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2008-06-03 第169回国会 参議院 厚生労働委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年六月三日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十九日     辞任         補欠選任      大河原雅子君     森田  高君      石井みどり君     岩城 光英君  五月三十日     辞任         補欠選任      森田  高君     大河原雅子君      岩城 光英君     石井みどり君  六月二日     辞任         補欠選任      足立 信也君     水岡 俊一君      島尻安伊子君     尾辻 秀久君      中村 博彦君     礒崎 陽輔君      南野知惠子君     牧野たかお君      若林 正俊君     山田 俊男君      小池  晃君     井上 哲士君  六月三日     辞任         補欠選任      水岡 俊一君     足立 信也君      森 ゆうこ君     牧山ひろえ君      尾辻 秀久君     椎名 一保君      井上 哲士君     小池  晃君      福島みずほ君     近藤 正道君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩本  司君     理 事                 家西  悟君                 谷  博之君                 蓮   舫君                 衛藤 晟一君                 渡辺 孝男君     委 員                 足立 信也君                 大河原雅子君                 風間 直樹君                 小林 正夫君                 櫻井  充君                 津田弥太郎君                 中村 哲治君                 牧山ひろえ君                 森 ゆうこ君                 石井 準一君                 石井みどり君                 礒崎 陽輔君                 尾辻 秀久君                 岸  宏一君                 椎名 一保君                 西島 英利君                 牧野たかお君                 山田 俊男君                 山本 博司君                 井上 哲士君                 小池  晃君                 近藤 正道君                 福島みずほ君        発議者      櫻井  充君        発議者      蓮   舫君        発議者      福島みずほ君    委員以外の議員        発議者      福山 哲郎君        発議者      自見庄三郎君        発議者      大塚 耕平君        発議者      鈴木  寛君        発議者      小池  晃君        発議者      福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   舛添 要一君    事務局側        常任委員会専門        員        松田 茂敬君    政府参考人        国税庁課税部長  荒井 英夫君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○後期高齢者医療制度廃止等及び医療に係る高  齢者負担軽減等のために緊急に講ずべき措  置に関する法律案福山哲郎君外八名発議) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 岩本司

    委員長岩本司君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、小池晃君、南野知惠子君、島尻安伊子君、中村博彦君及び若林正俊君が委員辞任され、その補欠として井上哲士君、牧野たかお君、尾辻秀久君、礒崎陽輔君及び山田俊男君が選任されました。     ─────────────
  3. 岩本司

    委員長岩本司君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  後期高齢者医療制度廃止等及び医療に係る高齢者負担軽減等のために緊急に講ずべき措置に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省保険局長水田邦雄君外一名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩本司

    委員長岩本司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 岩本司

    委員長岩本司君) 後期高齢者医療制度廃止等及び医療に係る高齢者負担軽減等のために緊急に講ずべき措置に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 小林正夫

    小林正夫君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新日本小林正夫です。  まず、今回、民主党など三会派共同提案として後期高齢医療制度廃止する法案国会提出をされました。この廃止法案については多くの国民皆様が関心を寄せております。改めて、提案者大塚さんに、この法律目的と概要についてかみ砕いて説明をいただきたいと思います。
  7. 大塚耕平

    委員以外の議員大塚耕平君) 大塚でございます。  まずは冒頭発議者一同を代表いたしまして、後期高齢者医療制度廃止を目指すこの法案厚生労働委員会で御審議いただきますことに心から御礼を申し上げたいと思います。  その上で、小林委員の御質問でございますが、二点申し上げたいと思います。  まず、四月一日から始まりました後期高齢者医療制度は、残念ながら、高齢者皆さんが安心して医療を受けられる、そういう内容にはなっておりませんので、そうであるならば一刻も廃止をさせていただきたい、これが第一点でございます。  そして第二点は、様々な税金や予算の無駄遣いがまだまだたくさんある中で、医療に掛ける予算を削る、財政負担を軽くするという目的でこの後期高齢者医療制度を導入することは、順番が間違っているのではないか、そのような思いで私どもはこの法案提出をさせていただきました。
  8. 小林正夫

    小林正夫君 ありがとうございました。  そこで、厚生労働大臣にお伺いをいたします。  現在、政府後期高齢者医療制度の枠組みをそのままにして軽減措置などの見直し検討されていると、こういう報道がされております。どのような見直し考えているのか。  実は今日、資料一として皆様のお手元にお配りをさせていただきました。この資料の一ですけれども、上の方には制度改正前の状況、そして厚生労働省資料として、この後期高齢医療制度を決めたときに激変緩和措置など、こういうことを決めたと、こういう確認です。それで、もう一つ平成十九年度の補正予算において更に軽減措置を加えたと、ここまでは厚生労働省からいただいた資料をそのまま掲載しております。一番下に、これは私の事務所で作ったものなんですが、今日までの報道ベース政府検討をされているという意味合いの報道をまとめてみたのが一番下に書いた報道ベース政府与党検討内容というところなんです。  それで、今日も毎日新聞始めとして政府考え方が幾つか示されておりますけれども、まず大臣にお聞きしたいのは、低所得者対策、あるいは新たに保険料負担する者、それと窓口負担、この三つに仕分したんですが、一番下に書いてある例えば低所得者対策については最大七割軽減最大九割にする、新たに保険料負担する者については均等割の九割凍結を平成二十一年度も延長する、窓口負担については一割負担を更に継続して平成二十一年四月から一年間実施をすると、こういうような報道がされているんですが、多くの報道がされるものですから、国民を始めとして、本当にどうなっちゃうんだろうかと、こういう心配があるものですから、改めて、この報道ベース内容が正しいのか、また、今日、今現在どういうことを考えられているのか、お聞きをしたいと思います。
  9. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まず、今報道ベース政府与党ということでおっしゃられましたけれども、今具体的に与党の方で、与党プロジェクトチームの方で細かい詰めをやっていただいているということでありまして、たしか今日の夕方辺りに与党のPTの会合が行われる。もうその事前の段階で、中心的になっている先生方がいろんな議論をお詰めになっている。厚生労働省としては、そのお求めに応じて、こういう資料はどうだと、この数字どうだと、できる限りでお渡ししているということであります。  私も伝え聞いているところでは、今、小林委員がおっしゃっているように、低所得者に対する軽減措置、二割、五割、七割というのを例えば九割にするということも一つの案であろうかというふうに思っておりますので、今精力的にまず与党チームでやっていただく、そして、それを受けた形で政府与党一体となってどういう形でやるのかと、これをきちんと決めたいと思っています。  当然、プロジェクトチームの案が、与党の案がこちらに来れば、財源の問題がございますから、これは私の方で財務省との間で詰めるというような作業も必要かというふうに思います。そして、今、福田総理が海外におられますので、そういう事情もございますので、少し、あと何日か時間が最終決定までは掛かるだろうと、そういう見通しでございます。
  10. 小林正夫

    小林正夫君 与党ベース検討していると、こういうお話ですけれども、当然、政府と連携をしながら今後も進めていくということになると思うんですが、私、質問通告でしておりますけれども、今この報道ベースで言われている、あるいは大臣がおっしゃった検討方向で、具体的に財源がどのぐらい掛かると、政府としては、こういうものが出てきたときに財源がどのぐらい掛かるのかと、この辺についてはどうお考えでしょうか。
  11. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) その点につきましても、最終的に、例えば九割というのを決めるか、それからどれだけの人数についてどれぐらいの期間決めるか、実を言うと、報道はなされていますけれども細かい詰め政府与党でやっているわけではございません。ですから、それによって、例えば四百億であるとか五百億、いやもっと多く見れば二千億、いろんな数字が出ていますけれども、これも最終案が決まった段階できちっと詰めていきたいと、そういうふうに思っております。
  12. 小林正夫

    小林正夫君 もう一つお聞きをいたします。  今日の朝刊、与党という文言なんですが、毎日新聞にしても読売新聞にしても、与党見直し案合意がされて、幾つかこれからこういうことの手直しをしていきたい、こういう報道がされているんですが、この報道について政府の方としてはどのように受け止めているんでしょうか。
  13. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 与党チームの方で今のような検討をなさっている、それはもう政府としても最大限に尊重し、例えばどうしてもこれは技術的に不可能、例えばいつまでにやれという期限が限られたときにシステム改修にどうしても間に合わないとか、いろんな制約もございます。そういうことも含めて、しかし、大きな方向性として軽減措置を行うということについて、政府としてもそういう方向検討したいと考えております。
  14. 小林正夫

    小林正夫君 大臣に少し話を聞いていただいて、感想を含めてお聞きをしたいと思うんですが、私の手元にも、今与党検討しているという報道が伝わって多くの自治体からこういう声が届いているんです。  一つは、実施の前に十分な時間がなければ住民への周知説明ができない。二つ目として、そもそもコンピューターシステム変更の時間が必要であると、その内容手直しの程度が全く見えない、二つ目三つ目については、これまでも保険制度変更に多大な一般財源を投入し国は少額しか手当てしていない、今回の対応策で必要な経費は国がしっかりと手当てするのか。四つ目、今になって様々な調査を国から求められているが、その作業に忙殺され、その他新たな事務に対応できない、また、こうした調査制度実施前、制度設計時に行うべきものであったと。このように私の事務所にも各自治体から意見が届いておりますが、このことに対して大臣はどうお考えですか。
  15. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) そういう地方の自治体からの御批判には謙虚に耳を傾けないといけないというふうに思います。  それで、システム改修につきましては、前年度の補正予算で実は組み立てました。それで、これは与党皆さん方の御検討結果を待ってなんですけれども、今既にシステムをつくり上げた、やはりこの段階見直し案を決めても、システム改修考えたらあしたからというわけにはいきません。したがいまして、そういう観点から、場合によってはその見直し制度設計はやっても具体的には二十一年度からしかできないということもあり得ると思います。  しかし、その中で今委員が御引用くださったような地方自治体の声がございますから、例えば一番システム改修が少なくて済むように、手間暇が一番掛からないような形で知恵を働かせたいと、それはそういう形で過剰な負担が掛からないようにいたしたいと思います。また、しかるべき財源措置についても、これは先ほど申し上げましたように、財務省との相談にもよりけりですけれども、できるだけの御負担が掛からないように配慮をいたしていきたいと思います。  そもそも、二年前の六月に、この法律はちょうど二年前成立していたわけですけれども、その後、やはり国会議員が地元に帰っていろいろ聞くと、障害者自立支援法もそうでした、今回の法律もそうでした、いろいろやはり問題があり得るなということで、それで政府与党の方で先ほど引用してくださった一定軽減措置をやりました。それがシステム改修に、かなり遅く決めたことと途中で変えたことで地方自治体の方に御迷惑を大変お掛けした。更に言うと、今回また新たな負担になるということなんでそこはなるべく配慮したいと思います。ただ片一方で、例えばどうしても天引きをやってくださいよというのはこれはもう市町村からの物すごい要望であったんで、そういうことでやったという面もございます。ですから、これはいたずらに地方自治体と対立するんではなくて協力して、何が国民のために一番いいのかと、こういう観点から対応してまいりたいと思っております。
  16. 小林正夫

    小林正夫君 私は、先ほど言ったように、自治体からのこういう意見ですね、特にこの制度実施前だとか制度設計時点からこういう検討は深くやってそれで実施に移していくというのが本来の姿だと私は思いますね。それで、二年前に私は拙速にこの制度を決めたことに大きな問題があると、こう思っておりますので、後ほど時間があればその点についてもお聞きをしたいと思います。  次の質問に移ります。  大臣にお聞きをいたします。七十五歳以上だけを対象にした制度、こういう年齢で切った制度を七十五歳以上の人の多くの方の受け止めは厄介者だと、私たち世の中厄介者だと、こういうふうに受け止めた人が私は多くいると感じております。だから、うば捨て山のような制度だ、早く死ねと言うのか、あるいは後期高齢者という言葉は余りにも冷たいと、こういう声が世の中で大きくなったというふうに理解をしております。  そして、四月一日の閣議で福田総理が、後期高齢者医療制度というネーミングが良くない、通称は長寿医療制度ではどうかと首相が制度開始後に名称に注文付けるという、私は今までになかった異例の事態を生んでいると思います。私は、幾ら名称を変えてごまかそうとしても、中身が高齢者の気持ちを酌み取っていないことや、不安を増幅するような制度では、名称を変えるという発想はまさにこそくと言わざるを得ないと思います。戦争を経験して厳しい生活の中で今日の我が国の繁栄のために頑張ってこられたお年寄りが、日本に生まれてきて良かった、あるいは大事にされて幸せである、こういう生活をしていただくのが私は政治の責任じゃないかというふうに思います。  本来、高齢社会は、人生の中で得た教訓だとか広い視野で若い人たち自分が学んだことを教え伝え、心豊かな社会になっていく、私はこういう社会だというふうにイメージをしております。ところが、今回の後期医療制度実施によって、そのような社会づくりを私は一変させてしまった、何か七十五歳の人が厄介者高齢者の方がいない方がいろんな意味負担も助かるしいいんだというような私は間違えたメッセージを与えた制度をスタートさせてしまったと、このように私は思います。  そういう意味で、まず一つお聞きをしたいのですが、ほかの国において七十五歳で医療制度を区切った国はあるんでしょうか、お聞きをいたします。
  17. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 諸外国の事例についてのお尋ねでございますけれどもアメリカにおきまして六十五歳以上の高齢者対象とした公的医療保険制度でございますメディケアというものがございます。ただ、七十五歳で医療制度を区切った他国の例は把握してございません。
  18. 小林正夫

    小林正夫君 日本国民保険制度医療制度ということですが、アメリカの場合は民間ベースでやられているという大きな違いも私はあると思います。  そうすると、七十五歳以上で、七十五歳という年齢で切った国はないと、こういうふうなお話でしたけれども、じゃ年齢で区切った国というのはあるんでしょうか。
  19. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 年齢で区切ったというのはどういう意味かよく判然といたしませんけれども、給付の中に例えばそういう年齢を入れたとかそういうことであれば、例えばイギリスで薬剤であったかなという気がいたします。ちょっと不確かでございますけれども制度としては先ほど申しましたように六十五歳で区切ったメディケアがあるということでございます。
  20. 小林正夫

    小林正夫君 大臣、先ほど高齢社会イメージというか、私なりの高齢社会というのはそういうものだと、こういうことをお話をいたしましたけれども大臣御自身は高齢社会というのはどういう社会であるべきだとお思いでしょうか。
  21. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私も小林委員と全く同じ理想の姿を持っております。  確かに、後期高齢者、前期より後期の方が悪いみたいな感じ終末期、おれは終末かと、そういうような感じで、しかも七十五歳以上はうば捨てかといったように。ただ、周知徹底の努力、そういうことについてこれはもっときちんとやるべきだったという反省はございます。  ただ、七十五歳というのは、もう委員も御承知のように、これは全く意味がないのではなくて、医学的な統計を取ってみると健康寿命が七十五である、やっぱり七十五を超えると慢性疾患が増えたりとか認知症が増えたり、それは統計的に言える。もしこれが例えば八十歳がその医学上の統計のデータならそこから先にしていると思います。そういう体の特質に合わせた面が、これをもっと強調して、したがってそれに合わせたケアであり医療がやれるんだということ、これよりもむしろ財源論が先に来てしまいました。その財源論もこれは私は必要だと思います。  最終的にどの国にもない、よその国にもない制度を入れたから悪いのではなくて、どの国にもなくてその制度が今度はよその国がまね得るべきいいものであれば、それは我が国独自でやってもいいと思いますので、それはきちんと議論をしたいと思います。  そういう中で、私はやっぱり国民保険はどうしても守るべきだと、これはいい制度だと思います。そのときに、国民保険が大きなダムに例えると一番決壊しやすいところは御高齢方々保険であることは確かです。ここにどういう手当てをするかということでもう十年来議論をしてきて、全部ガラガラポンの一つ制度をつくる、これは一番簡単であります。しかし、いろいろ問題がある。それから、ずっと突き抜け方式で、例えば東京電力勤めていた方は定年退職してもずっと東京電力が健康保険面倒見ますよと、こういうふうにやる。そうすると、これは東京電力社員さんの間でまた何か起こる。何で私たちが昔の社員の面倒を見ないといけない、こういう声も起こり得る。それで特出しの形でやったという過去十年の経緯であって、それぞれ一長一短はあるんだろうと思います。  そういう中で、やはり根幹をきちっと守った上で本当に日本人に生まれてよかったな、日本で死ねてよかったなと、やっぱり日本人であって健康保険証一枚でどこでもいつでも病院にかかれて本当にいいケアもしてもらえたなと、そういうことが、そしてできるだけ健康寿命を保って老後の生活を生き生きと送ると、これが私は理想の姿だと思っております。
  22. 小林正夫

    小林正夫君 同じ質問なんですが、民主党発議者はこの高齢社会というのはどのような社会になるべきだとお思いでしょうか、お聞きをいたします。
  23. 大塚耕平

    委員以外の議員大塚耕平君) ただいま大臣高齢社会のあるべき姿については小林委員と私も同じであるという、冒頭におっしゃられましたが、私どもも全く同様でございまして、高齢者皆さんが安心して医療を受けられる、こういう社会でなければならないと思っております。  その上で、今、舛添大臣は大変賛同すべき御発言を多々お話しくださいまして、我が意を得たりというところでございますが、一点だけ議論が必要だと思われる点を申し述べさせていただきます。  大臣は、みんなで支えていくためにダムにお例えになりまして、ダムの一番決壊しやすいところを言わば今回は手当てしたんだというような趣旨でおっしゃいましたが、しかし今回の制度は、私どもは逆にダムの一番決壊しやすいところだけを別枠にしたために強いところで支えるという仕組みが弱まってしまったのではないかと思っておりますので、その点は補強をした上で、高齢者皆さんが安心して医療を受けられる、そういう社会を目指したいというふうに思っております。
  24. 小林正夫

    小林正夫君 そこで、何よりも安心した暮らしができると、これはもう共通の願いあるいはそういう社会であるべきだというふうに考えていることは変わらないと思います。  そこで、この医療制度の関係で具体的に質問をさせていただきます。  保険料が上がるケースがある、このように言われておりまして、高齢者の中で自分保険料は一体どうなるのか、このことが大変心配でいろいろ聞かれる、こういう状態が今続いております。そして、上がるケースとして、一つは、サラリーマンの被扶養者として自分では保険料を払わずに被用者保険を利用していた人は保険料を払うことになる。二つ目は、新制度では都道府県単位保険料を一本化したため、従来の国保で自治体が独自に行っていた低所得者向け軽減措置がなくなり、低所得者でも負担増になるケースがある。三つ目が、夫婦の年金収入一定の年額を超すと保険料が増える。こういうケースの場合は保険料が増えると、こういうことが言われていました。  そこで、具体的に何人ぐらいの人がどういう金額になっていくのかということをお尋ねします。  まず初めの、サラリーマンの被扶養者として自分では保険料を払わずに被用者保険を利用していた人は保険料を払うことになる。ここの項でいくと、どのぐらいの人が上がる対象になって、保険料はどうなるんでしょうか、政府参考人にお答えいただきたいと思います。
  25. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) まず、今お尋ねのありました被用者保険の被扶養者方々でございますけれども人数といたしましては二百万人というふうに算定をしております。この方々のお支払いになる保険料でありますけれども、これにつきましては、今年度の前半につきましては保険料を凍結する、後半につきましては九割軽減にするということでございます。その後は法定の軽減措置になりまして、均等割の五割というのが一年間続くと、こういうことになります。
  26. 小林正夫

    小林正夫君 それで、この軽減措置が外れた後ですね、その金額は今、後段におっしゃいましたけれども、具体的にどのぐらいになるケースがあるというふうに思ったらいいんでしょうか。
  27. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 具体的な金額につきましては、その方の得ておられる収入によって決まってまいりますので、その人ごとに変わってくるものと思っております。それからもう一つ、その人がどういう世帯に属するかということで決まってきますので、一概に申し上げることは難しいと考えております。
  28. 小林正夫

    小林正夫君 二つ目ケースの場合の、新制度では都道府県単位保険料を一本化したため、従来の国保で自治体が独自に行っていた低所得者向け軽減措置がなくなって、低所得者でも負担増になるケースがある。これは、どの自治体軽減措置をとっていて、どのぐらいの人が保険料が上がるんでしょうか。
  29. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 一般財源を国保に投入している自治体ということでございますが、東京都、東京の二十三区というところは、これは非常に多額の一般財源が投入されているわけでございます。その結果として、長寿医療制度に移ると保険料が上がる方が大変増えてくるということは承知をしております。  ちょっと今手元に、一般財源を入れている市町村の名と申しますか、どこで入れているかというのを、リスト手元にございませんのでお答えすることできませんけれども、事例としては東京都二十三区というのは一番典型的な事例だと思っております。
  30. 小林正夫

    小林正夫君 昨日通告もしてあるんですが、今おっしゃったように、上がるんだということだけじゃ国民の不安が解消できないんですよ。こういういろんな軽減措置、これはあったにしても、そういうものがなくなったときに自分はどのぐらいのお金を負担しなきゃいけないのかと。特に年金で生活をしている高齢の方が多いものですから、ここが心配なんですよ。そういうものが分からないと、この制度の骨格とか全体像が分からないんですよ、結局。  もう一度お聞きしますけど、具体的なケースでもいいんですが、一定の条件でもいいんですが、そういう場合に幾らぐらい金額が上がると、何かこういうメッセージを発してくれませんか。
  31. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 先ほど委員おっしゃいましたとおり、長寿医療制度保険料は都道府県ごとに所得に応じて設定されると、従来の国民健康保険につきましては市町村単位で決められるということでございます。国民健康保険で一番普及している算定方式によります全国平均の保険料で比較いたしますと、単身世帯では年金の収入金額にかかわらず、また夫婦世帯では年金収入五百二十万円程度まで負担増にならないと、このように考えております。  ただ、ここには例外がございまして、先ほど御指摘がありました国保に一般財源を入れている自治体あるいは住民税額に保険料率を掛ける方式を採用している自治体、こういうところは例外となっているということでございます。
  32. 小林正夫

    小林正夫君 要は、個人から見てこの制度に切り替えたことによって幾らになるのかと、ここなんですよ。このことを私たち民主党として勉強会開いたり、厚生労働省の方に来ていただいたりいろいろ勉強もしてきましたけど、この辺の根拠というか数字が明らかにならないんですよね。まあそのことだけ指摘します。  もう一つ年金収入が年額で幾ら超すと保険料が増えるのか。夫婦の年金収入一定の年額を超すと保険料が増えると、これが上がるケースの場合の三番目に私が言ったことなんですが、この場合に、年金収入が年額で幾ら超すと保険料が増えるのか。どのぐらいの人が対象で、これも幾ら保険料が上がると思っていればいいんでしょうか。
  33. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 保険料が上がると考えられる、国保で一番普及している算定方式でのことでございますけれども、夫婦世帯では年金収入五百二十万程度を超えますと負担増になるケースが出てくると、このように考えているわけでございます。  これは、先ほど申しましたように、全国で一番普及している保険料の取り方として均等割、平等割、資産割というふうにあるわけでございますけれども、それらを全国平均で保険料率で考えるとこういう五百二十万という水準が出てくるというわけでございます。  いずれにしましても、保険料負担の変動につきましては現在調査を行っているところでございまして、現在は自治体から集計したデータの精査中でございます。準備が整った時点でその結果を公表したいと考えております。
  34. 小林正夫

    小林正夫君 大臣にお聞きをいたします。  資料の二です。これは、五月二十九日の読売新聞の一面の新聞記事であります。「後期高齢者医療制度 七割の世帯負担減」、こういう見出しの新聞記事が出たわけなんですが、これの受け止めはどうでしょうか。信憑性はあるんでしょうか。
  35. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは読売新聞社がおやりになった調査ですから、読売新聞社のクレジットでおやりになっているということですから、私の方からこれが正しいとか間違っているということを言うべき筋合いのデータではないと思っています。  政府の方も今、各自治体に対して、こういうモデルケースはおたくの自治体ではどうですかということで今集計作業中でございますので、これができ次第、政府の責任できちんとデータを出したいと思っております。
  36. 小林正夫

    小林正夫君 そこで大臣大臣は当初、記者会見などで、大体七割から八割ぐらいの人の保険料が下がるんじゃないか、こういうことを言われた。その後、委員会などでいろいろ大臣にお聞きをしてみると、その裏付けの数字はなかったと。大臣の感覚で物を言ったのかなと、私はこのように受け止めておりますけれども民主党も、要はどういう実態になるのかという、これをつかむために本当に日々勉強をしたり、厚生労働省を呼んで聞いているんですが、ここが明らかになってないんですよ。  そこで、大臣に改めてお聞きをしますけれども、この一千三百万人の対象者のうち、どのぐらいの人の保険料が上がり、どのぐらいの人の保険料が下がるのか、これは大臣の方で分かってるんじゃないかと思いますけれども、お答えいただきたいと思います。
  37. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まず、御質問の前の半分の方ですが、私が七割、八割って申し上げたのは、それはもう外で出ない場所で、公表しない場所でそもそも話をして、分かりませんということを、これは実態は分かりませんと、しかし、あえて何か数字がありませんかと言われたんで、算定方式でいうと、七割、八割が採用している算定方式は基本的に安くなるんでという数字を言ったのが、それが官房長官の口を通じて外に伝播されたということが事実でございます。  しかしながら、今の実態について個々人のレベルについて言いますと、それは一人一人に、千三百万人にアンケートをして、あなたはどうですかと。名古屋の住民、東京の住民、本人はどういうからくりか分からなくても、とにかく安かったんだと、千円だったんだ、今度は二千円になって、高いじゃないか、実はそれは補助金の部分があったりするということで。ただ、これまでの調査はできませんので、今はモデルケース、標準ケースについてをやっているということで、今自治体からの積み上げをやっておりますので、その数字、データを待っているというのが今の状況であります。
  38. 小林正夫

    小林正夫君 自治体厚生労働省としていろいろ調査を出してその集計をしていくということ、ここなんですよね。今大臣おっしゃいましたけど、それはいつごろまとまる見通しなんでしょうか。
  39. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 間違ったデータが来たりとか、いろんな精査する段階でもう一度お願いしたりというようなこともあったりしているということを事務方に聞いておりますので、できるだけ早くということで今作業を進めております。
  40. 小林正夫

    小林正夫君 更に大臣にお聞きをしたいと思います。  資料のナンバー三とナンバー四の関係です。これは老人医療費の財政負担の内訳、これを示した表であります。最後に付いている資料四の細かな数字の方は、これは私たち民主党議員厚生労働省に求めたところ、このような数字厚生労働省から出てきたものでございます。それを分かりやすくしたのが資料三で、老人医療費、老人負担、若年負担、公費負担、このように政府厚生労働省から出されてきた資料をここに特に書き出した、これは民主党が書き出してこういう表を作った、このようにこの表を見ていただければと思います。  そこで、端的にお伺いします。資料三の一番右、公費負担のところなんですが、旧制度後期高齢者医療制度、そして増減、書いてありますが、これは公費負担は減らすという制度、結局そのようになるということなんでしょうか、まずお聞きをいたします。
  41. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) なぜ公費負担が減ったということでありますけれども、一番大きいのは診療報酬の改定です。ですから、公費負担を減らすためにこの保険制度を入れたということではなくて、これは今のこの厚生労働省数字に基づいて出した。ただ、なぜそうなったかというと、一つは診療報酬改定ということがあります。それから、若い人たちの支援金、これの額の積算もあります。  ですから、はっきり申し上げておきたいことは、公費負担を減らしたいためにこの制度を入れたということでは全くございません。
  42. 小林正夫

    小林正夫君 結果として、この数字を見ると今私が言ったようなことになるのかなと、それは多くの国民はこのように受け止めていると思います。  そこで、昨日通告してありますのでお答えいただきたいんですが、公費負担、若い人の負担、お年寄りの老人の負担、それぞれ何%から何%に変化したんでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  43. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 公費負担の割合ということでございますけれども、まず老人保健制度におきましても後期高齢者医療制度におきましても医療給付費に対して原則五割の公費負担を行う仕組みには変わりはございません。  一方で、高齢者医療費を支える現役世代の医療保険者に対する公費負担の給付費に対する割合でございますけれども、十八年の改革時の試算におきましては、平成二十年度におきまして、仮に平成十八年度の診療報酬改定や健康保険法等の改正が行われなかった場合における国保や政管健保が支払う老人保健拠出金に対する公費負担の給付費に対する割合は一三%、これらの診療報酬改定や健康保険法等の改正が行われた場合におきましては、国保や政管健保からの後期高齢者支援金に対する公費負担の給付費に対する割合は約一〇%と、このように見込んでいたわけでございます。
  44. 小林正夫

    小林正夫君 もう一度質問します。  老人医療費に対してこのパーセンテージがどういうふうに変わったんですかという質問です。
  45. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 老人医療費に対すると申しましても、公費と六千二百億とまとめておられますけれども、この公費というのは老人医療あるいは後期高齢者医療の給付費に対する原則五割の公費とそれから拠出金や支援金に入っている公費と、この二つに区分されるわけでありまして、何と申しますか、そこは給付費に対する割合はただいま申し上げたとおりでありますし、医療費に対する割合といいますと分母が変わるので、今ちょっと手元に電卓ございませんので計算できませんが、形としては給付費に対する割合はこういうものでございます。
  46. 小林正夫

    小林正夫君 十分な回答が得られていないと、このように思います。  昨日の段階で通告して、こういうことについて明らかにしてくれと、こういう話をしてありまして、要は、多くの方はここも大変なポイントだと思っているものですから改めてお聞きをします。いかがですか。
  47. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 制度改正がなかった場合の公費の老人医療費に対する割合は四三%でございまして、これは制度があっても医療費に対する割合は四三%で変わりません。それから、老健拠出金の公費負担分を老人医療費で割りますと一二%、それから後期高齢者医療制度におきます支援金中の公費負担、これを後期高齢者医療費で割りますと九%になると。先ほど申しました、給付費に対しては一三%から一〇%に変化すると。これが老人医療費全体につきまして見ますと一二%から九%に下がると。同じ傾向が示されているわけでございます。
  48. 小林正夫

    小林正夫君 時間の関係もありますので次の質問に移りますけれども、年金からの天引きに関する質問をいたします。  まず、大臣にお聞きをいたしますけれども、四月二十五日の日に、「天引き免除伝わらず、自殺」という新聞報道がありました。その報道によりますと、母親を扶養していた子供が無理心中を図り、母親が亡くなり、本人が殺人容疑で逮捕された、こういう記事でありました。逮捕された子供は、後期高齢者医療制度保険料が天引きされ、生活が大変、このように話していて、また近所の人にも、介護のために仕事を辞めた後は母親の年金を生活費に充てていて、保険料の天引きでは生活が苦しいと、こう漏らしていた。保険料軽減措置が図られることが十分伝わっていなかったのではないか、こういう記事になっておりました。さらに、当該の市では免除対象者には個別にその旨を知らせるなどの対応を取っていなかった、こういう報道もありました。  そこで、まずお聞きをしたいんですが、二年間にどのぐらいの費用を使って国民皆さんにこの制度周知をしてきたんでしょうか。お聞きをいたします。
  49. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 制度周知に使った経費ということ、広報費用ということでございますけれども、全体を正確に算出することは難しいわけでありますけれども、事例で申し上げますと、新聞折り込み広告の制作及び配布につきまして三千六百万部、約二億五千万円、それからポスターの作成及び配布につきましては三十万部、百十三万円、リーフレットの作成及び配布につきましては七十万部で二百四十四万円でございます。  このほかに、各自治体でそれぞれ広報をされていると思いますけれども、その全体の額につきましては把握しておりません。
  50. 小林正夫

    小林正夫君 大臣、先ほど私が言った、新聞記事を紹介しましたけれども、このように自殺にまで追い込んでしまった状況だとか、周知が十分なされていなかった、こういうことに対して大臣はどのように受け止めているんでしょうか。
  51. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この事件、テレビ報道のときからずっと私も注目しております。それで、周辺にこういう方、こういうことをしゃべっていたよというのはありますけれども、具体的に本当にどういう原因であったかというのは一〇〇%私は分かっているわけではありませんけれども、少なくとも、この方はたしか免除の対象になっていたはずなんで、そういうことに周知徹底していなくて、仮にもそういうことが引き金でこういう不幸な事件が起こったということであれば、これはもう本当に周知徹底、国もそうですけど、自治体に対しても指導をし、きちんと反省してやっていかないといけないと思っております。
  52. 小林正夫

    小林正夫君 民主党発議者にも同じ質問をいたしますけれども、このように自殺まで追い込んだ状況、あるいは周知が十分されていなかったんじゃないか、こういうことに対して民主党はどのように受け止めているでしょうか。
  53. 大塚耕平

    委員以外の議員大塚耕平君) やはり明らかに周知徹底政府の責務を果たしていなかったというふうに思います。  加えて、今大臣が御答弁になりましたが、先ほどの大変不幸な事例について、もし周知徹底がなされていない、免除対象に入っていたということを知らなかったということでこういうことが起きたとすれば大変残念だというような御発言がありましたが、その考え方は言ってみれば行政の不作為責任とも言えるものでございますので、大変ゆゆしき事態だというふうに思っております。
  54. 小林正夫

