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2008-06-05 第169回国会 参議院 国土交通委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年六月五日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月三日     辞任         補欠選任         石井  一君     藤本 祐司君      長谷川大紋君     青木 幹雄君  六月四日     辞任         補欠選任         青木 幹雄君     長谷川大紋君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         吉田 博美君     理 事                 長浜 博行君                 室井 邦彦君                 谷川 秀善君                 鶴保 庸介君                 鰐淵 洋子君     委 員                 池口 修次君                 大江 康弘君                 川上 義博君                 輿石  東君                 田中 康夫君                 田名部匡省君                 羽田雄一郎君                 平山 幸司君                 広田  一君                 藤本 祐司君                 山下八洲夫君                 佐藤 信秋君                 伊達 忠一君                 長谷川大紋君                 藤井 孝男君                 山本 順三君                 脇  雅史君                 西田 実仁君                 渕上 貞雄君    国務大臣        国土交通大臣   冬柴 鐵三君    副大臣        国土交通大臣  松島みどり君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       山本 順三君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        総務大臣官房審        議官       門山 泰明君        財務大臣官房参        事官       塚越 保祐君        国土交通大臣官        房建設流通政策        審議官      榊  正剛君        国土交通省国土        計画局長     辻原 俊博君        国土交通省道路        局長       宮田 年耕君        国土交通省鉄道        局長       大口 清一君        国土交通省自動        車交通局長    本田  勝君        国土交通省海事        局長       春成  誠君        国土交通省港湾        局長       須野原 豊君        国土交通省航空        局長       鈴木 久泰君        環境大臣官房審        議官       谷津龍太郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○港湾法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○空港整備法及び航空法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 吉田博美

    委員長吉田博美君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、石井一君が委員辞任され、その補欠として藤本祐司君が選任されました。     ─────────────
  3. 吉田博美

  4. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 港湾法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 室井邦彦

    室井邦彦君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新・日本の室井邦彦でございます。  早速でありますけれども、今回の議題となっております港湾法の一部を改正する法律案に関して質問をさせていただきます。  私はこの質問の中で、まず地方分権に反していないかというところ、また、そしてもう一点は官僚の天下りの利権の確保につながっていないか、もう一点は特定の政治家の思惑が作用していないか、こういう点についてしっかりと調べさせていただきながら、また私の思いを含めて質問をさせていただきます。  今回の質問に際しまして、やはり現場をしっかりと視察をする、見学をしなくちゃいけない、このような、私自身も特に阪神淡路大震災で状況をよく把握しておりますので、この現場をしっかりと東扇島視察をしたいと、このような思いがございまして、国土交通委員会では一度視察をしたようでありますけれども、私は所用がございましてよう参加をしませんでした。特別に、国土交通省方々担当方々に御無理を申し上げまして、五月の二十九日の雨の中でありますけれども、御協力を賜りまして現場視察を、隅々までしっかりと見学また視察をさせていただきました。そのときに御協力いただきました方々には、心から感謝と御礼を申し上げる次第であります。  その中で、直下型地震が発生したときにこの東扇島の役割というもの、これは海から物資の配送をする、そしてまたその保管のため、確保のための拠点地域であるということもお聞きをいたしまして、そして様々な工夫がされていることに感心をいたしました。そこで感じましたこと、そしてまた一点だけ私の不安があるわけでありますが、面積的にいかがなものかなというような私なりの不安がございました。そしてまた、平常時には土地有効利用ということが、川崎市民の若者そして御家族が憩いの場として利用しているということ、これもすばらしいことだなというふうに感じ取っております。  そこで、首都圏に起こる大災害に備えるということで、この事業費が二百七十五億円とお聞きしております。また、そのうちの国債が百六十六と聞いております。この配分比率、何を基準にどのようにお決めになられたのか、お聞きをしたいと思います。
  7. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) お答えいたします。  基幹的広域防災拠点国費率につきましては、まず有明丘地区でございますけれども、広域支援部隊等のベースキャンプとなる施設都市公園法に基づき都市公園事業として整備したものでありまして、国費率は約三分の二程度となっております。また、本部棟は、全体事業費の半分を内閣府の事業により国費率一〇〇%で、残り半分を都市公園事業により国費率三分の二で整備しております。  川崎東扇島につきましては、災害時に緊急物資中継拠点となるなど、緑地部分港湾法に基づき港湾整備事業整備したものでありまして、国費率は二分の一となっております。  また、基幹的広域防災拠点施設及び首都圏臨海防災センター国費率一〇〇%で整備しているところでございます。
  8. 室井邦彦

    室井邦彦君 済みません、御注文でありますけれども、もう少しはっきりとちょっと数字と表現をしていただき、ちょっと聞き取りにくいところがあったのでありますけれども、もう一度、申し訳ない。
  9. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 川崎港の東扇島地区でございますけれども、災害時に緊急物資中継拠点となるなど、緑地部分港湾法に基づき港湾整備事業により整備したものでありまして、国費率は二分の一となっております。  また、基幹的広域防災拠点施設及び首都圏臨海防災センター国費率一〇〇%で整備しております。  この事業費でございますけれども、全体で約七十億円でございまして、そのうち緑地等が六十億円、臨海防災センター等が十億円でございます。
  10. 室井邦彦

    室井邦彦君 分かりました。  国費以外の事業費については地方自治体負担をすると思いますけれども、その負担配分をお聞かせください。
  11. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 東扇島地区につきましては、事業費のうちの緑地部分につきまして二分の一を地元川崎市が負担していただくので、約三十億円を川崎市に負担していただくこととしております。
  12. 室井邦彦

    室井邦彦君 次に、この都市再生プロジェクト平成十三年六月十四日を受けて進められていると聞いておりますが、それでよろしいんでしょうか。
  13. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) お答えいたします。  今御指摘いただきましたように、平成十三年六月の都市再生プロジェクト第一次決定におきまして、東京湾臨海部における基幹的広域防災拠点整備すること、また、地方公共団体を含む関係機関から成る協議の場を設定し、整備計画策定に着手すること、また、京阪神都市圏におきます基幹的広域防災拠点必要性広域防災拠点適正配置検討することが位置付けられるということになりまして、基幹的広域防災拠点整備を行うことになっております。
  14. 室井邦彦

    室井邦彦君 有明地区、そして東扇島地区を選んだ理由をお聞かせいただけませんか。
  15. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) お答えいたします。  東京湾臨海部におきましては、国の関係機関及び地方自治体で構成されます首都圏広域防災拠点整備協議会平成十三年七月に設置され、整備箇所を含めた具体的検討が行われました。  整備箇所選定に当たりましては、候補地としまして東京湾臨海部首都西部首都北部首都北東部首都東部について比較検討を行った結果、我が国の政治、経済の中心であります東京都心部横浜市、川崎市及び千葉市に近接して首都圏人口集中地区の扇のかなめに位置します東京湾臨海部選定されました。さらに、首都直下型地震による広い範囲で甚大な被害が想定されることから、防災拠点が同一の地震により同時に深刻なダメージを受けないよう、互いに一定距離を置いた複数の地点で相互に機能を補完することが必要であるとされました。  これに加えまして、地域の特性、平常時の利用等も考慮し、土地に近い有明丘地区司令塔機能を有する施設を、また既に整備された耐震強化岸壁近傍に必要な用地確保できて、海上交通利用した大量の物資受入れが可能な港湾機能を有しており、さらに主要河川により内陸部への輸送確保できる川崎東扇島地区緊急物資中継拠点としての施設整備することにしたものでございます。
  16. 室井邦彦

    室井邦彦君 今の説明の中で、お分かりであればお答えいただきたいんですけれども、それぞれ施設一定距離を置いてという表現をされたと思うんですが、その一定距離というのは何か基本的なお考えがあるんでしょうか。
  17. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 具体的に何キロということであったわけではないというふうに記憶していますけれども、その中で、先ほど申しましたようにやっぱり必要な機能確保できるという点も、あるいは先ほど申しましたように平常時の利用ということも踏まえて必要な用地確保もできないといけませんし、先ほど申しました耐震強化岸壁とか、いわゆるこの機能を果たすための施設が既に整備されているということも踏まえて選定したものでございます。
  18. 室井邦彦

    室井邦彦君 そういう意味で一定距離を置いてという表現をされたわけですね。  多少重複するかも分かりませんがお答えをいただきたいと思いますが、ほかにこの候補地以外に検討をされたか、また、そういうことであれば、何をもって、基準をもって優劣を付けられ、比較するものがあればお示しをいただきたいんですけれども。
  19. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) ちょっと手元に持ち合わせておりませんけれども、基本的には、先ほどお答え申し上げましたように、東京湾という中で臨海部東京横浜川崎千葉という首都圏が入っています、そことのアクセスの良さでありますとか、あるいは先ほど申し上げました用地確保の問題とか、そういうものから場所選定させていただきました。  先ほど申しましたように、検討に当たりましては、東京湾臨海部のほか、首都圏西部でありますとか北部、さらに東部といったようなところも含めて検討した中で、じゃ、機能をきちっと果たせるということから選定されたものでございます。
  20. 室井邦彦

    室井邦彦君 じゃ、具体的にここと、何でしたかな、東扇島地区以外の候補地というのは特に上がらなかったということでしょうか。
  21. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 具体的に検討されたところでは、西部でありますと例えば調布飛行場周辺でありますとか、あるいは北部でありますと関越道あるいは外郭環状道路が交差した地域でありますとか、また東部でありますと常磐自動車道あるいは外郭環状自動車道が交差する地区、さらには京葉道東関道等利用する地区というようなところで含めて検討されたというふうにレポートにはございます。
  22. 室井邦彦

    室井邦彦君 ありがとうございます。  この有明地区は主として司令部機能を持って、そしてまた首都圏災害時のときには人また物全体の統制を行うところですというふうに説明を聞いております。また、東扇島地区は物流の基地として確保された、このように説明をお聞きしたわけでありますが、被害の分散の見地から見ましてもこの二か所ということは私も非常に適切じゃないのかな、このように私なりに思っておるわけでありますけれども、以外に二か所、三か所というような何かお考えがあるのか、当局担当者のお考えを聞かせていただけませんか。
  23. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 先ほど申しましたように、場所選定、位置付けにつきましては、こういう基幹的防災拠点としましてはここの二か所をやらせていただきます。  ただ、しかしながら、地震発生のときの緊急物資等輸送におきましては、既に周辺の港におきましても耐震強化岸壁等整備しているところもございますから、そういうものとも有機的連携を図りながら実際の災害復旧等に当たっていくというふうに考えておりますけれども。
  24. 室井邦彦

    室井邦彦君 先ほどのこの都市再生プロジェクト、第一次決定において、第一項は東京湾臨海部における基幹的広域防災拠点整備となっております。しかしながら、その第三項に突然なお書きで、この参考資料の十九ページに記載されているわけでありますけれども、突如としてなお書きで、なお大阪圏においても基幹的広域防災拠点整備計画策定に着手すると書いてあるわけであります。文章的にも突然このような文章に書かれ、また大変私自身奇異、不思議に、不自然だなというような思いも感じているわけでありますが、首都圏の項の中になぜ急に大阪圏という他の地域、県のことが入るのか理解できないところでありまして、その点についての御説明をしていただけないですか。
  25. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 私、都市再生本部の十三年六月の決定でございますから詳細に把握しているわけではございませんけれども、大阪湾におきましても阪神淡路大震災という大震災を経験したということもありますので、東京湾臨海部における検討と併せて大阪においても必要性が議論されたものというふうに理解しておりますけれども。  さらに、防災基本計画におきまして、二十年二月中央防災会議決定しておりますけれども、その中で、東京湾臨海部とともに京阪神都市圏における基幹的広域防災拠点整備についても推進するということで防災計画の中で会議決定されております。
  26. 室井邦彦

    室井邦彦君 申し訳ない、もう一度しっかりとはっきりとお読みいただけませんか。
  27. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 平成二十年二月の中央防災会議におきまして、京阪神都市圏におけます基幹的広域防災拠点整備を推進するということが決定されております。
  28. 室井邦彦

    室井邦彦君 ちょっと僕よく分からないんですが、この三項は平成十三年六月十四日当初からあったんでしょうか、こういう聞き方をいたします。
  29. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 詳細に私自身も、都市再生本部決定でございますので、詳細に把握しておりませんけれども、基本的に必要性を、先ほど申しましたように、阪神淡路大震災ということを阪神圏で経験しているということを踏まえて入れられたものというふうに理解しております。
  30. 室井邦彦

    室井邦彦君 何かすっきりしない答弁なんですよね。  そうしたら、ちょっと委員長にお願いしたいんですが、都市再生本部の当時の議事録があれば、是非資料提出ということでお願いをしたいんですが、いかがでしょうか。
  31. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 後刻理事会協議さしていただきます。
  32. 室井邦彦

    室井邦彦君 よろしくお願いします。  なぜこのようにくどくしつこくお聞きしなくちゃいけないか、私の先ほどの説明でお分かりになっていただいたと思うんですが、首都圏の次に直下型地震の蓋然性、起こる可能性が高いと言われているところは中部なんですよね、中部圏東海地域とも申しますけれども、その部分の記述がない、なのに大阪に飛んでいるという、この参考資料で、どうも不自然さ、自然じゃないなという思いがするわけであります。だから、くどく聞かしていただいているわけでありますが、ここで、大阪圏に出てくるのがおかしい。  更に質問をさせていただきますと、大阪圏となっているのが平成二十年度からの事業化される、そのときに今度は表現近畿圏という言葉に変わっているわけであります。その点はどのように大阪圏から近畿圏表現が変わったのか、いかなる理由でどうなったのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  33. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 先ほど申しました場所決定を見まして、特に京阪神都市圏においてその後、平成十三年の都市再生本部決定を受けて、平成十四年には京阪神都市圏におきまして有識者あるいは関係省庁関係市等から構成されます検討委員会が設置されまして、平成十五年六月に基幹的広域防災拠点必要性あるいはさらには広域防災拠点適正配置等に関し基本構想が取りまとめられました。この基本構想を受けまして、平成十六年三月には京阪神都市圏広域防災拠点整備協議会が組織され、基幹的広域防災拠点整備に向けて具体的な検討が進められてきたところでございます。  この結果、平成十九年七月に開催されました第三回協議会におきまして、海上から受け入れる緊急物資中継拠点等については、整備中の耐震強化岸壁近傍に必要な用地確保できることから、堺泉北港二区に広域防災拠点決定したものでございます。
  34. 室井邦彦

    室井邦彦君 自信のある答弁をしっかりとお願いしますね。非常に聞き取りにくいですし、本当に、特にどうこうと疑っているわけじゃありませんので、しっかりと文章をお読みになっていただければ有り難いと思います。  続いて、もう少し質問させていただきますが、首都圏と同じく候補地についての検討がなされたのかどうか。この点と、首都圏は二か所に分散されている、そして基幹防災拠点を非常に整備をしておられます。危機対応施設としては適切だというふうに私も思っておりますし、当局方々もそのような先ほどの私の質問に対してお答えをされているわけでありますが、大阪については一か所ということだけでありますので、この点についてもいろいろとお考えがあろうかと思いますので、この委員会でしっかりと御説明をしてください。
  35. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 京阪神都市圏におきまして、先ほど申しましたように、海上からの緊急物資の搬入あるいは中継拠点としては堺泉北港の堺二区地区ですることにしておりますけれども、司令塔機能を有します基幹的広域防災につきましては、引き続き候補地あるいは具体的な整備手法、さらには整備スケジュールについて先ほど申しました協議会において検討が行われているところでございます。
  36. 室井邦彦

