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2008-05-29 第169回国会 参議院 国土交通委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年五月二十九日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  五月二十九日     辞任         補欠選任         田名部匡省君     水岡 俊一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         吉田 博美君     理 事                 長浜 博行君                 室井 邦彦君                 谷川 秀善君                 鶴保 庸介君                 鰐淵 洋子君     委 員                 池口 修次君                 川上 義博君                 輿石  東君                 田中 康夫君                 羽田雄一郎君                 平山 幸司君                 広田  一君                 藤本 祐司君                 水岡 俊一君                 山下八洲夫君                 佐藤 信秋君                 伊達 忠一君                 長谷川大紋君                 藤井 孝男君                 山本 順三君                 脇  雅史君                 西田 実仁君                 渕上 貞雄君    国務大臣        国土交通大臣   冬柴 鐵三君    副大臣        国土交通大臣  松島みどり君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       山本 順三君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        総合海洋政策本        部事務局長    大庭 靖雄君        文部科学大臣官        房審議官     布村 幸彦君        国土交通省海事        局長       春成  誠君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○海上運送法及び船員法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 吉田博美

    委員長吉田博美君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  海上運送法及び船員法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会総合海洋政策本部事務局長大庭靖雄君、文部科学大臣官房審議官布幸彦君及び国土交通省海事局長春成誠君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。     ─────────────
  4. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 海上運送法及び船員法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 長浜博行

    長浜博行君 海上運送法及び船員法の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきたいと思っております。今日、私の後に若手、優秀な平山さんが控えておりますので、時々寄り道をしながら、ざくっとした御質問をさせていただいて、その後、平山さんが細かく御審議をいただけるんだというふうに思っておりますが。  今朝、目が覚めてNHKのニュースを見たら、例のトラックサーチャージニュースが出ておりました。様々、ガソリンの問題といったらいいのか道路の問題といったらいいのか、議論を続けてまいりましたけれども、この辺はお立場の違いによって表現の仕方が難しいわけでありますが、一時は、私も前回申し上げたかもしれませんが、百十九円ぐらいでガソリンを給油した記憶がありますが、今もうそういう値段は、つい二か月ほど前なんですけれどもね、じゃない状況にもあって、トラックの場合は、軽油も同じような形で大変影響を与えている。  サーチャージの問題でも国交省は大変御努力をいただいていると思いますが、今日はこの海運業に関する質疑をしますけれども、いわゆる運送業運輸に関する業態は、産業という分類でいえば経済産業省考えなければいけない問題かと思っていますと、縦割りの弊害なのかいいところなのか分かりませんが、海運とかあるいは運送業国土交通考えてくださいよと、こう言われるケースが多々あるんですね。  ですから、出先運輸局の問題、これも行財政改革の中で出先機関の見直し等々も議論が叫ばれているところですが、今それぞれ出先運輸局も御努力をされていますが、このトラック業界におけるサーチャージの問題、下請、中小、零細、こういう業態の中において、これは後で内航海運のところにも関係するところでありますが、様々な小さな企業体がある中におけるサーチャージ荷主である方に健全に転嫁できる、こういうことについてはどのような認識を持っておられるのか。これは通告をしておりませんので、細かい話は必要ありません。
  6. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) トラック業界は大変でございまして、一円上がれば百六十億円という負担が増すというようなことから、既に今ではもう七千二百億ですかが、ある時点との比較で負担増になっている。これを荷主さんに転嫁する、一部負担していただくということでお願いするんですが、なかなかこれができないということで、我々も経済団体の方へ出向いて、製造運送というのは車の両輪ではないか、幾ら製造業発展し、そして注文があっても、それを運ぶ運送業の方が耐えられないということになってしまうと日本経済はグロスでは落ちてしまうのだから、何とかこれは協力をしてほしいということでお願いに上がったり、あるいは、出先運輸局から各地の荷主さんにその旨をお願いをしたりして、大分いろいろと浸透はしつつあるんですが、なかなかこれは難しいというところから、サーチャージ制というものも導入しなければならないということでしたわけでございます。  こういうことで、自動的に値が上がるという形ですけれども、基本的には契約関係でございますのでこれを強制する、裁判でどうするというような問題ではございません。けれども、そういうものを手掛かりとして少しでもそういう値上がりというものを吸収していただけるように、我々としても側面からのお手伝いをさせていただくということであろうかと思っております。
  7. 長浜博行

    長浜博行君 海運業それから陸上のトラックの問題ですね、こういう物流業界を、特に中小企業対策という問題も含めまして、是非御認識をいただきながら、今御答弁いただいたことも含めまして、健全なこの業界発展のために是非御尽力をいただければというふうに思っております。  船は荷が着いて、着いた後それを運ぶわけですね、コンテナにして運んで、そのコンテナが通れる道があるかどうかということも道路特定財源議論のときにも随分しました。幾ら物流あるいは世界的な港湾を整備しても、コンテナが道が通れないじゃないかという議論もあったわけですが、そのトータルの中でお考えをいただければいいと思いますが。世界で海上輸送された貨物量の総量は約七十億トンとも言われますし、輸送距離考えると三十兆トンマイルですか、トンマイルというこういうような大きな量になってきており、そしてまた、環太平洋の時代と言ったらいいのかアジアの時代と言ったらいいのか分かりませんが、世界港湾コンテナ取扱量においても、東アジア、シンガポールや香港や上海や釜山、そしてもちろん日本の港ですが、こういったところが集中的に量が多いということにもなってきているんだと思います。  私も平山さん並みに丁寧に資料を用意すればよかったんですが、用意しておりませんので、後ほどの委員のメンバーも平山さんの質疑のときに資料が配られるようでありますから御覧いただければ分かるんですが、外航海運現状からすると、一九七二年に一応日本籍船は千五百八十隻ですか、それが三十四年間経過した二〇〇六年においては九十五隻というような状況になっているわけでございます。  また、今度は船員さんですね、今回の法の改正の一つでありますところの、これは七四年に五万六千八百三十三人だったものが同じ二〇〇六年に二千六百五十人ということでございます。企業でいえば千五百八十社あったものが九十五社、あるいは従業員五万六千人ぐらいの会社が二千六百人になっちゃう。業界として、外航海運業界として考えれば、一つの大きなくくりで考えればそんなような状況になるわけですね。  去年から今年になったという状況であれば本当に激変でしょうけれども、今申し上げました三十年の年月を掛けてここまで状況が、法案が提出されるぐらいですから、悪化をしたというふうな表現が正しいと思いますけれども、この間、もちろん冬柴大臣がずっと大臣をやっていたわけではありませんけれども、どのような対策が取られてきたのか。  つまり、この種の法案議論するときいつも、いい法案だ、いい法案というか遅きに失した感があるなと、今更なんだけれども賛成せざるを得ないというような状況議論をするケースが随分あるわけですが、このような状況にまで陥った、対策が何もなされていなかったのか、あるいは、なしたんだけれども効果が出ないで、その効果が出ない状況の中でここまで来てしまったのか、こういった問題について御答弁をいただければと思います。
  8. 春成誠

    政府参考人春成誠君) お答え申し上げます。  ただいま日本籍船及び日本人船員がこのように激減した経過において私どもでどのような対策を講じてきたのかというお尋ねでございますけれども、御案内のとおりいわゆる円高スミソニアン合意あるいはプラザ合意後の円高によりまして日本の船あるいは日本人船員に関するコストというものについて、これは基本的に円で払われておりますので、円高になりますと基本的に日本企業コスト負担というのが極めて高くなるわけでございます。その結果、そうした状況で現在の激減という事態を招いているわけでございます。  私どもも、昭和五十年代以降これは非常に大きな問題だということで、具体的にはコストを何とかせにゃいかぬということで、例えば近代化船と称しておりますけれども機関部省力化を図る、機関部員を減らしていくということでありますけれども、そういったやり方、あるいは外国人船員と一緒になって働いていただく。これはコストをそれだけ減らしますので、混乗船といったものをやっておりますし、さらに、平成八年でございますけれども、これは諸外国でも同じような制度がございます。国際船舶制度と称しまして、例えばLNG船みたいな非常に重要な船舶につきまして固定資産税あるいは登録免許税といった税の軽減を講じてまいっております。  この結果、一定の歯止めというものは、言わば減少を続けていた日本人船員日本籍船でありますけれども、その中で角度が少し緩くなったということは認められるわけではありますけれども、残念ながらその効果は効き目が薄く、結局現状に至ったというのが私ども認識でございます。
  9. 長浜博行

    長浜博行君 今ちょっと御説明をいただいたんですが、どちらかというと何か客観的に評論家的におっしゃられているような部分があるんですが、さっきも申し上げましたように、今回この法案が出るということは、ある種の今までの政策の中における実効性確保されなかったゆえに、後で聞きますが、究極の選択としてなのか、トン数標準税制導入というような法案が出てきたわけですね。しかしこれも、今おっしゃられたとおり、ヨーロッパ各国あるいは先進国の中では既に採用されていた税制をこの段階で入れるわけでありますから、もう少し御自身の当事者としての反省を含めた、解説をされるんならそういう視点からの物言いがあるんではないかなと思いますが、もう一回どうですか。
  10. 春成誠

    政府参考人春成誠君) 先ほども申しましたように、この自国籍船あるいは自国船員減少という事態に対して、ヨーロッパ諸国等、それぞれ対応してきております。おっしゃるとおり対応してきておりまして、最初に行われたのがいわゆる私どもも同様に採用しました国際船舶制度といったもので、特定船舶に限って税制を与えて軽減するといったことをやっておりまして、私どもそれに追随したということは事実でございますが、いかんせん、一言で申しますと、通貨の切り上がり方が諸外国と比べますと、我が国の場合は俗に言われるように三百六十円時代から百十円ということでほぼ三倍ぐらいになっておりますけれども、諸外国の場合そこまで急激に通貨が上がっていないということもございます。  それから、もう一つは、諸外国も同様にトン数標準税制というのを導入いたしましたので、これは、九〇年代半ば以降、諸外国導入されております。それは主としてヨーロッパ諸国で始まっておりますけれども、私ども、その時点におきましては、ある意味では遠い国の出来事ではあったと思います。ここは反省すべきだと思いますけれども、これが現時点では世界標準になってきたと。例えば、二〇〇五年以降、アメリカあるいは韓国といった近隣諸国でも導入されることによって競争条件の格差というものが際立ってきたという、際立って差が付く、そのことによって企業体としての外航海運会社が更にコスト削減を余儀なくされるという事態を私どもも目の当たりにいたしました。  したがいまして、反省を込めて申しますと、そういった事態への認識というものについてはなかなか、私ども自身反省はしているということでございます。
  11. 長浜博行

    長浜博行君 昨日いわゆる質問取りの方が来られたときもちょっとお話をしていたわけでありますけれども、今回もこの法案国土交通大臣所管法案国土交通委員会にかかって審議をしているわけですね。ところが、最初に申し上げましたように、どちらかというと今回の、これもそうですね。それから、誤解を恐れずに言えば、道路の問題も税の問題という形で議論をするという局面もあると思うんですね。海運業界経営を左右をする産業としての海運業界とそれから国策としての日本国外航、特に外航ですね、海運の問題をどう判断をするかという状況の中において、私は海洋政策担当大臣ができたことは大変喜ばしいことだというふうに思っているんですね。海に囲まれている日本国ですから、今ヨーロッパ諸国お話が出ましたけれどもヨーロッパ諸国は陸続きであります。ですから、どちらかというと、もちろんどっかから入ってくるという意味においては、先ほど最初に申し上げましたように、船が着いてトラックが運ぶあるいは鉄道が運ぶということでありますけれども日本の場合は完璧に海に囲まれている。こういう状況の中で、複数の省庁に関連する海の問題を担当する大臣がやっとできた状況の中において、産業としての海運の問題と、それからこれも後で議論しますが、航海命令等に関するいわゆる国家としての海の政策との関係、あるいは船員法等々を含めましてどうやって日本船員確保していくかという問題を含めて、海の政策全般担当している海洋担当大臣が、これは偶然、冬柴さんがなっておられるのか、あるいは国土交通大臣としての充て職で海洋担当になっているのか、この辺についてはどのようにお考えになっておられるんですか。
  12. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 海洋基本法、私にとっては本当にもっと海洋国家として早く整えられてよかった法律じゃないかと思いますが、しかし成立をさせていただき、七月二十日施行されました。そのときに、その法律に基づく初代の総合海洋政策担当大臣を拝命したということは誠に光栄であります。  しかしながら、八つ省庁がそれぞれ海洋政策を今まで、縦割りといいますか、担当をしてそれまで来ていたわけですけれども、その中にあって、一つ省庁としての国土交通省は、海事行政港湾海岸行政海上保安等海洋政策の多くの分野、重大な分野担当をさせていただいてまいりました。したがいまして、そのようなことから、海洋政策の多くの分野を担う国土交通大臣海洋政策担当大臣を兼任といいますか併任といいますか、するのが自然だという、効率的であり自然だという御判断が働いて、私がそのような拝命をされたのであろうというふうに考えております。  しかしながら、そのようにして拝命した以上は、この八つ省庁がそれぞれ担当していた分野というものを総合的、集中的に、内閣が一丸となって、総合海洋政策本部というものは内閣総理大臣本部長をお務めでございますので、補佐をして、そして海洋国家としての政策を果敢に進めていきたい、こんな思いでございます。  日本資源小国でございますけれども、しかし国土の約十二倍、四百四十七万平方キロというような広大な、世界六番目の海洋というものが我々に与えられました。そういうところで言わば海底資源あるいは希少金属等も、そういう海洋資源の開発とかあるいはその利用を通じて、我々の子孫、子供や孫たちが豊かな資源国家として生活ができるように頑張っていきたい、こんな思いでございます。
  13. 長浜博行

