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2008-04-24 第169回国会 参議院 国土交通委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年四月二十四日(木曜日)    午後一時三十分開会     ─────────────    委員異動  四月二十二日     辞任         補欠選任         塚田 一郎君     佐藤 信秋君      長谷川大紋君     小池 正勝君  四月二十三日     辞任         補欠選任         小池 正勝君     長谷川大紋君  四月二十四日     辞任         補欠選任         田名部匡省君     水岡 俊一君      藤本 祐司君     中谷 智司君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         吉田 博美君     理 事                 長浜 博行君                 谷川 秀善君                 鶴保 庸介君                 鰐淵 洋子君     委 員                 池口 修次君                 大江 康弘君                 川上 義博君                 輿石  東君                 田中 康夫君                 中谷 智司君                 羽田雄一郎君                 平山 幸司君                 広田  一君                 藤本 祐司君                 水岡 俊一君                 山下洲夫君                 佐藤 信秋君                 伊達 忠一君                 長谷川大紋君                 藤井 孝男君                 山本 順三君                 脇  雅史君                 西田 実仁君                 渕上 貞雄君    国務大臣        国土交通大臣   冬柴 鐵三君    副大臣        国土交通大臣  松島みどり君    大臣政務官        総務大臣政務官  岡本 芳郎君        国土交通大臣政        務官       山本 順三君    事務局側        常任委員会専門        員        伊原江太郎君    政府参考人        総務省総合通信        基盤局電波部長  田中 栄一君        外務大臣官房参        事官       小原 雅博君        文化庁長官    青木  保君        文化庁次長    高塩  至君        厚生労働大臣官        房審議官     森山  寛君        厚生労働大臣官        房審議官     草野 隆彦君        厚生労働省職業        安定局高齢・障        害者雇用対策部        長        岡崎 淳一君        農林水産省農村        振興局企画部長  飯高  悟君        水産庁資源管理        部長       山下  潤君        国土交通大臣官        房長       宿利 正史君        国土交通大臣官        房総合観光政策        審議官      本保 芳明君        国土交通大臣官        房運輸安全政策        審議官      福本 秀爾君        国土交通省総合        政策局長     榊  正剛君        国土交通省河川        局長       甲村 謙友君        国土交通省道路        局長       宮田 年耕君        国土交通省自動        車交通局長    本田  勝君        国土交通省海事        局長       春成  誠君        国土交通省北海        道局長      品川  守君        航空鉄道事故        調査委員会事務        局長       辻岡  明君        船員中央労働委        員会事務局長   宮武 茂典君        海上保安庁次長  影山 幹雄君        高等海難審判庁        長官       横山 鐵男君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○国土交通省設置法等の一部を改正する法律案(  内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 吉田博美

    委員長吉田博美君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、塚田一郎君及び田名部匡省君が委員辞任され、その補欠として佐藤信秋君及び水岡俊一君が選任されました。     ─────────────
  3. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国土交通省設置法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会総務省総合通信基盤局電波部長田中栄一君、外務大臣官房参事官小原雅博君、文化庁長官青木保君、文化庁次長高塩至君、厚生労働大臣官房審議官森山寛君、厚生労働大臣官房審議官草野隆彦君、厚生労働省職業安定局高齢障害者雇用対策部長岡崎淳一君、農林水産省農村振興局企画部長飯高悟君、水産庁資源管理部長山下潤君、国土交通大臣官房長宿利正史君、国土交通大臣官房総合観光政策審議官本保芳明君、国土交通大臣官房運輸安全政策審議官福本秀爾君、国土交通省総合政策局長榊正剛君、国土交通省河川局長甲謙友君、国土交通省道路局長宮田年耕君、国土交通省自動車交通局長本田勝君、国土交通省海事局長春成誠君、国土交通省北海道局長品川守君、航空鉄道事故調査委員会事務局長辻岡明君、船員中央労働委員会事務局長宮武茂典君、海上保安庁次長影山幹雄君及び高等海難審判庁長官横山鐵男君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ありませんでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。     ─────────────
  5. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 国土交通省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 水岡俊一

    水岡俊一君 民主党・新緑風会・国民新日本水岡俊一でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  明日四月二十五日は何の日か、多くの皆さんが御記憶をいただいていると思います。二〇〇五年四月二十五日は、JR福知山線脱線事故でございました。明日で三年になります。改めて御遺族皆さんにお悔やみを申し上げ、そして心と体に傷を負われた方々に心からのお見舞いを申し上げたいというふうに思っております。  大臣の地元でもありますので深い思いを持っていらっしゃることと、こういうふうに思っておりますが、新聞各紙遺族負傷者へのアンケートを行っていて、多くの方々が心の傷はまだいえていないと答えているということが報道されています。また、四月二十日の神戸新聞によれば、昨年六月末に出されました航空鉄道事故調査委員会最終報告書、これについて評価する、どちらかといえば評価すると答えたのは、遺族負傷者共に二六%と言われています。一方、評価しない、どちらかといえば評価しないは、遺族四七%、そして負傷者は三一%と報道されておりました。  大臣JR福知山線脱線事故の御遺族そして負傷者方々がこういうようなアンケートお答えをされていますが、これについて大臣見解をお聞きしたいと思います。
  7. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 福知山列車事故から明日で満三年となります。百七名の尊い命を無念の中で落とされた方々哀悼の意を表するとともに、御遺族に対して心から哀悼の意を表します。また、けがをされた方々たくさんいられますが、この方々にも一日も早い快癒を祈念いたしますとともに、心からお見舞いを申し上げたいと思います。  この列車事故に対しましては、御指摘のとおり、事故調査委員会からの調査報告書が明らかにされておりますが、これには二年以上にわたり延べ一千人以上の関係者からの口述聴取や、実際に鉄道車両を走行させての再現試験実施等、膨大な事実関係に関する調査を行うとともに、鉄道事故としては初めて意見聴取会実施するなど、原因究明を図るための万全を期した事故調査が行われたものと承知をいたしているところでございます。  しかしながら、これに対し御遺族やあるいは被害者方々からいろいろな御意見があることは承知いたしておりますが、この報告書独立した機関である事故調査委員会が、国も含めたすべてのものに対して公正、そしてまた中立的な立場で科学的な視点に立った調査実施し作成されたものでありまして、その内容につきましては、私は適切なものであるというふうに評価はいたしております。
  8. 水岡俊一

    水岡俊一君 大臣事故調査委員会方々が本当に一生懸命この報告にかかわって御努力をいただいたということは私もそう思っておるところであります。  ただ、遺族負傷者方々がこういった判断をされた。遺族負傷者方々は、究極的には専門家ではありません。しかしながら、この方々が評価しないという意見をたくさんお持ちだったということは、この報告そのものが本当に必要なものが欠けているのかもしれない。もっとこういうことについて書いてほしいと、報告してほしいと言っているかもしれない、あるいは事故報告というものが求められているものはもっとほかにあるかもしれない、こういったことが私はあるんではないかというふうに思うんですね。  この法律が仮に成立をした折には運輸安全委員会運営をされていくわけでありますが、そういった観点で、これからの報告なり運輸安全委員会運営に、是非ともはっきりと考慮しながら進めていっていただきたいと、こういうふうに思うところであります。  そこで、神戸新聞アンケートによりますと、複数回答もありますが、項目別に御紹介をしますと、多い順に、一、すぐに涙が出る、六一%、二、事故関係する映像や情報に動揺する、五七%、三、突然落ち込んだり、怒りを感じたりする、四五%、四、眠れない、三六%などとなっています。アンケートでは、心身とも改善傾向がうかがえる反面、事故で受けたダメージがなかなか抜け切らず、立ち直れず、苦しんでいる方が今もたくさんいらっしゃると、こういう実態があるわけですね。  そこで、大臣はよく御存じだと思いますが、アメリカ国家運輸安全委員会、いわゆるNTSB被害者支援活動を行っており、精神的問題については独立の非営利組織を指定して活動するようにしているわけです。国家運輸安全委員会NTSBがこのような任務を行うようになったのはどのような経過があったのかということについて、お答えをいただきたいと思います。
  9. 福本秀爾

    政府参考人福本秀爾君) お答え申し上げます。  NTSB被害者支援の背景ということでお尋ねがございました。  一九九六年に米国で航空機事故が相次いで発生をいたしました。その事故に巻き込まれました乗客の方々あるいはその御家族が置かれました大変悲惨な状況をきっかけにいたしまして、家族に対する権利の擁護と支援というための法的措置必要性というものが叫ばれまして、その後、連邦議会での審議を経まして、一九九六年の十月に成立をいたしました航空災害家族援助法と、そういった法律に基づきまして行われておるものと承知をいたしております。  具体的に、精神的被害者に対する相談窓口紹介といったような業務につきましても、この法律に基づきましてNTSBが行っているものと承知をいたしております。
  10. 水岡俊一

    水岡俊一君 ありがとうございました。  大臣、このように、NTSB航空災害家族援助法の制定をされた後、また大統領の大きな思いもありながら鉄道船舶等に拡大をされたという経過の中で被害者援助を行っているということがアメリカではもうよく知られていることなんですね。  さらに、NTSB交通災害援助局というものをつくって、事故の直後には被害者に対し事故現場への交通手段の手配とか、あるいは宿泊先の確保を行ったり、あるいは心のケアを行うNPOの紹介あるいは情報提供を行っていると、こういったことが知られているわけですね。  そこで、大臣には、是非このアメリカNTSB参考にして、今回の法改正を契機に運輸安全委員会被害者支援実施をしていくということに大きくかじを切っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  11. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 事故に遭われた方々やあるいはその御家族に対する支援というものが必要であることは、これはよく分かっております。支援内容といたしましては、経済的なものあるいは精神的なもの等々、いろいろあると思います。  私どもは、鉄道事業者についての所管する官庁として、事故原因者である、この場合JR西日本に対しては、もう事故の当日から私は強くこのことを、誠心誠意対応して、そして御家族、御遺族方々に対して誠心誠意当たるべきである、それからまた損害賠償その他経済の問題につきましても誠心誠意対応してもらいたいということを申し上げてきたところでございます。  それから、運輸安全委員会におきましても、これは先ほども申しましたように、公正中立に、かつ冷静に、科学的に原因というものを究明していただくということが使命であると私は考えておりますけれども、今回の福知山線事故につきましては説明会というものを適時開きまして、中間のときあるいは最終報告のときにも長時間にわたってこの説明会あるいは質問会というようなものも開催をしてきたわけでございまして、私は、中立性あるいは公正性というものを害さない範囲において、でき得る限り事故調においても被害者に対してそういうことをすべきである、このように申してきたところでございまして、今回の法案の中にもそのような趣旨を盛り込んでいるところでございます。  ただ、アメリカの事例を引かれましたけれども、私どもこれについては、損害賠償についてまで我々の方がいろんなことを、金銭的な面とかそういうものを含めてするということになりますと、これはやはりちょっとここの性格が違うのではないかなという感じを私は持っています。  そういう意味で、今回の事故調査委員会は、やはり中立公正な立場の中で、客観的、科学的に事故原因というものを究明して、そしてそれが再発を防止するための大きな資料として、大臣に対する建議とかあるいは関係者に対する勧告とか、そういう形で生かされるということが私はこの委員会にはふさわしいものではないか、人員とか、そしてまたその役所の規模から見ましても、そういうような感じをいたします。
  12. 水岡俊一

    水岡俊一君 大臣NTSB交通災害援助局という話は先ほどしましたが、この援助局長がこういうふうに言っているんですね。法律ができる前は、アメリカでも加害企業被害者ケアする責任があった。しかし、連邦議会被害者から、事故を起こした当事者中立にはなり得ず、そして支援援助をするのには適当ではない、こういうような意見が繰り返し指摘をされて、こういった経過となったと、こういうふうに説明をしている部分があるんですね。  加害者が明確になっていた場合について、加害者がその被害者ケアする責任というのはそれはもちろんありますし、この事故JR西日本についても誠心誠意事故対応についてはなされたというふうに思うんですが、必ずしもその能力を持つ会社あるいは企業加害者になるんだということではないですよね。全くそういう機能を持たない、そういう力を持たない人があるいは企業加害者になる場合がある。そういったときにだれが被害者ケアをするのか。緊急的な交通手段であるとか病院先を手配するのか、こういった問題があると思うんですよね。  やっぱり兵庫においては、阪神・淡路大震災以後、緊急的な患者の搬送ということについては非常に多くの課題が示されて、そしてこの福知山線事故対応については広域的な形で随分先進的な取組がなされたというわけでありますが、そういったものが日本全国でもしもの災害のときにきちっと対応ができる、そういうものを求めるとすれば、やはり運輸安全委員会国土交通省の一つの機関として積極的な働きを求めるというのが、これは国民として当然じゃないかなと私は思うところであります。そういった論議が衆議院からもたくさんされてきたと思いますので、強く要望して次の質問に移りたいというふうに思っております。  今回の改正案で、航空鉄道事故調査委員会運輸安全委員会として三条委員会になるわけであります。先日の参議院の本会議長浜議員の方から質問をされまして、それに対して大臣は、今回の改正案で、国家行政組織法三条の機関として設置されることにより、より高度な独立性が確保されると、こういうふうに御答弁をされております。  独立性を確保するということは大切なことであると思いますが、大臣の言われる、より高度な独立性、どういうことを意味しているのか。そしてそれは、私たちはもっと独立性を確保するために内閣府に置けばいいんじゃないかという提案もいたしました。そういった点について大臣見解をお聞きしたいと思います。
  13. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 今までの事故調査委員会も、その委員衆参両院の同意を得て任命されるという大変重い位置付けがされておりました。したがいまして、非常に独立して職権を行うということは担保されていたわけですが、国土交通省国土交通大臣とはどうかということになりますと、国土交通大臣に対しても勧告を三件されましたし、建議はもう二十二件行われております。  そういう意味で、積極的に事故防止対策等のための提言を行ってこられたところでございまして、今回それをなお三条機関ということにいたしますと、職員の人事権というものは委員長に移りますし、事故原因関係者への勧告とかの権限の付与があります。これまで以上に独立性が担保されるわけであります。そしてまた、他省庁に対してもいろんな勧告とか報告とか求められるというすごい権限がその長には与えられるという意味では、今まで以上に進むということになります。  さらに、次のお問いかけでございますが、国土交通省じゃなしに、内閣に帰属させてはどうかというお話でございますが、これは衆議院でもそのような御意見がございました。けれども、国土交通省は陸海空の運輸事業者を所管をいたしておりまして、事業者それぞれについての情報を一番たくさん持っているところだと思います。自負できると思います。  そういう意味で、事故が起こったときに、我々の、各地に運輸局その他の出先もありまして、そういうところが事故直後からそういうところに出かけていってサポートしたりいろいろできるわけですね。そういう意味で一番情報量がたくさんあり、しかも専門知識もある人がたくさんおるという意味では、私は国土交通省外局として置いておくことが非常にその後の調査、実質的な調査その他が行われるという意味で優れていると、私はそのように思っております。  私は、自分ところの仕事を抱え込んでいるという趣旨じゃなしに、客観的に見ても私はそれは正しいものだと思います。現に、イギリス、ドイツ、フランスにおきましてはやはり同じような事故調査委員会がありますが、これは国土交通省に相応するような省庁外局として存在しております。まあアメリカは別ですけれども、そういうことでございますので、私はいろんな衆議院における審議でもその旨を述べてきたところでございます。
  14. 水岡俊一

    水岡俊一君 情報量が多い、あるいは連携するそういった機能が高いという意味では、私は今大臣お答えはよく分かりました。しかし、より高度な独立性ということについてはもう一つ理解できないように私は思っております。  外局という形とは違って、また私たち提案をしておりましたように内閣府に置くという形で、全く違うところに置くということは独立性高いという意味からすると妥当だと思いますが、ただ、それだけがベストだ、それだけが重要だというわけではないので、それは総合的な話ですから、実際に今後、運輸安全委員会機能を最も発揮するためにはどういうポジションがいいのか、是非これからも検討を続けていただきたいと、こういうふうに思うところであります。  次の課題に移りたいと思います。  今回の法律改正船員労働委員会が廃止をされ、その事務を既存の組織移管されることとなっております。大変なことだなというふうに私は法案を見て思いました。具体的な話にちょっと進みたいと思います。  法律施行日は本年の十月一日、あと半年もないようなところでありますが、そこで大臣、六月以降に都道府県労働委員会委員説明する、あるいはいろんな準備を進めているというようなお話をいただいているところですが、しかし、全国労働委員会からは多くの懸念を表明されているところです。  具体的にちょっとお尋ねをします。  改正法施行前に申し立てられている事件については、これどうするんでしょうか。業務移管後、移管先労働委員会への事件の円滑な事務取扱を進めていただく必要がどうしてもあるわけですが、その点について御見解をいただきたいと思います。
  15. 宮武茂典

    政府参考人宮武茂典君) お答えいたします。  ただいまお尋ねのございました不当労働行為等申立て等でございますが、現在、船員労働委員会の方に申立て等がなされております案件はございません。  しかしながら、今後、おっしゃるように、業務移管までに申立てが行われ、さらにこれが業務移管までに処理が終結しないと、そういった場合にはその事件処理都道府県労働委員会承継をしていただくということになります。  このような場合におきまして、承継先都道府県労働委員会におきまして迅速、的確な処理が図られますよう、都道府県労働委員会と十分緊密に情報提供関係書類引継ぎ等を行ってまいる所存でございます。  また、申立人等当事者に対しましても、都道府県労働委員会承継することとなる旨、またその際の取扱い等について十分説明し御理解をいただいてまいる所存でございます。
  16. 水岡俊一

    水岡俊一君 それではお伺いします。  行政訴訟に係属をしている事案はありませんか。
  17. 宮武茂典

    政府参考人宮武茂典君) お答えをいたします。  船員地方労働委員会が出しました救済命令につきまして、現時点で二件の取消し訴訟が提起をされてございます。この取消し訴訟につきまして、本年十月一日に予定されております業務移管時点で判決が確定していない場合、その場合は行政事件訴訟法通則法でございます行政事件訴訟法関係規定の原則にのっとりまして国としての被告地位都道府県労働委員会承継されることとなります。  この場合につきましても、被告地位承継していただきます都道府県労働委員会と十分に緊密に情報提供関係資料等引継ぎを行いますとともに、訴訟への円滑な対応が可能となりますよう、国土交通省においても必要な対応を十分に取らせていただきたいと、こういうふうに考えております。
  18. 水岡俊一

    水岡俊一君 国が被告となっている事案を今度の移管都道府県労働委員会の方に移管をしていくということで、非常に懸念をされている部分というのがあると思うんですね。今、二件あるということでありましたし、今の御説明で十分な対応をするというお話でありましたので、しっかりとお願いをしたいと、こういうふうに思っているところであります。  そこで、しっかりとした対応を行うということをいただいておりますが、それが間に合うかどうかという問題が一つ出てくると思うんですね。  施行日は二〇〇八年の十月一日と、こういうことになっておりますけれども、実際見切り発車ではないか、こういうふうな感が否めないと私は思っているところですね。特に、運輸安全委員会も絡めた大きな話の中で見切り発車は良くないというふうに思っているところですが、特に労働委員会関連では年度途中からの予算措置、組織の変更、そういったものが考えられるし、また定数、そういったものも大きくかかわってくるわけです。  私は、やっぱりここはひとつ、ここの部分については来年の四月一日ぐらいに施行日をずらす、あるいは施行日をずらせないんであれば何らかの配慮をしていくということを行ってはどうかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  19. 春成誠

    政府参考人春成誠君) お答え申し上げます。  この法律施行日、私どもの船員労働委員会業務都道府県労働委員会業務として移管させていただく期日につきましては十月一日を考えております。その際には、私ども十分な情報の提供あるいはバックアップ体制ということ、先ほど委員も御指摘になりました説明等について万全を期したいと思っておりまして、プロセス的に申しますと、これまでは全国知事会等を通じて御説明をやっておりますけれども、五月、六月以降は全国都道府県委員方々に個別にお願いに上がりまして、私どもの地方運輸局の方から本件の私どもの船員法の事情ですとか、船員労働事案の事情について御説明をしたいと思っておりますし、また都道府県の地方労働委員会側の方々をお招きいたしまして、これは私どもの地方運輸局の方に私どもの経費で旅費の負担等も行いましてお招きして、御説明会も開催させていただきたいと。あるいは、いろんな事案もございますでしょうから、移行後を含めて連絡調整の場というものを恒常的に設けさせていただいてバックアップ体制も講じさせていただきたい。あるいは、いろんな資料につきまして、私どもも一括した御説明用の資料を用意いたしまして、もちろん私どもの経費で用意させていただきまして万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  20. 水岡俊一

    水岡俊一君 万全を期すということですので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。  それでは次の課題に参ります。  海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船清徳丸が二月の十九日早朝に衝突事故を起こしてから二か月以上がたっているわけであります。  そこで、このことについて少しお聞きをしたいと思いますが、自衛艦「あたご」と漁船が衝突をするその前の段階で、私たちは素朴な疑問として持っているものがあります。というのは、この高度文明社会の中ですので、「あたご」からレーダーで漁船の映像をとらえている。そういった中で、「あたご」からこういう無線発信があってもおかしくないんじゃないかと私は思うんですね。例えば、こちらは海上自衛隊護衛艦「あたご」である、本艦は東経百三十九度五十三分、北緯三十四度四十五分、これは例えの話ですが、方位〇〇度に十五ノットで航行中であると。前方三マイル辺りに小型船の映像が見られるが衝突の可能性あり、しかるに至急連絡を願いたい、こういう無線発信があっていいと思うんですね。  大臣、これ、いかがでしょう、大臣はどう思われます。
  21. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) そのとおりだと思いますね。いろんなあれが発達している世の中にそれがなかったというのは本当不思議な感じがします。素朴な私の、今突然言われましたけれども、私の感覚から。
  22. 水岡俊一

