでございますが、本部決定をするまでの今調整をしている段階でございますので、具体的にどういうことをということはまだこの段階で申し上げる内容を持っておりませんけれども、ただ、この分権改革が来年計画を作って、そして地方分権一括法に進んでいくと、こういうことになっておりまして、その段階に、今委員会からお聞きしておりますと、最低でも三回勧告はなされると。今回第一次でございますが、そのほかに暮れに第二次、そして来年の春に第三次の勧告をすると。骨太方針が、今までのスケジュールから見ますと、その計画を来年政府として作るまでの間に、恐らく今年と来年と二回入ってくると、こういうスケジュールになっておりますので、今回、第一次勧告分権委員会の方で勧告をされました内容を今年の分権改革事項として骨太方針の中に盛り込んでいきたいと、今はこういうふうに考えておるところでございます。
  12. 内藤正光

    内藤正光君 ちょっと話を、答弁を聞いていますと、会議の中で決まったことを盛り込んでいくと。どちらかというと、何か受け身的に感じてしまうんです。  私は、知事経験をされた増田大臣受け身であっちゃいけないと思うんです。やはり特に地方皆さん方が期待されているのは、知事経験者として積極的に今大臣という立場で何を主張していっていただけるか、ここを期待しているんだと思います。ですから、受け身じゃ駄目なんです、会議で決まったことを盛り込むという。  私が聞きたいのは、知事経験者としての増田大臣にどういうことを盛り込むべきだと主張をしていかれるんですかと、そこを私は尋ねているんです。改めてお尋ねします。
  13. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 分権改革というのは大変重要な事項でございますので、今、骨太方針というのが政府で、またこれからの政策を決めていく上での柱となっていますから、その中に分権改革の今回の勧告内容を盛り込むと、そのために全力を尽くしていきたい。せっかくいい勧告をしていただきましたので、その第一次勧告内容分権改革項目としてきちんと盛り込んでいきたい。  この内容受け身で盛り込むということではなくて、当然、今後の政府としての方針決定、それからそのほかの項目も含めて骨太方針にはその基本的な考え方を全部書くはずでございますので、その中に分権改革に向けての政府決意と、それから第一次勧告勧告された内容についてその中に盛り込むと、こういうことで対応していきたいというふうに考えております。
  14. 内藤正光

    内藤正光君 まずは、第一次勧告完全実施に向けて、その決意を具体的に骨太方針の中に盛り込んでいただきたい。第一次勧告完全実施されなければ第二次勧告へつながらないんです。やはり国道だとか一級河川の管理が国に残ったら出先機関の統廃合できないわけですよね。ですから、まずは第一段階として、第一ステップとして第一次勧告完全実施、これをしっかりと実現をしていただきたいと思います。  そこで、次なんですが、地方分権の着実な推進に当たっては、私は何といっても、これは増田大臣大臣になる以前から主張されていたことではあるんですが、国、地方の正式な協議の場というものが必要なんだろうと思います。単なる意見交換の場じゃありません、正式な協議の場。その協議の場のイメージを私なりに申し上げさせていただくならば、そこには当然、地方方々、そしてまた国としても総理、そして財務大臣総務大臣関係閣僚、こういった方々が集うやっぱり正式な協議の場というものが必要なんだろうと思います。  なぜか。もう地方分権というのは議論をするというフェーズから実行をするというフェーズへと変わってきているんです。つまり、政治判断が求められている、そういうフェーズへと変わってきているんです。今までのように、議論はしても結局最後はうまくいかなかったねという取りまとめで終わることはもう許されないんです。実行するかしないか、やるかやらないか。そのためには、実は昨日、民主党部門会議丹羽委員長もお越しになられていたんですが、やっぱりこれからはフォローアップの場が必要だということをおっしゃっていましたが。  私は、そこでお尋ねしたいのは、大臣大臣以前に御主張されていたそういった正式協議の場、それが確実に実行されていくということにつながるわけなんですが、その設置に向けての努力決意お尋ねをしたいと思います。
  15. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 国と地方協議の場というのは、特に分権改革の場合には大変重要なことでございまして、今先生お話しのとおり、やはり多くの事柄政治決断を必要としていくものが多うございますので、高いレベルでそういう場をつくって、そしてそこで物事を決めていくようにしていかなければいけないと。  私が大臣になる前までは、国と地方協議の場、特に官房長官が主宰するような会議がしばらく開かれておりませんで、三位一体改革のころには何回か開かれたんですが、ずっと中断しておったんです。昨年就任して以降、それをまず再開をしなければいけないということで、昨年それから今年にかけまして、つい先日も、五月にもその会議を開きまして、関係閣僚にもみんな出席をしてもらいまして、地方団体も出てきていただきました。いろいろお話をお伺いし意見交換しましたけれども、こういった場を必要な時期に応じてやはり何度も開いていく必要があるということで、私が大臣になりましてから四回ぐらい開きましたでしょうか、できるだけ意識して開くようにしてございます。  そのことをやがては、地方団体の方では、私も知事をしておりましたときに、法制化をしたきちんとした場にしていこうということを言っておりましたが、もちろん、できるだけ制度化をしていくようなことが必要だというふうに私自身も、今、知事時代経験も踏まえて思っておりますが、まず、そういう国、地方協議の場を必要に応じて頻繁に開くんだという意識で政府部内を統一していきたいと。  官房長官が主宰して関係大臣が出る場も開いていきたいと思いますし、私自身地方団体とよくお会いをするようにして、とにかく地方団体政府とこういう本当意味での協議を行うような場を必要に応じて度々開催をしていく、こういうふうにしていきたいと思っております。
  16. 内藤正光

    内藤正光君 増田大臣思いもあって、地方と国との協議の場、意見交換の場は何回か開かれているというのは私も承知をしております。  しかし、これをやはりしっかりと正式に定めるというのは大事なんですね。単なる意見交換の場から実際もう政治決断ができる場へと変わっていくわけなんですね。ですから、増田大臣も今の答弁からはそういう思いがあるとは私も理解をいたしましたが、やはり早急にやっていただかなきゃいけないと思うんです。第一次勧告実施と合わせるぐらいの、それぐらいのペースでやっていただかなきゃいけないんですが、それはもう例えば今年以内にとか、そういう何か期日というのはおっしゃることは可能でしょうか。
  17. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 地方団体から今、私も知事をやっておりましたときに政府の方に申し入れたものは制度化をすると。それは当然のことながら、法律上きちんと制度化をするということで法改正を伴うような、そういうものでございました。  丹羽委員長分権委員会の方のお考えもあると思うんですが、丹羽委員長も言っておりましたけれども、やはりそういった場というのは今後改革を進めていく上で大変必要な場だと思いますし、どういう形でそういったものがいいかというのは、最後地方分権一括法考えるときにやはり議論をしておかなければいけない事柄だと思っておりますし、分権委員会の方でも、まさに丹羽委員長がそちらの方でお話しされたと思いますが、フォローアップの場というような話をしておりましたけれども、分権委員会でもいろいろ、どういう場が一番いいのかというお考えもあろうかと思いますので、私も分権委員会のお考えなども聞いて、そういう場の在り方というのを考えていきたいというふうに思っています。  ですから、いつまでにやるのかという、その期日ということを今明確に意識しているわけではございませんが、来年の一括法議論するときまでには様々なその点についての議論も出てくると思いますので、そういう意見をよくお聞きして、どういう制度がいいのかということを考えたいというふうに思っております。
  18. 内藤正光

    内藤正光君 本当にこれは、本当地方分権推進できるかどうかは、まさにそういった協議の場、フォローアップの場が設置されるかどうかに懸かっていると言っても過言ではないかと思いますので、必ず法制化をしていただきたいというふうに強く要求をしたいと思います。  さて、地方分権では最後質問になろうかと思いますが、これ第一次勧告中身を読みますと、「はじめに」というところでうたわれているんですね。究極目標地方政府確立だと。地方政府というのは一体何なのか。単なる行政権のみならず、立法権財政権をも具備した地方だと、こういったものを第一次勧告究極目標にしているわけです。ところが、現状はというと、条例で定められるところは少なからずあるんですが、それも法律の枠内なんですね。  そこで、私は特に訴えたいのは、地方議会在り方ですら国が事細かに決めている。実際、ちょっと今日は、重いんですが、地方自治法を持ってきました。六法の中にあります。そうすると、地方議会在り方が定数から何から何まで何ページにもわたって書き込まれているんです、第六章に。  私は、地方分権という時代に照らし合わせたときに本当にそれでいいんだろうか、地方ミニ国会みたいなものを幾つもつくる、これが本当地方の実情に合っているんだろうか、そのように疑問を思わざるを得ないんです。  それこそ、大臣も御存じでしょうが、例えば北欧などは、ふだんは普通の仕事をしている、サラリーマン、先生仕事をしている。ところが、夜間だけあるいは休みだけその地域代表として審議に参加をすると、こういう形態もあるわけです。あるいは、小さなところだったら代議員制なんというのを取らずに全員が参加してもいいと思うんです。いろいろな形態があっていい。にもかかわらず、国がすべてしゃくし定規に決めてしまう。私は、これは今という時代にそぐわないんだろうと思います。  そこで、私は大臣に確認をさせていただきたいんですが、この第一次勧告究極目標と定めた地方政府確立に向けて、私は、そういった地方議会在り方も含め、地方自治法抜本改革、これはもう急務ではないかと思っておりますが、大臣のお考えお尋ねしたいと思います。
  19. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 議会関係は、やっぱり地方政府確立する上で非常に重要な柱の一つだと思いますね。分権の問題も、議会のお持ちになっている監視機能が十分働いていくのかどうかということが、やっぱり分権全体を国民が理解していく上でも大変重要でございますので、したがって、この議会在り方、しかも、その在り方というのは、今お話ございましたとおり、できるだけそれぞれの議会自主性とか自律性にゆだねるという方向で、しかも、その上で、それぞれの議会議事機関としての機能とそれから執行部を監視する機能というのを高めていく、これを議会に持っていただくと、こういう方向でやっぱり議会改革を進めていくということは必要だろうと思います。  そういう方向性も踏まえて、今、二十九次の地方制度調査会でちょうど議会議論を始めたところでございます。今フリーディスカッションだと聞いていますが、間もなくそういった観点での議論がいろいろなされると思いますので、私も、その点について適切な、いろいろな内容が出てくると思いますし、これは当然、地方自治法改正にも及ぶ話でありますから、この議会というのは、とてもそういう意味で大事な機能をそれぞれの地方政府で果たしていただくと。  しかも、その内容については、でき得る限り、それぞれの議会ごと地域の状況を見ていろいろお決めいただくということが適切ではないかと思いますが、内容については、また地方制度調査会でいろいろ議論なされる内容を踏まえて、そうした地方自治法改正も当然考えながら、その制度化といいましょうかその具体化に向けて努力をしていきたいと、こういうふうに考えております。
  20. 内藤正光

    内藤正光君 地方分権の話はこの程度にしたいと思いますが、大切な問題ですので、これからもしっかりとウオッチをしていきたいと思います。  さて、次に公務員制度について議論したいと思います。残すところあと十分を切ってしまって、わざわざ今日は山本副大臣にもお越しいただきましたので、ちょっとはしょって質問をさせていただきたいと思います。  まず、総合職試験とキャリアシステムとの関係についてお尋ねしたいと思います。  今回の国家公務員制度改革基本法では、キャリアシステムの廃止というものが大きな目的の一つになったわけでございます。キャリアシステムというのは、もう試験によってその後が全部決まってしまうと。本来は、職務上、その能力を見ながらその先々が決められるのが妥当であるのにかかわらず、キャリアシステムというのは、慣行でしょうね、今までの、最初の受けた試験でその後の人生が決まってしまうという極めて非合理的な慣行ではないかなというふうに思っております。  そこで、今回の基本法を見てみますと、総合職で受かった人が幹部候補育成課程に乗っかりやすいというような仕組みにもなっているんですね。これだと結局、単なる慣行から実際の制度法律で定められた制度へと変わってしまうだけの話で、ますます悪くなってしまうんだろうと思います。  そこで、そうさせないためにということで何点か確認したいと思うんですが、ちょっと技術的な話で恐縮です。現在、Ⅰ種試験による採用者は六百名程度だと聞いております。Ⅱ種試験は二千名ないし三千名ですよね。では、総合職試験による採用者、かつて渡辺大臣は百名程度というふうにおっしゃっていたことがあるんですが、その後どうも口を閉ざしているんですが、実際何名ぐらいを想定しているんでしょうか。本来、キャリアシステムの廃止をうたうんだったらば、私は、総合職の採用者というのは、現在のⅠ種採用者以上の人間を雇わないと論理的に破綻をしてしまうんじゃないかなというふうに思うんですが、今の考えをお聞かせいただけますか。
  21. 山本明彦

    ○副大臣(山本明彦君) 今回の公務員制度改革は、もう御承知のように、内閣に一元化することを目的といたしまして、まさに能力・実績主義というものを採用しておるのが大きな柱だ、そんなふうに思っております。  今、総合職試験何人かという具体的なお問い合わせでありますけれども、今申し上げましたように能力・実績主義でやっていきますので、総合職試験で通った人間を幹部候補育成課程にするということは、考えは全くありません。どの試験で来たかということを全く関係なしに幹部候補育成課程に採用していくと、こういったことであります。しかも、対象となった後もそれぞれ人事評価に基づいて定期的に判定をしていくということであります。  御指摘の人数につきましては、今からの制度設計で行っていくということでございます。まだ決まってはおりません。
  22. 内藤正光

    内藤正光君 そこで、先ほど人事評価システムということをおっしゃいました。まさにそこが大事だと思うんです。人事評価システム、どのようなものを確立していくのか。  一般の会社だったらば、例えば営業部門だったら販売実績が一つの尺度になるんだろうと思います。では、公務員の場合は何が尺度になるのか。内向きの論理じゃ駄目ですよね。やっぱり国家公務員というのは公僕としていかに国民に奉仕をするか、そういった観点での評価システムが求められるんだろうと思います。  そこで、私は、副大臣並びに人事院総裁お尋ねしたいのは、これをつくるのは内閣官房だというふうに理解をしておりますが、その評価システムの構築、どういうものを考えていらっしゃるのか、そして人事院としてはそれに対して意見を申し上げる立場にあると聞いておりますが、その大事なポイントをお示しをいただきたいと思います。
  23. 山本明彦

    ○副大臣(山本明彦君) 先ほど申し上げましたように、基本的には能力、実績ということでありまして、先ほど委員御指摘のように、民間と違いますので売上げとかいうものがございませんから、数字的なものは非常に難しいというふうに思いますけれども、その点をいかに公平中立に認定していくかということをこれから制度として考えていくべきだというふうに考えております。
  24. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 人事評価制度の整備に当たりましては、職員の職務遂行能力と勤務実績をできる限り客観的に把握し、それを的確に評価することができるような仕組みとその実施体制を整備すること、それから、それらについて評価を受ける職員の理解と信頼を得るということが極めて重要であると考えます。  しかし、私は、御質問の趣旨に沿うかどうか分かりませんけれども、それより以上に重要でありますことは、評価の前提となり、あるいは評価制度を設け、活用することの目的ともなりますことでございますが、各府省の最高幹部を始めとした各段階の責任者がそれぞれの所掌分野の行政の目的、目標を明らかにし、職員にそれをよく理解させた上で、それを踏まえて職員の実績を評価することであると考えます。と同時に、職員におきましても、一人一人がその能力を高めつつ、国民の立場に立ち、与えられた使命、職責を十分に理解して、自覚して職務の遂行に当たるということが重要であるというふうに考えております。
  25. 内藤正光

    内藤正光君 このことは、ちょっと時間も余りなくなってしまいましたので、大事なことですのでしっかりと議論していきたいと思います。  あと本当にわずかでございますので、最後の一問、それぞれまた内閣府副大臣並びに人事院総裁お尋ねしたいんですが、最後に中立公正性の確保という観点で質問をさせていただきたいと思います。  人事院の存在意義なんですが、平成十八年五月の委員会で法制局がこのように答弁しております。労働基本権制約の代償措置ということもあるが、そのほかにも公務員が不偏不党、中立公正の立場でかつ能率的に公務を執行することを確保する、その目的を人事院に期待しているということを答弁されております。そして、同じ委員会におきまして、当時の安倍官房長官は、公務員制度改革においても人事院のそうした役割を確保することは極めて重要であるということもおっしゃっているわけでございます。そして、今回の法改正によって内閣官房に内閣人事局が設置をされる、人事院の機能が幾つか移管されることが触れられている。  そこで、それぞれにお尋ねしたいのは、どういう人事院の機能あるいは職務を移管しようと考えていらっしゃるのか、逆に、人事院にお尋ねしたいのは、憲法解釈上から絶対に人事院に残さなきゃいけない機能あるいは職務は何だと考えていらっしゃるのか、それぞれ端的にお尋ねしたいと思います。
  26. 山本明彦

    ○副大臣(山本明彦君) 結論から言いますと、今からの制度設計でございますから、どの部分を人事院から内閣官房に移すかというのはまだ決定しておりませんが、総務省、人事院その他の国の行政機関が国家公務員の人事行政に関して担っている機能につきまして、内閣官房が新たに担う機能を実効的に発揮する観点から必要な範囲で内閣官房に移管すると、こういうことになっておりまして、今からの制度設計でございますのでよろしく御理解いただきたいと思います。
  27. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 以前にも御答弁したことになりますけれども、公務員の人事行政が中立公正に行われることによりまして、全体の奉仕者としての公務員が安んじて公務に専念することができるとともに、国民に対して公平、平等に法律、予算が執行され、またいかなる政党が組織する内閣にも忠実に仕えることができる公務員集団が確保されることとなると考えておりまして、この中立公正性の確保ということは極めて重要であると考えております。  今回の改革は、この中立公正性の確保の在り方そのものを見直す趣旨のものではないと承知しておりますが、中立第三者機関であります人事院が現在、採用試験、研修の企画立案、実施や任用、分限、懲戒の基準設定などの事務をこの中立公正性確保の観点から行っておりますことの意義にかんがみまして、内閣官房に新たに付加された機能を具体的に検討されるに当たりましてもこうした点に影響することのないよう十分御配慮をいただきたいと考えております。
  28. 内藤正光

    内藤正光君 最後、一言になりますが、憲法解釈上、人事院の役割というのはしっかりしたものがあるんですね。やはり中立公正性の確保、そのために人事院からは決して移管してはいけない機能というのはあるんです。逆に言えば、人事院に残さなきゃいけない機能、それは採用試験の企画立案だとかその他もろもろおっしゃっていただいたわけなんですが、そういったことを踏まえてしっかりと制度設計をしていただきたい、このことを強く申し上げまして、私の質問を終えさせていただきます。
  29. 武内則男

    武内則男君 民主党・新緑風会・国民新・日本の武内則男です。おはようございます。  二〇〇六の骨太方針が出され、二〇一一年にプライマリーバランスを黒字化をしていくという骨太方針の下に、政府の置かれている立場からは、なかなか私の質問に、それを超して答弁するのは大変難しいこととは思いますが、少なくとも疲弊をした地方の現状については是非大臣の御認識を率直にお伺いをしたいというふうに思います。  経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二以降、地方歳出の抑制がずっと行われてまいりました。二〇〇四年度からの三か年で、補助金改革と税源移譲とともに交付税が五兆一千億削減をされてまいりました。非常に財政力の弱い地方公共団体では、税収の増加を上回る地方交付税の減少によりまして、国を上回る歳出削減努力を続けても大変、なお厳しい財政運営を強いられていると考えますが、大臣の御所見をお伺いをしたいと思います。
  30. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) お答えを申し上げますが、財政健全化は国、地方を通じて、いずれにしても必要なことだというふうに思っておりますが、今お話ございましたとおり、大幅な歳出削減を地方は行ってきたと、これは懸命な行革努力を含め、様々な努力によって地方がそういう歳出削減を何とか今まで成し遂げてきたと、こういうふうに思っております。  そういうことでもなお今財源不足も地方の方で持っておりますし、それから、この間、例の三位一体改革の中で非常に急激な交付税の削減といったようなこともございました。ですから、地方がそのことによって大変、個々の地域のサービスに支障を来すようなことも現実には生じてきたというふうに私は思っております。  いずれにしても、この歳出削減に懸命の努力をしてきて大変厳しいなお財政運営を余儀なくされている、このことは是非国民の皆さん方にも御理解いただかなければならないことだと思っておりますので、そのために総務省としてそうした理解をいただく、現実のそういうこれまでの間の自治体、各地方団体の歳出削減についての努力というものをきちんと評価していただけるように総務省としてもその努力を惜しまずにやっていかなければいけないと、こういうふうに考えております。
  31. 武内則男

