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2008-05-28 第169回国会 参議院 国際・地球温暖化問題に関する調査会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年五月二十八日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  五月二十一日     辞任         補欠選任         犬塚 直史君     浅尾慶一郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         石井  一君     理 事                 今野  東君                 広中和歌子君                 室井 邦彦君                 川口 順子君                 野村 哲郎君                 浜田 昌良君     委 員                 浅尾慶一郎君                 加賀谷 健君                 工藤堅太郎君             ツルネン マルテイ君                 松岡  徹君                 峰崎 直樹君                 山根 隆治君                 荒井 広幸君                 神取  忍君                 佐藤 正久君                 島尻安伊子君                 西田 昌司君                 牧野たかお君                 丸山 和也君                 加藤 修一君                 山内 徳信君    事務局側        第一特別調査室        長        藤崎  昇君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国際問題及び地球温暖化問題に関する調査  (「日本国際社会における役割リーダーシ  ップの発揮」のうち、日本発信力強化につ  いて)     ─────────────
  2. 石井一

    会長石井一君) ただいまより国際・地球温暖化問題に関する調査会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十一日、犬塚直史君が委員を辞任され、その補欠として浅尾慶一郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 石井一

    会長石井一君) 国際問題及び地球温暖化問題に関する調査を議題といたします。  本日は、これまでの調査を踏まえ、最初に、日本発信力強化について各委員からの意見表明及び委員間の意見交換を行います。  本日の議事の進め方でございますが、まず、お手元に配付した調査報告案のうち、日本発信力強化についての部分調査室長から説明を聴取し、次に各会派から、あらかじめ定めた委員より自由に御意見をお述べいただきたいと存じます。  それでは、調査室長から調査報告書案について説明を聴取いたします。藤崎第一特別調査室長
  4. 藤崎昇

    ○第一特別調査室長藤崎昇君) それでは、説明させていただきます。  本資料作成経緯資料概要については前回説明いたしましたので、まず省略いたします。  それで、資料の五ページを御覧いただきたいと思います。  国際問題の日本発信力強化に関して、まず提言部分について説明いたします。  先週も申し上げましたが、この提言にかかわる部分は、これまでの調査会における参考人委員発言整理し、その中で提言に向けた議論を行う上での参考となるとの観点から選んだものを例示的に列挙したものでございます。その際、同類のものはまとめるなどの整理をしております。  まず、提言前文ですが、ここでは、発信力強化について調査行い提言を行うこととした背景提言趣旨等を記述しております。すなわち、発信力強化我が国にとって重要な課題となっていること、発信力強化に当たってパブリックディプロマシーというものが世界で重視されるようになっており、調査会においても我が国発信力強化を図るに当たってはそうした視点で進めることが必要であるとして調査を行ったこと、その結果、発信在り方発信受け手発信体制などの点で様々な課題の存在が明らかになったこと、そして、今後、発信力強化を図っていくにはこうした課題に対処することが必要であると、こういった内容になっております。そして、調査会提言はそのための具体的な方向性を示すものでございます。  具体的な提言内容は六ページ以下でございますけれども、今申し上げた課題に沿い、(1)日本魅力の再評価対話重要性、(2)発信受け手に対する施策強化、(3)発信体制整備予算確保、(4)発信力強化に向けた人材育成確保など四つの柱を示し、柱ごとにその内容に応じて、日本魅力の再評価発信における対話の促進、海外のシンクタンクや大学等への支援海外における日本語教育拡充日本への関心の喚起、外国語による迅速な情報発信及びそのための職員・予算確保国際的な文化交流機関機能強化在日外国人ジャーナリスト取材環境整備対外発信できる人材育成国民語学力の向上など、具体的な方策に言及しております。  次に、主要論議についてですが、発信力強化に当たり、本調査会では、発信哲学日本発信現状、諸外国発信現状海外日本発情報への批判意見等四つテーマごと調査を行いました。報告書においてもこれに沿った形で整理をし、各テーマごと調査背景調査会に出席した参考人冒頭陳述政府取組などの概要をごく簡単にまとめるとともに、調査会における発言整理したものを記載しております。  以下、テーマごと説明いたします。  第一の発信哲学について申し上げますと、資料の二十ページ以降になりますけれども、ここでは、日本文化国民性説明するに当たって、その国際的、普遍的な性格に重点を置くこと、影響力の強い知識人対象として重視すべきであることなど、日本発信を行うに当たっての考え方留意点などについて有識者の説明に基づいてまとめております。  そして、本テーマに関し調査会で述べられた意見としては、発信力強化が必要な理由発信在り方発信に当たっての戦略、発信力強化のための具体策などに関するものがございます。  第二の日本発信現状に関しては、これは二十四ページ以降になりますけれども、ここでは、日本発信力現状を把握するため、外務省に加え、国際交流基金日本国際交流センター、NHKなど、発信を担当している関係機関取組について、調査会での説明に基づきまとめております。  政府広報文化交流のねらいは日本への理解を深めることであるが、日本に対する信頼、尊敬、関心を高めるなどの課題があること、そのため、日本語教育普及テレビ国際放送拡充、ITを活用した発信などを実施していること、国際交流関係機関では様々な取組を行っているが、財政面で厳しい状況にあり、対応が必要なことなどがその主な内容であります。  本テーマに関し調査会で述べられた意見としては、発信の主体の在り方対外発信における対話重要性発信が受け入れられるための施策発信機関における財政難への対応国際交流にかかわる人材確保海外における国際放送受信環境整備などに関するものがございます。  第三の諸外国発信状況については、三十一ページ以降でございます。ここでは、我が国発信力強化参考とするため、イギリスドイツアメリカ、フランスの取組状況調査会での説明に基づき取りまとめております。各国とも自国を理解してもらうための施策に取り組んでおり、特に自国語普及発信における対話必要性などについて言及しております。  本テーマに関し調査会で述べられた意見としては、相手国市民社会への発信必要性発信対象を若者にすることの意義、パブリックディプロマシーにおける対話必要性国際的な発信の際の母国語重要性などに関するものがございます。  最後の第四の海外日本発情報への批判意見等につきましては、三十六ページ以降でございますが、ここでは、我が国発信力強化参考とするため、我が国発信体制発信在り方について外国特派員などからの指摘を中心に取りまとめております。日本イメージ改善には、情報仲介者である外国人ジャーナリストとのコミュニケーションの改善が必要であること、インターネットによる時宜を得た迅速な情報提供が必要であることなどがその主な内容です。  本テーマに関し調査会で述べられた意見としては、日本での取材報道在り方海外での日本イメージ改善する方途などに関するものがございます。  以上でございます。
  5. 石井一

    会長石井一君) 次に、各会派代表者からの意見表明を行います。  御意見のある方は順次御発言をお願いいたします。
  6. 牧野たかお

    牧野たかお君 今の調査報告概要説明にもありましたが、私は、これまでの調査会での各参考人意見や各委員質疑を基に、我が国情報発信強化について二つの提言をさせていただきたいと思います。  まず主張したいのは、公共外交政策パブリックディプロマシーの目的は我が国国民及び国の利益を増進させるためであるとはっきり定義付けるべきだということであります。その上で、国は民間の文化交流経済交流が活性化するよう支援、協力すべきと考えております。  また、パブリックディプロマシーについては、現在から近未来にかけて行うもの、それと、長いスパンでじっくり取り組むものと分ける必要があるかと思います。  私は、この中で、まず当面の取組、すなわち予算化等によって短期的に情報発信の効果が出ると思える提言を述べさせてもらいます。それは、海外メディアへのアプローチの強化であります。  今の概要説明の中にもありましたが、我が国についての情報海外に迅速かつ適切に伝える手段を担うのは新聞テレビ出版物などのメディアであると考えますが、四月二十三日の参考人聴取及び質疑で思ったことは、国内メディア海外メディアニュース題材を探す方法が違うということであります。逆の角度反対角度で述べますと、行政や各業界情報提供が根本的にちょっと日本国内外国では違うのかなというふうに感じました。  具体的に述べますと、日本行政情報提供というのは、最近こそ頻繁に行われておりますが、元々マスコミへのサービスとして仕方なく行ってきたところがあります。現在でも、行政側にプラスにならない、マイナスの影響があると思えるものはあえて提供しないという傾向にあるかと思います。このため、日本マスコミというのは独自の情報入手のルートを構築するのに精力を注ぐという特徴があります。  以上、私の経験から述べさせていただいたことでありますけれども、海外マスコミについては、先日の参考人発言や知り合いの特派員経験者の話から推察すると、行政業界広報というのは日本に比べるとオープンの度合いが大きくて、この根底にはお互いフェアでなくてはならないという社会思想があるのではないかと思います。  このため、参考人のマーティン・ウィリアムスさんやマルク・ベリボーさんが述べられたように、日本行政経済界対応外国人特派員から見ますと不親切に見えるのではないかというふうに感じました。正直申し上げまして、海外からの特派員も、自ら日本国内で人脈をつくったり、題材を探す努力をすべきだと思いましたけれども、我が国利益を優先して考えるならば、この際、相手に合わせることも必要かと考えました。  外務省では、川口理事外相時代に、参考人として出席していただいた高島報道官を起用されましたけれども、高島報道官は、海外また国内双方マスコミ対応を行っていたような記憶があります。  私は、外務省のみならず、各省庁を横断して対応できるように、内閣府等に海外への情報提供をする専門のセクションを設置することを提言いたします。そして、スタッフの中には、海外特派員経験者や、場合によっては外国メディア経験者の採用も有効であるのではないかと思います。その上で、海外メディアが求めている情報、つまり特派員母国である各国で興味を持たれる情報を提供することから始めていき、やがては我が国発信したい情報を伝えてもらうように、徐々にそういう方向になるように目指していけばいいのではないかというふうに思います。  以上が短期的に取り組む提言でありますけれども、もう一つ提言は時間を掛けて取り組むべきものだと思っております。  二月十三日の調査会で、日本で活動している各国情報発信文化交流担当者が出席して各国事業内容を述べられていましたけれども、その中で、米国大使館ディビッド・マークス報道官が述べられたアメリカ国務省招聘プログラムについて私の提言を述べさせていただきます。  私も六年前、このプログラムでカリフォルニア州で二週間ほど研修をさせてもらいましたけれども、その研修の前に日本国内ヒアリングを行いまして、どのような場所を視察したいのかとか、どのような分野の学者や政治家に会いたいということを事前に領事館の方でヒアリングをしていただいたわけですけれども、それなりの設定とサポートをしていただきました。また、食事等も、その場所で一番ポピュラーな食べ物、例えば大学なら学生食堂でありますし、工場なら工場食堂というように、現場の人たちと話をしながら一緒に食事をして打ち解けるように配慮もしていただきました。  このプログラムのすべての費用はアメリカ国務省予算で賄われております。また、対象者国会議員、中央の官僚、地方議員報道関係者、その他多岐にわたっておりますし、大使館がカバーするエリアだけじゃなくて、仙台や名古屋、大阪、福岡の各領事館も持ち回りでこのプログラムを実施しております。  私の感想を申せば、必ずしも研修をさせていただいたことが我が国で取り入れなければならないことばかりではありませんけれども、テレビとか出版物等でつくられていた私たちから見たアメリカの各地域、地方イメージと違うことも多くありまして、その後、米国ニュースを見る目も私自身変わったと思っております。  そこで、提案したいのは、外務省にするとかほかの省庁事業にするかは別にしまして、毎年、様々な分野で活躍している外国の若い世代のグループを二週間とか三週間、一か月でも結構ですけれども、そういう短期間、政府として招聘をして、地方自治体とか企業などの協力を得ながら、彼らの望む研修を実施することを提言いたします。  以上であります。
  7. 丸山和也

