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2008-05-22 第169回国会 参議院 財政金融委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年五月二十二日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十日     辞任         補欠選任      森 まさこ君     鈴木 政二君  五月二十一日     辞任         補欠選任      鈴木 政二君     森 まさこ君      田中 直紀君     石井 準一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         峰崎 直樹君     理 事                 大久保 勉君                 辻  泰弘君                 円 より子君                 愛知 治郎君                 田村耕太郎君     委 員                 尾立 源幸君                 大塚 耕平君                 川合 孝典君                 川崎  稔君                 富岡由紀夫君                 平田 健二君                 水戸 将史君                 森田  高君                 横峯 良郎君                 石井 準一君                 尾辻 秀久君                 小泉 昭男君                 椎名 一保君                 中山 恭子君                 林  芳正君                 森 まさこ君                 荒木 清寛君                 白浜 一良君                 大門実紀史君        発議者      尾立 源幸君        発議者      大塚 耕平君    委員以外の議員        発議者      直嶋 正行君        発議者      福山 哲郎君    国務大臣        財務大臣     額賀福志郎君    副大臣        財務大臣    遠藤 乙彦君    事務局側        常任委員会専門        員        大嶋 健一君    政府参考人        財務大臣官房審        議官       川北  力君        財務省主計局次        長        木下 康司君        財務省関税局長  青山 幸恭君        国税庁次長    佐々木豊成君        経済産業大臣官        房審議官     鈴木 英夫君    参考人        日本銀行総裁   白川 方明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○電子情報処理組織による税関手続特例等に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○租税特別措置整理及び合理化を推進するため  の適用実態調査及び正当性検証等に関する法  律案(直嶋正行君外八名発議) ○参考人出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく  通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件  )     ─────────────
  2. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告申し上げます。  昨日、田中直紀君が委員辞任され、その補欠として石井準一君が選任されました。     ─────────────
  3. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  電子情報処理組織による税関手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案及び租税特別措置整理及び合理化を推進するための適用実態調査及び正当性検証等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として財務省主計局次長木下康司君外四名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 電子情報処理組織による税関手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 辻泰弘

    辻泰弘君 民主党・新緑風会・国民新日本辻泰弘でございます。  本日は、電子情報処理組織による税関手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして一時間御質問をさせていただきたいと思いますが、若干最初に今次の当面していることについて冒頭お聞きしておきたいと思います。  大きく二点でございますが、まず一つは、先ごろ、五月十九日に政府社会保障国民会議財政試算を公表されまして、基礎年金財源税方式化ということで、消費税率が九・五%から一八%になると、こういった試算を発表されたところでございます。現行が五%で、国庫負担三分の一を二分の一に引き上げるのが一%ということですから、引上げという意味では三・五から一二%と、こういうことを意味するわけでございますけれども、いずれにいたしましても一つ試算が出されたわけでございますが、これについて、税を預かる、また財政を預かるお立場としての財務大臣の御所見御所感をお伺いしたいと思います。
  7. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、辻委員がおっしゃるように、社会保障国民会議分科会において、事務局を中心にしてシミュレーションを行って、税方式化前提としたいろんな試算を行ったということを聞いております。また同時に、現行制度とか社会保険方式についてもいろんな試算を行っているとも聞いておりまして、広範囲議論がなされているというふうに聞いております。  基礎年金全額税方式とすることについては、将来の未納、未加入者の発生を防ぎ、無年金、低年金問題の解決が可能となるというような特徴を持っているというふうにも言われておるわけでございますけれども社会保険方式から税方式にするときに、社会保険方式で長年、年金制度社会保障制度をやってきた国民皆さん方がどういうふうに受け取っていかれるのか、あるいはまた全額税方式にしたときの負担増はどういうふうに受け止めていくのか、これまでの保険料を払ってきた分についてはどういう対応をするのか、様々な議論があると思います。  そういうことについて、しっかりと議論をしていくことによって、よりベターな考え方が示されていくことになると思いますけれども、これは国会の場においても大いに議論をされていく契機になればよいのではないかというふうに思っております。
  8. 辻泰弘

    辻泰弘君 今大臣がおっしゃった中で、無年金、低年金の解消と、こういう言及があったわけですが、やはり私どももそこが一番大きな眼目だと思っておりまして、そういった意味で、これまで年金改革も申し上げてきたところでございます。  そこでもう一点、これに関連して、五月二十日の経済財政諮問会議には、財務大臣資料を提出されて、消費税を含む税制抜本改革について年内に具体的な検討を行うと、こういったことをお示しになったようでございます。そしてまた昨日は、首相と自民党税調会長がお会いになって、月内にも議論を開始しようと、こういったこともあるようでございます。  今後の税制改革に向けての取組の方針について、財務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  9. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、税の問題については、この国会においても様々な議論がなされてきたわけでありますけれども、当面は、この秋の税制抜本改革時に道路特定財源を二十一年度から一般財源化をするということについて議論をするということになっております。  あるいはまた、政府国民の間にお約束をしてきました国民年金国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げていくということもあります。それから、今、国民会議等議論がなされているように、年金だけではなくて医療とか介護とか、そういう社会保障の安定した財源をどういうふうに確保して国民皆さん方安心感を与えていくのか、あるいはまた負担をする若い人たちに希望を持っていただくのか、そういうことについてもこの抜本改革時に大いなる議論を進めていってもらうことがいいのではないかというふうに思っております。  その上で、与党においても、そういう税の論議を従来よりは早めにスタートするというふうに聞いておりますし、政府税調も、そういういろんな、道路財源だとか年金の問題だとか社会保障の問題だとか、あるいはまた景気動向とか、整合性を持った形で議論を進めていくというふうなことを言っておりますし、各分野で議論が進められていくと思っております。  国会の場においても、これはお互いに衆参両院でそれぞれ多数を持っているわけでございますから、建設的に与野党の間でも議論がなされていくことが期待されていると思います。
  10. 辻泰弘

    辻泰弘君 確認ですけれども政府税調審議もやはりかなり前倒しでやられると、こういうことでよろしいですね。
  11. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、政府税調総理諮問機関でありますけれども政府税調も従来よりは早め議論がスタートするのではないかというふうに聞いております。
  12. 辻泰弘

    辻泰弘君 この問題は、また改めて別の場で御議論させていただきたいと思いますけれども、私ども年金制度改革をかねてより主張してまいっておりますけれども、かねての、先般の試算との少し違いといいますのは、私ども最低保障年金を言っていて、高額所得者に対しては給付制限を課すということを言っております。そしてまた、基礎年金拠出金についても、すぐやめるということを申し上げておるわけではございません。基礎年金給付十九兆のうちの十二兆が各制度からの拠出金で実質成り立っているわけですけれども、その分についてすぐやめるという前提には立っていないと、その点が違うということだけ申し上げておきたいと思います。  さて、もう一点は、実は税制のことで、ガソリン価格にもいろいろとかかわりがあったこの推移でございましたけれども税法審議といいますか、国会でのプロセスを経て、今日の状況というものは所与のものとして受け止めざるを得ないわけでございますけれども、ただ、ガソリン価格高騰しているという中で、今日の法制度の中でも何かできることがないかと、このような思いに立つわけでございます。  そこで、まず、ガソリン価格は今一リットル百六十円を超えるような状況になっているわけでございますけれども、これについての財務大臣としての御所見をお伺いしたいと思います。
  13. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) ガソリン価格が、これは世界的に原油価格市場最高値を更新しつつあるということで、世界経済発展に伴う需給が逼迫しているということ、あるいは産油国生産基盤がきちっと整理されてないのではないか、あるいはまた増産基盤がきちっとなってないのではないか、あるいはまた様々な地政学的なリスクがある、そういったことから原油価格が高くなっているというふうに聞いております。また、それが、需給だけではなくて投機的な要因もあるのではないかということを指摘されておりますけれども、我々は、これはよく注意していかなければならないというふうに思っております。  そういうことからガソリン価格も上昇しているというふうに思っておりますけれども、今後どういうふうになっていくかについては今の段階で何とも申し上げようがありませんけれども、今後の動向については注意深く見守っていかなければならない。国内の物価の押し上げ要因にもなるし、あるいは景気にも影響を与えていくということにもなるので、注意深く見守っていきたいというふうに思っております。
  14. 辻泰弘

    辻泰弘君 NACCS法も二十数項目通告しておりましてそちらの方へ行きたいんですけれども、やはり大事な問題なので、ちょっと私の意見も申し上げて確認をしていきたいと思うんですけれども。  このいわゆるガソリンと直結しているわけじゃないんですけれども所得税法上の非課税所得として通勤手当があるわけでございます。それについて、交通機関利用者についての非課税限度額というのは、実は、お手元に配付している資料がございますけれども、現在十万円まで認められていると、こういうことになるわけでございますけれども、片や、ここは自転車等となっておりますけれども自動車の方もそうですけれども、こういった車で通勤される方についての所得税非課税限度額というものが実は交通機関利用者の方と比べて相対的に低位に置かれて推移してきているんじゃないかと、このように思っているところでございまして、まず大臣に、この交通機関利用以外の通勤手当非課税限度額決め方推移は出ておりますけれども決め方ですね、そこをちょっとお示しいただきたいと思います。
  15. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) おっしゃるように、基本的にはサラリーマン、通勤者皆さん方の実際に通勤にどれくらいお金が掛かるのか、あるいはまたマイカーの場合は距離を基準にして測られていく、その上に立って支給実態が決められているのではないかというふうに思っております。  また、所得税法一定額限度として非課税をされているということも承知をしているわけであります。それは先生のおっしゃるとおりでございまして、この限度額というのは、公務員の通勤手当の額を基本としながら、社会通念上妥当と認められる範囲内で設定されるというふうに聞いております。マイカー通勤者などの交通機関利用者以外の方については通勤距離に応じた非課税限度額最高例えば月額二万四千五百円としているということ、それから会社から支給される手当がそれを超える場合には、電車通勤者などの交通機関利用者非課税限度額と同額まで、つまり月額十万円までが非課税となっているというふうに聞いております。
  16. 辻泰弘

    辻泰弘君 これは昭和四十一年から非課税所得ということで認定されてきているわけでございますけれども、認定といいますか法的な背景を持った、それ以前は運用的なことだったと思いますけれども、そのときに、勤務に伴う実費弁償的な性質を有するものであると、こういったことから出発しているわけでございます。そしてまた、昭和四十一年においても、八九%の給与所得者方々通勤手当を受けていると。こういうところから出発して、今は九一・三%、直近の調査ですけれども、九一・三%の給与所得者方々通勤手当を受けていると。  こういった状況がある中で、やっぱりその実費弁償的な意味合いを持っているということでございまして、交通機関利用者の方の場合の十万円の枠というのは私はそれなりのものだと思うわけでございます、新幹線通勤をもカバーしているというところもあるかと思うんですが。しかし、それ以外の自動車を使っての勤務の方というときに、自動車を使わざるを得ないようなそういった地域もあるわけでございますけれども、この限度額がやはり結果として比較的低位に置かれていると。  もちろん、おっしゃったように、実際掛かる場合は、それを超えた場合は交通機関利用者非課税限度額までできるんだよということは、それは理屈として、制度としてはあるんですよ。しかし、現実に企業がどうするかといったら、やはりそこの決められた非課税限度額範囲内だろうと、このように思うわけでございます。それがあるからいいんだということにはならないと、こういうふうに思うわけでございます。  そして、五万円から十万円になったのはちょうど十年前になるわけでございますけれども、これを見ますと、そのときは倍になっているわけですけれども平成十年一月に倍になったんだ、交通機関利用者は倍になっているけれども、それ以外の方々については二万九百円で変わってないわけですね。そして、今もその部分は二万九百円で変わってないわけでございます。すなわち、十年間で交通機関利用者は倍になったけれども、それ以外の方々基本的には変わってないという、こういう状況になるわけでございます。  そしてまた、片や十年前のガソリン価格は、一九九八年一月が九十八円でございました。今は百六十円ということで一・六倍になっていると。こういうことを考えますと、この所得税非課税限度額の、ここで言う表現でいえば自転車等ということになるわけですけれども、そういった方々についてのこの非課税限度額の枠も今日的に見直しがあってしかるべきだと、このように思うんですけれども大臣はいかがお考えでしょうか。
  17. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今おっしゃるように、ガソリンは一・六倍ぐらいの価格になっているんでしょう。その上で、ガソリン価格の水準を踏まえて通勤手当非課税限度額を引き上げるべきだという議員の御指摘でございますけれどもガソリン価格の上昇に伴って最近の民間通勤手当支給額は増えているのかどうか、あるいはまた現行通勤手当非課税限度額でカバーされない者がどの程度いるのか、そういったことをよく見ながら総合的な観点検討すべきではないかというふうに思っております。
  18. 辻泰弘

    辻泰弘君 この点につきましては、昨年の参議院の厚生労働委員会ですか、舛添大臣が、雇用、労働を担っているというお立場での御答弁と思いますけれども、御答弁がありまして、ガソリン価格高騰はいろいろ我が国経済影響を与えております、通勤手当についても同様でございます、ガソリン価格高騰ということがあれば通勤費用動向をきちっと測った上で検討されてしかるべきものだと思います、そういう方向で努力をしたいと、こういうふうにおっしゃっているわけでございまして、私は常識的な話だと思うわけでございます。  今大臣調査してというふうなこともおっしゃいましたけれども調査していただいたらいいと思うんですけれども、これはやはり国民生活になじむ、なじむといいますか、非常に必要な部分だと思いますし、私は個人的に意義があるし、この推移を見ましてもやはり見直しの時期に来ていると思いますので、是非、調査していただいた上で結構でございますから、御検討対応いただきたいと思うんですけど、そのことについての御見解をお示しいただきたいと思います。
  19. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 実態をよく踏まえて考えさせていただきたいというふうに思います。
  20. 辻泰弘

    辻泰弘君 この点につきましての御検討、御対処を求めて、NACCS法案に移らせていただきたいと思います。  そこで、二十数項目通告しておりまして、できるだけやらせていただきたいと思っておりますけれども、まず基本のことになりますけれども、今次法改正が求められる本質的な理由ということでお聞きしたいんでございます。もとより、提案理由説明等で御説明をいただいているわけでございますけれども、やはり事の本質は何なのかということをお聞きしたいと。  すなわち、今回の法案輸出入関連業務一体的処理、すなわち貿易手続IT化という側面が一つ、もう一つ独立行政法人特殊会社化するという経営形態のことと二つがセットになっているわけですけれども、しかし、独法の話はまた別の議論といたしまして、元々の歴史的推移という一つの流れの中でとらえるならば貿易手続IT化、この部分だと思うんですけれども、その部分で今日改正が求められる本質的な理由、このことについて改めてお伺いしたいと思います。
  21. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 辻委員がおっしゃるとおりだと思います。最近は、中国を始めとするアジア諸国と比較しても、我が国港湾というものは相対的に競争力を失うというか、地位低下をしておるわけでございます。輸出入港湾手続に関しまして、こういう状況を打破していくために民間利用者の視点に立って改革をしていこう、つまり従来の縦割り処理をもうちょっと効率化していくために利便性の高い情報システムを構築し、国際物流の更なる効率化港湾空港国際競争力強化観点からこの対応改正していきたいということでございます。  この中身は、税関手続及びこれに関連する民間業務処理するNACCSについて新たな港湾手続等の他の省庁手続を一体的に処理ができるようにするということが一つ、もう一つは、独立行政法人NACCSセンター特殊会社として民営化をし、企業経営による業務運営を更に一層効率化を図っていこうと、こういうねらいでこの法律改正案が出されたというふうに思っております。
  22. 辻泰弘

    辻泰弘君 今回の法案について調べさせていただく中で、一つの大きなポイントは、やはり日本港湾世界的地位低下というものが何ゆえそのような状況に立ち至ったかと、このことがやはり大きなポイントになろうかと思うわけでございます。  財務省提出資料を見ましても、現状について、我が国港湾アジアの主要港と比較して相対的に地位低下しているということを指摘されて、国際競争力強化が必要であると、こういうふうにおっしゃった上で、輸出入等関連情報処理システム改革関係省庁システム一体的運営と、こういった論理立てになっているわけでございます。  そこで、これまでのこれについてのいろんな議論を振り返りますと、例えば安倍総理のころによくおっしゃっていたアジアゲートウェイ構想というのが、平成十九年五月十六日ですからちょうど一年前になるわけでございますけれども、その中ではこういうコメントがございます。  四方を海に囲まれ、陸路ではグローバル市場へアクセスできない日本としては、港湾空港競争力は、産業競争力に直結する。しかしながら、特に港湾は、時間、コスト両面で、アジアの主要港に劣後しているのが現状であると、こういった指摘がございます。また、複雑で非効率とされる我が国貿易手続の在り方について、国際的に通用するものとする必要があると、こういった言い方が指摘されていたわけでございます。  そしてまた、同じくそのアジア・ゲートウェイ戦略会議の、今の構想の直前に出されている貿易手続改革プログラムというのがあるわけでございますけれども、この中におきましても、国際物流においては、迅速で予見可能なリードタイムの実現を求めるメーカーや物流サービス事業者等にとって、各種手続に長い時間を要することは、大きな問題である。貿易手続IT化の推進は、手続迅速化セキュリティー管理適正化など多くのメリットが期待される。利便性の高い、簡素で効率的な、グローバルに通用する情報システムを構築することは、その国の産業競争力を大きく左右する国家的課題である。しかしながら、我が国の場合、各行政当局がそれぞれの事情に合わせて個別にシステム化を進めた結果、多くの課題が残されていると、こういった指摘が一年前になされていて、それに対する答えが今回のことだと、こういうことになるのかもしれませんが、しかし、何ゆえ長きにわたりこういった状況が放置され、結果として我が国港湾世界的な地位というものが相対的に低下してきたかということが大きなポイントだと思うわけでございます。  なぜ遅れたのかと、このことを、先ほど大臣縦割りというような表現もあったわけでございますけれども、そのことについてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  23. 青山幸恭

