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2008-04-18 第169回国会 参議院 財政金融委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年四月十八日(金曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月十五日     辞任         補欠選任      簗瀬  進君     川合 孝典君  四月十六日     辞任         補欠選任      石井みどり君     林  芳正君      坂本由紀子君     中山 恭子君      西田 昌司君     尾辻 秀久君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         峰崎 直樹君     理 事                 大久保 勉君                 辻  泰弘君                 円 より子君                 愛知 治郎君                 田村耕太郎君     委 員                 尾立 源幸君                 大塚 耕平君                 川合 孝典君                 川崎  稔君                 富岡由紀夫君                 平田 健二君                 水戸 将史君                 森田  高君                 横峯 良郎君                 尾辻 秀久君                 小泉 昭男君                 椎名 一保君                 田中 直紀君                 中山 恭子君                 森 まさこ君                 荒木 清寛君                 白浜 一良君                 大門実紀史君    事務局側        常任委員会専門        員        大嶋 健一君    参考人        中央大学法科大        学院教授     森信 茂樹君        東洋大学経済学        部教授      高橋 洋一君        一橋大学大学院        法学研究科法務        専攻教授     水野 忠恒君        慶應義塾大学経        済学部准教授   土居 丈朗君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成二十年度における公債発行特例に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○所得税法等の一部を改正する法律案内閣提出  、衆議院送付) ○揮発油税等税率特例廃止道路特定財源  諸税一般財源化及び地方公共団体一般財源  の確保のための関係法律の一部を改正する等の  法律案(直嶋正行君外七名発議) ○所得税法等の一部を改正する法律案(直嶋正行  君外七名発議) ○租税特別措置法の一部を改正する法律案(直嶋  正行君外七名発議) ○揮発油税等税率特例廃止に伴う調整措置  の実施に関する法律案(直嶋正行君外八名発議  ) ○租税特別措置整理及び合理化を推進するため  の適用実態調査及び正当性検証等に関する法  律案(直嶋正行君外八名発議) ○派遣委員の報告     ─────────────
  2. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、簗瀬進君、西田昌司君、石井みどり君及び坂本由紀子君が委員辞任され、その補欠として川合孝典君、尾辻秀久君、林芳正君及び中山恭子君が選任されました。     ─────────────
  3. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成二十年度における公債発行特例に関する法律案外六案の審査のため、本日の委員会参考人として中央大学法科大学院教授森信茂樹君、東洋大学経済学部教授高橋洋一君、一橋大学大学院法学研究科法務専攻教授水野忠恒君及び慶應義塾大学経済学部准教授土居丈朗君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 平成二十年度における公債発行特例に関する法律案所得税法等の一部を改正する法律案(閣法第三号)、揮発油税等税率特例廃止道路特定財源諸税一般財源化及び地方公共団体一般財源確保のための関係法律の一部を改正する等の法律案所得税法等の一部を改正する法律案(参第二号)、租税特別措置法の一部を改正する法律案揮発油税等税率特例廃止に伴う調整措置実施に関する法律案及び租税特別措置整理及び合理化を推進するための適用実態調査及び正当性検証等に関する法律案、以上七案を一括して議題といたします。  本日は、七案審査のため、四名の参考人から御意見を伺います。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございました。  皆様から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の審査参考にいたしたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  議事の進め方でございますが、まず、森信参考人高橋参考人水野参考人土居参考人の順序でお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いしたいと存じます。  それでは、まず森信参考人にお願いいたします。森信参考人
  6. 森信茂樹

    参考人森信茂樹君) ただいま御紹介いただきました中央大学法科大学院森信でございます。ちょっと風邪を引いておりまして、声が通らないことを御了解ください。  本日は、道路特定財源に関することと、それから租税特別措置に関する私なりの意見を申し述べたいと思っております。  まず、道路特定財源問題でございますが、この制度は、御承知のように、一九五四年に、道路利用者である自動車所有者やその燃料を使用した人が道路の建設、維持費負担するという受益者負担原則考え方で生まれたものです。特定財源制度の問題といいますと、一たび制度ができ上がると必要性が低下しても存続し続ける傾向があり、これを既得権益化するというふうに世間では言っておりますが、それから、歳入面での心配が余りありませんので歳出の方が甘くなり、入るを量って出るを制すというメカニズムが働きにくく、非効率歳出税金の無駄遣いにつながりやすいということで常に見直していく必要があるというふうに考えております。  道路特定財源は、九〇年代初めごろから制度疲労が始まっていたのではないかと思っております。しかし、失われた十年、いわゆるデフレ経済の中で経済対策とか失業対策所得分配政策として延命が図られてきまして、制度の発足から半世紀を経て、ようやく制度設計も含めた根本的な議論ができる環境が整ったということだと思います。一般財源化すれば道路が福祉などと同じ歳出の枠内で優先度を問われることになり、歳出を削減する効果も見込まれますので、この機会是非改革を行っていただきたいと思っております。  ただし、特定財源制度そのものは決しておかしな制度だと私は思っておりません。受益を受ける人が必要な財源負担すべきだという受益者負担考え方に基づくもので、逆に言えば受益をしない人は負担をしなくていいわけで、その点では合理性があると思います。  ということを申し上げるのは、今後、消費税を例えば引き上げるということになれば、社会保障目的税特定財源にせざるを得ないのではないかと考えるからです。国民消費税公共事業等の他の用途に使われたのでは、これは国民からすればたまったものではないということで、そこで今回の議論がまた役に立つのではないかというふうに思っております。  次に、暫定税率の問題です。  〇八年度につきましては、既に予算を組んでおります地方財政に与える大きな影響を考えると、再議決により元に戻すしかないと私は考えております。ただし、その際には、一般財源化をどう具体化するのか、道筋を明らかにして実現の担保を示さなければ国民は納得しないのではないかというふうに考えております。  問題は〇九年度以降でございます。〇九年度以降の税率税水準については、秋から始まる抜本的税制改革の中で議論するということだと伺っておりますが、一般財源化するので受益者負担という支えがなくなってしまい、自動車ユーザー関連業界の反発は避けられないと思います。この使途妥当性歳出面の無駄、公平、中立、簡素という税の原則に照らした課税根拠が厳しく問われることになると思います。それを国民説明して納得しなければ、なかなか現行水準維持は難しいというふうに考えます。  私自身は、ここで税負担を軽減してガソリン価格を引き下げるというのはややポピュリズムの政策ではないかというふうに考えております。石油価格が高騰したということは、価格メカニズムの中で、エネルギーを節約しろ、あるいは代替エネルギーを開発しろという市場の声が発せられたのではないかというふうに考えております。それを税金を投入してまで消してしまうということは問題ではないかというふうに思っております。  また、我が国環境問題への姿勢が国際的に疑われてしまうという問題もあると思います。私は以前から、納税者の同意を得るためには環境税に衣替えするしかないと思っておりました。また、そう主張してきておりました。ガソリン消費などを抑えるために、暫定税率分負担水準維持しつつ、税収の使途は自由にする、こういうことが環境問題を国民的に議論する大きなきっかけにもなると考えます。  欧州には、ドイツ、イギリスのような既存のエネルギー税をまとめて環境税と呼ぶものもあれば、スウェーデン等北欧のようにCO2の排出量に応じた精緻な環境税炭素税と呼ばれていますが、そういったものもあります。また、その使途も、年金財源に使ったり一般財源化が図られていたり、国の状況に応じてバラエティーがあります。国民からすれば環境税という話はやや唐突な感じが否めませんが、その辺りを抜本的税制改革の中でしっかり議論すべきではないかというふうに考えます。  いずれにしましても、一般財源化の方向が打ち出されましたことはチャンスだと思いますので、〇八年度からの暫定税率廃止という主張にこだわらず、このチャンスを生かして国民立場から論じ合って合意を形成していただきたいというふうに考えております。  次に、租税特別措置について申し上げたいと思います。  租税特別措置と申しますのは、御承知のように、特定納税者負担を軽減することによりまして特定政策目的実現を図ろうとする税制上の措置であります。  平成十九年度ベース減収額でその内容を見ますと、企業関係租特では研究開発減税中小企業投資促進減税情報基盤強化減税等があります。また別途、交際費損金算入を制限する特別措置による増収もあります。したがって、一概に減税だけというわけではありません。税務当局はまた、ここ数年、スクラップ・アンド・ビルドの原則見直しを行ってきておりまして、新たな導入措置を上回る租特廃止が行われており、総数は微減傾向にあるというふうに考えております。  租税特別措置のどこが問題なのかというふうに考えてみました。まず、特定の人の減税はその他の人の増税であるということで、租税特別措置というのは公平、中立、簡素という租税原則に反するものであるということ。したがって、政策効果実施状況を常に検証して必要最小限に抑制する必要があるということ。しかし現実には、一度法定されますといわゆる既得権益化されまして、必要以上に長く続く場合が多いと思います。その原因は、予算措置が毎年の査定、国会審議を経るのに対しまして、租税特別措置といいますのは、法定時には国会審議がありますが、その後はそのまま延長されがちで、財政資金の非効率な活用につながるという点ではないかというふうに考えております。ここに最大問題点があるのではないかというふうに考えております。  米国では、租税歳出、タックスエクスペンディチャーとしまして、議会に租特の全貌を報告して審議が行われる仕組みとなっております。我が国でも租税透明化を向上させるということが課題となっておりますが、その際には、効果検証に加えて、そもそも現在のような複雑な経済の下で政府があらかじめ望ましい政策投資を誘導するという方法よりも、市場メカニズムに任せた方が効率的だという規制緩和観点からの見直しも必要ではないかというふうに考えております。  ただし、すべての租特が悪いということではありません。また、新規事業を優遇する場合には受益企業は限定されざるを得ず、個別企業租特の恩恵にあずかるということ自体は不思議なことではないと思います。いずれにしましても、バランスの取れた見直し議論が必要だというふうに思っております。  難しいのは政策税制の位置付けだというふうに考えております。とりわけ平成十九年度以降、大規模な研究開発減税実施されまして、我が国経済デフレ脱却に向けて大きな成果を上げてきたというふうに認識しておりますが、こういった政策税制を今後どういうふうに考えていくかということは法人税減税の問題とも絡む難しい問題だと思います。  この点につきまして、政府税制調査会は次のように述べております。研究開発減税は、経済の将来の発展の基盤となる技術革新のための積極的な投資を促し、これによる生産性向上等により、持続的な経済成長に寄与している、表面税率である平均実効税率は、企業立地先投資先の決定、利益移転影響を与える一方、政策税制等も考慮した限界実効税率投資額の多寡に影響を与えるとの理論的整理がなされていると言っております。これは、経済が正常でないときには特定政策税制が非常に有効な場合がありますが、しかし、経済デフレを脱却し、正常化した場合には、政策税制廃止して、その財源法人実効税率を引き下げると、こういった方が望ましいのではないかというふうに示唆しているようにも読める文章でございます。  つまり、将来的に法人実効税率の引下げが必要となる場合には、法人税課税ベースを広げることにより財源を捻出する必要が生じますが、その際には現在最大減収額を持っております研究開発減税の取扱いを含め、租税特別措置の問題が改めて問われることになるのではないかというふうに思っています。  最後に、簡単に租税透明化法案について述べたいと思います。  企業関係租税特別措置について、その適用数増減収等情報を収集し、その効果検証することは極めて有効なことだと考えます。そこで、政策評価効果検証を行う観点から、業種別あるいは資本金別利用実績が公表されることは大きな効果があると考えます。ただし、企業特別措置個別企業ごとの公表ということになりますと、企業機密の問題や公示制度との整合性の問題もあり、やや問題があるのではないかというふうに考えております。  私の意見は以上でございます。  ありがとうございました。
  7. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ありがとうございました。  次に、高橋参考人にお願いいたします。高橋参考人
  8. 高橋洋一

