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2008-03-31 第169回国会 参議院 総務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年三月三十一日(月曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月二十八日     辞任         補欠選任      大島九州男君     榛葉賀津也君      泉  信也君     丸川 珠代君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         高嶋 良充君     理 事                 加藤 敏幸君                 那谷屋正義君                 内藤 正光君                 河合 常則君                 末松 信介君     委 員                 梅村  聡君                 加賀谷 健君                 行田 邦子君                 榛葉賀津也君                 武内 則男君                 外山  斎君                 長谷川憲正君                 吉川 沙織君                 礒崎 陽輔君                 岸  信夫君                 世耕 弘成君                 二之湯 智君                 丸川 珠代君                 溝手 顕正君                 吉村剛太郎君                 魚住裕一郎君                 弘友 和夫君                 山下 芳生君                 又市 征治君    衆議院議員        総務委員長    渡辺 博道君    国務大臣        総務大臣     増田 寛也君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        総務省情報通信        政策局長     小笠原倫明君        総務省政策統括        官        中田  睦君    参考人        日本放送協会経        営委員会委員長  古森 重隆君        日本放送協会会        長        福地 茂雄君        日本放送協会副        会長       今井 義典君        日本放送協会理        事        日向 英実君        日本放送協会理        事        溝口 明秀君        日本放送協会理        事        八幡 恒二君        日本放送協会理        事        永井 研二君        日本放送協会理        事        大西 典良君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○国民生活等の混乱を回避するための地方税法の  一部を改正する法律案衆議院提出)     ─────────────
  2. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、大島九州男君及び泉信也君が委員を辞任され、その補欠として榛葉賀津也君及び丸川珠代君が選任されました。     ─────────────
  3. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会総務省情報通信政策局長小笠原倫明君外一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、日本放送協会経営委員会委員長古森重隆君外七名を参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 自由民主党の世耕弘成でございます。  今日は、私は、福地会長に対しては初めて質問させていただくことになるわけですが、私は今の新体制大変期待をいたしております。というのは、福地会長ビジネス世界経験を積んでこられている方である。そしてまた、今井会長も、長く経済部に籍を置かれ、またグローバルな取材も続けてこられたお立場である。そしてまた、経営委員長古森委員長ももちろんビジネス世界出身の方であるということで、これからやはりこの厳しい経済情勢とかあるいはグローバルな状況とかそういったことに関するNHK放送の中身が手厚く、分厚くなってくるんじゃないか、そういう期待を持っています。  というのは、私は若干NHKの最近の放送内容に不満を持っていました。というのは、どうしても娯楽とかスポーツにかなり偏り過ぎているんじゃないかと。はっきり言って私も大リーグは大好きです。イチローや松井のことも心から応援をしておりますけれども、朝の忙しいストレートニュースの時間帯にイチローオープン戦での成績がどうだったかまでは、残念ながらそんなに重要性は私は感じていない。そういう傾向が今まで放送の中にあったものですから、私は今回の新しい布陣に大変期待をしているわけです。  そういう意味で、私は毎朝六時に「おはよう日本」を見るわけですが、今日、福地体制となってから初めての新編成ということで大変注目をしておりました。どうなるかということを注目をしておりました。そして、私は非常に満足をしております。  というのは、朝六時から六時半までの時間帯はスポーツニュースはなくなりました。そして、その代わり、大変国際情勢経済ニュースが分厚くなっている。例えば国際情勢だと、とてもほかのテレビはもちろんのこと、新聞でもなかなか報道しないような内容がしっかり報道されていました。例えば、メコン流域の開発のための会議が開かれたとか、あるいはチベット問題に関して隣国のネパールやインドの姿勢が以前と変わっているというニュースですとか、あるいはアラブ連合首脳会議が開かれたというような、会議ですとか、そういう非常にいい、日本人が知っているべき国際ニュースがきちっといい形で報道されていたということで、今日初日は高く評価をさせていただきたいというふうに思っているわけです。  そんな中で、一応ここでしっかりと確認をしておきたいわけですが、当然、報道放送局には編成権編集権、あるいは表現の自由、報道の自由といったものがあるということがよく言われるわけでございますけれどもNHKとしてのこういった権利、編成権編集権、あるいは報道の自由、表現の自由といったものは一体だれに、どこに帰属をするんでしょうか。これは現場記者帰属するものなのか、あるいは番組を作っているディレクタープロデューサー帰属するものなのか、あるいはやはり組織としてのNHK帰属をしているんだから当然会長の下に帰属をしていると考えるべきなのか、そのことについてまず会長の御見解をお伺いしたいと思います。
  9. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 日本放送協会におきます編集権行使権限といいますのは、日常業務業務執行を総理しております会長としての私にあると考えております。しかし、この編集権放送番組に関する責任と表裏一体の関係にございますので、通常、実際の運営につきましては放送部門最高責任者でございます放送総局長に分掌をしております。したがって、個々番組制作者等放送現場にはそういった編集権はないというふうに理解をいたしております。  報道の自由は報道の主体となります報道機関が共有するものでございまして、したがって法人としてのNHK帰属するものと考えております。  以上でございます。
  10. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 大変明確な御答弁ありがとうございました。個々番組やあるいはその番組制作者帰属するのではなく、法人としてのNHK帰属をしているのであり、最終的には会長として責任を持っておられ、とはいっても、個別の番組は見られないので放送総局長がそれを分掌している、非常に明確な御答弁ありがとうございました。  NHKでは、過去、昭和天皇戦争犯罪人として一方的に裁くようなとんでもない番組が作られたこともあるわけですけれども、是非これは組織としてしっかりとこれからも管理監督をしていっていただきたいと思います。  ただ、今いみじくも会長がおっしゃいましたように、NHK会長として個々番組を全部点検をするということは不可能だと思います。放送総局長に分掌されているというお話でありましたけれどもNHKでそれぞれの番組内容、あるいは全体としての編成といったことを会長に代わってどういうふうにチェックしていける体制になっているのかということをお伺いをしたいと思います。
  11. 日向英実

    参考人日向英実君) お答えします。  放送内容につきましては、放送法の下に定められた番組基準というのがございます。その基準に適合しているかどうかということについて、企画段階から取材制作、それから放送に至るまで、様々な過程で複数の人間チェックしております。  例えば、NHKスペシャルを例に取りますと、番組企画提案というのは各部局で出されますけれども、その部局ごと企画会議がございます。その後、そこを通過したものが、組織を横断したメンバーから成りますNHKスペシャル提案委員会というのがございまして、そこで更に議論され、承認されます。そしてさらに、制作局報道局、さらに編成局の幹部が参加しております大型企画委員会というのがございまして、そこで最終的に採択されるという形になっております。さらに、制作に入ってからも、番組が完成するまでには、もちろんディレクターそれからプロデューサー、さらに部長、様々な部署の人間チェックをいたします。放送の前に当たっては、内部機関であります考査室というのがございまして、考査室が必要な番組については事前に考査をしまして、例えば誤りがある、訂正が必要なものについては現場にその点を打ち返します。  さらに、放送が終わった番組に対しては、これも放送法によって定められています放送番組審議会というのがございます。その審議会の方から様々な意見が出されます。その意見については、現場及び放送総局の方でその意見を尊重し、それについての対策を更に審議会に報告すると、そういう形になっております。
  12. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 会長の下、その体制で十分NHKとしての編成権編集権をしっかり行使をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  今いみじくも理事がおっしゃいましたNHKスペシャル、これまさにNHK看板番組ですよね。私も大変興味を持って見ております。シルクロードなんか本当に大好きですし、非常に興味を持って見ておりますが、最近若干、この一年ぐらい気になるのが、どうもNHKスペシャル看板番組NHK世の中に、今これが問題ですよ、世の中こっちの方へ注意をしなければいけないんじゃないかというような注意喚起番組だと思っていますが、その内容がこの一年ぐらいどうも、格差の問題とかワーキングプアの問題とか貧困の問題、どうもそっちに偏り過ぎているんじゃないか。この問題も私は非常に重要だとは思いますけれども、しかし余りに内容としてそっちに偏り過ぎている。その背景にある厳しいグローバル競争の現状とか、あるいは中国が今世界でどうなっているか、アジア諸国が今世界でどうなっているか、日本アジアにおける立場がどうなっているか、そういうことをもう少しスポットライトを当てる番組が不足をしているんじゃないか。これは私は感覚で申し上げているんではなくて、現場でも経済部とか国際部の人がいろいろ企画を上げてもなかなか通らないという声も私は聞いております。  そういう中で、新会長として、こういった面についてもやはりビジネス出身立場としてもう少し重点を置くべきではないかということについてはどうお考えでしょうか。
  13. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 私もNHKに参ります前からNHKスペシャルという番組には大変な関心を持っておりまして、参りましてすぐ、NHKスペシャルで取り上げられるテーマがどういうふうな形でシーズから集められていくのかということに大変関心がございましたので、編成局長依頼をいたしまして、シーズを全部持ってきてほしいと依頼しました。一枚ずつの提案書がこのぐらいございました。私はそれを見まして、この幅広いシーズの中から精選されているということにほぼ私は安心いたしました。  御指摘の点でございますけれどもNHKスペシャルでは今日の日本が抱える様々な課題を厚みのある取材で浮かび上がらせてタイムリーに時代を切り取ってきているわけでございますが、お話のございました格差問題や貧困問題だけでなくて、厳しいグローバル競争についても重点的に描いておるようでございまして、日本経済が直面している問題を多角的に取り上げているというのを検証いたしました。  例えば、昨年十月に「ライスショック」というシリーズを組みまして、グローバル化の中で日本人主食の米がどういう競争にさらされているのかというのを描きまして、「日本の、これから」では「どうしますか?わたしたちの主食」と題しまして、日本の農業がグローバル競争にさらされる中でどうすれば安定的に食料を確保できるのか、市民と専門家で議論をいたしました。今年の一月から始まりました大型シリーズ日本とアメリカ」という番組でも、グローバル化の中で「ジャパン・パッシング」という経済の厳しい状況を描きました。  経済問題に限りませず、日本が抱える課題に警鐘を鳴らすことがNHKドキュメンタリー番組の大きな役割と心得ております。御指摘の点は十分に心得てまいりたいと思います。  以上でございます。
  14. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 会長自らNHKスペシャルシーズまでチェックをしていただいていること、大変心強く思いますので、今後ともよろしくお願いをしたいと思います。  さて、少し話題を変えたいと思いますが、新会長が選ばれる以前に少しNHKでごたごたがありました。これは経営委員会の中で、もう今日は個人を別に追及する会ではありませんのでお名前はあえて申し上げませんが、二人の経営委員の方が記者会見を行って、そして古森経営委員長運営批判を行うということがありました。このことについて古森委員長はどのようにお考えでしょうか。
  15. 古森重隆

    参考人(古森重隆君) お話しのとおり、昨年の十二月十九日に二人の経営委員によりまして突然催された記者会見の件につきまして、これは経営委員会、御指摘のとおり、全体にかかわることであると考えておりまして、お答え申し上げます。  この件につきまして、十二月二十五日の経営委員会におきまして経営委員会見解をまとめて公表しております。大分時間を掛けていろいろまとめました。討議もさせていただきました。これを紹介させていただきたいというふうに思います。  四つございまして、まず一番、突然の会見と他の経営委員の了解なしに不正確な備忘録を出したことは経営委員会の一員として許されないことである、これが一番であります。二番、今後経営委員会議事運営については、限られた時間の中で円滑に行うように委員長を始め全員で配慮する。三番目、不正確な備忘録を公表したことについて、当該委員経営委員会で非を認め謝罪いたしました。四番目、なお、両委員委員長による議事運営に強引なところがあるとし、それを理由に会見正当性を主張した、他の経営委員は、十人でありますが、委員長による議事運営は正当になされ、活発に各自発言し、正しく議決されているので、両委員の主張は根拠のないものと判断したと、以上四つでございます。  これがお答えとなると思いますが、以上であります。
  16. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 経営委員会本体発言をしないで、そして外へ出て、しかも今それぞれの経営委員会でおまとめになったように根拠のない内容備忘録で発表されたという形でございまして、これ大変問題のある経営委員だったわけですよね。しかも、そのうちお一人は、その後、御自身経営される会社の所得隠しが明らかになって退任をされました。また、そのお一人に関しては、一部週刊誌等報道によれば、親族を紅白歌合戦に出すように要請をしたというようなことも報道されていました。何でこういう人を経営委員に選んでいるのか。  これ経営委員というのは、よく考えれば、日銀総裁と一緒で国会同意人事でございまして、我々の責任も問われるわけなんでありますけれども、一義的にはやはり総務省国会に案として持ってくるわけでございますから、総務省確認をしたいと思いますが、経営委員は一体どういう基準で選考されているのか、まずお答えいただきたいと思います。
  17. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 先生指摘経営委員会委員につきましては、放送法の第十六条第一項の規定に基づきまして、公共福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験知識を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命することとされております。また、委員選任につきましては、教育、文化、科学、産業、その他の各分野が公平に代表されることを考慮しなければならないとされているところでございます。また、さらに現行法におきましては、十二名のうち八名については八つの地域から各一名を選出しなければならない等地区要件を定めておりますが、改正放送法施行後はこの地区要件は緩和されまして、全国地方が公平に代表することを考慮しなければならないとされているところでございます。
  18. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 通り一遍の説明なわけですけれども、この問題のあったお二人の経営委員のうち、一人は辞められたからいいんですが、残ったお一人、もう名前は申し上げませんが、じゃ残ったお一人はどうして選考されたんでしょうか。お伺いをしたいと思います。
  19. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) お尋ね委員につきましては、まず地域づくり男女共同参画人材育成等分野において民間と行政をつなぐコーディネーターとして地方公共団体審議会委員を務めるなど幅広く活躍されており、またさらに地域文化誌を創刊し、その編集長を務めるなど、NHK経営に関して地域の特色を生かした放送の在り方の観点等から貴重な助言と指示が期待できるため、政府におきまして経営委員会委員候補として適任と考えたものでございます。
  20. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 そういうお話なんですが、とはいっても、この方、まあAさんとしましょう、A委員なんですけれども、ほかの委員と比べて少し、どうでしょう、私、肩書で人を判断してはいけないと思いますが、今NHK経営委員になっておられる方、大体企業のトップを務めていらっしゃる方かあるいは学識経験者ということで大学教授等過去論文を書いておられる方がメーンになっています。しかし、このA委員は、はっきり言って一タウン誌編集長ということになりますですよね。なぜこの方があえてNHK経営委員としてふさわしいと総務省考えるに至ったんでしょうか。総務省は日ごろからそんな目を皿にして全国タウン誌チェックをされているんですか、あるいは男女共同参画に特段に関心を持って有識者を探しておられるんですか、そこをお伺いしたいと思います。
  21. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 先ほども申し上げたことの繰り返しになりますけれども放送法におきましては、公共福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験知識を有する者のうちから選考する、あるいは様々な分野が公平に代表されることを考慮しなければならないとされているところでございます。  私どもといたしましては、そうした基準に照らし、経営委員会委員候補者選定に当たりましては、まずは利用可能なデータベースなど一般に把握可能な情報あるいは地方行政機関からの情報等に基づきまして幅広く候補者をリストアップした上で、放送法上の要件等を総合的に勘案して選考しているものでございます。
  22. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 全く納得がいかないですね。今データベースで調べるとおっしゃいましたけれども、私もデータベースで調べてみました。過去、例えば一つの指標としては、やはりマスコミでどれだけ発言が取り上げられているかというのも一つのポイントだと思います。新聞記事データベース、全紙のやつを当たりましたけれども、例えば、経営委員に就任される前、古森委員長はやはり六百数十回登場されています、経営委員以外の分野でですね。もちろん富士フイルムの経営者として登場されている。ほかの方も大体百回から二百回、多い方では三百回ぐらい登場しているわけですけれども、このA委員だけはほとんど、二十回か三十回しか登場していない。それもタウン誌編集長として若干コメントをしている。あるいはその登場している内容を見ると、ほとんど地方紙ないしブロック紙にしか出ていませんし、その内容も場合によっては極めて政治的な発言をされている局面もあるわけですね。  これ、データベースで本当に公平に選ばれたんですか。総務省知っているわけないでしょう、この方を最初から。だれかから推薦を受けたとか、どこかの団体からこの人にしてくれと頼まれたとか、そういうことがあったんじゃないですか。お答えいただきたいと思います。
  23. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 私どもとしては、お尋ね委員の選考に当たりまして関係者団体からの推薦依頼を受けたという事実は承知しておりません。  経営委員会委員につきましては、先生よく御承知のとおり、両院の同意を得て内閣総理大臣が任命しているものでございまして、一部特定の関係者団体からの推薦依頼により決定されることはないものでございます。
  24. 世耕弘成

