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2008-02-06 第169回国会 参議院 国際・地球温暖化問題に関する調査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年二月六日(水曜日)    午後一時三十三分開会     ─────────────    委員氏名     会 長         石井  一君     理 事         今野  東君     理 事         広中和歌子君     理 事         室井 邦彦君     理 事         川口 順子君     理 事         野村 哲郎君     理 事         浜田 昌良君                 浅尾慶一郎君                 喜納 昌吉君                 工藤堅太郎君             ツルネン マルテイ君                 松井 孝治君                 松岡  徹君                 峰崎 直樹君                 山根 隆治君                 荒井 広幸君                 神取  忍君                 佐藤 正久君                 島尻安伊子君                 西田 昌司君                 牧野たかお君                 丸山 和也君                 加藤 修一君                 山本 香苗君                 山内 徳信君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         石井  一君     理 事                 今野  東君                 広中和歌子君                 室井 邦彦君                 川口 順子君                 野村 哲郎君                 浜田 昌良君     委 員                 浅尾慶一郎君                 喜納 昌吉君                 工藤堅太郎君             ツルネン マルテイ君                 松井 孝治君                 松岡  徹君                 峰崎 直樹君                 山根 隆治君                 神取  忍君                 佐藤 正久君                 島尻安伊子君                 牧野たかお君                 丸山 和也君                 加藤 修一君                 山内 徳信君    事務局側        第一特別調査室        長        藤崎  昇君    政府参考人        総務大臣官房審        議官       河内 正孝君        外務大臣官房広        報文化交流部長  山本 忠通君    参考人        独立行政法人国        際交流基金理事        長        小倉 和夫君        財団法人日本国        際交流センター        理事長      山本  正君        日本放送協会副        会長       今井 義典君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○国際問題及び地球温暖化問題に関する調査  (「日本国際社会における役割リーダーシ  ップの発揮」のうち、日本発信力強化(日  本の発信現状活動概要体制戦略等))  について)     ─────────────
  2. 石井一

    会長石井一君) ただいまから国際・地球温暖化問題に関する調査会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国際問題及び地球温暖化問題に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石井一

    会長石井一君) 異議なしと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 石井一

    会長石井一君) 異議なしと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 石井一

    会長石井一君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国際問題及び地球温暖化問題に関する調査のため、本日の調査会総務大臣官房審議官河内正孝君及び外務大臣官房広報文化交流部長山本忠通君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 石井一

    会長石井一君) 異議なしと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 石井一

    会長石井一君) 国際問題及び地球温暖化問題に関する調査を議題といたします。  本日は、「日本国際社会における役割リーダーシップ発揮」のうち、日本発信力強化に関し、日本発信現状について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。  本日は、独立行政法人国際交流基金理事長小倉和夫参考人財団法人日本国際交流センター理事長山本正参考人及び日本放送協会会長今井義典参考人に御出席をいただいております。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  各参考人におかれましては、御多忙のところ本調査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  本調査会では、「日本国際社会における役割リーダーシップ発揮」について重点的かつ多角的に調査を進めておりますが、本日は、日本発信力強化に関し、日本発信現状について、それぞれの組織活動概要体制戦略等を踏まえ、各参考人から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。  本日の議事の進め方でございますが、まず、小倉参考人山本参考人、そして今井参考人の順でお一人十五分程度御意見をお述べいただいた後、午後四時ごろまでをめどに、途中暫時休憩を挟み、質疑を行う予定ですので、御協力をお願い申し上げます。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、小倉参考人から御意見をお述べいただきたいと存じます。小倉参考人
  8. 小倉和夫

    参考人小倉和夫君) 小倉でございます。  今日は、この調査会にお招きいただきましてありがとうございます。  また、この会のメンバーの方には、国際交流国際理解、いろんな意味でそういう方面に御理解がある方、御支援いただいている方も多いと感じておりまして、常日ごろの御支援に感謝申し上げたいと思います。  さて、実は……
  9. 石井一

    会長石井一君) 参考人、どうぞお掛けいただいても結構でございます。
  10. 小倉和夫

    参考人小倉和夫君) はい。それではちょっと座らせていただきます。  国際交流基金活動概要といったことについて御説明したいんですが、日本発信というときに、日本ブランドは何かということが非常に大きな問題であります。名前はどうするのか。国際交流基金という名前はそもそもこれでいいのか。世界ではジャパンファウンデーションということで知られております。できれば私たちも国内でもそう言いたいんでありますが、これは中国語ではクオジージャオリュウジージンホェイということになり、ジージンホェイとホェイが付くんですけど。ということになりますので、なかなか難しい問題がありますが、今日は両方を使わせていただきたいと思います。その理由は、国際的にはジャパンファウンデーションと言っておりますので、なるべくそのブランドを定着させたいという、これも発信一つのコツではないかと思っているからであります。  国際交流基金ジャパンファウンデーションは、一九七二年に設立されまして、今二百三十名、十八か国に十九の海外拠点を持っております。一千百三十億円の政府出資金に基づく基金英語で申せばエンダウメントでありますが、資金がございまして、その資金からくる運用収入、これがここに書いてありますが二十一億円、お手元パンフレットの一ページ目にも書いてありますが。それから、政府からの運営費交付金、それから寄附金収入民間収入、それから自分たち事業収入ということで、大体百六十億円見当の事業規模。このうち、運営管理費等を除きますと、大体百二十億円ぐらいで毎年やっておるというわけでありますが。  なぜ設立されたかといいますと、これはやはり日本文化発信主体というものを、だれが発信するのかということを考えましたときに、政府発信するというとやはり政府の宣伝ということに国際的には見られがちであると。されば民間がいいかといえば、会社は金もうけであるということでございますから、どうしてもそう見られがちである。発信主体としてはやはり、ゲーテインスティチュートとかブリティッシュ・カウンシルとか国際的にございますが、政府とは一歩、間を置いたそういうものが大事だろうということでつくられたと考えております。  しからば、どうして基金なのか、一千百三十億円のファンド基金があるのかということになりますと、これはいろんな考え方があると思いますけれども、毎年の予算をそれぞれ付けていたのでは長期的な視野というものをなかなか持ちにくいという事情があったと思います。文化というものは、やはり長い間、十年、二十年、三十年掛けていろいろ考えていくべきものもあろうということでありますし、またそういうような考え方がにじみ出ていたと思います。  さて、具体的にでは何をやっておるかということでございますが、基本的には日本理解日本国際的に理解していただく、対日理解の促進、あるいはイメージの改善、広い意味での友好関係と申しますか、国際関係の安定ということでございまして、これはパンフレットの二ページ目にも書いてあるわけでありますが、しかし、ここで具体的な事業としては、海外での日本語教育の推進、文化芸術交流、それから日本研究知的交流支援ということでありますが、そもそも、発信ということを皆さんおっしゃる方が多いんですが、発信しても、国際社会というのは日本と違いましていろんな方がいらっしゃるわけでありまして、発信だけしても駄目であります。  発信が有効に機能するためには相手受信能力がなくてはならない。これは不可欠であります。受信能力をいかに高めるかというと、まず海外での日本語教育。これは、もし世界中の方が日本語がおできになれば、これはそれだけでもう日本発信などと言わなくて済むと私は思います、極端なことを申し上げればですね。ですから、受信能力をいかに高めるかということが私は発信する際のまず基本であると。海外での日本語教育を推進するというのはそういう意味一つあると思います、ほかにも意味はありますけど。  もう一つは、受信発信の間の仲介者発信者がおり受信者がいても、なかなか世の中はそれでメッセージが伝わるというものではないと思います。その間に、発信者が出していることをどうやって受信者に受け入れやすくするか、そういう仲介者と申しますか触媒と申しますか、そういうものが要る。これがまさに日本研究者知日派、そういう方々、あるいは一部の世論指導者であります。ですから、そういう方々を、育成するという言葉は若干誤解を生むかもしれませんが、そういう日本研究者支援するというのはそういう意味があると思います。  そこで最後に、この三角形に文化芸術交流とありますが、文化、いろんな芸術、これも発信していくというわけでありますが、しかし、日本文化芸術相手に受け入れられるためには、相手文化芸術というものもこちらが理解し、それの形に合うような形で発信しなければ必ずしも有効ではないという側面がありますので、文化芸術発信ではなくて文化芸術交流となっておりますのは、発信ということの背後に相手理解した上で発信するという意味がなくてはならないという意味文化芸術交流ということになっておるわけであります。  この三つというのは、もちろんそれぞれある程度違った役割を果たしておりますが、実は三位一体でなくちゃいけないわけであります。例えば、歌舞伎海外でのレクチャーデモンストレーションをやろう、まあ歌舞伎そのものというよりも一種のレクチャーデモンストレーションをやろうというときには、やはり歌舞伎という文化芸術だけではなくて、それの研究者あるいは日本語のできる人々、そういう人々を動員しなくてはできないわけでありますので、そのこと一つを取ってみましても、この三つ日本研究支援知的交流海外での日本語教育文化芸術交流というのは、実は三位一体で実現しなくちゃならないものじゃないかというふうに思っているわけであります。  そこで、じゃ具体的におまえたちは何をしているのかということもあろうかと思うんでありますが、これはこの地図のページに書いてございますが、一つはいろんな意味での知的交流でありますが、これは、例えば中東日本の自衛隊の派遣とかいろんなことがあったときに、中東とのやはり対話ミッションというのが大事だということ、これが一つ知的交流であります。  また、文化交流というようなことでありますと、具体的に申し上げますと、四川省、スーチョワンのチョントゥー、成都に日中ふれあいの場というものをつくりまして、現代の漫画とかアニメとかそういうものを中国の普通の若者がインターネットでぱっと見られるように、そういうサイトを作って、それを長春、チャンチュンほかにも広げようというふうに思っているわけであります。  それから、日本語につきましては、外交官日本語研修というのが関西の研修センターというところでやっておりますが、そこで研修された方が現在、駐日モンゴル大使リトアニア大使エストニア大使スリランカ大使ルーマニア大使、皆さんかつてそこで日本語を勉強された方であります。若き外交官の方に研修していただくとか、そういう事業もやっておるわけであります。  ただ、最近、私が個人的に重視しておりますのは平和構築との関係であります。イラクの戦争で疲弊した人々復興への意欲を促す事業として、「キャプテン翼」のアニメの番組をイラクのテレビジョンに提供するとか、あるいはインドネシアの東ティモール難民キャンプに住んでいる子供たち、その心を傷つけられた子供たちの心をいやすために子供劇団を派遣する、そういう平和構築と連動した文化交流というものをもっとやらなくちゃいけないんじゃないかと思っております。  また、災害、例えばハリケーン・カトリーナ神戸地震、そういった両方の体験から何を、特にその後の復興過程における心のいやしの問題における文化交流の問題とか、そういうこともやらなくてはいけないんじゃないかと。  これは、お手元に、青い、ブルーの国際交流基金の最近の事業というものの中の、ハリケーン・カトリーナ、二ページ目に書いてありますが、東ティモールの例等書いてありますが、こういうようなことをこれから更にやっていかなくちゃいけないんじゃないかというふうに思っております。  ただ、財政難ということでありますので、そういうことをやる上におきましても民間との連携がこれから非常に大事だということでありますので、民間人材を登用するということで、今十九か所海外に事務所がございますが、そのうち五か所については企業の方とか学者の方とか、いわゆる民間人材を、登用という言葉もおかしいんですけれども、お願いしているわけでありますし、また資金面でも、この緑の四角の中にありますように、パリの文化会館運営は大体今七億円前後一年に掛かっておりますが、そのうち五千万から七千万は民間企業寄附を毎年お願いして一緒にやっておると。それで、土地はフランス政府が、ほとんどただ、坪一フランですかな。一フランというのは、今はユーロですからあれですが、当時は一フランであれしてもらったわけでありますが、日本政府とみんなが合同でやっている。こういうようなやり方を今後更にほかのところにも広げていかなくてはならないんじゃないかというふうに感じております。  ただ、景気のいいことばかり申し上げましたが、実は収支決算を見ますと、これは過去十年、職員の数は一人も増えておりません。事業規模も最高のときに比べますと大体二割、一五%ぐらい減っておりますが、このように財政規模と申しますか財務規模と申しますか、収入支出から見ますと、大体十年前、人数からいってもほぼ同じだということであります。  その結果何が起こっているかと。効率化も大事だし、そういう節約も大事なんでありますが、結果が、何が起こっているかということが問題でありまして、日本研究者に対する長期招聘海外日本研究機関への助成、それから、海外日本語の先生に日本に来ていただいて長期研修する、日本語教材を寄贈するというようなもの、ここに書いてありますように、大体過去五年とか十年の間に二〇%から、場合によっては五〇%近く減っているということでございますので、そういう意味で私たちもこれでいいのかという気はしているわけであります。  最後に、しからばほかの国との関連でどういうことになっているかということをちょっと御紹介させていただきますと、国際交流基金と、それに若干似たような機関としてゲーテインスティチュートブリティッシュ・カウンシルを取りますと、大体規模で半分とか、支出規模職員の数に至っては一けた全く違うわけであります。もちろん、これはいろんな違いがありますからこのまま単純に比較していくことはできませんが、こういうことを考えるときに、もう少し何か考えなくちゃいけない点もあるんじゃないかというふうに思っておりますので、長期的なビジョンを出して、その上でやっぱり全日本協力して、民間政府、私どものようなもの、あるいは財団といいますか公益法人と申しますか、NGO、NPO、みんなが協力してやっていく時代に突入してきているんじゃないかというふうに感じているわけであります。  以上、この場で説明させていただきました。  ありがとうございました。
  11. 石井一

