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2008-05-16 第169回国会 参議院 政府開発援助等に関する特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年五月十六日(金曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  五月十六日     辞任         補欠選任         谷岡 郁子君     相原久美子君      西田 昌司君     佐藤 正久君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         溝手 顕正君     理 事                 大塚 耕平君                 富岡由紀夫君                 藤末 健三君                 谷川 秀善君                 山内 俊夫君                 谷合 正明君     委 員                 相原久美子君                 犬塚 直史君                 大石 正光君                 加藤 敏幸君                 亀井亜紀子君                 島田智哉子君                 武内 則男君                 轟木 利治君                 長浜 博行君                 姫井由美子君                 広中和歌子君                 牧山ひろえ君                 米長 晴信君                 石井みどり君                 佐藤 正久君                 田村耕太郎君                 鶴保 庸介君                 西田 昌司君                 長谷川大紋君                 松村 祥史君                 森 まさこ君                 浮島とも子君                 近藤 正道君    国務大臣        内閣総理大臣   福田 康夫君        外務大臣     高村 正彦君    内閣官房長官        内閣官房長官  岩城 光英君    副大臣        外務大臣    木村  仁君    大臣政務官        環境大臣政務官  並木 正芳君    事務局側        常任委員会専門        員        堀田 光明君    政府参考人        外務省国際協力        局長       別所 浩郎君    参考人        独立行政法人国        際協力機構理事        長        緒方 貞子君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府開発援助等に関する調査  (G8北海道洞爺湖サミット及び第四回アフリ  カ開発会議TICADⅣ)に向けた我が国の  国際援助在り方等に関する決議の件)  (ODA予算増額に関する件)  (G8北海道洞爺湖サミット及び第四回アフリ  カ開発会議TICADⅣ)に関する件)  (環境気候変動問題とODA活用に関する  件)  (新JICA発足に関する件)  (援助人材育成に関する件) ○政府参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、谷岡郁子君が委員を辞任され、その補欠として相原久美子君が選任されました。     ─────────────
  3. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 政府開発援助等に関する調査のうち、G8北海道洞爺湖サミット及び第四回アフリカ開発会議TICADⅣ)に向けた我が国国際援助在り方等に関する件を議題といたします。  大塚耕平君から発言を求められておりますので、これを許します。大塚耕平君。
  4. 大塚耕平

    大塚耕平君 私は、民主党新緑風会国民新日本、自由民主党・無所属の会、公明党、社会民主党護憲連合各派共同提案によるG8北海道洞爺湖サミット及び第四回アフリカ開発会議TICADⅣ)に向けた我が国国際援助在り方等に関する決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     G8北海道洞爺湖サミット及び第四回アフリカ開発会議TICADⅣ)に向けた我が国国際援助在り方等に関する決議(案)   我が国政府開発援助ODA予算は、過去十一年間において約四割と大幅に削減されている。経済協力開発機構開発援助委員会(OECD/DAC)が公表した二〇〇七年の国別援助実績によれば、我が国ODA供与額は昨年の第三位から第五位に順位を下げ、対国民総所得(GNI)比ではDAC加盟二十二か国中第二十位に後退した。   一方、主要援助国は、ミレニアム開発目標MDGs)の目標年である二〇一五年に向けてODA増額に踏み切っている。   我が国国際社会援助潮流から取り残されることなく、国際社会における責務を果たし、主要な外交手段の一つであるODAを有効活用するために、我が国は今後のODA在り方について、政策的・政治的判断を行わなくてはならない局面を迎えている。   今月末には第四回アフリカ開発会議TICADⅣ)が、七月にはG8北海道洞爺湖サミットが開催される。また、十月には新JICA発足も予定されている。こうした中で、我が国は、G8議長国として、アフリカ支援MDGs達成を始めとする途上国援助強化環境気候変動感染症など地球規模問題の解決平和構築に向けて、新JICA等を有効に活用しつつ、主導的立場で取り組むことが期待されており、国際社会における我が国国際援助在り方そのものが大きく問われている。   政府においては、以上を踏まえ、我が国国際援助に関し、次の事項について、適切な措置を講ずるべきである。  一、ODA増額必要性数値目標の設定    我が国は、TICADⅣ及びこれに続くG8北海道洞爺湖サミットにおいて、ODA等を通じたアフリカなど途上国貧困削減経済社会開発環境気候変動問題等解決に向けてリーダーシップを発揮すべき役割を担っている。この責務を十全に果たすためには、近年の我が国ODA削減傾向増加拡大へと転じるとともに、具体的数値を示した積極的な取組姿勢を打ち出すべきである。このため、二〇一〇年を目途に我が国ODA実績を二〇〇六年実績である対GNI比〇・二五%に引き戻す努力を行うべきである。また、MDGs目標年である二〇一五年までの対GNI比〇・七%達成を見据えた取組を行うとともに、TICADⅣの成功を目指し、アフリカ向けODAを特別に拡充するよう努めるべきである。  二、ミレニアム開発目標MDGs)の達成に向けた協力    本年は、MDGsに向けた中間年に当たるが、その目標達成のためには先進国及び途上国世界各国国連機関、非政府組織NGO)、企業、個人などすべての援助関係者が力を合わせて取り組む必要がある。このため、TICADⅣ及びG8北海道洞爺湖サミットにおいては、改めてMDGs達成に向けた援助国支援強化を確認すべきである。特に我が国は、「人間安全保障」の考え方に基づき、エイズ、結核、マラリア等感染症対策保健分野人材確保など保健医療システム強化母子保健向上、安全な水の確保など、我が国優位性を有する保健・水・感染症対策に関し積極的な貢献を行うべきである。  三、めりはりのあるアフリカ支援推進    アフリカ支援に関しては、今後一層、めりはりのある援助政策を採るべきである。このため、アフリカ実情に応じつつ、「援助分野優先付け」及び「援助対象国重点化」を進めるとともに、我が国援助特性に合致し、我が国存在感を効率的に高め得る感染症対策などの保健衛生分野及び教育分野における支援を重視すべきである。また、TICADプロセスについては、国連を始めとする国際機関のみならずアフリカ連合AU)の関与強化するとともに、アフリカのオーナーシップの現れである「アフリカ開発のための新パートナーシップ」(NEPAD)との連携を進めつつ、五年毎の会議開催の間の履行状況の検証、評価等のフォロー・アップを徹底すべきである。  四、アフリカ支援における「貧困削減経済成長」の達成    昨年六月に取りまとめた当委員会提言(「新たな国際援助在り方に向けて」、以下「提言」という。)に示したように、アフリカでの貧困削減経済成長の好循環を生み出すためには、我が国の東アジアでの援助経験知見活用しつつ、援助対象国発展段階等に配意した対応を行うことが重要である。貧困層経済活動への参画を促すことを常に念頭に置きつつ、円借款を利用した経済インフラ整備民間投資を促す環境整備など成長セクターへの合理的、効果的な経済支援検討を進めるべきである。ただし、その場合にあっては、援助対象国との政策対話等を通じたガバナンスの向上援助協調による国際機関や他の援助国等との連携などを重視するとともに、過去においてアフリカ諸国が債務の返済不能となった点に留意し、経済成長が更なる問題を生み出さないよう十分配慮すべきである。  五、国連援助機関との連携強化拠出額確保    近年の我が国ODA予算の大幅な減少によって、国連援助機関への我が国拠出額削減されている。例えば、かつて我が国最大拠出国であった国連開発計画(UNDP)における通常予算拠出額順位は第七位に転落し、常任執行理事国の地位も失っている。この結果、国連援助機関での意思決定における我が国影響力が低下する懸念が生じている。我が国援助政策考え方国際援助の動向に反映させるため、また、我が国の二国間援助国連援助機関との連携強化するためにも、国連援助機関特性を踏まえた効果的な活用を図るとともに、拠出額の適切な水準確保に努めるべきである。  六、環境気候変動問題とODA積極的活用    地球温暖化による環境気候変動問題は人類が直面する最大課題であり、G8北海道洞爺湖サミットにおける主要議題である。特に、開発途上国は、干ばつや洪水、高潮、水資源不足や氷河湖問題など気候変動に伴う環境被害に対してぜい弱であり、その影響を最も受けやすい一方、これら環境被害に対する対処気候変動対策に係る資金技術及び知見はいずれも大きく不足している。政府は既に「クールアース・パートナーシップ」構想を提唱しているが、今後一層、環境気候変動問題に関し、国連機関関係地域機関・国と連携しつつ、資金面技術面での積極的支援を行うべきである。また、引き続き、ODAを有効活用し、先進国途上国間の「クリーン開発メカニズムCDM)」事業に自ら取り組むとともに、その推進に努めるべきである。  七、食料価格高騰に対する迅速な対処    急騰する食料価格は、開発途上国に対する食糧支援調達コストの大幅な増加をもたらすだけでなく、アジア、アフリカ諸国貧困層を中心に食料不安など深刻な事態を引き起こしている。国際社会は、食料輸出国輸入国を問わず協調して問題に対処すべきであり、特にTICADⅣやG8北海道洞爺湖サミットにおいては、開発途上国に対する緊急支援はもとより、食料価格高騰の背景にある気候変動問題や新興経済国食料需要拡大、原油高等のエネルギー問題などへの対処を含めた包括的枠組みによる対応策検討すべきである。また、我が国は、G8議長国として、開発途上国食料増産のための技術開発農業生産性向上のためのインフラ整備人材育成など農業育成強化に向けた支援策を、ODA活用して積極的に講ずるべきである。  八、援助人材育成に向けた政府の早急な取組必要性    当委員会は「提言」において、援助人材育成確保は喫緊の課題と位置付けた。国際援助分野における我が国発言力存在感確保するためには、援助人材育成確保が一層重要な課題となる。このため、政府は、できる限り早急に、政府、地方自治体、大学・研究機関民間企業NGO等官民連携による援助人材育成メカニズム構築に向けた検討を進めるべきである。特に、当委員会の「提言」の中で提案した「人間安全保障センター(仮称)」の創設について積極的かつ具体的に検討すべきである。  九、援助理念援助戦略地域戦略方針必要性国会関与    国際援助実施に当たっては、我が国全体で共有できる援助理念及び援助戦略の確立と、それに伴う国民理解支持を得ることが必要である。また、援助対象国援助対象地域における我が国比較優位性を有効活用する対応が求められる。当委員会は、既に「提言」において、「海外経済協力会議」での議論を踏まえた「地域戦略方針」策定の検討を求めているが、今後ともその検討を鋭意進めるとともに、外務省において策定されている「国際協力重点方針地域別重点課題」については、当委員会における議論を十分に踏まえ、適宜その内容及び取組状況につき当委員会に対して報告すべきである。  十、援助必要性合理性透明性公正性確保  以上の諸点に加え、国際援助実施においては、その必要性合理性透明性公正性が求められており、そのことが公的資金を用いて行う国際援助に対する国民理解支持を得る大前提である。政府においては、今後もそれらの諸点に十二分に配意し、国際援助実情実績計画等について、国会に対して十分な情報の開示・提供に努めるべきである。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  5. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) ただいまの大塚君提出の決議案の採決を行います。  本決議案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  6. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 全会一致と認めます。よって、本決議案全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、福田内閣総理大臣から発言を求められておりますので、これを許します。福田内閣総理大臣
  7. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 御指摘のとおり、本年は我が国がG8北海道洞爺湖サミット及び第四回アフリカ開発会議TICADⅣを主催する年であります。議長国として政府開発援助を有効活用して、途上国貧困削減経済社会開発、さらには地球規模課題解決のため、主導的立場で取り組むことが期待されています。  政府としましては、ただいま採択されました御決議の趣旨を踏まえ、ODAの質の改善に努力しつつ、アフリカ支援、食料問題、ミレニアム開発目標環境気候変動問題等への取組を進め、サミット及びTICADⅣの場で我が国が求められる責務を十全に果たしてまいる所存であります。     ─────────────
  8. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  政府開発援助等に関する調査のため、本日の委員会外務省国際協力局長別所浩郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  10. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 政府開発援助等に関する調査議題とし、内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 大塚耕平

