運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2008-03-27 第169回国会 参議院 財政金融委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年三月二十七日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月二十五日     辞任         補欠選任      川崎  稔君     米長 晴信君      中村 哲治君     簗瀬  進君      牧山ひろえ君     森田  高君      横峯 良郎君     藤原 良信君  三月二十六日     辞任         補欠選任      藤原 良信君     横峯 良郎君      米長 晴信君     川崎  稔君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         峰崎 直樹君     理 事                 大久保 勉君                 辻  泰弘君                 円 より子君                 愛知 治郎君                 田村耕太郎君     委 員                 尾立 源幸君                 大塚 耕平君                 川崎  稔君                 富岡由紀夫君                 平田 健二君                 水戸 将史君                 森田  高君                 簗瀬  進君                 横峯 良郎君                 尾辻 秀久君                 小泉 昭男君                 椎名 一保君                 田中 直紀君                 中山 恭子君                 林  芳正君                 森 まさこ君                 荒木 清寛君                 白浜 一良君                 大門実紀史君    国務大臣        財務大臣     額賀福志郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        渡辺 喜美君    副大臣        内閣府副大臣   山本 明彦君        財務大臣    遠藤 乙彦君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       金子善次郎君    事務局側        常任委員会専門        員        大嶋 健一君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        本部事務局次長  株丹 達也君        内閣府政策統括        官        藤岡 文七君        金融庁総務企画        局長       三國谷勝範君        金融庁監督局長  西原 政雄君        総務大臣官房総        括審議官     岡崎 浩巳君        財務大臣官房審        議官       永長 正士君        財務省主計局次        長        真砂  靖君        財務省主計局次        長        香川 俊介君        財務省理財局長  勝 栄二郎君        経済産業大臣官        房長       松永 和夫君        経済産業省経済        産業政策局長   鈴木 隆史君        経済産業省貿易        経済協力局長   安達 健祐君        国土交通大臣官        房総括審議官   桝野 龍二君        国土交通省河川        局次長      田中 裕司君    説明員        会計検査院事務        総局第三局長   真島 審一君    参考人        国民生活金融公        庫総裁      薄井 信明君        国際協力銀行総        裁        田波 耕治君        日本政策投資銀        行総裁      室伏  稔君        日本銀行総裁  白川 方明君        日本銀行総裁  西村 清彦君        日本銀行理事   山口 廣秀君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (財政政策等基本施策に関する件)  (金融行政に関する件) ○平成二十年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成二十年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成二十年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (内閣府所管金融庁)、財務省所管国民生  活金融公庫日本政策投資銀行国際協力銀行  及び株式会社日本政策金融公庫) ○関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る三月二十五日、中村哲治君及び牧山ひろえ君が委員辞任され、その補欠として簗瀬進君及び森田高君が選任されました。     ─────────────
  3. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官行政改革推進本部事務局次長株丹達也君外九名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、参考人として日本銀行総裁白川方明君、同副総裁西村清彦君及び同理事山口廣秀君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、財政政策等基本施策に関する件及び金融行政に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 円より子

    円より子君 おはようございます。民主党の円より子でございます。  質問の前に、もう皆様御存じのことではありますけれども、我が国経済現状を簡単に見ておきたいと思います。  今、我が国の一人当たりGDPは、十年前の一九九七年にはルクセンブルクスイスノルウェーに次いで世界第四位でございました。しかし、その後次第に順位を下げて、今、IMFの統計では、二〇〇六年の順位で二十位に後退しております。それも一位のルクセンブルクが九万ドル、二位ノルウェーが七万二千ドル、三位カタールが六万三千ドル、四位スイスが五万三千ドルなどと比べまして、日本は十年前とほとんど変わらない三万四千ドルにとどまっておりまして、大きな差を付けられております。これはもう大臣等はよく御存じのことと存じますが。  OECDの算出しております単位時間当たり労働生産性について見ましても、二〇〇六年の数値では日本は三十一・六ドルで十五位となっております。  この一人当たりGDPにしろ労働生産性にしろ、ドル建てで見ますと為替レート動きに大きく影響されてしまいますので、もう一つ世界各国競争力ランキング、これを見ますと、スイスのIMDの発表では日本は一九九二年では一位でございましたが、二〇〇七年には二十四位にまで急落しております。また、日本経済研究センター競争力ランキングでも、一九八〇年には六位でしたが、一九九〇年に九位に下がり、二〇〇七年には更に十三位にまで下がってしまいました。  こうした残念な現実がある上に、ただいま国際金融また国際経済は大変厳しい局面を迎えております。  そこで、私たちは、政治家としてこの難局を乗り切り、国民所得格差を是正し、また国民の不安を払拭し、生活をより豊かにしていく責任があると思います。  そこで、サブプライムローンの問題に端を発する世界経済金融の動揺についてでございますけれども、昨年来のサブプライムローン問題では、アメリカ大手金融機関において第一次の償却は比較的迅速に進行したと言われましたが、今月に入ってアメリカ大手証券会社経営危機に陥りました。サブプライム商品保険を掛けてきた保険会社格付引下げによる保険付与商品ダウングレードと、これを反映しました金融機関償却、引き当ての追加、またサブプライムローン購入者を中心としたカード破産増加、これらの消費及び米国経済全体に与える影響など、引き続き先行きが不透明です。  ゴールドマン・サックスの試算として今朝出ておりましたけれども、アメリカ金融機関の損失は四千六百億ドル、税収減なども含めた金融波乱世界経済全体への影響は一兆二千億ドルにもなっているともう今日出ておりました。  欧州では、御存じのように、米国よりも状況が深刻ではないかと言われております。EUが中東欧に拡大して急速に市場経済化がされましたけれども、資金の逼迫する状況に陥りました西欧諸国金融機関が今、東欧地域から資金を引き揚げておりますが、そうなりますと、かつてのアジア通貨危機に見られたような状況東欧においても生じる懸念も指摘されております。  こうして、米国経済が減速し、欧州経済についても悲観的な見方が強まる中で、依然として過剰な世界流動性がより高いリターンを求めて原油市場穀物相場などに流れ込み、短期的な投資世界に集中する結果となっております。また、債務担保証券評価や売却が困難なために、米国大手金融機関はその償却に必要な額が分からない。また、そういうことから、中東アジアからの資本調達によって、相次いでBIS規制の八%を大幅に上回る資本を積み増ししております。  こうした国際的な経済金融情勢を両大臣はどのように認識されているか、我が国への影響も含めて伺いたいと思います。  また、日銀の方では、西村さん、白川さんが副総裁に就任なさいまして、おめでとうございます。総裁の空白は大変残念でございますが、今日、西村総裁に来ていただいております。その西村さんには、就任記者会見アメリカ金融システムについて、これは新聞情報でございますので御自身のお言葉で聞きたいと思いますが、問題を注意深く見守り、サポートしていきたいと発言なさったと出ておりましたが、具体的にどのようなサポートが今可能なのか、また、揺れ続ける世界金融市場の再建にどう貢献するのか、これを含めて伺いたいと思いますので、お三方、よろしくお願いいたします。
  9. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 円委員世界経済全般金融市場、それから国内経済等々についての広範囲にわたった見識が披露されました。私も、今、日本の置かれている立場というのは、少子高齢化社会、あるいは環境問題、あるいは資源の問題、様々な懸案に囲まれている、そういうものを克服していくことが課せられた課題であると。その上に立って、技術的にもあるいはまた経済手法においても構造改革等を行うことによって、乗り越えることによって我が国立場フロントランナーとしての存在感を持って日本経済あるいはまた国民生活の安定につながっていくというふうに思っております。  また、サブプライム問題に端を発したその証券化商品の問題、あるいはまた株式等金融市場の不安、大きな変動が続いていることがアメリカ経済の減速、さらにはまた原油高騰等によって下振れリスクが高まっているということは共通の認識をしているところであります。  アメリカにおいても欧州においても、それぞれ流動化対策あるいは経済対策、それぞれの国において自らの経済、自らの国に置かれている状況をよく見定めて、的確に対応策をこれまでは取ってきているのではないかというふうに思っております。そういうことが世界経済の流れにプラスになっていくことを期待をしたいというふうに思っております。  先般のG7においては、私も日本のかつての九〇年代後半の不良債権処理経験を申し述べまして、情報開示とかリスク管理とかリスク評価とか、あるいはまた最終的には公的資金を導入して市場の信認を得たという話をいたしまして、それぞれ万全を尽くしてもらうようにお願いをした経緯もあります。世界経済は確かに下振れリスクがあるわけでございますけれども、今後もそういうことを注視していきたいと。  しかし、世界経済の、この前のG7においては、基本的な経済ファンダメンタルズは変わっていないと、基調としては強いものがあるということを確認をしておりますので、それぞれの国がしっかりと対応策をしていけば、私は安定した回復基調を保っていくことができるのではないかというふうに思っております。  我が国におきましては、おっしゃるように都市と地方あるいはまた大企業中小企業、雇用の問題、様々な課題を抱えております。このために我々は原油高原油対策金融対策とか、それから年度末の金融対策、さらには予算が通った後は成長を強化していくために中小企業活性化とか地域活性化とかということについて対応策を講じて、足踏み状態と言われる日本経済が引き続いて回復基調をたどるように対応策を考えてまいりたいというふうに思っております。
  10. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 今年の一月末にダボスに行ってまいりました。そこで世界経済フォーラムのパネルに私も参加をさせていただいたわけであります。  私の両隣に座っていたのがIMFストロスカーン専務理事、元フランス財務大臣、こちらがマダム・ラガルド現財務大臣でございました。お二人がフランス人だったからというわけでもございませんが、私は思わずデジャビュと言ってしまったのでございます。つまり、日本が今から十年以上前に直面をしましたことに今アメリカ、いや、ヨーロッパ金融資本市場直面をしているのではないか。そして、当時、日本が九〇年代を通してまず財政出動から始まった、同じ議論ダボスでも行われていたわけでございます。  日本は九〇年代を通して百二十七兆円の景気対策をやってまいりました。気が付いてみたら、おふろにお湯をためようとしているのにお湯がたまらない。ふろおけの底に大きな穴が空いていたということであります。この穴を測る物差しも当時なかったという状況でございました。結局、最初の金融危機から日本公的資本の注入というスキームにたどり着くまで六年掛かってしまったわけであります。まさに流動性危機の背景にはソルベンシーの問題がある。それも個別の金融機関ソルベンシーの問題にとどまらずに、金融システム全体のソルベンシーの問題があったがゆえに我々は公的資金投入という結論に至ったわけでございます。まさにこれは苦渋の決断でありました。責任追及とセットの話でありました。そうした議論を今アメリカにおいて行われている現状は、まさにデジャビュそのものではなかろうかと思います。  日本では、けがの功名といいますか、現在のところ比較的ダメージが少なくて済んでおります。しかし、いろいろなルートを通じて、例えば経済下落リスクといったルートも通じ、日本ダメージが及んでくる可能性は否定し切れないわけでございますから、更に警戒水準を高めつつこの問題を注視してまいりたいと考えております。
  11. 西村清彦

    参考人西村清彦君) お答え申し上げます。  先ほどお話がございましたように、私が就任記者会見で申し上げたことについて少し敷衍させていただきたいというふうに思います。  御案内のように、国際金融市場では不安定な状態が続いておりますし、その調整を秩序立てて進めるように各国は国際的な連携を密にしながら取り組んでいくというふうに考えております。日本銀行は、金融危機を含む過去の様々な経験を基に、金融市場現状把握金融市場調節技術などの面で様々なノウハウを実は蓄積しております。  具体的に申し上げますと、個々の金融機関への日々のモニタリングの活動、それを通じて短期金融市場状態を正確に把握するということがあります。二番目には、日本銀行日時ベース資金過不足の予測と実績を公表するなど、金融市場調節に関する情報を十分に開示しております。それから三番目に、これは重要な点なんですが、市場状況に応じて、オーバーナイトから一年までの期間のオペを組み合わせて機動的に実施することができるようにしております。それから四番目に、比較的広範囲担保を受け入れているということがあります。これまで中央銀行協力関係の中でこうしたノウハウを伝えてまいりました。したがって、引き続きこうした協力を行っていきたいというふうに考えております。  先日の記者会見で申し上げましたのは、こういった趣旨であります。日本銀行はリクイディティーの最後の言わばよりどころでありますので、この面から支えていくというのが日本銀行の基本的な立場だというふうに思います。  その中で、現在の状況ということから考えますと、やっぱり日本、現在はリスクリダクションといいますか、リスクの再評価過程にあります。そのリスクの再評価過程というのは、これは直ちにすぐにできるということではありません。それなりの時間というのが考える必要があるというふうに思います。この修正過程は、しかも実体経済調整と併せて秩序立てて進めていくという必要があるというふうに思います。こうした方向性については各国で共有されているというふうに私は考えております。それと同時に、各国それぞれ固有の制度それから固有経済状態というものがありますので、それぞれの各国に応じた形で金融市場の安定というものが図られ、そしてそれが実際に実現していくというふうに期待しております。  以上です。
  12. 円より子

    円より子君 デジャビュというお話もございました。一九九三年に私は国会議員になったんですが、その当時は細川内閣でございまして、その前の年に、宮澤総理公的資金投入が必要なんじゃないかとおっしゃって、それが物すごい反対に遭ったこともありました。その細川内閣の十二月に、関西の方の金融機関が危ないという話を聞きまして、官邸に行って公的資金投入が必要じゃないかということを言ったことが私どもあるんですが、あの当時も、財務省経済界もとんでもないというようなことで、総理一人でやらなきゃいけないということで決断ができなかった。  そんなこともあって、私たち政治家としての大変じくじたる思いがあるんですが、あのときにもし公的資金投入できていたら、日本はあれほどひどい失われた十年、十五年を味わわなくても済んだのではないかと思いますが、そういう意味では、今回の件はアメリカ等は結構素早い反応をしているかなというふうに思うんですね。  しかし、我が国はどうかと申しますと、せっかくそういういろいろな学習をしたにもかかわらず、じゃどうなっているのかなと不思議なんですが、今株価を見ますと、福田内閣が発足した直後の昨年九月から、東証一部の時価総額は先週末までで二五%、百二十四兆円も目減りしております。同じ期間アメリカダウ平均株価値下げ幅は一一%です。サブプライムローン問題の震源国アメリカや、その影響を大きく受けたヨーロッパと比べまして、我が国への影響が、先ほど渡辺大臣は、まあ幸いなことにと、いろいろな金融技術が逆に遅れているといいますか、やらなかったせいでサブプライム問題の影響は少なかったとおっしゃいましたけれども、そうしたその影響が小さいとされている我が国でなぜこんなに株価が大きく下がったんでしょうか。これはちょっと財務大臣にお伺いしたいと思います。
  13. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 円委員がおっしゃるように、アメリカという国は、よその国で起こったことを自らの国のことのように極めて精密に分析して自らの国の政策に取り入れることが極めて得意ですね。それは、金融だけではなく、安全保障とか、すべての分野で私はそういうことをやっている国だなと思っております。ですから、日本不良債権時代のこともいち早く学んで、ある人が、日本と逆のことをやっていますよというコメントをするくらいの人がいるわけですね。  そういう中で、確かにおっしゃるように、株式市場変動が乱高下もあったわけでありますけれども、株価は様々な要因で動くわけでございますから、これは私としてはコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。  経済状態は、確かに日本状況足踏み状態ではあるけれども、今後、改正建築基準法影響もだんだんと回復されて元に戻ってくるということでありますから、私は回復現実のものになってくると思っております。ただし、先ほど委員もおっしゃるように、アメリカ経済がどうなるかとか、金融市場がどうなるかとか、そういうことについてはよく注視をして大きな関心を持っていきたいというふうに思っております。
  14. 円より子

    円より子君 世界景気が減速する中で、日本外需依存が高過ぎるから、そういう中での日本株を買う理由が乏しいからと、そういう意見がございますが、西村総裁、いかがですか。
  15. 西村清彦

    参考人西村清彦君) お答え申し上げます。  今の御質問ですが、株の動きというのは将来のその会社業績予想に依存するわけです。したがいまして、将来のその日本会社がどのくらいの業績を得ることができるかということについて現在の株価が決まっているという形になります。  そういう形から申し上げますと、現在の株価が若干さえない動きをしているというのは、将来に対する予想がやはりさえないということだろうと思います。それと同時に、株価はまた、これはいわゆるファンダメンタルズと呼ばれているものですが、それ以外に、そのときそのときの経済に対する全般的な期待ということにやはり依存すると思います。  その二つが重なった形で決まっているということを考えますと、現在のところの株価動きというのはそれなり日本経済に対する情報でありますので、これについては、日本銀行としても非常に注意深く見ながら、ほかの金融市場動きと併せながら注意深く見ていきたいというふうに考えております。
  16. 円より子

    円より子君 企業の将来に対する予想がさえないということが株価影響しているというお話がありましたけれども、多分これは日本政府日本の将来に対する予想がさえないというふうに外国の方たちが思っているのかもしれないというふうに、残念ですが、思われてなりません。  こうした状況から言えることは、一つは、今後の人類の将来のために本当に必要な分野先ほど額賀大臣は少子化の問題や環境問題、いろいろこれらの諸問題を克服していかなければいけないとおっしゃいましたけれども、こうした環境問題等への対応や新しいエネルギー資源の開発に民間ベースではなかなか資金が集まらない、こういう資本主義経済の限界が私は顕在化していることがあるんじゃないかと思うんですね。  もう一つは、中東アジア諸国がソブリン・ウエルス・ファンドを通じまして、自国の富を戦略的かつ長期的な視点から欧米へ投資しているという現実があります。  我が国は、こうした国際情勢対応し、いかなる戦略を持って将来の繁栄を未来の世代に担保しようとしているのか、小手先のやりくりで、来年度予算では赤字国債発行額を減らせたと政府説明しておりますけれども、高齢化による医療や年金の負担増加は既に難局にある財政状態を更なる悪化に導くことだと思います。であれば、我が国が有する国民及び政府の資産を有効に活用してその収益向上に取り組むとともに、新たな技術や産業を生み出すために、その根本的な意識の変革と、そして戦略的な資源配分が必要ではないかと私は思います。  東京証券取引所の株式時価総額は、先ほどどんどん福田内閣ができてから失われていると申しましたけれども、まだわずかに上海証券取引所の時価総額を上回っております。私たちに残された時間は限られています。政府の迅速な決断と行動が求められると考えますが、世界金融覇権に対して大臣の見解を伺いたいと思います。
  17. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 先ほどの日米株価お話でございますが、ドルベースで日経平均のグラフを作ってみますと非常に面白い傾向が出ております。大体下落率がニューヨーク・ストック・エクスチェンジとほぼ同じであります。昨年の八月八日ぐらいだったでしょうか、サブプライムショックが市場を襲った以降、日米のドルベースでの平均株価を比較をしてみますと、例えば、ニューヨーク・ダウが〇七年八月八日対比で八・二%の下落、日経平均株価、ドルベースが一一・三%の下落といったところでございます。  これも、日本の東京市場においていわゆる外人さんの売買シェアが非常に高まっている、その結果であろうかと思います。六割から七割が外人さんの売買でございますから、当然この方々はドルベースで株価を見ております。信用収縮という現実直面をすれば日本の株を売って引き揚げると、こういう行動も当然あろうかと思います。  結局、日本の株を日本人が買っていないのではないかというところが私は最大のポイントだと思うんですね。御指摘のように、日本は家計の富がたくさんございます。若干株価下落でこの富がしぼんでいるのは事実でありますが、それでも一千五百兆円に及ぶこの金融資産を十分に生かし切れていない、その半分は塩漬けの預貯金になっています。  結局、こういう家計の金融資産の割合というのは法人企業のバランスシートに如実に表れています。日本の法人企業においては、資本対負債の比率というのは、大体三五%対六五%、資本の方が非常に小さい、極めていびつなバランスシートになっているんですね。したがって、こういう構造問題こそが我々の変えていかなければならない大きなポイントであるわけでございます。  我々は、貯蓄から投資へというキャッチフレーズを、これをより実効あらしめるための施策を考えているところでございます。今国会においては、昨年末の金融資本市場の競争力強化プラン、これを法案化をしてお諮りをする予定になっております。日本の国内の貯蓄のみならず、海外からのお金もどうぞ日本市場に運用してください、そういうもくろみを考えているところでございます。
  18. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは円委員も問題意識、私も同じでありますけれども、日本経済をやっぱり活発化させていくためには、今アジア経済が極めて勃興期にある、アメリカ経済の減速下にあってもこれを元気にしておかなければならない。そのために我々は、中国とかインドとか日本協力して、この地域の底上げ、それから水準の維持を、更なる発展を考えていく必要がある、その流れに乗っかって日本経済の活力を生み出していく発想が必要であると。日本から出ていくだけではなくて、今、渡辺大臣もおっしゃったように、外資も入ってこれるようにしていく必要が一つあるんだと思います。  と同時に、我が国における金融資産をどういうふうに活用していくことができるのか、対日投資、二〇一〇年までに倍増していくというふうな構想もありますし、また、今そういう金融資産を政府だけが活用していることでございますから、企業とか個人の皆さん方も活発に投資ができる環境をどういうふうにつくっていくか、そういうことを我々は考えていかなければならないと思います。  結びに、やっぱり政治の責任も大きいと思います。やっぱり、決めるべきことは決める、そして国際情勢にどういうふうに対応していくかということは、我々もこの世界の中の日本経済、あるいはまた政治が決断をしていく、そういうことはこの衆参の国会議員責任も大きいものというふうに思っております。是非、予算を年度末までに上げていただくことも大事なのではないかというふうに思っております。
  19. 円より子

    円より子君 確かに、自民党と民主党で敵同士なんて思っていては国際社会の中でやっていけないことは重々私どもも承知しておりまして、とにかく国民に対する責任として政治家がきちんと本当に決めるべきところは決めなければいけない、それはもう政府に対して申し上げたいことでございます。  今ここに私は今日は資料はお持ちしなかったんですが、日本へも投資を呼び込むことが大事だとおっしゃいましたが、今はもう対内への直接投資なんてもう日本、これは香港ですしシンガポールでございますが、もう大臣よく御存じでしょうけど、日本はこんな、何かもう数字に出てこないようなものですよね、グラフにすると情けないような。この辺り本当しっかりやっていかなきゃいけないと思います。  世界の最終消費地である米国経済が減速することは、もうお二人ともおっしゃっているとおり、米国の消費に依存することが困難になるということでございまして、つまり我が国経済が外需に依存してやっていくことが一層難しくなることを意味していると思います。具体的に申し上げますと、米国経済の減退によって米国向け輸出が数量ベースで減少し、アジアで加工し米国へ向けて輸出する、またアジア経由での輸出も数量ベースで減少しています。中国やインドなどアジア各国は既に生産設備投資を拡大しておりまして、これによって生じる生産過剰状態は輸出製品の販売価格を低落させております。さらに、円が強くなることで、日本の貿易はドル建てが大宗ですから、弱くなっているドル建てでの輸出代金の手取り額は減少します。つまり、我が国を取り巻く貿易について一言で言えば、輸出の数量、そして金額、両方が縮小しているという状況に今あるわけですね。  世界の生産基地たる中国の出現は、単純に言えば我が国が輸出で稼ぐということの終えんを意味している、このことをもうしっかりと私たちは認識しなきゃいけないと思います。つまり、中国始めアジアとのコスト競争をしている限りは、せっかくこの間、福田総理は御自分のホームページか何かで企業の賃上げを是非してほしいということをお書きくださったようでございますが、この中国始めアジアとのコスト競争をしている限り、日本国内の賃金は上げられないということにもなります。  そもそも、我が国経済外需依存度、これはGDPに占める輸出の割合で見てみますと一五%ほどですから、欧州諸国や中国、韓国の四〇%弱と比べてもそれほど大きくはありません。こうした状況において輸出メーカーの目先の保護策や為替対策では、私たちのこの国の経済の長期的な対応はできないことは明らかではないでしょうか。  中国や韓国と比べて立ち遅れていると言われる自由貿易協定だとか、また各国との経済連携を一層迅速に進めまして、もちろん外需部門の強化が大事です。それと同時に、我が国経済の八五%を占める内需を振興することが一層強まってきていると思うんですが、私は、今こそ長年の課題である、もう本当ずうっと内需拡大言われ続けているわけですが、どうしても輸出産業を優先するような、優遇するような政策が自民党政権ではずうっと私は取られてきていると思います。ここでその長年の課題である内需拡大に真剣に取り組むという意思を政治が示すことが大事だと思うんですが、額賀大臣、いかがでしょうか。
  20. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) そうですね、円委員のおっしゃるとおりだと思います。  いつの時代でも内需拡大というものが問われているんでありますけれども、今こそ我々は、日本の活力を生み出していく、あるいは日本国民生活の安定を図っていくために内需拡大をしていかなければならないというふうに感じます。  一つは、先ほど来お話がありますように、企業がもうかったものをやっぱり雇用に還元をしていく、社員、従業員に還元をしていくということも一つの考え方であります。と同時に、じゃどの分野をその内需拡大のターゲットにしていくのかということだと思いますけれども、これはやっぱり、少子高齢化の中で安心した生活を形づくっていくためには、医療の近代化とかあるいはまた効率化とかIT化とか、もうちょっとここの分野を産業化していく、市場化していくと同時に、国民保険でありますから、そういう制度の仕組みと併せてバランスをどういうふうに取っていくか、そういうことにメスを入れていく必要があるのではないのか。  それから、よく言われているように、日本資源も何もない国でございますから、あるのは人材であると。人をどうやって教育、そしてまた技術力を高めていくのか。これが本当にハングリー精神を持って勉強してきた、そういう我々の先輩の皆さんがやってきたような意識改革を起こして、どういうふうに若い人たちにそういう向学心に燃えさせるか、あるいはまたそういう仕組みをどういうふうにつくっていくのか、そういうことが大切なのではないか、そこにまた一つの内需の目があるのではないか、そういうことを感じております。  それは百年の大計であり、日本がきちっと一流国家として存在していくためには不可欠なことであると。そういうものが新しいエネルギーを開発したり、環境問題に対応したり、それから中国やインドより一歩進んだ技術力を持った新産業を生み出すことができる、そういうことにつながっていくのではないかという感じがいたします。
  21. 円より子

    円より子君 私は、内需を拡大する際に、大臣がおっしゃったような医療や人材の養成や様々なことがあると思いますけれども、最も大きなものは住宅ではないかと思っているんですね。また、女性の活用等々。今日はそのこともかなり申し上げたかったんですが、また質問もしたかったんですが、大分時間が押しておりますので、ちょっとこのことはまたいずれ、住宅問題について、また女性の活用等についてはお話をさせていただきたいと思います。  それで、今、去年の十月ごろには、二十二年ぶりぐらいといいますか、相当な円安に、そうですね、二十二年ぶりの円安水準になっていたんですが、何と半年もたたないで今度は大変なまた円高になっているわけでございますが、私は、円が安いとか高いというのは、ごく普通の庶民の方たちにどうも何でも安い方がいいように思われてしまう傾向があって、円高、円安というよりも円が強くなったとか弱くなったというような言い方をした方がいいのではないかと思っている人間なんですが、今大変円が強くなっております。  昨今の原油や穀物などの価格高騰が国民生活にも影響を及ぼしてきていますが、円が強くなっていることで、同じ金額でより多くのものを買えるようになっておりますし、原油などの値上がり分がそのまま国内の物価に反映されずにある程度歯止めが掛かっているということが言えると思うんですが、大臣、額賀大臣のお考えもそういうふうに解釈してよろしいでしょうか。
  22. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 円安、円高とか為替相場の水準についてはコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。  それから、今後のことを考えた場合に、この前のG7でも、過度な相場の変動というのは経済成長に好ましくないということで、各国とも共通の問題意識を持っております。したがって、先週の動きについては私もこの過度な動きと認識しており、これは懸念を示しているという考え方をオープンにしたわけでございます。米国でも、強いドルが国益につながるというようなことを表明をしているわけであります。  一般論的に言えば、円高になれば、それは輸入原材料等が安くなって企業活性化させて、そして家計にも影響を及ぼすという面はあると思います。また、逆の場合も、今度円安の場合は、これは物価が高くなって逆に影響を及ぼすこともあるわけでございますけれども、ある意味ではそれぞれプラスマイナスの要因が生まれてくるわけでございます。
  23. 円より子

    円より子君 円が強くなるということは、国民の汗の結晶である輸出品が高く評価されることを意味していると思うんですね。  例えば、百万円という労働の成果である輸出品が、一ドル百十円でありましたら九千九十ドルにすぎませんけれども、円が強くなって一ドル百円ですと一万ドルに評価されることになります。逆に言えば、円が弱くなると日本人の労働の成果が不当に安く評価されるということにほかならないと思うんですが、こういう考え方は大臣はいかがですか。
  24. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 一般論としてはそういう評価がされると思います。
  25. 円より子

    円より子君 一般論ではなく、大臣ですから、やっぱりこの日本国民の汗の結晶はより高く評価されることが望ましいというふうにおっしゃってくださるかと思ったんですが。
  26. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 長い目で見ればそういうことだと思います。
  27. 円より子

