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2008-04-02 第169回国会 参議院 国際・地球温暖化問題に関する調査会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年四月二日(水曜日)    午後一時二分開会     ─────────────    委員異動  四月一日     辞任         補欠選任         松井 孝治君     加賀谷 健君  四月二日     辞任         補欠選任         加賀谷 健君     舟山 康江君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         石井  一君     理 事                 今野  東君                 広中和歌子君                 室井 邦彦君                 川口 順子君                 野村 哲郎君                 浜田 昌良君     委 員                 浅尾慶一郎君                 喜納 昌吉君                 工藤堅太郎君             ツルネン マルテイ君                 舟山 康江君                 松岡  徹君                 峰崎 直樹君                 山根 隆治君                 荒井 広幸君                 神取  忍君                 佐藤 正久君                 島尻安伊子君                 西田 昌司君                 牧野たかお君                 丸山 和也君                 加藤 修一君                 山本 香苗君                 山内 徳信君    事務局側        第一特別調査室        長        藤崎  昇君    参考人        富山市長     森  雅志君        京都府副知事   猿渡 知之君        東京都環境局都        市地球環境部長  大野 輝之君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国際問題及び地球温暖化問題に関する調査  (「日本国際社会における役割リーダーシ  ップの発揮」のうち、京都議定書目標達成に  向けた地球温暖化対策現状課題地方自治  体における地球温暖化対策取組)について)     ─────────────
  2. 石井一

    会長石井一君) ただいまから国際・地球温暖化問題に関する調査会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、松井孝治君が委員辞任され、その補欠として加賀谷健君が選任されました。  また、本日、加賀谷健君が委員辞任され、その補欠として舟山康江君が選任されました。     ─────────────
  3. 石井一

    会長石井一君) 国際問題及び地球温暖化問題に関する調査を議題といたします。  本日は、「日本国際社会における役割リーダーシップ発揮」のうち、京都議定書目標達成に向けた地球温暖化対策現状課題に関し、地方自治体における地球温暖化対策取組について参考人から御意見を伺いました後、質疑を行います。  本日は、富山長森雅志参考人京都府副知事猿渡知之参考人及び東京都環境局都市地球環境部長大野輝之参考人に御出席をいただいております。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  各参考人におかれましては、御多忙のところ本調査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  本調査会では、「日本国際社会における役割リーダーシップ発揮」について重点的かつ多角的に調査を進めておりますが、本日は、京都議定書目標達成に向けた地球温暖化対策現状課題に関し、地方自治体における取組について各参考人から忌憚のない御意見を賜りまして今後の調査参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。  本日の議事の進め方でございますが、まず森参考人、次に猿渡参考人、そして大野参考人の順でお一人二十分程度意見をお述べいただいた後、午後四時ごろまでをめどに質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、森参考人から御意見をまずお述べいただきます。
  4. 森雅志

    参考人森雅志君) 御紹介いただきました富山市長でございます。  今日はありがとうございます。私どもの実情というものを御報告させていただくいい機会をいただきまして、まずお礼を申し上げます。  恐らく富山市にお声を掛けていただきましたのは、全国地方都市が大体ひとしく当面していると思いますが、極端に車に特化した地域社会をこの数十年掛けてつくってきたことによって、少子高齢化の結果、高齢者だけが郊外に独りぽつんと暮らしているという都市構造の中で、どういうふうな都市構造に変換していけばいいのかということなどについて富山市の取組というものを御報告をさせていただくのが私の役目なのだろうと思って資料を持ってまいりましたので、よろしくお願いいたします。  富山市、平成十七年四月一日に合併をいたしまして、富山県の三八%を占める千二百四十平方キロという大変広大な市域となりました。もとより、国立公園の中には人がそれほど住んでいませんが、しかし、やはり市域は広いわけでして、郊外にどんどんどんどん中心部から人がこの三、四十年間シフトしていった薄っぺらな都市構造となっております。加えて、CO2排出量削減ということにつきましては極めて成績の悪い都市でございまして、その意味から、成績の悪いところの代表で意見をという立場なのかなとも思っております。  見ていただきますとおり、産業運輸民生部門に限定して言いますと、一九九〇年に比べまして、二〇〇三年現在で二九・一%排出量が増えております。この背景にありますのは、エネルギー消費量使用量自体もこの三部門で三〇%増えているわけでして、どこが一番引っ張っているかといいますと、民生部門が三四%、民生部門だけで伸びております。  その一番の原因は、やはり車依存社会ということだろうと思っています。自家用車、マイカーだけの登録台数が、一九九〇年と二〇〇三年を対比しますと、四二%増えております。特に軽自動車の乗用車ですが、これがこの間に五・五倍登録台数が増えている。今、私ども地域では、免許を持っている人が一人一台に乗って、通勤も一台に一人乗って暮らしていると。正直に告白しますと、我が家も、免許ホルダー四人ですけど車が五台あるという暮らしをしているわけでして、極めて成績の悪い状況であります。  富山市といたしましては、この資料の緑の部分省エネルギービジョンというものの策定を平成十九年にいたしまして、公共交通中心とした暮らし方にもう一度回帰させていくことに力を入れよう。このことによって、車のみに特化した暮らし方から、車も使うんですが公共交通も使うという、そういうライフスタイルの変化、シフトを誘導していきたい。この部分で、今ここに記載のありますように、二十八万八千トンは削減できないだろうかと思っているところです。また、風力、太陽光などに見る新エネルギーバイオマスも含めて、そういうものにも民間の事業者応援することで誘導しながら十一万五千トンを削減できないか。一年に一%ずつ、とにかく二〇一〇年まで七・七%の削減というものを目標として今、取組を一生懸命始めています。  今日は、緑で示しましたコンパクトなまちづくりについてとエコタウン事業などについて、もう少し詳しく説明をさせていただきたいと思っています。  先ほども申し上げましたが、DID地区を対比してみますと、見ていただくと、右側の地図の茶色に色塗りした地域が昭和四十五年現在のDID地区でございました。人口は決して増えたわけじゃありませんが、平成十二年にはグレーに色づけしたところにまでDID地区が広がったわけで、これは、人口が増えないのにDID地区が広がったということは、何度も申し上げましたように、薄っぺらな町につくり替えてきたということでございます。  その結果、左の下の表を見ていただくと分かりますが、公共交通は恐ろしいくらいに衰退をしてしまっています。特に、水色で示しました路線バスは、この十五年間で六七%減少です。六七%に減ったのではなくて、六七%減少して三三%に今なっているという状況であります。  また、上の表を見ていただくと分かりますが、ちょっとデータは古いんですが、一九九九年に行いましたパーソントリップ調査では、ピンクで示しましたように、自動車によって移動しているという自動車分担率が七二・二%、都会の暮らし方からは想像もできない状況だろうと思います。右にありますのは、通勤目的ではどうかと見ますと、八三・何がしという、みんな自分の車で通勤していると、そういう今、都市状況であります。  環境への負荷ということももちろんありますけれども、もう一点、右側の下にございますように、極端に車社会ではありますけれども、よく調査してみると、車に乗れない人はやっぱりいるわけですし、免許は持っているけれども車は持っていないという人もやっぱりいる。高齢者や高校生を中心に約三割の市民は車に頼れない人がいるということが分かってまいりました。  環境への対応ということと交通弱者への対応ということ、あるいは効率的な都市にシフトすると、こういう観点から公共交通に力を入れていこうというふうに施策を展開しております。  幸い富山市は、幾つもの鉄軌道富山駅に結節をいたしております。北陸本線、富山港線高山本線富山地方鉄道という私鉄が二線、それぞれ全部富山駅に結節し、今建設中の北陸新幹線富山駅現駅へ乗り入れます。また、市内中心部には奇跡的に路面電車が残っていますので、すべてが富山駅に結節することに着目をしまして、これから町を変えていくその基本的な考え方は、駅の近くに人が住んでもらうようにしていきたい。公共交通を軸とした暮らし方というもの、車だけに頼るのではなくて、年を取って交通弱者になっていく人たち公共交通の質をもう一度高めていくことによって、その沿線に例えばケアハウスを造るとか高齢者賃貸住宅を誘導するとか、これからの市営住宅もそういうところを視野に入れていくとか、そういう施策を総合的に展開をしていこうと、こういう方向で動き出しました。まず取り組んだのが、JR経営をしておりました富山港線というものでございます、後ほどそれは詳しく説明をいたしますが。  今見ていただいています資料は、何のことかこれだけ見るとよく分からない図面ですけれども、今説明しましたように、富山駅に結節するそれぞれの鉄軌道の駅から徒歩圏として五百メートルの範囲、あるいは一日六十本以上走っているバス路線バス停から三百メートルの範囲、このエリアを居住をお勧めする地域だと指定をいたしまして、これからはこういう地域に住むようなことを考えてはもらえないかと。  確かに、ついの住みかという日本的な文化はすばらしいものだと思います。しかし、今、高齢者郊外の広い住宅に一人でいる暮らし方本当に幸せな老後だと言えるのか。例えば、季節を選んで都心居住空間を求めるとかという複数の居住空間を提供するということも含めて、この居住推奨地域に質のいい居住空間を造ってもらう場合には積極的に市が応援をするという施策を既に始めております。  今見ていただきました、色を塗りましたこの居住推奨空間に現在住んでいる人は全市民の二八%でございます。これを何とか二十年後に四割に持っていきたい。三十八万九千五百何がしというふうに人口は減るんですけれども暮らしやすい地域に住んでいる人を三割から四割に増やしたいと。このために様々な施策を総合的に進めていく予定といたしております。  その結果、CO2削減という観点でいえば、自動車交通から公共交通へシフトする人がもたらすもの、あるいは遠くに住んでいる人を職住を接近させること、あるいは病院との距離を近づけることなどによって移動距離を短縮化すること、さらには、その一、二の効果として渋滞解消渋滞緩和ということがもたらされるであろうと。この三つのことをねらいながら、これによって三万四千トンの削減効果期待しているわけです。この量は、富山市の運輸部門CO2全体量百八万七千トンの三%に相当する部分をこのコンパクトなまちづくりというもので直接的にもたらしていきたいと計画しております。  そして、それは、それだけではなくて、その外に「その他期待される効果」と記しましたが、例えば、ごみの収集ですとか除雪延長ですとか、都市管理によって発生するCO2削減効果ももたらすだろう。あるいは、戸建て住宅から集合住宅に住み替えることによる効果期待をしたいと思っております。  このことを実現しますために最初に取り組みましたのが、延長約八キロでございました、富山駅から富山港に向かって延びておりました、JRが経営しておりました旧富山港線でございます。八十六年ぐらいの歴史のある富山港線でございましたけれども、今、富山駅の工事を、北陸新幹線工事をしていますが、駅の構内が非常に狭隘で新幹線工事在来線高架工事が非常にやりづらいということから富山港線をあえて廃止するということとなったわけです。  この廃止に際しまして、バスで代替すると、こういうふうに発想するのがごく普通のことだろうと思いますが、私どもはあえて、富山市を中心とする第三セクターで引き受けまして、この鉄道を一部区間道路上を走らせて路面電車化して富山駅にアタッチする、アプローチするという選択肢を選んだわけです。富山駅の高架化工事その他から支障補償としてかなり財源的にも見ることができましたので、思い切ってこの事業に取り組んだ次第であります。  やるからにはということで、すべてのシステムを今ヨーロッパであちこちの都市で動いていますLRT化したわけでして、車両は見ていただいたとおりの低床車両でございます。  左の図面は、道路上に車線を減少させて路面電車を走らせた部分です。右の写真は、鉄道部分も引き受けましたが、駅舎をすべて取り壊し、ホームも取りまして、低床の電車に合わせた電停化した図面でございます。  例えば、運行頻度も、日中一時間に一本だったものを十五分間隔、ラッシュ時には十分間隔とし、二十一時二十五分に終電だったものを二十三時十五分にするとか、電停も増やすなど、路面電車としての質を高めることを一生懸命やってきました。料金は二百円均一とし、六十五歳以上は百円で乗っていただくと、こういうシステムで十八年四月二十九日から運行をいたしております。  低床ですので、車いすやベビーカーもそのままホームから段差なしに乗り換えることができる。あるいは、道路上のレールは樹脂で固定をしまして制振構造といたしましたことから、振動や騒音もびっくりするくらい取り除くことができたわけであります。駅の電停によっては、こういうふうにレールの場所、まくら木の上に芝生を張るということなどもやって進めてまいりました。  その結果、この図面の真ん中にありますが、かつて平日二千二百人ぐらいの利用だったものが今、四千八百人ぐらいというふうに約二倍強増えたわけでありますし、休日も千人程度のものが多くの方に乗っていただくということになりました。  特に右の円グラフを見ていただくと、御注目をいただきたいのですが、倍以上にどういう人が増えたのかという部分ですが、元々JRを使っていた人の四六・七%は今、当然のこととしてありますが、地鉄バスと書いてありますのは私鉄バスでございます。バス通勤からシフトした人が一三・三%。そして、自動車、マイカー通勤移動していた人が一一・五%、電車の質が上がって乗りやすくなったということでシフトしてきた方がいるわけです。この部分は、少なくともCO2低減という意味では効果したのかなと思っております。  そして、もう一点強調したいのは、左側の上にあります「新規」という、青く塗った円グラフですが、これは、以前は余り移動しなかった、どちらかというと便利が悪いので家に比較的閉じこもりがちだったという方々が動き出したという効果をもたらしました。  上の棒グラフで見ていただくとよく分かりますが、左のグラフの水色JR時代の数字です、小豆色が今です。通勤時間帯にも確かに増えていますが、日中、九時から十五時ぐらいにかけて大きく利用者が増えました。これはだれかということですが、右の棒グラフで、五十代、六十代、七十代、この層の人たちが動き始めたという効果をもたらしたと思っています。  環境への負荷低減という意味では直接的には影響しませんが、元気な高齢者をつくるという意味で、公共交通機関の質を高めるということがそういう意味からも効果を一定程度見ることができるのではないかと期待しています。  現在も、実は運行部分にだけ関して言いますと、黒字で二年間決算を出すことができました。それに意を強くいたしまして十八年十月から、これもJR西日本が経営されております高山本線の一定の区間について、市が電車を毎日増発するためにチャーターをいたしまして運行頻度を上げる実験を行ってまいりました。当初の実験では全部の区間で五・五%利用者が伸びたという効果をもたらしましたので、この三月からは、特に伸びたところ、富山駅から越中八尾駅間を日中も含めてほぼ三十分に一本走らせるまで運行頻度を上げております。  また、新駅も一つ市の費用負担で設置をいたしました。あるいは、トイレを改修するとか、様々な駐輪場、駐車場を手当てするとかということをやりながら、この沿線の皆さんにも是非、車だけで暮らす暮らし方から公共交通をももう一度視野に入れる暮らし方を思い起こしてほしい、記憶を呼び覚ましてほしいと期待をしているところでございます。  その次には、既存の市内電車が赤く色を付けた部分を走って南から来て西の方へ走っているわけですが、南側が空いていますので、この南側を延伸することによって市の中心部路面電車の環状化したものを造りたい。そして、そこを北側から、さっき見ていただいた富山ライトレール新幹線工事が終わった後、接続してき、南の方からの市電も延びてきてというふうに、市域のあちこちから電車沿線にさえ住んでいただければ都市部にある公共施設というものを利用しやすくする、こういう都市構造にしていきたいと思っているわけです。  市内電車環状線化につきましては、昨年の秋に法律制定していただきました地域公共交通活性化法、それの上下分離の認定第一号をいただいて今工事にかかったところでございます。二十一年いっぱいに完成させたいと、このように思っています。  いずれにしましても、そういうふうに公共交通の質を次から順番に一つずつできる範囲でやっていくことと同時に、都心部に住むことが誘引されるように具体的な補助制度を動かしております。  青く塗った方は、本当の市の中心部居住していただくための誘導策でして、四千人程度ここに住む人を増やしたいと目標は立てております。現在、これには二百十二戸に補助実績として上がっています。二人平均住んだとすれば四百人程度は誘導できたのかなと思っておりますが、自然減社会減も一方ではあるわけでしてなかなか成果が出ませんが、平成十八年には三十七名増やすことが実績として上げることができました。  いずれにしても、少しずつ施策を展開しながら都心居住というものを今後も誘導していきたいと思っています。  緑で示した部分は、本当都心部の外であっても公共交通の便利な地域であれば、同じように具体的に住宅ローン金利程度補助しようという施策を展開しているわけであります。  そういう今説明しました部分が、コンパクトなまちづくりという形で環境負荷低減につなげたいという施策でございます。  もう一つ特筆したいのはエコタウン事業でございまして、富山市のエコタウン幾つもの事業者が張り付いておりますが、中でも緑色でここで示しました生ゴミのリサイクルですとか、廃食用油リサイクルですとか、汚れたプラスチックで今までリサイクル化が難しかったものなどについてもリサイクルして燃料化すると、この三つについて特筆して御説明したいと思います。  廃食用油につきましては、事業者から出る廃食用油リサイクルしてBDFと化して燃料にしておるわけですが、市のごみ清掃車ですとかバスですとか、そういうものをこういうエネルギーで動かすということですけれども排出者側として実は一般家庭からも、廃食用油地域地域でストックしておきまして業者さんに回収してもらうということをやっております。  下にございます生ごみにつきましても、可燃物としてすべて焼却炉へ回すのではなくて、具体的に生ごみだけを分別排出していただきまして、これを市民の方から回収をしてリサイクル化しておる。それがバイオガスとしてガスになったり、あるいは堆肥化しているわけであります。生ごみはほとんど水ですので、水を燃やすのに燃料を使っているということについて、家庭から出る生ごみであっても少しずつリサイクルしていくということには十分に意味があるのだろうと思っています。  また、先ほど言いました処理の難しいプラスチックにつきましても、ここにありますように、これは結構規模が大きくて、三万四千トン程度製紙工場で使う燃料としてリサイクルしようというふうに、これは既に稼働している部分です。  最後にもう一つ。今、事業者に手を挙げていただきましたが、二十一年度稼働予定ですけれども、なかなかリサイクルの難しいその他の産業廃棄物につきましても、電気を取るという意味で、エコタウン事業の中の新しいエネルギーセンターとして稼働を二年後期待しているところでございます。  今申しましたように、エコタウン事業というのは全国幾つもありますけれども、単にリサイクルという取組富山市にも幾つ事業者がおりますが、ここへきまして、CO2削減という意味で新エネルギーをつくるというリサイクル事業というものについて力を入れているところでございます。  最後にもう一点。平成十七年にNEFの太陽光発電補助制度がなくなったわけですけれども、それ以降、富山市は市の単独事業として太陽光発電補助制度を続けております。北陸で日照時間が短い都市ですので、なかなか四国や九州と比べると実績の数自体は小さいものだと思っていますが、見ていただけますように、累積数伸び率としてはかなり大きく今伸びておりますので、家庭における太陽光発電、あるいは事業者における太陽光発電ということについても市としても力を入れて応援をしていきたいと、このように思っております。  冒頭言いましたように、拡散型の典型的な地方都市です。みんな車で暮らしている都市で、言わばドン・キホーテみたいな挑戦をしていますけれども、しかし、公共交通の復活ということについてこの数年間力を入れてきました。実績としては利用者が増えていますので、ここは自信を持ってこれからも進めていきたいと、このように思っております。  雑駁な説明でしたが、二十分の説明とさせていただきます。  ありがとうございました。
  5. 石井一

