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2008-02-05 第169回国会 参議院 総務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年二月五日(火曜日)    午後二時三分開会     ─────────────    委員異動  二月四日     辞任         補欠選任      弘友 和夫君     山本 博司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         高嶋 良充君     理 事                 加藤 敏幸君                 那谷屋正義君                 末松 信介君     委 員                 梅村  聡君                 加賀谷 健君                 行田 邦子君                 榛葉賀津也君                 武内 則男君                 外山  斎君                 長谷川憲正君                 吉川 沙織君                 礒崎 陽輔君                 岸  信夫君                 世耕 弘成君                 二之湯 智君                 溝手 顕正君                 吉村剛太郎君                 魚住裕一郎君                 山本 博司君                 山下 芳生君                 又市 征治君    衆議院議員        修正案提出者   今井  宏君        修正案提出者   山口 俊一君        修正案提出者   原口 一博君        修正案提出者   桝屋 敬悟君    国務大臣        総務大臣     増田 寛也君    事務局側        常任委員会専門        員        高山 達郎君    政府参考人        総務省自治財政        局長       久保 信保君        総務省総合通信        基盤局長     寺崎  明君        消防庁次長    大石 利雄君        財務大臣官房総        括審議官     鈴木 正規君        財務大臣官房審        議官       川北  力君        財務省主計局次        長        真砂  靖君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣  提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、弘友和夫君が委員を辞任され、その補欠として山本博司君が選任されました。     ─────────────
  3. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地方交付税法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会総務省自治財政局長久保信保君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 民主党・新緑風会・国民新日本那谷屋正義でございます。よろしくお願いしたいと思います。  今回の補正予算案でも例年どおり災害対策措置が講じられているわけでありますけれども、まずそれについて冒頭何点かお尋ねをしたいと思います。  まず、昨年の夏、七月ですね、中越沖地震がございました。長野県中野市を含めました北信地域被害を受けられたわけでありますが、特に中越地方において私の教師仲間が実際にかかわった体験等から問題点を洗い出してくれましたので、この指摘をベースに総務省の決意をお伺いしてまいりたいと思います。  中越沖地震が発生した折に、公立小中学校が前例に漏れず避難所主力として指定を受けました。ところが、当初避難所になったにもかかわらず、崩壊のおそれありとして避難所役割を解除された学校があったというふうに聞いています。避難所在り方としては、これはもう絶対あってはならないことだというふうに思います。耐震補強が行われていないのに防災拠点に指定されている公立小中学校の未耐震化問題とは、いつでもどこでも発生する蓋然性が高く、余震被害も軽視できない地震列島でもある我が国の特異性からしても、行政における怠慢の極みと言わねばならないというふうに思います。  提出をお許しいただきました資料を御覧おきいただけたらと思います。  防災拠点となる公共施設等のうち、文教施設に係る耐震率推移ということでありまして、特に市町村のところに強調の色を付けてございますけれども、これは、御案内のように、その主力となる小中学校市町村立であるということのためにこのように分かりやすくさせていただいたところであります。  この推移を御覧いただいたらお分かりかと思いますけれども、二〇〇一年、二〇〇三年、二〇〇五年、二〇〇六年ということで、初めのうちは二年置きにこうした調査が行われていたんですけれども、二〇〇五年から毎年やっていただいているということ、そしてその耐震化率も徐々にではありますけれども上がっているということで、一定努力をしているという評価はさせていただいているところでございますけれども、しかし五八・四というこの数字をこのままやはり捨ておくわけにはいかないのではないかというふうに思うわけであります。  要するに、避難所についてはまず自治体側の判断による、そして人命救助に当たる消防署等を所管するのも総務省でありますから、そういう意味では総務省の果たすべき役割というのは大変重大であり、そして可及的速やかな解決が求められる課題だというふうに考えております。  三年前に中越大震災の教訓を一番重く受け止めたはずの新潟県ですら、県下の公立小中学校耐震化率はまだ五〇%程度にとどまっております。  このような耐震化の遅れというのは、まさに地方財政脆弱性に起因するものであります。財政論理優先でこのような許されざる行政の不作為が見過ごされていいはずはありません。地震はいつどこで起こるか分からないにもかかわらず、対策について、いわゆる、昨年から変えていただきましたけれども東海沖地震並みあるいは南海沖地震並みというふうな形で、それでも地域間格差があるわけでありますけれども、それ自体、論理的には子供住民の命に格差が付けられていることにほかならないのではないでしょうか。  この問題意識をやはり私は総務省と共有できるというふうに信じて疑わないという観点で御質問をさせていただきたいと思いますけれども公立学校施設耐震補強に対する地財措置を拡充し、いわゆる東海地域並み措置全国化する、これこそが国民的要請であり、最優先で取り組む総務行政の本義ではないかというふうに考えるところでありますけれども見解お尋ねしたいと思います。
  7. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) まず、今お話ございましたとおり、学校施設避難所に指定されている場合が大変多うございます。そしてまた、地域皆様方にとりましても大変避難しやすい拠点でございますので、なおさらのこと、そうした施設耐震性の優れたものでなければいけないと、これは私ども全くそのように考えているところでございます。  そして、今お話ございましたとおり、十八年に一度、法律改正に合わせましてこの対策のための財政措置を拡大いたしましたが、更に昨年、今年度になりますが、昨年に地財措置を拡充いたしまして、そして全国どこでも地震が起きてもおかしくないようなという観点から、その内容を充実をしたところでございます。  さらに、それにいたしましてもまだ都道府県ごとばらつき等がございますので、これを、耐震化を引き上げるために私どもも引き続き特に公立小中学校耐震化については力を入れて支援をしていきたいと、こういう考え方であります。  今、東海地域と同様の地方財政措置というお話先生の方から最後にございました。  法律体系が今現在も東海地域と他の地域で若干差が付いているということも今現実にあるので、そうした中で地財措置財源をどういうふうに生み出すかという難しい問題が一方でございますが、地方団体やそれから関係している府省、ここの御意見もよく伺いながら、その今お話ございました点については引き続き検討していきたい、そして耐震化がより進むように私どももこの点については十分留意をしていきたいと、このように考えております。
  8. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 東海地域並み措置がされているところは、これは例外なく耐震化率が大変高くなっているという、このことも是非御認識をいただきながら、やはり財政がしっかりしないとこのことは進んでいかないなということ、そして、それをまず、そのことのリーダーシップを取るのはやはり総務省であるというふうなことで是非頑張っていただきたいというふうに思います。  今のお答えで二問目の質問はやめにしたいと思いますので、次に移りたいと思います。  実は、中越沖地震の際に避難所に提供された体育館では余震が起こるたびに大きく重い照明が揺れて、その下に寝ている方々は恐怖を感じざるを得なかったというふうなことであります。また、窓ガラスが割れて、窓際はガラスが割れて降ってくるおそれもあったということで、避難住民支援学校教職員も当たるわけでありますけれども、その多くの方が体育館が本当に安全な避難所なのか疑問を持ったというふうにも聞いております。また、夏の暑い時期でありましたので、蒸しぶろのような体育館ではお年寄りには耐え難い状況も生まれたと、こんなことも言われております。  そして、小中学校避難施設主力となった状況下にあっては、教職員の中には、自らも被災住民の立場にあったにもかかわらず、被災者方々支援に全力を挙げてきたわけであります。例えば、夜勤明けであっても通常勤務もあるわけでありますし、また心理的不安を抱える子供たちのケア、そして家庭訪問ども精力的にこなす必要にも迫られていて、本当に大変な努力をされたというふうに聞いています。  このような状況の中で、実は一つこういうことが改善されるといいなというお話がありましたので、是非お話をさせていただきたいと思いますけれども災害本部等からの電話連絡の取次ぎが、これが結構大変だったということであります。災害本部等からの電話連絡電話が引かれている教務室でまず受けざるを得ない、必然的に教務室から体育館にいる管理責任者へその旨の連絡ということになり、回数もこれは少なくなかったということであります。  そのための労力というのは決して少ないものではないということはもうお分かりになるかというふうに思いますが。体育館常備電話というものを考えたときに、授業中の不慮の事故があった際にも望ましいところではありますけれども、少なくとも体育館避難所になった段階電話は必ず設置する、このことを、特に管理責任者用のという、いわゆる専用のそういう電話を必ず設置する、このことを避難施策原則としていいのではないかというふうに思うわけであります。  聞くところによると、電話を、臨電をやはり避難所ごと設置されたというふうにも聞いていますが、それはほとんど避難された方々が親戚だとか友達だとかそういうところに連絡をされるためにばあっと使われる意味だと思いますけれども、それと一緒に大事ないわゆる緊急避難の指令だとかそういったものまでもその電話を使うということになると、大事なことがずっと後になってしまうような状況というのも生まれかねないわけでありますから、そういう意味では、いわゆる連絡用専用電話設置、このことをやはり、設置をすることを原則とするということが非常に大事ではないかというふうに私は考えるところであります。  また、大変な高齢化ということで、そして心身にいろいろなハンディを持つ高齢者が増加しているわけでありまして、いわゆるそういう中で、昔のような詰め込み式避難所在り方というのはやはり早急に見直されなければいけないのではないかというふうに思います。  学校施設については、社会最善のものを完備するということが実は欧米の主流の考え方になっているところであります。社会最善のものが完備される公立学校施設水準を迅速に完了することが国民生活の安全、安心の面でもベストの選択であり、防災上も最大の有効性を発揮するのではないかというふうに思います。  このことについてしっかりとした見解をいただき、特に電話の、特に管理責任者用連絡指示等のための専用電話設置、これについてお答えをいただけたらと思います。
  9. 寺崎明

