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2008-06-05 第169回国会 参議院 厚生労働委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年六月五日(木曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員異動  六月三日     辞任         補欠選任      礒崎 陽輔君     中村 博彦君      牧野たかお君     南野知惠子君      山田 俊男君     若林 正俊君  六月四日     辞任         補欠選任      牧山ひろえ君     森 ゆうこ君      椎名 一保君     佐藤 正久君      中村 博彦君     木村  仁君      若林 正俊君     坂本由紀子君      近藤 正道君     福島みずほ君  六月五日     辞任         補欠選任      木村  仁君     西田 昌司君      小池  晃君     井上 哲士君      福島みずほ君     近藤 正道君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩本  司君     理 事                 家西  悟君                 谷  博之君                 蓮   舫君                 衛藤 晟一君                 渡辺 孝男君     委 員                 足立 信也君                 大河原雅子君                 風間 直樹君                 小林 正夫君                 櫻井  充君                 津田弥太郎君                 中村 哲治君                 森 ゆうこ君                 石井 準一君                 石井みどり君                 岸  宏一君                 佐藤 正久君                 坂本由紀子君                 西島 英利君                 西田 昌司君                 南野知惠子君                 山本 博司君                 井上 哲士君                 小池  晃君                 近藤 正道君                 福島みずほ君        発議者      櫻井  充君        発議者      蓮   舫君        発議者      福島みずほ君    委員以外の議員        発議者      福山 哲郎君        発議者      自見庄三郎君        発議者      大塚 耕平君        発議者      鈴木  寛君        発議者      小池  晃君        発議者      福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   舛添 要一君    事務局側        常任委員会専門        員        松田 茂敬君    政府参考人        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君    参考人        茨城医師会会        長        原中 勝征君        中央労福協会長        「後期高齢者医        療制度」を撤廃        する会呼び掛け        人        笹森  清君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○後期高齢者医療制度廃止等及び医療に係る高  齢者負担軽減等のために緊急に講ずべき措  置に関する法律案福山哲郎君外八名発議)     ─────────────
  2. 岩本司

    委員長岩本司君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
  3. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 岩本委員長不信任を求める動議を提出いたします。
  4. 岩本司

    委員長岩本司君) ただいま渡辺君外一名から、賛成者と連署の上、文書により委員長不信任動議が提出されました。よって、委員長は、この席を譲って理事家西悟君に会議を主宰していただきます。    〔委員長退席理事家西悟着席
  5. 家西悟

    理事家西悟君) 厚生労働委員長岩本司君の不信任を求める動議議題といたします。  まず、提出者から本動議趣旨説明を願います。渡辺孝男君。
  6. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 衛藤晟一並び私、渡辺孝男は、厚生労働委員長岩本司君の不信任を求める動議を提出いたします。  本委員会は、委員長岩本司君を不信任する。  以下、動議提出理由を申し上げます。  まず第一の理由は、五月三十日の理事懇談会運営で、委員長職権濫用があったからであります。  同理事懇談会において、自由民主党衛藤理事より、六月五日採決を前提に定例日でない六月四日に参考人質疑を行うことはできない、全体の日程を話し合うべきであり、六月二日の委員会セット反対であるとの意見表明があった。日本共産党並び社会民主党委員からも、六月二日の委員会セットには賛成できないとの意見表明があった。しかるに、民主党新緑風会国民新日本家西筆頭理事よりの六月二日委員会開催を求める意見のみを採用し、協議調わないまま委員長職権で同日の委員会開催を決定したからである。  第二の理由は、六月三日の委員会質疑終了後の委員会運営に重大な瑕疵、不誠実極まりない対応があったからであります。  その日は、本法案委員会質疑初日であるが、廃止法案につき多くの問題点が指摘された。そのため、自由民主党西島委員は、この後期高齢者医療制度を導入しました百六十四回の国会、中略、このときの質疑時間は民主党共産党社民党を合わせますと約二十八時間の質疑を実はされたわけでございますと主張した。  私も、本法案は本年四月より始まった後期高齢者医療制度通称長寿医療制度を廃止するということでありまして、日本医療制度に大きな影響を与えると、そしてまた国民皆様にも多大な影響を与える重要な法案でありますから、十分な審議、そしてまた慎重な審議国民の声を的確に反映する、そういう審議をやっていくべきだと、参考人あるいは地方公聴会等、しっかりやっていって、国民の納得が得られるような審議をしていただきたいと思いますので、その点、委員長、そしてまた提案者皆様にもその旨の御配慮をお願いをしたいと要求した。また、理事会協議の当初から、日本共産党社会民主党委員からも、参考人質疑地方公聴会を行うべきとの意見が表明されていた。さらに、西島委員より、職権濫用の六月二日の委員会立ての件に関して、そこで委員長にお聞きしますが、先日、結果的には流れましたけれども、委員長職権という形で委員会を一応セットされました。この審議をしていく経過の中で、そのような強行的なことでこれが納得できるんだろうかと私自身は思っているんですけれども、委員長は中立公平というのが委員長の役割でもございますから、そういう点も含めまして、もし御答弁いただければいただきたいと思いますとの発言がありました。それに対し、岩本司君は、今までもこれからも中立公平に委員会運営に努めてまいりたいと答弁しました。  しかるに、当委員会質疑終了後の理事会にて、家西理事より、六月五日午前九時から委員会を開会し、参考人質疑を三時間、締めくくり質疑を二時間行った後、質疑終局討論採決との突然の提案があった際に、委員長は、自民公明の両理事並びに本法案共同発議者である共産社民の両委員意見を求めることなく、即座に、提案のとおり決定します、これから委員会を再開して五日の参考人出席要求議決を行いますと発言して席を立ち、自民公明理事並びに共産社民委員抗議を無視して委員会を再開し、自民公明の必死の抗議にかかわらず、六月五日の参考人出席要求議決を強行した。まさに、西島委員の質問に中立公平な委員会運営に努めると答えた舌の根も乾かぬうちに、強権的、独断的な理事会運営を行ったからであります。  この暴挙に対し、共産党小池委員は、異常な運営だ、一切議論がなく民主党採決日程を押し切ったと、また、社民党福島委員は、こんな強引な手法には付いていけないと批判した。また、共産党機関紙も、四野党書記局長幹事長会談でも地方公聴会実現も含めて審議充実に努力すると確認しており、厚生労働委員会理事会での民主党提案はこの四野党確認にも反するものと批判した。このような委員長対応は……(発言する者あり)
  7. 家西悟

    理事家西悟君) 御静粛にお願いいたします。
  8. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 誠に不誠実極まりない、許し難い暴挙と言わざるを得ない。  第三の理由は、何ら反省もなく職権濫用暴挙を続ける傲慢不遜な委員長対応であります。  六月三日、岩本委員長が繰り返し職権濫用暴挙に及んだことに対し、翌日の六月四日……(発言する者あり)
  9. 家西悟

    理事家西悟君) 御静粛に願います。
  10. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 自民公明両党の国対委員長は、江田五月参議院議長に対し厳重に抗議を行うとともに、事実関係の調査を求めた。さらに、自民公明両党の理事は、委員長会見を求め、これまでの委員長にあるまじき度重なる暴挙に対し厳重に抗議し、職権で決めた六月三日夕刻の理事会決定を撤回し、適正な運営の下に理事会を改めて開くことを要求した。それにもかかわらず、岩本委員長はその要求を無視し、何ら反省もなく、傲慢不遜にも本日の参考人質疑委員会を強行しようとしたからであります。  以上、主たる理由を申し上げましたが、厚生労働委員長岩本司君は、中立公正であるべき委員長職責に反し、自らが所属する民主党新緑風会国民新日本理事意見のみを重視し、少数会派意見を無視し、理事会等における十分な合意形成を図らずに数々の強権的運営を行ったことは、議会制民主主義を破壊する暴挙であり、また参議院にあしき前例を残すとともに、委員長としての重要な職責を冒涜するものであり、断固として許すことはできない。このような委員会運営を行う委員長岩本司君は本国会重要法案審議する厚生労働委員長としてその職責を遂行するには不適当であると判断する。  これが本不信任案を提出する理由である。
  11. 家西悟

    理事家西悟君) これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  12. 蓮舫

    蓮舫君 民主党新緑風会国民新日本蓮舫です。  ただいま議題となりました委員長不信任決議案に対して、反対立場から討論を行います。  まず初めに、会期末を来週に控えて、一分一秒でも大切にし重要法案を真摯に審議しなければならない今、与党から委員長不信任決議が提出されたことは、まさに与党責任放棄であり……(発言する者あり)
  13. 家西悟

    理事家西悟君) 御静粛に願います。
  14. 蓮舫

    蓮舫君 認めざるを得ません。  この度、提出されました岩本厚生労働委員長不信任決議案は、与党野党共同提出後期高齢者廃止法案審議引き延ばしだけを目的とした極めて不純な決議案だと強く抗議をいたします。  以下、反対理由を述べさせていただきます。  ただいま厚生労働委員会審議されている野党共同提案後期高齢者廃止法案は、小泉政権の下で平成十八年、自民公明の多数によって強行採決され、その結果、今年四月から七十五歳以上の御高齢者年金から医療保険料天引きが始まり、高齢者後期高齢者医療制度、消えた年金、空前の物価高で三重苦を強いられている今、その問題を解決するために、まずは後期高齢者医療制度法を廃止するというものです。  この制度は七十五歳以上の高齢者を医学的な根拠もなく切り捨てる極めて差別的な制度であり、消えた年金、宙に浮いた年金問題が全く解決されていない中で強制的な天引き国民を愚弄しており、その怒りは頂点に達しております。与野党を問わず、今この問題を解決することが国政の第一の課題であることは明らかであります。  我々野党四党は、こうした国民の声にこたえるべく、後期高齢者医療制度廃止法案参議院へ五月二十三日に提出いたしました。今ごろになって与党はこの制度改善策を検討されているようですが、まず当時の強行採決国民に謝罪するべきではないでしょうか。  与党は自らを顧みず……(発言する者あり)
  15. 家西悟

    理事家西悟君) 御静粛に願います。
  16. 蓮舫

    蓮舫君 同法案野党の得点となることを恐れ……(発言する者あり)
  17. 家西悟

    理事家西悟君) 御静粛に願います。
  18. 蓮舫

    蓮舫君 いたずらに審議を遅らせる様々な要求を行い、正当な判断をされた岩本厚生労働委員長に対し、理不尽な不信任決議案を提出するとは……(発言する者あり)
  19. 家西悟

    理事家西悟君) 御静粛に願います。
  20. 蓮舫

    蓮舫君 国民不在、まさに党利党略でございます。  与党提案が六月十五日の国会会期末に向けて同法案参議院に留め置き、衆議院において同法案審議時間確保ができないことを理由に廃案に追い込もうとしていることはだれの目から見ても明らかです。国民はこのような与党の無責任な対応を厳しく注視しています。必ず次の解散・総選挙において結果が出ると私どもは確信しています。  岩本厚生労働委員長は、後期高齢者医療制度廃止法案審議に当たり、これまで休憩を挟み、理事懇談会を五回、理事会を四回開き、与野党意見を十分に聞き、懇切丁寧な委員会運営に努めてまいりました。また、岩本厚生労働委員長は、国民生活を重視した……(発言する者あり)
  21. 家西悟

    理事家西悟君) 御静粛に願います。
  22. 蓮舫

    蓮舫君 丁寧な審議を行ってきております。まさに民主主義のかがみであり、これほどまで良い委員長がこれまでおられたでしょうか。  平成十八年に後期高齢者医療制度導入賛成をした参議院厚生労働委員会当時の衛藤晟一君、岸宏一君、椎名一保君、中村博彦君、西島英利君、南野知惠子君、若林正俊君、渡辺孝男君は、今この制度についてどのように考えているんでしょうか。もし、この制度に誤りがあると考えておられるのであれば、過ちを反省し、もう一度法案審議の場に戻ろうではないでしょうか。(発言する者あり)
  23. 家西悟

    理事家西悟君) 御静粛に願います。
  24. 蓮舫

    蓮舫君 本院における議員皆様は良識を発揮していただき、この決議案を否決してくださることを切にお願いし、私の反対討論とさせていただきます。
  25. 山本博司

    山本博司君 公明党の山本博司でございます。  私は、ただいま議題となりました厚生労働委員長岩本司君の不信任を求める動議について賛成立場討論をいたします。  岩本委員長は六月三日の理事会において、多数の理事意見も聞かず、一方的に職権参考人議決を決定し、その後の委員会において一方的に議決を強行いたしました。国会法第四十八条には、「委員長は、委員会議事を整理し、秩序を保持する。」と規定しています。しかしながら、岩本委員長議事を整理せず、秩序を乱したのであります。これは、憲政史上まれに見る議会制民主主義の根幹を崩壊させる暴挙であると言わざるを得ません。  何ゆえ憲政史上まれに見る暴挙であるかといいますと、与党委員だけでなく、共産社民野党意見も聞かないからであります。  一昨日、六月三日の本委員会散会後に日本共産党小池委員からは、異常な運営だ、一切議論がなく民主党採決日程を押し切ったと。また、社会民主党福島委員からも、こんな強引な手法は付いていけないとの発言がありました。その後、この岩本委員長のやり方に憤りを感じ記者会見を行ったと伺っております。  また、共産党機関紙には、日本共産党は、参考人質疑とともに地方公聴会の実施を繰り返し要求してきました、四野党書記局長幹事長会談でも、地方公聴会実現を含めて審議充実に努力すると確認しており、厚生委理事会での民主党の提起は、この四野党確認にも反するものですと記述しております。  与党のみならず野党からも批判をされる議事を行うこと自体が異常であり、少数意見を聞くこともせず、一方的に議決をすることは国民に背を向けた行為であり、断じて許すことのできない暴挙であります。  なおかつ、岩本委員長は、昨年の十月二十三日の本委員会において委員長就任のあいさつを行い、皆様方の御指導、御協力を賜りながら、公正かつ円満な委員会運営に努め、その重責を果たしてまいりたいと述べていました。また、六月三日の後期高齢者医療制度廃止法案委員会審議中、西島委員からあえて答弁を求められた中で、岩本委員長は、中立公平に委員会運営に努めてまいりたいと決意を述べられていたのであります。ここにいた委員皆様もその場で聞かれたと思います。にもかかわらず、舌の根も乾かないうちに、その日のうちに一方的に議決を行ったことは断固許すことはできません。  さらに、本日、岩本委員長は、後期高齢者医療制度廃止法案強行採決をしようとしています。  この法案は大変重要な法案であることから、我々は参考人意見聴取地方公聴会開催などを実施して慎重な審議を尽くすべきであると主張してまいりました。しかしながら、岩本委員長は、この意見を無視して職権委員会を開き、強行採決を行おうとしております。  これまで数の力でやるのは暴挙だと言っていたのは民主党が言ってきたことではないでしょうか。(発言する者あり)
  26. 家西悟

    理事家西悟君) 御静粛に願います。
  27. 山本博司

    山本博司君 それを平気でやろうというのが岩本委員長であります。もし、政局に利用しようと考えているならば、公平中立であるべき委員長の座を汚すものであり、一刻も早くその座から退くべきであると主張するものであります。  以上、岩本委員長委員会運営は、立法府としての議会の品位をおとしめ、ひいては参議院無用論を惹起させてしまうものであり、国民不在国民無視暴挙であると指摘して、岩本委員長不信任を求める動議賛成討論を終わります。
  28. 家西悟

    理事家西悟君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  厚生労働委員長岩本司君の不信任を求める動議賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  29. 家西悟

    理事家西悟君) 少数と認めます。よって、本動議賛成少数により否決されました。  委員長復席を願います。    〔理事家西悟退席委員長着席〕     ─────────────
  30. 岩本司

    委員長岩本司君) 委員異動について御報告いたします。  本日までに、尾辻秀久君、井上哲士君、牧野たかお君、礒崎陽輔君山田俊男君、牧山ひろえ君及び近藤正道君が委員辞任され、その補欠として佐藤正久君、小池晃君、南野知惠子君、西田昌司君、坂本由紀子君、森ゆうこ君及び福島みずほ君が選任されました。     ─────────────
  31. 岩本司

    委員長岩本司君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  後期高齢者医療制度廃止等及び医療に係る高齢者負担軽減等のために緊急に講ずべき措置に関する法律案審査のため、本日の委員会に、厚生労働省保険局長水田邦雄君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 岩本司