    円より子君 では、為替相場の動向について伺いますが、三月に入って、先ほどからお話ししているんですが、一ドル百円の大台を切りまして、八年ぶりの円高ドル安、政府からは急激な円高が企業業績に及ぼす影響を懸念する発言が聞こえてまいります。しかし、にもかかわらず、政府は円売りドル買いの為替介入には今踏み切ってはもちろんおられません。ECBなどとの協調介入への圧力が強まっているという報道もございますけれども、大臣、額賀大臣は介入に慎重な立場を取られていると私は思っております。  政府、日銀が最後に為替介入を行いましたのは、二〇〇三年一月から二〇〇四年三月までであったと記憶しています。二〇〇三年だけで二十兆四千二百五十億でしたか、また二〇〇四年は一月から三月だけで十数兆円の介入だったと思いますが、当時は一ドル百円から百五円の水準でした。しかし、それ以降日本は、もちろんヨーロッパアメリカはそれ以前から介入はしておりません。実際、世界の為替取引は今や一日当たり二兆ドルにも達すると言われておりますので、政府による介入の効果は極めて限定的であるという事実もあるからではないかと思われますが、日本は今デフレですが、ずっとデフレですが、米国では緩やかなインフレが続いておりますので、実際のドルの価値という意味では、五年前の一ドル百円という水準より今まだずっとドル高円安ではないか、そう言うことができると思います。実際、対ドルだけではなくて、ユーロなど他の通貨も含めた加重平均で見た実質実効為替レートはこの十年以上一貫して円安傾向にございます。  そこで、額賀大臣、今後対ドルで円高傾向が続くとしても為替介入はしないと考えてよろしいでしょうか。
  28. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これも為替介入については、いろんな意味で不測の事態を招くことにもなりかねないので、コメントは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。  ただ、先週に見られたような為替市場の動向については注意深く大きな関心を持って見ていきたいというふうに思っております。
  29. 円より子

    円より子君 それは大臣としての見識として、為替介入する、しないなんということはおっしゃれないことは重々承知して質問させていただいたわけでございますが、どんな状況になったときに、さっき言ったような百円から百五円のときに二十兆四千二百五十億円もの、またそれから十数兆ですから、両方で三十兆以上ですね、介入をしているわけです。もちろん、多分為替のことだけではなかったと思いますが、どんな状況のときに介入するのかという基本方針とか基準というものはあるんでしょうか。
  30. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 為替介入についてはコメントは差し控えさせていただきたいということを繰り返し話をしなければなりませんけれども、これは日銀においてもそうですが、我々もそれぞれ米国欧州の首脳部とは密接に連携を取って、情報交換を共有して注意深く見守っているわけでございます。介入した後の事後報告というのはきちっとこれはすることになっているわけでございます。
  31. 円より子

    円より子君 かつてグリーンスパンさんが、日本が三十数兆の介入をしたときに、日本の恒常的な外国為替市場への介入はあきれるほどの規模になっており、ドル・円レートはファンダメンタルズに合わない水準になっている、また度重なる市場介入が金融面の問題を引き起こす可能性がある、日本経済情勢を考えると現在のような規模の介入は続ける必要がない段階に来ている、こういうふうな講演をなさっております。  今、各国中央銀行と話合いをしながらというふうなお話がありましたけれども、どの国もあのときでさえ、日本があんなに多額の介入をしたことを、最終的にはアメリカはしようがないと思ったかもしれませんけれども、決して肯定的ではなかったと思うんですね。そういうときになぜするのかという、やはりそれはおっしゃれないとおっしゃっても、そんな方針がなくてやっているのか、まさか場当たり的に財務官の一存で介入する、しないを決定されるのではないだろうなと思いますが、全く私どもには分からずそんなふうに介入をして、先ほど申しましたような国民の汗の結晶であるものの価値を下げてしまうということはどうも納得がいきませんので、何かきっと基準、普通の基準ぐらいはおっしゃってもいいんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  32. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これはG7でもそうでしたけれども、日本の為替は経済ファンダメンタルズを反映したものであるという認識であるし、みんな各国もそういう基本認識の上に立って共通の考え方、コミュニケを発表さしていただいたという経緯があります。  だから、為替相場というものはそういう経済的なファンダメンタルズを反映したものでなければならない、あるべきであるということでございます。過度なことは余り望ましくないということだと思います。
  33. 円より子

    円より子君 ポールソン財務長官は強いドルがアメリカの国益であると明言なさっておりますよね、御存じのとおり。  仮に、そうしましたら、景気が後退するアメリカが自国の製造業を支援するためにドル安を歓迎するということになった場合、政府はどのように対応されるのか。米国のために積極的に円高ドル安を歓迎なさるのか、あるいはマーケットに任せて円高を容認なさるのか、財務大臣はどちらでいらっしゃいますか。
  34. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 基本的には他国の経済政策金融政策について私がコメントすることは適当ではないと。ただ、先ほども言いましたように、為替相場が過度に変動したり乱高下をしたりしていく、つまりファンダメンタルズを反映をしていないというようなことになれば、それはお互いにきちっと連絡を取り合う中で、どういう世界経済の安定した成長のためには望ましいのかということを考えなければならないことはあるということだと思っております。  一つ一つの国々のそれぞれの政策について、私がああしろ、こうしろ、こうすべきではないかということを言うことは適当ではないというふうに思います。
  35. 円より子

    円より子君 私は、アメリカ経済政策にどうこうしろというふうなことを言っているつもりはございませんで、日本の国益を損なうことがないようにしなきゃいけないということを基本にしておりますので、是非、その辺りは当然御認識していただいていると思いますけれども、もう一度確認させていただいておきます。  それでは、外貨準備の在り方について質問に移りたいと思いますけれども。  今年の二月末の外貨準備高は初めて一兆ドルを突破しております。しかし、今日のようにドルが弱くなってしまいますと、外貨準備資産のうちにドル資産を円ベースに換算したときの評価額が目減りしているのではないかと思っております。もちろん、外貨準備資産はドル資産だけではないでしょうし、米国の金利低下によってドル建て債券の価格が上がっているという面も一方ではあると思います。  しかしながら、新規に発行される米国財務省証券の利率も低下しつつありますし、当面ドルが弱含みする状況におきましては、一ドルが百五十円とか百三十円の時代に、まあこれはすごく素人考えで恐縮でございますが、なぜそんなときにドル資産を売っておかなかったのかと当然疑問を抱かざるを得ないわけですね。その理由を伺いたいんですが。
  36. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 円委員はすべて御承知の上で質問されていると思っておりますけれども、これはおっしゃるように、外貨準備は我が国通貨の安定を期するために、特に将来の円安時に外貨売り、円買いの為替介入に備えて持っているということは基本的だと思います。  どうしてこのときに、最近のような円高で評価損が重なるときに保有しているのかということでございますけれども、最近時においては、確かに昨年六月末では、日本政府の短期証券は〇・六三%、米国の二年債は四・八六%、米国の十年債は五・〇二%で、最近は日本政府短期証券が〇・五八、アメリカの二年物が一・七%、米国十年債が三・五一で、まだ運用の利益はあるわけでございます。  確かに、評価損は増えてきておることは確かでございます。一ドル百円で計算した場合およそ十八・五兆円の評価損ぐらいが出ているということでございます。確かに、収入の目減りの原因にはなるけれども、まだ差益はあるこということだと思っております。
  37. 円より子

    円より子君 ドル安による外貨資産の評価損に備えて外為特会の積立金を積んでいるということなんでしょうけど、それではバランスシートがいつまでたっても肥大化する一方だと思うんですね。  本来、急激な為替変動対応するために持っている外貨準備が、それ自体が私は重荷になってきているのではないかと。今、それほど差益はあれしてないとおっしゃっていましたけれども、まだあるとおっしゃっていましたけれども、もう重荷になってきていて、中国の方が今もっと外貨準備高、高くなっていますけれども、どちらも百兆を超えているわけですね。  そういう中で、日本のような債権国において、円ドルレートが一円動けば一兆円も評価額が変動するようなこの巨大なリスク、この一年間で十六円円高になりましたから、十三兆円以上ドル建て資産が吹っ飛んだことになります。新銀行東京問題で今ずうっと四百億円の増資について都民が本当怒り狂っていますけれども、十三兆円もドル建て資産が吹っ飛んだということ多分余り国民知りませんよね。これ知ったらどう思われるかという気がするんですが、こういうリスク政府が自ら抱え続けることはどんな正当性があるのかなという気がするんですね。  外為特会のバランスシートの肥大化とそれに伴う為替及び金利リスクの増大について具体的な対応策を検討なさっているんでしょうか。
  38. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先ほど円委員もおっしゃいましたが、為替の取引高というのは今一日当たり三・二兆ドル、三百八十兆円余りになっているということでございますから、そういう中で、外貨準備についてどれくらい持っていれば大丈夫なんだよということはなかなか線が引けないところがあると思いますので、その中でできるだけ十分なものを持っていなければならない、そういうふうに考えているところでございます。  外貨準備の金額が大きくなると円高に伴うリスクが大きくなるわけでございますけれども、他方で、仮に外貨準備を売却すれば、為替市場に逆に不測の影響を与えかねないということもありますので、やっぱり一定の十分な準備をしておく必要があるというふうに考えています。
  39. 円より子

    円より子君 一九九七年でしたか、橋本総理米国債売却の誘惑に駆られたという発言をなさっただけで、その直後にニューヨーク株式市場が急落したことがございました。  ですから、売るということはなかなか難しいかとも思いますが、どのくらいの額が妥当なのかという論議はこのごろ随分されておりますが、とにかく債権国ですから、こんな債権国が持っているということは本当珍しいことで、その巨大なリスクから考えても、例えばODAですとかそれから外国からの物品購入ですとか、そういうものを外貨準備高からやるとか、またその外貨準備高の内容を、何で持っているかということを何度かお聞きしたことがございますが、なかなか詳しいことを言っていただけません。  そこで、外貨準備資産の内訳について、先ほど申し上げたような様々な問題点がありますので、そういうものを事後的であっても検証、評価して、今後の為替政策を一層適正かつ民主的なものにしていくためにも、外貨準備のポートフォリオや投資処分の実施状況、またその意思決定プロセスについての情報を当委員会に提示するようにお願いしたいと思いますが、大臣、いかがですか。
  40. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 為替の問題は非常に市場影響を与えることになりますので、どういうものがオープンにできるかよく検討させていただきたいというふうに思います。
  41. 円より子

    円より子君 委員長にお願い申し上げます。  今、申し上げた外貨準備資産の内訳等、詳しい資料を当委員会に出していただきますようにお願い申し上げます。
  42. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたしたいと思います。
  43. 円より子

    円より子君 ありがとうございます。  それでは、先ほど渡辺大臣が、まだ千五百兆を超える個人の金融資産があり、これをいかに活用するかというようなお話ありましたけれども、私もこれを何とか活用できるような方向にしたいとずっと思っているんですが、今我が国は、人類が経験したことのない未曾有の超低金利が続いておりまして、国民から数百兆円の利子所得をもう奪っております。これが消費の低迷につながったわけでございまして、その千五百兆を超える個人の金融資産がわずか一%でも金利が高く運用されていれば、GDP成長率三%に匹敵する十五兆円もの所得が生まれるわけですよね。それが今、金利が低いわけですから、預金するよりもたんす預金の方が多いのかもしれないというような状況で、大変残念な状況なんですが。  そんな中で、内外の金利差から一般の主婦も外貨投資にのめり込みまして、そこで円安が進んできたこともあり、この超低金利は私はいずれ正常化されるべきだと思って、早く福井総裁のときに金利が上がればいいなと思っていたんですけれども、残念ながら、去年からのサブプライム問題に端を発した先ほどから申し上げました国際経済情勢の中で、とても金利を引き上げることが難しい状況になってしまいました。そうしますと、一体我が国はいつ金利を正常化できるのか、内外のあらゆる経済的な指標がプラスにならなければ利上げができないとするなら、永遠にそんなチャンスが来るとは思えないんですね、悲観的ですが。  であれば、未曾有の不況、デフレという緊急事態への一時的で緊急の対応であったゼロ金利はやはり一度リセットして、いろんな問題を考えなきゃいけないことは重々承知ですが、とにかくリセットして正常化すべきだと思います。資本主義経済というのは金利と一体不可分ですし、依然として事実上のゼロ金利が続くというのは、我が国においてそもそも資本主義が存在しないということすら言えるのではないかと思うんです。  かつて予算委員会で、こういうのを、ゼロ金利がまだそうじゃなかったときの話なんですが、質問いたしましたら、宮澤総理が、ゼロ金利などというのはシーラカンスのようなものと、このシーラカンスというのは古代の、存在しないと言われている、今はですね、魚だと。何か最近見付かったというのが私の大好きなダーウィンの話で出てきて、ええっなんて思っているんですが。そういう意味だと、シーラカンスのようなものとおっしゃったのはそういう意味だと理解しているんですが、日銀及び、これは財務大臣でよろしいんでしょうか、意見を伺います。
  44. 西村清彦

    参考人西村清彦君) お答え申し上げます。  低金利への副作用として、家計への利子の収入の減少、それから年金などの機関投資家の運用難ということがあることは十分に認識しております。しかし、副作用の痛みというのは十分認識しているんですが、やはりその下で低金利政策によって極めて緩和的な金融環境が続いた、その下でいわゆる三つの過剰という、企業の過剰債務、過剰設備、こういった構造的な問題が調整が進んだということもやはり事実でありますし、その下で設備投資増加した、そして更に雇用環境が改善したというこの前向きな動きがあったということも事実であります。その調整のプロセスが私はまだ依然として続いていると思いますが、日本経済は緩やかながらも息の長い成長というものを続けてきたということも事実だというふうに思います。  先行きの金融政策については、日本経済が物価安定の下で息の長い成長を続けるのであれば、徐々に金利水準を調整していくという基本的な考え方というのは維持すべきであるというふうに考えております。もっとも、経済の先行きには常に不確実性がありまして、特に現在は特に高い状況であるというふうに考えております。したがって、予断を持つことなく、見通しの蓋然性やリスクの判断というものに従って柔軟に対応していくということが重要であるというふうに考えております。
  45. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 経済の姿としては、やっぱり調整局面が続いているということの認識だと思います。その意味では、この超低金利政策の結果、家計部門において預金や債券等の利子所得が減っているということは事実でありますが、一方で、企業の設備投資とか、あるいはまた一般の家庭でも住宅投資等が堅調に動いてきた背景があるというふうに思っております。そういう意味で実体経済を押し上げてきたということも事実であろうと思っております。  金融政策については、これは日銀の専門分野でございますから、私がああだ、こうだ言う立場ではないんだけれども、そういう実体経済を支えてくれる形で、日本経済回復基調をきちっとしていくように金融政策がなされることを期待していたいというふうに思います。
  46. 円より子

    円より子君 アメリカでは物価上昇率を下回るような水準にまで政策金利を引き下げたという状況がありますし、我が国の物価上昇率がプラスで推移してきたとはいえ、確かに、今おっしゃったように、日銀が政策金利を今すぐ引き上げるというのは難しいという認識は当然分かるんですが、渡辺大臣、先ほど済みません、突然、やっぱり国民の千五百兆、ちょっと今目減りしているかもしれませんが、その個人の金融資産を活用するためには、金利について大臣はどうお考えでしょうか。
  47. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) デフレが終わっていれば当然金利はもっと高くなっていただろうと思います。  私のところで金融市場戦略チームというのをつくっているんです。そこでは、リフレーションを主張する方もいらっしゃいますし、円委員のように、強い円は日本の利益である、これこそが内需拡大の秘策であるということをおっしゃる方もいらっしゃいます。恐らくこれは、時間概念を軸とすれば結局は同じ御主張なのかなと私は思ったりしているんですね。つまり、今世界的な信用収縮が起こっている中で日本金融引締めという政策を取れば、それは世界金融資本市場には決していい影響は出ないんだろうと思います。したがって、こういう国際的な協調を取らざるを得ない、そういう要素が非常に大きくなっているときにはなかなか難しいものがあろうかと思います。  いずれにいたしましても、日本人が日本の株を買わない。PERのみならずPBRも相当いい水準に来ているんだけれども、なかなか株が買っていただけないという辺りが非常に私としては残念なところでございます。
  48. 円より子

    円より子君 それでは、あと十分ほどの私の持ち時間ですので、今国会での最大の焦点の一つであります道路特定財源の問題に入りたいと思いますが、この問題につきましては、福田総理は野党との修正協議に応じる考えを示されて、それは今後十年間にもわたって暫定税率を維持し特定財源で道路を造り続けるという計画にはやはり無理があると総理もお感じになっていらっしゃるからだと思います。  変化の激しい社会で十年も道路予算を固定する仕組みというのは、どう考えても国民の目から見ておかしい話だと思います。限られた予算をいかに有効に使うかが私たち国会議員に課せられた役割でございまして、もうこれだけの予算を使い切ろうという議論は、今のような財政の大変なときには、あきれた別世界の話ではないかというふうに思うんですね。  そもそも、この暫定税率といいますのは、もうこんなことは皆様御存じのことですけれども、二十世紀の初めのアメリカの大恐慌から立ち直るために公共事業によって有効需要を創出するという考え方からケインズが出して、そういう考え方が生まれ、その考え方が我が国においても有効に機能してきたということがございますけれども、もう今は二十一世紀でございまして、二十一世紀における有効需要とは、先ほど額賀大臣もおっしゃったように、教育とか福祉とか医療とか環境だと私は思うんですね。今までと同じように道路を造り続けることではないはずなんです。  よく道路がないから企業が進出してこないという話を聞きますけれども、本来、地方自治体が権限も財源も持っていれば、自らの裁量で必要と判断する事業に予算を配分することができます。特定財源があるからといって、残念ながら、高齢化と人口減少が進むこの国で、これまでどおりに道路を造ったからといって、どこの自治体でも自動的に企業や観光客が来てくれるわけではありません。  一方で、我が国が海外から受け入れている対内直接投資は、先ほど、もっと投資をしなきゃ、呼び入れなきゃいけないとおっしゃいましたけれども、図表といいますか、グラフでもお見せしましたように、我が国が受け入れている対内直接投資といいますのは、国全体の経済規模からいいますともう極めて貧弱なわけですね。  例えば、ストックベースでどれだけ海外からの投資が蓄積されているか。GDP比で見ますと、先進国ではアメリカが一四%、ドイツが一七%、アジア諸国では中国が一一%、韓国八%、シンガポール一五九%なんですね。日本ではわずかに二・五%です。これで、主要先進国とはこれは一けた、小規模な新興国と比べると二けたも投資の受入額に差を付けられておりまして、これは世界的に見て異常な状況だと思います。  もう、うなずいて聞いてくださっているので同じ認識だと思いますけれども、そして、なぜ日本には海外からの投資が少ないのか、政府調査していらっしゃると思いますけれども、道路などのインフラが不足しているという意見は極めて少数です。それはもうよく御存じだと思います。むしろ、行政手続が煩雑であったり外国語での情報が不足しているということが大きな障害であると指摘されております。  私も民主党も道路が必要がないと言っているわけではありませんが、地方の活性化のために道路特定財源が必要であると声高に主張されている人たちの根拠が、こう見ますと、もっと別の視点から考える点が多々ありまして、本当に必要な施策を効率的に進めていくことが本当はもっと近道なのではないか、そのような気がしてなりませんが、財務大臣、いかがですか。
  49. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) なかなか難しい問題でありますが、政府は今度道路特定財源の改正案を出させていただいて御審議をいただいているわけでございますけれども、それは、おっしゃるように、これは道路においても、それから下水道だとか、そういう生活インフラは、これまでのようにどんどんどんどん造れということの時代から、そうじゃなくて、維持管理をどうするかとか、ライフサイクルをどういうふうに延ばすかということにその比重がだんだん移っているときなんだと、そういう認識はみんな持っているんです。だから、今度、道路特定財源についても、真に必要な道路を上回る分は一般財源化を図るという形にして、従来とは違った改革の端緒を開いているわけでございます。  そういう中で、地方においても、やっぱりこれから国と地方の役割分担だとか、あるいは国の姿をどうしていくのかと、例えば道州制の議論があります。そういうときに、基本的な道路とか何かが小さな範囲で整備されるのではなくて、広域的にやっぱりきちっと整備されていなければ、これは将来の国の姿が整備されていけないわけでございまして、そういうことを中長期的に基本的な考え方で、十年計画で五十九兆円というのを上限にしてあの計画を出させていただいて、今御審議をしていただいていると。  様々な御指摘もありますから、これは効率化、合理化を図っていくことはきちっとしていかなければならない。無駄な道路特定財源の使い方は排除していかなければならない。これは野党の皆さん方の御指摘によって明らかになったこともたくさんあるわけでございまして、そういうものは我々は素直に受け取ってそういうことはやめていかなければならない。その中で本当に必要な地域活性化、将来の日本の各ブロック的な発展の基盤をどういうふうにしていくのかということを考えていかなければならない。  アジア経済が発展をしていくことに便乗していくというときに、やっぱり日本列島、日本海を挟んだ日本、今まで日の当たらなかった日本海側はどうするのかとか、やっぱり新しい視点でいろいろ考えていく必要もあるというふうに思っております。  一方で、やっぱり高齢化社会が来るし、それからどういう負担と給付を考えていかなければならないか、それで膨大な負担が掛かってくること、それからおっしゃるように内需拡大をどう図っていくのか、そういうことを総合的にバランスを取った上で考えていかなければならないというふうに思っております。
  50. 円より子

    円より子君 額賀大臣渡辺大臣は、お子さんをバギーに乗せていろいろ町を、買物に行ったりなさったことありますか。
  51. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私は核家族で双子を育てましたので、当時、新聞記者時代で、夕刊が終わったらいったんうちへ帰って、ふろ入れて、それからまた出社をしたり、だから、お乳を飲ませたり、おむつを替えたりすることは得意ですよ。乳母車も、乗せてよく散歩に連れていったりすることも大いにやらせていただきました。
  52. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) うちは子供が三人おりまして、みんなもう高校生以上になってしまいましたですが、立て続けにつくったものですから小さいころは大変でございました。
  53. 円より子

    円より子君 少し和やかな話題を提供したみたいですが、どうしてそういうことを聞きましたかといいますと、東京で子育てをしておりますと、バギーで保育園にお迎えに行って、その後買物をして家に帰るというときに、ほとんど歩道がないんです。それで、そこに宅急便のトラックだとかもういろんなものがびゅんびゅん飛びます。道路の端には電柱があり、お店の看板が出ていて、道路ってこういうふうな、ちょっと、真っすぐじゃないんですよ、真ん中の方があれで端っこが下がっておりまして、そうするとバギーが斜めになって、もう本当に危なくて通れないというようなのを何度も何度も、何度もというか、どの道もそういうところを経験しながらお母さんはバギーで子供を乗せて歩いている。  それからまた、今、自転車の三人乗りですね、前と後ろに子供を乗せてどうするかという話が随分話題になっておりますけれども、大抵、保育園にお迎えに行くのも全部そうですが、二人連れていないと買物もできないという形で、その自転車に二人子供を乗せて今の日本の道路を走るのは大変なんですね。  そういうことも全部私も経験しておりますから、そうしますと、日本の道路が整備されることはもう絶対必要だともちろん思っているんです。でも、本当に使いやすい道路ということを生活者の視点で今までの道路行政が考えているのかというところがありまして、真に必要な道路は一般財源化するとかなんとかと、言葉は分かるんですけれども、使い勝手のいい道路を、例えば歩道にしても、それから、日本は自転車の専用レーンなんてほとんど設置されておりません。今、日本の歩道は十六万キロ。自転車も通行が認められているのはたった、両方で約十万キロ。自転車の専用レーンはほとんど設置されていませんし、無秩序に自転車で駅まで通うサラリーマンも、バギーを押すお母さんも、二人子供を乗せているお母さんもみんな、高齢者も同じ道を使っているというのが現状なんですね。これでは事故が起きるのは当たり前ですし、日本の道路がすばらしいというのは車で走るところだけであって、歩く道路ではないというふうに思えてならないんですね。  東京に限らずに、車を優先し過ぎた挙げ句に郊外に人の流れが移ってしまって、中心市街地から人がいなくなって地域経済、コミュニティーが存続の危機に瀕していますし、そういうことを考えますと、今回の道路の問題というのは、ただ特定財源を一般財源化するとか、暫定税率を廃止するとか、そういうことだけではなくて、日本の町づくり、人が本当に生きていくための道路造り、そういうものを考える私は大きないいきっかけになったと思っておりまして、是非ともそういうことを考えた道路行政、道路の予算にしていただきたいなと思っているんです。  最後になりましたが、先日のイギリスのエコノミスト誌で、日本GDPの伸び率は、人口一人当たりで見ますと、昨年までの五年間で年率二・一%で、米国の一・九%やドイツの一・四%を上回ると指摘しておりました。G7諸国では英国に次いで第二位だということです。  これは、もちろん日本の人口が二〇〇五年から減少に転じているという要素が大きいんですけれども、デフレからの脱却見通しでも、経済成長率の予測でも、日本政府はいつも見通しを下回るようながっかりするような統計しか発表しませんけれども、実は一人当たりGDPの伸び率が主要国で二位というようなことはとても前向きですから、こういう発表をすれば消費者心理も上向いて内需も拡大するのではないかという、そういう記事だったんですよ。  私も最初、日本経済状況というので、全部落ちた落ちたという暗い数字を実は私自身もお話ししましたけれども、株式相場もそれからまた現在のように下がっている状況にあるわけですけれども、今後私たちは、道路のこの問題をきっかけに、たとえ産みの苦しみ、混乱、痛みが伴うとしても、この国を変えていく、この国の在り方を変えていく大変いいチャンスだというふうにも思いますので、そういう覚悟を持って、混乱を避けるために私たち歳入法案を分けて出していることもございますので、そういう辺りできちんとした対応ができていくことを希望して、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございます。
  54. 大久保勉

    ○大久保勉君 民主党、大久保勉です。  まず、財務大臣質問します。  本日、朝日新聞の第一面、「租特期限切れ 政府・与党 増税分七項目還付へ」、こういった記事がございました。具体的には、租特が切れた場合増税になります土地の登録免許税、オフショア預金利子課税、クロスボーダー債券現先等、こういった項目に関しまして、還付手続は納税者に税額を申告してもらい、税務署、税関、法務局など関係機関で対応する、政省令や通達で具体的な内容を定めることで調整を進めていると、こういうことなんですが、これは事実でしょうか。
  55. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、大久保委員が御指摘のあった報道については、私も全部読んでいるわけじゃないけれども承知をしております。しかし、御指摘のいわゆる日切れの措置を含めた税制改正法案の御審議について、今本院でお願いをしているわけでございます。  私どもとしては、本院できちっと審議をしていただいて成立をさせていただくことが国民生活の安心、安全を確保することですし、混乱を招くことがない措置であると思っておりますので、是非そういう方向で御審議をしていただきたいということが最も大事なことであると思っております。
  56. 大久保勉

    ○大久保勉君 分かりました。  行政のトップとしましては不測の事態を考えて対処する、こういった観点でも是非考えてもらいたいと思います。特に、現場が混乱する可能性があります。特に、ウイスキー、たばこを入国者が持ち込む場合に具体的な手続を四月一日からどうするかとかいろんな問題がありますから、そういったことも考えて、是非行政のトップとして考えてほしいと思います。これは要請であります。  次に、質問します。  先週、予算委員会質問で道路特別会計の五年間のタクシーチケットの使用金額が二十三億円以上ということが明らかになりまして、さらには領収書が適切に保管されていないということが分かりました。この結果、冬柴国交大臣は、使用規定がなければ四月以降はタクシーチケットを中止する、使用を中止するということを決定しました。この問題は、実は特別会計に共通するものであります。  こちら、資料を配りました。こちらは昨年の七月三十一日、産経新聞の記事、読み上げますと、厚生省、タクシー券、半券照合せず精算、職員、私的流用の疑いも。実は、厚労省はその後に私的流用で八人を処分しております。どういうことが起こったかといいましたら、厚労省の職員の深夜帰宅用タクシーチケットの使用規定を設けず、使用者控え、いわゆる半券を記録しないまま廃棄し、タクシー業者からの請求を照合せずに精算していたことが分かった。この利用料金は労災保険特別会計に計上され、国民の労災保険料が財源ということでありまして、特別会計の場合、タクシーチケットの領収書が保存されていない、若しくは私的流用が行われていると、この可能性があるということです。  ここで質問したいのは、国交省には道路特別会計以外に他に六つの特別会計がございます。タクシーチケットの使用状況平成十四年から平成十八年、五年間の合計を教えてください。各特別会計ごとにお願いします。
  57. 桝野龍二

    政府参考人(桝野龍二君) 先生御指摘の五年間につきまして、各特別会計ごとに申し上げます。自動車損害賠償保障事業特会では六千六百万円、治水特会では約十四億九千六百万円、港湾整備特会では八億八千七百万円、自動車検査登録特会二億一千五百万円、都市開発資金融通特会は実績がございません。空港整備特会では二十八億六千九百万円となっております。
  58. 大久保勉

    ○大久保勉君 合計幾らでしょう、国土交通省が管轄しております道路特会を含めて七つの特会で。
  59. 桝野龍二

    政府参考人(桝野龍二君) 六つで五十五億三千三百八万円でございます。道路特会入れますと、約八十一億円と承知しております。
  60. 大久保勉

    ○大久保勉君 五年間で八十一億円ですか、もう一度確認します。
  61. 桝野龍二

    政府参考人(桝野龍二君) 先生御指摘の十四年度から十八年度の五年間で、七特会全部で八十一億円と承知しております。
  62. 大久保勉

    ○大久保勉君 八十一億円、タクシーを使っているということは初めて私は聞きました。予想以上です。  じゃ、当然ながら、タクシーチケット、いわゆる領収書、半券はきっちり保管されているということでよろしいんでしょうか。
  63. 桝野龍二

    政府参考人(桝野龍二君) タクシーチケットの保管の御指摘でございますけれども、現在、いろんな整備局それから各運輸局、本省等ございまして、統一した規定というのがございません。あるところもございますが、ないところもございます。そういう意味では、各チケットの保存というものはばらばらでございますけれども、基本的には使用書という形で保存しておりまして、チケットという意味では保存していないというのが現実かと思います。
  64. 大久保勉

