運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2008-02-20 第169回国会 参議院 国際・地球温暖化問題に関する調査会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年二月二十日(水曜日)    午後一時二分開会     ─────────────    委員異動  二月十三日     辞任         補欠選任         中村 哲治君     今野  東君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         石井  一君     理 事                 今野  東君                 広中和歌子君                 室井 邦彦君                 野村 哲郎君                 浜田 昌良君     委 員                 工藤堅太郎君             ツルネン マルテイ君                 松井 孝治君                 松岡  徹君                 峰崎 直樹君                 山根 隆治君                 荒井 広幸君                 佐藤 正久君                 島尻安伊子君                 西田 昌司君                 牧野たかお君                 丸山 和也君                 加藤 修一君                 山内 徳信君    事務局側        第一特別調査室        長        藤崎  昇君    参考人        株式会社リコー        取締役専務執行        役員CTO、環        境推進担当    酒井  清君        JFEスチール        株式会社常務執        行役員      関田 貴司君        株式会社日立製        作所執行役専務  齊藤 莊藏君        日産自動車株式        会社環境安全技        術渉外部担当部        長        八谷 道紀君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○国際問題及び地球温暖化問題に関する調査  (「日本国際社会における役割リーダーシ  ップの発揮」のうち、京都議定書目標達成に  向けた地球温暖化対策現状課題産業界に  おける地球温暖化対策取組)について)     ─────────────
  2. 石井一

    会長石井一君) ただいまから国際・地球温暖化問題に関する調査会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十三日、中村哲治君が委員を辞任され、その補欠として今野東君が選任されました。     ─────────────
  3. 石井一

    会長石井一君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 石井一

    会長石井一君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事今野東君を指名いたします。     ─────────────
  5. 石井一

    会長石井一君) 国際問題及び地球温暖化問題に関する調査を議題といたします。  本日は、「日本国際社会における役割リーダーシップ発揮」のうち、京都議定書目標達成に向けた地球温暖化対策現状課題に関し、産業界における地球温暖化対策取組について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。  本日は、株式会社リコー取締役専務執行役員CTO環境推進担当酒井清参考人JFEスチール株式会社常務執行役員関田貴司参考人株式会社日立製作所執行役専務齊藤莊藏参考人及び日産自動車株式会社環境安全技術渉外部担当部長谷道紀参考人に御出席をいただいております。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  各参考人におかれましては、御多忙のところ本調査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  本調査会では、「日本国際社会における役割リーダーシップ発揮」について重点的かつ多角的に調査を進めておりますが、本日は、京都議定書目標達成に向けた地球温暖化対策現状課題に関し、産業界における地球温暖化対策取組について各参考人から忌憚のない御意見を賜りまして今後の調査参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。  本日の議事の進め方でございますが、まず、酒井参考人関田参考人齊藤参考人八谷参考人の順でお一人十五分程度意見をお述べいただいた後、午後四時ごろまでをめどに質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、酒井参考人から御意見を聴取いたします。酒井参考人
  6. 酒井清

    参考人酒井清君) それでは、お手元の「リコー地球温暖化対策報告骨子という資料を御覧いただきたいと思います。最初数字が出てきますので、私ども会社がどういう目標炭酸ガス発生量削減に取り組んでいるかということを申し上げたいと思います。  一ページ目に、私ども目標設定の経緯というのが書いてあります。実に三回も改定しているわけでありまして、今日御出席先生方も、企業も大変この問題に苦しんでいるという状況をお分かりいただけるのではないかと思います。  九八年に、一番上の段ですが、三月に、九七年に採択されました京都議定書達成に向けてどういう目標を立てようかということで、実は一番最初に決めましたのは、よく言われております売上高原単位ベースでの削減というものでありました。この数値は、六%削減へいくためには売上単位でどのぐらいかなと推測しまして決めた数字です。  ところが、二〇〇二年になりますと、会社の業績も好調だったせいもありまして生産高予定よりも増えてきまして、やっぱり原単位ベースではどうも守れないということで、二〇〇二年度には排出総量目標を設定いたしました。  それから、二〇〇三年に至って、ちょうど二〇〇二年三月に地球温暖化対策推進大綱が発表されまして、それに基づいてその総量削減目標値がよいかどうかということを検討いたしまして、次のページにその表が載っておりますが、ここを企業としては拡大解釈しまして、産業部門としては七%削減、それからその③に書いてあります「革新的技術開発国民各層努力」が二%削減とありますので、最低でも九%ぐらいを削減せねばならないのではないか。それに対して、やっぱりリスクがありますので、例えば電力換算係数の問題ですとか、あるいは進めていくうちにもっと企業側削減努力が求められるのではないかということを想定しまして、実は二〇〇三年度に一二%削減という目標を立てました。それが一番下に書いてあるところであります。  これは国内です。もちろん、海外についても定めております。それから、やっぱりそういってもいろんなリスクが伴うということで、それを見越して、CDMによる排出権を確保をしようということで、そういう努力をしてまいりました。  次のページを開けていただけますでしょうか。まず、そのCO2排出量削減実績について申し上げたいと思います。  次のページの図二を御覧いただきたいんですが、私ども売上高の成長を想定しまして各年度削減計画を設定して進めております。それがちょうど図二に出ている二〇〇六年度の例であります。赤い棒グラフ目標値でありまして、グリーン棒グラフ実績値。ところが、その上に斜線が入った部分があると思いますが、これが実績値でありまして、つまり、予想以上の売上げが伸びた分と電力の原単位増加による影響のために計画を上回る数字になってしまいましたということであります。  そのような数値を時系列的に示しましたのが四ページ目の折れ線グラフです。折れ線グラフの一番上の赤い折れ線グラフ実績値であります。一九九〇年という基準年が十七万三千五百七十七トンでありまして、それを一〇〇としましてずっと引っ張ってあります。したがいまして、二〇〇六年度実績は、九〇年度比ですと、先ほども言いました売上げが増とかいろんな理由がありまして、残念ながら二・五%減にとどまっているということであります。  二〇一〇年に一二%削減するというのが目標でありますけれども、この差異に関しては、更なる生産プロセス革新を含めた自主努力を進めることと、もう一つ電力単位の改善がなされるだろうというものを期待をしておりますし、どうしても足りない部分についてはCDMの活用を考えるということであります。  そのCDMでございますが、三ページ目に現在私どもの進めているCDMプロジェクトが掲げてあります。今のところ、おおよそ二十万トン強のCDMを確保する予定であります。  それから、先ほどちょっと触れました電力単位による影響としまして、二〇〇六年度データとしては環境省設定値の二〇〇三年度電力単位の〇・三七八を用いて算出しましたけれども原子力発電所停止前の一九九九年環境省データですと〇・三五七程度でありますので、まあ仮定を言ってもしようがないんですけれども、もしもこのぐらいの電力単位換算値ですと、一九九〇年度に対して二〇〇六年度は五・九%ぐらいの減に相当するんだということを御記憶にとどめていただきたいと思います。  なお、経団連の自主行動計画で、電気電子業界目標値であります実質生産高原単位目標値というのが一九九〇年度比、二〇一〇年三五%削減と設定されています。その様子を、先ほどの四ページ目のグラフを御覧になっていただきたいと思います。緑の折れ線グラフ電気電子業界目標及びその実績でありまして、ブルーの方は弊社実績でございます。したがって、こちらの方の目標はかなり大幅に達成しているということが言えます。  それでは、引き続きまして、実際に削減した内容をちょっと御紹介したいと思います。  ページ五に少し変わったグラフがありますので、これを御覧いただきたいと思います。  ここ三年ほど、弊社炭酸ガス排出削減を行った大きな項目をこのグラフで示しております。横軸には年度を取っていまして、縦軸一つの段差が削減量を示しております。こういう表にしたのは、削減量は積算で効いてきますので、こういうグラフになっているわけであります。  見ていただくとお分かりのように、生産技術関係削減と、それからエネルギー転換が非常に効いているということが言えます。中でも、弊社で一番効きましたのは、ある工場で入れましたコジェネシステムの導入でありまして、これが大変有効なんではございますが、残念ながら、コジェネというのは電気と蒸気を両方使える工場でないとなかなか有効に働きませんので、適用が限定されているという状況であります。  それから、次は製品での省エネ活動でございます。  製品省エネに関しましては、いろいろそこに記述しましたように、エナジースターですとか省エネ法とか、いろんな法律、ルールによって我々の商品省エネが要求されているところであります。特に、省エネ法におけるトップランナー方式というのが大変私ども業界にとっては励みになりまして、このおかげで業界同士が競争しながら省エネ機能を上げてきたという状況があります。  複写機の場合、レーザープリンターもそうなんですが、ページ七に示しますように、よく皆さん、テレビなんかでスタンバイモードで非常に無駄なエネルギーを食うという具合に御存じだと思うんですが、複写機の場合はヒーターを相当入れていますので実はテレビなんかよりもっとスタンバイモードで、待機時で食う電力が多うございますので、これをどうやってなくすかというのが非常にポイントであります。  それは、スタンバイ待機時にほとんどエネルギー消費電力をゼロにしておいて、いきなりぎゅっと立ち上がりを速くするとすごくエネルギーが減ってくるということで、各社そのような技術に取り組んでおります。そこに、①から④まで書きました技術の例は弊社で取り組んできました省エネ技術のところで、こういう技術開発大変省エネに効いてきているんだということを申し上げたいと思います。  それから、紙の消費というものを大変、ちょっと話が飛びましたが、図五に、私ども事業を行っている上で発生している全炭酸ガス発生量原材料を買うところからお客様がお使いいただいているところまで、京都議定書では生産活動だけが取り上げられるわけでありますけれども事業全体をとらえていかないとなかなかこういう環境負荷削減というのはうまくいきませんので、弊社では、物を買うところからお客様がお使いになるところ、最後リサイクルするところまで全部データを取っているわけですけれども、図五に各工程ごと環境負荷削減を示しているんですが、ここでお分かりのように、お客様がお使いになるときの紙の負荷が一番大きいのと、その次は原材料関係、それからお客様消費電力という具合になってくるわけです。したがって、大変お客様における消費電力削減というのが効いてくるということが言えます。  それから、紙の問題も、そこの六ページの下に示してありますように、紙そのものは私どもで造っているわけでございませんので環境負荷削減できないんですが、いかに紙を使わないで済むかというようなシステムをいろいろやっております。そこに書いてありますように、両面を推奨するとか、縮小を推奨するとか、なるべく紙出力を減らすように電子で取っておいていただくとか、それから紙に代わるものはないかとか、そういうものをやっております。  それから、四番目に、省資源活動というのを四ポツに書いてあります。  製品の省資源活動というのはいろいろありますが、特にリサイクルというのに非常に力を入れていまして、二〇〇一年から国内リサイクルで作った複写機を販売してまいりましたが、実に二〇〇六年度、昨年度は一万台を超えまして、これだけで年間一万トンの炭酸ガス削減になっている。国内販売量からすると、三から四%ぐらいがこういうリサイクル複写機になっております。  それから、そのページの下の方にリサイクル活動として、いろんな設計の問題、それからクローズドマテリアルリサイクル、私どもで出したものを私ども商品に使うという、そういう活動、それからリサイクルするためにいろいろなリサイクルセンターだとか施設が必要なんですが、そういうものをどうやってやってきたかということを、そこに書いてありますように同業、異業種あるいは地域との協業でもってやってきたということを示しております。  それから、五番、六番はグリーン調達グリーン販売ということでありまして、グリーン調達の方は、私どもサプライヤー様からその部品を買うわけですけれども、そこは私どもで直接削減できないものですから、サプライヤーさんの環境負荷削減というものを我々のノウハウでどうやって削減していくかというお手伝いをしたこと、それから、グリーン販売というのは、いろんな商品をお使いいただくお客様に、こういう具合にお使いいただくと環境負荷削減ができますよという、そういうものを販売活動の一環としてやってきたと、そういうことをここで御紹介している次第であります。  ちょっと最後は、はしょって大変恐縮でございますけれども、以上、ざっと私ども会社炭酸ガス削減活動状況について御報告を申し上げました。  以上でございます。
  7. 石井一

