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2008-06-02 第169回国会 参議院 行政監視委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年六月二日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  五月十四日     辞任         補欠選任      牧野たかお君     中山 恭子君  五月十六日     辞任         補欠選任      山下 芳生君     仁比 聡平君      近藤 正道君     又市 征治君  五月十九日     辞任         補欠選任      仁比 聡平君     山下 芳生君  五月二十一日     辞任         補欠選任      又市 征治君     近藤 正道君  五月二十六日     辞任         補欠選任      森 まさこ君     舛添 要一君  五月二十七日     辞任         補欠選任      舛添 要一君     森 まさこ君  五月三十日     辞任         補欠選任      林 久美子君     牧山ひろえ君  六月二日     辞任         補欠選任      牧山ひろえ君     林 久美子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         加藤 修一君     理 事                 足立 信也君                 島田智哉子君                 徳永 久志君                 岸  信夫君                 浮島とも子君     委 員                 家西  悟君                 岩本  司君                 田名部匡省君                 千葉 景子君             ツルネン マルテイ君                 長谷川憲正君                 林 久美子君                 平山 幸司君                 牧山ひろえ君                 松岡  徹君                 水戸 将史君                 柳田  稔君                 渡辺 秀央君                 石井 準一君                 加治屋義人君                 佐藤 正久君                 坂本由紀子君                 中川 雅治君                 中山 恭子君                 古川 俊治君                 森 まさこ君                 山下 芳生君                 近藤 正道君    国務大臣        総務大臣     増田 寛也君        法務大臣     鳩山 邦夫君        外務大臣     高村 正彦君        厚生労働大臣   舛添 要一君        経済産業大臣   甘利  明君        環境大臣     鴨下 一郎君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    大田 弘子君    副大臣        外務大臣    木村  仁君    事務局側        常任委員会専門        員        西澤 利夫君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       酒光 一章君        内閣大臣官房        審議官民間資        金等活用事業推        進室長      赤井 裕司君        内閣大臣官房        審議官公共サ        ービス改革推進        室長       中藤  泉君        総務省自治財政        局長       久保 信保君        法務省民事局長  倉吉  敬君        外務大臣官房参        事官       渡邉 正人君        外務大臣官房参        事官       山崎  純君        外務省中東アフ        リカ局アフリカ        審議官      木寺 昌人君        国税庁徴収部長  秦  邦昭君        厚生労働省職業        能力開発局長   新島 良夫君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       大谷 泰夫君        資源エネルギー        庁長官      望月 晴文君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      西山 英彦君        国土交通省住宅        局長       和泉 洋人君        国土交通省政策        統括官      伊藤  茂君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    由田 秀人君        防衛省運用企画        局長       徳地 秀士君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   諸澤 治郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関  する調査  (行政評価等プログラムに関する件)  (政策評価現状に関する件)  (行政評価監視活動実績概要に関する件)  (政府開発援助に対する検査状況に関する件)  (行政改革実施状況に関する件)     ─────────────
  2. 加藤修一

    委員長加藤修一君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、牧野たかお君及び林久美子君が委員辞任され、その補欠として中山恭子君及び牧山ひろえ君が選任されました。     ─────────────
  3. 加藤修一

    委員長加藤修一君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会政府参考人として、理事会協議のとおり、内閣官房内閣参事官酒光一章君外十六名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 加藤修一

    委員長加藤修一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 加藤修一

    委員長加藤修一君) 行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査を議題とします。  本日は、前回、説明を聴取いたしております行政評価等プログラムに関する件、政策評価現状に関する件、行政評価監視活動実績概要に関する件、政府開発援助に対する検査状況に関する件及び行政改革実施状況に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 徳永久志

    徳永久志君 民主党・新緑風会・国民新・日本の徳永久志であります。  それでは、まず最初に政策評価全般についてお伺いをしたいと存じます。  現在、政策評価は、各府省内部評価及び評価担当組織である総務省による評価という二本立て評価体制となっております。こうした評価枠組みにつきまして、いずれにしても行政府内部の内々の評価であるということから客観性に欠ける面があるのではないかと指摘がされているところでもあります。  そこでまず、政府としてこうした指摘、批判にこたえていくために、政策評価における客観性を担保するためにどのような方策を講じておられるのか、総務大臣にお伺いしたいと存じます。
  7. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) お答え申し上げます。  まず、今先生からお話ございましたとおり、総務省各省の一次的な評価と、それを総務省が全体的にその後点検をする、そして各省にまたがるものは総務省の方でまた評価をすると、こういう二本立てになっているわけですが、各府省がそれぞれまず自分政策評価する際にどこの省でも外部有識者により構成される会議を持っておりまして、その会議にかけて、そして有識者の意見をもらいながら、それぞれの省が自分たち政策評価すると、こういう形になっております。これは、宮内庁はアドホックに外部有識者を頼んでいますが、それ以外の省庁は常設の有識者会議を持っておりまして、そこにもかけて、それぞれ評価をするというのが一つでございます。  それから、総務省の方でございますが、総務省各省がやった評価点検をし、それから複数府省にまたがる政策評価総務省が行う、こういうことでありますが、総務省としても政策評価独立行政法人評価委員会という、いわゆる政独委と言っております委員会にかけまして、これは外部学識経験者等で構成されるもちろん委員会でございますが、そこの調査審議も踏まえながら総務省としての点検あるいは評価を行っていると、こういう形になっております。  いずれにしても、すべての政策評価の結果は公表されておりまして、最終的には国民皆さん方にその内容を公表することによってその是非を御判断をしていただくということでございまして、今先生の方からお話ございましたとおり、これについては客観性を担保するというのが大変大事でございますので、今後とも、こうした制度のしっかりとした運用とそれから透明性確保に努めていきたいと、このように考えております。
  8. 徳永久志

    徳永久志君 最後の方で大臣客観性をどう担保するかが一番大事だとおっしゃいましたので、その部分がやっぱり行政評価部分については一番大事な視点だろうというふうに思います。  なお、アメリカでは議会の附属機関でありますGAOが政策評価を行っております。客観性を担保するためには、先ほども申し上げましたとおり第三者による評価が必要でありまして、そのためにはやはり立法府、それも政府から、その基盤を置く衆議院よりも、行政監視機能がより強く期待をされている参議院にそういった行政監視機関を設置すべきだと私は個人的には考えておりますが、これについて大臣答弁を求めても、立法府がお決めになることですからということになりますので、あえて御答弁は結構でございます。  それでは、今回の総務省が結果をまとめました政策評価のうち、PFI事業に関する政策評価書に基づいてPFIについて質問をいたします。  平成十一年、いわゆるPFI法制定をされました。私はその当時、ちょうど滋賀県で県議会議員に当選をさせていただいた直後でもございました。滋賀県の財政状況を改めて分析をしてみますと、本当に財政難の現状というものにびっくりした思いをいまだにいたしております。しかしながら、県民県行政に対する行政ニーズというのは本当に複雑多岐にわたってまいりまして、高まるばかり。そういった声にしっかりとこたえていきたいという思いは持ちつつも、言わば、ないそでは振れないというような状況でもありました。  そうした中で、民間資金ノウハウ活用して低廉で質の高い公共サービスを提供する手法としてこのPFI推進法制定をされ、そしてその枠組みが提示されたということは、私自身、当時を思い返してみても、非常に新鮮で魅力的なスキームだなというふうにも思いました。  そこで、PFIの本論に入る前に、当時、岩手県知事でありました増田大臣知事としてこのPFI法制定をどのように受け止められたのか、ちょっと感想をお聞きしたいと存じます。
  9. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 私もちょうど知事になりましたのが平成七年でございましたので、就任直後、県財政が非常に逼迫をしていると、そして、いわゆる民間ノウハウあるいは資金力行政の中でも適切に活用していくような、そういう手法があればなというふうに思っておりましたし、今お話ございましたとおり、平成十一年にPFI法ができたわけですが、その直前からいろいろ成立の動きが地方にも伝わってまいりました。  また、成立した後、どういうやり方でこのPFI事業実施していくかといういろいろな説明等もございましたので、私も注目をし、これをどのように活用していけば一番県民にとってサービスが向上するのかという観点から、担当部局に相当いろいろと研究をさせた、そういう思いがございました。  そして、岩手県内での活用ですが、市町村の方が先にこれについて取り組んだかと記憶しておりますけれども、他県での活用事例等も考え、いろいろと経験も聞かせていただきながら、私の就任の三期目になりましてから、具体的な廃棄物処理施設の建設についてPFI事業、これを活用するといったこともございましたし、いろいろと公の方で注意しなければいけない点が幾つかあるなというふうに思いながらも、できるだけこうした制度活用しながら県民サービスの向上が図れればいいという、そういう思いでこの制度を見ていたところでございます。
  10. 徳永久志

    徳永久志君 非常に好意的に受け止められたということでありますけれども、今回の総務省調査結果によりますと、PFI事業実施方針年度別策定公表件数は、法が施行された平成十一年度から十六年度まではおおむね増加傾向であったものが、十六年度の四十九件をピークにその後減少傾向にあるというふうに記されています。また、地域的に見ましても、大都市圏では多く見られる一方で、六つの県で事業実績がないということも併せて報告をされているわけであります。  こうした現状につきまして、PFIを所管される大田大臣はどのように認識をされておられるのか、伺います。
  11. 大田弘子

    国務大臣大田弘子君) 御指摘のように、平成十七年度、十八年度は前の年に比べてやや件数が落ちております。ただ、十九年度につきましては四十三件で、また持ち直してきています。  PFIを採択するかどうかというのは地方自治体判断ではありますけれども、先ほど来、先生も御指摘くださっているように、PFIというのは民間の技術、ノウハウ資金を入れると、そしてそれを通して官の仕事の見直しにもつながるものですから、私自身としてはもっと増えてほしいと考えております。  内閣府としましても、ガイドライン充実、それから契約標準化の促進、要求水準書作成指針策定など、PFIをより使いやすい制度にするように努力してまいります。
  12. 徳永久志

    徳永久志君 今、大田大臣、もっと増えてほしいと個人的にはお思いだというお話でもございました。  それで、改めてお聞きするわけなんですけれども、この今回の総務省調査事業のうち、VFM、いわゆるバリュー・フォー・マネーの伸び、見込みが判明した百六件の状況だと、三十年間に換算すれば約二千七百二十六億円、約二〇・三%の公的財政負担削減効果があると見込まれており、今後PFI事業が適切に推進されれば、相当の効果が発現する余地があると認められるという内容になっております。  こうした調査結果を受けまして、政府としては、今後もPFIについては積極的に推進をしていくという方針をお持ちであるというふうに理解してよろしいでしょうか。大田大臣、いかがでしょう。
  13. 大田弘子

    国務大臣大田弘子君) 平成十九年度末で見ますと、バリュー・フォー・マネーが二三%、五千七百九十億円が発現しております。総務省政策評価でも指摘されましたように、適切に推進されればもっとこのバリュー・フォー・マネーは増えると考えております。  例えば、リスク分担をより官と民で明確にすることで、民間事業者からしますと事業予見可能性が高まる、予備費をそれほど積まなくて済むということになりますと、バリュー・フォー・マネーというのも高めることができます。  内閣府としましても、このバリュー・フォー・マネー算出透明性客観性確保のためのガイドライン策定するなどによりまして、更にこのPFI推進し、バリュー・フォー・マネーが発現するように努力してまいりたいと考えております。
  14. 徳永久志

    徳永久志君 今大臣のお答えの中にも若干触れられておりましたけれども、今回の総務省調査の結果によりますと、PFI事業の各実施段階におきまして大きく四つの問題、課題があると指摘をしているわけであります。  いわゆるVFM算出客観性透明性確保リスク分担管理モニタリング実施民間事業者の創意工夫しやすい環境整備と大きく四つ課題を挙げておるわけですけれども、それに対しまして、PFI事業の実務の指針あるいはガイドライン充実あるいは参考となる事例の蓄積に努めるよう内閣府へ勧告をしたとなっております。  こうした勧告内閣府としてどのように受け止めて、どう対応されていかれるのか、伺います。
  15. 赤井裕司

    政府参考人赤井裕司君) お答えいたします。  PFI法に基づき設置されましたPFI推進委員会において昨年十一月に取りまとめられました報告には、政策評価で示された勧告内容はおおむね含まれていると思っております。したがいまして、これらの課題について、同委員会において七月ごろを目途に措置を講じるべく御審議いただいているところでございます。  具体的には、今回の政策評価を踏まえた課題も追加いたしまして、標準契約書モデル及びその解説案及び要求水準書作成指針作成、また、VFM算出透明性客観性確保のためのガイドライン充実等の検討をしていただいております。  内閣府といたしましては、今後とも引き続き関係省庁とも連絡を図りながら、諸施策の一層の充実を図るべく最大限の努力をしてまいります。
  16. 徳永久志

    徳永久志君 今おっしゃった中で一つ重要なことがモニタリングだと思うんですね。  PFI事業では、公共施設管理者などが公共サービスの適切かつ確実な実施を確認するモニタリングが大変重要だと思っています。しかし、このモニタリングが必ずしも十分ではなかったと、この調査では指摘がなされているわけであります。  これは、例えば、モニタリングの知識やノウハウが十分ではなかったがためにそれぞれの事業主体が十分に行い得なかったのか、あるいは、そもそもモニタリング重要性といったものを理解をされていなかったからなのか、その辺り原因についてどのように感じておられますか。内閣府、お願いいたします。
  17. 赤井裕司

    政府参考人赤井裕司君) お答えいたします。  PFIについては、平成十九年度末現在、内閣府の調査事業実施方針策定された三百五事業中、過半数の百七十三事業運営段階に至っております。しかしながら、過半数を超えたのは平成十八年度からであり、運営段階におけるモニタリングについて発注者が必ずしも十分なノウハウを有しているとは言えません。  内閣府としては、標準契約書モデル及びその解説案等で、モニタリングの結果により適切にサービス水準確保する仕組みを示すなどにより、国、地方公共団体等事業を円滑に実施できるよう努めてまいる所存でございます。  また、モニタリングに対する重要性については、アニュアルレポート等刊行物又はセミナー、シンポジウムの場を活用し、更に普及啓発を図ってまいりたいと考えております。
  18. 徳永久志

    徳永久志君 モニタリング重要性については御認識をいただいていると思いますけれども、それぞれの事業主体でも分かっている部分だと思います。ただ、当初のスタートした時点で示されたガイドラインでは非常に漠として分かりにくかったというような声が大変強うございまして、それがゆえになかなか十分な体制を取り得なかったというような声も多々聞くわけであります。  これは、先ほど七月めどにまた新たに作っていくんだというお話でございましたけれども、これはかなり具体性のある分かりやすい形を整えていただくという理解をしてよろしゅうございますでしょうか。
  19. 大田弘子

    国務大臣大田弘子君) PFI事業というのは長期にわたるものがございますし、最近は運営型のPFIが出てきておりますので、先生指摘のように途中段階モニタリングが極めて重要です。その事例というものをしっかり積み重ねていかなくてはいけないんですけれども、今ようやく半分が運営段階に入っているところでございますので、なかなか事業実施主体においてモニタリング手法が共有されていないということがございます。  したがいまして、今、赤井審議官が御説明いたしましたこの標準契約モデル及びその解説、この中で、モニタリング手法あるいは官と民の紛争解決の手続といった、実際に事業を行う段階で発生してくるものに対して適切なガイドラインというものをお示ししていくと。それによって、既にPFI実施している公共団体がより円滑に事業できるようになると私どもも考えております。  なるべく丁寧なものを作成していきたいと委員会にお願いしているところでございます。
  20. 徳永久志

    徳永久志君 最後の方で大臣、今進行しているPFIについてもというお話がございましたが、それにかかわって総論的にお伺いをしたいと思います。  具体性のある分かりやすいガイドラインをお作りをいただくということは、ある意味、これからPFI事業をやろう、あるいは検討しようという主体にとっては非常に有効性のある、意味のあるものだというふうに思います。PFI推進の一助になると思います。  一方で、PFI推進していこうという立場の中でもう一つ重要なのは、現在実施されている現在進行中のPFI事業が当初の趣旨、目的に従ってスムーズに進捗をしていくということが何よりも重要だと思います。いわゆるモデルケースとして成功事例をつくり上げていくということが大切だと思いますが、その意味で、国として、PFI事業を行っている、例えば自治体に対して適宜適切に指導、助言を行っていくという必要性があろうかと思うんですが、この辺り増田大臣大田大臣、両大臣の御見解を賜りたいと存じます。
  21. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今お話しのとおり、公共団体にこうした成功例なりなんなりよく理解していただく必要がございます。総務省では自治行政局地域振興課がこうした各自治体相談の窓口になっておりまして、公共団体からの相談に応じますし、特にPFI事業に関する課題分析とか対応策、取りまとめた報告書を毎年公共団体の方にお渡しをして、内容についてよく周知徹底を今しているところでございます。  それから、財団法人地域総合整備財団、いわゆるふるさと財団でございますが、こちらの方で研修会それからアドバイザーの派遣などを行っておりまして、公共団体PFI事業の円滑な推進を今支援をしているところでございます。  こうした活動というのは大変重要なことでございますので、これからもこうした自治体からの相談や、あるいは自治体に対しての様々な情報提供周知徹底ということに相努めていきたいと、このように考えております。
  22. 大田弘子

    国務大臣大田弘子君) PFI平成十一年度から始まったとはいえ、まだ新しい試みも拡大しておりますので、先生指摘のように、成功事例をつくり、それを全国で共有すること、あるいはうまくいかなかったケースがあれば、それはどういうことが原因で今壁に突き当たっているのかを分析して、それを共有しながら少しでもいいPFIにしていくという努力が国にも地方公共団体にも求められていると考えております。  私どもも、総務省と並行しまして実施している自治体にモニターいたしまして、出てきた問題点推進委員会で御検討いただいております。今後とも、そのガイドライン充実あるいは必要とされている指針策定、そういうものを通してこのPFI推進に努めてまいります。
  23. 徳永久志

    徳永久志君 ここで、PFI事業の中で、公立病院自治体PFI事業整備をしていく場合のことをちょっと具体的に取り上げさせていただきたいと思います。  各自治体では、財政状況に比較的余裕のあった時代に公立病院を建設したものの、老朽化が進んで耐震基準すら満たしていない、あるいは施設内容も住民の医療ニーズにこたえるものとはなっていないというような状況になって、建て替えあるいは新築等を検討しているところがあります。しかしながら、従来のように起債を張って建設するというのも困難な状況の中、PFIによって病院を整備しようと考える自治体は、今は三件ということでありますけれども、今後増えるのではないかと私個人としては思っております。その一方で、運営業務が複雑な病院にはこのPFIは適さないんだという声や、巨額な赤字を招く経営悪化の元凶となっているというような声もあるのも事実であります。  まずは、病院をPFI整備をするということについての認識大田大臣から賜りたいと存じます。
  24. 大田弘子

    国務大臣大田弘子君) 病院のように運営の比重が高い事業PFIというのは、単に建設して管理するというだけのものとは違いまして、入札、運営それぞれの段階事業の特性に応じた対応が必要になってまいります。複雑であるというのは事実だと思います。しかし、だからこそ、病院の機能とか業務フローというものを見直してこの官民の役割分担を行っていくと、あるいはリスクを洗い出して、このリスクの官民の役割分担を行っていくということが重要なんだろうと考えております。  PFIの導入をてこにすることによって病院業務のシステム化を進める、あるいは仕事の流れを見直していくと。それから、何より、医師や看護師が本来業務に専念できるように、それ以外の、例えばパソコンへの入力作業というものは委託していくと。その委託業務も、各部局ばらばらではなく一元管理させていくといったような見直し、改善が可能になると考えております。  したがいまして、PFIをやりさえすればうまくいくとか負担が削減されるということではなくて、公立病院全体の改革を行うと。その中で、病院管理者による内側からの改革とPFIという外側からの改革が組み合わされて、初めてPFIの本来の趣旨が生かされるというふうに考えております。
  25. 徳永久志