    ○大久保勉君 領収書もなく八十一億円使っていたということですね。非常に驚くべき実態だと思いますが。  実は、道路特別会計に関して一つ一つ調べてみましたら、例えば地方整備局においては、東北、関東、北陸、四国はタクシー半券の保存期間の規定もなく、実際に保管もされていないと、実際あるのは近畿と中部、規定がありますが、中国と九州はちゃんとしたいわゆる領収書としての扱いがないということです。  ということは、まさに厚労省の私的流用疑惑が起きたとしても何が起こっているか分からないわけでしょう。こういった実態に関して、国土交通省の所見を聞きたいと思います。当然ながら、すべての特別会計で、四月一日から、取りあえず規定ができるまでは使用禁止ということでよろしいでしょうか。
  65. 桝野龍二

    政府参考人(桝野龍二君) 半券の所持ということと半券の照合というのはちょっと別の問題でございまして、半券の照合をして間違いのない使用をしているかについては各部署で確認をしていると承知しております。  なお、先生おっしゃったように、四月一日以降につきましては、今、本省の中で大臣の指示を受けまして規定を整備しておりまして、それに向けてやっていきたいと思っております。
  66. 大久保勉

    ○大久保勉君 各部署で照合しているということですが、東北、北陸、関東、四国でも照合しているんですか。利用規定がないのにできますか。
  67. 桝野龍二

    政府参考人(桝野龍二君) 半券が返っていました場合に、その事前に出しておりますものとの照合はしていると承知しております。半券そのものの照合はしているということでございます。
  68. 大久保勉

    ○大久保勉君 使用規定がないのに、どうして信じるんですか。信じるに足る調査をしたんですか。
  69. 桝野龍二

    政府参考人(桝野龍二君) 各部署について規定がないところもございますが、照合につきましてはしているというふうに承知しています。でも非常に官署が多いものでございますから、すべてがすべてということではございませんが、現状調べてみましたところ、各部署とも照合はしているという回答をいただいております。
  70. 大久保勉

    ○大久保勉君 これは重要です。照合しているということですが、前の予算委員会では、照合していないものもあります。実際にタクシー会社からまとめて例えば百万円請求されましたらそれで終わりと、百万円の明細、だれがいつ使ったか、一つ一つチェックしていないという実態が明らかになっていますから、答弁が違いますよ。じゃ、どちらが正しいんですか。今さっきあなたがおっしゃった答弁が正しいと理解していいですか。
  71. 桝野龍二

    政府参考人(桝野龍二君) 規定がない、ございませんということは予算委員会等で答弁しておると思います。  ただ、私が今、先生もおっしゃいましたように、各官署で半券照合をしているのか、していないかにつきましては、調べましたところ、各部署ともしている。していないという回答はもらっておりません。
  72. 大久保勉

    ○大久保勉君 していないという回答はもらっていないということが実態でしょう。じゃ、三年前、五年前はちゃんとやっていたんですか。何も証拠がない、これが実態なんですよ。  実は、国交省は虚偽答弁を、若しくは虚偽の回答をマスコミに行っています。実は非常に参考になるブログがありまして、池田証志さんという大手新聞社の記者さんのブログがあります。記者ブログというものであります。これを読みますと、こちらの記事もこの方が書いたんです、厚生省、タクシー券、半券照合せず。そこで、各省庁に対して、ちゃんとやっていますかということで書面で回答をお願いしております。そうしましたら、昨年の九月十四日、国交省の回答として、使用規定を整備していると回答しています。読み上げます。  当省におきましては、省庁再編後、各部局等においてタクシーチケットの適正な運用を行うよう、機会をとらえて注意喚起を行っておりましたが、本省における厳正な運用の一層の周知徹底を図るため、平成十七年二月八日付けでタクシーの使用についてを制定し、その取扱いの統一化、明確化を図ることといたしましたと。  つまり、国交省はすべて規定があるということですが、私がいただいた規定、東北、関東、北陸、四国は少なくともないんです。ということは、マスコミに対してうその回答をしたんですね。
  73. 金子善次郎

    大臣政務官金子善次郎君) 昨年の八月に新聞記者の方からの問い合わせが、取材依頼がございましたことは事実でございます。  その回答でございますが、ただいま先生から御指摘ございましたが、当時、参考資料としても、今いただきましたが、恐らくそういう流れの中で他省の問題が話題になったというときに、これは他省の内部部局としての本省、つまり当時の対応した担当が霞が関の本省ということでの取材であると思い込んだということでございまして、意図的に虚偽の回答を申し上げたということではございませんので、御了承いただきたいと思います。
  74. 大久保勉

    ○大久保勉君 まあ八十一億円もタクシーチケットを使っていたらなかなか明らかにしたくないんでしょうね。そのお気持ちは分かりますが、国土交通省のホームページには組織図がちゃんとありまして、地方整備局は本省の下にちゃんとあります。いわゆる本省、国土交通省の本省なんです。この記者ブログの中にもきっちり書いてあります。  ですから、隠ぺい体質はあるんですよ。特別会計は見えなかったから好き放題使っていて、領収書も管理せず、また照合もしていたかどうかは分かんない、使用規定がありませんから。こういった実態です。  是非これは会計検査院の方に頑張って調べてもらいたいと思いますが、会計検査院に質問します。不正がないことを証明するためには、半券若しくは領収書を少なくとも五年以上保存すべきと私は考えますし、そうおっしゃいましたが、公式見解をここで答弁をお願いします。
  75. 真島審一

    説明員(真島審一君) 会計検査院といたしましては、国民の税金を財源とした公金の使途につきましては的確な説明がなされることが必要であると考えておりまして、その説明に際しましては資料等に基づいて適切に行われる必要があると考えております。  お尋ねのタクシーの使用状況が明らかになる書類を何年保存するかにつきましては、法令等に直接の定めがなく、一概には申し上げられませんが、会計検査を行う上では支出の使途を明らかにすることができる書類、すなわち、だれがいつどの区間を幾らで乗車したかを明らかにする書類の保存は必要なことと考えております。
  76. 大久保勉

    ○大久保勉君 是非、これは国土交通省だけではなくて特別会計全体の問題ですから、あえて額賀大臣渡辺大臣質問します。是非、一般会計はまだきっちりしていると思います。ですから、特別会計も一般会計並みにきっちりタクシーチケットを整備する、若しくは利用状況大臣責任で調べる、このことを約束してもらえませんか。額賀大臣及び渡辺大臣、約束してください。できますか。
  77. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これはもう大久保委員御指摘のとおり、予算の執行は各省各庁の責任において行われているわけでございます。その責任において、国民の信頼を失墜するようなことがあってはならないことは当然のことであります。  御指摘のタクシーチケットの使用については、したがって各省各庁において適正な使用がなされるよう、利用簿の管理をするとか、厳正な取扱いをしていただきたいというふうに思っております。財務省においても、きちっと共通の利用基準を定めて、一般会計と特別会計を区分することなく運用しております。
  78. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 金融庁は残念ながら特別会計を持ち合わせておりません。
  79. 大久保勉

    ○大久保勉君 いや、行革担当大臣としてのリーダーシップを期待する答弁をお願いします。
  80. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 行革推進法の精神にのっとってやってまいりたいと考えます。
  81. 大久保勉

    ○大久保勉君 非常に抽象的ですね。具体的にこういった無駄若しくは具体的にこういった不正の温床があるから改革すると言ってください。
  82. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 行革推進法においては、特別会計の改革についても規定がございます。その精神の中でやってまいりたいと考えます。
  83. 大久保勉

    ○大久保勉君 是非、委員の皆さん、聞いてほしいんですけど、非常に与党は及び腰なんです。ですから、本当の改革は与党ではできないと思います。政権交代若しくは、参議院でこういう形で与野党逆転しましたから、国政調査権を使うとかいろんな形でこういった不正を明らかにしていきたいと思います。  次に行きます。  次に、資料の二、こちら東京新聞の三月二十六日の記事です。「日銀考査、守秘義務違反か 新銀行東京 知事「知人から聞いた」」ということであります。  具体的なことに関しては、石原慎太郎知事は二十五日、考査に入った日銀スタッフの知人に考査の結果を聞いたということがございますが、この点に関しまして、日本銀行調査を行っているのか、また調査の結果、守秘義務違反があったのか、また処分はどうなのか、確認したいと思います。
  84. 山口廣秀

    参考人山口廣秀君) お答えいたします。  私ども、考査結果につきましては、日銀法及び考査契約におきまして厳格な守秘義務が定められております。それに基づきまして厳重に管理しているというのが実態でございます。  今般、御指摘のような報道がありましたことを受けまして、念のために、新銀行東京の考査結果を知り得る立場にあった役員それから職員全員を対象に考査結果に関する情報を第三者に伝えたことがなかったか、調査を行いました。その結果、新銀行東京の考査結果に関する情報を第三者に伝えた事実はなかったというふうに理解しております。したがって、日本銀行の役職員に関し守秘義務違反はなかったと私ども判断しておるということでございます。  いずれにいたしましても、私どもとしては、引き続き厳格な情報管理に努めてまいりたいと、かように考えております。  以上でございます。
  85. 大久保勉

    ○大久保勉君 ということは、石原知事の記者に対する発言等が間違いだったということですね。
  86. 山口廣秀

    参考人山口廣秀君) お答えいたします。  都知事が実際にどのように御発言されたのか、私どもは承知しておりません。ただ、今申し上げましたように、私どもとしては可能な調査を行いました結果、新銀行東京の考査結果に関する情報を第三者に伝えた事実はないということでございます。  したがいまして、日銀の役職員に関しましては守秘義務違反はなかったと、かように認識しておるということでございます。私どもとしては、引き続き厳格な情報管理に努めてまいりたいと、かように考えております。  以上でございます。
  87. 大久保勉

    ○大久保勉君 これ以上は追及しませんが、国会で日銀考査に関する質問をしましても、守秘義務がありますので委員会でもお答えできませんということでしたので、ついつい私は、国会では答弁できないけど石原知事だったらリークできるのかなということで疑っていましたが、事実、こういうことはないということで、是非これまでと同じように、若しくはそれ以上にきっちり守秘義務の管理はお願いしたいと思います。  じゃ、続きまして渡辺金融担当大臣にお尋ねしますが、日本銀行の今回の守秘義務違反の可能性、まあないと言われておりますが、この問題とか、若しくは松江支店の金融検査資料の流出等に関しまして、金融業務を管理監督する立場渡辺大臣から、御所見がございましたらお聞きしたいと思います。
  88. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 松江支店の金融検査資料の流出についての御質問でございますが、金融機関に対する考査を行う日本銀行においては、情報の管理が徹底されるべきことは言うまでもございません。  守秘義務違反の問題について、日本銀行調査の結果、そういう事実がなかったということでございます。職務上知り得た秘密の漏えいがあってはならないのは当然のことであります。松江支店の情報流出については、私としても大変残念な事件でございました。二度とこのような事態が繰り返されることのないよう、日本銀行においては再発防止に適切に取り組んでいただきたいと考えております。
  89. 大久保勉

    ○大久保勉君 続きまして、白川総裁代行に御質問いたします。  米国のサブプライム問題の深刻度に関して質問したいと思いますが、どの程度日本経済影響するのか。これは円委員の方からも質問がございましたが、特に私が聞きたいのは、今週発表されました地価公示で明らかになりましたように、海外での貸し渋りが証券化市場の混乱若しくはREITの値下がり、その結果、国内の不動産価格に影響すると。これは非常に早い動きだと思います。  こういったことを踏まえまして、日本経済はどういうふうになるか、このことを聞きたいと思います。
  90. 白川方明

    参考人白川方明君) お答えいたします。  アメリカサブプライムローン問題によりまして国際金融市場は動揺をしていることは御承知のとおりでございます。このことが世界の、アメリカ経済それから日本経済にどのような影響を与えるかと、非常に私ども重大な関心を持っております。日本のバブル以降の経験を見ましても、資本が毀損をするということは様々なルートを通して経済影響を与えていく。そのうちの一つルートとして、今委員が御指摘のREITあるいは地価、それを通じて経済への影響を与えていくルートがもちろんあり得るというふうに認識しております。  ただ、現状において、このことが日本経済に対して直ちに大きな下振れ要因となっているというわけではございませんけれども、しかし、そうしたことが今後どのように顕在化していくかということは、この後、四月の決定会合においても入念に点検すべき事項だというふうに認識しております。
  91. 大久保勉

    ○大久保勉君 分かりました。  それでは、次のテーマに参ります。  公正で活力ある資本市場に向けましていろいろ議論をしたいんですが、今回、一月二十五日に財団法人経済産業調査会で北畑経産事務次官の発言がございました。具体的には、デートレはばかで浮気で無責任という発言がありまして、世界的に注目されたものです。  一つ、本論に入る前に、デートレといいますのは日本投資家でしょうか。渡辺大臣に確認します。日本株が上がらないのは、日本投資家が株を買わないと。じゃ、デートレというのは日本投資家ですか。通常、どうでしょう。
  92. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) デートレーダーというのは日本語で何と言うのか分かりませんが、いわゆる日ばかり商いということをやっておられるような方々も指すのかもしれません。こういう個人の投資家は日本だけに特有の現象ではないと理解をいたしております。
  93. 大久保勉

    ○大久保勉君 これは日本投資家もいるということでよろしいですね。  そこで、今日は、是非、北畑事務次官にここに来てもらいまして質問をしたいということでお願いしていたんです。  といいますのは、私は、質問主意書を出しまして、この問題は世界的に大きな反響を得ていると、ですから、政府としてどう思うんだということで質問主意書を出しました。実際に投資家というのはいろんな、例えば、一部の株主については能力がないとか配当を要求する強欲な方とか、こういった発言がございましたので、これは政府見解ですかということでお尋ねしましたところ、これらの発言は、自分の発言は少数派であるとあらかじめ前置きした上で政府見解としては云々かんぬんということで、質問主意書の内容は、私自身は少数派であるということで、じゃ、私自身の、少数派の意見を聞きたいということでお呼びしたんですが、いらっしゃらなかったということで、理由の方を教えてもらえますか。経産省の局長、お願いします。
  94. 鈴木隆史

    政府参考人(鈴木隆史君) お答え申し上げます。  次官が呼ばれたことは承知しておりますが、その後の委員会お話で北畑次官が出なくてもいいということで、代わりに私が出るというふうに承知しております。
  95. 大久保勉

    ○大久保勉君 もう少し具体的に、私どもにおっしゃったことを言ってください。やはりみんなが知るということが重要ですから。
  96. 鈴木隆史

    政府参考人(鈴木隆史君) 北畑次官がどうして出ないかということについては、私は北畑次官に直接確かめたわけではございませんので承知しておりません。私どもの内部の話では、北畑次官の代わりに私が先生の御答弁に、答弁するようにということで本日出てまいりましたと承知しております。
  97. 大久保勉

    ○大久保勉君 少数者である北畑次官の意見をどうしてあなたが答弁できますかということに対してあなたはきっちりおっしゃいました。そのことを聞いていますから、この場でおっしゃってください。
  98. 鈴木隆史

    政府参考人(鈴木隆史君) 少数説の話について、そういう御質問が出るということは私は承知しておりません。  一般的な話について、北畑次官の発言につきまして、それについてどう考えているかと、そういうことについて答弁をさせていただくために本日呼ばれてここに出てきておるというふうに承知をしております。
  99. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 大久保さん、ちょっと待ってください。  速記止めてください。    〔速記中止〕
  100. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 速記を起こしてください。
  101. 大久保勉

    ○大久保勉君 非常に遺憾だと私個人は思いますが、続けますと、経産省は局長に、私の理解は、北畑発言といいますのは、経産省がいろいろ考えた中の発言でありますから、局長が発言できるということを聞きました。それは事実ですか、事実じゃありませんか。
  102. 鈴木隆史

    政府参考人(鈴木隆史君) お答え申し上げます。  先生からそういう御質問をいただきまして、北畑次官からは、その意を聞きまして、北畑次官からどういうふうに答えるという内容についてはこの場でお話しできる用意はしております。
  103. 大久保勉

    ○大久保勉君 ということは、私がこの場で新しいことを再質問した場合に、お答えできないということですよね。ということは、ただ単に答弁書を読むだけじゃないですか。私は、これが国会の在り方というのは非常に遺憾に思いますよ。ある食品偽造で、関西のしにせ社長の会見であったと思うんですよね、腹話術会見。全く同じじゃないですか。  だから、特に経産省といいますのは企業のガバナンスを統括するところですから、社長が、事務のトップ、社長が自ら自分の不祥事に関しては答弁すべきじゃないかと思いますが、ここではもうこれ以上申し上げませんが、じゃ、質問に入ります。  まず、ばかで浮気で無責任との発言、この真意を聞きたいと思います。
  104. 鈴木隆史

    政府参考人(鈴木隆史君) お答え申し上げます。  委員御指摘の発言でございますが、財団法人経済産業調査会の会員向けの講演の中でなされたものでございまして、御指摘の、ばかで浮気で無責任という発言につきまして、次官の真意を昨日ただしたところでございます。  以下のとおりでありましたので、お答えさせていただきたいと思います。誤解を生じないように、少し丁寧に御説明をさせていただきたいと思います。  第一の、ばかでとは、株式会社制度におきまして、所有と経営の分離がなされていることから、株主が経営者に対して経営能力の点で劣っている場合が多いということである。第二に、浮気でとは、株主の権利の譲渡可能性担保されている結果、株主は株を自由に売買できるということ。第三に、無責任とは、株主の責任が有限責任であり、株式価値の範囲で責任を負うであるものということを表現したということのようでございます。  第一に、調査会によります正式な議事録が作成される前に一般に流布されたという経緯はあるものの、不適切な表現が用いられていることは非常に事実でございまして、この点につきまして、本人も謝罪の意を表しているところでございます。  第二に、内容的にはいずれも株式会社制度の本質を説明したものであります。すなわち、このような点が担保されているがゆえに多様な人間が株式市場に参加することが可能になって、市場の厚みが増すことで企業に対する円滑な資金の供給が行われているというものでございます。その意味で、これらの特徴が悪いことであるかのごとき誤解を与えたことについても、本人は謝罪の意を表しているところでございます。  以上でございます。
  105. 大久保勉

    ○大久保勉君 株式市場の本質、有限責任、譲渡可能、情報に関してはすべては持ち得ない。いわゆるばかで浮気で無責任日本の株式市場の本質なんですか。もう一度確認します。私はびっくりしましたから、もう一度聞きます。
  106. 鈴木隆史

    政府参考人(鈴木隆史君) お答え申し上げます。  そういう、先生おっしゃいましたように、株式が自由に売り買いできて、かつ有限責任の範囲で責任を取り、かつ株式会社制度におきまして経営と所有が分離されて、経営に一々タッチしなくても株式が売買できるということは、株式会社制度の基本であるというふうに考えております。
  107. 大久保勉

    ○大久保勉君 やはり本人じゃないと非常に無理があると思いますから、是非、北畑事務次官がここに来ることを委員長に求めたいと思います。
  108. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまの件につきまして、後刻理事会において協議いたします。
  109. 大久保勉

    ○大久保勉君 それでは、先ほど、日本市場はばかで浮気で無責任だということですが、渡辺大臣はこの点に関して見識ある御意見があると思いますから、御所見を聞きたいと思います。
  110. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 北畑次官も恐らくざんげしておられるんだと思いますけれども、一般論として申し上げれば、金融資本市場においては厚みのある取引が必要でございます。いろんな形で、例えばファンドもあり、デートレーダーもあり、長期投資の個人もある。保有期間とかリスク選好とか多様な投資家が参加をしていたことが大事であります。こういう観点から我々は金融資本市場の強化プランを作っているわけでございまして、こういう多様な市場をつくることを阻害をするような発言は慎んでいただきたいと思います。
  111. 大久保勉

    ○大久保勉君 じゃ、続きまして、北畑次官は、社外取締役は余り役に立たないとの発言をなされています。この真意を聞きたいと思います。
  112. 鈴木隆史

    政府参考人(鈴木隆史君) 御指摘の発言につきまして次官の真意をただしましたところ、以下のとおりでございました。  我が国企業におきましては、米国企業などと異なり、取締役会の開催頻度が多く、日々の細々とした業務の執行につきまして付議をいたしている会社が多くなっております。このような取締役の機能を前提にすれば、社外の方には限界があるという意味で余り役立たないというふうに発言したものであります。  一方で、日本企業の活動も非常にグローバル化していることを考えれば、社外取締役の義務化の是非は別といたしまして、企業戦略として考えたときに、社外取締役は、マネジメントのチェックについて投資家からの信頼が得られやすい、それから、大局的で内部者から独立性のある助言が期待できるということから戦略の高度化に貢献し得るというメリットもあるとの認識でございました。  この点につきまして、公表いたしました議事録におきましては、次官は、大きな見地からのマネジメントの責任あるアドバイザーという役割が求められるというふうにしておりまして、先ほど申し上げた限界を克服するため、運用上、日本では取締役会の付議事項の再検討が必要かもしれないという発言をしておりました。  以上が、次官の社外取締役に関します発言の真意でございます。
  113. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 大久保君、時間が来ておりますので。
  114. 大久保勉