    会長石井一君) ありがとうございました。  次に、関田参考人から御意見を聴取いたします。関田参考人
  8. 関田貴司

    参考人関田貴司君) JFEスチール関田でございます。よろしくお願いいたします。  パワーポイントを使ってJFEスチールにおける地球環境への取組を御報告させていただきます。御説明内容は、ここにありますように、スチールの概要、それから自主行動計画等で、この順番で御報告をさせていただきます。(資料映写)  JFEスチールという会社は、二〇〇三年の四月に旧川崎製鉄と旧NKK、日本鋼管が統合してできました会社でございまして、右下の地図に書いてございますように、済みません、これ、ちょっと図がずれてしまって恐縮です。千葉県が新潟県へ行ってしまっているんですけれども千葉京浜及び倉敷、福山に四つ製鉄所を持つ会社でございまして、粗鋼生産量年間二千九百万トン、二〇〇六年でございます。世界第四位でございます。  環境理念といたしまして、JFEグループは、地球環境の向上を経営の重点課題と位置付け、環境と調和した事業活動推進することにより豊かな社会づくりを目指しますということです。  それぞれの五つ行動方針でございますけれども、一番は、すべての事業活動における環境負荷の低減、それから、二番目が技術及び私ども製品による貢献三つ目が省資源省エネルギー事業による貢献四つ目社会とのコミュニケーションの促進、五つ目国際協力推進でございます。  ここで製鉄プロセスをちょっと御説明させていただきます。  製鉄の場合、鉄鉱石石炭が主原料になりますけれども、これを高炉におきまして還元という化学反応を起こさせまして銑鉄というものを造ります。それを次に、ここにございます転炉で鋼に変えまして、それを固めて圧延をいたしましてそれぞれの用途に応じた鉄鋼製品を造ってございます。  我々、高付加価値製品の製造というのを日本鉄鋼業はやっておるわけでございますが、これらはお客様との産業連携によりまして用途に合致した製品設計をしているということでございまして、したがって大半がオーダーメード生産でございます。この転炉で溶けた時点でもうこれは、例えばどの船のどの部位になるとか、どの自動車のどの部品になるとか、すべて決まっているオーダーメード製品になってございます。  製鉄業におけますCO2発生でございますが、石炭が元でございまして、この溶鉱炉を始めとした上工程CO2発生するという構図になっています。ただ、それぞれの炉で出るガスというのは全部燃え尽きているわけではございませんで、これらのガスをすべて回収いたしまして自所にある発電所電気を起こして、例えば圧延に使う電力を賄うであるとか鋼を温める加熱炉の燃料にするとか、すべて購入したエネルギー源石炭でございますけれども、これをしゃぶり尽くすということでございます。これはもう歴史的に日本鉄鋼業省エネ技術を一生懸命やってきたということで、現時点で世界一の省エネと誇ってございます。  ところが、CO2排出量ということでございますが、産業部門のうち三六%が鉄鋼でございます。この中で電力発電でございますけれども発電部分はすべてユーザーがしょうことになっておりますので、ここでは小さくなっておりますが、発電所で出るCO2というのは三億六千万トンということで、いわゆる日本産業界におきましては鉄鋼電力CO2の非常に大きな排出源であるということは認識してございます。  これが鉄鋼業における自主行動計画というものでございまして、これは日本鉄鋼連盟が九六年十二月に策定したものであります。九〇年比、二〇一〇年にエネルギー消費量で一〇%削減をするという目標を立てました。これは、ただし粗鋼生産一億トンレベルという前提にしてございます。ここがこのグラフでございまして、エネルギーで一〇%下げるということで、これ、実はCO2に換算いたしますと九%になります。ただ、一億トン前提でございますが、足下二〇〇七年は一億二千万トンです。二〇%粗鋼が増えているという状況でございます。  これがJFEスチールCO2排出状況でございます。右側でございますが、基準の九〇年が五千五百万トンでございまして、〇六年はほぼ横ばいということになってございます。これは粗鋼生産量でございますが、九〇年が二千三百五十六万トン、〇六年が二千九百万トンということで、プラス二三%の増になってございます。これは、高付加価値鋼材需要増ということで今はもうフル生産を続けておりまして、足下では、例えば造船用建機用に使われます厚板でありますとか自動車に使われる薄板でありますとか、お客様の要求にこたえられない又はタイトロープの状態が続いてございます。  粗鋼量はそのように伸びてきているんでございますけれども鉄鋼業、我々のJFEスチールといたしましても、省エネルギーをもう営々とやっております。初期の段階、左の下の箱にございますけれども工程連続化をするであるとか廃熱回収を促進するであるとかやってまいりましたし、この基準の九〇年以降も、廃プラスチックを吹き込むとか都市ガスを使うとか、それから効率のいいバーナーを導入するとか効率のいい酸素プラントに変えていくとかいう活動を続けてございまして、省エネ投資合計では九〇年から〇六年で三千六百億円、環境では五千億円というお金を使ってきてございます。  ということで、鉄一トン造るときに出るCO2排出ですが、これは基準の九〇年二・三五から一・九二まで減らしてはまいりましたけれども粗鋼増の伸びはちょっとカバーし切れないということで、足下五千五百七十万トンという排出量になってございます。京都議定書目標は五千二十万トンでございますので、この間にあと五百五十万トンの削減が必要ということでございます。  これは、いわゆるエネルギーをしゃぶり尽くしているという意味で作った絵でございますけれども、それぞれコークス炉高炉転炉で出てきたガス発電所なり加熱炉に持っていって有効利用する。それから、ここにいろいろ、連続鋳造とかそれから連続焼鈍とか書いてございますが、すべて連続化によって省エネルギーを図ってきている状況でございます。  鉄連自主行動計画目標でございますけれども、更に〇六年から〇八年までCO2削減投資といたしまして一千億円の投資を決めてございまして、これで四百二十万トン・パー・イヤーのCO2削減をすると。  具体的に言いますと、シャフト炉というのを、これを京浜に造るんですけれども、これ、約百億でございます。スクラップをたくさん使うと。スクラップの場合は、もう既に過去にCO2を出してしまったものということで、スクラップ大量使用というのが今年の八月稼働予定でございます。それから高炉還元材比という、これ、ちょっと専門用語ですけれども溶鉱炉の中での反応効率を上げて使う石炭をできるだけ少なくする。  それから、黄色い箱ですけれども省エネ設備としてCDQというのがございますが、コークス炉コークスを造ったときのコークスの持っている熱を発電に利用する設備、それからリジェネバーナーというのは、バーナーを非常に熱効率のいいバーナー、それから酸素プラントは最新鋭のプラントへというようなことで、これで約一千億円の投資を現在進めております。  それから、その下の箱、将来に向けた研究開発はまた後ほど出ます。これはクールアース50に向けた活動ということで、これも既にスタートしていますし、社会への貢献というところも、これも後ほど述べさせていただきます。  さらに、粗鋼量がどう変動するかということがございまして、四百二十万トンだけでは量の増加には追い付きませんので、その場合ということでCDM京都メカニズムを、これは既にある量準備しております。  ということで、京都議定書達成ということでございます。  で、次、これは私どもの造っている製品でございますけれども、例えば電磁鋼板、これはモーターとかトランスに使われます。これらは、例えばハイブリッド用モーター、それからエアコン、それから冷蔵庫に使われる高効率モーターに使われます。それから、自動車用ハイテンというのが書いてございます。これは、少しでも板厚を薄くして安全性とそれから軽量化を両立させるということで、私どもJFE始め日本鉄鋼業の独壇場の技術でございます。これによって省エネを図るということです。  これはちょっとCO2は余り関係ないですけれども、クロメートを使わない家電、OA機器の鋼板も造っておりますし、これは鉄鋼セクターではないんですけれども、当社といたしましては、太陽電池用のシリコン、こういうような製品を通じて世の中に貢献をしているつもりです。  その自動車用のハイテンとか電磁鋼板による日本でのCO2削減量、これは鉄連ベースで試算していますけれども年間七百八十六万トンということです。それから、鉄鋼を造る場合にスラグというものが副産物として出てまいります。これをセメントに使いますと非常にセメントの工程が短縮できますので、これ、国内、輸出ちょっと込みですけれども、試算量としては九百二十万トンのお役に立っているということです。これらは鉄鋼セクターにはカウントされないんでございます。  ちょっとこれは時間の関係で、このスラグですけれども、例えばコークス、穴がいっぱい空いていますんで、これで道路を敷きますと非常に保水性があってヒートアイランドに効果的であるとか、スラグにCO2を吸わせたものは割とサンゴの再生にいいんではないかということで、これは環境省と一緒に今、石西礁湖でやっているということでございます。順調にサンゴは育っているということでございます。  続きまして、次でございますけれども、世界レベルでの地球温暖化対策への貢献ということでございます。  CO2削減は、CO2はどこで出ても世界中を回りますので世界で論ずべき課題と認識してございます。これは現在の京都議定書のカバー率を示してございますが、現在で三二%というカバー率でございます。これは、鉄だけではなくてすべてでございます。  これはIEAの資料でございますけれども、これから先ですけれども、やっぱりCO2はどんどんどんどん一・六倍に増えていってしまう。そこの中で、中国が二・二倍、インドは二・二倍、日本は、このデータでは日韓というふうになっていますけれども、この五%の部分になってございます。  これは、今度は、また鉄の世界に目を向け直しますと、現在、京都議定書におけるいわゆる排出権は、自主行動計画であれ何であれ、制約を受けているのはどんな会社かということでございます。世界で一番大きいアルセロール・ミッタルというのが一億一千万トン年間で造っておりますけれども、これは世界中に製鉄所を持っておりますので、排出制約のあるのはEUにある三分の一だけでありまして、ほかは排出制約はない。二位の新日本製鉄、それから四位のJFE、これは日本ですから自主行動計画に基づいて一生懸命やっている。三、五、六、七のPOSCO・韓国、宝山・中国、USスチール・米国、NUCOR・米国、これは全然削減の義務を負っていないということであります。現在、削減の義務のないのは六四%でございます。  これはRITEの資料でございますけれども、鉄一トン造るのにどのぐらいのエネルギーを使うかという比較でございます。御覧のように、日本が〇・五九と一番低いレベルでございまして、次が韓国、また世界各国はこのような、日本より効率が悪いというデータでございます。  これはそのバックデータにはなるんですけれども、先ほど言いました連続というキーワードとか回収というキーワードでいきますと、その設備の比較をしてございます。左、赤いのが日本、それから韓国、EU、米国、中国、インドの順になってございますが、これを見ていただいて分かるように、日本、次いで韓国というのが高い装備率を誇っておりまして、よその国は余りこういうものがないというのが先ほどのエネルギー単位の差だというふうに思っております。  鉄の世界でございますけれども、長らく世界で八億トンの生産が続いていたんですけれども、昨今急に伸び始めました。十二億五千万トンというのが二〇〇六年でございまして、日本は、この赤い折れ線グラフにありますように、一億トンから一億二千万トンのレベルでずっとありますが、青い中国が四億二千万トン。これ、二〇〇七年は四億九千万トンと言われておりまして、何と日本の四倍の鉄を生産してございます。  ということで、日本でも我々一生懸命CO2削減に努めているんでございますけれども、これは世界でやらなきゃいけないということで、一つは日中鉄鋼業環境保全・省エネルギー先進交流会というのを二〇〇五年にスタートいたしました。これは民民でやっております。いろいろ専門交流会をやって省エネ技術の紹介等をやり、去年の十二月には太原鋼鉄、それからほかの二か所に専門家を派遣して省エネ診断をしている。  それから二番目が、クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ、いわゆるAPPでございますが、ここに示してございますような六か国と、それから去年十月にカナダが参加したということです。この中の鉄鋼タスクフォースにおきましては、議長は日本が務めておりまして、ちょっとここ記載してございません。一番上に書いてある表題のとおり、セクトラルアプローチというものを前面に出しましてこの七か国で削減活動をしております。また、上とダブりますけれども、中国の三製鉄所、さらにインドの鉄鋼公社への省エネ専門家の派遣も既に実施しております。  それから、これは国際鉄鋼協会という世界の鉄鋼業の集まりでございますが、この場でも日、米、欧すべての鉄鋼業で議論いたしまして、グローバルなセクトラルアプローチの採用を決定しております。APPのスタイルを踏襲しているという形になります。ここの二番目に書いていますが、EU―ETSにつきましては、CO2排出量削減には効果的でない、炭素リーケージを招くというような議論になってございます。  セクトラルアプローチといいますのは、技術ベースで削減の実効性の高いものでありまして、効率指標で途上国も参加しやすい、それから健全な国際競争環境の実現ということでトップランナー方式、このやり方は今議論しているところでございますけれども、トップランナーに技術的に合わせていくというような考え方でございます。  最後に、これは中長期の技術革新ということでクールアース50です。二〇五〇年、長期をにらみまして、例えばコークス炉というのがあるんですが、コークスガスというのは、これは水素とかメタンが出てくるんですけれども、ここから水素を分離して、その分離した水素を高炉に入れるとか、それから高炉からもガスが出るんですけれども、これはCOとかCO2が入っております。ここでCO2を分離して、分離したCO2は貯蔵する、それから、いわゆるCOといいますか、燃えるガスはもう一回高炉へというような、こういう技術革新研究開発を続けてございます。  以上、まとめますと、一番、鉄連の自主行動計画達成ということで、技術及び設備投資プラスCDMの補完ということによりまして鉄連自主行動計画達成いたします。それから二番目、CO2削減につながります私ども製品で地球温暖化防止へ貢献いたします。それから三つ目が、日本の優れた省エネ技術移転によって地球規模でのCO2削減、これを先ほど御説明したいろいろな機会を設けまして貢献したいと思います。将来、低炭素、低カーボン製鉄法に向けた技術開発推進していきます。  最後に、ポスト京都の新しい枠組みに向けた考え方でございますけれども、先ほど来述べてまいりましたように、米国、中国、インド等の主要排出国の参加がないというのは全く無意味であると考えております。それから、セクトラルアプローチの導入促進によって地球温暖化防止に努めたいということです。いわゆる不合理なキャップというようなことになりますと、炭素リーケージ、例えば、よりCO2をたくさん出す国に生産が移ってしまうとか、それはまた国益に反しますし、国内雇用にも悪影響を及ぼしますということです。ということで、省エネ技術移転等によりましてセクトラルアプローチを進めていきたい。最後に、中長期革新的技術開発推進していくと。  以上でございます。
  9. 石井一