    小林正夫君 さらに、年金の天引き関係で質問を続けます。  政府参考人にお聞きをしますけれども、四月十五日の一回目の年金の天引きが終わった後の報道によりますと、後期高齢者医療制度に伴う保険料の天引きで、百三十九の市区町村で保険料の徴収金額の間違え、保険料の免除者から誤って徴収した、こういう誤りがあったと報道されておりますけれども、このことは事実なんでしょうか。事実ならば、どのような事例がどの自治体で生じたのか、報告を願いたいと思います。
  55. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 一部の自治体で、御指摘のとおり、特別徴収対象者以外から保険料を徴収したケースでありますとか保険料の算定を誤ったケース、過大徴収又は過少徴収ということがございました。ただ、その際には、市区町村におきまして、あらかじめ本人に連絡しておわびをした上で還付する、あるいは次回以降の徴収額により調整する手続を行っているところでございます。  お尋ねの、どのような事例がどの自治体で生じたのかといった詳細な内容あるいは件数等につきましては、都道府県に対して調査をお願いしたところでございまして、現在、取りまとめを行っているところでございます。
  56. 小林正夫

    小林正夫君 二回目の年金天引きが今月の六月の十三日に来ますよ。それで、今の御回答ですと、まだ自治体調査をしているということなんですが、今度の六月の十三日の二回目の天引きではこのような問題点というのは一〇〇%解決するんですか。
  57. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) システムで動かしているものでございますので、誤りを、訂正が間に合ったところはできますけれども、その他のところにつきましては、内容的には把握をしておりますので、直接御説明をするようにと、このような指導をしているところでございます。
  58. 小林正夫

    小林正夫君 先ほども言ったように、何しろ拙速にこの医療制度を始めちゃったものだから、いろんな今言ったような不都合がもう生じていると。それを手直しをしようと思っても、簡単に直るものじゃありませんから時間が掛かる。だから、六月十三日の二回目の天引きでも多分こんなような混乱が起きるんじゃないかというふうに今の答弁を聞いて私は思いました。  そこで、発議者にお聞きをしたいんですけれども保険料を年金から天引きすることは遅くとも今年の十月一日までに廃止をすると、こういう法案になっておりますけれども、今言ったように、その間に、六月十三日と八月十五日と二回の年金の振り込みが来ます。それで、保険料が天引きされるんですが、今言ったように、一回目に生じたいろんな問題点は六月の十三日までには解決するのはなかなか難しいなと私は今答弁を聞いてそのように思いましたけれども廃止法案を出した、そして早い時期に廃止をする、このことは、十月一日じゃなくてもっと早く廃止をしたいと、こういう意図だと思うんですが、具体的にはどの辺を目途にして廃止をしたいと考えているのか、お聞きをいたします。
  59. 大塚耕平

    委員以外の議員大塚耕平君) 私ども法案では、遅くとも十月の一日までに負担が上がった方々に対しては軽減措置をとるとともに、来年の四月一日には制度として廃止をするというふうに規定をしております。  しかし、今御下問のありました間違った金額で天引きをなされているようなことは、この法案内容にかかわらず、可能な限り六月十三日まですべて解決すべきだと思っておりますし、六月十三日にできなければ次の目標は八月の十五日、このように取り運んでいただきたいということを付言させていただきます。
  60. 小林正夫

    小林正夫君 引き続き発議者にお伺いをいたします。  天引きについては、未納者が減ることや、納めに行かなくてもよいので天引きを希望する人も私はいると思います。今回の法案ですと、一律に天引きすることの廃止を求めていますが、今回の年金からの保険料天引きについては一部では隠れ増税的なものの要素があるんじゃないか、こういうことも指摘をされておりますけれども、どのような問題点があったとしているんでしょうか。また、天引きを希望する人たちにはどのように対処していくという考えをお持ちなのか、お聞きをしたいと思います。
  61. 大塚耕平

    委員以外の議員大塚耕平君) 二点、御質問をいただきました。  まず、一点目の隠れ増税ということでございますが、これは例えば高齢の御両親の保険料負担される現役層の皆さんが、これは後期高齢者医療制度の下においては、息子さんや娘さんが御負担になっても高齢の御両親本人が払ったとみなされるということで控除の対象にならないことから、息子さんや娘さん、つまり現役層が事実上の増税になるという問題点がございます。したがって、言ってみれば親孝行をしたい、御両親の保険料負担したいと思うと増税になるという意味では、親孝行禁止制度とも言えるような問題点を含んでいるというふうに思っております。  それから、二点目の天引きを希望されない方にはやはり普通徴収の方法を認めるべきであると、やはりそこは納付されるお立場の方々の希望を反映する行政システムにするべきだというふうに考えております。
  62. 小林正夫

    小林正夫君 そこで、今日は財務省から来ていただきました。  今、大塚議員の方から今回の天引きに対する問題点が一部お話をされましたけれども、お聞きをしたいのは、後期高齢者医療制度保険料について、年金からの特別徴収の方法により徴収された場合と普通徴収の方法で窓口で納付した場合の社会保険料の控除の適用はどうなるんでしょうか。
  63. 荒井英夫

    政府参考人(荒井英夫君) お答えいたします。  一般論として申し上げれば、居住者が各年において自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額を、その支払った居住者のその年分の総所得金額等から控除することとされております。  長寿医療制度保険料につきまして、年金から特別徴収の方法により徴収された場合には、特別徴収される保険料は年金受給者自身が支払っているものであることから、その保険料の金額をその受給者のその年分の総所得金額等から社会保険料控除として控除することとなります。  他方、その保険料につきまして窓口で納付するなど、いわゆる普通徴収の方法により徴収された場合には、その保険料を自己又は自己と生計を一にする配偶者その他親族の負担すべき社会保険料として支払った者について、その支払った保険料の金額をその者のその年分の総所得金額等から社会保険料控除として控除することとなります。
  64. 小林正夫

    小林正夫君 専門的なことで、さっと聞いて一〇〇%なかなか理解できないんですが、厚生労働省にお聞きをしますけれども、仮に今行っている年金を天引きするということをやめて自分が窓口にお金を払いに行きますと、こういうふうに変えた場合に、その社会保険料控除の適用はどうなるのか。あるいは、七十五歳以上の自分の母、父の保険料を従来どおり息子が負担をして払うと、こういう場合をしたときに、先ほど大塚議員がおっしゃったようなそういう問題点は解消されるんじゃないかと思いますけど、この辺はいかがですか。
  65. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) まず、支払者がだれかによって社会保険料控除の適用はだれにされるかということが決まってくるわけでございまして、それ自体は税制上の取扱いでございますので、選択制にするか否かにかかわらず保険料の支払の実態に応じて判断されるという意味で変わるものではございません。したがって、まさにだれが払っているのかということでだれに社会保険料控除が適用されるかということが決まってくるということでございます。
  66. 小林正夫

    小林正夫君 発議者にお聞きをいたします。  後期高齢者医療制度については、二年前に強行採決をして、与党の内部からも廃止を求める声が上がっています。要は、二年前に強行採決をした与党の方からも廃止を求める声が現在上がっているというふうに思います。そして与党の中でも、うば捨て山以外の何物でもない、七十五歳以上の人だけで医療保険制度を維持しようとしても行き詰まる、制度に欠陥がある、こういう発言もされております。このような与党内部からの声や、自分たちが強行採決をしてまでも決めた制度を、制度スタート前に均等割の凍結を決めたり、あるいは制度が動き始めてから今日で約二か月が経過しますけれども、この一か月過ぎぐらいから見直しをしなければいけないと、そのための作業が行われている。  冒頭示しましたこの資料の一、まさに制度をスタートしてみたけれども、更に下に書いてある報道ベースによるこういう見直しをしなきゃいけないこういう制度だった、こういうふうに私は思いますけれども民主党はこのことをどう受け止めているんでしょうか。お聞きをいたします。
  67. 大塚耕平

    委員以外の議員大塚耕平君) やはり制度として検討が、及び準備が不十分であったというふうに私たちも認識しておりますので、この制度はいったん廃止して、もう一度ゼロベースから議論をするべきものと認識しております。
  68. 小林正夫

    小林正夫君 私は、今回の混乱を招いた最大の問題は二年前の拙速な制度の導入の決定だと思います。もう一度基本に、根本に立ち返って検討すべきだと私も思います。政府与党は小手先の見直しで対応しようとしておりますけれども、大本の思想や理念に問題があるのでは幾ら修正しても限界があります。廃止をして元に戻すことが最善の策であるということを申し上げ、私の質問を終わります。  以上です。
  69. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 民主党津田弥太郎であります。  私も小林委員同様に、法案提出者に対する質問のみならず、これだけ大きな問題がある後期高齢者医療制度を今日まで推し進め、更に今後も維持しようとされている政府に対しても質問をさせていただきたいと思います。  最初にこれを見てください。(資料提示)私の出身母体であるJAMというんですが、バターじゃありません、ジャムですが、仲間から緊急に後期高齢者医療制度廃止を求める署名活動で集まった、今日に間に合わせるために非常にスピードアップして集めてくれた五万二千名の廃止を求める署名でございます。  これだけ多くの皆さんがこの後期高齢者医療制度に怒っている、そしてこの制度を一日も早く廃止をしてほしいというふうに切実に求めているわけでありまして、私はこの声を代弁する立場で今日はまず大臣に、この署名について、これだけ集まっているということについてどのような受け止め方をされているか、大臣、御感想を。
  70. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この制度が始まりまして様々な御批判、御意見を賜っております。今委員がお示しになった署名も含めて、そういう御批判に対して謙虚に受け止め、しかるべき対策を取るべきだと、そういうふうに考えております。
  71. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 私自身も含めて、昨年七月の参議院選挙以降、民主党国会議員は直近の国政選挙の民意という言い方を度々してまいりました。そのたびに、郵政選挙で示されたその民意を背景にしている与党皆さんは、非常に嫌な顔を本当にされていたわけであります。しかし、四月末の山口二区の補欠選挙の開票結果、それから最近のマスコミの支持率等を見てみますと、現在の直近の民意というのは、昨年七月に示された直近の国政選挙の民意よりも一層政府与党に厳しいものになっているわけであります。そして、その大きな原因がこの後期高齢者医療制度、これが大きな原因の一つになっているわけでありまして、大臣はこのことをしっかり肝に銘じるべきであるというふうに思います。  私もいろんな署名活動をこれまでやってきましたが、これほど短期間にこれだけの数が集まるというのは、私の出身組織では珍しいくらいなんですね。いかにこの反発が強いかということでありまして、この署名簿を私は早速参議院の請願課に昼休みに届けたいなというふうに思っているわけでございます。  発議者を代表して、是非、廃止法案の成立に向けた決意というものを大塚議員の方からお願いできますか。
  72. 大塚耕平

    委員以外の議員大塚耕平君) 廃止に向けて決意をということでございますが、私どもは、より良い医療制度をつくり、国民皆様方に少しでも安心をしていただきたいというふうに思っておりますので、この委員会においてできるだけ速やかにこの法案可決をしていただきまして、その後、衆議院でも与党皆さんの御賛同を得てこの制度廃止をさせていただきたいというふうに思っております。
  73. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 それでは、具体的な御質問をさせていただきたいというふうに思います。  一つ、私がどうしてもこだわりのある点が一つあります。それは、この後期高齢者終末期相談支援料についてであります。私は、この終末期医療の在り方、これについて国民的な議論を積極的に行っていく、このことについては否定するものではございません。  例えばここに、五年前にドラマ化をされた「ブラックジャックによろしく」という漫画なんですけれども、映画化もされました。大臣、まだこの本読んでいないですよね。後で届けますから是非見ていただきたいと思うんですが、この登場人物のせりふで、医療財政の観点から終末期医療について問題提起がされているんですよ。こういう漫画なんですが、雑誌モーニングというところで去年まで連載をされておりまして、この読者層というのは大体二十代から三十代、四十代、こういう人たちが見ているという調査が上がっているわけであります。ここに書かれております財政上の観点の評価ということは別にして、こういう年齢人たち終末期医療の在り方を考えてもらうということに私は意味があるというふうに思うわけであります。  この問題は、そもそも命とは何か、あるいは死とは何かといった根本的な命題にもつながってくるわけでありまして、議論すること自体非常に難しい面があることは確かであります。しかし、我々国会議員はこうした問題を避けてはならないわけでありまして、冷静に議論を行っていく必要がある、そうした責任を持っている者であるというふうに私は理解をしているわけでありまして、終末期医療そのものについての私の立場は今申し上げましたとおりであります。  今回の診療報酬改定によって導入されたのは、まさに死が身近になってきた状況の人に特化した具体策であります、七十五歳以上ということでありますから。御本人や御家族が終末期医療の在り方について十分な理解をされていない状況だと思うんです。我々国会議員だって議論を十分していない。こうした具体策が先行してしまうことによって、書面の作成は患者の自由な意思に基づいて行われるというふうにされていましても、弱い立場の患者サイドからは、ともすれば医療の打切りを強要しているんではないかというふうに受け取られかねない、そういう指摘がされているわけであります。  そこで、鳴り物入りで導入されたこの制度について、既に二か月以上が経過をしたわけでありますから、現時点においてこの利用実績について御報告をしてください。
  74. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) お答えいたします。  後期高齢者終末期相談支援料の算定実績についてでございますけれども、これにつきましては現在のところ把握してございません。  なお、算定実績につきましては、毎年六月に診療報酬の各項目の算定状況につきまして調査実施する社会医療診療行為別調査によって把握する予定でございます。また、この支援料を含めました後期高齢者の診療報酬につきまして、中央社会保険医療協議会におきまして導入後の状況について検証を行うことになってございまして、その中で実態を別途把握することを含めて検討することとなってございます。
  75. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 おかしいですよ。これだけ問題になっているのに、何一つ実績が分からない。  例えば国立病院の場合は、根拠法となる独立行政法人国立病院機構法にこういうふうに書いてあるんですよ。医療の提供、医療に関する調査及び研究並びに技術者の研修等の業務を行うことにより云々というふうに書かれているわけです。これ、厚生労働省の意向に最も忠実にのっとって医療を行っているんでしょうから、少なくとも国立病院ぐらいは、すぐぱっと聞いてどういう状況か分かるはずですよ。  大臣、これ、今回のこの後期高齢者医療制度の目玉の一つですよ。このことについては、既に二か月経過していて何も分からない、国立病院がどうなっているかも、今何も答えられなかったです、水田さん。どうなんですか。
  76. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今月、全般的な調査をやりますので、その過程できちんとその実態調査したいと思いますが、この制度につきましては、先般、森ゆうこ委員といい議論ができたと思っています。私は森さんと全く考えは同じでありますし、津田弥太郎委員とも全く同じで、今、それを是非、御本を後でお見せいただきたいんですが、やっぱり全国民的に、二十代、三十代からこういうのは考えるべきだと思います。  まさに、後期高齢者だけに入れたことが逆の、もうむしろタブーにしちゃうという、こういう危険性があると思いますので、その改善策といたしまして、今私の直属の下にこのターミナルケア、そういうものについてきちんと議論する国民的な会議をつくるべく今人選を進めているところであります。そして、そういう会議に今の調査内容をきちんと報告をさせて、必要であれば必要な調査をし、そしてこの問題にきちんと対応しないといけません。  ただ、中医協に私が諮問し、中医協の意見を聞くことが前提となっておりますので、そういう必要な手続を踏みながら、そして今日のこの貴重な、津田委員、そして先般の森委員の御意向もきちんとしんしゃくしながら、国民に御理解いただける、そして国民全体に広げられるような、この後期高齢者だけではなくて、今言った国民全体に広げられるようなターミナルケアの形を取っていきたいと、そういうふうに今思っております。
  77. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 大臣、多少よいしょしていただいて有り難いんですが、事務方の方は中医協任せにしているんですよ。大臣はこれから人選をされるとおっしゃっているかもしれない。しかし、私が今指摘したように国立病院ぐらいはすぐ分かってもおかしくないんですよ。そんなのは問い合わせをすればすぐ分かることですよ。何千も電話するわけじゃないんですよ。そういうことからすぐ始めるというのは、大臣、人選をする以前に事務方に指示をしていただけばできると思うんですよ。これ、指示していただきたいと思います。
  78. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 指示はやりますが、そうすると、またあの大臣がこの忙しいのにまた余分な、さっきの市町村の、必ず反論が来ます。しかしながら、これはやはり議論の前提として、国立病院だけでも早急に調査をしてみたいと思います。
  79. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 しっかりお願いします。  そこで、高齢者医療制度廃止法案が出ているわけでありまして、この件につきまして政府参考人にお聞きをしたいというふうに思います。  この廃止法案が成立をいたしますと、旧老人保健制度へと高齢者医療制度は戻っていくわけであります。その場合、当然に法律に基づいた行政を厚生労働省は行うことになります。そこで、厚生労働省にそのための費用、これらについて数点お尋ねをしたいというふうに思います。  まず、その前に、旧老人保健制度から後期高齢者医療制度へと移行したことに伴って発生した事務負担、これは制度周知徹底のための費用も含まれると思いますし、新しい保険証などの費用も含まれると思います。これが幾らだったか。それから、人件費に掛かる費用、これらは幾らだったのか。国、それから地方公共団体、各保険者などに分けてそれぞれお答えください。
  80. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今の詳しい、どの事務に幾ら費用掛かったかということにつきましては、事前に通告をいただいておりませんでしたので答弁する用意はございませんけれども、私の記憶によりますと、後期高齢者導入の際にシステムの改修に必要な経費といたしまして、国の予算計上は約三百二十億円だったということはございますが、その他の経費につきましては現在お答えする準備はございません。
  81. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 三百二十億円が総額、その内訳。
  82. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) ただいま申し上げましたように、システム改修に要する経費として三百二十億円が国の予算に計上されているということでございます。
  83. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 その他の費用、今私が申し上げたような人件費だとか様々なその他の費用についてお答えください。
  84. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) その点につきましては事前に通告をいただいておりませんので、お答えする用意はございません。
  85. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 これ、私の方から、後期高齢者医療制度導入の際に掛かったコスト、項目別に国、地方自治体保険者等に分けて答弁をしてくださいというのを通告してあるんですよ。そんなばかな話はないよ。速記止めてください。
  86. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) それにつきましては、コストの集計も行われておりませんので、お答えする準備がございません。
  87. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 例えば、委員保険証を変えますね。そうすると、前の保険証をお戻しくださいという請求を出さないといけません。そうすると、それははがき代とか切手代が掛かります。これ、各市町村がじゃそれに幾らというのを全部出していただければ、それを集計してできます。  それで、市町村によっては細かくそういうのを取っている方もおられると思う。それから、人件費でも、職員さんがエキストラで、特別そのためだけに採用したというのが個別に分かればそうなんですが、積算の項目として明確に出ますのは、新しい改修システム費は出るんですけど、特に地方自治体の今言った細々とした作業の切手代とかなんとかいう数字がございませんので、そういう意味で細かい積算ができないということでございます。
  88. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 通告をしてあるので、できれば数字をきちっと出していただきたいと思うんですが、もう一度政府参考人の方で答弁できませんか。
  89. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) ただいま大臣から御答弁をさせていただきましたとおり、今の委員の御質問に答えるためには市町村に対してまたこれも調査を掛けないとなりません。広域連合をそもそも設立をしたということもございます。システムを導入した、あるいは様々な保険料算定に必要となる住基情報、所得情報の整理、あるいは保険料率を決定する事務、あるいは賦課額の算定、被保険者証の発行、送付、広報と、こういった様々なことがございますので、これにつきまして個別に集計するということは行っておらないということでございます。
  90. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 地方自治体のことは分かりました。  じゃ、国の方だけすべての経費について数字を報告してください。
  91. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 先ほど申しましたように、システムの経費につきましては三百二十億円と、システム改修に必要な費用で国の予算に計上しているものが三百二十億円でございます。それから、広報につきまして、先ほどお答えいたしましたように、例えば新聞折り込み広告の制作及び配布につきまして約二億五千万円を使ったと、あるいはポスターの作成に百十三万円、リーフレットの作成に二百四十四万円と、このような経費を使ったということがございます。  ただ、現実に、この法改正に携わった者の人件費をそれじゃどうやって出すのかということは、これはまたいろいろな仮定を置かなきゃできないわけでありますし、どこまでその必要があるのかと思います。そういうわけで、どこまでお答えしなきゃならないのか、もう少し明らかにしていただきたいと思います。
  92. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 ちゃんと通告しているんだから、聞いていないとかそういうふらちなことは言わぬでくださいよ。きちっと反省しているとちゃんと言って。
  93. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 失礼しました。ちょっと誤解をいたしておりましたけれども、通告といいますか、質問を取るときにそういう数字はないというお答えをしたということでそれは終わったものと理解を私はしておりました。それがもしも通告がないということと私が誤解したものであるといたしましたらば、それは遺憾に思います。
  94. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 事前に通告をしていることについて、私の方からさっき言ったように、きちんと申し上げているわけ。そのことについてこういう答弁では納得できないですよ。きちっと言ってください、委員長
  95. 岩本司

    委員長岩本司君) 水田局長、通告をしておりますので、簡潔に的確に御答弁いただけませんでしょうか。これ以上は無理であれば筆頭間でお話ししていただいて、いったん速記止めていただきますけど、御答弁できますか。
  96. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) コストについての質問通告があったのは事実でございますけれども質問通告と申しますか、お尋ね質問取りの際にあったのは事実でございますけれども、そのときに、そういうお答えする準備はないということをお答えさせていただいて、それをもって私は質問通告がなくなったと思っておりましたけれども、これが誤解であったという御指摘であれば、それはそのとおり受け止めさせていただきます。  なお、コストについてお答えする準備は、今ほど申し上げましたとおり、そういった数字は持ち合わせておりません。
  97. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いろいろ御迷惑をお掛けし、質問についてきちんと理解をしていなかったことは私の方からもおわびを申し上げます。  きちんとこういうことについては正確に答える。そして、私が先ほど例を引きましたように、市町村の例えば切手代、こういうのは積算できないからできないんだというような形で、国会のやっぱり審議というのは国権の最高機関のやるところでありますので、今後、全職員に対してきちんと指導をしてまいりたいと思います。
  98. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 それじゃ、次の質問に移らせていただきます。  最初の質問で、システム費ということについては金額がお答えになりました。今度は逆に、この後期高齢者医療制度から旧老人保健制度に戻す場合にどのような事務が発生するか、事務、金額じゃありませんよ、考えられるものを列挙してください。
  99. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 長寿医療制度を改正して再び老人保健制度に戻すということでございますけれども、国におきましては、必要な法令等の整備が必要になります。また、地方自治体におきましては、広域連合の解散の手続、それから広域連合が保有する財産、それから被保険者個人情報等の処分、それから被保険者が再び国保、被用者保険へ加入するために必要な移行手続、被保険者証の返還請求、それから市区町村が老人保健制度を運営するために必要なシステムの改修、そして制度変更周知広報、相談窓口の設置などが考えられます。  また、国民健康保険者、市町村及び被用者保険保険者におきましては、長寿医療制度保険者の各医療保険への再加入手続といった事務手続が発生すると考えられます。
  100. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 それでは、今おっしゃった様々な事務が発生するわけですが、地方のことは分からないということであるならば、国の方で今おっしゃったような事務がどのぐらいの費用、どのぐらいを見込まれると思いますか、お答えください。
  101. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 先ほど申しましたように、国が直接に行うべき事務は必要な法令等の整備でありますので、何と申しますか、これは必要な職員の人件費等になろうかと思います。
  102. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 それでは、地方について、先ほどはお答えにならない部分がありましたが、私の質問通告では入っておりますのでお聞きをさせていただきます。いかがですか。
  103. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) それらの事務を行うに必要な経費につきましては、これも広域連合なり、当然システムの改修なりが多額の経費が掛かると思いますけれども、幾らということは今の時点でお答えする準備はございません。
  104. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 分からないことばっかり。  それでは、今年の四月から、医療保険及び介護保険の自己負担の合計額が一定額を超えた場合に負担軽減する仕組みが設けられているわけであります。  そこで、政府参考人にお伺いをしたいんですが、本日議題となっております廃止法案が成立をした場合に、この仕組みの対象から外れるのはどのような類型のものでしょうか。
  105. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) ただいま御指摘のありました高額医療・高額介護合算制度につきましては、医療保険各法、それから高齢者医療の確保に関する法律並びに介護保険法の各法律の規定に基づきまして、各制度において受けた給付に係る自己負担額につきまして、それぞれ高額介護合算療養費等を支給し、その負担軽減を図ると、このような仕組みでございます。  旧老人保健法におきましては、高額医療・高額介護合算制度に係る規定が存在しなかったために、廃止法案によりますと、老人保健制度において給付を受けた七十五歳以上の高齢者等については、当該給付について発生した自己負担に係る高額介護合算療養費が支給されないこととなると考えられます。その結果、介護と合わせた自己負担額が高額となる場合であっても、七十五歳未満の方は高額医療・高額介護合算制度による自己負担軽減がなされますが、七十五歳以上の高齢者につきましては軽減がなされないと、こういった仕組みになると思います。
  106. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 それでは、後期高齢者医療制度の世帯において介護保険受給者が存在しているのはおよそ何世帯でしょうか。
  107. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 介護保険の七十五歳以上の受給者の数ということではお答えできますが、約三百万人ということでございます。ちょっと今世帯の数というのは手元にございませんが、人数で三百万人ということでございます。
  108. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 それでは、この合算によって負担額が軽減されるのは何人なんですか。
  109. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今お尋ねのその合算に係るデータについてでございますけれども、この新しい制度平成二十年四月一日から平成二十一年七月三十一日までの間、これが初年度の計算期間でございます。この状況を踏まえまして支給が始まるということになってございますので、具体的に対象となる世帯数や金額につきましては、これから発生するものでございますので、今は分かりません。
  110. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 分かりました。  そうすると、私通告しているんですよ。答えられないとは事前には言っていないんで、局長、まじめに答えてほしいんだけど、何人か分からないというふうにおっしゃるんだけど、次の質問は、この負担額の総額は幾らというのを私は聞くことになっているんだけど。答えてくださいよ、まじめに、通告出しているんだから。
  111. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 合算によって軽減が見込まれる負担額総額ということでございますけれども、これは、先ほど申しましたように、まさにこの二十年四月一日から二十一年七月三十一日までの間の状況を踏まえて実態が分かってくるものでございますので、現時点でお答えすることは困難でございます。
  112. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 そういうことだそうです。  それで、小林委員の方で幾つ質問をされた点の中で、今厚生労働省で五月十九日を締切りにした長寿医療制度の創設に伴う保険料額の変化に関する調査を行っているということでありました。この厚労省のアンケートを見ますと、モデルとなる年金収入は七十九万、二百一万、四百万の三通りだけでありまして、それぞれが前後何万円の幅、さっき二百一万で二百万は入る入らないという話がありましたが、この前後何万円の幅で保険料の増減を推定する根拠として用いることができているのか、お聞きをします。
  113. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 前後何万円の幅という概念はよく分かりませんが、七十九万円というライン、それから厚生年金の二百一万のライン、それからもう一つ高額のラインとモデル世帯にしまして、それはそれぞれ、単身、それから夫婦、それから三世代のケースと、こういったケースを設けまして、それに私どもの持っております所得分布というものを合わせまして推計をしていこうということでございます。
  114. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 これ、保険料がどうなるかということのために緊急に調査をしているわけですよ。だから、どのくらいカバーしているのかというのが全然分からないと、一つケースとしてやっているだけだと。これはどのぐらいカバーするか分からなくて、その結果を我々は受け止めるわけにいかないですよ。どのぐらいカバーするんですか、この七十九万、二百一万、四百万というのは。考えを言ってくださいよ、今日、水田さんの。
  115. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) それにつきましては調査結果を発表する際に詳細につきましてお答えをしたいと思いますけれども、今回の調査におきましては、七十五歳以上の被保険者が属する様々な世帯で代表的と考えられるモデル世帯につきまして、市町村の作業負担を勘案しながら全市町村を対象調査をしたものでございます。モデル設定、先ほど言いましたとおり、七十五歳以上の方がいる世帯の世帯構成を国民健康保険実態調査のデータで見ますと、単身世帯と夫婦二人世帯とでおおむね全体の七割程度を占めております。これに更に三人以上の世帯の典型的なモデルとして七十五歳以上の方一人と子供夫婦の世帯を加えることでおおむね代表的な世帯をモデル設定することができていると、このように考えております。
  116. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 今おっしゃいました、そうすると水田さん、七十五歳以上の後期高齢者全体の何%今回のこの調査によって保険料の推移を確かめることができるんですか、何%。
  117. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 何%というのには私今お答えする準備はございませんけれども、所得階層別の人口の把握というのはできておりますし、モデルを置いてその間を、何と申しますか、全体図を把握するために、全体図を推計をしていこうということでございますので、結果としては全体をカバーするものだと考えております。
  118. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 保険料が、大臣がさっき小林委員質問のときに官房長官が悪いんだという話をされたわけですよ。七割か八割云々という話ですね。これ重要なところなんですよ。それで、この今回の調査というものが後期高齢者のどのぐらいをカバーしているものなのか。それによって本当にその七割、八割というのはどういう意味を持っているのか、市町村の数で言っているのか、それとも後期高齢者人数の割合でおっしゃっているのか、そこは大変重要なところなんです。  私、大臣に、町村さんのせいにされたから町村さんに聞いた方がいいかもしらぬけれども大臣が非公式のときにおっしゃったのは、この七割、八割というのは人数じゃないでしょう、これはあくまでも市町村の数でおっしゃっているんですよね。もう一度おっしゃってください。
  119. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) お答えします。  七割、八割というのは、今おっしゃったように、この四つの算定方式を取って、その市町村の数で言うと七割、八割というのは一番多い試算方式で、これをモデル世帯で単純に仮に試算すると安くなると、そういうことを申し上げたわけであります。
  120. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 分かりました。  残り時間があともう少しになってまいりました。  私は、この老人保健制度がベストな制度であるというふうには思っておらないんです。一番抜本的な解決策、先ほど冒頭大臣もおっしゃっておりました一つ制度として、解決策として年齢にかかわらず同一の保険制度をつくっていく、私は、私自身はこれしかないのではないかというふうに思っているわけでありまして、この制度で今極めて大きな問題となっております世代間のリスク構造調整の問題が根本的に解決することになるのではないかと、こういうふうに私は思っているわけであります。  つまり今は、若い世代から年寄りに金をあげるとか、やり過ぎだとか、何でそんなに使うんだとか、そういう極めてこれは理不尽な議論がされている。これは保険制度が分かれているから、さらにまた後期高齢者なんというのをつくるからこういうことになるわけであって、本質的には同一の保険制度にしていくということが私は大変重要ではないかというふうに思うんですが、大臣冒頭もちょっとおっしゃっていましたが、私のこの主張に対してもう一度見解をお述べください。
  121. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 医療保険の一元化、これはやっぱり一つ考え方として十分検討に値すると思いますが、問題点もやっぱりあるのは、例えば所得の捕捉、これをサラリーマンのように一〇〇%捕捉できるのと、自営業者、この捕捉率がどうかという問題があります。それから、事業主、会社の経営者、こういう方々負担をどうするのかと、この問題もあります。  それから、保険者が一元化されることのプラスもありますが、逆にこれが一元化されると、例えば非常に努力をしていて、JAMの一つの会社が非常に努力されている、そこの大きな会社が保険をやっておられる。そうすると、例えば福利厚生施設なんかできめの細かい還元ができるわけですね、被保険者に対して。それがある意味でできなくなって、恐らく優秀な保険者から見ると、何でああいう優秀でない人たちのために自分たちの持ち出しが来るのかという不安もあります。こういうことについてやっぱりきちんと国民的な議論をして、世代間のリスクの調整、地域間の調整。  それともう一つ委員、単位を国全体にするか、それから地域、地域といっても市町村か都道府県。やっぱり市町村単位で破綻を来しつつあるので今度広域連合で、事実上都道府県となっていますので、逆にそうすると、都道府県の格差を考えるとそれでも小さ過ぎるかもしれない、そうすると道州制のような考え方になるのか。  こういうことは、委員の問題提起も受けて、きちんと国民的な議論をして答えを出したいと思っております。
  122. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 そこで、現在の後期高齢者医療制度においても五〇%を超える公費が投入をされているわけであります。しかし、当然ながらこの公費の元は税金、これはもう間違いない。この税金の徴収の際に年齢によって区分をしているわけじゃないわけです、税金の徴収の際に。若者に幾ら使われてお年寄りに幾ら使われているなどの対立的な概念でこの税金というものはとらえられているわけではないわけであります。つまり、なぜ高齢者医療についてのみそうした対立概念を持ち込むのか、保険料においても年齢の区分がされること自体が私はおかしいというふうに考えます。  今大臣も少しおっしゃい始めました、地域で助け合う、このことは地方分権の流れにも合致することであるというふうに思うわけであります。そうすると、私は、年金と同じで、雇用も流動化しています、大企業も中小企業も自営業も区別しない、正規も非正規もない、だれもが同じ公的医療保険制度の一員となる、このことが大変大切ではないのか。  その場合に、今大臣もおっしゃいました、全国一本だと保険者機能が適切に働かない可能性があるんじゃないか、懸念があるんじゃないか。その意味では、保険者機能が発揮されるためには、医療提供体制を計画する範囲と保険がカバーする範囲が同一である、すなわち健康生活圏とか健康医療圏、今道州制のこともおっしゃいました、あるいは都道府県、そういう範囲にあることが望ましいのではないか。  国民保険制度というのは、数ある制度のどれかに入っていればよいということではなくて、有利不利のない形でだれもが同じ公的保険制度に加入をするということ、そのことが国民保険制度の理念に最も忠実な制度設計になってくるんではないかというふうに私は考えるわけです。  大臣、この地域保険の一元化ということについていろいろありますよ。クリアしなければいけない課題があると思うんです。これ、今、先ほどもちょっとおっしゃいましたけれども、もう一度このことに向けて進めていくためにはどんな課題があるか述べてください。
  123. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まず、要するに所得の捕捉をどうするか、サラリーマンと自営業者について。それから、要するにシステムを単純にするというのは非常にメリットがあるんですけれども、その反面きめの細かい対応ができない。ですから、いろんな形で軽減措置をやったりいろんなことをやっていることはシステムを複雑化させていることがあります。そういうことを全部捨象してしまっていいのかということと、事業主の負担についてどうするのか、これは年金なんかにおいては特に大きな問題であります。それに今申し上げました保険者の機動的なきめの細かい動きができるか、こういう問題を超えて一つ検討課題として国民的な議論が必要だと思っております。
  124. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 今答弁していただいた課題については同じ意識を持っています。事業主の問題は確かにあるだろうと思います。是非、事業主についてどういう対応が今後必要になってくるかということについては大臣も多分お考えがあるだろうと思うんですが、例えばどんなことを考えられますか。
  125. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私は、事業主の社会的責任というのはあると思いますから、例えばそれを事業主の社会的責任というのを税法上で何らかの形にできないかと。それは例えば法人税とか法人住民税、法人事業税、こういう法人税についてその中で解決するというのも一つであろうと思います。いろんな案があると思いますんで、税制改正論議、そして総理の下にあります社会保障国民会議でまさにこういうことこそ議論すべきだというふうに思っております。
  126. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 分かりました。  今おっしゃったことに加えて、やや細かい問題を含めれば扶養家族の取扱い、あるいは現行の保険者の有する財産の帰属の問題、こういうものもあるわけですが、これ、その多くは年金の一元化、これもこの委員会議論していかなければいけない課題になっておるわけですが、非常に共通した課題ではないかというふうに思うわけであります。  また、所得捕捉の体制について、私どもは納税者番号とかあるいは社会保障番号の導入、あるいは扶養家族の問題については世帯から個人への移行ということを考えておるわけで、そういうことも是非検討の中に加えていただければいいのではないかなというふうに思うわけであります。  年金の場合には、過去に支払った保険料の扱いをどうするかで新制度への移行に非常に時間が掛かる、こういうことが考えられるわけでありますが、医療保険の場合はそうした問題は発生しないんですね。ですから、舛添大臣がリーダーシップを発揮をすれば、移行期間は私は極めて短く、制度改変は十分に可能ではないか、ちなみに五年プラスアルファぐらいでできるんではないか、工程表は作れるんじゃないかというふうに考えるわけであります。  こういう抜本改革は党派を超えて行わなければならないものだというふうに考えますし、長期的な制度ということだけではなく、現実の問題としてこれは大臣政府部内で是非検討していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  127. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 政府部内ではもちろんですし、社会保障国民会議の下には連合の会長さんも入っておられますんで、経済界の代表もおられる、そういうところできちんと議論をしたいと思っています。やはり国民保険をどうして守るのか、そしてできるだけ透明性、そしてできれば簡潔、公平中立的な、そういうような保険制度の確立を目指して努力してまいりたいと思います。
  128. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 時間がなくなってまいりました。論語の言葉に、過ちては改むるにはばかることなかれ、過ちては改むるにはばかることなかれという、今回のこの後期高齢者医療制度廃止法案というのは、まさにそういう形で出てきていることだというふうに思うわけであります。  私は、国権の最高機関である国会において、とりわけ良識の府である参議院がこの言葉を実践する、このことが極めて大きな意味があるというふうに考えますし、もちろん二年前の制度導入の際に政府の一員であった方や与党の役員であった方ほど、今更自分自身の非を認められない、そうしたプライドがあるんですね。これはよく分かりますよ、気持ちは、気持ちだけね。だけれども、政治家のプライドのために国民を泣かせないでもらいたい、国民を苦しめないでいただきたい。そのことを申し上げて、質問を終わります。
  129. 岩本司