    政府参考人寺崎明君) ちょっと私の方から電話関係お答えさせていただきたいと思います。  大規模非常災害が発生した際に住民避難所となる体育館での連絡手段の確保が非常に重要であるというふうに思っておりまして、法令におきまして電気通信事業者に対して非常災害救援等のために必要な事項を内容とする通信優先的に取り扱わなければならないことが義務付けられています。こういったような法令に基づきまして、電気通信事業者は、非常災害発生時に地方自治体からの要請に基づきまして順次避難所等に臨時に電話設置し、避難所との通話を、通信を確保している状況でございます。  総務省といたしましては、今先生指摘のように、災害時の指揮命令系統、そういったようなものと教育現場、こういったようなことの作業、こういったようなものに支障が出ないように非常災害発生時等に必要な通信を確保するということは必要だと思っています。  そういう観点から、現場のニーズをよくお聞きして、引き続き関係者と連携して非常時の通信在り方、そういったものにつきましては取り組んでまいりたいと思います。
  10. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今お話ございましたとおり、避難所がやはり整えるべき設備水準というものが確かにあるわけでございまして、耐震性のほかに、例えば今お話ございました非常用の電源施設、それから夜間照明ですとか、それから例えば避難者のための、いろいろ人がぐっと多くなりますのでトイレですとかそれからシャワー、こういったものがあるとそこのやはり避難所としての的確性が更に高まる。  そこで、先ほど申し上げました耐震化については、地財の中で起債の充当率九〇で、それから交付税措置も五〇という高いものを用意していますが、それ以外にも今申し上げましたような施設トイレですとかシャワーですとか夜間照明ですとか、そういった様々なものにつきましても私どもの方で別途地財措置財政措置を講じております。こちら充当率七五%で、交付税算入三〇ということで少し耐震化と差が付いてございますが、まず耐震化を急ぐためにそこに一番ウエートを掛けていると。それから、今お話ざいましたこういった設備につきましても別途地財措置を講じまして、できるだけこうしたものを優先的に備えられるような、そういうものにしていくということでございます。  今後も、学校の場合に九割ぐらいが避難所に指定されているという、そういうことのようでございますので、あわせまして、こうした地財措置をしっかりと講じて防災機能強化に引き続き努めていきたいと、このように考えております。
  11. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 冒頭申し上げましたように、地震防災対策強化推進地域というのが示されているところでありますけれども、実はこの新潟はその中に入っていない。つまり、東海地域並みのというふうな話をさっきしたんですけれども、もうそういうふうな推進地域に入っていないところでもこのような地震が起こって本当に大変な混乱を招いている状況になるということになりますと、日本全国これはもう本当に東海地域並み措置がされるべきだというふうに思いますし、そういうふうなところで、やはり国民の生命を守るという観点でもしっかりとした耐震化そして設備、そういったものを是非力を入れていただけるようによろしくお願いしたいと改めてお願いをしておきたいと思います。  それでは、次に行きたいと思いますが、まず減収補てん債関連についてお尋ねをしたいと思います。  〇七年度の地方税収について、これもやはり国税同様に厳しく、〇七年度当初見積もられていた四十兆三千七百二十八億円よりも大幅な税収減であるということであります。昨年十二月段階調査では特例債発行規模数が約八十団体、千八百億円の発行見込み総額ということでありまして、これが約全体の〇・四%強だというふうになりますけれども、こういうふうな中で、これまでも減収補てん債というのは発行されてきたわけでありますけれども、その際には地財法五条ただし書の規定にある建設地方債のみでありました。しかし、今回はいわゆる赤字地方債としても認めるということでありまして、この赤字地方債として認めているのは戦後二回、過去、戦後二回あるということで、一つはオイルショック後の一九七五年、それから不況感が強まった二〇〇二年ということで、極めて異例な対応であるというふうに思います。  そういう中で、自治体行政在り方の見直し、改革というのは一定必要でありますけれども、一方で、地方団体財政の立て直しのためにやはり公務員の給与をカットする、あるいは人員削減をするなどなど汗と涙と血を、まあ歌じゃないですけれども、そういうものを流して大変な努力をされてきているわけであります。  なぜそれにもかかわらず、この自治体財政がここまで傷むことになったのか、背景要因について見解をお願いしたいと思います。
  12. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今お話ございましたとおり、過去二回発行しております今回の措置でございますが、戦後三回目ということでございますので、確かに異例の措置であるといえばおっしゃるとおりだと思います。  その背景でございますが、一つは、近年、投資的経費が非常に減少してございます。ピーク時の五割を切っている自治体がもうほとんどでございまして、この投資的経費がこの十年間でも急速に減少しているということ、それから、あと、財源調整のために各自治体とも持っておりました基金を著しく取崩しをして、そうした手持ちのものが非常に少なくなっているということがございます。  そうした自治体財政状況の中で、今般、基準財政収入として私どもが見積もっていたものから地方税減収が著しく大きくなってしまったということでございますが、その中では従来から建設事業範囲の中でこうした減収補てん債発行して各自治体対応してございましたけれども、これについて、先ほど言いましたように、建設事業充当先が著しく縮小してしまって他に方法がないというようなことで、大変窮状を訴える団体が多うございました。昨年の暮れに私どもで統計を集計しましたところ、八十団体ぐらいがもう予算編成が大変厳しいというお話がございました。こういうことがございましたので、私どもとして今回、三回目の措置となりますけれども、特に減収補てん債発行をお認めをするということで対応していただきたいと考えているところでございます。  もとよりこれは、こうした減収が生じる場合には通常地方債充当残額範囲内でいつも減収補てん債補てんをしてございますが、これは交付税の算定における精算調整手法一つでございますので、普通であれば来年度そこの交付税額で調整するものを今年前倒して行うということでございますので、こうした減収補てん債につきましてお認めをいただきまして、そしてそうした自治体予算編成対応させていただきたいと、このように考えているものでございます。
  13. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 今回の対応については今詳しくお話しをいただいたわけでありますけれども、そうではなくて、ここ数年来、今、九年来、投資的云々という話がございましたけれども、なぜ近年、地方は本当に、さっきも言いましたけれども、血と汗と涙を流しているにもかかわらず大変な状況に追い込まれているかという、そのことについて、済みません、もう一度お願いします。
  14. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 大変失礼いたしました。  さらに、大きな背景として考えるもの、これは私ども三点あるというふうに思っております。  一つは、平成の四年ごろからでございますけれども、バブル崩壊した後、景気対策ということで公共事業を大変多く実施をいたしました。地方はこれに対して更に単独事業で、国、地方一体でこうしたものを実施するといったもの、これは地方債発行によって資金を賄っておりますので、ちょうどその地方債償還時期が今に当たっておりまして、この元利償還金が非常に増えているということが一つございます。  それから二つ目は、その後、バブル経済崩壊後でございましたので、恒常的な税収不足というものがございました。国税収入それから地方税、長期低迷していると。最近は国の方、地方の方も一時期に比べると少し回復してございますが、平成の長い年度で見ますと依然として回復をしていないと、こういうことがございます。  三点目は、社会保障関係費地方が持つべき義務的な負担ですね。これはもう削減できない、必ず出さなければいけないものでございますが、こうした義務的経費が増大していると。  こういうこと、三点が構造的な背景としてございまして、それが今回非常に予算繰りを厳しくしている大きな原因にもなっているということでございます。
  15. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 そういう理由があるんだろうというふうに思いますが、先ほどの九年来云々ということをざっと今から計算してみますと、ちょうど九九年あるいは二〇〇〇年ぐらいからの話になってくるかなというふうに思いますが、私が思うには、まず、このような状況地方が追い込まれてしまった要因の大きな一つに、いつもいろいろ税収見込み等々を算定するに当たって、財務省との折り合いにのみ腐心するかのような地財計画策定手法そのものにあるんではないかと。今大臣がるるお述べになったこと、そういう実態があるにもかかわらず、いわゆる財務省のそういうふうな意見にどうしても押されてしまうような部分というのがあるんではないかというふうに思うわけであります。  企業業績開示というものになぞらえて、一番見えやすい問題から指摘をさせていただきますと、二〇〇七年度の地方税収見積りは、企業でいえば、売上げを過大に見積もってあたかも好業績企業であるかのごとく情報開示を行って株価を引き上げたり資本増強を図ったりという、ライブドア事件のごとき風説の流布や株価操作に当たるような、あってはならない形ではなかったのかというふうにも私は考えているところであります。  〇七年度の地財計画地方税収の大幅な伸びを前提に策定されているわけであります。具体的には、地方税全体で前年度比一五・七%増、道府県税で二二・二%増、市町村税で一〇・五%増と、このように見込まれておりまして、これほどの税収増が本当に期待できるのかということが、多くの懸念も表明されてきたところでありますし、私も昨年この場で、委員会の中でその部分についてお話をさせていただいたところであります。  これが本当にそうなってしまっているということについては、言ってみれば、地財計画に盛られた税収見積りというのはやっぱり大甘であったというふうに言わざるを得ません。そして、それを一身に背負わざるを得ないのが地方団体というふうになっているわけでありまして。  しかし、そこにこの問題をとどめておいてはまた来年も同じようなことが起こるというふうにも思うわけでありますから。  そういう意味では、もうちょっと根本的な話、例えば二〇一一年度におけるプライマリーバランス達成という、この問題があるわけでありますけれども、二〇一一年度にプライマリーバランスを何とかしなきゃいけない。まあ、二〇一一年度かどうか分かりませんけれども、プライマリーバランスを何とかしなきゃいけないというこの思いは分かりますけれども、余りにもそのことが先にあるということ、そして、地方切捨ての小泉流構造改革にどっぷりはまり込んでしまった無理筋の圧力に総務省がもう少し力を発揮してもらいたいなというところであったんじゃないかなというふうに思うわけでありまして。交付税総額の削減まずありきというような裏証文として地方税収が過大見積りをされた、そういう流れができ上がってしまったんではないかなというふうにも取れるのではないかと思います。  この構造的要因自体にメスが入れられない限り、今回のような国からの押し付け的借金に依存せざるを得ない自治体財政運営という、いわゆる負の回路からの脱却は遠のくばかりではないかと考えているところでありますけれども、いかがでしょうか。
  16. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 地方税収見積りの乖離といいますか、それについて私からお話をさせていただきます。  御指摘のように、平成十九年度、今年度の地方財政計画で見積もりました地方税収、四十・約四兆円でございますけれども、これにつきましては、徴収実績、九月末現在などから推測いたしますと地方財政計画額を七千億近く下回るという見込みでございまして、税目別で申し上げますと、地方法人二税の影響、これが四千億円程度と最も大きくなってございます。  地方税収見積りは、地方団体財政運営のこれは指針となります地方財政計画策定上非常に重要なものであるということから、毎年十二月の時点で利用し得る直近の課税関係データなどを基にできる限り正確な見積りが得られるように努力をしているというところでございます。  平成十九年度における地方税収の決算見込額が当初見込額を下回るということになりますのは、これも御指摘にもございましたが、企業の経常収益の伸びが低下をしたといったことなどから、国の法人税収平成十八年度の補正後予算、これを大きく割り込むといった状況となったのと同様、主として地方法人二税の税収企業の経常収益の伸びの低下の影響を受けて見込みを下回ったことなどによると考えております。御案内のように、国税の場合には三月決算法人は当該年度に入ってまいりますけれども、私ども地方税の場合には翌年度ということで、昨年度の、十八年度決算で国税が大きく割れたのと同様の現象が今起きているというふうに考えております。  地方税税収見込額、これはそれぞれ前年末の時点において様々なデータを基にできる限り正確な見積り、これが得られるように努力をしておりますし、また今後ともそうした努力をやっていかなければいけないと考えておりますけれども、乖離がある程度生じるということもあるということにつきましても御理解をいただきたいと考えております。
  17. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 それは見積りという部分でありますから、大変生き物ですから難しいというふうには思いますけれども、今申し上げましたように、二〇一一年度のプライマリーバランスというものがまず最初にあってというふうなところにどうもたどり着いてしまう気がしてしようがありません。もっと極端なことを言うと、二〇一一年のプライマリーバランスはいいけれども二〇一二年からは分からないと、こういうふうな極端な話にもなってくるのではないかというふうに思いますので、本当の意味でのプライマリーバランスというものを考えたときには、やはりきちっと無理のないそういう計画が必要だというふうに思います。  一方で、この減収補てん債にかかわる元利償還金の七五%分については後年度に交付税措置されることになるわけでありますが、しかし二五%はやはり地方負担になるわけであります。交付税総額が抑制傾向にある中で、元利償還金を返済するための公債費が増加していけば、当然のことながら他の経費が圧迫されるわけであります。  交付税が、交付税というものについていろいろな議論がありました。放漫的地方財政の温床になってきたかのような、実証的根拠を全く欠く一〇〇%誤った論理に毒された小泉流構造改革によってこの数年間ずっと疲弊されてきた地方団体が、そうした理不尽な仕打ちにもめげずに、それぞれの特性、特色を生かした地域再生に歯を食いしばって取り組んできているわけであります。この果敢な挑戦において、地域独自の政策的経費に使うことができる一般財源が何より重要度を帯びるということはもう論をまたないわけであります。  そうした中で、この交付税減収補てん債を始めとする借金の返済にこうやって費やされてしまうということ、雪だるま式に増えていってしまうということになると、地域再生というものを考えたときに、いつまでも入口のところで堂々巡りしただけで終わってしまうのではないかという危惧があるわけであります。地域独自の政策的経費に使うことができる一般財源、いわゆる真水の財源幅は適正に確保されているかの議論へと収れんされるわけでありますけれども、この点、地方再生担当大臣である増田大臣はどのようにお考えか、お尋ねをしたいと思います。
  18. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 地域独自のやはり政策的な経費を確保する、そしてそれを含めた一般財源総額をきちんと措置をして、そして各公共団体にいろいろな知恵を出していただく、これが今一番疲弊している地方にとっても大事なことであるというふうに思います。  そういう意味で、何とかこの一般財源総額の確保を行いたいということで努力しているわけでございますが、今そういう中で真水の財源幅が適正に確保されているのかどうかというお話もございました。  この十九年度分の普通交付税の算定におきまして、私ども算定してございます基準財政需要額、これを見積りで約四十五兆というふうに見積もっております。このうち、地方債元利償還金が八兆円で、その他の経費が三十七兆円というふうになっておりまして、この三十七兆の中に、今申し上げましたようないろいろ地域で政策的に使える経費をその中に入れているわけでございます。地方交付税自体としては、どの程度が地方債の元利償還分かどうかというのは区分できないんですけれども地方財政計画で今そういうようなおおよその見積りをしているところでございまして、そうした額をきちんとこれからも歳出の中に計上して、そして公共団体財政運営に必要な額を確保していくと。これは来年度の予算の議論の方にもつながってくるところではございますけれども、そういうことで今後も努力をしていきたい。  今の御指摘地域再生を考える上で大変重要な部分でございますので、まあ額として十分かどうかの議論、もちろんいろいろあるかと思いますけれども、そういう総額を確保する上で私どもも精いっぱい努力をしていきたいと、このように考えております。
  19. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 ちょっと来年度の予算についてちらっと触れられましたが、これはまた後ほど議論をさせていただくことといたしまして、思いは同じであるということで、思うだけでなしに、是非それを実行していただけるようによろしくお願いしたいというふうに思います。  もちろんこの減収補てん債というものが今回措置されない場合には地方は大混乱になるわけでありますから、そういう意味ではもう致し方ないというふうにも思うところでありますけれども、やはり借金であるということ、地方の借金であるということ、このことをやっぱり忘れてはいけないのだろうというふうに思います。  さて、今回のいわゆる措置建設事業費以外の経費に充当する部分についてですけれども、報道では赤字地方債という表現がされています。総務省の資料でも過去にそんなふうな言い方をしていたようなのもありますけれども、最近はどうも消えているということでありまして。総務省として、建設地方債赤字地方債という区分についてどんなふうに思われているのかなという、そういう思いはありますけれども、それはまた別の機会にお尋ねをするといたしまして、それにしても地方債について特例的に発行されているものの種類が非常に多過ぎて非常に分かりにくいのではないかと。そして、このことが実は、地方債資金の市場化というふうなものを考えたときに、非常に調達金利というものを考えたときに高くなってしまっているんではないかと。  国でいうならば、建設国債、そして赤字国債、財投債を含めて国債は三種類しかないということで、投資家にとってはその種類に煩わされることなく同じ国債として安心して売買が行えるわけでありますけれども。余りにもたくさんの種類、そして複雑化ということの中で、この地方債について、赤字地方債については、そういうふうな調達金利という意味で非常に不利になっている部分があるんではないかというふうに懸念しているところでありますけれども、その辺についてのお考え、そして、分権型社会においては国民住民に対する説明責任というものも問われるわけでありますから、住民の立場に立った地方債制度改革というものをどのように考えていらっしゃるか、あるいはどのように進めようと考えていらっしゃるか、お尋ねをしたいと思います。
  20. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 私ども、先ほど委員の方からも御指摘ございましたが、地方財政法五条、元々非募債主義でございますので、地方財政法五条に基づいて、建設事業債でありますとか公営企業のための起債、あるいは出資とか転貸債、借換債といったもの、これで出すのが一応原則だというふうにされております。  それではない、つまり地方財政法五条の規定にかかわらないといった形で起債を出す場合、いわゆるこれ特例債と言っておりますけれども、これは当然法律の措置によってそういうことがなされていると。ただいま御審議いただいております今回の特例的な減収補てん債もそういった地方財政法五条の規定にかかわらないものでございます。  ただ、私ども地方債、これ民間から調達をするという場合、今この点について御指摘がございましたけれども、これは基本的に今個々の起債対象事業を特定するといったようなことではなくて、できる限り複数の事業を一括して効率的に市場や金融機関から資金調達、これはもう行っているということでございますので、この地方債の対象事業が多いとか少ないとか、そういったことが地方債発行金利に影響を与えているということはないのじゃないかというふうに考えております。  特に、市場におけます流通性、流動性、これの向上を図って、より効率的な資金調達が行われますように、同一日に同一条件で起債するものにつきましては、事業別、会計別、借換債別などに区分することなく、一銘柄に統合して地方債発行するように私ども助言を地方公共団体に行っております。  今後とも、この有利な発行条件が確保されますように、市場関係者の声にも十分に耳を傾けながら、地方債の仕組みなどについて積極的にIR活動などを行ってまいりたいと考えております。
  21. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) あと、大きな御指摘ございました地方債制度改革の方向について私の方から申し上げたいと思いますけれども、やはり今後、分権が進んでいくに応じて地方の自由と責任を高めていくと。したがって、こうした中で財政面の自立、その上で地方債制度につきましてもできる限りその地域住民の皆さん方や、それから市場に対して分かりやすい制度としていくべきではないかと。  今局長の方からも少しお話をしましたけれども、大きな方向がそういう方向に流れていく、そして我々もそれに合った形で制度をつくっていくと、この点については私も先生の御意見に全く同感でございます。そういう改革を行うことによって本当の意味での財政の自立ということが図られるであろうということでございまして、そのためにもやはり、先ほどもお話ございましたが、地方公共団体の税財政基盤を拡充するということが大事でございまして、それに対して一般財源総額を確保したりといったことの努力と同時に、あと、この地方債の場合には社会資本整備というのがまず起債をもって充てられるという、そこのことが多うございますので、この社会資本整備に対する財源在り方についても併せてよく検討していくと。  今後、そうした二つのことをよく検討した上で、この地方債制度をそれに合った形でつくり上げていくということが必要であるというふうに考えております。  今、分権改革推進委員会で、国、地方役割分担等について審議をして、その上で、今話ございました地方債制度についても検討を行うということになってございますが、私どもももちろん独自でいろいろ検討を今進めているところでありますが、さらに、この分権改革委員会での御審議の方向も見据えながら、先ほど申し上げましたような分かりやすい制度、そして地方の自立が図られるような、そういう地方債制度の構築に進んでいきたいと、このように考えております。
  22. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 これについてもう少しお尋ねをしたいところですが、時間がだんだん迫ってまいりましたので、ちょっと交付税の特別会計借入金の償還繰延べに関連して御質問をしたいというふうに思います。  この借入金の償還計画について、昨年もお示しをいただいたときに、どうしても私は財務省の論理に引きずられていて、借金返済というものを上位に立たせるというふうなことが本当に大丈夫なのかなということをこの場でも指摘をさせていただいたわけであります。これらの疑問に対して総務省は、ことごとく御心配無用というような答弁をいただいたわけでありますけれども、残念ながらもうここにあるように繰延べというふうになっているわけであります。  それ見たことかなんていう、そういうつまらない議論をするつもりはないんですけれども、しかし、償還計画の合理性だとかあるいは妥当性というふうなものについて、昨年来総務省が言明されてきた論拠からするならば、今年度分の借入金償還を行わないこと自体が交付税制度の信頼性を損ねるとともに、また財政健全化からの後退を意味することになるんではないかというふうに思っているところであります。  しかも、本補正絡みの〇七年度分の五千八百六十九億円のみならず、〇八年度の六千四百五十六億円、〇九年度の七千百二億円の二年度分についてももう返す当てがないというふうに早々に白旗を揚げてしまっているというような状況でありまして、この三年度分の繰延べ総額というのは一兆九千四百二十七億円という大きな額になるわけであります。その結果として、これを、よく分からないんですが、二〇一三年度以降十二年間における償還額、単年度当たり三百六十八億から二千六百五億円程度積み上げながら返済をしていくという、そういう計画が新たに出されているわけであります。  この二〇一三年度から上乗せ返済可能とした根拠が妥当かということがまず問われるんだろうというふうに思いますけれども。計画の前提となる経済見通しは、また先ほどの繰り返しになりますが、二〇一一年度のプライマリーバランスの黒字化を目指す「日本経済の進路と戦略」というのがつい先日出ましたよね。具体的にはこれを参考試算とする内閣府経済見通しではないかというふうに思うわけでありますけれども、この見通しは昨年一月の当初策定からわずか一年で二回も下方修正されているわけであります。下方修正されたといっても、前年度比二〇一〇年度は二・九%、二〇一一年度に至っては三・三%という、昨今の経済情勢を考えればかなり無理な姿になっているんではないかというふうに思うわけであります。  こうした、楽観的なというふうに言わせていただきますけれども、こうした見通しに依拠したものであるとすれば、俗に言う当たるも八卦当たらぬも八卦どころの話ではなくて、当たらぬ八卦のかけ目しかないのではないかと。要するに、もう絶対に勝ち目のないばくちに自治体住民を巻き込む、そういうふうな状況になるんではないかと思うわけでありますが、これについて総務省見解をお願いしたいと思います。
  23. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) お答え申し上げますが、まず、昨年この償還計画というのを作ったばかりでございまして、それを、今回その考え方を変えるということに至ったことでございまして、今委員から御指摘ございましたとおり、この点については私どもも深く反省しなければいけないと、私は率直にそういうふうに思っております。  御案内のとおり、以前は税収が不足した場合には交付税特会で借入れをしたりというようなことを行ってまいりましたが、途中から国の分、地方の分ということで、それぞれそれを分けたわけでございますので、やはり地方財政規律を確立する上からも、こうした地方で引き受けた分についてはきちんと償還計画を作って、毎年決まった額をやはりお返しをしていかなければならなかったというふうに思うわけでございますが、私、大臣に就任いたしまして、やはりそれにしても現下の地方交付税総額が著しく減ってきているという実情がございまして、何としても出口ベースの額を確保しないと、各公共団体財政運営が非常に苦しくなって地域の皆さん方に御迷惑をお掛けするという事情もございましたので、こうした本来であれば返さなければいけないお金を二十五年度以降に繰延べをして、そして今回措置をしなければいけないと、こういうふうに判断したものでございます。  見直しをしたこの償還計画でございますけれども、これにつきましては二十二年度の償還から始まりまして、次年度の二十三ということで段階的に増加をしていく計画にしてございます。こういうことで、初め二年ばかり後にして、それから償還するように計画いたしましたのは、今お話がございましたとおり、「進路と戦略」の参考試算などを確かに参考にいたしながらしているわけでございますが、今のところ私どもで持ち得る手掛かりとなりますとどうしてもこの試算になりますので、これによりますと、国税五税の伸びが二十二年度は前年度に比して八千億程度の増加が見込まれると。以降、平均して六千億程度の増加ということでございます。  こういったことを手掛かりにいたしまして見直し後の償還計画を作ったということでございますが、もとより経済については不確実性というものが伴いますので、そういうことも考え合わせながら今後私どももいろいろ考えていくというふうに考えております。しかし、今時点では、やはりこの時点で考えられる償還計画といいますものは、今見直し後にお出しをしている計画が一番確実な償還計画ということでございまして、特にその償還が始まる年の額等も私どもとしては理屈があるのではないか、その数値からいいますと理屈があるのではないかということで、このような額にさせていただいたというところでございます。
  24. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 そうですかね。この計画が今一番というふうに言われましたけれども、そうは到底思えないわけでありまして、もう何というんですか、ツケをどんどんどんどん後ろに後ろに回していく。  当初、二〇一一年のプライマリーバランス云々といったときには、子々孫々まで借金を残しちゃいけないという、その一つのあれとしてやっていこうというふうな話があったにもかかわらず、現実としては借金をどんどんどんどんどんどんどんどん後ろに持っていっていくというような形で、やっていることは余り変わらないなというふうにも思うわけでありまして。そういう意味では、実際に、先ほど大臣も言われましたけれども、生き物でありますから、そういうふうな状況を見ながら計画というものをもう一度根本から見直す必要はあるんじゃないかなというふうにも思いますので、それはなしよということじゃなしに、そのことも踏まえて是非御検討をいただけるようにお願いをしたいと思います。  以上、この償還計画の繰延べについてはマクロ的に話ししましたけれども、今度、具体的な話として、これ非常にたちが悪い。といいますのは、今年度、交付税特会借入金にかかわる償還予定額として見込まれていた五千八百六十九億円、約六千億円を丸々〇八年度の地方交付税総額に加算しようとしているというこのこと、このことがこの法案に盛り込まれていること自体も非常に何だというふうに思うわけでありますけれども、いずれにしてもそういうことが今回行おうとしていることでありますね。  総務省平成二十年度地方財政対策の概要として公表している資料では、交付税の増額確保と見出しを打って、来年度の交付税総額は〇七年度に比べて二千億円程度増額したなんというふうな感じで意気揚々としているわけでありますけれども。しかし、実態は何なのかなというふうに考えたときに、今年度分として手当てされていた償還費の繰延べによって生み出したいわゆる五千八百六十九億円というものが、言葉が悪いかもしれませんが、こそくに組み込んだ、つまりげたを履かせていわゆるひねり出した、見てくれ最優先交付税の増額確保策ではないかと言わざるを得ないところであります。  喫緊かつ真に必要なものに限るべしという補正予算のあるべき姿からすれば、総務省自らが禁じ手に手を染めたことになるんではないかと。この加算分がなかったとすれば、来年度交付税総額はむしろマイナス約四千億円というふうになるわけであって、全く違ったものになるわけであります。こうした数字のやりくりで交付税の増額確保と喧伝するのは、実態を隠した情報操作というふうなことを言っても過言ではないというふうにも思うわけであります。  もとより、この五千八百六十九億円というのについては、国自体は全く身銭を切っていないわけであります。交付税特会借入金の償還を先送りしたことで生み出された財源であります。そういう意味では、今るる申し上げたとおり、後年度の償還額は増えるために、後々に自治体がサービス提供に使える額はその分制約を受けることにもなるわけであります。  今年度に予定どおり借入金の償還をしていれば、来年度の地方財源不足は広がり、国としても何らかの対応が迫られる。それを何としても回避したいという、いわゆる国としての責任を回避したいという、そういうふうなことから出てきた考え方ではないかというふうに疑わざるを得ません。国の財政健全化というものがまず第一に掲げられて、そして一般会計から交付税総額に加算する額をできるだけ少なくするための地方に対する交付税の先食いというものを押し付ける以外の何物でもないのではないかと考えているところであります。  総務省がその本分を果たしたいということであれば、やはり国の財政再建優先の小泉流改革で強要された総額五・一兆円にも上る交付税の削減規模をいかに適正水準まで回復するかというところにまずいくんではないかというふうに思いますし、五・一兆円の中には、いわゆる〇四年度の地財対策による交付税と臨時財政対策債にかかわる三兆円カット、いわゆる地財ショック分も含まれているわけであります。  こうした惨たんたる地方財政のありようからしても、根本的に財源が不足するのであれば、やはりここらで法定率の見直しというものが本筋に置かれるべきではないかというふうに思うところですが、これについて見解をいただきたいということと、それからもう一つ、〇七年度の予算書上は、地方交付税交付金の財源に充てるための五千八百六十九億円の歳入増として計上されております。予算書にはそう明確に書かれているにもかかわらず、現実は今年度の交付税として地方に配賦されることなく来年度の交付税総額に加算されてしまうという。こういう状況にありまして、予算書に盛られた内容から見ても、翌年度の財源に充てるために前年度予算で借入れを行うというのは、いわゆる予算原則に反し、筋が通らないのではないかというふうに思うところでありますが、併せて答弁をお願いしたいと思います。
  25. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 幾つかお話ございましたので、順次お答え申し上げますが、まず、地方財政、最近大幅な財源不足が続いております。それに対して、やはり地方の立場からいいますと、そうした際には、先生が今最後の方でお話にございました法定率の引上げをするといったようなことで対応するというのがやはり基本的には私どもも望ましいと思っておりますし、私も地方の知事をしておりましたときに、やはり国の方でこうした財政状況の中で果敢に法定率を引き上げるような、そうしたことが必要になるんではないかといったことも言っておりました。  その考え方は私ども総務省としても基本に据えているわけでございますが、そうした上で、国の財政状況、やはり地財計画等を策定するときに、国の大きな財政状況との関連の中でどうしても財源のやりくりをしていかなければならないということになりますと、国の財政の方も例の特例公債等を大分発行せざるを得ないという状況で、一方でそういうことが日本売りにもつながるということで、プライマリーバランスを何とか回復しなければいけないという、そういう歳出歳入一体改革などを進めている状況でございますので、何かの形でそこを折り合いを付けるということが迫られます。  そこで、今回、こうした国の予算の状況との折り合いを付けるという意味で、私どもが総額を確保する上で幾つか財政的な措置を行ったのが今先生お話になった点でございまして、やはり翌年度の大幅な財源不足が見込まれるときには、法定分として計上しておりましたものについて、それを翌年度に繰り越す特例措置を定めた法案というのを毎年毎年国会にお諮りをして、それで翌年度に一度繰越しをして、それを財源不足の対応に充てる、こうした措置を今までも行ってまいりました。今回も、そういったことで地方交付税の一般財源の総額を何とか国の財政状況の中のやりくりとしてお認めいただきたいということにしたわけでございます。  ただ、そうした措置でございますので、予算できちんとそういったことを国会の中で御審議をいただく必要がある、きちんと国会の中でいろいろな御指摘も含めてお諮りをする必要があるということで、その内容を法律に書いて、それで今回もお出しをしているということでございます。  そして、この交付税特会の償還予定額として先ほど考えておりましたものの償還をずらしたり、あるいは法定分として本来考えておりましたもの、これを一般会計加算ということで補てんしたりというようなことでいろいろ行っているところでございますが、これもひとえにやはり今の地方財政が大変厳しい中で何とかその全体の財政状況をこれからよくしていきたいと。今まで、お話がございましたとおり、五・一兆の削減を含め、ずっと下がってきたものでございますので、その傾向を百八十度変えていくというのは大分エネルギーが必要になってまいりますし、いろいろな措置が必要になってまいります。今年はそういう地域の実態を十分踏まえた上で、それに必要な額をできるだけ確保するということで、今までの傾向、特に平成十五年以降ずっと全体が下がってきたその交付税の額についても、今回出口ベースで増額をさせるということで変えさせていただきましたので、今後そういうことをまた十分に地方財政対策の中で考えていきたい、そして一般財源総額の確保に今後もきちんと努力をしていきたい。  ですが、繰り返しになりますけれども、やはり償還計画を変更したり、それからいろいろとそういった会計をやりくりするということについては法律の中できちんと当該当該書きまして、そしてまた国会の方の先生方にも御報告をして御審議をいただくようにしていきたいと、このように考えております。
  26. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 大変苦しい胸のうちは理解をするところでありますけれども、しかしやっぱり今の地方財政が大変厳しいという状況に十分こたえるような中身にはなっていないなというふうにも思います。  なぜかといいますと、この質疑の中で私幾つか述べてまいりましたけれども地方財政は国の予算編成や二〇一一年度のプライマリーバランスの黒字化のために随所で無理を重ねていると言わざるを得ないと。その一番目としては、二〇〇六年度から地方交付税特会の二十年間の償還計画は、計画二年目で変更を余儀なくされてしまっているということ、二〇〇七年度から二〇〇九年度の償還計画一兆九千四百二十七億円は、二〇一三年度以降、またこれ無理だと思われるような計画の中に繰り延べられてしまったこと。そして、二〇一〇年度から二〇一二年度までの三年間に繰り延べた一般会計から、これ先ほど私、質問では言いませんでしたけれども、一般会計からの加算分六千二百五十一億円の約半分を二〇〇七年度の国税不足による地方交付税原資の不足に充てるということでありまして、地方税収不足に対応するための減収補てん債の元利払いは、今後地方交付税の自由度を更に圧迫してしまうということにもなるだろうと。元々の無理な償還計画よりもさらに二重三重に厳しい返済が地方に課されているという、この現実をよく認識いただかなければいけないというふうに思います。  しかも、公式には景気が持続する中で二〇〇七年度の計画にほころびが生じたことは、サブプライム問題をきっかけに世界経済全体で景気に不透明感が強くなっている二〇〇八年度以降、ますます厳しい状況になるというふうに考えるべきではないかというふうに思うわけであります。  二〇〇七年度の地方財政は、国税の見込み違いによる地方交付税の不足二千九百九十二億円と赤字地方債が必要とされる千八百億円の合計四千八百億円が不足をしています。これは、当初予算で二〇一〇年度から二〇一二年度に繰り延べた一般会計からの加算分六千二百五十一億円の範囲内であります。国税、地方税の伸びを過大に見積もることなく、二〇〇七年度当初予算で地方交付税に加算分を繰り入れていれば、地方財政赤字地方債による後年度負担は生じなかったとも言えるわけであります。  同時に、二〇〇七年度償還の先送り五千八百六十九億円は二〇〇八年度の地方財政対策に用いられています。この部分地方がすべて負担することになっているわけでありますが、本来は国と地方で折半というか、負担を分かち合うべきであって、二〇〇八年度の財源不足ということは、そこはやはり国と地方折半でやるべきではないかというふうにも思うわけであります。  結局、二〇〇七年度と二〇〇八年度の地方財源の不足はすべて地方が負担しておりまして、国は全く責任を果たしていないというのが事実だろうというふうに思います。すべては二〇一一年度のプライマリーバランスの黒字化ありきの甘い経済見通しと税収見込みによるものと疑わざるを得ない事態であり、今後、このような事態が続くことのないように正確に税収を見通し、償還計画の実現可能性を常に検証することが不可欠だというふうに思います。また、不測の事態が生じたときは国と地方で負担を分かち合って解決することが必要ではないかとも思うわけであります。  地方分権時代を迎え、基礎的な行政サービスを提供する地方がその責務を十分に果たせるよう、引き続きこの委員会で議論を深めていけたらということを表明して、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  27. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 民主党・新緑風会・国民新日本の加賀谷でございます。大変長い会派名になりましたので、読むのが大変でございますけれども。  まず最初に、ちょっと大臣の方にお伺いをしたいんでございますけれども、今お手元に資料をお配りをさせていただきました。この一番上の資料、これちょっと見ていただきたいんですけれども、千葉市の職員が私のところに道路特定財源問題で陳情に参ったときに持ってきた名刺でございます。この下の方は裏です。これはカラーで印刷されているんですね。総天然色といいますか、大変立派な名刺で、こういう名刺を市の、この方は建設局でございますけれども、持っていると。私は、余計なことなんですけれども電話をさせていただいて、これはどういうことでこういう名刺を作っているんだと、だれが持っているんだと。もちろん、市の職員の名刺は自分のお金で作っているそうであります。自費であるということでありますけれども、多分、課長以上がみんなこういう名刺を自ら作って、どこかに行くときに出しているというふうに私は聞いているわけでございますけれども。  このことは、今日の朝日新聞のアンケートの結果もありましたけれども、道路特定財源の暫定税率の廃止というのは国民の七割ぐらいが賛成をしているという中で、市の職員のあるポスト以上の人が全員こういうものを印刷をして配って歩いていると、これは何らかの押し付けではないかと、こんな気がしてならないんですけれども、この辺に対する大臣の御所見をお伺いさせていただきたいと思います。
  28. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) これは、自費でこういうものをやっている、それから自主的にやっているというふうなことのようです。うちの方でも、このお話がございましたので担当課で調べた、向こうの方に問い合わせをしたわけでございますが、そういうことのようではあります。一義的には任命権者、ですからこの場合ですと千葉市長さんでしょうか、そちらの方での御判断ということだと思いますけれども、自費で、それから自主的に皆さん方がやっていると。  中身について、今お話ございましたとおり、なかなかいろいろ、これについての御意見国民の中でも正直いろいろあるんだろうと思いますけれども財政が非常に窮乏しているというようなことで、それを訴えるための手段の一つでこんなことを言っているんではないかなというふうに思うんですが、私どもの方としても、私もやっぱり千葉市長さんの方の御判断だろうなと思いつつ、私どもとして直ちに服務管理上問題があるというわけにもいかないと。自主的に千葉市の方でなるほどこういうものをおやりになっているんだなというふうに受け止めているところでございます。
  29. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 任命権者が私はこれ指示しているとは思いたくないんですよ。今大臣が言うように、まさに個人の意向でまたやられているとも思えないんですね。こういうことが行われているというのは何か怖い気がするんですよ。  本来、これは政治の話でしょう。暫定税率をどうするとかというのは決められていったことに対して行政としては従うべき話であって、こういうことをあらゆるところで配っているということに対して私はちょっと危惧を感じているわけでございまして、今大臣が言うように、それは任命権者の判断かどうかという話もありましたけれども、こんなことがあったよということで情報提供します。私はこれは余りいいことではないのではないかなと、こんなふうに思っております。  次に、実は今中国製のギョーザが大変話題になっておりますけれども、実はこの事件が発覚をした場所が私が県議時代の選挙区でありまして、千葉市の稲毛区という、そこの女性がこのギョーザを食べて発症をしたと。これが十二月二十八日でございまして、いろいろありまして、経過は皆さんもう御承知のとおりだろうと思います。  実は、今日の千葉市に配られている、毎日新聞の千葉版なんですけれども、ここに、千葉保健所の対応に抗議の批判が相次ぐ、電話やメールで五十五件来ていて大変な状況だと、こういうことなんです。  で、私もちょっと事情を聞きましたら、例の食品偽装といいますか、食物の偽装問題が発生して以来、ためにするためか何か分かりませんけれども、大変に保健所にいろんな検体が持ち込まれたりしていて、保健所そのものが大変に多忙を極めていたということも一つの理由だというふうに聞いておりますけれども。  もう一つは、お正月休みといいますか、年末年始の休暇に入っていて、メールが送られてきたものを開封したのが一月四日だったというようなことで、大変に行政としての対応に対する批判がこれほど来ているというふうに新聞に載っているわけでございまして、これは何も私は保健所がいいとか悪いとかという、責める気はございませんけれども、今新型インフルエンザ、鳥の変形と言われておりますけれども、こういうことの流行が懸念されている状況の中で、果たしてこういう対応で大丈夫なんだろうかと、こんな気がしてならないんですけれども大臣、この辺、総務省として、市の行政を管理するというような立場から御見解をいただければと、こんなふうに思うんですが。
  30. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今回のこの事案もございましたし、それから最近、お話しのとおり、食品いろいろ偽装事件等もございました。いろんな新型のインフルエンザ等の話もございます。そうした意味で保健所の現場は大変忙しく、いろいろな業務に携わっているのではないかというふうにも思います。  今回、テレビ見ておりましたら、コープ花見川というところですか、あそこで買った方が事件に遭ったということでございまして、それを管轄している保健所としても、いろいろ慣れぬこととはいえ、大変いろいろな対応に追われたのではないかというふうに思っています。  千葉市の状況がどうなっているかというのは私も今の段階で熟知しているわけではもちろんありませんし、総務省としても十分な情報をこの保健所について得ていないと思いますけれども、あえて申し上げますと、一般論で言えば、やはりそうした現場の皆さん方が、現実にいろいろ出ている問題に対して適切に対応できるような体制とか職員の配置というのはやはり必要であろうと。そういうことを十分行えるだけの体制とかそれから配置というものを行った上でそれぞれ、一方で住民の皆さん方からも役所が甘いと言われることのないように行政改革等に努めながら効率的な行政を目指すということをうまくきちんとそれぞれを成し遂げていただくというような努力が必要ではないかというふうに思います。  現在進行形中でございますので、私どもの方でもこれ慎重に物言いしなければいけないんですが、それにしても、今回の保健所、いろいろ個々の、千葉のみならず他の保健所におきましてもいろいろの皆さん方からの相談等が持ち込まれているのではないかというふうに思いますし、そうしたことに対して是非、これは人員配置等もそうした場合には手厚くするなどしていただいて適切に対応していただくといったような現場でのいろいろ工夫を是非発揮していただきたいなと、こういうふうに考えております。
  31. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 まさに大変に多忙の中で仕事を処理されているという現状ですから、この辺をやっぱり、保健所というのはそういう地域の衛生面での最前線でございますので、これからのいろんなことにかかわるわけでございますので、是非とも総務省としてもこの辺の充実というものを考えていただきたいなと、こんなふうに思っているところでございます。  それでは、案件であります今回の問題に入ってまいりたいと思います。  まず最初に、減額補正に伴う地方交付税総額を国の一般会計加算により補てんをする、あるいは減収補てん債発行する、この件についてお伺いをいたしたいと思います。  今回の地方交付税法等改正案は、国税五税の減額補正に伴う地方交付税総額の減額分である二千九百九十二億円、約三千億円を国の一般会計の加算により補てんをすることとし、また地方税減収補てんするために減収補てん債発行できるようにするということが主な柱になっているわけでありますけれども、この法案が仮に、私どもは賛成をするという立場になっているわけでありますけれども、成立しない場合に、各地方団体の普通交付税の額を減額再算定の上、総務省の資料によれば、人口百七十万人規模の都道府県の場合で二十五億円程度、人口十万人規模の市の場合で約一億四千万円程度で超過交付額を還付しなければならない事態が生じ、またその際に幾つかの問題点が考えられるということでございます。  まず、この超過交付額を還付しようにも、現時点では財源不足に陥っている自治体はお金がないわけでありますから、現実には還付するだけの財源確保ができないという自治体も多分あるのだろうと思うわけであります。  私がいた千葉県でも、現段階でも二百億程度の財源不足に陥っているとされているわけでありますから、その上、千葉県では、六十億円程度だそうでありますけれども、このことによりまさに赤字団体に転落をしてしまう可能性があるわけでございます。この千葉県のような地方自治体はほかにも多くあるのではないかと思いますので、基本的なことについてお伺いをしていきたいと思います。  この今回の国税の収入の見込みを誤った理由、先ほど那谷屋委員の方からも質問がありましたけれども、その原因、確かに見積りが違った、見込み違いだったと、そういう言葉で済んでしまっていいのか、私はやっぱりどこかで責任が出てくるのではないかと、こんなふうに思っているんですけれども、先ほどの答弁でもありますけれども見積り違いだったよと、それだけで簡単に済ませちゃっていかがなものかなという気がしているんですけれども、どうでしょうか、大臣
  32. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) まず、見積りはでき得る限り正確でなければいけないと思いますので、そうしたずれが出ること自体を私はやっぱり決して甘く受け止めてはいけないと、この見込み違いということについては可能な限り正確な見積りにするという努力をずっと今後も引き続きやっていかなければならないということがございます。  その上で、この景気の動向、見通しというのは、これは専門家でも実はなかなか難しくて、年始めにいつも今年の景気動向はというときに、実際にそれをぴたりと当てるということ、しかも数字で見込むというのは実は大変なかなか厳しい状況があるのも一方では事実でございますが、それを、そういうことも前提にしつつ、できるだけ正確に見積もると同時に、どうしても数字としてはぴたりと当たることはまず通常の場合には考えられないんで、その幅をできるだけ少なくしつつ、ずれた場合にはそれを国民の皆さん方の御理解を得られるような方法でそのずれをそのときそのときに、どちらの方向にずれても適切に修正すると、そしてそれに、この修正について国民の皆さん方の御納得がいただけるようなきちんとした説明をすると、こういうことがこの場合に一番大事なことではないかと。  数字がずれるということそのことの私は責めというか責任ということになりますと、これはどうしても、ずれたこと自体はある程度生じざるを得ないような状況もございますので、むしろ責任ある立場としてそのずれが生じたことに対して、より適切に国民にとっていい方向にきちんと修正をする、そしてまた同じような過ちを次に繰り返さないように措置をするということがこの場合必要ではないかというふうに考えております。
  33. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 まさに、責任を問うといってもこの結果そういう変動性があるわけですから、大変難しいと思います。  資料の二ページ目に、地方交付税の予算・決算の推移というちょっと表、これは総務省からいただいたんですけれども、このように平成十年以降約十年、当たり外れといいますか、前後増えたり減ったりという結果であることは事実でございまして、このように当てることは非常に難しいと、こんなふうにも思っているんですけれども。  先ほど申し上げましたように、やり過ぎたから返してくれと言われても、この地方自治体というのは配ったものを、子供じゃないですけれどももらった小遣い返すのは大変なことでございますので、こういうことというのはこれからもあるし過去もずっとあったわけでありますけれども、私は一々この辺をもしかすると返還させる、あるいは後でちょっと質問いたしますけれども、折半ルールというような形で過去は地方と国とが半分ずつその責任を負ってきたというこういう事実もあるわけでありますけれども、これは交付し過ぎた部分についてはもう返還させなくてもいいよというようなある種のルールが必要なのではないかな、こんな気がしているんですけれども、これは私だけが思っているのかどうか分かりませんけれども大臣、この辺そういうルール化みたいなものをしておくということも大事なような気がするんですけれども、いかがでしょうか。
  34. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) どうしても合わない場合に何らかの形でこれ修正をしなければいけないわけでございますので、これは実は毎年毎年法律改正等もお願いをして、そして加算をしたりなんなりということをしてございます。  ここの先をいろいろ考え方があると思うんですが、地方財政内容をいろいろと明示的に国民の皆さん方にお知らせすると。それからあと、そのときの加算のルール等がそのとき、事情によって少し年度によって変わったりすることがございますので、公共団体にとってもそうしたルールが法律にきちんと決まっているということが大事かということがあって、私どもは大変国会の、立法府の方にお手を煩わせるわけでございますが、毎年毎年そうした措置法律改正ということで法律に書いて御審議をいただくということにしてございます。  これからこういったことをどのようにしていくかという、そういう検討もあり得るというふうに思っておりますが、やはり大事な部分でございますので法律にきちんと書いて、それで地方交付税法で補てんのルールを書いて御審議をいただくということが必要ではないかというふうに思っておりますのと、それからあと、その際にも地方財政全般についてやはり財源をきちんと確保するということにつきまして、先ほども少し御質問がございましたけれども、一方で健全性を確保するために償還計画等を作ったのであれば、それは確実な償還計画にしてそれを実行していかなければならないということも一方でございますので、そうした計画とも整合の取れるような地方財政措置というものも今後検討していかなければならないというふうに思っております。  いろいろこうしたことについて課題があろうかというふうに思っておりますが、私どもとして、いずれにしても見積りをでき得る限り正確にしつつ、その後、法改正の中でいろいろと国会での御審議をいただくと、こういうやり方は今後とも必要ではないかと、このように考えているところでございます。
  35. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 私もまさにそう思いますので、是非その辺の検討をしていけたらと、こんなふうに思っているところでございます。  地方財源不足に対して、私はやっぱり交付税率を引き上げるというのが本来の対応であると思うんでございます。地方に借金をさせて負担をツケ回す方策を取るべきではないと思っておりますが、これまでの例から見ますと、今回のように発生している地方交付税の減額約三千億円については国と地方が折半をすると、こういうルールに従ってきたというふうに聞いているわけでございまして、また今回もそういうことというのがあるのではないかという考えもあったと思うんですけれども、今回この約三千億に対して国と地方の折半という考え方を適用しなかった、この理由というのは特に何かおありなのかちょっとお伺いしたいと思います。
  36. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 国税五税の減額補正に伴います交付税総額の減額でございますけれども、私ども当初の段階地方財政対策を御案内のように年末に行って、そして年が明けてそれを基にして地方財政計画というのを提出をいたして御審議いただきますけれども、全体の地方公共団体、これ交付団体、不交付団体含めてどういった財政の見通しになるのかというのがこの地方財政計画でございまして、地方交付税法七条にその根拠がございますけれども、この歳出のところで、私どもいろいろ国の方針でございますとか地方の実態とか、そういったことを勘案して歳出というのを決めます。あと、歳入の方が、税の見積りを行ったり交付税の法定率に基づいたものとか、こうやって地方債とか埋めていくんですけれども、どうしても埋め切れない財源不足額というのが生じてまいります。  その財源不足額が生じたものをどうやって埋めていくのかという、これ平成八年度以降、十二年、来年度で十三年連続して法定率分、交付税の、これだけでは賄い切れないものですから財源対策というのをずっとやってきておりまして、従前は交付税特別会計で借入れを行って、その折半で償還をしていくということもやってまいりましたけれども平成十三年度から、これは交付税法の附則の第四条の三というのを設けていただきまして、この交付税特別会計の借入れというのは、どうしても地方から見た場合には借金をしているという気持ちになかなかなり難いとか財政規律の問題もあるとかいったこともございまして、平成十三年度以降は通常収支の不足につきましては折半、新しい折半、一般会計からの特例加算を半分やって、残った半分につきましては臨時財政対策債を充てるということにいたしておりますけれども、それ以外の定率減税の補てんとか、そういったことにつきましては十八年度まで借入れというのを行ってまいりました。  この度のことでございますけれども、これ、今申し上げましたように、十九年度の当初からは一切この借入れを行っていないということがございましたし、本来平成十九年度で六千二百億ほど、これは地方交付税法の附則の第四条の二の二項と三項で加算ができるという財源があったんですけれども、十九年度の地方財政対策はそれを使わなくても地方税の伸びが期待できたものですから、あるいは国税の伸びが期待できて交付税も伸びるだろうと、こう思っていたものですから、そこまで、この折半ルールを適用するまで行かなかったということがございました。  この度、今お願いをしておりますのは、見込み違いが生じまして、国税が九千百億ほど割れて、そして法定率分が二千九百九十二億円割れたということでございまして、本来なら、当初に仮に分かっておったら、その事態が、恐らく法定加算分の六千二百億円を利用しただろうということがございましたから、送ったものをまた、そのうち必要な二千九百九十二億分を、今御審議いただいておりますような形で交付税法を改正して、戻して埋めようと、こういうふうにしたということでございます。御理解いただきたいと存じます。
  37. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 実は、私、折半ルールをちょっと使わなかったということについて、実は今回、先ほど那谷屋委員質問をいたしておりましたけれども、この償還の中で交付税特別会計借入金の償還繰延べ、これ六千億ございます。これは本来ですと、六千億というのは二十年度に、十九年度で償還しないで繰り越していく、二十年度の地方交付税の中に加算をするということになっているわけでありますけれども、今までの折半しているルールを使うと、これはお互いに三千億ずつ足りない分について補てんをし合わなければならないのではないか。六千億ですから、国と地方で三千億。  今回の六千億繰り延べたということは、後年度で償還に繰り延べていくわけでありますから、まさに地方に負担をさせたというふうに私は理解をしている。今回その三千億を折半しなかったということで、本来は、一千五百億を負担をしなければ、地方がしなければならなかったことを、この繰延べ償還によって六千億のうちの三千億、差額の一千五百億というのは私はどうも国が取っちゃったんじゃないかなと、こういううがった見方をしているんですけれども、これは間違いですか。
  38. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 先ほど私、平成八年度から法定率だけでやっていけないと、こう申し上げましたが、平成六年度でございました。訂正させていただきます。  今御指摘がございました償還の五千八百億、これについてなぜ折半でやらないのかという御指摘だろうと思いますけれども、借入金の償還、先ほど私、従前折半ルールを適用していたということを申し上げましたけれども平成十九年度に地方財政の健全化に資するということで、先ほど申し上げましたように新規借入れを廃止をいたしまして、さらに既往の借入金、交付税特別会計の既往の借入金につきましては、国と地方の負担区分に応じてそれぞれの償還責任を明確にするという観点で十九兆円、これは国負担分でございますけれども、これを切り離して、国負担分の折半で、国が負担しなければいけないと過去されてきたものにつきましては、国の一般会計でそれをやっていくということで一般会計に承継をいたしました。  現在残っております交付税特別会計の借入金、これは三十四兆円当時ございましたけれども地方負担分でございます。今御指摘がございました五千八百億円も地方負担分になっておるものでございます。したがって、私ども交付税原資の中からそれを償還していかなければいけないという性格のものと理解しております。
  39. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 何かそんな感じもしますけれども、ただ、これはもう残っている借金の特会のお金を償還をしていく部分でございまして、これは繰り延べて二十年度の交付税の中に算定をしていくということになっているわけでありますから、私はやはりこの部分についても国がちゃんと折半という形でのルールを適用していかなければならないのではないか。  なぜこんなことを言うかというと、やっぱり地方というのは大変厳しい財政状況の中であえいでいるわけですから、そういうこともしていかなければならない。  先ほど那谷屋委員の方から、まさにこの償還繰延べというのは朝令暮改的なことになってしまっているわけであります。この問題については後ほどまた少しやりたいと思っておりますけれども地方の疲弊という言葉を先ほど大臣も使っておりましたけれども地方状況というのは全く厳しい今財政状況にあるというのは、もう大臣地方の知事を経験をされているわけですから御存じだと思いますので、ただ、繰り延べていってまた後年度で地方が負担をすればというようなことについては、私は是非避けていかなければならないのではないかなと思います。  あと、次は地方の債務について少しお伺いをしていきたいと思います。  地方は、大変に今借金が増えてきた、大変な額を今持っているわけであります。この資料の一番最後にちょっと付けておりますけれども、これも総務省の資料ですけれども、これは地方債の額と、国が後ほど交付税措置をしますよという表、金額の、それと比率を書いているわけでございまして、地方は大変大きな借金を背負っているという状況になるわけでございます。  バブル経済崩壊後の景気の悪化等によりまして国税、地方税共に減収となり、景気対策としての減税、公共事業の追加等が行われる中で巨額の地方財源不足が発生していることに対して交付税率の引上げをすべきであるのだろうと思いますけれども財源対策債や臨時財政対策債といった特例的な地方債を増発することで対応してきたことが地方の債務面が増えたことだろうと、これは異論はないと思います。  このように、地方債については元利償還金交付税措置をするということが約束されてまいりました。地方債残高のうち交付税措置をすると約束をしている、各県の状況、今の資料のとおりでありますけれども、私のいた千葉県でも四八・六%、四九%近く、約五割が後ほど償還されるという、交付税措置がされるという借金ということで、地方の借金というのは見せかけだけは物すごく大きく膨らんでいるというのが現実だろうと思います。  そこで、地方交付税が伸びているときはそれほど余り意識をされていなかったと地方も思いますけれども、現在のように地方交付税総額が減ってくる、このことが顕在化すると、この交付税措置が他の行政経費をかなりいろんな面で圧迫する原因になるのではないかと、こんな気がしているわけでございます。地方債元利償還金については交付税措置されるといっても、その分の経費が地方交付税総額に上乗せされているわけではないのでありまして、個別団体について見れば、基準財政需要額の算定において確かにこの元利償還金交付税措置されているとしても、基準財政需要額の総額自体が増えていないわけでありますから、公債費分が増えるほどこれは厳しくなってくるのではないかと思います。  先ほども出ていましたけど、これに追い打ちを掛けるように、三位一体改革で実は五兆一千億も地方のお金が減らされているというわけでございまして、これを何とかしていかなければ、私は地方というのは立ち直っていけないのではないかなと、こんなふうに思うわけでございます。  これは衆議院の方でも、地方が抱えている、国が後年度で財政措置をすると言った借金の問題、我が党の小川委員の方からも、清算事業団をつくるなり何らかの形で国が肩代わりをしていって地方の負担を削減をしていってはどうなのかと、こういうことも大臣とのやり取りがあったというふうに聞いております。  まさに、これは、国が後で交付税として返すといって基準需要額の中に入れてきているわけでありますけれども、国が返す約束をしているということであるならば、あえてそういう措置をすることなく、何らかの形で国が肩代わりをするような、そういうことをしていく。地方が見せかけだけで大きな借金を抱えているような状況というのを是非とも避けていくことができないのかなと、こんな気がしてならないわけでありますけれども、この点について大臣、いかがお考えでしょうか。
  40. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) この公債費が大変各公共団体で増えてきておりましたので、それについてどういう形でこれを地方財政上、対策を講じていくのか。  今お話がございましたとおり、元利償還金を基準財政需要額の方にきちんと見積もってはいるわけでございますけれども、しかし全体のその比率が高まってくると、そういったことが財政を非常に圧迫してまいりますので、そのためにやはりこの地方財政計画の中でも公債費を適切に計上して、そして少しでもそれを少なくする、借入残高を少なくする努力と同時に、一般財源の総額確保をきちんと行わないと公共団体からのやはり信頼感も失われてしまうと、こういう思いで今年それから来年の地方財政対策に取り組んだところでございます。  まあ非常に大きく物事を、今後の論点ということで考えていきますと、今お話ございましたとおり、これだけの借金を本当に最終的に返せるのかどうかということにも行き着くと思いますし、お話しのとおり、衆議院のときの御審議でも小川議員の方から清算事業団方式のような大きなお話もございました。私も、まず交付税率等を引き上げるといったようなことで本当はできれば一番いいなと、こう常々思っているわけでございますが、どうしても国の大きな財政の動きの中で二〇一一年までの我々が取れる対策というのは非常にこう狭まってしまっていますので、その中での運用を考えるというのが今の時点でございますが、今後こうした国の責任、それから地方の責任ということを明確にして、そしてまた一般財源総額を確保する上でどういうことが今後考えられるのか、必要であるのか、よく私どもも検討したいと。  そして、地方財政悪化の原因となったやはりいろいろと多額の借入れを行ってきたということについて、やはりもっと自主的なそれを改善する試みというものを、いろんな工夫を各公共団体とともに考えていきたいと、このように考えております。
  41. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 この借入れは、まさに本来ですと国が交付税、あるいは何といいますか補助金、そういう形でその当時の国の景気回復にお金を掛けたわけでありますから、国が入れるべきお金を入れてこなかった。それで、地方公共事業をどんどんどんどんやらせて、後で借金は補てんしますよと、だからどんどん行けということで、地方もそういう形で景気回復の一助になればということで取り組んできたことは事実だろうと思います。  結果として、国の政策によって私は大きく生まれた債務ではないかな、こんなふうに思っているわけでございまして、何としてもやっぱり地方の負担を軽くしてあげる、このことが大事だろうと思うんです。  いずれその交付税で基準財政需要総額に織り込んでいくということであるならば、これは国が負担をする、国の何らかの形で肩代わりをしていく、こういうことが私はやるべきではないかと、こんなふうに思っているわけでございまして、是非ともこれからの中で考えていただきたいと、こう思うわけでございます。  次に、減収補てん債関係について少しお伺いをしたいと思います。  先ほども、前段でも申し上げましたけれども、この減収補てん債発行できなければ確かに赤字団体に転落をする、こういうことが出ているわけでありますけれども、実は、平成十八年度の決算でも二十六の赤字団体があると、厳しい状況だという報告がありますけれども、もしこの減収補てん債発行できなくなる、そうしますと、平成十九年度に赤字の団体に転落をしていく地方団体は更に増えてくるのではないかという懸念があります。  私ども民主党としては、そういうことは避けなければならないというのが基本にあるわけでありますけれども、こういうことの観点から、来年度の予算が年明け早々に破綻をするということになりかねない自治体が、これは朝日新聞で一月十五日の版に出ていたようでありますけれども、少なくとも私の千葉県や宮城、新潟、兵庫、岡山等々、五県が新たな赤字団体に転落するのではないかと総務省は見込んでいるという記事が出ていたわけでありますけれども、この辺についてはどういう見方でそういうことになっていくのか、ちょっと分かりましたら教えていただきたいと思います。
  42. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 記事でそういうふうな報道がされた、これは事実でございますけれども、もうこれ委員御案内のように二つありまして、要因としてですね。補てん、二千九百九十二億円の交付税の原資が割れたということについての補てんができなければ、これは標準的な規模の百七十万の県でいいますと二十五億円、そして人口十万人の標準的な規模の市で約一億四千万円に上るだろうというふうに試算がされるという、返還をしていただかなきゃいけない額がということがございまして、そしてさらに、建設事業は、これ先ほど大臣からも答弁申し上げましたが、この十年間で半減をしているということがございましたから、通常でございますと減収補てん債、これ基準財政収入額と課税実績との乖離を本来なら精算を翌年度以降やるわけですけれども、それを地方財政法五条の規定に従って地方債減収補てん債発行したときには精算と同じように償還年次に合わせて七五%を元利償還金交付税で見ていこうという制度を使うんですけれども建設事業がなかなか減ったものですから、どうしても特例債を出さざるを得ないということでございまして、昨年の十一月末時点で、十二月の初めに私ども調査をいたしましたところ、八十団体でこの特例債を強く希望をしている団体がございまして、そしてその金額を合計いたしますと千八百億円程度であるということでございました。  恐らく、今御審議をいただいておりますこの補正交付税法案、これが成立をしないということになりますと、多数の赤字団体が生ずるということにはなるだろうと思いますけれども、ただ、今から年度末にかけまして、この基金をどうするかとかいろんなやりくりということもあるでしょうから、確たる、こことこことここの県が赤字団体になるだろうとかそういったこと、今の時点で申し上げるのはなかなか難しいということは御理解いただきたいと存じます。
  43. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 財政再建団体に転落するという数字はいろいろあるわけでありますけれども、千葉県で過去私が聞いてきた例でいきますと、千葉県の財政規模でいくと四百億程度で財政再建団体ということにならざるを得ないわけであります。  そうしますと、ここに出ている五県とも大体そういう厳しい状況にあるんだろうと思うんですね。国が税収をかなり伸び率を見て増やしてきてくれれば、地方はそれを幸いにして赤字を出さないように税収を多く見込んでいく。しかし、結果して財政が伸びてこなければ、税収が伸びてこなければ赤字に転落をせざるを得ないという、まさに綱渡りの状況地方が運営されていることは事実だと思うし、これは総務省も把握をされていると思うんですね。この辺に対して、財政再建団体に転落するのをそのまま看過していくのか、やはりこれは何とかしなければいけない。  私が見ている、経験した中では、地方、特に千葉県の例ですけれども、かなりな僕はもう財政の中のやりくりというのはしているんだろうと思うんですね。人件費の削減ということ、あるいは無駄な経費と言われても、もうほぼ経常経費が九十数%、もう一〇〇に近い状況になっている地方自治体にとっては、もう削るに削れない、乾いたぞうきん状態になっているのではないかという気がしてならないわけでありまして、抜本的なこの地方との関係をやはり国として考えていかないと、国は残ったけれども地方が全部駄目になってしまったというような状況になっていくのではないかなという気がしてならないわけでありまして、この辺に対して増田大臣は、まさに岩手県で大変な御苦労をされて、ちょうどバブルが崩壊をして県の財政が、借金が増えていった時期に県知事として仕事をされているわけでございまして、この辺は一番理解されていると思っておりますので、どうかこの辺について見解を少しお聞かせいただきたいと思います。
  44. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 特に、私は知事に就任しましたのはバブル崩壊後、いろいろ景気対策として公共事業等を中心にいろいろ事業を実施してきた、そういう時期のさなかでございましたので、それに伴う財政的な疲弊と申しましょうか、財政的な支出が大変多うございました。多くを後年度にまた償還をしなければいけないような、そういう資金を使わざるを得なかったということもございましたので、大変その後厳しい状況が続いてまいりました。それは、今多くの自治体、千葉もそうでございますが、同じような状況が続いているんだろうと思います。  ほぼ地方団体の方も人件費の削減等いろいろやってまいりましたけれども、限界に近づきつつあるのかなというのは私の率直な思いでございます。国よりもその削減のカーブが急になっているところでございまして、これも住民の皆さん方にいろいろ御理解いただけるだけの汗はきちんと公共団体の方でもどこもかいているんではないかというふうに思います。  昨年、財政健全化法も成立をいたしましたので、今後、外郭のいわゆる出資法人等も含めて連結等で指標が出ますので、財政状況をきちんと住民の皆さん方に正直にお示しをするということと、その中でそれぞれの団体のより客観的な状況が分かりますので、その中でしかしまだできることがあるとすれば、そうした改革に取り組んでいただくことと同時に、額は余り多くありませんが、今回そうした一般財源総額について全体的に増やす方向でいろいろ工夫をいたしましたので、そういう資金を使っていただいて、自主的な財源の涵養に少しでもつながるような知恵と工夫をいろいろと出していただくと。千葉もそうでございましょうし、それから各地域自治体もそれぞれそうでございますが、それぞれ何かの形で他の自治体と違う特色等を持ってございますので、やはりそうしたことにいろいろと工夫をしていただくということが必要で、それを財源涵養ということに是非つなげていただきたい。  それにしても、先ほど来の御質問等で繰り返しになりますが、そうした自主的な知恵や工夫を引き出す上での自主的な財源というものをやはり公共団体が持っていくということが必要でございますので、それに対して総務省ができ得ることとすれば、一般財源の総額、特にいろいろな自治体間で差がございますが、特に市町村、人口の減少が著しい町村などでの財政格差に適切に対応できるだけの交付税の額をきちんと持つということが重要でございます。  そういうことで、交付税の総額等の確保を今後も引き続き行って、そうした財政的に新しい、自主的な工夫が出るような、そういうものの確保に私ども努めていきたいと。基準財政需要ですとか基準財政収入を的確に見積もって、交付税の額をきちんと算定をするということが大変大事だと思いますので、その努力を引き続き行っていきたいと、このように考えております。
  45. 加賀谷健

