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2008-05-22 第169回国会 参議院 国土交通委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年五月二十二日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  五月二十日     辞任         補欠選任         平山 幸司君     喜納 昌吉君  五月二十一日     辞任         補欠選任         喜納 昌吉君     平山 幸司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         吉田 博美君     理 事                 長浜 博行君                 室井 邦彦君                 谷川 秀善君                 鶴保 庸介君                 鰐淵 洋子君     委 員                 池口 修次君                 大江 康弘君                 川上 義博君                 輿石  東君                 田中 康夫君                 田名部匡省君                 羽田雄一郎君                 平山 幸司君                 広田  一君                 藤本 祐司君                 山下八洲夫君                 佐藤 信秋君                 伊達 忠一君                 長谷川大紋君                 藤井 孝男君                 山本 順三君                 脇  雅史君                 西田 実仁君                 渕上 貞雄君    国務大臣        国土交通大臣   冬柴 鐵三君    副大臣        国土交通大臣  松島みどり君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       山本 順三君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        警察庁長官官房        審議官      深草 雅利君        総務大臣官房審        議官       高橋 正樹君        国土交通省総合        政策局長     榊  正剛君        国土交通省河川        局長       甲村 謙友君        国土交通省道路        局長       宮田 年耕君        国土交通省鉄道        局長       大口 清一君        国土交通省自動        車交通局長    本田  勝君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○地域公共交通活性化及び再生に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付  )     ─────────────
  2. 吉田博美

    委員長吉田博美君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地域公共交通活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会警察庁長官官房審議官深草雅利君、総務大臣官房審議官高橋正樹君、国土交通省総合政策局長榊正剛君、国土交通省河川局長甲謙友君、国土交通省道路局長宮田年耕君、国土交通省鉄道局長大口清一君及び国土交通省自動車交通局長本田勝君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。     ─────────────
  4. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 地域公共交通活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 川上義博

    川上義博君 おはようございます。  前回もこの法案審査において治水に関する質問がありましたので、若干この治水に関する質問を最初に行いたいと思います。  道路のことで最終報告書を作成されたと。この対象業務治水とか港湾とか空港の事業も含まれているのかと。これは多分、道路関係業務改革本部でありますから含まれていないと思いますけれども、これは含まれていないと思うんですね。そこで、この治水特別会計においても改革本部なるものを設置して、例えば福利厚生費の適正な支出とか、広報広聴費の適正、あるいは業務管理の適正になされているかどうかを改革本部でおやりになる必要があるんじゃないかなというふうに思います。  その辺り大臣、どのようにお考えでしょうか。
  6. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) 治水特別会計に係る支出につきましては、治水事業を推進するために必要なものとして、国民皆様疑念を持たれることのないよう適切に支出すべきものと認識しております。  広報聴経費につきましては、過去においてミュージカル治水事業広報の一環として実施したことがございますけれども平成十八年度以降は行っておりませんし、今後も行わないこととしております。また、そのほかの広報聴経費支出適正化を図るために、事務所における支出手続厳格化を図っているところでございます。また、福利厚生施策実施に当たりましては、職員の健康の保持増進趣旨に沿って実施するものとし、国民疑念を持たれたり批判を受けることがないよう運動健康器具は購入しないこととしております。また、タクシー使用につきましても、公費の効率的な運用の観点から、適正を図るために、タクシー乗車券使用基準統一化管理適正化関係書類保存期間を明定しております。  これらにつきましては、道路改革本部最終報告書趣旨を踏まえまして全省的にやっている部分もございますし、また、治水事業につきましてもその趣旨を踏まえて適正な支出に努めることとしているところでございます。
  7. 川上義博

    川上義博君 今、何だったですか、ミュージカルのことが例に出されたんですけど、要するにいろんな科目の中で、例えば河川改修費あるいは庁費、そういった科目の目の中でマッサージチェアだとかあるいはタクシーチケットとか、いろいろ支出されているわけですよ。だから、何というか、その場面場面支出というのがあったという話なんですけど、トータルとして一体、全体としてどのようなものに使われているのかということが必要なんです。国民の皆さんはそれを是非知りたいと思っているし、期待していると思うんですね。だから、今まで細切れ細切れではなくて、トータルとしてそういうものを調べないといけないと思うんですね。  その辺りで、だから改革本部治水特別会計もおやりになったらどうですかと、こう言っているんですよ。おやりになるんですか。やってくださいよ。
  8. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 改革委員会におきましては、道路特別会計に限って比較的短期間で、そしてまた予算委員会等道路に関する御指摘がたくさんありましたし、そういうものを通じて指摘されたものがありました。したがいまして、ガソリンが高騰しているこのときにもう一度この暫定税率を維持をお願いいたしますと言うからにはこういうものは改めなければならない、当たり前の話でございます。  したがいまして、私どもは比較的短い期間ではありますけれども道路特定財源から支出のあった五十法人についての支出、こういうようなものあるいはいろいろな名目で支出されたものにつきまして、指摘されたものについては私は直ちに取りやめをしたもの、あるいはこの改革本部において審議をしてゼロベースでもう一度指摘されたもの以外のものについても精査をした上でどういうふうにするかということを、四月十七日、比較的短い時間でありましたけれども、この改革本部最終報告書というものを出させていただきました。  しかしながら、私どもはこの改革本部をそこで解散をすることなく、そこで我々が約束をしたものを今後も誠実に履行状況精査し、そしてでき上がったものについては、それぞれに国会その他で、あるいは記者会見の場で公表をしていくという作業をするということにしたわけでございます。これには第三者、省以外の専門家方々にも入っていただきまして改革を進めましたので、その方々にももう一度御留任をお願いしたいと、そして我々が行う後からの査察、そしてそれの後追いについても皆様方の御意見をちょうだいしたいということでお願いをしたわけでございまして、これはあくまで道路特定財源という場で行ったものでございます。しかしながら、今、河川局長からも答弁がありましたように、それを基準としまして、ほかの局におきましても、あるいはほかの会計におきましてもこれにならって改革をしていこうということで精査をし、そして改革を進めているわけでございます。  我々としましては、内閣全体としても特殊法人あるいは公益法人改革というものが進められております。それに従って、他の部署においても、またこれは国土交通省だけではなしに他の省庁においても、このような問題について精査をし改革を進めるということを内閣全体で挙げて取り組んでいるわけでございますから、私どもとしましては、この特定部分で急遽つくった改革本部が他の部分についてまで手を伸ばすという余裕が今のところないわけでございます。  しかしながら、いずれにいたしましても、御指摘ただいたように、今後とも国民目線に立って適正な支出に努めなければならない、これはもう当たり前のことでございますから、そのことに委員会とか特別のそういうものを、部署を作らなくても、我々としては国民目線に立った改革というものを不断に行政の中で実行していかなければならない、その視点で御指摘のあった河川の問題につきましても改めてまいることをお約束したいと、こういうふうに思います。
  9. 川上義博

    川上義博君 内閣全体でおやりになるということは分かるんです。公益法人とかをやるんだという、総理の指示だというのは私も承知しておりますけれども、要は、そういった公益法人ではなくて出先の要するに機関が、国交省地方局が適当な支出をやっているから、これは国交省大臣の問題として、要するに道路と同じようなことをやっているんですよ、河川も。だから、その河川に対しても集中的にそういったものをつくったらどうかと言っているんですよ。内閣全体じゃないんですよ。  なぜしつこく今私が言っているというのは、例えば広報聴経費というのがあるんですね。この広報費の中で測量及び試験費というものがあるんですね、目の中の細分で、測量及び試験費というもの。そこで広報費が膨大なお金が出ているんですよ。ほかのところでも広報経費って出ているんですよ。そういった測量試験費の中で幾ら出ていると思いますか。例えば関東地方整備局、これが二〇〇四年から二〇〇六年十二月、三年、二年半、まあ二年ちょっとですね、これが例えば道路で、要するに広告料ですよ、十五億円ですよ。それから、治水だけで八億円ですよ。  何ですか、この広告料というのは。それを要するに出しているんですね。だから、そういったものを精査しなければいけないということを言っているんですよ。どうですか。
  10. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) 先ほども申しましたように、広報聴経費、それから福利厚生施策タクシー使用、これらにつきましては、今後は、道路関係業務執行あり方改革本部最終報告を踏まえまして、適正な予算執行に努めるところでございます。  過去使用いたしました広報広聴にかかわる支出でございますけれども道路整理等参考にして今後速やかに確認作業を進めたいと思っております。ただし、確認すべき資料が膨大となりますため、作業に時間の掛かることは御理解いただきたいと思います。
  11. 川上義博

    川上義博君 これは、要望というか是非お願いしたいんですけれども平成十四年から十八年、五年間、この治水特別会計においての直轄事業測量及び試験費について、支出負担行為に係る決議書、それの経費区分に基づいて、地方整備局支出総額、これ測量試験費だけに限ってでいいんですよ、支出内訳、これを是非示してもらいたいんですよ。これは全部の出先の局というのは膨大で大変でしょうけど、例えば関東地方整備局を挙げてもいいんですね。だから、その一局でもいいから内訳を示してもらわないと、これは国民納得しないと思うんですね。  これは大臣、今の私が言った、要するに改革本部道路と同じようなものを立ち上げて、こういったものを一回精査するんだということを是非約束してください。大臣大臣
  12. 甲村謙友

    政府参考人(甲村謙友君) 今後の支出につきましては、先ほども申しましたように、道路関係業務執行あり方改革本部最終報告を受けまして、全省的に適正化を図っているところでございます。  過去に支出いたしました、先ほど川上先生がおっしゃった平成十四年から十八年の治水特会測量試験費から出した広報関係につきまして整理をいたしたいと思います。ただし、確認すべき資料、個々の支出負担行為書をチェックしていきますので、資料が膨大となるため作業に時間が掛かりますが、あと関東地方整備局だけでもというような御要望がございますので、その辺整理してまいりたいと考えております。
  13. 川上義博

    川上義博君 よく分かりました。  それで、これで最後にしますけれども大臣、やはり道路と同じような組織、治水関係も物すごくあるんですよ。私の鳥取県の関係でも、ある地権者ですよ、この地権者の代表が言っていましたけど、私、県会議員のときだったですけど、あしたどうするんだと言ったら、あした一泊で旅行すると言うんですよね。ただかと言ったら、ただだと。だれがやるんだと言ったら、要するに当該機関だと。それで、研修と称してどこかのダムに行って一泊やって泊まって飯食って酒飲んで帰ってくるというんですよ。こんなのがあるんですね。だから、一度やっぱりこの本部を立ち上げて治水特別会計もやるんだと、これ最後にしますけど、決意述べてください。
  14. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 再度のお申出でございますので、私どもも内部で監察という部門がございます。今日の御質問をそのまま伝え、そして監察に特別に監察をさせます。
  15. 川上義博

    川上義博君 また機会があったら質問をさせていただきますけれども、今日は鉄道の、地方鉄道の再構築事業における、特に公有民営化というんですか、これを中心に質問をしたいと思いますけれども。  我が県に若桜鉄道という三セクの、毎年累積で赤字抱えているんですけど、非常に公有民営化に期待を寄せているんですね。これを活用する場合に、具体的に国からどんな支援が受けられるか、これを是非お聞きをしたいと思います。
  16. 大口清一

    政府参考人大口清一君) お答え申し上げます。  この法案制度ができますと、その認定を受けまして鉄道事業構築事業という制度ができるわけでございますが、その制度を活用する場合には、いずれにしましても予算税制特例地方財政措置、これらを含む総合的なパッケージ施策が重点的に支援されるような仕組みになっております。  国として頑張る地域の意欲的な取組支援するというような施策になろうかと思います。
  17. 川上義博

    川上義博君 何か分かったような分からぬような答弁なんですけど、例えばこれを今の施設がありますよね、今やっている施設が、下部構造があります。これを今の会社から、今運営している会社から公有ですから自治体が引き取ると。取得するんですね。取得費は、この自治体財源起債対象になりますか。
  18. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 地方鉄道先ほどのちょっと施策をもう少し申し上げておきますと、予算面につきましては、鉄道軌道輸送高度化事業費補助というのがございまして、これで国交大臣認定を受けた再構築実施計画に基づいて実施される事業に対して補助率のかさ上げ、これ五分の一だったものが三分の一になります。それから、赤字要件を撤廃して、いわゆるもう今はぎりぎり黒字だけれどもこれから赤字になるかも分からないというようなところにつきましても、その予防行政というんでしょうか、これから危なくなるような段階からもう既に手を差し伸べるというような、赤字要件の撤廃をする。それからあとノウハウがなかなか幅広くないようなところもございますので、そうしたノウハウを持つようないろんなコンサルティング、そういうものもきちんとその経費対象にしたいと、こう考えております。  それから、税制でございますが、今申し上げた再構築事業に対しまして固定資産税不動産取得税、それから登録免許税などの減免特例を設けるというようなことを考えております。  ちなみに、今先生が御質問なさったものにつきましては、インフラ部分、つまり地方自治体がいわゆる、何というか下物を持つというときのその整備費については、これは総務省さんとの一緒になって合力する話でございますが、一応起債措置がなされるというふうに承知しております。
  19. 川上義博

    川上義博君 今、質問にこたえていただいたんですけど、五分の一から三分の一になると。新しい事業がスタートするわけなんですけど、いずれにしても地元自治体というのは負担があるわけなんですね。また負担増になる可能性がある。自治体財政の新たな負担増につながる可能性がある。廃止すればいいんですよ、廃止すれば。でも廃止できないから。この負担増について、できるだけ軽減をしてもらいたいというのが地元の切なる要望なんですね。  そこで、例えば新車両を購入する場合に、運行会社が三分の一、新車両を購入した場合、三分の一。それから、自治体が、下は自治体が持っているわけですから、公有ですから、自治体が三分の一、国が三分の一というふうにお聞きしているんですけど、自治体の新車両購入の場合はこの三分の一は交付税対象になりますか。
  20. 大口清一

    政府参考人大口清一君) これも総務省さんとの力合わせ、合力でございますけれども交付税対象になるというふうに承知しております。
  21. 川上義博

    川上義博君 それでは、この事業が永遠に続くというわけにいかないと思うんですね、この法律というか追加の法律が。その実施期間としては大体どの程度ですか。五年、十年とか、イギリスの場合なんかは二十年とかというのはありましたけど、その期間は例えば何年にしますけれども終了したこの事業終了延長は可能ですかと。で、延長しない場合、この事業延長しない場合の、運行会社に対して無償付けをしているわけですから、下はですね、下部は、延長しない場合は無償付けの扱いはどうなりますかということです。
  22. 大口清一

    政府参考人大口清一君) お答え申し上げます。  先生質問実施期間としてはどの程度かということでございますが、私どもとしては鉄道事業というのはやはり相当懐妊期間もありますので、必要かつ十分な期間を設定したいと思っております。  その期間としては、具体的には鉄道を存続させることを目的として実際行われている最近の取組事例参考にしたいと思っておりますけれども地域事業者との間で大体十年間程度期間とする協定が結ばれているのが最近の事例としては主流でございます。したがいまして、これらの事例とか、それから事業安定性とかあるいは継続性、そうしたものを考えますとおおむね五年から十年程度期間がまずは想定されるのかなと、こうとらえております。  それからあと期間終了後の延長は可能かということでございますけれども、この再構築事業終了する時点でも依然として経営が改善しない、そのままでは存続が困難だというような見込みになっている場合は、その実施状況をよくよく精査した上で実施予定期間などの計画の内容をよくよく見直して、実施計画変更について改めて変更認定を受けるということになろうかと思います。その場合、当初の期間延長して事業実施することは可能でございます。  それから一方、再構築事業期間終了して延長しない場合、こうした場合、公有民営方式の場合におけるその無償付けも含めまして、再構築事業実施に伴って得た事業法上のいわゆる許可等は引き続きそのまま有効だというふうに整理されております。
  23. 川上義博

    川上義博君 期間延長が双方にとって合意をしたという前提だったんですけど、期間延長運営会社から見たらもっとやってほしいと、それは、これは国としても認められないということが想定されると思うんですけど、そういう認められないという場合はどういう、例えば大幅な黒字になったからなんだと、だから認められないと。いや、もっとやってください、いつ赤字に転落するか分かりませんからやってくださいと。その辺りの見極めというのは、認められないことというのは一体具体的にどういうことなんですか、延長を認めないというのは。
  24. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 極めて個別個別の事例をよくよく我々としてはとらえながらやっていきたいと思っておりますが、例えば一回目の再構築事業実施によって鉄道事業者の収支がもう大幅に改善したというようなことで、もはや地域支援や国の重点的な支援も必要としないというような状況になった場合などについては期間延長というのが認められないようなことも想定されるのかなと、こうとらえております。
  25. 川上義博

    川上義博君 これから実施段階でいろんなまた変化があると思いますから、また御相談させていただくということになると思うんですが、例えば前もって自治体と新しい運行会社による試算、まあ試算をやるでしょう。運行費用の面で事前試算赤字が発生すると、試算の上でこれを公有民営をしても赤字が何千万円とか数千億赤字が見込まれるとその試算段階でなった場合、これはどうなるんですか、どのように対応されるんですか。
  26. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 先生の御質問でございますけれども事前試算段階下物インフラ部門自治体が保有する公有民営方式を取ったとしても、その上物を運行する鉄道運行会社ですね、その運行費用の面で一定の赤字の発生が見込まれてしまう場合はどうかと、こういう御質問かと思います。  これはまさに今回お諮りする法案の肝でございまして、利用者の増加などによる増収と、それから運行費用をよくよく縮減を図ること、それで運行会社赤字を抑える一層の取組、そうしたものが極めてポイントでございまして、やはり地域一体となって本気になって取り組むということを前提に考えますと、もう少し利用を例えば、何というんでしょうか、買物に出るのも鉄道利用してもらうというようないろんな地道な取組も含めて、計画としてその赤字を何とかもうクリアしていくと、黒字にしていくというところがまず必要かと思います。  具体的な方策としては、私どもも今までのいい事例を勉強してみましたけれども増収に関しましては運行本数増によるサービス改善、これはとかく運行本数を減らしてコストを削減すればいいのかという発想もあるかと思いますが、かえってその運行本数を増やすことによって利用を促進するというようなサービス改善、あるいは自治体とか住民団体の活発な利用促進運動地域での日常的な利用の拡大ということでございますが、それからあと観光を大体取り込むようなイベント列車運行、それから各種キャンペーンを通じた観光客誘致というんでしょうか、そうしたものが考えられるかと思っております。  いずれにしましても、経費縮減の話も含めて徹底的な見直しを図るのがこのスキームの一番の根本かと思っております。
  27. 川上義博

    川上義博君 だから、今お話があったとおりなんです。ところが、自治体はそういった経験とかノウハウがないんですね、不足しているんですね。観光をどのようにするか、利用客をどう向上させるかというね。それを国としては、是非地方に対して支援策というか経験といいますか蓄積があるわけですから、それを是非自治体に提供するというか、そういったものをやらなければいけないと思うんですね。その辺り、どうですか、大臣
  28. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 今回新しい制度をこういうふうにして導入をお願いしているわけでございまして、地方鉄道の経営改善と活性化には、専門的な知識あるいはノウハウ、あるいは成功事例の分析結果などの情報を十分に提供し、また活用されるということが極めて大事だと私も思っております。  このような考え方に基づきまして、国交省におきましては今年度から、先ほど局長答弁をいたしましたけれども鉄道軌道輸送高度化事業費補助による助成につきまして、鉄道事業者が経営改善等のためにコンサルティングを実績のある外部の会社に委託する場合の経費、その対象として加えるとともに、地方運輸局に専門の窓口を設置をして、自治体事業者からの要望に応じて、今委員がおっしゃいましたような成功事例の分析結果とか、あるいは各地の取組事例等を踏まえて、個々具体的の今取り組もうとしているものについても幅広く情報提供と助言をするということを、今そのような体制を整えていこうとしているわけでありまして、これらを通じて各地の鉄道事業者自治体の間でこの分野での情報の共有、活用するように最大限の努力をしてまいりたいと、このように思っております。
  29. 川上義博