    水岡俊一君 本当に国民の多くの皆さんが素朴な疑問を持っておられて、また、そういったことについて今のところ余りその原因が何であったのかということは皆さん御存じないと思うんですが、その辺り少しお伺いしたいんですね。  現在の日本の近海の海上で大型船と小型船の通信手段、連絡方法というのはどういうふうになっているか、国交省の方でお答えをいただきたいと思います。
  23. 春成誠

    政府参考人春成誠君) お答え申し上げます。  いわゆる船舶に設置する無線設備につきましては一定の義務付けがございます。外航船舶に関しましてはいわゆる条約で決まっておりますし、内航船につきましてもこれに準じて私どもの船舶安全法等ございますけれども、これに基づいて義務付けがなされております。その場合の、具体的に義務付けされておりますのは、総トン数百トン以上の船舶につきまして無線設備として国際VHF無線電話というのが義務付けられております。しかしながら、今申しましたように、総トン数百トン未満の船舶につきましてはこういった設置義務はございません。  なお、今「あたご」のお話がございましたけれども、先ほど来申しました無線設備に関する私どもの法体系あるいは国際条約というものはいわゆる艦船には適用ございません。したがって、「あたご」には私どもの側からの設置義務はございませんけれども、なお、事実として申し上げますと、これは聞くところによりますけれども、自衛艦「あたご」につきましては、私どもの法律非適用でありますけれども、国際VHFは設置していたというふうに聞いております。また、今申しましたように百トン未満の船舶は設置義務ございませんので、この清徳丸につきましては設置義務はございません。なお、清徳丸につきましては当該VHF設備は設置していなかったと聞いております。  したがって、今申しました義務の範囲とそれから事実の話でございますけれども、もちろん、自発的に、任意に、今国際VHFを付けるといったことは十分あり得ようと思っております。  以上でございます。
  24. 水岡俊一

    水岡俊一君 大臣、これね、八八年に潜水艦「なだしお」とそれから大型釣り船第一富士丸の衝突事故があったときにこの話は同じことが言われているんですよ、同じことが。小型船と大型船、あるいは自衛艦であったり特殊な艦もありますが、共通の通信システムがあったれば衝突は防げたんじゃないかということが言われてきたわけですよね。  国土交通省あるいは総務省はそのことを十分御承知で、そして対応をなされたと思うんですが、それらについては、具体的には国際VHFというお話が今出ました。マリンVHFというそういう問題が出てまいりまして、それについて国土交通省お話、御意見あれば伺いたいと思いますが。
  25. 影山幹雄

    政府参考人影山幹雄君) 今マリンVHFについてのお尋ねございました。  私どももマリンVHF、これは国際VHFの簡易版というふうに御理解いただいたらいいと思うんですけれども、国際VHFの周波数の一部を取り入れられるという機能を持っていまして、そういった意味では、海難時あるいは緊急時において私ども海上保安庁なり大型船舶との交信ができるという意味では非常に有用な機器であるというふうには認識をしております。  ただ、先生の問題意識だと思いますけれども、実際じゃこれが普及しているのかということになりますと、現在で約二千二百局ばかり、要するに二千二百隻ぐらいこれを付けているプレジャーボートございますが、全体のプレジャーボートが三十三万隻ばかりございますので、正直言いまして一%に満たない普及率でございます。  これにつきましては、価格がやはり高い、二十万円ばかりします、あるいは無線の一定の資格が要るというようなこともあると思います。あるいは逆に、携帯電話が今大変普及してございまして、携帯電話で私どもの一一八番通報ということで、海難等々があった場合に一定の対応ができると、こういうふうな認識をお持ちの方も結構おられるようでございまして、そういうことで、私どもとしてはこれが普及することは大変結構なことだとは思っておるんですけれども、残念ながら実態はそういう状況でございます。
  26. 水岡俊一

    水岡俊一君 時間がありませんので、それぞれ所管をされている省庁日本の船舶というのは一体どれぐらいあるのかお聞きをしたいというふうに思っておったんですが、今保安庁の方からもお話があったとおり、そのうちのパーセンテージでいえば一%に満たない小型船の設置の状況であるということもお聞きをしたので、もう話を進めたいというふうに思っております。  つまり、国際VHF、ベリーハイフリークエンシーですね、要するに超短波の電話装置、通信装置があればこれは衝突を未然に防ぐことができたかもしれないということを実はもう二十年以上前に言われていて、そして当時の運輸省、当時の郵政省ですか、の御配慮があって法律ができて、マリンVHFという簡易的な機械ができた。そしてそれに対応する免許制度もできた。しかし、それが普及しなかった。普及しなかったからこういうことが起きたと言える部分もあるんですね。  なぜ普及しなかったのか、ここですよ、問題は。今もう御説明がありましたから、私の方から申し上げると、実はマリンVHFという機械は、日本で恐らく私の知る限り一つのメーカーが一つの機械しか作っていない。価格は二十万円する。そして実際には出力が五ワット以下、非常に小さいですね。それから通話時間は五分間以内に限定をされている。そして送信チャンネルは恐らくわずか二チャンネルか三チャンネル、受信はできるんですけどね。それから第三級海上特殊無線技士という免許が要る。それからいずれかのマリンVHF海岸局に加入しなきゃいけない。海岸局には年間五千円のお金が要る。船舶局の免許は五年更新しなきゃいけない。それから定期点検は三年サイクルにしなきゃいけない。そして、今携帯電話が発達しかけている中でこういったものをお金を掛けて装着をするという人はいない。どんどん減っていくというのが実態なんですよ。なぜこんなことになったのか。これは大きな問題があると思うんですね。  それで、ここをしっかり、大臣にはこの仕組みをしっかりと検証していただいて、私はもう今日余り、これが利権構造だとか、あるいは例えば海岸局を運営している社団法人の関東小型船安全協会には海上保安庁出身者が理事として行っているとか、そういったことで天下り構造じゃないかとか、そういったことをどんどんどんどん追及するという、僕はそういう意思はないんです。問題はどこにあるのかということを大臣を始め国土交通省、総務省がしっかりとらえてもらわないと、これまた規制緩和ができるかできないかの中で天下り構造だとか利権構造だとかという指摘を食らうわけですよ。それは良くない。人命を救うために未然に何かの手だてを講じることができる、そういう余地があるのであれば、これは国際VHF、マリンVHF、有効に利用する手だてを考えるべきじゃないですか。大臣、これいかがでしょうか。
  27. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 私、八八年の「なだしお」、第一富士丸の衝突事故のときに、当時、予算委員会だったと思うんです、運輸委員会ですかね、質問をしまして、時の運輸大臣が石原慎太郎さんでした。そこで、これが衝突した場所は観音崎の先だったと思いますけれども、ここよりももっと海上交通の頻繁なところあるよと。それは備讃瀬戸であり、私の方の選挙区も近いですけれども、あの明石海峡、まだ橋はできていませんでした。ここは大変な交通渋滞で、御存じのようにカーフェリーが横断をしている、それからそこへ大型のタンカー等、鉱石船もそうですけれども、横断する、そしてそこにプレジャーボートがいっぱいいる、そして漁船がまたいっぱいいると、こういうところを何とかしてもらわないと大事故が起こりますよということで、じゃすぐ分かったと、つくろうということで、淡路島の先端の北淡町に立派な海上交通センターをつくってくれました。そういう思い出のある事件でしたけれども、そのとき、そのような今委員が御指摘のような提案もなされた。それがいまだに実際はいろんな規制とかあるいは負担が過重で普及してなかったということは誠に残念だと思います。  したがいまして、現在のいろいろな技術とか、それから携帯電話が爆発的に普及しましたから、こういうものを踏まえて、こういうものをどうしたらいいか、これは総務省と、一応総務省が所管しておられますので、よく我々の方としても検討させていただきたいというふうに思います。
  28. 水岡俊一

    水岡俊一君 アメリカとかオーストラリアとかでは、このマリンVHFに類似をした、そういった機械が非常にきちっと整備をされて安全航行に寄与しているという話も聞くところであります。もう月にでも火星にでも無線通信というのは通じる時代ですので、目の前にいる小型船と大型船が共通チャンネルを持って通信をして安全航行をするということは全く難しい問題ではないというふうに思うんですね。どこに障壁があるのか、障害があるのか、それをこの際、本当に貴重な尊い命が失われたというこの事故にかんがみて、改めて二〇〇八年にしっかりと大きな方針転換をしていただきたいと、このことを強くお願いをして私の質問を終わりたいと思います。
  29. 田中康夫

    田中康夫君 参議院における統一会派、民主党・新緑風会・国民新日本の一員であります新党日本代表田中康夫であります。  本日は、国土交通省設置法等、この等というのがあいまいもことしておりまして、バイネームで明確な責任というようなものから懸け離れる場合がございますが、この国土交通省設置法等の一部を改正する法律案、この法律が出されましたことは、私はある意味では大変に画期的なことではないか、こうした観点から、本日は文化庁長官であり、また日本文化人類学会会長でもあられる青木保さんにも参考人として御出席をお願いをし、質疑をさせていただきたいと思います。  今回、皆様も御存じのように、観光庁、行政が肥大化する三セクの官公庁ではいけないということを前回も申し上げましたが、まさにツーリズムの観光庁ができた、設立されていく。あるいは航空鉄道事故調査委員会と海難審判庁を良い意味で合体をした運輸安全委員会ができると。この二点ということは、私がかねてから申し上げております国土交通省という、人々の生命と財産を守るということは、これはすなわちすべての領域にわたるサービスをサプライサイド、供給側のマインド、サプライサイドの都合、サプライサイドマインドではなく、コンシューマーオリエンテッド、まさにこの社会に暮らす消費者の希望に根差したサービスを行う省庁へと、国土交通省が良い意味でジョセフ・ナイが言うところのソフトパワーの省庁へと大転換をしていく、私はこのきっかけとなる大きな法律ではないかと思っています。  そのことは、すなわち従来、行政という社会においては指標の尺度があいまいであるということで、はなから却下されがちでありました幸福度というものを観光ということを通じて国土交通省が他の省庁に先駆けて確立をしていく、私はこうした大きなものであろうかと思います。  と申しますのは、二十二日に閣議でも報告があったかと思いますが、少子化社会白書というものが発表されました。かねてから私あるいは新党日本が述べてきているように、四十年後には日本の人口はあるいは労働人口は今の三分の二になるわけでございます。一年間に八十万人ずつという、東京の世田谷区と同じ人口が減少していくということは、従来の量の拡大という発想から質の充実へと転換をせねばなりませんし、もっと申し上げれば、中央搾取の利権政治から地域還元の幸福政治というものへ、また組織立脚の量的政治から人間立脚の質的政治へ戻していかねばならない、このようなことかと思います。  実は、観光ということは、冬柴鐵三さんが福祉を志して政治にお入りになられました。今日、皆様のお手元にも、私が日刊ゲンダイで連載をしております「奇っ怪ニッポン」というものの、後ほど御質問させていただきます脱ダムという、脱ムダということと併せて、福祉、医療のことを書かせていただきました。  実は、これは国土交通、とりわけ観光庁というものができるときに大事な問題でございまして、フルムーンという言葉があるように、高齢の方々、良い意味でリタイアをされても社会貢献をされている方々、こうした方々が光を見るために観光というところへ出かける。日本は、どうしても勉強という言葉で学習になっていない日本では、良い意味でこの観光というものは人々が五感を用いてより人間を社会的に高めるということにつながるかと思います。  こうした中で、是非大臣であられる冬柴さんは、閣議にも出席されておりますから、後期高齢者医療制度と、これが羊頭狗肉のように名前を何か長寿医療制度などと変えておりますが、大きな問題は、医療や福祉や介護というものはこれはつなぎ目のない形で、シームレスな形でまさに消費者側、コンシューマーの視点に立ってサービスを行えるようにしていかねばなりません。  お手元にお配りをいたしましたように、私の友人でもあります川渕孝一という東京医科歯科大学の大学院の教授は、七十五歳以上のお一人当たりの医療費というものが七十五歳未満と比べて四倍も高いと厚生労働省は大本営発表をしておりますが、しかし一症例当たりの医療費というのは心疾患や脳血管疾患ではむしろ低く、良くも悪くも抑えられております。すなわち、こうしたことを考えれば、医療というものと介護というものを分けて考えるのでなくシームレスな形で医療や介護や福祉というものを、すなわち後期高齢者医療制度と介護保険制度を合体した、良い意味で医療から介護まで一貫して提供する地域包括ケアの保険制度を導入していかねば、これからの今後六年間で二四%も七十五歳以上の方は増えるわけでございますから、一人月額一万円の負担増を強いているという形は早晩破綻をするわけでございます。  これは、本日時間がございませんが、私が山国で知事を務めておりましたところは、吉田博美委員長のおひざ元でもございますが、早期発見、早期治療ということを人々が行って、福祉と医療と介護を継ぎ目のないサービスを行ったことによって最も全国で長寿で最も医療費が低い。それはやせ我慢をして治療をしないのではなく、社会全体で包括的なケアをしていったということで、このことが日本においてはとても大事なことでございます。  そしてまた、こうした意欲を皆さんに持ってもらうためにツーリズムというものが私はあるのではないかと思っております。すなわち、新しい確かさや優しさや美しさというニューバリューを、新しい価値を私どもがフロンティアの精神を持って創出をしていく、こうした幸福度によってレジームチェンジを図っていく、このことが最も行えるのが実は国土交通省でございます。  と申しますのは、例えば総務省という大変に巨大になった、しかしながら余りマスメディア上では巨大になったと認識されていない省庁は、逆に言えば自治も放送も通信も管理型でございます。すなわちサプライサイドマインデッドな省庁だと私は思います。国土交通省も従来はサプライサイド側に立っているのではないかと言われておりましたが、実はそうではなくて、人々の生命や財産を守るということは、これこそがコンシューマーオリエンテッドに最も近づける省庁であるということではなかろうかと思います。  こうした観点に立って、本日は青木さんにも御質問させていただく形で進めたいと思いますが、実はそう思っておりましたところに、昨日の新聞等でも皆様御覧になられたと思います。お手元にも私の日刊ゲンダイの「奇っ怪ニッポン」の方でこの問題に関して触れました。(資料提示)こちら、一番東京本社版では朝日新聞が大きく扱っておりました。読売新聞も大阪本社版においては大変に深く掘り下げた記事が載っておりました。また、皆様のお手元には私のこの記事もお渡ししているかと思います。  御存じのように、淀川水系流域委員会というものがございます。この委員会は、近畿地方整備局で河川部長を務められた宮本博司さんという方が委員長であられます。二年ほど前に御自分の第二の人生というもの、家業を継がれるという天下りとはおよそ無縁な人生を歩まれた方ですが、公募によって委員長に就任された方です。  この委員会は、滋賀県大津市の大戸川ダム、京都府宇治市の天ケ瀬ダム、三重県伊賀市の川上ダム、また滋賀県余呉町の丹生ダム、この四つのダムに関しましては、ダム建設の実施を淀川水系河川整備計画に位置付けることは適切でないとする意見書を二十二日の日に近畿地方整備局あてに出しております。これは近畿地方整備局が設置をした委員会でございます。  私は、知事をしておりましたとき、二〇〇一年の二月二十日の日に脱ダム宣言、でき得る限りコンクリートのダムを造るべきではないという宣言を出しましたが、それから七年、国土交通省が設置をした委員会が、この四つのダムに関して建設の実施は整備計画に位置付けるべきではないという意見書を出しました。このことに対する冬柴さんの御見解を改めてお伺いいたします。
  30. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 淀川流域委員会意見はそのとおりでございますが、その中には、そのようにまとめられておりますけれども、学識経験者の中にはダムの有用性を言っておられる方も、意見ももちろんあります。  これについては、平成二十年四月二十二日までに二十一回を開催されまして、我々の方としても、配付資料というのが二千六百ページに及ぶ資料、あるいは審議時間は九十時間にも及んだ大変熱心な審議をしていただいたわけでございます。しかしながら、この委員会意見とともに地元住民の意見、あるいは自治体の長の意見、あるいは地元住民との対話のプロセス、関係府省との調整等々いろんな手続が進みまして、その上に立って淀川水系河川整備計画案の作成が行われるわけであります。  したがいまして、我々は河川管理者としてそれについての責任を持つ立場として、これからこういう多くの方々の御意見というものを踏まえながら、最終的な淀川水系河川整備計画を作成をしてまいりたいと、このように思っております。
  31. 田中康夫

    田中康夫君 大変にネガティブな御見解、あるいはパッシブな御見解かと思いますが、しかし、この意見書の中では、ダムがどうしても必要であることについて十分説得的な内容になっておらず、環境への影響もダム建設を前提とした検討であり不十分であるというふうに、このように断言をいたしております。  改めて大臣に、今、冬柴さんが、この意見書の文章を私が朗読をいたしましたが、御見解を伺いたいと思います。
  32. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) そういうふうに言われるんじゃないかと思いまして、私は先ほど整備局の方から資料を十分に、二千六百ページに及ぶすごく大部なものを各委員にはお配りをしております。そしてまた、審議時間も九十時間に及んで、それらの先生方の御意見に対する考え方というものを先見なしにこれは国交省として披露した次第でございます。
  33. 田中康夫

    田中康夫君 今日は後半、青木さんと、今の冬柴さんのお話、二千数百ページというのは、まさにこれ形式知でありましたり、法律知であったり知識値であったり経験知というものでございますが、残念ながら、これは暗黙知と呼ばれますような、人間がまさに五感を持っている、脳で考える生き物であるというマイケル・ポランニーが言っている点に至っていないかと思います。  ただ、今の冬柴さんのお話は、早い話が、一度まとめますと、裁判所の傍論であるというふうにこの間、裁判所の判決を三権分立なんですがおっしゃった外務大臣であったり、そんなの関係ないとおっしゃった航空幕僚長と同じようなもので、自らが設けた委員会につばするようなものかと思います。  なぜそのようにあえて私が申し上げるかというと、皆様御存じかどうか、日本の水田の面積というのは昭和三十年代の今半分でございます。無論、食料自給率を高めねばならないという大きな命題はございますが、ということは、水田で用いている水利量というものは半分ほどに減っているということでございます。あるいは、工業用水の取水量というものも科学技術の進歩によってこれは減少いたしております。しかし、慣行水利権と呼ばれます例えば今申し上げましたような水田等の取水というものに関しては、これは明治二十九年から慣行水利権に関しては見直しが行われておりません。  私が申し上げました脱ダム宣言というものは、でき得る限りコンクリートのダムを造るべきではないということは、私たちがコンクリートの耐用年数はせいぜいが七十年、八十年と言われているということになると、戦時中に造られましたダムというものは、そのまま放置して崩壊するのか、あるいはそのダムをもう一度新しく造り直すのか、あるいは大規模に補強するのか、あるいはそのダムを撤去して別の方策を考えるのかという、大きく分けて四つあるいは五つの中から選択肢を議論せねばならない段階に私たちは直面しているということであります。  実は、今回のダムの大戸川ダムというものも、京都府と大阪府は、日本は先ほど申し上げましたように人口減少していく社会でございますから、この二つの府が水利権から撤退したわけでございます。この中で国土交通省は、逆に穴空きダムという、ダムなのだがいつも常時放水を、通常、放水もございますが下に穴が空いていると。そして、これはまた治水には役立つと言いますが、これは効果測定のほどはまだ未確定であるというふうに私は少なくとも認識をしております。すなわち、穴が空いているところが大きな増水の場合にどのような物理的な圧力になるのかというような点も含めて、これは未確定な部分であろうかと思います。  そしてまた、丹生ダムというものもこれは利水事業者がすべて撤退をいたしました。すると、多目的ダムであったはずが、治水の部分が欠落し、利水の部分が欠落し、穴空きダムにしていくという形でございます。  そしてもう一つ大きな問題は、川上ダムというのが先ほど申し上げました三重県の伊賀市に計画をされております。本体はまだ未着工でございますが、既に四百六十億円を投入をいたしました。総事業費も八百五十億円が千二百三十億円へと増額されております。これは、三百億円台で計画された岐阜県の水資源機構の徳山ダムがその十倍になったというのに比べれば額はわずかと言われるかもしれませんが、脱ダムということはこれは脱ムダでございます。  同時に、私たちの限られたリソース、これは税金も限られております。増税を努力せずに行えば、三菱総合研究所が述べているように、消費税を倍の一〇%にすれば、民間消費は二・七%、国民のGDPは一・九%減少すると三菱総合研究所が述べております。ホームページにも記載されております。  私たちのこの日本の経済成長率はいかほどでございましょう、すなわちマイナス成長になっていってしまうというようなことでございます。したがって、私たちは良い意味で、イデオロギーではない増税なき財政再建ということをアメリカや諸外国のように行わねばならない。ちなみにこの考えを以前から述べておられるのは松谷明彦さんという、予算委員会で私も申し上げました政策大学院大学の教授でありまして、ちなみに福田康夫さんの妹さんの御主人であられます。すなわち、私たちはこうした考えというものを夢物語でなく実現していくこと、それがまさに国土交通省が同時にソフトパワーの頭脳官庁へと転換することかと思います。  この川上ダムでございますが、実はこの川上ダムは伊賀市が日量二万八千七百五十トンの取水をする予定になっております。しかし、そこからわずか十キロしか離れていない名張市にあります青蓮寺ダムでは、ここは大阪市が日量八万九千四百二十四トンの水利権を持っておりますが、これが眠ったままになっております。すなわち、大阪市も人口が減少し、他の取水源もあるので、この水利権は眠ったままでございます。  したがいまして、この委員会においても、大阪から七十キロ離れた川上ダムを建設をして伊賀市がここから水利権を得るのではなく、今ある資源を有効活用するということからいえば、この青蓮寺ダムの水利権を大阪市がせめて有償で譲渡をしてはどうかということも述べているわけでございます。しかしながら、残念ながら大阪市長はこのことに関して、周囲の御助言が、余りよろしくない御助言があるのか前向きではございません。  すなわち、水利権というものに関して、慣行水利権を含めて、水利権は五年ごとに見直すということは一方では言っております。この部分に関してもう一度根本的なシステムの変更を行う意思があるのかどうか、冬柴さんにお聞きします。
  34. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 大変勉強をされまして、専門的な話で分かりにくい、私には。  しかしながら、不断に何でも見直さなきゃ駄目ですよ。私はそう思います。従来からこうだったからもうこうすべきだということで固定的に考えるのではなく、今日の委員意見等も踏まえまして、あらゆる問題については考え直していかなければならないときに来ていると思います。  人口が今本格的な減少社会に突入しようとしておりますし、また周辺国家の中では経済が著しい発展を遂げているところが多いわけでありますが、反面、日本の経済は、停滞と言ったら行き過ぎですけれども、月例経済報告から見ましても、また長い間GDPの総量は余り増えておりません。そういう中で地方の経済も低迷しております。  そういう中で、我々としては、新しい、我々の子供や孫たちが自信を持ってそして誇りにするような安全、安心の国をどうつくっていくかということは常に新しい視点で見直していかなきゃならない、私はそのようなことを思います。  ダムの問題について相当、知事の経験も踏まえられまして随分勉強された跡がよく分かるわけですが、そういう観点からも、我々としても常に新しい視点で物は見なきゃならないと、このことは同意をいたします。  ただ、この淀川流域委員会、御存じだと思いますけれども、五百回ぐらい開いているんですよ、これ、この以前でも、御存じですね。その会議費でも二十億を超えるお金が掛かっているんです。そういう中で、我々は真摯にその意見も全部聞きながら今日の事態を迎えているわけでございまして、今、田中委員がおっしゃるような意見を言う方もおりますけれども、そうでない方もたくさんいるわけでありまして、私どもは、この洪水、いざというときに人命、この淀川水系では大変多くの人が、私もその一人ですけれども、住んでいるわけですね。したがいまして、その人命の安全という意味から、そういう観点からもこの水系をどうするのか、これは非常に重要な問題でございますから、多くの方々から、利害関係がある人もあればそうでない人もある、あるいは学者の方もある、そういう意見を聞きながら、私は、安全、安心な国づくりはどうあるべきか、そういう観点で判断をしたいと思っております。
  35. 田中康夫