    政府参考人青山幸恭君) お答え申し上げます。  議員指摘のとおり、我が国港湾相対的地位でございますが、これは低下しているということでございますが、例えばコンテナの扱い量につきまして、一九八〇年でございますと神戸港は世界第四位でございます。それに対しまして、二〇〇六年、神戸港はもちろん番外でございますが、東京港の二十三位が最高となっているというふうな実態でございます。  この要因といたしましては幾つかの複合的な要因考えられると思いますが、第一は、やはりアジア諸国が急激な経済発展を遂げたというのがもちろんでございますが、二番目に、そういう中にあってアジア諸港におきます、例えば洋山港等々のあの上海の港、あるいは釜山の港等々含めてでございますが、コンテナターミナルの整備が急速に進んだということが指摘されておるわけでございます。  さらに、先ほど大臣の方からもお話ございましたように、現在の輸出入港湾の関連の手続につきましては各省庁が個別にシステムを運営しておるということでございまして、ユーザーサイドから見て何回も同じような手続をしなきゃいけないということで、利用者の利便性あるいは効率化の面で必ずしも十分ではなかったのではないかということも私ども一因ではないかと考えているわけでございます。  こういう観点から、今回、一層の利用者の利便性向上、さらには業務運営効率化等を図りまして、国際競争力の強化に資するという観点からシステムの一体的運営、さらには民営化を内容とするような本法案を提出させていただいた、こういう事情でございます。
  24. 辻泰弘

    辻泰弘君 神戸が四位から三十九位までですか、低下したといいますと、兵庫県選出の議員としては何か責任の一端を感じるような気がしているわけでございますけれども。  それはともかくとして、規制改革議論がずっと進められてきたわけでございます。このこともずっとかねてより指摘がございました。平成十三年十二月、ですからもう七年近く前、このときの総合規制改革会議の第一次答申以来、輸出入港湾手続の一体化、簡素化に対して規制緩和の見地から数次の指摘が今日まで繰り返されてきたと、こういった状況にあるわけでございます。  規制というものも経済的規制、社会的規制があって、私は規制改革会議の在り方というものには大いに疑問を呈してきた人間で、とりわけ医療とか、労働、安全、衛生、環境、生命、医療、こういった人間の存在の根幹にかかわるような領域における規制というものが単純な緩和によって幸せにつながるものではないと、こういった立場でむしろ否定的にとらえてまいりましたけれども、社会的規制の緩和についてですね。  しかし、今回のポイントというのはやはり経済的規制に列せられるべきものだと私は思いまして、何ゆえこれほどの指摘を受けながら、またいろんなところからの指摘を受けながらも今日まで抜本的な改革がなされてこなかったかということは、改めて実感し、問題点だと、このように思うわけでございます。  時間もございませんけれども、十三年以降、総合規制改革会議、今は規制改革会議ですね、そこまで数次にわたって指摘されてきているわけですが、それに言われたことをどう取り組んだかということを簡単に御説明いただきたいと思います。
  25. 青山幸恭

    政府参考人青山幸恭君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、平成十三年及び十四年の規制改革推進計画、三か年計画でございますが、我が国国際競争力強化、物流の効率化観点から、輸出入港湾関連手続のワンストップサービス、これシングルウインドー化の推進でございますが、盛り込まれております。  財務省といたしまして、平成十五年七月からでございますが、この通関情報処理システム、NACCSと申します、それから国土交通省所管の港湾関係の情報システム手続システムでございます、これは港湾EDIでございます、これらの関係システムを接続することによりまして、申請者名など特定の情報を一回の画面操作、一回の入力、送信で可能とするシングルウインドーを開始したところでございます。  さはさりながらでございますが、このシングルウインドーでございますけれども手続の様式、さらには申請項目の見直しを行うことなくシステムを接続したということでございまして、依然として入力項目が多く、必ずしも利用者の利便性に配慮したものではなかったとの批判もございました。要はつないだだけではないかという批判でございます。  したがいまして、FAL条約というのがございましたが、国際海上交通簡易化条約の締結、これは平成十七年にお願いしたわけでございますが、十七年の十一月から実施がなされておりますが、この実施に合わせまして、港湾手続に関します各官庁の統一申請様式の採用、さらには申請項目を従来から三分の二カットいたしまして三分の一程度に削減するということをやったわけでございます。  さらに、それにプラスする事情でございますが、アジア諸国の先ほど先生御指摘されましたような我が国港湾地位低下という観点でございますので、昨年春の御指摘ございましたようなアジアゲートウェイ構想におきましては、本年十月にこのNACCS港湾EDIを統合すると、さらに申請画面、さらには入力事項の統一化など機能を充実させた、私どもこれは次世代シングルウインドーと言っておりますが、これを稼働するというふうに決定させていただいたということでございまして、その際、関係省庁のシステムにつきましてもこの一体的な運営を通じまして更なるシステム統合を図っていこうというふうにしたものでございます。  次世代シングルウインドーを利用いたしまして、地方公共団体、これは港湾管理者でございます、さらには民間システムとの接続、さらには私どもねらっておりますのは、国際的なシステム連携ということを考えたいと思っております。こういうことで利用者の利便性の向上ということを図ることにいたしたいというふうに思いまして、今後ともこの輸出入港湾手続の電子化の促進を図ってまいりたい、かように考えております。  以上でございます。
  26. 辻泰弘

    辻泰弘君 今局長からおっしゃっていただいたわけですけれども平成十三年十二月十一日に総合規制改革会議の第一次答申がございました、六年半前でございますけれども。この中で、港湾における輸出入手続等のワンストップサービス化、各システムの連携によるシングルウインドー化の加速化、こういったことが掲げられたのは六年半前だったわけでございまして、それが今も引き続いていると、こういうことになるわけでございます。  そして、直近の規制改革会議は昨年の十二月二十五日に第二次答申を出しているわけですけれども、その中では、過去の制度の延長上で物事をとらえるのではなく、広く国家的な視野に立ち、抜本的な見直しを行い、改革の任に当たるべきだと、こういったことを言っているわけでございまして、この辺については私は、今回のポイントの私は経済的規制だと思うんですけれども、これが何ゆえこれほど遅くなったといいますか、抜本的な改革に時間が掛かったかということはやはり大きな問題点だと思うんですけれども。  大臣、大きくとらえていただいて、このような経済的規制の緩和について時間が掛かってきたということについてどのようにお考えをお持ちか、お伺いしたいと思います。
  27. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 確かにこの改革のテンポが遅きに失したという御指摘は、これは重く受け止めていかなければならないというふうに思います。  これはやっぱり日本の場合は、空港にしても港湾にしても、今世界中がグローバル化して二十四時間経済活動が展開されているわけでありますから、国民意識全体も、やっぱりそういうグローバル化した中で日本の国際経済競争力をどういうふうに高めていくのか、あるいはまたその国民の意識をそういうふうに転換させていかなければならないのか。そういうことについて、まだかつての高度成長時代あるいはまた経済の安定時代の延長線上にあって、意識の転換ができていないというのがあるのではないかというふうに思っております。    〔委員長退席、理事円より子君着席〕  したがって、我々は今構造改革を必ず実行をして、そして国民の意識、それから従来のシステムを改革して効率化を図っていく、あるいはまた成長分野に集中的に投資をしていく、選択と集中を図っていく、そういう中でできるだけ早くこういう構造改革を実行に移していかなければならない。そういう意味で、このNACCSセンターの改革が行われているというふうに理解をしております。
  28. 辻泰弘

    辻泰弘君 大臣は構造改革を必ず実行してと、こうおっしゃったわけですけれども、構造改革には冷たいものも多くございますので、その辺は余り実行していただきたくないこともあるわけでございますけれども、それはそれとして。  今次提示されておりますのは、いわゆる、先ほど御説明もございましたけれども、次世代シングルウインドーということの過程に入っていくと、こういったことになるわけでございますけれども。そもそも、ワンストップサービス化が言われ、シングルウインドー化が言われ、そして今次、次世代シングルウインドー化と、こういうふうに言っていらっしゃるわけですけれども、そもそもその定義が何ぞやということで、私はいろいろ教えていただいて理解はしているんですけれども、そのことを簡単に御説明いただきたいと思います。
  29. 青山幸恭

    政府参考人青山幸恭君) 済みません、幾つも用語がございまして大変恐縮でございます。  ワンストップサービスでございますが、一つの端末からその都度画面操作で接続先を切り替えまして複数の省庁手続を行うことを可能とするというものでございます。これは平成九年の二月の厚労省の輸入食品のシステムの稼働の際に導入したものでございます。要は、一つの端末から一回入れてまた戻ってこなきゃならない、リンクができないという部分でございます。  シングルウインドーでございますが、関係する複数のシステムを相互に接続することによりまして、申請者名等特定の情報に限り、一回の画面操作で、入力、送信で複数の省庁に対して複数の手続を同時に行えるというものでございます。これが平成十五年の七月でございます。  私ども次世代シングルウインドーと申しておりますのは、システムの最適化計画というのがございます、これは平成十七年に作ったものでございますが、利用者コードあるいは申請画面あるいは入力方法の統一化や、各種窓口の一本化を実現するということで、自治体であります港湾管理者等々、さらには民間システムとの接続を行うというものでございます。  さらに、この次世代の意味でございますが、今アジア諸国におきますいわゆるASEANシングルウインドーなり、あるいは韓国あるいは香港等々と、さらにはオーストラリア等もございますけれども、いわゆるシングルウインドーの国際的な流れがございます。こういうことで、この国際的なシステム連携をも視野に置いたようなものとしての次世代シングルウインドーという、こういう概念でございます。
  30. 辻泰弘

    辻泰弘君 ネーミングは自由ですけれども、次世代というのは大げさだと率直に言って思うわけでございます。ネーミングでいえば高齢者医療制度を長寿医療制度へ変えたというのもございましたけれども、自由だといっても何かネーミングがそれに値するのかと、率直に言って大仰な、大げさなネーミングだというふうに思わざるを得ないと思っております。  すなわち、今やっていらっしゃることもそもそも最初からのシングルウインドー化の一環であって、平成十五年七月におけるシングルウインドー化が極めて中途半端なものでしかなかったのをようやく貫徹する状況になってきたと、こういうことでしかないというふうに思うわけでございまして、次世代シングルウインドー化というものが一体何ぞやということになるわけですけれども。  お聞きしますと、次世代シングルウインドー化というのは、現行のシングルウインドー化を更に発展させて、利用者コード、申請画面及び入力方法の統一化を図るものだと、こういうことになっているわけですね、手続部分では。行政サービスの提供の方はまた別といたしまして、かねてよりの手続部分についてはそうなっている。  その利用者コードの統一化というのも、これまでの六省庁でしょうか、それぞれのシステムで違っていた番号を一本化するということを意味していると。申請画面も、国交省のEDIとNACCSで画面が二つあったのを一つにすると、こういうことを意味するわけでございますし、入力方法の統一化というものも、船のコードが違っていたのを一本化するということで、次世代というよりも、何かかなり原始的な部分の統一化といいますか、対応でしかないと。このように思いますと、何か次世代シングルウインドーと言われるのも何かむなしく響くような気がして仕方がないわけでございます。  その点については、役所として、今までのことを認めた上で新たな展開を期すということになるのかもしれませんが、やはり十五年七月のものが中途半端なものであって、次世代シングルウインドー化というのはネーミングからしても大仰で、大げさで、福田総理ではありませんけれども、大げさなものだというふうに思うということを申し上げておきたいと思いますけれども。  そこで、大臣にお伺いしたいと思っておりますのは、実は提案理由説明においては、我が国国際競争力強化、利用者利便の向上ということをおっしゃって、なるがゆえに、電算システムによる輸出入等関連業務を一体的に処理できるように措置すると、こういった提案理由説明であったわけでございます。  顧みて、シングルウインドー化が実現したということをおっしゃっている、平成十五年七月十六日に「輸出入港湾関連手続のシングルウィンドウ化の実現について」という文書があるんですけれども、この中でも、実は、我が国の国際競争力の維持向上を図るということをおっしゃり、かつまた輸出入港湾関連手続利便性が大幅に向上すると、こういうことをおっしゃった上で、一回の入力、送信で関係府省に対する必要な輸出入港湾関連手続を行うことが可能となると、こうおっしゃっているわけでございます。  このことは、実は大臣が提案理由説明でおっしゃっていることとほぼ同じことをおっしゃっているように思われてならないわけでございます。内容は違うと言ったらあれですけれども、字面を見れば、十五年七月の、これは関係省庁の文書でございますけれども、それと提案理由説明大臣がおっしゃったこと、これは大臣がというか事務局が作成された文になっているんでしょうけれども、しかし、それがほぼ相似形であるといいますか、それは非常に情けないことだと思うわけでございます。この間五年近くが経過していると、こういうことになるわけでございまして、この点はやはり遅れを端的に示していると思うんですけれども、改めてこの点について、御所見いかがでしょうか。
  31. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 財務省としても、今おっしゃるように、十五年の七月から通関情報処理システムと国土交通省所管の港湾関係手続システム、港湾EDI等の関係システムを接続することによって、その申請者名など特定の情報を一回の画面操作、一回の入力、送信で可能とするシングルウインドーを開始したわけですね。その上に立って、今日まで手続の様式、申請項目の見直しを行うことなくシステムを接続したものでありますから、依然として入力項目が多く、必ずしも利用者の利便性に配慮したものではなかったという批判もあったことは事実なんであります。  そういうことから、FAL条約の締結に合わせて各官庁統一申請様式の採用や、申請項目の三分の一程度に削減するなど大幅な合理化を図ってきたということであります。  今後も、システム改善のために全力を投球しまして、国際競争力強化のために一層利便性の高い情報システムを構築していきたいというふうに思っているわけであります。だから、おっしゃるように、関係省庁の一元化を通じて更なるシステムの統合化を図っていきたいと思っております。
  32. 辻泰弘

    辻泰弘君 局長にちょっとお伺いしたいと思いますけれども、やっぱりこれまで時間が掛かったといいますか、そのことについて改めてどういう問題点があったのか。反省点といいますか、そういったことも含めて、ちょっと御専門のお立場から御見解を教えていただきたいと思います。
  33. 青山幸恭

    政府参考人青山幸恭君) 確かに時間が掛かったじゃないかというのは確かに御指摘のとおりでございます。したがって、先ほどちょっと申し上げましたように、単につないだだけじゃないかという御批判が内外から強かったものですから、政府部内におきましても関係省庁の政務官レベルで、この輸出入港湾関連手続手続自体を簡素化しないと単につないだだけになってしまうという、その問題がまさに大きいわけでございまして、そこからまず問題をスタートさせたということでございます。  今回のこの法案の内容二つございますが、先生御指摘のとおり、まずシステムをインテグレートする、統合するというところにつきましては、これはある意味で私ども画期的だと思っておるわけでございます。これは、例えば香港なりあるいは釜山とかあるいはシンガポール、それぞれでいろいろやっている。彼らのいろいろシステム自体は、日本が一番先に進んでいたのを、大体同じようなものをつくって更にまた進んだという状況でございます。したがいまして、この際全体としてのシステムを、省庁間での統合管理あるいは統合運営を図りつつ、今後全体として外国ともちゃんとつなぐというふうなことを目指してやっていきたいと、こういう過程でございまして、私どもそういう反省の上に立ってこういう法律をお願いしているという次第でございます。
  34. 辻泰弘

    辻泰弘君 おっしゃった経緯でございますけれども、やはり私は、平成十五年七月にはシングルウインドー化と言われて省庁間でやった、これは法改正が要らなかったわけですね。しかし、今回はやはり法改正を伴ってやろうと、こういうことになるわけですね、各組織を一体とするのが必要だということで。何ゆえ十五年七月の段階で法改正のことまでできなかったのかと、そこに突き当たるわけなんですね。  局長には悪いけれども、その辺についてどうお考えですか。
  35. 青山幸恭