    川上義博君 先ほど試算段階赤字という質問をいたしました。じゃ、実際、公有民営をやって赤字が発生したときに、要するに、国は自治体に対してやってもやっても赤字が発生した場合に、下部構造自治体が上部の運営会社赤字を補てんした。上部のものは純粋に民間か三セクか分かりませんよ、それを維持するために赤字を補てんしなければいけない。それは、そのときの下部自治体に対して交付税なり起債なりの赤字補てんしたときの対象になりますか。あるいは、赤字を発生した場合どのような財政措置を図られるのか、国として。それをお伺いしたいと思います。
  30. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 基本的には、鉄道というものは企業経営の中で独立採算がまず大きな前提でございます。そういう中で、赤字が、現在地方鉄道は八割が赤字計上しております。私どもそれをよくよく分析してみますと、大体その下物の、つまり施設を保有することによるコストによってかなりの赤字が出ているというところが主原因でございますので、基本的にはそのインフラ部分の保有コストを低減させることによって、今回の措置でございますが、それによって相当その上物の運営がそういう意味では軌道に乗るのではなかろうかなと、こう想定しております。したがいまして、今回のこの制度を発足させながら、よくよくそうしたまた個別事案について対応させていただきたいと思っております。
  31. 川上義博

    川上義博君 時間があと五、六分でありますから、最後大臣質問したいと思うんですけれども先ほどイギリスのレールトラックの破綻の話をちょっとしたんですけど、例えばこういうのがあるんですよ。ロンドンのあるターミナル駅で、運転士がまだ到着していません、しばらくお待ちくださいとか、運転士が間違って五番ホームの電車に乗ってしまったようです、間もなく来ますのでこのままお待ちくださいとか、こんなのがいっぱいあるんですね。別の日は、既に多くの客が乗り込んで出発を待っていた。ところが、車内放送で、この電車は人員不足が原因でキャンセルになりましたとか、こんなのがあるというんですよ。我々から考えればもう信じ難いことなんですけど。  それも原因は何かといったら、上下分離をしたのが原因だというんですね。要するに、大家さんとその借りている人が、借りている人は大家さんに窓際を良くしてくれと言ったって、大家さんはできないと。意思が全然違うわけなんですね。利害が衝突するわけなんですね。だから、もういいかげんにインフラの整備も投資も全くしないということで破綻したと、上下分離において破綻したと、上下分離が原因で。  そこで、今回これ上下分離なんですね。路線と輸送は、だから路線の部門と輸送の部門一体的に管理しなきゃ、上下分離したとしても一体的に管理しなければならないと、これがイギリスの経験だと思うんですね。  だから、輸送サービスと保守点検というか、路線保守の評価、お互いにどう評価するか、これを相互にチェックし合うというか、これが必要だと思うんですが、今回のこの上下分離の公有民営化のそういった相互のチェックと相互の協力と、そういったチェックのシステムの設計をしなければいけないんですけれども、この制度においてはこれがどのように反映されますか。これが一番かぎだと思うんですね、それを大臣に。
  32. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) これはお説のとおりでございまして、レールトラックのイギリスの失敗、イギリスも、その後ネットワークレールということで、そういうものを改めて改善しているようでございますけれども、我々もその轍を踏まないように、鉄道事業において施設保有と運行の上下分離を実施するぐらいにやっても、安全の確保はもとより施設の適切な維持管理、サービスの改善のための改修等、円滑な実施のためには上下が常に十分に連携し、一体的な取組を進めることが不可欠だという認識をいたしております。  このような考え方に立ちまして、今回の制度をつくるに当たりましては、公有民営方式による上下分離が行われる場合に際しましても、分離後に運行を担う事業者と線路等を保有することになる自治体が分離後の運営方法の詳細についてあらかじめ協議を行った上で全員が合意した内容を実施計画に盛り込み、国土交通大臣認定を受けて実施することといたしております。したがいまして、運行を担う事業者と線路等を保有する自治体一体となって線路等の管理運行に取り組むことが制度的に担保されていると認識をいたしております。  また、国による安全監督の面でも、事業者自治体の双方に対して鉄道事業法が適用されます。いわゆる線路しか保有していない自治体に対しても鉄道事業法が適用されることになるわけであります。したがいまして、両者の連携の在り方も含めた安全管理規程を策定し、実施して、安全管理体制を構築することが義務付けられるなど、上下一体となった安全確保が図られることとなり、イギリスのレールトラックの轍は踏まない、そのような覚悟でおります。
  33. 川上義博

    川上義博君 時間があと二、三分ですけれども運行会社は、これをどのように選ぶかというのは局長運行会社自治体やるか、民間会社やるか、どのように選択するかというのが一つあると思うんですね。だから、これは免許制にして、免許を与える許可、許可をするのか、フランチャイズにするのか、だれでもかれでも参入してもいいんですよというようにするのか、その運行会社における選別というのは、最後ですけれども、どう考えていらっしゃいますか。
  34. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 地方鉄道を含めまして、鉄道事業法というのは許可制度になっております。許可制度になっているということは、ある意味では、どなたでも、いわゆる許可要件に該当すれば、手を挙げた中でよくよく選ばれる権利はあるというふうに私どもはとらえております。  したがって、今回の地方鉄道につきましても、よくよく地域が一緒になって事業者と合力をするというスキームは、まさに地域事業者をも選ぶ、ある意味では何ていうんでしょうか機会になるということかと思っております。そういう意味では、緊張関係のある中で今度は一緒になって力を合わせるという、まさにバランスの上に立った政策展開になろうかと思っております。
  35. 川上義博

    川上義博君 それでは、これで終わります。ありがとうございました。
  36. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新・日本の山下八洲夫でございます。  久しぶりの質問でございますが、今日の提案されております法案に入る前に、一、二点、JR貨物鉄道の安全問題について質問をさせていただきたいというふうに思っております。  御案内のとおり、本年の七月には北海道の洞爺湖で環境サミットが開催されます。鉄道は環境に優しく、自動車と比べましてもエネルギー消費量も大変小さく、今日の労働力不足やあるいは安全問題からも、モーダルシフト推進に向けた鉄道貨物輸送は二十一世紀の中心的な役割を担うべきであると、そのようにも思っております。そういう中で、JR貨物鉄道への期待は大変大きいものがあるのではないかなというふうに私は思っております。  そこで、JR西日本の福知山線の事故から本年四月二十五日で三年を迎えました。大臣も、本年も追悼式には御参列くださっていらっしゃいますが。このような悲惨な事故は絶対に二度と再び起こしてはなりませんし、JR東日本あるいは東海にいたしましても、いわゆるJR旅客六社、それだけではなくて私鉄、民鉄にいたしましても、安全やあるいは安心問題については第一に一生懸命、鉄道事業者の責任として取り組んでいらっしゃると私は信じているわけでございます。  それでも、やはり人間が運行しているわけでございますので、小さなインシデントあるいはトラブルも起きるわけでございますし、そういうときには、特に旅客でございますから、マスコミの皆さんやあるいは国民の皆さんも大変目が厳しいので、比較的、国民の前にその点についてはいろいろと、このような事故があったよということが報道されて国民にも周知されますから、特にそういう旅客を扱っている鉄道事業者というのはこの安全安心問題には大変な神経を傾注して取り組んでいるというふうに思っているんです。その点、JR貨物のインシデントは、それほどマスコミも注目していないな、国民も注目していないなというような私は印象を持っているわけです。  なぜそういうことを申し上げるかといいますと、ここで一、二点質問をさせていただきたいと思うわけでございますが、特に、昨年の八月、静岡県島田市のJR東海道線でJR貨物の運転士さんが居眠りをして、下り貨物列車が自然停止をして、上り坂だったものですからその列車が約五百メートル後退してしまったと、そういう事故が発生しました。そして、赤信号で停止をしていた後続の東京発大阪行きの例の寝台急行「銀河」との距離が二百メートルぐらいにまで近づいてきたと、そこで貨物列車の運転士さんも気が付いて列車を慌てて止めたというような、一つ間違えば大惨事になるような、このような非常に危険な事故がございました。  鉄道局長は当然認識していると思いますが、私の今のこれに間違いないでしょうか。
  37. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 先生指摘の事象は私もとらえております。  昨年八月の東海道線の事象でございますけれども、八月八日午前二時五分ごろ、東海道線島田駅—金谷駅間において二十七両編成の貨物列車が逆走した事例でございます。このときは後ろに「銀河」という旅客列車も迫っておりまして、これはまさに、私どもとしても重大なインシデントであるというふうにとらえております。  このときのおおむねの状況でございますが、運転士が駅間途中で加速せずに運転中、居眠りをしてしまったということのようでございます。上り勾配の途中で列車が自然に減速して停止した後、自然に後退を始め、途中で気付いた運転士がブレーキを掛けて停止させたと、先生指摘のとおりでございます。これはインシデントに該当すると。  国交省としても安全上重大な問題だというふうに認識しておりまして、中部運輸局は、これは抜本的な再発防止対策の徹底等について文書で指導しております。  そしてまた私自身も、実は、昨年十月の十一日でございますが、一仕事終えた十九時三十六分の東京駅発で現地に行きまして、同じ時刻の同じ貨物列車に、機関車に添乗させてもらいました。漆黒のやみの中に次々と現れる信号を、運転士、若い運転士でございましたけれども、指呼しながら運転している、そういう職場というもので、私もよくよく認識をさせていただきました。  その後につきましても、JR貨物に対してヒアリングをよくよく実施しまして、私自身も社長に来ていただいて直接申し渡しをしたという事例でございます。
  38. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 貨物列車は、一般的に見ますと深夜によく走っています。ですから、健康な方が昼間十分睡眠を取って勤務に就きましても、やっぱり深夜というのは人間は生理的にも眠くなるだろうという気持ちは私は分かるんです。そういう中で見ていきますと、居眠りかなというようなことも、たとえ昼間健全な過ごし方をしていてもそのような状況は起きるということは私は決して否定いたしません。  ただ、私は、この昨年の八月の今申し上げました事象の事故の後も、相当のたくさんの事故が起きているんですね。それも、比較で見てまいりますと、信号違反、そういうものがかなり多いんですね。これ、今の事象は昨年の、二〇〇七年の八月八日でございますが、今年の三月三十一日まで、この間を見ましても、私の承知しているだけでももう二十二件、信号違反等を起こした事故が起きているんですね。  そんなことについては鉄道局長は御承知でしょうか。
  39. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 先生指摘のように、居眠り、それからブレーキ扱いの不適切、それから信号見落としなど、昨年八月八日以降でございますけれども、約二十件余のそうしたことが起こっているということは承知しております。
  40. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 そういたしますと、信号違反、違反と言っていいんですかね、要するに見落とし、そのようなことやら、今お話ございましたとおり、いろいろな事象があるわけですが、私は大変心配しているんですね、こういうものが大きな事故につながっていくきっかけになっていくんじゃないかというふうに思ったりするものですから。  JR、あるいは鉄道局としてJR貨物にどのような対策を講じよと、そのような指導というのか要請というか、何かそんなことは申されたんでしょうか。
  41. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 先ほど指摘ただいた昨年の八月の事故以降、私ども、JR貨物に、これは社長自ら先頭に立っていただきまして、善後策、それから今後抜本的な対策についてきちんと対策を取るように、これはもう直接指示しました。  その指示に基づきまして現在進んでいる施策でございますが、列車が万が一退行した場合、自動的に非常ブレーキが作動する後退検知装置を機関車に整備するという施策、それから二つ目は、運転速度が一定速度以下に低下した場合には居眠り状態であると判断し警報を発するような運転支援システム、それからヒヤリ・ハットの取組体制を再構築していただくために、いわゆる幹部自ら、社長自らということでございますが、きちんとその現場にも出向いていただく、新しい報告体制も実施していただくというようなこと、そうしたハード、ソフト両面にわたる再発の防止策を取ってもらうように我々としても要請したところでございます。  これからこういうような対策が全面的に効果が出てくるというふうに期待しているところでございます。
  42. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 私、会社にもちょっと安全問題について認識が薄いんじゃないかなと思うんですね。この二十二件の事象を見てまいりますと、もう時間帯も深夜じゃないんです。ばらばらなんですね。先ほど提起しました島田—金谷駅間のは午前二時五分ごろですから、深夜だと思うんですが、ばらばらなんですね。午前五時半ぐらいもあれば、十一時もあれば、十五時五十七分というのは三時、四時前ですね、もうばらばらにあるんですね。そういうことを見ますと、深夜だけじゃないんですからね、どうも安全性に対する認識が私は会社側にも薄いんじゃないかというような気がいたしております。  なぜそういうことを申し上げるかといいますと、私は、たまたま「旬刊アクセス」という新春合併特集号の記事を見ておりましたら、労働組合の委員長さんがこんな発言をなさっていらっしゃるんですね。旅客から直に運転士交代の指示と。非常に気になる事象が旅客会社、特にJR東海との間で発生していますと。徐行区間でJR東海が貨物列車の速度を測定し、時速五キロ程度オーバーしただけで運転士の交代を通告してくるのですと。貨物列車は非常に長編成ですし、長い編成ですね、ブレーキ構造も独特ですから、電車のように短時間で速度調整することは困難です、それを重箱の、重箱のですよ、隅をつっつくように指摘し、しかも無線で直接交代を指示してくるのは問題がありますと。ほかにも、信号が青になっていたので、所定の発車時刻より二分ぐらい早く発車をした貨物列車の運転士に交代を命じてきた事例もありますと。  さっと見るとそれほど感じないんですが、よくよく考えますと、深夜であろうと昼間であろうと、決められたことはやっぱりきちっと守っていないと。二分早く出るということは、ひょっとしたら保線の仕事をしているかも分からない、その時刻に従って。大変危険な状況を平気で発言されているんですね。そういうことを考えますと、労使に特に安全性の問題について認識がちょっと薄いんじゃないかなという気がしているんです。  そういう中で、ちょっと大臣にお尋ねしたいんですが、冬柴交通大臣は去年の十月二十五日、衆議院の国土交通委員会で民主党の同僚議員であります伴野議員がJRの労使関係に関する質問をいたしましたときに、このような答弁をなさっているんですね。国土交通省としては、仮に鉄道運送の安全にかかわるような問題が生じてくるようなことがあれば、そのときには適切に対処していかなければならないと考えている、その問題が安全、安心にかかわるようになれば、我々は放置できないと思っているというような趣旨答弁をなさっていらっしゃいます。この大臣の認識に基づけば、どうもJR貨物では、安全問題に悪影響を及ぼし、国として放置できないようなリスクが顕在化しているんじゃないかなと言えるんじゃないかなと私は率直に思いました。  そこで私は、JR貨物の安全問題の背景は、やはり一つは会社の中に何か大きな問題を抱えているんじゃないか、そのような懸念がいたしますので、是非鉄道局あるいは大臣はこのことについて調査をしていただいて、そしてきちっと安全問題を守っていただくように指導していただきたいというふうに一つは要望しておきます。  もう一つは、その上に立ちまして、不安全事案がこれだけ続いているわけでございますから、その実態をしっかりと踏まえて、この点についても再度会社側にも指導をしていただきたいというふうに思いますが、いかがですか、大臣
  43. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 今、山下議員の御指摘になられたインシデントは本当に無視することのできない重大な問題だと思いますし、また幹部の発言も適切ではないと私は判断をいたしました。  特にJR東海は、新卒で採った幹部社員も全部新幹線の運転免許を取らすというような、安全対策を非常に取っておられる私は模範的な経営をしていただいていると思っているわけでございまして、そういうところの会社が貨物、それは同じ線路を走るわけですから、そういうところが目に付いた事項があれば直ちにそれを指摘してやるということは非常に安全に対して敏感だと、模範的だと私は思います。非難されるべきものではないと思います。  御指摘のように、私どもも福知山線事故以降、運輸安全マネジメント制度というものを採用いたしまして、その趣旨は、会社の幹部、特に社長かそれに次ぐ幹部に安全意識というものを高揚していただくために安全管理者になっていただきまして、そういう者に我々が、担当が面接をいたしまして、そして二日、三日、詰めた話合いをいたします。また、現場にも入りまして、社長から末端に至るまで安全というものについての意識を共有しているかどうかということについても調査し、そしてそれについて不足があれば勧告をし、そしてまた助言をするという制度でございます。  これについても、貨物はもう日本全国走るわけですから、これについても平成二十年一月二十一日、そして二十二日、運輸安全マネジメント、実施をいたしました。そして、保安監査と運輸安全マネジメントの評価を言わば車の両輪として取り組んで、JR貨物が着実に安全対策を進めるように指導をしてきたところでございます。  その中で、これも個別具体だから余り適当ではないとは思うんですけれども、我々としましては、このときにも経営のトップがコミットメントを継続してもらいたい。現場に入って、先ほど言いましたけれども、問題をきちっとトップが認識をし、そして末端にそれをやっていただきたい、注意をしてほしい喚起をしてほしいということ。あるいは、安全管理体制に係る見直しの仕組みを構築してほしい。マネジメントレビューと言いますが、こういうこともやってほしいということを個々具体的に指摘をし、助言をさせていただいたところでありまして、また引き続いてこういう機会を持って、それがどれだけ履行されたかどうか、そういうインシデントというものが、そういうものが防げたかどうかということをきちっとレビューをしていきたい、このように思っております。
  44. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 是非よろしくお願いしたいと思います。  それでは、本題でございます。地域公共交通活性化及び再生に関する法律について質問に入らせていただきたいと思います。  この提案理由説明でございますけれども、もう一々読みませんが、この沿線における人口減少から始まりまして本当に今日のことをきちっと私はここに提起、説明されていると、私も全くこれは同感でございます。  その上に立ちまして、この法律案の概要の説明、一、二、三となされております。一番目には、旅客事業について、市町村等の支援を受けつつ事業構造の変更を行うことにより、その路線における輸送の維持を図るための事業として鉄道事業構築事業を創設して地域公共交通特定事業を追加をしたと。二番目は飛ばしますが、三番目には、簡単に申し上げますと、地方公共団体が鉄道線路の保有をして、これを運行事業者無償で使用させる公有民営方式の上下分離方式、その実施を可能とする特例を設けることとしておりますと。大変私はすばらしいことだと思っているんです。これは是非、これ実現、実行してもらいたいなというふうに思っております。  大臣のお隣の松島副大臣は、東京の何区かよう承知しません、東京でございますので、東京を見ておりますと、もう電車も縦横斜めともうどこでも、地下まで潜って走り回っていますから大変便利なんですね。道路も同じように、縦横斜めどこでも走って、もう道路造るところないぐらい便利になっているんです。  私は、たまたま岐阜県なんですね。岐阜県というのは東京都のどれぐらいの面積があると思いますか。五倍あるんですね。飛騨高山市というのを御存じだと思いますが、あれは東京都とほぼ同じぐらいの面積なんです。地下鉄は一本もございませんし、鉄道も余り走っていないんです。本当に、そういう意味では道路も大事ですけれども鉄道も大事なんです、両方。そういうことを考えますと、この法律案というのは大変すばらしいなというふうに思っております。  そういうことで、せっかくこんな大口局長が一生懸命この法律を作られたんだと思うんですが、まあ大口はたたいていないと思いますけれども、本当にすばらしい法律でございますから、是非実現してもらいたいと思いますが、一つ間違うと私はこれ絵にかいたもちになるんじゃないかという心配をしているんです。  大臣、この法案に対しての決意をまずお聞かせいただきたいと思います。
  45. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 全般評価をいただきまして感謝を申し上げますとともに、気を引き締めて画餅にならないように努力をしてまいる所存でございます。  ただ地方鉄道をめぐる厳しい経営状況が続く中で、いったんはもう事業廃止の方針を表明されたのに、地域の熱意によって事業者と連携して路線の維持、活性化、そして今はもう非常に成績を上げているところがあります。えちぜん鉄道あるいは和歌山電鐵、大変人気があります。私は非常にうれしいと思うんですね。これはやはり地域方々の連帯とその熱意によって、高齢者とか学童の足なんですよね、そしてまた生活の足でもあり、観光する人が来ていただいたときの足でもあるわけですから、何としても守ろうという地域の熱意というものが全国諸所に表れてきたわけです。これにこたえなきゃならないということの工夫で、大口局長始め一生懸命工夫してこのような法律を提案させていただいているわけでございます。  したがいまして、それら熱意あるところに対しては我々は、国としてできるだけの支援をさせていただこうと。これは予算税制、地方財政、もう総合的なパッケージで、しかも重点的かつ効率的な支援を行っていこうと。そして、これはハードだけではなしに、ソフトについても、十分慣れていない人がやろうとするわけですから、いろいろな成功事例とか、いろいろな考え方というものを是非こういうものも我々としては支援をさせていただこうという思いでございますので、御評価いただいたこの法律案、通していただきましたら、全国各地でこの法律があって良かったという結論が出るように頑張ってまいる決意でございます。
  46. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 また後ほど触れたいと思いますが、熱意ある地域ではなくて、熱意を持って国がリードしてやってもらいたいなと。そうしないと私が先ほど申しましたとおり絵にかいたもちになってしまうというふうに思いますので、今の大臣のそこの答弁は私は逆だというふうに思っております。また後ほど細かい質問に入っていきたいと思いますが。  それで、鉄道局長、今回、地域公共交通特定事業追加しているんですね。昨年の百六十六通常国会で地域公共交通活性化及び再生に関する法律案が提案されまして、これもう全会一致で可決をしたわけでございます。時間がありませんから詳しいことは申し上げませんが、地域公共交通特定事業としては、軌道運送高度化事業を始め全部で五事業を創設されたんですね。そういう中で、DMV、デュアル・モード・ビークルですか、私たちもこの委員会で視察を北海道へ行ってさせていただきました。あるいはIMTS、インテリジェント・マルチモード・トランジット・システム、あるいは水陸両用車などの新たな形態による輸送サービスの円滑化を図って、新地域旅客運送事業を創設をしてやっていこうというような内容であったわけでございます。  そこへ今回、鉄道事業構築事業をわざわざ、前回盛り込まなくて、今回こうやって提案されたのはどういうところに意図があるのか。せっかくならもう前回やっておけば、まとめて一年早くスタートできて、もっともっと地域にとっても良かったんじゃないかと思うんだが、どうも、大体いろんな法律でもそうなんですが、ちょっと横へそれますけど、鉄道だけじゃなくて、例えば住宅なんかにいたしましても建築基準法なんか毎年毎年、三回ぐらいちょこちょこちょこちょこ変えて提案されています。どうもそのようなたぐいに見えて仕方がないんですけれども、それは私がうがった見方なのか、その辺について御答弁ただきたいと思います。
  47. 大口清一

