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2008-05-20 第169回国会 参議院 厚生労働委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年五月二十日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月十五日     辞任         補欠選任      轟木 利治君     津田弥太郎君  五月十九日     辞任         補欠選任      風間 直樹君     柳田  稔君  五月二十日     辞任         補欠選任      柳田  稔君     風間 直樹君      島尻安伊子君     義家 弘介君      若林 正俊君     丸山 和也君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩本  司君     理 事                 家西  悟君                 谷  博之君                 蓮   舫君                 衛藤 晟一君                 渡辺 孝男君     委 員                 足立 信也君                 大河原雅子君                 風間 直樹君                 小林 正夫君                 櫻井  充君                 津田弥太郎君                 中村 哲治君                 森 ゆうこ君                 柳田  稔君                 石井 準一君                 石井みどり君                 岸  宏一君                 中村 博彦君                 西島 英利君                 南野知惠子君                 丸山 和也君                 義家 弘介君                 山本 博司君                 小池  晃君                 福島みずほ君    衆議院議員        厚生労働委員長        代理       大村 秀章君        厚生労働委員長        代理       山井 和則君    国務大臣        厚生労働大臣   舛添 要一君    大臣政務官        外務大臣政務官  宇野  治君        厚生労働大臣政        務官       松浪 健太君    事務局側        常任委員会専門        員        松田 茂敬君    政府参考人        警察庁交通局長  末井 誠史君        法務大臣官房審        議官       二階 尚人君        外務大臣官房審        議官       草賀 純男君        財務省主計局次        長        真砂  靖君        厚生労働省医政        局長       外口  崇君        厚生労働省労働        基準局長     青木  豊君        厚生労働省職業        安定局高齢・障        害者雇用対策部        長        岡崎 淳一君        厚生労働省職業        能力開発局長   新島 良夫君        厚生労働省社会        ・援護局長    中村 秀一君        厚生労働省老健        局長       阿曽沼慎司君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        経済産業大臣官        房審議官     木村 雅昭君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○介護従事者等人材確保のための介護従事者等  の処遇改善に関する法律案衆議院提出)     ─────────────
  2. 岩本司

    委員長岩本司君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、轟木利治君及び風間直樹君が委員辞任され、その補欠として津田弥太郎君及び柳田稔君が選任されました。     ─────────────
  3. 岩本司

    委員長岩本司君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律案及び介護従事者等人材確保のための介護従事者等処遇改善に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省老健局長阿曽沼慎司君外十一名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩本司

    委員長岩本司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 岩本司

    委員長岩本司君) 介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律案及び介護従事者等人材確保のための介護従事者等処遇改善に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 民主党の津田弥太郎です。  まず介護二法の質疑に入る前に、ちょうど一週間前、道路特定財源に関する基本方針閣議決定をされました。当日の閣議には、G8の労働担当大臣会合と重なったということで、唯一舛添厚生労働大臣のみが欠席をされたわけでございます。  そこで、大臣としての、政治家としての御見解をお伺いしたいわけでありますが、欠席をされたということでこの場で確認をさせていただきたいと思いますが、舛添大臣道路特定財源一般財源化には賛成でいらっしゃるでしょうかどうか、この閣議決定どおり道路特定財源は間違いなく来年度から一般財源化されるのでしょうか。この点について政治家としての舛添大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  7. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 一般財源化賛成でございますし、来年度からきちんとやるべきだと考えております。
  8. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 私は、この道路特定財源一般財源化というのは厚生労働省にとってはまさにビッグチャンス、こういうふうに私は受け止めているわけであります。  これまで特定財源という縛りの下で道路整備にしか使えない潤沢な予算が確保されてきた、一方で社会保障費については、もう何回もこの場で議論になっておりますように、毎年度二千二百億円の削減ということで、舛添大臣自身がもう限界だと、乾いたぞうきんを絞るどころじゃない、もうからっからだというお話を毎回されているわけでございます。  先週金曜日の関係閣僚会議福田総理が、一般財源化の使途の議論が分捕り合戦的に先行しているのは本末転倒だと述べられたようでありますけれども、私は分捕り合戦という言わば腕力の話になると、申し訳ないんですが、舛添大臣は派閥の長でもないし、これなかなか難しい部分はあるのかな、勝ち目はなかなか大変なんではないかな、せいぜいこの参議院厚生労働委員会の全委員応援団になるくらいでなかなか難しいんではないのかなという気がするわけであります。  そうではなくて、今国民にとって本当に必要な公費の使い道とは何か、そのことに関する正論を堂々と主張をしていただき、命にかかわる分野、人間の尊厳にかかわりのある分野については大幅な予算の増加を実現をしていただきたいというふうに思うわけであります。  例えば、本年度難病対策費予算は千百十九億円というふうになっております。これは年間の道路予算約六兆円の一・九%、これを節約すれば倍増するわけです。倍増する、たった一・九%を節約すればですね。私は、道路はすべて要らないと言うつもりはありませんが、レジャー費特殊法人に流れた費用、これなど国会議論を見ていますと、道路予算の一・九%の無駄を省くということは決して不可能なことではない。国民も恐らくそういうふうに考えているだろうと思うんですね。  私は、今、舛添大臣閣議の中で主張する根拠を申し上げておるわけでございますけれども、この政府方針どおり道路特定財源一般財源化が行われれば難病対策予算などは当然大幅に伸びていくんだ、そのことがまさに一般財源化メリットなんだということを是非大臣の口からしっかり述べていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  9. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 委員がこの一般財源化ビッグチャンスだとおっしゃいました。ただ、私は、一般財源化されようがされまいが、その問題はちょっと横に置いておいて、国民の命を守るために必要な財源は付けないといけないと。したがって、これは今、安心と希望医療ビジョンということで長期的なことも含めた医療ビジョンを策定しつつあります。それに数字の裏付けを付けて、今委員がおっしゃった難病対策、昨日も難病方々が来られて是非新しい医療器具を認めていただきたいと、ほとんど毎日のように全国からそういう希望の声が寄せられております。そういうことも含めて、国民の前に、こういう予算でこういう施策をやればこれだけ改善しますということを出し、そして国民の御理解をいただいてきちんと予算を付けるように努力をしてまいりたいと思います。  もちろん、いろんな無駄は排さないといけないです。そして、道路一般財源化という状況がありますから、これは今委員おっしゃったように、必要な道路は造るにしても、やはり命を守るということにもきちんと必要なお金を付けると、そういう方針で来年度概算要求から始まって動いていきたいと思っております。
  10. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 決意としてはちょっとまだ不十分な気がするんですが、八月の概算要求前から、少なくとも先ほど言いましたように、この参議院のすべての厚生労働委員会のメンバーは大臣応援団にならせていただきたいと思いますので、全力を尽くしていただきたいということを要望を申し上げておきたいと思います。  さて、先週の木曜日の審議で我が党の森ゆうこ委員が提起をしましたように、本日の議題である介護保険制度への更なる公費投入ということも、この道路特定財源一般財源化を契機に検討を行っていただきたいなというふうに思うわけであります。  介護報酬、これの地域係数の問題について御質問をさせていただきたいというふうに思います。  介護施設を運営する場合に様々なコストが掛かります。これはもう当然、まず第一番に人件費あるいは土地、建物にかかわる費用、食料などを始めとした様々な日常の費用などであります。この費用のほとんどは、当然ながら大都市圏ほど金額がかさむわけでありまして、介護保険制度においても一単位当たり調整係数という形で、地域差を勘案する仕組みが制度の発足当初から存在をしております。御案内のとおりであります。  しかし、この地域係数地域格差実態にどう見ても合ってない。現在地域係数の最も高い東京二十三区には、最も低い青森市などと比較をして、わずか四・八%の介護報酬の上乗せがされているだけであります。  一方で、同じ厚生労働省の所管する制度、例えば最低賃金最低賃金の場合は東京と秋田県の間には一九・六%、約二〇%の開きが認められているわけであります。先ほどの地域係数は四・八、最低賃金は約二〇%、大変大きな違いがあるわけです。  この地域係数が余りにも実態に合っていないということもあって、東京都の特別養護老人ホームの場合、東京都からの補助がありながらおよそ三分の一の施設赤字経営というふうに言われているわけでありまして、大臣、現在のこの地域係数賃金物価等地域格差を十分には反映したものとなっていないという、この問題意識を共有していただくことはできるでしょうか。
  11. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 委員がおっしゃったこと、この問題意識を私も共有しております。御承知のように、平成十二年の介護保険制度をつくったときに国家公務員調整手当を基準にこういう制度をつくりました。しかし、今委員も少しおっしゃいましたように、賃金水準で見ますと一番高い東京都と一番低い沖縄県で一・四倍の差があります。ですから、こういうことについては私も問題意識を共有しております。
  12. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 本来、この地域係数については医療保険福祉審議会で、国家公務員調整手当級地区分基本としつつ、客観的な指標等を踏まえ、必要な補正を加えて用いることが適当というふうにされておりました。今大臣もおっしゃいましたが、国家公務員調整手当平成十八年度から地域手当というふうに変更をされて、現在は、六級の三%に対して、東京二十三区をエリアとする一級地は一八%というふうにされているわけでございます。現行のこの介護報酬四・八%加算論拠国家公務員の旧調整手当の一二%というのがベースになっているわけで、これはやはり、今も大臣もおっしゃいましたが、この見直しがこれは不可欠だというふうに思うんです。  同様に、この四・八%加算のもう一つ論拠であります各施設人件費比率、これ四〇%という推定になっているんですね。四〇%、人件費比率東京都の特養ホームの実態というのは七一・一%が人件費というふうになっておりまして、これ四〇%と七〇%じゃ、これはもう、人件費比率においてこれはえらい違いがあるわけでございます。この点から見てもこの地域係数見直しというのは避けられないのではないかな。  この地域係数実態に即したものに変更しない限り、介護人材確保法によって介護労働者賃金全国的に引き上げられたというふうになったとしても、果たして、大都市圏においては他の業種と比べて著しく低水準に据え置かれたままになることは明白であります。今現在もそういう状態になっているわけで、行く行くは東京が最大の介護難民集積地になるんではないかという、そういう危惧が私はあるんではないかというふうに思うわけであります。  大臣、この介護報酬地域係数見直し是非直近に開かれるこの見直しを行う介護給付費分科会、この議題に必ずのせていただくということを私は強く求めたいと思いますが、いかがでしょう。
  13. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今委員がおっしゃった各事業所人件費比率経営状況、これ今調査をしております。そして、委員が七一・一%ですか、東京を引かれましたけど、全国で見ても間接経費まで入れても五六・七%ということで、四〇よりはるかに多いわけです。したがって、これは来年四月の改定のときにきちんと対応したいと思いますが、この今おっしゃいました介護給付費分科会、ここの議題、どういう議題をのせるかというところを今一生懸命やっていますけど、これも当然私は議題にのせるべきだと考えております。
  14. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 是非、しっかり直近分科会議題にのせていただいて、まあ最終的には来年ということになるのかもしれませんが、お願いを申し上げたいというふうに思います。  さて、次に介護看護人材問題、これに関連して、先週の金曜日の参議院の本会議で可決をされました我が国インドネシア共和国との間の経済連携協定について質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず、今後、協定締結時期、我が国インドネシア共和国との締結時期はどうなるのか。それから、今回の協定FTAではなくてEPAとなった理由、及びEPAになったことで我が国にとってどのようなメリットあるいはデメリットが生まれるのかについて、外務省の方から答弁をお願いします。
  15. 草賀純男

    政府参考人草賀純男君) お答えを申し上げます。  日本インドネシアとの間のEPA協定でございますけれども、これはそれぞれの両国におきまして必要な国内法上の手続を完了して、その上で両国政府がその旨を通告するという外交上の公文を交換した後に、その日から三十日目の日に発効するということになってございます。先ほど委員おっしゃったとおり、日本におきましては先週十六日に本協定締結について御承認国会からいただいておりますが、あとは幾つかの行政府内手続を残すだけと、こうなってございます。  外交上の公文を交換するためには、また他方インドネシア側においても国内法上の手続を完了していただく必要がございます。インドネシア側としても、そういう手続をできるだけ早く完了するように現在作業を行っておるところだと承知しております。私どもといたしましても、可能な限り早期に発効できるよう努力してまいりたいというふうに思っております。  それから、続けてお尋ねEPAFTA関係、それからなぜEPAかというような御質問でございますけれどもFTAというのはフリー・トレード・アグリーメントという、自由貿易協定ということですけれども、狭い意味では、これはある国あるいは地域の間のみで輸入品に係る関税とかあるいは外資規制などを撤廃し、あるいは物品やサービスの貿易自由化するということを目的とした協定を指すわけでございます。  他方日本の場合におきましては、このような貿易自由化だけにとどまらず、投資自由化あるいは保護、それから知的財産権保護、それから競争に関するルール作りとか、あるいは様々な分野での協力とか、その相手国との経済関係の深さによりまして、深い場合にやはりそれを強化するような内容のむしろ幅広い協定を目指しておりまして、これをEPAあるいは経済連携協定と呼んでございます。  私どもは、インドネシアとの間には、やはり貿易以外にも、投資、エネルギーあるいは鉱物資源といった幅広い分野で既に緊密な経済関係がございますので、これを更に強化していくということが重要という観点から、狭い意味FTAではなくてむしろEPA締結することが重要というふうに考えてございます。  じゃ、これがメリットといたしましてデメリットは何かあるかというお尋ねでしたけれども、私どもとしては、まあその国によりますけれどもインドネシアとの間におきましてはこういうデメリットEPAを結ぶことによるデメリットは特にないというふうに考えてございます。  以上でございます。
  16. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 それでは、この包括的な連携の中の一つである人の移動、これについては、主としてこれは日本側関心事項であったのでしょうか、それともインドネシア共和国側関心事項であったんですか。端的にお答えください。
  17. 草賀純男

    政府参考人草賀純男君) 日・インドネシアの間のEPAについては、この貿易投資自由化する一環といたしまして、自然人移動に関する規定を盛り込むということになったわけですけれど、これは日本インドネシア双方関心事項であったというふうに承知しております。  もちろん、この看護師と、特に介護福祉士という候補者受入れにつきましては、その自然人の幅の中でこれはインドネシア側の要請に基づき約束することとしたわけでございますが、他方で、日本関心でございます企業内転勤者日本企業が進出していて、その投資家の扱い、あるいは短期商用訪問者といったこと、あるいはその他の日本側関心のあることについても盛り込まれてございます。
  18. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 人の移動についての関心事は、これはインドネシア側にあったということであります。今回のEPAでは、当初二年間で介護福祉士六百名、看護師四百名を受け入れることになっているわけです。  お尋ねをしたいと思うんですが、昨年の通常国会におきまして士士法改正案審議が本委員会で行われたわけでございます。私どもは、この中で准介護福祉士創設については極めて問題があるという立場に立って、与党と共同で法案修正を行い、附帯決議も盛り込みました。ちなみに、この修正案の動議を出させていただいたのは私でありますし、附帯決議提案者は、今外へ行かれましたけど、自民党の中村博彦委員でございました。  当時の委員会審議過程で、外務省田辺審議官はこのように答弁されています。インドネシアとの介護福祉士受入れの今後の協議に当たりましては、現在御議論いただいております改正法案審議状況及びその結果を十分に踏まえてまいる所存でございます。  それでは、実際に今回のインドネシアとのEPAにおきまして、この士士法改正の昨年の審議状況と結果がどのように踏まえられているのか、お答えください。
  19. 宇野治