    会長石井一君) ありがとうございました。  次に、猿渡参考人から御意見をお述べいただきます。
  6. 猿渡知之

    参考人猿渡知之君) ただいま御紹介いただきました京都府の副知事猿渡でございます。  それでは、京都府の地球温暖化対策について御報告を申し上げます。  二ページ目のところにアウトラインを書かせていただきましたけれども温室効果ガス排出量状況部門別課題をちょっと御報告させていただいた後で、京都府の取組、かなり限界もございますので、そういう辺りも含めて御報告をさせていただければというふうに思います。  それでは、三ページに参ります。  京都府の温室効果ガス排出量状況でございますけれども、左端の一九九〇年、基準年から一定二〇〇三年まで減ってまいったわけでありますけれども、二〇〇四年でまた二・八%増というふうな形で増えてまいりました。前年に比べると八・二%増えたわけでありますが、それは、ちょっと小さい字で恐縮なんですが、米印のところに注を書かせていただいておりますけれども、二〇〇四年度については、要は、関西電力の美浜の原子力発電所が運転停止になりました。その結果、関西電力さんの電気使用量排出係数が大幅にアップいたしました。その形で基準年よりも二・八%増という形になってございます。もし前年同様の排出係数でございましたら、七・三%減という形で進んでいけただろうということになります。  じゃ、今年からの約束期間どうするんだという話なんですが、関西電力さんとしては、〇・二八二程度まで排出係数を落とすというふうな形での目標を立てておられますので、そういう意味では相当程度戻ってはくるのかなとは思いますけれども、電気の排出係数の動きというのにもCO2排出量は物すごく影響を受けるというものでございます。  次、四ページでございます。  各部門ごとのものでございますけれども、まず、「産業」と書かせていただいておるところは、約九割が製造業という形になってございます。この製造業につきましては、企業さんの努力、あるいは繊維産業がちょっと撤退をしたということで出荷額がごっそり抜けていったということ等もありまして、一定の成果を示しておるという形になってございます。  次の「運輸」でございますけれども、基準年に比べると増えてございますけれども、近年はやや減少傾向で推移をしているということであります。  次の「家庭」でございますけれども家庭そのものは、一九九〇年、基準年比の二〇〇四年、これがカロリー換算で一・一一六しかエネルギー使用量増えておりません。ただ、その中身を見ますと、電気が一・三一九ということで三割以上電力が増えたんですけれども、その代わり、プロパンガスとか灯油に依存する分が減ったという電力へのシフトという形の中で横ばいないしやや下がるという形で来ておったんですけれども、二〇〇三年から二〇〇四年のやつは、先ほど申しました関西電力さんの排出係数の影響ということでございますので、約束期間にはある程度戻ってくるだろうというふうに思われます。  問題は、その次の「オフィス」等の部分でございますけれども、ここのところは、カロリー換算のエネルギー使用量だけでも、二〇〇四年と基準年を比べますと一・四四四倍ということで五割近く増えておるということになってございます。しかし、ここのところは、後ほど申しますけど、ちょっと大きな課題があるということでございます。  一番下の「その他」でございますが、その他が二〇〇三年から二〇〇四年、また目標の二〇一〇年に向けて増えておるという格好になっておるんですが、これはエネルギー転換と言われますものでありまして、舞鶴市に関西電力の火力発電所が造られたんですけれども、それが二〇〇四年八月から本格稼働を開始した。二〇一〇年から二号機も稼働するということで、その分でここは動かし難い数字ということになってございます。これは、条例上としましては、一応基準年よりも一〇%削減するということを目標に進めてまいりたいと。このほかに、森林の吸収源対策というのが別途五%程度あるという形で進めてございます。  次の五ページに参りたいと思います。  まず、部門別課題でございますが、産業につきましては、既に基準年と二〇〇四年までの間にもう四分の一ぐらい排出量が減っておるという形になってございます。これ以上更に減らせるのかという問題はあるんですが、先ほど申しましたように、京都府の場合は繊維業が大幅にもう構造転換されまして、繊維業からの出荷額がぼんと八十万トンほど減ったという要素がありますので、他の産業のところでもう少し条例上の運用でお願いを厳しくしていこうかなということを考えております。  ただ、この問題は、景気が回復いたしますとやはりどうしても排出量が伸びてくるという問題、あるいは、中小企業さんにおかれましては削減対策のための省エネ設備投資が非常に難しいという問題を抱えております。後ほどまた御報告申し上げます。  次の六ページに参ります。  六ページは運輸部門でございますけれども自動車の燃費というのはどんどん向上しておるということなんでございますけれどもCO2排出量は増加傾向にございます。  その理由の一つとしては、先ほど富山市さんの方からもございましたが、マイカー台数の増加であるということであります。基準年と二〇〇四年の比較で申し上げますと、乗用車全体は一・二倍ということなんですけれども、個人が乗る自動車部分が一・二六倍、それと、あと軽自動車が五倍以上増えておるというような形でその増加傾向の原因になっておるということであります。それと、要は、燃費のいい自動車がどんどん製品として出されましても、皆さんがエコドライブをやっていないと実走行での燃費が悪うございまして、そこが非常に大きな原因であろうというふうに思います。  二番目のひし形のところですが、抜本的には、現在の車社会の在り方自身の方向転換というのが必要になってまいるわけですが、どこまでできるかという問題がございます。  次に、七ページ。  七ページのグラフでございますが、これは実走行での燃費がいかに悪いかという自動車工業会の資料でございますけれども、一番上の予測というのは、新車が出るときのカタログベースです。ここまでもう燃費が良くなっていますよというのが一番上の予測という部分です。二番目の保有モードというのは、新車と既存にもうお持ちになっている車を合わせて、理論値でいくとこのぐらい燃費いいはずなんだと。ところが、一番下が実走行の燃費ということでございまして、かなりまだエコドライブが浸透していないと。この辺りが一つ大きな我々の課題であろうと思われるのが七ページのグラフでございます。  続きまして、八ページに参りたいと思います。  八ページは家庭における課題ということになるわけでございますけれども、省エネ家電というのももう大変に普及をしてまいっておりますけれども家庭でのエネルギー使用量は増加傾向にあります。これは、基準年と二〇〇四年を比較しまして、京都府で一・一一六倍というような形でエネルギー使用量が増えておるということであります。  これはどういう原因なんだろうかということなんですが、世帯数の増加がございまして、基準年と二〇〇四年の比較で、人口は横ばいなんですけれども世帯数が一・二倍になっております。したがいまして、世帯が増えますと、そこにやっぱりどうしても新たに家電が置かれていくというようなことになってまいります。住宅の床面積も、数%ですけれども増える傾向にあります。また、世帯当たりの家電保有数、増えた世帯でそれぞれの世帯の保有台数が世帯当たり増えてございます。また、家電の大型化ということもございます。こういう辺りが一つの原因かなと思われます。  九ページでございますが、これ、ちょっと内閣府のものをお借りしたもので恐縮なんですけれども、一九九〇年の基準年から後を御覧いただければと思いますが、カラーテレビは既に一世帯に二台を超えてまいりました。エアコンがまたそれを更に追い越しまして、一部屋一台の時代になりつつあるということ。それとあと、基準年を越えてパソコンの普及が非常に進んでおりまして、もう既に一世帯一台ぐらい普及しておる。こういう辺りが、家庭でのCO2排出量が増えて増加傾向にあるという大きな原因かなと思われます。  次に、十ページでございますが、十ページは部門別課題のオフィス、店舗の業務の部分でございますけれども、この部分につきましては、やはりそこの十ページの左下に棒グラフございますけれども、小売業の床面積が京都府内において基準年との比較で大体三割以上増えていますよということになっています。  では、何が増えたんだということになるんですけれども、いわゆるコンビニエンスストアと言われますものが、一九九一年と二〇〇四年の比較によりますと、四百七十二店舗が七百八十四店舗ということで、六六%も増えてございます。それと、あと、多分郊外型大型店舗にほとんど含まれると思うんですが、単一製品のスーパー、例えば紳士服の大型スーパーとか郊外型がつくられますけれども、そういうものが、一九九一年には六十六店舗だったものが二〇〇四年には六百五十一店舗と、京都府内ですけれども、実に八・六倍になってございます。こういう辺りがやはり業務部門におけるところのCO2排出を大きく押し上げておるということであります。  また、さらに業態も、新しい業態に沿った、要は、電気を節約する、小まめに消すというだけではなかなか限界があるわけでありまして、京都府庁の本体でもかなり実験したんですけれども、例えば、権限をぽんと現場に委譲してしまうとか、そういう形の中で事務事業の在り方そのものにメスを入れないとなかなかこの部分は減ってこないわけでありますけれども、そういうものがまた業務の中で十分進められておるのかという問題があろうかと思います。  続きまして、十一ページでありますけれども、今申し上げましたような様々な分野の課題に対しまして、京都府としてどこまでのことができますか、やろうとしているのかというのが十一ページでございます。  一つは、平成十八年の四月一日に施行させていただきました地球温暖化対策条例というもので、これは、森林吸収源を除いて、今申し上げた様々なもので一〇%削減を目指す取組をここで書かせていただいております。それとは別の枠組みで、CO2の吸収源対策というもので、効果としては五%程度効果があるというものを別途やっております。  また、その他新しい試みも少し説明させていただければと思います。  十二ページをお開きいただきたいと思うんですが、十二ページは京都府の地球温暖化対策条例の内容ということになってございます。  産業運輸、業務、それぞれの分野で大規模事業者の方々には、基本的には個別に各企業から排出削減計画を御報告をいただいて、そこで様々な御指導もさせていただく中で、要は、成績が悪いところには公表させていただくよ、環境に配慮のない企業ということで公表させていただくよというような形で進めさせていただいております。これは、この後に東京都さんの方から詳しい御説明があろうと思いますが、基本的なやり方は同じ形になってございます。  ただ、産業の場合の中小企業のところは、先ほど申しましたように、業務のやり方を効率化していっていただく、あるいは省エネ設備投資をしていただくということをやはりお願いをするということにとどまっておりまして、そのために、二〇〇八年、この四月からは京都ECOレートということで低利融資等々も始めてはおるんですけれども、そういう対策にとどまっておるということであります。  二番目の運輸のところは、先ほど申しましたように、理論値の燃費よりも実走行の燃費が非常に著しく悪いということで、免許の更新時等々、京都府警察の方とも連携を取りまして、エコドライブの徹底した教育と普及、啓発ということに努めておるということであります。  家庭につきましては、やはりいろんな、環境家計簿を付けてくださいとか、推進員に相談をしてくださいというような形での啓発が主というような形になってまいります。  (5)のところの自然エネルギーにつきましては、京都府としても率先導入を図っている部分であり、これは後ほど御報告申し上げます。  緑化と森林整備につきましては、屋上緑化につきましても、大規模建築主につきましては義務付けを図る等々の対策を進めております。  次に、十三ページでございますけれども、十三ページはCO2の吸収源対策の中身なんでございますけれども京都府の森林整備による吸収源対策でございますが、基準年から二〇一〇年までに十九万ヘクタールの整備を一応目標に掲げてやってまいりました。これ、換算しますと約八十万トン程度ということになるわけでございますが、それが二〇〇六年までに約十二万ヘクタールの整備は終わらせていただいたという形になってございます。  残り七万ヘクタールにつきましてどういう形で進めてまいるのかということでございますけれども、約六割は森林所有者の方々への補助事業というような形でやはり進めざるを得ないと。あと残りのうちの約三割は、公共事業として行政体が自ら森林整備を行っていくというような形になってまいろうかなと思います。  ただ、残りの一割部分ぐらいになるんですが、それ、量としては一割ぐらいということになりますけれども、この部分につきまして、やはり府民の方々、企業の方々がみんな一緒になって力を合わせて森を守っていこうという運動を始めました。それが平成十八年の十一月からスタートしております京都モデルフォレスト事業ということでございまして、昨年の、十九年度の、実績でございますけれども、約五十のボランティア団体、二千五百名の構成員の方々が立ち上げられました。また、十一の企業の御協力もいただいて運動を進めておりまして、これはどんどんどんどん拡大をしていくということで力を入れてまいりたいということであります。  次が、十四ページでございますが、ウッドマイレージCO2認証事業というのも十七年度から始めてございます。これにつきましては、御案内のとおり、木材の一立米当たりの輸送時におけるCO2排出量につきましては、大体今、輸入材が八割になっておりますので、一般に使われている木材を使うのか、あるいは地元産材を使うのかで大体七倍の開きがあるというふうに言われております。したがいまして、地元産材を使って家を建てていただく、そういう御協力をいただく工務店を緑の工務店というような形で御指定をさせていただいて、緑の工務店を通じて地元産材をお使いになって家を建てられた方々には、若干ではございますけれども、一戸当たり二十万円程度が限度でございますけれども助成をさせていただく、あるいは啓発をさせていただくという形で、これも運動論として進めておるところであります。  次に、十五ページでございますが、「環」の公共事業というようなことでございまして、そこに木を使いました木製の治山ダムの写真を加えさせていただいておりますけれども、基本的には近隣で出ました間伐材を使えれば一石二鳥なわけでございまして、そういうものを使って、できるだけ木で使えるところはやっていこうよということでございます。  御案内のとおり、この間伐材も、そのまま燃やしてしまうと、排出量には換算されないとはいってもやっぱりCO2出てまいるわけでありますから、木材を燃やさない、腐らせない、閉じ込めていくということと、あと、極相林ということで、かなり成熟した木々は余り吸収しないという話がございますので、そういう成熟した木を切って、その代わりに新しい木を植樹するというような形でまた回転をさせていくというようなものにも配慮しながら進めさせていただいておるというものでございます。  次に、十六ページでございますが、自然エネルギーの先導的導入ということで、これにつきましてはなかなか義務化というところまではいかぬものですから、京都府で、浄水場であるとかあるいは自らの庁舎であるとか、そういう効果的なところに太陽光発電を導入していく、あるいは風力発電を既に京丹後の方に、京都府の一番北の端の日本海側になるんですけれども、導入をしたりというふうにしております。  風力につきましては、正直申し上げまして、我が国の場合は風向がくるくる年中変わるわけでございまして、偏西風地帯のように常に同じ方向に風が吹いておるというところではありませんので、この風力発電も風を追って動くような、そういうものにしないといかぬというのがございます。また、雷が落ちるとブレードが壊れるとか、非常にそういうふうな基礎的な課題がかなりあります。  太陽光発電につきましては、御案内のとおり、発電効率の面で、要は、ちゃんと買い取っていただけるかどうかというようなところも含めて大きな課題なんでありますが、いずれにいたしましても、自然エネルギーの導入につきましては、大変申し訳ないんですけれども、国の方から思い切った御支援というのがやはりいただけないとなかなか、これが経営ベースで云々というのは非常に厳しい状況であるということを申し上げざるを得ないということであります。  十七ページでございますけれども、これは今年度から重点的に環境省さんと一緒に進めていこうと思っておりますCO2削減バンクというものでございます。  これは、下の方に三つ楕円形の緑のものがございますが、去年よりも電気減らしましたよ、ガス減らしましたよという省エネ行動、あるいは新エネルギーを、太陽光発電を我が家に付けました、あるいは省エネ製品を導入しましたということで府民の方に申告をしていただきます。申告をしていただきますとその方々にポイントを差し上げるということになるんですが、ただポイントを差し上げてもあれなものですから、それにつきましては、環境に配慮をしている企業、既に三十社以上から御協力がいただけることになっておるんですが、そういう企業さん、あるいは新エネ、省エネの設備とか機器をつくっていらっしゃる企業さん、そこは売れれば自分のところのメリットにもなるわけですから、そういう企業さんの御支援をいただいて、そこからお金を供出していただくと。  府民は、自分がいろんな省エネ環境促進行動をやったものについてのポイントを申告し、企業さんは、自分のところで協力する、あるいはそのお金を申告していただいて、それで大体比率が出ますので、それでポイントを付与させていただいて、京都府民の皆さんはそれをウエブショップで買ったりクレジットカードで買ったりということをやるということでございます。  ただ、そうしますと、協力店は安く売ったりとかあるいはサービスをしたりという分、それは損しますので、そういうものをどこで補てんするんだということになるんですが、それは環境省さんの方で整備していただくというふうに聞いておるんですけれども全国エコポイント運用会社というのをつくられました。そこのところに先ほどの企業からの協力金が参りますので、それが販売された協力店が安くしたりサービスをした分に埋め合わされるというような形で進んでいこうということで、これは今年度の大きな目玉でございますので、これも一生懸命重点的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。  もう時間もありませんのでちょっとはしょりますが、交通需要マネジメントというのを宇治の方で二か年ほどやりました。  これは、とにかく九月の第一週から第三週の間に住民の方々にいろんなマップを配ったり、あるいは関係企業にお願いして共同で送迎バスを走らせていただいたり、そういうことで、マイカーを使わないようにしてやりましょうと、どんどんどんどん癖を付けてくださいというような取組でございます。一部限界もございますけれども、一定の効果が出ておるというような数値もございます。  次に、最後でございますが、京都産業エコということで、エコ産業振興というのを始めようということで京都なりにやってございます。  まず、一番のエコ産業の創出でございますが、企業の技術開発交流の促進ということで、京都の企業さんの方でシリコンカーバイトという半導体に使う環境負荷の非常に少ない部材の開発がされましたので、そういうものを皆さんで情報を共有して開発可能性を一緒に研究していこうとか、あるいは、白色のLEDは大体普通の蛍光灯よりも四分の三ほど熱源が節約できるというものでありますから、そういうものを積極的に技術開発をしていこう。あるいは、中国が中心になろうかと思いますけれども環境技術・産業の交流をやっておりまして、これを行く行くは京都メカニズムのクリーン開発メカニズムにつなげていくような運動にしていきたいということ等々を進めております。  終わりでございますが、京都といたしましては、京都議定書の次には京都から暮らし方の見直しや価値観の転換につながる知恵と文化を発信していきたいということでございますが、ちょっとここでお願いしておきたいのは、やはり都道府県にも限界がございますので、国でやるべき骨太の施策というものと、我々がこつこつと地道に取り組む施策というものがやはりあるんじゃないだろうかということであります。  京都府でも森林環境税の導入を現在検討しておりますけれども、本来、排出権取引のルールであるとか環境税のようなものは、国の方で骨太の施策として是非お願いをしたいということであります。  それと、先ほど申しましたが、自然エネルギーの導入につきましては、国の思い切った支援がないとなかなか先導的導入も厳しいというのが現実でございます。また、あと、電気の排出係数の問題に象徴されますように、国のエネルギー政策によって排出量が大きく変動するという事実もございます。一方、我々としましては、先ほど申しましたCO2削減バンクであるとかモデルフォレスト運動というようなもの等々、一生懸命取り組んでまいりました。  府民の皆様とともに、これを機会に、量的拡大ではなくて質的向上を重視した真の豊かさというものを見詰めていくいい機会として頑張っていきたいというふうに思っております。  どうもありがとうございました。
  7. 石井一

