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2008-04-08 第169回国会 参議院 総務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年四月八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月三十一日     辞任         補欠選任      丸川 珠代君     泉  信也君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         高嶋 良充君     理 事                 加藤 敏幸君                 那谷屋正義君                 内藤 正光君                 河合 常則君                 末松 信介君     委 員                 梅村  聡君                 加賀谷 健君                 行田 邦子君                 榛葉賀津也君                 武内 則男君                 外山  斎君                 長谷川憲正君                 吉川 沙織君                 礒崎 陽輔君                 世耕 弘成君                 二之湯 智君                 溝手 顕正君                 吉村剛太郎君                 魚住裕一郎君                 弘友 和夫君                 山下 芳生君                 又市 征治君    国務大臣        総務大臣     増田 寛也君    副大臣        総務大臣    谷口 隆義君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        内閣府政策統括        官        藤岡 文七君        内閣府政策統括        官        齋藤  潤君        内閣地方分権        改革推進委員会        事務局次長    松田 敏明君        総務省自治行政        局長       岡本  保君        総務省自治財政        局長       久保 信保君        総務省自治税務        局長       河野  栄君        消防庁長官    荒木 慶司君        財務大臣官房審        議官       川北  力君        資源エネルギー        庁資源燃料部        長        北川 慎介君        国土交通大臣官        房審議官     菊川  滋君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○行政制度公務員制度地方行財政選挙、消  防、情報通信及び郵政事業等に関する調査  (平成二十年度地方財政計画に関する件) ○地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○地方法人特別税等に関する暫定措置法案内閣  提出衆議院送付) ○地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○委員派遣承認要求に関する件     ─────────────
  2. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、丸川珠代君が委員を辞任され、その補欠として泉信也君が選任されました。     ─────────────
  3. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地方税法等の一部を改正する法律案外二案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府政策統括官藤岡文七君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 行政制度公務員制度地方行財政選挙、消防、情報通信及び郵政事業等に関する調査議題といたします。  平成二十年度地方財政計画について政府から説明聴取いたします。増田総務大臣
  6. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 平成二十年度地方財政計画概要について御説明申し上げます。  極めて厳しい地方財政の現状を踏まえ、基本方針二〇〇六及び基本方針二〇〇七に沿って、歳出全般にわたり見直しを行い、その抑制に努めております。一方、喫緊の課題である地方再生に向けた自主的、主体的な地域活性化施策充実等に要する財源を確保するため、地方税偏在是正により生じる財源を活用して、歳出特別枠である地方再生対策費創設するとともに、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税及び一般財源総額を増額して確保することを基本としております。  また、引き続き生じる財源不足については、適切な補てん措置を講ずることとし、地方財政運営に支障が生じないようにしております。  以上の方針の下に、平成二十年度地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出規模は八十三兆四千十四億円となり、前年度に比べ二千七百五十三億円の増となっております。  以上が、平成二十年度地方財政計画概要であります。
  7. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 次に、補足説明聴取いたします。谷口総務大臣
  8. 谷口隆義

    ○副大臣谷口隆義君) 平成二十年度地方財政計画につきましては、ただいま総務大臣から御説明をいたしましたとおりでありますが、なお若干の点につきまして補足して御説明いたします。  地方財政計画規模は、八十三兆四千十四億円となっております。  まず、その主な歳入について御説明いたします。  地方税収入見込額は、四十兆四千七百三億円で、前年度に対し九百七十五億円、〇・二%の増加となっております。  また、地方譲与税収入見込額は、総額七千二十七億円、前年度に対し六十四億円、〇・九%の減少となっております。  次に、地方特例交付金等につきましては、減収補てん特例交付金創設等により、総額四千七百三十五億円、前年度に対し一千六百十五億円、五一・八%の増加となっております。  地方交付税につきましては、平成二十年度所得税法人税、酒税、消費税及びたばこ税のそれぞれ法定割合の額の合計額十四兆七千五百二十七億円から、平成十八年度決算等に係る精算額二千八百七十億円を減額し、一般会計からの加算額六千七百四十四億円を加算した額十五兆一千四百一億円に、地方交付税法の定めるところにより、平成十九年度からの繰越額五千八百六十九億円を加算し、交付税特別会計借入金に係る利子充当分五千七百十一億円を減算する等の措置を講じることにより、総額十五兆四千六十一億円を計上いたしました結果、前年度に対し二千三十四億円、一・三%の増加となっております。  国庫支出金は、総額十兆八百三十一億円で、前年度に対し九百八億円、〇・九%の減少となっております。  次に、地方債につきましては、臨時財政対策債二兆八千三百三十二億円を含め、総額九兆六千五十五億円、前年度に対し四百七十四億円、〇・五%の減少となっております。  次に、主な歳出について御説明いたします。  まず、給与関係経費についてでありますが、五年間で五・七%の純減目標に基づく定員純減を各年度均等に行うこととした上で、義務教育教職員改善増等を見込むことにより、全体として二万八千三百十九人の純減を行うとともに、地域民間給与の適切な反映等内容とする給与構造改革等を見込むことにより、総額二十二兆二千七十一億円、前年度に対し三千四十億円、一・四%の減少となっております。  次に、一般行政経費につきましては、総額二十六兆五千四百六十四億円、前年度に対し三千六百五十三億円、一・四%の増加となっております。このうち、国庫補助負担金等を伴うものは、社会保障関係経費増等により、十一兆五千六百六十億円で、前年度に対し三千三百六十億円、三%の増加となっております。  また、国庫補助負担金を伴わないものにつきましては、十三兆八千四百十億円で、前年度に対し一千百億円、〇・八%の減少となっております。  さらに、国民健康保険後期高齢者医療制度関係事業費につきましては、平成二十年四月から長寿医療制度が施行されること等に伴い、総額一兆一千三百九十四億円、前年度に対し一千三百九十三億円、一三・九%の増加となっております。  地方再生対策費は、先ほど大臣から御説明申し上げましたとおり、地方団体が自主的、主体的に取り組む地域活性化施策に必要な経費について、地方税偏在是正により生じる財源を活用して歳出特別枠として創設するものであり、総額四千億円となっております。  公債費は、総額十三兆三千七百九十六億円で、前年度に対し二千三百億円、一・七%の増加となっております。  投資的経費は、総額十四兆八千百五十一億円で、前年度に対し四千百七十七億円、二・七%の減少となっております。このうち、直轄事業負担金につきましては、一兆一千百五十二億円で、前年度に対し二百十九億円、一・九%の減少補助事業につきましては、五兆三千六百九十二億円で、前年度に対し一千三百八十一億円、二・五%の減少となっております。  また、地方単独事業につきましては、八兆三千三百七億円で、前年度に対し二千五百七十七億円、三%の減少となっております。  公営企業繰出金につきましては、地方公営企業経営基盤の強化、上下水道、交通病院等生活関連社会資本整備推進等に配意することとし、総額二兆六千三百五十二億円で、前年度に対し八百九十七億円、三・三%の減少となっております。  以上をもちまして、地方財政計画補足説明を終わらせていただきます。
  9. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 以上で説明聴取は終わりました。     ─────────────
  10. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 地方税法等の一部を改正する法律案地方法人特別税等に関する暫定措置法案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明聴取いたします。増田総務大臣
  11. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 地方税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  最近における社会経済情勢等にかんがみ、個人住民税について、寄附金控除の拡充、上場株式等配当等及び譲渡所得等に対する税率特例措置見直し並びに公的年金からの特別徴収制度創設を行い、自動車取得税及び軽油引取税税率特例措置適用期限の延長並びに公益法人制度改革に対応した所要改正を行うとともに、非課税等特別措置整理合理化等を行う必要があります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  その一は、個人住民税改正であります。寄附金税制における控除対象寄附金を拡大する等の措置を講ずるとともに、地方団体に対する寄附金税制を見直すこととしております。また、上場株式等配当等に係る都道府県民税配当割及び上場株式等譲渡所得等に係る都道府県民税株式等譲渡所得割等軽減税率を廃止し、上場株式等譲渡損失上場株式等配当所得との間の損益通算の仕組みを導入するほか、公的年金からの特別徴収制度創設することとしております。  その二は、自動車取得税及び軽油引取税改正であります。税率特例措置平成三十年三月三十一日まで延長することとしております。  その三は、公益法人制度改革に対応した所要改正であります。従来の民法三十四条法人に対する非課税措置公益社団法人及び公益財団法人等に対する非課税措置に改組するなど所要改正を行うこととしております。  その他、非課税等特別措置整理合理化等を行うこととしております。  以上が、この法律案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。  次に、地方法人特別税等に関する暫定措置法案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  税制の抜本的な改革において偏在性の小さい地方税体系構築が行われるまでの間の措置として、法人事業税税率引下げを行うとともに、地方法人特別税創設し、その収入額に相当する額を地方法人特別譲与税として都道府県に対して譲与するために必要な事項を定める必要があります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  その一は、法人事業税税率引下げに関する事項であります。  法人事業税につきましては、資本金一億円以下の普通法人等に係る年八百万円を超える所得及び清算所得に適用される税率を五・三%に引き下げる等の措置を講ずることとしております。  その二は、地方法人特別税創設に関する事項であります。  地方法人特別税は、法人事業税納税義務者に対して課する国税とし、法人事業税額課税標準とすることとしております。税率は、資本金一億円以下の普通法人等について八一%とする等としております。また申告及び納付賦課徴収等については、法人事業税と併せて行うこととしております。  その三は、地方法人特別譲与税に関する事項であります。  地方法人特別譲与税は、地方法人特別税収入額を、使途を限定しない一般財源として人口及び従業者数基準等により都道府県に対して譲与することとしております。  以上が、この法律案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。  次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  地方財政の収支が引き続き著しく不均衡な状況にあること等にかんがみ、地方交付税総額特例措置を講ずるとともに、各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費財源措置するため、地方交付税単位費用改正する等の必要があります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  まず、平成二十年度分の地方交付税総額につきましては、地方交付税法第六条第二項の額に、平成十九年度からの繰越額法定加算額及び交付税特別会計における剰余金を加算した額から、同特別会計借入金利子支払額控除した額十五兆四千六十一億円とすることとしております。  次に、平成二十年度及び平成二十一年度に予定されていた交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金の償還を平成二十六年度以降に繰り延べるとともに、平成二十一年度から平成三十五年度までの間における国の一般会計から同特別会計への繰入れに関する特例等改正することとしております。  また、地方再生に要する経費財源措置するため、当分の間の措置として地方再生対策費を設けるとともに、平成二十年度分の普通交付税の算定に用いる単位費用改正することとしております。  あわせて、住宅借入金等特別税額控除を行うことによる地方公共団体減収額を埋めるため、減収補てん特例交付金創設することとしております。  以上が、この法律案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  12. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 次に、地方法人特別税等に関する暫定措置法案について補足説明聴取いたします。谷口総務大臣
  13. 谷口隆義

    ○副大臣谷口隆義君) ただいま説明されました地方法人特別税等に関する暫定措置法案の主な内容につきまして、補足して御説明申し上げます。  まず、総則であります。  第一条は、税制の抜本的な改革において偏在性の小さい地方税体系構築が行われるまでの間の措置として、法人事業税税率引下げを行うとともに、地方法人特別税創設し、その収入額に相当する額を地方法人特別譲与税として都道府県に対して譲与するため、必要な事項を定めるというこの法律趣旨規定するものであります。  次は、法人事業税税率特例であります。  第二条は、平成二十年十月一日以後に開始する各事業年度に係る法人事業税及び同日以後の解散による清算所得に対する法人事業税について、資本金の額又は出資金の額(以下「資本金」という。)が一億円を超える普通法人所得割標準税率については、所得のうち年四百万円以下の金額は百分の一・五(現行百分の三・八)、所得のうち年四百万円を超え年八百万円以下の金額は百分の二・二(現行百分の五・五)、所得のうち年八百万円を超える金額及び清算所得は百分の二・九(現行百分の七・二)、資本金が一億円以下の普通法人等所得割標準税率については、所得のうち年四百万円以下の金額は百分の二・七(現行百分の五)、所得のうち年四百万円を超え年八百万円以下の金額は百分の四(現行百分の七・三)、所得のうち年八百万円を超える金額及び清算所得は百分の五・三(現行百分の九・六)、特別法人所得割標準税率については、所得のうち年四百万円以下の金額は百分の二・七(現行百分の五)、所得のうち年四百万円を超える金額及び清算所得は百分の三・六(現行百分の六・六)、収入金額課税法人収入割標準税率については、百分の〇・七(現行百分の一・三)にするものであります。  次は、地方法人特別税創設であります。  第三条は、基準法人所得割額とは、地方税法規定課税免除及び不均一課税仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う事業税額控除租税条約の実施に係る更正に伴う事業税額控除並びに法人事業税の減免に関する規定を除き、税率については、標準税率によるものとする。基準法人収入割額において同じ。)によって計算した所得割額とし、基準法人収入割額とは、地方税法規定によって計算した収入割額とする用語の定義を定めるものであります。  第五条は、法人は、地方法人特別税を納める義務があることとするものであります。  第六条は、法人基準法人所得割額及び基準法人収入割額には、国が地方法人特別税を課することとするものであります。  第八条は、地方法人特別税課税標準は、基準法人所得割額又は基準法人収入割額とするものであります。  第九条は、地方法人特別税の額は、付加価値割額資本割額及び所得割額合算額によって法人事業税を課される法人については、基準法人所得割額に百分の百四十八の税率を乗じて得た金額所得割額によって法人事業税を課される法人付加価値割額資本割額及び所得割額合算額によって法人事業税を課される法人を除く。)については、基準法人所得割額に百分の八十一の税率を乗じて得た金額収入割額によって法人事業税を課される法人については、基準法人収入割額に百分の八十一の税率を乗じて得た金額とするものであります。  第十条は、地方法人特別税賦課徴収は、都道府県が、当該都道府県法人事業税賦課徴収の例により、当該都道府県法人事業税賦課徴収と併せて行うこととするものであります。  第十一条は、地方法人特別税申告は、当該都道府県法人事業税申告の例により、当該都道府県法人事業税申告と併せて、当該都道府県知事に対して行わなければならないとするものであります。  第十二条は、地方法人特別税納税義務者は、地方法人特別税当該都道府県法人事業税納付の例により、当該都道府県法人事業税納付と併せて当該都道府県納付しなければならないとするものであります。また、都道府県は、地方法人特別税納付があった場合においては、当該納付があった月の翌々月の末日までに、地方法人特別税として納付された額を国に払い込むこととするものであります。  第十三条は、都道府県は、地方税法規定により法人事業税所得割又は収入割の全部又は一部に相当する金額を還付する場合においては、当該都道府県法人事業税の還付の例により、当該法人事業税所得割又は収入割と併せて納付された地方法人特別税の全部又は一部に相当する金額を還付しなければならないとするものであります。  第十六条は、地方法人特別税に係る充当特例について定めるものであります。  第二十条は、地方法人特別税賦課徴収又は申告納付について、都道府県知事は、総務大臣に対し、地方法人特別税申告の件数、地方法人特別税額地方法人特別税に係る滞納の状況その他必要な事項を報告するものとすること、総務大臣は、必要があると認める場合には、都道府県知事に対し、当該都道府県に係る地方法人特別税賦課徴収又は申告納付に関する事項の報告を求めることができること、総務大臣都道府県知事に対し、地方法人特別税及び法人事業税賦課徴収に関する書類を閲覧し、又は記録することを求めた場合には、都道府県知事は、関係書類総務大臣又はその指定する職員に閲覧させ、又は記録させることを定めるものであります。  第二十四条から第三十一条までは、地方法人特別税に係る罰則について定めるものであります。  次は、地方法人特別譲与税創設であります。  第三十二条は、地方法人特別譲与税は、地方法人特別税収入額に相当する額とし、都道府県に対して譲与するとするものであります。  第三十三条は、毎年度、各都道府県に対して譲与する地方法人特別譲与税の額は、地方法人特別譲与税基本額の二分の一に相当する額を各都道府県人口で案分した額及び地方法人特別譲与税基本額の二分の一に相当する額を各都道府県従業者数で案分した額の合算額財源超過額調整団体にあっては、当該合算額個別財源超過団体調整額を加えた額)とするものであります。  第三十四条は、地方法人特別譲与税は、毎年度、五月、八月、十一月及び二月に、それぞれ、五月にあっては二月から四月までの間に収納した地方法人特別税収入額に相当する額、八月にあっては五月から七月までの間に収納した同税の収入額に相当する額、十一月にあっては八月から十月までの間に収納した同税の収入額に相当する額、二月にあっては十一月から一月までの間に収納した同税の収入額に相当する額を譲与するものであります。また、各譲与時期ごとに各都道府県に対して譲与する地方法人特別譲与税の額は、各譲与時期ごと譲与すべき額から財源超過団体調整額の四分の一に相当する額を控除した額(以下「各譲与時期ごと地方法人特別譲与税基本額」という。)の二分の一に相当する額を各都道府県人口で案分した額及び各譲与時期ごと地方法人特別譲与税基本額の二分の一に相当する額を各都道府県従業者数で案分した額の合算額財源超過額調整団体にあっては、当該合算額個別財源超過団体調整額の四分の一に相当する額を加えた額)とするものであります。  第三十七条は、国は、地方法人特別譲与税譲与に当たっては、その使途について条件を付け、又は制限してはならないとするものであります。  このほか、所要規定整備を行うことといたしております。  以上でございます。
  14. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 以上で趣旨説明及び補足説明聴取は終わりました。  なお、地方税法等の一部を改正する法律案補足説明につきましては、理事会において、本日の会議録の末尾に掲載することといたしました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  15. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新・日本の加藤敏幸でございます。  本日は地方税関連法案に関する質問ということで、ややざっくりとした関連質問から入っていきたいというふうに思います。  まず最初に、今日的な状況の中で、特に暫定税率の期限切れに関しましていろいろと意見等が発せられておりますので、このことについてお伺いをしたいというふうに思います。  福田総理大臣は、三月三十一日の記者会見におきまして、暫定税率を廃止すれば消費税一%分に相当する二・六兆円の財源を失い、将来にツケを回すことになる、政治のツケを国民に回すことになり、暫定税率を維持できずに混乱を招いたことをおわびすると、このように述べられておりました。おわびをするということでございますから、だれがどのような被害、迷惑を被っているのかという問題になると思います。  各都道府県等、都道府県の知事の皆さん方があらゆる場面を使って、地方として予定された事業が実行できないとか税収の問題等を含めていろいろと声を発しておられますし、私どもに対しても不満を表明されている場面が多々あったというふうに思います。  もちろん、地方財政計画から始まった一連の業務のフローの中で国会が最終段階にその議論を持っていると、こういう時系列的な流れの中でなかなか難しい面もあったわけでありますけれども、率直にテレビ、マスコミ、新聞等を通じてこのような御意見が現に都道府県の首長さんから出ているということでございますので、総務大臣地方行政について職掌される立場だということでございますので、これらの御指摘等について今どのように受け止められておられるのか、まず御見解を述べられたいと思います。
  16. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) まず、お答え申し上げます。  今回の暫定税率が四月一日に失効するということによりまして、各公共団体、特に六団体の方からもその懸念の声が私の方にも届いてきております。  そこで、私どもの方で、四月一日現在で四十七都道府県の予算執行上の対応について緊急調査ということで調査を行いました。  その内容をかいつまんで申し上げますと、四十七都道府県のうち、予算執行について対応方針を決定している団体が四十三、それから現在検討中の団体が四ということになっております。そして、その対応方針を決定している団体四十三の中で事業予算の執行保留ということを行うというふうに回答したものが三十六団体、全体の大体四分の三ほどでございます。  その事業予算の執行保留を行うという内訳でございますが、道路関係事業予算を執行保留するというのが三十六のうちの二十五、それから道路関係を含む普通建設事業予算を執行保留するとしたのが四、それから普通建設事業予算以外の経常的経費を含め執行保留するとしたのが七、足し合わせて三十六ということでございます。そのほか、当面特段の措置は講じないとしたものが四、それからその他という欄に回答してきたものが三、合わせまして三十六ということでございます。  こうした緊急調査概要を見ますと、全都道府県のうちの、もう一度繰り返しになりますが、三十六の団体が何らかの事業の執行を保留するという対応を取っているということと、それから、このことが道路の暫定税率切れということに伴うものではあるんですが、十一団体は道路関係事業以外の事業も含めて今執行を見合わせていると、こういう状況が明らかになりました。  いずれにしても、地方財政への影響というのは最小限にしなければいけないというふうに思っておりますし、そういう意味で、今後も各公共団体の執行がどのようになるか、私どもも随時情報を取りたいというふうに思っているところでございますが、円滑な地方行財政運営ということからいいましても、是非法案の一日も早い成立をお願いする立場でございます。是非御理解をお願いいたしたいというのが私どもの考えでございます。
  17. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 大臣のお立場で今日段階における御答弁はそういう内容であると。ただ、各都道府県の皆さん方がある種そういうふうな対応を取らざるを得なかったというこの現実は現実として私どもも受け止めているわけでありますけれども、しかし、それのそうなった原因とこの由来、そういうようなことも今日段階で私は議論をしておく必要もあるというふうに思います。  その前に、ツケを回すというこの問題につきまして、私なりにいろいろ考えてみたわけでありますけれども、暫定税率の打切りによる税収減が次世代にツケを回す、あるいは地方の迷惑、混乱になると、こういうふうに言われましても、ただそれを直ちにそのとおりだとなかなか受け入れ難いこれは理屈もあるということであります。  まず、税収減になったとしても、道路整備事業そのものを縮小されるということであれば、負担という意味でのツケが次世代に回るということではないと。ただし、国や地方暫定税率を維持した予算のとおりに執行し、その財源不足を国債増発等借金で賄うということであれば、その借金の償還のために次世代、これは負担が増えると。そういうような意味ではツケをそういう形で回すという理屈になるかも分かりません。  二つ目は、国民の皆さん方に対してツケを回したということ、これは、暫定税率の廃止というのは、これは家計からいうと、実質的な減税効果をもたらすということになるわけですから、そういう意味でツケという言葉は必ずしも穏当ではないなと。むしろ自動車が主たる移動手段となっている地方の在住者にとってはある意味で朗報ではないかと。しかし、道路整備のうち、拡幅工事やバイパス建設などによる渋滞解消、通学のための歩道整備、生活道路の舗装工事などを待ちわびる住民から、その事業が止まるということになれば、これは困ったことだと。  私は、整理をしてみれば、そういうふうに個々、立場立場によってこのツケが回るということは受け止め方が違ってくるんではないかと。一番ツケが回ってくるのは、予定されていた事業が縮小したと、こういうふうな意味で土木建築業者の皆さん方がそういう思いは一番強くなるんではないかと。  加えて、自治体の首長さん方が言っておられるように、事業計画が狂ってくるという自治体側の事情は、これはまあ確かにあるということでありますけれども、しかし、今回の問題提起というのか問題点というのは、道路整備が行政サービスの最大課題であって、道路整備が遅れれば住民が最も大きな被害を受けると、そういうことなのか、そうであるのかないのかと、こういうところが論点であるというふうなことを考えた場合、私は、できるだけ公平なポジションから理屈を展開していったときに、なかなか単純にツケが回るということでは当たっていないのではないかと。  そういうような意味で、私どもは、私どもも議会の一員として真剣に考えるべきことは、何年かに一回このような事態が起こり得る、起こってしまったと。そのときに、地財計画から始まって、三月三十一日には国の予算も含めてすべてのことが決着をするということが、お互いに努力はすべきことではあるけれども、自明のことではやっぱりないわけであって、やはり国会の情勢が、権力の所在が大きく変動してきたという情勢にあっては、やはり二十年度の予算をめぐってお互い国民の信託を受けて、お互いの主義主張がぶつかって、そのことはもう既に去年の段階から明らかなわけですから、そう簡単に今の国会の議席の配分からいってきちっとまとまるということについての確率もそう高くはないと。  そういう予測の上に立てば、私は、去年のうちから地財で決めておったから、計画どおりいっていたから、そのとおりいかないということがすべて問題であるかのような発言というのは、それならば、国会の議論というのは計画が決まってしまえばあとは消化試合になるのか、こういうふうなことですら批判を浴びるわけでありますから、毎年毎年ということについては、私は、そのことは私ども知恵を出して、物事の決める順番、計画の順番等については工夫を重ねにゃいかぬと思いますけれども、しかし、やっぱりこのような事態の中で、そういうふうなことについての全責任を議論をやっている立場の者どもに、議会に投げ付けるというのは、やや少し私は問題があるのではないかと。私どもも責任を十分自覚する中で、さらに現下の状況についての冷静な分析と今後のためになる対応というふうなことを考えるべきではないか、こういうふうなことで更に大臣のお考えをいただきたいと、このように思います。
  18. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今の立法府の方の状況、特に昨年の七月の参議院選挙以降の立法府の状況ということは、今先生の方からお話ございましたとおりのことでございまして、その中で政府としては常にベストの法案を出すという努力をしておりますし、それから、なおさら立法府の状況もよく判断をしながら、各政党のお考え等も判断をしながら、一番いいものを国民の皆様方、特に立法府にお示しをしなければならない、こういうことで努力をしているつもりでございます。  その上で、今回こういう今状況になっているわけでございますが、公共団体の方も今の国会の状況等を見ながらいろいろな手だてを考えているというふうに思います。多くの団体が予算を暫定税率が継続するものということで計上している、これは事実そういうふうになっております。ごく一部の団体は暫定税率が維持されるかどうかが不明であるということで、その部分は削った予算を提出している自治体も、ごく一部でございますがあるということで、ここはそれぞれ独立した自治体、執行部と、それから独立した議会をお持ちの自治体ですから、それぞれの御判断を冷静に各自治体ごとにしていただくということしか私どもも申し上げられませんが、現実的にこの国会情勢も不透明な中でなかなか予測が付きかねるということで、道路事業のようなものは前年からいろいろと計画されて、住民の皆さん方に御説明をして、それで事業実施に至ろうとしているものが大変多いものですから、そういう経過を踏まえて予算を計上しているという自治体が多いのではないかと、こういうふうに思っております。  いずれにしても、私どもの方から申し上げられることは、現実にそういう自治体が大変多い中で、総理の方も三月二十七日に大変踏み込んだ提案をして、何とか与野党協議をしていただきまして、そしてその上での真摯な協議の上での合意事項が出ればそれに従うということで踏み込んで提案をしたわけでございますので、そういう今の我々の内閣で出しております法案は、これはこういう国会情勢の中で一番いいものをという思いで出したものでございますが、そういう事態が更に一歩進んだ状況でございますので、是非与野党協議を早急に立法府の方でお願いを申し上げまして、そして私どもはその結果に真摯に従うということで、今総理の方からも談話という形で、自治体の皆さん方に迷惑を掛けているとおわびの談話を申し上げたわけですが、それを踏まえて、自治体の心配を払拭するような、そういうことに向けていければと、このように考えているところでございます。
  19. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 今後の対応についてはそれぞれの立場、役割で行われるものと、このように思っております。  私どもといたしましても、暫定税率廃止による減収分を、地方には迷惑を、一〇〇%迷惑を掛けないということが私はなかなか言い切れないかも分かりませんけれども、やっぱり迷惑を掛けないということでの議員提案等を含めて内部ではいろいろ検討していると、こういうふうなことではございます。  ただ、私、感想的に申し上げますと、議員としては議員歴短いんですけれども、仕事上いろいろ国会をかかわってきたということでいうと、参議院を失った政権、内閣は大変だと。細川政権のときにこれは嫌というほど私ども見詰めておったわけでありまして、簡単にいくことはない。それは、閣僚の皆さん方含めまして、胃に穴が空くかも分かんない。何でこんな苦労しなきゃならないという思いがあるかも分かりませんけれども、しかし細川政権時代にやっぱり行われた議会運営を過去の事例として見てみますと、一にも二にも十にも、相当にやっぱり国会における勢力比を頭に入れた、そういう対応というふうなことが私は本当に必要であるということであり、これから先も大変御苦労されるかも分かりませんけれども、お互いに国民のために努力をするという意味ではなすべきことをなしていくと、こういうことが必要ではないかと思います。  ここばっかりやっていてもしようがないので、次の質問というふうなことで申し上げますけれども、地方税関連法案年度内に成立しないということによって、地方法人特別譲与税四千億円というふうなものが宙に浮くというんでしょうか、穴が空くということになると思います。  二十年度につきましては、この地方法人特別譲与税については実質的に臨時財政対策債で対応すると、こういうふうなことで、具体的影響というふうなものは発生しないと、このように判断していいのかどうか、ここをお伺いを申し上げます。
  20. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 地方法人特別税、それから譲与税でございますけれども、新法の施行は私どもも今年の十月一日と考えていると。そして、特に今年度は具体的な税収も余り出てこないだろうということで臨時財政対策債の活用を考えているわけですが、今申し上げました十月一日としているということで、その間六か月ほど、今から考えましても期間がございますが、実務面におきましては、特に各企業において納税手続面でのシステムの改修が必要となると、これは納税側の立場ですが。それから、各都道府県におきましても、この十月一日までの間に税の創設に伴います徴税システムの改修を行う必要があるというふうに考えております。  そこで、これに要する期間というのがやはりそれなりに掛かってくると、相当の期間を必要とするということでございますので、確かに四月一日からすぐ課税するということでの混乱ということはございませんが、周知をさせる、それから実際にシステムの改修という物理的な作業が伴うということでございますので、私どもの立場では、そうしたスケジュールも併せて加味していただければ、お考えいただければというふうに思っております。  新法の早期の成立を図っていただけますと、その分準備にも時間を十分取れるということでございますので、是非この点についても御理解を賜りたいと、このように考えております。
  21. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 この件についてはまた後ほど議論をしたいというふうに思います。  地方分権改革推進法が昨年の四月一日に施行されました。これに伴い、内閣府に設置された地方分権改革推進委員会地方分権政策について精力的な審議を続け、昨年十一月十六日には中間的な取りまとめを出され、今後委員会は順次勧告を打ち出していく方針であると、このようにされています。  そこで、この地方分権推進法と今回の地方税法案の関係について質問をしたいというふうに思います。  地方分権改革推進法第六条は財政上の措置の在り方の検討という条文ではありますが、国は、地方公共団体が事務及び事業を自主的かつ自立的に執行できるよう、国と地方公共団体との役割に応じた地方税財源の充実確保等の観点から、前条第一項に規定する措置に応じ、地方公共団体に対する国の負担金、補助金等の支出金、地方交付税、国と地方公共団体の税源配分等の財政上の措置の在り方について検討を行うものとすると規定しております。  政府は、この地方分権改革推進委員会での結論に基づき平成二十二年春に地方分権一括法案提出するという方針、このように伺っておりますが、今回の中間報告を見る限り、財政的な措置に関する本格的な議論は今後にゆだねられているようであると、このように思っております。  地方財政の在り方は地方分権政策の根幹を成すと、このように私ども受け取ります。かなりの論議時間を要するものと考えました。恐らく、政府部内においてもそう簡単に結論を出せるということではなく、様々な調整等含めた相当なエネルギーを要すると、このように推察されますが、このテーマに関する今後の検討スケジュールについて、まず委員会担当部局より説明いただきたいと思います。
  22. 松田敏明