    会長石井一君) 次に、齊藤参考人
  10. 齊藤莊藏

    参考人齊藤莊藏君) 日立製作所の齊藤莊藏でございます。  配付されております資料使いまして、日立グループの地球温暖化対策取組について説明させていただきます。  次のページ、本日の説明の内容なんですけれども、まず一番、事業概要と環境経営ビジョン、二番、京都議定書目標達成に向けた取組、そして三番、地球温暖化防止への更なる貢献の順に説明させていただきます。  ページをめくっていただきまして、一―一ですが、これは日立グループの事業概要を示します。  連結ベースで、会社数九百三十五社、売上高十兆円を超える規模でありまして、電力・産業システムあるいは情報通信システムを始め、幅広い事業を展開させていただいております。図の下半分に地域別に示しておりますけれども、最近は海外比率が増加しておりまして、四割を超えています。  一―二ですが、日立グループの環境マネジメントシステムを示します。  従業員数三十三万四千人強、CO2排出量が二百八十万トンの大規模な環境マネジメントシステムを構築して活動しております。日立製作所の社長を議長とします環境経営会議がグループ全体の方針や活動施策などを決定し、環境推進会議などを通してグループ全体に浸透させています。下半分には、各事業セグメントがそれぞれ関係する工業会に参画していることを示しております。  次のページ、一―三ですが、日立グループ環境経営ビジョンを示します。  二〇〇一年から組織的な活動を開始しまして、二〇一〇年を目指しました環境ビジョン二〇一〇、これの第一期環境戦略としまして、最初CO2排出量三%削減目標取組を始めました。二〇〇五年に、京都議定書発効に伴いまして新たに環境ビジョン二〇一五を策定し、現在、第二期環境戦略としましてCO2排出量七%削減に取り組んでいるところでございます。さらに、ポスト京都議定書の中長期的対応として昨年十二月に環境ビジョン二〇二五を策定し、活動を始めたところでございます。  なお、一番下の欄に示しておりますけれども、3C、コンバット・クライメト・チェンジ・イニシアチブへの参加、あるいは欧州、北米、中国の雲南省との省エネモデル事業推進など、世界と連携した活動も進めております。  次に、二の京都議定書目標達成に向けた取組について説明します。  ページをめくっていただきまして、二―一、日立グループの温暖化対策行動目標でございますが、左上にございますように、日立グループ全体として排出量削減七%、及び各事業グループとしまして参画する各工業会個別目標又は生産高単位二五%削減であります。具体的には、右側にありますように、環境に高いレベルで配慮した物づくりで工場とオフィスのCO2排出削減を図り、環境に配慮した製品とサービスの提供により製品使用時のCO2排出削減を図ることで日本全体の排出量削減貢献します。  下半分の図は、日本全体のCO2排出量を示します。二〇〇六年度現在で十三億四千百万トンの棒グラフが立っておりますが、これを京都議定書第一約束期間では十一億八千五百万トンに削減しなければなりません。この二つの棒グラフの間に日立が提供する省エネ機器あるいは発電設備の代表例を示しておりますけれども、産業、運輸、業務、家庭、それぞれの分野のCO2削減に私どもの提供する製品貢献しているということでございます。  次に、二―二、スーパーエコファクトリー、環境に高いレベルで配慮した物づくりについて説明します。  その仕組みとしまして、エコファクトリー及びスーパーエコファクトリーの社内の認定基準を設けております。特に、スーパーエコファクトリーにつきましては業界トップレベルの環境負荷低減した事業所でありまして、二〇〇七年度現在、九つの事業所を認定し、二〇一〇年にはこれを三十事業所にする目標で取り組んでございます。  次のページ、二―三、グループ内CO2排出量削減制度であります。  仕組みとしまして、事業所ごとに各年度達成目標値を設定し、CO2排出量目標達成度と五年間平均のエネルギー単位によりAからDの四つに格付評価し、グループ内へ情報を開示し、経営層へも報告する。こういったことで先進事例の展開や目標達成の動機付けとしております。  二―四は、工場とオフィスにおけるCO2排出削減のための工場とオフィスの省エネ設備導入事例を示します。  右側の方に、省エネを含む環境投資としまして、二〇〇一年から二〇〇五年、合計で七百十一億円、二〇〇六年度は百五十五億円の実績となっております。このような努力によりまして、二〇〇六年度は一九九〇年を一〇〇としまして八六、一四%削減、二〇〇八年から一二年度、第一約束期間で何とか七%の排出削減目標達成できる見通しとなっております。  ページをめくっていただきまして、二―五、このスーパーエコファクトリーの省エネ手法を外部の企業事業所に提供する、いわゆるESCO事業にも早くから取り組んできました。省エネメリットからサービス対価をいただき、お客様に利益を還元するビジネスモデルであります。日立の累計実施件数が百三十件となっておりまして、削減量は十六万トンとなっております。    〔会長退席、理事広中和歌子君着席〕  次に、二―六、環境適合製品の開発について説明します。  製品設計に当たりまして、アセスメント項目に示しました八つの項目によりまして環境適合設計アセスメントを実施します。この評価が基準点以上のものを環境適合製品として社内で認定します。  さらに、一番下に書いてございますが、生活価値と環境への影響の比、これをファクターと言いますけれども、これで定義されるファクターが従来品に比べて十以上若しくは業界トップ若しくは社外評価をいただいたものをスーパー環境適合製品と認定しまして、スーパーエコマークをカタログやホームページ等で紹介してございます。  次のページ製品使用時のCO2排出削減としまして、環境適合製品の拡大で二〇〇六年度現在、五千四百九十一機種、下の表に事業部門の環境適合製品の代表例を示しております。そして、これらの製品を使用するときのCO2排出量削減の累積は、二〇〇六年度で百六十七万トンという実績になっております。  次に三、地球温暖化防止への更なる貢献について説明します。  ページをめくっていただきまして、三―一はエミッションニュートラルの概念を示しております。  左側は、製品を作るための材料、生産、物流を含めた直接環境負荷であります。右側は、ピンクの部分がその製品を使用するときの社会環境負荷でございます。左下のグラフにございますように、直接環境負荷を我々の努力削減しまして、併せて社会環境負荷削減を積み上げる、こういうことによりまして二〇一五年に両者が等しくなるエミッションニュートラルを達成すること、つまりこれが環境ビジョン二〇一五であります。こういう状態が達成できますと、私ども生産活動をすればするほどCO2排出全体量が削減できるという理屈になります。  三―二は、環境ビジョン二〇二五の策定であります。  環境ビジョン二〇一五を超える地球温暖化防止に向けた長期計画としまして、二〇二五年には、日立が提供する製品により年間一億トンのCO2排出量削減を図ります。そのために、環境適合製品の拡大と環境事業の強化を図ります。また、環境経営推進体制を強化するために、日立グループCEnO、最高環境戦略責任者を設置し、また地球環境戦略室を設置して活動を始めました。  次のページで、三―三は、CO2排出量抑制一億トンのシナリオを示しております。  一番下のところに、地球温暖化を防止するには、現在二百六十六億トンという世界の排出量を二〇五〇年には半減する必要があるということが議論されております。国際的な議論の中で目標がどう決着するか分かりませんけれども、いずれにしましても相当に大幅な削減が必要になるというふうに考えられます。私どもは、二〇一五年のエミッションニュートラルを超えて二〇二五年には、環境事業拡大として書いております高効率火力発電、原子力発電、新エネルギー省エネルギー技術の開発を通しまして世界で一億トンのCO2削減貢献したいと考えております。  最後に三―四、温暖化対策推進課題でありますが、まず、産業が活力を維持し、実効ある活動ができるCO2排出量削減国際的枠組み合意を要望したいというふうに思います。そして、短期課題としては、海外への省エネ技術移転の条件整備、あるいは省エネ機器・設備導入支援制度の充実、あるいは国民の省エネ意識啓発と省エネ家電製品の買換え促進、そしてIT省エネとIT活用による省エネを両輪とするグリーンIT推進、また、中長期課題としては、国家主導のエネルギー革新技術開発推進、そしてエネルギー基本計画の着実な推進を政治並びに政府に要望したいというふうに思います。  めくっていただきまして、終わりでございますが、日立は持続可能な社会を目指し、環境に配慮した製品、サービスの提供とそれを生み出す工場、オフィスでの物づくりを進めます。  御指導、御支援をお願い申し上げまして、説明とさせていただきます。  御清聴ありがとうございました。
  11. 広中和歌子

    理事広中和歌子君) どうもありがとうございました。  では、次に八谷参考人から御意見をお述べいただきます。八谷参考人、よろしく。
  12. 八谷道紀

    参考人八谷道紀君) ただいま御指名いただきました日産自動車八谷と申します。  本日は、弊社環境問題への取組、その中でもとりわけ重要な地球温暖化問題について、その防止の取組を説明させていただく機会をいただきまして、大変ありがとうございます。  私は、資料パワーポイントと、お手元に同じコピーがございますので、両方御覧になっていただければよろしいかと思います。  それからもう一つ、お手元に「CO2削減に取り組む自動車産業」というパンフレットをお配りさせていただきました。これは、日産自動車ということではなくて、自動車産業全体の取組方を冊子にまとめたものでありますので、これ、特に一点一点説明をすることではありませんが、後ほどの質疑のときに参考に使わせていただこうかなと思っております。(資料映写)  それでは、まず、日産自動車の概要ということで紹介をさせていただきたいと思いますが、日産自動車、一九三三年に創立いたしまして、約七十四年たってございます。その中で、グローバルな生産、販売ということでは、大体、二〇〇六年度数字としまして、生産台数が三百二十六万七千台、販売台数で三百四十八万三千台ということでございます。業績は、これも二〇〇六年度では、売上高十兆四千六百億、営業利益七千七百億、当期純利益四千六百億ということで、日本でもあるいはグローバルでも事業を展開させていただいています。その連結の従業員数が、これも十六万五千七百人という規模で事業を進めております。  本題の環境問題でございますが、日産の環境への取組として、約一年前にニッサン・グリーンプログラム二〇一〇というものを中期計画というような形で発表いたしました。本日は、このプログラムを中心に技術開発の短期あるいは中長期の目標などについて御説明いたしたいと思います。  ニッサン・グリーンプログラム二〇一〇では、弊社が目指す究極のゴールを日産の企業活動と日産車の使用過程から生じる環境負荷を自然が吸収可能なレベルに抑えるということに設定いたしました。  その日産が考える環境について重要課題が、ここにありますように三つございます。一つ目はCO2排出量削減すること、二つ目は排出ガスなど環境負荷を与える物質の排出を抑え、水、大気、土壌、これを保全すること、三つ目に、リデュース、リユース、リサイクルと、こういうふうに三Rと言われていますこの資源の循環を促進するという、この三つが一応重要課題という取上げ方をしてございまして、これに企業活動商品技術あるいは生産、物流部門あるいはマーケティング及びセールス部門と、こういうそれぞれの部門が有機的に動いていく、それをコーディネートするためにグローバル環境マネジメントというのが必要だろうということでシステムとして組み上げてございまして、定期的にグローバル環境委員会という形で実際の進捗度合いのチェック、レビューをやって企業としてのPDCAを回すという、こういうような仕組みになってございます。  次に、その三つの重要課題について、それぞれのその究極のゴールと、それから中期としての二〇一〇年における目標ということで一応整理したものがこの表でございます。  CO2に関しましては、当面、商品としては、各国燃費基準の着実な達成と更なる燃費向上の推進ということでございます。生産部門に関しては、全工場から排出されるCO2を七%削減ということで取り組んでございます。  日産が最も重点を置くべき課題というのは、この絵からも明らかなとおり、自動車の走行というところでのCO2排出が圧倒的に、けた違いに大きいわけです。したがって、自動車の燃費を向上させるということが一つ大きく貢献できる部分だろうなと。もちろん、それに生産、物流、オフィスというところも、大体ここの絵は企業活動全体の排出量を表していますけれども、少ないからといって忘れているわけではございませんで、同じような取組をしてございます。  続きまして、ちょっと短期的な話になってしまいますが、これは日本全体の運輸部門のCO2の経緯を表しておりますけれども、御覧になって分かるとおり、二〇〇一年をピークに二〇〇六年までのデータでだんだん運輸部門は下がってきておりまして、一応目標の二億五千万トンにあと一歩というところまで近づいてきております。これについては、右の方に書いてございますように、走行量の低下、燃費の向上、それから交通対策等々の効果という、こういう今まで打ってきたものが少しずつ効果を現してきているんだろうと、このように思ってございます。  これも業界平均での数字でございますが、ガソリン乗用車の平均燃費で、御覧になって分かるように、青い線、一番上の線で、新車の燃費が毎年どんどんよくなってきてございます。  こういう状況の中で、長期的な話を少しさせていただきたいと思います。  これはIPCCレポートに基づく定説なんですが、温度上昇を二度C抑えるためには二一〇〇年段階でCO2を五五〇ppmに安定させることが必要だと、こういうふうに言われています。最近発表された第四次のIPCCレポートでは、更にこれが四五〇ppmだという話もございます。そういう中でこれを五五〇ppmとしてキープするにしても、私どもの試算で見ますと、これから二〇〇〇年を一〇〇とした場合に二〇五〇年で排出量を七〇%削減しなきゃいけないという、かような厳しい目標になるんだろうと、こういうふうに試算しております。  その七〇%削減ということに対してどういうことをしなければいけないかということを整理したのがこの絵でございまして、ガソリンエンジン等は今から三〇%近くはまだ燃費向上のポテンシャルがあるかなということであります。それから、ハイブリッドについても半分ぐらい、五〇%削減ぐらいまではポテンシャルがある。しかし、それではとっても七〇%というのはいきませんので、二〇五〇年という長期で見ますと、どうしても電気自動車とか燃料電池車とかいう、こういう新しいもの、新しい技術の導入が欠かせないんだろうと、このように思ってございます。  ただ、電気自動車にすれば全部ゼロになるかというと、そういうことでもなくて、これはもう発電のミックスによって、石炭とか石油を燃やしている限り、それでも電気をつくる過程でCO2が出てしまいます。  この絵は、今のガソリン車を一〇〇とした場合に電気自動車に置き換えたときにCO2削減はどのぐらいになるかということで、今の日本電力ミックスで見ますと大体三〇%まで落とせるということですが、先ほど申し上げましたようにかなり厳しいものですから、結局は電力ミックスも、原子力とか風力とかソーラー、太陽光ですとか、そういうような再生可能なエネルギー発電が必要になってくるだろうと、このように思ってございます。  時間が押しておりますので少し急ぎますが、それで、ガソリンのエンジンの革新なんですが、先ほど申し上げましたように、三〇%ぐらいはまだ向上のポテンシャルあるだろうと。それから、ディーゼルエンジンなんですが、日本では今ほとんどディーゼルエンジンの乗用車は販売されていないんですが、これもクリーンディーゼルということで近々世の中に投入していこうと、こういうふうに考えてございます。  先ほど申し上げました、ガソリンエンジンを今後三〇%ぐらい改良できるということで個々に取り組んでございます。ここにも幾つかその技術の例を挙げましたが、ちょっと時間がないもので細かい技術の話は省略させていただきたいと思います。  これも、ガソリンエンジンで三リッターカーというのを二〇一〇年目標に投入しようと、こういう意気込みで世の中に発表してございます。さらに、ディーゼルエンジン、これもガソリンエンジンとほとんど排気ガスのレベルで劣らないようなクリーンなディーゼルを近々発表していこうと、こういうことでございます。    〔理事広中和歌子君退席、会長着席〕  それから、昨今いろいろと世の中でお話しされていますバイオ燃料なんですが、これにつきましても、既に自動車としては、三%のエタノール車というのは対応が済んでおりまして、一〇%になりますと、これも弊社の場合にはほとんど世界中の販売車で対応ができております。さらに、八五%、一〇〇%と、こういう高い濃度のエタノールの可能性はあるんですが、フレキシブル・フューエル・ビークルということで既にアメリカでは発売してございます。それから、近々一〇〇%対応もブラジルでは対応していこうということでございます。  これも、燃費向上の技術として無段変速機の普及の度合いを示したものでございますが、ここは日産自動車、割と自信を持っている技術だと、こういうふうに御理解ください。  さて、ハイブリッド車なんですが、今はプリウスというトヨタさんのハイブリッド車がほとんど世の中を占めていますが、これについても、私ども独自で開発したものを二〇一〇年をめどに投入していきたいと。さらに、プラグインハイブリッドというものについても、これは家庭で充電できるようなハイブリッド車ですけれども、これも研究開発を促進しております。  それから、電動車両に移りますと、燃料電池車でございます。これも今までの開発の経緯を示してございますが、さらに二〇一〇年以降、新しい性能を上げた燃料電池を積んだものを出していこうということでございますが、これには非常にまだ技術的な課題、特にコストを下げなければいけないという大きな課題がありますので、実際に市場投入という、実証試験以外の実用投入というのはまだ先になるのかなと、このように考えてございます。  それから、電気自動車です。これは全く、そういう意味では排出ガスCO2を出さない、先ほどの電力ミックス次第だと申し上げたものでございますが、これも今、鋭意、研究開発、特にバッテリーの性能というのはかなりのポイントを占めておりますので、これの鋭意、開発努力をしておりまして、二〇一〇年以降のなるべく早い時期に市場に投入していきたいと、このように考えてございます。  そのために、昨年度、二〇〇七年四月に、日産とNEC及びNECトーキンというところで合弁で新しいバッテリーの会社を設立しました。これで、従来蓄えた日産のリチウムイオンバッテリーの技術をこの会社でうまく生産につなげていこうと、このように考えてございます。  最後になりますけれども自動車から排出するそのCO2というのは自動車の燃費だけで決まるものではなくて、今まで申し上げました燃費というのはあくまでも決まったテストモードで測ったものであるんですけれども、世の中でやっぱりドライバー一人一人がいろんな運転の仕方をするんで、ここで、エコ運転といいますか、エコドライブというのは非常に重要なポイントになってくると思っております。  エコ運転の教育した人、しない人、これで大体二〇%ぐらい大きく差が付くというふうにも言われています。そういうことで、エコ運転になるべくドライバーさんを向けていくための幾つかの技術、あなたの燃費は今幾らですよというようなことを表示するとか、あなたはこの車を運転していて大体全体のどのぐらいの順位にいますよというようなことを車の方が判断してドライバーに伝えてあげるというような仕組みを最近開発して、これ、省エネ大賞とエコプロダクツ大賞をいただきました。  さらにもう一つ、渋滞を回避するということで大分燃費が良くなるということで、これもITSの技術を活用して、最短あるいは最速経路を誘導するというような仕組みを今、神奈川県で実証実験をやっておりまして、幾つかのメーカーさんあるいは団体と協力して取り組んでございます。  最後に、自動車生産工場からのCO2排出については、先ほども申し上げましたように、七%削減という中期目標で進んでございます。これも、産業界の中では自動車部門の排出量というのは全体の一%なものですから、ここは、そこにベンチマークを置いて進めていくという取組にしてございます。  それから、最後になりますけれども、それ以外のオフィスでありますとか研究所でありますとかという新しい建物を建てる際に、これも国土交通省の定められたCASBEEというアセスメントの評価があるんですが、それの最高のSランクという、これを満たすような設計で取り組もうということで、企業活動全般にわたってCO2削減ということで取り組んでございます。  御清聴ありがとうございました。
  13. 石井一