    長浜博行君 横にそれましたけれども総合海洋政策本部本部長内閣総理大臣、副本部長官房長官海洋政策担当大臣でございますから、御自身の中での二面性、独り、モノローグじゃありませんけど、自分自分に会話をするようなことになりますが、今おっしゃられたような省庁が複数またがる中における海洋担当大臣として、国土交通大臣に対してしっかりとした海洋政策に関して認識を持つようにと、御自身の中で二面性の中である一つ大臣に言わなければならないということにこの海洋政策はなっておりますので、その辺を十分御留意をしながらやっていただければと思っております。  ちょっと脱線しましたが、先ほどの議論の続きですが、それではトン数標準税制を今回導入することによって、これが今置かれている状況、先ほど二つの、船籍が減っている状況、それから船で働く人が減っている状況の冒頭の前提条件の中において、究極対策として提案をされているんですか、これで解決をしますか。
  14. 春成誠

    政府参考人春成誠君) このトン数標準税制導入というこの法案目的でございますが、基本的には安定輸送確保のために行っております。  そのスキームの中では、大臣基本方針を定めまして、各船会社の方で船舶船員確保計画をお出しいただく。それを認定した会社についてこのトン数標準を適用しまして、トン数標準を適用いたしますと一定減税効果がございます。これは世界標準でもありますので、競争力均衡化が図られるかと思っております。その力を用いまして船舶船員確保計画に定めておられる目標値を達成していただくという形で私どもこの制度考えてございます。そういう意味で、このトン数税制導入によりまして、当然私ども目標としております船舶船員についての確保ということはなされようかと思っております。  しかし、これは究極かどうかということでございますけれども、それはいろんな海運支援策あるいは安定輸送支援策というのがございますので、それは随時、今後も必要に応じ検討はするということでございます。
  15. 長浜博行

    長浜博行君 まあ究極かどうかは分からないということでありましたけれども。  そうしますと、ちょっとまた原点に戻りまして、今回のこの法案目的といいますか、今御説明があったように、自国籍船を増やすこと、それから日本人船員を増やすことと。この法案目的といいますか哲学といいますか、自国籍船に対する考え方といいますか、日本人船員海運業の現場の中で働く、その理念といいますか、何と言ったらいいんでしょうね、この法の持つ哲学としか言いようがないな、この問題についてはどうお答えになるんでしょうか。
  16. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 我が国四面環海の国でございますから、人流物流共に海を渡って日本へ来る、日本から海を渡って外へ行くという関係で、我々の食料自給率が三九%ということになりますと、六一%を海外に仰ぐという、そういう我々の食生活そのものも海に頼るというような関係があるわけでございますし、エネルギーあるいは資源、こういうものを考えましても、その過半、大多数は海に頼っているわけでございます。  したがいまして、海での、特に外航海運の安定的な運航ということが日常生活あるいは国民経済発展考えましても、もう必須の条件でございます。したがいまして、私は、そのような外航海運財務状況というものが脆弱であるということは非常に我々の生活に対しても大きな影響がある、そのように考えるわけであります。  七つの海、海はつながっておりますから、それが一つ市場になっております。そこで海運業者間の熾烈な経済闘争が行われておるわけでございまして、その競争に生き残るためには競争の基礎になる条件というものをイーブンにしなければ、こちらが例えば為替レートとかあるいは税制というもので他の海運国家に引けを取るということになりますと、そのように我々の命を預けている外航海運というものの力が弱くなるわけでございます。  したがいまして、レートにつきましては、スミソニアン合意固定相場制というものは変動相場制になり、そしてその後のオイルショックとか、あるいは最後はプラザ合意というようなことで最高値一ドル七十九円まで、三百六十円から七十九円まで上がったわけでございまして、これはもうコスト競争力というものを喪失してしまっている。そして、諸外国においてはトン数標準税制ということで税制の面で優遇されている。日本の場合はそういうこともないと。また、船員さんに対する税制の優遇ということも諸外国ではきめ細かくやっているけれども日本では今日現在もない。  そういう中で、我々の命を預ける外航海運というものの経営状況がこのままでいいのか、こういう考え方から、今回私は、この法律提案以前から、公明党の幹事長をやっているときからトン数標準税制については大変関心を持っておりました。それが一つです。  それから、船員さんにつきましては、日本船員さんというのは大変優秀で、海難事故も今四千五百件も日本周辺で起こっているんです、年間。外国人船員さんの引き起こす事故率日本人船員事故率では相当乖離があるようです。日本の方が優秀なようでございます。  そういうことから考えても、やはりこのような日本籍船、そして日本人船員というものを抱えることができるような船会社、そういうものを志向して今回の、税制を含むただいま御審議いただいている法案提案に至ったわけでございます。
  17. 長浜博行

    長浜博行君 いわゆるフラッギングアウトの問題ですね。これは市場原理においてはフラッギングアウトは起きてくるのは私は当然だというふうに思っているんですね。当然という意味はそれを肯定しているという意味ではなくて。  私も若いころ、日本法人なんですが、シンガポール現地会社で仕事をしていたときに、船の、何というんですかね、毎日、新聞がありまして、フレートを見て、どこの会社コンテナが安いかなということで、安いところを選んで船荷をするわけですね、シッピングを。それは日本に出すんじゃなくて、シンガポールからヨーロッパへ出すような、あるいはアメリカ向けだったらここが安いなということで。実務担当者日本企業でありますから、日本企業としてそういうことをやった記憶思い出しながらですね。  ですから、市場原理に任せておけば、当然のことながら各国がいろいろな知恵を出して、製造業立場とそれから海運業立場と起きてくるわけでありますが、あえてこのフラッギングアウトの状態を、一番最初の問題で指摘したように、ここまで放置をすると言ったら局長怒られるかもしれませんが、ずっとこの状態になって、そしてこれが究極の解決策になるかどうかも分からない、しかしやらなければいけないというこの担保は、多分、今御説明の中にあった部分での日本としての国益、日本国としての国益をどこの時点までぎりぎり守れるかというような部分にも関連しているようにも思うんですね。  当然、今御説明がありました安心、安全の海難事故の、コミュニケーションのトラブルの問題等が先ほど述べられた部分にもあるんだというふうに思いますが、このフラッギングアウトを防ぐねらいの中において、一般的に言えば、日本の船から比べれば、パナマなんかはどうでしょう、十倍か十一倍ぐらいな、国策を取ってパナマというのはそういう状況になっているわけですね。  先ほどの質問にも関連をしますが、トン数標準税制導入をして、一体どこまで日本の国益として、あるいは最低限やらなければならない、市場主義経済の中において、自由主義経済の中において、こういう制度導入をして守らなければいけないぎりぎりのラインというのはあるんでしょうか。
  18. 春成誠

    政府参考人春成誠君) お答え申し上げます。  我が国において必要な日本籍船あるいは日本人船員の規模ということでございますけれども、本件を、政策議論いただきました大臣の諮問機関であります交通政策審議会において試算をいただいたところによりますと、一定条件、言わば非常時といった状態でございますけれども一定の状態の下で我が国船舶だけで、一定経済あるいは国民生活を支えるだけの輸入物資の輸送を我が国船舶我が国船員日本人船員のみでこれを運ぶということを想定して御試算いただきましたところ、日本籍船につきましては四百五十隻、日本人船員につきましては五千五百人程度というふうな御試算をいただいております。  したがいまして、そうした言わば極限の状態において我が国一定の期間いわゆる国民生活なり経済活動を行うという前提で考えますと、そうした数字が目標になっております。  ただ、これを今回の制度において、船舶船員確保計画と先ほど申しましたけれども、私ども基本方針で定めます目標値ということで考えますと、これは当面の目標としては一気にそこまで行くということはなかなか難しゅうございます、現実的な問題としまして。現在、日本籍船は九十五隻、あるいは日本人船員は二千六百人にすぎませんので、当面の目標としてはおおむね日本籍船については五年で二倍程度、あるいは日本人船員については、人については時間が掛かりますので、十年で五割増し、一・五倍といったことについて当面の目標考えております。  これは、既に外航海運事業者の団体でございます日本船主協会の方で昨年暮れに、トン数標準税制導入していただけるならばそうした数字を目標値として頑張りたいということを御表明いただいておりますので、そうしたことを無理なくこなしていただけると思いますので、それを当面の目標考えております。
  19. 長浜博行

    長浜博行君 数値目標、数が今御答弁をいただいたわけでありますが、次に、第二十六条の航海命令についてでございます。  昭和二十四年に海上運送法が制定をされていた当時、これは内航、外航ということの分け方ではなくて、既に航海命令というものは規定をされていたようでございます。二年後の二十六年に改正をされて、外航においては適用ができないような形の改正が行われて、そして今回外航にも適用するという状況になってきたわけでございます。  当時の資料などを拝見をしておりますと、外航に航海命令を出した場合の昭和二十年代の議論においては、航海命令による損失補償の名目で実質的に当該国が補助金を支給するような疑惑を持たれる可能性があるためということのようでございます。当時はそんな状況だったのかなというふうに思うわけでございますが、しかし内航においても私の認識ではいわゆる発令はされたことがないように思うわけでございます。  この御時世の中においてと言ったらいいのか、今、平成の二十年代の中において航海命令を外航部分に発令をする可能性を持つということになりますと、どうしても気になるのが、一体どんなケースでこれを発令をするんであろうかと。我が国における武力攻撃事態等及び緊急対処事態並びに周辺事態というのが他の委員会でも議論されるケースが多々あるわけであります。航海命令を出すんですから、当然のことながらそれは平時には出さずに非常時に出すわけでありますから、一体どういう状況のときに今まで内航においてすら発令されなかったものが外航、つまり海外に出る状況の中において発令をされる状況にあるんであろうか。  お隣中国においても大変悲惨な大震災が起きて日本国の自衛隊が搬送するというようなことでありますけれども、今回の今この委員会審議している部分においては、何か起きたときに外航で民間企業船が非常事態国土交通大臣の発令とともに海外に出るという状況になるわけでありますが、この点をちょっと、私の気にし過ぎかもしれませんが、御説明をいただければと思います。
  20. 春成誠

    政府参考人春成誠君) いわゆる航海命令の国際海上輸送への今回の適用でございます。既にこれは国内輸送に関して当初より航海命令制度がございますけれども、国際の部分に適用するという事態の想定でございます。  これも御議論いただきました交通政策審議会の場でも詰めた御議論をいただいたわけでございますけれども、この発動要件自体は法律にありますように、災害の救助その他公共の安全のために必要であるという、そういった状態の場合にこれを発動すると。かつ、自発的に当該輸送を行う者がいない場合又は著しく不足する場合でございますが、そうした状態がどんなことかということであります。  どんな事態かということについての蓋然性といいますか想定される事態があるということが、今回新たに国際の輸送の方にこの航海命令を適用するということとした理由なんですけれども、具体的に言いますと、例えば海外において大災害ですとか治安が悪くなったといったことによりまして邦人を避難させなければいけないという事態があろうかと思います。  具体的な事例で申しますと、一九九八年のインドネシア危機ということがございまして、こういったときに航空機による避難がなかなか難しいのではないかという事態もございます。そこでまた、日本船主協が、先ほど申しました外航船の団体でありますが、そちらに要請しまして、貨物船をシンガポール沖にいざというときの邦人避難のために待機させたという事例がございます。実際にそういった行動には幸いにも至らなかったわけでございます。  それから、例えば諸外国で戦争等が起きたときに、重要なルート、マラッカ・シンガポール海峡ですとかあるいはスエズ運河、こういったところが閉鎖されるといった事態があります。そうすると、貿易物資の輸送が止まってしまうということがございます。これは船舶が逼迫するということでございますけれども、そういった事態に備えて日本船会社が貿易物資を輸送するということもございます。  それから、第三の事例として考えられるのは、国内で大きな災害ないしいわゆる疫病等発生したときに、海外から緊急にいわゆる医薬品ですとかそういった救助物資を持ってくるということもあろうかと思います。  そういった事例を前提として御議論いただきまして、今回、国際の部門に航海命令という制度を適用しようということでございます。
  21. 長浜博行