    大臣政務官宇野治君) お答えいたします。  日本インドネシアEPAにつきましては、今委員がお話しいただきましたように、人の交流という大きな問題が一つございます。それに当たりまして、先ほどお話しいたしましたように、インドネシア側からの特に特段の要求がなかった、いわゆる養成コースと言われるもの、これがなかったということが一つでありまして、またさらに、今委員がお話しいただきました昨年の四月に田辺審議官の方から答弁いたしましたこと、これからの審議の様子を見てということについて、それを十分に考察した上で今回のEPAの交渉に当たらせていただきました。
  20. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 このインドネシアには介護に関する資格あるいは専門学校がないわけです。現時点では、日本政府とも協議の上で一定の研修を行い、その修了者インドネシア国内資格としての、国内資格ですよ、介護福祉士を付与し、日本に送り出すということになっているわけであります。  我が国の場合は、昨年の士士法改正において、介護福祉士に関しては厳しい国家試験への一元化を進めているわけでありまして、インドネシア国内資格である介護福祉士とは名前が同じでも実質は大変大きく異なるわけであります。  創設過程我が国が深く関与したとしても、それをもって日本資格として相互承認するなどということはこれは考えられないということで私はいいというふうに思うんですが、舛添大臣、端的にお答えください。
  21. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まず、介護福祉士資格はまだインドネシア創設されておりません。仮に創設されましても、相互承認ということは考えておりません。
  22. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 分かりました。  それで、我が国の、インドネシアからの門戸を開いて他国の人材を受け入れるということは、これは技能研修や様々なところでも議論されておりますが、物の輸入などとはこれは決定的に異なる、当たり前のことであります。人にはそれぞれの文化、生活があり、郷に入れば郷に従えというような傲慢な姿勢で受入れを行うということならば、これはやめた方が私はいいというふうに思うわけであります。  これ、以前に、外国人研修技能実習、この制度で来日しましたイスラム教徒インドネシア人の女性、これについて、受入れの条件として東日本縫製工場が日に五回の礼拝断食を禁止する誓約書に署名をさせていたことがメディアで報道されたわけであります。このうち礼拝については休憩時間であっても会社の敷地内では一切認めない、こういう人権侵害行為がございました。  今回のEPAによる受入れについて、今、例えば例を申し上げました礼拝とか断食などの対応をどのように考えておられるのでしょうか。
  23. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 外国の方が入ってきて我が国で働く場合に、それぞれの方々宗教とか文化、これをきちんと踏まえた上で受入れ事業主が対応していくということが必要だろうと、こういうふうに考えております。  そのためにも、受入れ調整機関であります国際厚生事業団におきまして、特に今回の場合イスラム教の方々がいますので、そういった点につきましての留意事項、これをまとめたハンドブックも作って受入れ事業主の方に提供すると、こういうことを考えております。  そういうことを参考にしながら、個々の方々宗教に対する度合いその他も違うかと思いますが、それを踏まえてきちんと受入れ企業の方、受入れ施設の方と候補生の方でその辺のことを話し合っていただくと、こういうことが必要だろうというふうに考えております。
  24. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 これ、トラブルが発生してしまった場合には国際問題になる可能性はあるわけでありますから、厚労省としても事例の把握に努めるとともに、可能な限りの対応をお願いしたいというふうに思うわけです。  日本に住むイスラム教徒は、食べ物、これ非常に神経質になるというふうに私は聞いているわけであります。特に、肉については原則的にイスラム教の教義にのっとった処理をされた肉、これはハラールというふうに言うらしいんですが、こういうふうに決められているようであります。ところが、このハラールは我が国においてはなかなか入手が困難だ、価格も高いというようなふうに言われておるようでございます。  今おっしゃった国際厚生事業団の方でそうした食材の入手方法、これらについても情報提供を行っていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  25. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 先ほど申しましたように、当面、ハンドブック等も作っておりますが、受入れ施設等から要望があれば、種々の必要な情報提供についても国際厚生事業団の方で対応するように指導してまいりたいというふうに考えております。
  26. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 それから、看護師とか介護福祉士、あるいは候補生として来日した方々のケアとして、国際厚生事業団では電話相談などの対応をなされるというふうに聞いております。私は、国家資格取得前はもとより、取得後においても、もうこれで面倒見ないということではなくて、引き続き様々な相談に応じる体制が不可欠ではないかというふうに考えます。  そもそも、こうした相談において問題となるのは言葉の問題だろうというふうに思います。半年間日本語の研修をしたとしても、相談事というのは言ってみれば微に入り細に入り微妙な言葉で悩みを訴えるわけでありまして、どうしても母国語であるインドネシア語での対応というのは私は必要ではないのかなというふうに思うんですが、この言葉の問題についての見解をお述べください。
  27. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) 国際厚生事業団については、まず、研修中だけじゃなくて国家資格取得後につきましても相談に応じる体制で対応したいというふうには一つ思います。  それから、言葉の問題につきましては、今委員からもお話ししましたように、基本的には日本研修も受けておりますので、簡単な質問、相談等であればそれで対応可能な場合も多いかと思います。  しかしながら、微妙な問題でどうしてもインドネシア語での対応が必要な場合というのもこれはあり得ると思いますが、そういった場合には通訳を付けるなどの対応もしていきたいと、こういうふうに考えております。
  28. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 今日は賛成法案なので余り見せ場がなくてちょっと寂しい感じもしないわけでもないんですが。  それで、今回のEPAにおいては、受入れ指針の中で日本人と同等報酬ということが要件とされているわけでありまして、国際厚生事業団のチェックも行われるというふうに聞いているわけでございます。  それでは、具体的にこの日本人と同等報酬という文言、これはどのように担保されるのでしょうか。
  29. 岡崎淳一

    政府参考人岡崎淳一君) これにつきましては、まず最初の段階、就職のマッチングの際にチェックするということを考えています。具体的には、求人票を出していただきまして、そのインドネシア人看護師介護福祉士候補者賃金が出てくるわけでありますが、これと併せまして、当該事業場で同じような仕事をしている日本人の方の賃金状況を見るために、就業規則あるいは賃金台帳等、それを確認できる資料を併せて提出していただきまして、それに基づいて最初の段階で審査していきたいと、こう考えております。  その後、働いている段階につきましても、遵守状況につきましては年一回定期的に報告をいただくことにしておりますが、そういう中でもそれがきちんと守られているかどうか、これを確認していくと、こういうことをしていきたいというふうに考えております。
  30. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 大臣、今おっしゃったんですが、技能研修の中で建前と本音がありまして、建前はすばらしいんですが、本音のところでは、日本人が働かない、働きたくない、日本人を募集してもだれも来ないところに技能研修の人たちを入れると。つまり、それは何かといったら、低賃金であり、三Kとかそういう仕事、職種。そこに結果的には外国人技能研修方々を入れて使っているというのは実態としてあるということはもう大臣も御案内のとおりだというふうに思うんです。  ですから、介護の問題につきましても、日本人がなかなか来てくれない、その施設はかなり給料が安い、しようがないから、インドネシアから来るらしいから入れようかという話になりかねない。ですから、そうなるとインドネシア人賃金が低くなるだけではなくて、今回の法案で審議をする介護労働者の労働条件を良くしようということに足を引っ張っていくんじゃないかと。そうあってはならないだろうというふうに思うわけであります。  その同一事業所内での比較というのを今、岡崎さんおっしゃったわけでありまして、そのことを私は否定するものではありませんが、やっぱりどこかで、同一事業所だけではなくて、例えば当該都道府県の同一職種の平均賃金、こういうような指標も勘案していかないと介護労働者がやっぱり賃金の低いところに集積をされてしまうという。インドネシアからあるいはフィリピンからいらっしゃるわけですが、そうなると、結局技能研修と同じようなことになってしまってはいけないんではないか。そのことがひいては介護労働者の労働条件を上げようという今回取り組んでいることにも悪影響を生じかねないんではないかという懸念を持つわけでありますが、大臣はどのようにお考えでしょう。
  31. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私も全く同じ懸念を持っています。  そして、G8の労働大臣会議が新潟で行われたときに、アウトリーチの国としてタイとインドネシアの担当大臣、来られました。インドネシアの労働問題の担当大臣と食事も一緒にしましたし、バイの会談を持ちました。そして、私から申し上げたのは、先ほどの相互承認の問題もそうですが、安かろう悪かろうでは困る、そして、せっかくインドネシアから来られた方が、もうこんな国で働きたくないと言われて悪いイメージ持って帰られる、そういうことであっても困るんで、したがって、例えば日本語もちゃんと勉強してもらいます、そして三年間訓練も受けていただきますということですから、間違っても、これが日本介護労働市場において賃金を引き下げる方向に働くようなことがあってはならないと思います。  一つは、看護師さんが四百人、そして介護士さん六百人ということで、特例で千人の規模ですから、それほど、それが足を引っ張るほどの大きな重みはないと思いますけれども委員が持たれた懸念は私持っていますんで、国際厚生事業団なんかにきちんとチェックをさせて、そういうことがないように、これはインドネシア大臣ともお話をしたことでありますんで、きちんと監視をしていきたいと思っております。
  32. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 そこで、これも技能研修のときには様々な形で発生していることなんですが、仮に、支払われる賃金が労働契約で規定した額に満たないとか、あるいは賃金不払というようなことが行われた場合、あるいは人権上の問題が発生をしたというような場合には、これ当然、関係部局が連携をして適切な対応、例えば当該事業所への新規の受入れの停止というのは、これは当然だと思うんですが、既に受入れを行っている場合にも、当該労働者の他の事業所への受入れを含めた対応が私は必要になってくるんではないか、行われるべきではないかというふうに考えるわけですが、そういう対応をしていただけるでしょうか、大臣
  33. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それは、国際厚生事業団にきちんと巡回してチェックをさせる、それから先ほど、言葉の問題もありますけれどもインドネシア語でも対応できるようにする。そして、まず問題を把握して、問題があれば、各地域の労働局もあります、入管もあります、こういうところに行政上の権限を行使してきちんと対応させたいと思っております。
  34. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 大臣から入管という言葉が出ましたんで、今日は、法務省、お見えになっていると思います。外国人の入国あるいは在留管理を行っているわけであります、法務省はですね。  今回、インドネシアから来日することになる看護師あるいは介護福祉士が労働搾取をされることのないようにするために、あるいはこれらの方々が低賃金で働くことにより日本人の看護師あるいは介護福祉士賃金に悪影響を与えないようにするため、この在留資格の付与あるいは在留期間の更新に関する具体的な報酬額の下限を私は法務省として示すべきではないかというふうに考えますが、いかがですか。
  35. 二階尚人

    政府参考人(二階尚人君) 御指摘のインドネシア人看護師介護福祉士及びそれぞれの候補者の方が受ける報酬額に関しましては、これらの者が受け入れられる地域、機関の規模等の相違があることから、現在のところ、日本人と同等額以上ということにしております。  さらに、委員御指摘の点を踏まえまして、法務省としては、関係省庁と連携を取りながら、適切な報酬が支払われるよう、本制度の運用に努めてまいりたいと考えております。
  36. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 ちょっと、全然質問の答えになっていないんですが。私は報酬額の下限を示すべきだというふうに申し上げたんです。厚生労働省に対して多少気兼ねをされているのかもしれませんけれども、在留管理をされているわけですから、トラブルが起きないように、この賃金、労働条件の問題というのは大変トラブルの最大のテーマになっているわけでありまして、是非とも下限を提示していただきたいと思いますが、もう一度答弁してください。
  37. 二階尚人

    政府参考人(二階尚人君) 法務省といたしましては、先ほど申しましたとおり、本制度が悪用され、御指摘のような労働搾取といったようなことにつながらないように、関係省庁と連携を取りながら適正な運用に努めてまいりたいと考えております。
  38. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 賛成法案なんでこれ以上追及はしませんけれども、もうちょっと積極的な答弁をしていただきたいなと思います。  さて、今回のEPAでは、外国人研修技能実習の職種を観光分野に拡大するということも前向きに検討するということとされているわけでありますが、この外国人研修技能実習制度、これについては、これまで数多くの問題、先ほどからもう例示をしておりますけれども、多くの問題が発生をしており、制度を見直す方向で政府内部の議論も進んでいる状況であります。  観光分野、この観光分野というのは、制度による受入れの前提となる公的技能評価制度というものも存在をしていない、我が国のホテル、旅館業の関係者との十分な調整も現時点では行われていないというふうに私は聞いているわけであります。  この公的技能評価制度、これについては、現在国交省に検討を依頼している状況というふうに聞いておるわけでありますが、少なくともこれがきちんとできない限りは受入れもできないんだということを大臣から答弁をしていただきたいと思いますが。
  39. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 技能実習制度、様々な問題点があります。今委員おっしゃったように、公的評価制度がなくて入れるということは、単純労働ということになってしまいますから、技能じゃないんですね。ですから、それは評価する制度がなければ受け入れられないということであります。
  40. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 明快な答弁をいただきまして、時間がかなり経過をしておりますが、最後の質問に入らせていただきたいというふうに思います。  介護労働者の労働条件を引き上げていこうという問題の底上げをしていくためには、どうしても、先ほどもちょっと私述べましたが、最低賃金の問題、我が国最低賃金の問題について、やはりより積極的な取組と成果を上げていかなければならないのではないかというふうに思うわけであります。  そこで、先週の木曜日に、極めて長い間お休みになっていて、五か月ぶりに成長力底上げ戦略推進円卓会議、これが官邸で開催をされたというふうに聞いておりますし、メディアでも報道をされているわけであります。  この円卓会議は、昨年の三月以降、中小企業の生産性向上、これと最低賃金の中長期的な引上げの基本方針について議論を行うということになっておるわけでありまして、既に昨年七月九日に中間的な合意がされているわけであります。その後、国会最低賃金改正案が可決、成立をしているわけでありますけれども、それにもかかわらず、昨年中をめどに取りまとめられる予定であった中小企業の生産性向上と最低賃金の中長期的な引上げの基本方針というのは先送りになったままなんです、たなざらしになっている。次回六月にはこれらの取りまとめが行われるものというふうに私は考えているわけでありますけれども、この円卓会議の取りまとめの方向性、それからさらには最低賃金の引上げについて、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  41. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私も先週の円卓会議に出ておりました。委員の先生、皆様方の意見を拝聴したいということで私からは発言はいたしませんでしたが、労働組合側の御意見と使用者側の御意見、特に中小企業、かなり厳しい意見の対立がありました。  前回、前回というか先週は、お互いに意見を出し合おうということでありましたんで、次の回に向かって合意形成のための努力を更にやるということで前回は終わりました。  ただ、最低賃金法の改正案もできましたし、それから、これはもう常に申し上げていますけれども、労働者の生計費、これを考える。それから生活保護との兼ね合い。それから賃金、それから今度は中小企業からいうと支払能力という、これのバランスと兼ね合い。それぞれいろんな意見が出ましたけれども、私は、この基本を公労使三者がしっかり議論をしてそしてまとめるべきであるというふうに思っていますので、大変厳しい議論でありますけれども、この円卓会議、何とか意見の集約を図り、そして新しい法律も改正案もできましたから、その理想がかなうような形できちんと最低賃金について決断を下せればと、そういうように思っております。
  42. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 そこで、私、前に何回か申し上げましたように、公労使という話合いというのは特に、公はともかくとして労と使、そこが意見対立するのはこれはもう当たり前のことでありまして、この最低賃金の問題というのを労と使の言い分を、何回もいつも言っていますが、半分半分で聞いていたんじゃまとまらないんですよ。だから、労の言い分七割、使の言い分三割、これがちょうどいいところなんですよ。そこでまとめていくのがいいところなんです。  中小企業の生産性向上ということを否定するものではありません。ただ、現実に今我が国最低賃金、秋田県とあるいは沖縄県、六百十八円です、時間給。この水準というのは一体どういう生活を考えたらいいんだろうかということを考えますと、これどうしても生産性向上以前の普通の、これを一日八時間働いて月に二十二日稼働した場合に幾らになるかと考えますと、これじゃとてもじゃないけどたまらない。  例えば東京の場合、今七百三十九円です、時間給。これ例えば一年間に二千時間働いて、二千時間掛ける七百三十九円というと百五十万円行かないんです、年収で。今二百万以下はワーキングプアというふうに言われているわけでありまして、これどう考えても東京を、例えば私ども全国最低賃金の平均を千円に引き上げたいと言っているんですが、千円に上げたとしてもやっとで、二千時間働いて年収二百万円なんですね、二百万円。  今、例えば秋田県の六百十八円というこの水準で税、社会保険料を払って、お一人でお住まいだとすればアパート代や光熱費やそういうものを払って、残り一体幾らで生活できるんだろうか。しかも、働く場所というのは朝八時から夕方五時ではない。夜間の勤務もあったりすると公共交通機関が使えない、どうしても車が要る。だけど、この賃金で果たして車持つことができるんだろうかということも、本当に生活の現場を考えていくと、私はこの最低賃金法を改正して、今回の最低賃金の引上げの取組については従来にはない大変積極的な引上げの促進エネルギーが働かなければならないのではないかというふうに思うわけでありまして、大臣の指導力いかんではないのかな。  どうも福田政権になってこの問題、円卓会議は前の政権がやったやつだから余りやりたくないとか、そんな話もメディアの中には出ているようなので、そうではなくて、舛添大臣はそうではないんだと、これは是非ともやらなきゃいけないんだという決意をもう一度述べていただけませんか。
  43. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 先般の新潟でのG8の労働大臣会議、ここではその前の日に労使来られました。非常にいい議論ができたと思っています。やっぱりこういうポジティブな議論を進めていくことが労働者の権利を守ることだと思います。そして、今おっしゃいましたように、労働者の生計費について、生活保護との整合性ということを言っていますから、次回開かれるときには、七、三まで行けるかどうか分かりませんが、津田委員の持論でありますその比率も念頭に置いてきちんと努力をしてまいりたいと思います。
  44. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 私の質問は以上で終わります。  ありがとうございました。
  45. 谷博之