    室井邦彦君 じゃ、それは何を根拠に進められておるんですか。
  37. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 基本的には、先ほど東京有明で申しましたように、機能でありますとかあるいは必要な用地確保でありますとか、そういう様々の観点を踏まえて検討されているというふうに理解しております。
  38. 室井邦彦

    室井邦彦君 少しくどいようでありますけれども、多少重複するかも分かりませんが、もう一度別の観点から御質問させていただきますけれども、先ほどあなたが答えられた平成二十年から近畿圏における基幹的防災拠点として堺北港堺二区地区基幹的広域防災拠点新規着工となっている。この予算化国土交通省内で実質的に決まったのはいつごろなんでしょうか。
  39. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 先ほども委員からの御指摘もありましたように、平成二十年度より事業化されたということでございます。
  40. 室井邦彦

    室井邦彦君 この構想が具体的に予算化されたのは十四年の補正予算からだと聞いております。  大阪堺北港地区についての具体的な検討国土交通省内検討されたのはいつごろでしょうか。
  41. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 堺泉北港の堺二区地区につきまして、具体的な国土交通省の中での予算化につきましては、十九年の七月に京阪神都市圏基幹的広域防災拠点整備協議会、先ほどの協議会でございますが、その第三回におきまして堺泉北港二区の整備地域で合意されたということを踏まえて国土交通省予算要求し、今年度から着手したものでございます。
  42. 室井邦彦

    室井邦彦君 そのときの国土交通大臣はどなたですか。
  43. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 冬柴大臣です、冬柴大臣でございます。
  44. 室井邦彦

    室井邦彦君 局長、しっかりしてくださいよ。  続いてもう少しだけこの部分で二、三質問させていただいて、また違う質問をさせていただきますので、あと二、三、御辛抱をお願いします。  この整備事業費は国とどこの自治体が負担するようになっておるんですか。
  45. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 堺泉北港の整備でございますけれども、堺泉北港につきましては、整備する内容は、臨港道路、それと緑地、さらには基幹的防災施設ということでございまして、まず国が負担します。その中で、臨港道路国費負担率は三分の二、緑地につきましては二分の一を国費負担いたします。残り負担でございますけれども、港湾法上、港湾管理者である大阪府の負担となりますけれども、地元での調整の結果、地方負担分の全額を堺市が負担するものと聞いております。
  46. 室井邦彦

    室井邦彦君 ちなみに、前国土交通大臣の選挙区、大阪十六区、この防災地点は堺市堺区、すなわち大阪十六区になるんですか。分からなければ私が答えましょうか。
  47. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 入ります。
  48. 室井邦彦

    室井邦彦君 入りますか、はい、分かりました。  しつこくしつこくこのような質問をさせていただいて、どの点を私が強調したいかというようなことでありますけれども、今一番震災が起こる可能性の高いと言われている、先ほど申し上げましたけれども、東海中部地震については国の予算整備されず、いきなりこの件につきまして関西地区だけがスポットライトを浴びているというか整備をされていることに、非常に違和感というか抵抗感を感じているんです。  しかも、それを所掌、管轄する国土交通大臣が続けてお二人とも関西出身であるということ、この点についてたまたまそうであったのか、私はそう信じておりますが、その点、なぜこのような東海地区、また中部地区、これをすっ飛んで大阪になったのか、この点の事情がよくお分かりである冬柴大臣に、御説明できないかな、御説明していただければ有り難いんですが。
  49. 冬柴鐵三

    ○国務大臣冬柴鐵三君) 通告いただいておりませんので、調べておりません。
  50. 室井邦彦

    室井邦彦君 大臣はそのようにお答えになられました。今、この点に対して、非常にこの参考資料を読んでおりまして私自身が不自然に感じるところが多くございます。あえてこのような質問をさせていただきました。  私も関西でありますから、もちろん阪神淡路大震災の恐ろしさ、そして中国で起きました四川省のあの大地震についてもいろいろと私自身考えるところはございますけれども、ただやはり東海、中部、ここは国土交通省の皆さん方もよくよく御理解をされておると思います。まず、この法案の改正、これは私も反対するものではありません。それぞれ国土交通省の皆さん方の細かい点、そういうところを気配りしながら研究をされてこのような法案の改正をされているということ、これはすばらしいことと私は高く評価をいたします。  ただ、今大臣お答えにならなかったわけでありますが、この参考資料をお読みになった方はある程度のことは理解、また、そういう点に対して流れが不自然だなというような思いをせざるを得ないということであり、まあ通告にないということで大臣は答えなかったわけでありますが、それはやむを得ない、このように私は思いますが、その点を十分にお考えをいただきながら、日本国土の形成、やはり全土をしっかりと平等にといいますか、東海、中部地震の方の目をしっかりと向けていただき、これからの震災に対する、災害に対する対応をしていただきたい、このように思っております。  じゃ、局長、ちょっとその点について何かあなたの私見がありましたら、お聞かせください。
  51. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 先ほどからもお答えしていますけれども、広域防災拠点整備もそうですけれども、従来から港湾におきましては耐震強化岸壁整備等を必要な港湾において進めております。そういう中で、全国の港湾におきます広域防災拠点整備につきましては今後の地域防災対策の在り方等を検討する中で議論していかれるものというふうに理解しております。
  52. 室井邦彦

    室井邦彦君 じゃ、視点を変えて質問をさせていただきますが、先ほども申しましたけれども、この東扇島地区施設をくまなく見せていただいたという御報告はさせていただきまして、感想も述べさせていただきました。  一つ気になることがあります。それは、ヘリポートの整備は十分になされておりました、しかしながら、給油タンク、また給油施設がないということが少し気になるところでありました。やはりこういう震災のときには、再三申し上げておりますけれども、自衛隊のヘリが非常に活躍をする。そして、阪神淡路大震災でも王子競技場のところにヘリコプターが一日何十機と発着陸をしている現状をしっかりと見てきた私にとりまして、このヘリポートに給油タンク、また給油施設がないということが少し今不安な思い、そういう状況になったときにどのように燃料の補給をするのか。燃料を常に備蓄しておくということは危険物の取扱いの難しい規定もあると思います。そういう点から、通常は空の状態であるということ、この点について、燃料の海上からいざというとき補給できるタンク、またヘリコプターへの給油装置を備えておくべきじゃないのかなと、こんなことを私は感じました。特に、この有明地区にも全く同じことが言えるんじゃないかというふうに思っておりますが、どうでしょうか、担当局長、この点についてどのようにお考えを、実際のシミュレーションをしっかりと頭に描けられて、ちょっとお考えを聞かせていただければ、お願いします。
  53. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 基幹的防災拠点のヘリポートにつきましては、緊急時の人員、物資輸送や支援部隊の活動に使用することを目的として整備したものでございます。  この場合、ヘリコプターはそれぞれの基地やあるいは近隣の空港、さらにはヘリポートなどで燃料を補給することを前提としていることですから、現在は防災拠点での燃料補給は考えておりませんので、そのための設備として整備はしてきておりません。  燃料を保管するタンクの設置につきましては、ヘリの運用効率の向上という利点もありますけれども、先ほど委員も御指摘されたとおり、日常の点検でありますとか、あるいは防災管理上の問題等も考えられまして、そういう中でのメリット、デメリット等を比較しつつ、慎重に検討していきたいというふうに思っております。
  54. 室井邦彦

    室井邦彦君 もう一度繰り返しますけれども、やはり実際そういう状況の中で、ここは物流、物の保管といいますか、集積するところであるということで、かなりのそういう状況、大災害が起きたときに考えますと、かなりの車関係、そしてまたヘリが発着陸する、そこにそういう給油施設が全くないということは実際どうなんだろうかな、こんな不安を抱いておるわけでありまして、その点十分に担当者の皆さん方、また勉強され、経験されておられます自衛隊関係、そういうところでまたいろいろと意見交換をされまして、ひとつしっかりとした対応を取っていただければ有り難いなと、このような思いをしております。  続きまして、少しこの法案、法案に外れることはないんですが、非常に気になったことがありまして、この参考資料の二十三ページに、ちょっと一部分だけ読ませていただきますが、この直下型地震というか、大きな地震、またこの来たときに官邸が被害により使用不能になった場合、次の手段は緊急対策本部は中央合同庁舎五号館に置くと、そしてこの五号館も使用不能になった場合、防衛庁中央指揮所内に置く、司令塔を置く、これが崩壊したときには立川広域防災基地に司令部を、本部を置くと。このように書かれているわけでありますが、それは非常に準備がいいというか、一つが崩壊すればその次ということになるわけでありますが、局長も皆さん方も中国のあの四川省の大地震、そして自然の力というものは人間が想像を絶するものがある、このことを私たちは自ら経験し学び、そして中国の四川省でも目の当たりに見たわけであります。そのときに、これ調べますと大体五、六百メーターしか離れていないんですよね。そして、立川だけが約二十キロぐらいあるんでしょうか。しかし、すべてこれ壊滅というか、使用不能になった場合ということもしっかりと危機管理として考えなくちゃいけない、対応しなくちゃいけないんじゃないのかなと、このような文書を読んでそう私は感じているわけでありますけれども、その点どうでしょうか、お考え又は御計画があれば聞かせていただきたい。お願いします。
  55. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 緊急災害対策本部につきましては、特に東京湾北部、想定しております東京湾北部地震の震度分布等から判断して、各施設の使用不能の状態を把握した上で、先ほど委員の指摘した形で緊急災害対策本部を設置していくというふうに考えております。  その中で、有明の丘の基幹的広域防災拠点でございますけれども、緊急災害発生時の現地対策本部としての機能を果たしていくという機能を有するものでございまして、川崎港の東扇島地区基幹的広域防災拠点と連携しながら現地の対策を進めるというものでございます。
  56. 室井邦彦

    室井邦彦君 いやいや、今、田名部先輩もぼやいておられましたけれども、地震というのはいつ、どこで、どのように起きるか分からない。そして、その点を、局長、もうちょっとしっかり、日本国民の国土を守っているんだというような気合いを込めた文書の読み方をしていただかないと、先ほどから何か朝御飯も食べていないような答弁で、非常に信頼感又は頼れるなというような答えが返ってこない。その点しっかり、笑わずに、本当にそう思っているんですから。皆さん方もお聞きになられて、あなたが国土交通省のこの関係のトップであるということ、そういうことを考えたときに、役人の中のですよ。  ですから、もう少し、私は、くどいようですけれども、この法案に対しては賛成なんですよ。もっとしっかりして頑張っていただかないと、もう四川省の地震、あのような地震が起きるということを世界中の地震学者が想定できなかったと思う。いつ、どこで、どのようなものが起きるか分からないということを、ただこの法案だけで、顕微鏡か虫眼鏡を見るような物の考え方、見方じゃなくて、ここで直下型地震が起きたらこの程度のものじゃ私は済まないなというふうな本当に心配をしているんですよ。  ですから、職員の方にも阪神淡路大震災の経験をされた方がおるように聞いております。それは経験した者でないと分からない。その点十分にまた現地調査をされて、しっかりと考え方をまた更に皆さん方とでやはり学んで学習してもらわないといけないなという、少し物足りなさを私は今感じているわけであります。  ですから、今我々、そのようなことも考えながら超党派で、もちろん自民党の方も民主党も、すべての超党派の方々で危機管理都市推進議員連盟というのが設置をされておりまして、この東京のこの部分だけじゃなく、日本の国がそういう直下型地震に見舞われ、東京が、こういう表現はしたくありませんが、全く機能が停止してしまった、そのときに日本の国はどうなるのかなと。しっかりとした発信力を世界にしていくためにも、副都心構想とか、総理がいろんな質問の中でやはり一極集中型の国土の形成では非常に将来を考えたときに不安な思いもするということも答弁をされておりますが、やはりそういうマクロ的な大きな物事の考え方と、こういう東京だけに直下型地震が起きれば交代をするんだということは連動されていると思うんですよね。  だから、しっかりとそういうことをお考えいただきたいというふうに思っておりますが、何かこの私のことに対しての御所見がございましたら、しっかりとお答えいただけませんか。通告しておりませんので申し訳ありませんけれども、一言申しておきます。
  57. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 今議員御指摘いただきましたように、災害時の活動を円滑にするために、これらの施設を有効に働くためにも、常日ごろから関係機関と連携しながら訓練の実施等をやり、いざ災害が発生した場合にはしかるべく対応できるようにしていきたいというふうに思っております。
  58. 室井邦彦

    室井邦彦君 本当にしっかりと、局長、よろしくお願いします。  少し、時間が五分ほど早いですけれども、田中党首にお譲りしたいと思います。じゃ、質問を終わります。
  59. 田中康夫

    ○田中康夫君 民主党・新緑風会・国民新・日本の一員でございます新党日本代表の田中康夫でございます。室井議員からも御配慮をいただきまして、五分ほど早く始めさせていただきます。  本日は、港湾法の一部を改正する法律案、この件、またこれに関連しての、より良い公共事業を国民の願いに基づき迅速に的確に明確に行っていく、このことを質疑をさせていただきたいと、このように思います。  まず、今回の港湾法の一部を改正する法律案、私は、この中にございます港湾広域防災施設の管理、そしてまたこのことを積極的に進めると。この点は、先日も東扇島防災拠点を拝見をさせていただいて、私はこれこそ、多くの方々国土交通省が国民のまさに生命と財産を率先して守り、またはぐくんでいくのだということを目に見える形で皆さんに表す場所だと思っています。  しかしながら、残念ながら、これが現時点ではこの東扇島と、また先ほど室井議員からも御質問がありましたように、大阪におきます堺の場所。全国、まあそれはロシアや中国やアメリカ合衆国に比べれば小ぢんまりとした国土とはいえ、南北に大変広いのになぜゆえ二か所であるのかと。このことを、やはり多くの方々が、納税者が望んでいられることを迅速に的確に行うということが求められていると思います。  この点に関して、まず、冬柴さんの、今後これをどのように具体的に、あるいはどういう期間で全国に展開をしていきたいとお考えか、是非決意のほどをまずお聞かせください。
  60. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 委員の御指摘の広域防災拠点でございますけれども、私たちが整備しています港湾の広域防災施設につきましては、複数の都道府県が同時に被災するような広域的かつ大規模な災害が発生した際に、国が主導して運用し、広域的な災害応急対策の拠点として使用する施設でありまして、中央防災会議防災基本計画でありますとか都市再生本部都市再生プロジェクト第一次決定によりまして、基幹的広域防災拠点として、現在、東京湾臨海部及び京阪神都市圏についてのみ位置付けがなされているものでございます。  そういう中で、一方、全国の港湾について見ますと、これまでも地域の要請に応じまして、災害発生時に市民等の避難地として使用される避難緑地でありますとか耐震強化岸壁整備を推進してきたところでございまして、これらの施設の活用によりまして、災害発生時に海上からの支援が可能となっております。今後とも、必要に応じて避難緑地耐震強化岸壁整備を進めていく所存でございます。  なお、今御指摘いただきました全国の港湾におきます港湾広域防災施設整備必要性につきましては、地域における防災体制の在り方を検討する中で議論されていくものというふうに理解しております。
  61. 田中康夫