    委員長岩本司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  33. 岩本司

    委員長岩本司君) 後期高齢者医療制度廃止等及び医療に係る高齢者負担軽減等のために緊急に講ずべき措置に関する法律案議題といたします。  本日は、本案審査のため、二名の参考人から御意見を伺います。  本日御出席いただいております参考人方々を御紹介申し上げます。  茨城医師会会長原中勝征参考人でございます。  中央労福協会長・「後期高齢者医療制度」を撤廃する会呼び掛け人の笹森清参考人でございます。  この際、参考人方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙中のところ、当委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  参考人皆様から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案審査参考にさせていただきたいと存じますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。  次に、議事の進め方でございますが、まず、参考人皆様からお一人二十分以内で順次御発言を、御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、参考人質疑者とも発言着席のままで結構でございます。  それでは、まず原中参考人お願いいたします。原中参考人
  34. 原中勝征

    参考人原中勝征君) 私たちは今回の後期高齢者医療制度全廃を目指しまして、主治医研修会を行わない、それから出来高払を取らない、あくまでも老人方々のために何をすればいいかというようなことを議論した上で理事会で決定いたしまして、現在反対のための署名運動を行っているところでございます。  我が県は小さな県でございますが、既に二十万人の反対署名を得ているという、大変一般方々の関心が強く、また非常に怒りの強い制度だということを身にしみて感じているところでございます。  私たち反対している最大の問題はいろいろございますが、今度の制度目的は何かというと、あくまでも医療費の抑制に尽きるということでありまして、その奥にあるそれによってどれだけの老人が苦労し、また医療機関が荒廃していくかということの検証を全然されていないということでございます。制度そのものを見ましても、何で七十五歳でいろんなことが変わるのか、七十五歳以上の方々は今まで一番今までの保険保険料を払っている、それからまた、戦後の荒廃から世界第二の経済国まで立ち上げた立派な方々であって国民はみんな尊敬の念を持っていると思うんですが、この七十五歳を境として若い人たち内容と違う新しい医療制度に繰り込まれてしまう。その際にあくまでも年金から天引きされる。しかも、生活を見ても、本当は国が認めている最低の生活というのは生活保護世帯であるわけですが、そうするとそれが七万から八万円が支給されているわけです。ところが、今回のこの制度によりますと、それ以下の人であっても介護保険と同じようにすべての御老人負担をする、しかも一万五千円以下の人は直接役場に保険料を持っていかなければ保険証は与えないと、こういう全く国民、現実を無視した制度であるということを私は感ずるわけでございます。  それで、この七十五歳以上になるといろんな病院をコンビニエンスストアのように動き回るというふうな説明政府の方からありましたけれども、実際、七十五歳以上の人が普通自分の近くの病院に来るまでも自分で歩いてくる人というのは少なくなってきているわけです。足がないのに何で何軒も歩けるかということを普通考えれば分かることだと思います。  それから、全体的なことを考えれば、我が国は世界一高齢と同時に、世界一健康寿命の国でございます。男性で見ると大体七十一歳以上が健康寿命でございます。平均寿命が七十九歳弱であるとすれば、わずか七年の間、七年の間をどうして私たちが五十年以上国のために働いた人を大切に温かい気持ちで支えてあげられないのかということがこの基本にある大きな問題だというふうに思います。  実際この内容を見ますと、御老人病気一つだ、主病一つである、だから主治医は一人でいいんだという制度でございますが、何で老人が若い人たちと比べて病気が少ないんでしょうか。もしこれが主病一つだというならば、若い人だって主病一つのはずなんです。老人になれば本当に、脳出血あれば脳梗塞もあれば心筋梗塞もあればあるいは前立腺肥大もあればがんも多いわけです。そういう人たち病気がなぜ一つなんだろうか。普通考えても、医学的にも、だれが考えてもこれは間違いだということは分かると思うんですが、あくまでもこれはいろんな病院に行かせないという、フリーアクセスを阻害する制度だというふうに私たちは感じたわけでございます。  それから、もう一つ問題なのは、若い人はいろんな病気を起こしますと、今セカンドオピニオンと言って、本当に診断が正しいのか、治療が正しいのかというようなことを第二、自分のかかっている先生以外の先生の意見を求めなさいということになっているわけですが、これが実際できなくなる。  それから、今度できた特定健診、早いうちに病気を治して、できるだけ早く治そうというこの制度がこの七十五歳以降の人には適用されていないということは、本当に差別、年齢による人権差別だと私は思うわけでございます。  もう一つ大きな問題は、この制度は今度、同居の人も世帯を外されて、独立させられております。これは、考えてみますと、単にお金をすべての人から取るというような簡単な気持ちでやったかもしれませんけれども、我々の国というのは本当に家族愛、家族制度が長くあって、田舎にはまだまだそれが残っております。子供は年老いた親を見るのは当然のことと思って見ているわけでありまして、その老人が寝たきりになろうとあるいは収入が少なくとも、生活保護の申請とかあるいは身体障害者の申請なんてしていないわけです。そう一生懸命頑張っている家族から世帯を外すなんということをすることが果たして文化国家のやることだろうかというようなことを、憤りさえ私たちは感じているわけでございます。  それから、そうするといろんなところから、じゃ医療費はどうするんだという、この財源の問題が出てくるわけです。  ちょっと考えてほしいんですが、一番最初竹下内閣のときに消費税が導入されたときの言葉、あの言葉は、これから高齢者社会が出てきて社会保障がお金が掛かる、したがって消費税が必要なんだという説明がされたと思います。それから、その後に五%に消費税がアップしたときもやはり同じ説明であったと思います。ところが、現実はどうでしょうか。五年間に一兆二千億のお金を削減するんだ、一年間に二千二百億ずつ毎年削減するんだというようなことを言っております。  それから、今医療費というのが確かに今のままでいけば、私は国民保険が維持できなくなるということは十二分に分かっております。しかし、この厚労省が、今三十二兆円、やがて四十六兆円になります、三十八兆のところがそれだけに縮めなきゃいけないというようなことを言っているわけですが、しかしそれは間違いでありまして、国が出しているお金は三十二兆円のうちで八兆六千億にしかすぎないわけです。これが例えば本当に四十六兆円がそんなになるはずはないんですが、四十六兆円になるにしても、わずか二兆円じゃないですか、四分の一ですから。そうすると、この二兆円のお金がどこからも出るところがないんでしょうか。道路財源を本当に十年で完成するのを十一年にすれば、それで十分出るんじゃないでしょうか。  今回も、最初のその保険料が約八千二百億円と言われているわけです。八千二百億円が本当にどこからも出ないんだろうか。今言いましたように、生活保護世帯よりも少ない年金から住民税だとかいろんなものが引かれるような法律がどんどん変えられて、果たして生活ができるんだろうか。やっぱりこれは私はすべてが今の特定財源をそのままにしておいて新たな財源を求めるということ、それから生活を切り詰めさせてもそれを実行するという、そういう政府、官僚の意見がまかり通っているんじゃないかというふうに思ってしようがないんです。  今私たちはこの老人方々がどういう思いでいるかということを考えたときに、老人だけではなくて若い人たちが、自分が七十五歳になったらこんな制度の中に繰り込まれるといったら、だれが元気なうちに保険料を納めるでしょうか。年金のお金を納めるだろうか。しかも、年金をちょっと考えてみても分かるんですが、もし民間の会社が六十歳支給というのを六十五歳に延ばされて、しかも支給額が少なくなった。もし民間の会社だったら、これは社長が前に出てきて謝ったって罪になることだと思うんです。しかし、国がやる場合には、法律を変えてだれも責任を取らないで済むということは、やはり私は国民を裏切っているのではないかというふうに思います。  もう一つは、やはり日本人の心というのは、本当にこの長寿というものをお祝いするというのが日本の文化だと思います。還暦を祝って、米寿あるいは白寿というようなことがあったときに家族全員が、一族郎党が集まってよかったなというような気持ちがあることが、私は日本人が日本人であってよかったという安心感を持つ歴史的な習慣だと思います。  ところが、今回は、末期医療に見られるように、点滴であるとか昇圧剤であるとか人工呼吸だとか、要するに生き延ばさせるというようなことの考え方によって、すべてそういうのが五百万だ、一千万だという医療費がすぐ掛かるというような説明があったわけですが、だれがそんなことをしていますか。私たちは既に現場で、この老人を苦しめてはいけない、どうしたら安らかに自然に天寿を全うしていただけるかということを既にしているわけですよ。ところが、五百万とか一千万なんて巨額なお金が入ったら私たちはうれしい話です、でも、現実にはそんなことを絶対しておりません。ただ、家族の人が、あと三十分で娘が来るから何とか生かしておいてほしいというような場合のみ私たちはちょっとした昇圧剤の点滴をしたりして時間を稼ぎますけれども、しかしそれ以外のことは恐らくどこの病院だってもう今の時代はしません。  ですから、現場を知らない人たちが、ただ医療費抑制ということが、理由付けのために言葉を持ってきたことが、どれほど国民の心を傷付け、また医療人の心を傷付けているかということを私は反省してほしいというふうに思います。  私は、ここでまた消費税の問題が出てきました。でも、消費税の前にやらなきゃいけないことはいっぱいあるんじゃないですか。もう特別会計は官僚の人たち自分のお金だという誤解があるんじゃないだろうか。あれは国民のお金なんですね。だから、国民のために使わなきゃいけないお金だと思います。でも、その奥に何があるかというと、私はやっぱり公務員制度の天下り制度が、どうしても続けたらこれが続くだろうというふうに思います。  それから、例えば今財務省の方々、この方々は全権力を持っている、お金を持っていらっしゃる。それから、厚労省は厚労省でその中からお金をもらうような形になっている。それから、国土交通省に至っては、例えば堤防を造る、堤防を造るために出張所を造る、堤防が造り終わってもなお出張所だけは残す。しかも、そこを建て替えてマージャン室まで造っているんです、私の町では。そういうようなことがどこでも行う。一度造った要らなくなった事務所でも絶対なくさない。これがやっぱり無駄遣いの私は元凶だと思います。それから、道路を造ることそれから治山治水、これは当然国民を守ること、それから防衛もそうだと思います。しかし、それはあくまでも政治の最終目的ではなくて、国民が安心して平和に暮らせるための手段だということ、手段が政治の目的だと思っているこの現在の縦割り制度、これはやはり天下り制度をなくさない限りは、あるいは本当の意味の総理府の力がなければこのまま続いていくんじゃないかというふうに思います。  ですから、私たちは、今医療の現場はもう本当に崩れております。私もさっき笹森先生とお話ししたんですが、今私たちの例えば老人保健施設、私は一銭も月給をもらえません。しかし、すべての収入を、職員の数で給料に回せるお金を割りますと、当直料から入浴から、それこそ看護師さん始めみんな着替えを持ってきて入浴をさせているわけですが、そのほかに毎日毎日おむつの交換から、食事がむせないようにちゃんと一人一人食べさせてあげて、それで年収が三百万しかならないんです。ですから、看護学校も入学者が少なくなったし、それから介護の専門学校なんてもう入学者がいない時代になった。  私は、こういう現場を、本当に今この制度をつくった人たち自分の子供さんたちを、こういう生活をさせるだろうか、三百万以下で身も心もずたずたになるようなそういう環境で働いている人たちにするだろうか。私は絶対にしないと思います。それは単に医療人だけに対する話ではなくて、やはりそれが医療崩壊につながって、今働く人がいないために病院はどんどんつぶれていっている。介護保険施設もだんだん縮小してきている。縮小すれば倒産です。そういう現実があるということをやはり是非知っていただきたい。  したがって、この後期高齢者の問題は人種差別という大きな問題があり、また憲法で定められた最低の生活、文化的な最低生活まで収入のない人まで保険料を取るという無謀なこと、それから医療内容が今まで受けていた内容と全く違うところに分離されたと、この三点を見ても廃案をすべきだというふうに私は思います。  以上です。
  35. 岩本司