    参考人高橋洋一君) どうもありがとうございます。  今御紹介いただきました高橋洋一東洋大学教授でございます。  ちょっと前まで役人をやっておりまして、四月一日だったんで、いきなり呼ばれまして、私もびっくりしたんですが、恐らく私が呼ばれたことについてびっくりしている人もいると思います。いずれにしても、本日このような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。  今日は三点ほど話をしたいと思います。第一はガソリン税特定財源の話。二番目はいわゆる埋蔵金の話です。三番目はそれらを使った若干の具体的な政策の話について述べたいと思います。  まず第一のガソリン税特定財源について述べたいと思います。この問題は、実は、税が課される観点というのと税が使われる観点という二つ観点から考えることができると思います。  まず、税が課される観点でございますが、経済学では最も有力な考え方というのは、自動車利用に伴う排気ガスなどの環境汚染、これを経済学言葉外部経済と呼びますが、つまり、利用者が費用を払わないんですけれど、社会的な観点からは経済損失となるものでございますけれど、この負担利用者に求めるといういわゆるピグー税考え方が有力でございます。ピグーといいますのは、御承知のとおり百年ぐらい前の経済学者でございますが、この考え方はその後長い間の風雪に耐えたものでございます。このため、環境問題に敏感なヨーロッパではガソリン税は高いということになっております。  さらに、もしピグー税とするならば、二酸化炭素排出の原単位に応じて課税すべきということも言えます。もっと言えば、暫定税率というのは、暫定ではなく本則税率、つまり恒久税として組み入れるべきということも言えます。  なお、このピグー税については、本来、使途特定して課するのではなくて、つまり、それを温暖化対策とかのために特定して取るという人もいますけれど、時々、環境税という言葉で、環境目的に使うという人がいるんですけれど、実はこのような考え方というのは正統的な経済学から見れば、ちょっと正統化は難しいと思います。  次に、税の使われ方の問題なんですけれど、道路特定財源というのは、その名のごとしですけれど、もし投資基準公共投資をするという考え方があるんであれば、その考え方とはちょっと矛盾するようなことが言えると思います。つまり、道路特定財源というのは、投資基準があるという立場に立てばちょっと合理的な説明が難しいと思います。経済学ではそのように、公共投資というのは実は投資基準を満たしたもので行うというので、一般財源化というのがまず原則になろうかと思います。  真に必要な道路とよく言われます。それが何かということになるんですけれど、これを経済学言葉で言えば投資基準を満たしているものということになるわけですけれど、その場合、釈迦に説法かもしれませんけれど、ベネフィットがコストを上回る、要するにいわゆるBバイCというやつですね、これが一を上回るんであればその公共投資を行い、一を下回るんであれば行わない、ただこれだけでございます。このコスト・ベネフィット分析というのも実は長い歴史が多少ありまして、先進国では大体五十年ぐらいの歴史があるんじゃないでしょうか。  このBバイCというのには、実は事前事後という二つの概念があろうかと思います。この事前というのは、需要コストなどを完成前に推計をして、それを用いたコスト・ベネフィット分析であります。事後というのは、文字どおり実際の需要量とかコストを測ってやるやつです。実際の需要量というのが予測を下回るというのは間々ある話です。それとあと、実際のコスト事前を上回るというのも間々ある話でございます。  ということで、実際、公共投資するときには事前BバイCしか分からないんですけれど、じゃ一体、事前BバイCが一以上だったらいいのかというと、それは一以上が事後もそうであったら全くそのとおりでございますけれど、今申し上げたように、需要予測というのは下回ることが多くて、コストは上回ることがあるということですから、そうなると、事後に一を上回るという形でやりますと、事前BバイCというのは、じゃちょっと一以上じゃなきゃいけないんじゃないかというのが普通だと思います。  例えばヨーロッパなんかでは三以上、昔、私はちょっと海外にいろいろとこの手の話を聞きに行ったんですけれど、四という国もありました。要するに、事後事前というのをよく見て、事前で三とか四でしたらほとんど事後も一以上でしょうと、そんなようなことでやっている国が多いように見受けられます。  以上のように、ガソリン税につきまして、環境のために高い税率を課したり、一般財源として厳格な投資基準公共投資を行うという説明というのは恐らく経済学的には正しいんですけれど、それで、かつ先進国で採用されると思いますが、といっても、我が国ではこれまで五十年以上にわたってガソリン税道路のためにという説明をしてきておりまして、それとは違うということが現実問題であろうかと思います。  ですから、時間は掛かると思うんですが、是非国会におきましてこの世界標準考え方が広く国民にも納得されるように努力していただきたいというふうに考えております。  第二に、その関連でいわゆる埋蔵金、これは正確には埋蔵金候補ですけど、この話をしたいと思います。  実はその埋蔵金候補というのはBS上の資産負債差額でございまして、埋蔵金埋蔵金というんですけれど、私がやっていたときは実は埋蔵金だったんですが、今はBSがたくさん出ていますんで、言わば今は露天掘りです。ですから埋蔵金ではないという、見ればすぐ分かると思います。  本日は時間の制約がありますので、各特会ではなくて財政融資特別会計金利変動準備金についてのみ述べたいと思います。  この準備金というのは金利リスクのためと説明されております。ただ、二〇〇一年の財投改革から財投債というのが発行されるようになりましたんで、言わば資産負債ミスマッチというのは限りなくゼロに近くできるものになっているはずです。ただ、財政当局の方は金利リスクの存在を認めながら、金利リスクがあたかも外部変数、外から与えられたかのように、与件のように説明をしまして、五%の積立金を正当化しているというのが現状だと思います。  しかし、これは金融をやっている人だったら直ちに分かるんですけど、この金利リスクというのは外から与えられるものではなくて、自らどのようにするかというふうに管理するものです。民間金融機関であれば収益を稼ぐのは当然ですから、このリスクを取らなければ収益を取れないという意味で金利リスクを取るということはある程度は容認できるかもしれませんけれど、国では必ずしも収益を稼ぐ必要がないわけですね。そうなりますと、果たして国の政府活動としてリスクを取ることが適切なのかどうか、もし損失が出た場合には最終的には国民負担になるわけなので、国民の納得も得にくいものだと私は思います。そもそもその金融活動自体政府活動としてどこまで行うのかというのも疑問があるかと思います。  いずれにしても、その財投債により金利リスクはほとんどゼロにでき得るにもかかわらず、一定金利リスクを取って、そのために一定積立金が必要とのロジックというのは果たして国民がどの程度納得できるんでしょうか。国民政府にあえて金利リスクをと思わないかもしれません。その結果、積立金が取り崩せて財政再建に貢献できるんであれば、なおさらそう思うかもしれないと思っております。  いずれにしましても、この財政投融資資産負債差額埋蔵金候補国民の財産です。その使い道を決めるのはまた国民でありまして、国会であると思いますんで、国民の意向を無視して役所とかそういうのが決めるものではないというふうに思っております。  最後に、ちょっと政策の話ですが、いわゆる埋蔵金というものですね、財源対策だけということであれば、昨年に発掘というか出てきました埋蔵金九・八兆円を利用することが多分事務的には物すごく簡単な話じゃないかなと思います。これは財政融資特別会計のただ金利変動準備金を取り崩したものなんですけれど、二十年の国債発行計画によれば、九・八兆円というのは、市中から三兆円、それと財政融資資金から三・四兆円、それとあと日本銀行から三・四兆円という形で買入れ消却をするという形になっています。  本来、これを、民間にマネーをたくさん出すという立場であれば、これは恐らく全額、本来は全額九・八兆円を市中からの買入れ消却にした方のが多分経済政策としていいと思います。そうすれば、恐らく市中から九・八兆円、三兆円じゃなくて九・八兆円にすれば長期金利はそれだけ下がると思いますし、現在、景気が先行き不安のある中でこれは多分立派な景気対策にもなり得るのかなと思います。  そこで、その考え方をちょっと敷衍していきますと、例えばですよ、例えば九・八兆円のうち三兆円だけをこれをほかの用途に使う、まあ何でもいいですけどほかの用途に使う、それで残りの六・八兆円を市中からの買入れにするという、こういうパッケージにしますと、これは今の計画よりかはより市中にマネーを供給するという形になるんで、より金利が下げる効果が今の計画よりあると思いますし、更に言えば、それと同時に財源対策にもなり得るということでございます。  そうした上で、そういうふうに国債償還のために九・八兆円を使うということをちょっと変えた上で、三兆円を普通の財源、もしその六・八兆円を国債償還で使うという上で、与党が一般財源化の修正をして、一方で野党の方が暫定税率分の引上げ、それと恒久化というのの修正を行えば、これは多分すごい立派な政策になり得るんじゃないかなと思っております。  国会としてそのような政策論議を是非やっていただきたいなというふうに考えております。  以上でございます。  どうもありがとうございました。
  9. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ありがとうございました。  次に、水野参考人にお願いいたします。水野参考人
  10. 水野忠恒

    参考人水野忠恒君) ただいま御紹介いただきました一橋大学の水野でございます。今日は財政金融委員会にお招きいただきまして、ありがとうございます。  今日は、主として税制改正法案についての審議と承っております。私自身専門は、租税法と申しますが、租税法律的な側面から検討するという研究を長らくやってまいりました。本日は、意見陳述項目という形で六つほど並んでおりますが、時間の制約もございますので、特に公益法人制度改革と税制、それから揮発油税等のいわゆる暫定税率の問題、この辺りに焦点を当ててお話ししたいと思っております。  まず、今回の税制改正法案に対する自分自身の考え方でございますけれども、言うまでもなく、現在、少子高齢化それからグローバル化が進んでいる中で経済社会の構造自体が大きく変化している、これに対応して、税制改革としましては、近年、経済社会の活力を維持向上するという論点と、他方で将来に向けた持続可能な財政運営を可能にするという、この大きな問題二つにどう対応するかということが求められております。  その観点から平成二十年度税制改正法案、これを拝見しますと、まず、財政事情にどのように対応するかという点、それから、具体的な論点としまして、公益法人制度改革にどのように税制が関与したか、さらに、国際課税それから金融課税といったものについて様々な課題に対応した税制改正が行われております。他方で、先ほど経済社会の活力の維持向上と申しましたが、それに対応して研究開発税制やエンジェル税制といったものも盛り込まれております。全体としてバランスの取れた改正案ではないかと思っております。  二番目に、公益法人制度改革への税制上の対応ですが、もう今から五年前になるかと思いますけれども、当時、税制調査会の中で非営利法人ワーキンググループといういわゆる作業部会が設けられまして、そこで私が座長をさせていただいた関係で、それ以来公益法人制度改革には非常に関心を持ってまいりましたんですが、特に平成十八年に、公益法人三法と言っておりますけれども、いわゆる今後の公益法人の在り方を考える、またその仕組みにつきまして平成十八年に改正法が成立しております。それで、実際の施行は本年の十二月ということで、平成二十年度税制改正の中に公益法人に対する課税というものを検討する必要があったわけであります。  このことについて、多少技術的な側面も入りますが、お話をさせていただきますと、まず、公益法人制度改革三法が作られた折に、国会審議の際の附帯決議で「民間の担う公益活動の促進及び寄附文化の醸成を図る観点から、適切な税制上の措置を講ずること。」と、このように附帯決議がなされております。言わば、民間の担う公益活動、これを促進するような税制であってほしいということでございますが、この観点から今般の税制改正案も作成されていると考えております。  まず、内閣府に中立的な公益性を中立的に判断する第三者機関というものが置かれております。これは公益認定等委員会と言っておりますけれども、そこで、今回は、新しい公益法人制度の下では主務官庁を離れまして公益認定等委員会という委員会が公益性を認定するということになっております。それにつきましては、公益法人三法の中に公益性の認定の基準というものが一応示されておりますが、更に細目についてガイドライン等を作成しているところと伺っております。  その中で税制の果たしている役割ですが、これは大きな改革でございますが、従来、いわゆる特定公益増進法人という認定を受けた法人、公益法人は二万数千ございますけれども、その中で特に優良な公益法人であると言われた特定公益増進法人、特増と言っておりますが、このような認定を受けた法人に対する寄附については寄附金の控除が認められる、言わばそれによって寄附金を募って公益的な活動に従事することができるということでありますが、今回の一番の目玉と言ってよろしい税制改正ですけれども、公益法人、具体的には公益社団法人、公益財団法人という言葉を使っておりますが、これに認定されますと、文字どおりそれ自体特定公益増進法人というカテゴリーに入りますので、寄附者は寄附金控除が受けられるということになっております。言わば文字どおり民間の担う公益活動というものを推進していく一つの環境がつくられているということが言えると思います。  それから、第二点ですけれども、これは、従来、公益法人に対する課税というものは三十三業種の収益事業に限って課税を行う、言わば業種に応じて収益事業に課税したということであったわけですが、今回、公益法人関連法律の中で公益目的事業というような言葉が出てまいりまして、それに対応しまして公益目的事業から生じた所得については非課税にするという改正案が出されております。言わば公益目的の事業を促進するためにそこから生じた所得については非課税になるという特例ですけれども、このような形で民間の担う公益活動というものをここでも促進を図っているわけであります。  それから、三点目ですけれども、従来の公益法人は二〇%のみなし寄附金と言っておりましたが、収益事業から生じた所得、収入のうち二〇%を寄附金とみなして言わば課税の対象から外すことができたわけですが、今回の公益法人改革におきまして、それに対応した税制としまして、実際に公益目的に支出する、公益目的事業に対して支出したような金額はすべてみなし寄附金、まあ寄附金とみなされる、言わば課税の対象から外れるということでありますので、一言で申しますと、公益的な活動に対して収益事業から生じた収益を使った場合であってもこれは課税の対象にならないという、非常に大胆な制度税制が検討されております。  以上のように、この度の公益法人税制というものは、全体としまして国会の附帯決議で言われております民間の担う公益的な活動、これに沿った内容になっておりまして、時代の方向に即したものとして十分評価できるものであると考えております。  なお、最近のことですが、公益法人につきましても、道路関係の問題としまして、いわゆる道路予算の執行の在り方として不適切な面があるのではないかと、これが公益法人の中にもそのようなことに利用されている法人があるのではないかというような報道がなされ、また福田首相からもそういったことに対する御意見が出ておりますけれども、特に行政と密接な関係にある公益法人に対して集中点検を実施すると、それによって補助金や委託費等の支出の無駄を是正するという方向が示されておりますが、公益法人、新しく十二月から認定のやり直しということになっておりますけれども、それに合わせて、こちらの道路予算関係から、その他様々の問題を公益法人は抱えておりますが、新たな公益法人制度が運用される十二月までにいろいろ問題点を解消していただきたいと思っております。  それから、三番目が、ここでは特に金融所得を挙げておりますけれども、具体的には上場株式等の配当、譲渡益、この軽減税率廃止するということにされております。この軽減税率というのは平成十五年度に当時の経済マーケットの情勢を踏まえて暫定的な市場対策として採用されたものでありますけれども、今回の改正は、言わば中立性の観点に立って金融商品についてはできるだけバランスの取れた課税をするという、いわゆる金融所得課税の一体化ということが言われておりますけれども、それの一歩として軽減税率廃止するという方向が示されております。このような改正は経済活性化とのバランスに配慮したものとして評価できるのではないかと思っております。  それから四番目が国際課税ですが、国際課税は現実の税制としましては非常に複雑な面が出ております。他方で、裁判所の判決の中に、最近では国際的な経済取引を利用した課税逃れですとかそういう問題が非常に注目されて、またそのような判決が新聞等に取り上げられる機会が非常に多くなっております。現実に、今回の二十年度税制改正法案についても言えることですけれども、非常に、例えば裁判例で国が勝つこともあれば負けることもありますけれども、言わば国際的な場面を利用した租税回避、課税逃れに対してはできるだけ早く立法で対応するという姿勢が最近明確に示されております。今回の二十年度改正につきましても幾つかの改正案が示されておりますが、これは今後ますます進んでいく国際化、グローバル化を考えますと適切な措置ではないかと思っております。  それから五番目が揮発油、いわゆるガソリン税等の暫定税率の問題ですが、既にお二方、御意見を出されておりますけれども、これは、元々は揮発油税といったもの、言わばガソリン税ですけれども、この道路特定財源というものはそもそもは受益者の負担というものを考え、言わば道路については道路を利用する自動車利用者について負担を求めると、そういうことで目的税であったり、言わば特定財源という限定した予算が認められてきたわけですけれども、失礼しました、言い方がちょっとあれですが、言わば特別会計というものが認められてきたわけでありますが、以前から言われておりますのは、このような特別会計というものは財政の硬直化を招くということを言われておりますけれども、それが現実に問題になりましたのが今の状況ではないかと思っております。  これについては、特に、時間の関係で今御意見述べる時間なくなってしまいましたんですが、言わばこれを環境税との関係で議論されるという試みがなされております。実際問題といたしまして、現実に我が国ガソリンのほぼ半分が税金になっておりますけれども、諸外国に比較しましても、このようなガソリン、揮発油に対する税負担というものは、やはりいわゆる炭素化合物の排出を抑えるという意味でどうしてもこれは避けられないものではないかと思っております。  お話をまとめるようにということになりましたので、六番目の問題、ごく一言で申し上げますと、言わば税制改正法案、これが成立をさせないと先へ進めないわけでございますけれども、仮に成立した段階でどう考えるかということ、これは遡及させることが認められるかどうかという法律学ではかなり大きな問題がございますが、言わば特別措置など納税者、企業の利益になるものは、これについては遡及させる方向で検討することは可能であると思いますし、そうでない、税金を重くするような措置につきましては成立以降について適用すると、このような考え方で遡及立法を考えるべきではないかと思っております。  ちょっと時間を過ぎてしまいましたが、私の陳述を終えさせていただきます。  ありがとうございました。
  11. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ありがとうございました。  次に、土居参考人にお願いいたします。土居参考人
  12. 土居丈朗

