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2008-06-06 第169回国会 参議院 政府開発援助等に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年六月六日(金曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  五月十九日     辞任         補欠選任         相原久美子君     谷岡 郁子君      佐藤 正久君     西田 昌司君  六月五日     辞任         補欠選任         加藤 敏幸君     吉川 沙織君      武内 則男君     梅村  聡君      浮島とも子君     浜田 昌良君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         溝手 顕正君     理 事                 大塚 耕平君                 富岡由紀夫君                 藤末 健三君                 谷川 秀善君                 山内 俊夫君                 谷合 正明君     委 員                 犬塚 直史君                 梅村  聡君                 大石 正光君                 亀井亜紀子君                 島田智哉子君                 谷岡 郁子君                 轟木 利治君                 長浜 博行君                 姫井由美子君                 牧山ひろえ君                 吉川 沙織君                 米長 晴信君                 石井みどり君                 椎名 一保君                 田村耕太郎君                 鶴保 庸介君                 西田 昌司君                 長谷川大紋君                 松村 祥史君                 森 まさこ君                 浜田 昌良君                 近藤 正道君    国務大臣        外務大臣     高村 正彦君    大臣政務官        外務大臣政務官  小池 正勝君    事務局側        常任委員会専門        員        堀田 光明君        常任委員会専門        員        桐山 正敏君    政府参考人        外務大臣官房地        球規模課題審議        官        鶴岡 公二君        外務大臣官房審        議官       梅本 和義君        外務大臣官房参        事官       廣木 重之君        外務大臣官房参        事官       山崎  純君        外務省国際協力        局長       別所 浩郎君        財務省主計局次        長        木下 康司君    参考人        独立行政法人国        際協力機構理事  上田 善久君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○政府開発援助等に関する調査  (第四回アフリカ開発会議TICADⅣ)の  報告に関する件)  (第四回アフリカ開発会議TICADⅣ)に  関する件)  (食糧価格高騰問題に関する件)  (ODA増額と財源に関する件)  (アフリカにおける保健衛生感染症対策に関  する件)  (NGOODA政策及びTICADプロセス  への関与に関する件)     ─────────────
  2. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る五月十九日、相原久美子君及び佐藤正久君が委員辞任され、その補欠として谷岡郁子君及び西田昌司君が選任されました。  また、昨日、浮島とも子君、武内則男君及び加藤敏幸君が委員辞任され、その補欠として浜田昌良君、梅村聡君及び吉川沙織君が選任されました。     ─────────────
  3. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  政府開発援助等に関する調査のため、本日の委員会政府参考人として、理事会協議のとおり、外務大臣官房地球規模課題審議官鶴岡公二君外五名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 政府開発援助等に関する調査を議題といたします。  第四回アフリカ開発会議TICADⅣ)について政府から報告を聴取いたします。高村外務大臣
  6. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 先週、五月二十八日から三十日まで、我が国世銀国連及びUNDPの共催により、横浜において第四回アフリカ開発会議TICADⅣ)が開催されました。同会議では、「元気なアフリカを目指して 希望と機会の大陸」との基本メッセージの下で、経済成長加速化人間安全保障確立及び環境・気候変動問題への対処重点事項として、アフリカ開発の今後の方向性について活発な議論が行われました。  同会議は、四十一名の国家元首首脳級を含むアフリカ五十一か国、三十四か国の開発パートナー諸国及びアジア諸国、七十七の国際機関及び地域機関代表並びに民間セクターNGO等市民社会代表等三千名以上が参加し、我が国外交史上類を見ない大規模国際会議となりました。  本会合福田内閣総理大臣が全体議長を務め、開会式基調演説において我が国の対アフリカ支援策を発表し、対アフリカODA倍増、対アフリカ民間投資倍増支援等を打ち出しました。また、TICADⅢ時に議長を務めた森元総理が全体会合審議を取り進めました。  会議では、現在のアフリカにおける経済成長など前向きな動きを後押しするために、三つ優先分野の下で活発な議論が展開され、TICADプロセスが掲げてきたアフリカのオーナーシップの深化と国際社会のパートナーシップの重要性が確認されました。また、官民連携市民社会との連携アジアアフリカ協力重要性についても再確認されるとともに、二〇一五年までのMDGs達成に向け、TICADプロセスが果たしている役割重要性指摘されました。食料価格高騰問題については、国際社会全体がこの課題に緊急に取り組む必要があること、また、短期及び中長期にわたる包括的対策が必要であることが確認されました。  同会議最終成果物としましては、今後のアフリカ開発取組方向性に関する政治的意思を示す横浜宣言、同宣言に基づき今後のTICADプロセス具体的取組を示すロードマップである横浜行動計画TICADプロセス実施状況検証を行うためのフォローアップ・メカニズムの三つ文書が発出されました。また、TICADⅣで行われた議論の内容を総括したTICAD議長サマリーが全体議長である福田総理の下、まとめられました。  同会議参加者からは、TICADⅣにおいて表明されたアフリカの声が七月に開催されるG8北海道洞爺湖サミット議論に反映されることに対する強い期待が表明され、福田総理はその決意を表明いたしました。  TICAD開催と並行して参加者との個別会談が行われました。  福田総理は、四十名の首脳級参加者すべて及びAU委員長世銀総裁並びに個人招待者等五名の計四十七名との間で個別会談を行い、国連機関代表合同表敬を受けるとともに、アフリカ諸国首脳との間で昼食会を行いました。  私は、首脳級参加者国際機関代表及び個人招待者等二十三名と個別会談を行い、アフリカ諸国の外相及び主要国連機関代表との間でそれぞれ昼食会を行いました。さらに、森元総理小野寺外務大臣中山外務大臣政務官も多くの個別会談を行いました。  これらの会談等では、アフリカ開発地域情勢国連安保理改革を含む国際場裏における協力等、幅広いテーマにつき意見交換を行い、短期間で記録的な数に上る密度の濃いハイレベルによる交流が行われました。  また、TICAD開催に併せて多くの会議行事等開催されました。  二十七日には、私自身が議長となって閣僚級事前会合を行い、閣僚レベル成果文書を取りまとめました。  二十八日には、野口英世アフリカ賞授賞式記念晩さん会天皇皇后陛下御臨席の下で行われ、グリーンウッド博士ウェレ博士に第一回野口英世アフリカ賞が贈られました。  二十九日には、世銀、FAO、WFP、IFAD主催による食料価格高騰に関するハイレベルパネルディスカッションが行われ、福田総理及び私が出席し、食料価格高騰問題への対応議論されました。  三十日には、アフリカよりの首脳級出席者及び同伴婦人宮中お茶会参加し、天皇皇后陛下に御拝謁されました。  以上のように成功裏に終わったTICADⅣの評価につきましては、次のとおり考えております。  同会議参加したアフリカ各国からは、これまでのTICADプロセスの貢献を評価する旨の発言が相次ぎ、議論テーマ重点事項も時宜にかなった適切なものであるとして高い評価を受けました。  また、横浜行動計画共催者開発パートナー諸国のみならずアジア諸国及び国際機関からの支援策を具体的に盛り込むなど名実共国際社会知恵資金を結集することができました。  本会合参加したアフリカ首脳級出席者数は前回をはるかに上回る四十一名に上り、アフリカ諸国TICADプロセスに対する高い期待感が明確に示されたと思います。また、全体会合の場には欧州、アジア諸国からもハイレベル参加があり、今次会合に対する国際社会関心の高さがうかがわれました。また、数多くの国際機関からも準備段階からの積極的協力、トップの参加を得て、TICADが十五年の歴史を経てアフリカ開発に関する国際的な政策協議の場としての地位を確立できたと言うことができると思います。  対アフリカODA倍増や対アフリカ民間投資倍増支援等我が国が打ち出したイニシアチブに対しては、各国首脳ドナー諸国個人招待者からも歓迎する、高く評価する等の発言が相次ぎました。  福田総理ほかがTICADⅣに参加するために訪日した元首首脳級参加者すべて及びAU委員長等と個別に会談を持つことにより、我が国アフリカ諸国の良好な関係が更に強化されました。  また、各種のセミナーやシンポジウムなどのイベントやレセプションを通じ、アフリカハイレベル代表団我が国国民各層との交流が深まったほか、我が国におけるアフリカに対する理解が深まったことも大きな成果考えます。  我が国としては、アフリカ諸国や他の参加者から示された我が国に対する高い評価期待にこたえるべく、対アフリカODA倍増を始めとして、TICADⅣで打ち出した各種イニシアチブを着実に実施していくことが肝要であります。また、G8北海道洞爺湖サミットにおいてTICAD成果をきちんと反映していく考えであります。  委員長を始め、本委員会の御支援、御指導をよろしくお願いを申し上げます。
  7. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 以上で政府からの報告聴取は終わりました。  引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 米長晴信

    米長晴信君 民主党の米長晴信です。  本題に入る前に、通告にはございませんけれども昨日の出来事ですので、ODA受注、予算の中の受注をめぐるPCIの脱税の事件について逮捕者が出て事件化したということで、御所感だけお願いしたいんですけれども。  大臣お願いします。
  9. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 本格的捜査が始まったところでありますが、法と証拠に基づいてきちんとした対処を検察あるいは司法当局でしていただきたいと、こういうふうに思っております。  外務省は、捜査等に協力すべきところがあれば全面的に協力していく所存でございます。
  10. 米長晴信