    委員長岩本司君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時から再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  130. 岩本司

    委員長岩本司君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、福島みずほ君が委員辞任され、その補欠として近藤正道君が選任されました。     ─────────────
  131. 岩本司

    委員長岩本司君) 休憩前に引き続き、後期高齢者医療制度廃止等及び医療に係る高齢者負担軽減等のために緊急に講ずべき措置に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  132. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 久しぶりの質問であります。緊張をいたしております。先日、民主党の輿石会長が国土交通委員会質問に立たれまして、私も負けてはいけないと思ったわけではないんです。私どもは、どうしたら日本医療保険制度を持続可能にできるかということで、この十年来議論をしてまいりました。終始その議論にかかわった一人としてこの質問に立ったところであります。  午前中、津田先生だったと思いますけれども法案成立にかかわった者がメンツにこだわって国民に迷惑を掛けてはいけないという旨の御発言がありましたので、あえて申し上げたいと思います。  私もまさにその一人でございますけれども、人間のなしたことでありますから、反省すべき点、多々あると思っております。したがって、今、私ども見直しチームつくって作業をいたしておりますけれども、私もその作業のメンバーの一人として微力を尽くしておるつもりでございます。私どもは、国家国民のための議論をしていきたいと思いますし、今日もそうしたいと思っておるところでございます。  この間、議論の間、私が誇りに思ってきたことがあります。それは、日本が世界一の長寿国であり、WHO、世界保健機構が認める医療世界一の国だということであります。そして、それを支えているのが国民保険制度であると思っております。すべての国民保険証を持っていて、その保険証一枚でいつでもどこででも医療が受けられます。日本の宝であると私は思っております。  この私の認識に対して、櫻井先生、お医者さんでもありますので、先生の御見解をお伺いしたいと存じます。
  133. 櫻井充

    櫻井充君 御指名いただきまして、ありがとうございます。  尾辻先生には厚生労働大臣時代、大変お世話になりまして、政府の役人の答弁ではなくて大臣にということでお願いして大分御無理を申し上げましたが、今日は逆の立場になりまして、できる限りのことで答弁をさせていただきたいと思います。  私の先輩の議員で、秋田の地方の医療、農村医療に携わっていた先生が、公的皆保険制度に関してこういうふうに話をしてくださったことがあります。  昭和三十六年にこの制度が入る前は、自分たち医療を提供したいと思っても、本当にその地域の皆さん医療を提供することができなかったんだと、この制度が導入されたことによって、お年寄りもそれから低所得者方々もみんな関係なく医療が受けられるようになった、そのことを君たち若い人たちは本当に理解しているんだろうか。今、例えば混合診療の問題であるとか様々なことでその公的皆保険制度が崩壊、崩壊とはいきませんが根幹を揺るがすような議論をされていく中で、そういうことを若い医者にもう一度ちゃんと考えてもらいたいんだということをその先輩のお医者さんから私は聞かされたことがございます。  ですから、先生が今御指摘になりました長寿国家をつくり上げたとか様々な点においてこの公的皆保険制度というのが重要な役割を担ってきたというのは、これはすべての皆さんが私は同じ認識だろうと思っております。  もう一点付け加えさせていただければ、WHOで日本医療制度は世界でナンバーワンだと、そういう評価をいただいております。アメリカ日本よりも医療費倍近く使っておりますけれども、それでも十位以下でございまして、そういう点においても世界から評価されているわけですから、この国民保険制度をきちんと守っていく必要性があるんだろうと思います。  蛇足ですが、この国民保険制度を根幹から壊そうとしている経済財政諮問会議と規制改革会議、ここともっときちんと戦っていくということが与野党共に共通の課題ではないのかと、そういうふうに思います。  以上でございます。
  134. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 最後におっしゃった共通の課題についてはまたいずれ議論をさせていただきたいと思いますし、場合によっては共闘もさせていただきたいというふうに思います。  私たち国民保険制度を守るために知恵を絞ってきたところであります。今の先生の御認識、全く同じだというふうに思います。したがって、今日は、この私が日本の宝であると思う国民保険制度をどうやったら守れるかという議論をしてみたいというふうに思うところでございます。  もう御案内のことでありますけれども、私たちはいわゆる独立方式、突き抜け方式、リスク調整方式、一本化方式で考えてまいりました。そして、最後に独立方式に落ち着いたわけでございます。この議論の根底にありましたのは、老人保健制度が限界に来たという認識でありました。この認識は、私はこれまで与野党の共通認識だと考えてきたわけでございます。  ここに一冊の本がございます。民主党のネクストキャビネットの厚生労働大臣もされた今井先生がお書きになった本であります。厚生労働省の職員の中にはバイブルにしておる者もいるような、私も名著であるというふうに思っております。その本の中で今井先生が何と書いておられるかというと、老人保健制度は、各保険制度がお金を出して穴埋めしてもどんどん出ていってしまう穴の空いた財布あるいは番人のいない金庫みたいなものです、こう書いておられます。そして、これは決して今井先生お一人の考え方ではなかったのであります。  民主党もこれまでずっと、いろんな機会に老健制度廃止だとはっきり言ってきておられます。ところが、その老健制度にこの度もう一度戻すという法案提出されたわけでありますから、やっぱりびっくりいたしておるところでございます。  民主党が二〇〇一年に、十一月であったと思いますけれども、出されました医療制度及び医療保険制度改革案で、老人保健制度は、近年、老人保健拠出金が急激に増加して各保険者の運営を圧迫し、新たな高齢者保健医療制度の構築が喫緊の課題となっておる。特に、老人保健制度においては保険者機能が全く備わっておらず、掛かった医療費が事務的に拠出金制度によって負担させられていることから、各保険者の不満を募らせているのは当然である、こういうふうに言っておられるわけでありますが、これまでのこうした老健制度に対する評価をこの度お変えになったのかどうかということをお聞きをいたします。
  135. 福山哲郎

    委員以外の議員福山哲郎君) お答えをさせていただきます。  私も尾辻厚生労働大臣大臣時代の真摯な答弁には本当にいつも敬意を表しておるところでございまして、今日逆の立場でこのように立たせていただくこと、本当に、与野党の委員の方も含めまして、心から御礼を申し上げる次第でございます。  今の旧老人保健制度に対する評価は、我々の尊敬する今井先生の御著書も御紹介をいただきました。その認識については我々も変わっているわけではありませんし、旧老人保健制度が完璧であると思っておりません。しかしながら、今日対応を迫られているのは国民健康保険の問題であり、そして更に申し上げれば、やはり七十五歳以上で区別をしたこの制度そのものだというふうに思っているところでございます。  政府は、逆にこの制度をスタートする導入の直前に、被扶養者からの保険料徴収を凍結をしたり、七十から七十四歳の窓口負担を二割だったのが一割に戻したりということで、逆にスタート時点から実はかなり国民に不安を与えられました。更に申し上げれば、保険証が未達であったり保険料の誤徴収があったりということで、制度自身のまず不安定さが明らかになった。そして、制度が動くに従って、いわゆる後期高齢者と言われる方々が、何で自分らは区別、差別をされるんだという思いも含めて、非常に不安とそして怒りに満ちた制度になってきた。そして、この混乱は、我々自身としては、旧老人保健制度の持っている足りない部分をもってしても、とにかくいったん元に戻すことが非常に重要な課題だと四野党で認識を共有をさせていただいたところでございます。  ですから、我々としては、新しい制度に対する提示も含めて考えなければいけないとは思いますけれども、今のこの混乱をまず止めるに当たっては旧老人保健制度にいったん戻すということをもってこの法案提出をさせていただいた次第でございますので、老人保健制度に対する評価については過去と変わっているわけではございません。
  136. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 老人保健制度の評価をどうするかということがまた大きく今後の議論にもかかわりますので、そして今の御説明で、半分ぐらい分かるんですが、半分ぐらいですがと申し上げたいことがあるものですから、もう一回老健制度の問題点をここで整理させておいていただきたいというふうに思います。  私たちは、老健制度の問題点として三つの不と三つの格差があると考えてきたわけであります。  まず、三つの不といいますと、一つには、勘定が分かりにくい、すなわち不透明であるという不透明の不であります。それから二つ目に、これはもう御案内のとおりに、不払騒動まで起きてしまいました拠出金があります。この拠出金がどこまで増えていくのか分からないという不安の不であります。それから、市町村は、請求書は回してくるわけでございますけれども、請求書を回すだけでありますので、節約の努力はやっているのかなという不信の不であります。この三つの不があるとまず思っておりまして、改めてお聞きするまでもないとは思いますが、もし私どもが問題にしているこの三点について何かお考えがあればお述べをいただきたいと思います。
  137. 大塚耕平

    委員以外の議員大塚耕平君) 尾辻先生の御下問でございますが、まず老健制度の問題点については同様の認識を持っております。ただ、福山議員に対する御質問のときにおっしゃられました内容で、この老健制度保険者機能が働いておらず、掛かった費用が事務的に補てんをされるために、言わばどんどん老健を穴埋めするための資金が出ていってしまうという、こういうことを今おっしゃいました三つの不の前提として御説明をいただいたわけでございますが、その前提として御説明いただいた内容は、つまりこれは、老人が、高齢者の方が悪いということではなくて、高齢者の方に掛かる医療の在り方が問題であって、高齢者の問題ではなくて医療の政策の内容の問題だと思っております。  その観点で一点申し上げますと、医師会がよく言っておられますように、医療費自身は、これは日本は欧米と比べて決して対GDP費で多いわけではないと。しかし、この医療資源の投入ベース、一人の患者さん、例えば高齢者の方に対して、同じ病症になっておられる日本人の方と欧米の方、それぞれに薬がどれだけ投与されているか、あるいは機器がどれだけ使われているかという資源の投入ベースで見ると、これは大変日本の方が高いというこの現象面が問題なのであって、これを、高齢者の方をくくり出したからといって今申し上げました老健制度の背景にある問題が解決されるかというと、解決はされないと思っております。  したがって、午前中に舛添大臣ダムに例えてお話をくださったんですが、ダムの最も決壊しやすいところを切り出したのが今回の制度でございまして、その決壊しやすくなっている、コンクリートが弱くなる理由は、これは高齢者にあるのではなくて高齢者に対する医療政策の仕組みにあるというふうに私たち考えているわけでございます。したがって、切り出したものをもう一回元に戻しまして、戻した上で旧老健制度が持っている医療政策の問題点を是正することに全力を尽くさせていただきたいということでございまして、そういう意味では、旧老健制度に対する評価を変えたものでは全くございません。  最後に一点。せっかく三つの不とおっしゃられましたので、今私が申し上げました考え方に立てば、むしろ後期高齢者医療制度によって旧老健制度の問題点を是正するというこの考え方は言わば不合理であって、不適切であって、そして高齢者方々の不安をあおるという意味では、別の意味三つの不も抱えている制度であるという、こういう認識でいるところでございます。
  138. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 現行制度に対する御批判がいろいろございます。それに対するまた議論は後ほどさせていただきたいと思いますので、まず整理をさせていただいて、老健制度の問題点、整理したいと思ったわけでございます。  余りこのことで時間を取っておるわけにもいきませんが、先ほど三つの格差と申し上げましたので、三つの格差と私どもが思っておりますことだけは申し上げておきたいと思います。一つは市町村によって最大五倍の格差がある地域間の格差、それから健保と国保では保険料の払い方が不公平になっている世代間格差、それから負担割合の高齢者と現役世代の間の世代間格差の三つであります。  こうした、申し上げましたように、三つの不と三つの格差に整理されるんですけれども、こうした問題点がある、そしてもう老健制度が行き詰まってしまう、何とかしなきゃいけないとみんなで考えて、私どもがみんなで考えてこの度の制度にしたと、こういう流れであります。  そこで、これは、今日は余り細かな議論をするつもりはないんですが、実は私自身が非常に気にしていることなものですから、一遍皆さん方の御見解もお尋ねをしてみたいと思うことがあります。それは、今、三つの格差の中で申し上げた保険料の払い方が不公平になっていないかという問題点を私どもは指摘しておるところでありますが、そのうちの一つであります。これ、健保と国保で被扶養者の扱いが全く違っておる、ここについての先生方の御認識といいますか、何かお考えがあればお聞かせいただきたいというふうに思うわけであります。  この場面で今私どもが思う格差があるということを申し上げたんでお尋ねするわけでありますけれども、なぜお聞きするかといいますと、この度皆さんがお出しになった法案の中で、健保の方は元に戻すとちゃんと条文に書いておられるんです。健保の部分は元に戻しますよと書いておられるんですが、国保について何にも触れられておられないんで、その辺どうお考えなのかなとつい思ってお聞きをしておるところであります。何かお考えがあればお聞かせください。
  139. 大塚耕平

    委員以外の議員大塚耕平君) 二点、御下問をいただいたものと認識しております。  一点目は、健保と国保における被扶養者の不公平感について御下問をいただいたと思います。  この問題は、確かに今後も仮に旧制度に戻した場合に、ずっとその健保と国保の間で被扶養者についての扱いに違いがあることでいいかと問われれば、これは大変検討の余地が大きいと思っております。したがって、午前中の質問の中で津田委員が一元化についてお触れになりましたが、今申し上げましたような観点から一元化が重要な検討課題だというふうに私どもも認識しております。  二点目の、この法案の中で健保については触れているが国保の扱いについては触れていないという点でございますが、この法案は、私どもは、本年の四月一日以前の状態に戻すために、政府に対して法制面の整備と所要の財政面の処置をとることを求める法案でございますので、この国保の扱いについては、今先生から御指摘のあったような点について、しかるべく法制面の整備の過程においては検討の余地のある問題だと思っております。
  140. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 一遍、老健制度に戻すという、そのところがどうしても私には理解しづらいものですから、そのことを今お尋ねしておるところであります。  今までお聞きしてまいりましたことを私なりに解釈しますと、言わば緊急避難をするんですと、そしてまたその間に考えましょうと、こういうことだと思います。決して今日は本当に嫌みな質問はするつもり全くありません。ただ、これ言うと少し嫌みになるかなと思いつつ申し上げるんですが、緊急避難だとおっしゃるのならば、やっぱり申し上げたいことが二点あるんです。  その一点は、避難はやっぱり安全地帯にしなきゃいけないと思います。これまでの今日の御議論でも、やっぱり問題が大いにあるという、今の例えで言うと、決して安全地帯とは言えない危険な場所だというふうに例えざるを得ない。どうして、緊急避難であっても、危険なところに避難するとおっしゃってもねと言いたいと思うというのが一つであります。  それからもう一つは、これはもう先ほど来言っていますように、私たちずっと、これはもう与野党共にでありますけれども、十年間議論をしてまいったわけであります。ですから、急に降ってわいた話ではない。いきなり降ってわいた天災ならば、緊急避難って言われてもそうですよねと言いたいんだけれども、十年ずっと議論してきた挙げ句が緊急避難というのもちょっと分かりにくいですよねと。少なくともこの現行制度国会で成立してから二年たっているわけでありますから、じゃこの二年間だけでも備えができたはずじゃないんでしょうかということを言いたいわけであります。  以上、二点申し上げましたけれども、何か後ほどお答えがあればお答えいただきたいと思います。今日は再三申し上げておりますように、お答えに今なりますか。じゃ、お答えください。
  141. 鈴木寛

    委員以外の議員(鈴木寛君) これも、この十年間の経過を一番御承知の尾辻先生に大変恐縮でございますが、まず安全な場所にしてというお話は、これはもうおっしゃるとおりだと思っておりまして、私どもも一番ダムの危ないところは国民健康保険だというふうに思っておりまして、そこにきちっと予算上の手当てをすると。これは、今年の補正予算でも、あるいは来年の予算要求でもきちっとしなければいけないという認識は当然に持っております。  今るるお話ございましたように、まさにこの十年間いろんな議論の蓄積があったことは私どもも承知をいたしております。  具体的に申し上げますと、平成十二年の十一月の三十日に参議院の国民福祉委員会の附帯決議で、新たな高齢者医療制度の創設を検討するというのがあって、そしてそれを受けて、平成十三年の九月に社会保障審議会で四つの方式が出てきたわけでございます。そこで、民主党は当時はこの突き抜け方式と年齢リスク構造調整の混合型ということを主張させていただいておりまして、こうした議論もきちっと踏まえていただいて、平成十四年の九月の二十五日に、当時の坂口厚生労働大臣の私案として、制度を通じた年齢構成や所得に注目した負担の公平化という案を御提示をいただいて、かなりこれは民主党の、我々の先輩の主張させていただいたことを踏まえていただいて、反映をしていただいたというふうに我々は理解をいたしております。そして、平成十四年の十二月の十七日に厚生労働省の試案が公表されまして、いわゆるA案、B案でございますね、A案はリスク構造調整、B案は今の独立方式と。ここまでの議論は非常に、私も改めて議事録等々を参照させていただきましたけれども、本当に与野党かみ合ったいい議論をしていただいていたなということを本当に痛感をいたしました。  しかしながら、その後に、平成十五年にB案で閣議決定がなされるわけでございますが、先ほど御著書の御紹介がございましたので私も名著を御紹介申し上げたいと思いますが、「医療保険の構造改革」という本でございます。この冒頭大変いいことが書いてございまして、そういう議論があったけれども途中で少し流れが変わったと、すなわち、先ほども櫻井議員の方からお話がございましたが、経済財政諮問会議の登場でございます。とりわけ、平成十七年の早々から経済財政諮問会議で名目GDPの伸び率あるいは高齢化修正GDPを給付の伸びのマクロ指標に導入するというお話がございました。このときは、私が行政監視委員会尾辻厚生労働大臣お話をして、これは与野党協力をしてきちっとこうした間違った考え方を改めてくださいということをお願いをして、そしてまさに当時の厚生労働大臣でありました尾辻先生に体を張ってきちっと主張をしていただいて、そして年末まで議論を持ち越したわけですね。残念ながら平成十七年の十月末に尾辻大臣が御退任をされて、その直後に経済財政諮問会議の論調かなり影響された形で医療制度大綱が決定をされて法案提出に至ったと、こういうことでございます。  今、我々立法府として、国民皆様が何をおっしゃっているのかということを虚心坦懐に耳を傾けたならば私はこういうことだと思います。すなわち、医療費削減至上主義を撤回をして、改めて国民、患者、高齢者の視点から議論をやり直しなさいと、場合によってはA案、B案又は四案に戻って、そして経済財政諮問会議に振り回されるのではなくて、今回は高齢者皆様方もきちっと参画をしてこの議論をやり直すべきだというふうに受け止めましたので、我々はいったん元に戻りましょうということを申し上げているわけでございます。とりわけ、平成十三年の議論に加えて申し上げますと、確かに高齢者も問題なんですけれども、最近は非正規雇用の問題とかフリーターの問題とか、要するに国民健康保険に寄るしわというのが更に深まっているというふうに思います。  したがいまして、私は、問題は、制度云々の議論よりも、器はそれこそ平成十七年、十八年に尾辻大臣に相当、先ほどの市町村間の負担保険料の是正とか様々な国保に対する措置は盛り込んでいただいているというふうに私は認識をしております。ただ、そういうふうな制度とか器ができたけれども、経済諮問会議の議論によって本来そこに真水が投入されなければいけないのが断水をされてきていると、ここが問題でありまして、この断水状態を解決をして、そしてもう一回きちっと必要なところには真水を投入をすると、こういう議論が私は必要だというふうに考えているということを申し上げさせていただきたいと思います。
  142. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 盛んに経済財政諮問会議とやり合ったころのお話をいただきまして、思い起こしております。あのころ経済財政諮問会議は医療費を頭から削れと言ったんです。私は、そんなことはできない、あなた方は国に金がなくなったから国民皆さんに国に金がないから死んでくれと言うつもりかと、そこまで言ったことを記憶いたしております。そんな話を始めますと興奮しまして残りの時間全部使ってしまいますので、今日はその話でありませんので、そこまでにさせておいていただきたいというふうに思います。  そこで、今日私が先ほど来ずっと議論をいたしておりますのは、この後議論したいと思いますが、今の制度も、申し上げたように、人間の作ったものに完璧なものなどあるはずありませんから、いろいろ問題もあるし、あると指摘もされておるし、私どもがそう思うこともあるし、それからまた反省している点もあるわけでありますから、その議論をするというのはもう大いにやるべしだと思っておるんです。  ただ、一遍老健制度に戻せとおっしゃると、さっきから言っているように、何で老健制度に戻さなきゃいかぬのでしょうというのがどうも私には理解できないし、それからもう一つ申し上げたいのは、時間と金の無駄になりませんかということを言いたいわけであります。今のままで議論すれば、別にそこの金は掛かりません。ただ、老健制度に一遍戻すと、どうしても金が掛かってしまうわけであります。  幾らぐらい掛かるんでしょうねという話は、午前中随分、厚労省ともやったり取ったりしておりまして、厚労省も答えませんから、皆さん方もお答えになれないと多分おっしゃるんだろうと思うんです。  ただ、あえて申し上げると、やっぱり御自身方がお出しになった法案ですから、御自身方お出しになった法案、どのぐらい経費が掛かりますよぐらいはやっぱりおっしゃってもいいのになとつい思っておりますということだけは嫌みでなく申し上げておきたいと思います。  そこで、大塚先生のお顔が見えていますから、いつもそういう話をしている間柄ですから、コンピューターに限って、コンピューターのソフトなどをいじることに限って、もし経費計算すると、先生、どのぐらいだと考えておられますか。
  143. 大塚耕平

    委員以外の議員大塚耕平君) 尾辻先生の御質問にお答えするに際して、ちょっと一点、よろしければ政府に確認していただきたいんですが。  私は、午前中に厚労省が御答弁になったシステム改修費、移行するのに三百二十億円掛かったということに基づいて今から回答をさせていただきたいと思うんですが、その三百二十億円というのは、後半の説明では、国は今度戻すときには法制をつくることのみなので特に経費は掛からないとおっしゃったんですが、この三百二十億円というのは、地方に掛かったシステム改修費なのか、国なのかという、そこをちょっと確認をしていただいた上でお答えをさせていただければと思います。
  144. 岩本司

    委員長岩本司君) よろしいですか。
  145. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 それじゃ、そっくりそのまま私の質問にしますから、厚労省答えてください。
  146. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 先ほど申し上げましたシステム改修費、国の予算を計上したのは三百二十億円でございますが、このシステム改修地方自治体が行ったものでございます。
  147. 大塚耕平

    委員以外の議員大塚耕平君) よく分かりました。その上でお答えをさせていただきますが。  推測の域を出ませんが、システムをこの制度変更に合わせて改修するに当たっては、おっしゃるようにプログラム変更が一番重要なんですが、プログラム変更だけで三百二十億円、四十七都道府県にすると平均七億円というのは、少し私の持っている常識的な情報からすると多いかなと。  そのように考えますと、恐らく新しい制度をつくるに当たって、CPUを増強するとか、あるいは新たな筐体を買うとか、あるいはオンラインを全国に結ぶ。主に、この最も重要なCPU部分、そして筐体そのものを新しくする、そしてあとはオンラインをつくる、さらにはプログラム、この四つなんですが、どうもオンラインというのは、午前中からの市町村に対する調査お話を聞いておりますと一切行われていないと推測されますので、そういたしますと、CPU、筐体、プログラムで三百二十億円、少し高過ぎるような気はいたしますが。恐らくこの制度内容からすると、いわゆるメーンフレームという大きなCPUや筐体を買う必要はなく、各都道府県にパソコンに少し毛の生えたようなサーバーが一台か二台あれば済むものでありますので、それでもやや高いかなと。  しかし、高かった安かったということは度外視して、既にそのような筐体とCPUが補強されているということを考えますと、プログラムの改修の再改修、つまりメンテナンスだけでございますので、恐らく直感的には一都道府県当たりせいぜい数千万円というような形で掛ける四十七なのか、全市町村に掛けますと三百になりますので、そういう金額になるのか、大変雑駁な推測で恐縮でございますが、そのようなイメージを持っております。
  148. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 いつもながら極めて論理的にお話をいただきましてありがとうございました。  今、私があえてお聞きをいたしましたのも、いずれにしてもかなりの金が掛かるわけでありますから、今のまま議論した方が金が掛からないのではないでしょうかと私が思う、その思いで今の点を御指摘申し上げたわけであります。  それから、金と時間が掛かるわけでありますけれども、特に私はまた時間も気になっておりまして、その間国保がどうなるんだろうというふうに心配をするわけであります。  そこで、現在の国保の状況について、財政の事情について、どのぐらいの市町村で赤字になっているか。そして、もう苦し紛れに一般会計から国保、各市町村、相当つぎ込んでおりますが、その辺のことがどうなっているか、これは厚生省、答えてください。
  149. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) お答えいたします。  市町村国保の保険料は、他の医療保険と比べまして同じ所得でも相対的に負担が重くなってございます。そういう背景の下に、保険料率の引上げが難しいとの指摘がなされておりまして、平成十八年度におきましては、赤字補てん等のための法定外の一般会計繰入れが全国では約三千六百億円、収入の総計が一兆二千億円でございますので、約三〇%に当たる額が法定外の一般会計繰入れになっているものでございます。それだけの一般会計繰入れをいたしましても、赤字の市町村数は九百四十八と全国の五割を超えておりまして、全体では約八百億円の赤字額となっている。全体として見て大変厳しい財政状況が続いているものと認識をしております。
  150. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 今のお答えのとおりでありまして、国保が大変厳しい状況にあるということは、これはもうまたあえてここで議論するまでもなく、みんなが知っておることであります。  したがいまして、今日私がかなり時間使ってしまいましたけれども、今まで申し上げてきたことはお分かりいただけるだろうと思いますし、あえてその老健制度に戻す必要があるんでしょうか、そしてそれには金も時間も掛かりますよね、それであればこのままの状態で議論してもいいんじゃないでしょうかと申し上げたくて、そして大いに議論はしましょうよと申し上げたくて言ってきたつもりであります。  そこで、もう余り時間なくなりましたけれども、残された時間で現行制度についての議論をさせていただきたいと思います。  私たちは十年議論してきてこの制度ということに決めたわけですから、これは何もメンツではなくて、メンツではなくて、私どもは骨格は間違っていないというふうに思っておるわけであります。骨格は間違っていないというふうに思っております。  まず私、トップバッターでありますから、その骨格の部分の議論を少しさせていただきたいというふうに思います。  本当は提案者皆さん方にお聞きをして、どういう問題点ですかというふうにお聞きする方がいいんでしょうけれども、もう時間限られておりますから、そしていろんなところで皆さんが言っておられる御批判、問題点の指摘がありますから、私の方から問題点申し上げながら議論させていただければというふうに思います。  まず、途中での御答弁の中でもちょっとそういう御発言があったように思いますけれども、御批判の一番大きなものと私が理解いたしますのは、年齢で線引きすることが差別である、差別という表現を使っておられますけれども、そういう御批判だと思います。  そこで、この御批判に対して、まずお聞きしてみたいんですが、七十五歳で線を引いたことがいけないのか、もう七十五歳とかそういう年齢ではなくて、そもそも線を引くことが差別なのか、これどちらなんでしょうと改めてお聞きをしたいものですから、今お聞きをいたします。
  151. 櫻井充