    丸山和也君 この調査会で何回かにわたって発信力ということでいろんな参考人から意見をお聞かせいただいて、至極ごもっともな点が多かったんですけれども、細かなことは言いませんけれども、基本的には、要するに、中身がなけりゃ何を発信してみても、ただ発信しても、発信という形は取れても大したことはないし、感銘も受けないしということであって、やはりだから、この提言の中でもいろいろ書かれていますけれども、発信力強化に向けた人材育成確保と、こういうところが一番大事じゃないかと私は思うんです。  もし突っ込んで私、感想というか私の意見になるんですけれども、やはり発信というのは、日本の場合、文化の力と人間の力だと思うんですね。それから、文化の力と人間の力を涵養するということによって、それを後は手段としてどういう方法発信するかということだと思うんです。  日本全体の文化とか文明とか、これはかなり蓄積された世界に冠たるものがあると思うんですけれども、やっぱり問題は人間の力ですよね、今、日本で一番弱体化しているというのは。だから、個人としての要するに人間力といいますか、そういうもののパワーが非常に弱いというか、そこら辺が、だからこそ、幾らいい文化伝統のある日本であってもうまく発信できない、ここにやっぱり一番の今、現代的課題があるんじゃないかと思います。  そうすると、やっぱり教育の問題とか社会在り方の問題ということが問題になってくると思うんですね。教育の中でやはり日本伝統文化、それから教育というのは、単に知識を教えるんじゃなくて人間教育する、人間を育てるんだという、そういう人間主義といいますか、そういう精神をやっぱり教育の中に入れていかなきゃいけないと。  それと、やっぱり特に日本社会はよく同質社会と言われますけれども、社会の中における人間のかかわり方、育ち方という点について、かなりこれは注意を払う必要があると思う。これは組織集団個人のかかわり方とも言われるんですけれども、やはり日本社会というのは個性がなかなか育ちにくいというか、目立つ人はたたかれるというか、集団と同化する、集団としてまとまったときは非常に力を発揮するけれども、個人としての発信力はなかなかないと、こういうふうによく言われています。  私、たまたま新聞を見ていましたら、先週でしたか、十二日の日経新聞ですけれども、梅原猛さんが、哲学者ですけれども、こう言っているんですけれども、上司の顔を見るより真理の顔を見て生きろと。なるほど、うまいことを言うなと思うんですけれども、要するに常に異端児としての心を忘れてはいけないと。  だから、これは一つの心構えなんですけれども、歴史的に見ても、彼が言うには、やっぱり縄文時代日本というのは非常に独創性に富んだ社会であったと。これは、縄文時代って狩猟とか採集を中心にしていた。ところが、弥生時代になって、稲作とか、やっぱり一か所に定住してたくさんのものを定型的に大量生産できるようになると、非常に個性が、文化としての個性も、個人個人って直接会ったわけじゃないですけれども、歴史家として見て、個性的にも非常に弱体化していったというふうに評価しているんですね。この評価の是非は別にしても、かなり当たっているんじゃないかと思うんです。  だから、常に日本人をいかに、個性的な人、それから独創的な人、そして組織の中におっても組織に埋没しない人と、そういう人間教育をいかにしていくかということが、やっぱり究極日本発信力を高めるための結局一番の、遠回りのようだけれども近道じゃないかと思うんですね。  それで、私はそういう点を是非強化してもらいたいと思うんですけれども、一つそれで例を出しますけれども、例えば仁という言葉がありますね、仁義の仁ですけれども。これは中国のことわざにも、日本でもあれです。窮鳥懐に入れば猟夫もこれを殺さずといって、要するに、窮地に追い詰められても、懐に飛び込んできたものはその情を感じて助けてやるという、こういう仁の世界というのは、これはなかなか外国では分かりにくい。  これは、単に愛情とかそういう同情とかいう、そういうものじゃなくて、非常に深いものがあって、これは日本でも一つの誇れる精神的な文化だと思うんですね。こういう非常に奥深いものをいかにしてやっぱり日本から発信していくか。また、発信できるだけの人物を育てるかというようなことに心をやっぱり砕かなきゃいかぬと思うんですよ。  例えば、これは源平合戦でも言える。一ノ谷の戦いで、熊谷直実が平敦盛をだれと知らずに組み伏せてかぶとを取ってみたら、私のようにひげも生えていない、もう十歳か十何歳の若い青年だったと。おれのような武者がこんな若い子供のような子の首をはねるというのは、当時からいってもやっぱりよしとしないと。それで、おれは見ないことにするから即、去れと、逃げろと言ったら、この敦盛が、どうかお願いですから私の首をはねてくれと、私も合戦に出ているんだと、敗れてだれかに首をはねられるより、あなたのような大将に首をはねられる方が私としてはよっぽど幸せだと、こう言った、懇願したと言われている。それで、熊谷直実は心を無にしてというか、それであえて首をはねてやったと。  これは、私から言わせれば、少し解説をさせてもらうと、要するに、形としては殺される者、殺す者があるんですけれども、まさにそれが一体になっているんですね、心が。これは究極の愛、愛情というか仁ですよ、仁の形に現れたもの。こういうものの深いところを日本文化というのはずっと綿々と育ててきた。こういうものがなかなか分かりにくくなってきたり、単に古いというようなことで片付けられたり、育てられていない。こういうところに日本文化生命力の弱さが僕は今あると思うんですね。これは、やっぱり我々が考えなきゃいかぬと。それで、これは、違いがあっても違いを認めた上で一体、同一になるという心だと思うんですね。  それで、偉そうなことを言っていますけれども、日本政治も、十年余りの間、総理大臣が、まあ何人か、十人ぐらいか、ころころころころ替わっている、一年か二年で総理が替わっていくと。日本総理大臣がころころころころ替わっているようじゃ、それはやっぱり我々の責任でもあるんですけれども、国際的な発信力というのは弱まりますよ。大体外国は、アメリカにしたってイギリスにしたって、やっぱり七年、八年、十年とか、サッチャーも十二年ですか、皆こうやっている。  これは、非常にやっぱり、私らも含めて日本人としての、政治家も含めて、人間的な人材を育てるということに政治が余り関心を今まで払ってきていないと思うんです。我々自身がやっぱり率先して──政治家勉強勉強勉強勉強というふうに、知識勉強ばかりしていますよ、今。だけれども、人間としてどのように修行し、修練するかという、それがないとやっぱりいいリーダーも育たないし、我々自身も戒めとして、そういう角度から教育それから研さん、鍛錬、そういうことをやっていく必要があるんじゃないかと。それが究極日本国際的発信力強化日本の尊厳を高めることにつながるんじゃないかと非常に思っております。  まさに石井先生のような、私も非常に好きなタイプというか、まあ完璧とは言わないけれども、非常に個性的には、それはもう北朝鮮からアメリカまで知らない人はいないと思うんですよ。石井先生というのはそういう意味では非常に魅力的な、こういう先生が本当に少なくなったと。私も、政治に入るときに、こういう先生がごろごろしているんじゃないかと思って入ったんですけれども、なかなかいないね。今、死んでしまったりしてね。  だから、こういういい先生を、いい先生というか、我々も含めて、人間を育てるということが究極発信強化になるんだということを私のあれとして申し上げて、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  8. 石井一