    ○田中康夫君 これは、冬柴さん、決して須野原さんの個人の責任なのではないわけでございまして、須野原さんの御答弁の中にも、今後必要に応じてと。しかし、先ほど室井議員からも御指摘があったように、日本は活断層のある災害の頻発する国なわけでございまして、これ、必要があるということは恐らくだれもが、ここにいらっしゃる委員の方皆が感じていることだと思うんですよ。  にもかかわらず、法律を改正する段階においても今後必要に応じてという形では、これは本来、押っ取り刀というのはすぐさまやるというのが、どうも最近の若い子供たちは、おっとりとして行くみたいに言葉が変わってきているのと同じような、これ本末転倒になりはしないかと。  是非、これこそがやはり決断をする政治のリーダーシップが必要でございまして、この点に関して、冬柴さん御本人から是非決意のほどをお聞かせください。
  62. 冬柴鐵三

    ○国務大臣冬柴鐵三君) 御指摘がありましたように、この二つの部分で基幹的な広域防災拠点をつくるということは、平成十三年六月十四日の都市再生本部決定を受けて具体化されているものでございますが、その前に防災会議というところでこの方針が決められまして、こういうことになっているわけであります。  なぜ東京大阪なんだと、それについてはそこで指摘されてはおりませんけれども、ただ、阪神淡路大震災のような未曾有の大震災のときは東京は生き残っておりました。また、関東大震災、これもそのときも大阪は生き残っていたわけでありますから、私は、日本列島が全部一挙に破壊されるようなことはないんではないかというふうに思います。  その意味で、東京大阪、複眼構造といつも言われておりますけれども、東京に一極集中し過ぎているから、これを、首都機能を分散さそうじゃないかという御議論もたくさんあるわけでございますが、何といいましても、歴史的に見ても大阪はあらゆる意味で東京に次いでその能力があるんであろうというふうに思います。  したがいまして、私はつまびらかにはいたしませんけれども、この防災会議、これはこういうものに対する国の最高の機関であります。その決定を受けて都市再生本部が具体化した。そしてまた、先ほど室井議員からの質問はありましたけれども、それを個々具体的にしていったのは地方における決定でございまして、会議が何回も開かれておるわけであります。地方による京阪神都市圏広域防災拠点整備協議会というものが何回も開かれまして、そして土地選定その他が行われて、今日のこの提案になっている次第でございます。
  63. 田中康夫

    ○田中康夫君 こうした問題はやはり積み上げ型では駄目なのではないかと。積み上げていくから演繹というのは袋小路に入ってきているわけでございまして、多くの方々政治のリーダーシップを求めているのは、良い意味で一刀両断、独裁ではなく人々の経世済民のために決断をしてくれる政治ではなかろうかと、これが、やはり望むところを帰納法的に、今の前例がないという形を突破していく。  今、冬柴さんから防災会議あるいは本部というような言葉がございましたけれども、あえて申し上げますと、こうした防災会議、大変専門的な方々がそろっているのかもしれませんが、であるがゆえに袋小路の演繹的な考えになって、政治のダイナミズムの演繹的に広げる形にならないところが私は大きな問題。ですから、マスメディアというような方々にすら御用学者ではないかというふうに言われてしまったり、あるいは匿名性に守られた起案、だれが責任を取るのかが分からない形でこうしたところにたたき台が出てくるので東西二か所というような形になっているのではないか。  人口の多寡ということだけを考えても、これは東海地区というのも地震多発地域と国自体が、皆さんの気象庁自身も認めていらっしゃるところなのですから、少なくとも、じゃ、現時点では二か所とおっしゃるにしても、何年間の間に全国に何か所つくっていくと。地域合意が必要ということも民主主義かもしれませんが、地域合意が行われる間に何年も掛かっていれば、その間に人々の生命や財産が失われるかもしれない。  このことに関して私は国土交通省に期待するのは、良い意味で旧運輸省と旧建設省がインテグレートをした、そしてそこに気象庁もあり、さらには人々に潤いを与える観光庁までできるということは、これこそがシームレス、つなぎ目のない行政を生命と財産のためにできるのは国土交通省でございます。これは財務省でも私は総務省でもないと考えております。  こうした中で、是非このことを皆様お一人お一人が、役所の現場方々もお一人思っていらっしゃることは必ずやあられると思います。是非そのことを、局長あるいは大臣を支えるのみならず、皆さんが良い意味で明治維新前後の志士のような気持ちを持たれて、人々から拍手をされる私は国土交通行政を是非ともこうした安全の面に関して早急に進めていただきたい。でなければ、川崎の地にあっても、じゃ千葉の方はどうなのかと、同じ関東圏においてもという話になります。  今回の法律の改正の中におきましては、重要国際埠頭施設の制限区域への出入りの確実かつ円滑な管理ということで、ある種のIT化ということを進めようとされております。他方で、このことは、やはり私ども海運国家であり、そして必ずしも資源立国ではない人財立国が多くの交易をするという上において、効率化を図るという、効率の良い政府を目指されていることかと思いますが、残念ながら一方で人口は一億二千万人を超えておりますこの日本で、世界の港湾別のコンテナの取扱個数というもののランキングは、東京においても二十二位、横浜においても二十七位、名古屋も三十四位、神戸三十九位、大阪五十一位で、これそれぞれ二〇〇五年のデータでございますけれども、二〇〇一年よりもランキングは下がっていると。  こうした中において、二〇〇五年から世界の取扱高で一位になったのはシンガポールでございます。むろん地理的にシンガポールが要衝の地にあるという観点もあるかもしれませんが、しかし、何ゆえこのシンガポールはこうした港湾行政において躍進を遂げているのか。この点に関して国土交通省としての認識というもの、また、その中で日本はどのような強みを持つためにいかなる具体的手段を行っていくのか、この点をまずお聞かせください。
  64. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) まず、シンガポールでございますけれども、シンガポールにつきましては、委員御指摘のとおり、地理的に非常にマラッカ海峡に面し、周辺の国との近接もある中で港湾の整備を推進してきたということで、特にヨーロッパ航路あるいは北米航路等の通過点にあるということから、その地理的を生かしながら港湾整備を進めた結果、現在の地位に達しているというふうに考えているところであります。  そういう中で、我が国の港の整備でございますけれども、四面環海という日本におきまして我が国の国際競争力を強化するために、現在、スーパー中枢港湾を始めとする我が国港湾の機能強化は最大の課題でございます。現在、二十二年度までにアジア主要港をしのぐコスト、サービス水準の実現を目標にスーパー中枢港湾プロジェクトを推進するとしておりまして、大水深高規格コンテナターミナルの整備でありますとか、ターミナルの大規模一体運営、さらには船舶の着岸から貨物の搬出が可能となるまでの時間の短縮など、ハード、ソフト一体となった取組を推進しているところでございます。  さらに今後、スーパー中枢港湾と地域の港湾との内航船によるネットワークの強化でありますとか、内陸の生産、消費地との輸送を円滑化するための鉄道輸送との連携強化、また情報通信技術の活用といったものを行いまして、スーパー中枢港湾におきます船会社や荷主へのサービス水準の向上のための多様かつ効果的な取組をスピード感を持って進めることが重要だというふうに認識しております。
  65. 田中康夫

    ○田中康夫君 一つ一つの決意表明はおっしゃるとおりなのかと思いますが、その上で専門家であられる須野原さんに、では、その港湾における搬出入の効率化ということのために具体的にどういうことを日本は行っていくのか、これをお聞かせいただきたいと思います。
  66. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 例えば、ソフト面におきますと、シングルウインドー化によって手続を、関係省庁の手続を一か所に書類申請をすればすべて進む。これにつきましては、この十月に次世代のシングルウインドーが供用いたしますので、そういう点も含めて、それによってスピーディーを図ると。  さらには、今回、法案をお願いしておりますトラックドライバー等のターミナルへの入退出における本人確認といったものを、従来は各ターミナルごとの許可証でやっておりましたものを全国的に統一したシステムを導入してやるというようなことを進めながら競争力を高めたいというふうに考えております。
  67. 田中康夫

    ○田中康夫君 よろしいですか、これは衆議院の方でも議論になったようでございますけれども、そのトラックの搬出入の際のIT認識、これが間違っているわけではございません、しかしながら、この一点を行うための法律改正では、先ほど言った、木を見て森を見ずどころか、点をつぶして点の周りを埋めることすらできないですね、閉ざされた演繹なのではなかろうかと私は思うわけです。  では、その敵の強みと弱みを知るということは、これはいかなる場所においても必要なことで、先ほど来シンガポールも優れているとおっしゃいました、じゃ、具体的にシンガポールの優れているどういう点をいつまでに日本はキャッチアップしていくのか、この点をお聞かせください。
  68. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) シンガポール、その前にシンガポールと我が国の港湾の一つの大きな違いを申し上げますと、シンガポールは、御承知のとおり、扱う貨物は基本的に他の港湾から持ってこられた貨物をそこで大型船、本船に積み替える、あるいは本船から降ろされた貨物を小型船によって周辺の港に配分するといったトランシップ機能導入のための港でございまして、ターミナル内における荷役の円滑化等を中心に進めているところでございます。  さらに、シンガポールにおきましても、カード一体型の生体認証システムといったものも導入しております。さらに、ターミナルの大型化といったことを進めているところでございまして、それらにつきましても、私たちが進めておりますスーパー中枢港湾政策の中で取り入れることによって、周辺各港との競争力を備えたコンテナターミナルの整備に結び付けるものとしておるところでございます。
  69. 田中康夫

    ○田中康夫君 冬柴さんも民間の企業の方とお付き合いがあると思いますけれども、民間と呼ばれるところは、これは、いつまでに何をだれがどのように行うのかということがプレゼンテーションがなければ決裁も下りないわけでございます。  今須野原さんがおっしゃったこと、先ほど来申し上げているように、これは一港湾局の私は責任や問題ということではなく、日本全体の政治の共有すべき危機感だと思います。今須野原さんがおっしゃったようなことを、冬柴さんとしては、少なくともいつまでに答えを出し、いつまでに実施をするのか、この点をお聞かせください。
  70. 冬柴鐵三

    ○国務大臣冬柴鐵三君) 今取り組んでいるアウトラインを述べましたけれども、ワンストップサービスでやる、いろいろな書類を、日本の場合、日本語と英語で両方付けて出させたり、そして、それが検疫、あるいは防疫、それから納税、それから入港、いろんな窓口に対してそういう書類を出さされる。先ほどのシンガポールなんかは、船が走っている間に、もちろん英文ですけれども、ファクスで送れば、そのまま入ってくれば、そのまま作業ができるというようなことをやっているというふうに私は承知いたしております。したがいまして、我が国においても、これをワンストップサービスで全部やるということを今年の十月ごろまでにやろうということをやっているわけであります。  ただし、港湾管理者が日本の場合、全部都道府県知事になっちゃったんですね。そういう意味で、港湾の入港料というものは、その都道府県ごとに違うんですね。したがいまして、これも統一したものをやっていただこうと、これには一年ぐらいの余裕が要ると思いますけれども、条例改正とか要りますから。こういうものもワンストップサービスでやっていただこうということで、我々としては今進めているのはソフトの方はそういうことです。  ハードの方は、約十七メートルぐらいの深度の岸壁を、もちろん耐震岸壁ですけれども、これをスーパー中枢港湾には取り入れようということで今も鋭意作業をやっているところでございますので、外から見ても、あと一、二年の間にはそういうものが私の方はできるだろうというようなことは分かっていただけると思います。
  71. 田中康夫