    会長石井一君) どうも四人の参考人の皆さん、ありがとうございました。  これより質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行いますので、質疑を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って御発言くださいますようお願い申し上げます。  なお、質疑の時間が限られておりますので、委員の一回の発言は三分程度となるよう、また、その都度答弁者を明示していただきますようお願いいたしたいと存じます。  それでは、質疑のある方は挙手を願います。  今野理事
  14. 今野東

    今野東君 今野でございます。  今日は、お忙しいところおいでいただきまして、大変熱心にこのCO2削減に取り組んでおられる各企業のお話を伺わせていただきまして、その御苦労を高く評価させていただきたいと思います。  今日おいでいただいた企業の方々は、口幅ったいですが、CO2削減ということについては大変優秀な企業でいらっしゃるということを認識しておりますが、日本の特に自動車産業がこのCO2削減ということについては優位に立っているというふうに思いますが、これはやはりかつて二度の石油危機を見事な技術革新で乗り切ってこられたことが大きな要因だと思いますが、ただ、お話を伺っていて、JFEスチール関田さんのお話だと、アルセロール・ミッタルはそれほど制約を受けていないんだとか、排出制約を強く受けているのは日本鉄鋼業なんだとかということで、やや不公平なのではないかとかいうような企業側の不満として聞こえたような気がいたします。  そこで、基本的な姿勢といいますか、お考えを伺っておきたいと思うんですが、こういったCO2削減取組というのは、事業活動を制約する成長阻害要因というふうになっているのか、それとも低炭素社会へ向けた成長加速要因なのかということを、恐らく成長加速要因であるというふうにお答えにならざるを得ないお立場なのだろうということ、あらかじめこういうことを言ってしまったら答えにくいかもしれませんが、そこのところのしっかりしたお考えを、基本的なところをお伺いしておきたいと思います。  それからもう一つは、CO2削減技術力というのは、本当に日夜大変で、もうこれ以上できないんじゃないかと、我々は外から見ているとそう思うところもあるんですけれども、実際のところどうなんでしょうか。よく、乾いたぞうきんを絞り切った状態だというようなことを聞くんですけれども、まだまだその開発の余地があるというふうにお考えなのか、企業体によってまた違うと思いますけれども、それぞれのお四方に、短くて結構ですが、お話を伺いたいと思います。
  15. 酒井清

    参考人酒井清君) 最初の成長阻害要因か加速要因かという御質問でございますが、社会全体でどうこうと言うのは私どもも立場にないわけでありまして、会社としてはビジネスチャンスだと思っています。つまり、例えば私どもが違う事業を買って、もしその事業が今までよりも環境負荷が低くできると、これは我々は社会環境負荷低減という貢献をすると同時に、大概の環境負荷削減技術というのは値段が安いんです、エネルギー使わないですから、したがって、非常にコスト削減にもなりますし、利益向上になりますのでビジネスチャンスだと思っています。それが全体としては大きくなるかどうか、私、分かりません。  それから、二つ目の技術力の問題なんですが、今ある技術でも結構いけるところがあるんです。これは、先ほど言いましたように、要するに、今以上にコストを上げてしまうと何もならないんですが、ところが、残念ながら最近石油が上がっていますよね。したがって、コスト要因が一方であるんですね。そうすると、今まで使えなかった技術が使えるようになるというのが必ず出てくるわけですので、これからそういうインフラコストが上がってくると技術がもっと使えるものが出てくると。  ただし、例えば私ども試算しているのは、八分の一ぐらいの炭酸ガス削減、八分の一にするんですが、しないと、どうも先ほどIPCCが言っているような四五〇ppmとか達成しませんので、これは相当な技術革新が必要になってきまして、恐らくここ数十年で私どもの使う技術ががらっと変わってしまうとか、あるいは、リサイクルだとか何かの技術が物すごく革新的に進むというようなことが重要になってくるんだろうという具合に今考えております。  以上です。
  16. 関田貴司

    参考人関田貴司君) まず最初の不公平ということにつきましては、現在の京都議定書は全くもって不公平であります。  それから、二つ目の事業発展ということでございますけれども、私どもが御紹介しましたように、お客様省エネ製品をお作りになる素材をお使いいただくという意味では発展と成長機会というふうに存じておりますし、そういう環境に優しい、環境に役立つ素材の研究開発は日夜続けてございます。  一方で、我々が鉄を生産するステージにおいてCO2削減するために、本文でも御報告しましたが、例えばスクラップを多量に消費するようになります。今までは溶銑を使っていたのをスクラップの比率を上げます。これは、ある意味スクラップの需給というものに対して大きな影響を与えておりまして、足下スクラップの価格が非常に高くなって、例えば我々の同業でありますけれども、電炉業界とか非常にコストアップになっていますし、またその製品のコストアップというものにはなっているはずでありまして、それはある意味阻害要因というふうに考えます。ですから、両面あるかと思います。  三つ目で、技術でございますけれども、乾いたぞうきんでございますが、これは一生懸命まだ絞ります。技術に終わりはないし、先ほど私ども報告でも示しましたけれども、鉄の造り方も変えていくと。ただ、鉄の場合、非常に大きな装置産業でございますので、やっぱり二〇三〇年、五〇年というスパンで見ていただきたいと思います。  以上です。
  17. 齊藤莊藏

    参考人齊藤莊藏君) 最初に、阻害要因か加速要因かということにつきましては、やっぱりCO2削減目標程度問題という感じがします。  現在の京都議定書レベルのものであれば、その対応を何とかしてきましたし、乾いたぞうきんということもありますが、まだまだ努力の余地はあるということで引き続き努力を続けているところでございます。  ただ、ポスト京都議定書で議論されるレベル、この辺が半分とか七割減とかと、こういう話になりますとなかなか対応が、非常に別の対応が必要になる。やはり本格的にこの問題は、技術開発といいますか、地球温暖化対策とそれからエネルギー安全保障の問題を一体として対応を考えていかなきゃいけませんし、日本として、今いろいろ議論されています技術開発のプログラム、ロードマップ、これをしっかり進めて対応していく必要があると、そういうふうに考えております。
  18. 八谷道紀

    参考人八谷道紀君) 先ほどの御質問の成長要因かあるいは阻害要因かというところで、もう既に二度のオイルショックを経験した自動車産業ということでお話ございましたが、私ども、基本的にはこれは、ビジネスチャンスと言うと大げさなんですけれども、前向きにとらえてこれを乗り切ることによって国際競争力をより大きくしていけるチャンスではあるなと、こういうふうに受け止めております。  それで、じゃ厳しい規制をどんどんすれば技術も加速するのかという、こういう議論がよくございます。先ほどのオイルショックの話のときにも、アメリカで厳しい規制が出た、あるいはカリフォルニアで幾つかその後厳しい電気自動車を義務付けるような規制も出た。いろいろあって、それで、私ども開発努力は一生懸命するんですが、やはりその時点でできることできないこと、あるいは技術としてはできるんだけれども、こんなにコストが掛かってそれは社会の需要性がないというようなこともあるんですね。ですから、技術開発としては進むんですけれども、それがすぐに商品として出せるかという話になると、ちょっとそこは、お客様あっての商品なものですから、なかなかあの時点で、例えば今から十年前の時点で電気自動車がぽんぽん出せたかというと非常に疑問を感ずるわけです。  ただ、だんだんそういう中で技術開発をしてきておりますので、乾いたぞうきんかというと、先ほども申し上げましたように、まだポテンシャルとしては自動車の場合に幾つかあるんだろうと思うんです。確かに、ガソリンエンジンとかディーゼルエンジンとかという石油系の燃料を燃やして対応する限りは、もう三〇%ぐらいの改善が先ほど申し上げたように精いっぱいなんですが、そこは電動車両に切り替えていく、まさにそこの正念場に今差しかかってきているんだろうと思います。  ですから、ここのところは、なるべく普及させていくための後押しも私ども欲しいですし、それから、電気を使うということに関してのインフラの整備というんでしょうか、あるいは発電そのもののキャパシティーも上げてもらう、それから、発電の原料となる一時エネルギー石炭とか石油ではなくてもっと再生可能なものにしていただくとか、そういうふうなことを政府の政策として後押しをしていただくというのもメーカーの技術開発と並行して必要なんだろうなと、このように考えてございます。
  19. 石井一