    政府参考人青山幸恭君) 確かに委員指摘のとおり、何ゆえかといいますとなかなか、省庁間のいろいろなシステムの問題もございますが、一点指摘させていただきたいのは、やはりそれぞれのシステム、生身のシステムが動いているというのがまず一つございます。それからもう一つは、実はNACCSセンター自体、いわゆる行革の過程で認可法人から独立行政法人にしたと、独立行政法人になってすぐだったという、そういう経緯もございまして、全体としてやはりそれぞれの省庁でつないでいこう、まずはそれから始めようという、そういう問題があったのではないかなというふうに私どもでは考えているわけでございます。
  36. 辻泰弘

    辻泰弘君 それで、改めてお聞きしておきたいんですけれども、今回の法改正によってリードタイムがどれほど改善するのか、国際的に果たして本当に通用することになるのかということについて御見解をお示しいただきたい。またそれから、今後のリードタイム短縮に向けての改善すべき方針、このことについても併せてお伺いしたいと思います。
  37. 青山幸恭

    政府参考人青山幸恭君) 私どもでは、平成三年から定期的に輸入手続の所要時間調査というのを行っております。私ども、この海上貨物に係ります電算化も、これは導入しましたのは平成三年でございますが、この第一回調査におきましては、船が入ってから、入港から輸入許可までが百六十八・二時間ということで七日間掛かってございました。平成十八年三月に行われました調査におきましては、全貨物におきましては六十三・八時間ということで二・七日、コンテナでは五十一時間ということで二・一日となっておりまして、大幅な短縮が実現されているわけでございます。  今回のこのシステム統合を通じて更にこれが加速されるというふうに思っておりまして、平成十八年の七月の経済成長戦略大綱に示されております、平成二十二年度までにスーパー中枢港に関してリードタイムを一日程度に短縮するとの目標に資するというふうに私ども考えてございます。  じゃ、外国との比較ということでございますが、昨年十一月の世界銀行の調査結果でございますけれども、アメリカが三・九日、それからドイツが二・四日、それから韓国が二・七、香港が二・四、シンガポールが二・二というふうになってございます。ここら辺を見る限りにおきまして、我が国は二・七でございますから、さらに今回のこの効果を見ますと更にもう少し進んでくるなというふうに思っておりますが、いずれにしましても、我が国リードタイムでございますが、国際的に見てそう遜色のない状況となるのではないかなというふうに期待しております。
  38. 辻泰弘

    辻泰弘君 それで、直近の規制改革会議がさきの三月二十五日に規制改革推進三か年計画、閣議決定でございますけれども、それに向けて規制改革会議指摘をしてきたわけですけれども、この三か年計画で閣議決定されている方針が幾つかあるわけでございます。次世代シングルウインドーの業務プロセス改善、継続的見直しといったこともございますし、利用促進のための講習会の開催、経済産業省のJETRASとの統合、あるいはASEANシングルウインドーとの連携、港湾管理者ごとに異なる港湾関連手続の様式の統一化、簡素化、あるいは完全電子化への検討と、こういったことを言っているわけですけれども。  時間もございませんので詳しくお聞きすることはできませんけれども、これらの規制改革会議からの指摘事項を受けた三月二十五日の規制改革推進三か年計画、閣議決定でございますけれども、これにどのように取り組んでいかれるのか、総括的で結構ですので、お答えください。
  39. 青山幸恭

    政府参考人青山幸恭君) 総括的に申し上げますと、説明会等につきましては、例えば船舶代理店等六百五十社を対象といたしまして全国十六か所で二十二回実施するとかいうことをやっております。  あとさらに、いろんなNACCSとさらにJETRASというのがございます、経産省の貿易管理用システムでございますが、これを統合しようということでございます。  また、外国との接続ということでASEANシングルウインドー等をお話し申し上げましたが、ASEANのみならず、それ以外の韓国あるいはニュージーランド、オーストラリア等と連携のための検討を開始しているというところでございます。  また、国交省におきましては、港湾管理者の手続につきましては、統一のモデル様式を作成しておるわけでございまして、これは平成二十一年度を目途に次世代シングルウインドーへ追加しようということでございます。  以上でございます。
  40. 辻泰弘

    辻泰弘君 これまでの取組は、先ほどお話しございましたように、まずワンストップサービス化があって、そしてシングルウインドー化があって、次世代シングルウインドー化があってと、ここまで来ているわけですけれども、その先はすべてのシステムの統合と、一元化といいますか、そういったことで一本化ということになろうかと思うんです。  そのことについては、昨年の十二月十三日の関税・外国為替等審議会答申の中でも言われておりまして、平成二十年十月に予定しているNACCS港湾EDIとの統合に加え、その他の関係省庁輸出入等関連情報システムの一元管理を通して更なるシステムの統合を図っていく必要があると、こういった方針が出されているわけですけれども、このことに向けてのお取り組みの方針をお伺いしたいと思います。
  41. 青山幸恭

    政府参考人青山幸恭君) 今申し上げましたとおり、それぞれの省庁のシステムが今走っておりますが、これらにつきまして、今、経産省のシステムをまず統合運用するということでございますが、順次、各それぞれのシステムがシステム更改の都度、この全体のシステムの中でシステムの統合的な形でのシステム構築を図っていきたいという、こういう方向で考えておるわけでございます。
  42. 辻泰弘

    辻泰弘君 大臣に総括的にお伺いしたいと思うんですけれども、今回の貿易手続IT化、また輸出入関連業務の一体化といった対応でございますけれども、今回の法案を通じての対処によって国際的に見ても遜色のない状態ができる、港湾相対的地位低下というものから脱却できる、こういった体制をつくることができると、このように判断されるかどうか、お伺いしたいと思います。
  43. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) やっぱり、アジア経済が勃興しているわけでありますから、我が国もこのアジア経済の勢いを活用して我が国経済のレベルを引き上げていくことが大事であるというふうに思っております。  そういう意味では、空港港湾競争力を向上させることは不可欠の条件であるというふうに思っておりますので、これを機会に大いなる進展が進んでいくことを期待したいというふうに思っております。
  44. 辻泰弘

    辻泰弘君 今回の法案は、最初に申し上げましたように、経営形態の、法人形態の見直しと、こういったことも大きなポイント、半分のポイントになるわけでございます。すなわち、独立行政法人でございました通関情報処理センターを特殊会社として民営化すると、ここに一つポイントがあるわけでございます。  そこで、簡潔にお伺いしたいと思うんですけれども、運営主体の形態変更の必要性ですね、特殊会社のメリット、このことについて簡潔に御説明いただきたいと思います。
  45. 青山幸恭

    政府参考人青山幸恭君) お答え申します。  一言で言いますと、特殊会社化しまして企業経営によります業務運営の更なる効率化が期待できるということと併せまして、アジアを始めといたします諸外国の通関ネットワークシステムとの連携等、新規の業務展開によります民間利用者利便性の向上が期待できるということでございます。
  46. 辻泰弘

    辻泰弘君 この独立行政法人整理合理化計画は平成十九年十二月二十四日に閣議決定をされておるわけでございまして、それに基づいて今回の独法特殊会社化ということも進められているわけでございますけれども。  そのときに、関連してお伺いしたいんですけれども指摘事項がございました、といいますか、閣議決定の中で言われていることですね。すなわち、独立行政法人について、国民にとって真に不可欠な事務事業以外は廃止すべきであると、独立行政法人が行うこととされる事務事業についても規模の適正化効率化等を推進すると、こういったことがうたわれているわけでございます。    〔理事円より子君退席、委員長着席〕  そしてまた、国から独立行政法人への財政支出という項目がございまして、この中では、国から独立行政法人への財政支出は三・五兆円、平成十九年度当初予算ベースであるが、中期的には国への財政依存度を下げることを目指すと、こういったことがうたわれておるわけでございます。  しかしながら、今回の通関情報処理センターそのものではございませんけれども、その他の独立行政法人に対して、平成二十年度の予算におきましても出資金という形で、これまでの継続という部分もあるかもしれませんが、しかしやっぱり二十年度で新たに予算措置をしていると。しかも、建設国債を発行して、四条公債を発行して出資金を支出するという形の予算措置をしているという独立行政法人が六つあるわけでございますね。このことの論理性といいますか整合性が私はないんじゃないかと、このように思うんですけれども、そのことの、新たなといいますか、平成二十年度予算における独立行政法人への新たな出資の対象機関数と額、その意義を簡潔に御説明ください。
  47. 木下康司

    政府参考人木下康司君) お答えをさせていただきます。  平成二十年度予算におきましては、必要なサービスを確保しつつ、無駄を徹底して排除するという観点から、独立行政法人向け財政支出については出資を含めて徹底的な見直しを行ったところでございます。  それで、独立行政法人に対する出資といたしましては、例えば途上国に対して低利、長期の円借款を供与するため、国際協力機構、いわゆるJICAに千四百九十五億円、それから、低所得者居住者に係る家賃負担を抑制するなどのために都市再生機構に五百二十一億円など、合計六法人について合計約二千九百億円を一般会計予算に計上しております。ただ、いずれもこれは特定の業務を実施するために必要な財産的基礎を整備するためのものでございまして、いたずらに法人組織の拡大を招くといったようなものではないと考えております。  いずれにしましても、今後とも御指摘独法向けの財政支出につきましては不断の見直しに取り組んでまいりたいと考えております。
  48. 辻泰弘

    辻泰弘君 いわゆる四条公債で財源調達している公債発行対象経費ということになるわけですけれども、建設国債の場合は、一応論理的には六十年で耐用が来る建築物とかそういったものを造るものに使うということになっているわけですが、この出資金は昔特殊法人等にも行っていたわけですけれども、結局、行った金が投資的経費に使われるかどうかというのは必ずしも分からないわけですね。回収できるのかどうか分からないと、こういったことで、経常経費にも使われると、こういったことが現実にあるわけですね。  しかし、元々は四条公債で六十年で償還、耐用年数が来るという発想に基づく借金で提供しているということでございまして、私は、独立行政法人整理合理化計画での指摘が、あるいは閣議決定がある中で、新たに二十年度においても、今おっしゃったような二千九百億の出資金を新たに出しているということについては、やはり一つ大きな問題だということを指摘をしておきたいと思っております。  それと関連して、かねがね私申し上げているんですけれども、今のことで、前もこの委員会でも申し上げたと思いますけれども、いわゆる四条公債、四条公債の四条公債たるゆえんは財政法四条に規定されることであると。すなわち、ただし書において、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で公債を発行し又は借入金をなすことができると、こういったことから四条公債と言われ、特例法をもってする特例公債、赤字国債と区分けしてきたと。俗称としては赤字国債があり、建設国債がありと、こういうことだったと思うわけでございます。  しかし、私これ実は昔から思っていることなんですけれども財政法第二十八条等による平成二十年度予算参考書類、これは昔からそうなんですけれども財政法の二十八条に基づく資料があるわけですが、これはがっちりした資料で私は評価していますけれども、この中の表記が、建設国債と特例国債という区分けになっているんですね。これはずっと歴史的にそうなんです。注においては、建設国債とは、財政法第四条第一項ただし書の規定による国債及びその国債を借り換えるための国債と、こういうことになっていて、説明があるんですけれども、しかし私は、この並列がいかにもなじまないといいますか、公的な国の文書、財務省の、誇り高き財務省の文書といいますか、資料の中に、特例国債と対峙して建設国債となっているのは、私はやっぱり非常に論理性が欠けていると思うわけでございますし、今までずっとやってきたから続けるんだということでなくて、やはり筋のある合理的な、論理的な対処として、以後、特例公債に併置した建設国債の部分は四条公債とすべきだと、このように思いますけれども、いかがですか。
  49. 木下康司

    政府参考人木下康司君) お答えいたします。  財政法四条一項ただし書の規定に基づいて発行される公債につきましては、通称として建設国債あるいは議員おっしゃる四条公債という言葉が用いられておりまして、いろいろな言葉が用いられているというのは確かにそうなんです。  ただ、このうち建設国債につきましては、政府作成資料だけでなくて、民間の出版物においても多く使用されている表現であり、分かりやすさという観点から御指摘の調書においては我々も建設国債と表記しているわけでございます。  いろいろな御意見あると思いますが、委員に御質問いただきましたので、この際いろいろ調べてみますと、民間の辞書類でも、様々でございますが、やはり建設国債というふうに書いてあるようなものも多いわけでございます。そういう意味で、分かりやすさの観点から、そう表記しているということを何とぞ御理解いただければというふうに思います。
  50. 辻泰弘

    辻泰弘君 いや、分かりやすさとおっしゃるならこだわりますけれども、この資料、この間この委員会でも言いましたように、道路整備費財源特例法の二・五兆円の一般会計の債務の承継となった、あのときは極めて分かりにくい資料なんです、これ実はね。その分かりにくい資料の中で分かりやすさというのは非常に論理的にどう考えているのかと言いたくなるんですね。もしそうだとすれば、特例国債の部分を赤字国債とすべきですよ。だから、その部分というのは、やはり私は論理的におかしいと思っていますから、やはり私は是正があってしかるべきだと思います。大臣、ちょっとどうですか。
  51. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今話を聞いていまして、よく通称、これ辞書なんかにも建設国債とか、一般的に我々も建設国債、建設国債と言っておりますので、ある意味では耳に親しまれている言葉であるというふうに思っております。  その意味では、国民皆さん方にも分かりやすい資料になっているのではないかと思っておりますが、議員指摘も踏まえまして、今後よく検討していきたいと思います。
  52. 辻泰弘

    辻泰弘君 申し訳ないですけれども財政法二十八条資料は極めて分かりにくい資料でございますので、その中に分かりやすさを追求するというのは余り私は、何といいますか、なじまないものじゃないか、もちろん分かりやすくあるべきなんですけれども、むしろ論理性をしっかり追求すると、それにプラスしての分かりやすい資料はあるかもしれませんが、財政法二十八条資料政府としての論理性なり合理性なりそれの追求であるべきだと、このように思っているということを御指摘申し上げておきたいと思います。  残余の時間三分程度ですけれどもNACCSに戻りまして、今後の形態が特殊会社になるわけですけれども、その中において、情報公開また入札、調達、天下り、こういったポイントがあるんです、それぞれ独立行政法人整理合理化計画に出ていますけれども。そのことについてどのような方針で取り組まれるのか、そのことをお伺いしたいと思います。
  53. 青山幸恭

    政府参考人青山幸恭君) お答え申し上げます。  まず情報公開でございますが、新会社輸出入手続等に関連いたしました公共性の高いサービスを提供するということでございますので、定款におきまして、会社が保有する情報公開するための仕組みを整備して、現在と同等の情報公開の水準を維持することは必要であると考えておるわけでございます。  二番目の調達方法のお話でございますが、株式会社という側面でいいますと、機動的かつ効率的な調達という面もあるわけでございますが、さはさりながら、やはり公益性の高い事業を行う企業としての手続の透明性というものが必要になっておるわけでございます。  この観点から、新会社の定款等におきまして決められるものでございますけれども基本的には一般競争入札によるなど、現行程度の調達手続の透明性を確保していくことが適当であるというふうに考えてございます。  また、天下り問題の議論でございますが、新会社の取締役につきましては、法案成立後に設置されます設立委員会を経まして、新会社の創立総会におきまして決定されるというふうに承知しているわけでございます。官民を問わず、新会社にふさわしい人材が登用されることを期待しているところでございます。
  54. 辻泰弘