    櫻井充君 まず、七十五歳といいますか、年齢によって区別している国というのは、先ほど午前中にも役所の方から答弁ございましたが、アメリカメディケアぐらいだという答弁でございました。アメリカメディケアの場合には六十五歳以上になっておりますが、これは公的皆保険制度がなくて民間保険でやっていたけれど、カバーできない人たちをどういう形でか救済しなきゃいけないと。高齢者のためにメディケアという制度をつくり、それから低所得者のためにメディケードという制度をつくっておりますから、これは言わば救済するためにまずつくっている制度だということでございます。  日本の場合には、今までは退職した場合にはそこで制度が変わると。これは、ある種、企業が負担する、しないというところがあって、これは合理的な理由があったんだろうと思いますが、今回のその区切り方というところに合理的な理由があるかというと、それが全く見当たらないと思っております。  その政府説明は、先ほど午前中、舛添大臣からございましたが、これはあくまで財政から入ってしまったからこういう問題が起こってきているんだと、私はこの点そのように理解しておりますが、我々医療現場からすると、なぜ七十五歳で区切らなければいけないのかという理由が全く分かりません。  要するに、これは政府にも質問主意書でただしましたが、要するに医学的な見地からいうと七十五歳で区切る、何というんでしょうか、バックアップする論文とかそういうものは一切ないわけです。ただ、厚生労働省がちょっと調査してみると、七十五歳以上の人たちは生理的な機能が落ちるとか、それから日常生活動作の能力の低下による症状が現れると。これはあくまで老化によって起こってくることであって、病気と判別するものなのかどうか。むしろ介護の世界でこういうことが起こり得るかもしれませんが、これを医療として見なきゃいけないのかどうかということは、僕はこれは全然違ってきているんだと思っています。  制度内容について二点だけ大きなところで申し上げておきますが、一つは、終末期というのは、これは七十五歳以上の高齢者の方だけではなくて、だれにでも、亡くなる前にはだれにでもこれは終末期というのが訪れるわけでございます。それをなぜ七十五歳の人だけが、終末期医療を受けるか受けないか、受けるとしたらどの医療を受けなければいけないのかということを七十五歳以上の人たちだけが決めなきゃいけないというのは、僕はこれは完全に差別だと、そう思います。  もう少しここのところだけ言わせていただきたいのは、じゃ、告知されているのかと、病気がどういうことできちんと分かっているのかどうかという問題もあると思っています。  アメリカは、十年掛けてがんは告知すべきかどうかという議論をいたしました。その次の十年でいつどこでだれが告知するべきなのか、そして、その告知をした上でその人が人生を決定するんだ、じゃどういうふうな形で決定するのか、どういう医療を受けるのかと、そういうプロセスをずっと踏んでまいりました。いまだに現場で、がんに限らずですが、難病も含めて、病気を告知するかしないかの議論がずっと続いてきています。  そうすると、病名を知らない人に対して、病気が分からないにもかかわらず、あなたは延命治療、延命治療ってどの定義も分かっていないんですよ、それを受けるかどうかを高齢者方々に尋ねるということはおかしな制度だと思います。  それから、高齢者方々は、生理学的機能が落ちたゆえに、これは老化か病気か若干難しいところはありますが、でも、例えば目が見えにくくなるとか、耳が遠くなってくるとか、様々な病気があるわけです。  そうすると、今回の制度高齢者担当医という一人の人だけを定めてくる。後で分かりましたが、これは何のためにやっているのかというと、いろんな病院にかかって、同じような薬をもらっている、同じような検査をしている、その人たちを何とか一か所に集めて、そして集約化して、そういう無駄な検査、無駄な薬の投薬をやめさせようということで始まったものであって、結果的にも、これは何かというと、医療費削減のためだけに制度が設計されています。その結果、どうなっているかというと、いろんなところにかからなければいけないような方々、これが高齢者の僕は特徴だと思っていますが、その人たち医療を適切に受けられなくなってきている。  ですから、結論だけもう一度申し上げますと、財政的な観点から入ってきているがゆえに本来必要であるべき医療が受けられなくなってきている。高齢者方々が死を迎えるに当たってもすごく不安を感じていらっしゃる。そういう点でいうと相当な僕は差別的な政策ではないのかなと、そう思っております。
  152. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 自見先生、手を挙げていただきましたが、もう余り時間がなくなっておりますのでお許しをください。  まず、外国の例を言われました。そう言われるとまた今井先生の御著書から引用したくなるんですけれども、今井先生、こうも言っておられます。ヨーロッパでは年齢で区切る特別の制度がないにもかかわらず、老人が医療を受けにくい状況が出てきています。イギリスでは六十歳を超えると腎不全になっても国民医療サービスでは新規の透析を受けられないのが実態です。北欧でも介護サービスは十分に受けられますが、医療からは遠ざけられているようです。  いろいろ書いておられるんですが、私があえてこういうことを言いますのは、いいことは外国のまねすればいいし、何もそのことを否定するものでは全くありませんけれども、余り外国であるかないかということだけで判断するのもいかがかなと思うものですから、あえてこのことを申し上げたところであります。  余り時間がなくなっておりますので、今の差別だ、差別だというふうに言っておられることで、そうすると、一つ私がやっぱり分からないことがあるんです。  それは、この法案が成立をした、法案が成立した後で、みんなで、特にあえて申し上げると、民主党委員の方が読み上げられて附帯決議を付けております。決議を付けております。読ませていただきますと、あのとき二十一項目あるんですけれども、二項目めには例えばみんなでこう言ったわけであります。「後期高齢者医療制度については、後期高齢者医療広域連合の設立をはじめ、その創設の準備が円滑に進められるよう、都道府県、市町村、広域連合、医療保険者等に対する必要な支援に努めること。」、これみんなで決めた決議であります。  そのころに今みたいな御主張があれば理解するんですが、このころ今の御主張はなかったと私は記憶いたしておりますし、それがゆえにみんなでこういう決議になったというふうに思うものですから、今後の議論にさせていただきたいと思いますから、そのことを私は思いますということだけを申し上げておきたいと思います。  それから二点目に、保険として成り立たないという御批判があるわけであります。これについてなんですが、ちょっと変な質問になりますけれども、多分こうお聞きするとお分かりになってお答えいただけるんじゃないかなと思うんですが、そもそも今の日本の公的医療保険というのは医療保険として成り立っているとお考えなのかなという質問をさせていただきたいんです。
  153. 自見庄三郎

    委員以外の議員(自見庄三郎君) 四党で保険としては成り立たないという質問は私が答弁するようになっておりましたので、尾辻秀久議員にお答えをさせていただきますが、尾辻先生とは十一年前、自民、社民、さきがけの政権で、先生、それから丹羽さん、それから長勢さん、私と、それから、今日は社民党の党首がおられますけれども、社民党から二人、それからさきがけからは堂本暁子さんで、八か月間、週三回ほどしまして、あのとき自民、社民、さきがけで今後の二十一世紀の医療の在り方ということを先生とともにまとめさせていただいたわけでございますが。  今の保険として成り立つかという話でございますが、先生御存じのように、大きく税方式と医療保険、それから社会保険方式で分かれておりますが、日本は北欧の国と違いまして、先生御存じのように社会保険方式を取っております。基本的には私は今は社会保険方式だと、こう思っておりますが、もう先生よく御存じのように、医療保険を払う場合、私も三十七年医者をしておりますが、二十代、三十代、四十代というのは余り病気しないんですよ。一番病気の有病率、発症率が低いのは中学生なんですよ。ところが、大体人間というのは六十五、七十五になってきますと、当然でございますが、病気がちになりますよね。  日本の場合、七十五以上と、以前と以後の医療費は一対五です。大蔵省に言わせれば一対五は高過ぎると、大体ほかの国は二ないし四だという話ですが、日本の場合、非常に一件当たりの医療費が低いものですから、お年寄りが頻回に実は医療機関にかかれるということは早期発見、早期治療につながっておりまして、そのことは私は世界で一番の長寿国家日本国になって、大きな社会保険医療のメリットだと、こう思っておりますが。  そういった意味で、七十五歳以上だけ、実は二十代、三十代、四十代が払うのは、将来の自分が老後を、お年取ったときに、先生御存じのように、もうお分かりですが、備えのため、あるいはそういう意味もあるんですよ。自分が年取ったときはもう払わないと、稼得収入はありませんからね。そういうのが大きな保険の仕組みですから。まさに今発議議員から話がございましたよね。  ですから、年齢によって差別、ほかの国が、アメリカのメディケードという、アメリカは基本的に医療保険は民間保険でございますから、公的医療はございません。メディケアというのがございましたけれども、あれは六十五歳以上、あれは公的医療保険ですからね。四分の三は民間医療保険、もう御存じのように四分の一が公的医療保険ですから。日本の場合は全部国民保険でございますからね。ですから、そういった意味年齢によって差別することは公的医療保険になじまない、あるいは保険の論理に合わないということを、私は心底からそう考えておりましてね。  それから最後に、先生、こんなことをしても時間の無駄あるいは時の無駄じゃないかという話がございましたが、ちょっとお言葉を返すようでございますけれども日本医療保険制度、今先生が言われたように、WHO、世界一の制度であったわけでございますから、やはり誤りは直すにしかずということでございますから、やはり間違った制度だと私は思っていますんで、やっぱり元に戻して、もういろいろ論議があるわけでございまして、金よりも命が大事だということが尾辻先生の基本的な信念だと私は尊敬していますんで、そういった意味で、しっかりまた話合いをして、本当に国民のための医療は、小さな政党といえども四党と一緒になってやっていきたいというふうに思っています。  ちょっと長くなりましたけれども、是非私の決意の一端を聞いていただきたいと思っております。
  154. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 私のいただいた時間が来てしまいました。まだ何点も皆さんが指摘しておられる現行制度の問題点、御批判について一つずつ議論をしてみたいと思ったのでありますけれども、時間がありませんので残念であります。またいずれかの機会に議論させていただきたいと思いますし、それからこの後、我が党の質問者の皆さんがそれぞれにまた御質問なさり、議論もなさるだろうというふうに思います。  それで、今申し上げた二点にだけついて私の考え方だけは申し上げておきたいと思います。  この現行制度後期高齢者医療制度と言っておりますけれども、そもそもたどると、昭和三十年代のあの老人福祉法をどうするかという議論までさかのぼると思っておるわけであります。そして、やがて老人医療の無料化というものが出てきました。そして、老人保健制度になり今日まで私はずっと流れてきたと思っておるわけであります。そして、その中で、何とかしてお年寄りの本人負担を、一時は無料化いたしましたけれども、やっぱり無料というのはいろんな問題も出てきたし、財政的にも大変だということもあって、一割負担をお願いをした。一遍定額などを入れたりもいたしておりますが、結果的に一割負担ということで今日まで来ている。これだけは守りたい、私も思っておるわけであります。  これ、何とか守るために考えてきて、それで七十五歳というところでこの度線を引いていますけれども、お年寄りの皆さんのために温かく何かしたいと思って線を引くことをそれを差別だというふうに表現するんだろうか、それは違うんじゃないでしょうかというのが私が思っておることでありまして、いろいろ御議論あると思いますから、これはまた今後、この後の引き続きの議論にしていただきたいというふうに思います。私はそう思いますということをまず申し上げました。  それから二点目の、恐らく議論していくと、そもそも民間保険的に言えば公的医療保険が成り立たないというのはお互い共通する認識だというふうに思うんです。私ももたないと思っているんです。成り立たないと思っているんです。成り立たないからさあどうするかというので、結局、さっきちらっと言われたように、私どもは独立方式で答え出したし、皆さんは今突き抜け方式で答え出しておられる。そこの議論になるんだろうというふうに思います。  いずれにしたって、税金を、もう公費をつぎ込まなきゃ成り立たないわけでありますから、全体につぎ込むのか、七十五歳以上というところで線を引いてこの皆さんに特につぎ込むのか、最後はどっちを選びますかという議論になるんだと思いますが、この辺の議論も、私は、だからもう若い皆さんのところはやっぱりできるだけ保険で成り立つ方がいいと思うものですから保険で成り立たしておいて、もう無理なところに思い切って税金をつぎ込む、だから独立方式ということで私は答え出したつもりなんですが、この辺の議論もこの後していただければというふうに思っております。  それで、最後に、先ほど申し上げましたように、見直しチームをつくって作業をいたしております。今日五時ぐらいで一遍最初の答えをまとめてみたいと思っております。多分、今朝の新聞にももう書いてありますからかなりそうなることが決まりみたいに言われておりますけれども、まあ多分という表現をまだ私の立場上では言わざるを得ない。  そうなると、多分ということで申し上げますけれども、やっぱり先ほどの私の反省点の中にも、お年寄りの中の所得の低い皆さんに対する保険料の配慮というのが十分であったかなというと、やっぱりそこは反省点だというふうに思っていますから、もう少しそこは考えたい。そうなると、軽減を七割、五割、二割で作ったんですが、七割で止めたところは良くなかった。やっぱり九割軽減というところは作らないとまずいというふうに思います。その辺を言いますと、十割はなぜ駄目なんだという御議論も出てくるだろうと思いますし、その辺の御議論は御議論でまた機会があればさせていただきたいと思いますが、私どもはやっぱりせめて九割にはしたいと思い、そういう提案をしようと考えてはおります。  ただ、初年度について言いますと、今から九割というと実は大変数字が合わなくなるんでありまして、なぜかというと、半年間はどうしてもコンピューターの都合でいただかなきゃいかぬものですから、これは途中で切り替えるとまた大混乱するものですから半年いただいて、それじゃもう残り半年はゼロにしますというと、結局平均すると半分になっていただくということになるので、三割いただくものは二で割ると一割五分いただくということになるので答えとして八割五分ということになるわけでありますが、その辺のところはまだ最終的に決めているわけじゃありません。そうした議論をしながら、とにかく、申し上げたように、所得の低い方々への配慮というのは、これはもうすべきだと思っております。  そこまで申し上げて、厚労省として、これは最後は政府のやるべきことでありますから、我々は言うだけでありますので、政府としてお覚悟ありやなしやということをお聞きをしておきたいと思います。
  155. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 与党皆さん方見直しの御検討結果を踏まえまして、政府としても与党政府一丸となってきちんと対応してまいりたいと思います。
  156. 尾辻秀久

    尾辻秀久君 私の質問は終わります。  どうもありがとうございました。
  157. 西島英利

    ○西島英利君 自由民主党の西島でございます。  本日は、我々が成立をさせてスタートをいたしました後期高齢者医療制度長寿医療制度という言葉としても使われておりますけれども、それに対する廃止法案でございますので、それに対して我々もやっぱり真摯にこれに対応しなければいけないというふうに思いまして、質問に立たせていただきます。    〔委員長退席、理事家西悟君着席〕  そこで、今回のこの廃止法案につきまして、様々なマスコミが社説を書いております。そのいずれもが無責任という言葉を使っておられます。それはなぜか。それは、対案がないからということで、無責任という言葉を社説は全部使っています。唯一、それプラスアルファで出しているのが毎日新聞で、毎日新聞は、何で七十五歳で線引きなのかということと、やはり対案が出ていないということにやはり問題意識を持っているわけでございます。  しかし、今回のこの審議をしていく中で、できるだけ短期間でこれを要するに採決をしてしまおうという動きが最初、スタート時からございました。昨日は委員長が職権でこの委員会を立てるというような、まだ審議も全然していない状況の中でそれが行われようとしたわけでございます。    〔理事家西悟君退席、委員長着席〕  先ほどの尾辻委員質問の中でも様々な問題があるということでございました。この御答弁をお聞きしますと、検討検討という言葉が私飛び交ったような気がしておるところでもございます。検討検討では、じゃいつ結論が出るのかという話にもなりまして、その辺りが、このマスコミがやはり対案をという、そういう論調になったのではないかなというふうに思います。  この後期高齢者医療制度を導入しました百六十四回の国会、これは平成十八年でございますけれども、このときの質疑時間、民主党九名の委員で約二十時間の質問をされております。共産、社民を合わせますと、野党委員十一名で約二十八時間の質問を実はされたわけでございます。これだけの時間を掛けてこの制度が導入されたわけですが、それを廃止しようという、そういう法案でございますから、私どもは、これはしっかりとした審議をさせていただかなければならないだろうということで我々の主張をしているところでもございます。当時は、地方公聴会、それから参考人等々も含めて、全体の時間が四十時間を超したと、参議院でですね。こういうような実態の中で採決が行われたわけでございます。  その中で、先日、二日前でございましょうか、民主党の鳩山幹事長が長野県の須坂市で記者会見をされまして、この後期高齢者医療制度廃止法案をめぐる政府与党側の出方によっては、福田総理大臣に対する問責決議案の参議院への提出を視野に入れ、攻勢を強めていきたいということを強調されたと。つまり、問責決議案というのは非常に重たいものだというふうに私自身は思っております。その問責決議案を出そうというそのきっかけがこの法案である。それなのに短期間で採決をしてしまおうということには私どうしても納得ができない。十二分なやっぱり審議の中で初めて、我々もある意味ではそれに対しては反対はしますけれども、やっぱりある程度納得できる、やっぱりそういう環境の中で私は採決というのは行われなければいけないのではないかなというふうに思います。  そこで、委員長にお聞きしますが、先日、結果的には流れましたけれども委員長職権という形で委員会を一応セットされました。この審議をしていく経過の中で、そのような強行的なことでこれが納得できるんだろうかと私自身は思っているんですけれども委員長は中立公平というのが委員長の役割でもございますので、そういう点も含めまして、もし御答弁いただければいただきたいと思います。
  158. 岩本司

    委員長岩本司君) 通常、委員長質問というのは余りないんですけれども皆様のお許しをいただければお答え申し上げますけれども。  三十日の理事懇談会の中で、各会派の方々からの御意見の中で委員会をセットすべきじゃないかという御意見がありまして、各会派の皆様の協議が調えば委員会を、何というんですか、念のために立たせていただいたと。昨日の理事会と委員会、その委員会の前の理事会の中で協議が調わなかったので委員会は開会しなかったという経緯でございます。  今までもこれからも、中立公平に委員会運営に努めてまいりたいというふうに思っております。  以上でございます。
  159. 西島英利

    ○西島英利君 是非、中立公平という立場での委員会運営をよろしくお願いを申し上げたいと思います。  そして、これは質疑通告をしておりますので、各政党が、例えば参考人、それから地方公聴会等も含めて慎重な審議をというふうに私どもは主張をしているわけでございますが、民主党、それから社民党、それから共産党、それぞれのお考えがありましたらば、この審議時間についてお聞かせいただければと思います。
  160. 福山哲郎

    委員以外の議員福山哲郎君) お答えをさせていただきます。  私どもは採決を無理やり急いでいる気は毛頭ございません。ですから、今日もこうやって審議をいただいていること、先ほどから感謝を申し上げているところでございます。  ただしでございます、先ほど先生が新聞の社説を御紹介をさせていただきましたのであえて申し上げますが、五月の二十日の世論調査、読売、朝日、毎日でございますが、高齢者医療制度を評価をしないが、今申し上げた順で六九%、七四%、七七%でございます。また、私の地元のことで恐縮でございますが、私の地元の近畿医師会連合、これは医師会でございますが、こちらからは決議が上がっておりまして、後期高齢者医療制度の創設、療養病床の削減計画、患者負担の引上げは、国家の経済的理由のみによって高齢者などの社会的弱者を医療や介護から阻害することにほかならず、断じて容認できないという決議を我々は承っております。  先ほど、まさに尾辻先生からもお話がありましたように、与党自身が制度が始まってわずか二か月で見直しだと。すぐにチームをつくると。先ほども申し上げましたように、その制度が始まる前に負担の割合を変えるとか凍結をするとか、とにかく足下からふらついたのは与党でございます。私は、尾辻先生や西島先生に大変失礼な申出をさせていただくのかもしれませんが、与党の先生側から、今の後期高齢者医療制度の導入に対して国民に混乱を与えているとか不安を与えていることに対する何らおわびのメッセージも何ら反省のメッセージもありません。私はそこが問題だというふうに思っております。我々は、国民思い、不安や怒りを受け止めて、今回廃止法案提出をさせていただきました。  あえて申し上げれば、山口の補欠選挙でも廃止法案提出させていただくと我々は約束をして、選挙でも勝たせていただきました。あれからで言えばもう一月たっております。国会の会期が六月の十五日ということも考えた上で、これを何とか成立させたいというのが我々四党の思いでございますので、そのためには参議院で成立をさせていただいて、そして衆議院に送らないと成立ができないわけですから、いたずらに急いでいるわけではありませんが、審議をしっかりとしていただいた上で、国会の会期をにらんでそれは御判断をいただきたい、そのことをお願いしたいと思います。
  161. 小池晃

    委員以外の議員小池晃君) 私どもも、この法案はしっかり審議をすべきだと思っております。国民の声を聞く場もつくってしっかり審議をすべきだと。  ただ、同時に、国民の中でやはりこの制度に対する怒りが大きく今高まっている。年齢だけで今までの保険から脱退をさせて新たな制度に入れていく、高齢者が増えるにつれて保険料が自動的に上がっていく、保険料は年金から強制的に天引きだし、滞納すれば保険証を取り上げる制度まで持ち込んでいる。医療の中身は、これは安上がりに差別的になっていくんではないかという不安が広がっております。そのことは、二〇〇六年の法案審議の際に西島委員自らが、本来この後期高齢者医療制度はある意味では医療費の適正化のために実はつくられた制度だ、七十五歳以上の医療はみとりの医療だというふうに御発言もされていて、やっぱりこういう制度だからこれでいいのかという不安が広がっているんだというふうに思っております。  先ほどの無責任だというお話ありましたが、この間、やはり医療費の増加というのを無責任に現役労働者の保険料負担高齢者窓口負担増やあるいは地方自治体への負担に転嫁して、国庫負担を削減してきたのが歴代自民党政権であると私ども思っておりまして、それが行き詰まったからといって七十五歳以上だけを切り離して際限のない負担増を押し付ける、これこそ無責任であるというふうに考えております。しかも、まともな検討もなく導入されたことにより、制度導入直後に様々な見直し議論をせざるを得なくなってきている。  週刊東洋経済の昨年十一月三日号では、厚生労働省の宮島大臣官房審議官が、後期高齢者医療制度は当初の制度設計で五年くらいはやっていけると思うと、早々に破綻することを担当官僚自らが明らかにしているような制度を、間違いが明らかになっていながら引き返そうともしないこういう与党の態度こそ私は無責任であるというふうに指摘をさせていただきたいというふうに思っております。  先ほどもありましたように、こういう中でやはりこの制度廃止するというのは国民の声です。今国会の会期末というのは限られております。その会期の中でしっかり議論をし結論を出すというのが私は立法府に課せられた責任であると、その責任を果たすために全力を尽くしたいと考えております。
  162. 福島みずほ

    委員以外の議員福島みずほ君) この後期高齢者医療制度廃止法案、きっちり参議院で審議をする必要があります。ただ、会期末を控えておりまして、社民党としては一刻も早くこの廃止法案を成立させたいと考えております。なぜか。この後期高齢者医療制度高齢者皆さんの健康と生活を破壊をしているからです。そして、高齢者を政治がどう扱うかということは、取りも直さず生きている人間や命を今の政治がどう扱うかということを端的に示しているからです。  違う米びつで違う御飯を食べろと言われているような気がするという高齢者意見も聞きました。七十五歳以上と六十五歳以上の重度の障害者の人たちだけ切り分ける、堤防の決壊しやすい最も手厚くしなければならないところを切り離して制度をつくれば、早晩これが破綻するということは目に見えております。このことについては、この厚生労働委員会で、成立するときもその後も現在も私自身質問をしてきました。  ばんそうこうを張るだけで問題は解決をしません。ちょっとした手直しで問題が解決をしません。後期高齢者医療制度の世界に類例がないことは厚労省も認めています。年齢で区切り、診療報酬の中身も変わる。沖縄に二日前行きました。九割以上が後期高齢者医療制度反対という新聞の調査もありました。おじい、おばあ、高齢者を尊重しないということに関しての怒りがすさまじく、国会の責任とすれば、破綻する制度からは撤退をしろと。傷口の浅いうちに元に戻して、いったん戻して違う制度国会の中で議論をするべきです。それこそが政治の責任だと確信をしております。  何とぞ廃止法案に向けての御協力あるいは御同意をよろしくお願いいたします。
  163. 西島英利

    ○西島英利君 ありがとうございました。  それでは、これから本格的な質問に入らせていただきますけれども、今日は、医者である櫻井発議者と一対一で実は議論をしたいというふうに思っております。それはどうしてかといいますと、様々な理解の中で実は混乱が起きているだろうというふうに思います。制度というものとそれから医療サービス、医療内容というものがごちゃ混ぜにして実はこの混乱が起きているんじゃないかなというふうに思いますので、その辺りを少し議論をさせていただきたいと思います。  まず、こういう流れができ始めたのは平成の六年だったと思うんですが、当時、二〇二五年の医療費が百四十一兆円になるという実は推計値が出されました。これではとてもとてもこの国民保険制度はもたないというようなところから様々な医療費の抑制策が行われてきたということは、厚生労働委員皆様方であればそれはよく御存じのことだろうというふうに思っております。  二年から三年ごとに実は推計値が変わっております。その二年後には百四兆円になりまして、二〇〇〇年には八十一兆円、二〇〇二年には七十兆円、二〇〇六年には六十五兆円という状況になったわけでございますけれども、この間どういうことが行われてきたのかといいますと、自己負担がアップをされたということはございます。さらには、医療内容がかなりカットをされてきたという部分がございました。そして、ちょうど平成十二年だったと思うんですが、財務省厚生労働省が老人医療費の伸び率管理制度を導入するということを打ち出してまいりました。もしこの制度が導入をされますと、まさしく先ほどから皆さん方お話じゃないですけれども年寄りは早く死ねということか、こういうことが起きかねない実は非常な大変な危険な状態であったわけでございます。  これは何とかしなければいけないというところへ、私は当時日本医師会の常任理事をしておりましたので、様々な議論の中から高齢者医療制度の創設を実は考えたということでございます。その中で、やはり突き抜け方式なのか、それから独立方式なのかという議論がございました。しかし、突き抜け方式だと大きな健康保険組合等々はこれは当然それでやれるんですが、中小の健康保険組合とてももたないと、それから国民健康保険はこれはもっともたないというようなことがあったわけでございます。  そこで、何か方法はないだろうかというときに、高齢者方々に重点的に税金を投入していくしかもうほかに方法がないと、でないと今の国民保険制度そのものが全体的にこれは崩壊をしてしまうという流れの中で、じゃその重点的に投入する方々をどういう形で決めるのかというときにここで出てきたのが、日本は世界第一位と言われています健康寿命考え方だったわけでございます。  つまり、日本は世界第一位で七十五歳、たしか男性が七十二歳で女性が七十六歳だと思いますけれども、そういう流れの中でここから、この健康寿命というのはこれは寝たきりでない人の平均寿命と、分かりやすく言えばそういうことでございますから、七十五歳過ぎていくとそういう状況が非常に頻繁に起きてくるということでありますので、この七十五歳以上の方々は本当、国のために一生懸命働いて、国に奉仕をされてきた方々でございますから、この方々には安心して医療を受けられるそういう制度、そしてそこには重点的に税金を投入していこうということで、この制度を我々は、日本医師会としては提案をさしていただいたという実は経緯がございます。  そういう流れの中で、本当にいろんな諸団体からも御意見をお伺いしましたし、またこの国会審議の議論の中でも、やはりもうこれは、老健法の拠出制度、とてもこれはもたないということもございまして、やはりこれは区分けをして考えなきゃいけないと。特に小沢民主党の代表でございますが、これがまだ民主党に合流されていないときに、しっかりとその考え方をお出しされているんですね。高齢者医療制度をつくらなきゃいけない、独立型、そして税金を重点的に投入する、その重点的に投入する財源は消費税だということを明快に実は出されているということでございます。  そこで、今回の、先ほどのマスコミにもございました、無責任ではないかと、何で対案が出ないのかということでございますが、先日のNHKの政治討論を見ていますと、民主党の政調会長が対案はありますということをおっしゃいました。どうもその取りまとめ役を櫻井発議者がしておられるというふうに聞きましたので、どのような対案か、お聞かせいただければと思います。
  164. 櫻井充

    櫻井充君 若干誤解があるので、まずその点から御説明させていただきたいと思いますが、直嶋政調会長がNHKのテレビで使わしていただいたのは「崖っぷち日本医療を救う」という、この冊子でございます。これはあの当時の仙谷ネクストキャビネットの大臣が中心となってまとめられたものでございまして、今我々はこれに沿って作業は行っております。  それから、時代によって制度考え方が変わってくるというのは、これは至極私は当然のことではないのかなと。なぜかと申し上げますと、今井先生が健在であの当時、医療制度考え医療制度をまとめていた際には社会保険国民健康保険と二本立てでいかなきゃいけないんじゃないかと。その社会保険の中でも全国的な例えばトヨタとか大きな企業などは別建ての組織になるけれど、あとは県単位になるかちょっと分かりませんが、そういう形で二本立てに、大きく言えば二本立てにしなきゃいけないんじゃないか、そういう議論をしていた時代もございます。  しかし、高齢社会を迎えるとか、それだけではなくて、今、中小企業が相当苦しんできているとか、それから中小企業のサラリーマンが加入している政管健保に対しての税金の投入額が減額され続けておりますね。特に平成四年の改正で、一六・四%から二〇%投入するという約束だったものが一三%になってしまって、単年度の会計がその年から赤字になっていくと。そういった様々な問題がある中で、改めてこの二〇〇六年当時、民主党検討した結果、全体としては一元化、もう要するにみんなが同じような医療保険制度に入った方がいいんだろうという、そういう結論になっております。  各々の保険制度というのはこれまでは曲がりなりにももってきたんだと、これはもう西島先生もその点については意見は一致するところだと思いますが、しかし、ある時期からやはり破綻し始めてきていることは、これも同じだろうと思っております。  そうすると、そのどこに問題点があるのかというと、例えば政管健保なら政管健保で、本来であれば税金を投入してもらわないともたない制度設計なわけですよね。中小企業の企業の利益率やサラリーマン方々の給料等を考えてくると、その人たちだけで賄うためには相当額税金を投入しなければいけなかったのに、それをどんどんどんどん削減し、それから経済財政諮問会議から出てきた二千二百億の予算カット、伸び率をカットさせろと。そのために、今国会提出されて結局審議されないまま、あるいは継続になるのかどうか分かりませんけれども、健康保険組合からお金を財政調整のために使うとか、極めて筋の悪いやり取りがもう行われ始めているわけですよ。そうなってくると、まず各保険のところで財政的にあっぷあっぷしている。  それからもう一つは、各保険ごとに制度設計上、制度というか不公平な部分が出てきています。例えば、政管健保の場合にも付加給付制度というのがございますよね、還付制度です。ところが、あれは事業主負担とそれから保険料負担で賄うことになっていて、今の高額療養費制度、例えば八万円なら八万円に対してどこまでか還付すると。例えば、地方自治体の職員が入っているような共済の場合には、大体一万五千円から二万五千円ぐらい以上のものは全部還付されるわけですね。ですが、政管健保にはその制度がありますが、使えないわけですよ。組合健保の方々もこれはほとんどの方々が使っていらっしゃる。それから保険料率にしても、政管健保の方々が今八二パーミルですけれども、組合健保の方々の場合には低い場合には三〇%台だという、三三・何%という方々もいらっしゃる。  そうすると、その各々の制度上にももう相当な格差が付いてきていて、それを今までは財政調整、曲がりなりにも税金を投入するとかいろんなことで調整してきましたが、そういったことの限界に来ているんじゃないだろうか。そうすると、その財政調整等ができないんであれば、皆さんが同じ保険に入ってくるというのは至極当然のことになるんじゃないのかなと、そういうふうに思います。  それから、先生、いまだに私と一緒に現場にいらっしゃるからよくお分かりかと思いますが、査定される際に国保と社保と違う場合って結構ありますよね。つまり、社会保険ならば同じ診療をやっても査定は認めていただける、国保でははねられる、その逆もございます。そうすると、その保険に入っている今度は患者さんたちも、実は保険によって医療が十分に受けられる、受けられないという場合も出てきているわけですよね。そういう患者さんの立場も考えてくると、すべての人が同じ保険に入ってくる、そういう制度考えていくべきではないのかなと。そこに沿って今作業を進めているところでございます。
  165. 西島英利

    ○西島英利君 この医療保険の一元化というのは、日本医師会が昭和五十年代の初めからずっと実は提案をしてきた考え方でございます。そして地域保険と。今日、健康地域とかいうお話をされましたが、このときからずっと言い続けてきた。ですが、ならない。そして、やはり一元化ということを民主党さんも平成十二年の考え方の中で出しておられますけれども、やはりならない。それは恐らく、先ほど舛添大臣がおっしゃった理由が一番大きいんだろうというふうに思っております。  また、様々な特に健康保険組合というのは資産を持っております。この資産をじゃどういう形でやるのか等々の様々な問題がありまして、この一元化というのはなかなか難しいのかなというふうには今考えているところでもございます。  しかし、もう一歩進めて議論をさせていただきますと、じゃ元の老健法に戻してそれで解決するのか、解決しない。ですから、そこで議論をしようというのが先ほどからお話をされているところでございますが、しかし、もう保険料だけではとてもとてももたない状況が起きてくることだけは、これは認識は一緒だというふうに思うんですね。  そのときに財源をどうするのかということだろうというふうに思います。保険料を上げれば今度は自分たち生活を削っていかなきゃいけないわけでございますから、その財源をどうするのかという議論に移っていきたいと思うんですが、そういうときに、その財源、何かお考えがあったらお教えいただきたいと思います。
  166. 櫻井充

    櫻井充君 まず、先ほど一元化のお話がございましたが、我々が政権を取れば一元化に向けて走り出すと、そう思っております。ですから、提案してもできないというのは、残念ながら今政権を持っていないからでございます。  それから、団体とももう話合いも始めておりまして、例えば、我々の最大の支持である連合の皆さんとも話合いを始めておりますが、例えば、組合の中でも連合会つくっていらっしゃるところはもう保険料率が上がってきて、それで結果的には政管健保に移ってきている、もう解散されている方がいらっしゃって、どんどんどんどん減ってきているんだと。そうしてくると、要するに、もう組合健保だけで維持していきましょうと、そういう考え方にはもう立っていないんだというお話もございまして、関係者の方々とももうそういった話合いの作業に入っておりまして、一つ一つ今準備をしているというところは御理解まずいただきたいなと、そう思いますし、もしそれが理想の姿であるとすれば、医師会の先生方にも是非御協力をいただきたいし、民主党を御支援いただきたいなと。私は医師会に入っておりますが、医師会の先生方から応援いただいておりませんので、是非その辺もお願いしたいなと、そう思います。  その上でですが、財源の問題です。  これは本当に一番大きな問題だと思いますが、まず一つは、これは様々な税金の無駄遣いが指摘されております。道路特定財源なら道路特定財源のところで相当な議論になりましたが、相当無駄があったということははっきりしております。年金の保険料なら年金の保険料で流用されたものも随分ございます。  つまり、そういった無駄を省いてくる、特に特別会計など、よく分からないようなところで相当なお金が使われておりますから、まずそこを洗い出してきて、そういったものをまず医療費として計上することが大事ではないのかなと、そう思います。  それから、防衛省の予算ですが、今年度たしか四兆八千億ぐらい計上されているかと思いますけれども、政官財の癒着の構造の中で相当高くああいう武器を調達しているというまた問題がございます。ですから、そういったところにもメスを入れ、そういった部分からまず財源を確保するということが一番の手だてだろうと思います。  もう一つは、これは今度、例えば道路特定財源一般財源化になるものだというふうに理解しておりますが、これから道路をずっと造り続けていくのか、それとも道路ではなくてその一部を医療や介護など社会保障費用に回してくるのか、そこの議論をしていくべきではないのかなと、そう思います。  これは西島先生、釈迦に説法でございますが、日本医療費は対GDP比で見れば先進国の中で最低でございます。世界と比較するなと言われますが、例えば道路予算などはアメリカは十五兆円程度でございます。日本は八兆二千億ございます。ですが、アメリカは国土、日本の二十五倍です。二十五倍の国の半分ぐらい。では、ドイツやそれからフランスなどはどうなのか。国土面積がドイツが〇・九倍、それからフランスが一・四倍ですが、ドイツがたしか二・六兆円から七兆円程度、それからフランスが三・三兆円程度で、日本の半分以下でございます。イギリス、イタリアに至っては一・五兆円程度ですから、そういった突出した予算、それから公共事業費の割合も相当高いですから、そういったところを削減して医療費に回してくることを考えるべきではないのかなと、そう思います。  その議論をすると、公共事業で雇用されている人たちが一体どうなるんだという議論になりますが、別に公共事業費を削減しても、医療費にそれが転換されても、医療従事者で医者や看護師であるとかそういう資格を持った人たちじゃない人たち、仕事がいっぱいありますから、そういう人たちを増やすことによって雇用も確保できるので、今度は予算の組替えなど、そういったことで対応していくべきではないのかなと、そういうふうに思います。  それからもう一つは、一元化した場合に、仮にです、政管健保と組合健保、それから共済の保険など、もし保険料率を政管健保並みに引き上げてくるとどうなるかというと、たしか組合健保から六千億円程度、それから共済等も全部含めると九千億円程度増額されると。これはたしか日医総研で出されていた数字ではないのかと思いますが、そういったところの調整を行うことによっても、これはもう所得に応じて負担していただくということになりますから、ですから、そこら辺のところの不公平性を解決すればまだ医療費の予算を確保できるのではないのかなと、そういうふうに思っております。
  167. 西島英利