    ○世耕弘成君 もう時間も参りましたから終わりますけれども、これ非常に選び方が不透明、決して公平に選ばれているとは思えない。そんな一地方タウン誌経営者をなぜピックアップしてきたのか、その過程は非常に不透明だと思います。  日銀総裁国会同意人事大変注目を浴びているわけですけれども、今後とも我々としても、やはり国会同意人事に当たっては国会としても入念なチェックを行っていくということを申し上げて、私の質問を締めくくらせていただきます。
  25. 岸信夫

    岸信夫君 おはようございます。自民党の岸信夫でございます。  本日、私も初めて福地会長をお招きして質問をさせていただきます。  実は、私、前の仕事をしておりましたときに、ずっとビール関係仕事をさせていただきました。モルトの買い付けとかホップの買い付けとか、そういうことでアサヒビールの皆さんとも大変親しく付き合わせていただいたんです。私自身はほとんど実はお酒が飲めなくて、アルコールも飲めない、ビールもほとんど、ちょっと飲むと真っ赤になる、こんなことなんですけれども、いつもレストランに行くと、まず銘柄指定で注文をする、ほとんど残しちゃうんですけれどもね。  そんなことで、今回そういう福地会長NHKにいらしたということで、非常に応援していきたいと、こういうふうにも思っておるわけでございます。  これまで、近年、NHK、いろいろな問題を抱えてまいったわけでございます。今、世耕委員からもいろいろお話があったとおりなわけでございますけれども、その中で今回民間企業からいらっしゃったわけです。NHKには大変大きな、今信頼回復という社会的責任を果たすということが課せられておるわけでございます。是非真剣にこのNHKの改革に取り組んでいただきたい、このように思うわけでございますけれども。  前の会社の社長を務められておられたときのお話をちょっと社内の方に伺いました。社内評として、非常に頑固で正直だと、こういうお話を伺っておるわけでございますけれども、そういった企業での経験をどのように今回この公共的な役割を担うNHK会長として果たしていかれようと思っておられるか、まずその所見をいただきたいと思います。
  26. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 私の前職時代、大変頑固で正直なトップだったというお話だそうでございますが、私自身では非常に素直で正直なトップであったと自覚をいたしております。  私は、前職時代はお客様満足、顧客目線ということを経営判断の軸足にしてまいりました。NHKに参りまして、それを視聴者視点、視聴者満足という軸足に置き換えていろんな判断をしてまいりたいと思います。  それから、企業は人なり、これは組織は人なりというふうに思っております。これは民間企業であれ、NHKであれ、全く同じだと思っております。なぜならば、お客様、顧客、あるいは視聴者にとっての価値を生み出すのは、やはりその組織に携わっております社員、職員、人間であるからだというふうに思っております。  NHKをビビッドで非常に活気あふれる企業風土にしていく、そして視聴者の皆様方に喜んでいただける番組報道をすることがNHKの使命であり、そういった企業風土をつくり出すことが私の与えられた使命だというふうに心得ております。  そのためにも、できる限り現場に出向きまして、現場の職員との、こう握手をしたときの手のぬくもりでありますとか、あるいは共感とか、そういったものを現場の職員と分かち合っていきたいと、そういうふうに思っております。  以上でございます。
  27. 岸信夫

    岸信夫君 もう一つ会長のこれは以前新聞でやっぱり語られておられたんですけれども、変える勇気と変えない決心という言葉を使っておられたわけですね。営業畑でずっと歩まれて、一つのブランドをビッグブランドに育て上げられたわけでございます。長年トップシェアを目指してこられたわけでございますけれども、その間でいろいろな問題もあったんだと思います。  そういうことについて伺い、今度は変える勇気と変えない決心、NHKについても同じようなことが言えるんではないかというふうに思っております。今変えるべき、NHKの中で勇気を持って変えるべきこと、そしてまた逆に自信を持ってこのことは変えないでいこうと、こういうことがございましたら御披露いただきたいと思います。
  28. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 同じく私も前職時代、変える勇気と変えない勇気を持ち合わせることが大切だということを私が口癖にしてまいりました。  NHKに参りまして間もなく、NHK組織理念と申しますか、公共放送としての理念、放送法に定められておりますあまねく人々にということとやはり不偏不党という、これはNHK公共放送としての軸足だと心得ておりますから、これは絶対に変えてはいけない、変えない勇気を持ち合わせる。実は、それ以外のことはみんな変えてもいいんじゃないかと、それは極論でございますが、そういった目で一度自分の組織を見直してほしいということを各理事に申し伝えました。  しかし、そうは申しましても、今一番大事なことは、先刻申し上げましたとおり、平成十六年以降打ち続く不祥事の中で職員の目線が下向きになっております。伏し目がちになって、誇りを失いつつあるやに見受けております。やっぱり誇りを持って、自信を持っていい番組を作っていく、そういった企業風土をつくることが、当面やっぱりその企業風土に変えていくことが一番大きな変えるべき点かなというふうに思っております。  実は、明日、新入職員に対して説示をするわけでございますが、私は、誇りは高く視線は低くということを新入の職員に訴えていきたいと、そういうふうに思っております。  以上でございます。
  29. 岸信夫

    岸信夫君 先ほどから顧客のニーズにこたえていくことをこれからも考える、いわゆる前の職であれば顧客、今度は視聴者の目線、視聴者のニーズにこたえていくと、こういうお話がございました。  放送界の中で、例えば民放であれば視聴者のニーズにこたえていく、その結果として表れるのが視聴率ということなんだと思います。しかしながら、NHKの場合は、これは視聴率だけ追っかければいいというものではないわけですね。そこの中に公共放送としての使命、役割が必ずあるわけです。これはもう視聴率では本当の視聴者のニーズにこたえているかどうか、あるいは社会のニーズにこたえているかどうかという指標にはなり得ないんだというふうに思っております。  では、何をもって経営の中で視聴者の目線に立って視聴者のニーズにこたえていく判断をしていかれるおつもりがありますでしょうか。
  30. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 民間放送の場合には、民放の場合にはスポンサーからいただくスポンサー料金で経営をしていくわけでございますから、どうしてもやっぱり視聴率第一になってまいります。しかし、NHKは、あらゆる視聴者の方々からまさに平等にひとしく受信料をいただいているという、それで経営が成り立っておるわけでございますから、そういった面で、あまねく人々に享受していただけるような番組作りが必要だというふうに思っております。  視聴者の皆様のNHKに寄せられる要望や期待は実に幅広くございまして、例えば緊急災害報道であるとか、あるいは家族で楽しめる大河ドラマへの期待も大変大きゅうございますし、それから、御覧になる方は少ないのですが、福祉番組、教育番組に対する要望も大変高うございます。こういった幅広く、そして、視聴率を気にしないのはおかしいと思うんですが、私は、例えばマイナーな番組であっても、それをターゲットになさっている視聴者の方々にはやはりたくさん見ていただくのが筋だと、そういうふうなまさに広報活動をするべきだというふうに申しておりますが、視聴者の視点ということを軸足にいたしまして公共放送としての役割を果たしていきたいと、そういうふうに思っております。  以上でございます。
  31. 岸信夫

    岸信夫君 まさにおっしゃられたとおり、民放との違い、どういう形で経営が成り立っているか、スポンサー収入なのか、あるいは平等に受信料をいただいて運営していくか、こういうことであるわけですけれども、ただいまおっしゃられたとおり、果たして今平等に受信料をいただいている状態にあるかどうかと、こういうことなんですね。  様々な不祥事が起こりました。その時点から比較しますと、いわゆる受信料の支払拒否、徴収率の低下ということが著しかったわけですね。このところ少しずつ回復しているとはいいながらも、まだまだ以前のレベルには達していないわけであります。まさにそのこと自体が、まだまだこれまでNHKが視聴者のニーズに立っていなかった、目線に立っていなかったということの表れなのかな、こういうふうにも思うわけであります。  昨日、地元で、今日こういう質問をするんですよ、こういうお話をしておりましたところ、私の支援者の一人が、NHKは民営化しないのかと、こういうような質問があったわけです。要は民放と同じような形になるということは将来あるのかと、こういう質問だったと思うんですけれども、要はその中には、公共的な性格、公共的な使命というものに対する評価というものが全く評価されていなかった、こういうことの表れなんじゃないかな、こういうふうにも思うわけです。  実はそこが今NHKに一番求められている部分でもあるわけですけれども、徴収率の低下、これを何とか回復していかなければいけない。しかし、今、払っている人、払っていない人、もちろん払っていない方の中にはいろんな意見があると思います。NHK番組なんか見たくない、今のNHKではけしからぬ、だから払わないんだという人もいるでしょうし、あの人が払っていないんだったら私も払いたくない、こういう人もいると思います。いずれにしても、その中で受信料を払っておられる方もおられる、こういう不公平な状態が今起こっている。  このことについてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  32. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 御指摘のとおり、今御審議いただいております明平成二十年度の受信料収入の予算は六千三百五十億円でございます。これは十九年度、今日の予算に比べまして二百二十億円の大きい予算になっておりますが、この六千三百五十億円と申しましても、一番大きかったのは平成十五年度の決算での六千四百七十八億円でございまして、まだまだ大きく及びません。  問題は、払っている人と払っていない人がいるという不公平ということが一番やっぱり問題になろうかと思います。これまでも、全役職員による信頼回復活動によりまして、あるいは民事手続による支払督促の実施等によりましてこの受信料収入は増加を、回復をいたしておりますけれども、要はやはり、ただいま御指摘のございましたとおり、NHKでしか、それからNHKだからできる、そういった公共放送としてのやっぱり本質を生かした番組作り、報道、災害報道をすることによって受信料をひとしく負担していただける、そういうふうな活動をこれから続けていくことが肝要かと思っております。  以上でございます。
  33. 岸信夫

    岸信夫君 是非これから、皆さんがこういうNHKだったら喜んで受信料を払いたい、払おう、こういうような組織に是非改革を進めていっていただきたいというふうに思います。  さて、ここで聴覚障害者に対する字幕放送の現状についてお伺いをしていきたいというふうに思っております。  障害者やあるいは高齢者向けのサービス、これは公共放送の重要な役割であると思います。その中で、聴覚障害を持っておられる方、まだたくさんおられるわけですけれども、この方々にとって、やはり放送に対して字幕が付いているかどうか、これが一つ大きなことになるわけでございます。是非、今NHK放送の部分でどれぐらいの番組が字幕化されているか、まず現状をお聞かせいただきたいと思います。
  34. 日向英実

    参考人日向英実君) お答えします。  平成二十年度の計画でございますけれども、総合テレビは、総放送時間に対する字幕の付与率というのを四八・三%、一週間当たりで八十一時間ということになります。それから、教育テレビに関しては三一・九%です。十九年度に対して、総合テレビは五時間十一分の増、教育テレビについては六時間十二分の増というふうになっております。  平成二十年度以降につきましては、新たな行政指針というものが策定されております。この目標を達成するために、NHKの総合テレビですと現在のほぼ二倍の番組に字幕を付与するということになります。この番組はほとんどが生放送でございまして、生放送の場合は、字幕を制作するための人材の育成とか、それから生放送で発せられた音声を自動的に文字に変換するといういわゆる音声認識装置の開発というのが必要でございまして、それの開発も含めて、なるべくその目標をできるだけ早く達成するように努めていきたいというふうに思っております。
  35. 岸信夫