    会長石井一君) ありがとうございました。  次に、山本参考人から御意見をお述べいただきたいと存じます。山本参考人
  12. 山本正

    参考人山本正君) 日本国際交流センター山本でございます。本日は、このような機会をちょうだいいたしましてありがとうございます。  座ったままでやらせていただきます。  財団法人日本国際交流センターというと、イメージからいうと、ばかでかい組織だというふうにお思いになるかもしれませんし、日本国を代表した政府組織と思われるかもしれませんけれども、これは、正直、私が一九六〇年代半ばに若気の至りで勝手につくった、今風に言えばNGOでございます。  外務省の所管の財団法人ではございますけれども、国の補助金は絶対もらわないという趣旨で今まで活動しておりまして、余計なことを言っちゃったと思って反省することもありますけれども、私としては、やっぱりこういった活動の中で、非営利、非政府組織重要性が非常に大きいと強く信じておるものでございますし、特に米国欧州等もそうでございますけれども、そういう非営利、非政府のアクター、組織交流の実務に携わっている場合が多いわけでございまして、それなりに何とかその立場を維持する努力をいたしたいと思っております。  私どもといたしましては、せいぜい人数二十名ぐらいのスタッフ、米国法人が四名でございますけれども、我々としてできることは、格好よく言えば、先導試行的な活動をやって、それが触媒になってより大きな流れになることを期待して活動しているということだと思うんです。したがって、その国が国際社会で置かれている立場、あるいは国際社会変動等に合わせて活動在り方を変えていくというのが我々の組織在り方だと強く信じております。  したがって、今までの活動の中で一番最初に手掛けた大きな活動は、皆様も時々お聞きかと思いますけれども日米下田会議。これは一九六七年に始まったものでございますが、六八年には日米議員交流という活動を始めて、いまだに、なかなかアメリカの議員日本に来てくれないのがしゃくの種ではございますけれども、続けております。  石井会長には実は日米議員交流の発足した当初、活動に御参加いただいたことを覚えておるわけでございますが、その後、日米関係の後、欧州が大事になってきたので、日欧会議をやると。それから、先進国会議が発足すると、日米欧の三先進地域協力が必要ということで、トライラテラルコミッションという、日米欧委員会という表現になっておりますが、そういったものの活動のお手伝いをする。さらに、日本がより先進国としてこの地域の中で活動するようになると、ASEAN、韓国、さらに中国といった近隣の諸国アジア太平洋諸国との関係が大事になってくる。こういうように、だんだんだんだん相手にしなくちゃいけない国が増えてくるわけですね。  さらに、内容的にも、政治、経済についてのテーマをめぐっての議論だけではなくて、その共通課題、あるいは国際社会地球的課題と言われるようなものについての活動にも参画し始める。実は、今の今、本年のサミットに向けて、あるいはTICADⅣに向けて私どもが一番忙しいのは──世界基金というのがございますね、グローバルファンドという。HIV、エイズ、それから結核、マラリアに関する世界基金、これの世界基金支援日本委員会というのを私どもがお預かりしておりまして、森元総理会長で各党の関係者にも関与していただいておりますけれども、すなわち、我々の活動、いわゆる日本国際交流センターという活動の中にそういった共通国際的課題への取組が非常に大事になってくる。事ほどさように、私ども活動も非常に多岐にどうしてもわたってくるわけですけれども、その中で我々としては、日本立場をもちろん重視しながらも、日本国際社会にどうすればより積極的に絡んでいくことができるかということを常々思って仕事をしているわけであります。  レジュメにごちゃごちゃ書いておりますけれども、時間的に無理ですので、多少私の思うところをかいつまんでお話し申し上げたいと思います。  大変失礼ながら、率直なところ、私、個人的には対外発信という言葉は余り好きじゃございませんで、これは決していけないという意味ではなくて、私の持つイメージは、何か柱の、台の上に登ってこちらの言いたいことをラウドスピーカーでどなって相手に伝えるというのがその発信という、違うのかもしれませんけれども、そういうイメージがどうしてもある。  私は、もちろんこの発信というものが、このテーマにありますとおり、日本国際社会における役割リーダーシップ発揮ということにつながると非常に分かりやすくなりますので、その言葉自体を排除するわけでは全くないんですけれども、要するに、一方的にこちらから相手に伝えるということではなくて、相手とのやり取り対話がある、まあ英語で言うとエンゲージメントがあるというものが今は必要になってきているんじゃないかということを思っておるわけでございます。  したがって、相手とのやり取りを前提とした発信というものは今後ますます促進すべきだと思うわけでございますし、これだけ複雑な国際関係の中で意思の疎通を持つために日本側立場を明確に相手に伝える、しかも、実は多様な考えがあるということも明確に相手に伝えることが大事になってきているように思うわけでございます。  そこで、時間的に限りがございますので、本当に数点、特に大事だと思う点を申し上げたいと思うんですが。  そういった努力の中でとりわけ強調しなくちゃいけないのは、知的な側面、ディメンション。それは、対話とかコミュニケーションの努力の中で知的な内容がないものは極めて、まあ意味、意義がないとは言い切れませんけれども、今日の社会におけるインパクトというものは限られてくるんじゃないかと。したがって、日本国際社会への影響力が増大するにつれて、日本が果たすべきことは何であるかということを論じるに当たって、その知的な内容が伴わなければ意味がなくなってきているということでございます。  もちろん、日本文化を紹介することも大事でありますけれども、それの中にはそれなりの知的なエレメントがありますけれども、あくまでもやっぱり一番大きなのは日本役割、いろんな課題についての日本役割を知的な中身をもって相手に伝えていく、それを基に相手とのやり取り対話を持つ、エンゲージメントを持つということが非常に大事なんではないかというふうに思います。  もう一つ強調したいことは、対外的な発信というと、申し上げたとおり、繰り返しますけれども日本立場は一定の立場相手に知らしめるというニュアンスがどうも感じられますけれども、これだけの経済大国になって国内的な多様性が増大しているのであれば、対外的なコミュニケーションの中でも日本が多様な立場を取ってもおかしくはない。したがって、このお席にもいろんな党の方々がいらっしゃいますけれども日本の対外的な発信あるいは日本の対外的なコミュニケーションの努力の中には、いろんな立場で物を言って初めて実は相手の胸に落ちることになるんではなかろうかというふうに思っているわけでございます。  その対外的な知的対応の中で相手国の人たちに特に評判が良いのは、違った意見を持つ日本人のパネルを持つことでありまして、三人、五人の日本人がみんな同じことを言ったらまず居眠りするに違いない。むしろ、より自然なのは、これだけの多様な世界でありますから違った意見を述べるというのが大事であって、対外的な発信の中でそういう側面を今後重要視する必要があるんじゃないかというふうに思います。  あと、これはレジュメに出ていることを目で追っていただければ、あと六分でございますので、その三ポチのところでございますけれども国際役割。今後、日本が対外的な発信をしていく上において絶対的に必要なのは、何かをやるべしと、日本はやるといったときに、それを実行する能力あるいは実行する政治的な意思、意図がない限り余り言ってもしようがない話ではなかろうかと思うわけでございます。そういった意味では、国際役割の実践を伴った発信あるいは対話の努力ということは、当たり前のことですけれども、非常に今後重視すべきことじゃなかろうかと思います。  それから、もう一つ政府主導。画一的なアプローチの限界ということでありまして、これは言うまでもないんですけれども日本の社会の中でもNGO、NPO、これが非常に増えておりますし、いろんな立場方々がいろんな活動をしている。したがって、多様なアクターがダイナミックに参画するようなことが期待されるわけです。  それから、対外発信における国際対話国際的エンゲージメントの要素の強化というのは、申し上げましたので繰り返しません。  最後に、現状体制、戦略というところでありますけれども、残念ながら、このごろ国際会議あるいは国際的なプロジェクトの中で多くの海外方々が指摘されることは、日本の影が薄くなったということであります。参加者の数が少ないのみならず、参加していてもしゃべんない人が多い。それに比べて活発なのは中国であり韓国であるということでありまして、これは本当に、私どもこの四十年近く仕事をしております人間としては、このことが最も残念なことでありまして、この現状をまずしっかりと我々として認識する必要があるんじゃなかろうかと思います。  それから、まあ世代交代の急務というと、おまえ何しているんだと言われてもしようがないんですけれども、一般的に思いますのは、大体同じような方々国際会議で頑張ってくださっていると。若い方々がなかなか出てこない。世代交代が進んでいないというところに力点があるわけで、頑張っている年を取った人間を辞めさせろということでは全くございません。なぜか若い学者、若い実務者が国際交流の場に出てこないんですよ。これは、もうからないからかもしれません。そんなことをやらなくても忙しいことが十分あるということかもしれませんけれども、このことが大きな問題だと思います。  それから、小倉さんもお話しされましたけれども、多くの国際的なシンクタンク、あるいは大学等もそうですけれども国際交流とか国際的な政策研究を行う組織が非常に弱体化してしまっているということでありまして、それに対してアメリカのシンクタンクは、今お金がざくざく入ってきて、つい最近ニューヨーク・タイムズに大きな特集が出ましたけれども、大変なお金が集まっちゃっている。それに対して日本のシンクタンクというのは、もう大変惨めな状況。したがって、優秀なスタッフを抱えることができないということでありまして、そのような状況でありますから、いろんな国際的な会議国際的な場で日本の存在感がますます薄くなりつつあるということでございます。  そこで、ちょっとどぎついですけれども日本政府国際交流、コミュニケーションなどの活動への資金協力が削減されているということを書いておりますが、これは余り具体的過ぎると多少差し障るかもしれませんけれども、私ども実はいろいろワイズマングループ的なものを日米に始まってやらせていただいておりまして、日独とか日英とか日韓とか、これは外務省からの御依頼、要請でやってきておりますが、その予算がこのごろどんどん切られている。  これは外務省のせいにするわけじゃございません。外務省の後ろにもっとお金を持っている組織があるわけでしょうけれども、そういった非常にワイズマン的なグループに、在り方もいろいろ課題もありますけれども、対外的にまさに発信、コミュニケーションの大きな場面でありますワイズマングループ的なものに対する政府資金が減らされてきている。この十年ぐらいの間に、私の感覚で言うと半分ぐらいに減っているんじゃないんでしょうか。そういう中で、お涙ちょうだいで言っているんじゃ全くありませんけれども、私ども組織辺りは赤字を自分らで抱えて政府から依頼されていることをやっているというのが実態でございます。  こういうことが行われている限り、日本の対外的発信能力がどうのということは大変迂遠なテーマでありまして、私としては、本当にここで政治的なリーダーシップを是非発揮していただきまして、日本が対外的にかかわり合う、あるいは国際社会に貢献し得るような力を持つようにもう一度大きな努力をしていただけないかと思うわけでございまして、本日は皆様にお願いに伺ったような感じもないわけではないんですけれども、私としては、こういった仕事に関与している多くの人たちが日ごろ思っていることを代弁させていただいているつもりでございますので、是非議論の中でも更にこの点についていろいろ御審議いただければと思います。  どうもありがとうございました。
  13. 石井一