    会長石井一君) ありがとうございました。  次に、大野参考人から御意見をお述べいただきたいと存じます。
  8. 大野輝之

    参考人大野輝之君) 東京都の都市地球環境部長大野でございます。  本日は、東京都の温暖化対策の御説明をさせていただく機会をいただきまして、誠にありがとうございます。  私はパワーポイントを用意をいたしませんでしたので、お手元のA3の資料の方で御説明申し上げたいと思います。  まず、最初の表紙のところでございますけれども、二〇〇六年十二月、左の方に「「十年後の東京」策定」と書いてございます。東京都は、その上に書いてございますが、二〇〇二年の二月から「地球温暖化阻止!東京作戦」というのを始めておりまして、この二〇〇二年から温暖化対策を進めているわけでございますが、特に最近強化を始めましたのは、この二〇〇六年十二月の「十年後の東京」という都市戦略を作ってからということでございます。  この中で、温暖化ガス削減目標としまして、二〇二〇年までに二〇〇〇年比で二五%削減するという目標を立てました。これを具体化するために、昨年六月に「東京都気候変動対策方針」という方針を立てました。  この中で、大規模な事業所に対します排出量削減義務の導入と、それを補完する排出量取引制度の導入という方針を提起したわけでございます。この方針につきまして経済界の方からもいろんな御意見をいただきましたので、意見交換会、ステークホルダーミーティングと申しますものを三回程度実施をしてまいりました。  昨年の十二月以降でございますが、一つ事業として補助制度をつくるとか、そういう事業としては、実行プログラムを作ると同時に、東京都環境審議会で条例改正の御議論をいただきまして、この三月に、つい先週でございますけれども、最終答申をいただきました。この後は、この最終答申を基にしまして、今年度中、二〇〇八年度中に条例改正をして削減義務の導入を図ってまいりたいと思っております。  一ページ目の左側の方にロンドン、パリ、ニューヨーク云々という記載がございます。これは、二〇〇七年、昨年は、東京都は六月に気候変動方針というのを出したわけでございますけれども、同じように、ロンドンは昨年二月、パリは昨年十月、ニューヨークは四月に同じような気候変動対策の方針を立てております。それぞれ記載のようなかなり高い目標を掲げているということでございます。これは必ずしも偶然ということではございませんで、世界の大都市四十の都市が集まった世界大都市気候先導グループというグループがございます。この中で情報交換をしながら、各国の首都が中心になって気候変動対策をリードしていこうというふうな取組を進めているということでございます。  では、一ページお開きいただきたいと思います。まず、東京都地球温暖化対策の全体像でございます。  左側の方に棒グラフがございまして、東京都CO2排出量現状が書いてございます。ここは、二〇〇〇年比でというふうに申し上げていますので二〇〇〇年のデータを掲げておりますが、約六千万トンのCO2東京都市活動に起因して発生をしております。そのうち、四四%が産業・業務部門家庭部門が二四%、運輸部門が三〇%というふうな構成になっております。  この産業・業務部門の四四%ですが、そのうちの約四割が大規模な事業所から排出をされております。この大規模な事業所と申しますのは、約千三百の事業所でございまして、事業所数ではわずか〇・二%程度なんでございますけれども、その〇・二%が約四割を排出しているということでございますので、私どもとしては、この大きなところについては削減の義務を導入する必要があるだろうと思っております。  その大規模事業所の削減義務につきましては、この後詳しく御説明申し上げます。    〔会長退席、理事広中和歌子君着席〕  先に、右側の方の山吹色でございますが、中小規模事業所に対する対策でございます。  中小規模の事業所、約七十万事業所、都内にあるわけでございますけれども、なかなか省エネの知識が十分にないというようなことがございまして、取組がまだ十分進んでいないということがございます。ただ、それだけ逆に、少しの取組でかなり大きく減らせるという余地があるということもございます。  一番右に書いてございますけれども平成十八年にこの中小規模事業所の二十四か所の調査をしたわけでございますけれども、この調査によりますと、約五百六十万円投資をしますとCO2が一一%減らせると。しかも、これによりまして光熱費が減りますので、それで毎年百六十万円光熱費が減るということで、投資をしても三・五年で元が取れると、CO2が減るということになっております。中小規模の事業所に対しましては、こうした省エネの促進をいろんな形で進めていこうと思っております。  それから二つ目は、家庭の節電、省エネでございます。  これについてもまだまだ本格的には取組は始まっていないと思っておりまして、節電の徹底でございますとか、特に太陽光、太陽熱の普及に力を尽くしてまいろうと思っております。また、もう一つは高効率の給湯器の普及であります。  家庭で使っているエネルギーを見ますと、約三分の一が給湯、お湯を作るために使われております。ここが非常にウエートが高いわけでございますけれども、これについては、例えば東京電力さんの方ではエコキュートというような高効率の給湯器、東京ガスさんの方ではエコジョーズというふうな給湯器が出ておりまして、これに交換するだけで十数%から三十数%ぐらいCO2が減るという効果がございます。まだまだ普及が遅れておりますので、こうしたものの普及を促進してまいりたいというふうに思っております。  それから、自動車でございますけれども、これについても、低燃費車の利用の促進ルールを作ることでございますとか、それから、事業者のエコドライブの促進等々について進めてまいりたいと思っております。  一番左の下でございますけれども、こうした温暖化対策を進めることによりまして、一つは、企業や家庭の光熱費が減るというメリットがございます。それから二つ目には、省エネルギーや再生可能エネルギー、自然エネルギーの新しいビジネスが発展するというメリットがございます。そういう取組を通して、最終的には東京が低炭素社会のモデル都市として世界にアピールしていけると、そうしたメリットがあるだろうと考えております。  では、もう一枚おめくりください。大規模事業所への対策でございます。  大規模な事業所に対しましては、先ほど申し上げましたように、総量削減義務と削減量取引、排出量取引の制度を導入していこうと思っております。私どもはこれを突然やぶから棒に去年言い出したというわけではございませんで、実は二〇〇二年からこの前のステップの制度を実施をしております。  一番下に横長のチャートが書いてございますが、東京都は二〇〇〇年の十二月に環境確保条例という条例に改正いたしまして、これに基づいて、二〇〇二年四月から大規模な事業所に削減の計画を作ってもらう制度を実施をいたしました。この制度は、最初、二〇〇二年から二〇〇四年まで三年間実施をいたしました。実施をしたんですけれども、この三年間の取組によりますと、目標を自主的に立てていただいたんですけれども、三年間で二%という削減目標でございました。  ちょっとこれではいかにも不十分であるということで条例改正をいたしまして、二〇〇五年から現行、新しい制度に移行いたしました。  これは、計画を作っていただくことは義務ですけれども削減自体は義務ではないと。ただ、前の制度と違うのは、まず案を出していただきまして、その案を我々が見させていただきまして、こういう点ああいう点の対策をされたらどうですかという御指導を申し上げて、かつ、その結果をAとかBとかCとかランキングをして発表するという制度でございます。この制度によりまして、五年間で六%の削減目標目標が上がりました。これは一歩、大きな成果であったと思います。  ただ、この後、ポスト京都の大幅な削減を考えますと、なかなかこれでも不十分だろうというふうに考えまして、第三段階として総量削減義務の導入を提起をしたということでございます。ですから、我々としては、第一、第二、第三と、ホップ・ステップ・ジャンプというふうに段階を踏んで制度の強化を進めてきているというふうに考えております。  上の方に返っていただきまして、この総量削減義務でございますが、基本は、右の方でございますけれども、自分の事業所で減らしていただくというのが基本でございます。どうしても減らし切れない場合に、補完として排出量取引、ほかからの削減量も充ててもいいでしょうというふうな考え方になっております。  じゃ、実際どんなふうに減らされるんだろうかということでございますけれども東京のその千三百の対象事業所のうち、東京は非常にオフィスが多うございまして、約一千か所はオフィスの業務部門でございます。  したがいまして、ここではオフィスを例に挙げて御説明を申し上げるわけでございますが、真ん中辺にオフィスビルのエネルギー消費というグラフがございます。このオフィスビルを見ますと、約三割のエネルギーが空調関係、冷暖房関係で使われております。約二割が照明でございます。それから、それ以外、約二割がコンセントからの、パソコンを使うとかこういう機器を使うとか、そういう機器。残りがそれ以外となっております。  今日は、この一番ウエートの大きい空調関係と、それから照明について例を示して御説明申し上げますが、まず冷暖房設備でございます。  これも、最新の省エネ機器は非常に効率がいいものが出てきておりまして、これに買い換えることによって、例えば四割とか三割とか、使用エネルギー、つまりCO2が減るということがございます。  その右にブルーのラインで対象事業所の現況を書いてございますけれども、これは、私ども調査をいたしまして、対象になる事業所がその空調機器、熱源機器など、いつ導入されたもので、いつになったらどれぐらい更新されるかという調査をしたものでございます。  それによりますと、二〇一五年には約七割が更新時期を迎える、二〇二〇年には九割が迎えるということでございますので、こういうタイミングをとらまえまして、一番効率がいいものに替えていただければ相当効果が上がるだろうというふうに考えています。  あるメーカーに聞きますと、この空調機器も、やっぱり性能がいいもの、普通のもの、すごくいいものとあるわけでございますが、すごくいいものというのはちょっと高いものですから一割ぐらいしか売れていないというお話も聞いていますので、削減義務を課すことによって一番いいものに買い換えるということからすれば相当CO2削減効果が上がるだろうと思っております。  照明につきましても同様でございまして、インバーター照明の最新のものに替えますと、既存のものの約五割エネルギー使用量が減るということでございます。これも同様に更新時期を見ますと、二〇一五年には東京の大規模事業所の九割が更新時期を迎えますので、その機をとらまえていいものにしていっていただくというふうなことを考えているわけでございます。  これ以外にも、小まめな節電でございますとか、様々な設備の更新によりまして大規模な事業所には相当削減の余地があるんじゃなかろうかと考えております。  もう一枚おめくりください。では、実際にどんなふうにして削減の義務を課していくんだろうかということでございます。  削減義務量の設定方法でございますが、私どもが考えておりますのは、左上のボックスでございますけれども、まず基準の排出量、これをベースにするということで、これは各事業所の実際の過去の排出量をベースにしようというふうに考えております。  エネルギー使用の実態というのは、同じオフィスビルでも、例えば外資系のテナントが入っているビルなんかはどうしても使用量が多いとか特徴がございますので、なかなか一律の基準というわけにもまいりません。したがいまして、これは、各事業所の実際の排出量をベースにして、これをまず基本にしていこうと。これに削減義務率を掛け合わせますことによって削減義務量が決まってくるということです。  この削減義務率に関しましては二つの視点を踏まえて決めようと思っております。  一つは、実際にどれぐらい削減の余地があるんだろうかということでございます。我々は千三百事業所のデータを二〇〇二年から持っておりますので、実際にどういうふうな対策が各事業所でやられているかという把握をしております。それに基づく分析を現在進めておりまして、そのデータを踏まえて、このくらいの余地があるだろうという言わば積み上げを行っております。  ただ、積み上げだけですと少し足りない分がございますので、もう一つの視点は、二〇二〇年までに二五%減らすというマクロの大きな観点からいってどのぐらい必要なんだろうかということで、積み上げの視点と上からの視点と両方合わせまして削減義務率を決めていこうと考えております。基準の排出量にこの削減義務率を掛けることによりまして、個々、千三百事業所それぞれに応じた削減義務量が決まってくるというふうに考えております。  具体的な例で下の方に三つの例をお示ししておりますけれども、まず左側でございます。一般の事業所の場合でありますけれども、例えば一万トンのCO2を出している事業所があったとします。ここに一〇%の削減義務が掛かりますと一千トンの削減が義務になりますので、これを新しい削減義務期間の間に削減をしてもらうということになります。  これに対して、特例と申しますか、配慮が二つございまして、一つは、配慮の一と書いてございますが、既にこれまで相当減らしてきている事業所でございます。この場合には全く同じように扱うのはおかしいわけでございますので、こうした事業所の場合には、過去に減らした分をその義務の履行に充ててもいいという制度にしようと思っております。例えば、過去に五百トン既に削減実績があるものについては残り五百トンを削減すればいいというものでございます。これが配慮の一です。  配慮の二、右側でございますけれども、これは、新しいビルなどで、今までの削減実績はないんだけれども、新しいビルなので初めは相当いい省エネ効率の機器が入っていると。逆に言うと、余り削減の余地がないと。当然これもございます。この場合には削減義務率を軽減すると。例えば半減するということによって、やはりこの場合にも、本来は一千トンの削減義務なんですけれども、五百トン減らせばいいというふうな配慮をしようと思っております。  これによりまして、これまで取り組んだところ、あるいはこれから取り組もうとしているところについては、その努力が配慮される制度になるんだろうというふうに考えております。  もう一枚おめくりください。大規模事業所対策でございます。削減量取引の方でございます。  今申し上げましたように、私どもは、基本としては自分の事業所で減らしていただくということでございますけれども、しかし、業況が回復するとか活動量が増える等々でどうしても減らし切れない場合がございます。その場合に、直ちにこれが条例違反で罰則の適用というのでは余りに厳し過ぎますので、そういう場合にはほかの事業所から削減量を調達してもいいですよという制度にしようと思っております。  そのパターンが大きく三つあると考えておりまして、一つが大規模なCO2排出事業所、つまり対象事業所同士の取引です。この場合、ただし、取引ができるのは削減義務量を超えて減らした分だけということでございます。こういう制度ができますと、私どもの方で登録簿を作りましてこれを公開しますので、それを見ていただければ、どの事業所が義務量以上に減っているか、どの事業所が足りないかというのが分かりますので、その情報を基にして取引をしていただくと。あるいは、その仲介事業者の方が仲を取り持って取引をするというふうな形が進んでいくだろうと、進めていきたいと思っております。  それから、第二は中小規模事業所の削減量の調達ということであります。  中小規模の事業所には削減義務は課しませんけれども、やっぱり中小の取組の促進は大事でございますので、中小規模事業所が省エネ対策をやって、それで減らした分についてはその削減量を認定しまして、それを調達することによって大規模事業所の削減義務の履行に充てられるという仕組みを考えております。これによって、大規模の方もメリットがあるし、中小の方もメリットがあるという形になると思っております。例えば、同会社、系列会社間での取引でございますとか、省エネ事業者等が仲介をした取引というものが進んでいくと思っております。  それから、第三はグリーン電力証書の購入ということでございまして、現在でも、自然エネルギー利用する場合にそれが証書という形で取引がされております。  例えばソニーさん。ソニーの本社さんなんか銀座にございますけれども、ここは、使っているエネルギーのほとんど全部をグリーンエネルギーで使っているということでございます。といっても、これは直接そこに風力発電があるわけじゃございませんので、風力発電で例えば青森の方とかで発電されたものを証書化してその環境の価値の分だけを充てるという仕組みがございます。この仕組みを我々も支援していこうと思っておりまして、対象の事業所が削減を履行する手段としてグリーン電力の購入によってもいいですよということにしようと思っています。これによって、一方では再生可能エネルギーの拡大につなげていこうということでございます。  概略、以上のような制度を現在考えているということでございます。  もう一枚おめくりいただきまして、あとは参考でございますが、少しだけ残りの時間で御説明をさせていただきます。  この削減義務と排出量取引制度につきましては、昨年の六月に提起をしたところでございますが、かなり経団連を始めとして経済界の皆様からいろんな御意見をいただきました。ステークホルダー会議という意見交換会をやったわけでございますが、今年の一月に経団連などの団体から意見書をいただきました。  その要旨がこの参考というペーパーの左の上に書いてあるわけでございますが、EUの方で排出量取引をやっております。それを引き合いに出されまして、東京都はEU—ETS、EUの制度の問題点を学ぶべきであるということで、EUの制度には実効性がないんだということであるとか、EUにおいてもEUの排出量取引は批判に遭っているんだと、東京都がEUの失敗例を後追いすることは賢明ではないんじゃなかろうかという御意見をいただきました。  これに対する私たちの基本的考え方でございますが、右側にございます。  一つは、東京都の今御説明しました制度は、我々が五年間あるいは六年間都でやってきた制度をベースにしたものでございまして、これはEUの仕組みをコピーしたものではございません。これが第一点です。  それから第二は、削減義務と排出量取引にはいろんなバージョンがございまして、これが世界各地で検討が進んでおります。したがいまして、これはそういうことでございますので、東京都の制度を議論するときに、EUがどうだこうだという議論するのは余り意味がないだろうと思っております。  ただ、経団連様から東京都の制度の批判として、EUの制度と同じであって、かつ、それが機能していないんだという御指摘をいただきましたものですから、私どもとしても、今後の建設的な議論の出発点とするためにEUの実態についても若干調べたものでございます。これは、一月に開かれました関係団体のステークホルダー会議で紹介をした資料をこのページ以降に参考としてお付けしております。  今日はここがメーンでございませんので詳しくは御説明いたしませんが、例えば第一点でございますと、論点一と書いてございますが、御批判をいただいたのは、EUの制度自身が実効性が上がっていないんだというふうな御指摘がございました。これもいろんな理由がございまして、EUは二〇〇五年から制度を実施しているわけでございますが、実はEUが二〇〇五年に制度をつくるときには、EUの制度は一万一千五百の施設が対象なんですけれども、各国ともにそれぞれの施設がどういう排出量かというデータを持っていなかったんですね。ですから、客観的な割当てができなかったという実態がございます。これに対して、私どもは既に二〇〇二年からデータを持っておりますので、もっと客観的な割当てができると考えております。  EU自身も、第一期はそういうことだったんですが、今年から第二期に入っておりますし、それから二〇一三年からは第三期に入るというふうに予定を発表しておりまして、そこではかなり厳しい目標が立てられているということでございます。これを含めまして、幾つかの点について我々が調査した中身を記載してございますので、これは参考にしていただければと思います。  以上でございます。
  9. 広中和歌子