    米長晴信君 ありがとうございます。  それでは、本題に入らせていただきたいと思います。  今日はTICADⅣに関することということで、まずは無事終了いたしまして、レクに来た関係者の皆様も日程どおり進んだこと自体が本当に奇跡的だ、横浜の奇跡とまでおっしゃって、四百人以上の外務省の皆さんが直接かかわって、ほかに三千人の方が大会を成功させたということで、その分は本当に心からねぎらい申し上げたいと思っております。  おおむね参加国の方から評価をいただいたということで成功ということでございますけれども、ただ、今日はせっかくの機会ですので改めて、もうちょっと戦略的にこのアフリカ支援考えていった方がいいんではないか、あるいはもっと今までの支援について評価を加えて、もっと反省すべきは反省して改善すべきは改善してという角度で反省の部分も見ていった方がいいんではないか、今日の総括ではその部分がないように思いましたので、質問の中で議論させていただきたいと思っております。  その中で、アフリカ開発アフリカへの日本支援ということで、TICADⅣ、四回目の開催でございますけれども外交上、アフリカに対する戦略的な目標というのを改めてお伺いをしたいと思います。
  11. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) TICADⅣは、近年、政治経済両面で前向きな変化の見られるアフリカ発展を一層後押しするために、成長加速化人間安全保障確立環境・気候変動問題への対処重点事項として、国際社会知恵資金を結集することを目的として開催したわけでございます。  アフリカ問題は国際社会重大関心事でありまして、自らの見識を持ってその解決に取り組むことは国際社会主要プレーヤーとしての責務だと思っております。また、国連加盟国の約三割に当たる五十三か国が存在するアフリカとの友好協力関係を深め、豊富な天然資源を有し潜在的な巨大市場であるアフリカとの経済関係発展安定化を図ることは、我が国外交基盤の強化及び我が国経済的繁栄に大きく資するものと考えているわけでございます。  そういった考えに基づいてTICADⅣを開催させていただきました。
  12. 米長晴信

    米長晴信君 総括を見ても、どちらかというと優等生的にあらゆる分野にわたって、食料、教育、医療などについてどちらかというと総花的に評価されて、日本は戦略的にこの分野に重点的にというような部分がやや見えにくいのが逆に残念だなと思うんですけれども。  そのうち、食料の問題というのは、昨日も食糧サミットというのが行われましたけれどもTICADのときには一億ドルの緊急食糧支援というのが盛り込まれておりましたけれども、昨日閉幕した食糧サミットにおきましては更に日本からは五千万ドルの追加というのが約束されたと聞いておりますけれども食糧価格高騰しているとはいえ、なかなか日本資金繰りも大変な中で、底が見えない食糧高騰問題、この支援で本当にこたえることができるのか、あるいは今後どのぐらいの規模支援が最終的に必要なのか、その辺の見解をお聞かせいただきたいと思います。
  13. 別所浩郎

    政府参考人別所浩郎君) 今の食料の困難というか危機の状況でございますが、正直な話、今週行われましたローマ会議におきましても、これからどこまでこれが続くのか、どういうふうに拡大していくのか、それから集まった国々でどういう対応ができるのかということについて、しっかりとした見通しが立てられたわけではございません。  そういう意味で、今私どもが行っているものもまさに緊急の事態に対応するということで行っているということでございまして、御存じのとおりでございますけれども日本につきましてもまずは一億ドル、当初一億ドルということで食糧支援をいたしますということを申し上げ、またローマ会議におきまして、総理の方からは食料増産に向けて、これは短期、中期的な食料増産に向けて肥料とか農業機械支援ということで五千万ドルという追加的な支援を表明されたわけでございますけれども、もちろんこれで足りるという話ではございませんで、よりまた中長期的にどういうふうにして農業生産を拡大していくのか、あるいは市場を安定させていくのかということを今国際社会として一緒になって議論していくと、サミットに向けての一つ課題だろうと思っております。
  14. 米長晴信

    米長晴信君 ありがとうございます。  農業一つの柱になり得るというお話ですけれども、この資料の一枚目でございますけれども、これは十七年のもので、これによりますと、対アフリカ支援として農業生産性を高める緑の革命を実現するというようなメッセージでありますけれども、必ずしもこれが実現をまだしていない、この目標どおりにいっているかどうかはまだ発展途上だということだと思います。  さらに、資料二枚目、これはTICADⅣをやるのに当たって出したTICADⅢの成果、これをまとめたもので公表されているものですけれども、ここを見ますと、農業というのが一つ項目になっていなくて、人間中心開発という中に最後ちょろっと書いてあることだと思うんですけれども、やはり食料自給率我が国としては向上しなきゃいけない、その中で世界の食料の不足あるいは価格高騰という中で、アフリカの広大な土地というのはやっぱり日本は戦略的に考えて、肥沃でない土地には日本農業の技術を取り入れてできるだけ底上げをする。あるいは、意外と食料自給率が一〇〇に近いような国もございますんで、そういうところは輸出国に我々の力で手伝っていくとか、そういう農業支援というのは今後は大きな柱の一つとしてアフリカ支援に盛り込む必要があると思うんですけれども、その辺、大臣決意だけお聞かせを、農業問題についてですね。
  15. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 農業につきましては、TICADⅣにおいて、三つ重点項目一つである成長加速化を支える重要な柱としての役割及び生産性を高めていくことの必要性が強調されたわけであります。  アフリカでは人口の三分の二が農業に従事しておりますが、厳しい自然条件や干ばつなどにより農業生産性が低い状況にありまして、アフリカにおける経済成長食料安全保障のために農業及び農村開発が極めて重要であると認識をしております。我が国は、このような認識を踏まえ、今後とも積極的に農業分野での対アフリカ支援に取り組んでまいります。  TICADⅣの中でも、アフリカ首脳から食糧価格高騰というのはアフリカにとってピンチでもあるけれどもむしろチャンスなんだと、こういう発言もありまして、大変心強く思いました。価格高騰しているということは、産業としてそれが成り立っていきやすい条件でもあるわけであります。貧しい人たちの生活は直撃しておりますが、一方では産業として農業がやっていくチャンスでもあると。そういうところをとらえて私たち産業としての農業をきちっと応援することによって、そして貧しい人たちを直撃している食糧価格高騰の問題にも対処できる、そういうことをやっていきたいと、こういうふうに思っている次第でございます。
  16. 米長晴信

    米長晴信君 ありがとうございます。  成長力を加速する意味農業安定化さすという意見は全く本当にもうそのとおりだと思いまして、是非頑張っていただきたいと思う一方で、昨日の食糧サミットにおきましては、食糧価格高騰という中で、輸出国がどちらかというとそれにブレーキを掛けているというような記事も見ましたので、我々、米以外は輸入国でございますので、そういう立場から、同じ立場アフリカを今後共に成長させる中で妙な輸出国の抵抗に遭うとか、そういうことのないように外交上きっちりと御面倒を見ていただきたいというふうにお願いを申し上げます。  さて、先ほど検証が十分じゃないことも指摘していきたいということですけれども、これは私の個人考えというわけでもなくて、これまでの委員会ODA自体がまだまだ成果がちゃんと見えないという参考人意見をベースとしているものなんですけれども、これ一つ一つ見ていく時間はないんですけれども資料の二である程度分かりやすいものがありまして、六番、ラジオ放送網整備支援により約六千万人の新たな受信人口が拡大されたというのがTICADⅢの五年間の成果としてまとめられております。  これを見たところ、印象としては、アフリカは広いですから、アフリカ全土で物すごいたくさんの電波局ができてラジオがすごい普及したのかと、六千万人というと日本人口の約半分ぐらいですから。という目で見てよく調べたらこれ実際に行っていたのは三か国に対してだと。これ五十何か国のうちの三か国の話で。たった三か国だから少ないというお話をしているんじゃないんです。こういう表現で、六千万人というとアフリカ中に電波網を広げたような印象を与える総括であって、これは正しい認識が逆にされないんじゃないかと。  でも、一個一個見ていきますと、六千万人受信者増えたというのはどういうふうに算定していたのかというのも細かく見ていきたくなってちょっと調べたわけですけれども、まず参考人の方、それ、どうやってこの六千万人出したというのをちょっと教えていただけますでしょうか。
  17. 別所浩郎

    政府参考人別所浩郎君) 今御指摘の六千万人の受信人口が拡大されたという記述でございますけれども、御指摘のとおりウガンダカメルーンナイジェリアの三か国においてラジオ放送局放送送信機材整備する等の支援を行ったということを踏まえたものでございます。  具体的に申しますと、ウガンダにおきましては、内戦や落雷被害によって老朽化が激しくて稼働していなかったラジオ送信所機材整備する。あるいは、カメルーンにおきましては、老朽化が進んで、FM放送送信所機材整備するということ、それを整備してきちっと直すと。それから、番組作成のための機材整備というものも行っております。また、ナイジェリアにおきましても、老朽化が進んで送信出力が極めて低下していた放送局機材整備したということでございます。  これらの放送機材整備を通じまして、ウガンダでは約千五百万人、カメルーンで約千百六十万人、ナイジェリアで三千七百万人の計六千五百万人弱の住民が新たな良好なラジオ放送を受信することができるようになったということが見込まれておりますので、これが私どもが六千万と書いたことでございまして、この人数ということにつきましては、それぞれの国の試算によります全世帯のラジオ普及率などを根拠に算出したものでございます。
  18. 米長晴信