    ○大久保勉君 時間が来ましたので、最後ですが、意見ですが、会社におきましてはIRが重視されています。IRといいますのは、トップ、社長が自ら投資家若しくは国民に対して説明することです。是非、事務方のトップの御所見を聞きたいなと思っております。  以上で終わります。
  115. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 午後一時十五分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時三分休憩      ─────・─────    午後一時十五分開会
  116. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、財政及び金融等に関する調査を議題とし、財政政策等基本施策に関する件及び金融行政に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  117. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 私に先立ちまして円理事と大久保理事の方から本当にすばらしい質問をされまして、日本を憂う気持ち、大変に伝わってきました。  その中で円先生は、やっぱり国民生活が大切だから国民生活の視点でしっかりと道路の問題に対応していただきたい、審議していただきたい、その思いが伝わってきました。やりましょうよ。  大久保先生は、改革は民主党にはできない、そうかもしれませんけれども、そうでないかもしれません。ですから、本当にやりましょうよ。ですから、もう本当に審議をやらせてください。昨日と状況が変わったんですね。民主党さんが出された税法関連三法案、付託が下りました、この委員会に。  ですから、委員長委員長は昨日の理事懇で、もう委員長自ら、付託されたら粛々とやりましょうということを言われました。しかも、これは四月一日施行なんですよ。ですから、もう審議しないと、皆さんのもう念願かなって付託がこの委員会に下りたわけですから、しかも四月一日施行ですから日にちがありません。  委員長、昨日の理事懇で、付託されたら粛々とやるとおっしゃいました。委員長の見解をお伺いします。
  118. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 委員長の見解を求められておりますが、ここは両大臣に対する、今日は所信に対する質疑でございますので、そちらの方にお願いしたいと思いますし、今お話しなさった議事運営の在り方についての質問あるいは協議については、これは理事会等で、理事会あるいは理事懇談会で継続してやっていきますので、そちらの方で今の点についての私の見解その他も含めて協議していきたいと思いますので、質問を続けてください。
  119. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 本当にもうおっしゃるとおりだと思うんですよ。もう理事会でやるべきなんですよ。  それで、朝から何回も理事会をやってくださいと。四月一日施行ですからね。皆さんのもう本当に念願かなって付託されました法案、時間がないんですよ。皆さんも審議されたいというのが本音だと思うんですよね。時間がありませんから、もうすぐ理事会をやって、皆さんも御案内のとおり、二十四時間働くのが国会議員なんですよね。もう国民生活待ったなしですから、国民生活が第一。国民生活が第一と言われて参議院選勝たれて、しかも参議院では多数を占められる責任政党なんですから、是非とも至急理事会を開催していただきたいと思いますが、委員長、いかがですか。
  120. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 田村耕太郎さん、質問を続行してください。
  121. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 朝の理事会でも、円先生は、少なくとも対案なんだから閣法と一緒に議論すべきだと言われました。閣法と一緒に議論すべきだと言われたんですから閣法を下ろす努力をされていると思うんですが、委員長委員長の見解を求めます。筆頭理事と一緒に努力してください。
  122. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  123. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 速記を起こしてください。  それでは、質問を継続してください。
  124. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 質問も用意しているんですけど、もうとにかく国民生活待ったなしですから、少なくとも理事懇の予定だけ立ててください、委員長。(発言する者あり)いや、そうじゃないと、もう僕らも審議応じられませんよ。
  125. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 両大臣に対する、所信に対する質疑ですから、それについて続行してください。  先ほど申し上げたとおりです。後刻理事会や理事懇談会は開催いたします。
  126. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 後刻、後刻って、委員長、いつですか。
  127. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) どうぞ進めてください。もう何度もお話ししました。どうぞ進めてください。質問を続けてください。
  128. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 それでは、質問に入ります。  両大臣にお伺いしたいんですが、私は、この二十年ぐらい続いたデフレ傾向がそろそろ終わってインフレ傾向に入ってくるんじゃないかと思うんですね。  なぜかというと、もうデフレ傾向を支えたのは低賃金労働をどんどん供給するような人口の多い国がフロンティアとして次々に現れていた、それが中国であり、インドであり、東欧であり、南米であると。しかしながら、そういう国々がどんどん経済成長を続けていって、そういう国が、フロンティア、低賃金の労働を供給するような国から高い購買力を持つような国になってきた、そういうふうに思うわけですね。  そろそろデフレ傾向は、残念ながら、リフレ政策とか考えられている方がいらっしゃいますけど、そういうことも必要なく、そろそろインフレに世界が入ってくるんじゃないかと思うんですけど、財務大臣金融大臣、各々の見解をお伺いしたいと思います。
  129. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 田村委員が御指摘のように、九〇年代以降、そうですね、冷戦構造が崩壊をして、世界一つ市場経済、自由主義、骨格が誕生していくその過程で、相対的に労働力の低い、労働賃金の低い中国やインドの経済が台頭した結果、インフレ率が非常に弱まったということは、あなたの、田村先生のおっしゃるとおりだというふうに思っております。  また同時に、最近は新興国の経済成長による需要増もあるし、あるいはまた原油価格とか穀物だとか、いろいろと高騰が続いておりますので、インフレ懸念も高まっているわけでございます。我々は、そうした流れに十分注意を払いながら、経済政策金融政策を見守っていかなければならないというふうに思っております。
  130. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 先ほども申し上げました私のところの金融市場戦略チームでは、今、田村先生が御指摘のような問題についても議論をいたしております。  ついこの前の会合だったかと存じますが、水野和夫委員から大変面白いプレゼンテーションが行われました。つまり、ベルリンの壁崩壊以降、九〇年代半ばに世界経済が一体化をいたします。十一億人ぐらいの資本主義がその何倍かの規模に膨れ上がるわけであります。そういたしますと、金融資産というものが大変な勢いで増え続けたわけであります。株式が貨幣化をし、例えばボーナスが株で支払われるとか、年金が株で運用されるとか、あるいは会社買収が株式交換で行われるとか、そういった株式の貨幣化が起こります。一番この株式時価総額の増大に貢献をしたのがアメリカ、次がヨーロッパ、そして中国、インド。日本は残念ながら非常に貢献度は低かったということであります。  今こうした膨らんだ金融資産を背景に何が行われているかといいますと、食料資源の争奪合戦の様相を呈していると。つまり、石油が足りないわけではなかろうと思いますが、価格の面から見ますと、まさに争奪合戦の様相である。  こうしたことは歴史上どういう時代に起こったのかといいますと、水野和夫さんによりますと、十六世紀に、まさに新大陸が発見をされ、金銀が輸入をされ、貨幣が増大をし、地中海世界東欧が一体化し、まさに価格革命が起きたということであります。小麦の値段が六倍から八倍に膨れ上がると。そういたしますと、まさに現在、金融経済が実物経済を動かす、バーナンキ議長の言う犬のしっぽが頭を動かす、そういう時代に、いい悪いは別として入っているというのが水野説でございます。  したがって、こういう時代にあって、日本のように安い資源を輸入をして工業製品を作っていく発展モデルというのが非常に厳しい状況に至るのは、これは紛れのない現実でありまして、まさしく我々はそういう時代に直面をしていることは認識をしなければならないと考えます。
  131. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 渡辺大臣に次の質問の半分ぐらい答えられてしまいましたけど、そういうことで、インフレ傾向も気を付けなきゃいけないという御認識は両大臣ともお持ちなんですが、その中で、じゃ、そういう認識をお持ちになられていたとしたら、今の円高というのをどう評価されるかというのを次にお伺いしたいと思うんですね。  円高でもよく輸出産業が痛むという話、円先生も質問されましたけど。ただ、世界で工場を分散させて部品から完成品まで調達をグローバルにしていますんで、極論すれば、円高で直撃を受けるというのは、コスト構造の中で見れば人件費と減価償却費、厳密にはそうなると思うんですね。ですから、コストの中で円高、円高といっても実は減価償却費と人件費ぐらいで、コストの中の十分の一ぐらいですか、それぐらいであって、本当にどこまで打撃を受けるかどうか分からない。しかし、じゃ輸入の方を見てみますと、今、渡辺大臣が言われました、日本は食料の六割以上、エネルギーの九割以上を輸入に頼っているわけですね。そういう国が、これからインフレ傾向、世界がインフレ傾向になっていく中で、強い円を持つのと弱い通貨を持つのとどちらがいいのかと。  今の水準がどうかという話じゃないですが、これ一般論で言って、両大臣にお伺いしたいと思います。円高、円安どっちがいいのか、これからの経済、今言われたような傾向の変化を念頭に置かれてどう思われるか、両大臣にお伺いしたいと思います。
  132. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 円高になればそれだけ物資は安く入ってきて、経済も良くなってくるし、消費者にとってもプラスになるということはあり得るわけでありますが、一方で輸出産業には打撃が来ると。両面のプラスがあると思いますが、今の国内市場ではそういう輸入物価がやっぱりきちっと中小企業だとかに転嫁されてないところに一つ問題が起こっているものと思っております。  そして、円がどういう水準であるべきかということについては、直接的にはコメントは差し控えたいと思いますけれども、中長期的に見ればそれは、先ほども円委員に追及されて、長い目で見ればいいんじゃないかなという考え方を示したところでございます。
  133. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 額賀大臣に同じ見解でございますが、今、目先ですね、デフレが終わっていない中で急激な円高を起こしますと、なかなかデフレから脱却できなくなってしまうという問題があろうかと思います。しかし、一方において、中長期的に内需振興という構造改革を行っていく上で、強い円というのはまさしく国益にかなうということであろうかと思います。いずれにいたしましても、時間軸が非常に大切なポイントになるのではないでしょうか。
  134. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 そういうことでございまして、いろいろ、言及はなされないと思いますが、いろんな可能性を含みながら通貨の価値の基準というのは評価していかねばならないと思うんですが。  次に、金融市場の大切さ、これについて両大臣に認識をお伺いしたいと思うんですが、サブプライムローンのショックで、それだけじゃないと思いますけど、世界的なリスク資産の再評価が起こっているということが今の金融市場の不安定さ、脆弱さを出していると思うんですけど、しかし、日本はよく言われるように、サブプライムローンとか金融派生商品の影響は限定的であるはずなのに、一番下がるマーケットになっているわけですね。  渡辺大臣がドルベース、円ベースでの比較ということをされましたが、これについていろいろ言われています。政治のせいだとか企業のせいだとか。ただ、企業結構一生懸命頑張って利益を出しているわけですね。結構高水準の利益水準を確保している会社もあって、中小企業も含めて結構頑張っているんですが、なぜこんなに日本の株が評価されないのか。  いろいろもういろんなところで両大臣聞かれていると思います。それでまた状況の変化も刻々と起こっていますので、今までお答えになったお答えとは違う答えがおありになるかもしれません。なぜ金融商品のリスク資産の再評価影響が限定的なこの市場で最も早く下がる株価になっている。これは今、今日の現時点ではどんなことが影響されていると思われるのか、両大臣に端的にお願いしたいと思います。
  135. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 為替変動影響もあるでしょう、ドル安に伴って。最近の日本企業を引っ張ってきたのは輸出産業でありますから、そういうところからいろいろと影響を受けているものが一つ。それから、株式市場というのはやっぱり中長期的に先を見通すことでありますから、日本の産業力というか、それから潜在成長力がどういうふうに引き出せていくのか、そういう政策がきちっとできていくのか、あるいは構造改革がきちっとなされていくのか、そういった全体的な総合力について我々は政策面でやはりきちっと対応していくことが必要ではないのかというふうに感じております。
  136. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 先ほども申し上げましたダボス会議での私のパネルのテーマが、アンカップリングは可能かというテーマでございました。つまり、アメリカ経済が減速過程に入っていきますと、世界中にその累が及んでいくのではないか。日本ではデカップリングとよく言われますけれども、そういうテーマの中で、例えばストロスカーン専務理事はこの間日本に来ましたときに、いきなり私に聞いた質問は、日本の内需は拡大できるんでしょうかと、こういう質問だったわけでございます。したがって、輸出頼みの景気回復というものをやっていますと、なかなか日本は難しい、政府見通しの成長率を達成するのも難しいのではないか、そういう発想があったのかもしれません。  いずれにいたしましても、先ほどの財務大臣と同様、マーケットというのは何か月か先の経済を見るわけでございますから、一々マーケットについてのコメントはいたしませんけれども、やはり日本が内需振興のできるような目先の体制、そして中長期の構造改革をきちんとやっていくことが大事なことであろうかと思います。
  137. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 日本の今後の成長性を考えますと、もちろん日本が得意とする製造業をしっかり強化していくということも大事だと思いますが、もう一つ渡辺大臣金融戦略チームや、渡辺大臣が副大臣をされているときに私もその下で働かせていただきました金融立国というやつですね、金融産業をしっかり育てていくということも大切だと思います。  これからは、ちょっと渡辺大臣中心にお話を聞いていきたいと思うんですが、金融産業がいかに大事かということを与党の中で議論しても、いや、日本は製造業の国だから、金融というのはもうユダヤ人や中国人とかインド人にかなわないよと言うような方も与党の中でもいらっしゃると思うんですが、私はもう切り離して考えられるような時代ではないと思うんですね。  例えば、製造業だって、これから世界の競争を勝ち抜いていくためには莫大な研究開発費、これもいかに低利に低コストで調達できる市場が近くにあるかということがキーになってきますし、余り株価を下げてしまうと技術を持った会社が外国に買われてしまうというようなこともあると思うんですね。  一生懸命企業が頑張って株価を上げようとしても、株価が上がらなかったら有利な資金調達はできませんし、株価が下がってしまったら、それを担保に調達しているお金というのは今までのように潤沢に来ないわけですから、金融業と製造業というのは切り離してもう考えられるような時代ではなくて、金融業あっての製造業、製造業あっての金融業、こういう、今アンカップリングという話が言われましたけど、本当にもうカップルとして切っても切れない関係にあると思うんですが、そういうことも踏まえまして、金融市場金融産業、金融立国、この大切さについて大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  138. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 田村委員には釈迦に説法でございますけれども、今、残念ながら日本金融産業がとても戦略産業とは言えないような状況に置かれているかと思います。一方、よく場所貸しビジネスモデルなどと言われますが、イギリスやシンガポールなどでは、金融産業がまさに戦略産業として一国の経済の牽引役を果たしているという現実がございます。  こうした彼我の差を考えてみますときに、日本がこれからGDPをどうやって伸ばしていくかと。少子高齢化という状況に置かれた我が国において、やはり金融産業が牽引役になる場面は相当あり得るのではないかと私には思えてならないわけでございます。  国内の膨大な貯蓄がございます。後ほど御質問に出るのかもしれませんが、ソブリン・ウエルス・ファンドと言われるお金を今現在集めてきてもたかだか三百兆円であります。日本はその五倍もの個人金融資産があります。七百五十兆円ものお金が塩漬けの預貯金になっています。こうした内なる家計の富というものがもっと有効にリスクマネーとして経済活性化していくことは可能ではないのかと。また、日本市場の使い勝手を良くすることによって海外からの投資がもっと増えるのではないかと。  そういたしますと、内外のマネーがまさに日本経済活性化をしていく、そういう方向で歯車が動き出すはずでございます。まさに、金融産業を戦略産業として育てていくことが重要かと思います。
  139. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 そのためのまた新しい法案を出されていまして、銀証分離の問題とかETFの問題とか、これからこの後この委員会で審議していくことになると思うんですが、その法案もすばらしい第一歩だと思うんですが、それに加えまして、今言われたように、今ある資産をどう有効活用するかということをこれから我々が与野党問わず知恵を絞って考えていかねばならないと思うんですね。  もう御案内のとおり、日本経済というのはアメリカの三分の一なんですけど、日本のバランスシートというのは、その三倍の経済を持つアメリカの五倍あるわけですね。本当に莫大な資産を持っています。  例えば、不動産なんて国土面積の二五%が政府保有になっている。本当、社会主義国みたいな国ですよね。一億二千万人に義務的な公的年金制度を持ってくる国というのは、このサイズでは日本ぐらいだと思います。また、直接は貿易の収支ではないんですが、四十年以上も経常収支黒字であることから来ますやはり外貨準備の大きさ、円先生が御指摘になられましたけど、これも莫大な資産の一つと言えるわけだと思うんですね。  それを今、政府がいろんな形で運用されているわけですが、大久保先生の質問にもありました、政府は完全ではない、政府が本当に有効にお金をちゃんと使ってくれるかというのは残念ながら疑義があると思うんです。ただ、やっぱり立派な官僚の方もいらっしゃいます。志が高い、能力の高い方もいらっしゃいますが、しかし、これからはもう徹底的に国会で審議をしていって無駄遣いをなくしていく。道路もそうですよね。本当に予算委員会でいい議論されていましたけど、あの議論を財金でもやられたらいいと思うんですよ。  一般財源化すれば無駄遣いなくなるわけじゃないんですね。暫定税率がなくなれば無駄遣いなくなるわけじゃないんです。皆さんのような、立派な審議を続けていかれることが無駄遣いをなくす本当の最高の手段ですから、是非とも一刻も早いすばらしい審議を一緒にやっていこうじゃないですか。  それで、話は戻りますけど、本当に無駄遣いを許さないために、やはり政府の手にある資産をしっかりある程度切り離して、国民情報公開をしながら、我々がしっかり議論をしながら使い方をより効率的にしていく、こういう努力は、少なくとも議論は必要だと思うんですが、大臣、この辺り、いかにお考えですか。
  140. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 私は行革大臣というのもやっておりまして、行革推進法には資産・債務改革というのがございます。これは、自民党の方で田村委員が大変御活躍をされている分野であります。  まさしく、肥大化した官、これをいかにスリム化をしていくかということは、即、民の元気につながるものであります。人や資産の流れを官から民へ変えていく、これが行革大臣のミッションでありますし、官から流れてきたお金、これを貯蓄から投資に振り向けていく、また、民に家計の富としてたまっているお金、これをリスクマネーに流していく、これも貯蓄から投資への流れでございます。つまり、官から民へ、貯蓄から投資へという流れは表裏一体のものとして私は理解をいたしております。そういう中で、国が保有する金融資産が随分たくさんあるではないかと。御指摘のとおりだと思います。  今、世界では、貿易黒字あるいは財政黒字、あるいは急騰いたしました天然資源の富をいかに運用するかということを真剣に考え始めた国がたくさんございます。一方、そういったいわゆるソブリン・ウエルス・ファンドが無視できない存在になりつつある中でいかにこうしたファンドとの共生を図っていくか、ベストプラクティスを求める動きも出てきております。まさしく、こういった現実を前にして私も、先ほど来申し上げております金融市場戦略チームにおいてこの問題を調査分析をいたしているところでございます。
  141. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 行革大臣の側面もお持ちですので、本当に金融大臣と行革大臣を一緒にやられているというのは、まさに国の莫大な資産をいかに有効活用していって、日本の魅力をアップすると同時に財政再建に貢献していってグローバル化を果たしていく、これもう直結されると思うので、ますますの御活躍をお祈りいたします。  その中で、特に日本が持つ資産の中でもうずば抜けて大きいのが年金ですよね、公的年金。百五十兆円ぐらいあります。これ今、大臣も所管されていますけど、いろんな法人体系の中で独立行政法人という形になっています、GPIFというやつですね。この中で、毎年三%人件費を減らしていくという縛りが付いている中で、百五十兆円を運用していく。しかも、その三分の二が日本国債であって、大体リターンが一・五ですか。しかし、中期目標は三・二ですよ。三分の二、一・五の商品で持たせて、その残りの三分の一を運用して三・二に持っていけというのはなかなか難しいと思うんですね。  そしてまた、世界のソブリン・ウエルス・ファンドというのは大体三類型に分かれまして、一つが原油や天然ガスを原資にしているもの、もう一つが外貨準備を原資にしているもの、そして年金を原資にしているものあるんですけど、年金を原資にしているものの平均リターン見ますと、例えばノルウェーとかカナダとかアメリカ、大体一〇%なんですよ。一〇%で運用すれば十年で二・六倍に資産が上がるんですね。なかなかこれはもうそんな簡単じゃないと思いますけど。  しかしながら、日本のように三%でしか運用できなかったら、十年たてば一・三倍なんですね。つまり、倍半分になるわけです。やはりこれは、まあ委託しているといってもプロに委託させねばなりませんし、そして、ある程度高い人件費を払っても一%運用リターンが増えれば一・五兆円実績が変わるわけですから、これはもう今の公的年金基金の運用の在り方というのは私は変えていくべきではないかと思うんですけど、少なくとも議論はすべきではないかと思うんですけど、民主党さんも、記録問題から運用問題に是非関心を更に持っていただきたいと思うんですけど、もう持っていらっしゃると思いますけど、渡辺大臣、いかがでしょう。
  142. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) この問題は、舛添厚生大臣がかなり真剣にお考えになっておられるかと思います。  年金ファンドの中には、例えばカルパースのように、物言う株主として有名なアクティビストの色彩の強いところもございます。一方、ソブリン・ウエルス・ファンドの議論の中で、やはり双方のウイン・ウインの関係、つまりファンド側と受け入れる側とが戦略的互恵の関係を構築するためには、物言わぬ株主の方がいいのではないかという議論もあるわけでございます。したがって、純粋に純投資としての運用を深めていくという方向性がソブリン・ウエルス・ファンドの場合には主流かと思います。  日本の年金運用について更に深く研究をしていくことは大事かと思います。
  143. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 財務大臣、戻ってきていただきましてありがとうございます。  円さんの質問にもありましたが、日本の外貨準備高が多いか少ないか、いろんな議論があると思うんですね。それで、これを動かすことによって国際通貨市場、特に円とドルの為替レートに大きな影響があるということも真実だと思うんですよ。やはり日本は、まあ日米安全保障条約の片務契約ではないですけど、やはり日米関係を考えた場合、それは一定程度向こうからプレッシャーがないにしても、やはり安定的な外貨準備の運用の仕方というのはあるとは思うんですね。  ただ、その内容、全貌が明らかになっていませんので何だかんだ言うことはなかなか難しいですけど、ただ、やはり運用の多様化というのはこれからやられてもいいんじゃないかなと。  例えば、円ドルレートに影響を及ぼさない多様化というのはあると思うんです。もうアメリカ財務省証券だけじゃなくて、今やもう過小評価ぐらい下がっている、価格が下がっているリスク資産ありますよね、アメリカ株価の中でも。例えば、株価は下がっているけど多分アメリカは絶対つぶさないであろう企業、シティバンクとかファニーメイとか。不動産もそうですね。金融派生商品もそうです。ドル建て金融商品、不動産、株、その他の派生商品、そういうものに運用を多様化していってもアメリカ財務当局、そしてまた円ドルのレートには大した影響はないと思うんですが、そういう運用の多様化というのは何年かたったら大きなリターンを生む可能性があるんですが、これを検討されるというのは、大臣、いかがでしょう。
  144. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 先ほどからいろいろ聞いているけど、やっぱりこの世界、永遠の勝利者というのはないんだと思うんですよ。アメリカだって、今度のサブプライムローンなんというのはついこの間までだれが予測をしていたか。だから、高いリターンがあればそれは高いリスクが伴う、それを踏まえて考えていくのが我々の立場であります。  だから、今、田村委員が言うように、いろいろ運用先のことを考えると、こういうことを言うこと自体も市場の皆さん方は我々とは違ったいろんな視点で物を考えるから、我々はそういうことも対応しながら考えていかなければならないというふうに思っておりますし、ただ、全く時代の流れがあるのに、その時代の流れを無視してやっているわけではないということであります。
  145. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 本当に今財務大臣が言われたのが本当の正論だと思うんですね。何か言うと、やっぱりそれに仕掛けてくる人いますからね。ただ、何も言わないと何もやらないだろうと思って仕掛けてくる人もいますよね。ですから、両方だと思うわけですね。  それと、多分デフレの時代というのは、現金や債券で持つというのが一番リスクの少ない運用の仕方だったかもしれません。ただ、これからインフレが起こってくるという前提に立ちますと、現金や債券で持つというのは、ひょっとしたら株や不動産よりもリスクの高い運用になる可能性もあるわけですから、その辺のバランスというのは考えていくことは有効ではないかと思うんですが、これ以上は、この問題は今度の機会があればということにさせていただきたいと思います。  そして、またもう一つ質問といいますか、提言なんですが、金融立国、製造立国もあるんですが、日本は今環境立国を目指そうということも言われているわけですね。環境立国と金融立国、これをリンクさせて日本を豊かにしていくという切り札が排出権取引だと思うんですね。これは今やヨーロッパでは一大マーケットになっていますし、シカゴもこれから始めると。そして、アジアは、日本のタイムゾーンでしたら、日本の近辺でしたらもう北京もしっかり、上海もしっかり、香港も考えている、シンガポールも考えていると言っています。これは僕は、日本は環境立国、金融立国両方掲げるわけですから、是非とも排出権取引、もう早急にマーケットをつくって始めていくべきだと思うんですが、渡辺大臣、力強いお話をいただければと思うんですが、これもう質問というより提言なんですが、いかがでしょう。
  146. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 昨年の暮れにお示しを申し上げました金融資本市場競争力強化プランの中で、排出権取引の規制緩和を行っていこうというところがございます。銀行・保険会社本体で今後の状況を見極めつつ、認める方向でこれを検討をしているわけでございます。  田村委員が今御指摘のように、温暖化対策というのはまさに日本だけでない、世界の大課題であります。この温暖化対策と同時に排出権取引が既にヨーロッパでは開始をされています。まさに我が国においても取引所の役割に期待が集まっているところでございます。  金融庁としては、この国会に提出した法案に、取引所本体が排出量取引の市場を開設することを可能とする条項を盛り込んでおります。排出権取引市場につきましては、東京証券取引所を始め関係者による検討が開始されつつあるところでございます。こうした検討の状況も踏まえながら、排出量取引市場が公益又は投資家保護などの観点から適切な枠組みとなるようサポートをしてまいります。
  147. 田村耕太郎

    田村耕太郎君 最後に、今日の日経新聞に暫定税率が期限切れになった場合の経済効果の試算が出ていまして、これはもう第一生命のシンクタンクが出したんですけれども、やはりマイナスではないかというような試算を出していました。  まあ、もう皆さんの念願の法案がこの委員会に付託されましたんで、是非とも、経済効果、議論も、(発言する者あり)まあそういう御反論もあると思いますので、一刻も早く、付託された念願の法案ですから、審議が開始されることを期待、そして委員長にお願いいたしまして、私の質問を終わります。  よろしくお願いします。ありがとうございました。
  148. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 答弁者がちょっとそろってませんので、速記を止めてください。    〔速記中止〕
  149. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) それじゃ、速記を起こしてください。
  150. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 それでは、私から、金融大臣また財務大臣の所信を読ませていただきまして、その中から何点か、特にこの時期に大事な問題につきましてお尋ね、また要請をしたいと思います。  まず、渡辺金融担当大臣に対しまして、中小企業への金融支援を、特に年度末金融の支援をしっかりやっていただきたい、このことについてお尋ねいたします。  中小企業向けの貸出しの動向を見ますと、信用金庫では引き続き増加傾向にありますが、都市銀行あるいは地方銀行に関しては二・四半期連続で前年比マイナスということになっております。この背景には、昨年のサブプライムローン問題発生以来、貸倒れを懸念する金融機関の与信の厳格化ということがあろうかと思います。  聞きますと、去年の夏ぐらいまではメガバンクもビジネスローンということを言いまして、もう中小企業の社長に電話をして勧誘をするわけですね。そして、貸借対照表だけ見てもう三日で貸しますというようなことをしきりにやっておったようでありますけれども、去年の夏以降、もう焦げ付きが出始めますと、これ一転して今度はもう慎重姿勢になってきておりまして、また新規の貸出しについてだけではなく、従前の既存の債務者に対して借換えに応じないとか、そういう不適切な対応も一部ある、このように聞いております。  まさに、よく言われますように、日本の銀行というのは、特に大手銀行というのは雨が降ったら傘を貸さないというふうに言われていますけれども、そういう体質が余り変わってないなということを私は思います。  そこで、金融担当大臣中小企業向け貸出しの現象、原因をどう分析、認識をし、年度末の金融、繁忙期における資金繰りの円滑化のためにどういう措置をとっているのか、あるいはとっていくのか、お尋ねいたします。
  151. 山本明彦

    ○副大臣(山本明彦君) 荒木先生の質問にお答えしたいと思います。  今、中小企業向けの貸出しが減っておるんではないかというお話がございました。昨年の九月以降、ずっと前年同月比マイナスが続いておることは確かでありまして、大変厳しい状況であります。そしてまた、政府金融機関調査によりましても、中小企業の業況判断というのは厳しくなってきておるということも事実であります。  この要因は何かというと、委員御承知のとおりでありまして、原油高もありますし、建築確認申請によりまして住宅着工が減少しておるというようなこともありまして、いろんな意味で今、中小企業にとって厳しい状況であります。また、金融機関の方にとりましても、そういう状況を見て、少し考え方が厳しい状況にあるのではないかということも指摘をされておるところであります。  何にいたしましても、金融庁といたしましては、中小企業に対する円滑な金融というのは大変大事であるというふうに考えておりまして、これからも最も大切な役割として考えていきたいというふうに思っておりますが、金融機関自らが自らの責任で適切にリスクを取って金融仲介機能を発揮していくことが重要であると、このように考えております。  こうしたこともありまして、先ほど委員御指摘の年度末に向けてどういうふうに対応しておるかということでありますけれども、二月に、年度末金融の円滑化に関する意見交換会というのを二月二十一日に開催をいたしまして、関係担当大臣、副大臣、そして全銀協、信組、信金の協会、政府金融機関、関係機関に集まっていただきまして、中小企業の年度末の資金繰りについてしっかりと対応してもらいたいと、事情もお話をしてお願いをさせていただきました。相手側からの方もしっかりと対応したいと、こういう返事が返ってきておりまして、そんな対応をしてきておるというふうに感じておるところであります。    〔委員長退席、理事円より子君着席〕  そしてまた、各金融機関中小企業金融マニュアルでありますけれども、中小企業編でありますけれども、これについても、金融機関にもこのマニュアルをしっかり使えということも前から言っておるわけでありますけれども、金融機関だけでなくてユーザーの方にも、中小企業側にもこうしたマニュアルになっているよということを説明しなければいけないということで、商工会議所等を金融庁が回りまして、ユーザー側にもこうしたマニュアルについての説明をさせていただいております。  やはり金融機関だけに任せておきますと優越的地位になってしまうといけませんので、やはりユーザー側がこんな我々の権利あるんだということもしっかりと把握していただく、そういった形を今取らさせていただいておるところでありますし、年度末金融円滑化ホットラインというのを金融庁に設置いたしまして、いろんな苦情は直接金融庁の方で今承っておるところであります。  こうした取組に加えまして、地域密着型金融の推進など、各般の施策に引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えておるところであります。
  152. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今の副大臣からの対策についての御説明がありました。  この金融機関との意見交換会というのは毎年やっているんですよね。今年だけは大臣が経産大臣等も入ったということですし、ユーザーへの説明ということも分かりましたし、ホットラインといっても電話を一本引く、まあ一本か二本か分かりませんけれども、引くということですよね。私は、こういう会合を開くとか説明をするとか電話を引くだけでは、やっぱりこの状況では少しこの中小企業金融対策、力不足ではないか、こう思うんです。  最後に副大臣地域密着型金融ということをおっしゃいましたけれども、この取組が少し昨年度に比べると、昨年度といいますか、十八年度、十九年度以降少しこれがちょっと力が入っていないんではないか、こういう感じがするんですね。  それで、十五年度から十八年度だったでしょうか、四年間、四年度にわたりまして地域密着金融あるいはリレーションシップバンキングの推進ということでアクションプログラムを作って、やって、報告も求め、またその結果も数値で公表している中で、随分そういう地域密着ということが前進したなということは私も思います。思いますけれども、これは去年の三月で終わったわけですよね。去年の四月以降はどっちかというと、もう地域金融機関の自主性に任せるといいますか、ちょっと金融庁の指導性が弱くなったんではないか。  もう一回というか、今こそこの地域密着金融という精神を徹底しなければいけませんから、それはアクションプログラムをもう一度作るかどうかは別としましても、もう少し指導性を持って、こういう地域が弱っているときこそ貸さなきゃ駄目じゃないかという、そういう指導監督をやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  153. 山本明彦