    会長石井一君) それでは、加藤修一君。
  20. 加藤修一

    ○加藤修一君 公明党の加藤修一でございますが、今日は四人の参考人の皆さん、大変ありがとうございます。分かりやすい話をいただきました。  私は、まずは酒井参考人関田参考人齊藤参考人、三人に同じ質問をさせていただいて、その後、別の観点から八谷参考人ということにしたいと思っております。  七月にはG8サミットが開催される運びになっておりまして、環境がテーマということでありますし、その中でポスト京都の枠組み、COP13で二〇〇九年中にポスト京都の枠組みをつくっていかなければいけないと。そういった意味では、中長期的な削減目標の合意内容というのは、やはり今後、気候安全保障にとって極めて重要でありますし、企業としても様々な取組を今されているということについては本当に感心しながら聞いていたわけでありますけれどもCO2排出の視点からグローバルなサプライ・チェーン・マネジメントをやっていたり、あるいは国内的にもESCO事業をやっているとか、そういう話をお伺いいたしました。  それから、ビジネスチャンスになるということから考えると、環境と経済をいかに好循環させるかということも極めて重要な視点でございますし、地球温暖化対策などの仕組み、これを社会にいかにビルトインするかということが非常に大事だと思っております。  クールアース50で二〇五〇年で五〇%削減、これは世界全体の平均で五〇%でありますから、日本があるいは先進国が七五%とか八〇%とかかなり大変な削減数値目標になりかねないと。そういった意味では、企業戦略としてこういった気候の安全保障に対してどう取り組むかということが極めて重要だと思います。  私は、京都議定書目標達成計画、このポスト京都の前の話ですけれども、手元に調査室が作ってくれた資料があります。皆さんの関係の資料も入っている冊子でありますけれども、今年の二月の八日に京都議定書目標達成計画の評価・見直しに関する最終報告というのが出ておりまして、これは、中身は今まで新聞紙上も相当議論が出てきていると思うんですけれども、ただ、達成するに当たってはなかなか厳しいなと私はとらえております。  ただ、その中で、「今後、速やかに検討すべき課題」ということで五点ほど書かれているんですね。今日の日経新聞なんかにも、EU型の排出権取引を検討、経済産業省が方針転換と、報道ではそういうふうになっています。導入の検討をする。その中には環境税の話もあるわけですね。  検討すべき課題ということで、この目標達成計画の中で、国内排出量の取引の関係とか環境税の関係とかサマータイムの導入と、こういうことが載ってございます。それぞれ三人の参考人の皆さんは、この辺についてどのように議論されてきているか、その辺についても教えていただければと思います。  それから、八谷参考人には、先ほどバイオマス燃料の御説明がございました。自動車単体の技術開発、これはこれで非常に大事な話でありますし、問題は、自動車が燃焼させるその燃料の問題も極めて重要である。  バイオ燃料の関係については今、相当議論がされている最中でありますけれども、ただ、宮古島の関係です、バイオエタノール・アイランド構想が頓挫かと、これも報道で示されているところなんですけれども。これはそれぞれ業者間の思惑があったりして、例えばE3が今やられていますけれども、E10とかE50とかE100とか、そういうふうになっていくことが私は望ましいと考えておりますが、どうもそうでもないお考えの方も系列系であるようで、独立系はどっちかというと、E3含めて拡大の基調として考えているようであります。  これは、エタノール系のバイオ燃料が出てくれば地方の活性化にもつながる話だと考えておりますが、こういった今の状況、バイオエタノール・アイランド構想が頓挫かなんていうふうに言われるような状況で果たしていいんだろうかというふうに私はとらえておりまして、自動車のいわゆる燃料の観点からいってもこれは極めて重要な点かなと思っておるものですから、その辺についてのお考えがあれば教えていただきたいなと思います。  以上でございます。
  21. 酒井清

    参考人酒井清君) まず、ポスト京都議定書の枠組みというところなんですが、企業の間にはいろんな意見があると思うんですが、弊社では今二〇五〇年という長期目標を立てていまして、二〇五〇年の長期目標は先進国の環境負荷を現在の八分の一にしなければいけないだろうということで、そこから我が社の目標値を、開発途上国はちょうど倍ぐらいになるとバランスが取れるということで、ちょうどそれが、多分二〇五〇年度の五〇%、ワールドワイドに五〇%削減というのとほとんどニアリーイコールなんですね。この八分の一議論というのは、例えば東大の山本先生ですとかあるいは環境研究所からも同じような数字が出ていますので、結構リーズナブルな数字だと思うんです。  ところが、八分の一というのは途方もない数字でありまして、そんなことできるのかというと、すぐは答えなんか出ないものですから、二〇五〇年に八分の一にするとすると、バックキャストと言っているんですけれども、五〇年に八分の一だったら、二〇二〇年何%削減だと。大体、今私どもの試算では、今、一三年度で二五%削減という、そういう具合に中間目標値を置いているんですが、いずれにしても、一遍に八分の一というと、考えると途方もなくなってしまうんですが、五〇年をゴールとして引っ張ってくると、京都議定書の六%削減だとか何かと余り変わらない数値が出てくるので何となく安心するというようなところはあります。  ただし、どこまでやっていくかという完全にめどが立っているわけではありませんので、やり方として私は、そういう具合な、もう少し楽観的にやっていかざるを、企業としてはいけないなという具合に思います。  それから、排出権とか云々とか出てきますよね。まず総量規制を掛けるべきか、つまり、キャップを掛けるべきかどうかという議論がいつも出てくるんですが、これも私ども企業だけは少しメーカーの中では異質な意見を持っていまして、キャップを掛けるべきだと、そうしないと目標値が立たないと。ただし、キャップが掛かったときには必ず排出権取引をセットにしてほしいと。要するに、炭酸ガスを減らした企業がもうかるようにしないと、キャップだけ掛けられたってインセンティブないわけです。  したがって、例えば我々がMアンドAしたり、あるいは川下、川上に事業が出ていくときに、そこの事業炭酸ガス削減した部分がインセンティブにならないとだれもそういう技術革新をしないということになりますので、総量規制をしていただくんだったら排出権取引はセットであるというのが我々の会社としての持論であります。  ちょっと長くなりましたけれども、以上です。
  22. 関田貴司

    参考人関田貴司君) ポスト京都でございますけれども、これは私どもの主張で述べさせていただきましたように、ただいまの京都議定書の体系の中にアメリカ、中国、インドというような主要排出国が入っていないということで、次期枠組みには絶対この国を始めとした主要排出国が入らないと、先ほど述べさせていただきましたように、CO2はどこで発生しても地球を回りますので、地球での温暖化防止にはならないというふうに思います。  ということで、やっぱりその合意できる枠組みといいますか、それが大前提であろうかと思います。そういった中で、セクトラルアプローチというのが私ども鉄鋼業が主張している一つの手法でございます。  ですから、G8サミットが今年あるわけですけれども、やっぱりよく考えて国策をお決め願いたいというふうに思います。また、安易に、安易と言うと失礼な言い方で恐縮ですけれども京都議定書みたいな仕組みは非常にまずいというふうに思います。  それから、この第一約束期間の達成に向けてでございますけれども国内取引、いわゆるキャップ・アンド・トレードでございますけど、これもやっぱりキャップをどう設けるかというのは非常に難しい問題でございます。  本日、JFEスチールの例を述べさせていただきましたけれども、鉄を一トン造るのにどれだけCO2排出するか、いわゆるCO2排出単位と呼んでおります、それ掛ける生産量でございます。生産量というのは、お客様、私どもお客様はすべて産業界ですけれども、その先のお客様は一人一人の消費者でございます。その方々がお買いになるからということで我々素材のところまで上がってきますので、そうすると、そのキャップというのは原単位掛ける総量でございまして、それをどうやって掛けるかというのは非常に難しい問題かと思います。  それから、環境税につきましても私どもは反対を唱えております。これは、我が国の主要な貿易競争相手国、鉄はもうグローバルに展開してございまして、これもさっきの不公平ではございませんけど、韓国、中国、アメリカ等は京都議定書の成果を負っておりませんので、我々のように場合によってはCDMを購入して使うと、そういうこともないというその中で、我々は自主行動計画でお金も使い、頭脳も使い、やっているわけですけど、そこに更に環境税というのはどうも耐えられないというのが正直なところでございます。  それから、サマータイムにつきましては、ちょっと個人的で恐縮ですが、これは賛成したいと思っております。  以上でございます。
  23. 齊藤莊藏

    参考人齊藤莊藏君) まず、中央環境審議会と産業構造審議会の合同部会の最終報告京都議定書達成計画見直しの件でございますが、私どもとしては、この評価結果を尊重したいというふうに思いますが、現状での見通し、決して楽観できるものではないというふうに感じています。  産業界といいますか、工業会ベースでは確実にモニタリングして把握可能ですし、何とか対応していくと思うんですけれども、その他の対策項目につきましても、モニタリング方法の確立、これが非常に重要だなというふうに理解しております。  それから、排出権取引云々の話でございますが、現在の京都議定書の枠組みにおいては、やはり経団連の主張といいますか、反対せざるを得ないというふうに考えております。  一つは、やはり公正な、公平なキャップの設定ができるのかどうかということと、それから、先ほどからございますように、その主要な排出国で参加していない国がある、こういう状態では機能しないんではないかということで、やはりポスト京都議定書国際的な枠組みの総枠の議論の中で、とにかくすべての主要排出国が参加する、それから、各国の事情に配慮した柔軟で多様な枠組みであるとか、あるいは環境と経済成長が両立できると、こういった基本的な条件が満たされるということが大前提で、例えばセクター別アプローチとか排出削減への仕組みが議論され、それを補完するものとしての排出権取引といいますか、勉強する必要はあると考えておりますけれども現状ではそういうふうな理解でございます。  以上でございます。
  24. 八谷道紀

    参考人八谷道紀君) それでは、御質問は、バイオ燃料の拡大、特に宮古島のケースというようなことでどう考えるかという御質問だったと思いますが、まずバイオ燃料に関しての自動車産業の考え方は、一緒にお配りしましたパンフレットの七ページ目、ちょっと御覧になっていただけますでしょうか。このパンフレットでございますが、ここの真ん中の下に「バイオ燃料の普及に自工会は協力します。」と、こういうふうな書き方をしてございます。  これは、全社ほとんど一丸となって同じ考えでございますが、現在の市場に出回っている車は三%までのエタノールの混入ですと全く問題なく走れます。ですから、今日三%を入れるよと言っていただいても、これはだれも困る話は、だれもといいますのは、消費者の、車を運転される方はだれも困らないと、こういうふうに申し上げます。  それから、一〇%ぐらい濃度を上げるとこれはどうなるかと申し上げますと、今、多少アルミ部品等々の腐食の問題がありまして、古い車、まず市場に走っている古い車はひょっとしたら問題があるかもしれません。ただし、先ほどちょっと私のプレゼンテーションの中で申し上げましたように、弊社の車あるいはほとんどの今新車として販売されている車については、一〇%のエタノールであれば問題はないと、こういうふうに申し上げます。ただし、今の新車ですから、それが日本全体、七千五百万台の車に全部代替するまでに多分十数年掛かるんだろうと思いますけれども、その間は、全部の車に一〇%入れられるかというと、多少技術的な問題がございます。  さらに、お話にありました八五%とか一〇〇%とかということでございますけれども、ここから先は、先ほども申し上げましたように、技術としてはアメリカとかブラジルとかという国で対応してございますんで、技術の問題ではなく、むしろそのために掛かるコスト、開発コストですとかそういったものを、それを全部その宮古島の一定の消費者に負荷を掛けるということは我々もビジネスとしてはできないのかなと。要するに、車の値段が高くなっちゃったときに、宮古島だけで売っている車がほかの本土よりも高いという、こういうことでは許されないんだろうと思うんで、そうすると、どこかにしわが寄ってしまうのかなと。  その論議の前に、むしろ、じゃ日本では本当にバイオ燃料というのは八五%とか一〇〇%とかという高濃度にするだけ余裕があるんだろうかというところを若干疑問に感じていまして、日本の農業から出てくるバイオ燃料ですと非常に燃料自体が高くなるであろうし、輸入するとなると今度は輸入するためのトランスポーテーション、そのときの輸送のためのCO2排出ですとか、そういったものも付加されますし、ですから、バイオ燃料の最も適当なのは、例えば建築廃材辺りから非常に安いコストでバイオ燃料ができるということであれば、これは普及は非常にいいんだろうと思うんですけれども、サトウキビとかトウモロコシとか、農産物あるいは食料とバーターするようなやり方ですと、しょせん限りが出てくるだろうと。それは多分、国民全体の理解も得られないんだろうなということで考えてございまして、むしろ日本で取れるエタノールは広く薄く、先ほど申し上げましたように、三%という、こういう中で広く薄く使う方が理にかなっているのではないだろうかというふうに考えてございます。  ちょっと長くなりましたけれども、申し上げます。
  25. 石井一

    会長石井一君) それでは、西田昌司君。
  26. 西田昌司

    ○西田昌司君 四人の参考人の方には、本当に熱心にまじめにそれぞれの企業でこのCO2削減に取り組んでおられること、まず敬意を表したいと思います。  ただ、それで、京都議定書のレベルは何とかなるにしましても、その後の根本的な気候変動を抑えるための削減となりますと、本当に天文学的数字ですよね、これ。しかも、ブレークスルーということを言いましても、結局はいわゆる後進国、中国やインドが生産量を伸ばせばそれだけで多分、そのブレークスルーやっても生産量が伸びると一挙にそれはもうできませんから無理だろうなと。しかもまた、自動車産業なんかでエタノールなんかも、これはもう食料とバーターになってくるわけですから、そう考えてみると、結局この問題は、一応経済界はこれを一つの契機に取り組んでおられるんですけれども、そもそもいわゆるこのグローバリズムといいましょうか、世界全体の経済成長が人類を幸せにしてくれるという近代の考え方、そこに根本的な誤りがあって、どこかでこの仕組みを止めないとどうしようもないと。  これは、本当は結論はそうだと思うんですけれども、ところが、このことをだれもが、本当に真剣に考えている人はそういうことをどこかで感じておられるはずなんですけれども、それ言ってしまうと、自分の企業も世界の経済もストップしてしまいますから、取りあえずブレークスルーということを当てにしながら何かやっていきましょうかというような印象をずっと私、持っているんですね。  それで、これは本当は、ですから経済界というよりも我々政治の世界に携わる者の責任であるんですけれども、むしろ、ですから本当の話は、経済界の方も、我々は、そういうように世界の取決め、政治家がされてきたんだから、取りあえず京都議定書の分はやってるけど、その先の話は、そもそものそういうところの仕組みを議論してもらわないと、これ、できないんですよというメッセージをそろそろ出してもらわないと、つまり、国民的にもそういうところにみんな本当に焦点が当たってないんですね。これ、本当に一番怖い話なんですよ。  ですから、進んでいったら最後はどうしようもなくなってしまったという最悪のシナリオが実は用意されているんじゃないかなという気がしまして、その辺のところをどういうふうにお考えなのか、率直な御意見をお聞かせいただけたらと思うんですけれども
  27. 酒井清