    ○谷博之君 民主党の谷博之でございます。  今日、私はこの法案の審議に当たって、私自身が、この介護保険制度がスタートして以来、自分の地元で、介護事業者の皆さんや、あるいはまたケアマネの皆さんや介護福祉士の皆さん、そして養成をしている教育機関の皆さん方と福祉の環という任意の団体をつくっておりまして、わというのは環境省の環という字を書いて福祉の環という、こういう団体をつくって七年ほど研究やいろんな現場の声を聞いてまいりました。そういう皆さん方の声を踏まえて、若干の時間ですが、具体的な、特に地方自治体との関係を含めた介護保険制度の現状を含めて、質問をしていきたいと思っております。  まず最初に、この介護保険制度、いろんな関連する団体があるわけですけれども、私、二つのちょっと団体について冒頭お聞きしたいと思っております。その一つは財団法人の社会福祉振興・試験センター、それともう一つは財団法人の介護労働安定センター、この二つのことの質問でありまして、これは衆議院でも若干そういう議論や、あるいは調査室から資料等も出ております。  まず基本的なことを申し上げますと、介護保険制度というのは、まあこれ現場の声ですが、めったやたら資格研修が多いんですよ。そういうことを踏まえて、金が掛かる。それについて、じゃその金がどうなっているのかというと、それが資格なり研修なりが、事業所の指定のこととかそういうものに全部これ関連して跳ね返っているんですよ。ということになれば、今申し上げるこれからの二つの団体に典型的に表れるように、厚生労働省の職員の再就職先になったり、あるいはまた既得権益を守るようなそういうふうな仕組みにどうもなってきているんじゃないんですかと、こういうことを冒頭基本的に指摘したいと思っております。  まずは、最初の財団法人の社会福祉振興・試験センターのことですが、これは御案内のとおり、社会福祉士とか介護福祉士資格試験、それから登録、そして更新、変更などをやっている団体です。これ、おととし、二〇〇六年度、このいわゆる資格試験等で上げた収益は三十億円以上になっています。しかも、ここは更にまたいろんな意味介護保険の試験の問題集も作っておりまして、これも相当やはり収益を上げています。この実は団体に、これ全体で六十九名の職員がいるんですが、そのうち十九名が厚生労働省の元の職員です。天下り率が二七%。そのほかに三名の常任の役員がここに配置されておりまして、これもすべて厚生労働省のOBです。  ということになれば、こういう、今介護現場の職員の皆さん方が非常に厳しい労働条件、低賃金、そういう中で頑張って資格を取って、そして一生懸命介護の現場で頑張っている、その実は資格を取るための研修なり試験料なりにやっぱりお金が集まったところからそういう方向の機構、財団ができているということなんですね。  そういうことを踏まえながら、一点お伺いしたいんですけれども、先ほど申し上げた三人の常任役員、名前を申し上げますと、田中敏雄理事長、そして二人の常務理事、坂本博之氏、丹羽紀明氏のこの三名。この三名の役員の皆さん方がこのセンターから昨年度支払われた報酬は合計幾らになるのか。そしてまた、この方々がもしも仮に今年度退職された場合に、役員退職手当支給基準に基づき推計すると三名に対しての退職金は幾らになるのか、お答えください。
  46. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  お尋ねの常勤役員三人に関します年間の報酬額、退職金について、試験センターが公表しております役員給与や退職手当に関する諸規程で計算いたしますと、御指摘の常勤役員三人に係る年間の総報酬額は約二千七百六十万円になっております。この報酬額については、理事長は国家公務員指定職三号俸、常務理事にあっては国家公務員指定職一号俸に相当する額ということで、それで計算いたしております。三人で二千七百六十万円でございます、と推計されます。  退職金につきましては、俸給月額の一二・五%に在職月数を乗じて得た額と定められておりますので、御指摘の常勤役員三人が現時点で退職した場合における退職金の額は、三人で約一千万円となるというふうに考えております。
  47. 谷博之

    ○谷博之君 今そういうふうな数字が出ました。それで、実はこの十九名プラス三名の方々以外に、ほかにもあと四人いるんです。それは、特に顧問とかそういう非常勤で役職を務めている方がおられます。その一人がこのセンターの会長であります小林功典さん、この方が一九八九年六月から一九九〇年六月まで社会保険庁の長官を務めておりました。この方は、ちょうど年金記録台帳の廃棄の責任を問われた方であります。結果、二〇〇七年の六月に厚労省から寄附を求められた方であります。  この方は、社保庁の長官を辞めた後、その後十五年間、二つの財団に渡り歩きまして、最終的にこの十五年間の勤務で退職金を三千百万円いただいていると。なおかつ二〇〇〇年六月からこのセンターの会長を兼務していると、こういう方ですね。こういうような非常勤の方が四名おられます。  非常勤ですから、当然、報酬は今出ていないわけですけれども、例えば理事会等に出席すると謝金とか交通費は当然これ出ます。そういうことになれば、今申し上げたような、例えば介護の現場で送迎するときに、ガソリンの値段がまた上がったと、どうしようか、大変苦労している現場の人たち、一方では、お迎え付きの車で理事会に行って、そして一回出れば幾らという謝金をもらえるという、それは仕組みといえば仕組みでそういうことになっているという答えになると思うんですが、やはり我々としては、こういうところまである意味では財政内容、いろんなことを言うんであれば、やっぱりきちっと見直していくような仕組みを取っていかないと、介護の現場の皆さん方は浮かばれないでしょうというふうに私は言いたいんですよ。こういうことについて、大臣、どういうふうに考えられますか。
  48. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 一般的に言えば、国家公務員の再就職についてのルールがありますから、きちんとそのルールにのっとってやってもらわないといけませんし、国民の目線で見たときにいささかでも疑義が生じるようなことは避けないといけないという一般的なことを申し上げておきたいと思いますが。  この今御指摘の試験センター、これの収入が、財源が受験手数料等の、先ほど本の出版ということもおっしゃられましたが、そういう形で自主的な財源なので、国庫の補助がそういう意味では入っておりません。しかしながら、そうはいっても、ルールにのっとって国民の目線から見て疑いのないようにと、これはきちんと徹底しないといけないと、そういうように思っております。
  49. 谷博之

    ○谷博之君 二つ目の財団の話にもちょっと関連してお聞きしたいんですけれども、財団法人の介護労働安定センターのことですけれども、これは三十五億の雇用保険の特別会計から交付金が出ております。これは国からのお金の出ている団体ですね。  これはざっと数字を挙げますと、百五名の厚生労働省の元職員が再就職をしておりまして、それプラス三人の役員がここに行っております。そして、この事業は何をやっているかというと、介護の現場の皆さん方の福祉の向上ですね、それから介護現場で働く皆さん方の雇用の安定やサービスの内容を高めるためのそういうふうな事業をしているというふうにここに書いてあるんです。  ですけれども、これはよく見ると、国のそういう事業を委託されてやっているということだと思うんですけれども、しかし、要するにそういうふうな指導先というのは都道府県であったり事業者であったり、そういうところを相手にしてやっている事業団体なんですよ。ということになると、これはまあ言うならば、国のいろいろな機関の下請機関といったらおかしいですけれども、そういうふうな立場で動いているんだろうと思うんですね。  そういうところに、例えば今申し上げたような百八人もの元の役職員がかかわっている、しかも人件費が全体で十一億円掛かっているんですね、こういうふうなお金が出ているということについて、何度も申し上げますけれども、これは具体的な例の一つですけれども、どうも現場から聞こえてくる声はですよ、こういうことについては具体的に県や行政機関がほとんどやっているといっているんですよ、ただ上からこういう機関を通して言われている、実際やっているのはそういうところなんです。あるいはまた、民間のそういういろんな意味のボランティア団体や、あるいは事業者がそれを受けてやっているんですよ。  ですから、極端なことを言えば、こんなの民間でもできるよと言っていますよ、現場の声は。そういうところに、これだけのやはり予算と人を、しかもその中身を言えば今そういうふうなことですけれども、掛けているというのは、私は当然これはもう将来こういう財団を含めて、いわゆるそういう介護の現場をどうするという議論があるとすれば、こういうところまでメスを入れてやはりチェックをして見直しをしなきゃいけないと思うんですが、これ大臣どう思いますか。
  50. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 公社、公団、財団、こういうものの見直しというのは不断に行政改革の一環としてやっていかないといけないというふうに思っています。  ルール違反はもうそれは当然駄目で問題外ですけれども、ルールにのっとった中で、特にまず一つは役人の再就職の在り方、何もかも駄目だというのじゃなくて、やっぱりその専門的な能力を生かすことが国益にかなう、国民のためになるなら、そこはまたきちんと議論すればいいというふうに思っています。  それから、民でもできないから官でどうするかと、この議論も今規制改革との絡みで非常に大きな問題になって、特に例えば雇用・能力開発機構の絡みだと私のしごと館というのがありますね。例えば、これはすぐやめた方がいいのか、しかしやっぱり職業訓練というのは国がちゃんとやらないといけないのではないかと、こういう観点から見ると、やはりきちんと慎重に考えないといけない。  それから、特にこの介護労働安定センターの話は、職業安定ということについて言うと、これはILOの条約の中にも例えばハローワークのようなものはナショナルなレベルでやりなさいということは国際条約でも決まっている。こういうこともきちんと守りながら、しかし今委員が御指摘のような無駄や非効率な部分があればこれはきちんとチェックする。その両方の要請にこたえられるように、今委員の御指摘も受けてきちんと精査をしてみたいと思っております。
  51. 谷博之

    ○谷博之君 それで、もう一点だけ言っておきますが、さっき言ったこの介護労働安定センター、これ三十五億の交付金、全体合わせると四十億ぐらいになるようなんですが、そういう国からのお金が出ているということになります。  一方では、その財団でも国からの交付金を、あるいは補助金をもらっていないそういう団体もある。それをよく見ていきますと、こういう厚生労働省の再就職をされる方々が交付金なり国からお金もらっていない団体はほとんど入っていません。これはもう明らかにその予算は出すし人も送り込むという形なんですよ。これはもう、だれがどう見たってそれはもう、言葉を悪く言えば天下りの形しかないんですよ。そういうことをほかのそういう公的な国からのお金をもらっていない団体の人たちが言っていますよ。みんな自力でやっています、そういうところは。例えば、さわやか福祉財団なんというのは中小企業の皆さん方を相手にしてそこからお金をもらって、そしてその人たちにどうやって還元をするかということを今一生懸命やっているんですよ。  ですから、そういう点を考えたときに、私は、それは大臣の言うことは分かりますよ、ですけれども、やっぱりもっともっとチェックをし、見直しをしていく、そういう必要があるということ、是非これをやって生かしていただきたいと思っております。  ちょっと具体的な一点質問しようと思ったんですが、それはちょっと省略をさせていただきますが、続いて二つ目の質問に入りたいと思いますが。  実は、私先ほど申し上げましたように、地元の栃木県内の介護保険事業者からいろんな話を聞いておりまして、国の方針と異なる自治体の指導や点検が今行われていて、その対応に大変困っていると。その結果、サービス抑制とか事業からの撤退も考えていくようなそういう状況が生まれていると、こう言っているんです。  その具体的な話をこれからお聞きしたいと思っているんですが、皆さん方の資料をちょっと見ていただきたいと思うんですが、資料の一枚目の平成二十年の二月五日、厚生労働省老健局総務課介護保険指導室が全国の都道府県、指定都市、中核市に、「指導指針に規定された実地指導の実施状況について」といういわゆる事務連絡文書を発送しております。  これは、ちょっと経過を申し上げますと、この文章の中段辺りに書いてありますけれども、昨年の十二月の十日に社会保障審議介護給付費分科会がいわゆる都道府県に対して、現在行われている実地指導、監査の状況について実態報告をこれで求めているんです。その内容がここに書かれておりまして、二十年の二月十五日までに報告をしなさいということで、この文書が出ております。  これについてお聞きしたいんですけれども、この下段に書いてありますけれども、「しかしながら、」というところから、「社会保障審議介護給付費分科会及び介護保険部会において、実地指導・監査においての自治体間のバラツキ、過重な事務負担が指摘されているところです。」というふうに、ここにこう指摘してあります。そういうふうに指摘されたわけですね。この過重な事務負担とは一体だれの負担のことを言っているんですか。自治体ですか、事業者ですか。
  52. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  この平成二十年の二月の事務連絡でございますが、これは各自治体における実地指導の実施状況というものを私ども行政当局として実態を把握したいということで、事務連絡で調査をお願いしたものでございます。  その「しかしながら、」の文面でございますが、これは過重な事務負担というのは事業者の過重な事務負担ということでございます。
  53. 谷博之