    会長石井一君) ありがとうございました。  次に、今井参考人から御意見をお述べいただきたいと存じます。今井参考人
  14. 今井義典

    参考人今井義典君) NHKの今井でございます。先月三十日付けで副会長に就任いたしました。よろしくお願いいたします。  私からは、NHK国際放送の現在の活動体制、そしてこれからの展開につきまして説明させていただきます。  まず、ビデオを御覧いただこうと準備してまいりました。テレビ国際放送、NHKワールドテレビジョンの紹介、五分程度のものですので、まず御覧いただきます。    〔資料映写〕
  15. 今井義典

    参考人今井義典君) それでは、お手元の資料を併せてこのスライドと御一緒に御覧いただきながら説明を進めてまいります。  まず最初のページですが、国際放送をめぐる各国の取組を表にしてみました。  テレビ国際放送が最初に注目されたのは、九〇年代の初め、湾岸戦争のときであります。このとき活躍したのがアメリカのCNN。アメリカの三大ネットワークをしり目に、現地から生中継でバグダッド空爆の模様を伝えました。これを機会に世界各国の主要な放送局がテレビの海外発信を始めました。これがテレビ国際放送強化の第一の波だったということが言えるかと思います。この時点では、各国は主に自分の国の言葉で放送を出すということで、この第一の波における発信競争の勝者は、アメリカのCNNと、そして続いて力を持ったイギリスのBBCであったと言うことができます。  テレビの国際放送では、英語発信しないと世界的な広がりが得られないと言われるようになりました。その後、九〇年代、米英の言わば独壇場のままでは好ましくないという考えが各国で広がりました。  中東カタール、この表でいいますと下から二番目ですが、衛星放送局アルジャジーラは、アラブの声を代表するアラビア語放送として頭角を現しまして、二〇〇五年、英語による二十四時間ニュースも立ち上げました。フランス政府も、イラク攻撃をめぐる国連安保理事会でのアメリカとの論戦を教訓に、フランスの考え方世界に伝える必要があるとして、二〇〇六年、二十四時間チャンネル、フランス24を設けまして、英語でも二十四時間放送を行っています。さらに、中国英語での海外発信力強化を図っております。  こうした英語を母国語としない国々が英語によるテレビ国際放送を始めたことをテレビ国際放送の第二の波であるととらえております。こうした中でNHKも、日本の公共放送として日本の情報や文化世界により一層積極的に発信していきたいと考えております。  次の二ページ目に参ります。  NHKの国際放送の中で、NHKワールドテレビと呼ぶものは一日二十四時間、ニュースと情報番組をほぼ全世界に向けて放送しております。これについては後ほど詳しくお話し申し上げます。  また、二番目の、テレビ番組を二十四時間海外配信、NHKワールド・プレミアムがあります。NHKの国内の番組やニュースを主として在留邦人向けに編成し、およそ百の国と地域で千五百万世帯に視聴していただいております。海外のホテルでNHKの国際放送を見たとおっしゃる方の多くは、このワールド・プレミアムを御覧になっているものと思われます。  三番目にラジオの国際放送ですが、現在は十八の言語で一日延べ四十九時間二十分放送しています。推計で約千二百万人の方に聴いていただいています。  インターネットでも、十八の言語でニュースと番組の音声配信をしております。さらに、英語中国語ではニュース映像も配信しています。インターネットのページビューは、一日平均六万五千件というところです。  三ページに参ります。  NHKは、平成十八年度から三か年経営計画をスタートさせまして、その中で自主的に国際放送の充実強化を図ってまいりました。その柱は、第一に短波ラジオ放送からテレビに比重を移すこと、二番目はワールドテレビの英語化率を一〇〇%にする取組です。テレビ番組の英語制作は徐々に進みまして、英語の字幕放送も含めた英語化率は今年四月に九七・五%、十月に一〇〇%を達成する計画です。  それでは、次の四ページ目に参ります。  去年の暮れ、放送法が改正されました。改正によって、テレビ国際放送は外国人向けと邦人向けに分かれることになりました。NHKは、この法律に基づきまして、民間からの出資も求めながら、新たな国際放送の業務を行う子会社を設立することになっております。  NHKは、この子会社に外国人向けテレビ国際放送の制作と送出業務の一部を委託します。この子会社は独自の放送サービスも検討いたしております。NHK以外、民放を中心に参加していただけるようにお願いしているところです。  NHKは、来年の初め、斬新なデザインの国際放送用のスタジオからの番組を開始する予定でおりまして、これに合わせて新しいチャンネルイメージを立ち上げて、すべて英語による海外配信を行う予定です。  次に参ります。五ページです。  改正放送法がテレビ国際放送を外国人向けと邦人向けに分けた背景には、英語放送を通じて外国の人に日本の事情をより一層理解してもらおうというねらいがありますが、この目的を達成するためには二つの課題があります。一つは、英語のニュースや番組の充実を図り魅力を高めること、そしてもう一つは、外国の人々がより簡便な受信装置で視聴できるように受信環境を整えることであります。発信受信強化ということになります。  次の六ページに参ります。英語のニュースと番組の充実について御説明します。  ワールドテレビの番組編成の一時間のモデルで、このサイクルを原則として二十四時間繰り返します。右側ですね、来年、平成二十一年の初めにニュースラインという英語ニュースの番組を刷新、拡充いたします。日本の情報だけでなく、アジア情報はNHKからという国際的なブランド力を獲得するよう目指します。  アジア各地のNHKの総支局の体制強化いたしまして、激動するアジアのニュースや情報を伝えていく所存でおります。日本を始めとして、世界の経済情報にも力を入れてまいります。また、英語番組では、日本の政治や経済、伝統文化に加えまして、世界の若者が注目するファッションやアニメ情報、よくクールジャパンと呼ばれるものですけれども、こうした番組も編成して外国人向けチャンネルとしての魅力を高めてまいります。  次の七ページに参ります。  NHKワールドテレビは、世界をカバーする衛星三つを使ってほぼ全世界に向けて放送しております。受信機を設置すればだれでも見ることができます。  しかし、問題があります。この衛星は、広い地域に電波を降らせるために大きな受信アンテナが必要です。右の写真を御覧いただきます。女性の後ろにあるのがこの三つの衛星から受信することができるアンテナで、かなり大きめです。一方、女性が手にしておりますのが日本のBS、CS用のパラボラアンテナです。このような小さなアンテナで多くの人に見てもらうためにNHKは、二十年度中に欧米そして東南アジアなどで各国の衛星チャンネルを新たに借り上げることにしております。これによりまして、新たにおよそ一億一千万世帯が今ある衛星放送受信用のアンテナで受信が可能になります。既にそれぞれの外国人のお宅で設置されているアンテナを使ってそのまま受信することができるということで、これまでの実績と合わせましておよそ一億五千万世帯が受信可能ということになる見通しです。  最後に八ページに参ります。  日本からの海外発信につきましては、内外からもっと強化すべきであるという要望を受けていることをNHKは重々承知いたしまして、この国際放送を重要な業務と考えております。来年度予算では、英語国際テレビ放送の予算をおよそ十九年度と比べて七〇%増やします。先ほど御説明したような内容の強化の面と受信環境の整備をこの予算増によって進めてまいります。  テレビの電波は国境を越えて、放送は国際化しております。私どもNHKとしても、日本の公共放送として、海外に向けての発信により一層力を入れてまいりたいと思います。  御清聴ありがとうございました。
  16. 石井一

    会長石井一君) ありがとうございました。  これより質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行いますので、質疑を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って御発言くださいますようお願い申し上げます。挙手の順から公平に御指名をさせていただきたいと考えております。  なお、質疑の時間は限られておりますので、委員の一回の発言は三分程度となるよう、また、その都度答弁者を明示していただければなお幸いでございますので、御協力をお願い申し上げます。  それでは、どうぞ。
  17. 佐藤正久