    会長石井一君) どうもありがとうございました。  グレートコンプリメントを贈られたようで、自民党へ帰ろうか。
  9. 今野東

    今野東君 今野でございます。  この調査会での議論を通して、特に発信力について意見発信したいと思います。  日本発信力を強めるということはどういうことでしょうか。資料では、「日本の真の姿・魅力日本人考え方などを諸外国に伝える」というふうにあります。これは間違いとは言えませんが、そこになければならない哲学が欠けているのではないかと思います。  憲法の前文には、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」と、国際的な役割について明快な位置付けをしています。つまり、平和、自由、抑圧の除去、人権擁護のために働き、努力をする日本を伝えていくというような方向性が必要なのではないかと思います。  例えば、さきにいただいた外務省からの資料ですけれども、我が国対外発信力強化に向けた取組、これの二〇〇八年国際世論調査によれば、日本世界に対する影響が肯定的という評価ドイツと並んで五六%とトップでした。このことは大変うれしいことなんですけれども、このような肯定的な評価を受けてきた理由、根拠というのはどこにあるんでしょうか。日本ドイツはいずれも第二次大戦を引き起こした大きな責任のある国です。戦後、こうしたことへの反省や、不戦、平和へ向けた発信が肯定的と評価された大きな理由なのではないかと私は考えます。  同じ資料なんですが、日本に対する評価、ここでは、隣国である韓国と中国の二か国だけ否定的が肯定的を大きく上回っております。一方、海外における日本語学習数を見ると、学習数の多いのは韓国、中国の順でしたね。隣国であり、日本語を学習する人が最大である韓国と中国の評価を肯定的に変えていくための発信力を高める戦略性のようなものが必要なのではないかと思います。  それでは、発信力というのはどのようにされるべきか。参考人でお見えになったブリティッシュ・カウンシルの方は、二十一世紀のパブリックディプロマシー対話であるべきで、モノローグであってはならない、ただ政府のメッセージを繰り返して発信したらだれも聞かないと思う、対話がないと理解につながらないと発言し、在日フランス大使館の方は、フランスにとっての発信とは、競争の原理ではなく協力の原理に基づくと述べられました。  しかし、日本発信力を高めるというとき、相手をどのように認識して、どのような働きかけであるべきかの方法意識については、イギリスやフランスのようなベースが見当たりません。このイギリス対話、フランスの協力に比すべき日本発信方法というのはどうあるべきかを考えなければならないのではないかと思います。  調査会意見として出されたことで、問題は、明日の世界のビジョンに対して日本考え方発信がないこと、アジアの中で唯一近代化した国であるという発信の原点が壊れつつあるという指摘がありましたが、これにどうこたえるかという問題意識とつながります。  このことで一つ例を挙げてみたいと思いますが、世界中で日本のアニメーションが大変な人気を呼んでいます。アニメキャラクターなど、世界の子供から愛され、親しまれています。これに決して劣らないほどの人気を得たものに、NHKの朝のドラマの「おしん」があります。御承知のように、雪深い北国に生まれたおしんが苦労を重ねて、我慢に我慢をしながら成功の道を歩んでいくというドラマですが、東南アジア、例えばベトナムなどを旅行していて驚くのは、「おしん」という名前の居酒屋があったりするんですね。中東やアジアはなぜ「おしん」にあのような強烈な共感を、熱烈な共感を示したのでしょうか。  今は経済大国になっている戦前の日本、人々の貧しさに驚くとともに、そこに自分たちの国、自分たちの姿を重ねたに違いないと思います。それとともに、まじめに働けば自分たちも、自分たちの国も豊かになれるという未来の姿をもこのドラマに投影したのだと思います。ですから、「おしん」には、明日の世界のビジョンに対して日本考え方発信がある、アジアの中で唯一近代化した国であるという発信の原点が込められている、そういう大変いい例ではないかと思います。  もう一つ私が関心を持ち続けていることに難民問題があります。御承知のように、日本への難民の申請が一番多いのはビルマ、ミャンマーであります。二番目は、トルコのクルド人の方々です。しかし、日本が難民と認定する人々の数は本当に少なくて、難民鎖国という日本への評価がなかなか日本から離れていきません。  しかし、もし難民に対してより開かれた政策を取ることができるのであれば、そのことこそ大きな発信力となって世界に、アジアに伝わっていくのではないかと思います。そこには、明日の世界へ向けた発信とともに、アジアの中で唯一近代化された国にふさわしいメッセージが込められるはずです。  私たち国会議員は、このような政策の持つ発信力について考慮すべきではないかと思います。クール・ジャパンもアニメも大切ですが、これらの現象を追認するだけに終わってしまってはいけないのではないかと思います。発信の原点は何か、発信には未来のビジョンが込められているか、発信の仕方が相手を十分考慮しているかなど、日本国際問題の発信力を強める前提についての認識を深める必要があるのではないかという点を問題提起したいと思います。  以上でございます。
  10. 山根隆治

    ○山根隆治君 山根隆治です。  所属会派の一員として私見を述べさせていただきたいと思います。  私、平成十四年に院の派遣で中東諸国を訪問させていただきました。そのときに、多くのものを学ばせていただきましたし、いろいろなものを感じたものであります。第一には、中東諸国がすばらしい歴史を持った国々であるということでございました。四千年の歴史を持っているということに歴史的な圧倒感というものも覚えましたし、そしてまた、特にエジプトに行ったときの感動は忘れることができません。二千年、二千五百年、あるいは三千年も前のミイラが自分の目の前に安置されている、その光景というものに深い感動を覚えたわけであります。  そのときに思ったことは、歴史の圧倒的重みでもございましたけれども、私たちが、日本人世界の情勢を把握しようとするとき、あるいは見る目というのがどうしても欧米の目から見た、眼鏡を掛けて世界を見ていたのではないか、そんなふうな思いでございました。私が中東歴訪の中で学んだことというのは、歴史ある国々の意見というものに謙虚に耳を傾けていく、その必要がある、そんなふうな思いでありました。  さて一方、私たちの国、日本の歴史が何年になるのか。これは様々な見方がございましょうが、二千年あるいは三千年とも言われておりますし、先ほど他の委員からもありましたように、縄文時代ということを考えてみると、縄文土器は一万二千年前のものであります。そして、その縄文土器というのは、南米のエクアドルであるとか、あるいはまた南太平洋のバヌアツ共和国というところから多く出土しているという事実がございます。これを歴史家がどう評価するかということについてはなかなか、まだ学界で様々な意見もありますけれども、しかし、少なくともアフリカが人類発祥の地であるとすると、今の地球の陸地のつながりではない形があったはずでありますけれども、アフリカからはるばると北に歩んできた人類、それが縄文人であったということも言えましょうし、あるいは、逆にまた見方を変えれば、縄文人が南太平洋やあるいは南米に何らかの形でたどり着き文化というものを逆に伝えていったということが言えるのかもしれません。これはもう少し時間の、歴史家の学びというものを待たなくてはいけないと思います。  しかし、十五世紀から十七世紀にかけて世界大航海時代というものがあったわけでありますけれども、それにかなり先駆けたところの私は大航海というものが私たちの祖先が成してきたことではないのかと。そんなことに思いをはせると、非常に自分たちの国の歴史というものに対しての重みというもの、あるいは厚みというもの、誇りというものも禁じ得ないというところがございます。  さて、今、私たちに伝えられている様々な文化伝統というものはたくさんございます。例えば、華道では六世紀を起源とすると言われておりますし、茶道では鎌倉時代、歌舞伎は一五九八年、出雲阿国から発したと言われます。そして、室町時代には能が起こり、スポーツであるとも言える相撲も古事記には記載されているという歴史を私たち、持つわけであります。すばらしい誇るべき日本文化なり伝統だと、そういうことが言えるのであろうかと思います。  私たちのこうした歴史というもの、今の時点でどうとらまえていくのか。私は、肝要なのは、世界第一級の文化としてこれらの文化を磨き続けていくことが大事であろうと思います。それの絶対条件というのはやはり経済力にあります。あるいは時間、心の余裕、そうした余力というものがあって初めて新しい文化伝統を築けますし、それを維持、発展させることができることになるんだろうと思っております。  したがって、日本の現在私たちが成すべきこと、それは、教育というものに力を入れて世界トップレベルの頭脳集団である日本国というものであり続けなくてはいけませんし、経済健全国家であり続けなくてはいけないと、そう私は考えます。  今回の調査会テーマである発信力強化、この要諦というのは、私は我が国にあっては意思と決意の問題であろうかと思います。国家による豊穣な予算措置、財政措置というものがとられることができるのならば、それをどう行うかというのはこの調査会でも各有識者の先生から様々な提言がありましたし、財政的な措置というものが強く大きく施すことができるとすれば、そうされれば私は、何を成すべきかという知恵は無尽蔵だろうと思いますし、かれることなくわき出るものだろうというふうに考えております。  さて、ここで、それでは改めて何を発信するのかという問題であります。  今、申し上げてまいりました日本伝統あるいは文化というものはもちろん大切な発信すべきものの対象になるのは論をまちませんけれども、私は今、世界平和に大きく貢献する国家意思というのを明確に具体的に表明する責務が我が国にあるのではないかというふうに考えております。  もう何年にもなりますけれども、人工衛星から私たちの星である地球というものが映像として流れ、世界中で何億、あるいは二十億を超える人たちかも分かりませんけれども、そうした非常に多くの人類が私たちの住んでいる星を映像で見ることができる、テレビを通して見ている。このことは相当大きな潜在意識に変革の可能性を秘めたものにはなっているんだろうというふうに私は思っております。  例えば、具体的には、自分たちの地域だけではなく、あるいは自分たちの国だけではない繁栄を、あるいは自分たちの平和だけではなくて世界の平和をというのが、単に政治家のメッセージということではなく、多くの、個々の人たちの、人類の、人間の共通の意識に今なりつつある、それがいつかブレークして大きな歴史を変える力にもなり得るんではないかと、そんなふうな思いがしてならないわけであります。  私は、一九四八年に生まれました。昭和二十三年の生まれであります。東京オリンピックは一九六四年、私が高校二年のとき、十六歳のときでございました。東京オリンピックも陸上競技場で百メートルの決勝戦も見たりいたしましたけれども、そのときの目の当たりにした感動よりも、むしろ、自宅でテレビを見て、あの入り乱れたふぞろいな閉会式の行進、あれを見て私は非常に感動を覚え、あの瞬間、世界の平和というのは可能だなというふうに思いました。その私のそのときの、十六歳のときの確信というものは、今も私には揺るぐことはございません。  日本発信力強化というのは、私は世界平和に直結するものだと思っております。本調査会での様々な各有識者の皆さんあるいは委員の皆さんの御提言、御意見、傾聴すべきものはたくさんございました。私自身もそれらの御意見等を我が意見と取り入れ、そして自分なりの平和への貢献を果たしていきたいと、そう思いました。  ありがとうございました。
  11. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  この調査会で、既にパブリックディプロマシーにつきまして五回の参考人質疑もさせていただきまして、非常に興味深い話もお伺いしました。これまでの会長の議事の運営について、本当に感謝の念を一言申し述べたいと思います。  お手元に配らせていただきましたのは、この五回で学ばせていただいたこと、また、それを少し自分の考えでアレンジしたものでございます。  今までのヒアリングで特に感じたのは、外交というものが、いろんな面から少し展開といいますか、広がっているなというのを感じたわけです。一つは外交の対象でありますけれども、狭い意味の領土や安全保障というものではなくて、経済問題から、さらには人間の安全保障、つまり平和の構築であったり貧困対策であったり感染症であったり、そういう、国だけが扱う問題ではなくて、民間の方々が非常に活躍できる場に広がっているというのが一点。  また、それによって主体が点から線へ、線から面へ、そして立体へと書いてございますが、それは後で二ポツでその事例を少しお話ししたいと思いますけれども、そういう広がりがあるからこそ、両国間というのがいろんなことがあれども健全であるというのが、この前の温家宝総理の国会演説で、大風は吹けども山は動かずと、こういうことを言われましたが、市民レベルでのやっぱりいろんな交流、またそれが年が重なっていくという中でいろんなことが、領土問題等あったとしても、それは別に険悪な関係にならないという話だと思います。  次に、手法の問題ですけれども、皆さんが言っておられたのは、やはり一方向では駄目だということで、対話重要性ですね。その中で、価値観で、自分と相手、どこが違うのか、どこが同じなのかということを共有するということが重要だと思いました。そういう意味では、逆に言えば、良い面も良くない面も両方とも正しく伝えると。よく考えれば、友人というのは、別にその人の全部を好きなわけじゃなくて、いい面も悪い面もあるんだけれども付き合っているという意味で、そういう関係をつくっていくのが重要と思っています。特に、これからはインターネット時代と言っておりますけれども、そういう時代だからこそ逆にリアルな訪問、またリアルな滞在の重要性、両方うまく組み合わせていく、ベストミックスが重要と思っています。  次に、主体の展開の事例でありますけれども、外務省がやっております事業としまして、オピニオンリーダーという、かなりのレベルになった方、これは年間四十名ぐらいですね。若手研究者については二十一世紀パートナーシップ招聘というのをやっておりまして、こういういわゆるオピニオンリーダーレベルの交流を日本でも、二週間弱ぐらいいていただいて日本のいろんなオピニオンリーダーに会っていただくということをやっている事例がございます。  また、今回こういう事例があったんですが、横浜でTICADの会合をやっておりますけれども、この会合にアフリカ市民委員会のギュスターブ・アサーさんという議長が来られておるんですが、横浜自身は、単なるTICADを国と国の会合ではなくて、もう少し市民レベルで交わるものにしたいという、そういう思いがあったようでありまして、横浜の地下鉄、全部で四十の駅があるんですが、それについてそれぞれアフリカの国の催物を割り当ててやっている。また、小学校においては、それぞれの国を割り振ってそれぞれ勉強して、いろんな絵をかいたりとか作文をしたり、そういうことをやっておられまして、実はこのアサーさんはベナンという国の御出身なんですが、そのベナンを対象にしていました横浜市の白根小学校というところにも訪れられまして、本当に子供たちと、いろんな子供たちが持った疑問とかにも答えられて、一緒に給食を食べられて帰ってこられたと、こういうこともございました。  次の事例三番目は、面と面。もう少し青年に光を当てまして、量的にも多く交流するという案でございまして、これは当時の安倍総理が提案されました東アジア青少年大交流計画ということでございまして、年間約六千名、中国から二千名ぐらいですが、そういう方々が日本に一週間程度来られまして、それぞれホームステイをされる。六千家族と六千人が交わっていくのを積み重ねていくわけでございまして、たった一週間でありますけれども、最後はやはり涙の別れになっているというのは、非常にやっぱり市民の中のこういう交流というものが深く外交の面でも効果があるんだなと感じました。  第四点目は、今回特に感じたんですが、四川大震災のときに日本の緊急援助隊が行きました。これは助けるために行ったわけですけれども、四川省というのは、聞くところによりますと、それほど日本に対してプラスの感情が高いところではないと。ところが、そういうことに対して、非常に国民日本の動きに対して感謝を言われている。対日感情が変わるというのは、別にそれを意図してやったわけではないんだと思いますけれども、そういう意味では、こういうそれほど意図して何かをするだけじゃなくて、やっぱり交わっていくこと自体が大きな効果を持ってくるのかなという例だと思っております。  一方で、中国でワールドカップの二〇〇四年の予選のときのああいう感情ではなくて、こういうものを市民レベルで広げるのが重要だなと思っております。  最後に、逆に、点から線、線から面だけじゃなくて逆方向に行くものがあるんだなというのは、この軍縮のいろんな交渉については、国対国の場合、なかなかうまくいかないことも多いと。それを市民社会に一度下ろしてからまた国が入ってくるので、対人地雷のオタワ・プロセス、また今アイルランドのダブリンでやっておりますが、オスロ・プロセスというクラスター弾のこういう規制につきましても、そういうものの中で外交が進んでいくのが重要じゃないかと考えております。  こういうことを受けまして今後の展望ということですけれども、主体についてはNGO、日本企業、日本国民、特に青年というところがこれから、より、国だけじゃなくて、もちろん国は重要なんですが、国以外として重要かなと思っています。  特に、企業というのは、単に物を作るだけじゃなくて、経済協力と文化交流の結び付きがあると。一つ感じましたのは、パナソニックさん、松下さんがベトナムで薄型テレビのチューナーを作っておられると、そのときにやっぱり社員に日本語教育を力を入れておられてやっておられる。そういうものとの連携というのは重要だなという気がいたしました。  また、これから観光交流がどんどん進んでまいります。そういう中で、いろんな人が日本の町中でいろんな人と出会うという中で、そういうときに感じられるものというのは、やっぱりこれは意図せざるものかもしれませんけれども、重要と思っております。  そして、手法としましては、そういう意味では、国又は民間企業自ら発信するということじゃなくて、そういう人的なつながりができる場をうまく提供していく、これには青年層の国際会議参加支援という項目も出ておりました。また、ある提案では、国連総会で国と国がぶつかる前に、それを各国の若い方に見ていただいて、その若い方の意見各国首脳が聞いていただくというふうなことをやってはどうかという提案もあるようでございます。  また、平和構築の面では、いわゆる国の人材だけではなくて、また特に外務省、防衛省の人材だけではなくて、全省庁人材又は民間の人材をこれから抜本的に強化をして、やはり平和構築国家としての協力というのを今後広くやっていくことが重要だと思っております。  その際に重要な点は、特殊性を言う、又は優越性を言うということじゃなくて、国際的、普遍的な性格又は共有性を主張していくというのが重要と思っております。  以上、簡単でございますが、私の今まで感じた点を述べさせていただきました。
  12. 加藤修一