    田中康夫君 不断にまさにチェックをしていく必要があるという、大臣から大変に前向きな御意見をいただいたと思います。  実は、冬柴さんも御出席の予算委員会で私、一月三十一日に、輸血によるHIVあるいは肝炎等の感染をいかに防ぐかということに関して質問をさせていただきました。舛添要一さんに主に御質問をさせていただきましたが、最後に福田康夫さんが、やはりこの問題は時間を掛けてはいけないと、早急に厚生労働省の方で結論を出すべく督促をしたいと、本当に深刻な問題だというふうに福田さんが大変な決意の御発言をいただき、このことによってわずか一か月を経ずして不活化技術というものの導入の検討の特別の委員会ができました。  私は、やはり川の水というものはこれは一部の方のものではございません。まさに私たちすべての方のための公共の所有物でございます。こうした観点において、少なくとも慣行水利権というものが明治二十九年から一度も見直しをされてないということは、私が勉強するしないではなく、ごく一般の方々が聞いても、とても行政のスピードが長く掛かるということを勘案しても大変に不思議に思われるかと思います。  いま一度、冬柴さんから、この慣行水利権というものに関して、少なくとも再チェックをされていく御意思があられるかどうか。福田康夫さんの先ほど答弁も御紹介を申し上げました。もう一度お願いいたしたく思います。
  36. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) このような場での御発言でございますから、重く受け止めさせていただきます。
  37. 田中康夫

    田中康夫君 ありがとうございます。  国土交通省がまさに的確な認識、迅速な決断、明確な責任を他の省庁に先駆けて取っていける、そうした頭脳官庁になることを願っております。  こちらを少し御覧いただきたいかと思います。(資料提示)これはパリの凱旋門のところの道でございます。凱旋門には十二本道路があるわけでございますね。よって、信号がございません。信号がないのは決して形式知上、一分ずつ信号を行うと十二分掛かってしまうからということではないと私は考えております。  私も海外に出掛けますと空港からレンタカーを運転しますが、ラテンの国は我先にと凱旋門に入ってまいります。けれども、最後のところで、日本と逆方向でございますから、右の車優先というたった一つの、法律にも定められているわけではない暗黙知によって人々は車がこすることなくまた別の道に入っていくということかと思います。  ですから、私たちは、イギリスにもありますような信号機ではない形のラウンドアバウトというようなものに関しても積極的に導入していく。このことに税金を掛けることは、前回視察をさせていただいた東扇島の防災のための拠点、そこを緑地化して、ふだんは人々が憩いの場とする。こうした場所を東扇島だけでなく、千葉であったり名古屋であったり神戸であったり、全国に設けるということは、これは多くの方々に税金を払うことを理解していただける。国土交通省がソフトパワーの官庁になっていくことかと思います。  本日、お待たせを大変いたしました、文化庁長官青木保さんにお聞きしたいと思います。私事ですが、青木さんとは私も一九八四年に「感覚の論理学」という対談集を出させていただいたことがございます。観光庁ということで、ビジット・ジャパンでより良い日本に多くの方が来ていただく、あるいは日本の中の方がそこでくつろいで英気を養っていただく。  パリの町というもの、世界の町を文化人類学者として御覧になっていると思いますが、パリに限らず景観、景色、ランドスケープということに関して、別に欧米が優れているわけではございません。御存じのアジアであったり中南米やアフリカにもすばらしい景観がございます。日本の景観というものが必ずしも、一つ一つのお寺等は評価をされても町全体として評価が難しいとおっしゃるような意見がある。このことにはどんな諸要因があられるのか。青木さんの哲学も含めてお聞かせいただければと思います。
  38. 青木保

    政府参考人青木保君) 文化庁も文化的景観というのを非常に重んじておりまして、近年、文化的景観を非常に大事にいろんな面でしております。それから、世界遺産なんかの条件にもそういうのがございますので、意識は非常に高まってきておると思います。  それから、昨年度から文化庁では全国の都市に関しまして、文化芸術振興都市の表彰というのを長官表彰として行っております。今年は三月に第一回をやりました。いずれにしても、景観を非常に大事にして、しかもそこに新しい文化的な創造力を働かせるということが大きな課題になってきたと思います。  その点で、今先生がおっしゃったような状態もございましたけれども、日本も徐々に景観に対しては力を入れ始めて、そういう住民の意識も出てきたんではないかというふうに考えております。
  39. 田中康夫

    田中康夫君 青木さんからいろいろな御教示を若いころ、私がまだ本を御一緒に出したときは二十八歳でございまして、今よりも大分やせておりまして、もう少し紅顔の美少年に近い形だったんでございますが、太ったカモシカ・ヤッシーになってしまっていますが。今のお立場ということもあられるのかもしれませんが、もし可能ならば、例えばフランスにおいて、青木さん同様に文化的な責任者を務めたアンドレ・マルローが考えたことであったり、あるいは元々このパリの町をジョルジュ・オスマンという都市計画家でありパリ県知事でありながら極めて哲学を持っていた人間が町をつくったこと、こうした点に関して、碩学でいらっしゃる青木さんから少し御意見を伺えればと思います。
  40. 青木保

    政府参考人青木保君) おっしゃるように、パリはルイ・ナポレオン、ナポレオン三世のときにパリの大改造というのをやりまして、そこでナポレオンの、ルイ・ナポレオンの強権をもって大体、建物全部八階建てですかね、そういうことをやりました。それから、今のブルバードも全部できたんですね。ですから、非常に強い文化政策あるいは文化施策というものをルイ・ナポレオンがやって、ルーブルもそのときできたわけですが、今日のパリの魅力というか、あるいはその文化施設も含めたものがその当時にできました。十九世紀の中ごろの話ですね。  パリとおっしゃったので、私、先年、パリで講演したときに聞いた話ですけれども、パリは旧市街においては、例えば自分のアパルトマンの窓の枠がちょっと壊れたと。そういうときも、必ず市の文化局にそういうことが起こったということを通知しまして、そうすると、すぐ文化局の人が飛んできて、それでその枠を町並み保存の点からきちんと直さなくちゃいけない。自分の建物だからといって勝手に直すことはできない。  また、スタンダールが書いているミラノの町で、もう十八世紀の話ですけれども、一つの新しい家を建てようとすると、その家を建てる場所と周囲との関係について、全くその建てようとする本人とは関係ないコミッティーができて、そこでいろいろと議論されて、こういう家なら建ててもよろしいというようなことが既に言われているということを非常にスタンダールは先進性があるといって評価しているんですけれども。  私は、かねて日本の東京の町並みというものは非常にふぞろいであるということを申してきましたけれども、やはり文化規制というものは、規制緩和は確かに世間の一つの大きな流れでございますけれども、文化に関してはもっときちんとした規制があってもいいんじゃないか、今の建物などのことも含めましてそういうふうに思っております。ですから、パリが魅力あって観光の大きな資源になっていますのも、そういう非常に国や自治体と個人との協力関係で文化保存ということを考えているからだというふうに思います。
  41. 田中康夫

    田中康夫君 ありがとうございます。  まさに、パリの町にはおいしい御飯があったり、あるいはルーブル美術館があるから皆さんが出かけられるだけではないと思います。パリの町は、今、青木さんもおっしゃられたように、あの広いブルバード、そしてその広さを、幅を決め、そして並木をつくり、そして今八階建てとおっしゃいましたが、おおむね三十メーターの高さ、そしてそこにファサードという屋根を付ける。この基本的なことを決めた上で、ジョルジュ・オスマンという都市計画家でもあった行政執行者は多くの建築家に競わせたということだと思います。  これは決して個人の尊厳を損なうことではなく、やはり私は思いまするに、個性化を認めた上での高品質な統一感ということではないかと思います。そして、これは私たち日本よりもはるかに歴史の短いアメリカにも西海岸にカーメルという町がございます。ペブルビーチというバブル期に日本企業が大枚をはたいて買ったゴルフコースがございますが、その後安く買いたたかれてしまったという日本の悲哀でもございますが。  この町は、御存じのように、映画監督でもあり俳優でもあるクリント・イーストウッドが市長を務めた町です。ここへ出かけましたその写真を私、今日持ってこようと思いまして、整理が悪くて見付からなかったんですが、カーメルの町は木造の小さなショッピングをする商店がございます。歩道のところに大きな木があると、それを切らないで、歩道は逆に外側を少し車道の側に出ていると。車道はそこは少し狭くなりますが、その分逆に車がスピードを出さないと。そして、もっと優れていることは、それぞれの商店のところから、屋根のところから看板を出すための針金の長さは決まっております。これは同じ形状でございます。そして、この長さの範囲内において、それは木であっても、あるいは鉄であっても、あるいは陶磁器であっても看板を付けることができる。無論、色の制限はございます。  これは、私たち日本では、多くの商店街が活性化といって国あるいは自治体の補助金をもらって乳白色の何とか商盛銀座というような看板を付けます。しかし、これは私はある意味でいうと、個性化を損ねた低品質な、あえて言えば統一感なのではないか、あるいは低品質な不統一感と言っていいかもしれません。カーメルの町あるいはそのパリの町が多くの方を魅了するのは、個性化を認めた上での高品質な統一感、こうしたことを行っていくことが私は国土交通省が多くの方々から御理解をいただけることにつながると思っております。  この中において、前回御質問をさせていただこうと思って時間が足りなくなってしまいましたが、電線の地中化という問題がございます。  幹線道路、いわゆる一般国道及び都道府県道の幹線道路の市街地の部分、住宅等がある部分、この市街地の幹線道路の電線地中化率は平成十七年度が一一%、平成十八年度が一二%でございます。つまり、年間一%ほどしか電線地中化率が増えていないということです。電線地中化率の予算というものは、おおむね千八百億円前後でございます。これはまさに、道路特定財源の中のわずか〇・三%にすぎないということであります。  道路をセットバックをするという中においても行っているのだとおっしゃるかもしれませんが、道路のセットバックをするためには、拡幅をするためには、五年、十年、自分の土地をお持ちの方に御同意いただくために時間が掛かります。その間に、十年掛かれば日本の人口は全体で、面積は変わらないのに八百万人減少いたします。奥行き二十五メーターの商店が十メーターあるいは十五メーター拡幅によって提供することになれば、残り十メーターであれば、そのちょうだいをしたお金によって他の地域に移り住んでしまうかもしれません。拡幅をされたときに逆に商店街が穴空き状態になってしまうということを私たちは放置をするということは余りよろしくないと思います。  実は、東京の都区部は四七・九%の電線地中化率でございます。しかし、これは平成十七年から十八年度にかけて、前年比でコンマ以下の増加でしかございません。私は、こうしたことは通信会社あるいは電力会社あるいはガス会社等の負担金もあるからだと仮にするならば、こうしたことこそ国家的な観点に立って、人の生命や財産、そしてビジット・ジャパンである観光庁をつくった日本として、私たちの税金を用いて積極的に行うプログラムを立てるべきではないか。自動車産業都市であります豊田市の隣接する名古屋市の電線地中化率も、わずか一三・三%から一三・八%へと〇・五%増でございます。名古屋においても、しかも市街地において一四%未満しか電線の地中化がされていないということです。  私は、こうしたところにこそ弾力的にお金を使う、そのためにも、福祉のために脱ダムであり、また、こうした観光庁をつくった国土交通省が良い意味で意識転換をしていくということにおいても脱ダム。ダムだけではございません。こうした部分に弾力的な計画を立てることが、パリの町に多くの方が訪れている、ジョルジュ・オスマンやナポレオンの偉大さというものに私たちが幾ばくかあやかれるのではないかと思いますが、冬柴さんの御見解をお聞きいたしたく思います。
  42. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 市街地における無電柱化というのは本当に必要であり、先進国の大都市ではそのように普及しているのに日本は遅れている、こういう面は我々ももちろん認識をいたしておりまして、最近では予算も倍額にして、しておりますけれども追い付きません。現在までの電線の地中化を図る部分を観光地等にも広げようということで今回も提出をさせていただいているわけでございますが、そういうものを進めていきたい。  それからまた、この道路の中期計画の中にも、無電柱化を図る取組をされていない道路三千七百キロメートルに対して集中的に無電柱化対策を実施したいということでございますが、これはもう大変な金額になってまいります。中心市街地の主要な道路九百地区、市街地における県庁所在地間を結ぶ緊急輸送道路、こういうものは、震災で電柱が倒れますとそれが交通障害になります。したがいまして、これを一千キロメートル。それから、歴史的町並みを保全すべき地区、日本風景街道等の道路二百地区、こういうところに対して、安全で快適な道路空間を形成する上で電柱や電線類を取り除いて、そして景観を維持しよう、こういうことの計画を立てておるわけでございまして、これは道路特定財源で十年間掛けてやるということで提案しているわけでございます。
  43. 田中康夫

    田中康夫君 いま一度、専門外かもしれませんが、青木さんが御覧になっていて、かつてのナポレオン三世の時代というのではなく、他の国においても、それはオイルダラーの国が逆に磯崎新氏を起用するというような形もございますが、御覧になっていて、何が日本の政治のリーダーシップの上で、こうした都市景観をつくる上でもう少し学ぶ点があられるとお考えでしょうか。
  44. 青木保

    政府参考人青木保君) 何といっても、まずどういうふうな都市を日本でつくるべきかという、そういう言わばイメージあるいは理論というものが近代日本国家では欠けていたと思いますね。これは今まで非常に大きな問題として残っていると思います。  ですから、それをやはり東京なら東京という、どういう都市にするかという明確なビジョンがないと、幾らいろんなことをやっても部分的なことになってしまいますから。そういう明確なビジョンを打ち出すことが一番大切で、それについていろんな規制とかあるいは施策を行っていくというんですが、これはもう、ヨーロッパ都市は別としまして、アメリカもそれからもちろんアジア諸国もみんな悩んでいるところでございますので、むしろアジア諸国とも一緒にやっていけるような問題ではないかというふうに私は考えています。
  45. 田中康夫

    田中康夫君 まさに冒頭でも申し上げましたが、的確な認識や迅速な決断、そして明確な責任を持つということが政治でございます。でありますからして、選挙で選ばれ、選挙で更に判断をされるという政治というものが存在をしていると私は思います。  青木さんが恐らくおっしゃられたことも、先日、実は首相官邸で韓国の大統領の晩さん会がございました。そのとき私が同席をさせていただいたテーブルが、従来は産業資源部というサプライサイドのお名前だったのを、漢字で書きますと知識経済部というふうに、ナレッジエコノミーというふうに部を変えまして、そこに民間からいらっしゃった李允鎬さんという方がその最高責任者でいらっしゃいました。  彼ともお話をしているときに、皆さん御存じのように、李明博大統領はソウル市長であったときに、清渓川という川の上に高速道路が通って小さな商店が並んでいたところを、川を再生をいたしました。再生をするだけなら、ダムを造った後、その周りに親水公園を造るという取って付けたようなことは日本でも行ってきておりますが、そういう内容ではございません。そして、この小さな商店街の人たちの仕事を奪ったわけではございません。彼自身がその場にリーダーとして出かけて、今空いている空き地に取りあえず移ってもらって、そこで商店をやってくれと。川が再生できて、皆のために、できた後には必ずあなた方の営業する場所も提供すると。良い意味での明確な責任の下でリーダーシップがあればこそ、極めて短期間に変わりました。  脱ダム宣言を出しました私でありますが、私、東京オリンピックの前年に黒部ダムができたときに、議員の皆さん日本は大変な捨てたものじゃないとお思いになられたと思います。あるいは、世界銀行のお金を多少は使っていたかもしれません。しかし、東海道新幹線ができたときも日本は捨てたものじゃないと思われたと思います。  しかし、今だれが、徳山ダムという、三百億円台であった金額が三千億円になって岐阜県にできる。私どもの同志であります大河原雅子嬢が福田ダムと言ったら色をなされてお怒りになられましたが、八ツ場ダムという、まさに計画が何度も変更していって、近い将来は穴空きダムにしてでも維持しようとしている。でも、これは地域に還元されない、中央搾取の利権構造の維持にほかならないと私は思います。  そうではなくて、私たちが電線の地中化を、例えば道路特定財源にかかわらず、私たちの予算の中で今の金額の五倍増にすると。その代わりに、十年間の間に駅前から五百メートルはすべて電線の地中化をするのだと。そのことによって、両側電線地中化をすれば、片側は歩道を設けることが幾ばくかできます。ベビーカーのお母様にとっても宅配便のお兄さんにとっても、これは小さいけれども確かな、日本が捨てたものじゃない変化を実感できることではなかろうかと思います。  そして、このことが、前回申し上げた築地の市場というようなものを、こちらにございます。(資料提示)このような、水銀が二十四倍、砒素が四十九倍、シアンが四百九十倍、ベンゼンが千五百倍というような場所に移すと。新銀行東京に四百億円使うことは世論になど従っていては決断できないとあるリーダーはおっしゃっていますが、逆に言えば、こうしたものを観光の聖地である水産業、私たちの水産、おすしの世界文化であります日本の聖地というものをこの場所で、フィッシャーマンズワーフのようにしていくこと、あるいは電線の地中化をしていくこと、そうしたことが、青木さんからも御示唆をいただいた、良い意味での人々に立ったリーダーシップの下で、政治がそしてまた国土交通省がソフトパワーの官庁として人の生命と財産を守ることで皆から支持されていくことにつながろうかと私は思っております。  この点に関しまして、先ほどの慣行水利権も含め、冬柴さんが人々の立場に立ったリーダーシップというものを発揮されることを願って、質問を終わりにいたします。ありがとうございます。
  46. 藤本祐司

    藤本祐司君 民主党・新緑風会・国民新日本藤本でございます。  今日は国土交通省設置法の一部改正について質問をしたいと思うんですが、実は今朝ほどからのいわゆる財政金融委員会との連合審査会の話も幾つか聞かせていただきながら、そして今の田中康夫議員のお話も聞いて、幾つかちょっと確認をしたい点があるものですから、昨日の通告とは別でちょっと確認だけさせていただきたいというふうに思います、申し訳ないですが。通告しておりませんので、なかなか全部お答えになりにくい部分もあろうかと思いますが、その部分はまた追ってお聞きできればというふうに思いますが。  ちょっと大臣、確認なんですが、先ほど田中議員のところで、淀川流域委員会ですか、これ五百回以上やられたというような御答弁があったんですが、五百回以上やって会議費二十億というお話がありまして、それは間違いないんでしょうか。
  47. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) ちょっと後で、済みません。
  48. 藤本祐司