    佐藤正久君 国際交流基金小倉理事長にお伺いいたします。  説明の中で、平和構築の方に日本文化、とりわけ、説明があった例ではアニメとかそういうものを、あるいは児童の劇団というものを派遣されたというものがありました。実際、私もイラク・サマワの方で外務省のサマワ事務所の方と一緒に「キャプテン翼」の普及の方に、こちらを手伝った関係もあるんですが、そこで感じたことは、一つは継続性というものと、あとはODAで与える物品との組合せと、この二つの思いがあります。  アニメキャプテン翼」とか「おしん」というのは物すごく評判が良かったものであります。こういうものは、できれば継続性を持ってやっていくというのが本来の平和構築と連動した動きではないかなと。単発ではなく、特に民生支援復興支援というのは継続性がポイントですから、自衛隊がどう、ODAで一緒にやる段階、あるいはODAでやる段階、あるいは民間企業主体でやる段階ありますけれども、それぞれにおいて継続性を持ってこういう形で発信していただけると、もっともっと効果があるのかなという思いがあります。  もう一つは、今回良かったのは「キャプテン翼」をテレビで放映するとともにODAで与えた給水車にこの「キャプテン翼」のシールを張らせていただいた。これは組合せとして非常に良かったので、もっと本当はやりたかったんですけれども、版権の関係とか、いろいろ予算の関係で十分できずに、それも、小学生の「キャプテン翼」と中学生、高校生、みんな版権が違った関係もあって非常にてこずったんですけれども、できればそういう、受け側からすると、イラクからすると同じですから、日本から来ていると。これはODA、これは国際交流基金と分かりませんので、できれば、これうまく組み合わせる形で今後どんどん発信していただけば、更に国民の税金が有効に発信という手段に使われるんじゃないかなという感じがしました。  この継続性と、あと物と映像との組合せという二点についての理事長のお考えをお聞かせください。  以上です。
  18. 小倉和夫

    参考人小倉和夫君) 佐藤議員には大変国際交流基金もお世話になりました。ありがとうございました。  ここのパンフレットにありますけど、皇后陛下の絵本の「はじめてのやまのぼり」をイラク子供たちの小学校に配ったのについても、いろいろ現地の自衛隊の方々の努力があったと思います。  今の御指摘はそのとおりでありまして、私はやっぱりハードとソフトの連動というのが非常に重要だと思います。例えば、劇場を造る、あるいは学校を造る、そのときに教科書をどうするか、それから先生をどうするか、そういうものの連動というのは非常に大事で、そういうことをやって初めて継続性が実は保たれると思います。  ですから、今のお話のように、文化的な意味でのいろんな支援、あるいは交流の継続性を保つためには、場合によっては機材を供与しなくちゃいけない。例えば照明器具、劇場を造ってあげなくちゃいけないということもあろうかと思いますから、そういう経済協力の中にもう少しそういう文化的な意味というものを入れていく。同時に、例えば文化無償とか、いろいろ政府文化協力の部分と私たちがやっているようなソフトの文化交流とを結び付ける努力、これがやはりもっとされなければならないと。そうすることによってまた継続性が保たれるんじゃないかと、こういうふうに思っております。
  19. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございました。
  20. 浜田昌良

    浜田昌良君 小倉理事長にお伺いしたいと思いますが、お話の中で、発信力を考えるときには受信力のアップが重要だという非常に興味深い御発言があったんですが、その一環としていわゆる日本語教育というものもやっておられますが、その日本語教育以外で、こういう分野の日本の紹介をするとより受信力が上がるというものがありましたら、今までの御経験でですね、その分野がどういう分野であるかお話をお聞きしたいなと思います。これが一点です。  その次に、山本理事長にお聞きしたいと思います。  先ほど理事長は、なかなかこの日本のこういう文化機関についての財政基盤が厳しい状況にあるという話をお話しされましたが、冒頭で非営利、非政府というところの考え方を述べられましたが、そこまでこだわる理由は何かあるのか。そこについて少し、もう少し緩やかにすれば財政基盤については楽になる面があると思うんですけれども、なぜそこまでこだわられるのかについてお聞きしたいと思います。
  21. 小倉和夫

    参考人小倉和夫君) 一つは、やはりいろんな市民の方の日々の生活に直結したようなことについてもう少し発信していく努力が、特に国際交流基金とかそういうところでは大事じゃないかと思っております。  例えば、具体的に申し上げますと、食文化とかあるいはファッション、服装文化とか、今まではどうしても、もちろん知的交流とか日本語教育日本研究支援、非常に大事でありますが、それはどちらかというと知識層でございますので、ファッション、食文化、そういう日常生活に直結した部分で日本への関心を喚起していく、そういう努力がこれから更に必要じゃないかと思っておりますので、そういう点に力を入れていきたいと思いますし、今非常に日本語などを学ぶ人の動機が大体、今統計を取っておりますと、六〇%ぐらいはアニメを見たから、あるいは漫画をもっと見たいからという動機に変わりつつあります。その先は何かといいますと、例えば俳句とか、もう一歩先に行くような、日本語とそういったものとを結び付ける、例えばアニメに使われている日本語の特集をやってみるとか、そういうような形のことをやったらいいかなと思っております。
  22. 山本正

    参考人山本正君) 実はこだわりを持っているわけじゃございませんで、国際交流基金小倉さんとも昔から、時々けんかしますけど、大変仲よく一緒に仕事をやってきておりますし、それから外務省とも、今日、山本部長がおいでですけれども、いろいろなことで御一緒をしております。申し上げたとおり、ワイズマングループ的なものは外務省の御依頼で我々がやっております。  ただ、御存じのとおり、補助金をもらいますとやっぱり主体性が害されることは間違いないと思うんですね。やっぱりいろいろな形で官庁の方々のお考えに従わなくちゃいけない。それはまずもって、外から見たときに、我々は政府のマウスピースであり、政府の意思に基づいて仕事をしているということになりますので、さっき私が強調しましたのは、非政府、非営利立場の中立的なものが、やっぱりコミュニケーションを行っていくときに極めて、クレジビリティーという信用性の問題からも非常に大事なんじゃないかなという気はするんですね。  それから、もう一つだけ。これは時々独り善がりになることを自分で排さなくちゃいけないと思いながらも、我々の意思でこういうことが必要だからやらなくちゃいけないというものに飛び込んでいくというのがやっぱり我々のような独立した組織のいいところでありまして、やっぱり政府組織となりますと、どうしてもどっしり構えて、それからもちろん税金であるし、それからやっぱり国会議員方々との直接的なやり取りも当然あるわけでございまして、したがって、自由闊達な活動がしにくいと、一般的にですよ。という意味合いからも、私はあえて補助金もらうようなことは避けてやってまいっているわけでございます。
  23. 山根隆治

    山根隆治君 まず、小倉参考人にお伺いさせていただきたいと思うんでございますけれども、いわゆる一九四五年に終わった戦争、そして、その歴史問題等については非常に日本でもいろいろな意見等があって、なかなかその発信なり総括なりというのが実態として難しくなっているということがあると思うんです。そういうときに、やっぱり外国人の作家であるとかジャーナリストであるとか、そういう人たちの視点というか、それもできるだけ、日本の私たち立場から言えば日本の国益に沿ってほしいとは思いますけれども、しかし、国際的な視点から見て日本の様々な問題、慰安婦の問題であるとか、それから東京裁判の問題であるとか、それをやはり日本発で発信してもなかなかそこは、アメリカとの関係、国力の差等もあって、微妙なものがあってなかなか難しく、私たち発信し切れないというものがあるわけで、そうした折に、私はそうした外国の知識人の人たちから客観的に見た日本の歴史問題というものに対する逆に発信をしてもらうということに非常に意味があるんではないかというふうに思えているわけですけれども、その際に大事なのは、日本の情報開示がどこまで徹底できているのかというふうなことだろうというふうに思っておるんですけれども、こうした私の物の見方、提言に対してはどのようにお考えになるのかというのを小倉参考人にお伺いしたいと思います。  それから、山本参考人に対してお尋ねをさせていただきたいと思います。  交流センターでは、相互に関連する三つの領域を主に活動しているということでの御紹介の文書をいただいておりますけれども、その中で、政治・議会交流関係について安全保障も含めた文言があるわけでありますけれども、こうした特に安全保障の問題ということを考えたとき、文化交流文化芸術というのもやはり一つの目的を持って情報発信なり情報収集したりするということが大事だろうと思うんですね。それは、やはり日本の最終的には国益にかなわなくてはいけないし、それがひいては世界の平和につながっていくということが非常に大切であると思うんですけれども。  例えば、非常にG8の国々を見てもそうですし、特にアメリカでは情報機関としてのCIAというのがやっぱりあるわけでございますので、相当な情報収集というのを政治、軍事について行っている。日本には内閣調査室等はありますけれども、外国の機関、イギリス、アメリカ、ロシア、そういった国々に比べると非常に脆弱であるわけですね。  私は、そういう日本も情報機関を拡充すべしというふうな立場でございますけれども、そうした情報機関との連携の中で初めて文化であるとか芸術であるとかそのほかの情報というものが生きてくるし、意味を持つんだと思うんですね。そうしたことで、日本の片肺情報機関というか、発信機関というのに私はいささか頼りなさを感じるわけでありますけれども、こういった点について山本参考人はどのようにお考えになっているか、お伺いをいたします。  それから、NHKについてお尋ねをさせていただきたいと思うんでございますけれども日本のNHKワールドTV、二十四時間放送されているということで、一億一千万世帯ということですが、これは具体的には何か国ということに一応なっているのか、今お分かりになれば後で教えていただきたいと思うんですけれども。  その際に、いろいろな社会的な事象というものを放映そのままするということであれば特に問題はないかと思いますけれども、しかし、どういう視点で放映をしていくのか、番組を編成していくのかということが一つあると思うんですね。  それは、歴史問題というものだけではなく、幅広くNHKの基本的な思想なり考え方というものがないと、いろいろな放送のときに戸惑いも出るというか、逡巡もあるんだろうと思うんですけれども日本政府立場というものを日本の国の立場として放映されるのか、それともNHK独自の視点で放映されるのか、その場合のNHKの独自の視点というものはどのような立場であるのか、抽象的な御披瀝から一歩踏み込んで、基本的な物の考え方、見方というものがあればお知らせをいただきたいと思いますし、また、そうした番組編成についての組織機関というものがあれば、どのような機関であり、どのような方、メンバーを入れておられるのか、お尋ねをしたいと思います。  以上、三点お願いいたします。
  24. 石井一