    ○理事(広中和歌子君) ありがとうございました。  これより質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行いますので、質疑を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って御発言くださるようお願い申し上げます。  なお、質疑の時間が限られておりますので、委員の一回の発言は三分程度となるよう、また、その都度答弁者を明示していただきますよう御協力をお願い申し上げます。  それでは、質疑のある方は挙手を願います。  ツルネンマルテイさん。
  10. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 民主党のツルネンマルテイです。  森参考人に質問させていただきます。  話の中では、富山市のコンパクトなまちづくりへの取組が非常にすばらしいことで、そして、効果を上げているということもよく分かりました。  しかし、一つ是非知りたいことは、このような取組には市民の参加がなければなかなかうまくいかない。例えば、マイカーから公共交通手段に変えたり、これもそういう移動もあったというふうに話がありました。この市民の参加を一体どのようなことでPRしたのか、市民に呼びかけるか。恐らくこれは行政が、市長が先頭に立ったんじゃないかなと思いますけれども、始めたプロジェクトですけれども、どのようにこんなにすばらしく市民も協力するようになったか、そのことについて簡単にお願いします。
  11. 森雅志

    参考人森雅志君) 今御指摘いただきました点はそのとおりの問題です。極端に車ばかりで暮らしている地域社会でありながら、あえて道路上の車線を減らして路面電車を走らせるということについては、当初はいろんな意見がもとよりございました。しかし、先ほども言いましたが、奇跡的に市内に何とか路面電車が残っていましたので、新しく線を敷設することについて、路面電車のない市の市民ほどには抵抗感が強くなかったということが幸いしたと思っています。それが一点です。    〔理事広中和歌子君退席、会長着席〕  しかし、そうは申せ、車線を減らして電車を通すということについては、多くの市民は必ずしも積極的に支持してくれたわけではありません。ですが、熱心に説明をすると、例えば、平成十九年度一年間でも私自身は市民との対話みたいな形で七十数回、一時間か一時間半程度のものをやっていますが、十八年に運行を開始する前の十七年、十六年ごろは、もっと職員も含めて市民の中に入って、人口が減っていくこの社会構造の中でいつまでも車に頼っている格差型の地域社会をつくっていたのでは将来大変大きな問題が顕在化する、ですから二十年後、三十年後を見据えて今から公共交通の復権というものをやっていかなきゃいけないんだということを口を酸っぱくして説明をしてきたところです。  十八年の七月の市民調査では、約八割の市民は今のコンパクトなまちづくり公共交通の質を上げるという取組を支持してくれております。したがいまして、路面電車の延伸という今取り組んでいる事業についても、さきの富山ライトレール事業についても組織立った反対は一つもございませんでした。そういう意味では、市民の理解に助けられて今日まで進めてこれたと思っています。
  12. 石井一

    会長石井一君) 加藤修一委員
  13. 加藤修一

    ○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  今日は、三人の参考人の皆さん、大変ありがとうございます。大変勉強になりました。  二点ほどお聞きしたいと思いますけれども、第一点は、これは大まかにお話しされていいと思いますけれども京都議定書目標達成計画改定版ですけれども、三月に閣議決定されたということで、これは周辺の皆さんの評価も含めてどういう評価をされるかということなんですね。  報道機関もかなり厳しい評価をしているケースもあったり、あるいは帳じり合わせで意味がないというふうに断言するような報道の在り方もあるんですけれども、この辺についてどういう見解をお持ちかなということで三人の皆さんにお尋ねしたいと思います。  それから二点目は、国民運動との関係で、地球温暖化対策推進法の関係では、たしか二十一条で、地方自治体、市区町村の実行計画を作らなければいけないというふうになっていて、今日、三人の皆さんはもう真っ正面からそういうものを作ってしっかりと対応されているというふうに私はとらえておりますけれども全国で千八百四十三の市区町村がある中で、義務として作らなければならないという実行計画を作っているのは六百七十五の市区町村だけなんですね。  そういった意味では、国民運動をしていく上では、足下の自治体がいかにこういう問題に対してしっかりと取り組んでいるかということが極めて私は重要だと思っておりまして、ただ、なぜこれだけ、四割も行かないぐらいみじめな状態であるかということで、例えば、財源が非常に難しいとか人材が不足しているとか、専門的知識を持っている方がそうそう、特に町村の関係でありますけれども、ないという、そういうアンケート調査があったりするわけなんですけれども、三人の参考人の皆さんは、こういう関係でいろいろ取り組んでくる中で何が一番大きい課題として考えていらっしゃるのか。  先ほど、国の方に対しての要請で、新エネの関係で、太陽光の関係がなくなったので何とかしてほしいという、そういう言い方もあったわけでありますけれども、そういった面を含めて、皆さんの現在持っている課題といいますか、こういうことを取り組んできている経緯の中でどういうものが一番大きいかなと、その辺のところについて教えていただければよろしいと思います。  あと、東京の関係につきましては、大規模事業所対策で、削減義務量、配慮の二という、条例を作るという話だったと思いますけれども、配慮二で「省エネ設備等が優れた事業所」というふうになっているわけでありますけれども、細かい質問で恐縮でありますけれども、優れたということで、どういう判断のときを優れたとするのかという、数量的な面になってくるかもしれません、技術的な面かもしれませんが、この辺について御説明いただければと思っています。よろしくお願いいたします。
  14. 森雅志

    参考人森雅志君) 二つ御質問いただきましたが、まず後の方からお答えさせていただきます。  実は、この三月議会でも、市議会の中から、実行計画が策定されていないのではないかという指摘をいただいたところですが、私どもとしては、その実行計画という名前での計画を新たに作ってはおりませんけれども、従前から、まさに中身としては実行計画に相当するような自発的な計画というものを打ち立てながら取り組んできているところでして、恐らく全国の自治体の中には、タイトルが実行計画とうたっていなくても中身としては相当それに近いものを策定しているところは多いのではないかと。これは推測で申し上げました。  さて、市町村の中でどうして取組がおろそかなのかということでは、よその自治体のことですから一概に申し上げることはしにくいのですが、先生お話がありましたように、小さな町村は、やはり技術的に知識の豊富な職員がいないとか、あるいは外のコンサルに丸投げしてしまうだけだとか、そういうようなことになりがちな傾向があるのではないかと思っています。この点は、都道府県にもう少し指導力を市町村に対して発揮してもらうということや人の派遣ですとか、そういうことも必要なのかなと思っています。  また、最初に御質問のありましたことについては、閣議決定について余りあれこれと言うのも、私の立場ではそれだけの資格があるか分かりませんが、ただ、一点申し上げますと、京都議定書というのは大きな課題。これを二〇一二年までというのはかなりの国民は分かっていて市民も分かっていながら、どこかよその話だという意識があるのではないか。その意味では、達成しなきゃいけない現実の大きな課題なんだと、もし未達成だとこうなっていくという方向性を改めて認識させ、一人一人の本気度をつくるという意味では、自治体や事業所や市民に対してもたらしてくれるといういいきっかけにはなったのではないかと、このように思っています。
  15. 猿渡知之

    参考人猿渡知之君) 一番と二番とちょっと併せてあれなんですが、やはり、先ほどもちょっと最後に申し上げたんですが、地方自治体としましては、できることをやはり一生懸命やるんだということであって、先ほど申しましたように、住民の方々と一緒に森林を守る、そういうモデルフォレスト運動をやっておるんですけれども、じゃ全体の京都目標にしている八十万トンのうちどのくらいなんだというと、全部いっても一割にしかなりません、CO2削減量としては。それ以外のものは、やはり公共事業であるとか補助事業で進められていくということになるんですけれども、しかし、量としては一割だけれども、みんなで一緒に自分たちの環境を守っていこうよという運動を進めていく、そういう一つ一つできることのそれに意義があるんだということをやはり我々ももう一回再確認をしてやっていくという必要があろうかと思います。  市町村の話、出ましたけれども、今、森市長の方からもありましたが、この新しいCO2削減バンク等々の動き、あるいはモデルフォレストにしてもウッドマイレージにしても、もちろん我々、市町村の方と一緒になっていろんな場面場面進めておりますから、まさに森市長がおっしゃったように、計画がないところだからといって物がないということでもないだろうというふうに思います。  以上であります。
  16. 大野輝之

    参考人大野輝之君) 私どもも、やはり温暖化対策は基本的には世界全体の取組が大事でございますので、国においてしっかりとした目標を立てていただいて、しっかりした取組をしていただくことがまず基本だと思っております。  ただ、東京都の場合には、国がなかなか不十分な場合に、国の取組強化を待つのでなくて、やはり東京も非常に大きな都市ですから、やれるところは自分たちでやっていこうという考え方で排出削減義務と排出量取引制度についても提案をしておるということでございます。  御質問の目標達成計画の評価でございますけれども、そうした観点から考えますと、トップランナー基準の強化でございますとか非常にすばらしい施策も入ってございますけれども、ただ、一番かなめになるところが経団連の自主行動計画頼みになっているというところはやはり不十分であると言わざるを得ないのではなかろうかと思っております。  それからもう一つは、再生可能エネルギー部分につきましても、せっかく日本が、例えば太陽光発電も世界の半分を生産するような非常に優れた技術を持っていながら、これが十分に活用されるところに至っておりませんで、昨今ではドイツが新しい制度を導入しまして、毎年の導入量でもストックでもドイツに抜かれてしまった。それから、まあこれは瞬間だと思いますけれども、シャープが世界一のメーカーであったのがドイツのキュー・セルに抜かれてしまうと。非常に残念でございますので、是非これは、国の方で再生可能エネルギーについてももっともっとしっかりとした普及が進むような支援制度や枠組みをつくっていただきたいというふうに考えております。  それから、市町村のところにつきましては、都内の自治体は相当作っていると思いますけれども、やはり確かに省エネを進める人材が少し不足というようなところはあると思います。これについては、私たちも、二十三区と多摩の市町村が相当最近強力に進めようという意思を持ってきていますので、そういう人材育成の取組ども一緒にやっていこうと思っております。  それから、大きな二点目の御質問でございますけれども、これにつきましては、やはり建物については、建物自体の省エネの構造もございますし、それからその設備がありますので、それについて条例の制定後にガイドラインを作りまして、明確な目標基準、トップランナーと認定するのにはどういう場合に認定できるかという認定のガイドラインを作ろうと思っております。  以上であります。
  17. 石井一

    会長石井一君) 佐藤委員
  18. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 猿渡参考人にお伺いいたします。  京都府の場合、隣の府県との連携、CO2削減とか温暖化の関係で何か連携はなされているのかどうか。特に、京都府の場合は滋賀とか大阪と非常に近くて、かなり通勤関係の方も多いというふうに思います。その関係で、府としての取組というのはやはり隣接県と連携しながらやるというのが非常に効果がある場合もあると思いますので、それについて一点お伺いしたい。  二点目は、京都というとやっぱりどうしても非常に観光地ということで、政令指定都市の京都市の場合は観光客をどんどん増やそうという今、動きがあります。観光客が増えれば、当然車、特に花見、秋の紅葉の時期は大渋滞になりますけれども、そういうことも踏まえて、観光客の増加に対して京都市との連携とか調整、対策、どういうものをやっているか。その二点についてお伺いしたいと思います。    〔会長退席、理事広中和歌子君着席〕
  19. 猿渡知之