    政府参考人(松田敏明君) 地方分権改革推進法におきましては、先生御指摘のとおり、国と自治体の役割分担に応じました地方税財源の充実確保等の観点から、役割分担の見直し等に関する措置、これに応じまして財政上の措置の在り方の検討を行うこととされております。  このため、地方分権改革推進委員会におきましては、当面は、まずは国と地方の役割分担の見直し、権限移譲の推進、地方自治体に対する事務の義務付けや国の関与の見直し、国の出先機関の見直し等につきまして重点的に審議を行いまして、その上で地方交付税、補助金、税源配分等についての一体的な検討を進めていくこととしております。  当面のスケジュールといたしましては、昨年の中間的な取りまとめに盛り込みました個別の事務事業の見直しにつきまして五月下旬から六月にかけて第一次勧告を行い、年末にかけて国の法令による義務付け、枠付けや関与の見直し、あるいは国の出先機関の見直しについて二次勧告を行う予定でございます。  財政上の措置の在り方につきましては、これらの審議を踏まえまして来年の年明けから本格的な審議を行っていくこととなるものと見込まれております。  以上でございます。
  23. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 確認をいたしたいんですけれども、財政に関する項目については来年の年明けだと、こういうことですか、議論は。
  24. 松田敏明

    政府参考人(松田敏明君) 税財政改革その他につきまして、年内、いろいろ審議のために必要な税財政関係のデータの整理でありますとか、そういったもちろん事務的な諸準備はやりますし、また、この年内に必要に応じまして委員会としての何か意見を発しますとか、そういう、何もしないということではございませんで、来年の本格的な審議に向けまして所要の準備、これは当然あろうかと存じます。  以上でございます。
  25. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 私がお伺いをしたいのは、本日提起されている政府の提案について、委員会においては何か役に立つような、考え方の基本になるようなそういう知見が委員会において議論されていますか、材料はあるんですかと、こういうふうに聞いておるわけですけれども。意味分かりますか。
  26. 松田敏明

    政府参考人(松田敏明君) 先生まさにおっしゃいましたように、中間取りまとめでは今後の税財政改革の在り方につきまして根本的な検討課題等を記述するにとどまっております。まさに本格的な審議と、これは役割分担等の審議を踏まえてその後に行うということでございまして、そういった意味で、今、委員会としまして税財政について突っ込んだ審議をやっている状態ではございませんので、その意味で法案審議に云々という話ではなかなかなかろうかと存じ上げます。
  27. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 今言われました中間報告における税財政の項目についての記述は、一、地方税財源に占める地方税の割合を引き上げることが不可欠である。二、国と地方の税源配分は五対五が現実的選択肢である。三、地域間の財政力格差縮小の観点から、地方交付税の制度改革も検討すべし。四、国庫補助負担金地方交付税、税源移譲を含めた税源配分の一体的改革と税源の偏在是正は一体不可分であり、地方税源の充実については、応益性を有し、広く薄く負担を分かち合うこと、さらに地域的な偏在性が少なく、税収が安定したものであることが望ましいと報告されている。この内容だということですね。
  28. 松田敏明

    政府参考人(松田敏明君) 中間的取りまとめと申します昨年十一月十六日に取りまとめました委員会のこの取りまとめは、いわゆる勧告に向けましての検討の方向性を示す羅針盤ということで、これを、この取りまとめを基に政府として検討の本格的な俎上にのせるというものでございまして、委員会としてまず問題意識をここで取りまとめたものでございまして、これからどういうふうに具体的に政府としてやっていくべきである、そうした委員会としての明確な姿勢は勧告という形で示されるということで、まず羅針盤ということで、取りまとめはそういう性格だということを御理解いただきたいと存じ上げます。
  29. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 方向性が示されたと、羅針盤としてどこまで役に立つかどうかは今後の課題であると、こういうふうに受け止めておきます。  そこで、総務大臣にお伺いしたいのは、今回の地方税関連法案で打ち出された法人事業税を使った偏在是正措置、このことであります。法案に書かれているように、今回の措置税制の抜本的改革において偏在性の小さい地方税体系構築が行われるまでの間の措置、つまり暫定措置として実施されることになっていると、こういうふうに承っております。  地方分権改革推進委員会がいずれ結論を出して、この結論に基づく地方税制の抜本的改革に関する法案を出すまでの間の暫定措置として位置付けられておりますけれども、このように確認していいのか。今回の中間報告の内容からすると、かなりの抜本的改革が期待されるわけでありますけれども、改革案によっては逆にこの法人事業税による再配分という今回の法案の枠組みが本当にその場限りで消えてしまうということになるのか、あるいは継承されるということもあり得るのか。この辺のところは、羅針盤だけがあって中身はないという状況で、しかし措置はしなきゃならない、その措置を考える基本は何なんだと、その物の考え方のベースは一体何なんだと、ここが私は議論だと思うんですよね。何もないけれども取りあえずということにはいかぬわけですから。そこのところで、この考え方について、大臣自身のお考え、お伺いしたいと思います。
  30. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 分権改革推進委員会で昨年の中間報告で、本当に今お話ありましたとおり、羅針盤としての骨格の考え方が出ていると。いずれにしても、地方税については安定的な財源、それから偏在性の小さい、そうした財源で構成をすると、こういうことが出されております。  これからの地方税改革の方向というものは、私どももそうした方向に沿って構築をしていかなければならない。今の、現行地方税体系がそういう意味では必ずしも十分そうした方向に沿っているわけではありませんので、今回改正を提案しているわけでございますが、いずれにしても、今回のものは暫定的な措置であって、そのための昨年暮れのいろいろな議論で、税制抜本改革時までその地方税の本格的な構築を言わば待たされているような形になっておりますので、それまでの暫定措置として今とり得る最善の方策を今回御提案しているつもりでございますが、いずれにしても、抜本改革時には、分権改革推進委員会で先ほど羅針盤として示された方向に沿って具体的な改革を現実のものにしていかなければならないと、こういうふうに考えております。
  31. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 今大臣は、現時点においてはベストである、今回の暫定的な提案がと、こういうふうに言われましたけれども、しかし、ケースによっては今回提案したこの仕組みが恒久的方法として先々提起される可能性についてはどうなんですか。
  32. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今回のこの方法は私どもはあくまでも暫定的な措置ということで、これは今回の法律の中にも、第一条に「税制の抜本的な改革において偏在性の小さい地方税体系構築が行われるまでの間の措置」と、このように明記をいたしました。したがって、早急に消費税を含む税体系の抜本改革をしていかなければならないと、こういうふうに認識をしております。その際には地方消費税を中心とした税体系というものを構築することが今後の方向性に沿うものというふうに思っておりますので、その際には、今回のこの措置を改めて、そういう地方消費税の充実、それから地方法人課税の在り方を見直すと、そういう改革に取り組みたいというふうに思っております。  それまでの間は今回提案している措置でつないでいくと、こういう考え方でいるわけですが、この考え方は、先ほど御披露が分権委員会の事務局からございました分権委員会の方での考え方にも沿っているものと、こういうふうに考えております。
  33. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 暫定というのは、しばらくと。しばらくお待ちくださいと、こう言われると大体十分ぐらいだということなんですけれども、しばらくぶりだなと、こうなると、人によっては一年であったり、場合によると十年とか、時と場合によっては三十何年とか、これはいろいろあるというふうに思います。  私は、しつこく質問、お伺いをしているのは、やはり地方分権、これはもう正直言って私どもも長年の、この国のために何を考えるか、やっぱり地方分権を本気でやらにゃいかぬと、こういうことなんです。その地方分権の一番の魂というのか心臓は税財源、これをどうするか、こういうふうなことに尽きると。  したがって、はっきり言って三年間の時間の中でやりましょう、議論をしましょう、抜本的なことをやりましょう、その中には消費税も入っていますねという流れの中で、ただ、今回、間に合わぬから取りあえずこの方法が、まさにこの短いタイムスパン、状況を非常にミクロに絞り切った中でこれが最適解だということで速やかに議論をし結論出してほしいと、こう要請をされておるわけですけれども、これが単なる暫定のまま暫定を通り越してしまうという危険性について、私は老婆心ながら、別に総務大臣の応援団でも何でもないんですけれども、それを申し上げているということであって、やっぱり国会でそういう議論をしておかないと、この国はもう油断をすると暫定球がそのままずっと十八ホールまで行っちゃうという、こういうふうなことになっちゃいかぬなと。  さて、今回の地方税収の偏在を是正する措置、具体的には法人事業税の一部を分離して国税化し、地方法人特別税及び地方法人特別譲与税創設する措置と、こういうふうなことでありますけれども、これまた昨年十一月十六日の地方財政審議会の意見書との関係について少し質問をしたいというふうに思います。  この地方財政審議会の意見書では、地方税収の偏在是正の在り方について、一、偏在度の小さい地方税体系構築地方消費税の充実を基軸にすべきである。二、法人所得課税については国、地方の税源配分の在り方を検討するべきだと。三、早急に是正する場合は国の消費税の一部を地方消費税にし地方法人二税の一部を同額国税化する、すなわち税源交換を基本に検討する。四、そして地方税収の偏在是正に関し、地方法人二税の税収を地方公共団体間で水平的に配分するとの考え方、これは受益と負担の関係を完全に分断する等、税理論上成立し得ないと。このように地方財政審議会の意見書の中では記述されておると、こういうふうなことでございます。  こういうことでよろしいんでしょうか。
  34. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 地方財政審議会の昨年の意見の中では、今まさにお話ございましたとおりの形になっておりますし、私どもも、この地方財政審議会の意見というのは大変、今の地方財政状況を踏まえた適切な御意見をいただいたと、こういうふうに思っております。そういう考え方というのを今後の地方財政の充実の方向に据えなければいけないと、こういうふうに思っているところでございます。
  35. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 そういうふうなお話を受けまして、この地方財政審議会の意見書には、いみじくも今少しお触れになりましたけれども、総務省の意見が大きく私は反映されていると、このように思っております。税収、歳入にかかわる事項であるため、これは財務省との調整、これは当然のことでありますが、この二省庁間の調整は本当にうまくいくのか、本当に妥協の妥協の妥協という形の分からないものになってしまいやしないのかと、こういうふうな懸念を持っておるわけであります。  今回の地方財政偏在是正措置に関しては、今回提案された内容については二省庁間の妥協の産物のようなものだと、このように思いますけれども、よく考えてみると、基本的には財務省の主張がより多く通ったと、こういうふうに私どもは受け止めております。言ってみると、今回の提案について見ると、先ほどの地方財政審議会のお考え等を踏まえるならば、少し総務省の皆さん方、後手を取ったのではないかと、このような印象を受けております。  大臣、今回の税制改正において財務省との間にどのような調整が行われたのか、その経過等についてお話しをいただきたいと思います。
  36. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 地方財政審議会で、先ほど先生からお話がございましたとおりの内容とする御意見いただきました。具体的に私どもはそれを基軸に据えまして、やはり偏在性が小さく税収が安定した地方消費税地方税の中心になってくるであろうと、そして、現在は偏在性が大きいし、それから景気の動向に左右されやすい地方法人二税がございますので、これをお互いに税源交換するような形にすれば一番いいのではないかと、こういうことで、このいわゆる税源交換論というものを総務省の案というものにして、それで政府部内でいろいろと検討に入ったわけでございます。  ところが、この地方消費税、これは当然消費税が基になるわけでございますが、こうした消費税についての議論というのは、この地方財政の分野だけではございませんで、御承知のとおり、年金の際にも議論をされる、いわゆる社会保障の安定的な財源としても政府部内で広く議論をされているものでございますし、またその関係については議論の時間というものをまた十分取らなければいけないということもございまして、そうした関係での税体系の抜本的な改革は、昨年の暮れというよりはもう少し先まで延ばして、その間に十分な議論をしなければならないと、こういう大きな流れの中で税体系の抜本的な改革の時期が先送りになっておりますので、その関係で私どもが提案をいたしましたこの税源交換というものがやはり十分に実現をできなかったと。  ただ、そうはいいましても緊急の、我々、対策というのは、地方財政の今の現況を考えますと講じていかなければならないということで、この税源交換と極力同じような効果を持つ税体系をつくりたいということで、今回御提案いたしていますように、地方法人特別税、形式的には国税ですけれども実質地方税という形で構築できないかということで提案をした、すなわち政府部内で決着をさせたものでございます。  それで、経緯はそういうことでございますんですが、今先生の方からお話がございましたとおり、この中では、政府部内での中ではやはり総務省とそれから財務省がこの問題についていろいろと調整をする中で議論をして調整をするという場面が中心であったわけでございますけれども、当然こうしたことを二省の間の中でよく見えないような形でやっていいのかどうかということでありますが、今回いみじくもいろいろと、先ほど来御指摘いただいていますが、やはり国民の理解、それからそれを受けて立法府の皆さん方に、先生方に十分御理解をいただかなければ、我々が幾ら政府部内で調整したものも実行できないわけでありますので、ですから、こうした政府部内でのいろいろな調整というのは真摯にお互いにやらせていただきますし、主張が当然違う点もいっぱいありますが、そこを調整するわけですけれども、そうした過程の際に、いろいろと広く御意見をいただく、それから適切に随時立法府の皆様方にも報告をする、そしてそこを通じて国民の皆さん方がどういうふうに受け取られるかということを聞いていくということは、私は大変大事なことだというふうに思っておりますから、そういう意味で、次の税制の抜本改革時にいろいろなまた今度は作業をしていかなければなりませんけれども、その際にも、そうした意味で数多くの皆様方からの御意見もお伺いをする、そしてその内容を実のあるものにしていきたいと、こういうふうに考えております。
  37. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 大臣のお話の後段の部分ですけれども、二省庁間の、密室とは言いませんけれども限られた議論に閉じ込めていいのか、そうではないと、もっと広く議論を公開をし、特に国会、国会の構成比が相当変わったわけですから、それを前提とした議論をしなければこれは決着点出ないと。また、総務省にとって一、一でやると力負けする相手ですから、外に応援団を求めるという戦略上のことも含めてそういう必要性があるというのは分かりますし、これはまた後の議論で少し申し上げたいというふうに思います。  その前のお答えなんですけれども、今提案されているものが本当は、消費税含めた、消費税等の税源交換が一番いいんだけれどもと、それはなかなかすぐは結論が出ないので、取りあえずは次に評価でき得る、いい内容であるこの法人事業税の扱いを提案されたと、そういう認識を今申し述べられましたけれども、そういう議論を財務省との間でされておると。財務省に対して総務省が今回のこの仕組みを消費税等の税源交換に次ぐいいやり方なんだという評価を財務省に対して指摘されたんですか。
  38. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今回のこの改正内容でございますけれども、具体的には閣議の決定をいたしました。今回の暫定措置を講じるに当たりまして、今年の一月十一日に内容を、税制改正の要綱ということで閣議決定をいたしました。閣議決定でございますので、当然財務省も賛成をして閣議決定をしたわけですが、その中ではどういうふうに書いているかといいますと、安定的で偏在性の小さい地方税体系構築するという地方税改革基本方針を明確にした上で、消費税法人事業税との間で税源交換を行った場合と同等の偏在是正措置が、偏在是正効果が生じる暫定措置を講ずるということで、こういう旨をこの閣議決定の中に基本方針として盛り込んだということでございますから、今後、やはり政府として、今申し上げましたような地方消費税を充実する方向だということについては、全省庁がその閣議決定の文書に縛られる、拘束をされる、こういうふうに考えております。そういうことに全省庁が賛意を示しているというふうに考えております。
  39. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 少し視点を変えて、今お配りをいたしております配付資料をちょっと見ていただきたいというふうに思います。  これは、地方交付税改革に関する総務省と財務省との主張点の違いをまとめたものでございまして、平成十六年から十七年にかけて経済財政諮問会議提出された資料や、地方分権改革推進委員会でのヒアリングなどを基に整理したものでございまして、ちょっとデータ的には古い面もありますけれども、地方財政をめぐる総務省と財務省との間の意見の相違ということについてまとめたものであると御理解いただきたいというふうに思います。出典等については下の方に書いたとおりでございます。  これをざっくり眺めてみますと、例えば一番下の財政力格差の是正策ということでいえば、財政力格差の最大要因は地方法人二税の偏在にあり、水平調整を検討すべき。これは地方が連帯するという分権本来の姿であると。消費税は社会保障給付の増大などに対応しなければならず、地方消費税の在り方も国と地方の財政状況を見ながら税制全体の中で検討すべき。これは財務省の主張のようですね。  それから一方、総務省の皆さん方は、財政力格差は地方消費税の充実と法人課税の見直しが必要であると。ただし、法人二税の自治体間の水平調整は、税が課税団体以外の団体に使われることになり、受益と負担に対応した課税という課税原則の根幹に触れ、自治体からも理解されないと、こういうふうな主張。これは主張ですから、お互いに非常に典型的な論点を取り上げて、ぶつかるものではございます。  今回の地方財源偏在是正措置を決定する過程から拝察いたしますと、地方分権推進委員会における議論において、国民が納得のいく、あるいは地方自治を担う各地方公共団体が納得するような結論が出てくるのかどうか、そこのところはいろいろ問題を感じると。二省庁間、二省庁が様々な団体の意見、あるいは学識者の知見を総動員して一定の方向に意見がまとまっていくというのは、なかなか難しいこれは試合になるなと、こういうふうに受け止めておるわけであります。  さて、ここでもう一度大臣にお伺いをしたいんですけれども、省庁間の考え方がこの一覧表に要約されている、大きく言えばこういう概念的な構造になっておると。その上で、先ほど総務大臣が閣議の決定があるからと、このように、言わば一つの命綱のように、そういうふうに言われた。もうこのことからいって、私としては、さらに、今、先ほど答弁されたことが、本当に大臣として腹の底からそういうのがあるから大丈夫だと思っていらっしゃるのか、この点ちょっとお聞きしたいんですけれども。
  40. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今先生の方からお示しいただきましたこの横長の表でございますが、これはいろいろと総務省と財務省がかつていろいろ主張していたことをいろいろ表されているわけでございますが、この中で、例えば今お話ございました一番下の財政力格差の是正策についても、なかなか、財務省の皆さん方は、地方消費税の在り方も、国と地方の財政状況を見ながら税制全体の中で検討すべきということで、その検討の方向性について表すということはなかなか今までもされなかったと。検討の方向性というのを全体の中でということで、特に地方消費税の充実などということはやっぱり財務省の立場からいうと正直難しかったんだろうというふうに思いますし、こういう政府部内でのいろいろ省の意見の違いというのはどうしてもいろんな個々の局面では必ずあるものですから、それを内閣全体として大きな方向に持っていくときは、節目節目にきちんと閣議で大きな方向性を確認していくということになるわけです。  先ほど言いました今年の一月の閣議決定のときには、昨年の末の税源交換を始めとする様々な議論の中で、今後の地方税制については、地方分権の推進と、それからその基盤となる地方税財源の充実を図る中で地方消費税の充実を図るとともに云々ということで、やはりこの中では地方消費税の充実ということもはっきり書きましたし、それから、偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系構築すると、これを基本改革をするんだという、その改革の方向もはっきり書いたと。これが大変大きな成果だというふうに思っています。  決して法人二税の議論がそのまま十分に実現をされずにもう一回振出しに戻って、今年の例えば暮れのいろいろな、様々な税の議論にもう一回戻るということではなくて、ちゃんとベースキャンプをきちんと築いて、その上に地方税の方向性というのが明記されていますから、この閣議決定の範囲の中で、じゃ具体的にどうしていけばいいのかということを議論をしていくと、こういう段階に至ったというふうに思っております。  したがいまして、今、腹の底からどうなのかというお話がございましたんですが、私はもうこの税制抜本改革というものも早急に行わなければならない、そういう時期に来ていると思っていますし、少なくともこの地方税体系を考えるときには、今現実の各公共団体の財政状況というのが一方であるわけですし、理論的にも、そういう中でこの閣議決定をベースにしてこれから財務省を始め関係するところと、これにのっとった上で真摯に議論ができると、こういうふうに思っております。
  41. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 今お述べになった大臣の考え方は、私もそれなりに理解をし、是としておるわけであります。  そこで、もう一度違う角度からお伺いしたいんですけれども、消費税法人税地方法人税、この性格からいって、地方の財政を安定させると、ためになるという視点からいったときにどちらが正しい、どちらがいいんですか、適切だとお考えですか。
  42. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 消費税地方消費税法人税と、もう地方税体系はどっちかで一色に染めろというとなかなかやっぱり難しい部分があると思います。  というのは、地方法人二税、これは自治体の方でいろいろと企業を誘致するインセンティブをこの税によって持っているわけですから、いろいろ努力をして自らその事業税を、企業にうんと稼いでもらって事業税を自治体としてもいろいろいただく、こういう上でこの法人二税というのはやっぱり非常にいい税であると。ですから、やはり今まで地方税の中でここが、特に都道府県の場合にはここが基軸になってきましたから、これはやはり十分に理由があると。  ただ、問題は景気に非常に左右されると。あの東京都でさえ七、八年前はこの法人の税収が非常に振るわずにここに依拠していたわけですので、本当にもう税収を獲得するのに四苦八苦をしていた、ましてほかの都道府県はもっともっと大変な状況があったということでございますので、この法人二税とそれから地方消費税というものをうまくミックスしたような形で税体系を考えていくというのが大事ではないか。  そして、最近、我々の問題意識としては、法人税収自体は急速に一時期回復してきたわけでありますが、その中で法人二税のウエートが大変高かったんで、税の偏在という意味では、分割基準をいろいろ変えたりはしましたけれども、大分、昨年あるいは一昨年の決算を見ますと六倍ぐらいに広がっていましたので、ここを問題にして、もっとその格差を、乖離を縮めなければいけないと、こういうふうに思って地方消費税地方消費税ということを申し上げたわけです。  地方消費税は非常に安定的で、間接税でございますし、安定的な偏在性の小さい財源でございますので、これを基軸にもっと安定的な財源地方税体系の中に加味していくと我々の目指す地方税体系というのが構築されると、こういうふうに考えます。
  43. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 今お述べになったことを踏まえて私も心配をしておるわけでありまして、やはり景気の変動に地方財政を、地方、財布を景気の波に身を任せるような、そういうふうなことでは地方分権が達成できないと、こういうふうな思いで私も申し上げているということであります。  そういうふうなことで、取りあえず大臣としてはハードルを越えられたというふうにお考えだと思いますけれども、私ども、各省庁ある中で財務省はなかなか、言いにくいんですけれども、知恵のあると言えば聞こえはいいけれども、もう少し漢字をよく使えば狡知、高知県ではありませんけれども、非常にいろんな手を使ってくると、またそれが財務省の持つ私は省庁の性格だと、このように感じております。  そういうふうな意味で、今回の暫定的な提案が一つの事例、実績として使われないように、そのことについては、そういうものではないんだと、暫定球はあくまで暫定だと、暫定なんだということを、しつこいようですけれどもこの委員会の中でもやっぱりしっかり議論をしておかないと、どうせ議論は相当に紛糾するんです。紛糾してしまって結論が出なければ、じゃ取りあえず決めたことをもう一年延長して、更に延長してという、これがつまり暫定の構造なんですよ。そういうふうなわなに陥らないように私はしっかり議論をしていくと同時に、先ほど、四つ前の御答弁の中で、そういう議論をやはりいろいろと広げていきたいというお考えは、私は非常にそれは優れた対応策だと、このように思っております。  私どもも地方分権の在り方あるいは地方の税財源の在り方については重大関心事として今後まさに会派を挙げて議論をしていきますし、大きな私はテーマになってくると。そういうふうな場において、私は広く議論を、前広に、閣内だけの議論じゃなく、省庁間の議論ではなくて、議会を巻き込んだ議論として私はやっぱり広げていっていただきたいし、それに対して我々もこたえていく用意は十分できていると、それをしなければ、やはり省庁間の体力差あるいは経験の差、そういうふうなものによって決してあるべき結論に到達しないと、そういうふうなことになってはいけないなと、こういうふうに考えております。  現在の審議会における議論というのは初期的な段階であると私たちも思っておりますし、ある部分は見守っていくというふうに思っていますけれども、しかし、時間のある問題ですし、我々も、国民の負託を言えば、参議院においては第一党という立場が与えられたし、それは責任を伴うものであるという自覚の中で、特に地方分権改革推進委員会の議論とその方向については非常に関心があるし、今後大きく関与していきたいと、このように思っております。  いろいろと先ほども既にお考えをいただきましたけれども、今の段階において、改めて大臣の決意等ありましたらお伺いしたいと思います。
  44. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今の先生の方からのお話を受けまして、私も相当な決意でこの分権の実現に臨んでおりますけれども、そのためにも、一つは、先ほど、今回の提案申し上げている税でございますが、これはあくまでも文字どおりの暫定でございますので、先生の方からは暫定でも何十年続くものも今まであったというお話も御指摘いただきましたが、今回は間もなく行われます抜本改革時までの間の暫定措置ということで提案しておりますので、この税の大きな基本方向、特に地方財政審議会の基本方向に沿う形で今後の税体系を構築をしていきたいと。  それから、分権については、先ほど事務局の方から答弁ありましたが、今ちょうど税財源の問題に議論を進めていく上での前提となる大変重要な役割分担の議論、それからいわゆる出先についての役割についての議論を今精力的にやっていただいているようでございますので、その状況も逐一私見ておりますが、それを終えましたら、本当にいよいよ大事な税財源についてどういうふうにするかという議論になってまいります。これは、総務大臣としてはもとより、分権担当大臣としても委員会の考え方を後押しをしていくと。そして、政府の中で実現をしていかなければならない立場でありますし、その際には、実現を図るためには、国会の方のお考え、御意思というものを十分踏まえる必要がございますので、そうしたところともよく御報告をしながら実現に向けて努力をしていきたい、このように考えます。
  45. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 それでは、次に地方再生対策費について少しお伺いをしたいというふうに思います。  財源偏在是正によって生み出される四千億円の財源については地方法人特別譲与税として再配分され、地方再生対策費として今回使われると、このような提案でございます。その使途の目的は、地方の自主的、主体的な活性化施策の実施のためとなっております。  具体的な配分金額の試算では、市町村では人口十万人規模で二億円程度、人口五万人規模で一億三千万円程度、また人口五千人規模で六千万円程度とされておりますが、こういった交付金が制度の目的である地方再生にどのように生かされるのか、またその実効性を保証するものは何であるのか、御説明をいただきたいと思います。
  46. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) この地方再生対策費ですが、額としては四千億円、そして、これは交付税の算定を通じて配分をするわけですけれども、市町村、特に財政状況の厳しい地域に重点的に渡るように、そういう考え方で今回配分案を公表させていただきました。そして、そういう財政状況の厳しい地域にも、私もいろいろなところを歩いておりますけれども、必ず何らかの活性化に向けての資源はあると、それからまたアイデアというのもあるわけですが、残念ながら今の厳しい財政状況の中で、そういった財政状況が厳しいところほどいろいろな歳出カットを迫られていますので、自主的な、主体的な活性化施策を実現する上での財源に乏しいと、こういう状況がございます。そういうところを今回のこの地方再生対策費で少しでも応援できればと、そして、そういった財政力の厳しい団体を覆っている不安とか閉塞感を少しでも打開できればと、こういうことで考えているものでございます。  この地方再生対策費をできるだけそうした自主的、主体的に取り組むための経費として使っていただくと同時に、今回、地方交付税全体も増額をしておりますので、そうしたことも併せて各団体にお使いをいただいて、この今の活性化施策の実施に是非生かしていただきたいと。逆に言いますと、そういうものに対しての今政府として取り得る今回最大のものを公共団体の方にお示しができたのではないかと、こういうふうに考えております。
  47. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 ここは私は大分大臣とは認識が違うわけでありまして、この地方再生ということは私は、すべての国会議員が口にしてきたことであり、昨年七月の選挙であれ、その他地方との意見交換等において極めて重大な国民的課題、国家的課題であると、こういうふうに思っておるわけであります。  もちろん、総務省という立場で少しでも役に立てばと。私はこれは少しで役に立つのかということが、つまり地方再生が一体どういうふうな考え方あるいは方法論で行われていくのかというのは極めて大きな問題であると。むしろ、この四千億円の意味は、初めに地方再生があったということよりも、三位一体改革交付税五兆円を削ってしまった、地方にはまさに死活問題という壊滅的なダメージを与えているということから噴き起こったような声に対して、言ってみたら慰謝料的な性格を持った私は金額ではないのかと。  だから、だれが考えても今地方が地盤沈下しておる、じゃ十万人規模で二億円、これを出したから地方再生交付税も少し増やしましたよと、これで一体何が再生できるのか。私はやっぱり、小遣い増やしたからちょっとおまえ成績頑張ってAの数でも増やせと言うのと一緒であって、そんなことで対応できるという問題じゃないでしょうと。もちろん、これは郵政民営化のときも相当議論したことなんですよ。だから、これは総合施策であって、やはり少しのお金をびほう策的に取りあえずということで出すだけでは私はもう間に合わないというまず問題意識に立ってほしいと。できることはこれしかないんですという立場なのか、大手を振ってだからちゃんと地方再生できるだろうということなのか、私はちょっと姿勢をお伺いをしたいと、こういうふうに感じておるわけであります。  もう大臣も御存じのように、地域、地方にとっての大きなニーズというのは福祉、医療、教育、環境。住民の生活は壊れていく、東京とか大都会では考えられないような状況になっておるという地方、地域、それに対する対策、これは私はもっともっと、哲学とかいうような偉そうなこと言いませんけれども、基本的な方針、方策、処方せんを持って当たらなければならないんじゃないですか。だから、名前を使うのはけしからぬとかそういうことを言うわけじゃないんですよ。だけれども、これでもって地方対策、再生だと、十万人の都市が二億円で再生しなさいと、ちょっと極端な言い方になるか分かりませんけれども、それでは私はちょっと間に合わないなと。  こういうふうなことから、私は、地方、地域、これに対する基本的な、再生に向けて総務大臣として、こういうふうな地方再生費という小さな小さな金だらい、四千億円の金だらいの中に閉じこもる、そういうことじゃなくて、もっと大きく踏み出す立場での方策を語ってほしいと思いますけれども。
  48. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今先生の方からお話ございました福祉、それから医療、あるいは教育といったそういう分野でやはり財政需要が大変出てきているわけですし、また財政力が余り大きくない団体にとりましてはもう泣く思いでそういう分野の歳出を厳しく見直さざるを得ないと、やっぱり全国を歩いておりますと悲鳴のような声が聞こえてくるわけです。  ですから、そうしたことがないように、本当にもう無駄なものは私も削ればいいと思うんですが、今言いましたような分野というのはこれからの人口構成も変わってくる中でやはり多くの財政需要ということが考えられるわけですので、そうしたものに的確に対応していくためには、どうしてもそういう地域というのは目立った産業ということも今すぐに育てられるというわけでは決してありませんから、地方交付税をきちんと一般財源総額確保していく、その中で地方交付税の額もきちんとしたものを確保していく、そして今申し上げましたような財政需要に的確にこたえて、まず国としての立場からいえば財源保障をしていくと、こういうことが必要だというふうに思います。  その部分をきちんと公共団体の皆さん方に考え方お伝えしなければいけないというふうに思いますのと、それから、今回は額は確かに四千億でございますが、地方再生対策費というふうに申し上げておりますが、この再生ということも大変大きな問題でありますし、課題も多々ございますし、全国一律になし得るわけではございませんが、そういう地方再生につながるような自主、自立的な取組を行っていく上で必要な経費というものは、この地方再生対策費を使って少しでも公共団体で工夫をしていただきたいということで措置をいたしました。  したがいまして、この地方再生対策費も大きな交付税の中で別枠として今回新たに措置をしているわけでございますが、配分としては交付税というそういう中で配分をされているものでございますし、やはり地方団体の多くの財政需要というものにこたえていくためには、この地方再生対策費を今後もきちんと続けていくということも私は大事だと思いますが、それもひっくるめた交付税というものを確保していくと、そして地域のそういう財政需要、それぞれの課題というものに国としてきちんとこたえていくということが何よりも必要であると、このように考えます。
  49. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 本線は地方分権、それから自主的な税財源の確保と、ここにあるというふうなことで、これからも大いに前を向いた議論を展開していきたいというふうに思いますので、この点はよろしくお願いしたいと思います。  さて、今日の質問の最後のテーマであります住民基本台帳とそれから特別交付税との関係について質問させていただきたいというふうに思います。主には特別交付税というのが質問のポイントでございますけれども、どうしてもこの住民基本台帳、特に住民基本台帳ネットワークシステムということについて質問申し上げたいというふうに思います。  これについては、一般質疑で内藤委員の方から過日質問があったということでございます。  まず、十九年度あるいは最新のデータで結構でございますので、住民基本台帳ネットワークの利用状況並びに住基カードの普及の現状について御説明をいただきたいと思います。
  50. 岡本保