    武内則男君 是非、地方自治体を総務省に僕は守れということを言っているんではなくて、やっぱり本来受けるべき公共サービスが、そこの自治体に住む人たちの生活や暮らしや命という、そこを守るべき地方自治体の責務が、提供すべき公共サービスが、やっぱり守られてきていないという、そこが崩壊をしてきているということに是非視点を持っていただきたいなというふうに思います。  その上で、少し私としては納得のいかない動きについてお話をしたいと思うんですが、地方全体ではプライマリーバランス、いわゆる基礎的財政収支が黒字となっていることのみで地方の方が国よりも財政的に余裕があるんだというような主張がなされてきています。しかし、大臣もう十分御存じだと思うんですが、地方のプライマリーバランスというのは、国の経済対策に呼応して発行をした地方債を償還をしながら、先ほどお示しされたように、一般歳出の削減に努めてきたことによって改善をしてきたものであって、地方財政に余裕があるものではないというふうに思います。  一部国の行政機関の中で、地方の方がずっと国よりも財政的に余裕があるんだということがあたかも発信をされていることに対しては、私としては非常に怒りを持っているわけなんですが、そうした地方の財政について大臣の御所見、少しお伺いをしたいと思います。
  32. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 私も、そうした議論がよくなされること、要するにプライマリーバランスで国はマイナス、赤字であるが、地方は黒字であるから地方の方が財政的に余裕があると、こういう話を私も直接何人かの方から言われたことがあります。これは全く現実を無視した議論だと私も思っておりますし、即座にその場で反論をしておりますが、やはりこのことは私のみならず地方関係者にとってみれば到底納得できる議論ではないというふうに私は思っております。  今、少し先生の方からもお話がございましたんですが、制度がまず違うということですね。国と地方の財政制度は大きく異なっていると。それから、まず、国は単一の財政主体でありますが、地方は約千八百もの地方団体の集合体ですから、単純に足し合わせた比較とするということもいかがかというふうに思います。そもそも金融、経済、税制などの権限を国が持っているわけですが、全く地方はそれは異なっていますし、それから、特に地方の黒字というのは、赤字地方債の発行が制限されている中で、今お話がございましたとおり、行政改革や歳出削減に必死に取り組んだ結果として生じているものでありますので、決して地方の財政的な余裕というふうに言われる筋合いのものではないというふうに私は思います。  この点は、私もそういうことが言われるたびに即座に反論してございますが、また、そういった点について私どもももっとしっかりとした説明、丁寧な説明、一見数字だけを見ますと、ああなるほどと思われがちな部分もありますので、丁寧な説明をして、決してそういうことではないということを御理解いただくように努力していきたいと思います。
  33. 武内則男

    武内則男君 ありがとうございます。  そうした中で、若干、歳出削減の努力と、それと実態について、本当地方の一例になってしまいますが、それを申し上げながら、少し御見解をお伺いしたいと思います。  これらの地方の歳出削減努力は、もう言わずと知れて財政力の非常に弱い団体により顕著に現れてまいります。地方税収の格差がそこに住む住民サービスの格差にまで及んでいるという現実がございます。  例えば、高知県の山間部に位置をいたします嶺北地域においては、救急車の現場到着時間が全国平均は六・四分でありますが、ほぼその倍の十三分、そして、病院への収容時間が、全国平均三十分に対して四十九・六分という現状にございます。  こうした中で、地方交付税が今後も減少をしていった場合には、現在、一部事務組合で運営をしておりますが、消防署の統廃合なども含め、都市では助かる命がこうした中山間地、地方では助からないという命の格差まで生まれてくるのではないかという大変危機感を抱いております。そうした状況について、大臣の御所見がございましたらお伺いをしたいと思います。
  34. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今委員の方からお話がございました高知の嶺北地域の数字でございますけれども、私も先般、高知も行ってまいりましたし、高知県の中でこの数字を見たわけでありますけれども、特に大変厳しい数字が並んでおります。高知県全体の中でもこの地域が極端に救急車の現場到着所要時間も掛かっておりますし、大変厳しい現実があるということを理解をいたしました。  やはり問題が、地方の一般歳出が非常に今削減されているわけでありますが、そのことはどこに利いてくるかというと、今御指摘いただきましたとおり、財政力の弱い団体、財政力指数が弱い団体ほどより厳しい歳出抑制努力を行っていかなければいけないということと、しかし、削るところはもうほとんどない状況に来てしまって、結果として様々なサービスのところにそのマイナスの、負の影響が出てくるということを一番懸念をしているわけであります。地域間格差の問題がよく議論されるわけですが、それはやはり条件不利地域に顕著に現れてくるということがそのことの一番深刻な問題ではないかと、こういうふうに思っております。  そこで、先ほどまさに命の格差のようなお話がございましたんですが、そういう意味では、財政的な観点からいえばやはりそうしたことを、財政力格差を是正するための交付税の全体としての確保といったことも必要でございますし、それを含めた財政計画の全体の量の確保といったようなことも必要だろうと思いますが、そうした地域地域の様々な財政需要というものをこれからも的確に私どもとしてとらえて、特に厳しい財政運営を余儀なくされている地域を中心に必要な財源の確保ということを図っていかなければならない、そのための措置を講じていかなければならないと、こういうふうに考えております。
  35. 武内則男

    武内則男君 ありがとうございました。  本当に今の地方自治体、あるいはその地方に暮らす高齢者や子供、若者を含め、そうした地方に暮らす人たちの生活に関して地方自治体が大変厳しい状況にあるという御認識については大臣も重々、痛いほどそのことが分かっておるんだなというふうに私も感じさせていただきました。  そこで、先ほど大臣の方のお言葉から出ましたが、それなら、そういう状況の中で地方交付税について少しお伺いをしたいと思います。  地方交付税は、地方公共団体自主性を損なわずに地方財源の均衡化を図り、必要な財源の確保を保障することによって地方自治の本旨の実現地方公共団体の独立性を強化するものという地方交付税法第一条がございます。地方交付税への地方公共団体の依存体質だとか、あるいは自主財源確保への努力不足だという批判があります。一部の不適切な財政運営等を行った団体の存在を殊更強調をして、本当に頑張ろうにも頑張れないほどに疲弊をした地方の実態に背を向けるものだというふうに思います。  二〇〇七年度から人口そして面積を基準とした新型交付税制度は、地方団体の実態に応じたきめ細かで、そしてこれまでのきめ細かにやられてきたその実態に対して配分を単純化するものであって、また頑張る地方応援プログラムによる交付税算入というのは地方の一般財源である交付税を政策目的化するものであるというふうに私は今とらえています。  地方交付税制度の本質がゆがめられてきているのではないかという危惧もいたしておりますが、国、地方を通じた歳出抑制の流れの中で、都市と地方との財政力の格差の拡大が大きくなることによって地方交付税の財政調整機能は私はより重要になってきていて、簡素化ではなくて、それぞれの地方の自治体の町づくり、あるいは暮らしやハードやソフト面も含めて様々な地方の実態というものがしっかり反映をされる算定でなければならないし、そうした機能をきちっと持った交付税制度でなければならないというふうに考えていますが、大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  36. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) この交付税制度なんですが、今お話あったように、財源を調整する部分とそれから財源を保障する部分といずれも大変重要な機能でありまして、まさに先ほどの過疎の地域などがこうした制度によって本当に生きてくると、そこでの本当地域人たちの活力が出てくるわけでありますから、これは制度機能が、今言いました二つの機能が最大限発揮されるようにならなければいけない。これは必ず私どもとしても制度を所管する立場から意識をしておかなければいけないと思っています。  その上で、実は地方団体に、私も知事をしておりましたときに、これは知事のみならず市長さんや町長さん方も常に国に対して物を申していたんですが、その当時の交付税というのが余りにも複雑化していて算定項目も多い、それから補正係数で非常に補正をしていくものですから、県でも本当に財政課の数人しかその中身がよく分からなくて、それからどうもやっぱり総務省、当時の自治省にお伺いしても、幹部の方はもちろんかつて経験したことはありますが、最近どうなっているかということは分からなくて、本当にもうごく限られた人たちの間だけで何か数字が出てくるという感じがあって、相当ブラックボックスになっているという批判を私自身もしたことがありました。  ですから、これはなかなか難しい問題ではあるんですが、透明性とかそれから分かりやすさというのは必ずこれはやっぱり必要になってくる。もう一部の関係者だけがその中で数字をつくり出していくということはやっぱり避けなければいけない。そういうことが制度全体への見えにくさというか、理解のしにくさにつながってきては決していけないと思うんですが、ただ、一方で、必要な財政需要がきちんとその中に盛り込まれるということはこれは制度の本質でありますから、そこは制度として必ず内在的に持っておかなければならない、こういうことであります。  ですから、透明性とか、それから一方でどうしても簡素化のようなことを実現していかなければいけない部分もあるんですが、大事な必要な財政需要がきちんとその中に盛り込まれて、交付税の財源保障そして財源調整の機能が確実に担保されるようにそういう制度でなければいけないということで、今補正係数なども大分統合したり、それから算定項目を統合したり簡素化したりということと同時に、その中でどういう項目を盛り込めばいいかということなど、様々な工夫をしているところでございます。  このバランスということが常に問題になってきますけれども、いずれにしてもそういう意識でおりますので、今御指摘いただきました、地域地域本当に厳しい財政需要は必ずその中に算定として盛り込まれるようなそういう適切な算定の在り方というのは、制度を守る立場であるいは制度を所管する立場で常に意識してこの制度を運営していきたいと、こういうふうに考えております。
  37. 武内則男

    武内則男君 交付税法の第一条にあります独立性とかあるいは独自性、別段、東京と同じような生活を地方の例えば嶺北の人たちが望んでおるわけではありませんし、県内における一極である高知市の生活を望んでいるわけではありません。それぞれの自治体に独自性と独立性があってやられていますので、その算定根拠については固まったものではなくて、是非見直しというものはずっと続けていってもらいたいというふうに思います。  最後に、総額抑制の見直しに対して御質問をしたいと思います。  地方財政計画の財源不足を縮小する一方で、交付税の交付団体に配分される地方交付税額は、私はマクロで縮小する側面があるというふうに思います。疲弊をした地方を再生をして、活気を取り戻して、都市と地方が共生をしながらこれからの日本を成長に導いていく。そのためには、地方財政計画の総額抑制というものをきちっと見直して、必要な経費を確実に地方に措置をしていく、そのことを是非大臣の方に御要望を申し上げて、私の質問を終わります。是非、御見解をお願いします。
  38. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 必要な額をきちんと確保しなければいけないと私も思っておりますし、今年度その全体の歳出枠の中で特別枠を設けて、地方再生対策費ということで全体の枠を広げるような、そういう努力もさせていただきました。  政府閣僚でございますし、政府として大きな方針として骨太方針などを持っておりますので、無駄な歳出は当然やってはいけない話でありますが、その中でこの地方の歳出を、総額をきちんと確保すると。このために、これからいよいよそうした作業が来年度に向けて始まりますので、今いただきました御意見もしっかり頭に入れて今後対応していきたいと、こういうふうに考えます。
  39. 武内則男

    武内則男君 終わります。
  40. 行田邦子

    ○行田邦子君 民主党・新緑風会・国民新・日本の行田邦子です。  この通常国会では、政府における様々な税金の無駄遣いが指摘をされております。私自身、国会議員として働く以前に想像していた以上の信じ難い税金の無駄遣いを目の当たりにして、一体これがどこに根源があるのかたどっていくと、結局は国家公務員の人事慣行に行き着くのではないかという理解に至りました。  本日は、国家公務員の人事行政を所掌する増田大臣に何点か質問をさせていただきます。  政府における様々な無駄遣いの中で深刻な問題が、所管公益法人への不適切な業務委託、そして過剰な支出だと私は思っております。ここで、所管公益法人への支出状況がどのようになっているのか、簡単に整理をしておきます。  まず、各府省と所管公益法人等との随意契約の実態ですが、昨年十二月の内閣府の公表によると、平成十八年度は競争性のない随意契約による支出が全府省合計で一兆六千二百五十一億円という莫大な金額になっています。こういった一・六兆円という随契業務は本当にこの公益法人でなければ仕事ができなかったのか、そしてそもそもその業務発注というのは本当に必要だったのかといった疑念が持たれるわけです。  また、会計検査院の検査によると、平成十七年度及び平成十八年度十二月までの二十一か月の間に、各府省から随意契約による業務委託、支出があった所管公益法人の数は一千二百二十三法人、そのうち九百六十二法人に所管府省の再就職者、いわゆる天下りが在籍しています。その数は九千九百九十三人、約一万人のOBが随意契約先公益法人に天下っているということになっています。  そして、これら天下りがいる公益法人への随意契約の支払金額は、平成十七年度だけで三千五百八十八億円という巨額に上っています。一万人の天下りがいる公益法人に年間三千六百億円の随意契約による支出が行われているということになっています。  なぜ、この所管公益法人への過剰な支出、そして不適切な業務委託が減らないのか、随意契約をしてまでも税金を公益法人に流さなければいけないのか、それはそこに天下りがいるからなんですね。天下りを、言葉は悪いですけれども、養わなければいけない。  じゃ、なぜ天下りがなくならないのかというと、それは国家公務員の早期勧奨退職という人事慣行、いわゆる肩たたきという人事慣行が続いているからなんです。定年まで役所に勤めることができないから天下りをせざるを得ない。しかも、定年までいれないというのは本人の意思ではなくて役所の都合なわけですから、結局役所がその職員の天下りの面倒を見ることになる。こうして一・六兆円もの随意契約による所管公益法人への税金の流出、この元をたどっていくと国家公務員の肩たたきというところに行き着くわけです。  総務大臣に、増田大臣にお伺いしますが、この早期勧奨退職という人事慣行、総務大臣は是正の推進というお立場で所掌されていると思いますけれども、この肩たたきについて大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  41. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 早期退職慣行、これがもう今は行き過ぎて、それでやはり様々な弊害を呼んでいるというふうに思います。ですから、この早期退職慣行制度、まさに慣行で、決まったものがあるわけじゃないんですが、こういう慣行は見直しをしておかないと様々な弊害が生ずるというふうに思います。  今お話がございました、定年まで勤めるというのが本来の姿でありますので、そういう本来のあるべき姿に向けてこうした制度を是正をしていくということが私どもの役割でありますし、そのために、少なくとも在職者の退職の年齢を引き上げるようにということで今各省に要請をしてございますが、御指摘いただきましたとおり、この早期勧奨退職、早期退職の慣行、こういったものを是正をしていくために総務省としてその役割を従前にも増して今後果たしていかなければいけないというふうに思っております。
  42. 行田邦子

    ○行田邦子君 今大臣から、肩たたき、早期勧奨退職の是正に努めていくという御答弁をいただきましたけれども、私は是非、一歩踏み込んで、更に踏み込んで、是正ということではなくて廃止ということで取り組んでいただきたいというふうに思っております。  天下りに関連してお尋ねしますけれども、年内に設置される予定の官民人材交流センター、天下りバンクと呼ばせていただきますけれども、このひな形と言えるんでしょうか、総務省所管で平成十九年度まで行われていた人材バンクについてお伺いしたいと思います。  人材の登録の件数、求人件数、成約件数、そしてこれまでに要した運営費等についてお答えいただけますでしょうか。
  43. 藤井昭夫

    政府参考人(藤井昭夫君) お答えいたします。  試行人材バンクは平成十二年度から設けられているわけでございますが、求人件数について、これは毎年でよろしゅうございますでしょうか。毎年毎年申し上げますと、十二年度に二十六件、以下、七件、七件、八件、五件、十九件、二十九件、十九年度は民間事業者への委託も行わせたということで百七十九件と、こういう推移になっております。  それで、成案を得たものは一件でございます。これは局長級の職員でございますが、大学の客員教授という形でまとまっているところでございます。  予算の方はちょっと手元に資料がないんですが、毎年一千万内外の予算であるというふうに記憶しております。  あと、体制の方は実は非常に零細でございまして、わずか二人ぐらいの定員で管理していると、そういうものでございます。
  44. 行田邦子

    ○行田邦子君 今、実績、成立件数、局長クラスで一件と、七年間に一件ということでしたけれども、そしてこの人材バンクに要した費用ということで、七年間ですから七千万円でしょうか、掛かったということだと思います。  この人材バンクの行政評価、総務省では行政評価を所掌されていると思いますけれども、人材バンクの行政評価ということをされたことはありますでしょうか。
  45. 藤井昭夫

    政府参考人(藤井昭夫君) 総務省も自らの事務事業について政策評価を毎年やっているわけですが、この人材バンク制度についても毎年評価を行っております。その評価結果はこれまた総務省の政策評価の実績報告書というような形で公表をしているところでございます。  ちなみに、平成十九年度の政策評価におきましては、たまたまそのとき新たな官民交流センターという同様の仕組み、立派な仕組みができるということもございました。それから、今までの実績なんかも踏まえてもう廃止、縮小というような形で方向性を結論付けているところでございます。
  46. 行田邦子

    ○行田邦子君 毎年行政評価を行っていたということは初年度から行っていたということだと思うんですけれども、にもかかわらず一向に改善しないということは非常に疑問を感じる、そもそもこの人材バンクという制度自体に問題があったのではないかというふうに思うんですけれども。  増田大臣にお伺いしますけれども、この人材バンク、簡単に言ってしまえば失敗だったと言えると思うんですけれども、なぜ機能しなかったのか、どこに問題があったのか、大臣自身のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。大臣自身のお考えをお願いします。
  47. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 失敗だったと思いますね、これは。ちゃんとやっぱり取り組んでなかったということだと思います。  一件例があったということのようでありますけれども、周知も十分でなかったでしょうし、それから、私も求人登録件数自体が大変少ないということを聞いてどういう原因かなというふうに思いましたんですが、やはりこういったところを通じて、そして企業とそれから退職公務員とを実際のニーズを合わせていくという、そういうことよりも、直接各省といろいろお話をしたり、あるいは先ほどのような、実際にはいろいろ様々な形態で天下り等もあったということで、これは形としては本来あるべき、人材バンクで、そこを通じてということなんだろうと思いますが、まだまだそういった面で、求人面からもそれから送り出すサイドからも意識が全体としてやっぱりそろってなかったんだろうと。  私も知事時代に、県のときに、やはり同じような、今度こういう人たちがお辞めになりますということで、人材バンクに似たような形のものをつくりまして、それで運用した経験がございます。そのときもなかなか最初はうまくいかなかったんですが、だんだんに定着してきたようなことはあるんですが、かなり相当意識を持ってやらないといけませんし、また、ここの部分だけでなくて、やっぱり先ほどお話ございました早期退職慣行の見直しとか、いろんな面を総合的にやっていかないとうまくいかない。  ですから、この人材バンクをつくった背景ですとか、それから他の部分の改革を合わせてしっかりとずっと継続的に行って、どんどんどんどん人材バンクの方に人を寄せていくようなことがやっぱり十分でなかったんではないかと、こういうふうに思っております。
  48. 行田邦子

    ○行田邦子君 私、そもそも組織的に制度として職員に対して再就職をあっせんする、天下りをあっせんするという考え方そのものに問題があったんだろうというふうに思っています。そういう意味では、年内に設置される予定の官民人材交流センター、天下りバンクも同じことだと思っています。  今後、各府省で行っていたあっせんを禁止してそして天下りバンクに一元化すると、一元化すれば問題はなくなるというような政府の見解もあるようですけれども、そうなったらなったで、一元化したらしたで、各府省は形式的には天下りバンクを通せばいいと、逆に天下りバンクを手続的に通せばそれで済んでしまうというようになってしまって、結局は天下りバンクというものは形骸化してしまうというふうに思っております。  そして、そもそもですけれども、政府を挙げて組織的に天下りをあっせんするというようなことに時間や労力、そして国民の皆様が納めた税金を掛けるということではなくて、先ほど大臣もおっしゃられたように、むしろその天下り、税金の無駄遣いのもととなっている天下りの更に根っことなっている肩たたき、早期勧奨退職という制度をやめる、そしてそのために定年まで働き続けたい方は働き続けられるような労働環境を整える、人事制度を整えるということに注力を政府としてすべきではないかというふうに私は思っております。この税金の無駄遣いのもととなっている天下りの問題を考えるときには、必ず早期勧奨退職ということをセットで考えなければいけないというふうに私は思っております。その点において、先ほどの増田大臣の御答弁で、大臣も同じようなことをお考えになっているかというふうに認識をしております。  それでは、肩たたきという人事慣行によって国家公務員の勤続状況がどのようになっているのか、伺いたいと思います。一年間の離職者のうち定年退職者の占める割合をできれば採用試験区分別、Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種、選考採用別にお教えいただきたいと思います。
  49. 藤井昭夫