    参考人猿渡知之君) 近隣自治体間での連携というのは誠に重要な視点でございまして、例えば十二ページのところでございましたように、いろんな、地球温暖化防止活動推進員であるとか、あとはエコドライブマイスターであるとか、そういうふうな事業については当然近隣府県と一緒にやっていく。今年始めようとしていますCO2削減バンクも、これについてはやはり知事会等々の場で一緒に進めていくように今、情報共有を図ったりしているところであります。  そうして、あと観光客につきましては、京都市内、あるいは京都府下もそうですけれども、かなり多うございまして、そういう中で、やはり公共交通を使っていただくことが観光客の方にもいいし、それで入ってくる乗用車が防げればそれはいいんですけれども、まだなかなか流入規制というところまで踏み込めるというようなことには至っておりません。  こういう議論については、当然ながら政令指定都市の京都市さんも含めて話をしておるわけですが、ちょっと取組、わずかかもしれませんが、例えば信号機等々、バスが来ると信号機がすっと青になって赤になりにくいような、そういうふうなプログラムとか、そういうものは京都府警察と、あと京都市交通局との間で協力をしてそういう取組を進めるとか、一歩一歩でございますけれども進めております。またこれからも進めてまいりたいと思います。
  20. 広中和歌子

    ○理事(広中和歌子君) 次、今野東君。
  21. 今野東

    ○今野東君 地球温暖化対策でそれぞれが大変先進的な取組をなさっている自治体のお話を伺ったわけですが、その自治体のそれぞれの、今日おいでいただいた自治体の方々だけではなくて、多くの自治体がある意味苦悩を伴いながらこの温暖化対策はなさっているのではないかと思います。様々な苦心をなさっていらっしゃるんじゃないかと思いますが、自治体の方々はそうやって一生懸命努力をしていらっしゃる。そういう自治体と政府の落差というのが大変気になっております。    〔理事広中和歌子君退席、会長着席〕  この調査室からもらった資料の中に入っていた朝日新聞の自治体調査ですけれども、九割以上の自治体が省エネあるいはライフスタイルの転換など、住民への啓発を挙げておりまして、これはそれぞれに大切なことだと思います。しかし、削減目標達成を見込んでいる自治体はというと、一三%にしかすぎません。二四%の自治体は、達成は大変難しいと回答しております。その理由に、家庭やオフィスビルなどの業務部門での排出量の伸びを挙げております。  ということは、自治体の取組は非常に真摯になさっているけれども、その努力には限界があって、国が積極的に業務部門への規制等に働きかけなければ削減目標達成ができないのではないかということではないかと思うんです。  地球温暖化対策推進法改正案で、特例市以上の自治体には地域ごとの削減計画を義務付けるということになっているようですけれども、そうであれば、これは産業界に対しても削減計画の義務付けが必要なのではないかと私は思っているのですが、これ、私の意見でありますけれども、こういう私の考えについて、国の方もしっかりしなければならないのではないかということについて、それぞれ御意見があれば伺いたいと思います。
  22. 森雅志

    参考人森雅志君) 今お話のありましたとおりだと私も思います。  先ほどの京都府さんの方でもお話がありましたけれども、基礎自治体としての市町村としてできることにはおのずから限界がございます。市民に啓蒙、啓発するということについては、距離が近いのでいろんな声を出すことは可能ですけれども、先ほど東京都さんの条例のお話などを聞いて正直驚きましたけれども、あそこまで義務付けするということについては私どもの規模の自治体としてはとても難しい作業になります。  ですから、先ほど、問題として一番大きく立ちはだかっているのは車社会であるということですので、排出ガスの規制というものについて国レベルで極めて厳しい誘導をしていただくとすれば、車の数が減らなくても総量としては減っていくという効果を生みますので、例えば、そのことのように大きなリーダーシップというものをやっぱり国で発揮していただくということが大変重要ではないかと思っています。  それから、猿渡さんが先ほどおっしゃいましたように、やっぱり様々に積極的な補助を展開していただくということがないとなかなか単独ではやりにくいという部分がございます。  少し言い過ぎるかもしれませんが、実は、富山県は標高ゼロメートルから三千メートル級の山々まで、短いところだと三十キロぐらいで一気に滑り落ちる地形です。ですから、遊休落差が実はあっちにもこっちにもたくさんあって、そこに河川が流れていますので小水力発電というのを積極的にやりたいと実は思っています。しかし、水利権の関係ですとか様々なものがあってなかなかうまくいかない。しかし、資産としては遊休落差というのがたくさんあるわけですので小水力発電ということが実はある。そういうことについても国の方で一定の考え方を示していただくとすると、全国地方都市にはそういう挑戦ができる都市はいっぱいあるんだろうと思います。
  23. 猿渡知之

    参考人猿渡知之君) 少し先ほどとかぶるかもしれませんが、やはり国でやっていただくべき骨太の施策というものと我々が地道にこつこつと住民の方々と一緒にやっていく施策というのは、やはり大きな違いがあろうかと思います。  京都府でも、先ほど申しましたように、森林環境税というのを入れようということで、かなり入れているところもありますけれども、どうしてもやはり住民税の上乗せという形で一定の財源をということになります。そうしますと、排出権取引のルールもそうですが、ルールそのもの、産業界とか人々のルールそのものにダイレクトに規制を掛けていく云々というのは、やはり我が国の中の一定エリアだけを所管しておる都道府県あるいは市町村において踏み込んでいくのはかなり厳しいだろうというふうに思います。  あと、自然エネルギーの導入につきましても、やはりこれは、コスト的な問題、あるいは風力につきましては我が国の地政学的な問題、いろいろあります。これについては、一定のやはり強力な後押しがないとなかなか進まないだろうというふうに思います。  それと、あと、京都府の場合は産業界の方、相当数字としては出ております。出ておりますが、これは、先ほど申しましたように、関西電力さんの電力使用量の排出係数がずっと数値が小さくなってきたというようなところがやはり大きな原因でございまして、こういうところというのはやはり我々の手の届かないところであります。  繰り返しで恐縮なんですが、ただ、我々としては、やはり啓発活動あるいはモデルフォレストのような地道な活動、これを一生懸命やっていくことによって、例えば、先ほど申しましたように、コンビニエンスストアが六割以上増えた。これは、確かに便利だからそうなんでありますけれども、それはお客さんがそこに行くから増えるんでありまして、人々がそういう生活をやはり便利だと考えてやっておられる。そういうものにやはり、もうちょっと考えてみてくださいよというようなきっかけというものを我々としては住民の方々と一緒にたくさん持っていきたいというふうに思っております。
  24. 大野輝之

    参考人大野輝之君) 国の施策に対する基本的なスタンスに関しましては先ほど申し上げたとおりでございます。  今年の三月から首相直轄の温暖化問題の懇談会が開始されたり、あるいは環境省、経産省両方で削減義務、排出権取引制度についての検討会が始まっておりますので、できるだけ早く積極的な方向が出てくることを期待したいというふうに思っております。  東京都といたしましては、そうした取組に注目して期待すると同時に、大規模な自治体として、やれる範囲のことについては条例制定権を最大限活用してやっていこうという立場でございます。
  25. 石井一

    会長石井一君) それでは、峰崎委員
  26. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 三人の方、今日は本当にありがとうございました。本当富山の森市長のお話は感動を持ってお聞きしました。  最初に東京都大野輝之さんにお伺いしたいんですが、ここで、例えば排出基準というのは客観的であるというふうにおっしゃっているんですが、東京都は五年間の、そのときに、これは事業所になっていますよね、事業所統計。  さきに関西電力の話がありましたけれども、電力なんというのは東京でつくっているんじゃなくて、要するに福島でつくったりあるいは新潟でつくったりしたやつが来たりしているわけですね。そうすると、実際上、東京電力という会社の中の事業所ということからいうと、火力発電所からいろいろあるのかもしれませんが、トータルすると実はCO2の発生は原子力でかなり削減しているというのは、福島や、あるいは今停止していますけれども、新潟かもしれない。そうすると、他県のものと自分のところの事業所という単位で見たときに、企業からすると、相当やはり我々は努力しているというふうに言っても、いや、それは実は東京都ではありませんねと、こういう話になってきたりして、企業と事業所の関係、これは一体どういうふうに、なぜ事業所になっているのか。  それを言いますと、中小企業で最近増えているのはホールディングカンパニーです。そうすると、ホールディングカンパニーがその子会社の責任をきちっと持たなきゃいけないんですよね、本来は。それを持たないというようなときに、企業というものを対象に、ここで事業所ということだけが強調されていて、なぜ企業というものも一つのカバーする範囲に入ってこないのか。この点、もし説明ができれば説明していただきたいなということと、東京都は、この二〇〇二年から五年間の排出基準というのは正確なデータであると、こうおっしゃっているんですが、その正確であることの根拠というのはだれがどういう方法によって説明するのかと。この点は東京都の方にお聞きしたいなというふうに思います。  それから、京都府の副知事猿渡さんについては、コンビニの問題。私も三人ともにお聞きしようと思って、二十四時間営業というのが、あれだけ電力をこうこうと照らして本当エネルギーの無駄じゃないかなと思ったりもしているんで、お話があったので、私もこれは多少規制を加えてもいいんじゃないかなと思ったりしているんですが、京都府は京都以外にもきっと田舎があると思うのでむしろ聞きたいのですが、かなりモデルフォレストというお話で森のことをおっしゃっていましたけれども、耕作放棄地が非常に増えているんじゃないかというふうに思いますが、こういう耕作放棄地というものに対してはどのような対策を取られているのか。つまり、もう一回それは森林に戻そうとされるのか。そういった意味で、環境という観点からどのように考えておられるのか、もし分かれば教えていただきたいなというふうに思います。  それから、富山市長に、これは、先ほどのお話がありましたコンパクトにまとめていくとき、地価の上昇というのは、それは見れるのか。つまり、非常にばらばらになっていたところが集中し始めてきている。そうすると、当然のことながら開発に伴う利益というのが出てまいります。そうすると、開発に伴う利益というのは、通常それは地価に反映されてきて、そうすると、地価が上がってくると固定資産税が増えてくるという、本来ならば人口が定量的な減らない状態であればそういうことが起きると思うんですが、今、富山はこの二年間ぐらいの間にかなり、そういう意味で言うと、富山市のいわゆるレールをずっと引いていったところはそういう地価の上昇が見られるのかどうか。  そして、その場合、固定資産税というのは、それに対して標準税率一・四%、地価の〇・七掛ける。一・四%掛かってまいりますけれども、そういうことについては、上がり始めたらそれは開発利益を吸収するんだということで、固定資産税の上昇ということなどが起きた場合には、それはその税収を当然のことながら財源として、先ほどの補助事業なんかもされていますね、そういったところに回すというような、そういう考えを持っておられるのかどうか。財源問題が非常に気になっているものですから、もしその辺り、そういうことで財源をつくり出そうとされるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  27. 大野輝之

    参考人大野輝之君) 最初、第一点の問題は二つの要素があるかなと思っておりまして、まず、我が国のCO2算定のルールでは、発電所で発電に伴って発生するCO2というのは、発電所でカウントするのでなくて、それを使う事業所の方でカウントするというルールになっております。発電所の方では、例えば石炭や石油、LNGを燃やして電気をつくるときにロスが出ますので、そのロス分だけをカウントして、電気そのものの分については使える。例えば、ここが使えば参議院のところにカウントされるというふうなルールになっておりますので、東京都はそのルールに従ってやっているということです。これは、ある意味日本固有のルールで、EUはそうでないというふうに聞いておりますけれども、そうであります。  それから、何で企業単位じゃなくて事業所単位なのかということなんですけれども、これもかなりいろいろと議論も我々もしたんですけれども、実際に削減のルールを作ろうと思いますと、やはり実際に電気やエネルギーを使う現場を、一個の施設をとらまえて把握をしないとなかなか正確にカウントができないということがございます。また、削減対策を考えるにしても、やはりその施設の中でどれぐらいの削減の余地があるかというふうに見ていかないとなかなかきちんとした削減率が出てこないということがあって、我々としては、現在のところでは事業所単位でやることが最も妥当だろうというふうに考えております。  それから、データの確認の話でございますけれども、これは現在の取扱いと今後の取扱いが違っております。現在はどういうふうにやっているかと申しますと、これは基本的には、オフィスの場合、電気とガスがほとんどでございますので、これは東電さん、東ガスさん、領収書、これは計量法で定められた計量メーターで把握されていますので、これでカウントできるというふうに思っております。ただ、それで不十分な場合には、うちの職員が現場に立ち入っていろいろな帳簿なんかを検査をするというふうにしております。  これは、現在はその削減自体が義務ではないのでこれでいいわけでございますけれども、今後は、二〇一〇年からは削減自体を義務にしますのでもっと厳格にする必要があると考えておりまして、基本的には、エネルギー使用量について第三者認証を受けていただくと、第三者機関がチェックをしてそれを提出していただくというルールを考えております。  以上です。
  28. 猿渡知之

    参考人猿渡知之君) 耕作放棄地の問題でございますけれども、例えば京都府の北部のところに大江町という町がございます。それが福知山市に合併をされたわけでありますが、そこの町長が合併を決意されたというときに象徴的だったんですけれども、この数十年の間に人口が半分になった、人口が半分になったけれども、これまでは世帯数は変わらなかったと。ところが、もう今度は世帯数まで減ってき出しました。これではもう独立の町としては成り立たないということで合併を決意されたということで、要は、高齢単独世帯のところで、御指摘のように、もうその世帯の維持もできなくなっているという地域が確かにございます。  現在のところ、こういうようないわゆる限界集落というようなものは、限界集落問題ということの中で基本的に今現在我々は農林部の方で課題意識を持っておりまして、一つは担い手対策ということで、都心、あるいはそういう北部から京都市に出てこられた方が退職後戻って営農をしたいという、そういう方々に農業大学校で新たにそういう研修コースを設けるであるとか、あるいは土地所有者との間のつなぎをやっていくとか、そういうふうな担い手対策。  もう一つは、安心、安全な農作物を提供するという意味で地産地消というものを積極的に取り入れていくということで、今は農業問題として取り組んでおりますが、限界集落問題というのはやはりその限界を超すというものも出てまいろうかと思います。そういう場合には、そういう耕作放棄地については当然新規植林の対象の土地ということもやはり検討せざるを得ないようなときも近くあるのではないかというふうに考えます。
  29. 森雅志

    参考人森雅志君) 先ほども申し上げましたが、この三、四十年間、中心部に住んでいた人が広く郊外に移り住んでいきましたことの結果、都心部は青空駐車場と空き家ばかりというゴマ塩状態の土地利用形態がずっと続いてきました。したがって、地価の下落がずっと続いてきました。  公共交通を再活性化させてもう一度人の集まりというものをつくろうということを今取り組んでいますが、劇的な変化というのはそう簡単には起きません。しかし、幸いなことに、今いろいろな民間の投資が動き始めてまいりました。もとより、公共投資を先行させていろいろやってきたことがそういう効果につながったと思っています。昨年の秋の地価調査も、先般の公示価格についても幾つかの中心部調査地点においては地価が上昇に転じましたので、兆しとしてはいいものが生まれ始めていると思っています。  それから、さっき説明しました富山ライトレール沿線にも、広い駐車場がなくても電車利用してお客さんが来るからということなどで、例えば障害者のグループホームですとか高齢者のデイサービスセンターですとか、いろんなものが動き出してもうでき上がってまいっておりますので、沿線の賃貸マンションの賃料に少し影響しているという話も耳にしています。  御指摘ありましたように、もとより固定資産税は大いに期待しているところでして、市町村の市税の約三分の一は固定資産税ですので、地価が下落し続けるということについては非常に危機感を持っていましたので、兆しができたことを歓迎しています。  また、質のいい住宅に対して、例えば都心部ですと、一戸、マンションを購入する方にも五十万円出すとかという制度をやっていますが、五年目で固定資産税で回収できると思っています、一・四プラス〇・三の都市計画税も課税していますので。したがって、決して垂れ流しの補助をやっている思いはございません。  直接御質問なかったことにお答えしてよろしいでしょうか。──中山間地の耕作放棄田の問題ですが、私どもの自治体も随分大変大きな問題として抱えています。今は、最悪どうしようもない、農地として維持できなくなれば森林に戻ることもやむを得ないというお話がありましたが、それは確かにそのとおりだと思いますが、しかしそこまで持っていってはいけないんだと思っています。  耕作放棄田を生まないためにどうするかということがすごく大事で、現にもう米を作るのは嫌だという高齢者はいっぱいいますが、富山市は単独で予算を付けまして、水を張るだけでいいから、水を張ってほしい、田植しなくていいと。そうすると、上流の用水の取入口から農地まで、あるいはあぜを張ることによって、いざ本当に米が不足するという事態が将来起きたときに備えてやっぱり耕作放棄地を増やすことには何とか歯止めを掛けていくことが大事だというふうに思っています。
  30. 石井一