    政府参考人(岡本保君) お答えいたします。住基ネットの利用状況及び住基カードの普及の現状についてでございます。  平成十八年度におきましては、住基ネットから国の行政機関等に対しまして約七千万件、地方公共団体に対しましては約四百万件の本人確認情報の提供を行っております。平成十八年度におきましては、特に年金等の現況届省略がスタートいたしましたが、これが半年分でございましたので、これが通年化をされますと、平成十九年度には、例えばこの年金等の現況届だけでも年間約三千万人分の本人確認というもの、現況届、といったようになると見込んでおります。  また、十八年度は、旅券申請等に関し必要とされておりました年間約四百四十万件の住民票の写しの添付といったものも省略されたところでございます。一方、住基カードでございますが、十五年八月から交付が始まりまして本年の二月末までに約二百二十万枚が交付されたという状況でございます。
  51. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 そこで、この住基ネットについて過去いろいろ議論がされてきたわけでございますけれども、残された課題の一つと言えますか、システムの効率性、費用対効果、この問題を少し取り上げたいというふうに思います。究極的にはこのシステムを存続させるのがいいのか、あるいはこのシステムを更に有用、あるいは利便性のあるシステムに進化させるのか、こういうふうな課題もあるかと思います。  そこでまず、全国システムの構築については四百億円以上のコストが掛かったと聞いておりますけれども、これはこれで正しいのかどうか。あるいは加えて国、都道府県、各市町村全体のシステム維持のためのランニングコストがいかほど掛かっておるのか。この二点についてお伺いをしたいと思います。
  52. 岡本保

    政府参考人(岡本保君) この住民基本台帳ネットワークの導入に関しましては、平成十一年からスタートいたしまして十五年までに約三百九十億円程度の導入の経費を要しております。そして、このスタートがいたしまして都道府県及び市町村の負担によりまして地方公共団体共同のシステムとして運営を行われております。  市町村、都道府県それからそれの指定情報処理をしております機関等に掛かりますこのハードウエアのリース料でございますとか保守料、通信回線使用料などにつきましては、通常の経費と一体として経費が使われているというような面もございまして、なかなかその振り分けが明確でございませんが、この運用経費について都道府県で組織しております住民基本台帳ネットワークシステム推進協議会の見込みによりますと、平成十九年度ではいわゆる機器の更新料といったことで約五十億円、ランニング経費そのもので約百二十億円、合わせまして約計百七十億円といったものが掛かっているというふうに見込んでおります。
  53. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 今コストが明らかになったわけでありますけれども、総務省の立場でこの費用対効果という視点からそういう分析評価を行ったことがあるのかどうかについてお伺いしたいと思います。
  54. 岡本保

    政府参考人(岡本保君) 住基ネットの利用の費用対効果ということについてのお尋ねでございます。  先ほど申し上げましたように、住民基本台帳ネットワークの利用の効果といたしましては、先ほど申し上げましたような国等の情報、本人確認情報の省略、それから各種の行政手続におきます年間例えば四百四十万件の住民票の写しの添付の省略といったようなことが挙げられるわけでございます。  この費用対効果を網羅的あるいは定量的に計算をするといったようなことはなかなか困難な面があるわけでございますが、例えば行政側で申し上げますと、本人確認等に要します郵送代等が不要になっておるわけでございます。こういうものを例えば一定の仮定の下で機械的に計算をいたしますと、例えば単年度で約四十億円弱の費用が直接削減をされておりますとか、あるいは本人確認情報等の必要な事務が不要になるわけでございますので、約年間数百何時間といったものの人件費の、事務の削減が計算としては図られているのではないかというふうに考えております。  また、社会経済的に住民側の皆様方の方のコストといたしましては切手代でございますとか交通費でございますとか、言わば住民票の写しを取りにいくために社会的に費用になっているもの、こういうものが行政側と同じようなオーダーで直接削減されるというふうに考えておりまして、これに伴いますあるいは住民の方々のいろいろな書類の記入、投函といったような手間も不要になっているというふうに見込んでおりまして、これは定量的に私どもで幾らというふうに計算をいたしたことはこれまでございません。  ただ、平成十八年の五月に社会経済生産性本部が計算をされて公表した資料によりますと、住民基本台帳ネット活用によりますベネフィットは、今、先ほど申し上げました前の決算の実績の数字でございます平成十七年度ベースで計算をされておられますが、その場合でも年間約百八十三億円、数年後には年間約九百億円オーダーのベネフィットがあるのではないかというふうに経済生産性本部では試算し、公表をされておられます。
  55. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 そこで、住基カードというものが現在発行されておりまして、私も過日、e—Taxのために昨年この住基カードをやりました。千円掛かったわけでありますけれども、千円が高いか安いかは、これはまた別の議論でございます。  この住基カードを使った仕組みというのは、ある種電子政府という目標というんでしょうか、目指すべきシステムということと同時に、住民サイドの利用効果と、こういうようなこともあったと思いますし、住基カードの空いているデータ収納部分に、場合によってはカルテをそこに収納をして、どこのお医者さん、病院に行っても、直ちに既往症だとかあらゆる投薬歴、例とかすべてが明らかになって的確な医療ができるとか、もうこれはいろいろ夢のような、夢というのか、今は夢という言葉使うとちょっと年金問題では少し問題が起こりますけれども、夢じゃなくて、より良い生活を送れる、こういうふうな意義のある内容であると、こういうふうなことでございました。  これから先も、ある意味で、プライバシーの問題だとかいろいろと多くのハードルをクリアしながら、住基カード等を活用した住民福祉の向上というふうなことは求めていかなきゃならないと思います。  そこで、住基カード交付手数料の無料化と特別交付税についてお伺いをしたいと思います。  総務省は、本年度より、住民基本台帳カードを無料で発行する市町村に対し、特別交付税の配分額を一枚当たり五百円上積みし、千五百円とすることを決められました。なぜ総務省はカード発行を無料化する自治体に特別交付金の上積みを図られるのか、その政策的意図と、なぜに特別交付税をお使いになるのか、ここを御説明いただきたいと思います。
  56. 岡本保

    政府参考人(岡本保君) 住基カードの普及につきましては、今委員から御指摘をいただきましたように、私どもも、インターネットを使いました各種の電子政府の申請の本人確認のための機能でございますとか、個々の市区町村で行っておられます独自のサービスの利用の際の多目的利用でございますとか、これからの電子政府、電子自治体の推進の観点から、是非その普及を積極的に図っていくことが必要であるというふうに考えております。  このため、この住基カードの配付等に要します経費につきましては、従来から一枚当たり千円の特別交付税措置によりその掛かりをやってまいりました。しかし、残念ながら、先ほど御報告申し上げましたように、住基カードの普及といったものが二百万枚程度にとどまっているということから、言わばある意味では総人口の一%ちょっと程度という意味でございますので、まだそういう意味では普遍的なものとして広く普及されていない状況にもございますことから、その費用の計算につきましては従来から特別交付税といった措置をしてまいりました。  これを、今回その促進を図っていく、まあ個々の市区町村の御判断でございますが、無料化をされるという場合には交付申請をする方が集中するということが予想されますため、この交付申請が集中する際に必要になりますその対応としては、まずカード発行機の増設をするということでございますとか臨時職員の増員など、発行体制の確保、広報といったことに特別な経費が必要となるというふうに見込まれるわけでございまして、また、その旨この市区町村の皆様方と御相談させていただきますと、そういう予測もあるわけでございます。  したがいまして、今回こういうことを勘案いたしまして、住民基本台帳カードの手数料の無料化に取り組む市町村といったものにつきましては、二十年度から三年度間に限りまして、一枚当たりの特別交付税額を五百円追加するという措置を講じたところでございます。
  57. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 特別交付税地方交付税法第六条二項で、その額は交付税総額の百分の六と規定され、また第十五条で算定基準が規定されていると、こういうようになっております。ここでは、一、基準財政需要額の算定方法によっては捕捉されなかった特別の財政需要があること、二、基準財政収入額のうちに著しく過大に算定された財政収入があること、三、交付税額の算定期日後に生じた災害等の特別な財政需要があること、四、その他特別の事情があることと、四点が要件的なものとして規定をされておるということであります。  私は、住基カード等を使い、やや現在の、個人証明といいましょうか、ややシステムとしては重た過ぎて、内藤理事はうまくe—Taxできたそうですけれども、恥ずかしながら私は失敗したということで、そういうような意味で、そこはそことして更に改善の余地があると。また、住基カードに収納できるデータが四件ということで、これも法的にもプライバシーの関係を含めていろいろ議論があると。それらを乗り越えてユビキタス、総務省所管の通信、放送の融合を含めて新しい時代をやっぱり切り開く必要がある、私はそう考えております。  ただし、住基カード発行について、地方交付税の中の特別交付税をお使いになるということは果たしていかがなものかという考えを持っておるんです。これは、災害等いろいろなことがあって、百分の六だけ、予備費的にというんですか、特別扱いにという私は規定だと言うんですけれども、住基カードの普及促進を図る、そういう目的ならこれは総務省の政策費用じゃないんですか。政策的費用としてもっと堂々とおやりになったらいかがですかということで、大臣の答弁をお願いしたいんですけれども。
  58. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 特別交付税、これただいま委員が御指摘になられましたように、地方交付税法の十五条の一項に、その根拠規定といいますか、掲げられてございます。そして、それを総務省令で定めることによりましてそうした事情を考慮して交付をするということでございまして、典型的には、これも御指摘がございましたように、風水害あるいは地震といったような災害のような自然現象もございますし、あるいは船舶からの油の流出事故といったような事実上発生したようなものもございますし、また地方選挙で予定されていなくて再選挙なんかが起きたときのそういった法律規定に基づいて行うようなものもございます。  そして、特別交付税というのは、委員が御指摘されましたような事情で生ずるものでございますので、普通交付税で最初から措置ができるといったような性格ではないもの、その場合に特別交付税措置をするということがございます。例えば、これ委員も御案内のように、市町村合併を行いましたときに市町村合併のための電算システムを改修するとかいったような経費ですね。これは、やはり最初から予定されていなかったということもございますのでこれは特別交付税措置をしているとか、あるいは、この度、通常国会でも議論になりました原油高騰対策、これに対してどうやって措置をしていくかということについてもこれは特別交付税措置をいたしました。  そのほかにも、鳥インフルエンザの被害対策でございますとか、地方バスとか離島航路の赤字対策、もうこれも特別交付税措置をしておりまして、この度、特別交付税で住基カード、これも従来から、先ほど行政局長から答弁がございましたが、千円を措置しておりまして、これを更に五百円を措置をするということでございまして、住民基本台帳カードの普及がまだ進んでいない一方で無料化をしている団体もあるといったようなことでございまして、私どもといたしましては、そういった事情を考慮いたしまして発行体制の強化等特別の財政需要、これを勘案する必要があると、こう考えて措置をしたところでございます。
  59. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 それは特別交付税制度の御説明であって、住基カードに使われることについてどうですかというのは大臣にお願いしたい。
  60. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) これは確かに私、この問題考えてみますと、いろんな議論あると思います、正直ですね。  これ電子自治体、電子政府構築するというのは大変重要なことであります。そのために特別の財政需要が生じてくると。今回無料化することによってその電子政府に近づくわけで、無料化というインセンティブを与えることによって住基カードの発行枚数が増えて電子政府構築に近づくと、こういうことであるわけですが、現実に無料化する団体というのはまだ必ずしも今多くない、ですからそれを特交措置しようと、こういうことでやってきているわけでありますが、これが団体が随分出てくればまた考え方を変えなければいけないということでありますし、それから、そういう電子政府構築するということに、やはりカードが多く国民の手に行き渡るということが大事なことでありますが、それをまたいろいろな、こういうお金ということよりも、中でのいろいろなサービスのようなもので各自治体に工夫してもらって、そして発行枚数を多くするといったようなことも今後考えられるんだろうというふうに思います。  当面、インセンティブとして、各自治体に考えていただく上でこういう交付税措置ということを行っているわけでございますが、これはまた大幅にそういった状況が変わってくると、住基カードの今後充実させる議論を行ってまた状況が変わってくれば、また総務省としてその普及のために違う考え方を取り得るということは十分あり得ると、このように考えております。
  61. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 終わります。
  62. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  63. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方税法等の一部を改正する法律案地方法人特別税等に関する暫定措置法案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  64. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 民主党・新緑風会・国民新・日本の吉川沙織でございます。今日はどうぞよろしくお願いいたします。  先ほど、冒頭の質疑加藤理事より暫定税率の期限切れについての質問がございました。私も少し関連をして総務大臣に御見解を伺いたいというふうに思っております。  私、政治の世界に来ましたのは、昨年七月初当選をさせていただいてこの世界へ参りました、送っていただきました。不思議に思うことが何点もあります。その中に日本語の使い方というものもございまして、私自身、会社に入りましたのが平成十一年で、会社を辞めましたのが平成十八年でございます。最初恒久減税と言われて導入をされた定率減税が、いつの間にか、間に「的」が入り恒久的減税になり、そして百年安心の制度設計と言われた年金制度も、私、今三十一歳でございますけれども、六十五歳になったとき果たして安心できる制度であるかどうかも分かりません。そして、この暫定税率でございます。先ほどしばらくというような御解説ございましたけれども、調べてみました。暫定は、本式に決定せず、しばらくそれと定めること、臨時の措置ということでございます。  私自身、今三十一歳でございますので、暫定税率ができた後に生まれて、今こうやって政治の世界で仕事をさせていただいておるわけです。ですから、暫定的な人生なのかなと思いつつ、少しいろいろ考える日々でもございます。  今回暫定税率は期限切れを迎えたわけでありますが、四月四日、先週金曜日の本会議増田大臣、二回答弁でこのようなことをおっしゃっております。国の責任において適切な財源措置を講じる必要があると考えております、具体的な対策につきましては今後検討いたしてまいりますというふうな御回答、御答弁を二回繰り返されておりますが、この具体的な中身、方向性というものがもし今の段階であればお伺いをしたいと思います。
  65. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) この地方公共団体暫定税率が失効いたしますと歳入が不足するわけで、その分について歳出の方の予算はもう組み上げておりますので、何らかの対策を講じなければいけないというふうに思っておりますし、また地方公共団体財政運営に支障が生じないようにしていくのが国の責任でございますので、そういう意味で国の責任において適切な財源措置を講じると、こういうふうに申し上げたわけでございます。  この問題につきまして、今後与野党の間でどのような話合いがなされていくのか、この暫定税率が失効したことによります影響額がどうなるのかということが分かりません。いまだはっきりしないと。それから、あと地方財源対策だけではなくて、補助・直轄事業の取扱いがどうなるかと、これ国税の方の関係にも絡んでくる問題ですが、これらがまだはっきりとしないということもございますので、今申し上げました、この国の責任において講ずる措置内容についてどういうことができるのかというのは、今の段階ではまだ確たることをこれ以上申し上げることができない状況でございます。  いずれにしても、財務大臣とよく相談していかなければならないというふうに思いますし、地方の意見もよく聴きたいと、地方の方でどのように対応されるのかをよく聴きたいというふうに思いますので、その上で、今後中身については具体的に検討していきたいと、このように考えております。
  66. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 今も御答弁ございましたように、国の責任でということ、あと財務省と連携をしながらということですが、補うのであれば地方に負担の掛からない地方交付税で、一般財源で穴埋めすべきではないかというふうに考えております。  では、続きまして、国から地方への税源移譲を含む分権改革の方向性について若干お伺いをしたいと思います。  国民の皆様が受ける行政サービスは生活に近い地域で決まるということがあります。しかし、今の財源配分は国が六割、地方が四割という状況があって、でも行政の現場が抱える仕事量は多岐にわたっており非常に多いということが言えます。つまり、行政サービス量と財源配分がねじれの状態となっており、いわゆる中央集権的であると言わざるを得ないというふうに思っております。  また、国庫支出金の存在などもあり、今のままだと仕事も財源も国が主導している状態であり、地域とそこに住む住民の皆様にとって必要なものが地方で決められない事態が発生し、結果、住民の地域の皆様のニーズと乖離するような状況が発生しているのではないかというふうに考えています。国が持っている六割の税源をもっと地方交付税として地方に渡すことから本当の地方分権が始まるのではないかと考えますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  67. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今後、分権型に行政も切り替えていくと、分権型社会を目指すという上で、地方団体のこの財源、税源ですね、併せて充実をさせていくということが必要だというふうに思いますし、またその考え方で今分権委員会などでも今後特に財源については議論が行われるというふうに考えております。  その中で、今数字も御紹介ございましたが、税収比が国の方が六で地方が四、それで逆に仕事の方は逆転をしているという状況がございますので、この差を埋めていかなければならないというふうに認識しております。そのときには、究極的には私どもは税源をきちんと地方に移譲していくということが重要だと、まずそのことが大事だと思っておりますし、そのことによって全部、税収格差というのがどうしても生じてまいります、それを埋められませんので、その点については地方交付税を確保して、そのことによって税源の偏在を是正するような税収格差の是正と、財源調整を地方交付税で行っていかなければならないというふうに考えております。
  68. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 ありがとうございます。地方交付税地方に増やすという答弁をいただきましたので、是非その方向で地方分権を進めていっていただければと思います。また、今の状況ですと、結局、中央集権でいくのであれば今のままで問題ないんでしょうけれども、地方分権をうたっている以上、今の現状は矛盾が存在している状況であると言わざるを得ないというふうに考えております。  さて、今回の法案ですが、先ほどの質疑の中でも何度も交わされましたけれども、今回の法案はあくまで暫定的であり、抜本的な対策にはなっていないということ、そして自治体の自主課税権に反するおそれがあることなど、様々な問題点があるとの認識に立って、これから幾つか質問をさせていただきたいと思っております。  法人事業税の一部を国税化することについての是非をお伺いしたいと思っております。地方法人二税は都道府県にとって有力な財源、つまり基幹税というふうになっております。税収減少となる東京都やこれは愛知県のみの問題ではないと考えております。なぜならば、二〇〇五年度の決算額を見た場合、地方税総額の四〇%以上を占める東京都以外にも、三五%以上は栃木、山梨、静岡、愛知、滋賀、大阪、三重など、地方税に占める地方法人税総額が大きい地域にとっては有力な地方税源を失う打撃は大きく、これは先ほどの質疑の中でもありましたが、自治体の企業誘致努力に水を差すものではないかと考えております。  そもそも、地方法人税の一部を国税化し、地方に再配分するという方策は、受益と負担の関係が不明確となり、応益原則と負担分任原則の課税原則に反しているのではないかということ、また、これは自治体の自主課税権の否定、そして地方自治の侵害そのものではないかと考えますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  69. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) まず、今の地方税構造の中で、お話しございましたとおり、特に都道府県法人事業税、それから市町村も含めまして全体としては法人二税の占める割合が大きいわけでありますけれども、これは景気によって大分影響されるということがございます。偏在もございますし、それから景気によって不安定なものでございますので、これを何とか是正をしていかなければならない、こういうことがありまして、今回、暫定的な措置でありますけれども、こうした偏在是正措置を講じたわけでございます。  今お話にございましたとおり、分権改革の方向の中で、地方税の一部を国税化するということが分権改革の方向に反するのではないかという、こういう御指摘もいろいろいただいているわけですけれども、今回、実現を目指しております地方法人特別税ですけれども、これは形式上は国税という形で御承知のとおり構成してございますが、全額を地方譲与すると、税収の全額は地方譲与しますし、それから課税徴収も都道府県が行うと、都道府県が取る税でございますので、実質的には地方の税源というふうに考えております。  それからあと、法制上もこれ、賦課徴収等法人事業税の例によるということで国税通則法の適用を除外していますし、国税徴収法上は地方税とみなすということをしております。それから、総務省の方の設置法の中にも、総務省の所掌事務として今回の地方法人特別税の企画立案について入れているということでございますので、そういう点からも実質的には地方の税源であって、形式上は地方税そのものにしておくと応益の観点からいかがかという点がございますけれども、いろいろ工夫をいたしまして、その点は今申し上げましたようなことでクリアをしていると。実質的に地方税ということで暫定的な措置ということに仕組んでいるわけでございますので、この点も勘案していただきまして、地方自治を目指す、地方自治の中で分権を目指しているその方向を否定するものではないと、こういうふうに考えているわけであります。
  70. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 では、この暫定措置法案が成立した場合、法律を実質的に所管し、地方法人特別税地方法人特別譲与税の在り方を方向付けるのは、これは総務省ということでよろしいでしょうか。
  71. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 関係方面とよく御相談をして改正なりの企画立案などを行っていくわけですが、事務はすべて総務省の方で所管をしてまいります。
  72. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 では、税制の抜本改革の際における地方法人特別税として、今回国税化された法人事業税相当分の地方税としての復元についてもしお考えがあればお聞かせください。
  73. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今後の税制抜本改革時の議論の方向というのは、閣議決定をいたしまして地方消費税を充実するとともに、安定的そして偏在性の少ない地方税体系構築すると、こういうことになっておりますので、今後そういう方向で抜本改革のときに私ども議論していきたいと。これは、政府を挙げてそういう方向で議論をしていくということでございます。
  74. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 では、その税制の抜本的な改革において、地方税について検討すべき課題としてどんなものを想定されているか、また、最も大きな課題はどんなことだとお考えでしょうか。
  75. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 地方税の関係では分権改革委員会の中でも幾つか論点が示されておりますが、やはり一つは、安定的な、そして偏在性の少ない税体系を構築していくということが大事かというふうに思います。  それから、やはり今大きく社会構造が変わって人口減少時代に向かっているという中で、今の偏在性ということとも絡んでまいりますけれども、特に過疎の地域を含むような地域には非常に新たな行政需要が出てくると。そうした今後生じ得る行政需要も十分に満たしながら、地方自治体が仕事をしていくというためには、やはり大きく地方税収を充実強化する方向ということが必要になってくるだろうというふうに思います。  仕事、国と地方の間で新たに役割分担を見直しをして今後大きく地方の方に移していくと、そういうことでございますので、今後は地方の税収というものも充実強化をさせるという方向が当然必要になってくると、こういうふうに思っておりますので、特に大きな論点について今申し上げました。そのほか細かな点いろいろございますけれども、大きな論点としてはそういうところを十分に踏まえていく必要があるというふうに思います。
  76. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 税制の抜本的な改革に対する課題を伺いました。ありがとうございました。  今回の法人事業税の一部を国税化するということは暫定措置法案ということですので、暫定という話も最初にも出ましたし、さっきの加藤理事の質疑の中でも出ておりました。  この暫定措置なんですが、この暫定の期間、どのぐらいを大臣御自身お考えでしょうか。三十何年とかではないと思うんですけれども。
  77. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 先ほどの議論もございましたんですが、当初、私どもの考えを申し上げますと、これはいわゆる税源交換、法人事業税とそれから地方消費税とを交換するような税源交換を考えておりました。それを今のような今回提案する措置にしたのは、やはり消費税に議論が及んでくると。そうすると、消費税については他の分野、特に社会保障などとの関係で、そちらの方も見通した議論をしなければならないと、こういうことがあったわけでございます。  社会保障の関係でいいますと、年金の問題、特に御案内のとおり、基礎年金のところについては三分の一を二分の一に引き上げるなりなんなりいろいろな議論がございます。もちろん別途全額税方式のような議論もあるように聞いておりますけれども。  しかし、こちらももう先に延ばすわけにはいかないわけでございまして、医療制度も含めて、もうすぐにでも議論をして考え方をまとめていかなければならない時期に来ているというのは事実でございますので、それが今年の暮れなのか来年なのかといったようなことはあるかと思いますが、今たまたま先生の方からもお話がございましたように、暫定税率というのは何十年にもわたって続くものではないんだろうなという趣旨でのお尋ねかと思いますけれども、社会保障等のことも考え合わせれば決してそういうものではなくて、もうごく近々には今回の税制の抜本改革ということを行わなければいけない。しかも、そういう間までの暫定措置と、このように御理解いただければというふうに思います。
  78. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 では、社会保障のお話が出ましたので、国庫負担率の関係もありますし、平成二十一年度というふうに考えてよろしいでしょうか。
  79. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) これは、例の年金の基礎部分についてのことは、またいろいろと二〇〇九年度からというそういうお話もあるわけでございますが、抜本改革時がいつかということについては、そういった状況も踏まえていろいろ今後議論されるんであろうというふうに思っていますので、この地方税源を充実強化させるものが今年の暮れなのかどうかというのは今の時点では確たることを私も大臣としてまだ申し上げることができないわけでございますが、いずれにしても近々にはそういった抜本改革の議論は行わなければいけない時期に来ているというふうに考えております。
  80. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 今回、東京と愛知がかなり召し上げられるということになるわけですが、昨年十二月の一部報道によりますと、石原都知事はこんな発言をされているようです。都の法人事業税の国への暫定拠出について二年のつもりでいると述べ、初めて具体的な期限を示したという、こういう報道がございましたが、これに対してどう思われるか、あればお教えください。
  81. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) そういう抜本改革時が近いという意味で御認識をされているのではないか。これは石原都知事の発言を直接聞いておりませんし、その点について議論、意見交換したわけではありませんので、まさに推測ということになりますけれども、近々そういうことが必ず行われなければならない時期が来ていると、そういう認識でお話しになったということが一つと、それからあと、この税自体はそういった抜本改革の議論が行われて税制が変わったとしても、最後一年は今の今回御提案しているような形で、その新しい形に移るまでの一年間はこの税制を維持しなければいけないと。すなわちスタート時点が今年の十月からということになっているわけですが、また、新しいところに切り替えるとしても、法人事業年度との関係で最後の一年はまた切り替える前にこの制度を維持しなければいけないと、こういうこともございますので、そのことを考え合わせると最低二年というようなことをお話しになったんではないかなというふうに思います。これは、あくまでも知事がそういうことを御判断されたんではないかなという意味での私の認識でございます。
  82. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 ありがとうございます。  先ほど御答弁の中で、景気によって変動が大きいというような御回答ありました。この調整財源とすることの是非という観点から、また一つお伺いをさせていただきたいと思います。  今回は、景気回復による地方法人税収が増加をした東京と愛知の財源地方再生対策費として活用をしておるわけですが、今後の景気動向により税収の伸びが鈍化をし、財源が調達できなくなった場合、どのような対応をされるのか、もしお考えがあればお聞かせください。
  83. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今回のこの地方再生対策費でございますけれども、もちろん今お話ございましたとおり、税の偏在是正により生み出したものを言わば財源として充てているわけでございますが、私どもでは、大きな景気変動がない限りはこれは維持をしていきたいと。もちろん、私どもが予期し得ないような経済変動というのが起こりましたら、それはまたその時点で考え直さなければいけないというように思っていますが、いずれにしても、地方の財政構造が大変厳しいという中で、地方の自主自立に向けてのいろいろな対応策は地方団体としても必要であると思いますので、今回、地方歳出として考えられるものは今後も必要であろうというふうに私ども思っております。したがいまして、大きな景気変動といいましょうか、大きな変動がない限りは、引き続き、今回と同程度の規模の方は確保していきたいというふうに考えております。
  84. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 大きな何かがない限りは同程度の規模を確保していくという御答弁だったかと思いますが、これ、東京、愛知は完全に純減になるわけです。  東京ならでは、愛知ならではの財政需要というものがあるのではないかと思っております。東京にしてみても、今回、新銀行東京の問題がございましたし、もしかしたら災害に直面をするやもしれません。そのような場合、同程度の額を確保することが難しいのではないかと思うんですが、そういった財政需要に対する見通しは、見込みというものはある程度立てて想定をされているのかどうか、もし御見解があればお聞かせください。
  85. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今もお話ございましたような点についてはなかなか予期し得ない財政需要なんで、私ども、両都県の財政需要について見込みとかあるいは具体的なものを持っているわけではございませんけれども、しかし、大きな経済動向については当然見通しは持っておりますし、その中で、この額、よほど大きな変動がない限りは、今回の額は維持をしていきたいというふうに思っています。  それから、あと東京都、それから愛知県に対しては今回の制度の趣旨などをいろいろ御説明をしておりまして、東京都についてはいろいろ御理解をいただいておりますし、愛知についてもまた引き続き御理解をいただきつつ努力をしているといったようなことでございますので、そういった団体の個々の事情については今後もよくお話は丁寧にお伺いしていきたいというように思っておりますが、全体としては、先ほど申し上げましたとおり、今の額などは維持をしていく考えでございます。
  86. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 今、東京の話が出ましたので、また都知事の話に戻りたいと思います。  二月二十日の石原知事の施政方針の演説の中で今回の件について触れた部分がありました。かなり皮肉というか、過激な表現でございますけれども、「今回の改正をあくまでも暫定措置に止めさせ、日本の発展に繋がる首都東京の重要政策に対して国が最大限の協力をするとの約束を取り付けました。」とあり、先ほど二年のつもりでいるという心積もりの一部報道も紹介をさせていただきました。今回、見返りとして十三の重要施策を示しており、将来的には、東京のインフラ整備のための財政負担も今後国として税制課題として背負っているのではないかと思うんですが、それについてもし御見解があればお聞かせください。
  87. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 東京都の方から、そうした東京都として考えております重要なプロジェクトについて国との協議の場を設置してほしいと、こういう提案があって、これは関係する省庁とも御相談した上でそういう場を設置をして、昨年の暮れに一回をたしか開いたと思いますが、また順次今後開いていくことになるんだろうというふうに思います。  それは、東京都のプロジェクトに対して国としてもかかわりを持つ観点から、どういうことができるかということを御相談をしていくということでございますが、そのこと自体が大きな国として財政負担を負うことになるのかどうかと、これは今後のそこでの協議の内容だろうというふうに思いますし、今回こうした措置を講ずるということが、今申し上げましたような将来の東京都のプロジェクトに対して財政負担を負うということと直結するものでは決してございません。協議は協議として、それは必要な限りにおいて別途やっていくわけでございますが、それは今回のこの法人二税の、特に法人事業税の制度改正とは別に進めていく問題でございます。
  88. 吉川沙織