    参考人土居丈朗君) 慶應義塾大学の土居でございます。今日は、このような形で皆様の前でお話をさせていただく機会をいただきまして、誠にありがとうございます。  私の意見の表明は、お手元に横長の参考資料を御用意させていただきましたので、この参考資料に沿いながらお話をさせていただきたいと存じます。  今、この場で税制関連法案が審議されておりますけれども、私は、これらの法案に関連して四点ほど指摘をさせていただきたいと思います。  証券税制関連する点にございましては、私は金融一体課税に向けた取組として評価できる点が多いと考えております。特に、上場株式等の譲渡損失と配当との間の損益通算の仕組みを導入するという点は、まさに今後様々な金融商品の所得関連して損益通算を一体的になすということで、まさに金融所得の一体課税、これがだんだん進められて、より完成度の高いものに仕上げていくという意味では一里塚として重要なものだと考えております。  二点目の租税特別措置関連するところでありますけれども、租税特別措置透明化ということは極めて重要でありまして、非常にいい問題提起が今国会で出されていると考えております。当然のことながら、その租税特別措置効果検証するということも極めて有意義なことでありまして、これも積極的に今後取り組まれることを期待したいところであります。  ただ、その方法については十分注意する必要があると考えております。業種別だとか資本金別という形で、マクロ経済の中で租税特別措置がどのように効果を持っているかということを検証することは非常に重要なことでありますが、個別企業が一体幾ら恩恵を受けているかということを事細かくあげつらうということになりますと、他国ではそういうことをしていないという点をかんがみますと、日本企業だけ世界経済の中で不利になるという可能性があり得ます。  例えば、租税特別措置をこういう形で使ったということが個別企業の中で分かりますと、しかもその金額まで分かりますと、その企業はどれぐらい設備投資を何に使ったかということが分かってしまって、企業戦略が間接的に漏れ出てしまうという可能性があります。そういう点はやはり、細かく検証する必要はあるにしても十分な配慮をしていただく必要があるのではないかと考えております。  それからもう一つ、租税特別措置という日本語にまつわる議論の混乱があると思っております。そもそも世界的にはタックスエクスペンディチャーという言葉で称されておりまして、つまりいったん国庫に税金を納めるという前に税法上で措置をして、事実上補助金を与えるかのような形で措置をすると、政策を講じるということであります。  一般論として、タックスエクスペンディチャーはどんなやり方でも全然効果がないとか、すべて悪いものだという議論はどこにもありません。もちろん有効なものと無効なものがあるということなのであります。当然ながらその租税特別措置というものは、タックスエクスペンディチャー、いわゆる租税歳出というような言い方で呼ばれますけれども、それと重なる部分も多いわけですが、必ずしも租税特別措置法の中に書かれているものだけがタックスエクスペンディチャーに該当するものではないわけであります。本則の税法の中で既に事実上、租税負担を減免するというような形で恒久的に認められているものもタックスエクスペンディチャーに入るものがあったりいたします。  別の言い方をいたしますと、租税特別措置というのは、時限があって、そこで特別措置法で措置されているものと思いがちなわけですけれども、税法内で本則で認められているものもあって、ひょっとすると、本則の中に恒久的に認めるということよりかは時限を切って政策効果を上げる形にした方がいいものもあったり、ないしは租税特別措置法の中で事実上恒久化してもいいものを毎回毎回期限が切れるたびに更新しているというようなものもあったりするというところがあると思います。  ですからそこは、本則のものと租税特別措置法措置とをきちんと再整理をして、恒久的に認められるものは本則に入れるとともに、本則にあっても時限を切ってもいいものについては租税特別措置法の中で規定するというような整理があってもいいのではないかというふうに考えております。  それから、今回の提出法案の中では必ずしも明記されてはおりませんが、既に方向性として示されております中小企業の事業承継税制については、これは中小企業、さらには地域経済の活性化という観点からも重要な制度の導入であると考えておりまして、この積極的な活用が期待されるところであります。  そして四点目は、道路特定財源のことでありますが、参考資料は三ページの方に移っていただきたいと思います。  道路特定財源暫定税率関連いたしましてはいろいろ議論が上がっております。これまでに既に議論されていることの中で論点を挙げますと、真に必要な道路を造るためには必要なんだと。ないしは、別の言い方をすると、無駄な道路を造らないということであるならばそんな税率は要らないんじゃないかという話もあります。さらには、昨今の原油高によって低所得者に対して配慮するためには暫定税率を撤廃するということが必要なのではないかという議論もあったりいたします。さらには、先ほど来からもう出ておりますけれども、地球温暖化対策のためには、暫定税率廃止してしまうとそれに逆行するのではないかという意見もあります。とにかく議論は錯綜しておるわけであります。  そこで、私が有用でないかと思う経済学の概念を一つ御紹介させていただきますと、ティンバーゲンの原理というものがございます。これは、政策の目標をうまく達成するには、政策目標の数と同じだけの政策手段がなければならないということであります。ちょっと違った例えでいいますと、連立方程式の方程式の数と同じだけの変数の数がなければ、その方程式はきちんとした答えが見付けられないということと似たようなものであります。二つの方程式の答えをきちんと見出したいときには、変数は二つでなければならないということであります。  そういう観点からいたしますと、暫定税率関連しては、まずそもそも暫定税率自体を残すのか、残さないのかという問題、それからもう一つは、そもそも道路予算として一体幾ら支出すべきなのかという歳出面歳入面二つの手段を持っております。  ところが、今挙げさせていただきました論点は三つありまして、三つの目的を同時に二つの方法で解決するということはできないことであります。ですから、やはりそこは、例えば原油高に対する低所得者への配慮というのは、これは暫定税率の問題で解決するものではなくて、むしろ社会保障の方できちんと手当てするということで決着を付けていただく。  それとともに、もう一つ、真に必要な道路を造るとか無駄な道路を造らないということに関連しては、これはまさに道路歳出をきちんと精査すると、支出面からきちんと吟味するということが大事だと考えます。  そして、もう一つは地球温暖化という問題でありますが、さすがに暫定税率を撤廃すると地球温暖化対策に逆行するというところがあります。やはりそのためにも暫定税率維持する。暫定税率維持すると無駄な道路ができるではないかということに対しては、もちろん歳出面できちんと精査して、真に必要な道路を造るという形で議論をするということが必要だろうというふうに考えております。その意味で、暫定税率維持しつつ道路歳出を厳しく精査するということによって、これらの二つの目標を同時に達成することができるだろうと考えております。  少し観点を変えまして、埋蔵金関連するところで私が考えているところを述べさせていただきたいと思います。  埋蔵金がいつまでも掘れば埋まっていて見付かるというようなことで議論をされていると、なかなか真に必要な財政政策のあるべき姿というものが議論されないというふうな印象を持っておりまして、その意味でも、できるだけ早くきちんと埋蔵金論争に打ち止めをしていただいて、冷静に税財政のあるべき姿を議論していただくということが必要なのではないかというふうに考えております。もちろん、その埋蔵金は、臭い物にふたをするかのごとく、何も精査せずにそのままふたをして終わりにしてしまうということを私が申し上げたいわけではなくて、客観的にその存在ないしは使い道についての議論が必要だろうというふうに考えております。  埋蔵金というのは、多くはストックとして存在するということでありますから、当然このストックについては、活用方法についてはストックからストックへと、ストックはストックへという原則を貫くべきだと考えております。その意味では、政府の債務削減に充てるのが本筋であって、その年々の行政サービスに使うということは本来なじむものではないと考えております。少しやゆして言えば、埋蔵金を見付けたと言ってそのお金を結局は無駄遣いしてしまったのでは元も子もないのであります。その意味では、埋蔵金がもしあれば、それはストックからストックへという形で決着を付けていくということが必要だと思います。  さらには、一つ代表的に挙げられているのは、財政融資資金特別会計の金利変動準備金ということでありますけれども、この金利変動については、もちろんリスクをできるだけ減らすように努力するということは必要でありますが、経済学の中でリスクを完全にゼロにすると、ないしはできるだけゼロに近づけるということがどこまで本当にできるかというのは必ずしも自明なことではありません。あくまでもゼロに近づけるという努力は必要なんだけれども、いつ何どき想定していないリスクが突然発生するというようなことも起こり得るわけでありまして、そういう意味では、リスクを完全になくせないということであるならば、きちんとしかるべき準備をしておく必要があるというふうに考えております。  続きまして、埋蔵金の在りかとしてもう一つ挙げられているのは独立行政法人に関連するところでありますが、独立行政法人に関連するところでは、資産負債差額が丸ごと直ちに埋蔵金だということではないと考えております。  独立行政法人も、もちろん有意義な仕事をしている反面、必ずしもそうでない部分もあったりするということであるわけですから、当然独立行政法人の事務事業についてきちんと精査して、その結果、不要な事務事業を整理縮小することによって無駄遣いを減らすということができれば、それはもちろんほかの用途に活用するという可能性は十分にありますから、むしろ、そもそもそこにお金があるからそれが埋蔵金だということではなくて、きちんと中身を吟味した結果としてそれが埋蔵金だと思われるならば、それをきちんと有効活用するということが重要だと考えます。  今後の税制改革の論議に際しましては、参考資料の七ページでありますけれども、まず一つの大きな一里塚と考えているのは、平成二十一年に予定されている年金改革に関連するところであります。今の政府の方針でありますと、基礎年金国庫負担割合を二分の一に引き上げるという方針が示されております。そのためには、当然のことながら年金給付のために税財源を投入する額を増やさなければつじつまが合いません。  ただ、必ずしも年金の改革に関連しては百家争鳴といいましょうか、様々な案が出され、もちろん長所もあれば短所もあるというようなところであります。当然、年金改革については国民的に広く様々な案が議論されるべきでありまして、いろいろないいアイデアが出てくるということは歓迎すべきことなのでありますが、年金改革の将来的な理想像が固まらないうちは税財源を投入する額を増やせないというようなことでは、これまた将来に向けた禍根を残すのではないかと考えております。  私が知っている限り、いずれの年金改革案も、高齢化に伴い将来税財源を投入する額を増やさざるを得ないものが大半であります。結局のところ、いつ、いずれの時期にか年金給付のための税財源を増やさなければならないということであるならば、一つのチャンスとして平成二十一年のときの年金給付のための税財源投入額を増やすということについては、少なくとも党派を超えて大同小異で一致協力してその方針を実現するということがあってもいいのではないかと。税財源の投入額を増やすということにした後でゆっくりその理想像について腰を据えて議論するということは決して悪い話ではないと考えております。その意味でも、年金給付の税財源をきちんと安定的に確保するという努力が求められると思います。  参考資料の八ページに移りまして、この高齢化と財政健全化の中で一体どのような税財源が今後有力なのかということですけれども、私は消費税が有力だと考えております。  所得に対する課税は社会保険料などの形で既に今後引き上げられるということが分かっております。また、所得に対する課税は勤労世代に重く負担がのしかかるということですから、今後も引き続き勤労世代にだけ重い負担を課して社会保障の財源確保するということでよいのかというふうにも思ったりいたします。さらには、貯蓄率の低下が懸念される中で、所得税では貯蓄の二重課税という問題が発生しますが消費税ではそうではないとか、社会保険料の逆進性を消費税なら実は緩和できるかもしれないという期待も持てるところであります。  消費税は逆進的だという意見もあるんですが、経済学から考えるとそれは必ずしも正しくはないと考えております。もしその逆進的だという言葉を正しく言うならば、累進的ではないと言っていただきたいというふうに考えるわけでありまして、実は消費税所得に対しては比例的な税でありまして、ただし累進的ではないので高所得者の人からたくさん税を取るというものの性質は持っていないという意味で、確かに逆進性とおっしゃられる方の意見は多分そういうことをおっしゃりたいのだろうというふうには思いますが、学術的にはそれは逆進的だとは言いません。  さらに、社会保険料は実は消費税よりも逆進的な側面があります。国民健康保険などの定額の保険料だとか高所得者に対する負担の上限があったりとか、そういうようなことがありまして、参考資料の十ページにございますように、低所得者に対して、もっと露骨に言えば、所得税の課税最低限以下の人でもより重く社会保険料を負担させられているという側面があります。もし基礎年金の部分の財源消費税で賄うというようなことになれば、その部分の社会保険料は必要なくなります。そうすると、その定額の保険料を引き下げることができて、その分だけ低所得者に対する保険料負担を軽減するという可能性も出てまいります。その意味では、社会保険料の負担構造と消費税の構造とを吟味しながら、今後消費税税制改革における役割を御議論いただければと思います。  私の方からは以上でございます。  どうもありがとうございました。
  13. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  14. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 民主党の富岡由紀夫でございます。  今日は、四参考人の皆さんにはお忙しいところをお越しいただきましてありがとうございます。  いろいろと埋蔵金の問題、今この委員会で大きく議論されておりますので、高橋参考人にまず最初お聞きしたいところなんですが、いろいろと今、土居参考人等々のお話聞きましたら、ちょっと一言まずお話を申し上げてから質問をさせていただきたいと思っております。  土居参考人水野参考人政府税制調査会の専門委員に加わっていらっしゃいまして、多分その中で議論されたことが今回のいろんな税制改正案なんかにも反映されていらっしゃると、そういう意味で、水野参考人は今回の税制改正案は適正だというふうにお話しされたんだと思いますけれども、ちょっとその点について私、若干疑問があるものですから、一言、二言お話しさせていただきたいと思います。  今、土居参考人のお話の中で、埋蔵金はストックなんだからストックに戻す、戻すんだったらストックに戻すべきだというお話ありましたけれども、例えば財政融資特会の今あるストック、積立金は、これは今はストックですけれども、元々フローもありまして、フローの積み上げであるわけですね。ですから、例えば毎年のフロー、二兆、三兆、四兆ありますから、そのフローの分を一般会計に入れるとか、そういった使い方を私はできるんじゃないかなというふうに思っております。  それと、先ほど金利変動リスクをゼロにできないんじゃないかというお話ありましたけれども、これはまさしく政府が言っているんですけれども、もうゼロに近づけるんだと、財投改革によってやるんだということを言っているわけなんですね。財投貸付金額もこれ今までみたいに何十兆じゃなくて、もう九兆とか八兆とかそのぐらいのレベルでございまして、それと貸付計画、貸付けの返ってくる償還計画も全部分かっています。そして、いろんな国債の発行している部分の、財投債発行している部分の償還計画も全部出ています、預託金の戻る金額全部出ていますと、全部コントロールできるわけなんですね。  私、銀行にいたんですけれども、そういうときはもうほとんどコントロールできて、金利変動リスクがゼロに抑えることができるというか、逆に、しないと、それこそ何やっているんだということで株主代表訴訟で経営者が訴えられちゃうわけですよ。ですから、金利変動リスクがゼロにはできないかもしれませんけど、限りなくゼロに近づけることはできるんです。ここまで明らかに資金管理ができていればできるというふうにちょっと付言させていただきたいと思います。  それと、あといろいろ気になったので、消費税のこの資料をいただいたものなんですけれども、これ所得に応じて消費に全部回るという前提で書かれているんですけれども、私もつたない銀行員生活十六年やっていましたけれども、お金持ちのほど、所得がいっぱいある人のほど貯蓄性向高いです。消費できるだけ抑えます。全部銀行に預金でたまってきちゃうんですね。ですから、消費税払いません。そういう意味では、逆進性がないというふうにお話ありましたけれども、理論的には、経済学上はそうかもしれませんけれども、現実社会ではお金持ちの人ほど貯蓄していて消費に使わないという、そういう傾向がありますから、是非今後の税制調査会の中での議論参考にしていただきたいというふうに思っております。  そして、是非高橋参考人にお伺いしたいと思いますけれども、今日は非常に新しい提案で、埋蔵金じゃないんだと、これは露天掘りだというお話でありましたけれども、これは本当にすばらしいことかなと……
  15. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 富岡さん、ちょっと先にお伺いしますが、今の土居参考人に対するのは質問ですか。
  16. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 ちょっと後で聞きます。  露天掘りのことについてお伺いしたいんですが、今、先ほどお話出ました、私は、二十兆円二十年度末で出てくる、そのうち九・八兆円は国債の圧縮に使うので残った十兆円を今まで暫定税率の税収不足に充当できるんじゃないかという議論をしていたんですが、その九・八兆円自体をそういった税収不足の分に充当できるという今日はお話あったものですから、それは非常に私はすばらしい発想だなというふうに思っております。  全部、国債整理基金に九・八兆円を戻すんじゃなくて、三兆円ぐらいは、二・六兆円相当分ぐらいは一般会計に入れるということができるというお話なんですけれども、これは手続上どういったことが行えばできるのか、お伺いまずしたいというふうに思っております。
  17. 高橋洋一