    政府参考人(藤井昭夫君) 私どものところでは採用試験種別の退職者に占める定年退職者の割合というものについては把握してございません。ただ、俸給表の級別あるいは指定職俸給表を受けている者、そういったものの別では把握しているので、その数値でちょっと代用させていただきたいと思います。  それで、まず指定職俸給表でお給料をもらっていた方とか、あと一般職の俸給表では八級以上、八級以上というのは大体課長相当職以上でございますが、こういった人たちの割合でございますが、まず定年退職者の割合は一二・一%、人数では八十二人、それから勧奨退職を受けた者、これは八三・三%、人数では五百六十二人、それから自己都合でお辞めになった方四・六%、人数では三十一人、全体は六百七十五人でございます。それから、課長未満、補佐以下で辞められた方、七級以下ということになりますが、こういった方々、これはまず定年でお辞めになった方々でございますが、比率でいけば二七・二%、人数では千五百四十五人、それから勧奨退職で辞められた方二八%、これは人数でいけば千五百九十四人、それから自己都合等で辞められた方、これは多うございまして、四四・七%で二千五百三十八人、計で五千六百七十七人と。  以上でございます。
  50. 行田邦子

    ○行田邦子君 今八級課長職以上でくくると定年退職が全体の離職者の一二・一%ということだったと思いますけれども、これは非常に低い数字だというふうに思います。特にⅠ種採用、キャリア組と呼ばれている方たちというのは、数字がないということでしたけれども、これ是非把握された方がいいと思うんですけれども、定年まで勤務される方というのがほとんどいらっしゃらないのではないかというふうに推測をしております。  それでは、実際に国家公務員として働こうとしている方たちはどのような意識でいるのか、人事院が大変興味深い調査を行っています。今年度、Ⅰ種で採用された職員に対して意識調査を行った結果なんですが、定年まで公務員生活を続けたいと回答した人は四二・三%、七年前の平成十三年から七・八%増えています。一方、条件が合えばいつでも転職を考えたい又は長期間勤めてから転職を考えたいという転職志向組は二三・八%、七年前から一〇・七%減っています。  増田大臣にお伺いしたいと思いますが、この新人の国家公務員の勤続意識と、それから現状の勤続状況、随分と乖離をしていると思いますが、人事行政を所掌する立場としてどのようにお考えになりますでしょうか。
  51. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) やはり、そういった制度がずっとつくられていく中で、今、国家公務員を目指す人たちの意識というのは大変多様化している、それから社会の、まさに就職をする、その就職戦線というか、そういうところの状況、それも随分違っているということがございます。ですから、私はまさにそういう調査調査としてきちんと受け止めておかなければならないと思います。  まさにそういう意識の人たちがこれからこういう国家公務員という制度の中でどういうふうに、本当に国民の期待にこたえるような働きをしていくのか、あるいはその能力を最大限発揮することができるのか、やはりそこの差というものを十分に見ながら制度を不断に見直しをしていかなければならない、やはりそういうものとしてそういう調査をきちんと生かしていくべきではないかなと、こういうふうに思います。
  52. 行田邦子

    ○行田邦子君 早期勧奨退職、肩たたきという慣行は、税金の無駄遣いの根源となっているだけではなくて、公共のために働きたい、そして定年まで公務員として勤めたいと思って入省した若い公務員の方たちの働く意欲、就労意欲もそぐことになるのではないかというふうに思っております。  この肩たたき、なぜ肩たたきを続けるのかというと、それは年功序列型のピラミッドを守らなければいけないからということになるかと思います。ピラミッドの頂点にいる事務次官が組織の最古参でなければいけないというこの年功序列型のピラミッド、私は、今の社会情勢の変化そして国民の意識の変化に対応して、いいかげん改めるべきではないかというふうに思っております。自分より年次が下の人間が自分の上司になることもあり得る、それもやむを得ないとどこかで意識を変えていかないと、国家公務員の人事制度だけが世の中の常識から取り残されてしまう、このように考えています。そして、天下り先への税金流出も止まらない。時代にそぐわない人事制度をかたくなに守ろうとすることによって、結局はそのツケは国民に回されてしまうわけです。  私は、国家公務員の人事行政を所掌する増田大臣には、是非ともまずはこの早期勧奨退職という半ば制度化された人事慣行を是正するというよりも、一歩踏み込んで廃止するという方向内閣の一員として努力をしていただきたい、このことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  53. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 国民新党の長谷川憲正でございます。  今日は、お忙しい中を日本郵政の西川社長、高木副社長、おいでをいただいておりますが、大変恐縮に存じております。  今日、郵政の問題を取り上げさせていただく理由は、先週末、郵政事業が株式会社化をされてからの最初の決算が発表されました。中身を見させていただいておりまして今分析をしている最中ですけれども、まあ予想されたこととはいえなかなか大変だなというのが実感でございまして、経営者の皆さん、そして職員の皆さんの御苦労、本当に外におりましても感じられるわけでございますけれども。  私は元々民営化反対論者でありまして、法律が通ってその枠組みの中で経営をしておられるわけですから、四つの会社に分かれ、その上に持ち株会社が乗るというこの経営形態、私はこれ四分五裂と称しておりますけれども、この枠組みそのものは、これは国会で変えなければどうにもならないわけでございますからその枠内での御努力ということではありますけれども、だとすれば、それだけ要するに非常にやりにくい環境の中で御努力をしなければならないというだけに、職員の皆さんももちろんでございますが、上に立たれる経営者の皆さん、まさに襟を正して先頭を切って立派な姿を職員に見せて頑張っていただきたい、そう思っているわけでございます。  そういう視点から見ますと、いささか気になることが幾つかございまして、今日は若干三面記事的といいますか週刊誌的になるかもしれませんけれども、失礼なことを幾つかお尋ねを申し上げたいというふうに思っております。  最初のお尋ねは西川社長お尋ねをしたいわけでございますけれども、株式会社になりましてから盛んに新しいお取組をいろいろやっておられます。民間会社とのいろんな提携を進めておられるわけでありますけれども、そのこと自身は非常に結構なことだと思いますが、中身を見ますと、社長自らの出身母体であります三井住友グループ、西川社長は住友銀行の頭取をされ、三井住友銀行の頭取をされ、三井住友フィナンシャルグループの取締役社長を経られて現在おられるわけでございますけれども、どうも提携関係のいろんな表を見てまいりますと、三井住友の名前がやたら目立つという気がするわけであります。  例えば、クレジットカードについて二社と提携をしておられますけれども、一つが三井住友カード、もう一つが株式会社ジェーシービーということで、それ以前には例えばクレディセゾンというのが、これは郵便局の郵便貯金を利用される方の中では最大の共用カードとして四百三十三万枚も利用されていたと承知をしておりますけれども、ここは提携が切られたというふうに承知をしておりまして、それから変額個人年金保険というのが四社提携がなされておりますけれども、二つは外資系のアイエヌジーというところとアリコジャパン、あとの二つが住友生命保険と三井住友海上メットライフ生命という会社で、いずれも三井系、住友系ということでありまして、日本の銀行グループということでは三つ大きなグループがあると承知しておりますけれども、出身母体だけに偏るというのは余り芳しいことではないというふうに思っておりますが、どういう基準で提携先を決めておられるのか、まず社長にお伺いしたいと思います。
  54. 西川善文

    参考人(西川善文君) お答えをいたします。  提携に際しましては、特定の企業やグループを優遇するという考えは毛頭ございません。業務提携は顧客利便の最大化とそして郵政グループの事業ポテンシャルの極大化を念頭に、系列にかかわらず、系列のいかんを問わず判断をいたしておるわけでございます。実際には、提携案件ごとに提携希望先を募りまして、そして結構たくさんの会社から提案をいただきまして、その提案を我々の関係者、数は決まっておりませんが、多分五人から十人の人がそのプレゼンテーションを聞きまして、そしてその後検討会をして投票をしておると、その結果に基づいて提携をしておるということでございまして、私はその過程には一切関与をいたしておりません。  そういうことで、透明性を保ちながら提携をしておるということで、提携を契約しておるということでございまして、決して特定の企業グループを優遇するということではございません。  以上でございます。
  55. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 当然そうあっていただかなければいけないというふうに私も思いますが、実際の例えば郵便局の運用などを見ておりますと気になることがいっぱいあるんですね。  例えばこの三井住友カード、クレジットでございますので、クレジット会社と組むわけでございますけれども、VISAとマスターが選択できるようになっていると承知しておりますが、申込書も、VISAとマスターが選択できる申込み用紙というのが一つありまして、もう一つVISA専用の申込書というのがあると。現場の実態では、どうも会社はVISA専用の申込書を優先してほしいと、こういう指示がなされているというふうに耳にしておりまして、やっぱり不公平だなという気がするわけであります。  それからさらには、今VISAオリンピックキャンペーンというものをやっておられるようですけれども、ゆうちょ銀行の発行しているカード、VISAカードでありますけれども、北京へ、これオリンピックの後だというのでちょっとがっかりでありますが、ペアで旅行を賞品として差し上げると、こういう中身のようでございますけれども、対象はVISAブランドのみであってゆうちょ銀行のカードであってもマスターカード会員は対象外ですというようなことをやっておられるというので、いささか気になるわけでございますが、この点については社長、どんなふうにお考えでございましょうか。
  56. 西川善文

    参考人(西川善文君) 私、その申込書が二種類あるとかキャンペーンがどういう状態になっておるとか、こういったことは詳細を存じませんが、お客様の選択によりましてVISAを選んでいただくあるいはマスターを選んでいただくということになっておるというふうに理解をいたしております。  もう一社、ジェーシービーと提携をしておるのでございますが、ジェーシービーのサイドで事務的に遅れておりましてまだ間に合っていないという状況でございまして、やがてジェーシービーも入っていただけるものと考えております。  以上でございます。
  57. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 社長が御存じないというのは、大きな企業のトップでございますから一々の商品まで御覧になるようなことはないのかもしれませんが、私、今日のこの指摘も踏まえて一度点検をしていただきたいというふうに思っているわけです。  これは、例えばゆうちょ銀行、例えばかんぽ生命保険会社に三井住友銀行出身の方が何人か入ってきておられるようでございますけれども、もしかするとそういう方々のお計らいでそうなっているのかもしれない。あるいは、社長が三井住友の御出身だということで、幹部の連中が社長に気に入られたいという思いで一生懸命こういうことをやっているということもあり得るわけでありまして、それはもう政府が一〇〇%株を握る大事業、元々国営から始まった事業の事業展開の在り方としては甚だ問題が大きいというふうに思っておりまして、是非御点検を改めてお願いを申し上げたいと思います。  さらに申し上げますと、これは単なるうわさでございますけれども、世田谷の旧郵政宿舎の跡地を何かマンションにという話が進んでいるといううわさがありますが、これを担当するところが三井不動産レジデンシャルという会社であるというようなうわさとか、それから芝に東京メルパルク、大きな昔の郵便貯金会館と言われていたものでございますが、これが三井不動産に売られるというようなうわさが現実にあるということを見ますと、余計気になるわけでございまして、是非、こういった黒いうわさが飛び交うというようなことになりますと、本当に事業の将来に、これ利用される方ももちろんでしょうが、中で働く人たちも元気が出ないということになると思いますので、御点検をお願い申し上げておきたいと思います。  余り時間がありませんので、もう一つ、今日はせっかく高木さんにもおいでいただいていますので、同じような質問を高木さんにもさせていただきたいと思います。  日本郵政には、日本郵政といいましても、会社が、先ほど申し上げましたように四つにも五つにも分かれているわけでございますから、私は取りあえずゆうちょ銀行という日本郵政の副社長を兼ねておられる高木さんが社長をしているこの会社に注目をしているわけでございますけれども、金融庁からの出身者が何人か就職をしておられるようでございますけれども、これ何人おられるか把握しておられますでしょうか。
  58. 高木祥吉

    参考人(高木祥吉君) お答え申し上げます。  私を除くと三名でございます。
  59. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 それは役員ということでおっしゃったんでしょうか、一般の職員も含めてそうだということでございましょうか。
  60. 高木祥吉

    参考人(高木祥吉君) 役員、執行役員は、そのうち一人でございます。
  61. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 だとすると、私のお聞きをしている情報が間違っている可能性がありますので、確認をさせていただきますが、ゆうちょ銀行の社長としての高木さんの秘書をしておられる方は金融庁の御出身ではないでしょうか。
  62. 高木祥吉

    参考人(高木祥吉君) 元々は金融庁の出身でございます。
  63. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 細切れのお尋ねになって恐縮ですけれども、その人は先ほどお話になった三名の中には入っているんでしょうか。
  64. 高木祥吉

    参考人(高木祥吉君) もちろん、入っております。
  65. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 それでは間違いがないということで安心をいたしました。  私、お尋ねをしたいのは、どうも、たまたま高木さんが金融庁の御出身だということで注目をされるのかもしれませんけれども、金融庁の出身者が他の人と、言ってみれば区別をされて、俗に言えばえこひいきされていやせぬかというような話が聞こえてくるわけでございます。  今、具体的に秘書さんのことを申し上げたわけでありますけれども、お聞きするところでは、ゆうちょ銀行が発足した昨年の十月の時点では、その方は係長級の扱いであったと。金融庁からわざわざ連れてこられたわけですから、相当優秀な方だと思いますけれども、一般の職員扱いではなくて係長待遇であったということであります。ところが、その方が、年が明けましてからは、係長級の上に、今グループリーダーというふうに言うんでしょうか、課長補佐級の人たちがいますけれども、そこを更に飛び越えて担当部長級、室長級の扱いに変わっているというような、サラリーマンの世界では軍隊になぞらえて二階級特進と言うんですけれども、そういう扱いがなされておって、ほかの人たちと待遇が随分違うじゃないかという指摘があるんですが、これについてはどのようにお考えでしょうか。
  66. 高木祥吉

    参考人(高木祥吉君) 今、先生の御指摘は、私は、恐縮ですけれども間違えていると思います。  仕事上は私のところに秘書が二人おりまして、言わば秘書役的な仕事をしていただいています。そういう意味で、心得も付いているんですけれども、そういう意味で部長級だとおっしゃったんだと思いますけれども、処遇といいますか、クラスでいいますと、いわゆる係長の少し上のGLの処遇でございます。
  67. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 私も具体的にその会社の中身のことを詳しく承知をして質問をしているわけではありませんので、間違いだということなら、それはそれで結構なんですけれども。  やはりこういう、例えばゆうちょ銀行の副社長の方も腹心の方を金融庁から連れてこられましたですよね。そういうことで、自分の周りを自分の親しい者だけで固めるというようなことがありまして、しかも処遇がどんどん改善をされるなんというようなことが仮にあるとすると、それはもう一緒に働くほかの人たちは元気が出ないということにも当然なり得るわけでございまして、私、十分注意をしていただきたいというふうに思うんです。  この点に関しましては、これまた甚だ失礼な話でございますけれども、昨年の十二月の六日だったと思いますけれども、当参議院の総務委員会で又市委員が御指摘になった郵政会社の人事の話がございます。このときは、ゆうちょ銀行の人事で社外取締役筆頭であった桂東大教授という方が十月一日からは消えておったということで、新聞、雑誌等で、この教授が高木さんの息子さんの恩師だということで縁故人事があったからだというようなことが一部に報じられたということで御指摘がありました。  これは、やはりこういうようなことが指摘をされるというのは、本当にこれから先の厳しい経営を乗り切っていく上で大変問題だというふうに思っておりますので、李下に冠を正さずとか瓜田に靴を履かずという言葉ありますけれども、十分緊張したお取扱いをいただきたいというふうに思っているわけでございまして、もう一度高木さんの決意のほどをお伺いしたいと思います。
  68. 高木祥吉

    参考人(高木祥吉君) 郵政グループは昨年十月に民営化したわけでございますが、西川社長以下、我々、いろんな人を活用して一生懸命今取り組んでおります。  そういう意味で、しっかり頑張りたいと思っておりますし、先生御指摘のような李下に冠といいますか、やっぱり必要なもの、本当意味でそういう円滑な民営化の実現といいますか、そういうために必要な人材はいろんな場所から、それでそれを適材適所で活用しながらしっかりした民営化を実現していきたいというふうに考えております。
  69. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 時間になりましたのでこれでやめますけれども、是非、衆人環視の中で皆さん方仕事しておられるわけでありますから、十分注意をしていただきたいと思います。  なお、今日はもう一つ指摘をしたかったことがございますけれども、「ポストマン」という映画ですね、非常にいい映画だという評判でございまして、私も見損なってしまったんですけど、改めてどこかで見てみたいなと思っておりますが、これの観客動員のようなことを地域によっては郵便局に命じてやらせておったというようなところもあるようでございまして、気持ちは分かるんですけれども、やっぱり仕事とそういった会社としてのキャンペーンのようなものはきちんと切り分けてやっていただきたいなということ、これは御希望だけ申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  70. 末松信介

    ○末松信介君 自民党の末松信介です。  いつも地方財政とか病院のこととかいろいろ聞いてまいりましたんですけれども、今日は予期しなかった一般質疑が当たりましたので、気楽に思うところを聞いてまいりたいと思っております。  実は、最初に大臣にお聞きをしたいのは、外来語が行政の中にもはんらんしておるということにつきましては、以前から大変気にいたしておりました。三年間国土交通委員会に所属をしましたときにも、国交大臣にもお聞きをしたことがございます。  昨日も日本海沿岸の漁業の議員連盟があったとき、EEZという言葉が出て、これはよく新聞で括弧書きで排他的経済水域と。CCZというのは、二十年前に出てきましたとき、何かなと思ったら、コースタルコミュニティーゾーンですよね。今日は今航空法の趣旨説明を国土交通委員会やっていますけれども、去年質問したときに、RNAVってあるね、アール、エヌ、エー、ブイと、これどう読んでいいのかなと思ったらRNAV。これは高精度航法、広域航法、エリアナビゲーションと言うんです。変な飛び方しているんですよね。要は、飛行機を真っすぐ目的地へ飛ばしていって、CO2の削減と時間を節約しようという、そういうことなんですけれども、これが航空局では一般的になっていると。なかなかこれ分かりにくいわけなんですよね。ユビキタスという言葉、これユビキといったって、これ何のユビキかよく分からぬのですけれども、市民権をいつ得たのかどうかということが、だれが決めたのかということを常々私は気にいたしております。  それで、平成これは十四年、第十二回経済財政諮問会議でのこれ議事録にありますんですよね。小泉議長、これは元総理です、分かりにくいところがあると、アウトソーシング、これは民間委託とか民間参入だが、バックオフィスとは何か。片山議員、片山虎之助さんでしょうね、バックオフィスとは内部管理事務で、財務会計とか予算と。私たち政界ではバックオフィスというのは裏選対とかそういう意味を、裏事務所とか、そういう感じを受けるわけですよ。ちょっとやっぱり総理が分からなかったというのは私も分かるんですよね。裏選対って、いかがわしいことをやっているわけじゃないですよ、別に。  小泉議長は、その次、分かりやすく表現してもらわないと。地域の人が分かるように書いてほしいと。なぜアウトソーシング、民間委託、民間参入と書かないのか。片山議員、私も総理と同じ考えだが、これでも役所は抑えている方です。小泉議長は、直訳でなく、日本語で訳すべき。インキュベーターだって、ふ化と言ったって分からない。アウトソーシングなんて使う必要がない。民間委託なり民間参入促進でいい。バックオフィスと言ったって分からない。片山議員いわく、今の役所全体がそうなっている。日本語でやらないのは、受けるとか、斬新さがあるとか、それは日本語では必ずしもカバーできない部分があると。小泉議長は、それは英語を読んで直訳するからで、日本独自のことを考えないと。もっと分かりやすく、役人だけではなく、ここはいいことおっしゃっています、住民に向かって説明しなければならない。国民参加でないとどうにもならない。バックオフィス業務はよく説明してくれないと分からない。私が分からないのに、町内会の人たちは分からないと。最後に塩川正十郎議員が、本当に僕ら置いてきぼりを食っているということで終わっているんですよ。  このことにつきまして、大臣も、これは特に通信関係では恐らくたくさんの言葉出ていると思うんですけれども、これはどういうように今の外来語という使われ方について御所見をお持ちかということ、正さなきゃならない点はどういう点があるかということをお聞きをしたいと思います。
  71. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今、先生からお話ございましたとおり、総務省の仕事を見ておりますと、特に情報通信関係、ここが大変多いわけでありますが、外来語、片仮名であればまだいいんで、アルファベットをそのまま文書に書く、ASP、SaaSなんというのはまさにそうでありますが、そうしたことが文書の中に出てくる。  私も時々、これ一体何の略だとかどういう意味だと聞くこともございまして、まして、今委員からお話ございましたとおり、私どもの仕事が、地域皆さん方にいろいろと理解をしていただくために使う文書というのは大量に出しておりますので、そういう文書の中にそういった言葉、外来語あるいは片仮名語あるいはアルファベットのつなぎ合わせをそのまま表記していることに余りにも慣れ過ぎて、鈍感にやっぱりなってきているのではないか。今回、御指摘をいただきまして、やっぱりそうしたことを常日ごろから本当に注意していかなければならないなというふうに改めて思ったところであります。  特に、国民の皆様方にお示しする文書については、分かりやすい表現、それから日本人としてなじんだ表現をでき得る限りやっぱり使うということも大変大きな要素であるというふうに思います。新しく外から入ってきた技術などをどうしても使うときには、これこれはこういうことだと、どうしてももし使うんであれば、きちんと注なりなんなりでそのことを表現するといったようなことも必要だろうと思いますし、今日、今御指摘をいただきましたこと、御指摘をいただいたんでまた改めてやるということがそもそも良くないのかもしれませんけれども、しかし、改めるべきところはやはりきちんと改めて、地域皆さん方にとにかく十分理解できるような表現、国民の皆さん方にとって国民の立場で分かりやすい表現、もう完全に日本語的に使われているものであればこれは結構でありますが、そうでないものがやはり余りにも多過ぎますので、その点は、御指摘いただきましたことも十分に踏まえて、そうした御指摘をいただかないように、国民に理解いただけるようなそういう表現に心掛けていきたいと、こういうふうに思います。
  72. 末松信介