    ○田中康夫君 一、二年というのは、大分長い腰だめになってしまうわけでございます、数字で。  今お聞きしていると、これも国土交通省だけの責任なのではなくて、やはり日本の政治にダイナミズムを呼び戻す上において、いや、ほかのところとは違うからというのは、こういう言い訳は、私も山国で知事をやっていたときに、山に囲まれているからとか、平地がないからとか言いますけど、そんなこと言ったら、京セラの稲盛さんが神戸は海があるから埋め立てれば空港を造れるのかなと、うちの京都は土地がないかもしれないけど、だから知恵出すんだと言ったわけでして。これが、韓国においても知識経済部というような、ナレッジエコノミーというような部署ができる、まさにこれはサプライサイド、供給側の都合を言うのではなく、消費側の希望に根差した政治になっているということではないかと私は思います。  その意味でいえば、実は総務省というところは、これ自治事務だと言ったのに、住民基本台帳ネットワークシステムというのを地方分権している自治事務のところに関してお金を掛けて構築したんですね。構築したんですけど余りうまくいっておりませんで、住基カードというのはいまだに日本の中では、総務省自身の発表でも二百三十四万枚しか、これ累計でございますので、再発行した方もいます、転居すると。なので、普及率は日本全体の中のわずか一・八四%というすばらしい実績を誇りながら、毎年ランニングコストが公表されているだけでも百七十億円掛かっている、一・七%の方に行っていると。このお金、ほかに使ったらいいんじゃないかという話なんですが。  つまり、分権されているから港湾行政を国土交通省が統合的に扱えないというのは、これはやはり逃げでしかないと私は思います。  シンガポールは、逆に言えば、積荷を入れ替える形だけだとおっしゃった。でも、そうすると、シンガポールが仮に、もう航空業界では使われなくなった単語ですが、ハブ・アンド・スポークのハブだったとすると、日本はじゃスポークのままでいいのかという話でございまして、資源を輸出入するこの日本が、総合商社という言葉が世界用語にまでなったような歴史を持つこの国がスポークのままでいいのかということです。  ちょっと私もシンガポールに関して少し調べさせていただいて、これはもう皆さんの方が十分御承知のことだと思います。ただ、議員各位のために、あるいは議事録をお読みになる方々のためにちょっと申し上げさせていただきますと、シンガポールもかつてはシンガポール港湾庁という、ポート・オブ・シンガポールというのが一九六四年に設置をされていたわけでございます、官の組織でございますが。  これが分割されまして二つになりまして、シンガポール海事港湾庁、マリタイム・アンド・ポート・オーソリティー・オブ・シンガポールというのが、これが一九九六年。シンガポールも九〇年代後半に非常にIT化という、箱物ITをするだけじゃなくて意識改革を組織的にも行っているわけでございまして、このMPAと呼ばれますシンガポール海事港湾庁は何を行うかというと、船舶検査や船舶登録、航行安全や水路業務を行っていた国家海事局というものをも同時に一九九六年に統合をして、そして港湾の管制や出入港の許可や港湾関係の規制部門を担当している。そして、もう一つ民営化された組織が、一九九七年にシンガポール港運営株式会社というものが、PSAと、新しいPSAというものができて、これが港湾ターミナルや附帯施設整備や運営や港湾内の航行運航管理の業務を行っているわけです。  この中で私は大変に驚きましたのは、日本の先ほどの住基ネットは単なる目に見えない箱物をつくっただけのIT化です。このシンガポールの場合には、まずポートネットというものを先駆けて一九八九年につくっております。これは海運業界向けのEコマースネットワークでございまして、これをシンガポール港運営株式会社が運営しているんですけど、ここは何を行うかというと、港湾関係申請書類の提出、入港スケジュールや船籍、コンテナ貨物の搬出入情報の確認やコンテナを着けますバースの予約等、これを後ほど御説明するトレードネットというものともリンクをして、コンピューター上で船の上からでも行えるようになっているんでございますね。  入港手続というのは、これ皆さん御存じのように、複雑だというふうに言うかもしれませんけれども、これを恐らく、先ほど十月にとおっしゃいました、あるいは一年二年とおっしゃいましたが、そこまでの構築が果たして日本はできているのかということで、ポートネット、ここの部分に入力をするだけで、MPAと呼ばれますシンガポール海事港湾庁の側が運営をしているマリネットという側にもリンクをしていて届出がワンストップでできると。ですから、入港手続が船の上からでも、あるいは各支店からでも十分間でできると。あるいは、コンテナ貨物の搬出入の情報を、現状で港が今どういうようなバースの状況かということも登録や検索が五分でできるんですね。このトレードネットと呼ばれるものは実はシンガポール国際企業庁と呼ばれるインターナショナル・エンタープライズ・シンガポールというところが統括しているクリムゾンロジックという、まあロジスティクス、軍事用語で言えば兵たんのようなものでございます。つまり、どのように物資が動くかと。これが運営をしておりまして、貿易業者だけでなくて政府機関そして税関をすべて結んでいるわけです。  これはもう一つ、今日、航空局長にもお越しいただきましたけども、先ほどの私、トラックの出入りのIT化と、しかしこれ港湾だけでなく港湾のフォワーダー、業者の方々は航空関係も行っているわけで、トラックの大きさは違うとおっしゃるかもしれないけど、企業であったりあるいは現場の運転手の方はほぼかぶっているわけですから、なぜ港湾局と航空局が少なくとも一緒になって出入港の管理のIT化を一緒にしないのか、これこそ閉ざされたIT化でございます。  同時に、このトレードネットが行っていることは、私も大変驚きましたのは、港湾貨物だけでなくて航空貨物あるいはさらには陸送貨物のすべてを通関手続から関税、消費税の支払まで電子的に処理をしております。シートが一枚、大臣はあるいは英語と日本語がと言うかもしれませんが、少なくとも航空の場合にはみんな英語になっているわけで、港湾だってほぼ英語でございます。下に日本語が付いてたっていいわけでして、そのために電子化なわけでございまして。シート一枚に集約入力するので、従来はシンガポールにおいても三十種類以上の手書き書類を出さなければいけなかったので、これが極めて煩雑であったものが、まさにワンストップサービスを具体的にやっているということです。  ですから、瞬時に税関等にも転送されますので、通常三分以内に港湾貨物や航空貨物や陸送貨物の通関手続や関税、消費税の支払等が電子上で可能であるということです。そして、無論各国には貿易の管理品目、いわゆる制限品目等がございます。こうしたものに関しても、管轄をしている政府機関に自動転送する形になっているので、これも三十分以内に各機関の側から自動的にきちんと許諾の返事が来るという形になっているということです。  ですから、これをシンガポールではシングルフォーム、一枚の書式ですね、そしてシングルサブミッション、一回の申請だけ、そしてシングルインターフェース、まあインターフェースというのは二つの異なるものの間を取り持つというようなことでございますが、一つのインターフェース、そしてシングルプロセスと、一度の手続で済むと。これこそがやはりシームレスということです。  そして、このシームレスの発想は恐らく何かというと、管理供給する側の都合ではなくて、業者の方々もこれは消費側の方々です。そして、そこで扱うものを食べたりあるいは使ったりする商社の方もあるいは消費者の方も、皆消費側でございます。消費側の視点に立っていかにITを活用するかということが行われていると。  これに関しましては、一週間の中でわずか四時間だけコンピューターのメンテナンスの時間帯はございます、日曜日の深夜に。しかし、それ以外は二十四時間、三百六十五日、このシステムはいつでもどこでもだれもが世界中のどこからでもアクセスできると。したがって、コンテナのバースが空いている時期を考えて、ロードファクターも良くなるということです。  そして、これはシンガポールの政府の発表では、逆に言うと今までこうした港湾の業務等に一万二千人ほどの方が携わっていたのが半減されたと。そして、従来に比べると二十倍の効率的な時間のコンテナ処理が可能になってきて、二千二百億円程度のコスト削減になっていると。先ほど申し上げた人口で一・八四%の方々に百七十億円ランニングコストを毎年使っている住基ネットの十倍以上のコスト削減を、日本よりはるかに人口が少ないシンガポールにおいてできているということです。  そして、もう一つシンガポールにおいてはコンピューター・インテグレーテッド・ターミナル・オペレーション・システムと言うんだそうでございますけれども、つまり輸送するトラックの配置、待機の場所とか、あるいはクレーンの移動とか、あるいは積替えの船への、船が岸壁に着く着かない、こうしたことを中央制御室から現場のオペレーター、機器を動かしている方に対しても統合的に行うと。これは決して独裁的ってことじゃないということです。やはり明確な責任を持った上で効率的に行う方がいる、こういうリアルタイムの指示を行っている。ですから、私はやはりこれはシンガポール政府が繰り返し言っていますけれども、民間利用者の利便性を最優先するんだと、そのために私たちは税金をちょうだいしている人間としてのサービスを行うんだと。やはり、こうした観点を持った上で具体的なプランを速やかに実行していただかなくては、日本の今までのすべての計画同様にアウトプットがもたらされないということではないかと思います。  さらに、もう一つ驚きましたのが、これはちょっと御質問をしたいんですが、トレードエクスチェンジと呼ばれるのを、更なるカーゴシステムの世界的な貿易流通関係システムを接続をしていくということをシンガポールが主導権を持って行っております。これは何かというと、シンガポールの港、先ほどおっしゃったように、ハブであるとおっしゃった。すると、シンガポールと争う香港であったり、あるいは韓国の釜山でありましたり、あるいは台湾でありましたり中国、さらには、貿易扱い高としてはさほどではございませんが、オーストラリアやマレーシア等の海外税関や商業システムへの接続も可能にしていくということを計画をして、具体的にこれはもうアイ・エヌ・ジーの形になっているわけでございます。少なくとも、まずこれに関して日本は、じゃ、どのように参加をするのか、あるいはその中で日本のITの技術をいかに活用して日本にとってもウイン・ウインの形にするのか。この辺りのことも、私よりもより専門な方々が今日はおそろいだと思いますので、お聞かせいただきたいと思います。  同時に、航空局との間で、港湾局とこの今回の法案改正の下でIT化をどのように一緒にフォワーダーの方々に関しても行おうとしているのかお知らせください。
  72. 冬柴鐵三

    ○国務大臣冬柴鐵三君) 今、田中委員の御高説、十分拝聴いたしましたので、これから進める行政の一つの参考にさせていただきたいと思います。  先ほど申しましたけれども、ワンストップサービス、この府省共通のポータブル、統一電子申請窓口というものをつくりまして、これは今年の十月、先ほど言いましたが、稼働を予定をいたしております。それによって、例えば入国管理、乗員の上陸許可とか支援システム、それから検疫所、検疫手続、それから港湾のEDI、港湾入港手続、これは統合されます。それから、税関手続、それから貿易管理、食品衛生、それから植物検疫、動物検疫、こういうものを、みんなばらばらにしていたのを一つで、ワンストップで、一枚のことでできるようにいたします。  それから、先ほど余分なことを言いましたけれども、入港料、これは各港湾管理者が取っておりまして、シンガポールのように、私の元の選挙区の淡路島と同じ面積ですよね、シンガポールは、そういう小さなところではありませんので、我が方は、例えば阪神港、いえば神戸、それから尼崎、芦屋、西宮、そして大阪、泉北、こういうようなところが港を持っております。しかしながら、港湾管理者はそれぞれ違います。入港料もそれぞれが別々に支払わなきゃならないというようなことがありましたが、一開港制というものを取りまして、阪神港では一つの納税で済むようになりました。  まだそういうふうになっていないところもあります。しかしながら、そういうことを進めて、一、二年と私申しましたが、それは早くできるところもあれば、二十二年にはこれを全部つくろうということで今努力しているところでございまして、例えばスーパー中枢港湾、これについてはアジアの主要港をしのぐコストサービス水準を実現しようと、大変ですよ、これ、アジアをしのぐことですから、目標にやっております。それから、大水深高規格コンテナターミナルの整備、それからターミナルの大規模一体運営、船舶の着岸から貨物の搬出が可能となるまでの時間の短縮などを今進めているわけですが、これは平成二十二年までにこのようなものをやろうとしています。  それから、先ほど田中委員からもおっしゃいましたけれども、荷揚げについてのコンテナをつり下げる自動化は、横浜の本牧では私は世界最高じゃないかと思いますよ。そういう技術を日本は持っております。したがいまして、今一生懸命追い付くべく頑張っているところでございますので、よろしくお願いします。
  73. 田中康夫

    ○田中康夫君 なかなか大本営発表というのはバラ色のように見えて、具体的に消費側からは希望が実感できないと。御質問させていただくたびに、やはり私どもの野党と呼ばれている側が参議院では既に与党でございますから、私どもが明確な、的確な認識、迅速な決断、明確な責任の下に国民のために政治を担わねばならないということを改めて痛感をいたします。  念のため申し上げれば、先ほどの世界の港湾と結び付けるこのトレードエクスチェンジというのは、わずか三十五億円の投下で可能になるんですね、シンガポールにおいては。恐らく皆さんが今回つくられるようなシステムの、複数程度の港のトラックの出入りのところの投下資金とほぼ変わらない形であると。やはり、ここに大きい政府、小さい政府というような二項対立を超えて、効率的な政治とは何かということを、政府・与党にいまだ、まだしがみついておられるならば御認識を深めていただきたいということを思います。  続きまして、資料の方もお配りいただきたいんですが、私は、フジサンケイグループの扶桑社から扶桑社新書というので「「脱・談合知事」田中康夫」というようなタイトルの本まで扶桑社がお出しくださっていて、談合や利権をつくらなかったので山からちょっと下りていいと言われて、今、捨てる神あれば拾う神ありで、参議院議員を皆様と一緒にやらせていただいていますが。  実は、財政破綻だという夕張市には夕張シューパロダムというのが千四百七十億円で造られておりまして、なぞだとも言われております。このシューパロというのは、今回超党派で国会の決議をいたしますアイヌの方々の言葉で言うと真実の泉という名前なんだそうでございますから、財政破綻をしているところで北海道開発局が千四百七十億円掛けて、ダムの上に更に大きな巨大なダムを造って、どこに使うかもしれないお水のために千四百七十億円掛けるというのは、アイヌの言葉のそのシューパロという意味を極めて文学的な意味でお使いかと思ってしまいますが。  同様に、川辺川のダムも、知事が替わられて、政府・与党の方が支持された東京大学教授であった方は早くもダムの撤去をやめると。川辺川ダムも着々と造られることになるのかと。私がいなくなった長野県でも浅川ダムというのが着々と造ると言っているわけでございます。あるいは、小豆島のようなところで、わずか水源から四キロで海であるというところに巨大なまたダムを造ると。愛媛県のようなところでも山鳥坂ダムというようなものを造るというので地域が大変苦悩していると。  これ、ダムに関して私は今日申し上げたいんじゃなくて、実は、国土交通省は期せずして入札の改革を、大変すばらしい結果をこの夕張シューパロダムに関してはもたらしているというお話をまずいたしたいと思うわけでございます。  これに関しまして、皆さん御存じのように、一工区目に関しましては、大成建設を始めとするジョイントベンチャーが何と落札率四六・六%という形で落札したわけです。これは私が見ても、入札改革を先駆的に行ってきた人間が考えても、これは採算割れの入札としか思えないわけでございまして、これは公正取引委員会もおかしいとは言いました。ただ、結果として、世論に動かされる形の中で、通常は、恐らくこのJVの方は二工区目は随意で、シームレスという継ぎ目のない公共事業ということでくるので、ここで落札率を九九とかにしようと思っていらっしゃったのかもしれませんが、国土交通省が英断を、まあ英断かどうか、押し切られてかもしれませんが、予定価格の二工区目の積算に関しましても通常の積算単価を大幅に下回る一期工事の工事単価を用いるということで受発注業者間で合意をしたということなんだそうでございます。  実は、今日お配りをいたしました資料の中には、国は何をやっているんだというふうによく言っている地方自治体というのがございます。私は国にだけ文句を言う地方自治体でいいのかということを自治体長を務めておりましたときにも大変に感じていて、おねだりをするだけの自治体でいいのかと、まずは隗より始めよということを言ってまいりました。  御覧いただきますと、二〇〇五年度、これは御覧いただくと、落札率の表でございます。くしくも、落札率が九〇・七%の和歌山県、九四・二%の福島県、あるいは全国で最も落札率が高かった、高いのは良いことではございませんが、九五・八%の宮崎県は四十七位と。こうしたところで知事が逮捕をされるということを経て、全国知事会は平成十八年の十二月十八日に指針を出しております。  皆様御存じのように、都道府県の公共調達改革に関する指針という形で、平成十八年の十二月十八日、実は十一月十五日に突如やると言って一か月で決まった内容なのでよっぽどスピーディーかというと、そういうわけではなくてちょっと抽象的ではあるんですが、とにかくこれは問題なんだということを言って、どういう指針を具体的に出したかというと、お手元にお配りをしたように、まず一般競争入札の拡大と指名競争入札の原則廃止と。つまり、業者をあらかじめ決めている入札は談合の温床だという形を取りました。そして、当面、一千万円以上の工事に関しては原則として一般競争入札にするんだと。また、良い意味で、どうしても地域が限られたり応札する業者数が限られておりますと、顔見知りでございますからあうんの呼吸が出るので、二十者から三十者以上を原則とすると。そしてさらに、これが増加するように一層の緩和を図るということを知事会は述べております。  しかしながら、この平成十八年の十二月からもう一年半が経過いたしましたが、残念ながら全国の自治体の中において一千万円以上の一般競争入札にしている都道府県は、四十七都道府県のうちのわずか十六府県に限られております。また、政令市に関しましても八政令市に限られております。  この問題、知事会という、道路特定財源も私たちのものを使っている、そして総務省から交付税ももらっている、国土交通省からも補助金を巨額にもらっている、こうした団体が一年半たってもなおこのような空手形のまま、そしてこれに関してどのような是正をするかということは全国知事会においてもその後話し合われた痕跡がございません。  この問題に関して、私は、国土交通省がある意味では率先をして入札を変えるといっているときに、足下の自治体がおねだりばかりで変えないという形では、これは国土交通省だけがサンドバッグのような形になるわけでございまして、この問題に関して、まず冬柴さんの少し、嘆きといいますか、あるいはお怒りというか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。これだって道路特定財源とか様々入っているわけでございます、この自治体は。
  74. 冬柴鐵三