    徳永久志君 今の御答弁をあえてまた補強をしていただきたいわけですけれどもPFI事業というのは一般的にライフサイクル全体で事業全体の最適化を図ろうというのが趣旨でありますから、契約期間は二十年、三十年の長期に及ぶわけであります。しかし、病院事業でいうならば、長期にわたる契約期間内の、例えば二年ごとの診療報酬の改定とか外部環境の変化を予測することが大変難しいことから、長期契約を結ぶPFIはちょっとなという声があるのもまた事実だろうと思います。  その点、病院PFIについて、長期契約を結ぶという点からの大臣の御見解を御披露願います。
  26. 大田弘子

    国務大臣大田弘子君) 病院のPFIは御指摘のように二十年、三十年の長期契約になりますので、診療報酬改定ですとか、その期間の環境変化に柔軟に対応するというのは不可欠だと思います。あらかじめ想定されるリスク契約段階で規定するにしても、その後、想定し得ないリスク、診療報酬改定などもあらかじめ想定できない、予測できないリスクだと思います。これにつきましては、変更があり得るということを前提にした契約の在り方が必要になってくると考えております。  こうした観点から、今策定しております標準契約書モデル及びその解説の中で、環境変化に柔軟に対応できる仕組み、この契約変更の仕組みを契約書に規定していくということを明確に示して、こうした課題に適切に対応できるように国や自治体発注者にお示しをしようと考えております。  これ以外にも、病院PFIの抱える課題というものには今後とも複雑さにしっかり対応できるような仕組みというのを検討してまいりたいと考えております。
  27. 徳永久志

    徳永久志君 ですから、病院PFIは長期契約だから病院整備PFIはなじまないんだよという、イコールの議論にはならないという御認識を持っておられるということでよろしいですね、ちょっと確認だけ。
  28. 大田弘子

    国務大臣大田弘子君) 御指摘のとおりです。  あらかじめ当初想定し得ない変化が起こるということを前提にして、契約変更の仕組みを組み込んだ契約にしていくことが大事だと考えております。
  29. 徳永久志

    徳永久志君 そうした中で、この公立病院の経営というのは大変厳しいものになっていまして、医師不足や診療報酬等の関係で、約千ある自治体病院の収支は急速に悪化をしてきていると言われております。それを受けて、総務省ではこのほど公立病院改革ガイドライン策定をして、各病院に改革を求めているところであります。  このガイドラインでは、経営効率化、再編・ネットワーク化、経営形態の見直しの三つの観点からの改革を求めているわけですけれども、ここのガイドラインにおけるPFIはどのように位置付けられていますでしょうか、総務省伺います。
  30. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) ただいま委員から御指摘がございましたように、昨年の暮れ、十二月二十四日付けで公立病院改革ガイドラインというのを関係の地方公共団体に示しました。  このガイドラインの中で、経営の効率化に向けた具体的な取組の一例といたしまして、民間的経営手法の導入という項目を設けまして、その一手法としてPFI方式の活用を掲げております。また、施設設備の整備に際しての留意事項といたしまして、整備費のみならず供用開始後の維持管理費の抑制を図るといった観点から、民間事業者ノウハウ活用を図る手法の一つとしてPFI方式があるというふうに言及をいたしております。  ただ、その一方で、このガイドラインでは、ただいまも御議論がございましたように、PFI方式導入の際の留意事項ということで、PFI方式は契約期間が極めて長期に及ぶということが一般的でございますので、あらかじめ公と民の間で適切なリスク負担のルールを定めるなど、事前に相当程度慎重な準備と調整を重ねることが求められるといったような注意喚起も一方でいたしているということでございます。
  31. 徳永久志

    徳永久志君 今御答弁いただきました部分が一つ私はどうかなと思うんですね。  経営形態の見直しは、民間的経営手法の導入を図る観点が強調されています。したがって、民間的経営手法というならばPFIもその選択肢に入ってきてしかるべきであろうと。しかし、経営形態の見直しに係る選択肢の欄を見ますとPFIは記載されておらず、非公務員型の地方独立行政法人や指定管理者制度の導入が強く推奨をされて、PFIについては触れられていない、何か後ろ向きのような印象を持つものでもあります。  また、先ほど御答弁の中で読み上げていただきましたが、大体こういう行政が出される文書の中で、結論が相当程度慎重な準備と調整を重ねてくださいと書いてあると、これはやっちゃ駄目ですよと裏読みをするのが普通なんではないかなとも思うわけですけれども、その辺り、もう一度御答弁をいただきたいと存じます。
  32. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 公立病院改革ガイドラインというのは、これも委員も冒頭御指摘がございましたように、三つの柱で成り立っております。経営の効率化、そしてこの病院間のネットワーク化を考えようということと、今度は経営形態の話でございまして、地方独立行政法人でございますとか指定管理者、これは私どもは経営形態の変更であるということで別に項目を設けて論じているということでございまして、PFI方式の場合はむしろ経営形態の変更というよりは民間的経営手法、その一つの典型であろうということで、そちらの経営効率化の中で論じているということでございまして、決してPFI方式に対して後ろ向きの言及をしているということではございません。
  33. 徳永久志

    徳永久志君 だったら、もうちょっとこの書きぶりは工夫をしていただきたかったですね。これをこのまま読みますと、やっぱりそのように思ってしまいますよ。  もう一つ、この病院改革ガイドラインの話でいきますと、この病院改革ガイドラインでは、中期経営計画や施設整備計画が既に策定をされている場合にあっても、既存の計画等について必要な見直しを行うとともに、改革プランを策定することが求められるとあります。  病院PFIで今進んでいるところは、既に中期経営計画を策定をして、それに基づいてSPC、特定目的会社と契約をしている。既にもう契約をして走っているわけですよね。当然、その計画というのは、最初の何年間かは赤字かもしれないけれども、徐々に黒字に転換をしていって、三十年平均すれば健全経営ですねという計画案になっているわけです。  ですから、それの計画案と、今回見直しをしなさいよという、そうした場合の本ガイドラインが求める改革プランの策定といった部分についてどう考えればいいのか、お答え願います。
  34. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) ただいま御指摘がございました公立病院改革ガイドラインの記述でございますけれども、まず、このガイドライン策定いたします際に、私どもは、有識者の方々に集まっていただきまして公立病院改革懇談会というのを設けまして、そこで原案を作成していただいたという経緯がございます。  その懇談会におきまして幾つか議論がございまして、その御紹介をいたしますと、既に施設の建設計画等がある場合にも、病床の規模あるいは建築単価等を改めて検討すべきではないかとか、既存の経営計画に再編・ネットワーク化や経営形態の見直しが含まれていない場合には、それらの視点も検討することが必要でないかという議論がございまして、こうした意見を踏まえまして、このガイドラインでは、既に各地方公共団体におきまして策定されている中期経営計画などについても、ガイドラインを踏まえて必要な見直しを行うように求めるといった中身になってございます。  そこで、この私どもガイドラインを受けて、今年度中に関係地方公共団体で改革プランというものを作っていただこうと、こう思っておりますけれども、既にPFI事業者あるいは指定管理者などとの間で締結されている長期の契約や協定について、その内容を直ちに見直しをするといったことを求める趣旨では決してございません。  改革プランを策定するに際して、やはりこの中期計画等々が実態から見て見直すべきじゃないかといった議論がなされて、そしてそういう結論が出た。仮にそれがPFI契約とも抵触してくるといいますか、そういったことが仮にあれば、それは地方公共団体判断で必要となることを行っていただこうと、こう思っておりますけれども、そうじゃない場合ももちろんあろうかと思います。
  35. 徳永久志

    徳永久志君 必ずやりなさいよということではなくて、それぞれの事業主体での判断によって決まってくるものだというふうに理解をさせていただきます。  それともう一点、地方財政健全化法との関連でお伺いをしたいと思います。  いわゆる自治体の財政は、普通会計と地方公営企業とが連結されて評価されることとなりました。これによりまして、病院の赤字は自治体本体の赤字と連結をされて評価をされるということのようであります。  ここでちょっとわき道にそれるかも分かりませんが、この議論のときによく言われるのがPFIの金利の話であります。自治体が通常の起債によって資金を調達するよりも、PFIの場合高い金利になります。民間資金でありますから、市中金利にSPCの利益などが上積みをされて高くなるわけでありますが、それを上回るVFMがあれば、それはそれでいいというのがPFIのスキームだというふうに思います。  ただ、これがごっちゃにされまして、通常の起債の場合とPFIの金利とが比較をされて、何か悪玉のように論じる向きもあるわけですけれども、このPFIの金利について、内閣府、簡単に御見解を賜りたいと存じます。
  36. 赤井裕司

    政府参考人赤井裕司君) PFI事業につきましては、民間資金を活用いたしますので、起債で実施される事業よりも一般的には金利が高くなるということは一般論で当然のことでございます。  しかしながら、PFIを行うか否かにつきましては、事前にVFM評価し、VFMが出るもののみにつきPFI事業を行うこととしております。したがって、たとえ金利負担が大きくても、性能発注でありますとかライフサイクルを通じた事業の長期間にわたる執行をゆだねることとかによりまして、起債等により資金調達をする従来型の事業よりコスト縮減が図られるものでございます。このため、一般的に起債よりも高い金利で資金調達を行うためにPFIにメリットがないということはございません。
  37. 徳永久志

    徳永久志君 そういう金利ですけれども、これ財政健全化法ではどのように扱われるんでしょうか。簡単にお答ください。
  38. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) 四月一日から地方公共団体の財政の健全化に関する法律、一部施行されておりまして、委員が御指摘の点は恐らく将来負担比率にかかわることであろうと、こう思います。  将来負担比率、これは地方公共団体の一般会計などが将来的に負担することが見込まれる実質的な負債額、これを当該地方公共団体の標準財政規模と比較をするということでストックの、今までございませんでしたがストックの指標というのを設けたわけでございます。  この場合の実質的な負債と申しますのは、地方債の元金の残高でございますとか、債務負担行為に基づく支出予定額といった前年度末時点におけます一般会計等の確定した将来負担額ということでございまして、将来的な金利負担というのはこの将来負担比率の中には入らないということでございます。
  39. 徳永久志

    徳永久志君 PFIの利点というのは、何度も申し上げますように債務あるいは固定費などを長期スパンで平準化できることであります。  しかし、例えば通常の起債によって資金を調達して何かをやろうとした場合、五年間の支払猶予期間が設定をされております。その分、事業スタート時点では経営的に楽になるわけでありますけれども、一方、PFI民間から資金を調達した場合には、この支払猶予期間というものは設定をされていません。つまり、PFI手法を選択した場合とそうでない通常の場合と比較して、大変厳しい局面に陥ることもあるのかなと。  自治体財政の健全度を判断する場合、こうしたPFI方式の特性にも十分配慮されて私はしかるべきではないかという思いも持つものですけれども総務省、御見解を賜りたいと存じます。
  40. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) ただいまの金利負担の関係等、まあ据置期間等も考えた場合には、資金繰りといった、そういった不良債務の比率とかいったことに対する影響、これは否定し難いところがあろうかと思いますけれども委員が今念頭に置いて御議論をいただいていますのは将来負担比率のことであろうかと思います。  PFI事業実施する場合の債務負担行為、これが設定された場合には、将来的な支出予定額のうちで公共施設等の建設事業費や土地の購入費、これを対象として将来負担比率に算入をいたします。また一方で、今度は地方債を財源として地方公共団体自らが事業実施する場合、この場合も公共施設等の建設事業費や土地の購入費に充てられる地方債の残高を将来負担比率に算入をいたします。  したがいまして、各地方公共団体PFIを始めいかなる事業実施形態を取るか、また、いかに資金調達するかによって各年度の財政負担、これは当然異なるといったことにはなってまいりますけれども、将来負担比率に算入する負担額の範囲、これはPFI事業でございましても地方債を財源として自ら実施する事業でございましても同じでございます。
  41. 徳永久志

    徳永久志君 長期的にそういうことになっているという御説明をいただきましたが、ただやっぱり、それぞれの事業主体、特に自治体なんかでは単年度のキャッシュフローを切り取って見られるということに対しての、ある意味切迫感というものがあるわけであります。  何度も申しますけれども、単に病院を建設するだけでなくて、その後の維持管理運営、維持補修費など、ライフサイクル全体で最適化を図り、中長期に経営の効率化を図るというのがその趣旨であるわけなんですけれども、しかし自治体からすれば、やっぱりそのようなはるか先の長期のメリットよりも、まずは赤字団体への転落を免れようということで、目先の赤字改善の方が先というインセンティブが働いてしまう。そのインセンティブを、例えば財政健全化法とかあるいはこの公立病院改革ガイドラインとか、こういった部分が与えているとするならば、これはちょっといかがなものかな、疑念を持つわけでありますね。  ですから、まあちょっと言い過ぎたかもしれませんけれども、私が言いたいのは、足下の短期間だけ取り出して節減を求めていくというやり方は必ずしも適切ではないのではないかという思いをしておりますけれども、この辺り増田大臣、お考えをお聞かせ願いたいと存じます。
  42. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) お答えを申し上げます。  やはり、PFI事業なり、それからあと病院事業なり大変長期にわたって、それぞれの事業の特質というものがございますので、そういうものを十分よく見て対応を考えていく必要があるだろうというふうに思っております。  財政健全化ということ、これは今各自治体が抱えている財政状況にかんがみて大変急がれる問題でございますけれども、そうした財政健全化を図るということを、どういうスケジュールとどういうタイミング、きっかけで促していくのか。それから一方で、長期にわたる病院事業というものをどういうふうに確実に持続可能あるものにしていくか。  この点、私どもも、今委員からお話がございました御指摘も踏まえて十分に考慮しながら対応していきたいと、このように考えております。
  43. 徳永久志

    徳永久志君 財政健全化法のスキームでいきますと、国による勧告という制度もあるようですから、是非その辺りもフルに活用をしていただいて、適宜適切な御助言を自治体にしていただくよう要望をしておきたいというふうに思います。  ちょっとわき道にそれるかもしれませんが、当然PFIでやっても、冒頭、大田大臣がおっしゃったようにバラ色なわけではありませんで、様々な事情等によって途中解約をしなければならないケースもあるんだろうというふうに思いますけれども内閣府として、PFI契約が途中解約されるというのはどういうケースを想定をされているのか、伺いたいと存じます。
  44. 赤井裕司

    政府参考人赤井裕司君) お答えいたします。  PFI事業契約書上、中途解約が生じる状況といたしましては、民間事業者の債務不履行や倒産、発注者による任意解除、あるいは不可抗力などがございます。
  45. 徳永久志

    徳永久志君 二番目の発注者による任意解除というのは、ある意味そこの当該、例えば病院とかでいきますと自治体側の首長さんらの判断に、あるいは議会の判断によって解約されるというケースを想定されていると、それが一つあるというふうに理解してよろしいですか。
  46. 赤井裕司

    政府参考人赤井裕司君) 自治体側のそういった御判断、あるいはその公共施設そのものの有用性の変化等々による解約があると考えております。
  47. 徳永久志

    徳永久志君 そういう場合での解約のケースに伴って、例えば違約金とか、あるいは施設をした場合にはその買取りの費用等が発生するわけなんですが、その辺りは国としては、措置は、講じられる手だてというのはあるんでしょうか。
  48. 久保信保

    政府参考人(久保信保君) まず、一般論として申し上げますと、地方公共団体PFI、これを活用して公共施設等の整備を行う場合に生じます財政負担につきましては、その形態に応じて、現行の地方財政制度や国庫補助制度との均衡を考慮いたしまして適切な地方財政措置を講じるということにいたしております。  そこで、お尋ねのPFI契約を解約した場合ということでございますけれども、これまで具体的な事例もございませんし、またその際の財政負担に着目して特別の財政措置を講じるということは想定しておりませんけれども、これも一般論として申し上げますと、解約に際して既存の建物や設備を買い取るという場合には、これは地方債の対象にはなるだろうというふうに考えております。
  49. 徳永久志

    徳永久志君 先ほど来申し上げていますとおり、PFIというのは二十年、三十年の契約期間が終わった後トータルでの評価ができる話でありますから、例えば自治体の独自の判断だとはいえ、途中でわずか数年で解約をしてしまうということは、果たしてPFIの適切な進捗、国全体での進捗ということからすれば、ちょっとそれはどうかなと私は個人的には思うわけなんですけれども。  やっぱりせめて十年ぐらいのタームでこの状況を見ていかないと、数年でここがこうだからやめてしまいますよというんであれば、PFIそのもののスキームについての悪いイメージが付いてしまうのではないかというような思いもするんですけれども、これ、ちょっと通告はしていませんが、大田大臣、どのような感想をお持ちですか。
  50. 大田弘子

    国務大臣大田弘子君) 個別ケースということではなく一般論として申しますと、やはりそこで官民が当初のルールに沿ってまず交渉をして、なるべくいい事例をつくり出していくということだろうと思います。何より住民の立場あるいは病院であれば利用者の立場に立って、不当なことが起こらないように、そこはしっかりと交渉をしていくと、そしてPFIのなるべく良い事例ができていくように双方が努力していくということが望ましいと考えております。
  51. 徳永久志

    徳永久志君 御丁寧に御答弁いただきまして、ありがとうございました。  時間ですので終わります。
  52. 水戸将史

    ○水戸将史君 民主党の水戸将史でございます。  我が会派の若手のホープの徳永委員に引き続き、私、水戸から若干、今日は法務大臣、直々お見えでございますんで、特に法務省管轄関係の問題に限って御質問をさせていただきたいと思っています。  と申しますのも、今回のこの行政監視委員会の議題というか検討課題として、特別会計改革とかまた電子政府という、そういう大きな項目も掲載しておりましたものですから、それを踏まえて、特に共通する部分として登記特別会計という会計がございますので、この登記特別会計に限って御質問をさせていただきたいと思っております。  御案内のとおり、この特別会計改革は、非常に今政府でも様々な形で検討をされまして、そして従来三十一あったものが平成二十三年度までに十七と。十四のものを、これをなくしていこうという方向性でもございます。また、この電子政府のことに関しましては、もう御案内のとおり、随分前からこういう形で、電子化電子化というような形でのオンラインシステムを完備していこうじゃないかという形で推移しているのは皆さんも御承知のとおりでございます。  それでは、特に特別会計の中の登記特別会計に関しまして、今までどういう形で進められてきたのか、その成り立ちと今までの経過につきましての概略説明をまず大臣からしていただきたいと思います。
  53. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 登記特会につきましては、これは時限立法ではないのですが、昭和六十年に登記特別会計法が成立をして、七月一日から施行されております。これは御案内のように、ちょうど時代的にはバブルに掛かっているのかと思いますが、登記に関する需要が激増をしていったわけでございます。  例えば、昭和三十年度を基準として比較すると、そのころ、昭和五十九年度には、登記申請等の受件数は三・四倍になっていると、登記簿の謄抄本交付や閲覧の受件数は三十年前の二十八倍になっていると、こういうときでございまして、実際かなり混乱をする、時間が掛かるということで、これをやはり、今先生おっしゃったように、電子政府というのか、IT化というのか、コンピューター化というのか、オンライン化というのか、そういうことで整備しようとする、そのためにはお金が掛かる。つまり、膨大な情報をデータ化しなければなりませんので、それにお金が掛かるという観点で登記特会というものをつくったと、こういうふうに御理解をいただければ有り難いと思います。  当時、コンピューター化していないがために、先ほど申し上げたような大幅な遅延というのがあったり、雑に事務処理をしてしまったり、あるいはそういう状況の混乱の中で、登記簿の抜取り、改ざん等、外部の人が入ってきて不正を行うということも発生をしておったものでありますから、このデータ化は緊急に必要だということで登記特会を設けて、特別会計にして、若干そのお金を積むことによってIT化を図ってきたところでございます。
  54. 水戸将史