    会長石井一君) それじゃ、参考人の皆様、順次お願い申し上げます。
  25. 小倉和夫

    参考人小倉和夫君) まず、二つあると思いますが、一つは外から来られた方をどこに御案内するかという問題がありまして、私どもいろいろな指導者とか、あるいは特に今御指摘がありました作家の方、外国からノーベル文学賞を得た人などもお呼びしておりますが、そういう方が来られたときに、なるべく広島、長崎を見ていただくということにしております。また、靖国神社を見たいというんであれば、どうぞということで見ていただいております。  そのように、やはり何か日本の方で、あれはやめた方がいいとかこうと言うんじゃなくて、また、向こうが、御要望があれば歴史に関するものを率直にお見せする。国立公文書館のアジア歴史資料センターの松井石根文書ですか、なんか公開されておりますが、そういうようなところも全部お見せするとか、そういうオープンに外国人の方にどこでもお見せすると同時に、私たちの広島、長崎などには是非行っていただくとか、そういう姿勢が大事じゃないかと思っております。  もう一つは、実は、これはさっきたしか山本参考人がおっしゃっていたと思いますが、日本の国内における多様な意見、特に歴史問題については多様な意見の存在というものを多様に伝えていくということが非常に大事なことだと思います。  政府の見解だけを一生懸命伝えるということは、実は逆効果になる場合が多い。政府がそういうことをおやりになるのはいいんですけれども国際交流基金とかあるいは非営利団体的なものがやるときは、なるべくいろいろな意見日本にはあるんだということをお伝えすることが実は一番大切なことじゃないかと思っておりますので。  しかし、それをやるためには、政府なりあるいはコマーシャルな団体からの自立性というものを持った団体が日本に存在しないとできないわけであります。政府から干渉を受ける、あるいはそんなものはお金にならないからやめろと言われてはできないわけでありますので、やはり多様性を持ったものを発信するということは、その発信主体あるいはそういうものを媒体とする主体が自立性と独立性を持たなくてはいけないと思いますので、その辺が確保されなくちゃいけないと思っておりますが、同時に、それはやっぱり自分の信念の問題でもあろうと思いますので、私としましては、できるだけそのようなやっぱり信念を持つということが大事だというふうに思っております。
  26. 山本正

    参考人山本正君) 私どもがやっている仕事の活動はトラック2というふうに呼ばれることは御存じのとおりあると思うんですね。日米関係あるいは日本中国との関係等をめぐって、政府立場と違った共同研究とかあるいは対話を通じて、こういう関係であるべしといった提言を行うこともあるし、それからいろんな論文集を出すこともあるし、それは、そういうことの意味は、やっぱり一つには、政府の場合には長期的な視点を取りにくい、ややもすると短期的なものだととらえざるを得ない。我々ができるのは、やっぱりより長期的な観点とかより幅広い文脈の中でとらえるとか、あるいは国内的ないろんな要素を読み込んで、こういういろんな意見があるので日本としてはこういう立場を取っているんだとかですね。  したがって、やっぱりトラック2の持っている意味合いというのは、そういった意味で、いろいろ複雑な要因、ファクターを、国家間関係を入れ込みながら長期的な視点でその国家関係のより建設的な発展のために何をすべきかというのが提言になったりするのが多いと思うんですね。  ちなみに、そういうものを通じてネットワークが非常にできてくる。欧米関係が強いことの一つの理由は、そういった政府関係ではなくて、そういったシンクタンクとか学者とか知識人なんかのネットワークが強いからだということをよく言われておりますけれども、我々がやろうとしていることはまさにそういうことだと思うんですね。  したがって、政府と決して対立しようという思いはございませんけれども、むしろ補完するものであると強く信じております。  ありがとうございました。
  27. 今井義典

    参考人今井義典君) 二点お答えをさせていただきます。  一点は、ワールドテレビジョンの外国人向けの放送の一億一千万世帯、どのように達成するかという御質問だったと思いますが、これから世界各国の衛星の配信会社と交渉してまいります。  先ほどお話し申し上げました大きな三つの衛星でカバーしている中に、その衛星から更に電波を受けて国別、地域別に放送を出していく会社がそれぞれの地域、国にございます。そこは無料の放送を乗せることは非常に難しいんです。というのは、それぞれの放送会社はデジタル化が進んでいるところ、進んでいないところもありますけれども、チャンネルに限りがあります。もうかるチャンネルから入れていくわけで、お金を出さないと乗せてくれない衛星会社がたくさんありますんで、その交渉をこれから進めてまいります。  ただ、NHKのねらいとしては、どのような順番になっていくか分かりませんが、現在検討しておりますのは、ヨーロッパ、それから北アメリカ、それからインドを中心とする南アジア、オーストラリア、東南アジア、それから南太平洋の島嶼部、そうしたところを来年度中に実現できればというふうに考えております。  それぞれの受信衛星のカバー世帯数、そういったものを積み上げて一億一千万になるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。  第二に、これからの国際放送の視点というお尋ねがありましたけれども、基本的には、NHKは報道機関として放送の自由、それから番組編成の自由ということを考えて、多様な意見、異なる意見も併せて放送していくということが使命になっているというふうに自覚しております。  NHK自身の視点といったものは、そういったものはないというふうに私、思いますけれども、思想、視点という点でいいますと、多様な考え方日本の中に存在している多様な考え方を放送していきたいというふうに思っております。  それから三点目に、番組の内容についてどのような形で審査が行われているかということですけれども国際放送番組審議会というものがございまして、月に一回この会合を開いて、そこで放送した番組について見ていただきながら御意見を伺うと同時に、全体の編成方針、編集方針についてもその都度委員の方々と議論をして放送に反映すべく努力しております。
  28. 川口順子

    川口順子君 大変に興味深いお話を三人の方に伺って、ありがとうございました。  質問は二つありまして、まず今井会長ですけれども、今の出た質問ともちょっと関係があるんですけれども、ワールドテレビの番組のその構成のバランスなんですけれども、例えばイラクの侵攻があった、そのときにBBCやそういう放送を見ると、イギリスとしてこれをどう考えるか、そのイギリスを代表する多様な意見がすぐ出てくるわけですね。それで、そのころホテルで例えば日本語放送を回すと、日本の何か文化番組が出ていたり、それはプレミアムの方だったのかもしれませんけれども、というようなことがありまして、それは過去の話としまして。  これから充実をなさるときに、まさに今起こっている様々なことについて日本の国民の見方、考え方は何であるか、もちろんそれは政府考え方も含みますし、政府に反対する人の立場も含むべきだと思いますけれども、そういった番組のウエートを全体の中でどれぐらい強化をしていくかということについてお考えがあれば伺いたいと思っております。  日本文化、それも非常に重要ですし、それから今の時点で日本国民が何を思っているかということのその放送も大事で、その点で国内番組の英語化というのが半分ぐらいの比率、半分といいますか、持って、このワールドテレビの編成案というのには出て、四分の一ですか、ありまして、英語番組九本というのがありますが、国内番組の英語化というのは、それだけタイミングとしては多分少し遅れて出ていくということになるんではないかというふうに思って若干心配をしております。  それから、山本参考人にお伺いをしたいんですけれども、先ほど、発信をしていく人、日本の中から、あるいは国際交流にコミットをしている人たちの世代交代が進んでいないというお話がありました。私も全くおっしゃるとおりだと思います。  じゃ、どうすれば変わっていくのかということで、一つ英語教育が、というか、日本において英語を使う人というのが特殊だというふうに思われているという土壌がまだまだあるということでもありますし、あるいは、別に英語ができなくても日本語でやれば通訳の人にお願いをするということもあり得ると思うんですが、何が一番のその障害になっているのか。これ、世代交代を早くやらないといけないと私は思っておりますので、御意見伺いたいです。
  29. 今井義典

    参考人今井義典君) 川口先生からの御指摘の、まずワールドテレビの速報型の日本の対応を主として伝えるということでありますが、このワールドテレビの六ページのところにお示しした編成案というのは基本パターンというふうに考えていただければと思います。そして、そのうちの最初の三十分のニュースについては、国内の放送と同様に完全な速報体制をしきますので、緊急事態が起きたとき、そして日本の中でそれに対応する動き、考え方の表明があれば、それを遅れることなく放送していく体制を取らせていただきます。  それから、少しせき止めた形での番組といたしましては、英語の独自の番組も放送してまいりますし、NHKスペシャルですとかあるいは討論会の番組のようなものも随時英語化して、なるべく時間の遅れのないようにして放送してまいります。  それからもう一つは、緊急事態が発生した場合、日本の国内あるいは国外でも緊急事態が発生した場合には、外国で発生した場合には外国の映像などが入ることもあるかもしれませんけれども、そうしたものを含めて日本の国内と同時に放送できる体制を整えていきたいというふうに考えております。
  30. 山本正

    参考人山本正君) 今の川口議員の御質問については、本当にさっと答えができないというのが正直なところで、日々悩んでいるところでありまして、ただ、やっぱり努力不足なのかなという思いもないではないんです。  例えば、英語の問題ですけれども、私、英語の問題は比較的少なくなったんではないかと。例えば、経済界の方なんかで英語で話される方が本当に増えていますけどね、幹部の方々で。じゃ、その方々が本当に我々のような国際交流活動に参加されるかというと、必ずしもそうじゃないわけでありまして、そういった意味で、やっぱりそういった日本という国とそういう外の国との関係のために自分たちが貢献するというような意識を持つ人を増やす必要があるんじゃないか。何かちょっとリベラルな立場からいうと変な言い方なんですけれども、そういうことは一つ思います。  だから、若い方をどうやってということについては、とにかく参加させると。そういった機会を増やして、そういったテストをして、そういったことに合いそうな方をどんどんその後続けて参加していただくというような意図的なリクルートメントの努力を今からやる必要があるのかなというふうに思っておりまして、これは私ども組織だけではなくて、いろいろな方々と連動しながらそういう新しい人材の発掘作業というのをやる必要があるのかなというふうに思っております。
  31. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 大変本当に貴重なお話を伺っております。  まず、国際交流基金小倉参考人の方にお聞きしたいんですけれども、このいただいた資料の七ページと最後のページ、このパブリックディプロマシーということを考えるときに必ずこの表が目の前に現れまして、国際文化交流機関支出規模、人員比較、それから各国の海外拠点の数の比較の数を見るたびにもう大変に焦りに似た気持ちを感じるところでございます。  その中で、今後の見通し、国際交流基金としてこれをどのように改善をしていくのかという今後の見通しですね。私、個人的なお話をさせていただければ、例えば日本インスティチュートというようなきちんとした、もう一回国家戦略的にどういうふうに外に発信していくのかというのをまず考えた上でやっていくべきじゃないかというふうに思っております。  外務省は、二〇一〇年までにこの海外拠点を百にまでアップさせるという計画がおありなようですけれども、もう本当に中国では、この孔子学院等々、もう大変なスピードで、それも大変な国家戦略に乗ったやり方でやってきているということは見逃せないというふうに思っております。なので、この辺の今後の見通しですね、お聞きしたいのが一つと。  それから、ちょっと細かいお話で恐縮なんですが、海外で行われている、特に中国で行われている日本語の能力テスト、これを是非早い機会に複数回やっていただきたいというふうに思います。海外にというか、特に中国においての日本語学習者の数の多さということをかんがみますと、やはり一回では足りない、二回でももしかしたら足りないかもしれないという中で、早急にこれはやっていただきたいというふうに思います。  それから、山本参考人にもお聞きしたいんですが、先ほどもお話ししたような海外拠点の少なさというか、これを山本参考人のお立場ではどのようにお考えなのか、それから、これを多くしていくためにどういう措置をとったらいいのかということを、もしございましたら教えていただければと思います。  それから、今井参考人の方には、先ほど川口先生の方からもあったんですけれども、このワールドテレビの編成案の中で、現在、日本語番組が二十一本あるところが、平成二十一年初頭にはこの日本語番組というのがちょっと見当たらなくなっているので、その点のところを一つ教えていただきたい。  というのは、パブリックディプロマシーという中で、海外における日本語学習者に対する日本からのアプローチというのがやはり大事なんだろうというふうに思うんですね。その中で、やはり日本でやっている日本の番組をそのまま海外に伝えていただきたいというのも一つ思いがありまして、この辺のお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。  よろしくお願いします。
  32. 小倉和夫