    ○加賀谷健君 基準需要額を増やしていくことが物すごく大事なわけでございますけれども、反面、地方は結構努力をして収入を増やしても、その基本収入額に七五%を加えられてしまうということになりますと、結構努力した部分が二五%ぐらいしか生きてこない。企業誘致とかいろんな努力をしても、地方は頑張っても余りその収入が増えていかないという現実が私はあるんだろうと思います。こういう今の交付税の決め方自体をもう少し見直していかないと、地方努力が報われないような、そういう交付税方式になっているような気がしてならないんですね。この辺も是非研究をしていただきたい。  最後になりますけれども、私、やっぱり地方が自由に使える財源がなさ過ぎる、今。ですから、まさに硬直状態で、これ以上どうにもならないという状況になっていると思いますんで、私どもは今、道路特定財源問題あるいは暫定税率の問題で一般財源化ということを申し上げているわけでありますけれども、何としてもこの一般財源化することによって地方に使えるお金を落としていく、それで地方の自由の裁量で、道路に使うか福祉に使うか教育に使うか、それは自由だと思いますんで、そういう裁量権を与えていかないと、地方はこのまま硬直して、疲弊をして、最後は死んでしまうのではないかなと、こんな気がしてならないわけでございまして、是非ともそういう面でも、大臣、御配慮を地方との関係でやっていただければと、こう思うわけでございます。  これで、私の方、終わります。ありがとうございました。
  46. 末松信介