    長浜博行君 是非、船舶及び派遣される船員の安全について、つまり、安全だと思って出したけれども、そこがいわゆる武力事態で非常に危険な状態になったというケースも想定をされるわけでありますので、御研究を進めていただければというふうに思っております。  何にしましても、船が動くにしろ何にしろ人がやる問題でありますから、ある意味での、一に教育、二に教育、三に教育と言った方もいらっしゃいますが、この海運業界においても人材を育成をしていくということがとても大事なポイントではないかなというふうにも思っております。  衆議院における議論の中においても、最後、附帯決議を付けて、何としても船の方に人が来てほしいと。例えば小学生で六年生の作文で、あなたは何になりたいですかと、将来の夢、一番政治家と、こうなれば一番いいわけでありますが、こういう名前はなかなか出てこないですね。だけど、船乗りになりたいというふうにならないと、なかなかこの船の業界の中で船員確保していくのが難しいと思うんですね。その附帯決議の中で、学校教育と連携した海事教育の推進に積極的に努めることというようなところがあるんですね。  この点についてどうされるんですかというふうに昨日レクをやっている最中に申し上げましたら、いろいろと資料もいただきました。学習指導要領における海洋に関する部分ということで、例えば小学校五年生では、我が国国土の自然などの様子について教えますよと、国土の地形について教えますよと。六年生になると、政治の働きと国民生活との関係を具体的に指導する際には、各々の国民の祝日に関心を持ち、その意義を考えさせるように配慮するとか、いろいろ文部科学省もやっておられるわけであります。これは多分、国民の祝日、海の記念日だというふうに思うんですね。しかし、海の記念日についての認識というのはまだまだ高くありません。  時間の関係で多くは申し上げませんが、これは、国交省の外郭というか関係している日本海事広報協会のホームページなどを拝見をしてみても、平成十四年ですからちょっと前になりますが、一体この海の日についてどのぐらい認識していますかということであると、学校の先生方、小中高の先生方で知っている人は六割、保護者の皆さんでは、海の日ってあるのが、海の日が、これはハッピーマンデーということで平成十五年から、海の日というのは、今年もそうですが、第三月曜日に変わったんですね。そのときに、変わったときに調査をしたんでしょうけれども、保護者の方は七七%が知らない。  将来船員になっていただく大事な小学校、中学校、高校の生徒さんは九〇%が知らないと、こういう状況でありますから、この教育の段階においても、海洋国家日本、そして先ほど海洋担当大臣にも海の重要性を御認識をされて御発言もありましたけれども、この状況の中においてはなかなか海の重要性を子供たちに伝えていくのは難しいと思いますが。  今日はちょっと文部科学省の方にも来ていただいておりますので、文部科学省の方と総合海洋政策本部事務局長の方、これは独法絡みだと思いますが、短いコメントをいただければと思います。
  22. 布村幸彦

    政府参考人(布村幸彦君) 先生御指摘のとおり、海に囲まれました我が国にとりまして、国民が海洋についての理解と関心を深めることは重要な課題ということで、学校教育についても、小中学校の児童生徒の発達の段階に応じまして、社会科あるいは理科などにおきまして海洋に関する学習を行っております。  日本の周りの海について地図帳で調べる活動ですとか、水産業で働く人々の工夫や努力を教科書でも取り上げてございます。また、海岸、海流、海溝、それから領海の問題という形で小中の段階を通じて海について学んでおりますし、また、水産高校におきましても海事産業に必要な人材養成に取り組んでいるところでございますが、今後とも、新しい指導要領におきましても、大気の動きと海洋影響を中学校の理科で新たに取り上げるとか工夫をしてございますので、この海に関する教育の充実につきまして取り組んでまいりたいと思いますし、その際には、海洋に係る総合政策本部の方々ともよく連携を図ってまいりたいと考えてございます。
  23. 大庭靖雄

    政府参考人大庭靖雄君) 海洋基本法に基づきまして日本はこれから新たな海洋立国を目指していくわけでございますけれども、そういう中にあって、先生御指摘のとおり、海洋に関する国民の理解の増進あるいはそういうものを目指す人材を育成していくということは大変重要なテーマでございます。  そのような意味合いから、関係省庁、様々に取組をいたしております。国土交通省を始め文部科学省もそうでございますが、そういうものを更に連携して、より強力に推し進めていこうという取組が重要でありますから、海洋基本計画の中にもその点しっかりと位置付けたところでございます。  海洋政策本部において、関係省庁連携を取りながら進めていくように取組をしたいと思います。例えば、今年は初めて総理大臣によります表彰制度も設けられると、関係省庁の協力によりましてそういうものも設けられるということにもなっております。そういう努力を重ねてまいりたいと思っております。
  24. 長浜博行

    長浜博行君 終わります。ありがとうございました。     ─────────────
  25. 吉田博美

    委員長吉田博美君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、田名部匡省君が委員を辞任され、その補欠として水岡俊一君が選任されました。     ─────────────
  26. 平山幸司

    平山幸司君 民主党・新緑風会・国民新・日本平山幸司です。  海上運送法及び船員法の一部を改正する法律案につきまして、長浜委員に続きまして質問をさせていただきたいと思います。多少重複する点もあると思いますけれども、その辺は御理解いただきたいと思います。  冒頭、ここ最近、数日間特にありますけれども、原油高の高騰ということで、昨日も、私地元は青森県でありましたので、八戸の海にかかわる皆さんが、これ漁業団体でありましたけれども、この原油高大変だと、何とかしてもらいたいというお話もありました。  そういった意味で、世界に対して海洋立国としてやっていくんだという試みの中で、これまでの経緯も含めて、この原油高に対する何らかの政府としての対応。これ、この法案でも、最近原油高で鉄鋼価格の高騰によって値段が上がりまして、なかなか新しい船が造れないんじゃないか、こういった懸念もあるわけであります。この辺に関しまして大臣考えをお伝えいただければと思います。
  27. 春成誠

    政府参考人春成誠君) ただいまの原油高に関する対策関係でございますけれども、大きく分けて外航海運と内航海運とに分けてお話し申し上げたいと思いますが、外航海運の場合につきましては、もちろんC重油を使っておりますので、その分の高騰は極めて大きな影響がございます。現在、たしかバンカーは一キロリッター当たり五百ドルを超えるとか、そういう議論がなされておりますけれども外航海運の場合は基本的にバンカーサーチャージという制度が過去、歴史の中である程度定着してございまして、そういう意味荷主への転嫁というのはある程度進んでおります。もちろん完全ではございません。  そういう意味で、深刻度はやはり内航海運でございます。委員御指摘のとおり、国内における内航海運、基本的には非常に中小零細な方々でございますけれども、C重油あるいは一部A重油を使っておりますけれども、この重油の値上がり、ほぼ二倍程度に上がっておりますので、それは非常に大きな痛手を被っておるということでございます。  先ほど大臣から御答弁がありましたように、昨年暮れには荷主さんの方に転嫁をいただくように理解をいただくべく、経団連の幹部の方あるいは日商会頭等への御説明を行ったところでございますし、私どもも、いわゆる地方運輸局ございますので、地方運輸局ベースで相談窓口、いわゆる原油高を荷主さんへの御理解を求めるという活動についての相談窓口も設けておりますし、もちろん運輸局自らも足を運んでおります。現実運んで、その点についての御理解を現に求めているところでございます。  さらに、やはり現実にどうであるかについて三千か所余りについて今アンケート調査をやっておりまして、そういった部分、転嫁が進んでいるのかどうか、あるいは苦しいところはどのぐらいあるのかということについての調査もやって、適宜、基本的にはきちんと対応してまいりたいと思っております。
  28. 平山幸司

    平山幸司君 これは漁業団体でありましたけれども、一年たてば半分ぐらいが業界の中でなくなってしまうと、深刻な思いもあり、海洋政策という意味で積極的な対応を取っていただきたいなと、このように強くお願いいたします。  さて、本法律案の問題点等々、長浜委員から御指摘があったわけでありますが、最初に、通常国会も、今国会、大分後半戦、大詰めに入ってまいりましたので、大臣の方に、まず内閣の一員として少し政治の根幹にかかわる部分、この考え認識をお聞きしたいと思います。  国会全体で話される内容としては、やっぱり国民の利益の向上若しくは公共の利益の向上ということが議論されるわけであります。私はそのように認識いたしておりますが、民主主義の根本的な部分、根幹として、大臣はどのような考えをお持ちですか。
  29. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私は、政治は国民の幸せに奉仕するものであると、私はそのように思っております。したがいまして、政治の場は、ある場合はいろいろと戦いという形になる場合もありますが、それは、国民とともに語って、国民とともに戦って、国民のために戦う、そういう姿勢で私は政治を進めてきたつもりでございます。最後は国民の利益だと、私はそのように思っております。
  30. 平山幸司

    平山幸司君 この質問、後々なぜかということをちょっと御説明いたしますが、取りあえず、福田総理、今国会の所信表明演説、昨年の十月一日ですか、参議院の本会議で非常に大切なことを言っております。少し読ませていただきますと、政治と行政に対する国民の不信を率直に受け止めております、国民の皆様の信頼なくしてはどのような政策も必要な改革も実現することは不可能です、政治や行政に対する信頼を取り戻すことが喫緊の課題です、このようなことを目標設定をいたしております。  この点に関しては私も非常に大事であるなと共感をしているわけでありますが、ここで二つ大臣に、この福田総理の目標設定に対しまして大臣は今国会どのような決意の下、本会議若しくはこの委員会に臨まれたか。そして二つ目に、現時点でのこの福田総理の目標に対しての大臣の評価、内閣全体の評価でもよろしいんですが、その点に関しましてお伺いします。
  31. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 政治の根本は信でございます。国民の信頼なくして進まない、私はそのように思います。  今回、私は、原油高騰の中で道路特定財源、暫定税率を十年間延長してほしい、このようなことを国民にお願いをいたしました。その思いは、我々の国土、先ほど来申し上げますように、四面環海の小さな、三十七万七千平方キロという世界六十番目に小さなこの国の中に一億二千七百七十万人の人口が住んでいるわけです。こういうところで、しかも、世界未曾有の少子高齢化というものが進みまして、本格的な人口減少社会まで入ってきました。反面、周辺を見ますと、アジア中心に経済は本当に活力に満ちておりまして、GDPは二けたの伸びを示すというような勢いでございます。その中にあって、我々、国際競争力を維持しつつ、なお我々のこの経済の成長を維持する、これは至難の業でございます。そしてまた、地方経済というものはもう御案内のとおり大変低迷しております。しかしながら、私は地方の再生、活性化ということが非常に大事な政治課題だと思っております。  このような要件を満たすのには何が必要か。これはやはり、私はこの人口減少社会の中にあって残された時間は短い、今後十年の間に基礎的な、全く国家としての基礎的なインフラというものを整備をすることが国際競争力を強化し、そして成長力を維持する上において必須の要件だ、また地方を活性化するにもそれは必要だ、そのようなことから、それを賄うための財源として、苦しいけれどもお願いいたしますということを申し上げました。私は、ひれ伏してお願いするような気持ちでございました。  しかしながら、その審議の過程で、このいただいた税が非常に、いわゆる無駄遣いというようなことがされていることが多く指摘されて、私はその中で質問を受けながら恥ずかしい思いもいたしました。  そういうことから、これはどうしても改革をしなければ信は取り戻せない、このような中で税をお願いするということは、国民にお願いすることはできないという、本当にそのような思いから、二月二十二日には私が自ら本部長となって、我が省大きいものですから、副大臣が二人そして政務官が三人、この六人の政治家が国民の目線に立って政治判断で、役人の人の意見を聴くということは必要だけれどもその人たちの指図を受けることはない、そのような思いで四月の十七日には私は改革案というものを提案いたしました。  これに対する評価はいろいろあると思いますけれども、私なりに、私は国民の目線に立った改革を、そしてこれを実行することによって国民の信を取り戻したい、できればこの道路のいわゆる整備というものも順調に進めて、そして冒頭るる申し上げたような日本の基礎のインフラというものを早急に整備したい、こんな思いで来たわけでございます。しかしながら、残念ながらのことでございますけれども、しかしながら、私は、現状どんなことがあってもこの思いは変わることはないと思っております。改革は進めます。  そして、もう一つの問題は福田総理の所信でございますが、福田総理と私は実は同年でございます。それで、私が幹事長をやっている間、長い間、官房長官もやっておられまして、人間的な面も私は十分お付き合いさせていただき、そしてお父さんの代から、お父さんも総理大臣で私も日韓議連で御指導いただいた、そのような中から福田理念というものが出てきているのであって、私は本当に、心の底から信頼をしております。評価もしております。そうあらねばならないというふうに思っております。
  32. 平山幸司