    会長石井一君) 喜納昌吉君。
  31. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 東京富山さんにお聞きしたいんですけれども。  まず最初に、温暖化が進み、海面上昇が進んだ場合、東京の湾岸地区は大きな影響を受けると考えられるが、どのような対策を考えているのか。それから、さっきもお話あったと思うんですけど、家庭用太陽電池設置に対する補助が終了しているが、これに対してどう考えるのか。今までの取組を踏まえて国に対してどのような要望があるのか、東京に聞きたいですね。  それから富山には、市街地を再集約するには住民の転居の必要があるが、それに伴う具体的な問題点、またその解決策です。  それから、沖縄でもライトレール導入を希望する声が多いんですが、既にモノレールが導入されているが、その効果はまだ十分に発揮されていないと思います。沖縄には元々駅がないため市街地が集約されていないという問題があります。また、アメリカ統治の影響もあり自動車社会であるということ、島の地形で土地の起伏も多いという、そのような中で沖縄にライトレールのような交通機関を導入しようとした場合の財政的な採算の可能性はあるのか。市長の御意見を聞きたいということで、それだけでいいです。よろしく。
  32. 大野輝之

    参考人大野輝之君) 東京湾の海面上昇に伴う問題でございますけれども、気候変動対策には、御承知のとおりの緩和策と適応策がございまして、今まで東京都CO2の発生を抑制する緩和策、これを重視をしてまいったわけでございますが、やはり適応策、防止をしてもどうしても発生をしてしまう温暖化の影響に対する対応が必要であるということについては最近検討が始まっております。  それで、東京湾につきましては、通常の高潮対策として防潮護岸の整備等々を進めておりますけれども、今後、その辺の温暖化の影響も含めた適応策の検討については、今年の秋に実は、先ほど私、冒頭で申し上げましたC40という世界の大都市の連合があるんでございますけれども、東京都が主催をしてC40で適応策に関する初めての国際会議を東京で開くことになっておりますので、それまでにいろいろと研究してまいりたいと思っております。  それから、太陽光発電につきましては、先ほども申し上げましたが、国が補助金を廃止をされたのは非常に残念なことでありまして、そうした支援策と同時に、特にドイツの場合には非常に太陽光が爆発的に普及しているんですが、これは、太陽光発電を使って発電した電気については電力会社が買い上げるという制度を導入しまして、これが非常に力を発揮しております。我が国におきましてもそうしたような制度を是非検討していただければというふうに思っております。  国に対する要望につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。  以上であります。
  33. 森雅志

    参考人森雅志君) 先ほども申し上げましたけれども誘導策を様々にやっても劇的にそんなに急に変化するわけではありません。ゆっくりとした取組になると思います。  しかし、郊外に住んでいる高齢者だけの世帯の皆さん方などには、やはり都心に住んだ方が楽だねという声は確実に多く上がっています。その際に、では今住んでいる家をどうするのかという問題が発生します。これを下取りしてもらえるのであれば引っ越せるという人が当然いますが、しかし、東京中心に都会に出てきている息子さんたちや若い人は、そんなことしなくてもそこに住んでいればいいじゃないかとか、体だけ冬の間都心部に住んだらどうかとか、いろいろなことが起きてきます。あるいは、売るのは嫌なんだけれども貸すのはどうだということなどが起きましたので、郊外の大きな住宅を市が借り上げて子育て世代に又貸しをする、そして、その市が払う家賃で都心部高齢者賃貸住宅に住むのはどうですかという制度もつくっておりますが、まだ実績がありません。富山の皆さんは、やはりそこまでしてやらなくても家は家でそのまま放置しておくという方がたくさん出てきています。そういう問題が一つございます。  もう一つは、全部都心部に寄せようとしているのではなくて、さっきも言いましたが、新駅を造ることによって駅から五百メートルという暮らしやすい地域を新たにつくる、こういうことも同時に進めていきますので、そうやって三割を四割にという目標達成しますので、その際にそういう適地をうまく見付けられるかという問題もあります。  最後にもう一つ言いますと、二人暮らしが独り暮らしに今からどんどんなっていきます。最後、その最後の一人も亡くなってしまったときに、残された空き家というもの、郊外にたくさんある、これから発生する、これをどうするのか。あくまで私権をどこまで行政として踏み込めるかという難しい問題があります。例えば、窓が壊れた、台風でかわらが飛んだ、何となく潜在的な不安というものがそこにある、そのことに気付きながらそのことにどう対処していくのか。相続人である方との連絡は容易にできるのか。私は大きな問題が、郊外居住がもたらすものはそういうところにも将来あるんだろうと思っています。  財源のお話がございましたが、先ほど言いました、去年制定していただいた新しい地域公共交通活性化法によって上下分離が軌道法でも認められるようになりましたので、行政が上下の下は整備する、そして民間が運行だけをやるということであれば、条件が整えば富山市の例のように、これで二年続けて単年度黒字でございます。ですから、減価償却と金利負担ですので、行政が下を持つのであればその両方は発生しません、固定資産税も発生しません。それであれば、その他の条件をうまく探せば経営はできるのではないかと思っています。
  34. 石井一

    会長石井一君) 島尻安伊子さん。
  35. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 大変に参考になるお話を先ほどから伺っております。  地球温暖化対策の話といいますと、やはり必ず触れられるのは民生部門エネルギーの消費、これをどうやって歯止めを掛けるのかということがお話の中にあります。  それこそ、これが皆様が今、多分一番御苦労なさっていることなのかなということでございますけれども、やはりどうやって市民の省エネインセンティブといいますか、それを刺激をしていくのかということだというふうに思うんですけれども、一方で、今年、洞爺湖サミットを目前に控えておりまして、私としてはいいチャンスといいますか、今いろいろ細かい施策は講じられておりますけれども、ちょっと立ち止まって、国民に向けて大きな意味での省エネというか地球温暖化を、今こそ国民全体が一つのスローガンに向かって進むべきなのかなというふうに思っているんですけれども。  サミットに向けて、そういう意味でメッセージを数多く私は発していくべきなんじゃないかというふうに思っているんですけれども、これが、やはり政府がリーダーシップを取らなきゃいけないのかなというふうに思っているんですが、皆様が今御苦労されている中でのお話で結構ですので、その辺に関してもしこうした方がいいとかのアイデアがあればお話しいただければというふうに思います。
  36. 石井一

    会長石井一君) 三人にお伺いしますか。
  37. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 はい。
  38. 石井一

    会長石井一君) それじゃ、まず森参考人からどうぞ。
  39. 森雅志

    参考人森雅志君) アドバルーンを上げたり、標語的に物を呼びかけるそういうキャッチコピーつくったりということは、確かにみんなで今もやっていることです、御指摘のとおり。ですけど、なかなかその具体の一人一人のライフスタイルの変化というものが実現していかないと。でも、やっぱりあきらめないでできることを重ねていくことだろうと思います。  例えば、私どもの職員の中にでも、同じ市役所の本庁舎に御夫婦で勤めながら、同じ家に住んでいて一台ずつ車に乗ってくるみたいな暮らしをしている人もいるわけです。なぜ相乗りをしないんだと言うと、帰りは違うと。確かにそうかもしれません。ですけど、企業の皆さんも含めて、こういったことについてまじめな議論として、数字を、目標を出して相乗り運動をやりませんかということ、あるいは小まめに電気を消しませんかというようなこと、そういうことについてやはり呼びかけていくことに尽きるんだろうと思います。できることであれば、国民運動につながるような何かすばらしいキャンペーンを国レベルでやっていただくといいのかなというふうにも思います。  ちなみに、富山市は二十年度、新しい事業として「チーム富山市」という運動を始めて、市役所も民間の事業者も団体もそれぞれそのチームにメンバーとして登録をしていただいて、一社一社が、我が社は例えば今年相乗りをやります、我が社は不要な紙をリサイクルへ回すということを徹底します、あるいはガソリンの使用量をこれだけ減らしますと、それぞれであらかじめ登録をしていただいて、それをきちっと検証しながら目標達成へ向けてそれぞれの企業に頑張ってもらう。それを富山市全体で「チーム富山市」の成果としてやろうという運動を始めようとしておりまして、六月一日にそのキックオフを予定しておりまして、細かな計画をきちっと出す、企業の数を競うのではなくて実効のある社を集めていきたいと、こう思っています。
  40. 猿渡知之

    参考人猿渡知之君) 御質問にダイレクトかどうかあれなんですけれども、このCO2削減問題をやはりチャンスとして考えていく。そうすると、ちょっと違う話になって恐縮ですが、企業の場合だと、京都府の北部は繊維産業が大幅に後退して、それでエレクトロニクスの新しい工場が建ちました。その結果、やっぱり総体としてCO2が大きく減りました。ですから、そういうふうなもの。  あるいは、我々の生活でいくと、これ、せっかくのチャンスですので、我々の生活様式とか行動パターンを変えて、やはり量的拡大でなくて質的な向上を、真の豊かさが見えるような、そういうふうな暮らし方をしていこうよというのを、中身は先ほども申しましたけれども、クールジャパンと言われるのをクール京都みたいな、そういう暮らし方があこがれていただけるような一つのイメージとして我々はやはり打ち出していくべき必要があるだろうなと。  よく言われるんですが、打ち水はもう京都の三年坂とか二年坂は前からやってはりましたし、それで、町家は非常にルーズな造りになっておるから風が通るんですね。そうすると、夏も冷房はそんなに要らないよと。それが、バブルのころは、あそこの町家に住んでいることが非常に前近代的というか封建的というか、何かそういうふうな印象があってどんどん変えられてきたわけですけれども、現在はそれが非常に見直されて、新しく住むんだったら町家を改修して住みたいというような人も出てまいりました。  したがいまして、例えば郊外型の大型店舗で、車でばあっと行って、一円、二円安い、それは確かに大事なことだけれども、そのときすぐ食べないものも大量に買ってきて、それで大型冷蔵庫に入れて、それで後は残して残飯にして捨ててしまう。結局そんなのだったら、近所の店に行って小まめに必要な分だけ買う。それは、単価としては高いかもしれぬけれども、トータルとしては非常に安いはずだと。そういうときに、そういう暮らし方をするのが日本人としてやはり美しい暮らし方なんだというふうな形のものを我々としては打ち出していきたいと、こう思っております。
  41. 大野輝之

    参考人大野輝之君) やはり家庭での取組を進める上では、家庭取組が実際にそのCO2削減にどうつながるかということを見える化というふうに言いますけれども、その見える化をしていくのがとても大事だなと思っております。  これは我々もよく石原知事にしかられたんですけれどもCO2削減と言っても分からないんだと、もっとはっきり節電と言え、節電キャンペーンと言えというふうに大分言われまして、その節電という言葉を我々も使うようにしているんですけれども、実は我々もやっていなかったわけじゃございませんで、今、家電製品のお店に行きますと、エアコンとか冷蔵庫に星の数で五つ星があって、省エネ性能がいいものが五つ星とかいうのがあります。あれも実は、今は国でやっていただいているんですが、二〇〇二年に東京都京都、あれ、京都市さんだと思いましたが、東京都と京都市と一緒に始めまして、それが全国の自治体に広がって、二年前から国でも採用していただいたものでございます。  こうしたラベリングの取組なんかも非常に大事だと思っていますし、それから、去年の夏からは白熱球一掃作戦というネーミングで、電球を電球型の蛍光灯に変えるとこんなにCO2が減るんだというふうな、そういうキャンペーンを始めたりしておりますので、そうした取組を進めてまいりたいと思っております。  あと、メッセージという点で言いますと、四月の二十一日、今月の二十一日でございますが、東京、神奈川、千葉、埼玉、それから横浜、川崎、さいたまですか、八都県市というふうに言っておりますけれども、その八都県市の首長が集まるサミットがございます。この四月二十一日のサミットの場で、まさに洞爺湖サミットの前でございますので、首都圏の住民の方に対するメッセージを発していこうというふうに思っております。
  42. 石井一

    会長石井一君) 牧野たかお君。
  43. 牧野たかお

    牧野たかお君 富山の森市長さんに伺おうと思っていますが、私、静岡なんですけれども、まずLRTのお話から伺いたいと思うんです。  うちの方でも検討しているところは結構自治体であるんですけれども、いざ導入するとなるとコスト面でまずいろいろあるというのと、それと、必ずしもどこでも走れるわけじゃないものですから、要は、真っすぐの道だったりすればいいんですが、くねくね曲がっているところは使えないというような話もあってなかなか導入が進まないんですけれども、一年間おやりになって今までの数倍の利用客があるということですけれども、料金二百円でやっていらっしゃって、収支というのがどうなっていらっしゃるのかが一点と、もう一個は、導入するのに、本体だけじゃなくていろいろ、先ほどの駅のお話もありましたけれども、総合的に見てどのぐらいのコストが掛かっているのか、まず、そのLRTの方から。
  44. 森雅志

    参考人森雅志君) まず、導入に際しまして、車両購入費も含めて総額五十八億円でございました。  先ほども説明しましたが、富山駅の連続立体交差事業から言わば支障補償ということで三十三億、これがありましたので始めようということを決断したわけですが、あと国土交通省、新たにLRT整備の補助制度をつくっていただきまして、JR西日本さんからも十億御寄附をいただきました。最終的に富山市の持ち出しは十七億でございました、道路の改良も含めてです。橋を架け替える作業ですとか幅員を広げるとかいうことも含めて総額で十七億の負担で、二両一編成の車両を七編成を入れまして、電停、それから基地、そういうものも全部含めて造り直したわけです。  先ほども言いましたが、上下分離です、公設民営で最初から市民にそういう形式でやりますというふうに説明をしてきましたので。例えば、維持管理に要する費用、除雪車を買うとかレールを張り替えるとか、少しずつやっぱり鉄道部分JRが八十数年間使ってきたところですので手を入れなきゃいけない。その部分は毎年市が負担をいたします。今のところ単年度で七千万円の予算措置をしております。  しかし、その上を運行する三セクは運営費補助は出しませんということとしてありますが、これで十八年、十九年三月で二期、二か年終わりましたけれども、最初の年度は二百六十万円の黒字でございました。ただし、六千四百万円開業費がありましたが、これを一括償却しましたので、利益を出そうと思えば、五年分割にすればもっと大きな利益が出ましたが、最初の十八年度は開業記念ということで日中百円ですべての人に乗っていただいていましたので、いきなり四月一日から二百円の本来料金に戻すというのに三千万も四千万も黒字出しているのもいかがかと思いましたので、経理上許される範囲で一括償却をして、最終的に二百六十万の黒字としました。  三月末の決算出たばかりですが、今年度からは固定資産税を払わなきゃならなくなりましたので、この点が、今新しくなった制度では上下分離が一〇〇%できますが、あの時点ではできませんでしたので、固定資産税を三千四百万ぐらいだったか、それを払った上で五百七十万ほどの黒字でございます。固定資産税は、今も申し上げましたように、市に入ってくるわけですから、それも含めて市が維持、修繕についてはこれからも負担をしようと。  明治以来、鉄道事業とか軌道事業というのは、その事業単体で収支が合うということを求めるというのが日本の常識だったと思いますけれども、そこをやっぱり意識変えをしなきゃいけないんだろうと思います。ヨーロッパでもアメリカの例えばポートランドの電車なんかでも当然にして運行さえ赤字ですね。ウィーンの鉄道局行きましたら、何でそんなこと聞くんだと、これはみんなの公共財だから税金を入れるのは当たり前だと。しかし、そこまでは私どももできないだろうと。少なくとも整備は自治体でやるけれども、行政でやるけれども運行はちゃんと責任を持ってやってほしいと、こんなことで今のところ経営しております。
  45. 牧野たかお

    牧野たかお君 もう一点、エコタウンの話なんですけれども、これも私の県のあるところで、やろうとして断念しちゃいましたけれども、お示しをしていただいた五種類の各企業というか施設ですけれども、これ全部、それぞれ三セクもあるでしょうし、単独の民間企業、多分五番目は単独の民間企業じゃないかと思いますけれども、こういった場合、誘致して赤字になったりした場合は市の補てんがあるんですか。
  46. 森雅志

    参考人森雅志君) すべて民間企業です。三セクはありません。  先ほど、京都府さんからもお話ありましたが、やっぱりああいうリサイクル事業というのは大変経営は厳しいです。収支がきちんと合っている事業者もあります反面、親会社というか、根っこの会社がその補てんをして何とかやっているという企業もあります。今のところ、市に経営面で応援をしてほしいというお申出はありません。何とか皆さん頑張っていらっしゃいます。
  47. 牧野たかお

    牧野たかお君 分かりました。ありがとうございました。
  48. 石井一

    会長石井一君) 浜田昌良理事。
  49. 浜田昌良

    ○浜田昌良君 東京都大野参考人にお伺いしたいと思いますけれども、今、日本は、次の、京都議定書の後、ポスト京都について、ダボスであれ、G20の場であれ、セクター別のアプローチというのを言い出しているんですが、東京都さんの場合は二〇〇二年から自発的な制度を持っておられて、そのデータを使って二〇一〇年から義務的なものに移られるという話をお聞きしましたが、例えば、大手企業千三百社とか中小企業の七十万社の中で、ベンチマークみたいなものを少し意識しながらそういう目標をつくっておられるのか、もしつくっておられるなら、そのベンチマークがどういう業種の種類になっているのかお聞きしたいのが一点であります。  もう一点は、排出権取引にも取り組まれるという話なんですが、いろいろ見方はありますけれども、実態として、EUと一部のアメリカの州が実施をしていまして海を越えてやり取りもし始めているんですが、東京都さんとして、ヨーロッパやアメリカの州とそういう取引を始めるというお考えをお持ちかどうか。二点でございます。
  50. 大野輝之