    辻泰弘君 あと、料金政策だとか利益剰余金の利用者への活用の問題とか、職員構成、採用の問題等々、質問通告もしておったのでございますけれども、時間が参りましたのでそろそろ終わらなければならないんですけれども、やはり今回、私御指摘申し上げましたとおり、つくづくと感じますことは、グローバル経済化の潮流の中で、経済的規制の緩和という何年も前から日本に求められていた改革が、日本の官僚機構の下では速やかに着手されず、すぐに答えが出せないということを今回の法案考える過程で改めて実感したところでございます。  このような見地からも、やはり政治のリーダーシップが必要である、政治主導の政策運営の必要性が改めて痛感される、そのことを御指摘申し上げ、私ども民主党としてもその実現に全力で取り組んでいきたい、そしていろいろありますけれども、本法案自体には賛成するということを表明いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  55. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  今回の法案は半分賛成、半分反対と、差引き反対ということで質問させていただきますけれども、今回の法案のシステムの合理化は私は結構なことだというふうに思いますが、ただ、今日は余り議論ありませんでしたが、衆議院の議論を聞いていても、この民営化の方なんですけれども、幾ら答弁を聞いても、元々財務省もこのNACCSセンター、通関情報センターですか、これの民営化はそぐわないということで反対されていたわけでございます。それを今回わざわざなぜ民営化するのか、何度聞いても意味がよく分からないと思います。  私はすべて民営化に反対しているわけではございません。よく仕分をして、民間会社になったって企業の社会的責任はあるわけです。しかし、直接的な公的役割のあるもの、これはよく吟味をしなければいけないと思いますし、本当に要するに民営化した方が国民のためになるというものを選んで民営化すべきだというふうにかねがね思っているところでございます。  特に、この十年といいますか、特に小泉構造改革の数年のときに、よく分かりませんけれども、とにかく小さな政府、何でも官から民と、民営化することがとにかくもう、民営化信奉といいますか、崇拝といいますか、民営化原理主義みたいなことがずっと続いてきて、もうよく分からないまま何でもかんでも民営化すればいいんだというふうなことが続いてきているわけですけれども。  しかし最近は、そういうこともどうなのかと逆になってきているんですよね。何でも官から民というのがいいのかと。特に、この官から民とか小さな政府というのは、もうイギリスでは二十年ぐらい前に盛んに、しかし日本ほどひどくはやっていませんが、盛んにやったことを何か二十年遅れでこの数年、もう猫もしゃくしも民営化と、みんないいことだ、いいことだと言ってやってきたというふうな流れで来ているだけで、何かよく吟味もされずにいろんなことが進んでいるんじゃないかなというふうに非常に思うわけでございます。  先ほど申し上げました直接的な公的役割のあるものまで無理に民営化しようとすると、郵政民営化のときにさんざん大議論になりましたけれども、要するに公的な役割と民間になった収益性というのは基本的に矛盾をします。矛盾をしながらとにかく船出させちゃうわけですね。それは後でバランスを取って考えるということでいろんなことがやられてきましたけれども、私はそういう流れがもう今変わりつつあるのに、いまだこういうものが出てきているというふうに思うわけです。  そこで、大臣に、この法案そのものに入る前に、この数年まだ続いているかも分かりませんが、この何でもかんでも民営化という風潮、これについて大臣はいかがお考えか、まずお聞きしたいと思います。
  56. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、やっぱり戦後六十年たっていろいろ変わってきたのは、一つは高度情報化時代であるということ。それから、世界的な競争の中で日本が生き残っていかなければならないということ。そういうことから、経済の分野においても効率化合理化を図っていかなければならない、競争力を生んでいかなければならない。過去の延長線上でこの新しい国際社会の中で生き残っていくことができるのかどうか。そこはやっぱり改革、構造改革をしていかなければならないというのは、国民の大多数の共通の認識ではないかというふうに思っております。  それはまず、役所の在り方自体が問題であります。縦割り行政の非効率化、それから状況の変化に柔軟性を持たない、弾力性を持たないということ、そういったことをやっぱり考えていく必要があるし、あるいはまた、民間でできるものは民間にやらせた方が能率がいいことも確かであります。それから、日本全体の国と地方の役割分担はこれでいいのかということも考えていかなければならない。  そういったことを踏まえて、全体的にはやっぱりスリム化をしていく、そして民間の活力を生み出していく。そういう中で、政府あるいは地方自治体がやるべき役割分担というものを明確にしておく必要もあると、そういうことが今問われていることだと思っております。
  57. 大門実紀史

    大門実紀史君 いろいろおっしゃいましたけれども、要するに、民営化した方が効率的という言葉も非常に、よく吟味もされず、何か軽い、みんながそう言うからただ効率化という言葉を使うだけで、よく吟味もされずにずっと使ってきて、国民は求めているとおっしゃいますけれども、今まで民営化された部分で、相当、何だこれはというのが国も地方も含めて起きていて、もうそういう時代がちょっと変わりつつあるという認識を大臣持っていただきたいなと思いますし、もちろん一部公務員の不祥事がありましたから、ああいうものはすぐ改善しなきゃいけないと思いますが、しかし、公務員全体としては非常にハードに、財務省の皆さんもそうですよね、ハードに頑張っておられます。これ以上どう効率化しろというのかというぐらい頑張っている部署もあるわけですよね。ところが、何となく効率化民間の方が効率化されるだろうということで進んできたというふうに思います。  一言、先ほども規制改革会議の話がありましたので申し上げますと、そういう時流に乗って官がやってきたことを民間で払い下げてもらって大もうけした企業も、国会でも私たち指摘しましたけれども、宮内さんのオリックスとか、グッドウィル、コムスンですね、事件起こした、そういう問題も起きているということも忘れちゃいけないなと思います。  申し上げたいことは、そういうこの数年続いてきた特殊法人改革も含めた官から民というのが今ターニングポイントに来ている、なりつつあると。もちろん、与党の中はまだいろいろあるかも分かりませんけれども国民の意識からいくと、もう何でも民営化というのは本当にいいんだろうかということが、我が党だけではなくて、最近はマスコミも有識者の方も指摘するようになってきていると。そういうところに入ってきているのに、にもかかわらず、何か今回の法案はもう小泉改革の呪縛といいますか、そういうものを引きずって、やらなきゃいけないから仕方ないからやるんだみたいな、ちょっと時期外れの法案じゃないかと私は思っているところでございます。  じゃ、ちょっと具体的にお聞きいたしますけれども青山局長で結構ですけれども、この通関情報センター、民営化して具体的に一体何が良くなるんですか。
  58. 青山幸恭

    政府参考人青山幸恭君) 今回の特殊会社化、民営化ということでございますが、これによりまして、いわゆる企業経営によります業務運営の更なる効率化と併せまして、新しい、新規の業務展開によります民間利用者利便性、具体的には諸外国との通関ネットワークシステムの連携ということでございます。  いずれにいたしましても、申し上げたいのは、特殊会社化し、株式会社経営形態を取ることによりまして、民間の創意工夫を最大限活用していきたいということでございまして、なおかつ、今現在のこの独立行政法人通関情報処理センターにつきましては、出資金九千万円のうち三千万円が民間から既に出資がございます。そういう事情もございまして、しかもシステム自体、これ自体が昭和五十三年からスタートしている、空はですね、システムでございますけれども、官と民が一緒になってつくったというふうなシステムでございますので、そういう意味からしまして、私どもはこの際、特殊会社化するというふうな議論考えたいというふうに思っているわけでございます。
  59. 大門実紀史

    大門実紀史君 いや、だから、今も官民共同システムでやっていらっしゃるわけでしょう。しかも、情報処理業務というのはもう結構効率的にならざるを得なくてやっている部分ですよね。だから、これ以上何で特殊会社、いずれは完全民営化としていかなければ効率性とか利便性が良くならないのかと、それを聞いているんですけれども
  60. 青山幸恭

    政府参考人青山幸恭君) お答え申し上げます。  今の独立行政法人のままでありますと、一つにはやはりいろいろな中期計画等々ということでございまして、いろいろな制約の部分というのは出てまいっております。人件費の問題もしかりでございますけれども、そういう点を含めて、新たな視点で、かつ、関係省庁省庁のこれ共管になります。もう一つは、先ほど申し上げましたように、外国との関係等々含めて、アジアをにらんで考えていく場合におきましてはやはりこういう姿が望ましいのではないかなということでお願いしているわけでございます。
  61. 大門実紀史

    大門実紀史君 いや、外国との関係といったって、アメリカやほかのところは国がやっているじゃないですか。何で日本だけ急いでやらなきゃいけないのかと、急いでといいますか、やらなきゃいけないのかということなんですけれども。  もう少し具体的に聞きたいんですけれども、要するに、いろいろそうした方が効率化されるというならば、今何か非効率部分があるんですか。今のままでは利便性が向上できていないんですか。何を指摘して民営化した方がいいという、具体的なことを聞きたいんですけれども
  62. 青山幸恭

    政府参考人青山幸恭君) 具体的に申し上げれば、今の業務の範囲等につきましては、ある意味で私ども税関手続だけに限っているという部分でございます。これを、先ほど来御議論いただいておりますようなシングルウインドー等を、これを本格的にやる場合におきましてはやはりこの制度改正が必要だという、そのシステム全体をどういうふうに見るかという議論と、それを運営する主体をどうするかという議論がございます。そうすると、やはり今の独立行政法人の通関情報処理センターのままでは、これは立ち行かないという議論がございます。
  63. 大門実紀史

    大門実紀史君 それは特殊法人の枠がはめられているから新規業務が展開できないとか、民間の分野の仕事がこれ以上できないというようなことでおっしゃっているわけですか。
  64. 青山幸恭

    政府参考人青山幸恭君) 御指摘のとおりでございます。
  65. 大門実紀史

    大門実紀史君 その点では私は問題が二つあると思うんですよね。  一つは、その特殊法人に、とにかく小泉さんのときに仕事は増やすな、新しいことやるな、とにかく縮小しろと。この枠がはまっている限り、それはそうですよね、ニーズにこたえられませんよね。枠を外せばいいんですよ。枠を外して、独立行政法人として新規事業がやれるようにすればいいんですよ、一つはね。もう一つは、純粋に民間部分が増えるんだったら、その部分民営化すればいいんですよ、何もかも民営化しないで。どうしてこういう考え方が取れないんですか。
  66. 青山幸恭

    政府参考人青山幸恭君) ちょっと誤解があるかもしれませんが、私どものいわゆる税関内部におきますいろいろな、もろもろの情報というのは、これは国直轄でやっております。諸外国ももちろんそうでございます。  私ども、これは官と民とで共同してつくったサービスでございますけれども、そういう中でやっている部分でございまして、独立行政法人でございますと、今の通則法の規定によりますと、国民生活及び社会経済の安定の公共上の見地から確実に実施される等々というふうに書いてございますけれども、いずれにいたしましても、その範囲につきましてはやはり限定的に解さざるを得ないということになろうかと思います、独法のままであればですね。  したがいまして、今回お願いしておりますのは、こういう、我が国の国際競争力を高めるために、このようないろいろなシステムを管理運営するような法人形態については、独立行政法人ではなしに特殊会社として、企業の形態を取った形でのより効率的かつ円滑な、弾力的な運営を行いたいということがこのねらいでございます。
  67. 大門実紀史

    大門実紀史君 だから、言葉でいろんなことを、有効なとか弾力的なとか、そういう言葉じゃなくて、何が具体的に今のままできないのか。今のままだと何が非効率で何が国民のためにならないのかというところでいくと、何ともぼやっとした話なんですよ。  私、いろいろ聞きましたら、要するに今も官民共同でやっていますよね。公の部分はやらにゃいけない部分はある、これからもずっとあると。それは担保しながら、民営化されても、特殊法人化しても、しかし民間のニーズにもこたえなきゃいけない部分があると。これは特殊法人のままでは新規業務も増やせないと、展開できないと、だから丸ごと持っていくと。私が言っているのは、それならば、アメリカのように国がやるところだけきちっと残して、民間がやる部分は、その部分だけ民営化することは可能じゃないですかということを申し上げたわけです。  私、今問いたいのは、この法案も一個一個言えば民営化された後こういう心配があるんじゃないかというのはもう衆議院でも議論ありましたので一々言いませんけれども、問いたいのは、さっき言ったこの流れの中でまだこんな法案が出てきていると。今問われているのは、官そのものの効率化、官そのものの利便性の、国民に対する利便性の向上と。官じゃ駄目だからすぐ民営化しちゃうんだじゃなくて、官そのものが問われているんですよね。  青山さんは公務員だからお聞きいたしますけれども、問われているのは、移しちゃって、とにかく民間世界にほうり出しちゃって効率的にやれじゃなくて、あなた方そのものの官の部分効率化が問われているんじゃないですか。民間にすりゃいいというんじゃなくて、違うんですか。
  68. 青山幸恭

    政府参考人青山幸恭君) 従来から、お答え申し上げますが、いわゆる輸出入港湾関連手続、非常に煩雑であるというような批判がございます。ですから、まさに大門先生がおっしゃるように、その部分の批判があったものですから、その手続自体、これは制度でございます。制度でございますが、この手続を極力簡素化しようという流れが、これがFAL条約の際に私どもがやりました三分の二カットしまして、三分の一にしようと。さらには、様式とか何かの部分はこれは当然のことながら統一的にしようという、そういう面でもちろんやる部分はございます。それを受けまして今回の議論になるということでございます。
  69. 大門実紀史

    大門実紀史君 今求められているのは、ちょっともう時代が少しずつ変わっているんです。民営化して効率化しようなんてのはもうちょっと古いんです、はっきり言って。官そのものが、公の部分そのものが国民のために効率性上げなきゃいけないし利便性の向上を図らなきゃいけないと、それそのものが求められているのに、今回ずっと言われている理由が、民営化した方が効率的になります、利便性向上しますとおっしゃるから、違うんじゃないですかと申し上げているわけでございます。  ですから、この民営化部分を撤回してもらえば、私この法案賛成したいぐらい、あとの部分は遅ればせながらとなりますけど、それほど悪い法案じゃないと思っているところでございます。  これは今後またいろんなことにもつながると思うんで大臣にまたお聞きいたしますけれども、郵政民営化のときにも似たような、今回スケール小さいかも分かりませんが似たような議論がありました。公的役割と民間になったときの収益性をどう両立するんだと。竹中大臣なんかは、その両立する狭い道を行くんだと何度もこうおっしゃっていたわけですね。私は、狭い道なんかなくて行き止まりになっちゃうと、必ずやっぱり収益性の方になっちゃうと、民間になればですね。これはもう仕方ないですね、市場経済ですからね。そう申し上げてましたし、事実、今郵政の方も、なかなかユニバーサルサービス、あのとき約束したことができなくなってきていますから、必ずそういう方向になると思うんですよね。  ですから、今回も、お聞きすれば、必ず両方両立するためにいろんなこと担保をしておりますという答弁しか返ってこないと思いますから、そういうことではなくて、大きな話として、そういう両立していくということをやるぐらいならば、さっき言った、私も民営化全部反対じゃありませんから、民営化してもいいものだけ民営化して、公的な部分はやっぱりきちっと残すというようなことも今後の民営化議論の中では私はあり得るんじゃないかと思いますが、いかがですか、大臣
  70. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、おっしゃるように極めて公共性の強いものもありますから、国が関与していく中でなおかつ民間的な手法をもって効率化合理化を図っていく、その中で国際競争力、それから一元的な処理をしていく、そういう展開を自らの力で収益も上げながら展開をしていく、そういうことが望ましいということでこういう民営化法案を出させていただいたということでございますから。  私は、こういうケースですね、公益性もありますが、民間手法で、しかも自らの力で近代化を図っていくことができる、競争力をつくっていくことができる、そしてその先端を開いていく、そういう新しいチャレンジをさせたらいいというふうに思います。
  71. 大門実紀史

    大門実紀史君 とにかく民営化論というのが今本当に見直されるべきときにもう入っているということを踏まえて今後のことをお考えになるべきだし、今回の法案はその点ではちょっともうしゅんを外れた、時期を外れた、何か小泉改革の名残みたいな法案、こんな法案にわざわざ賛成することはできないということを申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  72. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  電子情報処理組織による税関手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の起立をお願いいたします。    〔賛成者起立〕
  73. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、大久保勉君から発言を求められておりますので、これを許します。大久保勉君。
  74. 大久保勉