    大塚耕平君 民主党新緑風会国民新日本大塚耕平でございます。  ただいまは当委員会決議につきまして、与野党委員の御賛同をいただきましてこれを認めていただきましたことを私からも御礼を申し上げたいと思います。また、与党の理事皆さんそして各党の委員皆さんの御協力をいただいて、TICADⅣ、サミットの直前にこうした意義のある決議をまとめることができましたことに心から御礼を申し上げたいと思います。  その上で総理にお伺いをしたいと思いますが、今私どもはお聞きいただいたような決議をまとめました。そして今日、新聞の方にも「対アフリカODA倍増 今後五年 首相、開発会議表明へ」と、こういう記事が出ておりましたので、まず総理に、来年度のODAに対してどのような方針で臨まれるのか、またそうした方針はこれから策定されるであろう骨太方針など政府に対して拘束力のある文書等の中できっちりと規定をされるのか、そしてそれらの内容TICADⅣや洞爺湖サミットで対外的に表明をされるのか、とりわけアフリカに関してはどのようなお考えであるのか、具体的数値目標も含めてお伺いをしたいと思います。
  12. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 途上国の平和と安定そして発展のために協力していくということは我が国自身にとっても利益であるということでございまして、我が国外交政策において重要な課題だと心得ております。  こういうような認識の下で、これまで我が国ODAを積極的に用いて、そして国際的な評価信頼国際社会における発言力を高めてまいりました。本年、我が国はG8の北海道洞爺湖サミットやまた第四回のTICADⅣ、アフリカ開発会議を主催いたします。この両会議でしっかりした成果を上げてそれをフォローアップしていくというためにも、我が国がふさわしいODA事業量確保しながら、ODAをより積極的に活用していくというための環境を整えていきたいと考えております。  本年一月に閣議決定いたしました「日本経済の進路と戦略」においては、財政健全化に向けて、安定した成長を図るとともに、基本方針二〇〇六及び基本方針二〇〇七を堅持するということにいたしております。骨太方針二〇〇八につきましては、現在経済財政諮問会議等において議論されているところでありまして、具体的なことを申し上げる段階にはまだございません。  今数値目標云々というお話ございました。そういうような数値目標等につきましても、その会議に当たりましてどういうような対応をするかということで今政府内で検討いたしておるところでございます。具体的なことを今現在申し上げられないということでございます。御了承いただきたいと思います。
  13. 大塚耕平

    大塚耕平君 大変財政事情も厳しい折から、今日のこの段階においては慎重な御発言内容になっているとは思いますが、このODA減額傾向については、与野党問わずこの委員会に集っております多くの委員大変懸念をしていることでもありますし、またアフリカODAに関しては大変今アフリカ関係者を含めて注目をしているところでございますので、ここはもちろん外務省や財務省といろいろ御検討の上最終的な結論を出すということではあると思うんですが、こういうときこそ総理リーダーシップ政治決断をいただいて、ここで何がしかの方向観数値についてのイメージをお話しいただけると大変いいことではないかと私は思っておるんですが、改めて総理として、今どのようにこれから内閣総理大臣として関係省庁検討を指示しようと思っておられるのか、もう少し踏み込んでもしお伺いできることがあればお伺いしたいと思います。
  14. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 具体的にアフリカ開発会議ございます。その開発会議、もうあと十日ほどでございますんで、具体的な内容詰めを今行っております。今回のアフリカ開発会議には四十四か国の首脳が参加するという、これはもう本当に大きな会議になるということでありますんで、それだけの私どもも用意をしなければいけないということであります。  したがいまして、首脳が来られて失望して帰るというようなことがあってはならないと思っておりますので、その辺はしっかりと対応したいと思って今最後の詰めを行っていると、そういうことで御理解いただきたいと思っております。
  15. 大塚耕平

    大塚耕平君 当委員会でのこのODA議論は、この国会の全体の状況とは大分様相が違いまして、与野党かなり同じ方向を向きながら議論をしているわけであります。そして、決議の中にも、決議を御覧いただきますと、十番目の項目には、援助必要性合理性透明性公正性をしっかり確保してその上でODA政策を行っていくんだと、こういう決議をさしていただきましたので、そういう前提の下であれば是非積極的にODA政策を展開していっていただきたいと、こういう思いでございますので。  まあ新聞記事がすべて事実だとは申し上げませんけれども、今日のこれは読売新聞ですが、「今後五年 対アフリカODA倍増」と。それ以前には、日本は二〇〇五年に対アフリカODAを三年間で倍増するというふうにも表明しているわけでございますので、是非必ず実行されるコミットメントをするということが日本外交政治が諸外国から信頼をされる最も重要なポイントだと思いますので、総理に繰り返し数値目標をお伺いするのは大変難しいことだと思いますのであえて数値目標はお伺いいたしませんが、この洞爺湖サミットやあるいはTICADⅣで表明される内容については確実に実行をするコミットメントだということについて、一応もう一度総理の御決意をお伺いしたいと思います。
  16. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) いいことをお尋ねくださいました。  私どもは、約束したことは確実に守るということを信条といたしているんです。これはもう日本信条ですよ。ですから、その約束を守るために実行部隊、例えば、実行部隊と言っては申し訳ないんですけれども、今日は緒方理事長おいででございますけれども実行部隊として本当に一生懸命、もう非常に状況の悪い、環境の悪い中で仕事をしてくださっていると、そういうのが現実であります。  今アフガニスタンなんかは大変なところでしょう。ああいうようなところにも、今六十人ぐらいの方が行って、危険を顧みずと申しますか、そういう危険を回避しながら、工夫しながら日夜苦労されていらっしゃると。そして、現地の方々にいかに大きな恩恵をもたらしているかというようなことをやっているわけです。それはもう本当に、日本は約束したことは守ってやってくれると、これが日本評価なんですよ。途上国方々皆さんそういうふうにおっしゃいます。国際評価です。ですから、国際社会の中で日本は一番評価がいいと、評価が高い。ほかの国にいかにいいことをしているかということにおいて最高の評価を得ていると、こういうのが現状なんです。  ですから、この評価をこれから下げないようにしなければいけないというのが私どもの責任だろうというように思っておりますんで、そういう意味で今日はいい決議をしていただきまして感謝いたしておりますけれども、そういう方向で頑張ってまいりたいと思っているところでございます。
  17. 大塚耕平

    大塚耕平君 今日は緒方理事長おいでになっておられますが、JICA皆さんODAにかかわる職責を果たしておられる皆さん海外で大変献身的に仕事をしておられるのは我々もよく承知をしておりますので、その御活動に心から敬意を表したいと思います。  総理におかれては、道路特定財源一般財源化も御決断されたという意味では、財政的な総理のかなり弾力的な御判断が及ぶアローアンスがこれから拡大するわけでございますので、ODAについてはしっかりとした対応をしていただきたいということを改めてお願いを申し上げたいと思います。  その上で、お手元にもし決議まだございましたらちょっと御覧いただきたいんですが、決議の六番目の項目に「環境気候変動問題とODA積極的活用」と、こういう項目を盛り込ませていただいているのが御覧いただけると思います。  そこで、この項目に関連して事実関係を少しお伺いしたいんですが、先週の日曜日の新聞各紙の朝刊に、日本温暖化ガスを二〇五〇年をめどに六〇%から八〇%の削減目標とすると政府方針を固めた、こういうふうに出ていたわけでございますが、この事実関係について間違いがないかどうか、総理にお伺いしたいと思います。
  18. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) この数字につきましては、こう決まったということで発表されているわけではありません。今それを検討中のところであります。  二〇五〇年に五〇%削減しようと、こういうことですね。これは平均で五〇%、すなわち全世界合計して五〇%減と、こういうふうなことでありますから、それはできる国とできない国があるわけですね。できない国もあるかもしれないと。そうしますと、技術を持っている国はこれはもっと低い目標を掲げなければいけないと、こういうことになります。  ですから、そのためにいろいろと数字を積み上げて、どういうふうなことになるのだろうなというふうなことも計算しなければ実際には言えないわけでありますけれども、今から四十年先のことを的確に言い得るものではない、二〇五〇年五〇%削減というのも、少なくともそういうふうにしようという世界の合意であると、こういうふうに考えなければいけないというふうに思っております。  ですから、我が国は当然のことながら五〇%以下にしなければいけない。そうすると、もっと大きな数値をこれは言わないと、我が国目標として掲げないと五〇%達成できないということで六〇ないし八〇という数字が出てきたんだろうと思いますけれども、これは公式の数字ではございません。今そういうものをどういう目標として掲げようかと、こういうことであります。  しかし、四十年先よりも二十年先は一体どうなるかということを、これを考えなければいけないというのはより具体的な問題としてあるわけでありますので、そういう数値もこれがより正確に計算できるかもしれないというようなことでもって、これも併せて検討中であると、こういうふうにお考えいただきたいと思います。
  19. 大塚耕平

    大塚耕平君 恐縮ですが、もう一回確認をさせていただきたいんですが、去年、安倍総理サミットで二〇五〇年に温暖化ガスを半減するという長期目標、これを世界各国に対してお示しになって、ただし日本削減目標については直接言及されなかったという事実関係がございます。その上で、この五月十一日の記事を見たこの問題に関心のある多くの人たちは、日本は一歩踏み込んだなと、この温暖化対策に一歩踏み込んで総理も英断をされたなというように感じた方が多いと思います。私もそう思いました。  しかし、今の御答弁をお伺いすると、ちょっと事実とは違うということでございますので、事の是非を私は申し上げるつもりはございませんので、事実関係だけ念のため再確認させていただきますが、この記事は必ずしもまだ政府としてオーソライズしているものではないという理解でいいかどうか、確認だけさせてください。
  20. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 一言で申し上げれば、この六〇ないし八〇ということで決めたという事実はございません。今この数値をどのようにするかということを政府内で検討中であると、こういうことでございます。
  21. 大塚耕平

    大塚耕平君 そうであれば、是非これは党派を超えて日本政府の体質についてお願いをしたいと、党派を超えてと私が勝手に与党の皆さんを丸めてしまっては恐縮なんですが、多分同じお気持ちだと思いますので。  といいますのは、これは総理だけじゃなくて外務大臣にもお願いをしたいんですが、やはり政府方針を固めたといって各紙がこう書くと、これはそういうことだろうと皆さん思っておりますが、事実と違うということであれば、こういう報道が先行して出ないような広報体制は整えていただきたいと思いますし、かえって、この夏のサミットに向けて、言ってみれば、少しアドバルーンだけ上げてサミットをこの温暖化対策の問題については乗り切ろうというふうに日本政府は考えているのではないかというふうに誤解をされますので、是非政府考え方が報道される際には慎重に御対応していただきたいということをお願いをさせていただきます。  その上で、なぜこういうことをお伺いしたかといいますと、実は当委員会ではこの温暖化対策に関連して先般も自民党の田村委員から大変いい御指摘、御意見があったんですが、この温暖化対策というのは、単に温暖化対策だけではなくて、日本の経済がこれからどうやって世界の中で伍していくかということに大きく関連をしているわけでございます。  そこで、ちょっと総理に基本的な認識をお伺いして認識の共有を図らせていただきたいんですが、温暖化対策、もちろん京都メカニズムで三つの経済的メカニズムがあるということになっておりますが、この排出権取引に関して、三つの経済的メカニズムがあって、そのうちの一つが排出権取引ということでございます。総理はこの排出権取引というのは金融取引かどうかというふうにもし質問をされたら、総理は排出権取引というのは金融取引と思うか思わないかという点について、現時点ではどのような感想をお持ちになっておられますでしょうか。
  22. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 私は、それ金融取引というふうに断定することもできないし、そうだとも言い切れない。正直申しまして、この排出権取引のルール、やり方もいろんな考え方がございまして、またその評価も違うでしょう。そして、金融取引といいますと先物取引とかいったような概念も出てくるわけでありまして、そういう範疇にこれを排出権という極めて大事なものを組み込んでいいのかどうかということも考えなければいけない。  ですから、この辺については今いろいろと考えている、そしてまた各国とも交渉してその概念規定を明確にしていかなければいけない、そういうふうな段階ではなかろうかと思います。そういう中で、これが金融取引なのかそうでないのかといったような考え方というのも収れんしてくるんではなかろうかというように思っております。  今まさに我が国も排出権取引についてどういうような対応をしようかということは、いろんな分野の話も聞きながら、また各国とも相談しながら決めていこうと、こう考えているところでございます。しかし、といって、このことについて我々はこの考え方を拒否するとか、そういう考え方は取っておりません。
  23. 大塚耕平