    ○末松信介君 ありがとうございます。  大変横文字並んだ言葉で、こういう文章がありましたんですよ。ヒートアイランド問題はタスクフォースでもって住民のアカウンタビリティーに努めると。これはもう日本語の入り込む余地がないということなんですよ。ですから、この辺りのことをよく考えていただきたいと。高い能力を持った方が自らを他人と差別化するためにこういった横文字を並べるというケースもあると思うんですよ。だから、こういった点を少なくとも役所は注意をいただきたいということを思っています。  先ほど大臣から話があったように、括弧書きにするとか、是非そういうことは念頭に置いて進めていっていただきたいなということを思います。何よりも住民に四人のうち三人ぐらいが分かるところ、最低二人に一人が分かるところぐらいからやっぱり始めていただきたいということを強く要望いたしておきます。  その次であります。次の質問に移ります。  先日、行政評価局の担当者の方が平成十九年度の政策評価等の実施状況及びこれらの結果の政策への反映状況に関する報告書、この冊子を持ってこられて説明をいただきました。吉開政策評価官だったか、大変丁寧な説明をいただきまして、感謝をいたしているわけでございます。私も少し帰ってから目を通したわけです。  今、地方自治体も投資事業をやるときも必ず評価委員会をやったりとか審査会なんかを常にやっているわけなんです。事前事後でやっぱりやっているわけなんですよ。費用対効果を考えた場合あるいは歳出削減を行っていく上では、政策評価というのはこれはもう絶対やっていかなきゃならない大変重要な私は行政のまさに施策であるというふうに認識をいたしています。  そこで、ちょっとお尋ねをしたいんですけれども、ここでお尋ねをしたいことは、行政評価機関が行う政策評価に関する法律が施行されて六年目をこれは大臣、迎えております。総務省では精力的に政策評価の点検活動が行われてきたもので大変評価をしております。ただ、過去に一度も評価実施の必要性の認定が行われていないわけなんです。それと、認定の入口で、整理した事実関係を踏まえてもなお解明すべき事柄が残るものとして対象案件が指摘されていない。政策評価の点検活動として少なくない、かなりの数ですけれども、各府省意見交換をされておられます。その段階で、すべての指摘事項が解決していると思われない中で、どうして整理した事実関係を踏まえてなお解明すべき事柄が残るものが一件も指摘されていないのかということをお尋ねしたいんですよ。  先生方にお配りしておりますこの資料がありますけれども、ここで止まってしまっているんですよ、ここで止まっているんですよ。この下は一切活用されたことがないんですよ。全部横へ行って、「事実関係の整理がつき、解明すべき事柄が残らなかったもの」に入り込んでいるんですよ。だから、この点がどうしても私には分からないんです。  大臣のお考えをお伺いします。
  73. 関有一

    政府参考人(関有一君) 先生御指摘のとおり、政策評価政策評価法等に基づきまして各府省がその所掌する政策につきまして自ら評価を行うと、これが基本になっております。総務省はその実効性を担保するために点検を実施しておるということでございまして、評価の妥当性に疑問を生じたものにつきまして、総務省において各府省への照会を行いまして事実関係を把握、整理すると、こういう作業をやっております。  その際、事実関係の整理が付かない、私どもにとりまして必ずしも説得的な説明をいただけない、それでなお解明すべき事柄が残るというふうに考えられる場合には、総務省に置かれております政策評価・独立行政法人評価委員会におきまして調査審議を行った上で調査をやり直す必要性を認定すると。これ、正式なルートでございますけれども、これまでのところ、そこに至る前に各省とのやり取りの中で各府省におきまして評価を改善するということが表明されるなどしたために、このような認定に至ったケースはなかったということでございます。私どもといたしましては、認定に至らない場合でありましても、各府省におきまして評価を改善するということが表明をされました場合には、実質的には認定をして相手にやり直しをしてもらうということと同じ効果があるものというふうに考えておるところでございます。  なお、本年三月に取りまとめました十九年度の点検結果におきましても、四十七件につきまして評価のやり直し、適切な指標の設定、評価手法の修正のほか、今後の同種事業における評価の改善などを求めたところでございます。  今後とも、評価の実効性を一層確保するために精力的に点検に当たってまいりたいと考えているところでございます。
  74. 末松信介

    ○末松信介君 この本、私の事務所の方でも大分中読みまして、それでいろいろなチェックして、その総務省の指摘が解決されていないと思われる案件が十件、解決の具体的な方向性が明示されておられず将来的な検討に先送りされていると思われるものが十一件あるわけなんですね。もちろん私の事務所の見方が偏見があっては間違いになってくるわけなんですけれども、そういうことが思われたわけなんです。  総務省がいささか各省に気を遣い過ぎているんじゃないかなという、そういうことを思うんです。しかし、担当官と話してもしっかりとお話をなさるし、しっかりとした分析の話を聞くんで、そうかなとも思ってしまったりもするんですけれども。  私、この中で、少し見てみまして、先生方にお配りの二枚目のところでございますけれども、筑後川直轄総合水系環境整備事業という、これをちょっと注目してみたんです。総務省から国土交通省への照会ということで、総務省は国土交通省へこういうことをおっしゃっておられると。非常に水辺の空間をつくって大変きれいなものなんですけれども、これ四十二億お金が掛かっていますよ。本事業は、福岡県柳川市から大分県日田市までの筑後川における河川環境整備事業です。本事業の対象地区のうち大山地区は、河川の利用促進を目的として整備が行われている地区であり、大山水辺プラザとしての道の駅、水辺の郷おおやまと隣接しています。本評価ではTCMの手法、またこれ横文字ですけれども、着地点調査ですね、これ。TCMの手法によって便益を算出し、費用対効果分析を行っていると。ずっと続いているんですよね。  二つ目の指摘のやり方というのはこういうことなんですね。この着地点調査、TCM手法については、河川に係る環境整備の経済評価の手引きにおいても調査日、季節、曜日等により結果が左右される可能性が指摘されているところでありますと。本評価調査は三日間にわたり行われていますが、実施日である平成十七年八月十三日土曜日、二十一日日曜日、二十四日水曜日は夏期行楽シーズンであり、本施設来訪者に占める水辺利用者の割合は冬期などと比較すると高いと考えられます。これは当たり前のことですね。事実、平成十八年度河川空間利用実態調査によれば、大山地区の各季節の河川利用者の割合は、春期五七・一%、夏期四〇・五%、秋期〇・三%、冬期二・一%であり、秋期や冬期には利用がほとんどありませんということを言われているんです。これは夏やったって、よくお客さん来られるときに、利用者が多いときにこの調査されているんですよね。  それで、このことについて総務省は、上記のことから、大山地区について便益は適切に把握できておらず、本評価のような調査手法は適当でなかったと考えられますが、貴省の見解を御教示くださいというように総務省は国交省に言ったんですよね。  それに対しての国交省の見解はこうなんですよ。これは本に書いていますからね、二百六十五ページにこう書いておられますよ。  今回のようにある季節のみの調査に基づく水辺利用者率を通年的に適用するよりも、各季節ごとに調査実施して求めた各季節ごとの水辺利用者率を用いて親水施設の利用者数を求めることの方がより精緻な数値の算出につながるものと認識をしておりますと。いろいろ書いておられて、結果は変動し得るものと認識をしておりますと。  ずっと書いていきまして、最後、これは、ナンバープレートで見てこれ調査しているんですよ。一般的に、今回行ったナンバープレート調査ではなく、例えば水辺の利用者への直接アンケート等、よりきめ細やかな調査を行うことにより、より精緻な調査を行えば結果は変動し得るものと認識をしておりますと。だから、あえて言えばかなりあいまいな調査の仕方ということで書いている、認めているわけなんですね。一方、利用者への個別のアンケート調査を行った場合にはより多くのコストが必要となることも考慮しナンバープレート調査を採用しましたと。  以上のように、TCM手法を適用する際には、季節や利用目的等の条件について、よりきめ細やかな設定を行った調査を行うことで、より精緻な数値の算出につながるものと認識をいたしておりますと、こういうことで書いておりますですけれども。一方、このようなきめ細やかな調査を行った場合には、これに掛かるコストよりも増大するという問題があります、このため、一定の条件制約下で算出したものであり適切であると認識している一方、よりきめ細やかな設定を行った調査を行うことで、より精緻な値を求める余地を残している結果であると認識をしておりますという、何かどっちとも取れるような、何かもういろんなものが混じり合ったそういう文書になってしまっておると。  最後に、総務省の対応方針はこう書いています。便益が適切に把握できておらず、本評価のような調査手法が適当でなかったと考えられるが、本便益は一定の条件制約下で算出されたものであったとの認識が示されたことから、直ちに評価をやり直すことは求めない。今後、同種事業について採用された調査手法の確認を行い、必要があれば適切な調査手法に基づいた評価実施を求めていくということで終わっているんですよ。  これは、私は、ある面ではこれ居直りとも取れるような書き方でもあるかなということをちょっと思ってしまうんですよね、何か。言う方、質問する側、答える側である程度筋書きめいたものがあるんじゃないかというようなことも考えてしまう。せっかくの行政評価局の能力を十分発揮できないような、そういう一つのフォーマットがあるかなというふうに思ってしまうわけなんですよね。  こういう場合、大臣としてお考えいただきたいのは、この事業費等評価のたびに、調査に必要な経費との関係で精緻な調査が困難であるという事情が勘案されて、将来的にも効率的な経済的な調査方法の確立に向けた努力表明で総務省としてもこの確認結果を収めてしまっていると、了解しているということなんですよね。  だったら、私は、適正な事業執行を担保するためには適正な政策評価が必要であるということで、調査コストが掛かるということをもって政策評価をおろそかにしてもいいのかということ、それは理由にならないと思うんですよね。この点について大臣考えをちょっとお伺いします。
  75. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) お答えを申し上げますが、今回の国交省の方でやられた河川のこの評価は、これは適切ではないですね。これは適切ではないというふうに私も思います。  それからあと、コストの関係でありますが、確かに全季節を調査すれば大変掛かるんだろうと思うんですけれども、例えば本当に、これを余りコストを掛けずに、しかしもっと妥当な評価をしようと思えば、例えば春とか秋とか、そういう時期の三日間の調査を行って、それを年間のものにやっていく方がはるかに納得のいく調査になったわけですから、コストがうんと掛かるからというよりも、やっぱりコストを抑えながら、その中で妥当な評価をしていくと、そこを工夫していただかなければいけないと。ですから、そこをもっと私どももやはり指摘をするなりなんなりする必要があったのではないかというふうにも、これを見て私は思ったんですが。  それで、あと、今先生からお話がございましたが、やはりそれにしても、評価をするということが、これは次の、今後の類似の事業をしていく上でも非常に重要なことでありますので、せっかくある中からこれはサンプルで取り出して、それで評価をしているわけなんで、その部分についてはやはり必要なコストはきちんと掛けていかないと、せっかくそれを評価をする趣旨そのものまで今御指摘いただいたように無に帰してしまうのではないかというふうに思います。  もちろん、膨大なコストを掛けるということはいけないのかもしれませんが、しかし、そのこととコストを一定の中で抑えながら評価そのものを疑わしめないような、そういう工夫をするということは当然あってしかるべきでありますし、それをきちんと我々の方で自己評価をしている各省に促していくというのが私どもの役割でありますので、私は、やはりきちんと評価制度があって、それを運用していく上では、やはり適切な範囲で掛けるものはきちんとコストも掛けていかなければならない。ただし、それをやはりできるだけ抑えて結果を出すような、そこを促していくのが我々の役割でありますので、この中で、次回以降の調査手法についていろいろ国交省に促しているということがありますが、私ども総務省自身もこういう今回の評価を受けて、この評価としての教訓として、やはり適切に指摘すべきところはきちんと指摘をする、そしてこの評価制度が持っている意味を失わしめないようなそういう運用をしていかなければいけない、今後そういうふうな形で努力をしていきたいというふうに思います。
  76. 末松信介

    ○末松信介君 大臣、ありがとうございます。適切な評価は実行しなきゃならないと、しかしコストも抑えていかなきゃならないという大臣のお考えを強く支持をいたしたいと思います。  それで、次の質問ですけれども、適正な政策評価が行われるためには、各府省の職員が調査業務を行うにせよ、外部に委託するにせよ、相当の額の経費が必要になると思われるんです、先ほど大臣もおっしゃいましたけれども。本法律が施行して以来、政策評価のための経費は各府省でどのように計上されているのか。事務費等、予算の範囲内での実施が難しければ必要経費として計上していかなきゃならないと思うんですよ。総務省として更に標準的な算定基準を示すべきではないかということを最後お尋ねして、この項目質問を終えたいと思います。
  77. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 何か参考になるようなことを私どもの方でも考えなければいけないなと、いろいろと中で議論をいたしましたんですが、必要なコストの基準をどうも担当の方では一律にやっぱり示すというのはなかなか難しいと。確かに私も、対象となっている事業が政策が様々ございますので、それごとにこの程度コスト掛けてもいいんだよというのはなかなか具体的な基準として示し難いなというふうに思っているんですが、そこは私自身も理解をいたしましたが。  しかし、各省では、やっぱり先ほどのような場合にコストが高くなるからということで評価をしない方に行ってしまってはこれはいけませんので、私どもの方で、どういう表現でどういう形で参考となるようなものを示せるのかどうかもっと検討させたいと、そしてやはり各省がコストを理由にして評価を骨抜きにしないようなそういう形に私は持っていきたいというふうに思いますので、その点の工夫を事務方にさせたいというふうに思っております。
  78. 末松信介

    ○末松信介君 よろしくお願いします。  それと、私は道路のときもお話し申し上げたんですけれども、BバイCという言葉が盛んに使われましたけれども、やっぱり必要性と採算性というのは別の角度でありますので、人が少ないところだからそういう立派な施設を造っちゃいけないとかそういう問題じゃないと思うんですよね。やっぱり都市部で暮らしている方がたまに田舎に行ってそういった自然と触れ合うという、もう百倍ほどの豊かさを味わうということは私は大事なことだと思いますので、何もその政策評価が国交省にとって厳しく出たら困るからというふうなことはないので正々堂々とやるべきはやったらいいと、僕はそう思っています。  次の質問に移ります。今度は過疎と都市の問題、一つずつお尋ねをいたします。  先月、五月の二十六日、我が党の過疎対策特別委員会が私の兵庫県の北部の養父市を訪れていただきました。こちらにいる二之湯政務官も一緒に訪ねていただいたわけであります。目的は、過疎地域自立促進特別措置法が二年後に期限切れになるということであります。過疎地域の要件というのは、人口の要件がありますし、いろいろな要件が設定されていますけれども、例えば一つ取り上げたら、人口減少率が昭和四十五年から平成七年まで一九%落ちているとか、財政力指数が〇・四二以下ですね、平成八年から平成十年をとらえた場合ですけれども、こうなっています。兵庫県では六市三町あるわけなんです。一堂その首長さんが会したということです。鈴木先生も兵庫県でよく御存じですから。全国は七百三十二あるわけなんですけれども、この財政状況の悪化とか限界集落のことがやはり話題にはなってきました。合併してなお全域が過疎となるような地域については、新たな要件で指定から外れることのないようにといったような話もいろいろ出てきたわけであります。  大臣知事をされておられましたので、どういう議論がなされたかというのはもう頭の中にしっかり入っておられると思いますので多くを語ることないんですけれども、安全、安心の生活確保とか、これは地方道の整備であるとか、コミュニティーバスの運営費の助成とか、へき地医療対策とか。それと、交流の促進が二つ目のテーマとして上がりましたです。多自然の居住の推進であると。  三つ目は、情報通信の基盤の整備ということで、これはCATVの整備あるいは携帯電話の不感地区の早期の解消とか地上波デジタル放送の送受信の環境整備への支援といったようなこと。  そして四つ目は、市町村合併を踏まえた過疎対策ということで補助率のかさ上げというのを書いておられるんですけれども、実際はこの過疎法の中で補助率のかさ上げというのは小中学校の統廃合のときとか公立以外の保育所の整備というように限られていますので、実際はほとんど起債で賄っているということは分かっているわけなんですけれども、今後、こういったことについて対応を求めておられるわけなんですが、全国過疎地域自立促進連盟の兵庫県支部長さんは新温泉町長の馬場雅人さんという方が町長さんなんですけれども、せんだって兵庫県議会に請願書を送られてきました。多分、これ全国で統一なんだと思うんですけれども、そこにはこう書いています。  過疎対策は国家的課題であり、過疎地域が今なお解決すべき多くの課題を抱えていることを認識し、過疎地域自立促進特別措置法の失効後も都市との交流、共生などにより地域の活性化を図るなどの新たな課題への対応を含め総合的な対策を充実強化し、過疎地域の振興が図られるよう新たな過疎対策を制定することとなっているわけなんです。  それで、いろいろと新聞等にも今検討作業に入られていると思うんです。議員立法でやるかもしれませんし政治家が考えるべきだというお話も出てくるかもしれませんけれども、どうもハードから確かにソフトへというところで、求めておられるものが少し従前と変わってきたと思うんですけれども、今後方針としてどういうところに光を当てていくそういう新過疎法をお考えなのかどうかということ、この点につきまして大臣の御所見を伺います。
  79. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 確かに、この過疎法、これまで四次にわたって議員立法で法律が作られてきた、こういうことがあるわけですが、これは政府としても過疎の問題、特に限界集落という言葉もございますが、そういったことが抱えている国家的なやはり大きな課題というものが私どもとしても必ず解決していかなければならない問題でありますので、これまで過疎法が、特に上下水道とか道路といった公共施設の整備で効果を上げてきたわけですけれども、今後そういう過疎地域のみならず都市部でも相当な人口減少が起きてくるという中で、やはり、しかし都市との交流ですとか今先生お話にございましたとおりのそういう新たな、都市との共生とか交流とか、そういう視点も加えながら中身のある過疎法を作っていかなければならないと、こういうことで今研究会も作っていろいろ中で私どもも議論をしております。  特に、私ども随分、そういった集落なり過疎の地域歩いてまいりましたけれども、高齢者が本当に多い中でそういう人たち、弱者と言われる皆さん方の足の確保をどうしていくのかといったような問題から始めまして、実に多様な問題がございます。そういう地域でこそ情報通信基盤がしっかり整備されていると、ある部分は解決できる問題もございますから、そういう最先端の技術を駆使してそういう地域を一方で維持をし、そしてそこに活力を吹き込んでいくといったようなことも必要になると思います。  ハードからソフトというようなことも一つ重要な要素でありますが、それだけで単純に解決できるような問題でも決してございませんので、実に多様な観点ということでしかこの段階ではなかなか申し上げられませんが、とにかくそこに暮らしておられる生活者の皆さん方、それを対流というか大きく交流をしていって多様な人たちがそこを訪れるということも前提にしてその地域をどう形成していくのかということをこれから議論していきたいと。  先般の議論の様子等も私も報告を受けておりますが、できるだけ多くの皆さん方の御意見をお聞きしながら、この過疎法の次の問題に対応していきたいというふうに思っております。
  80. 末松信介