    ○大久保勉君 私は、ただいま可決されました電子情報処理組織による税関手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新日本、自由民主党・無所属の会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     電子情報処理組織による税関手続特例等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 税関の輸出入手続と関連する民間業務処理している通関情報処理システム(NACCS)と関係省庁輸出入等関連情報システムの連携に当たっては、システムの一元管理が可能となることに伴い、縦割り行政の弊害が生じることのない各省共通のシステムとなるよう努めるとともに、将来の統合も視野に入れてシステム利用率の向上を図ること。  一 港湾管理者ごとに異なる港湾関連手続については、様式の統一化・簡素化を図り、利便性の高い運用が行われるよう利用者の視点に立ったシステムを構築すること。  一 特殊会社化後の業務運営に当たっては、不採算事業の廃止や経費削減など経営の合理化効率化だけを追求することのないよう努めること。  一 特殊会社化後においても業務の公共性にかんがみ、経営内容や調達状況についての情報公開、一般競争入札を基本とする透明性の高い調達手続について、現状を下回ることのないよう措置するとともに、天下り問題を惹起することのないよう努めること。  一 特殊会社化に当たっては、出向者を中心とした現在の職員構成の在り方を見直すとともに、安定的な業務運営が維持されるよう、高い専門性を有する人材の育成に努めること。  一 特殊会社化後の料金政策と配当政策のバランスに配慮するとともに、特殊会社に資本準備金として承継される独立行政法人通関情報処理センター(NACCSセンター)の利益剰余金について、利用者のために有効に活用すること。  一 特殊会社化後においても諸外国のシステムとの連携に積極的に取り組むほか、採算性に留意しつつ、新規業務に積極的に取り組むなど利用者利便の向上を図る一方で、セキュリティ強化に併せ努めること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  75. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいま大久保君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の起立をお願いいたします。    〔賛成者起立〕
  76. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 全会一致と認めます。よって、大久保君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、額賀財務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。額賀財務大臣
  77. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配慮してまいりたいと存じます。
  78. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  80. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 租税特別措置整理及び合理化を推進するための適用実態調査及び正当性検証等に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  81. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 民主党の富岡由紀夫でございます。  まず、財務大臣にお伺いしたいと思っております。租税特別措置と補助金との関係についてお尋ねいたしたいと思います。  委員会の四月の質疑応答の中で、租税特別措置というのは裏補助金なのかどうかといった質疑応答がございまして、その中で額賀大臣は、補助金とは性格を異にしているといったような答弁をされておりました。しかしながら、政府税調平成十四年度の税制改正に関する答申の中においては、実質的に補助金の裏返しである租税特別措置だということで、実質的には補助金の裏返しであるといった内容の答申がされております。  額賀大臣の先般の答弁というのはこの税調答申を否定するものなのかどうか、改めて御確認させていただきたいというふうに思います。
  82. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今般、民主党提出の法案について、租税特別措置の不断の見直しのための具体的な御提案として認識をしております。不断の見直しが必要という点においては、我々も共通の問題意識を持っているわけでございます。  補助金については、一般に、自治体、民間団体等が行う特定の事業に着目をして、これを政策的に後押しするため、予算の範囲内で、当該団体に対し、その申請を受けて国等が審査を行った上で交付の決定をするということであると思っております。一方で、租税特別措置は、法令に規定された明確かつ形式的な要件に基づいて、これを満たす納税者がひとしく適用を受けることが可能な枠組みとして制度化されているわけであります。特に、企業に対する租税特別措置は課税の繰延べを図るものが多く、こうした措置は将来的には課税されることが予定されているものと思っております。そういう意味で、補助金と租税特別措置とは性格を異にする面があるのではないかということを申し上げさしていただいたわけでございます。  御指摘政府税制調査会の答申では、租税特別措置は実質的に補助金の裏返しであると記述されていますが、これは両者が一定の政策目的を実現するための財政的な支援の手段であるという形で言及されているものと認識をしております。例えばここ書いてあるのは、歳出面で補助金などの思い切った見直しが行われている中で、実質的に補助金の裏返しである租税特別措置等は、ゼロベースからの見直しを含め、従来にない大幅な整理合理化を行わなければならない、個々の措置について具体的に見直す場合には以下のような視点から基準が必要であるということで申し上げているわけでありまして、一つの政策目的を遂行するという意味では共通のものがあるという意味では、目的については一定の共通のものがあるとは思っておりますけれども、それは若干性格が違っているところもあるということです。
  83. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 確かに、償却の前倒しみたいな、税の繰延べみたいな、前倒しみたいな部分はそういった考え方も合致すると思うんですけれども、そうじゃない税額控除みたいな部分もございます。これは明らかに特定の企業なり特定の者が減税対象になるわけですから、これはもうこの答申で言っているような補助金とほとんど同じような性格を持っているんじゃないかなというふうに思っております。  ですから、その辺を是非認識を改めて確認していただきたいと。性質を異にするんだというもので別扱いするんじゃなくて、補助金と同じような性格を持っているということは事実でございますから、その点を認識した上で是非この法案について検討していただきたいというふうに思っております。  そこで、発議者にお尋ねしたいと思いますが、この法案を出されたわけでございますけれども、この法案の中での発議者考えといたしまして、租税特別措置と補助金との関係についてはどのように整理考えていらっしゃるのか、お尋ねをしたいというふうに思います。
  84. 大塚耕平

    大塚耕平君 まずは、私どもの提出をいたしました法案をこうして財政金融委員会で御審議いただけることに与野党各委員の皆さんに御礼を申し上げたいと思います。  その上で、租特と補助金の関係でございますが、今大臣がおっしゃったような考え方、見方もあるというのは私も理解できます。  しかし同時に、大臣御自身も性格的には似た部分もあるという御趣旨のことをおっしゃいましたが、また、富岡委員も御指摘のとおり、この租特の中でも特に税額控除、特別控除については、これは実質的に補助金と同じような役割を果たしていると私どもは認識をしております。  ただ、大臣が引用されました控除じゃないような租特については若干補助金と違う側面もあるかもしれませんが、基本的には補助金と同じような性格を持っているがゆえにこのように長期化をし、そして、この言葉が適切かどうか分かりませんが、既得権益化するという側面を持っているということを問題視して、今回この法案を提出をさせていただいている次第でございます。
  85. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 私も、確かにこの租税特別措置というのはそういった補助金的な性格があるなと。したがって、普通の税制検討する際ももちろんそうなんですけれども、例外扱いですから、税制の例外扱いとして租税特別措置というのは議論されているわけですから、そこは普通の税制以上により注意してこの取扱いについては確認する必要があるのかなというふうに思っております。  そこで、租税特別措置の問題点と透明化法の目的についてお伺いをしたいというふうに思っております。  やはり、財務大臣は当委員会の中で、四月の議論の中で、いろいろと議論される中で、この租税特別措置についてはしっかり見直して廃止すべきは廃止すべきだと、そして修正すべきは修正してきたといった内容の御答弁をされております。  しかしまた、その中で、議論の中で、財務省の見解として、いろんな質疑応答の中で、個々の租税特別措置の適用実績、これについては政府は詳細まで把握していないということを答弁されております。適用実績を把握していないのに何で廃止の検討ができたり修正の検討ができるのか、非常に疑問でございます。  政策評価をしないで整理合理化が可能なのかどうか、発議者にお考えをお伺いしたいというふうに思います。
  86. 尾立源幸

    尾立源幸君 お答えをしたいと思います。  御指摘のとおり、今議論がありましたように、租特というのは特定の者に減税等によって特定の政策目的を実現するために用いられる手段でございますけれども、これは政府自身が言っておるように、公平、中立、簡素、この租税原則に反する例外的な臨時的な措置であるということがまずございます。  そしてまた一方で、特に減税を伴う租特に関しましては、本来入ってくるべき税金が政府に入らない、財政措置を伴うという意味で、これはまさに補助金の裏返し、実質の補助金と、こういう認識でございます。そこで、こういう補助金と性格を同じくする租特に関しては、特にやはり透明性、納税者の理解が得られないと、こういう措置というのは私どもは続けられないものだと理解をしております。  そんな中で、私たち、昨年、私ども税制改革大綱をまとめるに当たりまして、各省庁から租特の実態について、全租特についてのヒアリングを行わせていただきました。  そこで問題となってきた点が四つございます。一つは、租特の減税額試算というものを適正に行っていないものがある。二つ目が、利用実績を把握していない。三つ目、政策評価を適正に行っていない。そして四つ目は、補助金等の予算措置との関係で整理がきちっとできてないものがあると。こういうことが明らかになってまいりました。しかも、財務省ですら、だれがどの程度この租特を利用しているか全く実情を把握していないということも分かったわけでございます。  そういう意味で、毎年のようになされます租特の延長や新設、これを行うに当たっては、国民が納得できるような形で行わなければならないと、このことを私たちは強く求めておるところでございます。そういう意味で、この租特透明化法案で抜本的な検証、まさに租特の正当性の検証というものが必要であるというふうに考えたわけでございます。
  87. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 適用実績に限らず、発議者租税特別措置についてどのような認識を持っていらっしゃるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。  また、今回の透明化法案を出した目的を改めて整理確認させていただきたいと思います。  よろしくお願いしたいと思います。
  88. 大塚耕平

    大塚耕平君 改めて、今回の法案提出の理由、目的について御質問をいただきました。  まず、租特の実態については、今提案者の同僚の尾立委員が御説明したとおりでございます。そのような実態であるがゆえに、事実上補助金と同じような機能を持っている租税特別措置、中には五十年以上も続いているもの、四十年以上のもの、三十年以上のもの、大変長いものがたくさんある中で、どの租税特別措置は本当に必要なものであって、どの租税特別措置は既にその合理性、必要性を欠いたものであるか、このことを明らかにすることによって、国民の皆さんにより御納得をいただける、そして国民の皆さんにとって公平な税制をつくることに資すると、このように考えているわけでございます。  したがって、今回の法案の提出の理由、その目的は、その租特の全体像や詳細そのものを検討するものではなく、その前提として、現在の租特の実情を明らかにする、このことが納得、公平な税制の実現に向けての第一歩だということでございまして、そのために私どもの方は、租税特別措置透明化法案というような名称を付けさせていただいて、提出をさせていただいた次第でございます。この名称そのものが私ども法案提出の理由と目的を象徴しているものとお考えいただければ幸いでございます。
  89. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 先ほど言われた、補助金的な性格を持っているがゆえに、普通の法案以上に、税制法案以上に詳しく、何というんですか、中身を明確にする必要があるというふうに思っております。  この透明化法のちょっと内容について、若干お伺いしたいというふうに思っております。  様々な今透明化を図るべきだと、それによって国民の公正、公平さを図って国民に納得していただくことが今回の法案の主な目的なんですけれども、その明らかにする中身でございますけれども、この法案では特措法の適用実態をまず調査して国会に報告することになっております。その報告する内容というのはどういった範囲が報告対象になっているのか、具体的にもし分かれば御説明願いたいというふうに思っております。
  90. 尾立源幸

    尾立源幸君 この租特透明化法案の核心ともいうべき適用実態調査でございますが、これはまず、適用の実態を明らかにするために、租特の適用数、さらには増減収額、その他、例えば資本金や地域別等々、そういったような適用実績に関する調査を行って、毎会計年度これを集計、さらにそれを最終的には納税者の規模や業種別に増減収額分布状況等を統計分析をすると、これがまず前提となっております。そして、この統計分析を行った後、財務大臣がこの適用実態について意見を付けて国会に報告をする、それも七か月以内に、会計年度が終わった七か月以内に報告をしてもらうと、こういうことを要求をするものでございます。その意見は、適用実態の租特の正当性に関する意見でございます。  じゃ、どういう中身かといいますと、これは第八条に書いてございますが、まず租特ごとの適用数及びその見込数との差、租特ごとの増減収額及びその見込額との差、さらには租特ごとに作成した統計、さらに法人で法人税の減税を受けている企業にあっては、その企業名と減収額、こういうことを財務大臣の意見を付けて報告をしていただくことになっております。  なぜこういう企業の報告が必要かというと、一つは、先ほど申し上げましたように補助金との裏返しでございまして、補助金の場合はすべてこれ公表がされております。そしてもう一つ、法人の場合、ある特定の業種や地域、一部の企業だけに偏りがあるかないかということも、これは実態を見てみないと分かりません。そういう意味で、国会に報告を求めることを要求しておるものでございます。
  91. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 法人税に関して、法人の企業名とか税額まで報告するといった内容になっているというふうに承知しておりますが、プライバシーとの関係でよく議論されるかと思いますけれども、私は、法人は社会的なもう責任があるわけでございますから一般の個人のプライバシーとは分けて考えるべきだというふうに思っておりますけれども、ただ、いろんな議論の中で、法人の企業を、企業名を出すことはプライバシーに関係するのでどうなのかなといった議論もございます。  その点について、どういうふうに整理考え方をこの法案の中では考えていらっしゃるのか、お伺いしたいというふうに思っております。
  92. 尾立源幸

    尾立源幸君 租特というのは、先ほど申し上げました租税原則の例外でございますので、何度も申し上げますが、公平、透明、納得という納税者の理解が第一でございます。そういう意味では、本来、個人、法人問わずすべての方々の利用実態というものを本当は明らかにしなければいけないんですが、個人の場合は、今、富岡委員おっしゃったようなプライバシーの問題が一つございます。それともう一つは、ほとんどが住宅関係の減税が多い、さらには年金や生命保険、そういった、もうあらかじめ分かっておりますし、額も小さく数も多いということで、ここはあえて報告いただかなくてもいいだろう、公表しなくてもいいだろうというふうに我々は整理しております。  一方、法人の方は、社会全体から利益を受けているということで、特に財政的な大きな支援を受けておりますから、きちっとその辺りは明らかにしていただきたいと、こういうのが前提になっております。一種の説明責任を果たしていただいて、我々自身がきちっとこれを監視をしていくと、こういうことが必要だと思っております。さらには、先ほども申し上げました補助金との裏返しで、補助金は公表されているのに、じゃなぜそれと実質的に同じ租特が公開されないのかと、こういう公平性の問題もあります。そういう観点から、我々は、法人についてはある一定の額の順位を決めまして、これは財務省令で決めていただくことになっておりますが、その範囲で公開を義務付けることにさせていただいております。
  93. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 やはり企業というのは社会的な責任がありますから、企業名、幾ら控除を受けているのか、いろんな、租税特別措置を受けているのか、やっぱり明らかにする必要があると思います。先ほどお話ありましたように、補助金等も同じような性格を持っているわけですから、例えば政治資金規正法の絡みで言っても、やっぱり献金を受けた企業は、一般の企業であれば、補助金を受けたところは献金が規制されていると、政治資金規正法上は規制されているといったようなことがございますから、今回も同じような性格を持っているこの特措法ではその内容を、ちゃんと企業名を含めた上で明らかにする必要があるのかなと、私も十分よく理解できました。  続きまして、今回の透明化法案の中身の大きな目的として、運用実績をよく調査して、実態を調べた上で、本当に政策的に有効なのかどうかを判断して、最終的には要らないものは整理合理化するということがやっぱり大きな目的だというふうに思っておりますが、この整理合理化する上でどのような基準に合わせて整理合理化考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。  あと、もし分かればで結構なんですけれども、現在、特措法が全体でどのぐらいあって、詳しく、この特措法が立法化されて、実際これが運用されて検証してみないと詳しいことはもちろん分からないと思いますけれども、おおよそ、今ある特措法の中でどのぐらいが、何割方ぐらいが整理できそうなのか。もしそういった見込みみたいなものもお分かりになれば、分かる範囲で結構でございますので、お答えいただきたいなというふうに思います。
  94. 大塚耕平

    大塚耕平君 御下問をいただいた後者の方から、私どもが持っております内容を少し披瀝をさせていただきますと、租税特別措置は全体で現在二百九十五だというふうに認識をしております。その中で、先ほど私が五十年以上とか四十年以上とか申し上げましたが、五十年以上続いているものが三つ。四十五年以上五十年未満、これが二つ。四十年以上四十五年未満、これが十個など、大変長期にわたるものも、二百九十五のうち、十年以上のものというふうにくくりますと恐らく百近いものがそのような数になるのではないかなというふうに思っております。  そして、これらをどういう基準で見直していくべきか、あるいは廃止をしていくべきか。実は、そのこと自体は私どももまだ明確な基準は確立をしておりません。ただ、私どもの党の考え方として、この租特並びに先般この委員会でも御議論をいただいた道路特別会計を含む特別会計については、象徴的な意味で特会全廃、租特全廃というようなことを申し上げております。これは、ただ全廃をして、スクラップ・アンド・ビルドでございますので、じゃどういう考え方でそのスクラップの後のビルドを行うかということを判断するためにも、まずその実態が分からなくてはならないというのが今回の法案の趣旨でございますので、そういう意味では、一点目の御質問でありますどういう基準でこれを見直していくのかということについて明快なお答えをできないということは率直に申し上げなくてはいけないと思っております。  ただ、非常にその基準を考える上で重要なポイントは、先ほどの補助金と租特の意味付け、あるいは性格の議論ともかぶってくる部分でございますが、なぜ補助金と租特が私どもは性格的に同じものだと考えているかというと、それは経済的には同じ効果を果たすからであります。経済的には同じ効果を果たすんですが、補助金の場合は、能動的にその便益を受ける納税者が言わば手を挙げる、申請をしなくてはならない。しかし、租特の場合は、受動的にその租特の適用対象の納税者が便益を被る。しかし、経済的効果は同じだというところがあるわけであります。  したがって、この基準というのは、その経済的効果、租特によってもたらされる経済的効果が果たして我が国経済運営上あるいは税制上本当に必要なものかどうかということ、あるいは経済的効果がそもそもあるのかどうかということが最も重要な基準ではないかというふうに思っております。  したがって、租特を行うことによって、経済的効果といった場合に、ここは、今日は財務省の皆様方も財務大臣もおいでになられるので是非私どもとして御指摘申し上げたいのは、例えば減税効果のある租特の場合、これは国家の財政上は明らかに減収なわけでございますので、なぜそういうことをするかといえば、例えば一つ考え方として、その減収効果によって便益を受ける納税者の経済活動が活発化することによって最終的には我が国経済活動が活性化して、そのことによってトータルとしては税収がむしろ増えるというような経済的効果をねらうわけでございますので、一体、このそれぞれの租特がどのような経済的効果をねらっていて、それによって我が国にとって具体的にどういう経済的あるいは財政上のメリットがあるのかどうか、ここが恐らく今後の租特のスクラップ・アンド・ビルドの、特にビルドを考える上においての重要なポイントではないかというふうに思っております。
  95. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 どうもありがとうございました。  租特のいろんな実施に当たって、その政策効果、どのぐらいあるかというのは当然必要なんですけれども、私は、この委員会の中でもずっと議論してたんですけれども、本則を見直す際にもやはりその政策効果、どれだけ、何というんですか、効果を、減税なりする場合の減税対象者がいるのかとか、どのぐらいの減税額が実施されるのかと、そういったものがやっぱり法案改正の前には示されるべきだというふうにずっと議論してたんですけれども、なかなかされてきませんでした。  その中で、いろいろと以前、適用された後なんですけれども、例えば直近の個人所得税税制改正された場合なんですけれども、前、委員会で質問させていただいたんですけれども最高税率が下がっているんですね。最高税率が下がってどのぐらいの人が恩恵を受けたかという議論をさせていただいた際に、例えば所得税平成十一年度改正で五〇%から三〇%に適用が下がった人が何人いるかという質問をさせていただきましたら、全国で八万人しかいないということなんですね。あと四〇%から三七%に下がった人も十四万人しかいないと。全国民の中でごく限られた高額所得者の人が減税効果を受けたということで、これを減税したというんで、国民全体が減税効果があったような説明をしてたんですけれども、とんでもないと。実際何人その効果を受ける人がいるのかということは明らかにする必要があると私は思っております。  一番ひどかったのは相続税、平成十五年度の相続税の改正のときですね。最高税率、相続税評価額二十億以上の人が七〇%から五〇%に下がったんですけれども、それを年間どのぐらい適用を受ける適用者がいるかというと、政府確認しましたら三十人しかいないんですよ、年間三十人。わずか三十人の人の資産家のために相続税を下げたということなんです。相続税なんていうのは、そもそも払っている人は四%ぐらいしかいませんから、その中で、更に全国で三十人しかいない人だけを対象とした減税をやっているということで、非常におかしなことをやっていると。  私は、ちょっと時間があればまた議論をしたいんですけれども税制調査会、政府税調なりいろんなところで議論するそのメンバーが私は問題があるんだというふうに思っておりますが、まあそれはそれで、それとして、今日は財務省さんに事前にちょっとお伺いしていたものをお答えいただきたいと思いますけれども。  例えば、所得税を以前の税率に戻すというような観点で、個人所得税一億以上、三億以上の資産の方の累進税率を五〇%、六〇%等々に累進税率を戻した場合、どのぐらい現在の、平成二十年度の税収見込み対比、税額の増加が見込めるのか。あと法人所得税、これも昭和六十二年以降ずっと下げられてきましたけれども、段階的に下がっているわけですけれども、これを四〇%、五〇%に戻した場合、どのぐらいの増税効果が得られるのか。また、相続税についても、先ほど申しました、資産評価額が十億以上の方が六〇%、二十億以上の人が七〇%に戻した場合、どのぐらいのそれぞれ増税効果があるのか、ちょっとお答えいただきたいなと思います。
  96. 川北力