    参考人小倉和夫君) まず複数回のことにつきましては、日本語、大変いい御指摘をいただきました。  来年六月から複数回にいたします。ただ、全世界そうするわけにはいきませんので、受験者が少ない国はなかなか複数回実施は難しいと思います。しかし、今御指摘のありました中国とか、あるいは一部の非常に受験者数が多い国については、来年、二十一年から是非複数回にしていきたい。今その準備をようやく開始したところでありますので、是非実現したいと思います。  それから、御指摘の拠点につきましては、これはゲーテインスティチュートのように存在しなければ意味がないという哲学を持って、事業もさることながら、そこに、現場に人がいて、その土地の人と交流していくことが文化交流の最大のメリットといいますか、課題であると。人と人との交流であるから、拠点がなければ意味がないという哲学をお持ちのところもあります。ですから、ゲーテインスティチュートは三百五十一あるわけでありまして、しかし、私は必ずしもそうは思っておりません。ただ、十や二十の拠点があればいいかというのもちょっと問題だと思います。  今、国際交流基金も、例えばスペインにも持っておりませんし、ロシアにも持っておりませんし、ベトナムにも持っていないということでありますから、重要な国に持っていないというのは、これはやはりいろんな意味でまずいと思いますので、私の計算では五、六十はミニマムこれから持っていかなくちゃいけない。今二十ぐらいでございますので、その倍から三倍程度ぐらいまでは持っていきたいと。しかし、今の財政困難のときに果たしてそれが十年ぐらいの間に可能かどうかということになると思います。  そこで、私は、安いやり方があるのではないか、つまり、事務所を借りて大きなスペースをつくって、そこに職員をたくさん送り込んだ拠点ではない拠点もあるのではないか、例えば、既にある日本との間の友好団体があるとしますと、その団体の大きな建物の中をただで借りるということも可能じゃないかと思います。  例えば、四川省の成都にふれあいの場をつくりましたが、この建物は相当大きな建物ですが、そこはどうしてほとんどただで借りられたかというと、広島市と成都市が姉妹都市であります。広島と一緒につくられた友好会館というのがございますので、その会館の中を、ほとんどただと言うとちょっと問題がありますが、かなり安く提供していただいておりますので、そういうように、例えば今スペインで、マドリッド市と協調して、市に提供していただいて、私どもがこれぐらいのスペースのところに入ろうかというような話もありますが、そのように、財政的な負担がなく、しかし相手と一緒に何か共同した形でやるような、そういう形のものが一つあると思います。  もう一つは、現地人を活用する。つまり、例えば南アとかイランとか、そういうところでは現地の方に私たちのリエゾンオフィサーみたいな、連絡員みたいな、あるいはアドバイザーになっていただいて、その方のオフィスを一つの連絡所みたいに使わせてもらう。  いろんなやり方があると思いますので、いろんなやり方を多様性を持って組み合わせながら、数を少なくとも五、六十までは増やしていけたらというふうに思っております。
  33. 石井一

    会長石井一君) 小倉参考人への具体的な提案に対し、直ちに即答していただきまして大変ありがとうございました。  実は、今、三時直前でございますが、三時十分、本会議でございます。この際、恐縮ですが、暫時休憩をさせていただきまして、三時二十分をめどに再開をさせていただきたいと存じます。  その節、山本参考人今井参考人の順で島尻委員にお答えをちょうだいいたしまして、四時をめどに調査会を終了したいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  暫時休憩いたします。    午後二時五十九分休憩      ─────・─────    午後三時二十六分開会
  34. 石井一

    会長石井一君) 休憩前に引き続き、国際・地球温暖化問題に関する調査会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国際問題及び地球温暖化問題に関する調査を議題とし、参考人に対する質疑を続行いたします。  まず初めに、島尻君の質問への残余の答弁をお願い申し上げたいと存じます。
  35. 山本正

    参考人山本正君) 海外拠点の御質問だったと思うんでございますけれども、さっき小倉さんがおっしゃいましたけれども、例えばゲーテインスティチュートにしても、そういった海外組織の拠点なるものを見ても、本当にそれほどの仕事をしているのかなという思いがありまして、同じ言葉を使って恐縮なんですけれども、これだけ多様な活動が必要になっているときに、一人二人がいる拠点ではどれだけの機能を果たせるかということについて私、多少疑問を持ちます。  しかしながら、国際交流基金のような組織の場合にはそれなりの拠点が必要だということも分かりますし、ただ、そうやって考えていきますと、例えば、アメリカと日本との関係であれば、私どもはやっぱり日本とアメリカの仲立ちをできるような人はどの辺にいるんだろうかなとか、あるいは州のレベルで自ら日本とのつながりをできる人とか、大学とか、だれがいるんだろうなとか、そういう、私は自分でやったことはないんですけれども、これは小倉さんなんかと組んでマッピングをやるとか、主要な諸国日本との関係で頼りになる人とか組織とか、非常にアバウトな考えで恐縮なんですけれども、実際にそういう作業をやってみる必要があるのかなという感じがいたします。ですから、いろんな分野でそういった人たちが要ると。それが、言うなれば、拠点、ネットワークになっていくということなのかなと。今の御質問に大変触発されたんですけれども、そういう作業がこれから必要になってくるのかもしれないなと思います。  余りお返事にならなくて申し訳ありませんが。
  36. 今井義典

    参考人今井義典君) 御指摘の日本語の学習という側面、あるいは日本日本語を通じて知るという側面については、私どもも非常に重要なポイントというふうに理解しております。ただ、今回の新しい体制の目指すところは、英語で一〇〇%放送をするということが一つの目標ですので、それを中心に今日説明をさせていただきました。  現在もそうですし、これからもそうですが、日本語の教育のための番組というのは、現在も放送しておりますし、今後も毎日の合間の中で、リピートになりますが、日本語を教えるレッスンの様々な趣向を凝らした番組を放送していく準備をしております。  それから、この中で英語化番組というふうになっておりますが、実際には二つの音声で流していまして、主音声は英語で、選べば副音声で日本語が選べるんですが、問題は、日本の場合は衛星のシステムを使って、それから自宅のテレビもそうですが、ステレオの主音声、副音声が選べるようになっているテレビが大半です。海外の場合には、送信を受け持つ会社あるいはそれぞれの世帯のテレビにそういう機能がない場合が非常に多くて、それがなかなか難しい点だと思います。  ですから、基本的には、現在のサービスでは、日本語のニュースについてはワールド・プレミアム、邦人向けのチャンネルで見ていただくということが基本になります。ただ、日本語も伝えるべきであるという御指摘ありまして現在検討中なのは、ワールドテレビの中にも日本語のニュース、例えば夜の「ニュース7」、これを日英二回、日本語の放送のときと英語の放送を二回やるというようなことも現在検討しているところであります。
  37. 神取忍

    神取忍君 今日は貴重なお話をありがとうございます。  山本参考人にお話をお伺いしたいんですけれども、今、発信力、コミュニケーションの低下からくるということで、姿が見えなくなる日本ということをおっしゃっていましたが、今やっぱり様々なところでそういった言葉が言われています。そういったところの中で、やっぱりこのまま発信力、そういったものが低下して、本当にこの優秀な日本というものが諸外国においても理解されなくなってくるということが現実問題起きてくると思うんですけれども、そういった中で、他国でそういった、中国、韓国にしてもだんだん力を付けてきているという、そういった教育方針とかそういったものが、これから日本にとっても必要なものがあれば教えていただきたいと思います。
  38. 山本正

    参考人山本正君) 中国、韓国の場合は、私は明らかに政府の力が非常に大きいんではないかなと思います。ですから、中国の方が韓国より、よりそうだと思うんですけれども中国の指導者がこうやろうと思えば大体そうなっていくわけであって、したがって、例えばアメリカのいろいろのシンクタンク、大学等に中国の非常に優秀な学者の人たちが出かけていっております。これは、どこまで直接かは別として、やっぱり国の全体的な方針の中で予算が付いてそれが推進されているということだろうと思うんですね。  アメリカの場合は、また、これは必ずしもホワイトハウスがこうやれと言ったから動くというわけではないんですけれども、先ほどちょっと御紹介しましたとおり、今多くのシンクタンク、政策研究機関企業寄附が非常に活発に行われているわけですね。これはなぜだということになると、いろいろ理由はあろうと思いますけれども、最終的には、そういう研究機関が活発な活動をすること自体が米国にとって、米国の社会、米国人にとって役に立つという認識が多くの人たちにあって、それがゆえにお金を出しているということになると思うんですね。  したがって、日本の場合どうなのかというと、事実誤認があったらお許しいただきたい、私はある程度自信を持っておりますけれども企業のいわゆる文化芸術についての支援は大分増えております、この一年間見ると。ただ、実際の政策的な国際交流等についての寄附は非常に少なくて、少ないままでずっと推移しておりまして、それから、申し上げたとおり、残念ながら、政府のそういったものに対する支援ももう目減り一方でございます。  ですから、そういった意味で、あえて多少声を大にして政治のリーダーシップに訴えたいと申し上げたのはその辺でありまして、ただ、今議員がおっしゃったような認識がまずないと思うんです。日本がもうだんだん影が薄くなっているという認識がまずもって日本の中で十分に広がってないような気がいたしておりまして、その意味で、是非そういう認識を広めていただければなというふうに思います。
  39. 神取忍