    大塚耕平君 総理がかなり御関心をお持ちいただいているということは今確認をできましたので大変安心をした次第なんですが、先般当委員会で田村委員がおっしゃったことに関連して私も少し意見を申し上げたいんですが、実はこの排出権取引というのは、単に温暖化対策にとどまらず、これから二十一世紀の金融取引ないしは証券取引にも波及していくかもしれませんが、その中心的な位置付けに発展する可能性があるということになってきております。  大変温暖化対策に後ろ向きであったアメリカも、ブッシュ大統領が二〇二五年までに伸び率をゼロにすると言ってみたり、欧州も二〇二〇年までに二〇%削減すると言ってみたり、日本は先ほど申し上げましたように二〇五〇年という非常に軸足の長い、言ってみたら、今日委員会室にいらっしゃる皆さんが恐らく二〇五〇年にはほとんどだれもいないような時期の数字を掲げているんですが。  そうではなくて、あのアメリカも含めた欧米までもがかなり近未来的なコミットメントを出し始めているというのはこれはどういうことかと申し上げますと、私も多少金融界におりましたので、総理に是非お伝えをしたいのは、排出権取引は温暖化対策に協力をして削れば削っていくほど、つまり努力すればするほどこれは供給量減りますから、CO2の、株や証券、債券というのはこれから需給バランスは崩れますけれども、排出権というのは世界各国が真剣に取り組めば取り組むほど需給バランスはタイトになって、これは金融商品としてもあるいは各国が取引をする手段としても大変高い価値を持つ可能性があるということで、随分この二、三年間で欧米諸国は大胆にかじを切ってきたなというのが私の印象ですし、恐らく金融・証券関係者はかなりそういう気持ちを持っていると思います。  そこで、私が申し上げたいのは、今日もこの六番目の決議で、ODA活用して環境気候変動問題に取り組むべきだというふうに申し上げているのは、このODA活用すれば先ほど申し上げた京都議定書のCO2削減に関する経済的メカニズムの、今最もメジャーになっているCDMによって日本がかなり排出権について途上国から何がしかのベネフィットを得られるような状況にあるわけでございますので、その排出権取引というものあるいは温暖化対策というものが単に環境対策あるいは途上国発展や国内の様々な問題の解決に寄与するだけではなくて、日本のこれからの経済あるいは産業の在り方、国際金融・証券市場におけるポジションについても大きく影響するんだということを、認識を共有していただいて取り組んでいただければ幸いでありますし、そういう中でODAもいろんな分野にやらなくてはいけませんので、とりわけ温暖化対策の分野におけるODAは今私が申し上げているような意味もあるんだということを御理解いただいて対応していただきたいと思いますからこそ、今日こういう指摘をさせていただいているわけでございます。  一言総理の御感想をお伺いできればと思います。
  24. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 先ほど私から申しましたように、この問題についてどういうようなルールでもってこの排出権取引が実際問題取引されるかといったようなメカニズムがまだ明確でないというところもございます。これ、何でもそうなんだけれども、無制限に有効なものは私はないと思っているんですよ、この世の中にね。ですから、そこそこにということもありますし、ある一時期は有効である、しかしその後は有効でない、そういうことだってあり得るわけですね。  例えば、二十年後にこれはもう全く革新的なエネルギー開発が行われてCO2が一切出ないといったような時代になればそういう概念というのはなくなっちゃうわけですね。ですから、我々はそこのところをねらわなければいけないというのが非常に現実的な考え方であり、そのために、そういうための資金を、基金をつくって、そして技術開発をしていこう、こういうことで今スタートを始めたと、こういうことなんです。  しかし、それまでに至る間どうするかということが現実的な問題としてございますから、それは日本独特の省エネ技術を更に磨くとかいうこともございますし、もしかしたら今の排出権をこれを有効活用するという時期もあるかもしれない。それはその時々のニーズに合うものかどうかということをよく考えた上で、そしてそのこと自身が混乱をもたらすようなことでないということが条件としてあるんではなかろうかと、こう思っておりますので、またいろんな角度から研究をさせていただきたいと思っております。
  25. 大塚耕平

    大塚耕平君 この問題に関しては最後に一言だけ申し上げますが、温暖化対策そのものに関してもそうですし、そしてこの問題が排出権取引を経由して金融や経済と密接に関係しているんだという、そういう観点からも実は今日本が二〇二〇年前後を想定した具体的なコミットメントを出すかどうかということが非常に重要なポイントになってきておりますので、そのことを踏まえてサミットにお臨みいただければ幸いでございます。  その問題はこのぐらいにいたしまして、今日は緒方JICA理事長にもおいでいただいていますので、今日は横に総理おいでになられますし、外務大臣もいらっしゃいます。新JICA発足に当たりまして、JICAのこれからの機能強化、有効活用あるいは円滑な運営等の観点から、政府に対してこれだけは要望したいという点がございましたら、今日は我々は証人でございますので、大胆に御要望をいただければ幸いでございます。
  26. 緒方貞子

    参考人緒方貞子君) 今日は参考人としてお呼びいただいてありがとうございます。また、ODAに非常に御関心の深い超党派の先生方がいらしていただくのは大変心強いことでございます。  今、新JICA発足に当たり、JICAの機能強化、有効活用等についてどういう注文を政府にしたいかと要望をお聞きいただいたんですが、確かにこの新JICA発足、十月一日に控えておりまして、このために一つの組織を新しくするというのは大変大きな仕事だということは痛感いたしております。それからまた、今まで援助に使っておりました技術援助、有償、無償のそれぞれのスキームというのは違ったアプローチを取ってやっておりますから、そういうもののスキーム間の扱い方の統合ということもそう容易なことではないんでございます。  ただ、私どもとしては、これが一つになったからには、海外からも国際機関からも大きな援助体制ができるんだから効果と効率というものを非常に強く求められておりますので、その点では大変緊張しながら、今までやってきた仕事のやり振りで十分効果と効率が上がっているのか、人とそれからその専門性と、そういうものがきちっと、必要に応じて変化は必要なんですが、変化されているのか、そういうことはよく吟味しておりますんですが、何と申しましても、円滑な運営を、今まで違ったところにいて違った形の任務を持っていた者が一緒になってやるということの困難あるいは挑戦というものは大きいものがあるということは申し上げたいと思います。  ただ、政府に対してどういうことを要望したいかという御質問なんですが、政府の方におかれましても、今まで違った部署の方々が違った視点から、この三つの技術援助、有償、無償の援助を見ておられたわけですから、それなりのアジャストメントが政府の側においても早く我々に対して、先ほど総理実行部隊とおっしゃってくださったんですが、実行部隊はやはり最高司令官が必要でございますから、そういうところの指示等についても早く明確なものを出していただくということをお願いしなきゃならないかと思っております。  もう一つ付け加えさせていただきますと、ODA削減につきましては、これは是非、私も総理にも外務大臣にも皆さんにお願いしているんですが、このまま削減されていくと、どんなに一生懸命効果と効率を上げようといたしましてもなかなかできない部分があるわけでございます。  ちょっと具体的な例を申し上げますと、アフリカ部というのは、私がJICAに参りました四年前は大体事業予算の一五%ぐらいを占めておりました。今は二二、三%にはなっておりますんですが、実質使えるお金は、ずっと予算削減されておりますからほとんど変わらないんです。ですから、ODA削減というものがいろんな事業に及ぼす影響についても、具体的に御理解いただければ大変幸いだと思っております。  ありがとうございました。
  27. 大塚耕平

    大塚耕平君 今日はこの後も各会派の委員が御質問をさせていただきますので、是非忌憚のない御意見なり御要望をおっしゃっていただければ幸いでございます。  じゃ、私からあと最後に一問、外務大臣にお伺いをしたいと思います。  やはり決議を御覧いただきますと、八番に「援助人材育成に向けた政府の早急な取組必要性」ということで人間安全保障センターについて記載してございます。この人間安全保障センターは、昨年の当委員会の中間報告に合わせてまとめられました提言において、私どもの会派の当時の犬塚筆頭理事を中心に各会派の皆さんの御賛同もいただいて政府に対して提言をしたプランでございます。  今回改めて決議に盛り込みまして、かつ決議案もうこれ確定いたしましたし、総理も真摯にこれを受け止めていただけるということでございましたので、この決議案には人間安全保障センターの創設について積極的かつ具体的に検討すべきであるというふうに盛り込ませていただいたわけでございます。  したがって、外務大臣には具体的にこれからどのように対応するのか、例えば組織の設立やそれに伴う法案化を検討される御意思があるのかどうかお伺いしたいと思いますが、これに付言して、私の発言はこれで最後にいたしますが、私も議会活動をさせていただいていて、日本政治・行政システムの大きな問題の一つは議会の決定事項とか議会の意向に行政が的確に対応しないこと、こういう部分があるというふうに思っております。  今回この人間安全保障センターについては、与野党がかなり同じ方向を向いて議会の総意として政府に対して積極的かつ具体的な対応をお願いしたわけでございますので、外務大臣から前向きな御発言をお伺いして、私の質問は終わらせていただきます。
  28. 高村正彦

    ○国務大臣(高村正彦君) 超党派で決議をしていただいたわけでありますから、この人間安全保障センターの創設の可能性を将来的な検討課題として念頭に置きつつ、それができた場合にきっちり対応できるような援助人材育成に取り組んでいきたいと、こういうふうに思っております。
  29. 大塚耕平