    藤本祐司君 はい。じゃ、ちょっとほかの、次にしておきますね。  というのは、五百回で二十億というと一回四百万になっちゃうんですよ。この新聞、田中さんがお配りになった、これが委員会でこれで四百万掛かるはずがないなと思いまして、どういう数字になっているのかなというのをちょっと確認をさせていただこうかと思ったものですから。それで、もし四百万掛かっていたら大変な無駄遣いになるし、けたが違うんだったら訂正された方がいいのかなという、そういうことで確認をさせてもらいますが。  あと、ちょっと別の質問なんですが、先に、じゃほかの、時間もったいないので質問させていただきますが、今、厚生労働委員会の方でいわゆる新型インフルエンザの発生に備えて感染症予防法と検疫法ですか、の審議をなされているんだと思うんですが、まさに国土交通省のいわゆる国際観光振興ということになりますと、そこの辺りをやっぱりしっかり考えないといけないんだろうと。患者の強制入院とか就業制限とか、そういうものもここの改正案で考えていくとか、危険区域の封鎖、立入り制限とか交通規制と、いわゆる交通規制というのも一つのやり方の中身になってくるんだろうと思うんですが。  まさに今、韓国等もその鳥インフルエンザの問題が出てきておりまして、例えば韓国ということで、韓国から日本に来るところはどこか水際で厚生労働省なりがきちっとやっていけば、検疫するということでチェックはできるんだろうと思いますが、我々、我が国から旅行する、韓国というのは一番国際観光として日本と交流が密なところですので、まさに連休直前でございますので、その辺りは国土交通省としてどういう対応をされようとしているのか。また、新型インフルエンザ、韓国だけではなくて様々広がりを見せたときに、ちょっとそこら辺りは前もって早め早めに手を考えておかないと大変なことになるんだろうなというふうに思いますが、ちょっとそこら辺りを教えていただきたいと思います。
  49. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  ただいま藤本委員から御指摘があった点でございますが、いわゆる安全情報の一部という形で旅行者に対して提供されておりまして、安全に関する情報でございますから、これ混乱がありますと、旅行者にとってもまた相手国にとっても大きな問題になるということで、外務省が一元的にこれを取りまとめるという形になっております。外務省でつくられました安全旅行情報が、日本旅行業協会という旅行会社で構成される団体がございますが、ここに自動的に流されまして、ここを通じて旅行会社に周知され、旅行会社が旅行者に対してその情報を提供するという仕組みを取っているところでございます。  これが基本形でございまして、随時、例えば厚生労働省さんから今、鳥インフルエンザのお話がございましたが、そのような問題が出て、帰国するときに空港で検査をするあるいは情報提供を求めるということがございますので、そういうケースがある場合には私どもの方に協力要請があって、そんな動きもあるので帰国時に御注意をくださいという、こんなような対応をしているところでございます。
  50. 藤本祐司

    藤本祐司君 旅行者というのは旅行客という意味ですよね。そうしましたら今、旅行会社を通じてということですけれども、個人旅行が増えている中で、必ずしも旅行会社を通さないで航空券のチケットを手配をして独自で行かれる方というのは大変増えてきているし、それもほとんど今そういう状況になっているんだろうと思いますが、その方々は自ら情報を集めて、外務省がどういうワーニングを出しているのかとか、その辺をやらないとやっぱり分からないということなんでしょうか。
  51. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  日本旅行業協会ということで、旅行会社というふうに特に申し上げましたですが、航空会社も含まれる組織でございまして、航空券の購入時にも同様の情報が提供される仕組みになっておりますので、もちろん外務省等のインターネットのサイトでも情報の確認はできますけれども、そういういわゆる主体的な行動を取らなくても情報提供が基本的にはされる仕組みになっております。
  52. 藤本祐司

    藤本祐司君 分かりました。連休を控えていますので、ここでもう既に予定を全部立てちゃってしまっている方というのもいるんだろうと思いますので、そこのところ、それだけで十分なのかなというのは若干疑問がある。そこは、国土交通省だけではなくて、外務省なり厚生労働省なり、その辺りとの情報交換を密にしていかないと正確な情報が伝わらなくなってしまうんじゃないかなというふうに思いますので、これは通告しておりませんのでこの程度にしておきたいと思いますが、是非その辺りの情報提供というのをしっかりやっていただければというふうに思います。  それと、もう一つは、今朝の午前中の連合審査会で幾つか指摘をされておりますのと、あと今朝の新聞にも載っておるんですが、鰐淵議員が公益法人五十社の、五十の公益法人をチェックされているというようなお話がありましたが、今朝の新聞でも、二〇〇六年度のことですが、道路特定財源を使って調査研究業務を委託した二十二の公益法人のうち、五つの法人がいわゆる再委託ということで五〇%を超すような業務をされていたということなんですが、新聞によりますと、国土交通省は、再委託が無制限に広がれば随意契約の意味が薄れるということで、再委託をできる範囲を業務一件につき受注額の三分の一以下に制限する方針であるというふうに書かれてはいるんですが、それはそのとおりでよろしいんでしょうか。
  53. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) そのとおりでございます。再委託率を三割以下ということで制限をしてコントロールしてまいりたいと考えております。で、三割ということにこだわらずに、できる限り下げていくということも併せて書いております。
  54. 藤本祐司

    藤本祐司君 実は、それはとても危険なことなんだというふうに私は思っておりまして、私もシンクタンクに十五年おりましたんで再委託を受ける側でございまして、どういうことが起きるかといいますと、無理やり三割以下に下げるんですよ。業務内容というのはほとんど変わらずに金額だけ三割以下にして、ほとんど今までと変わらない業務をそれでやれということになってくるという場合が往々にして多いんですね。  そもそも再委託をするという、随意契約というのは、特殊技能を持っているとか、特殊な知識、特殊な情報を持っているから随意契約をするという、そういう前提があって、ほかにも五社も六社も十社も同じような業務ができるのであれば、これは企画競争なり一般競争入札をするというのが本来の形なんだろうと思います。  ですから、ここで随意契約をするということの本当の趣旨を考えると、再委託をすること自体がもうおかしいわけでありまして、それが三割なら良くて五割じゃいけないよとか、そういう問題ではないんだろうなと。  ですから、再委託をするということがまず問題であることと、随意契約であるのであれば、それなりの相当の理由が明確であるということが必要になってくるんだろうと思いますので、むしろ随契を減らして競争入札あるいは企画競争にしていく、一般競争にしていくということの方が多分正しくて、このやり方をやると、かえって再委託を受ける側としては疲弊をして、同じ業務はあれやれこれやれってやられて、結局自分たちは大したやらなくてもいいような視察をしてお金を取って、七割だけ自分たちが持っていくというようなことも現実にありますので、この方針がもし最終決定だとするならば再考の余地はあるんだろうというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  55. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 二つはしょって御説明を申し上げました。  一つは、特命随契というのを九〇%以上あったものを四%にするということがまず大前提でございます。それからもう一つは、再委託率を下げるという前提は、できるだけ分離して発注できるものは分離して発注するという大前提がございます。そういうことを通じて、過度に公益法人の方に、仮に企画競争で取ったとしても、前提の調査の中身を仕分をしてきっちり分けて、三割になったから仕事は元のままということではなくて、そういう切り分けをして適正にやってまいりたいと考えてございます。
  56. 藤本祐司

    藤本祐司君 ありがとうございます。  特命随契をなくすというのはもう基本的な方針だということは何度もいろんな場所で聞きますが、まさに分離をして、最初から、発注する段階から、これは特殊技能だとか特殊な知識が必要だとかという部分についてはこうで、それ以外のところは分けて多分発注をしていかないと、その委託、公益法人にそこを任せてしまうと、それで三割だからいいだろうというようにやってしまうとかえって問題が大きくなるというふうに思いますので、そこの辺りはしっかり実情というのを把握してお願いをしたいなというふうに思います。  また、本題に入る前にまた幾つか、大変申し訳ないんですが、長谷川議員が道路特定財源の無駄遣いについて質問をされて、そういう無駄遣いはやらないんだというようなお話はございましたが、そのときに、やはり冬柴大臣も公明党所属の大臣であるということの中で、いわゆる自動車重量税についてもお話がございました。  この自動車重量税のマニフェスト、二〇〇五年の総選挙のときのマニフェストを先ほど御自身から御紹介をいただいたと思いますが、自動車重量税については、その財源が本来の道路整備事業に活用されていない現状にかんがみ、例えば、暫定税率の引き下げにより納税者に還元することや、その使途のあり方を検討することなど、見直しますという、そういう文章があったわけなんですが。  ここでちょっと二つ質問大臣にお聞きしたいことがあるんですが、まず暫定税率の引下げにより納税者に還元するということは、暫定税率を引き下げる、あるいはゼロにするのも引下げのうちだと思いますけれども、暫定税率を引き下げることがいわゆる納税者に還元され、納税者にとってはプラスになるという、多分表現で読み取れるんですが、そういう意味でよろしいんでしたでしょうか。
  57. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 暫定税率につきましては、受益と負担というもののバランスが取れていなければならないと私は思っておるわけでございます。  そういう意味で、その重量税についていろんな使い方がされているということについて、これは改めなきゃいけないんじゃないかということで、九つの項目をきちっと具体的に挙げまして、そして、そのように改革をしてもらうということもマニフェスト、二つありますが、マニフェストのときには、そういうことがなければ暫定税率の引下げも検討しなきゃならないということを言っておりました。  それを踏まえて、政府・与党の決定のときにこの問題について、重量税については九つの我々は指標というものを掲げまして、そういうものを是非入れていただくということがやはり受益と負担とのバランスが取れる、そういうことではないかということを申し入れましたところ、それすべてを取り入れて政府の決定をしていただいたと、そういう経過があったということを御報告を申し上げます。
  58. 藤本祐司

    藤本祐司君 ちょっと私、今、意味がよく分からなかったですのでもう一度ちょっと御説明いただきたいんですが。ちょっと済みません、大臣済みません、もう一度ちょっと御説明いただけますか。  ちょっと、今大臣のおっしゃった意味がよく分からなかったものですから、もう一回同じ説明でも結構なんですが、していただけますか。
  59. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 恐縮です。  私、ちょっと今手元に資料がなくて急だったものですから、私の記憶に基づいて、当時幹事長をやっておったものですから、私としてはそのようなマニフェストを作ったことは事実でございます。したがって、その中で言ったことは、自動車重量税について必ずしも受益と負担ということが一致しないというふうに考えられる部分があるんではないかと、もしそういうものが改められないのであれば、これはやはり引き下げなきゃ、負担をお願いする以上、それに見合うものができなければおかしいという指摘をしたわけです。で、その場合には税率の引下げということも検討をすべきであるということがマニフェストに書いた問題であります。  いよいよそういうものを踏まえた、これは税制改正のときだったと思いますけれども、我々としては、じゃ重量税というものはどういうふうに使われたらいいのかということが話題になって、我々の方としては公式な書面として九項目を挙げて、自動車重量税というのはこういうふうにやはり使われなければならないのではないかということを申し上げた記憶があります、明瞭に。そして、その三項目にそれぞれ三項目ずつで計九項目の使い道についての具体的提案をいたしました。それを踏まえて、政府の方で、税制改正のときだったと思いますけれども、そのように改めたということで、そういうふうに改めていただいたというふうに私は記憶をいたしております。  なお、これ記憶に基づきますので不正確ではいけませんので、後刻、その資料等は委員の方へお届けさせていただきます。  それから、先ほどの淀川水系のことでございますが、平成十三年から平成十九年一月まで、一月でちょっと休止したんですけれども、それまで委員会五十六回、部会五百二十六回、合計五百八十二回、これに掛かった、委員の交通費とか謝金とかも含めまして約二十一億六百万円です。  それで、今、今日御指摘いただいた二十回というのは、その休止した後に、いいですか、十九年一月以降開かれたのが二十一回、そういうことです。そういうことで、淀川流域委員会というのはほかにない審議を遂げた委員会でございます。  それで、だから、そういう意味で、これ私もし間違っておったら訂正せにゃいかぬじゃないかとおっしゃっていただきましたので、今これ正確に申し上げているわけでございます。  以上でございます。
  60. 藤本祐司

    藤本祐司君 そうすると、一回当たりこれ四百万とかそのぐらい掛かっていることになってしまうんですよ、割り算すると。一回四百万の委員会会議をやっていたと、平均するとですよ。もちろん、それで視察をするとか何だとかというのがあるのかもしれないけど、何かそれはちょっと余りにも金額が高過ぎるような気がしてならないのが一般ではありますが。それで、ちょっと通告しておりませんでしたので、これしっかり資料を出していただいて、それでちょっとまた検討させていただきたいと思います。  ちょっと、最初の、さきの質問に戻りますけれども、それで冬柴大臣、長谷川議員からの質問の中で、いろいろミュージカルがあったとか、ミュージカルをつくってしまったとか、あるいは旅行だとか旅費だとかと、余りにも無駄だからもうこれやめますということは何度も何度も御答弁をいただいていたんですが、それはやはり冬柴大臣大臣になられて、あるいはこの国会でいろいろ議論があって初めてこういう使われ方を知ったという理解でよろしいんですか。
  61. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) お恥ずかしい話で、私自身はそうです。  それで私はびっくりして、それをすぐやめますということを申し上げたりしたのは、そのときに御指摘いただいた、だから私は、今国会における特に衆議院予算委員会における先生方というのは、資料要求はもうすごい、五年ぐらい前から資料要求していただいているんですよ、物すごい膨大な。そういうものに基づいて御指摘をいただきました。私は、改めるべきものはもうすぐに改めなきゃいけない。  これいろいろ、これはどうだとかああだとか言っていたらあれだけれども、聞いたところが、例えばマッサージチェア、これは会社の寮とかでも置いてあるところはあると思いますけれども、私は、道路特定財源というところの税金からそれを買うということは、私の目線からは許せないと、やめると、即やめるということを申し上げました。そのほかも、金額は別としましても、何か空気清浄機だったらまだ分かるんですけれども、もっと違うもの、これは金額は二万か三万ですけれども、そういうものも私はすぐやめさせますと、こういうことでやったわけで、それを集大成したものが最初の方です。
  62. 藤本祐司

    藤本祐司君 ちょっと先ほどの資料請求につきましては、ちょっと御検討をいただきたいと思います。済みません。
  63. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 理事会で協議いたしたいと思います。
  64. 藤本祐司

    藤本祐司君 お願いします。  それと、今大臣になられてからそういう状況を知ったというお話だろうと思うんですが、ただやはり公明党さんのマニフェストで、自動車重量税についてはというところの、についてはとは書いてあるんですが、その財源が本来の道路整備事業に活用されていない現状にかんがみと書いてあるんですね。  ということは、二〇〇五年の段階で、先ほど冬柴大臣が御自身が幹事長であられたというふうにお話がございましたが、その当時、今ほどでないとは思うかもしれませんが、当時もその財源は本来の道路整備事業に活用されていないということはある程度知識として、情報として入っていたんだろうと思うんですが、そうであるならば、その後、北側前国土交通大臣もその当時だったと思いますし、その後も冬柴大臣が御着任なされている。その段階でなぜ手を着けられなかったのかなというのが素朴な疑問なものですから、その点を教えてください。
  65. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 当時、一般財源に初めて入れることになったんです。それを指して言っているんです、無駄遣いじゃなしに、無駄遣いじゃなしに。いわゆる道路特定財源の中から、シーリングが掛かりますからね。いや、これ余っているからじゃないですよ。シーリング掛かるでしょう。そうすると、差が出ますね、税収との間。それを一般財源に入れましたね。それを指して言っているわけですよ。そういうことするんであれば、これは当時からタックスペイヤーは物すごい署名集めてきましたよ、実際問題、そういうことでございます。
  66. 藤本祐司

    藤本祐司君 確かにそういうことで読み取ろうと思えば読み取れるわけですので、これ以上ちょっと、これは解釈の問題と、作った方々の問題でどうでも解釈できるという意味からすれば、今の御答弁を信じざるを得ないのかなというふうには思います。  そして、道路と観光の、今日は観光庁のこともございますので、観光との関係をちょっとお聞きしたいんですが、午前中の連合審査会のときもそうだったんですが、道路ができることによって企業立地が進みますよと、実際に三重県の例であるとか滋賀県の例で、これはこの間の決算委員会でも御説明をいただきました。確かに企業立地が進むというところはあるんですが、多分、そうはいっても、どこかが増えればどこかが減るという部分もあるんだろうと思いますので、ただ、その一つの促進手段として道路があるんだよという、多分そういう意味だというふうに解釈はできるんですが。  では、観光ですね。これ地方に行きますと、道路ができると観光開発、観光振興が進むんだとか、観光面で非常に地域活性化するんだという声が多いんですね。私もシンクタンクにいた十五年間で、もう当たり前のように、道路ができれば観光が進むんだと、もうほかのこと何もやらなくても道路さえできれば観光がどんどんどんどん進んでいくんだというような思いを持っている方々も結構地方にはいらっしゃる。  では、そこで改めてお聞きしたいんですが、道路というのと観光振興というものの関係なんですね。実際に道路が整備されたことによって観光が本当に促進をされた、継続的にですよ、継続的に促進された具体的な事例があったら、ここはこういう道路整備をやったおかげでこれだけの観光客が増えたんだ、あるいは経済効果が生まれたんだというのをあったらちょっとお示しいただきたいと思います。
  67. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) たくさんあります。たくさんありますけれども、時間がありませんので二つだけ挙げさせていただきますと、一つは和歌山県における国道百六十九号、奥瀞道路という、奥瀞道路の整備によりまして、北山村というところへの観光客数が供用前の平成六年は二万四千人でありましたが、平成十二年以降九万五千人前後と約四倍でずっと推移しております。これは典型的な事例だろうと思います。  それからもう一つは、東海北陸自動車道等の整備によりまして、世界遺産である白川郷、あの合掌造りだと思いますが、そこの駐車場利用台数が平成十一年に比較して平成十六、十七年はおおむね二倍でずっと推移しているという、その二つを挙げさせていただきます。  何ぼでもあります。
  68. 藤本祐司

    藤本祐司君 多分、これは道路だけの効果ではなくて、白川郷なんかは世界遺産になったよということがあって、そこの資源が非常に魅力が高いということから多分行くんだろうと思いますし、先ほどの和歌山の例を言われましたけれども、これも供用開始はたしか平成八年の七月ですから、その七月の段階でぐっと上がったということなのか、あるいはそれ以外の要素があるのかというのも分かりませんけれども、それ以降は実はそれほど増えてはいない。ただ、平成六年から見ると三倍ぐらいになっているということなんだろうと思います。  ただ、これは多分釈迦に説法な話だろうと思いますが、道路さえできればすべて観光が振興するということでは多分ないんだろうなと。やはりその観光地というのが魅力あるものであって観光客のニーズに合ったものでなければ、幾ら道路があったとしても多分それはお客さんは行かない。あるいは、行ったとしてもいわゆる一年か二年で御祝儀需要で終わってしまう。これは鉄道も道路も多分同じなんだろうなというふうに思いますので、そういう意味では、観光を振興するのは総合的な理由ということが必要になってくるんだろうと思います。  ただ、逆に一方で、では、道路があって車両規制をする、車両規制をしても結構観光地というのははやっている、はやるというか、お客さんが増えるというところも幾つもあるわけですね。ですから、その一方でそのような例がある中で、やはりただ単に移動することが容易であるからといって観光地が潤うようになるということでもないだろうということ、それを全部やっぱりとらえて観光振興というのを考えていかなきゃならないんだろうというふうに思いますが。  ちょっとその車両規制のお話をさせていただくと、全国で車両規制をやることによって観光地というのはどういう影響があるのか、何か具体的な事例があれば教えていただきたいと思います。
  69. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) 車両規制を行っている観光地の具体例、幾つかございますが、すべてについて網羅的にちょっと把握できておりません。例えば尾瀬、上高地、乗鞍、こういうところで車両規制を行っております。  その中で、最近の事例で申し上げたいと思いますが、乗鞍で平成十五年に自家用車の規制を行っております。このときの効果でございますが、松本市が調査をしておりますけれども、車両規制を導入いたしました十五年の前年の十四年、これが約八十四万人の入り込みがございました。これに対しまして、導入後の平成十五年、約六十七万人と実は大きく落ち込んでおります。この落ち込みのどれだけの部分が車両規制、自動車の乗り入れ規制の影響によるのかということは、ちょっと申し訳ございませんが分析できておりません。
  70. 藤本祐司