    参考人高橋洋一君) 政策論ですからいろんなやり方があるのかもしれませんけれども、多分一番簡単なのは、ただ単に国債を三兆円出せば全く経済効果は全く同じですね。ですから、国債を三兆円更に出して、それを一般会計に入れて、それで九・八兆円償還すればいい。  ですから、まあやり方は多分たくさんあります。しょせんお金の話なんで、お金に色は付いていないと言っちゃいけませんけれども、補正を組むもいいし、いろいろとやり方はある。もうテクニカルにたくさんあって、頭に浮かびませんけれども、多分一番簡単なのはただ単に三兆円国債を出せばそれで終わると思います。
  18. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 本当にすっきりいたしました。ありがとうございます。そういうことでやろうと思えば幾らでもできるというふうに理解いたしました。  それと、先ほどちょっと詳しくお話しいただけなかったんですけれども、外為特会の埋蔵金、いや間違えました、露天掘りですか、について、これも十八兆円ぐらいあると。で、今問題になっているのがその借入れしていて、それでドルで持っているわけで、今円高で含み損があるからそれは使えないんだということで財務大臣なんかはおっしゃっているんですけれども、その含み損の関係と埋蔵金の関係、あの露天掘りの出ている宝の山に対してその辺の関係はどういうふうに考えたらいいんですかね。やっぱりその含みがあるとそれは使っちゃいけないものなのかどうか、それは含みを実現するためには清算するわけですけれども、そういったことを想定した上でそういった議論が財務大臣は、政府はやっているのかどうか、その辺はどういうふうに整理したらいいのか、お伺いしたいというふうに思います。
  19. 高橋洋一

    参考人高橋洋一君) 外為の場合は、多少ちょっと議論が複雑になるのはそのとおりだと思います。  ただ、その外為がなぜあるのかって考えますと、これは為替の急激な変動がなくなるためですね。ですから、元々どうして為替がそのように変わるのかって考えますと、ちょっといろんなアイデアが出てくると思うんですが、一番為替が大きく変わる、長期的に大きく変わる要因というのは、実は、為替というのは元々通貨の交換比率ですから、それぞれの通貨の維持、価値とかそういうのに依存する。ということは、要するにそれぞれの国の金融政策に結構依存する話なんですね。  それで、海外なんかは実は余り外為資金を持っていないというのは、ほとんど似たような金融政策をする、結果的にすると、余り動かないというのがあります。  それで、日本だけ見ますと、実はその物価の上昇率が結構為替に影響がある、長期的にはあるんですけれども、日本の物価の上昇率だけ十年間は余りにもなくてほかの方があるんですね。こういうのをずっと放置しておきますと、実は潜在的には円高になり得るんです。  ですから、どちらかというと、余り為替が動かないようなマクロ経済政策というのを取る方が実は簡単だと思います。ですから、そういうのを取った上でこれだけ必要なのかどうかというのを議論しながらやっていくというのが多分王道だと思いまして、私の印象ではきちんとしたマクロ経済政策があれば、余り円高とか、余り円安というのはなくて、そういう状況の下で考えれば、埋蔵金というか、それを資産負債整理していって圧縮していった段階で出る可能性はあるのではないかなというふうに考えております。
  20. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 政府は、今回、積立金財政融資特別会計積立金の準備率というか、それを一〇%から五%に引き下げましたけれども、私は参考人のお話を伺っていますと、まだそれでも高いなと思っているんですけれども、今の財投特別会計、財政融資特別会計のこういった今の資産負債バランス、いろんな資産のALMの状況、そういったものを考えたときに、本当に必要な金利変動準備率というか、率は大体どのぐらいで足りるか、もしお分かりになれば、三月まで財務省にいらっしゃったんで一番詳しいと思いますので、お伺いしたいと思います。
  21. 高橋洋一

    参考人高橋洋一君) 財務省はかなり前に辞めております。ここ十年間はいませんでしたのでよく分かりませんけれども、まさしくそこが問題で、この資産負債差額というのは民間企業でいけば繰越利益に相当するわけですね。  ですから、そのようなことをどのように、あったときに、それをどのように処分してどのように決めるかって、実は普通の民間だったらこれは株主が決める話ですね。  ですから、まさしく国会の中で、この場合は多分株主って国民だと思うんです、私は。ですから、国民がこういうふうにリスクを取ってくれということを決めれば、政府はその代理人ですからそれに従うしかないんだと思うんですね。  ですから、何%が適切になっているかというのを聞くんじゃなくて、実は何%という金利リスクをこういうふうにしろということを政府に命ずるというのが本筋じゃないかなと思います。  例えば、銀行でそれぞれ執行人が、自分たちがこうだと言ったときに株主が駄目と言ったら終わりなんです。ですから、この埋蔵金議論云々というのは実は国民の方が決めるべき問題で、さっきも申し上げましたけど、リスクを取らないでくれ、だからこのようにしてくれということを、政府というのは国民の代理人ですから、そこに命ずるなり頼むということになるんじゃないでしょうか。  今現状でどのようになっているかというと、私はちょっと正直言ってデータがないから分からないです。分からないですけれど、理屈だけ言えば、さっき、財投債というのがありますので、それは財投債というのは貸付期間と調達期間が理論的には同じにできるんです。ですから、すごく少なくできる。その財投債がなくてもかなりリスク管理ができるんですから、それが財投債という言わば究極的なリスク管理の手法があれば、それはかなりゼロに近づくことはできると思いまして、そのリスク管理の量と実は積立金というのは連動しているんです。金利リスクの量と積立金が連動していて、ある確率で金利リスクがあったらこれだけ必要だという形になるんですね。  ですから、それはマネジメントとして政府にどうしろというのは、実は国民の方が政府に要求するような問題じゃないかなというふうに思っております。
  22. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 私も非常にそういうふうに同感でございます。  私も、ゼロにしておいて、本当に金利がミスマッチで、金利の損失が出てきちゃったら、そういった発生した場合は、よく民間の企業だと余分なお金を寝かせておかないんですよね。当座貸越し枠、クレジット枠をつくっておいて、そういったときに一時的に借りられるような枠をつくっておいてそこで充当するというやり方があると思うんですね。国も同じように、別に積立金を残しておくんじゃなくて、当座貸越し枠をつくっておいて、例えば政府短期証券を一時的に発行するとか、それでつなぐとか、そういったことも十分考えられる、私は、というふうに思っています。  そういった考え方をこれから国会の中で議論して、それはやっぱり法案の改正が、予算見直しとかそういったところが必要になってくると思いますけれども、そういった考え方について、高橋参考人、もし御意見あればお伺いしたいと思います。
  23. 高橋洋一