    ○西島英利君 ただ、実際、医療費というのはそれを上回る形で増えていくことは間違いないわけですね。そういう意味では、やはり恒久的な財源というのは絶対必要であろうというふうに思っています。  確かに無駄は省いていかにゃいけません。でも、その無駄を全部足し合わせても、とてもとても賄い切れないぐらいのやっぱり医療費、要するに七十五歳以上はどんどんどんどん増えていくわけでございますから。私ももう既に六十歳になりました。あっという間でございますからね。だから、そういう意味でこの恒久的な財源というのをやはりしっかりと議論をしていかなきゃいけない時期に来ているのではないかなというふうに思います。  私どもは、やはり消費税の議論はしっかりとしていかなきゃいけないだろうというふうに思っているんですが、去年の参議院選挙の民主党さんのマニフェストでは、消費税は全部基礎年金に充てるということを言っておられるわけですね。もし基礎年金に全部充てたとしますと、現実的にこの消費税の中から四兆数千億の実は老人医療費がそこから出ている。じゃ、この財源をどうするのかという議論もやはりしていかなきゃいけないわけでございまして、そういう意味でも今もう抜本的な税制の議論をしていかなければ、先送りすればするほど実は医療そのものが大変なことになって、実際の医療サービスそのものを切っていかなければいけないような状況に私はなってくるんじゃないかなというふうに思いまして、このことについて少しお教えいただきたいと思います。
  168. 櫻井充

    櫻井充君 御指摘のとおりだと思います。  それは、消費税を仮に全額基礎年金の部分に回してほかのものを変えなければそういうことになると思いますが、先生、これは今度は個人の例えば基礎年金の保険料とかそういったものの負担軽減されるわけですね。企業からすると、例えば二階建てなら二階建ての部分は変わらないかもしれないけど、一階建ての部分はこれは基礎年金の部分もありますから、そこは変わってくるわけですよ。そうすると、これを全額仮に年金に充てたとして、医療費に回ってくる財源がないんじゃないかと今御指摘でございますが、今まで支払っていた保険料負担軽減されますから、そういう点でいえば、その部分を年金ではなくて別に社会保障として医療の方に回してくるということを考えれば、結果的にはそれを充当して対応できるんではないのかなと、そういうふうに思っております。  国民負担としてどういう形で負担できるのか、それからもう一つ負担割合をどうするのかということを検討していく中で、必ず出てくるのがヨーロッパのモデルが出てまいります。所得に対して、イギリスですと税金とそれから社会保障費用を合わせると約五〇%ぐらい、それからドイツ、フランスが六〇%前後ぐらい、それからスウェーデンに至っては七〇%を超える負担をしております。これ調べてみると、なぜそれが可能になっているのかというと、教育コストとそれから住宅コストそのものが日本とは全然違う構図が見えてまいります。ちょっと詳細、時間の関係で避けますが、そういったことも全部整備した上で、今後国民負担率がどこまで負担をお願いできるのかということを改めて検討しなければいけないんじゃないのかなと、そういうふうに思います。
  169. 西島英利

    ○西島英利君 ですから、そういうふうな提案をして、やっぱり税制も含めた抜本的な議論を今進めていかないと、さあ、そういうような考え方はおありになってもなかなか前に進まない。結果的には要するに医療が崩壊をしてしまうということが目の前に来ているんじゃないかなということで、私はこの議論を今させていただいたということでございます。  もう一つは、実は先ほどから議論になっています終末期医療の問題でございます。  実は、この終末期医療のガイドライン的なものということで、衆議院の民主党の長妻議員が何回も何回もテレビに出られて、これが終末期医療のガイドラインだと。要するに、これで一つ一つチェックをしていくとおまえは早く死ねということになるというふうなことを盛んに言っておられるんですが、先日、中医協が行われたときに、この案を作られた全日病の会長さんが今中医協の委員をされているんですけれども、声を震わせて自分たちはそういう意味でこういうものを検討しているんじゃないんだということを言われたわけですね。ですから、そういうものがテレビ等々で使われることは非常に心外だというふうにおっしゃいました。  私は、このやっぱり一枚のペーパーが非常に国民に誤解を強く与えたのではないかなというふうに思っているんですね。そして、実際にこれ何がこの中で検討をされているかといいますと、個人が自らの終末期にどのような対応を求めるかの意思表示をあらかじめ明記しておき、リビングウイルについての国民の意識も医療機関もしなきゃいけないのに、それが全くなされていないと。終末期議論もほとんどされないまま、プロセスの過程だけが実は厚生省から一つ考え方として出されただけであって、終末期とは一体何なのか、じゃどうしてその患者さんと相談をしていけばいいのかと、そういう内容は全く今まで検討されていないんですね、きちんとした検討が。  そういう流れの中で、やはりこの全日病はこういうことを言っておられます。「「予後がよくない」、「高齢である」という理由で本人・家族の意思・希望が充分取り入れられずに治療が行われず、回復の機会を逃す場合も考えられる。」と。ここまで要するにきちんとその検討の中に入っていて、じゃどうしたらいいのかということでの検討を今進められているにもかかわらず、これが独り歩きをしてしまったということですね。  今回言われている終末期というのは、全く回復見込みがなく、そしてただただ機械的に延命されている、いろんなところにチューブを入れられている、そういう流れの中で、高齢者方々自分たちはそこまでして長生きしたくないというような意見もよく聞きます。  ですから、そういう議論を今しなきゃいけないだろうというふうに思いますし、たしか平成の十二年だったと思うんですが、民主党の朝日さんが、やはりそれはもう国民から余りいい受入れ方はされないだろうけれども、この議論はしっかりとしていかなきゃいけないんだということをやっぱり国会の中で質問されています。また、今日委員としておいでになります森さんも、やはり尊厳死の議員連盟におられて、こういうような質問もやっぱりされております。  まさしく、みんなが避けてきたこの終末期に対してどう我々は対応しなきゃいけないのか。医者も困るんですね。それは、どうしていいか分からない。医者は患者さんが来られたら徹底してやっぱりこの方を回復させるための治療をしていくわけでございますから、やっぱりそういう流れの中でのこの議論というのは必要だろうと私自身は思うんですが、櫻井発議者の御意見をお伺いしたいと思います。
  170. 櫻井充

    櫻井充君 まず、西島先生ちょっと誤解されているようなので、長妻議員に私が確認してきたことを申し上げたいと思います。  それは、彼が厚生労働省にどういうガイドラインを使っているんですかと、終末期医療に関してですね、そのときに出してきたペーパーが保険医療課四月十一日付け、これクレジットがありますが、これを実は全日本病院協会で使っている書式を厚生労働省がこういうものの一例ですといって渡したものでございます。  ですから、私は、これは厚生労働省の本来は責任を問われるべきことだと考えております。これは、厚生労働省が書式だと、彼が尋ねたことに関して、どういう書式があるんですかといって、ここの中に全日本病院協会でこういうものを使っていると。  全日本病院協会は先生が今お話しされたとおりのことでございます。つまり、今回の後期高齢者の、ましてや終末期医療を削減するためにこのペーパーを作って、そして彼らはリビングウイルの確認をしているわけでも何でもなくて、いい医療をどういうふうな形で提供していくか、それから患者さんの意に沿ってどういう形で提供していくべきなのかということをこの制度ができる前から検討してきていて、それをその病院協会としてやってこられたわけでございます。それを今回、くどいようですが、厚生労働省が長妻議員にこういうペーパーなんですというふうにお示ししている、このことが根本的な問題だろうと、そういうふうに思います。
  171. 西島英利

    ○西島英利君 これは、四月の二十三日の衆議院厚生労働委員会の議事録でございます。今先生がおっしゃったようなことを大臣説明をしております。それにもかかわらず、やはりテレビに出たらいつものようにこういう形でされていたと。ここに私は意図的なものを感じたので、今日御質問をさせていただいたということでございます。  まさしく、全日病はまだこれを使ってやれということは何もしていません。まだ検討の途中でございます。いろんな諸団体がいろんな検討をしているわけですね。それをやはり、そういうことをよくよく調査もせずに、でもこれ、十何ページあると言われた、ですから恐らくこれだと思うんですね。そうすると、もうこれには最初にはちゃんとそういうことが書いてあるわけですよ。その中の一部だけをそういう形でお使いになったことが実は国民をミスリードしたことになるのではないかなということで私はこういう御質問をさせていただいたということでございます。  やはり、今回様々なミスリード的なものがございます。もう時間が私も参りましたのでこれ以上はやりませんけれども、例えば、公費の投入が後期高齢者医療制度になったらば少なくなったのではないかというようなパーセンテージも出されてそれもされています。これ、よくよく調べていきますと、実は全然違う内容でもございました。  ですから、そういう意味で、このミスリードというのはやっぱり国民に大きな不安感を与えてしまうということになるわけでございますので、我々国会議員のやっぱり発言というのは非常に大きいわけでございますから、そういうことも含めて、今後こういう制度周知といいますか、それをしていくのにやはりこの言葉というのはしっかりと考えて使わなければいけないのではないかなということで、少し強い口調で、これは抗議的なことをちょっと申し上げさせていただきましたけれども、これは全日病ももう非常にこれ怒っているわけでございますので、私は申し上げさせていただきました。  どうぞ、何か御反論がございましたら。
  172. 櫻井充

    櫻井充君 全日病の方々が怒りの矛先を僕は長妻議員に向けるのは筋が違っていると思いますけれども。要するに、これは厚生労働省に向けるべきものであって、厚生労働省がこういうものなんですという書式の形態としてお渡ししたことが根本的な問題ではないのかなと、そう思います。  それから、ミスリードというお話がございましたが、午前中の質疑の中でも結果的にはその公費が削減されたと。それは、一つは診療報酬点数の問題と、それから若年者の負担割合が増えたことによって公費が、結果的にですけれども減っているんだというこれ御答弁ございましたから、その点からすると何らミスリードはしていないんじゃないのかなと、そういうふうに思っております。
  173. 西島英利

    ○西島英利君 時間が来たのでこれで終わりますけれども、しかし実際ああいう形の中で数字が出てまいりますと、結果的にはそうなのかと。やっぱり国民は、いや、国民はそう思ってしまうんですね。国民は、私はもう一度申し上げます、国民はそう思ってしまうんですよ。  ですから、今回のこの終末期の問題に関しましても、私もここであれを見せられまして、内容よく分かりませんでしたけれども、やはりこれは問題だよねということを私は質問したと思います。しかし、よくよく調べてみますとそういうことであったということで、やはりこういうことは、やっぱり正しい情報というのを我々は提供していかなければいけないのではないかなというふうに思いまして、いや、国民が怒っているとか、先ほどから、いや、もう七〇%前後がやっぱりこれ駄目だと言っている、でも、そういう判断の材料はどこから来ているのかということも我々は考えなきゃいけないということで、今日こういう質問をさせていただきました。  時間でございますので、替わります。
  174. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 自由民主党礒崎陽輔でございます。同僚議員の御配慮により、厚生労働委員会質問させていただくことを大変光栄に存じます。  私のホームページをごらんいただいた方もいらっしゃると思うんですが、私の今ホームページのトップには、後期高齢者医療制度はやっぱりおかしいという見出しを今掲げておるのであります。そういう考えを持っている議員質問に立たせていただきました自民党の懐の広さに感謝申し上げるとともに、自民党の改革に対する並々ならぬ熱意を野党の皆様にも感じていただきたいと、私はそのように思います。  私は、少子高齢社会というものが本当に現実のものになってまいりました。そうした中で、高齢者医療費がますます増嵩しているという状況の中で、高齢者医療の改革は待ったなしであるというふうに考えます。また、その中で、今まで高齢者医療を支えてきた市町村の国民健康保険の財政がもう極めて逼迫しておるわけでございまして、この改革も本当に考えなければならないと思っております。  そこで、今回は、高齢者医療保険というよりも高齢者医療制度というものをこの改革で立ち上げたわけでございまして、その単位を今までの市町村から都道府県単位に拡大をしたわけであります。そして、その責任を市町村の広域連合というものにはっきりと持たせたと、そういう改革であり、かつ財政的には、税金で五割を負担すること、若者に四割を負担していただくこと、そういうことを明確にしたわけでございます。私はこの改革は骨格として間違ってなかったと、そのように信じております。  しかしながら、今回の改革の中で問題であったのは、やっぱり個々のお年寄りに対する配慮が非常に足らなかったのではないかと考えておるところでございます。私も最初の段階ではやっぱり説明不足というものが大きな問題ではなかったかと思っておったんですが、しかし、その説明不足の説明を聞いておりますと、どうもそれだけではない、もう少ししっかりと直さなきゃならぬところがあるのではないかと正直私は思っております。  特に厚生労働省の特にお役人さんに申し上げたいんですけど、厚生労働省の真骨頂というのは何であったんでありましょうか。私は、厚生労働省というのは弱者のための役所であると、そうであったと私は考えるわけであります。私も長い間厚生労働省とお付き合いをしてきましたが、どうも最近見ますと、難しい制度の設計ばかりに腐心をしてお年寄り一人一人のお顔が少し見えなくなっているのではないか、あるいは霞が関ばっかりで物事を考えて市町村の福祉の現場が見えなくなっているのではないか、私は率直にそのように思っておるところであります。  もちろん与党の責任も重大でありますから役所だけの責任にするつもりはございませんが、厚生労働省という役所がやはり弱者のための役所であるという真骨頂を是非とも失わないでいただきたい、私はそう考えております。  この改革も小泉改革の一環として行われたわけでございます。小泉改革は、経済が停滞し財政が厳しい中で私は必要な改革であったと思います。今、小泉改革をしなければ日本の経済はもっと悪くなっていたと私は思います。小泉総理自ら主張したように、改革には痛みを伴うものであります。しかし、こういった改革には、私は大胆さとともに細心の配慮というものが必要であると思います。特に福祉の分野の改革にあっては細心の配慮が必要であり、細心の配慮を欠いた改革というものは挫折をする、私も痛切にそのことを考えております。やはりこの老人医療費の改革も私は優しさが必要であったと思います。そのことが少し抜かっておったんではないかと正直思っているところであります。  ただ、翻って、野党の皆さんにもお願いをしたいんですが、是非この問題を政局とは結び付けないで処理できたらなと私はつくづく思っております。災害被災者の救済の問題、肝炎の救済の問題、与野党で話合いをしてすばらしい法律を作っていただきました。福祉ではありませんが、公務員改革法案などというのは野党の皆さんの御意見を聞いて原案よりも随分良くなったんではないかと私も思っておるところであります。なぜお年寄りの生活に直結するこの問題を皆さんは政局に結び付けるんでしょうか。こんな大事な問題を政局に結び付けるべきではないと思いますけれど、大事な問題だから政局に結び付けなきゃならぬということもあるのかもしれませんが、是非とも少し話合いの土俵に着いていただきたいと思います。  今、与党は運用でこの問題を解決しようとしております。ただ、特に民主党皆さんには、もし話合いのテーブルに着いていただければ、これは法律の改正をこの国会でもできるんです。どうしてもそこまで行かないから、話合いができないから運用の範囲で見直しをするしかない、今そういう状況に追い込まれております。私は、今からでも遅くないんで、この問題の解決をしっかりと皆さんとともに話し合っていきたいと思っております。  そこで、質問に入る前に、先ほどの当方の尾辻委員質問に対するちょっと政府答弁に誤りがあったそうでございますので、訂正をしていただきます。
  175. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 先ほど尾辻委員から、市町村国保の財政状況につきまして、法定外の一般会計繰入れ、全国で約三千六百億円と、このように御答弁いたしました。その際に、国保の収入の計が一兆二千億であると、こう申し上げましたけれども、これは十二兆円の誤りでございまして、割合も三〇%ではなくて三%でございましたので、これは誤りでございますので訂正をさせていただきたいと思います。
  176. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 まず最初に、舛添厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。  私は、今回のこの高齢者医療問題の最大の問題、そして今なお抱える問題は、やっぱりよく分からぬということだと思います。何がよく分からぬかというと、やっぱり保険料がどうなるかということが本当によく分からぬわけなんです。  先日、ずっと見直しを始める初期の話でしたけれど、舛添大臣が参議院の自民党の方においでいただいて御説明いただきました。そのときに、保険料が上がることもあれば下がることもあると、そう御説明した後で大臣御退席になったんですが、その後すぐ私が手を挙げて意見を申し上げたんですけれど、上がったり下がったりするか分からぬようなのは私はやっぱり制度にならぬと思うんですね。  今なおやっぱりそこが一番大事でありまして、国民皆さん、特にお年寄りに、あなたの保険料はどうなるということを、大方のことがやっぱり説明できなければ困る。今日も五時ごろに与党見直し案が出る予定でありますけど、ただ、それも専門家しか分からぬようなことはやはり困るんですね。それを受けて私たち与党国会議員が地元に帰りましてお年寄りに、皆さん保険料はこうなるんだと、いろいろ、もちろん上がる人もおれば下がる人もおるんだけど、ただ、こういう人は下がります、こういう人は上がります、そういうことがある程度きちんとやはり説明できないとおかしいと思うんです。初期の厚生労働省が作ったパンフレットを見ても、要は、詳しいことは市町村の窓口にお尋ねくださいと書いてあるんです。あれ見て私もちょっとおかしいと思ったら、やっぱりそのままここまで至っておるんですね。  そういった中で、今、与党の中でも負担見直しを再度検討しておるようでございます。私はそれでかなりの成果が出るんではないかと思いますが、やはり国民皆さん、特にお年寄りに分かりやすいように、保険料がどう変わるんだということをきちんと言えるような制度でなければならないと思います。  このことについて大臣の御見解をお願いいたします。
  177. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 例えば算定方式が一つの方式しかなくて、所得に比例してあなたは幾らだって最初からぴしっと分かっているならばそれは比較的簡単に出ます。しかし、算定方式が四つもある。それで、例えば資産割を入れていたところもあれば入れていないところもありますから、まずそこで複雑になっています。  それから、一番複雑なのは、各市町村によって個別の補助を与えていたところがあります。それについて、自分保険料が幾らだというのは皆さん分かっているけれども、その保険料がどうして算出されたかについては知らない。その中に要するに補助の部分が入っているということもこれも知りません。そして、その補助の部分が取り除けられれば当然上がるわけです、保険料は下がっていても。そういうケース・バイ・ケースについて、例えば名古屋市こうでしたこうでしたということは、それは名古屋で説明していただかないといけない。そういういろんなことがあって複雑な数式になってきているわけでありますけれども。  新しい制度を入れれば必ず万人がすべて、すべて保険料が下がるということはあり得ない。それをやるなら、それは公費でほとんど補てんするしかない。ですから、もう細かいケースについて言うと、こういう夫婦で、夫が七十八歳で妻が七十四歳だった場合どうなるかとか、もう細かい、そのケース・バイ・ケースによって細かく違ってきています。そういう複雑さはあろうかというふうに思います。  したがって、標準モデルというようなものを作って、これは例えば財務省がやるときも要するに標準家庭というモデルを作ってやるわけですから、そういう形で作って、それについて言うと、収入幾らまでだと、ないし単身者で年金だけの方、厚生年金で幾らまでの方と、こういう形での数式は大体出るというふうに思いますので、できるだけそういう努力はしていきますので、そういうことの努力は欠けていたことはこれは反省しないといけないと思いますが、いずれにしろ、本当にこれは元々が複雑な計算式でいろんな方式で自治体が自由にやっていた、それがやはり今回複雑になっていることの一つの原因であろうかということもまた申し上げておきたいと思います。
  178. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 ありがとうございました。  もちろん、これは都道府県ごとに保険料が違うわけでありますし、その前の市町村は全部別だったわけですから当然いろんな例がありますが、そのすべてを一口で言うのは大臣の言うように難しいんだと思いますが、ただ、やっぱり最初からイメージをある程度正確なものにする必要があったと思いますね。それがある程度そのイメージも言えないんでは私はなかなかいい制度改正にならないということを申し上げたいと思います。今後、そういうところにもう少し努力をしていただきたいと思います。  私も含めて、やっぱり与党政府が反省しなきゃならぬのは、最近やっぱり分かりにくいということですね。やはり国民にとって分かりやすい政策を提示するのが与党政府の責任であろうと思いますので、また私も頑張りますので、大臣の方も工夫をしていただきたいと思います。  次に、被扶養者の問題があります。これは今まで被扶養者であった方にも今度の制度改正で新たに負担が伴うと、そういうことでありますけど、この点は、ずっともう何週か続けて私も地元でミニ集会を開いてお年寄りにお話をするんですけど、それは国民健康保険の世帯主だった人だけ払うというのはおかしいでしょうという話はそれは分かっていただけますし、国民健康保険の被扶養者の人は今までもその人の分というのはあったんですよと。はっきりはしませんけど、その人の分というのは大体あったんですよ。それに比べて、健保や共済の場合にはその被扶養者の分というのはなかったんですよと。  それは事実ですけれど、今度の新しい老人医療制度をつくった中でお年寄りみんな平等に負担をしてもらいますよ、それはそんなにおかしいことじゃないでしょうと私が説明したら、これは結構お年寄りが分かっていただけるんですね。平等というのがやっぱり大事な価値でありまして、多少負担が増えるにしてもお年寄りが平等で皆さん少しずつ負担してもらうと言えば、ああそれは分かったと言ってくれるんですね。  このところ、去年与党が慌てて少し経過措置をした、悪いことじゃなかったと思いますけど、ここはそんなに、そんなにというよりむしろ、すべてのお年寄りが一割の負担をやっていただくということがむしろ今回の医療制度改正の私は骨格だと思いますから、ここはやはりしっかりと守っていかなければならないと思います。ここは私の考えを申し上げておきたいと思います。  もう一つは、やはりこの天引きの問題ですね。天引きという言い方がどうだという言われ方しますけれど、これに対する意見が強いのも事実であります。もちろん、その二年前のときには今の年金問題というのはなかったわけですから、その後に年金問題が出てきて、それとの絡みが十分強いと思いますね。こういう今の年金の記録問題がなければ、もう少しお年寄りの皆さん説明がしやすかったと思う。しかし、ここまで来ればこの年金からの天引きということも少し手直しをするべきではないかと私は考えるんですが、大臣、いかがでしょうか。
  179. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは市町村からの強い要望でこれを入れました。介護保険料についても同じようなことをやっています。  先般、この広域連合の方々集めたときにも、絶対この天引きをやめることは反対だと、それはものすごい行政コストが掛かります。それから、もちろん天引きによって非常に利便さ、自分で一々金融機関に支払に行かないでいいわけですから、便利になった方もおられます。だけど、今委員おっしゃったように、この年金記録問題が片付いていないのに天引きとは何事かと、この論理一本やりです。  私は両方担当者で一生懸命やっていますよ、年金記録問題。もう受給者の方々すべてに年金特別便をお送りして、この六月一日からは現役の我々のところにも来るようになっています。しかし、それはそれで、だから年金から天引きしちゃいけないということになりませんし、しかも、年金からの天引きをやめれば何も払わないでいいかのような、年金から天引きしない、しかし自分のへそくりからは出さないかもしれない、本人のお金であることは変わらないんです。  ところが、そこで、本人のお金ということを私は申し上げたけれども、何が起こっているかといったら、私は実を言うと、これはほかのところでも申し上げましたけれども、私が高齢者だったら、あしたの生活に困るというのなら別ですけれども、ある程度普通の生活できているならば私は払いますよ、保険料。なぜかといったら、払わないと何を言われるかというのは、若い世代が、じいちゃん、ばあちゃん何も払っていないじゃないの。私は、つべこべ言うなと、おれだって五百円だって千円だって払っている。これが自助、共助、公助の社会保障の基本になって。  介護保険のどこが良かったかというのは、なぜあのときに税金でやらなかったかというのは、介護保険でやって、千円でも二千円でも、今大体三千円ぐらい払っている。私が母親を介護したときにあの制度はないから、全部息子たちの世代が親の世代を抱えている。とんでもない、私だって毎月三千円払ってきたと、堂々と権利があるんだということで言えるので。  むしろ、私は高齢者であってもきちんと一割なら一割払っていくことが、これは尊厳にかかわることだと思っているぐらいなんです。ですから、そういう意味で、きちんと払ってもらうことの方が大切だ。  ところが、何が起こっているかといったら、特に国保の世帯について言うと、今まで息子が払っていたのに今日から私が払うのかと。負担、息子が払っているわけです、自分の息子が。しかも、それを年金から取るのは何事かという議論でしょう。だから、これについては、じゃ、息子さんが払ってくれるならそのまま元に戻してもいいですよという形の検討策も考えてはいます。  ただ、平等でないといけないというのは、公平だという意味ですけれども、問題は、サラリーマンの被扶養者は払わないんですよ。十割、九割、五割という低減があるわけですよ。国保の被扶養者についてはないんですよ。そこで、隣のじいちゃん、ばあちゃんを見てこれは不公平だという感覚がある。  それについては保険料負担が、世帯主が違いますから説明はできるんですけれども、やっぱりみんなが自分保険料が幾らになったということしか考えない。隣のおじいちゃんに比べて私の方が不利だと、隣のおばあちゃんより私の方が有利だと、これだけで、その発想のみでしか考えなければ私は国民保険というのは危機に瀕すると、そういうふうに思っております。
  180. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 これは非常に難しい問題です、いろいろ意見がありますが。ただ、年金の天引きどうするか、これは法律事項なんですね。野党の皆さんと話合いができればここも見直しができるんですが、どうも今のところお話合いができていないので非常に難しいところであります。そういうところも一つ考えていかなければならぬと思います。  もう一点聞きたいんですけれども、今度のやはり私も地元での意見を聞いて一番大きな不満の一つが、市町村が単独事業で行っていたオプション事業が一気に切られてしまう、そこがあると思うんですね。  これはいろいろありまして、まず保険料そのものがあるんですね。東京都の場合であれば税金を投入して極めて低い額に保険料を落としていた。あるいは、よくあるのはあと健康診断の方ですね。人間ドックを行っていたところが、これは数が知れていますが、百市町村ぐらいあった。あるいは、健康診断の項目が今度の広域連合の診断項目よりももっと多かったと。それを一気にすとんと切ってしまったものだから、そういう今までオプションがあって良かったなと思っていた人がオプションが一気に切られてしまったと。これをどうするかという問題があると思うんですね。  保険料の問題も今まで、最終的には一つ制度に収れんさせていかなきゃならぬと思いますけれども、ここのところは、できるところは経過措置をずっと講ずるようなことをやってもよかったんではないかと私は思います。この辺、大臣、いかがでしょうか。
  181. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは一般財源を使ってやっている各自治体の独自の施策ですから、それを続けられるかやめられるか、今度の新しい制度が入ることによってやめるという選択肢を取られたわけです。したがって、今までやっていたことについては不公平であるということになりますけれども、じゃ、そこの自治体に対して今までどおり続けなさいということを厚生労働省が指示できるか、そこまではできないというふうに思うんですね。ですから、それはあくまでやっぱり各自治体の御判断でやるしかないだろうというふうに思います。  しかし、あえてどうしてもそういうことをやらせるということになると、それは地財措置を講ずるなりなんなりして、まあ分かりやすい表現で言えば各自治体につかみ金を渡して、若干色を付けて、こういう色の方向に使いなさいよということは政策的に不可能ではありません。しかしながら、今のところ与党のPTの中でもそういう議論はいまだなされていないというふうに思っていますので、あくまで各自治体の独自の御判断に任せるというのが今の基本的な方針であります。
  182. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 政府ばっかり聞いていると発議者の方に行かないので、少し発議者皆さんの方にお伺いをいたしたいと思います。  率直に申し上げまして、元に戻そうという法律でございまして、あっけらかんとした法律でございますのでなかなか細かい指摘というのはできないのでありますけれども大塚議員にお伺いをしたいと思います。  この前、財政金融委員会で道路特定財源問題で議論をさせていただきました。いろいろいい議論ができたと思うんですけど、時間がないので細かいことは言いませんけど、その中で私は、道路財源、ここ一年間待って皆さんとともにその無駄遣いのところをきちんとチェックをして、あるいは一般財源化した後の使い方も一生懸命議論しましょう、それが一番財政を混乱させない、地方財政を混乱させない一番いい方法ですよ、いかがでしょうかと私が御質問したら、大塚議員は、いやいや、いったん下げたガソリンはもう上げられないでしょうとおっしゃったんですよね。  今度は全く違うのでありますけれども、実際保険料は下がっている人が多いと思うんです。午前中の質問の読売新聞も引用されました。役所の方はこれが正しい正しくない言えないと思いますけど、私は大体こんなものだと思っておりますし、今与党考えている九割までの軽減を入れれば恐らく七、八割の人、これは人と言ってもいいと思うんですけど、下がることになるんではないかと、これは私が思っております。  そうした中で、これ説明会のときも伺いましたけれども、野党提案者皆さんは、保険料上がっていいんですかという問いに対して、いや上がっていいんだと言うんですね。そんなことで本当にいいんでしょうか。制度のいろいろなことがあったにしても、この四月一日から既に保険料が下がっている人はたくさんいます。そして、与党の再見直しでまたぐっともう少し軽減される人が増えてきます。それをまた来年の四月、元の制度に戻して保険料が上がってもいいという考え方は、とても私は野党の皆さん考え方とは信じられなかったんですけど、なぜいったん下がった保険料がまた来年から上がる、それで国民の支持を私は得られないと思うんですが、大塚先生、いかがでしょうか。
  183. 大塚耕平

    委員以外の議員大塚耕平君) 財政金融委員会に続いて礒崎委員質疑をさせていただけて光栄でございますが。  まず事実関係から確認の上答弁をさせていただきたいと思いますが、読売新聞の記事については、その記事の内容が信頼に足るものかどうかコメントできないというのが舛添大臣のお答えでございました。私たちもそう思っております。  そして、礒崎委員は七、八割の方は下がるのではないかという印象は持っているというふうにおっしゃられたわけなんですが、私たちはそこは分からないと思っております。そして、大変長い間私どもの厚生労働部門会議で厚生省の皆さんから、一体どのぐらいの方の保険料が上がってどのくらいの方が下がったのかお答えをいただきたい、少なくとも手掛かりになるようなデータをいただきたいということを申し上げていたわけでございますが、これは一切出てこないわけですし、今日の午前中の答弁でも分からないという趣旨の御答弁があったと思いますので、まずその七割、八割の方が下がるという認識も私どもとは違うということも確認をさせていただきたいと思います。  その上で、私ども法案は、この法案の中で十月一日までに、遅くとも、負担が増えた方々に対しては軽減措置をとるということを申し上げておりますが、負担が下がった方々に対してどういうことになるのかということは明記はしておりません。その上で、来年の四月一日までにこの制度廃止するということでありますが、そういたしますと、この法案をもしお認めいただけましたら、来年の四月一日までに、今日も別の委員の御質問にお答えしましたように、政府において所要の法制措置と財政措置をとることを義務付けているものでございますので、もしその過程において、また皆様方との議論において不利益変更はしないというようなことから負担が言わば下がった方々負担をこれは上げるのはやめようというもし合意ができるのであれば、そういう財政措置もしなければならないと思っております。  私どもは、今日の厚生労働部門会議、党内の部門会議でございますが、そうした財政措置の必要性も含めた党としての対案を今日了承を取りまして、そしてまたこのこともいずれ明らかにして、もう報道される可能性は高いと思いますけれども皆さん議論をさせていただきたいと思っております。したがって、下がった方が必ず上がるというふうに自動的にはまだなっていないということは御理解いただきたいと思います。  ただし、そうは言いましても、やはり今日昼一番に尾辻先生からの御質問だったと思いますが、取りあえず避難するのにより危ないところに避難するのはいかがなものかという御指摘があったと思いますが、私どもは今よりは制度として安全なところに避難することだと思っておりますので、その避難という概念が、三月三十一日以前の状態に戻すということについて国民皆さんのコンセンサスを得られるのであるならば、一部の皆様方からの批判に対しては真摯に対応していかなくてはならないというふうに考えております。
  184. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 皆さんの言い方はいろいろあると思うんですけれども、我々は法律の審査をしておるわけで、現段階でなぜ元に戻さなきゃいけないのか。  さっきも言ったように、与党見直しもやるわけです、いろいろあった終末期医療の問題も含めてきちんと見直しをやる、そして更に軽減策もやろう。そうした中で、皆さん等が後で出すのではなくて、こういう法案を出すときに一緒に出して一緒に議論をすれば、私はもっといい方向に行くと思うんですよ。今でも遅くはないのかもしれませんけれども、単純に元に戻さなくてもいいんじゃないか。もちろん将来的に皆さんが政権を取ったときにまた変えるのはそれまた自由でありますけど、今はこの制度でもう動いているわけですね。  特に無駄ということを考えれば、先ほどこれも尾辻委員から質問しましたけど、既にもう市町村連合は自分のところのコンピューターを使って徴収作業を始め、そして保険事業を開始しておるわけです。これは幾ら掛かるかじゃなくて、これは広域連合というのは地方公共団体ですよ。地方公共団体が新たにつくって、そこに議会もあるわけですよ。そんなものをつくって、それをまた元に戻してしまいますというのは法案には私はならないと思うんですね。民主党の人が本当に政権を取ろうということを考えておるんであれば、もうちょっと今ある現実、今動いている現実を見定めた中での方策を出してほしいと思いますね。  私は、民主党国会議員の中からも、元に戻したってしようがないじゃないかという意見はたくさん聞こえてきていますよ。それは野党四党、共産党、社民党まで合わせて全部合意を得るにはこういう案しかなかったのかもしれませんけれども、やっぱりそれは余りにも先ほど言った無責任ではないかと思います。  特に、さっきの道路財源のところで大塚議員とは道路財源の無駄遣い問題、議論させていただきまして、私はむしろ賛成したと思います。しっかりと道路財源の無駄遣いを与野党協力してなくしていこうと、私はそういう議論をしたと思います。それにもかかわらず、もう全国の市町村が広域連合をつくって既に世の中動かし出しているのに、それをまた一気に元に戻す、これこそ壮大な無駄遣いはないのではないでしょうか。大塚さん、いかがでしょうか。
  185. 鈴木寛