    委員長岩本司君) ありがとうございました。  次に、笹森参考人お願いいたします。笹森参考人
  36. 笹森清

    参考人笹森清君) 本日、後期高齢者医療制度を論議する場に参考人として呼んでいただきましたことを大変有り難く、心から感謝を申し上げたいと思います。しかし、誠に残念なのは、国会の全体で言うと与党参議院ではちょっと立場が違うのかもしれませんが、自民党、公明党の議員がおられない、これは一体どうしたことかなということを極めて不満に思いながら、しかし意見を言わせていただきたいというふうに思います。  私は、今の日本社会にとってこの後期高齢者医療制度はあってはならない制度だというふうに思っております。感情論というよりは心情論と言った方がいいのかもしれません。そして、手続論などいろいろありますけれども、私はこの制度は、自体あってはならない制度だという思いの中から、根本的に間違っている、だから絶対に撤廃しなければいけないということで意見を申し上げたいと思います。  そうはいっても、私は専門家ではございませんので細かい数字のことはよく分かりませんけれども、そんな私が見ましても、これはおかしいと思うような数字が前提条件でつくられておる。内容が極めて不備、おかしいということで、どこから見ても制度、システムが間違っているとしか言いようがない。だからこそ、どうしても、何としてもこの制度を撤廃をする、なくすんだということを国会の役割としてお願いを申し上げたいと思います。  まず、後期高齢者医療制度は、そもそもの基本である社会保障の基本理念、これが何なのかということを忘れております。それは、全体で支え合うということでつくられたのが社会保障制度だったわけですね。それが忘れられている。なぜならば、先ほど原中参考人も申し上げられたように、そもそもの入り方が違う、財政削減先にありき。その中でも社会保障の抑制、一番のねらいは老人医療費の削減というところから始まったということで、この考え方の違いがこの制度のすべての諸悪の根源になっているというふうに私は思います。そして、その根拠になっているデータ自体が数字合わせのための都合の良い寄せ集めで作られておりまして、全く信用できないまやかしの制度になっているということです。  小泉内閣以来、政府が出してくる政策は余りにもうそが多過ぎると思っております。先ほどいただいた資料でちょっと引用させていただきますと、イギリスの名宰相となった、ユダヤ人で初めてイギリスの宰相でありますが、ベンジャミン・ディズレーリ氏はこう言っているそうであります。うそに三つある、軽いうそはただのうそ、重いうそは真っ赤なうそ、最も罪の重いうそは政府の統計ということなんですね。これは、今、これまでいろいろ出されている政府の数字合わせのための都合の良い寄せ集めだと言っているところにつながるわけです。  そのうそに基づいて作られた資料、言ってみれば、社会保障費の削減、高齢者医療の削減は二〇〇三年の小泉内閣の閣議決定をされたわけですが、そのこと自体、したことが悪いんですけれども、そこに出された資料、そのときに正確なデータ、物すごく意図的でない数字に基づいて正常な判断というのがされるような状況が作られておれば、こんな決定はされなかったんではないかというふうに思うんです。これは、与党とも野党とも同じ条件に置かれたわけですから、すべて与党だと言うわけにもいかないけれども、そういうことを常に出してくるという、こういう状況をまず直さないと、これからの問題も決して良くならないというふうに思っています。  そして、この中で特に一つだけ申し上げると、例えば高齢者医療費が急激に増えますよと言われておりますけれども、一人頭の医療費はこの五年間の統計を取ってみても増えていないんです。大体七十五万円程度で推移をしているわけですよ。ところが、これが急激に増えるというのは人口構造の変化なんですね。一人頭は増えないけれども、掛ける人数分が多くなってくるから医療費が増えるということなんです。ということは、この数字に基づいてだけ言っても、今のようなやり方で制度をつくっていっても、あるいはびほう策を施しても、抜本的解決にはならないんです。どんなに見事な処理をするような案を出されても、この根本的な問題は直りません。  ということは、この老人医療費を減らすというのは、今の政府が出している案で、そして今実施をされている内容から見ると、答えは一つしかないんです。人を減らすしかないんですよ、対象になる人を。ということは、巷間メディアでも言われているように、高齢者は早く死ねということかということを役所が言っているんじゃないかということですね。それはまさに一番裏側にある本音の部分を現しているんではないかというふうに思っています。先ほど原中参考人もおっしゃられておりましたが、終末期診療の問題だとか人間ドックや健康診断の問題だとか、まさにこのことで、何をか言わんやというふうに今私は思っております。  その上で、それはどういうことかというと、日本の人口構造の変化に対応できていない制度になっているということで、今日は参考資料として幾つか出させていただきましたけれども、この中で少子・高齢化・人口減少社会の進行というグラフを付けておきました。説明をする時間はございませんので後で御参照いただきたいと思いますが、戦後急速に人口が増える、そして子供の数も多かった、しかし、二十一世紀に入る直前に子供の数をお年寄りの数が上回る、そして二〇一〇年を過ぎていくと、このお年寄りの中でも前期、後期と言われている人たちの中で後期の人たちの方が増えてしまうという人口構造の変化、このことと、一番右側に書いてある平均寿命の延び、これが本当はシステムやルールを人生六十年時代、七十年時代の設計から人生八十年時代、九十年時代の設計に変えなきゃいけないのに、そのシステム変更ができていないというところがそもそもの根本問題になっているわけで、びほう策を施してもどうにもならないということを私はまず申し上げておきたいと思うんです。  そして、このことをやっていく中で、極めて恐ろしい表現が取られておる部分を申し上げると、閣議決定をされた大綱の中に、高齢者が安心して医療にかかれるような制度をつくりました、若い人も国からも応援しますと書かれてあるんです。しかし、この制度をつくって、その枠の中に高齢者を入れてから、高齢者に対しては二年ごとに医療費増を押し付けていく制度になっているということですね。  これは、介護保険を例に取ればよく分かります。介護保険の場合には、おおむね三年を通じて財政の均衡を保たれるものでなければならないというふうに書かれています。したがって、二〇〇〇年スタート、二千九百十一円でスタートしました。今までに二回見直しが行われ、来年三回目の見直しが行われることになっていますが、財政の均衡が保たれないという理由で、来年の三回目の見直しはスタート時点の倍以上の六千円を超えるというふうに言われておりますね。  今度の後期高齢者医療制度はどうか。ここの表現が全く同じ中で見直しの年数だけが違うんです。おおむね二年程度を通じて財政の均衡をと書かれています。ということは、三年に一回の見直しが二年に一回でスピードが速まる、その上で、この均衡が保たれるはずでないから、六千円全国平均のスタートが二〇一五年には一万三千円を超すというようなことがもう言われているわけです。  ということは、年金から天引きをされる六万六千円程度の基礎年金だけの方が介護保険料六千円、そして後期高齢者医療制度一万三千円、約二万円近くが抜かれる。その上で、住民税もこれから年金天引きをするんだということになれば、憲法で保障されている生存権を脅かすことにつながりかねないし、つながっているということ、こういうことをやるようなこと。その上で、今まで長年積み立ててきた人に対しては、あなたはこの年齢になったらこういう制度があって、老後の生活を安心して送れるように保障しますよと言っていたことを裏切ったわけですから、これはまさに詐欺行為以外の何物でもないというふうに私は思います。  その上で、今回対象になる七十五歳以上の方々は、昭和二十年終戦時には十二歳以上の方々だったわけです。戦争体験者、中には戦場に行かされた人たちです。そして、戦後の日本の復興を担ってきた人たちですよね。税金も保険料も払い続けてきたんですよ、ずっと。そして、今でもまだ払っている方もおられます。その人たちが今度は支えられる側になったときに、自分のことは自分でやれと言われているんですね。負担は増やしますよ、お医者さんにはかかれませんよ、そう言われたんです。これでは、国家による詐欺行為と私は断じたいと思う。悪徳商法をやる悪質業者よりひどいということです。  そして、反面、若い人たちが不公平だというふうに言うけれども、今までそれぞれの世代の人たちがそれぞれの世代で日本を支えてきたのではないでしょうか。日本社会というのは、夫婦のきずな、家族の情愛、そのことによる地域のコミュニティー、それが物すごい大切に守られてきて、そのことによって日本社会が成り立っていた。しかし、この制度が実際に実行されるということになった場合に、この日本社会を一番形成をしてきた大切なものを失わさせるということに私はつながっていくというふうに思っています。  その上で、私に知人の女性がこういう話を持ち込みました。私の父は九十六歳、母は八十八歳です。通知が来ました。計算式は書いてありました。しかし、両親はどう計算しても答えが出てこない、私が計算しても答えが出てこない、にもかかわらず年金から天引きをされた。変わりますよという通知は来た。しかし、あなたは幾ら引かれますよという通知は、年金天引きになって初めて金額が分かったんです、いまだに来ないんですよ。年金をいただくときには申請主義だからお上にお願いに行きます。やっと出してもらいます。取られるときには、幾ら取られるかも分からないのにいきなり年金から天引きですよ。これは給料から引かれるというのとは決定的に違うんです。お年寄りの年金は、ほとんどの人はとらの子の財産なんですから。このことをよく考えてほしい。国民をだまして苦しめるような制度はやめて、だれもが穏やかな老後を過ごせるような制度を是非つくっていただきたい。  その上で、この制度がスタートしてからほとんどの人が、そして今おられない国会議員方々も、間違ったんじゃないかなと思っている方が大多数だと思います。その証拠に、政府提案をされた与党の中からもいろいろな声が出ておられるし、自民党の元総務会長堀内光雄さんは、これでは高齢者が殺されるという寄稿を文芸春秋にも寄せられた。元財務大臣の塩川さんも、こんなに温かみのない制度は初めてだと言われた。  この思いは当事者のみならず国民全体が持っていることなんです。ということは、通ってしまったから、もうこの制度ができてしまったからやる以外にはないというのではうその上塗りになるし、そういうことではなくて、国民を欺く数字合わせのための無理な政策はもういいかげんにやめて、うそのない透明な税金、保険料の使い方をすることで私は日本は再生できるし、国民生活、特にお年寄りの生活は安定をさせると思っております。  激変緩和措置と言われています。お年寄りの生活は激変させてはいけないんです。何が激変させて緩和なんだというのがお年寄りが訴えてくる本当の気持ちですよ。  私は、「後期高齢者医療制度」を撤廃する会の呼びかけをいたしました。高齢者を抱えている多くの団体の方々に声を掛け大変な賛同をいただき、資料としても出させてありますが、お年寄りの方が国会前に、どうしても我々が意見を言いたいという場をつくってほしいということで物申す場を設定をいたしました。今日御出席になられている議員方々も激励にお見えいただきましたけれども、炎天下の中、そして雨の中、お年寄りがああいうところで座り込んで訴えなければならないなんていうのは、こんな悲惨なことはないんです。そんな政治をしてはいけないんですよ。  だから、私はどうしてもこの制度、もう世界に例のない悪法、これは何としても撤廃をさせなければいけない、その上で税制と社会保障を一体的に見直しをして新しいシステム、ルールを作り上げなければいけない、その橋頭堡、突破口がこの後期高齢者医療制度、何が何でも撤廃をする、そのことを是非お願いをしたいと思い、今日は意見を言わせていただきました。  ありがとうございます。
  37. 岩本司

    委員長岩本司君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  38. 小林正夫

    ○小林正夫君 おはようございます。民主党新緑風会国民新日本の小林正夫です。  大変貴重なお話を、しかも分かりやすくいただき、本当にありがとうございました。与えられた時間が二十分間ですので、何点か質問をまずさせていただきます。  私は、医師会は与党自民党をしっかり支えてきた団体だと、このように理解しておりますが、先ほど原中参考人のお話を聞きますと、私たちが廃止を求めるのと同じようにこの制度の撤廃を求めると。大変心強く私は感じました。そして、茨城県医師会が制度の撤廃を求める最大の理由、これも先ほどのお話でよく分かりました。ありがとうございました。  そこで、四月からこの制度がスタートしたのですが、患者さんや高齢者の人に対してこの制度がどのような影響を及ぼすと考えているのか、また影響を及ぼしているのか、この辺についてまずお聞きをいたします。
  39. 原中勝征

    参考人原中勝征君) 私は、一番の問題はやはり精神的な問題で、非常に患者さんたちが、この問題が報道されればされるほど、自分たちが何か世の中から追い出されて早く死ねと言われているんだというようなことをほとんどの人が口にいたします。  それで、もう一つは、家族の関係はどうだという話を聞きますと、自分たちの子供たちは何にも言わないと。だけれども、何となく自分が気分的に、ああもうここの中にいると邪魔なのかなというような気がするということを本当におっしゃって、それで反対署名を必ず一枚持って帰っていいですかということで、十五名なんですが、それを持っていって、何としてもこれは撤廃してくださいということを言っております。  現実的にはどうかというと、やはり七十五歳以上の人、今度の後期高齢者の広域という判こが、保険者のところが変わった人たちを中心に観察しておりますと、やはりもう歩けない人がほとんどなんですよね。リハビリだとか何かも全部制限されてしまったと。特に、この介護保険の療養型に入った人たちのリハビリというのはもう入院費の中に込められてしまった。でも私たちは、その患者さんたちを考えたときに、歩けなくても寝たきりであっても、とにかく元気になりたいという気持ちを持っているんです。その気持ちが少しでもなくなったら、やっぱりもう何のために生きているかというようなことを自分で考えて、早く殺してくださいということを言う患者さん、随分おります。でも、やはりそういうことを一生懸命やることによって、いやそうじゃない、こんな国をつくってくれたんだからと言うとにこにこと笑うというような状況で、この制度の、できたというのは、入院患者さんはもう理解できない人がほとんどなんですが、外来の患者さんは、この制度できたためにどれほど家の中で肩身の狭い思いをしているかということをだれもがおっしゃっております。  本当に現実的に、金銭的なものとかそういうものに関しては、私たちの県では今までどおりの出来高払を採用しておりますので、個人の負担はそう変わらないというふうに思っております。
  40. 小林正夫

    ○小林正夫君 笹森参考人にお聞きをいたします。  「後期高齢者医療制度」を撤廃する会の呼び掛け人、こういうお立場ですが、なぜ呼びかけ人になったんでしょうか。改めてお聞きをいたします。
  41. 笹森清

    参考人笹森清君) 昨年の暮れ辺りから大分声が寄せられるようになったんですが、特に今年になって三月に入ってから、お年寄りの方々からメールや電話、手紙、たくさん来るようになりました。それは、健康保険から後期高齢者医療制度に変わるという通知が来た、しかし中身がよく分からない、それから、考えてみると非常にリスクのある人たちだけを集めてそんな制度がもつはずがない、全体の支え合いにならないんじゃないか、これを適用されたら高齢者は本当に、健康面どころか生活そのものが成り立たないということをどこかで訴えたい、そういう場をつくってよと、こう言われまして、ちょうど四月の十五日が第一回目の天引きになるので、それだったら国会に直接物を言いに行こうかとメールや口コミで呼びかけました。  四日間、四月、五月とやって千人を超すお年寄りが集まったんですよ。私は埼玉県の川越市に住んでいますが、ちょうど散歩していましたら近所のお年寄りが来て、今度の問題ひどいよな、何とかならないと言うから、いや、国会前でこういうことやるよと言ったら町内の老人会が大挙して出てきまして、というのが口コミでやるとたくさんあります。それほどやっぱりみんな危機感を持ったんです。  それは、この制度ができたことによって非常に寂しさを感じた、その上で非常に悲しさも感じた、こんな冷たい仕打ちをという思いの中から。というのは、自分たちは今まで負担してきていないんじゃないんです、負担してきているんですよ。今も負担しているんです。それから、若い人だけに頼りたくもないから、苦しめたくないから、まだ自分たちもカバーするところを補いたいと思っているんです。何もいきなり世話になる側に回ったわけじゃないんで。ということで声を上げさせてもらいました。  これまた物すごい反響です。最後に、四回目が終わったときに集まったお年寄りたちが、そうはいってもなかなか直らないだろう、与党は慌てて直す直すと言っているけれども、あんなものではどうにもならない、ここから先、本当にこの制度がなくなるまで、そしてみんなが支え合えるような世の中をつくられるまで我々はこの国会抗議行動をずっと続けていくという決意をして別れたんです。だから、直るまではお年寄りが毎月国会前に集まります。
  42. 小林正夫

    ○小林正夫君 次に、お二人の参考人にお聞きをしたいと思います。  この医療制度は二年前に与党強行採決によって成立をしたんです。そのときに、同僚の津田議員が二十一項目から成る附帯決議を付けた、こういうことでありました。そして、昨年の補正予算では軽減措置を追加したり、この四月から制度が始まって一、二か月の間に更に手直しをするという政府の検討が今始まり、昨日、おととい辺りにこのような検討が進んでいるという新聞報道もされました。そして、強行採決をして決めた与党自民党の方からもブーイングが出ていて、この制度をやはり廃止をすべきだ、七十五歳で切ったこの制度はこれからもつわけないと、こういうような、与党の方からもそのような意見が出ております。  そこで、たくさんの附帯決議が付いている、制度スタート前後にこの見直しが行われる、そして強行採決した与党からのブーイングが出ている。このような状況をとらえて国民から、国会はしっかり審議をしているのか、また、国会は何を最優先でやるべきなのか分かっていないんじゃないか、こういう声が寄せられているんですけれども、今の政治をどのように見ているでしょうか。原中参考人からお願いしたいと思います。
  43. 原中勝征

    参考人原中勝征君) 私は、一番の問題は、やはり今の国会の中は分かりませんけど、やはり部会政治というのが問題じゃないかというふうに思います。  というのは、いつでも部会で決めたことをただもう党議拘束という形で何にも内容が分からないで賛成しなきゃいけない。その結果、こんなものだとは思わなかったという今回の与党の重鎮たち意見が表に出たと思うんですよ。もちろん、専門家じゃない人が、専門家の人たちの部会の委員人たちが決めたことは、恐らく大部分に関しては、時間的なものあるいは学習、いろんなことを考えればその方が能率がいいのかもしれません。しかし、国民生活に関係することが、そこで議論も中で内容も知らずに賛成してしまったというようなことが今後起こるということは大変危惧されることだと思います。  それから、いろんなことを確かに手直しをしております。国会の中で一度自分たち強行採決で決めてしまったことを撤回するわけにはいかないというメンツの問題だろうというふうに思います。しかし、本当に国会議員方々国民の気持ち、老人の気持ちを思ったら、思い切ってこれを廃案にしたら私は拍手喝采が起こるんだろうというふうに思います。
  44. 小林正夫

    ○小林正夫君 笹森参考人お願いいたします。
  45. 笹森清

    参考人笹森清君) 国民のほとんどが今の政治に失望しているんじゃないでしょうかね。国民生活を中心にした論議を本当に国会でやってくれているのか。もちろん、今日おられるけれども、野党にも責任はあります。しかし、圧倒的責任は与党なんですよ。そして、提案をする政府側なんですね。このことをしっかりと政府与党が受け止めてほしい。  その上で、制度設計は一体何なのかということです。先ほど都合のいい数字ばっかり寄せ集めていると申し上げたんだけれども、言ってみれば、役人の役人による役人のための制度をつくりたい。それで都合のいい数字出される。国会の中で議員がそれにだまされるというのも良くないんだけれども、しかし数字的には公表されないんです。だから、信ずるしかない。そうなったときに、じゃ、そのような役人をどういうふうにリードしていくかというのが政治主導の政治、国会をやらなきゃいけないんだろうと思いますね。そのことを是非つくってほしい。  それから、もう一つ。しかし、いろんな段階を踏んできました。先ほど強行採決の話が小林議員から出ましたけれども、二〇〇四年、年金国会がありましたね。参議院選挙が行われました。あのときに、年金制度、百年もつと与党は言ったんです。舌の根も乾かないうちにもたなくなった。もたないのはみんな分かっていた。分かっているから、あのときは外に抜本改革をするための審議会的なものをつくってほしいという要請をこれは私がしました。経済財政諮問会議だけがすべてリードしていくんじゃなくて、こういった基本的な部分については別な場でやろうよということで、社会保障の在り方に関する懇談会、論議をして、一年半、消費税も含めた論議をして中間報告を出したんです。それに基づいて、自公民ですが、三党合意に基づいて抜本改革やるということを決めたわけですね。あのときの年金制度の附則に、税と社会保障を一体的に見直しをして抜本改革を行うことを検討すると書き込んであるんですよ。何にも手が付かないでここに来ているから、すべておかしなものになる。その上で今回の医療制度、削減ありきということですね。  私は、政局につながるようなことをやるのは、政党や政治家がこれはしようがないとは思うんですが、国民生活の根幹にかかわる部分については、これはもう全部が協力してやり合わなきゃいかぬ。そして、そのことを今できるチャンスが、ねじれ国会と言われ、与党野党が逆転をし、衆議院で言う野党側が与党になっているこの参議院の特性を生かすことだというふうに思います。
  46. 小林正夫