    平山幸司君 今大臣の方から非常に詳しく御説明があったわけですが、私が申し上げたかったのは、この改革をする若しくは物事を前に進めていくというときに三つありまして、大臣お話しになりました、一つ目はリーダーのしっかりとした明確な目標設定です。これは福田総理もしっかりとされていたということでありまして、二つ目に、それをやり抜くんだと、例えば道路に対して改革本部を立ち上げて積極的に対応した、これで国民の信頼を得る、この点も評価できると思いますし強く推し進めていただきたい。  しかし、残念ながら私は一つ、ここで三つの中の一つ欠けているなと思うのは、ちょっと話がずれますけれども、例えば五千万件の消えた年金の問題、これに対しての福田総理の発言で、三月末日、三月までという約束があったわけでありますが、公約というほど大げさなものかという、こういった無責任な発言があるわけでありまして、これで信頼を取り戻そうという福田総理のこの目標設定とはこれちょっと無責任過ぎるんじゃないかなというふうに感じます。よって、このリーダーとしての目標設定、そして積極的に、さらに強い、やり遂げるんだという責任感を持って、本法案に関しても非常に重要だと思いますので、取り組んでいただきたいと思います。  それでは、本件の内容に関しましての質問に入らせていただきたいと思います。これは、法律案趣旨説明でも述べてあるとおり、日本は四方を海に囲まれて非常に海運の果たす役割、大切であるという大臣お話、これは皆さんも共通の認識であると思います。  そのときに、今、長浜委員からも御指摘ありましたけれども、もろもろの施策を取って、要するに日本人船員を増やす、若しくは日本船籍も増やしていこうと、こういう考えでありますが、実際に具体的なこの目標値、いつ、どのぐらいという数値を少しお伝えいただきたいと思います。
  33. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 先ほど局長からも答弁をいたしましたけれども、昨年末、船主協会が、このトン数税制導入をしていただくということになれば、別に対価関係があるわけじゃないし、自分たちも努力をすると。そのために、今九十五隻まで、千五百八十隻あった日本籍船が九十五隻まで減っているわけです。これを五年の間に倍増したいという具体的な数字を挙げられました。また、日本人船員も、五万七千人いられた船員が十八年度では実に二千六百人まで激減していると。これを十年掛けて一・五倍、三千九百人までをということになると思いますが、是非増やしたいと、増やすと、そういう決意だということをおっしゃいました。  私は、大きな目標は幾らでも立てられますけれども、しかしながら実務的にいろいろと経済状況もありますし人手の状況もありますから、いろいろ工夫をしながら着実に進めていくということであればそこら辺が妥当な線なのではないだろうかというふうに私は思いますが、この法律を通していただきますれば基本計画を立てますが、そういう場合にはこの考え方というものに依拠しながら、無理なく、それで着実に、確実に実行できるような目標を立てていきたい、このように思っています。
  34. 平山幸司

    平山幸司君 今のお話で、これは外航の部分に関してという認識でよろしいですよね。  内航に関してはどうでしょう。
  35. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 今のは外航海運でございます。  内航につきましては、現在約三万人の日本人船員さんがいらっしゃるわけですけれども、ただ四十五歳以上の方が非常にもう過半を占めちゃっているわけですね。したがいまして、私は、別に今、四十五歳、五十五歳、六十歳、みんな元気ですから、別にそう差別するわけじゃないけれども、しかし、やはりそこに若い人たちが魅力を持って入ってきていただけるような職場にしたい。  ですから、私は、三万人を四万人に増やすとかそんなことじゃなしに、その人数はそれでいいかも分からないけれども、内容として若い人たちがそれに魅力を持ってそこへ、内航海運に従事してあげようという人たちが陸続と出てくるような政策を取っていきたいというふうに思っています。
  36. 平山幸司

    平山幸司君 ありがとうございます。  もう一度、外航、内航に対して、冒頭にちょっとお話しましたけれども、やはりリーダーシップが明確な目標を立てると。そこに対しまして、省内を含め、もちろん企業の皆さんの努力というのも非常に大切でありますが、やっぱり旗振り役の大臣が明確な数値目標、内航、外航に対して何年でどのぐらいにするんだと、これを端的にお願いいたします。
  37. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 外航については先ほど申し上げたとおりでございまして、日本籍船は五年以内に倍増しようと、それから日本人船員外航にかかわる日本人船員は十年以内に一・五倍、三千九百人程度には増やしたい、こういう目標でございます。そして、内航につきましては各種の若い人たちの育成とか教育制度を充実をしまして、そして今言ったようなグロスとして三万人は、私はそれで決して少ないとかいうことではないとは思いますが、その内容を充実したものにするということでございまして、目標は基本計画の中にきっちり盛り込みます。そして、それに向けてあらゆる政策を具体的に取っていこうというふうに思っています。
  38. 平山幸司

    平山幸司君 今の目標ですが、日本海洋国で非常に大切であるという割には、資料もちょっとお渡ししましたけれども、多少、やるんだと、このことを成功させるんだという割にはちょっと数値目標が低いような気もしますが、その辺、大臣、どうでしょうか。
  39. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) これは、一挙に回復はなかなかできません。相当膨大なお金も要りますし、人材を確保するということは至難の業でございます。しかも、働く場所が海の上でございますから、そういう意味でこれは無理をせず、そしてまた、今九十五隻、そして二千六百人というような貧弱なことになってしまいましたけれども我が国に運び込まれる食料あるいは原材料、エネルギーというものは順調に運ばれている現実はあるわけです。それは、やはりいろんな知恵を用いて、もうすごく円高になってしまっても、国際競争力日本籍船持つ、日本人船員で全部賄うということになれば、諸外国とのそのような為替レート等とかあるいは税制、もう向こうは優遇していますからね、そういうことと、あるいは、日本の物価は高いですよ、人件費も高いですよ。  したがいまして、そういう経済的な要因でなかなか、思うような目標を立ててもなかなかできないけれども、それを何とかしのぐために外国に船籍を置くとかあるいは外国の船を用船するとか、先ほど長浜さんおっしゃいましたけれども、毎日その船の運賃というものが新聞で掲載されて、そこで船を選ぶというような時代ですから、私はなかなか、日本目標を立てたから、目標を立てたからそれがすぐ商売になるかということではないと思います。  私どもはその目標を立てて、それに即応したことを船会社が、私どもはこういう計画をやりますということで、私の立てた計画の範囲で申請をしてきたものに対して認可を与えればこのトン数標準税制というものはその会社に適用されるわけであって、すべての会社に一律に適用されるわけではありません。したがいまして、そういう覚悟を持った、そういう表明をしたところに対しての税制であるということでありますから、それは、採用された以上は着実に実行していただけるだろうというもので立てた目標でございます。  目標は幾らでも高くできるけれども、実現できそうもない目標を立ててもこれは実際ではないと思いますので、着実にやっていきたいというふうに思っております。
  40. 平山幸司

    平山幸司君 先ほど長浜委員からもありましたけれども、これまでの対応が多少後手に、多少といいますか後手に回ったと反省しているという旨の答弁もあったわけでありますので、今低い設定をしてそれをやったぞというよりも、ある程度高い設定を頑張るという意味合いも込めてしながらやっていくのも一つかなと。  特に、昨日、質問取りで、いらっしゃいますけれども、省内で働く若い皆さんとも話をしました。どういうところにこの仕事のやりがいを感じるかというお話で、社会に何らかの役に立つのではないか、若しくは業界団体が大きく期待していると。皆さんの夢や目標をかなえるというところに非常に強い仕事の責任感を感じているわけでありまして、これは全体を増やすという意味合いにおいても非常に大事であるのかなと思いますので、大臣にある程度重要な目標設定等々お伺いできましたので、目標に向かってしっかりとやっていただきたいと思います。  続きまして、具体的に船員を増やすということに対してどのような政策を取っていくのか、先ほど教育のお話がありましたが、その点を質問させていただきたいと思います。  海洋基本計画には、人材の育成及び確保を図っていくことが重要であると、教育、人材を育成することが重要であるというお話がありますけれども、ここで例えば教育という面からいいますと、船員不足を解消する政策の長期的ビジョンになると思うんですけれども、例えば授業料の無料化若しくは奨学金等々、海洋関連の船員を教育するという面で、これは財政的に非常に厳しい面もあると思います。しかし、危機的な船員不足の解消というのがこの目的であると思いますので、もう少し踏み込めば学んでいる人に給与を出す、これ自衛官の方ではあるそうでありますが、そういった何か具体的な政策はあるんでしょうか。
  41. 春成誠

    政府参考人春成誠君) 御指摘のいわゆる船員教育機関における負担の問題でございます。  今委員御指摘のように、防衛あるいは私どもの場合は海上保安の場合においては、国家公務員としての職員として教育を行うという関係でその教育費用は国において持たれておるわけでございます。  しかしながら、一般論として申し上げますと、いわゆる船員、内航船員外航船員含めまして、いわゆる企業の職員と従業員でございまして、その部分は基本的にはやはり企業の側で御負担いただくということが原則であろうかと思います。ただ、御指摘のとおりやはり船員というのは、私どもが御審議いただいた学識者の集まりであります交通政策審議会においても御指摘いただいているんですけれども、いわゆるヒューマンインフラとして我が国の輸送を担うと、安定輸送を担う存在でありますので、そこはやはり国が責任を持って教育をやっていかにゃいかぬという共通の理解をいただいております。  具体的には、やや細かくなりますけれども外航、内航それぞれに、外航の場合は商船系大学等専門学校ございますし、それから内航の場合には海技教育機構ということで、我が方の独立行政法人海技教育機構でございますけれども、そこで大体こちらが高校ぐらいに相当するものといわゆる短大に相当するものがありますけれども、九校ぐらいございます。さっき申しました商船系のやつは七校あって、この商船系のやつが外航系、外航を養成しております。私どもの方が内航の船員を養成しているんですが、併せて十六校ぐらいでやっておりますけれども。  そこにおけるいわゆる負担の問題でございますが、現実にはそれなりの負担水準になっておりまして、むしろいわゆる行革あるいは効率化という点からすると、もう少し御負担いただいてもいいという部分も実はあろうかと思っております。  現実には、例えば私どもの海技教育機構の場合のいわゆる普通の学校でいうところの授業料というものを見てみますと、国の側、独立行政法人でございますので独立行政法人の運営費で見ておるわけでありますけれども、その結果、通常の高校が例えば一万円ぐらいというのが普通多いと思いますけれども、その半分ぐらい以下ということで御負担いただいているという状況でございまして、そこはバランスを取りながら教育も充実させていくという意味では御負担もいただくということでありますので、バランスを取りながらやっていきたいと思っております。
  42. 平山幸司

    平山幸司君 これは、今のは内航部分の船員の拡大という部分の教育に関してのお話であったと思います。外航も含めましてある程度いいんじゃないかというお話であったと思いますが、これ資料要求ちょっとしまして、外国、諸外国と戦っていかなければいけないということでありますので、この諸外国、ここに関してはどういうふうになっておりますか。
  43. 春成誠

    政府参考人春成誠君) 委員御指摘の海外の教育機関においてどのくらいの負担になっておるかということでございます。私どもできる限りの調べをいたしたわけでございますけれども、把握している限りでは一部無料というところも確かにございます。ただ、米国の場合ですと大体年間百万円から二百万、ばらつきございますが授業料を取っておりまして、それからオーストラリアのケースですと年間百数十万円を徴収しているということでございます。  これに対応して私どもはどうかということでありますが、日本の商船系大学は年間約五十三万円、それから商船高専、この部分は年間約二十三万円、私ども海上技術短期大学校あるいは海上技術学校というところは年間六万円の授業料を徴収しておるというところでございます。
  44. 平山幸司

    平山幸司君 資料要求では、ちょっとこれ少し資料がどうかなという、たくさん外国でも掛かっているんだよという資料が私の手元に来たわけでありますけれども、我々独自に調べたところ、例えばドイツ、デンマーク、まあアメリカも一部無料となっているところも多いわけでありまして、国際競争力を高めるという面に関しては、これは奨学金若しくは無料にしていってもいいのではないか。財政の面はあると思いますけれども、その辺御考慮いただければと思いますが。  ひとつここで、独立行政法人整理合理化計画というものが閣議決定されております。この中にも、これは内航船員養成にかかわる独法の、先ほどあった海技教育機構ですか、ここの部分が触れられているわけであります。その中で、海上技術短期大学校及び海上技術学校の授業料についてはとありまして、段階的に引き上げると。船員を増やしていこう、若しくは長期的にもっともっと増やして受ける人を無料にしてもいいんじゃないか、若しくは奨学金を今与えてもいいんじゃないかという議論、増やそうという議論に対してこれ逆行していませんか。どうでしょう。
  45. 春成誠

    政府参考人春成誠君) 委員御指摘のとおり、いわゆる独立行政法人に関する行政改革の閣議決定もございまして、そういう中でそのような記述があることも事実でございます。  先ほど申しましたように、一般高校に比べたときに、先ほども授業料のことを申し上げましたけれども、おおむね半額以下という水準にございまして、そういう意味では現時点において過重な負担があるというふうには理解していないわけでございます。ただ、独立行政法人でございますので、通常から効率化、いわゆる合理化ということは進めていかなければならないと思っておりますので、その授業料の部分も含めてそれなりの御負担をしていただかなきゃいけないと思います。  ただ、おっしゃるように、私ども船員教育に力を注いでおりますので、それを過重な負担を求めるということはよろしくなかろうと思いますし、むしろ独立行政法人の中で管理部門なりいわゆる物件費なり削れるところはきちんと削って、教育自身は充実させるというふうな方向は進めていただきたいと思っております。  なお、現実に、いわゆる生徒さんの定員に関していいますと、ここ数年、数字は全く同じ数字が続いておりまして、これを減らすということはしておりません。  以上です。
  46. 平山幸司