    参考人高橋洋一君) 今のもテクニカルには一つの解になり得ると思います。  ただ、もうちょっと単純な話もあると思いまして、実は民間企業でしたら、債務超過になったらこれは大変なんです。ただ政府は、債務超過になっても帳簿上繰越し損失を立てればそれはそれで回っていくという考え方もあり得ます。ですから、逆に言うと、いつも積立金をなくした状況で一年間のパフォーマンスを見るという考え方に立つと、いつもゼロにしておいて、パフォーマンスを見て、それがプラスかマイナスだけ見ていくという考え方も理論的にはあり得るんじゃないかなと思います。  ですから、これはまさしく、どのような形で国会政府をガバナンスするかということに依存するんですね。ですから、お金を与えておいてそれでその範囲でやりなさいと言うか、全部お金を取っちゃってあときちんと面倒見ますよと言うかというやり方の差のような気がいたしますので、そこはまさしく政府をどのようにガバナンスするかというやり方の問題だと思うので、理論的にはたくさんあって、どれでも私は結構まあ回るというか、きちんとうまくいくんじゃないかなというふうに印象を持っております。
  24. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 ありがとうございます。  あと、ほかの参考人にも質問させていただきたいと思いますけれども、森信参考人にお伺いしたいと思うんですが、環境税の問題をお話しいただきましたけれども、今回の道路特定財源暫定税率の引下げとは私も切り離して環境税の問題はやっぱり考える必要があるというふうに思っているんですけれども。今回は、ガソリンに関する、自動車に関するところだけなんですけれども、環境税という話になってくると、やはりいろんなCO2の発生源というか、いろんな産業、ほかの産業界とか、いろんな家庭でもそうですし、いろいろありますけれども、その辺の議論をどういうふうに展開すべきなのか。今回のガソリンの問題とやはりある程度関連付けた中で議論すべきなのか、それとも、全く真っ更にしてゼロから議論すべきなのか、その辺をお伺いしたいというふうに思います。
  25. 森信茂樹

    参考人森信茂樹君) 私の今の段階の考え方をお話ししたいと思います。  今おっしゃいましたように、まさに環境税といいましても大きく分けて二種類あると思います。  一つは、既存のエネルギー税を集大成して、これが高いことによって環境にいい影響を与えるという意味での環境税。それから、先ほど申しましたが、まさにCO2の排出量に応じてもっと、あらゆるCO2を出すものすべてに網をかぶせていくという北欧型のやり方があると思います。  私はこの問題、二つの問題があると思いますけれども、時間軸が、来年度の暫定税率相当分の税収をどうするかというところが一つ大きくあろうかと思いますので、この抜本の中で議論する時間は当面限られているのではないかと。そうしますと、これは私の考え方ですが、当面は、ドイツとかイギリスとかやっておりますような既存の税目を環境税として位置付けていくというやり方でやっておいて、同時に本格的なCO2税という形で再来年度以降の議論につないでいくべきではないかというふうに考えております。
  26. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 ありがとうございました。  水野参考人にお伺いしたいんですけれども、あと土居参考人にもお伺いしたいんですが、政府税調のいろんな大綱なんかをまとめたものを見させていただくと、いろんなやっぱり格差が出てきているというお話がありまして、その中で、その格差を是正するために所得税の累進税率、今まではずっと弱められる傾向がありましたけれども、少し戻してもいいんじゃないかと、そういった議論もある。また法人税についても、法人税、また地方法人二税、ずっと下げられてきておりますけれども、そういったものも見直してもいいんじゃないかというふうな議論もあったかと思うんですけれども、今の個人の所得格差、そういったものを是正する意味で、所得税の累進税率見直し若しくは相続税の累進税率見直し、ずっと弱められてきている傾向にありますけれども、そこら辺のまた見直しについてどういうお考えを持っているのか、お伺いしたいというふうに思っております。  暫定税率引下げでここ数年は一時的なそういった財源の問題を考えないといけないわけですけれども、ただ、長い目で見ると、そういった税の抜本的な見直しによって日本の税制の在り方をやはり構築していかないといけないと思っていますので、そういった観点でお伺いしたいというふうに思っております。
  27. 水野忠恒

    参考人水野忠恒君) 税率をどうするかという問題、特に最近言われております格差の社会というんですか、先生がおっしゃいますように、やはり税率は非常に重要な問題ですので、だんだん比例税率化しつつあった所得税が、これは住民税との関係もありまして五%から四〇%までという、累進が以前よりも強まっておりますが、この方向はしばらく続けるべきではないかと思っております。  それから、法人税は直接格差につながるかどうか難しいところですけれども、以前は四二%が基本税率でありましたけれども最近は三〇%に下がっている、こちらの方ですが、これは国際的競争力その他我が国経済情勢を見ますと、これについて税率を上げたりする、これはちょっと今の状況では私は無理で、あえて言えば、するべきではないと考えております。  以上でございますが。
  28. 土居丈朗

    参考人土居丈朗君) 御質問をいただき、ありがとうございます。  私が考えておりますのは、所得税の累進度というのは先生がまさにおっしゃいましたように下がってきていますから、当然、この所得格差是正ということを図るには、やはり所得税の累進度を上げるということによって直接的にそういう問題を解決するということはあります。ただ、さはさりながら、別の意味でも所得格差是正ができるんじゃないかと考えているのは、低所得者に対する税額控除を認めるということは、別途これは考えられると思います。  つまり、今ですと課税最低限以下になる所得の方だと、何の恩恵も受けずに単に所得税がゼロになるというだけで終わってしまうわけでありますけれども、税額控除という方法を使いますと、しかるべき還付が受けられるというようなことだとか、例えば児童税額控除を受けられるというようなことを設けますと低所得者に対しての配慮がなされると。累進税の税率の問題もさることながら、そういう税額控除なども活用して所得格差是正に対応するということは考えられると思います。  さらには、相続税のことにもお話が及びましたけれども、相続税も当然しかるべき相続税をきちんと取るということは必要だと思っております。むしろ、その課税ベースを広げて税率を下げながら実効性のある形で相続税を設けるということはあり得ると思います。  先ほど先生がお触れになりましたけれども、お金持ちほど貯蓄をすると。でも、お亡くなりになるときには結局は相続税という形で取れるということはありますから、確かに消費税では取れ漏らしがあるかもしれませんけれども、そこは相続税でその税収を取るという形で対応するという方法もありまして、そういう意味では格差是正というところも消費税を用いても相続税でカバーできるのではないかというふうに考えております。
  29. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 ありがとうございます。  私も所得税とか相続税の税率の変化についてずっと注目して調べてみてきているんですけれども、例えば相続税、平成十五年度の税制改正ですと、相続評価額が二十億円以上の人が今まで七〇%の税率が五〇%に下がったんですね。これはもう政府税調さんのいろんな意見が出てきて、それが税制改正につながったわけですけれども。  ただ、そのときに、相続評価額二十億以上で七〇%だった税率が五〇%になってその恩恵を受けられた人が年間どのぐらいいるかということを財務省さんに聞きましたら、年間三十人ぐらいしかいないということなんですね。だから、日本の要するに超お金持ちの三十人ですよね。一億二千七百五十万人のうちの三十人の人のために大幅な相続税の引下げをやっているというのは、これは金持ち優遇以外の何物でもないのかなと。税制調査会の皆さんはお金持ちだからそういう議論になるのかもしれませんけれども、ちょっとややその辺が偏った議論なのかなというふうに思っております。  今言ったように、貯蓄をためていた人が相続のときにちゃんと是正されれば、格差是正されれば、それはもちろんこしたことはないんですけれども、そういうことが今弱められてきているというところが私は問題だと思っているんですね。  あと、水野参考人が先ほどお話ありましたけれども、企業の課税については国際競争力の観点からいかがなものかというお話ありましたけれども、とはいっても今史上空前の日本の一部の大企業は利益を上げているというのも事実でございまして、課税所得額、去年一年間で五十七兆円ですか、一番過去最高の利益を上げているということで、そこから私は税を取るべきだというふうに思っているんですね。担税力のある、ちゃんと税金負担できるところに税負担をお願いするというのが基本的な考え方だと私は思っておりまして、ただやみくもに法人税率全部上げるんじゃなくて、所得税の累進税率と同じような形で、法人税にも所得金額、要するに利益ですね、に応じて税率を変えていく必要も、そういった考え方もあるのかなと思っております。  今も中小企業に対しては税率が軽減されていますから、八百万以下ですか、のあれについては法人税率は変えてありますから、それと同じように、そんなに全部一律に上げるんじゃなくて、例えば所得が年間百億以上とか三百億以上とか、一千億以上とか五千億以上とか、要するに一般の中小企業では到底もうそんな利益を上げるなんということは想定できないんですけれども、ただ一部の大企業はそういうことを、実際に利益を上げているわけですから、そういったところにある程度税負担をお願いすると。今まで、昭和六十二年ぐらいですか、までは四三・三%の法人税率、今三〇%に下げてありますから、それをある程度段階を踏んで引き上げるということも私は必要になってくるのかなというふうに思っております。  企業の国際競争力上がって、国民みんなが幸せになればいいんですけれども、今そうじゃないんですね。その企業だけが利益を上げて、それはどうやって上げているかというと、下請の中小企業とか従業員に負担を押して給料を下げたり、正社員から非正規社員に変えたり、あと、中小企業に対していろんな下請の価格をたたきにたたいて、原材料を入れる会社にもそういった納入価格を下げて、そういった中小企業に、どちらかというといじめながら大企業だけが利益を上げていると。そこはやっぱりある程度税率を高くして、税金が高くなってくれば私は、税金払うぐらいだったら従業員に給料払おうとか、税金払うぐらいだったら、よく接待費ありましたよね、どこか飲みに行こうとかそんなのありますけど、そういうインセンティブにつながっていくんじゃないかなと。税金を払うぐらいだったらもっと下請の企業にもうけさせてやろうと、そういうことにつながるんじゃないかというふうに思っておりまして、そういった法人税税率の引上げ、見直し、もう全部じゃないですよ、中小企業をいじめるんじゃなくて、本当に一部の何百億円も毎年利益を上げているような企業に対して、段階的に応じて上げる必要があるのかなと思っているんですけれども、その点を改めて水野参考人土居参考人にもお伺いしたいと思います、法人税率に限ってお伺いしたいと思います。
  30. 水野忠恒

    参考人水野忠恒君) 今先生のおっしゃった御意見ですけれども、私も決して反対ではございません。日本が景気低迷しまして十年間でしょうか。そのために、例えば税制調査会の中で経済界、いわゆる経済団体の方々は必ず法人税率を下げてくれと、そういう意見を言われていまして、私は毎回反対してきたんですけれども、三〇%まで下がって、それでその先どうするかという議論のときに、研究開発減税とかいったように、政策的に集中して負担の減少を図った方がいいのではないかと、そういうことで研究開発減税それから情報機器の減税が行われたわけですが、どうもそちらの方が効き目があったなということで、ですから私、これ以上下げるかどうかということはまた議論があると思うんですが、税率については、これは何となく今現在、上げる場合には段階税率といいますか、幾つかの種類を設けてやるしかないのではないかというように考えております。  というのは、いわゆる経済情勢が読めないと申しますか、そういうことがございまして、三〇をじゃ今度は三五にしてみますかと、それはちょっと予測が付かないものですので、三〇、現在これより下げるのはちょっと困るけれども、この辺りで止まっているのが無難かなと、多少無責任で申し訳ございませんが、失礼いたしました。
  31. 土居丈朗

    参考人土居丈朗君) 今御質問いただきましたけれども、私自身といたしましては、特に雇用との関係をきちんと見た上で法人に対する税負担をどう考えるかというのを精査することが重要だと考えております。  確かに先生御指摘のように、大企業で税を減免したからといって雇用が増えないという可能性があるということは、そういう要素があります。他方、必ずしもそうではなくて、ある意味で雇用促進のための措置を講じた企業に対しては税を減免するという可能性で、それで大企業といえどもきちんと雇用を確保した上で事業を日本で営むという可能性もあると思っています。  その意味でいいますと、ただひたすら本則税率を上げれば、それで本当に大企業は日本から逃げずにそのまま税を払うということになるかどうかということになりますと、私は怪しいと思っております。私は、もちろん企業の内部の経営戦略については何も存じませんけれども、例えば大手の自動車メーカーが突然シンガポールに本社を移すなんというようなことがあれば、たちまち日本の税収は落ち込むということもありますし、さらには、せっかく税率を上げたということだったとしても、それは取りはぐれてしまうというようなことにもなりかねないという点は気を付けるべきだと思っておりまして、その税の掛け方と会社の雇用創出との関係、これをにらみながら法人税制の在り方を考えていくということが重要ではないかと考えております。
  32. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 富岡由紀夫君、時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
  33. 富岡由紀夫