    ○末松信介君 自民党の末松信介です。  増田大臣には、朝の九時から予算委員会もありまして、ほとんど食事もする時間もないままずっとお座りをいただいて会議に参加いただいております。敬意を表したいと思います。予定の時間よりは少しだけ短くして終わりたいと思っております。  参議院は二百四十二の議席がありまして、自民党が八十四と公明党が二十一で百五、野党は全部足したら百三十七ということで、ほとんど勝てないという世界なんですけれども。ただ、今回、この一月の十六日の新聞を見ておりましたら、赤字地方債、審議難航は必至、地方財政計画見通し違い、野党にどう説明というように書いておりますんですけれども地方交付税のこの改正案については賛同いただけると。去年は欠席、その前は反対、その前は賛成、それ以前は、このときはやっていませんね、それからずっと数年、ずっと反対されているんですよ。そういう点では、まあ過半数割れを起こしましたけれども、画期的な今回の出来事であり成果であるということで、これで補正予算が賛成されましたら大連立が成立をするということになっていきますから、そこまではなかなか行かないというふうに思っておりますけれども。  そういうことなんですけれども、先ほど那谷屋先生、また加賀谷先生から話がありましたけれども指摘したいところと大分、随分重なっております。野党ですけれども、重なっております。ただ、私もお尋ねしようと思ったんですけれども、収支の見積りが甘かったということ、これについては大臣もできるだけ厳しく見ていかなきゃいけないということ、来年の今ごろも同じようなことやっているんじゃないかなということを、そういう不安は抱いておりますけれども。  ただ、私は、質問取りに来られた方に申し上げたのは、企業の場合もやはり予算を組むんです。で、やっぱり補正なりを組んで、そして決算があると。これは、ただ、企業の場合は今年どんと売ってしまったら来年がしんどいですから、こうかつな営業マンというのはやっぱりかなり生産調整するんですけれども、税の場合は納めていただきますんで、そういうことはできませんですよ。そういう点で、誤差というのは本来出て当たり前の部分もあるんですよ。ただ、できるだけ大きなそういったマイナス要因というのはきちっと予測をしていかなければいけないと。内閣府からも十分な情報を取っておかなければいけないと。ですから、そういう点で私は、多少なりとも厳しく責められる総務省、同情は少しは私はいたしております。ただ、厳しく厳しく次年度予算を組むときでもこれを見積もっていただきたいということを要望いたしてまいりたいと思っております。  そこで、各先生方もいろいろと新年会にお出になると思うんですけれども、私も先々週の土曜日、日曜日と、案内状だけは九か所、十か所。十九か所行きましたんです。その中で数人の市長さん、町長さんはお一人ですけれども、とお会いしまして、その方々のごあいさつをずっと聞いておりましたら、常に年頭のあいさつで首長さんがおっしゃるのは、財政状況が厳しいと、そして構造改革プラン五か年計画と、尼崎市もそうでしたですよ、そういうことを必ず言われて、市民に理解を求める努力をされておられると、警鐘を鳴らしておられるということ、このことがよく理解できたんです。  実は、兵庫県に篠山市というところがございます。ここは結構有名な市でありまして、東京の青山通り、青山ですけれども、ここは篠山の藩主のお殿様が青山だったから、あそこに屋敷があったというふうに伺っているわけなんです。結構これで有名なんですよね。もう一つ有名なことは何かといいましたら、ここは合併特例法の適用の第一号の実は市であるということで大変有名でございます。  そこの酒井隆明さんという市長さん、私より年は二つほど上なんですけれども、県会議員は二期後輩なんです。県会議員を経てから今市長になられたんです。その新年会で会ったときに市長が言われたことが、開口一番こういうことを言われたんです。先日、片山先生に来られたと言ったんですよ。私は片山虎之助さんが来たかと思ったら、前の鳥取県知事の片山善博さんにここへ来ていただいて、講演をされたということなんですよ。  どういうことを言ってたってことをごそごそ話をしましたら、今の財政状況とか三位一体のことについて、片山前鳥取県知事はこういうことを言ったと。だました国も悪い、しかしだまされた地方も悪いと、そういうことを言うんだということを市長が言われたわけなんです。私は、役所におられた方というのは、まあ出ていかれた後、天下ったりあるいは議員になられたとき、辞めてから正しいことを言われるから、ですから私は、それだったら鳥取県の知事のときに言えばよかったじゃないかと言いましたところ、いや、あの人はもう二年前からそういうことを言っていたというんですよ。  私、確かにこれ見ましてそうだなということを思ったんです。これ、二〇〇六年の三月の文芸春秋にこう書いておられます。  自治体財政破綻寸前の状態に立ち至っているのは確かだし、膨大な借金の返済に四苦八苦している事情は全国自治体に共通なのだ。  ではなぜ自治体は借金の山を積み重ねたのか。それはバブル崩壊以後の政府の政策に起因する。政府は景気対策の一環として自治体に対し公共事業の積み重ねを慫慂ないし強要した。その際、当面の財源は取りあえず有利な起債で賄われた。有利とは、その償還財源地方交付税の算定を通じて上乗せされるので自己負担が僅少だということだ。そこで全国自治体は安心して借金をし、大量のハード事業を実施したのである。  今日その償還のピークを迎えているのだが、もはや政府には交付税を上乗せするすべなどあるはずもなく、逆に大幅削減を余儀なくされている。言うなれば、政府は約束手形の決済ができず、そのあおりを食らって自治体が連鎖倒産しかねない事態なのだ。そこで取りあえず倒産を回避し、併せて自治体財政悪化の真の理由と、政府の責任をうやむやにしてしまうのが平成の大合併の一面なのである。自治体関係者の多くは政府の受け売りで地方分権推進のための合併だと表向き説明しているものの、腹の底では恐らく別のことを考えている。こんなに借金で苦しむことがなかったら合併などするはずがなかった。  平成の大合併に至る事情は、今後、自治体運営の教訓とすべきである。それは自分でちゃんと考えることができる自治体でなければならないという簡単なことだ。透明性が高く、住民のチェックと監視の機能が十分に働かなければならないということである。  これからの政府の言うことはまず疑って掛かるべきだ。みんなに有利な話などこの世の中にあるはずがないと気が付くぐらいの知恵がなければならない。有利であろうとなかろうと、住民にとって真に必要な事業かどうか厳しく吟味する能力を持つことが肝要だ。その吟味とチェックこそが自治体議会が本来果たすべき最も重要な役割のはずだ、こう述べられているわけであります。二〇〇六年三月の文芸春秋ですから、抜粋でありますから、表現間違いございません。  私はこれ聞きまして、鳥取県と兵庫県と岡山県というのはよく三県知事会議やったりとか議会も交流ありますんでね、道路、鳥取豊岡宮津自動車道とかいろんな計画ありますんで、これ聞きまして、現職の知事から、大胆なことをおっしゃるなと、驚いたわけなんですよね。  今、篠山市というところ、ちょっと話戻るんですけれども、篠山市は昨年、篠山再生市民会議設置条例というのを制定をしまして、有識者を入れた、かなり識者を入れた市民会議で、財政問題を中心にしてその改善に向けた諮問策、策はないかということを諮問しております。その答申を受けました。  結局その方々が言っているのは、現在の篠山市はやっぱり五つのことが欠如していたと言うんですね。一つは右肩上がりの合併計画と甘い将来の見通しと、二つ目地方債を活用した身の丈以上の公共事業と、三番目は当てが外れた地方交付税と、四番目は財政収支見通しの狂いと不十分だった行政改革と、そして五つ目は欠如していたリスクマネジメントということなんです。この五つが識者の方々が分析した結果でございます。これを受けてこれから篠山市がどういう判断をしていって行革をしていくかということなんですけれども、行革提案も一応出ておりますけれども、こういうことなんですけれども。  大臣にお聞きをしたいわけなんですけれども、だました国も悪いし、だまされた地方も悪いという、この言葉の表現をどうとらえるかということですよね。やっぱり最近まで大臣は知事をされておられましたので、当然お話もされたことあると思うんです。  ですから、この三位一体改革と、それといろいろと身の丈以上の公共事業を、それを合併特例債を使ってやってきたというこの地方問題もあります。こうした問題も併せて、増田大臣に、答弁はしづらいかもしれませんけれども、ちょっと積極的に思うところ腹蔵なくこの場所ですから御答弁をいただきたいと。大事な場所だから。
  47. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 思うところと御質問いただきつつ、なかなか大臣として大変答えづらいのは正直なところでありますが、ただ、知事経験者としてだまされたというふうに言いたくない、できるだけ言いたくないんですが、しかしやっぱりきつかった。  それで、大変財政運営に苦慮していると、そこはもうそのとおりですね。何かといいますと、やはり公共事業を中心に随分景気対策やった。あの景気対策でそうしたものを実施をしていくというのはそれ以前も行われましたし、決して間違いではないというふうに思いますが、ただその時期が余りにも長く十年近く続きました。正直なところ、身の丈以上に財政規律を破るところまで全体の事業を膨らませて、それがその後大変償還に今苦しんでいる。  あわせて、その間に、交付税の方、これは総務大臣として非常にやっぱり答弁は今苦しいところでございますが、交付税の削減ですね、もちろん地財計画内容の見直し等は必要だと私も思いますが、特に平成十六年が典型的でございましたけれども、急激過ぎたんではないかと、微妙な表現していますけれども、急激過ぎたのではないかという思いがございまして、そのころ私知事しておりましたけれども地方団体がそういうそれ以前の事業の量ですとか財政状況になっていることを考えながら、やはりそうした地方財政ということをきちんと毎年毎年計画を立てていくということはやはり国としても必要だったんではないかというふうに思っております。  そうしたことの積み重ねが様々なところで、自治体財政運営ですとか、それから、特に合併を経験されたところではその合併後の様々な計画にのせております事業の実施についていろいろ影響が出てきているんだろうなというふうに思います。  そういう状況でございますし、今委員の方からお話がございました片山前知事、現在の慶応大学教授も私大変よく知っているところでございますけれども、様々なところで彼もそうした警鐘を、彼、片山教授独特の表現でもう率直に思いを言っていたわけでございますが、私としては、そういう地方地域の実情をできるだけ丁寧に酌みながらこの地方財政というものを今後考えていく基礎に据えていきたいと。  したがって、今回、いろいろ各委員先生方にはいろいろな点で厳しく御指摘をいただいておりますが、確かにやりくりではありますけれども、そうしたやりくりをした上で、何とか地方財政の現状に沿った形で一般財源の総額を確保するなりなんなりの措置を講じたいと。  今まで地方自治の方で、逆に今、片山教授の言葉に見られるがごとく、そういった思いを一方でしてきた立場の者として、何とかその傾向を少しでも変える上で、我々としても国の地方財政対策を組みたいという思いで今回のこうした法律改正ですとか御提案につながってきたと、この点を是非御理解をいただければと、このように考えております。
  48. 末松信介