    ○副大臣(山本明彦君) 荒木委員御指摘のように、十五年から十八年度ということで二回にわたりますアクションプログラムを遂行することによりまして、ひとまず区切りになったことは事実であります。  やはり地域中小企業というのは、地域金融機関というのは大変大切でありまして、中小企業は自己の責任において資金調達なかなかできません。特に地域金融機関にお願いをして融資をしていただくということがやはりどうしても基本でありますので、そういった意味で地域金融機関がこれからも中小企業のためにしっかりと働いていくということは我々としてもしっかり指導していきたいと、こう思っております。  そのアクションプログラムは一応終了したわけでありますけれども、これは期間が限定でありまして、各二年間ということで固定をしておりまして、しかも短い期間に、短い間に成果が上げられると、こういったことを目標にしてきました。一応その成果というのは達成できたというふうに考えておりまして、これで終わりという意味ではなくて、金融審からもいろんな御意見をいただいておるところでありますけれども、これからは恒久的な方法を取ると、こういった形に形を変えていきたい、そんなふうに考えておるところであります。今後は、したがいまして、監督指針を作りまして、この監督指針に従って恒久的な地域金融機関の指導をしていきたいということであります。  具体的に申し上げますと、各金融機関に対しまして、地域密着型金融の取組に係る主要計数について決算期において開示をお願いする、これが第一点です。続きまして二点目でありますけれども、当局におきましても、年一回取組状況等の報告を求める、そしてこれを取りまとめて公表する。そして三番目でありますけれども、定期的なヒアリングの中で取組状況をフォローアップをしていく。また、従来より地域密着型金融に関するシンポジウムを全国の財務局で開催をしておるところでありますし、金融庁では、各金融機関が行います地域密着型金融の取組に関する情報を収集をして、今後また事例集、ベストプラクティスというんですか、事例集を作りまして、もう大体まとまってきておりますけれども、大変いい事例を皆さん方に配付することによって参考にしていただき、地域密着型金融、そして、それに対する中小企業がそれによってまた再生できる、そんな体制づくりをしていきたい、そのことにこれからも努力をしていきたいと考えておるところであります。
  154. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、やはり金融担当大臣に、この金融市場改革について、これも所信で表明がありましたのでお尋ねいたします。  今、田村委員からも専門的見地からるるあったわけでございますが、もちろん金融資本市場の競争力強化が必要であるということについてはもう全く異論がないところでございます。そして、金融庁でも、昨年の末、そうした意気込みの下に金融資本市場競争力強化プラン、これを発表されました。我々も与党として審議をいたしました。  そういう競争力強化ということで方針を出してやっているわけでありますけれども、ただ、先ほどもありましたように、現実の例えば東京株式市場株価というようなことを見ますと、それと逆の流れになっている。現実はそうでありまして、市場の方に聞きましても、金融庁のこの強化プランも大変評価しているというような声は余り私も聞いていないわけなんですね。  それで、先ほども株価が下がったことをどう認識するのかという観点がありました。重ねて聞いて恐縮でございますけれども、政府として、この競争力強化という意気込みで、もうプランも出した、この国会に法案も出しているわけですね。しかし、現実には、昨年夏のサブプライムローン発覚以来、この震源地であるアメリカよりも、というよりも主要国の中では一番日本の株が下げている。株価収益率あるいは株価資産倍率ですか、そういう基本的な数値を見ても、これはもう割安感が出ているのになかなか上昇しないという。  ですから、大臣に、主要国の中でどうして日本株価が最も下落をしているのか、このことについてどうとらえていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
  155. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 日本市場は決して閉鎖的ではないんだと思うんですね。売買シェアでいきますと、外人さんが六割から七割の水準でございます。残念ながら、日本人が日本の株を買ってくれないということがむしろ問題かと思います。  ニューヨーク・ストック・エクスチェンジと日経平均株価をドルベースでグラフを作ってみますと、ほとんど相関関係にございます。ニューヨークが下がると日経平均も下がるということでございまして、大体、去年の夏、サブプライムショック以降、一割前後の水準で下落率は推移をしているかと思います。したがって、ドルベース換算でありますから、円が高くなった分だけ日本が輸出に依存をした景気回復をやってきた、そういう部分がはげ落ちているとも言うことができようかと思います。  いずれにしても、せっかく日本の国内に家計の富があるわけでございますから、こうしたお金がリスクマネーとして経済活性化をしていくという方向で動いてもらうのが私としては大変に有り難いことでありますし、また日本市場というのがそういった家計のお金のみならず海外からももっとお金が入ってくる、市場自体が非常に厚みのある多様な人たちによって支えられていくということが肝心なことでございます。そういった方向性を目指した改革プランを今国会にかけたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  156. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 この日本金融資本市場の競争力強化ということはもう是非、確かに英語の問題ですとかいろんな各般にわたるインフラの整備、改革が必要かと思いますけど、是非成功させていきたいと思います。  ただ、日本金融立国を目指すのかということになりますと、私はちょっと違和感があるといいますか、私自身愛知県という、山本副大臣もそうですけど、まさに物づくりのところに住んでおりまして、やっぱり日本の、日本人の精神に合うのは、こつこつと物をつくっていくというところが一番日本人の精神性にマッチしているなというふうに思うわけですね。  それで、この金融市場改革ということになりますと、とかくロンドンのシティーの例が引き合いに出されまして、イギリスはあの文明国病を克服したわけですね。それはもうサッチャー・ブレア改革の中で一気に外に向かって開いて、まさにこのヨーロッパ金融市場の中心としてシティーがよみがえったということですけれども、なかなか日本がそういう形を目指すのかというと、私はちょっとやはりイギリスの国民性と日本国民性は違うのではないかと、こういうふうに思うわけなんです。もちろん、GDPということを見ましても、もう製造業よりはサービス業の方の占める割合が多いわけでありまして、今更物づくりに回帰ということは何か時代錯誤的なような批判も受けるかもしれませんけどね。ただ、日本金融立国を目指すのかというと、私はもう少し議論をした方がいいのではないか、このように思うわけでございます。  そこで最後に、そうしたことも含めてこの金融資本市場競争力強化プランということが本当に華々しくいろんな取りまとめをされたことがそのようになるのか、大臣としてのお考え、また日本の新しい経済成長戦略の中での金融市場の位置付けということを大臣から御説明いただきたいと思います。
  157. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) よく日本人はリスクを取らない民族だなどという俗説が流布されることがございます。私は、こういう考えはどうも受け入れ難いなと常々思っているのでございます。  戦前、日本は割と普通の資本主義をやっていた時代がございます。ちょっとした産業資金は、間接金融ではなく直接資本市場から調達をするということがごく普通に行われていたと。野口悠紀雄先生などはそういうことをよくおっしゃいますね。つまり、いつごろ日本が間接金融世界にシフトをしていくかというと、まさに準戦時体制の下で統制型システム、官僚主導型システムに移行をしていく中で行われたわけでございます。そういった間接金融重視型のシステムというのは、政治が排除され、政党が否定をされ、まさに官僚主導体制そのものがこの国を覆ったときに完成を見たわけでございます。GHQの時代をくぐり抜けてこうした間接金融重視型、統制型システムが戦後も生き残ったわけであります。冷戦下で安い資源をどんどん輸入をして、これを組み立てて輸出をするという時代には、金利統制を始めとしたこうした間接金融、統制型システムが非常に威力を発揮したのでありましょう。  しかし、先ほども申し上げたことでございますが、九〇年代半ばに世界経済が一体化をしてしまっております。そういう中で、もし金融経済が実物経済を動かす時代になってしまっていたとするならば、日本の国家発展モデルは本当にこのままでいいんだろうかということは大いに研究をしていかなければならないことかと思います。  日本のせっかく製造業が汗水垂らして蓄えた富、家計にその富が蓄積されているわけでございますから、こういう富をいかに上手に使いこなしていくか、そして海外からのマネーもいかに受け入れていくか、両面から考えていく必要があろうかと思います。
  158. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 それでは、金融大臣に対しての質疑は以上といたしまして、引き続き財務大臣に対しましてお尋ねをさせていただきます。  まず、日本経済の見通しでございますけれども、二月から三月にかけまして政府の月例経済報告、日銀の金融経済月報共に景気の基調判断を下方修正しまして、いわゆる足踏み状態といいますか、日本経済が減速をしているということを示しております。いわゆる後退はしているわけではないけれども、踊り場に入っていると、こういうのが政府の見解かと思います。  それで、一時一ドル九十五円というところまで行って、もう百円前後までまた戻すというところになっておりますけれども、しかし一ドル百円を割るような円高がまた続きますと、特に輸出企業を中心に更なる業績の悪化が懸念をされます。  こういう為替相場の変動影響も含めて今後の直近の経済の見通しについて、財務大臣としての見解を伺います。
  159. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 荒木委員がおっしゃったとおり、ここ二、三か月、アメリカ経済の減速等の影響も受けまして、そしてまたドル安の影響等もありまして、日本経済足踏み状態であるというふうに下方修正したわけでございます。しかし、改正建築基準法回復ももうほぼ戻りつつあるので、今後も引き続いて回復基調は続いていくものというふうに思っておるわけでございます。  円高の影響については、これはもう輸入関連物価の下落によってこれは消費とかそういうところを刺激していく可能性もあるし、企業にとっていいところもあるわけですが、反面、輸出部門はなかなか元気が出ないということになったりして、両面あるわけでございますけれども、私どもは、アメリカ経済状況とかそれから原油高状況とか、よく見極めてしっかりと対応していかなければならないというふうに思っております。  緊急原油高それから年度末金融、そしてさらに日本経済を成長力強化のために、今四月早々に向けて中小企業活性化とか地域活性化等々について政府内で対応策をまとめつつあるところでございまして、回復基調が続いていくように努力をしていきたいというふうに思っております。
  160. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 それで、先ほど田村委員からも最後に、これは答弁を求められませんでしたが、暫定税率を含む税制法案、これが参議院に送付されているわけですね。まあ三月三十一日という年度末を迎えて、なかなか今これが審議の見通しが厳しいと、こういう現状になっております。  それで、もし万が一、まあ万が一ですね、もうそうならないように我々は本当に死力を尽くして頑張りますけれども、万が一この三月三十一日の期限が徒過をしてしまいますと、いわゆる暫定税率というのはもういったんは廃止されるわけですね。で、まあガソリンが二十五円下がる。それは物価は安い方がいいですから、下がることはそれは何も悪いことではないかもしれませんが、しかし一方で上がるものもありまして、特にもう不動産の土地のいわゆる登録免許税が上がると、これは非常に、一%から二%になるといっても元々のこのベースが何百万、何千万ということですから、大変これは深刻な影響があろうかと思います。  また、これは二兆六千億円の国、地方合わせての歳入欠陥というのが生じるわけでありますから、当然これは国と地方の予算執行に大きな影響があるわけでございます。万が一こういうことになった場合の経済に与える影響について、まあそういう試算というのはないと思いますけれども、どういうことを懸念されているのか、大臣から聞いておきたいと思います。
  161. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) もうこれは荒木委員のおっしゃるとおりでございまして、年度末を迎えまして、これは本予算は通りますけれども、歳入の関連法案が通っていかないとこれは国民生活国民経済に大きな混乱を生じるわけでございまして、今先生がおっしゃるように登録免許税だとか、携帯品のお土産だとか、あるいはまたオフショアの問題だとか、様々な分野日本経済に信認を壊したり影響を与えていくわけでございます。  それから、道路特定財源につきましても、これはもう国、地方合わせて二・六兆円の減収になるわけでございますから、これはもう地方の財政は大きな打撃を受けるし、新しい道路の事業というのはほとんどストップするという形になっていくわけであります。この前ニュースで報道されていましたけれども、新潟県では道路予算の何割かを凍結したというような話も出ているわけでございます。    〔理事円より子君退席、委員長着席〕  そういうように必ず影響が出てまいりますので、我々は年度末までに是非与野党の間で政治の責任を果たす意味できっちりと議論をしていただいて結論を出していただくことが国民のためになることであるというふうに思っております。そのために与党においても与野党協議を呼び掛けておりますし、またそういう形を是非つくっていくことが政治の責任ではないのかというふうに思っております。衆議院は与党が多数を持っておりますけれども、参議院は野党の皆さんが多数を持っているわけでありますから、それぞれの院の責任を多数を持っている方々が果たしていただくことが最も大事なことであると思っております。その意味で院のそういう良識に期待をしたいというふうに思っております。
  162. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そこで、委員長、いいところに戻られましたんで、私からもお願い、またお尋ねしたいんですけれども、やはり議会人として年度内にきちんとこの予算について結論を出すとともに、これは予算は歳入がなければ当然執行できないわけですから、税制法についてもきちんと結論を出すというのがやはりこれは与野党を超えた議会人としての一つの責務だと思うんですね。  それで、両議院議長のあっせんということで、これはもう改めて御紹介するまでもなく、予算とこの歳入の税制について徹底した審議を行って年度内に一定の結論を得る、こういうことを両院議長のあっせんの下、六党で合意しているわけです。これはもう当然の議会人としての責務だと思うんですね。委員長としてもこの点どうお考えなのか。  そして、もう今日は審議の日程は決まっているわけですけれども、終わりましたら、もう是非理事懇を開いて、現にこの歳入法案の民主党提案の分がかかっているわけですから、終了後理事懇を開いて協議をしていただきたい、こう思いますけれども、委員長、いかがですか。
  163. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 先ほどの田村さんの質問と同じように、今日はお二人の大臣に対する質疑ですから、そちらを是非継続していただきたいと思います。  なお、理事懇あるいは理事会の持ち方については、今、水面下で協議が行われているものと私は承知しております。  以上です。
  164. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 それでは、よろしくお願いいたします。  それで、あと少し時間がありますので、財務大臣の所信の中に会計検査院の問題についても言及がございました。会計検査院の指摘事項の反映を徹底強化をする、いわゆる会計検査院の指摘を踏まえて無駄遣いの一掃に取り組むという、そういう所信が表明されております。  具体的に、今回の予算編成ではどういう形でこの指摘事項を生かして無駄遣いを排除をしているのか、概要御報告いただきたいと思います。
  165. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今、荒木先生がおっしゃいましたけれども、会計検査院の指摘につきましては、対応する予算ごとにその必要性や効率性の観点を踏み込んで洗い直しを行っているわけであります。二十年度予算案におきましては、十八年度決算検査報告における指摘金額約三百十億円のうち、予算に反映し得る収入支出に関する指摘金額百七十二億円のそれぞれの指摘事項につきまして予算への反映を徹底強化しまして、百五十二億円を反映させた形で取り組んだところでございます。
  166. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 それで、無駄遣いをなくすということでは、予算とともに決算が重要ですね。決算もこれは内閣で決定して国会に出すわけですけれども、この決算の主管大臣というのは財務大臣でよろしいんでしょうか。
  167. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 決算は、これは各省各庁の責任において行われた予算執行の結果、実績でありますね。歳入歳出決算は各省庁から報告された歳入決算報告書及び歳出決算報告書等に基づいて財務大臣が最終的に作成をすることになっております。
  168. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 ある意味では、あえて言えば財務大臣が担当でございますけれども、この決算も責任を持って、要するに会計検査院の指摘に対して政府として取り組んでいただきたいと思うんです。  特に、これは公明党の要請によりまして、各省庁の不当支出百億円が未返還であると、こういうことが明らかになりました。これは、会計検査院が税金の無駄遣いであるとして国庫への返還を求めたにもかかわらず長年にわたり滞納されてきた額の累積、これは一九八五年から二〇〇四年の二十年間にわたって百億円累積しているわけですね。  こういう返還というのは、これは本来は会計検査院が権限があれば更に追及していけるわけでありますけれども、今のこの法体系の中ではやはりもう財務大臣が、これどうなっているのかと一々各省庁に指摘をし、少しでもこれを返還させると、これを要請したいんでありますけれども、いかがでしょうか。
  169. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 荒木委員の御指摘のとおり、会計検査院より指摘された事態に関する国等への返還状況については、これを公表し、その改善に努めていくことが非常に大事なことであるというふうに思っております。国等への返還状況を決算報告に記載することを検討するよう会計検査院にも要請しているところであります。  あわせて、各省庁等に対しても返還状況の改善の徹底を要請しているんでありますけれども、御指摘の百億円の滞納の実態は、大宗が債務者が服役中であったり行方不明であったり非常に返還が困難な者が多いわけであります。あるいはまた、分かっていても資力不足で返還が不可能であるというようなことが散見されるわけでございます。特に、かつて郵政公社の分が多いんですね。恐らく預貯金を使い込んだりしたことなんでしょう。そういう方で返還が困難な者は行方不明者だったり服役中だったり、あるいは資力不足だったりしていることが多いと。しかし、これは委員がおっしゃるように、やっぱりきちっとフォローして対応していくことが我々の務めであるというふうに思っております。
  170. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 是非、無駄遣いは許さないという、政府、国としての姿勢を明確にして取り組んでいただきたい、このように思います。  まだ数分ありますけれども、恐らく散会後、理事懇になると思いますので、その時間もありますので、ここで終了させていただきます。
  171. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。  本題に入る前に、先ほど田村委員から理事懇の中身を暴露するような話がありましたけれども、それなら私も一言言わせていただきたいなというふうに思います。  さっきの話聞いていると、どうも民主党さんだけが、野党だけが何か審議を止めているような、というふうに取られがちですけれども、果たしてそうなのかなと。  私も田村さんの言われるとおり、早く税法関係の審議に入るべきだと。まだ一日も入っていないというのは確かに異常事態ですよね。とても残念だというふうに思っておりますけれども、ただ一義的責任はやっぱり与党にあるんじゃないかと私は思って、ずっとこの間を見ておりました。とにかくここまで来たら、もう実際問題として期限が迫っているわけですから、少なくとも暫定税率、ガソリンの暫定税率以外の部分をどうするのかという現実的なことも含めて議論すべき、審議をすべきだと。みんな巻き添えにしていいのかという点も思いますし、民主党さんはその部分は分けて考えようじゃないかということでやってこられたわけですよね。それが、その部分を通したら衆議院で、衆議院政府案通したのを参議院が否決したとみなすぞと。こんなことが伝わってくるようでは、まさに参議院の審議をないがしろにするようなものでありますから、とんでもないやり方なんですよね。  先ほども、聞いている方よく分からないと思いますが、審議に入るのは民主党案の対案が先だと。可決させたら衆議院でそれを否決したとみなして再議決すると。こんな様子が伝わるようじゃ、審議なんか入れるわけないの当たり前でございます。だから、そういう民主党案を先にやってじゃなくて、私はちゃんと言っているんですよ、理事懇では、政府案と民主党案と一緒に早く審議をやるべきだと言っているわけですね。それには本会議必要ですから、ちゃんとした本会議立ても必要です、ルールは必要ですよね、それを申し上げているわけでございまして、いろいろと言ったってそういうことなんですから。だから、そういう意味ではちゃんとした審議の努力をすべきだと私は思いますが、私も委員長の御意見を聞きたいと思います。
  172. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) ただいまの大門委員質問でございますが、いろいろと示唆に富む発言だったと思います。私も生活関連の法案はできる限り早期に審議をしていくということが望ましいというふうに思っておりますので、私なりに努力をしていきたいと思いますし、やはり議事運営を進めていく上に当たっては、理事及びオブザーバーの方々の理事会、理事懇のきちんとした議論を経て進めていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。  それでは、質問続けます。
  173. 大門実紀史

    大門実紀史君 きちんとした審議には入りづらいというふうに思っております。  渡辺大臣、時間の関係があるそうですけれども、少し大丈夫ですか、まだ。  じゃ、幾つか先に。  保険業法の十七年の改正で自主共済が廃業に追い込まれるという事態、何度も質問してまいりまして、それについては野党で、無所属の方も含めて共同で、とにかく一年間延期してもらいたいという法案を二十四日に提出をいたしました。もう期限が月末ですけれども、四百三十二のうち私はもう一割にもいかないところしか少額短期に移行できないと、やっぱり大変な事態になろうとしておりますけれども、いろいろ記者会見でおっしゃっているようですが、これは本当に法案の失敗だったと、あのときに法案の審議では、大臣答弁として、そういう自主共済がやっていけるように政省令でも含めてきちんと対応していくというのが対応されなかったからこんな事態になっていると思いますけれども、いかが現状とらえておられますか。
  174. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 年度末を迎えて、この間もある共済の皆さん方が来られました。よくよく話を聞いてみると、相談に行っていなかったと言うんですね。かなり懇切丁寧に御説明を申し上げたところ、じゃ、相談行ってみますということになって、たしかその後うまくいっているという報告を聞いておりますが、いずれにしても、申請の手続さえ取っていただければ四月一日以降もお仕事はできるわけでございます。ですから、今大変思い悩んでおられる方々もいらっしゃるかと存じます、是非相談窓口に来ていただくこと、これが非常に大事なことであると考えております。
  175. 大門実紀史

    大門実紀史君 何かまだよく現状御存じじゃないのかなというふうに思いますけれども、もうそういうことで二年やってきて、知らないとかそういう状況じゃなくて、みんなもう本当に廃業を決断するという事態になっておるので、もう少しよくお聞きになった方がいいと思いますけれども、記者会見大臣は、中には誤解に基づいてこういう制度に乗ることは無理なんだと思い込みをしているところもあるようでございますと、これは非常に反発を受けておりまして、この四百幾つのところは、そんなんじゃないと、もう制度は全部知っていると、だけど移行できないんだというふうになっていますけれども、どうしてこういう理解になるのか、もうちょっと本当に現状を把握してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  176. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 先ほども申し上げましたように、中にはの話なんですね。中には要するにある種の思い込みを持たれておられて、相談に行ってみたら実はできそうじゃないかと、こういうところもあるんですね。ですから、是非、そういうことがございますので、現場の財務局の担当レベルには私の方からも再三きちんと懇切丁寧に相談に応じるようにという指示を出しておりますので、本当に年度末になってしまいましたが、まだ御相談に来られてないところがもしございましたら、是非相談に来ていただければと思います。
  177. 大門実紀史

    大門実紀史君 もう同じ議論いたしませんけれども、そういう状況じゃないということと、四月前に本当は延期してもらいたいということで野党は法案を提出したわけですけれども、四月、期限になったときに、恐らくもう一割も移行できなかったと。大変な事態になると思います。  もうお時間ないようでございますので改めてもう一度やりますけれども、本当にこの問題、法改正を含めて考えなきゃいけない事態になっているということは申し上げて、どうぞお時間来ているようですので、退席していただいて結構でございます。
  178. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 渡辺大臣はどうぞ退席してください。
  179. 大門実紀史

    大門実紀史君 額賀大臣に、先ほどの税法の関連でお伺いをいたします。  ここまでもう迫っているわけですが、与野党の協議にお任せするということを再三答弁されておりましたけれども、事ここに至ってといいますか、迫ってまいりまして、先ほど申し上げましたガソリンを除いた部分についても大きな影響を及ぼす可能性があります。  これについて、建前としてはまだ最後何日間で協議、最終的にやってもらうとよく分かるんですけれども、ただ、実際、税制の全体をお預かりされる立場としてはそれだけではもう済まない、あるいは与野党にお任せするじゃなくて、大臣としてこういう協議をしてもらいたいと、今までの答弁と違うものがあってもいいかと思うんですが、その辺の姿勢といいますか、その辺はいかがでしょうか。
  180. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 国民の皆さん方に混乱を起こさない、心配を掛けない、そういう意味ではやっぱり政治家として、あるいは国会として、あるいは政府として、これは先般の議長裁定のこともありますから、一定の結論を得るというその土俵にのってやっぱり政党同士できちっと結論を出していただくことが最も望ましい政治の責任を果たすということではないのかと。  もちろん、我々は、この前予算委員会でしたか、土日も含めて議論したらいいじゃないかという提案もありましたけれども、我々も大いに議論をして、やっぱりお互いがこれがよりベターではないかということについて提案を求めているわけでございますから、そういう中でしっかりと結論を出していくことが望ましいというふうに思います。  それは、国会あるいはこの院の仕事ではないかというふうに思っております。院の立場で我々にこうすべきだということがあれば、我々はその院の考え方をそんたくして対応していくことになるということでございます。
  181. 大門実紀史

    大門実紀史君 分かりました。本当にもう何日もなくて、そしてガソリンを除いた部分でも相当な影響が考えられると。  私は、財務省、税制を預かるところですから、その対応として何らかの分離したものを提案するとか、あるいは民主党さんの案にも歩み寄るとか、そういうものがもう政治の世界はあってしかるべきだと、国民に迷惑を掛けたらいけないというふうに思うわけでございます。あと何日かのところでございますので、そういうところも考えていただきたいなと思います。  もう一つは、道路特定財源の一般財源化そのものの話ですが、与党も総理も一般財源化の方向ということはもう打ち出されております。額賀大臣は、今までは特定財源を前提にした、元々財務省というのはそうだったのかというのはありますけれども、この間は特定財源を前提にした説明、御答弁をされてまいりましたけれども、額賀大臣としては、その一般財源化について今までの答弁と違ってお考えが変わったということはございませんか。
  182. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは政府として改正案を出させていただいておりますから、それが前提になっているわけでございまして、そしてその上で与党として国会の場で、予算は年度内に成立をしますけれども、させていただきたいけれども、一般財源化の問題とか中期計画の問題とかについて御議論をしていただきたいということを投げているわけ、提案をしているわけでございますから、それは政府与党がある意味では柔軟性、弾力性を持っている。一番大事なことは、国民経済国民生活が混乱を起こさせない上に、しかもなおかつ将来にわたって展望が開けるようにするのが我々の仕事であるというふうに認識をしております。
  183. 大門実紀史

    大門実紀史君 この道路特定財源の問題というのは塩川大臣のときに諮問会議での議論がありまして、財務省があのときに一つの考え方を、一つの枠を考えたのかなと私見ておったんですけれども、塩川大臣のときですが、どういう議論があったかといいますと、一般財源化という話が議論されたわけですね。そのときに塩川前の前の財務大臣は、一般財源化とはいっても道路関係の一般財源に使うんだと、あくまで何もかもの一般じゃないんだということをおっしゃって、扇さんが国土交通大臣でしたかね、そういうふうな諮問会議での合意があって、それから額賀大臣もこの前御説明されたように、一般財源といっても道路関係のものに使った、使うならいいとか使ってきたとか、事実をお認めになりましたけれども、私はもうその枠を超えた、そういう一般財源化の枠を超えた、つまり社会保障とか教育とか、いろんなものに使う意味での議論が始まっているというふうに思うわけですね。  そうすると、今まで財務省がきっとスタンスとしてあった、一般財源化といっても道路関係だよというのはもう超えていく、いかざるを得ない、そういう議論まで来ていると思うんですけれども、その辺の認識はいかがでしょうか。
  184. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今度の改正案の考え方は三つありまして、一つは、道路整備に必要なものはやっていかざるを得ませんねと。将来にわたっても道路の維持とか修繕だとかそういうこともあるから、道路財源というのはこれはいつになっても要るんですよねと。ただ、今までのようにずっと要るかどうかというのはまた時の流れによって変わってきますねと。もう一つは、やっぱりCO2というのは、欧州とか世界では環境問題として位置付けておりますねと。それからもう一つは、日本財政事情というのは先進国では最悪の水準であると。  そういう流れの中で、社会保障だとか相当増大していくことも考えられますから、そういうことをよく考えてもらっていかなければならない、そういう出発点に当たって一般財源化という形の話になってきたというふうに思います。  今おっしゃるようなことについて、まさに政治の段階で与野党の間でしっかりと議論をしていって、将来にわたっての話をしていただくことがよろしいのではないかと思っております。
  185. 大門実紀史

    大門実紀史君 それでは、次の質問に入ります。政府系ファンドの問題でございます。  先ほど田村さんからも、一々逆らう気はありませんけれども、夢のような話がございました。自民党はあれですか、国家戦略本部でしたっけ、立ち上げて、前金融担当大臣の山本さんが議連をつくられて、私もお誘いを受けたことございますけれども、田村さん非常に熱心にやられているのは私もよく知っておりまして、問題意識はよく分かります。百兆円のお金があって、無為無策の運用がされていていいのかということですよね。それをもっと運用して運用益稼いで、国のため、財政のために使うべきではないかという、そういう熱い思いはよく分かるところです。私も外為の在り方は、ドルが暴落したらどうなるかということも含めて何度も質問してきて、このままでいいとは思っておりません。  ただ、じゃすぐばんばん運用してしまおうよと、こういうことに行くのかどうかというのは、私、この前予算委員会の公聴会でもそういう問題意識がありましたので、田村さんの後、違う立場で公述人にお聞きをしたわけですけれども、もう少し言えば、この間、年金積立金も株式運用していますけれども、十九年度の第二・四半期、第三・四半期で合わせて四兆円の、株式運用の部分ですね、マイナスを出しております、サブプライム以降ですね。次のが出れば恐らく六兆ぐらいのマイナスになるんじゃないかと思いますんで、それほど甘い世界ではないというふうにまずとらえた上でですが、私はまず、安全かどうかということだけで議論すべきではないんではないかと。やっぱり国の、まさに国の富をどうするかという意味でのファンドの問題ですので、運用益とかだけで考えていいのかなというふうに思う点です。  なぜならば、この間、なぜこの問題が日本でもやろうやという話になってきたかというと、まあ田村さんは前からそういう先見の明あるかと思いますが、どうしてこんな騒ぎになってきたかというと、やろうやろうとなってきたかというと、やっぱり中国とかロシアとか、あるいはアラブのUAEとか、そういうところが運用しているのががあっと表面化してきて、日本と同じように中国は外貨準備が多い、アラブはオイルマネーが余っている、ロシアもオイルマネーがあると、そういう何かお金が余っているところがばんばんやっているんで、日本も外貨準備余っているんじゃないかと、やろうじゃないかというふうに、ちょっと乗っちゃう人が結構いるんじゃないかなと思いますが。  そういうふうに見ると、中国とロシアあるいはアラブも、単に運用益だけではなくて、それぞれ国家戦略的にいろいろなことを考えてやっている部分も併せて見ておかなければいけないと。ですから、G7とかG8では、この間、政府系ファンドについても透明性を確保しようじゃないかという話にダボス会議でもなっているのは、本音でいえば、そういう国の本音でいえば、中国は何考えているんだろう、アラブはどうしようと思っているんだろう、ロシアは何考えているんだろうと、その辺ちょっと透明化させようというのが実は本音であるというふうに思うわけです。  そういう点では、国の百兆円のお金を、ただ運用益稼ぐだけじゃなくて、日本は、どこに投資をして、どういうふうに日本の国の在り方としてやっていくべきかと、まずこういう理念の議論をきちんともしやるとしてもやらなければいけないということを一つ思うわけですね。  もう一つは、ファンドの世界というのはやはり一定の秘密性があるから、情報を握って投資をしてもうかるという、こういう部分があるわけですけれども、透明化すればするほど、なかなか高い利息、リターンが稼げないという世界でもあるわけですね。つまり、透明性と高いリターンというのは矛盾する部分があります。  これは国でやるとしたらどういうことになるかというと、例えば日本でそういうファンドをつくってやった場合、今でも、先ほどもありましたけど、外貨準備の中身を明らかにしろと、こうなるわけですから、どこに投資しているのかということを国民がチェックをする、明らかにしろとなると。ノルウェーのようにすべて公開するようになるかどうかは別として、なるわけですね。そういう民主主義的なチェックが働くものです。そうすると、思ったほど、ロシアとか中国とかアラブのような余り民主主義的チェックの働かない国が一定の人数で決めてばっと投資をしてもうける、こういうシステムはなかなか日本では成り立たないと。そうすると、もう田村さん言われるように、余り夢のような運用益は難しいんではないかというふうに、その辺もリアルに見る必要があると思っているんですね。  申し上げたいことは、よく議論をすればいいと私は思っておりますけれども、ただ運用益だけで考えるんじゃなくて、国が国の戦略とかあるいは民主主義チェックシステムということを考えると、ほかの国とは違うんだということも併せてこの問題は考えるべきだというふうに思っているところですけれども、額賀大臣はいかがお考えでしょうか。
  186. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 大門委員と国の戦略が共通であるかどうかは別にいたしまして、考え方としては、ある意味では、ソブリン・ウエルス・ファンドは、どういう金で、それでどういう目的を持ってどういう運用をしていくのかということがやっぱりG7の中でも話題になって、それで透明性を持っていかなければならないということになっているわけでございます。  我が国は、今おっしゃるように、石油とか資産を売って大量のお金を持っているわけじゃないし、財政余剰を持っているわけじゃないし、そういう意味では、そういう中国とかロシアとかアラブ、湾岸諸国のような置かれた立場ではないわけでございます。  よく話題に出される外為特会とか財政融資特会等についても、これは金利変動だとか為替の変動対応したある意味では準備金でございまして、流動性確保とか安定のためにどうするか、併せて運用も考えていくということでございますから、ほかの国と同じようなレベルで考えていくわけにはまいらないというふうに思っております。
  187. 大門実紀史

    大門実紀史君 もちろん国家はどうあるべきかは全然正反対だと思いますが、私が申し上げているのは、ファンドという言い方は別として、国民の資産を今でも利息で、米国債で運用している、そういう運用しているわけですね。どこに運用していくかという点でいくと、そういう何か、何というんですか、リスクマネー、ハイリターンなんてねらうんじゃなくって、例えば環境の分野とか、これから一定の成長分野ですから、そういう何か、日本はこの分野でいくんだと、それはしかも世界的にも日本が尊敬されるような運用だというふうな意味なんですけれども、そういうことを考えていくべきだと、やるならですね。ただ運用益であっちこっちこうやってヘッジ取ってといったって、もうリスクヘッジといったって、それそのものがリスクマネーでございますから、危ないところはいつもあるわけでございます。  そういう点を思うわけでございますけれども、私は今の、これ与党の中の議論なのか、まあ与党中心の議論だと思うんですけれども、そうはいっても外貨準備というのは米国債で持っているのが多いと、それを余りほかのところに運用するとアメリカから怒られるので、運用益の部分だけを、三兆か二兆とか、その部分だけ運用したらという話がありますけれども、そうすると、私はもっと不安なのは、もう大本の外貨準備のところでございますけど、これはドルがどうなるかという点でいくと、いわゆるドルの不安があるからほかのところの運用とは話が違った話になって、運用益だけやるんだと、相変わらずドルは持ち続けるんだというふうになってしまうと思うんですけれども。  その辺を含めて外貨準備を、私はドルを分散すべきだというのはもう数年前から申し上げてきていますが、その辺をどうすると、なかなか言っちゃうといろいろな問題があると思いますが、基本的な方向として、ファンドとか運用以外に大本の外貨準備、これをやっぱり一定のポートフォリオを考えてやっていかないと、これは危ないですよね、ドル、このままずっと、危ないなという事態になっています。日本は割とそういう報道少ないですけど、アメリカのワシントン・ポストとかイギリスのフィナンシャル・タイムズとか、もうドルの下落はずっと続くというふうになっております。  そういう点で、外貨準備そのものの在り方、このままでいいのかという点で、額賀大臣、いかがお考えでしょうか。
  188. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 日本の国は、おっしゃるように貿易立国でありますから、そういう外貨のことについても流動性と安定性、そういったものをきちっとしていくこと、それから状況の変化にいかようにも対応できるように十分な対応を取っておくことが大事であるというふうに思っております。  委員は、もうおっしゃるように、余り細かくしゃべらなくてもいいということでありますから、この辺で御理解をいただけるものと思っております。
  189. 大門実紀史