    ○国務大臣冬柴鐵三君) 私どもは、先ほど隗より始めよと言われましたが、大変いろいろなことも御指摘いただきました。  したがいまして、昨年の十二月二十六日に、私は、これから直轄工事で我々がやるものについて一般競争入札でやるんだと、それがどうしてもできない場合には総合評価等導入をいたしますけれども、随意契約はやめると。当時九六%ありましたけれども、それは六%まで、その六%というのは、これは例えば周知遺跡の上で道路工事をしなきゃならないというような場合に、その発掘調査とかそういうものは入札というわけにはいかないんです。地元の教育委員会、そういうところにお願いをせざるを得ないわけで、そういう例外的なもの、あるいはパテントを持っている、そういうようなもの以外はすべてそういう形でやるんだということで、今大変な困難がありますけれども、国ではやっております。  我々は、地方におきましても、いわゆる都道府県レベル、あるいはその下の市町村レベルも是非そのようにやっていただきたい、我々は強く期待をしているところでございます。ただ、一般競争入札にしても、あるいは総合評価ということになりますと、大変手続が複雑になります。そして、本当にそこの速記の机の上では乗り切れないほどの書類を山盛り作らなきゃなりません。大変技術的です。  そういう意味で、我々、地方で採用していただくについて、都道府県はそれはその能力はありましょうけれども、市町村レベルではそういうことをやる人手あるいはそういう知識その他、そういうものがなくても、経験がなくてもできるような簡易なマニュアルを作って、そしてそういうものを是非やっていただきたい、こういうことを希望しているところでございます。
  75. 田中康夫

    ○田中康夫君 例えば全国で最も落札率が高かった宮崎県は、下がりはいたしました。しかしながら、一般競争入札はいまだ四千万円以上という形になっていますので、四千万円以下に分割をすれば合法的にこれは指名入札ができるという形なわけでございます、こういう抜け駆けは。都道府県知事会は一千万円以上というふうに言っているわけでございます。  この点に関しまして、実は資料でお付けをいたしましたように、低落札率、宮崎県、四位に入ってはおりますけれども、御覧いただくと分かるように、四千万円以上ですので、不透明な部分がいまだあると。あるいは、落札率が高い県というのがございます。  これ、やはり、最低制限価格というものを予定入札価格の何掛けくらいとするべきなのかと。私は、七五から八〇の間という形で設定をいたしておりました。また、すべての入札に関して一般競争入札を導入する。しかし、これは弱肉強食ではないということをこの後お伝えをしたいんですが。  最低制限価格というものに関して、先ほどのシューパロのような形で採算割れの入札をされては、これは逆に粗雑工事になりますので、どのようなところに置くのか。今までの長年の経験があられる国土交通省としてどのようにお考えか、具体的な数値目標としてお教えいただければと思います。
  76. 冬柴鐵三

    ○国務大臣冬柴鐵三君) 同じようなことを経済財政諮問会議で私尋ねられましたので、そのときに、今までに調査したものを基に説明をしました。  八〇%を切りますと、非常に下請が苦しくなります。そして、品質保証もできなくなっているということが明らかになった資料がございました。そのことを説明をいたしました。しかしながら、もちろん、安い方がいい、今の、本当、私もちょっとびっくりしたんですけれども、七〇とか七五というのは、これは私は品質は確保できないんだろうと思います。私は、そういうものについては、低価格入札ということでしっかり立入調査をして、下請いじめがないかどうか、それから工事中の保安手続はきちっと保安要員を立ててやっているかどうか、でき上がった品物は設計図どおりのものができているかどうか、労働強化はしていないかどうか、しっかり調べさせていただく、そのように思っております。
  77. 田中康夫

    ○田中康夫君 もう一点、実はお手元にお配りした内容は、現在、五月二十四日付けあるいは二十六日付けの東京新聞の一面にも載っております。通常、茨城空港と呼ばれているもの、これは二百五十億円を計上をして百里基地を併用で扱うという形のものでございますが、ここの周辺道路、実はこれは道路特定財源も入っているわけでございます。  余談でございますが、茨城空港では受けないというので、何か知事は、トウキョウメトロポリタン・イバラキエアポートという、何かどこの国の言葉か分からない空港名にしようと。静岡空港も、富士山が見えるかどうか、すそ野まで見えることはあり得ないのに、富士山静岡空港と言っていて、大分距離が、百キロ以上ございますから。そうしたことになりますと、私がいた県でいうと、飯田の方が善光寺空港と言うような話でございまして、これは本当に羊頭狗肉だと思いますけれども。さらには、東京北空港にするなどと言っておりますが。  これは笑い話ではなくて、この道路に関しまして、こちら御覧いただくと分かるように、平均落札率が九六%でございます。まさに高落札率割合が九一・七と。談合ができなかったというのは、これはたまたま低く入れた会社がございます。しかし、よく御覧いただきますと、二者くらいございますので、一者だけがこの価格でもできるよといって入れたのではなく、一者が低い金額を入れるということを察知をして、もう一者の側も、これは仲間で協力をして低い価格を入れたんだけれども、どちらが取ったのか、談合破りをやった方なのか談合破りをいじめようと思った側が取ったのか定かではございませんが、このように二者だけ低いところがあって、残りは皆一〇〇%近いというような形でございます。これが、多くの方々が良い意味での道路行政に使ってほしいと願っていたはずの道路特定財源が入っていると。東京新聞では、これは官製談合の疑いもあるのではないかと、ただ、定かではございません。  ただ、これは市民オンブズマンも、先ほど冬柴さんは、八割以上の落札ではないと、というふうにお話がありましたが、私は逆に、この全国知事会の二十者から三十者というのも少し甘くて、やはりこの件に関しましては五十者以上というような形にしていくことが良い意味での開かれた入札になる。あるいは、一千万円以上だけでなくてすべての一般競争入札にする必要があるのではないかと思います。  この百里基地周辺の道路に関しましては、この高止まりの落札率、ちょっと数値を御覧になられて見解があればお話しいただければと思います。
  78. 冬柴鐵三

    ○国務大臣冬柴鐵三君) これは補助事業ですね。ですから、県がやられたんでしょう。ちょっと分かりません、県がやった。ただ、余りにも並び過ぎていますね。
  79. 田中康夫

    ○田中康夫君 大臣からも、冬柴さんからもそういう力強い、力強いというか、あれでございます。  ですから、やはりこれ全国知事会が言った内容すら一年半たってもほとんどの大半の県が行われてないと。やはりこのことに関しては、国と地方が上下とかいうことではなく、横の関係であるならば、国土交通省や総務省、あるいは補助金が入っているのであれば会計検査院も含めてきちんと皆さんに理解されるようにする。そうでありませんと、国土交通省だけがサンドバッグのような形になって、公共事業というものが後ろめたいものになっていくということは好ましくないと思っております。  最後に、実は、ですから、ただ落札率が一番低ければよいというものではございません。今日お手元にお配りしたのは、私の知事時代に落札率が全国で一番低かったデータがございます。次が宮城県でございましたが、翌年には、最終年には宮城県の方がコンマ幾つ落札率が低くなって、そのとき多くの新聞記者の方は、いや二位になったなんて後退ですかと言ったんで、私は違いますと言ったんですね。  実は、この参加希望型競争入札という紙をお配りをいたしました。実は、御存じのように、道路の維持補修というのは全額地元費でございます。ところが、私が知事に就任いたしましたときも、東京の大きなゼネコン系列の企業が県庁所在地に事務所を持っていて、ここが元請でお取りになったりする。すると、実際に地元の方を雇用している企業が孫請、ひ孫請であると。結果的に、孫請、ひ孫請に来るまでにお金が抜かれていると。そして落札率は、こうした道路の維持補修、全額地元費も九九%近い高落札率でございました。  そこで、これは、実は先ほどの茨城県は入札改革をしないで分割発注をしているので更に高値止まりになって、地域要件も限定しているので更に高値止まりになっているわけです。私は地域要件を拡大すると同時に、今まで直接県の入札に参加できなかったような、経営事項審査からするとDやEというようなランクの方も機械をお持ちで従業員をお雇いですから、直接こういう方が参加できるような参加希望型競争入札といたしました。  すると、落札率が大体八掛け前後になります。地元のメディアの方が、八掛けでは苦しいんじゃないかということで、地元の土木建設業のこうした方々にアンケートを取ったら、約九割五分くらいの方々がBツーBの発想、先ほどのシンガポールもそういうことです。コンシューマーのためにBツーBをしている、ビジネス・ツー・ビジネスをしている。そのことによって八掛けであっても十分採算が取れるという答えが九割五分近い方からいただいた。すると、すぐには、私何度も申し上げているように、構造転換できない土木建設業が五十二万社全国にある。御家族を入れれば二千万人、人口の六分の一の方、六人に一人の方々が土木建設業に従事をしていらっしゃるということです。  小泉純一郎さんの間には、その方々をIT産業に、サービス産業に、福祉に行くのかの何のプランも示さないまま四割を切られた、金額だけを。そして、多くの方々が疲弊こんぱいされているわけです。けれども、地域のお金でやっているならば、地域のことはBツーBで行えば、八掛けでできれば残りの二割はほかの歩道の整備や道路の補修、さらには、補助金ではございませんから福祉や医療や教育にも用いることができる。こうした福祉や医療や教育は労働集約的産業でございますから、ここでまた新しい二十一世紀の雇用が生まれるということでございます。  ですから、是非ともこれは国土交通省としても言っていただきたいことは、入札の改革制度を行うと同時に公共事業評価を行う。また、建設産業の方々が農林業であったりあるいは福祉等への建設産業の構造改革をしていく。さらには、チェック機関、あと一分ほどでございますが、実は土木部、農政部、林務部の中に検査機能を設けました。粗雑な仕事をしている場合にはやり直しをしていただく、入札のペナルティーを与える。しかし、先輩や勝手知った企業の方が行った仕事だと、明らかに粗雑ならばやり直しと言えますが、なかなか難しいところがございました。  そこで、私は、会計局の中に、実はこれは三重県の北川正恭さんの時代に空出張手当を明らかにしたオンブズマンの弁護士が三重に在住しておりまして、長野県の入札改革の委員になっていただきました。六十歳を超えて軽井沢に老後で移られたので、この方を任期付任用職員として雇いまして、会計局長に任命をいたしました。すべて出口のところをチェックできる。しかし、この方は決して妙なイデオロギーの正義漢ではございませんので、この方の下に土木部や農政部や林務部の優秀な技術職を各五名ほど配置転換を良い意味でしていただきまして、そしてこの方々に検査チームになっていただきました。すると、この方々は、部署が変わると良い意味で、二十二歳、二十歳で入ったときの初心に戻って、地域方々のために良い仕事をしていなければやり直しをしてくださいということが言えるようになりました。  私は是非、国土交通省というのはコンシューマーを扱う、観光行政まで扱っている。サプライサイドの理屈ではなく、消費者の側の観点に立って、そして旧建設省、旧運輸省、あるいは海上保安庁、気象庁、観光庁、多くの省庁を統括的に行っているところは、これこそがシームレスなことを行っていただける場所ではないかと思います。  落札率の高さ、低さではなく、やはり多くの方にきちんと仕事をしていただき、きちんと理解していただける公共事業あるいは港湾行政というものを推進していただけることを願って、質問を終わらせていただきたいと思います。
  80. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  81. 吉田博美

    委員長吉田博美君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、港湾法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  82. 長谷川大紋

    長谷川大紋君 自由民主党の長谷川であります。  質問に先立ちまして、連日テレビや新聞などにより被害状況が報道されております中国四川の大震災は、世界中の人々が改めて震災の恐ろしさを目の当たりにしておるところであります。大震災の発生から三週間が経過をいたしました。今なお救援救助活動が続いております。亡くなられた多くの方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、一刻も早い被災者、負傷者への救助活動ができますよう、お祈りを申し上げる次第であります。  本法案に入ります前に、先ほど話題になっておりました茨城県の関係についてお伺いをいたします。  中核国際港湾の常陸那珂港を有するひたちなか地区と、その地区の重要な交通ネットワークを支える常陸那珂有料道路に関する質問でありますが、常陸那珂港を中心に整備中のひたちなか地区は、三百ヘクタールに及ぶ国の保有地や工業団地などを擁しており、毎年夏には日本最大級のロックフェスティバルの会場となるひたち海浜公園を隣接し、今後の北関東を中心に我が国の発展を支える大きなポテンシャルを持った地域として順調に整備が進められております。  これまでの基盤整備の効果といたしましては、数社の大型メーカーの工場が進出し、創出された雇用者数は千五百名以上、パートやアルバイトなど非正規雇用は数千名に上ると見込まれております。また、大型商業施設も立地されるなど、茨城県の県北地域の拠点としてその姿を現しつつあるわけであります。現在整備中の北関東横断道路が完成することによりまして、その波及効果は県内のみならず栃木、群馬を含めた北関東の発展に大きく貢献されるものと自負をしております。  この北関東横断道路でありますが、茨城県ひたちなか市から群馬県高崎市までの百五十キロメートルの幹線道路であります。北関東横断道路が全線開通することによりまして、首都圏から放射線状に延びる東北縦貫道、関越道、常磐道の三つの高速道路と連絡し、首都圏や北陸、東北地方への交通ネットワーク化が進むことはもちろんのこと、移動時間の短縮はもとより、産業や文化の交流、北関東各地に点在しております観光の振興、災害時の安全性向上など様々な効果が期待されておるところであります。  来年度には北関東縦貫道と開通の見通し、そして平成二十三年には、待ちに待っておりました関越道と開通することによりまして全線開通の運びとなっておるわけであります。さきに述べました常陸那珂有料道路は、北関東横断道路のその起点となる常陸那珂港を結ぶ有料道路であります。北関東の経済産業の発展に大きく寄与する重要なネットワークであると思っております。  過日、一部の全国紙やテレビの報道番組におきまして、地方有料道路の赤字問題が取り上げられておりました。報道内容は、道路の整備目的や地域振興の観点が欠落をし、整備効果を整備途上の現時点において判断するなど、あえて国民に誤解を招くような意図が働いているのではないかと思われるわけであります。国や県では五年先、十年先を見通した上で施設基盤の整備を進め、将来的な整備効果を考えた上で事業計画を行っており、一部のマスコミによる短絡的思考の報道に対して強い憤りを感ずるものであります。  そこで、国土交通省に伺いますが、このひたちなか地区開発の国政上の重要性とその位置付けと併せて、北関東三県を結ぶネットワークとしてのこの常陸那珂有料道路の果たすべき役割についてお伺いをいたします。
  83. 松島みどり