    ○加藤修一君 発信力強化ということですが、仕組みの問題になることが非常に大きいわけでありますけれども、先ほど丸山委員発信内容にもかかわってくる話だということで、私も全くそのとおりだと思いまして、内容によっては日本のプレゼンスを高めて、結果的に発信力強化になったということにもなるなと、そんなふうに思っています。  そこで、私は、今日は発信力にかかわる内容の関係について若干お話ししたいと思いますが、我が国国際社会に向けて継続的に発信すべきことは何かと。それは、私は、戦後六十年以上にわたり非軍事的行動に徹してきたことであると。非伝統的な安全保障に大きな関心を持ち、自らの行動を示し、さらに、人間の安全保障に関する基金創設などを行ってきている事実そのものを信念を持って発信すべきであると。  ある国の日本に軍国主義が復活しているとの主張は、根拠の薄い誤った認識、評価でありますが、日本世界で唯一核兵器の直接的な被害を、被爆を受けた国でありまして、非核三原則を国是とし、毎年国連に全面核廃絶への道程等の決議案を提出し、圧倒的多数で採択されております。  国連の常任理事五か国、P5は地球の安全保障に大きな責任がありますが、P5の武器輸出量は世界の約九〇%になっております。様々な理由があるとは思いますが、世界の市民を納得、理解させることは非常に困難なことではないかと思います。  一方、その中にありまして、日本は武器輸出三原則で自らを厳しく規制し、国連の小型武器登録制度の導入・推進、小型武器被害国におけるキャパシティービルディングの支援、武器登録制度支援などを柱とした小型武器回収プロジェクトや対人地雷廃棄支援を進めている。今後、クラスター爆弾の廃止に向けて積極的に行動するということも大事な視点ではないかと思っております。  また、地域間紛争については、紛争予防を含めて、紛争発生前から発生後について政治、安全保障、経済社会開発等の政策を念頭に置いたいわゆる包括的アプローチを実行してきております。これについては、地球温暖化問題、特に気候変動と食料、気候変動と水など、従来にない要因に伴う安全保障上の問題であることから、包括的アプローチに組み込み、対応強化を図ることでないかと思っております。  紛争後の支援についても、武力行使を避けて、PKOファイブ原則を設け、慎重な行動をしてきたところでありますが、戦後六十年以上にわたり海外派兵は皆無という事実、憲法の九条の役割等、恒久平和主義を世界に知らしめるということではないかと思います。  それから、持続可能な開発のための教育の十年の推進とか、省エネルギーや新エネルギーなどの環境技術や環境金融などを推し進めておりますし、地球環境問題の包括的な取組を拡大することであり、また積極的に行動している事実を発信することでもあります。  文化、スポーツなどの活用によるソフトパワーの駆使、言うまでもないことでありますが、経済力などのハードパワーも必要であります。平和創出に向けてソフトパワー、ハードパワーをバランスよく駆使する、いわゆるスマートな国家を目指していることを明確に発信することではないかと考えております。  以上はほんの一部でありますが、日本の非軍事的取組を深く認識できるようにあらゆる機会をとらえて発信し、またその発信の仕組み、機会をつくり上げ、強化することでありますが、それが即、日本のプレゼンスや国という品格を高めることになり、別の意味での発信力強化と言えるのではないか、このように考えております。  ありがとうございます。
  13. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は、日本発信力強化について基本的な問題を提起をしておきたいと思っております。  発信力という場合、日本人としての心の中から発する主体の問題と発信の技術や機能の問題があると思います。私は、発信の技術や機能の問題についてはこの報告書の中にもいっぱいありますから、あえて申し上げません。日本発信力強化として基本的な問題と思われることについて特に触れておきたいと思いますが、その一つは、日本教育と欧米諸国の教育方法やその手法が大きく違っておると感じております。  戦後そういうふうに言われてきましたが、日本教育方法は、やはり依然として児童生徒に考えさせるとか発信力を高めるような面が少ない、上から教えるものだという、そういう要素が依然として強いと思っております。それに対して欧米諸国の教育は、エデュケーションでございますから、児童生徒にまず考えさせる、あるいは発言力を引き出す、可能性を引き出す要素が日本よりは多いなと、あの授業形態を見ていてもそういうふうに思います。そういうふうに考えますと、日本発信力強化するというときに、この教育在り方教育方法についてまでやはりさかのぼって議論をしておく必要があると思っております。  発信力について、私は日本の指導者と言われる政治家行政関係者の発言や演説を聞いていて、あの発言は人の心を揺り動かすような感動的な発言であり、演説だなというふうに思ったことが非常に少のうございます。ひどい話になりますと、ある国家行事でございますが、明らかに読んでおる人が書いたものじゃなくしてだれかが書いたもの、二、三年前から年度だけ書き換えてあるなと、こういうふうに気付くような祝辞とかあるいは式辞があることに気付きます。やはり、人の前で演説や式辞を述べるわけでありますから、聞いておる人々に感銘、感動を与えるようなものでなければいかぬだろうと、こう思っています。  国会答弁をずっと去年の八月から聞いておりまして、大臣の答弁に対して、私はこの調査会以外に外交防衛委員会とか沖北にも属しておりますが、私は何度も申し上げるんです。答弁要旨に書かれたものでの答弁は結構です、大臣の生の声でお互いに質疑応答やりましょうと、こういうふうに言うわけですが、担当職員が書き上げてきた答弁要旨を読み上げるわけでありますから、そこには魂も心もあるいは展望もこもっていないということを私はしばしば感ずるわけでございます。  したがいまして、この発信力という場合に、その発する言葉の中に夢があって希望があって感動がなければ、発信力は、特に日本から外国に発していく場合にはそういうものでなければいかぬだろうと思います。  そして、政治の中でも教育の中でも日本文化を語っていくことが必要と思います。その文化こそ人々に感動と共感を与え、日本への関心を、あるいは魅力を引き立てていくことにつながると思うからであります。  そして同時に、文化には国境はありません。私は、大変恐縮でございますが、読谷の村長を長年やっておりまして、基地の村でありましたから、基地の構造を乗り越える構造は文化の構造であると。したがいまして、アメリカ大使館領事館や、あるいはあの当時の大臣の方々も、何名も読谷の文化村と言われておるその現場を見たいと、こういうふうに来られました。スウェーデンからもアメリカのカリフォルニアからも、陶芸関係の勉強をしたいというふうに訪ねてくるわけです。そんなのを見ておりますと、文化こそやはり国境を越える力を持っておることに私は気付きました。そして、民族の壁をも融合していく力が文化にはあると思います。  日本には、やはり縄文や弥生から、先ほどもありましたように、奈良、平安といって、やはり個性豊かな文化があるわけであります。そういうものをやはり指導者やリーダーという立場にある人々はある程度外国人に対しても発していけるような、そういうことが必要だろうと思います。  そして、私は、日本は平和憲法を基盤とした平和文化国家をこれからも目指して発信を続けていくことが必要と思います。苦しい状況にある人々に自信と勇気を与えることができるのは何といってもやはりそれは文化だろうと、文化こそは自信と勇気を与えることにつながると思っております。  最後に申し上げますが、欧米の指導者の発言や演説を聞いておりますと、なかなか私たち日本の人々の心もとらえて離しません。  例えば、アメリカのあの独立宣言の中にすごい言葉があります。あの言葉は、私をもうとらえて離さないんです。人は生まれながらにして他に譲り渡すことのできない権利がある、その権利の中には、自由、生命、幸福追求の権利があると。これは、人は生まれながらにしてですから、普遍的なことを言っておるんですね。  そして、十六代大統領のあのリンカーンのゲティスバーグにおけるあの演説の中に民主主義を言い当てた、表現した言葉があるわけですね、ガバメント・オブ・ザ・ピープル、バイ・ザ・ピープル、フォー・ザ・ピープル。一瞬その言葉を聞いた記者たちはペンが止まったというふうに言われるぐらい感動的な場面であったようであります。  そして、現代の大統領たちの中にも、まあ現代と言うとちょっと語弊がありますが、例えば、あの人権外交をしたジミー・カーターの演説もなかなか優れておりますし、それから、国家に求める前に国民は国のために何ができるかと言ったケネディがおりましたね。そういうふうに、やはり夢を語ることが必要と思います。  キング牧師が、私には夢があると言って、黒人差別をなくして公民権法案を作らせていく、そういうふうなことを私たち外国リーダーたちから学びながら日本発信力を高めていく必要があると思っております。  以上です。
  14. 石井一