    岸信夫君 生放送に対する対応というのはなかなか技術的にも難しい、乗り越えなきゃいけない問題があるということは重々理解をしております。  一方で、日本映画ですね、これに対する字幕付けということについてお伺いしたいと思うんですけれども。私の地元でも、NPOの団体で、聴覚障害者向けに日本映画に対して字幕を彼らがボランティアで付けて、それを上映をしていこうという活動をしている団体があるわけですけれども、なかなか日本映画の場合は、そこに、日本語でしゃべっているわけですから、そこに対して日本語の字幕を付けるということに対して様々な障害が起きてくる。監督あるいは脚本家の部分ですね。監督にすれば、美術的な観点というのもあると思います。あと、すべてのしゃべっている日本語をそのまま字幕にできない、変えることによって脚本家が納得を得られないと、こういうこともあるわけですけれども、是非、今テレビで、先ほどからもございましたが、更に上を目指す、字幕放送を増やしていくという過程の中で、この日本映画に対する字幕付けということも是非進めていただきたいと思うんですけれども、その件についてお伺いします。
  36. 日向英実

    参考人日向英実君) 御指摘のように幾つかの問題がございまして、日本映画については原則として今まだ字幕を付けていない、できないという状況が続いております。  ただ、昨年、十九年の十二月でございますけれども、障害者週間の際に、字幕を付けた日本映画四本を放送いたしました。これについては、特に障害者問題を考えるようなテーマでございましたので、非常に字幕についても理解が得られやすかったということがございます。  御指摘のように、著作権の問題とか様々な問題がありますけれども、こういう点をどうやってクリアできるか、検討を進めながらその数を増やしていきたいというふうに思っております。
  37. 岸信夫

    岸信夫君 ありがとうございます。  その障害者週間における日本映画の字幕付けについては様々な反響があったというふうにお伺いをしています。これは非常にいい試みだった、企画だったというふうには思っております。  ただ、これはある意味では、逆に言いますと、その障害者週間の企画であったわけですね。障害者の方というのは、やはりその期間だけではなくて、年中いつでもそういうサービスを受けたいと思っておられるわけです。また、その映画の内容にしても、障害者の問題を取り上げたというよりは一般的なものも含めてやっていっていただきたいと、こういうことだと思うんです。  ただ、先ほどの、私が地元でお付き合いしていた団体の方のお話ですと、なかなかそういう小さな団体では許諾をいただくだけの力がない、こういうことをおっしゃっているんですね。そういう意味では、NHKの皆さんであれば、ある意味では交渉力もはるかに大きいんだと思います。是非こういう困難を乗り越えて、そういう障害者の皆さんに対するサービスも充実していっていただきたいと思うんですけれども会長、是非御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  38. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 御指摘のとおりでございまして、そういった点に心掛けてまいりたいと思います。  以上でございます。
  39. 岸信夫

    岸信夫君 ありがとうございました。
  40. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 自由民主党の礒崎陽輔でございます。  前橋本会長とも非常に御懇意にさせていただきましたけれども、今回また実力派の福地会長NHKにお招きしたこと、私は本当に御同慶に堪えない次第でございます。  今朝からNHK放送もいろいろと模様替えしたようでございますけれども、朝見ますと、あの礒野佑子さんというアナウンサーが七時のニュースに出ていまして、礒の字の礒が私と同じでございまして、今後私の名前が誤って書かれることが減るんじゃないかと期待をいたしているところでございますけれども。  冗談はさておき、私は政治的公平性という問題をずっと議論させていただいております。私はもちろんNHKはかなりこの点についてはきちんとしていただいているという基本的な認識はいたしております。民間放送を見ますと、もちろんいろいろの考え方あるんでしょうけれども、どうも細かなことばかりを挙げて大局を見失うような放送が多い。具体的には余り言いませんけれども、角を矯めて牛を殺そうとするような、そんな番組が最近多いのが本当に気になっているわけでございます。  ただ、地元に帰っても、視聴者も最近目が肥えてきまして、そういう民放の報道の在り方に対しては批判的に見ている方も非常に多くなってまいりました。ただ、しかしNHKの場合はそうはいかないわけでございまして、やはりNHK放送するというのは物すごい信頼性があるわけでございまして、NHKが言っているとみんな本当に正しいと思う。したがって、この政治的な公平性、そして多角的な視野の報道が必要であると思います。  道路問題を取り上げましても、道路が要らないと言っている報道も民放ではいろいろやっておりますけれども、やはり道路ができて喜んでいる人もたくさんいるわけですね。ただ、道路ができて喜ぶのは当たり前だからこれ余りニュースになりにくい、そういう面もあるかもしれませんが、やはり公共放送としての本分を果たしていただきたいと思います。  まず、会長にそこでお伺いいたしますが、国会においてはこのように与野党伯仲の状況が続いております。放送法第三条の二第一項第二号には放送番組の政治的公平性の確保が定められており、極めて重要であると考えておりますが、NHKにおける政治的公平性の確保に関する決意を会長にお伺いしたいと思います。
  41. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) NHKでは、放送法規定を踏まえまして国内番組基準を設けております。その中で、全国民の基盤に立つ公共放送の機関として、何人からも干渉されず、不偏不党の立場を守って、放送による言論と表現の自由を確保する、そういったことが規定され明記されておりまして、その上でさらに、政治上の諸問題は公正に扱う、意見が対立している公共の問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにし公平に扱う、こういったことが定められております。  私どもNHKでは、一つ番組だけでなく、NHK放送全体として公平性を確保することに努めております。  また、政治上の問題を扱う際には、新放送ガイドラインによりまして様々な角度からの論点を明らかにしておりまして、いろいろな主張を紹介することによって視聴者の皆さんに判断の材料を御提供するという姿勢を基本にしておりまして、この方針は堅持してまいりたいと思っております。  以上でございます。
  42. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 今朝ほどの新聞を読んでいましたら、古森委員長の国益発言というのが載っておりました。それに対して今井会長が適切な反論をなさっていた。私はよく新聞を読みましたら、古森委員長の言っているのも正しいし、今井会長がおっしゃっているのも正しい、そんな感じを受けます。ああいう議論を、NHKはどうあるべきかというしっかり議論をすることは私はいいことでありまして、それがまた適切に公開されている、これもまたいいことだと思いますので、今後ともそういうしっかりした議論をしていただきたいと思うんです。  今井会長はジャーナリストの御出身でございます。よくジャーナリズムの役割は権力を批判することであるということを言う人が多いんですね。私の後援会の役員の中にもジャーナリストがおるんですけれども、私は本来は与党の人間の後援会に入るのは不本意なんだと、ジャーナリストで不本意だけれども成り行き上しようがないんだと言う私の後援会の役員も正直おるんですけれども、別に誘導尋問をするつもりはありませんけれども、副会長として、今と同じ問いでございますが、NHKの政治的公平性の確保についてどのようなお考えを持っているか、お伺いをいたします。
  43. 今井義典

    参考人今井義典君) 委員指摘のとおり、政治的な公平性といいますのはジャーナリズムの基本でありますし、公共放送NHKにとりましても最も重要な原則であると理解しております。  ニュースの原稿は事実に即したコメントに徹して、個人的な見解や特定の主義主張に偏っていると受け取られるような表現は厳に慎むようにしております。双方の意見、対立している意見を紹介できないようなときでも、同じシリーズ企画の中などで紹介するようにいたしておりまして、NHK放送全体として公平性を確保するように努めております。  そして、公共放送に働くジャーナリストは常に自らの姿勢を問い直すことが重要でありまして、自らを厳しく律して、絶えず公平公正であろうと努めることによりまして初めて公平公正という立場を確保できると考えております。
  44. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 昨年の総務委員会では、キャスターが渋い顔をしたり目くばせしたりすると、こういうのが大分影響があるという話もしました。いろいろ今御答弁いただきました。どうぞ、その公平性の確保が一番大事でございますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  次に、番組の話でありますけれども、最近の番組編成番組内容を見ますと、NHKの民放化が進んでいるんじゃないかと心配する部分があります。大局的にはNHK、立派な番組をやっていると思うんですけれども、幾つか例を言いますと、例えば深夜台のお笑い番組があります。お笑い番組がもちろん悪いと言っておるわけじゃなくて、例えばお笑いバトルなんかいうのはこれ非常に私は好きな番組でして、もっと早い時間にやってもいいんじゃないかと思うぐらいでありますけれども番組名は言いませんけれども、何か訳の分からないような放送が最近までやっていました。それはいろいろ御意見はあるかもしれませんけれども、そういうものもあります。  それから、個別の事件を挙げるのもいけませんけれども、大阪府知事選の後の橋下事件というのがありまして、これはどっちが悪いのか分かりません。こういう騒ぎになったのはどちらが悪いのか分かりませんけれども番組の中でアナウンサーが橋下大阪府知事に対して遅刻しましたねと言ったのはこれは事実でありまして、それを私とがめてどうこう言いませんけれども、そういうような発言がアナウンサーから出ている状況があります。  それから、これもいろいろ御議論あるようですけれども、皇室報道の中でも、葉山の御用邸で宮内庁の許可なしに悠仁親王殿下のお姿を望遠撮影したと、それで宮内庁とトラブルが生じたと、そんなことも聞いております。  これはいろいろ、一方的に私も言うつもりはございません、NHKとしてもいろいろ言い分はあるでしょうが、いろんな何か民放化してしまっているんじゃないかなと思うところもあるわけであります。昔のようにNHKがそんなに地味である必要はないと思いますけれども、逆に、今の若者用語で言いますと、余りきゃぴきゃぴしてもらってもこれは困るわけでございまして、NHKはやっぱり公共放送としての本分を再自覚してその実現に専念すべきではないかと考えるわけでございますが、会長、どうお考えでしょうか。
  45. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 我が国の放送事業と申しますか、それは、公共放送としてのNHKとそして民間放送との二元体制ということでずっとお互いに切磋琢磨しながら成長してきたというふうに見ております。NHKと民間放送がそれぞれの様々なジャンルの番組を競い合いながら、そして視聴者の多様な要望や期待にこたえてきたということだと思いますが、その中でNHK公共放送としてのNHKらしさが求められる。そうじゃなければ民間放送でやっていいということになってきますが、その中で今NHKが、テレビ全体もそうでございますけれども、とりわけNHKが若い視聴者から離れているんじゃないかというような御指摘もございます。そういった危機感を私ども持っておりまして、そういった番組の作成にも心を砕いておりますが、だからといって若い人におもねる必要は全くないというふうに思っております。NHKだからできる質の高い安心して見られる放送を追求していくことが、メディアの多様化の中で果たすべきNHKとしての責任ではないかというふうに思っております。  平成二十年度の番組の改定では若い世代にも役立ち、楽しんでもらえる番組を数多く編成いたしますが、公共放送としての使命をしっかりと踏まえまして、NHKだからできる放送によって幅広い世代の視聴者をつかんでいきたい、そういうふうに方針を定めております。  以上でございます。
  46. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 いろいろこれもお考えがあると思いますが、皆さんでよく議論をして、やっぱりNHKの本分を果たしていっていただきたいと思います。  少し具体的な経営の話に移ってまいりたいと思いますけれども、今回の予算の中で新たに受信料の事業所割引制度というのを設けるというふうに伺っております。受信料の半額を、二台目からですか、割り引く予定となっております。  これについて詳しくお伺いしたんですけれども、もちろんこれを、事業所割引を行うことによって今まで余り契約してくれなかった事業所をきちんと把握していく、もっと契約してくださいということで契約数の増加も相当見込めるというお話を聞いておりますけれども、ただ、私はこれで全体が増収するのかというふうに思っておりましたら、よく聞きましたら、契約数は増えるけれども、やっぱり半額割引というのは物すごい割引なものですから結果的には減収をするんだ、その部分だけとらえれば減収するんだということのようであります。  ちょっと私が考えていたのと違って、ううん、そうかなという感じはいたしたわけでございますが、この割引制度の導入の意義についてどのようにお考えでしょうか。
  47. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 事業所は受信機の設置場所ごとに御契約をいただくようなことになっております。設置台数を適正に申告していただいている事業所と残念ながらそうでない事業所がございまして、契約状況にばらつきがあるのが実情でございます。  これが営業上の大きな課題となっておりますが、今回の割引制度の導入の目的は、こうしたばらつきを是正いたしまして、また適正に支払っていただいている事業所には負担の軽減を図る、全体として公平負担の徹底を図るといったのが今回の割引制度の趣旨でございますが、御指摘のとおり、既に適正に支払っていただいている事業所の割引が先行いたしますので、約二十億円の減収となる見込みでございます。適正に支払っていただいていない事業所には、今後この割引制度によって適正な設置台数の申告と契約の促進を図っていきます。そういった中で、結果的には増収に結び付けていきたい、そういうふうに考えております。  以上でございます。
  48. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 私はこの事業所割引制度というのはいいと思うんですね。やはりNHKの受信料は年間払うとかなりの額でございまして、それをトータルすると相当な額になるわけですから、やはりきちっとそれを隠さずに契約してもらうのが私は大事だと思うんですね。世の中、何と言いますか、NHKが悪いと何か払わなくていいとかいうような変なマスコミ報道がなされることがありますけれども、これはちゃんと受信料は当然払ってもらうべきものでありまして、それをきちっと我々としても訴えていかなければならないと考えております。  ただ一方で、たくさんテレビがあるところを考えてみますと、旅館やホテルというのがあるんですね。これは、そういうところからはやはりまだこの半額割引でも負担感が大きいというお話を聞いております。これは分かると思いますけれども、旅館、ホテルですから、大体夕方に入ってきて朝お立ちになるお客さんが多いわけですから、その間もいろんな、食事とかなんとかもしておられますから、実質的なテレビの稼働時間というのは、これは恐らく一回調査してもらえばいいと思うんですけれども、まあ一般の人がどのぐらい見るのか知りませんけれども、ホテルの部屋というのは少し少ないんではないかと思うんですね。  それから、もう一つあるのが宿泊研修施設。私もそういうところに勤めておったことがあるんですけれども、これも物すごい負担になるわけですね。学生は勉強していますからほとんどテレビ見ないんですけれども、それでもやっぱりテレビが置いてあるから今まではきちんと払っておったわけでありますけれども。事業所割引を設けるんであれば、やはり旅館、ホテル、それから宿泊研修施設、こういうところへの更に上増しの割引ということを御検討いただいても私はいいのじゃないかと、そのように思うんですが、どのようにお考えでしょうか。
  49. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 今回の事業所割引制度は、適正にお支払いいただいている事業所にはもう相当の負担軽減になるわけでございます。  御指摘のような事例につきましては、まず今回の導入する割引制度の定着を図りまして、その上で、どういう施策がより合理的であるかということを世帯を含めた受信料全体を見直していく中で検討していきたいと思っております。個別の中で、例えば研修施設のようなところは、もしそうであればそれは所轄をしております官庁にお支払い、御負担をいただくという方がよりいいんじゃないかというふうに心得ておりますが。  以上でございます。
  50. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 まずその事業所割引の定着を見るということでございます。それはまあ当然のことだとは思いますけれども、やはり今言ったように、実テレビの稼働時間というのもこれはやっぱり客観的に議論をする必要があると思うんですね。ただまけろと言っているんではなくて、やはり家庭のもの、それから事業所のもの、それから今言った宿泊施設のものというのは当然その実稼働時間が違うという、これはやはり少し実態に即した科学的な物の見方というのが私は必要だと思いますので、どうかもう少しその点も含めて今後御検討の対象にしていただきたいと思います。  最近の不祥事の問題はいろいろ出てまいりましたけれども、不祥事が生じないようにいろいろ万端の措置を講ずるのは当然のことでありますけれども、一方でやっぱり職員の士気が低下すると、これはまたNHKにとって良くないと思います。  私も、友人、知人がNHKにたくさん働いておりますけれども、やはり民放と比べると給料が安い給料が安いとよく言うんですね。まあ私はサラリーマン全体の中でNHKの給料が決して安いとは思ってはおりませんけれども、私たちがやっぱり、私も公務員をずっとやっておりました。辞める前は割とちゃんとした給料をもらっていましたけれども、若いころは本当に安月給だったですけれども、それにもかかわらず、やはり私は公務員であることは誇りを持ってずっと働いてきたつもりであります。  NHKも恐らく同じだと思うんです。民放と比べると相当給料は安いのかもしれませんけれども、やはりNHKでしかできないということが私はたくさんあると思うんですね。だから、不祥事でいろいろと今は抑制を掛けていかなければならない部分もあるかと思いますけれども、絶対に職員の士気を失わせるようなことがあってはいけないと私も強く思っておるわけであります。  そういった意味で、アナウンサーが民放に行くとかいろいろあると職員の皆さんは多分動揺したりするんだと思いますけれども、やはり誇りあるNHK職員を育てていくことが必要だと思います。そのためにどういったことをNHKとして職員を育てるためにやっていただくのか、士気を上げるためにやっていただくのか、お伺いをしたいと思います。
  51. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) NHKに参りまして最初に感じましたのは、人、物、金という経営資源に大変恵まれているというふうに感じました。ただ、その恵まれている人材が、平成十六年以降打ち続く不祥事によりまして自信を失うと申しますか伏し目がちになっている、要するに誇りを少し失いかけているというふうな感じがいたします。  先ほど申し上げましたように、私は、すべての職員に語りかけていきますが、まずは明日から入ってまいります新入の職員に対しましては、誇りと倫理観は高く、そして姿勢は低く謙虚にということをしっかりと植え込んでいきたいと思いますが、それと同時に、これも明日から始めようと思っておりますが、毎月月初にトップからのメッセージということで、いろんな倫理問題、それから職員としてもっと誇りを持って前向きにやっていこうよと、そういったことを、褒めるいいニュースと耳に痛い悪いニュースと、両方実際にあった話を交えながら職員に訴えていこうということを明日から始めようと実際に思っております。  そういったことと、もう一つは、どこでもあることですが、縦軸の組織が強過ぎて横風が、全くとは言えないですが、極めて入りにくい。先ほどの番組制作NHKスペシャルの作成のようなときには関連部門がかなり話し合っているようでございますが、そういった点がまだまだ少ないと思っております。そういった点を、縦の組織に横風をどういうふうに入れていくかということに配慮しながら職員のモラールアップを図っていくことが私の一番大事な仕事だというふうに思っております。  以上でございます。
  52. 礒崎陽輔