    藤本祐司君 今、一つ乗鞍の例を出していただきましたが、必ずしも車両規制だけで減るということでも実はなくて、田沢湖とかも、そこもやっておられたりするんですが、こういう現象が起きているという話は私も行って聞いてまいりました。  要するに、本当にそこの地域に行きたい人というのはある程度不便でも行くんだと。これは観光の要素なんですけれども、すぐに行けるところというのは、大体みんなは次のシーズンに行けばいいやとかいってだんだんだんだん行かなくて、結局行かないということが起きますので、本当に行ってみたい、先ほどの白川もそうだと思いますし、そういう自然環境のいいところとか、世界遺産に指定されると、大体そこへ行ってみたいと思うと多少不便でも行くんですね。ですから、乗鞍はそこまでの魅力がなかったのか、そこの一つの工夫が少なかったのか分かりませんけれども、基本的には本当に見たい、行きたいという人が行くようになる。  となると、マナーが非常に良くなったという話なんですね。ごみも少なくなったというような話があります。ですから、むしろ社会コストというのをそこで下げることができて、環境にもプラスになっているんだというような話もありますので、この辺りもやはり考えていかなきゃいけないなというふうには思うんですが。  先ほど田中議員もパリの話をされました。車の乗り入れ規制というのは今、町の中でも欧米の中ではやっています。欧米の方々と一緒に旅行したりする機会があると、町の中に車ががんがん入ってきて、こんな狭いところに車が入ってくることに対して物すごい不可思議だと、なぜこれを乗り入れ規制しないんだということを皆さん言われるんですね。  要するに、日本は車がまず優先、歩行者はその次というのが町づくりの今までの基本になってきたということも現実としてはあるんだろうというふうに思いますし、まさに観光を、これから観光立国ということで外からお客様を、特に欧米の方なんかも含めて入ってきて楽しんでいただくためには、こういう意味での町の中での車の乗り入れ規制とか、そういうところもしっかりとやはり手を打っていかないといけないんだろうというふうに思うんですけれども、その点についてはどのようにお考えになりますでしょうか。
  71. 宮田年耕

    政府参考人宮田年耕君) 道路局が答えると少し違うのかもしれませんが、我々、社会実験をたくさんしてございます。  今委員の御視点での社会実験ということで申し上げますと、例えば白川郷、パーク・アンド・ライドで、周りに駐車場をつくってそこから歩いてそれぞれの合掌造りのところを見ていただくという社会実験をしておりまして、それが実施に向かって動きました。それから、そういったたぐいの観光地の交通円滑化、まさに流入制限を含んだものを十一か所やってございますし、町中も含んでの公共交通機関の利用促進ということで、パーク・アンド・ライドあるいはバス利用の促進という社会実験を十三やってございます。  それから、歩行者、自転車の優先ということで、トランジットモールの社会実験等も五十三か所でやってございまして、こういう実験結果踏まえて、いろんな利害調整が出てまいります、商店街にとっていい悪いも出てまいりますし、いろんな方々がいらっしゃいますので、そういう調整を社会実験の中でしながら、実現に向けて前進をしたいと考えてございます。
  72. 藤本祐司

    藤本祐司君 是非そういう実験でいろいろやってみる、モデル地区をつくってみるとか、そういうことをやってみていただきたいと思いますし、国際観光と言っているんであれば、欧米の方々のニーズというのはどうなっているのかということもやはり調べていただきたいなというふうに思います。  田中議員の影響ではありませんが、海外の方の名前を言いますと、エイドリアン・ゼッカーという方がおりまして、アマンを、アマングループという、ホテルを造っている創始者の方なんですが、その方なんかは意図的に空港から不便なところにホテルを造ると。その代わり、そんな不便であっても行きたいんだというものを造っていく、それが本来の魅力でありサービスの向上につながるんだということでやっている方々。非常にこれはうまくいっているというか、高いお金でも、価格も高くても行く方々がいるということを考えると、ちょっとそれは発想の転換として是非。これはもうお分かりだというふうには思いますけれども、観光を振興させるのはただ単に便利にすればいいというものでもないとか、あるいはもう、まさに我々、例えば物を買うにしても、ここでしか売っていないものを買うとかという、どこでもいつでも買えるんだったらやっぱり別に買わなくていいやという話になってくるという人間の心理というのがあると思いますので。私もシンクタンクでずっと、道路さえできればこれで観光地が潤うんだとよく言われるのを、いや、そうじゃないよというふうに言ってきましたけれども、まさにそこのところの発想の転換を、観光に携わる、観光庁になるわけですけど、庁だけではなくて、もっともっとそれは国土交通省以外にも広げていっていただくような努力を是非していただきたいなというふうに思っております。  本題に入ります。といっても、あと本題十分ぐらいで終わってしまいますが、観光庁設置のところなんですが、これ観光立国推進基本法というのができ上がりまして、成立をして、それが前提となっているというふうに私は認識をしております。私もこの観光立国推進基本法の附帯決議あるいはその本体の方の修正も中心でやらせていただいたということで、まあまず一歩は前進かなというふうには正直思っておりますが、ここの附帯決議ですね、特に参議院ですので参議院の附帯決議を国土交通省としてはどのように解釈をしてこれを設置をしようと。ただ書いてあるからさあやろうというだけではなくて、やはりこれを、本来の趣旨というのを理解をした上で作らないと魂が入らないというふうに思いますが、どのような解釈をされて今回に至っているのか教えていただきたいと思います。
  73. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘のありました附帯決議でございますが、八項目ございまして、委員指摘は八番目の組織設立に関する附帯決議だと理解をしております。この附帯決議では、各省庁の横断的な英知を結集しながら、総合的、効果的かつ効率的に行って観光立国の実現を目指すと、こういう規定が置かれているところでございます。したがいまして、観光庁の設置をいたしまして、国土交通省の枠の中だけで仕事をしていくということではなくて、省庁横断的に力を発揮していくということが求められているんだと、まずこういう基本的な認識を持っているところでございます。  御案内のとおり、今委員からも御指摘もありました観光立国推進基本法に基づきまして昨年六月に閣議決定された基本計画、この中には各省庁が講ずべき措置というものが網羅的に盛られておりまして、これを象徴的に五つの数値目標という形で実現をしていくということになっているところでございます。これができるような調整機能を観光庁が持っていくことが重要というのが基本認識でございまして、そのために、三条機関という形で長官が他省庁に対しまして意見の具申ができ、あるいは資料の提出要求ができるということで機能強化をさせるということで、これまで以上の調整機能が発揮できると、こういうように思っているところでございます。  また、窓口の一元化ができますので、自治体、国民にとっても観光行政の姿が分かりやすくなると、こんな効果も期待しておりますし、三番目に、対外的に長官という形で非常に顔がはっきりしてまいりますので、外国との関係で調整の機能も上がっていくと、こんな理解をしているところでございます。
  74. 藤本祐司

    藤本祐司君 多分、今までは国土交通省だけではなくて、今もそうなんだと思いますが、厚生労働省とか農水省とか文化庁とか文部科学省とか経済産業省とか、様々、総務省も含めて、いろんなところで観光の政策を単独でそれぞれやってこられてきたんだろうというふうに思います。ただ、それをやはり束ねて、無駄な、無駄なといいますか、効率よく運営をしていくということが一つ一番重要なポイントだと思いますが、具体的に、ちょっと、確かに権限長官が持つということで、そこからいろいろ指示なりをすることになるというお話でありますけれども、現実としては、やはり国土交通省の中に観光庁、外局として観光庁があるということになったときに、ほかの省庁がほかの省庁に対してというか、ほかの省庁がその長官とうまく連携をして、いやこれは我々の方なんだよということがないようにしなければならない。そこが非常に難しいところなのかな、現実的には。現実的には難しいところなのかなというふうに思うんですけれども、各省庁の英知を結集するとか、その辺りどのように具体的にやられるのかという何かイメージがあれば教えてもらいたいと思うんですが。
  75. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  まず、基本的な調整のメカニズムをおつくりいただいていると思っております。まずは、観光立国推進基本計画というものを閣議決定いただきまして、国土交通省のみならず各省庁がそれぞれ責任を持って施策を講ずるという仕組みができまして、これを受けて観光立国推進のための関係閣僚会議、これは総理が主導されるものでございますが、これが設置されて、その下に関係局長会議が置かれております。国交省が内閣官房とともに事務局を務めておりますけれども、この場で基本計画が盛られた事項が適切に推進されているかどうかがチェックできるという、まずそういうメカニズムを一つつくっているところでございます。  こういうものを踏まえまして、具体的な省庁横割り的な対応を進めていくということが重要と思っております。その一つの現れといたしまして、今国会に、観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律案というのを出させていただいておりますが、この中でも農林水産省さんと共同提案ということで一緒に政策連携をやっていくということをうたっているところでございますが、こんな形での政策連携を進めていくということが一つ大きな柱になっていると理解しております。  それから、もう一つまた違った切り口でございますが、地域の方々が各省庁が持っている観光関係の施策を横断的に活用できるようにする、こういう観点から、私どもの総合政策局の観光部門、それから地方運輸局にこの四月一日に観光地域づくりに関する相談窓口を開設したところでございます。この窓口では、観光関連の支援制度につきまして関係省庁が所管するものも含めまして地域の方々紹介をさせていただきまして、そこにとどまらず、関係省庁と調整が必要であれば私ども自身が乗り出していって調整のお手伝いをさせていただくと、ここまで踏み込んでやっているところでございます。  こんな形で省庁連携の実を上げてまいりたいというのが私どもの考えているところでございます。
  76. 藤本祐司

    藤本祐司君 もう時間がなくなってしまいまして、昨日実は通告で観光関連施策であるとか、基本計画の中身とか、目標値の立て方とか、ビジット・ジャパン・キャンペーンとか、いろいろ人材育成とか考えておったんですが、観光圏整備ですね、これの法案のときにでもまたそちらの方は質問させていただきたいと思いますので、最後に冬柴大臣に、この観光というのが本当にリーディング産業になっていくんだと、日本の産業構造の転換の一つにもなってリーディング産業になっていくんだという思いが、御決意があるんだろうと思いますので、観光立国担当大臣として、この観光庁、絶対にうまく効率的に、効果的に進めていくんだというその御決意をお聞きしたいと思います。
  77. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 我が国には古い歴史、伝統、文化というものがその土地その土地にあります。平城遷都千三百年ということは、もう七百十年にあのような平城という都を造った国でして、ただそれだけであればいろいろあると思いますが、そのまだ百年前の六〇七年には法隆寺ができているんですね、聖徳太子の。そういうものは、今、法隆寺のあの木造の仏閣というか、そういうものが今にして残っているわけですね、すばらしい技術がですね。そういう民族であるということ、そういうものは自信と誇りにつながりますし、そしてそれだけではなしに、阿波踊りもそうですし、東北地方のいろんなお祭りもこれは本当に我々は誇りに思えるものでございます。  したがいまして、そのようなものを、観光資源と言っていいんでしょうか、そういうものを我々としては、そこに住む人にとっても自信を持たし、そしてまた訪れた人もすばらしい、こういうようなものをそこへ磨きを掛けていくということは非常にこれからの我々の国家の基本政策としていいのではないかというふうに思いますし、そうあるべきだと思います。  幸いにして、衆参の議員さんの提案によって観光立国推進基本法が成立させていただきまして、またこれに基づいてこの六月には閣議決定で基本計画まで作っていただきました。したがいまして、その前にはビジット・ジャパン・キャンペーンということで、日本へ二〇一〇年には一千万人の外国人旅行者をお招きすることができるように頑張ろうということでやっていますけれども、着々とそれは運んでいるわけでございまして。私は、そういうことで今地方の経済がやはり低迷していますけれども、こういう熊野古道の沿線のこんな小さな村にでも九万人も十万人も人が行くということは、観光というのはいかにすごいものかということが証左だろうと思います。したがって、私は、これは政府を挙げて一丸となって取り組むべき課題である、そういう意味で、私も観光立国担当大臣ということを拝命をいたしました。したがいまして、これについて尽瘁したいというふうに思っております。
  78. 藤本祐司

    藤本祐司君 本当にこれ総合的にやっていかないと意味がないでしょうし、観光の形というのは昔みたいに単に名所旧跡、物見遊山的なところではなくなってきている、本当に多様性があるものだという意味でも総合的にまとめていく価値があるんだろうと思いますので、是非これはうまく進めていっていただきたいなというふうに思います。  ありがとうございました。終わります。
  79. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 自由民主党の伊達忠一でございます。  今国会に提出されましたこの設置法案の一部改正について何点か質問させていただきたいと、こう思っております。  私も予算委の理事をさせていただいたり、また先ほど来御質問ございました国交省の法人の改革のPTの委員をさせていただきました。今ほどもいろいろと御質問ございましたが、本当に国民の信頼を取り戻すために大変、大臣、御苦労されて決断をされたなということを私はつくづく思いまして、心から大臣に私は敬意を表したいと、こう思っております。やっぱりこういう道路財源、大変大きな話題になっているときでございますので、何といってもやっぱり国民の信頼を取り戻すことが私は一番大事だろうと、こう思っておりまして、私は、はっきりとした大臣の態度、決断、これに本当にもう感謝申し上げたいと、こう思っております。  そこで、実は今回提出されました法案、一つは観光庁の設置でございます。私は、これについてはかつてからやはり独立したことを設けるべきだということを私は言ってまいった一人でございます。あわせて、航空鉄道調査会と海難の審判庁の改組と、それと船員労働委員会の廃止と、この三つでございますが、私も国土交通大臣政務官を拝命させていただいて、本当に量が多いな、大変な省庁だなということを実は一年数か月させていただいて感じました。それだけに、先ほど水岡委員からも御質問ございましたように、この福知山線の事故のときにも、ちょうど私は政務官をやっておりまして、早速現地にもお邪魔させていただいたり、一周忌のときに私が代表して大臣と一緒にお参りに行ったという経緯も実はあるわけでございますが、それだけに私は大変大事な委員会だと、こう思っております。  これを、先ほどお聞きいたしますと、より精度の高いものにして迅速に対応できる、そういうものに改組していくんだということでございまして、山形の突風の事故もございましたし、私はやっぱりこういう問題はすべて事故が起きると人身に絡んでいっているということから、是非ひとついいように、そしてまた再発の防止のために即刻対応できる、そういうものにひとつ改組していただきたいと、こう思っておりますし、また船員労働組合、この委員会の廃止につきましては、私もよく詳しくは承知をしておりませんが、何か先ほど申し上げたように、仕事の量からいって、そうしてまた大事なことをやっておられる立場からいって、この新しい観光庁を設置するために、何か行革に反するというようなことを言われるんではないかとか、そんなようなことで帳じり合わせみたいなことをして、廃止をしてよそにひっつけて新しいものを付けるんではないかと、焼け太りだなんて言う方もおられますが、そういう私は、改組するものはもちろんしていかなきゃなりませんけど、やっぱり正々堂々と時代に合ったものを新設していくについては、私は何も帳じり合わせをしないで堂々とやっていかれたらいいと、実はこう思っているんです。  それでまた、あとの二つについては後ほど質問させていただきたいと思いますけど、この観光庁の設置につきましては、かねてから私の個人的な願いでもございました。ようやく設置に踏み切ったんだなという実は感じがするわけでございますが、ビジット・ジャパンのときも、小泉総理が打ち出したときにも、私はこれはこういうものを局か何かにして独立をしてやっぱり国として取り組むべきだということを申し上げたことがあるんですが、そういうことから、やはり先ほど言っておられたように、大臣も、二〇一〇年には一千万人にするんだという目標であれば、やはり私はこのぐらいのことをやっていかなければならないんだろうと、こう思っております。  そんなことから、実は、先ほど藤本さんも言っておりましたが、今まではいわゆる外務省だとか経済産業省だとか農林省だとか文部省、各省庁にまたがっていまして縦割り的なところが非常に多かったんですが、この庁という、次官クラスですか、これ、庁ということになるとそのぐらいのやっぱり重みのあることを設置するわけでございますから、是非観光庁が総合調整役を果たされて、そしてまたリーダーシップを発揮して、国が一丸となってやっぱりやっていくということ、極めて私は重要なことだと、こう思っております。  そんなことから、今まで、片手間とは言いませんけど、総合政策局の中に六課あって、言ってみれば、ばらばらと言ったらおかしいんですが、その課なりの役目を果たしているんでしょうけど、七十九人ぐらいいたのが今度は百三人体制でやっていくということでございますので、創設をした意気込みと、そしてこれに対する目的をきちっとやっぱり達成できるという意気込みを是非大臣にお聞きをしたい、こう思っております。
  80. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) ありがとうございます。  観光立国という言葉、立国というのは、経済立国とか科学立国とかいろんな文化立国とかあるんですけれども、こういう法文の中で立国と付けていただいたのはこの観光立国という言葉がもって嚆矢とするものでありまして、それほどにこれを議員提案していただいた多くの議員の先生方の思いというものもあったんだろうと思いますし、附帯決議の中にも、先ほどもお尋ねありましたけれども、衆参ともにそのような精神が盛り込まれております。  そして、私もまだ一年半ほど、この国土交通大臣を拝命して一年半ですけれども、この短い期間に海外出張、例えば中国六回行っていますし、韓国には二回かな、それからインドにも行っていますし、それすべてと言ってもいいぐらい観光ですよ。本当に、ほかも忙しいんですけれども、これどうしても行かなきゃならない用事が出てきまして、私はそういう意味で、今回このような次官クラスの方が長に就かれて、そしてこれは外国でもみんなあるんですね。文化観光庁とか部とか、そういうのをみんな持っているんですね。私の場合は一番最後のところへツーリズムというのが付いていますけれども、本当にこれは国が省を越えて、国が一丸となり、そして地方も、そして民間人も一緒になってこれやっていかないとできない仕事だと思います。  私はそういう意味で、今回、観光庁といういわゆる国家行政組織法三条機関でこれをつくっていただくということは、本当に多くの先生方が目指された、そのような二十一世紀の日本の緊急課題としてこれを、観光とらえていただいているというものを、我々としてはこれにこたえたつもりでございます。  そういう意味で私どもは、対外的な交渉権もありますし、それから他省庁に対する、長官自らがいろいろな意見を具申したり説明を求めたりする権限まで与えられますし、人事についても内部の規則についても制定権がございますので、その中で住んでよし、訪れてよしの国づくりを本当にみんなが頑張っていかなきゃならない、そんな思いでございます。
  81. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 立国を宣言されて、そしてまた昨年の六月ですか、観光推進基本計画というものを閣議決定をされたということでございますので、是非これが効果あるようにひとつ私はやっていきたいと、こう思っております。  そこで、よその国なんかを見ますと、何というんでしょう、今大臣が言ったように国を挙げてやっぱり取り組んでいく。今までもそう取り組んではきたんでしょうけど、何か片手間的に感じているわけでございますが、やっぱり企業とか産業というのは人材を育成していくということが私は必要だろうと、こう実は思っております。  先般聞いたら、やっと日本にも観光大学というのができたって言っていましたかな、大阪かどこかにね。というようなことで、なかなかそういうものが、やっぱり人材育成というものがされてなかったということが私は一つは問われている問題だろうと、こう思っておりますし、外国客を迎えるということになると、やっぱり外国語のできるガイドさんの問題であるとか、それからまた、そういう外国語で適切な案内をする案内表示板であるとかというものが私はやはり必要だろうと、こう思っております。そうでなかったらなかなか一千万人目標に達していくだけのあれになっていかないんじゃないかと、こう思うんですが、そういうようなことの対応であるとか、ちょっと一緒にお聞きをしたいんですが。  日本は五十か国ぐらいの中で三十番目なんですね、観光客が来るというのは。これは、私は、やはりよそから見るとかなり、一生懸命取り組んでいる割には、やっぱりフランスだとかというのは一番ですけど、これは先ほどお話がありましたように、文化だとか芸術だとかそういう、地の利ですとか治安ですとかいろんなことがあるかもしれませんけど、私は、ただそれだけで一番になっているということにはなってないと、こう思うんです。やっぱりほかの要素というものも私は多分にあるんだろうと、こう思うんですが、この二点についてちょっとお聞きをしてまいりたい、こう思っております。
  82. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  委員指摘のように、フランスは観光の一番の先進国の一つだと思っておりまして、学ぶべきことはたくさんあると、このように承知をしております。  今御指摘の中で人材育成のことにお触れになりましたですが、フランスには学校教育の段階で観光に関する教育を行っておりますところが大学、大学院レベルで約九十あるというふうにお聞きしております。  これに比較いたしますと日本の状況はまだまだのところもございますけれども、近年、大学に学部あるいは学科で観光の名前を付けたところが増えておりまして、十九年で三十三にまで来ております。その中には、先生のお地元でもある北海道大学のように、国立大学として初めて大学院レベルでの観光専攻を設けるところも出てきたところでございます。  そういう意味では、数字あるいは数の面においては相当の充実が図られてきていると、このように考えているところでございますが、内実を見ていきますと、まだまだカリキュラムの問題でありますとか、あるいは卒業後の進路に合った教育内容の充実と、こういうところにはまだまだ問題があると、このような理解をしておりまして、やはりこれをきちっと産業界のニーズに合ったものにしていかなければ観光立国の実現につながらないと、こういう観点から、産学官の情報共有化と観光分野の人材育成における連携方策を検討するために観光人材育成のための産学官連携検討会議と、こういうものを開催いたしまして、インターンのやり方に関する枠組みづくりを進めるなど、一歩一歩ではございますが、人材育成に努めているところでございます。  それから、お客様の受入れという意味では案内所の整備も大変重要だと、このように理解をしておりまして、ビジット・ジャパン案内所という仕組みを設けましてその数を増やしているところでございますが、平成二十二年までに三百か所を設けるという目標を立てまして、ちょっと数字は古うございますが、十八年度末時点で百五十五か所まで達しまして、これを昨年もう少しドライブを掛けて二百十四か所まで増やすと、このようなところに来ているところでございます。  いずれにいたしましても、受入れ体制の充実、大変重要だと思っておりますので、更に力を入れてまいりたいと考えているところでございます。
  83. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 そのとおりだと思うんです。私も調べてみましたら、とにかく九十以上の大学で観光学科というのを数十年前、五十年ぐらい前からもうやっておられるということでございますし、いわゆるいち早く観光局、観光庁、イギリスなんかは観光庁というのを引いて国の結局産業としてもう取り組んでいるという、この日本とはやっぱり私は姿勢が違ったと。単なるお城があるとか文化芸術があるとかというだけではないという感じがしますし、観光大臣に対しましても、いわゆるそういう大学を出た方たちのあれを顧問に教授連中を付けていろんな観光大臣にアドバイスをしているということでございますし、やはり大学生の半分以上が修士課程に進んでいくという、また国民的な意欲も違うなという実は感じがいたしました。だからこそ、やはりこのぐらい、世界で一番の観光客になるんだろうというように実は考えているわけでございますが、是非ひとつそれに負けじと取り組んでいただきたいと、こう実は思っております。  それから、今度は地元の地域の問題をちょっとお聞きしたいんですが、さっきちょっと言っておられましたが、観光庁をつくったと。庁をつくっただけでは、今の役所の今までの体制というのはやっぱり地方からなかなか愛されない、親しまれないというようなことがございます。  そんなことから、いわゆる地方の人、観光の政策部門ということでいろんな案内はしていたんでしょうけど、やはり地方の人たちが気楽に相談に行ける、そしていろんな事例を紹介したり、それからまた観光の開発するにはいろんな省庁から省庁にまたがる問題もあるでしょうし、例えば資金的な問題の融資のいろんな相談もあるでしょうし、そういうのを地方がやっぱり気軽に相談をできる、そういう体制というものもつくっていかなきゃならぬだろうと、私はこう思っているんです。  そんなことから、そういう体制というものについてどうなのかお聞かせをいただきたいと、こう思っています。
  84. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、観光地づくりを進めていくためには国と地方あるいは産業界との連携が非常に大切だと思っております。そのためにも国が積極的に情報提供しコンサルティングをしていくことが大切だと、こういう観点から、この四月一日に私どもの観光部門と地方運輸局に観光地域づくりに関する相談窓口というものを開設させていただきました。  これまでもいろんな相談活動をやってきておりましたが、一種のその集大成のような形でこういうものをつくったところでございますが、気軽に観光地域づくりについて相談をいただけたら、その内容に応じまして、今委員からもお話ございましたように、いろいろな事例の御紹介をさせていただくとか、それから関係省庁も含めました各種の観光に関する支援制度の紹介をさせていただき、また助言もさせていただきまして、多くの場合関係省庁あるいは関係部局との調整が必要になってまいりますので、その面でもお手伝いをさせていただくと、こんな構えをしているところでございます。
  85. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 是非ひとつ、今観光資源のあるところなんか、特に北海道なんというのは大変経済が疲弊している、産業もなかなか大変だということで、観光で生きようと今観光立国を宣言されて経済界挙げて実はやっているわけでございますが、やはりそういう地方の団体だとか、NPOだとか、経済界だとか、観光業界の人たちが気楽にやっぱり相談に行って、いわゆるアドバイスをできるような制度というのをきちっとやっぱりしていただきたいと、こう実は思っているところでございます。ありがとうございました。  それで、実は、今度は地元が抱えているこういういろんな問題について御相談をさせていただきたいと、こう思うんですが、観光産業というのは労働集約型だと、こう思うんです。それで、やはり観光地に行かれた方、リピーターの方たち、いわゆる行った方がもう一回行きたいとか、それから、あそこはいいよ、すばらしいよという、そういうことでもってこれがやっぱり広がっていくんだろうと、こう実は思っているんです。ですから、そういうところというのは、温泉地なんというのは都市部にあるわけでもございませんし、デパートがあるわけでもございません。大概はへんぴなところにあるというような地域が私は多いんだろうと、こう思っております。  そんなことから、先般も実は何回も私も業界の方たちと話をさせていただいたら、いわゆるそういう地域に、へんぴなところに行って働いてくれる人が今いないんですね。なかなか若い人はもう行かぬし、そうかといってなかなか昔みたいに仲居さんたちが来てくれるような状況でもないということから、いろんな相談を受けているんですが。農業ですとか水産業ですとか、そういう一次産業的なものについてはいわゆる技術の習得ということで実習制度がありまして、一年研修やってある程度認められるとあと二年雇用していくという制度がありますが、こういうような、例えば、もう今なかなか、お膳を下げたり布団を敷いたりという方たちというのは、もうそんな山奥に行って働いてくれるような人がおらないわけでございまして、そういう外国人の人たちを導入するような、この制度というのをこういう場面にも、ホテルだとか旅館だとか、こういう業界にもつながる制度というような、これは該当しないものなんですかな。これは厚生労働省かな、にちょっとお聞きします。
  86. 草野隆彦