    委員以外の議員(鈴木寛君) 内閣官房参事官もお務めになられました先生でございますので、あえて申し上げますけれども、私たちがどこで単純に老人医療制度に戻すということを申し上げたんでしょうか。法案を読んでいただければお分かりになると思いますが、先ほど来私たちが申し上げていることは、先生だからお分かりになると思いますが、政策というものは法律と政令と省令と予算措置と、こういうもののパッケージででき上がっております。今回お出ししておりますのは法律でございますから、そこは三月三十一日までの制度にいったん戻すというわけで、何も平成十二年のころの老人保健制度に戻すなんということは書いてございません。  ここも法律にお詳しい先生でございますから申し上げますが、略称として三月三十一日の段階の老人保健制度を老健制度というふうに引用しているだけでございまして、先ほども少し御答弁を申しかかりましたけれども、それこそ尾辻先生始め与党の御尽力によってこの国保問題は様々な手当ても行われているんです、制度上はですよ。例えば財政安定支援事業、高額医療費共同事業、保険財政共同安定化事業、こういうことを通じて、共同拠出率は、これも堺市の財政局長をおやりになっているのでよくお分かりだと思いますが、もう既に四割まで来ていると。これが、三月三十一日現在の老人保健制度でありまして、平成十二年のころの老人保健制度とは全く違うと。したがって、問題は、先ほども申し上げましたけれども制度にあるのではなくて、そういう器をせっかくつくったにもかかわらず、平成十八年から十九年、二十年にかけてこういう予算を削減していることが問題なんですよ。  ですから、こういったところに真水をきちっとつぎ込んで、そういうことによって三月三十一日の制度に戻し、そして先ほども大塚議員からお話し申し上げましたように、私どもは何も単純なんということは申し上げてございません。予算制度の拡充については再三再四申し上げてきておりまして、今年の補正予算でも抜本的な拡充を行ったらいいと思いますし、そして我々はマニフェストの中で公費負担を増やすということを明言をしております。  そして、そのことを更に確認をするために今朝の厚生労働部門会議におきましても、他党の皆さんの御協力を得て、国保に対して先ほど申し上げましたような事業が実質的に機能するように来年度予算要求でもってきちっと国保の手当てをするというのが我々の考え方でありまして、そのところは、委員はちゃんとそういうことが分かっていながらあえてそういうことを、先ほどミスリードというお話がございましたが、そういうミスリードをするのは専門家なんですから是非やめていただきたいと思います。
  186. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 いろいろ言い方はあるでしょうけど、この前の説明会で私が聞いたときに、いやいや単純に元に戻すだけだという説明をしたのは民主党皆さんから出た言葉ですよ。私が今ここで言っておるんじゃないし、私の法律の読み方もそんなに間違っておるとは思いませんし、そんな複雑なことはこの法律には何も書かれていない、元に戻すことしか書いていないと思います。  福山議員にちょっと御質問いたしたいと思いますけど、私も個人的には医療一元化は賛成であります。やっぱり最後は、もうこれ一緒にしないともたないと私は思うんです。今回、非常に議論がなされていないのが残念なんですが、言葉の良し悪しは別にして、前期高齢者、六十五歳から七十四歳まで、これは今までは一部退職医療、退職者だけの部分の拠出だけであったんですけれども、今回の制度改正ですべての保険者が大体もう同じ比率で負担をするという制度を新たに入れた。これは一元化の一里塚になるものだとして私は評価していいと思うんですね。老人医療はいろいろ問題があったけれども、仕組みの上で横断的なものができた。六十五歳から七十四歳までも、私はこれ横断的なものができた。こういうことによって、やはりすべての保険が徐々にではありますけれども一元化のための努力を重ねていくことは私はむしろいいことではないかと思うんですが、この辺は評価していただけないのかどうか、いかがでしょうか。
  187. 福山哲郎

    委員以外の議員福山哲郎君) 御質問いただきましたが、先生、若干だけ先生の前の御質問に対してお答えをさせていただきたいと思っておりますが、自民党さんがいろんな見直しをされていると、それに当たって、いきなり廃止ということではなくて、お互いが公務員制度も含めてうまく調整できるところは調整すればいいのではないかというふうな御指摘もいただいたやに承りました、先ほどは。そこのことに関しては、私はあえて否定は申し上げません。公務員制度に関しても肝炎にしても、いろんな問題で法律の修正等が行われて与野党で共同してできることは、私はある意味でいうと議会制民主主義の一つの成熟の一歩だと思っておりますので、そこは先生の御指摘のとおりだと思います。  また、先生がおっしゃられますように、後期高齢者医療制度はやっぱり良くないと思うとホームページに書いていただいていると、さらには、究極的には一元化がいいと。まさに私は、先ほどから座っていて、我が意を得たりでございますので、是非この廃止法案にも賛成をいただきたいと思っておるんですが、先生の言われた一元化の一里塚になるという話でございますけれど、医療の提供体制を計画する側と保険者の管轄する範囲が一致している方が望ましいというのは、まさに私は先生の御指摘のとおりだと思います。しかしながら、今回は主体は実は一致していないんですね。医療の地域の計画はどこが作るかというと、都道府県が作ることになっています。後期高齢者医療制度は市町村から出している広域連合が作ることになっておりまして、実はここはずれておりまして、実はそこに関して私どもは一致していないことに対して若干評価しづらいところがございます。  また、先ほどの委員会での議論がずっとありますように、我々は、七十五歳以上を独立した形で保険制度をつくっていること自身、リスク分散ができないことも含めて先ほどからの議論がずっとありますので、実はこうしたからこそ若年者と高齢者の中での一元化がよりしにくくなっていると、壁をあえて今回つくられたというふうに思っておりますので、先ほどの保険者と計画するところの主体がある程度一致しているということに対しては、今回、ニアリーイコールなんですが、そこも中途半端、さらには広域連合についての責任の所在が少し私はあいまいだと思っておりますので、ですから、一里塚にはなかなか私自身はなりにくいと思っておりまして、ここは、先生の御指摘いただきましたが、若干意を異にしているところでございます。
  188. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 先ほどの尾辻委員質問で、七十五歳で線を引くという問題がありましたけど、ただ、私はこの問題は非常に強調され過ぎたような気がいたします。あくまでこれは制度上の区分であって、恐らくいろいろ問題点があります、その点は私も見直さなきゃならぬと思いますけれど、シームレスな制度にしなきゃいかぬと思うんですね。ただ、会計区分であるとか制度の区分であるとかいうことは、私の立場はそれでいいと思うんですけれど、ちょっとシームレスじゃないように見えたところが非常にあったと、そこの部分は私も直させていかなきゃならぬと思います。  ただ、今、国保を考えますと、さっき言ったように非常に、こう言うと市町村から怒られますけど、やっぱり老人医療というのは拠出金で来るものですから、やはり若年者のようにきちんとはやれていないところがあるんです。やはりその責任をきちんと持たせることが私は大事だと思います。それが今回、市町村の広域連合となった。これも与党内でいろいろ議論があります。できることなら本当は都道府県にした方がよかったんではないかと、これも私もそうは思っております。与党内にもそういう意見はたくさんあります。ちょっとそういった手法を使ったところも、皆さんとよく私は議論をしていきたいと思います。それを全然否定しておるわけじゃありませんのでね。  今言ったように、とにかく国民健康保険はもう行き着くところまで行き着いております。もう私もこれ若いときからずっとやっています。もう民生局の方にも、これはもうしようがないな、少し値上げさせてもらおうかなと言うと、運営協議会と相談してきますと言って運営協議会へと行く。そうしたら、どうしてももう一般会計からの繰入れを増やしてくれないと値上げは駄目だと言っております。もうそういう議論をずっと繰り返しておりまして、私も、もう基本的に市町村がいつまで国民健康保険を持てるんだと、そういうことがあったんですね。  だから、さっき言ったように、個人的には一元化でいいんですけど、そのためにも制度的にはやはりお年寄りの、高齢者保険の部分をもう医療制度として独立させることは私は良かったと思います。ただ、さっき言ったように、それがシームレシーでなきゃいかぬということは私も今回の制度改正を通じて思ったところでありまして、できるだけそこはシームレスに見えるように私もしていきたいと思うわけであります。  そこで、舛添大臣にもう一度お伺いしますけど、そういう制度論を議論をしても、なかなか高齢者医療制度をつくったからといって医療費の削減が直接できるわけではない。いろいろ御工夫は法律の中でもあるんですけど、やはり今後の国、地方の財政の観点から、今度の制度改正がどういうメリットがあるのかということをもう一度確認をさせていただきたいと思います。
  189. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 従来の老人保健制度に戻るのかという御批判を発議者の方になさっていましたけれども、従来の問題点というのは、世代間の負担関係が明確ではなかった。ですから、結局若い世代がどこまで負担になるのかなと、かえってこれはむしろ世代間の争いを助長することになりかねない。そして長期的な、維持可能な、サステーナブルな制度としてはやはり欠陥があるというふうに思います。  それから、運営の責任が不明確であって、何度も申し上げていますように市町村単位である、そういうことでありますけれども、しかしお金を集める単位とまた違う。したがって、金の入ってくるところと出るところが違ってくれば、これは使い道がいいかげんになる、そういうような問題がありました。こういう点についてきちんと、一割、四割、五割という、つまり高齢者、そして現役、公費という負担が明確になった。そして、これは都道府県の知事がやるのがいいのか広域連合がやるのがいいのか、その議論はおくとしても、少なくとも単位が広くなって財政的な安定がきちんとなると、そういう点のメリットがあるというふうに思いますので。  そして、何度も私は申し上げますように、高齢者医療負担をどうするか、保険料負担をどうするかと。午前中の議論にもあったように、最初は無料というのがありました。だけど、私は無料化というのはいいことではないと思っています。むしろ個人の尊厳を保つために自分は、これは自助、共助、公助と、この三つで成り立っていますから、まず天は自ら助くる者を助くと、そしてお互いに隣人を助け合うと、共助をやると、そして最後はセーフティーネットとして公助と、こういう組立ては間違っていないと思いますので、そういうことを明確化していくという意味で、むしろ高齢者方々のその尊厳を保つことになるというふうに思っていますので、その点は私ははっきりと申し上げておきたいと思っております。
  190. 礒崎陽輔

    礒崎陽輔君 大臣、ありがとうございました。  何度も申し上げますが、今日夕刻に与党としての対策を出させてもらう予定であります。その中で、低所得者、部分的には中所得者も含めてさらに保険料負担軽減を図っていきたいと思います。それがまず一番大事だと思うんです。多くの方で実質的には負担が下がる、もちろん被扶養者が新たに負担が出てくるという話は先ほどいたしましたから繰り返しませんが、そういう制度にするわけであります。したがって、ここは元に戻して元の保険料にするという議論ではないとおっしゃっていますけど、法案を見る限りそういう法案に私はなっていると思います。  だから、そうではなくて、この新たな制度の中で与野党できっちりと議論する、それが大事だと思います。国民が今一番望んでいることは、与党と野党がしっかりと議論をして、一人でも多くの国民の満足に値する政策的な結論を出していくことだと私は思っております。特にこれはお年寄り、今まで日本のために多くの貢献をしてきていただいたお年寄りに関する政策でありますから、これを私は政争の具にすることはなく、与党、野党しっかりと、私たち議論を重ねていい結論を出していくべきだと思います。そういった意味与党としてもしっかりと頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  ありがとうございました。     ─────────────
  191. 岩本司

    委員長岩本司君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、森ゆうこ君が委員辞任され、その補欠として牧山ひろえ君が選任されました。     ─────────────
  192. 山本博司

    ○山本博司君 公明党の山本博司でございます。  本日は、野党から提出をされたいわゆる後期高齢者医療制度廃止法案についてお聞きをしたいと思います。  四月から始まった後期高齢者医療制度については、確かに新しい保険証が手元に届かなかったり、保険料の徴収ミスが起きるなど、お役所的仕事の部分があり、高齢者に配慮した説明や準備が不足した点は素直に反省すべきと思います。しかし、この新しい制度が目指す方向は、今後の高齢社会を見据えたものであり、制度の骨格は維持すべきであると考えます。その上で、制度の理解と定着を図るとともに運用上の改善をすべきではないかと考えます。  ところが、今回の法案は、新しい制度廃止して従来の老人保健制度に戻すという考え方のようでありますが、対案を示さず元の制度に戻せというのはいささか無責任な態度ではないか、具体的な対案を野党の方々でまとめて提出すべきではなかったかと思います。  また、その上で、この法案廃止法案と言っておりますけれども、この法案が成立しても制度廃止にはなりません。政府が法制上及び財政上の措置を講じるとしているだけで、必要な法案を別途提出しなくてはなりません。これでは政府に丸投げするだけであり、責任ある対応ではないと思います。衆議院に二月二十八日に提出された法案ではもっと踏み込んでいたのではなかったかと記憶しておりますが、いずれにしましても、今後の方向性を示さないと具体的な議論ができないと思います。  そこでまず、厚生労働省にお伺いをいたします。  先ほども午前中、津田委員質問で若干触れていただきましたけれども、もしもこの法案が成立をして、政府が法制上、財政上の措置を講じなくてはいけないとすればどのような法律改正が必要になるのでしょうか。また、来年四月までにどのような事務的な手続が必要となると想定できるのでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
  193. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) お尋ねになりましたこの法案についてでございますけれども政府長寿医療制度廃止するための措置を講ずることを義務付けているものでございまして、仮にこの法案が成立した場合には、この法案に基づき私どもが、政府が講じなきゃならない法制上の措置は、まずは、まず長寿医療制度廃止医療費適正化の推進の廃止等を行うことに伴います高齢者医療の確保に関する法律の改正でございます。  それからもう一点、この法律に関しましては、保険料の特別徴収をやめることに伴います高齢者医療確保に関する法律等の改正がございます。さらに、入院時生活療養費の対象年齢を引き上げることに伴う医療保険各法、健康保険法、国民健康保険法、国家公務員共済組合法等の改正でございます。また、七十歳から七十四歳の自己負担割合を一割のままに据え置くことに伴います医療保険各法の改正がございます。それから、国民健康保険料国民健康保険税の特別徴収をやめることに伴います国民健康保険法、地方税法等の改正などを内容とした法律案提出する必要があるものと考えてございます。  それからもう一つ、必要な事務についてはどうかということでございます。この事務につきましては先ほども答弁させていただきましたが、国におきましては必要な法令等の整備が必要でございます。さらに、地方自治体におきましては広域連合の解散手続、それから広域連合が保有する財産や被保険者個人情報等の処分、それから被保険者が再び国保、被用者保険へ加入するために必要な移行手続、被保険者証の返還請求、市区町村が老人保健制度を運営するために必要なシステムの改修、制度変更周知広報、相談窓口などでございます。また、国民健康保険者、市町村でございますけれども、及び被用者保険保険者におきましては、長寿医療制度保険者の各医療保険への再加入手続といった事務手続、それとそれに伴うコストが発生するということが考えられます。
  194. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。  こうした今お話をしていただきましたけれども、この保険料の特別徴収また保険料負担軽減を遅くとも十月一日までに廃止することとしているので、先ほど話がありました法律を少なくとも十月一日よりも前に成立させなくてはなりませんが、これは物理的にはなかなか厳しいのではないでしょうか。今が六月でございますので、周知のための広報、個々の高齢者方々への通知のスケジュール、現実的に可能なのかどうか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  195. 大塚耕平

    委員以外の議員大塚耕平君) 先ほど鈴木委員から礒崎委員への御質問の答弁の中で申し上げましたように、もちろん法制面の対応というのは、法律を制定できれば最もこれが堅固な対応でございますが、政省令等その他の対応によっても諸般の措置はとることができます。十月一日までに法律を制定しようとすれば、これはそれまでの間に、もし今国会が会期どおりに終われば、別途国会を開いていただく必要もございますし、そうした政治情勢等もろもろ勘案いたしまして、現実的な所要の法制面の措置をとることによって対応させていただきたいと考えております。
  196. 山本博司

    ○山本博司君 今お話ありましたけれども、現実的には大変無責任な内容だと思います。後でちょっとこの点を触れたいと思いますけれども、個々にちょっと聞いてまいりたいと思います。  午前中の議論でもございましたけれどもシステム改修についてお聞きをいたします。  今回の法案では、本年十月の時点で、第三条第二号の負担軽減によってシステム改修が必要となります。さらに、平成二十一年四月に現制度廃止し老人保健制度に戻しますので、この時点でもシステム改修、二回必要となります。  そこで、厚生労働省にお伺いをいたします。後期高齢者医療制度をスタートするに当たってのシステム改修が行われたと思いますけれども、どのぐらいの費用が掛かったのか、御報告をいただきたいと思います。
  197. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) お答えいたします。  後期高齢者医療制度の施行に当たって、システムの改修等に必要な経費として国の予算に計上した額は、総計で約三百二十億円でございます。この中には広域連合のシステムのみならず市町村のシステムの改修、これも含まれてございます。
  198. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。  この報告から類推をしましても、大変、相当の額のシステム改修が今後も発生をするということが想定できると思います。平成二十一年四月から廃止をするという前提で、今年の十月一日までのシステム改修に掛かった費用、これは費用の無駄になるのではないでしょうか。この点についての発議者の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  199. 大塚耕平

    委員以外の議員大塚耕平君) まず、結論から先に申し上げますと、先ほども礒崎議員が財政金融委員会議論を引用してくださいましたけれども、私どもは財政金融委員会では道路の整備計画に無駄があると申し上げて、与党皆様方は、礒崎議員は違うとおっしゃいましたけれども、無駄ではないとおっしゃったわけでございます。  そして、今回のこの問題にこれを照らして考えますと、再三この後期高齢者医療制度を元に戻して対応するコストを発生させることは無駄ではないかという御指摘でございますが、私どもは今度は逆にこれは無駄ではないと思っているわけでございます。その上で、山本委員におかれましては、実は大手メーンフレームメーカーにおられましたので大変システムにお詳しいわけでございますが、先ほどの三百二十億円の数字についての私なりの感覚は尾辻委員の御質問に対してお答えを申し上げました。  そもそも御専門家ですので、もう少し素人なりに少し敷衍をさせていただきますと、広域連合がもし同じシステム、プログラムを使っていて、若干それぞれの自治体、抱えている自治体や広域連合によって差があるとしても、その辺はパラメーターの入力等によって、あるいは多少カスタマイズできるパーツを残して、そういう対応にして、しかし、トータルでは同じシステムを共有して広域連合にこれを配付していれば、恐らくプログラムを作ることとその変更等では、三百二十億円という金額は掛からないのではないかなと、私は私なりの経験上からそのように感じております。  もっとも、今日申し上げましたように、別途、本当は転用可能なサーバー等を持っていたけれども、全部別の筐体を買ったとか、用意したとか、あるいは広域連合のネットワークを張ったとかということであれば三百二十億という数字もなるほどなというふうに思うわけでございますが、少なくともネットワークは張っていないわけでございますし、かなりその三百二十億という数字自身についても一度検証をさせていただく必要があるかなと私自身は感じております。  したがって、結論的に申し上げれば、無駄だという御指摘でございますが、むしろ七割の国民皆さんが元に戻すことを望んでおられる。民意に従うことが議会制民主主義であるとすれば、決して無駄ではない。そして、そのコストは厚生労働省イメージしておられるコストよりも少なくできるのではないかと思いますが、この点については、もし与党皆様の御協力をいただければ我々も検証に参加をさせていただきたいというふうに思っております。
  200. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。  今の三百二十億という件でございますけれども、現実的には、この与党の十二月の段階での激変緩和措置で、実際その掛かっている費用が七十六億円ぐらいだというふうに聞いております。ですから、そういう意味でいったら、初期投資というよりも、こういう一千三百の市町村にかかわる様々な改正の部分だけでもそういう金額掛かっているわけでございます。これはハードというよりもやっぱりサービスの部分というのが非常に高いんではないか。これは現実的に更にまた検証していかないといけないと思いますけれども、今回の部分というのは稼働中のシステムになるわけでございますので、今までは新しい初期の部分ですので、そういった違いがあるということも含めて、どちらにしても十月一日で作ったシステム負担軽減という形での改修をする、その金額に関してはやはり無駄になってしまうというわけでございますので、そういう点も含めて、ともかく、やはり午前中の論議でも一円でも無駄にはしないという、そういうことでいえば、そういうことも含めて真剣に考えていかないといけないというふうに思います。  それでは次に、法案内容についてお伺いをしたいと思います。  まず、法案の第三条第一号では、保険料の徴収について、できる限り速やかに、遅くとも二十年十月一日までに特別徴収の方法によらないものとすることとして、年金からの天引きを取りやめることとしております。一般的には年金天引きは未納対策としても有効だと言われておりますけれども、この年金天引きを取りやめる理由はどのような理由からでしょうか。簡潔にお答えいただきたいと思います。
  201. 大塚耕平

    委員以外の議員大塚耕平君) この年金天引きを取りやめる理由は、そもそも私どもはこの制度に反対をしているわけでございますので、この制度廃止するに当たって、まず年金天引きを優先して行わさせていただきたいという趣旨でございます。  それに加えまして、今日の午前中の質疑でもございましたように、実は、天引きにするかあるいは普通徴収にするかによって、現役層が高齢者保険料を支払う過程において実質増税になるというような、天引き増税というような影響も出てまいりますので、これらの理由を総合いたしますと一刻も早く天引きを取りやめさせていただきたいというふうに思っております。
  202. 山本博司

    ○山本博司君 この年金からの天引きといいますのは介護保険法を準用したものでございますけれども、そうすると、介護保険料の年金天引きも取りやめるべきと考えていらっしゃるのかどうか、これが第一点でございます。  また、この保険料を年金から天引きするという考え方、国会ではどのように議論されてきたのか調べてみましたら、平成八年の六月十二日の衆議院厚生委員会において、ちょうど介護保険制度導入の審議会答申が出た直後でございますけれども、現在の民主党の菅直人代表代行が、当時厚生大臣のときにこのようにおっしゃっておられます。高齢者保険料については、実質的にそう未納が多くならないでやれるような、例えば年金等からの天引きなどの、そういうやり方で対応していくことによってできるのではないかと思っておりますとおっしゃっておられます。要するに、保険料の未納対策として年金天引きは有効であると、このように述べているわけでございます。  先ほどの発言と含めて矛盾であると思いますけれども、この御見解をいただきたいと思います。
  203. 大塚耕平

    委員以外の議員大塚耕平君) 二点御質問いただきましたが、二点目の方からお答えを申し上げたいと思います。  私どもの菅直人代表代行の過去の御発言を引用しての御質問でございますが、その時点においては、今日多くの国民皆さんの不安につながっている消えた年金問題等は認識をされておりませんでした。そして、この問題を今年の三月三十一日までに全面的に解決するという、このことがまだ道半ばであるというこの状況下においては、恐らく平成八年の六月十二日のこの国会における議論というのは当てはまらないであろうというふうに考えております。したがって、私どもとしては、今回の天引きをやめるということについては、現下の情勢においては合理的な対応だと思っております。  そして一点目は、介護についてはどうするかということでございますが、介護の保険料の天引きをどうするかということは私ども議論をこの段階ではいたしておりません。  したがって、ここについては方針は決まっているわけではございませんが、しかし一点補足をさせていただきますと、この天引き、源泉徴収というものが実は納税者の皆さんの納税意識を薄めている、低めている制度的な要因であるという面もございますので、もし、行政コストとのバランスにおいて、行政コストが多少掛かっても源泉徴収やいわゆる天引きをやめて、納税者やあるいは保険料負担していらっしゃる負担者の皆さんが私たち負担をしているんだと意識を持つことで、国政にあるいは県政、市政に対する関心が高まり、そのことによって税金の無駄遣い、保険料の無駄遣い等が減れば、トータルとしてはかえって行政コストを削減することにもつながると思っておりますので、是非その源泉徴収の一般的考え方についてもしかるべき段階皆様方と議論をさせていただきたいという気持ちは持っております。
  204. 山本博司

    ○山本博司君 保険料の利用性向上ということと徴収事務のコスト削減ということをかんがみましたら、年金からの天引きというのは有効な徴収方法でもございます。でも、今回、年金からの天引きを取りやめた場合でも負担を求めないということではありませんので、保険料の徴収をしなくてはなりません。  今後、この保険料の徴収事務、十月一日からということでございますけれども、どのように行うおつもりなのか、教えていただきたいと思います。
  205. 福島みずほ

    委員以外の議員福島みずほ君) この法案はいったん元に戻すということなので、元の徴収に私たちは戻すということで一致をしております。    〔委員長退席、理事家西悟君着席〕  それで、先ほどから大塚委員の答弁でもありますが、付け加えて申し上げますと、二〇〇六年の審議の中で平均年金収入で介護四千円、医療六千円という数字が出てきたときに、無理ではないかという主張を私どもはいたしました。また、マクロ経済スライドで年金額は基礎年金部分も含めて目減りをしていっております。介護保険導入のとき、マクロ経済スライドは存在をしておりませんでした。  ですから、今の段階で、例えば受け取る年金額が一年間で十八万円以上、月額一万五千円以上ある人は年金から保険料がいや応なく天引きされるという点で、今となっては過酷な制度であると考えております。
  206. 山本博司

    ○山本博司君 次に、保険料負担軽減についてお伺いをしたいと思います。  法案の第三条第二号、第三号では、それぞれの被用者保険でこれまで被扶養者であった被保険者には引き続き保険料を免除して、それ以外の被保険者の保険料もできるだけ速やかに、遅くとも平成二十年十月一日までにその負担軽減するものとすることとして保険料軽減を規定しております。  この保険料軽減でございますけれども対象者の具体的な範囲、軽減の具体的な規模を教えていただきたいと思います。
  207. 大塚耕平

    委員以外の議員大塚耕平君) 御下問の件につきましては、このデータを私どもも責任を持ってお示ししたいという思い厚生労働省にこれまで、厚生労働省としては今回保険料が上がった方、下がった方、どのぐらいの数字になっているか確認をさせていただきたいと申し上げておりましたが、現時点においてまだ厚生労働省から参考になる数字をいただけておりません。  ただ、今日の午前中及び午後の質疑でもございましたように、政府による、厚生労働省による実態調査、これは五月十五日付けの事務連絡を発出して行っておりますが、この回答期限が五月十九日ということになっておりまして、先ほどの大臣の御答弁でも、この調査の結果はできるだけ速やかに公開をする、御報告をいただけるというようなお話でございましたので、これらのデータがもし、今、山本議員から御下問をいただいた件について、我々が推計するに足る調査結果であれば、それに基づいて私どもなりのデータをお示しできるものと考えております。
  208. 山本博司

    ○山本博司君 具体的に例えば一円以上とか、何らかのそういう判断基準というのは今はないんでしょうか。
  209. 大塚耕平

    委員以外の議員大塚耕平君) それは、逆にちょっと確認をさせていただきたいんですが、御質問の趣旨というのは、もし上がった方が一円、二円であれば上がったままでいいけれども、百円以上上がった方は下げるとかという、そういう意味でございますか。
  210. 山本博司

    ○山本博司君 全員をやるとか、そういう……
  211. 大塚耕平

    委員以外の議員大塚耕平君) そういう意味では、私ども法案では、まず全員、負担が上がった方々については全員元に戻すということを考えております。  そして、蛇足でございますが、蛇足ではございません、大変重要なポイントでございますが、むしろ負担軽減された方々もいると思いますので、その方々についてどうするかということについては、先ほど礒崎議員に対してお答えをしたとおりでございます。
  212. 山本博司

    ○山本博司君 それでは、具体的な人数が分からないということは、財源に関しても分からないということでございますか。
  213. 大塚耕平

    委員以外の議員大塚耕平君) 分からないというよりも、厚生労働省皆様方から私どもがその御質問にお答えするに足る重要な情報をいただけるかどうかということですので、心待ちにしております。
  214. 山本博司

    ○山本博司君 もうほとんど丸投げに近い法案というのが本当によく分かるんですけれども、スケジュールの部分でちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、先ほどの五本の法改正、それに伴う、平成十八年健康保険法では約五十本の法改正が発生したと言われておりますけれども、具体的にいつまでにそういった法改正をやらないと間に合わないのかどうかという、そういうスケジュール感を教えていただきたいと思います。    〔理事家西悟君退席、委員長着席〕
  215. 大塚耕平

    委員以外の議員大塚耕平君) 先ほどもお答えを申し上げましたように、この法案は十月一日までに負担軽減措置をとるとともに、来年の四月一日をもって元に戻すということを規定している。そして、そのことについて政府に法制措置、財政措置を義務付ける法案になっておりますので、当然その期日に間に合う間において所定の対応をするものというふうに考えております。
  216. 山本博司

    ○山本博司君 例えば、この十月一日までに軽減であるとか又は天引きとかということでありますと、システム改修をしないといけない。当然それはシステムのメーカーに発注をしないといけない。そのタイミングというのは、法改正ができてないとできないというふうになると思います。  ですから、当然その時期を、十月一日までに一切そういうことをやるということでありますから、それは六月とか七月とか、もうかなり早い段階でそういったことをやらないといけない。現実的にそれはどう考えても、今のスケジュール感でいって、先ほど局長からもその間の十月一日までにやる作業ということの部分でお話がございましたけれども、ほとんどスケジュール的に見たら不可能に近いというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  217. 大塚耕平

    委員以外の議員大塚耕平君) 私は、逆にそうは思っておりませんで、したがって、先ほど一緒に検証させていただきたいと申し上げたのは、一体厚生労働省予算を付けて広域連合がどのようなシステム対応をしたのか、そこを検証してみませんと、通常、この予算が付いてシステム対応をするのに、恐らくこれまで私どもが認識している情報で考えますと、過去一年ぐらいのスパンで、二年前にこの法案が通ったわけでございますので、過去一年ぐらいの間に行われていると。しかも、この基本のシステムができているということは、これがちゃんとデバッグできるような状況になっていれば、これはそれほど、プログラムを変えるということだけであれば、山本委員の方がお詳しいと思いますけれども、必ずしも物すごい時間が掛かるものではないというふうに思っております。  加えまして、これは今回の法案がもし与党皆様の御賛同もいただいて成立すれば、その方向に進むことは明確になるわけでございますので、あとは、その中で、先ほど来御下問のあります負担が下がった方をどうするかということについてコンセンサスが得られた場合、その方々も含めて全部元に戻すということであれば、直ちに元に戻す対応をシステム的に行えばいいと思いますが、もしそのシステム的な対応ができないということであれば、相当複雑なものを、あるいは広域連合ごとにばらばらなものをつくっているんではないかなというふうに推測ができますので、そのことも含めてプログラムの設計の仕様書の段階からどうなっているかということを是非、もし御賛同をいただければ、山本委員にも御参加をいただいて確認をさせていただきたい。  実は、こういうシステム対応が個々の役所においてどのような言わば仕事ぶりになっているかということは今後の行政の簡素化、制度の簡素化においても大変重要なポイントだと思っておりますので、大変意義のある御指摘をいただいているものと思います。
  218. 山本博司

    ○山本博司君 納得ができない部分がございまして、天引きに関しても、実際十月一日からなくすという形を取る場合ですと、当然、個々の国民一千三百万の方々に対しての一人一人に通知をしないといけない、その作業考えた場合に、いつまでにやるかということを考えたら、もう二か月前とかという形になるわけでございますけれども、そういう具体的に、じゃ、十月一日までに今皆様がおっしゃっていらっしゃることをどうしていくかということが具体的に一つ詰められていなくて、すべて政府に丸投げしているというのが今の皆様法案ではないかなという気がいたします。  ですので、そういった作業のスケジュール感といいますか、いつまでに何をしないといけないかということに関して具体的なものを、委員長資料として提出を求めたいと思いますけれども、よろしくお願いします。
  219. 岩本司