    政府参考人大口清一君) この地域活性化法は、まさに私ども鉄道に関しましての廃止が届出がなされた後の議論の場を提供するような制度は前回お認めいただいているわけでございます。それで、実はその法律が通った後も含めまして各地からいろんな御相談を受ける中で、やはり廃止の届出が出る前からもっと手を差し伸べていろんなことができないかという御議論が相当盛り上がってまいりました。たまたま貴志川線が転換されて南海から和歌山電鐵になったとか、いろんな事例も多々重なりまして、それで、こういう時代ですから、やはり一年前に通ったばかりだから今年出していいんだろうかなんということを考えずに、もうできるものから早くやっていきたいというのが鉄道行政に携わる私ども職員一同の願いでございます。そんなこともございまして今回こういうような法改正をお願いしているわけでございます。  簡単に申し上げました。
  48. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 大臣、今日の法案の提案説明にも書かれていますからよく理解ができるわけでございますが、最近における経営状態にかんがみ、その継続性が困難であり、また困難となるおそれがあると認められる旅客鉄道事業について、経営の改善を図るとともに、市町村その他の者の支援を受けつつ事業実施主体を変更、その他の事業構造の変更を行うことによって当該旅客事業における輸送の維持を図ることが目的になされているわけですね。  それで、旅客運送事業につきましては平成十二年三月に規制緩和が実施をされまして、参入については免許制から路線ごとの届出制に、退出については許可制から事前届出制に、また運賃については許可制から上限認可方式の下で事前届出制にそれぞれ改められたんですね。  そういう意味で、この規制緩和措置で都市部はこれプラスになっている面が確かにあろうかと思います。だけれども、現実に地方においては逆にこの規制緩和によって大変な状況が起きてきたんじゃないかなと私は受け止めているんです。需要の減少に伴う経営悪化から事業廃止に追い込まれる事業者が本当に相次いでいるんですね。平成十二年以降、全国で二十五路線、五百七十四・一キロメートルの鉄道がもう廃止になっているんですね。このような状況を見れば、旅客鉄道に係るあの規制緩和が果たして本当に正しい選択であったのかどうか、私は間違っているんじゃないかなというような印象を持っております。  そういう中で、大臣、旅客鉄道における規制緩和に対する評価、あるいは規制緩和の実施されて以後の鉄道の路線が今申し上げましたとおりもう大変な状況で廃止になっているわけでございますが、このようなことについて御所見を伺いたいなと思うんです。  本当に私の岐阜県なんかもうひどいもんですよね。見るに見かねないぐらいどんどんどんどん廃止されている。先ほど冒頭申しましたように、鉄道だってそんなに東京から比べるとちょろちょろとしかないんですね。そのちょろちょろとしかないのが廃止されちゃう。しかも、そういうところは交通弱者なんです。大体高校生の通学に、あるいはシルバーの皆さん方が利用している。そういう本当に大事なものがどんどん廃止されちゃった。  だから、どうもこの規制緩和というのは私はある意味ではちょっと、今のようなこの上下分離方式等々の後ならまだ多少は理解できるんですけれども、どうもやることが逆じゃないかなというような気もいたしておりますので、御所見をお願いしたいと思います。
  49. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 鉄道路線の廃止につきましては、平成十二年の鉄道事業法の改正以降、おっしゃいましたように平成二十年四月までに全国で二十五路線、五百七十キロメートルの鉄道が廃止をされております。  しかし、その原因は、需給調整規制の撤廃というよりも、鉄道需要がもう著しく落ち込んだというところが大きいんではないか。鉄道需要、昭和六十二年度から平成十七年度の期間に約一九%減少したと。平成十八年度においては赤字企業が約八〇%になると。地方鉄道を取り巻く状況は著しく厳しいものになってきていることは、もうこれは事実でございます。  昭和五十年は乗用自動車で動く方は五〇%ありました。そのときは地方鉄道は六%でございました。ところが、平成十八年になりますと、八四%の人が乗用自動車で動く、その結果、地方鉄道はたった二%、すなわち三分の一まで減ってしまったということが、乗客がそんなに減っているということでございまして、乗っている人はもう御高齢の人と中学生、さっき言われたとおりでございまして、ほとんどは、特に地方部の人口減少、少子高齢化、そしてまた、公共交通がありませんのでモータリゼーションが地方ほど急速に進展してしまったというようなことが鉄道需要の減少に大きく結び付いている。  これをそのまま自由競争にゆだねていたら全部倒産しちゃうということを目前にいたしまして、地方鉄道再生活性化法とか、あるいは今回その一部改正法で上下分離とか、いろいろな知恵を絞って何とかそういうものを、地域の熱意、そして我々もそれを支援をさせていただくことによって、倒産をさせずに運行ができるようにしていこうという工夫を今一生懸命しているのが事実ですけれども、現実にはやっぱりモータリゼーションというものが余りにも急激に進展したということが非常に大きな理由であることは御理解いただけると思うわけであります。  我々、そういうこと、泣き言を言うんではなしに工夫をして、やはり地方の公共交通は維持していかなければならないという決意は持っております。
  50. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 特に私鉄につきましては、赤字になりますと会社が倒産しますから、そうしますと効率の悪いところは廃止せざるを得ないんです、撤退せざるを得ないんですね。そして、撤退して一番困りますのは、まだ、モータリゼーションで車に移動できる方はいいんです、移転できる方はいいんです。だけど、高校生とか、それこそもうお年寄りで運転ができないとか、また子供とか、そういう皆さんは移転できないんですね。大変これ重要なんですよ。  ですから、ただ単純に赤字だから、民間企業としては理解できるんです、赤字だから撤退するのは当然なんです。そこをやはり撤退させないで、赤字でも運営ができるようにしていく、これが国が考える最大の私は宿題じゃないかと思う。それで、少しばかり、今回上下分離方式が芽を出してきているんですけど、これも余り期待できないと思いますが、後ほど触れたいと思います。  それで、この上下分離方式で、川上議員が触れられましたのでここはちょっともう割愛したいと思いますが、イギリスの失敗例が言われました。私は、上下分離方式で一つ心配しますのは、大変いいことなんですね、線路から下は無償で線路から上を鉄道会社が営業すると。そうすると、大体線路から下の辺り経費が大ざっぱにしますと四六%から五〇%掛かってくるということですから、ここの経費がなくなるんですから、その点また営業はしやすくなってくるということでありますから、その点は大きな前進でありますけど、現実には、その施設保有に係る経費を継続的にですよ、自治体が本当に支援できるのかどうか、しっかりやっていけるのかどうかということですね。あるいは、施設整備、保守、安全に対して万全の体制が、例えば自治体が保有すれば、自治体が本当にできると思うでしょうか、恒久的に。私は、すぐほうり投げるんじゃないかと。だから、そうするとイギリスのような失敗になっていくんじゃないかというような危惧をしているんですが、その辺について鉄道局長はどのように認識していらっしゃるでしょうか。
  51. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 先生お尋ねの件でございますけれども、線路の維持の観点から、ある意味では最終的には国が全体の責任を持つべきではないかというような、何というんでしょうか、お問いかけではないかなと思うんですが。  申し上げるまでもないんでございますけれども地方鉄道地域の住民の必要不可欠な公共交通機関という位置付けで、極めて公共性が高いというところは私どももそのとおりだと思っております。しかしながら、民間企業とか第三セクターである鉄道事業者によって、ある意味では営利事業としてまさに独立採算で営まれてきているというところは一つ大事なところかと思っております。まさに民間活力も含めて、何というんでしょうか、ダイナミックな経済の中であるいは地域社会の中でそれを取り込んでいくというシステムであろうかと思っております。  そういう意味からは、鉄道輸送にふさわしい規模の需要が失われて、採算を確保できない状態になったというようなときに、まさに地域関係者と十分に鉄道事業者が話をしながら、ほかの代替交通手段、例えばバスなどでございますけれども、そうした手段を確保した上であれば、最終的に事業者の判断で廃止されることになっても、やむを得ないんじゃないかなというのが私どもやはり基本的にはございます。  ただし、近年において各地で地方鉄道の存続とか維持とかあるいは活性化に向けた取組活性化しているということは、これは何かというと、やはり地域にとって鉄道というものは一つの活性化のまたいいサイクルに持っていくまさに仕組み、インフラだろうというふうにとらえ直されているんだろうと、こう思っております。  そんなことから、それぞれの地域の実情に応じて、先ほど申し上げた利用促進とか運営に対する支援とか、そうしたものを地方自治体が中心になって地域のコンセンサスをまとめ上げていく。それが本気であれば、私ども国としても、国全体のいろんな税金からちょうだいしているお金でございますから、そうしたものにもまさに我々としても支援できるのではなかろうかなと、こう考えております。
  52. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 私鉄の場合、ある意味で営利企業だからもうからぬところは撤退するんですよ。もうかれば撤退しませんよ。どうやってもうかるのが分かるかと。地方鉄道が撤退すればますます住みづらくなりますから、どんどんどんどん都市部へ一極集中せざるを得なくなってくるじゃないですか。だから、そういう地方鉄道が撤退しなくていいような環境をつくるのが鉄道局長の仕事じゃないですか。もうかれば撤退しませんよ、だれでもやりますよ。  例えば第三セクターです。第三セクターというのは、例えば大体市長さんとかが社長になったりして一生懸命やっていますよ。今、全部で三十九社ぐらいありますけどね、第三セクター。ここでもうかっているのは、青森の青い森鉄道が千四十七万円、単年度。これもいろんな助成をしてようやくそうなったんですね。あと北越急行とのと鉄道ですか、これは若干いいですが、あと伊勢鉄道というのが二百五十二万円、単年度黒字出しているんですけど、これはあっという間に吹けば飛ぶような数字ですよね。それ以外もうみんな大赤字なんですよ、大赤字。それも、一生懸命、場合によっては固定資産税を減免しているところもあれば、大体、市町村は株主になって、社長は大体市長さんがなっているというのが一般的なんですよ。そうやって一生懸命やっていて赤字なんですよ。これ黒字だったら、みんなこういうところがやらなくて、一生懸命民鉄の皆さんがやってくださいますよ。もうからぬからでしょう。それで、大事な大事な地方鉄道だから一生懸命赤字でも今日まで、国鉄改革からもう二十年以上になったんですけど、今日まで歯を食いしばってやっているんですよね。  そうしましたら、これを上下分離方式に全部して、線路から下は全部自治体に任せますと、上だけ三セクでやりますといったらもっと状況が良くなってくると思いますが、そういう指導をいたしますか。
  53. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 繰り返しになりますけれども先生のおっしゃりたい趣旨はよくよく私も分かるのでございますが、ただ一方では、やはり財源等々これは限りがございます。そういう中で、やはり規模の経済というんでしょうか、鉄道はこれまでもコストとそれから収入と、それをよくよく回しながら運営してきているシステムでございます。  そういう中で、今回こういうスキームの中でよくよく私どもとしても運営の状況を見ながらこれからどういうことをまた更に必要があるのか、そこは見極めたいところでございますけれども、基本的には鉄道というのは、何というんでしょうか、採算性というものはこれは最終的には求められる部分かと思っております。
  54. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 ちょっともう少し分かりやすく議論したいと思いますが、私の地元には三セクが三つあります。一つは長良川鉄道、そしてもう一つは樽見鉄道、そして明知鉄道というのがあるんですね。明知鉄道というのは、この三つの中で一番業績がいいんです、営業成績がいいんです、一番いい。四つあったんですね。神岡鉄道というのが富山へこう走っている。これはもう徹底しました。おととしの十二月だったと思いますが、撤退をいたしました。  明知鉄道というのは、私も素人ですからどういう計算したらいいのか分からないですが、キロ・人員でいきますと大体一日六百五十人ぐらい、キロ・人員で。それから、単純に乗客一年分を割りますと、一日平均千百五十人ぐらいの乗客なんです、乗客。それで、平成十八年度はどうかと。大体一億円弱売上げ、それも鉄道だけじゃありません。ほかにいろんな催しをやって、必死になって稼いで一億円弱。総経費はどれだけ掛かっているかといいますと、約一億六千万円、単年度で、十八年度六千万円ぐらいの赤字なんです、それでも。  ちょっと台風か何かで土砂崩れで線路が埋まったとしたらもう立ち上がれませんよ、正直言いまして。それでも岐阜県では現在三つある第三セクターの中で一番成績がいいんですよね、それでも。これが実態なんですよ。だからといって、それをめくれば大変なことになるんですよ。その沿線の高校生はもう学校の近くまでいって下宿する以外にないんですよね、そういうところなんですよ。この通学定期が大体五割弱ですから。そういう実態でやっているんですから。  そういうことを考えますと、私はここで思い切って、自治体だっていろいろあるんですね。今日、総務省も来ていただきましたけれども固定資産税を減免しておるところがあります。自治体から補助をしておるところもあります。いろいろと努力が必要です。それをやってもこういう実態です。この明知鉄道にいたしましても、固定資産税は払っておりますが、市からいろいろと助成をいたしておりますから、実質的には減免されているのと同じだと思うんです。  そうしますと、私は鉄道というのはもう国で、何で鉄道が衰退したかと、私も最近また考え変えぬといかぬのかなと。道路がどんどんどんどんできて道路へ取られちゃったものだから、鉄道もある意味では道路なんですよね、道路国民を運ぶんですから。だから、道路特定財源の一部をこれはもう全部そこへ持っていって、これも道路に位置付けてやれば、五兆四千億から一年にあるんですから、まあその一割も要らぬですからね、すぐしゃきっと地域が元気になると思うんですね。それぐらいなことをまず国交省は考えぬといかぬだろうと。  それから、そういうことを考えますと、例えば私は一日三千人以下ぐらいのところの路線というのは全部赤字じゃないかと思うんですね。そうしますと相当エリアが広くなりますから、それをせめて千五百人以下ぐらいのところは、その線路から下の維持、管理、税金、全部ひっくるめて国土交通省が面倒見ると。そして、固定資産税も減免じゃなくてもう免除する、取らないと。そして、そうすると、自治体というのは力が弱いですから、自治体には交付税でカウントして迷惑掛けないようにする。そして、国で地方の路線をしっかりと守ってあげると、こういうシステムにした方がいいんじゃないかと思うんですが、その辺について大臣、いかがでしょうか。
  55. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 目を洗うような新しい提案でございますので、これは多くのところで、民主党に所属する大幹部であられる山下先生、しかも鉄道にお詳しい、そういう方からのこういう画期的な提案でございますので、政府全体として、これは国土交通省が独りで抱えられるようなものでもありませんし、自由主義経済の中でそういうことができるかどうかというような検証も要りますし、今は何といっても地方分権ですよ。国はもっと引っ込め、地方に任せろと、こういう時代でございますのでね。ただ、地方に任せろというのはお金を付けて任せろという話ですから、そのお金を受け取った地方が、よし、これで我が方の地方鉄道は全部、下は自治体が買い取ってあげて、もう一切運輸事業者には負担させないとか、そういう判断されるかも分かりません。  ただ先ほども言いましたように、モータリゼーションが余りにも急激に発達したということが、このお客さんが少なくなっちゃった、もう激減をしたということは事実です。したがって、このお客さんがなければ運賃も入らないわけでございますので、そこを、じゃ鉄道でなければならないのか、あるいはいろんなところが選択するようなバス路線に切り替えたり、あるいは北海道で、北海道も大変ですよ、広くて。本当に大変ですよ、人がまばらですよ。そういう中でどうしてこれをもたせるかということから、ああいう新しい鉄道と道を共用して走るというようなものを考えたりいろいろしているわけです。  そういうものを考えながら、ひとつ、新しい目を洗うような提案でございますので、これはよく政府全体で考えるべき問題であると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  56. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 せっかく総務省においでいただきましたので一言質問したいと思うんですが、第三セクターを中心にかなり固定資産税を減免している自治体は多いんですね。あるいは減免しなくても、先ほど申しましたようにいろんな助成をしている。地方自治体というのは本当に、こういうローカル線を抱えているようなところこそ、赤字路線を、ところほど自治体も貧弱なんですよ。東京なんかは千代田区にしたって中央区にしたって、もう私の目から見たってめちゃめちゃ元気よさそうですよね。東京の二十三区、元気の悪いような僕は自治体はないんじゃないかというふうに思います。その点我々の岐阜県のようなところは、本当に元気のあるような自治体というのは一つか二つですよ。あとはもう本当みんなしょぼくれているんです。  それだけに、できればある程度乗降人員の少ないところについては、減免しているようなところについては、もう交付税でその自治体の面倒を見てあげるというようなことは、せめてそれぐらいのことは、いきな計らいは総務省としてできると。久しぶりに高橋審議官見ましたらうれしく思いましてね。それぐらいのことは、よし、分かった、やってやるぞとおっしゃるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  57. 高橋正樹