    平山幸司君 先ほどの目標設定、それに対する積極性と必ずやるんだという責任感という三つのお話をしましたけれども、どうも大臣目標設定もちょっと低い。しかも、船員を増やすということに対しても、いろいろもろもろ言いながらも実質的な部分で積極性という部分が何となく欠けているような気がいたします。この点はやはり、やるんだというものを、責任、最後の責任という部分はハードルが低ければ、ほらやっただろうと、こういう結果になってしまうわけでありますから、もう少し目標設定をしっかりと、後々基本計画に盛り込むということでありますけれども船員を増やすんだということであれば高めて、それに対して積極的な政策を取る。そして、必ずやるんだと、これはトップにある大臣の責任感、これをやらなければ、時の大臣の気持ちが大切でありますので、絶対にやり抜くんだと、こういう意思が大切であると御指摘いたしておきます。  もう一つ、時間もそろそろでありますけれども、この教育に関しまして、今のは長期的なビジョンということでお話をさせていただきましたが、船員がこれだけ減っているということに対しまして、もう少し即戦力、すぐに活躍できるというような下に何か政策はあるんでしょうか。
  47. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) やはり海にかかわった人が入ってこられる、その方が、言わば中年の方でもいいんですけれども、専門家が入ってきていただくということは非常に大事だろうと思います。他省庁のことを言ってこれは物議醸しちゃいけませんけれども、もし海上自衛隊等で、そういうところで働いて、そして海で働いてられた方ですから、退職された方が内航等々に入ってこられるということになれば、そういうものを受け入れることによって、即戦といいますかね、そういうことが経験を踏まえた即戦力になるのではないかというふうに私は考えております。
  48. 平山幸司

    平山幸司君 例えば、今自衛官の退職者のお話がありましたけれども、漁業者若しくは、もう一つは自衛隊、漁業者、あと内航に、外航船員が非常に不足しているわけですので、その辺の考えはどうですか。
  49. 春成誠

    政府参考人春成誠君) 今、自衛官その他の関係ございましたが、元々、内航船員について今は絞って議論させていただきますと、内航船員の供給源というのは、かつて漁業関係で特に国際的に漁場が狭まってきて減船して、そこから供給源として漁業関係者が内航船員に入ってきておりました。ところが、これももう枯渇してきております。それから、むしろ外航の方が、先ほど来申し上げた、どんどん日本籍船が減り、その結果職場を失って外航船員がほかの分野に出て行く、その方たちが実は即戦力として内航船員になっておりました。そういったところが実は枯渇してきたわけでございます。  そこで、大臣が御答弁を申し上げているように、高齢化が進んで後継者がいないという状態、人手不足の状態が顕在化しつつあるわけでございまして、そういう意味で、これからどうしていくかということがまさしく我々にとっての大きな問題なんですけれども、御指摘のとおり、先ほど大臣も答弁しましたけれども、例えば海上自衛官の方というのは意外にお若く辞められている方が多いと聞いておりますので、こういった方々を是非こちらの内航の業界で、船員の職場で、元々ノウハウをお持ちでございますので、一定の訓練を経ますとすぐに即戦力になります。そういったことを後押しするような予算上の措置、いわゆる訓練の費用を会社の方に助成させていただくといったようなことも現に考えてございます。  さらには、女子船員、女性の方もたくさん船員学校を卒業した方もおられますので、そういった方にもどんどん入っていただくような制度考えておりますし、それから、いわゆる一般高校とか一般大学を出た方も、そういった方を短期間に集中的に海のノウハウ、海事に関する技術を習得していただいて就職していただくという手も実際には既に一部始まってございます。  そういったことで、新しい供給源についてどんどん進めていきたいというのが私ども考え方でございます。
  50. 平山幸司

    平山幸司君 海にかかわる、やっぱり長期的ビジョンとしては、海の仕事をやってみたいなと、先ほど教科書のお話もありましたけれども、やっぱりそういう全体の底上げが必要であると思いますので、その辺をしっかりと御認識いただいて、全体を底上げすると。船員もそうでありますが、漁業者の方も増やして、全体を、海にかかわる魅力のある、そういった部分を積極的に推進していただきたいと、このように思います。  最後になりますけれども、このもろもろの、時間も短いですけれども議論、冒頭でお話をさせていただきましたこのすべての国会での議論大臣も幸福というお話がありました。私も国民の利益の向上ということがこの国会内での議論に尽きると思います。  そこで、目標設定、先ほどの積極性、そして責任感と、この三つを駆使して国民の利益の向上を図っていくということが大切である。しかし、福田総理に、今この三つを幾ら駆使しても、大臣も幾ら頑張っても、一つだけ足りないものがあります。これは何だとお思いですか。
  51. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) やはり、国民からの支持というものが非常に低いというのは非常に問題だと思います。  私も、私事で申し訳ありませんけれども、本当に一生懸命朝早くから夜遅くまで頑張り、これ百七、八十時間、道路では答弁させていただいていると思いますけれども、しかしながら、人気悪いですね。これは私に対して人気悪いんですよ、それはよく感じます。それは、私はもう少し、どこが足らないのかな、そういうことを感じますけれども、福田総理も本当に一生懸命やっていますよ。やっているけれども、いろんなアンケートは、切り口は違いますけれども、思うように支持率が上がらないという点は、これは僕は率直にどこに問題があるのかということを考え反省し、それを改めていくような行動が必要なんだろう。  ただ、私は頑固だとは思わないけれどもぶれない。私は、ぶれれば信を失うと思っているんです。したがって、幾らいろいろ言われてもぶれない。そういうことを私の信念として政治をさせていただきたいと思っております。
  52. 平山幸司

    平山幸司君 ありがとうございます。  私なりのお答えをお伝えしたいと思いますが、参議院は良識の府、再考の府とも言われます。その意味で、各政策に対しての意思を表示する、これは非常に大切であると思います。一方で、衆議院に関しましては、これはより一層衆議院の特別な部分でありますが、直近の民意を反映する、このことが大切なわけであります。しかし、残念ながら現在はこの民意が反映されているとは到底思えない。結果として民意が反映されていない以上、福田総理の目標であります国民の政治、行政に対する信頼を回復する、この目標は達成できないと思います。  私は、一日も早く衆議院を解散して、そしてしっかりと民意を反映された政治、このことを実現することによって、大臣もそうでありますけれども、政治、行政に対する信頼を回復できる、この参議院においてもいろいろな議論が国民の利益につながるということを最後に、そして我々も全力で政治家一人としても頑張っていくという決意をお伝え申し上げまして、私の質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  53. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 自由民主党の鶴保庸介でございます。  先ほど来、民主党の先生方の方からるるお話がありましたので、もう重複を避けて短めに質問をさせていただきたいと思います。  国土交通大臣に解散の話まで出てまいりましたので、少々ちょっと脱線もあったかと思いますけれども、これ肝はトン数標準税制ですよね。要は、日本船籍、日本人船員確保のためにトン数標準税制等々を含めていかに海上輸送の安全保障等の国策を守っていくかということであろうと思います。  これ聞きながら、税制の問題だから財政金融委員会でやってもよかったんじゃないかという話もちょっと思ったりもしたんですけれども、ちょっと嫌みを言っておきたいと思いますが。税の問題であるということでありますけれども、やはりその主眼とする目的目標については、長浜理事の方からもお話がありましたとおり、やっぱりこれは再度確認をしておかなきゃいけない、これ重複になると思いますけれども思います。  そもそも、日本船籍や日本人船員減少が海外と比して危機的状況にあると国交省並びに政府がお話しになるわけでありますが、危機的状況って何なんだと、じゃ今まで何で何もしてこなかったんだという話は当然疑問として出てまいります。そもそも日本籍船を増加させねばならない理由、日本人船員を増加させねばならない理由、先ほど哲学の話で大臣もおっしゃられましたけれども、重複をできる限り避けた形で政府の方から答弁をいただければと思います。
  54. 春成誠

    政府参考人春成誠君) 日本籍船及び日本人船員の言わば意義ということだろうと思っておりますけれども、これは船の世界海運世界におきましては、その国に籍を置いている船についてはその国が管轄権を持つということが国際的なルールでございます。  したがいまして、私どもは、現在非常に激減しておる日本籍船でありますけれども、これは、我が国の意向を反映することのできる輸送手段が非常に激減しているということで、簡単に申しますとそういうことでございまして、より具体的に申しますと、管轄権でございますので、例えば日本籍船の中で犯罪が起きますと、日本政府はこれを捜査をして取締りをし、あるいは逮捕するといったことももちろんでき、それを司法の場に送るということもできるわけでありますし、一方で、日本籍船が危機に瀕したという場合においては、我が国政府はこれを保護するという責務もございます。  そういう意味で、日本籍船安定輸送の中核であるという認識を持っておりまして、同時に、日本人船員につきましては、先ほど来大臣も御答弁申し上げたように、日本人船員による事故の割合というのは、日本近海に限って見ましても、外国籍船のおおむね五分の一という確率でございます。いわゆる資質が非常に高いということで、当然でございますが、そうした日本人船員に関しまして我が国政府は邦人保護という責務がございますので、そういう意味においても私ども安定輸送を担う主体として望ましいということでございますし、繰り返しになりますけれども、いわゆる海技の伝承あるいは海技の資質という、これを維持するという意味においても、この日本人船員は極めて重要かと思っております。  そういう意味で、総じて安定輸送の中核ということを担うために、やはり日本籍船日本人船員確保しなきゃならないというふうに思っております。それが、諸外国のレベルと比べますと余りにも減っておるということが私ども反省を含めまして申し上げるわけでございますが、したがって、今回、トン数標準税制導入させていただきまして、競争力の均衡を回復して、併せて船舶船員確保計画によりまして日本籍船及び日本人船員を回復していくということを今回の法律目的としているわけでございます。
  55. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 そこなんですけれども、ちょっと通告外になるかもしれません。  安全保障上、それから日本人船員の技術の維持という話が出てまいりましたけれど、これは、よその分野やよその法案等々でも、国土交通省は何かと最近、安全保障と言うんですよ。これはオオカミ少年になってしまいますから、本当の肝の部分で、やはりここの部分は安全保障として必要で、安全保障分野として必要なんだということは、局長の答弁をいただくかどうかは別にして、是非考えておいていただかないと、将来必ずいろんなことで問題になると私は思います。  そういう意味で、ちょっと頭の体操ですけど、例えば、じゃ安全保障で、これは外国人船員の、船の話ですけど、飛行機のパイロットだったらやっぱり同じようになるんですかという問題もありますよね。それもキャリアの話になりますから、これ、どう思われます、局長、ちなみに。
  56. 春成誠

    政府参考人春成誠君) 先ほど申し上げましたように、日本籍船であるということは、定義上それを所有することをできるのは日本人、又は会社の場合ですと三分の二以上の取締役が日本人でなければならないという船舶法の規定もございまして、そういう意味で、日本船舶の運航に関しては日本人の主体的意思によって運航されるという形になってございます。  よって、私どもから見ますと、その非常時においてもこういった日本船舶あるいは日本人船員による安定輸送という使命を担っていただける、そういう意味での安定輸送の中核、あるいは、その非常時ということは経済安全保障だと思いますけれども経済安全保障を現在の日常的な状態からも確保していく上で必要であろうというふうに思っておるわけでございます。
  57. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 うまく何かパイロットの話は避けられたような気がいたしますが、安全保障の分野というのはどこまでの範囲になるかということは是非御検討いただきたいと思います。  そこで、例えばこれもちょっと質問外でありますけれども、そもそも、外国人雇用をした場合安全保障上問題があるという式の話でありますけれども、一方で、その現場は、やむなくという言い方ではありますけれども、現場はそういうふうにしていかなきゃいけない、もうやむにやまれない状況ってたくさんあるわけですよね。例えば、トラック輸送の運転手であったりとか、単純労働者にかかわる話というのはたくさんございます。これは国交省だけに聞くのは実を言うと酷であるということはよく分かっておりますけれども、そういう外国人の雇用問題について国交省としてやはりその基本的な考え方というのも整理する必要があるんではないかというふうに思います。これ、もう答弁結構ですけれど。  その中で、一つこの法案について聞いておきたいのは、じゃ、その安全保障、外国人の雇用をしないようにするために、しないようにというか、やむにやまれずしているという状況を避けるようにするためには、やはり雇う側の体力がなければいけません。この法案を見ておりますと、トン数標準税制を入れて、その税制減税分、まあ減税分といいますか、企業側、雇用主の側にある程度国際競争力を付けてもらおう、有利なふうにしてもらおうというそこまではいいんですけれども、その部分を日本人船員を雇うように政策誘導していくという、ありていに言うとそういう話でありますよね。これは必ずしも国際競争力を強めることにはならないわけであります、当然外国人労働者よりもコストは掛かるわけでありますから。  この辺り、日本企業の国際競争力を強めようということと、そしてそれがなければ本来の所期の目的は達せないはずであるということと、日本船籍をやはり増やさなきゃ、日本人船員の数を増やさなきゃいけないということ、その二つの目的のバランスをどう取っていくのか、どういう哲学で施策をしていくのか、お伺いをしておきたいと思います。
  58. 春成誠