    政府参考人草野隆彦君) お答えいたします。  おっしゃいますように、外国人研修技能実習制度というものがあるわけでございますが、この制度は技能移転を通じた開発途上国への国際協力を目的としたものでございます。現在、物づくり分野を中心に、農業も含んでおりますが、六十三職種が対象となっているという状況です。  技能実習職種として追加し得るかどうかにつきましては大体三つぐらい要件がございまして、まず、当然ながら当該職種について送り出し国の実習ニーズがあるかどうか、これが第一点。それから第二点としまして、技能移転でございますので、技能移転にふさわしい習熟を要するものであるかどうか。これは、例えば評価制度の作成、そういうものを通してチェックすることになっております。それから、今申し上げた具体的な公的評価制度が整備し得るかと、こういう大まかにいいますと三点を要件として判断することになっております。  以上の要件が満たされれば、サービス分野であっても実習の対象職種として追加し得るものでございますが、旅館業等のサービス分野については、職務の内容や求められている技能、これが各国によってそれぞれ特性があるという状況もございます。我が国におけるそういった職種の実習が各国、送り出し国に対する技能移転に果たしてなじむかどうか、そういった点も見極める必要がございますので、評価制度ができるかどうか、こういったことも含め、慎重に検討させていただく必要があるというふうに考えております。
  87. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 これはやっぱり、ちょっとこれは北海道なんですが、あるところで台湾のお客さんとトラブって問題になったことがあるんですが、サービスが悪いと。物を頼んでも来ないというようなことで、それはもうそういう時期で、団体が多く入ればもうやむを得ないような状況なんですね。  それで、これからますます大臣、少子化になっていく。そして今若い人たちは給料三万やそこら多くてもなかなかもう二回もバスを乗り換えてちょっと地方になんという勤めに行くなんて、我々もこういう仕事をやっていますとよく就職なんか頼まれるんですけれども、もうとにかく年次の雇用契約でもいいから週休二日で駅前のオフィス街にという、よくあるんですよ。それで、いや、それだったらこんな金額しかなりませんよと言ったら、マンション代なんかどうするんですかと言ったら、いや、親が払ってくれているんですというようなことで、なかなかそういうところに行きたがらない。まして、こういうところにもう今就職なんていうのは何ぼ募集を掛けても、私は、行く人が少ないということになりますと、やっぱり観光地をつくっただけでは私はなかなか人は来ないと思うんです。やっぱりこういう業界だとか地域の抱えている、観光業界が抱えている問題を解決してやるということが、私はやっぱりより観光客の動員につながるんだろうとこう思うんですが、是非ひとつこれも考えていただきたいと、こう思っております。  それから、業界の抱えているもう一つの問題というのは、かつて観光客というのは本当に団体が多かったんです。地方でも全国的にバスが足りないというような時期も正直言ってありました。そのぐらいもう団体でどんどんどんどん来たんですが、しかし、バブルがはじけてからというのは、そんなツアーというのはなかなか入ってこないで、個人型になってきている。そして、御存じのように温泉地ではどんどんどんどんもう温泉をやめていかれる、経営をやめていかれる人もございまして、私も年二回ぐらい行くんですが、やっぱり歯抜けになっていっているという格好の悪い地域になっているんです。  それが結局生き延びていくためには、やはりもう修学旅行でもいいから取ってでも生き延びていこうということで、実はもう一部屋六人だ、八人だって泊まれるような部屋に実はしてきたんですが、その後、先ほど申し上げたようにバブルがはじけてから個人型になってきたものですから、さあ大変だということに今なっているんです。  そのいい例が、実はおかげさんで七月にサミットを北海道で開催させていただく、この洞爺湖がそうなんです。もう四分の一ぐらい閉鎖されたところにこういうイベントが誘致をできたものですから、さあ今度、そのウィンザーホテルはまあ立派でそういう要人の人たちが泊まれるんですけど、あと外交官だとか何かのそういう人たちというのは温泉街のそこを使って活用して泊まっていただくんですけど、まさか四人も六人も一緒に入れるというわけにいかなくなって、今この改築をしているんです、実は。  それで、各地の温泉地区もそうらしいんですが、それをそういうようなことに改修していくということになりますと、やはりどうしてもこの最後に来るのは資金の問題。やっぱりこの制度資金をきちっとそういうような時代に合ったものをやっぱり制度をつくってあげるか、また利子補給をしてあげるかというようなことを手伝ってやらないと、自分たちでなかなか賄っていけないというようなことがございますので、こういう対応についてちょっとお聞きしたいと、こう思っております。
  88. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  委員指摘のように、旅行の形態、ニーズが変わる中で、従来ですと大部屋にお客様を泊めていたものが個人客対応をしなきゃいけないということで、旅館の建て替え等が必要なケースが増えてきておりまして、なかなか経営が厳しくて対応できてないというところがあることも事実として承っております。  経営の問題でございますので、基本的には自助努力で経営基盤を強化していくというのが基本だというふうには考えているところでございますが、他方で、中小企業、旅館を含めました中小企業をめぐる融資環境というのは厳しいものがございますので、現在でも中小企業金融公庫を通じました融資制度というものが設けられているところでございます。  これをさらに、今回私どもの方で提案をさせていただいております観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律案、これは滞在拠点となるところの力を増していくことで二泊三日型の観光地をつくっていこうということでありますので、その力が増せるようにということで、この法律の中で中小企業金融公庫による特利が受けられるような制度の創設を図るということで滞在拠点の強化を図るということも目指しているところでありますので、こういうものも是非御活用いただきたいというふうに考えているところでございます。
  89. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 今観光業界の人たちというのは、なかなか自力でやるというのは非常に難しい経済状況に私はあると思うんです。是非ひとつお手伝いしてあげていただきたいと、こう思います。  それから、もう一つは、実は私も目の当たりにさせていただいたんですが、やっぱり一次産業との連携というのは、私はしっかりこれをやっていったら農村、漁村の活性化につながっていくんだろうと、こう思っております。  今、結構中国、それから台湾からゴルフの団体のツアーというのが入ってきているんですね。それで、この前もある方に聞いたら、とにかく我々ですとトウモロコシ一本ぐらいかじりながらと、こう言うんですけれども、三本ぐらい買って、大変好むんだそうでございます。買って、それこそワンラウンド中にばりばり食ってぶん投げてやっているんだそうですよ。そして、晩にはもう居酒屋に行ってカニですとかホタテと言っていましたか、食う量がすごいんですって。もう倍ぐらい食うんだそうですよ。  ですから、私は、これはもう一次産業と連携をしていけば非常にいい活性化になるので、ただ単に客を呼ぶだけじゃなくて、こういうときこそ農林省辺りと連携をしてやっぱりこういうニーズにはこたえていくという。そして、中国は、帰りは米を買って帰る人が多いんですってね。ですから、そういうようなことにやっぱり対応していったらいいんじゃないかと、こう思うんですが、これは農林省ですか、来ていましたらよろしくお願いします。
  90. 飯高悟

    政府参考人飯高悟君) お答えをいたします。  委員指摘のように、農山漁村の活性化のためにも観光の振興は大変意義のあるものと考えておりまして、私ども、これまで体験交流施設ですとか地元農産物の直売所あるいは農家レストランの整備などを一生懸命やってまいりましたが、さらに、関係府省とも連携いたしまして、農林漁家の民宿ですとか滞在型市民農園に関する規制緩和なども行いまして、都市と農山漁村の交流を進めてきたところでございます。  今般、観光庁の設置の審議に併せまして、先ほどもお話が出ましたが、観光圏の整備に関する観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律案が今国会に提出されておりまして、今後、国土交通省と連携いたしまして、観光圏の整備を図る中で農山漁村の固有の資源を生かした交流促進の取組も含めて支援していく考えであります。  例えば北海道ですと、観光スポットはもとより、美しい景観を持っております農山漁村がたくさんあるわけでございますが、従来、層雲峡など温泉街、温泉施設あるいは大雪山といった景勝地を訪れていました観光客が周辺の農山漁村にも訪れまして、例えば牧場で牛や羊に触れ合いますとか、あるいは農園でハーブ摘みをいたしますとか、そういった体験をしていただく、あるいは農家レストランでお食事を楽しんでいただく、こういったことも期待されるわけでございます。  私どもといたしましては、今後とも、国土交通省、なかんずく観光庁、さらには関係の府省と連携を深めまして、観光の振興を通じた地域の活性化に向けて取り組んでまいりたいと存じております。
  91. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 是非ひとつ国交省と連携を取ってやっていただきたいと、こう思っております。  そんなことから、実はもう一つ大事なことは、恐らくこれ県会議員を、私も道会議員をやっていたんですが、やられた方というのは恐らくこういう御要望をいただいている方が多いんじゃないかと思うんですが、やっぱり観光地の整備というのは、私はやっぱりインフラ整備だと、こう思うんです。  これには、特に北海道は観光地から観光地までが距離があるものですから、とにかく近くの空港に団体客を降ろすということになると、飛行機がちっちゃいものですから、余り割り引かないというようなことがあって、ある程度のところに降りてそれからバスで行くということになると、目的地に着くころまでになると六時間半ぐらい掛かるというようなことで、なかなか観光代理店もそういう商品をつくってくれないということがございましてね。  これはやっぱり今道路財源いろいろと問題になっているところで、特に大江さんなんか大変な理解がある一人なんですけれども、是非ひとつ皆さん方、こういう悩みだとか何か受けながら、なかなか立場上やっぱりできないということもあるんでしょうけれども、是非ひとつ道路整備、特に北海道、これ山本大臣政務官、北海道担当で何回もよく行っておられますけれども、広いということと整備されていない、大臣も、何回かもうおいでになってやっぱり整備しなきゃ駄目だねということを前にも言っておられましたけれども、この辺はしっかりとやっていただかないと、なかなかやっぱり観光庁をつくっただけではお客さんに満足することはできないと思うんですが、その辺の政務官、意気込みをちょっとお願いします。
  92. 山本順三

    大臣政務官山本順三君) お答えいたします。  今ほど伊達先生がおっしゃったとおり、北海道局を担務しておりますので、度々北海道に寄せていただいております。  行くたびに思うんですけれども、すばらしい景勝地もたくさんあります。特に、世界遺産になった知床やあるいはまたサミットの行われる洞爺湖だけじゃなくて、いろんなところがあるし、今ほどお話になったとおり食材も大きな観光資源の一つになっているんだということを痛切に感じるところであります。  ただ、残念ながら、都市間の距離が本当に長い、だから時間が掛かるということも、これも私も痛切に感じております。観光資源というのは、恐らく北海道、経済状況極めて厳しい折がらでありますけれども、非常に大きなこれからの北海道の発展に寄与する戦略的なこととしてとらまえていかなければならない、そういう観光だろうと思いますので、是非その時間距離を減らすような努力を我々は全力を挙げてしていかなければならない、このように思っております。  それで、北海道における高規格幹線道路網についてなんですけれども、この供用率、最近十年で二三%から四五%に増加したということではありますけれども、全国と比べたらまだまだ立ち遅れておるのが現状でありますし、特に札幌あるいは新千歳空港を始めとする道央圏と他の六圏域中心都市とがこれが連絡されていないという現状があります。したがって、私ども、恐らく九〇%以上を自動車交通に頼っておる、そういう北海道でありますから、暮らしや経済活動を支える重要な基盤としてはもとよりでありますけれども、観光の振興を図る観点からも、高規格幹線道路や地域高規格道路の整備や空港へのアクセスを強化する、この道路の整備に重点的に取り組んでまいりたいと思います。  なお、そのためには、先ほど伊達委員おっしゃるとおり道路特定財源あるいは暫定税率、こういったことで北海道を何としても救っていかなければならない。そういう地元の皆さん方の強い要望を日々受けておりますので、どうぞ御理解のほどよろしくお願い申し上げます。
  93. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 ありがとうございます。  それについてはもう一点聞きたいんですが、確かに知床、実はそこが世界遺産になって初めの二年ぐらい観光客増えたけれども、今は余り増えていないんですよ。  ということは、さっき言ったように、もうバスに乗って七時間も、冗談でないというような感じ、ここに行ってもなかなか駐車場も整備をされていないというようなこともございまして、そんなことから、内陸でもそういうような状況なんですが、もう一つは、観光地に自然景観のいいところというのはへんぴなところなんですよ。ですから、大臣のとき、北側大臣のときだったですかね、中国のナンバーツーの女性の方が来られたときに知床にやっぱり連れていって、北側大臣だったですかね、連れていったんですけれども、結局あそこで、いわゆるクマがシャケを捕って、そういうところを見せたいけれども、道路の一部に岩崩れがあるような、まだ全然この整備をしてくれていないんですよ、国土交通省で。すばらしい景観で、そういうものがあるんだけど行けないという。まあ行って行けないことはないけども、万が一事故に遭ったらというようなことで、実は国交省からこれいただいたんですけど、二十何ぼ道路が危険箇所として観光地通れないというところがあるんですが、そういうようなところのほどやっぱり景観がいいと。というようなことで、例えば積丹ですとか、北海道でいえば、それから知床ですとか、世界遺産の、そういうようなところの道路の整備というのはやっぱりきちっとやって、安全、安心だということでやっぱり観光代理店がそういうツアーを送ってくるわけですよ。  ですから、そういうのが全然進んでいない。これはひとつ北海道を、いい景観のところがあるんですから、置き去りにしないで、せっかくこれを契機に、観光庁を契機に是非大いに取り組んでいただきたいと思うんですが、その辺の見通しはどうですか。
  94. 山本順三

    大臣政務官山本順三君) 私も先般、旭川から層雲峡経由で網走まで走らせてもらいました。途中で層雲峡の銀河とか流星の滝というところに立ち寄ったんですけれども、そのときにお話聞かせてもらったら、例の柱状節理であそこで大崩落があって、昭和六十二年に死者も出たということもございました。それから、今積丹半島の話がございましたけれども、例の豊浜トンネルの話も、これもそう遠い過去ではない事件だったなというふうに思います。  したがいまして、景勝地には今ほど申し上げたように急傾斜の土砂崩れや落石の多いところがございますから、その道路の安全というものを確保することが一番肝要であろう、このように思っておりますし、また北海道の場合は、もしも一たび災害で通行止めになりましたら、物すごく迂回路時間が掛かるということもありますから、暮らしや経済活動にも物すごく大きな影響がある。  こういう状況の中で、平成八年度、道路防災点検を全面的に実施して、落石やあるいは岩石崩壊の危険箇所及び雪崩や地吹雪の危険箇所等々、防災対策を現在実施をしているところでございまして、平成十九年度末までに国道で約千か所、それから道道で約四百か所の対策を完了するなど、重点的に対策に取り組んでまいっております。  それから、私が行ったときには、国道三十九号、雪で除雪作業大変な様子でございましたけれども、しっかり除雪をするということもこれまた道路の安全を守るということにもなろうかと思いますから、この点にも留意をしていかなければならない、このように思っておりまして、道路の安全性あるいは信頼性の確保というものが観光振興にとりましても重要であり、今後とも必要な防災対策を進めてまいらなければならない。先ほどの最後に付け加えた言葉がこの案件にも相通ずるものと、このように思っている次第でございます。
  95. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 ありがとうございました。  それでは、最後に大臣にお聞きをしたいんですが、実は今お話をされておりましたように、これはもう北海道だけじゃなくて、いわゆる自然景観のいいところというのは、そういう地域は非常に全国的にも多いと思うんです。ましてや、スイスなんかはそうでございますし、そういうところなどをやっぱりしっかりと安全に道路整備をしていく。ましてや、これから外国人をどんどんどんどん入れるということになりますと、先ほど申し上げたように、中国のナンバーツーの方だったですかな、この方はすばらしいねと、こう言っていたけど、そういうクマがシャケを捕るようなところまで連れていけない、見せれない。本当にそういういい資源が、観光資源があっても、それをやっぱり世界の人に発信できない、生かし切れないということが往々にしてあると思うんです。  ですから、是非ひとつ、特に北海道、全国、供用率の高規格道路が六七%というところに北海道は四五ですから、いい資源があるのにそれを生かし切れていないわけなんで、是非ひとつ、この辺、北海道も見捨てないで、より一層予算を組んでいただいて、ひとつ観光客を大いに目的達成するように、そしてまた観光庁がその機能を発揮できるような、その決意をひとつ述べていただきたいと、こう思います。
  96. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 北海道は、例えば倶知安のニセコというのはオーストラリアの方が住民の三十倍ぐらい来られる、本当にすごい努力ですよ。  それから、私も関与させていただきましたけれども、台湾の人が最初はバス旅行で団体旅行で来ていたんですが、成熟してきますと、夫婦あるいは友人と一緒に自分の車で北海道のあの大地を回りたい、こういうニーズになりまして、そうなると、免許証を自分は台湾では持っているんだけれども、国際免許を申請すると、中国という国になりますと、できないんですよ。それで、私もそのニーズを踏まえまして、警察も協力をいただいて、免許証取得の条件とかそういうものを見まして、結構できると。それで、向こうでも日本人の、私ももちろん免許証持っていますが、台湾でもできると、相互主義で。これをやりましたところ、台湾の人は喜んで今北海道回っていますよ。  ですから、道路をもう少し整備しないと、先ほどお話がありましたように、何か旭川から一番先端まで六時間も七時間も掛かるようでは、これは飽きられるというか、大自然はいいんですけれどもこれじゃ困るなということになりかねませんので。いや、北海道は頑張ったんですよ、それでも、二三を四五までこの十年でやっているわけですから。なお加速をしてやりたいのでございまして、その意欲はございますので、どうかそれができるようによろしくお願いいたしたいと思います。
  97. 伊達忠一