    政府参考人高橋正樹君) 地方鉄道についてのお尋ねでございましたが、今委員からお話ございましたように、地方鉄道の維持活性化を図るための支援策の一つといたしまして、市町村が鉄道事業者に対する固定資産税を独自に減免する事例があるということは、現実にあるところでございます。  地方鉄道路線には、それぞれ各地域におきます個別の事情もございまして、国が今一律にその特例措置を講ずるといったようなことよりは、各地域の実情に応じまして総合的な支援策を講ずる中で固定資産税の減免措置についても、市町村が主体的に判断していただくことが基本的にはよろしいのではないかというふうに考えてございます。  私どもといたしましては、税務当局といたしましては、そうした各地域における取組支援いたしますために、現在御審議ただいておりますけれども、この法案のスキームに基づいて、市町村を始めとする地元地方公共団体と鉄道事業者とが連携して行う鉄道事業再生あるいは再構築に係る事業実施するような場合には、その路線について鉄道事業者が取得する一定の鉄道資産に係る固定資産税の特例措置を講ずることといたしたところでございまして、私どももそういう総合的な政策パッケージが講ぜられる中で対応をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。  以上でございます。
  58. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 もう時間が過ぎておりますので、羽田議員の了解ももらいまして、あと一問質問しまして終わらせていただきたいと思います。  特に、自動車交通局長、せっかくおいでいただきまして、とうとう質問する時間なくて申し訳ございません。また次の機会にさせていただきたいと思います。  そういう中で、正直申し上げまして、今総理も、それから閣議でも決定したようでございますが、来年度から道路特定財源は一般財源化するんだと、このようなことが閣議でも決定されて、そしてそれに向かってこれからまた取り組んでいかれると思うんです。もはやどうも、マスコミ情報で見ておりますと、この財源のもう分捕り合戦が始まっているというような気がいたしております。  この道路特定財源というのは、もう田中角栄大先生が導入したということで有名でございますので、これからはやはり地方を大事にしていただく、地方をもっともっと元気にしていただく。そのためには、まず、鉄道が衰退すればなお一層輪を掛けて衰退をいたします。だから、この地方鉄道をしっかりと守っていただく。そのためには、この道路特定財源鉄道に回しても自動車のユーザーは理解を示すんじゃないかなと。これが、福祉へ回しちゃいけないとは言いませんが、余り拡大をどんどん無限にするとまたユーザーの皆さんも問題起こると思いますが、まず鉄道は、もう同じ交通ですから、そして折り合いが付きやすいところですから、私は理解していただけると思います。  もう一つついでに言えば、松島副大臣は東京でございますから、都会を言えばです、ボトルネック踏切で困っていますよね。困っていないですか、ボトルネック踏切。困っているでしょう、開かずの踏切。何でなかなか進まないかといいますと、大都会はまず地価が高いですから、大変なんですよ、あれ。一つボトルネック踏切を解消しようと思ったら、すぐ二、三百億円は掛かるんですよね。掛かるんですよ。  そして、そのうちの七%から一割は民鉄に裏負担をしなさいと、こうくるんですね。二十億、三十億民鉄も負担をしないといけないんですよ。だけど、民鉄にとっちゃあれは邪魔にならぬのですよね、一つも。電車さえ走ればいいんですから、遮断機一日閉まっていたっていいんですよ、民鉄にとっちゃ。それを改良して便利にすればCO2も減るんですけど、ユーザーも喜ぶんだけど、車の、そういうところへ、民鉄の大手といっても、何だかんだといったって小さいですよ。例えば小田急にしても東武にしても、大手大手といっても、二十億、三十億の裏負担をしようと思ったら大変なことですよ、やっぱり。やっぱり株主のことも考えたりすれば、遅々として進まないのも、もう一方、私は民鉄に裏負担をさせるからだと思っているんです。  もうそういうのも道路特定財源でやったっていいじゃないですか、道路が便利になるんだから。それぐらいのことをやれば、開かずの踏切も大臣がおっしゃっているようにもっともっと早く解決していくんじゃないかというふうに思います。  そういうことを含めて、この道路特定財源鉄道にもしっかり回すんだということの決意を大臣からお聞きしまして、終わりたいと思います。
  59. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 一般財源化、二十一年度からするということは、内閣の基本的な方向、方針でありまして、一般財源化されたその税をどのように使うか、その使途は、民主党の皆様方の意見も伺いながら税制抜本改革の中で決めていくという、これからの課題でございますので、私から今の御提案に対してコメントすることは適当ではないというふうに思っております。  以上でございます。
  60. 吉田博美

    委員長吉田博美君) よろしゅうございますか。
  61. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 終わります。
  62. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 民主党の羽田雄一郎でございます。  今国会では、特に予算委員会では冬柴大臣、大変御苦労をされているのを間近で拝見をしておりまして、大変御苦労されているなということで敬意を申し上げさせていただきたいと、こういうふうに思っているところでございます。頭の下がる思いだと、こういうふうに思っておりますけれども、どんどん時間が過ぎてまいりますので、大臣にはしばらくお休みをいただいて。  鉄道事業の再構築事業実施するためには、当該旅客鉄道事業が、最近における経営状況にかんがみ、その継続が困難となり、又は困難となるおそれがあると認められることが必要になりますけれども、だれが、このような基準で、その継続が困難となり、又は困難となるおそれがあると認めることになるのか、御説明ただきたいと思います。
  63. 大口清一

    政府参考人大口清一君) お答え申し上げます。  先生指摘の再構築事業実施することのできる路線あるいは区間について、どういう、だれが判断するのかということでございますが、まず、存続が困難となっているかどうかを判断するに当たって勘案することがこんなことがございます。  まず一つは、当該鉄道事業者鉄道事業全体としての経営状況、これがまずはございます。それから二つ目は、路線を維持するための取組、これはどんなことを今まで取り組んできているのか。それから三つ目が、当該路線をめぐる歴史的経緯というんでしょうか、様々ないろんなその地元との成り行きとか、あるいは今までどんなような流れの中で鉄道というものが路線として存続されてきているのか。そういう様々なことを、何というんでしょうか、総合的に勘案してまず決めるべきものなのかなと、こう思っております。  この再構築事業認定に当たりましては、国土交通大臣が基本方針への適合性とか、それから計画の適切性、そうしたものを審査することになっているわけでありますけれども、今申し上げたような状況を勘案しながら、鉄道を取り巻く環境、経営状況、そうしたものはすべて路線ごとに違いますから、その個別事情をよくよく勘案した上で国交大臣が判断するというふうにさせていただきたいと思っております。  また、地域活性化を図る観点からは、鉄道サービスを安定的に確保していくための取組について、国としてはできるだけ幅広く、地域のその思いみたいなものを緩やかに、寛大に取り込んでいくような、そういう懐の深い政策にしていければと思っております。
  64. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 是非地域の思い、また歴史もありますし、やはり地域にとってはなくてはならないものでありますので、そういうものをしっかりと見ていただいて御判断をいただきたいなというふうに思います。  鉄道事業構築事業実施するためには、市町村その他の者の支援を受けつつ、事業構造の変更を行うことが必要とされておりますけれども、その他の者とはだれか、そしてまた、市町村その他の者の支援としてどのような支援措置が考えられるのか、また事業構造とは一体どのようなものを指すのか、それぞれ具体的に御説明願いたいと思います。
  65. 大口清一

    政府参考人大口清一君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘の、その他の国土交通省令で定める者でございますけれども、これは再構築事業実施しようとする鉄道事業が所在する都道府県、それから、当該鉄道事業を存続させるための活動を行う住民パワーというんでしょうか、NPOを含めた者、そうした者を想定しております。  それから、市町村その他の者の支援ということにつきましては、当該鉄道事業にかかわる路線における輸送の維持のための地方自治体財政支援、それから、さっき申し上げました住民の方々による、NPOなどによる利用促進活動、そうしたものを想定しております。  それから、事業構造につきましては、鉄道事業実施主体、それから資産の保有形態、そういうものを私どもとしては想定しておりまして、事業の譲渡譲受とか、あるいは法人の合併、分割、そうしたものによって鉄道事業実施主体を変更したり、あるいは鉄道用地の、何というんでしょうか、その譲渡等によって保有形態が変わってくるということによって、あるいは変えるということによって路線の輸送の維持を図るようなことを想定しながらこの法律のスキームを考えております。
  66. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 やはり、これ市町村またがっておりますので、都道府県という文言が出てこなかったものですからどうなっているのかなというふうに思っておりまして、今御指摘の、言っていただいたように、その他の者というところに都道府県が入っているんだということでございますので、やはり都道府県の責任とリーダーシップの下に実施するということも大切なことかなというふうに思っておりますので、是非そのことを重点的に考えていただきたいというふうに申し上げさせていただきたいと思います。  今回の地域公共交通活性化再生法改正案提出の背景として、平成十八年度において、民鉄と第三セクターを合わせた地方鉄道九十二社のうち六十四社が営業赤字であり、仮にインフラ経費をすべて行政側が負担した場合には赤字事業者の八四%が黒字に転換すると。赤字事業者は十社に減少するとともに、その赤字幅も大幅に縮小するとの試算があるようでありますけれども国交省としては、このような地方鉄道の現状にかんがみ、おおよそすべての地方鉄道が今回の提案されている鉄道事業構築事業対象となり得ると考えているのか。また、対象となり得ないものがあるということであれば、その仕切り線はどこになるのか、お考えを伺います。
  67. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 私ども先生おっしゃるように各地域、相当数の地方鉄道、承知しております。  それで、先生おっしゃる意味は、すべての地方鉄道がこの法律のスキームの対象になるのかというお尋ねかと思います。私どもとしては、これはすべては対象になるというふうにまずは申し上げたいと思います。  ただし、ここで大事なことは、再三申し上げているように、地元、特に先生がおっしゃった都道府県あるいは自治体、市町村でございますが、そこが本気になるのかどうか。もう少し平たく言えば、体を張ってでも地域の生活、これに欠かせないものとして再構築していく意思があるのかどうか、そこが一番の大事なところだと思っております。したがいまして、そういう気概を持つ限りこの法律対象になるというふうにとらえていただければ結構でございます。
  68. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 本気になると、都道府県、市町村共に本気だと思うんですが、それに伴う財源がないというのが実情なのかなというふうに思っていまして、とにかくすべて対象になるということで、是非支援をいただきたいと、こういうふうに思うところでございます。  今回の国土交通省試算においては、車両購入費を含めた完全上下分離を導入することを前提としているようでありますけれども、そして、路線存廃に揺れる地方鉄道にとって、車両購入費を地方自治体が独自に助成するか否かが鉄道事業構築事業成否のかぎを握っているとの見方もあります。鉄道事業構築事業に対しては、鉄道軌道輸送高度化事業費補助金のほか、地方財政上や税制法上の特例措置を講ずることとしているとのことでありますけれども、これらの支援措置、具体的に御説明ただければと思います。
  69. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 今から申し上げることは、すべてパッケージングしまして総合的に、何というんでしょうか、一つ一つつまみ食いという施策ではなくて、税制、補助金含めまして全体をパッケージングで支援していきたいというふうに考えております。  地方財政措置といたしましては、総務省さんにもいろんな合力をちょうだいしまして、起債措置として、公有民営方式の上下分離によりまして、地方公共団体が保有する鉄道施設について地方財政上の起債対象として新たに整理がされるというふうに承知しております。  また、交付税措置につきましても、公有民営方式の上下分離におけるまさに先生おっしゃる車両等につきましても、地方自治体の助成経費について特別交付税対象として新たに措置するというふうに承知しております。  また、税制措置につきましては、認定を受けた鉄道事業構築実施計画に基づきまして行われるまさに事業に対して固定資産税、それから不動産取得税、それから登録免許税等の減免特例を設けることといたしているところであります。  いずれにしましても、今回の法制度の創設と併せまして、まさに手続とそれから行財政措置全体を総合して今後の地域の、まさに頑張る地域地方鉄道再生活性化するんだということであれば我々としても積極的に応援していきたいというふうに考えております。
  70. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 それでは、冬柴大臣にお伺いをしたいと思いますけれども鉄道軌道輸送高度化事業費補助金は、昨年までの鉄道軌道近代化設備整備費補助金を拡大、名称を変更して創設される補助金であるとされておりますけれども予算額を見ると、拡大とは名ばかりでわずか五千万円ほどしか増えていないということでございます。  今年度からは、鉄道事業構築実施計画に基づいて実施される地域の公共交通の活性化に関する取組に対して、重点的に配分をするとの考えが示されておりますけれども、もしこれで鉄道軌道輸送高度化事業費補助金が鉄道事業構築事業関係に重点配分されるとすれば、それ以外の鉄道事業支援に大きく欠けることになるのではないかという素朴な疑問が浮かぶわけでありますけれども、そのような懸念はないのかどうか、冬柴大臣にお伺いしたいと思います。
  71. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 鉄道事業構築事業に対する国の予算支援といたしましては、まず鉄道軌道輸送高度化事業費補助、二十四億五千万円につきまして、これの補助率のかさ上げ、従来五分の一であったものを三分の一にする、あるいは優先配分などを行いまして、認定を受けた事業を重点的に支援していくことにいたしております。加えて、平成二十年度の予算におきまして新たに創設をされました地域公共交通活性化再生事業費補助の三十億円も十分に活用しながら地域事業者のニーズに十分にこたえていきたい、このように考えているところでございます。  国土交通省といたしましては、これらの予算をめり張りを付けて活用することによりまして、再構築事業に取り組む地方鉄道はもとよりそれ以外の地方鉄道につきましても、それぞれのニーズに即した効果的な支援を進めていくことができるものと考えているところでございます。
  72. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 今回の法案では、鉄道事業法における事業採算性、こういうものを適用しないということとしているわけでありますけれども鉄道事業許可基準のうち事業採算性に関する基準は、事業開始時の基準であるとともに事業存続の基準にもなるのではないかというふうに思います。  こうした事業採算性が要求される鉄道事業にあって、営業赤字事業者が九十二社中六十四社ということは、約七割の事業者鉄道事業法の要件を満たしていないということになるのではないでしょうか。特に、国鉄からの転換鉄道等や整備新幹線の供用開始に伴ってJRから分離された並行在来線では、三十九社中営業黒字事業者はわずか五社にすぎません。その五社中、北越急行では十二・七億円、智頭急行では六・四億円という営業黒字を上げていますが、この二社については、利用率の高いJRの特急が両鉄道の路線を走っているという特殊な事情もあるようであります。  このように、地方鉄道状況についても、鉄道事業事業採算性という観点からどのように考えているのか、そもそも事業免許、許可を与えた国交省行政責任についてどのように考えるのか、冬柴大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  73. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 地方鉄道につきましては、鉄道事業法に基づきまして、事業継続性安定性が確保されるよう、鉄道事業者が作成した事業計画事業採算性について適切に審査をした上で許可等を行ってきたところでございます。しかしながら、急速なモータリゼーションの進展等により、御指摘のような経営の困難な状況に直面している場合があるわけであります。こうした経営環境の変化への対応につきましては、まずは鉄道経営に携わる者として、鉄道事業者地域の皆さんからの協力を受けつつ困難な状況に適切に対応しているものと考えております。  国土交通省としましても、地方鉄道の重要性にかんがみまして、今回の法律案により、こうした頑張る地域鉄道事業者を積極的に支援していきたい、していかなければならないと、このような考えでいるところでございます。
  74. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 それではちょっと地元のお話になるわけですけれども、私の地元の長野県における、もちろん委員長もそうでありますけれども鉄道事業、JRによる新幹線と在来線、JR以外では、しなの鉄道、長野電鉄、上田電鉄、松本電鉄の四社から構成されております。  このうち、しなの鉄道は、御承知のとおり、長野新幹線の開業に伴いJRから分離された並行在来線であります。平成十八年度営業損益は一億九千七百三十八万円と、国鉄転換鉄道、並行在来線黒字五社に入っております。しかしながら、しなの鉄道はJR東日本から引き継いだ過大な鉄道資産の減価償却費と輸送人員の減少等により、平成九年の開業以来赤字が続き、平成十四年、これは田中知事の下でありましたけれども、旅行業会社のエイチ・アイ・エスから杉野さんという方を社長に迎えて経営改善に努めるとともに、平成十六年度には経営の抜本的立て直しを図るため、県による百三億円の貸付金を資本金に振り替えるしなの鉄道経営健全化対策事業の下、中期経営計画を策定し、現井上社長の下、ようやく赤字経営から脱却したところであります。  私が国土交通委員長を務めさせていただいたときにも、委員会のメンバーの皆さん又は国交省の皆さんにも地方鉄道の現状を知っていただくために、このしなの鉄道にも乗っていただいて、その車中で井上社長の方から現状を、また苦労を聞いていただいたところでありますけれども、このようなしなの鉄道の経営状況について、これは昨年も実はお聞きしているところですが、改めて国交省の御認識を、御感想をお伺いしたいと思います。
  75. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 先生、今御説明ただきましたしなの鉄道の経営状況、私どもも、並行在来については今四線ございますけれども、そのうちの一線ということで毎年度毎年度気になるところでございますけれども、今先生指摘のように、地元でも様々な御努力、御尽力されまして、十九年度決算におきましても営業損益、経常損益、それから当期損益ともに黒字を計上しているということでございます。  営業損益につきましては平成十六年から四期連続で黒字、それから経損、経常損益、それから当期損益につきましては平成十七年から三期連続で黒字ということでございますので、よくよく地元とそれから鉄道事業者、それから接続しているJR、そうしたところの合力が成り立っているんだろうというふうにとらえているところでございますが。
  76. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 そこに伴って、今後、長野県においては、北陸新幹線の供用開始に伴う並行在来線の在り方について早急に詰めなければならない問題として、篠ノ井—長野間、これは実はまだJRが運営をしております。ここはもう最初から黒字がずっと続いている大変利用度の高いところでありますが、しなの鉄道は入らずにそのままJRが運営していると。及び長野以北、これは大変厳しい状況です。雪もありますし、なかなか厳しい状況、現在でも厳しい状況になっていると。すなわち、長野—妙高高原間の取扱いが控えているという中で、これらの路線は地域の主要交通機関としてこれまでもその役割を立派に果たしてまいりましたが、北陸新幹線が開業しても、その期待される役割は引き続き大きいものがあると考えております。  篠ノ井—長野間の取扱い及び長野—妙高高原間の取扱いについては、現在、JR東日本との間で協議が進んでいると聞いておりますけれども、その現状と今後の見通し並びに国交省の対応についてお伺いしたいと思います。
  77. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 先生指摘のように、現在、長野県それから地元関係市町におきまして、長野県知事が会長をお務めなさっている長野以北並行在来線対策協議会、これが設立されまして、その協議会において、高崎—長野間の開業時に経営分離の対象とならなかった篠ノ井—長野間の見直し、あるいは長野以北の鉄道施設の譲渡方法などにつきましても検討がされているというふうに伺っております。また、その中でも、JR東日本に対しても様々な要請活動も行っているというふうに承知しております。  私ども国交省鉄道局としましても、まず北陸新幹線の軽井沢—長野間の並行在来線につきましては、同区間の着工前でございますが、これは平成三年の七月でございますが、長野県知事の同意をちょうだいした上で、軽井沢—篠ノ井間、これは篠ノ井—長野間を含まないわけでございますが、その間のJR東日本からの経営分離ということが確認されております。また、北陸新幹線長野—上越間の並行在来線問題につきましても、同区間の着工前、これは平成十年の一月でございましたが、経営分離の導入に当たりまして、長野県知事から、信越本線の長野—直江津間につきましてJRからの経営分離に同意、それから経営分離後は県が責任を持って存続をしていきますというような御回答をちょうだいしているところでございます。  そうしたことを踏まえますと、まずは地元における検討の場においてよくよく当事者間で合議をしていただければというふうに考えておるところでございます。
  78. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 私は、整備新幹線の並行在来線については、JRから分離せず引き続きJRが運行する方が望ましいと、こういうふうに考えております。  その理由の第一は、JRから分離された並行在来線の経営状況が実質的に赤字であるということ、鉄道事業法上要求されている事業採算性の確保が果たされていないということであります。第二に、JRが一体的に運行した方が効率的な運営が可能ということであります。第三に、経営分離による乗り継ぎ運賃や乗換え等を解消し、利用者の利便に資することが極めて大きいというふうに思っております。第四に、経営分離による鉄道路線の分断化が阻止され、鉄道ネットワークの維持がされるということであります。  もちろん、JRが引き続き並行在来線の運行をするにしても、JRに過度な負担を掛けることは国鉄の民営化の趣旨に違反し、厳に慎むべきであるというふうに思っておりまして、そのためには今回の仕組みを利用できるのかなと、今回提案されている公有民営方式による上下分離制度は整備新幹線の並行在来線についても極めて有効ではないかと考えております。  今後とも、整備新幹線の開業に向けて並行在来線の在り方が注視されるところでありますけれども、私は、既存の整備新幹線の並行在来線についても、公有民営化方式による上下分離制度を導入し、JRによる一体的な運行体制を確保すべきであるというふうに考えますけれども大臣の御所見をお伺いします。
  79. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) この点は、お説ではありますけれども、整備新幹線の建設に当たって、第二の国鉄をつくらない、JRの経営に過剰な負担を掛けないというような趣旨から、累次の政府・与党申合せということが行われました。そして、新幹線を造る場合には並行在来線は新幹線の開業時にJRから経営分離をすると、そういうことについてその地域の、地方の、市町村の完全同意を得ることというような合意が、累次の合意がされてきたわけでございます。  それで、今回のおっしゃっている北陸新幹線の長野—上越間の着工に際しましても、JRと沿線の地方公共団体、これは県とか市町村、通過する市町村でございますが、との間で協議がなされまして、長野県及び沿線市町村から並行在来線、長野—直江津間の経営分離については同意をいたしますと、分離していただいて結構だと、こういう同意があって始まったわけでございます。しかしながら、だからといってその証文を振りかざしてすることはないと思います。そういう意味で、今回の並行在来線同士での、それが経営が困難であればどうしのいでいったらいいのかということは、これは新たな問題として考えなきゃならない。ただ、JRに経営をさせるということは、これは今までの沿革から見てもこれは適当ではないと思います。  ただ、それじゃ、この間私も着工式行きました、九州新幹線どうなるんだと、九州新幹線ではありません、長崎ルートですね、ごめんなさい、長崎ルートですね。あれにつきましては、沿線地方自治体とJR九州とのもう本当に長年にわたる交渉の結果、JR九州が特段の配慮をされたということでありまして、これを一般化するということはこれはできないと思っております。  したがいまして、地方自治体とJRとの真摯な話合い、それによる決断というものが行われて初めて道が開けるんではないかなというふうに思います。
  80. 羽田雄一郎