    神取忍君 ありがとうございました。
  40. 広中和歌子

    広中和歌子君 本当にお寒い中、お忙しい中、よくおいでいただきました。ありがとうございました。  今、神取さんが御質問になったことのフォローアップみたいな感じになりますが、私もここ数か月、日本の存在感が弱いとか、発信力が弱いとかということをテレビなどで発言する人が多いことに気が付いておりますんですが、本当にそうなのかどうかということですよね。もしそうだとしたら、その原因は何なんだろうか、お三方にそれぞれ御意見をお伺いしたいんですけれども。  今、山本参考人が、資金というんでしょうかね、ともかくそういう発信するための資金がないというようなことをおっしゃったわけですけれども、確かに諸外国と比較すると、政府から出てくるお金も少ないし、CSR、企業からのそうした、あるいは個人からの寄附なんかも少ないということは思いますんですが、ただ他方で、日本はクールだと、すてきだということで非常に関心持っている人も片やいるわけですよね。  今、存在感が弱いとか発信力が弱いと言われているのは、日本の総合的な経済力が少なくとも過去十年前と比較して弱っているからということもあるのかなと思ったりもするんですが、そのことについてもコメントしていただきたいと思います。  それから、発信する人材ですよね。それがやっぱり、先ほどもどなたかがお聞きになりましたけど、語学力なりあるいは自分の意見をはっきり言うといった教育、そういうものも変える必要があるとしたら、どういう形で今こういう国際交流に携わっている方が影響力を持ってそれこそ発信していただけるのか。私は必要だと思っております。  それから、特に政府の取組でございますけれども、私も呼ばれたんですが、フルブライトのプログラムの中でアメリカの学校の先生、小中学校の先生を日本にお招きして、最初は八百人ぐらい呼んで、それが六百人になり、四百人になり、今度二百人で、そしてそのプログラムは終わってしまうというんですが、文部省が出しているお金かどうか知りませんけれども、非常に大切なんですね。そういう学校の先生が日本の政治とか文化とか社会とか学校制度とか何週間か学んでくだすって、そしてアメリカに戻って学生、生徒たち日本の話をする。非常に大きな発信力がある。そこのところを切ってしまうような政府の政策みたいなものも非常に問題があるんではないかなと思ったりしますけれども、いろいろ理由があると思いますが。  また、もう一つ。あえて宣伝しない、いいものだったらみんなが見付けて勝手に寄ってきて学んでくれるだろうというような、そういう国民性もマイナスになっているのか。あえて知られたいと思わないというような、孤高を保つみたいな、そういうところもあるのかなと思ったりもするんですが。  やはり、海外なんかへ行きまして、テレビひねったときに日本の番組が出てくるとうれしいんですが、ここで今井参考人に伺いますけど、この前フィリピンに行きまして一生懸命やったんですけど、二十四時間やっていらっしゃるとおっしゃいましたけれども、全然日本の番組出てきませんでした。  ということで、もっともっと力を入れて、少なくともNHKは独自の財源をお持ちでいらっしゃるので、是非そちらの方に使っていただきたいと思いますし、また私たちも、ここにいる者、政府にいろいろ働きかけながら、こういうPRのための、日本発信力を強めるための予算を政府に要求することが必要なんではないかなと私個人は思っておりますが、コメントをよろしくお願いいたします。
  41. 山本正

    参考人山本正君) 大変難しい御質問で、かつ大変重要な質問であるんですけれども。  確かに、例えばアメリカ人を取った場合、日本に対する一般的な関心、食べ物等を含めてですけど、ファッションとかですね、それは相当高いことはありますし、日本が取り上げられること多いんですけれども、やっぱり私なんかが問題にするのは、政策レベルでの関心というんでしょうか、日本が何をやるんですか、どんな役割を果たすんですかといったときに答えが返ってこないということでありましてね。ですから、間違いなく日本はまだ大国であり、国際的に影響力のある国であるというふうにみんなに見られておりまして、国際会議に呼ばれる、なかなか来てくれない、やっと来てくれた人はずっと黙っているという状況が本当にこのごろ多少戯画的にそういうふうに取られるようになってきてしまっているんですね。  どうしたらいいのかということですけれども、やっぱり私は財政的な問題と無関係ではないと。すなわち、さっきもちょっと申し落としましたけど、若い人を訓練するときに、余分な予算があれば若い人たちを連れていって現場に身を置かせてとにかくやらせてみると。このごろそういう余裕がなくてぎりぎりの予算でやっているわけですね。ですから、予算力の問題が大きい。  それからもう一つは、やっぱりどうなんでしょう、これはどこが中心というよりも、国際交流基金も我々のようなところも国際文化会館も、そういったところが一緒になって、もう一遍どうすればいいかということについてブレーンストーミングの場をつくりまして、それには政府関係者にも御参加いただくなりして、新しい取組を訴えるということを我々としてやる必要があるんじゃないかなというふうに思っておるわけです。  ですから、そんな中で政治家の皆さんに果たしていただける役割、非常に大きいような気がして致し方ないんです。僕ら、やっぱり政府の方は限られた予算がありますから、頼んでもというか、何とかしてくれと言っても、無理だと言われることが多いんですね。ということは、やっぱり国会が、議会が絡んでこういったものについての予算を抜本的に大きくしていただく必要があるような気がしてしようがないんです、同じこと、繰り返しになって申し訳ありませんが。
  42. 今井義典

    参考人今井義典君) まず、フィリピンでのお話の件ですけれども、フィリピンでも首都マニラ、ケソン市のホテルなどでは受信を、主に日本からの観光客、ビジネス客のために設置しているホテルがかなりの部分あるというふうに承知しています。ただ、そのホテルに放送が入っていたかどうかというところは、ちょっと今の段階では分からないということであります。  NHKの放送を、ホテルではなくて地方の、フィリピンでもどこでも、現地の人たちのところで受信ができないというのは、先ほど申し上げました大きなアンテナを置かなければいけない、この大きなアンテナが世界に個人の所有あるいは企業の事務所の所有などであるのが、それによって受信できる人が三千九百万世帯ぐらいなんですね。ですから、これを次の手段で戸別に届ける方法をこれから強化していかなきゃいけない、これを少しでも増やしていかなければいけないというふうに思います。  それからもう一つは、私どもが伝えたい、最後まで届けたいというものを先方が、受け手側が受信するかどうかというところが一つの問題で、そこまで電波は行っているけれども、チャンネルに入れるか入れないかということが次の問題としてあります。  それから三番目の問題は、小倉さん、山本さんのお話と若干絡んできますが、私どもが伝えたいというものと、相手側が、受け手側が知りたい、見たいということとは必ずしもいつも一致しているわけではないと。その辺りを私たちが内容の上でも十分に努力をしていかなきゃいけないところだろうというふうに考えています。
  43. 小倉和夫

    参考人小倉和夫君) 私はその定義の問題があるんじゃないかと思うんですけれども日本からの発信がないという意味がどういう意味なのかですね。  実は、広中先生もちょっとヒントされたように、ファッションとか漫画とかというもののみならず、村上春樹は世界中で読まれているわけでありまして、プーチン大統領が読んでいるというのを聞いて、ああ、そうかと言って読み出した日本人がいるという話ですから、随分違うわけでありまして、柔道もそうなんですけど、フランスに私おりましたけど、フランスの柔道人口は大体今六十万から七十万ですね。日本の人口の半分ですから、三倍ぐらい柔道やっているわけですから。  これが日本発信一つの型、パターンであると考えれば、すごい発信をやっているということにもなるわけでありまして、要するに問題は二つあると思うんです。一つは、山本さんも言われたように、明日の世界のビジョンに対しての日本考え方発信がないということが一つあると思うんですね。もう一つは、しかし、今までは日本はアジアの中で唯一近代化した国であると、そこが日本のありとあらゆることの発信一つの原点になっていたと思うんです。  しかし、その原点が今やちょっと崩れつつあると、いろんな意味で。ですから、その原点の、日本の今までのいろんな意味での発信というのが、政治的な意味での発信、経済的な意味での発信文化的な意味での発信もそこに原点があったんですが、それがやや時代遅れになりつつある、完全にはなっておりませんけど、なりつつあるんです。そこに、私は、大きな問題があって、明日の日本のビジョンというものをどのように国際社会の中で考えて、それをどのように発信するのかということが問題なんであって、発信の仕方を議論するのはその次であっても遅くはないと思うのがもう一つあります。  もう一つは、じゃ何をしたらいいかなんですが、一つ企業のCSR活動国際社会において日本企業は、多国籍企業は物すごいお金を投じて物すごい社会貢献活動をしておられるわけですが、それはもっと世界に知らせるべきじゃないか。それはやはり、日本発信というときに、日本からの発信も大事なんですけど、日本企業世界でやっていること、特に社会貢献活動をうまくPRしていく、これがやはり一つ大きな問題じゃないかと思います。  最後に申し上げたいのは、日本の国内で、NHKさんが日曜の九時ですか、やっておられるああいうディベートですね、非常に貴重なあれは番組だと私は思うんですけど、フランスのテレビなんかを見ると議論ばっかりしているわけですね、みんな。テレビを見て、議論しているのを見て何が面白いのかと思うぐらいの議論をしておりますが、やはりその議論、知的な議論をしているという姿というものをもう少しいろんな形で日本国内で広げていくということが大事で、それがないと、国際社会に行ったときだけ議論してくれと言われてもちょっと困るわけでありまして、その辺がこれから考えなくちゃいけないことじゃないかと感じております。
  44. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 今日はありがとうございます。参議院議員の民主党の峰崎でございますが。  最初に小倉参考人の方にお聞きしたいんですが、非常にこの「国際交流基金ジャパン・ファンデーション)の概要について」という資料を見てショッキング受けているわけでありますが、予算削減に伴う事業削減の例とか全部右肩下がりになっているし、その下に年間の国際文化交流機関支出規模とか人員比較なんかが、極めてもう、まあ比較しているところが非常にいいのか、それとも日本が悪過ぎるのか、三か国を比較をされたりしているんですが。  この国際交流基金のように、独法化して基金でもって運用されているときになぜこのような差が、要するに基金の絶対額が少ないのか、運用のやり方が悪いのかとか、特に日本の場合は低金利で非常にもう、かつての財団法人といったようなものがほとんどもう機能しなくなってきているような状態ありますですね。  そういった意味で、もしこの機会に、こういう国際的な文化交流機関のもっと機能を果たすために、それは基金を増やさなきゃいけないのか、あるいは運営資金をもっと増やさなきゃいけないのか、こういった点についての要望などがあればお聞きしたいなと思っていますし。  山本参考人の方に、私も、日本国際交流センターで、アメリカからあるいはオーストラリアから来られたときなどによく参加をさせていただいて、かつてはよくそういったところに出たことがあるんですけれども、最近そういった催物の回数とか、そういった、特に政治家に対して、先ほどもお話がございましたけれども、財政的な問題がもちろん大きい要因なのかもしれませんけれども、そういった点で増えているのか、増えていないのか、横ばいなのか。  そういう意味では、日米とか、あるいは日豪とか、あるいは日本・EUとか、そういう政治家同士の交流というのが非常に不足しているんじゃないかとよく言われていますので、そういった点で、もしこの機会に、我々がどういう形でやったらいいのか。  例えば、寄附金税制の在り方も随分かなり改正をしてきているんですね、税制改正なんかの場合も。そういう意味では、もっと日本が、寄附というか、財政を形作っていくときに、政府出資じゃなくて自力でやっておられるということになると、当然そういう寄附文化みたいなものが、アメリカなんかと比較してどうもやはり日本寄附文化は弱いと言われているんですが、そういった点で、もし何か我々が改革をしなきゃいけないポイントがあれば提起をしていただいて、我々も年度税制改正などで是非こういった点も改革していければなと思っております。  こういった点について、お聞かせ願えればと思います。
  45. 小倉和夫