    ○伊達忠一君 是非ひとつよろしくお願いしたいと思います。  終わらせていただきます。ありがとうございます。     ─────────────
  98. 吉田博美

    委員長吉田博美君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、藤本祐司君が委員辞任され、その補欠として中谷智司君が選任されました。     ─────────────
  99. 西田実仁

    ○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  最初に、観光立国ということでの本日の審議でございますけれども、観光バスはほとんど余りこういう事件がございませんけれども、大型の自動車ということで、大型トラックに関しまして、昨日、私、地元の埼玉でございますが、大型トラックのタイヤが外れまして店を直撃するという事件が起きました。幸いけが人はございませんでしたが、店の入口のガラスが大破したと、こういうことでございました。また、今月、四月十一日には静岡、東名高速道沿いで大型トラックのタイヤが脱落をいたしまして、それが対向車に当たりまして亡くなると、こういう事件もございました。  この二つ、今月起きた事件なものですから、まず初めにこのタイヤ脱落事故につきまして、簡単に概況と今の対応をお聞かせいただければと思います。
  100. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 今、西田議員がお話しのように、四月十一日の静岡県の東名高速でトラックの後輪が外れて、向かい側の車線を走っている観光バスのフロントガラスに直撃をして非常に優秀な運転者が亡くなったという、本当に痛ましいというか、もう何とも言えない事故でした。この人はすばらしい運転手で、そういう自分が亡くなるような重傷を負いながらもブレーキをちゃんと踏みながらそれを止めていたということを聞くと、これは本当に大変なことだということを実感しましたし、それから昨日のさいたま市のダンプカーのタイヤがコンビニエンスストアへ飛び込んだ。そこに客がいたらどうなるんですか。そういうことを考えますと、これはほっとけないということで、誠に遺憾な事件だと思います。  原因等は、調査は警察で捜査をしているところでございますが、国土交通省におきましても、それぞれの事故発生当日に管轄の地方運輸局に対して早速事故車両の破損状況、それから整備状況等について調査を指示しました。  このため、運輸支局の担当官が現地で両トラックの車両製造者、いすゞであった、いすゞ株式会社だということが分かりましたので、タイヤ脱落の原因について同社に対して調査を指示したところでございます。また、この際、自動車の点検整備を徹底することが重要だということが分かりました。そういうことから、国土交通省のホームページを通じて大型自動車の使用者に周知するとともに、自動車関係団体に対して文書を発出して周知徹底を図りました。  さらに、社団法人日本自動車工業会の協力を得まして、チラシ四十五万枚を、こういうチラシですが、四十五万枚を作成して、本日二十四日から順次社団法人全国産業廃棄物連合会、これは産廃業者の車だったものですから、それからもう一つ、後の方は砕石業者で、日本砕石協会を始めとした関係団体への配付、それから貼付をお願いして、そして、こういう恐ろしいことが起こる、これは絶対許されないんだということを周知徹底したところでございますが、今後も、同種の事故が起こらないように再発防止策について頑張ってまいらなければならないという決意でございます。
  101. 西田実仁

    ○西田実仁君 そういう対策を早速取っていただいておるわけですが、原因は今いろいろと調査中ということでございます。  ただ、一つ分かっていることは、この二つの大型トラックは、いずれも昨年車検はそのまま通っているということのようであります。したがって、車検時点では、今は省令も改正を既にされておりましてこうしたボルトの周辺部分も点検をするということになっておりますので、そこはきちっと、それを通ったということは点検なされていたと思います。車検は通っているんですけれども、その後の整備、すなわち定期点検等だと思いますけれども、そこが十分になされていなかったのではないかということが最も推測をされます。  総重量八トン以上につきましては三か月ごとの定期点検ということが求められておりますけれども、これは、今は特にやらなくても罰則があるわけではないんじゃないかというふうに思います。そこの罰則を導入するかというのはそう簡単に決められることではもちろんないと思いますけれども、こうした事故が大変に頻発をしていくという状況が今後ももしあるとすれば、やはりそこも含めて、車検はもちろんでございますけれども、定期点検の在り方、これもやはりちょっと考え直さなきゃいけないのではないかと、このように思いますけれども、いかがでございましょうか。
  102. 本田勝

    政府参考人本田勝君) 定期点検の整備につきましては、まずその励行を図っていただくということが基本だと考えておりまして、私ども、先ほども大臣からも御紹介いただきましたとおり、関係者皆さんに対してあらゆる手段を通じてその励行の周知を図っておるところでございます。  その後それを法的にどう担保するかというのは、その後の実施状況を見た上で慎重に検討させていただきたいと存じます。
  103. 西田実仁

    ○西田実仁君 是非慎重な検討をお願いしたいと思います。  それでは、今回の法案でございます設置法に、今度は、観光庁が設置法を改正して新設されるということの効用につきましてお聞きしたいと思います。  観光立国推進基本法が施行されてもう一年数か月がたちます。同法十条には、観光立国の実現に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための観光立国推進基本計画というのが定められていて、それが昨年閣議決定をされ、既に九か月がたっているわけであります。  現在、この基本計画の推進状況についてどう評価されるのか、また、今回この法律が通れば観光庁が新設をされ、それがこの基本計画の推進にどのような働きを期待できるのかということについて、総括的に大臣にお聞きできればと思います。
  104. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 先ほどもお答えしていますけれども、観光立国の実現というのは二十一世紀の我が国の発展のために不可欠な重要課題だというふうに思いますし、十八年十二月に、観光立国推進基本法が心ある同志の議員の立法によって提案され、衆参において全会一致で成立していただいたと。これには、今後の課題としての観光庁のような、こういうものも附帯決議として付けていただいたということもあります。  これはもう本当に、この仕事は国だけ、国も一省庁だけじゃなしに、もう政府一丸となって取り組まなきゃならない。それからまた、地方団体もこれはやはりそこの国土形成計画の広域地方計画等を考えたときに、自分たちの地域には例えば世界遺産というものがあると、そういうものを、県境を越えてそういうものに来ていただくというようなことを考えなきゃならない。  そういうふうに考えた場合には、例えばこれ私の地元ですけど近畿圏を考えますと、この狭いところに五つの世界遺産があるんですよね。これを一つ一つの県でやるのではなしに、近畿は一つということで、ここへ関空で乗り込んだ人たちもどういうルートで行けるか。奈良なんかは、古都奈良ですけれども、余り宿泊施設ないんですよ。そういうものはどこで負担するとか、こういうもう一丸となってやるということ。ですから、国だけじゃなしに地方も、そして民間も、民間の力は大きいですよ、こういうものを巻き込んで一丸となって取り組むべき課題だと思います。  その意味で、私は、国土交通大臣は、もう御案内のとおり四省庁が一つになった大きなところででして、その上、観光立国と海洋政策担当いただいているわけですが、この中で観光だけをやるわけにはまいりません。ですから、この外局として観光庁ができるということで、外国との交渉も本当に観光庁長官が国を代表して取り組むことができますし、そういう意味で非常に私は有益だろうと思います。  そしてまた、省庁を超えてということを申しましたけれども、長官は、国家行政組織法三条の独立機関として人事権と、そしてまた他省庁に対する意見具申とかあるいは報告徴求するとか、そんな権限まで認められるんですね。そういう意味では、国が一つになって取り組むという体制としてはふさわしいと私は思っております。  したがいまして、こういうことを通じて多くの目的あるいは基本計画まで閣議決定していただいておりますので、これは大変高いハードルですけれども、これを何としてもクリアしなきゃならないということで取り組んでまいらなければならないという決意をいたしております。
  105. 西田実仁

    ○西田実仁君 この基本計画につきましては、毎年点検を行って三年後には見直すということにもなっているようでありますが、観光庁を新設して観光立国を進めていく際、大事ないわゆるこのPDCAについてお聞きしたいと思います。  この観光立国推進基本計画には五つの指標が具体的には目標として挙げられております。例えば、訪日外国人旅行者数を平成二十二年度までに一千万人、よく言われることでありますし、またそのほかにも海外への日本人旅行者を平成二十二年までに二千万人にしようと、こういうようなことも含まれております。  計画は示された、そして予算もかなり重点的に配備されていると。そうすると、次にどうそれが評価されるのかと、そしてその評価を次なる計画、施策にどう反映していくのかというCとAの部分の仕組みをどのように考えておられるのか。この法案が通れば秋にこの観光庁が発足するわけでありますけれども、その発足に向けて、現段階、特にこのCとAの部分、どういうふうにお考えになっているのか、お聞きしたいと思います。
  106. 松島みどり

    ○副大臣松島みどり君) お答えいたします。  委員がおっしゃいましたような観光立国推進基本計画、昨年六月に閣議決定したものですが、これの後、昨年十二月に、これは現在の決まり事では国土交通省が主宰して関係省庁局長クラスをメンバーとするといいながら全役所の局長クラスをメンバーといたしまして、観光立国関係省庁連絡会議を開きました。ここの場でも点検しておりますが、観光庁が設置されましたら、先ほど大臣がおっしゃいましたように、観光庁は三条機関として観光庁が各役所の大臣にも物申すことができるようになるわけでございますから、例えばこの中に入っておりますのは、有給休暇の取得というようなことを目標、これについて考えていくのは厚生労働省でございますし、国立やあるいは独立行政法人、さらに都道府県立の美術館や博物館において、日本語だけでなしに多言語、大体英語、中国語、韓国語だと思いますが、そういった言葉による表示がどれぐらいされているか、それも目標についての点検ということも観光庁の長官から文部科学省に対して問い合わせて確認していくということ。あるいは法務省ですと、入国管理につきましては、例えば中国からですと、以前は団体旅行しか駄目だったんですけれども、今は富裕な層に限って家族旅行ができるようになった、そういうような点検具合を報告させたり、そして進捗状況を見ていくという立場に観光庁長官がやっていくことになります。
  107. 西田実仁

    ○西田実仁君 是非、定量的な目標を立てておられますし、そのほかにも最終成果、いわゆるアウトカム指標として五つ挙げられたり、アウトプット指標も十ほど示されていると思いますので、それぞれの指標がどう有機的につながっていくのかということを、是非、観光立国というわけですから、国民の皆様方にも分かりやすいような形で今後広報等もしていただきたいと思います。  その上で、この今回の設置法の改正では、国交省の任務に今お話がございましたような観光立国の実現に向けた施策の推進という任務が加わるわけであります。そこで、観光立国に欠かせないのはそれを担うやはり人材ということでありまして、今日は特に、海外に限らず国内もですけれども、添乗員の皆様方の処遇等につきまして御質問をさせていただきたいと思います。  特に、派遣添乗員の処遇についてはこれまでも指摘されてきたところでございますけれども、最近特に増えているいわゆる格安ツアーと言われるそういうツアー、その裏に派遣添乗員の方々の大変な労働、過酷な労働ということが指摘されております。  私も不勉強ながら余り知りませんでしたけれども、ああいう添乗員の方はほとんど今派遣の方が多いと。しかも、日当制になっていて、国内旅行でも平均九千四百五十円ぐらい、海外旅行でも平均一万三千二百五十円と、年収は二百三十万円ほどというような、そういう派遣添乗員の方が非常に多いと。一見華やかな添乗員のお仕事のように見えますけれども、実態はかなり過酷であるということが指摘されております。ツアーごとに契約をするものですから、ボーナスもあるいは社会保険にも入れないと、こういう実態が多く見られております。  私のところにもそのような働き方をしている方からお手紙がございまして、例えばこの方は女性ですけれども、ある月の一日から十日まで海外勤務をされていると。一日の朝九時に集合してそこから業務が始まって、フランスにツアーがあって、フランスのニースのホテルまでその間はずっと仕事でありまして、その間もちろん眠ることは許されない。後ほど述べますけれども、添乗員マニュアルには移動中寝てはいけないと書いてあるんですね。つまり、仕事なわけですね、ずっと。日本時間の翌二日の午前十時まで仕事をすることになりますので、二十五時間労働ということになります。それでも日当は一日分が八時から八時までと決められておりますので、その部分の日当しか出ないと。パリでは夜のセーヌ川クルーズに案内をしてと、これだけ聞くとすごくいいようですけれども、夜十時過ぎても残業代は出ないという実態がございました。  こういう実態を受けて、ツアーで旅行する際には旅行日程表というのが示されておりまして、お客様に、こういうものですけれども、配られますね。そこに、添乗員が同行しお世話いたします、また添乗員の業務時間は原則として午前八時から午後八時までとなっておりますので、あらかじめ御了承くださいとお客様には言っているわけなんです。  しかし、実態的にはそんなふうには全くなっておりませんので、大体ツアーをやりますと、終わった後、お客様が添乗員は良かったかとか、このツアー良かったのかというアンケートを取ります。そのアンケートがかなり重要なその人の評価にかかわっていくわけでありますけれども、そのアンケートも、私が入手したところによると、お客様からこういう声が上がっているんですね。  この旅行日程表には朝八時から夜八時までが添乗員の勤務と書いてあるけれども実態は全く異なる、実際のスケジュールは朝六時から深夜の一時ぐらいまで、ハードスケジュールで添乗員の人は働いていると。したがって、この旅行日程表に書かれているような朝八時から夜八時までの勤務というのは全く偽りであり、こういうことは書いても意味がないんじゃないかとお客様が言うぐらいに長時間労働に実態としてなっていると。これが今の現実ではないかというふうに思います。  添乗員のお仕事は、裁量の範囲が大きい、労働時間も把握しにくいということで、みなし労働というのを適用する旅行会社が大変に多いわけですね。実際にその派遣添乗員の方々の雇用契約書というのが今手元にございますけれども、この雇用契約書には、添乗日当、海外添乗日額幾ら、国内添乗日額幾らというふうに書き込んでサインをさせるようになっているんです。つまり、みなし労働というのが前提となった雇用契約を結ぶ。でも、実態は八時から八時までではなくて、もう朝六時から深夜一時まで働くというようなことが続いている。  このみなし労働制度は、言うまでもなく、使用者の具体的な指揮監督が及ばない場合、また労働時間の算定が困難な業務に適用される制度でございます。しかし、これは既に労働基準監督署からも実は是正勧告が出ておりますけれども、こうした派遣添乗員の方々のお仕事につきましては、実際に使用者が具体的にこういうことをしなさいというマニュアルがあるし、また添乗日報というのを必ず出さなきゃいけないことになっておりまして、何時に何をしていたかということも掌握できるわけですね。そういう意味では法的にはみなし労働ということの概念には当てはまらないんではないかと、こういうふうに私は率直に思うわけであります。  こうした派遣添乗員の方々の働き方、特に旅行会社の子会社の派遣会社に属する添乗員の方はまだいいんです。そうではなくて、第三の独立系というか、人材派遣会社に登録をしていて資本系列のないところに派遣されていくケースは大変に、もうこれ以上もっと厳しい状況が実はあるようであります。  観光立国ということを支えていく大変貴重な人材の皆様方でございますので、この処遇の実態、また、今私から説明させていただきましたけれども、どう認識され、今後こうした派遣添乗として働く方々の働き方の改善ということについてどのようにお考えになるのか、御感想また御所見がありましたらお聞きしたいと思います。
  108. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  委員大変詳しく今の派遣添乗員の状況についてお話がございましたが、添乗員のサービス、これはある意味では日本独特と言えるぐらいに大変きめ細やかなサービスが提供されておりまして、それがパッケージの旅行の良さを形作っていると、こういうふうに認識をしているところでございます。  ただ、そういうきめの細やかさが、多少お客様のニーズが高いこともありまして行き過ぎている、あるいは結果として添乗員の方の負担になっているという、こういうケースがあるということは私ども実はお聞きをしているところでございます。どうしても海外旅行になりますと、先ほども夜のツアーの例の紹介がございましたが、遅くにツアーに出かけたり、また旅慣れないお客様から本来添乗員の業務じゃないことについてもいろいろ頼まれてしまう、それをお断りするのは実際上はなかなか難しいと、こういうことでだんだん添乗員の行う仕事の中身が変化をしてきていると、こういう面もございます。  そういう中で負担が大変重くなってきているということで、御指摘のようになかなか添乗員のなり手が見付からないというような、そういうような問題意識も出てまいりまして、そうなりますと、添乗員を提供する側の企業にとっても大きな問題でございますけれども、同時に添乗員にお願いをしてサービスを提供する旅行会社にとっても大きな問題であるということで、現在、日本旅行業協会とそれから日本添乗サービス協会などの関係者の間で、まず、添乗員が行うべき業務の範囲というのはどういうものであるべきなのか、対価を取るべきものはどういうものなのか、あるいは待遇を改善するためにはどういった手だてを講じたらいいのかということをいろいろ議論をしているところでございます。精力的な議論をされていると承知しておりますが、まずは、私どもその帰趨を眺めなければいけないということで、状況をウオッチしているというのが今の状況でございます。  結論が出、まとまっているところで私どもとしても必要な手だてを講じたいと、このように考えている次第でございます。
  109. 西田実仁

    ○西田実仁君 見守っていただくのはいいんですけれども、実際に既に、ある会社の子会社である人材派遣会社における添乗員の仕事の仕方について労働基準監督署から是正勧告というのが出されているわけであります。しかしながら、それは内容は、要するにこの添乗員のお仕事はみなし労働とはできないと。なぜならば、先ほど私が申し上げたことであります。  したがって、ここの働き方ということについていろいろ協議をしていただくのは結構ですけれども、やはりかなり無理がある、法的にも問題があるという労働基準監督署からの是正勧告が出ているということを踏まえて、そこもしっかり指導していただかないと、担う人たちがいなくなってしまう、こういうふうに私は大変強く懸念を持っておりまして、この辺りの事情について、厚生労働省の方来られていると思いますので、ちょっとお聞きしたいと思います。
  110. 森山寛

    政府参考人森山寛君) お答え申し上げます。  先生今御指摘がありましたように、この事業場外の労働に関するみなし時間制、これにつきましては、まさにその事業場外で業務に従事した場合において労働時間を算定し難い場合ということでございますので、それは個別に判断をしているところでございます。もちろん、そういう法律に違反する場合につきましては、是正指導を行い、現在やっているところでございます。  それから、先ほど来長時間労働につきましてもお話ございました。これは、私どもこの長時間労働につきましては、当然、労働者の健康を確保するためにも、それからまた仕事と生活の調和を取れた社会を実現するためにも、この長時間労働の抑制を図ることが必要であるというふうに考えておりまして、このために、これまでも、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準に基づく適正な労働時間管理、あるいは時間外労働の限度基準に基づく適正な時間外労働の締結等がなされるように取り組んでいるところでございます。  今後とも、先ほど来の監督指導も含め、適正な労働力の確保に努めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  111. 西田実仁

    ○西田実仁君 長時間労働だけではなくて、こんなこともあるんですね。  この方のお手紙によりますと、フランスではガイドの免許を持っていない者がガイド業務をすることを禁止していると。フランスではそういうふうな法律です。しかし、この添乗員の方は、私はガイド業務もさせられると。もちろん、ガイド料金などはもらわないと。そして、通訳もさせられると。しかし、通訳代金もないと。すべてが労働条件の中に入っているそうですが、その労働条件たるものを見たことがないと、この人はこういうふうに言っているわけなんですね。  この社団法人日本添乗サービス協会というところが出している派遣添乗員の業務ガイドライン、また事例集、こういう小冊子があります。この中には、実は派遣添乗員の業務として、その他状況に応じて臨機に行う業務というのがあります。その①にガイド不在時の代替案内・説明と、こう書いてあるんですよ。つまり、これはまあケース・バイ・ケースということなのかもしれませんけれども、例えばフランスではガイドの資格を持っていなければガイドをやっちゃいけないのに、この業務ガイドラインには、ガイドがいないときにはやっていいですよって書いてあると。これはちょっとおかしいんじゃないかと、こういうふうに思います。  そして、こうしたいわゆる付加業務、付加業務については、当然のことながらその対価をあらかじめ覚書等で定めてお知らせしなきゃいけないと。それはこのガイドラインにも書いてあるんですね。しかし、今申し上げたとおり、全部込み込みで日当幾らって書いてあるだけで、そのうち、ガイドをもしやるんであれば、違法ではない形でガイド業務を営むんであれば、それは幾ら、あるいは通訳は幾らというふうにしっかりとその対価を決めて示さなければ、こうした派遣添乗員の、特に海外という日本から離れたところでの仕事になりますので、目が行き届かず違法な付加業務というものがある意味で強制されていると、こうした状況もあると認識しておりますけれども、いかがでございましょうか。
  112. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  ただいまいわゆる無資格ガイドについての御指摘がございましたですが、実は旅行業法でこういうものは禁じております。  具体的に申し上げますと、旅行地において施行されている法令に違反するサービスの提供を受けることをあっせんする、お客さんにそういうことをしなさいというあっせんをするとか、あるいはその提供を受けることに関しまして便宜を供与する、したがいまして違法なガイドを受けるようなことが可能な状況をつくるということでございますが、こういうことを旅行業者が行うことについては旅行業法で禁止をしております。  したがいまして、今御指摘のような事実が具体的にございましたら、適正に法の執行をしてまいりたいと、このように考えております。
  113. 西田実仁