    ○吉川沙織君 是非、切り離して進めていっていただければと思っております。  今回の地方再生対策でございますが、これもあくまで暫定ということです。安定こそが第一の税制というものを、やっぱり暫定という観点に立てば損ねているのではないかということを、一つ懸念をいたしております。また、この地方再生対策は、国の施策と称しながらも国の財政には負担を掛けず、地方財源を使った地方対策にすぎないということを是非申し上げておきたいと思っています。  最後になりますけれども、今の税制ですと自分の納めた税金が、自分の払った税金がどこにどのように使われているか非常に分かりにくいというのを、私自身、身をもって実感をいたしました。結局、自分が地方に納めたつもりでも、いったんそれが国に吸い上げられて、またいろんなところに再配分をされる、このような仕組みが今の現状で、有権者も税を納めているというふうな意識を持ちづらいようにあえてしているのではないかと思うぐらいの私自身は感想を抱きました。  ですから、今後は地域で、地域の住民の皆様によってニーズに沿った事業を展開できるように、三位一体改革で削減をされた地方交付税の復元含め、地域のことは地域で決められるような、そういう政治を増田総務大臣中心になって進めていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  89. 河合常則

    ○河合常則君 初めに、地方財政の現状に関する認識についてお尋ねをいたします。  地方自治体は平成五年から平成十五年まで、失われた十年、その前の昭和五十八年から十年間、好調な十年と、今から二十五年ほど前でございますが、積極的な財政運営をしてきたような気がします。昭和五十七、八年ごろからの十年は、当時土光臨調がございましたけれども、起債を立てても税収も一定の伸びで入ってきましたし、交付税も入ってきたというふうに思っています。  平成五年ごろからは、公共事業だけでなしに住民のニーズも多様になりました。医療、衛生、保育そして特別養護老人ホーム建設などへのそういう支出も増えてきたと思っています。ついつい起債措置で当面の手当てが癖になって、今日ほどの危機意識なしに多額の債務残高を抱えて、毎年度の返済措置が大きくなったというふうに思っています。しかも、なかなか減額の難しい社会保障関係費など、これ避けられない支出の増加に直面することにもなりました。  今は議員定数の削減や報酬カット、職員の給与カット、リストラ、そして合併などでやりくりをしておる自治体が多いのではないかと思っていますが、大臣はこの現状をどう思っておられますか。
  90. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今先生からもお話がございましたとおり、かつて歴史的に見ますと、公共事業、大変景気対策として実施をしてきた時期もございましたし、それからいわゆる社会保障の関係も義務経費が大分増えてまいりましたので、そうした面での歳出も増えているといったようなことがございました。今の財政構造になった原因というのは今申し上げましたようなことが随分影響してきていると。しかし、その間に景気の方向は随分落ち込みまして、地方財政が大変逼迫をすると、こういうことに立ち至ったんだろうというふうに思っております。  そのためにいろいろな改革の試み行われましたけれども、やはりその中では地方団体も人件費を削減したり、それから公共事業、もちろん今半分あるいは半分以下ぐらいまで削っているところが大変多いわけでございまして、公共団体としては大変厳しい中で懸命の財政健全化努力をしてこられたんではないかというふうに思うわけでございますが、そういう中でも、なお大幅な今地方財政につきましては財源不足があると。平成二十年度でも大幅な財源不足、五・二兆ほどそういう財源不足があるということがございます。  したがいまして、私どもも、そういう中での地方財政運営につきましては更なる健全化努力を促していく必要があるというふうに思っておりますし、またさらには、国としても今回交付税を増額したことに見られますように、安定的な財源確保のための努力を惜しむことなく行わなければならない、さらには地方分権改革というものを今後も徹底して、そして地方の財政面での自主自立を高めていくということも必要になってくると、このように考えております。
  91. 河合常則

    ○河合常則君 次に、三位一体の改革についてお尋ねをいたします。  キリスト教の三位一体というのは、キリスト教を信じる者とキリストと聖霊が一体であるというものだと思いますが、当時、地方分権を進め自主財源を増やすには、何となく分かりやすい表現として、財政改革の方向は国も地方も、まあ県、市町村もかな、国民も一緒に一体で取り組むという方向を示されたのかなと実は思っておったんですが、よく考えてみると、三方一両損の方が税収が増えない現状では日本人には分かりやすかった、アピールしたのではないかなと実は思うのでございます。何となく、地方自治体、特に財政力の弱い町村、県はだまされたという感じを持っている、気持ちを持っているのではないかという実は感じを私はするのでございます。  それは、一つには交付税そのものが全体で二十兆から十五兆円になったこと。国庫補助金が交付金化や、そして三兆円規模の税源移譲がされて、何となく地方自治体に自主財源が増えた感じを与えたこと。三つ目には、実質は地方自治体にとって二・一兆円のマイナスであったということ。それから、このマイナス二・一兆円の、これは財政力の弱い自治体、よりマイナスに働いたと、その影響が強かったというふうに思うのでございます。  私は当時、実は地方自治六団体の都道府県議会の議長は富山県の議長さんでした。私もよく知っていました。彼が市会議員になるときから応援に行ったりしましたので知っていましたので、実はこの会合のときに、僕のところへ彼がよく寄ったときに、これを言うたらなんでございますが、あなただまされたらあかんよと、補助金が交付金になったり、税源移譲があって自主財源が増えたような気がしても地方交付税は絶対減る、実質どうなるか計算してみてよ、強い都市と田舎、地方とは違うのではないのかと、こう言っておったのですが、どうも何かさっき申し上げたような感じがしまして、この三位一体の改革の評価については大臣の見解、どうとらえるか、お聞きをしたいと存じます。
  92. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今先生の方から幾つか御指摘ございましたけれども、こうしたことは私どもも謙虚にその御指摘は受け止めなければいけないと。ちょうど三位一体改革が行われておりましたときは私は地方の知事の立場でございましたので、その中でやはり交付税が随分削減されたなという思い、率直にございました。  それから、あと補助金改革も行われたわけでございますが、地方の自由度とか裁量の拡大ということになかなかつながらないものが大変多かったというふうに思っておりますので、そういう点からも、今御指摘いただきましたような受け止め方が各公共団体に多かったんではないかと私も率直に思っているところでございます。  確かに、税源移譲ということで、それまではとてもとても言葉にできないようなことが現実に行われたと。地方税の方に、住民税の方に随分移りましたので、そのことは分権に向けての第一歩と言いながらも、今申し上げましたような交付税の問題、特に削減が大変急激でございましたので、そのことについては地方財政を本当に直撃したなというふうに思っております。  今後、いろいろ改革がまた進められることになるわけですけれども、そういう中では、今回の行われました三位一体改革、このことというものも、そこでどういうふうなことになったのかということは当然重く受け止めながら考えていかなければならないというふうに思っております。
  93. 河合常則

    ○河合常則君 悪いことばかりでもなかったような気もするんですね、実は。  市町村合併とか地方分権の意識のこういう流れを受けてといいましょうか、地方財政の厳しさの打開についてお聞きをしたいと思いますが、実は、この三位一体の改革は、交付税も減ったということがありましたけれども、歳入における自主財源の率を高めたということも言えるわけでして、そのために、ある面では地方分権の意識も高まって、そして市町村合併を推し進めたということもあったのではないかというふうに、こういうふうにも見える、読めるわけでございます。  そういう意味では、国と地方を合わせた、そしてプライマリーバランスの黒字化を目指した財政健全化を進める国の方針のためにこれはやむを得なかったんだとは言っても、何しろこの交付税の減というものは地方自治体には特にこたえたんですよね。それで地域の元気がなくなったところもあるようになった、いいことは地方分権の意識が高まったということもあるけれども、とても耐えられないというか、ああ、大きなボディブローを食ったなという感じも、そういう感じを受けた地方自治体も田舎には随分たくさんあるんですね。  それで、この地方自治体の財政運営が非常に厳しいと先ほども申し上げましたが、そう思うのでございます。この地方財政の窮状を打破しなきゃならぬと、何とか打開しなきゃならぬと、こう思うのでございます。幾つかのことを一生懸命頑張っていただいて、少し明かりが見えるようでございますが、この平成二十年度にはどういう対策を立てたと、自信を持ってこれとこれはきっとプラスになったと思われるものを、大臣、御説明をいただきたいと存じます。
  94. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今、ちょうどまさしく先生お話ございましたとおり、三位一体改革、随分いろいろなことが行われたわけですが、そのことによって、分権のことを随分地方団体も真剣に考えるようになりましたし、それからぴりっとした面も確かにあったわけでございます。ただ、財政力の小さい団体になればなるほど交付税の削減ということは非常に大きく影響してきたわけでございますので、全国いろいろな地域を歩いてみましたけれども、そうした財政力格差の問題に対してきめ細かく対応していくことが必要だなと、そういう強い思いを抱くようになったわけでございます。  二十年度対策ということでお尋ねがございましたけれども、この中で一番大きなのは、やはり御議論がもう既に出ております地方再生対策費四千億円の創設でございまして、これは地方交付税の中で地方財政計画歳出特別枠として措置をしたものでございまして、この交付税の算定を通じて、特に市町村、財政力の厳しいところに重点的に配分するということを実現をしようとしております。  それから二点目、地方交付税総額についてでございますが、これも前年度と比べて二千億増額ということで、実質的な交付税、臨財債も含めますと四千億増ということで、これは平成十五年以来ずっと削減傾向がございましたのですが、久方ぶりの増額ということでございます。それから、併せて一般財源総額でございますけれども、これも前年に比べて七千億増やしまして、特に交付団体ベースでは前年と比べて六千億増額ということにいたしました。  このところ、この一般財源総額も、それから当然交付税も含めまして対前年比でマイナスマイナスで、ずっと歳出抑制抑制という、こういうことをやってきたわけでございますが、特に財政力の厳しい団体にとりましては、もうかなり限界に近いところまで見直しに次ぐ見直しをやってきたわけでございますので、そうしたところを中心に、きちんと私どもも措置をしなければいけないという思いが強かったわけでございますが、今回御提案しております内容はそういったものにこたえて、是非地方団体の方に政府の方向も変わったということを伝え得るような、そういうものにさせていただいたものでございます。
  95. 河合常則

    ○河合常則君 今お答えをいただきましたこの平成二十年度交付税総額が久しぶりに前年を上回ると、これは非常に地方自治体に対して力強い応援というか、メッセージになったと私は思っています。  ただ、この平成二十年の交付税総額を確保するために交付税特別会計借入金の償還は先送りされることになりました。先ほども質疑ございましたが、現在の国税収入の伸び悩みを踏まえると妥当な対応とは考えますが、交付税特別会計借入金の残高は三十四兆円でございます。計画的な償還が行われなければ、交付税制度の持続可能性を損なうことにもなるのではないかなという不安の声がないとは言えないと思うのでございますが、交付税特別会計借入金を今後どのように解消していくお考えか、お尋ねをいたします。
  96. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今の関係について、少し御質問も含めて御説明させていただきたいというふうに思っておりますが、交付税総額を確保してきた関係上、過去において交付税特会で借入れということが行われてまいりました。これが平成十八年度当初の段階で積み上がってまいりまして、残高が約五十三兆まで膨れ上がったと、こういう経過がございます。これはもう大変大きな額になりまして、このままではやはり国民の理解が得られないということで、十九年度には新規の借入れを廃止をして、既往の借入金につきましては国、地方がその負担区分を明確化する、そして償還もそれぞれの責任で行うと、こういうふうに制度を変えさせていただきました。具体的には、国負担分は五十三兆のうち十九兆円、それから地方負担分は約三十四兆円ということで、それぞれがその償還の責任を負うということで、地方の方はこの三十四兆円分について新たに償還計画を策定して、それで返し始めると、こういうことにいたしたわけでございます。  ところが、そういう考え方で今もいるわけでございますが、先ほど先生の方からもお話ございましたとおり、やはり地方団体の財政状況も今大変厳しいという中で、国税収入も実は鈍化がしてきているということでございます。そういったこともございましたので、まず交付税総額を二十年度以降確保しなければいけない。特に出口ベースの交付税総額を確保しなければいけないということがございましたので、そちらを優先をいたしまして、十九年に制度改正を行いました既往の特会の借入分の償還につきましては、十九年度から二十一年度までの償還分を二十五年度以降に繰り延べるということにさせていただいております。  しかし、これは出口ベースの交付税額を確保するということで窮余の策として送ったというようなことでございまして、やはり責任区分を明確化して、地方で負担をしておりましたものを地方の責任で返すということはやはりきちんと行っていかなければなりませんので、平成二十二年度以降の償還については、今後歳出の効率化それから歳入の確保努力を続けることによって、二十二年度以降の償還が開始できるようには、そこはきちんと努めていきたいと。で、十九年から二十一年度分の先送りしたものも含めて、全体としては償還計画の計画期間は変更してございませんので、その中で今後償還を行って既往の借入金の縮減は図っていきたいと、このように考えております。
  97. 河合常則

    ○河合常則君 分かりました。  次に、地域間の財政力格差の是正策についてお尋ねをいたしたいと存じます。  都市と地方との財政力の格差は大幅に増加してきております。まあ一例を挙げなくてもでございますが、一応挙げてでも、平成十五年から平成十九年度まで東京都の地方税収は一兆四千億円も増加しています。一方で、財政力指数、下から八つの県までの税収の合計は平成十九年度の予算ベースで八千五百億円でございます。これは東京都の税収の伸びにも満たない状況となっておりました。そこで、今回、都道府県税である法人事業税の一部を分離して新たに地方法人特別税創設をされて、そしてその収入額都道府県人口従業者数を基準にして譲与する仕組みが提案されております。  この仕組みで地域間の財政力格差は一定是正されて地方の苦しい状況が救われることになりますので評価するのでございますが、ただ今回の措置については、地方税を一部国税化するもので、近年の流れである地方税源の充実に反するという意見もございまして、先ほどもございました。私は、これは格好のいい建前と言っては非常に失礼でございますが、本当に地方の実情を分かっておられる意見なのかなという思いも実はしておりまして、本当にここはやっぱり、こういう知恵を出していただいた、よくここを考えていただいたなと思っていますが、この点についての大臣の見解をもう一度お聞きしたいというふうに思います。
  98. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 改めて今回の考え方について御説明させていただきたいと思いますが、地方税偏在是正措置、これはきちんと講じなければいけないというふうに思っておりますが、消費税を含む税体系の抜本的な改革のときに地方消費税の充実ということ、それから地方法人課税の在り方の見直しということの実現を図っていきたいと。これは他の社会保障との関係もございますので、どうしてもそれとの関係の議論をしなければいけないので、これはその際に実現に取り組んでいきたいと。ただ、その間まで今のままずっといくというわけにもいきませんので、それまでの間の暫定措置として今回の提案を措置をしたわけでございます。  地方法人特別税でございますが、形式上は今お話ございましたとおり国税であります。したがいまして、この点をとらえますと御懸念のような御心配もあるかというふうに思いますが、形式上は国税でありますが、実際に入ってくる税収は全額すべて地方の方に国から譲与をされると。ですから、国の方には全然残ることがなくて、その分は全部地方譲与されると。それから、実際の賦課徴収都道府県が行うということで、これは実質的には地方の税源と考えてよろしいというふうに私ども思っております。  それから、少し法制的な話になりますけれども、この地方法人特別税賦課徴収法人事業税の例によるということになっておりまして、一般的には国税の場合には国税通則法の適用があるわけですが、その国税通則法の適用を除外をしていると。さらには、国税徴収法上は地方税とみなすと、こういう規定になっておりますので、その二つの国税の法律の関係からもこれは地方税と考えてよろしいのではないかと。  そして、この地方法人特別税の企画立案というこの事務につきましては、これは国税でありますが、財務省ではなくて、総務省の所掌事務ということにしまして、その点も総務省の設置法を改正をして総務省の所掌事務の中に入れております。  以上、るる申し上げましたけれども、そういうことでございますので、今回のこの措置は、地方税改革基本方向というのは別途閣議決定で明確にしておりますので、その方向に沿った偏在是正の、小さい地方税体系構築に向けた措置であるということでございまして、この点、地方分権にも逆につながっていくというふうに考えておりますし、是非御理解を賜りたいというふうに思います。
  99. 河合常則

    ○河合常則君 暫定措置とはいいながら、この仕組みは非常にうまく考えられたと。まあ窮余の一策と言われる案でもございますが、ピンチで、いいチャンスにピンチヒッターが出たという、こういう感じもするのでございます。  さて、いわゆる日切れ法案であります地方税法等の一部を改正する法律案が成立しないまま今日を迎えてしまいました。三月中に審議することができずにこの四月に審議している状況になっておりますが、このこと自体極めて異例なことで、国権の最高機関としての国会の在り方自体が問われる事態になっておりまして、我々は深く思いを致すべきだというふうに実は思うのでございます。  もとより、政治は国民生活の安定と発展を目指すものであります。政治が混乱の原因になることは本末転倒でございますし、先般の与野党合意でいわゆるつなぎ法案、これが成立をいたしました。最小限の部分については混乱を回避することができました。しかし、たくさんの知事さん方からは、多くの知事からは、地方の予算を組んで新年度に向けた準備をしなければならない段階でなお結論が出ていないこと自体が混乱の原因であるとの非常に厳しい指摘もございました。事業の執行留保の都道府県が三十六県もあるという状況は私ども非常に心配でございます。  ところで、道路特定財源暫定税率については、その延長法案が成立していないことから地方団体からは財政運営に不安を覚える声が聞こえてくるところでございますが、一刻も早くこの改正法を成立する必要がございます。このまま改正法が成立しない場合、地方財政に大きな影響が及ぶと思いますが、その影響について総務大臣の見解をお伺いいたします。
  100. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今、地方の道路関係の税収は全体で二兆一千億あるわけでございますが、そのうち暫定税率を付してそして徴収している部分がその二兆一千億のうちの九千億、これは御案内のとおり四月に切れましたので、一年ずっとこのまま続けば九千億の税収が失われると、こういうことになります。  それから、これは国税の関係ではございますが、実質的に地方に回ってくるお金としてそのほかに臨時交付金というものがございまして、こちらが年間で約七千億ほどのものがございますのと、それから、国から来る補助事業についての補助金というものがございます。これが大体五千六百億ぐらいございますので、こうしたものが今回の暫定税率が期限切れになることによりましていろいろ影響を受けてくるであろうというふうに思います。  したがいまして、これは公共団体でもいろいろ難しい御判断はあったと思いますけれども、今年度の予算を組む際に昨年末から今年の初めについていろいろ見通しを立てられたんだと思いますが、多くの団体がそのまま暫定税率が続くと、こういう前提の下で予算を組んでいるわけでございまして、当然それは、道路についてはいろいろ時間を掛けて地元の皆さん方とお話などをしているわけでございますので、そういう計画的な執行という観点からいいますと、やはり継続的に事業を実施していかなければならないものが当然多いわけでございますので今年度の予算にもそういったものを計上しているんだろうと思うんですが、今、四月になりましてからこういう事態になりましたので執行を留保するという団体が、都道府県レベルの調査でございますが、今お話ございましたとおり四十七都道府県のうち三十六が執行留保ということでございます。  それぞれ、今後またどういうふうに見通すかということをいろいろ今、中で御検討されている、あるいは心配されているんではないかというふうに思いますけれども、この三十六の中で道路関係事業予算を執行留保しているのが多いわけですが、道路関係だけでなくて、そのほかの普通建設事業、ですから、恐らく河川ですとか、それから砂防ですとか港湾とか、そんなことも含めて全体の執行を留保してもう少し様子を見ようと思っている団体もございます。これが四団体ございます。青森、広島、山口、佐賀といったところがそういうことのようでございます。御回答ございました。  それから、普通建設事業予算以外の経常的経費も含めて今執行保留をするというふうに言っていますのが七団体ございまして、この団体、宮城、山形、栃木、石川、三重、京都、それから福岡といったところがそちらの方で回答してきておりまして、当分の間様子を見たいと言ったり、あるいは、ソフト経費について二〇%の配当保留を実施をすると、そんなような回答も寄せられております。  そういう状況でございますので、私どもも、地方財政を預かる立場としてその影響を最小限食い止めたいというふうに思っておりますし、それから、地方団体歳入不足が生じたものは、これは国の責任において何とか対応は講じたいということでその旨を申し上げておりますけれども、何しろ、ずっと続きますと額が大変大きな額になってくるところでございます。  私ども、もう昨年度から、法案提出する立場もございますので、いずれにしても法案の一日も早い成立をお願い申し上げる立場でございますのでそのように申し上げますし、地方財政などへの影響については是非お考えいただきたいと。それから、私どももその影響が最小限になるように努力を傾注していきたいと、このように考えます。
  101. 河合常則