    ○小林正夫君 ありがとうございました。  笹森参考人に更にお伺いをいたします。  保険料年金からの天引きについて先ほどお話もありました。私の方にも、もう天引きをやめてほしいと、こういう大きな声が寄せられておりますけれども、四月の二十五日の報道に、天引き免除が伝わらず自殺と、こういう大変悲惨な記事もありまして、お母さんを結局息子が殺してしまって、本人は助かり逮捕されたと、こういう記事でございました。  今週の三日の火曜日からこの審議が始まっておりますけれども、私の質問に対し舛添厚生労働大臣は、天引きをやってくださいという市町村からの物すごい要望があったのでやった面もある、こういうふうに大臣は答えられました。また、昨今伝えられる政府の手直し検討の中でも、一律天引きはそのまま維持すると、こういう報道が今日されておりますけれども、年金からの天引きについて改めて笹森参考人はどうお考えか、お聞きをいたします。
  47. 笹森清

    参考人笹森清君) 言ってみれば強制徴収ですよね。だから、そもそもそういう心根が駄目だということ。それで、なぜか。先ほどもちょっと申し上げたけれども、七十五歳以上というと何となく元気な方のイメージの方が多いんですが、八十歳、八十五歳、九十歳と行きますとほとんどが分からない。そのことは役所も認めているんです。  樋口恵子さんがテレビの番組に出てこういうことをおっしゃっていまして、すぐ資料を送ってもらったんですが、審議会にかかった資料の中で、今度の後期高齢者医療制度に該当する方々は併合的な病気を持っていて長期的にそのことが掛かると、一番目。その上で、この制度の対象の方は軽重はあるけれども、軽い重いは、ほとんどが認知症の症状が出ている。三番目、そしてこの制度の中でいずれ死を迎える人たちだと書いてあるんです。それに間違いはないですよ。間違いはないんだけれども、そういう前提の中で取るという。  じゃ、このことを逆に置き換えてみれば、高齢者のもっと高齢者の人、通知が来た、見ても分からないどころか全くそのことすら知らない人がほとんど。通帳に振り込まれている年金の金額、見たこともない、家族は分かっているかもしれないという人もたくさんおられる。そういう人たちから問答無用で取り上げるという制度は私はこれはいかがなものかと思う。  選択制、いろんなことも考えられるかもしれないけれども、要するに制度設計の不備なんです。
  48. 小林正夫

    ○小林正夫君 時間の関係で最後の質問になりますけれども、お二人の参考人にお聞きをいたします。  七十五歳以上だけを対象にした制度、年齢で切った制度を七十五歳以上の方は、私たちは世の中の厄介者と、このように受け止めた人も多くいると思います。  三日の火曜日の審議でも、七十五歳で切って単独の医療制度にしたこと、こういうことで質問を行いましたけれども、政府は、七十五歳で医療制度を区切ったほかの国、外国ではこういう制度は把握をしていないと、ないと、このようにおっしゃっていました。また、厚生労働大臣は、七十五歳というのは全く意味がないのではなく、医学的な統計を取ってみると健康寿命が七十五歳である、やはり七十五歳を超えると慢性疾患が増えたり認知症が増えたり、それは統計的に言える、もしこれが例えば八十歳がその医学上の統計のデータならばそこから先にしていると思うと、こういう大臣の答弁で、高齢者だけの医療制度は必要である、このような旨の答弁がされました。  そこで、日本医療制度、これからの医療制度はどうあるべきかとお考えか、お二人の参考人にお聞きをいたします。
  49. 原中勝征

    参考人原中勝征君) 私は、日本人であれば赤ちゃんから老人まで同じ保険運営するのがやはり理想的だと思います。  ただ、今のように財源不足をどうするかということになったときには、さっき笹森参考人がおっしゃったように、すべての日本の国のお金をもう一度すべて洗い出して、それでどのぐらい必要なんだろう、無駄な金が本当になくなって、それでこれ以上もう倹約するところもない、官僚の人たちも天下りもなくなった、随意契約もなくなった、それでもなおかつお金がない、だから消費税を上げようといったら、私は国民賛成するだろうと思います。ですから、あくまでも保険というのは、国民であれば何歳になっても同じ環境の中で受けられなきゃいけないというふうに思っております。
  50. 笹森清

    参考人笹森清君) 先ほど少子・高齢化・人口減少社会の進行というグラフをお見せしました。この中でまず言いたいのは、年金で例を取ると、六十歳支給、平均年金受給年数は何年だったかと。人生六十年時代、平均年金受給年数は六・一年なんですよ。私は今、六十七歳ですから、私の年になると御苦労さんというのがほとんどだったんですね。ということは、ずっと積んできて、もらう時間が短かった。ところが、今は八十、九十。ということは、十五年、二十年もらっていくということだから、もうシステムそのものを変えなきゃならないとここに出ている。そこに健康保険、これも長期化をする。それは今、小林委員が言われたように、そして私も先ほど申し上げたように、ある年齢が来ればそういうことになっていくのは当然ですよ。じゃ、しからば七十五でも八十でもいいですが、その人たちだけを別管理にしたらば、掛かる人ばっかりで制度もちますか、リスクが解消できますか。できないんです。ということは、もう破綻するのが目に見えているわけなんです。でなければ掛かる人たちを少なくしなさい、おまえら早く死ねということでしょう。こんな制度をつくっちゃいけないんですね。  長寿が、人類の夢であった長寿がやっとかなえられるようになった。それが日本社会の一番の特徴である。その長寿がかなえられるようになった世の中を先行き暗いものにしていいんだろうかと。暗いものにしないことが、政治、官僚、行政の仕事だと。
  51. 小林正夫

    ○小林正夫君 大変貴重なお話を承りまして、本当にありがとうございました。今後の審議参考にさせていただきます。ありがとうございます。  これで質問を終わります。
  52. 小池晃

    小池晃君 大変ありがとうございました。説得力のあるお話で、笹森参考人からお話あったように、この場に与党がいないというのは大変残念だし、与党議員にもしっかり聞いていただきたかったお話ではないかなというふうに思います。  その上で最初にお伺いしたいのは、両参考人にお伺いしたんですけれども、原中参考人は県医師会長という立場で、そして笹森参考人はかつての労働運動のリーダーという立場で、その影響力を堂々と発揮をしてこの問題について本当に信念を持って訴え続けておられることに本当に心から敬意を表したいと思っておりますし、なぜそこまでお二人を動かしているのか、端的に言って、もうこの制度のここが一番許せないというところを絞って言うとするとどういうことになるのか、お二人に最初にお話しいただきたいと思います。
  53. 原中勝征

    参考人原中勝征君) やはり年齢で区別をしたということと、それから生活のできない人からも保険料を取るということ。それから、現実に、私たちの方の田舎では七十五歳以上の人が家に帰りますと枕元に二つのおにぎりを置かれて、訪問看護の人たちが行きますと、あるいは役場の人と一緒に行ってもらうと、もう部屋の中は外からかんぬきを掛けられて外に出られないようにしてあると。それで、部屋に入るとうんちからおしっこからもう非常に臭くて、とてもじゃないが、足が入れない、役場の人はもう部屋に入れない、そういう環境にいる老人が私たちの近くにいっぱいいるわけですよ。  一つの例を挙げますと、先日、役場の方から是非引き取ってほしいという患者さんが運び込まれまして、玄関から入った途端に何かみんな、中にいる人たちがみんなさあっと逃げた。それはなぜかといったら、物すごいにおいがした。私も、みんな何で動いているんだろうと思ってふと見たら、その運ばれたところからぽんぽんぽんぽんと物が落っこってくる、小さなものが。よく見たらウジ虫なんですね。もうおしりの中に褥瘡ができて、その褥瘡の中にウジ虫がわいていると。そういう老人が現実にいるということを考えたときに、私たちはやっぱりこんなに豊かな国でこういう人をつくってはいけないということが私の個人的にこの問題を、やっぱり優しさということがこの国の最大の今までの伝統だとすれば、これが今消えているんじゃないかと。その典型はこの後期高齢者制度だということで反対をしなきゃいけないと、そういう気持ちでございました。
  54. 笹森清

    参考人笹森清君) 一言で言うと、長寿を喜べる国にしたいということです。それを政治や制度のせいで駄目にされたくない、この思いに駆られたということですね。それを訴えてきた人がたくさんいるんです。  最近ヒットしている映画で、「ALWAYS 三丁目の夕日」ってありますね。あそこに出てくるのは、昭和三十年代、貧しい時代でした。しかし、中に出てくる画面からは、本当にほのぼのとした温かい家族、夫婦、そして地域社会の住民たちとの触れ合い、これがあるんですよ。それを支えてきたのが国民年金であり、国民保険であり、そしてそのことによってすべての人たちが世代を超えて支え合う、助け合うという日本の特色だったと思うんですね。これを壊されたくない、そういう思いです。
  55. 小池晃

    小池晃君 ありがとうございました。本当に同じ思いがいたします。  やはり負担が増える増えないというのはもちろんあるんですけれども、本当にこういう優しさのない、年を取れば取るほど肩身が狭くなる、つらい思いをする、こういう制度そのものに対して本当に党派を超えた怒りが今広がっているんだというふうに思います。だからこそ、我々、これは制度を直ちにやっぱりやめなきゃいけないという法案を今出しているわけです。  議論の中で与党が指摘をしているのは、老健制度に戻すという仕組みになっている、これでいいのか、無責任だというふうに言われるんですね。私どもも、老健制度が改革が必要だとは思っているんです。これはもうまさに国庫負担をどんどんどんどん削減していく仕組みの中でつくられているわけですし、非常に老健制度自体にも様々な問題があります。これは改革が必要ですが、しかし、老健制度というのは、今の保険に入ったまま財政調整をするという仕組みであって、強制的に今の保険から脱退させる、そして新たな制度に囲い込む後期高齢者医療制度とは根本的に違うと。だから、いったんそこに戻すんだ、そしてそこから改革の議論を始めようと、これが今度の考え方なんですね。  現場で診療されている原中参考人、そして高齢者の皆さんの声を代表して笹森参考人に、もし老健制度にいったん戻ったとして、何か不都合が生じるようなことがあるのか、もちろんそのままでずっといけということではない、それは議論していかなきゃいけないんですけれども、その点について、何か老健制度にいったん戻すことによって問題が起きたり不都合が生じたりということがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
  56. 原中勝征

    参考人原中勝征君) 実は、私たちは、医療と介護というのが今社会的に分けられているわけですよ。でも、介護を必要とする人は、病気あるいは老齢化によって起こっているんですよね。ですから、介護を受ける人は病気を持っているということからすれば、介護と病気というものを分けたこと自体が私は間違いではないかというふうに思っているわけです。必ず両方の問題が、だれもが年を取って機能的な不具合ができて、そのときに基本的にやるのはやはり老齢化と病気だと思うんです。ですから、介護の必要な人が本当に医療必要ないんだろうか、とんでもないことなんですね。  それから、医療に入っている人は介護が必要じゃないだろうか、全く同じ人がどちらに入っても同じなんです。ただ、それが制度上、介護保険であるとか医療保険であるとか、あるいは介護の中でも療養型病床群と、病床群の中にも介護型と医療型がある、それから老健施設が中間型だと言われている、それで最後に住居としてはケアハウスがあり老人ホームがあるというようなシステムになっているわけですが、少なくとも住居ということを考えたケアハウスとか老人ホームを別としても、三つの今分けられている、あるいは四つに分けられている保険制度、これは私はやはり間違いだと思いますので、是非この点をきちんと今後のいろんな医療、介護の手直しがあるときに、介護の方は地方自治体に任せればいいんだ、あるいは医療の方は保険から払わなきゃいけないからという、そういう考え方ではなくて、患者さんあるいは老人の方から見ればどちらでもいいんだ、要するに自分の体は両方悪いんだというようなことから始まれば、私は両方一緒に考えなきゃいけないときだと思います。
  57. 笹森清

    参考人笹森清君) 私ども、原中参考人も含めて、撤廃を求めている。撤廃したらどうするのか、健康保険がなくなっている、じゃ、後期高齢者医療制度が撤廃した、じゃ、保険制度は全くないんですか、そんなことにはなりませんね。  じゃ、撤廃をするとどうなるかというと、今までの保険制度に戻しなさいということですから、この老人保健制度に戻すという提案をしている野党四党の方針は私は決して無責任ではないと思います。その上で、このままやり続けることの方がよっぽど無責任よと是非言ってほしいと思うんですね。  そこから先、老人保健法も確かに問題がなかったわけではありません、小池議員のおっしゃるとおり。今おっしゃられたように、元々が国民保険一つだったやつが高くなり過ぎると、したがってその高くなる部分の中から介護だけ別にしましょうよ、要するにかさの高さを二つに分けて大きく見せないようにしたというのがまず分離です。それで今度も、またたくさん掛かるところの高齢者が出ちゃったからまた別にしましょうよ。しかしこの介護がまずできたときに、じゃ、残った国民健康保険の方が高くなりませんでしたって、やっぱり上がっているんです。そして介護保険はというと、先ほど言ったように上がり続けてきているわけですね。その上で、制度があって介護なしと言われるようなもう非常に現場の混乱を招いている。恐らく数年たったらばもう介護保険制度はもたないだろうまで言われている。じゃ、今度の後期高齢者医療はどうなるのか。その二の舞どころかもっとひどいことになるということですね。  したがって、一度戻してスタート地点をもう一回やり直しをして、その中でつくるとすれば、年金医療、介護、そして生活保護まで含めた社会保障制度と、税制を、それこそ消費税をどういうふうに組み込むのか、そして保険方式をどういうふうにそこにミックスするのか、保険方式だけでいくのか、もう一体的見直しした中での負担をつくり替えなきゃならないということだと思うので、私はそのためにも是非老人保健制度に一度戻すべきだというふうに思います。
  58. 小池晃

    小池晃君 ありがとうございました。  それから、原中参考人後期高齢者診療料についていろんな場所で発言をされているのでちょっとお聞きをしたいんですけれども、これはフリーアクセスを阻害するんじゃないか、いや、しないんだというふうに与党政府などは言っています。ただ、主病一つだという考え方を持ち込んできていて、やはり結果としてこういうことになればいろんな管理料がありますよね。それはやっぱり一診療機関で取ればほかは取れないということになってくる。やはりほかの診療機関にとってみれば、診療がしにくくなってやっぱりフリーアクセスを阻害する方向に持っていくことになるんじゃないか。将来的にはやっぱりこういう制度によって人頭払い制のような形に完全にフリーアクセスを遮断するようなことになりはしないかということを大変私は危惧をしております。  そもそも、それぞれの医療機関において、それは診療報酬請求上、主傷病名というのはあるわけですが、幾つかの医療機関にかかっている場合にどれが主病かと。例えば、眼科に行っている、整形外科に行っている、内科に行っている、その高齢者にとってこれが主病です、こんなことはちょっと医学的にはあり得ない話ではないかなというふうに考えておりますけれども、この考え方、主病一つだという構造そのものについて現場診療担当者としてどんな思いをお持ちか、お聞かせください。
  59. 原中勝征

    参考人原中勝征君) 実は、この問題、以前に出たことがあるんですよね、外総診という形で。外総診の場合には外来患者の問題で、主病はそのときも一つだと。それで、それが物すごく反対が強かったものですから、それじゃ最終的にはレセプトの中に主病と思われるところを下線を引けということで、いつの間にかそれも必要ないということで、一度消えたものなんですね。ところが、今回また出てきましたのは、私はやっぱり厚労省の人たちがドイツとかフランスの制度を勉強しに行って、この制度があるんですよ。そうすると、確かに外国では主病一つという、というよりも、主治医制度ができますとよその診療所に行けなくなるという非常に抑制が働いているという現実を見てきて恐らく導入したんだろうというふうに思います。  私は、これは若い人でも何でもみんなそういうふうになるわけですけれども、でもこの国は今まではそういう制限を加えなかった。要するに、今、例えば七十五歳以上の人が例えば目が悪くなった、あるいは別なところが悪くなったといっても、自分ではその病院に行けないんですよ。だから必ず家族の人が付いて連れていかなきゃいけない。そういう場合には本当に悪くならない限り行っていません。ですから、私はこのことも、またどこかで学んできたことを机の上で考えて、そうやれば複数の診療所に行かないだろう、医療機関に行かないだろうという単純な発想だったと思うんです。でも、私はやっぱり主病一つだということで、その先生だけが高い診療料を取ったら、これはよその診療所に紹介しにくくなることは事実だろうと思います。  それから、もう一つですが、いつでもこの厚労省のやり方というのは、それは月に一回高血圧の薬をもらいに来る人があれば、今、再診料がわずか数百円の中で六千円もらえるのはこれは非常にいいことですから、むしろ今、開業の先生方だって普通のサラリーマンの収入になっておりますから、それから物すごく幅があります。本当に一千万行かない開業医が私の県には数人おります、粗収入でですね。ですから、そういう先生からすれば夢のような話で、入りたいという気持ちがあるだろうと思います。  ただ、そこで考えなきゃいけないのは、今は五千五百円以上の検査料は別に取っていいですよ、あるいは治療費は別に請求していいですよ、これは前の老健施設と同じなんですよ。レントゲンは別に取っていいですよ、それからおむつ代も別ですよ、何々も別ですよ。ところが、いったん包括医療を採用してしまうと、ただ一つ、これ全部中に、入院料に入りますと言われればそれで終わりなんですね。それでまた、その六千円が、実際この老健施設のように三十六万からいつの間にか三十万以下にされちゃったということも抵抗できないんです、決められたものになっちゃいますから。  だから、そういうふうになったときに、本当に医療側だけではなくて、御老人の検査あるいはいろんなことに対して、治療も今度含まれるようにもしなったとしたら、治療の薬すら制限しなきゃいけなくなるということで、さっき笹森参考人から何回も言われておりますように、この制度保険料を物すごく高くするか、それから制限医療を物すごく追加しなきゃ、もたないんですよ。だからこの制度は早くなくさなきゃいけないというふうに思っております。
  60. 小池晃