    ○西田実仁君 ございましたらというか、あるんですね。実際、ある人から聞いている話ですので。  そして、このガイドラインも社団法人日本添乗サービス協会という立派なところで作られているガイドラインですから、もうちょっと正確に書かないと、要するにガイド不在時にはその代替案内、説明を臨機に応じて行う業務と書いてありますからね。それは当然、括弧書きにでもして、当然違法じゃない場合はそれでいいかもしれませんけれども、違法じゃない場合でも当然対価は払わなきゃいけませんが、これでは違法な場合も違法でない場合も、そのガイド業務を行うのが添乗員であるというふうに読めなくもないと。そこはもうちょっと正確に書かなきゃいけないんじゃないかなというふうに思うわけであります。  こうした長時間労働、また違法な付加業務ということが実態として起きているということにかんがみまして、観光立国ということを目指す大臣として、そこに従事する人の働き方、これどういうふうにしていったらいいのか、思いも含めて最後お聞きして質問を終わりたいと思います。
  114. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) すばらしい御指摘、ありがとうございました。  二〇一〇年を目標に、我が国から外国へ旅行に出掛ける人を二千万人にしようという目標が観光立国推進基本計画の中の第二項めに盛り込まれております。大変なハードルだとは思うんですけれども、これ何としてもやり切らなきゃならないと思っておりますが、それには今御指摘の添乗員、ガイドさん、添乗員が是非必要です。そういう人たちがそのような扱いを受けているということを今如実に教えていただきました。  我々も、厚生労働省所管の官庁とも十分連携しながらこれは改善しなければならないと私は強くそのように感じましたので、そのようにやらせていただきます。
  115. 西田実仁

    ○西田実仁君 終わります。
  116. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。  私は、これまで航空鉄道事故調査委員会独立性を求めて、まず八条委員会から三条委員会にしなさいと何回もここの席で言いました。だけれども、なかなか聞いていただけませんでした。かなり抵抗があったように思っておるところでございますが、国土交通省は、そのとき八条機関のままで今日の事故原因は究明できると考えていると、このようにずっと答弁してきたわけですよ。そこで、そうじゃないんじゃないかというふうにして三条委員会にしなさいと、こういうふうに言ったんですが、なかなか聞いてくれませんでした。  そこで、なぜ八条委員会から三条委員会に今回格上げしたのかどうか、その格上げ理由をはっきり示していただきたいと思います。
  117. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 航空鉄道事故調査委員会も、委員について両院の同意や職権の独立性が措置されて一定の独立性を持ち、その機能を果たしてきたということでございますが、さらに新たな運輸安全委員会国家行政組織法三条に基づく委員会、いわゆる三条委員会として設置することによって、運輸安全委員会は職員の任免あるいは研修等の人事権のほか、独自の規則制定権を有することになりまして、一層高度な独立性が確保されるということになる。  また、航空鉄道事故調査委員会は、調査結果に基づきまして国土交通大臣に対し勧告できることにしておりますが、運輸安全委員会三条委員会となることによりまして、直接原因関係者に対して勧告を行う、あるいはさらに事故の再発防止のためのフォローアップを行う報告徴求の権限が与えられるということなります。  このように運輸安全委員会三条委員会として設置することにより、組織独立性が確保されるとともに、事故の再発防止機能の強化が図られることとなりますが、委員からのお尋ねは、そんなこと聞いていない、なぜそうしたんだと。これは、委員からの御質問等によって、かねてこれはやらなきゃいけない、しかしながらいろんなスクラップ・アンド・ビルドとか、あるいはもう焼け太りは駄目だとか、いろんな批判がありまして、しかしながら今回我々はこの観光庁を設立するに当たり、是非そのような御献策をいただいていた、いいものに向かって頑張らにゃいかぬということでこのような決断をさせていただいた次第でございます。
  118. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 三条委員会に格上げされたことについて私は評価をしたい、このように思っております。  そこで、更にお願いしたいのは、いわゆる管制官など国土交通省の職員に対する調査が必要になった場合、三条委員会に格上げをされたといえども省の外局であるわけでございますから、十分な対応ができるかどうかというところの懸念が残ります。したがって、運輸安全委員会を公正取引委員会同様に内閣府の所管として、より高い次元で公平性それから独立性、これを確保することがよいのではないかと、このように思いますが、その点いかがでございましょうか。
  119. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) この点についてもいろいろな委員からそのような御意見を賜っておるわけでございますけれども、二つの観点から、一つは、独立性は、私の方の外局にありましても、国土交通大臣に対して勧告をしたり建議をしたり、現に今まで八条機関のときですらきちっとやっていただきました。そして、それに対して我々は容喙はいたしておりません。本当に公正中立、そしてまた科学的調査を存分に行っていただくように我々としては省を挙げて協力をしてきたつもりでございます。  それで、今後もここが行うことについては、我々は陸海空の運輸事業者を所管をいたしておりますので、それは全部そういう情報を持っております。したがって、その情報を直ちに今度の委員会にお伝えすることができますし、協力をもう挙げてすることができますし、また現地を持っていますよね、支分部局というのを、そういうところも事故が起こったらそこの一番近い最寄りの運輸局から直ちに走って、いろんなことのお手伝いがさせていただけるわけです。そういう意味で、私は、この国土交通省外局としてあるということです。何もセクショナリズムではなしに、実際それが実効性あると私は確信をいたしております。  もう一つは、イギリス、ドイツ、フランスにも同じような制度がありますけれども、これはやはり国土交通省のような省の外局として位置付けられております。
  120. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 よろしくお願いを申し上げます。  やはりこれも事故調の在り方についてお願いをしてきたことでございますけれども、一九七二年に交わされた警察庁と当時の運輸省との覚書についてでありますが、せっかく八条委員会から三条委員会に格上げをされたのですから、犯罪捜査及び航空事故調査実施に関する細目についても白紙として、事故再発防止、萎縮効果という観点からそういうことが必要ではないかと思いますが、その見解はいかがでございましょうか。
  121. 辻岡明

    政府参考人辻岡明君) お答えいたします。  事故調査委員会が行っております事故調査と刑事責任を追及いたします犯罪捜査と、これはそれぞれ公益目的を実現するという重要な作業でございます。私ども警察庁と覚書を結んでおりますけれども、これまで両者の間で十分に協力、調整を行って事故調査を行ってきたわけでございます。これまでいろいろな協力をやっておりますけれども、現在のところ、非常にスムーズに協力が進んでおるというふうに認識しております。  今般、運輸安全委員会を発足するということになりますと、同様に警察庁と覚書を結ぶわけでございますけれども、これまでの運用を踏まえまして、法施行までに十分協議をして締結させていただきたいと思っております。
  122. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 設置されます運輸安全委員会航空鉄道事故委員会と海難審判所が統合されますが、高度複雑化、多発化する事故やインシデントの原因究明など、事故分析のためには大幅な機能、体制強化が必要だと思いますが、統合によって人員が削減されるというふうに聞いておりますけれども、これはやはり事故調査の充実や再発防止のための安全対策に期待することができないのではないかというふうに思われます。特に近年は被害者対応が法的にも強化されているところから、運輸安全委員会の設置を機に、事故調査それから被害者支援機関としてのあるべき姿について、やはり先進諸国に学んでいくべきではないかというふうに思います。  組織の体制、それから機能や人員、それから予算措置などあらゆる面からオープンかつ徹底的に議論を行って、必要な改善それから強化を積極的に図るべきだと考えますが、見解はいかがでございましょうか。
  123. 福本秀爾

    政府参考人福本秀爾君) お答えいたします。  新たに設置いたします運輸安全委員会機能、体制の強化を図るべきではないかと、こういう御質問でございます。  事故調査の在り方に関しまして、その機能、体制の強化につきまして、平成十八年、運輸の安全性の向上のための鉄道事業法等の一部を改正する法律、いわゆる運輸安全一括法をお作りいただきましたんですが、その際の衆議院及び参議院国土交通委員会の附帯決議にも同様なことが盛り込まれておるところでございます。そういった点も踏まえまして、今般、航空鉄道調査委員会から運輸安全委員会への改組に当たりましては、事務局の職員を五十四名から百八十一名に拡充をいたしますとともに、航空事故調査官及び鉄道事故調査官に加えまして新たに船舶事故を担当する調査官及び地方事故調査官というものを設置をいたすことといたしまして、的確な事故調査に必要な人員体制を整備することといたしております。  あわせまして、事故調査官の調査業務の後方支援あるいはデータの蓄積、再発防止に寄与する情報の分析、提供等々、こういった業務を行う専門の職員をこれは新たに配置する予定でございまして、このような体制、機能の強化によりまして円滑な事故調査の実現及び事故再発防止策の積極的な提言の実施が図られてまいるものと考えておりますが、今後とも、委員指摘のとおり、人員あるいは予算について、体制の整備に努めてまいる所存でございます。
  124. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 事故調査報告書は、事故再発防止の観点から、可能性も網羅されております。刑事責任を課するために必要な厳格性は要求されておりません。国際民間航空条約、ICAO条約では事故調査報告書を裁判の証拠として使用することを厳しく制限をいたしております。また、海難審判庁が海難審判所に格下げされる。所属する調査官が削減されれば、運輸安全委員会事故調査報告書を海難審判の証拠として使わざるを得ないということになることが懸念されるのではないかと思われます。調査と懲戒をやはり分離するよう求めた国際条約の精神に反するのではないかと思いますが、その点、いかがでしょうか。  このために、事故調査報告書は、再発防止を唯一の目的とすべきであり、刑事や民事の裁判所の証拠として使用することを、できるだけ使用すべきではないというふうに考えますが、見解はいかがでしょうか。
  125. 横山鐵男

    政府参考人横山鐵男君) お答えをいたします。  今般の海難審判制度等の改正の趣旨は先生御指摘のとおりでございまして、船舶交通の安全性の向上を図るため、国際的な動向を踏まえまして、原因究明責任追及を目的とする現行の海難審判に関しまして、原因究明につきましては運輸安全委員会において委員会調査として行い、責任追及につきましては国土交通省の特別の機関でございます海難審判所において行うことといたしております。  海難審判所におきます懲戒につきましては、委員会調査報告書を基にしてその判断がなされるものではありません。理事官の行う調査と公開の審判廷におきます審理を通じまして審判官が裁決により行うものでございます。
  126. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 運輸安全委員会原因究明過程における審議が非公開で行われ、弁護人の参加も認められなくなるとすれば、事故原因究明が著しく後退をし、現行の海難審判で認められている受審人の権利である補佐人の選任権さえ侵害されるおそれがあります。事故被害者遺族などの関係者が傍聴でき、事故当事者の人権も擁護されるよう、原因究明審議に当たっては弁護人の出席も認めた公開の場で行われると考えるべきだと思いますが、見解はいかがでございましょうか。  また、事故調査報告書を決定する委員の合議は、海難審判所における裁判官の合議と同様に非公開であったとしても、合議以前の審判までも非公開にする必要性はないと思いますが、密室審議はやはり事故原因究明と再発防止にとってマイナス要因となると思いますが、その見解はいかがでございましょうか。
  127. 福本秀爾

    政府参考人福本秀爾君) お答えいたします。  公開の議論でございますが、これまで航空鉄道事故原因究明を行うに当たりましては、外部の指示あるいは干渉、こういったものを受けずに客観的かつ公正中立に行うと、こういう立場から、意見聴取につきましては原因関係者本人から直接かつ非公開という形で行ってきておるところでございます。  しかしながら、現行の海難審判につきましては公開の審判廷で行われてきたという経緯がございます。かつまた、海事関係者が今まで意見聴取の経験がなく不安を持っておられる、こういうこともございますので、特例という形で、本人の希望があれば公開での意見聴取を行うこと、あるいは原因関係者以外に補助して意見を述べる者の同席を認めると、こういった形を可能とするようなことを検討をいたしておるところでございます。
  128. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 検討した結果駄目だなんて言わないようにひとつお願いを申し上げておきます。  海難審判所は、準司法機関として地裁相当の機関にふさわしい位置付けを確保すべきと考えますが、格下げされることによって社会的な威信と独立性を著しく損なわれるおそれがあるのではないかと思われますが、その見解はいかがでしょうか。
  129. 福本秀爾

    政府参考人福本秀爾君) お答えいたします。  海難審判所の位置付けに関しての御質問でございます。  海難が発生いたしました場合、現行では海難審判庁が当該海難に係る原因究明と船員に対する責任追及の双方を、二つを行ってきたところでございますが、御案内のとおり、今回の改正におきましては、これらを明確に分離をいたしまして、原因究明については運輸安全委員会において委員会調査という形で行うと、責任追及については国土交通省の特別の機関でございます海難審判所において引き続き対審制という形で行うこととするものでございます。  以上のとおり、これまで海難審判庁が担ってまいりました海難審判の原因究明責任追及の機能については担当する組織を適切に分離をするというものでございまして、今回の改正によりまして、その重要度の位置付けが変わる、いわゆる格下げというようなことではないと認識をいたしております。
  130. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 新たに設置をされます運輸安全委員会では、地方事故調査官が配置をされるようになっています。私は良いことだと思っております。私は現行の航空鉄道事故調査官の配置方法について地方にも配置すべきものと考えを持っていましたが、先ほども申し上げましたとおり今回は配置される。  そこで、地方事務官の任務と役割はどのようなものなのか、事故の初動態勢についてどのように変化があるのか、お伺いいたします。
  131. 福本秀爾

    政府参考人福本秀爾君) お答えいたします。  地方事故調査官の任務等につきましての御質問でございます。先生も御案内のとおり、ここ数年、海難は年間四千五百件程度発生をいたしてございます。このように全国各地域で多数発生をいたしております海難に対応するというために、地方事故調査官を横浜、神戸、門司等、全国八か所に配置をいたしまして、重大な船舶事故以外の調査に関する業務を行わせることといたしております。重大な船舶事故につきましては東京の方で実施をいたす予定でございます。  また、海難、航空事故鉄道事故の的確な原因究明のためには、事故発生時の初動調査というものが極めて重要でございます。このため、地方事故調査官には初動調査支援も行わせる、今委員指摘のとおり、航空事故であったり、鉄道事故でありましても、この地方事故調査官が初動調査支援に出掛ける、こういったこと。あるいは、そういうものに加えまして、後方から支援する専門の職員を配置するなどによりまして、今回の組織改正に併せて即応態勢の強化を図るということといたしております。
  132. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 提出法案は新たに観光庁を設置しようとするものですが、観光庁の設置によってどのような効果があると考えられておりますか。先ほどいろんなことはお話しいただきました。また、改めて外局を設置することは、政府・与党が進めている行政機構のスリム化に反することではないかと思うんですが、その点いかがでございましょうか。
  133. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) お答え申し上げます。  観光立国の実現につきましては、国、地方公共団体、民間などの幅広い関係者が一体となってこれに取り組みをしなければいけないと、このように認識をしております。また、外国との効果的かつ円滑な交渉協議というものも大変重要だと思っておるところでございますが、このためにはもう少し体制の強化が必要ということで、観光庁という国家行政組織法の第三条に基づく組織にすることによりまして、繰り返し何度も申し上げておりますが、一つは行政機関の長である長官による外国政府との交渉協議がより円滑に実施できるということ、二つ目には政府部内におきますリーダーシップの更なる発揮によりまして、関係省庁へのより強力な調整、働きかけが可能になるということ、三番目には地域、国民向けの観光に関する相談窓口の一本化によりまして機能強化ができると、こういうことが期待できると考えている次第でございます。  また、これは私ども国土交通省だけの考えではありませんで、観光庁設置につきましては観光立国推進基本法の審議における衆議院及び参議院の附帯決議でもその内容が盛られているところでございます。  また、観光庁の組織及び定員につきましては国土交通省内の振替で対応しておりますので、行政改革の趣旨にも沿っているものと、このように考えている次第でございます。
  134. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 現在、独立行政法人国際観光振興機構がありますが、観光庁と国際観光振興機構との役割分担はどのようになるのでしょうか。  また、国際観光振興機構については、独立行政法人であることから整理合理化計画の対象となっていますが、国際観光振興機構の在り方についてどのように考えているのか、お伺いいたします。
  135. 本保芳明

    政府参考人本保芳明君) 我が国のみならず諸外国におきましても、いわゆる国際的な観光プロモーション、こういうものにつきましては、基本的に国の行政機関が観光政策の企画立案を担いまして、別の公的主体が観光プロモーションを実施するという形態を取っております。  これは、一つには海外におけます観光プロモーション、これは現地の旅行会社あるいはメディア等とのネットワークをきちっとつくりまして、その中で情報収集、分析をしてマーケティングを行っていくということが重要でありますので、どうしても専門的ノウハウが必要であるということで、専門機関が行うのが適当であるということはあろうかと思います。  それからもう一つは、海外におきます国の出先機関というのは基本的に外務省の在外公館に限定されておりますので、海外の事務所が持てないという、こういう問題があろうかと理解をしております。  こうした状況を踏まえまして、我が国におきましても、現在、国土交通省が観光立国の総合的かつ計画的な推進主体といたしまして、観光地の形成、国際観光の振興に関する施策の企画立案、それから関係省庁との調整、連携という機能を担当しているところでございます。  一方で、独立行政法人の国際観光振興機構は、いわゆる実施機関といたしまして、海外に事務所を設けて現地のネットワークを活用したマーケティング活動を行い、観光魅力の情報発信を行っておると、こういうところでございまして、この間の関係は明らかに明確に違うもの、役割分担になっていると、こういう理解をしております。  この両者の連携によりまして、ビジット・ジャパン・キャンペーンの開始以来、海外旅行者の六割増という成果も出てきているところでございます。ちなみに、直近二代のこのJNTO、国際観光振興機構の理事長は民間企業からお迎えをしておりまして、その運営面でも民間との人事交流というのを積極的にやっているところでございます。  観光庁の設置後も、観光プロモーションの拠点たる海外事務所を持っております国際観光振興機構を最大限活用いたしまして、観光立国の実現に向けて取り組んでまいりたいと思っております。
  136. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。
  137. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  国土交通省設置法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  138. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、長浜博行君から発言を求められておりますので、これを許します。長浜博行君。
  139. 長浜博行

    長浜博行君 私は、ただいま可決されました国土交通省設置法等の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新日本、自由民主党・無所属の会、公明党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     国土交通省設置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、観光庁は、行政改革の趣旨を踏まえ効率的な施策の推進及び組織運営を行うこと。  二、観光庁は、観光立国の早期実現に向け、内外の観光ニーズを適確に把握するためのマーケティング、専門性や経験を有する人材の民間からの積極的な登用に努めるほか、特に、外国人旅行者増大のボトルネックとされている交通サービス、旅行者の受入態勢、情報提供サービスについて、早急に具体的な改善措置を講ずること。  三、船員労働委員会の廃止が船員労働行政の後退につながることのないよう配慮するとともに、所掌事務移管に当たっては、都道府県労働委員会への円滑な移管に十分に配慮し、紛争事務の遂行に支障が生ずることのないよう万全の措置を講ずること。  四、運輸安全委員会は、本法改正趣旨に則り、独立性を確保し、公正中立立場で適確に事故調査を行うこと。このため、運輸安全委員会委員長委員については、専門性、中立性及び独立性の観点から、適切な人材を選任すること。また、事務局の機能については、適正な人員の配置を行い、十分な予算を確保するとともに、調査結果の蓄積・活用等、事故の未然・再発防止に寄与する体制を整備するよう努めること。  五、運輸安全委員会と捜査機関は国際民間航空条約等の趣旨を尊重し、事故調査と犯罪捜査のそれぞれが適確に遂行されるよう、適切な協力、役割分担の関係構築に努めること。  六、航空事故鉄道事故又は船舶事故被害者等に対する支援の重要性にかんがみ、これまでの事故に関する経験や知見を活かし、関係行政機関等の密接な連携の下、総合的な施策の推進のために必要な措置を検討すること。  七、海難審判制度の運用に関しては、その沿革にかんがみ、受審人の権利の保護に万全を期すとともに、国際的動向を踏まえ、本法改正趣旨に則り、海難の原因究明と懲戒が明確に分離されるよう必要な措置を講ずること。  八、本法の施行後五年経過後において、運輸安全委員会設置法の施行の状況を勘案し、既存の自動車事故調査、分析、研究体制を見直して業務範囲に自動車事故を加えることなど、運輸安全委員会の在り方について十分な検討を行うこと。    右決議する。  以上でございます。
  140. 吉田博美

    委員長吉田博美君) ただいま長浜君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  141. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 全会一致と認めます。よって、長浜君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、冬柴国土交通大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。冬柴国土交通大臣
  142. 冬柴鐵三

    国務大臣冬柴鐵三君) 国土交通省設置法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝を申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長始め理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。  大変ありがとうございました。
  143. 吉田博美

    委員長吉田博美君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 吉田博美

    委員長吉田博美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十九分散会