    政府参考人春成誠君) 今回の法律案によりまして、国際競争条件均衡化を図ると同時に、私ども日本籍船日本人船員確保育成を計画的に行うということを結び付けてお願いをしているわけでございます。  そこで、委員御指摘のとおり日本籍船及び日本人船員については、コストという面から見ると、おっしゃるとおり外国籍船あるいは外国人船員に比べますと高いわけでございますので、この状態を、二つの案件を両立させるということにおいてはやはりバランスを取っていかなきゃならぬというふうに思っております。  今回の私ども制度は、日本籍船日本人船員確保育成計画をお出しになって認定されたものにトン数標準税制という言わば減税効果を与えるわけでございますので、我々の理解、考え方としては、トン数標準税制で言わば体力が付いたところを使って、そちらの日本籍船日本人船員確保をいただくわけでございます。  結果的に、この私ども制度日本籍船に対してトン数標準税制を適用いたしますので、具体的にいいますと、外国船主が持っている外国籍船、用船したものがありますけれども、チャーターしたものがございます、そちらには適用いたしませんので、企業の側からすると、日本籍船を増やせば増やすほど言わば減税効果が大きくなっていくという、そういうインセンティブでの効果はあろうかと思います。そういう意味において、インセンティブ効果によって、減税効果をたくさん大きくすることによって体力を更に付けていただくという点はあろうかと思います。  ただ、先ほど申しましたように、急激にあるいは過大な目標設定とスピードを要求いたしますと、その部分は、その体力強化の部分が失われてしまいますので、これはなかなか委員御指摘のとおり難しい操作といいますかバランスだと思いますけれども、そこのバランスもよく取っていきたいというふうに考えております。
  59. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 具体的にはどういう手続、どういう手順でその政策決定、政策を決めていくかだけお伺いをしておきたいと思います。
  60. 春成誠

    政府参考人春成誠君) 今回のトン数標準税制の適用に当たりましては、まず国土交通大臣においてその目標値日本籍船日本人船員目標値等に関しまして基本方針を立てます。また、それに基づいて各船会社の方で船舶船員確保計画というものをお出しいただくわけでありますけれども、これらの基本的な部分につきましては、法律の条文にありますように、交通政策審議会の御意見を聴くと、聴いた上で定めることになっておりまして、交通政策審議会の場におきましては、関係の方々、もちろん日本船主協会の方々、あるいは船員さんの団体であります全日本海員組合の方々もお入りになって、委員としてそこで御審議いただきながら、具体的な手続としては御意見をまとめていただいて、私ども、それを基本方針なりに反映していくという手続を考えてございます。
  61. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 よく分かりました。交通政策審議会での議論できっちりとそういう哲学の部分を御議論いただきたいと思います。  もう今日は早めに終わりたいと思いますので、あと一問、じゃ最後に。  これは今、日本船籍の話、出ていますけれども、長い長い海運業界を取り巻く厳しい状況の中で、これ内航海運の問題も大変、実を言うと大きな問題がありました。私が政務官をやらせていただいているころから暫定税率の問題等々もありましたし、また、当時まだ高金利船のような、高金利で借入れをして事業を行っておった会社がばったばったと倒れているという時期でもございました。  現状の内航海運現状と、それから内航海運の、その当時から日本人船員の問題も内航海運もありましたから、船員不足の問題についてどのような対策を講じようとしておるのか。全体的なパッケージをお伺いをして質問を終わりたいと思います。
  62. 春成誠

    政府参考人春成誠君) 内航海運現状でございますけれども、長らく不況の状態にあったことは委員御指摘のとおりで、大変苦しい状態が続いておりました。  簡潔に申し上げますけれども、ここへ来て、いわゆる船腹需給といいますか、船舶の数に対する需要の程度のことでございますけれども、割と経済の状態も良かったこともありまして現実には非常に締まってきておりまして、現在のところは用船料あるいは運賃といったところについては、もちろんバブル期のような状態には程遠いわけでございますけれども、ある程度の水準まで戻ってきておるという認識をしております。  ただ、しかしながら、大臣からも御答弁申し上げているように、船員の高齢化、人手不足ということが顕在化しつつございますし、油の高騰による打撃を現在受けておるということも事実でございます。  その船員の不足あるいは高齢化の対策としては、私ども従来、内航海運船員に関しては、むしろ不況であったものですから船員離職者対策の方に軸足を置いておりまして、どんどん陸に揚げていくといいますか、そういう方向に実は予算の重点がございましたけれども、それをここへ来て、現在はむしろ人手不足、高齢化ということでございますので、むしろ計画的に雇用を促進するという方向に軸足を移して、先ほど来御説明申し上げているような新しい新規の供給源からの採用促進ですとか、あるいは資格をどんどんキャリアアップしていただくような考え方、よく我々、標語として、集めて育ててキャリアアップさせて、将来的には陸上への転身もできるような人にして、いわゆるライフサイクルをつくれるようなことを我々としてはやっていこうということで、予算の軸足も移しまして努力していっているところでございます。
  63. 鶴保庸介

    鶴保庸介君 ありがとうございました。
  64. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 公明党の鰐淵洋子でございます。  本改正案につきまして質問させていただきますが、その前に関連をいたしまして、外航海運における地球温暖化対策についてまずお伺いしてまいりたいと思います。  海運業界におきまして、内航海運におきましては京都議定書の適用対象になっております。CO2の削減の取組におきまして京都議定書の適用内になっておりますけれども、それに対して、外航海運につきましては京都議定書の適用除外となっております。  そこで、まずお伺いしたいと思いますが、世界外航海運におきますCO2の排出の現状についてお伺いをしたいと思います。
  65. 春成誠

    政府参考人春成誠君) ただいまお尋ねの世界外航海運におけるCO2の排出の現状でございます。  ここ数年は外航海運の海上荷動き量というのは非常に活況を呈してございまして、ここ数年だけ取りますと、大体年率六%ぐらいのスピードで荷動きというのは膨らんでおります。  そうした関係で、今委員御指摘のとおり、これまでいわゆる京都議定書の枠外というふうに外航海運されておりますけれども、ここへ来て非常にこれは看過できない状態になっておりまして、一定の試算によりますと、おおむね世界の排出量の三%程度を外航海運はこれを排出しておるということでございます。これはどういうぐらいの規模かということでございますけれども、おおむねドイツ一国分のCO2の排出量というふうになっております。  そういう意味で、国際的な機関、特に国際海事機関と言っておりますけれども、そちらでCO2対策外航海運におけるCO2対策議論がなされているという状況にございます。
  66. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  今御報告いただきましたが、世界外航海運でのCO2の排出量ということで、全体の三%程度に当たるということで、またドイツ一国分に相当する量ということでございましたが、更に近年急速に排出量も増えているという、こういった現状であるかと思いますが。  そういった意味で、今この件につきましては国連の検討機関であります国際海事機関において検討はされているということではあるんですが、やはりこの現状をこのままに、要するに検討の結果が出るまでこのままにしておくことではないと思います。やっぱり早急に外航分野におきます地球温暖化対策、これにもしっかりと取り組んでいく必要もあるかと思いますけれども、そういった課題に取り組むに当たっては、特に中国とかインド、こういった国々も巻き込んで取り組んでいくことを考えますと、やはり経済成長これと地球温暖化対策、両立していくことが大事なことになると思います。  そういった意味で、日本におきましては省エネ技術、こういったものが大変に優れておりますので、外航海運における地球温暖化対策日本がリーダーシップを発揮してこの地球温暖化対策、早急に取り組んでいくことが重要になってくるかと思いますが、この件につきまして御見解をお伺いしたいと思います。
  67. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 我が国の優れた造船技術を活用した外航海運分野における地球温暖化対策、非常に大事でございます。したがいまして、本年度より五か年計画で、船舶からのCO2排出削減三〇%を達成する新技術の開発を目指してまいります。  その普及促進に向けて、世界に先駆けた、今世界にないんですけれども船舶というのは皆仕立てでございまして、一隻一隻が手作りになります。したがいまして、自動車のようにこのモードであれば一リッターで二十キロ走れるとか、そういう標準がないんですね。したがって、これはCO2削減として特別に優秀な車両であるというようなことが表彰されたりしております。そういうものを励みにして、各自動車製造会社は少しでも削減ができるようなそのような技術を競って争っているわけですが、残念ながら船舶ではそのような基準がありませんので、排出量を削減することを競うというような条件が整っておりません。  したがって、私は、先ほど申しましたように、世界に先駆けて海のテンモードと、こういうふうに、ちょっと分かりにくいんですが、船舶の実際の海域での燃費指標、燃費がこの船ではどの程度だということを示せるような、そういうようなものを開発をしてそれを国際基準にしてしまおうと、そのようにしてCO2削減をそれぞれの造船会社が競うようなそのような条件をつくっていこうと、最終的には日本が多く受注できるようにしようということでございますが、そういうことも進めてまいります。  それからまた、やはりそのような意味での技術者の養成が必要になります。こういうことを総合的なプロジェクトとして、海洋環境イニシアチブということを積極的に推進していかなければならないというふうに考えております。このプロジェクトは、海上の輸送効率と我が国造船業の国際競争力を共に向上させる、そして温暖化対策としてはもちろんのこと、経済成長も見据えた施策として、我が国が再び世界に対する貢献が期待される国になりたいと、そのように思っております。
  68. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  高効率な船舶の開発また人材育成ということでも今お話ございましたが、是非、日本が誇れるこういった技術、これを基に、世界としても外航海運における温暖化対策ということで、是非積極的にまた早急に取組を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。特に今回、洞爺湖サミットもございますし、そういった意味でもこの分野における地球温暖化対策、是非、重要な課題として認識もしていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  続きまして、この法案につきまして何点か質問させていただきたいと思います。これまでも様々審議されておりますが、改めて確認も含めて質問させていただきたいと思います。  昨年制定されております海洋基本法、こちらの方にも、国は効率的かつ安定的な海上輸送の確保を図るために、日本船舶確保船員の育成及び確保、これをしっかりとやらなければいけない、こういった趣旨のことが書かれております。また、今回の改正案の三十四条におきましても、日本船舶船員確保、その意義、目標に関する事項を盛り込む、こういったこともございます。  では、日本の今現状はどうなのかということで確認をしておきたいと思いますが、これは先ほど平山委員がお配りした資料にありましたので、これも是非参考にさせていただきたいと思いますが、外航の方におきましては、日本籍の船ですね、これは平成十八年現在で九十五隻ということで、これは自国籍船率四・三%ということでございます。これに対して他国、ドイツでは自国籍船率八六・四%、イギリスでは五八・二%ということでございました。船員の率も、日本は六・五%に対して、イギリスは二九・〇%、ドイツは六六・二%ということで、船も含めて、船員も含めて、やはり他国に比べても大変に少ないというか、そういう状況が分かるかと思いますが。  先ほども申し上げました海洋基本法にも、また今回の法案目的というか取組につきましても、効率的、安定的な運用をしていく上で、やはり日本船舶船員確保、重要な課題になってくるかと思いますが、今後これを確保するために、この船員日本船舶確保につきまして、目標を含めてどのようにお考えになっているのか、そこの御認識をまずお伺いをしたいと思います。
  69. 春成誠