    ○礒崎陽輔君 新しいNHK大変期待をいたしておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  ありがとうございました。
  53. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明党の弘友和夫でございます。  福地会長は本年一月の二十五日、先ほど質問もありましたけれども、いろいろな紆余曲折を経まして、決まるまではありましたけれども、就任をされたわけでございます。就任をされて二か月でございますけれども、私の仄聞するところ、非常に新会長、次々と改革の手を打たれていると。職員の皆様からも好感を持って迎え入れられているというふうにお聞きしております。  まず、職場の風通しを良くするために、それはまず役員からだということで、今まで個室でありました役員室を大部屋にしたと。それから、無駄な会議をしないと。お聞きしましたら、会議の時間が非常に短縮されたというふうにも聞いております。また、人事も、学歴だとか年次だとか関係なく理事の抜てきもやられたというふうにも聞いております。  そういうことで、福地ファンがNHKの中でも増えてきているというふうに聞いているわけですけれども、先日、今井会長も言われていましたように、中におられる方にとってはそうした改革がカルチャーショックでもあって、旧来の古い勢力というか、そういう方は強い反発を感じているんではなかろうかと。それは事実であると思いますけれども、今後そうした、せっかく今改革を進めていこうとしているわけで、やはりそこには、まあ抵抗勢力じゃありませんけれども、そうした古い考えの方もいらっしゃることで、是非、副会長、また理事の皆さん力を合わせてNHKの改革、一層進めていただきたいと。  また、今、報道担当の理事の方もまだ決められていないというふうに聞いておりますけれども、これをどうされるのかということも含めて、改めて会長の改革に懸ける御決意をお聞きしたいと思います。
  54. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 一月二十五日に会長に就任いたしました。会長としての私のまず先にやらないといけないのは、視聴者から失いましたNHKに対する公共放送機関としての信頼の回復だというふうに思っております。そのためには、いろんなコンプライアンスの体制を、形とともに、形作りもそうでございまして、これはこの四月一日以降、総合リスク管理室をつくって、今までのリスクというものは、一つの不祥事が起こってその不祥事を収めるための再発防止策を作りますとほかの部門から出てくる、それを押さえるとまたほかの部門から出てくるといった、まさにモグラたたきの状況の継続の中で職員が誇りを失う、そして視聴者の信頼を失うということでございまして、その両方をきっちりと改めていくことがまず第一かというふうに思っております。  そのほかの部門につきましては、これも先ほど申し上げましたけれども、やはり公共放送としての理念、軸足だけは変えないで、ほかは変えられないじゃなくて、どうすれば、どこが変えられるかなという見方で変えるべき点を探っていきたいと、そういうふうに思っております。  報道担当の理事がいないという御指摘でございますが、実は報道担当の理事は、報道担当は日向理事が担当しております。ただ、日向理事放送総局長という要職を兼務しております。報道専任の理事がある方がいいかなというふうには私は思っておりますが、いずれにいたしましても、今回の不祥事は報道部門も絡んでおりますだけに、これは第三者委員会の成り行きを見ながら適正に判断をして、しかるべき時期に、できるだけ早い時期に決めていきたい。人事については適材適所を貫いていきたいと、かように思っております。  以上でございます。
  55. 弘友和夫

    弘友和夫君 是非、公共放送としての、変えるべきものは変える、変えないものは変えない、そしてまたいろいろ失われた信頼を回復していただきたいというふうに考えております。  そこで、NHKがどういう方向性というか、どこを目指してというふうに思うんですけれども、たまたま昨日私手にしましたら、山本夏彦さん、鋭い評論される方の「茶の間の正義」というのを、これは三十年前に書かれたもので、たまたま昨日手にしまして、テレビの在り方みたいなものをちょっと書いているんで御紹介させていただきたいんですけど、「はたして代議士は犬畜生か」というところで書いている。  テレビは巨大なジャーナリズムで、それには当然モラルがある。私はそれを茶の間の正義と呼んでいる。まゆつばもののうさんくさい正義のことである。それで、書いているのは昔の、これは新聞のことを書いているんですけれども、昭和初年、私がまだ子供だったころ、新聞は毎日財界と政界の腐敗を書いた。あんまり書くから読者は信じた。いっそ殺してしまったらと、若者たちは井上準之助を、高橋是清を、犬養毅を、その他大勢を殺した。古いことでお忘れなら、吉田茂首相を思い出していただく。彼ならまだ御記憶だろう。彼は歴代宰相のうち最も評判の悪い人だった。新聞は三百六十五日、彼の悪口を言った。しまいには犬畜生みたいに言ったと。  先ほども出ておりましたけれども、我が国の新聞は明治以来野党精神に立脚しているという。義のためなら権威に屈しないという。自分で言うのだからまゆつばものだが、読者は反駁するデータを持たない。本当だと思うよりほかはない。けれども、これは悪口雑言である。人を褒めて面白く読ませるのは至難である。悪く言って面白がらせるのは容易だから、やすきに付いたのだと思っている。ところが、その同じ新聞が、近ごろ手の裏を返して吉田老を褒める。戦後首相の第一人者チャーチルに匹敵する大宰相、その教養の深遠なこと、座談の巧みなこと云々と。そしてまた、このごろ昭和初年の政治家は清廉だったと読んで驚いた。往年のジャーナリストが当時を回顧して、彼らの多くは家産を傾けて国事に奔走した。死んで遺産を整理したら井戸と塀しか残らなかった云々と、こうあるんです。ここに、テレビの司会者も当時一千万ぐらい取っているけれども、それが云々というふうなことも書いていますけれども。  ですから、私は、その時々の流れというものに、やはり公共放送というのはきちっと将来を見据えた報道がなされなければならないんじゃないかなというふうに思っております。  それで、先日、全国の学校のいろいろな校歌の、ある女子高校は毎年第二校歌を生徒が作って歌っているとか、そういう校歌の歴史だとかいろいろなことが放送されておりまして、ああ、これはすばらしい番組だなと、こういうふうに思ったんですけれども会長も歌われたと思います小倉高校の校歌の三番に、「思想の潮は荒るるとも 登る嶮岨ははばむとも 理想は高く輝きて 我が往く道を照すなり」、こういう部分があります。  私は、今の状況というのは思想とまではいかない、世上何かいろいろありますけれども、思想の潮は荒るるとも、登る嶮岨ははばむともというか、そういう思いで、本当に、今でいえば人類というか人間主義というか、地球、平和、教育、文化、そういう不変の真理というか、そういうものに向かって、そういう理想を追求しながら是非NHKは進んでいただきたいなというふうに思いますけれども会長の御所見をお伺いしたいと思います。
  56. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 御指摘のとおり、まず一番大事なのは組織理念と申しますか、そういったことではないかというふうに思っています。  あれは昨年の五月の始めだったと思いますが、余りここで具体的な新聞名前、言っていいのか悪いのか分かりませんが、某日刊紙の連載小説の中で、堺屋太一さんの書かれた小説と言ったらもう既にお分かりと思いますが、その中で、物事をなすには、まずは何のためになすかというそのビジョンとか理念が大事なんだと。次に、物事を成功させるためには、現実的だということでその理念をゆがめてはならない、入りやすい入口には出口がない、入りにくくても出やすい道筋を選ぶべきだということがジンギスカンの言葉として書かれておりましたけれども、今、弘友先生がおっしゃるように、私は、まず何のために何をすべきかという理念と、それを達成する決意というものが事を成功させるには一番大事だというふうに思っております。  以上でございます。
  57. 弘友和夫

    弘友和夫君 そこで、具体的な問題に入りたいと思いますけれども、今、昨年経営委員会に了承されなかった次期中期経営計画の作成に当たられていると思いますけれども、それも大変なことだと思います。  今年はちょうどその中期計画、今までの中期計画の最後の年になるわけですけれども、それはどう考えられているのかということと、それからまた、去る三月十一日に経営委員会は中長期計画策定に資する重要検討事項のまとめというものを出しておられますね。前の出されたあれでは効率的な経営を行う抜本的改革に踏み込み方が足りないということで、前に出されたものは経営委員会としては却下されたと思いますけれども一つは、経営委員長には、今回のこの重要検討事項のまとめを出されたそれの、何といいますか、基本姿勢、何を重点に執行の方は考えたらいいかというお考えをお伺いしたい。また、福地会長には、今の最終年度のことと、それから今後どのような次の作成へ向かって決意されて策定を進めていこうと考えられているのか、お伺いしたいと思います。
  58. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 今年が第一次の三か年計画の最終年、平成二十年度が最終年となります。私はかねてから計画は達成するためにあるというふうに考えております。  NHK会長に就任いたしましてすぐ、中期計画最終年度として各項目についての達成見込みというものを各局に聴取をいたしました。その中で、まず受信料収入につきましては、目標をほぼ二年前倒しで達成できる、財政の安定化を果たす上に大変重要な役割を果たしてきたと思います。これは、全役職員によります信頼の回復活動でありますとか、営業強化、あるいは家族割引などの受信料体系の見直しとか、あるいは支払督促の実施によるものと認識をしております。  ただ、この受信料収入の方は中期計画の目標を達成いたしておりますが、受信契約については大幅に未達でございまして、これは最終の一年度、相当力を入れて取り組んでいかなければいけないというふうに考えております。  もう一つ放送の中身でございますけれども、これはNHKスペシャルやドラマといったことで、多彩なジャンルでNHKならではの質の高い番組を作りました。これは多数のコンクールなどで高い評価をいただいているというふうに考えております。  また、千二百人の要員の削減につきましては、今年四百二十八名、増員が八名ありますから差引き四百二十名の削減をもってほぼ計画どおりに達成できるというふうに見込んでおります。  コンプライアンスの徹底がうたわれておりましたが、これは冒頭申し上げましたとおり、うち続く不祥事の連続ということで振り出しに戻った、そういうふうに認識をしております。  明二十一年度を始点とする新中期計画につきまして、経営委員会からの重点事項についての提言がございました。これは執行部門として大変重く受け止めております。明日四月一日にキックオフ宣言をいたしまして、組織によって新しい中期計画の策定にスタートを切りたいというふうに思っております。  以上でございます。
  59. 古森重隆