    羽田雄一郎君 大変厳しい中でも、黒字部分はまだJRが運営しているという部分もあったりして、我々としては、それはちょっと、黒字部分はやるけれども赤字部分は第三セクターでということでは納得がいかないところであります。  長野県の地方鉄道の一つに上田電鉄というのもありまして、さきに御紹介したところでありますけれども、この上田電鉄の別所線は、JR長野新幹線及びしなの鉄道の結節点である上田駅を起点として走っておりまして、十一・六キロの鉄道であります。地方鉄道であります。御多分に漏れず、上田電鉄の平成十八年度の営業損益は二千九百七十四万円の赤字鉄道となっておりますが、別所線の存続については、上田電鉄、上田市、地域関係者、市民が三位一体となって取り組んでいるところでございます。  その取組内容を見ますと、別所線の存続の意義を踏まえて、経営環境が厳しい中で、安全投資、快適性向上投資、バリアフリー投資を行うとともに、増収策、サービス向上、広報宣伝等のソフト施策も進めることとしております。今回の地域公共交通活性化再生の改正案の成立を受けて、上田電鉄がどのような選択肢を選ぶかは私は承知をしておりませんけれども、たとえ本改正案で提案されている枠組みを選択することがなくても、是非従来どおりの支援措置、これは保障していただきたいなというふうに思っているところであります。  また、先ほど山下委員も言われたように、地方というのは大変車に依存しているものが大きくなってきております。高齢者、障害者、子供たちを始め、だれもが利用できる鉄道、バスももっと経営状況が厳しいという状況下の中で、公共交通機関は市民の生活を考えても、環境問題、今大きく取りざたされている環境問題を考えても大変重要であるというふうに考えます。地方自治体財源ということを見ても大変厳しい状況が続いております。国がもっと力を入れなければ、山下委員も言われたように絵にかいたもちになってしまうというふうに言わざるを得ません。  是非、これからも国として積極的に地方の鉄道やバス等に力を入れていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  81. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時六分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  82. 吉田博美

    委員長吉田博美君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地域公共交通活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  83. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 自由民主党・無所属の会の佐藤信秋でございますが、午前に引き続きまして、午前中の先生方の御質問を伺いながら幾つか、予定した質問よりは少し、場合によってはちょっと変えるところがあるかもしれませんが、ひとつよろしくお願いします。  最初に、地域公共交通活性化及び再生に関する法律、これはたしか昨年の三月成立でしたね。そういう意味で、元に戻るようなというか原点に戻るような話から最初に御質問させていただきたいと思うんですが、地域公共交通と一言でそう言いますが、定義とする範囲というのはどのぐらいの範囲のことを考えるのかなと。陸海空それぞれ交通手段あるわけでありますから、その中でターゲットとしようとして、ここが問題じゃないかという点について考えたこの法律の元々の原点はどんなことを期待されたのか。  その中で、地域公共交通、一般的には陸でいえばバスであり鉄道でありと、もちろんそういうことだと思いますが、環境というような問題を考えますと、あるいはまた少子高齢化という中で、できるだけ公共交通を使っていただかなければいけない。しかしながら、採算そのものは陸海空共に非常に厳しいという状況であることも確かだろうと思います。  そういう意味で最初にお伺いしたいのでありますが、地域公共交通、この活性化再生、こういう観点からどうやって地域公共交通なるものの総体としての充実を図ろうとするのか、そういう点について最初にお聞かせ願いたいと思います。
  84. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) 地域公共交通活性化及び再生に関する法律というのは昨年成立をさせていただきました。  その中では、地域関係者が地域公共交通について総合的に検討していきましょうということで、対象としては、まさに御指摘のように陸海空入っておりますが、基本的には、鉄道ですとか、例えば離島航路の船でございますとか、それからバス、場合によってはコミュニティーバスといったようなところまで含めて、先生指摘のような、いわゆる高齢化に対応したような形、若しくは障害者の方にも優しいような公共交通を地域レベルで何とか守っていこうということを基本にいたしまして、例えば乗り継ぎの便を良くしますとか案内表示を良くするとか、ダイヤを改正、例えば船とバスとの関係を良くするためのいわゆる時刻表をどうやったらうまく改善できるとか、そういったような事柄もやっていこうということで、言わば地域が中心となって、交通事業者も含めて、私ども国土交通省もそれをバックアップするというような形で発足しておるわけでございます。
  85. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 地域取組、午前中の御議論にもありました。国としてしっかりと支えるということがまた大事なことである。一方で、事業者だけではなくて、市町村あるいはNPOあるいは都道府県、あるいは利用者そのものが主体的に一生懸命取り組んで、みんなで力を合わせてやっていこうというのがこの法律を用意した趣旨なのかなと。その中でいろんな武器、手段をそろえていかないと、山下先生の御質問じゃないですが、絵にかいたもちになりかねない、こういう問題だろうと思います。  そういう意味では、去年作って、そしてまた今年その改正という形になるわけですが、本当は、一度にどんとしっかりしたものを作れば、そんな毎年毎年やらぬでもいいじゃないかという御意見もありました。ありましたが、私自身も、気が付いたところはひとつ速やかに直していくんだということもまた一方で必要かなと、そんなふうにも思っています。  ただ、これは去年施行された、十月から施行ですね。そうすると、地域公共交通の総合計画というものをみんなで作って、そして一緒にいろんな、利用の向上であるとかあるいはまた採算性を上げるためにどうするか、そうしたことをお互いに、公共団体だけではなくて、事業者だけではなくて地域の皆さんがお考えいただく、こういう方法だろうと思っています。  絵にかいたもちになるかならないかということは、そもそものその出発点の計画作りそのものもみんなで参加しながらよりいいものを目指していこう、少しでもみんなで努力し合おうということが原点として必要なんだろうと。  そうだとすると、新しいこの改正の前と言えばいいんでしょうかね、十月から施行ですから、今までにどうした取組がなされて、そしてそれに基づいてどんな調査あるいは事業というものが進められてきているか、まず原点としてそこを押さえて教えていただければというふうに思います。
  86. 榊正剛

    政府参考人(榊正剛君) 実は、昨年十月施行されまして、そして今年の四月からは、実は平成二十年度予算というので地域公共交通活性化再生総合事業というのを創設させていただきまして、これらの事業財政面でバックアップすると、こんな仕組みができたわけでございます。  この結果、今年の五月十九日までに全国六十一の地域地域公共交通総合連携計画というのができ上がっております。そのうち五十九の地域につきましては、予算でバックアップをしようというようなこともありまして、連携計画の具体化、実施を行うための事業計画認定をいたしたところでございます。さらに、百十二の地域で連携計画の策定のための調査を行うということを予定をいたしておりまして、これも百十二地域認定をいたしまして今から連携計画の策定を進めると、こんなことになっておりまして、今年度中にこの連携計画の策定を何とか進めていきたいというふうに思っております。したがいまして、合わせますと百七十三の地域で動きが始まっておるということでございます。  予算ができる前、いわゆる昨年度でございますけれども、昨年度からもう取組が始まっている第一号目というようなところでは、例えば富山でございますけれども、この二月二十八日に軌道運送高度化実施計画認定を受けまして、路面電車を環状線化するといったようなことで、LRTの整備を平成二十一年の十二月開業予定というような形で推進しております。  それから、京都の宮津、京丹後市、与謝野、伊根町といったような四市町で鉄道、バスにおける連携計画をやろうというようなことがございまして、鉄道、バスにおけるダイヤの改善ですとか企画乗車券の発行ですとか、バス停の改修、移設ですとか、そういった情報提供といったような取組を具体的に推進し始めたというような感じになっておるところでございます。  今のところ全国で、まあほんの短い間だったとは思いますが、百七十ぐらいの地域で動きが始まっておりますので、更にこういった取組を進めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  87. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 百七十三地域取組が始まった。つまり、陸海空というか、空は入っていないんでしょうかね。これも、だけど、まあ問題としては、コミューター航空といいますか、離島なんか特に問題としては意識してカバーしていくべき対象範囲だろうというふうには思っています。  ただ、今回そういう中で、鉄道ということで、地方鉄道を主としてということだろうと思いますが、上下分離、こういうことをベースにした再生事業というものが今回の法律の中に入れられる。  全体の中で、地方鉄道大変な状況であるということも確かであります。そういう意味で、急いでやれるところからやるというのは、午前中の先生方の御質問にもやれることは大いにやってほしいと、こういう御指摘がありました。私もそのとおりだと思います。  ただ、こういう場合に、ほかの手段もさることながら、大急ぎで間に合わせようということで鉄道の上下分離というのをやっていただく。これは、去年の参議院の附帯決議にも、鉄道の上下分離というのはできるだけ進むように指導、助言してくださいと、こういうお話がありましたですよね。そういう意味で、大急ぎでということが、ようやく間に合いましたと、逆に言えばそういうことなのかなと、こんなふうにも理解しています。  今回の法案対象としているこの地方鉄道地域の足である、しかしながら、大変な厳しい状況にあって廃線が非常に多くなっている、廃止が多くなっている。こういう状況の中で、現状は、午前中にもありました、大変厳しい、それをどういうふうに活性化していくか、そんな観点で用意されたものだというふうに理解はしていますが、そういう意味では現状の厳しさというのを端的に教えていただくとどういうことになるか、よろしく。
  88. 大口清一