    政府参考人春成誠君) ただいま日本船舶それから日本船員の育成確保についてのお尋ねでございますけれども委員御指摘のとおり、外航海運というのは我が国経済社会活動あるいは国民生活を支える重要なインフラであろうと思っておりまして、それを支える安定輸送の中核としてはやはり日本籍船日本人船員であろうというふうに認識しております。御指摘のとおり、これが激減しているという状況は極めて憂慮すべき事態だと思っております。  その意味で、今回法案を出させていただきまして、トン数標準税制導入することによりまして諸外国との間に開きました競争力の格差を埋めまして、同時に、その格差を埋めた力をもちまして日本船舶及び日本人船員確保育成を図っていただくというのが今回の法律の基本的なスキームでございます。  その目標値につきましては、私ども法案及びその政策について御審議いただきました交通政策審議会におきまして昨年十二月に御答申いただいておりますけれども一定の非常事態を想定いたしまして、日本籍船日本人船員だけで我が国一定経済、国民生活を支えるということを考えますと、隻数につきますと四百五十隻、日本人船員の数は五千五百人ぐらい必要であるという御答申もいただいております。  それはもちろん一つ目標値でありますけれども、当面、今御指摘のあったような日本籍船及び日本人船員現状からしますと、一足飛びにそちらに向かうということは現実的ではございません。そういう意味で、昨年暮れに日本船主協会、外航船社のお集まりになった団体でありますけれども日本船主協会の方で、日本籍船については五年で二倍に、あるいは日本人船員については十年で一・五倍ということを目標にしたいということも表明いただいておりますので、当面の目標値としては既に御表明いただいているところを一つの目安にしながら設定して、先ほど申し上げました船舶船員確保計画の履行を求めていくということで目的を達成したいと思っております。
  70. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  今回の海上運送法の改正におきましては、先ほどからお話ございましたが、船舶運航事業者等がこの日本船舶船員確保計画を作りまして、その計画が大臣の認定を受けた場合にトン数標準税制の適用が盛り込まれるということでございますけれども、これはもう長年の課題でございまして、先ほども申し上げましたが、日本船舶船員確保目標ですね、これを進めていく上でも大変に達成につながる、このトン数税制の適用がこの目標達成につながる原動力というか、そのきっかけになることは間違いないと思っております。  そして、今回、この改正を受けまして、トン数標準税制の適用を受けて、これをまずしっかりと検証というか、これが本当に適用がどうなっているのかということを見ていくことも重要であると思いますし、また、今後さらに、外航分野、ここが持続的な成長というか向上していくためには、次の課題といたしまして、これも皆様御案内のとおり、固定資産税とかあと登録免許税、こういった諸制度につきましても、単一市場ということもございますので、諸外国と同一の競争条件にすることが必要になってくるかと思います。  これも皆様御案内のとおり、固定資産税につきましては日本では課税になっておりますが、イギリス、フランス、オランダ、ノルウェー、こういった国々では非課税になっております。日本と同じように課税になっている国が幾つかございますが、日本におきましては九十三億円の船に対して三百四十万円の税ということです。それに対してシンガポールでは六十万円、香港では百六十万円、このように日本と比べてもコスト差もあるということで、今後、今回の改正を受けまして次の課題になることは承知しておりますが、これから、先ほども申し上げましたが、この単一市場の中で諸外国と同一の競争条件の中で進めていくことが大事、必要になってくるかと思いますので、そういった意味で更なるこの制度の改善に向けて取り組んでいく必要もあるかと思いますが、この件につきまして御見解をお伺いをしたいと思います。
  71. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) お尋ねのように、トン数標準税制以外の税制措置につきましては、国際船舶制度によって登録免許税及び固定資産税の特例措置を講じております。しかしながら、諸外国と比較をしてみますと、日本が三百四十万円に対して、イギリス、フランスは課税なし、非課税、あるいはアメリカは州によって課税するところあるが非課税、ノルウェー、オランダ、デンマークは非課税、ドイツはこれは三千二百万円、ちょっと大きいですね、そういうばらつきがあります。それから、登録免許税につきましても減税はしていますけれども、諸外国と比べてどうかという検討が要ると思います。  もう一つ船員の所得に対する課税というものも今回は配慮されておりませんけれども、これは検討すべき課題だというふうに指摘をされておりますし、例えば、デンマーク、フィンランド、ドイツ、ギリシャ、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、英国、こういうところは船員の所得税を免除又は軽減をしておるということから比べると、日本の場合はそういうことはしていないということで検討すべき課題だろう。  私は、所得税は働いて得た税金ですから、日本人である以上その職種によって減税されるかされないかということは相当高度な政治判断になると思うんですが、素人ですから税制議論でこんなところ言っていいのかどうかは別として、住民税とか、海の上でおる時間が長いわけですから、それに同じ税率で掛ける必要があるのかどうかということは考えても合理性があるのではないかなという感じがいたしますが、残念ながらまだその税は導入はされておりません。
  72. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  大臣おっしゃるとおり、税制のことでもございますので、次の課題として私たちも取り組んでいきたいと思っておりますが、是非この外航分野における発展日本経済発展にもつながるわけですし、しっかり財務省に対しましても私たちも頑張っていきたいと思いますが、是非とも国交省としてもその点をアピールしていただいて、今後の課題としてしっかりと取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  続きまして、具体的にこの船員確保の取組について質問させていただきたいと思いますが、これも先ほどからお話ございました。内航船員の高齢化が著しいということもありまして、将来的に約二割程度の船員が不足するんではないか、そういったことも言われております。将来的にもしっかりと船員確保する上でも、これも先ほどからお話ございましたが、特に若い方とかまた女性、そして船員の教育機関を卒業していない方でもこういった船員になられるような、こういったそれを促すような仕組みづくり、取組が重要になってくるかと思います。  今回、この法案を勉強するに当たりまして、私も初めて女性がこういった仕事ができるんだなということを知りまして、女性はいないかと思っておりましたが女性がいるということが分かりまして、実際に調べてみましたら、全体の〇・七%が女性ということで、体力的な課題とかいろいろあると思うんですが、今後拡大していくということで、雇用拡大という意味でも女性の確保ということも一つの大きな焦点というか、なってくるかと思います。  そこで、若い方とか女性とかそういう学校、船員の教育機関以外の方の卒業生の方でもこういった分野に進めるような環境づくりということで、具体的な取組をお伺いをしたいと思います。
  73. 春成誠

    政府参考人春成誠君) お尋ねの女子船員、女子の方、女性の方、あるいはいわゆる船員教育機関以外の一般の高校からこちらの船員世界に入りたいという方をいかに、私どもとしてはできる限り積極的に取り入れたいと思っております。委員御指摘のとおり、現在高齢化が進展しておりますので将来的な人手不足ということが懸念されるわけでございますから、新しい供給源というものを見出していきたいというふうに思っております。  具体的には、私ども船員対策の予算というのが今まで離職者対策に置いておりましたが、これからは育成確保対策に充実するということで、今年度予算一億六千万ちょっと確保しておりますけれども、これは従来のものに比べますとおおむね二倍程度でございますが、これをもちまして船員の訓練育成に関する助成制度を具体的につくっていきたいというふうに考えております。  今具体的に御指摘のありました女性の方あるいは一般高校卒業の方などにつきましては、いわゆるトライアル雇用といったようなものを、今でも制度がございますけれども、こういったことをトライアルで企業の方が、内航の企業の方が採用して訓練するといった場合にその費用の一部を負担するという制度を、具体的に例えば支給額を月額十万円程度支給するというふうなことも今現在考えてございます。  もちろん、これ以外にも今までの制度を充実させた、いわゆる船員確保育成の訓練、あるいは新規の資格を取得するための費用の支援といったことも具体的にこれから制度設計をしてまいりたいと思っております。
  74. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  船員確保育成ということで今回も様々仕組み、制度をつくっていただいていると思いますが、そもそも論になりますが、こういった仕組みをつくってもやはり船員になりたいという、志望をする方をどれだけ増やすかということがやはり大事な課題になってくるかと思いますが、これも先ほどからお話ございました。やはり海の魅力とか海にかかわる仕事がどれだけ重要なものか、こういった広報活動ですね、これをもっともっと積極的に私はやっていく必要があるかと思います。  例えば、飛行機とか電車とかバスは私たちの日常生活の中で常に身近にあって触れるものですので関心を持たれる方、子供とか若い方も含めて関心を持つ機会もあるかと思いますが、海に関しては、その近辺の方は、地元の方は触れる機会があったとしても、なかなかこういった船員の方、海にかかわる仕事に携わる機会も少ないですので、その分、ほかの分野以上にアピールですね、船員の仕事の内容も含めてこういった広報活動が大変に重要になってくるかと思いますので、今までもやってはいただいていると思うんですが、更に海の魅力含めて海の仕事の重要性、ここをもっともっとアピールをしていただきたいと思います。  もう一つ、具体的に本当に船員確保というところで、私も先日、ハローワークのインターネットサービスを開きまして船員求人情報ネットというところにリンクをしてみました。実際にそこでこういう仕事があってこういうところが募集していますよというような情報はあったんですけれども、もっとデザインも含めて、本当にやってみたいなとか、ああ、こういうすばらしい仕事があるんだというような、是非こういうホームページの充実も図っていただきたいと思うんです。正直言って、これ見ただけで、ああ、ちょっとやってみようかなと思うような気にはなれないかなというのもちょっとありまして。  ですので、こういったホームページの充実、また、もうホームページを見る方も一部、一部というか、皆さんが見るわけでもありませんので、それ以外のアピールということで是非ともこの分野を積極的に進めていただきたいと思いますが、この広報活動につきまして、今後の広報活動につきましてお伺いをしたいと思います。
  75. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) PR、大事です。  海上保安の保安大学校とか保安学校、卒業式にも私、出ましたけれども、たくさん女性の方いらっしゃるんですよ。  それと、「海猿」という映画上映があったんですが、これは大変な人気がありまして、海難救助をやっている海難救助隊を取り上げた優れた映画でしたけれども、これを見た国民が海上保安に対する大変な関心をお持ちになりまして、保安学校、保安大学校の人が女性の追っかけを受けるほどの人気があると。それから、入学試験も物すごく競争率が上がったんです、物すごく。それで保安学校は定員を増やしましたけれども。  そういうことで、委員が言われるように、PRと国民に対するその実態の浸透というものがこれほどすごいものだということは私は思いませんでした。しかし、これからもっとデザイン考えて、いいものでやらせていただきます。
  76. 鰐淵洋子

    ○鰐淵洋子君 ありがとうございました。  様々知恵を出していただいて、やっぱりすばらしい、大変な仕事をされているかと思いますので、その点を是非どんどん積極的にアピールしていただきたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  77. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上貞雄でございます。  海上運送法及び船員法について質問をいたします。  これまで、日本船籍、日本人船員減少対策として、日本人船員外国人船員との混乗化や乗務員の少数精鋭による近代化船の取組、それから税制による支援措置等の施策を講じてきましたけれども日本船籍、日本人船員減少に歯止めが掛からず、今日に至っております。  これらの施策を講じたにもかかわらず日本船籍、日本人船員減少に歯止めが掛からなかった原因はどこにあるとお考えでしょうか。
  78. 春成誠

    政府参考人春成誠君) ただいま委員御指摘のとおり、日本籍船及び日本人船員減少という事態に対して、私どもも今御説明いただきましたような各般の施策を講じてきたわけでありますが、しかしながら歯止めを掛けることができなかったということは事実でございます。  この背景には、やはり円高の傾向というものが非常に急激に、また大きく悪影響を及ぼしたということが基本的にあろうかと思います。それは、私どもの場合、日本の場合ですと、一ドルが三百六十円の時代から現在百十円程度ということで三倍以上にコストが膨らんだわけでございますので、そういう意味コストの高い日本籍船及び日本人船員を抱えておくということが企業としてできなかったということでございますし、私ども政策、今日も御指摘もいただいておりますけれども、いささか遅かった、あるいは効き目が少なかったということは事実であろうかと思っております。
  79. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 法案は、安定的な海上輸送の確保を図るために必要な日本船舶確保、それから船員の育成確保を図ることを内容としておりますが、安定的な海上輸送はどのようなものなのでしょうか。  また、本法律案の成立によって日本船舶日本人船員減少に歯止めが掛かるとともに、必要な船舶船員確保されるかどうか、お考えでしょうか。
  80. 春成誠

    政府参考人春成誠君) 安定的な海上輸送についてでございますけれども、安定的な海上輸送といいますのは、我が国経済社会が持続的に発展を遂げるために必要な海上輸送サービスが持続的かつ安定的に供給される、恒常的に提供されることをいうものだというふうに理解しておりまして、これを確保するためには、その中核である日本籍船日本人船員確保が必須であろうかと考えております。  今回導入させていただきますトン数標準税制及びそれに基づきます船舶船員確保計画ということを着実に御実行いただけるならば、私どもとしてはこの船舶船員確保、復活が成りまして、結果として安定輸送確保という部分を確保することができるというふうに考えております。
  81. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 試算によれば、必要な船舶数は四百五十そう、船員五千五百人とのことですが、四百五十そうを必要とする根拠並びに五千五百人の算出に当たっての予備率五〇%とした根拠は何でしょうか。特に、船員不足の中で予備率五〇%というのはもう既に絵にかいたもちではないかというような気がしますが、その点、いかがでしょうか。
  82. 春成誠

    政府参考人春成誠君) 日本船舶及び日本人船員の最低限必要な規模につきましては、私ども政策について国土交通大臣より諮問いたしました交通政策審議会、こちらが昨年十二月に御答申をいただいておりますけれども、その中で、いわゆる非常時等におきまして、我が国の貿易物資を、一定経済活動を支えるだけのそういった貿易物資を一定期間我が国船舶それから我が国日本人船員だけでこれを輸送するといったケースを想定した場合に、おおむね船舶につきましては四百五十隻、日本人船員につきましては五千五百人というものが必要になるという御答申もいただいております。  その際の、試算に当たっての日本人船員についての予備船員率につきましては、委員御指摘のとおり五〇%という数字を用いております。これは、現在の日本人船員の予備船員率をベースに置きましてこれを算定しているわけでございまして、現実に労働協約等におきましてその予備船員率が採用されているということからこの五〇%を使ったというふうに理解しております。
  83. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 必要な船員数五千五百人は、海技資格を必要としない部員は含まれておりません。部員を確保する必要はないとお考えなんでしょうか。
  84. 春成誠