    米長晴信君 各国ラジオ普及率を基にということですけれども、この普及率もどこまで相手の数字を信じていいのかと。つまり、元々十何年、二十年以上ラジオを聴けなかった人の使えるかどうか分からないラジオ、それを所持しているという恐らく数字も入っているかと思うんです。放送局だけつくっても、イコール六千万人が聴けるようになったというような発表ではなかなか実態ともしかしたら違うのかもしれない。  きっちりこの放送局こういう直径があって、この中で実際にラジオを持っている人がどれぐらいなのか、あるいは電波が届くところがどういう範囲で届かないところの対処はどうするのか、きちんとした番組づくりが例えばできているのかどうか、あるいはその番組自体も我々が貴重なお金、一か所九億ぐらいと聞いていますけれども、それだけ投入してやっているわけですから、必ずしも我々のプロパガンダを放送するというそういうんじゃなくて、我々テレビもラジオ放送歴史があるわけでございますから、その放送番組の運営とか中身についてもある程度支援をしてという形でやってこそ、このせっかくの六千万人受信でき得る人に対して日本支援が本当に行き届いたということになると思うんですけれども。  ここに建てたから六千万人が受けられるようになった、その総括だけでは本当にラジオ受信機をみんな持っているのかどうか、そういうことも、あるいは電波が届くようになったんで、だからラジオを聴くようにしましょうということを相手の政府にもっと広報してもらうとか、そういうことも是非やっていただいて、それで更に成果を訴えていけば、これが三か所が十か所になって二十か所になって、アフリカ全土日本の力でこの電波が普及するということになると思いますので、だからこの六千万人うそだというそういういちゃもんではなくて、六千万人の中身をきっちり精査して、それでもっともっと今後増やしていくときにより有効な、日本の税金を投入するわけですから使い方をしていただきたいという御提案ですけれども、それについて大臣、御感想いただけますでしょうか。
  19. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 六千万人の人たち電波が届くようになったということ自体、大変重要なことだと思いますが、そういう中で現実にどういう密度でどういう人が聴いているか、そういったことも我々は意識を持ってやっていかなければいけないと、そういうふうに考えます。
  20. 米長晴信

    米長晴信君 ありがとうございます。  今例としてラジオの話をしましたけれども、どちらかというと、この成果を表にするのに一々全部まとめてというわけにはいきません。水で何人が飲めたとか何人に教育が行き渡ったとかいう形でしか発表できないし、それもよく分かります。その方がアピール度もあるんですけれども、でもそれでよしとせずに、それぞれの分野できっちりと検証して、無駄があるところは無駄を指摘して、私残念といいますかやるべきだと思うのが、今回フォローアップメカニズムというのを新たに設置して、柱の三つ目、今後はある程度フォローアップをしていくということですけれども、それをフォローアップをきちんとやって機能するために本当に細かく無駄あるいは反省点、こういうものを逆に成果のマイナス面として入れてこそTICADⅣがⅤにつながってより日本支援が効率よく行われると思いますので、ラジオの例を見て大臣が思われたように、ほかの分野についても是非いろんな検証を加えて今後支援考えていっていただきたいというふうに思います。  次に、TICADで援助の話もございますけれども、投資もしてほしいという意見もあったということです。  資料三を飛ばして四を御覧いただくと、日本の対アフリカ直接投資、これがやや減少していましたが、六年、七年と急激に上がっているんですけれども、これだけを見るとすごい伸びているというふうに見えるんですけれども、実はこれちょっと下の特殊案件によるという注意書きが、ただし書があるんですね。これ実はモーリシャスというところがタックスヘーブンを取り入れて、そこにある程度日本の投資が殺到したということで表面上そこの部分が増えて、決してアフリカ全体で投資が増えているとは言い難いという状況ですけれども。  日本含めたいろんな国が投資としてのアフリカにいろいろ資源面それから食料、いろんなことで目を付けている中で、まあ敵という言い方は適切でない、ライバルである中国、ここがやはり投資額あるいは貿易額、これが日本、大分水を空けているということですけれども、これについて、今後の日本取組及び中国が日本に比べてその伸び率あるいは額で日本を上回っているということについて御意見をお伺いしたいんですけれども
  21. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) お答え申し上げます。  今のアフリカへの投資の話でございますが、日本企業からの投資それから我が国アフリカとの貿易は、アフリカ諸国の雇用創出、技術、ノウハウの移転等を通じましてアフリカの持続的成長を後押しすることになり、アフリカ各国からも大きな期待を寄せられているところでございます。このようなアフリカ諸国からの期待にこたえられますように、貿易投資促進のための様々な措置を講じる予定でございます。  TICADⅣ以降、例えば以下のような施策を実施していきたいというふうに考えております。  一つには、貿易促進のためには、貿易関連の技術支援提供や一村一品イニシアチブ推進によるアフリカ産品の日本市場へのアクセス改善のための支援、こういったものを実施していきたいと考えております。  それからまた、第二に、投資促進のためには、福田総理よりも発表させていただきましたけれども、今後五年間で我が国の対アフリカ投資を倍増させるように政府、民間で共同作業を行っていくというふうに発表させていただいております。具体的には、貿易保険の充実それから国際協力銀行にアフリカ投資倍増支援基金といったものを創設すること。こういったことを含めまして二十五億ドル規模の金融支援を打ち出すとともに、今年の夏以降、政府要人と経済界の合同ミッションをアフリカに派遣すると、こういった予定を考えております。
  22. 米長晴信

    米長晴信君 ありがとうございます。  今の答弁の中で出てきたのでちょっと質問の順番を変えまして、アフリカODA倍増するというようなことも含まれておりまして、資料六ですけれども、これ再三、当委員会議論をしているところでございますけれども、マイナスシーリングが掛かっていて年々グロスが減っているという部分が、これはやっぱり元に戻していくべきだという議論がこの委員会でもあったわけでございますけれども。  このアフリカ支援アフリカ開発会議において、今後五年間でアフリカへの支援倍増すると。これはアフリカ諸国にとっては物すごい喜ぶべき材料で、国際的にも環境サミットを控えてアフリカの問題というのも一つの大きなテーマとなる中で、国際世論的にも何となくいい顔ができたかと思うんですけれども、ほかの発展途上国にとっては、ただでさえODA、マイナスシーリングが掛かっていることが知られていて、その中でアフリカ倍増されるということですけれども。  これ、財務省の意見になるんでしょうか。これは残りの国を、これ支援が減ってしまうのか、あるいはマイナスシーリングをこの少なくとも公約をした五年間についてはいったん見直すのかということをちょっとお伺いをしたいと思います。
  23. 木下康司

    政府参考人(木下康司君) お答えをさせていただきます。  我が国財政は主要先進国の中でひときわ厳しい状況にございまして、将来世代に負担を先送りすることのないよう財政健全化を着実に進めていく必要があると考えております。したがいまして、歳入歳出一体改革を進めて、基本方針二〇〇六、いわゆる骨太二〇〇六で示されました二〇一一年度プライマリーバランス黒字化は確実に達成していく必要があると考えております。  ただ一方で、第四回アフリカ開発会議に続きまして、また本年G8北海道洞爺湖サミットどもございますし、その他いろいろな国のフォローアップもしていかなくてはなりませんので、そのためにも各年度の予算編成過程において、ODA予算につきましてめり張り付け等の工夫を行うとともに、円借款を積極的に供与することなどによりまして、我が国にふさわしいODA事業量を確保していくことが必要だと考えております。
  24. 米長晴信

    米長晴信君 今の説明ですと、やっぱり真水の部分はどうしてもアフリカ以外の諸国の分は減るということはもう避けられないということですけれども、改めて外務省参考人の方にお伺いしたいんですけれども、それについてそういう危機感といいますか、そういうのは何か各国から、アフリカ以外のところからリアクションはございますでしょうか。
  25. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) ODAを取り巻く状況、非常に厳しいわけでありまして、一般会計のODA予算は過去十一年で四割減であります。二〇〇七年の我が国ODA実績は、米国、ドイツ、フランス、英国に次ぐ第五位となりました。  我が国開発援助の効果を上げていくため質の改善に引き続き努めていくことも重要ですが、国際社会の諸課題の解決に貢献し、日本の存在感や発言力を高めるためにODAの一層の活用は不可欠であります。本年、我が国議長国となるG8北海道洞爺湖サミットにおいても、アフリカを始めとする途上国の開発や地球規模問題の解決へ向けた主導的な役割を果たすことが期待されております。  外務省としては、厳しい財政事情は踏まえつつも、引き続き必要なODA予算の確保に向けて取り組み、我が国ODAの減少傾向を底打ちさせ、反転を目指す決意で財務省と話し合っていきたいと、こういうふうに思っております。
  26. 米長晴信