    ○水戸将史君 概略説明、ありがとうございました。  以降、細かい点につきましては政府委員の方から御答弁いただきますので、大臣はちょっとお休みいただいて、うとうとしかけたときにまた行きますので、ちょっとこちらにお耳だけはちょうだいしたいと思っていますが。  この登記特別会計、昭和六十年からスタートいたしました。当初の計画では、この登記特別会計はどういうようなスタートと終了時点、どういう形で進めようとしたのか、簡単にお答えください。
  55. 倉吉敬

    政府参考人(倉吉敬君) ただいま大臣の方から申し上げたとおり、登記特別会計法自体には設置期間が定められているわけでも何でもございません。それから、法律上もこの特別会計をいつまで設けるのかという期間の制限もなかったわけであります。  ただ、登記特別会計が導入されました昭和六十年当時におきましては、当時、登記所が全国に約千百七十か所ございましたが、そこにある登記簿、紙ベースの登記簿をすべて電子化をする、そしてコンピューターの導入によりまして登記事務の効率化を図るんだと、これを主たる目的としておりました。  そのための期間及び予算総額についてでありますが、当時はあらあらの見込みであったわけでありますけれども、昭和六十年度からほぼ十五年程度、この期間に完成させようと、そしてそれに要する経費の総額としては約五千億円以上というふうに見込んでいたものでございます。
  56. 水戸将史

    ○水戸将史君 ありがとうございました。  昭和六十年から十五年間をかけまして、平成十一年度末までに約五千億円以上という話がございましたけれども、以上といったってそれ以上どの程度かという話はございませんが、一応、大体あらあら五千億円程度という形で進めようとしておりました。  しかし、実際、現時点においてはまだ登記特別会計を締めるということではございませんので、今後の予定と、それに要する総経費、十五年で五千億円の予定がいまだかつて続いていることに関しまして、実際にこれからも含めて、どの程度総経費を掛けて、どの程度で終わる予定でありますか。
  57. 倉吉敬

    政府参考人(倉吉敬君) お答え申し上げます。  昭和六十年度から平成二十年度までの登記事務コンピューター化経費は、登記簿のデータ化に要した経費が約三千三百七十七億円、そのほかは、システムの運用等に要した経費が約六千二百七十七億円となっておりまして、合計九千六百五十四億円でございます。  登記簿のデータ化、紙ベースの登記簿を電子化していくという作業は平成十九年度をもって完了しておりまして、システムの運用等に要する経費は平成二十年度において年間約四百五十一億円の予算を計上しているところでございます。  今後は、このシステムの最適化計画というのを始めておりまして、この最適化計画に従ってハードウエア及びソフトウエアを見直していくことにより運用経費等の削減を図る予定でありまして、この計画における最適化効果指標の試算値によりますと、平成二十一年度及び平成二十二年度の運用経費については合計約五百億円となる見込みであります。
  58. 水戸将史

    ○水戸将史君 昭和六十年度から十五年間の予定であったものが、今言ったように、最適化計画を含めて、これから地図もこの登記の情報として入れてコンピューター化していこうということでございますので、平成二十二年度までということになるわけでございまして、いわゆる当初の計画よりも十年以上延びてしまっているし、予算総額も五千億円以上という話でありましたから、一兆円も二兆円も五千億円以上でございますけれども、しかし、当初の計画よりも倍の一兆円以上この経費に要する金額となっていく、そういうことが見込まれているわけでありますけれども、こういう事態を招いた要因、大きな要因は何であったのか、それについてお答えいただきたいと思います。
  59. 倉吉敬

    政府参考人(倉吉敬君) なぜ当初の計画のとおりいかなかったのかという御指摘だと思いますが、これ、そもそも当初の計画が登記情報システムの開発に着手する前の時点で、かつパイロットシステムしか動いていない時期に作成されたものでありました。  実際に開発を完了して移行作業に着手したところ、思いのほか膨大な作業量が必要であることがまず判明いたしました。また、移行作業の拠点となるバックアップセンターというものを全国の五十の法務局、地方法務局に確保しなければならなかったわけでありますけれども、これを直ちにすべての局に確保するということが物理的に困難であったと、こういう事情がございました。  その後、二段階にわたってお話をいたしますが、順次バックアップセンターを確保いたしまして年々移行作業量を拡大いたしまして、当初計画よりは若干遅い平成十六年度にはすべての登記所の移行作業を完了するのではないかと、そういう見通しを一応立てることができました。  しかしながら、平成四年ころのバブル経済の崩壊等の影響を受けまして、登記特別会計の歳入、いわゆる手数料収入でございますが、これが減少の一途をたどったということなどがございまして、全登記所の移行作業の完了については予定どおり進めるにはお金が足らないということで、平成十九年度末へと再度計画の見直しを行わざるを得なかったものでございます。
  60. 水戸将史

    ○水戸将史君 できなかった理由を言えば、もうそちらはプロでございますので幾らでも理由は付くかと思いますけれども、そういう長引いてしまった社会的な要因は確かにあったと思いますけれども、しかし、それに伴う経費というものはもちろんこれは税金でございまして、そういうことを含めて、起こってしまったことに関して今から取り返しは付かないわけでありますけれども、こういう実態は是非大臣も御認識をいただきたいと思っております。  そして、この契約内容等にちょっと踏み込みたいと思うんですけれども、昭和六十年当初からもちろんこれはコンピューターの開発をしていこうという形で進められていたわけでありますが、当初のコンピューター開発につきまして、契約内容について簡単に御説明していただきたいと思います。
  61. 倉吉敬

    政府参考人(倉吉敬君) 当初の、登記情報システムを当初開発した当時の業者とその契約内容でございます。  コンピューター導入のための研究開発というのは、実は昭和四十年代からもう既に進めておりました。その過程で相当数の会社に対し企画や研究等を依頼したわけでございますけれども、システム化の見通しが立つまでに相当の期間を要したことなどの事情がございまして、最後まで残ったのが漢字の入力、出力の技術を有しておりました株式会社東芝及び富士通株式会社のみでございました。その結果、登記情報システムの当初の開発においては、富士通株式会社及び株式会社東芝の二社とシステムプログラム設計、プログラミング、テスティング・運用テストの開発を随意契約により委託したものでございます。
  62. 水戸将史

    ○水戸将史君 その当初は、確かにこのコンピューターシステムはまだ大掛かりなものでございますので、なかなか業者もそれほど、これを包括的に行うような業者も少なかったということは御説明でも分かるわけでございますが、それでは、今までに至るまでこのシステム開発につきましてはずっと随意契約なんですか。
  63. 倉吉敬

    政府参考人(倉吉敬君) 基本的には随意契約でずっと来ております。
  64. 水戸将史

    ○水戸将史君 私は随意契約をしている会社に何も恨みもつらみもございませんけれども、昨年度ですか、十八年度ですか、システム開発に係る経費は富士通が五十一億円、システム開発ですね、そして東芝が四十二万円。非常に差があるわけでありますけれども、この二社でずっと今までも随意契約でコンピューターのシステム開発の業務を取り扱ってきたということの実態が分かります。  そして、そうはありながら、これだけの時代で、その昭和六十年当時は確かにそういう業者の選定も幅が狭かったわけですね、しかし、ますます世の中は進展し、また企業間の競争もありまして、いろんな形で企業の競争が行われるというような社会的な状況になってまいりました。  そして、従来、レガシーシステムという旧来式のシステムからオープン化していこうと。いったん手を付ければその業者がずっと、このホストコンピューターのものもずっとその業者が、例えば更新した際もその業者じゃなきゃいけないということじゃなくて、やはりいろんな形で業者の参入、参画も可能にしていこうじゃないかという形で、従来の旧式のレガシーシステムからオープン化システムにしていこうというような形で、今までも経過がありますけれども、このオープン化システムについて、一体どのころからこのシステムを、これを取り入れていこう、そして今どういう状況であるか、簡単に説明してください。
  65. 倉吉敬

    政府参考人(倉吉敬君) ただいま委員から御指摘ありましたとおり、登記情報システム、随分古くに開発されたもので、膨大なシステムでございます。そして、大きなメーンフレームがありまして、そこに依存してサーバーがくっついていると、こういういわゆるレガシーシステムであるために、そのメーンフレームを作っているメーカーのその後の作業に全部依存せざるを得ないという、こういうシステムでございました。  さて、そこで最適化ということになるわけでありますが、登記情報システムの最適化は、大別してシステム面と業務面に分かれて行っております。  まず、システム面では、現行登記情報システムが今申し上げましたメーンフレームを中心としたレガシーシステムであり柔軟性に欠ける、コストパフォーマンスが劣るという欠陥があることから、その後の技術革新によるオープンで安価なコンピューター技術を十分に活用すべくオープンシステムへ変更するものであります。  業務面では、オンライン申請の導入を契機に、登記所内部における業務の簡素化、効率化等利用者の負担軽減、それから利便性を向上させる等の見直しを行うものでございます。  これらによりまして相当な経費の節減が図られると、こう考えておりますが、今後の最適化の進め方、これまでのものも含めて若干御説明いたしますと、大体三段階に分けて実施することとしております。  第一段階平成十三年度から十七年度にかけてでございますが、これは、各登記所で使用している登記事務処理用の端末及びプリンターを特定のメーカーに固有のものから一般に市販されているパソコン及びプリンターに切り替えるということを行いました。このほか、ネットワーク回線についても、高額な専用回線から安価で高速な一般的な回線に切り替えたものでございます。  第二段階平成十六年度から十八年度にかけてでございますが、原則として、これまで各登記所にコンピューターシステムを設置し、その登記所において登記業務を独立、完結的に行うという、いわゆる分散処理方式を採用しておりましたが、先ほど申しました高速で安価な回線が出てきたとか、コンピューター間の通信技術が非常に発達したということがございますので、これを踏まえまして、これを全国五十か所の法務局のバックアップセンターに集約いたしました。これが第二段階でございます。  それから、第三段階はこれからということになります。平成二十二年度末までに予定しておりますが、特定メーカーのホストコンピューター上でしか動作しなかったシステムを汎用的なサーバー上にソフトウエアで構築していくということを予定しております。
  66. 水戸将史

    ○水戸将史君 委員長、済みません、質問に的確に答えていただけるように、時間限られていますのでよろしくお願いします。  委員先生方にお配りした一枚ぺらのこれを御覧いただきたいんですが、いわゆるオープン化をする。いろんな業者が、このホストコンピューターに関しましても、いわゆるソフトの部分に関してはずっと随意契約、この一番目がそうでございます。開発経費、これは随意契約という形で富士通と東芝の名前が載っていますよね。この三番目なんですけれども、この最適化計画、今いみじくも政府委員の方から御説明がございましたが、このホストコンピューターでございます。三年リプレースという形ですが、総額百四十七億円、賃料がですね、借料ですか。これは、契約内容は随意契約ですか、一般競争入札ですか。
  67. 倉吉敬

    政府参考人(倉吉敬君) 先ほど申し上げましたオープン化で切り替えました。その段階で一般競争入札を行いまして、そこで三年ないし五年という長期のものになりますので、その後は随意契約ということになっております。
  68. 水戸将史

    ○水戸将史君 そちらからいただいたものに関しましては、随意契約により調達しているという話がありますけど、間違いありませんか。
  69. 倉吉敬

    政府参考人(倉吉敬君) 大変失礼いたしました。  現行システムについては、御指摘のとおり随意契約でございます。再構築後、第二段階に入ったものについては、先ほど申し上げましたとおり、一般競争入札でやりまして、長期の期間のものでありますから、その後、単年度で契約をやるときは随意契約で、その一般競争入札で落とした業者が続いていると、こういうことでございます。
  70. 水戸将史

    ○水戸将史君 最初のソフトも富士通が主流を占めておりまして、このホストコンピューターもずっと富士通であると。そちらからいただいた資料でも、定価の六割程度であるから間違いないという形で随意契約をしている実態があります。  また、じゃ、皆さんにお配りした二番の、若干触れますが、端末、プリンターがございます。これは一般競争入札なんですけれども、これも富士通です。この端末一台当たり月々一万四千八百六十八、一万五千円弱。プリンター一台当たり月々三万九千八百七十、四万円弱ですね。これは月額でございますが、五年間のリース契約でございますけれども、これは五年間をすると、端末では約九十万円、プリンターは約二百四十万円という五年間のリース契約でございますが。  これは、会計検査院、いらっしゃいますか、この金額、このような一般競争といえども、実勢価格にこの端末やプリンターの値段が合うかどうか、どう御判断されますか。
  71. 諸澤治郎

    説明員(諸澤治郎君) 委員お尋ねの登記特別会計におけるコンピューターのリース契約、これにつきまして私どもいろいろな検査、多角的な面からも検討を行っておるところでございますけれども、個別具体的な検査の状況につきましては答弁を控えさせていただいていることについて御理解を賜りたいと存じます。
  72. 水戸将史

    ○水戸将史君 どういう理由で、そういう企業に対して何か不利益を被ることがあるの。私は、ただ、この金額は妥当かどうか。私が漏れ伝わっているのは、大体端末というのは、もちろん業務用でございますけれども、二十万から三十万ぐらい、せいぜい、行ってもですよ、定価が。その程度で済むんじゃないですかということは富士通の方からも聞いておりますけれども、これがいわゆる月額一万五千円弱で、五年間にすれば九十万円、プリンターが二百四十万円になるということが妥当かどうかと言っているんです。  会計検査院はどうしてこれが答えられないのか、もう一度御答弁をお願いします。
  73. 諸澤治郎

    説明員(諸澤治郎君) 私ども、検査の取り組んでいるものにつきまして、その検査の状況などにつきましては御説明申し上げることができるとは思いますけれども、検査の途中でございますので、個別具体的なそういう判断などにつきましては、現時点で申し上げることにつきましては控えさせていただいていることを御理解賜りたいと存じます。  いずれにいたしましても、委員の御指摘も念頭に置いて、今後の検査に当たってまいりたいと考えております。
  74. 水戸将史

    ○水戸将史君 委員長にお取り計らいいただきたいんですが、後日、改めて会計検査院が調べていただいて、この院に、いわゆる今妥当かどうかという判断ができないというのは現時点かもしれませんけれども、これどの程度するものなのかということを、私、機種も分かっていますけれども、それを是非、この実勢価格を含めてどの程度するものなのかということをお調べいただきたいと思っております。  委員長、お取り計らい、よろしくお願いします。
  75. 加藤修一

    委員長加藤修一君) 後刻理事会で検討します。
  76. 水戸将史

    ○水戸将史君 大臣、そういう形で大臣にコメントいただきたいんですが、もう本当、もっともっといっぱいあったんですけれども、時間が限りありますので、この金額、契約のことにつきまして非常に分かりづらい部分がある。  従来、確かに富士通さんや東芝さんというような大きなメーカーしかこれを取り扱うような形で、その技術もなかった。しかし、もう昨今、二十年以上たった中におきましては、非常にいろんな形で企業がそれに参画、参入をしていくということで、ますますこれは行政コストの縮減にもつながっているわけでありますので、この点について、今いろんなやり取りをお聞きになっていただいて、大臣の御見解を求めたいと思います。
  77. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 行政の経費については、極論すれば一円の無駄もあってはならないものでありますから、とりわけ登記というような専門的な分野でございますと、私ども日ごろからそれに接しているわけではありません。したがって、できる限り厳しい競争原理が働く中で少しでも行政経費が縮減できるように、これからも努力していかなければいけないと痛切に思います。
  78. 水戸将史

    ○水戸将史君 私も別に富士通さんや東芝さんに何も恨みもつらみもないと。私のパソコンも富士通を使っておりますので。  そういう公平、中立な立場として、これから登記特別会計、もうこれ二十二年度で終了するわけでありますけれども、やっぱりこれは未来永劫的にこのシステムを更に一層レベルアップを図ってやっていくということでございますので、そうした契約内容につきましてもより一層公明正大に透明化を図っていただきたいということを強く要望しておきます。  そういう中で、電子化を進めることによって非常にオンライン申請率を高めていこうということでございますが、これは平成二十二年度までに、登記、不動産登記やります、それから商業登記という形で法人、会社を設立をするとか、また変更する際の登記やる、それに対して証明書を発行してもらうというそういうような事務もありますけれども、こういうオンラインシステムを更に一層進めて申請率を五〇%に達成するということが平成二十二年度までに目標としてございますけれども、実際に不動産登記とそれから商業登記に関して、登記申請に関しての現在のいわゆる進捗率は、申請率は、オンライン化率はどの程度ですか。
  79. 倉吉敬

    政府参考人(倉吉敬君) 登記申請及び証明書発行に関してのオンライン申請の利用率ということを一番御質問になられていると思いますが、このオンライン申請の利用率でございますが、不動産登記に関しては平成十六年度が八・四三%、十七年度が一一・一七%、それから十八年度が一四・一二%、十九年度はこれはまだ途中までしか出ておりません、平成二十年一月までの実績値でございますが、これが二一・二八%ということでございまして、だんだん増えております。  それから、商業登記に関しては平成十六年度が八・三三%、十七年度が一一・五六%、十八年度が一九・〇〇%、十九年度は、平成二十年一月までの実績値でございますが、二五・六四%というところでございます。
  80. 水戸将史

    ○水戸将史君 今お答えいただいたのは、僕の質問をちゃんと聞いてくださいよ。いわゆる証明書の発行を含めて考えると、そのぐらいになるんですよ。ただ、登記申請です。申請に関して、不動産登記の申請をする、商業登記の申請をする、変更届の申請をする、この申請に関してのオンライン化率は何%ですかと聞いているんです。
  81. 倉吉敬

    政府参考人(倉吉敬君) これは余り進展しておりませんで、今手元に平成二十年一月の実績がございますが、不動産の登記申請だけに限りますと二・八〇%でございます。それから、商業登記につきましては、商業の設立登記というのが一番多いわけですけれども、これが二十年の一月のみの実績で一七・八八%、それから設立登記以外の登記申請、これが一五・三六%ということになっております。
  82. 水戸将史

    ○水戸将史君 二十二年度までに五〇%を目指すというわけでありまして、今、不動産登記はお聞きのとおり二・八%、もう三%も下回っている状況で、本当にこれはできるかどうか。もちろん、こんな一兆円を掛けてこのシステムをつくって、二十二年度までに五〇%を達成するんだという中において非常に心もとない状況でありまして、質問しても頑張りますというか、そういう御答弁しかないでしょうから、あえて聞きませんけれども。  特に、オンラインシステム、これは税務申告でもそうですけれども、優遇措置を設けているんですね。オンライン申請して、電子化で申請してくれれば若干減免措置するよということであるんですけれども、特にこの商業登記に関して、設立登記の申請は減免措置がある、しかし変更登記は、この申請をしても減免措置ないんですよ。これはなぜですか、簡潔に。
  83. 倉吉敬

    政府参考人(倉吉敬君) いわゆるオンライン申請のためのインセンティブを付与するために何が一番効果的かということでございまして、設立登記についてオンライン申請で軽減措置を施して、設立登記をまずその方がやっていただけると。そうすると、オンラインのやり方、ルートが全部自分確保できるわけですから、以後は、それに基づいてそのほかの変更登記等々をオンライン申請でやっていただけるのではないかと、こういうふうに期待しているわけでございます。
  84. 水戸将史