    委員長岩本司君) 理事会で協議いたします。
  220. 山本博司

    ○山本博司君 次に、保険料の変動についてお聞きをしたいと思います。  現在、厚生労働省でも地方自治体での実態調査を行っており、調査の結果を待ちたいと思いますけれども、先日のある新聞社の調査でも、七割の世帯で負担額が下がったとのデータもありました。そこで、こうした新しい制度保険料が下がった人への対応についてお伺いをしたいと思います。  今回の新しい医療制度保険料負担が下がった人に対して、この法案に沿って考えると、十月に負担の更なる軽減がなされます。先ほど言いましたように、全員に対してやるということでございますので、当然、更に多くの方々が下がります。しかし、来年の四月には元の老人保健制度に戻りますので、多くの方々保険料が上がってしまいます。このことに対して国民は非常に怒るのではないかと思いますけれども、このことをどう説明されるのでしょうか。
  221. 小池晃

    委員以外の議員小池晃君) 今の御質問ですが、読売新聞の保険料報道を前提として質問されているというふうにお聞きしました。  この報道については、これは読売新聞の調査というより、厚生労働省が行っている調査を一部の市区町村、百八十三について集計したものというふうに思われます。この厚生労働省調査内容ですが、極めて問題が大きいというふうに私ども考えております。  といいますのは、国保加入世帯について、高齢者単身、それから高齢者夫婦、それから片方が高齢者だけの夫婦、それから高齢者一人と子供夫婦という四種の世帯構成について、三段階の世帯収入について国保の保険料後期高齢者保険料を比較しております。この調査のモデルというのは、低所得者のようにほとんど資産を持っていない世帯まですべて、資産割を算定している自治体については資産割を払っていることを前提にする。あるいは世帯構成についても、例えば老夫婦と子供夫婦で構成される世帯のように比較的負担増になりやすい世帯構成を除外しております。その点で現実に即したものと考えておりません。  私どもの推計では、調査モデルのモデル世帯では高齢者世帯の三分の二程度の世帯数しかカバーしていないというふうに思われます。しかも、厚生労働省調査ではモデルごとの被保険者数を調査をしておりません。このように、この調査結果によれば実態をきちんと把握できず、負担増が低い結果となるのではないかというふうに私どもは見ております。  読売新聞の調査結果は、七割が国保の保険料より軽減されたということですが、これは厚生労働省調査モデルで自治体数の七割ということであって全保険者の七割、全被保険者の七割ということではございません。  このように、この調査モデルは、実態を把握するどころか、七割から八割の世帯が負担減であるという当初の厚生労働大臣の発言に合わせて結論を誘導するようなものになっているのではないかというふうに思わざるを得ません。こうした調査結果に基づいて負担が増える世帯が多くなるという前提に対してはちょっとお答えすることができないと。  ですから、私どもとしては、現実の問題が出たときに、それに対してどう対応するかということを考えていくというふうにしか答えようがないというふうに思っております。
  222. 岩本司

    委員長岩本司君) 挙手されていますけれども、よろしいですか。
  223. 山本博司

    ○山本博司君 もう時間がありませんから。  済みません。時間がなくて申し訳ありません。  それと、もう一つの点に関しまして、老人保健制度に戻すということでの影響という点でお聞きをしたいと思います。  老人保健制度の問題点として、国保では市町村によって保険料最大五倍の格差がありました。これに対応するために、各都道府県単位に広域連合をつくって、格差を最大二倍までに縮小しました。しかし、今回の法案では、この格差の下に戻ることになります。市町村に多大な負担をお掛けすることになると思いますけれども、この点に関してお話をしていただきたいと思います。
  224. 鈴木寛

    委員以外の議員(鈴木寛君) 御指摘の点でございますが、今朝の民主党の部門会議でも確認をさせていただきましたが、来年度の予算編成に向けましては、政省令改正を含めて必要な予算の確保を他党の皆様方にも呼びかけて、強く実施を時の政権に、もちろん私どもが担っていれば私ども自らが実現を図ってまいるということの尽力をしてまいりたいというふうに思っております。  具体的には、まさに今御指摘の市町村国保保険料の地域格差、これは抜本的に是正をすることは本当に大事だというふうに思っておりますし、それから、先ほど来問題になっております高齢者を始め低所得者を多く抱える保険者への支援の抜本的拡充も考えております。  具体的には、国の調整交付金や都道府県調整交付金の調整率を改善をいたしますでありますとか、財政安定化支援事業と保険料負担の平準化等に資するため、市町村の一般会計から国保特会への繰入れを地方財政措置で支援をする、これを、今も行っておりますが、更に拡充をしていく。それから、高額医療費共同事業交付金のこれを充実、あるいは保険財政共同安定化事業の抜本充実等々によりまして、まずこの共同拠出率を引き上げることによって市町村間のバランスの是正に努めてまいりたいと思っております。  加えまして、高齢者を含む低所得者対策でございますが、保険基盤安定制度の中で保険者支援制度の抜本拡充、あるいは保険料軽減制度の抜本拡充を行うことによってこうした問題にきちっと対応してまいりたいということを申し上げたいと思います。
  225. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。  様々な今角度から見てまいりましたけれども、この廃止法案、私感じまするに、更なるコストを掛けるだけで何らの問題の解決にはつながっていない。新しい制度は、これまでの老人保健制度では超高齢社会へ突き進む我が国の医療を支え切れないという共通の認識から創設されたものであります。  平成十二年の医療制度改革の審議では、参議院において関連法案を可決した際に民主党議員が反対討論に立ち、小手先で制度を変えるのではなく、老人保健制度に代わる新たな高齢者医療制度の創設に全力を挙げることが必要と、こう訴えております。また、この医療制度改革関連法案を審議した平成十二年十一月三十日の国民福祉委員会では、共産党を除く各党で、抜本改革の重要な柱である老人保健制度に代わる新たな高齢者医療制度の創設については早急に検討して、平成十四年度中に必ず実施することとの附帯決議を採択をしております。さらに、民主党の二〇〇五年の衆議院選挙マニフェストでは、透明で独立性の高い新たな高齢者医療制度の創設を含む医療医療保険制度の改革に取り組みますと書かれております。選挙公約であるこのマニフェストを掲げて当選をした衆議院の方々が現在も議席を持っていらっしゃいます。  老人保健制度の抜本改革に積極的だった民主党がここに至って心変わりをされたのには大変理解に苦しみます。なぜこのようにこれまでの言動と違う対応をされているのか、発議者の方から御説明いただきたいと思います。
  226. 鈴木寛

    委員以外の議員(鈴木寛君) 先ほど尾辻先生の質問への御回答と重なった部分があるかもしれませんが、御容赦ください、御質問でございますので。  今引用をされました平成十二年の十一月三十日の附帯決議を受けて、平成十三年の九月七日に社会保障審議会の医療部会で四つの方式、すなわち独立保険、そして突き抜け型、そして年齢リスク構造調整、そして一本化、この四つの方式が示されました。  私ども民主党といたしましては、この二番目と三番目の混合型ということを取りまして、さらに平成十四年の九月二十五日の当時の坂口厚生労働大臣私案でも独立型ではなくてリスク構造調整方式ということをお示しになって、これは今おっしゃっていただきましたように、私ども、そして与野党の真剣な議論をきちっと踏まえていただいたすばらしい御対応だったというふうに私は思っております。  厚労省におきましても、まさにA案のリスク構造調整方式とB案のまさに独立方式と、このA案、B案になりまして、繰り返しになりますけど、その後、経済財政諮問会議の議論にかなり引っ張られる形でB案になってしまったというのが現状であるということは委員も御承知のことだと思いますが、改めて私からも確認をさせていただきたいと思います。  民主党は、一貫いたしまして、この制度を通じた年齢と所得のリスク調整を積極的に進めていく、将来的には保険の一元化を図るという考え方をずっと主張させていただいております。その中で、特にそのリスクを負っております国民保険については先ほど来申し上げておりますような財政的な充実をしていく、このこともマニフェストに公的な負担をきちっと充実をさせるということを盛り込んでおりますので、そのことは御承知をいただいていると思います。  そうした観点から申し上げますと、保険上、リスクの高い高齢者だけを集めた独立の後期高齢者医療制度を設けて高齢者に別建ての体系をつくることは、むしろこうした医療保険の一元化の流れに非常に妨げになりますので、いったん後期高齢者医療制度廃止をさせていただいて、そして従来のこの年齢、所得リスク調整を積極的に推進をするという、まさに予算の充実でもって医療保険の一元化を努めていくということが望ましいというのが私ども考えでございまして、その観点に立った法案であるということを御理解をいただきたいと思います。
  227. 山本博司

    ○山本博司君 もう時間が来ておりますので、是非政権を担う政党であれば対案を出していただきたいと思います。  以上でございます。
  228. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。  今日は、山本博司委員に引き続きまして、後期高齢者医療制度廃止等及び医療に係る高齢者負担軽減等のために緊急に講ずべき措置に関する法律案について質問をさせていただきます。  本法案は、本年四月より始まった後期高齢者医療制度、通称長寿医療制度廃止するということでありまして、日本医療制度に大きな影響を与えると、そしてまた国民皆様にも多大な影響を与える重要な法案でありますから、十分な審議そしてまた慎重な審議、国民の声を的確に反映する、そういう審議をやっていくべきだと、参考人あるいは地方公聴会等しっかりやっていって、国民の納得が得られるような審議をしていきたいと思いますので、その点、委員長そしてまた提案者皆様にもその旨の御配慮をお願いをしたいと、まず申し上げておきたいと思います。  それで、本日は最初の審議ということになりますので、法案内容確認ということを考えておりますけれども、先ほどまでの様々な質疑等を通じましておおよそ御回答をいただいたような点もありますので、重複を避ける、あるいはなお更に確認をするということをさせていただければと思います。  まず、基本的なことなんですけれども法案の第一条で、ここに国民高齢期の定義、高齢期という言葉があるわけであります。年齢によって区切るのがどうかという議論一つ大きな課題でありました。この国民高齢期ということに対してどのように提案者の方はお考えなのか、お伺いをしたいと思います。発議者福山議員の方からお願いをいたします。
  229. 福山哲郎

    委員以外の議員福山哲郎君) ありがとうございます。  審議をしっかりしろというのは私も同意でございます。ただ、国会は会期がございますので、私どもとしては、国民の声を聞いて、審議をし、そして早く院の意思として採決をしていただいて、そして衆議院でも採決をしていただいてこの法案が成立するように願っているところでございますので、いたずらに審議を私は急ぐ気はございませんが、しかしながら会期というおしりが決まっていることも含めて、そこは与党先生方にも御理解をいただきたいと、まずはそのことをお願いを申し上げます。  今御質問のいただきました国民高齢期の定義でございますが、国民高齢期における適切な医療を確保することは、高齢者医療の確保に関する法律の第一条に規定をされております。同法に定める諸制度目的とするものでありまして、基本的には高齢者医療の確保に関する法律において、七十五歳以上の者及び六十五歳以上七十五歳未満の者であって、一定の障害の状態にある旨の後期高齢者医療広域連合の認定を受けたものを後期高齢者医療の被保険者としておりますので、基本的にはその定義に我々はのっとらしていただいているところでございます。
  230. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 そうすると、一応その年齢の区切りは、それは皆様も了解をしながらこの法案の方を組み立てているということでよろしいということですね。  次に、同じ第一条でありますけれども国民高齢期における適切な医療内容について、これは発議者櫻井議員の方にお伺いをしたいと思います。
  231. 櫻井充

    櫻井充君 渡辺先生、まず我々、好きこのんで高齢者という格好で定義したいと思っているわけではないんですよ。実際、その元々の、高齢者医療の確保に関する法律目的の第一条のところに、「国民高齢期における適切な医療の確保を図るため、」と書かれていて、そういうことが図られていないからという理由で今回はこういうふうに書かせていただいているだけでございます。  先生、釈迦に説法でございますが、我々医療人として、高齢者だから適切な医療を行う行わないではないんだろうと。つまり、いろんな患者さん方がいらっしゃって、その人たちに適切な医療を常に提供するということを考えていくことが第一義だと私は思っております。そうすると、そういう点で考えてくると、その適切な医療とは何かというと、患者さんが望んでいることに対して我々がきちんとした形でこたえていく、そういう医療を提供していくことになるんだろうなと、そう思います。  あえて、ここの部分で高齢期のということになるんだとすれば、高齢者皆さんにとって特有の病気といいますか、老年内科というのが各大学にでき上がってきています。これは小児科と同じような形で、高齢期の皆さんに特徴があるのでそういう内科ができてきているかと思いますけれども、これは結果的には、生理学的機能が落ちるとか、先ほども申し上げましたが、日常動作活動が低下すること等によって起こってきている様々な疾患が増えてくるわけですから、それらの疾患に対してきちんと適切に対応していくということになるんだろうなと、そう思います。
  232. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 次に、現制度がそれを確保するものとなっていないということでこういう法案提出になったと理解をしておりますけれども、この現制度がそれを確保するものとなっていない理由について確認をさせていただきたいと思います。
  233. 櫻井充

    櫻井充君 これは先ほども御答弁させていただきましたが、あわせて、医師会の先生方も随分反対されているわけですよ。それは、高齢者担当医でしたっけ、そういうような担当医を配置するのはおかしいとか、それから先ほども申し上げましたが、七十五歳以上の人だけリビングウイルを確認するようなことを行ってくるとか、そういうことを行ってくることが適切な医療を提供することには僕はならないんだろうと、そういうふうに考えております。  与党も今回の制度の、制度というか、そこの中の微調整の中で、こういったもの、診療報酬点数も含めて改正をしなきゃいけないというふうにしてきているわけですから、その点を勘案すれば、これは与党高齢者皆さんに対して適切な医療が提供できていないから改正するんではないのかなというふうに想像しております。  以上でございます。
  234. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 法案も変えなければ対応できないものと法案を変えなくても対応できるものが当然あるわけでありまして、今のお話のようなものはまた別建てで、診療報酬とかそういう審議の中で改善等は議論されると思うんですが。  担当医のお話がありました。私自身は、かかりつけ医というのは重要な役割を果たすと思いまして、そのかかりつけ医の一つの形、要素の一つかもしれません、担当医というのはですね。先ほど櫻井委員も、検査の重複とか投薬の重複等を避けるという意味ではこういう担当医というような役割は重要だ、お話ありましたので、私はそういう担当医の役割というのは、重複、医療の無駄を省くためには大変重要だという理解がありますので、そういう点はいろいろ内容については、より良い方向に行くようにしていくその一歩かなという思いはあります。  じゃ、今私がお話ししたので、質問の通告外でありますけれども、それじゃ。
  235. 櫻井充

    櫻井充君 先生、それが本当に患者さんのためになるような格好でその担当医というのが決まってくるんならいいわけですよ。今回の場合に、その担当医は、結果的には医療費削減のために担当医を置かなきゃいけないということを決めたところに大きな問題があるんじゃないのかなと、そう思います。  例えば、検査の重複であるとかそれから投薬の重複であるとか、そういったものは本来はレセプトで全部チェックしていかなきゃいけないことなんだと思うんですね。それを入口で規制するということにまず根本的な問題があって、それを担当医というところで全部調整させようとしているところに僕は今回の在り方、根本的な間違いがあると、そういうふうに思っています。  この制度そのものは、実を言うと、お医者さんたち随分反対していますが、多分病院の収入からすると最初は増えるんだろうと思うんですよ。それはなぜかというと、定額方式で六百点ですから。そうすると、この患者さんが月々六千円に達していない人たちであれば定額方式にした方がいいと。ところが、この患者さんが毎月毎月もう七千円も八千円も掛かるようになるんであれば定額方式はやめた方がいいと。そうすると、本来は、医療機関にとってはこういう制度は収入面ではいいはずですが、医療がきちんと提供できないということでお医者さん方がみんな反対しているわけですから。  ですから、そういう点でいうと、僕は高齢者のためにはなっていないんじゃないかなと、そう思います。
  236. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 私自身は、高齢者方々も大変家計が苦しい方がいらっしゃるので、そういう意味では重複検査等々、省けることによって高齢者皆さん医療費の負担、減るのではないかと、そういう面では期待をしておるわけです。  それでは、次の質問でございますけれども、先ほどの、何回も出ている話なんですけれども、老人保健制度の再導入等が何ゆえ適切な医療の確保につながるのかと、もう一度簡潔に各提案者の方から御回答いただきたいと思います。
  237. 福山哲郎

    委員以外の議員福山哲郎君) 今、櫻井発議者の方からも話がありましたように、答弁させていただきましたように、いろんな問題が起きています。  今、渡辺先生から、例えば少し貧しい方についての言及もございましたけれども後期高齢者医療制度の導入によって、一定期間保険料を滞納した人には資格証明書を与えられて、そして全額最初負担するというような状況が起こり得る状況になっています。この状況で、現実に、後、保険料を払えば償還してもらえるとはいいながら、現実に保険料を滞納した人が全部保険料を払ってから後で償還してもらっても現実には意味がないというか、確実に受診抑制につながるような制度も導入をされました。  更に申し上げれば、いわゆる後期高齢者制度になって、市町村においてのいわゆる健診が義務ではなく努力義務になったおかげで人間ドックの助成をするところも非常に減っているというようなこともあって、我々としては、先ほど櫻井先生がおっしゃったとおりでございまして、そういったものも含めてまずいったん戻してみるということが我々にとっては肝要だというふうに考えておりますので、まず戻すことが今よりかはましな、適切な医療が行われると我々は判断をしているということでございます。
  238. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今よりはましだということでありますけれども、老人保健制度に問題がないのかどうか、一応今もお話がありましたけれども発議者福山議員小池議員福島みずほ議員に簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  239. 福山哲郎

    委員以外の議員福山哲郎君) 旧老人保健制度の問題点はたくさんあると我々も現実問題としては認識をしております。  高齢世代の保険料の扱いが不明確である、それから、老健制度実施主体である市町村は医療費を支払うだけで保険料の徴収は行っておらず責任が不明確であったり、いろんな問題を抱えているというふうに思っています。だからこそ改革の議論をずっとしてきたはずでございます。  先ほどからあの附帯決議等の議論先生方から御指摘をいただいていますが、我々はあの附帯決議を出すときに、御案内のように強行採決をされて、そして非常に悔しい、あのときいらっしゃった津田委員がそこにいらっしゃいますが、津田委員は「残念ながら可決されました」という文言を付けて附帯決議を読み上げさせていただきました。我々は野党ですし、当時は衆参共に多数を与党が持っています。どう我々が頑張ってもそこで法案が採決をされ、後期高齢者医療制度が導入をされることになったときに、最低限の役割として附帯決議でいろんなものを確保していきたいというのが我々のぎりぎりのところの実は思いでございました。  ですから、我々、その後のマニフェストも含めて、保険制度の一元化等々も含めて今議論をさせていただいている最中でございます。衆議院選挙も一年ちょっと以内に実施をされることも見えているわけでございますので、我々としては、まず国民に不安をあおっている後期高齢者医療制度についていったん廃止をする、そして老健制度に戻すと。そしてその後、各党が、先ほど厚労大臣もおっしゃっておられました、自民党もおっしゃっていた、見直しだ、骨格はそれでいいと思っている、じゃ、骨格はそれでいいと思っている与党がそれで衆議院選挙、戦われる準備をされればいい。我々は、そうではない制度を新たに国民にやはり訴えて戦うべきだというふうに思っておりますが。  今火事が起こっているのを消そうと思っている最中に、対案がない、新たな家の設計図がないから、新たな家の設計図を持ってこないと無責任だという議論は私は成り立たないと思っておりまして、まず火を止める、まずこの混乱を止めるということが我々の今の役割だと思っておりますので、御理解をいただきたいというふうに思います。
  240. 小池晃

    委員以外の議員小池晃君) 老人保健制度ですが、これは元々無料だった老人医療窓口負担を有料化するときに導入された制度であります。したがって、日本共産党は導入の際に反対をしております。  また、その後、自民党・政府はこの制度を累次にわたって改悪をしてきて、老人医療に対する国庫負担を削減する。その一方で、現役労働者の保険料負担高齢者窓口負担地方自治体負担にそれを転嫁してきています。  ちなみに、老人医療費の構成でいうと、老人保健制度がスタートした一九八三年、国庫負担四四・九%だったのが最終年の昨年度三六・二%になり、窓口負担は一・六%から八・五%まで引き上がっております。  こうした老人保健制度の問題点は当然改革が必要です。しかし、少なくとも老人保健制度というのは、高齢者が今ある国保などのそれぞれの保険に入り続けたままで現役世代が窓口負担軽減する財政調整の仕組みとしてあるわけで、七十五歳以上を現在の保険から強制的に脱退させて別の保険に囲い込むという後期高齢者医療制度、際限のない負担増につながりますし、私ども差別医療になるおそれが強いと思っておりますが、決定的に違う制度です。ですからこそ、本法案では、間違った制度を直ちにやめて、いったん元の制度に戻すというふうにしているわけでございます。  なお、先ほど来、地域間格差の問題や、あるいは健保と国保の負担感の違いということがありましたが、これははっきり言って市町村国保の問題点なんです。市町村国保の国庫負担、削られてきたから高い保険料を押し付けられていると、そこが問題である。あるいは、市町村国保が定額払い、平等割、こういった形で応能負担制度を崩してきたことによって非常に低所得者に重い保険料にしてきた。ここは問題なのであって、これはこれで独自のやっぱり改革が必要であり、我々は、国保に対する国庫負担を大幅にやっぱり引き上げるという形で市町村国保の財政危機を解決していくことを同時に進めていくべきだというふうに考えている次第です。  以上です。
  241. 福島みずほ

    委員以外の議員福島みずほ君) 社民党も老健制度に問題があることはもちろん理解をしております。先ほどから出ておりますが、老健制度実施主体である市町村は、医療費を支払うだけで保険料の徴収は行っておらず、責任が不明確など問題点はあります。  しかし、後期高齢者医療制度に比べればはるかにましな制度であると考えております。老人保健制度は、高齢者はそれぞれの生活実態、所得形態に応じた医療保険に加入し、各保険者に対して負担能力に応じた保険料を納付する。給付主体は居住地の市町村。市町村は、医療給付と保健事業、健康づくりや一体的、総合的に実施するなど、はるかにメリットがあると考えております。  実は、後期高齢者医療制度は、やはり社会的排除の制度であると。別に切り分けてやる、社会的排除の制度である。それに比べて老健制度は、インクルーシブ・ソサエティー、包括的な制度であると。ここが決定的に違っていると。ですから、老健制度に問題があるにしても、極めて問題のある後期高齢者医療制度はいったん撤退するしかない、廃止するしかないというふうに考えております。  国保の財政の悪化、疲弊、赤字、それはもちろん問題です。しかし、それは先ほど来出ています財政を入れない、それから二千二百億円の医療費のカットそのものもありますし、それから雇用を破壊して、本来は国保に入らなくてもいい人たちが国保に入らざるを得ない。非正規雇用の人たちは国保に入っていたり、払えないという問題が出ていて、私たちは根本的な、国保を例えば充実する、一元化に向けて頑張っていくことで安心をつくりたいと思っています。  後期高齢者医療保険証は老健制度にはなかった、この保険証を払わなければ取り上げるという制度です。また、先ほどの主治医の問題や、定額が起こり得る部門もあるわけですね。違う後期高齢者診療報酬が出てきている面もあります。つまり、高齢者は診療抑制が起きる、受診抑制が起きる、だとすれば高齢者の命がやっぱり危ないと。これが長く続けば続くほど高齢者の命が奪われるという危機感から、私たちは提案をしています。
  242. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 いろいろ老健制度についても、老人保健制度についても課題はあるけれども、先ほどからおっしゃっているように緊急避難だという理論で、コストは考えずに避難するんだということでありますが、コストについては、その間のコストについては先ほどから分からないということで、やはり無責任というふうに私自身は思っておるんですが、それを、資料を出さない厚労省が問題だという、そういう話がありますけれども、やはりそれはそれとして、自分たちである程度の試算をしながらこれぐらい掛かるんだということを言わないと、国民皆様にとっては判断の、評価のしようがないと思うんで、これは後でまた質問は続くと思い質問というか質疑の機会はあると思うので、今は別な観点お話を聞きますけれども。  私ども公明党、参議院のこの委員会に関係する者は、五月二十八日に発議者の代表の方からこの法案説明をお聞きしました。そのときに、今の緊急避難的なものだと、緊急避難ということでは各会派の考え方は一致している。しかし、その後のビジョンですね、今各党のお考えをいろいろ、各会派のお考えの一端を言っていただきましたけれども、実はその後の改革ビジョンについては共通のものは持っていないということで、そういうお話がありました。これもし、そのときお話が私、聞き間違えていなければ、そういうふうにお聞きしたものですから、これも一つ大きな問題点ではないのかなと私は思います。  これだけ大事な法案提出された場合に、提出のときには一緒だけれども、終わった後、改革という、それを一番国民皆さんは求めているわけですから、そういう意味では、意思の一致がないということであれば、やはり国民皆さんが、じゃその後、本当にいい制度がちゃんとできるんだろうかと。民主党、共産党そして社民党で一致できないようなところもあるとすれば、本当に法律、そういうものを提案してもちゃんと成立するのだろうかと、改革案が出たとしても。そういう心配もあるわけでありまして、そういう意味では、その後の、法案提出した後のことがある程度見えないと、やはり信頼という意味では少し、国民皆さんどう判断されるか分かりませんけれども、ちょっと心配な面があります。  この第一条に関連して、先ほど津田委員の方からもお話質問があった点を確認をさせていただきたいんですが、この廃止法案では、高額医療・高額介護合算制度、これが廃止されることになってしまうと、私はそのように法案読んでいるわけですけれども、これはやはり今回、高齢者も含めて医療、介護で限度額まで、どうしてもそれに助けられている人がいると。今度合算して、より以上、軽減措置をとるという大変重要な制度で、公明党としてもこれは是非ともということで四月一日から導入されたわけですけれども、これはこの法案ではどういう扱いになるのか、確認をさせていただきたいと思います。
  243. 福山哲郎

    委員以外の議員福山哲郎君) 今の御質問をお答えする前に、一致を四野党でしていない等々の御指摘をいただきました。我々は何もないわけではありません。老人保健制度にいったん戻すということに関しては一致をしております。そして、そこで更に言えば、今日、我が党に関して言えば、鈴木委員から何度も答弁をさせていただきますように、その後のいろんな政令上や予算上の措置については秋に向けて準備をし、政府与党についても強く要望をしていくということでございます。  その後の医療制度全体をどうするかということにおいては、各党の議論があるでしょうし、恐らく国民がこれだけ医療制度に対して不信感と不安を持っているからにはやはり衆議院選挙で重要な争点になると思いますので、それは各党それぞれで議論をしていただいて国民に訴えるべきだと私は思っておりますので、先ほども申し上げましたように、火事が今燃えているところで、設計図ができてから、設計図がないからこれ燃えていいのかと。燃える前に消さなきゃいけないわけですから、我々としてはまず廃止法案で今の高齢者制度をやめるということで一致をしておりますので、一致をしてないという御指摘は当たらないと思っております。  それから二点目でございますが、この高額医療・高額介護の合算制度は我々も重要な制度だというふうに認識をしております。我々の認識は、この高額介護合算療養費の制度はあくまで政管健保それから国保そして組合健保各法における共通の横並びの制度でありますから、この後期高齢者制度廃止をしても、その制度自身は設けられるべきだというふうに考えております。しかしながら、先ほど厚労省の答弁でいうと、そこは廃止をするとなくなるということでございますので、そこは我々としては、今の考え方を基に、廃止された以降について予算要求なり政令要求なりで、これは横並びの制度だから生かしていただくようにということを強く要望していきたいと思いますが、我々の解釈は各保険制度に横並びの制度でありますので、このままであるべきだというふうに思っております。  以上です。
  244. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 確認ですけれども、この問題は皆様提案者の方ではこの法案提出前に議論をして、それで分かっていてこれを省いたんですか、この法案の中から。この点だけ確認させていただきたいと思います。
  245. 福山哲郎

    委員以外の議員福山哲郎君) 今申し上げましたように、この問題は各保険制度横並びの制度だと思っておりましたので、我々としてはこの制度は基本的には廃止をされた後でも維持できると思ってこの法案提出させていただいております。
  246. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 思っていたけれども実際そういう法律の仕組みからするとそうでないということで、先ほど津田委員質問したときに、厚生労働省の方はそういう仕組みではないと、この後期高齢者医療制度とそれから提案の第一条のところを読むとこれは当然外されるものということで読めるということで、そういう答弁であったわけですけれども後期高齢者医療対象の方ですね。だから、これはやはり法案を当然作るときにきちんと、今おっしゃって、これは残すべきだというんであれば、それを省くというようなものをきちんと盛り込んで法案を作るべきであって、いささか法案作りに拙速の感が否めないと、私自身はそのように思っております。  それからもう一つ、これも私ども重要だと思っているんですが、今回の後期高齢者医療制度、四月から始まるときに、保険証ですね、保険証が届かないとかあるいは紛失してしまったとかいろんな問題が起きました。この法案が通るとまた新たな、元の老人保健制度保険証、二枚になるんですか、二種類になるんですか、そういうところに戻るわけですが、まあ移行に大変な思いをして新しい保険証をいただいたわけです。これまたもう一回新しい保険証に高齢者方々戻ってやるのがまた大変だという思いも私は当然あるんだと思うんですね、四月の混乱、起こってはいけない混乱だと私自身は思っているんですが。  この保険証はまた新たにしてやらざるを得ないということに対してどのようにお考えか、また費用負担ですね、それに伴う費用負担についてどう考えるのか、この点をお伺いをしたいと思います。
  247. 大塚耕平

    委員以外の議員大塚耕平君) 大変いい御質問をいただいたと思うんです。  これは例えばの話でございますが、この法案御同意いただいて、もし来年の四月一日から戻るとなった場合に、新しい保険証を交付するという考え方もありますが、例えば各広域連合において、元々その方が今年の三月三十一日まではどの保険に加盟していたかということが直ちに分かれば、大変善後策としては、今の新しい保険証に、あなたは国保ですよ、あなたはあるいは別の保険ですよという例えば押印をするという形も、非常に原始的ではありますが、対応の策としては考えられるんです。  そこで、渡辺先生のお許しをいただければ、これこそ先ほど山本委員からも御質問をいただいたシステムの話とも大いに関係しておりまして、厚生労働省に御確認をこの場でいただければ大変我々も有り難いんですが、三百二十億円掛けて行ったシステム対応において、後期高齢者医療制度に加入した方々が元々どの制度に加入していたかということは当然そのシステムを検索すると分かるようになっていると私は思っております。  したがって、そうであれば、例えば先ほどのシステム対応のコスト等についてもここ影響してくる部分でありますし、その十月一日までの軽減措置、来年の四月までの対応についてもそのスケジュールにも影響してくるところでございますので、是非、大変意義深い御質問をいただいた点でございますので、元に戻すためにも新しくつくったシステムは当然元の加入保険が分かるようになっているかどうかということについて是非御確認をしていただければ幸いでございます。お願いとともに答弁させていただきます。
  248. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 ほかにもいろいろ聞きたいことあるんですが、今日は時間の制限もあるので、最後に厚労省、厚生労働大臣にもお伺いをしたいんですけれども。  公明党としましては、先ほども山本委員お話ししましたけれども、この長寿医療制度の骨格については評価をしております。ただ、運用の問題、いろいろ今指摘をされております、天引きで十八万円でいいのかと、その境界がですね、あるいはそのほかの軽減措置等もまだまだこれでは厳しいのではないかと、家計の方々、家計を考えれば厳しい方々もいらっしゃると。いろんなことがあるわけですけれども、公明党としましても、これは重要な問題だと、運用の面で改善はやはり当然必要だろうということで、各地方の、四十七都道府県で公明党の議員、現場の声をいろいろ吸い上げまして、当然これだけはまず改善を、運用の改善をすべきだということで、厚生労働大臣に五月二十八日に申入れをさせていただきました。  一つは、低所得者保険料軽減措置を拡大すること、また大幅に保険料が上昇する事例等について適切な軽減措置を講ずること、二つ目被用者保険の被扶養者であった者の保険料軽減措置を引き続き継続すること、三つ目保険料の年金からの天引きについて高齢者の声を踏まえて適切な見直しを行うこと、四つ目高齢者の特性を踏まえた適切な健診の在り方について検討し、広域連合における実施を支援すること、五つ目が長寿医療制度の診療報酬体系について高齢者の声を踏まえて適切な見直しを行うこと、次が七十から七十四の高齢者窓口負担、一割の軽減措置を引き続き継続すること、そして広域連合の運営について都道府県知事の運営責任を明確にすることを検討してほしいということで申入れをさせていただきました。この点の検討がどのように現在行われているのか、厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
  249. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今、七点のこの申入れを五月二十八日にいただきました。今、政府としてもそれを検討していますが、与党の方で公明党、自民党プロジェクトチームを組んで、この公明党の案も含めて具体的な提案の形で今作業中であり、またこの委員会が今日終わった後にもまたそういう会合が開かれると聞いておりますので、そういう御提案を真摯に受け止めて、国民のためにこの骨格はきちんと守った上で必要な見直しを行っていきたいと思っております。
  250. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 残った質問もありますので、次の質問の機会をきちんと取っていただけるように委員長にもお願いをして、質問を終わりたいと思います。
  251. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  冒頭ちょっと今のに関係してお聞きするんですが、後期高齢者医療に入っている人が元に戻れる仕組みになっているのかどうか。これ、厚生労働省、通告しておりませんけれども、どうでしょうか。    〔委員長退席、理事家西悟君着席〕
  252. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) ちょっと突然の御質問でございますので確かめなきゃいけませんが、まず切替え時点におきましては、市町村は国保の加入者については把握をしているわけでございますので、千三百万人のうち千百万人は、そういう意味では市町村と広域連合の間の情報交換で把握はできると考えております。  残りますのは、被用者保険の被保険者と被扶養者でございますけれども、それにつきましても、いったんは除いた形で把握をしておりますので、切替え時点では分かっていたと思いますが、当然その後様々な異動がございますので、現在それが元に戻れるかどうかというのは、これは必ずしもよく分からないということになろうかと思います。
  253. 井上哲士