    米長晴信君 大臣決意と財務省のちょっとやや財布のひもをきつくしている部分で若干の行き違いがあるかと思うんですけれども、ただやっぱりどこにでもいい顔をするということはできませんので、アフリカ倍増したということであれば、やはり責任ある日本立場としては、めり張り付けるとか円借款を増やすとかそういう苦しい形でなくて、例えば私答弁の中で出てくるかと思ったんですけれどもアジアについてはそろそろ卒業してむしろ自立するあるいは支援する側の国に回っていくような形で応援するとか、そういう立場になってもらうようにするとかそういうことだと思うんですけれども、是非サミット日本開催が注目されてございますので、一方ではアフリカだけにいい顔をするというんでなくて、責任ある立場としてきっちりとこのODAを含めたアフリカ支援、これがちゃんとつじつまが合うようにしっかりとやっていただきたいというふうに最後お願いを申し上げまして、時間ですので終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  27. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 牧山ひろえです。高村大臣、よろしくお願いいたします。  質問に先立ちまして、今日の私の質疑に関連して、日本の母子手帳の八か国語版、それとパレスチナとインドネシアの現地版母子手帳をお回しさせていただきますので御覧ください。そして、今回、今日お配りしますこの資料は私が作成したものでございます。  さて、TICADⅣの開催、大変お疲れさまでございました。御関係者の皆様の御尽力により、今回の横浜宣言が高らかにうたわれたことに敬意を表したいと思います。  私自身も会場に何度か足を運ばせていただきまして、三月二十七日の外交防衛委員会でも申し上げましたとおり、微力ながら草の根の議員外交をしてまいりました。カメルーン、ザンビア、ベナン、AUの方々など、多くの方々と意見交換をさせていただきまして、日本アフリカ支援の在り方について率直な御意見を賜りました。多くの方が声をそろえておっしゃるのは、やはり円借款も大事でありますけれども、グラント、無償資金協力をもっと増やしてほしい、また自国の経済成長のために、先ほど米長議員のお話にもありましたように、日本企業の投資を積極的に推進してほしいというものでした。TICADⅣ期間中の各種報道で取り上げられましたとおり、やはりアフリカ諸国経済成長のための投資を期待しているのが実情だと思います。この点については後ほど時間がありましたら伺いたいと思います。  まずは大臣にお伺いしたいのは、母子健康手帳のアフリカへの普及についてです。この母子健康手帳については私が終始一貫して大臣を始め各方面に提案し続けてきたものでして、アフリカにおける乳幼児の死亡率を低減させる効果的な手段として期待が持てるものだと思います。  五月二十八日、TICADⅣの開会式福田総理が、母子健康手帳の考え方をアフリカに広めることが有意義であるとスピーチされておられました。是非高村大臣からこの場で具体的な目標、つまり導入までの期間や普及させる対象地域などを含めて計画的に母子健康手帳を広める旨の御発言をいただきたいのですが、いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。
  28. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 国際社会におきまして最も脆弱な立場にある女性と子供に焦点を当てた母子保健の改善の重要性指摘されており、TICADⅣで採択された横浜宣言においてもその重要性が確認されているところでございます。  御指摘の母子健康手帳でありますが、健康一般についての母親の知識を高め、医療従事者側で母子の健康履歴を把握することにより、妊産婦死亡率、乳幼児死亡率を大幅に改善させることができるという点で優れた制度であると認識をしております。こうした観点から、我が国はこれまでにインドネシア等のアジア諸国やパレスチナで母子健康手帳の普及に取り組んでおり、その考え方をアフリカに広めることは有意義であると考えております。  母子健康手帳は、一方で保健所の設置及びアクセス、保健医療従事者の育成といった保健システムの向上や母親の識字率の改善と相まってこそ効果が発揮されるものであります。アフリカにおいては、このような協力を進める中で母子健康手帳の考え方を広めていきたいと、こういうふうに考えているわけであります。  アフリカ連合の議会の代表者、女性の方でありましたが、私自ら母子健康手帳を渡しまして、こういうものがあるんだ、アフリカで広めたいから是非手伝ってくれと、こう申しました。申しましたというか、これは実は夕食会のときにそういう話をしたら、是非それの本物を欲しいと言われたので、翌日の会談のときにそれをお渡しして、是非これはこちら側サイドだけが幾らやろうと思っても向こう側で受け入れるという感じにならないとなかなか難しいんですが、その方もちょっと今名前忘れて大変失礼なんですが、そのAU連合の議会のトップの方、この方も是非それを広めたいということを言っておられましたので、協力して進めていきたいと、こういうふうに思います。
  29. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 ありがとうございます。  私も機会がありまして、ザンビアの大臣カメルーン大臣にもこの母子手帳を手渡してまいりました。この私が手にしておりますのが日本の母子健康手帳ですが、これは母子保健事業団の方からお借りしてまいりましたものですけれども日本にいらっしゃる外国人向けのものでございます。英語はもちろんのこと、本日私が持ってまいりましたサンプルですけれども、八つの言語版があります。日本に住む外国人にとっては大変に貴重な手帳であると思います。また、おとといJICAの方々からいただきましたパレスチナとインドネシアの現地版も回覧していますので、御覧いただければと思います。  さて、この母子健康手帳をそのままアフリカに持っていけば効果が上がるかといえば、やはり大臣が先ほどおっしゃいましたようにそう簡単ではないと思います。先ほども述べましたけれども、私自身、TICAD会場でアフリカの要人らと意見交換をさせていただきましたわけですけれども、やはり女性の教育レベルが大変低く文字の読み書きができないとの意見が多くありました。つまり、こうした現状をとらえまして、先ほど御紹介しましたインドネシア語版のように、現地の識字率、宗教、習慣などに配慮して、イラストなどをたくさん使って母子健康手帳を編集してアフリカ諸国へと普及させていくべきだと思います。  もちろん母子保健の向上のためには、母子健康手帳の活用を推進させるための各支援策がセットとなった保健システム全体の向上に資する環境整備をセットにして考えなくてはいけないと思っております。これらの総合的な支援があればこそ、結果としてこの母子手帳が最大に生かされると思うんです。  そこで、この母子健康手帳のアフリカへの普及に向けて、JICAの御専門の方と具体的な話をしていきたいと思います。と同時に、高村外務大臣にそれぞれの分野において具体的な支援策をお伺いしたいと思います。  この図で示すとおり、第一に、母子健康手帳の内容をまずは妊産婦あるいは母親に説明するスタッフが必要だと思うんです。日本では、御存じのとおり母親学級というシステムがありまして、妊娠中から子育てに至るまで、いろんな妊娠中ですとか出産後の各段階で説明をいただく場があります。私自身も二人の子供を育てておりまして、この母子手帳を活用させていただいていますけれども、やはり詳しい方に母子手帳の使い方またそれに伴う情報を提供してもらえないとこの手帳の良さが生かし切れないと思います。  まずこの点に関しまして、JICAの方から何か御意見がございましたらお伺いさせていただきます。
  30. 上田善久

    参考人(上田善久君) お答えいたします。  まず、JICAの保健医療分野の事業でございますけれども、御承知のようにミレニアム開発目標に掲げられております乳幼児死亡の削減、妊産婦の健康改善、感染症の蔓延防止、こういったことを目的に事業を展開しておりますけれども、その基本的理念がいわゆる人間安全保障でございます。  これは、途上国でサービスを提供する行政サイド側における組織、制度、人材の強化と、一方それを受け取る住民、コミュニティー側における啓発、自己管理、意識向上、能力強化、こういったことを併せて行ういわゆる双方向のアプローチでの活動でございます。  御指摘の母子保健手帳といいますのは、まさに双方向、保健行政と住民をつなぐ非常に重要な手段でございまして、そういう意味で途上国で包括的な母子保健事業を行う際の導入点にもなる、多彩な母子保健活動をまとめるプラットホームにもなるということで活動を強化しております。  御指摘にございましたように、手帳そのものはやはり利用者がその価値をしっかりと理解し、しかるべきツールとして活用されなければ単なるノートにすぎません。そういう意味では、母子ケアに携わります医師、看護師、助産師等の医療従事者が手帳の意義、その専門的な内容を適切に利用者に説明し活用を促すことが求められますし、一方でその記載されている各種の保健医療サービスを的確に医療従事者が提供しなくてはいけないということで、そういう意味では非常に高度な知的な活動ということになります。  JICAは、そういう意味でこれまで十か国で母子保健関連の技術協力を展開しております。その中で、母子保健の最前線で活躍する医療従事者の技能向上それから制度整備、政策策定に関与する行政官の技能向上、こういったことを日々の実務指導や助言を通じて支援しておりますが、さらにこうして養成された現地指導者による現地指導、現地研修という形でトータルな人材の育成を図っております。それに加えまして、中堅以上の関係者であれば本邦研修を実施する、さらには母子保健に関する先ほどの親子学校みたいなものを展開したり、いろんな形で人材育成の底上げ、そして実際の普及に努めているところでございます。
  31. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 大臣、この説明というプロセスも組み入れる必要があると思いますが、今のお話を受けて御意見を伺わせていただきたいと思います。
  32. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今の質問、今の御説明のとおりでありまして、外務省としてもそのようにバックアップをしていきたいと、こういうふうに考えております。
  33. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 ありがとうございます。  次は、保健医療システム、医療機関の充実です。  先ほども少し触れられておりましたけれども、まさに病院があり、医師、看護師がおり、そして医療機器がそろっていてこそ母子健康手帳を活用できるのだと思います。  二十八日の総理のスピーチでも言及されたように、保健医療の人材育成が急務であると考えますが、この点について、JICAでは現状を踏まえ、実際にそういった機関というか病院とかスタッフについてもう少し詳しくお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。
  34. 上田善久

    参考人(上田善久君) 人材育成に関しましては、先ほど御答弁しましたように、現地における実施、指導、助言等を通じて指導者を育成し、さらにその人たちを通じた研修ということをやっております。  御質問で施設とかそういったものについてでございますけれども、これも御指摘のとおり施設や設備の整備、これがなければ何も機能できません。末端の保健所も必要ですし、さらに帝王切開等の緊急産科対応が可能なそういった医療施設の設備それから妊婦さんの搬送体制と、こういったものがシステムとして、物理的にもシステムとしても強化されることが必要でございます。  こういった点に関しましては、我々保健事業をやる際にいわゆる無償資金協力事業による保健医療施設の支援それから資機材支援、こういったものと連携しながら効果的に物理的にも組織的にも能力が強化されるよう事業展開を図っているところでございます。
  35. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 ありがとうございます。  加えて申し上げさせていただけますならば、母子保健の中での予防接種として、例えばワクチンを接種するためのワクチンそのもの、またワクチンを注射できる人材が必要だと思います。予防接種の観点からJICAとしての御意見を伺えればと思います。
  36. 上田善久

    参考人(上田善久君) お答えいたします。  冒頭述べましたとおり、母子手帳の普及というのは、やはり包括的な母子保健サービス強化の一環として実施されるべきものというふうに考えております。  途上国の予防接種の普及でございますけれども、これはユニセフを始め多くの援助機関が支援を行っております。日本政府もワクチン自体支援しておりますし、さらにワクチンを運ぶための保冷機材の供与、こういったものを積極的に実施しております。  そういう意味では、JICA保健医療分野における事業全体として、やはり常に現場で適切に予防接種が実施されるような関係者に対する技術協力、これを常に念頭に置きながら実施しているところでございます。
  37. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 ありがとうございます。  ではもう一点ですが、識字率に関して伺いたいと思います。  一人の人間を育てるという大きな仕事の中で母子手帳はその指南書ですから、母子健康手帳を持つことにより母親が字を読もうとする意欲を持つかもしれませんし、今まで教育を受ける機会がなかった女性の方々も、必要に迫られて字を読もうとすれば必然的に識字率が向上されると思います。  谷岡議員と意見交換をしたんですけれども発展途上国では特に小さい女の子とか女性の教育が深刻な状況だと伺っております。アフリカを始めとする多くの発展途上国では、女性への教育が十分に行き届かないばかりか、女性の社会進出が認められていないケースが多くあります。子育てをするために母子手帳を読めなくてはいけない。そのためにもやはり女性の教育は重要だと思うんです。  JICAとして、これまでの経験を踏まえて教育の必要について、特に女性の、女の子の教育についての厳しい状況を踏まえて御意見をいただければと思います。
  38. 上田善久