    参考人大野輝之君) まずベンチマークの方の話でございますけれども、私どもは、ちょっと今正確に覚えておりませんけれども、千三百事業所の中でそれを八つのたしか分類にいたしまして、例えば、業務部門でも、ホテルであるとかオフィスであるとかそれから百貨店であるとか、それぞれごとに、その対象事業所がどの程度の床面積当たりのCO2を排出するかというものを省エネチャートを作っていまして、それを提供しています。それを対象事業所の方にお送りさせていただいて、あなたの事業所は、例えば百貨店の中ではこれぐらいの位置にありますよとかいうのもお示ししていますので、それはやっぱり一種のベンチマーク的なものをお示ししているということであります。  ただ、削減義務の目標設定のときにそのベンチマークでいけるかという話なんですが、我々、条例の検討をしているときに、中間のまとめを十二月に出したんですけれども、そのときには、新しくできる建築物についてはベンチマークで設定しますという案をお示しをしました。これに対して大手の不動産会社の方から大分御意見をいただきまして、ベンチマークって一見良く見えるんだけれども、例えばテナントビルだけ見ても、造った後に外資系のテナントさんが入るのと国内のテナントが入るのとあるいは官公庁が入るのと全く違う、だから、ちょっとそのベンチマークアプローチというのは実態からいうとなかなか難しいというお話がございまして、ここはベンチマークでいくか、あるいは新築した後に三年間程度一定の対策をやっていただいた後の実績排出量を基準にするか、どっちでもいいというふうにいたしました。  ですから、これはなかなか、ベンチマークって一見いいように聞こえるんですが、ちょっと単純にそれだけでは実際の制度は難しいんじゃなかろうかというふうな感想を持っております。  それから、あとは海外連携の話でございますけれども、お話のEUとアメリカの州の連携というのは、昨年の十月に発足しましたICAP、インターナショナル・カーボン・アクション・パートナーシップのことだと思うんですけれども、これについても東京都は参加する意向を持っております。ただ、これ、誤解をよくされるんですけれども、これは、ある新聞が国際炭素行動協定というふうに訳したものですから、何かはっきりとした、一瞬もう直ちに国を越えた取引をするかのような印象があるんですけれども、実際はそうではございませんで、これはパートナーシップですから、要するにパートナーシップなんですね。  それで、実際は何をやるかというと、各国とか各州が削減義務制度をつくるときに、それぞれで便利なような、そこでよくワークするような制度をつくるためにお互いに研究する専門家フォーラムなんです。ですから、非常に先の将来の目標としては国際炭素市場というようなものを視野には入れているんですが、実際に現在やっておりますのはまだそこまでいっておりませんで、それぞれで機能する制度をつくろうと、そのためにお互いのノウハウを交換し合おうという専門家フォーラムでございます。  これに関しましては、お誘いもありまして、都としては年内に参加という方向で現在準備を進めております。  これは、参加する資格がございますのは、排出量取引制度、削減義務制度の導入を明確に意思表示をしているそういう中央政府、地方政府ということでございますので、東京都は参加資格があるけれども、残念ながら日本政府はないということでございますので、私どもとしては、そこに入ることによっていろいろな情報を得ることが日本全体にとってもプラスになるんではなかろうかというふうに考えております。
  51. 石井一

    会長石井一君) それでは、舟山康江さん。
  52. 舟山康江

    舟山康江君 この地球温暖化問題というのはもう世界的な問題でありまして、特にエネルギー問題と化石燃料代替エネルギー取組というのは世界的にも進んでいるというふうに思っています。その一方で、日本はなかなか化石燃料代替エネルギーの推進、導入が進んでいないというような現状があるというふうに思っております。  その背景には、一つは、先ほど猿渡参考人からもお話ありましたけれども、やはりそういった大掛かりなものについては国でもっと進めてほしいという話がありましたし、森参考人からは、小水力発電なんかは水利権の壁があってなかなか進まないと、いろんなお話がありました。  私の地元でも一部大々的に風力発電なんかを進めているところがありましたけれども、そこで聞いた話の中では、電力会社に売るとき、売電のときに、掛かるコストに比べて非常に安い値段でしか買ってもらえないというようなことが非常にネックになっているというような話も聞きました。  東京都さんでもいろいろそういった自然エネルギーをどうにか推進していこうという方向もあるみたいですけれども、今後、自然エネルギーの導入を進めていくに当たって何があればもっと進むのか、そして、今現在どういうものが大きなネックとしてなかなか進まないのかということを幾つ参考までにお伺いしたいんで、よろしくお願いいたします。
  53. 石井一

    会長石井一君) どなたに。
  54. 舟山康江

    舟山康江君 お三人の方にお伺いしたいと思います。
  55. 石井一

    会長石井一君) それじゃ、森さんから順次お願いします。
  56. 森雅志

    参考人森雅志君) どうお答えしていいのかよく分かりませんが、結局、経営面で見合わないわけですね。何がネックなのかというと、全体のコストと売電価格との間で見合いが生まれてこないということに尽きると思います。  ですから、技術的に、例えば小水力発電など小さな発電機でも発電量の大きいものをできないかとか、あるいは落差に対してこれくらいとか、そういう技術革新ということが一つあるのかもしれませんが、もう一つはやっぱり売電価格だろうと思います。  ただ、電力会社からは電気の質という声も聞きますので、質のいい電気じゃないと駄目なんだと、こういうことも指摘されています。
  57. 猿渡知之

    参考人猿渡知之君) 少し迂遠かもしれませんが、要は、ほかの普通の火力とか原子力で発電した場合のキロワットアワー当たりのコストと太陽光とか風力で発電した場合のコストに余りにも大きな差があって、それを十分コストの分で買い取ってくれよと我々はもちろん申し上げるわけですけれども、そうすると、全体の電気代に跳ね上がるんですよという話になってまいります。  そうしますと、やっぱり我が国の日本人全体がある程度自然エネルギーのロットの確保のためには少々割高になってもいいんだというふうな一定のコンセンサスがないとなかなか、我々が一対一で電力会社と交渉するということは非常な限界があるというのが一点であります。  二点目は、ちょっと繰り返し申し訳ないんですが、風力発電についてはやっぱり我が国にふさわしいのかというふうな問題がございまして、常に偏西風が一年中同じ方向から強力に吹いている土地と、季節ごとに変わる、そういうところでじゃ、やっぱり府民の税金を多大に投入して維持し続けるかというのは非常な我々の苦悩になってまいります。したがいまして、そういうのはイノベーションというか、技術開発で何か対応できるかもしれませんが、現在のところではそういう限界もあるというような問題もあります。  太陽光につきましては、やはり一定の効果があるためにはロットが必要になってまいりますので、我が方としては、府庁の本館庁舎の上とか広い府営水道の浄水場の上とか、そういう形になっています。  ただ、南部の方の新しい住宅開発されるときに、それは太陽光でもほかのやつでもいいけれども、自然エネルギーをセットにした住宅販売をしてくれというような話をいろいろ事業者の方とやっておりました。数年前は余り聞く耳を持たれなかったんですけれども、近ごろは、やはりこういう形になってまいりまして、そういう自然エネルギーのものがセットになった家を買うということがこれは今の日本人として格好いいんだと、適切なんだというような形で、これはビジネスウエーに乗ってくるというような御反応をいただいた事業者さんもありますので、迂遠かもしれませんが、やはり我々の意識を変えていくという地道な努力を一生懸命やっていくことが必要だろうと思います。
  58. 大野輝之

    参考人大野輝之君) やっぱり自然エネルギー、再生可能エネルギーの問題は、これをどう位置付けるかということが大事だと思います。  私どもとしては、二〇二〇年の削減目標はまだ決まっておりませんが、二〇二〇年まではやはり省エネルギー中心にやっていくんだと思います。その後、やはりどうしても二〇五〇年の、まさにその半減という安倍首相がおっしゃったところに行くわけですから、そこまで考えますと、これは、この世界を省エネルギーでやるのはもうほとんど不可能だと思っておりまして、やはり再生可能エネルギー、自然エネルギーを相当大量に導入しないと実現できないということだと思います。  そうしますと、そういうところを見越して、今はもうお話があったようにコストが割高で高いんですけれども、やっぱり今から二〇五〇年の世界を目指して、再生可能エネルギーの導入に向けた取組を相当戦略的に進めていかないと追い付かないだろうと思っております。  そういうことが一つございますし、もう一つは、この再生可能エネルギー、自然エネルギー、風力発電というのは大変な成長産業でございますので、この部分日本が十分にやらないということは、将来的には非常に日本にとって大切なビジネスチャンスを失うんじゃなかろうかというふうに思っております。  そうした先行きの話を踏まえまして、当面何が必要かということでございますが、やはり太陽光発電は、先ほどから繰り返していますように、何らかの支援制度が必要だというふうに思っております。現在は国の補助金がないものでございますから、唯一あるのは、電力会社さんが自主的にやっておられる余剰電力購入メニューというものだけしかないわけですね。これは、もう本当に電力会社さんがボランタリーでやっていただいているものでございますので、非常に大変な役割を果たしていただいているのですが、これだけに頼るのはちょっと無理だろうというふうに思っております。  それから、もう一歩進んだ制度としては、固定価格の買取り制度のようなものを導入しないとやはり根本的な解決にはつながらないと思っております。さらに、当面ということで申し上げますと、東京都が力を入れておりますのは、グリーン電力証書の普及というのをやっておりまして、東京都は、なかなか太陽光発電は進みますけれども風力発電などは立地の適地がございませんので、大都市は電力の需要地でありますので、その電力需要の大きさを生かしまして、できるだけオフィスや何かで使う場合にはグリーン電力証書の割合を増やしていただくという運動を、これは全国の自治体や企業と一緒に進めております。  自治体の場合はいいんですが、企業がこのグリーン電力をウインドで証書を買う場合にネックになっておりますのは、これが損金化されないということなんですね。現在は、グリーン電力の位置というのが温対法上も省エネ法上も明確になっておりません。なっておりませんので、これが単なる寄附金扱いになってしまいます。これが、せっかくグリーン電力証書を買っても税金で落ちないんですね。ここがネックになりますので、この損金化をしていただきたいという要請を昨年来からさせていただいておりまして、これは現在、環境省さんも経産省さんもそれぞれ取り組んでいただいているというふうに伺っておりますが、当面の問題でいえばこれが非常に大きいんじゃなかろうかと思っております。
  59. 舟山康江

    舟山康江君 ありがとうございました。是非、今出されたそういった問題について、この調査会においても課題提起などしていっていただきたいというふうに思っています。  以上です。
  60. 石井一

    会長石井一君) それでは、野村哲郎理事。
  61. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 自由民主党の野村でございます。  先ほど来、排出削減の話が中心になっておりますけれども猿渡参考人にお伺いしたいんですが、この中で、CO2の吸収源対策が森林間伐、こういうことで出ておるわけでありますけれども、要は、京都議定書での削減目標の六%のうちの三・八は森林で吸収しようと、こういうことになっているわけですよね。  そういう意味では、京都府の取組というのは、十九万ヘクタールですか、もう既に十二万整備は済んだというお話は聞いておるんですけど、私、京都府の全体の森林の割合が分からないんですけれども、十九万ヘクタールで本当に完全に整備が進んでいくのかどうかということを是非お伺いしたいと思うし、そして、ちょっと分かりづらかったのが、残りの七万ヘクタールのうちの、公共事業でやると、こういうふうにおっしゃっているんですが、実は国の方でも、御承知のように、この三・八%の吸収源対策として間伐を六年間で三百三十万ヘクタール整備しようということで、昨年から七百六十五億の補助事業も付くようになったし、今年も五百六十億出しておるんですが、二十年度。  そういう意味では、国の後押しがあればというお話もあったわけでありますが、こういう事業を使いながら多分森林整備をしていただいているんだろうとは思うんですが、私が分からなかったのは、公共事業でやろうと、公共事業として森林整備をやるんだという、七万ヘクタール残された。ちょっとここの意味が分からなかったものですから、少しお話を。  それからもう一つ。同じく森参考人にも、同じことなんですけれども富山も立山をバックにした市になっていると思うんですが、非常に森林のやっぱり整備というのも必要だろうなというふうに思うんですね。  そこで、今日お話しいただきましたのは、まさしく町づくりとCO2削減とセットにした非常にすばらしい取組だというふうに思うんですね。そういう先駆的な取組をされておりますから、当然森林のところにも吸収源対策としてお取り組みいただいているんだろうというふうに認識をしておるわけでありますが、今日のお話の中でそこが出てこなかったというのが一つ。  それからもう一つは、いろいろCO2削減でいきますと、先ほど来出ておりますように、運輸だとかあるいは産業だとかというのもありますけれども、もう一つ聞きたかったのは、これほどすばらしい取組をされておりますので、業務それから家庭、この二つの部門についてどういうお取り組みをされているのかも少しお聞きしたかったなというのがありますので、是非そこをお願い申し上げたいと思います。
  62. 猿渡知之

    参考人猿渡知之君) 先ほど申しました十九万ヘクタール、これは、農水省の方でまとめられておる三百三十万ヘクタール、あれ、積み上げではありませんので、それの一部を成しているというわけではありませんけれども、三百三十万に相当するものが京都府では十九万ヘクタールであるという位置付けの中で、これが八十万トンということですから、約五%程度ということで少し強含みの形で対策の対象にしております。  私のちょっと説明の仕方が正確でなかったので申し訳ないんですが、十九万ヘクタールのうちの十三万三千ヘクタールにつきましては、これはいわゆる杉とかヒノキとか、そういう人工林でございますので、間伐等を中心に整備をしていくということになります。残りの五・七万ヘクタールにつきましては、これはいわゆる天然林ということで、自然公園であるとか保安林であるとかという形の中での定められた管理方法というような中で進めておるということになってまいります。  そうしますと、天然林の部分につきましては、これはきちんと保安林、自然公園としての管理をほぼやっておりますので、これはもう既にほぼ解消済みだと考えていただいて結構であるということであります。  そうしますと、人工林、杉、ヒノキの分につきまして、あと七万ヘクタール残っておりますよという形になります。それにつきましては、まず補助事業ということで、森林所有者の方に国と都道府県と併せて補助をさせていただいて、それでやはり所有者の方に整備をお願いする、これが大体六割程度になるであろうと。そして、残りの四割のうちの三割程度が、これは直接執行みたいな形で、まあ公費を入れるという意味では補助事業とそう変わらぬのでありますけれども、直接執行というような形で三割程度整備をしていくということになります。そうすると、過去の実績ベースからいくと、一割程度のものは所有者の方が自力でやられたりボランティアの方が入られたりとされておりますので、これの部分についてはモデルフォレスト運動ということで、ボランティアと企業の方々の御協力を得て府民一体でやっていきたいという形の計画を計画的にやっておるという形のものでございます。  あともう一つ、業務でございましたですか。(発言する者あり)じゃ、よろしゅうございますか。
  63. 森雅志

    参考人森雅志君) どなたか先生に質問していただきたいなと正直思っておりまして、富山市、先ほど言いました千二百四十平方キロという大変広い市域の七割が森林でございます。この七割のうちの、数字が不正確ですが、六割ぐらいだったと思いますが、人工林です。残りは国立公園にも指定されているような自然林ですので、自然林は放置、そのままにしておくべきですからそれでいいんだと思います。それから、自然林の中にも、ブナ、コナラ、ナラという大変質のいい広葉樹と針葉樹の交じった混交樹林が大変多くあるわけでして、ここが水源の森林になっていますので、こういったものについても、それほど積極的に植林がなされていない地域ですので、大事にしていくべきだろうと思います。  さて、その人工林ですが、幾つもの問題がございます。まず、林業従事者が圧倒的に減ってしまっているということです。それから、森林所有者の中には、世代替わりをして、もはや自分の森林がそこにある、存在していることさえ認識していない方々がたくさんいらっしゃる。では、森林組合がそこを仮に施業しようとしたときに森林所有者が費用をどこまで負担してくれるかということになると、ここが問題です。  伐採をして切り出して木材資源としてということについては、今も一生懸命もちろん森林組合はやっていますけれども、その意味では、先ほど京都府さんの御紹介ありましたが、私どもも単独で地元産材を利用した住宅について補助を出すとかいうことについてやっているわけですが、現地で一番必要なのは、現場で働く林業従事者をどうつくっていくかということです。  緑資源機構にもこれを応援する制度などもありましたが、九州とか四国ですと一定程度実績が出ているのも私も知っていますが、北陸中心に雪国は冬場、仕事がないわけですね。したがって、年間を通しての収入にならないということがネックになりまして、森林組合が新しく人材を入れようとしても、冬場の仕事を何とかつくると、これを同時にやらないと林業従事者が飛躍的に増えるということは難しい。  そうすると、機械施業になりますので、間伐材を運び出すにしろ何にしろ、そのときに必要なのはやっぱり作業道なんです。作業道の整備をしないと入れない。つまり、広域農道は私は、こんなこと言っちゃいけないかな、それも大事ですが、それよりも大事なのは、森林を守るための作業道を整備する予算というものを、これは市町村単独ではなかなかやっぱり難しいということがございますので、この辺りが課題かなと思っています。  また、里山に繁茂していますモウソウチクが里山全体を悪くしてしまっていますので、これは先ほど京都府の例も御紹介ありましたが、私どもでは、きんたろう倶楽部と銘打って、市民事業者に参加していただきながらボランティアの力で今一生懸命森林整備をやっているところです。かつて草刈り十字軍というのをやった富山県ですので、森林施業についてのボランティアについては極めて意識が高いので、今のところ熱心に取り組んでいるところです。
  64. 猿渡知之