    井上哲士君 国保の部分は大丈夫だと。あと二百万についても、これはしっかりしていただきたいと思います。  その上で、今日朝から議論になっております保険料の問題についてお聞きをいたします。これは元々大臣が七、八割の人は保険料下がるという発言をしたことが問題になりまして、厚生労働省は、全国の市町村にこれまで国保加入だった世帯の保険料がどう変化するか調査を行っております。  まず、どういう項目で調査しているのか、お答えいただけますか。
  254. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) ちょっと先ほどの答弁につきまして、委員から今国保については分かっているだろうということでございましたけれども、切替え時点では分かっていたということでありまして、今の時点でその人のステータスがどうであるかということはこれは分かっておりませんので、今の時点では全部は分かっていないということになろうかと思います。  その上で、今後期高齢者保険料の実態調査、どういう項目で調査したのかというお尋ねでございますけれども、この御指摘の調査におきましては、各市町村におけるモデル世帯での国民健康保険料額と長寿医療保険制度保険料額を調査したところでございます。具体的には、七十五歳以上の単身世帯、共に七十五歳以上の夫婦世帯、夫七十五歳以上、妻七十五歳未満の夫婦世帯、それから七十五歳以上の高齢者と共に七十五歳未満の子供夫婦の世帯の四つのモデル世帯におきます年金収入が基礎年金相当七十九万円でございます、平均的な厚生年金相当二百一万円、それから高額の厚生年金相当四百万円の場合の国民健康保険保険料額と長寿医療制度保険料額を調査したものでございます。
  255. 井上哲士

    井上哲士君 五月二十九日付けの読売新聞も朝から話題になっておりますが、実はこれは全く同じ項目で調査をしておりまして、百八十三市町村から調査しているんですね。これが七割の世帯負担軽減というふうに報じたわけであります。しかし、これが果たして実態を正確に反映しているのか、全体をカバーしているのかと甚だ疑問なわけですが。  まず聞きますけれども、今回の調査では、国保料に資産割を採用している自治体において、全員がこの資産割の平均額を払っているという仮定で行われております。しかし、だれもが資産を持っているわけではありませんから、資産割を払ってない方もいらっしゃるんですね。  まず聞きますが、この資産割を採用している市町村の中で資産割を納めている世帯の比率は幾らでしょうか。
  256. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 保険料の算定に当たりまして、資産割を用いている市町村におきましては、世帯主が七十五歳以上の世帯で見ると、その約七割の世帯において資産割が賦課されております。
  257. 井上哲士

    井上哲士君 逆に言いますと、三分の一の人はこの資産割を払っていないということになるわけですね。多分全体六割ぐらいが払っていると思うんですが、高齢者が多少率は高いということになりますが、しかし低所得のお年寄りは資産保有の比率は低いんです。  これ全体で結構ですが、所得ゼロの世帯で資産割を納めている比率はどうなっているでしょうか。
  258. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) ちょっと今の御質問に対しましてはお答えする準備がございません。
  259. 井上哲士

    井上哲士君 通告してあるはずなんですが、時間もないんであれですが、これは全体の統計で見ますと一八・八%が所得ゼロの世帯で資産割を納めている比率ですね。資産割取っているところに国保に入っている人は全体の半分でありますから、計算しますとおおむねこの倍、三七・六%ぐらいが低所得者高齢者が資産割を払っている。逆に言いますと三分の二は払ってないということなんですね。  今その低所得者負担増が問題になっているのに、なぜそういう人も含めて資産割を全員、全世帯が払っていると、こういう非現実的な仮定の下に今回の調査は行われたんでしょうか。
  260. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 今回の調査におきましては、そういう資産割を採用しているところについては資産割の額を聞いておりますけれども、今回の実態調査で集計したデータを基に、いわゆる四方式を、つまり資産割を採用している市町村におきます資産割の賦課状況などを踏まえまして、できる限り正確な実態を把握できるよう、現在、分析作業を行っているところでございます。
  261. 井上哲士

    井上哲士君 どういう結果を出してくるのかなんですが、読売の場合はそのまま七割の世帯が負担減と、こうなっているんですね。しかし、その資産割を入れなかったらどういう変化が起きるのかということを、お手元資料を見ていただきたいんですが、実は、厚労省は大変だ大変だと言っていますけれども、あの通知に基づく調査というのは保険料率を当てはめればすぐできるんです。私どもやってみました。  例えば、私、京都、地元の宮津市の場合を試算をしてみましたけれども、宮津市は資産割の平均額は一万四千九百六十四円です。これで計算をしてみますと、世帯区分が四種類それから収入区分が三種類ですから十二種類のモデルになるんですね。全員がこの資産割の平均額を払っているという仮定の厚労省の試算でいきますと、一枚目にありますように、十二のモデル世帯のうち負担増になるのは三つのモデル世帯だけなんです。  ところが、資産を持たない人はこの資産割の一万四千九百六十四円を払っておりません。これを国保料から引くとどうなるかと。それが二枚目の資料を見ていただきたいんですが、これで計算をし直しますと、十二通りのモデルのうち十のモデルは逆に負担増になるんです。こっちの方の二枚目の調査は一切厚労省はやってないんですね。一枚目の調査だけでいいますと、十二のモデルのうち負担増三つだけでありますから、実に七五%が負担が減るという、こういう結果になってしまうんですね。ですから、全く逆のことが出てしまうんです。  この問題は、当委員会で四月十七日に我が党小池議員が指摘をした問題なんですね。にもかかわらずこういう調査をしているというのは一体なぜなんでしょうか。
  262. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 先ほど答弁したことと重なるんでございますけれども、一応この資産割があるということでデータ取ってございますけれども、ただ、その分析作業におきましては、市町村における資産割の賦課状況などを踏まえまして、できる限り正確な実態を把握できるよう作業を行っているところでございます。
  263. 井上哲士

    井上哲士君 くれぐれもミスリードをしないように強く求めておきますが、実はもう一つ問題があるんです。  これは世帯構成を四つに限定をしていますけれども、これで全体がカバーできるのかと。これ三枚目の資料を見ていただきたいんですが、七十五歳以上の高齢者の家族構成というのはどうなっているのかと。上から単独世帯、それから夫婦のみの世帯、それから子と同居、この中には子供夫婦という場合と配偶者のいない子と同居という場合、二種類ありますが、ここまでほぼ一〇〇%なんですね。調べるんならばこのすべてのモデルについて調べる必要があると思うんですが、今回、厚労省が調べておりますのはこの網線の部分だけなんです。夫婦のみの世帯の場合に、両方とも後期高齢者、夫だけ後期高齢者という二つに分けていますけれども、ですから四モデルになっていますが、この網線の部分しか今回の調査対象になってないんですね。  ですから、後期高齢者全体の三分の二しかカバーをできない調査になっているんです。なぜ、こういうところにだけ限定して調査しているんでしょうか。
  264. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) ただいま委員が御指摘になりましたのは国民生活基礎調査でございます。クレジットも付いてございます。ただ、私ども国民健康保険実態調査のデータで見ているわけでございます。この違いというのはどういうことかといいますと、国民生活基礎調査から七十五歳以上の高齢者の家族構成が把握できるわけでありますけれども社会保険として見た世帯構成と一般的な世帯構成には違いがございます。例えば、被用者保険に加入している子供夫婦と同居している高齢者でありましても、一定以上の所得がある高齢者は被扶養者としては認定されず、国民健康保険に加入することになります。その場合は、国民健康保険実態調査上では単身者であれば単身世帯、夫婦であれば夫婦世帯となるわけでございます。したがいまして、私ども国民生活基礎調査に比べまして国民健康保険実態調査の単身世帯、夫婦世帯を見ているわけでございます。  この調査に基づきますと、今回の調査のモデル設定につきましては単身世帯及び夫婦二人世帯でおおむね全体の七割程度を占めておりまして、これに三人以上の世帯の典型的なモデルとして七十五歳以上の方一人と子供夫婦の世帯を加えると約八割となっておりまして、おおむね代表的な世帯をモデル設定することができていると、このように考えております。
  265. 井上哲士

    井上哲士君 今八割と言われました。しかし、ここで除外をされております後期高齢者夫婦と子供夫婦の四人世帯、それから後期高齢者夫婦と子供一人の三人世帯と、こういう場合は今回の調査の類型と比べてもやはり負担増になる率が高いと思うんですね。その部分をやっぱり外すということになりますと、結局様々違った数になってくる。先ほどの資産割とこれと併せてやりますと相当の違いが私たちは出てくるということを試算をいたしました。  そこで、大臣にお聞きをするわけですが、四月十七日にこれが問題になったときに、できるだけ実態が分かるように調査を指示しているというふうに答弁をされたわけでありますが、どうもこういう調査項目を見ておりますと、大臣の発言に合わせるような、こういう実態に合わせるような調査が行われているんじゃないかと思わざるを得ないんですけれども、これで正確な実態調査ができているという認識でしょうか。
  266. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) できるだけ正確な実態を把握したいと。ただ、千三百万人おりますから、本当に一人一人がどれだけ増えたか減ったかは千三百万人全員に問わなければ分かりません。そして、それは莫大な事務量になりますし、とてもそういう手間もコストも掛けられません。そういうときに、いわゆるどういう形で調査をするか、やっぱりモデル世帯というのを想定して、それにどれだけの世帯が対応しているかということを今数字を出していますので、できる限り早く集計してできるだけの全体像を出したいと思うんです。私がこう言ったからその数字に合わせてデータを何かでっち上げている、そういうことではないということは御理解いただきたいと思います。
  267. 井上哲士

    井上哲士君 モデルの設定自身が恣意的だということを申し上げているんですが。  提案者小池議員はこの問題、委員会でも追及されてきたわけですが、今回の調査についてのお考えをお願いしたいと思います。
  268. 小池晃

    委員以外の議員小池晃君) 大体この調査、五月十五日からやっているんですけれども、もうこれ今、井上議員がお示しになったように別に克明な調査が必要なわけではなくて、市町村が発表しているデータを基に簡単に計算できるんですね。そういう点でいうと、本来はこの制度が始まる前にしっかり把握すべきことであって、制度が始まってから慌てて調査するということ自体が非常に無責任であるというふうに思います。  同時に、資産割を加えるということについては既に委員会で問題になっているにもかかわらず、それを前提にした調査をやっている。私は、こういう形で国民の世論をミスリードするようなことはいけないというふうに思いますので、この調査がどういうふうに発表されるのか注目したい。  それから同時に、大臣は全体を調べなければ分からないというふうに言ったわけですから、この調査では負担増の実態は分からないということに大臣自身もお認めになったのかなというふうに私は受け止めました。
  269. 井上哲士

    井上哲士君 もう一点、高額医療費の二重払いのことについてお聞きをいたします。  私、地元の京都の病院からこういうメールをいただきました。  入院患者のAさんが今年の四月半ばで七十五歳の誕生日を迎えました。Aさんは、住民税非課税で、自己負担限度額は二万四千六百円ですと。誕生日までの一部負担金が二万四千六百円をオーバーをしていたと。ところが、七十五歳の日から後期高齢者医療制度に入れられたために一部負担金はゼロからの計算になると。ですから、そこからあとの二万四千六百円をまた負担することになったと。後期高齢者医療制度ができるまで七十五歳の適用は基本的に翌月からだったからこんな二回払うなんということはなかったのに、何でこういうことなのかと。こういう怒りのメールでありましたが、なぜこういう理不尽な事態が起きるんでしょうか。
  270. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) お尋ねのありました高額療養費につきましては、これはそれぞれの医療保険制度におきまして月ごとのレセプトを基にそれぞれの加入期間に掛かった医療費についてその月の自己負担限度額を超える部分を支給する、こういう仕組みでございます。  したがって、月半ばで七十五歳の誕生日を迎えて長寿医療後期高齢者医療の被保険者となる場合、それまで加入していた医療保険者と後期高齢者医療広域連合がそれぞれ自己負担限度額を超える分を負担することになりまして、被保険者から見ますと自己負担額が重複するということは起こり得るものでございます。  ただ、これは、月の途中で会社を退職して健康保険から国民健康保険に移行する際にも生じ得るものでございます。    〔理事家西悟君退席、委員長着席〕
  271. 井上哲士

    井上哲士君 自らの意思で保険を変わったときに起きる問題とは根本的に違うんですよ。自分の意思と無関係に無理やりこれまでの保険から引きはがされた結果、医療費を二倍払わなくてはいけないということになっているんですね。しかも、たまたま誕生日が月半ばで、しかも七十五歳の誕生日を迎えたときに入院をしていたという方に起こる事例なわけですね。本人に何の罪もないのに今月だけ医療費二倍を払ってくれと。本当に医療機関の方は説明に苦慮されているんですよ。  私はこれ七十五歳で区切ったことで起きている矛盾だと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
  272. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 要するに、制度の運営主体が違うということで起こっているわけです、今おっしゃったことを別の言葉で言うと。  しかし、こういう問題も新しい制度設計をしたときに出てきている。これは、今後どうするかというのはやっぱり一つ検討課題としないといけないと思いますので、何らかの形で善処できないか、これは今後検討したいと思っております。
  273. 井上哲士

    井上哲士君 事前に事務方に聞きますと、年齢で区切る今の法律の下では政令等では無理なんだという、こういうお話だったんですね。私は、やっぱりここに七十五歳で区切るということの無理ができていると思うんです。たまたま病院で七十五歳の誕生日迎えたら、普通ならプレゼントもらいたいところですよ。それが今月は誕生日祝いで医療費二倍いただきますと、これは本当に長寿に対するもう懲罰みたいなことになっているわけですね。  やはりここに大きな矛盾があると思いますが、提案者小池議員に御見解をいただきたいと思います。
  274. 小池晃

    委員以外の議員小池晃君) これ非常に象徴的な私は出来事だというふうに思うんですね。七十五歳という年齢で区切ることによって、今委員がおっしゃったように、おめでとうございます、今日から七十五歳ですねと言うんじゃなくて、今日から負担が二倍になりますと。やっぱり、これは年齢で機械的に別の保険制度に移行してしまうというこの制度の本質的に持っている矛盾から生まれる、たった一月のことではありますけれども、大きな矛盾であるというふうに思います。  ですから、この問題解決するだけでなく、やはり年齢で差別するという制度そのものをこの制度廃止するということによって解決する、そのことによってしかやっぱり問題解決しないと思いますので、是非、与党皆さんも、この制度廃止法案、参議院の意思としてこの国会で可決をするという方向で御協力をいただきたいということを重ねて申し上げます。
  275. 井上哲士

    井上哲士君 今朝の東京新聞にこういう投書がありました。  普通の家庭でじいちゃん、ばあちゃんが七十五歳になったら、今日から医者代、保険料自分で持ってと言えますかと、もうすぐ喜寿だね、元気で長生きしてねと言うのが子供や孫たちでしょうと、後期高齢者じゃなくて高貴、あの高く貴い方の高貴ですね、そういう高齢者を大切にする政治をつくってほしいと思ったと、こういう投書でありました。このとおりだと思います。  是非この法案が成立するように強く訴えまして、質問を終わります。
  276. 近藤正道

    近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。  後期高齢者医療制度廃止法案を取りまとめ、そして今日、実質審議の場にこぎ着けられた発議者皆さんに心から敬意を表したいというふうに思っておりますし、是非早期に、できるだけ早期にこの参議院を通過させたいものだというふうに思っております。  それぞれ今日論議がございましたけれども、最後でもありますので、少し確認的な質問発議者福島みずほさんとそして大臣にさせていただきたいというふうに思っています。  法案の提案理由の中で、後期高齢者医療制度廃止をする、その理由といたしまして、国民高齢期における適切な医療を確保するものとなっていないと、こういうふうな文章がございます。  適切な医療が確保できない、だから廃止だと、こういうことなんでございますが、この適切な医療を確保できないというふうに断じた理由についてお尋ねをしたいと思いますが、発議者の福島さん、基本的な制度設計という点でどんな問題があるんでしょうか。
  277. 福島みずほ

    委員以外の議員福島みずほ君) やっぱり年齢差別につながるものではないか、憲法十四条の法の下の平等に反するおそれがあると。  保険は母集団が大きいほどリスクが分散できるのに、七十五歳以上の高齢者と六十五歳以上の重度の障害者を別建てにすることは保険制度の原理に反していると考えています。
  278. 近藤正道

    近藤正道君 医療の質を確保するという点ではどんな問題があるでしょうか。
  279. 福島みずほ

    委員以外の議員福島みずほ君) 厚労省の挙げる後期高齢者にふさわしい医療は、心身の特性として、もうこれは有名になりましたが、一、治癒の長期化と複数の病気、二、認知症、三、いずれ避けられない死を迎える、この三つを特徴としております。  今回、後期高齢者診療料が導入をされました。糖尿病や高血圧など慢性疾患高齢者に主治医を定めて治療費を定額制にしています。一か月六千円。幾ら検査や処置をしても医療機関への支払は定額のため、手抜き診療や粗末な診療が行われる可能性が大変あります。現在のように、病気によっていろんなお医者さんにかかっている中では、主病、主な病気を一つに限定し、主治医を決めることは困難だと考えております。  また、健診が十分行われない可能性があるなど、極めて問題です。
  280. 近藤正道

    近藤正道君 今ほども議論がありましたけれども負担の在り方についてもいろいろ議論がございます。法が施行された今もこのことについて議論が続いている、これは全く異常だというふうに思いますが、負担の在り方についてどんな問題がございますでしょうか。
  281. 福島みずほ

    委員以外の議員福島みずほ君) 今日は保険料の問題が非常に出ておりますが、保険料が二年ごとに上がることがプログラム化されていて、高齢者保険を使う頻度が高く、どんどん上がっていく可能性があると。今は、一割七十五歳以上の人口割合が増えれば本人の負担率が自動的に上がる仕組みであると。  厚労省試算では、厚労省試算でもと言うべきでしょうか、二〇〇八年度一〇%の負担率が二〇一五年度には一〇・八%に増加をします。これに伴い、保険運営事務費を除く保険料は二〇〇八年度の年額六万一千円が二〇一五年度には約四割強の八万五千円になります。  厚労省のホームページを見ると、後期高齢者医療制度保険料は今はそこそこでも、市町村国保の伸び率が二三%に対して後期高齢者医療制度の伸び率は三八%と断トツになると。つまり、今でももちろん問題なんですが、二年当たりどんどん上がっていくと。恐らく団塊世代が後期高齢者になるころは本当に上がってしまうんではないかと危惧をしております。
  282. 近藤正道

    近藤正道君 そういう主に三つ観点からこの制度高齢期における適切な医療を確保するものとなっていないと、こういうふうに断じられたということでございますが、運用の見直しではなくて制度そのものを廃止をする、そしていったん老人保健制度に戻す、今よりは安全なところに一次的に避難をすると、こういうことのようでございます。  それで、福島発議者、社民党の党首として、社民党では後期高齢者医療制度廃止本部に怒りのホットラインを設けてたくさんの市民の皆さんの声を直接聞いたと、福島さん自らが受話器を取ってたくさんの皆さんの話を聞いたと、こういうふうに聞いておりますが、その中でとりわけ何か特徴的な、この場で披露した方がいいというふうに思われる点ございましたら、一つ二つ出していただきたいというふうに思います。
  283. 福島みずほ

    委員以外の議員福島みずほ君) 私が電話を取りましたところ、政府に終わりが近いと言われる筋合いはないという怒りのホットラインがありました。それはもう廃止に追い込むしかないと。ハッピーバースデー七十五歳ではないわけですから、この点は本当に怒りはありました。でも、戸惑いと、それからどうしていいかという声も多かったんですね。  年金が一月七万五千円しかないのに天引きされて苦しい、子供には頼れないし、生きていく自信がなくなる、愛知県女性七十七歳。扶養の母は八十八歳、国民年金で六万三千円もらっているが、介護保険料八千三百円と後期高齢者医療制度保険料六千七百円で合計一万五千円天引きされる、手取りは四万八千円となる、お母さんがかわいそうだ、腹立たしくてどうにもならない、青森県男性七十一歳。高齢者に対する切捨て行為、生産性のない高齢者は早期に死ねというのだろうか、私は七十六歳、母は百一歳、年金は引かれる一方で、老人ホームにいるが、介護保険料と今回の天引きで生きていけないぐらいの危機感でいっぱいだ、東京女性七十六歳。長生きすることが差別、選別される、罪人みたいに後期高齢者と言うのはおかしい、終わりが近いと政府に言われる筋合いはない、人間を無視し、大切にしない制度だ、千葉県男性八十歳といった声です。  やはり高齢者皆さんは直感的に何か排除されるということを思って、やっぱりそれが琴線に触れる怒りとなって怒りのホットラインに来たと思っています。
  284. 近藤正道

    近藤正道君 厚労大臣お尋ねをしたいと思いますが、政府は〇六年のこの法案審議の際も、またこの制度のスタートに当たっても、後期高齢者医療制度保険料についてこういうふうに言っておりました。総じて、所得の低い人については負担がより軽くなる、そして高齢者にはそれに見合った負担をお願いすることになると、こういうふうにおっしゃっておられました。  しかし、スタートしてまだ二か月もたたない先月の半ば以降に改めて実態調査をしているんですね、保険料が上がったか下がったか。これが後期高齢者医療制度の創設に伴う保険料額の変更に関する調査概要、今ほどこのことがモデルとして恣意的ではないか、ミスリードになるんではないかと、こういう議論がございました。私もこのことについて中身を聞きました。全くそのとおりでございまして、調査方法だとか調査内容について問題点がたくさんある。一部の新聞ではこれを基に政府の言ったとおりではないかなと、こんな今話も出ているわけでございますが、しかし実際はやっぱりそうではないということが今ほどの議論で明らかになったというふうに思います。  そもそも、政府制度の始まる前に保険料負担について一定の答弁をしてきたけれども、これはしっかりとした実態調査を経ない政府の言わば希望、こうあってほしい、こういう希望的な試算そのものだったんではないかというふうに思えてならないというふうに思っています。なぜ制度のスタートの段階でしっかり調査をしなかったのか。制度が始まって二か月もたたない今ごろになってこういう調査をする。こんなものは始まる前に、今ほども議論もありましたけれども、市町村にそれなりに聞けばある程度のものは分かっていた、そういうまた指摘もあったにもかかわらず、全くそういうことをやらない。そういうまさに自分たちの勝手な思い込みの中で制度設計をした、これが今の段階になって明らかになった、これが実態なのではないでしょうか。大臣、お答えください。
  285. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今までの市町村単位からそのまま同じ市町村単位であり、各市町村の補助金も何もないような状況であれば簡単な試算もできます。しかし、市町村単位から今度は都道府県の広域連合になった。そのときに、その前の方式だって四つの方式で、例えば東京都なんかは全然違う、住民税を中心にした計算方式ですから、それは出てくる数字が全然違います。それからもう一つ、名古屋のように、補助金は出した、しかし今度は愛知全体の広域連合でやるんだからうちだけやるわけにいかないといって補助金を取り下げたところがある。  そういうような状況の中でせめてスタートする前に言えるのは、要するに最も多い八割ぐらいの市町村が採用している算定方式で計算した場合、国保と比べてこの平均的な保険料でやった場合どう違うか、その差を言ったときに、これは要するに単身では、基礎年金だけで、年金収入だけでやっているような方々については上がる方はほとんどもういない、それで夫婦の場合には五百二十万円以下の収入であれば上がる方は大体いないと、そういう一定の試算を加えた。  しかし、実態について見れば、これはまさに市町村がいろんな方式、独自の一般財源を入れたりしていますから、それはやっぱりふたを開けてみてどういうことがあると。今回も、その保険料だけではなくて保険証の未達の問題、それから年金天引きのやり方の計算間違いとかミスの問題、そういうことを踏まえて総体的な調査をやっている、今できるだけ早くその結果をまとめて公表したいと、そのように思っております。
  286. 近藤正道

    近藤正道君 いろいろおっしゃってはおりますけれども、私は、保険料が上がるのか上がらないのか、負担が増えるのかそうでないのか、これは国民が最も関心を持つ問題、このことについてしっかりとした実態調査制度設計に当たってしなかった、このことはやっぱり紛れもない事実。後になって、できるだけ実態が分かるような調査をしますということは、つまりその前にはやっていなかったということをまさに自白をしているんではないですか。そのことについてしっかりと、これはやっぱりまずかったということをこの場で言うべきではないんですか。
  287. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それは、例えば名古屋市でもどこでもいいんですけれども、その自治体が今まで一般財源から補助していたのをやめるのか続けるのか分かりません。続けるという前提でやっていいのか。だから、私がいつも簡単な例で言うように、三千円というのが今回二千円に下がりました、保険料自体は千円下がっているんです。しかし、その三千円という保険料について元々、例えば名古屋なら名古屋、ある市が二千円補助金を一般財源から出して千円に設定していましたということになると、個人にとっては中身どういうプロセスでそうなったか分かりませんから、今まで千円だったのが二千円に上がったことになる。それは保険料が上がったんではなく、保険料は下がっているけど補助金が、一般財源からのがストップになったからなったという、こういう例がたくさんあるわけです。  それはその自治体が本年の四月一日からどういう施策を取るかによって変わりますから、そのことについて事前にこれは一個一個について、その町どうするんですか、上げるんですか、下げるんですか、事前にそれはやろうと思っても十分にできない、したがってモデル的なところでこうですよという試算を出すしかないと、そういう制度設計になっているわけであります。
  288. 近藤正道

    近藤正道君 結局、制度設計に当たって、調べれば調査可能であるにもかかわらずそれをしなかった、そのことについてのおわびの言葉も一つもない、これはやっぱり私は問題だというふうに思っています。指摘を申し上げておきたいと思いますが。  次に、時間がありませんので、ホットラインの中でも年金の天引きについて指摘は、怒りの声は物すごくたくさんあったというふうに聞いておりますが、保険料の年金からの天引きのことについてお尋ねを福島さんにしたいというふうに思っていますが、大臣は先ほど、なぜ天引きなのか、したのかという答弁をされておりましたけれども、福島発議者には、なぜ皆さんは今回の廃止法案の中で年金からの天引き、これは駄目だ、廃止だというふうに強くおっしゃるのか、その理由をお聞かせください。
  289. 福島みずほ

    委員以外の議員福島みずほ君) 最大の理由は、年金の天引きが憲法二十五条の定める生存権を侵害すると考えるからです。  民事執行法百五十二条では、給与や年金の差押えは制限をされています。これは債務者である給与や年金の受給者、その家族の生活保障を規定したものです。同様の趣旨は、特別法上の差押禁止債権の規定にも現れています。結局、介護保険保険料は天引きをされていますが、年金が年額十八万円以上に関しても天引きを行うと、この段階で行うことは生存権を侵害するおそれがある。各特別立法は、全部最低限度の手取りの部分をきちっと保障するような制度を設けていると。  後期高齢者医療制度の特別徴収においては、本人の届出はおろか、同意も一切なしで問答無用に老後の唯一の生活費を一方的に取り上げると、ですから手元にほとんどお金が残らないという声もありました。これはもう生存権を侵害する可能性があると考えています。自分で納得して支払をする口座振替にするのと年金から天引きされるのでは全く意味が違うと。年金から保険料を引かれたら、残金が少額で、医療機関に受診することや介護保険サービスを使うことができなくなるという高齢者も出てくるというふうに考えています。
  290. 近藤正道

    近藤正道君 もう一つ保険証の取上げのこと、資格証明書のことについてお聞かせをいただきたいと思うんです。これは大臣と福島発議者にお聞かせをいただきたいんですが。  老人保健制度では、高齢者保険証を取り上げることはございませんでした。ところが、この新制度の下では保険証が取り上げられると、一定の場合取り上げられる。厚労省は、当然、そのことによって一体どのぐらいの人が、高齢者が取上げの対象になるのか、これは国保をやっていればある程度の想定はきっとされているんだろうというふうに思いますが、どのぐらいの人が場合によっては対象になるのか。その場合の影響、調査検討などはどの程度制度設計に当たってやられたのか、お聞かせをいただきたいというふうに思っています。  そして、福島発議者には、取り上げられますと資格証明書という形になるわけでございますが、資格証明書が出た場合、実際にどのようなことが起こるのか、実態を調査されたことがあるか、あるとすればその内容についてお聞かせをいただきたいと、こういうふうに思います。
  291. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) どれだけの人が取り上げられるか、そんな調査はしておりません。なぜ取り上げられるかといったら、保険料を払わないといけないんですよ。保険料を払わないといけない。払わなければ、それは一定期間を置いて、何度も催促して、何か困ったことがあれば是非相談してくださいよと、そんなに困っているんなら支払免除しますから、生活保護もありますよと、いろんなことをやるんです。  しかし、極端に言えば、払えるのにお金持ちであっても払わないやつがいるわけです、不届きな。そういう人に対しては、それは保険を取り上げて、あなたは使えませんというのがこれは正当なんです。そうでしょう。そうでしょう、例えば今のケース。ところが、老人保健制度では何が起こっていたかというのは取り上げないんです。取り上げないから、私が今言ったような例ですよ、お金持っているのにふらちにも払わないと、そういう連中が払っていないのに保険を使うわけです。じゃ、だれが負担するんですかと。ほかの保険者、我々含めて、みんながそこに、その人のことのためにしりぬぐいをさせられているんですよ。  そういうことをぴしっとやめて、私は何度も言いますけど、七十五歳まで一生懸命頑張ってこの敗戦後の日本を支えられた高齢者に対する尊敬は忘れません。きちんとこういう方に対しては遇さないといけないけど、片一方で、だからただにしていいという話ではなくて、むしろそういう人の尊厳を保つためにこそ、百円でも二百円でもいいから、自分はきちんと払っているんだと。  それから、もう少し言いますと、私はやはり次の世代にツケを回さない。私は、自分が今まで一生懸命頑張ってきたことはそれは誇りに思うにしても、だからといって、次の世代にツケを回して、次から来る子供や孫の世代の日本が駄目になってほしいとは思いませんよ。したがって、私は、自分負担できるものはきちんと負担する、そしてそういう世代間の公平も考えないといけないということをはっきり申し上げておきます。
  292. 福島みずほ

    委員以外の議員福島みずほ君) 保険料は百円、二百円ではないんですね。これはやはり負担になると。今まで老健制度の下では保険証を取り上げられる高齢者はいなかったけれども、先ほどもお示しをいたしました後期高齢者医療保険証ではこれは取り上げられる可能性が出てくるという、これが問題です。  保険料が年金から天引きされない人は約二百五十万人います。その人たちこそまさに保険料が払えないんじゃないか。  資格証明書になりますと、窓口でいったん十割負担をしなければなりません。これは、全国保険医団体連合会が二月に大臣に要望書を提出し、その中で、国保の資格証明書の交付を受けた世帯が一般世帯に比較して受診率が著しく低いという実態調査を出しております。山梨県では最大で三百四十四分の一、最小でも青森県は十八分の一。つまり、資格証明書で十割払えと言われたらほとんどの人がもう病院行かないんです、行けないんですよね。そのことが高齢者に起きる。高齢者はお金ないと恥ずかしくて言えない、じゃ家の中で我慢するということが起きてしまうのではないかと大変危惧を持っております。
  293. 岩本司

    委員長岩本司君) 近藤正道君、もう時間になりますので。
  294. 近藤正道

    近藤正道君 時間でありますのでやめますけれども、今ほどの大臣の答弁は、私は、保険証を取り上げられる可能性のある高齢者、そのことについて聞いたわけですけれども、一部の極端な例を針小棒大に挙げて非常に話をおかしな方向にミスリードをする、これはやっぱり問題だというふうに思う。  もっと実際多くの普通の素朴にこのことについて心配をしている、そしておびえている、わずかな基礎年金でその中から天引きをされる多くの人たちの声に率直にやっぱり耳を傾けていただきたい。そのことをやればそういう発言にはやっぱりならないということを申し上げて、私の質問を終わりたいというふうに思っています。
  295. 岩本司

    委員長岩本司君) 大臣、時間でございますけれども
  296. 近藤正道

    近藤正道君 時間です。
  297. 岩本司

    委員長岩本司君) 少々お待ちください。  よろしいですか、挙手されていますので、時間過ぎていますけれども
  298. 近藤正道

    近藤正道君 はい。
  299. 岩本司

    委員長岩本司君) じゃ、大臣、簡潔に願います。
  300. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) きめ細かな本当に困った方には手当てをする。そして、今度の軽減措置もそういうことをやります。  しかし、それでも悪質なそういう方もおられて、そういう方に対してもきちんとこれは正論を吐かなければ、モラルハザードが起こったら保険制度は成り立たない、そういうことも申し上げておきたいということでございます。
  301. 岩本司

    委員長岩本司君) 本日の質疑はこの程度といたします。  暫時休憩いたします。    午後五時二十二分休憩      ─────・─────    午後五時二十六分開会
  302. 岩本司

    委員長岩本司君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  後期高齢者医療制度廃止等及び医療に係る高齢者負担軽減等のために緊急に講ずべき措置に関する法律案の審査のため、来る五日に参考人出席を求め、その意見を聴取することとし、その人選等につきましては、これを委員長に御一任いただくことに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  303. 岩本司

    委員長岩本司君) 多数と認めます。よって、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十八分散会