    参考人(上田善久君) 直接教育関係のプロジェクトを御説明するわけではございませんけれども、おっしゃるとおり母子手帳というものはそういった識字率のあるところでなければ機能できないということも事実でございます。  既に私どものこの母子健康手帳の普及が進んでいるインドネシア、パレスチナからの現場からの報告でございますけれども、議員御指摘のとおり母子手帳が女性自身が自分の健康についてしっかりと管理し学習する意欲を喚起するきっかけになっている。冒頭申し上げました人間安全保障というのは、上からのプロテクションと下からのエンパワーメント、両方を結ぶものなんですけれども、まさにそのエンパワーメントを発揮するツールにもなっております。  さらに、副次的な効果でございますけれども、母子手帳が家庭に持ち帰られることにより、男性パートナー自身も妊婦ケアについて意識を高め、育児への参加を促すきっかけにもなっておりますし、また家庭内で例えば思春期層のお姉ちゃん、お兄ちゃんがいた場合には、そういった子たちに対する情報提供ということにもなっております。  そういう意味では、やはり総じて女性の家庭内での学習の意欲を喚起するきっかけになる道具であるということは恐らく確かだというふうに考えております。
  39. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 ありがとうございます。  TICADⅣが成功だったと言えるように、政府は積極的に横浜宣言で確認された母子保健手帳の充実を実現していただきたいと思います。日本独自の母子手帳ですから、アフリカに是非普及させていくべきだと思います。  母子手帳と環境整備については卵が先か鶏が先かというお話にもなりますけれども、子供たちの健康と命を守るためにはどこからか始めなくてはいけないと思います。そういった意味で、この母子手帳がアフリカにおいて子供たちの命と健康を守るきっかけとなればと願っております。  ここで、やや視点を変えた議論をしてみたいと思います。  私は、三月二十八日のODA特別委員会高村大臣にあることを御提案申し上げました。それは、TICADⅣの開催を契機とした平和構築の在り方です。つまり、日本が音頭を取ってトラブルや対立問題を抱える諸国の仲裁役になって未来志向の話合いを通じた平和提案をしてみてはいかがでしょうかというものです。大変うれしいことに、五月三十日、高村大臣がホスト役になっていただいて、飯倉公館で北東アフリカの情勢についての意見交換会がありました。深刻な人道危機が続いているダルフール紛争などを抱えるスーダンとスーダンの周辺諸国六か国の関係者らを御招待しての会合であったと聞いております。  高村大臣日本がリーダーシップを取り国際平和の構築に向けた取組をしていくことは大いに良いことだと思いますが、今後継続的にこうした取組をしていく予定とのことですが、アフリカに限らず広く世界を見渡して同様の取組をしていくべきだと思いますが、いかがでしょうか、お答えいただければと思います。
  40. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) TICADⅣ終了直後の五月三十日に、私はアフリカでもいまだに紛争が残存する北東アフリカ地域諸国及び関連機関を招いて北東アフリカ地域連携協力会議を主催いたしました。これは、これら諸国間の相互理解、信頼醸成を促進し、紛争予防、紛争の早期解決を目指す上で、まずは域内諸国間の経済、文化面等での協力を推進していくことが現実的なアプローチであるとの考えに基づき開催したものであります。  チャド、エリトリアなどはあいにく不参加でありましたが、エジプト、スーダン、ケニアなど七か国の外相、閣僚等が、またピン・アフリカ連合新委員長など三国際機関代表参加したことはそれ自体大きな成果だと考えております。また、会議においては、北東アフリカ地域における域内協力の在り方について各国はそれぞれの立場を述べる中で、いずれも更なる経済発展、相互理解の促進を念頭に置いた域内協力の重要性を強調したことも重要な成果考えております。今後も、適当な機会をとらえて本件会議開催し、更に突っ込んだ意見交換を行うことを通じて、少しでも当地域の域内協力の深化に貢献していきたいと考えております。  日本は、平和協力国家ということを言っているわけでありますから、ここ以外でも必要であればこういうことを随時やっていきたいと、こういうふうに考えております。
  41. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 是非お願いいたします。  先ほども申し上げましたとおり、私自身、TICAD開催中に多くのアフリカ諸国の要人と意見交換をする機会をいただきました。最初に申し上げましたとおり、私がTICADで出会ったアフリカの要人が皆さん声をそろえておっしゃっていたのは、やはり円借款ではなくてグラントをもっとそういった意味で協力を増やしてほしい、また自国の経済成長のために日本の投資を積極的に推進してほしいという意見を多数いただきました。  特にザンビアのムタティ商務・貿易・産業大臣からは、日本企業がザンビアに投資をしようとしても、あらゆるリスクを心配して投資してくれないという深刻な状況お話を伺いました。ムタティ大臣からは、日本政府がザンビアに投資をしようとしている日本企業に一種の保証システムを提供して、日本企業がザンビアに投資しやすくすべきではないかと、そういった御意見もいただきました。  確かに今まで一度も投資をしたことがない国への投資は企業にとって慎重にならざるを得ないと思いますけれども、豊富なレアメタル資源を持つ国々が多く存在するアフリカにおいては、政府がある程度のリスクについて保証して企業の投資を促進すべきであると思います。  この言わば政府によるアフリカ投資拡大に向けた保証についてどのように進めていくのか、具体的な御提案がありましたらお答えいただければと思います。参考人の方でお願いいたします。
  42. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) お答え申し上げます。  アフリカへの投資の関係でございますけれども我が国は日系企業のアフリカ進出に対するアフリカ側の高い期待を受けまして、TICADにおいて福田総理より、今後五年間で我が国の対アフリカ投資を倍増させるように政府、民間で共同作業を行っていくということを発表いたしました。  具体的には日系企業がアフリカで事業を展開しやすいように貿易保険を充実させますとともに、国際協力銀行に新たにアフリカ投資倍増支援基金というものを創設いたしまして、こういったことで今後五年間で二十五億ドル規模の金融支援をしていこうという方針を打ち出したわけでございます。それに加えまして、またこの夏以降に政府要人と経済界の合同ミッションをアフリカに派遣するといったことも検討しております。  このような形で日本企業のアフリカへの投資を支援してまいりたいというふうに考えております。
  43. 牧山ひろえ

    牧山ひろえ君 時間となりましたので、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  44. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 自由民主党の谷川秀善でございます。  TICADは、去る五月の二十八日から三十日にかけまして横浜において開かれたわけでありますが、四十名の国家元首首脳級を含むアフリカの五十一か国、三十四か国の開発パートナー諸国及びアジア諸国人たち、七十四の国際機関及び地域機関代表並びに民間セクターNGO等の市民社会代表の皆さん方三千名以上を超える人たち参加をされまして、横浜宣言を発して、我が国外交史上まれに見る大規模国際会議福田総理始め高村大臣の皆さん方の御努力によりまして成功裏に終わりました。外務省の方々、皆さんに心から敬意を表する次第であります。本当に御苦労さまでございました。  そこで、福田総理アフリカ向けのODAを漸次増加をさせまして五年後の二〇一二年までに倍増させると表明をされたわけでございますけれども高村大臣、この表明に関して参加されたアフリカ首脳たちの反応はどのようなものであったんでしょうか、お伺いをいたしたいと思います。
  45. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 先月二十八日から三十日に開催されたTICADⅣは、「元気なアフリカを目指して」との基本メッセージの下、成長加速化人間安全保障確立環境・気候変動問題への対処重点事項として、アフリカ開発方向性について活発な議論が行われました。  向こう五年間でのアフリカ向けODA倍増や対アフリカ民間投資倍増支援等我が国が打ち出したイニシアチブについては、AU議長国であるタンザニアのキクウェテ大統領を始めとするアフリカ各国首脳から歓迎する、高く評価する等の発言が相次ぎました。さらに、援助国側や個人招待者からもすばらしいとの発言がありました。  こんなのつまらないとか大したことないと言った人はだれもいなかったと、こういうふうに承知をしております。
  46. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 ありがとうございました。大変な反応だったと私も聞いておりまして、非常に喜んでおるわけでございます。  そこで、二、三、その内容につきまして具体的にお伺いをいたしたいと思います。  まず、アフリカ全体の経済成長をやっぱり促進しなきゃいかぬと思うんですね。そのために重要なのはまずインフラの整備だと思いますが、このインフラの整備についてどのようにお考えになっておられるのでしょうか。
  47. 別所浩郎