    小池晃君 ありがとうございました。本当、私も同じ思いですし、厚生労働省というのは大体、診療報酬決めるとき、最初は大きく付けて、普及したらはしご外すということをもう歴史的にずっとやってきていますから、これも非常に危険な仕組みだというふうに思います。  それから、最後になるかと思うんですが、笹森参考人に、とにかくこの間の議論の中で、経済財政諮問会議などは特に典型だと思うんですが、社会保障というのはコストであるとしか見ない、とにかくこれは削減の対象としてしか見ないという、そういう議論が続いていると思うんです。私は、社会保障というのは非常にやっぱり人件費率の高い仕事であるし、特に雇用創出効果、経済波及効果というのは物すごく大きな、医療、介護というのはそういう分野でもあるというふうに思っておりまして、日本のように社会保障をどんどんどんどん削っていくということになれば、結果としてやはり経済活性度を低め、経済成長を落とし、そしてひいては税収も低めていって、結局国家財政にとってもマイナスになっていくと、今のやり方というのはまさに悪循環の道ではないかなというふうに思っているんですが。  今のこういう、社会保障をコストとしてしか見ないようなこういう全体の政治の議論についてどのようにお考えか、お聞かせください。
  61. 笹森清

    参考人笹森清君) まず、結論から言えば、もう決定的な間違いですね。今、小池議員がおっしゃられたとおりだと、私も同感です。  その上で、今の政府、特に小泉内閣以降の三代にわたる自民党中心政権の中で何が行われているかというと、経済財政諮問会議がすべてオールマイティーの権限を持っているような状況になっているわけです。あそこに集まっている人たち、普通の審議会ですとみんな委員と言うんですが、あそこだけ何で議員と言うんですか。それも民間議員とあえて言いますね。ここがまず不思議なんです。国会承認人事でもないということですね。それが何であんなことを決めちゃうの。  そこの中に入っている人たち見れば、学者、バランス取ってあるのかもしれないけれども、各界代表者じゃないですよ。もう言ってみりゃ利益誘導型の、マイカンパニー利益誘導型みたいなところですから、そういう人たちが決める制度といったらば、これはもうコスト削減、自分たちが必要でないと思う分については減らす、それから自分たちが出費になるものについては減らす、そういう発想になっちゃうんですね。だから、そういうシステムから出てくる制度については、もうこれは国会がリードして直すしかないということだと思うんです。そういう中で、私は今の社会保障は、コストとしての意識は大切であるけれども、それが最前提で、最重要でという位置付けの中でやってはいけないというふうに思っています。
  62. 小池晃

    小池晃君 ありがとうございました。  時間が参りましたけれども、今日のお話を受けて、一刻も早くこの廃止法案を成立をさせて、そして新たな議論を始めるために力を尽くしたいと思います。  ありがとうございました。
  63. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党福島みずほです。  今日は本当においでいただきましてありがとうございます。それぞれ重要な役割を果たしていらして、非常にいい話をしてくださってありがとうございます。  二年前、二〇〇六年六月に強行採決をされたのがこの厚生労働委員会です。今日は与党が欠席をしている、これは本当に残念です。参考人の話を是非本当に与党人たちもきちっと聞いてほしかったというふうに思っております。先ほど原中参考人からやはり優しさ、笹森参考人から国民保険、皆年金は維持し、共に支え合う社会を維持しなければならないという発言があり、私も本当にそのとおりだと思っています。いい社会をつくってくれと私たち政治家は言われるわけですが、七十五歳で区切る制度がいい社会に本当になるわけがないというふうに思います。  まず、笹森参考人にお聞きをいたします。  今日も傍聴に来てくださっていますが、私たちも街角や、昨日もとげ抜き地蔵で四野党党首、街頭演説をやったんですね。自見庄三郎国民新党の先生も、四野党党首で発言をいたしました。浴びるように、やっぱりこの制度に対する不安や不満、廃止してくれという声を本当に聞きます。現実に廃止法案の先頭に立って、廃止をすべきだという運動の先頭に立っていらして、例えば具体的にどんな意見、どんな不安が聞かれるか、話をしていただけますでしょうか。
  64. 笹森清

    参考人笹森清君) まず一つは、今まで本当に頼りに思っていたんです、中身は別にして、この健康保険証、これを取り上げられたということですよ。それで、何だかよく分からない医療制度、ここの問題は、後期高齢者医療制度と言いますね。そして、国民健康保険制度と言いますね。何で後期高齢者保険という名前が付いていないんですか。要するに保険じゃないということをもう行政そのものが、政府そのものが認めたということですから。この保険証をまず取り上げられたのが嫌だという。  それから、全く断りなしに、そして先ほど言ったように金額も言わないで年金から天引きされる、これはたまらない。その上で、一番言われたのは、まずお父さんが七十五歳で離れたよ、お母さんは国民健康保険に残るけど、お父さんと制度変わりましたよと、これがたまらなく嫌だと言うんですよ。その上で、今度は抱えている家族の人から集まってくるようになりました。若い人ね。扶養家族から離れるよというイメージなんです。  ということは、今まで二世代、三世代で固まっていた人たちが、面倒見なくていいやって国が言うわけですから、そんなことでいいのって思いながらも、やっぱりそうされてしまうと何となくそっちに行っちゃうというようなこと。言ってみれば、そういう思いの中から、一番の根本は何か、年寄りだけ差別して区別しないでくれ、この意見が一番強いです。
  65. 福島みずほ

    福島みずほ君 福田総理はローマで、二千二百億円の社会保障費のカット、削減を維持し続ける、維持するというふうに記者会見発言をされました。私は本当に残念だと思いますが、そのことについて両参考人いかがお思いでしょうか。
  66. 原中勝征

    参考人原中勝征君) 私さっき申しましたように、政治は何なんだと、政治というのは国民生活を守るためにあるわけでしょう。ところが、今、世の中がみんな困っているのに、そちらの方をまた削減するというようなことは一体何のための政治なんだ。やはり生活を守るための道路造りであり、経済を効果させることであり、いろんなことがすべて国民生活が最終目的なんですよ。  ところが、今の政治の中には国民生活というのが目的じゃなくなっちゃっている。各省庁のもの、全部、業務そのものが最終目的だと思っているからそういう発言が出ちゃうんだと思います。要するに、年金もあるいは社会保障も、すべて道路を造ったりなんかするよりも下だと見ているような、そういうようなことから発言されているというのは非常に残念だと思います。
  67. 笹森清

    参考人笹森清君) 財政削減先にありき、決めたのは今の福田内閣ではないですけれども、本気で福田総理がこのことを守ろうとするならば、私は狂気のさただと思うね、少しおかしいんじゃないか。なぜなら、削減するところはほかにあるわけですよ。無駄も省けとかいろんなことを言うけど、しかし、その無駄を省きながらという以上に、ねらうターゲットが違うんじゃないですかと。もう根本的に間違っているというふうに思います。
  68. 福島みずほ

    福島みずほ君 原中参考人にお聞きをします。  私は、これ七十五歳から区切るということもさることながら、重度の障害者の人たちもこのパッケージの中に入れてしまう。つまり、そこがまたこの後期高齢者医療制度のもう非常に非人間性が出ているんではないかというふうに思っておりますが、この点についていかがお考えでしょうか。
  69. 原中勝征

    参考人原中勝征君) 結局、この制度目的は何かというと、すべての人から、取れる人からまずお金を取って新しい財源を求めるということだと思います。  ですから、普通考えれば、重度心身障害者の年金からそういうもの、特別、十歳も若いときからこっちに入れというようなことで入らせて保険料を徴収するなんていうことは、普通は考えも及ばないことだと思います。  ですから、今先生が言うように、少しは国民に対する温かい心を持ってほしいなという希望でございます。
  70. 福島みずほ

    福島みずほ君 原中参考人にお聞きをいたします。  主病一つにしてかかりつけ医をつくるということなどについて述べていただきましたけれども、診療の中身が変わるのかとか健診がどうなるかという点について、この制度問題点を教えてください。
  71. 原中勝征

    参考人原中勝征君) さっき言いましたように、スタートにおいては、これは患者さん、老人にしてみれば、損するとき、それから得することがあると思います。それから、医療側にとっても同じでございます。ただ、さっき言いましたように、最終的に、笹森参考人がおっしゃっているように、この制度保険料がどんどん高くなって、それから診療そのほかのものも縮められてくる、そのときが来たときに、もう取り返しもつかない、御老人方々の健康を維持することはできない、あるいは治療することができないという時代が間もなく来るだろうというふうに思えるわけです。  ですから、さっきの健康診断にしても、もう七十五歳になったら、健康な人でも今まで病気一度もしたことない人でももう健康診断はしなくていいというような、貧乏な、貧乏って失礼ですが、非常に経済的な苦労をしている市町村はもちろんお金がありませんから補助金は出しません。豊かな市町村に住んでいる人だけがまたそういう恩恵を受けられるかもしれませんが、そこにもやっぱり格差というような、住んでいる場所での格差が出てきますので、やはり今までの私たちの国というのはすべての国民が平等に同じ機会が与えられるということからすれば、今度のこの後期高齢者制度というのは、やはりそういうところにもいけないことがあるんだろうというふうに思います。
  72. 福島みずほ

    福島みずほ君 この後期高齢者保険者証ですが、老健制度の下ではこれが取り上げられることはなかったけれども、この新しい制度の下では払わなければ保険証が取り上げられることがあると、要するに自己負担、十割負担になると。これも非常に非人間的というか、困ることがあるんではないかというふうに思います。  「後期高齢者医療制度」を撤廃する会の今日チラシが配付されておりますが、この保険料を一年以上滞納すると保険証が没収されることが書いてありますけれども、こういう制度の導入について両参考人はどうお考えでしょうか。
  73. 原中勝征

    参考人原中勝征君) 既に国民保険というものが、笹森参考人の方が詳しいだろうと思いますが、今、常勤じゃなくて非常勤あるいは時間給で働いている若い人たちにはこの保険のない人がいっぱいいるわけですよ。  私たちのところにもこういう問題があるんです。産科の救急車で運ばれた妊婦の方々がいるわけですが、母子手帳を持ってない。要するに、保険証もないから今まで一度も診察を受けてない。それで、その夜に子供さんが生まれた。それで、朝行ってみると、もう逃げていない。要するに、お金がないから医者にかからなかった、医療機関に払うお金もないから逃げてしまったというようなことが最近非常に多くなっているわけです。  同じことが、今私たちのところの施設に入っている方も、むしろ入っている方はある程度の年金をもらっている人しか入れなくなってきているわけです。というのは、自己負担が多くなった。それからもう一つは、以前は食費も薬と同じような考え方で治療の一つとして考えられていた。でも、いつの間にか、食事は家で食べても病院で食べても食べなきゃ生きていられないんだから、入院のときはお金を取りなさいということになっちゃった。ですから、ある程度お金がない方は入れなくなっている。  そういう格差が若い人にもお年を取られた方にも起こっているわけですから、やはりこの制度というものはそれを更に拡大していくという傾向があるだろうというふうに思います。
  74. 笹森清

    参考人笹森清君) 資格証明書って一体何でしょうかね。もう本当に頭にくると思います。  今、原中さんおっしゃったように、高齢者だけじゃないんですよ。障害者の方もそうです。そして、若い人もそうです。私、今日ここに反貧困というバッジを付けているんですが、若い人たちの本当にもうワーキングプアどころかもっと先行っちゃっているような悲惨な働き方と生活をしている人たち、これをどう助けるかという今ネットワークをつくったんですが、その人たちを含めて無年金者、無保険者が非常に増えている。もう本当にこのことが今度の制度によって、もっともっと加速度的に増やしていくという制度なんですね。だから、あり得ないだろうと思っていたのに出ちゃった。  このおじいさんとおばあさんが怒っています。それから、おじいさん、怒っています、おばあさん、しょんぼりしています。これが姿なんです。是非分かってやってください。
  75. 福島みずほ

    福島みずほ君 厚生労働省が調査結果をようやく発表しました。その統計の取り方や世帯の取り方については野党からもちろん問題ありということはあるんですが、その厚生労働省がようやくやった調査結果、ようやく発表した調査結果によっても低所得者が負担増になるというデータが出て、特に沖縄などは低所得者こそ負担増の割合がとても高い、あるいは県別で物すごい格差があるということに、厚生労働省の調査そのものにこっちは批判があるんだけれども、でも厚生労働省の結果そのものによっても、これは何だと、低所得者こそ負担増というこの結果は言っていたことと違うじゃないかという思いがあります。  この調査結果、感想で結構ですので、両参考人からお聞かせください。
  76. 原中勝征

    参考人原中勝征君) やはり統計の問題というのはいつも取り方によってかなり違うというふうに思います。  問題は、初年度の、第一回目の徴収だけを今問題にしているわけですよね。だけれども、こんな簡単に何割か安くなりましたなんていうようなことを発表すること自体おかしいんですよ。というのは、今までもう二年間の余裕があったわけでしょう。そうすると、どのぐらいどういうふうに集めればどういうふうになるかということを当然のこととして調べた上で、国民お願いしなきゃいけなかったわけです。それが、全然お願いもしないで一方的に、幾ら取られるかも、さっき笹森さんも言っていましたけれども、本当に分からないままに引かれてしまっているわけですよね。だから、一つは本当にあれが信用できるかどうかということがまず分からない。  それからもう一つは、間もなく、初年度で、しかも随分いろんなものが引かれてない人が多い中で、今度すべての人が納めるようになったときにどうなるんだろう。  それから、笹森さんおっしゃったように、だんなさんが七十五歳以上で奥さんが七十五歳以下だというような場合に一体どうなんだろう。  それから、家族の収入と老人の収入というものが合算された保険料だとなったら、何と今度、自民党では、かわいそうだから家族から取ってもいいというようなことをしようとしているようですけれども、でも本当に年金の少ない人が、自分は払えないから子供さんから取るよといったときの親の気持ち考えたときに、やはりこれは問題だなというふうに思います。
  77. 笹森清

    参考人笹森清君) もうこれ一つ見てもうそばっかりね。だって、何と言っていました。高所得者は上がるかもしれないけど低所得者は下がりますと言ったんでしょう。ところが、調べたら低所得者が負担増が多くなったという。それも、先ほどデータの話も申し上げたし、今、原中さんおっしゃられたように、この数字だってどこまで本気にしていいのか分かりません。事ほどさように制度設計がおかしいんですよ。  だから、本当に下がったか高くなったのかということを分からせるためには、今お払いいただいている高齢者方々と障害者の方々に、あなたは今まで健康保険は幾ら取っていましたと、今度の高齢者医療制度になった場合には幾らになりましたと。一目瞭然じゃないですか。出せないんです。もちろん手間暇掛かりますよ。それに対する費用も掛かるから、そんなことをお金掛けてまでやれと言うのかどうかは別にしても、本来なら、その比較があって初めて、ああ私は下がったんだ、良かったなと思えるかもしれない。  しかし、これももう一つ置き換えれば、下がったのは最初だけ、後はずっと上がっていくということですからね。
  78. 福島みずほ

    福島みずほ君 今回、広域連合というのをつくったこともおかしいと私は思っています。  原中参考人にお聞きをします。  都道府県が断ってというか、市町村でもなく、広域連合というバーチャルな組織をつくったと。しかも、ここは単にお金を徴収するということが主眼ですし、市の職員などが出向しているわけで、本当に健康保険制度の責任主体としてやれるのかと。  これ、バーチャルな組織じゃないかというふうにも思うのですが、この広域連合ということに関しての御意見をお聞かせください。
  79. 原中勝征