    ○水戸将史君 さはさりながら、まだ一五%程度なんですよ、変更登記。いわゆる設立をした、設立をするから、一七・八八%に今オンライン申請率になっているかもしれませんが、しかし、もう一方のいわゆるその後の変更登記に関しましてはわずかまだ一五%程度。まず五〇%を超えればいいというわけじゃないんでしょう。  要するに、これを一〇〇%に高めていくというのがそもそもの法務省のお考えでございますので、やはり同じレベルで、取りあえずこういう形でオンライン化するということをある程度日常業務の中でやっぱり何も抵抗なく違和感なくやるためにおきましては、そういうインセンティブを商業登記の中のそうした設立だけじゃなくて変更の場合も与えていってもいいんじゃないでしょうか。  そういう期間を設けて、ずっと未来永劫的にやれという意味じゃなくて、やはりある程度のこのオンライン申請率を高める意味におきましては重要な、そうした上げるためのファクターになると思うんですけれども、いかがでしょうか。
  85. 倉吉敬

    政府参考人(倉吉敬君) これは繰り返しになりますが、設立登記をやることによって、そこでオンラインのやり方、それから方法を全部理解して、そしてこの手続でやった方が早いという実感を得てもらえるならば、あとのところは十分にそれで対応していただけるだろうというふうに期待しているわけでございます。
  86. 水戸将史

    ○水戸将史君 まあ、幾ら言っても平行線でございますので、ちょっと話題を変えますけれども。  やはり、先ほど言った不動産登記に関しましてはわずか二・八%ですね。なぜ、五〇%以上を目指すと言いながらも、いまだかつて二・八%のいわゆる普及率なのか、オンライン申請率なのかというと、いろんな形でこれ使い勝手が悪いという、巷間そういうお話を漏れ承るわけでありまして、その中でも特に、例えば不動産登記をする、その代理業務として司法書士さんたちがいますけれども、やはりオンライン申請の場合は、今まで紙ベースで行った場合は、不動産登記の申請をする、そうしたら登記所が受領書、そういう申請を受けたよという形でそれを、証明書を発行しているわけですね。  そういう形で、登記ができたのか、登記をしたのかな、登記申請をして登記ができたのかなという形で、いわゆるそういうことの証明として、例えばその間に入った司法書士さん、そしてその当人である人たちが例えば金融機関にお金を借りに行くとか、そういう形で、一つの紙ベースの場合はそういう発行した証明書をもって登記申請が済んだというお墨付きがもらえるんですね。  しかし、この電子申請の場合は、そうしたこちらが送る一方でございますので、向こうは確かに受け取ったよぐらいの、そういうようなコメントしかないわけでありますので、いわゆる中立的な立場からしてこれが本当に公的にお墨付きを得たものかどうかということが非常に分かりづらいものですから、銀行もそれを受け付けないんですね。  そういう、今、その電子申請のために、オンライン申請のために、まあ若干のというか、かなりそこに紙ベースとは違った一つのハードルがあるわけでございまして、これを何とかして取り除いていくことがこの申請率を高めていく一つの手法になると思うんですけれども、これについてどう思いますか。
  87. 倉吉敬

    政府参考人(倉吉敬君) 御指摘のとおり、これまで権利証という紙を、立派な紙を登記所から発行しておりまして、これで、自分がこの土地の所有者であるということはこの権利証で皆さん証明できたわけです。これがオンラインの世界に切り替わります。つまり、紙の世界から電子データの世界のやり取りに切り替わるわけでございます。これがなかなか、社会的には、だから紙じゃなくなるよというのは難しいという問題が出てきたと、これが今の委員の御指摘だと思いますが。  一般的な手段というのは登記事項証明書でございますけれども、オンライン申請をした場合には、その処理の進捗状況というのは、登記が完了したことも含めまして法務省のオンライン申請システムの処理状況を一覧画面で確認することはできます。しかし、これではどうも足らないというのが最近の声かなと思います。  登記が完了したときにはオンラインで、これもオンラインでございますが、登記が完了した旨の通知、登記完了証と呼んでおりますけれども、これを送信しているわけでございます。しかし、これでもやはりちょっと紙ベースのものが欲しいということになって話が進んでおりまして、この登記完了証については申請情報の内容が記載されていないということから、司法書士の皆さん等資格者代理人の方からは、記載内容充実の観点から申請情報の内容の記載を求められております。現在、その要望についてシステム面で十分対応できるかということを含めて検討しているところでございます。
  88. 水戸将史

    ○水戸将史君 検討ばかりしても、一定の結論を出さなきゃいけませんので、いつごろまで検討をして、前から私も非公式にこのことを打診をしておりましたけれども、なかなからちが明かないわけでありまして、この場において、いつまで検討して一定の結論を出し、そして前向きにそれを進めていくということがお答えできるかどうか。
  89. 倉吉敬

    政府参考人(倉吉敬君) システムの関係が絡みまして、特にシステムの再開発をやっておりますので、それとの関係で非常に難しい御質問でございますが、平成二十二年度末までには、それまでには必ず何とかしたいと、こう思っております。
  90. 水戸将史

    ○水戸将史君 平成二十二年度までに五〇%やっていこうという中で、もう私は何も本当に善意で、今二・八%しか普及していないんだから少しでもこれを何%も上げるための一つの手段、方法として、本当に私みたいな者が言うことは大変僣越かもしれませんけれども、何とか一つの手段、方法を講じて、使い勝手のいいような形としてオンライン化をしていく、それを進めていくべきであるという話をして、二十二年度末までだったら二十二年度末までに五〇%行くかどうかということがもう問題になっているわけでありまして、もっともっとこれ頑張っていただきたいと思うんですけれども、もう一回御答弁を。
  91. 倉吉敬

    政府参考人(倉吉敬君) できるだけ早くやります。できるだけ早くやりますが、ここできちっと数字として法務当局としてお約束できるのは平成二十二年度末ということで、御容赦いただきたいと思います。申し訳ございません。
  92. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 法務省という馬はさほど敏感な馬ではないかもしれませんが、私なりにびしびしむちを入れて、できるだけ早くなるように努力をいたします。
  93. 水戸将史

    ○水戸将史君 大臣から本当に強力な、もう百万の援軍を得たような気持ちで今拝聴しておりました。本当に、机の上で考えるよりも非常に実体社会動いておりますし、また、こういう不動産登記というのはもう迅速性が求められるような商売でございますものですから、やはり鋭意検討していただいて、本当にこれに関しましては、もちろんいろんなリスクもありますので、それは当然リスクは回避をする必要ありますけれども、そういうような形で是非進めていただきたいと思っております。  また、ちょっと若干視点が変わるんですけれども、これよく司法書士会からもいろいろと話を承っているわけでありまして、例えばこの登記申請、商業登記もそうなんですが、いわゆる間に入る代理業務としていろんな形でそういう司法書士さんが申請をするわけですね、手続をするわけです。そういう中で、いわゆる登録免許税、収入印紙を張るわけですね。簡単なというか小額な収入印紙等々は、ある意味その代理業務をやる司法書士さんが立て替えるということはよくあるわけですね。そして、立て替えて払って後から手数料等を含めてお客さんに精算をすると、一括してもらうという形で、間に入った人がそういうような形で立て替えることもしているわけでありますが、こういう商慣行につきましては法務省は御認識していますか。
  94. 倉吉敬

    政府参考人(倉吉敬君) 事実上、司法書士の皆さん方が立て替えているという実態があるというのは聞いております。
  95. 水戸将史

    ○水戸将史君 それはそれとして、今までの明治以来から続いた一つの商慣行としてやっているわけでありまして、もちろん立て替えることにつきまして明確に立て替えなきゃいけないというわけじゃありませんけれども、一応商慣行として司法書士さんたちが立て替えているわけですね。  しかし、例えばこの申請が間違いがあった場合、また納め過ぎてしまった場合、これは還付を受けるわけですね。いわゆる納め過ぎたよという形で、これは法務局から、法務省から財務省、国税局の方に、国税庁の方に行って、お金が行くんですけれども、還付という形を取った場合、いわゆる本来司法書士さんが肩代わりして納めたものに関しましては、もちろんそもそも申請者は御当人でありますから、御当人の代わりにこうした登録免許税を納める、しかしそれが間違いがあった場合、納め過ぎた場合は、その還付金はいわゆるお客様に返っていくわけですね。  これについては、これは事実ですか、どうでしょうか。
  96. 倉吉敬

    政府参考人(倉吉敬君) そのとおりでございます。
  97. 水戸将史

    ○水戸将史君 今までは、確かにこうした登録をする際の手続として、いわゆる司法書士さん、間に入る人が自分が代わりに立て替える。しかし、そもそも申請者はその登記をする当人でございますので、当人の名をもってこれを納付するわけでありますので、もちろん納付した人は当人であるし、還付先もその当人しか分からないものですから、代理の人が立て替えたかどうかって分かりませんから、その本人に返るわけですね。  しかし、この電子申請になった場合は、今どういうことが業務で行われているかといいますと、いわゆるオンラインですから、いわゆる司法書士さんたちが持つオンライン、そしてネットバンキングを通じて納めるわけです。そのような形で国税庁の方にお金が入るわけですね。  つまり、今言ったように代理業務として納付をしている、そして納付した人は間に入ったそのネットバンキングを持つ、口座名を持つ司法書士さんでありますので、できればこれからの中において、一々納付をしてもいない人に返してそこから回収するという手間が非常に今様々な形でトラブルになっているという話も聞いておりますので、こういうことは、いわゆる払い込んだ人が分かっているならば、そういうもし還付があればその払い込んだ人に対してお返しするということが可能かどうか。  これは当局の御答弁をいただきたいと思います。
  98. 秦邦昭

    政府参考人(秦邦昭君) お答えをいたします。  登録免許税の過誤納金の還付につきましては、法令の定めるところにより、登記機関からの通知、これは先生おっしゃられたとおり、通知に基づき登記を受けた者等に還付することになっております。  したがいまして、今先生おっしゃいましたように、司法書士の先生が立替払をしたとしても、還付する者は登記機関から通知のあった登記を受けた者等であり、立替払をされた方に還付することはできないということでございます。
  99. 水戸将史

    ○水戸将史君 確かに、今まで紙ベースで行っていた場合は、先ほど言ったように、いわゆる納めた人はその登記をする当人でありますから、登記の当人の名をもって紙ベースで納めているわけでありますので、それは還付金も当人に返さざるを得ないわけですね。今言ったように、ネットバンキングという、いわゆる電子申請という名をもってすれば、いわゆる納めた人間がこれは代理として立て替えたんだなということが分かるわけですね、その段階で。  だから、その本人に、一々納めていない人に返すよりも、その間に入った人に返した方がやはり事務の効率化にもなるんじゃないか。わざわざ納めてない人の口座番号を調べてとか、納めてない人を調べて、そしてそこに連絡して還付しますからということよりも、そうした方が事務の簡便化につながるのかなというような素朴な私自身も疑問を抱いているわけでありまして。  じゃ、仮にこれ、お客さんから委任状をもらって司法書士が代理請求することは可能なんでしょうか。
  100. 秦邦昭

    政府参考人(秦邦昭君) 今先生から御質問がありました、先ほどもお答えいたしましたけれども、法務局からの通知に基づいて登記を受けた方に対して還付するということでございますけれども、登記を受けた方がその受領について委任をすると、先生おっしゃられましたように委任をするといった形でその委任状が税務署の方ではっきり分かります場合には、その受領というのは代理で行うということはあり得るというふうに思っております。
  101. 水戸将史

    ○水戸将史君 確かに、国税通則法を見てみましても、この還付を税務署長は遅滞なく金額で、金銭でしなきゃならないということが書いてあるだけにすぎないんですね、この国税通則法第五十六条は。  つまり、還付先をいわゆる納付した人に直接というか、もちろん普通の税の原理原則からすれば税を納めた人に返すのは当然でありますけれども、今言ったように、税を納めた代理人がいるならば、それが特定できるんならば、またそういった形で、顧客がそういう形で委任状をもってこの人が納めたんですよと、この人に返してくださいよというものがあれば、やっぱりこの国税通則法を読めば、やはりそうした代理人に還付しても差し支えないんじゃないかというふうに読み取れるわけでありますので、もう一度お考えをお答えしていただきたいと思います。
  102. 秦邦昭

    政府参考人(秦邦昭君) 登録免許税の過誤納金の還付につきましては、まず通知の申請は登記機関に対して行われます。それに対して通知が税務署の方に参ります。その還付通知書に記載のある方に対して、これは登記を受けた方ということになりますけれども、その方に対して還付する、これが法令上の取扱いでございます。  ただ、登記を受けた方が代理を、その委任状をきちんとされるといった場合に、それが明確であれば、しかも税務署で確認ができれば、その場合にはその代理の方に支払うことはあるというふうには思っております。
  103. 水戸将史

    ○水戸将史君 もう時間がやってまいりました。  最後大臣に御答弁いただきたいんですが、私も、今までこうした細かい日常の業務についても若干触れました、すべてその心は、大臣が進めようとするオンライン化と、いわゆるこの普及に向けて、私も法務省の援軍として、是非、せっかくお金を掛けたのならば、その掛けたとおりのことを、またそれ以上の効果を出していただきたいということで、るる質問をさせていただきました。  最後、その意気込みについて、大臣から御所見をいただきたいと思います。
  104. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 先生お話しのように、そもそも登記特会をつくった意味がデータをデータ化するということとオンラインを普及させるということでありますから、使い勝手が悪いというようなことでオンライン利用率が上がらないとすればこれは大問題でございますから、五〇%というのは当面の話であって、それが七〇、八〇、九〇になることが望ましいのだろうと思いますので、それは少しでもオンライン利用率が上がるように手を尽くしてまいりたいと思っております。  ただ、一つだけ気になるのは、これはちょっと別の件でありますけれども、今度、六月の十一、十二、十三でG8の司法大臣・内務大臣会議をいたすわけでありますが、そこでこのID犯罪の問題が出てくるわけです。ID犯罪というのは、要するに個人識別情報を悪用するというような話で、これがおれおれ詐欺の拡大版のようなもので、いろんなパスワードが番号がと、いろいろ読み取って成り済ましてということがすごく世界的に横行してくる可能性がある、現に横行しているということがありますから、コンピューター化するということはすごくいいことですが、これが犯罪に逆に利用されることがないように十分注意していこうと思っております。
  105. 水戸将史

    ○水戸将史君 以上で私の質問とします。  御清聴ありがとうございました。
  106. 石井準一

    ○石井準一君 自由民主党の石井準一であります。  政策評価のうち、アスベスト対策に関する調査及びPFI事業に関する政策調査についてお伺いをしていきたいと思います。  私たちの記憶にまだまだ新しいわけでございますけれども、大手の機械メーカー、クボタが、アスベストを使用する水道管や建材を製造していた旧神崎工場で、過去に従業員らが中皮腫などで死亡した事実を平成十七年六月二十九日に公表し、アスベストによる健康被害が大きな社会問題化となりました。  政府は、アスベストに関する関係閣僚会議平成十七年の七月二十九日、一か月後でございますけれども、開催をし、アスベスト問題に対する当面の対応を取りまとめております。  これに基づき、関係省庁でございます国土交通省、総務省、文部科学省、厚生労働省は、所管する建築物について吹き付けアスベストの使用実態の調査をこれまで行ってまいりました。しかし、総務省が行ったアスベスト対策に関する調査の結果、調査対象建築物の施工の時期、面積、対象建材が省によってばらつきがあることが判明をいたしました。  例えば、民間建築物について、国土交通省は、調査対象を千平米以上かつ昭和三十一年から平成元年に施工された約二十五万棟に限定をしておりました。また、国の建築物及び地方公共団体の施設についても、国土交通省及び総務省は、吹き付けバーミキュライトや吹き付けパーライトの使用実態について、調査は全く行っておりませんでした。  そこで、お伺いをいたしますけれども民間建築物、建築物における今後のアスベスト対策について、平成十七年十二月の社会資本整備審議会の建築分科会において、千平米未満の小規模なものを含めると約二百万棟あると推定がされております。一方、総務省が千平米未満の民間施設から四十二か所を選んでサンプル調査実施したところ、七施設でアスベストが含有されている可能性がある吹き付け材の使用が判明をいたしました。これだけでも、一六・七%使用しているということの事実が判明をしたわけであります。  国土交通省の調査において、千平米未満の施設をまずは調査対象としなかったその理由をお伺いをしたいと思います。
  107. 和泉洋人

    政府参考人(和泉洋人君) 調査に至る経緯は、今委員から御指摘のあったとおりでございます。  御指摘のとおり、吹き付けアスベストが使用されている建物の可能性は二百万棟あるわけでございますが、そういったものを一度に同時並行で調査をすると効率性も悪いというようなことがございまして、特に不特定の方が使う可能性がある、あるいは多数の方が使う可能性がある、そういった観点から取りあえず現時点で一千平米以上と、こういった限定を掛けまして、加えて、吹き付けアスベストが使用されておった平成元年までと、こういった限定を掛けて調査を開始した次第でございます。  現時点でございますが、平成十七年七月に調査開始以降、今言った限定を掛けると二十五万棟でございますが、そのうちの約二十一・四万棟、したがって二十五万棟のうちの中でもまだ八五%程度までしか至っておりません。大変遺憾に思っております。そのうち、吹き付けアスベストがあると、こういったことが分かったものが一・五万棟、そのうち特定行政庁の指導により除去、封じ込め等の措置を講じたものが八千棟、こういった状況でございまして、今後速やかに、まずはこの二十五万棟を徹底してやってまいりたいと、こう考えております。
  108. 石井準一

    ○石井準一君 次に、国土交通省は、アスベスト使用建築物の実態把握を充実させるために、それでは千平米未満の民間建築物及び調査対象となっておりませんでした平成二年以降に施工された民間建築物について、的確かつ効率的な把握方法を検討するよう勧告をしております。  平成十九年十二月十一日に勧告を受けてから半年余りが経過している現在、検討は実際に終わっているのか、また使用実態等の把握はできているのか、また予算上こうした調査を一切しておらなかったとすれば、新年度予算でどれぐらいの予算が付き、どれぐらいの期間を掛け把握調査をするつもりであるのか、お伺いをしたいと思います。
  109. 和泉洋人

    政府参考人(和泉洋人君) 先ほど委員が御紹介いただきました社会資本整備審議会建築分科会、この建議におきましても、取りあえずそういった優先度の高いものをやるにしても、その後なるべく早く小規模な建築物、具体的には一千平米未満のものについてもやるようにと、こういった建議でございます。  二十五万棟、今言ったとおりでございますが、そういった状況を踏まえまして、昨年総務省から勧告をいただきました。これは十二月の十一日でございました。その直後、十二月十九日に建築行政担当者会議を開きまして、そういった勧告を受けておると、そういったことを踏まえてこの問題にどう取り組んでいくんだという議論をしました。  当然のことながら、特定行政庁からは、現在の二十五万棟の実態を踏まえて、百七十五万棟を追加するとすれば、いわゆるスクリーニング、どういったものを選別し優先的にやるのか、あるいは、従来の二十五万棟以上に小規模な建物が多くて、建築士の方々は専門的知識がないので、そういった方々がどう判定するような簡単なマニュアルを作るべきか、あるいは相談体制整備すべきか、こういった御指摘がありました。  それを踏まえまして、今委員、予算について触れられましたが、平成二十年度予算で約千二百万でございますが、そういった、今後百七十五万棟拡充する場合にどういう調査方法で事を進めていくかということについてのマニュアルを作る、こういった作業を今しております。  ただし、一方で、そういったことをしながら、明らかに優先度が高い、これは具体的には昭和三十一年から昭和五十五年までのものでございまして、言うなれば新耐震基準以前、加えて、吹き付けアスベストが露出している可能性の高い鉄骨造等の建物、これにつきましては、こういったマニュアルの整備とは別に同時並行で作業を進めるというようなことで近々通達を発出する予定でございます。
  110. 石井準一

    ○石井準一君 政府は、最初から統一的な基準を策定をし調査を行う必要があったのではないか、また、政府による指示、関係閣僚による会合での意思統一に問題があったのではないかと思われますが、その件についていかがでしょうか。
  111. 酒光一章