    参考人(古森重隆君) 今話がございましたように、重要検討事項を申し入れております。  御承知のように、放送・通信融合の流れが一つあります。この中で公共放送としてどういう在り方があるのか、それからグローバリゼーション、あるいは少子高齢化、あるいは受信料の公平負担、種々の問題がございます。この中で、NHKは、コンプライアンスの確立はもちろんのことで、健全で効率のいい放送を行うということが必至に、必至といいますか、求められていることでございます。  この中で、前年度の、先ほどお話にもありました検討の過程を踏まえまして、事前に経営委員会から考えます重要検討項目を申し入れております。それをちょっと申し上げます。  八つございまして、まず、一、グループ経営の最適化。本体のみならず子会社も含めたグループ経営の最適化ということであります。二番目は、コンプライアンス体制、リスク管理体制の確立。三番目は、フルデジタル時代の公共放送の在り方。この公共放送の在り方には、番組の方向性、あるいは良質な番組のための制作力強化、あるいは国際放送の充実などが含まれております。四番目、地域放送の充実。五番目、新規事業の展開。六番目、技術の戦略的展開。七番目、受信料の公平負担。八番目、人事、経理制度の改革。これはいずれも必要な課題であろうというふうなことでございまして、既に申し入れております。  ただいまの話のとおり、これから新たな策定に立って九月にほぼこれを検討を終えるわけでございますけれども、この中で今言った項目の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
  60. 弘友和夫

    弘友和夫君 それで、今後進めるべき中で大きな一つの柱は地デジであるわけですけれども、二〇一一年七月二十四日完全移行という予定、これはもう三年余りしかないわけですね。当然一〇〇%目指してやっておられると思いますけれども、時間がありませんので全部まとめてお伺いしますけれども、現在どれぐらい普及しているのかということと、NHKは二十年度の辺地共同受信施設、デジタル化対応事前調査に十億二千万予算計上している、その目的は何なのかということと、それから、現在全国に八千四百施設のNHK共聴部分がありますね。これについて、これはNHK責任においてデジタル化を実施すると。それから、民放の一万一千施設の自主共聴についても調査はNHKがやられるというふうに聞いておりますけれども、それが辺地共聴地域というのは百六十万世帯ぐらいあるんじゃないかというふうに聞いております。  もうあと三年になりましたんで、NHKがやる部分と、国、総務省が道筋を付けてどうやるかという役割分担をもうあと三年になって明確にすべきじゃないかというふうに思いますけれども、もう時間がございませんので簡単で結構ですから、お答えをいただいて終わりたいと思います。
  61. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) まず、地デジの普及状況でございますけれども、これはやや、ちょっと時間がたっておりますが、私ども昨年五月に公表しました調査結果によりますと、地上デジタル放送の受信機の世帯普及率は二七・八%でございます。当初の普及目標に沿っておおむね順調に推移している状況と認識しております。  それから、自主共聴施設のデジタル化ということにつきましてでございますが、辺地共聴施設、NHKの分は約八千五百施設ございます。その他、自主共聴施設は一万一千全国にございますけれども、現在総務省では、この一万一千施設につきましてデジタル改修状況や改修経費の調査を行い、本年四月中を目途に取りまとめを行うこととなっております。  本年四月中に取りまとめを行う調査に基づきまして、総務省では、平成二十年度から二十二年度までの三年間ですべての自主共聴施設のデジタル化が行われるよう各年度ごとの整備目標を定めまして、これに基づき周知説明会を反復継続して開催するとともに、財政的支援を行い、着実な実施を図ることとしております。  先生指摘NHKとの役割分担でございますが、この自主共聴施設すべてのデジタル化に向けまして、NHKにおきましては、二十年度及び二十一年度におきまして受信点の調査といったものに御協力をいただくことになっております。私どもは、この調査の御協力もいただいた上で、私どもが平成二十年度予算に盛り込みました財政的な国の支援措置、こうしたものも織り込みまして、二〇一一年に向けまして私どもがすべての施設に対する周知説明会というものを反復継続して開催するといたしますとともに、積極的に財政支援措置も活用いただきまして、二〇一一年に向けましてすべての自主共聴施設がデジタル化を改修できるよう全力で取り組んでまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  62. 永井研二

    参考人(永井研二君) お答えします。  ただいま総務省から御説明があったところでありますが、NHKとしても、調査の部分は、なかなか自主的に調査されないこともありましたので、調査のところは自主共聴についてはやろうということで今年、来年度で積んであるわけです。  この部分について、さらに調査の後は、本来国の助成を受けて自主共聴をやるわけですが、NHKとしても改修の進捗状況を見極めつつ最大限の協力ができるよう検討を進めていきます。
  63. 弘友和夫

    弘友和夫君 終わります。
  64. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  福地会長には、任命になりまして、今先行委員から決意を聞かれて披瀝されました。新しい風がNHKにも入っていくなという思いがいたしますし、また福地参考人が言われた現場主義なんというと、私ども公明党のモットーでもございますものですから、非常に親近感を持つところでございます。是非頑張っていただきたいと思っております。  さて、この間相撲が終わりましたけれども、相撲が終わったときのニュースで、大阪か何かの町中で携帯電話の端末を見ながら、朝青龍が勝ったとか、そういう大阪のおばちゃんの姿がニュースで出ていました。これは携帯端末で、ワンセグで御覧になっていた、そのことを放送されていたわけでございますけれども、非常にワンセグ放送というのが注目され、また普及してきたなというふうに思うところでございます。  昨年末の放送法の改正によりましてこのワンセグの独立利用ということが可能となったわけでございますし、何か民放では、例えば野球中継の放送時間の延長みたいな場合このワンセグで流そうというか、そんなことも考えられているようでございますが、このNHKの二十年度予算、事業計画では、ワンセグはデジタル総合テレビあるいは教育テレビジョン、同じ内容を流す、あるいは地域ごとのニュースや気象情報を提供するということになっているようでございます。総務大臣のこのNHK予算に付された意見では、ワンセグの独立利用の実施等を通じて放送のデジタル化を先導することとされているわけでございますが、NHKはこのワンセグの独立利用というものは考えておらないんでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
  65. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 誠にタイミングのいい御質問でございます。実は、各地域局ごとのワンセグによるデータ放送を開始しましたのが三月三十一日十一時でございますので、今から二十六分前からスタートをいたしました。今回の法改正にかかわらず、このワンセグの全国向けのデータ放送サービスはもう既に実施しておりますけれども地域局ごとのデータサービスを先ほどスタートしたところでございます。  現在、ワンセグ放送は総合テレビと教育テレビの放送と同じ内容番組を同じ時間に提供しておりますけれども、今回の法改正でワンセグ独自の放送が可能になりました。ワンセグ対応の携帯端末の普及が急速に進む中でどのようなサービスを展開するのか、ワンセグ独自の番組編成とか放送と通信を融合させた新しいサービスなどにつきましても積極的に検討を進めてまいりたいと考えております。
  66. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ワンセグ放送というものは様々な可能性秘めているというふうに思うわけでありますが、先般、平成二十年度予算、本予算、国の予算でございますが、その委嘱審査でも、携帯端末を使って、ネットの掲示板等を利用して災害情報についての災害時の利用について質問させてもらったわけでありますが、携帯さえ持っていれば逆に、このワンセグで災害情報を流せば、またこれは大変な情報源になるんではないのかなというふうに思っておりまして、災害時には逆にテレビ、ラジオよりもしのぐ強いメディアになるんではないのかなと、そんなふうに思っております。  NHKにおいては、災害時において今後どのようにワンセグ放送を活用していくことを予定しているのか、お答えいただきたいと思います。  また、緊急警報放送をワンセグ端末に流す技術、これを開発しているというふうにお聞きしておりますが、具体的にどのようなものか、お答えをいただきたいと思います。
  67. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 御指摘のとおり、大規模災害の際にはワンセグ放送は極めて有効な情報伝達の手段の一つであると認識をいたしております。家庭に設置されたテレビが家庭団らんの中で共有するものであるとすれば、ワンセグは移動のときに、家庭のテレビを見れないときに災害情報がそれで察知をできるということでございますから、そういうふうな認識をしております。  国民の生命、財産を守るための放送NHKの使命でございます。大規模災害の場合、テレビ、ラジオを始めインターネットなどあらゆるメディアを使って情報をお伝えすることにしておりますが、また地域ごとのローカル独自情報が三月三十一日から、先ほど申しましたようにワンセグのデータ放送でもできるようになりました。これを契機にきめ細かな情報を提供いたしまして、より一層サービスの充実を図ってまいりたいと思っております。
  68. 永井研二

    参考人(永井研二君) 御指摘のとおりに、緊急警報放送の際に携帯端末を自動的に起動するというシステムをNHKの技術研究所の方で開発をいたしました。最大の課題は電池の消耗をどれだけ抑えるかということでありますが、必要な信号だけを受信するということでこの問題は既に解決しております。  実用化に向けて更に小型化にしなければいけないということもありますが、ワンセグの一機能として搭載してもらうように携帯の事業者それから端末のメーカーに働きかけるということによって、実用化の可能性は十分にあると考えております。
  69. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 いろいろ注目されるこのワンセグの問題でございますけれども、携帯電話でワンセグ放送を見るという場合、携帯事業会社によっては何を見ているのか分かるようになっているというような事業者もいるようでございます。もうそれがそのまま、要するにパーセント、視聴率を測るような、あるいは個々人の番組の選好、嗜好性まで分かるような、そういう視聴のフィードバックするという、そういうことがあるようでございまして、番組を見ながら自分が何を見ているのか分かってしまうという何か気持ち悪さみたいなこともあるのではないのかなというふうに思っておりますし、また、そういう集積した情報がまた広告主等に流される可能性もあるなというふうに思うところでございます。  個人のプライバシーの問題もあるわけでございますが、こういうことを総務省として実態をどこまで把握されておられるのか、また個人情報の保護の観点からどのような対応を考えておられるのか、総務省の方からお聞きしたいと思います。
  70. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 今先生から御指摘のありました件は、すべての携帯電話会社ということではございませんで、KDDI株式会社の携帯電話に関する件と承知しております。  同社におきましては、ワンセグを初めて利用する際に、ワンセグ視聴者の視聴データを取得する、視聴データといいますのは視聴日時とかチャンネルという意味でございますけれども、この視聴データを取得する場合があることについて視聴者の同意を得た上で、以後、視聴者データを同社に送信しているものと承知しております。  いずれにいたしましても、携帯電話利用者のプライバシー保護というのを総務省としても極めて重要な課題と認識しておりますけれども、御指摘の視聴データといいますものは端末ID、視聴日時、チャンネル等でございまして、特定の個人を識別できない形で取り扱うなど、そのプライバシーに配慮した取扱いもしていると聞いているところでございます。  私ども総務省としましては、今後とも、視聴者の方々がワンセグ放送を視聴するに当たりまして、プライバシーに配慮した適切な取扱いが事業者においてなされるよう注視してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  71. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 個人的な識別ができないようにということは、逆にできるわけですから、識別は、その辺よく注視をしておいていただきたいというふうに思うところでございます。  さて、NHKの事業の中心は番組放送することでございますものですから、事業支出の約半分が国内放送費というふうになってございます。国内放送のジャンル別の制作費、十八年度決算で見ますと、さすがに公共放送NHKだけあって、ニュース報道番組制作費が九百六億円、三一・五%、また情報、ドキュメンタリーが四百九十六億円で一七・三%、スポーツが四百二十八億円で一四・九%、結構お金掛かるかなと思ったら、ドラマが二百三十一億円で八・一%となっておりました。  現在審議中のこの予算案、ジャンル別番組制作費というものが公表されておりますけれども、主な番組の一本当たりの制作費というのが出ております。「ためしてガッテン」というのが千六百八十万円ですか。また「篤姫」が五千九百十万円というふうになっているわけでございますが、最も多いはずのニュース報道番組、あるいは三番目に多いスポーツ制作費が個別には出ておりません。受信料が適正に使用されているかどうか、この判断にはどうしてもその数値が、公表するべきではないかというふうに思っておりますが、ニュース報道スポーツを公表していない理由について伺いたいと思っております。  今年も松井選手が結婚するとか福留選手などの日本人の活躍があって大リーグも一段と関心を引くと思いますけれども、この中継にも必要以上の多額の受信料が使われているというふうになったらやはり問題がないとは言えないと思っております。国民の、あるいは視聴者の判断に資するようにより多くの番組制作費を公表すべきであると思いますが、いかがでございましょうか。
  72. 日向英実