    大門実紀史君 時間が参りましたので、予定した質問できなくて、西原さん、どうも済みませんです。  じゃ、終わります。
  190. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 両件に対する質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  191. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣府政策統括官藤岡文七君外五名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  192. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  193. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会に、参考人として国民生活金融公庫総裁薄井信明君、日本政策投資銀行総裁室伏稔君及び国際協力銀行総裁田波耕治君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  194. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  195. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 昨日、予算委員会から、三月二十七日の一日間、平成二十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、内閣府所管のうち金融庁財務省所管国民生活金融公庫、日本政策投資銀行国際協力銀行及び株式会社日本政策金融公庫について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  委嘱されました予算について順次政府から説明を聴取いたします。額賀財務大臣
  196. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 平成二十年度一般会計歳入予算並びに財務省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算について御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入予算額は八十三兆六百十三億円余となっております。  この内訳について申し上げますと、租税及び印紙収入は五十三兆五千五百四十億円、その他収入は四兆千五百九十三億円余、公債金は二十五兆三千四百八十億円となっております。  次に、当省所管一般会計歳出予算額は二十一兆八千二百五十五億円余となっております。  このうち主な事項について申し上げますと、国債費は二十兆千六百三十二億円余、経済協力費は千七百四十一億円余、予備費は三千五百億円となっております。  次に、当省所管の各特別会計の歳入歳出予算について申し上げます。  国債整理基金特別会計におきましては、歳入二百一兆八千九百八十八億円余、歳出百八十一兆八千九百八十八億円余となっております。  このほか、地震再保険等の各特別会計の歳入歳出予算につきましては予算書等を御覧いただきたいと存じます。  なお、特別会計に関する法律に基づき、財政融資資金特別会計と産業投資特別会計産業投資勘定を統合し、財政投融資特別会計を新たに設置するとともに、産業投資特別会計社会資本整備勘定を平成十九年度限りで廃止することとしております。  最後に、当省関係の各政府関係機関の収入支出予算について申し上げます。  国民生活金融公庫におきましては、収入九百二十八億円余、支出七百三十七億円余となっております。  このほか、日本政策投資銀行等の各政府関係機関の収入支出予算につきましては予算書等を御覧いただきたいと存じます。  以上、財務省関係の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。  なお、時間の関係もございまして、既に配付しております印刷物をもちまして詳細な説明に代えさせていただきますので、記録にとどめてくださるようお願いいたします。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。  以上です。
  197. 峰崎直樹

  198. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 平成二十年度における内閣府所管金融庁の歳出予算要求額について、その概要を御説明いたします。  金融庁平成二十年度における歳出予算要求額は百九十四億二千六百万円となっております。  このうち主な事項について申し上げますと、金融庁の一般行政に必要な経費として百六十九億七千二百万円、投資者等の保護に必要な経費といたしまして十二億七千百万円、金融機能の安定確保に必要な経費といたしまして六億三千八百万円を計上しております。  以上をもちまして、平成二十年度内閣府所管金融庁の歳出予算要求額の概要の説明を終わります。  よろしく御審議くださいますようお願いいたします。
  199. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 以上で説明の聴取は終わりました。  なお、財務省所管予算説明については、お手元に配付しております詳細な説明書を本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  201. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 民主党・新緑風会・国民新・日本、辻泰弘でございます。  私は予算委員でもございますので、予算でも財政問題、社会保障の問題等聞かせていただいたわけでございますけれども、そのことの引き続きの問題、また、かねがね財政金融分野でお聞きしたいと思っておりますことを御質問をさせていただきたいと、このように思っているところでございます。今日は気合を入れて、予算本書と財政法二十八条資料も持ってきたところでございます。  さて、質問通告してないことで、先ほどの質問の流れの中でちょっと最初に両大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、運用の問題でお話がございました。  それで、これ実は予算委員会で厚生労働大臣にお伺いしようと思っていたことだったんですけれども、厚生労働大臣が三月六日に発言をされていて、年金が百五十兆あるうちの三分の一の五十兆をハイリスク運用しても国民は納得するだろうと、こういう発言をされておりまして、この間の予算委員会ではちょっとお聞きできなかったんですけれども、先ほどの田村さんや大門さんの議論もあったわけですけれども、厚生労働大臣が百五十兆のうち五十兆はハイリスクでもいいだろうと、こうおっしゃったわけです。  振り返りますと、平成十六年の年金改正のときに、あのころは赤字が続いておりましたので安全でやらにゃいかぬと、こういうことでポートフォリオも決めて、平成二十年度を目標にして一つのあるべき姿を追求するという形で運営をされてきたと、それが今日続いているわけですけれども、その中で、厚生労働大臣に直接お聞きすべきところではあるわけですけれども、やはり財務大臣、又は金融担当大臣にも、舛添さんがおっしゃったことは御本人のことではありますけれども、年金の積立金の運用ということについて、ハイリスクでいいという発想に立つのか、やはり安全確実ということを優先するのかと、そのことについて両大臣、御所見をお伺いしたいと思います。まず、額賀大臣から。
  202. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、年金の問題は国民からお預かりをしているお金でございます。いずれ国民にお返しをしていかなければならないことでございますから、これをどういうふうに運用していくかということは極めて重要なことであるというふうに思っております。  運用にリスクを伴わないものはないと思いますけれども、これはやっぱり私は時の、時代の流れというものもありますから、ここ一両年はどういう動きをしていたのか、今後数年はどうなのか、そういう時代背景をよく見た上で適切に運用していくことが大事であるというふうに思います。  だから、これは運用をしてできるだけ安全にその利益を出していく形が望ましいわけでございますから、あるいはまた分散投資をして全体的な運用利回りを高めていく、そういう知恵を結集していくことが大事であるというふうに思っております。そのためには、やっぱり人を得ることも大事だと思いますね。何も国内だけじゃなくて、多くの市場の皆さん方の知恵を借りながら運用していくような形を取って、国民の皆さん方に損を掛けないことが前提だというふうに思います。
  203. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 舛添大臣がどういう御発言をされたのかは存じ上げませんけれども、よく言われる運用の仕方に能動運用か受動運用かというのがございます。受動運用ですと、株価が上昇するときはいいんですが、株価が下がるときはもう一緒に沈んじゃうということもあるんだろうと思うんですね。また、年金運用のポートフォリオが、今、国内債券が六四%、国内株式が一七%、外国債券が八%、外国株式が一一%という具合になっておりますけれども、先ほど田村委員が御指摘になられましたように、金利が上昇する局面では当然この債券の金利リスクをもろにかぶるわけでございますから、まさしくそういう運用の全体像についてより深く研究をするということは非常に大事なことではないのでしょうか。
  204. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 これは、また改めて厚生労働大臣にも御所見をお伺いしたいと思っていますけれども、やはり血税といいますか血保険料で成り立っている世界でございますので、やはり安全というものを優先に据えて取り組んでいただくということでこれはお願いをしておきたいし、またそうあるべきだ、こういうことを主張しておきたいと、このように思うわけでございます。  さて、そこで、今度の予算そのものの評価ということにもつながるわけでございますけれども、振り返りますと、昨年の八月に額賀財務大臣が新任になられて、すぐにインタビュー等がございまして御発言をされておりました。振り返りますと、経済分野市場原理だが生活インフラや政治は市場原理だけでは機能しないと、こうおっしゃっておられまして、私は実は共感を持って受け止めておったんでございますけれども、それを今日、来年度予算でどのようにそのお気持ちが反映できたのかなと、このようにお聞きしたいと思うんですけど、いかがでしょうか。
  205. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 生活インフラの定義はいろいろあると思いますけれども、予算の目標の中に国民生活の安心、安全を確保しなければならないということがうたわれておるわけでございます。  その中で、やっぱり日本は災害とか洪水等が多いわけでございますから、そういう被害をできるだけ少なくしていく予算を考えていかなければならない、水害それから土砂災害対策。それから、もう一つは、やっぱり生活をしていく上で、最近は医師不足だとか医療基盤がどうも国民の皆さん方に不安を与えていると。そういうことについてやっぱりきちっと対応していかなければならないんじゃないか、これは損得だけではなかなかうまくいかないところもありますよねと、そういうこと。それから、経済も元気がないけれども、これはやっぱり先ほど来議論がありますように、大企業中小企業の問題。だから、中小企業が元気になるようにどういうふうにしていくのか、地域をどういうようにしていくのか。  そういったところに光を当てて、元気が出る地方、そしてまたみんながやる気を起こす環境づくりをすること、そういうことに意を用いたということでございます。
  206. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 大臣はさきの所信の中でも、安心の予算としたと、このようにおっしゃっておられて、今おっしゃったようなことが、災害対策、医師不足、それから中小企業等産業対策ということでしょうか、そこを例示されたわけですけれども、率直なところ、国民生活にとっての安心の予算というには私は程遠いものがあるというふうに思っております。医師不足の問題も抜本的なものは何もなかったんじゃないかと、このように思うわけです。  もう一点の角度からお聞きしたいんですけれども、昨年の臨時国会のときの所信では、大臣は格差と言われる問題にも目を向けと、このような御指摘がございました。それから、昨年の自民党、公明党の連立政権合意、これは党首でのサインをされているわけですけれども、この中では、セーフティーネットが十分でなかったことを率直に反省し、負担増、格差の緩和など国民生活に重きを置いた方向の政策を断行することが必要だと考えると、こういったことが両党間で合意されておりまして、そのことについては私も了とするところでありますけれども、果たしてそのことが今回の予算で、そのセーフティーネットの整備だとか格差の緩和、国民生活に重きを置いた安心の予算と、こういったことに本当につながっているのかなというふうに私は思うわけでございまして、その点どのように評価されているでしょうか。
  207. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 例えば、都市と地域の格差ということについては地域間、地域活性化を図っていかなければならない。財政力の格差もありましたし、それで特別地方法人譲与税というのをつくってこれを地域財政力格差の埋め合わせに、暫定的ではありましたけれども、やらせていただいているとか、それから道路特定財源でも地域のための交付金を増額するとか、そういうことをさせていただいたりしているわけでございます。  それから、成長力とかそういうことでは、廃業する企業の方が多いということでありますから、ベンチャーとか新しい企業を起こすためのそういうベンチャーキャピタルの面で、寄附金税制を導入するとか何らかのインセンティブを与えてやっていこうというようなことを展開をしてきたりしているわけでございます。  それから、教育の問題等についても教員を、やっぱり本当は児童が減っているわけだから教員を増やすことはないわけなんだけれども、質を高めていくというような意味で、その配慮をさせていただいた。  それから、先ほども言いましたように、医師対策とか救急対策だとか、これは民主党との協議もありまして、肝炎総合対策等々にもやらせていただいていると。  そういうふうに、我々は今までの大企業中小企業の格差、都市と地域の格差あるいは正規雇用と非正規雇用の格差、そういうことにも目を向けてその活力を図っていかなければならないという視点で予算を作らせていただいたということでございます。
  208. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 この数年、難民と形容される社会状況が多く出てまいりました。いわゆる医療難民、介護難民、リハビリ難民あるいはお産難民、救急難民、がん難民、ネットカフェ難民、派遣難民と。難民という、人間の生活の根底にかかわる基本の部分について難民と形容される社会状況というのが非常に大きく出てきたということは、私は非常に大きな問題であり、これまでの政府・与党の政策のある意味での一つの結果がそこに来ているというふうに思うわけでございますけれども、そういった意味から来年度予算を拝見しますとき、到底、安心の予算というふうに大臣はおっしゃるわけですけれども、そのようなものになり得ていないと。  医療においても、医師不足の問題等々の抜本的な対応はございませんし、無年金の解消に向けた取組もございませんし、日雇派遣等の状況についての改善に向けた予算あるいは法的努力というものも全く希薄でございまして、そのような意味で安心の予算に程遠いというふうにまず申し上げておきたいと、このように思うわけでございます。  そこで、ちょっとかねがねお聞きしたいと思っていたことで、財政法で聞いておきたいと思います。追加的に通告したテーマでございます。  財政法四条で国の予算、公共事業費、出資金、貸付金については公債あるいは借入金で対応できると、こういうことになっているわけです。その後に、公共事業の範囲については国会の議決を経ると、こういうことになっておりまして、一般会計予算における予算総則の中で公共事業の範囲が規定されていると、こういうことになっているわけです。  しかし、私は、この財政法四条のただし書の中に入っているこの三つの、出資金、貸付金について、何ゆえその範囲を国会の議決を経るようにしなかったのかという、これは財政法四条がそうなっているんだからそのとおりやっているんだと言われたらそれまでなんですけれども、しかし、私はやはり根本の問題として、出資金、貸付金、とりわけ出資金の場合、出資したけれどもその後はどうなったか分からない、戻ってもこないという世界が広がっているような感じがございますので、そういった意味では、私は公共事業の範囲と同等に、予算総則に出資金、貸付金の部分の対象の機関ですね、例えば政府保証債の発行などは機関ごとに出ているわけですよね。  それと同じような形があるべきだと思うんです。財政法は四条がそうなっているからそうだと言われてしまったらそれで終わりなんですが、私はやっぱりあるべき姿だと思うし、また予算説明では各機関出ているんですね。だから、これが本予算書に出てないんだけれども、それは多分そうじゃないだろうと思うんです。  そういう意味では予算説明がよくできているというふうにも言えるかもしれませんが、しかし、私は、出資金、貸付金についても本来は予算総則に載せて国会の議を経ると、予算で経ることはもちろんあるわけですけれども、しかしその分をしっかりと予算総則に書くべきだと、このように思っているんですけれども、何ゆえそこをたがえているかということについて御説明いただきたいと思います。
  209. 真砂靖

    政府参考人(真砂靖君) お答えさせていただきます。  先生御案内のように、財政法第四条第一項ただし書がございまして、公共事業、それから出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で公債を発行し又は借入金をなすことができるというふうに定められているところでございます。  これらにつきましては、いずれも消費的支出じゃなくて国の資産を形成するものであること、それからその資産から受益も長期的にわたるということで、公債発行という形でその財源を賄いまして、その元利償還を通じて後世代にも相応の負担を求めるということを許したものと私ども解しているものでございます。  このうち、特に公共事業につきましては各種各様なものがございまして、画一的にその範囲を確定し難いという面があることから、先生御指摘の四条三項の規定によりまして、その範囲を毎会計年度、国会の議決により決しなければならないということで、予算総則に具体的に該当する項を明示しまして、毎年度国会の議決に基づいて決定されているところでございます。  一方、貸付金につきましては、元金の償還あるいは利払いによる回収が予定されているものでございまして、国の資産であることは明らかでありますし、また出資金につきましても、形式的に見れば、利益配当請求権あるいは残余財産の分配請求権等の出資による権利が確保された資本的支出ということで、それ自体、国の資産と考えることができるという点から公共事業だけが予算総則で明示されるという、そういう立法趣旨ではないかというふうに私ども考えているところでございます。
  210. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 この公共事業費も出資金も貸付金もいわゆる建設国債で賄っている世界で、定率繰入れ、前年度首発行残高の一・六%が積み上がって、国債費の中に規定されているわけですけれども、そういった意味で同等性があるわけです。  ですから、私は、出資金というのは予算説明には出てきているんですけれども、やはり予算の本書において本来は明示されて、そこでチェックが働くといいますか、実際問題、予算書には、これ説明の方には同じように同列に書いてあるんですけど予算書には出ていませんですよね。個別のところを見ないと出てこないと思うんですね。  だから、そういう意味では、私はこの部分、もちろん法律でそうなっているからそこを変えなければということになるわけですが、やはり精神として、予算説明には出ているわけですけれども、その部分もっとしっかりと私はほかのところでもはっきりすべきだと。本来は法律改正で、そこの部分も国会の議を経るべきだというふうに私は思いますけれども、その点については問題点として指摘をして、今後ともチェックしていきたいと、このように思います。  そこで、前回、予算委員会のときに聞いたことの継続で、ちょっともう少し詰めておきたいと思います。  それは、今度の政府が出されている道路整備事業に係る国の財政上の特別措置法案、この中で、第七条に基づきまして、一般会計が日本高速道路保有・債務返済機構の二兆五千億の債務を承継するということになっているわけですけれども、この間予算委員会でも申し上げましたように、実はこれは予算書では明示されていないわけなんですね。すなわち、二・五と書いていなくても、どれとどれとどれを足せば二・五になるかという部分が、実はその額が出ていないというのが現状でございます。やはり二・五兆もの額を一般会計が継承するということであるならば、その分、こことこことこれを足せばそうなるんですよというぐらい説明できるような形であるべきだと。財政法二十八条もあのときに申し上げましたけれども、そこも実は出ていないわけでございます。  そういった意味で、今日実は私は資料を出させていただきまして、未完成ではあるんですけれども、また予算委員会の理事の先生方にはお取り組みいただいていることで、途中で恐縮ではあるんですけれども、私なりに、やはりこれは、二兆五千億もの額が一般会計で債務承継があるならば、やはりどれとどれとどれで構成されているんだということをはっきりさせるべきだと、このように思いますものですから、この予算の委嘱審査で。  私なりにちょっとフォローして抜き出しましたので、これが正しいかどうか。それから、丸が入っていますので、もしあれだったらそこも埋めていただいて、間違っていたら間違いだと言っていただいたらいいんですけど、そこをちょっとはっきりさせていただきたいと思います。
  211. 真砂靖

    政府参考人(真砂靖君) お答え申し上げます。  先生からいただきました資料、誠に正確でございまして、①、②のところは数字はそのとおりでございます。それから、③のこれらに係る利息というところで千八百三十三億、その後でございますが、三千四百八十万九千円という形になっております。  御指摘のように、これらの計数に関しましては、資料として予算委員会理事会に提出させていただきたいと考えているところでございます。
  212. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 済みません、この私の書いているやつの三番目のその内訳ですね、公債金利子と借入金利子の部分、これはありますか。
  213. 真砂靖

    政府参考人(真砂靖君) はい、ございます。
  214. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 主計局次長
  215. 真砂靖

    政府参考人(真砂靖君) 申し訳ございません。  上記の債務に係る利息は、十年間で今申し上げたトータルでございますが、そのうち二十年度においては、公債利子等が九十八億八千七百六十七万円、それから借入金利息が九十四億一千九百三十三万円の合計が、これが百九十三億七百万、これが国債費として平成二十年度一般会計予算に計上されているものでございます。
  216. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 これではっきりしたといえばはっきりしたんですけれども、私は、やはり私が指摘するまでもなく、予算の中に、実はこことここ、これなんですと、そこまでなかなか追っかけないかもしれませんけれども、少なくともそれはやはり示しているべきだと。私の思いとしては、本来であれば予算総則にこの二兆五千億のことが書いてあって、そしてそれがこういう形になっている、経理がこうなっているというふうにあるべきだと私は思っております。  とりわけ、追っかけて大分分かったわけですけれども、二十年度の償還の分が国債費の予算繰入れの中に入っているわけですね。この辺というのは全然分からないわけなんですね。ですから、二兆五千億も、資料もいただいたけれども、それでもまだ突っ込んでいかないと答えが出なかったという世界なわけですけれども。  私は、私が指摘するまでもなく、やはり二兆五千億もの債務を一般会計として継承する以上、一般会計の予算説明の中に、少なくとも二十八条資料なりにそれは出ているような形を取るべきだというふうに思いますし、今後とも、そういうようなことがあっていいのかどうか分かりませんけれども、とにかくそういうことはやはり明示すべきだということを申し上げておきたいと思いますし、これは予算委員会の方のマターではございますけれども、このことについて、できれば、これは何も私の書いたスタイルがこれがすべてではございませんので、どういう形かはお任せいたしますけれども、この内数を足せば二兆五千億になると、こういった形での明示をしていただくように財務省としてもお取り扱いいただきたいと、このことを申し上げておきたいと思います。  それで、もう一つ、これは財務大臣にこの間お伺いしたことで、一般財源化のことでございますけれども、あのときちょっと申し上げて、時間がないのでこちらから申し上げますけれども、電源開発促進税は目的税なわけでございます。目的税というのは、その税法自体にその使途が明示されているものを目的税という、その最たるものが電源開発促進税になるわけでございます。また、片や石油石炭税というのがございますけれども、これはある意味では特定財源ということで道路と同じという位置付けになるかもしれません。  どちらも、電源開発促進税も石油石炭税も一般会計で余剰があるわけですが、それは全く完全に純粋に一般財源なわけでございます。そして、将来余剰分については取り戻すことができるよと、こういうことになっている。その後者の分は今度の政府の道路財源についても同じ扱いなんですが、額賀大臣がずっとおっしゃっているのは、一般会計の余剰分、揮発油税及び石油ガス税の四百二十八億も自動車関連で使うんだと、こうおっしゃっているわけなんですね。  ですから、私は、目的税である一番確たる目的、そのために使うという税である電源開発促進税でさえ余剰分は純粋に一般財源であるにもかかわらず、それよりはちょっと縛りが弱いといいますか、特定財源である道路特定財源の揮発油税、石油ガス税について、その余剰分を、ある意味でひも付きといいますか、糸付きといいますか、そういうことで使うというのは、私はやっぱり論理的にもおかしいし、他の財政措置との均等性も欠いていると、このように思うんですけれども、その点改めていかがでしょうか。
  217. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは予算委員会等でいろいろと御議論があったところでございますけれども、基本的には四百二十八億円については、一般会計や一般財源でひも付きではないという解釈をしているわけでございます。  ただ、納税者というかユーザーの皆さん方の理解を得る範囲で、信号機だとか交通関係だとか、従来一般財源で活用していた範囲の中で結果的に収まっていますよねという形で理解を得られるように努力をしているというのが本当の今までの我々の答弁の姿でございます。
  218. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 いろんな御答弁があるわけですけれども、あの予算の福山議員のときは、そこはそういう関連に使うんだということをおっしゃっていたと思うんですね。そしてまた、財務省説明資料では一般財源ということでそれだけなんですけれども、国土交通省のやつは一般財源括弧自動車関連と、こういうふうになっているわけなんですね。  本当は統一的な説明資料を求めたいところでもあるわけですけれども、その辺がちょっとグレーになっている部分があるわけですが、やはり私は、我々はもちろんトータルの一般財源を言っているわけでございますけれども、しかし政府立場から見ても、一般財源に踏み込んだということである限り、やはり説明の面においてもその余剰分は他の財政、他の会計や他の税目との均等性の観点からも、やはり純粋にその部分は一般財源にするんだと、その代わり将来取戻しあり得るよと、これがやはりほかのものとの同等性だと私は思っています。その点については、やはり私の意見として申し上げておきたい。また、もちろん我々はそんな四百二十八億ぐらいではないということの立場でございますけれども、そのことはやはり今の政府立場、今までの財政運営の立場から見てもそうであると、そのことを私は申し上げておきたいと、このように思う次第でございます。  さて、時間が限られておりますのでテーマを変えますけれども、これは予算委員会でもお伺いいたしました。今度は財務省の方のお立場で聞きたいんですけれども、今度の予算で政管健保に対する国庫補助の特例ということが組み込まれて、これは独自の法案も出ているわけでございます。これは直接的には厚生労働、また社会保障のことではございますけれども、やはりこれはマイナスシーリング等との流れの中からきていることでございまして、総理大臣も、大臣というのは厚労大臣ですけれども、助け合いということをおっしゃるわけですが、突き詰めた話、これは健保組合、共済組合、国保組合が国に一方的に一千億を上納したということにすぎない、何も助け合いではなくて一方的に国が召し上げたというものでしかないと。厚労大臣は筋が悪いと自らおっしゃっていたわけですけれども。  このことを財務大臣としてどうお考えになっているかと。やはり本当の話、つじつま合わせだけに数字合わせをしているということになっていて、結局何のためのそういった措置なのかと。何か当面の見せかけでしかない、そのように思うんですけれども、大臣はいかがでしょうか。
  219. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは来年度予算案でもそうでありますけれども、今後の大きな我々の課題は、財政再建は一つの国家的な旗であると、あるいはまた日本経済をどう成長させていくかということがもう一つの選択であるというふうに思っております。その意味で、基本方針二〇〇六に基づきまして歳出歳入に努力をしているわけでございまして、これは公共事業や社会保障等についても聖域を設けることなく、今歳出改革をしているわけでございます。  その一環として、五年間で二千二百億円ずつの歳出改革をお願いしているところでありまして、来年度も厚生労働省にそういうことをお願いをした結果、その一つの方策として政管健保と他の組合健保の、舛添厚労大臣の言葉のとおり、助け合いの中で一千億円を生み出してきていただいて、それでお互いに皆保険を守っていくという前提を崩すことがなかったということだったと思っております。今後もやっぱり二〇一一年のプライマリーバランスを達成していくために、我々は歳出歳入改革を実行していかなければならない。日本の国家の信認を得るためにもこの努力はする必要があると。  私は、やっぱり我々の時代に使ったものは我々の世代で返していかなければならない、それくらいの責任は持つのが当然のことではないのかと。しかもなおかつ、歳出削減だけで国民生活に重大な影響を及ぼすようなことがあってはならないわけでありますから、そこは今後社会保障費なんかは増大していくことになるので、できるだけ無駄を省き、歳出改革を行い、その上に立って全体的に負担と給付をどう考えていくかということを、やっぱりこれは与野党を超えた知恵を出して対応していかなければならないことではないのか、そういうふうに思っております。
  220. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今、大臣も助け合いという言葉を使われました。総理も使われているし、舛添厚生労働大臣も使われているわけです。この間私、予算委員会でもお伺いしたんですけれども、助け合いとおっしゃっているんですが、この措置はだれとだれが助け合っているんですか。
  221. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) ですから、政管健保と他の組合健保の皆さん方が負担が違ってきてあるわけでありますから、それをお互いに助け合うというか、負担を分かち合っていただいたということだと思っております。
  222. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 これは資料を出していませんけれども、結局どういうことかというと、政管健保に対して、給付の一三%だと思いますけれども、国庫補助することになっているわけですね。その分を一千億カットすると、その足らざる分を国保組合、健保組合、共済組合から一千億政管に入れるということであって、政管は何も助からないんですよ、プラマイゼロなんですよ。  だから、要はトンネル機関になっていて、結局二千二百億の帳じり合わせのためにそこのトンネルを使っているだけのことであって、結局のところ、共済、国保組合、健保組合から一千億国が召し上げたということでしかなくて、助け合いというか、助け合いというのもおこがましいという気がいたしまして、政管健保は何も助かってない、国が助かっただけということなんですね。  そしてもう一つは、よって来るところは二千二百億ですけれども、これが要は平成十八年の七月七日の骨太の方針ですね、閣議決定されている骨太の方針、ここで一兆一千億があって、そのうちの五年間で二千二百億と、それから出発して今日に至っているわけです。そのときのしょっぱなにどういうことを書いているかというと、歳出改革という中にそれが出ていて二千二百億につながっているわけですが、聖域なく歳出を見直すことによって国民負担の増加をできるだけ小さなものとするために最善の努力を尽くすと、そういったことから二千二百億が来ているわけなんです。  ですから、要は国民負担の増加をできるだけ小さなものとするために最善の努力を尽くすということから歳出を見直すといって、それで二千二百億になっているのにかかわらず、今度の二千二百億のうちの一千億は国民負担そのもので成り立たせている意味において、全く元々の目的に沿ったものじゃないということなわけですね、国民負担で帳じり合わせているわけですから。  そういう意味では、元々このことの機械的な削減方針というもの自体の今日的意味といいますか、現実的な意味ということになるのかもしれませんが、やはり私は、これは元々の精神といいますか考え方の基本に沿うものでもないと思いますし、大臣は助け合いとおっしゃったけど、全く助け合いでもないし国が助けてもらっただけと、そういうつじつま合わせをしただけと、このように言わざるを得ないと思っていますが、いかがですか。
  223. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これはやっぱり健康保険の問題だけではなくて、国全体の医療、年金、介護とか、そういう給付と負担の問題にもなっておりますし、それを全体的に税金とか健康保険料だとか保険料だとか、そういうことをならしてどういうふうにバランス良く取っていくのかということの視点が今問われているわけでございまして、その中で政府も社会保障国民会議というものをつくって、年金だとか医療だとか介護だとか、そういうことに対して総合的に対応策を考えて、給付と負担の割合をできるだけ世代間あるいはまた全体的なバランスを取っていくような形を考えているわけでございまして、そういう一環として考えていかなければならないというふうに思っております。
  224. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今からいえば一昨年ですか、健康保険法等の改正があって、医療保険制度については一つそれなり方向性が出されたと、その賛否は別にしてですね。そういった中で、答えがそれなりに出たにもかかわらず、何か新たに政管健保とどこかの健保を、国保、共済の助け合いというふうな、何か途中では一元化という言葉も出てきたわけですけれども、結局それは撤回されているんですけれども。そういう、ある意味では私は政策運営として邪道だというふうにも思えます。それは、やはり二千二百億自体に機械的なそういった中で押し込んでいくということに破綻が、ほころびが来ているということでもあろうかと思うんです。  舛添厚生労働大臣は、二千二百億についてははっきり言って限界が来ているということをおっしゃっているわけです。  私は、こういうふうなことが現実予算化されるんならば、やっぱり二千二百億の意味というものは根本的にもうなくなっているというふうに思わざるを得ないわけなんですけれども、二千二百億の方針自体についての大臣としての評価をお伺いしたいと思います。
  225. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、来年度予算で二千二百億円の決着を見たときも、厚労大臣と私との間で、引き続いて基本方針を堅持しながら財政再建に向けていかなければならない、引き続いて協議をしていくという形になっておりますので、これは今後も厚労大臣とよく話し合って対応を決めていきたいというふうに思っております。
  226. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 舛添大臣は、乾いたタオルを絞るのかということになると思いますので、限界に来ているという認識を持っていると、こうおっしゃっているんです。それは実際、実感をそういうふうに担当大臣としてはお持ちだと思うんですね。  来年度予算を審議しているわけですから、それ以上のことは、先のことは言えないということにもなるかもしれませんが、少なくとも今の段階で、財務大臣としては五年間ですね、やはりこれはやっていくべきものだと、このように考えておられますか。
  227. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 二〇一一年度のプライマリーバランスはきちっと達成していくことが国際的なメッセージであり、日本の信認を占われる尺度であるというふうに思っております。したがって、我々は、政府は今社会保障国民会議を開いて考え方を整理をして、そういう歳出歳入改革と今後の対応策について考えていきたいと。できるだけ早く、二〇〇九年度には年金の国庫負担を二分の一にしなければならないという差し迫った問題もありますので、そういう税の抜本的な改革も考えていく中で整理をしていきたいというふうに思っております。
  228. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 この点については、やはり助け合いといっても全然その助け合いになっていない、それからまた、本来の政策の筋でも間違っている、邪道であるというふうに御指摘を申し上げておきたいし、やはり二千二百億という社会保障の一律削減の考え方も根本的に見直しが必要であると、このように思っております。その点を主張して次のテーマに移らせていただきます。  それで、時間も迫ってまいっておりますけれども、私はずっとこの最近の予算編成、補正予算等を見ていてつくづくと思いますことは、国債費、利払い費の当初予算と補正予算、また当初予算と決算の食い違い、見込み違い、この部分が非常に大きくなっているということを痛感するわけでございます。  例えば、十九年度の補正予算、先ごろ議論されましたけど、あのときも九千六百億でございましたか、国債費の修正減少額がございまして、結果としてその分赤字国債を減少させて建設国債を同額発行したというのが十九年度補正予算だったわけでございますが、改めて資料をいただきまして、その国債費、とりわけ利払い費の平成十年以降の当初予算と決算額の差を見ますと、これは資料としてお出ししなかったんですけれども、平成十年が八千億ぐらい、平成十一年が八千七百、十二年度が七千六百、十三年度一兆、十四年度が九千六百億、十五年度が一兆二千八百億、十六年度が一兆四千億、十七年度が一兆八千億、十八年度が一兆六千億と。例えば、二、四、五年、決算が出ている十八年度までの五年間を見ても、あ、六年間ですから一兆ばかし利子及び割引料が見込み違いで、結局過大推計だったと、過大見積りだったと、こういうことになっているわけなんですね。  税収の見積りが難しいという議論は昔からありますし、現実にそうかもしれませんが、しかし、単年度で違うというのはあり得るし、見込みは違うというのは当然あり得るわけですが、しかし、これほどずっと一兆オーダーの見込み違いが発生すると、やはりどうしてそんなことになるのかなと、本当は責任さえ問われるべきことではないかとさえ思うんですけれども、そのことをどう考えておられるか。
  229. 遠藤乙彦