    大塚耕平君 最後と申し上げましたが、もう一声付け加えさせていただきますが、やはり今の御答弁をお伺いしますと、聞きおくというようにこちら側に座っておりますと聞こえてしまうんですね。  総理がほかの問題でもお悩みになっておられると思いますが、日本の議会が本当に機能するためには、例えばこの決議、これだけ、二度にわたって、しかも与野党が一致して政府に対して決議し、言わば勧告をしたわけでございますので、外務大臣におかれては現時点での御答弁はそういうことかもしれませんが、これから秋に向けて是非前向きな御対応をしていただきたいということを重ねて私からお願い申し上げまして、私の質問は終わらせていただきます。
  30. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 民主党富岡由紀夫でございます。引き続き質問させていただきたいと思います。  先ほどお話ありましたTICADの目的そして洞爺湖サミットの目的、お伺いいたしましたけれども、改めて確認をさせていただきたいと思います。  先ほど総理は、今回TICADアフリカの四十四か国の首脳が参加されるということで、失望して帰らないようにしたいというお話でございました。確かに多くの国が参加していただいてこのアフリカ問題について日本が中心となって議論するということは非常に有効な話だというふうに思っておりますけれども、それでちょっと私が心配しておるのは、このTICADが本当に実のあるものになるのかどうか、ちょっと心配しております。  実は先日、おとといですけれども、このODA委員会アフリカ連合議長国でありますタンザニアの大使そしてAU連合の、アフリカ連合委員長国でありますガボンの大使に来ていただきまして、率直な意見をお伺いしました。そうしましたところ、このTICADに対して余り大した効果はなかったんだといったことをはっきりと述べられておりました。もう少し期待をしていたんだと思いますけれども、その期待を裏切られてしまったといったようなことを発言されておりました。こういったことを考えると、本当に実のあるものにするためには、私はやはり先ほど来お話ありましたようにずっと減り続けているアフリカに対するODA予算削減、これを何とかしないといけないというふうに思っております。  この点について、今回のTICADで改めて大きな日本政府としてリーダーシップアフリカに対する思いを実際具体的な数字として私は表すべきだというふうに思っておりますけれども、この点について総理の見解をお伺いしたいというふうに思っております。
  31. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) TICADアフリカ諸国自身の自助努力そして国際社会によるパートナーシップ、これは共生ですよね、言うなれば自立と共生でありますけれども、そういう考え方に立って国際社会が広く協力して、そしてアフリカ発展を後押しをしようということが目的でございます。さらに、TICAD日本とアジア諸国が協力してきた東アジアの開発経験をアフリカ開発にも活用すると、そういうふうな観点からアジア・アフリカ協力推進してきたものであります。  そういうようなTICADというのは、冷戦終了後の一時期、関心が低下していたアフリカ開発を世界共通の課題として国際社会に再認識させるとともに、今後のアフリカ開発の指針を与える効果を持ってきたのであります。我が国を含む国際社会は、世界の平和と安定を実現するために、また平和の定着や民主化の進展等、近年前向きな変化の見られるアフリカ発展を後押しするためにアフリカ問題の解決に真剣に取り組む必要があるのでありまして、そういうような必要性、目的を確認するために、そしてまたいろいろな議論を出して、そしてアフリカに活力を持ってもらおう、更に持ってもらおうと、こういうふうな観点でこの会議をするわけであります。  首脳が四十か国以上も来られるということは、それは失望しているとかそういうふうな話ではないと思いますよ。この機会にそれをいかに有効に活用するか、これは日本活用するというよりはアフリカ諸国活用してくれるかということが大事なんだろうというように思います。日本はそういうアフリカを元気に、もっと元気になってもらおうという観点から応援をしていく、そういうものでございます。
  32. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 今回アフリカの各国が参加するのは、やはり日本から少しでも多くの援助を得たい、そういう思いがあって多分各国の首脳は参加するんだというふうに思っております。  ただ、そこでちょっと私は気を付けないといけないというふうに思っているのは、四十四か国の首脳が来られて、総理は会談するというお話も伺っております。そうすると、一人当たり、一国当たりわずか十五分ぐらいというふうに報道をされております。十五分ずつ各国の首脳を順番に、廊下で待たすのか控室で待たすのかは分かりませんけれども、そういったことをして面接をしていくような形、これは私、せっかく各国の首脳が来られるのに、やや何というんですか無礼な、失礼な行為に値するんじゃないかなというふうに思っておりまして、その点は非常に心配しております。日本が札束をちらつかせて各国を来てもらって、そしてそういう扱いをするというのは、私はやや国際社会の中でどういうふうに見られるか心配しております。  やはり本来であれば日本の方からアフリカ諸国にもっと頻繁に訪問して実際の内容を見てやっていく、そういった姿勢を示すことも私は必要なんじゃないかなというふうに思っております。そういった意味で、先日参考人として来ていただいた大使の皆さんからの発言は非常に私は重要だというふうに思っております。  具体的には、先ほど緒方理事長もお話ありましたけれどもアフリカに対する支援、金額は増えていないんですね。そして、アフリカに対する倍増計画というのも、具体的な中身を見てみますと、債務救済、債務免除が中心になっておりまして、実質的ないわゆる真水と言われているODA予算のところが増えていないというのが実態だというふうに思っております。やはりそこのところに実のあるそういったODA支援の、日本としてのそういった提案が思い切ったものが出せないと、やはり先ほど総理が自らおっしゃっておりましたけれどもアフリカの各国の首脳が失望して帰ってしまう、そういったことになってしまうんじゃないかということを懸念しております。  改めてお伺いしたいと思いますけれども、このODA予算、私は骨太方針に余り縛られる必要はないんだというふうに思っております。先ほど財政諮問会議で見直すというふうにお話ありましたけれども、是非これは総理が主導的にリーダーシップを持って見直すべきだと。改めて予算についてはもう倍増でも三倍でもやるんだ、そういったことを是非表明していただきたい、そういった方向検討していただきたいと、そういうふうに私は総理には是非お願いしたいというふうに思っております。  改めて御意見をちょうだいしたいというふうに思っております。
  33. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 私は、申し上げますけれども、そんな面接をするような態度でやるつもりは全くありませんから、そういう下品なことは考えない方がいいというように思います。そういうことを申し上げまして、お答えします。  お金だけの話じゃないでしょう、お金だけじゃないですよ。それから、政府の金だけではないんです。民間が協力してこそより大きな仕事ができるんです。アフリカの経済のためになるんですよ。ですから、開発援助を増やせばそれでいいんだというわけにはいかない。民間と力を合わせて、そして相手のアフリカの諸国とよく協議をして、相談して、本当に向こうの国の役に立つようなことをしていくというのが、そういう仕事を見付けるのが我々の仕事なんですよ。  それは、大事な税金を上手に使っていかなければいけないということでありますので、金額だけではない。しかし、金額も実は大事なんです。ですから、そのことも含めてこのTICADⅣの会議において有効にそこの資金が使えるような協議をしてまいりたいと、こう考えております。
  34. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 金額の問題を余りそれ、中身が問題だというのは、それはそのとおりなんですけれども、やはり私は金額の問題も非常に重要だというふうに思っております。  今までこのODA委員会参考人を何人もお招きいたしまして、日本ODAの問題点ということでやはり一番問題になっているのがODA予算が削られているということでございました。やはりここはODA予算の見直しをする必要があるんじゃないかと思っております。  幸い、来年度から道路特定財源の見直しをして、道路財源を一般財源化するということを総理は決定いたしました。そして、閣議でも決定したということでございますから、是非一般財源化、道路財源として使ったものを今回のODA予算、来年度予算には是非ODA予算に振り分けていただきたいなと私は思っております。必要な道路というものはまだ整備し続ける、そういったことによって今までと同じように道路予算が減らないというんじゃ全く意味がないと私は思っております。大胆な一般財源化に向けてODA政策日本は力を入れるんだと、そういったことをアピールしていただきたいなというふうに思っております。  道路予算一般財源化してODA予算に振り分けるお考えについて、総理の御見解をお伺いしたいというふうに思っております。
  35. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) ODAの全体の予算枠の話ですね。それは、先ほども決議をいただきました。このことは重く受け止めて、そしてそれにどれだけこたえられるかということで努力をしてまいりたいと思います。来年のことについてはこれから基本的な考え方をまとめると、こういう段階でありますので、本日の委員会決議は、これはその趣旨をよく伝えたいと思っております。  しかし、御案内のとおり今の日本の財政は極めて厳しい状況にある、債務も非常に大きなものがあるということでありますので、これを改善するということは我々の責務だというように思っておりますので、このことも考えなければいけないということでありますから、そう簡単にODAを二倍、三倍というわけにはまいらないということはお分かりのことだというように思います。  道路財源のお話ございましたけれども、今回特定財源をこれを一般財源化すると、こういうふうに申しました。これは、これも申し上げるまでもないんでありますけれども、今まで道路関係に集中的に使っていたこの財源をほかのものにも使えるというようにするということなんでありますけれども、それはだからといって今まで使っていた道路財源すべてをほかの財源にするというわけじゃありません。ですから、それはおのずから限りがございます。余り大きな期待をされるといけないと思います。  もちろん道路も造らなければいけないと思います。そして、防衛も外交もそして社会保障も、いろんなものに使っていかなければいけないということでありますから、それはその割り振りの問題もあろうかと思います。それは国の政策、大きな方針を立てるわけでありますから、その方針を立てるときにどういう割り振りにするかということをこれから考えていかなければいけない、その中でODAの重要さというものも十分考慮していかなければいけない、そのように思っております。
  36. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 アフリカの、先日のまたお話になって恐縮なんですけれども、ガボンに対する、先日参考人で来ていただいた国のODA供与額、二〇〇六年度は無償援助がわずか五百万円、技術協力が一億五千二百万円、非常にわずかな金額なんですね。そして、AU議長国であるタンザニアにも二〇〇五年度は無償で十八億円、技術協力で二十四億円程度ということでございます。  国内の、私この間いろいろと道路財源の中で議論したときに、ある工事見ると、一か所立体交差造るだけで、道路を造るだけで一か所で百億円も掛かっているといった工事もいろいろとお話を伺いました。こういったことを考えると、必要な道路も確かにあるのかもしれませんけれども、その道路を国土交通省だけの中で議論するんでなくて、必要な道路と必要な援助、必要な介護、必要な医療、そういった横割りの中で必要性判断していくべきだというふうに思っております。  そういった意味で、今回のこのODAというか、これは日本の本当に外交手段として一番重要視しないといけないものだと私は思っております。そういった意味から、是非必要な援助について認識を更に深めていただいて、柔軟な予算の転換を図っていただきたいというふうに思っております。この点については是非御検討いただきたいというふうに思っております。  続きまして、洞爺湖サミット議論する内容についてなんですが、昨年もODA委員会でいろいろと質問させていただきました。その際、当時の安倍総理大臣からこのアフリカ問題について議論していただけると、中心に議論していただけるという御回答をいただきました。  どういうことかといいますと、環境問題も大変重要な問題でございます。環境問題でこれから中心になってやっていくわけですけれども、もし仮に温暖化によって子供が一年間に一千万人亡くなるようなことがあったら、それこそ先進国が中心になって大騒ぎしていろいろな対策を緊急に取るわけなんですけれども、この環境問題で一千万人死ぬということになったら大変な大騒ぎするんですが、実はこのアフリカ問題では既に一千万人の子供が一年間で亡くなっているということがもう現実の問題として生じているわけでございます。イギリスのロック歌手のボノさんがよく主張されているわけでございますけれども環境問題も非常に大変ですけれども、現実のこの一千万人の五歳未満の子供が一年間の間に死んでいる、貧困、飢餓、病気、いろんな問題がありますけれども、そういった原因によって子供が死んでいる、この問題をやはり私は最優先に取り組むべきだというふうに思っております。  是非このアフリカ問題についてサミットの中で最優先課題として議論していただきたい、取り組んでいただきたいというふうに思っておりますが、福田総理のお考えをお伺いしたいというふうに思っております。
  37. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) G8サミットではいろいろな課題を討議することになると思います。国際経済の問題そして地球温暖化の問題、このアフリカの問題もこれも大きなテーマだと思います。また、食料の価格高騰の問題といったようなこともございますし、またそれ以外にも幾つもあるんだというふうに思います。そういう中でアフリカ保健衛生ということについては、これは各国首脳とも当然話合いをしなければいけないということで合意ができていると思います。これも重要課題の一つということで対応するということであります。  その前にTICADⅣがございますので、そこでどのような議論がなされるか、その議論の中身についてもよく吟味した上でこのG8の会議でもって提起して、そして議論するということになろうかと思いますけれども保健衛生、今の差し当たっての飢餓の問題とか疫病の問題とかいうものがございます。現実にあるわけでありますから、そういうようなことに対する対応ということはしっかりとやってまいりたいと思います。  と同時に、アフリカの場合には自立経済が達成できるような支援もしていかなければいけないと思います。幸いにして、最近のアフリカは割合と資源があるということもありまして、経済が活性化しつつあるという状況にあります。アフリカで六%ぐらいの成長をしているというような話も聞いておりますし、その中で十か国以上はかなり順調に経済が発展しているという話も聞いております。しかし、資源を持っているけれども、その資源の活用の仕方を知らないというところもございますから、そういうようなことに対する支援もしていくということになります。  疫病とかそういう保健衛生の問題と経済の問題と、こういうものは併せて議論してまいりたいと思います。
  38. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 アフリカは国によって全くその状況は違っております。確かに成長著しい国もあれば、そうじゃないところもたくさんございます。南部アフリカでは成人の二〇%の方がまだエイズに感染しているとか、例えばボツワナではいろいろな病気、貧困等々が原因で平均寿命が三十九歳という非常に厳しい状況もございます。こういった地域性、その場所によっていろんな事情が違っておりまして、個別に対応する必要があるというふうに思っております。  限られた予算の中でアフリカ支援をやるに当たって、選択と集中ということでこれはもう考え方外務省の方も出されておりますけれども、我々ODA委員会の中でもいろんな参考人に来ていただいて意見を聞いたり、そしていろんな議論、意見交換をしたり、そしてまた我々議員自らODAの視察に行ったりしております。そうした意味で、この参議院のODA委員会の中でODA政策に対する、何というんですか考え方、整理というものがかなりできてきているんじゃないかなというふうに思っております。是非このODA委員会議論日本ODA政策に反映させるような方向に持っていくことができないか、私は是非総理には前向きに検討していただきたいというふうに思っております。  具体的には翌年度のODA政策についてこのODA委員会の中で議論して、そこでいろいろと確認をし合う、また長期的なODAの政策についてもこのODA委員会の中で議論していろいろと意見を言い合う、そういったことが私は必要かなというふうに思っております。せっかくいろんなODA委員会の中で議論しているわけですから、それを有効に活用していただければ有り難いなと、日本ODA政策にも有効に私は機能するんじゃないかなというふうに思っております。  この考え方について総理の御認識をお伺いしたいというふうに思っております。
  39. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) この委員会でもっていろいろ議論されて出された結論については、これは政府の政策実現の上に大いに反映させてまいりたいと思っております。
  40. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 もう少し気持ちのこもった御答弁をいただければ有り難かったというふうに思っていますけれども、是非、これだけもう何年もこのODA委員会議論しているわけですから、日本ODA政策に、何というんですかこのODA委員会の意見がちゃんと反映できるように、具体的に目に見える形で実現できるようにしていただきたいなというふうに思っております。  持ち時間少なくなってきましたので、緒方理事長にお話伺いたいと思いますけれども、ちょっと今総理とのやり取りを聞いていただきましてどのようなお考えをお持ちいただいているのか、今回のTICADそしてサミットに当たって、緒方理事長として何を優先的に取り組むべきなのか、日本ODA政策についてどういうふうに考えたらいいのか、緒方理事長の是非今議論した感想も含めてお話を伺いたいというふうに思っております。
  41. 緒方貞子