    ○副大臣松島みどり君) 長谷川委員がおっしゃいますように、道路というのはネットワーク結ばれて初めてそこで利用価値がフルに出てくるものだと思います。おっしゃいますように、まだ全線が通じていないところの一部を取りまして採算性がどうのこうのと言うのは正当ではないと思っております。  御質問お答えいたしますと、まずそのひたちなか地区、この常陸那珂港を中心としたひたちなか地区の国政というか全体の中での位置付けでございますが、このひたちなか地区の開発につきましては、一番最初が、昭和四十四年、新全国総合開発計画におきまして、東京湾への港湾貨物の著しい集中を緩和するため茨城県臨海部における拠点港湾等を建設する、そういう形で位置付けられました。それ以来ずっと国土計画の中では同じような位置付けでございまして、平成十年の二十一世紀の国土のグランドデザインまでこういう形で位置付けられているものでございます。そうやって整備を進めてきました。そして、今現在考えてみますと、我が国の成長力の強化、そしてまた地域活性化といった観点からも、この常陸那珂港を中心としたひたちなか地区の開発は極めて重要なものであると考えております。これは国政レベルの中での、国の政治の中でのひたちなか地区の位置付けであります。  そして、委員がおっしゃいましたように、ひたちなか地区は既に日立建機やコマツ、そういった建設機械メーカーが進出して何千人という方々の雇用が創出されています。これも、港に直接面しているから輸出がしやすいということでここに立地されているものだと考えております。この常陸那珂港におきましては、北米航路、ヨーロッパ航路、そしてロシアのナホトカと結ぶ航路、韓国の釜山、中国上海、そういったところとの外貿定期航路が開設されているわけであります。それによりまして、大型船でさっき申しましたような会社の建設機械の輸出が活発に行われるようになっております。港が非常に産業の集積に役立っているその象徴的な事例ではないかと考えられます。  そしてまた、内航定期航路につきましても、北海道の苫小牧や四国の松山といったところに内貿の定期航路も開設されているわけでございまして、このように外貿も、そしてまた内貿におきましても航路ネットワークの中で非常に重要な位置付けであると考えております。  先ほどの道路の話でございます。常陸那珂有料道路でございますが、北関東自動車道と一体となって、そして北関東地域と常陸那珂港を直接結ぶ、そういう道路であると考えられます。  委員も御指摘ございましたように、平成二十一年度、来年度、今これは北関東道が一部途切れているわけでございまして、平成二十一年度になりますと東北自動車道とちゃんと結ばれるようになると。平成二十三年度になりますと、全線開通して高崎におきまして関越自動車道とも結ばれるようになります。そうしますと、既に北関東の内陸部、栃木県や群馬県、さらに埼玉県なども産業立地が非常に集積している工場がたくさんあるところでございまして、こういったところからそのひたちなかに向かって直接来る、そして常陸那珂港から輸出すると。そういうことを考えますと、この常陸那珂有料道路は今以上に重要な有料道路になってくると考えられます。  こういうふうに考えますと、この常陸那珂有料道路は、全線、関東自動車道が全線開通した平成二十三年度におきましては、重要な港湾地域でありますひたちなか地区と北関東地域の経済や産業の発展に重要な役割を果たす、そういった道路の良さがフルに発揮されるようになってくると認識しております。
  84. 長谷川大紋

    長谷川大紋君 ありがとうございました。  副大臣、常陸那珂港はまだ五割しかでき上がっておりませんので、一日も早い完成を目指しておりますので、今後ともよろしくお願いを申し上げる次第であります。  本法案に関する質問に入ります。  地震大国であります我が国におきまして、現在、首都圏における大規模地震発生の切迫性が指摘されております。阪神淡路大震災での被害は記憶に新しく、災害発生の瞬時の対応が国民の生命を大きく左右するため、政府はいかなるときでも最善の対応を取れるよう、過去の災害の教訓を生かして常に準備をしていかなくてはならないと思います。  広域災害時に迅速かつ円滑な災害応急対策ができるよう、緊急物資輸送中継拠点となる基幹的広域防災拠点整備と運用体制の強化は急務であるわけであります。首都直下地震などに対応するため整備される川崎東扇島地区に続き、京阪神都市圏における大規模災害に対応するため、今年度から堺泉北堺二区地区基幹的広域防災拠点として整備されることになっております。  そこで、本法案について質問をいたしますが、政府は基幹的広域防災拠点の管轄区域をどのように想定し、またどのような災害を想定しているのか。  例えば、先日も当委員会質問におきまして同僚議員が取り上げました中央防災会議の大規模水害対策に関する専門調査会が取りまとめた海抜ゼロメートル地帯での水害の被害想定は、戦後首都圏で最大の被害をもたらした一九四七年のカスリーン台風並みの降雨量を前提として、もし利根川が決壊した場合、茨城県古河市の堤防決壊では六千三百人、埼玉県利根町の堤防決壊では死者二千六百人及び最大時百十万人が取り残され、東京に達した濁流が葛飾区と足立区を合わせて九百人もの命が奪われるという甚大な被害を予測をしたわけであります。このような被害が現実となり、被害が茨城県に及んだ場合、この川崎東扇島地区広域防災拠点はその管轄エリアと想定されているのでしょうか。  また、緊急物資基幹的広域防災拠点から被災者の手元に着実に届くため、輸送路の機能を果たす道路や河川の耐震化対策や、災害時に陸上、水上、航空の交通ネットワークを確保するため必要だと考えております。地域拠点、先ほども質問に出ておりましたが、今後とも新たな港湾広域防災区域を指定していくのかどうかを含め、国土交通省考えをお伺いするものであります。
  85. 松島みどり

    ○副大臣松島みどり君) おっしゃいましたまず第一点の川崎東扇島の拠点でございますけれども、どういった災害を想定しているかでございます。  これを造りました直接的な名目といたしましては、確かに首都直下型地震、これが複数の県にまたがって大きな被害をもたらすので、海の東扇島に全国からの救援物資を集めて、仕分をして、そこからトラックで関東各地へ運んだり、あるいは水路、利根川や多摩川、荒川、隅田川などを含めてそうやって運んでいくことも考えて、ここに大きな拠点を造っています。  しかしながら、災害というのはもちろん地震だけではございません。おっしゃったように、大雨の事態になって利根川の堤防が決壊する、あるいは荒川にしてもどの川にしても決壊する、そういった何万という方々が影響及ぶような大きな災害が起きたときには、もちろん、この川崎東扇島地区防災の拠点となって、そしてまた、先ほど出ました有明の方もいろんな意味で拠点となって動いていくことはもちろんでございます。  そして、二つ目の御質問の、今後どういったところが新たに港湾広域防災区域として指定されるかということなんですが、これはまず、各自治体、地方公共団体、それぞれの地域ブロックの都道府県や市町村といった地方公共団体におきまして、基幹的な広域防災拠点の在り方の議論をそれぞれの地域でまとめていただいて、その議論を踏まえまして国土交通省が、港湾を所管しております国土交通省としてどこにそういう機能を、今決めているのは二つですけれども、三つ目、四つ目をどうするかということを考えていく次第でございます。
  86. 長谷川大紋

    長谷川大紋君 次に、重要国際埠頭施設の制限区域への出入り監視につきまして、国土交通大臣が設置、管理する電子情報処理組織に埠頭管理システムを追加することでセキュリティーはこれまでより格段に強化され、テロや犯罪の防止に大きく役立つものと思われます。また、ICカードや生体情報による個人情報の照合などにより本人確認が確実に、かつ円滑に行われることで混雑時の渋滞が解消され、埠頭利用の効率化が図られるものと思われます。しかし、新システム導入には多額の費用を要することになるわけであります。  茨城県の場合、平成二十年度予算におきまして、港湾事業経費百二十九億のうち約八十三億円を県債で賄っております。国際航海に使用される港湾施設はこれまでも保安対策を実施してきておりますが、これら施設の維持管理費用及び監視に要する経費には膨大な費用負担が生じております。交付税により財政支援が行われておるところであります。  このような中、新たな埠頭出入管理システムの設置費用、システム使用料や維持管理費が港湾管理者に大きな負担となることが懸念されるわけであります。この埠頭管理システムを各港湾で導入する際、費用はどの程度となるのか、またその費用をだれが負担をするのか、経費面での支援を含めまして国交省の見解をお尋ねいたします。
  87. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 埠頭出入管理システムの設置及び管理運営に係る費用について、負担者の経費面についてお尋ねがございました。  本システムは、重要港湾であってコンテナを取り扱う六十五の港湾の百二十一のコンテナターミナルについて導入を予定しているところでございます。  その中で、システムの根幹となります中央に設置いたしますサーバー、それと現地のコンテナターミナルに設置してICカードを読み込むリーダーにつきましては国が整備を行うこととしております。これらの整備に要する総事業費を試算しますと約二十億円となります。これは国として整備するものでございます。  他方、埠頭出入管理システムの管理運営の費用でございますけれども、これにつきましては、便益を受けるコンテナターミナルの管理者等の利用者に使用料として御負担していただくことを基本的に考えております。その費用は、現在、埠頭出入管理システムの全体設計の中で検討中でありますけれども、使用料の水準につきましては、今後、国とターミナルの管理者により構成される協議会を設置して調整を図ってまいりますけれども、できる限り低減するよう努めてまいりたいと思っております。
  88. 長谷川大紋

    長谷川大紋君 次に、近年、アジアの主要国の急速な発展に伴いまして国際競争が激化する中、我が国の港湾事業は大変厳しい状況下に置かれておるわけであります。  我が国の港湾の国際競争力の強化を目指すため、入港料や施設使用料などができるだけ引き下げることや、港湾関連手続の簡素化、迅速化が必要だと考えております。本法案による特定重要港湾の入港料の設定、変更を事前届出制に緩和することにより、地域の状況やニーズに沿って自主的な港湾運営が行われることとなり、市場の状況を勘案しながら入港料を規定することで、諸事情に機動的に対応することができるのでなかろうかと思います。  しかし、シンガポール、中国、韓国など、近隣諸国には急速に成長してきた主要港が数多くあるわけであります。その取扱貨物量は増加の一途をたどっております。このような強力なライバルに対抗していくには、地域の状況やニーズに応じた対応だけではとても太刀打ちすることはできないと考えます。  国際競争力強化には、国が大きな指導力を発揮して方向性を示す、コスト、スピード、安全性、信頼性の面で、国際水準を確保した物流体系を形成していくことが極めて重要であると思うわけであります。輸入を始めとした貿易大国であります我が国の今後の港湾の在り方につきまして、国交省の御見解をお尋ねいたします。
  89. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) ただいま委員から御指摘がありましたように、今後とも、我が国の港湾は、効率的な物流ネットワークの構築、あるいは利便性の高い臨海部の産業空間の提供等を通じまして、我が国の産業の国際競争力強化や地域の活性化に貢献していく必要があると考えております。  国土交通省におきましては、我が国港湾の国際競争力の強化のため、主にスーパー中枢港湾において取組を進めているところではありますけれども、平成二十二年度までに港湾コストの約三割の低減、さらには、船舶が着岸してから貨物の引取りが可能となるまでの所要時間を一日程度に短縮することを目標として施策を進めております。  具体的には、コストにつきましては、コンテナターミナルの経営規模の拡大、あるいは施設使用料の低減等に取り組んでいるところでございます。また、スピードという観点につきましては、二十四時間フルオープンに対しての支援でありますとか情報通信技術の活用、さらには港湾関連手続の簡素化といったようなための様式の一元化でありますとかを進めております。さらに、内航船や鉄道等の円滑な接続によりまして、物流ネットワークの強化等に取り組んでいるところでございます。  また、安全性あるいは信頼性についてでございますけれども、コンテナターミナルの出入管理システムにつきまして、先ほどお答えしましたように、今回、全国的なシステムを取り入れるとともに、SOLAS条約に基づく保安対策等に取り組んでいるところでございます。このような施策を総合的に進めまして、今後更に国際水準を確保した物流体系を形成していきたいというふうに考えております。
  90. 長谷川大紋

    長谷川大紋君 最後の質問になりますが、今後の公共事業の在り方について大臣にお尋ねをいたします。  地方の産業を取り巻く環境は大変厳しく、公共事業や建設投資の減少に伴いまして、建設業者数、建設産業従事者の減少が著しい厳しい状況にあります。  近年、地方も国も相当程度の公共事業を削減をしております。我が県の茨城県であります公共事業、ピークでありました平成八年の当初予算は二千五十四億円、それが、平成二十年には一千十九億円余りと、千三十四億円余り、率にして四九・六%の減、すなわち半分になってしまったわけであります。関連する輸送、原材料メーカーなど幅広い分野にも影響が及び、経済全体での影響もかなり大きいものがあるわけであります。  また、地方における倒産業者の三割が建設業であると言われていることを踏まえ、地方における道路や河川整備災害時の緊急対応や災害復旧に迅速に対応する体制と機動力が崩壊の瀬戸際に来ておると言っても過言ではありません。  港湾機能の強化、施設や道路の維持管理費の増加や耐久年数を迎えた橋の架け替え、補強、学校施設の耐震化など様々な問題がある現状に加え、雇用者数の低下、失業者数の増加を抱える我が国の向かうべき方向は、国民の生命を守り、安全を確保するための公共投資の増加が図られるべきであると考えます。国がリーダーシップを発揮して、我が国の将来像を示し、国民に理解と協力をいただきながら、自信と責任を持って事業計画に取り組んでいただきたいと思っておるところであります。  我が国の将来の発展を見据え、国としていかに取り組むべきか、今後の公共事業のあるべき姿を大臣にお尋ねするものであります。
  91. 冬柴鐵三

    ○国務大臣冬柴鐵三君) 公共事業の役割は、御指摘の港湾の整備を始め、高規格道路ネットワークあるいは空港の整備など、国土の骨格となる基盤等を整備することにより、経済活動を活性化するとともに国民生活を豊かにすることにあると考えております。そうした中で公共事業予算が歳出改革の一環として削減されるなど、厳しい財政状況にあります。  ちなみに、これは公共事業関係費、国全体の推移でございますが、平成十年、補正後ですが、十四兆九千億でございました。しかるに、二十年度、これは当初ですが、六兆七千億まで減っているんです。これは実に十年の四四・九%、削減されている方が五五・一%、半分以上削れているんですね。こういう厳しい状況が国でも続いております。  それで、したがいまして、こういうことを容認していくからには、公共事業の重点化、効率化を徹底して、限られた予算で最大限の効果を発現するということが求められていると思います。  このため、今後も増大が予想される維持管理、更新に適切に対処する。これは、道路ストックなんかは特に、橋梁、トンネルがそうですけれども、高度経済成長時代、昭和四十五年以降、五十年代に造られたものが多いんですね。したがいまして、これ高齢化してくるんですよ。そうしますと、大変それに対する更新費用の圧力が高まってまいります。  港湾やそれにアクセスする道路、鉄道などの物流インフラへの戦略的投資等による競争力の強化、あるいは災害に強い国土づくりによる安全、安心の確保など、真に必要な社会資本の整備については、そういう事情にありますけれども、国土交通省としてはとにかく重点的に取り組んでいくことは必要だし、必要な予算はどうしても確保しなきゃならない、こんな思いでおります。  今後とも、知恵を出し、工夫をしながら、また入札契約制度の改革、事業評価の厳格な実施、コスト縮減等の改革を進めまして、着実な社会資本整備の推進について責任を果たし、子供や孫たちが自信と誇りが持てる安全、安心な国づくりに励んでまいります。
  92. 長谷川大紋