    ○末松信介君 大臣から今率直なお話がありまして、鳥取県前知事の独特な表現ということでお話しになったんですけれども、私もそのように受け止めたいというふうに思っております。  実は、篠山市長さんは財政状況説明をしに陳情に来られたそうなんですけれども大臣がお忙しかったそうです。ある方にその陳情書を渡して、きちっと説明ができたと。だれに会えたんだということで言っておったら、名前が出てこなくて、写真見してみて、写真を見たら、二之湯政務官が座っておられたと。二之湯先生ができるだけの努力はするというような話をされておられますんで、ひとつ、部下の言葉でございますんで、できるだけ大臣もその辺をしんしゃくしていただきたいなということを思うわけなんですが。  向こうは、篠山市は合併特例債を活用しまして十一の事業をしてしまったそうなんですね。我々、この財政状況というのは全国的に随分悪いんですけれども、どこか一つの市とか県をとらえてやっぱり話していって、全国的に当てはめていって改善していくという、そういう考え方で我々よくやりますんでお聞きをいただきたいんですけれども。結局、図書館とか市民センターとか運動公園といった、あるにはこしたことないものを造っていったわけですよ、活用して。不急ですよね、急がないと。不要ではないかもしれませんけれども、不急なものを造ったと。合併特例債では対象事業のおおむね九五%までこれ借入れと、起債充当できて、その元利償還金七〇%は普通交付税によって措置をされるわけであります。  地方財政法では、もう大臣もよくお詳しいんですけれども、第五条で該当しないものでもこれは起債ができるわけでありますから、何しろ後年度負担である元利償還の七〇%が普通交付税の算定でこれ扱ってくれるということで、基準財政需要額に算入されますから、もうどんどんどんどん使っていったということなんです。  それで、この篠山市は、この合併直後の数年間という短い間に社会資本整備を集中させまして、報告では、合併特例債を活用した事業費として、平成十八年度で総額二百二十七億円、そのうち八つの箱物施設を建設をしたと、事業費は百七十九億円を費やしたということになっております。さらに、国の景気対策とか、兵庫県は下水道事業をかなり積極的にやっておりましたんで、兵庫県生活排水処理事業に係る下水道整備に対する負担が重なったりしました。これは大変大きなお金になったわけなんですけれども、まあ今目を覚ましてその歳出削減に取り組んでいる状況なんです。  予測ですけれども、市民会議の予測では、平成二十年度、今年度、平成二十年度から二十七年度に年平均十五・一億円の収支不足、赤字が発生すると予測をしております。平成二十年から平成二十七年のこの一般財源は百六十億円の規模であります。そういう財政規模なんですけれども、公債費は毎年約五十億円要ると。下水道事業特別会計における公債費への繰り出し金というのが約二十五億円行っていると。つまり、手を付けることのできない額が七十五億円ですから、百六十億円から七十五億円引いたら八十五億円なんですよ。  その八十五億円で実に十五・一億円を、これ赤字を出ないようにするとなったら、全体を二〇%削減せねばならないという、そういう計画を組むことになっている。だから、議員の報酬も二〇%カットであるとか、あらゆるものについて二〇%のカットになってきているという。補助金も、補助金は一〇%ですけど、ほかのいろんな施策は二〇%カットしようという、そういうことを再生市民会議は諮問をしておるということなんですよ。  そういう点をにらみながら、我々も、自治体のこの財政運営、一般財源を確保しなきゃいかぬということで自主財源を確保しなきゃならないという大臣お話があったんですけれども、その点をよく理解をいただきたいと思います。  かつて合併のモデルケースということで、篠山もうでということでみんな見学に行ったんですけれども、今度は逆に篠山もうでが始まるという、そういうつらい状況になってしまっておりますんで、大変でありまして、同僚の県議が市長になってえらい目に遭っているという状況でございます。理解をいただきたいと思います。  質問二つ目に移りたいんですけれども地方財政計画のことについてお伺いをいたします。  地方公共団体が予算の編成を行う場合には、各種の情報を集めて、それを反映させるためにこれはつくっていくわけなんですけれども、翌年度の経済見通しであるとか、税制改正の中身のことについても反映しなきゃいけない。地方交付税の総額についてもその算定方法が変わればきちっと中に入れ込まなきゃならないという、これが地方財政計画であります。歳出面においても、国庫補助負担金が減ったりとか増えたりとか、各種事業制度が変更になればこれもきちっと情報として入れ込まなきゃならないということになっておるわけなんですけれども。  実は、お聞きをしたいことは、大分時間もたってきましたので、何を言いたいかといいましたら、藤井裕久民主党税調会長は、政府が地方財政計画を定めて、それに基づいて自治体予算編成をするやり方というものは、国が地方を支配する理由であると、国の地方の支配の根源であるという話をされたわけなんです。確かに地方財政制度を考えていけば、地方分権改革からしましても見直していくべきであるということはよく理解できるわけなんですけれども、しかしながら、国民への行政サービスを実効あらしめるためには、やっぱり国と地方との財源調整を行うというこの地方財政計画というのは、これはすぐに全廃してもいいんだろうかという考え方を持つわけなんですよね、我々は。  藤井裕久税調会長はどういうお考えでそういうことをおっしゃっておられるということは私は分かりません。ただ、国の地方支配の一つの一番の背景になっておるということでこれは良くないということを明言されておられるんですけれども大臣はどういうように考えておられるのかということと、もし藤井裕久税調会長の御主張が正しいならば、どういう仕組みでもって国と地方との財政の整合性を図っていく仕組みがつくれるのかどうかということですね。この点について大臣考え方をお聞きしたいんです。
  49. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 地方財政計画、御案内のとおり、役割三つありまして、一つは各団体間の地方財源を保障するということですね。各団体地方財源を保障するということ。それから二つ目は、国民経済それから国家財政と整合性を取っていくということ。それから三つ目、三点目が各団体の指針。  私も知事時代に、国の方で前の年の十二月に定めますが、それを翌年の一月、県の予算編成をするとき、大体それを見ながら、ああ、大体国はこういう傾向で考えているのか。ただ、ガイドラインというかアウトラインですから、特にそれに拘束されるということではなくて、大体こういう方向で今考えているんだなと、また、今度交付税はこんなに減るのかとか、それから横ばいになったのかとか、そういうことを大づかみでつかむためのものとして考えておりました。  ですから、どういう場面で御発言されたのかはあれですが、分かりませんが、まだ、この地方財政計画の作り方とかその中にどういう項目を盛り込めるかということについていろいろ御議論ございますし、そういったことについて今後も検討していくということは必要だろうと思います。私どももそういったことを行っているわけでございますが、地方財政計画それ自体の基本的な意義というのは重要でございますし、今後ともその役割は変わっていかないだろうと。  特に、地方財政規模が今、御案内のとおり、四十兆とか大変大きなオーダーになってきておりまして国家財政と並ぶものでございますので、こういう計画を作って、国の方とそれから地方とそれぞれが両輪で将来の姿を国民の皆さん方にお示しをしていくというようなことは有意義であると、意味のあることであると、このように考えているものでございます。
  50. 末松信介