    参考人緒方貞子君) ただいまODA特別委員会のいろいろなお考え方についていろいろ伺わせていただきましたし、総理のこのTICAD、G8にかけてのいろいろな御決心等も伺わせていただきました。  国際社会のいろいろな討議の場では、今年こそは日本リーダーシップを示せる年だというようなことがよく言われております。したがって、それに従ってこのTICADもG8もそれなりのリーダーシップを取らなきゃならないということは私どもみんなよく承知していると思いますし、総理もそのつもりでいろいろ御活躍というふうに拝見しております。  ただ、先ほどアフリカ首脳方がたくさん来られてODAに対する期待が、失望しておられるんじゃないかというお話ちょっとございましたんですが、期待は確かにしていらっしゃるんです。ただ、支援についてはいろんな形の政策的な問題についても期待は持っておられまして、例えば今回のTICADを例に取りますと、かなり私はアフリカ政策について新しい工夫の色が見られると思っております。  まず、三本の柱のうちの一つ、第一の成長の加速化です。  これは今までそうはっきり打ち出していたんではなくて、貧困削減等々非常に社会的な問題、大事なものがたくさんございますが、経済の成長成長の加速化がなければ貧困削減だけ、別にこれはチャリティーじゃないわけですから、そういうことについてやはり経済を成長させなきゃならないということをはっきり出されたことは私は意味があると思っております。  その具体的な方法といたしましては、一つよく言われておりますのはこのアフリカの大陸の縦貫道路の整備なんですね。それから港湾の施設、こういうものがないと、せっかくアフリカでできてきたものを市場に回すこともできませんし、非常に道路ということにはアフリカ側も大きな関心を持っておりまして、四つ大きな縦貫道路を今造っておりまして、日本の方、私どもJICAの方もその部分部分については、例えば国と国をちょうどつなげる縦貫道路の接点においては、今まではそれぞれの国が入管の箇所それから貨物の審査等々、別々のを持っていたんですね。それをつなぎ合わせることによって縦貫道路を通るいろんな貨物が早く行くんじゃないかと。  この早く動くということは案外、先ほどいろんなエイズのこともおっしゃっていらしていたんですが、南部アフリカでエイズが多いのはやはり鉱山に働く人々が非常に動き回るんですね。それで、自分のうちに帰るのに大変長い時間を掛けたドライバーの方がたくさんあるというようなことはエイズの蔓延と無関係じゃないんです。  そういうようなことを考えまして、縦貫道路そして縦貫道路を通るたくさんの貨物の迅速な輸送、そしてまたその縦貫道路の周辺に小さな今度はコミュニティーのための、日本でおっしゃるのは道の駅とでも申しますか、そういうコミュニティーもつくって、いいものが広く広まる、早く広まるというような工夫をする、これはTICADでは私ははっきりこういうものを出したのは今回が特別だと思っております。  それからもう一つ、人間安全保障の確立。  これは人間安全保障で私も割と長くこのことについてはかかわってきたんですが、やはり人々が力を付けて、そして教育、保健衛生等々がなければ力が付かないわけですね、やはり仕事ができないわけですから。そういうコミュニティーをつくる、下からの力を付けるというのが非常に人間安全保障考え方では大きいことなんですが、その人間安全保障という枠組みを脱しまして、その中でコミュニティーとして教育、保健衛生あるいは農業等々をコミュニティーと関連した形で広めていこうと、こういう政策もはっきり出されたのは今回の第四回が、私も三回は出ておりますんですが、初めてじゃないかと思うんです。  もちろん環境それから気候変動については、これはもう大きくアフリカにとっても大きな問題だということが認識されてきておりますので、いろんな干ばつに強い稲の品種であるネリカ米を今回はそういう意味からもどんどん広げていきたいとか、それからそういう協力等の工夫をしておりますし、森林資源の管理等々についてもいろいろな具体的な案を出しておりますので、大きな柱が政策課題として出してあって、その下にかなり具体的ないろんな提言があって、その具体的な提言に沿った形の実動部隊というのがJICA等実施をする機関の責任だというふうに思っておりますので、これが本当に実施されるといいなと、そしてそれが実施されるように持っていかなきゃならないという決意は強く持っておりますが。  そういう形で、今までと同じことを同じように繰り返しているよりは踏み込んできた第四回目のTICADでありますし、そういうことをアフリカ首脳の方たちにもよく理解していただいて、そして討議をしたりいろいろどういう国ではどういうことが一番可能性として期待されているかというようなことの政策対話をする場であるというふうに考えておりますので、私どもたくさんの方をお迎えするのに緊張して待っております。  ありがとうございました。
  42. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 どうもありがとうございました。  必要な道路がアフリカにもあるというお話を伺いました。是非必要な援助を含めて日本の来年度予算は柔軟に検討していただきたいというふうに思います。  これで質問を終わります。     ─────────────
  43. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、西田昌司君が委員を辞任され、その補欠として佐藤正久君が選任されました。     ─────────────
  44. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 引き続き、内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次発言願います。
  45. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 自由民主党の谷川秀善でございます。  まず初めに、中国四川省で起きました大地震またミャンマーのサイクロンの被害、大変な人たちがお亡くなりになりました。大変悲しいことでございます。心よりお悔やみを申し上げますとともに、一日も早い復興をお祈りをする次第でございます。  また、先般は福田総理、日中首脳会談、成功裏に収まりました。大変御苦労さんでございました。それと同時に、ただいまはG8洞爺湖サミットにつきましてのこのODA参議院の委員会決議に対しまして、大変力強い抱負をちょうだいをいたしました。どうぞよろしくお願いをいたしたいというふうに思います。  さて、御承知のように参議院は決算とODAに力を入れていこうと、特に力を入れていこうということで与野党が互いに協力をいたしまして熱心に議論をいたしておるところでございますし、また四月以降、G8、TICADにつきまして、それぞれ毎週いろんな参考人を来ていただいて勉強をし、この決議をまとめたところでございます。これからはいわゆる発展途上国の安定と発展のために先進国協力をしていくということは、長い将来、我が国にとっても大変私は重要なことであり、また外交政策上も大変意味のあることだというふうに思っておるところでございます。  五月の二十八日からは横浜で第四回のアフリカ開発会議、いわゆるTICADⅣが開かれます。この会議では、中国でこの前行ったのは三十三か国の首脳が集まったということでございますが、これは四十四か国お集まりになるということで、私はアフリカ皆さん方が日本で開かれるこのTICADに大変期待をいたしておるのではないかというふうに思っておるところでございます。  御承知のように、国際社会というのは、今や地球規模課題解決するためのミレニアム開発目標達成に向けまして一致して取り組んでいるところでございます。そして、我が国としても貧困削減気候変動感染症など保健問題、教育、水、食料等様々な課題に対して率先して取組を行いまして、国際社会を主導する役割を求められているところでございます。  まずそこで、福田総理また外務大臣にお伺いしたいんですが、このTICADⅣやG8に対してどういうお気持ちでお臨みになろうとしておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  46. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 北海道洞爺湖サミット、ここでは我が国はG8の議長国として、世界経済、環境気候変動そして開発・アフリカ、不拡散等々政治問題もございまして、重要な課題について前向きなメッセージを発信していく、そういうために、その成功に向けてただいま政府一丸となって取り組んでおるところでございます。この中には昨今の食料の価格高騰といったような問題も討議されることになると思っております。  そしてまた、北海道洞爺湖サミットに先立ちまして、五月の、今月の二十八日から開催しますTICADⅣでは、近年のアフリカにおける政治、経済両面での前向きな変化を後押しするために、元気なアフリカを目指してという基本メッセージを基に、成長の加速化、人間安全保障の確立、環境気候変動問題への対処を重点項目として、アフリカ開発のために我が国を含む国際社会の知恵と資金を結集したいと考えておるところであります。また、その成果を北海道洞爺湖サミット議論に反映させていくということが必要だと考えておるところでございます。
  47. 高村正彦

    ○国務大臣(高村正彦君) 今総理が過不足なくおっしゃったとおりでございまして、私といたしましても、総理の指揮の下、一生懸命努めていきたいと、こういうふうに思っております。
  48. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 どうもありがとうございます。是非よろしくお願いをいたしたいと思います。  緒方理事長さん、お忙しいところをお越しをいただきまして、大変ありがとうございます。  いろいろ大変御苦労をお掛けをいたしておりますが、JICAが御存じのようにこの十月に組織替えをする、新しいJICAが生まれるということでございますが、これは私がいろいろ考えますと、いわゆる国際協力銀行、JBICですね、JBICのODA部門を継承するということと技術協力、無償資金協力、有償資金協力のこの三つの援助手法を一元化するということのようですね。  だから、一元化するといろいろ今までやってきたこととちょっと段取りが違ってくると思いますが、今までやってきたことも私は大変効果があったというふうに思っておりますので、新JICAにするためにもしあるとすればどういうネックがあって、どこをどう解決しなければならないのか、またこの新JICAについて緒方理事長としてはどういう期待をしておられるのか、その点をお伺いをいたしたいと思います。
  49. 緒方貞子

    参考人緒方貞子君) ただいまの新JICAについてどういう工夫をしているか、どういうことを期待していただいたらいいかということなんでございますが、確かに今まで技術援助、無償援助、有償援助と違う形のスキームで成立しておりました日本ODAを一つの組織が一体としてすると。これにはお互いが今までやっていた援助のやり方についてお互いに十分理解し、そしてどういうふうにすれば一体化ができるかということについて、ただいまいろんなプログラム、いろんな国に対する援助を具体的にどういうふうにしたらこの三つの技術援助と有償援助が一緒に動いていくかというような実例を取りながら、既に練習を始めております。  その結果どういうことが期待されなけりゃならないかといいますと、効果と効率と両方上げなきゃならないわけでございます。今まで日本援助というのは、徹底はしているけど遅いというようなことをよく私ども言われておりましたんですが、少なくとも三者が別々に相談するのじゃなくて一体となって事業実施できるからには早く動くだろうと、また動かさなきゃならないということもあるわけでございます。その辺のお互いの今までのやり方を習い合うという、そしてまた一緒にやるということも一つの課題としてもうそろそろ始めております。  また、事業体につきましても、JICAは今、在外五十六か所に事務所を持っておりますし、JBICの方は十九か所だと思いますが、おありになるんですが、それを全部一つのものに、十九か所あるものは一緒にならなきゃならないと。ですから、そこで一緒になることによって、まあ建物や何かのことも問題ありますんですが、一番大事なことは、どこの国でも日本に対するODAの相談をしようとするときは一か所に来て、そこで全部必要なアドバイスもインフォメーションも取れるように持っていかなきゃならないと、そういうような形で一体化を出していくという工夫は今やっておりますが、相当大きなチャレンジだというふうに考えております。  また、新しいJICAでは研究所を設けるようにということがJICA法に出ておりまして、本当に日本としてODAに関する開発援助、また経済だけじゃなくて政治問題等に絡むいろいろな開発途上国関係の政策を課題とした研究をきっちりとできるような、そういう組織づくりもございますので、御期待に沿いたいと思いますが、あらゆることをして今頑張っております。  ありがとうございます。
  50. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 まあいろいろ大変でございましょうが、どうぞよろしくお願いを申し上げる次第でございます。  御存じのように、ODAは一時期、これはやっぱり日本国民に見えないということで大変一時期不評を買いまして、それが財政不足等もあってだんだんだんだんと減額されるようになったわけですね。それで、日本ODAというのは、平成九年をピークにいたしましてこの十四年間でもう何と四〇%も下がってまいりまして、それで米、独、仏、英にも追い抜かれまして現在は五位に転落をしているわけです。これはまあいろいろ事情があるんだろうと私は思いますが、政府全体予算の中に占める割合も大体平成二十年度で一・五%ぐらいだろうと思います。これで何とかこれから反転をしなきゃいかぬのじゃないかなというのが皆さんの意見でございますが、これにつきまして、外務大臣、どのようにお考えでございましょうか。
  51. 高村正彦

    ○国務大臣(高村正彦君) 委員が御指摘のとおりでありまして、二〇〇七年の我が国ODA実績は前年より約三割減の約七十七億ドルにとどまりまして、米国、ドイツ、フランス、英国に次ぐ第五位となりました。我が国の開発援助の効果を上げていくため質の改善に引き続き努めていくことは重要でありますけれども国際社会の諸課題解決に貢献し、日本存在感発言力を高めるためにODAの一層の活用は不可欠だと思っております。  特に本年、我が国はG8北海道洞爺湖サミットを主催するとともに、今月末には第四回アフリカ開発会議TICADⅣを横浜で開催するわけであります。そうした場合において、議長国としてアフリカを始めとする途上国の開発や地球規模問題の解決に向けて主導的な役割を果たすことが期待されているわけであります。  私といたしましては、引き続き必要なODA予算確保に向けて取り組み、できることであれば我が国ODAの減少傾向を底打ちさせ、反転を目指す決意でございます。
  52. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 是非我々も大いに与野党一致して応援をしたいと思いますので、是非よろしく頑張っていただきたいというふうに思います。  アフリカはやっぱり発展している国もあればまだ発展していない国もありますが、私はやっぱりアフリカの経済発展のネックはインフラ整備が遅れているのではないかなというふうに思うわけです。大体今までの日本アフリカに対する援助というのはいわゆる無償援助技術協力と、こういうことでございますが、これはやっぱり円借款を増やさないとなかなかこのインフラ整備というのはうまくいかないというふうに思います。そのために私はやっぱり円借款を増やすという、見直すということが必要だろうと。  だから、債務救済を行った国には円借款は出せないというのが今までのルールだろうと思うんですけれども、債務救済を行った国でも、それぞれの事情によって、返済能力が高ければ私はやっぱりこれからは円借款も供与する、供与することができるというふうに方針転換をする必要があろうと考えておるんですけれども、いかがでございましょうか。
  53. 高村正彦

    ○国務大臣(高村正彦君) 債務救済を実施したアフリカの国々の一部に対しては、相手国の債務持続性の向上などを十分に確認した上でアフリカ開発銀行との協調融資により円借款供与を再開しておりまして、これまでにセネガルを始めとする債務救済実績がある国に対して合計四か国、約百四十六億円の円借款の供与を実施しているところでございます。  TICADⅣにおいては、アフリカ開発に対する一層の支援を様々な側面から議論する予定でありまして、我が国としてはTICADⅣの成果を踏まえ効果的かつ積極的な円借款活用に一層努めてまいりたいと思います。  返してもらえないと大変でありますから、そこのところはよく注意しながら、返してもらえる見込みがあるのであれば債務免除実施国に対してもよく検討した上でいろいろ工夫をしていきたいと、こういうふうに考えているところでございます。
  54. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 是非その辺のところは、今おっしゃったとおりでございまして、やっぱり貸せば返してもらうというのがこれはもう原則でございますから、その辺のところはよくその国、国の状況を見ていただいて、円借款ができるように、円借款の国が広がるように是非お願いをいたしたいというふうに思います。  そして、アフリカ五十三か国というのは私は大体しばしば一緒になって行動する傾向があると思うんですよね。やっぱりアフリカという大陸でございますから、一緒になって行動する傾向がある。そうすると、国連加盟国が百九十二でございますから、この五十三か国というのはもう大変な勢力ですね、四分の一以上ですから。  だから、日本のこの前の国連の安保理常任理事国入りにつきましても、私は当時外務大臣をさせていただいておりましたけれども、大変各国にお願いをしたんですが、なかなか非常に難しかったということもありますので、私はやっぱりこのアフリカというのはこれからは、日本から非常に遠くて、日本国民から見れば遠い国のように思われますけれども、是非このアフリカ、これからはやっぱりアジアよりも私はアフリカだと思いますんで、アフリカについて十分な私はやっぱり認識を新たにして、援助をできるだけしていただきたい。  それは、やっぱりアフリカは、ヨーロッパはアフリカを植民地化していましたからいろいろ問題があるわけです。ところが、我が国は幸いアフリカを植民地にしたことは一遍もございませんから、そういう意味では非常に日本に対しても親近感を持っておられるんじゃないかと思いますし、やっぱりその逆に、いろいろアフリカというのは利にさとい国でございますから、このTICADⅣでもやっぱりいい答えを出していただかないと、なかなか、日本も大したことないなというようなことになると困りますんで、その辺について外務大臣、いかがでございましょうか。
  55. 高村正彦