    ○河合常則君 この影響が非常に本当、最小になるようにしなきゃならぬと、私もそう思います。みんなで力を合わせねばならぬのではないかと思っています。  さて、あともう二つ聞きたいのでございますが、ふるさと納税についてでございます。  去年のゴールデンウイークに当時の総務大臣が、ふるさと納税の導入に向けて検討するとおっしゃいました。これはある面では非常な評判を呼んだといいましょうか、国民的な議論、巻き起こりました。私も、当時この実現に大きな期待を持った一人でございます。  それぞれの人もそうだと思いますが、僕の周りにも、進学や就職でふるさとを離れてそのまま都会に住み続けた、そしてそこで家庭を持ったことになった人もたくさんおられます。そして、田舎にいる年老いた親のことを考えておる人もおるでしょうし、仲間や先生や先輩、同級生のことを考えておる人もおるでしょうし、まあ、ふるさとは遠きにありて思うものというふうにして思っておられる人もおられるようでございます。  本当に、兄弟や両親と一緒に住んでいたかったけれども、田舎にはおれのいる場所がなかったと、仕方なく都会へ出てきたんだという人もおられますし、考え方ではございますが、ふるさとに特別に良い思い出のない人もあるのでございますが、いずれにしましても、本当、青雲の志を抱いてふるさとを出たけれども、にしきを飾ることができない、余裕がないという方もおられるわけでございます。  いろんな思いの人がおられると思いますが、世話になった町や村、学校や先生や先輩たちに何かできればいいなという善意のふるさとへの感謝の気持ちにこたえる制度は非常にいいんだと思うんですね。ただ、さわやかに、田舎からの物ごいでない仕組みができればいいんだと思うんですね。これ、そういうことを実は考えておったわけでございます。  しかし、寄附金控除という方式では十分なインセンティブにならないんではないかなと心配していましたが、今般の見直しでは、既存の寄附金税制を活用しながら、税額控除の導入や足切り額の引下げなど様々な工夫を加えることになっていまして、利用しやすいような仕組みになっていると思うのでございます。  このふるさと納税制度はたくさんの方々に利用していただけるものと思っていますけれども、それで、一人でも多くの方がこの制度を利用してふるさとに対する温かい思いを形にしていただけたら本当にいい日本ができるのではないかなと思っていますが、要するに、私はPRが要るんではないかと、もっと上手に。  そこで、改めて今度の、今般の地方税法改正に盛り込まれた個人住民税における地方公共団体に対する寄附金税制見直し、いわゆるふるさと納税について、この趣旨と仕組みの概要とかPRの仕方を御説明いただければと思います。
  102. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) やはり今お話がございましたとおり、納税者の皆さん方のふるさとに対する思いというのは実に様々であると思いますし、また、これは時と場所、それから年代を超えて大変強いものがあるのではないかと。そういうふるさとに対する思いというものを是非生かすような、そういう仕組みというものを税の場面でも構築をしていくということが大事ではないか、そして、そのことは更に言えば、我が国ではまだ他の国に比べて十分根付いていないと言われているいわゆる寄附の文化、そうしたものに対してその意識を根付かせるということにつながっていくと、こういうふうに思っております。寄附文化を醸成する、寄附意識を醸成するということにもつながることでございまして、今回、そういう上で地方公共団体に対する寄附金税制の大幅な拡充を行ったわけでございます。  具体的には、この控除方式を、従来の仕組みですと所得控除という形になってございましたけれども、それを税額控除ということで、より効果の大きい方式に改めました。さらには、寄附金のうち適用下限額の五千円を超える部分について、個人住民税所得割のおおむね一割を限度とするわけでございますが、所得税と合わせて全額を控除と、こういうことにいたしましたので、納税者の皆さん方のふるさとに対する思いというのをそのまま生かせるように、よりそういうことに結び付くような、そういう制度に変えたところでございます。  この制度の理解を十分に得る、そして国民の皆さん方によくPRするということが大変大事でございまして、その点については国も、それから公共団体にもいろいろとこの制度の趣旨、考え方を説明をもう既にしてございますけれども、そうした上でよく国民の皆さん方に分かりやすいようなPRに心掛けたい、そして是非国民の皆さん方のふるさとに対する思いというものをこうした形で是非実現をしていきたいと。  今、地方の方で限界集落等いろんなことを話をされておりますけれども、何もそれに対しての対策のためということでは決してないわけでありますけれども、しかし、いろいろなふるさとに対しての問題、そういうことも含めていろいろそういう実態を理解していただくということにもつながっていく制度でございますので、今先生お話しのとおり、とにかくPRが大変重要だというふうに思っております。その点についてはこれからもよく工夫をして実施をしていきたいというふうに思います。
  103. 河合常則

    ○河合常則君 最後、もう一点だけよろしくお願いします。  公益法人制度の改革地方税改正がされますので、お聞きします。  今度の公益法人制度の改革は、新たな非営利法人制度を創設をして公益の増進を図るための抜本的な改革というべきでございます。  現在の公益法人制度は許可主義を取っていまして、法人の設立と一体的に公益性が判断されてまいりましたけれども、新しい制度においては法人の設立については準則主義になりました。設立が容易になったのでございますが、別途、公益認定の仕組みを設けて公益認定の委員会が統一的な基準に基づいて公益性の判断を行うことになったことですので、新しい制度の下での法人は公益認定を受ける法人と受けない法人とに分かれることになるんだというふうに思います。  今年の十二月からいよいよこの新たな公益法人制度が動き出すわけですが、この制度改革に対応して適切な税制を仕組んでいくということは大事なことだと思っています。  地方税のうちの固定資産税については、現在の制度では、民法第三十四条の法人が設置する幼稚園、医療関係者の養成所、社会福祉施設、図書館、学術研究施設については非課税とされておりますが、今回の公益法人制度改革を踏まえた今度の固定資産税における非課税措置をどのように改正するのか、お尋ねをいたします。
  104. 河野栄

    政府参考人(河野栄君) お答えいたします。  お話しいただきましたように、今回の公益法人制度改革によりまして、今年の十二月一日から設立につきましては準則主義によりまして登記のみで設立できるという制度に移行いたします一方で、公益認定につきましては民間有識者による委員会の意見に基づいて別途認定を受けていくと、こういう新たな制度に移行することになっているわけでございます。  こうした新制度の移行に伴いまして、固定資産税の非課税措置につきましてこれに対応した改正を今回の法案の中でお願いしているわけでございますけれども、その内容、三点ございます。  まず一つは、一般社団法人又は一般財団法人に移行するまでの間、経過的に特例民法法人という形を取るわけでございますけれども、この特例民法法人につきましては現在の民法第三十四条法人に対する非課税措置をそのまま継続するということにいたしております。  また、お話しいただきましたけれども、現在非課税措置が講じられております民法第三十四条法人が設置する施設につきましては、新制度において公益認定を受けた法人が設置するものにつきまして同様の非課税措置を講じることにいたしております。  また、三点目でございますけれども、民法第三十四条法人から一般社団法人又は一般財団法人、公益認定を受けない法人でございますけれども、こうしたものに移行した法人が設置する既存施設につきましては平成二十五年度分まで非課税措置を継続すると、こういう措置を講ずることにいたしております。  なお、この一般社団法人又は一般財団法人が設置する施設の二十五年度分までの措置が切れた後の取扱いでございますけれども、これにつきましては、固定資産税において一定の用途に使用する施設につきまして非課税措置が講じられてきた経緯、こういうものにも留意をしながら、新制度への移行の状況あるいは施設の使用実態等を踏まえました上で平成二十五年度までの間にできるだけ速やかに検討すると、こういうことにいたしておるところでございます。
  105. 河合常則

    ○河合常則君 終わります。
  106. 末松信介

    ○末松信介君 自民党の末松信介です。  先ほど吉川さんが暫定税率導入以後に生まれたと。私は昭和三十年ですから、二十四年に揮発油税ができまして、二十九年に特定財源になったんですよ。特定財源以後にちょうど生まれたと。えらい違いなんですけれども、そういう立場から年齢に応じた質問をさせていただきたいと思います。  今日の質問は自治体病院の問題を中心にしまして質問いたしてまいりたいと思います。  少し長くなるんですけれども、先週の土曜日に神戸大学の教授がお見えになりまして、実は臓器移植の議員立法を是非やってほしいと、この陳情にお見えだったわけなんです。大変熱心なお話をされて感激をいたしたわけなんですけれども、その後医療の現場の話がいろいろ出てきまして、先生どういうことをお考えかなと思ったんですけれども、やはり今の医療というのはいろいろ問題があると。  例えば、医師とか看護師が本来担当すべきでない処置というもの、これを自分たちがやらなきゃならないということ、コメディカルの問題ですね、こういう話が出ました。二つ目は、運営交付金が下がってくると同時に診療報酬も下がってきたという、こういったダブルパンチの問題もあると。それと、同じ値段で同じ医療を受けると。二十年たったベテランの医師であっても数年たった医師であっても、治療行為に対しては診療報酬が一緒であると。こういった問題も少しはあるんじゃないか、考えていくべきじゃないかという、そういう議論もありました。特定機能病院と一般病院との格差のこともやっぱり考えていかなきゃいけないという話もありました。専門医制度をつくるんだったら、これは付加価値もやはり考えていかなきゃならないという議論もあったんです。今は使命感で耐えているということなんです。  ただ、印象的だったのは、やはり医療現場に義理と人情がなくなったという話をされたんですね。やっぱりこれがないといかなる現場でもうまく回転していかないという、私はそのことが大変寂しいと。だから、自分も医師として、国民の一人として今日議員のところへ陳情に来られたということでありまして、土曜日の休みにお見えになったわけであります。  そこで、話はその地域医療の話になってきたんですけれども、やはり臨床研修医の新しい制度になりまして、昔だったら医局が幅を利かせていましたから二年間田舎へ行って頑張ってほしいと、そしたら二年たったら勉強してもらえるように都市部の病院へ帰ってきてもらうからということが言えなくなってしまったと。行ってもらったら今度は自分で探してこなきゃならないという、そういうことでありますから、非常に医局の機能というもの、影響力が低下をしたという話が返ってきたわけであります。  地域医療の現状と課題というのはここ二、三年、国会あるいは地方議会におきましても大きな社会問題となっています。で、自分なりに幾つぐらいのテーマがあるんだろうということを考えてみましたら、医師の総数不足の問題があります。医局の影響力の低下の問題があります。国民の大病院志向、専門医志向が大変強くなってしまっているという問題があります。勤務医の負担が随分大きくなったわけですね。それとこの医療訴訟というものが増大してきたと。医者は大変怖がっています、この問題については。五つ目はやはり医師が、先ほどの医療訴訟の関係もありまして、この選択診療科について眼科とか皮膚科とか非常に偏りが出てきたということがあります。それと医者は一年間に三千五百人誕生します。しかし、一年間に四千人が開業していくという問題があります。昔だったら五十歳代で開業していたのが今は三十代と四十代で開業する方が多いという、こういう問題があります。それと女性医師が増えてきたと。これはいいんですけれども、その力を一〇〇%引き出していないということがあるんですよね。だから、女性医師をどうバックアップしていくかということも地域医療にとっては大きな課題になってきたということです。それと合併後の地域医療の充実という、合併して良くなったらいいんですけれども、統合されてしまってそれが地方議会の選挙の争点になったケースもあったんですよ、こういう問題があります。それと自治体病院の赤字の問題。こうしたことが十項目ぐらい整理したら出てきたわけなんですけれども。  これからの医療、地域医療ですけれども、多くの関係者の方々がお話をされておりますけれども、医療にとどまらず当然保健並びに福祉事業との連携ということで地域包括のケア化ということが大変重要な課題ではないかと思うんです。  私は、経済財政諮問会議の話ではないんですけれども、今の医療というのはやはりここ何年かは提供する側の論理が大変強いと。医療を受ける側、患者側の論理に果たして十分立っているだろうかということ、このことが大変心配です。最近、増田大臣も福田総理ももう医療費の削減ということについては一つの限界に来ていると、限界感が否めないという話が出てきたという点は私はやはり注目すべき内閣の姿だなということを、そういうことを考えているわけであります。  今、平成十五年から、この地域の自治体医療の状況ですけれども、十五年から十九年の四月一日までの間ですね、医師不足とか赤字の経営によりまして全国約千あります自治体病院のうち六病院が閉院となりました。もう大臣はよく御存じだと思うんです。十七病院が民間に移譲をされました。この二十三件のうち七割に当たる十七件が平成十七年以降の二年余りに集中しているという点がやはり医師不足問題が急速に深刻化した表れだなということを思います。  で、平成十九年七月に全国の自治体病院協議会がまとめた平成十八年度の決算調査報告書によりますと、調査に参加した病院が五百三病院あるんですけれども、赤字病院の割合が七四・四%です。これは前年の六二・四%から一〇ポイント以上上がっていると。赤字病院が実は七割を超えるというのは、昭和四十八年以来、もうこれ三十数年ぶりの過去最悪という状況になっているわけであります。  で、地域医療に関しては地域行政とか地方議会も当事者意識が随分欠けておりまして、長年もう大学の医局に任せておってお任せ病院経営をしてきたというのが実態だと私は思っております。しかし一方で、良い影響として自ら地域の医療は自分たちの手で守ろうという動きが出てきておると、後ほど御紹介しますけれども、そういう動きが出てきたというのは大変いいことだと思うんです。自治体病院にとってこの医師不足と赤字経営というのは共通のテーマとして続いているわけなんですけれども、こうした中で公立病院ガイドプランでは計画策定期間内である三年以内を基本として経常収支の黒字化を求めておられます。難しいことですけれども、求めておられると。  かつ、自治体病院には、へき地、小児、産科、救急、結核、感染症、精神、高度専門的医療などを引き続き求められているわけなんですけれども、こういう時代の変化が起きつつある中、自治体病院の存在の意義ということと、一体何を変えていかなければならないのかということを大臣がどのように考えておられるのか、是非この機会に教えていただきたいと思います。
  107. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今、先生の方から自治体病院の抱えておりますいろいろな現状分析がございました。全く私もそのとおりであると。全国自治体病院協議会の資料等もございましたが、本当に七割をもう超える病院が赤字になってきてしまっているので大変今厳しい状況なんですが。  改めてもう一度申し上げますと、この自治体病院でございますが、これは民間医療機関による提供が困難なところでも常に維持をしていかなければならないわけでございまして、その意味は大きく言いますと私は三点あるのではないか。一つは、やはり過疎地での医療をこの自治体病院が担っている、守っているということ。それから二つ目は、救急等のいわゆる不採算医療、それから政策医療と言われるような分野ですね、こういうところなども自治体病院が担っていると。それから三点目は、がんセンター等の高度先進医療というところもこの病院が担っている。ほかにもございますが、大きく言いますとこういった三点が特に公立病院などの役割の大きなところだというふうに思っております。  しかし、この公立病院、都市部にある公立病院とそれから地方部にある病院とそれぞれ状況は異なっているというふうに思いますけれども、押しなべて今経営状況というのは大変厳しい。これは、公立病院であるがゆえに、先ほど言いましたように、政策医療と不採算の部分を担っているということがもちろん大きな原因でもございますが、一方で、民間にないような、なかなか柔軟な病院としての経営ということに欠ける面も実はあるのではないか。空床率、空きベッドの数ですが、それが民間病院に比べてやはり大きいところが多かったり、あるいは、人件費等も他の民間、周辺の病院に比べると過大なところもございます。それから、市町村合併が行われて、そして同じ市になったわけでありますけれども、その中にこうした自治体病院が複数存在して、特に診療科目ごとの調整等がまだ十分に行われていないところもあるといったようなこともございます。  そうしたこともございますので、私どもの方で改革に向けてのガイドラインというものをお示しをして、それも踏まえて、やはり改革プランというものをそれぞれ作っていただいて、そして今後の自治体病院の意義ですとか、それから在り方を住民の皆さん方にも十分お示しをしていただきたい、それから改革にも取り組んでいただきたいと、こんなふうに考えているところでございまして、特に、民間医療機関が多く存在するのは、都市部に仮に自治体病院があるというものについてはより積極的な改革に取り組んでいただきたいと、こういうふうに考えているものでございます。
  108. 末松信介

    ○末松信介君 ありがとうございます。  大臣がおっしゃるとおり、この改革のガイドプランですね、これがうまくできればいいんですけれども、なかなかまだいろいろとそれぞれの地域ごとに問題が違ってきますので、よく地域で考えてもらわなきゃいけないと思うんですけれども。  身近な話なんですけれども、実は兵庫県に県立の柏原病院というのがございまして、これ新聞で、ここの医者がいなくなってしまって地域が困っておるという話題が新聞に掲載されたんですけれども、丹波市の県立柏原病院の小児科が昨年春、危機を迎えていたと。新臨床研修制度の影響で医師が減少していたところ、近くの病院が産科から撤退したあおりで新生児の患者が急増。四月には小児科医二人のうち一人が院長になり、外来診療を制限せざるを得なくなったと。で、展望が持てないということで、一人でこの小児科を受け持つ和久先生という方が、もう辞めようと決意を実はされておられたんです。  この病院の窮状を知った同市内のお母さん方が四月に結成したのが、昨年四月ですけれども、県立柏原病院の小児科を守る会というのを、これを実は立ち上げました。署名も一か月で五万五千集めたそうなんですよ。  どういうことをやっていったかといったら、とにかくコンビニ感覚で病院受診を受けるのはやめようじゃないかと。ある程度の家庭の医学、知識というのはやっぱり持っていなきゃ、考えなきゃいけないと。子供を守ろう、お医者さんを守ろうという呼びかけのチラシを作って、熱が出た場合、吐いた場合などチェック項目を決めて、大至急救急車を呼ぶ場合、かかりつけの医者、医院で受診をする場合、様子を見る場合という、そういう工夫をされたわけです。その結果、昨年の四月から十二月で救急外来受診者数は四百十人となりまして、昨年同期の九百三十七人から随分下がったということなんですね。だから、やはりいろいろと考えなきゃならないと、地域に住んでいる方。  私は、そういうことも、総務省はやっぱり財政課とかいろんなところへ職員の方が出ていっていますので、是非ともそういうトップマネジメントの会議でこういった動きを促進、加速すべきだということを、そういうことを僕は呼びかけていただきたいなということを思います。  この成果もありまして、今は常勤の医師が二人加わることになりまして、小児科の存続にめどが付いたということでありまして、神戸大学から医者が行ったということでうまく順調にいっているわけなんですけれども、こういうことを是非考えていっていただきたいと思います。  次の質問は、公立病院の今日の経営状況に組合がどういう影響を与えたのかということをお尋ねしたいんです。  病院経営の話をしますと、必ず組合という話が出てくるんです。私も長く県議をやっていましたから、ずっとこの話が出てきたし、県立病院の管内の調査を回ったときにも何となく何となく伝わってくると。いろいろと組合の選挙か何かがあったときでも、患者の見える場所にビラを張っていた。これは良くないでしょうということを言ったら、やっぱり組合の方もそれはそうだということで外されたことがあるんですけれどもね。やはりかなり活発な動きをされていたということが分かったわけなんですけれども。  私は、組合がその気にならないと経営は改善できないと思うんですよ。組合がやっぱり立ち上がってこうしようという御提案をいただかないと、活力に満ちたより良き病院というのはやっぱりできないと、私は公立病院ではそのように考えておるんです。  どういうことがテーマとなった労使交渉であったかということですね、このことを我々も分からないんですよね、実際のところは。情報公開されていないんですよ。しかし、これは契約締結権も何もありませんから、ある面では紳士協定でやっているということなんです。覚書も一切外に出されないわけなんですけれども。  この公立病院の今日の経営状況に組合はどういう影響を与えたのかということを私の今の話も踏まえてお答えをいただきたいと思います。
  109. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 公立病院の経営の中で、例えば医業の費用ですね、医業の費用の中で職員の皆さん方の給与費、これが大体半分でございます。したがって、こうした職員の給与費をどのようにしていくのか。これは、管理者の側からとっても非常に重要な事項でございますし、また、職員の団体側からは、勤務条件の改善を求めるという立場からは、常に管理者の皆さん方に対していろんな働きかけが行われているわけでございますし、特に給与というのは大きなテーマにもなります。したがって、双方にとりましても、この経営という観点については大きく影響が及ぶというふうに考えるわけです。  先ほど申し上げましたガイドラインの中で経営形態を見直しをするというようなことを私どもも是非行っていただきたいというふうに思っていますが、そのことは取りも直さず、いろいろなところに見直しを行っていかなければならないわけでありますので、職員の皆さん方はとても強い関心事項でもあろうというふうに思いますし、それから、管理者側への働きかけも随分そのことによって行われてくるであろうと。  私は、今のお話に沿って申し上げますと、いろいろ現場の方に聞きましても大きく二つあって、労使間の折衝とか意見交換については、当然病院経営の大きな一環でございますので、できるだけ情報公開をしていく、住民の皆様方にお知らせをしていくと、こういう考え方もございますし、一方で、直接の当事者にしてみれば、これは必ずしも組合だけではなくて、管理者側にとりましても、現に折衝中の事案についてなかなか情報を全部を開示していくと率直な交渉などに差し障りがあるんで、現実にはそれを控えるような傾向になってしまうという話も聞いたことがございます。  いずれも、それぞれ現場でやっている人たちの切実な本音が表れている部分はあるなというふうに思うんですが、ただ、今置かれている公立病院の状況、それから経営も大変逼迫している、そして多くの場合に一般会計から当然繰入れをしているということで成り立っている公立病院でございますので、経営の状況がどうなっているか、それからいろいろその細目がどうなっているかというのは、住民の皆様方に公開をする、お知らせをしなければやっぱり成り立ち得ない。そして、先ほどのような住民の皆様方の協力というのも、そういう内容が明らかにされていることを前提に地域の皆さん方も病院にいろいろと協力を申し出るということにつながっていくんだろうというふうに思いますので、私は、そうした病院の経営の状況についてもでき得る限り明らかにしていく、オープンにしていくということがやっぱり望ましいんだろうと。もちろん、これはタイミングとか、それから全部が全部、今現在進行形中のものをその都度公開するということは現実にはなかなか難しい場面もあると思いますので、そこは十分にタイミング等はお考えいただければよろしいんだろうと。  これは、もうそれぞれの公共団体において適切に判断をしてやっていかれるということだろうと思いますけれども、広く住民の理解がないと、こうしたものというのは今後は成り立っていかないだろう。特に、何でも大きな病院に来るということじゃなくて、地域で解決できることはいろいろ地域で解決していくということを病院の側からも今後お願いしていく場面が多いと思いますので、そういうことを考え併せますと、病院の管理者のみならず、職員の皆様方全部含めて、ひっくるめて、病院経営ということについて住民の皆様方の理解を得るということにやはり意を用いていただきたい、そういうことに十分配慮していただきたいと、こんなふうに思っております。
  110. 末松信介

    ○末松信介君 堂々たる御答弁ありがとうございます。  この質問というのはやっぱり聞きにくいんですよね、我々も実際のところ。答える方も答えにくいんですけれども。しかし、これを抜きにしては、組合の方の存在を抜きにしては、やっぱり経営の改善は絶対できないということは我々分かっているわけなんですよ。  大変御丁寧な御答弁をいただいて、情報公開はできるだけやっぱりやっていくべきであろうということと、住民の理解を求める上で必要であろうというお話もありました。  私は、労働組合の皆さん方が、労働条件に固執する余り、今までの既得権をずっと守っていこうとするというところがあろうかと思うんですけれども、それについて覚書に交わされていてなかなか外へ出ないという問題あるんですけれども。もう願わくば、組合の存在は当然あってしかるべきだし、組合は組合できちっとした活動をされるべきなんですけれども、いったんこれだけの難しい時代になって、病院がひょっとしたらなくなってしまうかもしれないと、一般地方独立行政法人になったらこれは非公務員化ですから。こういう状況に立ち至った場合、一度そういった既得権というのは白紙に戻して積み上げるやり方なんというのはできないのかなということを、そういうことも実は思ってしまうんです。まあ組合の私専門じゃないんで分かりませんけれども、そういうことも一度是非話し合っていただきたいんですけれども、どういう労使交渉がなされているかということはなかなか伝わってこないわけなんです。  で、管理者側、まあ使用者側も悪いですよね。やはり県立病院の管理局長というのは、これ大体九級とか十級ですから、ほとんど定年の前の方が来られる。あるいは、そこで転出しても、二年後にはもう定年というクラスの方が来られるから、何が問題かといったら、やっぱりきちっと組合の方と向き合って話をしているかといったら、自分の管理局長である時代には問題を起こしたくないということがある。それで、次の管理局長に漏らすと。次の管理局長さんも同じようにやると。で、病院事業管理者は、もめ事を起こすなってやっぱり概念があると思うんです、考えが。そういうところが、物の本質というものを私はやはりきちっととらえず、ずっと先送ってきた課題だというふうに、そのように考えております。  是非、いい提案というものを、地域医療にとってこうだという提案を組合の皆さん方にしていただけるような環境づくり、それと労使の在り方ということを是非御要望申し上げたいと思います。  じゃ、次の質問に移ります。  自治体病院の経営方法につきましては、これは地方公営企業法の一部適用、全部適用もあります。それと三つ目は、公設民営と言われますけれども、指定管理者制度があると。四つ目は、経営を民間法人に移譲するという民間移譲があります。五つ目は地方独立行政法人と。これももう一般と特定とに分かれていまして、一般が非公務員型、特定がこれは公務員型ということになっているわけなんですけれども、実は今年の四月の一日に、非公務員型のいわゆる一般地方独立行政法人になった病院がございます。那覇の市立病院なんですけれども、実は知り合いがおりましていろいろとお話を聞かせていただいたんですけれども、随分いろんな苦労を重ねてこられた上で出した結論だったわけなんですね。もうちょっと時間がなくなってきたので話は省略しますけれども、一つの大きなきっかけとなったというのは、この七対一の話なんですよね。入院基本料の七対一ということです。  私ここでずっとお尋ねをしたいということがありますのは、厚労省は、この医療費の診療報酬の改定で看護師を増やして手厚い看護体制を取ればこれは点数を上げてあげようという、そういうことを言っている。しかし、一方総務省は、国の公務員削減に沿って四・六%の人員削減計画、これを出していると。ということは、一方は手厚くしなさいと、一方は手厚くしないような方向性と。現場は随分矛盾していると思ったそうなんですよ。これについてどういうように考えられるかということを一つお尋ねしたい。  二つ目は、この自治体病院がなぜ七対一の体制が難しいかといいましたら、これは定員条例の縛りがあるんですよ。もう一つは、久保局長も御存じのとおり、年功序列の給与体系による赤字体質というこの二つがあるわけなんですよ。これが七対一に実施できなかった大きな原因なんですよね。公務員削減計画においては、自治体病院の、この職責というんでしょうか、職員については例外扱いするという方法もあるんですけれども、実際は急性期の病床を減らして入院日数を減らしてとかいう一方で考え方があります。こういった中ではそういうことも極めて難しいということもよく分かるんですけれども、この二点をどのように考えられるかということの所見を伺います。
  111. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) きちんとしたお答えになるかどうかちょっと自信がないところがございますけれども、地方公務員の職員総数、これはもうただいま御指摘の中にもございましたように、私ども、この二〇一一年度までの五年間で国家公務員の定員の純減、これは五・七%でございますけれども、これと同程度の定員の純減を行うことを要請をしております。病院事業につきましては、これも御指摘のように、収入確保との関係上、弾力的な定員の配置といったようなことが求められる場合があるということは、これは事実であろうと思います。ただ、いわゆる基本方針二〇〇六、これは公務員数の総体に着目してその削減を求める趣旨でございまして、病院事業に関係しております職員が地方公務員としての地位を有する以上、総体としての削減対象に含める取扱いとされるということはこれはやむを得ないだろうと考えております。したがいまして、各地方公共団体におかれましては、病院事業において必要な人員を配置しながら、他部門を含めた地方公共団体全体としての所定の職員数の削減を図られるということを私どもとしては期待をしているということでございます。  また、この問題を考える契機となったと委員御指摘がございましたけれども、私ども、今回十二月の二十四日に出しました公立病院改革ガイドラインというのがございますけれども、この中で、非公務員型の地方独立行政法人化でございますとか、あるいは指定管理者制度の導入といった経営形態の見直しにつきましても、平成二十年度、今年度に検討してもらうように要請しております公立病院改革プラン、この中で是非とも御議論をしていただきたいと考えております。  公務員総数の削減と病院事業において必要な職員の弾力的配置の要請、この両立を図りながら、なおこの職員の給与体系の見直しを図るといった、そういった契機とする上で、こうした経営形態の変更を通じた民間的経営手法の導入、これは有効な手段の一つであろうと考えておりますので、各地方公共団体において積極的に検討していただきたいと、そのように考えております。
  112. 末松信介