    ○谷博之君 そうですよね。ですから、この配布資料にあるように、この分科会が指摘したのは行政ではなくて事業者なんです。事業者が非常に過重な事務負担が増えているんです。にもかかわらず、ここに、あえて勘ぐればですよ、何で「事業者の」という言葉が入らなかったんですか、これ。事業者の皆さんの過重な事務負担が指摘されているというふうに書くべきじゃないんですか、文言として。どうぞ。
  54. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 分科会議論におきましては、文書の様式が自治体ごとに異なることが事業者にとって過重な事務負担であるという指摘があるという御指摘をいただいておりますし、極力事業者の事務負担の増加を招かない仕組みを検討する必要があるという御指摘をいただいてこういう調査をしたわけでございます。明文として事業者と書いておりませんけれども、私どもとしては趣旨はあくまでそういう趣旨でございます。
  55. 谷博之

    ○谷博之君 私どもはどうも意図的にこういうことを抜いたんじゃないかというふうに勘ぐらざるを得ないんですよ、これ。そこまで我々は神経質に見ていますからね、これ。  それで、もう一つ言いますと、これ二月五日にこの通知を出して二月十五日締切りですよ、これ。これ十日間で調査を全部しろということだったんですが、これ現実に何で十日間にしたんですか。と同時に、どういうふうな報告がこの期間までに全部上がったのかどうなのか、そこら辺のこの報告のされている状況を御答弁ください。
  56. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 今回の調査の契機といいますのは、今御指摘ございましたように、社会保障審議会の介護給付費分科会の指摘あるいは介護保険部会の御議論でございますが、実は、現行の指導監督につきましては十八年の四月から新しい仕組みに変えるということで、実地指導の仕組みを従来の仕組みから変えております。  といいますのは、事業者の負担というものもできるだけ減らそうということで、事前に資料を準備していただくということをやめていただくような形でお願いをできないかということで各県にお願いしたわけでございますけれども、その実態がどうなっているかということを今回とらえたいということで、私どもとしては、十日ぐらいあれば、そんな難しい調査ではございませんので、出していただけるのではないかというふうに判断をいたしまして、一応十日ということでございます。
  57. 谷博之

    ○谷博之君 それは最終的にどういうふうな状況だったんですか。その報告の状況をお話しください。
  58. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 提出の状況がどれぐらいばらついていたかというのはよく把握をいたしておりませんけれども、現時点ではすべて出していただいているところでございます。
  59. 谷博之

    ○谷博之君 私は、これ非常に注目しましたものですから、この具体的な報告の結果がどういうことになったかを教えてくれと言ったんですよ。そうしましたら、出てきた言葉が、報告の出そろったのが四月の大体末のころだったと言っているんでしょう。しかも、今どうなっているんだと、どういう状況なんだと言ったら、皆様方の資料に、三枚目に付いているような、いわゆるこういう一枚物の報告書が上がってきました。「指導指針に規定された実地指導の実施状況について」という、こういう報告が一枚物でぺらで来たんです。  つまり、いわゆるこういう文書を出して報告を求めて、しかも期限のはるか過ぎた段階でやっとこさ、全体じゃないけれどもその大枠が集まってきて、そしてこの通知を出して三か月過ぎていますよ。この分科会から指摘されてからもう五か月たっていますよ。そういう状況でもなおかつ本当の意味の報告書はまとまっていないんですよ。これは実は非常に大きい問題なんですよ。たった一つのこの通知文書のように思われているとこれは大変なことなんです。  こういう国の指導と都道府県や現場の自治体との指導というのが極めて今問題になっている状況の中で、それを調査して、それを具体的な次の法改正にこれを結び付けていかなきゃいけないんですよ。そういうこととしてのこれは重要な調査であって、その報告というのは一日も早くこれは出すべき内容なんですよ。そう思いませんか。どうですか。
  60. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 今回の調査といいますのは、私どもとして指導監督が実際どうなっていたかということを今後の検討のために取るということでやったわけでございます。  谷先生から資料で提出いただいていますけれども、この資料の二のところにございますような実施状況の調書という形で調査票を配付をして、最終的に、三にございますように、あと、もう少し県別に細かいものございますけれども、そういう形で現在事業者の方から事前に資料を出していただいているかどうかということをチェックする、それが条例というか、それぞれの指導指針で決まっているかどうかというのを確認するといった意味で出しております。  確かに、御指摘のように時間が掛かったことは大変申し訳ないと思っておりますが、実は大変あれなんですが、たまたまこの時期と重なったんですけれども、明日に都道府県の方々、二十一日でしたか、お集まりいただきまして、今後の監査の在り方について意見交換をしたいということで、その際には今回の調査結果についても御報告をしたいというふうに思っております。
  61. 谷博之

    ○谷博之君 ということは、じゃ、あしたそれを、最終報告出すということですか。
  62. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 最終報告という言い方がいいかどうか分かりませんけれども、調査として実態把握したものについて取りまとめて、あした県の方にはお示しをしたいというふうに思っております。
  63. 谷博之

    ○谷博之君 それでは、ちょっと委員長にお願いしたいんですけれども、この報告書については、これは私は非常に重要な報告だと思っていますので、委員会としてその報告書を是非我々に出していただくように御検討いただきたいと思います。
  64. 岩本司

    委員長岩本司君) 理事会で協議いたします。
  65. 谷博之

    ○谷博之君 それじゃ、今のそういう議論を踏まえて、今度は具体的な話、ちょっとお聞きしたいと思うんです。  栃木県の宇都宮市の例をちょっとここで話したいと思いますが、県の指導とか適正化基準に基づき事業所が取り扱っているケアプラン、つまりサービス利用料の合計が個々人の給付限度額合計に占める割合、給付率が六〇%を超える事業所を重点指導点検対象として抽出をして、その中でもサービス料の多いプランを点検して過誤調整を行っていると。このやり方は、じゃ、何で六〇%までなんだと。話によれば五〇%という話も実は聞いているんですが、要するに使える給付額があっても六割しか使わせないんですよ。そういう現実がこの県や市町村で指導をされているんですよ、事業者に対して、ケアマネに対して。  そして、そういうことを踏まえたら、私はこの栃木県以外の自治体でこうした宇都宮市と同様にこういう事例があるんじゃないかというように思うんですけれども、こういうことについても調査なり実態、調べておりますか。
  66. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  御指摘の宇都宮市におきましては、支給限度額に占めますサービス計画の率でございますけど、御指摘のように平均六〇%以上のものについて対象を選定しケアプランの点検を実施しているというふうに私どもは承知をいたしております。  私ども手持ちの資料である限りにおきましては平成十八年度状況をつかんでおりますけれども全国の保険者でこのケアプランの点検をやっておりますのが大体三二%に当たります五百二十七保険者あるというふうに承知をいたしております。それで、それも全部のケアプランについて全事業所に対してやっているというのが百保険者ぐらいございますけど、あとはそれぞれやり方が違っておりますし、全然やっていないところもあるというようなことでございます。  したがいまして、詳細は私どもとして具体的な実施方法とか選定方法については把握しておりませんが、今介護給付の適正化事業というのを各県にお願いをしているところでございますので、その中で実施状況を把握していきたいというふうに思っております。
  67. 谷博之

    ○谷博之君 これはもう現場の声なんですけれどもね。そういうふうな宇都宮市のケアマネの人たちの話としては、そういう指導なり監督なりが行われてくるということになれば、これはもう自己抑制になっちゃうんですよ。要するに、このケアプランを立てて、この利用者、対象者に対して何とかサポートしたいと思っても、全体を、天井を決められちゃうということになればケアプランが立たなくなっちゃうんですよ。そういう自己犠牲の下に限度いっぱいのことを現場の人たちはやっているんです。  ですから、私は、何でそういうことが起きるのか、その根本を聞きたいんですよ。自治体が何でそうしなきゃいけないのか、国と県の指導がそういうところには入っているのかどうかですね。これらも含めて答えてください。
  68. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 介護保険は、当然保険者の立場でそれは適正化の事業をやると。というのは、介護保険の財源というのは貴重な保険料と公的な財源、税金でございますので、そういう中できちんと使われているということを保険者としてやはりチェックをするということは大変重要なことだと思っております。  そういう意味で、今各保険者が実施をしておりますのは、そういう保険者の立場で、やはり被保険者の負担というものも一方念頭に置いて、適切なケアマネジメントが行われているのかどうかということをチェックをしているという趣旨ではないかと思います。決してケアマネジメントを抑制するという趣旨ではございませんで、ケアプランのチェックを行っているということでございますので、その点については御理解を賜りたいと思います。
  69. 谷博之

    ○谷博之君 これはもうコムスンの問題なんかもそうですけれども、一部に不正なケアプランがあって、事実そういう意味で過剰にケアプランを絞ることになって、宇都宮市の方がそういう意味ではいろいろ問題があるわけですけれども、例えばコムスンに代表されるように、不正のその多くは、これはやっぱり一部のそういう事業者というところであって、実際の中小やあるいは零細のこういう事業者の皆さん方、大変激務の中にあって、まじめにその書類も間に合わせて、そして今言ったようにケアをしているという状況の中で、私はやっぱりそういう意味では、大変な負担を掛けているそういう事業者に対して、例えば配慮として減算項目を見直す、こういうことなど、やっぱり事務量の削減や書類の簡素化を進めることが先決ではないかなと、こういうように思うんですけれども、いかがですか。
  70. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 小規模な事業所の方がそういう意味で、監査の問題とかあるいは届出の関係でいろんな事務書類の作成に追われているという御指摘は当委員会でもお聞きしておりますし、私どももできるだけ早く是正をしたいというふうに思っております。  今、どういう事務手続でどういう事務書類が代替可能なのか、あるいは頻度をもう少し減らせないかということで検討いたしておりますので、検討結果が出次第対応したいというふうに思っております。
  71. 谷博之

    ○谷博之君 続いて、ケアマネジャーのことについて更にちょっとお伺いしたいと思うんですが、このケアマネジャーの資格制度というのは、これ五年更新ということになっています。今年更新をする方が、該当者が非常に多いというふうに言われていますけれども、その更新をするときに実は研修を受けます。これは専門研修課程といって合計五十三時間の研修を受けることになるんですが、これはもちろん無料ではありません。お金が掛かります。  ところが、この研修には今年度、いわゆる厚生労働省は更新時研修の講師料等として三億五千万の補助金を都道府県に出しています。ところが、これは補助率って二分の一です。国が半分、都道府県が半分ということですから、当然都道府県はその分の持ち出しが出ます。これまた恐縮ですが、栃木県の場合は県の財政がないということで、この県のお金は予算を取っておりません。したがって、国のお金もいただけません。全額、約四万円がケアマネ個人の自己負担になっているということなんです。これは、しかしながら、四十七都道府県見るとそうではない。ちゃんとそれを実施している都道府県もあるんです。  同じケアマネの資格を更新するのに、住む場所によって違うというのは、これはおかしいと思いませんか。どうですか。
  72. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 五年間の更新制度を取っておりまして、研修をするということをお願いしているわけですが、確かに私ども、今回、更新の研修の自己負担を御質問いただいたので調べてみたんですけれども、自己負担を取っていないところもございます。それから、自己負担の額につきましても、一万円、二万円、三万円あるいは三万円強ということでかなりばらつきがございます。これは、やはり経費についての見方について各都道府県で考え方が違っているということではないかと思っております。  私どもとしては、これは補助金をどう活用するかというのはまさに都道府県の判断で、二分の一補助というものを私ども用意をしておりますので、各都道府県でそういうことを十分勘案していただいて適切に対応していただきたいというふうに思っております。
  73. 谷博之

    ○谷博之君 これは大臣、国の補助金というのは地方自治体がそういう事業をするときの、まさにそれは財政負担を少しでも軽くするためにそのお金を役立たせるということでこの補助金というのは出ていると思うんですよね。ところが、逆にその補助金の制度が格差を生んでいるんですよ、これ。こういう仕組みというのは、これはおかしいと思いませんか、大臣
  74. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これはケアマネの更新研修だけではなくて、ほとんどあらゆる補助金というのは地元半分、国が半分ということになって、むしろ国の半分が重荷になる。例えば、箱物を造ったりするようなときによくそういう議論がありました。最終的には、一番の今の問題は、地方財政もう本当に火の車ということが根本にあるというように思いますんで、最終的にはそれは都道府県の使い勝手次第ということになるんだと思いますけれども、これは是非積極的に活用していただくことが必要で、二つ問題があると思うんです。  一つは、このケアマネの更新のように国が決めたケアマネという制度についてナショナルなレベルでなぜ一緒にできないかという問題があります。しかし、もう一つ介護の現場、現場はやっぱり現場で任せましょうという地方自治の部分があります。その間を埋めるものとしてこの補助金の問題があると思いますんで、これはこのケアマネだけのことではなくて、今の国の形全体にかかわる問題なので、私自身は二分の一の補助金というのはかえって使い勝手が悪いんじゃないかという問題意識はずっと持っておりますんで、これは国全体の仕組みを変える中でまた皆さんと一緒に議論をしたいと思いますが、取りあえずは現場に是非これを活用していただくようにということを今は申し上げたいということにとどめるというか、現行制度の下ではそういう答弁にならざるを得ないと思います。しかし、問題意識は共有しておりますんで、何かそこの、国で決めたもの、それがナショナルのレベルで標準化する、しかし片一方で地方自治がある、それを埋めるシステムとして二分の一の補助金でいいかどうかということについては長期的な課題として考えたいというように思っております。
  75. 谷博之

    ○谷博之君 大臣が今いろいろ具体例を出しましたけれども、例えば公共事業なんかで、こういう補助率二分の一で地方にそういうふうな補助金制度をつくるという、これも一つの、具体的な例、たくさんあります。この場合も今お話ししたとおりですけれども。  要は、地方が自分たちの負担分をそこに上乗せしてそういうものをつくったり道路を造ったりするという、これは一つのやり方です。そういう地方地方の特殊性にかんがみたそういう補助金の使い方もあれば、このケアマネのように、全国一律にケアマネジャーという人たちがいて、介護の現場でそうしてしっかり活動していて、なおかつ五年の更新という一つ制度ができていて、それを続けるためにはその研修を受けなければならないということになれば、これは僕は、極めて局地的なことじゃなくて、日本国全体の介護保険制度の大きなかなめを握っている、僕はそういう立場の問題だと思うんですよ。  ですから、それを都道府県に全部補助率二分の一で補助金を出して、お金ある自治体はそれをやってください、やらない自治体はそれはもう使わないで結構ですというふうな結果的なやり方では、これはやっぱり僕はほかの補助金行政とはちょっと違うと思うんですよ。そういう点を勘案するとすれば、じゃ、何でもっと使ってくださいということを積極的に働きかけしないんですか。何々県に、いやうちお金ないですから使えませんと言ったらああそうですかと言って、それで今あるのが現状じゃないですか。  ですから、あしたもしそういう会議持つんだったら、しっかりこれ言ってくださいよ。どうですか、大臣
  76. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今おっしゃるように、もうこれは、活用してくださいということはしっかりとこれは申し上げたいというふうに思っています。  それで、そもそもやっぱり介護保険制度全体が、保険の仕組みはナショナルな、国全体になっている。しかし、本当に地方自治の現場としての介護の現場がありますから、それのギャップをどう埋めるかというのは非常に大きな問題だと思いますんで、今後、知恵を働かせて、今のケアマネの、これは単に、名目上実施主体が都道府県になっているから都道府県の自主性に任せてあるというんだけど、決めた大本は、ケアマネジャーというシステムで更新研修というシステム自体は国が決めたわけですから、その埋める道具として二分の一の補助金だけでいいかという問題はあると思います。これはちょっと検討させてください。
  77. 谷博之