    富岡由紀夫君 今の日本の法人税率を上げれば海外に行っちゃうという話ありますけれども、日本国内で上げた利益については日本で課税するのが国際課税の決まりですから、逆にそれを要するに認めちゃうと、それが発生するということは課税逃れを、穴を認めちゃうという話ですから、そこはないように是非政府税調の中でも議論していただきたいと思います。  日本の国内で上げた利益は日本で課税されるわけですから、どこに本社を置いたって、上げられるわけですから、余り私は個人的には法人税率の高い低いが日本国内に本社があるかないか、余り関係ないんだというふうに思っております。  これで時間が参りましたので、質問を終わります。以上です。
  34. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 自民党の田村耕太郎です。  今日は、皆さんにお聞きしたいこともあるんですが、それに負けないぐらいちょっと民主党さんに御提言申し上げたいこともありますので、うまく質問になるように頑張りますけど、ちょっと演説調になるかもしれませんが、よく聞いていただければと思います。  一つ一つ民主党さんの議論をずっと聞いていますと、一つ一つは、本当に我々も胸に手を当てて反省したり、しっかりこれからやっていかなきゃいけないなという、いい議論されているんですよ。例えば直轄事業の話がありましたよね。国と地方の在り方、例えばガソリン税ガソリンに対する課税の在り方だったら、二十一世紀に入って七年もたってすべての状況が変わっているわけですよ、本則ができた四十四年前、暫定ができた三十四年前と。そういう中で、ガソリンに対する課税の在り方を見直すというのも、これも議論は有意義だと思いますよ。埋蔵金の話にありますように、僕は埋蔵金というよりも、政府の、政府というか国の資産・債務管理だと思うんですけどね。BS改革、ALMの話だと思うんですけど。  それも、それはそれですばらしい議論で、高橋さんがおっしゃったように、財務省というのは経理部ですから、経営者、これが議会が当たるのかもしれませんし、所有者、これは国民だと思うんですけど、議会や国民資産や債務の調達や運用をしっかり情報開示をされながら決めていくというのはあるべき論だと思いますよ。ただ、すべてがごっちゃになっているんですよ。ティンバーゲンの原理ですよ。政策課題はいろいろありますけど、別々にしっかり深く議論をしていってきちんと整理していけば、これはすばらしい議論ですよ。我々もそれには乗りたい。しかし、それを暫定税率の話に全部くるめて一気に言ってこられるというのは、もう皆さん釈迦に説法だと思いますけど、ちょっといかがなものかなと思うわけですね。ということで質問に行きますので、はい。  ということで質問で、高橋さんが言われましたね、必要に応じて効率的に道路を造っていく、必要な道路は造ると、その必要性をどう計算するかという話なんですけど、まず。事前事後という話があったんですよね。そのコスト予測というのは難しいし、高めに外れる可能性がある、需要というのは低めに外れる可能性がある、だから一・〇以上というのが妥当であると。その考え方もあるんですし、事前事後という分け方もあると思うんですけど、僕はこれは、これからの地方分権の時代、地方を経営という考え方で運営していかなきゃいけない時代は、僕は、プロジェクトみたいなのを、そこを通る、そこの道路を求める首長がプロジェクトみたいな形で提案していって、この道路を使っていかにニーズを、こんなニーズをつくっていきますよと。企業誘致なのか観光なのか、それとも自分のところの特産品をどこかに売るのか。  道路だけじゃない。それは、空港や港湾ともつながった大きなプロジェクト、どこまで見るかは別ですけど、モラルハザードを起こさない意味でも、本当に必要なものというのをニーズをつくり出すという観点からも検証するためにも、私はひとつ自治体に、欲しがる自治体にプロジェクトとして出させてみる。もちろん、デメリット、メリット考えなきゃいけないですよ。そのストロー効果というのがあるわけですよ。うちの近くの道路でいい道路がある、人口集積地に接いでしまったために商店街がすっからかんになっちゃった状態もあるんですね。  ですから、メリット、デメリットを計算した上で、自治体がその道路が必要な、こういうプロジェクトがあるから必要だというのを出してきて、そのプロジェクトごとにしっかり評価するという在り方がこれから必要な道路を造るというときに僕は提言したいことなんですけど、高橋参考人、どう思われますか。
  35. 高橋洋一

    参考人高橋洋一君) 先ほどコスト・ベネフィット分析と言いましたけれども、当然のことながらそれほど単純じゃないわけでして、さっき五十年ぐらい歴史があると、だんだんだんだんいろんな手法がそこから分かれてきまして、今、田村先生おっしゃったようなのもありますね。多分、多基準分析とか、そういうのであります。そういうのというのは実際にもう活用されていますね。  ですから、いろんな国もそうですけど、経済条項というものが一個あって、こういうことにやるからこのような効果があるということをなるべく客観的に出して、それでそういうふうなものをちょっと違う基準で入れてベネフィットを計算しているというのは、普通の国ではごく行われていると思います。ですから、そんなのはどんどんやったらいい。ただし、そのときにやっぱりきちんと情報開示する。それで、そのときにどういう基準でやっているのかということも明示するというのが必要ですね。要するに、定性的な話で何となく持ってくるとか、こういう議論をするときにこれはかなり定量的にやった方がいいと思います。定量的にやると後できちんとした評価もできます。  ですから、もし自信があるのでしたら、定量的にこういうふうに言ってやるというやり方で、コスト・ベネフィット分析からだんだんいろんな派生的なやり方というので、そういうのが含まれているのもあると思いますので、そういう形で是非おやりになったらいいんじゃないかなと思っております。
  36. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 次に、埋蔵金という言い方は僕は余り、まあ露天掘りだか何だか知りませんけど、僕は、国の資産・債務改革というか、資産・債務管理というのを僕も自民党の中でずっとやってきまして、これは本当に必要な議論だと思うんですよ。非常にさっきの外為特会の話なんかも共感呼ぶところあるんですね。  ただ、資産・債務改革はいいんですけど、たとえ、言っちゃ悪いんですけど、何かいいもの見付けたからちょっと買っちゃったと、買っちゃった後何かへそくりを探しているみたいなやり方だったら、これはちょっといかがなものかなと思うのと、埋蔵金の中でよく特別会計の積立金準備金の話が出ていますけど、それはそれで、まあ将来の使途が決まっていたり裏に負債があったり、なかなか使い勝手が難しいものもある中で、可能性としてあるものもあるんですが、家計に例えても企業経営に例えても、へそくりを取り崩すというのは最後の手段であって、余りおしゃれじゃないと思うんですね。やっぱりそのへそくり金、へそくり金だけじゃなくて、ワンショットで使えるお金だけじゃなくて、運用可能性があるものと束ねて運用していって運用利回りの一部を使っていくという考え方だったら、これはもう安定的な財源になれる可能性があるので、将来にわたって順列を生むような資金の使い方というんだったら僕はもういいかなと思うんですけど、ちょっとワンショットではどうかなと思うんです。  そこで、高橋さんに、また埋蔵金の話に戻りますけど、私、自民党の中で資産・債務改革をずっとプロジェクトチームの中でやってきたんですけど、その中で、国が金利変動リスクを持つべきではないということで財投貸付けを証券化してきたんですよ。つい最近実績が出まして、まあ三七ベーシスぐらい付いたんですけど、これ流動化のリスクも含めて結構高いものが付いてしまったんですが、もし金利変動リスクがゼロだったら、もう三七ベーシスという高い金利を払ってまで日本が証券化する意味がなくなっちゃうんですよね。  これやってきたのは、金利変動リスクを国から減らそうということで、国債発行よりも高いコストを払って、言わば国民負担を新たに生む形でもバランスシートをオフバランス化してきたわけですよ。これは、金利変動リスクというのはゼロにはできないという仮定で進めてきたわけですね。これ小泉政権のときからずっとやってきて、僕らは正しいと思ってやってきたんですが。  ただ、もちろん財投貸付けと財投債の平均期間を一致させてそのリスクをある程度コントロールできるようになったという、富岡先生の質問にも出ましたけど、確かにそれはそれでそうなんですよね。大分リスクは減ってきた。しかし、ゼロかというと、いろいろシミュレーションしてみますと、モンテカルロ・シミュレーションというのがあるんですけれども、モンテカルロという名前だけでちょっとギャンブルみたいで申し訳ないんですけど、こういう名前が付いているんですね。大体三千ぐらいの金利リスク発生シナリオを描いて、その中で何本ぐらいが繰越利益が赤字になるかというシミュレーションなんですけど、これ準備率というのは、財融特会というのは、会社に例えますとこれはまあ自己資本みたいなものですよね、自己資本みたいなものです。  ですから、これをどう考えるかということで、今千分の五十になっているんですけど、これを千分の四十にしたら六十五本当たっちゃうんですね、三千本のうち。もちろんこれをどう考えるかというのは国民全体が考えることだと思うんですよね。これは財務省が判断すべきじゃなくて、これは、国の所有者であり国の経営者である議会や国民情報公開をして、どういうリスクの取り方をするかというのは、考えるべきだというのは高橋さんと同じなんですね。  しかし、これぐらいのリスクがあるときこういうものを取り崩してワンショットで使っていくというのは僕はいかがなものかなと思うのと、もしこれを財源として準備するんだったら、まあ去年の決算ぐらいから、埋蔵金でもそうですよ、露天掘りでもそうですよ。会計、財務諸表の中にある数字を持ってくるんではなくて、もうキャッシュとして用意して、予算というのは積み上げで決算というのが無駄遣い減らしですよね。ですから、決算段階で金の延べ棒見付けたらきれいに掘り出して洗って持ってきてほしかったですね。  それで、これでやりましょうということを言ってきてほしかったんですけど、そうはなってなくて急に、財務諸表の中から見付けたやつをこれありまっせというのは、国民議論を待つべきだという高橋さんの意見とは僕はちょっと相入れないと思うんですね。国民議論を経てから僕はこれは持ってくるべきであったと思うんですけれども、高橋さん、いかがですか。
  37. 高橋洋一

    参考人高橋洋一君) 何を私に聞かれるのか、ちょっとよく分からなかったんですけれども。両党の話というのは私はちょっと関与していないので、それを除いて話をさせていただきますと、今非常に面白いデータで、三千本中六十五本ですね、これだけあるじゃないかと。いや、それはそうかもしれません。もしそのデータが正しければ、実は六十五本ぐらいで、どうして私だったら残っているのかなというふうにまず思いますね。といいますのは、要するに貸付期間とその調達期間を一緒にできるんですけれども、実はその貸付けの方が、単純な貸付けじゃなくて均等償還とか、ちょっといろいろあるんですよ。  ですから、本当言うと、そういうふうなキャッシュフローをうまく見て、うまく債券を発行すれば実はゼロにはできます。ゼロにできるんですけれども、債券の発行の方が、実は国債とかほかのと一緒にやりますから、そこでちょっとできなくなるというのは実はあるんです。あるんですけれども、これは多分マネジメントの問題だと思うんですけれども、もし私でしたら、もうちょっと少なくしろと言われたら、実はこれはちょっと今の話だけでもできそうかなという印象を多少持っちゃいますね。  それで、ここでまさしく、だれかに頼むときに、あなた、これをやってくださいという目標をきちんと与えて、それで駄目だったらちょっと考え直しますよとか、そういう仕組みがあれば、このくらいの話で、さっき財投債があって金利リスクをどのぐらい減らせるかといったら、これマネジメントとしては結構簡単なオペレーションだと思いますんで、そこはだから、きちんとやる人を選べば何とかなるようなオーダーの、何とかなるようなぐらいの数字ではないかなというふうにすら思ってしまいます。  ちょっと正直言って、データが全部分かりませんけれども、財投債として、あるうち、あと先ほど証券化の話してベーシスが高くなっちゃったと。これも、私も実はそれを一番最初やったときに言いましたけれども、少なくとも財投機関債、あれは証券化の一つですけれども、これと同じレベルのときにやった方がいいとは言いました。要するに、国債と同じになるということは実は期待していなくて、財投機関債と同レベルで。ですから、ミッションとしては財投機関債と同レベルの証券化であればこれはいいと思いますよ、それは今と一緒ですから。ですから、それをもし三七ベーシスですと財投機関債よりもちょっと高めな印象があるんですけれども、ちょっとマネジメントの問題でミッションの与え方とか、そういうの私分かりませんけれども、ちょっと不思議なような印象を抱きました。
  38. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 まあ本当にそれはマネジメント次第なんですね。すべてが流動的なんですよ、だれがどうやるか、どう考えてやるかということで。  ただ、これ、高橋さんに聞く話じゃなくて、本当にもう皆さんに聞く話余りないんで、皆さんに言いたいことばかりなんですけれども、それを持ってこられるというのは、もうちょっと準備してやってほしかったですね。それはもう皆さん、釈迦に説法ですけれどもね。(発言する者あり)分かりました。  じゃ、ちゃんと質問します、済みません。  一般財源特定財源を分ける基準について、ちょっと皆さんにお伺いしたいと思うんですね。これ例えば道路でいえば、今、日本の人口一億二千万人、免許を持っている人が七千八百万人、日本にある車が八千五百万台、自家用乗用車というのが五千七百万台ぐらいですね。じゃ、これは特定財源になっているわけですよ、ガソリン税というのはね。  ところが、たばこ見てみましょうか。たばこというのは、成人の喫煙率というのが男性が、この中でどれぐらいいらっしゃるか知りませんけれども、四六%、女性が一四%、足して二で割って三〇%ですよ。三〇%の人がたばこを吸っているわけですね。三〇%の人しか吸っていない。しかし、これは、一部は特定財源的な使い方もされていますけれども、今ほぼ一般財源ですよ。  つまり、一般財源特定財源を分けるときに受益負担という議論をよくされますよね。受益負担議論が有効なのは、負担者も受益者もある程度もう偏在性があって、偏在している度合いと、その偏在している方に掛かっている税の大きさだと思うんですね。例えばガソリン税だと、車の大きさによりますけれども満タンにしたら四千円から五千円だと。たばこというのは、たばこ税というのは一本八円ぐらいですよね、たばこ一本にとって八円ぐらいです。ですから、どれぐらい偏在しているのか。車の免許を持っている人が八千万人で、たばこを吸っている人が三〇%、これでこういう分け方になっているわけですけれども、どれぐらいの偏在性があって、その偏在している人にどれぐらいの重い負担が掛かっている場合だったら、どこまでが特定財源課税根拠があるのか、どこまでが一般財源とすべきなのか、この辺りの境界というのが非常にあいまいだと思うんですけど、これ、じゃ聞いていない先生方に一人ずつ、一分ぐらいでお願いします。
  39. 森信茂樹