    ○末松信介君 局長の御答弁、よく分かります。しかし、なかなか解答は、これ出すのは難しいですね、はっきり申し上げたら。そう思います。  この市立那覇病院の先生の話では、最終的には非公務員型の独立行政法人になったんですけれども、公務員という身分と定数、年功序列の給与体系に固執して、少ない定数看護師で厳しい勤務体制を続けて疲弊していくのか、それとも独立行政法人化、非公務員型で定数に縛られず必要な看護師を正職員で確保、ゆとりのある質の高い看護をしていくのか、決断のときが思ったより早く来たということで、組合の方とも話しながら決断をしたということで、その成功を望むわけなんですけれどもね。  ファクスをずっと、ちょっと送っていただいたら、公立病院の問題というのは地域や規模によって異なるものがありますが、私は個人的には、医療職は公務員の身分より医療の担い手としての使命感が強く、またそうでなければならないと思っていますと。日本の医療のセーフティーネットはやはり公的病院が守るべきだし、そのような公立病院に働くことに誇りと生きがいを持っていますと。  彼女は、よく言うのは、公立病院は、さっき大臣が答弁されましたけれども、やはり最後のとりでだと言うんですよね。結局、民間が不採算になったら、救急とか高度医療だったら、高度医療の場合不採算になりますから放していきますけれども、公立は逃げられませんし、やっていかなきゃならないと。だから、やっぱり最後のとりでだということを言った、そのことを言ってましたです。それと、やはりつらかったのは、リストラのために地方独立行政法人化したのかと言われることが大変つらかったということを言っております。  今日、二月十七日、朝の「サンデーモーニング」に増田総務大臣が出ておられましたが、県立病院の多い岩手県知事がやっておられただけあって、よく理解されていたように思いましたということが書いてあります。男っぷりがいいとは書いてなかったんですけれどもね。でも、僕は見てないんですよ、そのテレビを見てないんですけれども、大変いいお話を何か「サンデーモーニング」でされたということを聞いております。そういうことでありますので、またよろしくお願い申し上げます。  どんどん時間がなくなってまいりましたので、次の質問に移ります。  自治体病院の財政上の危機には一時借入金の問題がございます。多くの自治体からは補助金とか負担金が出ているわけなんですけれども、金融機関からも一時借入金を行うことが多うございます。現状はどうなっているのか、全体の状況と、ベストというよりワーストテンを教えていただきたいと思います。
  113. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 経営上資金不足が生じた場合、一時借入金によって御指摘のように当面の資金繰りを行うといったことになってまいります。実質的な一時借入金の残高、これを測定する指標といたしまして、公営企業会計におきましては貸借対照表上の流動負債から流動資産を差し引いた計数を用いるということにいたしておりまして、これを不良債務と称しております。  平成十八年度決算におけます病院事業会計における不良債務の総額、これは百四事業体で計九百五十三億円となっております。額が多い順から申し上げますと、大阪市が百二十八億円、一部事務組合下北医療センター、これ青森県にございますけれども、これが七十六億円、沖縄県が六十億円というふうになってございます。なお、大阪府につきましては平成十八年度から地方独立行政法人になっておりまして、大阪府立病院機構と称しておりますが、公営企業会計で言う不良債務に相当する額は五十三億円となっております。沖縄県に次いで全国で四番目に相当する金額でございます。そのほか、小樽市、神戸市、赤平市、釧路市というところが不良債務が多いというところでございます。
  114. 末松信介

    ○末松信介君 ありがとうございます。  地方公営企業法第二十九条によりますと、ちょっと六法全書を調べてきたんですけれども、借りたお金は原則その年度中に、遅くとも翌年以内に返済しなくてはならない。ところが、自治体財政も厳しいため、一時借入金を返済できず借金が増え続けている病院があるわけなんですね。これは、その一時借入金、二十九条、ここにちゃんと書いてあるんですけれども、これは法律に違反をしておるというように我々受け止めておるわけなんですけれども、これはちょっとおかしなことなんですけれども。  それで、病院事業債発行額と病院事業にかかわる普通交付税の額の推移を見ますと、昭和六十年度にはその差は五百億円程度であったわけです。景気対策が続いた平成年度以降では一千億円前後に膨らんで、病院事業債発行額のピークであった平成年度においてはその差は千五百億円を超えております。地方財政の悪化とともに病院事業債の発行額は急激に減少することになるわけなんですけれども、その償還額が膨らみ続けております。にもかかわらず、病院事業にかかわる普通交付税額は平成年度以降横ばいが続いているという状態なんです。一時借入金については、平成年度九百八十一億円まで縮減したものの、その後の景気対策等のため千六百億円前後で続いております。また、この地方財政計画ベースの病院事業会計に対する公営企業の繰出金と、決算ベースの病院事業会計と一般会計その他の会計からの繰入金を比べますと、繰入金の方が常に一千億から一千五百億上回っているということなんですよね。これはもう久保局長はよう知っておったようなんです、この辺の話は。  これは、地方財政計画ベースでの普通交付税措置が不十分であるということを示しているんじゃないかと私は思うんですよ。このことはよく議論されるんですけれども、局長大臣の答弁をいただきたいと思います。
  115. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 一部の病院事業体、病院事業を経営している地方公共団体では、もうこれは御案内のとおりでございますけれども、近年の医師不足の深刻化などによりまして資金不足が発生する一方で、医療提供体制の見直しとか費用の削減合理化、こういった努力がまだ十分ではないといったようなことで、一時借入金、不良債務、これが累増するといった傾向も見られます。  また、御指摘がございましたように、一般会計繰入金に関係いたします地方財政計画の計上額と決算額との乖離でございます。これは、地方財政計画の計上額は、例えばへき地医療でございますとか救急医療といった能率的な経営をもってしても採算が合わないと、あるいはその採算を合わせるのが適当でないといった、そういった経費、これは地方公営企業法十七条の二というのに基づきまして、私ども、繰り出し基準というのを作っておりますけれども、この繰り出し基準に基づいて算出をいたしたものでございます。  他方で、決算統計の繰入れ実績額、これ一千億円の乖離があると御指摘がございましたけれども、これは個々の病院事業体ごとの繰入れ実績の積み上げでございまして、地方財政計画額を上回っておりますのは、これらの中には、必ずしも明確な繰り出し基準によることなく現実の病院事業運営の結果生じた赤字を補てんするといった目的で、地方公共団体の判断によって繰入れが行われている場合があるというふうに考えております。  現在、過疎地などにおきます病院とか診療所、これは近年の医師不足によって特に経営が悪化しているということがあることも事実でございますので、私ども、年末のガイドラインにおきまして公立病院特例債というものを新たに六百億円の規模で設けて、短期のそういった一時借入金増加額、不良債務の増加額を長期債に振り替えるといった、そういった措置も講ずるようにいたしております。  またさらに、このガイドラインを作りました母体となった公立病院改革懇談会というのがございましたけれども、そこの場でも、病院建物の建築費とか病床数に応じた財政措置について一定の限定を付する方向で見直すべきではないかといった、そういった御意見もございまして、そうした公立病院に関係いたします地方財政措置、これを今後やはり見直す必要があるだろうと、こう思っておりますので、そういった中で、御指摘があった点も含めて財政措置の重点化につきまして検討していきたいと考えております。
  116. 末松信介

    ○末松信介君 最後の質問をします、あと礒崎先生が続きますので。  決算統計では、公立病院に対する一般会計繰出金、この負担金の性質によりまして、医業収益、医業外収益、これは一つの収益として整理することになっておるんですけれども、一般会計繰出金の額が地方公共団体間で大きく異なっている実態を踏まえますと、公立病院の経営の比較を行う場合、経常収支の成績と医療成績とが必ずしも連動していないと思うんです。つまり、経常収支は良いけれども病床利用率、診療単価が悪い病院がある。一方で、経常収支は悪いけれども病床利用率が高くて診療単価が高い病院があると。  平成二十年度に各地方公共団体が公立病院改革プランを策定する場合、数値目標を設定するよう総務省はこれを指導しております。しかし、他団体と客観的に経営比較を行わなければならない場合、適切な数値目標の設定が大変難しいと思うんですよ。そこで、総務省においては繰出金の額に影響を受けない経営指標、さっきちょっと話がありましたけれども、経営指標を作成し、それを地方公共団体に提示すべきだと考えますけれども、この点を伺いたいということと、もう一つは、公立病院に対する一般会計繰出金が地方公共団体間で大きく異なっている実態を踏まえますと、まあ発射台が違うわけですね。この繰り出し基準をもう少し、さっき繰り出し基準はあるとおっしゃいましたけれども、もう少しこれを具体化する必要があると考えるんです。その見直しに当たっては総務省が一方的、事務的に決めるんではなくて、例えば医師なんかを入れて専門的な第三者機関をつくってはどうかということを提言申し上げて、最後の質問に代えます。
  117. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 御指摘の公立病院、この不採算の部分につきましては、一般会計の負担金などによって賄われることが地方公営企業法第十七条の二などによって認められておりますので、その算定基準、すなわち繰り出し基準に基づいて所定の繰り出しが行われますと経常黒字が達成される状態となるということ、これすべての公立病院に共通することでございまして、それを前提といたしまして数値目標設定のこの経常黒字というのを必須の項目といたしております。  その一方で、これも御指摘のように、経常収支比率には一般会計などからの現実の繰入額の大小が反映されますので、ガイドラインでは経営環境が類似した病院間で言わば実力ベースでの比較を行おうとする場合にはむしろ医業収支比率を用いる方が適切なことも多いのではないかと、こういったこともガイドラインの中には明示をしております。  そして病院事業におきます繰り出し基準、これは繰り出すべき経費の考え方を定性的に示すということに留意しているというのが多いわけでございますけれども、これはやはり全国で約千の公立病院が置かれております経営環境は、立地の条件、都市部であるとか農村部でありますとか、あるいは一般病院か専門病院かといった医療機能などによって様々であるということがございますので、一律の定量的基準を設定するということはこれなかなか困難だということでございます。  したがいまして、具体的な一般会計との間の負担区分のルール、これは各病院の実情に応じて各地方公共団体において定められるべきものと考えております。この度のガイドラインでも改革プランを作りますときには、まず最初にそれぞれの病院、この果たすべき役割、これを十分議論していただいて、そして一般会計がどのような形で負担していくのか、独立採算ができない部分についてはこれはもう法律上負担しなければいけないわけでございますので、そういったことをまず徹底して議論をして病院ごとにその性格を明らかにしてほしいということをまず申し上げております。そして、そうした改革プラン等を作ります場合には、御指摘がございましたように、第三者で組織される評価委員会等で議論をしていただくということが望ましいと考えております。  私どもといたしましても、各地方公共団体改革プラン策定作業の参考としていただけますように各団体における具体的な負担区分の事例、これを収集して、そしてそれをそれぞれ紹介をしていきたいと考えております。
  118. 末松信介

    ○末松信介君 残余の問題につきましては、また次回質問させていただきたいと思います。大臣局長には丁重な御答弁ありがとうございました。  終わります。
  119. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 自由民主党の礒崎陽輔でございます。  四月四日、参議院本会議におきまして、地方税法等の一部改正法の趣旨説明が行われまして、ようやく本日、委員会審議が始められたわけでございます。  総務委員会高嶋委員長以下、理事の皆さんの御配慮により、参議院の常任委員会の中でも最も円滑で円満な審議が行われていると考えております。このことについては敬意を表したいと思っております。  しかるに、二月二十九日に衆議院から送付された地方財政関連法案年度を超えて審議をするに至ったということについては、私は誠に残念でなりません。二月二十九日の衆議院における採決の在り方については、民主党の皆様には我が党とまた異なった様々な御意見があったんであろうと私も推測はいたしております。しかし、そうだといたしましても、議長あっせんがある中で、衆議院送付後、年度を超えて三十五日間も審議入りをさせなかったことについてはやはりやり過ぎではなかったかと私も思うところでございます。  過ぎたことを言っても仕方がございませんが、当総務委員会所管の法案地方行政に密接に関連するものばかりでございますので、今後の委員会審議に当たりましては、特に民主党を始めとする野党の委員の皆様の御尽力を賜りますようにお願いを申し上げておきたいと思います。  それでは、地方財政問題について議論したいと思います。  ここまで何度か大臣との間で地方財政基本的な問題について議論をさせていただきました。今日もその延長のような話になりますけれども、まず、これも三位一体改革と絡むんですけれども、最近、我が自由民主党の中の幹部、特に大臣経験者であるような大物の議員の先生が、もう地方も余り税源移譲ということを言わぬ方がいいんじゃないかと、国から税源移譲を進めるとかえって地域格差が広がるじゃないかと、だから税源移譲を求めるよりも、はっきりと地方交付税増額を求めていく方が地方としてはいいんではないかと、そういうことを言う。割とこれは地方財政や国の財政が分かっている大物議員がそういうことをよく言うわけでありますが、こういうことを言われている中で一回、増田総務大臣がこの意見について、税源移譲よりも地方交付税の増額の方がいいんじゃないかという意見について、どういう御見解を持っているか、お伺いをしたいと思います。
  120. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 先般、先般といいましょうか、この十六年から十八年、具体的には十六年から十八年に行われました三位一体改革に対しまして、いろいろ自治体サイドからもなかなか辛い評価が出ておりますし、そうしたことを踏まえて、今後どう進めていったらいいかという中での御発言かなというふうに今思って聞いておりました。  さはさりながら、やはり自主財源である地方税を充実させるということは、これは分権の方向からいいましてもやはり大事なことでありますし、中心はそうした地方税を充実させるということを十分に今後行っていかなければならないと私考えておりますが、その際に、御指摘いただきましたように、やはり地方団体間で財政力の格差が拡大するということがあっては、やっぱり国民の間に不満も生じますし、それから今後の発展も著しく不均衡なものになるということでございますので、そうした面では財政力の差が拡大しないように、今日も申し上げておりますが、より安定的で偏在度の小さい地方税体系構築していくということで地方税を充実させるということが必要だというふうに思うんです。  そして、それでもやはり税の仕組みから公平性ということが、もう先生御案内のとおりですね、大変強く求められるものですから、どのような税を取りましても何らかの偏在というのは必ず生じます。この偏在が生じますけれども、これを埋め合わせるものとして地方交付税というものがあって、そこが財源保障ということと同時に財源調整機能というものを発揮をして、それで全国一定の水準の行政サービスというものが提供されるということになるわけでありますので、私はこれからのことも考え合わせますと、やはり偏在性の少ない地方税というものを中心に据えて、それに地方交付税を合わせて地方団体が自由に使える一般財源というものの額をきちんと確保すると、そして、それを今後も充実強化させるということが大変大事ではないかと。そのためにいろいろな制度設計をしていく、そこに知恵を絞っていくべきではないかというふうに思っております。
  121. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 今大臣がおっしゃったように、地方交付税というのがあるんですね。それが地域間格差を是正する非常に重要な手段であると私も考えます。  ところで、特に竹中総務大臣のときに、不交付団体を増やそうと、これは全く分からないわけではないんですが、そういう動きがあって、そういうことがあったわけでございますが、これはどういう理由で不交付団体を増やそうという話になったんでしょうか。これ財政局長の方にお伺いします。
  122. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) これはただいま大臣から御答弁があったとおりでございまして、地方分権でありますとか地方の自立といったことを考えますためには、やはり交付税に依存しないで自らの財源である地方税によって財政運営を行うということが望ましいと、理想だということからそういうことを言っておるわけでございます。  私どもといたしましては、今後、地方の自立性を確保していくためには、地方財政の健全化を図るための地方歳出の抑制でありますとか、地域経済の活性化による地方税収の増でありますとか、税源移譲を含めた税源配分の見直しによって地方税を充実していくといったことが重要であると考えておりまして、こうした取組を着実に進めることによって不交付団体が増加していくものと考えております。
  123. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 御答弁はよく分かりますが、ただ、不交付団体を増やすということは、結局財政調整の対象になる団体が少なくなるということですね。だから、不交付団体は非常にある意味豊かになるかもしれないけれども、そこは財源調整が掛からないんではないかという私疑問を昔から持っておりまして、例えば昔考えたのは、義務教育費国庫負担金、これはいろいろこの前の補助金の削減でも議論になりましたけど、私、これ例えば全部交付税に振り替えたら東京都が交付団体になるんではないかというような計算をやってみたことがあるんですけど、これやってみたけどやっぱり義務教育費国庫負担金だけでは東京都は交付団体にならないということが分かって、ああ、そうかということをしたんでありますけれども。  こういうように国庫補助金を整理して一般財源である地方交付税の基準財政需要額を増していくということによって要は地域間格差を是正をしていこうという考え方も私はやり方としてはあると思うんですけど、こういう考え方は今のいろいろとお話あるような地方財政のあるべき姿から見ると間違った方向なのかどうなのか、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  124. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) やはり分権改革進めていく上で、地方団体の自主自立、それから責任をそれぞれ持ってしっかりと取り組んでいただく。その中で、住民と真っ正面から向き合って、やはり自主自立、それから責任も伴うようなしっかりとした行政を展開していく上では、やはり課税自主権を各団体が十分に行使をしていくということは大変重要ではないかと。そういうことによって地方団体の行政にも大変緊張感が増してくるわけですし、無駄な歳出もしないようになるわけでございますが。ただ、そういう中で、私どもも、今、税収比で国、地方が六対四のものを当面五対五にしようということで、したがって税源移譲を中心に考えていかなければならないと言っていますが、今委員の方から御指摘ございましたとおり、先生から御指摘ございましたとおり、そのことが団体間の格差を拡大するような方向になってしまっては元も子もないわけですし、それからあと、地方団体の財政調整ということについては交付税という重要な機能もあるわけでございますので、私は、両方をうまく組み合わせるということが大事ではないか。税体系も偏在性の小さな税体系を構築するということにしていかなければならないのは、不交付団体を増やすということで、先ほどお話ございましたとおり、その数がどんどんどんどん増えれば交付税規模とかそれから財源調整の範囲というのは狭まってくるわけですから、やっぱり常に偏在性の小さい税体系を構築するということを念頭に置いて税体系も構築していかなければならないと思いますし、その上で交付税の機能が十分発揮できるような額の確保ということをうまく組み合わせれば、これからの分権に沿う形で財源地方団体としても確保できるというふうに考えております。
  125. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 今日はあえて逆説的な質問ばかりをさせていただいているところなんですけれども、先ほどから出ています三位一体改革で、これももう大ざっぱなことを言いますと、およそ三兆円の国庫補助負担金を整理して、おおよそ三兆円の税源移譲を行ったと、まあおおよそで言えばそれでいいと思うんですけれども。結局これについて地方が、プラスマイナスでは地方財源は増えていないと、結局それは地域間の格差を拡大させただけだと言っている地方の人がかなりいるんですね。  私は、これは何度もこの委員会でも言いましたように、それぐらいの覚悟はあったはずだと思うんですね。まず何よりも、大臣もおっしゃるように、税源の移譲という、大きな税源の移譲というのは今までできなかったわけですから、それを大きな税源を地方に持ってきたことが非常に私は大きかったと思うわけでありますけれども、何かまだ地方ではこういう情けない言い方をしている、まあ交付税の話はちょっとおいておいての話ではありますけれどもね。  やはり、税源移譲というのは私は良かったと基本的には思っておるんですけれども、まだまだこういう意見を言う人が多いものですから、ここのところもまた逆説的な質問として大臣のコメントを一ついただいておきたいと思いますので、いかがでしょうか。
  126. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 確かに、この三位一体改革、財政的な自立を確立するためということで、税源移譲というのは、地方団体にとってもそうでございますし、それから多くの地方自治関係者、学者の皆さん方も含めて、税源移譲ということを現実に地方自治の世界の中で行われるなんということはもう大変容易でないことだというふうに思っていたわけですが、それが三位一体改革の中で三兆円というまとまった額で行われたということは、やはり分権に向けての一歩だったというふうに思うわけです。そのことによって、当然交付税も削減されましたけれども、各関係者が地方分権ということを更に真剣に考えるようになったきっかけにもなりましたし、そういう意味で大きな歴史的な意味も有しているというふうに思うわけです。  ただ、交付税等の抑制が一方で大変急激でございましたので、厳しい財政運営を迫られるきっかけにもなったということは否めない事実でありますし、そういうことがまた今の地方財政状況にもつながってきているということでございます。  したがいまして、今後、今分権委員会でいろいろ議論がなされているところでございますけれども、地方分権を考えていく上で、先ほど来先生のお話にもございましたとおりの、やはり税の問題、それからそれを含めた財政の問題、そしてあとは自治体の意識の問題、本当に分権を自らの手で勝ち取るだけの気概を各自治体には持っていただきたいというふうに思いますし、そういう自治体の意識もちゃんと踏まえた上での分権の議論というものを進めていかなければならない。そして、私は、これ希望でありますが、是非各自治体にも自ら勝ち取るものだということでの気概、心意気というものはしっかりと示していただきたいなと、こういうふうに思うわけでございます。
  127. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 どうもありがとうございました。  少し技術的な話になりますけれども、その交付税なんですけれども、全国知事会の調査によりますと、基準財政需要額と決算が違うこと、これを決算乖離といいますけれども、特に教員や警察官の人件費、これも法定の定数だけの比較でもちょっと乖離が出ていると。また、公債費についても、これも繰り入れるというのはないわけではございますが、留保財源を充ててみたところでもまだ乖離があると、そのように全国知事会等は主張しておるわけであります。かなりこれ大きな決算乖離が生じていると思うんですが、それどういう理由で生じているのか、あるいはそれはきちんと交付税で見てもらえないものだろうか、そういう疑問がございます。これは局長の方から御答弁お願いします。
  128. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 教員でありますとか警察官、これの人件費、あるいはその公債費のうち標準的な行政に要する経費でございますけれども、これは、御指摘がございましたように地方財政計画歳出に計上するということで所要財源を確保しております。  地方交付税の算定に用いる基準財政需要額には、地方財政計画歳出のうち、国庫補助負担金等の特定財源でありますとか、地方税収のうち基準財政収入額に算入されない、いわゆる留保財源で対応すべき経費、これは算入しないということにしておりますために、地方財政計画に計上した歳出と基準財政需要額に算入する経費とは一致しておりません。  教員及び警察官の人件費につきましては、国庫負担金が充当される部分を除いて、おおむね地方財政計画計上額、これを基準財政需要額に算入しておりますけれども、平成十五年度都道府県分の留保財源率を二〇%から二五%に引き上げておりますけれども、この際に、各都道府県の留保財源状況にかんがみまして、都市部の職員に支給する地域手当、当時は調整手当と言っておりましたけれども、この算入割合を引き下げたことなどによって、地方財政計画と完全には一致をしないという状況が生まれております。  また、公債費のうち投資的事業の財源として発行されました地方債の元利償還金につきましては、投資的事業が地域の実情に応じて実施される裁量の大きいものであるということを踏まえまして、その一定割合を留保財源によって対応すべきものと整理をしております。一方で、臨時財政対策債でありますとか減税補てん債といった財源対策のために発行される地方債につきましては、その元利償還金の一〇〇%を基準財政需要額に算入をしております。  今後とも、地方公共団体の意見をお伺いしながら、経費の性質などに応じて適切に算定をしてまいりたいと考えております。
  129. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 その辺、大事なことですので、よろしくお願いしたいと思います。  先ほど、大臣からありました近々の税制の抜本改革、それをにらんでいかなきゃならぬと思うんですけれども、それを考えるときに、住民税のやっぱり前年度課税というやり方が非常に、その改革を考えるときにスピード感がないんじゃないかとか、あるいは今ボーナスから源泉徴収をしていないものですから、非常に何か住民税が過大に国民には感じられると、そういうことがあります。  したがって、抜本改革をにらむと、やはり住民税も何とか現年課税ができないか、あるいは国税と同じようにボーナスからも源泉徴収できないか、そういうやっぱり国税とある程度平仄をそろえて分かりやすい税制体系にしていく必要があると思います。それについてちょっと税務局長の御意見を承りたい。
  130. 河野栄

    政府参考人(河野栄君) お答えをいたします。  個人住民税につきましては、お話がございましたように、住民の前年中の所得課税標準として課税する前年所得課税方式を採用しているわけでございますけれども、一般論といたしまして、所得課税につきましては所得の発生時点と税負担時点をできるだけ近づけることが望ましいと、こういう御指摘はあるところでございます。個人住民税を現年所得課税とする場合には、こうしたことで、所得発生時点と税負担時点が近づくことによりまして、納税者の納税の際の負担感が減少するという効果が期待できるわけでございます。  ただ、一方で、この現年所得課税方式といたします場合には、新たに個人住民税に係る年末調整が必要になるわけでございまして、そういうことによりまして給与支払者の事務負担が大変増加をすることになります。さらには、納税者の方も所得税とは別に個人住民税について申告を行っていただく必要が出ると、こういう課題もあるわけでございます。  また、お話しいただきましたボーナスからの特別徴収の仕組みでございますけれども、このボーナスの支給額、支給するかしないかも含めまして、これは企業の業績によって変わってまいりますので、現在のような前年所得課税方式においてこのボーナス徴収の仕組みを導入するということは大変困難でございます。この現年所得課税方式に移行した場合にはボーナスからの徴収も可能となるというふうに考えられるわけでございますけれども、ただ、先ほど申し上げましたように、この現年所得課税方式に移行することにつきましては、新たに個人住民税に係る年末調整等の事務負担が増えると、こういった課題もあるわけでございます。  いずれにいたしましても、こうした問題も含めまして、この個人住民税の課税方式につきましては、政府税制調査会におきましても、社会経済情勢の変化を踏まえて納税者等の事務負担にも留意しつつ現年課税の可能性について検討すべきと、こういった御指摘もいただいておりまして、大変困難でありますが、重要な課題でございますので、よく検討してまいりたいというふうに考えております。
  131. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 どうもありがとうございました。
  132. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  四月八日、新年度に入りました。道路特定財源が失効したわけでございますが、テレビでも新聞でもいろんなことが報道されているところであります。ガソリンスタンドに三月三十一日の夜から並んでいる姿でありますとか、あるいは四月一日になって、本来税を含んだ形で販売しようとしていたものがお昼ごろになって転嫁できずに値段を下げざるを得ないような、そういうガソリンスタンドのことが報道されていたり、あるいは買いだめに走るような雰囲気が出たり、いろんな影響性があるんだろうというふうに思っております。  また、課税の現場でもどうなのかなというふうな心配するわけでありますし、また場合によっては、本来国民の生命や安全に不可欠な救急車とかあるいは消防自動車とか、そういう燃料切れで動かないみたいなことが発生しないかとか、いろいろ現場でのことが想定されてきたわけでありますが、一週間たちましたその現場での、例えばガソリンスタンドもかなり経営が厳しいだろう、なってくるのではないか、そんなものも含めて、現場の状況と対応策につきまして、総務省、それから経済産業省にお伺いをしたいと思います。
  133. 北川慎介