    参考人酒井清君) 現時点で余り断定的なことを申し上げられないんです、正直言うと。私も、元々はサイエンスに身を置く人間ですので、やっぱり科学技術の可能性というものを信じたいというのがあるんですね。ただ、昨今、私どもいろんなシミュレーションをやっている中で非常に気になりますのは、資源の枯渇というのが結構問題になってくるんだろうと。昔のローマ会議ではないんですけれども、今のところ余り話題になってないんですけれども資源の枯渇が問題になっている。    〔会長退席、理事広中和歌子君着席〕  こういうことを考えると、相当な循環型社会が必要になってくるなという具合なシミュレーションがありまして、実はそこをクリアすると意外と非常に資源循環がうまくいくんじゃないかというモデルも考えられるものですから、余り断定的にもう悲鳴上げるというようなところまでなかなか申し上げられないというのが実情です。
  28. 関田貴司

    参考人関田貴司君) 基本的には酒井参考人と同じ意見でありまして、基本的に、例えば我々国民が豊かな生活をするということが裏返してCO2排出につながっているわけです。今、中国、インド、東南アジアの方々も、いわゆる文化的にどんどんどんどん非常に便利な生活に変わりつつあると。そういうところでやっぱりCO2は出ているわけでありまして、先ほど加藤先生のお話にもあった、例えば議定書の達成に向けての、我々産業界でよく、国民一人一人の意識が、意識というか、そこは啓蒙が足らないんじゃないですかというような提言もさせていただいていますように、基本的には、国民というか全世界の人々がやっぱりそういう認知を持つことだろうと思います。  あとは、技術的に現在の持っているものからしますと、西田先生おっしゃるように、これはもう絶望的だということになるかもしれないんですが、酒井参考人がおっしゃるように、いろんなテクノロジーがまだこれから出てくると。なおあきらめずにやっぱりソリューションを探すということなんだろうと思います。  私ども、そのセクトラルアプローチなんて言ったのは、これは今ある技術、今この地球にある技術で一番いいものをみんなに使っていただければ少なくとも増加は抑えられるということの意味で使ったわけでございまして、その先の二〇五〇とかいう世界においては、まだ技術、先ほどの乾いたぞうきんじゃないですけれども、ぱっと新しい発想が出ればまた変わってくる展開があるんじゃないか、今これからそれをやっぱり探していくんだろうなというふうに思います。  以上です。
  29. 齊藤莊藏

    参考人齊藤莊藏君) この地球温暖化の問題、本質的な問題である、非常に重大な課題であるというのは、そういう認識でございます。そのためにも、国民といいますか、世界の人々を含めまして、そういった理解がまず必要かなと。この辺が是非政治にお願いしたいところだなということでございます。  それで、その具体的な対策ということになるんですけれども、まさに是非これを、ポスト京都議定書、サミット等々、これからいろんな政治日程ございますけれども、よく十分な議論をして理解をしなきゃいけない問題だというふうに思います。  それで、具体的な対策としたら何があるんだということでいいますと、まだまだいろいろ手がございまして、一つ日本省エネ技術、これはかなりやはり世界でも冠たる省エネ技術でありまして、これの世界市場への技術移転、これが進みますと相当程度いきます。  さらに、先ほど私の説明でも御説明しましたけれども革新的な技術開発といいますか、エネルギー資源エネルギーとその環境、地球温暖化の問題というのを一体で考えますと、やはり原子力発電でありますとかあるいは火力発電ども効率化のいろんな技術開発があり得ますし、そういった今いろいろ議論されている技術開発、ブレークスルーを総動員して、諸外国もそういうことの開発に国家がかなり力を入れて取り組み始めておりますし、日本でもいろんな議論の中で技術開発戦略、計画が、プログラムができております。それを推進することで、かなり日本が世界のこういった地球規模の問題に対してリーダーシップ発揮できる、そういう可能性、それがやはり日本が生きていく道ではないかということで是非お願いしたいと、そういうふうに思います。  トータルとして、この五五〇ppm、あるいは四五〇ppmだとか、あるいは地球温暖化の温度の上昇程度を幾らに抑えるかとか、今いろんな議論がありますけれども、それを是非、どういう手段によってそういうところへいくかということを併せてやっぱり議論しないといけない問題だというふうに考えております。  以上でございます。
  30. 八谷道紀

    参考人八谷道紀君) 確かに、地球温暖化の問題、非常に悩ましいというんでしょうか、大変な問題だと思っております。  特に運輸部門といいますのは、私、先ほどは申し上げませんでしたけれども、私どもの解析でも、GDPの伸びとそれから人の輸送距離というのは完全に正比例している関係にございます。したがって、これから途上国が経済発展をすればするほど自動車の保有台数は増え、経済活動は増え、そのために走行距離が増え、当然のことながら消費するエネルギーが増えると、こういう関係にあろうかと思います。  IEA、国際エネルギー機関ですか、ここの見積りですと、二〇五〇年には地球全体の自動車の数は今の二・九倍になるんだろうと。今ですら日本が七千五百万台、アメリカが二億何千万台、ヨーロッパがというような、こういう数字が、非常に大きな数字、今正確に数字持っていませんけれども、それが全体で二・九倍となるという、非常に大きな運輸部門でのエネルギーが将来使われるという、こういうことを目の前にしてやっぱり何かしなきゃいけない。そのためには、先ほど申し上げたような、今の石油だけに頼っている自動車ではいかんせんやっぱりサステーナブルにならないんだろうと。だから、石油以外の燃料に転換していく必要があるだろうと。  そういうことで、自動車の場合には、先ほどから申し上げています電気自動車というのがかなり大きな将来普及させられる技術として見えつつある。だけれども、そのためにはまだ、バッテリーの性能を良くしなきゃいけない、手ごろに今のガソリン車と同じような値段で買えるようなコスト削減もしなきゃいけない、こういう技術課題がたくさんございます。  だけれども、そういうふうに将来は多少は見えているというか、やらなきゃいけないことははっきりしているということで、これに邁進して取り組んでいくしかないのかなと、こういうふうに考えてございます。
  31. 広中和歌子

    理事広中和歌子君) 室井さん、お願いいたします。
  32. 室井邦彦

    ○室井邦彦君 今日は、お忙しいところ参考人の皆様方にはお時間をいただきまして、感謝を申し上げます。  特に関田参考人にちょっとお聞きをしたいんですが、今るる御説明がございました。そういう中で六・九%削減されたという、日本削減目的六%という、こういう京都議定書で決定したそれを上回る企業努力をされていることに対して心から高く敬意を表する次第であります。また心強く思っております。  そういう観点から、今の時流というか流れで、環境に優しい企業というのは非常にそれぞれの企業のイメージアップをするわけでありますが、少し私の心配をしている点は、このCO2削減する高度の日本技術力、これが鉄鋼業界の、特に中国、インド、こういうところに技術提供したときに、日本国際競争力というもの、そしてまた製品価格、こういうことに対してどう対応をしていくのか、どういうことが想定できるのか、是非その点を関田参考人の方からお聞かせいただきまして、そしてまた、皆さん方の、参考人の方々の企業においても、そういう技術力によって対抗し得る力というか、企業の免疫があるのかどうか、是非その点を今後の日本の経済力のためにもお聞かせを願いたい、このように思います。
  33. 関田貴司

    参考人関田貴司君) 室井先生の御質問でございますけれども、私ども、日中であるとかAPPであるとかで環境、つまり鉄を造るときの省エネ技術であるとか、それから環境を良くする技術だとか、そういうものはお渡し、もちろん有償ですけれども、お渡ししますということでございまして、ある意味、省エネ設備というのは彼らのコスト競争力を高めるのに役に立つ可能性があります。ただ、今我々論じているように、CO2はやっぱり世界で論じなきゃいけないので、我々鉄鋼業としてはその技術までは出しましょうということを鉄鋼連盟で一応そういう腹ぐくりをしてございます。  先生おっしゃるように、じゃ、日本鉄鋼業の競争力は大丈夫なのかということでございますが、もう一方で、私どものところで紹介させていただいた、例えば自動車用のハイテン、ハイテンというか、高張力鋼であるとか、それから高効率電磁鋼板であるとか、そういう造り方だけはしっかり抱えておりますので、いわゆる商品国際競争力というのは、これはもう我々日本企業の宝ですから、これはしっかり持っておりますし、また、省エネ設備だけじゃなくて、やっぱり上工程から下工程まで一連の流れの中でのノウハウというのはまだまだたくさんございますので、ここの中で省エネであるとか環境技術を発展途上国なり各国にお出ししても日本鉄鋼業の競争力は全く問題ないというふうに認識しております。
  34. 酒井清

    参考人酒井清君) 産業によって随分違うと思うんです。私どもがやっているそういう画像系というんですか、割と技術がどんどん新しいものが出てくる可能性が高いんですね。今、最先端ですと、インクジェットで非常に印刷スピードぐらいのスピードで印刷できるような高速印刷機みたいなものが開発されていまして、多分これからメジャーになるんだろうと思うんですね。そっちは熱を使わないものですから、非常に省エネの印刷システムとしてみんな着目しているわけです。    〔理事広中和歌子君退席、会長着席〕  非常に怖いのは、シリコンバレーのメカニズムというのは非常に怖いんですね。ITで、御存じのように、ベンチャービジネスが物すごいインセンティブがあるとさっと立ち上がってくると。ああいうメカニズムを、アイデアはシリコンバレー発で世界の工場を使って作るというような、グローバルな研究から生産、販売に対するメカニズムみたいなものが非常に今のグローバリゼーションの中で進んでいるんです。  したがって、例えば今まではITだったんですが、最近はバイオですよね。ベンチャーのメカニズムではバイオの技術がどんどんでき上がっている。もしかしたら、世界中がこういう環境技術の開発にしのぎを削るという具合になったときに、やっぱり私が一番怖いのは、シリコンバレーのアメリカのベンチャーメカニズムを使ってそういうものが出てきたら我々つぶされますので、我々としてもそれに対抗するやっぱり技術開発を常に続けていかないと負けてしまう。それはもう極論を言うと、ビジネスモデルの変更というそのレベルの技術開発で負けてはもう駄目だという、そういう状況が言えると思います。
  35. 齊藤莊藏

    参考人齊藤莊藏君) お答えします。  途上国の炭酸ガス削減は、炭酸ガスというのは地球規模の問題ですから、やはり先進国として必要不可欠だというふうに考えております。可能な限り技術協力はすべきであろうと。一方で、省エネ技術といいますか、こういった日本企業の持つ技術というのは、今まで築き上げた貴重な財産でありますし、移転先との間で知財、知的財産保護の問題とか、いわゆるそういうものの制度整備等、これは国家レベルでの支援をお願いしたいというふうに今は考えております。  それから、途上国が追い上げてくるということについての国際競争力の課題でありますが、これは製品分野といいますか技術分野によっても違いますけれども、私たちの担当しております分野でいいますと、やっぱり常に日本がこの技術開発で世界をリードしていくと。開発を立ち止まったらやっぱり追い付かれるし、国際競争力を失ってしまうと、そういうずっと過去の経緯であります。  それで、特に革新的な発電設備とかになりますと、開発規模が非常に大きいとかあるいは非常に時間が掛かるといったことがございまして、やはり国の適切な支援といいますかが非常に必要だというふうに思います。欧米諸国もこのことをよく認識しておりまして、今、ヨーロッパあるいはアメリカ、国を挙げてそういった先進的発電技術の開発に血道を上げているというような状況もございまして、日本もそれに負けないようにやっていかなきゃいけないなというふうに認識しているところであります。御支援を是非お願いしたい、そういうふうに思います。  以上です。
  36. 八谷道紀

    参考人八谷道紀君) 日本自動車産業の今ある姿というのを振り返ってみますと、やはり技術国際競争力で今までは何とか追い付け追い越せ、今は追い越して今度は抜かれるなと、こういう状況にあるんだろうと思います。  だけど、それでいつまでも安心していていいわけではなくて、やはり慢心というのは非常にまずいことで、常に技術開発はどんどん進めていかないと、逆に、過去にイギリスが日本にいろいろと自動車の製造技術を、私ども会社もオースチンから図面をライセンスでもらって造ったり、そういうようなことをしてきて、そういうことを考えますと、やっぱりこれからは途上国のメーカーが我々を抜いていくという、今は協力しているかもしれないけど、将来抜いていくということも当然考えられるわけで、我々としては、やっぱりそれは抜かれないように一生懸命我々も頑張らなきゃいけないし、そのためには、国を挙げてというところまではオーバーなのかもしれませんけれども、特に新しいバッテリーですとか燃料電池ですとかという領域では今みんないろんなところで開発しているわけですね。  ですから、ひょっとしたら最後は大きな資本を持っているところが強いというようなことにもなりかねないんで、そういうふうにならないように着実に技術を積み上げていかなきゃいけない、そんなように感じていまして、二度と、イギリス自動車産業の二の舞にならないようにしないといけないなと、こう常に今の日本自動車産業というのは、また帯を締め直してというんですかね、そんなことで進めていこうと思っています。
  37. 石井一