    ○国務大臣(高村正彦君) 国連改革、国連常任理事国入りについてのアフリカ各国の日本に対する態度でありますが、常任理事国入りという日本が入るか入らないかという前に、国連改革のまず枠組みといいますか、安保理の枠組みというのをどうするかということについて日本アフリカは必ずしも一致しているわけではありませんけれども、一つ一つの国が日本常任理事国になることに賛成か反対かといえば、私は全部若しくはほとんどの国が日本常任理事国に入るということは賛成だと言ってくれている状況だと思っております。ただ、枠組みをどうするかというその前の段階についてはいろいろ問題があるわけであります。  TICADⅣにつきましては、まさに総理が先ほどおっしゃったように、日本の知恵とお金ももちろんでありますけれども国際社会の知恵と資金を結集して、そしてアフリカ諸国に失望されないような結果を出すべく総理の指示の下に私も全力を尽くしたいと、こういうふうに思っているところでございます。
  56. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 おっしゃるとおりだと思います。  それと、援助援助とこう言いましても、やっぱり財源が必要なわけですよ。今は日本、非常に財政状況悪うございます。  民主党の富岡先生からも話がございましたが、道路財源の一般財源化というのは、非常に私は、何となく皆当たり前にできたように思っていますが、私は福田総理の、もう長年懸案、これは懸案やったんです。ところが、福田総理しかできなかったと私は思っておるんですよ。本当に大英断をしていただいて一般財源化したということを非常に私高く、福田総理の英断に敬意を表しているわけです。  そういう意味では、これ相当大きな額ですね、一般財源化。まあそれは必要な道路は造るということですけれども、相当な額、一般財源化になると思いますよ。そういう意味では是非、TICADもありますしG8もある、だから何かめり張りの付いた、もういわゆるTICADに対して、アフリカ諸国に対して応援をする、これをぱあっと打ち出してもろうて、それで洞爺湖サミットに臨んでいただいて、いわゆるG8の首脳にもリードすると。アフリカだと、これからは。  私は、やっぱり世界の平和を握っているのはアフリカ五十三か国やと思っていますんで、そういう意味では是非、福田総理、ちょっとぐらいあんたやりなはれ。そんなもの、ほんまにあんた、一般財源化でこんだけ苦労したんやから、ちょっとそののり代で、一千億や二千億ぐらいここはのり代を取っても何らだれも文句言わないというふうに思いますんで、是非、福田総理、頑張っていただきたい。ちょっと御発言をお願いいたしたいと思います。
  57. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) いや、最初に大英断とか言って持ち上げてくださるから、どこかに何か落ちがあるんだろうというふうに思っておりましたが、まさにそういう予感が的中いたしました。  今度の道路特定財源制度、これは二十一年度から一般財源化するということなんでありまして、その使い道ですよ、肝心なのは。全部が全部というんじゃないんですよ。もちろん道路を造るということも必要だし、それはもうここにいらっしゃる皆さんそう思っていらっしゃると思いますが、それ以外にも有効活用できるところはないかということをこれからいろいろと議論していかなければいけないということであります。  その議論の中に野党の皆さんも入ってくださればいいなと思って一生懸命お誘いしているんですよ。どうですか、このODAを増やすために頑張ろうということで。さっきの決議の中に入っていなかったかな。そういうことを思いつつ今答弁させていただいておりますけど、是非有効活用するために、そしてそれがODAに回ればいいなと、こういう思いを申し上げまして、答弁とさせていただきます。
  58. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 非常に心強い答弁をいただきました。私、野党の皆さん方もよく聞いていただいて、道路財源の一般財源化については是非御協力を、また協議会にも参加をいただいて有効活用をさせていただくということに是非御協力をお願いをいたしたいと思います。  それで、もう時間も参ってきましたので、最後に、私、ミャンマーの救援また中国の救援、両方ともよく似た体質の国ですから非常に大変だろうと思うんです。ところが、やっぱり首脳同士が話し合うというのは非常に大事なことなんですよね。だから、この前の日中首脳会談でうまくいきましたから、胡主席は福田総理の呼びかけに対して、人道支援について日本からは来てもらおうと、こういう決断をして、もう着いているんですかな、そろそろ四十名か五十名の人道支援の部隊が中国へ、現場へ行っているんではないかと私は思いますが、これもやっぱりそういう首脳同士が胸襟を開いて話合いしたからこういうことになっているんですよ。  だから、そういう意味では、やっぱり私は余り、それは国会も大事ですよ、だからもう総理、があっとこう国会にくぎ付けせずに、やっぱり外交にしっかり総理に行ってもらうということを是非、それをやれば効果出てくるんですよ。そういう意味では是非、私は、今回の日中首脳会談非常に良かったということと、その結果、中国へ、もう七十二時間過ぎていますから、もう最後の救援というかの時期ですよ、そういう時期に中国はそれではお願いしますということで言うてくれたと。また、福田総理が、それじゃ行かしましょう。もう今行っておると思いますが、命は大切ですので、そういうことも是非これからも率先してやっていただきたいということをお願いをいたしまして、最後に外交に対する福田総理の決意をお伺いして、私の質問を終わります。どうぞよろしくお願いします。
  59. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 外交全般ということであるならば、我が国は資源もない、しかしその貴重な資源を輸入して、そしてそれを高度のものに組み立てて、そして海外に輸出をする、そしてそこで利益を上げて今の国を支えているということを考えると、海外との関係は切っても切れないわけですね。そういう観点から考えても、やはり外交というのはとても大事だと思います。  そしてまた同時に、我が国の持てる力でもって、紛争が起こらないように、そして我が国自身が危機に陥ることのないように常に注意をしながら、ほかの国と平和的な関係を維持し、共に発展することを心掛けていくということが我が国外交の本筋だと思っております。その方向で頑張ってまいりたいと思います。
  60. 谷川秀善

    ○谷川秀善君 どうもありがとうございました。どうぞよろしくお願いをいたします。
  61. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 総理、今日はよろしくお願いします。  総理、本当に強運でいらっしゃいますね。TICADとG8が同じ国で行われるというのは四十年に一回ですから、本当に、四十年前はTICADなかったわけですし、四十年後はG8があるかどうかも分かりませんし、その中の国も変わっているかもしれませんので、四十年に一度のことですので、強運と同時に物すごい使命感も感じておられると思うんですね。  今日は海外援助アフリカ開発環境という三つのテーマに連携した話をさせていただくんですが、まず環境です。  総理がいろいろなところで日本は世界最高の環境技術を持っている、これを活用して我が国の経済を発展させるとともに途上国の経済にも貢献して地球環境にも貢献したいということをおっしゃっています。これ、大賛成です。  例えばそういう技術、我が鳥取県にもありまして、これ乾燥地農法技術というやつです。砂地で農業する技術なんですね。総理はもういらしていただいているかどうか分かりませんけれども、鳥取には日本一大きな砂丘がありまして、これ昔はとんでもない大きさだったんですね。これがどんどん増えていまして、これを砂漠化を防ぐ技術で、砂地で、鳥取県の主要産業は農業ですから、農業をしなきゃいけないということで鳥取大学が開発した技術なんですけれども。  簡単に言いますと、海が砂を運んできますので、この砂の中から塩分を抜いて、塩分が多いと農業に適しませんので、そしてその砂の保水力を高める、もっと簡単に言うとパンパースみたいな技術なんですね。パンパースというのは紙おむつでおしっこが漏れないようにしてあるんですけど、同じようにその砂の中に水分をため込む技術なんです。これで緑化をうまくやりまして、緑化がうまくいき過ぎて砂丘が小さくなって、がっくり名所とか言われていますけど、でもこの技術、結構世界で使えまして、来月私が旗を立てて中東に売りに行くんですけど、中東に売りに行くこと自体が、総理、ちょっとこれ日本環境技術というのは残念な側面があるんですね。  これ何かといいますと、今までメキシコやエジプトに貢献してきたんですけれども、ずっと持ち出しだったんです。日本環境技術優れています、世界最高です。間違いありません。ただ、高過ぎるんですね。高過ぎるんです。売る方も採算が取れて、買う方も採算が取れて初めてその優れた技術が世界に広がっていくんですが、売る方は採算が取れないと売れません。もちろん当然のことです。買う方は高過ぎたらなかなか買えません。  ということで、今どこが一番うまく成功しているかというと、ヨーロッパの環境技術なんですね、聞いてみると。私も環境技術をセールスすることにかかわらせてもらって初めて分かったんですけど、ヨーロッパの環境技術というのは日本の三分の一ぐらいの品質、性能なんですけど、それを十分の一ぐらいの値段で売っていますから、値段としてやっぱり価格競争力がありますし、日本の三分の一の性能でも途上国から見たら十分だみたいな技術なんですね。  それと同時に、そういう欧州は何をやっているかというと、途上国がその技術が入札のときに補助金を出したり、又はその途上国技術を開発して売るような会社に研究開発投資をしたり、又は高過ぎる人件費を何とかするためにそのヨーロッパの環境技術開発企業途上国に拠点を移して途上国の安い人件費の方を雇ってそこでビジネスすることに国が投資をしていまして、そういう投資のお金を海外援助のお金から出しているんです。  つまり、そのプロジェクトごとに技術供与とか円借款とか、いろいろのことをやっているのが今の日本海外に対するODAなんですけど。一つのやり方としては、日本の優れた環境技術をもう少し安く競争力がある形で途上国に売って、使ってもらうために入札に対する補助金ですとか、国内でそういう技術を開発しているところに対してRアンドD投資をしてあげるとか、又はそういう会社がその売り先である途上国に子会社をつくってそこの国の人を雇ってその技術を安く伝播していくときにそういうところに投資していくとか、こういうヨーロッパがやっているような海外援助のお金を使って日本環境技術を更に途上国に伝播していくということはやってもいい、やるべきではないかと思うんですけど、総理、こういうアイデアはいかがですか。
  62. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 日本が幾らいい技術を開発しましても、やっぱりその値段が高きゃ駄目ですよね。やっぱり経済性というものを当然重視しなければいい技術もいい技術ではないんだということになってしまいますんでね。その辺は、十対一といったらこれはもう相当の差がありますから、とても無理な話だろう、現実性がないという話になると思いますけど、しかしそういうふうな技術があるんであれば、それは何らかの方法でそれが経済的に成り立つようなことになるかどうかということは、ODAとかそういうことでない支援の仕組みで考えていくということではないかと私は思っております。  海外にそういう技術支援をするときに政府の方としてどういう仕組みなり取組があるのかといったようなこと、これはないわけではありません。例えばクールアース・パートナーシップとかいうことでもって環境技術をある途上国で使いたいというときにそれを経済的に支援するとかいうようなことは、これは今始めたところでございますので、そういう仕組みに乗っかるかどうかということでケース・バイ・ケースでありますから、ひとつ御相談をいただきたいと思っております。
  63. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 是非御相談に鳥取県の環境技術も乗っていただきたいと思います。  それで、先ほどから与野党を問わず道路財源の一般税源化でODAの拡充をという話が出ているんですが、道路財源もいいですけど、ほかにも結構検討したら面白いなというお金の使い方があると思うんです。  それ一つ僕、外貨準備だと思うんですね。外貨準備をドル建てで持っています。一兆ドルですから大体百兆円ですか、持っていまして、これ去年のリターンが四兆円ですね。四兆円のうち半分を一般会計に入れるということで、一兆八千億今年入ることが決まったそうなんですけど。また、その一部を規模を縮小していかなきゃならないんで、百兆円も持っている国というのは世界中で日本だけでありまして、GDPの二〇%も外貨準備を持っているのは、G7の国というのは大体がGDPの五%から三%ですから、規模自体大き過ぎるわけですし、またリターンが出ている部分の活用方法というのはいろいろあると思うんです。  日経新聞にもこの前出ていましたけど、外貨準備の一部をJBICに貸し出して、ドル建てで借款のお金に使っていこうというアイデアが出ていました。また、ODAとは別に海外援助のお金でOOFというお金があるんですけど、このOOFのお金を五年間で一千億円、一年間で二百億円ずつJBICに投資のお金として出していって、JBICが今中東のある政府系ファンドと一緒に共同出資して共同投資組合みたいなものをつくって、そこが途上国環境技術のために投資をしていこうというようなアイデアをもう今検討されているそうなんですけど。  一つはこの大き過ぎる外貨準備ですね、この活用法の一つとしてこれ海外援助に使ってもいいんじゃないかと思うんですけど、去年のリターンだけで四兆円で、半分だけで一兆八千億ですから、今のODAの一年間の倍のお金があるわけですね。ですから、これちょっと総理に御検討いただきたいと思うんですけど、道路財源ではなくて外貨準備を使うという考え、総理、いかがでしょう。
  64. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) これ私も正しくお答えできませんけれども、幻の埋蔵金に近い話ではないかと私は思います。  千兆円外貨準備があるといって、じゃそれ使えるのかどうかということなんです。そうじゃないようです。これはあっても何かに、債券化か何かするか何かしてそういう仕組みになっているそうでございますので、分かりません。そしてまた同時に、為替の変動に備えなければいけないということがあります。今の状況というのは為替変動が激しくて余裕はないというように聞いております。やっぱりODAとして予算を獲得するというのが本道ではないかと思っております。
  65. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 もうこの話は聞きませんけど、総理、実際、一般会計に今年リターンの部分から半額が入ることになっていまして、一兆八千億というのが本当にキャッシュのお金で入ることになっておりますし、また外貨準備の一部をJBICに貸し出すということは決まったことみたいですので、また是非検討してみて、私が間違っているかもしれませんけど、検討してみていただきたいと思います。  最後に、排出権の話ですね、排出権の話で終わりにしますので、総理、済みません、よろしくお願いします。  排出権の話も、大塚先生がおっしゃいましたけど、私も同じ考えでして、総理、セクター別アプローチというのを今我が国が唱えていまして、これ非常に有効です。といいますのは、排出権取引の市場をつくっても、例えばそこに巨大排出国であります中国やインドやロシアが入ってくれなかったら余り意味がないんですけど、セクター別アプローチをちらつかせたところ、向こうが関心を寄せてきている。セクター別アプローチというのは産業部門ごとに積み上げ方式で努力目標を積み上げていくやり方なんですけど、向こうが、インドや中国やロシアが期待しているのは、それを達成するために技術がもらえるんじゃないかということを期待しているみたいなんですが。  一番大切なのは、CO2の排出を削減する主体ですね、主体が負うコストをいかに主体ごとにフェアに算定していくかということなんですけど、このフェアに算定するのにマーケットメカニズムを使うというのが排出権取引だと思うんです。それと同時に、非常にフェアであると同時に、これ先ほども話に出ていましたけど、やっぱり金融市場の一つの大きな魅力になっていくと思うんですね。それと、もう今EUがやっていますし、EUは今年の一月からその罰則も強化して非常に機能的で本当にうまくワークするような仕組みにしていきましたので、世界から投資も集まっています。アメリカもシカゴがもうすぐ始めるということを発表していますし、あとアジアでやっていないのは日本だけですから、このままずっと何もやらなかったら、排出権の値決めがもう世界共通に広まったときに値決め機能をヨーロッパとアメリカに握られてしまうということになってしまうと思うんです。  それでまた、総理が言われました、CO2を全く出さない技術が開発されたらこの前提がもう成り立たなくなってしまうんじゃないかと、全くそのとおりでして、そのCO2を出さない技術の開発を支援するインセンティブを経済主体に持たせるのが排出権取引だと思うんですね。排出権取引でコストを負いたくなかったら、CO2を出さない技術を一生懸命開発したり、その企業を応援したり、その企業から技術を買ったりすることが経済主体にとってはもっとコストを下げるインセンティブになります、動機付けになりますので、排出権取引市場をつくれば本当にそれがもう将来は機能しなくなるような技術を開発する経済的な動機付けにもなります。  また、市場をつくると、普通の金融市場というのは大体バブルが起こります。これ過剰流動性といって、お金が集まり過ぎて、もうお金がだぶついて法外な値段がマーケットでいろんなものに、チューリップでも金でも石油でも何でもそうですけど、それに付いていくのがバブルということなんですけど、この排出権取引というのはその全体の流動性を、排出権というものの流動性を引き締めて少なくなる方に力を加えていきますから、バブルも起こらない金融市場ができてくるわけですので、総理懸念されていることを中長期的には必ずクリアしていくのが排出権取引市場ではないかと思いますので、是非総理、排出権取引市場の早期創設をG8、TICADで宣言していただけたら世界の目は日本に集まると思うんですけど、総理、いかがでしょうか。
  66. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 今そういうことも含めて検討いたしております。私のところでもって地球温暖化問題に関する懇談会というのがございまして、専門家が集まりましていろいろな議論をしております。  この排出権取引についてもどういう考え方を持ってこの問題に対応しようかということなんでありますけれども、これはやはり一つの政策手段としては有効なものだと思いますよ。ですけれども、これがどういう条件下で有効なのかといったようなことも検討しなければいけないと思います。そういうような検討を経て、市場が必要ならば市場をつくっていくということもあるんだろうというふうに思います。そういうことを、そういう排出権取引の考え方を排除することなく、むしろ積極的にこの問題に対処してまいりたいと思っておるところであります。
  67. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 ありがとうございました。終わります。
  68. 浮島とも子