    政府参考人(川北力君) お答え申し上げます。  税収への影響につきまして、なかなか厳密な計算というのは難しいところございますけれども、そういう意味で、できる範囲の御説明ということに御理解いただきたいと思いますけれども。  まず、所得税の点でございます。給与収入一億円以上の方には五〇%、給与収入三億円以上の場合には六〇%という限界税率を適用した場合ということでございます。これ、十八年分のデータ、統計を基に幾つか仮定を置きまして試算いたしますと、約五百億円ほど増収になるということかと思っております。  また、法人税につきましては、平成二十年度の予算額が十六・七兆円と見込んでおります。これは基本税率三〇%でございますので、三〇%で単純に割り、税率四二%ということでございますので単純に掛けるというふうにいたしますと、十六・七が二十三・四になりまして、その差額約六・七兆円が多くなるということになります。これ、五〇%の場合でも同じようにいたしますと、その差額は約十一・一兆円でございます。  三点目、相続税でございます。相続税も、毎年相続の状況かなり変動がございますので、その点の留意が必要でございますけれども、十八年分の統計を基に、取得価格十億円以上の方は六〇%、二十億円以上の方は七〇%という限界税率を適用した場合の増収額というのを推計いたしますと、約四百億円ほどというふうに見込まれるということでございます。
  97. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 時間になりましたので、これで質問を終えたいと思いますが、是非担税力のあるところから税を課税していただきたいということをお願いしまして、質問を終わりたいと思います。
  98. 森田高

    ○森田高君 新緑風会の森田でございます。富岡議員に続きまして質問させてもらいたいと思います。  まず冒頭に、少し本線から話は外れますが、去る四月下旬に青森県と秋田県の県境の十和田湖でH5N1、高病原性のインフルエンザウイルスに感染したハクチョウの死体がありまして、それから数日後、北海道でも数か所で死骸が発見されるという事態がありました。お隣の韓国では三十数か所、もう全国で鳥インフルエンザの猛威が燃え盛っている状況でございまして、地理的にも大変近い我が国はそこから対岸の火事ではないなという感覚を私は持っております。大変怖いと思うのはこれはもう養鶏業者を始め国民の皆さん思っておられることで、それがあるから恐らく昨今の感染症法案なんかも急ぎ成立したものだと思っております。  何を言いたいかといえば、財政金融分野においてもこれからこういう病気が、例えば鳥から人、人から人なんていう状況になってきますと、どれくらいのインパクトが財政上あるかということをもう少しリアリティーを持った議論をする必要があるんじゃないかなというふうに思うんです。  例えば、数千万人の方々が就業不能に一月から二月なるとして、百万人単位の方々がお亡くなりになるとした場合、物すごいやはりこれは財政上のインパクトがあると思うんですね。そういう場合、国としての安全装置はどうすべきかということ、これは命を守るという観点もありますし、財政上回していくことが必要でございますので、そういったことをやはり考える必要があるだろうと思うわけです。    〔委員長退席、理事円より子君着席〕  同様に、これは金融分野においても同様でして、例えば生命保険業界、大体個人保険が一億件、保険契約が主契約であって、団体保険が四千万件ぐらいありますから、平均大体一千万円くらいの主契約の保険金額だとすれば大体十兆円オーバーの保険金支払事由が瞬間的に発生することになって、保険会社全社で二百兆ぐらい資産があるといっても、キャッシュはそんなに当然あるわけありませんから、どうやってそれを、支払というものの能力担保するかということを考える必要があるんだろうなというふうにずっと思うわけです。  ただ、財政金融委員会においてもそういう議論が今までありませんでしたので、これはこれからまた場を改めてこういうことを議論させてもらいたいなと思いますが、財務大臣、どういうふうに今お感じでしょうか。
  99. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 例えば、ワクチンの問題等については、これは厚労大臣と相談をしてできるだけ対応をしていかなければならない。政治の役割は、やっぱり困難な局面においたときに国民皆さん方に心配をさせないということが第一番でありますから、危機管理的な意味で森田委員の御指摘は当然のことであると思います。
  100. 森田高

    ○森田高君 ありがとうございます。  恐らく数千万人の方々が就業不能になればGDPの何%失われるか、何%で済むかどうか、一〇%になるのか二〇%になるのか、物すごい税収の欠損が発生することも考えられるわけで、やはりそういうこともしっかりと考えねばならないなと思うわけです。  租税特別措置の透明化法案に関して質問させてもらいますが、大臣も常日ごろから税の簡素化ということをおっしゃっておられます。政府・与党の基本方針にも、骨太の方針では、歳出歳入の一体改革の実現、納税者の立場に立つ改革、あるいは経済社会の変化に対応する税制抜本改革ということを挙げておられるわけです。まさに経済社会の変化に対応できる租税特別措置、まさに私たちの考えていることと一致するのかなと思うんですが、実際問題、骨太の方針に関して、例えば租税特別措置のことなんかはどの程度盛り込まれていて考えておられるのか、御所見をいただきたいと思います。
  101. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今おっしゃるように、歳入歳出の一体改革、納税者の立場に立って考えること、経済社会の変化に対応する税制。この租税特別措置というのは経済社会の変化に対応する税制という対応だと思っておりますけれども、今秋、秋には道路財源を始め税制抜本改革をしていくということでございますから、そういう中で所得、消費、資産、また税制全般について御議論をし、そしてまた次の新しい発展の方向を見付けていく必要があると思っております。  特に、国会において、やっぱり与野党ねじれておりますから、政府・与党だけではなくて与野党の間でしっかりと議論ができる環境をつくっていかなければならないというふうに思っておりますので、民主党の皆さん方が御提案をなさったそういう租税特別措置についての実績がどうなっているのか、政策評価がどうなのか、そういうことについては我々もよく受け止めて今後の見直し対応していかなければならないというふうに思っております。
  102. 森田高

    ○森田高君 恐れ入ります。  骨太の方針に関して一点だけ、もう一回ちょっと脱線したいと思うんですが、余り評判のよろしくない社会保障費の抑制ということがありまして、これ二月四日の参議院予算委員会で西島英利議員が質問されて、非常に分かりやすい資料を出してもらったんですね。これは二千二百億円抑制するということは、年次が継続すれば非常に大きなインパクトを与えるということでございまして、例えば西島議員資料だと、積み木一個が二千二百億円なんですね。一年目は二千二百億円、一個、二年目はそれが二つ、三年目は三つ、四年目は四つとなりますので、五年間継続すると大体三・三兆円の累積抑制額になるということ。これを十年間、二〇〇二年から始めていますので、二〇一一年までやられるという予定で聞いておりますけれども、そうした場合は積み木が大体五十五個になりますので十二・一兆円累積抑制効果が実現されるということになります。  ですから、これは国民に対して説明するときに、一年間に二千二百億というとなかなか私たちもぴんとこないんですよね。無駄遣いが二千二百億もあるんじゃないかと言われたら確かにそうかもしれないと思うんですが、累積で十二・一兆となりますとこれはもう努力の限界というか、それを超えてしまっている。与党でも今すごくこの分野は議論があるところだと承知しておりますが、国民へのメッセージの出し方で、例えば道路予算が十年間で五十九兆円というのは大変分かりやすかったと思うんですよ。一方で社会保障の抑制に関してはちょっと分かりにくいような表現になっていて、一年間に二千二百億円の自然増の抑制と。でもこれは十年間の十二・一兆円の抑制なんだというふうに言った方が国民もずしっとくるし、骨太という言葉のやっぱり重みも出てくるのかなというふうにも思いますが、何か御感想はございますか。
  103. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは日本の今我々が最大の政策の目標は、日本経済を活性化させていくこと、成長路線を確保していくということ、もう一つは、やっぱり財政再建を後世代に残していかないということをきっちりと実現をしていこうということでございます。その上に立って、二〇一一年にはプライマリーバランスを黒字化させていきたい。そのためには歳出歳入改革を一体的に進めていかなければならない。歳出の場合は、今おっしゃるように無駄を省くと同時に、やっぱり成長に結び付く、発展に結び付く分野に選択と集中的に歳出をしていかなければならないということ、あるいはまた、おっしゃるように急速な少子高齢化の進展でございますから、お年寄りの皆さん方に長寿されたことによってこれは幸せ感が感じられるようにしなければならない、安心感を与えなければならない、若い人たちにも希望を持たせなければいけない、そういうことについてやっぱりこの秋の税制抜本改革時にきちっと議論をして、政治、国会の使命と責任を果たしていくようにできればいいなというふうに思っております。  それから、社会保障の二千二百億円の、言ってみれば合理化でありますが、これは歳出全般に言ってきているんでありまして、公共事業もそうだし、教育もそうだし、ODAもそうであります。将来の成長に結び付く科学技術予算だけはプラスになってきましたけれども、ほかの分野はやっぱりきちっとした徹底した歳出削減を図っていただいていると、それが将来の税制改革時に歳入を国民皆さん方説明ができる前提だというふうに思っておりますので、しっかりと対応していきたいと思っております。
  104. 森田高

    ○森田高君 ありがとうございます。  あと、ようやく本題の方にちょっと入らせてもらいますが、租税特別措置は、先ほど富岡議員の質問にもあったんですが、国税関係で二百九十五項目あって、減税総額は恐らく三兆円以上、三・四兆円ぐらいだったというふうに記憶しているんですが、多額の債務を抱える我が国において、これは道路関連の暫定税率を上回る規模の減税をずっと続けていらっしゃるということで、決して少ないとは言えない長期の減税政策だと思うんです。別にそれが悪いと言っているわけではないんですが。  しかし、特に法人税関連は、やっぱりこの過半数が、さっき発議者からの答弁にもありましたけれども、大体過半数が二十年以上の経過が、とられている措置でございまして、税の公平性を考えた場合、やはり効果に応じたスクラップ・アンド・ビルド等を行うことは、やはりこれは当然求められる姿だと思いますし、投資対効果に関する説明というものもこれはもう避けて通れないのかなというふうに思います。  一方で、午前の大臣答弁でも、規制改革を積極的に行って成長分野に集中投資するんだと、そういった話もありましたんで、これはやはり柔軟な税制のスクラップ・アンド・ビルドということにつながってくるんだろうと思いますが、現状のこういった税制の評価手法、そしてその運用というものを実際どうされているのか、ちょっと教えてもらいたいと思います。
  105. 遠藤乙彦

    ○副大臣(遠藤乙彦君) お答えいたします。  租税特別措置税制上の特例を設けることによりまして一定の政策目的の実現を図ることを主眼としております。その政策目的や効果、政策手段としての適正性を踏まえまして不断の見直しが必要であると考えているところであります。こういった考え方の下におきまして、租税特別措置を含む税制改正議論を行うに当たりましては、まずは関係省庁から租税特別措置の必要性とか政策効果について記載されました要望書の提出を求めまして、これはかなり詳しいものでございますけれども、それに基づきまして租税特別措置の政策効果を測るための議論の材料として総合的な議論検討を行うというものでございます。  また、租税特別措置の中には創設時から相当程度の期間が経過しているものも実際ございますけれども、適用期限の到来等に際しましては、関係省庁とも協議しながらその時々の政策ニーズを踏まえつつ適用対象や適用要件についての必要な見直しを行ってきているところであります。  具体的な事例で申し上げますと、平成二十年度税制改正におきましても、例えば教育訓練費につきまして税額控除制度の大企業向けの措置を廃止するなど、必要性の薄れた措置は廃止、縮減する一方で、情報基盤強化税制の対象となりますソフトウエアを追加するなど、新たな政策ニーズに対応した措置を講じたところでありまして、不断の見直しを行っているところでございます。
  106. 森田高

    ○森田高君 ありがとうございます。  それでは、お手元の資料の方をちょっと見ていただきたいと思うんですが、資料一は我が国企業統計の一部でございます。八六年からの五年間の諸指標の状況と二〇〇二年以降の五年間の状況の比較でございます。  例えば、租税特別措置では最も大きな減税規模の研究開発税制、これを例に取って検討しますと、これは⑧に書いてありますが、二十年間で減税規模は実に五倍以上になっています。しかし、制度そのものの目的であるはずの研究開発費用の伸び率は何か鈍化しているようにも⑦番で見られるんですね。一方で、劇的に上昇基調があると思われるのは役員の給料だったり株式配当であるようにも見れるわけなんです。従業員の給料は、これは上がっているのか下がっているのか判断に苦しむところなんですが、マイナスというところもあるわけですから、なかなか厳しい状況なのかなと思います。もちろん、この表だけですべてが一対一で対応するわけではありませんから判断することは困難だと思うんですが、しかし、全体として見れば、企業競争力を支援するための本制度がちょっとゆがんでしまっているような印象を受ける人は多分自分だけではないのかなと思います。  財務大臣はこの姿が適切かと思われになるかどうか、また特別措置を講ずるに当たり、制度を運用する立場である国、そして恩恵を受けるべき立場である企業、どのような姿勢で臨むべきか、御見解をいただきたいと思います。
  107. 遠藤乙彦

    ○副大臣(遠藤乙彦君) 研究開発税制は、将来の我が国を支えるイノベーションにつながる研究開発投資を促進する観点から設けられている制度でございまして、近年におきまして研究開発投資が着実に増加していることを考えますと、本税制は一定の政策効果があるものと考えております。  これに関しまして、委員指摘は、約二十年前と現在とで研究開発税制による減税規模に大きな開きがあると御指摘がございます。ただ、二十年前と今を比較しますと、ちょうど二十年前といいますと一九八八年でありまして、バブル全盛期でございます。その後のバブル崩壊した今と言わば様変わりの状況にありまして、景気状況企業の経営感覚等大きく変わってきているわけでありまして、例えば景気状況、経営方針、大きく変わってきております。また、研究開発税制自体も平成十五年大きく変えまして、それ以前は言わば増分に対して税額控除をするわけだったんで、それ以降は総額に対して税額控除するといった考え方になりまして、税制自体にも大きな変化がありますので、当時と今とを単純に比較することは適当ではないと考えているところでございます。  また、企業の利益分配の視点から見ますと、最近は確かに役員給与や配当は大きく伸びているという事実がございます。一方、従業員給与は伸びていないとの御指摘もありますが、この問題は基本的には個々の企業の経営の在り方に係る問題でありまして、研究開発税制の効果とは直接関係するものではないと考えているところでございます。  いずれにしましても、租税特別措置は、法令に規定された明確かつ形式的な要件に基づきまして、これを満たしさえすれば企業等がひとしく適用を受けられる枠組みを制度化しているものでございまして、税制特区といたしましては、引き続き一定の政策目的の実現に向けた不断の見直しを行っていくと、この不断の見直しがキーワードでありますけれども、これが重要であると考えております。
  108. 森田高