    参考人猿渡知之君) 業務についてでございますけれども、例えばオフィスであるとか中小企業の方々に、今、京都府としては、工業会等々と一緒にお勧めしておるのが環境マネジメントシステム・スタンダードというのを研修を受けて取ってくださいという話であります。  私の理解が正確でないかもしれないので申し訳ないんですが、ありていに言えば、段取り良くして、要は無駄な工程がないようにして、それで短い時間でより成果を上げれば、電気代も少なくなるし、材料も無駄なくなりますよというようなものをポイントポイントで勧められておるということであります。  したがいまして、私はこれを見て思いましたのは、やはり段取りを良くして、部材を少なくして、それでやれば経営にもいいわけであるからということで、これを今度はインターネットで、要は、皆さん自由に付けてください、インターネットエクスプローラーさえあればそういう画面が出てきますので、中小企業の方々にもそういうものを実際自分で入れてみてください、自分の段取りどうですか、余った部材ないですかというような形のものを勧める、ちょっと迂遠かもしれませんが、そういうことを一つやっております。  あと、京都府庁も、じゃ、おまえどうなんだと言われたときに大変だということで、地球にやさしい府庁プランということで、もううちは二割削減するよというようなことで今進めています。  皮肉なことですが、一番効いてくるのは、やはり上司が早く判断しろと。余りたくさん資料を出させて、会議何回も開いて、それで資料を作らせると、それだけまたみんな延々と残りますので、そういうことをどうするんだと。会議は必要な分だけやれと。それとか、あとは現場に権限委譲をして、全部もう一々お伺い立てて、そのために資料を作って、みんなが来てと、そういうふうな仕事のやり方を徹底して見直していくというのが一番。その過程の中で、電子決裁だとか情報共有システムの導入に併せてペーパーレスをやっていく。  それと、あとは断熱フィルムを窓にばっと張りまして、断熱フィルムを張って暖房もばっと下げまして、そういうことをやっていくとか、あるいは府庁の屋上に太陽光発電も導入していく。  それと、あと、見える化システムというような非常に安価なシステムがございますので、あなた、今日どのくらい電気使ったんですか、どのくらいやったんですかというようなものも導入をしていきます。  それと、意外に効果があったのは、事務所の場合はパソコンのコンセントを入れたままみんな帰るんですね。そうしますと、エコモードにしておかないと、あれ、結構、普通の待機電力以上になります。それをぽんとタップを入れまして、そこをぴしっとボタンを押すだけでそういうコンセント電源が切れるというようなものを入れたり、そういうことで二割ぐらいというようなものを目標にして今やっている。今、一二%ぐらいまでやってまいりました。  ですから、何を申し上げたかったかというと、そういう業務系のものは、やはりもう一回自分らの仕事を見回して効率的、効果的なものというものをやっていくと、それが同時にCO2削減対策にもなっていくんだと。こういうものをまた事例としてどんどん広めていきたいというふうに思っております。  以上であります。
  65. 森雅志

    参考人森雅志君) 私の方にも業務、家庭でという御質問をいただきながら、失念いたしました。失礼しました。  今ちょっと資料を確認してもらいましたが、業務部門については、単独で特色ある取組というのはお話しするほどのことはやっておりません。残念でございます。一般的にやられていることについては、同じように事業展開をやっております。  家庭については、先ほど言いましたが、国の補助制度がなくなった後、市の単独で太陽光発電補助制度をつくって、今もそれを使っています。もう一つは、家庭から出る生ごみ対策、焼却炉へ持っていかないようにするためにディスポーザーの補助制度を単独で、市単でつくっております。  それから、先ほどの森林ですが、私の意見、提案みたいなことを申し上げていい場でしょうか。
  66. 石井一

    会長石井一君) どうぞ。
  67. 森雅志

    参考人森雅志君) できましたら、こういうことを御検討していただきたいと前々から思っておりまして、あちこちで発言もしてまいりましたが、特に都市部中心に、その自治体に森林と呼べるものがない自治体というのはたくさんあるんだろうと思います。そういう自治体のCO2の吸収としてカウントしていただくために、地方にあります森林組合などにその自治体から例えば幾らか負担していただくとかいう制度をつくっていただけると、そちらの自治体もカウントができると。私どもとしては、森林組合の活動を財政的に支援するということにつながると思っていまして、前々からこんな制度を考えていただけないかと思っていました。  先般、新宿区と長野県飯田市との間で、中身まで詳しく分かりませんが、それに似た新聞報道を見たところでして、是非、先生方にこんな制度について考えていただくと地方としては大変有り難い次第であります。
  68. 石井一

    会長石井一君) 神取忍さん。
  69. 神取忍

    ○神取忍君 ありがとうございます。  今日はすばらしい取組をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。  そこで、まず猿渡参考人にお尋ねしたいんですけれども、このCO2削減バンクの構築の中には、この下の交通需要マネジメントの本格実施というのがリンクされていらっしゃるんですか。
  70. 猿渡知之

    参考人猿渡知之君) 交通需要マネジメント自身は宇治市での限定実施だったものですから、ちょっと今のところは検討中でございまして、考えておるところです。
  71. 神取忍

    ○神取忍君 分かりました。  そういった中で、やっぱり今の日本の車依存の高い中で、まだCO2が増加しているという中では、マイカーを持っている人たちというのは、意識的に削減をするとやっぱり自分たちも利益につながるという形を取っていかないとなかなかCO2削減にはいかないと思うんですけれども、そういった中で、何かマイカーを持っている人たちに利益を与えられるという取組というのは、猿渡参考人森参考人にお尋ねしたいんですけれども、そういったことを考えていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
  72. 猿渡知之

    参考人猿渡知之君) 申し訳ございませんが、先ほどの資料の十七ページをもう一度ちょっとお開きいただきますと有り難いんですが、これはもう環境省さんと一緒にやっていくということになるわけですが、CO2削減バンクの構築というのを今年度から大きくやっていこうというふうにしています。  今、非常にすばらしい御提案をいただきまして、この一番下の左のところの省エネ行動によるCO2削減量、ここのところに今おっしゃいましたような交通需要管理の部分、要は、今日は通勤自動車を使わなかった、そういうふうな部分もここのポイントにカウントできないか、これは積極的にちょっと考えていきたいというふうに思っています。  あとは、新エネルギーを導入して、太陽光発電を入れると初期の導入費、ランニングコスト少し掛かるんだけれども、その分をやはりここでポイント換算をしていくというふうな、まずは、ここでポイント換算をするというのは、ポイント換算される府民の方の行動というのはプラスですよと、いいことですよということをやはり何がポイント換算されるかというところで明らかにしていきたい。  そして、そこでCO2バンクの方にポイントがたまっていくわけですが、それについて、まだ現在のところ協力企業三十社ぐらいにしか話をしていないんですけれども、こういう環境配慮企業からの御支援、あるいは省エネ製品を自ら製造されているところがやはり一つのマーケティングにもなるわけですから、そういうところからの御支援というものをいただいて、それで、要は対価、お金とそのポイントが一対一で対応してまいりますので、そのポイントを府民の方々に、実際、省エネ活動とかやられた方々にポイントを付与して店で安くお買物をされると。  安くお買物をされた分の差額は、企業から支援いただいた分でその原資をお店にお払いをするというようなもので、私がちょっと聞いたところで、これ、かなり全国、いろんな都道府県で関心を持たれているというふうに聞いていますので、我々の野心としては、できればまずうちで、やっぱり京都議定書の地ですから、先んじてやっていきたいなと思っています。  今、まさに自動車の分、特に通勤とかそういうのはここの省エネ行動に是非反映させたい。研究してまいりたいと思います。
  73. 森雅志

    参考人森雅志君) ドライバーの方にエコドライブをするとこういう利益がありますと、反射してきますということに直接、そういう施策ということはやっていませんけれども、ただ、例えば公共交通、特に鉄軌道の質を高める取組をする中でパーク・アンド・ライド用の駐車場をたくさんつくっておりますが、こういったことは登録制度にして、もちろん無料となっています。  それから、ICカードで乗車している方もたくさんいますが、今、商店街やデパートとタイアップしながら、お買物をしたことによって公共交通のICカードへポイントが入るという仕組みを、地方ではなかなか難しいんですけれども、社会実験を始めたところで、何とか実のある制度に仕上げていきたいと思っています。  それからもう一点は、公共交通の質が上がった地域の方が中心ですが、対象者は全市ですけど、六十五歳以上の高齢者に限り、運転免許証を自主返上した場合、もう運転をやめて公共交通で暮らすというふうに暮らし方を変えたという人については、初年度一年だけですが、二万円分の公共交通利用券を配付をしております。一昨年から始めました。  十八年度の当初予算で、私は一年に五十人ぐらい出てくるかなという程度に思っていましたが、五百四十人とか一年に出てきまして、今、二月末で八百七十人ぐらいこの制度に手を挙げて免許証を自主返上していただきました。ねらいは、公共交通へシフトしてほしいということと併せて、やっぱり高齢者が加害者になる交通事故というのが今急増していますので、背中を押してあげるということが皆さんの暮らしを変えるというきっかけになると思って取り組んでおります。
  74. 神取忍

    ○神取忍君 ありがとうございました。
  75. 石井一

    会長石井一君) それじゃ、有益な議論が続いておりますが、次の質問者で本日、多少時間が余りますけれども最後の質問者といたします。  川口順子理事。
  76. 川口順子

    ○川口順子君 三つのお取組、それぞれ大変にすばらしいと思います。  質問をまず大野参考人に。削減義務量の設定なんですけれども、このやり方は基本的にいわゆるグランドファザリングと言われるものに多少味を付けているということだと思うんですが、この方式を決定なさるに当たってオークションということを御検討になられたかどうか。もし、それで、やめたということであれば、その理由をお聞かせいただきたいということなんですね。今、EUの第三期とか、それからアメリカの法案の提案とか、あの辺を見るとみんなオークションの方にどんどんシフトをしていっているということなので、それなりの意味が多分あるんだろうというふうに思うものですから、お聞かせをいただきたい。それが最初の質問です。  それから二番目に、もし可能でしたら森参考人猿渡参考人に、今の神取議員とちょっと関連するんですけれども、逆に、例えばカーボンオフセットという考え方を入れるということはお考えになられていないだろうかと。  これは、このバンクの制度にしても、基本的に、その削減をしたらばそれをポイントで見るとか、まず削減という行動が最初にあってということですね。逆に、例えばどこか遊びに行って、車に乗って増やしてしまったというときに、それをオフセットするために何かお金で払ってという制度があるわけで、企業の中にはそういうのを取り組んでいらっしゃる方、既にありますし、オフセットのための民間の団体も既にでき始めてはいるわけですけれども、例えば個人のレベルでもそういうことというのは可能だと思うんですね、一つ先の発想が必要なのかもしれませんけれども、国民の皆様に。  ということですが、いずれそういう方向に行かざるを得ないんではないだろうかというふうに思いますので、カーボンオフセットの考え方を、どのように取り組んでいかれる、あるいはいらっしゃるかということをお聞きしたいと思います。
  77. 大野輝之

    参考人大野輝之君) 排出削減義務と排出量取引制度の導入に当たっては、個々の企業ごとの排出、我々は排出枠という考え方を取っていませんが、いずれにしても削減義務率をいかに公平に設定するかということが非常にポイントであるということでございます。  そうした観点から考えますと、理論的にはやっぱりオークションが一番合理的であるというふうに考えております。自分の企業の生産活動なり企業活動に必要な分については自分が市場から調達してくるということでありますので、これが一番合理的であるというふうに思っております。  ただし、これを実際に日本で、あるいは東京で導入しようというふうに考えてみた場合、まさにCO2の排出がただではないんだ、排出するためには市場に一定のお金を払わなきゃいけないんだという認識がないとこれは合意が得られないということになります。我々が実際に制度の提案をしてからいろんな事業者の方とお話をしたわけでございますけれども、少なくとも現在の段階では、まだなかなか直ちに最初からオークションを受け入れるところまでは共通認識ができていないんだというのが我々の認識でありました。したがいまして、我々としては、現状の制度をベースにしておりますので、その現状の制度をベースにして一定の対策の実施を前提にしたグランドファザリングというのが妥当だろうというふうに思っております。  あともう一点付け加えるとすれば、ちょっとこれ、申し上げるべきかどうかあれなんですけれども地方自治体が導入する制度として考えてみた場合、オークションをやりますと歳入が発生しますので、歳入の取扱いというのがちょっと地方自治法上は難しいんではなかろうかというふうに考えておりますので、国の場合にはオークションという方法も最初からあり得るかも分かりませんが、地方自治体の制度としては少し難しいのではなかろうかというふうに考えております。
  78. 猿渡知之

    参考人猿渡知之君) カーボンオフセットの問題でございますけれども、現行の条例上でいきますと、ダイレクトではないんですけれども、大規模事業者につきましては産業運輸も業務系もまず削減計画とその実績を出していただく。その実績のところでやはり思わしくないものについては公表制度という形で公表していって一定の担保にしていきたいというのが限界といえば限界という形で今、動いております。  あと、先ほどのCO2バンクも、要は、ロットをどう取るかという、期間を、タームをどう取るかという話になってくるわけでありますが、あるときは少なくなったけれどもあるときは増えたら、やっぱり当然ながらトータルとして減った額は減ってまいりますので、それは当然限界はあり得ますけれども、一定、ほんのわずかですけれども、カーボンオフセット的な行動をした場合には申告、CO2削減量が減るというような形で裏側からそういうような考え方は当然入ってまいりますが、それを正面からゼロベースにした上でマイナスの部分だけを何らかの形で我々は認知して強制的に徴収をしていく、現金、お金等々、というのはかなり難しい感じがいたしております。  環境税というのをどう設定されるかというのがあって、一定のルールを促すような環境税にするのか、あるいは、一定の森林整備等々の財源として広くお願いをするという形の税にするのかとか、そういう議論もあるわけですが、京都府の場合は今まだ検討中でありますけれども、やはり全府民、法人の方も含めて住民税に少し御協力いただいて、森林を守るための財源を協力していただくというような形がやはり限界ではないのかなと。府民の方々に一定の行動を促進させる、枠をはめる、そういうふうな形での強制的な税金徴収というのはかなり難しいというような、今検討段階なんでありますけれども、今日、有益な御提言いただきましたので、民間企業の取組等々よく勉強させていただいて、また頑張りたいと思います。
  79. 森雅志

    参考人森雅志君) 東京都さんの条例ですとか、今、京都府さんでお話ありましたような形で、一定程度会社名の公表とか、そういった段階にまでも私ども取組は制度として市の姿勢を明確に条例化などして示しているわけではありません。したがいまして、先生の御指摘については、今お話しになったように、今の段階では市民にそこまでの理解を求めるのはなかなか困難ではないかなという印象であります。  ただし、今、猿渡さんもお話しされましたが、例えば、福岡市が水道料金に一トン当たり幾らというふうに上乗せをして、それは水源の森を守るために使いますとして基金を積んでいらっしゃるというような取組などはよく分かっておりますので、将来の検討の課題としてはそんなようなアプローチはあるのかなと思っています。  少しニュアンスは違いますが、富山県はこの四月一日からスーパーなどにおけるレジ袋の有料化を一斉に全県的に始めたところです。一枚五円ですけれども事業者と一年程度の協議会の後で、かなり多くの事業者が参加をした上で四月一日から実施をしております。どういうふうな結果になるかを注目をしていきたいと思っています。
  80. 石井一

    会長石井一君) それでは、本日の調査会はこの程度で終わりたいと存じます。  一言ごあいさつ申し上げます。  長時間にわたりまして大変貴重な、また具体的な御意見をお述べいただきまして、大変調査会にとりましては参考になりました。提案をしっかりと受け止めて国政の中で生かしてまいりたいというふうに考えております。森参考人猿渡参考人大野参考人におかれましても、この人類の大きな課題について、それぞれのお立場で更に御活躍を願いたいと存じます。  それでは、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十七分散会