    政府参考人春成誠君) 部員の必要性についてでございます。  先ほども申しました昨年十二月の交通政策審議会の答申におきます、いただきました必要最低限の五千五百人につきましては、これ自身船舶職員、部員、部員といいますか、船の中には海技免状を持って運航及び機関の主体となります職員の方と現場作業に従事いただく部員という二種類の方がおられるわけでありますけれども、その船舶職員につきましての数字でございます。この理由は、部員が必要ないということではありませんで、極限の状態において船を動かすということを考えましたときに、まず根幹である職員の方々を確保しなきゃいけないという考え方で、職員について数字をお出しいただいたものでありまして、部員が必要でないということではございません。  なお、昨年十二月に、トン数税制導入いただいた場合に今後の日本船舶確保あるいは船員確保目標値として、日本船主協会の方でお示しいただきました日本人船員についての十年で一・五倍という数字は船舶職員と部員と双方含む数字でございます。
  85. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 日本人船員減少に歯止めを掛ける有効な施策の一つとして、船員税制導入考えられます。これらは海上で働く船員によっても非常に関心の高く、実現を切望する声が多くあります。また、この間行われてきました交通政策審議会海事分科会国際海上輸送部会の答申においても導入を検討すべきであるとしていますが、その実現に向けて国土交通省はどのように取り組まれるんでしょうか。お伺いいたします。
  86. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 船員税制導入している国は、先ほども述べましたけれども、デンマーク、フィンランド、ドイツ、ギリシャ、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、英国というような国が船員税制として船員所得税の免除又は軽減ということを行っているということは周知でございますが、船員という特定の職業に従事する者に対してのみ税制上の優遇措置を講ずるということについて、国民的な理解が得られるかどうかという点がいつも論争の的になるわけでございまして、その問題点について慎重な検討が必要であるというふうに言われております。  私どもそういうものを考えに入れながらも、そういう意見に対して、こういう政策目的の下にこれは導入すべきだということの考え、確たる考えをまとめてそういう方面について考えていかなきゃならない。住民税については、私個人の意見ですけれども、海の上で過半の生活をしていられる方がいわゆる住民サービス受けている比率から見て、若干これは国民に申し上げても理解を得られるんじゃないかなということを一人考えております。
  87. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 検討した上で実行できますように御期待申し上げておきます。  法案は、これまで国内海上輸送に限られた船舶運航事業者に対する航海命令の範囲を国際海上輸送にも命ずることができるようにしていますが、どのような理由から拡大をするのでしょうか。つまり、これまでは国内海上輸送に限ってきた理由は一体何でしょうか。
  88. 春成誠

    政府参考人春成誠君) 今回の法案におきましては、これまで国内輸送に限られておりました航海命令という制度を国際海上輸送に適用範囲を拡大しております。この拡大した理由につきましては、現時点におきまして、現在におきまして、これまで国内ではなく国際的にも非常な災害ですとか、邦人避難を必要とする、そういった事態が必要だろうという想定に立つものでございます。  では、なぜこれまで国内輸送に限ってきたかということでございますが、これは、この制度自身は昭和二十四年以降にでき上がっているわけでございますけれども、当初は国内、国際を含めた航海命令制度があったわけでございますけれども、昭和二十六年の時点で国際輸送については対象外とするということで、国内輸送だけに限定されてまいりました。  その理由は、非常に古いことでありますので確たることは申せないことはありますが、当時の御議論を読みますと、日本が国際社会に復帰するという段階におきまして、この航海命令制度一定の被害を、その航海命令によりまして船舶が被害を受けた場合に国が補償するという規定がございました。その点を取り上げまして、国が積極的に、国家主義的に船舶を更に育成するのではないかという疑念が生じたということでございまして、国際社会の中で国が一定以上の補助を与えるというふうな印象を与えることは疑念を与えることになるということで、当時の事情の中で、国際社会に復帰を果たす中で、その過程の中で国際輸送についてはこれを適用対象外とすることで削除されたというふうに理解しております。  今日におきましては、そういった事情は既に存在いたしませんので、私どもとして、今後国際社会において国際的なそういう非常時というのは想定されますので、今回措置させていただいたと、それによって安定輸送確保したいというものでございます。
  89. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 では、どのような状況のときに国際海上輸送に対する航海命令が出されるのでしょうか。また、航海命令の対象となる船舶事業者、船舶はどのような基準で選ぶんでしょうか。
  90. 春成誠

    政府参考人春成誠君) この航海命令の発動の対象となる状態でありますけれども、この法律上の条文上は、これは、航海が災害の救助その他公共の安全の維持のために必要であり、かつ自発的に当該輸送を行う者がいない場合又は著しく不足する場合に限り発動するとなっておりまして、具体的に申しますと、諸外国におきまして大災害あるいは有事みたいなものがございまして、邦人を避難させなければならないといった事態、これは現実にインドネシア危機のときにそういった事態があったわけでございますけれども、それから、いわゆる諸外国で戦争等がありまして貿易物資の供給ということが極めて困難になるという、スエズ運河等が閉鎖されるといった事態におきまして貿易物資の供給ができないといった事態、そういった事態を想定して、そういった事態において我が国船舶でもって物資を運ぶといったことを想定しているわけでございます。  それから、委員お尋ねの、どういう船に対してそれを発動するのかという、いわゆる発動の具体的な基準であろうかと思いますけれども、これはその時点になって何が適切であるかということを当然判断するわけでございます。例えば油が来ない、石油が来ないということになりますと、船種、我々船種と呼んでおりますけれども、船種的にはそういう石油を輸送する石油タンカーというものを選び、あるいはルートにつきまして、それに適切なルートを有する船舶運航事業者を選んでまいるといった、そういう基準で実際には運用がなされようかと思っております。
  91. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 航海命令は船舶運航事業者の意思いかんにかかわらず運送を強制されるわけですが、そこで働く船員、それから使用人、従業者についてはどのようになるのでしょうか。また、これらの人たちが乗組みを拒んだ場合どんなことになるんでしょうか、お伺いいたします。
  92. 春成誠

    政府参考人春成誠君) 航海命令の対象船舶で働く船員に関するお尋ねでございますけれども、今回の海上運送法の航海命令に係る船舶への乗組みを船員が仮に拒否したといたしましても、船員に対して乗組みを強制するものではこの制度はございませんので、したがいまして、乗組みを拒否した船員に対する罰則はありません。したがいまして、船員がその意に反してこの航海命令に従事させられるということはないわけでございます。  それから、今回の法改正におきましては、やや細かいことかもしれませんが、手続上、船員法を改正いたしまして、船員の雇用主である船舶所有者に対しまして、乗船前に雇入契約というものを必ず、言わば乗船契約といったものでありますけれども、雇入契約を結ぶわけでありますけれども船員さんと船舶所有者の間で締結されますけれども、その際必ず、この航海が航海命令に基づくものであるかどうかということを明示するような規定を入れておりますので、明示義務を入れておりますので、船員がその状態を知らされずに乗船するということはないわけでございます。
  93. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 先ほども議論がございましたが、航海命令に出される非常時には武力攻撃事態等及び緊急対策事態並びに周辺事態は含まないとの説明がなされておりますが、再確認の意味質問いたしますが、何をもって含まないと解釈できるんでしょうか。
  94. 春成誠

    政府参考人春成誠君) この航海命令の対象に有事が含まれないということについての御確認でございますけれども、この航海命令の適用要件につきましては、法の二十六条一項におきまして、災害の救助その他公共の安全の維持のため必要な場合というふうにしておりまして、これいわゆる国民保護法制によるような有事における対応というものではないということは明らかだと理解しております。  なお、この有事法制におきましては、有事という事態の認定に関する内閣総理大臣は基本計画というものを立てまして、それを閣議で承認を求めることになっております。さらに、その後、国会において承認を求めるといった手続がございまして、その上で各都道府県知事、あるいはその上で内閣総理大臣から輸送の求め、あるいは輸送の指示というのがなされるという一定の認定に関する手続あるいは発動に関する手続というものが別途定まっておるというふうに承知しておりまして、そういう意味においても全く手続あるいは要件、効果において違う法制だと私どもは理解しております。  なお、そういう意味で、私どもはこの航海命令というのは有事を対象としないというふうに申し上げているわけでありますが、私どものこの政策を御審議いただいた交通政策審議会におきましても、この航海命令は有事を対象とはしないというふうに明言いただいているところでございます。
  95. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 航海命令発動の想定事例では、国内事故、それから災害発生時の外国からの緊急物資輸送、外国で災害、治安悪化等が発生をした場合、邦人救出、便宜置籍国である外国で治安悪化が発生をした結果、それから当該国籍船が運航できなくなった場合などが挙げられていますが、かなり適用範囲が広く、命令の乱発を懸念するものですが、航海命令の重みをやはり十分認識されて、そのようなことがないようにしていただきたいと思いますが、その点、大臣、いかがでしょうか。
  96. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 絶対に濫用はいたしません。
  97. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 固い決意、大変ありがとうございました。  次に、職場環境、労働環境の改善は船員確保の育成のみならず健康確保にとっても必要なものであり、今回定める時間外労働の限定時間設定や休息時間の設定は一定の評価をすることはできますが、これらが本当に実行されなければ職業的な魅力を高めることには大変難しいと思います。国土交通省はこれらの施策の実効についてどのように担保されようとしているのでしょうか、また、されるのでしょうか、お伺いいたします。
  98. 春成誠

    政府参考人春成誠君) 御指摘のとおり、今回、船員の労働環境の改善、それによる船員という職業の魅力向上を目的といたしまして、時間外労働に関する基準の設定ですとか、あるいは休息時間に関する規定の改正をいたしております。  これを実効あらしめなきゃならぬわけでございまして、私どもとしては、実は私どもの方で運航労務監査制度というのがございまして、これ大体百七十名ほど全国にそういうことをやります運航労務監理官というのがおります。その人たちが年間おおむね一万件弱ぐらいの回数で船舶あるいは事業場に赴きまして、そういった労働条件の監査等もやっております。この制度を活用いたしまして、今申し上げたような今回の改正事項が十分実行されておるかどうかということも確認したいと思いますし、もちろん私どものサイドから事業者団体を通じて周知徹底も図りたいと思っておりますし、もちろん各運輸局あるいは支局がございますので、そういったところでの窓口指導といったこともやらせていただきたいと考えております。
  99. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 最後の質問になりますけれども、燃料費の高騰が続いており、内航、カーフェリー、旅客船、港湾船、各部門においての緊急的な課題となっておりますが、国交省の対応を聞いて、質問を終わります。
  100. 春成誠

    政府参考人春成誠君) 御指摘の内航における燃料油高騰問題は極めて深刻でございまして、A重油あるいはC重油というものが平成十五、六年ごろに比べるとほぼ二倍になっておるということでございます。  これは、基本的には荷主である利用者の方々に御負担いただく、いわゆる転嫁でございますけれども、こういう方向が基本的には望ましいわけでございますけれども、内航事業者は中小零細でございますので、これがすんなりとなかなかいかないわけでございます。  そういう意味では、昨年暮れより大臣自ら経済団体の幹部にお会いいただきまして、この内航海運の窮状と転嫁についての御理解を求めるといった活動もいただいておりますし、それから私どもも、全国にあります運輸局の面々がそれぞれの地元の経済団体のところに赴きまして、是非御理解いただきたいということもやっておりますし、さらに、現実にこれが転嫁できているかどうかについての詳細なアンケート調査も現在行っておるということでございます。その結果を踏まえて、更に必要なことがあれば対応していきたいと思っております。
  101. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  海上運送法及び船員法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  102. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、長浜博行君から発言を求められておりますので、これを許します。長浜博行君。
  103. 長浜博行

    長浜博行君 私は、ただいま可決されました海上運送法及び船員法の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党・無所属の会、公明党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     海上運送法及び船員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、日本船舶船員確保計画の認定状況トン数標準税制の適用状況を継続的に把握し、その効果を検証するとともに、船舶の特別償却制度固定資産税登録免許税トン数標準税制以外の税制及び船員雇用・待遇改善に係る支援措置の充実等、総合的な視点から、国際的な競争条件均衡化のため更なる制度改善に努めること。  二、昨今の海難事故にかんがみ、我が国海運のより一層の安全性を確保する観点から、国際的にも評価される我が国船員を育成・確保するため、教育訓練システムの充実・改善の具体化並びに、事業者への指導を強化すること。  三、外航に拡大された航海命令制度については、発動基準を明確にするほか、船員の安全確保策等について関係者の理解が得られるよう、適切かつ十分な検討を加えること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。
  104. 吉田博美

    委員長吉田博美君) ただいま長浜君から提出されました附帯決議案を議題といたします。  採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  105. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 全会一致と認めます。よって、長浜君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、冬柴国土交通大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。冬柴国土交通大臣
  106. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 海上運送法及び船員法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝を申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長始め理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。  大変ありがとうございました。
  107. 吉田博美

    委員長吉田博美君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十五分散会