    参考人日向英実君) お答えします。  スポーツ番組については、御指摘のように個別の番組についてはまだ公表しておりません。制作費の総額は決算の段階で公表しておりますけれども、御承知のようにスポーツ放送権料という問題がございまして、契約の内容にかかわることについては守秘義務が掛かっております。それから、金額を明らかにすることによって今後の放送権の交渉、それからほかのスポーツ団体との関係その他のことも考慮しなきゃいけないということがございまして、今のところ明らかにしていないということでございます。御理解いただければと思いますが。  ただ、NHKとしては、国民があまねく視聴できるということで、スポーツについては適正な放送権料ということで各団体ともその旨を説明しながら適正な価格で取得したいというふうに考えております。
  73. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今スポーツ放送権料という話が出ました。  額を見ますと、十九年度のスポーツ放送権料が二百二十億、二十年度予算では二百三十億というふうになっております。スポーツ番組制作費の半分ぐらいが放送権料という形になっているわけでございますが、国内放送の実に一割がスポーツ放送権料というような形になるわけですね。ただ、スポーツ中継の在り方がやはり検討をする必要が出てきているんではないのか、もっとマイナーなスポーツに光を当てた方がいいという、そんな意見もあるだろうと思います。  高額化する放送権とスポーツ放送の在り方について、会長の御所見がありましたら御見解をいただきたいと思います。
  74. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 一般に商業ベースには乗りにくいアマチュアスポーツ放送することは多様な放送を実施する公共放送としてNHKの重要な使命だというふうに心得ております。  北京オリンピックを八月に控えまして様々な代表選手の選考会でありますとか最終予選が行われておりますが、NHKとしては、例えばいわゆる中東の笛が問題になりましたハンドボール予選を放送いたしまして、これが視聴者の関心におこたえしたと思います。また、今週末には岐阜県で行われます男子ホッケーの予選も放送する予定でございまして、今後もできるだけ多くの競技を取り上げるように配慮いたしております。  以上でございます。
  75. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 剣道なんて年に二回しかやってくれないなんという声がわきから出てきておりましたけれども、是非いろいろ幅広にお願いしたいと思います。  会長の、新聞でインタビューに答えた中で、受信料の問題ですね、二〇一一年まで値下げは困難じゃないのかということがございまして、その理由の一つに年金積立額一千億円超不足していると、そういう理由が述べられておりました。  平成十年辺りから企業年金の制度改革あるいは金利が低迷したということで各社大変な努力をしてきたわけでございますが、実はこの参議院の、前は、平成十一年三月、交通・情報通信委員会という委員会であったわけでございますが、そのとき質問の中で、当時松尾理事が、八百七十億円積立不足があるんだ、今十年間の計画で償還してやっているんだと、こういうような御答弁があったわけです。あれから九年たちまして、償還してこれは減っているんじゃなくて逆に一千億を超える、増えていると。一体これはどういうことなんだと。平成十一年の国会答弁後何も手を打たなかったのかということが問題になると思いますが、今後どのようにこの不足を解消をしていくつもりなのかお伺いをしたいと思いますし、是非、経営の健全化を進めてその結果が視聴者に還元されるように努力をしていただきたいと思います。
  76. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 民間企業では、退職給付債務と申しますか、これにつきましてもあらかじめ引き当てることが求められております。退職給付会計を導入しているわけですが、NHKも平成十五年度予算からこの制度を導入しております。  この新たな会計基準に基づいて算出された退職給付債務とその時点で既に積み立てている引当金及び年金資金との差額がいわゆる申し上げております積立不足になるわけでございますが、平成十一年当時はその基準を導入していない時点での不足を申し上げたようであります。積立てを必要とする額につきましては、監査法人と相談の上、財政に与える影響、とりわけ放送の充実原資への影響も勘案いたしまして、退職給付会計基準で認められております最長の十五年を今選択をして毎年度の予算で計画的に対応してきたのが今まででございます。  これからの対応でございますが、NHK経営の安定を考えていく上では、余り先送りせずに短年度で償却する方が好ましいと私は考えておりますけれども、先ほど、地デジ対応もございますし、当面は対処すべき経営課題がたくさんあります。そういった早急に解決すべき経営課題、それとこの年金積立不足の問題を総合的に判断をいたしまして、明年以降の予算の中で組み込むことを検討していきたい、第二次の中期計画の中でこれを総合的に判断をして取決めをしたい、そういうふうに考えております。  以上でございます。
  77. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  78. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時三十分まで休憩いたします。    午前十一時四十二分休憩      ─────・─────    午後零時三十分開会
  79. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  80. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  まず、古森経営委員長NHK経営委員長としての基本的立場を尋ねたいと思います。  放送法には放送の不偏不党、政治的に公平であることが明記されております。経営委員長としてこの立場を堅持することは当然だと考えますが、いかがでしょうか。
  81. 古森重隆

    参考人(古森重隆君) お答えいたします。  放送法には、おっしゃるとおり、第一条に放送の不偏不党が書いてありますし、放送法第三条の二に政治的に公平であることが規定されております。したがって、放送を行うに当たりましては、当然この放送法の趣旨を十分踏まえることが求められていると認識しております。  経営委員長といたしまして、経営委員会委員長といたしまして、番組基準及び放送番組の編集に関する基本計画の審議を通じましてこうした放送法の趣旨がNHK放送全体にきちんと生かされることを担保していきたいと考えております。  以上であります。
  82. 山下芳生

    ○山下芳生君 そこで伺いますが、二月二十六日、都内で行われました某自民党衆議院議員を励ます会に委員長出席された事実はありますか。
  83. 古森重隆

    参考人(古森重隆君) ございます。  これにつきましては、武藤容治という衆議院議員を励ます会に出席しております。武藤容治氏は、大学卒業後、富士フイルムに入社されまして、私の社長をしております会社でございますが、十年以上にわたって勤められた方であり、当社の総務課を通じて出席に関して依頼が、打診がありまして応じたものでございます。あくまでも富士フイルムの社長として出席したものであり、経営委員会委員長として出席したものではないということを言明申し上げます。  以上であります。
  84. 山下芳生

    ○山下芳生君 しかし、励ます会であなたは、NHK仕事もしておりまして、経営委員長を仰せ付かりまして、昨年の六月以来、苦闘しております、皆さんの応援を是非お願いいたしますと、NHK経営委員長立場を明らかにしてあいさつをされたと聞いております。違いますか。
  85. 古森重隆

    参考人(古森重隆君) それは自己紹介の中で申し上げたときでございまして、私はそのときは、私は個人で出ておりますけれどもNHK経営委員長もしております、NHKを是非応援してくださいという立場で申し上げました。
  86. 山下芳生

    ○山下芳生君 不偏不党、政治的に公平であらねばならない公共放送NHK管理監督すべき立場にある経営委員長が特定の政治家の励ます会の、たとえ元社員だったとはいえ、発起人となり、あいさつするというのは、国民・視聴者に誤解を与えるのではないかと思います。経営委員長の任にある間はこういう行動は慎むべきではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。
  87. 古森重隆

    参考人(古森重隆君) 先ほどもお話ししましたように、当社の総務課を通じて依頼があった話でございます。富士フイルムの社長として、会社の先輩として出席したものでございます。私は経営委員会委員長といたしまして、職務においては不偏不党、政治的公平の立場を堅持しており、私企業の社長と委員長立場というのは厳密に切り分けてアクトをしている、行動しているというふうに考えております。
  88. 山下芳生

    ○山下芳生君 誤解を与えるような行いは慎むべきだと私は思います。経営委員長の言動がNHKの政治報道に対する国民・視聴者の信頼を低下させるようなことがあってはならないということを指摘しておきたいと思います。  続きまして、国際放送について伺います。  古森委員長は三月十一日の経営委員会で、海外向けの国際放送では利害が対立する問題については日本の国益を主張すべきだと述べられましたが、ここで言う国益とはどういうことでしょうか。
  89. 古森重隆

    参考人(古森重隆君) 本件は、三月十一日の経営委員会で、国際番組基準の一部変更を審議する際の議論として申し上げた意見だと記憶しております。私は、利害が対立する問題については、日本は当然日本国民の立場に立って国益を主張すべきという公式見解もあろうと思いますし、あるいは国民世論の動向もあろうというふうに思います。こういうものが正しく発信されていくべきという趣旨で申し上げました。  以上であります。
  90. 山下芳生

    ○山下芳生君 何が国益かというのはだれが判断するんですか。
  91. 古森重隆

    参考人(古森重隆君) 国益とは広く日本国民全体にとって利益という意味で用いたものであります。国際放送においても、必要な費用について国民の受信料から賄われておりますので、国民全体の利益を重視すべきではないかという視点もございます。  国際番組基準には、放送法にあります不偏不党は当然のことでありますが、我が国の重要な政策及び国際問題に対する公的見解並びに我が国の世論の動向を正しく伝えるということが規定されております。受信者が国際放送の場合は特に世界に広がりますので、対象が異なりまして、この人たちは日本の公的見解、世論は大変な関心事であるということから、できるだけ多くの意見を反映しつつも、我が国の立場を明らかにし、国民の利益にかなうよう、NHKが自ら編集権の下で適切に判断していくものというふうに考えております。
  92. 山下芳生

    ○山下芳生君 古森委員長は、その委員会の後の会見で、国際放送では政府見解国会決議などを伝える必要があると語ったと報道されておりますけれども、そうしますと、古森委員長の言う国益の主張というのは政府見解国会決議を伝えるということとイコールなんでしょうか。
  93. 古森重隆

    参考人(古森重隆君) 当時の発言は、私の記憶では政府見解というよりも公的見解と申し上げたと思っております。失礼、公式見解というものを申し上げたというふうに思います。  そういうものはいろいろございましょうが、一つは、公式見解というのは政府あるいは国会議員の議決で決まったものでありましょう。この国会議員というのは国民の皆様から選ばれた人たちでありますし、それからまた選ばれた政府の方たちが、いやしくも公的見解、公式見解というものは日本のことをきちんと考えた、そういうものに沿ったものだというふうに私は認識しております。  以上であります。
  94. 山下芳生

    ○山下芳生君 その政府見解が国際的に正しい見解かどうかというのはいろいろな判断が必要だという場合もあると思います。  それで、NHKの国際番組基準というものを読ませていただきました。その冒頭にこううたわれております。国際放送を通じて諸外国の我が国に対する理解を深め、国際間の文化及び経済交流の発展に資し、ひいては国際親善と人類の福祉に貢献すると。大変すばらしい中身だと思います。ですから、狭い国益の主張ではなくて、広く国際的に理解を深め、交流を深め、国際親善と人類の福祉に貢献する、これが国際放送の本来の目的だと、ここに書いてあるわけですけれども、そうじゃないんでしょうか。
  95. 古森重隆

    参考人(古森重隆君) そのとおりであります。ですから、私は、偏狭な国益という、主張ということではなくて、当然公共放送として放送する場合にはいろんな意見の吟味もありましょう。あるいは国際広報の吟味、すべてのことを考えて公的見解、公式見解はなされるものだと思いますし、国民もまたその線によって適切に判断するものだというふうに考えております。  以上であります。
  96. 山下芳生

    ○山下芳生君 自国の政府見解だけを出す国営放送のような放送とか立場の違う意見を紹介しない多様性のない放送というものに耳を傾ける人は世界では少ないと思います。英国放送協会、BBCが国際的に高い評価を受けているのは、自国に不利なことでも公正に伝えようと努力をしてきたからだと思います。NHKの前身に当たる戦前の日本放送協会は、国家の管理に組み込まれて、戦争を推進するための国策宣伝機関になってしまいました。その痛苦の教訓に立って、戦後、憲法は表現の自由をうたい、放送法には編集の自由が明記されたことを忘れてはならないと思います。NHKが自らそういう歴史の教訓を投げ捨てるようなことをあってはならないということを指摘しておきたいと思います。  続きまして、障害を持つ人たちが情報にアクセスできる機会を向上させる問題について聞きたいと思います。  デジタル放送は、美しく迫力のある画像ですとか、アナログ放送ではできなかった様々なサービスを提供することを可能にいたしました。私もデジタル放送で映画を見ておりましたら、途中から見たんですけれども、途中までの粗筋という文字情報がぱっと出るということに大変驚きました。こうした技術革新の成果というのはすべての人々が享受できなくてはならないと思います。  そこで、放送のデジタル化に伴い、障害者や高齢者に優しいサービスが飛躍的に充実されるべきだと思いますが、総務大臣NHK会長見解、決意を伺いたいと思います。
  97. 増田寛也

    ○国務大臣(増田寛也君) お答え申し上げますが、字幕放送についてまず申し上げますと、アナログの場合には専用の受信機が必要だったわけですが、デジタル化に伴いましてこの字幕受信機能というのが標準仕様となりました。それから、解説放送につきましても、アナログ放送では例えばステレオ放送とか二か国語放送を行う場合に同時に解説放送というのは実施できなかったんですけれども、デジタル化されますと、こうしたステレオ放送等の場合でも解説放送を実施することが可能となったと。技術的に大変な進歩がこういうことを可能にしたわけでございます。  したがいまして、放送事業者、当然NHKにおかれましてもこうした機能を十分に生かして、特に高齢者それから障害者に優しいサービスの充実を是非図っていただきたいと、このように期待をするものでございます。
  98. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 高齢者でありますとか、あるいは視覚、聴覚に障害を持っておられる方、障害のある方々により放送を楽しんでいただきますように、この字幕放送とか解説放送につきましてはますます力を入れていますが、まずはNHKといたしましては放送時間を増やすということをまず第一に取り組んでいきます。それから、デジタルテレビには字幕放送とか解説放送が受像できるチューナーが内蔵されておりますので、なお一層デジタル放送が増えればそういった機会も増えてくるんじゃないかと、そういうふうに考えております。  私はNHK放送技術には大変大きな自負を持っておりますけれども、先般、技術研究所を訪れましたときに、そういった障害のある方々に対する技術的な研究が大変進んでおりまして、御紹介いたしますと、例えば視覚障害の方から要望の多いニュース速報を自動的に音声にする技術の開発でありますとか、あるいは聴覚障害者向けに生放送での安価な字幕制作技術の開発とか、あるいは高齢者には、速さに変換する、話速、話す速度を自動的に変換する機械といいますか、技術ですが、これは私も実際に自分で聴講してみましたけれども、そういった技術の開発に向けて積極的な努力をしておりまして、放送時間、それからそういった放送技術の問題と併せて、視覚、聴覚の障害のある方々へのお力添えをしていきたいと思っております。  以上です。
  99. 山下芳生