    会長石井一君) ありがとうございました。  以上で意見の表明は終わりました。  これより委員間で自由に意見交換を行っていただきたいと存じます。  どうぞ発言のある方は挙手を願います。  工藤堅太郎君。
  15. 工藤堅太郎

    工藤堅太郎君 ありがとうございます。  私は、この調査会に参加をさせていただいてずっと勉強をさせていただいてきたわけですが、この調査会で、石井一先生会長に就任をされて、それで、すばらしい方々が理事をやっておられて、そういう中でいろんな識者の方々からいろんなことを教えていただいたと。本当にこの調査会はすばらしい調査会だなという、そういう思いを抱きながら私は来たのであります。  ふと思い出すのは、私が四つ、五つのころから小学校の低学年のころまで、私の母が毎晩三十分、寝る前にひざを折らせて、そして一間ぐらい離れたところでいろんな話をしたのを思い出したんです。これは毎晩でした。それで、堅太郎、工藤堅太郎ですから、堅太郎にはどんな人になってほしいかと。団琢磨のような人になってほしい、こういうふうなことを言うんです。四つ、五つのころから団琢磨なんと言ったってぴんとこないわけなんですが、毎日聞くものですからもう暗記をするぐらい覚えるわけなんですね。三十分、この人は本当の母親かと、僕は本当にこういうのをまま母と言うんじゃないかというくらい厳しい思いをしたんです。  何で団琢磨のような人になってほしいかと。これは、あの時代に三池炭鉱の煙突を高くしたと。これ、何で高くしたかと、公害を考えたと。あの時代に日本人で公害ということを話をした人は団琢磨しかいない、だから、堅太郎はそういうような人になってほしいと。そういうふうなことを延々と毎晩聞かされたものですけれども、それ以来、何か成人してそういうあれがぴたっと止まったような感じで、この調査会が始まって参加をしていろいろ勉強をさせていただいて、さすがに石井会長の下での調査会だなと感服をしながらいろいろ勉強をさせていただいているんです。  例えば、洞爺湖サミットに向けた課題日本役割といったようなこと。これはやっぱり、何をどう発信するとかなんとかというよりも、日本が、我々がどういうようなこれに取組をしてどういう成果を上げているのか、これをきちっとやることが一番の発信力になるんだろうと。  そのためには、小学校のころから子供に、例えば、ごみはこういうようにしなければならないとか、いろんなことを一つの大きい教育というような観点から、この地球は頑強なものだと、こう思っておった人類、人間が意外にもろいんだ、もろいものだなということを感じてきたような状況だと思うんですよ。ですから、この地球は、自分たちの星は、はれものに触ると言えば大げさかもしれませんけれども、そういうような思いで付き合っていかなければならないと。そういうことを小さいときから教えるのが、教育をするのが環境を守る、地球を守る、これに一番つながるんじゃないかというような気がして、これからもまたこの調査会勉強をさせていただきたいと、そう思っておりますので、よろしくお願いをします。  ありがとうございました。
  16. 石井一

    会長石井一君) 丸山和也君。
  17. 丸山和也

    丸山和也君 私、さっきもちょっと、十分じゃなかったんですけれども、やはり日本文化あるいは文明、発信力ということ、これは単に文化とかそういうのを世界に広めて知ってもらう、友好ということだけじゃなくて、非常に大きな力があると思うんです。  例えば、中東の紛争を見ていましても、あれはもう延々とやっているわけですよね。いったん和平になるかと思うと、またつぶれたり、そこでたくさんの人の命が失われていると。これ、見ていますと、例えばアメリカ世界リーダーと言われていろいろやるんだけれども、やっぱり時の政権によってはほとんど力を入れないとか、あるいはイスラエル寄りだと、いろんなことがあって、ああいうことについて本当は、これは文化だけじゃなくて宗教の問題も絡んでいるんですけれども、やっぱり文明の対立とか宗教対立ということをどこかで克服しなきゃならないと。  日本を考えてみましたら、日本は恐らく西南の役以後ほとんど大きな戦争はないと思うんですよ、国内の、内乱のような。それで、やはり日本の文明の最大の特徴ということは、対立があるのを、違いがあるのを認めながら共存するというか、お互いを受け入れると、これが日本の最大の僕は世界に冠たる特徴だと思うんですよね。  これはすごいことなんです。結局、これがないと世界の紛争は解決しないですよ。幾ら力で押さえたって、幾ら言ってみたって、経済が貧しいから紛争が起こるんだと。それは理由はありますけれども、例えば、イスラムなりキリスト教というのはいろいろ違うわけですから、キリスト教が見たって仏教はおかしいといろいろ言っているわけだから、ぎりぎり。だけれども、日本というのは仏教もあればキリスト教もある、イスラムだってあると。別に迫害はしない。それぞれがやると。まさにこういうのは、一種のもう究極的な理想に近いような状態があるんですよ。それはなぜかというと、日本文化がそこにそれだけの、受け入れるだけのものがあるからなんですよ。  だから、こういう本当の、世界の人類が滅亡するかどうかにかかわるぐらいの大事な問題について、それを救済するような文明なり文化、それを日本は持っているということをもっともっとやっぱり世界に強く発信しなきゃいかぬと思う。そこができていないというのは本当、宝の持ち腐れだと思いまして、だから、日本発信というのは国際紛争の解決に究極つながるものだということを私は常々思っていますので、ひとつそういう御理解をいただきたいということを申し述べます。
  18. 石井一

    会長石井一君) それでは、佐藤正久君。
  19. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 ありがとうございます。  ちょっと議論に水を差すようなんですけれども、余りにも何かきれい過ぎるような気がします。日本を正しく発信していないような気がします。  例えば、私、イラクから帰ってきてすぐ、一週間後ぐらいにサマワの知り合いとかが外務省招聘日本に来ました。彼らが言った言葉は、日本の方が治安が悪いと言いました。日本人が、我々が見ている世界とやっぱり全然違う世界を彼らは言いました。我々が見ているのは日本マスコミを通じて見た中東の世界であって、彼らが実際日ごろ見ている世界とはまた違う世界を我々は見ているわけで、彼らがなぜ言ったかというと、こんなに交通事故で人が死んでいるのかと、こんなに悪いことを日本の人はやっているのかと。  日本マスコミとかテレビ新聞を見ると、ほとんどトップニュースは悪いことばっかりなんですよね。いいことって余りないわけですよ。それを見たイラクのサマワの人々は、ああ、こういうことなのかと。実態とは多分違いますよ。でも、日本テレビマスコミ報道しているのはそういうことなんです。大体トップニュースは悪いことばっかりですから、いいニュースはほとんどやらないと。我々が見ているのも、イラクとかアフガニスタンのを見ていても、いい報道はほとんどされずに悪いことばっかり見ていると。  実際、じゃ日本はどうかと考えた場合、確かにいいものはいっぱいあります。でも、今いろんな問題が国内に渦巻いているというのは、これは事実だと思うんですね。いいものだけを発信していいのかと。私は、正直に言うと、それじゃ共感なんかわかないと思います。こういう問題もある、でもそれをこういう形で克服しているんだというやっぱり生のものを見せる方が、それで改善をやっているという方が私は共感を呼ぶんではないかなと。  我々が見ているのは、非常に上っ面の部分を見て発信しようとしていると。確かにそれはそれでいいんですけれども、果たしてそれだけで本当に共感がわくのかと。向こうの人が日本に来たときに、そのギャップにええっと言う方がかえって長い目で見る長期的な投資とか信頼、信用というもので問題ではないのかなと。  この報告を見ても、そういう問題点というのは余り明らかになっていないと、いい部分だけ発信しようとしているというような感じがしております。  以上です。
  20. 石井一