    会長石井一君) それじゃ、峰崎直樹君。
  38. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 民主党の峰崎と申しますが、先ほど来、余り今日は質問すまいかなと思ったんですが、ちょっと気になることがございまして、気になるというのは、ちょうどコーポレートガバナンスという言葉が、あるいは企業社会的責任ということがあるんですけれども、最近では株主に対して非常にMアンドAとかいろんなことが出てまいります。そうすると、今日の四人の参考人企業の皆さん方も、当然株主から、まあ環境もいいけれどももうちょっと配当をよこせよと、あるいは、そういう長期的な投資もいいけれども我々の利益をもっと優先しろとか、だんだんそういう圧力も加わってくるのかなと。  そういう意味で、コーポレートガバナンスという観点から、あるいはもっと最近の言葉で言えば企業社会的責任という観点と、そういう株主といいますか、企業を取り巻いている様々な利益団体の皆さん方とのあつれきというものはあるのかないのか。  その点、四人の企業の方々、いずれも実は大企業でございまして、最近、もう一つその際、私、非常に気になっているのは、親会社、子会社、孫会社と、こうあります。その親会社はなるほどよくやっているんだけれども、子会社、孫会社のところまで皆さん方の考え方が一貫して及んでいるのかどうなのか。そういった点で、最近、企業でもいわゆる持ち株会社というのが入ってきておりまして、そういう純粋な親会社、子会社、孫会社に対する責任というのは皆さん方の企業にはどのように、そういったところ辺りまでは、こういう環境問題といった取組はどのように及んでいるのかなというのが二点目でございます。  それから三点目で、先ほど来、私も企業国際競争力の問題で、京都議定書にアメリカが入ってこないとか中国が入ってこないとか、いろいろあるんですけれども国際的なこういう取決めにもし入ってこない企業とかあるいは産業あるいは国が出てきた場合、WTOのルールをつくって、そういった国々から輸入するときには関税が少々高く掛かりますよというような、制裁といいますか、きちんとある意味では、国際的なルールに入るところはもちろんそういったものは掛からないけれども、しかし、それに入らないで、言ってみればただ乗りしているようなところには、国としてそれは当然ですよというようなことを私などすぐ考えちゃうんですけれども。  そういったことに対する、将来、WTOというのはいつも農業問題だとかいろんな自由貿易の問題で苦しんでいるところはあるんですけれども、やがて環境問題とか、あるいは雇用の労働条件の問題とか最低保障とか、そういった問題も実は企業国際的な競争力の問題にとってみると非常に大きいし、逆にそこが、社会的なきちんとした人間らしい生活を維持できないような形での国際間のやり取りというのは私はやはり問題があるんじゃないかと思うので、その辺りに対するもし御意見ありましたら、それぞれ四人の方、お聞かせ願えればと思います。
  39. 酒井清

    参考人酒井清君) まず一点、コーポレートガバナンスの関係なんですが、むしろ私、逆だと思いまして、例えばイギリスから出ているスターン・レポートみたいなものは、そういうことをやらないと企業は評価されないという、こういうメッセージを投げてくれているものですから、環境に対する姿勢は株価に反映させるべきだというようなことを言われています。  例えば、今度のダボスでは、毎年ダボスでサステーナブルカンパニーというんですかね、持続可能な会社というリストが挙がってくるんです。自慢するわけじゃないですが、これに弊社はずっと入っているんですが、そのぐらいサステーナブルかどうかというのは企業評価になっていますので、それはいい方向だと思います。  それから二つ目です。子会社、孫会社というのでおっしゃっていましたが、経営も連結なように環境のこの目標値も全部連結でやっておりますので、全部むしろ浸透させて、先ほど申し上げましたように、サプライヤーサイドにも手を出したり、あるいは今度は販売の会社にも同じルールで今やろうとしているんですけれども、そういうような形でむしろ展開を広げているということですね、非常にいいことばかり言いますけれども。  それから三つ目の、これ、EUはもう既に関税を掛けるという姿勢に、ちゃんとそういうことをやっていないところには掛けようというような動きがあるやに聞いております。したがって、逆に言えば、日本がEUのその意思にそぐわない体制、法律だとか何か通ると、私どもEUに持っていくときに変に税金を掛けられる可能性すらあるものですから大変心配しております。したがって、そういう面は是非とも、国際協調というんですか、やっぱりグローバルスタンダードみたいなものが必要だと思うんです。環境問題はグローバルな問題であるとするならば、その対策もやっぱりグローバルなスタンダードに基づいたものがあるんだろうと思うんです。ですから、その辺はポスト京都議定書の中でいろいろ御議論願いたいなという具合に思います。  以上です。
  40. 関田貴司

    参考人関田貴司君) コーポレートガバナンスのところで、私ども会社も実はホールディング会社の下にいる会社でございまして、JFEホールディングスの下にいるJFEスチールという位置付けになっています。  それから、ホールディングスでございますけれども、基本的には今日お話ししたような活動を、今日事前に冊子で環境報告書という形で配らせていただいていると思うんですけれども、いわゆる株主に対するアニュアルレポートとして報じていますし、それから、鉄鋼業界、いろいろこの問題については論陣も張っていますので、私どもの社長もよくマスコミにも登場して、我々、非常にオープンに我々の活動報告した形になっていると思っております。ということで、特にあつれきというかはございません。  それから、二つ目の親会社、子会社でございますけれどもJFEスチールもたくさんのシスターカンパニーを持っております。これは、私どもの部門の人間が各関係会社の社長さんなり環境の担当を集めて、このCO2だけじゃなくて、いわゆる環境の大気であるとか水質であるとか、そういうものの指導を行っております。  それから、三つ目国際競争力というか、枠組みに対する規制でございますけれども、やっぱり基本的には私どもの主張は、とにかくみんなが、米、中、印ですか、みんなが入れる仕組みづくりを目指そうというのが第一でありまして、次のステップとしていろいろな、また、それを入らせるための一つの手段としてこれはあろうかと思いますけれども、我々はそのためにはセクトラルアプローチがいいのではないかという主張を続けさせていただいております。  以上です。
  41. 齊藤莊藏

    参考人齊藤莊藏君) まず、コーポレートガバナンスでありますけれども、私どももこの環境活動をCSR報告書という形で毎年中身を詳細に株主も含めて外部に公表しております。事務局で準備いただきました資料で、三十六ページから私どものCSR報告書の抜粋がございますけれども、この中で環境活動につきまして相当なスペースを割いて詳細に報告し、株主の理解も得ているというふうに理解しております。  それから、子会社、孫会社の話ですけれども、これ、私のプレゼン、説明で申し上げましたけれども、私どもの場合、連結経営ということで連結環境活動をやっております。子会社等も含めまして一つ環境推進会議に集結してもらってその活動取組をやっているところでありまして、子会社でも非常に高位なレベルの取組ということでいろんな評価をいただいているところでございます。  それから、こういうことに入らない国とか企業について制裁云々というお話でございますけれども、やはり私どもも、主要な排出国がすべて参加するというのが一番大事なことでありまして、それが入らなければその人たちの出す炭酸ガス、これは対策しようがありませんので、そういう制裁でどうのこうのというよりも、とにかく何とかして主要な排出国が全員参加する、そういう枠組みを是非お願いしたいというふうに考えております。  以上です。
  42. 八谷道紀

    参考人八谷道紀君) まず、株主の話でございますけれども、今のお三方のお話とほとんど同じなんですけれども、最近の株主総会等々で株主の方から出てくる意見は、むしろ会社をプッシュする、もっと環境に配慮した製品をどんどん出せと、そういう激励のような意見が非常に多くて、心強いといいますか、決して環境に対応するためにお金を使うことはけしからぬなんて言う株主さんはほとんどいないですね。むしろ、そういうことをしていかないと環境評価が上がっていきませんし、それが株価に恐らく長期的には反映されていくんだろうと、こういうふうに思っている次第でございます。  それから、子会社、孫会社という関連企業の話でございますが、これも私ども、特にCO2削減という、あるいは環境問題というその三つの先ほど重要テーマというのを申し上げましたように、これは定期的に会合みたいなものを持って本社から関連企業、グループ企業に方針展開をするようなことを心掛けておりまして、そういう中で十分質疑、質問に対して考え方を説明していく機会というのはあると思っております。  それから、最後国際的に協定に入らないというケース。これも同じように私も非常に悩ましい話で、今の京都議定書の最大の問題は、もう先ほどから何人かの方が触れていらっしゃるように、アメリカとか中国、インドと、こういう非常に大きな排出国が入っていないというところが最大の問題で、これを何とか解消するために次回の、次の枠組みとしては全部が入れるようなものにしましょうということを今、自動車産業としても何とか呼び掛けをしたいなと、こういうことで動いてございます。  ただし、自動車産業で非常に悩ましいのは、先ほど運輸部門のほとんどが自動車だという話を申し上げましたけれども、確かに九〇%ぐらいが自動車ではあるんですが、そこから出ていくものというのは一人一人のドライバーの方がコントロールできるもので、自動車そのものは燃費というポテンシャルを良くするところまでが精いっぱいで、産業そのものがトータルの総量を抑えるという、こういうことに直接手が出せないというところに非常に悩みがあります。  そうは言いながらも、燃費の向上と、それから先ほどドライバー教育みたいな話をちょっとしましたけれども、エコドライブに努めてもらうという、こういう動きと、それから物流とか交通流をうまくスムーズに流すことによって削減するとか、こういう日本のベストプラクティスの例を世界に訴え掛けて何とか交通部門のセクトラルアプローチというものをつくり上げてみんな仲間に入ってもらおうという、こういう今、自動車工業会としての動きをしてございます。  以上でございます。
  43. 石井一

    会長石井一君) 島尻安伊子君。
  44. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 極めてシンプルにお聞きしたいなというふうに思うんですけれども、今ちょっと興味があるのは水素のことなんですね。  それで、今後この水素の技術といいますか、その可能性についてどのようにお考えなのかというのを聞きたいんですけれども、特に鉄鋼業界に関しては昔から水素還元ということに対する取組がなされておりましたので、その技術の蓄積が他国よりも日本は高いだとか、そういうことがもしあるのだったら、今後どのように取り組まれるのかということで、例えばヨーロッパのアルセロール・ミッタルですかはもう大変に前向きに研究を進めているというふうな、ここに新聞記事もあるんですけれども、今後のこの水素に関することをお聞かせいただければと思います。  そしてもう一つ自動車のガソリンに代わるものとしての水素の可能性ですね。先日、オートバイに何か二つタンクみたいな、水素を入れて走るようなものも見てまいりまして、これ、台湾だったんですけれども、もう技術的なものがあるということと、具体的に例えば町のコンビニとかで水素を充てんするような設備をつくってやっていくんだというようなことも言っておりましたけれども、果たしてそれが世界的に見て技術としてどこまでいくのかという、ちょっと興味本位もあるんですけれども、この件でお答えをいただければと思います。
  45. 石井一

    会長石井一君) これは、関田参考人八谷参考人ですか。
  46. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 はい。酒井参考人齊藤参考人でもし何か関連があればお願いいたします。
  47. 関田貴司

    参考人関田貴司君) 製鉄における水素でございますけれども、基本的に高炉というところで、鉄というのは鉄鉱石と酸素がくっついているものですから、この酸素を鉄鉱石から取ってあげるのを今カーボン、炭素でやっているわけですけれども、その代わりに水素を使いますと、水素が酸素を取りますとH2O、水になるということでCO2は出ないということになるんですけれども、現時点で私どもも自所に持っている高炉の中で天然ガスでありますとかそれから廃プラスチックでありますとか、それを補完的に入れるということは現実にやっているんですけれども、全部水素にしてしまうというのはまだちょっと先の先の時代の話かなと思います。だから、そういった意味では、先生がおっしゃるように、部分的に少しずつ少しずつの技術は蓄積はしておりますということです。  それからもう一つ、アルセロール・ミッタルとかいろいろみんな水素の研究というのはやっているんですけれども、これ、実はIISIという国際鉄鋼協会の中で将来を見据えたブレークスループログラムというのがございまして、その中で各国一緒にやったり同時並行でやったりということで研究はスタートしています。  私どものプレゼンテーションでも、最後にちょっと時間がなくて詳しくは御報告しなかったんですけれども、水素を分離して高炉に吹き込む、若しくは自動車の燃料にするとか、そういうのがあるんですが、その辺は今スタートしたところというふうに御理解いただければありがたいと思います。
  48. 八谷道紀

    参考人八谷道紀君) 石油に代わる将来の自動車の燃料になり得るかということが一つと、現実にどうかという、こういう御質問だろうと思います。  まず、石油に代わり得るかということの可能性を否定するわけではございません。ですから、一生懸命、先ほどの話の中にも燃料電池車、これはベースは水素を燃料にする燃料電池車の開発を続けております。ただし、いろいろと問題といいますか、課題がございます。  先ほどはコストが高いとかインフラという話をしたかと思うんですが、水素自体が、ガソリンも火を付けりゃ燃えるという危険物ではあるんですが、水素の場合にはもっと取扱いが危険物として厳しい管理の下に置かれると。そういう中で、コンビニのようなところに水素ボンベを置いてぽっぽっと取り替えられるかというと、やはりちょっとそれは今の段階では無理があるんだろうかなというふうに思います。それは、管理された石油スタンドの隅あるいはその隣に置けばいいのかというと、まだまだ、日本のガソリンスタンドの数は私ども正確に押さえ切れてないので今日数字持ってませんけれども、それに置き換えるとなると相当なインフラの改造が必要なのかなということが一つございます。  それから、最近あった問題としては、今世界中で燃料電池車を私どもも実証実験ということで世界に出そうとしているんですね、アメリカですとかヨーロッパとか。ところが、それ、水素のタンクが水素が入っているがゆえに船に載せてもらえないという、こういう問題もありまして、そういうところの規制といいますか、この辺も見直しを掛けていっていただかないと、今日のあしたではうまくいかないかなと。  ということでありまして、ちょっと結論としては、そういうことも全部含めて考えると少し時間が必要かなというふうに思います。
  49. 石井一