    ○末松信介君 ありがとうございます。  非常に、過疎においては交流人口とかそういったことを大切にしておりますので、これからいろいろと検討に入られますので、また議論を重ねていきたいと思うんです。  先ほど答弁をお聞きしているときに二之湯政務官が、過疎法という名前を過疎というからずっと過疎が残るんだということで、名前を変えなきゃならぬというふうな、いろいろな意見もあると。これも大事なことかなということを思っております。よろしくまた御対応いただきますことをお願い申し上げます。  それと次は、実は都市部において何か再開発をするとか住宅を建てるといったときにもう必ず起きてくる問題というのは、まあ長く議員をやりましたら官民境界なりその境界の確定、権利の確定ということについては物すごい頭を痛めると。もう陳情の電話を受けた瞬間から気が重くなるほど大変なことだ、相談を受けたなということを思ってしまうわけなんです。  法務省の方にお話を聞いていまして、六本木ヒルズを建てるのにも十七、八年掛かったけれども、実にその権利の確定に時間が掛かったことに対して、小泉元総理がこれは何とかせなきゃならぬというところで実はこの都市再生につきまして一つ方針を打ち出されたわけであります。総理はこの中で、都市の再生の円滑推進には土地の境界、面積等の地籍を整備することが不可欠であるとかんがみ、国において全国の都市部における登記所備付け地図の整備事業を強力に推進して、五年間で都市部の約五割を実施すると、十年で概成することを予定するものであるというように述べられておられます。  この具体的には都市部における地籍調査の進捗率は一八%、面積にしまして二千百九十六平方キロメートルであったことから、残る八二%が一万五十九平方キロメートルについて、平成十六年度から向こう五年間でその五割を整備し、十年で全域の整備を完了することを目指すということになっているんですけれどもね。  この平成地籍整備の推進に当たっては、表示登記の専門家である土地家屋調査士の協力が不可欠であるとともに、土地家屋調査士に対する社会的要請と期待が高まっている、そういった契機になると考えることからというような、そういうこともいろいろと書かれているわけなんですけれども、この地籍の調査、もう明治の時代からさかのぼって考えなきゃならぬ問題なんですけれども、この小泉総理が打ち出した方針に沿って進捗率はどうかということと見通しにつきましてお話をしていただきたいと思います。
  81. 宮崎正義

    政府参考人(宮崎正義君) 先生御指摘のとおり、地籍調査、町づくりの推進や不動産の流通促進に資する重要な施策であると認識しておりますが、現在までのその進捗率でございます。平成十九年度末で全体で全国で四八%、土地が細分化され、筆数が多い等の原因で遅れております都市部につきましては残念ながら二〇%と低い状況にございます。  地籍調査推進につきましては、先ほどお話もございましたように、緊急の課題であるということで、国としましても実施主体である市町村が取り組みやすい体制をつくるということで、平成十六年度から国が直轄事業といたしまして、全国のDID地区全地域を対象に、街区四隅の座標などの基礎的データを整備する、こういった事業を実施しているところでございます。そういった成果を調べますと大分、例えば一メーター以上のずれがあるところが過半、五割を超すと、そういった状況もございますので、さらに十九年度からは、特に密集市街地などを対象に更に補完調査、促進調査を行っているところでございます。  いずれにしましても、このような事業を活用しながら、特にまた法務省を始めとする関係省庁、それから事業実施主体である市町村、あるいは関係の業界の方々とも十分連携しながら、今後とも推進努力していきたいというふうに考えてございます。
  82. 末松信介

    ○末松信介君 内需の拡大であるとか土地の流動化の促進等々を考えた場合に、地味な仕事でもこれはやっていかなきゃならない大事な重要な仕事であると。だからこそ、小泉元総理もそのことに気が付かれたと思います。関西の方は特にその進捗率が悪いんですよね。大阪は〇・二%、京都市は二之湯先生がおられても〇・六%と極めて低いという状況ですよね。いろいろと、昔大阪なんかは商人の町で結構、店舗と面積を少しでも広げようとかつて道路や他人の土地にはみ出すような店が多かったということ、いろんな歴史があるそうなんですよ、聞いてみたら。  それはそれとして、確定しなきゃこれは、絶対に一つの契約というのは成り立ちませんし建物を建てることできませんので、ですから、これはもう是非、地道でも努力を続けていっていただきたいと。今のままでは小泉さんの公約は果たせないということを思っておりますので、どうかよろしく御対応いただきますことをお願いを申し上げます。  最後になりましたけれども、住民基本台帳カードについてお尋ねをいたします。  住民基本台帳カードがあるんですけれども、しかし、これを所持している方というのは少ないと思います。私、家内に電話をして、住民基本台帳カードを持っているかと言ったら持ってないと言ったので、何があるかといったらA4判の紙があると言ったんですよ。区役所へ行って取ってこいと言って取ってきましたところ、その区役所の方が、何でこんなものにせなきゃならぬのですかと言うんですよ、これは二之湯先生のカードですけれども、五百円要るだけですよと。じゃ、いつ要るんですかと言ったら、年金申請のときぐらいですわということで、その必要性を窓口は認めていないわけなんです。  住民基本台帳カードの必要性というのはどこにあるのか教えていただきたいと思います。
  83. 岡本保

    政府参考人(岡本保君) 住民基本台帳カードについてでございます。  この三月末で全国で約二百三十四万枚程度交付をされております。非常に今御指摘ございましたように地域によってばらつきございまして、平均的には約二%ございますが、宮崎市では例えば三五%でございますとか、地域の市によってこの住基カード、言わば住民票の写しのための、自動交付での利用をできるようにするとか、あるいは各種の行政サービスのカードとして一体的に使うような工夫をされているというようなところもございまして、住民基本台帳カードが言わばその地域におきます行政サービスの一つのカードという、共通的なカードというようにお使いいただいていることもございまして、私どもとしましては、この住民基本台帳カードの普及といったものが進みますように、この四月から交付手数料を無料化するといった市町村に対しまして特別の財政支援も行うというようなことをさせていただいております。
  84. 末松信介

    ○末松信介君 岡本局長はお持ちですか。ああ、持っておられる。  それで、この前一部の新聞報道を拝見したんですけれども、この社会保障と住基を一体カードにするという記事が出たわけなんですよね。それで、二〇一一年に厚生労働省がこの発行を目指して準備を進めていると。これ、社会保障カードと総務省が既に発行している住民基本台帳のこのカードを一枚に統合するということになっているわけなんですけれども、でも、いろいろと検討会を設けているということにつきましては担当の方から御説明をちょうだいをしました。私は大変有意義なことだなということを思っているわけなんです。  住基ネットのこのシステムというのは構築費が三百九十億円ほど掛かっておられるんですね。で、運営費が百五十億円程度掛かると。だから、新たに社会保障カードという形で別のものを構築したら同じぐらいのお金が要ってしまうということでは、これはカードだらけになるし、第一もったいないと、税金を無駄に使う必要もないということなんですけれども。  そこで、この社会保障カードというのは、安倍政権のときに公約として我々もこういうものだということを見せられましたですよ。当然、現政権にも引き継がれているから検討を続けておられますし、我々もその推進方を強く望むわけなんですけれども、問題はプライバシーの保護であるとか、情報管理の徹底の問題もありますし、それとともに、住民票コードと基礎年金番号とか、健康保険証番号とか、介護保険番号とか、一体どこまでそういったものを盛り込んでいくのか、このICチップの容量の中にですね。そういうことがはっきりとはまだ書かれていないわけなんですよね。しかし、是非これは実現をしていただきたいということを思うんです。将来的には自分の病歴も分かるようになれば、いつ、一体、血液検査行ったか、持病のある方は、それが分かります。今だったら、医療機関からの領収書を見て、ああ、もう何か月たったなということを気付かなきゃならないと。  そういう点で、どの情報まで盛り込むのかということも合わせてこのことについてのお考え、今の状況につきましてのお話を伺います。
  85. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 社会保障カード、今御指摘ございましたようにまだ仮称でございますけれども、議論を進めているところでございます。昨年の九月に厚生労働省に社会保障カードの在り方に関する検討会というものを設けまして、内閣官房、それから総務省の御協力もいただきながら有識者の方々に御議論をいただいているところでございます。  今年の一月でございますけれども、これまでの議論の整理ということで、社会保障カードの基本的な構想に関する報告書ということで取りまとめていただいたところでございます。  この基本構想にも示されておりますが、社会保障カードにつきましては、利用者の利便性の向上あるいは事務の効率化、こういうふうなこと、それから、御指摘ございましたようにプライバシー侵害に対する不安が極力解消されるような仕組みにするということと併せまして、既存の仕組みを最大限に活用しながら費用対効果に優れた仕組みとすると、こういうことが重要であると考えております。  新聞報道にございましたように、社会保障カードと住基カードを一体となったカードとするということについてまだ結論が得られているわけではございませんけれども、住民基本台帳カードとの共用を可能とするということは、こういった費用対効果に優れた仕組みという観点から一つの有効な手法ではなかろうかと考えているところでございまして、現在は、こういった点あるいは先ほど先生がおっしゃられたような様々な点も含めまして、社会保障カードの具体的な仕組みについて検討会におきまして更に議論を深めていただいているところでございます。  この検討に当たりましては、最終的には国民に便利でできるだけ効率的なサービスを提供していくという観点から、住民基本台帳カードとの関係も含めまして、これからも内閣官房なり総務省とよく連携をしながら検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
  86. 末松信介

    ○末松信介君 ありがとうございます。是非、推進方を御要望申し上げます。  社会保険庁職員によって年金記録の盗み見等は記憶に新しいところでありまして、ここにも書いてあるのは、ファイアウオール、隔壁を設けなきゃならぬということで、いろいろと工夫もしなきゃならぬ点あろうかと思いますけれども、大きな期待を申し上げまして質問を終えます。  どうも御答弁ありがとうございました。
  87. 河合常則

    ○河合常則君 自由民主党の河合常則でございます。時間が十分ほどしかありませんので、一つだけ質問さしてもらいます。これ、僕は末松先生に時間を差し上げましたので、ひとつよろしく御理解いただきたいと思います。  僕は、頑張る地方応援プログラムについて一つ二つ質問をしたいんですね。  これは、頑張ろうと思っておる地方自治体へ応援のためのお金も出す、それだけでは駄目なのではないかと。是非、人の面での応援もしなければならぬということを前の大臣考えられて、こういう仕組みができました。今十人ほどの若い方々がそういう要請のあった市町村へ応援に出ておられるんだと思うのでございますが。  私はこの仕組みを、大臣、更に拡大して、本当に年配、もうあと二、三年で定年をお迎えになる方、こんなこと言ったら失礼でございますが、今天下りの話とかいろいろ、天下り禁止とかいろいろなことを言われておる、公務員改革の話もあるときではございますが、長い本省とか出先でのいろんな経験を大切にして、それを地方で生かしてもいいと言われる国家公務員、やっぱりよければ、その地方で頼まれたら骨をうずめてもいいというほどの感じで行かれる仕組みもつくれば、更に国と地方の連携も、何といいましょうかね、うまくいって、そして地方も元気になるのではないかと。  これはまた、行かれる職員にしても、突然何も関係ないところへ行ってここで働けと言われたって、第二の人生やれと言われたって、それはもう一から始めねばなりませんから、改めて、今まで三十数年間役所で培った経験を十分生かして、そして地域社会のために役立とうということの方が私は非常に地方の活性化に役立つのではないかと、こういう環境を是非構築してもらいたいと思うことがございますので、それについてのお考えをお聞きしたいのと併せて、実はこの間TICADⅣがございました、横浜で。アフリカ開発会議、これがございまして、アフリカ五十三か国のうちの五十二か国が参加なさいました。それで、総理もそれからAU議連の方も経団連の方も参加なさいました。内藤さんも来ておられました、パーティーには、私も行ったのでございますが。  それで、やっぱり僕は、前に行ってきて、五、六人かな、アフリカや南アフリカとかタンザニアとかみんな行ったんですよね。五、六か所回ったんですが、十日間ほど。行くところ行くところで青年海外協力隊、日本から行った、あの若い方々、二、三年、衛生の面で、それから保健の面で、それから第一次産業、農業とかですね、それから教育、そういう面でボランティアというか少しはお給料あるみたいだけれども頑張っておられますね。  それで、聞いたら青年海外協力隊の隊員になるには一定の試験を受ける、一定のレベルをきちんとクリアしなきゃならぬ。それで、たまたまタンザニアだったと思いますが、あさってもう日本へ帰るんですという隊員がおられまして、就職決まっていますかと言ったら決まっていないというんですね、かわいそうに。それで、どうするんですか、日本へ帰って探しますと。これ二年も三年も行って頑張られて、しかもある面では日本から来た青年海外協力隊、隊員といってそれで日本の評価高めてくれておるわけですね。彼らがこれから帰って職を探すと、またフリーターになるのではなかろうなとは思ったのでございますが、かわいそうなものですね。そこで民間会社を辞めてきたと言っていました。ここはですね、私は一つ、あそこでみんなで話したんですけれども、地方自治体の職員が青年海外協力隊に応募してくれて、そこから出れば、帰ったらまたその自治体へ、そこへ戻れるということの方が安心でないかと、それは視野を広めて更に元の自治体へ市町村とか県で見聞を広めた体験をまた生かして頑張っていただけるのではないかと、安心して仕事ができるだろうというのが一つございます。  もう一つは、自治体にとってはそれは人が減りますから、それをどうするかと、そこでまだたくさん経験持った年配の方が、総務省からそういう方が行くのなら、じゃ、この方そこでお手伝いさせてくださいといって、その県なり市町村へ出されたら更にいいのではないかと。増田大臣のときにまさに本当に日本の評価、世界の中の日本の地位が高まるのではないかと思うくらい私は青年海外協力隊の評価は高いと思うんですね。ODAの評価も高いのだと思いますが、こういうことを是非考えてきちっとうまくやれたら、本当に頑張る地方応援プログラムは更に充実、そして発展するものになるのではないかと。何となく今の公務員改革と併せて本当にいい仕組みになるのではないかなという感じがするのでございますが、大臣のお考えをお聞きしておきます。
  88. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) お答え申し上げますが、まず頑張るプログラムの方で、今度今お話がございましたとおり十名ほど出しますけれども、これは特にこちらも意識して、小規模市町村、特に町村などにもいろいろニーズを聞きましてそれで出しました。  最初はどれだけニーズがあるのかなというふうに思いましたが、やっぱり人的にどうしてもそういう人たちを入れてお互いに刺激を持って活性化させたいと、こういう話がありましたのでそういうことにしましたが、お聞きしていたニーズが比較的生きのいい若い人をくれという希望も多かったのでそういう制度にしたんですが、実際には経験者をいろいろ希望されるところも現実にはあるわけでございまして、最初十名ということでスタートしましたが、担当の方にはもう来年度以降はもっと幅広にこれは進めていこうではないかと。  今お話ございましたとおり、ある程度経験を積んでいるということがかえって地域の問題解決に役に立つという場合が多いと思いますので、ここは相手の、自治体の皆さん方のニーズにこたえて、私どもはそういうニーズがあれば積極的にそれに対応した高い年齢層の人たちも出す用意がございますので、そういうことで来年度もっとこれを広げてこの制度の趣旨を生かしていきたいというのが一つでございます。  それから、TICADあるいはアフリカ支援ということで、ODAとの関係で青年海外協力隊の人の話もございました。  大変我が国の国際貢献にも役立つ、そういう有為な青年でございますし、そういう人たちが海外に行って、そしてまた職に戻るということの心配を抱えたままでは、せっかくのそういう希望というか志が生かされませんので、実は私、岩手県知事時代に、毎年毎年、第何次第何次と行くたびに彼らに会って激励していたんですが、必ず初めのころ、皆さん戻ってきてからの職のことを口にするものですから、特に学校の先生などから、現地の教育水準を上げるために行かれる人も非常に多かったので、条例を改正して、行っても職を失うことなく、戻ってきてからちゃんと職場に戻れるようにそういう制度的な手当てをいたしました。それによって、大分皆さん心配なく現地に行かれるようになったということで感謝の言葉をいただいたんですが。  ですから、各自治体の方でそういう形で青年たちを送り込むようなやっぱり環境整備をもっと整える必要があるということと、それから、民間から行かれる人も当然あるわけで、こちらの方がもちろん非常に多いわけですが、あるいは自治体の職員以外の形で行かれる方が多いんですが、農協の方とかですね。そこで、現地で経験したことというのは大変貴重な経験ですから、これは県なり自治体の方の職員で採用しても非常にやっぱり役に立つんではないか。ですから、職員採用のときにそういう青年海外協力隊に行った経験を十分に加味して職員採用したらどうかという話を指示して、もちろん選考自体は公正にやるんですけれども、そういう経験を採用のときのポイントでうんと上積みするようなこともやってまいりました。  ですから、今まさに先生お話しになったように、ああいう海外の、しかも青年海外協力隊というのは大体困難な地域に行って、自分たちで生活も整えて、現地のところになじんで、そして現地の様々な国づくりに役立って貴重な経験をしてきている人たちですから、そういう人たちが余り心配なく現地にどんと飛び込んでいけるように、それから、そこでの貴重な経験を特に自治体などの中で生かせるような環境づくりが大事でございますし、そういうことを自治体全体でもっともっと取り上げて、そしてやっていこうではないかということを、総務省としても一つのアイデアとして各自治体に申し上げるというのも重要なことでございますので、この点は、今の御示唆それから御指摘は私どももこれから各自治体などにもいろいろ申し上げて、それぞれの自治体でうまく判断していただいて有為な人材を是非活用していただくようにしていきたいと、こういうふうに思います。
  89. 河合常則

    ○河合常則君 ありがとうございました。よろしくお願いします。  これで終わります。
  90. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩します。    午後零時二十八分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  91. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、行政制度公務員制度地方行財政選挙消防情報通信及び郵政事業等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  92. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明党の弘友和夫でございます。  初めに、ダビング10の延期の問題についてお伺いしたい。先ほど、末松先生、横文字は駄目だと、こう言われた。これはダビング、今まではダビングするという、テンは十ですからね、私でも分かるんじゃないかという。審査委員に私してもらえば大体国民の皆さんが分かる横文字になるというふうに思いますけれども、それはさておいて。  デジタル放送の録画また録音制限の緩和、いわゆるダビング10についてお伺いをしたいと。これは、先日、世耕先生質問しておりましたけれども、著作権保護の観点から現在コピーが一回に限定されているデジタル放送について、視聴者・国民の利便促進の観点から十回までのコピーを可能とするものであると。総務省の情報通信議会の答申に基づいてメーカー等の関係者間で準備が進められた。六月の二日からの実施が予定されていたわけでございますけれども、しかし、結果的に補償金に関し著作権団体とメーカーとの意見対立が表面化して実施が延期されたと。  五月二十日の当委員会で、自民党の世耕委員からその延期の可能性について質問がありました。増田大臣及び中田政策統括官、六月からの実施努力していくとの答弁があったわけでございますけれども、もう今日は六月何日ですか、五日ですか、この二日の実施が見送られているという状態でございますけれども。  そこで、このダビング10の六月二日の実施が見送られた理由と今後の見通しについてお伺いをしたいと思います。
  93. 中田睦

    政府参考人(中田睦君) 委員御指摘のとおり、いわゆるダビング10は現在のデジタル放送のコピー制限のルールを緩和しようというものでございます。  これにつきましては、昨年八月に、放送事業者あるいはメーカー、権利団体、それから消費者団体方々が、基本的に、現在のコピーワンジェネレーションと言われているルールを緩和いたしまして十回までコピーできるようにしましょうと、そういう合意ができまして、御答申をいただいたところでございます。この答申を受けまして、すべての受信機メーカーの受信機に実装されますように、デジタル放送推進協会という団体が中心になりまして技術的な作業を進めてまいりました。  本年二月に、このデジタル放送推進協会から、六月二日を目途に開始をするという旨で現在まで来たわけでございます。しかしながら、先週の五月二十九日の段階で、デジタル放送推進協会の方から、関係者の合意が得られていないということでダビング10の開始期日を確定できる状況にないという旨の発表がなされてございます。  現在、基本的に関係者の間で基本的な合意ができていないという状況でございまして、この問題につきましては直接の当事者同士がよく話し合っていただくということが重要だと思っておりますけれども、私ども総務省の立場といたしましても、こうした当事者間の意思疎通が円滑に進むように、そのことによりまして合意形成が促進されるよう、いろんな面で引き続き努力をしてまいりたいというように考えております。
  94. 弘友和夫