    参考人森信茂樹君) お答えします。  大変難しい質問だと思いますが、今おっしゃいましたお話は、論理の話としてはそのとおりだと思います。つまり、偏在性というものが非常に特定財源制度に大きな納得感を与えると。しかし、現実は必ずしもそうなっていないと思います。  例えば、かつて、これ私が担当課長をやっていたときですけれども、たばこの増税分を例えば国鉄債務の返済に返したというふうなこともありまして、そのときに、沖縄の方は国鉄が走っていないのにどうして債務の返済、たばこで返すんだというような議論があったやに私記憶しておりますが。  つまり、この特定財源制度というのは極めて政治的なものだというふうに思います。先ほども申し上げましたが、これから消費税を上げるときには、逆に消費税ということで、それがやはりきちんと社会保障に使われるという、国民から見て、あかしというんでしょうか、そういった観点からの特定財源制度設計というふうなことが起きてくると思いますけど、それは先ほど、今おっしゃいました偏在性とは全く逆の話だというふうに思いますので、まあ論理としては田村先生のおっしゃるとおりと思いますけど、現実の世界は違ってきているという感じがします。
  40. 水野忠恒

    参考人水野忠恒君) 今先生がおっしゃいました受益負担との関係といったもの、これ恐らく素朴な時代にはそういうもので対応できたのではないか。  例えば、いわゆる道路というのは自動車が走って、その結果受益を受けるのは自動車であり、また修理に必要な費用を負担するのも自動車所有者であるべきであると、そういう考え方だったんですが、だんだん社会が発展して複雑化してまいりますと、それですべてに割り切れるかというと、決してそういうことではなくなってまいりまして、特に、今先生のお話で八千万台自動車があるとなりますと、これはいわゆるあらゆる人が受益を受けているということになりますので、受益者に負担を求めるという、そういう発想ではもう立ち行かなくなってきていると。  じゃ、代わりにどういう基準が立てられるかというと、これがやはり難しい問題で、人によって何を重視するかによって序列が変わってくるのではないかと、このように考えております。  ありがとうございました。
  41. 土居丈朗

    参考人土居丈朗君) 御質問に対してお答えしたいと思いますけれども、私は、基本的に納税者がどういう行政サービスの対価を受けられるかというところでの関係が明確になると特定財源という話は説得力を増すということだと思います。当然ながら、ガソリン税だとそういう道路を造るとか、いろいろな意味があると思います。  ただ、たばこ税の場合は、必ずしもそのたばこを、喫煙者の方がその税を払って何の見返りの行政サービスを受けるかということの対応関係はなく、言わば禁止税といいましょうか、たばこは健康に良くないということを知らしめるかのような意味で課税しているという側面が強いというところがあります。そういう意味では、まさに受益負担の関係はその部分ではない。つまり、そもそもサービスを受けることを前提にした課税であるというわけではないというような側面がかなり強いと思っております。  もう少し別の側面について申し上げますと、実は、特定財源ないしはその目的税として掛けるということ自体は、ある意味で、政府国会に対して国民がどこまでその使い道について信用できるかということとの関連があると思っています。もちろん国会での議論国民に対して説明するときの特定財源という説明ぶりというのもあるんですけれども、別の言い方をすると、特定財源でなければ増税できないというようなことだとすると、それは国民が必ずしも政府国会の使い道に対する議論に対して信用が必ずしも置けないと、はなから使途を決めてやってくれないと課税には応じられないと国民が言っているというシグナルでもありますので、必ずしも何でもかんでも特定財源にするということがいいというふうには思われないわけであります。そういうところが考えられると思います。  以上です。
  42. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 先生方、質問にならなくて済みませんでした。  皆さん、民主党の皆さん、よろしくお願いしますね。
  43. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 公明党の荒木清寛でございます。  今日は四名の参考人の先生方には本当にありがとうございます。    〔委員長退席、理事円より子君着席〕  順次、森信参考人からお尋ねしてまいりますが、参考人は、暫定税率を元に戻すべきだと、その際の条件として一般財源化実現の担保ということをおっしゃいました。それで、総理も表明しておりますし、政府・与党でも〇九年度からの一般財源化ということを決定をしたわけでありますけれども、それ以上何か更に担保が必要だという、そういう趣旨で言われたんでしょうか。
  44. 森信茂樹

    参考人森信茂樹君) 特に具体的にこれだというふうには思っておりませんが、基本的には、私が思っていましたのは政府の閣議決定とか、もちろんそれが公党間のきちっとした取決めであれば、それはもうそれ以上のものはないと思います。
  45. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 それで、森信参考人が言及されましたように、環境税への衣替えということも有力な選択肢かと思います、ガソリン税ですね。その場合、現行水準維持して全部そうした環境税に衣替えということで課税根拠足り得るのか、あるいは国民の理解を得られるとお考えなのか、その点お聞かせ願います。
  46. 森信茂樹

    参考人森信茂樹君) まさにその点が私は議論の焦点になるべきだというふうに思います。  つまり、国民からとってみれば、あら、あれよあれよと言う間に道路特定財源から一般財源化し、さらには環境税というふうに議論が変わってきたように映っていると思いますので、この問題、極めて国民的にはまだこなれていない議論だと思うんですね。したがいまして、秋口からの議論において、やはり環境税として納得していただける水準しか私は税負担は上げられないというふうに考えておりますので、その部分、まず税負担ありきという形では決してないと思います。  だけど、私は今のこの状況に応じて諸外国並みの最低限のガソリン税金を課すことによって環境問題への役割を果たすべきだというふうに考えておりまして、基本的には今の税率水準の維持を図るべく、国民を説得するような議論を行うべきだというふうに考えております。
  47. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 もう一点、〇九年度は抜本税制改革になるわけでありますけれども、少子高齢化社会の福祉を支える上でどういう税制改革を目指すべきか、お考えがあればお聞きしたいと思います。
  48. 森信茂樹

    参考人森信茂樹君) 私は、財務省を退官しまして今そのことを毎日職業としてやっておりますので、少し時間取らせていただいてお答えしたいと思います。  私は、今回、このスタートの議論なんですけれども、まず、いわゆる二〇一一年度までに財政バランスを回復させるというのが一つの大きな、これは恐らく与野党とも合意された一つのターゲットだというふうに思います。    〔理事円より子君退席、委員長着席〕  しかし、そのためには十数兆の要調整額というのが必要になると。その場合、今までの歳出歳入一体改革の閣議決定では、十数兆のうち、これは数字が動いておりますけれども、七、八割は歳出削減で賄うと、残りの二兆から四兆程度は税負担の増加で賄うと、こういう閣議決定が現在あるわけですけれども、現状を見ておりますと、私は、歳出削減で大部分のプライマリー黒字まで到達できるといった政府のプランが必ずしもうまく機能していない。例えば、今起きておりますように、歳出削減といっても、具体的な中身は医療費の自己負担の引上げであったり、それから生活保護の母子加算の切下げであったり、そういった個人の負担増を前提とした歳出削減が動いているわけですね。  したがって、私はあれだけの要調整額をどうやってこれを埋めていくかということにつきましては、本来やはり、これは分かりやすく言えばどの程度の規模の政府国民が欲するかということだと思いますので、受益負担のセットを二つ、三つ選択肢を設けて、これだけの負担をするのであればこれだけの受益が得られる、これだけの受益であればこれだけしか得られないという、この組合せが必要ではないかというふうに考えております。  そういうことを前提にいたしまして私が考えておりますのは、今の受益負担、大部分の要調整額を歳出削減で行うというのは若干無理があるのではないかというふうに考えておりまして、私自身は税負担の増加というのは避けられないというふうに考えておりまして、その場合の税目は経済に与える負荷の最も少ない消費税、これを中心にして、しかし先ほどから議論になっておりますように、所得税の問題も年金課税という問題もあると思いますし、それから相続税の課税ベースの強化というふうな問題もあろうかと思います。そういったものを総動員しながら税負担を上げていくと。  ただ、私としましては、世界的な税制改革の流れといいますのは、むしろ効率的な税制、例えば法人税であれば引下げ競争をするというふうな、これが現実でございます。それから、所得税も最高税率を下げるというのが現実でございまして、これに逆行するようなことをやりますと、人、物、金が逃げていくというふうな事態が起きますので、私は、そういった国際的な流れもしっかり踏まえてやらなければいけないと。  そうすると、結果的には消費税負担が増加していきます際に生じます逆進性というものは、所得税の、先ほども話が出ましたが、負の所得税といいますか、税額控除化をしていって、更には給付につなげていくと、こういったものをパッケージで打ち出して、全体の累進性を今と余り変えずに、しかし今よりは若干大きな政府になる方向で私は考えていくべきじゃないかというふうに思っております。
  49. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、高橋参考人にお尋ねします。  先ほどのお話、また先日の日本経済新聞の「経済教室」も興味深く読ませていただきました。  それで、今日のお話でも、財投特会というのは金利リスクをほとんどゼロに近くできるんではないかと、こういうお話であったかと思いますし、その根拠として財投債発行できるようになったということがあるかと思います。  確かに、かつての郵貯、年金の預託から財投債に変わりましたので、かつての七年間という調達期間から二十年、三十年という長期の調達もできるようになったわけでありますので、これによって相当金利リスクは減ったんだろうというふうに思います。ただし、財投債の年限というのは五年、十年、二十年、三十年という特定のそういう期限でありますので、やっぱり貸付けと財投債の期間の合わないことによるリスク、マチュリティーギャップということを初めて勉強しましたけれども、それはどうしてもあるんだと思うんですよね。  ですから、こういう現行制度の下で、じゃどういうふうに財投債発行すれば金利リスクをゼロにしていけるのか、何か具体的なお考えがあるんでしょうか。
  50. 高橋洋一

    参考人高橋洋一君) 多分一番簡単なのは、五年、十年、二十年にこだわらなければ、それはそれでできます。  要するに、国債というのは五年、十年、二十年にしなきゃいけないということはない。どういうことかと申しますと、今、市中に出ている国債というのは全部あるんです。というのは、九年は、去年出た十年債は九年になっちゃうんです。ですから、いつ何どきでも全部の債券が実はあるので、そこは、こんなに固めて、五、十、二十にしなきゃいけないという理由は余りないですね。ただ、もうちょっと言うと、この五と十と二十と、あともう一個か二個ぐらいあれば、その組合せでいろいろできるのはできます。  ですから、これはさっきのマネジメントになるんですけれど、こういうことでできるという人を持ってくるというのが一番簡単なんですね。要するに、こういうことでできる人にやってくださいという仕組みが多分一番簡単だと思います。それは、ちょっと聞くとええっと思っちゃうかもしれませんけれど、ただ、でも、エージェンシーとかそういうことでもしなっていれば、そういう目標を与えて、それでできるようにやってくださいとしか言いようがないんですよね。  ですから、最初にこういうのはできないという人とできるという人がいれば、それは、できるという人にやってもらえるような制度づくりを考えた方が実は簡単だと思います。  私ちょっと言いましたけれど、五と十と二十でこだわるという理由は実は余りないと思いますし、もうちょっと違う、これに三と七を入れればほとんど全部できちゃいますねと個人的には思います。  ですから、まさしく政府というのはこういうふうにしなさいというふうな対象だと思うんですよ、国民から見て。ですから、その説明を聞いてもしか不満というか不十分だと思えば、ほかの人に聞くなり、できますかと聞いてやればいいんです。  私、今また答えていますけれど、要するに、三つだけでやってできないというのでしたら、もうちょっと柔軟に考える人であればできちゃうかもしれないと思います。
  51. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 参考にさせていただきます。  次に、水野参考人にお尋ねいたします。  先ほど、時間の関係で揮発油税等暫定税率のところを大分はしょって言われたと思いますけれども、参考人のお考えは、現行のこの暫定税率の水準で環境税に根拠を求める、いわゆる一般財源化といいますか、そういう方向がいいのではないかという、こういうお考えだというふうにお聞きしてよろしいんでしょうか。
  52. 水野忠恒

    参考人水野忠恒君) 今の御質問ですけれども、ありがとうございます。  私の考えておりました環境税との関係ですが、逆に環境税の方の議論として、いわゆる炭素化合物に対して、その含有量に応じて税金を掛けると、これが基本的な考え方ですけれども、それと、いわゆる今のガソリン税ですね、石油の量に応じて税金を掛けると。どれだけ違いが出るかということはよく分かりませんですが、基本的に環境税というのは難しいだろうなとずっと思っておりました、環境省の会議などでもいろいろシミュレーションなんかをなされたこともあるんですが。  と申しますのは、いわゆる道路特定財源としてのガソリン税等がありますので、それに上乗せする形で環境税というのは難しいだろうと。それで上乗せが何十%できれば効き目はあるかもしれませんが、一%、二%上げても余り意味がないのではないかと。  可能性としては、じゃ、これを換骨奪胎しまして、今まで道路財源だったものを、これを環境税というものに仕組んで、更にそれを環境目的に使うと。これは余りにも大きな変化になりますので、そうしますと、後から出発した環境税というのはなかなか現実の選択肢としては難しいであろうというように考えておりました。  それを背景にいたしまして、暫定税率が、これが法律が切れて戻ってしまったと、こういう場合に、何をもってやはり暫定税率は必要であるということを考えるかといいますと、やはり従来保ってきた負担が、これがやはり環境問題を一部肩代わりしていたのではないかと。  ですから、元へ戻った状態がそのまま続きますと、やはり自動車の関係の排気ガスに含まれる炭素化合物、これはどんどん増えていくような結果になってしまうだろうなと、そういう意味で環境税の名前で代替するということを申し上げました。
  53. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 最後に、土居参考人にお尋ねします。  政府・与党が決定しました〇九年度からのガソリン税一般財源化ということをどう評価されるのかということと、道路の無駄をなくすために、この道路特定財源だけじゃなくて道路特別会計自体もなくしてしまう必要があるのか。その点、見解をお尋ねします。
  54. 土居丈朗