    浮島とも子君 公明党の浮島とも子です。よろしくお願いいたします。  まず初めに、私の方から緒方理事長に、日本ならではのアフリカ支援についてお伺いをさせていただきたいと思います。  理事長は二月のスーダンとエチオピアの訪問の後に、変わるアフリカの現場の状況アフリカ支援在り方ということについて新聞に投稿されておられました。私はそれを読ませていただいたんですけれども、その記事によりますと、二十一世紀に入りアフリカは様々な課題を抱えながらも着実に前進し成長軌道に乗りつつあり、この成長を持続可能なものとするため人道支援と開発支援の切れ目のない支援が必要であると言われておられております。また、人間安全保障の観点から、国よりも人々の在り方を中心に考えて、人々の能力強化を通じて良い国をつくる、草の根の能力開発を経済成長につなげるという援助手法を主張されているところでございます。  そこで、改めてアフリカの現状と、欧米や中国の援助と比べて日本ならではのアフリカ支援とは何かという理事長のお考えをお伺いさせていただきたいと思います。
  69. 緒方貞子

    参考人緒方貞子君) 私の書きました報告をお読みいただいたようで恐縮でございますが、今アフリカ経済成長、平均が五%ぐらいになっております。今エチオピアなどは一〇%以上になっているんですね。私はエチオピア、九一年のまさに政権が替わって、今の政権がそれこそ戦って勝ち取ったんですが、そのときから見ておりまして、進歩には驚きました。  それはどういうことで出てきたかというと、まずエチオピアの例を取りますと、これは農業が発達してきたんです。それから、道路も、これは日本も随分エチオピアの道路はいたしました。今、中国もアフリカの道路をしているんです。道路が良くなるとどういうことが起こるかというと、バラ園を一つ見たんですが、バラ園から、これは政府がやっているんじゃなくて政府がある程度土地を貸している、アベイラブルにしていると。そこへバラをたくさんの温室の中で作りまして、そして冷房室を別に作って、そこにたくさんの女性などが働いていましたけど、そこでバラをあるサイズに切りまして、そして次の建物でこん包しまして、そして世界的に売っているわけです。その飛行機はドバイそれからアムステルダムと。日本には二〇〇五年には二百五十本のバラがエチオピアから来たそうですが、今五百万来るんですね。それで大変な収入がそういうことから出てくるわけなんです。まあ国内で今問題がないとは申しませんが、いろんな形で農業が進んでくると。  タンザニアにおいても、ここは大変難民はたくさん受け入れた国でして国内の紛争のなかった国ですが、お米、これも農業等々でだんだん上がってきていると。それで、それじゃ問題がないかといえば、貧困ももちろんありますし、それからエイズもあればいろんな問題があるんですが、落ち着いて紛争がない国で着実に農業、農村開発、医療それから教育、だんだんに上がってくると動いてくるんですね。ですから、私ども、今度のTICADは元気なアフリカというようなスローガンも出ているかと思うんですが、そういう面があることはあると。  もちろん一番大きな二つの国、スーダン、コンゴはまだすべてが平和になっているわけじゃないんですが、スーダンの場合、これはソマリアや近所のエチオピア等々たくさんの難民が行った国ですが、中で紛争がございます。ただ、南北の間には一応の平和ができて、南の方の首都だったジュバの方に私は参りましたんですが、これは日本JICA等がそこに船着場を造ったんです。  それで、その船着場にはナイル川を通してたくさんの食料からいろんな建築資材がそこへともかく持ってくることができると。そこに船着場を二年前に造ったのは大変なめったにない早い開発援助の導入だったと思います。私はそこへ参りましたら、世銀の方によくそんなことが早くできたねと褒められたんです。めったに日本が早くやったと言って褒められることは今まで余りなかったんですが、いいところに着目して、その代わりそこで働いている専門家から職員なんかも本当にきつい生活しておりました、テントで暮らしていたんですから。それで、そういう中で船着場を一ついいところに造ったということが開発援助の導入を早めたと。そこからくる南部の方の復興というのは、非常に大変な量の復興があるんですが、進んでいるんです。  ダルフールについてはまだ紛争もございますし、この間外務省からもいらして、それからJICAからも参りましたんですが、何とか紛争を片付けて早く開発援助が入るように、人道のかかわった援助の方は、私はずっと人道援助をしていたんですが、人々の生命を何とか守る、何とか生きていけるようにするというところに早くに、例えば地下水をきちっと掘り上げられるようにできるとか、そういう開発のを何とか工夫して持っていくことによって日本援助というのは、日本は主に開発援助でやってきたんですが、非常にたくさんの人々の生活を向上できる、ひいては開発そして成長につながるというような実証をできることが不可能じゃないということを私痛感いたしまして、非常に心強く思ったんですが、生易しいことではございません。  もちろん安全の管理も必要ですし、現場で働いている職員それから専門家の人たちの御苦労は大変なんですが、どうやったらそれが良くなるかという技術を持っているわけです。そういう技術を非常にたくさんの人々のために効果的に使っていくという工夫、これが日本のできる大きなプラスだと思いますし、このごろは非常にたくさんの国際機関との協力も現場レベルでいたしております。  だから、協力を自分たちもするけどほかの国際機関の人たちやそれからアフリカの人たちとも手を携えてやっていくという、そういうことは可能でございますし、視点をどこに置くかということ。そして、今まで比較的ゆっくりだと、慎重だけど。ゆっくりだけど慎重だというのか、慎重だけどゆっくりなんですか、そういうものから早く入るということ、そういうことの大きさを今回痛感しておりますので、まだアフリカの国々はそういうことが必要な、コンゴにしてもまたスーダンにしても、いろいろございますから、それで、そういうことに対応しながら広くアフリカ向上経済成長に貢献したいと思っております。可能だと思っております。  ありがとうございました。
  70. 浮島とも子

    浮島とも子君 ありがとうございます。  私も当委員会委員としてアフリカに視察に行かせていただきました。本当に様々な問題、課題はありますけれども、将来は本当に大きな希望がある国だと考えておりますので、これからもJICAの皆様で一生懸命頑張っていただきたい、また私も応援をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  また次に、気候変動の問題と人間開発の問題について総理にお伺いをさせていただきたいと思います。  今回の洞爺湖サミットでは、アフリカ開発問題とともに、この気候変動問題も主要議題となりますけれども、両者は切り離せない問題でもございます。UNDPは、二〇〇七―八年度版の人間開発報告書で、気候変動は前例のないほどに人間開発の後退を引き起こすおそれがあり、国際社会気候変動人間の社会にもたらす影響について焦点を当てるべきであるという警告を発しておられます。この報告書では、特に気候変動がもたらす環境影響はまず脆弱な国、貧しい人々にもたらされるとして、例えば干ばつや気温の上昇などによる農業のシステムの崩壊で新たに最大六億人が栄養失調に直面し、サブサハラ・アフリカでは二〇六〇年までに二六%の生産性を喪失するおそれがあると言われております。  気候変動地球温暖化問題について、我が国は、一月にクールアース・パートナーシップ資金メカニズム構築を提唱いたしまして、五年間で百億ドル程度の資金供与を表明しているところでもございますけれども、当委員会決議でも、クールアース・パートナーシップについて、国連関係国と連携をしっかりしつつ積極的に支援を行っていくべきとされているところでございますが、今後このパートナーシップを特にアフリカにおいてどのように展開をされていくのか、総理にお考えを伺いたいと思います。
  71. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 御指摘のとおり、私が今年の一月ダボス会議でもって地球温暖化問題への対応としてクールアース推進構想を申しました。すべての主要排出国が参加する枠組みづくりなどに取り組む決意を示したということでありますけれども、同時にODA及びそれ以外の公的資金、民間資金活用した今お話しの百億ドル規模の資金メカニズムを用いて、これは途上国に対する支援としてクールアース・パートナーシップを構築すると、こういうふうに申し上げました。  これは、アフリカは特に気候変動に最も脆弱な大陸の一つであるというように認識しておりまして、我が国は既にガボンとかセネガル、マダガスカルそれからナイジェリアとの間でクールアース・パートナーシップを推進中でございますが、今月開催されますTICADⅣの機会を生かしまして、今後もアフリカ諸国との間でこのパートナーシップを積極的に推進していきたいと考えておるところです。
  72. 浮島とも子