    参考人原中勝征君) 私は、介護保険ができたときに、各市町村が保険者になりましたね。そのとき思ったのは、今まで何のために地方交付税があったのか。地方交付税というのは非常に、豊かな町、貧乏な町、そのことを調整するためにあるはずなんですね。ところが、介護保険に関しては、御存じのとおり、市町村によって物すごい保険料が違うわけです。当然のことで、小さな町で老人が多い市町村は当然高く取らなきゃいけないわけですよ。だから、私はあのときに、地方交付税というものの在り方そのものが、政府が問われなきゃいけない、そこに来たんだなというふうに思ったわけです。あの反省から、もう小さな市町村ではできなくなってしまった。  ということで広域連合というふうなものをつくったわけですが、私は、もしあれやるんだったら県がやればよかったと思う。市町村の連合ということがもし責任を取らされるということになると、どこが責任者になるのか。しかし、保険料は違うんだというようなことが堂々とされた場合に、またここで豊かな町と貧乏な町との差が出てくるわけですから、もしやるんだったら、県が全体、この県では平均幾らで、全部同じ値段にしますよというようなことであれば、私はあるいは意味があると思うんですが、単なる連合というだけにまとめたのは私は間違いだと思います。
  80. 福島みずほ

    福島みずほ君 後期高齢者医療制度はできるだけ早く廃止するしかないと思います。  十一時まで私は持ち時間なんで、あと一分ありますので、笹森参考人、言いたいことを最後一分おっしゃってください。
  81. 笹森清

    参考人笹森清君) ありがとうございます。  もう本当にこんな法つぶしてください。もうこんな制度をいつまでも続けていくことは、日本にとって世界の恥だし、そして日本国民にとって本当に良くない制度、希代の悪法つぶすべし。
  82. 福島みずほ

    福島みずほ君 ありがとうございました。
  83. 岩本司

    委員長岩本司君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。(拍手)  午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分から再開することとし、休憩いたします。    午前十一時休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  84. 岩本司

    委員長岩本司君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、小池晃君が委員辞任され、その補欠として井上哲士君が選任されました。     ─────────────
  85. 岩本司

    委員長岩本司君) この際、申し上げます。  自由民主党・無所属の会及び公明党の所属委員の御出席が得られません。  出席を要請いたしますので、しばらくお待ちください。  速記を止めてください。    〔午後一時三十分速記中止〕    〔午後一時四十分速記開始〕
  86. 岩本司

    委員長岩本司君) 速記を起こしてください。  自由民主党・無所属の会及び公明党の所属委員に対し出席を要請いたしましたが、御出席を得ることができませんでしたので、やむを得ず議事を進めます。  休憩前に引き続き、後期高齢者医療制度廃止等及び医療に係る高齢者負担軽減等のために緊急に講ずべき措置に関する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  87. 風間直樹

    ○風間直樹君 本日、この委員会参議院における事実上の後期高齢者医療制度、そしてその廃止法案の最後の審議の日であります。この制度そして廃止法案はまさに国民注視の内容であり、当然この委員会に対する本日の全国の国民の関心も非常に高いものがあります。  この後期高齢者医療制度については、御案内のとおり、野党のみならず、これを成立させた与党議員からも抜本的な見直しあるいは制度の廃止を求める声が多数相次いでいます。例えば、元総理の中曽根康弘元議員、あるいは塩川正十郎元議員、そして堀内光雄議員、こうした方が様々な雑誌あるいは新聞のインタビューに答え、この制度の見直し、廃止を求めています。  しかし、この制度の改善あるいは廃止法案審議を行う今日この場において、残念ながら与党議員出席は得られませんでした。この厚生労働委員会、定数は二十五名です。そのうち十一名の与党議員皆様御覧のように欠席をしています。これは異常事態であります。  今日は、この問題への関心の深さを表して、傍聴席にも多数の国民の皆さんがお越しになっています。傍聴席の皆さんはこの事態をどのような目で御覧になるでしょうか。誠にこうした事態、残念であります。  午前の参考人質疑の直前、与党議員が全員退席をされました。その後、国民の気持ちを表すかのように外は雨が降り始めました。これは国民、そして七十五歳以上のお年寄りの涙の雨かもしれないと思います。  そこで、まず法案提出者にお尋ねをしたいと思います。まさにかかる異常事態、与党議員の欠席の下でこうした審議を行わなければならないことについてどのような認識をお持ちでしょうか。
  88. 福山哲郎

    委員以外の議員福山哲郎君) 我々法案提案者といたしましては、国会委員会運営に対して何らかの言葉を差し挟む立場にはございません。しかしながら、まさに風間委員が今御指摘をいただきましたように、この後期高齢者医療制度廃止法案の行方に国民は大変注目をされています。そして、不安と不満と怒りが全国に充満をする中で、我々としては法案を提出をさせていただきました。  国会会期末を控えて、一日も早くこの参議院での審議を終了し、通していただいて、衆議院に送り、この法案の成立を図りたいという我々の思いをもってすれば、この場に与党委員が御出席をいただかないことは大変残念に思っておりますし、今からでも結構でございますので、与党委員には審議に加わっていただいて、とにかくこの法案を一日も早く成立をさせていただくために御協力をいただきたい、そのことを申し上げたいと思います。
  89. 風間直樹

    ○風間直樹君 大変責任の重い法案審議であります。二十五名の定数中、残された十四名の我々委員で真剣な質疑を行い、そして真に国民のためになる制度の確立に向けた議論を行いたいと思います。  また、委員部にお願いをしますが、この委員会継続中の間も、是非与党議員には出席要請を継続して行っていただきたい。私の質問終了後、与党議員の質問時間が約六十分予定をされております。この間も我々はこの席に座り、与党議員出席を待ちたいと思います。  それでは、まず、昨日、厚労省が発表されました保険料額の変化に関する調査の結果についてお尋ねをしたいと思います。  昨日のニュース、私はテレビを見てびっくりしました。ちょうど厚労省の発表が行われた前後、たまたま議員会館のエレベーター前におりました私は、舛添大臣と擦れ違いました。日ごろ温厚な大臣が、昨日に限り大変焦燥感をみなぎらせていらっしゃったことが強く印象に残った次第でございます。多くの国民は、昨日の結果発表に大変強い違和感と驚きを持っただろうと思います。  昨日の新聞だったと記憶をしておりますが、政府高官がこのような発言をしたことが記事として出ていました。七割の人は保険料が下がっている、廃止法案を出した民主党はどうするつもりなのか。確かに厚労省のこの調査では、七割の世帯で国保に比べ後期高齢者医療制度保険料が下がる、こうした内容になっています。しかし、そうした実感は全くありません。同時に、この発表では、最も配慮がなされるべき低所得者のうち実に三九%が負担増になっているという結果が出ています。こうした弱者に対する安全面あるいはセーフティーネットが用意されていない、そのような制度であります。よって、この委員会においては、世論の疑問と不安にこたえ、まず昨日の結果の精査からさせていただきたい。  そこで、お尋ねをいたします。  昨日、厚労省が発表しました資料、今私の手元にありますが、幾つかの表が掲載されています。このうち、表の一、そして表の二、これはモデル世帯、約十二のモデル世帯に基づく市町村数であると。この市町村数を基に厚労省内部で様々な推計をされ、七割の方の保険料が下がるという結果を出したという説明がされています。  今朝八時から行われました民主党会議におきまして厚労省の担当課長は、この表の一と表の二は高齢者負担の実情を必ずしも反映しているものではないと、このように説明をされました。厚労省の認識をまず伺います。
  90. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 委員が御指摘になりました私どもの発表資料の表の一と表の二でございますけれども、これはモデル世帯別の保険料額の変化の状況別市町村数を取りまとめたものでございまして、各モデル世帯について保険料が減少した市町村数、変化していない市町村数、増加する市町村数が把握できるものでございます。  ただ、この増減する市町村数だけでは市町村国保に加入しておられた高齢者の世帯の状況は把握できないわけでございますので、都道府県別のモデル世帯別所得分布を当てはめまして、世帯ごとに見た保険料額の変化の状況も推計してお示ししたものでございます。
  91. 風間直樹

    ○風間直樹君 この推計にやはり大きな疑義がある。そして、その推計の結果出された七割の人の保険料は下がると、こういう結論に対して、高齢者負担の実情を必ずしも反映していないと、厚労省の担当課長の話がありました。  法案提出者に伺いますが、今の厚労省の説明に対してはどのような認識をお持ちでしょうか。
  92. 大塚耕平

    委員以外の議員(大塚耕平君) ただいま風間委員から御質問があったとおり、この調査結果には五枚の計表が付いておりまして、表の一と表の二はあくまで市町村からのアンケートの結果の数であります。市町村数が書かれているだけでございます。重要なのは表の三から表の五、高齢者の皆さんの負担の実態を表していると厚生労働省が言っている表でございますが、表一、表二は千八百枚の言わばアンケート用紙の集計であります。しかし、その千八百枚のデータから千三百万人の高齢者の皆さんの実情を推計しているとすれば、やはりそれをどのように推計したかを明らかにしていただかないと信頼性に欠ける調査結果だと言わざるを得ないというふうに思っております。
  93. 風間直樹

    ○風間直樹君 確かに、今法案提出者が御答弁のとおりであります。  昨日のニュースを見ておりましても、この調査結果に対する様々な不満の声も聞かれるようです。例えば、昨日の夜のニュースで栃木県の県庁の担当者の声が紹介されていましたが、これから調査をする段階でまだ実態を把握していないと、こういう紹介がされておりました。また、この十二のモデルに当てはまる世帯を抽出して調査をしたということでありますが、実際にはこの十二のモデル以外に様々な所得を得る世帯があるわけでありまして、この調査はそうした多様性を考慮していないと言えるかと思います。  そこで、大臣、お尋ねをしたいと思います。  昨日大臣はインタビューを受けて、低所得者ほど負担増の傾向が強いことについてこうおっしゃっています。各自治体によって違うと、これ以上の詳細な明確なコメントを避けていらっしゃいます。大臣、実際のところどうなんでしょうか、認識を伺います。
  94. 舛添要一

    ○国務大臣(舛添要一君) まず、私が申し上げたのは、こういう調査の結果、約七割全体的に減少する、これは一つのデータでありますということを申し上げ、そしてこのデータにありますように自治体によって違いますし、それから、やはり一般的に低所得層の方が高所得層よりも保険料の低減される割合が大きいというような説明をいろんな紙でやってきていたと思います。  しかし、よく見るとそこには一定の条件が付してあるわけです、例えば四方式を使った場合どうだというような。しかし、どういう説明をやったか、私は少なくとも国会の答弁においてそういうことは一度も言ったことはございません。そういう言い方はしておりません。  ですから、四方式を使った場合にどうだという、その限定を使ってやったつもりでありますけれども、この中の紙に今のありますかね、表の五をちょっと御覧いただきたいんですけれども、例えば、まず、お手元、風間委員、よろしゅうございますでしょうか。あっ、これは来ていないのか、失礼しました。
  95. 風間直樹

    ○風間直樹君 実は、この厚労省の調査結果、今日、配付資料で皆様の元には配っていないんです。そこで、今委員長にお諮りをしまして、御用意をお願いできるかどうか御判断をお願いいたします。
  96. 岩本司

    委員長岩本司君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  97. 岩本司

    委員長岩本司君) 速記を起こしてください。
  98. 風間直樹

    ○風間直樹君 ちょっと資料の準備がないまま質問をしました。大変失礼しました。  資料に関係のない質疑から先にさせていただきたいと思います。  三日の質疑で、自民党の尾辻議員から大変示唆に富む内容のお話がございました。このようなお話をされました。今回の後期高齢者医療制度、七十五歳以上に公費をつぎ込むのが制度の趣旨であり、骨格は間違っていないと。また、保険料で成り立っていないところに思い切って税金をつぎ込むために独立方式を選んだと。こういう非常に率直なお話がありまして、私は注意深くこの内容を聞いておりました。  つまり、今から約十年前、この後期高齢者医療制度の言わば原型とも言える案が最初に浮かんだ当時、当時の与党あるいは政府としては、七十五歳以上の最も保険料の掛かる方々を、医療費の掛かる方々を取り出して、そこに思い切って税金を投入しようと、そのことによってこれらの方々の健康の増進を図り、制度全体の保持をしていこうと、こういう意図があったということであります。ところが、今議論されているこの後期高齢者医療制度は、およそ当初の、この尾辻議員がおっしゃったようなイメージからは大きく離れていると私は感じています。  それは、かねがねこの委員会でも多くの委員、例えば櫻井委員からも度々御指摘がありますが、小泉政権時、経済財政諮問会議が財政抑制のため聖域なき構造改革の名の下でこの医療費の削減にも踏み込んできた、その過程の中で本来構想されていたこの後期高齢者医療制度への公費の投入というものが削られてしまったのではないかと私は感じました。  つまり、この後期高齢者医療制度、本来の制度設計の理念に立ち戻るのであれば、私は今後公費の部分の割合を増やしていく必要があるんだろうと思います。問題は、その意思が政府にあるかないかであります。舛添大臣、いかがでしょうか。
  99. 舛添要一

    ○国務大臣(舛添要一君) 高齢者医療の中で公費の負担を増やしていくというのはこの老人保健制度においても行ってきまして、平成十八年、三割以上からずっと今日まで持ってきました。  ただ、委員、基本的に社会保障のこの考え方全部ですけれども、やっぱり自助と共助と公助という観点からすると、自助の部分があり、共助の部分があり、しかし公助の部分を五割を超えるということがどうなのかな。私は、まあ五割ぐらいが限度かなというのは、自助、共助の側面があるのと、もう一つは、医療だけじゃなくて御承知のように介護の方も同じようなシステムでやっていますので、医療だけ例えば五五%まで上げる、それができるかなと。そうすると、もしそれをやるんだったら、やっぱり介護についてもそこまで上げないといけない。  これは最終的に、委員、税金で見るんですか、保険料で見るんですかと。これはまさに年金の問題の長期的な設計についても掛かるわけですから、私は今のところは、自助、共助、公助という観点から見ると五割かなと、そしてほかの介護保険制度なんかとの比較だと。  ただ、このことについては国民的な議論を行って、国民の方で給付の水準と負担の水準について、例えばもう公費で七割結構だというんだったらそういう形でいいと思いますが、こういうことをしっかりと今総理の下に社会保障に関する国民会議も開かれておりますから、国民的な議論の上にコンセンサスを得てそれが決定できればと思っております。
  100. 風間直樹

    ○風間直樹君 大臣、そうおっしゃいますが、今七十五歳以上のこの後期高齢者医療制度に移行したお年寄りがこれだけ悲鳴を上げていらっしゃる原因というのは、まさにこの公費の部分の負担が少ないというところにも大きな理由があるんじゃないでしょうか。  本来、この制度設計の当初の考えであれば、現状より多くの公費を投入しようという恐らく考えがあったんだろうと思います。三日の尾辻委員の質問の中にも、そのことを踏まえた上での大変な苦悩が私には感じられました。ですから、今悲鳴を上げている多くのお年寄りをまさに救う意味においても、私はこの議論は避けることができないと思う。大臣、いかがでしょうか。
  101. 舛添要一

    ○国務大臣(舛添要一君) 一割、四割、五割と、ですから御本人たち保険料が一割だと、それで公費が五割、四割を現役の方たちの支援で行うと。ですから、粗い数字で言いますと、全体の一割部分についての保険料ですから、尾辻先生がおっしゃっていたのも、要するに一割だけの保険料で回すこと、これは保険の原則からはほとんど無理ですから九割はよそからお金を持ってくる、その中が四割、五割だというような観点からおっしゃったんだろうというふうに思いますから、個々人の御高齢の皆さん方の御負担についてはいろんな軽減策、そしてきめの細かい対策を取って対応するというのが今の方針であるというふうに思っております。
  102. 風間直樹

    ○風間直樹君 この議論、また後ほどさせていただきます。  それでは、資料が配付されましたので先ほどの議論に戻りたいと思います。  昨日発表されたこの保険料額の変化に関する調査の結果、国民の実感、お年寄りの実感とどうも、七割の方の保険料が下がるという部分、違うのではないかというのは先ほど申し上げたとおりであります。  そこでお尋ねをしたいんですが、私は、一つ、この感覚のずれの理由は、厚労省は市町村数の割合をまず出していらっしゃる、この調査結果の中で、それがすなわち加入者数を意味するものでは当然ないわけですね。そこに厚労省が何らかの計算式を使って推計を行うまた理由があったわけでありますが、それでは実際、このいわゆる二方式、三方式、四方式と言われるものの市町村数の割合、同時にそれぞれの加入者数の割合、これがどれだけなのか、御答弁お願いいたします。
  103. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) ただいま議員が御指摘になりました数値につきましては、通告をいただいておりませんでしたのでお答えする準備はございません。
  104. 風間直樹