    政府参考人酒光一章君) お答えいたします。  アスベストの使用実態調査実施に当たりましては、まず関係閣僚会合あるいは関係省庁連絡会議で、情報ですとかあるいは認識の共有化を図りまして、その上で最終的には各省庁が調査対象の実情を踏まえて具体的な対象範囲を定めたというものでございます。  また、最初に実施しましたのは平成十七年の七月以降ですけれども、その後も、規制の見直しですとかあるいは新しい知見が得られたというような場合がありましたので、そのときは関係省庁間でやはり情報共有をいたしまして、必要な調査の追加等を行ったということでございまして、今後も各省庁よく連携をして適切な対応をしていきたいというふうに考えております。
  112. 石井準一

    ○石井準一君 次に、除去に対する支援措置についてお伺いをいたします。  国土交通省によりますと、アスベスト除去に対する支援措置として、アスベストの改良型優良建築物等整備事業があります。この補助整備は、地方公共団体に対する間接補助であるため、民間事業者などが同事業を利用するには、所在をする都道府県又は市町村において補助制度が創設されていることがまず前提となるわけであります。  この補助制度の創設状況は、平成十九年の九月現在、都道府県では三八・三%、政令市においては七六・五%、また市町村におきましては六・七%と非常に低いわけでありますけど、国土交通省は、平成十八年十二月二十六日に開催をされました都道府県及び政令市の建築行政担当者会議において、アスベスト改良型事業活用を促しております。  それにもかかわらず、都道府県及び市区町村において補助整備の創設が低調な理由をお伺いをしたいと思います。また、今後どのような支援を行っていく予定なのか、併せてお伺いをいたします。
  113. 和泉洋人

    政府参考人(和泉洋人君) 今委員指摘のとおり、平成十九年九月時点では百五十三団体でございました。その後、総務省勧告等も踏まえまして、るる各公共団体に創設をお願いしましたところ、平成二十年四月時点では百八十三団体に、全公共団体数のまだ一割ではございますが三十団体ほど増えてございます。  なぜ、こういった公共団体でこの事業の創設が進んでいないのかと。当然、我々はいろいろ聞くわけでございますが、やはり一番大きいのは、財政難からの補助制度の創設が困難であると、こういったことが一つございます。もう一点は、ちょっとまだ集計中でございますが、補助制度は設けてないけど融資で応援しているんだと、こういった御回答もございました。  ただ、こういったことを踏まえましても、先ほど来御指摘の点を踏まえれば、こういった除去の制度の創設を促していくことは大事だと思います。  そこで、今やっていることでございますが、昨年十二月十九日の建築行政担当者会議で補助制度の創設をお願いしたほか、一定の要請をする通達を発出したほか、特に、今年の四月に、この事業を広く知っていただくために、事業内容あるいはアスベスト対策全般についてのパンフレット、これを二万部ほど作りましたが、そういったものを作成、配布し、あるいはホームページ等で公表してまいりました。  加えて、補助申請手続につきましても、細かいことは省略しますが、もっと公共団体が使いやすいように、概要で申請できるような仕組みも導入しまして、極力こういった公共団体がこの制度を創設し、アスベストの除去等について支援を賜れるようお願いしてまいっているところでございます。
  114. 石井準一

    ○石井準一君 答弁をいただきましたが、なお一層この創設が普及をし、アスベスト対策に役立つよう強く要望しておきます。その中で、アスベスト改良型優良建築物など整備事業をなお活用し、民間建築物に対する補助制度をしっかりと創設するとともに、支援策が活用されるよう普及啓発に努めることを強く要請をしたいと思います。その後、地方自治体における補助制度の創設数は増加をしたというふうに答弁をいただきましたが、今後とも強く要望をしたいと思います。  次に、除去後の適切な処置についてお伺いをいたします。  アスベストの問題が社会問題化したことを受け、平成十七年七月、環境省は都道府県などに対し、「アスベスト廃棄物を取り扱う廃棄物処理業者等への立入検査の強化について」を通知をし、排出事業者及び処理業者に対する指導の強化、徹底を求めてきました。しかし、その後、総務省事業者における廃棄物処理法などの遵守状況調査した結果、三十八事業者のうち六事業者が帳簿を未作成であるなど、ずさんな処理実態が判明をしております。  そこで、お伺いをいたします。  環境省は、アスベスト廃棄物の排出事業者に対する廃棄物処理法などの遵守事項の周知の徹底について、都道府県などに対し必要な助言を行うよう勧告をされております。その後、環境省は都道府県に対しどのような内容の助言を行ったのか、お伺いをいたします。
  115. 由田秀人

    政府参考人由田秀人君) 総務省行政評価局からの勧告を受けまして、環境省は、平成十九年十二月二十七日付けで都道府県及び政令市に対しまして本勧告内容を周知さしていただきました。  また、平成二十年一月二十一日に開催いたしました全国都道府県及び政令指定都市等環境担当部局会議におきまして、勧告内容を再度周知しますとともに、勧告の周知を踏まえましてアスベスト廃棄物対策に万全を期するよう依頼をいたしました。  さらに、本年五月十六日には、各都道府県及び政令市に対しまして、「産業廃棄物に関わる立入検査及び指導の強化について」といたしまして通知をしました。この通知におきまして、アスベスト廃棄物に係る立入検査は、アスベスト含有廃棄物等処理マニュアルを踏まえて実施することなどの助言を行うとともに、廃棄物処理法などの改正によります規制強化事項を盛り込んだ立入検査票を提示をいたしました。  このように、総務省勧告を踏まえまして必要な措置を講じてきておりますが、都道府県等に適切に助言を行うこと等によりまして、アスベスト廃棄物の排出事業者及び産業廃棄物処理業者が法令をきちっと遵守しまして、アスベスト廃棄物の適正な処理が推進されるよう引き続き努めてまいりたいというふうに考えております。
  116. 石井準一

    ○石井準一君 次に、我が国において排出されたアスベスト廃棄物は国内で適切に処分されるべきであると考えます。バーゼル条約では有害廃棄物の国際移動を規制しており、同条約に基づく国内法の輸出入規制対象物にはアスベストも含まれておりますが、我が国において廃棄をされたアスベストが海外に不正に持ち出されていないことをまずは確認をさせていただきたいと思います。
  117. 由田秀人

    政府参考人由田秀人君) アスベスト廃棄物の輸出に当たりましては、廃棄物処理法及びバーゼル法によりまして一定の手続が必要となっております。  具体的に申し上げますと、廃棄物処理法では、まず第一点目が、輸出先国におきまして再生利用されることが確実であると認められること、第二点目が、我が国の廃棄物処理基準を下回らない方法により処理されることが確実であると認められること、三点目に、申請者がいわゆる廃棄物処理責任を有している者であることにつきまして環境大臣の確認を受けなければならないこととなっております。  また、もう一つのバーゼル法では、相手国、つまり輸出先国でありますが、この相手国の書面による同意、環境省の確認及び経済産業省の承認が得られない限り輸出することができないこととなっております。  これまでのところ、廃棄物処理法及びバーゼル法に基づきまして、アスベスト廃棄物の輸出された事例はないものと考えております。
  118. 石井準一

    ○石井準一君 アスベストを除去する際に伴う法令関係では、労働安全衛生法、建築物の作業等におけるアスベストの暴露防止措置、二つといたしまして大気汚染防止法、大気環境への飛散防止措置、三つといたしまして建築リサイクル法、解体工事などを行う際の廃アスベストの取扱いについての規定、四つといたしまして廃棄物処理法ですね、廃アスベストの適正処理のための収集、運搬、処分についての規制、これはまた各省庁にまたがっておるわけでありますし、特にアスベスト関係におきましては、吸入から発病まで長い潜伏期間があると、静かな時限爆弾とも呼ばれ、近年になってアスベストを使用した製品、製造工程、作業に従事した従業員の健康の被害が相次いで報告をされております。  また、今年五月には、建設現場でアスベストを吸い込んで中皮腫などの健康被害を受けたとして、首都圏の建設労働者と遺族が国と建材メーカーを相手取った損害賠償請求の提訴が起きております。  こうしたことにかんがみ、国といたしましても、C型薬害肝炎、いろんな形の中で救済策等も今後も広く考えていく必要があるわけでありまして、今後も実態把握を速やかに行うためにも、各省庁の垣根を越えた横断的な取組を継続的に行い、情報を共有していただきたく、強く要望をいたしたいと思います。  次に、PFIに関する政策協定についてお伺いをいたします。  総務省では本政策評価の公表の前に十四件の政策評価実施しておりますが、いずれも意見通知にとどまっており、本政策評価は、総務省の行う政策評価では平成十三年に制定をされた政策評価法における初めての勧告であると聞いております。  具体的な改善内容を提案する場合、勧告という手法を取ることとなっておると思いますが、今回の勧告の意義についてどのように考えておられるのか、まずは総務大臣に見解をお伺いしたいと思います。
  119. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) お答え申し上げますが、今御指摘のとおり、行政評価法で、今回の勧告は法施行後初めての勧告となるものでございます。  それまでは意見の通知という形で法施行後十四件意見の通知を行ったわけですが、今後、問題や課題が認められて、そして具体的な措置を講ずることを求める必要があるという場合には、法に従ってすべて勧告をすることといたしました。  そして、今回のPFI事業がその第一号ということになるわけでございますが、私ども、今申し上げましたとおり、法に従って今後すべて勧告をするということにいたしましたので、その後、本年四月にも自然再生の推進に関する政策評価につきましても勧告を行ったところでございます。
  120. 石井準一

    ○石井準一君 先ほどの徳永委員の質問と少しかぶるわけでございますけれども大田大臣も、今後PFI事業が適切に推進をされれば相当効果が発現するという答弁をいただきました。しかし、現状は、当初の計画策定時のコスト削減率との大幅な見込みの差が生じている事例が多くあるほか、バリュー・フォー・マネー算定時におけるコスト削減率根拠の不明確さなどの問題点指摘をされているのは事実であります。  PFI事業は長期契約を特徴としており、事業開始当初の段階におけるコスト縮減の見込みが大幅に変わってきた場合に、解約コストなどによりかえって財政を悪化させることが考えられます。また、市庁舎などの建て替えなど、建物の単純な建設、維持管理だけのPFI事業では成功率が多いと思われますが、先ほどの指摘のとおり、病院PFIのように仕組みが複雑になればなるほど失敗のリスクが高まるわけであります。  PFI事業にはこのような課題問題点があると言われておりますが、そうした中でこのような政策評価結果が出されたことについての認識経済財政担当大臣にお伺いをしたいと思います。
  121. 大田弘子

    国務大臣大田弘子君) 今御指摘いただきましたように、バリュー・フォー算定の根拠を客観的そして明確にしなければならないということ、あるいはそのリスクの官民分担を明確にすべきであるということ、こういった改善点は指摘されてまいりました。  特に、病院ですとか刑務所という運用型のPFIの場合はかなり複雑になりますし長期ですので、この長期間にわたった場合の契約変更の仕組みをどうするのかといったような問題も生じております。これらについて総務省からは適切な政策評価をいただきました。  私どもが法律に基づいて内閣府につくっておりますPFI推進委員会でも同様の報告が十一月にまとめられ、それに基づいて既に検討に着手しておりました。この政策評価に提示された課題も含めて推進委員会で今対応策を御検討いただいております。  その中で、柔軟な契約変更の仕組みの導入を内容としました標準契約書モデル及びその解説、それから要求水準書作成指針策定、それからVFM算出透明性客観性確保のためのガイドライン充実といった御検討をいただいておりまして、七月を目途に取りまとめることとしております。
  122. 石井準一

    ○石井準一君 次に、PFI事業については行政側と民間事業者側の間で適切なリスク分担を行うことが重要であると考えますが、一般にリスク分担については制度が複雑で理解が難しく、様々な課題指摘をされているところであります。  平成十三年一月にはリスク分担ガイドライン制定をされておりますが、制定後五年が経過をしております。PFI事業を効率的に運営していくには、官民の適切なリスク分担が必要であります。これが実現されなければ民間事業者も参入する機会が制限される結果となりますが、リスク分担の根拠が不明確であれば、民間が参入しやすい環境整備することは難しいと私は思われます。PFI事業運営が必ずしも順調とは言えない現状において、民間事業者が積極的に事業に参入しやすくするためには、リスク分担をより適切に行っていくことが不可欠であると考えます。  そこで、現状PFI事業におけるリスク分担課題及び今後のガイドラインの改定の方針等について、内閣府の見解をお伺いをいたします。
  123. 赤井裕司

    政府参考人赤井裕司君) お答えいたします。  官と民のリスク管理能力に応じてリスクを配分することにより事業全体のリスクコストを低減することは、PFIの核となる考え方の一つでございます。  先ほども大田大臣から答弁がございましたが、昨年十一月に取りまとめられましたPFI推進委員会報告においては、リスクの適切な分担がなされるよう、リスク分析及びリスクマネジメントについて考え方の整理の必要性についての指摘がなされているところでございます。  本報告を踏まえまして、現在、PFI推進委員会で御審議いただいている標準契約書モデル及びその解説案において官民のリスク分担の在り方について検討しているところであり、七月ごろまでを目途に公表してまいりたいと考えております。さらに、リスク分担に関する実務的な課題についての調査検討の上、所要の措置を講じてまいりたいと考えております。
  124. 石井準一

    ○石井準一君 次に、行政機関はPFIの導入検討においてバリュー・フォー・マネーという概念を使い、施設整備から運営まで総事業費をトータルで算定をし、従来方式と比較する手法を採用しております。  バリュー・フォー・マネーについては、計算上は従来型手法に比べて平均二、三〇%程度のコストの削減が実現をされており、極めて高い財政上の効果ももたらしておりますが、当初の見込みと大幅な相違が生じる事例もあるわけであります。また、計算が複雑で試算等が客観的に欠ける部分もあるほか、PFI制度そのものに対する当事者の理解、浸透が不十分な状況をつくり出すケースも多いと聞きます。また、バリュー・フォー・マネー算出をより当事者などに理解しやすいものとするため、コスト削減の根拠などを明確にしていく必要があると思います。  こうした点について政府の見解をお伺いをいたします。
  125. 赤井裕司

    政府参考人赤井裕司君) お答えいたします。  VFM算出の根拠を明確にしていくことの必要性につきましては、今回のPFIに関する政策評価書においても指摘がなされているところでございます。本政策評価結果を踏まえ、VFM算出過程や算出方法について現在検討を行っておりまして、本年七月ごろを目途にVFMに関するガイドラインの改定を予定しております。また、今後、アニュアルレポートやセミナー等を通じましてVFMに関するガイドライン等の趣旨の普及啓発実施するほか、VFM算出に係る事例蓄積、支援方策の充実及びグッドプラクティスの情報収集、情報提供実施してまいりたいと考えております。
  126. 石井準一

    ○石井準一君 ありがとうございます。  次に、PPP、官民パートナーシップの手法についてお伺いをいたします。パブリック・プライベート・パートナーシップであります。  英国型PPPは、インフラ整備充実化におけるEU各国の競争力の向上を企図するEUで関心を集めており、EU委員会によるPPPガイドラインの発行、会計ルールの統一、さらにはEU補助金との併用など、PPPの推進のための環境整備が進められております。  我が国においても、膨大な国債負担などの財政状況が悪化する中で、効率的な行政を進めていく上でPPPの一層の導入に向けた環境整備が必要と考えられます。また、PFI事業におけるガイドライン同様、PPPのガイドライン整備等について検討を強く要望いたしたいと思います。  日本版PPPについてお伺いをいたします。  概念は英国及びEUのPPPの概念よりは更に広く、民営化や民間委託、アウトソーシング、公設民営化のほか、今回の政策評価でも取り扱われておるように、PFI事業、独立行政法人などをすべて含むものとなっております。日本版のPPPの代表的事例といたしましては、地方自治法上の公立施設の運営民間事業者などにゆだねる指定管理者制度や市場化テストがあります。  まず、市場化テストについてお伺いをいたします。  平成十八年に、公共サービス改革法、競争の導入に関する公共サービスの改革に関する法律であります。これに基づいて推進をされた市場化テストは、これまでの官の担ってきた事業について官民を競争させ、官と民のいずれが事業を担う方が効率的であるかを比較する手法であります。市場化テストでは官と民を競争させる枠組みとなっておりますが、実際は様々な問題点があります。  まず、官民競争という理念にもかかわらず、実際は民の事業を引き受ける際のダンピング状態を生み出す民民競争状態になっており、官業の一部民営化と変わらない実態であると考えられます。このような指摘について政府はどのような対処を行っていく所存なのか、見解をお伺いいたします。  第二に、官民競争において民が競争に勝った場合、当該事業を担った官の部署また人員の処遇についてはどうするのか。民が事業を担えばこれらは不要となりますが、部署を廃止してしまえば、民間事業者が採算性などの理由から当事業から撤退した場合にいずれかが担うこととなるが、これらの課題についてどのような対応を図っているのか、お伺いをしたいと思います。
  127. 中藤泉

    政府参考人(中藤泉君) お答えいたします。  まず、初めのダンピング云々につきましてでございますが、市場化テストは、国が責任を負うべき公共サービスについて、国民の立場に立ち、民間の創意工夫を生かすことでサービスの質の維持向上と経費の削減を実現することを目指すものでございます。ダンピングとの御指摘については、いわゆる安かろう悪かろうにつながりかねないため、これは厳に避けなければいけないことと考えております。  このため、公共サービス改革法では、入札参加条件を適切に設定することにより、あらかじめ不適切な事業者の入札参加を排除するとともに、価格のみならず質の面からも評価を行うことにより業務を適切に実施できる者を選定することとされております。また、民間事業者による業務開始後も、報告徴収、立入検査、必要な措置の指示など、適正な事業実施確保されるよう監督を行うことといった措置がとられることとなっております。  二点目の御質問でございますけれども、官民競争入札等で民間事業者が落札した場合、その業務に従事していた公務員につきましては、配置転換と新規採用の抑制により対応することを基本と考えております。  また、公共サービス重要性にかんがみれば、そもそも民間事業者が撤退するような事態の発生を避けることが必要であり、公共サービス改革法では、入札参加条件等を適切に設置し、あらかじめ不適切な事業者の入札参加を排除する、価格と質の両面から業務を適切に実施できる者を選定すること等の仕組みを設けるとともに、落札した民間事業者には契約に基づき適正に業務を実施させることとしております。  その上で、仮に民間事業者実施期間の中途で退席する場合であっても、国といたしましては、公共サービスの中断を来すことなく、その適正かつ確実な実施確保の必要があろうかと考えております。具体的には、法律におきまして、新たな競争入札を実施する、国が自ら公共サービス実施する、さらに緊急の場合には他の事業者と入札によることなく契約を締結することなどの規定を設け、公共サービスを中断させない仕組み等を取っているところでございます。
  128. 石井準一

    ○石井準一君 PPPの一態様である指定管理者制度は、保育所などの福祉施設、体育館などのスポーツ施設、病院、図書館、駐輪場など様々な施設等が対象となっております。今後、各地方公共団体が指定管理者制度を導入するに当たっては、最もノウハウの高い事業者を競争メカニズムに基づいて選定することが求められると思うが、そのためにどのような取組を行っているのか、お伺いをしたいと思います。
  129. 増田寛也

    国務大臣増田寛也君) 今お話しのとおり、この指定管理者制度でありますが、これを導入していく際に大変重要なことは、事業者を選定する際にそのプロセスの公正さとそれから透明性確保というところでございますし、そのためにも、複数の申請者に事業計画書を提出をさせて、その内容を見て、それで競争性のある中で決めていくということが大事であります。  私ども制度がスタートしました当初からこのことについて公共団体にお知らせをして周知を図っておりますが、昨年も通知を出しました。それから、今年も、今週関係者の会議がございますけれども、そこでもこうしたことを繰り返し周知を徹底したいというふうに考えておるところでございまして、今後も、この指定管理者の選定手続におきまして透明性の高い手続を取っていただくように引き続き要請をしていきたいと、このように考えております。
  130. 石井準一