    会長石井一君) 広中和歌子理事。
  21. 広中和歌子

    広中和歌子君 私は、少なくとも、あの忌まわしい戦争の後、また公害問題ありましたよね、あのときもひどかったですよね。だから、すべて日本は優等生じゃないと思うけれども、そこそこやってきたと思うし、また、日本発信できる美しいものというのは確かにあると思います。だから、それに対して、そちらの方に焦点を当てて、自信を持って折に触れてそういうものが世界に知られていくといいと思うんです。  あえて発信するかどうかということなんですけれども、幸いにして、本当に今、情報通信機関、発信機会というのはいろいろございますから、本当に大事なことは、日本人が本当に心底誠実にいいものを、そしていいことをやっていくことだろうと思っています。  これも水を差すようで本当に嫌なんですけど、TICADのミーティングが今、あしたからでしたっけ、行われます。アフリカの人たちを呼んで日本で会議をすると。アフリカの人たちを助けて様々な形でODAをあげるというようなことはすばらしいことのようなんですけれども、ちょっと衣の下によろいがあるといったような感じで、私の思い過ぎだったら訂正させていただきますけれども、ちらついているのが国連常任理事国入りなんですよね。それから、中国なんかも当然やっていますからそれも当たり前なんですけれども、資源、どうやってもらってくるかという。  今朝もテレビで言っていました。国連加盟国の四分の一がアフリカの諸国であると。五十三か国ありますから、一票ずつでもすごいですよね。そういうようなことを日本マスコミが言ってしまう、あるいはそれが外務省なりなんなりの本音だとしたらば、そういう本音をさらしてしまうということ、ちょっと恥ずかしいことではないかなと思ったりしております。  余分なことかもしれませんけど。
  22. 石井一

    会長石井一君) 山根隆治君。
  23. 山根隆治

    ○山根隆治君 党内でちょっと反論しちゃって申し訳ないと思うんですけれども、今の御指摘はちょっと私、納得できないところがちょっとあるんですけれども、広中議員の御発言で。  TICAD、やはりアフリカ開発会議というのはもう随分前から、十何年ですか、行われておりますし、本当に、何というか、お人よし国家日本だからこそやれたものだったんだろうなというふうに私自身は思っているんですね。  今、確かに、資源の問題であるとか国連の常任理事国入りのことでの思いというものも全くないことはないんでしょうけれども、ただ、新聞はそういうふうに報道をしていますけれども、実はやはり、例えば、他国の悪口を言っちゃいけないんですけれども、ほかの大国、ヨーロッパ、アメリカ、アジア、世界中のやはり大国がアフリカに相当アプローチしてきていろいろなことでかかわってきていますけれども、日本のやはりかかわり方というのは、ただ単に資源をもらう、あるいは石油をということではなくて、例えば資源を採掘するのをお手伝いして、そこに、現地で工場を造って何百人という労働者を雇用して、しかし、それが全部もう資源の採掘が終わると撤退して何も残らなかったということでの不満がアフリカの各国にやっぱりあるというふうに聞いているんですね。ところが、日本の場合には、その後もやはり雇用をケアするように、そして産業として成り立つようにというふうなやり方をしているというふうにちょっと私自身も聞いておるんですね。  そんなふうなことで、だからこそ、やはりほかの国と日本は違うんだと、こういう思いで、アフリカの人たちはかなり日本のそういう技術力であるとかアフターケアというか──資源というのは、中東でもそうですけれども、もう全部それがなくなってしまったときはどうなるのかということを問題提起を日本からしていって、そしてその産業が成り立つように、例えば私たちの国はアジアに対してもそういう形で支援をしてきて、アジアの復興に大きく私たちは貢献してきたという自負を国家として持っていいと思うんですけれども、その手法をアフリカにもと、こういうふうな思いでやっております。  何か、与野党ちょっと逆転したような変な話ですけれども、そんな思いがあるということは一つ私の意見として申し上げさせていただきたいと思います。  それから、さっきの私の報告の中で一つちょっと落としていまして、私は、これから何を発信するかということで、日本国として世界平和に大きく貢献する国家意思を具体的に明確に表明するのが日本の責務だと、こういうふうなお話をさせていただいたんですね。  具体的には何かということで、私自身の思いは、憲法改正の機運というのは今ここで少し頓挫しているようにも思うんですけれども、憲法改正というふうな話になったときに、私は、明記すべきだというのは、日本は明確に世界平和への貢献ということを書くことはだれも皆さん否定しないと思うんですけれども、やはり世界連邦という文言を入れるべきだということを、私も前に所属していた政党の仲間にも話をしたり、あちこちで言っているんですけれども、なかなかそれが文字として出てこないというもどかしさを感じるんで、あえてこの調査会で問題提起をさせていただきたいと思うんですけれども、そうした文言を憲法に明記することによって世界平和への貢献というか、世界の平和国家たるもので私は象徴的なものになるんだろうと思うんですね。  例えば、世界各国にある、世界百八十数か国あるんでしょうけれども、そんなになかったですかね、それらの国でやはりほとんどの憲法というのは、みんな平和というものに何らかの意味で触れて憲法の中に書かれているんですけれども、しかし、世界連邦というものを明記した憲法は私の知っている範囲では余り聞かないわけで、そこをしっかりとやはり明記するという必要が私はあるんじゃないかなというところの話をちょっと一言申し上げるのを落としましたので、あえて発言をさせていただきました。  以上です。
  24. 石井一

    会長石井一君) 西田昌司君。
  25. 西田昌司

    ○西田昌司君 先ほどから委員先生方の御発言も、それぞれ日本の良き点、それをどんどん発信していくということで私もうなずけるところたくさんあるんですけれども、ただ、やっぱり日本の一番問題は、要するに戦後の日本と戦前の日本とで随分変わってしまっているんですね。  戦前、いわゆる黒船がやってきて、明治維新から近代化が始まって、その最後が悲しい敗戦で終わってしまったがゆえに、今の日本といいますのは、まさに戦後からもう一度再スタートだと、そういう思い込みが余りにも強過ぎて、本来、日本というのは、江戸時代からそうでありますけれども、世界的にも冠たる文化もあり、独自の文化があり、そしてすばらしい国であったんですが、それも含めて何か近代というものが正しく日本の中で議論ができていないんですね。  明治維新自身がそうですけれども、勝てば官軍という言葉があそこから出てきたように、明治維新も含めてもう一度問い返してみると、明治維新が悪いというんじゃないんですけれども、必ずしも我々が理解してきたような歴史でもないし、実は様々な積み重ねの歴史が後ろにあったのを全部一度明治維新で切ってしまっているんですよね。それと同じように実は戦後も、戦前のいろんな積み重ねのものを戦後という枠の中で切り捨ててしまって今日、日本があるんです。  今、先生がおっしゃった憲法の話も、それぞれ見解があるんでしょうけれども、やはり憲法というのは日本の国の形でありますし、形ということを考えてみると、そういうものをすべて含めてやっぱり日本人とはどうあるべきかということを考えるということになろうと思うんです。  ところが、憲法議論がそうでありますように、つまり、戦後の枠組みの中でしか物が考えられていないということがその典型でありますけれども、国際問題、こういういろんな発信力をしていこうと思いますと、やはりかなりそういう奥の深い歴史観を日本人自身がもう一度再確認して共有していくことが何よりも大事だと思うんです。  ところが、こういうことはなかなか、タブーになるんですね。政治家がこういう発言を公の、私のような新米議員はいいでしょうけれども、例えば立場のある政府高官におなりになると非常に大きなバッシングを受けたりすることにもなりますし、そういう意味でいいますと、参議院のこの調査会といいますのは、各党の中でもそれぞれ非常に厳しい意見のやり取りがあったり含めて、自由闊達に議論できる非常に有り難い場だなと思うわけでございますが、こういうことをもう少し国民的なところでも広げていくと。そして、タブーを取っ払って、やっぱりいいものはいいし、悪いものは悪いし、それぞれもっと議論を広げていかないと、形ばかりの国際化ということを進めていこうと思いましても、これはなかなか実を得ることができないんじゃないかなと。  むしろ、こういうことを草の根で、国民レベルでどんどん議論できる体制を我が参議院の方から発信していく。それも、国際化ということを考える上でも、日本発信力ということを考える上では特に大事な問題だと思いますので、是非これからもそういう問題で議論、取り組んでいただきたいと思います。
  26. 石井一