    ○谷博之君 じゃ、そういうことで、是非検討をお願いしたいと思っております。  あと幾つかの質問があるんですが、ちょっと飛ばしながら質問をしたいと思っておりますが。  一つは、いわゆる補装具などのそういう介護の問題なんですけどね。これはもうほとんどレンタルで、事業者からこういう当事者の方々はリースで使うとかそういう形になっているわけですけれども、いろんな細かい問題がこれ現場では起きております。例えば、介護の計画プランを立てるケアマネジャーとそれから主治医との関係一つあります。いわゆる介護を受ける高齢者、お年寄りの皆さん方とそのお年寄りの皆さん方を介護する、現場で医師として、主治医として診ているそういうお医者さんがある。ここの連携がなかなか非常に十分いかない部分があるんですね。  例えば、レンタルのいろんな介護補装具一つ取ってもそうなんですが、在宅で使っていて、その日のうちに入院することになったということになると、入院した日はレンタル業者にはその使用料は入らないんですよ。それから、退院をしても、施設にそういうレンタルで入れている場合は、退院したからそれもう使わなくなりましたよといっても、その業者に連絡が行かなければ十日も半月もそれを貸したことになっていて、そのお金は業者が自分で負担をするという、こういう形になっているんですね。  ですから、非常にケアマネと医師とそれから業者と、ここら辺の連携というのは極めて意思疎通が余りよくないんです、聞いてくる話は。ですから、ここら辺の、いわゆる在宅にしろ入院するにしても、この辺の一つ連携、これがもう少しうまくいかないのかなというふうに考えているんですけれども、この辺は局長、どう思いますか。
  78. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) そこは確かに御指摘のとおりだと思います。特に在宅と入院、あるいは入院から在宅あるいは入所というふうに動いていく場合に、今は主治医とケアマネジャーの間でいろんな連携を図るようにということで、介護報酬とか診療報酬の上でも必要な措置は講じているつもりなんですが、実際には今御指摘いただいたように利用者とケアマネジャーとそれから主治医と福祉用具の事業者の間で十分な連携ができてない面があるのも事実でございます。  したがいまして、私ども厚生労働省としては、関係者の間の情報の共有あるいは連携が行われるように、この制度の仕組みにつきましても周知徹底を図っていきたいというふうに思います。
  79. 谷博之

    ○谷博之君 この点については、例えば介護報酬のこの前の見直しで、二〇〇六年度介護報酬の改定でケアマネに対して医師が情報提供をしない場合には従来の居宅療養管理指導費、五百点ですか、これを百点減算するという、こういう仕組みができてまいりました。結果として、医師がケアマネに連絡しなくなると千円の報酬減ということになるわけなんですね。ですから、そういう意味では連絡を密にするという、そういう動きになることにつながるんではないかというふうに思っているんですが、ただ、現実に、医師にとってケアマネに情報提供を行うこの百点の介護報酬が十分な動機付けになるかどうかというのは、これはなかなか難しいと思うんですね。そういう意味では、そういう介護報酬見直しもそうですけれども、今言ったそういう仕組みをもっとしっかりつくっていかなければいけないというふうに思っております。  それから、次に、重度の高齢者に対して、特に家族介護の見込みのない高齢者が今非常に増えていますね。しかもそれは在宅で独り暮らしをしていると。そうすると、そういう中で介護保険の枠内に収まらない、そういうふうな人が相当今増えているわけです。介護保険の単価で実費をそういう場合は請求してその方からもらいなさいと、オーバーした部分はですよ、ということになっているわけですけど、現実にこういう所得がほとんどない低所得者の皆さんや国民年金で生活をしているそういう人たちに対して、その支払をできるかどうかということになるとこれ非常に難しい、そういうケースが増えています。その結果としてどういうことが起きているかというと、介護放棄とかあるいは介護の虐待とか家族崩壊、こういうふうなケースが増えているというふうに思うんですね。  そこで、これはやっぱりNPOのそういうふうな方々からも声が出ているわけですけれども、福祉用具のレンタル料は自由設定できるのに、なぜその他の在宅、通所サービスはそれができないのか。NPOが安い単価の枠外サービスをしたいと、こういうふうな思いを持っている人もいるんですよ。ところが、それはできない。つまり、利用者のそういう切実な状況に合わせて自由な単価設定、これをケースによってはやっぱり認めるべきじゃないんですか。そういう声に対してどうこたえられますか。
  80. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 福祉用具の場合の介護報酬でございますけれども、用具については非常に数が多うございますので、細かな分類を設定してまた実勢価格を把握するとなるとかなり多くの単価を設定しなければならない、そういうかなり複雑な仕組みになります。  また、機能別にまとまった公定価格を設定すれば個別の機能の評価が十分だろうかという問題もございますし、また価格の硬直化という問題もございます。  したがいまして、そういう意味では、福祉用具については、言わば通常の介護サービスの提供と違った仕方のサービス提供をしておりますけれども介護報酬といたしましてはやはり介護サービスの提供の対価ということで事業者に支払われるわけでございますから、一定のサービスの質の確保をするという観点から、現行制度におきましては介護サービスに要する平均的な費用を勘案して設定をするということにしているという経緯でございます。
  81. 谷博之

    ○谷博之君 それは分かるんですよ。そのお答えはもうそのとおりで分かるんですが、そういうふうな状況をもう既に超えているようなケースですね、そういうことに対して例えば自由に単価設定ができるのかできないのかですよ、現実に。それは今できないんでしょう。
  82. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 介護保険制度の枠内で実施をしていただく場合には、介護保険制度でございますので一定の質のサービスの確保ということを必要としておりますので、そういう制度に決められた単価の設定というのをお願いをしているということでございます。  ただ、介護保険制度の外側といいますか、その枠外で実施をしていただく場合には、それは事業者と利用者の間の契約で自由に決めていただくという仕組みでございます。
  83. 谷博之

    ○谷博之君 この問題はちょっと、前段のことを少し説明不足だったんですが、福祉用具のレンタルとか介護看護、訪問看護、訪問介護、デイサービス、ショートステイ等の在宅サービスを組み合わせて限度額の中でプランを組むけれども介護度が重度の利用者は家族の支援がないとこの限度額では在宅は無理だと、こういうイントロが付いているわけなんですけれども。  ともかく、そういう意味で、さっき申し上げたように、独り暮らしで、家族もいても遠くにいて、ほとんど行き来がないようなそういう家庭、非常に今増えていますね、お年寄りの。特に我々の、地方、いわゆる中山間地域、限界集落という、そういうところに行けば、七十代はもとより、八十代以上の方々が独りで生活をしています。彼らが一番おびえているのは、自分がもしも寝たきりになったときにどうなるのかということについての極めて危機感を持っている。それをサポートしてやろうとしているのがこの介護保険制度なんです。だけれども、それはケース・バイ・ケースで、非常に重度な場合は、今の介護保険制度ではもちろん自己負担もありますから、限度がある。  こういう状況に対してどこまでこれが光が当てられるかということになれば、中には、私は、その地域地域で何とかしてやろうという民間のNPOの奇特な人たちもたくさんいるんですよ。そういう人たちがしっかり動けるような、そういう制度設計というものも一方では考えておかなきゃいけないだろうと、こういう思いで実は質問させていただいています。是非これを検討していただきたい。  最後に、これまた一つの具体的な話ですが、要介護認定がありますね。これ、要介護認定というのは、非常に、市町村に申請してから判定の結果が一か月も掛かるというふうな状況だと、これは長過ぎてとても緊急性には対応できないということがあるんですけれども、これは市町村のそういう具体的な話になって恐縮でございますが、ここら辺の考え方はどのように考えておられますか。
  84. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 要介護認定についてのお尋ねでございますけれども、要介護認定は、御承知のように、認定調査の結果とそれから主治医の意見書を基に審査会で審査が行われて判定されるというプロセスをたどって決められます。  御承知のように、この認定の過程でございますけれども、大体今一月ぐらい掛かっているというのが現実でございます。その原因といたしましては、申請者と調査員が日程を調整するのに約一週間、それから主治医の意見書の作成に今は大体二週間近く掛かっているという現実がございます。それから、審査会を開催するに当たって、これは週一回大体ございますので、そういう意味で、大体通算しますと残念ながら一月ぐらい掛かっているという現実であろうということでございます。
  85. 谷博之

    ○谷博之君 これは何でそういうことを言いますかといいますと、がんの患者さんで末期の状態になった方がこの前の改正で介護保険が適用されることになって、四十歳以上のがん末期患者も介護保険サービスが使えるようになったんですね。  ところが、非常に進行がやっぱり進んできて、一日一日を争うようなそういう状況の中で、予期できない急速な病気の進行が起きた場合に、こういう福祉用具のレンタルを早めに申請しているけれどもそれが間に合わないとか、早めにそれを予約していても、結局それが、それまでに見込みでレンタルしていた分が全額自己負担になってしまうと、こういうケースが非常に増えているということですね。  ですから、一か月待って介護認定を受けて、そして介護サービスを受けるという、これが普通の仕組みかもしれないんですけど、こういう急速に進行するような人たちに対するやり方というのは、私は工夫があってもいいんじゃないかというふうに思うんですけれども、その点どう思われますか。
  86. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) その点につきましては二つの措置を考えておりまして、一つは、急速に悪化をされる方については、申請された日から介護サービスを受けられるという仕組みがありますので、さかのぼって要介護認定の効果が発生すると。もう一つは、優先的に認定調査・審査を行うようにということで、現実にかなりやっている保険者の方もいらっしゃいますので、今後ともそういう趣旨を徹底していきたいというふうに思っております。
  87. 谷博之

    ○谷博之君 時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、いろいろ御質問させていただきましたが、大臣からも、検討する、そういう意向も出ましたので、それぞれについて前向きにひとつこれから取り組んでいただきますようにお願いしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  88. 岩本司

    委員長岩本司君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時から再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十一分休憩      ─────・─────    午後二時開会
  89. 岩本司

    委員長岩本司君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、柳田稔君が委員辞任され、その補欠として風間直樹君が選任されました。     ─────────────
  90. 岩本司

    委員長岩本司君) 休憩前に引き続き、介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律案及び介護従事者等人材確保のための介護従事者等処遇改善に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  91. 石井みどり

    石井みどり君 自由民主党・無所属の会の石井みどりでございます。  本日は、介護保険制度またそれに関する御質問をさせていただこうと思いますが、冒頭、大変恐縮なんですが、四月二十八日の決算委員会におきまして、医療の安全の確保に向けた医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の在り方に関する試案、いわゆる第三次試案に対しての御質問をさせていただいたわけですが、そのとき舛添大臣そして外口医政局長の御丁寧な答弁を賜りましたが、まだ私の疑念が晴れておりませんので、しつこいようでありますが、もう一回、本日で三回目になりますが、御質問をさせていただければと存じます。  そのときに、実は議事録でいろいろとお答えいただいたんですが、まず最初に外口医政局長の方が、初めに私が医療事故の原因究明というのは医療の専門家によってなさるべきである、高度に専門的な判断が求められるわけであるので、そこにいわゆる素人というような方々を入れるべきではないのではないかということをお尋ねしましたところ、医政局長の方から、委員会の中立性と公正性が大変大事だと思う、このためにも、委員会は医療者だけで構成するのではなく、法律家やその他の有識者も入れることが必要であると考えているというお答えをいただいたんですが、私はやはりこのお答えでは納得いきません。  なぜ法律家や有識者を入れることで中立性や公正性が保たれるんでしょうか。医療上の専門的議論をしている場に法律家や有識者を入れることによって中立性が保たれるんでしょうか。例えば、数学の議論の場に国語学者が入るようなものだというふうな気がしてならないんですが。逆に、医学知識がなく、そういう方々であれば、医療サイドが特定の報告に議論を進めることすら可能なんではないかという気がいたします。医療の専門的議論の場に法律家や有識者がいるということは、患者さん、遺族の気持ちを代弁することはできるだろうと思います。しかし、それが科学的な原因究明、再発防止に役立つんでしょうか。その議論が進んでいるかどうかということの監視はできると思うんですが。  ですから、やはり法律家や有識者の権限を明記する必要があろうかと思いますが、いかがでしょうか。
  92. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 委員会が適切に機能するためには、これは広く国民の信頼を得るものでなければならないと考えております。すなわち、中立性と公正性が求められるわけであります。そのために、委員会は医療者だけで構成するのではなく、法律家やその他の有識者を入れることが必要であると考えております。  この理由でございますけれども、まず医療の専門家の間では常識であることについても医療者以外には理解が困難であることも多いものでございます。国民に分かりやすい調査報告書を作成するというためにも、一般の有識者の参画は重要と考えております。  なお、法律家の参画でございますけれども、これは、法律家の場合は特に医療者でもまた医療を受ける立場を代表する者でもないことから、より中立的な立場からの参加、あるいはこの委員会が責任追及を行うものではないことを踏まえ、委員会が法的評価を行わないことの確認などの役割も期待できると考えております。
  93. 石井みどり

    石井みどり君 しかし、航空機事故調査委員会には同様の趣旨で法律家、有識者は入ってはいないわけであります。なぜ医療事故のみにおいてこの方々が入るのか。特に法律家が入るのは、私にはやはり捜査の前段階としての意味があるとしか思えない。  やはり水掛け論になってしまったなと、想定内ではありますが。
  94. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これ非常にもっと議論しないといけないと思いますが、数学と国語の例とか鉄道や航空とはちょっと違うなという感じがしております。というのは、航空機、鉄道、例えば車輪が脱線したとか、エンジンのどの部分が不調であったと、これはまさに機械ですから、機械工学の専門家が見れば分かる。恐らく二つの解釈なんというのもあり得ると思います。  しかし、医療事故について言うと、いろんなお医者さんとも話をしますけれども、今の医療の水準がどうであって、それで、対象は私たちの生身の体ですから、同じオペをやってもこの方には合ってこの方には合わないとか、薬についてもそういうことがあると思っています。お医者さんの先生方おられますので、間違っていたら御訂正願いたいと思います。それと、やはりインフォームド・コンセントというか、一番多いのは、もっと事前にきちんと説明していただいておいたならばというのが、もう非常にそういう感情的なものが多うございます。  ですから、そういう生身の人間そのものにメスを入れる、それは、私たちが飛行機に乗るときに、鉄道に乗るときに、一回一回、これ落ちるかもしれませんよ、ぶつかるかもしれません、それでも乗りますかというのは書いていない。それは車両約款とか航空約款の中に入っていることで済むんだと思うんです。  だけれども、この非常にどろどろとしたというか、人間的な側面、医師と、つまり医療提供者と、国民、患者の間の密接な人間関係というのは一つある面もありますから、そういう意味でも法律家や患者の方々が入っていただいていた方が全貌が明らかになるんではないかと。そして、その上で議論をすればいいんで、法律家が入っていることは、法律家が入っていてすぐ、刑事訴追の準備のために入っているということではないと思いますので、鉄道や航空機とどこが違うかというと、私はそういうふうに理解をしていますと。それでも委員の御疑問は氷解しないと思いますけれども、私はそういうように。  したがって、例えば医療メディエーターなんというのを考えようというのは、そういうところにもあるわけでございます。
  95. 石井みどり