    政府参考人(北川慎介君) 御説明申し上げます。  ガソリンスタンド事業者は、元々激しい競争の下で大変厳しい経営環境に置かれておったわけでございますけれども、今回の事態を受けまして、売上高の大幅な変動によります資金繰り悪化、それに加えまして、従前の税率で課税済みであります在庫、これの価格転嫁ができないということから更なる収益の悪化が懸念されておるところでございます。  実際に、資金繰りにつきまして事業者からの相談を受けるため全国に特別相談窓口を設けておるわけでございますが、七日間で六十二件の相談が既に寄せられてございます。事業者の方々は厳しい経営環境にあると認識してございます。  こうした状況におきまして、事業者の資金繰りあるいは経営への影響をできる限り軽減するために、政府系中小企業金融機関によるセーフティーネット貸付けを利用可能としたところでございます。四月一日以降、特別相談窓口を通じまして承諾いたしました融資、保証は既に九件、一億四千万円ほどとなってございます。  さらに、信用保証基金によります特別信用保証の借入れ限度額の拡大、そして運転資金の借入れに対する特別利子補給制度の新たな実施と、こういった対策を四月一日から行うということにしておるところでございます。  このような対策を実施していきますとともに、今後ともしっかりと実態を把握いたしまして、状況の推移に細心の注意を払い、ガソリンスタンドの資金繰り支援あるいは経営の安定化に万全を期していきたいと考えてございます。
  134. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 課税現場の方につきましては私の方からお答えを申し上げますけれども、昨年の末でございますけれども、暫定税率が切れるという予測が付きました時点で、関係するところ、地方団体、それから関係者の方に周知徹底をするようにいたしました。特に、課税関係につきましてはいろいろと細かな作業が必要になってまいりますので、そうしたものについて関係業界に課税関係の周知、それからあと納税者の方からも問い合わせが当然寄せられるであろうということで、それについても適切に対応するように地方団体に要請をいたしました。  これまで、やはり現実に問い合わせ等も寄せられております。販売業者の方から課税関係の照会があったり、それから一部苦情なども現実には寄せられたということもございましたけれども、しかし、四月一日、それから四月二日時点でございまして、その後はそれぞれについて適切に対応して大きな混乱は生じてないというふうに聞いております。  いずれにしても、そういった課税現場での今のところは状況でございますけれども、今後またこれがずっと続いていきますと、いろいろな意味で自治体の方でも対応に苦慮するということでございますので、その点については、私どもとしても影響を最小限にすべく全力で取り組んでいきたいというふうに考えてございます。
  135. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 テレビとかで見ていますと、何か、消費者心理でしょうか、ガソリンを買いだめするような動きがあるやに見えているわけでございますけれども、昔、私が学生のころなんかは、石油ショックでトイレットペーパーを買いだめたというおばちゃんがいっぱいテレビでありましたけれども、ちょっとトイレットペーパーとガソリンとは随分違うなと。マイナス四十度で引火するようなものでございますので、これはちょっと大変なことになるんじゃないかなと。やっぱり消防庁もしっかりやってもらわぬといかぬと思いますが、その辺、どういうふうに展開されているのか、お示しをいただきたいと思います。
  136. 荒木慶司

    政府参考人(荒木慶司君) 総務省消防庁では、引火点がマイナス四十度C程度と非常に火災の発生危険性が高いガソリンを買いだめすることによりまして人身事故や火災が発生するのを防止するために、三月三十一日付けで、消防機関やガソリンスタンドなどの関係団体に対しまして、ガソリンの貯蔵は極力控えること、灯油用のポリ容器にガソリンを絶対に入れないこと、こういったことにつきましての指導、広報を徹底していただきますよう要請したところでございます。  また、ガソリンを灯油用のポリ容器に入れます等、これを防止するために、啓発用のポスターを全国のガソリンスタンドで掲示をしていただいておりますことや、またポスターのリーフレット版を全国の自治会、町内会におきまして回覧していただくようにお願いをしているところでございます。  さらに、ガソリンの危険性を広く一般の方に認識していただきますために、四月十八日に消防研究センターの一般公開がございますが、その際に、ガソリンの大変恐ろしい火災危険性を視覚的に訴える実証実験を実施いたしまして、報道機関にもこれを公開いたしますとともに、映像資料を提供していきたいと考えております。また、全国の消防機関におきましても、ガソリンスタンドへの立入検査など、あらゆる機会をとらえまして安全な取扱いの啓発活動に努めていただいているところでございます。  今後とも、国民による適正なガソリンの取扱いが行われ、火災事故等が発生することがないように積極的に啓発・広報活動等を行ってまいりたいと考えております。
  137. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ガソリンスタンドもセルフのスタンドが多くなってきまして、自分たちで入れているということがあるわけで、ちょっと国民一般にこのガソリンの危険性を、まあなめてきていることはないとは思うんですが、やはり今おっしゃったような形で徹底して周知していただきたいというふうに思っております。  じゃ、エネ庁さん、消防庁さん、退席していただいて結構でございます。  それで、年度を超えて、今日から実質審議に入っているわけで、委員会としての審議に入っているわけでございますが、地方歳入欠陥等による影響、これも先ほど来から、本会議でもそうですしこの委員会でも大臣自らお話をしていただいているわけでございます。予算の執行保留が四十三都道府県に及んでいると、経常的なものまで影響があるというようなお話をしていただいているわけでございますが、それは調査して、そういう計数として集めたと思いますが。  昨日、我が党に地方六団体の麻生全国知事会長、また家元丈夫都道府県会議長会長等がお見えになったんですね、どうも総理官邸にもおいでになったようでございますけれども。麻生会長は、総務省の調査で、四月一日現在、期限切れの影響により全国三十六道府県で道路事業の一部の予算の執行を保留されているというふうにされているけれども、実際には、全四十七都道府県が事実上執行保留で大変な事態になっているという言い方されているんです。温室効果ガスの排出削減など環境重視の潮流にも逆行する、地方財政や必要な道路整備のため是非暫定税率を復元してほしいと強く訴えたというふうに、うちの、我が党の党代表太田昭宏に言っているわけでございます。  また、地方をどう活性化するかというのはもう本当に大きな政治課題でございますけれども、これ道路を、例えば道路工事やってそれが四月一日から保留になっているよというふうになりますと、これテレビでもございましたけれども、そこで働いている作業員の人が仕事がなくなるということでございまして、地方経済も、経済ということだけでなく雇用そのものが深刻な影響を受けているぞというのが実際の姿ではないかと思っております。  ですから、単に三十六道府県というだけじゃなくて、もっときめの細かい影響というものを早急に調査していく必要があるんではないのか。何か四月十八日には地方六団体、憲政記念館で大きな声を上げて早く戻してもらいたいという気勢を上げるようにというようなことも言っていたようでございますけれども、もっと深刻な事態になっているということを総務省も自ら発信をしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  138. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 知事会長さん、昨日関係のところをいろいろ回っておられました。六団体の皆さん方も引き連れて回っておられまして、独自にいろいろと関係のところとお話しになっていろいろな情報をお持ちになっているんだろうと。それから特に、福岡県内の市町村の様子などは直接いろいろお話をお聞きになっているでしょうから、そうした情報も入っておられるんだろうと思います。  私どもも、私のところにも、今回の調査自身は緊急に都道府県に対してやっておりますけれども、市町村長でも、いや大変困ったと、それで当面様子を見ているというような、財政運営に非常に慎重な声が多く寄せられております。ですから、どこも今一体この影響がどういうふうに今後続いていくのだろうかということを皆さんかたずをのんで見守っておられるんではないかと、全体の影響額も測りかねているので、余計執行について慎重になっておられると。  私どもの回答でも、その他ですとかそれから今検討中というところも、いずれにしても執行自体については大変慎重な構えを皆さんお持ちになっていますので、ですから、公共団体全体としてはそういう今、空気が覆っているんではないかというふうに思っております。  我々もそうした各団体の様子についてはでき得る限りきめ細かく今後も把握していきたいというふうに思っておりますし、それから今ちょうどお話ございましたとおり、十八日にはまた公共団体の皆様方お集まりになって大会開かれるという話を麻生会長の方から私昨日承っておりますので、そうした中で地方団体の声というのはよく酌み取っていきたいというふうに思っております。
  139. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 私も去年選挙がありましたんで、都市部も地方もいろいろ回りました。  行った中で、例えば山の中はもちろんですが、海岸線沿っていても、例えば三重県の尾鷲から南というのは雨が多いし、国道四十五号線が通っているんですけれども、もうちょっと入ったらもう大変な状況でありますし、あそこ元々雨が多いの分かっていますから、三百ミリなんですね、雨量がですね、それ以上は通行止め、普通は二百五十ミリですけれどもね。そういうような大変なところで、はっきり言って今直轄事業もやっているんですが、その道路、命の道になっているんですよね。看板が掛かっている、命の道早くって。  だから、本当に先ほど救急車の話もありましたし、病院の話もございましたけれども、尾鷲から南、交通事故遭ったら絶対駄目だなと。だって、救急車で行ったってCTとかあるところは一時間以上掛かるわけですよね。そういうようなことを考えると、本当に道路きちっと整備しないと、あるいは地域の経済の発展も考えた上でも本当にこの道路財源をしっかりやらなきゃいけないなというふうに私自身思っているわけでございます。  自治体から見て、今回の国会を含むものも含めて、この日本というシステムが信用できるのか。よく外国でクーデターが多いとかいった場合、カントリーリスクなんという言い方しましたけれども、自治体から見て我が国のカントリーリスクということも考えなきゃいけないな。つまり、予見可能性がきちっと担保されないと、これはえらい経済の運営大変だなと。そもそも予見可能性ないところへ企業行きませんよ、引き揚げますよ。だから、この地域経済のことを考えても、やはりこれきっちり予見できるような状況にしなければいけない。  午前中、加藤理事の方からは、ねじれ国会のあったときの細川内閣の話がありましたけれども、しかし、あの細川政権のとき、参議院は、自民党さんは野党であったわけでございますが、きちっと歳入法案を通したんですね、これは。予算は通さなかったけど。そういうような多くの皆さんに影響ある部分については、やはり国会というものが意思をきっちり表明できる、そういう体制を取らなきゃいけないなというふうに思うわけでございますが、やはり今回の一件を通して、地方の国に対する信頼がかなり揺らいできたんではないのかな。  その対地方との窓口といいますか束ねが総務大臣でございますけれども、やはりその信頼をきちっと回復するにも、そういう方向性についての大臣の所見ございましたらいただきたいと思います。
  140. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 地方団体が三月三十一日に六団体合わせまして声明出していますけれども、その中でも、やはり地方団体の悲痛な思いというものがその中に出ておりまして、こうした地方団体の声というものをしっかりとやっぱり受け止めていかなければならないというふうに思います。  国として、やはり政府として、地方団体の当面の歳入の欠如というものに対しては責任を持って措置をするというふうに申し上げております。地方団体の方にその旨を伝えてあります。残念ながら、中身についてまだ具体的に申し上げるだけのものがないものですから、そのことが地方団体に本当にきちんと伝わっているかどうかということはございますが、国の責任でそこは措置するということについては、地方団体からも一定の評価はいただいておりますけれども、しからばどういうことなのかということを早くお知らせしてくれということも一方で聞いているところでありますが。  今お話ございましたとおり、カントリーリスクというようなお話がございましたんですが、やっぱりこれから分権を進めていく上で、地方の団体、県、市町村と国、政府というのはお互いに信頼関係の下に成り立っていかなければならないと、常に信頼関係を持った上で、お互いに対等平等の関係でこれからお付き合いをしていかなければならないということでありますので、今回のようなことで大きく地方財政運営に支障が生じるようなこと、あるいはまた地方に大きく心配を掛けるようなことは、これは極力避けなければいけないことであります。  私ども、そういうことを深く思っておりますし、今地方団体にお示しできることは極力お示しをしたい。その上で、やはり今政府案を提出する立場として申し上げれば、是非法案を一日も早く成立させていただいて、そうした地方財政の問題に対しても対応ができるようにさせていただければと、このように考えております。
  141. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 もう質問あったかと思いますけれども、総務大臣談話で、三月三十一日、減収については支障が生じないようにと、国の責任において適切な財源措置を講ずる必要がありますということがございますが、具体的にはどういうようなことをお考えになっているんでしょうか。今、もちろん影響額等の見極めが必要でございますが、今御答弁できる範囲で、局長で結構でございますので、いただけますか。
  142. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 大臣談話、今、私、すぐ出ませんけれども、大臣談話にも書いておりましたように、直轄事業でありますとか補助事業とか、そういった全体の事業費はどうなるのかとか、まだまだ失効の具体的な影響額どうなるのかといったことがはっきりしておりませんので、確たることを現時点で申し上げることは、これはなかなか難しいということでございます。  ただ、国の責任において適切な財源措置を講じると、こういうふうに大臣談話で述べておりますように、私どもとしては、地方公共団体財政運営に支障が生じないように、先ほど申し上げましたことが確定いたしますと関係方面とも協議をしてまいりたいと考えております。
  143. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ところで、先般、いわゆるつなぎ法案という形で一部、税について非課税等の特別措置が延長という形になりました。例えば自動車取得税、これは議員立法でございますけれども、まだこの地方税法の中でたくさんな特別の措置があるわけでございます。  例えば、住宅取得者のいわゆる新築住宅特例というやつでございますけれども、住宅取得者の初期負担の軽減を図って良質な住宅の建設を促進するためということで、一定要件満たす新築住宅に係る固定資産税について軽減措置がございます。これは、減税額、平成十八年度でも一千四百三十九億円、かなり固定資産税の特例措置の中でも最大級ということでございますが、これは今回つなぎにのせなかったわけでございますが、ただ、この影響が、額もでかいものですから、やはり不利益が対象者に被らないように国として対応すべきと考えますが、御所見はいかがでございましょうか。
  144. 河野栄

    政府参考人(河野栄君) いわゆるつなぎ法、正式には国民生活等の混乱を回避するための地方税法の一部を改正する法律によりまして、自動車取得税特例措置のうちで暫定税率を除いた分、これにつきましては二か月間の延長をいただいておるところでございます。  ただ、今回政府提出いたしております地方税法改正案の中には、そのほかにも、三月三十一日に適用期限が到来いたしました非課税等特別措置の延長、あるいは四月一日から施行を予定しております特例措置の新設、こういったものを数多く含んでおるわけでございます。  これらの特例措置のうち納税者の税負担を軽減するものにつきましては、政府提出地方税法改正案が成立をすれば四月一日にさかのぼって適用することは可能でございますけれども、御指摘いただきました固定資産税の新築住宅特例を始めといたしまして多くの特例措置が現在失効している状態にございます。これによりまして、非常に課税関係不安定な状況にございます。ひいては国民生活や経済活動にも影響を与えるということになっておるわけでございます。  私どもといたしましては、こうした国民生活なり経済活動の混乱を最小限とするというためにも、一日も早い法案の成立が必要と考えているところでございます。
  145. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 次に、地方法人特別税譲与税のことでございますが、財政力格差是正する、去年も議論があったと思いますが、本来、偏在性が少ない消費税等を、法人税を返上して逆に消費税でやったらどうかというようなことだったというふうに思っておりますが、地方税の中だけの水平的な形でなってきたわけでございますが、その辺の経緯というものをちょっとお示しいただけますか。
  146. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 改めて申し上げますと、私どもの方で、今の地方税の中で法人二税の偏在性がかなり高くなっていると、税収が回復してきた中でその偏在が直近の時点で、これは平成十八年の決算の時点でございますけれども、六倍に上っていると。  地方税というのは、やはり偏在性が小さく、安定性のあるものにしていかなければならないという考え方からいたしますと、この点は見直しをしていかなければならないと。そして、安定性と偏在性の少ない税となりますと、やはりこれは地方団体からも意見をいただいているところでございますが、消費税地方消費税を充実強化するということが今後の方向であると、こういうことでございまして、今のまず都道府県法人事業税とそれから地方消費税をちょうど交換するような形で、そして法人事業税のうちの一部を国税化し、そして消費税のうちの一部を地方消費税という形で同額税源交換すれば御指摘いただきましたような地方税体系にこぎ着けられると、こういうふうに思いまして、総務省としてはそのような考え方を取りまとめたものでございます。  ところが、消費税地方消費税の関係につきましては、これは地方税の世界あるいは地方財政の世界だけの話ではございませんで、社会保障関係費などの場合でも常に消費税をどのように今後考えていくのかという議論と言わばセットのような議論になってまいりますので、この消費税の議論というのはまさに税の抜本改革時の議論ということになっているわけでございますので、この地方財政の問題についてもその際に併せて検討しようと、こういうことになりました。  ただ、検討を先送りして、そして地方税改革の方向を全く明示しないということであればいけませんので、今回は閣議決定をして、そして税制改正の要綱の中で地方消費税の充実ということも書きましたし、安定性があり、そして偏在性の少ない地方税体系構築するということをはっきりと書いて、今後の抜本改革時の議論はそこからスタートをきちんとしていくということと、それから併せまして、地方消費税を充実強化したのと全く同等の、いわゆる税源交換を行ったのと全く同等の効果が出るような形の税制改正を考えまして、それをそれまでの間の暫定措置というふうに措置をいたしまして、今回このように改正案を提案をさせていただいたものでございます。
  147. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今朝から暫定というのはどのぐらいの期間かというので、かなり、三十年という意見もあれば、先ほどは近々にというようなこともあったと思うんですが。  三月二十七日に福田総理が記者会見されて、この税制の問題についての思い切った意見表明をされました。その中に、道路予算に関連して、ガソリン税などの収入を道路整備にしか使えないとしている道路特定財源制度について、今年の税制抜本改革時に廃止し、二十一年度から一般財源制度として活用しますという文言が入っている。その次に、その際、地方財政に悪影響を及ぼさないような措置を講じますと、こういう部分があるわけでございます。  そうすると、今年の秋かなと。そうすると、本当に三十年なんてそんな話じゃなくて、本当に近々、もう来年はこの特別税がないのかなみたいな、そういうようなぐらいに、今年の税制抜本改革時、大変な議論が予想されるわけでございますが、期待しているといいますかね、地方の立場からすればですね、そんな思いがするわけでございますが、その辺は御見解はいかがでしょうか。
  148. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 三月二十七日の総理の提案がございまして、私ども内閣としてこの総理の提案に見解は一致しているわけでございますし、また、これは総理が与野党協議を促進するという観点からそういう提案をお示しになって、その上で与野党協議を今後進めていこうと、こういう考え方だというふうに思います。  したがって、その与野党協議の結果によっては当然その総理の提案というのはその部分が変わり得ることもあるわけでございますが、そういう性格のものだというふうに思っておりますけれども、これはいわゆる道路特定財源の問題がいろいろ問題になったときの提案ということで出てきているものでございますので、その範囲の中で、例えば暫定税率が今失効しているわけですが、そうしたことに対して地方財政上も大きな影響が出てくるんで、そうした道路の問題、そして特定財源の問題の中で地方財源には影響を及ぼさないようにそれはきちんと考えると、こういったことを書かれているというふうに思っております。  今申し上げております、というか先ほど来問題になっております地方税制の安定的な構築ということは、道路の問題と直接関係するというよりも、これは昨年の暮れから出てきている問題でありますので、今回の問題とは大きな観点では別に出てきているものということでございますが、いずれにしても、税の抜本改革、そして地方税の安定的な財源を考えていくということでは関係する部分というのは大変多いだろうというふうに思っております。  ですから、今後の与野党協議の進展ということにも絡んでくるんで、私も今この時点で確たることを申し上げる立場にもございませんし、またそれだけの、与野党協議が始まっているわけでもございませんので、それだけの内容のものを、今材料を持っているわけではございませんが、総理のこの提案を実現していく上でやはり税の問題というのをいろいろ議論していくだろう、そしてその中で地方の財政にも影響を与えないような、そういう問題というのがそこでいろいろと議論をされるというふうに思っておりますし、さらには、別途また社会保障との関係でもいろいろと地方税の問題というのは議論をされ得るということでございますので、全く全部が同じ時期に一致できるのかどうかということをなかなか申し上げづらいところがございますけれども、しかし、地方に関する税の議論というのは、そうした中でいろいろ多方面にわたって行われていくものだと、こういうふうに理解をしております。
  149. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 また、そこに向けてしっかり議論をさせていただきたいと思います。  寄附金税制改革について次にお聞きしたいと思います。  先ほど来からふるさと納税という話も出てきたところでございますが、三月の頭の方に新聞記事も載りました。かなり各地の自治体でPR合戦が熱くなっているというような角度からの記事なのでございますけれども、今回、個人住民税、下限が五千円ということでございますが、自分の住民票がある自治体以外にも寄附金として認められて、それが次年度の住民税で税額控除をされるということでございます。  各地の自治体かなり、一部紹介いたしますと、去年の九月から福井県を皮切りに山梨、長野、佐賀、三重、いろんな県がサイトを開設をする。山梨県はJ2のヴァンフォーレ甲府支援でありますとか、あるいは富士山の保全を打ち出しているようでございますし、長野県は唱歌の「ふるさと」の一節を冒頭に紹介してアピールをしているようでございます。福井県はふるさと県民カードというものを準備して買物を割り引くような形で持っていくようでございますし、また、おもしろいのはと言ったらおかしいですが、北九州市、五万円以上寄附した人に、小倉牛というんですか、牛肉の特産品五千円分相当を贈呈すると。まあ下限のちょうど五千円とも見合うような形で、かなりプレゼント競争にならないかというような声もあるようでございまして、自治体が寄附金集めのような労力を強いられると、強いられかねない状況も想定できるんではないかと思っておりますので、このような実態に対する総務省の御見解をいただきたいと思います。
  150. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今、幾つか自治体の例をお示しをいただいたわけでありますが、このふるさと納税を検討する研究会の中でも委員の先生方から、例えば特産品などの贈与をいろいろ乱発して、何かプレゼント合戦というふうな先生からもお話ございましたけれども、まさにそういったことがもうあちこちで行われるようになると、少しこの制度の趣旨と反するものになっていってしまうのではないかと、こういう懸念も示されたところでございます。  やはりこれはふるさとに対する思いというものを、やはりそういった思いにこたえる制度でございますし、各自治体がきちんとしたいわゆる善政競争のようなものをしていくということが大事でございまして、自治体サイドとしても良識あるといいましょうか、節度のある、良識ある行動を取ることが、より納税者の理解も得られるし、この制度自体に対しての創設趣旨ということもやはりそういうことにありますので、やはりその点については自治体関係者にも十分注意していただかなければならないだろうというふうに思います。  したがいまして、この制度の趣旨を、先ほどもお話ございましたが、特によく丁寧にPRをして、そしてこの制度を十分に多くの国民の皆さん方に使っていただくということが必要だというふうに思いますし、何よりも、それぞれの自治体でお集めをいただいた寄附金につきましてはちゃんとその使い道はきちんとお知らせして、それでその人たちの更に納得をいただくということが大事ではないかと。そのことがまたその後につながっていくわけでありますので、そういうことをきちんとやっていただくということが大変大事だというふうに思っております。
  151. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 私もこの寄附金税制改革は非常に注目しておりまして、日本の寄附金文化を大きく変えていくんではないのか。この自治体に対するふるさと納税もそうでございますけれども、いわゆる公益法人、今年の十二月に新しい公益法人制度をスタートするといいますか、なっていくわけでございますが、もちろん条例によって規定した上で、その公益法人について寄附した場合に住民税でも配慮をされるということでございますけれども、やはり今のふるさと納税も含めて、民による公益を支えるというこの寄附金文化というものを本当に大事にしていきたいなと思っております。  この公益法人、新しくなる予定の公益法人、いろんな活用の仕方があるんではないのか。住民の福祉の増進に役立つ公益法人に対する寄附という形でございますが、その使い道になると非常に、全国含めて、じゃそこに力を貸そうというような人がいっぱい出てくるんではないのかなと。やはりその辺も、今言ったようなふるさと納税より以上に、しっかりとした趣旨含めたPRが必要になってくるんではないのかなというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  152. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 例えば、今お話がございましたような民間の公益活動の促進ということは必要なことでございます。そうした中で、個人の皆さん方がいろいろ尊い志を持って寄附をされるということがその基盤にありますと、その活動もよりいいものになっていくわけでございます。したがいまして、今回、個人住民税寄附金税制を大幅に見直すこととしたわけでございますが、自治体の方でも十分に趣旨を理解して条例でそうした寄附金を指定をするということになりますと、大幅にこの寄附文化というものが醸成をされていくということにつながっていくわけでございます。  したがいまして、そのためにも、今、我が国にはそれほどそうした寄附の文化ということが根付いてない状況がございますので、趣旨をよくPRをする、制度を運用する特に自治体の皆さん方に趣旨をよくPRをして、そして理解をして、きちんきちんと条例で指定をされる。それから、今度はその上で国民皆さん方に十分にPRをして趣旨を理解していただいて、そうした個々の指定された条例を使って本当に寄附がいいところに集まるようにしていくということが大事でございます。  まだまだ理解が足りないところを新たにつくっていく制度でございますので、丁寧に丁寧にこの趣旨をPRしていかなければならないというふうに思いますので、私どももこれ御理解いただきまして、十分そのPR、趣旨徹底というところに意を用いていきたいというふうに考えております。
  153. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  154. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  福田首相は、国民世論と国会論戦に押されて、三月二十七日、道路特定財源制度を廃止し、二十一年度から一般財源化すると述べました。増田総務大臣も首相と同じ立場でしょうか。
  155. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 総理がそのような御決断をされたわけでございまして、私も内閣の一員でございます、同じ見解を持っているものでございます。
  156. 山下芳生

    ○山下芳生君 そうしますと、地方税法第七百条、道府県は道路に関する費用に充てるため軽油引取税を課するものとする、及び同六百九十九条、道府県は道路に関する費用に充てるため自動車取得税を課するものとする、これは改正しなければならないのではないでしょうか。
  157. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 総理の御決断もこれも今後の与野党協議を、建設的な協議を促していく上で決断をされたと、こういうふうに理解をしているわけでございまして、今後与野党の協議がどういうふうになるかということにかかわってくるわけでございますが、あの提案をきちんとそのまま実現するということになりますと、今先生からお話がございました地方税法の七百条、それから同六百九十九条、これにつきましては法律的な改正の手当てが必要になってくるというふうに思っております。
  158. 山下芳生

    ○山下芳生君 非常に大事な答弁だったと思います。地方税法の道路特定財源の部分を、総理の提案に従うとすれば改正する必要があるということであります。  これは、高速道路を果てしなく造り続ける自動装置となってきた道路特定財源制度がなくなって一般財源化されれば、社会保障にも、そして教育にも、そして道路にも使えるようになるわけで、この制度が半世紀前にスタートして以来初めてのことであります。国民の支持も広がっております。読売の四月三日、一般財源化賛成が五八%。この復活を許してはならないと思います。  さて、道路特定財源制度がなくなれば、その上乗せである暫定税率の根拠もなくなると思います。だって、道路に使うための財源が足らないからということで暫定税率を設定したわけですから、しかし、そもそも道路だけに使う特定財源制度は廃止すると、でしたら暫定税率も根拠がなくなるのは当然だと思います。  既に四月一日から道路特定財源暫定税率が期限切れとなって、ガソリン、軽油の価格が値下がりをいたしました。参議院の選挙で国民が自公政権に下した審判の結果でありまして、国民の一票の力の大きさを感じているわけであります。政府は、期限切れになれば国民生活が混乱すると言っておりましたけれども、ガソリンスタンドに行列ができたぐらいで大した混乱はなかったと思います。むしろ多くの方が歓迎していると思います。私は、その背景に原油価格や穀物価格の高騰に端を発した電気、ガス、パン、しょうゆ、食用油、牛乳などなど生活必需品が相次いで値上げされたことによる家計の負担増がある、そこにガソリン、軽油が下がったことが非常に歓迎されているという面があると思いますけれども、総務大臣の認識を伺いたいと思います。
  159. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今のお話につきまして私の方から二点申し上げたいと思うんですが、一つは、この暫定税率が失効するということになりまして、暫定税率相当額の負担が軽減される、ガソリンが安くなったわけでありますので、その点について、国民の皆さん方の声として、それを歓迎する声があるというのは、これは私も十分承知はしております。  一方で、地方六団体が私のところにも参っておりますし、各方面を歩いておりますが、地方団体の方で非常にやっぱり大事な歳出というものを予算として組んでいて、もう既にそれを執行せんとしている段階で、今回のことによって執行を留保しているということがございます。  今後、これが長引くということになれば、当然、住民サービスの見直しをしないといけないという事態になるわけでございますので、そういうことを通じて、国民生活に深刻な影響が出てくるのではないかと。  それから、地方の場合には特に道路整備についてもまだまだ不十分でありまして、そのために道路特定財源のみならず一般財源も含めて財源充当させているという実態もございますので、その部分については、地方で行います道路整備のみならず、国の直轄部分などは確実にもう行われないということになっていくわけでありますので、そのことの影響も出てくるであろうと。  ですから、私は今、当面国民の声として、ここ一週間の間にいろいろと歓迎する声があるというのは十分理解をしてございますけれども、今後、逆に、国民の生活に対して今回のことによって深刻な影響が出てきやしないかと、そこを大変危惧をするものでございますし、既に、直接的な地方の雇用として大変重要な建設業などは、もう今非常に資金繰りがそのことによっても苦しくなっているという声も聞いておりますので、この点も併せて十分御理解をいただきたいというふうに思っております。
  160. 山下芳生