    政府参考人大口清一君) まず、先生から先ほど地方鉄道とはどんなところなのかというお尋ねがございました。  それで、私ども、一般に新幹線、在来幹線、都市鉄道、そうした路線も抱えておりますけれども、今申し上げたこの都市間を結ぶようなそういう大どころですね、そこを除いたものが大体地方鉄道というふうにカウントできるかと思います。  そのうち、運営主体としては、JRあるいは一部の大手民鉄、それから地方の中小民鉄、それから旧国鉄のいわゆる特定地方交通線や整備新幹線の並行在来線として後を引き継いだ第三セクター、そんなところが地方鉄道を形成しているかと思いますが、このうち、いわゆる地方中小民鉄あるいは第三セクターと呼ばれる本当の、私どもから見て純粋なる地方鉄道というんでしょうか、そういうところは大体九十二社ございます。  そして、全部又は一部が軌道の区間も含むものもありますけれども、全体として利用者数を見てみますと大体四億三千万人、日本の人口が大体一億でございますので、大体四倍ぐらいの御利用になっているということでございまして、鉄道利用者数全体で見ると、大都市圏が多いものですから一・九%、約二%なんでございますが、されどその地方を支える、あるいは地域活性化という面においては大変重い役割を担っているというふうに考えております。  その経営状況でございますが、九十二社中七十三社、割合にして八割の事業者がいわゆる鉄道事業の分野で経常収支ベースで赤字でございます。約八割が赤字ということでございますので、大変厳しい経営状況になっております。  その要因をよくよく分析してみますと、午前中にも大臣から答弁申し上げましたけれども、沿線の鉄道利用者、言うなれば人口が減ってきているということがまずございます。その結果として、御利用が減って、鉄道事業の収入も長期減少傾向にある。それから二つ目は、施設がやはり老朽化してきている。施設の維持に多額の費用を要するなど、保有コスト、インフラを持つコストが経営を圧迫する要因になっている。それから三つ目は、鉄道要員のいろんな合理化につきましても、経営努力だけではその路線を維持することがもう困難な場合が結構多々見られてきているというような結構厳しい状況でございます。  そうしたことから、国交省としましては、地域の暮らしあるいは観光という切り口、そうしたものを総動員しまして、地方鉄道活性化、また、ひいては地域社会、地域経済の活性化、そうしたものにてことして御利用ただけるような役割も担っているんじゃないかなと、こうとらえております。  ちなみに、鉄道輸送サービスの維持あるいは活性化をしていく上で、路線ごとの鉄道を取り巻くまた諸状況も異なるものですから、沿線様々な状況を踏まえながら、自治体、それからNPOを含めた利用者方々、あるいは都道府県、そうした関係者が相互に連携してスクラムを組むということが大変今重要な要素になってきているのかなと、こう思っております。  ちなみに、私の手元にあるデータだけちょっと申し上げますと、さっき申し上げましたように、九十二社のうち民鉄五十三社、それから三セクが三十九社ということでございますが、それを今度は居住人口の関係で分類してみますと、全社平均、つまり九十二社の大体平均で、沿線人口が十四万人というのが平均でございます。このうち、黒字を出しているところが大体十六万五千人ぐらいの居住人口、それに対して赤字の平均のところが十三万三千人ということで、実はこの十四万人ぐらいの平均のところのちょっと上、ちょっと下というんでしょうか、一万、二万というのはやはりちょっとじゃないんでしょうけれども、かなり大きな開きはあるんでしょうけれども、ちょっと人が利用すれば黒字に行くなというこの一押しがやはり必要だということが私どもの手元の分析でも言えるのではなかろうかなと、こうとらえているところでございます。  ちょっと長くなりましたけれども、私どもの評価でございます。
  89. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 今のお答えで、沿線人口というお話でしたが、それは鉄道の線の全体に対してその沿線の住民の数を全部合計したら今の十四万六千あるいは十三万と、こういうふうに分類されるものと、こう理解しましたが、そうだとするとといいますか、そういう中で経営改善、こういう努力をしていこうとすると、同じ沿線が十五万人でも、うまく何とかいきそうなところと、いっているところとそれはなかなか大変厳しいというところとあって、あるいは十万ちょっとでも何とか頑張っていますよ、こんな例もいろいろあるんだろうと思います。  連携計画というものを作る大前提として、今までのノウハウの活用というのも午前中の御質問にもありましたけれども、そうだとするとどんな事例、いろんな事例があるんだと思いますけれども、どんな事例があって、どういう観点から利用の促進であるとか、あるいは少しでも立ち上がってもらうための武器、手段、どういうものをやっていったらうまくいっているとかいってないとか。  千葉の小湊鉄道というのが、あれ、しょうゆのせんべいでしたか、たしか、本業ではうまくいかないんですね、本業ではうまくいかないけれども、しょうゆのたしかぬれせんかなんか、ぬれせんべいで一生懸命頑張って、経営全体としては何とかやっていけている、こんな事例もあります。  そういう意味では、ノウハウの活用、これをまずまとめていただくというのも必要なことかなと。午前中にもありました、マニュアルじゃないですけれども、そうしたガイドブックじゃないけれども、御案内の、こんなふうにやって一生懸命頑張っているところがあるんですよと、そんなふうなマニュアルのようなものも世の中にお示ししながら、一緒に連携計画を考えていきましょう、こういうことが必要かと思いますが、いかがでしょう。
  90. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 先生指摘のように、様々な事例が各地に出てきておりまして、そういう中で私ども、今回の法案を提出させていただく中で大変参考になるものもございました。  ここで簡単にちょっと御披露申し上げますと、例えばえちぜん鉄道というのが、これは福井県の方にございますが、これはえちぜん鉄道と呼ばれる前は京福電気鉄道ということで、大阪の京阪鉄道の系列の会社がこの鉄道を運営していたわけでございます。それで、輸送人員の減少と、それから二度にわたりまして列車衝突事故を起こしまして、平成十三年に越前線の廃止届出を提出しました。その存続が危ぶまれたわけでございますが、そのときに福井県とそれから沿線市町村が協議しまして、沿線市町村による第三セクターえちぜん鉄道を設立して、存続のためのいろんな方策を練り上げながら施策を構築したというのがございました。  ちなみに、いったん実は鉄道を中止したわけでございますが、ピーク時の通学、通勤客がバスでは賄えなかった。それから、雪の日にやはりほとんどもうバスだと遅れて、なかなか通学でも学校に間に合わないというような方が出まして、地元としては、これは鉄道を今まで軽んじていたけれどもこれは是非とも復活しなきゃいけないなということから、えちぜん鉄道ということで復活をしてきたという事例でございます。  この場合に三つ大きなポイントがございまして、一つは、えちぜん鉄道が取得する施設に係る費用、それから運転再開に必要な工事費、これを県が補助を大々的にしました。それから、維持管理していくための施設整備費及び運営費について、沿線市町村などが補助をしたということでございます。それから三つ目は、これは地元利用者方々の力合わせなんでございますが、イベント列車運行に合わせて様々なネットワークでイベント列車にお客を呼び込む。それから、先日もテレビで紹介されていましたが、女性が十数人アテンダントということでそれに添乗しまして、それでお年寄りからいろんな方々観光客までも含めまして、その方々のニーズをすべてそのアテンダントが一義的には引き受けて、御説明なり、あるいは次のバス路線につなぐ場合のバスのダイヤまで全部調べてその方がお教えするというようなことをなさっております。  まず、こんなことを総合しながら、十五年に開業しまして以降、年々輸送人員が増加していまして、十八年度は開業時に比べて倍以上の増加になったということでございます。また、収支の面でも経常赤字が大幅に縮減してきておりまして、経営改善が相当進んでいるというふうに私どもは評価しております。  それから、あと、和歌山県の和歌山電鐵貴志川線というものがございました。これにつきましても、平成十五年にそれまでの運行主体だった南海電鉄が貴志川線の廃止の検討を表明したことによりまして、その存続が危ぶまれたわけでございます。このため、沿線自治体が任意の協議会を設置しまして、大々的な、いろんな方が参画する議論をして、地域において路線の存続の意義が非常に高いという結論に至ったことから、その方策としてやはり幾つかの柱を立てて、それを確実に実行したということであります。  一つは、沿線自治体鉄道用地を買い取りまして、運行主体、これは和歌山電鐵ということになりますが、その運行主体に無償貸与する、土地を貸与する。それから二つ目として、沿線自治体運行主体に対して運営費あるいは変電所の修繕費を補助するということ。それから、三つ目が極めてユニークなんでございますが、地元特産がイチゴなんでございますけれども、それをテーマにしたいちご列車、こういうものを運行するなどして、また貴志川の最終駅には猫の駅長を配置するなどして、今や観光客が相当入るようになったというような取組でございます。  こうした取組によって和歌山電鐵は、十八年四月に新たな運営主体ができて以降でございますが、対前年度比で一〇%増加ということでございまして、また収支の面でも赤字が大幅に縮減されて現在経営改善が進みつつあるというような状況でございます。  こんな多々事例を総合集約しながら、何が一番大事なスキームなのかということを、そのエッセンスを盛り込んだのが今回の法案だというふうにとらえております。  長くなって済みません。
  91. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 大臣、誠に御苦労さまでございます。質疑の方、鉄道局長あるいは総合政策局長とやらせていただいて、大臣お気付きの点があればまたお答えいただくというようなことでお願い申し上げたいと思います。  大前提として一つ伺っておくのを忘れました。地方鉄道といいますが、地域公共交通ですから、その中の鉄道と、こういうことになると、対象となり得るという問題でいえばJRから本当に今お話しの単線、一つの線の地方鉄道までと、こう理解していいのか、それとも今のお話の九十二社といいますか、地域にごくごく限定された地方鉄道対象にする、こういうことなのかどうか。
  92. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 狭い意味では、今、九十二社というのが本当に純粋に地方鉄道というふうにとらえられると思いますが、広い意味では、先ほど申し上げました並行在、整備新幹線に伴ってできる並行在、あるいはJRの運営している地方鉄道等々を含めて対象にはなり得ると思います。  ただ、あえて申し上げますと、整備新幹線に伴って出てきている並行在は、別途その整備新幹線問題の中で並行在来線支援スキームというのがございますので、そうしたような支援措置が別途あるということであります。  それから、JRそのものは、特に分割・民営した後に、特に本州三社等についてはきちんと維持していくと、全体を維持していくんだということが一つ大前提にございますので、そこで何かこのスキームに直ちにというわけではないというふうに理解しております。
  93. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 そこで、主としてといいますか、武器、手段として、一番今回のこのスキームで是非やりたいと、こういうことで御提案いただいているのが再構築事業であり、その一番の柱は、これは第三種事業者として公共団体が、市町村限定ではないのかもしれませんが、都道府県でもいいのかもしれませんが、そこも教えていただきたいんですが、用地、資産を買い取ると、そしてそれを無償で貸与する、さらに、運営等についてみんなで利用、増資を図りながら経営改善を少しでもやっていって、継続的に地域住民の足が確保できるように、こういうことだと、私の粗雑な頭の中ではこう理解したんですが、それでよろしいかどうか教えてください。
  94. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 再構築事業を追加した理由という意味でございましたか、昨年五月に成立した委員も御指摘地域公共交通活性化法で、再生事業制度を導入したわけでありますが、そのときに附帯決議でも委員が御指摘なさったように、是非ともこうしたものについてもやってほしいという附帯決議もございました。  それからまた、その法律の成立を契機としまして、地域鉄道最後地域が支えるんだというような地域における主体的な議論が大変盛り上がってきたこと、それから具体的な支援のプロジェクトの検討が進んで、関係団体、特に日本民営鉄道等協会とか、あるいは第三セクター鉄道等協議会、そうしたところから強い要望もいただいたということも含めまして、問題を整理した結果、現在、交通政策審議会の鉄道部会でいろんな議論をお願いしておりますけれども、そこの緊急提言という形で、地域の暮らしや観光、まちづくりに組み込まれた持続可能な鉄道輸送の実現に向けてという緊急提言を受けまして、経営悪化が深刻化している地方鉄道を幅広く対象にしてほしいと。それから、存廃論議が浮上する前の段階で、国の支援も受けながら、関係者が一体となって活性化を図ろうとするような取組が展開できるような、そういうスキームを追加的に導入すべきじゃないかというような御提言をちょうだいしたところでございます。  そうした状況に対応しまして、私どもとしては、今回この上下分離、公有民営方式による無償付けができるような特例、あるいは予算措置等々を総合的に組合せすることができるような、そういう法案として御審議をお願いしたということでございます。  ちなみに、その無償付けができるということは、鉄道事業法の許可要件にございます、まさに収支採算性というものが、きちんと見ているんだというところのその収支採算性を自治体が保有する場合は、自治体の責任できちんとその収支採算はやっていくんだというところが担保できれば、そこは事業として自分たちが無償付けしてもいいだろうということで、特例としてお認めいただくというスキームにしたわけでございます。
  95. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 そこのところをもう少しちょっと伺いたいなと。  公共団体が施設を買い取る、そして無償で貸し付ける、そのときに公共団体は二種事業者としての鉄道の経営の方に、そこまでも責任を持ちますと、こういう前提で経営採算は見なくていいと、こういうことなのか、三種事業者としての公共団体が、三種事業としては別に経営採算考えなくてもいいでしょうから、そこのところはどうぞどうぞと、計画どおりで、特に経営採算厳しく見たりはしませんと、こういう意味なのか、そこをお答えください。
  96. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 地方自治体下物を持つ、その限りにおいてはやはり地方自治体の責任はそこにとどまるのだと思いますが、そういうふうにとらえられるんですが、このスキームはあくまでも地元で協議会をつくって、その中で自治体事業者、それから利用者、それから地元のいろんな篤志家を含めた、NPOを含めた関係者がみんなで議論して、これでいこうというような合力の世界でございますので、その中ではやはり自治体もそこはかとなく上物の運営会社に対してもいろんな意味での支援の、何というんでしょうか、責任というんでしょうか、それがあるのだろうというふうにとらえられるかと思っております。
  97. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 そこのところは多分これからの議論のところがあるんだろうと思いますが、物の考え方として、物の考え方として役割分担をそういう意味では明確にした方がいいという意見も一方ではあるんだと思います。そして、今までできなかったこととして、公共団体が施設、資産を買い取って、買い取った上に無償で貸付けして、身を軽くして、そしてみんなでできるだけ利用しようと、それだけでも私は十分で立派なことだとは思うんです。  絵にかいたもちにならないようにというのは、実は余りにもそこを、じゃみんなで責任持ちましょうよとやると、実際問題として、どれだけ本当に実行する公共団体なりなんなりが出てくるか。もちろんどんどん頑張っていただかなくちゃいけないんですが、実はこれは買取りの多分価格なんかにも影響するんですね。幾らで買い取るか。買い取って無償で貸付けするわけですね。そうだとすると、幾らで買い取るかというのも多分打合せのいろんな対象にはなって、普通考えますと、今の並行在来線はあれは簿価で買うんでしたっけ。それも答えてください。  そして、収益採算性といいますか収支還元法で、持っていたら二十年で幾ら掛かるかとか、そうだとすると多分そこは赤字になっているというような路線も多いと思うんですね。そうすると、どのぐらいで買い取るかということ自体、お互いに話合いの中で、ここまでやれば何とか、利用者も頑張るから、できるだけ乗るようにするから経営していってくださいね、どこかにそういうラインが出てくる。  今までと違うのは、多分、固定資産税や、それこそ不動産取得税、元々、公共団体が引き取ってくれたら税の方は多分掛からなくなるんじゃないかと思うんですが、そういう効果もあって、なおかつそれは無料じゃなくてある程度支払いますと、身を軽くするから何とか頑張って経営してね、その代わり利用者もみんなで頑張ろうね、こういうふうに理解すればいいのかなと実は思ったものですから、そんなことを聞いているんですが、どうなんでしょう。
  98. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 時価か簿価かということにつきましては、実はどちらも事例がございまして、簿価で譲渡されているものもございますし、時価で譲渡されているものもございます。それは、その譲渡譲受をする当事者間のまさに話合い、協議の結果だというふうに受け止めております。  あと委員お求めになっていた、鉄道事業の再構築事業において上下分離行われる際の譲渡価格の話は今のとおりでございますが、その点だけだったんでしょうかね、ちょっと失礼しました。
  99. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 ちょっと持って回ったことを伺いました。今、時価か簿価か、そうじゃなくて、そのほかに例えば収益還元みたいなのがあって、二十年、三十年たったらこの資産というのは逆にマイナスがこれだけ積もりますと。  先ほどの羽田先生のお話と少し重複といいますか、問題意識が多分多少一緒のところがあって、簿価で買い取ってくださいね、並行在来線でもですよ、簿価で買い取ってくださいねといったら、これ高いですわね。時価は余りないですわね。収益還元でいったら、多分多くの路線はマイナスですよね。その中のどれに決めるか。どれに決めても、まずは税の方は、固定資産税にしろ不動産取得税にしろ、税の方は公共で持つようになったら掛からないんですねと、これが一つ。今までは掛かるわけでしょう。だけど、所有権移転するようなものですから、言ってみれば。そしてそれは税掛かりませんよね。  次に、譲渡価格としては幅がありますよね。その中でお互いの話合いでしょうけれども、私は収益還元法から簿価まで、その幅の中でお互いに何とかこの経営がうまくいくようにみんなで努力するということを大前提にしながら連携計画を作って決めていくんだろうとは思います。思いますが、過度に公共団体に全部責任持ってよと言っても、そこの部分はどのぐらいの譲渡価格にするか、あるいはこれからの経営にどれだけ期待するかというようなところもあるから、みんなが一緒にどんぶりですといつまでも言っているよりは、ある程度責任分担もはっきりした方がいいかな。  そんな観点から、まずは、公共団体の立場にしてみると、税も減免しました、自分が持つんだから税なんかもういいですと。次に、ある程度、負債を払うためにある程度買い取りますと。どこまでやれば良さそうかというのが、ある程度お互いにいろいろやってみないとなかなかまとまらないかな、話が、ということを絵にかいたもちにならないようにという意味で、その辺どうなっているんでしょうか、こういうことであります。
  100. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 大変失礼しました。  まず、再構築事業に取り組むという場合、沿線自治体が、市町村が中心となりまして、それで、公共交通当該事業者、それから公安委員会、あるいはその鉄道等を利用される利用者、そうした方々を構成員にしまして協議会をつくります。この設立された協議会において、様々な協議検討を通じまして、実施しようとする再構築事業の概要を盛り込んだ総合連携計画を作ることになっております。この、何というんでしょうか、総合連携計画を作るというところが大変大事でございます。  その上で、その総合連携計画の中に再構築事業ということでその実施主体である沿線市町村、鉄道事業者、あるいはその他地域関係者、こうした方々実施の内容の詳細について突っ込んだ議論をし、協議をし、全員の合意によってそれを盛り込んだ再構築実施計画を作成して実施すると、こういうふうになるわけであります。  その計画の中では、これは自分がやる、これはどこがやるという役割分担もそこはきちんとその計画の中に出てきますから、その中でむやみやたらに野方図にすべてが自治体の責任というような、そういう絵姿にはならないというふうに私どもはとらえております。
  101. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 これから細目を詰めていくと、こういうことだろうと思いますので、お願い事をしておけば、先ほどのイギリスの例じゃないですが、上下分離、ある程度の責任分担をはっきりした方がいいだろうと。例えば、今回の事例でいえば、上下分離の下の方を持つのは公共団体になるんでしょうから、そうだとすると公共団体と上の方の運営管理する会社、従来の鉄道会社がやるのかもしれませんね、あるいは別の会社が振り替わりでやるのかもしれませんが、そこの役割分担という問題でいえば、中途半端に管理の一部を公共団体持ってくださいねというわけには多分いかぬだろうと。中途半端なことをやったらうまくいかない、そこがです、というのが一つ。  それからもう一つついでに申し上げれば、せっかく公共団体所有と、こういう形にするんだとすれば、災害復旧なんかをやれるように、災害復旧の対象、国庫負担の災害復旧の対象にできるようなこともこれから先考えた方がいいんじゃないかな。その代わり日常のメンテナンスは、これはもう責任分担ですから、鉄道会社の方でちゃんとやってくださいね、その辺はっきりしないとなかなかまとまる話がまとまらないのかなと思って、ちょっと伺っているわけでありますので、その辺はどうでしょう。
  102. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 鉄道施設が自然災害によりまして被害を受けた場合、被災規模が大きいということが多々ございます。それで、鉄道事業者の資力によっては復旧が著しく困難な場合になる可能性もある。そうしたときには私どもも、私ども予算の中で補助を行うこととしておりまして、鉄道軌道整備法に基づく鉄道災害復旧事業費補助、これによりまして支援を行うとともに、私ども省内の道路局あるいは河川等の関係部局とも力を合わせまして、合わせていただいて、公共事業とも連携しながら効率的な復旧を図るということも現実には行っております。  なお、被災した結果として事業の継続が困難となるようなほど経営が厳しくなった場合には、この鉄道事業構築事業対象にはなっていくのだろうというふうに考えております。
  103. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 そこの部分が、ですから、災害復旧の方も、これはいろいろ財政当局とのやり取りもあるんでしょうけれど、従前よりも発動しやすくするということをお考えいただきたい、こういうことなんですね、私がお願いしようとしたのは。  それから、運営管理という面でいえば、ふだんはほとんど公共団体の方は所有はするけれども運営管理鉄道会社というぐらいに割り切らないと、中途半端になって、片っ方、口だけは出しますとか、片っ方は口出すならお金出してくださいとか、どうしてもなかなかうまくいかない。さっきの絵にかいたもちにならないようにという観点からいけば、そこはかなり割り切っていただいた方がいいだろうと。  そして、税の方は減税するわけですから、しかも譲渡価格どのぐらいにするかはともかくとして、負債もある程度きれいにしていくと。そういう中で、是非、今さっきお話の九十二社の中で八割が赤字であるという状況を少しでも改善していっていただこうとすると、絵にかいたもちにならないように、今申し上げたようなことを、一つ一つはこれからの細目で決めていっていただくんでしょうが、手当てを是非お願いしたいということと、もう一度くどいようですが、並行在来線みたいな議論の中では、価格というのが譲渡価格、あるいは運営管理もどの会社がやるかと、いろいろこれからまた、実は長野、新潟は大変なんですよね。大変なんです。  それから、さっきのお話のしなの鉄道の話も、そうやって都道府県が応援しなければなかなかうまくいかない、こういう状態でありますから、この機会にお願いを申し上げておけば、譲渡価格なるものは、今回のこの再構築事業と同じように、JRと都道府県、公共団体の間も多分その議論はあるんだろうと。整備新幹線のスキームの中で完結しているものではなくて、なくてですね、どのぐらいの価格で譲渡するのかとか、どういう事業体が、経営体が運営しようとするのか、そういう議論の中では、左の端には簿価があり、右の端には多分収益還元で計算されるような価格があって、さてどの辺かという話合いをせないかぬ。それだけの幅の中で是非並行在来線問題も御議論いただきたい。もちろんこのスキームとは別ではあるということではありますが、ということをお願い申し上げたいと思います。  最後に、これで、先ほどは、去年の連携計画が、事業と合わせて百七十三ほど既に調査あるいは事業をやっている。そうすると、同じような意味で、今年度、来年度で大急ぎで多くの連携計画を作っていただければと。地元次第ですよね。だけれども地元には今申し上げたようなことを分かりやすく説明しておかないと、さて話合いしましょう、どういう話合いするんだろうと。連携計画は作りました、だけれども負担の問題は全然別です、これからですと、こうとかくなりがち。あるいは、そんなに踏み込んでいくと、たくさん負担せないかぬかもしらぬからなかなか手が出ないよねとかいうことがありがちなものですから、その点も含めて、鉄道局長、しっかりと分かりやすく世の中に計画の作り方、ノウハウをお示しするということを最後に一言お願い申し上げたいと思います。
  104. 大口清一

    政府参考人大口清一君) ただいままで、委員指摘の点も含めまして、この事例はやはりよくよく分かっていただく必要があるかと思っています。したがって、今の問題も含めまして、よくよくいろんなところのいろんな事例を私どもとしてもいろんなところに提供すると同時に、オープンな議論の中できちんとやっていけるような、そういう、何というんでしょうか、環境づくり、一生懸命やりたいと思っております。
  105. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 終わります。
  106. 西田実仁

    ○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  午前中から、また、ただいまも熱心な議論がございましたが、今回の地方鉄道再生を目指した地域公共交通活性化再生法、最大のポイントは、やはり今もお話ございましたとおり、自治体が線路などのインフラを保有して事業者無償で貸し出す、公有民営方式のいわゆる上下分離方式、これを導入するということでの再生ということではないかというふうに思います。いただいた資料等を見ますと、上下分離方式によれば、今完全にこれを実施すれば赤字事業者の八割、八四%でしょうか、黒字化をすると、こういう話もいただいております。  そこで、まず初めにお聞きしたいことは、この鉄道事業構築事業対象がいかなる範囲かということであります。条文には、最近における経営状況にかんがみ、その継続が困難となり、又は困難となるおそれがあると認められると、こういうふうに定義されているわけでありますけれども、もう少し具体的に、どういった事業対象になるのか教えていただければと思います。
  107. 大口清一

    政府参考人大口清一君) お答え申し上げます。  維持、存続が困難となっているという部分でございますけれども、それをどういうような判断でやるかというところを御説明申し上げるとはっきりするかと思います。  ポイントはやはり三つございます。一つは、当該鉄道事業者鉄道事業全体としての経営状況がどうなのか。これは、鉄道ばかりではなくて、まさに関連事業を含めてでございますけれども、全体、鉄道事業とそれからその他の関連事業も含めた経営状況がどうなのか。それから二つ目は、路線を維持するための取組、これがどのような取組がなされているのか。それから、当該路線をめぐるこれまでのいろんな取組の流れ、あるいは地域社会におけるいろんな人口流動を含めた状況、そうしたものの経緯を総合的に勘案しながら判断していくというようなことかと存じます。  それで、鉄道事業者を取り巻く環境あるいは経営状況というものはもう千差万別、それぞれ異なるものですから、鉄道事業構築事業認定に当たりましては、このような個別の事情を勘案した上で、それぞれにまたよくよく判断をしていくということが求められるかと思っております。地域活性化を図る観点から、鉄道サービスを安定的に確保していくための取組ということで、国としても、幅広くその対象に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
  108. 西田実仁