    ○末松信介君 ありがとうございます。  地方財政計画というのは予算ではありません。地方財政計画は地方公共団体財政の運営の指針でありまして、各地方公共団体の予算を規制するものでもないわけですから、そういう点では、今大臣からお話があったように、地方財源の保障のメカニズムというものをきちっとこれはやっぱり存在していくためには、この計画というのは必要になってきますし、国の施策との整合性を確保しなきゃならぬということもありますし、地方公共団体財政運営の一つの指標というものでやっぱりつくっていかなきゃならないという点で、もう少し藤井会長のお話というのは聞いてみないと私も分からないなということで、ただ新聞が大きく取り上げましたので、ちょっとお尋ねをしたところであります。  原口先生がおられるんでお聞きはしたいんですけれども、実のところ修正した減収補てん債の二十一年度以降についてのこの部分しか聞いちゃいかぬと言われていますので、こういう議論があったということで。お答えになってもいいんですが、質問しても。──駄目ですね。関係した修正部分だけということで言われておりますので、今日はちょっと大臣だけお聞きをいたしたところでございます。  次の第三の質問でありますけれども、これは地方交付税の改革、改革につきましても地方交付税の算出の簡素化と透明化についてお伺いをしたいわけです。  第一次分権改革を推進しました地方分権推進委員会の最終報告では、地方交付税の改革の方向性が示されております。平成十三年の骨太方針二〇〇一というところでは、地方債発行後、元利償還を後年度に交付税措置をする仕組みと補助金の組合せによって事業費の大半が賄われることというのは有り難いことだけれども、さっき加賀谷先生お話がありましたけれども地方が自分で効率的な事業を選択し効率的に行っていくという意欲をかえって損なってしまうことがあるということを確かにうたっているんです。  それともう一つは、できるだけ客観的かつ単純な基準で交付税を決定するような簡素な仕組みにしていくことが必要であるということも、これ書かれていました。指摘をされていたわけであります。  今日質問をしたいことは、こういうことでございます。平成十八年の七月の三日に総務大臣の私的懇談会である地方分権二十一世紀ビジョン懇談会の報告書が提出をされています。地方が自由に歳出を決定する部分については、現行の複雑な交付税の算定基準を抜本的に改め、だれでも分かるような簡便な算定基準に順次改めていくべきであるということなんですよ。新型交付税というのが出たり、頑張る地方応援プログラム、これは成果指標を設けまして交付税に算入していくということがあります。  市町村プロジェクトに取り組むために三年間で五百億円ほど特交措置を講じているということもあります。それと地方再生特別枠ということで四千億も設定したと。企業立地のための促進にも三百億円要しておるということで、いろんなものをたくさんつくっていただいておるわけなんですけれども、それぞれにそれぞれの仕組みがあるわけですから、逆に、この地方交付税の算定の仕方というのが簡素化していくのと逆に難しくなっていくんじゃないかという、後退しているんじゃないかという不安を覚えてしまうわけなんですよ。  この点につきまして、大臣見解を述べていただきたいと思います。
  51. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) やはり今後、こうした地方交付税の算定の仕組みというのは分かりやすい、まあ国民にとってももちろんそうですし、それから当該団体にとってみて分かりやすいものでなければならないというのは、もう御指摘のとおりでございまして、そういった改革にこれまでも取り組んできたわけでございますが、そうした中で、私、大臣に就任していろいろ地方の、特に財政が厳しい自治体のそういう財政需要をいろいろ酌むようにということを指示したんですが、今度は一方でそういう地方の当該団体財政需要ですとか過疎地域状況というのを厳密にいろいろととらえようとするとなかなか、それをある一定の指標なりなんなりでとらえるというのが非常に複雑化してくるとなかなか悩ましい問題に私も直面したところも事実でございます。  こうした、しかし、問題についてそれぞれ考えるに当たっても、でも我々としては常に算定方法を簡素化しないといけないわけでございますので、必要な地方財源というのを的確に保障すると。そして、条件不利地域への配慮をするということをきめ細かな算定と併せて、しかし算定方法をそういう簡素化で分かりやすい形にするということをうまく合わせ技で成し遂げたいと、今こういうことを考えているところでございまして、そういう方向で私どもも制度も今後考えていくということでございます。  過疎地域財政需要というものも幾つかパターン分けをして、それでそうしたことを算定するですとか、そういったことを私どももきちんと行うようにしてございまして、それできめ細かな算定、しかし、そういった地域で簡素化するものということを、それから事前にどういう形で算定をするのかというその計算式等をきちんとお示しをして、それでそうした団体の予測可能性を高めると、こういうことでこの制度を考えていきたいと。大きな方向はもう簡素化の方向ということでございますが、そこから過疎地域財政需要等が落ちこぼれることのないような中で簡素化を図っていくと、こういうことで考えていくということでございます。
  52. 末松信介

    ○末松信介君 この交付税を算定するということは透明性を保つということとか、当然公平性も必要でありますし、また過疎地の方たちには温かい手を差し伸べるという意味合いもあるわけなんですけれども国民との関係で、今この地方交付税の改正の法案を審議しているというのは、国民にどう映っているか言うたら、何のこっちゃ一個も分からぬと思うんですよ、私は。本当に分かりにくいと、この地方交付税ということについてですね。  これはどのようにして、財源保障なり財政調整ということの意味合いという点では新聞を読んだ方は分かるかもしれませんけれども、本当に都道府県庁でも詳しい財政課とか地方課の方々だけとか、各総務課の企画係の方々だけと、総務省の中でも交付税課あるいは地方債課とか、もう非常にベテラン中のベテランですね、プロとプロの話になってしまって、この地方交付税というものをどういう形で国民一般的なものとして知らしめていくかということについて、私はその必要があるのかないのかということすら考えてしまうことがあるわけなんですよ。  これについて、ちょっと予想していませんけれども財政局長でも結構ですよ。これ、どういうように思っておられるかということをちょっとお聞きをしたいのと、それと、まあ、あればですよ、いいですよ、通告していませんから。その地方交付税という言葉を、財政局長はいつごろその単語を学びました。そのことをちょっとお尋ねをしたいんです。急な質問であれでしたら、まあ、あれですけれども、簡単で結構です。済みません。
  53. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 私、父が町長をやっておりましたので、地方交付税というのは実は小学生のころから存じ上げておりました。  御案内のように、地方交付税なかなか、税なのにそれは原資が国税五税にリンクしているとか、先ほど来御議論いただいておりますように、法定率だけでは足りなくなっているのでいろいろ加算をやったりとか、制度自体がなかなか複雑で分かりにくいということになっているのはそのとおりであろうと思います。ただ、もうこれ財源調整を行うだけではなくて、義務付けられたり、日本地方公共団体はいろいろ義務付けられた仕事が多いものですから、義務付けられた仕事はやはり財源保障をしていかなきゃいけない。その有力なツールがこの地方交付税であるということでございまして、一般財源の中でも極めて重要であるということでございますので、私どもやはり一般の方々にも理解していただけるように、機会をとらえてやはりその役割なり意味なりをPRしていかなきゃいけないと、そう考えております。
  54. 末松信介

    ○末松信介君 突然指名をいたしまして、失礼をいたしまして、御答弁いただきましてありがとうございます。  基準財政需要額は測定単位と補正係数と、それと単位費用でありまして、特に補正係数というのは、これは言葉を知って、まあ少し財政辞典を見てみましてもなかなか難しいと。この種別補正とか段階補正とか密度補正とか寒冷補正とか、こういうのは分かるんですけれども、態容補正となってきたら中が非常に複雑になっておると。ということは、やっぱりいろんな要素を後から後からどんどん入れていって、結局難しいことになっちゃったということなんですよね。ですから、補正係数についてもう少し整理をしていくということが大事なのかな、できないのかなということは思うんですけれども、それやったら逆に地方の思いというのが届かなくなってしまうのかということで、いずれにしても分かりにくいんですよ。だから、答申のとおり、ビジョン懇談会なりが出たとおり、簡素化、非常に透明化を図ってほしいということ、もうこのことを強く要望いたしておきます。  最後の質問でございます。先ほど話がありました、質問もありました、交付税特別会計借入金についてでございます。  今回、償還予定額五千八百六十九億円を平成二十年度分の地方交付税の総額に加算するという措置を盛り込んでいただいているわけなんですけれどもお尋ねしたいことはこういうことでございます。借入金としては、性格としては債務であるわけなんです。ただ、その債務を保有する主体は国であります、交付税特別会計でありますから。国である一方、この債務を最終的に負担する主体は地方公共団体であると。主体が異なるため、最終的な負担者である地方公共団体が当該債務を自らの債務、自らの財政赤字という、そういう認識というのが大変薄いわけなんですよ、これ。我々でも借りているという意識が、当時県議であったんですけれども、ないんですよね、これ、中央でやっておられるから。だから、こういう財政錯覚のおかげで財政赤字の深刻さに対して地方団体の認識が甘くなりがちであるということが財政健全化への私は一つの取組の遅れになっている、妨げになっているということを思っているわけなんです。  この点について、交付税特別会計借入金というのはよく言われる隠れ借金というやつですよね。これ、どのように位置付けていくのかということと、今後各自治体に債務の限界コストを正しく認識してもらわなきゃいけないと思いますんで、こういう点につきまして、大臣のお考え、交付税特別会計借入金について、今の実情と私が今お話ししたことについてどうかということについて答弁をいただきたいと思います。
  55. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) この交付税特別会計について、いろいろ制度のこれ変遷あったんですけれども、以前はもう特会で借入れをすると、こういうことでございましたんですが、そうしますと非常に内容的にも分かりづらいということと、それから財政責任が明確化されないということもあって、そういったことを、財政責任、それから償還責任ということを明確化するという、こういう観点で御案内のとおり平成十九年度から制度改正が行われたと。国の方は一般会計で処理する部分十九兆、それから地方の方は三十四兆について新たに例の償還計画を作って、そしてこれ地方分ですよということをはっきりさせた上で、それを健全化のためにきちんと決まった形で返していきましょうと、こういうことにしたわけでございます。  したがいまして、地方の借入金であるということは、一応明確化にはその意味ではなったんですが、これ十九年に改正をしたということで、全部の自治体にもっとその意味合いをよくお伝えをして、理解をしてもらって、その重みをやはり感じていただくというこの努力、もっと必要かというふうに思いますのと、それから、残高をこれ以上増やさないということで、今後は早期の償還に向けた努力を様々行っていくということが必要不可欠というふうに思っております。  そういうことで、今後、償還計画を見直しをしつつ、償還に向けた努力を行っていくわけでございますが、いずれにしても自治体関係者、ましてや国民の皆さん方にこの辺りの仕組みがやはりなかなか理解されない。交付税自体の仕組みが先ほどお話ございましたとおり難しい仕組みでございますが、それを、単年度単年度の交付税というよりも、トータルで、どういう変遷でそうした額が出てきたのかということに至りますと、本当に一部の自治体財政関係者等が分かっているだけで、それがなかなか分かりづらいということでございますので、この点について、今後はもう分権が進んで各自治体がそれを責任持って処理をしたり運営したりしていかなければならないということがございますので、この点については理解をより求めるということと、地方の借金がこういう部分になっているということ、その計画自体が明らかになったこと自体は理解を皆さん方にしていただく上で間違いなくプラスのことでございますので、その十九年の改正の趣旨というのをよく私どもも理解を徹底させるようにして、今委員の方から御指摘いただいた点についてはきちんとこたえていきたいと、このように考えております。
  56. 末松信介

    ○末松信介君 ありがとうございます。  交付税特別会計借入金は、すべての地方団体が連帯して返済する債務から構成されていて、個々の地方団体が先ほど申し上げました債務の限界コストを正しく認識できていないということをお話し申し上げたわけなんですけれども、いずれにいたしましても、今大臣お話しのとおり、できる限り地方にもあるいは国民にも伝えていくという、そういうスタンスで努力をいただきたいと思います。  予定より一分だけ早く終わります。ありがとうございました。
  57. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  衆議院の先生方、遅く御出席、心から感謝申し上げます。  午後からずっと質疑してきたわけでございますが、何回も聞かれているところでございますが、今回、地方税収につきましては当初の地方財政計画の見積額四十兆余よりも大幅に減収が見込まれるということでございますけれども、何回も先行の委員から質問がございました。また、この地財計画の重要性も御説明があったところでございますが、この大幅に減収という、この見通しが甘かったとかそういうことじゃなくて、どうしてそうなったのか、どういうふうに総務省あるいは大臣として分析をなされているのか、お答えをいただきたいと思います。
  58. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 先ほども御答弁申し上げましたけれども平成十九年度の当初の地方財政計画で見積もりました地方税収、これ四十・四兆円と見積もっておりましたけれども、九月末現在の徴収実績などから推測いたしますと、計画額を七千億円ほど下回る見込みとなってございます。特に、税目別で見ますと、地方法人二税、法人住民税、法人事業税、この影響が四千億円程度と最も大きくなってございます。  平成十九年度を含めまして、例年の地方財政計画額におけます地方法人二税の税収につきましては、直近の課税実績を基礎にいたしまして、国の法人税収状況等を踏まえて見積りの作業を行っております。また、そのほかの地方税収見積りにつきましても、毎年十二月の時点で利用できます直近の課税関係データなどを基に、できる限り正確な見積りが得られるように努力をしております。  平成十九年度におけます地方税収の決算見込額が当初見込額を下回ることになった要因でございますけれども企業の経常収益の伸びが低下をしたといったことなどから国の法人税収平成十八年度の補正後予算を割り込む、これ九千億円ほど割り込んでおりますけれども、などの状況になったのと同様、主として地方法人二税の税収企業の経常収益の伸びの低下の影響を受けて見込みを下回ったと、そういった要因が大きいと思います。  先ほども申し上げましたが、この前年末の時点において様々なデータ等を基にして私ども、できる限り正確な見積りが得られるように努力をしておりますけれども、経済情勢の変化などによってある程度決算額との間に乖離が生じるということはこれはもうどうしてもやむを得ないと考えておりまして、その点は御理解いただきたいと存じます。
  59. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 その対応策として今回このような地方交付税法の一部改正する法律案が出てきているわけでございますが、この中で減収補てん債発行認めようという内容もございます。  これは何回もあるんでしょうけれども、でも、過去は平成十四年、あるいはその前は昭和五十年でしょうか、余り多いわけではないんですね。異例な措置といいますか、そういうふうに考えられるわけでございますが、今年度何ゆえこの発行認めるパターンになったのでしょうか。
  60. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 交付税算定上、基準財政収入額がございまして、それと個々の地方公共団体との課税実績との間に乖離が生じるということが起きた場合には、地方交付税法の附則の第八条というのがございまして、翌年度以降三年以内で精算をする、つまり、基準財政収入額が見込みよりもこれ本来高過ぎたということですから、三年で減らしていく、つまり交付税を増やしていくという精算という制度が地方交付税法は用意をしております。  精算を待てないという地方公共団体も大変普通多うございますので、例年でございますと、地方財政法五条の規定に基づきまして建設事業に充てる減収補てん債というのを発行いたしまして、そしてその元利償還ベースに合わせて精算と同じように七五%を交付税措置をするということをやっているわけでございますけれども、ただいま御指摘がございましたように、昭和五十年度、そして平成十四年度に続きまして、ただいま御審議をいただいておりますように、今年度の場合には建設事業に充てる余地がないという、特例債地方財政法五条の規定にかかわらず減収補てん債というのを発行認めてほしいといった御要望が、昨年の十二月の時点で調査をいたしますと八十団体ほど生じておりまして、合計で、その当時、その時点ですと千八百億円程度の規模に上るということが判明をいたしました。  要因といたしましては、やはり地方税減収、先ほど申し上げましたように七千億ほどの減収があったということを背景にして、そしてまたこの十年で充てれる、地方財政法五条の規定に基づいて充てれる建設事業が半減しているといったようなこと、そしてまた各種基金が相当少なくなっているといったようなことで、こういう要望、強い要望が出ているというふうに承知しております。
  61. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今お話ございましたけれども、やはり異例な措置といいますか、そういう対応になるわけでございますが、やはりこれは財政規律も十分踏まえてということでございますが、原案、修正前原案は平成十九年度限りというようなことだったと思います。衆議院においてそこが修正されまして、当分の間いいですよという、この修正自体、厳しい地方財政事情を考えると、地方公共団体も喜んでおいでになるのかなというふうに思いますし、また、いわゆるねじれ国会の中で今日おいでの先生方始め大変な汗を流されて、これはもう本当に敬意を表するところでございますが、ただ、当分の間ってどこかで聞いたような言葉だなと思っているわけでございまして、当分の間というのはこれは昔でいえば永久という意味ですから。要するに、地方債の許可は当分の間駄目よというのがあって、許可が必要ですよという、その当分の間ってもう半永久的に続いているような、そんな私は学生時代勉強した思いがございまして、ここの当分の間は違うんだろうなと。  修正案提出者先生にお聞きしたいんですが、当分の間というのはいつまでなのか、当分の間の後はどういうような財政規律でお考えになっているのか。これは、三党、今日先生おいででございますが、三党の先生方同じようなお考え、当分の間の後ですよ、お考えになっているのか、ちょっとお示しをしていただきたいと思います。
  62. 原口一博

    衆議院議員(原口一博君) 魚住先生お答え申し上げます。  先生が東京選挙区でトップ当選、断トツのトップ当選された翌年に私衆議院に来させていただいて、あのころからずっと地方のことは地方に、分権改革をやるんだという話をさせていただいていました。先生に大変御指導いただきました。  その中で、やはりこれはつなぎでございますね。本当であれば、地方財政抜本改革、先ほども交付税の算定基準、国税五税の算定基準を上げるんだ、そういう思いを増田大臣も御答弁なさいましたけれども、そういう抜本改革の間、私たちは、地方財政において地方交付税基準財政収入額の算定に用いた税収見込額と実績額の乖離によって生じた財源不足を補てんするための仕組みとして、先ほど局長お話しになりましたように減収補てん債の制度が設けられている。  しかし、減収補てん債地方財政法第五条ただし書規定に基づく地方債として起こされるために、その使途は建設事業等に限定されているところでございます。しかしながら、近年の厳しい財政状況かつ建設事業費が縮小している今日の状況にかんがみ、地方公共団体の安定的な財政運営を当分の間、複数年度にわたって減収補てん債発行認める必要があると、このように解釈したものでありまして、財政規律との関係も、財政規律が緩むんじゃないかというマスコミ等が間違ったことを言う可能性もあるかも分かりませんが、元々減収補てん債見込み的に算定された基準財政収入額と実績との差額を上限として発行されるものでございますから、翌年度以降の交付税の精算に代えて発行されるものでありますので、地方公共団体財政規律を乱すものではないと思っております。  こういうものも含めて、課税自主権もそうですけれども地方のことは地方に任せていくという姿勢が必要なのではないかと、私たち三党でも議論をさせていただいたところでございます。よろしく御理解のほどお願いします。
  63. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 そうしますと、私の質問は、当分の間の後の姿というのは、今、原口先生がおっしゃったとおりで三党とも同じということでいいわけですね。
  64. 桝屋敬悟