    政府参考人別所浩郎君) 委員指摘のとおり、成長を促していくというためにはインフラが非常に重要だろうと思っております。特にTICADという形でアフリカ全体との関係議論する場でございましたので、アフリカの広域インフラ網ということを特に焦点を当てたわけでございます。中でも道路網、電力網、そういったものが経済成長にとって欠かすことのできない要素であるということで、TICADⅣで採択されました横浜宣言においてもその旨が確認されたところでございます。  また、こういった広域インフラ網や農業生産性の向上のためのかんがい、これもインフラの一部でございますけれども、これについては私ども日本が単独でやるだけではございませんで、ほかの国々にも呼びかけますと同時に、例えば世界銀行、アフリカ開発銀行と、そういった国際金融機関とも協調いたしまして、今後五年間で日本の円借款ということを見ますと最大四十億ドル、こういった規模で積極的かつ柔軟なやり方で供与すると、そういうことを考えておるわけでございます。  先生も御指摘のとおり道路網が円滑に人や物を運ぶわけでございまして、貿易、投資、そういったものの促進にもつながるわけでございます。また、道路を造るだけではなくて、国境をスムーズに越すことができなければ貿易も進まないわけでございますので、通関手続の円滑化といった、そういった問題につきましても技術協力の形で積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  48. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 やはり今おっしゃったとおりでございまして、その辺のところをしっかりフォローアップしないと、なかなか全体として成長に加速が掛からないということだろうと思います。  同時に、政府ODAの額を倍増するというのは、これは私は必要なことだろうと思いますけれども、これをより効果的にするためには、やはり日本の企業がアフリカにどれだけ投資を進めるかということを並行してやらないと、なかなか実効性が発揮できないのではないかというふうに思いますが、日本は余り、最近は大分行っているようでございますけれども、今までちょっと日本企業がアフリカに対しては余り関心が薄かったというか、その面もあろうかと思いますが、これから日本企業がアフリカに対して投資をするために政府としてどういう指導なり協力を仰ごうと考えておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  49. 廣木重之

    政府参考人廣木重之君) お答えを申し上げます。  先生御指摘のとおり、今回もTICAD参加されたアフリカ首脳から、非常に日本企業のアフリカ進出に対する強い期待というものが寄せられたわけでございます。ただ、これは政府だけ、民間だけでできるということではございませんので、共同作業でやっていくということもございまして、TICADⅣの機会福田総理より、今後五年間で我が国の対アフリカ投資を倍増させるように政府、民間で共同作業を行っていくと、かように発表した次第でございます。  具体的には日本の企業がアフリカで事業を展開しやすいように例えば貿易保険を充実させますとか、今般国際協力銀行に新たにアフリカ投資倍増支援基金というものを創設することにいたしましたけれども、こういったものを含めまして、今後五年間で約二十五億ドル規模の金融支援を打ち出すということを考えております。  実際にアフリカの地を踏んでみませんと、どういう投資機会があるのかということもまた明らかにならないということもございますので、この夏以降、政府要人と経済界の合同ミッションといった形でアフリカに行っていただく、あるいはアフリカを見てきて更に投資の機会というものを見定めてくるといったことも考えてございます。
  50. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 その辺のところをどうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。  アフリカだけじゃございませんが、これからはやはり食料をどう確保するかということが世界的に大変重要な問題だろうと思うわけであります。アフリカにつきましては、現状の千四百万トンの米の生産量を十年間で倍増するということのようでございますけれども、これはいろいろ種の問題、いろんな問題があろうかと思いますが、これにつきまして日本としてアフリカに具体的にどのような方策を考えておられるのでしょうか、その辺をお伺いをいたしたいと思います。
  51. 別所浩郎

    政府参考人別所浩郎君) 委員指摘のとおり、アフリカ人口の三分の二が農業に従事しているということからも、農業をしっかりとしていくということが経済発展にも重要でございますし、まさに食料確保という意味で極めて重要であるわけでございます。  米の生産高を倍増ということの方途でございますけれども、これは今既に御指摘いただきました作物の品種改良の話とかのほかにかんがい施設をやはり広げて米が実際に栽培される面積を広げていく、あるいはかんがいすることによって面積当たりの収穫を上げていく、あるいは農業関係者の能力強化と、そういったこともやっていくというようなことが必要だろうと思っております。このためには、もちろん日本のJICAの技術協力あるいは資金協力ということも重要だろうと思っておりますが、既にアフリカの方でも例えばアフリカ稲センター、WARDAと申します、あるいは国際稲研究所、IRRIというような国際機関ございますし、アフリカの緑の革命のための同盟、AGRAといった財団などもございます。そういったところの力、アフリカの自助努力、それを後押ししていくという形で支援していければと思っております。  特に先生も御存じのとおり、日本は従来からアフリカの気候に合った新しい品種といったものの開発などにも努めているわけでございますけれども、やはりアフリカ特有の気候、地理的、社会経済的状況にも配慮しながら、何といいましても我が国アジアもそうでございますが、稲作の経験というものが、長年の培ったものがあるわけでございますから、そういったものをアフリカに伝えてまいることができればと思っております。
  52. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 稲作につきましては、日本は本当に今御答弁をいただいたように大変な知識があり経験もあるわけでございますので、是非どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。  そこで、ミレニアム開発目標の達成ということで、十万人に上る保健医療の人材の育成と、ただいま御質問ございましたが母子健康手帳の考え方をアフリカに広めるということ、またただいま御答弁にもございました世界基金に対して新たな資金提供を行うということ、医療、感染症、水の分野での協力等、いろいろ打ち出されておるわけでございますけれども、これを具体的にどのように進めていこうとされておられるのか、分かりやすく御説明をいただければと思います。
  53. 別所浩郎

    政府参考人別所浩郎君) ミレニアム開発目標というのは、国際社会が二〇〇〇年を期しまして、二〇一五年までに達成すべく取り上げた目標値でございます。日本だけがやるというわけでなくて、国際社会全体となって努力していこうということでございますが、その中で日本がどういう日本らしさを生かしていくかということだろうと思っております。  先ほど来お話ございますように、もちろん感染症対策といった観点例えばございますが、日本としましては、先ほどから話題になっております母子保健の話、保健システムの話といったことを人材育成とも相まちまして包括的に推進するといったようなのが例えば日本らしい保健問題についての取組だろうと思っております。そういう意味では、世界基金というものも、八年前の九州・沖縄サミット議論をきっかけといたしましてでき上がったものでございまして、御存じのとおりエイズ・結核・マラリア対策をしているわけでございますけれども、ここに対する拠出ということもございます。  それ以外に具体的に申しますと、乳幼児死亡率の問題、これも世界の水準とアフリカとは懸け離れておりまして、サブサハラ・アフリカ、千人中百六十六人が五歳になる前に亡くなってしまうと、そういう厳しい実態でございます。日本ですと、私その道の専門ではございませんが、その数が四ぐらいだというふうに伺っております。そういった差をどうやって埋めていくか、日本の経験をしっかりと生かしながら子供の命を救うということを頑張っていきたい。  そのためにも、日本が従来から頑張ってまいりました予防接種の話それから栄養の支援、これも例えば学校給食といったものをアフリカで広めることによって、子供たちが学校に来やすくなる、あるいはもらったものを家に持って帰ってその兄弟が更に潤うと、そういったことが今の食料難では特に話題になっておりますけれども、そういったことも含めまして、日本らしい姿を頑張っていきたいと思っております。  その関連として、やはり人材育成ということが重要だろうと思っておりまして、今後五年間で十万人の保健医療人材を育成するための研修、専門家派遣などの技術援助もしていきたいと思っております。  また、これはサミットでも重要な話題になると思っておりますのが水の分野でございまして、最近の気候変動の関係もありまして、水の問題というのが非常に注目されております。アフリカの人々に安全な水を供給するということで、給水施設の整備や給水分野の人材の育成、そういった問題にも取り組んでまいりたいと思っております。
  54. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 ただいまお話がございましたように、特に水の問題は大変日本は進んでおるわけでございますので、水をつくるということまた水を活用するということ、あらゆる面で、サミットでも大変な私は話題になるのではないかというふうに思っておりますけれども、どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。  それで、このTICADⅣに引き続き、今お話がございましたように七月にはいよいよ洞爺湖でサミットが開かれるわけでございます。私は先般もこの委員会福田総理に、アフリカ向けODA倍増計画を是非TICADⅣでぶち上げてくださいというお願いをいたしたわけでございますが、そういうふうにぶち上げていただいた、非常に私は有り難いというふうに思っておりますけれども、このODAは御存じのようにずっと下がってきたわけですね。それで、結局四割方減っているわけです、当初から見ると。だから、私はここで反転をしなきゃいかぬということを非常に考えているわけです。  なかなか財政状況が非常に悪いものですから、外国に支援よりも国内の問題をどうするのかという議論が盛んにございまして、どうも日本人というのは大変私は微視的な見方をすると思いますので、アフリカにどう援助をするかということが世界平和と日本のためにもなるということをしっかり日本国内に向けても私はやっぱり発信をしてもらいたい。我々も大いに発信をしなきゃいかぬというふうに思っているわけです。  しかし、今民主党の先生方もいろいろ話がございましたが、ODAの枠は大体決まっているから、アフリカ倍増するとほかのODAの額が減るのではないか、アフリカのためにほかの諸国の枠が減るのではないかというようなことを危惧する向きもあるわけですよ。枠が決まっているから、アフリカへ増やすとほかが減ると。だから、私はあのときに道路財源の一般財源化の話をいたしまして、だからその中で千億か二千億ぐらいどうでしょうと、こういう話をしたわけですね。  そうすると、ある週刊誌がとんでもない、また自民党の議員がいわゆる道路財源を当てにして、一般財源化を当てにして枠の取り合いが始まったと、とんでもない記事が出たわけですよね。私は本当に残念やと思うんです。そういう変な、何というか近視眼的なことで私は申し上げているんじゃなくて、アフリカに対して支援することが日本のためになるのですよということを私は申し上げているわけですよ。  そういう意味で、是非またG8において非常にいろんなそんな議論が出ると思いますけれども、私はやっぱり御指導していただいて、高村大臣、何にも遠慮することございませんから、しっかりここでアフリカに対する支援を契機にODAをもう一遍反転をさしてもらいたい、ODA四割減ったのを反転のきっかけにしてもらいたい、このように思っておるわけです。  私は四十分の時間をいただいておりますけれども、この大臣のお答えを聞いて、半分、二十分でやめると私言っていますので、この大臣の力強い決意をお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。大臣、どうぞよろしくお願いします。
  55. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 私は性格的に遠慮深い方でありますが、貴委員に励まされて、来月には我が国はG8北海道洞爺湖サミットを主催する、国際社会課題の解決に向けて議長国である我が国としてしっかりした成果を上げ、それをフォローアップしていく必要があります。  外務省としては、財政状況の厳しさを踏まえつつもODA予算の確保に向けて取り組み、我が国ODAの減少傾向を底打ちさせ、反転を目指す決意でございます。  引き続いて、応援をよろしくお願い申し上げます。
  56. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 どうぞよろしくお願いをいたします。応援いたします。  ありがとうございました。
  57. 浜田昌良

    浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  本日はピンチヒッターで質問させていただきたいと思っています。  まずもって、高村大臣、小池政務官、外務省の皆様、TICADⅣの大成功、おめでとうございます。お疲れさまでございました。心より申し上げたいと思います。  私からは、いわゆる感染症対策、また今少し話もありました安全な水の問題について質問させていただきたいと思います。  感染症対策は、先ほどもありましたように、八年前の九州・沖縄サミットでいわゆるエイズ・結核・マラリア世界基金の構想が出されまして、日本が大きなリーダーシップを示してきたわけでございますけれども、これにつきましてはTICADⅣの開催に先行いたしまして我が国は五億六千万ドルの拠出を表明したわけでございますけれども、現在まで振り返りますと、既にこの六年間で八・五億ドルの拠出がなされているわけでございますけれども。  まず、これについての事実関係でありますが、この資金に対して日本NGOがどれぐらいいわゆるプリンシパルレシピエントという元のところになっているか、またサブレシピエントというところにいるのか、どれぐらいの金額を受け取っているのかについて事務局からお聞きしたいと思います。
  58. 山崎純

    政府参考人(山崎純君) お答えいたします。  世界エイズ・結核・マラリア対策基金、世界基金でございますが、は途上国等から支援の要請を受けまして世界基金理事会が承認した事業に資金供給を行う仕組みとなっております。この資金は、当該事業の管理運営に責任を負う資金受入れ責任機関、今先生おっしゃいましたプリンシパルレシピエントに供与されます。この資金受入れ責任機関は、途上国政府の場合もあれば国際機関あるいはNGOの場合もございます。さらに、この資金受入れ責任機関より委託を受けまして事業の実施を行うのが実施機関、今先生おっしゃいましたサブレシピエントであります。この世界基金の資金は、最初の資金受入れ責任機関から事業実施の機関に支払われるということとなります。  先生御質問の点でございますが、外務省で現在把握している限り、日本NGOがこの資金受入れ責任機関として世界基金の案件に関与している事例はございませんが、実施機関などとして関与している団体は五団体ございます。各団体に確認いたしましたところ、このうち四団体が受け取った資金の総額が約百五十七万ドルでございます。残り一団体は、世界基金が資金支援をした抗エイズ治療薬の現物支給を受けまして患者への支給支援を行っていると承知しております。
  59. 浜田昌良

    浜田昌良君 ただいま御説明ありましたように、日本政府としては八・五億ドルですから約八百五十億円の拠出をしているわけですが、大本になっている日本NGOはまだないと。かつ、実施機関のところは五団体あるわけですけれども、金額として百五十七万ドルですから一・六億円ぐらいだと思います。  そういう意味では、これだけの拠出をしているわけですから、なるべく日本の顔が見える協力ということで、日本NGOにしっかり頑張ってもらってこの世界基金の下でもう少し日本のプレゼンスを示していただきたいと思うんですが、そういう体制づくりについて高村外務大臣の御見解をお聞きしたいんですが、いかがでしょうか。
  60. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 世界エイズ・結核・マラリア対策基金は国際的な三大感染症対策において中心的な役割を担っておりまして、我が国は世界基金を通じて途上国に対して積極的な支援を行っているところでございます。したがって、委員指摘のとおり我が国NGOが世界基金に関与することは極めて有意義であると、こう思っております。  このような日本NGOの参画を支援するとの観点から、外務省は日ごろNGOとの間で開催している定期懇談会を活用し、世界基金の支援事業に国際NGOがどのように関与することができるかを説明するなど情報提供を行っているところでございます。  また、現在厚生労働省とともに検討中の結核に関する行動計画や七月に予定している結核に関する国際シンポジウムの開催等を通じ、世界基金と日本NGO連携の方策について検討、議論していきたいと、こういうふうに考えております。
  61. 浜田昌良

    浜田昌良君 ありがとうございます。  今大臣の方から結核の例を出されまして、この技術については世界の中でも日本の結核対策技術は最高レベルにあるわけでございますし、日本はどんどん死亡率が減っているわけですけれどもアフリカでは逆に死亡率が増えているという状況にあるわけですね。  今般の横浜行動計画においては、世界の結核死亡率を二〇一五年までに半減するという意欲的な目標が再確認されているわけでございまして、そういう意味では日本の単なるお金じゃなくて技術、経験、知恵というものが求められているんだと思うんです。そういう意味ではこの横浜行動計画の世界の半減というものに日本がどういう形で貢献するか。例えば今世界全体では一年間で百六十万人の方が結核で亡くなっています。別に対策の医療技術も十分ありますし、薬代も約二千円程度のものが使えるだけでこの方は治る、つまり亡くならなくて済む方なんですが、現実としては亡くなっている。  こういう分野については、少なくとも亡くなっている方の一割ぐらい、十六万人程度を日本知恵と経験とまた資金とによって何とかそれをカバーしていく、そしてそれによって世界全体としてこの結核死亡率の半減というのを達成していくという、日本の貢献をするためのアクションプランを作ることが重要と思いますが、この点について大臣、いかがでしょうか。
  62. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 委員指摘横浜行動計画に盛り込まれた目標については、我が国関係諸国、国際機関、民間や市民社会とも協力し、その達成に向けて取り組んでいく考えでございます。まさに世界で毎年亡くなっている結核病患者の一割を救うという目標も念頭に置きつつ、我が国の具体的な貢献策について検討してまいりたいと思います。  この関連で、現在外務省及び厚労省は結核予防会やストップ結核パートナーシップ日本といったこの分野に知見を有する団体及びJICAの協力を得つつ、行動計画を作成しているところでございます。このアクションプランでは、我が国の戦後の結核対策の経験を踏まえつつ、特にアジアアフリカにおける結核対策をどのように支援していくかについて具体的な取組を盛り込みたいと考えているところでございます。
  63. 浜田昌良

    浜田昌良君 ありがとうございました。具体的な答弁をいただきました。  大臣が御紹介ございましたように、現在外務省、厚労省、WHO、結核予防会そしてストップ結核パートナーシップの五者が連携いたしまして今計画を作っております。そして、それについては外務省からも無償資金の協力もいただきましてプロジェクトを開始、フィリピンのマニラと、マニラではスラム街での結核等大きな問題になっております。また、ザンビアではエイズと結核の二重感染という問題がありまして、そういう問題について日本としてどういう貢献ができるかというのを無償支援によって体制をつくり始めて、うまくその体制ができていく段階で世界基金の資金を使って全土に広げていこうというこういう計画でございまして、是非この計画を前に進めていただきたいと思っておるんですが。  そういう意味ではこの五団体が七月の二十四、二十五日に国際結核シンポジウムを東京でやるわけでございますが、これについては秋篠宮殿下も御参加をいただくわけでございますけれども、このアクションプランをこのシンポジウムの機会に世界に向けて公表することが世界に対する大きな日本の貢献のメッセージになると思うんですが、これについての御見解はいかがでしょうか。
  64. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) G8やTICADⅣが開かれる本年、外務省といたしましても厚生労働省と協力して保健分野での国際協力の強化に取り組んでまいります。結核につきましても、日本の戦後の結核対策の経験を生かして、官民が連携してアフリカ支援や国際協力を推進していきたいと考えております。  そのような視点に立って、委員指摘のとおり外務省と厚生労働省はWHO、結核予防会、ストップ結核パートナーシップ日本共催で七月に国際結核シンポジウムを開催する予定でございます。このシンポジウムでは、結核予防会が育てた途上国の結核対策の専門家の参加も得て、国際的な結核対策について官民の連携の在り方を含めて議論を行うこととしております。この機会をとらえて結核に関する国際協力についての我が国の貢献策をアクションプランとして発表したいと、このように考えております。
  65. 浜田昌良

    浜田昌良君 ありがとうございました。高村大臣の力強い御答弁をいただきまして、関係団体がもう一度結集して、このシンポジウム、大成功にしていきたいと思っていると思います。  次に、安全な水の問題でございます。  これにつきましては、現在十億人を超える人々が安全な水を得る権利が否定されております。また、約百八十万人もの子供が下痢その他の疫病で命をなくしている状況であるわけです。そういう意味では、我が国横浜行動計画に盛り込みました六百五十万人に安全な飲料水を提供する、ソーラー発電システム、太陽電池システムと井戸システムを組み合わせたものであるとか、そういうものを活用しながらそういう体制をつくる、さらに水の資源をちゃんと管理できる技術者を世界で五千名を育成していくと、こういうことを発表されたことは私は時宜を得たものと思っております。  感染症また保健といいましても安全な水がやはり基本だと思います。そういう意味ではこれが基盤となりますので、この保健システムのための無償資金協力、技術協力が約三百億円になっておりますが、これについては早期に実施をして今後の保健また感染症対策のベースとして活用することが重要と考えますが、これについての外務大臣の御見解はいかがでしょうか。
  66. 小池正勝

    大臣政務官(小池正勝君) 水、衛生関係支援についての御質問でございます。  これらの分野は非常に重要な支援分野でございます。こうした観点から、先月末のTICADⅣにおいて採択された横浜行動計画において、水、衛生分野における協力の促進について明記をされたところです。御指摘のとおりであります。また、同計画別表において、我が国としても今後五年間で三百億円の無償資金・技術協力を実施するということになっております。  このアフリカにおける水、衛生分野における無償資金・技術協力については、被援助国政府の個別具体的な需要を踏まえつつ、可能な限り早期に実施していく考えでございます。
  67. 浜田昌良