    ○副大臣(遠藤乙彦君) 確かに先生御指摘のとおり、国債の利払い費につきましては、当初予算と決算を比較しますと、ここ近年、確かに一兆円を超える不用が生じております。この主たる要因は、国債の市場金利が予算積算上の金利を下回って推移したことによるものでございます。予算積算上の金利は、予算編成に際して、足下の金利とか、近年の金利の動きを基礎にして設定をしておりますけれども、実際の市場金利は、景気の動向とか、市場における需給関係等、様々な要因で変動するわけでございまして、これを的確に見通すことは困難であるということは先生も御理解いただけるかと思っております。  いずれにしましても、国債の利払い費の計上に当たりましては、国債が国の信用を背景に発行されるとともに、我が国金融市場の中核を成すものであるということを踏まえれば、その利払いにつきましては、予算額の不足を来したり、あるいはそのような懸念を市場に持たれて不測の混乱を招かないよう十分な予算上の措置をとるべきと考えておりまして、二十年度予算における国債の利払い費につきまして適切に見積もっているところでございます。
  230. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今の御答弁だと、余る方向だったらいいじゃないかと、こういうふうな、聞きようにも、聞こえるわけですけれども、そういった問題じゃなくて、私が申し上げているのは、それは変動はあって見込み違いもそれは当然あり得るわけで、それはやむを得ない部分はあると思いますが、しかしこの十年間ですか、見て、最近の、二、四、六、ほとんど一兆近い見込み違いになっているんですよね、はっきり言いまして。要は、まあ常習犯という言い方はちょっとあれかもしれませんが、何か非常にもうそれが当たり前になっていて、八十兆の予算の中の利払い費一兆六千億、一兆から二兆ですけれども、この見込み違い、これだけ長いこと続いているというのは、私はやはり責任は問われてしかるべきじゃないかと思います。  財務大臣にお伺いしたいんですけれども、こういった歴史を、歴史というか、これまでの経緯がありますが、二十年度予算は大丈夫でしょうか。
  231. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 二十年度予算とした考え方いかんということでありますが、これは、国債費の予算積算金利については、十九年度予算で二・三%としていたわけですけれども、二十年度は二・〇%としたわけでございます。  これは、昨年の夏以来、市場金利が低下傾向にあること、それから予算編成時点の金利、十九年十月の表面利率は一・五%であること、だから、予算積算金利が二・〇%であった十七年度及び十八年度予算と同水準にしたということでございます。平成十年度以降の金利の最大値が二%であったということも踏まえておるわけであります。
  232. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 先ほど二千二百億の削減の話ししましたけれども、二千二百億がもうああいう形でつじつま合わせをしている傍ら、一兆から二兆の利払いの見込み違いが発生して、結果として余るということだと、何か非常にバランスといいますか、その辺、正直言ってもう疑問を大きく感じてしまうわけでございます。  そういった意味で、おのずと、それは見込みもございますから、税収なりあるいは利払い費というのは当然予測の中ではありますけれども、余りにも、これだけ違っているということについてはやはり問題が極めて大きいし、その点については、やはり余るからいいじゃないかという問題じゃないと、このように思いますので、その点についてはしっかりとお取り組みいただくように、また補正予算のときに、そういったことがなっていれば、またそのことを改めて御質問したいと、このように思っているところでございます。  さて、あと十分ちょっととなりました、十五分ぐらいになりましたけれども、国民負担率のことについて、私、かねがねちょっと、統計的なことですけれども、お聞きしておきたいと思っていました、それを聞いておきたいと思います。  これいつも、財務省、旧大蔵省のときからですけれども、国民負担率の推移ということで、これ、私が今、お手元の資料配付に一番最後に付けているやつでございます。これが国民負担率の財務省が出している資料でございます。  それで、私が申し上げたいのは、ここの、いつも注書きがございまして、「租税負担の計数は」、これ注の三のところです、下の方の注の三、「ただし、」というところですね。「租税負担の計数は租税収入ベースであり、SNAベースとは異なる。」ということで、これは実は昔からそう書いてあるんです。  私はこれずっと実は追っかけたところあるんですけれども、ただ、この統計自体は、租税負担率も社会保障負担率も国民負担率も基本的に分母は国民所得になっているわけですね。それはSNAに基づいているわけです。ですから、私は、統計として考えたときに、分母がSNAであるときに、分子が、SNAがあるのにもかかわらず別のものを使うというのは、やはり統計として私は整合性を欠くものじゃないかと、こんなように思うんですけど、いかがでしょうか。
  233. 遠藤乙彦

    ○副大臣(遠藤乙彦君) 御指摘の点はあるかと思いますけれども、財務省におきましては、国民全体の税負担水準がどの程度であるかを端的に示すために、租税収入ベースの計数を用いた税負担率をお示ししているところでございます。  これは、租税収入ベースの計数が国税収入並びに地方税収入の合計額から成るのに対しまして、SNAベースの計数には、租税収入ベースの計数に加えまして、日銀の納付金とかそれから中央競馬会納付金など、租税制度上の租税ではないものが含まれておりまして、通常我々が税と観念するものと隔たりがあるということによるものでございます。  ちなみに、日銀納付金が十八年度決算で七千四百十五億円、それから中央競馬会納付金が十八年度決算で二千九百十六億円、約一兆円ぐらいの額になりますけれども、これによってどの程度変動するかですけれども、これらを含めない租税収入ベースですと、十八年度決算で九十兆六千億円程度、SNAベースですと九十二兆四千億円程度ということでございまして、租税負担率を租税収入ベースで考えますと二四・三%、それからSNAベースで計算しますと二四・八%ということでございまして、〇・五%程度の変動ということでありまして、これは冒頭申し上げました趣旨によりまして、あくまで租税負担の実際の姿を示すということでこの数字を使っているわけでございます。
  234. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 最近接していませんけれども、おっしゃった中央競馬会、日銀納付金との違いとか、それ以外にも相続税と贈与税をどう考えるかと、こういうこともあったと思うんですけれども、ただ私は、統計としてみれば、分母にSNAのことが出ていて、かつ分子にSNAベースの統計があるにもかかわらず、あえてこれを使うというのは私はちょっと統計的には違うんじゃないかというふうに思っています。その点は指摘をしておきたいと思います。  それから、これは元々の議論といいますか、かねて議論された潜在的国民負担率の統計についてですけれども、これは経済財政諮問会議等でもたしか厚生労働省が出した資料があったと思いますけれども、すなわち日本国民負担率、さっきも言いましたけれども、分母は国民所得であると、分子に租税負担、それはSNAベースと租税収入ベースがあり得るわけですけれども、あとは社会保障負担と、これはSNAで取っているわけですね。それを合算したものを分子にして、潜在的な場合はそれにプラス財政赤字をしていると、分母はNI、国民所得であると。ただ、その国民所得の取り方が要素費用表示という取り方になっていて市場価格表示じゃないものだから、間接税を控除するということになっているわけなんですね。だから、そのことによって、日本の場合、間接税がヨーロッパ諸国と比べると相対的に小さいがゆえに、分母が大きくなるがゆえに統計として低くなるということになるんだろうと思うんです。ヨーロッパの方は逆で、高く出るということになるかもしれませんが。  いずれにいたしましても、よく言われている議論ですけれども、やはり税制によって間接税を控除するという国民所得を分母に持ってくること自体の統計的な限界といいますか、対比の制約ということにつながっているという議論はかねてからあったんですが、やはりそういった意味で、私は、GDPで分母に持ってくるということによって、これは諸外国もそういう統計になっているわけですね。むしろ、要素費用表示の国民所得を使っている国が日本だけじゃないかと思うんですけれども。そういった意味で、GDPを分母に持ってくる統計であるべきだと。これは厚生労働省が、かつて坂口さんの時代に経済財政諮問会議に出された資料もたしかそうだったと思うんですが、そういったことで私は行くべきだと。  これは財務省だけの問題ではないのかもしれませんけれども、しかし考え方として私は、やはり統計の比較をするときの統計の在り方として、私はGDP比であるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  235. 遠藤乙彦

    ○副大臣(遠藤乙彦君) 国民負担率につきましては、これは政府の大きさとか国民負担の大きさを測るための一つの便宜的な手法でございまして、分母に何を使うかということにつきましては必ずしもこれまで明確な決まりがあるわけではないというふうに理解をしております。  そういった中におきまして、我が国におきましては、従来、所得との対比で負担が議論されてきたという経緯がありまして、また実感としても、収入のうちのどの程度の割合が税金や社会保険料として徴収されるかといった指標として負担の大きさを議論した方が国民にとっても分かりやすいということがありまして、国民負担率のベースとして国民所得を用いているところでありまして、あくまでも便宜的なものと、また実感を踏まえたものということでございます。
  236. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 これはちょっと古いですけれども、二〇〇五年三月に財務省の主計局からいただいた資料で見ますと、アメリカにおいてもイギリスにおいてもドイツにおいてもフランスにおいても、予算の関連の資料の中に租税負担と社会保障負担の対GDP比が出ていると、こういった資料がございます。ですから、私は、やはり諸外国においても対GDP比ということだと思うんです。ですから、そういった意味で、ひとつ国際的な比較という意味合いにおいて私はそれがあるべき姿だと思いますので、そのことに向けて取り組んでいただきたいと思いますし、そのことの必要性を主張しておきたいと、このように思います。  残された時間、あと十分弱になってまいりましたけれども、あと、先ほど額賀大臣が社会保障のことのときにおっしゃった基礎年金の国庫負担の引上げのことにも言及をされたわけでございます。  それで、また、これはもう最近の閣議決定などにも、例えば今日理事会で配付されました経済見通し、一月十八日閣議決定だと思いますけれども、この中にも、基礎年金国庫負担割合については、所要の安定的な財源を確保する税制の抜本的な改革を行った上で、平成二十一年度までに二分の一に引き上げると、かねてよりの方針が改めて書かれているわけですが、それがちょうど来年度といいますか二十一年度、今からいえば再来年度ということになるかもしれませんが、二十一年度に迫っているわけですけれども、このことについて具体的な方針は何ら示されていないわけでございます。  これは所要財源二兆五千から二兆六千ということですけれども、そのことについては何も穴埋めをしないまま実は十六年の年金改正が議論をされて、その分何らか入ってくるだろうという想定の下に百年間の財政計算をして、あのときに百年安心だと、こういうことになっていたわけですけれども、その分完全に穴が空いたまま今に至っているわけでございます。  この点についてどのような方針で対応していかれるのか、財務大臣としてのお考えをお伺いしたいと思います。    〔委員長退席、理事円より子君着席〕
  237. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、先ほど申し上げましたけれども、基礎年金国庫負担の割合二分の一の引上げについては、昨年十二月の与党合意で決した方針であるわけでございます。したがって、今後、安定した財源を確保するために税制の抜本的な改革を行った上で二〇〇九年度までに二分の一に引き上げると決まっておりますから、将来の世代に先送りすることなくきっちりとこれはやらせていただきたいというふうに思っております。  その上で、今社会保障国民会議というものを政府全体で話をしておりますし、国会の場にもそういう与野党の協議機関をつくって議論をしたらどうだという話を持ちかけているわけでございますから、お互いにこれは共通の基盤に立って国民期待にこたえていくことが大事だというふうに思っております。
  238. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 今度の予算では三分の一プラス千分の四十というところまでが国庫負担ということになるわけですけれども、今おっしゃった意味合いは、今年の秋ごろの税制改革、税制改正の論議を経て、二十一年度の予算編成の折には今の三分の一プラス千分の四十を二分の一にすると、歳出としてはそうだし、それの裏打ちとしての税制をしっかりと手当てすると、この意思だということですか。
  239. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) そういう方向で政府はこれまでも累次研究、あるいはまた考え方を整理してきて、法律にもそう書いてあるわけでありますから、それを実現することについて、今国民会議をつくって全体的な抜本的な税制改革の中で位置付けを図っていきたいということでございます。
  240. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 国民会議ができたのは承知しておりますけれども、具体的な税制ということになりますと政府税調なり、与党税調もあるのかもしれません、そのときの政治状況はどうかということはあるかもしれませんけれども、それはともかくといたしまして、その今の社会保障会議と、そこと政府税調なりそういったところの流れというのはどういうふうに考えていらっしゃるんでしょう。
  241. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは当然、自民党、与党でもそれぞれ議論をしていかなければならないし、政府税調でも一つの考え方が生まれてくることでございましょう。また、国民会議でも、これは年金だけではなくて医療とか全体的な社会保障制度の中で年金をどう位置付けていくかという体系の中で、今年の秋の税制改正に向かっての考え方を整理していくということでございます。
  242. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 社会保障国民会議の性格になるかもしれませんけれども、そこでやはり財源もしっかりと、基礎年金の国庫負担の引上げの財源ですね、この部分も社会保障国民会議でできれば答えを出していこうと、それを受けて税制改正につなげていこうということなんですか。それとも、それは別にそこまでの任にはあらずということなんでしょうか。
  243. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 社会保障国民会議の全体的なメンバーの一人ではありますけれども、今各分科会において議論をしておりますので、どういう整理をしていくかについて私は承知をしておりませんけれども、基本的な、国がどういうふうに関与をしていくのか、それから給付と負担のバランスをどうしていくのか、あるいは年金や医療、それから介護、一般福祉、そういうこととの連携をどういうふうにしていくのか、そういうことが整理されていくものと思います。
  244. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 そうすると、大臣が直接な所管の国民会議なのかどうかちょっと定かじゃないんであれですけれども、やはりそこで答えが出たらそれは一つの尊重した形での税制改正につなげていくと、こういうことになりましょうか。
  245. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) それは一つ方向性を出して打ち出してくるものでありますから、尊重する形で具体的な税制改革に向かっていくということだと思います。
  246. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 逆に言えば、そういったおしりが決まっているといいますか、予算編成があり、税制改正が秋以降冬場に向けて予想されるのであれば、それに向けて答えが出していただけるように国民会議に求めていくということにもなるんでしょうか。
  247. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 国民会議の基本的な考え方は秋までに出てくるものと思っております。
  248. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 それで、少し技術的なことになりますけれども、毎年財務省が後年度歳出歳入影響試算を出されておりまして、そのことでちょっと一言聞いておきたいと思います。  例年、十八年度、十九年度の歳出歳入影響試算拝見しますときに、先ほどおっしゃった基礎年金の国庫負担の引上げ部分を税制で見たという結果としての税収が書いてあったんですけれども、今度の二十年度の後年度影響試算においてはその部分が欠落しているわけなんです。ですから、実は内閣府の方の推計もかつては国庫負担の引上げの部分を税で賄うという前提で平成十七年のときまででしたか出していたけれども、あのときは十四年、十五年、十六、十七年とずっとそれで出していたにもかかわらず、十八年度の予算のときにそれは結局手当てしないということで、今のものも結果としては財政赤字でファイナンスしているという形になっているんですね。  そこもあるんですけれども、それは今日は来ていただいていないんであれですけれども、要は近づいてくるとその部分隠してしまうというか語られなくなるというか、去年、おととしはちゃんと枠を取っていたんですよ、三分の一を税収で賄ったときの。しかし、それを今年度は書いていないんですよ。何ゆえ書かなかったのか、そのことを教えていただきたい。
  249. 真砂靖

    政府参考人(真砂靖君) 私どもの出しております後年度影響試算のお尋ねでございます。  先生御指摘のように、昨年度までの試算におきましては、二分の一に必要となる財源の所要額の大きさを現時点において将来ここで必要になるというような形で明示、明確にしておくという観点から、税収や差額にこの財源所要額を機械的に織り込んでおりました。  しかしながら、本年度におきましては、その財源所要額の在り方についていよいよ平成二十一年度に向けてより具体的な議論が行われるという段階でございます。したがって、今後の税制改正の議論において予断を与えることのないよう、あるいは仮に所要の財源が手当てされなかった場合の差額、収支差が相当大きなものになるということを明確に示すという意義から二段書きの表記を取りやめることにしたところでございまして、あわせて、お出ししております資料には注記としまして、基礎年金の国庫負担割合引上げは、法律上、所要の安定的な財源を確保する税制上の抜本的な改革を行った上で実施することとされているが、税収にはこのための所要財源を加算していないということを注記しているところでございます。
  250. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 二分の一への国庫負担の引上げは閣議決定でも決まっているし大臣も今日もおっしゃっているわけでございまして、そのことを今まで言っていたやり方とあえて変えるという、今は税収が入らなかったときとかおっしゃったけれども、しかしやはり私はそれは素直にやるべきだったというふうに思いますし、今後ともそういった方針で、余り恣意的にするんじゃなくてありのままをそのままに出せばいいんじゃないかと、このように思います。そういった意味でお取り組みを求めまして、私の質問を終わらせていただきます。
  251. 森まさこ

    ○森まさこ君 自由民主党・無所属の会の森まさこでございます。よろしくお願いします。  本日の予算の明細書の方にも多重債務の対策、そして相談員の拡充についての予算が入っているようでございますが、渡辺大臣におかれましては、所信においても多重債務問題の解決について触れていただきました。大臣は、私の記憶では就任以来すべての所信又は公の演説で多重債務問題の解決に言及しておられますので、大変すばらしいことだと思っております。  私は、金融庁時代に貸金業法の改正に担当として携わりまして、グレーゾーンの撤廃、金利の引下げといったことがこの改正法に盛り込まれたのでございますが、そのときには与野党を問わず先生方に賛成をしていただきましてありがとうございました。ただ、抵抗勢力と申し上げてよいのかどうか分かりませんが、そういったものについても、与野党を問わず、民主党の先生方の中にも様々な先生がおられ、様々な形で御指導をいただいたということがございました。そのような中で、当時副大臣でおられた渡辺大臣は現場主義を貫いておられまして、民間から任期付きで入った私の、現場の多重債務の相談についての意見についても耳を傾けてくださり、大変尊敬をしております。  ところで、この改正法でございますが、附則六十七条の方に施行後二年六か月以内に所要の見直しをするとの規定が盛り込まれております。この点につきまして、この財政金融委員会におきまして、前川清成先生の御質問に答えられまして、当時副大臣であられました渡辺喜美大臣がこのように述べておられますので、それを本日また御確認をしたいと思っております。  引用いたしますが、最終的にみなし弁済規定を完全に廃止をし、出資法の上限金利の引下げを行い、また利限法の刻みは変えないというのが最終的な法案の姿であり、こうしたみなし弁済規定の廃止、出資法の上限金利の引下げ、こういったことを前提とした上で、これらの措置を円滑に実行するために必要があれば見直しを行う。そして、利限法の刻みを上にするとか、あるいは特例金利を認めるとか、そういったことを前提に置いた規定では毛頭ございませんというように答弁しておられます。なお、当時の金融大臣の山本有二大臣も、衆議院の方で同内容の答弁をされております。  この点についてもう一度、現大臣となられた渡辺大臣に、このみなし弁済規定、それから金利の引下げについて、この見直し規定の中でどのようにとらえられておられるのか、お伺いしたいと思います。お願いします。
  252. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 森委員が今引用されたのは、確かに私も副大臣として答弁をした記憶がございます。  当時、もう既に金融庁はお辞めになられていたかと存じますが、森弁護士の話を聞きまして、これはもう是非とも法改正を実現をしなければならないと、心を新たにした記憶がございます。  今お尋ねの見直し規定でございますが、今でも当時の考えは全く変わっておりません。改正貸金業法附則第六十七条の見直し規定による見直しは、出資法の上限金利の引下げ等を実施することを前提としてその円滑な実施のために必要があれば行うものであります。出資法の上限金利の引下げを実施しないことまで含むものではございません。
  253. 森まさこ

    ○森まさこ君 ありがとうございます。  それでは次に、今日配付した資料の多重債務問題改善プログラムについてお伺いします。  この貸金業法改正の趣旨を全うするには、金利の引下げやグレーゾーンの撤廃に加えまして、様々な施策を講じなければならないという趣旨でこのプログラムが作られました。渡辺大臣は、官邸に設けられております多重債務問題対策本部の本部長でもあられますので、この内容についてお聞きしたいと思います。    〔理事円より子君退席、委員長着席〕  この中で一番の相談窓口の整備強化でございますが、渡辺大臣金融サービス士といったものの設置も述べておられますけれども、金融の場面では金融サービス士、そして多重債務又は消費者相談の部分では消費者相談員というものが町の方々のアドバイザーとなって、そして物事が大きくなる前に事業者と消費者の間に立ってイエローカードを出す、またイエローカードの前の小さな注意をすることによって大きな損害を防止していくと、そういった重要な役割を果たしている相談員でございますが、今地方の消費者行政疲弊をしておりまして、地方の全体の予算がピーク時に比べて一割減となっているところ、地方の消費者行政だけにフォーカスを当てますと五割減となっております。そして、相談員の頭数も、全体の地方公務員が一五%減となっているのに比べて、消費者相談員は二五%減となっております。  相談員協会の統計によりますと、消費者相談員の年収は百五十万円未満の方が約四五%おられます。全体の平均でも約二百万円ほどになっているという状態で、このような状態では本部長の言っておられる充実した相談窓口というものが実行できないと思われますが、本部長、大臣の御意見をお聞かせください。
  254. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) この問題を解決するには、まさに相談窓口というのが非常に重要な役割を果たすものと思います。  一番身近なところにあるのは自治体の窓口でありましょう。そこからいろいろなルートに相談者が分かれていくこともあるわけでございます。したがって、その最初の段階での相談というのが非常に大事なポイントになるわけでございます。どこにも相談できないまま生活に行き詰まったりすることのないようにしていかなければなりません。  昨年四月のプログラムの策定後、自治体の職員向けに相談時の心構え、相談手順などを解説をしましたマニュアルを策定をいたしました。すべての自治体に配付いたしております。多くの自治体においては前向きな取組が進められているものと思います。  また、自治体における消費者相談に関して、御指摘のように、十分な予算や人員の確保が難しいという指摘があることも承知をいたしております。地方における相談体制の充実強化に向けてどういう手当てが可能か、引き続き関係省庁ともよく協議をしてまいりたいと考えます。
  255. 森まさこ

    ○森まさこ君 ありがとうございます。本部長というお立場で他省庁とよく連携をして進めていただきたいと思います。  同じ内容について、総務省の方にお伺いしたいと思います。  財源が厳しいのは分かっておりますが、この相談窓口の強化について、総務省から地方自治体の窓口に相談窓口強化を頑張れというふうに言っていただきたいと思います。それから、地方交付税などの支援も考えられないのかといったことについても御意見をお聞かせください。
  256. 岡崎浩巳

    政府参考人(岡崎浩巳君) 多重債務問題等の消費者問題につきましては、このプログラムにありますように、地方自治体の取組も極めて重要であるというふうに考えております。  まず、多重債務について申し上げますと、プログラムを踏まえまして総務省としても、少なくともすべての市町村で適切な相談先を紹介できる体制を取るべきこと、また、更なる対応が可能な市町村におきましては、より充実した対応を取るべきことにつきまして金融庁と連名で地方団体に対して要請をしているところでございます。  ただ、小規模な市町村等必ずしも十分な体制を取れない団体もありますので、そういうところにつきましては、都道府県の補完、あるいはクレジットカウンセリング協会による相談体制、国の出先機関の窓口等との連携を図るように要請をしております。  今御指摘のございました消費者行政全体も非常に窓口が先細っているんじゃないかというお話がございまして、御指摘のように、予算あるいは人員等を見ますと、大変厳しい財政状況の中でかなり減っているというのは事実でございます。地方団体にその点の理由その他を聞きますと、いろいろな要望が出てまいります。やはり消費者行政は幅が広いものですから、そちらの話になりますと、各省ごとに相談窓口を統一してほしいとか、あるいは相談員と措置体制の充実、予算の確保を始めとして、それから国に対しては、更に全国的、広域的な視点からの情報提供だとかマニュアルの提供等の要望が強うございます。  こういういろんな要望を踏まえまして総務省といたしましては、先ほど渡辺大臣の御答弁にもございましたけれども、地方の要望も踏まえまして、消費者行政にかかわる、あるいは地方団体は権限の問題もありましょうし、情報提供体制の充実の問題等もありますので、財政支援を含めて関係府省とも協力しながらこれから検討してまいりたいと思っております。できるだけ努力してまいります。
  257. 森まさこ

    ○森まさこ君 是非よろしくお願いします。  午前中、渡辺大臣から家計の富を活用していくというふうなお話もございましたが、多重債務によって、家計の富を活用するどころか、それが消費に回るどころか税金も払えないというような状態になっております。そして、家計の富がやみ金に流れた場合にはその犯罪者からマネーロンダリングで海外に流出をしているわけです。多くのやみ金がございますが、一つ、五菱会のやみ金事件で検挙されましたが、これでは推計一千億円やみ金として違法な収益があったというようにも報告がされております。  このような経済犯罪がやり放題の国であっては、海外からの信頼もされない、投資家からも信頼がされない状態になってしまうと思いますので、是非この点をよろしくお願いしたいと思っています。  次に、額賀大臣の方にお伺いをしたいのですが、先週三月十九日の参議院予算委員会で、増田総務大臣が私の質問に対して、地方消費者行政について、財政支援など関係府省ともよく協力してできる限り努力をしていきたいというふうに答弁されました。  福田総理が強く推進しておられる消費者行政の強化にはやはり国の支援が不可欠だと思いますが、御意見をお聞かせください。
  258. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 森委員と増田総務大臣とのやり取りは記憶に残っております。  私としても、消費者行政というのは極めて重要であるし、福田総理内閣を挙げて取り組んでいくということでありますから、私どももよく相談をして検討してまいりたいというふうに思います。
  259. 森まさこ

    ○森まさこ君 よろしくお願いします。  それでは次に、この多重債務改善プログラムがどの程度実行されているのかという、そういうフォローアップなりチェックなりがどういったふうになされているのか、渡辺大臣にお聞きしたいと思います。  官邸の多重債務本部には有識者会議も設置されていますが、そういった有識者会議が開かれているのかどうかということについてもお聞かせください。
  260. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 多重債務問題改善プログラムを策定をしておおむね一年経過したところでございます。このプログラムが着実に実施されることが大事でありまして、このプログラムの中でフォローアップをきちんと行うことが定められております。十九年度が間もなく終わりますので、新年度に入りましたら早急に各施策のフォローアップを行いたいと考えております。有識者会議から評価、御意見を伺いたいと思います。
  261. 森まさこ