    長谷川大紋君 ありがとうございました。  終わります。
  93. 西田実仁

    ○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  港湾法の一部を改正する法律案でございますけれども、その前に、港湾といえば海上輸送のかなめになることは言うまでもないわけですけれども、物流全体を見ますと、やはり海上輸送とそれから陸上輸送との連携ということも大変大事になってくると思います。  今、この陸上輸送、とりわけ物流会社におきまして大変な状況になっております。原油がかなり上がっておりまして、軽油価格の上昇が特に中小の物流企業を直撃しているという状況でございまして、私の地元、埼玉でございますけれども、そこで見聞きする現状は、もはや廃業するか否かという選択を迫られているという状況であります。  実際、国交省さんから統計をいただきましたけれども、貨物自動車運送業の廃業届という統計を見ますと、平成十九年度で千三百七十件と。平成十五年度から過去五年間を見ても、大体千とか九百前後とかの数字にもかかわらず、昨年度におきましては一千三百七十件が廃業届をしていると。もちろん原油高騰だけが原因ではないと思いますけれども、しかしそういう今状況にある、ますます軽油も上がってきていると、こういう状況でございます。  政府として、総合物流施策大綱というのを定めておりますけれども、なかなかこのままではその遂行も難しいんではないかと思っております。そこで、様々な施策を既に打たれておりまして、その一つは、燃料価格の変動によるコスト増を別建てにするという、いわゆる燃料サーチャージ制というものが既に取り組まなきゃいけないということで始められております。  まずお聞きしたいのは、その普及の現状、とりわけ下請のトラック業界におきましてどういう普及がなされてきているのかということについてお聞きしたいと思います。
  94. 本田勝

    政府参考人本田勝君) トラックに関して、軽油価格が非常に高騰しコスト増という状況でございますが、本来、運賃は企業対企業で決めるのが筋だとは思いますけれども、残念ながら、トラックの場合には荷主さん、あるいはトラック業界の中でも元請、下請の関係で、価格交渉力が極めて弱いということからなかなか運賃転嫁が進んでいないというのが実情でございます。  このために、私ども、公正取引委員会さんと連名でこの三月に緊急措置を取りまとめさせていただきました。具体的な経過を申し上げますと、三月十四日に、燃料サーチャージ制を様々なトラック事業者の方々が導入しやすいような、そのためのガイドラインを作らせていただき、今までのところ延べ百五十回の説明会を全国で開いて、まずは、下請の事業者さんも含めて燃料サーチャージ制というものを理解していただく必要がございますので、そのための説明会を実施いたしました。  同時に、最終的にお金で負担されるのは荷主さんでございますので、国土交通審議官あるいは私ども、そして地方の運輸局長、総動員で現在までのところ六十八の団体に対し直接お伺いし、お願いに上がっているというところでございます。  運賃改定自体は、最終的に荷主の方が了解し、そして交渉の上で決まってまいりますので、やはりある程度の時間は掛かると思いますが、現在までのところ、簡単に申し上げますと、この五月三十日に業界最大手の日本通運が燃料サーチャージ制の導入を開始いたしました。また、それぞれの地域でも代表的と言われるトラック運送事業者の方々で導入例が続いております。  こういった先行事例に引き続いて、先生おっしゃいましたような、まさに下請の事業者の方々にこの制度が定着していくように全力を尽くしていきたいと、こう思っております。
  95. 西田実仁

    ○西田実仁君 これは先ほど申し上げましたとおり、もう廃業せざるを得なくなるというような大変切迫した状況に今現場は起きているわけでありまして、かなりスピードを上げて燃料サーチャージ制を、全国的には一〇%ぐらいしかまだ普及していないということですから、この普及にかなり力を入れていかなければ大変なことになってしまうという危惧を私自身は持っております。  そこで、先ほど六十八の団体に対しまして、国交省所管の荷主団体に対して、この燃料サーチャージ制、またガイドラインの協力ということを要請しておられると思います。その団体自体が法人として物流業者との取引も恐らくあるんだろうと思うんですね。その要請したまず団体、その傘下のいろんな企業に徹底をするという、かなめの役割の団体にまず要請されたんだと思いますけれども、団体自体がまずこの燃料サーチャージ制を一荷主として出入りの物流業者とそういう制度をちゃんと定着させているのかどうか、まずそこから始めていかないと、なかなかその傘下の企業はそれに倣わないのではないかと、こう思うわけですけれども、いかがでございましょうか。
  96. 本田勝

    政府参考人本田勝君) おっしゃるとおりで、団体にも、先生、幾つかの種類がございます。私ども直接足を運ばせていただいて、即座に傘下の企業を集めていただいて、なおかつ私どもも説明にお伺いして周知徹底するというケースもございますし、今おっしゃいましたとおり、団体そのものが荷主としてやっていただくような場合には、直ちにトラック事業者の方と相談をしていただくといった形で、いろいろな形はございますけれども、総じて御理解は賜っておると、こう考えます。
  97. 西田実仁

    ○西田実仁君 まず、模範をしっかり国交省所管の団体に示していただいて、そうしたことが広まっていくということがスピードを上げていくことになると思いますので、是非確認をまたしていただきたいと思います。  そこで、この問題について大臣にもお聞きしたいんですけれども、これまで国交省としてもこの原油高騰対策というものを累次にわたって行ってきたと思います。しかし、ここに来てまたかなり新しい局面にもなってきているような急騰ぶりでございまして、第何弾、三弾になるんでしょうか、この原油高騰対策ということも必要になってくる場面になりつつあるんじゃないかなというように懸念をしておりまして、こうした原油高騰対策の今後につきまして大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  98. 冬柴鐵三

    ○国務大臣冬柴鐵三君) 昨今の原油価格の高騰はもう大変なものでございまして、軽油価格は平成十五年度に比べて七割上昇いたしました。トラック産業におきましては、軽油価格が一リットル一円上昇するだけで業界全体では百六十億円の負担増が発生いたします。これまでに産業全体では、十五年度以降、七千百億円の負担増と推計されておりまして、これではもう営業努力だけではとても吸収できないような状況であると理解はいたします。  しかし、このために国交省としては燃料サーチャージ制の導入、これを定着させるための努力をしていることはただいま局長からるる説明したところでございます。まあ一社でも、大口で日通さんが採用されたということは明るいニュースでございまして、是非この後に続いていただきたい、このように思っているところでございます。  ただ、やはり自由主義経済の下では政府ができることも限界があります。私どもとしましては、通商産業省の中小企業庁とも連携をいたしまして、原油価格高騰に係る中小企業対策として特別相談窓口を設けるとともに、資金繰りの円滑化対策としてセーフティーネット貸付けの限度額を、中小企業金融公庫あるいは商工組合中央金庫では四億八千万円ということで、国金、国民生活金融公庫は四千八百万円ということで、セーフティーネット保証の場合は、普通保証は二億円、無担保保証は八千万円ということで、これは別枠でございます。  したがいまして、こういうものを是非利用いただきまして、これ原油がいつ下がるかなかなか先行きが見えないんですけれども、とにかく頑張っていただきたいと、我々もそれのお手伝いは何とかできる範囲のことはさせていただきたいと、こんな思いでございます。
  99. 西田実仁

    ○西田実仁君 是非また必要な対策、私どもも一生懸命考えてまいりたいと思っております。  それでは、法案について幾つか確認をさせていただきたいと思います。  まず初めに、国土交通大臣によります港湾広域防災施設の管理等についてでございます。  川崎東扇島地区基幹的広域防災拠点につきましては、国土交通大臣が一時的に自ら管理することができるというふうに法整備をされるわけであります。ここで言うところの一時的とはどれくらいを想定しておられるのか、また、その間、一時的の間ですね、その港湾施設の管理体制に関しまして、港湾管理者である川崎市にはどの程度権限が残るのか、これについて御説明いただきたいと思います。
  100. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) お答えを申し上げます。  国土交通大臣が管理する期間につきましては、災害の規模あるいは被災地の復旧復興の進捗状況等を把握した上で決定することになりますけれども、初動態勢の確立に必要な時期から、緊急物資輸送活動を経て港湾施設の所期の機能確保するための原状回復が終了までの一連の期間を想定しているところでございます。なお、過去の例で申し上げますと、阪神淡路大震災の際に現地対策本部が約二か月半設置されておりましたし、また自衛隊の災害派遣が約百日間にわたり行われました。いずれにしましても、先ほど申しましたように地震の被災の状況あるいは復旧復興の状況によって変わってくるものと思っています。  また、非常災害が発生した場合、国土交通大臣は、事前に港湾管理者の同意を得て定めています港湾広域防災区域内にあります広域的な災害復旧対策に必要な国有港湾施設について施設管理を行うこととしており、川崎の場合では緊急物資の搬入、搬出に使用する耐震強化岸壁あるいは緊急物資の仕分、一時保管に使用する緑地を管理するということを想定しております。  一方、港湾広域防災区域外の通常の港湾施設につきましては、非常災害発生時におきましても、港湾管理者であります川崎市におきまして引き続き施設管理を行うこととしております。
  101. 西田実仁

    ○西田実仁君 この港湾の様々な防災施設というものの管理について今お聞きしましたけれども、この首都直下型地震の場合、首都直下地震対策大綱に定められておりますのは、港湾のみならず当然道路とか、あるいは鉄道事業者あるいは空港管理者、港湾管理者も含めて、あと河川管理者等々それぞれに求められている施策ということがあるわけであります。  その中で、この資料を確認いたしますと、特に鉄道高架橋につきましてはその耐震補強が、大手民鉄、関東地域において、全国に比べれば高いんですけれども、まだ進捗度が六割に達していないという状況でございました。また、一都三県の緊急輸送道路につきましても、そこにおける橋梁も、大規模な地震により損傷のおそれがある橋梁八百橋、また落橋、倒壊のおそれのある橋梁が二百橋あるわけでありますが、こうしたやや進捗が相対的には後れている鉄道高架橋の耐震補強について今後どう考えるのか、どういうめどを持っておられるのか、また、その大規模な地震によって損傷のおそれがある橋梁の整備、耐震補強についてどのようにお考えなのか、この二つをちょっとお聞きしたいと思います。
  102. 冬柴鐵三

    ○国務大臣冬柴鐵三君) 民鉄の、JRはまあ九八%やっていますが、地下鉄事業者が八七、民鉄が五九と、進捗率が低いということは御指摘のとおりでございますが、大手民鉄につきましては高架下に多くの店舗が利用されているとか、あるいは耐震補強を行うことは利用者との調整が必要であるということから、他の事業者に比べて進捗率が低くなっておりますけれども、大手民鉄におきましては、高架下利用者との調整を精力的に今進められておって、補強が促進されるように取り組んでおられるところでございまして、国土交通省としても高架橋の耐震補強が促進されるように、大手民鉄始め鉄道事業者に引き続き指導をしてまいりたいと思っております。  それから、首都直下型地震対策の大綱に定められている緊急輸送道路における橋梁の耐震補強についてでございますけれども、平成十七年九月の中央防災会議が取りまとめました首都直下地震対策大綱では、災害対策要員あるいは資機材の輸送基盤となる緊急輸送道路にある橋梁の耐震補強が重要な施策であるということを位置付けておられます。  四川省の地震の報道からも分かるように、被災地への救援あるいは救助部隊の派遣、食料や水の供給というところで道路が災害発生時に機能するかどうかが極めて重要であるということを改めて痛感しましたし、私も阪神淡路大震災のときに緊急輸送道路にある橋梁が落橋するんです、落橋しているんですよ。私もその朝、ずっと自分で自動車を運転して回りましたけれども、落橋によって先には行けないと。落橋していなくても、橋梁の部分だけ残って周りが液状化で沈下してしまって自動車が通れないというような事態もありました。  したがいまして、緊急輸送道路にある橋梁の耐震補強を進めるということは非常に大事でして、首都圏で一都三県で七千八百橋あります。そのうち、二十年三月末現在で約八七%に当たる六千八百橋については耐震対策は完了をいたしております。一都三県というのは東京都、埼玉、千葉、神奈川のことでございます。  残る一千橋につきましても着実に耐震補強を進める必要がありまして、災害時の迂回路あるいは代替路の機能が期待される環状道路等の道路ネットワークの整備と併せて、必要な予算確保しつつ重点化、効率化を図りながら計画的にこれを整備を推進しなければならないと、このような思いでございます。
  103. 西田実仁

    ○西田実仁君 とにかく、いつ起きるか分からないので、これはもう早急に進めていく必要があるというふうに思います。  ちょっと港湾に関しまして、別の視点ですけれども、今国交省の方で国際リサイクルポート構想というのを進めておられると思います。今、全国に二十一の港がリサイクルポートとして指定されておりますけれども、この循環資源の広域輸送における海上輸送の役割は大きいにもかかわらず思うように進んでいないと言われております。  様々な提言も出されておりますけれども、その原因としては、例えば循環資源の港湾における取扱基準が明確ではない、統一されていないという問題。あるいは、循環資源を取り扱える港湾基盤施設に国の支援というのはありますけれども、それが十分に利用されていないという問題。様々な問題が指摘されております。  最初にお聞きしたいのは、国交省として、リサイクルポート構想、とりわけ私の関心事としてはアジア諸国をもにらんだような国際循環資源物流ということについて、どういう姿勢で、どこまで本気で取り組もうとしているのかということについてお聞きしたいと思います。
  104. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) リサイクルポート施策につきましての御質問でございますけれども、国内の問題と御指摘のアジアとの関係でございます。  まず、国内の問題でございますけれども、先ほど御指摘がありましたように、今現在、二十一港を指定して施策を推進しております。その中で、推進する国の施策と併せて、平成十五年には港湾管理者や民間事業者などから構成されますリサイクルポート推進協議会が設立されておりまして、現在、同協議会と連携しながら、技術的、制度的な取組を進めながら施策の推進を図ってきているところでございます。  そういう中で、うまくいっている港もありますけれども、今御指摘がありましたように、幾つか課題として、例えば循環資源のうち廃プラスチック等で廃棄物としての取扱いが求められる資源について自治体間で搬入手続が大きく異なっていること、あるいは輸送する荷姿の規制でありますとか、さらには地域ごとの取組が温度差があるといったようなことから十分に機能は果たしていない港もあります。ここにつきましては、循環型資源取扱いについて地域における意識を高めていくとともに、技術的な知見の蓄積でありますとか実証実験による検証、さらには制度的な検討関係省庁等とも連携して取り組んで循環型社会の形成に努めていきたいというふうに思っています。  それと、もう一つ御質問もありましたアジアとの国際リサイクルポートの推進でございますけれども、国際的な循環資源輸送につきましては、平成十八年度に開催いたしました循環型社会形成促進のための海上輸送円滑化検討委員会というものを組織しまして、その中から、東アジア地域全体におけます循環資源の有効活用の促進と適正かつ円滑な循環資源物流の確保を図るために、水際管理の役割を担う国際循環資源物流拠点というものの整備必要性、そういう提言をいただいております。この提言の趣旨に沿って、中国との間での実証実験などのモデル的な取組でありますとか、リサイクルポート推進協議会に新設されております国際資源循環物流管理に関する分科会というところで検討が開始された段階という状況でございます。  しかしながら、国際的な循環資源の円滑な取引のためには、環境汚染防止に関する国際的な基準整備でありますとか、あるいは循環資源の輸送経路をたどるトレーサビリティーの確保方式といったような取り組むべき課題もまだ多く残されているところでございます。このため、国内の今までの経験等も生かしながら、国際的な循環資源輸送が適切に行われるように関係省庁とも協力しながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  105. 西田実仁