    衆議院議員(桝屋敬悟君) ただいま委員から、三党で当分の間、同じ心なのかと、そして当分の間の後をどうするんだと、こういうお尋ねをいただきました。  三党、衆議院の総務委員会、非常に与野党信頼関係に基づいて真剣なる議論を理事会でやっているわけでありまして、当分の間はまさに当分の間ということで合意をいたしているわけでありますが、いや、私が申し上げたいのは、当分の間というのはあくまでも、やはり地方財政法五条、これはやはり地方自治体地方債以外の歳入でもって歳出を賄うということが大原則でありますから、それを例外的に扱うということでありますから、いつまで続いていいということでは決してない。ただ、先ほどから久保局長の方からも話がありましたが、今の地方財政の現状を見たときに、ここはやはり十九年度だけではない、複数年度にまたがる措置として対応が必要ではないかということで、決して委員指摘のように未来永劫の措置ではないという、こういう理解をしております。  その上で、次の課題でありますが、おっしゃるように、三位一体改革の後の作業も地方分権改革推進委員会で議論が進んでおりまして、国と地方役割、そして財政在り方財源在り方について議論が進んでいるわけでありますから、やはり最大のキーワードは安定的財源地方の安定的財源、これから本年度の予算の関連法案も質疑をしていただくようになりますけれども、そうした本当に安定的な財源が確保されるということが一番大事でありますから、そうした議論をしっかり三党でやっていきたいと、こういう決意でおりまして、道筋をしっかり見据えた上での話でございますので、御理解をいただきたいと思います。
  65. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 いわゆる赤字国債は、毎年公債特例法という形で国会の議を経るわけでありますが、この減収補てん債は国会の議を経なくなるというか目が通らなくなるという、そういう意味では規律を離れるということを意味するわけですね。もちろん各先生方、それだけ大きな影響はないといいますか、各地方もそもそも地方主権ではないのかという御発想かというふうに思っておりますが、ただ、総務大臣、これ、やはりその当分の間、じゃ国としてどういうかかわりを持っていくのか。国会の方にはもう来ない話になるわけでございますけれども、その辺はどのようにお考えなのか。また、どこでどうやって見ていくのか。その手段といいますか、どんなふうにお考えなんでしょうか。
  66. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) お答え申し上げますが、この減収補てん債ですけれども、これは実際の基準財政収入で見積もった額とそれから実際に入ってきた額とのそのずれを修正すると、こういうものでございますが、当該団体が例えば赤字になるほどいろんな事業をやった結果をこれで補てんしようとするものではなくて、その交付税が実際に、失礼、収入額が入ってくるものとの、それから基準財政収入として見ていたものとのずれを、本来であれば翌年の交付税で調整するところを当該年度にもう既にそれを発行させて、そして後年度でそこの調整をしましょうと、こういうことでございますので、そういった意味で野方図に赤字を何か補てんするようなものでは決してない。新聞等で間違った書き方をしていたというふうに思いますが、そこの点は違うということをまず申し上げておきたいのと、それにしても、その精算対象の額というものはきちんと決めておく必要がございますので、これは法令で、補てんする減収範囲というのは交付税の精算対象額以内であるということを省令でそこをきちっと全部書いて、それでその旨を明確にして、そしてそれぞれの範囲の中で当該団体にこの減収補てん債発行していただくと、こういう形にするものでございます。  当該団体は、当然それにつきましては、今度は各議会の方でこういうことで発行したということが分かるようになっていますので、それでいろいろ御質疑をいただくということで、分権が今後進んでいく上で当然そうしたことが日常的に行われるでしょうけれども、私どもとしては、そういう上限もきちんとその精算の額内でということを定めた上でそれぞれの自治体財政規律にゆだねると、こういう考え方でございます。
  67. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 そうしますと、今の御答弁ですと、じゃ、今までの規律は一体何だったのかというか、余分なことといいますか、要らないことを規律していたというようなふうに聞こえてくるんですよね。それこそ地方にとっては大きなお世話じゃないかというふうになるんですが、どうですか。
  68. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今までは減収補てん債建設事業に充てるということで、これは例年、それぞれの団体発行できるようになっておりました。これについては建設事業に充てるということでございますので、特に財政規律云々ということでございませんでしたけれども、ただ、御案内のとおり、建設投資額が非常に減ってきましたので、それ以外の事業に充てられるということが今回のこの改正の眼目でございまして、そういう例という、そこまでずれが出てくる、減収になるということはこれまでほとんど、今委員からお話がございましたとおり、過去二回だけでございまして、昭和五十年、それから平成十四年という二回だけということでございましたので、そういうこともきちんと法律に書いて、その当該年度、この年度にこういうことで特別に認めていただくということでやらせていただいたものでございます。  ですから、そこは従来と背景が違っているということでございまして、今実際に、現実には建設投資額が各自治体で著しく減ってきているということでございますので、今後はこういう事態も考えられるということを念頭に置いているということかというふうに考えております。
  69. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 当分の間ということで、先ほども法定率の話が出ておりました。先行委員からもお話がございました。  法定率引上げというのは昭和二十年代後半から四十一年、最後は四十一年なんですね。四十年以上引上げがなされていない。じゃ、当分の間というのは四十年以上かみたいな、そこまでは言いませんけれども総務大臣ね、交付税特会も借入れがもう大変な、膨大な、三十三兆ですか、額になってきたし、それから臨時財政対策債ももう限界じゃないか、累増になってきて。やっぱりそういうような状況から脱却をして、やはり今、先ほど安定という言葉がございましたけれども地方歳出の抑制を図ることと併せて、この法定率の在り方といいますか、これ本当に、四十年間ずっとそのままだということかもしれませんけれども、やはりしっかり上げていくことが必要なのではないのかなというふうに思いますけれども、その辺の考え方、決意をお聞きしたいと思います。
  70. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 法律にこうした大幅な財源不足が続く場合には法定率の変更を行うと、こういうふうに書いているわけでございますので、総務大臣として、それからまた今まで財政運営に大変苦労した経験を持つ者としても、この法律の精神に真っ正面から向き合って、こうした場合に至った場合には交付税法定率の引上げを行うと、そのために最大限努力をすると、こういうことは間違いなく私に求められている役割であると、こういうふうに理解をしております。  そのことを踏まえて、今後も大幅な財源不足が生ずる見込みであるということもございますので、安定的な財政運営をできるように最大限私も努力をしていきたいと、こういうふうに思っているわけでございますが、国の方も、今、特例公債を発行するまで大変厳しい状況であるということもございまして、内閣として言えば、そうした国の財政状況と、それから地方の、法律に書かれているこの地方財政を安定させるという精神というのを調和させて、一つのやっぱり答えを毎年毎年出していかなければならない。  私自身も、この交付税の法定率の変更に最大限努力いたしますが、一方で、そうした国の財政状況の中で、そのことも、置かれている状況も勘案しながら今後努力していかなければならないというふうに思っております。  それで、ちょうど分権改革が今進んでいるわけでございますが、そちらの要請からも、地方財政的な自主自立ということが求められておりますし、その関係で、補助金とか交付税とか、それから税源配分の見直し、今、一体的に検討を進められておりますので、その状況、それは間違いなく、地方財源を安定的にさせなければ今言ったような分権ということに進んでいきませんので、そうすれば、そのために何が必要なのかということがおのずからまたそこで考え方が出てくると思いますので、そうした分権改革推進委員会の議論、それから今後の分権改革の進展ということも見据えながら、今、特に先生の、委員の方からも御心配いただきました地方財源の安定の確保、そして法定率の引上げも含めて、やはりきちんと私も検討していきたいというふうに思っております。
  71. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  72. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  今回の地方交付税法改正案は、国税五税の減額補正に伴う地方交付税の減額分二千九百九十二億円について、国の一般会計からの加算によって補てんするものでありますけれども問題はその財源であります。  改正案では、平成二十二年度から二十四年度までの各年度の地方交付税額に国の一般会計から加算することになっていたいわゆる平成十九年度法定加算六千二百五十一億円の一部を充当するということになっております。しかし、この六千二百五十一億円は、元々地方財源ではないのでしょうか。
  73. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) これは、後年度大幅な財源不足が見込まれるということで、私どもでそこで加算をしようと思っていたものでございますので、これは地方として持っているものと、こういうことでございます。
  74. 山下芳生

    ○山下芳生君 地方として使えるものだったということであります。  交付税総額の確保は大事なことです。これは地方財政計画を策定した国が責任を持って行うべきであると思います。それなのに、言わば後で、平成二十二年度から地方に配分する交付税の先食いという形で今回補てんがされようとしている。このやり方を決めたのは増田総務大臣自身であります。  昨年の十二月十八日に交わされた増田総務大臣と額賀財務大臣との覚書、今日持ってまいりましたけれども、ここにこういうやり方でいこうということが書いてあって、合意がされているわけですね。  大臣に伺いますけれども、この平成十九年度法定加算額六千二百五十一億円から今回二千九百九十二億円の不足分を補てんするこの覚書を交わすに当たって、地方の了承は得られましたか。
  75. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) この今回の措置ということについては、国の予算のいろいろな折衝をしていく中で、地方団体の感触などもいろいろ伺いながらやっぱり我々常に予算というのを組み立てていっておりますので、そういういろいろな地方団体の感触等も踏まえながら行ってきております。  もちろん、地方団体で一番細かな細部のところまで全部了承を取るということよりも、大きな方向としていかに一般財源総額あるいは交付税総額を確保するのかといったような点でいろいろ地方団体と感触を伺いながら進めていくということでございまして、今お話ございましたような点についてはいろいろと、これまでのやり方も含めて地方団体の方でもいろいろ御意見があると思いますけれども、ちょうどその覚書を取り交わした翌日に、決まった内容については全国知事会の方で私の方も直接出て説明をしてございますが、それまでの間、公共団体等の、私自身も公共団体におりましたので、どういうことまでがいろいろやりくりとして可能かということを十分考えながら実施をしてきたということでございます。
  76. 山下芳生

    ○山下芳生君 結局、感触は得たかもしれませんけれども具体的な了承は取られていない。細かいところまではとおっしゃられましたけれども、三年間で六千二百五十一億円地方に行く分を、そのうち二千九百九十二億円先食いするわけですから、これは決して細かい話では私はないと思います。地方の自由と自立と大臣よくおっしゃいますけれども、それを保障する地方財源地方の了承も得ないで国が勝手に先食いするやり方は、私は地方自治の原則に反するものだと思います。  続きまして、そのことを指摘した上で、私も、地方財政が今具体的にどうなっているのか。  先ほど末松委員から篠山市のお話が出されましたけれども、別に相談したわけではないんですが、私も一月の二十四日、篠山市に行ってまいりました。第二の篠山もうでになったわけですけれども、ここの篠山市は、先ほどお話にあったように、非常に自然環境恵まれた地域です。丹波の黒豆で全国的にも有名な土地柄ですし、ヤマノイモなどという特産物は大変粘りのあるおいしい芋でございます。ここが、平成の合併第一号の自治体として全国の合併のモデルケースとされました。総務省全国に紹介して、多くの自治体が視察に訪れて、最大年間三百数十団体が篠山市を見に行っております。  篠山市は、合併特例債の限度額使い切って、二〇〇六年度までの合併特例債を活用した事業費は総額約二百二十七億円になっているということですが、お話にあったとおり、今その償還時期のピークを迎えて市の財政は大変厳しくなっております。  資料の三を御覧いただきたいと思います。  これは、篠山市の市長の諮問機関としてつくられております篠山再生市民会議による見通しであります。篠山市の見通しでありますけれども、二〇一一年度、平成二十三年度には財政再建団体に転落する可能性があるということを、去年の五月に財政見通しをやってみるとそういう結果になるということになって、大変大きな衝撃が走りました。  総務省が推進してきた市町村合併のモデルケースの自治体がこういう事態に追い込まれている現状を大臣はどのようにお考えでしょうか。
  77. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 実は、市長さんが昨年の秋、十一月だったですか、十月か十一月ですけれども、私のところにも来られて、いろいろお話をしていかれました。大変財政状況厳しいと。数字で見ますと、まだ普通会計ベースでは収支黒字でございますし、それから起債許可移行基準も下回っておりますので、数字としてはそういう財政再建団体云々という話にはなっておりませんけれども、ただいろいろ事業も実施をしておられるわけでございますので、そういう財政運営に大変今苦労しているというお話をしていかれた。それから、それにしても新たな行財政改革に取り組んで、そして市民の皆さん方にもそうした知恵をいろいろ出していただくという、そういう力強いお話もしておられました。  ですから、私としては、そういう厳しいいろいろな事態に直面しているんだろうと思うんですけれども、そういう取組に大いに市長さんにエールを送って、そして真摯にお話を聞きながら、そうした篠山市の対応に対して私どもでき得る限りのことはしていきたいと、このように思っているところでございます。
  78. 山下芳生

    ○山下芳生君 この合併を推進する際のいわゆるあめというふうに言われておりましたのが合併特例債でありまして、御存じのように、合併特例債は、事業費の五%の自主財源があれば事業に着手することができるような仕組みであります。残り九五%は地方債発行で後年度負担として賄うと、その後年度負担のうち七〇%は交付税措置されるということになっております。しかし、三〇%は後々自治体の負担になるわけですが。  資料四を御覧になっていただけますでしょうか。これは、篠山再生市民会議の議長でもあられます関西学院大学の長峯先生らの論文に載っていた篠山市の合併特例債の元利償還スケジュールのグラフであります。  平成十一年の四月に合併してから、先ほど申しました合併特例債の当初の負担五%がこういうふうな負担でかぶさってくるわけですが、その後、後年度負担が非常に大きく膨らみます。この白いところは交付税措置される七割の分ですが、それもずっとこれから十九年、二十年とピークを迎える。そして、黒いところが残り三割の自治体負担であります。これが今大変大きくのしかかってきて、市の財政を圧迫しているわけであります。  先ほど大臣からもお話が出ましたけれども、篠山市の市長さんは、去年の十月二十二日に増田総務大臣に要望書を提出されております。それが資料一であります。この要望書には、要望書の趣旨、真ん中辺りに、合併後の五年間で市民生活にとって必要不可欠な諸施策を合併特例債などの起債によって完成することができました。下から三行目、本市では景気の回復は遅々として進まず、税収は低迷し、とりわけ平成十六年度からの国の三位一体改革による地方交付税の総額抑制等により、平成十五年度と比較して平成十九年度では約十四億円、当市試算の元利償還額への充当される交付税を除く交付税の減額となっており、行財政改革等による経費節減、事務の効率化や事業の先送りなどの歳出削減に努めているものの著しい収支不足を来しており、今後もこのような状況が続けば財政再建団体に陥ることが懸念されます。その次に、こういった状況を回復するために、地方交付税制度の見直しにより三位一体改革以前の平成十五年度の地方交付税総額の確保を強く要望いたすところでございますと、これが一番の要望の核心であります。  先ほど大臣は、できるだけエールを送りたいとおっしゃいましたが、この核心部分に対してどう御回答されたんでしょうか。
  79. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 市長さん、今委員の方からお話がございました、ちょっと失念をしておりましたが、十月ですね、先ほど十一月と言ったかもしれませんが十月に私のところに確かに来られて、いろいろ状況を、実情をお話しされたと。そして、交付税関係についてもお話をしていかれました。  この昨年の十月、その時期は、ずっと前年から、あるいはここ数年間ずっと交付税が減額をされてきたと、こういう傾向でございましたので、私は、何とかしてこういった篠山市の抱えておりますような状況、これは他の地域でもいろいろございますので、そうした状況にこたえ得るのが私の大変重要な仕事だろうということで、最善を尽くしますと、特に交付税を含めた必要な一般財源総額は是非確保に向けて努力したいと、それで、そのためにも逆にまた市長さんなどからも応援をいただきたいと、こういったことをお話を申し上げたところでございます。  昨年の暮れの地方財政措置、御案内のとおりでございますが、そこでそれまでの傾向は切り替えられたというふうに思っておりまして、地方再生対策費等、これは来年度の関係になりますが、そういった形で二十年度地方財政対策を取ったところでございまして、篠山市長さん始めいろいろな団体からいろいろ御要望ございましたんですけれども、今委員、その核心のところというふうにお話がございましたが、やっぱりそこの核心は、地方の歳出の中で一般会計総額、特に交付税を含めた一般会計総額をどう確保するかということでございましたので、そうした御要望にはそれなりに対応できたというふうに考えておるところでございます。
  80. 山下芳生

    ○山下芳生君 もう少し篠山市の財政、具体的に見たいと思うんですが、資料二を御覧になっていただけますでしょうか。  上の表は、篠山市の交付税総額が①であります。これは交付税総額は増えているんですね。しかし、その中身を見ますと、②の元利償還額への交付税措置分がずっと増えているわけであります。この中身は合併特例債だけではありません。一般廃棄物、下水道、臨時財政対策債などの措置分が入っておりますけれども、しかし中心は合併特例債償還に充てる措置分であります。ですから、交付税額はまあまあ微増になっておりますけれども、この元利償還額の分が二十九億円から、二〇〇三年度、二〇〇七年度四十七億円へと増えまして、交付税全体に対する比率は三四・八%から五四・三%、交付税の半分以上は元利償還に消えるということになっております。  その結果、下の表を見ていただきますと、交付税の中でこの元利償還を除くいわゆる一般財源として使える額は、二〇〇三年度五十四億円あったのが二〇〇七年度三十九億八千万円で、比較しますと十四億八千万円減っております。二〇〇三年度を一〇〇とした場合、七三%に減っているわけですね。この十四億八千万円というのが、先ほど市長の要望書にあった約十四億円減っている分だという数字に該当いたします。  ですから、交付税の総額は減ってはないんですが、これは償還に充てるものが増えているんであって、一般財源として使えるものは非常に減っていると。何で減ったかといいますと、これは三位一体改革による交付税の削減であります。特例債を、合併を推進するに当たって総務省はどんどん奨励いたしました。ところが、平成十六年からの三位一体改革によって交付税がその後、約五兆一千億円も減らされた。このことが今の篠山市の財政計画に大変大きな見込み違いを生じさせているというふうになっていると思います。結局、合併特例債の元利償還の時期になったときに交付税が大幅に削減されるということになったわけですね。  ですから、政府の方針に沿って、特例債を活用して積極的に合併をして町づくりに取り組んできた自治体がまさに今、その後はしごを外された格好になっていると言えると思います。こういう、篠山市の財政見通しが政府の政策変更によって翻弄されてきたということを私は現地に行って非常に実感をいたしました。  先ほど、末松委員お話の中で、片山元鳥取県知事が、だます方もだまされる方も悪いという御発言があったというふうに紹介されましたけれども、しかし私は、自治体として、合併のときに、その時点で後に三位一体改革によって交付税が削減されるだろうということを予想することは極めて困難ではなかったかというふうに思います。私はやっぱりだました方が悪いというふうに思うわけです。  ここに大きな問題があるんじゃないかと。政府の政策変更によって地方財政計画が翻弄されている、このことを総務大臣、どうお考えでしょうか。
  81. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 地方財政をやはりどうとらえて、それに対してどういう財政措置を講ずるかというのはその時々で大変重要なことでございますし、それからあと、今お話にもございましたとおり、やはり三位一体改革による交付税の削減、これの中で、特に削減のスピードですね、その点については自治体にとって大変つらいものがございましたし、そういうことを踏まえて恐らく、これも異例だと思うんですが、私が総務大臣になったり、そういう傾向を少しでも地域に合ったような形で直せというのが私に与えられた役割ではないかというふうに思います。  ですから、政府としても、いろいろそのときそのときのことで最善の政策を尽くしてきたんだろうと思いますが、今こうした自治体財政状況を踏まえて交付税の総額を確保したりというようなことをきちんと責任を持ってやはり今やって国会の方に御提案をしているということではないかなと。  それで、特に合併をした市町村に対しましては、例の合併算定替えですとか合併補正、それから合併特例債、それから十九年度の補正の中にも例の合併市町村の補助金なども計上いたしまして、それで財政支援措置というものも講じております。  もちろん、こうした篠山市等の状況をいろいろとお聞きした上で、財政的に措置しなければいけないということでいろいろ折衝して計上したものでございますので、今後ともこうした合併した市町村の新しい町づくり、決してはしごを外すとか、何かそういったところをそのままにするということではなくて、少し交付税等の削減が急激過ぎたのであればそこを正して、きちんとそこを措置するように努力したりと、修正を加えながら特に地方財政状況対応していくと。総務省としてはそのために全力を挙げていかなければならないわけでございますし、今回のこの案もそういう考え方で提案をしているものでございまして、是非この点については御理解をいただきたい。  市町村の方にもその旨、特に篠山市長さんの方にも十分にそういったことについて御説明を申し上げているところでございますが、是非その点については御理解をいただきたいというふうに思います。
  82. 山下芳生