    浜田昌良君 ありがとうございます。水がベースでありますので、できる限り早期にそのベースをつくっていただいて、それをまたベースとして次の保健システム、感染症対策というものを日本支援をしていくと、こういうのがすばらしい図柄であると考えております。  あわせて、この水の関連ではUNのハビタットの水と衛生信託基金というのがあるわけですが、これについても横浜行動計画で一千九百万ドルの行動計画に盛り込まれているわけでございますけれども、これについても我が国が積極的に対応するとともに、世界各国の国に対してこういうものに対して協力を呼びかける、日本がやるだけじゃなくて呼びかけていくと、こういう役割日本が果たしていくことは重要と考えますが、この点について御見解いかがでしょうか。
  68. 小池正勝

    大臣政務官(小池正勝君) この国連ハビタットの件でございますが、厳しい財政事情でございまして、我が国国際機関への拠出金は減少傾向にございます。現在のところ、国連ハビタットの水と衛生信託基金に対しまして新規に拠出を行うことは困難な状況にございます。我が国としては、水と衛生分野の国際的な目標の達成のため、国連ハビタットを含む国連機関や他のドナーとも連携して、我が国の有する経験であるとか知見であるとか技術であるとかいうものを活用しながら貢献していくという考えでございます。  TICADⅣの横浜行動計画には国連ハビタットが水と衛生信託基金を活用して実施する支援策というのが含まれておりまして、これら支援策のフォローアップにおいて連携していきたいと考えているところでございます。
  69. 浜田昌良

    浜田昌良君 ありがとうございました。  確かに日本が新規拠出は難しい状況にありますが、日本日本で既に三百億もの無償なり技術協力をするわけでありますので、そこの知見を生かしながら、全体としては日本の知見、経験が世界で使われていくように考えていただければと思います。またあわせて、日本がこれだけリードをしているのでほかの国々にこのUNハビタットへの協力をお願いしていくと、こういう外交も併せてお願いさせていただきまして、私の質問を終わらさせていただきます。  ありがとうございました。
  70. 近藤正道

    ○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。  大臣TICAD、大変御苦労さまでございました。短い時間ですが、多少辛めの質問をさせていただきたいというふうに思っています。  TICADでのNGOの会場への通行証、パスですね、この発行の問題と、入国ビザ発給を事実上制限、拒否をしたと、こういう問題について質問をいたします。  前回のTICADではこういう問題はなかったというふうに聞いておりますが、今回は当初外務省からTICAD会議場への通行証、NGOに対して全体で三枚、こういう割当てしかなかった。三枚というのは本当にいかにも少ないと。それで、NGOの方がいろいろ抗議をいたしまして、折衝の結果NGO全体として九枚、これでも大変少ないというふうに思います。こういう問題がありましたし、またNGOアフリカ支援について考える集会を企画いたしまして、この言わばゲストとして南アフリカのトレバー・ングワネ氏という方をお呼びしたんですが、入国ビザの発給が集会の期日に間に合わなかったと。入管法上問題はないんですが、この人が一定の政治活動、活動家だということもあったのかもしれませんが、こういう問題が起こりました。  政府は、今回の横浜宣言におきましてもこれまでの途上国援助においても民主主義の重要性というものを繰り返し強調してきております。また、アマルティア・セン氏の研究にもあるとおり、非民主的な体制あるいは国内での格差が食料問題や飢饉発生の大きな要因であります。  今回こういう通行証の問題だとかあるいは入国ビザの問題で政府が表現あるいは言論の自由を一定制約をする、こういうふうな非民主的な手法を取った、私どもはそういうふうに思っておるんですが、これは日本外交評価をおとしめたことになりはしないかと、こういうふうに思っているわけであります。是非ここは反省をしていただきたいというふうに思うんですが、これから洞爺湖サミットがあるわけでありますが、同様のことが繰り返されることのないように強く希望したいというふうに思いますが、外務大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  71. 小池正勝

    大臣政務官(小池正勝君) TICADⅣにおけるパスの問題でございます。  NGOへのパス発給に関しましては、十一枚のアクセスパスの発給に加えまして、会場パシフィコ横浜内のモニタリングルームで会議の模様を同時通訳付きでフォローできるように用意するなど、政府としては限られたスペースの中で警備上の観点なども総合的に勘案して我々として最大限の協力をしたと考えております。  また、御指摘の南アフリカ共和国国籍のリンカーン・トレバー・シブシソ・ングワネ氏から我が国への短期滞在査証の申請があったところでございます。これについては現在審査中でございまして、発給を拒否したということではございません。
  72. 近藤正道

    ○近藤正道君 今回のTICADの目玉として、TICADフォローアップメカニズム、これが創設されたわけでございます。しかし、行動計画におきまして、NGOはパートナーであると、こういうくだりはあるんですけれども、フォローアップメカニズムではNGOのモニタリングが保障されていないと。つまり、NGOは話は聞きますよと、こういう話を聞きおく相手ではあるけれども、モニタリングの主体として全く位置付けられていないと。  財政状況が非常に厳しい中でアフリカでこれから頑張るわけでありますので、モニタリングをやっぱりきちっとするということは国民の理解を深める上でも非常に大事だと。そういう意味では、そのモニタリングにNGOがかむということは非常に大事だと思うんですが、このフォローアップメカニズムの中のNGOをモニタリングの対象に、主体にしていない、これはやっぱり問題ではないか、見直すべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  73. 小池正勝

    大臣政務官(小池正勝君) フォローアップメカニズムについての御質問でございます。  このフォローアップメカニズムといいますのは、TICADⅣにおいて我が国が表明した具体的支援策実施状況報告することを目的としておりまして、予算の執行にかかわる議論を行うことでもございまして、政府国際機関がその主体となるという方向で検討しているところでございます。  一方で、TICADⅣ終了後のフォローアップの段階において、NGOを始めとする市民社会の皆様とは積極的に協議を継続して、その御意見をこのプロセスに反映させていくという考えでございます。
  74. 近藤正道

    ○近藤正道君 時間がありませんのでどんどん行きますけれども、昨年の十一月に高村大臣は、国際保健がサミットの中心のテーマであると、こういうふうに発言をされまして、アフリカからも日本のリーダーシップに対する期待が大きくなったわけでございます。そして、保健人材十万人の養成を打ち出しておられますが、これまで人材を養成しても結局国内に定着をしないと。やっぱり就労条件が欧米の方が圧倒的にいいので、結局みんなアフリカに定着しないで外へ出てしまう。この間、テレビでもそういうことを放映しておりましたけれども、そのために医療環境が改善しないという問題があるわけでございます。  結局この保健、感染症、様々日本政府は頑張っておるんですけれども、この人材が流出をする、この防止が止まらない、国内での医療環境の改善が進まない、これに対してどのような改善策をお持ちなのか、お尋ねをしたいと思います。
  75. 小池正勝

    大臣政務官(小池正勝君) 御指摘のとおり、多くの人材が流出したままとなってしまうということは、保健医療従事者の不足、ひいては保健システムの弱体化につながりかねない深刻な問題であると、これは御指摘のとおりだと思います。  アフリカにおいては約百五十万人の保健医療従事者が不足すると言われておりまして、この問題に対処するためには、人材を育成するとともに、育成された人材が国内にとどまるようにすることが不可欠であると、これも御指摘のとおりだろうと思います。我が国は、TICADⅣにおいて、今後五年間で十万人の人材育成を行うことを表明しました。これらの保健医療従事者が国内にとどまって各国の保健システムの強化に貢献することを確保するためには、労働条件と賃金の改善を含む包括的な社会経済対策が必要であり、我が国としてはこれらの点についてもアフリカ諸国の自助努力を促していきたいと考えているところでございます。
  76. 近藤正道

    ○近藤正道君 よろしくお願いをいたします。  最後に、アフリカ向けのODA、二〇一二年に倍増という話と骨太〇六のかかわりでございます。  今日も何人かの方に、結局この骨太方針とのかかわりでこれがちゃんと実行できるのかと。まあ大臣、反転の機会にするんだと、こういうふうに決意を述べられておりますけれども、財務省は、先ほどもおっしゃっておられましたけれども、財政規律堅持の立場を一切崩していないと、こういう中で本当にできるんだろうかというそういう心配があるわけでございます。  アフリカを増やせばほかのところが削られるんではないかと。あるいは、国際機関を削れば、国際機関の行き先はアフリカでありますので、結局はアフリカのところでまたブーメランみたいに戻ってくるんではないかと、こういう問題もありますし、今回のTICADのいろんな方針の中でも、当面だとかあるいは相当部分だとか、かなり抽象的な規定が盛り込まれていて、結局骨太のこれから財政規律との調整を配慮してかなり抽象的な文言があちこちに盛られている。しかし、いったん言葉に出ちゃうと、アフリカの皆さんはそれに対して期待をする。このジレンマの中で、やっぱり正面から、骨太方針といいましょうか毎年二%から四%削減する、ここのところと本当に正面から向き合って、これをやっぱり突破していく以外にアフリカ支援の増額の道はないというふうに思うんですが。  今日はもう二度も三度も大臣御答弁されておりますけれども、もう一度、本当にこれがやれるのかどうか、決意をお伺いしたいというふうに思っております。
  77. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日本国際社会の中で約束したことは最も、少なくとも今まではちゃんとやってきた国であります。これからもちゃんとやってまいります。  それで、骨太をそのまま維持すると大変しんどいのは、事業量だけだと円借款をどう工夫するとかいろいろできるんですけれども、無償だとか技協とか真水でやらなければいけないものについて非常に厳しくなってちょっといびつになってくるところがあるので、倍増ができるかどうかということと離れて、私たちは底打ち反転と、こういうことを言い続けて政府内部で闘っているところでございますので、応援をよろしくお願いをいたします。
  78. 近藤正道

    ○近藤正道君 終わります。
  79. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時五十二分散会