    参考人土居丈朗君) 一般財源化につきましては基本的にいい方向だと思っております。ただ、一般財源化すればすべて問題が解決するかといえば、そうではないと考えております。  やはり、道路予算そもそもがどれぐらいの規模になるかという議論をきちんとしない限り、幾ら一般財源化しても、引き続き道路予算維持されればそのまま支出が流れていくということになってしまいます。ですから、一般財源化はあくまでも一里塚ではありますけれども、問題は、その後の道路整備をどうするかということをきちんと議論するということが、是非、私としては国会の中で議論されることを期待したいと思います。  それからもう一つは、道路整備特別会計、今は社会資本整備特別会計へ統合されましたが、やはり一つの独立した区分経理という意味では、一体道路予算がどういう形で、何を元手にし、何にどういう形で使われているかということを区分経理するということは重要だと、こういうふうに思っています。ただ、それが何か権限が及びにくいとか、ある役所の独立王国になっているかのような、そういう形にならないように、まさに国会が厳しく監視していただきたいというふうに思っております。
  55. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 ありがとうございました。
  56. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門です。  もう余りお聞きすることも少ないんですけれども、要するに、委員会でも毎回議論になっているのが、今日もありました埋蔵金論争でございまして、当面二・六兆の分の財源手当てをどうするかということに関連してなっているわけですけれども。  要するに、ちょっとよく分からないんですけれども、ずっと聞いていて。あるのかないのか、高橋参考人土居参考人の御意見、もう一度整理してお聞きしたいと思います。
  57. 高橋洋一

    参考人高橋洋一君) その埋蔵金という言い方がちょっと不正確になってしまうといけないので、バランスシートの資産負債差額、それで、そのうち取り崩せるものというのであれば、それは可能性があると思います。その意味ではあるという言い方ができるのかと思います。  先ほどちょっと私が申し上げた、既に財政融資特別会計、これ去年の話ですけれど、金利変動準備金で九・八兆円を取り崩して国債整理基金に入れているというのはありますね。ですから、それで、その入れたやつがあるんですから、それをすべて国債整理基金ですべてを、すべてというか、大体その三分の一ぐらいずつなんですけれども、市中買入れと、それとあと資金運用部特会からの買入れ消却と、それとあと日本銀行の持っている国債の買入れ消却で大体三等分しているんですけれどもね。  それは、ただ単に予算の話ではなくて、ただ計画で決めているだけですよね。そういうふうにしてできる、要するに国債買入れができるお金があるんですから、それは間違いなく。ですから、そのうち三兆円でも何兆円でもいいですけれど、その分をほかに、国債買入れじゃなくというふうに使うというテクニックはあると申し上げたんです。  それでほかは、ほかの六兆円か七兆円ぐらいは、それは市中買入れをすれば、少なくとも今の案よりかは景気対策にもなって、かつ財源対策にもなり得るという論理的な可能性を言ったわけです。この話は、ただ単に数字はもう出ていますから、その意味では、それをここで決めて、国会で決めればそれは可能は可能だと思います。  その意味では、先ほどの、何か埋蔵金というのはちょっと言い方が変であれば別に言い直しますけれど、既に十兆円の資金があって、それで、それについて全額国債買入れという形、国債償還、買入れ消却となっていますけれども、それを政策としてちょっと変えるということは、政策論としては十分あり得るという意味では実は埋蔵金というか、埋蔵金と言っちゃあれかもしれませんけれども、財源対策として議論するということは実は可能は可能だと思います。  だから、それで先ほど申し上げたのは、それをやった上で更に一般財源化の修正をし、それで一方でもうちょっと、暫定税率じゃなくて恒久化にして本則に入れてやって、税金の引上げというのを全部セットでやれば多分世界的に見ても全く文句のない案になるんじゃないでしょうかと申し上げたわけです。これはあくまでも政策論です。これを決めるというのはまさしく国会であり、そういうところで決めればいいんですね。これはほかの人はだれも決められないです。  私は、ただ単に数字の中だけで見てそういう案が理論的にあり得るということだけ申し上げただけなんで、その意味では、ファクトだけでいけば、これは人殺しじゃないんですから、政策論としては十分あり得るんで、そこは議論していただいたらいいと思います。その意味では、私はその二・六兆円というのは実はあるというふうに申し上げておきます。
  58. 土居丈朗

    参考人土居丈朗君) 埋蔵金という話がありますけれども、私は、まずそもそも独立行政法人の問題については、一つ一つきちんと業務を精査して、その中で本当に不必要だと言えるものがあれば当然その中で、例えばある組織をもう解散するということになったときに剰余金があれば、それはもちろんそれはいわゆる埋蔵金ということになり得るとは思います。  ただ、特別会計に関して言えば、必ずしもそうではないと思っています。特に、財政融資資金特別会計の金利変動準備金は、私はきちんと精査した上で現状の五%ということで設定したというふうに聞いておりますから、そういう意味ではこれは取り崩せるべきものではないというふうに考えております。  特に、先ほど田村先生が御指摘されましたけれども、将来のシミュレーション、これをいたしまして、しかも日本の金融論の第一人者の先生が数人オーソライズした形で、それをやった上で四%にしてしまうと、いわゆる債務超過に陥る可能性があると。財政投融資で債務超過が出てもいいじゃないかということは、私はそれは危険な話だと思っております。やはりきちんとコンサバティブに政府は運営されるべきであって、もしそういうことになったときに、またぞろ、結局取り崩したけれども財政投融資は債務超過になったじゃないかといって批判を浴びる結果になってしまっては元も子もないというふうに考えます。  もちろん、いろいろなアイデアがあって、取り崩せるプランはあるかもしれません。しかし、一〇〇%確実にうまくできると言える人は恐らくいないと思います。その人が失敗した場合どういうリスクが生じるか、その失敗したときにだれが責任を取るのか、もしその失敗によって大幅な赤字ないしは損失が日本政府に生じた場合だれが責任を取るのか。これを考えるならば、やはりコンサバティブに運営されるべきであると思っております。
  59. 大門実紀史

    大門実紀史君 そうすると、やっぱり委員会でも平行した議論が続く気がするんで、どうもはっきり分からないところがあるんですけれどもね。  私は、いずれにしても、土居参考人の資料を見させてもらって、ほとんど意見合わないと思いますけど、一つだけ意見が合うというか同じように思うのは、いずれにせよ財源論というのは本来余りストックで考えるべきじゃないと。当面の手当てでというのは分からなくはないんですけれども、本来フローで考えるべきものというふうに私は思っておりまして、そういう取り崩せるものがあれば当面の手当てに使うというのは否定されることではありませんけど、少なくとも次年度以降はフローで考えていかなきゃならない。つまり、それぞれの政党があるべき予算の姿を示して勝負するのが本当だろうというふうに思うところはありますが、その点、もう時間ないんで、高橋参考人の御意見だけ聞いて、終わりたいと思います。
  60. 高橋洋一

    参考人高橋洋一君) 私が申し上げた去年の九・八兆円の話は、言わば予算に載っているんですから、全部フローの話です。  それで、今の五%の話をどうこうするという議論は、私は意見は実はあります。ありますけれども、そこに触れないで実は言った話です。一切触れておりません。  それで、五を四にしたとき、先ほど田村先生の方から、はっきり言えば二%ぐらいの確率ですから、それはそれでちょっと工夫して何とかできるという気持ちは正直言ってありますけれども、ちょっとここはそういう場、それだけのものを言うのは不適切かもしれませんし、時間がないので言いませんけれども、少なくともフローの話として、予算に上がったその財融特会から整理基金特会に繰入れという金額、これについては議論して、それをほんのちょっと変えれば実はでき得るということを言っただけです。ですから、ストックの話とかそういう話では全くなくて、ただ単に予算に出ている話、それを、予算を四月から執行しているんですけれども、今四月の頭ですから、まだ何とかなり得るんじゃないかなというふうに、政策論として私はそういうふうに思います。  ですから、この財融特会の話とかほかの特会の話もたくさんあって、新たに議論するというのは正直言って難しいかもしれませんけれども、これは議論がいろいろあります。いろいろありますけれども、私、少なくとも述べたのはそれと全然関係ない話で、今ある予算を執行している中の話をちょっとしたまででございます。  ですから、こういう形で限りなく議論いろいろでき得るんですよね。ですから、そういう話抜きで何かいろんなことを議論されてもいいですけれども、さっきの金利リスクの話でしたら、専門家を呼んでくればそれはすぐ終わります、はっきり言えば、あっという間に。それで、できると言う人とできないと言う人がいて、もしやりたいんだったらできる人を連れてくる。それで、ミッションをはっきりして、できると言う人を連れてきて、失敗だったらあなたは首ですよというのが一番簡単ですね。  それで、できない、できないと言うのは人によって違うと。あと、正直言うと、こんなのスキルも違うんですよ。ですから、スキルがない人はできないと言うときもあるし、スキルがあってもできないと言う人もいるんですよ。いるんですけれども、そこはミッションをきちんとすると。政府はあくまでも代理人なんですよね。ですから、そのミッションをきちんとして、それをきちっとやるという仕組みを考えた方のがこういう議論はすごくすっきりすると思います。  ですから、その中で客観的に、あいつはうそを言っているんじゃないかと言っても、ペナルティーをすごくきつくしておくと、うそを言ったときに全部自分に返ってくるような仕組みをつくった方のが実は運営は簡単だということを申し上げておきたいと思います。
  61. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、大変お忙しいところ貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。(拍手)  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  62. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  63. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) この際、先般本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。円より子君。
  64. 円より子

    ○円より子君 委員派遣について御報告申し上げます。  去る十三日及び十四日、平成二十年度における公債発行特例に関する法律案外六案の審査のため、福岡県に委員派遣を行いました。  派遣委員は、峰崎委員長、辻理事、大久保理事、愛知理事、田村理事、大塚委員、川崎委員、田中委員、森委員、荒木委員、仁比委員及び私、円の十二名です。  一日目は、福岡市内にあるガソリンスタンド、福岡外環状道路及び天神中央公園駐車場の視察を行いました。  このうち、福岡外環状道路は、福岡市博多区から西区に至る延長約十六・二キロメートル、完成時四車線の主要幹線道路です。現在、上部に並行して福岡高速五号線が福岡北九州高速道路公社により整備中であり、暫定二車線供用となっている現状等について視察しました。  また、天神中央公園駐車場は、国から道路特定財源を利用して三・九億円の融資を受けて造られた福岡市の中心部天神地区に位置する地下駐車場で、その利用状況等を視察しました。  このほか、福岡市内博多区にあるガソリンスタンドにおいては、暫定税率の失効に伴う価格競争による経営への影響などについて実情を伺うことができました。  二日目は、まず、福岡県及び古賀市との意見交換を行いました。  暫定税率の失効に伴う影響について、福岡県から、県税事務所等における執行体制、県予算の執行停止の状況、県予算の資金繰り等の説明があり、中村隆象古賀市長からは、市の道路予算のおよそ半分を道路特定財源に依存している現状から今年度の財源確保を心配しているが、その一方で、市道に対する補助金などについては、活用しやすくなるよう、本来、地方に一括して任せてもらいたいものである旨の意見が表明されました。  このほか、県予算全体に対する歳入欠陥の割合とその影響の程度、予算が成立しても執行できない現状の問題点、来年度以降の道路特定財源一般財源化に対する考え方、県の道路関係の財政構造に対する懸念、総務省による地方財政計画の提示の仕方、直轄事業負担廃止による影響額等について意見が交わされました。  次に、北九州市との意見交換を行いました。  暫定税率の失効に伴う影響について、北橋健治北九州市長からは、市の道路予算の約三分の一の財源が失われ、道路予算の約八六%を執行留保せざるを得ないとの現状に関する説明があり、今回の事態により生じた歳入への影響額に関しては、国の責任において必要な措置を確実に講じてほしいとの意見に加え、今後については、新しい道路より、市民の要望を踏まえた少子化、教育、福祉等に振り向けられるよう、財源について裁量権を持つことが地方分権確立への道筋であるとの意見が表明されました。  このほか、暫定税率の失効等による経済への影響、今般の問題は道路特定財源見直しにとどまらない国の将来の在り方に関する問題だとの認識、予算執行を留保する地方公共団体の態勢に対する評価、直轄事業負担廃止による影響額等について意見の交換が行われました。  また、財務省福岡財務支局及び国土交通省九州地方整備局から、経済情勢等や道路整備状況等、それぞれの管内の概況について説明を聴取しました。  さらに、東九州自動車道の行橋インターチェンジ予定地を視察しました。東九州自動車道は、北九州を起点として、大分、宮崎、鹿児島の各県を結ぶもので、苅田北九州インターチェンジからの延伸を予定しているものです。  最後になりましたが、今回の委員派遣の実施に当たりましては、関係者の方々に多大な御協力をいただきました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。  以上で報告を終わります。
  65. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十三分散会