    ○森田高君 不断の見直しを是非進めていただきまして、やっぱり国の税金といいますか、国民の富を三兆円以上も突っ込んでいるわけですから、そのお金が一部のゆがんだところに行ってしまって、全然やっぱりこれは国家としての国益にかなっていないというようなことにならないように、不断の見直し、それはつまり透明化かもしれません、そういったことも考えていただきたいと思っております。  次に、資料Ⅱの方ですね、ちょっと御覧いただきたいと思うんですが、いろいろある租税特別措置で、自分は医者ですからどうしてもこういうところに目が行ってしまうんですが、現在、勤務医が大変不足していると。もうきつい、つらい、安いと、いろんな状況があって、勤務医がどんどんやっぱり田舎からも都市部からも引き揚げて開業しちゃっていると、都市部でもうかりそうなところで。そういうことはやっぱりこれ一つの側面としてあるんだろうと思います。  勤務医の場合、僕も去年までそうだったんですが、例えば夜間呼出しされても、日曜日にちょっと病院に来てくれ、急患ですと言われて行っても、大概はやっぱり休日の手当も余り出ませんよ、はっきり言ったら。あるいはガソリン代にしても、通勤に掛かる費用も、それはもう緊急呼出しで行ったら、夜間なんかはタクシーに乗ったら、それはもう自腹なのか、それは病院に言ったら払ってもらえるのかはっきり分からないんですよね。つまり、それだけ身銭削って緊急診療に対応して、それに見合う対価ももらっていないような状況があって、だからやっぱり勤務医の皆さん疲弊していくんだろうと思うんですよ。  一方で、例えばこういう社会診療報酬の所得計算の特例のような、まあ別にこれが全部悪いと言っているわけじゃないですし、全部悪いと言いますと私も大変バッシング受けますけれども、医師会の方からとかですね。だけど、五千万円以下の比較的規模の小さい開業医がこういうふうに非常に税率の状況において納税で恩恵を受けているということがあれば、これはだれでも、いやこっちの方がいいなというふうに思ってしまうわけです。これをつぶせというわけではないんですが、だけど、やっぱり社会状況に応じた見直しというのが図られるべきで、例えばそれは勤務医がつらいから、じゃガソリン代の税額はそれはもう経費控除できるように、確定申告上ちゃんとそれはしようということもあったり、教科書を買ったり、学会の専門医の認定登録費全部自腹で払っていますよ。こういうものを適切に経費で計上できるように、給与所得者であってもできるようにしていくというのはこれはもう時代のニーズだろうというふうに思うわけです。  同様に、租税特別措置にのっているかどうかちょっと私分かりませんが、昨日もちょうど高知県のへき地の医療のお医者さんたちとお話ししたんですが、へき地ほどやっぱりIT化が必要なんですよね、病院は。遠隔診療を可能にするための投資であったり、電子カルテを広域サーバーを共有したりとか、そういったものに対して、しかし病院一個で二億円ぐらいやっぱり予算が掛かってしまうのでなかなかできないという話があって、もちろん市町村もお金出せません。そういうものに対して大幅な、やっぱり租税特別措置がいいのか補助金がいいのか分かりませんが、見直すところは多々あるのかなというふうに思います。  もう時間も参りましたので、発議者に対して質問を何点かさせてもらいたいなと思ったんですが、ちょっとなくなってきたので、先ほど富岡議員からも随分やられたので、いずれにしましても、租税特別措置、その時々の国益ですよね、やっぱり社会ニーズに応じた柔軟な運用が図られる国策に基づいた優遇税制なんですよ。  ですから、その透明性、国民への説明責任、これをしっかりと果たすことというのは重要であることは言うまでもありませんし、この制度を有意義に更にするために、一日も早い本法案、十分な野党の皆さんの審議いただきまして成立することを祈念したいと思います。  終わります。ありがとうございます。
  109. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 公明党の荒木です。  まず、この租税特別措置が税負担の公平、中立、簡素という基本理念の例外であるという点、また我が国の厳しい財政情勢を考えますと、その在り方を不断に検証していく必要がある、この点については私ども全く同感でございます。ただ、この租特というのは特定の政策目的のための手段でありますので、その存在自体を否定するですとかあるいはその利用を慎むべきであるといった、そういう偏ったメッセージを納税者に与えてもいけないと思います。  また、今回の法案は、正当性検証のために、政府による適用実態調査や政策評価の実施と様々な手法が盛り込まれているわけでありますし、また納税者の協力も求めております。そういう意味では、納税者の理解が得られるかあるいは行政運営にどういう影響があるかという点について極めて慎重な検討をした上で制度設計がなされなければ、この目的自体はいいとしても、まずいという点があると思います。  そういう点で、以下若干、発議者を中心にお尋ねをいたしますが、まず法人税の減免措置について個別企業の開示を求めているという点についてであります。  法案によりますと、財務省令にゆだねてあるところがあるわけでありまして、この点については、少なくとも法人税の納税者の種類、法人税の納税者に係る減免額及びその多い順による順位等について財務省令で決めろと書いてあります。そうしますと、それぞれの減免措置について一種の法人ランキングといいますかベストテンといいますか、減免を受けている多い順に十社を公表するとか、そういうことを考えているんですか。
  110. 尾立源幸

    尾立源幸君 お答えをいたします。  法案の目的は、今回、課税の公平を実現するために、まず租特の正当性の検証というのが第一でございます。そして、税制の信頼性を高め、私たちが主張しております公平、納得、透明、こういう税制を我々は構築していきたいということが出発点でございます。  その上で、この観点からいたしますと、租特を受けている者は法人、個人問わず当然これはすべて開示の対象とすべきというのが私どもの主張ではございますが、個人に関しましてはプライバシーの問題がございまして、またそのほとんどの減免対象が住宅関連や年金控除、生命保険料控除、さらには配当控除等、もう既に明確なものであり、さらに小口、多数と、こういうことでございますので、ここは我々は公開をあえてすることはないだろうと、このように考えております。  一方で、今回の規定に書かせていただいておりますように、法人については、まずこの法人が社会的な存在である、社会に対する説明責任をしっかり果たさなきゃいけない、そして我々もそれを監視をしなければいけないという立場一つございます。  そして、もう一点は、この減税額が、我々調べましたけれども、何百億という単位の一社で減税を受けているところもございまして、非常に財政に与えるインパクトも大きいと、こういうことを我々は問題意識として持っております。  そして、もう一点が補助金との関係でございます。経済的な意味では補助金と全く同じでございますので、公開を原則とする補助金がある一方、なぜ同じ経済的効果を持つ租特の減税が公開されないのかと、これこそ納税者、国民にとっては私、納得ができないものだと思っています。  そういう意味で、詳細については御指摘のとおり財務省令で定めることになっておりますけれども、ある一定の合理的な範囲で基準をつくって法人の名前、減税額等を公表をすると、こういう制度にさせていただいております。  そこで、それだとデメリットばかりじゃないかというようなお話もあろうかと思いますが、そうじゃなくて、こういう説明責任をしっかり果たすことで社会的な評価も私は得られるものだと思っております。そういう意味で、これをネガティブにとらえるのではなくプラスにとらえていただいて、積極的なCSR活動、この一環にしてもらえればと、このように思っております。
  111. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 もし法律が通ったとしましても、政府には民主党は入っていないわけですから、もう少しそれは具体的に、財務省に任せるんじゃなくて、じゃどの程度の規模の企業の公表を求めるのかということは法案に書くべきではなかったのかと思いますが。  今日、経済産業省にも来てもらっていますので、今の話のように、個別企業名がこの件について開示されるとした場合に企業にどういう影響が生じると考えるか、見解を求めます。
  112. 鈴木英夫

    政府参考人鈴木英夫君) お答え申し上げます。  まず、租税特別措置について、委員指摘のとおり、適用に関する情報の収集とかその効果の検証というのは非常に重要なことだと思っておりますけれども、個別企業ごとのデータの公表につきましては、まず主要国では実施されておりません。  さらに、こういった情報が個別に出ていきますと、個別企業の研究開発投資でございますとか、IT投資の投資額について内外の企業の知るところとなりますので、国際競争にさらされている我が国企業にとって不利となるようなことがあるかもしれないという問題があると考えております。  それから、企業の適用実績のみを公表するということになりますと、所得税、法人税の公示制度が廃止されたこととも逆行するというような指摘もございますので、具体的な制度の設計に当たりましてはこうした諸点とか実務上の問題も含めて検討していただきたいというふうに考えております。    〔理事円より子君退席、委員長着席〕
  113. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そこで、発議者で、政府の方はそういう答弁でしたが、しかし先般の参考人質疑でも、森信参考人、土居参考人、いずれも個別企業の開示については慎重であるべし、そういう話でありました。参考人がこう述べている点、あるいは納税者にきちんとこれは理解を得られるというふうに考えているのか、お答えを願います。
  114. 尾立源幸

    尾立源幸君 お答えいたします。  今御指摘いただいた点は、参考人質疑の特に土居教授からお話があった点かと思います。こういうふうに租特の個別の減税額、企業名が分かると設備投資を何に使ったかということが分かってしまって、企業戦略が間接的に漏れ出てしまうという可能性があると、そういう意味で、細かく検証する必要はあるにしても十分な配慮をしていただく必要があるのではないかと考えております、こういうコメントもいただいております。  確かにそういうコメントはございます。しかしながら、私ども試算を推定をさせていただきました。もう試験研究費による減税額の一覧がこちらにあるわけでございますが、現に今、金融商品取引法等ディスクロージャー、非常に充実しておりまして、そこから結構もう情報が取れるんですね。例えば、一番この試験研究費で恩典を受けている自動車会社でございますが、我々の推計ではもう八百六十二億というようなこういうところまで推計ができる、このぐらいの情報開示が行われておるので、今更ここを少し強制、義務化したからといって、そんなに大きな弊害は私どもは出てこないものだと、こういうふうに考えております。それどころか、積極的にこういう減税額を、減税を受けて企業活動をしているんだということ、国民の皆さんにそれを知らせることで社会的な評価はかえって私たちは透明化させることによって高まっていくものだと認識しております。
  115. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 この件はこれだけにしますが、ただ一点申し上げさせていただきますと、補助金と実質的に裏補助金と言われましたかね、というお話でございましたけれども、補助金というのは行政庁が個々に補助金の交付決定という行政処分をして決めるわけですね。もちろんおのずから法律や予算等に基準はあるわけでありますけれども、どうしてもこれは裁量の幅があるわけです。だから、A企業には交付されてB企業には交付されないことが適切かどうかということはもうこれは検証する必要がありますから、これはディスクロージャーというのは当然だと思うんですね。  ただ、租特の場合には国会法律が決まり政令が決まれば、もう後は機械的にこれは全員の方が適用を受けるわけで、もちろん申告をして課税処分という形でそこに行政処分は介在するかもしれませんけれども、個々の租特の適用について行政庁が承認をするということじゃないですよね。逆に課税処分でそれが否認されれば国税不服審判なり訴訟で争えばいいわけでありますから。そういう意味で、透明性はもうほぼ十分に確保されているんではないかと、そういう点で私は、補助金を交付する場合とこの租特の適用というのは少なくとも情報開示というレベルでは同じではないのではないか、こう思っております。まあちょっとこれだけにしておきますが。  次に、これは、本法案は納税者にも──まあ何かあれば言ってもらってもいいですけれども、ちょっと簡単に。
  116. 大塚耕平

    大塚耕平君 じゃ、一言だけ付言させていただきますと、既に現時点において合法である租税特別措置の適用を受けるという意味においては個々の企業に問題がないということはそのとおりなんです。ただ、租税特別措置そのものが本当に合理的で日本国の経済にとってプラスかどうかという観点からいうと、今、荒木委員が御指摘いただいたこととはちょっと違う視点の租特に対する国会としてのチェック機能を果たす必要があるという我々は思いでございます。  先ほど経産省が諸外国の例を出しましたが、日本の政策、制度づくりにおいて大きな問題は、役所の考えにとって都合のいいところでは諸外国の例をよく出すわけでありますが、諸外国においては確かに開示をしている例はありませんが、逆に、日本はなぜ諸外国に例がないほど、他の先進国に例がないほど財政赤字が大きいかというと、ひょっとすると租税特別措置において他の先進国と違う観点で不合理なものが継続されている可能性があるからこそこの財政赤字につながっている側面があるのではないかと私たちは考えております。したがって、諸外国に例がないからといって我が国においてその開示の必要性がないと言い切れるものでもないということも付言をさせていただきたいと思います。
  117. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 それでは、時間も迫ってきましたので、行政に与える影響について、まず国税当局に、もしもこうした形で増減額明細書を導入し、この提出を求め、それを入力して分析をしということになった場合に、これに対応するためにどの程度人員やシステムの対応が必要になると考えているのか、答弁を求めます。
  118. 佐々木豊成

    政府参考人佐々木豊成君) お答え申し上げます。  御指摘の国税当局における本制度への対応を人員面それからシステム面から考えました場合に、幾つか検討すべきことがあると存じますが、一つは法人だけでも三百万社ございます。その増減額明細書の集計は、今はその集計のシステムがございませんので、現状では手作業で行わざるを得ないということでございます。この作業を合理化するためのシステムの開発というのにはやはり一定の開発期間が必要であるということもございます。  さらに、第二点目はシステムの開発後でございますけれども、税務署の現場で、まずシステムに入力するということはシステムがありましても必要でございまして、増減額明細書の納税者の方からどう書いたらいいんですかという相談に応ずることから、あるいはOCRで読み取る、さらに読み取ったものが正確に写されているかどうかを確認するなどの入力、集計に必要な仕事というのはやはりございます。それ相応の人員確保は必要であるということでございます。  三点目でございますけれども、増減額明細書というのは申告書と一緒に出されるものと考えますけれども、申告書が出る法定申告期限というものがございます。そこから国税の作業が始まるわけでございますが、法定申告期限とそれから法案で示されております報告期限までの間に作業を完了することができるかどうかということにかなり困難が予想されるということでございます。  そういった検討を要する課題があると見込まれますが、いずれにしましても既存事務への影響は避けられないものと考えております。
  119. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 ただでさえ忙しい税務当局に私は相当な負担をこれは負わせることになると思いますが、この法案でそうした新たに発生する行政コスト等について必要経費を見込んでいない、普通、議員立法ですと、この法案の施行に伴う必要経費は幾らだというのがありますけれども、それを見込んでいないのはなぜですか。
  120. 大塚耕平

    大塚耕平君 お答え申し上げます。  今回のこの法案が目指している業務というのは、私どもとしてはこれは税務当局本来の業務の中に当然含まれるべきものではないかと思っております。  ただ、今御指摘のありましたように、私ども法案の第七条で明記をさせていただきました増減額明細書、こういった新しい書類ができて、この集計作業に一定の人員が必要だということであれば、それについては、私どもは税務当局あるいは税関等の職員については増員ということを常日ごろ申し上げているわけでありますので、本来業務が増えることによって本当に人員が必要であれば、その人員面での手当てによって対応をするべきものと思っております。もちろん人員を増やすに当たってはその分の人件費が必要になりますので、荒木委員の御指摘観点からいえば、その人件費は幾らかということについては率直に申し上げて今ここには明記をしておりませんが、冒頭申し上げましたように、本来業務に含まれる大変重要な、しかも現下の日本国の置かれている財政状況からすると極めて重要な業務であると思っておりますので、税務当局の皆さんのまずはしっかりとした仕事に期待をしたいというふうに思っております。
  121. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 最後に、所得税の特例措置につきまして、利子の源泉分離課税や住宅ローン控除等、確定申告をしていないサラリーマンもたくさん受けているそうした特例措置についても増減額明細書というのを納税者に提出を求めるんですか。
  122. 大塚耕平

    大塚耕平君 私どもは今回、国税の租特を中心にお話、この法案の中に盛り込ませていただいておりますが、例えばこれ以外に所得税法や法人税法本体の特例措置や地方税法等の非課税等の特別措置もございますが、これは本法案の対象にはしておりませんので、そういう意味では今、荒木委員指摘負担を納税者の皆さんにお掛けすることは想定はしておりません。
  123. 尾立源幸