    ○森まさこ君 ありがとうございます。  この多重債務プログラムの二番のところに日本版グラミン銀行という記載がありますが、この多重債務者の救済にはセーフティーネットの充実というものが欠かせないわけでございます。この点について、岩手県の生協の取組というのが非常に参考になりますが、これをモデルとした日本版グラミン銀行を全国に広げていくといった取組について現在の状況をお聞かせください。
  262. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) お答え申し上げます。  いわゆる借り手対策、これを効果的に実施していくために、プログラムにありますように、顔の見える融資、すなわち丁寧な事情聴取などを行うことを前提に、返済能力が見込まれ、多重債務問題の解決に資する、こういった場合につきまして低利の貸付けを行う言わば日本版グラミン銀行、これを広げていくことが重要なことと考えております。  先生御指摘のとおり、岩手県におきましては、県の消費者信用生活協同組合が地元の自治体と協力して、借金の状況等に関する聴き取りや解決方法の無料相談を行うとともに、その解決方法の一手段として低利の融資を行う場合もあるものと承知しているところでございます。こういったことのほかに、現在では福岡県におきましても生協組織を利用した類似の取組が始められているものと承知をしております。そのほかの地域におきましても、今、この顔の見える融資、これを行うモデルを広げていく取組が進められることを期待しているところでございます。  私どもといたしましても、こういった先進事例を広く紹介するなどいたしまして、各地方自治体の取組を可能な限り支援してまいりたいと考えているところでございます。
  263. 森まさこ

    ○森まさこ君 是非よろしくお願いします。  最後に、振り込め詐欺の防止対策について金融庁にお伺いをしたいと思います。  振り込め詐欺につきましては、凍結口座の資金を被害者に返還するということ、私がちょうど担当でありましたけれども、法律ができましたが、それとは別に、この凍結された口座、これを、一度犯罪に使われた凍結口座でございますが、ほかの金融機関でまた使われるということが多うございます。例えば警察庁の報告では、A銀行で凍結をされた口座が、凍結後にほかの銀行で十一も新たに口座が開かれ、それがまた振り込め詐欺に使われたといったことがあります。  振り込め詐欺の被害は昨年度だけで二百五十億円ということで、看過できない状況になっております。この一度犯罪に使われた凍結口座の名義人リストを各金融機関で共有をすることが必要であると思いますが、御意見を伺いたいと思います。
  264. 西原政雄

    政府参考人(西原政雄君) お答え申し上げます。  今御指摘のとおり、この問題、凍結された口座の名義人リスト、これを共有化してはどうかと、こういう御指摘でございます。  この点につきましては、今、自民党の中に設けられた振り込め詐欺撲滅ワーキングチーム、こちらの方で検討が行われているというふうにお聞きいたしておりますが、その際に、この意義といたしましては、共有化を図ることによって、今御指摘のとおり、別の金融機関で口座が新たに開設されて、そこで不正が行われちゃう、これを防止するということには有効に役に立つのではないかと、こういう御指摘がございます。  一方で、全国津々浦々の支店にまでそれを行き渡らせるということに対しては、いろいろなコストが掛かるということもあるものですから、それに対してコストに見合う十分な被害防止効果が上げられるんだろうかと、こういった指摘ですとか、あるいはその名義人という人がどの程度不正に関与している人だったのかという、その関与の度合い等々でどういう対応をしたらいいんだろうかという迷いの声なんかも聞こえてくるところでございます。  しかしながら、今自民党の中でワーキングチームでもって御議論されているということでございますので、私どもといたしましては、その議論も踏まえながら対応を図っていきたいというふうに考えております。  基本的には、従来から監督指針の中におきまして、こういった口座の不正利用を防止するということは大事な観点でございますので、必要に応じて本人確認の実施、あるいは利用目的、これを確認を行うといった体制、これがちゃんと取れているかどうか、こういったことについては今後も適切に対応していきたいというふうに考えております。
  265. 森まさこ

    ○森まさこ君 そうは申しましても、遅滞をした人のリストは個人信用情報機関を設けてもう既に情報を共有しているわけですから、自分たちの営業のためだけにやるんではなくて、犯罪のためにこの口座がツールとして利用されているということ、社会的責任をきちっと認識をしていただいて、是非金融機関の方にもこれについて前向きな取組をお願いしたいと思いますので、金融庁の方も御指導をよろしくお願いします。  ありがとうございました。
  266. 白浜一良

    ○白浜一良君 公明党の白浜一良でございます。  今日は委嘱審査ということで、若干時間をいただいて議論をさせていただきたいと思うわけでございます。  まず、いわゆる都市銀行に引き続きまして、いわゆる地銀、信金、信組、経営破綻にならないように公的資金を注入できるように、金融機能強化法という法律がございました。これいろいろ経緯あるんですけれども、今年度で一応期限切れ、延長しないと、こういう金融庁の方針だと伺っております。  実際見たら、二兆円の資金枠が用意されていても実際使われているのは和歌山の紀陽銀行が三百十五億ですか、大分県の豊和銀行ですか、九十億と、これだけだったと。余り使われなかったということなんですけれども、この法律の実績をどのように評価されているのか、まず金融庁からお伺いしたいと思います。
  267. 西原政雄

    政府参考人(西原政雄君) お答えを申し上げます。  今、もう実績については御指摘のとおりでございまして、この法律に基づきまして国が資本参加いたしました実績といいますのは、平成十八年に、十一月十三日に払込みをいたしておりますが、紀陽銀行、旧紀陽銀行ですが、それと旧和歌山銀行の合併に際しまして、紀陽ホールディングスに対して三百十五億円、それから同じく十八年の十二月の十八日、これは豊和銀行に対して九十億円、この資本参加を行ったところでございます。  私どもといたしましては、この法律の適用によりまして資本増強が図られたということで、より積極的にリスクを取って資金供給を行うということが可能になったというふうにも思っておりまして、この機能強化がされることによって、それぞれの地域における資金仲介機能、この円滑化に資することができたというふうに評価をいたしております。
  268. 白浜一良

    ○白浜一良君 大臣、お伺いしたいんですけれども、これ本当は、実績が余りないということなんですけれども、決していわゆる地銀、信金、信組が経営状態がいいというわけじゃないんですね。そればかりじゃない。要するに、なかなか表に出せないという、そういう心理状況もございまして、まして、いわゆる全国見ましてもそういう中小企業、地元の中小企業を支えていらっしゃる、そういう金融機能を担っていらっしゃるんですが、景気まだまだだということでございますし、これから本当に不良債権が増えるような可能性もあるわけでございますし、そういう経営危機が顕在化する可能性がございます、これからですね。そうした場合、いわゆるこの法律がなくて実際どういう手が打たれるのかと、どういう手を打てるのかということも一方で私は大変大事だと思うんですね。  この点に関してお考えがあれば、お伺いしたいと思います。
  269. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) まさに資本というのは金融機関にとっては極めて大事な要素でございます。資本が足りなくなりますとリスクが取れなくなってしまう。我々も十年ちょっと前に資本不足ゆえの貸し渋りとか貸しはがしとかいった現象に直面をいたしまして、やはり金融機関というのは資本が命だなとつくづく思ったのでございます。その後、非常時対応としては、預金保険法百二条の措置が一号、二号、三号と作られたわけでございます。それよりは極めてモデラートな形でこの金融機能強化法が作られたわけでございますが、実績は先ほどのとおりであります。  この強化法が期限を迎えるに当たって、実は私も委員と同じような心配をしたものですから、事務方に対していろいろとシミュレーションをやらさせました。いろいろストレステストとか行いまして廃止、廃止といいますか、この強化法がなくなってもまあ大丈夫だろうという報告でございました。  一方、景気が悪化をしていった場合には、当然これは不良債権が増えていくわけでございますから、そういった事態に対して資本増強はどうするんだと、こういう御質問であろうかと思います。  今は、資本調達というのはまずは自前で行っていただくというのがこれは基本であります。昔の護送船団方式を我々はもうさようならをしたわけでございますから、まずは自前の努力。そして、協同組織にありましては、御案内のように、中央組織が資本増強のお手伝いをできる仕組みがございます。こういう制度を使った取組がもう既に行われているのは御案内のとおりでございまして、金融庁としては転ばぬ先のつえで早め早めの対応を取ってもらうよう促しているところでございます。
  270. 白浜一良

    ○白浜一良君 今お話ございましたけれども、確かに信金の場合は信金中金がございますし、信用組合の場合は連合会がございますね。そこにある程度資金さえあれば、実際、今年の三月ですか、どこか厳しい、瀧野川信用金庫ですか、サブプライムローンの関係で傷付いたということで信金中金から資本を増強されたということで、それはされるんですけれども、その本体にお金がなければいけませんよね、そこに資本注入しようと思っても。  だから、これは可能かどうか分かりませんけれども、我が党でも政府に申入れはしたんですけれども、そういう信金中金とか信用組合の連合会に少しお金を積み上げておくということも考えるべきじゃないかということを提案申し上げたんですが、こういうことはいかがでしょうか。
  271. 渡辺喜美

    国務大臣渡辺喜美君) 予防的に中央組織に強化法を使って資本を増強するというのも研究はしたんでございますが、どうも制度上難しいという解釈でございました。  一つには、中央機関に対して資本注入を行う場合には、強化法の二十五条において、傘下の金融機関自体による経営強化計画の提出が必要だということなんですね。第二には、中央機関本体が受け入れる場合、これは強化法の三条でございますが、金融機関が業務を行っている特定の地域金融円滑化、地域経済活性化に資する方策を盛り込んだ中央機関自身についての経営強化計画の提出が前提であるという仕立てになっているんです。  そういたしますと、その計画の実施のために必要な金額の範囲で公的資金の注入を認める法制度ということでございますので、なかなかこういう立て付けの下では予防的な注入は難しいということが言えるわけでございます。  いずれにしましても、先ほど申し上げたように、資本の増強の仕方は別に公的資金を使わずともいろいろな形で今できるわけでございますから、そういうことについては金融庁としても大いに関心を持って今研究をしているところでありますし、まずは自前の努力ということで促してまいりたいと考えます。
  272. 白浜一良

    ○白浜一良君 しっかり金融庁で監督していただいて、迅速な対応ができるようにしていただきたいと、このことを要望しておきたいと思います。  それから、時間が余りないんで、ネット銀行のことで、先日、イーバンクに対して政策投資銀行が資本注入されるということを伺いましたが、何か伺いますと、ネット銀行もたくさんあるんですけれども、本来はもういわゆる決済機能があってその手数料を稼ぐと、こういうことが本来は趣旨だったんでしょうけれども、だけれども手数料下げ合いになってしまうので、だから資産運用でもうけようと。手数料だからできるだけ下げようということで、サブプライムローンの話もこれすごい関係しているんですね、イーバンクの場合は。  本来、ネット銀行の役割とは何かということをもう一度これきちっと問い直さないと、手数料を競うために資産運用をして、それで逆に破綻してしまって穴が空いてしまうと、こういうことが起こっているという現状に対して、金融庁でいいんですが、お話しいただきたいと思います。
  273. 西原政雄

    政府参考人(西原政雄君) お答え申し上げます。  イーバンクを始めとするネット銀行、これについて、その役割、あるいは実際にその特性からして、今おっしゃられましたように、決済手数料、これを中心にすべきところ、運用の仕方を間違えますと、今おっしゃられたような、非常にリスクの高い商品に運用しているのではないかと、こういう御指摘でございました。  実際のところ、ネットバンクいろいろございますけれども、大抵のところは、決済の手数料のほかの資産運用といたしましては、住宅ローンですとか安全性の高いローン、あるいは有価証券でも安全性の高い国債を中心とした運用、これが普通中心でございます。ただ、いろんな収益性を上げるために、工夫の一つとしていろんなリスクの高いものにもチャレンジしているところもあるというのが実態でございます。  その際に、やはりインターネット銀行といいましても、やはり我々としては、銀行でございますので、まず第一には経営管理能力がしっかりしているかどうか、ガバナンスの問題、それから財務の健全性がしっかりしているかどうか、これをやはりチェックしていかなければいけないと思っております。  そのほか、やはりこの特徴といたしましては、インターネットを使った利便性の高いものと。そうすることによって、一方では低コストでサービスを提供できるというメリットもありますし、それから非常に利便性の高い取引ツールを提供できると、こういった利便性もありますので、そういった有用性を生かしながら片方ではやはりリスク管理もしっかりしていただくという必要があろうかというふうに思っております。
  274. 白浜一良

    ○白浜一良君 いろいろおっしゃいましたけれども、ある雑誌読んでいると、ネット銀行もいわゆる決済型のネット銀行とフルバンク型のネット銀行があって、ソニー銀行のようにフルバンク型のネット銀行は大変安定しているけれども、いわゆる決済機能型でやっておると非常に極端な話もあるということだったんですが、ネット銀行に対するそういう経営の指針みたいなものを、そういうのをきちっと金融庁で示された方がいいんじゃないかと私は思うんですけれども。  もう簡単でいいですから、答えていただきたいと思います。
  275. 西原政雄

    政府参考人(西原政雄君) それぞれネット銀行については非常に特徴を持っております。決済型それから資産運用としてどういう形でリスク管理をしていくかと。要はリスク管理をしっかりやらせるということが大事だと思いますので、そういう観点から我々としてもしっかりと検査監督をしていきたいというふうに思っております。
  276. 白浜一良

    ○白浜一良君 しっかり管理監督をしていただきたいと思います。  それから、今日は内閣府からも来ていただいているんですが、三月の月例経済で、個人投資、設備投資、生産の三つの項目は横ばいだということで非常に慎重な景気判断をされた。まあ当然だと思いますが。  結局、日本経済成長というのは外需に頼っている部分が大変多いんですけれども、内需といいましても、実際は公共事業を増やすわけにもいきませんし、設備投資というのはそのときの景気の影響を受ける。だから、ベースになるのは個人消費なんですね。個人消費をどう向上させるかというか、大変難しいテーマなんですけれども、これは内閣府から答えていただきたいと思います。
  277. 藤岡文七

    政府参考人(藤岡文七君) お答え申し上げます。  景気回復、ここのところ足踏み状態ということで、こうした中で個人消費がおおむね横ばいということでございます。  その環境を見ますと、雇用者数、現金給与、それぞれ総額でございますが、それぞれ弱含みということで、所得がおおむね横ばいということで推移してございます。このような中で、ガソリン価格が高騰しており、また食料品価格も値上げというようなことで、家計が圧迫されて消費者マインドが悪化しているというふうに見ております。こうしたことに加えまして、中小企業でございますから、円高や原材料高騰によりましてまた圧迫されているというふうに認識いたしております。  これに対しての対応でございますが、政府といたしましては、個人消費を伸ばすためには、まず賃金の改善というものを確実にしていくことと、また国民の安全、安心というものを確保していくことが重要であると考えておりまして、こうした観点から二つ、一つは基本的に成長力強化ということが必要だろうというふうに思っております。二番目に、やはり構造変化の中で厳しい状況に置かれております先ほどの中小企業、それから家計に対して迅速に対応していくということが必要かというふうに考えております。  こういう観点から、まさに成長力の強化の戦略でありますとか、また企業と家計に対しては、その企業と家計の間で好循環を形成するという観点から、内需の厚みを増す成果配分を実現するということで、例えばジョブカードの制度によって、フリーターや子育て等の女性などの能力形成の機会に恵まれなかった人たちへのより良い教育訓練機会の提供でありますとか、あるいは非正規労働者の常用雇用化の促進とか、また最低賃金の遵守、引上げということなどに積極的に対応するということが必要であると考えてございます。また、そのように対応してきております。
  278. 白浜一良

    ○白浜一良君 もう短時間なんで議論できないんですけれども。  総理も賃上げを要請されたということもございまして、政府を挙げてこの問題は、日本経済やっぱり成長路線にどうして押し上げていくかということが大事でございまして、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  今日は理財局長来ていただいておりますので、国債のいわゆる消化について。  当然、二〇一一年、平成二十三年にプライマリーバランスを黒字化するというのは、これは大きな財政上の目標でございますが、当面は国債に財政頼らざるを得ないということで、どう消化するかということは真剣に考えていらっしゃると思うんですが。  その一つが、外国に買ってもらうということで力を入れていらっしゃると、比率も伸びてきているんですが、それはそれで私は大事な視点だと思うんですけどね。  株に対する投資と比べてはいけない面もあるかも分かりませんが、東証の場合は外資が多いですね。ぱっと逃げたらだっと値が下がると。外国の方に買っていただくというのは大事なことなんですけれども、国債という性格から、どの程度の範囲というか、何かそういう目安みたいなものをお考えなのかどうかいうことをお聞きしたいと思います。
  279. 勝栄二郎

    政府参考人(勝栄二郎君) お答えいたします。  まず、事実関係でございますけれども、現在、我が国の国債発行残高に占めます海外投資家の保有額及び割合は、平成十五年度末は二十兆円、約三・五%でございました。それが十九年十二月末に四十九・九兆円、七・三%に上昇しております。他方、我が国の国債の保有者別を見ますと、やはりどうしても依然として市中金融機関が多うございまして、約四割ぐらいを占めております。  したがいまして、そういう場合には、市況が変化した場合には動きが一方的になりがちになるということで、その意味では投資家の多様化というのが望ましいと思っております。また、海外投資家の中の短期のディーラーじゃなくて、結構、年金とか生命保険会社とかそういう投資家もあると思っていますので、その意味では安定消化にもつながっていると思っています。  また、海外の投資家の保有割合ですけれども、今申し上げましたように七・三%ですけれども、これ、ほかの国と比べますとまだ相当低いと思っております。欧米ですと大体四割とかそれ以上になっていると思っております。  以上でございます。
  280. 白浜一良

    ○白浜一良君 もう時間が来ました。しっかりそういう国債の管理をしていただきたいと、このように申し上げたいと思います。  最後に、財務大臣、いわゆる企業の創業というのは非常に大事だと。エンジェル税制というのは一貫して取り組んでこられているんで、政府税調でもそういう重要性を指摘されております。今度やっと投資段階で、今までのは譲渡益課税に対する控除制度だったんですが、一定額、一千万ですか、いわゆる寄附金控除で投資、これは大変効果があると思うんですが、どの程度の見通しを持っていらっしゃるか、最後に聞いて、終わりたいと思います。
  281. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 白浜委員のおっしゃるとおりでございまして、我々もベンチャー企業の育成に累次取り組んできたわけでございますけれども、これまでは現行の優遇措置というのは、株式譲渡所得を有する者のみが利用できる仕組みだったりしたわけですね。そこで、起業期のベンチャー企業に対する資金を広く呼び込むために、投資リスクの大きい起業期のベンチャー企業への投資、出資を寄附金と見立てて、より多くの方が利用できる寄附金控除を適用する仕組みを創設したわけであります。それは今委員がおっしゃるように、出資額の一千万円を限度にしていくわけでありますが、これによって起業期のベンチャー企業に対する資金供給が供給をされて、起業が増えていくことを大いに期待したいというふうに思っております。大いなるチャレンジがこれをきっかけに生まれてくることを期待をしております。
  282. 白浜一良

    ○白浜一良君 終わります。
  283. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  先ほど四時から総理記者会見をされて、ちょっと正確なペーパーはまだ届いてないんですけれども、要するに道路特定財源は次々年度、次の次の年度から一般財源化されるということと、暫定税率の廃止も検討されると、これも次の次の年度に向けてというふうなことで、額賀大臣の方にもペーパー来ているかなというふうに思うんですけれども、大臣、何かコメントございますでしょうか。
  284. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今おっしゃるように、四時の会見で総理から、道路関連法案・税制の取扱いについてということで考え方が示されたと思っております。  一つは、地方財政国民生活の混乱を回避するために、平成二十年度歳入法案の年度内成立を図る。二つ目は、道路関連公益法人や道路整備特別会計関連支出の徹底的な無駄の排除を行う。三つ目は、道路特定財源制度は今年の税制抜本改正時に廃止し、二十一年度から一般財源化を図るということ。四項目めは、暫定税率分も含めた税率は、環境問題への国際的な取組、地方の道路整備の必要性、国、地方の厳しい財政状況を踏まえて検討をする。道路の中期計画は五年として新たに策定をする。六つ目、新たな整備計画は二十年度道路予算の執行にも厳格に反映をする。二十年度予算における一般財源としての活用は、民主党から現実的な提案があれば協議に応じる。七つ目、与野党協議会を設置し、一般財源としての使途の在り方、道路整備計画などを協議、決定をするということが内容でございます。
  285. 大門実紀史

    大門実紀史君 いやいや、内容を説明していただこうと思ったわけではございませんで、ポイントは、次の次の年度から一般財源化ということと暫定税率の廃止も検討ということが、来年度の税制改革のところに向けて検討するということが出たわけでございますけれども、ここまで出されるならば私は、もう来年度からやると、そんなに急にということをおっしゃるかも分かりませんが、総理も記者の質問に答えてそんなことおっしゃったようですけれども、やりようは幾らでもあると。ここまでもう方向を出されたら、来年度からやるということは私は可能ではないかと思うんですが、コメントいかがでしょうか。
  286. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) これは、第一項目めに書いてありますように、平成二十年度の歳入法案については是非政府案で成立をさせていただきたい。しかしながら、しかしながら二十年度の予算の執行に当たっては、一般財源としての活用は民主党の建設的な提案があれば協議に応じて、今日、今後取り入れることもできるのではないかと、そういう考え方が示されたのではないかと思います。
  287. 大門実紀史

    大門実紀史君 分かりました。  じゃ、本題に入ります。  資料を配付させていただきました。日米平和・文化交流協会の問題で、またやるのかと大臣お思いかも分かりませんが、私も余りもうこういう問題やりたくないんですけれども、ただこの前の経過と、新しい資料が出てまいりましたので、しかも公益法人の在り方、国の助成金の在り方、そして大臣御自身にも御注意を喚起したいという点で、短い時間ですが取り上げたいと思います。  国会でもう再三取り上げて、マスコミもこの交流協会注目をして、マスコミなどは日米軍事利権のパイプ役という報道までされてきた交流協会ですけれども、外務省の立入検査が行われました。一月二十八日ですね。そして、その簡単なペーパーを資料の一枚目にお付けをいたしました。  再三指摘してきたように、もう公益法人としての体を成さない、ずさんな実態が改めて明らかになったということと、安全保障研究所、つまり例の安保議員協議会との会計処理も区分が不明確と、もう一体でやっているというようなことでかなり厳しい指摘がされているところで、こんなところが、社団法人まだやるのかというふうなところが改めて明らかになったというふうに思います。  併せて申し上げますと、私は、額賀大臣も日米戦略会議、ワシントンでの会議に渡航されるときに国際交流基金から補助金が出ていた問題を、額賀大臣だけではありませんですけれども、国会議員が行くときに一人百万円当たり出ていた問題を追及してまいりましたけれども、国際交流基金は改善措置をとりました。事実上、今度の連休に行われるであろう戦略会議には補助金が出ない仕組みに、これは申請期日の関係で今年は連休の会議には議員の渡航費に対する助成金が出ない、申請締切りの関係でそういう措置をとりました。いろいろ対応はされているということでございますが、久間さんは戦略会議行くんだ、やるんだとおっしゃっていますけれども、自費で行っていただくことになるということでございます。  そういう経過を踏まえてですけれども、この日米平和・文化交流協会と表裏一体の組織が安全保障議員協議会ということで取り上げてまいりまして、もう改めていろいろ申し上げませんが、この安全保障議員協議会というのは、会長が自民党の瓦力さん、そして今、額賀大臣は副会長のままだというふうに思いますが、石破防衛大臣も常任理事等々、防衛関係の議員の皆さん、ほかの党も含めて入っていらっしゃるということでございます。  ちょっと確認の意味でお聞きしますが、額賀大臣はまだこの安全保障議員協議会の副会長をやっていらっしゃいますか。
  288. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 財務大臣になってからはこの役職は解いておりまして、それから今年は、毎年これは一月から十二月まで会費を払って会員になるんでありますが、去年は入っておりましたけれども、今年は入っておりません。
  289. 大門実紀史

    大門実紀史君 額賀大臣が元事務総長もやられて副会長もやっておられた、大臣になられる前だと思いますが、この安保議員協議会も今回の立入検査でちょっと分かったことがございます。  この通知にも書いてありますが、安全保障研究所と書いてありますけれども、これは例の秋山さんが自分でおっしゃっているとおり、一体のものだと、安保議員協とは一体のものだと自ら外務省に対しておっしゃっているものでございますけれども、この安保議員協議会、前、額賀大臣にお尋ねしたときに、どうやって運営しているのかと私お聞きしたら、企業からの分担金とか寄附とか会費を集めたり、また自分たちも参加費を払っていろんなイベントを運営しているというふうに言われましたけれども、そういう理解でよろしいですか。
  290. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私は、安保協議会といいましたかね、議員の集まりですね、のメンバーであったことは事実でありますが、これは議員の懇親会とか勉強会とか戦略研究会を開くための、ある意味ではそういう立場のものであって、講師を呼んだり勉強会をしてきたということでありまして、あと実際の日米平和・文化交流協会の運営だとか、今おっしゃるような安全保障研究所とのかかわり合いだとか、そういうことの具体的な業務についてはよく承知しておりません。
  291. 大門実紀史

    大門実紀史君 ちょっと全体の輪郭を申し上げますと、資料の二枚目にお付けいたしましたが、政治資金規正法第五条の一項一号というのがございまして、書いてあるとおりなんですけれども、要するに、政治上の主義又は施策を研究する目的を有する団体で、国会議員が主宰するもの又はその主要な構成員が国会議員であるものは政治団体とみなすということがまずあります。  安全保障協議会のホームページには、議員協議会は、日米安全保障・防衛問題に関し研究、調査し、政策立案、提言を目的として活動しているということで、これは当然政治団体の一つとみなされるということでございます。  その後なんですけれども、政治団体となった場合は、政治資金規正法第六条に書いてございますが、団体となった日から七日以内に文書で届出しなければいけないということも法律で決められております。  恐らく額賀大臣にお伺いしても分からないと思いますが、私、届出されているかどうか聞きたかったんですが、多分御存じないというふうに思いまして、こちらで調べましたら、総務省、東京都ともこの安全保障議員協議会の届出はございません。無届けでやっているということがまず一つです。ただ、無届けでやっている場合は、だからといって何か罰則を受けるというふうになっておりません、政治活動の自由がありますので。  問題は、そこが資金のやり取り、お金のやり取りをした場合でございまして、それが政治資金規正法第八条に書いていますが、寄附、これは広い意味です。そういう会費を集めるという意味も含まれます。寄附又は支出の禁止ということで、届出をした後でなければ、そういう寄附を受けたり、会費を集めたり、支出することができないということで、違反した場合は、二十三条で五年間の禁錮又は百万円以下の罰金というふうになっているわけでございます。  つまり、届出をしてなくって、先ほど言いました日米平和・文化交流協会とのお金のやり取りもありますし、会費とか企業からの分担金もお集めになっておりますし、資料の後に二枚付けておきましたけれども、日米平和・文化交流協会への支出もございます。したがって、会計上の支出があるわけでございまして、届出しないで会計上の行為をやっている、寄附を受けて支出をやるということになると、これは政治資金規正法違反ということになるわけでございます。  この辺の認識は、事務総長をやっていらっしゃったときから含めていかがでしょうか。
  292. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 私の認識としては、そういうものが政治団体として届出を出しているとか出していないとかということも知らなかったし、今聞かされて分かったわけでありますが、私どもの認識としては、政治活動を目的とした団体ではなくて、これは議員交流を図ったり、それから日米戦略会議が、これは与野党の国会議員、それから学識経験者が相集って、日米の安保条約だとかアジア安全保障とか、そういうことについてのお互いの意見交換をしたりすることに対して勉強会を開いたり、講師を呼んで討論をしたりする、そういう集まりであるという認識でありましたので、政治活動を目的にしたものであるという認識は持っておりません。
  293. 大門実紀史

    大門実紀史君 先ほど御紹介した政治資金規正法五条の第一項を読んでいただくと分かるんですが、政治活動というのは研究活動も含まれるわけですね、こういう安全保障もですね。したがって、政治活動に該当するということで、そういうことです。  私は、大臣がこういう政治資金規正法違反の団体の副会長をこの前までやっていらっしゃったというのは大変なことだと思いますので、是非自己点検をしてほしいという意味で申し上げているわけでございます。具体的には、検察あるいは警察が告発を受けて動くという形になりますので、今の状態だと違法状態だということを御指摘をしているわけでございます。  そういう検察が入る前に、告発される前に、中できちっと是正をされたらどうかと思いますが、そういうアドバイスをされたらどうかと思うんですが、いかがですか。
  294. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) 今私は役職はないし、それからその会は今年から入っていないわけであります。
  295. 大門実紀史

    大門実紀史君 秋山さんとは御懇意ということですので、そういう御注意を喚起するという意味で受け止めていただければというふうに思います。  まだほかに取り上げたいことがありますが、今日はこれぐらいにして、これで終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  296. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 以上をもちまして、平成二十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、内閣府所管のうち金融庁財務省所管国民生活金融公庫、日本政策投資銀行国際協力銀行及び株式会社日本政策金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  297. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  298. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。額賀財務大臣
  299. 額賀福志郎

    国務大臣額賀福志郎君) ただいま議題となりました関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、最近における内外の経済情勢の変化に対応する等の見地から、関税率について所要の措置を講ずるほか、税関における通関制度の改革及び水際取締りの充実強化等を図ることとし、本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、国際競争力強化のための通関制度の改革であります。  法令を遵守する体制を整えている事業者に対する特例措置の対象事業者の範囲を拡大するほか、臨時開庁手数料の廃止等を行うこととしております。  第二は、税関における水際取締りの充実強化等であります。  我が国を経由して第三国に向けて輸送される知的財産侵害物品等を取締り対象に追加するほか、犯則物件の鑑定及び民間団体等への照会に係る規定の整備等を行うこととしております。  第三は、暫定関税率等の適用期限の延長であります。  平成二十年三月三十一日に適用期限が到来する暫定関税率等について、その適用期限の延長を行うこととしております。  その他、個別品目の関税率の改正等、所要の規定の整備を行うこととしております。  以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。  本法律案については、今年度内に成立させることが是非とも必要であり、何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようにお願い申し上げます。  以上です。
  300. 峰崎直樹

    委員長峰崎直樹君) 以上で本案の趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時六分散会