    参考人小倉和夫君) 三点あると思うんですけれども一つは、やはり一千億の財団、まあ一種の財団みたいな状態でありますが、といっても、おっしゃるように金利が非常に低いわけでありますので、こういう状態がどこまで続くかということもありますが、どんなことがあっても、やはりミニマム、ある程度の基本的な支出ができる状態でないといけないと思います。  そのためには、ほかの国がどうなっているかを比べますと、アメリカの財団というのは、大体、兆、何兆とかですね、小さいと言われているものでも何千億の規模でございますので、億円の、ですから、日本国際交流基金あるいは公益的な財団規模がやはり数千億円であるべきであるというのは、これはアメリカの財団が数兆円であるのを見てもやはり考えなくちゃならない点だと思いますので、そこは基金を増やすということは必要だと思います。  ただ、それだけではございませんで、運用の規則、実はこれは政府方々の御理解も得まして、私ども財団では、円だけじゃなくてドル及びユーロでの運用を認めていただくようになりました。それだけでも数億円違うわけであります、これからどうなるか分かりませんが。したがいまして、基金の運用の仕方のフレキシビリティー、これがやはり、まあ普通の株式まで投資できるようにしてくださいとまではいかないと思いますが、やっぱり運用のフレキシビリティーを認めるということは、これは大事なことじゃないかと思います。  それから第三は、やはり外部からの資金の導入。寄附とかいうことも大事ですが、余り寄附寄附とやりますと、あちこちから寄附が殺到しますから、企業のお立場から見れば、AからもBからもCからも来るということにとかくなりがちになります。やはり自己収入を増やしていく努力も必要じゃないかと思います、例えば授業料を取るとか、そういうことで。  実は、ここに一つ持ってまいりましたけれども、こういう手ぬぐいを最近、国際交流基金でも開発したんですけれども、これは、アジアのデザイナーを日本に呼びまして、そのデザイナーに日本を見て回っていただいて、日本の印象をデザインしてくださいと。それをあるメーカーさんと組んで手ぬぐいを開発して、これはどこまで売れるか売れないか分かりませんが、少なくともそういう努力をみんながしていくという、そういうことが大事じゃないかと思います。ちりも積もれば山となるで、何千億にはすぐはなりませんが、そういう意識を持って少しずつ収入を増やしていく努力もしなくちゃいけない。  この三本柱でやっていったらいかがかなと思っております。
  46. 山本正

    参考人山本正君) 峰崎委員、ありがとうございました。  確かに、議員交流は今ちょっと下火でございまして、さっき一つ申しましたけれども、アメリカの議員日本に来るのが非常に減りまして、一昨年、いろんな目的のために日本に来た上下両院議員の数が十名ぐらいだったと。これはちょっと未確認ですけれども、昨年は二人だったというのがあるんですよ、一人はうちが呼んでいますから。ですから、それほどやっぱりアメリカの議員がなかなか日本に来なくなった。議員のスタッフは私ども呼んでおりますけれども、これは我々、相当競争させて、いい人たちを呼べるぐらいです。ちなみに、この議員のスタッフを呼ぶお金は米国のある大企業が出してくれています。豪州についても、これは、一番最初に外務省からの働きかけもあって始めまして、その後やっておりまして、これは一つだけ、こういうこともあるということをちょっと。  多分御存じないと思うんですけれども、このごろ入札制度なるものがありまして、我々が十年、十五年やってきた事業であっても入札するんです。ということは、いろんな意味で柔軟性がなくなりますし、もうおれたち入札しないと、いや、こちらは、どっちかというと、御依頼を受けてやっているつもりが入札しろという話になるわけですから、多少心理的な問題もありますけれども、やっぱりいろんな意味で硬直性ができますですね、入札制度となると、それなりの理由があるんだろうと思いますけれども。  それから、もう一つですけれども寄附の問題ですが、正直なところ言って、企業の我々のような非営利組織に対する寄附はうんと減っております。CSRが活発というんですけれども、確かにそういう面もありますが、これは企業関係者が直接絡んで、いわゆるソーシャルリスポンシビリティー、社会的責任を果たすような活動に参加されるというのが通常のパターンで、非営利組織にお金を出して頑張ってやれよという形のものは相対的に減ったというふうに申し上げてもいいんじゃないかなと。もちろん企業が直接なさるのは悪くはないんですけれども、物によってはやっぱり非営利組織の専門性を生かしていただけるところもあるんじゃないのかなという気はいたしておりまして、特に非常に難しいところです。  私、寄附免税の制度ができたから途端にどっと企業寄附が増えるというふうには思っておりませんで、私も一九八八年に寄附免税第一号、渡辺大蔵大臣のころにやっていただいたんですけれども、それによって寄附がうんと増えたということは全くないんです。  ですから、もちろん条件としてそういうことをつくるのは必要あるんですけれども、くどいんですけど、やっぱり我々のようなというか、NGO、NPOの重要性をより深く御理解いただいて、そういったところを支援することが大事だという認識がもう少し広がる必要があるかなというふうに思っております。  ありがとうございます。
  47. 石井一

    会長石井一君) これで今日、最後にさせていただきたいと思いますが、時間が迫っておりますので、よろしくお願いします。
  48. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 よろしくお願いします。  存在感と発信力強化というのがテーマだと思うんですけど、なぜ日本の存在感と発信力が弱くなったかというのは大いに反省する点かなと私は思っております。  今、大体地球規模で物を見たときには、この温暖化問題に関しても、地球が最初だという概念があるんですね。だから、国連の中でも価値観が変わってきているという。保護する責任であるとか、それから先住民権利宣言であるとか、それからUNEPSの問題、紛争解決方法ですね、そういうものを考えたときに、今までの時代が全く変わってしまったという、そこに今の日本一つは付いていけないような感じがするんですね。  その意味では、日本文化というものをどうとらえるかという点で、日本文化が本当に多様性というところからとらえることができるかという疑問があるんですね。今まで交流するときでも、日本の特別な人間たちがたしなむものしか持っていかないというやり方があるんですね。伝統に関しても、非常にもっと多様性があるという、そして日本語だって、特に沖縄の言葉なんて私は方言と思ってないんですね。独特の言語形態を持っていると思っているんですね。この辺に対する見方がどうであるのかとか。  それから、いわゆるロビー活動NGO、NPOでやられているのかとか、その辺もあるんですね。  それから、私もかつてアトランタ・オリンピックではアジア代表で五大陸から選ばれて行ったことがあるんですね。そして、国際交流資金をいただくためにずっと行政を回ったんですけど、たらい回しになって一銭ももらえなかったというのがあるんですね。  去年も、私は民主党から中国へ行って、そこで歓迎晩餐会で歌を歌いながら、答礼会でも歌ったんですね。  ということで、全くちょうど今、日本のエスタブリッシュメントと言うんですかね、選ばれた人たちが見る日本文化力というものと、今世界が求めている文化力には余りにも差があるという。だから、もう一度この辺をリンクするという、東洋の文明をそこまで持ち上げた日本民族、あるいは西洋のマテリアリズムをそこまで立ち上げた民族が今それを融合する力、一番僕は近いところにあると思うんですね、どこよりね。日本こそが本来ならば温暖化の問題にしろ砂漠化の問題にしろ、国連に対してもイニシアチブを取る僕はチャンスだと見ているんですね。そのためには、国際交流基金というものは非常に重要な役割があると思うんですね。  この辺で私はお伺いしたいんですけど、一つ、今後、特に我々が何か求めていくときには、どうしても沖縄の行政へ行くときには、今は自民党政権が握っているからロビーが行きにくいとか、あるいは革新だからたちが悪いとか、そういう一つのものを超えていくぐらいの国際交流協会をつくれるかをちょっと小倉先生に聞きたいですね。
  49. 小倉和夫

    参考人小倉和夫君) 沖縄のある地区の日本語が一番どこで残っているかというと、沖縄ではなくて、ブラジルの移民の集団に残っていると聞いております。日本語の本当の保存というのは、実は沖縄の方々のブラジルに住んでいる人々、沖縄出身の、その方々に今インタビューして、今それを保存しなければ永遠にその地方の特色の固有の方言はなくなってしまうと言われているんです。  そういうことこそまさに私たちがもっと取り組まなくちゃならない問題であろうと思いますし、沖縄の古武道とか空手とか、そういうものを国際的に紹介する、あるいは型染ですか、そういうものですね、そういうものをやっぱり日本文化一つの大きなものとしてやらなくちゃいけないし、また今後やっていかなくちゃいけないと思います。そういうのは、やはり各地域地域の多文化共生とかそういったいろんな努力をいろんなコミュニティーでしておられるわけですから、そういうものと連係プレーをもっと私たちがする必要があると思いますので、いろいろアイデアがありましたら是非言っていただきたいと思うわけでありますが。  それで、最後に申し上げれば、やっぱり一番固有なもの、日本人が自分に一番固有なもの、それに自信を持つということがやっぱり大事じゃないかと思いますので、こういう日本に固有なものが実は一番国際的に普遍なものになり得るんじゃないかと、こういうふうに感じております。
  50. 石井一

    会長石井一君) どうもありがとうございました。  議論の残るところもあろうかと存じますが、時間が参りましたので、今日はこの程度にいたします。  本日は、総務省と外務省から政府参考人においでいただきましたが、河内議官山本部長、今日の調査会の議論を聞かれて何かおっしゃりたいことがあればお伺いしたいと思いますが、いかがですか。どうぞ。
  51. 山本忠通

    政府参考人山本忠通君) 外務省の山本でございますが、率直に申しまして、問題意識、非常に深くお考えになっていただいていて、実は我々も、我が国とそれから海外の人との交流、それから日本に対する理解をどう求めていくか、日本のファンをどうつくっていくのか、世界の知的コミューンの中に日本考え方をどうやって効果的に発信していくかということは、今考える極めて大事な転換期に来ているという認識でおりますので、ここでの議論を本当に参考にさせていただけることになると思います。  是非、いろいろ御示唆いただくと同時に、我々の方の政策をも御理解いただきましていろいろと御指導をいただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  52. 河内正孝

    政府参考人河内正孝君) 国として、国際放送、特に我が国の状況とか、そういう考え方海外に知らせて日本のプレゼンスを高めるとか、あるいは海外における邦人の方に安心と安らぎを与えていくというようなことは非常に重要でございまして、国際放送をNHKとともにより強化しながらその対応を進めてまいりたいというふうに考えております。  特に、テレビによる、映像による国際放送の強化につきましては、さきの臨時国会で放送法の改正をいただきまして、先ほどNHKの今井会長から説明されましたように、より放送法に基づいた子会社をつくって英語放送による放送を強化していくというようなことでございまして、私どもも、国の交付金を五倍に増強してそういった活動を国としても支援していきたいというふうに考えております。  今日、先生方からいただきました貴重な御示唆、御意見等を踏まえて、より私どもとしても頑張ってまいりたいと思いますので、またどうぞよろしくお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  53. 石井一

    会長石井一君) 本日の調査会はこの程度といたします。  一言ごあいさつ申し上げます。  小倉参考人山本参考人今井参考人におかれましては、長時間、豊富な経験と貴重な御意見をお述べいただき、大変有意義な調査を行うことができました。調査会を代表し、各参考人のますますの御活躍を祈念いたしまして、本日のお礼とさせていただきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四分散会