    尾立源幸君 ちょっと補足をさせていただきます。  今回の透明化法案の対象は国税でかつ法人ということでございますので、そういう意味でサラリーマンの皆さん等には御負担を掛けないということでございます。
  124. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 住宅ローン控除による減収額というのは八千百五十億円ありますね。それで、今年度の税制改正でもこれは若干縮小された上延長したわけですね。これは我々も議論する中でいろいろ議論があって、財務省等はこうした控除をしたって住宅の着工件数が増えるという、そういう統計はないとかいろいろ言うわけですよ。それを我々はもうしっかりいろいろ反論して、そういう中で縮小されつつも維持しているということなんですよね。  だから、本当にこの租特の正当性を検証ということであれば、そうしたことも含めてなぜ検証するような仕組みにしなかったのかという、そういう疑問が残るということを申し上げて、時間ですので終わります。
  125. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  本法案峰崎委員長の大変思い入れの強い、御尽力された法案だというふうに思います。大変いい法案だと私は思っておりますけれども、よく分からないんですけど、財務省は、この法案には賛成できないという立場なんでしょうか。額賀大臣、いかがでしょうか。
  126. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは一定の政策目的を達成するための特別の租税特別措置であります。ですから、時代の変遷に応じてインセンティブを与えて日本経済成長に役立ってきたと思っております。そういう意味では、そういう中でやっぱりきちっと見直しをしていくという意味では極めて同調する部分もあります。  しかし、我々はもう既に二十年度予算についてはもう済んでしまったことでございますから、来年度以降またいろいろと御議論をする場合に参考にさせていただきたいというふうに思っております。
  127. 大門実紀史

    大門実紀史君 今の大臣の御発言に御意見ございますか。
  128. 大塚耕平

    大塚耕平君 参考にしていただけるという御発言ですので、ということは何がしか役に立つ提案も入っているということのようでございますので、是非賛成をして、与党の皆さんにも賛成をしていただいて、この法案に基づいて財務省に租特の透明化に資するような行政を行っていただきたいと、心からそう思っております。
  129. 大門実紀史

    大門実紀史君 先ほどの質疑の中で、私も資料を見てびっくりしましたけれども、この措置で五十年以上続いているものが三つありますね。船舶特別償却、保険会社異常危機準備金、植林費の損金算入の特例というのがもう昭和二十六年とか二十八年、昭和三十二年から続いております。  先ほど遠藤副大臣が不断の見直しがキーワードだとおっしゃいましたけれども、これ、不断の見直しをやっていて何で五十年以上続いているのか、ちょっとお聞かせください。
  130. 遠藤乙彦

    ○副大臣(遠藤乙彦君) 当然不断の見直しを行っておりますけれども、関係省庁等から必要性の説明がありますし、やはり政策目的上に照らして、まあ時代が変わっていきますけれども、政策目的に照らして必要と判断されれば当然それは存置するというふうに考えております。
  131. 大門実紀史

    大門実紀史君 私はもう五十年も続いて、必要な措置かも分かりません。そういうのは本則に入れていくのが当たり前で、そういう考えだともうこれ百年でも続いてしまうんじゃないかと思うんですよね。そうすると、もう特別措置、恒久減税の言葉とかああいう言葉と同じで、これはもう恒久措置になってしまうと思うんですけれども、その辺はやっぱりもう五十年とか三十年とかになると、それこそ全体の政策評価といいますか見直しをしなきゃいけないと思うんですね、一年一年じゃなくて。そういうふうなことを基本法律の提案をされていると思うんですけれども、そういうことが必要じゃないかなと申し上げておきたいと思います。  時間が少ないので、提案者、発議者にお伺いいたします。  今日も答弁があったとおり、今までもいろいろ政策評価とかやっているというふうなことがありましたけど、民主党さんとしては、会計検査院の特定検査とか、所管庁の行政評価とか、財務省の審査ですか、こういうものではそういう見直しができないというふうに判断された根拠といいますか、このままではできないんだと、この法案をやるしかないんだと。この分かれ目の判断というのは何だったのか、ちょっと教えていただけますか。
  132. 尾立源幸

    尾立源幸君 この租特、まさに経済的な意味におきましては実質的に補助金と変わらないと。にもかかわらず、だれがどの程度利用しているか、財務省が全く把握していないということが分かりました。まさにブラックボックスに今なっております。さらに、財務省が分からないのもそうなんですけれども、この所轄の責任というのが各省庁に全部権限が分散されておりまして、まさに特別会計等々の不透明な部分と一緒で、ここも各省庁の管理下に置かれているということが分かってまいりました。  さらに、私どもが秋口にヒアリングをさせていただいた中で、じゃどのような各省庁実態を把握しているのかということを検証しましたところ、まず租特の利用実績、実数を把握していない。さらには、租特の減税額ですね、この試算もいいかげんなものが多いと。さらに、租特の政策評価も行っていなかった。さらには、補助金が並行して使われる場合もあるんですが、その関係も整理していないと。こういう幾つもの問題点が指摘されたわけでございます。  そういう意味で、毎年のように繰り返されますこの租特の新設、延長に当たっては、この現状では簡単には私たちは認めるわけにはいかないと。やはり実態が分からないことには判断のしようがないという結論に至ったわけでございます。  そういった意味で、何としても透明性を確保して国民の皆さんに納得していただくことが大事だということで、まずは実態調査が必要だという結論に至ったわけでございます。
  133. 大門実紀史

    大門実紀史君 額賀大臣、今御指摘があったとおり、実際にヒアリングされていろいろ見たら、先ほどから見直しすると言っても、このシステムは無理だということを判断されたということですね。  そうすると、もう率直に襟を正して、財務省の中でも今のシステムでいいのかどうかと。先ほど参考にされるという話ありましたけれども、本当に考えなきゃいけないんじゃないかと、この法案のとりあえずの賛否はともかくですね。その辺もう少し、財務大臣、いかがお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  134. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) だから、どういう政策目的を考えるのか、そしてその政策目的を達成するために税制対応するのがいいのかどうなのか、あるいはまた既にやっていることが経済状況とか将来にとって有効なのかどうか、そういうことについてはしっかりと議論をしていく必要があるというふうに思っております。
  135. 大門実紀史

    大門実紀史君 議論も大事なんですけれども、まず実態をつかまなきゃいけないということでこの法案が出ているんだと思います。  発議者にお聞きしたいんですけれども、この法案が成立した後、ただ調査をすればいいというものじゃないと思います。その後の政策提案としてといいますか、その後どういうふうにやっていこうというふうにお考えか、お聞かせいただけますか。
  136. 大塚耕平

    大塚耕平君 先ほどの富岡委員の御質問に共通する部分がございますが、私どもはその象徴的な意味で租特全廃ということを申し上げておりますが、それは租特という政策手段が必要ではないと申し上げているわけではなくて、既存のものは本当にその実態が分からないがゆえに、改めてその上で本当に必要なものはビルトしていく、物によっては継続という判断をするものも出てくると思います。その際の判断基準の一つとしては、先ほども申し上げましたが、トータルとして経済効果がどのようなものであって、そしてそれを国の政策として是認するかどうか。この二つの判断基準で恐らく存置するもの、そして新たに設けるものを決めていくことになると思います。  経済効果といった場合に、例えば減税効果のみが対象者に及んで、国の財政の視点からいうと、減収のままである場合には、その方々にそのような減収効果が及ぶことに合理的な理由があるかどうかということも重要な判断材料になります。できればその減収効果によって間接的に国の税収が増える、トータルとしての国の経済的効果はプラスであるということが大切な条件ではないかということも付け加えをさせていただきたいと思います。
  137. 大門実紀史

    大門実紀史君 報道では、峰崎委員長なんかが記者インタビューでお答えになっているのは、リセット法案といいますか、何か次の法的な措置といいますか、そういうものをちょっと、しばらく前ですけど、耳にしたことがあるんですが、そういう具体的なところで、次の法的措置として何かやっていくというような構想はありますか。
  138. 大塚耕平

    大塚耕平君 我が党の様々な動きに御関心を持っていただいて大変有り難いんですが、今回この実態が明らかになり、私どもとしては、もしこの法案を通していただいて、法案に基づいた適用実態調査の結果、この租特は廃止が必要だ、あるいはこれは存置が必要だというところまで恐らく判断が及ぶでしょうから、その判断に基づいて財務省があるいは所管の省庁が自発的に公党である政党の意見や国会での議論を踏まえて対応していただけるならば、リセット法案のようなものは必要ないと思います。ただし、それはそれとして、現在の租特を引き続き基本的には全部継続するというような動きになれば、全部か一部かは別にいたしまして、リセット法案のようなものを考えていく必要があるというふうに思っております。
  139. 大門実紀史

    大門実紀史君 もうお聞きすることもなくなってまいりましたけど、最後に言い残したことがあればどうぞ。
  140. 大塚耕平

    大塚耕平君 言い残したことではございませんが、大変こうして野党の議員立法を御議論いただくと、私ども立場としてはいい意見交換ができているなというふうに思っております。  そういう中で、今日大臣がお話しになった点に関連して一点だけ申し上げさせていただきたいんですが、大臣は、租特というものは国の経済を発展させるために、その発展に資するような分野にはやはり一定の措置をしていく必要があるという趣旨で、その必要性について述べられました。特に科学技術の発展の重要性を述べられましたが、その考え方そのものには私たちは賛成なんです。  ただ、是非この議論を通じて私ども考え方を御理解いただきたいのは、科学技術の発展や産業の発展のためにこれまで、特に高度成長期と同様に直接的に財政支出や財政支援をするという財政的余力がないがゆえに、実は科学技術の発展や産業の発展のためには政府が余計なコストを企業産業に掛けさせない、行政コストという意味も含めて。そういう意味では、トランザクションコストというふうに最近申し上げますが、トランザクションコストがなるべく掛からないような産業政策を行うことによってつまり財政負担も掛からない。  その一方で、これまで産業を中心に行っていた租特あるいは財政的支援はどこに行うかといえば、これはGDPの六割を占める個人消費に直接及ぶような財政措置をする必要があるのではないか。そして、個人消費が盛り上がることによって内需が振興されれば、そのことによって結果として企業産業も発展するわけでございますので、ただいま申し上げましたような考え方も含めて、税制及び租税特別措置全般が本当に半世紀ぶりに大胆に見直されることを期待しているということを付言をさせていただきたいと思います。
  141. 大門実紀史

    大門実紀史君 大変よく分かりました。  じゃ、終わりたいと思います。
  142. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  143. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 民主党の富岡由紀夫でございます。  私は、民主党・新緑風会・国民新日本を代表して、租税特別措置整理及び合理化を推進するための適用実態調査及び正当性検証等に関する法律案に対し、賛成する立場から討論を行います。  まず、賛成する第一の理由は、本法律案に基づき租特の適用実態調査制度化されることになれば、これまでブラックボックスとなっていた租特の適用実態が具体的に明らかになることであります。  そもそも租税特別措置は、特定の政策目的を実現するために特定の対象者の税負担を軽減することを基本とするものでありますが、実質的には補助金と同様のものであるにもかかわらず、だれがどの程度利用しているのか、どの企業がどのような恩典を受けているのか、財務省ですら全く把握できていない現状にあります。  本法律案によって租特の適用実態が具体的に明らかとなれば、既存租特の必要性の有無や新設、延長要求の妥当性が判断できるようになり、租特の透明性が格段に向上することになります。  賛成する第二の理由は、租特の正当性の検証を行うことによって、租特の整理合理化が更に推進されるからであります。  租特は、いったん創設されると、その後その必要性について十分検証が行われることもなく、長期にわたって存続する傾向にあります。委員会質疑でも取り上げられました肉用牛の特例は、売却価格は百万円未満の肉用牛に係る事業所得を免税するものですが、肉用牛について同様の補助金制度があるにもかかわらず、租特と補助金との関係が整理されることもなく四十年もの長期にわたって存続しております。  本法律案に基づき、相当性、有効性、合理性という三つの観点から租特全体についての正当性の検証を行い、それに基づき適切な見直しが行われれば、租特の整理合理化が更に推進され、その恩恵は納税者である国民全体に帰着することになります。  賛成する第三の理由は、本法律案によって、行政機関による租特の政策評価と会計検査院による租特の会計検査が新たに行われることになるからであります。  現在行われている租特の効果検証は、毎年要求省庁税制改正要望時に行っているものと、会計検査院が特定の租特について実施しているものとがありますが、すべての租特について毎年継続的に行われておらず、効果の検証という面で極めて不十分な状況にあります。  本法律案によって、要求省庁は政策評価法に基づく租特の正当性の検証が義務化されるとともに、会計検査院は租特の実施状況に関する検査を行うことになり、その結果は毎年国会への報告書に反映されることになります。これらと財務省の適用実態調査が連動すれば、租特の効果検証と整理合理化に向けた国会の立法活動に資することが期待されます。  以上、本法律案に賛成する理由を申し述べましたが、すべての議員各位におかれましては、租特の適用実態を明らかにして納税者が納得できる公平で透明性の高い税制を確立しようとする本法律案の趣旨を是非御理解いただき、何とぞ本法律案に御賛同いただきますよう改めてお願い申し上げ、私の賛成討論といたします。
  144. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  租税特別措置整理及び合理化を推進するための適用実態調査及び正当性検証等に関する法律案に賛成の方の起立をお願いいたします。    〔賛成者起立〕
  145. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  147. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁白川方明君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  149. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 財政及び金融等に関する調査のうち、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件を議題といたします。  日本銀行から説明を聴取いたします。白川日本銀行総裁
  150. 白川方明

    参考人(白川方明君) 日本銀行は、昨年十二月、平成十九年度上期の通貨及び金融の調節に関する報告書国会に提出いたしました。  本日は、日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、深く御礼申し上げます。  最初に、最近の経済金融情勢について御説明申し上げます。  我が国景気は、エネルギー・原材料価格高の影響などから減速しています。  資源の多くを輸入に頼っている我が国にとりましては、エネルギー・原材料価格の上昇は交易条件の悪化、すなわち実質所得が海外に流出することを意味します。企業の収益は圧迫され、家計の購買力は低下することになります。今のところ、設備投資や個人消費は底堅く推移していますが、こうした所得形成の弱まりが国内民間需要の下振れにつながらないか、注意深く見ていく必要があると考えています。  もっとも、先行きにつきましては、当面は減速が続くものの、その後は緩やかな成長経路をたどる可能性が相対的に高いと考えています。  まず、輸出は、米国向けは減少していますが、新興国や資源国など幅広い地域に向けて増加しており、先行きも増加を続けていくと見られます。また、企業は、設備、在庫、雇用の面で過剰を抱えておらず、企業収益も水準としては歴史的に高いレベルにあります。こうした下で、日本経済はかつてに比べ、景気の下振れショックに対してより頑健になっていると考えられます。  さらに、金融環境は緩和的であり、引き続き民間需要を後押しすると考えられます。短期金利は、潜在成長率や物価上昇率との関係で見て、引き続き極めて低い水準で推移しています。また、企業の資金繰りや資金調達の面でも、総じて良好な状態が続いています。ただし、中小零細企業や非製造業の一部では資金繰りが厳しさを増しており、注意して見ていく必要があると考えています。  こうした中、国際金融資本市場においては、米国サブプライム住宅ローン問題に端を発した動揺が続いており、不安定な状態にあります。一時の過度な悲観論は後退しましたが、米欧の証券化商品市場は機能が大きく低下しており、短期金融市場の緊張感は根強く残っています。金融機関の貸出し姿勢も引き続き厳格化しています。こうした下で、足下減速感を強めている米国経済の先行きも含め、引き続き、世界経済の下振れリスクが高い状態が続いています。一方、原油価格を始めとする国際商品市況の高騰が続いており、世界経済のインフレ方向のリスクも高まっています。このように、国際金融資本市場世界経済の動き、さらには原材料価格の上昇の影響などについては引き続き注視していく必要があると考えています。  物価面では、国内企業物価は、国際商品市況高などを背景に、三か月前比で見て上昇しています。消費者物価、除く生鮮食品のベースでは、昨年末ごろから前年比のプラス幅が拡大し、足下プラス一%程度となっています。先行きにつきましては、経済全体の需給がおおむねバランスした状態で推移する下で、石油製品や食料品の価格上昇などから、前年比プラスを続けていくと予想されます。足下の上昇率は、消費税影響を除けば十五年ぶりの高い伸びであり、特に生活必需品の上昇が目立つだけに、消費者のインフレ予想や企業価格設定行動への影響は注意して見ていく必要があると考えています。  次に、金融政策運営について申し述べさせていただきます。  今申し上げましたように、現在は経済、物価の先行きについて不確実性が極めて高い状態にあります。こうした下では、先行きの金融政策運営についてあらかじめ特定の方向性を持つことは適当ではないと考えています。日本銀行としては、経済・物価情勢や内外の金融市場状況などを丹念に点検し、経済、物価の見通しとその蓋然性、リスク要因を見極めた上で、それらに応じて機動的に政策運営を行っていく方針です。  この間、日本銀行は金融調節を通じて適切な流動性供給を行い、国際金融市場の動揺が続く中にあっても、米欧とは異なり、日本の短期金融市場は落ち着いた動きを続けています。今後とも、市場動向を注意深くモニターし、適切な金融調節を行うことで市場の安定に努めていく方針です。  なお、日本銀行が平成十四年から平成十六年までの間、買い入れた銀行保有株式については、平成十九年十月から市場での売却処分を開始しており、本年四月末時点での保有株式の簿価は約一兆四千億円となっております。  ありがとうございました。
  151. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 以上で説明の聴取は終わりました。  本件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時散会