    ○風間直樹君 この資料は、度々この委員会審議でも我々使っておりますので、御説明お願いします。
  105. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 市町村数につきましては、四ページ目の表二に、それぞれの方式、モデルの世帯別に出ております。ただ、世帯数はここでは出ておりませんで、それはむしろ市町村ごとに世帯数というのは分かるわけでありますので、それを用いているということでございます。
  106. 風間直樹

    ○風間直樹君 それでは私から申し上げますが、まず二方式、市町村数の割合が二・四%、加入者の割合が一四・六%、三方式ではそれぞれ一七・一%、三八・九%、四方式では八〇%、四六・四%と、こういう数字になっておりますね。  つまり、市町村の数とそれに見合う加入者の数、これだけ大きな開きがあるわけです。この開きを恐らく埋めるための作業が今回のこの調査を発表されるときに厚労省内部で行われたんだろうと、それが担当課のおっしゃる粗い推計という意味だと私は思います。  そうしますと、この粗い推計時に自治体数と加入者数の相違の調整を正確に行ったのかどうかというのがこれ大事になってくると思うんですが、この推計、どのように行われたんでしょうか。
  107. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この推計でございますけれども、この世帯のモデルごと、十二のモデルがあります。それから、後ほど述べますけれども、資産割につきましても一定の前提を置いて、またモデルの区分をしております。そういったモデルごとに、各市町村から報告がありました基礎年金世帯、厚生年金世帯、それから高所得世帯の保険料額の増減の状況から、新制度の施行に伴いまして保険料が減少する所得の範囲を推計したわけでございます。  基礎年金世帯、それから厚生年金、それから高額という三点を押さえまして、それが、新しい後期高齢者保険料と前の国保の水準を比べまして、そこで新制度の施行に伴って保険料が減少する所得の範囲というものを推計いたしまして、別途、国民健康保険実態調査から作成しました都道府県別モデル世帯別の所得分布に当てはめまして、モデル世帯ごとに保険料が減少する世帯数を推計しているわけでございます。で、この各モデルの合計として保険料が減少する世帯割合を求めたものでございます。  それから、四方式を採用している市町村につきましては、先ほど申しましたように資産割が付加されている世帯とされていない世帯がございますので、それぞれ分けまして、資産割が付加されていない世帯を加味して推計をしているわけでございます。
  108. 風間直樹

    ○風間直樹君 そうしますと、今の御説明では、この市町村数、自治体数から加入者数の割合、その調整は加味しなかったという理解でよろしいですか。
  109. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 加味するというのはよく把握し切れませんが、各市町村ごとに保険料の、何といいますか、国保での保険料、それから広域連合での保険料というのは分かっておりますので、それぞれに当てはめて、幾らの時点で保険料が上がるのか下がるのか、その点を見極めまして、それを、都道府県別の所得分布を、これを市町村に当てはめまして、そこで世帯の数が分かるということでありまして、市町村数そのものから出ているわけではございません。
  110. 風間直樹

    ○風間直樹君 御答弁の意味が分からないんですね。私が伺ったことにも答えていただいていない。  法案提出者に伺いますが、今の厚労省の答弁についてはどのような評価をされますでしょうか。
  111. 大塚耕平

    委員以外の議員(大塚耕平君) 今日は大変関心を持って傍聴しておられる皆様方もいらっしゃいますので、今の局長発言について二点申し上げさせていただきます。  今局長は変化するポイントを見極めてと、見極めてという言葉をお使いになりましたけれども、全然見極めていません。厚生労働省が言わば恣意的に、ここから先は負担が軽くなっている、重くなっているということを取りあえず仮置きしているというふうに、私たちは昨日からの説明でそのように理解をしております。したがって、見極めたという表現は極めて不適切、不正確な表現をこの国会で厚生労働省局長としてお使いになっておられるというふうに思います。  それから、もう一点でございますが、表三、今委員は市町村数から世帯数、そして世帯に所属しておられる高齢者の皆さんの実数の問題と、三段階に分けて御質問くださいました。表三を御覧いただきますと、世帯数についてはここで、厚生労働省の言わば仮置きでこうなっているという厚生労働省としての認識が表現されております。しかし、実はこの表三の一番右に「減少する世帯に属する後期高齢者割合」という表現がございますが、これは大変重要な点でございますので、私が今二点目のポイントとして申し上げますと同時に、もし委員のお許しがいただければ厚生労働省に事実関係を確認していただきたいと思うんですが、この世帯に属する後期高齢者割合というものの中には、ひょっとすると御夫婦で、夫の方は負担が軽くなっても妻の方が重くなっている、その場合に、二人合算するとたまたまプラスだから負担が重くなっている奥様の方も言わば負担が軽くなっているというふうに、こちらの軽い方の数字に含まれている、そういう数字の出し方をしている点が私は問題だと思いますし、その事実関係について厚生労働省に御確認いただければ幸いでございます。
  112. 風間直樹

    ○風間直樹君 今の点、そのままお尋ねします。局長、いかがですか。
  113. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) それは、まさにこの言葉どおり、減少する世帯に属する後期高齢者割合でございますので、世帯全体として上がっている夫婦世帯の場合は、それは二人は上がると、下がる場合には二人が下がると、こういう計算をしているわけでございます。
  114. 風間直樹

    ○風間直樹君 ちょっと不明瞭だと思うんですね。大塚議員、いかがでしょうか。
  115. 大塚耕平

    委員以外の議員(大塚耕平君) 私も今理解不能の御答弁だったと思います。  それから、もう一回私も是非風間委員経由で局長の御答弁を聞かせていただきたいと思うんですが、蛇足で一点発言させていただいてよろしいでしょうか。  私は、昨日来、厚生労働省の課長以下現場の皆さんが大変御苦労しておられるので、これは私どもの部会にも局長自らがおいでになって現場の皆さんの御苦労を慰労するとともに、自ら説明責任を負うべきではないかということをお願いして、今日も出席お願いいたしました。しかし、おいでいただけなかったので、先ほど委員会が始まる前に、局長是非出てくださいというふうに申し上げたところ、私よりも課長の方が詳しいし、課長しか実態は分からないという御趣旨のことをおっしゃいました。そういう局長が、今私が申し上げた二点目の重要なポイントについて本当に的確に御回答いただけるのかどうか、大変確信の持てないところでございます。
  116. 風間直樹

    ○風間直樹君 今、大塚委員おっしゃるように、我々ふだんこの話を説明を聞く際にはいつも課長が来られます。課長の話でも理解ができない点が多々ある。今、この二点目のポイント、五ページ目の表三について大塚議員から質問を受けて、私がそれをお尋ねしましたが、局長、これは今の御答弁ではだれも分からないですよ。分かりやすく、国民みんながこの委員会見ているんですから、説明してください。
  117. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 先ほどの、内容的には同じになるわけでありますけれども、夫婦世帯の場合のカウントの仕方でありますけれども、それは、夫が上がり妻が下がる、両方とも下がる、両方とも上がる、それから逆の場合と、これだけあるわけでありますけれども、それらを押しなべて世帯として保険料額が上がった場合にはお二人が上がると、世帯として保険料、合計額が下がる場合には二人下がると、こういう推計をしているわけでございます。
  118. 風間直樹

    ○風間直樹君 これはおかしいと思うし、更に不透明度が高まったと思いますね。何でこういうことになるんでしょうか。  大塚委員、何か御所見はございますか。
  119. 大塚耕平

    委員以外の議員(大塚耕平君) 厚生労働省の今の局長の御説明は、制度設計者として大変な論理矛盾だと思います。この後期高齢者医療制度は、七十五歳以上の方お一人お一人単位で施行している、あるいはこれから課そうとしている制度でありますのに、その調査結果を表明するときには世帯単位というのは、これは行政府として極めて不適切な対応だと思います。
  120. 風間直樹

    ○風間直樹君 局長、これはまさに今、大塚委員のおっしゃったとおりで、やはりこうした国民に対して説明をし、あるいは国会に対して説明をする資料の中でこういう書き方は私もまずいと思うんですね。その点、認識はいかがですか。
  121. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この保険料の比較は国保の保険料とそれから長寿医療制度保険料の比較でありますんで、国保の場合には世帯でカウントしているわけでありますんで、そういうものとして私どもこれまでも説明してまいりました。そういうことでありますんで、一つの考え方としてそれは妥当ではないかと思っております。  しかも、私どもが報告をしているメーンのところは、それは減少する世帯数の割合ということでありまして、それを先ほどのような前提を置いて人数にするとこの参考のようになると、こういうことでございます。
  122. 風間直樹

    ○風間直樹君 どうも責任ある御答弁になっていないんですね。  舛添大臣、責任持ってこの点説明してください。
  123. 舛添要一

    ○国務大臣(舛添要一君) 例えばサンプル調査をやったらどうかということもあるんですが、そうするときに、二つの制度、前の制度と後の制度の変化についてこれは把握しないといけない。その比較する二つの対象の基盤になっている要素がすべて同じならサンプル調査ということは可能です。  しかし、今回の場合は、まず今、最初の国保が世帯単位で測られている。こちら側は個人単位という要素を、今、大塚発議者も言われたように、入っている。そうすると、どこを比べるのかなと。  例えば、国保の中でおじいちゃん、おばあちゃん、息子が払っているから払っていないという方がおられました。その人だけを取り上げるとすると、今度払いますから、もう全員これはゼロから二千とか三千になっちゃうわけですね。  だから、そういう意味で世帯ごとの比較をするというのは一定の意味があると、そういうことをまず取りあえず申し上げておきたいと思います。
  124. 風間直樹

    ○風間直樹君 この問題に限らず、今回の廃止法案野党共同で提出した。この法案審議にはやはり厚労省が持っていらっしゃる様々なデータが根拠として必要なんです。  今朝、私ども、昨日のこの調査結果を受けて、厚労省に、どういう計算、推計を行ったのか、その根拠を示してほしいとお願いをしました。私の質問でも通告をしております。  私が通告した三つ、まず都道府県に対して調査を行った資料、これを見せてくださいとお願いをしています。持ってきていらっしゃいますでしょうか。二つ目、推計に用いた計算式を示してほしい、お示しいただきたい。三つ目、推計作業を行ったパソコンの端末等を私どもに検証させていただきたい、この点についての認識を伺いたい。  以上三点について御答弁をお願いします。
  125. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) まず、調査資料の現物ということでございますね。これにつきましては、市町村から提出していただいた調査票等につきましては、提出を求めるに当たって、公表をするという前提で集めたものではございません。しかしながら、個別市町村の資料を閲覧させてほしいという意見が多いのであれば、閲覧に関して市町村との調整など検討していきたいと思っております。  それから次に、推計に用いた計算式ということでございますけれども、世帯数割合に関する推計につきましては、先ほど申しましたような世帯のモデルごとに、各市町村から報告のあった世帯別の保険料額の増減の状況から新制度の施行に伴い保険料が減少する所得の範囲を推計したと、こういったものでございます。具体的な計算式につきましては、準備が整い次第説明できるものと考えてございます。  それから三点目、推計作業を行った端末等を検証することが可能かということでございますけれども、推計を行いました計算ファイル等をお見せするにはファイルの整理等が必要であり、現時点でお見せすることは難しいと考えております。
  126. 風間直樹

    ○風間直樹君 局長ね、大臣もよく聞いてください。参議院委員会での質疑は今日最後なんです。その前日に厚労省がああいった調査を出した。これに国民が驚愕した。私たちはこの内容をしっかり精査する責務があるんです。あなたはその責務を放棄せよとおっしゃるんですか。もしそういうことであれば、私はこれ以上質問できない。  出していただけますか。通告してありますよ。
  127. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) ただいまお答えしたとおりでございます。
  128. 風間直樹

    ○風間直樹君 私はこれ以上質問をできません。  委員長にお諮りしますが、理事の皆さんで、今私が局長に通告した三点について至急出すように協議をしていただきたい。お願いいたします。
  129. 岩本司

    委員長岩本司君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  130. 岩本司

    委員長岩本司君) 速記を起こしてください。
  131. 風間直樹

    ○風間直樹君 それでは舛添大臣、私の今の求めに対していま一度御答弁をお願いします。
  132. 舛添要一

    ○国務大臣(舛添要一君) まず、調査票につきましては、市町村の首長さんの了解を一応得ないといけませんので、得た上で議員の閲覧ができるようにしたいというふうに思います。それから、計算式につきましても、これは整理した上でできるだけ早く出せるようにします。  したがって、ターミナルの閲覧についても同様の措置をとりたいと思います。きちんと対応してまいります。
  133. 風間直樹

    ○風間直樹君 では、よろしくお願いいたします。  次の質問に移ります。  今回調査は、市町村国保から後期高齢者医療制度に移行した人を対象としていました。この中にサラリーマンの被扶養者だった約二百万人は含まれておりません。この人たちは一〇〇%負担増になるという認識でこれはよろしいでしょうか。
  134. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) それらの方々はこれまで保険料負担しておられなかったわけでありますので、全員新たに負担をしていただくということになるわけであります。
  135. 風間直樹

    ○風間直樹君 そうしますと、今回の制度の対象者千三百万人中トータルで保険料が減少する方が何%になるのか、これを計算してみたんですね。すると、昨日の調査では六九%とおっしゃっているんですが、実は五三%に下がるんですよ。さらに、いわゆる天引き増税、つまり、今まで息子さんが親の保険料、新たに今度親御さんに掛かるから、これを息子さんが代わりに払って社会保険料の控除を受けていた世帯、これは天引きによる増税になるんですね。  ということは、天引き増税の人も含めますと、保険料減少は五〇%以下になる可能性が出てくるんじゃないかと私は心配をしているんですが、そういう理解でよろしいでしょうか。
  136. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 最後の天引き増税の方、いわゆるといいますか、がどのくらいおられるのかというのは、先日も御答弁しましたように、数は分かりません。ですから、分かっておりますのは、その二百万人の方が新たに負担お願いするということでございます。したがって、その限りでの計算は今されたとおりだと思いますけれども、全体でそれじゃどうなんだと言われると、そういった数字は持ち合わせておりません。
  137. 風間直樹

    ○風間直樹君 それでは、障害者の百万人、この方々はどうなりますか。
  138. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今回の調査におきまして、六十五歳から七十四歳までの障害者の方はこの調査の対象ではございません。
  139. 風間直樹

    ○風間直樹君 いや、そうしますと、これ余りにも弱者の方々に対する配慮がないんじゃないですか。障害者は考慮していない、低所得者のうち三九%が保険料増額になる、何でこういう方々に配慮をされないんでしょうか。大臣、なぜですか。
  140. 舛添要一

    ○国務大臣(舛添要一君) 一定の基準の下にモデルの計算をしたということで、例えば先ほどのサラリーマンの被扶養者になっていた方について言えば、暫定措置で最初の半年間はゼロですから、その次は一割負担と、そういうことを前提にして千三百万人から約二百万人除外して一千万からの数字を出したということです。  それから、障害者の方についても、選択制ということがございますので、そういう意味で数の把握が、どれだけの方が選択されるのか、まあ四つぐらいの道県においてこのこともしっかり徹底しなかったような問題がありますけれども、そういう配慮で行ったんで、あえて弱者を意図的に排除して統計に入れなかったと、そういう意図ではございません。
  141. 風間直樹

    ○風間直樹君 これまでの説明を伺っておりましても、私は、国民生活を守る、健康を守るという政府の責任を果たしていらっしゃらないと思います。  今、私どもは総理に対する問責をどうするかという検討をしておりますが、私自身はこれは十分問責に値すると。まず、議論の根拠となるデータをなかなか示そうとしない、国民の理解を得る努力を政府はされようとしていない、さらに、今御答弁いただいたように、弱者に対する配慮が余りにも欠けている。一体どうしちゃったんでしょうか、政府は。大変残念です。  今回のこの調査結果、実は五月の十五日木曜日に厚労省から、恐らく都道府県を通してだったと思いますが、各市町村に調査指示をしています。その期限が五月十九日月曜日の午後五時です。つまり、土曜と日曜を除くと実質的には一日ないし二日の時間的余裕しか自治体にはなかった。私は、これは制度の正確性を期する上で大変な怠慢ではなかったかと思います。さらに、その後、五月の二十九日、今回の厚労省調査とほぼ同一の調査内容が新聞に報道されました。そして、昨日の厚労省の発表であります。  この一連の流れ、どう理解したらいいんでしょうか。
  142. 岩本司