    会長石井一君) あとお二人の参考人の方で、今の島尻委員の質問に何か追加かお考えがありましたらお述べください。
  50. 酒井清

    参考人酒井清君) 私どもは利用側なものですから、例えばプリンターですとか複写機なんかを水素も仲間にした燃料電池みたいなもので動くか動かないかという実験まではもう終わっていまして、動きます、あのぐらいのパワーで、今の。ただ、オフィスで、電力線来ていますから、むしろ電力の脱火力の方がベターソリューションではないかなと。特別な何かポータブルな機器、自動車の中ですとかそういうところに使う非常に特殊な用途では価値はあるんですけれども、我々の商品では余り使わないだろうなという具合な考えでおります。
  51. 齊藤莊藏

    参考人齊藤莊藏君) 水素の話でございますが、私どもも燃料電池ということで、その燃料に水素が使える、そういう燃料電池の開発、それの応用の開発等々をやっております。  課題は、やはり各参考人からお話があったとおりなんですけれども一つはコストの問題、それからインフラの問題、それから水素をどうやって作るかと。その量にもよるんですけれども、今ある水素だけじゃなくて更に水素を作ろうとすると、どうやって作るかという問題が出てきますので、そういったことで、ほかの手段とのやはりコスト競争といいますか、コストバランスといいますか、水素が大きく伸びて水素社会になるかどうかというのは、まだちょっと時間が掛かるのかなという理解でおります。
  52. 石井一

    会長石井一君) それでは、広中和歌子君。
  53. 広中和歌子

    広中和歌子君 本当に貴重なお話、ありがとうございました。私は文科系なものですから技術の話というのは大変理解できないところもあるわけですけれども、ともかく貴重なお話、ありがとうございました。  一九五〇年代から六〇年代にかけて日本は公害列島と言われましたよね。苦しむ患者、それから世論の批判、そして地方自治体、国が最後に動いて、非常に厳しい規制を掛けたり、それから一方では課徴金を掛けたり、あるいはあめとむちということで補助金を出したりというようなことで、企業の方にとっては本当に痛みを伴うことであったと思うんですけれども、すばらしい改革をなさって、そして日本は言ってみれば経済大国になったんではないかなと、そんなふうに理解しているわけなんですけれども。  そういう意味で、環境と経済は両立するんじゃないかと。それは、むしろ信念として持っていただいた方がいいんじゃないかなというような感じがいたします。特に、これからの世界、環境技術で勝たなければということで、特にまたCSRでの評価が高まったりするんではないかなと、そんなふうに思っているんですが、その点について、これからのビジョン、どのように思っていらっしゃるか。  そして、つまり、先ほどからお二方、特におっしゃっていたわけですけれども、インドとかアメリカとか中国などが入らないような中で、自分たちだけが環境で特別な投資をしたりというのはアンフェアであるというんでしょうか、そういうようなお考えをお持ちのようですけれども、そういう国をもちろん仲間に入れて一つの世界の枠組みをつくることは大切なんですけれども、そんなのに引きずられずにどんどん先をお進みいただくことができないんだろうかなと、そんなふうに素人ながら思うわけでございます。  それから、もう一つ環境技術の移転なんですけれども、これも、海外でビジネスをするときに、企業日本環境基準を守ることを基本にしていらっしゃるのか、それとも現地の環境基準にむしろ合わせる方向を取っていらっしゃるのか、分かる範囲で結構ですから、教えていただけたらと思います。よろしくお願いします。
  54. 石井一

    会長石井一君) どなたにお答えいただきますか。
  55. 広中和歌子

    広中和歌子君 特に、関田参考人齊藤参考人にお伺いしたいと思います。
  56. 関田貴司

    参考人関田貴司君) 先生の御質問にお答えいたします。  確かに、昔、公害、私はまだ学生だったんですけれども、それからいわゆる大気であるとか水質であるとか、すばらしい改善ができて世界トップレベルの環境ができたものと思っております。  その中で、先生おっしゃる環境と経済は両立するということでございますが、これは、私どもからいいますと、やっぱり業種によって違うんではないかなと。今日、この四業種でいろいろお話をさせていただいていますけれども、やっぱり省エネ製品がブランドであるということはまさしくビジネスチャンスになるんですけれども、私どものようないわゆるたくさんCO2排出しているところで、現実問題、ただいま京都議定書の第一約束期間でやっているところも、先ほど御紹介しましたように多大な投資もしていますし、非常に投資効果という意味では全く従来の基準には満たないものまでやっているということで、必ずしもすべてが両立するというふうな認識には至ってはおりません。  それから、米、中、印が入らないでアンフェアであるということで、そんな気にしないでどんどんいけばということで、現実には京都議定書鉄連自主行動計画で一生懸命やっているんですけれども、私どももう一つ申し上げたいのは、私ども一生懸命やっても、結果として米、中、印が入ってこないと地球温暖化は進むということを言っているんですね。だから、彼らが入ってくれないと地球温暖化は結果として進んでしまうということを言いたいなというふうに思っております。  それから、環境技術を中国であれインドであれ東南アジアであれ出すときの問題ですが、まさしく先生がおっしゃったところが非常に難しゅうございまして、国によっては基準がないところもあるわけでありまして、例えば水質、排水基準であるとか、大気のSOx、NOxが何ぼであるとか、ない国にこの技術どうぞと言っても、彼らとしても、アクセプトするドライビングフォースも沸かないという非常に難しい問題でありまして、これは是非政府の方にも、やっぱりそういう、このぐらいのSOxだ、NOxだ、ばいじんだ、水質は何がどうだというもののやっぱりある国際基準といいますか、例えば日本がグローバルスタンダードになってもいいのかもしれませんけれども、そうしないと、そういった面でも、我々が技術を出すよと言っても、向こうは全く、いや、そういう受けるドライビングフォースはないということにもなりかねないんで、先生おっしゃったところは誠に非常に現時点においても悩ましいところであります。  以上です。
  57. 齊藤莊藏

    参考人齊藤莊藏君) 先生おっしゃいます経済と環境は両立させるべきだというのは、全くそういう理解でおりますし、そうしなきゃならぬというふうに考えております。  それから、二番目の、インド、アメリカ、中国が入らないのはアンフェアだというお話、自分でという話は、先ほど関田参考人がおっしゃいましたけれども、やはりこの主要な排出国が入らなければこの枠組みというものの意義が非常に失われるわけで、地球の温暖化を食い止められないと。日本だけがゼロにしても食い止められないわけですから、これはやはり現実的にあり得ないと。何としても今回、ポスト京都議定書の議論の中で主要な排出国が全部入る枠組みを是非つくるべきだというふうに考えております。  それから、私どもですと海外が約四割ぐらいな事業規模になっておりますけれども、海外の事業につきましては、基本はやはりその国その国の環境基準にミートするというのが基本であります。例えば、SOx、NOx、この辺も日本が非常に厳しいですけれども、最近はヨーロッパあるいはアメリカの基準というのがそれ以上に厳しいとか、場合によっては、そういうふうに非常に海外も先進国を中心に環境基準が厳しくなっておりますし、我々海外へ対応するにはそれにミートする、そのための技術開発というのも必要になります。  そういうことで、メーカーの優位性をどうやって確保していくか、グローバルな市場において、そういうことのポイントになるわけでありまして、非常に重要な御指摘だというふうに思います。  以上でございます。
  58. 石井一

    会長石井一君) 他のお二人も何か御感想がございますか。
  59. 八谷道紀

    参考人八谷道紀君) 二点目の質問の、日本基準か現地の基準かというところで、自動車もグローバルな商品なものですからいろんなところに出しておりまして、基本的な考え方は、今、齊藤参考人がおっしゃられたように、現地の基準というのをやはり中心に考えざるを得ないのかなと。それは、日本が厳しいとか現地が緩いとかという、そういう基準の厳しさということではなくて、測り方が違うとか、そういう物差しが違う部分が結構ございます。  今日のお話でも、燃費基準というのがアメリカとか日本とかヨーロッパにもあるんですけれども、これはやはり測り方が違うんですね。  それは何かというと、日本日本で、日本の東京の自動車交通渋滞を勘案した走行モードで測りなさいという、こういう基準になっています。アメリカはアメリカで、今度はアメリカのハイウエーとか市街地をシミュレートしたようなモードで測りなさいということで、一概にそれを一緒には扱えないというんでしょうか。ですから、開発するためには二回も三回も同じ車の試験をやり直しをしなければいけないとか、そういうようなこともあって、是非、私どもいつも国土交通省とか環境省、経済産業省には、なるべく基準は世界の基準と合わせて、あるいは日本基準を世界の基準、グローバルスタンダードにするような努力、あるいはもう既にグローバルスタンダードがあるんであればそれを日本に取り入れる、こういう基準調和というのも必要ですねということを申し上げていますし、我々もそういう作業に一生懸命参画しております。  ありがとうございます。
  60. 酒井清

    参考人酒井清君) 先生おっしゃるとおり、環境と経済の両立は可能なのではないかと。私どもの実は環境経営のテーマが環境保全と利益創出の同時実現という具合に、そこを目指さなければいけないんだというのが私ども会社環境経営の基本ですから、おっしゃるとおりだと思います。  それから、これ、商品の特性だと思うんですが、私ども商品は非常にライフサイクルが短いんですが、二年とか三年ぐらいで皆さんお買い換えいただくものですから、非常にそういう環境性能の進歩が早いんですね。したがって、そういうところでは厳しい基準に従うというのが一般の形で、私の最初のプレゼンでちょっと申し上げましたけれども日本でいうトップランナー方式というのは非常に良くて、あれで随分環境性能が上がってきたというのは非常に評価しているんです。  ただ、昨今はやっぱりヨーロッパ、EUがどんどんどんどん規制を掛けてくるということで、我々業界はもうほとんどEU基準で仕事をしなければいけないということで、WEEEですとかREACHですとかRoHSですとか今EuPですとか、いろんなものが基準作られてくるんですね。私ども、国籍は日本でありますけれども、法律はEU基準で動いているという、そういう環境性能は非常に悔しいんですね。  やっぱり世界のリーダーシップを握っていく上では我々も、反対している人もいるからかもしれませんけれども、もっと積極的に仕掛けていくことによってリーダーシップを握れるのではないかと常々思っていまして、いろいろなところでそういうことを申し上げているんですけれども、是非またそういうところでの御指導をよろしくお願いしたいと思います。
  61. 石井一

    会長石井一君) 加藤修一君から追加の質問の申出があります。どうぞ。
  62. 加藤修一

    ○加藤修一君 グローバルなセクトラルアプローチの関係なんですけれども、気候変動の締約国会議では必ず出るのが技術移転の話でありまして、これは関田参考人にお聞きしたいと思っております。  ここの資料の二十四ページには、トップランナー方式、これは効率指標の一例ですよというふうに提示されているわけなんですけれども、必ず締約国会議では非常にこの辺のホットな議論が出てきていて、技術移転の関係です。ある主要排出国の国も、先進国が基金をつくって知的財産権をそこで購入して途上国に無料で供与せよとか、そういうこともあったり、要は、技術移転がいかに円滑になされるかどうかというのが恐らくグローバルなセクトラルアプローチの大きなポイント一つじゃないかなと思っているんですね。  それで、実態としてこの技術移転がどの程度進んでいるかというか、あるいは円滑に進めるためにはどういう仕組みを考えなければいけないかとか、知的財産権はもうそれぞれの企業が持っている話ですから、これはお金だけの問題だと私は単純に考えているんですけれども、その辺、実態としてはどういうふうにセクトラルアプローチの中では進んでいるか、その辺のことについて教えていただきたいなと思います。
  63. 関田貴司

    参考人関田貴司君) 加藤先生のお話ですけれども技術移転ですけれども、これは割と私ども省エネ投資と同じでございまして、投資効率の比較的いいものは向こうの会社さんが自分でお金を出してやると、大体そういうのからスタートしかかっているレベルです、今。  例えば、投資効率が余り良くないとか投資額が大きいとかいうことにつきましては、先生おっしゃるように、どうやっていくかというのはこれから問題だと思います。この間のダボスのときに総理が、百億ドルですかという、例えばODA的なのがいいのか基金的なのがいいのか、これはちょっと私ども企業で判断するというものではありませんけれども、恐らくそういうような資金のめどを付けないと円滑にはいかないのかなというふうに思いますし、先生のおっしゃるように、円滑に持っていくように是非先生方及び政府にもよろしくお願いしたいと思います。  知財につきましては、これも各企業が持っているものでございます。ただ、先ほども申しましたように、鉄鋼業といたしましては、いわゆる省エネ技術環境技術については積極的に出すという姿勢で日中交流でありAPPに臨んでおりますので、ここはその方針でいきます。  基本的には、先生おっしゃるように、お金の問題が円滑にいく一番の問題かと思っております。  以上です。
  64. 石井一

    会長石井一君) それでは、本日の調査はこの程度といたします。  この調査会は国会で最も熱心な調査会なんですが、今日は同時間に重要な委員会がかなり開かれておりまして、今日だけは多少欠席が多かったことを会長として深くおわびを申し上げたいと存じます。  一言ごあいさつ申し上げます。  酒井参考人関田参考人齊藤参考人及び八谷参考人におかれましては、長時間にわたりまして大変貴重な、また忌憚のない御意見をお述べいただき、おかげさまで大変有意義な調査を行うことができました。調査会を代表し、各参考人のますますの御活躍を祈念いたしまして、本日の御礼とさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)  それでは、次回は来週水曜日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十分散会