    弘友和夫君 技術的なものはクリアしたと思うんですよね。  一部の報道によりますと、関係者間の合意が得られない背景の一つとして、本来は関係者間の調整を政府がやらないといけない、ただ、放送を所管する総務省、それからメーカーを所管する経済産業省、著作権を所管する文化庁との三省庁があって、その三省庁がいわゆる三すくみ状態となっているという指摘がされております。  今回のダビング10の問題について、総務省として行った取組の内容、特に経産省、文化庁との連携。新聞の報道によりましたら、三省庁の幹部が初めて会ったのは五月二十八日だと書いているんですけれども、先日の委員会質問は五月たしか二十日だったと思いますね。それまでも会っていない。それからしばらくたって二十八日のほんのこの間、六月二日からできるかどうかというときに少し対応が遅いんじゃないかというのも含めまして、お答えいただきたい。
  95. 中田睦

    政府参考人(中田睦君) 御指摘のとおり、ダビング10問題に関しましては、文化審議会におきまして議論されてございます私的録音録画補償金制度というものと非常に深い関係があるということでございまして、この問題の解決が今、当事者間の中で合意がされていない最大の問題でございます。そういうことで、文化審議会議論と非常に関係があるということで、私どもの方から申入れといいますか、声を掛けまして、文化庁並びに経産省と一緒の、三者の話合いというものをさせていただいたということでございます。  これにつきましては、遅いんじゃないかという御指摘いただきましたけれども、三省庁の局長で集まったのは二十八日でございますけれども、その以前に二省庁間ではいろいろやっておったということもございます。それから、元々、五月二十九日の日に文化審議会が予定をされておったと、そこが当初のターゲットであったということもお聞きしておりまして、そういう事情であのころが一つの山場であったやつが少し風向きがおかしくなってきた、そういう微妙な時期でございました。  いずれにしましても、関係省庁が連絡を密にして意思疎通を図っていくことは非常に重要なことだと思っておりまして、今後とも誠心誠意努力して連携を図ってまいりたいというふうに考えております。
  96. 弘友和夫

    弘友和夫君 いずれにしましても、大臣も先日答弁されていますように、この問題というのは消費者、視聴者、この視点に立った取組というのが一番大事だと思うんですよ。各省庁の縄張り、また、それで業者間の縄張りとかじゃなくて、今後のことを考えてやはり消費者、視聴者の立場に立って考える必要があると。この間もありましたけれども、北京オリンピックという大イベントを控えておると。早期にこれ、実施できるように、総務省としても積極的に関係者間の合意形成へ向けて努力を願いたいと。  もう既にダビング10に対応の可能なDVDレコーダーが売り出されておる。これはもう六月二日からできますよという宣伝の下に売り出されておるわけです。買った人はもうだまされたということですよね。これは、やはり消費者の立場に立ってしっかりと総務省、大臣にこれは合意形成、早急にしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  97. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) お答え申し上げますが、このダビング10の問題ですけれども、やはり事ここに至りましたので、関係省庁、特に私どもも情報通信議会の答申もいただいておる立場でありますから、この問題の解決の道筋を付けるという大きな役割がございますので、先月の末ですけれども、関係局長会ったわけでございますが、今週それから来週と会議を重ねて、そして、今御指摘いただきましたような消費者の立場に立った問題の解決を図りたいと。  御案内のとおり、北京オリンピックなどが消費者にとりましても大変大きな節目になってきますので、それまでには絶対間に合わせなければいけないと、こういうふうに意識をしております。少しまだ時間がありますが、それにしてももう目前でありますし、そのための準備の期間というものがございますので、今御指摘いただきましたような点も含めて、今後は、総務省が本当に省益を抜きにして消費者の視点に立って関係省庁とよくお話をしてこの解決の道筋を付けていきたいと、こういうふうに考えます。
  98. 弘友和夫

    弘友和夫君 もう是非大臣、主体的に、すべてをまとめてやっていただきたいというふうに思います。  それから、情報通信国際戦略局の創設についてお尋ねいたしますけれども、総務省は八月の一日から組織改編、今までの郵政行政局等を含めて、情報通信国際戦略局というのを創設するということでございますけれども、大変、私は今からの時代に合っているなというふうに思いますけれども、この情報通信国際戦略局を創設する意義、それから目的についてお伺いしたい。また、要員措置というのはどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
  99. 中田睦

    政府参考人(中田睦君) まず、意義ということでございますけれども、目的は、情報通信分野、国際的な競争というものが非常に重要になっております。そういう意味で、情報通信分野の国際競争力の強化という点を推進するための戦略というものを企画立案するということを主たる目的として設置するものでございます。それ以外に、全体的な広がりといいますか、通信分野、いろんな分野がございますが、そういうものの総合的な対応と、そういったものを含めまして対応していくということを目的としているものでございます。  そういう意味で、要員体制ということでございますが、体制につきましては、主としまして三つの機能を集約強化して対応できる組織体制にしたいということで考えております。  三つの機能と申しますのは、まず、冒頭申し上げましたが、情報通信分野の国際的な政策機能、これをまとめるということでございますし、二点目は、通信あるいは放送、電波とか、アプリケーションあるいはそのコンテンツ、いろんな分野がございますが、それらを総合的に企画立案をするという機能でございます。三点目は、技術政策、これについての取りまとめ、政策機能というものを担当するということでございます。そういう観点から参事官制度というものを設けまして、通信・放送融合のように大ぐくりの政策目標に対しまして機動的に対応できると、そういう体制を整備したいというふうに考えてございます。  なお、要員につきましては、関連部署の既存人員等を合わせまして、新局におきましては百九十名という要員でスタートする見込みでございます。
  100. 弘友和夫

    弘友和夫君 先日成立いたしました電波法の改正で、電波利用料の使途に新たに無線通信分野での国際連絡調整に関する事務というのが追加をされたわけでございますけれども、新局の業務には有線に関するものもあるし、国際連絡調整以前の我が国の国際戦略の立案がメーンとなるというふうに思うわけですけれども。  新設される情報通信国際戦略局に係る人件費について、電波利用料財源を充当することになるのかどうか、充当された場合は、局全体の人件費がそうなるのかだとか、また一部なのかだとか、一般財源と電波利用料の振り分けの基準というのはどうなるのか。これは電波法の改正のときもいろいろ、電波利用料の使い道については論議がありましたけれども、お答えをいただきたいと思います。
  101. 田中順一

    政府参考人(田中順一君) まずもちまして、当委員会で電波法の改正をしていただきまして、誠にありがとうございました。改めて御礼を申し上げます。  ただいまの御指摘は、今回の電波法の改正で百三条の二の第四項第三号の末尾辺りに御指摘の事務を付け加えていただきました。実はこの事務につきましては、新設される情報通信国際戦略局ではなく総合通信基盤局、更に申しますと電波部の方で所掌することを考えております。  したがいまして、新設の情報通信国際戦略局で国際関係の窓口業務を、それはやることはやりますけれども、今申しましたように、事務そのものは総合通信基盤局で行いますので、新局の人件費はすべて一般財源によるものでございまして、電波利用財源を充当することは考えておりません。  それから、一つ先生ただいまの御質問の冒頭で八月の一日ということで御指摘をいただきました。御指摘のとおり、予算編成、概算のときに、準備もございますので、今年の八月の一日を予定をして考えてまいりましたけれども、聞いていただきましたように非常に重要な政策課題に対応する仕事でございまして、こういうものについては大臣からできるだけ前倒しでやるようにという御指示もいただいておりますので、可能ならばこれをもっと早めて施行できないか、現在検討、調整いたしております。
  102. 弘友和夫

    弘友和夫君 分かりました。  それと、ICTですね、これは経済成長に与える影響が非常に大きいと。情報通信分野での国際競争力の強化というのは今後の我が国経済の発展のために私は極めて重要だと、今そういうものも早めて、早め早めというのは私は当然だと思うんですね。本当に国際競争力というのは非常に大事だと。その点で、情報通信分野の国際戦略の企画立案を行う新たな局の創設というのは理解するし、歓迎するわけでございますけれども、ただ、さっきの三省の云々という話がありましたけれども、やっぱりこれは本当意味で国際競争力、勝ち抜いていくためには、今の仕組みからいって総務省だけではいかないんじゃないかなと。  経済同友会が五月十五日に発表しました報告書、二十一世紀型社会先進ロールモデル、ユビキタスネットワーク社会の構築に向けてでは、IT政策における縦割り行政の弊害は情報通信産業の国際競争力の低下や日本のソフトパワーの発信不足からも顕著であると、分散化された現行の組織体制ではITの高度な専門知識と日進月歩の発展によるスピードには対応できないとして、例えば内閣のIT戦略本部、知的財産戦略本部並びに総務省と経産省の産業振興にかかわる部門、文化庁の著作権にかかわる部門などの統合による情報通信省(仮称)の創設を検討すべきであると、こういう提案、提言がなされているわけでございますけれども、先ほどのダビング10の問題に代表されるように、情報通信分野の問題は複数の省庁にまたがっている問題が多い。迅速な対応のためには情報通信省という、その提言のような考え方も一つの選択肢であると思いますけれども、大臣のお考えを伺いたい。
  103. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) この情報通信分野というのは大変重要でございまして、今お話がございましたように、それが課題というのは大変幅広いものですから、我が総務省、それから経済産業省、そして文部科学省など複数の省庁にまたがっているというのも、これ現実の事実でございます。  そうしたことによる弊害をなくすために、総理本部長とするIT戦略本部ですとか、それからまた知的財産戦略本部で、そういうところで各省の縦に割れているところを全体を包括し得るような体制を、そういう本部体制を取っているということでつくっているというのが今の体制でございまして、したがいまして、今すぐに新しい情報通信省の創設というところまでの考えはございませんけれども、一般論として言いますと、やはり行政機構というのは不断に見直しをする、そして課題がいろいろ出てまいりましたら、そういったことが本当に今の組織で十分対応できるかどうかということ、これは一般論としては常に考えておかなければならないことでございます。  今、IT戦略本部等が間もなく来週また開催される予定になっておりますが、そういうところでこの大変重要な情報通信分野の問題の解決を省を超えて解決を図っていくという考えでございますが、今後この行政機構の問題ということも私どもはやはり常に考えておかなければならないと、このように考えております。
  104. 弘友和夫

    弘友和夫君 たったと言ったら語弊がございますけれども、ダビング10の問題の調整だけでもなかなか難しかったわけですから、本当に根幹にかかわるいろいろ、おれのところは経産省だとか、いろいろあると思うんですよ。それはこの問題に限らず、今いろいろな問題、問題になっているわけですけれども、是非、総務省も中心となって遅れを取らないように頑張っていただきたいというふうに思います。  次に、ICTの利活用による地球温暖化対策でございます。一か月後にサミットが開かれ、大きな議題が地球温暖化問題でございますけれども、本年四月に総務省の地球温暖化問題への対応に向けたICT政策に関する研究会の報告というのが出されたわけでございます。  それによりますと、二〇一二年の時点で、ICTの利活用によって五・四%のCO2削減効果があり、一方で二・四%の排出量があって、差引きで三・〇%の削減に貢献できるとのことでありますけれども、ICTの利活用によるCO2の削減効果について簡単に御説明いただきたいと思います。
  105. 中田睦

    政府参考人(中田睦君) 御指摘ございましたように、総務省では昨年の九月から、ICT分野におけます地球温暖化問題への対応について検討をお願いをしてまいりました。座長は東京大学名誉教授の月尾嘉男先生にお願いをしております。この研究会の方で本年四月に報告書を取りまとめていただいたところでございます。  この趣旨でございますけれども、当然、ICTを使いますと、その分CO2を排出すると。当然それはそうでございますが、他面、ICTを利用することによりましてCO2の排出削減効果があるということでございまして、それらを相殺して計算をしたということでございます。  CO2の排出削減効果でございますが、例えばテレワークでございますとかテレビ会議というのを利用いたしますと、人とか物の移動、こういうものが削減されると、その分がCO2が削減される。あるいは電子出版でございますとかソフト、そういうものを電子配信すると、そのことによりまして、例えば紙を使わない、あるいは消費の効率化が良くなるというような点。また、ビルのエネルギーマネジメントという観点で見ますと、ビルの冷暖房あるいは照明の制御というものをICTを使うことによって非常に効率化をしていけば相当の節約ができると、こういったことをいろいろな分野から試算をしていただいたということでございます。  その結果、この報告書では、二〇一二年の段階におきまして、一九九〇年の日本の総排出量に比べまして、その比率でいきましてCO2の増の効果が二・四%、それに対しまして削減の効果が五・四%、差引き一九九〇年の総排出量の三%、重量にいたしまして三千八百万トンの排出削減が可能であるという試算をいただいたところでございます。
  106. 弘友和夫

    弘友和夫君 国内でもやはり取組の強化を進めていかなければいけませんけれども、国際的な環境等は国境を越えて国際的なやはり取組というのが必要だと思いますけれども、それについて我が国はやはりリーダーシップを発揮すべきじゃないかということで、報告書でも、ICTによるCO2排出削減効果の評価手法を国際的なレベルで確立して、その評価の手法の標準化を進めるべきじゃないかという提言がありますけれども、国際的な取組について大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  107. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) CO2の排出削減量の評価手法の国際標準化というのは大変重要でありますし、まだまだ、標準化をしなければならないということにお分かりいただけますとおり、非常にこう、それぞれがばらばらになっていますという状況にございます。  そこで、国際電気通信連合、ITUでこれを是非取り上げようではないかということで、四月に京都で国際シンポジウムを開催をしたんですが、このときは二之湯政務官に出席をしてもらいまして、我が国もこれに主体的な参加をしたわけでありますけれども、そこの中の議長報告という中に今の趣旨を取り入れていただきました。そして、総務省としてこれから、ITUという場で非常に技術的な詰めがこれから膨大なものが出てきますが、その国際標準化作業の中で我が国としてリーダーシップを発揮していきたいと。  それから、この関係では、OECDやAPECなどの関係の国際機関でもこうしたことが議題として取り上げられます。APECの方は、四月の京都の会議の一週間後にタイのバンコクでその関係の会合ございましたし、これは副大臣出席をしてもらいました。それから、六月の十七、十八にはOECDの関係で通信政策担当大臣会合というのがあって、そこでもこれ議論になりますので、それは可能であれば私も出席して、ソウルで、その会議の中で我が国の立場を主張していきたいというふうに思っております。  いずれにしても大変大事な場でございますし、その中で、環境についての我が国様々な識見を持っておりますので、リーダーシップを発揮してこの問題の先頭に立っていきたいと、こういうふうに考えております。
  108. 弘友和夫

    弘友和夫君 国際的なリーダーシップを発揮するという意味で、環境問題だけじゃなくて、是非、ICTのインフラ整備等についても今後中心的な役割を担えるように頑張っていただきたいというふうに思います。この問題についてはこれで終わりたいと思います。  次に、人事院総裁もおいでいただいておりますけれども、航空管制局の管制官の勤務状況についてお尋ねをしたいと思うんですけれども、航空機が安全に効率良く目的地に到着するための職として航空管制官がいらっしゃいます。この航空管制官に対しては専門行政職俸給表が適用されているわけですね。さらに、俸給の調整が行われていると。  そこで、専門行政職俸給表が適用されているその趣旨と、俸給の調整が行われている理由についてお伺いをしたいと思います。
  109. 吉田耕三

    政府参考人吉田耕三君) 専門行政職俸給表は、特定の専門的、技術的な行政分野におきまして、高度の専門知識、資格等を活用して独任官的に職務を遂行する職員を対象とした俸給表でございます。  従前は行政職俸給表(一)で処遇されてきておりましたが、理系の深い専門知識を必要とする特定の行政分野の役割が一段と重要になってきたことから、これに携わる職員の適正な処遇の確保等のために昭和六十年から設けられたものでございます。  一方、航空管制官の職務でございますが、こちらの方は航空交通管制に関する専門的知識、航空保安行政に係る訓令等に基づく資格等を必要とする職務でありまして、基本的には独任官として業務を遂行し権限を行使するというものでございますので、この専門行政職俸給表の創設当時からこの俸給表を適用してきております。  一方、職員の俸給につきましては、職種に応じまして現在全体で十一種十七表の俸給表が設定されております。同一の俸給表の同一の職務の級に属する官職でありましても、その職務の複雑、困難若しくは責任の度又は勤労の強度、勤務時間、勤務環境その他勤務条件が他の官職に比べて著しく特殊でありまして、より高い処遇を行うことが適切な場合には、それを分けて、俸給表を別に設定することも考えられます。しかしながら、そうした特殊性を持つ官職の数が別の俸給表を設けるまでには至らないと、そういう場合には、俸給表を分ける代わりに、その特殊性に基づいて俸給月額を調整するものとして、俸給の調整額制度というものが設けられております。  航空交通管制の業務は、航空機の運航状態を把握し、航空機に対して飛行方法、離着陸、上昇、下降、高度待機等に関しまして適切な指示、許可又は助言を与えるものでございます。高度の熟練を要するとともに航空機及び人命の安全に対する高度の責任が課せられておりますので、その職務の重要性には専門行政職俸給表が適用されている他の官職に比して著しい特殊性が認められておりまして、俸給の調整額を措置しております。
  110. 弘友和夫

    弘友和夫君 今の調整についてです。先任航空管制官が調整数一、また航空管制官が調整数二という、この一とか二とかいう、そういう調整の趣旨というのは何ですか。
  111. 吉田耕三

    政府参考人吉田耕三君) 個々の職種、職務におけます調整数につきましては、既に適用されている官職との関係、どの俸給表が適用されているか等を考慮しまして、当該特殊性の程度に応じて適当と考えられる格付となるように措置してきております。  航空関係の調整数につきましては、航空機の運航に直接関与する操縦士が三、航空管制官の調整数が二となっております。また、航空管制業務に直接従事しない先任航空管制官には一としております。
  112. 弘友和夫

    弘友和夫君 それで、私は航空管制室に何か所か視察に伺ったことがあるんですけれども、やはりこれは大変な業務だなと。一つ間違えば大惨事になるということで。ただ、近年、この航空管制をめぐって、ニアミスだとか滑走路への誤進入といったトラブル、もう頻繁に起こっているわけでございまして、こういうことは絶対にあってはならないというふうに思いますけれども。  いろいろな原因があると思いますが、その一つに、やはり航空機が発着回数が非常に増えていると。羽田なんか何万回でしたかね、回数が増えて過密ダイヤというのが挙げられている。それに対して余り航空管制官の数も増えないという、過剰な負担が生じているのではないかというふうに思いますけれども、国交省どうですか。
  113. 小野芳清

    政府参考人(小野芳清君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、安全の確保といいますものは航空行政を進めるに当たって大前提でございます。  その中で、航空管制官が担当いたします管制業務を取り巻く環境を見てみますと、例えば羽田空港、今御指摘の羽田空港の年間の発着回数で見てみますと、十年前の平成九年には大体年間二十万回ぐらいであったものが、昨年三十万回を超えるという状況でございまして、この十年間で大体一・五倍に増加しておりまして、確かに御指摘のとおり業務量は増大しております。  このような業務量の増大に対応いたしまして、安全を確保するために、まず全国の管制官につきまして、この十年間で大体一一%ぐらいの増員を行ってきたところであります。特に、過密化をしております羽田空港におきましては重点的に増員を行っておりまして、この十年間で百三十五人から百五十六人へと、大体一六%の増員をしてございます。  これに加えまして、管制業務に用いますレーダーのシステムを改善いたしまして、例えば管制指示をする、管制指示の判断を支援する、例えば航空機の順位付けを、システムが、こう何と言いますか、推奨するといったようなそういったような最新鋭のものも導入いたしますなど、ハード面の対策もこれまで講じてきたところでございます。  さらに、やはりヒューマンエラーというものも、これは無視できないものでございまして、このために我々としては安全管理システムと言われる、言いますれば俗にPDCAサイクルと言いますけれども、ヒヤリ・ハット事案を集めてそれを分析して、重大事故につながらないように事前に対策を講じていくといったような、そういったシステムを現場に導入をしてございます。  御指摘のように、航空管制官が取り扱う航空機は増加しておりますけれども、このようにハード、ソフト両面から各種の対策をこれまで講じてきているところでありまして、今後とも、この航空需要の増加に伴う発着回数の増加に、そのような形で的確に対応してまいりたいというふうに考えております。
  114. 弘友和夫