    委員長岩本司君) 風間君、時間を超過しておりますのでおまとめください。
  143. 風間直樹

    ○風間直樹君 はい、分かりました。  最後に一言申し上げて、質問を終わりたいと思います。  今回、厚労省はモデル調査を行いましたが、私たちはサンプリング調査こそが必要だということを申し上げています。この調査を、サンプリング調査を行うことを最後に強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  144. 岩本司

    委員長岩本司君) この際、申し上げます。  自由民主党・無所属の会及び公明党の所属委員の御出席が得られません。出席を再度要請いたしますので、しばらくお待ちください。  速記を止めてください。    〔午後二時三十四分速記中止〕    〔午後二時四十五分速記開始〕
  145. 岩本司

    委員長岩本司君) 速記を起こしてください。  自由民主党・無所属の会及び公明党の所属委員に対し出席を要請いたしましたが、御出席を得ることができませんでしたので、やむを得ず議事を進めます。  質疑を続行いたします。  これより、自由民主党・無所属の会及び公明党の質疑時間に入ります。    〔委員長退席理事家西悟着席〕    〔理事家西悟退席委員長着席
  146. 岩本司

    委員長岩本司君) これにて自由民主党・無所属の会及び公明党の質疑時間は終了いたしました。     ─────────────
  147. 岩本司

    委員長岩本司君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、福島みずほ君が委員辞任され、その補欠として近藤正道君が選任されました。     ─────────────
  148. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党井上哲士です。与党欠席という事態に至ったことは大変残念でありますが、国民廃止法案の成立を望んでおりますので、質問をいたします。  まず大臣に、昨日の発表された保険料調査についてお聞きをいたします。  先ほども、この調査結果が実態を反映していないんじゃないかという質問がございました。もう一点、これまで政府は低所得者ほど負担は軽減されると言っていたのに、これと全く逆の結果となりました。所得と保険料の関係というのは一番の国民の関心事なのに、それが逆の結果になったと。なぜこういうような事態になったのか、お答えください。
  149. 舛添要一

    ○国務大臣(舛添要一君) 先ほど、風間委員に対する私の御説明の途中で終わっていたような感じがいたしますけれども、厚生労働省が説明しているときに使った様々な資料に、一般的に言えば低所得者の方が高所得者に比べて負担の低減率が大きいということが書いてありましたが、その中に、一定の条件を付けてということで一定の条件がたくさん書いてあります。  その中で、四方式を使ってやったときにはそういう傾向があるということで、先ほどの資料の五の中の数字を途中まで説明いたしましたけれども、その中で、確かに四方式についてはそのことが当てはまりますが、中所得については、四方式で資産割がない部分が、今まで資産割を取っていた部分をなくしましたから、資産割の占める比率について言うと、中と低の間の比率について言うと、比較的に中の方が比率が軽くなりますから、したがって若干中所得者が一番上に来たということでありますので、そういう説明をすれば一定の説明はできます。  しかしながら、最初に大書特筆したのが一般的に言えば云々ということであって、今言った細かい条件はきちんと説明してあるんですけれども、そのことの説明というのが十分なされていなかったというか十分周知徹底していなかったということでありますので、これはきちんと反省しないといけないと、そういうふうに思っております。
  150. 井上哲士

    井上哲士君 この結果について、提案者小池議員のお考えをお願いします。
  151. 小池晃

    委員以外の議員小池晃君) これは極めて重大だと思っております。  大臣は先ほどの質疑の中で、自分国会答弁ではそのようなことを言っていないというふうにお答えになりましたが、四月八日の厚生労働委員会で私の質問に対して、年金収入、夫婦世帯では五百二十万円程度まで、単身世帯では収入にかかわらず負担増にならないというふうに答弁をされております。その答弁に照らして実態は違っていたということだと思います。  この保険料調査については、問題点はもうこれははっきりしていて、要するに、たった四つのモデル世帯に当てはめてやっているから、この四つのモデルに当てはまらない世帯がこれは一昨日の質疑でも二割除外されるというふうに政府も認めているわけです。ということは、モデル世帯の三割ということは、そのモデル世帯というのは全体の八割ですから、これは二四%ということになる。しかも、除外された世帯の多くが負担増だったらば、最大でいえば負担増は四割近くになる可能性もあるわけで、これは実態を反映するものではないと思います。  しかも、同時に、この前提として、資産割を持っている、資産割を払っていた世帯が夫婦とも基礎年金という世帯の五割が国保料の資産割を払っていたという前提で計算をされているというのが政府説明でありまして、こういう低所得の世帯で五割も資産割を払っているというのは、私は現実から懸け離れているのではないかというふうに思います。そもそも、このようにモデルを設定して計算するというやり方をするからこういう矛盾が起こってくるんだと。  全日本民医連が今日発表した実施直後アンケート、四千六百二十五名の集計で、保険料負担高くなったという人は四二・四%、安くなったという方は七・二%であります。こういうサンプル調査をきちっとやって、実態に即した調査をやらなければ、高くなった低くなったなどということは言えない。  そして、最後に一言付け加えれば、たとえ始まったときに一時的に下がったという高齢者であっても、これはもう未来永劫自動的に保険料が上がっていく仕組みなわけですから、この制度を廃止しない限りこの問題は解決しないということだと考えております。
  152. 井上哲士

    井上哲士君 もう一つ政府の宣伝と実態の違いについて聞くんですが、政府はこの制度について、後期高齢者医療制度は公費を重点的に充てることにより国民全体で支える仕組みというふうに説明をしてきました。しかし、老人保健制度後期高齢者医療制度も公費負担が五割、国庫負担が三三%なのは同じなわけで、なぜ公費を重点的に充てるということが言えるんでしょうか。
  153. 舛添要一

    ○国務大臣(舛添要一君) それは、平成十四年にこの老人保健法を改正しました。そのときに対象年齢を七十から七十五歳に引き上げた。それまでは三割だったんですけれども、公費の負担をずっと上げて五〇%まで持ってきた。したがって、今申し上げたように、老人保健法の改正に伴う公費の負担を五割まで上げるということですから、重点的に上げてきたということは矛盾しないわけであります。
  154. 井上哲士

    井上哲士君 それでは納得できないんですね。  聞きますけれども、老人保健制度の最後となった二〇〇七年度、老人医療費全体に占める国庫負担の割合が定率負担、拠出金を合わせてどれだけになるのか、そして、始まった二〇〇八年についてはその数字がどうなるのか、数だけお答えください。
  155. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 二〇〇七年度、十九年度におきます老人医療費に占める国庫負担の割合についてのお尋ねでございますけれども、老人医療費を支えるための定率負担に係る国庫負担につきましては約二八%、各国保や政管健保からの老健拠出金に係る国庫負担につきましては約一〇%となっております。  それに対しまして、二〇〇八年度、二十年度における後期高齢者医療費に占める国庫負担の割合は、後期高齢者医療費を支えるための定率負担に係る国庫負担につきましては、二〇〇七年度と同様、約二八%でございます。その一方、国保や政管からの後期高齢者支援金に係る国庫負担につきましては約七%となっております。
  156. 井上哲士

    井上哲士君 違う数を言われましたが、老人医療費全体に占める国庫負担の割合、昨日資料で確認しましたけれども、二〇〇七年度は三七・三%、二〇〇八年度は三五・四%、要するに下がっているんですね。つまり、政府の宣伝とは逆で、国庫負担はむしろ後期高齢者医療制度になって減っていると。  そのしわ寄せがどこへ行っているかという問題なんですが、私どものところに、娘を派遣労働者というお母さんから手紙来ました。娘は人材派遣の組合の健保組合に入っているんですが、後期高齢者医療制度に伴い組合の拠出金が急増し、健康保険料が大幅に増加する見通しだという通知が来ているわけですね。ですから、今一番劣悪な賃金、労働条件が問題になっているような派遣労働者にしわ寄せが来ていると。  だから、政府は税金を投入して現役世代の負担を加重しないと言っていますけれども、実際は、国費の負担は、投入を減らして、現役世代に負担を押し付けると、こういう事態になっているんじゃないですか。これについて、大臣から答弁をいただきたい。そして、小池提案者にも答弁をいただきたいと思います。
  157. 舛添要一

    ○国務大臣(舛添要一君) 誤解があると思いますが、要するに公費の割合の五割というのは変わりないんですね。しかし、若者が負担していたのが五割あったのが四割に減りましたから、それに伴って一〇%が七%に減るのは当たり前であって、三七から三五に変わったということをもってして公費の負担割合が変わったということにはならない。まさに、一割、四割、五割という明確な負担区分をやったことに伴うわけですから、私はいつも申し上げていますけれども、ただ単に老人医療費を無料にすればいいというんではありませんと、しかるべきものを払うということもまたこれは必要だと、そういうことを申し上げてきたつもりです。
  158. 岩本司

    委員長岩本司君) 小池晃君。簡潔に願います。
  159. 小池晃

    委員以外の議員小池晃君) 今のは全く誤解ではないと思うんですね。老人医療費というのはその老人医療費全体に占める割合に国庫負担がどうなっているか、それはだから定率負担分とそれから拠出金の中に国庫負担がどれだけ入っているか、これが老人医療費に対する国庫負担なわけです。この老人医療費に対する国庫負担、まさに拠出金の部分で明らかに老人保健制度後期高齢者医療制度を比べると比率は減っているわけですから、公費を重点的に投入したというのはまやかしの説明であるということが今日の答弁でもはっきりしたというふうに思っております。  以上です。
  160. 井上哲士

    井上哲士君 終わります。
  161. 近藤正道

    近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。  私も今ほどの質問に続きまして、保険料の調査票に基づいて最初お聞きをしたいというふうに思っています。  前回の委員会でも私お聞きしましたけれども、厚労省のこれまでの説明、つまり保険料は総じて低所得者は負担が軽く高所得者には高くなる、こういうふうに言っておりましたけれども、今日の議論、今ほどの議論を通じても明らかなように結果は逆である。低所得者ほど負担増、低所得層で負担増と、新聞の大見出しは全部そういう形でございます。つまり、結果として、厚労省の今までの発表、これは事実と異なる、うそであるということが明らかになったんではないかというふうに思っておりますし、また今日の新聞では、厚労省は制度を実施する前に調査すべきだった、今ごろこんなことを言っているわけであります。本当に何事かという、こういう思いひとしおでございます。  この調査表の表三を見ますと、都道府県の格差が非常に激しい実態にあるということが明らかになりました。保険料が減少する世帯数割合は、県民所得が他県に比べて低い沖縄県では三六%にすぎないけれども、八七%の栃木、群馬、徳島に比べると五一%も差が開いているわけであります。つまり、今度の後期高齢者医療制度制度設計が都道府県の住民の所得格差に全く配慮されていない、こういう制度設計になっているということが明らかになったと思うんです。  つまり、これから明らかになったことは沖縄、沖縄が一番格差が激しい。今度の問題でも減少率が一番低いところなんですが、沖縄のいわゆるおじい、おばあ、この人たちのところに今回の後期医療制度、この影響が最も激しい形で直撃しているんではないか、それがこの表の中からはっきりしているんではないかというふうに思いますが、大臣、いかがですか。
  162. 舛添要一

    ○国務大臣(舛添要一君) この表には都道府県のいろんな事情があるんで、所得格差が反映しているというのは全く違う説明だと思います。  というのは、例えば東京を見ていただくと四四%、こういうのは各自治体による補助金が入っていますから、国保の場合に補助金が入っている。まあ、東京の場合は特に算定方式も違います。そういうことがむしろ原因であって、所得格差が原因ではありません。沖縄についてはもっと詳細な分析が必要ですけれども、米軍の占領下にありました、御承知のように。それで、国保の制度が入るのも遅れました。そういうような事情もありまして、今の水準が全国一律的な基準でやったときに急激に高くなるという、そういう事情がここにあるということでありますんで、これはまさに各自治体のそれぞれの事情によることが反映しているということであります。
  163. 近藤正道

    近藤正道君 沖縄についてはこれから調べるということでありますが、この資料から見ますと、まさに沖縄が直撃されている、最も共同体意識が強くて支え合いの精神が強い沖縄のおじい、おばあ、この人たちがまさにこの制度によって命を脅かされている、最も激しい形で脅かされている、これははっきりしているというふうに思っています。  時間がありませんので、これは是非舛添大臣にお聞きしたいことがあるんですが、舛添大臣の著書、我が体験的高齢者福祉論、今回読まさせていただきました。大変経歴に敬意を表したいというふうに思っておりますが、この中でいろんなことをおっしゃっておられます。福祉という視点よりも財政再建という大蔵省のばかの一つ覚えの声がすべてに優先されている、こういうふうにおっしゃっておりますし、福祉を切り捨てれば財政支出が減るのは当たり前であって、その程度の政策しか提言できないのなら政治家は不要だと、こういうふうに言っておられます。最後に、もしお年寄りの口から、ああ、長生きして良かった、日本に生まれて良かったという声が発せられないとしたならば、それこそ戦後五十年の私たちの努力は水泡に帰することになるだろうと、こういうふうに言っておられます。  後期高齢者医療制度はこの過去の大臣のお言葉に恥じないものなのかどうか、私は是非これをお聞きしたいというふうに思っておりますが、最後に、そういう中で昨日、福田総理がローマで、社会保障費二千二百億円、これを今後も堅持すると、これからも骨太〇八にこの削減方針を盛り込むと、こういうふうにおっしゃっておられます。  大臣は、この間、この二千二百億円シーリング、もう限界だ、やめてもらいたいと。これだけ今の後期高齢者医療制度の問題を含めて、まさにこの国の医療、これが高齢者医療制度に象徴的に現れていて、本当に大きな問題が出ている中で、大臣が支える福田内閣は、二千二百億円削減、これからもやると言っている。どういうふうにこれ、受け止められておられますか。大臣の所信を聞かせてください。
  164. 舛添要一

    ○国務大臣(舛添要一君) まず、最初の部分の高齢化社会、社会保障制度に対する考え方は、私が著書の中で申し上げたことから一歩も動いておりません。きちんとその信念で厚生労働行政をやっているつもりでありますし、今後とも、ああ、日本人に生まれて良かったな、長生きして良かったな、そういういい国をつくりたいと、そういう思いで努力をしておりますし、何もかも財政の論点が先に来てはいけないと思っています。  そういう観点から、この後期高齢者医療制度、私は設計にはかかわっておりません。今実施責任者であります。しかし、そういう意味で、財政の論理がどちらかというと優先し過ぎた、こういう反省はきちんとしないといけないと思います。そして、きめの細かい施策をやらないといけない、そういう意味での見直しというのは必要ですけれども、やはりいつでも安心して保険証一枚でどんな地域でも病院にかかれるという、この国民保険を何とかして守りたい、そういう観点からも、この後期高齢者医療制度の持つ大きな理想というのは私は守っていきたいと、そういうふうに思っている中であります。  その中で、二千二百億円の問題については、これは、私はまさに限界に来ている。日本国民の命を守るためにはどれだけのコストが掛かり、どれだけの施策をやらないといけないか、そういうことをきちんと説明し、そしてそれで何とかこの社会保障政策について新しい視点が開ければということで、総理ともきちんと議論をし、そして内閣の中でもきちんと議論をすると。引き続き、そのための努力を重ねてまいりたいと思っております。
  165. 近藤正道

    近藤正道君 時間でありますのでやめますけれども、厚労省は、国民のやっぱり命を守るとりで、ところが現実は、まさに財政再建至上主義、この名前の下で財務省に屈服をしている、これがやっぱり現実ですよ。  おっしゃっていることとやっていることがまるきり違う、もうみんなそうだ。そのことをやっぱり強く申し上げて、もう本当にあの著書の精神が今でも生きておられるのなら、是非、自民党の皆さん、公明党の皆さん、閣僚の一人として説得してください。野党のこの廃止法案賛成するように説得するのが、これが筋だと、私はそういうことを申し上げまして、質問を終わります。
  166. 岩本司

    委員長岩本司君) 現時点におきましても、自由民主党・無所属の会及び公明党の所属委員の御出席を得られておりませんが、他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  167. 岩本司

    委員長岩本司君) 速記を起こしてください。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  後期高齢者医療制度廃止等及び医療に係る高齢者負担軽減等のために緊急に講ずべき措置に関する法律案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  168. 岩本司

    委員長岩本司君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 岩本司

    委員長岩本司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十六分散会