    ○石井準一君 最後になりましたが、PPPにおいては民間事業者ノウハウ活用がかぎとなっており、ノウハウをどのように引き出すかが重要なポイントとなります。今後、官民パートナーシップ事業が増えるに伴い、民間事業者ノウハウを競い、それを確実に評価するルールへの転換が急務であります。これらの民間事業者が競争に参入しやすく、ノウハウを確実に評価するルール作りとしてのガイドライン策定等を強く要望し、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  131. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 自由民主党の佐藤正久です。  当委員会では初めての質問になります。どうぞよろしくお願いします。時間が三十分ということですので、答弁の方はできるだけ簡潔にお願いいたします。  最初に、在外邦人の安全対策について質問をいたします。  今回、この行政評価総務省の方がされたんですけれども、中身を見て若干がっかりしました。安全という観点ではすべてのことを網羅して対応をしなければ在外邦人の安全というのは担保できないと、それが危機管理の基本だと思います。  そこで、まず安全対策の中で鳥インフルエンザ対策というものについてお伺いします。  なぜ、この在外邦人の安全対策の中で鳥インフルエンザ対策の評価がされなかったかよく分かりませんけれども、今、非常にそこは大事な分野だと思っています。ある意味、在外邦人の防護という観点からは非常に優先順位が高い分野だと思っています。  このWHOの発表では、人感染、鳥から人への感染が確認された国は全部で十四か国に上っており、とりわけアジアでは鳥インフルエンザはもう常態化されているというふうに言われております。インドネシアでは百二十九人が感染し百五人が死亡、ベトナムでは百四人が感染し五十人が死亡というのが公表ベースで言われております。  私、五月の連休を利用してタイとネパールの方に行ってまいりました。例えば、タイの大使館で説明を受けたときには、タイで在留届をしている邦人の数が約四万人と。恐らく、トータルではもう六万、七万ぐらいいるんじゃないかという話がありました。  御存じのように、バンコク市内でも路地を一つ入ると鳥と一緒に生活しているような場面というのは散見されます、バンコク市内であっても。実際に、ネパールでもアジアの国でもそうなんですけれども、実際に鳥インフルエンザというのは特定しにくい、実際にそういう報告がなされる、なされないと、いろんなパターンがあるようです。やっぱり危機管理というのは発生してからでは遅いわけで、その前に何とか防ぐというのが基本だと思います。  外務省の方から聞いた話なんですけれども、その中でワクチンの部分について非常に頭を悩ませていると。現在、在留邦人を救うための発症後のワクチン、タミフルというものは今十万人分しか確保されていないと。公表されている在留邦人が四十万人、罹患率を掛けて単純に十万人ということらしいんですけれども、ちょっと余りにも机上の空論のような気がします。実際にもっと多くの方が旅行されていて、もしもそれに感染した場合、足止め食らうわけです。そうすれば、実際に在留届を出されている方以外にももっと多くの方が留め置かれる。そんなに簡単に日本から送れるというものではないと思うんです。  さらに、在外公館の中で一番大事なお医者さんあるいは大使の方々、大使館で実際何かあったときに第一線で活躍される方々に対するワクチン、とりわけプレパンデミックのような予防するワクチンについては今備蓄がないというふうに説明を受けました。これで本当に実際に対応できるのかと。  在留邦人で一番今関心が高いのは、鳥インフルエンザという話も出張のときに聞きました。今、海外の邦人保護のため現在外務省が取られております鳥インフルエンザ対策、そして課題についてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
  132. 木村仁

    ○副大臣(木村仁君) 外務省では、在留邦人及び日本人の渡航者の安全のために、外務省海外安全ホームページ及び在外公館のホームページを通じて情報提供を常時行っております。  鳥新型インフルエンザにつきましては、最新の感染状況や予防対策についての情報提供を行うとともに、更なる感染拡大に備えて十分な安全対策を講じておくよう奨励をいたしているところであります。  また、在外公館においては、海外安全対策連絡協議会というものがありますので、この場を通じまして政府の取組及び各地の事情に応じた対策を説明しているところであります。さらに、医療専門家の講演会等を開催するなど、在外邦人の皆様の不安をできる限り取り除き、適切な対応を講じていただけるように分かりやすく説明をする努力をいたしております。  その他、特に医療事情の悪い国、地域に在留する邦人のための緊急の対応策として十万人分の抗インフルエンザウイルス、タミフルを確保していることは御指摘のとおりでありまして、そのほか関係在外公館及び外務本省に備蓄をしているわけでありますが、十万人で十分かどうかということは、今御指摘がありましたように、ほぼ四十万人と見て、その二五%程度という発症の通常の例から見てそういうものを準備しているわけでありますけれども、十分かどうかと言われると、それは必ずしも十分ではないかもしれません。  今後、各関係省と協議をいたしまして、この充実を図ってまいりたいと考えているところであります。
  133. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 やっぱりワクチンというのは非常に多分大事な分野だと思います。特に、発症する前のプレパンデミック用のワクチンというのは、実際、現場の大使や司令官が病気になってしまってはもうどうしようもありませんし、やっぱり第一線のお医者さん、看護師の方々が感染してしまってはいけないし、実際に一番感染しやすいのはそういう医療従事者ということはもう周知のとおりで、エイズなんかの場合でも実際に医療従事者が一番の感染する可能性が高いと。  多分、この予算措置については、なかなか財務省の方から認められなかったという話も聞きましたけれども、この安全については恐らく野党の方々も反対はしないと思います、第一線ですから。大使館の方々が、あるいはその基幹要員が動けなかったらもう救えないわけですので、ここについては、是非ともいろんな対策というものをどんどん推進して、結果を出していただきたいということを要望をしたいと思います。  次に、同じ安全対策の中で、日本人学校、これの耐震化についてお伺いいたします。  この総務省がされました行政評価で在外における日本人学校については評価されているんですけれども、なぜか耐震化の項目が抜けている。なぜ、日本の国内でこんなに耐震化と騒がれているのに、これが抜けているのかと。相も変わらず昔ながらの避難訓練とか、そういう分野でしかなされていないという評価があります。実際にはされているのかもしれませんけれども、やはりこういうのをやる場合は省庁連携をしながら専門家で調査をする、評価をするという体制総務省については求められるんではないかなという感じがします。余りにも縦割り過ぎる。  今回、四川の地震の報道を見ましても、多くの子供が学校の瓦れきに埋まっている、あるいはそれで亡くなってしまったという報道がされています。やはり日本と違うという日本人学校の建物だと思います。  それで、ちょっと外務省そして文部科学省の方々に説明を受けたんですけれども、今、在外の日本人学校というのは、進出企業とかあるいは保護者等による学校運営委員会というものによって運営がなされている。実際にその日本人学校の施設を、建物を選定するのも、一義的にはその運営委員会の方がなされているというふうに伺っています。  しかしながら、外務省の方から、施設の維持運営のためにも補助等の予算を措置もされているという状況。しかも、文部科学省が、これが日本人学校として認定しますよという認定する際に施設の評価もすると。しかしながら、施設評価の項目には、校長室がちゃんとありますか、教室がありますかというものはあっても、耐震の評価項目はないと。  これはやはり、今回の地震の教訓を見ましても、早急に政府側の方からそういう運営委員会の方に働きかけ等、何かする必要があると思いますけれども、これについての御見解を外務省の方にお伺いいたします。
  134. 木村仁

    ○副大臣(木村仁君) 日本人学校はそれぞれ外国で設置、運営されている施設でありますために、その校舎については現地の基準に応じて耐震化が図られると、このことは当然であろうと思います。他方、各国において耐震性への対応は様々でありまして、必ずしも十分でないおそれもありますので、日本人学校の安全対策の一環として、今後、文部科学省とも協議、連携しつつ、学校運営委員会がその耐震性についても日本的な感覚で考えていかれるよう助言をしていく予定でございます。  なお、中国四川省での地震の際、被害地の学校の校舎の耐震構造に問題があったのではないかという御指摘でございますが、このことを踏まえて、各地にある日本人学校の耐震性の問題についても、先ほども申しましたように文部科学省と十分協力して対応さしていただきたいと思います。  具体的に申しますと、外務省として日本人学校の校舎借り上げ、建設につき一部資金援助をしているわけでございますが、そうした支援に関連して、今後、日本人学校が借り上げ校舎を選定する場合やあるいは校舎を新築する場合に、学校運営委員会に対して耐震構造についても十分検討を行うよう助言をいたします。また、必要に応じて専門的な検討作業に対する支援を行うことも考えなければいけないと存じます。
  135. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 是非よろしくお願いします。  ここに外務省からいただきました日本人学校の一覧あるんですけれども、八十六校ございます。中には、私が勤務したような中東地域におけるものもあります。どうしても、れんが積みというものが主体ですので、恐らく中央アジアの方の学校もそうかもしれませんけれども、そういう面ではできるだけ、何かあってからでは遅いわけですから、早急な対応、支援というものを御検討願いたいというふうに思います。  続いて、社会資本整備に関する行政についてお伺いいたします。  私は、防衛とか国民保護、危機管理の観点から社会資本整備をするということも必要だと思います。昨年の七月に新潟の柏崎の方で中越沖地震がありました。そこで、私も現場に行って、ああ、なるほどなと思ったのは、柏崎港というものがうまく機能をしたと。海上自衛隊の輸送船というものがそこに入れた。それだけの喫水を担保していた港であり、なおかつ港が耐震強化というものを考えた上での設計であった。  よって、ある程度波打ってはいても、車も入れるし船も達着できる。おかげで、船が持っている給水能力、半端じゃありませんから、そこでどんどんどんどん給水車に水を揚げて、給水車がほとんど待ち時間なくどんどん回転できたと。非常に市長からも評価が高かった。やはりそういう観点というのは非常に社会資本整備するときも大事じゃないかと思います。  実際に石垣市あるいはこの前、竹富町というところで町長さんからも聞いたんですけれども、やはり自衛隊の船が接岸できない、今の港のままでは。これは防衛上もそうですけれども、災害対処上も非常に問題だというふうな感じがします。  あるいは、ハワイに行かれると分かりますけれども、ほとんどの高速道路、主要な米軍基地、ヒッカム空軍基地の入口まで来ている。そういう観点から社会資本を整備をしている。また、フィンランドにおいては、シェルターというものを非常に重視をし、それがないと建設も建築も認められないという感じがします。今いきなりシェルターと言ってもなかなか予算的に厳しければ、発想的に、トンネルを掘って、特に米軍基地が近くにあるところにトンネル掘った場合には、近くにトンネルに横穴を掘って、そこにシェルターにするとか、地下街を造るときにもう少し掘り下げれば、それはシェルターになる場合もありますので、そういう観点。あるいは、台湾の方であれば、これは極端な例ですけれども、高速道路から戦闘機が飛び立つ。いろんな例があると思います。  実際にまた、防災という観点でも、若狭の原発地域があります。そこは道路が一本、二十七号線しかないために、住民の避難経路と警察、消防あるいは自衛隊の進出経路がぶつかって、絶対何かあったらもうそこには行けないというようなことが言われています。  そういういろんな観点から、社会資本整備というのは私はすべきだというふうに思っています。  防衛庁が防衛省になりました。省として企画立案を今まで以上に発信をすべきだと思います。その社会資本整備についても同じだと思います。今度、宇宙・海洋政策室というものが宇宙基本法あるいは海洋基本法を受けて防衛省内にできると聞いておりますけれども、なぜか国土政策室はない。トータルで宇宙、海洋、国土と全般を見て防衛の観点から社会資本整備について意見を言う、これは普通の国の姿ではないかと思います。  防衛省としてもそういう所要の組織の整備をするなどして積極的に検討に参加すべきと私は考えますが、防衛省の見解をお伺いいたします。
  136. 徳地秀士

    政府参考人(徳地秀士君) お答えを申し上げます。  防衛省といたしましては、我が国の防衛などの様々な任務を遂行するに当たりまして、自衛隊の行動の円滑な実施確保するということは大変重要なことであると認識をしております。  自衛隊の行動に関しましては、法制面でいいますと、例えば武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律といったようなものがございまして、武力攻撃事態等において自衛隊が飛行場施設でありますとか港湾施設といったものの利用の円滑化についての枠組み整備をされております。防衛省といたしましては、こうした法制度に基づきまして、自衛隊が円滑に任務を遂行できるよう普段から関係省庁などと協力関係の構築に努めておるところでございます。  それから、防災につきましては、社会資本整備の在り方として、政府として取り組むべき防災対策の指針を示す平成二十年度防災対策の重点におきまして、災害に強い社会基盤づくりの推進といたしまして、災害時の防災拠点施設あるいは道路、空港、港湾等の交通インフラ、それから電気、ガス、下水道、通信等のインフラ、治山・治水施設等の防災関連施設につきまして、緊急度の高いものから重点的、効果的な整備運用を図るということとされているというふうに承知をしております。  それで、先生も今おっしゃられました昨年の新潟県の中越沖地震の際におきましては、まさに自衛隊の船による給水活動あるいは緊急物資の輸送を実施する上で港湾というものが非常に大きな役割を果たしたところでございます。  このほかにも、防衛省といたしまして、災害派遣の活動を迅速かつ的確に行うということのためには、例えば陸上から被災地への大量援助物資などを運ぶための道路でありますとか橋、それから自衛隊の指揮所でありますとか、それから隊員が寝泊まりするところ、それから車を止めるなり、あるいは必要資材の集積などのそうした活動拠点としての公園でありますとかグラウンド、それからヘリコプターによる緊急患者輸送あるいは物資輸送、それから消火活動を行うためのヘリポートといったものを避難場所と区別した形で確保するといったようなことというのは、これは大変な重要なことだと考えております。  したがいまして、御指摘の点も踏まえまして、危機管理の観点からこうした政府全体の取組というものにしっかりと参画してまいりたいと考えておるところでございます。
  137. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 私が言ったのは、それは参加するのは当たり前であって、そういう担当の部署をつくるべきじゃないかという質問ですよ。この国道についてはどこですかと聞いても、うちじゃない、うちじゃないと。今まで庁だったために発信力がなかったせいか分かりませんけれども、担当部署がなかったと。実際に国土交通省がやっている社会資本整備の検討にも十分交ぜてもらっていなかったという事実があると思います。せっかく海洋あるいは宇宙政策室をつくるんだったら、併せて国道まで入れたトータルとして政策を訴える部署を明確にするべきじゃないかというのが私の質問です。自後また検討をお願いしたいと思います。  続いて、国土交通省の方にお伺いします。  実際に、国土交通省からいただいたペーパーで社会資本整備重点計画というものが今手元にございます。  そこの中には、暮らし、安全、環境、活力と四分類に沿った重点施策が書いてあるわけですけれども、このペーパーとかこの検討段階でも恐らく警察とか消防、防衛という部分は多分交ぜてもらっていないんじゃないかと。安全についても非常に断片的な、今までの国土交通省の持っていた分野の部分しか入っていない。  やっぱり税金というのは国民にとって非常に、国に与えるという代わりに、国として一番大事なのは国民に安全を与える、これは縦割りでは絶対いけないわけであって、それぞれの担当部署が集まっていかに、安全というのであれば安全という観点からそれを国民に還元するかということが私は非常に大事だと思います。  いろんなことが、省庁が集まることによって、それが中身がどんどん深掘りできるわけですし、あるいは無駄というものもどんどんなくなっていくかもしれません。一つの省庁だけでやってしまうと、そこはどうしても目が曇ってしまう部分あるかとも思います。よって、これからこういういろんな暮らしにしても環境についても活力にしても安全についても、やはりできるだけ省庁横断的に縦割りでなくて横割りぐらいの気持ちでやると。まさにこの行政監視委員会というのは、そういう全体的な目線で切り込んでいくというためにある委員会だと私は思っています。  そういう意味でも、今後ともこの安全というものを非常に重要視し、昨年も、今年度の公共事業というものの整備の観点でも安心、安全という項目を入れた以上は、できるだけ多くの知見を集めながらやっていくべきだと私は思います。  そこで、今後、防衛とか国民保護、これは総務省が管轄です、あるいは危機管理、そういうものの観点を踏まえながら、戦略的に社会資本を整備するということで、今後とも各省庁を巻き込んだ形でこういう計画を作っていくという考えについて、国土交通省の見解をお伺いしたいと思います。
  138. 伊藤茂

    政府参考人(伊藤茂君) お答え申し上げます。  委員の御指摘の自然災害、地震等の自然災害、あるいは有事の際の国民保護、あるいはテロ発生時の際の住民の避難あるいは救援といった国民の生命、財産の保護のための対応、これは私ども国土交通省、モットーでございます国民の安全、安心を確保するという観点から、我が省最重要課題の一つとして取り組んでいるわけでございます。  その中で、先ほども防衛省の方から御答弁を申し上げましたが、社会資本整備につきましては、平成二十年度でございますと、防災対策の重点ということで、私ども国土交通省も、危機管理の観点を踏まえました社会資本整備に努めてきております。  私、直接担当しております危機管理あるいは国民保護の観点から、その視点からちょっと御説明を申し上げたいと思いますが、危機管理あるいは安全保障に対しましても、これに的確に対応するためには、防衛省でございますとか消防庁、警察庁等関係省庁との連携確保は大変重要でございます。  一つの例を申しますと、政府全体で実施をしております国民保護訓練がございます。これらの関係省庁と私どもと共に参画をいたしまして、更に加えますと、そのときに現場になります地方公共団体、こういった組織にも参画をいただきまして、的確かつ迅速に国民保護のための措置を実施すると、このための連携強化に努めておる次第でございます。  これからも国民の安全、安心の確保を図るために、今後とも関係省庁との連携を更に深めてまいりたいと思っております。
  139. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 是非ともお願いします。大事なのは本当に国民の安全を守る、これは国として政府として一番最優先事項ですので、そこは広く知見を集めるというオープンな姿勢を国土交通省としてもお願いいたします。  ただ、この重点整備計画を見ても、先ほどから話題になっています、石井先生が質問されたアスベストという項目が一項も入ってないですよね。一項も入ってないんですよ、なぜか。同じ国土交通省のペーパーでありながら入ってないんです。これは縦割りなんです、私からすると。アスベストを使っている建物が壊れた場合の飛散がどうだという部分が、先ほどからありましたけれども、それは環境省の所掌だと。ところが、実際今、柏崎の場合の現場を見ても、そこでいろいろ指導しているのは環境省がやっているんです。私が柏崎のえんま通り商店街へ見に行ったら、一生懸命アスベストを取るためにわざわざ補強工事をしてアスベストを取って、それから壊していると。それはお金がある人はいいです。お金がない家はそのままです。これが実態です。  この前の災害対策特別委員会でも質問させていただきましたが、要は、耐震化をという部分と併せて減災という観点からもアスベスト対策というのはどんどんやっていくべきだと私は思います。耐震化をやると同時に、併せてそのときにアスベスト対策を一緒にやれば、もしかしたら予算ももっと効率的に使われるかもしれない。耐震化だけやってアスベストをやってないということがあっては、私はそれは除外するということがあってはいけないと思います。トータルでやらないといけない。  今回のこの評価を見ますと、非常に、各省庁ごとの担当する建物ごとに、各都道府県ごとにやっている。これはこれで多分一つのやり方でしょう。でも、そういう危機管理、特に大地震ということを考えた場合は本当にそれでいいのかと。  限られた予算です。であればあるほど、普通の会社であれば、現状評価を見たら危ないのから優先順位を付けてやる。もう専門家から言われている場所があります。もう近々この辺りで地震が来るかもしれないというところであれば、そういうところを優先的に、調査の予算をつぎ込み、あるいはその対策をする、補助事業もそういうところにどんどん重点的に持っていくと。  これは中央防災会議の方からも助言が必要なのかもしれませんけれども、やはりただ上っ面のみんな横並びではなく、このような住民の安全を守る、もう宮城県沖地震、首都圏型あるいは東海、東南海、言われているわけですから、であればそういうところに重点を絞って、そこにまた予算を必要なら付けるということも私は必要かと思います。  今後のアスベスト対策について、この調査あるいは補助事業について、そういう危機管理の観点からの重点施行をするということも私は必要と思いますけれども、これについての国土交通省の御見解をお伺いしたいと思います。
  140. 和泉洋人