    ○西田実仁君 そうした対象といたしまして、このスキームとしては、この鉄道事業構築事業については市町村で計画を立てて、それを国土交通大臣がその計画認定すると、その上で様々な特例措置がとられるという仕組みになっております。  そこで、大臣にお聞きしたいことは、国土交通大臣認定をしますので、その認定基準がいかなるものかということ。そして、そうした形で国がかかわるわけでありますけれども認定して計画を立てて実行しても、必ずしもすべてうまくいくとは限らない。すなわち、一言で言えば再生がうまくいかないケースも当然あるだろうと思います。その場合に、認定している国としてはどのような対応になるのかということを、二つお聞きしたいと思います。
  109. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) まず、認定された場合、認定要件は別としまして、認定された場合にどのような財政支援を行うのかという点につきましては、まずは国の予算による支援といたしましては、鉄道軌道輸送高度化事業費補助ということで二十四億五千万円の予算が用意をされておりますので、これをもって五分の一の補助率を三分の一まで引上げ、かさ上げをして優先配分を行うと。認定を受けた事業者に重点的に配分をしたいというふうに考えております。加えて、平成二十年度の予算において新たに創設されました地域公共交通活性化再生総合事業費補助、三十億円が用意されておりますので、これも十分に活用しながら地域事業者のニーズに十分こたえていきたいと考えております。  そのほか、これは総務省等のお力添えによりまして、地方財政措置として起債措置あるいは交付税措置と講ずることになっておりますし、国土交通省としては、これらの予算措置等めり張りを付けて効果的に活用することにより頑張る地域取組をしっかり応援をしたいということでございます。  その要件はということは、これ要件は法定されるわけでございますけれども、抽象的に言えば、今最後に申し上げたように、その地域でこの公共交通を守っていこうじゃないかという、そのような地域の地方首長、議会あるいは地域にお住まいの方々の総意、そして事業者の熱意というようなものが、そういうものによってセレクトされる、その対象は広く事業者対象になるというふうに思っております。  そのようにして始まった上下分離というような形における鉄道事業の再構築事業実施してみたけれどもなかなか依然として経営が困難な状態が続いた場合にどうなるのかという問題でございますけれども、これは事業内容を見直して実施計画変更して引き続き再構築を実施するということで輸送の維持を図るのか、あるいは路線の維持を断念をして鉄道事業者において廃止届を提出するかについて、地域がこれを判断をされるということになりますが、できるだけ、皆が協力をして始めた事業ですから、先ほどのえちぜん鉄道ではありませんけれども、和歌山電鐵についても、いったんこれ廃止を決定していたものを地域方々の熱意で盛り返して、そしてこれが見事に再生を遂げつつあるという事業が、模範生があるわけでございます。したがいまして、私もえちぜん鉄道の女性のリーダーから手紙をいただきまして、私も返書を出していたしましたけれども、激励もさせていただいておりますけれども、本当に熱意持っておられますよ。その手紙からそれを受け取ることができます。  したがいまして、いったん始まったものが断念することがないように地域が全体で支えていく、そういうことも我々としては支援をしていきたいというふうに思っております。
  110. 西田実仁

    ○西田実仁君 国としての自治体への支援財政支援のスキームについて今お答えもいただきました。  例えば、この上下分離方式を活用した場合に地方が線路などを保有する場合、取得する費用については地方財政法第五条の地方債の対象にする、あるいは車両等を購入する場合の近代化投資についても、これは自治体助成分の約半分に特別交付税を充当すると、そういった地財措置というものがとられているという話でございます。  これは、実際に、今はこの九十二社とは限らないのかもしれませんけれども先ほど局長の御答弁でもございました、仮に九十二社ということで、そのうち上下分離方式を取れば八四%が黒字化するという、その八四%部分を今回のスキームの上下分離方式を取った場合には、そうした財政的な支援というのは、総額、大体、もちろん価格の決め方によりますけれども、今現状ある鉄道局さんでお出しになっている統計等を見ますと、それを参考にしますと大体どのぐらいになるんでしょうか。
  111. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 先生のお尋ねはマクロ的なお尋ねかもしれませんが、残念でございますが、現時点で各鉄道会社、それぞれ様々な事情を抱えた経営状況の中にあります。したがいまして、この再構築事業でやる場合に、どのような組合せでどのようにやるかによりまして、やはり自治体の所要とする額、あるいは事業者が上物会社として再出発するようなときのまさに所要額、これは実際合議して、そこで具体的に話合いをして結果を出してもらわないと分からない部分ございます。  したがいまして、私どもとして、例えば一例でございますけれども公有民営方式と同様の考え方に基づいて、地方自治体が土地を保有した上で、上を運行する鉄道事業者に対して無償でその土地を貸し付けている三岐鉄道北勢線というのがございますけれども、これ二十キロぐらいの路線でございます。ここの事例だけ申し上げますと、沿線の三市町が大体三億六千万ぐらいで土地を購入しまして、県がその半分を補助したというふうに伺っております。したがって、大体そんなところが一つメルクマールとしてはあるのかなと思いますが、これは決してすべてに、悉皆当てはまるかどうかというのはまた別物でございます。  いずれにしましても、自治体も厳しい財政事情に直面していることは十分に私どもとしても認識しているところでございまして、このため、公有民営方式によって自治体鉄道施設を保有する場合についても、一般の民間事業者が保有する場合と同様に、施設の更新とか改修に対する国費の補助対象とすることを私どもとしてはまず想定しております。  それから、あと公有民営化時の施設取得費用について、行政財産の取得費用としてこれは起債対象とすることができる等の措置も総務省の方で講じていただけるというふうに伺っております。
  112. 西田実仁

    ○西田実仁君 その場合、起債した場合に、先ほどの話で、みんなで努力して何とかしようということですが、仮にうまくいかなかった場合、あるいは起債した後の元利償還金に対してどういう国として財源の手当てをしていくのか、あるいはうまくいかなかった場合にそれをどういうふうに対応するのかというところについては具体的に今お考えはございますか。
  113. 大口清一

    政府参考人大口清一君) この再構築事業はまさに自治体それから県、自治体は県も含みますが、それと、それから鉄道事業者地元利用者、NPO等々、鉄道事業者含めてみんなが合議する。その中で一つ一つ課題をクリアしながら取り組んでいくものだと思っております。  したがって、委員指摘のような再構築事業が難しくなったという場合につきましても、その時点でまさにそういう関係者が再度、その再構築事業がいかなるものであったのか、どこをどういうふうにすればまたその再構築事業変更しながらクリアしていけるのか、そうしたことをきちんと話し合いながら進めていく形になろうかと思っております。
  114. 西田実仁

    ○西田実仁君 このスキームは、そうした話合いの結果、国が計画認定するというところでスタートをする形になっておるわけでありまして、様々な事情でうまくいかない場合ももちろんあるかもしれません、そういうことはない方がうれしいわけですけど。そうなった場合にも国として、またそこで更なる支援も必要な場合はきちっとしていただくということもしなければいけないというふうに私は思います。  その上で、今回新たに鉄道事業構築事業を追加したわけでありますけれども、その九十二社という中には私の地元埼玉では秩父鉄道が一社だけ入っております。  この秩父鉄道につきましては、フローでは今黒字になっているんです。そこで、今回、より厳しいところにいろんな支援をしていこうということで、それはもう是非とも地域活性化ということが必要だと思いますが、そうした表面的にというか経理上は黒字になっていても、しかしながら、例えば安全投資一つ取ってみても、秩父鉄道におきましては大変に厳しい状況でございまして、周辺の沿線市町村が特別負担金を総額五億円以上出して何とか安全投資をしようと、そうしなければもたない状態にあるわけであります。  この中小鉄道助成について、今回のスキームはスキームとしてきちっと拡充していただくとして、そのスキームに必ずしも当てはまらない今は辛うじて黒字なところでも、そういう大変厳しい情勢に置かれている中小鉄道も多いということは是非御認識いただいて、その上でやはり大臣にお聞きしたいんですけれども、この鉄道軌道輸送高度化事業費補助という、従前の近代化補助制度に今回新たに鉄道構築事業が加わっておりますけれども、そうした大変に厳しいところへのスキームに予算は重点的に配分するということはそれで結構ですが、同時に、それのあおりを食ってというのは変ですけれども、辛うじて黒字のところでも、そういう安全投資は市町村から、沿線市町村から負担金をもらわなければできないようなかつかつのところもあるということで、そこがあおりを食ってより厳しくなるというようなことにならないように是非とも御配慮をいただきたいというふうに思いますが、大臣、御所見をお聞きしたいと思います。
  115. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 大変難しい話だと思いますね。しかし、地方分権の趣旨からも、やはりその地域のことは地域で自主的、主体的に解決するんだと、そういう気概で取り組んでいられるところはあるわけですから、今から失敗事例ばかりを考えても仕方がないと思うんですね。  しかしながら、地方分権言うからには、国がそれにふさわしい財源を渡した後に言うべきだという議論も当然あるわけでございまして、今地方分権を進めようと、権限だけではなしに財源も渡そうじゃないかという議論をしているところでございまして、そういうものを総合配慮いたしまして、地方自治体は、公共交通だけではなしにあらゆることが住民密着で、安全、安心、そういう快適な住民生活を保障する責務もあるわけです。  したがって、こういう制度を用意いたしましたので、できる限りの支援をさせていただきますが、これを成功させるかどうかは私はやはり地方の気概だろうと思いますよ。そういうところはたくさんありますよ。先ほどのえちぜん鉄道なんかでも本当にしておったものが、乗客をたくさん乗せるための工夫までしているわけですから、そういうこともやった上でなおということを聞いておられるんだろうと思います。そのときは我々もできるだけのことはしなければならないと思います。
  116. 西田実仁

    ○西田実仁君 この中小鉄道への助成というのは、今法案に上がっている鉄道事業構築事業に加えて、従前から活性化対策としては再生計画事業というものもあるわけであります。この活性化対策の一つとしての再生計画事業を使って今様々な努力をしている中小鉄道についても是非とも御配慮をいただきたいというふうに思います。  その上で、例えばサイクルトレインというのが最近随分人気を集めているということでありまして、特に観光一体となった中小鉄道活性化ということでは、電車に自転車を持ち込んで、その後、電車を降りた後サイクリングするというサイクルトレイン、こういうことへの支援も今回のスキームでどのようになさっておられるのか。また、先ほど申し上げました私の地元の秩父鉄道ではなかなかトイレも水洗化されていないという問題も正直ございます。そこまでなかなかお金が回らないというのが実態でもあります。そうしたバリアフリーも含めてトイレの改修などにも今回のスキームでどういう御支援を組まれておられるのか、そこもお聞かせいただきたいと思います。
  117. 大口清一

    政府参考人大口清一君) まずサイクルトレインの関係でございますけれども、本法に基づいて法定協議会が策定します地域公共交通総合連携計画、この中で地域の公共交通の活性化とか、あるいは再生を総合的かつ一体的に推進するために多種多様な取組が織り込まれるわけでございます。その中に観光振興等との連携というのも一つ目標の大きな柱に掲げられることになっておりまして、今年度から創設されました地域公共交通活性化再生総合事業費補助、この中で連携計画に位置付けられた取組であって、協議会において実施するまさにソフト事業、これも対象になっております。で、御指摘のサイクルトレインというようなイベント列車運行経費等についてもまさに助成ができるようなことになっておりますので、そうした制度の積極的な活用を私どもとしても期待しているというところがまず一点でございます。  それから、委員指摘のバリアフリーの関係なんでございますが、御承知のように鉄道駅のバリアフリー化、これにつきましては駅の新設又は大規模改良を行う場合にはバリアフリー法に基づくまさに基準に適合するように段差解消を行うことが鉄道事業者にも義務付けられていると。自らの負担で整備が行われているのは御承知かと思います。他方、既存の駅のバリアフリー化を行う場合には、エレベーター、スロープ等の段差解消、あるいは障害者の方々に対応するようなトイレ、そうしたものに対する整備について、地方公共団体が負担する額を上限にしまして国から三分の一を基本に補助を行っているところでございます。本年度はこれらバリアフリー化の事業を行う事業者に対しまして約五十五億円の補助を行うことにしております。  また、その鉄道駅のバリアフリー化につきましては、一日平均的な利用者、御利用の数が五千人以上の駅については平成二十二年度までに原則としてすべて段差解消を図ることを目標に掲げております。この目標達成のために私ども今、五千人以上の駅に対しましては重点的な支援を行っている状況でございまして、十九年度末で大体七割ぐらいまでは行くであろうと、全体のです、というふうに考えております。  それで、一日当たりの平均的な利用者が五千人未満の駅につきましても、優等列車の停車があるとか、あるいは他の鉄道路線との乗換駅というような交通拠点になっている駅、あるいは観光地としてのいわゆるゲートウエーになっているような駅で観光シーズンには利用者が五千人以上になってしまうような、そういう駅も含めましてしっかりと対応できるような運用をしていきたいと考えております。  いずれにしましても、鉄道駅のバリアフリー化というものは高齢者あるいは移動に極めて困難を伴うような方々の、何というんでしょうか、社会に積極的に活動していただくようなまさに礎でございますので、そうしたものにつきましてはこれからも幅広く、それからやらなきゃまずいところはしっかりとやっていきたいというふうに考えております。
  118. 西田実仁

    ○西田実仁君 ありがとうございます。  この地方鉄道活性化というのは地域活性化ということとともに、やはりそこに住んでいらっしゃる高齢者の方々の足にもなっているということで大変に再生が求められているということだろうと思います。今、高齢者の方々に優しい社会をどうつくっていくのかということが大きな課題になっております。その中で、地方鉄道は確かに再生できればそれにこしたことはありませんけれども、どうしても行き届かないところもある。そういうときに、マイカーに代わって高齢者の暮らしを支えている民間の移動サービスということがいわゆる福祉有償運送ということとしてあるわけであります。  この福祉有償運送について、やや実務的なことも含めておりますけれども、御質問させていただきたいと思います。このNPOが運営する福祉有償運送については、私もこれは議論にも加わってよく経緯は承知しておりますので、そうしたところは飛ばして御質問させていただきます。  特に、ボランティアを中心にしたNPOが運営しております。まず書類が余りにも複雑過ぎるということであります。特に、新規で登録する場合も更新登録の場合も全く同じ書類の提出を求められ、業者とは違いまして少数で行っている以上、この書類作りだけでも大変な作業になっているという問題点をまず指摘したいと思います。これは、過去のいろんな実績に基づいて、新規と更新では提出すべき書類を変えるべきではないかという意見であります。また御質問であります。  そしてもう一つ、申請書について、e—Taxのようにホームページでも書き込んで申請できるような仕組みにすれば、またこれも少しは事務の繁雑さが減るという声も随分NPOの方からいただいております。  この二つ、特に福祉有償運送という地域のお年寄りの足を支えていく運営主体であるNPOからの御要望として御質問をさせていただきたいと思います。
  119. 本田勝

    政府参考人本田勝君) ただいま先生からお話のありました自家用有償旅客運送の制度でございますが、これは、タクシーを始めとするいわゆる公共交通機関だけでは十分な対応ができない方々、具体的には移動制約者と呼ばれる皆様、あるいは交通空白地の、そこに住んでおられる方々に交通を確保するという見地から、平成十八年十月から法制度として実施させていただいております。  その際に、制度的には登録という手続も経ますが、やはりその地域関係者の皆様にちゃんとした理解あるいは合意を得た上で行おうという形で、運営協議会という場で議論がされておりまして、今御指摘の点は、そういった登録あるいは運営協議会の場に提示させていただいております書類が非常に多い、あるいは手続が煩雑であると、こういうお話であろうと思います。  制度ができまして一年半たちましたので、私どもも本当に制度が円滑に運営できているかどうか、これを検証するために関係者のフォローアップ会議を開催して御意見を賜っておりますし、その中で、まさに当事者であられますNPOの方々から先生が御指摘のようなことも含めて様々な御意見を今ちょうだいしております。  我々も、この制度を適切に普及していくためには、やはり手続もあるいは書類も必要不可欠なものに限定すべきだと、こういう考え方を持っておりますので、この三月からは、より具体的な改善のための検討をするための場としてワーキンググループというものを設置し、現在、月に一回関係者に集まっていただいて、個別の書類についてもその必要性をもう一回検討するなり、あるいは今先生からアイデアをいただきましたような電子申請みたいなのはできないかといったことも含めて検討してまいりたいと考えております。
  120. 西田実仁

    ○西田実仁君 是非お願いいたします。  福祉有償運送については、現場ではこんなようなことが起きています。今回、法律の枠組みで会員は介護保険の対象者ということに限定を基本的にはされています。今まで、グレーゾーンと言っていいのか分かりませんが、グレーゾーンとして高齢者の送迎を有償運送で行っていた方も正直言ってありました。その方々はこの新しい法律ができていくことによって正式に認められたわけでありますけれども、一方で、介護保険の対象者とならないと安心して会員として利用できないということで、本来、本人としては介護保険に別に申請はしようと思っていないんだけれども、会員になるためには介護保険申請しないと会員になれないということを言われて、実際に介護保険申請を、まあ無理やりと言ったら変ですけれども、本人の意思とはやや異なってしていると。で、実際に要介護、要支援になっているというケースがあって、その方はそういう意味では会員になれたわけでありますけれども。そういうことで、市町村の現場の職員の方からお聞きしますと、この三月、介護保険の申請者数がいつもより随分増えたと、こういう介護保険という制度がややゆがめられているという状況に正直言ってあります。  ここは大臣にお聞きしたいと思いますけれども、中には先ほどの運営協議会で介護認定を受けていない方でも会員になっているケースが一か所だけあるということを、今日、朝、国土交通省の方からお聞きしました。それがどういう運用になっているのかということも是非つまびらかにしていただければ、そういうふうにわざわざ介護保険の申請をしなくても会員として利用できれば地域の足が確保されるわけですから、それは是非後々教えていただきたいと思います。  また、介護保険ではなくても六十五歳以上で過疎地の有償運送というのもありまして、これは過疎地として指定されたところについてはこれが適用できます。しかし、過疎地は市町村丸ごと指定されますので、町の中でいわゆる本当の町中と、町の中で山の方とある場合に、山の方にいるお年寄りが足が確保されないという問題が最大の問題になっておりますが。過疎地では、そこはいろんな基準で当たらない以上、この介護保険の認定を申請していない方が会員対象となり得る過疎地有償運送も使えないと、こういう問題がありまして、様々な制度のはざまにあって、なかなか地域の足が確保されないというお年寄りがいらっしゃるのも事実だろうというふうに思います。  そこは運用の問題もあると思いますが、どうしたらそういう人たちを救えるのかということで、是非ともこういうふうにしてやればいいというふうなことを国土交通省としてもお示しいただきたいと思っております。  大臣には、もう時間もありませんので、こうしたお年寄りの地域の足を確保していくために、様々な制度はありますけれども、もちろんそれは厳格に守らなきゃいけないんですが、だからといってそのはざまに入ってしまった人が不便を被るということがないような運用の仕方、あるいは適切なアドバイスということについて、御所見を伺いたいと思います。
  121. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 先ほど局長からも答弁がありましたように、この運送の対象者につきましては国土交通省令で定めるんですけれども、身体障害者、要介護者等、等であって、他人の介護によらずに移動することが困難な方とされておりまして、その認定はこの運営協議会で行われるわけです、運営協議会。したがいまして、介護保険の要支援者の認定を受けていない人であっても、運営協議会において先ほど言いましたような対象者とすることが妥当だという認定が得られた場合は、運送することが可能になるわけでございます。  ただ、今委員も言われましたように、その事例が非常に希有なものだということは、もっと運営委員会にそういうことを、そういうものがあるんだということを周知することが必要であると思いますので、国土交通省といたしましては制度の周知徹底をこれから図ってまいります。また、その認定方法等も含めて制度の運用の在り方についても、これはやはり検討していかなければならないというふうに考えております。
  122. 西田実仁