    会長石井一君) 荒井広幸君。
  27. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 荒井です。  私、福島なんですが、三春藩というところでございまして、板垣退助大将格に無血開城いたしまして、会津藩攻めに加担をしてしまったという、隣の藩なんですけれども、三春藩という無血開城したところなんです。  白虎隊が有名になっておりますが、その前に、二本松藩というところの、阿武隈川を渡るところにまたこの少年隊という隊がありまして、非常に白虎隊と同じように悲惨な運命をたどったんですが、白虎隊の若い人たちは家族を守らなきゃということで出ていったわけですが、守り切れないというので戻ってきて、飯盛山というところからお城を眺めましたら、お城が燃えて、今まさに落城するというふうに見えたんだそうでございます。よくよく、後になりますと、煙とか火がかぶさっていまして、城は燃えていなかったということです。ですから、それに落胆して自刃して、お一人だけ生き残ったその方の証言がいろいろあるわけです。  もしこのときに携帯電話があったらなと、こう思うんですね。携帯電話があったら、まさに事実というものを、これを伝える手段として携帯が伝えていて命を救えたかもしれない、このように思うわけです。  河野広中は、そうしたいろんなことを葛藤したのでしょう。板垣退助といろんなつながりが、そのときにあったかどうかは分かりませんが、小説風に言えば、そうしたつながりがあって、西の板垣、東の河野と言われるように自由民権運動を支える二大巨頭になってまいります。この河野広中は、結果的には板垣退助共々、薩長閥を中心とした政府に大変ひどい、日本的にも、重税を課せられると、なかなか意見が通らないと、こういったことがあり、国会開設運動につながるのは、国会の開設運動の原点をつくったということで自由民権運動は評価されるわけですが、その河野広中は、最終的に何をもって彼は自分のことを伝えようとしたかというのは、印刷道具です。  ですから、日本における新聞のそもそも発祥は政党の広報紙です。この河野広中は、やはり農家の篤志家、当時は私のところは繭と葉たばこでした、こうした方々から無心をして、篤農家の寄附をあおいで、印刷をしながら演説会を続けます。演説会は弾圧に弾圧を重ねられるわけですし、まあ演説していると急にけんかが始まるんだそうですね。けんかするような仲間じゃないはずなんです。それは、官憲の手が入っていて、けんかを仕立てて、ほら、けんかが始まったからつぶせなんというようなことでやっていたと。そして、それをどんどん印刷で広めていくということが、新聞のこれが発祥ですから、政党紙なんです、そもそも。  そういうことを考えていきますと、彼らは何を主張したかったのかと、こういうところに参ります。事実と主張、そして手段、こういったものによって今日の我々はお互いの主張を闘わせられる。そういう場を多くの人の命をささげた環境の中で私たち世界とともに民主的なものを共有しながらこうして国会で議論をしておられるということを大変私は感謝しているわけです。そして、主張を持ち、事実も加えながら、また歴史を学びながらお互いに議論をし、それをお互いが包容しつつ、世界とも包容しつつ発展させていくというところに自分もありたいものだと、このように思っております。  力という字を手に書いてみますと、ノというのと、こう角張っているわけでございますが、このノのところがちょっと短くなりますと、これは刀という字です。やはり力というのは武力によらないものである、刀ではなくて、やはり力というのは武力以上の伸びがあって力になるわけですから、意思の力、人間の理性の力と言ってもいいんでしょうか、そういうものが力だと思うんです。しかし、これを誤るといわゆる軍事力と、例えばこういうものにも、力というものに間違って使われるわけですから、そのようなことのないように力を発揮していきたいと思います。  以上です。
  28. 石井一

    会長石井一君) ツルネンマルテイ君。
  29. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 私も、この調査会に参加できていることを非常に有り難く思っています。多くのことを学ぶことができた、あるいはこれから続くのならこれからもそうでしょう。そして、今日は、私たちの基になっているこの報告書をぱっと読みますと、今までの私たち勉強内容をかなりよく表しています。その中で、日本発信力は、日本はどういうことを発信すべきかということを私たちは今まで勉強してきたし、それを表しています。  強いて言えば、私はこの中で二つのことが弱いというか、欠けているんじゃないかなということですね。  私たち人間がこの地球の中に生きているときは、ある意味では過去、現在、未来にかかわっています。それぞれ私たち影響を及ぼしています。日本の過去を発信するときは、一つ足りないのは、私が感じているのは、犯した過ちを反省するということは余り出ていないんですね。どんな国でもやはり失敗も過ちもありますから、それを素直に反省するのも必要じゃないかなということ、それはちょっと、強く話の中でも出なかったし、この報告書の中でもないんですね。  現在においては、私たちは、さっきもお話がありましたように、やはり日本の今の社会の問題点を本当に十分には発表、発信していないということ。ただし、それがそんなに大きな問題ではないんですから、日本のことを今はいろんな方法でだれでも日本の問題を知ろうとする人ははっきり分かりますね。日本に観光客として来るときも、日本の問題を私たちは何にも隠そうとしませんから、ありのままの日本を見せることできます。それはそんなに大きな問題ではないんですね。  しかし、未来に対しては、やっぱりこれからどの国でも非常に重要な問題は、二十一世紀を、あるいはこれからの社会をどうやって生きていくか、その新しいライフスタイル。今までの伝統とか文化とかはもちろん基本になっていますけれども、このままでは地球が滅びるということは私は地球温暖化の問題でも分かっていますから、だから、日本はこれからの社会でこういう問題を乗り越えるためにはどのようなライフスタイルを今探っているかということ、これも私たち見付けていないんですけど、探っているか、それをやっぱりはっきり発信して、私たちはほかの国と一緒にそれを見付けたい。  だから、私たちも、それは決して理想的なライフスタイルでは今はないんですから、未来に対して本当にこの地球が滅びないための新しいライフスタイルをやはり日本も、呼びかける意味でもいいですから、発信力の中に、発信の中にはそれもちょっと増やしてもいいんじゃないか、こういうことを感じています。  以上です。
  30. 石井一

    会長石井一君) 野村哲郎君。
  31. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 ありがとうございます。  いよいよこの発信力についてが最終コーナーに来たわけでありますが、今まで各先生方の御発言、あるいはまたこの調査会参考人として来ていただいた方、いろいろ発信していかなきゃならない日本の姿あるいは日本のこの考え方というのをきっちり正しく伝えていく、受け止めていただかなきゃならない、そういうことでいきますと、いろんな分野分野での伝え方があるということもよく理解できましたし、またそういう御努力も各分野でされているというのも分かりました。  ただ、一つやっぱり考えた場合に、全世界的に発信するものと、それからもう一つは、やっぱり戦略的に発信していかなければならない分野といいますか、対象があるのではないのかなというのをこの調査会のいろいろ御意見を聞いていて考えるわけであります。  それは何かといいますと、確かに、日本の今の状況を伝えるには、先ほど牧野委員からも出ましたように、やはりこれはメディアの方からいろいろ伝えてもらう、ただ、メディアの伝え方にもいろいろ問題点があるというのは先ほど指摘があったとおりでありますけれども、そういうメディアの問題の中でも、それは外国人記者ということが先ほど牧野委員からも出たんですが、私は、やっぱりNHKが表に出てというより、国際放送を今度から充実していくわけでありますが、やはりこのメディアを使った日本の伝え方というのは一つあると思うんです。  それはオール世界に向けての発信でありますが、ただ、一つやっぱりここに来て非常に気になったのが、先ほども今野委員から出ましたように、日本を見ている目、日本に対する評価というのが、やはりなぜこんなに、まあ歴史的な背景があるわけでありますが、韓国の皆さんや中国の皆さんが否定的な日本に対する評価が高いと。  しかし、これは先ほど浜田委員から出ましたように、意図せざる外交という言葉を先ほどお使いになりましたが、確かに、中国メディアの皆さんの、日本のあの救助隊の活躍、そしてまた医療チームが今、行っているわけですが、非常に中国のメディアが取り上げて、日本に対する中国国民の目というのが少し今回のこの地震を契機にして変わってきているのかなという思いがあります。それは、中国はあれだけ管理された、統制された国でありますから、そういう日本を取り上げていただいたというのは、まあいろいろな意図があるとは思いますけれども、ただ、あれだけテレビで出ていきますと、中国国民に広く知らしめる、日本の本当の姿というのをやっぱり見てもらったという思いがあります。  そういう意味では、先ほど言いましたように、これだけ日本に対する評価が否定的な面が強い中国だ韓国だ、こういうところについては、やはり何か戦略を持った発信をする必要があるのではないかと。もちろん、もういろいろ出ました文化あるいは伝統文化のことも、あるいはまた外国語のことも、いろんなふうに出ているんで、それは全世界に対して一様にといいますか、均一的に発信するというのと、やっぱり一部の地域については戦略的に発信する、その中身はいろいろあると思うんですけれども、そういうふうにやっぱり色分けをした形での取組というのも必要ではないかなというのをこの調査会を通じて感じた次第でございます。  以上であります。
  32. 石井一

    会長石井一君) ありがとうございます。  それでは、島尻安伊子さん。
  33. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 ありがとうございます。  私も、多くの先生方と同じように、本当にこの調査会に籍を置かせていただいて有り難いなというふうに思っております。私自身も、大変にパブリックディプロマシーというテーマといいますかは本当に興味がありまして、本当にこれからもこういった調査といいますかも頑張っていきたいというふうに思っておりますけれども、今回のこの調査会で、大きくパブリックディプロマシーということを考えるときに、日本として何を発信するかということと、この発信の仕方をどうするかという、この二つに分かれるんだろうというふうに思います。  その中で、特にじゃ何を発信するのかという中で、先ほど丸山先生のお話、私も大変に同調するところがあるんですけれども、例えば中東でのお話がありました。宗教的な対立から来る紛争だとか、そういうものを解決できる日本にはそういう力があるんじゃないかというお話がありましたけれども、その中で、先生が仁というお話をなさいまして、そこでふと私も今思い当たったのが武士道という言葉でございまして、是非この調査会のこの報告書にこの武士道という言葉を入れることができないかなというふうに今率直に思っているところでございます。  武士道というふうに言えば、新渡戸稲造先生外国の方とお話をなさるときに、外国にはいわゆる人道的なところ、道徳を教えるベースになるのは宗教があるけれども、日本には何があるんだと聞かれたときに、うっと思って、うっと一瞬言葉を見付けようとなさったその瞬間があると。その次の瞬間に、武士道があるんだというふうにおっしゃったという、本で読んだんですけれども、もうまさに日本のオリジンといいますか、これを考えるときに、この武士道というものを避けて通れないというか、これを書かない手はないだろうというふうに思うものでございまして、率直に是非こういう報告書に武士道という言葉を入れていただきたいと思いました。  以上です。
  34. 石井一

    会長石井一君) 編集のサブコミッティーのところへ来て、ここへこういうふうに書けと言うてください、私は何でもお受けいたしますから。  神取忍君。
  35. 神取忍