    弘友和夫君 それで、今年の四月に航空機のニアミス事故で二人の管制官の方が有罪判決を受けているわけですね。司法の判断は、ニアミスを招いた管制官の指示と乗客の負傷との間には相当因果関係が認められるということで、業務上過失傷害罪、私の感想としてはちょっと気の毒じゃないかなという気もするんですけれども。  いずれにしても、業務量が大幅に増えて、その責任を問われるのは最前線のこの管制官なんですよ。そのシステムというか、その長だとかなんとかじゃないんですね。その管制官の方が一番、事故が、何かあったときの責任を取らされるということになりましたら、これは先ほどの専門行政職俸給表ではございませんけれども、その職務の複雑さ、困難さの度合いに応じて、当然に待遇面の改善も必要となるんじゃないかというふうに思うわけでございます。  判決では、管制官、その指導を、二人のペアですけれども、それが誤った指示をしたということで有罪となっていると。一方では、管理職である先任航空管制官に対しては責任問われていないとか、まずいろいろあります。ですから、そういう両者のバランスも含めて、当然、その複雑、困難な職種等も考慮して検討する必要があるんじゃないかと思っている。  私、前に海上保安庁の方の俸給表のことについてもお伺いしたことありますけれども、やっぱりそういうバランスとかもっと考えて検討する必要があるんじゃないかなというふうに思いますけれども、総裁はどういうふうに思いますか。
  115. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) 航空関係職員の調整数につきましては先ほど担当局長から御答弁を申し上げたところでございますけれども、現時点における航空管制官の調整数につきましては、基本的には妥当なものとなっていると考えているところでございます。ただ、管制官の業務の特殊性につきまして更に変化があります場合につきましては、国土交通省の御意見もお聞きしながら必要な対応を検討してまいりたいと存じております。  なお、飛行場ごとに取扱い機数にばらつきもありますことから、実際の具体的な業務量の増大に応じまして航空管制手当を見直すということをやっておるわけでございますが、このことにつきましても引き続き適切に行ってまいりたいと存じております。
  116. 弘友和夫

    弘友和夫君 最後に、今現状では余り変える必要がないんじゃないかというニュアンスですね。業務量は二十万回が三十万回、より増えて、羽田については、そういう中で余り人数も増えてない、大変な判断を最前線では迫られるというようなことですから、やはりその時々、きちっと見直しをする必要があるんじゃないかというふうに考えております。  最後に、そういうことも含めて、航空管制業務というのは国民の安心、安全に直結している以上、その航空管制官に対する勤務条件については私どもも引き続き関心を持って注視したいということで、俸給調整額の全体的な見直しも必要なんじゃないかと思いますけれども、最後に総裁にお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  117. 谷公士

    政府特別補佐人(谷公士君) この俸給の調整額の見直しということにつきましては、先ほどもございましたように、以前に委員からも御指摘をちょうだいいたしたところでございまして、その御意見も伺いまして検討を行いました。  そして、十八年の四月に海上保安庁の機動救難士について調整数二を措置したところでございますが、その後も更に全体的な見直しについて検討を行いまして、一年後の十九年四月に海上保安庁の特殊救難隊、特殊警備隊、機動救難士について、職務の困難性、危険性等を評価した調整数の引上げを行いましたほか、国立ハンセン病療養所職員、公共職業安定所の職業紹介等の業務に従事する職員についての調整数の引下げ又は廃止などの措置を行いまして、こういった結果、現時点における調整数につきましては、先ほども申し上げましたけれども、基本的に妥当なものとなっていると考えておりますけれども、しかし、人事院といたしましては、今後とも関係府省の御意見を伺いながら、個々の官職の業務の特殊性について変化がないかどうかを十分注視してまいりたいと考えております。
  118. 弘友和夫

    弘友和夫君 終わります。
  119. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  今日は日本郵政の西川社長にもお見えいただきまして、日本郵政の関連法人の整理、見直しについて質問をさせていただきます。  昨年の十一月に、郵政事業の関連法人の整理・見直しに関する委員会、いわゆる松原委員会の最終報告書が出されました。西川社長に提出されたわけでありますが、そこでの検討対象は二百十九法人に及んでおります。  その中で、郵便の地域内・地域間輸送にかかわる関連法人がどのように整理、見直しされることになったのか、御報告いただけますか。
  120. 西川善文

    参考人(西川善文君) 委員会の最終報告で検討を継続するとされておりました輸送会社は三十二社、それから郵便取集・配達の関連法人は七十一社でございます。
  121. 山下芳生

    ○山下芳生君 それがどうなったかということについて。
  122. 西川善文

    参考人(西川善文君) それにつきましては、いわゆるゼロ連結会社等三十二社につきましては、日本郵便逓送株式会社等十四社を子会社化することといたしまして、残りの十八社につきましては資本関係を整理しつつ取引を一般化するということといたしました。  また、取集、配達の関連法人七十一社につきましては、引き続き日本通運との合弁として発足いたしました宅配事業会社、JPエクスプレス株式会社でございますが、この会社の在り方とともに検討中でございます。  以上です。
  123. 山下芳生

    ○山下芳生君 御報告あったように、松原委員会というのは西川社長の指示で昨年の四月に発足したわけですが、この間、ずっと民営化に当たって徹底したコストの削減を図るための見直しの一環であります。  郵政公社の平成十九年度の決算を見ますと、経常費用については人件費や集配・運送委託費の削減を進めたことなどによって二百九十六億円減ったというふうに報告されております。そのうち、郵便輸送の専用自動車の運賃は、郵政事業庁の要請を受けて平成九年から平成十四年までは三〇%を超える引下げが行われたことになるんですが、では、郵政公社になった平成十五年以降、運賃は何%削減されたんでしょうか。
  124. 伊東敏朗

    参考人(伊東敏朗君) お答え申し上げます。  先生御指摘のトラックの運送委託運賃につきましては、公社化後に競争契約を段階的に導入いたしまして、そこで得られました競争入札効果を他の路線にも反映して運賃引下げを行っているところでございます。  公社化以降これまで全体でどのぐらいかというのは、個々それぞれについて引下げを行っておりますので、トータルの割引、どのぐらいの引下げかというのはなかなか数字としては計算しにくいんですけれども、単年度ごとにそれぞれの路線、地域内でいえば地域の中の路線とか、あるいは地域間でもそれぞれの路線について月ごとに数%あるいは三割近く引き下げまして、トータルといたしまして約三割引下げを行ったところでございます。  なお、具体的に運賃単価を見直しをいたしましても、例えばゆうパックなどの扱う大きさが増えますと、当然それに伴いまして更にトラックが必要になってくることもございますので、十五年度と十八年度の運送委託費の支払、具体的な支払ベースで見ますと二・八%の削減率となっているところでございます。
  125. 山下芳生

    ○山下芳生君 運賃の単価で見ますと、公社化以降、三割下がったという方向でありました。それまでに三割下がっておりますので、この十年前後で半分以下に運賃が下げられたということであります、これは大変なことですね。そういう中で、委託を受ける会社は、これもう唯々諾々とのまざるを得ないんですね。  私、いろいろ聞きますと、計画どおりに引き下げなければ競争入札にすると通告されて、公社のコスト削減に従って下げてきたというんですね。その運賃の引下げにこたえてきたことが、そのままその運送委託会社で働いている労働者の賃金の引下げ、労働条件の引下げに連動しております。私のところにも、この間、メールやファクスで大幅な賃下げで生活ができないといったのが何通も届いております。ちょっと紹介します。  Bさん。年収で二百万円以上も収入が激減した。私は生命保険を解約し、子供には大学進学をあきらめてもらい、食費、衣服など、日常で必要なものも切り詰めている。一番つらいのは、子供の希望をあきらめさせたことです。五十歳を過ぎ、日逓で働く以外にない状況だが、会社が子会社化になるときにはまた合理化があるようなうわさがあり、とても不安だ。  それから、Aさん。十年前から始まった運賃引下げは最高時の五割を割り込むすさまじいもので、労働者への影響は、労働密度の悪化、休暇の削減、福利厚生の全面的な廃止、諸手当の大改悪、そして賃金、退職金制度の大改悪で基準賃金が二五%切り下げられた。平均の年収は百五十万から二百万円減収になって、住宅ローンを組んでいる人、子供の教育に費用の掛かる人は大変な生活設計の見直しをさせられているということでありました。  西川社長に伺いますけれども、私は郵政公社、郵便事業会社は集配運送委託費の削減をやれば、これは公社や会社にとっては経費が削減できるでしょう。しかし、その一方で、この郵便輸送を担う現場の労働者には大変な低賃金が押し付けられております。これ、コスト削減が優先され、その一方で、これまで郵便事業を一生懸命支えてくれていた労働者が、こんな大変な賃下げ、労働条件が改悪になる、それ構わないという立場でしょうか、西川社長
  126. 西川善文

    参考人(西川善文君) お答えをいたします。  平成十五年度以降、運賃の削減交渉や競争入札の導入等によりまして、トラック運賃を市場価格に近づけるよう努力をしてきたものと承知いたしております。その過程におきまして、受託運送会社にあっても経営合理化の一環として人件費の圧縮に努めてこられたものと思います。  日本郵政グループといたしましても、今後とも市場価格というものを勘案しつつ、適切に運賃交渉を行ってまいりたいと考えております。  以上です。
  127. 山下芳生

    ○山下芳生君 郵政民営化の本質が今まざまざと示されるお答えだったなというふうに聞きました。  市場価格に合わせて努力をしたと。市場価格に合わせて運賃を下げるのが努力というふうに今社長からお言葉があったんですが、それで本当にいいんでしょうかね。物すごい日本最大の民間会社がたくさんの労働者、それから関連会社の労働者の賃金を下げることを努力だと言っていいのかと、私は率直に言って思います。そんなこと許していいのかと。  日本郵便逓送株式会社、日逓は郵便輸送の五割超を請け負っている会社ですよ。ここがなかったら郵便物の配達はできないところですよ。そこをしっかりと頑張ってやってくださいねと言って、そういう関係つくっていくのが、私は民営化された郵政会社、郵便事業会社の社会的責任ではないかと思うんですね。  以前紹介した、西川社長のお書きになった「挑戦 日本郵政が目指すもの」という本の中にも、コスト削減のためにリストラだけが正しいんじゃないというふうに書いていますよね。でも、実際に起こっていることは、関連会社に起こっていることは、まさにコスト削減のために労働者の生活を破壊することが起こっていると。これ、どうなんですか。これ、努力方向として、そんなにいいことやっているというふうに言っていいんですか、社長
  128. 西川善文

    参考人(西川善文君) お答えをいたします。  郵便事業会社の経営は大変厳しいものがございます。特にゆうメールでございますとか、あるいはゆうパックでございますとか、競争関係が非常に厳しい状況の中で経営を行っておるということでございまして、この競争関係考えますと、これらの事業を存続し、そして安定したサービスを国民の皆様に提供させていただくというためには、やはり効率化ということが避けられない、あるいはどうしても必要なことでございまして、その点、我々といたしましても徹底した努力をしてまいらなきゃならないということでございます。御理解をいただきたいと思います。
  129. 山下芳生

    ○山下芳生君 とても理解できないですよ。  安全、安定とおっしゃいましたけれども、それを担ってきたのが日逓などの郵便物を運送する労働者ですよ。彼らはこれまでいろいろ、公社、その前の時代から経営の改善だということで運賃の低減に一生懸命こたえて頑張ってきたんですね。でも、なぜ頑張れたのか。それは、自分たちが公共のサービスを担っているからだ、自分たちが頑張っているからはがきが八十円で、あるいは五十円で、以前は、全国どこでも届けるようなユニバーサルサービスが成り立っているんだ、自分たちが頑張っているから安全、信頼、確実に郵便物は届くんだ、だから頑張ろうと思ってそれにこたえてきたんじゃないですか。  だけど、郵政公社化され、民営化されたら、十年間で三割、三割、六割以上運送委託費が下がっている。もう普通に考え努力の域を出ているじゃありませんか、超えているじゃありませんか。年収六百万円台だった人たちが二百万円削られるんですよ。さらに、これから新会社化、子会社化になる。さらには、地域社員制度というのも新たに盛り込まれた。そうしたら、また賃金が下がって年収三百万円になるんじゃないかと不安が今ばあっと広がっていますよ。以前は誇りに満ちていた、おれたちが郵便事業を担っているんだという雰囲気の職場が、今暗い職場になっているというんですね。どうやってこれから生活していくんだろう、どうやって子供を、家族を養うんだろう、もうこれ以上下げないでほしいという声が渦巻いていますけれども、社長、それでもまだこれから経営努力やって下げるというのが西川さんの方針ですか、どうですか。
  130. 西川善文

    参考人(西川善文君) お答えいたします。  それは、我々の経営努力というのは何も委託運送費を下げることだけでは決してございません。その他の面においても一段と効率化を進める必要があるということでございまして、効率化の手法としては、ただ単に人件費をカットするというようなことではなくて、あるいは自動化を進めると、更に進める、あるいはITシステムをレベルアップさせるというようなことで効率化を進めるということもございます。しかし、それは全体としてやはりやらなきゃならないということでございまして、委託運送費というものにつきましてもらち外ではないということでございます。  以上です。
  131. 山下芳生

    ○山下芳生君 結局、やるということじゃないですか。これは、本当にそういうことをやっていたら、おっしゃった安全、安心した配達業務ができるのかと。  今、日逓の労働者の中からは、もうこれ以上下げられたら日逓で勤めることはできないだろうと。それはそうですよ。もう四百万円台になっているのが三百万円台まで下がったら家族養えないわけですから。そうしたら、ほかの運送会社に行こうかタクシーに行こうかということがもうささやかれているんですよ。労働者がいなくなったらどうやって安全、安心した郵便物の輸送ができるんですか。これ以上下げるなという、下げたらここにいれなくなるよという声、真剣に検討すべきじゃないですか、実態をちゃんと調べて。社長、どうですか。
  132. 西川善文

    参考人(西川善文君) 当然のことながら、先生御指摘のような実態も十分把握した上で、その上で全体として判断をしていくということでございます。
  133. 山下芳生

    ○山下芳生君 是非、実態見てください。もうこれ以上引き下げられないという実態がまざまざと分かると思います。  次に、今紹介したのは日逓、いわゆるゼロ決算、ゼロ連結の三十二社の中で基幹的な部分を担う十四社、これから一本化されて子会社化になる会社です。それ以外の、三十二社の中で十八社はどういう今運命をたどろうとしているのか。これ本当大変なんですね。  それ以外の会社は、先ほど社長から答弁があったように一般取引にされるわけですね。一般取引になったらどうなっているかといいますと、郵便事業の取引を収入の五〇%以下に抑えなさいということが通知されていると。六月いっぱいまでしか仕事がないということになっていると。ですから、十八社のうち、私が聞いたところによりますと六社は六月で会社解散ですよ、これまでずっと郵政を支えてきた会社が。そんなことをする権限がどこにあるんですか。私はそう思いますね。  どうなんですか。収入の五割以下に郵便事業はもう抑えますよというようなことを、だれの、どこの権限、だれがそんな権限を許されているんですか。
  134. 西川善文

    参考人(西川善文君) お答えを申し上げます。  取引比率を五〇%以下にするということは一つのめどでございまして、ここで直ちに五〇%ということを決定したわけではございません。日本郵政グループとしては、まずは委託先へのもたれ込みといった依存関係のない、透明性の高い取引関係を目指してまいりたいということを考えておるわけでございます。  以上です。
  135. 山下芳生

    ○山下芳生君 すぐやれというんじゃないというふうにおっしゃるんですけれども、ここに持ってまいりました、昨年の十月四日、松原委員会の第二次報告、西川社長あての報告ですが、その中には、取引関係の一般化というところに、「その対象となる関連法人は、当該法人の新会社との取引比率を五〇%以下にすること」と、こうはっきり書いてあるんですね。  その直後に、十八社に対して郵政事業株式会社、北村CEOから通知が行っておりまして、これはある会社に行ったものですけれども、郵便事業関連取引への依存の逓減を推進くださいますよう何とぞよろしくお願いしますと、減らしますよということをわざわざ通知しているわけですね。これからは、原則として運送子会社を通じた日本郵政グループ、郵便グループ以外の運送事業会社に対する再委託による運送事業等の執行を考えておりますと、これまでお願いしていたグループの三十二社であっても、もうこれは一般取引になりますと、再委託に入れれば、入るかどうか、それ以外のところに委託しますと言っているんですね。  これはもう、これまで一〇〇%、だってこういう会社もほとんどは郵政のOBが社長になったり取締役になったりしてますよ。で、一〇〇%ほぼ郵便事業を、郵便の輸送を担ってきた会社です、全部。子会社にならない十八社もね。それが、ここでいきなり、もう五〇%以下にします、仕事はありませんと、ほかに再委託しますからと。これ死亡宣告ですよ。こういうことを本当に日本最大の会社日本郵政が平気でやっていると、こういうことでいいのかと私は思いますね。  こういう関連会社の生の声も聞かせていただきました。  もう既に六月末で解散が決まっておりますと、解雇予告通知も配られましたと。一〇〇%郵便の輸送をしております、仕事の量も今は全然変わっておりません、仕事はありますと。ところが、もう事業閉鎖の方向だというふうに経営者から言われたと。納得できるはずないでしょう。そういうことをもう平気でやるというようなことがいいのでしょうか。  私は、是非ここはしっかりと見ていただいて、こんなとんでもない、今貧困と格差が広がっている中で日本郵政のやろうとしていることがそれに追い打ちを掛けているじゃありませんか。こういうやり方はやっぱり直ちに僕はもう中止するべきだ、やめるべきだと思いますけれども、社長、いかがですか。
  136. 西川善文

    参考人(西川善文君) お答えいたします。  中止云々についてはただいまは全く考えておりません。  先ほど申しましたように、郵便事業全体が大変厳しい状況の中で運営をしておるわけでございます。ユニバーサルサービスを守るためにはどうしてもやはり一層の効率化ということは避けられないわけでございまして、そういった点を踏まえまして既定方針どおり進めてまいりたいと存じますが、先生の御指摘の点は私たちも十分踏まえてやってまいりたいと考えております。
  137. 山下芳生

    ○山下芳生君 既定の方針どおりやりたいんだが、指摘を踏まえてやりたいと。ただ、その踏まえ方ですけれども、私は少なくとも、こういうこれまで一〇〇%郵便事業を担ってこられた会社が解散になる。しかし、仕事はあるわけですから、仕事がなくなるわけじゃありませんから、また再委託をする先を見付けなければならない。だったら、そういう会社、解散したら会社はなくなりますけれども、そういう労働者に少なくとも、一方的に日本郵政の方針で、郵便事業会社の方針で職場を失い仕事をなくされようとしている労働者に対して、やっぱり企業の社会的責任として仕事のあっせんとか再就職のあっせんとか、これ一人たりとも路頭に迷わすことはしないと。  これは民間会社だってやっていますよ、電機大手だって。そのぐらいはやってしかるべきではないかと思いますが、社長、いかがですか。
  138. 西川善文

    参考人(西川善文君) 我々としてもできる限りの努力はしてまいりたいと思いますが、再就職等についても、これは可能であれば我々もあっせんするについてやぶさかではございませんが、なかなか厳しいものがございますので、必ず再就職をあっせんするというお約束はちょっと難しいかと思います。  以上です。
  139. 山下芳生

    ○山下芳生君 厳しいというふうに分かっていて切り捨てるんですか。それが日本郵政の方針ですか。それが、日本最大の民間会社になって、民営化したらバラ色になると言っていた実態ですか。それでいいんですか。もっと真剣につかんで、できればじゃなくて、そういうこれまで郵便事業を支えてくれた労働者、責任持って安心してこれからも働いてもらえるように最大限の努力するというのが当たり前じゃないですか。もう一度どうぞ。
  140. 西川善文

    参考人(西川善文君) 先生の御意見を十分踏まえまして努力してまいりたいと存じます。
  141. 山下芳生

    ○山下芳生君 増田総務大臣に伺います。  今、私が紹介し、西川さんがお答えになったような事態が目の前で起こっているんですね、民営化という名の下に。大臣、こういう事態知っておられましたか。また、どうお感じですか。
  142. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) よく会社の方で今の実態等を踏まえてやられると、こういうお話でありますから、会社としてこの民営化を成功させると、会社のやはり経営基盤をしっかりと確立していただくということは大変大事でありますし、また、国会のこの民営化法の審議に当たって附帯決議がいろいろと付けられておりますから、これもまたきちんと守っていただくということが必要かというふうに思っております。  この点をよく踏まえて、今社長さんの方からも委員のそういった御指摘を踏まえるというお話がございましたけれども、そういう形で今後事業を行っていただくということが基本であろうというふうに思っております。
  143. 山下芳生