    石井みどり君 その部分に関してはやはり平行線かなという気がいたしますが、また、前回の、四月二十八日のときに私、WHOのガイドライン、ドラフトではありますが、について伺ったんですが、そのときに、医療事故情報収集事業の中心は医療関連死でないから、ヒヤリ・ハットを含んだ、範囲が大きいので、WHOのガイドラインは該当しないということであったと思うんですけれども、一部、この委員会は死亡事故だけを、医療事故の死亡事故だけを扱うということなのでガイドラインは妥当しないというお答えだったんですが、私にとってはやはり詭弁にしかすぎないという気がいたします。  基本理念というのはやはりガイドラインに沿うというのが世界水準でありますし、そのことがこれからの社会に対してやはり良好な結果をもたらす成功の基準ではないかという気がいたしています。基本理念を基にして実務レベルをつくってこそ成功していく、再発防止にも貢献するものではないかというふうに思っておりますが、いかがでございましょう。
  96. 外口崇

    政府参考人外口崇君) WHOドラフトガイドラインの考え方でございますけれども、その中には、こういった報告制度は懲罰につながらないこととか、懲罰を行う機関から独立していることとか、そういったことが記載されているわけでございます。  先ほど委員御指摘の医療機能評価機構で行っている報告を聴取する事業については、これはヒヤリ・ハットとかも含めて幅広くやっているので、匿名性のことも含めて割とそのドラフトガイドラインの考え方に沿っているのではないかと思います。  今回、第三次試案で示しているのは、その中のコア部分というか、医療事故の中のコア部分である医療死亡事故の調査でございますけれども、そこはまず、調査と処分の分離ということについては、これは第三次試案でも、医療事故の調査は医療安全調査委員会が行い、医療従事者に対する行政処分や刑事処分は別の機関でその必要性を判断することを前提としており、調査と処分は分離しているところでございます。  それから、御指摘の調査と責任追及、処分の分離に関してで、捜査機関に対しての通知をどうするかということでございますけれども、第三次試案で示しているのは、これは医療関係者を中心とした委員会からの通知を踏まえ捜査機関が対応するという、委員会の専門的な調査を捜査機関が尊重する仕組みを構築しようとするものであります。
  97. 石井みどり

    石井みどり君 通知をすれば処分へつながっていく可能性は極めて大きいのであります。私にはそう思えてなりません。やはり詭弁ではないんでしょうか。
  98. 外口崇

    政府参考人外口崇君) まず、医療死亡事故の中には、これは故意や重大な過失を原因とするものであって、刑事責任を問われることがやむを得ない事例が含まれることはこれは否定できないと思います。そういった場合に、じゃ、通知もなしでやるかというと、この場合は現在行われているような最初から警察の捜査が始まると、こういった状況が続くことになるわけでございます。これを変えようというのが第三次試案で示している考え方でございます。
  99. 石井みどり

    石井みどり君 前回のときも今もおっしゃったんですけど、故意や重大な過失を原因とするものであって刑事責任を問われることがやむを得ない事例というふうにおっしゃるんですが、過失の定義は医療の中にはないと思うんですね。過失概念というのは法的な概念であって、医学的概念では私はないと思うんです。  重大な過失というのは、結果が重大であるということではないと思います。医療においては、重大な結果を回避することが極めて困難な、事実上不可避に近い例が紛れもなく存在するわけであります。過失が重大であるか否かというのはやはり法的な概念ですから、司法の場においてこそ判断されるべきであって、これはもう司法当局者が判断すべきであって、医療安全委員会において判断しようとするのはやはり混乱するんではないんでしょうか。委員会において過失が重大であるか否かを判断するというのは、私は法的になじまないのではないかというふうに思います。いかがでしょうか。
  100. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 済みません。私に答えさせてください。  こういうケースを。例えば、ある治療の標準的なパターンは、例えばこの薬を何ミリグラム投薬しなさい、これが標準であったと、ところが、二日酔いか何かやっている医者が、仮にですよ、極論すれば、それを二十倍の分量をやっちゃったと、これは医療専門家から見ても過失でしょうと。この前、私申し上げましたけど、大変残念なことに、患者、国民の側から見ると、そういう訴えがあって、お医者さんに対する不信感が物すごく強いんです。そうすると、航空機や鉄道事故についての例でいうと、医療専門家だけでやっていたら、パイロットの組合が調査やっている、鉄道の運転士の組合が調査やっているように見えちゃうんです。  だから、私はこの前から言っていますように、もちろんきちんとした、何でもかんでも刑事訴追なんてやらない、やっちゃ駄目です。それはもうおっしゃるとおりなんですけど、やはり患者さんの側から見たら、その不信感をどう取り除くかということもやはり一つの課題だろうということで申し上げているんで、そういう例がないことを祈りますよ。私が先ほど出した、標準の治療体系と違う、オペのときもそういうことをやったと、それがある場合については、やはり医療委員会でこれは標準的な医療の手当てから著しく逸脱しているという判定はできるんではなかろうかというふうに思っています。
  101. 石井みどり

    石井みどり君 これまでの医療事故の判例を見ますと、司法の場においては、もう非現実的としか言いようがないほどのレベルの高さが医療側に求められているんですね。救急においては脳外科医がいて最善を尽くしても、心臓外科医でなかったからそれは過失であるというような認定をされているわけですね。そうすると、すべての専門医がそろっている救急の場なんて今どきないわけですね。  例えば、これは日経メディカルか何かに出て、私も記憶が少し飛んでいますけれども、その中で四例の判例が出ていますけれども、そのどれもが、非常に医療サイドは最善を尽くしているにもかかわらず、本当に高度な判断で追及をされている、結果から追及されているということがあるんですね。  そうすると、まさに医療においてはその時点でベターな判断、最高というわけにはいかないと思いますけれども、ベターな判断を選択するわけですね。医療の本質というのはやはり蓋然性だと思うんですね。ところが、やはり司法の場というのは非常に厳しい。究極的には司法における医学への理解というか、業務上過失の医療への適用は妥当かというような大きな問題も含めてですけれども、私はやはりそこのところがあるのでしつこくお伺いするんですね。  少なくとも、重大な過失というところだけは、私はやはりこれは看過できないというふうに思っております。もうそこは、もはや故意であるかあるいは未必の故意であるかというような、そういう犯罪性があるかどうかだけに限るのではないかという気がしているのですが、いかがでしょうか。
  102. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 医療の場合、医療というのは不確実性というのがあるわけですから、その点で診療行為そのものには一定のリスクが伴うものだと思います。そういうわけでありますので、これを事故の当初から捜査機関が捜査するのではなく、委員会がまず調査を行って、委員会からの通知の有無を踏まえて捜査機関が対応するという仕組みを考えているわけでございます。  この仕組みをうまく動かすためには、逆に捜査機関あるいは一般の国民の方にも、この仕組みが今までの状況よりもっと悪いものにならないということを、悪いものというのは、要するに医療機関側が本当に医療死亡事故を起こして、それで例えば隠ぺいだとか、それからかなりひどいような事故を起こしたような場合とかが隠れてしまわないようにということの意味ですけれども、そういったことの信頼性を確保する意味があるわけでございます。  そのためには、委員会が適切に調査を行って、故意や重大な過失のある事例その他悪質な事例に限っては捜査機関に対して適時適切に通知する、こういった仕組みをしっかりと動かす必要があると考えております。
  103. 石井みどり

    石井みどり君 どうもちょっとうまくかみ合ってないんですけれども委員会での判断というのが故意あるいは重大な過失というのは、やはり私は故意又は未必の故意のみになるのではないか。そうでなければ、もうオール・オア・ナッシング、すべて通知するのかあるいはもう本当に故意又は未必の故意のみにしかならないのではないか。その重大なというところの判定は、先ほども申し上げたけれども、医学的には重大な過失ということはあり得ない、犯罪性というところで判断するしかないのではないかという気がしています。  これはやっぱり、アメリカでの刑事事件にされる場合の通知の要件が故意又は未必の故意ということでありますので、これがやはり私は国際常識だと思いますけれども、いかがでしょうか。
  104. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 例えば実際にあった例で申し上げれば、抗がん剤の量を間違えて、それも週と一日というのを読み間違えてかなり多く打ってしまい、それからその後出てくる副作用にも気が付かずに漫然と経過を見て、それで患者さん亡くなってしまったと、そういう事例あるわけでございますけれども、これ故意ではないんですけれども、やはりこれは著しく標準的な医療を逸脱している、また重大な過失のある事例ではないかと思っております。
  105. 石井みどり

    石井みどり君 あえてそういう例をお挙げになるんですけれども、現実に医療事故の裁判で裁かれているものは、脳卒中のときのマンニトールの投与等、これ非常に専門性が高くて経験が有しなくていけない、それでもまさに過失があったというような、本当に結果から追及されているわけですね。ですから、やはり私としては、重大な過失というところだけを取り上げる必要であるんではないかという気がしています。  もうどうしてもこれは水掛け論になるかと思いますけれども、このことによって、実は大臣が御答弁の中で、訴訟リスクということも一つ挙げられました。例の大野病院事件以来ですね。ただ、訴訟が嫌なんではないんですね。もちろん不当な訴訟を起こされるというのも嫌ですけれども。ただ、何が問題かというと、やはり先ほどもお答えの中にありましたけれども、どうしても医療の中には必然的なリスクというのを内在しています。その医療の本質を理解していない、どうしても刑事当局というのは非常に理不尽で強権的な事件化をしてくる。それがその前の段階でこの委員会が通知をすることによってそういうことへつながるという、このことが嫌なんですね。これが医療崩壊の一因になっていくと。  そして、一番この被害を受けるのは国民なんですね。もうくどくどとは申しません、時間もたったので。私としては、このことで立ち去り型サボタージュということにつながるとか言われていますけれども、過酷で危険な重労働している国民はほかにもたくさんいらっしゃるわけですね。ですから、このことで国民の共感を得ようと思っているわけではないんですね。医療システム不備が医療水準の低下につながって、そのことが医療の崩壊の方へつながっていく、結果的には国民が大変な被害を及ぼしてしまうということが問題だろうと思っています。これが萎縮医療や医療の高いリスクの分野から崩壊へつながらないように、是非そういう在り方をおつくりいただきたいと思います。  では、介護保険について伺います。  歯科保健医療分野における介護保険の課題ということで少し伺います。  平成十八年度介護予防という分野で口腔機能向上サービスが導入されましたけれども、非常に利用が低調であります。このことについて、予防重視型システムという転換が行われたんですけれども、その中の一つのサービスとして口腔機能向上サービスがあるわけですけれども、利用状況とか効果とかの検証は行っておられるんでしょうか。
  106. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  先生御案内のように、平成十八年度から予防給付がスタートいたしました。要支援者に対する予防給付の中で、運動、栄養、口腔衛生ということで、御指摘のように口腔機能の向上ということについても一つの重要な事項として柱で導入いたしました。  この口腔機能の向上加算の算定の実績でございますが、現在のところ、介護予防の通所介護でいきますと月約七千件、それから介護予防の通所のリハビリテーションでまいりますと約千五百件ということで、これは今年の二月の審査分の実態調査でございますけれども、残念ながらそんなに大きな数字ではないという状況でございます。  この検証でございますが、現在、この口腔機能の向上サービスを含めまして、介護予防につきましては全体の効果を分析評価するために継続的評価分析等事業というのを実施をいたしております。本年度末までに取りまとめを行って、二十一年度以降の事業の実施に参考にするということで今検証作業を行っている途上でございます。
  107. 石井みどり

    石井みどり君 これ、広島県歯科医師会が調査したところ、指定介護予防事業所のうち口腔機能向上サービスを実施している事業所というのは四〇・七%と半分にも満たないんですね。第四期の介護保険事業計画に向けて今おっしゃったように検証を進められていると思うんですけれども、この原因というか、なぜ低調なのか、その要因というところをどのようにお考えでしょうか。
  108. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  今お話にございましたように、事業者数によりまして全国的に見てみますと、受皿としては指定介護予防通所介護事業者数の中で三三・八%、それから指定介護の予防通所リハ事業者数でいえば六八%という、そういうことをやるという受皿はあるんですが、現実には、利用者のサイドから見ますと二・四%あるいは一・四%という形でしかサービスが提供されていない面がございまして、率直に言って、運動機能の向上の加算と比べるとかなり利用の仕方が低調であるということは否めないというふうに思っております。  今御指摘いただきましたその原因でございますけれども、これは私どもまだ研究途上ではございますが、市町村とか地域包括支援センターに対してアンケート調査を行いました。そういたしますと、口腔機能の向上サービスが伸びない要因としては、例えば人材の育成確保がなかなか難しい、それからなかなか実際に実施をする事業者の数が少ない、それから、これも事業者サイドの問題ではあるんですが、事業者の側になかなか認識あるいは理解が低い、それから手続、手順が面倒くさくて、報酬の割には非常に面倒くさいというふうな指摘がなされております。  したがいまして、私どもとしては平成二十年度は今後二十一年度以降この対策をもう少し実のあるものにしていくためにどうすればいいかということで今検討しておりまして、その研究成果を踏まえて来年度以降の取組に反映させていきたいというふうに考えております。
  109. 石井みどり

    石井みどり君 今、低調の理由を少しお述べいただいたんですが、歯科診療の中で虫歯、歯周病の治療というのは一般的な治療でありますが、この治療をしている方に対しては口腔機能向上サービスが利用できないということがあるのは御存じですよね。このことがやはり低調の理由の一つだと私は思うんですけれども、歯科診療を受けている人がなぜ口腔機能向上サービスの介護報酬が算定できないのか、これはどういう趣旨によるのかお聞かせいただければと思います。
  110. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 御指摘のように医療保険のサイドで歯科の治療を受けている、例えば虫歯の治療とか歯周病の治療とかあるいは入れ歯の作製とかかぶせものを作るとか、そういった形で歯科の医療を受けている場合には介護保険のそういう口腔機能の向上加算が取れない、これ制度上の医療保険と介護保険のいわゆるデマーケーションといいますか、給付の調整という形でそういう仕組みになっているというのが現行制度でございます。  その点につきましては、今のようなことで、例えば本当に口腔機能加算の中で単に口腔内の衛生状態の管理をされるようなものであれば歯科の診療とオーバーラップする部分があろうかと思いますけれども、それ以外の部分もあるということであれば、その辺について更に工夫は要るのかなという感じはいたしております。
  111. 石井みどり

    石井みどり君 診療報酬上の指導料に当たるというふうな考え方なのかなという気もするんですけれども、ただ、そうだとすると、今制度上の違いだということだったんですけれども、そうすると、口腔機能向上サービスというのは医療の範疇に入るんですか。本来、予防重視型介護保険のサービスというのはまさに加齢や廃用による生活機能の低下であったはずなんですね。虫歯、歯周病の疾病を前提とする医療とは全く根本的に別のものだと思うんですけれども、その辺りをどうお考えでしょうか。
  112. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  全く別のものかと言われると、なかなか大変難しいところがあろうと思います。口腔内の衛生状態の管理という部分については、ある意味では歯科の疾患の管理料とオーバーラップする部分があろうかと思いますが、ただ口腔機能向上加算のサービスすべてが歯科の医療に入るのかというと、それはそういうわけでもないだろうというふうに思っております。
  113. 石井みどり