    ○山下芳生君 篠山市の場合、本来、三位一体改革による交付税の削減がなければ、合併特例債を使った十一の大きな事業、私はこれ全部無駄だとは思いません。現地行ってみたら、図書館だって非常に大事な役割を果たしたりしております。喜ばれております。住民の暮らしを支える大事な施設がたくさんあります。  これを特例債を使って、後どうなっても知りませんというようなむちゃな計画を立てているはずがないんです。後で後年度負担はあっても、ちゃんと計画的にそれは返していけるという見通しを持って篠山市は十一の事業に乗り出したんです。しかし、三位一体改革で交付税が削減されたことによってその見通しが狂っちゃった。もしそれがなかったら、財政再建団体に陥るような心配はなかったと副市長さんはおっしゃっておりました。国の政策変更による翻弄だということが本質だと私は思います。  そして、これは篠山市だけの問題ではありません。平成の合併で地方自治体平成十一年、三千二百三十二自治体から平成二十年度末、千七百八十五自治体に減ります。件数は六百五件、関係市町村数は二千五十二に上るんですね。  資料の五をちょっと一枚物でお配りしてありますけれども、この資料の五を見ていただきますと、篠山のような事態がこれから合併した市町村に全部のしかかってくるというのがよく分かります。合併特例債、それから合併推進債、これは後年度の交付税措置額が五〇%ですけれども、合わせますと一兆四千三百八十九億円あります。そのうちもう既に償還して交付税措置されている額は六百二十三億円しかない。これからどんどんどんどん合併特例債で行った事業の償還が各自治体にのしかかってくるわけですね。篠山の苦労が全国で三分の一の自治体に覆いかぶさってくるというわけですから、今、篠山市は大リストラ計画を立てております。職員数の大幅削減です。五百六十人のうち、もう既に早期退職で六十人今年度末に辞めるということになっております。幹部が中心ですよ。それから給与を一律二〇%、去年入った職員まで削られようとしている。五十歳以上は昇給なし。そして次は市民サービスの切捨てです。  私は、こんな市民に苦痛を与えていることを高みの見物を政府がすることは絶対に許されない。だって政府の政策でこうなってきたんですからね。そもそも地方交付税というのは標準的なサービスを地方税収によって賄えない団体に交付する財源でありまして、これがなかったら全国あまねく必要なサービスを行うことができない。それがどんどんどんどん三位一体で削られてきて、特に合併した自治体ではこういう苦しみが今襲いかかろうとしている。市長さんを先頭に頑張っておられます。市民の力と知恵を集めて乗り切ろうとしておりますから、是非要望を、地方財政を先食いするときには平気でやるけれども要望に冷たいというんでは総務省が泣きますので、しっかりとこの要望を受け止めていただきたいということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  83. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  この度の補正交付税法案については賛成をいたしますけれども、なぜこの法案が必要になったかといえば、二〇〇七年度の当初予算における税収見積りが過大見積りであった、こういうことですね。  地方交付税に関しては、単年度主義がいいか悪いかというのはいろいろと議論があります。自治財政権を守り、交付税に政府の恣意的な操作を許さないということであるとか、あるいは算定した政府の責任を取れという立場からもこういう議論があるわけでしょうけれども、事実としては、毎年度特例法を出して年度間で処理していて、ほとんど有名無実化しているわけですね、こんな論議なんというのは。  まず、その原因となる交付税財源である法定五税を含めて、過去の国税の見積り方についてですけれども財務省に来ていただいているので伺ってまいりますが、お配りをした資料の一を見ていただきたいと思います。  税収の当初見積りと決算のずれは年度によって過大だったり過小だったり大きな波があります。まず、昨年度までの四年間、二〇〇三年から二〇〇六年度は今回の補正とは逆の現象で、当初予算に比べて決算では多額の増になっているわけですね。つまり、当初の見積りが過小だった状態が続いてきたと、こういうことです。四年間累計した過小見積額は、一番下の欄に挙げておりますけれども税収総額で十三兆五千億円、一か年平均して約三兆四千億円と、非常にずれが大きい。そのずれの分の五一%を占めたのが法人税です。  そこで、財務省に伺うんですが、この四年間の税収の当初額が四年間も続けて過小見積りであった理由というのは何なのか。資本主義経済そのものは無政府的ですから、したがって景気変動というのは常ですけれども、変わり目の一年目ぐらいは予想し難いのはやむを得ないとしても、上昇なら上昇に転じた後の、せめて二年目以降はもっと早く修正できたんではないのか。これができなかった理由というのは何なのか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  84. 川北力

    政府参考人(川北力君) 平成十五年以降の税収の動向について御説明させていただきます。  まず、平成十五年度につきましては、当初、政府経済見通しによる経済諸指標を基礎といたしまして、十五年度の減税額が一・五兆円ございましたが、それも勘案いたしまして、先生御配付いただきました資料にございますように四十一・八兆円と見積もったところでございますが、上場企業の中には過去最高益を更新する企業も多く、経常利益が一六・八%増になるといったようなことがございまして、十五年度におきましては予算額を一・五兆円上回った決算、四十三・三兆円になったということでございます。  税収は、この四十三・三兆円を底に、その後増加に転じまして、この四年間で御指摘のような増がございました。とりわけ法人税収は十六、十七、十八年度と決算ベースで二けた増でございまして、ここに四年間で十兆円から約十五兆円のところまで回復したということでございます。  私ども、その都度都度利用可能なデータに基づき見積作業をしておりますが、いわゆる土台増のこと、あるいは企業業績が一層増加したということがございまして、当初と実績にそうした開差が生じたものでございます。  なお、十八年度におきましては、平成十七年度の補正後税収を土台に政府経済見通しを基礎に見積もりました結果、四十五・九兆円と見積もっております。お配付の資料におきまして、決算で四十九・一兆ということで、三・二兆円の増でございますけれども、この間、いったん十七年度決算におきまして二兆円の土台増がありましたことを踏まえまして、四・六兆円の増額補正をして五十・五兆円になっております。その後、今回一・四兆円の決算の減ということで、四十九・一兆円となったことでございます。  このように、毎年度の税収見積りにつきましては、直近の課税実績あるいは政府経済見通しに基づく諸指標等、それぞれの時点で利用可能なデータを踏まえまして適切な見積りに努めておりますけれども、何分、見積りの土台となる税収が翌年の七月の決算において確定するということですとか、実際の経済動向が政府経済見通しの想定と異なってくるということもございまして、当初の見積りと決算との間で結果的に異同を生じているということでございますので、御理解いただきたいと思います。
  85. 又市征治

    ○又市征治君 ずれが大き過ぎるんですよね。幾らかのずれが出てくるというのは、それは分かるんですけれども、そしてかなり連年にわたってそういうことが起こっている。この財務省見込みが狂った結果、交付税はどんな影響を受けたか。  資料二を見ていただきたいんですけれども交付税入口ベースで法定五税分に前年度の精算増もあって、二〇〇四年度は一兆一千億円増、二〇〇五年度は一兆三千億円増、二〇〇六年度は実に二兆一千億円増、こうなってきた。これを本来なら交付税法の基本どおり年度内に増額交付すべきところですよ。しかし、政府は翌年度の交付税財源に充てると主張して、その都度特例法を制定して繰り越してきたわけですね。ところが、この期間に交付税そのものは、先ほど来から出ているように五兆一千億円も削られて、地方からは悲鳴が上がった。いまだにその後遺症は大きいと言わなきゃなりません。  そこで、当初算定で需要額が不当に削られていたんですから、増収分は改善に回す、再算定して年度内に配分すべきだったということを私も毎年このことはこの委員会で主張してまいりました。また、年度末であっても各自治体に配分すれば、自治体は積立てをするとかあるいは地方債償還などにも使えた、このことも主張してきた。  改めて総務省に伺いますが、この主張そのものは間違いなのかどうか、改めて見解を伺いたいと思います。
  86. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 御指摘のように、平成十六年度から平成十八年度までの三年間、これは国の補正予算におきまして国税の増ということがございまして、地方交付税総額も増加をいたしました。しかしながら、私ども、この当該年度は既に地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税等の一般財源の総額は確保されていると考えておりまして、そしてまた一方で、翌年度に大幅な財源不足が見込まれるということもございましたので、当該年度の普通交付税の調整額の復活、調整戻し、これを交付をするなどした上で残余の額を御指摘のように翌年度に繰り越すという措置を、特例措置を定めた法案を提出をして御審議をいただき、承認をいただいたところでございます。  仮にそれぞれの年度において繰越しを行わないとしたならば、翌年度は更に財源不足が拡大をしていたということとなりまして、各地方団体において臨時財政対策債等の地方債を増額するといったような事態になったのではないかと考えております。  平成十六年度から平成十八年度までの繰越措置は、翌年度の地方交付税総額を確保しようと、そういう趣旨で行ったものでございます。
  87. 又市征治

    ○又市征治君 見解は違いますが、ここのところはそれ以上深追いしないでおきましょう。  そこで、財務省にもう一度お伺いしますが、資料一で、今度は税収の過大見積り、結果として税収不足が最も長く連続したところを見ますと、一九九一年から九五年までの五年間ですね。資料の下の欄外に五年間の過大見積りの累計を出してありますが、税収全体で二十一兆六千億円、年平均四兆三千億円ということになります。その右側に内訳で法人税。これは法人税に景気変動の影響が早く出たので、一年さかのぼっての五か年を取ってありますけれども見積り違い、すなわち税収不足の約六三%が法人税によるということになるわけですね。  財務省はこれだけ大きな見積り違いの連続だったことをどのように総括をされているのか。いや、ぶれが出るのはしようがないんですというお答えなんだが、何かここのところを反省をするなり手法の転換が必要ではないのか。例えば、内閣府のGDPを過信せずに、もう少し自分たちで主体的に財務省の主税局の独自の予測手法強化をするとか、何らかの方策というのは全く考えられないのかどうか、この点についての考え方をお聞きします。
  88. 川北力

    政府参考人(川北力君) お答え申し上げます。  御指摘の期間の税収見積りにつきましては、景気低迷期に入りまして、実際の経済動向が当初の政府経済見通しを下回るような時期でございました。その間、景気対策観点から年度途中で減税が行われた年もありましたので、決算期の間で異同を生じたところでございます。  このような事態の下で、私どもといたしましては、税収見積りの精度向上を図るために、例えば法人税につきまして、主要な大法人に対する聞き取り調査を充実させるほか、関係業界からヒアリングを行うといったような工夫をしたところでございます。  政府経済見通しにつきましては、これは予算編成に合わせて閣議決定されるものでございますので、歳入予算を構成する税収見積りにおきましてもこれを用いることが基本かと存じますが、財務省といたしましては、より適切な見積りに向けまして、政府経済見通しにおきます生産ですとか消費の指標を適切に組み合わせることですとか、あるいは企業や民間調査機関に対する情報収集、これに幅広く取り組むといったことを通じまして、特に変動の多い法人税収の動向を把握すべく、創意工夫に努めているところでございます。
  89. 又市征治

    ○又市征治君 こうした、ずっとわざわざこの一覧を、ずっと多年にわたっての分出しました。本当にこんなに狂いが出て、そのことが地方にも大変なやっぱり影響を及ぼす、こういうことになるわけですから、本当にしっかりといろんな工夫を凝らして、こうしたぶれができるだけ少ない方向に努力を更に財務省としてやっていただくようにお願いをしておきたいと思うんです。  そこで、増田大臣に伺いますが、今年の補正は見積り不足の額も小幅なんで、軽くクリアをしたと、こうお思いなんでしょうけれども、それでもこの法案をめぐって自治体に大変心配を掛けたわけですね。政府当局からは、どうも今年はちょっといろいろな措置がとられたわけですが、参議院のこの与野党逆転状態を非常に気になさったようでありまして、補正の交付税について改正案を通してもらえないと赤字団体転落で百八十自治体が悲鳴を上げるからと、もう異例の説得を野党側になさったわけでありますけれども、あるいはそういう要請が行われてきたわけでありますけれども、私は若干注意喚起を申し上げたいというのは、逆転状態というのはこれからも続いていくんですよね。そのたびごとに、まるで交付税既定額の削減を人質に取ったような誘導をされては、交付税の本質、財政自主権が弱められてしまう、こう言わなきゃならぬと思う。  国のミスの責任を自治体に転嫁しないような財政対策をすべきなんですよ。ここのところにやっぱりしっかり留意してもらいたい。これは財務省にも申し上げなきゃいかぬところである。しかし、現実には、対策の大半はその資料、右から六列目の交付税特会の借入れ、これを見てもらえばいいんですが、つまり自治体共通の借金を増やした、そういうわけですね。先ほど指摘しました一九九一年から九五年度の五年間でいえば、欄外下にあるように五か年で五兆円この借金を、自治体共通の借金を増やしたわけですよ。それを含めて過去十五年間全体では八兆円、自治体全体としては借金が増えた。これは自治体の首長さん方は自分のところの借金だと思っていないというのはさっき出ましたけど、事実上はこういうことになっているわけですよ。  それに比べて、政府の責任分担した額はこの同じ五年間でわずか一千億円。ですから、そういう意味では二%程度しか政府は責任持っていないわけですね。自治体に一方的に交付税の削減を押し付ける傍らで、見積り過大に伴う減収に対するこの責任の取り方は余りにも少なかったんじゃありませんか。ここのところは逆に、それこそ知事もなさってきておられるわけですから、そういう意味も含めて同じような私、認識なんだろうと思う。  総務省財務省に対してもっと責任負担を求めるべきではなかったのか。例えば、半額の二兆五千億円ぐらいはちゃんとやっぱり国庫から出すべきである、こういうふうに主張すべきだったんではないかと思うんですが、答えにくいとおっしゃるかもしらぬけど、総務大臣、ここのところはどうお考えですか。
  90. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) こうした地方団体の様々な財政運営を今後も改善をしていくと、そのため、どういうことができるのかということをきちんと考えていくということが大変重要だというふうに思います。  それで、今回、いろいろと中でのやりくり等によって必要な財源を生み出しましたけれども、今日の御質疑の中でもお話出ておりましたんですが、やはりそのためにこの交付税率をアップするといったようなこと、そうしたようなことなどもどもも本当にいろいろと検討していかなければならないというふうにも思っております。そういう考え方を据えながら、今後の国の財政の中でどういう措置ができるのかと。今回も、国の財政の今の状況の中でぎりぎりの折衝を行ったつもりでもございますし、それからあとずっと地方の、特に交付税が削減をされてくる中で、その方向をプラスの方に百八十度変えるというのはなかなか大変でございましたけれども、そういう理解をいろいろな各方面に得ながらやっていったわけでございますが、まだまだ申し上げたいことは、これで必要十分というふうに決して思っているものではなくて、今後もこうした地方財政状況財政実態というものを総務省としてきちんととらえながら地方財政措置を行っていきたいということでございます。
  91. 又市征治

    ○又市征治君 増田大臣総務大臣になられて大変御奮闘されていることは、この委員会の皆さん、みんな共通に認識なさっているんだろうと思う。ただ、それが期待したとおりだったのか、いや、結局何か増田さんも政府へ入るとやっぱりこういうものかなと、こう言われるのか、そこのところが問われているわけで、是非、今も大体御答弁なさいましたが、国税が変動するんだから仕方がないんだという、こういう論議というのはやっぱりやめてもらわにゃいかぬ。そういう意味で、自治体財政への影響は避けられないわけですし、総務省の責任がそれでは果たせないということだと思うんですね。  ですから、先ほど来から出ているように、私もこの委員会でずうっと一貫して言ってまいりました。やはりしっかりと、そういう意味では、これだけ足りないというんならば交付税率を上げるべきだということをずうっと一貫して申し上げてきた。そういうことも含めて是非検討いただきたい。  交付税はとりわけ、繰り返しになりますけれども、小泉政権の下で国税が増えた年度も含めて五兆一千億円も意図的に減額されてきた。このことによってもう本当に地方は大変な状態になっている。それこそ今日言われるように、いろんな様々な、先ほどからも具体的な例出されていますけれども、そういう地域でも限界集落なんというのが起こってきている。全国で七千八百か所もある。もう六十五歳以上が平均超えてしまっている。そんな地域、何百年にもわたって続いてきた文化や伝統までが消えていこうとしている。そんなところに何か手当てをしようと思ったって金出せないじゃないかというところまで来ている。日本社会が壊されてきているわけですよね。そういうことを含めて、今度はやっぱり計画的に復元する、そのためにさっき申し上げたような交付税率そのものを上げるということも含めて努力をされるべきだろうと思うんです。  今回、来年度の予算案のわずか四千億円復元というんでは、増えたからいいじゃないかというところではこれは済まない。そういうことだと思うんですね。五兆円に比べてこんなぐらいの、四千億円ぐらい来年度の予算では交付税は増えましたということでは、まさに百年河清を待つごとき、こう言わざるを得ないわけでありまして、もう一度改めて大臣の決意をお伺いしておきたい。
  92. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今お話しの御趣旨、十分理解をしているつもりでございまして、やはり交付税の法定率の引上げ等も含めて、地方財政の中では安定化のためにいろいろ努力をしていかなければならないというふうに思っております。  〇八年度予算についての御審議はまたいろいろと今後いただくわけでございますけれども、しかし、私ども総務省として、この間続いてまいりました様々な地方財政状況というものを重く受け止めて、そして今後に向かってきちんと結果を出していきたい、そういう思いで今いるところでございまして、是非またいろいろな意味で御叱正とそれからまた御指導をお願いしたいということでございます。
  93. 又市征治

    ○又市征治君 最後に、二〇〇八年度予算案の税収見積り、したがってまた交付税原資についても同じことが心配をされますから、そこで財務省に最後にお伺いしておきたいと思うんです。  第一に、この二〇〇七年度補正で当初より減額したわけで、景気は減速しているという、そういう理解なのかどうなのか。第二に、それにもかかわらず、その補正額、補正の額をスタート台に置くと来年度は税収全体で一兆円の増、うち法人税で七千億円の増という見積りをされているわけですが、これは一体全体本当に大丈夫なのかどうか、どういう積算根拠になるのか。実質成長率を二%と楽観的に読んでそのまま組んでいるようですけれども、二〇〇七年度は見込みが二%に対して実績は一・三%だったわけですね。GDP予測は内閣府が出すから財務省が動かせないにしても、その各要素の指数はいろいろあるわけだろうと思うんです。  例えば賃金の問題、賃金、企業のですね。我が党は口を酸っぱくして批判をしてまいりましたが、労働分配率がずうっと低下をし続けている。賃金と企業の役員給与との格差が極端に広がっていることや、非正規労働者の賃金や処遇を改善をすべきだということは今や与党の一部の皆さんもそうおっしゃっているし、経団連さえ認めるように今なってきたわけです。こうした実態を改善するのは政府全体の責任ですけれども、それが現実の賃金上昇、そして税収増にまで二〇〇八年度中にたどり着くのか。財務省は独自のやっぱり検討をして税収見積りに反映をさせるべきじゃないのか、このように思うんですが、ここらのところはどのようにお考えになっているのか、今の景気動向、どういうふうにお考えになっているのか、改めてお聞きします。
  94. 川北力

    政府参考人(川北力君) 先生指摘のように、十九年度補正予算におきましては、減額補正を〇・九兆円させていただきまして五十二・六兆円となっております。これは、十八年度の補正と決算の比較でいたしまして一・四兆円の土台減があったということでございます。ただ、この五十二・六兆円は十八年度決算と比べますと三・五兆円の増でございます。  足下の景気動向につきましては、この政府の経済見通しにおきましては、十九年度の経済につきまして、企業部門の底堅さが持続し、景気回復が続くと見込まれるものの、改正建築基準法の施行の影響によりまして住宅建設が減少していることから、回復の足取りが緩やかになると見込まれるというふうにされていると承知しております。  続けて、二十年度の税収見積りについてのお尋ねでございます。  二十年度税収につきましては、十九年度の補正後予算を基に、二十年度の政府経済見通しにおきます各種の経済指標を踏まえまして五十三・六兆円と見積もっております。五十三・六兆円は補正予算と比較いたしまして一・九%の増でございます。特に、法人税収につきましては、政府経済見通しにおきまして、法人税収伸率を見込むに当たって勘案しております指標、生産、物価、輸出、消費といったものがいずれも増加を見込んでおりますので、そうしたことを踏まえまして十九年度当初予算より〇・四兆円上回った十六・七兆円と見積もっているものでございます。  また、賃金の関係で御質問ございました。私ども、給与に係る所得税の見積りをするに当たりまして、従来から政府経済見通しにおきます雇用者報酬の伸びを用いております。二十年度につきましては、名目GDP二・一%の中で雇用者報酬は〇・八%というふうになっておりまして、この〇・八%を基に給与に係る所得税の見積りをしているところでございます。  財務省といたしましては、こうした政府経済見通しの各指標に基づきまして、より適切な見積りになるよう毎年努めているところでございます。
  95. 又市征治

    ○又市征治君 終わります。
  96. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十七分散会