    浮島とも子君 ありがとうございました。是非とも関係各国としっかりと連携を取り、進めていっていただきたいと思います。  また次に、我が国援助人材育成在り方について緒方理事長にお伺いをさせていただきたいと思います。  先ほど来からお話がございますように、ODA予算が減少が続いていく中で援助の量を増やすだけではなくて私は質が伴わなければならない、伴っていかなければならないと考えているところでございます。そのためには援助の担い手となる人材育成が必要であるとして、当委員会では、先ほどもお話がございました、昨年の提言人間安全保障センター、これ仮称でございますけれども、設置をして総合的で一元的な人材育成体制を整えるべきとさせていただきました。本日の決議でも、援助人材育成に向けた早急な取組必要性ということについても盛り込んでいるところでございますけれども、しかし現在この人材育成JICAやFASIDあるいは政策研究大学院大学など行われているほかに、平和構築に関するものとして外務省より寺子屋構想あるいは防衛省より研究センターの設置が検討されているなどと、ばらばら感がどうしても否めません。  そこで、今後我が国援助人材育成はいかにあるべきか、参院の提言そして決議への評価も含めまして、理事長にお伺いをさせていただきたいと思います。
  73. 緒方貞子

    参考人緒方貞子君) 援助人材育成というのは最も大きな課題であると思っております。  でも、援助人材はいないわけじゃないんですし、一言で申しますと、アフリカの専門の方たち、援助のできる方たちは多くの方々協力隊の出身なんです。それから、アジアにおいてはかなり学者、研究者の方の方たちで専門家の方々がたくさん育っている。それは日本における地域研究とか地域とのいろんな密接なかかわり方の違いから来るのではないかと思いますが、広く援助人材というものについて、一体、外に対する目が非常に開けている時代と、どちらかと申しますと内向きの時代とでは、どこで働こうかということを考える方々の数も層も変わってくるんじゃないかと。  まあこんなこと申し上げていいのか分かりませんが、非常に生活が比較的楽で内向きになっている今の現状から、何とかもっと厳しい状況で、相互依存の世界の中だからそういう人たちを、もっと国々や人々を助けなきゃならないと思うような若い人がどんどん出てくるという状況に今日本がなっているんだかどうか、私には非常に外向きで元気いっぱいで世界中のためにいろんなことがしたいという若い人が育っている時代じゃないんじゃないかというような気が時折いたします。それはやはり日本は楽なんだと思います、生活も生活水準も。  とは申しますけれども、今勉強して援助の方に専門的に行きたいという若い人たちはもちろんおられるんです。例えば大学でもマスターレベルぐらいで国際関係、国際協力、そういうようなものを教えている、またそういうことを研究している大学がずっと増えてまいりました、かつてと比べますと。そういうところを出た方たちがかなり、JICAの今年入ってまいりました三十八人ですか、半分以上がマスター持っている人たちなんです。そういう意味では、非常にそういうことを勉強して入ってくる人々が増えてきていると。だから、そういう人材は育っているんです。  それじゃ、一つセンターをつくれば変わるだろうかということなんですが、励みにはなると思いますが、やはり広く各大学等でこういうことを勉強する人たちが増えてきているという事実、そして何と申しましても現場の体験というものが私は、その現場の体験を踏んで、それからまた研究する、そしてまた現場で行くというような形の、そういうキャリアパスをつくっていくことが大事ではないかというふうに考えております。  大きな問題で、何かをやったらすぐ良くなるというような状況じゃないとは思うんですが、やはりたくさんの工夫を方々でしていただくことではないかと思っております。
  74. 浮島とも子

    浮島とも子君 ありがとうございました。何事においてもそうですけれども人材育成というのはとても大切なことだと思います。今御答弁いただいて、本当にたくさん様々な問題はありますけれども、是非全力で取り組んでいただけるようお願いをし、時間になりましたので、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  75. 近藤正道

    ○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道です。私の質問は短いわけでありまして、端的にお尋ねをしたいと思います。  最初に、総理骨太方針〇六のODA削減条項の見直しについてお尋ねをしたいというふうに思っております。  今日は、出席委員のほぼ全員がODA予算増額を求めているというふうに思っています。総理TICADに集まられるアフリカの元首を失望させないというふうに今ほどおっしゃいましたし、外務大臣ODA予算削減に反転の決意を示されました。しかし、御案内のとおり、〇六の骨太方針、ここで五年間、毎年二%から四%ODA予算削減をするということが今私たちの目の前にありまして、この条項がアフリカ援助を含めてODA予算増額に大変なこれは足かせになっていることは間違いないというふうに思っております。  来年の骨太の話、これは今具体的なことは言えないだろうというふうに思いますが、少なくとも今目の前にある〇六の骨太方針ODA削減、毎年二ないし四%の削減をする、この条項はこれはやっぱり見直していかなければならない、これは総理の口から今の段階でも明確におっしゃっていただけることが私はできるんではないかというふうに思いますが、端的にこの見直しのお気持ちおありかどうか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。
  76. 福田康夫

    内閣総理大臣福田康夫君) 我が国の財政は、御案内のとおり主要先進国の中でもひときわ厳しい状況にある、これはよく御案内のとおりでございまして、これは将来世代に負担を先送りするかどうかと、こういう問題ですからね、これは容易なことじゃないんですよ。そのことは御認識いただいた上で、その上で私どももそれはODAもとても必要だということは分かっております。恐らく私の気持ちは通ずると思うんですけれどもね。  そういうことで頑張りたいと思いますけれども、財政との関係のこの使い方の議論、これはこれから始まりますので、そういう中でODA必要性というものはこれは主張してまいりたいと思っております。
  77. 近藤正道

    ○近藤正道君 外務大臣にお尋ねをいたします。  今日の決議の一番最後のところで、援助透明性確保という項目がございました。それにかかわって、ODAの透明化とかあるいは情報公開の促進についてお尋ねをしたいというふうに思っています。  ODAが本当に現地の人に役立ってもらいたい、喜んでもらいたい、これはみんなが思っているところでありますが、その意味からも評価、チェック、これはやっぱり大変重要なことだろうというふうに思っておりますし、そのためにはODA透明性あるいは公開性、分かりやすさというのが大変大事なことだろうというふうに思っております。しかし、ODAは分かりにくい、透明性が低いという声も依然として強いものがございます。  例えば、どういう援助をしているか具体的に知りたくとも、有償、無償、技術協力というお金の分類、いわゆるスキーム別のデータは公表されるけれども、その枠の中でそれぞれの国にどのようなプロジェクト、事業が具体的に計画され実施されようとしているか、日本がその国で体系的にどう動いているのか、予算段階では分からない。結果的に二年ぐらいして予算の集計が出てきて初めて確認できる仕組みとなっている。それまではだれも実情を把握できず、国会でも議論ができない。当然NGOがプロジェクト決定のプロセスに参画する、その度合いも低くなってしまう。スキーム別のこのやり方、これは国民に対する公開性という点で一種の煙幕になってしまっていると。これは、この間ここの委員会に呼ばれた参考人がそういうことを言っているわけでございます。  そこで、大臣にお尋ねをいたしますが、スキーム別の枠をまず決定するのではなくて、まず国別あるいはプロジェクト別に支出を積み上げて予算要求するという、普通の人に分かるやり方あるいは普通国内でやっている、そういう常識的なプロセスにこれを改めることができないのか、これが一つと。  もう一つは、仮にスキーム別でまずやるとしても、当該国にこういう問題があって、こういう方針に基づいてこういうふうに有償、無償、技術協力、こういうものをこういうふうに組み立てて今やっているんだ、こういう援助をやっているんだと、こういうふうに具体的に分かるようなデータを予算段階でやっぱり示して、この予算段階で具体的に日本の国はどういうことをやっているのかということを分かるような形にしていただきたいと、こういう要望が強く出されるわけでありますが、ODA透明性あるいは情報公開性を高めるという意味で、こういうことはやれないものなんでしょうか。お答えください。
  78. 高村正彦

    ○国務大臣(高村正彦君) ODAの選択と集中を進めODAの一層効果的な実施に努めることは重要であると、こう考えておりまして、このような観点から、外務省におきましては、国際協力の重点方針地域別重点課題を策定して公開しているところでございます。  他方、ODA予算につきましては、日々変化する国際情勢に柔軟に対応し、我が国外交政策の重要な手段としてODAを機動的に活用するためにも、あらかじめ国ごとの援助額や援助の具体的内容を決めていくということは必ずしも適当ではないのではないかと、そういうふうに考えているところでございます。
  79. 近藤正道

    ○近藤正道君 ちょっと私の質問とどこまでかみ合っているのかがよく分からないんですけれども、もう少し分かりやすく、要するにスキーム別で出されてもそれはよく分からない、これはもうNGOでもうかなり専門的にやっている人も、こういう形で出されてもその国で具体的に何をやろうとしているのかがさっぱり分からない、本当に一部の人しか分からない、数年たたないと分からない、これではやっぱり問題なんではないかと。もう少し、この国で具体的に何をしようとしているのかということが分かるように、スキーム別ではないやり方というのは考えられないだろうかということをこの委員会へ来て言っているんですが、どうなんでしょうか。もしあれだったら政府参考人でも結構ですが。
  80. 高村正彦

    ○国務大臣(高村正彦君) 我が国は、被援助国側との協議も踏まえて国別援助計画というのは策定しているわけであります。各国の状況に応じた援助実施しております。プロジェクトの実施に際しては、適切に援助手法を組み合わせるなど最大限に援助効果が発揮できるように努めているところでございます。  他方、ODA実施は、被援助国政治、経済、社会情勢、我が国と被援助国との二国間関係、個々の案件の成熟度等を考慮しつつ決定する必要があります。また、緊急人道支援など援助需要をあらかじめ把握することが困難なものもあるわけであります。  こうした事情を踏まえて、日々変化する国際情勢に柔軟に対応し、我が国外交政策の重要な手段としてODAを機動的に活用するためにも、あらかじめ国ごとの援助額や援助の具体的内容を決めておくことは必ずしも適当でない、できにくいと、こういうことであるということを御理解いただきたいと、こう思います。
  81. 近藤正道

    ○近藤正道君 時間がありませんが、突然ではありますが、緒方参考人、今ほどの話を聞いておられて、スキーム別では分からないと、これは私が言うんではなくてODAにかかわっているNGOの人たちがよくそういうことを言うんですが、緒方参考人ならよくお分かりではないかと思うんですが、ちょっとコメントいただけますか。
  82. 緒方貞子

    参考人緒方貞子君) 御質問に答えられるかどうか分からないんですが、この三つのスキームが今まで別々の組織で実施されていたと。今回、新JICAになりますと、全部じゃないんですけれども、かなりの部分がJICAがこれを実施する責任を負うわけでございますから、実施の過程において把握できる情報は一緒にまとめることが必要なんだろうと思っております。  それがどのぐらい初めからきちっとできるかどうか私も分かりませんが、今おっしゃったような問題は、それぞれの今まで組織、JBICそれから無償はかなり外務省で、技術援助は私どもがやっておりましたのがかなりの部分が新しいJICAの下になりますので、それなりの何というか総合性は付くはずだと思っております。  ただ、援助実施に当たっては、いろんな段階で、計画の段階実施段階とそしてそれが完成する段階で、全部が一貫しているわけじゃないものですから、そのときそのときの予算実施というものが最初の予算と全く同じだということは申し上げられないと思いますが、情報としてはより一貫性が成立するはずだというふうに私は一応理解しておりますので、お役に立つかどうかまでは分かりませんが、取りあえずお答え申し上げます。
  83. 近藤正道

    ○近藤正道君 時間ですのでやめますが、とにかく、参考人がここに来られて、我々NGOあるいはODAのある意味でプロを自任しているNPOが見ても分からない、だから普通の人が見てもほとんど分からないでしょうと、こういうことをおっしゃっているわけです。  私たちは、やっぱりODAというのは大事だと思っているし援助額の増額を強く望んでおりますが、同時にやっぱり透明性とか情報公開を高めないと国民支持は得られないので、是非そういう声があるということを踏まえて透明性確保について更に御努力をしていただきたいと強く要望を申し上げて質問を終わりますが。
  84. 緒方貞子

    参考人緒方貞子君) 一言。  今おっしゃるとおりの問題がございますので、より透明性を高め、そして信頼していただけるODA実施ということを心掛けることはお約束申し上げます。
  85. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。  本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時十七分散会