    ○山下芳生君 そこで、字幕放送については先ほど同僚委員から質問がありましたので、私の方からは、生放送の字幕を増やしてほしいですとか、災害時の臨時ニュースに字幕がなかなか付いていない問題があるよとか、ローカル放送にも是非字幕をという要望が出ておりますので、是非御努力いただきたいということだけ申し上げたいと思います。  次に、視覚障害の方にとって、ドラマなどの番組でせりふが入らずに無音のときですとか、あるいはニュースなどで外国語のコメントに日本語の吹き替えがないときなど、解説放送があればテレビ番組内容がきちんと理解できるということになります。例えば、大変人気のあった朝ドラの「ちりとてちん」、私も毎日見ておりましたけれども、これですと、草若家の玄関先にたたずむA子というふうに解説放送が流れますと頭にその情景が浮かぶという具合であります。  そういうNHKの解説放送の現在の到達と今後の目標について説明いただけますか。
  100. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 解説放送でございますが、平成二十年度から始まります行政の指針では、新たに視覚障害者のために情景描写などを言葉で説明する解説放送についても目標が設定されます。  具体的な目標は、七時から二十四時の間に放送する番組につきましては、平成二十九年度までの十年間で、総合テレビで一〇%、教育テレビで一五%に解説を付与するというものでございますが、NHKでは解説放送、平成二年以来ドラマや教育番組を中心にジャンルを広げながら実施をしておりますが、行政の指針に対する平成二十年度の解説付与率は総合テレビで五・三%、教育テレビで九・一%を予定しております。  今後どのようなジャンルの番組にどういった解説を付与するかということが、それがどういったことが効果的であるかなど、解説放送に対するニーズをしっかりと踏まえながら目標達成に向かっていきたいと思います。
  101. 山下芳生

    ○山下芳生君 例えばドラマですと、もう機械的に説明を入れるというふうになりますとドラマの面白さが損なわれるので、脚本家の方がそういう、もう一本ドラマをつくるぐらいの労苦をいとわずやられていると聞きました。しかし、要望高いですから、是非一層の努力をしていただきたいと思います。  最後に手話放送について伺いたいと思います。  現在、NHKの総放送時間における手話放送の割合、どうなっていますでしょうか。
  102. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 手話番組は、平成二十年度はNHK手話ニュース、それからこども手話ウイークリー、NHKみんなの手話、こういったものが一週間に七番組、合計三時間四十五分のニュースを教育テレビで放送いたします。教育テレビの放送時間のこれは二・六%に当たります。  以上でございます。
  103. 山下芳生

    ○山下芳生君 非常に低いんですね、手話放送の今到達というのは。  ところが、総務省に聞きますけれども、視聴覚障害者向け放送普及行政の指針というものがありますが、その指針の中に手話放送の目標が入っておりません。どうして入っていないんでしょうか。
  104. 中田睦

    政府参考人(中田睦君) お答え申し上げます。  字幕放送の場合でございますと、元々の番組に字幕が入る、したがいましてすべての方が字幕を御覧になるいわゆるオープンキャプションの方式だけではなくて、元の番組には字幕は入っておりませんけれども、聴覚障害者の方が選択して字幕を付けたものを御覧になる、そういうことが可能になってございます。  他方、手話放送の場合には、これは字幕放送と異なりまして、送出されますデータ量が圧倒的に多いということがございまして、視聴者の方が選択的に手話を付けるということが難しく、現在ではできません。そういう形で、手話放送の場合はすべての方が御覧になる画面に手話を付けるしかないということがございます。  そういうことで、今回、あしたから始まります新方針のベースになっております研究会の報告、これ昨年の三月でございますけれども、この報告書の中でも、手話放送につきましては字幕放送と同様に指針を策定すべきであるという意見もございましたが、今申し上げましたような技術的な課題、それから研究開発の可能性、諸外国の状況などを考慮して検討していくことが求められると、そういうことになってございまして、現在検討中と、検討課題とさせていただいております。
  105. 山下芳生

    ○山下芳生君 現在検討課題ということなんですが、先天性の聾者の方、それから幼少時に失聴した人にとっては聴覚を用いないで獲得した手話が基盤の言語となって、手話が重要なコミュニケーションの手段となっている場合が多いですね。そういう方々にとっては字幕放送よりも手話放送の方が理解しやすい場合もある。あるいは、両方放送してくれれば大変理解しやすいという意見もあります。  手話の伝える力というのはなかなかすごいなと。聾者の方の意見伺いますと、例えば速くしたりゆっくりしたり、強弱の表現を手話で使い分けることができる。あるいは、手や指だけを使うのではなくて、顔の表情ですとか身ぶり手ぶりも使って伝えていくので、大変個性が出るし、気持ちがストレートに表れると。そういう方々にとっては大変大事な情報伝達手段だと思いました。  なかなか技術的に困難だというんですが、例えばイギリスでは字幕・解説放送に加えて手話放送の目標値を設定して、放送事業者に対して目標達成を義務付けております。現在、同じ画面に出すしかないということですが、イギリスでも、クローズドサイニングというんでしょうか、選択して手話の画像がまた別に出るということも一生懸命検討している。だから、困難ではあっても目標を持たなければそこに近づくことはできません。やっぱり高い目標を持ってその困難を、課題を克服していくことが私は求められているんじゃないかと思います。  デジタル化で電波に乗せることができる情報の伝達量は飛躍的に向上したわけですから、こういうことにもチャレンジしていくことが私は大事だと思いますが、総務大臣NHK会長の認識を伺いたいと思います。
  106. 増田寛也

    ○国務大臣(増田寛也君) 今お話にございましたとおり、やはり字幕放送、解説放送、それから、いまだ率は低いんですが手話放送ですね、これも技術的な問題も是非解決をしてその普及をより一層図っていかなければならないと。今BBCの御紹介もございましたけれども、いろいろな先進事例等もよく調査研究をして、特にNHKにおかれてはこうしたものに率先して取り組んでいただきたいなと。  総務省の方でも、普及の目標等を設定したり、あるいはこうした制作費の一部助成等を行ってきておりますけれども、今後こうしたことを更に充実させるなりして、是非、今お話がございましたとおりの字幕放送、解説放送、さらには手話放送も含めて、より一層普及が図られるように私どもも努力をしていきたいと、このように考えております。
  107. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) この字幕放送、解説放送を今後更に普及させていきますためには、専門的な技能といいますか、字幕を作る人だとかあるいは解説を制作する人、そういった専門能力を持った人の人材の確保でありますとか、また音声を自動認識して文字化するシステムの開発とか、そういった私たちが取り組まなければならない課題もたくさんございますが、しかしこれは是非達成に向けて努力していきたいと思います。  それから、聴覚障害者に対する手話の問題ですが、これは、手話放送は画面の片隅で手話をやる、これは画面構成上も、それから手話を御覧になる方も両方見にくいという欠点がまだあります。それで、もう一つの取組として手話番組そのもの、手話ニースでありますとか手話だけの番組とか、そういった方向の開発にも力を入れて、この手話問題は両面から推進していきたいと、かように考えております。  以上でございます。
  108. 山下芳生

    ○山下芳生君 終わります。
  109. 又市征治

    ○又市征治君 社会民主党の又市です。  まず、経営合理化についてお伺いしたいと思います。  千二百人の正職員の削減は一段落するようですけれども、昨年も申し上げたように、これが番組の質の低下であるとかあるいは労働強化や下請の濫用によるミスが発生をするなどということにならないように、改めてこれは求めておきたいと思います。  そこで、福地会長は、放送の質を落とすようなコストカットはしない、改革とは縮小、再生産のことではないと、こう発言をされているわけですが、その思いのほどをまず御説明をいただきたいと思います。
  110. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) NHKにとりまして番組放送報道はまさに命でございます。したがって、私が就任に際しましてまず全職員に申しましたのは、番組報道の質を落とすコストカットはしないと明言をいたしました。  したがって、この千二百人の人員の削減にいたしましても、事務部門は三九%カットいたしました。放送部門は六%のカットということで、おのずからやっぱり放送部門はこの被害が少ないような配慮は十分、これは私がしたわけでございません、前職がしたわけでございますが、そういった取組がなされておるようでございます。  人員削減の一方で、多様な放送サービスの充実でありますとか、あるいは地上デジタル化への取組でございますとか、公共放送としての業務に繁忙感があることは認識しております。今後は関連団体も含めたこのNHKのグループ全体として効率的な関係をひとつ築いていきたいと、かように考えております。
  111. 又市征治

    ○又市征治君 二〇〇八年度予算では振り込み数が回復してきたので訪問集金の地域スタッフを減らす方針になっておりますが、先ごろの株のインサイダー取引の影響も今後懸念されますけれども、これまでの相次ぐ不祥事によって、当然視聴者の苦情や抗議が殺到して契約が低迷をしてきました。その下で、下請という不安定な身分ながらも、靴の底をすり減らして身を粉にして、視聴者の厳しい批判を受けながらNHKへの信頼をつないで受信料をいただいてきたのがこの地域スタッフの皆さんですね。  私もこうした方々の御苦労話も聞いてまいりましたけれども、この言わばNHKの安全保障手段ともいうべきこうした方々、理事者側はどういうふうに位置付け、この人々にどのように報いようとされているのか、お伺いをしたいと思うんです。
  112. 大西典良

    参考人(大西典良君) お答えいたします。  契約者全体の約一二%程度、二十年度九月末で訪問集金を廃止をすることで、これまで訪問集金に要していた二千四百人分の委託契約収納員の労力のうち千二百人分を段階的に削減する一方、残り千二百人分を契約取次ぎや未収対策などの体制強化に振り向けてまいります。契約取次ぎや未収対策においては、転居の有無の確認や未収金の回収のため、全国のお宅を一軒一軒訪ねる活動は不可欠であります。戸別訪問による活動は今後とも継続してまいります。  また、こうした活動を支える委託契約収納員の皆さんには、大変厳しい営業現場での最前線でそれぞれ責任感と誇りを持って仕事に従事していただいております。今後とも、公平負担の徹底に向けて、営業現場の最前線で共に取り組んでまいりたいというふうに思います。
  113. 又市征治

    ○又市征治君 余り温かい中身がないですね。  次に、NHK予算への総務大臣意見でこの訪問集金業務に市場化テストの活用を要求されている件について伺いたいと思うんです。  私は、昨年、国民年金や厚生年金の集金の市場化テストについて調べてみましたが、請け負った企業は早く取れておいしい対象者に集中をする、あるいはモラルを無視したサラ金的な取立てもあるなど、そこには公共性の観点がないためにいびつな業績を上げている例も社会保険庁自身がこれはまとめに書いているわけですね。視聴者との信頼で成り立つNHK経済効率優先で集金の市場化テストを取るというのは、かえって私は視聴者間の不平等や信頼を悪化させるおそれがある、こんなことを申し上げてまいりました。  総務大臣、このことが大臣の意見に書かれているわけですが、私は安易に何であろうと市場化テストなどということを進めるということはいかがなものかと、こう思いますが、御見解伺いたいと思うんです。
  114. 増田寛也

    ○国務大臣(増田寛也君) NHKの場合に、受信料を広く国民の皆様方に御負担いただくということでございますので、NHKの経理内容を見ますと営業経費の比率がまだ高い水準にあるものですから、効率的な経営、そして経費の最大限の効率化ということが至上命題だというふうに思っております。  そういう考え方で市場化テストに準じた仕組みを御検討いただきたいと、こういうふうに御指摘をしたわけでございますが、今委員の方から、先生の方から指摘がございましたような点、無理やり取り立てるですとか、あるいは取りやすいところだけを回ると。これはNHKの本来の目標といたします公平性といったようなことを著しく欠くことにつながるわけでございますので、効率性を一方できちんと導入しながらも、国民の皆様方に納得いただけるようなそういうやり方というもの、それをNHKの方でよく中で御検討いただきたいと、このようにしたものでございます。  是非、公共放送としてのNHKで、受信料を国民の皆様方に御負担いただいているということでございますので、そのことも勘案しながら、NHKの方でよく御検討いただければと思っております。
  115. 又市征治

    ○又市征治君 今大臣からも意見がありましたように、NHK側でも是非そこらの点は御注意をいただいて、取り組むにしましても対応していただくように求めておきたいと思います。  二つ目に、先ほども出ましたが、国際放送についてお伺いします。  新年度から国際放送が二分され、外国人向けは子会社になるということですね。もし外国語による国際放送が国民の目から遠く離れて、そこでいわゆる国策放送が垂れ流しされては、逆にNHKの、ひいては日本の国民の良識が世界に疑われることになりかねない、こんなことを思います。外国人向け放送をどのように、放送基準日本国憲法や国連憲章の精神にのっとった内容にしていくのか、その抱負について、国際経験豊かな今井会長からお伺いしたいと思います。
  116. 今井義典

    参考人今井義典君) お答えします。  まず、新しく強化されます外国人向けテレビ国際放送につきましては、すべてを外国国際放送子会社に委託するのではありませんで、主たるニュース報道の部分につきましてはNHKの本体がニュースを伝えてまいります。子会社の方では、NHKから番組を委託し、その制作業務を行うことが一つ、もう一つは、子会社独自の番組制作放送することになります。
  117. 又市征治

    ○又市征治君 収支です。
  118. 今井義典

    参考人今井義典君) 失礼いたしました。  NHK制作する、あるいはNHKが子会社に委託する番組につきましては、NHKの国際番組基準、委託基準にのっとって、則して実施することになります。一方、子会社が番組制作会社として独自に番組制作放送する場合には、広告や企業協賛などの外部資金で賄うことも検討しております。このため、この子会社が独自の番組基準や広告基準などを設ける必要があると考えております。
  119. 又市征治

    ○又市征治君 次に、先ほども出ましたが、私はNHK理事者の皆さん方が、NHKの国際放送日本立場を直接主張することではないという、この見解が妥当だろうというふうに思っておるわけですが、二十五日の朝日新聞によりますと、十一日の経営委員会において古森経営委員長は、不偏不党と放送法に書いてあるけれども、国際放送では各国とも国益を主張する中で国内放送のように満遍なく意見を伝えるという話では済まないと主張されたと。さらに、日本意見の発信は覚悟を決めてやらないといけないとか、日本の国益を主張すべきだ、一歩踏み出せとも述べたと報道されているわけですね。  そこでお伺いをしますが、古森さんは、御自分の行動、言動というのが放送法の規制外、あるいは国際放送放送法は適用されないというお考えなのかどうか、この点をお伺いをしたいと思います。
  120. 古森重隆