    ○西田実仁君 そうしたアジアとの国際循環を意識したときには、地球温暖化防止のためのCO2の削減という仕組みの中にリサイクルあるいは再資源化ということを組み込むことが重要であろうと思っております。  環境省の方にお聞きしたいと思います。  具体的には、例えばバージン資源から採掘をして運搬、製錬をするというときに発生するCO2と、それからリサイクル資源を使って新たな例えば携帯電話を作る際に発生するCO2との当然差があると思います。それをCO2削減に換算していく仕組みというものをつくっていくことによって、地球温暖化防止ということに対するリサイクル、また再資源化ということがより組み込まれていく必要があるんではないかと思っておりますが、環境省の方、いかがでございましょうか。
  106. 谷津龍太郎

    政府参考人谷津龍太郎君) お答え申し上げます。  現在、携帯電話からのレアメタルの回収につきましては基盤から金などの一部の希金属の回収が行われており、一部実用化されているわけでございますけれども、多様なレアメタルのリサイクル技術はまだ開発途上にあると認識しております。  今後、レアメタルを含んだ使用済製品の収集方法、またレアメタルのリサイクル技術を進展させることによりまして、鉱石から製錬するよりリサイクルする方が廃棄物の発生を大幅に削減できるとともに、CO2の排出量についても減少させる可能性があると考えております。  こういった考え方に立って国際的にどう取り組んでいくかということでございますけれども、例えば中国における温室効果ガスの排出削減にインセンティブを与えるような仕組みなどは引き続き検討していく必要があると思っております。
  107. 西田実仁

    ○西田実仁君 まさにおっしゃるとおり、中国は最大のこれから廃家電等の排出、生み出す地域になります。CO2ももちろん最大に排出しているわけでありまして、セクター別アプローチというものは一応同意してもらったようでありますけれども、それ以外にも、いわゆるライフサイクルアプローチというような再資源化ということもにらんで、地球温暖化防止というところに中国をより積極的に組み込んでいくためにもそうした考え方をこれからも取り入れていく必要があるというふうに思っております。  時間が来ましたので終わりたいと思います。ありがとうございました。
  108. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社会民主党の渕上でございます。  法案は、港湾の適切な管理を通じて国民の安全、安心の確保を図ることを目的に、非常災害が発生をした場合の措置等について改定するものですが、幾つかの点をお尋ねをして、あと確認をさせていただきたいと思います。  まず初めに、条文第五十五条の三の二の国土交通大臣による港湾広域防災施設の管理等についてお尋ねいたしますが、既に条文に明記をされていますので当然のことと思いますが、この規定は災害基本法第五十条の第一項に基づく災害応急対策であって、いわゆる武力攻撃事態法、周辺事態法などの有事法制に基づくものではないということを確認しておきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
  109. 冬柴鐵三

    ○国務大臣冬柴鐵三君) お説のとおりでございまして、国民保護法等いわゆる有事法制に基づく有事は対象とはいたしておりません。これは明確に申し上げておきます。
  110. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 次に、港湾広域防災区域の指定について、あらかじめ当該港湾の港湾管理者協議をし、その同意を得て告示する。港湾広域防災施設の指定は、災害発生時に国土交通大臣の判断で指定することになっているのでしょうか、どうでしょうか。
  111. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 事前に港湾管理者協議して決めております。それに基づいて災害発生時には指定させていただきます。
  112. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 港湾広域防災施設について期間を定めて自ら管理することができるとありますが、期間の定めとはどのような基準考えられておるのか、また、自ら管理するとは、緊急物資輸送に携わる船舶の入出港管理についても国交大臣が行うことになるのでしょうか。
  113. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 指定する期間につきましては、先ほども申し上げましたけれども、災害の規模でありますとか、被災地の復旧復興の進捗状況等を把握した上で決定することになりますけれども、初動態勢の確立に必要な時期から、緊急物資輸送活動を経て港湾施設の所期の機能確保するために原状回復をするということで、それが終わるまでの一定の期間ということで考えております。
  114. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 本条に基づく港湾運送事業者については、港湾運送事業法第十八条の二に基づき、自発的な港湾運送事業者がない場合あるいは不足している場合は公益命令によって行われるのでしょうか、いかがでしょうか。
  115. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 非常災害発生時におきまして港湾運送事業者による荷役が必要な場合には、国土交通省から事業者に要請を行いまして、事業者の協力を得て荷役が行われることになります。  しかしながら、自発的に港湾運送業務を行う者がいない場合又は著しく不足する場合におきましては、港湾運送事業法第十八条の二に基づきまして、国土交通大臣は公益命令を発することができることとなっています。ただし、過去の大災害発生等におきましては、地元港湾運送事業者の協力によりまして必要な荷役が実施されておりますので、公益命令を発したことはございません。  国土交通省としましては、非常災害発生時においても円滑な荷役が確保されるよう、日ごろから地元の港湾運送事業者等関係者との連携を密にしてまいりたいというふうに考えております。
  116. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 港湾広域防災区域において行われる港湾運送事業は、事業者が事業許可を受けた港湾の範囲を超えて行うことはないのでしょうか。
  117. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 非常災害発生時の広域防災拠点におきます港湾荷役につきましては、迅速かつ円滑な荷役を行うために地元の港湾運送事業者に協力をお願いすることになると考えております。  このため、先ほど申しましたように、日ごろから地元の港湾運送事業者等関係者との連携を密にしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  118. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 ないと確認しておっていいですか。
  119. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) はい、ないというふうには考えております。
  120. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 大規模災害の発生時における緊急物資輸送は極めて重要なものですが、そのためには港湾運送業務の担う労働者を港湾ごとにあらかじめ一定の数確保する必要があると考えますが、政府としてどのように確保するのでしょうか。法的根拠がありましたら示していただきたいと思います。
  121. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 非常災害発生時の広域防災拠点におきます港湾荷役につきまして、迅速かつ円滑な荷役を行うために地元の港湾運送事業者に労働者の確保も含めて協力をお願いすることになると考えております。このため、先ほどから申しましたように、日ごろから地元の港湾運送事業者との連携を密にしてまいりたいと考えています。  なお、荷役を要請しました港湾運送事業者の労働者のみでは必要な対応ができない場合におきましては、港湾労働法の規定により、事業者間による港湾労働者の融通ができることとされているところでございます。
  122. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 重要国際埠頭の制限区域の出入管理についてお尋ねをいたします。  第五十条の二の第三号に、個人識別情報の照合を受ける者はその使用料を負担しなければならないとありますが、これは当該施設で働く労働者が使用料を負担することはないですね、確認させていただきたいと思います。
  123. 須野原豊

    政府参考人須野原豊君) 使用料の負担の詳細につきましては、今後関係者と十分に調整を行って、埠頭出入管理システムが円滑に導入されるよう努めてまいりますけれども、いわゆる先ほど委員から御質問がありました共通カードの発行について申し上げますと、現在、コンテナターミナルの出入り管理に関する本人確認については、コンテナターミナルの管理者が発行した許可証による方法、あるいはトラック運転手の所属する会社が発行した社員証による方法が取られております。このような現在の出入り管理の実態を踏まえますと、これから導入します埠頭出入管理システムに用います共通カードの発行につきましては、港湾労働者個人ではなく、現在、許可証や社員証を発行しています企業あるいは団体に負担していただくことが適切だというふうに考えております。
  124. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 できるだけそのように御指導願いたいと、このように思っております。  次に、法案から少し離れますけれども、国民生活にかかわる重要な問題ですのでお聞きをいたしますが、沖縄県に有村産業というフェリーの会社があります。沖縄本土から宮古、石垣、台湾を結ぶ航路を持っているのですが、明日から全面運休となります。  この航路は、沖縄県民の生活、経済を担う重要な航路であるとともに、関連企業の従業員約五百名ほどが働いておりますし、更生計画破綻の直接の原因は、いろいろあると思いますが、最近では燃料高騰によるものですが、それでもどうにか運航を維持しようとして会社更生法の変更を計画いたしましたところ、大口債権者である鉄道・運輸機構が計画の変更に反対をしたために、計画変更が否決され、破綻となってしまいました。  今回、鉄道・運輸機構がとった措置は余りにもちょっと冷たいのではないかというふうに思いますし、余りにも債権回収のみに目的化した措置ではないかと思うんでありますが、沖縄県民のことを考えた措置とは言えないと思います。  政府は、この鉄道・運輸機構に対して更生計画の変更に対する態度を改めるように指導すべきではないかと思うのでありますが、機構との関係などあってというふうにお答えになるかもしれませんけれども、そこらのところは少し考慮いただいて、御指導いただきたいと思うんですが、その点いかがでしょうか。
  125. 冬柴鐵三

    ○国務大臣冬柴鐵三君) 実は、さきの日曜日に石垣へ参りまして、この話は持ち切りでございました。  ただ、この有村産業については、平成七年、鉄道・運輸機構との共有船三隻建造いたしまして就航させておりますが、大口債権者です、したがって。平成九年以降経営が悪化していまして、鉄道・運輸機構に対しても船舶使用料の未払が発生をいたしておりました。このために、平成十一年に会社更生手続の申立てがありまして、平成十四年には会社更生計画の認可がされまして、機構もこれにはもちろん協力をして、有する債権のうち二十三億円の放棄をしたわけでございます。そしてまた、その際には、支払期間の大幅延長による毎年度の船舶使用料の支払の軽減、いわゆるリスケジュールを容認をして、そうしてきたわけでございます。  しかしながら、こうした措置にもかかわらず、再度、船舶使用料の未払が発生をずっとしますので、そしてまたそれが回復できないということになると、この更生計画案ではこれは期限の利益を失ってしまうわけですね。そういう状況の中で、現更生計画に基づく再建が困難な状況に立ち至ったということで、計画変更案が提出されました。しかしながら、その後のこちらに対する支払というものが非常に不確定ということから、ただこの機構の反対だけでつぶれたとは思えないんですけれども、これは変更案を裁判所によって不許可ということが決定されたわけでございます。  六月二十日には、また地裁で現更生手続の廃止についての意見聴取が行われることになっていると聞いておりますが、国交省としては、司法におけるこういう判断、あるいは、関係者多数ですので、そういうところの御判断というものを見守っていきたいと思います。
  126. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 今日のあしたの話ですからね、すぐとはできないと思うんですが、やっぱりここに五百名近い働いている人がおられるわけで、沖縄県の現状等々を考えてみると、すぐさま雇用が確保できるなんというのは大変難しい状況にあると思いますが、やはりそこに働いている労働者の生活権確保のために、雇用にひとつ国として万全の努力をお願いしたいと、このように要望をしておきたいと思います。  そして、次に、沖縄県を始めとして八重山諸島の地方自治体は航路の存続を強く要望しておりますし、政府は、航路存続のため関係自治体と協議をして一定のひとつ援助措置を考えるべきではないかと思うのでありますが、その点いかがでございましょうか。
  127. 冬柴鐵三

    ○国務大臣冬柴鐵三君) そのことも、私、ずっと聞きました。それで、存続に対する支援というのは、地元沖縄県、それから宮古島市、それから石垣市等地方公共団体を始めとする関係者の方々が航路の維持について検討してまとめた場合には、内閣府とも連絡を取りながら真摯に対応していきたいと、これが結論です。  ただ、法律上の支援措置というのは、唯一の運送手段であると、しかもそこが赤字で運航ができないというような場合にはそれを補助するという制度は持っています。しかしながら、ここの部分、那覇—平良—石垣という航路、ここは貨物輸送分野では内航海運業者が二社存在しておりまして、有村産業が運航停止してもこの輸送には事欠かないということでございますが、旅客輸送ですね、この部分についてはもうそのほとんどは航空輸送が担っております。ほとんどというところですね、その部分についてどうするか、これは先ほど、冒頭述べたように、関係自治体で御協議をいただいて、その結果によって我々も判断させていただかなければならないんじゃないかと思っております。
  128. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 離島航路におけるこの路線の割合というのは空港利用者の方が多いわけでして、船で移動というのは少ないんですが、船しか利用できない人もおられることを考えて、大臣が言われましたけれども、そこの自治体が要望がありましたらひとつ積極的に受けていただいて航路再開のために御努力いただきたい、このことを要望して、終わります。
  129. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  港湾法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  130. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  132. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 次に、空港整備法及び航空法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。冬柴国土交通大臣
  133. 冬柴鐵三

    ○国務大臣冬柴鐵三君) ただいま議題となりました空港整備法及び航空法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  近年の経済のグローバル化に伴いアジア地域が急速に発展する中、四面環海の我が国においては、世界の活力を成長のエネルギーとするため、人流、物流の両面における世界に対する窓口である空港について国際競争力を強化していくことが喫緊の課題となっております。  一方で、急速な少子高齢化の進展、産業の空洞化等を背景にして、我が国では地域の活力の減退が生じているため、地域における広域的な交通の拠点である空港においては、国内外の人や物の流れを活発化させることにより観光振興や物流の高度化等を図り、地域の活力を向上させることが不可欠となっております。  このような状況において、我が国では、空港整備が概成しつつある一方で引き続き航空需要の着実な増大が見込まれるため、今後は、既存の空港を十分に活用するとともに、多様化、高度化する空港利用者のニーズに的確に対応し、空港のより適確な運営を図っていく必要があります。  このような諸課題に対応するため、この法律案を提案することとした次第です。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、国土交通大臣は、今後の空港の中長期的な整備及び運営の在り方を明示するため、空港の設置及び管理に関する基本方針を定めることとしております。  第二に、空港の設置管理者や工事費用の負担割合等を定める空港の区分制度を見直すこととしております。  第三に、空港ターミナル等の空港機能施設の適確な運営を確保するため、国管理空港における空港機能施設の建設及び管理を国土交通大臣の指定を受けた者が行う制度を創設する等の措置を講ずることとしております。  第四に、空港の設置管理者は、利用者利便の向上及び安全の確保を図るために必要な協議を行う協議会を組織することができることとしております。  なお、政府は、平成二十年度中に、我が国の開かれた投資環境の整備及び我が国の安全保障の観点から空港の設置及び管理に係る制度に関し検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとしております。  その他、これらに関連いたしまして所要の規定の整備を行うこととしております。  以上がこの法律案を提案する理由であります。  この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
  134. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時十四分散会