    石井みどり君 いや、そうであれば少し私は矛盾しているんではないかというふうに思うんですけれども。  例えば、その口腔機能向上サービスより先に虫歯や歯周病があるんであれば治療を優先すべきだという考え方もあろうかと思うんですけれども、確かにそういう疾病が原因でそしゃく機能あるいは嚥下機能に障害がある場合はそういう治療が前提になる、不可欠だとは思うんですけれども。しかし、先ほど申し上げたように、口腔機能向上サービスというのは、まあ予防重視型であって、生活機能に対して更にそれを低下させない、生活機能をより活性化させるというところでのサービスのはずであったものが、ここの口腔機能向上サービスだけでは口腔機能の向上は望めないわけですね、治療とは別物のはずなのに、どうしても重なる部分もあるけれども別のものだというお答えですので、ちょっと私としては、このことがやはり非常に口腔機能向上サービスの利用が伸びない一因であろうというふうに思っています。  もちろん、歯科の疾患というのは非常に疾病管理というのが重要ですので、また予防と治療、そしてリハビリ、機能向上というのは同時並行に行われるものですので、ここをきちんと判断していただかないと、医療と介護の役割分担を明確化するということと治療を、サービスの実施を制限することとは違うんではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  114. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  口腔機能向上サービスが伸びない原因の一つとして、石井先生はそういう医療保険との整合性で治療と予防の部分のオーバーラップの部分があるんじゃないかという御指摘ですけれども、確かにそういう給付調整の問題が一つの課題であるということは私ども事実だろうと思います。  したがって、この部分というのは大変デリケートな話でございますので、これ口腔予防サービス、口腔機能向上サービスについては、ほかにも今の介護報酬上の問題、まあアクティビティー加算との整合性をどう考えるかとか、あるいは事業者の受ける事務量の問題をどう考えるとか、ほかの要因もございますけれども、今御指摘いただいた点については、医療保険と介護保険の関連するサービスの予防と治療の給付サービスをどう調整するかという問題でございますので、関係団体の意見も十分聴きながら必要なサービスが継続できる、確保できるという観点で今後検討していきたいというふうに思っております。
  115. 石井みどり

    石井みどり君 是非御検討をお願いしたいと存じます。  というのも、このことが、ケアマネジメントの際に必ず歯科について受診しているかどうかということを聞くわけですね。そうすると、ここでまずもうケアプランに反映されなくなってしまうんですね。治療を受けているということでもうケアプランに入らないという事態になってしまいます。そのことがやはりサービスの低下、利用が低調であるということだろうというふうに思います。  虫歯やあるいは歯周病というのは非常に罹患率が高い、疾病としては非常にその有病率が高いわけですね。健康日本21の中でもかかりつけ歯科医で定期的に歯科健診や歯石除去を受けるということを国民方々に推奨しているわけですね。にもかかわらず、この時点で、ケアマネジメントの時点で歯科治療を受けていればサービスから除外されてしまう、ケアプランにも組み込まれないということが出てまいりますので、その辺りを是非御検討いただきたいと思います。  一方で、じゃその介護報酬がないというだけでサービスを提供してはいけないという考え方もあろうかと思うんですけれども、しかし、やはり、もはや介護分野においても、もちろん医療もそうですけれども、きちんと報酬ということをイニシアチブにしてやはり政策誘導するべきだろうというふうに思っています。ボランティア精神に期待すべきではないというふうに思っております。  また、もう一つサービスの利用が低調であるというところで先ほど人材のお話が、お答えがあったんですけれども、これに関しても、広島県歯科医師会が調査したところでは、歯科衛生士等の従事者の確保が困難であるというふうに多くの事業場が答えているんですけれども、非常に介護の現場においては介護スタッフですら離職率が高くて人材が不足しています。  特にこの口腔機能向上サービスというのは、歯科の専門職がやるということは大変意味があるわけでして、もちろんこのときは介護職あるいはSTとかそういう方々がやってもいい、また本来口腔ケアというのはどなたでもやるべきことですけれども、さらに専門家がやるというところに意義があるわけですけれども、非常に歯科衛生士あるいはスタッフの確保というところが非常に皆さんお困りになっていらっしゃる。その現状をどのようにお考えになって分析をされているのか、お聞かせをいただければと思います。
  116. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  口腔機能の向上をするサービスというのは、実は高齢者介護にとっては私は極めて重要だというふうに思っております。したがって、私ども厚生労働省としても、予防給付の中でも残念ながら今まだ口腔サービスの部分はかなり低調でございますけれども、とにかくこれから力を入れて伸ばしていかなきゃいけないというふうに思っております。  それで、御指摘いただきましたように、口腔機能サービスというのは、嚥下の問題とか日常生活のケアの問題とか、そういう意味で、専門的知識、技術を兼ね備えております歯科衛生士さんだけではなくて、言語聴覚士の方とかあるいは看護師の方も現実には口腔機能向上のサービスの提供に参画をしていただいているという現実であります。  今御指摘の人材の確保の問題ですけれども、事業者について言えば、受皿としては半数近くあるところもあるわけですけれども、現実に進んでいないということで、そういう意味では歯科衛生士をもう少し強制的に配置をするとか、そういう仕組みにしたらどうかという議論もございますが、逆に今度は歯科衛生士さんが例えば歯医者さんの方からこちらに移動した場合に本当にうまくいくのかというようなこともございまして、ただ、結論から申し上げますと、この口腔機能の向上に極めて重要な役割を果たしている歯科衛生士さんの関与というのはいずれにしても大切なことだと思っておりますので、その関与、機能の確保というのをどういうふうにこれからしていくか、適切に検討していきたいと思っております。
  117. 石井みどり

    石井みどり君 是非、切実にお感じいただいて、効果的な方策を取っていただければと思います。  御存じのように、平成十七年に歯科衛生士学校養成所の指定規則の改正によって歯科衛生士の修業年限が三年以上に引き上げられました。今や歯科衛生士という専門職は、口腔機能向上だけじゃなく、食育、育児支援、あるいは防煙教育といったような、幅広く、本当にヘルスプロモーションの部分にまで従事できるというその歯科衛生士の使命と業務というのはやはり拡大をしてまいりましたので、期待される歯科衛生士というのはやはり知識もスキルも大変高いもの、高度なものが求められているわけであります。今四大化しているところも既に全国に五校ございますので、こういう高度で専門的なスキル、知識を持った歯科衛生士を十分活用していただきたい、その役割を発揮させることを是非お取組いただければと思います。  続いて、療養病床の再編についてお伺いしたいと存じます。  本委員会でも小池委員が御指摘をされたんですが、中央公論の三月号に村上正泰さんという方の論文といいますか、載っておりまして、その週の週刊東洋経済ですか、私も読ませていただいたんですが、「このままでは医療・介護難民が発生する」、サブタイトルが「療養病床二十三万床削減の舞台裏」、本当にこうだったのかなともう愕然といたしました。もうこんなことで国民の大事な介護を預かる政策が決められているのか、半信半疑で読ませていただいたんですが、今回の療養病床の再編というのは、目的は不要な社会的入院の是正であったはずだというふうに認識をしておりますが、まず、介護療養病床が果たしてきた役割というのをお教えいただけますか。
  118. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  療養病床につきましては、かなり長い歴史のある委員御案内のように問題でございまして、老人保健法の制定あるいは特例許可老人病棟の実施以降、介護力強化病院でありますとか療養型病床群制度、それがさらに最終的に、平成十三年に医療法が改正されて療養病床という形に位置付けられたわけです。  長期にわたる療養を必要とする患者のための療養病床でございますが、これは平成十二年の介護保険の創設のときに、医療保険から給付を受けるものを医療療養病床に整理をし、介護保険から給付を受けるものを介護療養病床に機能分担をするという形で整理をいたしました。そのときの考え方は、介護療養病床につきましては介護を中心に医療を併せて提供すると、そういうふうな施設として位置付けられたものと承知をいたしております。
  119. 石井みどり

    石井みどり君 平成十二年の介護保険の制定のときに、その定義に従って重度の要介護者の方のための医療施設として大きな役割を果たしてきたというふうに思っております。  本日資料で出させていただきました資料一、ここで、やはり要介護度そして認知症に関しても、他の介護保険三施設のうちの、やはり明らかに重度であって、そして寝たきりであったりあるいは認知症も進行していたりとか、そのどれを取っても非常に、大変そういう御苦労を抱えた高齢者の方々にとってのまさに役割を果たしてきたわけですね。ここで終末期の医療ケアが行われたり、ここで、御覧いただけば二枚目のところにもみとりも出ておりますが、療養病床ではもうみとるというのが大変高い割合でありますし、老人保健施設や特養と比べると非常に施設で人生を全うされる方も多いわけですね。そういう終末期の医療ケアも行ってきた。あるいは、治療やリハビリを行うことによって生活機能を維持したり低下させないということもしてきた。そして、何よりも急性期の病院や病床の患者さんの大きな受皿であった。私も自分の母が急変したとき、増悪したときに、病院、一般病院ですけれども、入れたら、二週間たったらもうすぐ出てください、もう次を探してくださいと言われるんですね。本当にそういう状況であります。  そしてまた、例えば医療機関以外で受け入れられないような方々をも受け入れてきた。そして、もうこれ以上在宅では介護できない、そういう方々をも、高度の認知症であったり寝たきりであったりしても受け入れてきたという、大変大きな役割をしてきたというふうに思っているんですが、なぜ全廃するんでしょうか。
  120. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 療養病床につきましては、先ほど申し上げたような、基本的に医療の非常に必要な方については医療の療養病床でと、介護の必要な方については介護の療養病床でということで、実際平成十七年度に今この二つの療養病床に入床されている方の入院の実態を調査をいたしましたところ、必ずしも両者の役割分担が明確ではないということが分かったわけでございます。  したがいまして、平成十八年の医療制度改革におきまして、施設の機能分化を図って、高齢者の方々の状態に応じて適切なサービスを提供していくと、そういう考え方からいたしますと、医療の必要性の高い方たちについては引き続き医療療養病床、これは当然医療保険の適用になるわけでございますけれども、そういう形で対応する、しかし必ずしも、医療の必要性の相対的に低い方々については医療療養病床から転換した老人保健施設などで対応するというふうに考えたところでございます。  したがいまして、これまで介護の療養病床が果たしてきた機能につきましては、先般ずっと御議論いただきましたけれども介護療養型の老健施設などの転換先の受皿を用意いたしまして、そういう中で十分処遇をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  121. 石井みどり

    石井みどり君 機能を分けたということですけれども、医療の必要度が低いという今言い方でしたけれども、直接医療提供の頻度がないというのは、医師の指示が少ないという設問に対して頻度が少ないというような、そういうところからのこの振り分けだというふうに私は認識をしているんですけれども、高齢者の方は、大臣はよく御存じですけれども、非常に急変しやすい、医療区分一から二、三、もう行ったり来たりですね。そのことでじゃ医療が不要だと判断するのは、私は少しおかしいんではないかというふうに思っています。  むしろ、今受皿の話が出ましたが、果たして本当にこの受皿、国民方々がちゃんとこのことはよく御覧になっています。ただ、まだこのことが広く知られていませんから、私が心配するのは、広く知られたらまたぞろ後期高齢者医療制度の二の舞で、本当に皆さん方がまた責められることへつながると私は懸念しております。本当に医療難民、介護難民という形で出てきてしまう、そういう気がしてなりませんが。  では、これは先ほど、社会的入院の是正であったはずだというふうに冒頭申し上げたんですが、それと医療費適正化というところがもう一つのキーだろうと思うんですけれども、この療養病床を削減することで医療費は減少するとお考えなんでしょうか。
  122. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 療養病床の再編成に伴って医療費は減少するのかということでございますけれども、これは先ほど老健局長から話がありましたとおり、医療と介護の機能分担を図るということでございまして、医療の必要性の低い患者のニーズを介護保険施設等で受け止めることによりまして、結果として医療費が、医療給付費が減少するものでございます。  医療の必要性が低いと申し上げましたけれども、これは必ずしも医師のサービスと看護師さんのサービス、これは様々、医療と一言で言ってもあるわけでありまして、むしろ看護師さんのサービスが必要な方、必ずしも医師のサービスが必要でない方、こういう区分で見ますと、今申し上げましたような整理ができるんじゃないかと考えております。  減少効果がどう出るのかということでございますけれども、これにつきましては、今後、各都道府県の医療費適正化計画におきます療養病床の目標数が明らかとなり、かつ全国ベースの目標数が定まった時点で推計を行いたいと考えております。
  123. 石井みどり

    石井みどり君 厚生労働省の試算では、差引き三千億円ぐらいは浮くという計算ですけれども、ただ、今本当に、随分この転換の老健ですか、これの、五月からですね、今年の、から平成二十三年までということですけれども、本当に国民方々は非常に、うちのおじいちゃん、おばあちゃんはどこに行ったらいいんだろうという不安におびえておられるわけですね。国民方々を不安に陥れて、そしてなおかつ、本当に三千億円削減効果が出ればいいんですが、どうもいただいた資料を見ていますと、そんなに削減できないんじゃないか。なぜなら、今医師の数とか、医師がいなくても看護職でいけるんじゃないかとかということをお答えになりましたけれども、一人プラスアルファということで三百六十五日二十四時間対応できるとお考えでしょうか。少なくとも医療型の方は三人ですね。全く休みを取らないで働けというんなら一人でいいかも分かりませんが、そんなばかな話があるはずもないです。  それから、看護介護職に至っては、後ほど大臣にお伺いしますが、今本当に介護現場で人材がいない、非常に皆さんお困りになっている。看護職もそうであります。それをこれだけ配置しているからいいんだということでありますが、しかし、ここに入る方々は、医療の必要度が低いというような言い方をされましたけれども、しかし介護度も重い、認知症も重い、非常にはっきり言って手の掛かる方々なんですね。  そういう方々が、むしろ介護の現場では施設基準よりも更に多く、スタッフの疲弊度が大きいから、むしろその基準よりも多く配置してあるのが現状なんですね。ほとんどのところが、九五%がそういうふうに非常に手厚いスタッフを置いている。それで、今回、医師が一人プラスアルファぐらいで医療の必要がないから十分なんだという。しかし、そうすると、まさに増悪したとき、あるいは急変時に、それこそ救急車呼んで、こういうところはすぐよそへ持っていくわけですね。老健がまさにそうですね。  そうすると、私は、先ほど申し上げたように、思った以上に削減効果はないんじゃないでしょうか。また、一般病院に転院したりということもあるわけですから、これは十分精査してみないと、果たして本当に減少の効果があるのかどうか、極めて不明だと思いますが、いかがでしょうか。
  124. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) どのくらい医療費が削減されるかということを主題として申されておりますけれども、私ども、別にこれは医療費の削減そのものを目的としてやっているわけではございません。あくまでも、その患者さんの状態に応じた過不足のないサービスが提供されることによって現在の慢性期の治療現場の効率性がより高まるものと、このように考えております。  したがって、金目で判断するだけでなくて、例えば医療の必要性の低い方々につきまして、患者さん百人当たり三人の医師が配置されていると。それが一人プラスアルファということで対応可能であるならば、まさに医師という社会資源の適正配分の観点からもこれは必要なわけでありまして、そういった全体の適正化の、医療費に限らず、医療資源も含めました適正化という意味でこれは追求していくべき課題だと考えております。
  125. 石井みどり

    石井みどり君 医療資源の適正化ということであれば、本当にこういうスタッフがきちんと確保できてということであれば、この介護報酬の評価でそれが確保できるんでしょうか。今、それが難しいからこそ様々問題になっているというふうに思います。いずれは既存の老健と変わらなくなってくるという、そのときに、やっぱり失敗だったというわけにはいかないと思うんですけれども、まだ、これは自民党の中ででも十分議論をして、本当にこの受皿でいいのかどうか、私は議論を尽くしていくべきだというふうに思っています。  大臣の方、ちょっと、済みません、通告しておりませんが、お聞かせいただければと思います。
  126. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 介護労働者、特にその介護に従事する人材を確保するというのは非常に重要ですから、それで、私も、これは処遇をきちんと見直さないといけないということを申し上げております。  それから、先ほど来議論になっています介護療養型老人保健施設にしても、みとりの場であるとか増悪時の対応とか、いろんないい点もあるわけですから、この転換した受皿として、今はこれは十分機能はまだ果たせる段階に来ていない可能性があります。しかし、これは、その元々求められた機能を十分生かすべく、きちんとそこに人も付けてやる必要があるというふうに考えておりますので、来年四月のこの報酬改定時にきちんと対応したいと思っております。
  127. 石井みどり