    ○神取忍君 ありがとうございます。  私もこの調査会においていろいろ勉強させていただいて、本当に知識も増えて良かったと思っています。  そういった中で今日は、発信力強化ということで様々議論した中、参考人の中で、発信力も必要ですけれども受け取る側の受皿がやっぱりなければいけないというお話をお伺いして、確かにそのとおりだなと、やっぱり発信していても、受け取る側がなかったら、キャッチボールしていてそのままボールが飛んでいっちゃったみたいな話になっちゃうと思うので。  そういった中で、興味をまず持ってもらうという部分日本に興味を持つということを、日本語が分からないとかしゃべれない、そういった人たちに対してもやっぱり五感で、見て触れたりして日本ということを知るという中ではアニメというのが出てきた。確かに、それは今まで日本の中ではなかった文化、ポップカルチャーの文化だと思うんですけれども、そういった中で、日本というのは、そういった伝統文化は大切なんですけれども、それをもっと踏み越えた可能性をもっと広げていけると思うので、そういった可能性をまだまだ持っているという部分をもっと力を入れていった方がいいんではないかなと、私の意見としては感じました。  ありがとうございます。
  36. 石井一

    会長石井一君) 峰崎直樹君。
  37. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 済みません、途中から参加をして、ようやく雰囲気がつかめたので。  これは対外的な発信力というふうになるかどうかちょっと私も自信がないんですが、先ほどツルネン先生の、過去の歴史の問題なんかももう少し触れた方がいいんじゃないかということで。  ちょっと、参考人で非常に印象に残ったのは、パリに長く滞在しておられた磯村さんが、日本のすし文化が広がっているときに、これはもう正真正銘の日本食だということを日本政府がやろうとしていることについては、駄目だと。フランス料理がじゃ日本でやっているときにフランス政府からお墨付きをもらっているかといったら、もらっていないと。つまり、その地域で、たとえアボカドを上に乗せたり、その上にいろんなものを乗せて、各国それぞれがすし文化を楽しみ、そして、そのうち融合して、それが世界ですし文化も発展していくんだという話を聞いたときに、これはなかなか面白い、そうだなというふうに思ったんです。  その意味で言うと、今日、沖縄の島尻さんも、また山内先生もおられるんですけれども、私が沖縄に行って一番印象に残ったというのは、平和の礎というのがあるんですよね。あそこで驚いたというか感動したのは、やはり外国人もあそこで全員、沖縄戦で亡くなった方の名前を書かれていると。あれを見たときに、ああ、これはすばらしいことだなというふうに私自身は思ったわけですね。  だから、そういう意味でいうと、さっきの日本とお隣の韓国とか中国とか、そういった国々で日本の評判が悪いというときにそれを乗り越えていくもの何なんだろうなと。  例えば、竹島の問題、この間ちょっと出ていましたけれども、今から何百年か前はあの地域というのは、お隣の朝鮮ですか、その国と日本とで共同で実はあの地域を管理していたと。つまり、国境というのは、あるいは国際法ができてまだ百五十年ぐらいしかたっていないはずなんですね。そうすると、それ以前というのは実は共同でやっていたり人類の知恵でうまくやっているんで、それは、私はこれから日本世界発信していくときに、基本的にはやはりそういう共生していくというか共同でこの地球社会を発展させていくんだという視点をしっかり持って、そこはナショナリズム、まあリアルな政治から見たら、いや、そんなのはちょっと書生っぽい、あるいは理想論だよということになるのかもしれないんですが、しかし、発信していくときの価値というのは、何をやっぱり人々に訴えていくのかというのは、どうもそういう我々が感動するとかそういったものがあって、そしてそれがリアルな政治の中にやがては入っていくという、そういうプロセスが僕は重要なんじゃないかなというふうに思っています。  まだこれ、全部ちょっと読み切れておりませんが、できれば、そういう世界に向かって二十一世紀、発信していく語学力とか日本文化の問題だとかいろんなこと、様々な問題があるんですけれども、そこら辺の何か価値観というか、共生という言葉で僕は、今の総理も使っていらっしゃいますけれども、そういう二十一世紀を切り開いていくような新しい価値観を我々がどのように持ち、そしてそれを世界に向かって発信していけるかという、こういうことじゃないかなという感じをちょっと持っておりまして、何らかの形でこの中に入れていければいいのかなと思っております。
  38. 石井一

    会長石井一君) 川口順子理事。
  39. 川口順子

    川口順子君 私は、議員になって何年もたっているというわけではないんですけれども、この調査会、まあ調査会も私は三年目ですけれども、このテーマ調査会に参加をさせていただいて、何人かの方がおっしゃいましたけれども、私も非常にいろんな意味で良かったというふうに思っております。  何が良かったかといいますと、今、参議院がねじれていて、参議院がねじれているというのは言葉がおかしいですね、国会がねじれていてという状況の中でこの場は、党派を超えて個人としていろいろなテーマについて一緒のベースをつくり議論をしていくという場であって、ある意味、参議院らしさということかもしれませんし、党派で意見をまとめることが難しいテーマだからということかもしれませんけれども、一つの対立ということではない共通の基盤を持ち、そこから新しい政策を出すことのできる、そういう基盤を共有しているという意味で非常に意味があったと思いますし、そういう雰囲気にしてくださったというのは、本当に石井先生会長になっていただいたということが大きいというふうに私も思っております。  それから、二つ目ですけれども、この議論をするときに私が実はあえて避けてきたテーマ、要するに隠された部分、これが今回いろいろこの場の議論で出ていますけれども、それは何を発信するかということだと思います。ここに至るとそれぞれの方がいろいろな意見があってということで、これは党派を超えて共有部分もありますし、違う部分もあるということだと思いますけれども、私自身は、我が国発信というのは多分、日本の存在が全身全霊で物語ること、それが中身なんだろうと思います。  よくジャパン・パッシングとかいろんなことがありますけれども、日本が、先ほど峰崎先生がおっしゃったことも含め、ほかの委員の方がおっしゃったことも含め、それを中に持ってそれで動いている、そのときにはおのずと世界のほかの国から日本に対して関心が集まっている。何か生み出している国、何か創造的に、価値観をつくるなりなんなり、今なら低炭素社会をつくろうとか、そういうことを実行している国には発信を意識してしなくても関心が集まる。その部分をどうやって我が国としてつくっていくのかということが多分、政治家に与えられた大きな課題であるのかなというふうに思っております。  どうやって発信をするのかという基盤づくりの部分に集中して議論をしてきたわけですけれども、その何をというところは、個人個人で考えていただくか、あるいはこれから議論題材にしていくのか、そこはみんなで決めていくことかなというふうに思っております。
  40. 石井一

    会長石井一君) それじゃ、松岡徹君。
  41. 松岡徹

    ○松岡徹君 ありがとうございます。  私もこの調査会に参加させていただきまして、いろいろと勉強するところがございました。  これまでの議論とか参考人意見とかを振り返ってみますと、発信する内容川口先生も今おっしゃったように各先生もおっしゃっておりまして、それぞれが大事なテーマだというふうに思っているんですが、この調査会発信する発信内容は、当面、目の前に迫ってきていますサミットに対してどういうふうな意見をということにもなりますが、私はいろいろと、地球温暖化、地球の危機といいますか、こういったものを人類的な価値観の下にどう共有していくかということが大事な価値だと思っておりまして、これは言うなれば、今までの私たちの生活あるいはこの国、それぞれの国の成り立ちの中でまさにそういったものをつくり上げてきたという負の遺産でもあると思うんですね。こことどう決別するかという人類的な決意というものが必要だというふうに私は思っています。  私たち国民に、あるいは市民生活の中に、こういうふうなCO2削減の生活を追求しようとか取り組んでいこうという呼びかけは、まさに今までの大量生産、大量消費という生活様式から決別しようという私は意思だと思うんですね。これは非常に大事なことだというふうに思っています。そういう意味では、基本は、今までのそういった負の遺産といいますかの部分からしっかりと決別して未来へ向かった発信をしていく。つまり、発信する相手は、それぞれの各国。プラス、その前に、私は未来に対してもっと責任を持っていこうという発信を是非ともしていただきたいというように思うんですね。  二〇五〇年に五〇%削減目標と言っていますけれども、五十年後に私は生きているかどうか分かりません。丸山先生ほどではないと思うんですが、どこまで生きるか分かりませんが、そういう意味では、未来に対しても我々は責任ある議論を今しているんだ、すなわち未来に責任を持つ、未来の子供たち、今の子供たちに対して責任を持つという意味をしっかりとやっぱりこの調査会としての意思として前提に書き加えていただきたいなというふうに思います。  以上です。
  42. 石井一

    会長石井一君) 広中和歌子理事。
  43. 広中和歌子

    広中和歌子君 今、本当にすばらしいお話をずっと伺ってきたわけですけれども、どういうことを最終的に発信するかということで今、地球の危機、そして負の遺産からどうやって決別して未来へ発信していくかと。それは地球環境問題であり、特に未来の世代への責任ある態度であるというようなことでまとまったのかなと、そういうふうに思います。  私どものこの国際問題調査会発信とそれから地球環境と二つに分けたわけですけれども、これで二つが結び付いたのかなというような気がいたしまして、前回、地球環境問題についてどういうふうに我々がサミットに向けて提案していくか、提言していくかというテーマにこれから移って、より具体的なことをお話合いができればいいなと思っております。
  44. 石井一

    会長石井一君) それでは、本日の調査会議論はこの程度で終わりたいと存じます。  各委員におかれましては、もうほとんど全員の方が忌憚のない貴重な意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。  本日はここで一応散会をし、なお、理事会の協議によりまして、散会後、四階の第四十三理事会室において、前週に行いました国際・地球温暖化問題に関する調査会の打合せ会を行いたいと存じます。  本打合せ会では、これまでの調査会議論を踏まえたお手元の調査報告案を最終案に近づけるべく、委員各位の更なる自由闊達な御意見を賜ることを主眼とするものでございますので、理事会のメンバーだけでなく、御参加を希望される委員はひとつどうかお付き合いをいただきたいと存じます。  今、三時直前でございますが、長くとも一時間、できれば三十分程度で簡潔に打合せ会を終えたいと思いますので、御予定のある方は結構でございます。その代わりにそれは会長、理事に御一任ということでお帰りいただいても結構でございますが、一言でも自分の言葉を付け加えたい、一言でもこういう思いがあるという方は、恐縮でございますが、お付き合いをいただきたいと思います。最終の段階でございますので、どうぞ御協力をよろしくお願い申し上げます。  それでは、本調査会を散会いたします。    午後二時五十七分散会