    政府参考人(和泉洋人君) 先ほども答弁申し上げましたとおり、今は一千平米以上、二十五万棟を中心にやっておりますが、今後、一千平米未満の百七十五万棟に及ぶ対象物をやるわけでございます。その中で、公共団体等の要請も踏まえまして、どういったものを優先的にやるんだといったスクリーニングの方法について、近々詰めるということになっております。  その際において、今先生指摘の耐震性の弱い建物であれば、地震のときに倒壊して、もちろんその倒壊することの問題もあるわけでございますけれども、同時にアスベストが飛散するというおそれもあるわけでございますから、そのスクリーニングの取りまとめの際に、今委員指摘の点を十分踏まえてまとめていきたいと、こう考えております。
  141. 佐藤正久

    ○佐藤正久君 そういう千平米、千平米未満もいいんですけれども、私が言いたいのは地域なんです、地域。やっぱり危機管理というのは地域に連動していますから、そういうことを横並びではなく地域というものを考えながらやっていただきたいと。実際地震が起きて、柏崎を見ても、やはり一緒にその場で住んでいる住民は飛散が怖いんです。建物が壊れた、飛散する、これが大都市あるいは都市部であったら、物すごい多分アスベストの飛散を恐れる住民が出てくると思います。  そういう意味で、重点というものを絞りながらやるというのも一つの案だと思いますので、是非御検討をお願いしたいと思います。  以上で質問を終わります。     ─────────────
  142. 加藤修一

    委員長加藤修一君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、牧山ひろえ君が委員辞任され、その補欠として林久美子君が選任されました。     ─────────────
  143. 浮島とも子

    浮島とも子君 公明党の浮島とも子です。  本日は、ODAに関する会計検査院の報告を踏まえて質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  まず、質問に入らせていただく前に一点確認をさせていただきたいことがございます。  昨年の五月に厚生労働委員会で、パート労働法の審議の中で政府の広報の在り方について質問をさせていただきました。今回の長寿医療制度の件もそうでございますけれども政府の広報が国民に伝わっていない、国民政府の意図しているところが全く分かっていない、理解されていないということがとても私は常に感じているところでございます。特に若い方、この若者の政治的な無関心というところも、若者に政府が何をしているのか、何がどう変わっていくのかということがしっかり伝わってないことに一因があるように思っておるところでございます。  そこで、私は、若い人に対して少しでも政府の意図としているところを伝えるために、通常されておられるといったポスターやチラシ、パンフレット又はセミナーや説明会を行っているということでございましたけれども、それ以外に携帯電話で見られるホームページ、これを使ってパート労働法の内容の周知を昨年お願いをさせていただきました。  この携帯電話で見られるホームページを使った広報について、厚労省のその後の取組についてお伺いをさせていただきたいと思います。
  144. 大谷泰夫

    政府参考人(大谷泰夫君) 本年四月一日から施行されております改正のパート労働法について、昨年六月の改正法公布以降、具体的な事例も盛り込んだパンフレットの配布や、また説明会の実施等を通じてその周知に努めてまいったところでございます。周知に当たりましては、その事業主だけではなくて、今お話ありましたように、若い方を含めたパート労働者の側でもこの法の内容を十分理解できるようにしていくことが大変重要であるというふうに考えております。  携帯サイトの活用でありますが、これまで国会等で先生から御指摘をいただいているところでありまして、その御指摘も踏まえまして、現在関係部局で立ち上げを準備しております携帯サイトの中で、その改正パート労働法の内容を盛り込む準備をしているところであります。  いずれにいたしましても、この改正法の内容国民に広く理解していただけるように、引き続き様々な手段の活用に努めてまいりたいと思います。
  145. 浮島とも子

    浮島とも子君 今御答弁にございましたように、この携帯のポータルサイトができるということでございますけれども、次の課題は、このサイトをしっかりと若者に見てもらえる、これが実際に活用していかなければ無駄になってしまいますので、是非とも若者が使えるように、厚労省としても周知をしっかりとしていただきたいと思います。  また、その意味でも、若者がよく見られると言われているゲームサイトなど、広告を出すなどの取組が私は必要であるのではないかと思っておりますし、また、今回構築される予定の若者向けの携帯のポータルサイトを、能力開発関係だけではなくて労働者にどのような権利と義務があり、また使用者にどのような義務が課されているかなど、基本的な労働法令の説明などを掲載することが今現在の若者の労働条件を考えたときに必要ではないかと考えております。  この携帯サイトにおいて、パート労働法のみならず、労働関係法、政令全般においても周知徹底を行うべきと考えますけれども、厚生労働省の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  146. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) 労働政策実施していくに当たりまして、やはりその中身を国民の方々に広く認識していただくということは極めて重要でございます。  特に、若者につきましてはコミュニケーションの中心的な存在となっております携帯電話、これを利用した情報の提供は有効な手段であるというふうに考えておりまして、御指摘の労働関係、能力開発だけではなくて、労働関係法令の携帯サイトにおける周知につきましても関係部局と相談しながら十分検討をしてまいりたいと思っております。
  147. 浮島とも子

    浮島とも子君 是非とも十分検討をして進めていただきたいと思いますとともに、今回構築されるこのサイトは、能力開発のポータルサイトということで前にお伺いしたんですけれども、これを将来的に私は労働関係の若者ポータルサイトに育てていっていただきたいと思いますので、その点もしっかりとした取組をお願いさせていただきたいと思います。ありがとうございました。  それでは、質問に入らせていただきたいと思います。  まず、五月に横浜で開催されましたTICADⅣについてお伺いをさせていただきたいと思います。  TICADⅣでは、元気なアフリカを目指して、成長の加速化、MDGsの達成や平和構築など人間の安全保障の確立、環境・気候変動問題への対処といった議題について、アフリカから四十か国の首脳を招き、活発な議論が行われたところでございます。今までになく多数のアフリカの首脳を迎えて開催された今回のTICADⅣでは、横浜宣言、横浜行動計画、フォローアップ・メカニズムの三つの文書が採択され、無事に終了したところでございます。  今後はTICADⅣのこの成果を、六月二十六日からのG8外相会合等G8関連会合、七月の北海道洞爺湖サミットにつなげていくことが必要であると考えております。  そこで、このTICADⅣについての評価とG8外相会合サミットに向けて、どのようにTICADⅣの議論を生かしていくのか、外務大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。
  148. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 五月二十八日から三十日にかけて開催いたしました第四回アフリカ開発会議、TICADⅣには四十名の国家元首、首脳級を含むアフリカ五十一か国のみならず多数の先進諸国、アジア諸国、国際機関及び地域機関の代表が参加し、国際社会のTICADプロセスに対する高い関心が示されたわけであります。今回の会議の規模は、我が国外交史上、類例を見ないものとなりましたが、議長を務めた福田総理及び議長代理を務めた森元総理の御尽力により実りの多い議論が行われ、その結果は横浜宣言としてまとめられたわけであります。  この会議では、最近の食料価格の高騰問題を含め、アフリカが抱える問題に対処するだけでなく、アフリカの経済成長を後押ししていくことについても密度の濃い議論が行われ、アフリカ開発の新しいページを開くものとなったと思っております。  福田総理からは、我が国の対アフリカODA倍増や、我が国からの投資倍増支援策を打ち出し、各国首脳から高い評価を受けました。福田総理は四十名のアフリカの首脳級参加者を含む四十七名と、私は首脳級参加者を含む二十三名と個別会談を行い、二国間の協力や日本とアフリカの協力について忌憚のない意見交換を行いました。  TICADにおいて、アフリカ諸国から示された意見をG8議長国としてしっかり受け止め、TICADの成果を北海道洞爺湖サミットの議論に反映していきたいと、そのように考えているところでございます。
  149. 浮島とも子

    浮島とも子君 是非ともしっかりと今回TICADⅣで議論されたことが生かしていけるように期待をさせていただきたいと思います。  また、今回のTICADⅣでは、今もございましたとおりに、アフリカのODAの倍増、約四十億ドルの低利円借款の供与など、我が国の新たなアフリカ支援策が表明をされたところでございます。アフリカ支援のミレニアム開発目標の達成など開発の課題が山積している中で、近年一貫して減少している傾向にあったODAが若干でも拡充の方向に転じたことは高く評価させていただきたいと思います。  また、私の所属するODA特別委員会では、ODAの増額やアフリカ支援の強化についての委員会決議を五月の十六日にいたしました。委員会出席してくださいました福田総理も、ODAの増額、アフリカ支援の強化について非常に前向きであると私は思っております。  しかし、ODAの拡充の前提として欠かせないものが、透明性、公正性の確保が必要であると思うんです。この点についても、ODAの特別委員会の決議でもありますように、ODAや国際協力活動への国民理解と支持を得るためにも、援助の実情、実績、計画等について、国会に対して十分な情報の開示、提供が必要でございます。  本日も議題となっておりますこの会計検査院の検査報告では、コンサルタントの不正請求事案、スマトラ島沖地震の緊急援助実施の遅滞、無償資金協力、技術協力における入札の状況、援助効果に関する現地調査の結果が主な内容となっておりますが、まず、この会計検査院の報告に対して、外務省の率直な御意見をお伺いさせていただきたいと思います。
  150. 渡邉正人

    政府参考人(渡邉正人君) 会計検査院は、毎年行う年次検査に加えまして、国会からの検査要請がございました事項についても検査を行い、国会に報告しております。政府開発援助、ODAに関します国会からの検査要請事項といたしましては、平成十七年に三件、平成十八年に二件ございますが、こうした要請がなされることにつきましては、ODAに対します国会の関心の高さの表れであると真摯に受け止めております。  ODA予算は過去十一年間で約四割削減されておりますが、今後、国民理解を得て、ODAを拡充し、その一層の活用を進めていくためにも、ODAの質の改善や効果的、効率的な実施に努めていくことが必要であると思います。  外務省といたしましては、会計検査院からの報告も踏まえつつ、今後ともODAの適切な執行に心掛けてまいります。
  151. 浮島とも子

    浮島とも子君 今御答弁にありましたけど、国会の方の皆さんも関心が集中しているとおっしゃいましたけど、国民の関心もとても今集中しているところでございます。今回のこの会計検査院の報告は、ODAの透明性必要性を改めて感じさせるものであったと私は考えております。  外務省は、このODAの戦略的な実施、コストの削減、そして透明性確保のため、点検と改善という報告書を二〇〇五年に作成しております。このような報告書作成により、PDCAサイクルの確立に向けて取り組んでいるものと考えておりますが、この二〇〇七年度版では、戦略的なODAの実施のための援助政策の企画立案、そしてコスト縮減や業務内容の改善を通じた事業の効率化、チェック体制の拡充と国民理解の促進が柱となっているところでございます。  このODAの透明性、公正性の確保について、点検と改善二〇〇七というものでは、チェック体制の拡充として、新JICAの評価体制の確立、国際機関を活用した援助の評価実施などを挙げておられるところでございます。  ODAの評価については、外務省、JICA、JBICといった援助の実施機関相互の連携で政策レベル、プログラムレベル、プロジェクトレベルで評価を行っているところでございます。本年の十月の新JICA発足に際しては、この評価のうちプロジェクトレベルの評価についても一元化されるということと考えておりますけれども、具体的にどのような形で一元化をされるのでしょうか。  新JICAが担うODA評価機能と現時点での準備状況についてお伺いをさせていただきたいと思います。
  152. 渡邉正人

    政府参考人(渡邉正人君) 外務省といたしましては、JICAやJBICといった実施機関と連携しつつ、ODAをより効果的、効率的なものとし、国民に対する説明責任を果たすことを目的といたしまして、政策レベル、プログラムレベル、プロジェクトレベル評価を行う体制を構築しております。  これまでは、外務省が政策レベル及びプログラムレベルの評価並びに無償資金協力プロジェクトの評価を行い、JICAは主に技術協力プロジェクトの評価と技術協力プログラムレベルの評価を行い、JBICは有償資金協力プロジェクトの評価と有償資金協力のプログラムレベルの評価実施してまいりました。  新しいJICAの発足に伴いまして、基本的にプロジェクトレベル評価を新JICAに一元化するなど、より効率化したODA評価体制を構築するよう、現在、新JICAの発足に向け、細部の調整を行っているところでございます。
  153. 浮島とも子

    浮島とも子君 次に、戦略的なODAの実施のための援助政策の企画立案についてお伺いをさせていただきたいと思います。  この点検と改善二〇〇七の中では、今後の取組として、新JICA設立に向けた体制整備、選択と集中の推進と国別援助計画の整備、そして援助手法間の連携、プログラム化の推進、現地ODAタスクフォースによる見直しの制度化、また国際機関との連携の強化、オールジャパンとしての国際協力の取組の拡大というのを挙げられているところでございます。  この戦略的なODAの実施のため、ODA大綱の下、国レベルでは国別援助計画が策定されているところでございますが、ODA大綱上、策定対象は主要な被援助国とされていることから、今までの策定は二十三か国にとどまっているのが現状です。今後、三十五か国までに拡大されるということでございますけれども、まだまだ少ないのではないかと私個人は思っているところでございます。  また、地域レベルでは、国際協力重点方針・地域別重点課題が昨年初めて策定、そして公表されました。これらの流れは評価をしたいと思うところでございますけれども、戦略的なODAの実施を一層推進していくためにも、国別援助計画の対象国の拡大、そして迅速な策定と改定を進めるべきであると私は考えております。  そこで、政府としてどのように取り組んでいくのか、外務大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  154. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 国別援助計画でございますが、今委員が御指摘になったように、現在二十三か国について策定済みであります。そして、今後、三十五か国まで対象国を拡大する予定でございます。これによって、三十五か国の円借款、無償資金協力及び技術協力の援助実績合計は、全体額のおおむね八割以上を占めることになります。  国別援助計画を作成するに当たっては、相手国との協議やNGO、経済界、有識者との協議や意見交換を重視しておるところでございます。このため、国別援助計画の策定には一定の時間を要しますけれども、今後、可能な限り迅速な策定に努めてまいりたいと、こういうふうに考えているところでございます。
  155. 浮島とも子

    浮島とも子君 是非ともしっかりとした取組をお願いさせていただきたいと思います。  また、この点検と改善二〇〇七にあるように、ODAの透明性そして公正性の確保を図るとともに戦略性を持たせるためには、ODAにPDCAサイクルを確立させることが重要であると思います。私は、このサイクルの中で国会も役割を果たしていくことが民主的コントロールの観点から必要であると考えております。  行政監視委員会そして決算委員会における審査を通じた事後的なチェックとともに、ODA政策の立案、戦略の議論においても国会の意見をできるだけ反映するようなシステムが必要であると考えます。先日の参議院のODA特別委員会の決議でも、今後、毎年作成される国際協力重点方針・地域別重点課題について、その内容及び取組状況のODA特別委員会への報告、また国会での議論の内容への反映をすべきであるとしているところでございます。  ODA実施機関である新JICA、先ほどもありましたけれども、企画の立案を行う外務省、そして政府として戦略部分を決定する海外経済協力会議、そして行政監視の機能を果たす国会がばらばらではなくて一つのPDCAサイクルを構成していくことが、より理解されるODAの実現のために私は重要不可欠、そして必要だと考えております。  その意味で、二十年度国際協力重点方針・地域別重点課題作成の際に今回の決議を踏まえた対応がなされることと考えておりますけれども外務大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  156. 高村正彦

    国務大臣(高村正彦君) 内閣総理大臣が主宰する海外経済協力会議で審議する基本戦略の下、ODA大綱、中期政策、国別援助計画を踏まえつつ外交政策を踏まえた国際協力を推進するために、平成十九年度から国際協力の重点方針・地域別の重点課題を定めているところであります。平成二十年度の重点方針・地域別の重点課題は現在策定中でありますが、策定を終え次第、昨年度と同様に外務省のホームページでも公表する考えでございます。  今後とも、国会での御議論を踏まえながら、選択と集中を推進し、透明性のある形でODAの一層の戦略的な活用に努めてまいります。  国会での活発な御議論を期待しているところでございますし、それを十分踏まえて選択と集中を推進していきたいと考えております。
  157. 浮島とも子

    浮島とも子君 ODAの評価体制というのは、本当に国民のODAへの理解、そして支持を得るためには本当に重要不可欠であると思いますので、是非全力で取り組んでいただきたいと思います。  また、この評価体制というのは本当にもうみんなに知っていただかなければならないと思いますので、是非とも透明、そして公正性のあるシステムをお願いしたいと思います。それで私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  158. 山下芳生

    山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  環境問題への対応として予防原則、すなわち完全な科学的確実性がなくても深刻な被害をもたらすおそれがある場合には対策を遅らせてはならないという考え方があります。これは国際的にも国内的にも受け入れられた考え方だと思いますが、環境大臣認識伺いたいと思います。
  159. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 今御指摘の予防的な取組の方法の考え方については、例えば環境と開発に関するリオ宣言において、重大な、あるいは取り返しの付かない破壊が発生するおそれのある場合には、科学的確実性が十分ではないという理由で環境劣化を予防するために費用対効果の高い手法を適用することを延期すべきでないと、こういうように規定されるなど、国内外で幅広く認められた考えと認識しております。
  160. 山下芳生

    山下芳生君 この予防原則は外国からの輸入品ではないと思います。日本の公害問題、環境問題の痛苦の経験から導き出された教訓でもあると思います。  例えば、水俣病でありますけれども行政は、昭和三十四年十一月ごろには、水俣病の原因物質である有機水銀化合物がチッソから排出されていたことを断定はできないにしても、その可能性が高いことを認識できる状況にあったにもかかわらず、被害の拡大を防止することができませんでした。後追いになってしまいました。また、アスベストもやはり同じように後追い的になったということがあります。  こういう痛苦の国内における公害あるいは環境問題への対応の反省から、こういう予防原則というものが我が国でも確立されていっていると私は思いますが、環境大臣認識伺いたいと思います。
  161. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 我が国におきましては、かつて、著しい大気汚染あるいは水質汚濁が生じて水俣病のように悲惨な健康被害が多発したと、こういうようなことはまさしく事実でありますが、このようなことは二度とあってはならないと、こういうようなことは言うまでもないわけでございます。  今後、有害物質による健康被害を未然に防止していくためには、先ほど先生おっしゃったような予防的な取組の方法の考え方、これを踏まえましてリスクの低減を図っていく、これが重要であると考えております。  環境省としましては、このような認識に立って大気、水等の環境基準等を設定しておりまして、その確保に努めるなど、環境の保全に引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと、かように考えております。
  162. 山下芳生