    ○西田実仁君 是非よろしくお願いいたします。  実際に私の地元で、町なんかでやっている方も、こういう事例があることもやっぱり知らないわけですね。ですから、周知徹底と、どういうふうにやったらいいのかという具体的なアドバイスも含めて教えていただきたいと思います。  時間がなくなって申し訳ございません。ちょっと警察庁の方もお聞きしようと思ったんですが、最後大臣にだけ、申し訳ないんですけれども、お聞きしたいと思います。  先ほど申し上げているとおり、高齢者に優しい社会をどうつくっていくのかというところで、最近はやはり高齢ドライバーの方も随分多いわけですね。有償運送がなかなか会員になれないとか今の問題もあって、やはり自分で運転したいと、こういう方が随分いらっしゃいます。  しかし、ここであえて一つだけ具体例で申し上げますと、標識の問題があると思います。高齢者の方々の特性に応じた標識に変えていくということも、これから、ちょっとお聞きすると昭和三十五年ぐらいにできた標識令であったりするわけでありまして、高齢者がどんどん増えていきつつあるし、これからもっと増えていくという、またしかも高齢ドライバーの方がもっと増えていくという状況にありますので、そうした高齢者の方々のいろんな体の特性に応じてそうしたものも見直しをしていく必要があるんではないかというふうに思います。  その意味では、高齢者の方々が実際にどういうことで標識等で困っておられるのか、運転する際にお困りなのかという総点検を是非行っていただいて、そして高齢者の方々に優しい社会づくりに役立つようにしていただきたいというふうに思うわけでございますけれども最後大臣の御所見を伺いたいと思います。
  123. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) たしか二月二十三日だったと思いますが、新名神高速道路部分開通をいたしました。私もこれに、開通式に行かしていただきまして、そしてまた走ったんですけれども、びっくりしたのは、高速道路の標識がすごく大きいんですね。普通のもう倍以上です、しかも字も大きい。それから、もっと感心したのは、その字が夜間には光を発するそうです。そして、太陽の光線を背から受けると見えにくくなりますね、ペンキでは。これがよく見えるような、まあガラスの、透明なんですかね、何かちょっと技術的には分からないんですけれども、非常に見やすいものが用意をされていて、ああ、新しい道路というのはここまで配慮しているんだなということを感心いたしました。  私は、そのような配慮が、御高齢者だけではなしに、これからは外国人も国際免許で観光地等を走るわけでして、日本の標識にはハングルとかそういうものは書いてありません。韓国へ行きますと、このごろ漢字も一部書かれているところあります、ローマ字が多いですけれども、ハングルだけじゃなしにね。そういう配慮も、私はこれから必要、御高齢の方、そしてまた外国人の方が使いやすい、そういうような社会に対する配慮が必要だというふうに考えておりますし、その方向で進めてまいりたいと思います。
  124. 西田実仁

    ○西田実仁君 終わります。
  125. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上貞雄でございます。  提案されております法案につきましては、まあ遅きに失したという感がないわけでもないわけでございますけれども、再び国が鉄道支援するという方向を打ち出したことについては、私は高く評価をしたいと思います。  そこで、なぜ今この時期にこのような公有民営化という制度を導入するに至ったのか、その経緯をお伺いいたします。
  126. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 地方鉄道につきましては、少子高齢化あるいは急速に進んだモータリゼーション、こうしたものに伴いまして経営環境は相当悪化してきているところでございます。  それで、その経営の立て直しを図る上での大きな課題が、まさにその輸送人員の減少傾向にどう歯止めを掛けるかということと、それから先ほども御説明した鉄道事業者の全体費用の中で占める経営圧迫要因になっている、まさに線路の資産の保有にかかわる、保有から出てくるコスト、これをどういうふうにするか、どう処理するかという、この二点が極めて重要だというふうに考えております。  委員お尋ねの公有民営方式という方式を導入したことにつきましても、まさに鉄道の資産について地方公共団体が保有し、それを鉄道運営会社、上物会社無償で貸し付けるというこの制度そのものは、まさに保有に係る費用のところを抑えるという効果が極めて大きいということで、これは抜本的見直しにつながる施策であろうということで、今回導入したいという法案にさせていただいたわけでございます。
  127. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 現在でも県や沿線市町村が線路保存費、それから電路保存費、それから車両保存費などの設備維持費の補助をしたり、さらには固定資産税相当額の補助を行っているところでありますが、鉄道軌道整備法それから地域自立・活性化交付金等の現行法においても対応をすることができるのではないかと思うんですが、新たにこの公有制度を設けて維持することの導入とねらいの意味についてお伺いをいたします。
  128. 大口清一

    政府参考人大口清一君) まさに委員指摘のところは大変大事なところでございまして、上下分離は、実は今の鉄道事業法でも二種、三種ということで堂々認められている制度でございます。ただ、二種、三種にしましても必ず、いわゆる経営採算性みたいなものにつきましては、許可要件としてきちんと見ることになっております。  本法案では、その鉄道事業法では実現できない、まさに公有民営方式によって上下を分離した上で無償で貸し付けるというところが大変重要なところでございまして、鉄道事業者が線路等の資産を、何というんでしょうか、保有するコストの負担から解放されるというところが極めて大事なところでございます。運行に専念できるというところがポイントかと思っております。
  129. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 資産と言えるかどうか甚だ疑問ですが、施設整備の負担を軽減すれば赤字事業者の八割を超す事業者黒字に転換すると言われておりますが、公有民営導入の効果はどのくらいあるとお考えになっておりますか、お尋ねをいたしますが。また、公有民営化を導入しようと用意をしている事業者はどのような事業者なのかお教え願いたいと思います。
  130. 大口清一

    政府参考人大口清一君) お答え申し上げます。  現在、七割の事業者が営業赤字でございます。それで、その資産の保有コストを除いて考えますと、その約九割が営業黒字に転換するものと試算されます。公有民営方式は、資産の保有コストを抜本的に縮減、圧縮する制度でございますので、地方鉄道赤字構造が大きく改善するものというふうに期待しております。  また、再構築事業が創設された場合を想定しまして、その活用を視野に入れて地域で検討が行われている地方鉄道としましては、現時点では鳥取県の若桜鉄道、それから秋田県の秋田内陸縦貫鉄道、こうした旧国鉄から転換していわゆる転換三セクと言われているところ、それから福井県の福井鉄道、こうしたところが現在相談に見えているという状況ととらえております。  これら以外にも、各地の自治体あるいは鉄道事業者から、この法案が出るというような、何というんでしょう、状況になってから問い合わせが相当続いておりまして、各地の実情に合わせて様々な検討が今進められているという状況が私どもとしても感じております。
  131. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 今日、自治体が所有する公営交通事業の多くが赤字経営という中で、施設使用料を取らず無償貸与することを前提とした三種鉄道事業を行うことの自治体のメリットはどこにあると国土交通省はお考えになっておられるのか、公有民営化による鉄道事業者のメリットはどこにあるか、単に経費負担軽減されるだけなのかどうか、お伺いいたします。
  132. 大口清一

    政府参考人大口清一君) まさにその点につきましては、私どもはコストの縮減というばかりではない効果があるかと思っております。  まさに運行部門に専念できる、経営効率の向上というものもありますし、それからサービスの改善に伴い増収が図られることで抜本的な経営改善が実現する等々もございますが、私は、実は一番大きな部分は、経営も大事ですけれども、実は、自治体を始めとする地域にとって住民生活に密着した鉄道をまさに我が鉄道としてみんなが、何というんでしょうか、合力しながら存続させようという意思をみんなが同じ方向に向ける、ここが大変重要なところではなかろうかなと、こう思っております。  したがいまして、地域協議会での利用促進のいろんな議論を通じまして、運行ダイヤの改善など、利用者のニーズに直結したようなそういうサービスの充実というものも可能になりますし、それから、鉄道を核とした町づくり、あるいは駅周辺の地域のいろんな活性化というんでしょうか、そうしたものも全部組み合わせながら、波及効果が地域全体に及んでいく、それを自らの地域が演出していく、そこがいい循環になるんじゃないかなというふうに期待しているところでございますが。
  133. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 多くの地方鉄道は経営環境の厳しい中で頑張っておるわけでございますが、地方鉄道同様に沿線自治体財政もまた大変厳しい実態にあるわけでございまして、私もそのように認識をしているわけですが、そのような財政状況の中で継続的、安定的に鉄道事業を維持していくことができるかどうか、大変不安なのであります。また疑問でもありますが。  計画スタート時は合意を得られたとしても、自治体間の財政状況の違いがある中で鉄道事業者として継続的、安定的に維持することができるかどうか、そういう疑問を感じるわけでございますが、その見解はいかがか。また、国としての財政的な支援についてはどのように考えておられるか、お伺いいたします。
  134. 大口清一

    政府参考人大口清一君) お答えします。  いったん公有民営の方式を取って開始をしたということで、沿線自治体財政状況の違いから公有民営の継続について意見が分かれてくるような事態が生じる可能性もそれはあるかと思います。したがいまして、そういうときに、改めて協議会などの場において地域関係者全体で先ほど申し上げました合議をする、十分に話し合う、そして結論を出しながら一つ一つの課題を乗り越えていくという、ある意味では飛び跳ねない、地道な鋭意な努力が必要な部分だろうと思っております。  国としましても、今回の再構築事業に対しましてはそうした本気になってやっている地域のそうした取組に対して予算などの総合的なパッケージを重点的に支援していくということを考えたいと思っていまして、その一環として、公有民営方式によって自治体鉄道施設を保有する場合についても、一般民間事業者が保有する場合と同様に、施設の更新、改修に対する国費の補助、そうしたものの対象として支援していきたいというふうに考えております。
  135. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 提案理由説明において大臣は、鉄道事業構築事業対象を継続が困難となり又は困難となるおそれがあると認められる場合と述べられておられますけれども、これは先ほど同僚の方々質問をされておったようでありますが、困難となるおそれとはどのような状況にあるのか、これは簡単で結構ですが、御説明願いたい。それから、事業構造の変更と言われますが、事業構造の変更には公有民営化の上下分離以外にどのようなことを考えておられるのか、お伺いいたします。
  136. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 維持存続が困難となっているというところでございますけれども、これは当該鉄道事業者鉄道事業全体での経営状況あるいは関連事業状況、それから路線を維持するための取組、それから路線をめぐる様々なこれまでの、何というんでしょうか、歴史というんでしょうか、そうしたものを総合的に勘案しながら維持存続が困難となっているかどうかを判断するということで考えております。  それから、鉄道事業者を取り巻く環境、経営状況、それぞれ本当に千差万別でございます。そうしたことから、再構築事業認定に当たりましてはそうした個別の事情をよくよく勘案しながら判断する必要があるというふうに考えております。  地域活性化を図る観点から、鉄道サービスを安定的に確保していくという取組について、まさに我々もその地域取組に呼応しながら、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
  137. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 鉄道事業構築実施計画に当たって、鉄道事業構築事業に係る鉄道事業者のその他の者の全員の合意により実施計画を作成することになっていますが、その他の者とはだれを指しているのか、また当該鉄道事業者の労働組合は該当するかどうか、お伺いいたします。
  138. 大口清一

    政府参考人大口清一君) その他の者ということでございますが、現在当該路線を運営している鉄道事業者に代わって当該路線において引き続き旅客鉄道事業を経営しようとする者のほか、関係する都道府県、そして当該路線の存続のために利用促進などの支援活動を行おうとするNPOなどを国土交通省令で規定することを現在予定しております。  また、労働者の関係のことにつきましても、市町村が中心となって作成した総合連携計画の中で鉄道への支援を行おうとする主体の一つとして既に定められているというような場合には、鉄道事業の再構築計画の作成主体に含まれるというふうに考えております。
  139. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 それは、具体的には労働組合も含むということで考えておってよろしいか。──はい、ありがとうございました。  鉄道事業構築実施計画に定める事項の中に、旅客鉄道事業の経営の改善に関する事項というのがありますが、経営改善とは具体的にはどのような改善を指すのか、お伺いいたします。
  140. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 経営の改善ということについての、そのための具体的な取組としましては、例えば運行本数を増加させるというようなサービスの改善、それからイベント列車運行、あるいは各種キャンペーン、そうしたものを通して観光客を誘致しながら伸ばしていくという増収策、あるいはまた運行費用の徹底的な見直しというような経費縮減施策、そうしたものを予定しております。
  141. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 これらの実施計画が達成されない場合又はされなかった場合は、国土交通省はどのように対応されようとされているんですか。
  142. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 私ども国交大臣認定を行った再構築実施計画につきまして、事業者それから関係市町村において、その達成に最大限努力をしていただくことがまず大前提でございます。しかしながら、万が一、仮にでございますが、例えば乗車人員等の目標が達成できないことなどによりまして事業者の経営が困難というような状況に陥った場合には、計画を見直した上で、再構築事業として延長するのか、あるいはその事業そのものを廃止することにするのか、そうしたことを含めまして協議会で関係者において十分に御議論いただいた上で、新たな視点に立って対応していただくということが流れかと思っております。
  143. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 公有民営の導入によって、施設保有に関する経営負担の軽減がなされ運行業務に専念できるとされていますが、運行するためには運転士の確保が当然でありますけれども、実態は運転士不足が深刻な状況に実はなっておりまして、本来ならば鉄道事業者として運転士を自社養成すべきなのでしょうが、それこそ養成費用が負担となっており個人の努力に任せられているというところが多々ありまして、運転士を養成し育てることは鉄道を存続させる上でも大変重要な要件でもありますが、動力車操縦者運転免許制度の在り方、さらには支援について、国土交通省はどのようにお考えでしょうか。
  144. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 委員指摘の動力車操縦者運転免許の試験、これにつきましては、輸送の安全の確保という観点から、動力車操縦に必要な身体検査、適性検査、それから法令及び動力車の構造、機能に関する筆記試験、それから技能試験、これらを行っているところでございます。  運転免許は、地方運輸局が実施します国家試験の合格者又は国土交通大臣が指定した養成所の講習課程を修了した者に対して交付するということになっております。輸送の安全を確保するための資格制度でございますので、今後もこれはきちんと継続してまいりたいというふうに考えております。  動力車操縦者運転免許につきましては、個人個人に免許を交付して資格を与えるものでございますので、免許取得についての支援方策はございません。しかしながら、運転士の確保につきましては大変大事な問題というふうに私どもとらえております。自社で養成する、あるいは他社に依頼して養成するというような方策のほか、いわゆる既に免許を所有している者を雇用するというようなことも含めまして、事業者が社内の体制とか経営状況を踏まえながらよくよく経営の中で決定していくべきものというふうに考えております。これは大変大事な問題だというふうに私どももとらえております。
  145. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 この点は、地方鉄道にかかわる運転士の養成については、そんなに、JRだとか大手私鉄のように一遍に何十人も採用するわけじゃないですね。一人か二人とか、それも例えば二年に一回とか、そういうような状況で出てくるわけですよ。ですから、そこに逆にちゃんとした施設を造らなきゃならないようなことなども出てくるんで、再度、ひとつ大臣、検討をいただきたいと、御要望だけこれは申し上げておきたいと思います。  次に、実施計画に基づいて実施される地域の公共交通の活性化に関する取組に対し、鉄道軌道輸送高度化事業費補助再生計画の実現に著しい効果が期待できる設備の整備に支援するようになっておりますが、著しい効果とはどのようなものなのでしょうか。また、経営困難者が行う安全対策についても支援するようになっていますが、経営困難者とはどのような経営内容を指すのか、お伺いいたします。
  146. 大口清一

    政府参考人大口清一君) 委員指摘再生計画事業制度でございますが、鉄道事業者、それから地方公共団体、そして沿線の企業、NPO、住民、そうした方々から構成される協議会などにより作成された、おおむね五年間の再生計画に基づいて実施されますサービス改善とか安全対策等に関する設備の導入とか、改修に関して補助を行う制度でございました。  この場合の補助率は原則として五分の一でございますけれども利用者利便の向上に資するもので再生計画の実現に著しい効果が期待できると、そういうような一部の設備の整備につきましては補助率を三分の一にかさ上げしておりまして、これに該当するものとして、つまり著しい効果があるというふうにこれまで再生計画で私どもがテーマに挙げていたものが、車両の更新、新駅の設置、それから部分的な複線化、こうした限定されたものを想定してきたわけでございます。また、安全対策につきましても、直近の決算において、当該路線が経常損失を生じている事業者には補助対象経費の五分の一を補助しておりますけれども事業者のうち経常損失を生じていると、かつ利益の配当をしていないというような者につきましては、特に経営困難というような位置付けにしまして、特例的に補助率を三分の一にかさ上げするというような対応をしているところであります。  いずれにしましても、国として厳しい財政状況に直面しているようなところではございますけれども鉄道事業者の経営状況にきめ細かく配慮しながら、これら助成制度を適切に運用しながら地方鉄道活性化とか安全性向上をきちんと進めていきたいというふうに考えております。
  147. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 いずれにいたしましても、鉄道輸送の使命は安全輸送の確保にあると思います。鉄道事業構築実施計画認定に当たっては、安全輸送の確保について慎重に判断をされることをまずはお願いを申し上げておきたいと思います。国として、鉄道支援を更にひとつ充実させていただきたいと思います。  そこで、大臣にお伺いをいたしますが、安全輸送の確保等、これからやはり地方における鉄道の存続についてどのようにお考えなのか、大臣の決意をお伺いをして、質問を終わります。
  148. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 公共交通機関の最大の使命は輸送の安全の確保、乗客の利便の確保もございますが、何といっても安全の確保でございます。例のJR西日本の福知山線事故以来、各種の安全対策の推進に全力を尽くしてまいったつもりでございます。  一例を挙げますれば、平成十八年十月、運輸安全一括法の施行を受けまして、事業者に対して安全管理規程の作成、また安全統括管理官の選任等を義務付けました。また、運輸安全マネジメント評価というものも、国交省から出向きまして、各運輸事業者の幹部と面接をし、幹部だけではなしに労働組合の方々、あるいは末端の方々とも面接をして、そしてその結果を評価をし、必要な助言をし、今日に至っているわけでございますが、それ以外に曲線部分における速度制限用のATS等を義務付ける等、技術基準の改正も実施してまいりました。この法案による公有民営の場合におきましても、上下一体の場合と何ら変わらない、安全確保のための鉄道事業法は上下ともに適用するということとしているところでございます。  国土交通省といたしましては、これらの対応を的確に行うことによりまして、鉄道の安全、それから安定輸送の確保、これに全力で取り組んでまいりたい、このような決意でございます。
  149. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。
  150. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  地域公共交通活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  151. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、長浜博行君から発言を求められておりますので、これを許します。長浜博行君。
  152. 長浜博行

    ○長浜博行君 私は、ただいま可決されました地域公共交通活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党・無所属の会、公明党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     地域公共交通活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、地域公共交通地域の経済社会活動の基盤であり、また地球温暖化防止、まちづくり、観光振興の観点からもその重要性が増していることにかんがみ、引き続き、活性化に向けた地方自治体、住民の積極的・意欲的な取組への支援に努めるとともに、地域公共交通総合連携計画の策定を促進すること。  二、現下の地方鉄道の厳しい経営状況にかんがみ、新設される鉄道事業構築事業の地方自治体、住民、事業者等に対する周知徹底により、その活用を促し、地方鉄道の利便性や快適性の向上等による需要喚起・確保に努めること。また、鉄道軌道輸送高度化事業費補助金や地方財政措置等同事業に必要な支援措置を確実に行うこと。  三、鉄道事業構築事業によって公有民営方式による上下分離制度が採用される場合には、運行部門鉄道施設の保守、管理部門の分離により安全性が損なわれることのないよう万全を期すこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いをいたします。
  153. 吉田博美

    委員長吉田博美君) ただいま長浜君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  154. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 全会一致と認めます。よって、長浜君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、冬柴国土交通大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。冬柴国土交通大臣
  155. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 地域公共交通活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長を始め理事の皆様方、また委員皆様方の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。  大変ありがとうございました。
  156. 吉田博美

    委員長吉田博美君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十分散会