    参考人(古森重隆君) 確かに三月十一日の経営委員会においてそういう発言がございましたが、この発言は国際放送番組基準というものを新たに改定するという過程の中で行った議論でございます。  その中で、もちろん放送法の、元々の放送法にも先ほど申し上げましたように不偏不党とかいう言葉がございます。そういうものに縛られることもまた一つ当然のことでありますけれども、ただ、国際放送の場合には、各国の人がいろんな重要な問題、国際問題について、日本人日本の世論の動向はどうなのかとか、あるいは日本の公式、何回も言っておりますけれども、公式見解はどうなのかというのは、これは大変関心を持っているところでございます。そういう意味では、日本の、先ほど言いました公式見解と世論の動向というものを正しく情報を発信していくべきで、そういう意味では一歩踏み出せという意味の言葉遣いを使ったと思うんですが、そういう趣旨でございます。
  121. 又市征治

    ○又市征治君 直接お答えになってないんですが、おっしゃっている意味、今もありましたが、私は国際放送というのは諸国間が国益をぶつけ合う言論戦争の場ではないと思うんですね。しかも、今も公式見解ということを盛んに、先ほどからもおっしゃっているわけですが、第二次世界大戦の例を引くまでもなく、そもそも国民の利益と政府見解あるいは公式見解というのは必ずしも一体ではない、相反することはあり得る。NHKはまさにそうした深刻な反省の上に立って再スタートをしたということは明らかであります。  そうしますと、古森さんがおっしゃっているずっと一連のものを見てみますと、どうも国家主義的な発想のように見えてしようがない。そうすると、これはNHKの国際番組基準にも、あるいは放送法日本国憲法や国連憲章からも外れているのではないか。多くの人がそう見ているから批判が起こっている。  この点について、もう一度改めてお聞きします。
  122. 古森重隆

    参考人(古森重隆君) 今のお話はポイントは二つぐらいあると思いますけれども。  一つは、日本日本の国論というようなものを余りぶつけていくと問題があるんじゃないか、けんかになるんじゃないかというポイントがあったと思いますが、この件につきましては、私は、むしろ日本意見をはっきり出していくことが対立をあおることではなくて、むしろ論点をはっきりさせると、お互いの立場への理解を促進することになると、そういう意味では健全であるというふうに考えております。  それから、私は何も公式見解や世論の動向だけをNHK放送しろと言っているわけではありません。当然、放送機関、報道機関として独自の調査、あるいは独自のいろんな記事の作成があると思います。そういう中で、NHK公共放送としての正しい、いろんな意見もあるよということを言う場合もありましょうし、国論が割れているときは国論が割れていると言うこともありましょうし、その辺のことはあのときにはっきり申し上げたつもりであります。後での記者会見でもそういうふうにはっきり申し上げました。国の宣伝機関ではないというのは、これは実は私の口から言った言葉でございます。  以上であります。
  123. 又市征治

    ○又市征治君 大変失礼とは思いますが、去る二十七日のこの当委員会でも、前の御発言に対して深く反省をし、今後発言には注意をしてまいりますと述べられたばかりでありまして、今おっしゃったように、まさにNHKは国の宣伝機関ではない公共放送でございますから、そこの経営委員長として是非とも留意をいただいて対応していただくように求めておきたいと思います。  次に、総務大臣NHK予算に対する意見の在り方について伺います。  今年度の大臣意見が余りにも長いものですから、私はちょっと気になりまして、過去十年間の大臣の意見を取り寄せてみました。この点、しゃべり出すと長くなりますから、総務省の方で簡潔にひとつ紹介をしてください。
  124. 小笠原倫明

    政府参考人小笠原倫明君) 各年度の大臣意見でございますが、国会に御提出しております資料の行数で申し上げますと、まず平成十年度から平成十六年度までは二十二行から四十八行で推移しております。平成十七年度については八十八行、平成十八年度は九十六行、平成十九年度は百十行、今回お出ししております平成二十年度のものは百七十五行となっておるところでございます。  なお、二十年度予算に付しました意見につきましては、まず今回、職員によるインサイダー取引の発覚という報道機関としての信頼性を揺るがす重大な問題がありましたこと、また、昨年の放送法の改正によりまして、NHKのガバナンスの強化、新たな映像国際放送番組アーカイブの配信など新規業務が導入されますこと、あるいは、これも昨年秋でございますが、子会社の余剰金に関する会計検査院の指摘がありましたこと、そうした新しい事項につきまして総務大臣意見を盛り込んだ結果、昨年度より分量的に増えているものでございます。
  125. 又市征治

    ○又市征治君 今早口だったから皆さんお分かりによくならなかったかもしれませんが、今年は過去最長をまた更新して、前文で三十一行、プラス本文十項目百十五行で、この本文分でいうならば昨年の倍にも膨らんでいるわけですね。  総務大臣意見というのはあくまでも電波行政の管理者なり特殊法人の所管者としてであるべきであって、昨年の改正放送法におきましてもNHK番組内容への政府の干渉は禁じられていると、これは言うまでもありません。ところが、前の総務大臣は、NHKの国際放送に命令放送を強行されるなど、干渉の姿勢が極めて濃厚でしたし、受信料の値下げ幅までも干渉された。さすがにこれには与野党から随分と批判の声がありました。  総務省の事務方は私は昨年の延長線上で対応しているのではないかと疑わざるを得ない、こういう気がするんです。NHK予算に対する総務大臣意見というのは、やはりNHK自身が実行すると言っていることまでに細々触れることは全くないんではないのか、必要最小限、要を得たものに絞るべきだと思いますが、増田大臣の御見解伺います。
  126. 増田寛也

    ○国務大臣(増田寛也君) ちょうど、今局長からお話を申し上げましたとおり、インサイダー取引があったり、それから放送法がちょうど改正される時期、それから、さらには会計検査院からの指摘といったようなことが積み重なってございましたので、今回は、この国会での御審議に資する必要かつ十分な意見を付せと、こう放送法上求められておりますので、総務大臣としての認識なり、それから見解を表明させていただきました。  もとより、長ければいいというものでもありませんし、それからいたずらに長くするつもりも毛頭ございません。また、NHK番組編集権、独自にいろいろとお考えのあることについて介入するつもりも全くございませんし、その時々の状況を踏まえて、国会の御審議の御参考になるようなことを適切に付していきたいと、このように考えております。
  127. 又市征治

    ○又市征治君 これも大臣にお伺いしますが、二十七日の毎日新聞日本テレビの氏家さんが、普及率三割と遅れている地デジ移行について、生活保護百十万世帯への国の支援が未定だ、総務省の一般向け五千円チューナー普及の要請も進まない、かといって遅れたら民放は一千億円の負担増で地方局がつぶれる、こう述べられていますね。実に金食い虫で、NHKだけでもまだ一千三百五十億円必要だというふうに伺っています。  時期尚早だと私たちはこの地デジには反対をしてきたんですが、最低限でも、低所得者の皆さんや、あえてそういう意味では、まだテレビ新しいからもったいないと、こう言っている人々、そういう家庭への対策をやはり優先をされるべきだろう、こう思うんですが、この点はどういうふうになっていますか。
  128. 増田寛也

    ○国務大臣(増田寛也君) いわゆる弱者の皆さん方ですね、そうした皆さん方に対しての対応というのは、これはきちんと取らなければいけないと。今内容については情報通信審議会の方で御検討いただいておりますが、対象者、支援範囲、それから支援の方法等につきまして、そちらの方でいろいろとおまとめいただいた上で、その後、私ども責任を持ってその内容を明らかにしたいと。時期的には今年の夏までに総務省の方針を決めたいというふうに思っております。  今お話の中で低価格のチューナーのお話もございました。これも、地デジをきちんと推進していく上では必要欠くべからざるものでございますので、そのチューナーの使用ガイドラインを取りまとめて既に公表してございますが、これにつきましても、開発普及についてメーカーの方に積極的に取り組んでいただく必要がございますので、今要請も既に行っておりますが、今後も更に要請をして、必ずこれは実現化をして、利用者の皆さん方に供したいと。  この地上デジタルの問題、大変重要な問題でございますので、私も先頭に立って実施に向けて努力をしていきたいと、このように考えております。
  129. 又市征治

    ○又市征治君 終わりに、新しい福地体制の下、放送の自主自律を堅持をいただいて、真実に基づく豊かでそして良質な番組公共放送に引き続き努力されることを強く求めて、私の質問を終わりたいと思います。
  130. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  131. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  この際、那谷屋君から発言を求められておりますので、これを許します。那谷屋正義君。
  132. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 私は、ただいま承認されました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党・無所属の会、公明党、日本共産党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   政府及び日本放送協会は、協会に対する国民・視聴者の信頼を回復し、公共放送の使命を全うできるよう、次の事項の実現に努めるべきである。  一、協会において、新生・改革に向けた各種施策に取り組んでいる中で、新たに職員のインサイダー取引が発覚したことは、報道機関としての信頼性を揺るがす重大な問題である。そのため、協会は、これまでの施策を徹底的に見直すとともに、内部統制機能の強化によるコンプライアンスの徹底を図る等、職員の一人ひとりに公共放送に携わるものとしての高い倫理意識が確立されるよう抜本的な対策を講じること。  二、協会は、放送が社会に及ぼす影響の重大性を深く認識し、改正放送法の趣旨も十分踏まえ、放送の不偏不党と表現の自由を確保して、公平、公正な放送の徹底を図るとともに、豊かで良質な番組放送に一層努めること。  三、経営委員会は、改正放送法により、監督権限の明確化等これまで以上に重い職責を担うものであることを認識し、国民・視聴者から信頼される公共放送作りのために一層の努力を行うこと。また、政府においては、委員の人選の在り方について広く研究を行うこと。  四、一連の不祥事による受信料の未払い等は減少傾向にあるものの、今回のインサイダー取引事件を契機に再び増加することが危惧されている。協会においては、あらゆる対策を講じて国民・視聴者の理解を得て、未払い・未契約等の減少に努めるとともに、料金水準を含め、受信料の公平負担に向けた検討を行うこと。また、訪問集金の廃止等契約収納費の削減に努めているところであるが、受信料収入に対する経費の比率が未だに高い水準にあることから、受信料制度に対する視聴者の理解に不可欠な地域スタッフの業務に配慮しつつ、今後も契約収納業務の効率化をさらに進め、経費削減に努めること。  五、新たに外国人向けテレビ国際放送のための子会社が設立されるが、協会が行う外国人向け国際放送については、多額の受信料が投じられることにかんがみ、その費用対効果について、評価・検証するとともに、より効率的・効果的な放送が実施されるよう、業務の体制及び放送内容に対する不断の見直しを行うこと。    また、総務大臣が国際放送の実施要請を行うに当たっては、協会の表現の自由、番組編集の自由を最大限尊重すること。  六、協会は、地上放送の完全デジタル化が円滑に移行できるよう先導的な役割を果たすとともに、政府は、経済的弱者等に対するデジタル放送に対応した受信設備の購入支援等について、早急に検討すること。  七、協会は、公共放送の質の向上に資するよう、業務全般について徹底的な見直しを行うとともに、子会社等の統廃合を含めた一層の合理化を進めることにより、グループ全体の業務の効率化・スリム化を図ること。また、協会と子会社等との取引は、依然として随意契約の比率が高いことから、競争契約の比率を高めるなど取引の透明化・明確化を図るとともに、積極的な情報開示に努めること。  八、協会は、災害時等において、国民が必要とする地域生活に密着した正確な情報や最新ニュースを時宜に応じて提供する必要があることから、緊急報道体制の更なる充実・強化に努めること。  九、高齢者、障害者にかかわるデジタル・ディバイドの解消が喫緊の課題となっていることから、字幕放送、解説放送、手話放送等の更なる拡充と番組内容の充実を図ること。  十、協会は、本年十二月からサービス提供を予定している番組アーカイブについては、早期に収支の改善に努めるとともに、提供するコンテンツの充実に取り組むこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  133. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいま那谷屋君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  134. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 全会一致と認めます。よって、那谷屋君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、増田総務大臣及び福地日本放送協会会長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。増田総務大臣
  135. 増田寛也

    ○国務大臣(増田寛也君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  136. 高嶋良充

  137. 福地茂雄

    参考人福地茂雄君) 日本放送協会の平成二十年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認を賜り、厚く御礼申し上げます。  本予算を執行するに当たりましては、御審議の過程でいただきました御意見並びに総務大臣意見書の御趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。  また、ただいまの附帯決議につきましては、協会運営の根幹を成すものでございますので、これを十分踏まえて、コンプライアンスを徹底し、業務執行に万全を期すことで視聴者の皆様の信頼回復を図り、公共放送の使命を全うしたいと考えている次第でございます。  誠にありがとうございました。
  138. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  日本放送協会経委員長会長及び協会理事は御退席をいただいて結構でございます。     ─────────────
  140. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 国民生活等の混乱を回避するための地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  提出者衆議院総務委員長渡辺博道君から趣旨説明を聴取いたします。渡辺博道君。
  141. 渡辺博道

    衆議院議員(渡辺博道君) ただいま議題となりました法律案につきまして、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。  平成二十年度の税制改正に係る地方税法等の一部を改正する法律案の法律としての施行が平成二十年四月一日より後となる場合に備え、国民生活等の混乱を回避するため、本案を提出した次第であります。  次に、その内容について申し上げます。  第一に、平成二十年三月三十一日に期限の到来する地方税における非課税等特別措置のうち、当該措置に係る納税義務の成立時期等に照らしてその期限を延長する必要性が認められるものの一部、すなわち自動車取得税についての過疎バスに係る非課税措置、免税点の特例措置、低燃費車に係る課税標準の特例措置及び大型ディーゼル車に係る税率の特例措置の期限を暫定的に平成二十年五月三十一日まで延長することとしております。  第二に、これに伴い、二月二十九日衆議院本会議において可決し、参議院に送付いたしました地方税法等の一部を改正する法律案について所要の規定の整備を行うこととしております。  以上が本案の趣旨及び内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  142. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。──別に質疑、討論もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  国民生活等の混乱を回避するための地方税法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  143. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十五分散会