    山下芳生君 そこで、具体的な問題について聞きたいと思います。  大阪の寝屋川市の廃プラスチックリサイクル工場の周辺で住民の健康被害が広がっております。リサイクル・アンド・イコール社という民間のリサイクル工場ですが、近隣の自治体から受け入れた廃プラスチックを破砕し、そして高温で溶融し、成形して、フォークリフトのパレットですね、荷台などを製造しております。二〇〇五年の四月に部分操業を開始いたしまして、二〇〇六年四月から本格操業に入りました。その後、イコール社の周辺の住民から、のどがいがらいとか、目がかゆいとか、皮膚がかゆい、疲れやすいなどの訴えが続出するようになりました。  私も現場で直接住民の訴えを聞きました。私が訪ねたのは去年の十一月でありまして、三十人ぐらいの住民が集まってくれました。  ある女性は、二十五歳の娘が一年半前から頭がしびれる、吐き気がするなどの症状、今までこんなことはなかった、引っ越ししないといけないのか切実に悩んでいる。七十代の女性は、去年ぐらいから何を食べても味もにおいもなくなった、今このお茶の香りもいたしませんと、こうおっしゃいました。七十代の女性、私は番犬要らずと言われるくらい鼻が利いていた、なのにこのところ、ゴマ油のいいにおいがするねと友達に言われても、へっと、お花のいいにおいがするねと言われても、えっとなると。耳鼻科に行って蓄膿症ではないですかと聞いたけれども、それはないと、神経からきているのではと言われた。別の女性の方、幼稚園児の孫は夏休みになると症状が出る、夏休みは家にいるので、のど、鼻を痛めて、プールも全くできない、だから連休には父親が遠くの山へ連れていく。六十代の女性、散歩をよくするが、イコール社ができてから物すごいにおいがして、むかむか、吐き気、のど痛、目のかゆみ、鼻のかゆみなど症状が出るが、よそへ行くとけろっと治る、帰ってくるとまた戻るという証言であります。  これは、そこを離れると楽になるというのは化学物質過敏症の典型的な特徴だと思いますが、私は、そういう方々の生の声を聞きながら、これは大変なことが起こっているなと感じました。原因物質は特定されておりませんが、実際に深刻な健康被害が発生しております。  こういうケースこそ、先ほど大臣が述べた予防原則の立場に立った対応が求められると思いますが、環境大臣、いかがでしょうか。
  163. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 今御指摘の、大阪府寝屋川市にある民間の廃プラスチックリサイクル施設周辺において住民の皆さんから化学物質等に対する懸念の声が上がってきていると、こういうようなことでございますので、大阪府と寝屋川市が共同して、これは平成十九年の三月、そして同年の五月からは毎月、施設周辺の大気中の化学物質等の濃度調査実施しているわけであります。また、その民間事業者そのものにおきましても、敷地境界における化学物質等の濃度調査を自主的に実施してきており、調査結果についても自社のホームページ等で公開をしてきているというふうに聞いております。  このように、地元自治体及び民間事業者においては既に一年以上にわたってモニタリングを行ってきているわけでありますが、今までの結果では、施設近辺においてはいずれも大気環境基準等を下回る結果を得ていると、こういうふうに聞いております。  ただ、今先生おっしゃったように、予防原則という観点からは、いわゆるそれぞれのモニタリングをしている物質以外のものも場合によると関係するということもあるかも分かりませんので、環境省においても、引き続きこの地元の状況についてはしっかりと動向を注視してまいりたいというふうに思いますし、加えて、更なるいろんな問題があれば対処をするべきだと、こういうふうに考えております。
  164. 山下芳生

    山下芳生君 重要な答弁だったと思いますが、私は、大阪府と寝屋川市の対応は遅いし、不十分だということを感じております。  先ほどの測定調査は、健康被害が発生してから二年近くたってようやく始まりまして、一年かけていろいろ測定をしているわけですが、しかし、その間にも健康被害は広がっております。私も操業中の工場のそばに行きましたけれども辺りには鼻をつく甘酸っぱいにおいがかなり濃厚に漂っておりました。ところが、大臣おっしゃるように、現在までの測定では基準値又は指針値を下回っているというんですね。  何でだろうと考えてみますと、容器や包装に使われるプラスチックというのは劣化しやすい物質の化合物でありまして、その上、千種類もの多様な化学物質が添加剤として混入されております。また、家庭から出される廃プラスチックには、容器に入っていた様々な内容物も付着していることもあると思います。それらが一緒になって圧縮されたり加熱、溶融されたりする過程で複雑な化学反応を起こして、既に知られている物質だけではなくて未知の化学物質が発生する可能性は小さくないと思うわけですね。  ですから、従来型の対応では住民の健康被害が放置されてしまいかねない、そんなことがあってはならないということだと思います。  そもそも、このリサイクル事業というのは寝屋川市や大阪府が勝手にやっているわけではありません。容器包装リサイクル法に基づく事業でありますし、国はこれまで循環型社会の形成に当たって、三R、すなわち、まず発生を抑制するリデュース、その上で再使用するリユース、最後に再生利用するリサイクルという基本原則を決めているはずなんですけれども、実際はリサイクル優先の方針を取ってきた。そういう中でこのリサイクル工場が造られ、稼働しているわけですから、私は、問題は国にも責任があるんじゃないかと思っております。  大臣、先ほど、引き続き注視をしたいとおっしゃいましたけれども、是非、大阪府や寝屋川市とも協議して、従来型の対応ではない、予防原則に立った対応を行う必要があると思いますが、いかがでしょうか。現に健康被害起こっておりますから。
  165. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 予防原則というのは誠に重要な考え方であるというふうに思っております。  特に、人の健康影響へのリスクが高い可能性がある化学物質、これにつきましてはこれまでも調査研究重ねておりますが、対策が必要という科学的な知見が得られた物質については、これは基準が設けられているわけでありますけれども、ただ、これにとどまらず、有害性に関する科学的な知見が十分でない物質であっても、健康リスクの低減を図るための指針となる数値として、例えばアクリロニトリルだとか塩ビモノマー等についても指針値を測定して、評価の指標として公表しているところであります。  大阪府及び寝屋川市の調査におきましては、これは、環境基準が設定された項目はもとより、これら指針値が設定された項目についても毎月調査を行っている、こういうようなことであります。ただ、その結果によりますと、いずれも施設周辺では環境基準や指針値を下回っていると、こういうようなことであります。  ただ、今申し上げているように、更に未知の物質も、我々は想定し得ないものもあるかも分かりません。ですから、病状等がいろいろと新たに起こってくるような問題があるようでしたら、しっかりと予防原則に沿って、これは特に自治体主体でありますけれども、我々も注視しつつ連携をさせていただきたいと、こういうふうに思います。
  166. 山下芳生

    山下芳生君 今日は舛添大臣にもお越しいただいておりますけれども国民の命や健康に責任を持つ厚生労働大臣としてお聞きいたします。  目の前の健康被害を放置していいはずがないと私は思いますが、このようなケースの場合、予防原則に立った対応が求められると思いますが、厚生労働大臣、いかがでしょう。
  167. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 第一義的には大阪府、寝屋川市がきちんとこれは対応すべきでありまして、保健所、各地にありますけれども、地域住民の健康を守るために必要な調査研究を行うことができるということなんで、自治体の方でしっかり方針を出されて、今環境大臣がお答えしましたように、全部基準値以下ではあるんですね。  しかし、まだにおいがするとかいろんな状況があれば更に踏み込んだ調査があってしかるべきだろうと思いますんで、これは、保健所としては自治体の市と連携を取りながら、そういうことをきちんとやって、今環境大臣がおっしゃったように、ひょっとしたら今までの基準値に挙げていない新たな物質が、化学物質が発生しているかもしれないんで、私は国民の生命をしっかり守るという立場で厚生労働行政をやっていますけれども、この東京から、寝屋川の状況はどうかというのはよく分かりません。基本的にはやはり地域にしっかりしてもらいたいんですね。  その限りにおいて我々は、もちろん連携して協力をするということなので、どういう状況であるか、保健所を通じて情報を上げて、もう少し本格的に取り組むべきではないかというようなことであれば、私の方から、強制ということはできなくても、大阪府や寝屋川市に更なる調査ということを要請することはできると思います。少し情報を入れて、きちんと対応したいと思います。
  168. 山下芳生

    山下芳生君 住民の皆さんは、一刻も早く行政として健康被害の調査をしてほしいと強く要望をされております。当然だと思います。  大阪府や寝屋川市が協議して健康被害調査を行うことが私は直ちに求められていると思いますが、もう一度、厚生労働大臣にお伺いしますけれども、大阪府や寝屋川市が健康被害調査に乗り出しても、これは別に基準値下回っているからといって法律違反には当たりませんね。
  169. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 環境基本法その他の法律にはそれは抵触しないというふうに思いますけれども、現に健康被害を訴える方がおられれば、そういう方の立場に立って、何ができないかじゃなくて、何ができるかという形での行政をやっぱりやるべきだというふうに思います。
  170. 山下芳生

    山下芳生君 環境大臣にも確認しておきます。  大阪府や寝屋川市が健康被害調査をすると、これは別に法律上問題ありませんね。
  171. 鴨下一郎

    国務大臣(鴨下一郎君) 基本的には当該自治体がしっかりと取り組んでいただくと、こういうようなことでありますけれども、加えまして、先ほどから申し上げているように、予防原則にのっとって環境省としても注視をしてまいりたいというふうに思います。
  172. 山下芳生

    山下芳生君 たとえ科学的知見が未確立であっても、実際に起きている健康被害から住民を守る立場で行動するのが行政であり、政治であると私は思います。  寝屋川病と言えるほどの深刻な事態が起こっております。リサイクルの名による環境汚染の疑いもあります。これに拱手傍観するなら予防原則は看板倒れになる、しっかり構えて取り組んでいただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
  173. 近藤正道

    近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。  温暖化防止は、排出量規制と炭素税とそして自然エネルギーの拡大、この三点セットが今世界の流れでございます。今日は、そのうちの自然エネルギーの拡充について質問をさせていただきたいというふうに思っています。  現在、エネ庁の総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会で近く新エネ拡大に向けた抜本的な強化策が打ち出されると、こういうふうに聞いておりますが、どんな方向、内容なのか、とりわけ太陽光発電分野ではどういう対策が盛り込まれようとしているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  174. 望月晴文

    政府参考人(望月晴文君) 御指摘のように、総合エネルギー調査会の新エネルギー部会で抜本的な対策を打ち出すべく検討中でございます。  これは、他のエネルギー政策が、省エネ施策を始めとして一昨年来の様々な検討で比較的抜本的な、体系的な政策をこれまで打ち出してまいりましたけれども、昨今のエネルギー情勢の、言ってみれば厳しい局面の中で、新エネルギーについてもう少し力のこもった政策を打ち出すべきではないかという御指摘も踏まえまして検討を開始したところでございます。  検討の中心は、もちろん日本の新エネルギーということでございますれば、太陽光エネルギーであるとかあるいはバイオマスであるとか、そういったことが中心ではございますけれども内容的にはいろいろまた御議論がございまして、どれぐらい具体的な政策を盛り込むことができるかということは、私ども今、審議会の意見をじっと見守っているところでございます。
  175. 近藤正道

    近藤正道君 自然エネルギーの中の太陽光発電の導入促進を強く求めたいというふうに思っています。  この太陽光発電につきましては、住宅用の太陽光発電の補助金が以前行われておりました。平成六年度から十二年度にわたって実施されていたものでございます。この補助金によりまして、平成六年度以降十七年度まで合計約一千百六十九億円の補助金が使われたわけでございますが、どの程度の発電容量を増設できたのか、効果はあったのか、お聞かせいただきたいと思います。
  176. 望月晴文

    政府参考人(望月晴文君) 御指摘のように、住宅用の太陽光発電システムに対する補助金は、平成六年度から平成十七年度までの十二年間、予算総額では正確には千三百二十二億円を投入をいたしまして、住宅用太陽光発電システムの設備費用の一部を助成してまいりました。その結果、九十三万キロワットの太陽光発電システムが導入されました。  また、この効果といたしましては、住宅用太陽光発電システムの一軒当たりの標準的な価格というものが、補助金の効果等による需要の拡大と技術開発の成果によりまして、助成開始前年の平成五年度の一軒当たり約一千三百万円に比べまして、平成十七年度には五分の一以下の一軒当たり二百三十万円に下がったわけでございます。
  177. 近藤正道

    近藤正道君 効率性の点で多少問題はあるんだろうというふうに思いますが、私はこの太陽光発電を普及拡大するという意味では大変効果があったというふうに思っておりまして、今ほど長官の方もそのことを御答弁いただいたわけでございます。  ところが、これは平成十七年度で廃止になっているわけでありますが、この廃止については批判も議会でいろいろ出されておりますが、是非、その効果があったのであれば復活をしていただけないだろうか、復活すべきではないかと、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  178. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) 住宅用の太陽光発電の普及促進というのは極めて重要な課題であります。それは御指摘のとおりであります。  実は、最初に補助制度を設定したときに私も関係しておりまして、環境関係の責任者の議員の方から要請があってお手伝いをしたということを思い起こすんですが。  今、資エ庁長官の方から答弁をいたしましたとおり、当時は千三百万、たしかあれは半額補助でスタートしたと思うんですね。定額に変わっていったんですが、それが今二百三十万ですから、要は市場原理にのっとって売電する費用で十分に十五年程度で元が取れるというふうにしたわけであります。  それでも、今後、太陽光は相当力を入れて普及をしていかなきゃならぬと思っております。この中期の見通しでも、将来は新設の住宅の南向きという住宅にはほとんど入れていくくらいの加速をしていかないとなかなか大変だということでありますし、私の方から、まず住宅メーカーと太陽光電池のパネルメーカーとが話し合う場を持った方がいいということで指示をしまして、これがスタートすることになりました。というのは、ハウスメーカーのパンフレットに、最初から見栄えのいい太陽光パネルを組み込んだものをパンフレットにもうみんな載せてくれということを考えているわけでありまして、最初からそれを標準仕様でどんどん造っていくということを是非やっていきたいというふうに思っております。  それから、現在、総合資源エネルギー調査会の新エネ部会で、太陽光を始めとする新エネルギー対策の抜本的強化について審議をいただいているところでありまして、どういう支援策を講ずるか、この議論をしっかり見据えて、何が最も効果的かということをよく検討していきたいと思っております。
  179. 近藤正道

    近藤正道君 太陽光発電の世界的な市場は今まさにうなりを上げて拡大をしているところでありますが、一方、日本の国内市場は縮小しているということでございます。  かつて、この日本の太陽光発電、単年度あるいは累積の設置量、生産量ともすべて世界一だったんですけれども、今いろんなところでよく見ますけれども、ドイツに抜かれていると。昨日もNHKでドイツと日本を比較する番組が放送されておりまして、大変悔しい思いをしているわけでございます。国内向けは、何とどんどん一時に比べて二二%ぐらい縮小していると。これで本当に京都議定書の目達計画の中に位置付けているというふうに言えるんだろうかという私思いがしてなりません。  ちょっと飛ばして言いますけれども、一般の電力会社では総括原価方式が導入されております。太陽光発電についても、公共インフラなんですから、電力会社における総括原価方式のように、太陽光発電をする者が投下した資本が一定の期間で回収できるような、そういうシステムを是非導入してもいいんではないかと。  具体的に言えば、ヨーロッパあるいはドイツ等のように固定買取り制度、こういうものを検討する、そういう時期に来ているんではないかと、こういうふうに思うんですが、抜本的なその拡大策の中に固定価格の買取り制度、まあ自然エネルギー全般でとは言いませんけれども、少なくとも太陽光発電についてはこの買取り制度というものを検討すべき時期に来ているんではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  180. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) その番組、私は見ておらないんですが、ドイツと日本の違いは、太陽光発電事業者の電気を相当高額で二十年、固定価格で買っていくと。相当金額が高くなりますから、毎年毎年、たしかあれは五%ぐらいずつ下げさしているんだと思います。  例えば、直近では恐らくキロワットアワー当たり七十四、五円で買っているはずですが、それを来年は五%コストダウンして買う。しかし二十年間です。これ、正直言って物すごくもうかるんですね。普通は太陽光のコストというのはキロワットアワー当たり四十五円ぐらいだと言われていますから、七十五円で買い取ってくれるということは、もう三十円分、毎年毎年もうかるんです。それを二十年間保障されていますから、こんなうまい商売はないわけですね。  だから、どんどんどんどん我も我もと出てくるから、わあっと引き取るようになるわけです。そうすると、電力会社はもたないもんですから、それをそのままそっくり電力料金に転嫁をしてくると。そうすると、最終的に受け持つのが最終消費をする家庭とか、事業者もそうでしょうか、そうすると相当金額が高いんですね。  日本でこの太陽光による平均的な家庭用の電力料金に乗っけられているのが三十円ぐらいだとしますと、ドイツだと五百円ぐらい乗っかっていますから、これが更にそのシェアが増えていくともっと上がっていくということで相当の批判が出ているということと、それから、IEAから、こういう言わば言い値で買い取るような、それをそっくり転嫁するような方式についてはもうちょっと市場原理を導入せよという警告が来ているわけなんですね。  その辺をどう工夫をするか。うまく技術開発等でコストが下がってくる、料金負担もそんなに掛けないで進展していくという、うまい具合の組合せを検討しなきゃいけないと思っておりまして、いろいろな視点から議論を詰めていきたいというふうに思っております。
  181. 近藤正道

    近藤正道君 いろんな視点から是非議論をしていただきたいというふうに思っています。  これは今から、大臣もかかわっておられたというふうに思うんですが、RPS法、電気事業者による新エネの利用に関する特別措置法を作る際に、こういう方法がいいのか、あるいは、自然エネルギー促進法というようなものを作って固定買取り制度を導入した方がいいのか、いろいろ議論があった末、日本の場合はRPS法に取りあえず落ち着いたと、こういうふうに私聞いておるんですが、しかし、今、RPS法は目標値が非常に低過ぎて機能していないと、多くの人がそういうふうに言っておりますし、私も全くそうではないかなというふうに思っています。  これは、ある意味で新エネを買えば買うほど事業者が損をするという、そういう制度になっておりまして、なかなか事業者にとってもインセンティブの働かない制度なんですね。一方で、ドイツのような制度があると。しかし、最終消費者に転嫁をされるという、そういう問題点がある。どこで折り合うのかという、こういう議論を、私は国民みんなが見ている前で是非やっていただきたい。  場合によっては、今のような全部事業者が負担をするというんじゃなくて、一定、消費者にそれが価格として転嫁される、そういうことも、場合によっては新エネルギーを促進導入するためには必要だという、そういう議論だって大胆に私は国民の前に提起をしたっていいんではないかなと。  今のような形だと、いつまでたったって新エネルギーの導入は進まない。是非、電力会社あるいは事業者の懐が余り痛まない、こういうやり方で新エネルギーを導入する、そういう仕組みも是非私はこの際まさに国民の前で議論をしていただきたいというふうに思うんですが、こういう提起は、今、大臣のお考えの中にはございませんでしょうか。是非考えていただきたいんですが。
  182. 甘利明

    国務大臣(甘利明君) こういったやるべきことを推進していく際に、コストをどこがどう公平に吸収していくかという議論は極めて大事な議論だと思います。技術開発を進めていってコスト自体の総量を減らしていくということと併せて、それを特定の者がしょい込むということによって推進力がなくなるということではいけませんし、環境というのは全国民自分のこととして考えなければいけないという課題でありますから、広く薄く負担をするという考え方はそのとおりだというふうに思っております。
  183. 近藤正道

    近藤正道君 時間ですのでもうやめますけれども、是非、この新エネの抜本的拡大策の中にそういうやっぱり思考、考え方を芽出しをしていただきたい、私はそういうふうに思っています。  とかくこの国の場合は、排出量あるいは炭素税はいいけれども、自然エネルギーのところはそうじゃなくて、やっぱり原発に大きく依存をする。私は、これについてはいかがかなというふうに思っておりまして、是非、新エネの導入の現状をよく分析をして、今ネックになっているものをやっぱり解消をすると。  そのためには、ここにこういうふうな新たな負担という形も出てくるけれども、じゃどちらがいいんだというような議論も是非私は提起をしていただきたいということを要望を申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  184. 加藤修一

    委員長加藤修一君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時二十八分散会