    ○山下芳生君 地方財政の問題、それから建設業の問題は後で議論したいと思いますが、私は、今国民が歓迎している、そういう下で、地方税法等改正案、この法案は四月一日以降性格が大きく変わったと思うんですね。要するに、従来どおり暫定税率を維持継続するという性格から、今やいったん下がった税率を再び引き上げるという性格の法案になったと思います。  性格変わったという認識、大臣ありますか。
  161. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 従来、暫定という言葉でありながら三十年も続いてきたというお話ございましたんですが、継続して続いてきたわけですが、いったん今回切れたのは事実でございますし、それをまた元に戻すということになれば確かに国民の負担は増加をすると、こういう性格を持っているということもこれは事実でございますが、現実に支障が生じているということに対してはやはりきちんと手当てをしていかなければならないと。  手当ては確実に行っていかなければならないということでございますので、私は、長年続けられてきたこの地方税の中での暫定税率の負担ということに対して、暫定という言葉の問題はあるにしても、そういったガソリンについては、特に負担が伴うということについては国民の中で意識は定着をしてきたというふうに考えております。
  162. 山下芳生

    ○山下芳生君 私は、これだけ生活必需品の値上げラッシュの中でガソリン、軽油価格が下がったことは歓迎されているときに、これ打ち切って再び引き上げるようなことをすることが、それこそ国民生活に大混乱を招くというふうに思います。これはしっかりと、地方の声ももちろんですが、国民生活の実態も踏まえた決断が必要だと思います。  税金を取る側からすれば元に戻すだけということになるんだと思いますが、払う側からすればこれは大幅な負担増、大増税になるわけであります。国民も、再可決に反対が六四%、賛成は三四%で大きく上回っておりますから、これしっかりと見る必要があると思うんですね。  それから、暫定税率の復活、再値上げが国民生活と日本経済にどれほどの打撃となるか、私はここで運輸業界の実態を紹介したいと思います。  トラックの燃料である軽油価格は四年前に、二〇〇四年一月、一リットル八十円から、今年の一月百三十円まで上がりました。運賃はほとんど上がっておりません。実は、一九九〇年、参入規制の緩和によって全国の運輸事業者の数は四万社から六万二千社に激増いたしました。しかも、新規参入の大半が保有台数五台の零細事業者でありまして、元々、労働者の長時間労働と低賃金で経営が成り立っている状態だったのに、そこに過去に例のない燃料代の高騰が直撃をした。ですから、事業者の経営と労働者の生活、健康、安全が極限状態まで今追い込まれている実態だと思います。  私も生の声をいろいろ聞きました。青森でトラック三百九十台、五百人の労働者を抱える運送会社の社長さんは、去年の六月、月五千万円だった燃料代が今年に入って八千五百万円にもなった、しかし、運賃は一円も上げてもらえないと窮状を訴えられました。それから、大阪の零細事業者の運転手Aさん、二十五トン車で大阪それから名古屋の間を往復されておりますけれども、一日の拘束時間は平均十四・八時間、休日は月四日以下。これだけ働いても手取りは月二十三万円しかなりません。燃料代が高騰する前は月三十五万円ほど手取りがあったんですけれども、零細事業者では燃料代の高騰がストレートに賃金低下になって現れているわけですね。  これは、この法案で軽油価格がどうなるかというのが決まりますが、総務大臣、こうした運輸業界の実態どう思われますでしょうか。
  163. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 私も運輸業界の皆さん方に、ごく最近、今年になってから直接いろいろお話聞いたわけではありませんが、知事時代には、今先生お話しになったように、途中で軽油価格が上がっていった、そういう時期でございますし、またそれから、大変な過当競争がございますので、それぞれの経営が大変厳しく、それから従業員の皆さん方もそこで大勢働いておられるわけでございますから、そうした皆さん方をきちんと養っていく上で大変御苦労多いという話は承っておりました。  この点については、各地方において、特に地方の活性化のためにも物流ということは大変重要な要素でもございますから、そうした業界を特に地域地域でもきちんと維持していく、そういう業に就いておられる皆さん方もきちんと生活として成り立っていくような、そういうことが行われていかなければならないと、こういうふうに思っております。
  164. 山下芳生

    ○山下芳生君 地方においても物流は大事だということですが、やっぱり運輸というのは日本経済の動脈だと思います。とりわけ国内貨物輸送量の約九割を担っているのがトラック輸送業界ですので、言わば大動脈ですね。それがこの間の規制緩和と燃料代の急騰によって大動脈が詰まりかかっていた、切れかかっていたと。それが今回、暫定税率の期限切れ、値下がりでようやくちょっとスムーズに流れ始めた、ほっと一息つけた。ただ、暫定税率というのは一リットル当たり軽油で言いますと十七円ですから、これ廃止されても四年間で五十円近く値上がりした分を全部カバーすることはできません。  しかし、それでも今ほっと一息つけているのを再び引き上げて、またもやこの大動脈を詰まらせる、極限状態に追い込もう、こんなことをしていいのかと。これはしっかりと認識しないと駄目ではないかと思いますが、大臣、いかがですか。
  165. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 確かに国民の声、それからあと運輸業界に携わっている皆さん方も、こうしたコストが掛かるということに対しては大変御負担に思われるでしょうし、それから、今回のことについても、一方でいろいろ無駄遣い等も指摘されている中で、そうした負担を国民の皆さん方、業界の皆さん方にお願いをするというのは大変心苦しいものがあると。そこは、やはりそういう痛みというものもきちんと認めていかなければならないと私は思いますが。  その上で、今いろいろと財政需要、地方団体もいろいろと苦心をしながら財政需要を考えて予算をつくっているわけでございます。これが今年ということだけでなくて、今までもずうっとこうした税の御負担をいただきながら財政運営に必要な歳入というのは確保してきたわけでございますので、是非この点については、今後のやはり地域地域のサービスにも直結してくることでございますので、十分御理解をいただく努力を私どももしていきたいというふうに思いますが、御負担を、御理解をいただきましてお願いを申し上げたいと。  そして、このことは地方財政という観点ももちろんあるわけでございますし、あと、あの中で総理の方も、今後の言わば低炭素社会といいましょうか、環境問題ということからもやはりそうした負担ということをあの中で申し上げているわけでございます。  論点が非常に広いわけでございますので、今の例えば軽油でいいますと、三十二円十銭だったものが十五円と、本則に戻って十七円十銭安くなっているわけですが、これはまさに税率にかかわってくる部分でございまして、この間の総理提案の中でも今後の税率についてはいろいろと検討というふうに書いてあります。ただ、その中で暫定税率も含めた税率は国、地方の厳しい財政状況を踏まえ検討ということを言っているわけでございますので、私どもとしては是非この暫定税率部分の税率を考えていく上でも、地方の道路整備の必要性、それから特に地方の厳しい財政状況というものも踏まえて御検討お願い申し上げたいというふうに思います。
  166. 山下芳生

    ○山下芳生君 地方の道路整備の必要性ということをすぐおっしゃるんですけれども、確かに道路特定財源制度と暫定税率の復活を前提に、これまでどおり十年間で五十九兆円もの道路中期計画に基づく道路建設を続けようと思ったら足らなくなると、大変だということになるのかもしれませんが、しかし、総理の新提案というのはそういう前提を崩したと思うんですね。ガソリンや軽油に掛かる税金は道路整備だけに充てるのではなくて、それこそ先ほどお話のあった医師不足対策ですとか高齢者に安心して老後を過ごしてもらうためにも使えるようにしよう、これが一般財源化という首相の新提案だと思います。  だったら、道路は今までどおり造るんだという従来の前提に立つんじゃなくて、そういう古い考えから抜け出して、一回、何を優先課題にするか一から議論することが今求められているんであって、暫定税率がなくなったら大変だというのは、今までどおり道路を続けるという前提に立つという古い考えじゃないんですか、大臣
  167. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 国のことを言うと少し言い過ぎになるかもしれませんが、国の場合にはオーバーフローして、言わば特定財源が道路に使えないという中で今回の問題が起きているということでありますが、地方の場合には、確かにお話のとおり使途が限定をされている目的税として今回の軽油引取税自動車取得税、構成されております。したがって、そういった面でそこが自由になるということは地方団体の裁量の余地もうんと拡大をするということにつながっていくわけですが、一方で、今そういう特定財源を充てている以上に、実際には一般財源も含めて全体の半分以上については、全体の半分以上というのは道路整備についての費用構成は全体の半分以上について一般財源地方債で賄っていると、そこに私自治体のいろんな判断が入っているんだろうというふうに思っております。  ですから、これをきっかけに当然自治体の歳出構造の見直しということも行われるでしょう。各自治体も更にいろいろと優先度というものを考えるきっかけにもちろん私もなると思うんですけれども、しかし現実の、今の道路特定財源というか、地方の道路整備財源構成ということを考えますと、それは自治体も議会を経ていろいろ御判断をして、一般財源それから地方債というものを充ててそうした費用を賄っているということをお考えいただきますと、私は今暫定税率の復活をお願いするのは大変心苦しいと、御負担をお願いするのは大変だというふうに思っておりますけれども、そこを十分に国民の、あるいは地域の皆さん方の御理解をいただいた上で、是非この問題について地方財政状況もお考えいただきたい、御理解いただきたいというふうに思っております。
  168. 山下芳生

    ○山下芳生君 時間が残りわずかになっちゃったんで聞けないんですけれども、地方の財政が大変になったのは道路特定財源暫定税率がなくなるから大変じゃないんですね。やっぱり、九〇年代、国から地方に対して公共事業を押し付けた、そして三位一体改革交付税を大幅に削減した、これが一番地方財政を大変にしているわけですから、暫定税率九千億円減ったら大変だと言う前に、三位一体で地方交付税五兆一千億円減らしたやつをまず元に戻せばこんな声はほとんどなくなるんではないかと私は思います。  それから、地方の建設業者の仕事の問題ありました。私は、大規模開発では大手ゼネコンの下請に入るだけで砂をかむような仕事になるとよくよく聞かされるんですね。そうではなくて、同じ道路でも身近な生活道路の整備、維持管理だったら直接地元の業者さんに仕事をしてもらうことができるわけで、ところが、そういう地元の生活道路が、国の直轄事業の負担金などが全体としてそのままになって生活道路が割合減ってますから、そういう仕事が地元の業者さんに行きにくくなっている。これも道路特定財源の、逆に悪弊だと言わざるを得ないと思います。  せっかく見直しが、大臣おっしゃったように、いいきっかけになるんです、これは。国も地方もどこに税の優先順位を付けるのか、国民的に、住民的に議論をすると。これ、だから決して困ったことではなくて、前向きな産みの苦しみが今生じているんだというふうに理解すべきではないかということを申し上げて、終わります。
  169. 又市征治

    ○又市征治君 野党最後でございますから、一番初めに、先ほどから与党の皆さんから、四月に入ってようやく地方税法等審議が入ったのは問題だ、議長あっせんで三月末までに結論出すはずだったんではないのかという野党批判の御意見がございましたから、野党側の考え方といいますか、認識を若干冒頭に申し上げておきたいと思うんです。  一月末につなぎ法案を出して、年度末まで暫定税率の維持を含めて向こう十年、五十九兆円の道路計画と特定財源確保しようという動きがあった。このことについて衆参両院議長が、徹底審議の上で、そして合意できるものは修正をして年度末までに一定の結論を出しなさいよと、こうあっせんを出されたということだったですね。  ところが、全く修正の提案などないまま、二月の二十九日に衆議院では予算案などが強行採決をされた。当時、野党の側はぎりぎり自然成立問題を含めても三月の四日まであるではないかと、こう申し上げたけれども、二十九日に強行採決をされた。  このときに良識の府たる参議院は、魚住さんもおられますけれども、過去の例からいっても、衆議院が暴走したときに参議院としては、まさに良識の府、再考の府としては衆議院に抗議をする、この意思を示した例は何度もあります。少なくとも与野党一緒になって衆議院に抗議の意思を示す、やってまいりました。そのことをやるべきだったどころか、予算委員会で野党はけしからぬといってパフォーマンスまでやられる、こういう経過で進んできた、こんなことがありましたね。  そうすると、これ、昨年の参議院選挙で与野党が逆転をして、このような問題はとことん話合いをしていかなければ、野党の理解を求める努力をしなきゃならぬという、こういう努力は全くみじんも見られないということに対して野党側は非常に不信感をかつてないほど強めた、こう言わざるを得ないんじゃないでしょうか。  そして、事実上、修正協議の提起というのがいつあったのか。ないんです、具体的には。三月二十一日に自民党、公明党の政調の皆さんが各党を回られましたけれども、一年先送りをしてくれと、こう言っているだけの話であって、中身は何もない。総理が三月の二十七日ようやく提起されたけれども、これ各党に対して提示されていません。マスコミに発表をされたということであって、もちろん、その中身の先ほど来出ています一般財源化などという問題は、一定検討すべき価値があると思いますけれども、事実経過から見ますならば三月二十七日までこういう状況が続いてきたのであって、それで議論をしなかったのはけしからぬけしからぬとおっしゃるのは、これはいささか筋違いではないのかと、こういうふうに申し上げておかなきゃならぬと思うんです。  今大事なことは、私は、国民の六割の人が、こんな状態が続いていることに対して与野党どっちもどっちだという責任論を問うている、こういう世論調査が出ているということをしっかり踏まえるべきだ、これは与野党共にそうだと。そして、やはりガソリンの値段が下がっておること、地方に混乱をもたらさないこと、このことを踏まえて、私は、今月中に本当に修正協議をしっかりやって、できるならば、今言ったことを踏まえながら成案が実って、国民の生活にやはり資していく。この努力こそが求められるし、余り衆議院でやったことにこだわり過ぎて、与党の皆さんもここのところはもう一歩踏み込まないと何を言っているのか全く分からない。ただ単に、今年の年末の税制抜本改革の中で消費税を上げることを前提にしますなんということを政調の皆さんが各党を回ってきて言われたんじゃ、これはだれも乗れない、こういうことになっているんだろうと思うんです。  そういう意味では、やはり先ほど来総務大臣がおっしゃっていますけれども、道路財源で言うならば毎年一兆円からの繰越金が出ている、このことなども生かしながら地方財源に穴を空けない、こういうことを含めながら、やはりしっかりと今参議院が果たす役割があるのではないのかと、こういう認識であるということを冒頭私は、野党側の最後でございますから、民主党さんなんかが反論しようと思ってもできませんでしたから、私の方から申し上げておきたいと思います。  そこで、全般的なこの三法についてお尋ねしたいと思うんですが、地方財政を大きく左右する日本経済の現状は大田担当大臣も踊り場だというふうにこう言っているわけですね。しかし、この踊り場というのも企業中心の成長率に注目した見方であって、勤労者の実態、例えば、何度も私も申し上げていますが、年収二百万円以下の人々が一千三百万人を超えてきている、あるいは非正規雇用が一千七百四十万を超えたと、こういう状況から見るともっと前から厳しい状態になっていると、こう言わなきゃならぬと思うんですね。加えて、ここへ来て原油の高騰だ、生活諸物価の高騰だ、そういう格好の中で賃上げなき物価上昇、危険なスタグフレーションの様相を呈し始めているのではないのかと危惧をいたします。  そこで、二〇〇八年度の名目二・一%、実質二%の成長率というのは、私はどう見てもこれは高過ぎるんじゃないのかと。去年の実際上はもはや修正をしているということなんですが、内閣府はここのところを修正する意思はないのかどうか、この点をまずお伺いしたいと思う。
  170. 藤岡文七

    政府参考人藤岡文七君) お答え申し上げます。  本年一月の二十年度政府経済見通しでございますが、十九年度の名目GDP成長率の実績見込みを昨年一月に公表いたしました十九年度見通しのときから下方改定いたしました。前年比で二・二%から前年比〇・八にいたしてございます。  その理由でございますが、主といたしまして、改正建築基準法施行の影響により住宅投資と設備投資が伸びが小さくなったということが見込まれるということでありますとか、また前提となります原油輸入価格の高騰がございますし、また賃金の伸び悩み等により、GDPデフレーター、いわゆる名目値を押し下げる要因という、その下押し圧力が増しましてその下落をしたものでございます。  ところで、二十年度政府経済見通しでございますが、この改正建築基準法施行の影響が収束してまいります。その影響もありまして、住宅投資及び設備投資が回復してまいります。また、原油価格もまだ高騰は続いてございますけれども、まだその輸入デフレーターの押し上げ要因の寄与が縮小するということも見込みまして、二十年度の名目GDP成長率は二・一%と見込んでおるところでございます。
  171. 又市征治

    ○又市征治君 私、これ聞いているのは、当然のこととして地方交付税への影響が出てくるから聞いているわけですね、ここで。内閣府の方はもうこれで結構ですから。委員長、結構です。  そこで、次に財務省にお伺いをしますが、私は大変今の話は甘いと思う。二〇〇七年度歳入を当初の五十三兆四千億円から補正で〇・九兆円減に修正をしたわけですね。しかし、ある専門家は更に二兆円程度下回るんじゃないかと、こういう予測が出ているところもあります。  私も前回主張したんですが、二〇〇八年度当初予算の税収見積り五十三兆六千億円というのは大変難しいんじゃないのかと、こう思う。だとすると、早めにやはり下方修正をして税収不足額の対策を立てるべきじゃないかと思うんですが、財務省の見解、どうですか。
  172. 川北力

    政府参考人(川北力君) お答え申し上げます。  十九年度の税収につきましては、補正予算におきまして、それまでの課税実績等を踏まえまして先生から御指摘ございましたように〇・九兆円の減額補正をさせていただきまして、五十二・六兆円としたところでございます。その後、直近までの税収の状況を見ますと、二月末まででございますが、税収累計は三十五・六兆円となっております。十九年度の全体の税収の動向につきましては、三月決算法人法人税の確定申告分が五月分に収納されますが、その五月分の税収に大きく左右される面がございます。  次に二十年度税収につきましては、この十九年度の補正後予算を基に二十年度政府経済見通しにおきます各種の経済指標等を踏まえまして、五十三・六兆円、補正後予算と比べまして一・九%の増というふうに見積もってございます。  二十年度に入ったばかりでございますので二十年度税収の動きにつきましてまだ何も申し上げる状況にはございませんが、いずれにいたしましても、今後の経済情勢や税収動向等につきましては注視していく必要があると考えております。
  173. 又市征治

    ○又市征治君 そういうふうに願いたいけれども、私は非常に甘いと思う。  そこで、総務省に伺ってまいりますが、今内閣府やあるいは財務省の側は非常に希望的観測のように見えているわけですが、これは総務省はそういうわけにはいかないんじゃないのか。生身で地方交付税などに響いてくる、こういうことなんですが、あなた方も内閣府や財務省がそう言うから仕方ない、そういう見方だと思っているのか、いや場合によるとこれは下方修正せざるを得ないというふうに思っているのか、ここらのところの認識を聞きたいんですが、前回も質問したんですけれども、累年の交付税原資たる五税の対予算の減に対して政府交付税特会の借入れで対処してきたわけですね。それが今八兆円にもなって、地方共通の借金として将来の先食いをしていると言った方がいいでしょう。  そこで、総務省は、今年度は減収分は特会借入れや地方債ではなくて政府の責任でカバーするように財務省と早めに交渉すべきだと思うんだが、その点の考え方はいかがですか。
  174. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 地方交付税の原資となります国税収入の予算計上額につきましては、ただいまも財務省からも御答弁ありましたけれども、財務省におきまして直近の課税実績、あるいは足下の経済動向、各種経済指標等を踏まえて適切な見積りに努力をされていると考えておりまして、年度初め早々のこの現時点におきまして、国税収入が予算計上額を下回ることを前提として私どもが財務省と協議に入るということは適当ではないと考えております。  なお、今後、仮に予測し得ないような経済変動によって国税収入の減が生じまして、それに伴って交付税総額の減額が生じた場合、地方歳出減少要素がなければ、その分当然財源不足が拡大するということになってまいります。したがいまして、そのような事態が確実な段階に至ってまいりますと、財務省と協議をして、地方公共団体財政運営に支障が生じないように、国の補正予算と併せて適切な補てん措置を講じるということが必要になると考えております。
  175. 又市征治

    ○又市征治君 先ほども申し上げたように、そういうことにならないことを願っていますけれども、しかし皆さん方が今日ここでおっしゃったことがはてさて九か月、一年たってみたときにどうなるのか、大変私はその点は危惧をする。去年の例から見ても非常に甘かったということがあるわけで、そこのところを危惧いたしますが、最善の努力を是非求めておきたいと、こう思います。  次に、今回法案の株式取引の軽減税率の廃止というのは、証券所有者と勤労所得者との間の不公平が強まる中で、遅過ぎたとはいえ歓迎をしたいと思います。  ただし、過日の衆議院での我が党の重野議員の質問に対して河野局長から誤解を招く答弁があったのでちょっとこの点はただしておきたいと思いますが、局長が引用した日本証券業協会のアンケートの対象者というのは一体これはだれなのか。金融広報中央委員会が例年行っているアンケートと大きく違っているんじゃないかと思うんですが、そこの説明をしてください。
  176. 河野栄

    政府参考人(河野栄君) 御質問は二月二十六日の衆議院総務委員会における答弁についてであろうかと思いますけれども、この際に引用いたしました調査は、日本証券業協会が平成十八年六月に実施をいたしまして十月に取りまとめた個人投資家の証券税制に関する意識調査の数字を申し上げたものでございます。この調査は、株式等を保有する全国の個人投資家二千人を対象として行ったものというふうに承知をいたしております。
  177. 又市征治

    ○又市征治君 国民全体を表す金融広報中央委員会のデータによれば、資産としての証券保有というのは全世帯のうち八・五%、こんなふうに報告されていますね。今あなたが言ったのは、証券業界の証券保有者だけのアンケートを基に言っておられるわけで、それで全国民の七割が株を好んで行っているかのように印象付けられる、議事録読みますとそんな格好になっているんで、ここのところはそうじゃないということをはっきりしておいてもらいたい、こう思います。  政府を挙げて貯蓄から投資へと宣伝をなさっているわけだけど、なぜ国民が株取引を信用しないのか、また株にまで手が回らないのだというふうに認識をされていますか。その点と二つ。
  178. 河野栄

    政府参考人(河野栄君) 先ほどのデータに関してでございます。金融広報中央委員会調査、言及されましたけれども、これ日銀内に事務局がございます金融広報中央委員会調査、家計の金融行動に関する世論調査のことだろうと存じますけれども、ここでは、家計の金融資産に占める株式の割合として、今おっしゃった八・五%という数字が出ております。ただこれ、この調査は、収入階層別の分布を示すというものではございませんで、調査対象世帯の金融資産に占める株式のシェアの数字が八・五%である、こういう統計でございます。  先ほど申し上げました、先日の衆議院総務委員会における答弁でございますけれども、これ、重野委員からのお尋ねが、株式取引をしている方々のうちどのくらいの比率の方に、これ損益通算の制度をめぐっての質問であったわけでございますけれども、どれくらいの比率の方に損益通算の効果があるかという趣旨の御質問をいただいたわけでございまして、その問いの前には、さらに、この損益通算の制度につきまして高額所得者が有利に操作できる、そういう問題があるのではないかという御指摘もいただいておったところでございます。  こうしたことを受けまして、先ほど申し上げましたように、この証券業協会の調査の数字を引用いたしまして、個人投資家に占める中低所得者層の割合をお示しをいたしまして、今般の税制改正の効果が、高額所得者層だけでなく一般の個人投資家に及ぶと、こういう旨をお答えしたところでございます。  なお、貯蓄から投資へということに関連してお話ございましたけれども、貯蓄から投資へという方向に向けていろんな環境整備やられておるわけでございますけれども、これに伴いまして、この数字にも多少表れているかと思いますけれども、いろんな投資家のすそ野というのは広がってきているのではないかと思っております。  これもちょっと余り、何といいますか、非常に厳密な調査ではないかもしれませんけれども、全国証券取引所の株式分布状況調査というものございまして、時系列で個人株主数、これは上場企業だけに限った数字でございまして、一人の方がたくさんの会社の株式を持っておられるケースもございますので、延べ人数で重複計上になっていると思いますけれども、この数字、時系列でだんだん増えておりまして、例えば十年間取って比較いたしますと、一九九六年で二千七百三十七万人の延べ数であったものが、十年後の二〇〇六年、これが一番新しい数字でございますけれども、三千九百二十八万人とかなり増加をしてまいっておりますので、いろいろそういう株式取引をめぐっていろんな御意見あろうかと思いますけれども、実態としてこういうふうになっているということでございます。
  179. 又市征治

    ○又市征治君 株取引が国民の一般的な金融資産保有手段ではない、そういう状況、これは我が国の特色なんですが、そういう中で今回創設される株取引の損益通算制度というのは、大口投資家に有利にして、所得格差が一層拡大するようになると思うんですね。そのときに、どのくらい税の減収があるというふうに見込んでいますか。
  180. 河野栄

    政府参考人(河野栄君) 今回の税制改正におきまして、新たに株式の譲渡損とそれから配当の損益通算の仕組みを導入することにしているわけでございますけれども、この趣旨は、個人の金融商品選択におきます課税の中立性を確保する、そして投資リスクを軽減できる簡素で分かりやすい金融所得課税の一体化の方向を進めると、こういうことは政府税調の答申でも本格的に進めるべきだと、こういう答申をいただいているわけでございますけれども、こういう方向に沿いまして、上場株式等に係る譲渡損失と配当との間の損益通算の仕組みを導入すると、こういう趣旨でございます。  お尋ねのこの制度の導入に伴います減収額でございますけれども、これをはじきますといたしますと、上場株式等譲渡損失額、これを推計する必要がございます。  しかしながら、株式の譲渡損失というものは投資家が保有株式を売却することによって発生するわけでございますけれども、将来の株価、これも変動するわけでございますし、それからまた株式の取引高、こういったものを的確に予想することは大変困難でございます。また、いつ、どの程度の額を売買するか、これは資産状況等を踏まえて個人の投資家が判断をされるということでございますので、なかなか推計が困難でございます。  したがいまして、この制度の導入に伴います減収の見込額というものは試算をいたしておらないところでございます。御理解を願いたいと思います。
  181. 又市征治

    ○又市征治君 分からないというか、試算していないというか。  ただ、私は専門家にこの問題聞きました。それによりますと、三か年分の売却損を配当益の多くなった年に相殺できるわけですから、最大の場合で配当課税のすべて、つまり国税で二兆二千億円もが控除される。あるいは、府県民税、市町村民税もその三分の一減収になり、せっかくの軽減税率廃止も全く水の泡ということになるとの見方もある。  そうすると、もっとこの点については、いや、試算していないとか分からないとか今始めたばかりだからという、これは大変な問題引き起こしかねないわけで、慎重にこれは検討されるべきだと。今日は答えは求めませんが、是非ともそのことは慎重に更に検討してもらいたい、試算もしてもらいたい、このことを申し上げておきたいと思います。  一番冒頭に余分な演説をしたものですから、大臣にこの後、道路問題をずっと聞こうと思ったやつが今日はできなくなってしまいましたが、次回に是非その点はただしてまいりたいと思います。  ありがとうございました。
  182. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  183. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  地方行財政に関する諸問題について地方における実情調査を行うとともに、地方税法等の一部を改正する法律案地方法人特別税等に関する暫定措置法案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案につき、現地において意見を聴取するため、委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  185. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十二分散会