    ○山下芳生君 私は、こういう事態を放置していたら、一体郵政民営化とは何だったのかということが国民的に問われると思いますよ。だって、これまで三事業一体でやっていたときには何の問題もなくうまく回っていたんでしょう。運送委託費だって適正な価格で支払われ、そこで働く労働者に人間らしいまともな生活を保障することができていたんですよ。税金一円も入っていませんよ、郵便事業も含めて、郵政事業には。何で民営化した途端にコスト、コストとなって、そこで働いていた一番郵便事業、郵政事業を支えてきた労働者が割を食わなければならないのか。こんな民営化はおかしいですよ。  そのことを指摘して、質問を終わります。
  144. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  今日は一般質疑ですので、分権自治とNHKの不祥事の問題、大きく分けて二つのことを、見解をそれぞれお尋ねをしたいと思います。  まず初めに、総務大臣分権自治の問題で四項目ぐらいですね、見解をお伺いをしておきたいと思います。  五月の二十八日に地方分権改革推進委員会の第一次勧告が出ました。国道の地方移管については、道路特定財源の一般財源化との関連で重要な争点でもございますが、私も過日の決算委員会で、西尾座長代理の、いわゆる三けた国道を中心として旧推進委員会の報告どおり移管せよという強い意見があったことを紹介をいたしましたが、しかし、大分骨抜きになったようで残念だと、こう思います。  具体案というのは第二次勧告待ちということなんでしょうけれども、報道によりますと、どうせ地方は国道に金を付けてほしいから移管に消極的だろうと、国交省の粘り勝ちだなんというようなことが早くも書かれている、こういうことがあるんですが、総務大臣としてこうした現状をどう評価をされて、そして道路の分権在り方というものをどのように御認識なさっているか、まずお伺いしたいと思います。
  145. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) お答えを申し上げますが、今回の分権改革推進委員会の第一次勧告でございますが、特に国道について言いますと、これは平成七年から行われました第一次分権改革のときも大変高いハードル、難しい問題でございましたので、結果として当時はこの問題に手を付けられない問題でございました。  今回のこの委員会が、いろいろとこの間やり取りはございましたけれども、勧告の中でいわゆる直轄国道についてその権限を自治体の方に移管すべしと、こういうふうに勧告出されたことは、そういった従来からの課題に踏み込むものでありまして、私は率直に評価をしたいというふうに思います。  それから、これを今後進めていくに当たって、今度はやはり細部をまた国交省とよく詰める必要があると思いますし、それから自治体サイドのいわゆる覚悟が問われるといいましょうか、やはり自治体の方でも、こうした勧告を受けて本当地域の自治体が整備、管理をしております道路と一体的にやるということがいかにいい成果をもたらすかということをきちんと成果として出していかなければならないと。これは、自治体の方も今後はそうしたことで責任を有するわけでありますので、細部、これから政府方針を決める際にもそうしたことも踏まえ関係方面と調整をしたいというふうに思っておりますが。  特に、私自身は、国道の問題というのは大変重要な問題だと、今後の町づくり等に当たっても大変重要な問題だと思いますので、勧告に込められた分権改革推進委員会の意思、気持ちが十分に反映されるような、そういう政府としてのとらえ方、そして自治体もそれに沿った形で対応できるように、そういうふうにこれから関係者間の意思統一に努力をしていきたいと、こういうふうに考えます。
  146. 又市征治

    ○又市征治君 ところで、今大臣もおっしゃいましたけれども、勧告全体としては私も評価する面も多々ございます。  今日は、あえて問題があると思われる点を少し大臣と問答をしたいと思うんですが、それは平成の大合併というあらしの後の市町村の自治をどう守っていくかという観点で気になる点が幾つかあります。  第一章の(3)広域自治体と基礎自治体の役割分担という項目の中で、権限移譲は市に優先的に進める、つまり町村とは差を付けるという点ですね。また、基礎自治体の規模や能力が異なるからといって、広域連合の形成とか周辺自治体による連携と補完を図る、つまり言い換えると基礎自治体の権限の空洞化を認めるような、こういう書きぶりがあるわけでありまして、これだと、合併をしない、あるいは、これはもう岩手県、知事の方が私よりもちろんのこと詳しいんだが、例えば、全国第三位だと思うけれども、あの川井村、ああいうところは、これできないわけでしょう、合併が。そういうところ、とりわけ町村という形で残ることを選択したこういう地域の人々の選択が報いられないのではないのか、こういうことが大変危惧されます。  大臣は就任以来、知事経験を踏まえられて、財政力の小さな自治体への配慮というものを殊のほか重視をされてきましたし、そういう意味では、この新自由主義的なというか経済万能主義というか、こういうことによって切り捨てられた政策というのは一定軌道修正のために大変努力をされてきたと。これはもうこの委員会の皆さん全部が理解をされている、評価をしていることだと思うんですが、そういう立場から見ても、単純な規模のメリット論ではない地方自治の本旨を踏まえて、あれだけ政府が鳴り物入りで宣伝したにもかかわらずその選択ができないとか、あるいはあくまでも今のままで残るんだと、こういった住民の独立の気概であるとかエネルギーであるとか、合併ができないというそういう地域性、こういったところをもっと大切にすべきだと、私はこう思うんですが、その点の御見解を伺いたいと思います。
  147. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今の先生の御指摘でございますが、これは私も岩手県で地域の市町村いろいろ見てまいりましたので、大変重く受け止めたいというふうに思います。  今回の、御案内のとおり勧告が、私は非常にそういう意味でこの点を重要視しているなと思っておりますのは、基礎自治体を優先させるということを、基礎自治体である市町村を優先させるということをはっきりと打ち出していると。ともすれば、これまでの分権議論、そして第一次分権のときもそうでしたけれども、国から地方にというときに、県が地方の場合中心になっておりまして、肝心の基礎自治体が少し後に置き去りにされていたと。結局、知事が全部いろんな権限を行使するのかと、こういう話になっていましたんで、やはり基礎自治体が中心になっていかなければならないんで、これは全体、市町村全部をひっくるめて基礎自治体優位ということをはっきり打ち出したのは、これは大変大きなとらえ方だと私は評価しています。  その上で、今先生から御指摘いただいた、それじゃその中で町村と市との間をどういうふうにとらえているかというと、確かに今回の勧告では、様々な県から市町村への権限移譲につきまして、市を優先的に考えるという考え方を打ち出していますが、これは議論のあの中での議事などをいろいろ読んでみますと、当面どうしても、市と町村の中で様々な体制の整備状況を考えると、全部で一律にやるというよりも、やはり当面市を優先せざるを得ない場合が多いんではないかと。これは一方で私は現実を踏まえた議論であって、やはり行く行くは町村も含めて次に権限移譲なり様々な財源も含めた移譲を考えていくべきではないかということの上での当面の解決策だというふうに理解をしたところであります。  それからあと、地方自治法の中で、現行の、条例による事務処理特例というのがあって、その上で、各県ごとに町村の方にこれは移そうという判断があればその事務処理特例を使って町村の方に移せるという道もございますので、これも活用してそれぞれの地域で必要な判断があれば町村の方に移していただくことも可能でございますから、私は、地域地域でどうしても合併できないというところも確かにございますし、しかし、いろいろな権限をやっぱり生かして地域づくりをしていきたいという自治体も多数ございますので、これからそういった点を今度は自治体間できめ細かく見て、この精神を生かしていきたいなというふうに思っております。
  148. 又市征治

    ○又市征治君 私が心配で申し上げるのは、これは大臣のその見解、それは私も共有化大体できるんですが、総務省の研究会で前から言われている定住自立圏構想、これが出されていますけれども、見させていただきました。東京圏への人口流出を防止し、地方へ呼び戻す構想だというわけですけれども、この中の基礎自治体の位置付けについてもやっぱり私はちょっと疑念がある。  それは、生活する上での基礎的な条件の厳しい集落と書いてありますが、これはいわゆる限界集落のことを指していると思うんですが、それについてこう書いてあるわけですね。当該地域だけの対応には限界があり、都市を含め、圏域全体の活性化を考える。また、中心市が周辺地域の住民の分も含め、都市機能を集約的に整備する。既存の施設の集約化により効率化やスリム化を実現すると。こうもあると。  要するに、ここで言っているのは、町村などに周辺地域というレッテルを張って、実質的に自治権を奪ったり、今ある既存の公的施設すらつぶして、ますます限界集落を増やしていく理屈立てになりゃせぬのか。どうもここらの記述は、私は、今大臣がおっしゃったこととはちょっと違う、こういう気がしてならないんです。  今になって大変に地方の格差というのが大きく叫ばれるようになった、何とかしなきゃいかぬ、そのために総務委員会も、限界集落、これは何らかの格好で取り組まにゃいかぬという格好で京都まで行ってきた。こういう状況のときに、形を変えて効率化論だとか基礎的自治体つぶし論みたいなことが出てきたんでは、まさに憲法九十二条は一体どこへ行くのか、こう思うわけでして、改めて大臣、ここのところの見識をお伺いしたい。
  149. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) この限界集落始め、町村をどのようにこれから活力を維持していくかというのは大変重要でございまして、昨日も実は今お話がございました京都の綾部市長さんとお会いしまして、ちょうど全国市長会で来られたものですから、今のこの問題を随分議論をさせていただきました。  今のままですとやっぱり限界集落がどうしても増えていくと。そのときにこういった、今お話がございました定住自立圏のような圏域を構成して、何とかそこの地域を生かしていくというやっぱり知恵を出したいというのが研究会でいろいろ議論したその集大成なんですが、これを全国で一律に強制的に圏域をつくっていくという形はよくないわけで、ここは自主的な協定ということをここで仕組んでおりますが、やはり中心市とそれから周辺の町村がよくお互いに機能を連携し合うということは今後の一つ方向ではないかと。  ただし、そのときに、圏域の全体の一体感を醸成するとか、それからやっぱりその町村町村の良さや、それからやはりそこに住んでいる人たち地域への自信とか誇りといったものがございます。そこを十分に生かすような形で、そこの力を引き出すための一つの方策というふうに考えておりますので、これからその内容を充実をさせて、一体、今先生が御心配のような、町村がより廃れていくということでない、しかも強制的なものではない、やっぱり自分たちで何とか人口流出を食い止め、人口減を食い止めるための手段としてこの定住自立圏も使って地域の維持を図っていく、そういう方策を今後見出していきたいというふうに考えているところでございます。
  150. 又市征治

    ○又市征治君 大臣最後質問になりますが、分権委員会勧告の話にもう一遍戻りますけれども、賛同できる点もございます。その中で、国は地方の消費者生活センターを法的に計画的に位置付け、思い切った支援措置を行うべきである。また、規制権限は幅広く都道府県に移譲すべきである。こんなことが述べられています。  私もこの問題、党としても申入れをしてまいりましたし、せんだっても決算委員会でも具体的に指摘したんですが、地方の消費者行政予算というのはここ十年ぐらいで半減しているんですね、大臣御承知だろうと思うけれども。何でこう減ってきたかと。つまり、地方交付税の五兆円削減問題、ここにも影を落として、結果的に住民の増大する苦情に全く追い付かない、解決率がどんどん下がっていく、こういう事態をもたらしているわけです。  ですから、切りやすいところはどんどん切られていくというこんな状況になっておって、今、国挙げて消費者行政は強い権限を持った消費者庁の創設ということに動いてきている、これはいいことだと思うんです。我々も歓迎したい。そのためには、むしろ現場、自治体における運営の保障というのが何としても大事なんですね。そうしますと、提言を受けて総務省としてやっぱり交付税措置など、役割をしっかり発揮していくべきだと思うんですが、大臣、ここのところはどう認識されています。
  151. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 御承知のとおり、この消費者行政を本当に生かしていくためには地方の現場の窓口が大変重要です。予算も半分、それから人員も減らされて、また研修もなかなか受けられないという大変厳しい状況があるということでありますので、私はこれを本当に実のある形にするためには国の支援措置がどうしても必要である、総務省もそういう立場に立って、今交付税措置などの具体的な財政措置が必要だということでいろいろ来年度に向けて議論しております。それだけではなくて、その交付税措置も含めた国としての財政支援の在り方、これをやはり政府全体で議論する必要があるということで問題提起をしておりますので、これは内閣官房とも協力の上でそのやり方について検討を深めていきたいと、こういうふうに考えます。
  152. 又市征治

    ○又市征治君 是非、これはもう喫緊の課題でもございますし、早く来年の、来年度早々にこれを立ち上げようということですから、地方が間に合わないんじゃ何をつくったか分からないということになりますから、是非大臣の御奮闘をお願いをしておきたいと思います。  そこで、NHKの問題について取り上げさせていただきます。  残念ながら、またインサイダー取引の事件が起こって、これに関する第三者委員会の報告、あるいはNHK執行部の取組についてでありますけれども、なぜこれを許してしまったのか、いろいろと分析をされていますが、報道に携わる人間がこの情報を不正に利用して私利を図ったということについて、まずNHKの現在の所見、これをまずお伺いしたいと思います。
  153. 日向英実

    参考人(日向英実君) まず、もう一つおわびがございます。インサイダー事件に続きまして、長野放送局で新聞記事の盗用ということがございました。極めて残念であります。  インサイダーもそうですけれども、いずれも報道倫理の根幹にかかわる問題で極めて残念なことでありますし、大変に申し訳ないというふうに思っております。ジャーナリストとして、若しくは放送人としての心構えという基本的な部分での指導、それから教育が十分ではなかったと言われてもやむを得ないというふうに思いますし、極めて深刻に受け止めております。  インサイダーについては、本来国民の知る権利にこたえるために入手した情報を自らの利益のために悪用したということでございますし、ジャーナリストとしてあるまじき行為であります。視聴者のNHKに対する信頼を裏切る背信行為だというふうに考えております。  信頼の回復に向けてNHK職員の意識改革を進めるとともに、報道情報システムなどの改善、あらゆるところを点検しながら再発防止に全力を傾けたいというふうに思っております。そして、真剣に再生の道を探っていきたいというふうに考えております。
  154. 又市征治

    ○又市征治君 教育が十分でなかったとかというお話がございましたが、私はこれを許したNHKのやっぱり体制にも問題があったんだろうと思うんですね。  放送の歴史を専攻される松田浩・元立命館大学教授は、依然としてNHKという組織全体が緊張感に欠けているように見える、こう新聞に書かれています。具体的には、従軍慰安婦を取り上げた番組を改変した事件で高裁判決が、NHKは放送前に安倍晋三氏らと面会してその意をそんたくしたと指摘していることを引用されて松田氏は、執行部が公権力と距離を置いて視聴者に向き合う姿勢を示してこなかったことが職員の士気を低下させているんではないか、こう述べられている。松田氏によれば、執行部はそうした姿勢を改めないままコンプライアンスを叫んできたけれども、これが簡単に言えば組織内に浸透しないのはもう当然だ、こうおっしゃっているわけですね。  福地会長の就任よりも大分前の話ですが、二〇〇一年の事件ですから。だけれども、こうした執行部の姿勢、士気の低下がインサイダー取引まで続いているという松田氏の批判ということについては、福地さんはその当時おられませんでしたが、今現在どういうふうにお受け止めになりますか。
  155. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 三人の職員によりますインサイダー事件がばらばらの地域で同時に起こったという事実は、御指摘のように緊張感の欠如、あるいは危機意識の欠如というふうに、御指摘のとおりだと私も考えております。  御指摘のありました政治との距離の問題につきましては、番組個々にチェックするわけにはいきませんけれども、私は、記者の編集権の自律ということは、編集権の自律という権利は片一方で不偏不党という義務を負うものだということをはっきりと言っております。これはいろんな場面で言っておりますが、この度の人事異動につきましても、政治部長、経済部長、社会部長を全部呼びまして、横に並べまして、そういったことをはっきりと申しました。報道局長にも申しました。  ただ、そういったことを申す、指示をするだけでなくて、やはり現場での検証も大事だということで、私は企画、前も申し上げたかも分かりませんが、NHKスペシャル、あるいは解説委員会のそういった企画会議に突然飛び込みまして、そういった論議が行われているかどうかを自分の目で確かめると、そういったこともしております。とりわけ、今の御指摘の不偏不党を貫くということについては私も十分理解して、これが一番大事だ、公共放送としてのやっぱり存立の基盤はそこにあるというふうに自覚をして取り組んでおります。  このような私の考えを、渋谷のセンターだけでなくて全国の現場、就任以来まだ十放送局しか行っておりませんが、可能な限り現場を歩きまして、現場の職員とそういった対話を続けて徹底をしていきたい。そして、わずか数人の心ない職員の不祥事のために多くのNHKの職員が伏し目がちで誇りを失っております。それを取り戻して、立派な報道、立派な番組が作れるように努力を促していきたいと思っております。  以上でございます。
  156. 又市征治

    ○又市征治君 今会長がおっしゃったとおりで、たくさんの職員がおられる中で、何人かの人々がこういう問題を起こすことを通じてみんなが萎縮をしてしまったりということがあっちゃならぬわけですね。  ただ、一万三千二百二十一人のうち詳しい調査に応じない職員が、これは任意ですけれども、九百四十三人おられたという報告がされています。私は何もNHKの職員の皆さんが聖職者だとは言いませんけれども、この方々調査に御協力なさらなかった方々本当に、権力におもねた番組改変であるとか芸能プロデューサーの横領などの幾つかの不祥事、そしてそれらによる信用の失墜によって受信料収入が激減をして、その回復に大変な努力をなされてきた、こういうことなど、一体何をこの過程というのは学んでこられたのか。全く学んでいないんじゃないのか、非常に残念だなということをこういう方々に呼びかけたい、こう思うんですね。  今回削減をされた、前回も私、この問題は言いました、削減された集金労働者、いわゆるこの地域スタッフの方がはるかに国民に密着してNHKの使命を自覚されているのではないか、こんなふうに私には思えてしようがないんです。財産権がどうだとかプライバシーの侵害が何とかという、こういう主張を盾にしてむしろNHKの信用失墜を招いている、そのことによって逆に多くの職員の皆さんが士気の低下をもたらしているということになれば、これは大変な問題なんであって、そのことこそ自覚をしてほしい、こんなふうに思うんです。  さて、NHKは今後、職員の研修や、あるいは取引禁止規程の実施であるとか情報システムの運用の厳格化を進められるんでしょうけれども、その際も根底的に私は必要だと思うのは、公共の報道機関としてのモラルを最高幹部から現場の労働者までやはり再認識、再徹底をするということが一番必要なんじゃないのかと、このように思うんです。それを、だから単に一部のというだけに限定するんじゃなくて、やはり今そのことをすべてのところへ徹底をする。それにはやっぱり幹部と現場職員との腹の割った対話、このことが非常に大事になっているんじゃないかと思うんですね。  私はそういうふうに思いますが、会長としてはそこのところはどういう方策をお取りになっていくおつもりなのか、その点をお伺いしたいと思う。
  157. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 三年前の不祥事以降、いろんな形がつくられましたけれども不祥事が連発をしてきたのは、今御指摘のように、そういったいろんな取組が表面的に流れている。そして、心が通っていない。やっぱりそういった心と心、本社の幹部と現場の職員との間の心の触れ合いがないと駄目だということで、今も全理事が手分けをして現場に飛んでおります。そういった現場との対話の積み重ねの中でそういった企業風土を持ち直していきたいと、かように考えております。  以上です。
  158. 又市征治

    ○又市征治君 幾つか本当質問したかったんですが、時間の関係でできませんが、これは改めてNHKの決算の段階でまた質問したいと思いますが。  今会長おっしゃった点、あるいは最後に私が申し上げた点、本当にこんなことを何度も何度も、これだけインサイダーのが出ているときにまた長野の問題が飛び出してくる。やっぱりそれは体質的に問題があるという認識に立って、そういう意味で、すべての職員と腹を割った話合いをしっかりやっていくと。形式の問題で、理事が全国飛んで歩いている、理事だけでできるわけないんです、これ。  ですから、そこのところを本気になって取り組んでいただいて、せっかく不祥事に対する信頼を回復して、国民の皆さんがそれなりにNHKを信頼をして、それこそ料金収入も何とか向上してきた。番組も大変いいものを作るために、そのために大変なみんな苦労をしてきた。そういうことを含めて、やはり多くの皆さんが状況認識を、腹合わせが一致できるような、そういう努力を重ねてやっていただくことをお願いを申し上げて、今日の私の質問を終わりたいと思います。
  159. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時一分散会