    石井みどり君 是非大臣に御期待を申し上げたいと思います。  それでは、今の介護サービスの従事者の確保ということで、これは午前中の津田委員からも出た御質問ですが、EPAで、今日資料でお出しをしておりますが、インドネシアから介護士、看護師を受け入れると。フィリピンの方はまだフィリピンの国内法のところで実現をしていないけれども、最初にインドネシアから受け入れるということで、EPAで受け入れるのは、まだかなりいろいろな制約というか、きちんとした仕組みがあるのでいいんですが、実は、経済財政諮問会議議論の中で、国際的人材強化ということで、非常に外国人労働者を受け入れる、緩和しろというような、そういう御議論があったように受け止めているんですが、私はやはり、今の日本介護労働者の報酬ではまさに日本人が働かないからこそ、経済格差があるからインドネシアとかフィリピンから来た人ならば喜んで働くだろうというように経済界がおっしゃっているような気がしてならないんですね。そうではないはずなんですね。  非常に介護というのは、だれでもできるわけではない。技術の継承とかノウハウとか、そして何よりも、同じ文化、風土を持ったところで育った人たちが、大きく高齢になって機能が衰えて、あるいは病を得た人を受け止めるというところが大事なわけでありますので、決して私はインドネシアの方やフィリピンの方々をおとしめるわけではありませんが、まず日本日本介護職がきちんと育成されて、介護技術というものが伝承されて、そういう仕組みをつくることの方が優先なんではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  128. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 人、物、金が国際化してグローバライゼーションが起こる、そういう中で、日本にとって異質な要素、人であれ、物であれ、文化であれ、そういうものが入ってきて門戸を開放するということは一般的に悪いことではありません。しかしながら、人の移動ということについて言うと、いわゆる外国人労働者の問題、これはヨーロッパがずっと戦後悩んできた問題で、私はそれの研究をやっていましたから、今、第三世代にまで来ています、二世、三世。そういう中で、例えば本人にとってアイデンティティーの問題があります。トルコ人なのか、ドイツ人なのか。そういうことまで含めて広範な議論をする必要はありますし、まさに人のサービスですから、例えばその介護が必要な方と同じ方言がしゃべれるかどうかだけでも全然違うんですね。それぐらいにコミュニケーションが大事なわけですから、日本語の習得ということも要件にしております。  ともすれば、経済界で、安かろう悪かろう、人材が確保できない、ですから安いものを外から持ってくればいいと、そういう安易な議論に走っては私はいけないと思いますし、お受けしたインドネシアの方にとっても不幸になります。そして、じゃ日本に人が足りないかというと、女性、高齢者、まだまだ働ける方々はたくさんおります。  そういうことを総合的に議論をして、そして介護の現場で働く日本人の人材の処遇がまさに津田弥太郎委員がおっしゃったように引き下げられるというような結果をもたらすようなことは避けないといけないと思いますので、きちんとそういう議論をした上でしかるべき対応を取って対応するということが必要だと思っております。
  129. 石井みどり

    石井みどり君 もう時間も限られましたので、資料で出させていただいております。これは以前も出たかと思いますが、資料の四の方で、財政制度審議会でいきなりこんなものが出されてしまった。承るところ、大臣も御存じなかったと。今までの議論を聞かれて、今日は局次長がお答えくださるそうですが、全く介護の現場を知らないとしか言いようがない。こんなものがぽんと出てきて、まさに国民方々は本当に不安にさいなまれるわけですね。お年寄りにとっては非常に酷な、試算を出しただけだと言っても、本当にこういう、いつもいつもこういう情報の出し方されるんですね。それでアドバルーンを上げて探るというような。本当に私にとっては国民方々は何と思っているのかというふうに思えてならないんですが。  ましてや、介護保険の給付限度額使っている方なんかほとんどないんですね。皆さん本当に、先ほどの質問では、限度額までをプランに入れないというお話もあります。そうではなくて、使いたくても利用料一割を払えないから、非常に限度額、プランがあっても、要らないという方が多いのが実態なんですね。にもかかわらずこういう報道がされる。本当に怒りを覚えます。いたずらに国民に不安を与えるだけだと思うんですけれども、財務省いかがですか。
  130. 真砂靖

    政府参考人(真砂靖君) 先生の資料の五の機械的試算についてのお尋ねでございますが、これは先週私ども財政制度審議会に提出した試算でございます。当委員会でも一度答弁させていただきましたけれども、あくまでも審議会での議論参考となるように機械的な試算を行ったものでございまして、財務省として具体的にどうするというような提案をした性格のものではございません。  それで、どうしてこういう資料を出したかという点でございますけれども、財政制度審議会では有識者からのヒアリングも行っておりまして、一部の有識者から軽度者への給付についての問題提起がなされたということもございました。それからまた、我が国と同様に社会保険方式で介護サービスを行っておりますドイツにおきましては、いろいろ制度違いますけれども、軽度者は給付の対象となっていないという点もございまして、軽度者に対する介護給付の見直しについて機械的な試算ということで財政制度審議会に提出させていただいたものでございます。
  131. 石井みどり

    石井みどり君 もう時間がありませんので、財務省のお答えとしては当然そうなると思いますが、是非舛添厚生労働大臣、財政制度、諮問会議辺りで非常に民間議員から責められているような、そういうところがあるので、何としても国民の本当によって立つセーフティーネットであります社会保障のためにも、二千二百億のシーリング枠を外すということも含めて頑張っていただければと存じます。  ありがとうございました。
  132. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。  本日は、介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律案並びに介護従事者等人材確保のための介護従事者等処遇改善に関する法律案に関連しまして、質問をさせていただきます。  まず最初に、本年三月二十五日に閣議決定されました規制改革推進のための三か年計画における介護分野の諸課題の今後の検討スケジュール等について質問をさせていただきたいと思います。  一つ介護予防通所介護並びに介護予防通所リハビリテーションに係る報酬の見直しに関しては今後どのようなスケジュールで検討が行われるのか、厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  133. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  平成十八年の介護報酬改定におきまして、軽度者の状態に即した自立支援あるいは目標指向型のサービス提供を推進するという観点から、今御指摘ございました要支援者に対する通所系のサービスの事業者につきまして試行的な取組として、利用者の要支援状態の維持、改善の割合が一定以上になった場合にその事業所加算する事業所評価加算という制度創設いたしました。  この加算の算定状況でございますが、平成二十年の二月の審査分で見ますと、介護予防の通所介護が三千四百件、それから介護予防通所リハビリテーションが二千七百件にとどまっているわけでございます。  こういう実態でございますので、平成二十年三月に閣議決定をされました、今お話のございました規制改革推進のための三か年計画でございますけれども、その中でこの事業所評価加算について検討すべき旨が盛り込まれたわけでございます。  この点につきましては、利用者の立場からいたしますと、要支援度が維持、改善すれば、将来的にはサービス利用が減ることによって負担が減るというプラスの面がありますけれども、一方において、事業所がこの加算を算定した場合には自己負担が増えるという面もございます。したがいまして、平成二十一年の介護報酬改定におきましては、この事業所評価加算などの要介護状態への改善の事業の取組、こういうことに対する今後の在り方について、利用者の方あるいは事業者の方の声も十分聞いた上で、社会保障審議会の介護給付費分科会においてしっかりと御議論いただきたいと思っております。
  134. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 介護予防に関しましては前回の介護保険制度の改正の折に大変重視をしていこうという流れであったわけで、これが今の利用者負担が増えてしまうというようなことで推進が十分でないということであれば、やはりここを何かいい工夫をしていただいて、要介護者の利用者にも将来は当然ながらメリットがあると思われますので、直近も負担が多くならないような何かいい工夫をしていただいて、介護予防の方、積極的に取り組めるように検討をよろしくお願いをしたいと思います。  二番目ですけれども介護サービスの情報の公表制度見直しに関しまして、これもどのようなスケジュールで今後検討を進めていくのか、この点を厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
  135. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 介護サービスの情報提供というのは非常に利用者にとって重要であります。それで、この施行スケジュールにつきましては、有識者等による研究会やモデル調査事業によりまして、どういう項目を公開するのかということ、それから実施体制の整備を経て、平成十八年四月から順次これを実施しているわけですけれども平成二十一年度には全サービスを施行する予定になっております。  ただ、これまでいろんな問題点も指摘されておりますので、そういうことを踏まえて、更に使い勝手のいい制度になるように平成二十一年度までに必要な見直しを行ってまいりたいと思っております。
  136. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 やっぱり利用者が事業者を選別できる、事業者の方のいろんな情報を公開していただければ、それをきちんと判断の根拠にできるということで、基本的に大事なことであると思いますので、これはしっかり検討していただいて、その方向で促進できるように頑張っていただきたい、そのように思います。  次に、福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律と関連しているわけでありますけれども、福祉用具の研究開発及び普及の促進に関して質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、先ほどの法律に関係しているんですけれども、財団法人テクノエイド協会が実施をしています福祉用具研究開発助成事業の重要テーマの近年の動向について、所管の厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  137. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  今御指摘ございました福祉用具の研究開発助成事業でございますが、これは福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律に基づきまして、障害者あるいは高齢者の方々の日常生活などを支援する福祉用具について実用化のための研究をするということでございます。  具体的に最近の状況でございますけれども、新技術、新材料を利用した研究開発、あるいは既存の技術、既存の材料を応用した研究開発、さらには外国製品を含みますけれども、既存の製品を更に改良、普及するという形の改良研究の開発、あるいは単一の機能の製品を組み合わせた新しいシステム製品の研究開発、あるいは生産過程を合理化するための技術開発等について助成を行っているところでございます。  これは福祉用具の普及状況あるいは要介護者などのニーズにかんがみて重点的に行う研究開発を定めておりますけれども、最近の重点テーマをちょっと御紹介いたしますと、平成十四年から十九年までの間でございますが、介護保険の適用となる用具に関する研究開発、あるいは身体拘束ゼロに役立つような福祉用具の研究、あるいは就労支援のために役立つ福祉用具の研究開発、あるいは自助具の研究開発、その四点を重点テーマとして助成をしているところでございます。
  138. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 身体拘束ゼロに役立つ福祉用具の研究開発と、なかなか、これ本当に身体拘束というのはあってはならないわけでありますけれども、実際現場の方々にとっては大変な悩みでもあるわけで、いい形で身体拘束が行わなくても済むような、いいそういう福祉用具等があればお互いによろしいわけでありまして、また就労支援ということで、これに役立つような福祉用具の開発、大変重要なテーマであると、そのように考えております。  それで、これまでの助成事業の成果としてどういう製品が開発されて、そして市場に出てきているのか、こういう成果について厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  139. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 先ほど申し上げたような趣旨で福祉用具の研究開発の助成を行っているところでございますが、商品化あるいはこれを流通させるということにつきましては、各事業者自らお願いをしているということでございます。  最近の動向でございますけれども、テクノエイド協会の調査によりますと、平成年度から平成十七年度までに助成した件数が百九十七件ございます。そのうち九十九件、半数以上になりますけれども、というものが実用化されているというふうに、商品化されているというふうに承知をいたしております。  例えば、歩行をするときの補助車であるとか、あるいは手が御不自由で食事介護を受けている場合に自分で食事を取れるような食事ロボット支援というふうなものが代表例として挙げられるんではないかというふうに考えております。
  140. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今、食事支援のロボットということでありましたけれども、確かに食事介助は本当にヘルパーさんに人手が要するわけですね。そういうものをこういう機器で介助が自分でできるということになれば、これは労働力の効率的な配分にも十分できますし、こういう機器というのは非常にそういう意味では役に立つというふうに思っております。  そこで、平成二十年度の重点テーマと助成事業への応募状況がどのようになっているのか、この点も厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  141. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  平成二十年度の福祉用具の研究開発助成事業の重点テーマでございますが、身体拘束ゼロに役立ちます福祉用具の研究、それから先ほども申し上げましたけれども、就労支援のための福祉用具の研究開発、それから自助具の研究開発の三項目に加えまして、福祉用具の普及状況あるいは要介護者のニーズを考慮いたしまして、特に排せつ関連用具の研究開発、それから座位保持装置の研究開発の二項目を加えて新たに今募集をしているということでございます。  募集につきましては、平成十九年の十月一日から十一月三十日の間で募集をいたしまして、九十件の応募があったところでございます。
  142. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 食事の介助あるいは排せつの介助あるいは移動の介助というのは基本的な介護のサービスになると思いますので、こういうところがいろんな機器類でサービス上の負担が軽減されれば、介護に従事されている方々もいろんな面で、ほかにいいサービスの方に時間を費やせるということになりますので、こういう機器の開発、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  次に、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構による福祉用具実用化開発推進事業の近年の採択テーマの動向と成果、どういうものが製品化され普及化されているのか、こういう点について所管の経済産業省にお伺いをしたいと思います。
  143. 木村雅昭

    政府参考人(木村雅昭君) 御説明申し上げます。  経済産業省におきましては、平成五年に策定されました福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律に基づきまして、委員御指摘の独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構を通じまして、新たな技術を用いた創意工夫のある福祉用具の実用化を行う民間企業に対しまして支援を行ってきているところでございます。  御質問の最近の採択テーマの動向でございますが、例えばベッドから乗り降りしやすいように車輪の一部が開閉する車いすなどの移動機器分野、それから介護者が抱え下ろさなくても肩までお湯につからせることのできる入浴装置などの生活関連分野、高齢者が簡単に操作できるボイスメールシステムなどのコミュニケーション機器分野といったこの三つの分野が主要な分野でございまして、件数ベースで申し上げますと、この三つの分野で全体の七、八割を占めておるところでございます。  それから、研究開発事業の成果でございますけれども平成五年の事業の開始から現在まで百五十七件の事業が終了しておりますが、そのうち約六割の八十七件の事業が製品化に至っております。例えば、操作性能や旋回性能に優れたハンドル操作式の電動車いすなど九件につきましては収益納付を受けているところでございます。  今後とも、経済産業省といたしましては、高齢者や心身障害者の皆様方の日常生活上の便宜を図るため、民間企業の支援を通じ、優れた技術を用いた福祉用具の開発及びその普及を促進してまいりたいと考えております。
  144. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 先日、今御紹介がありました車いすの車輪の一部が外れるというか移動できて、要介護者の移動が、あるいは患者さんに使うこともあると思うんですけれども移動がスムーズになるというような、初めてそういう写真を見せていただいたんですが、今までいろいろ支障を来していたものがそういう技術開発でスムーズに移動できるようになるということで、優れた開発ではないかと。こういうものが普及していけば、いろんな面で御本人にとっても、また介護、介助をされている方にとっても非常に楽になるということでありまして、こういうものをどんどん開発、普及をしていただきたいと、そのように思っております。  そこで、このようにすばらしい機器等がいろいろ開発されておるわけでありますけれども、福祉用具の研究開発が進められ、様々な製品が開発され、市場化がなされているわけでありますけれども、これらの製品開発されたものがどのように介護保険の分野に取り入れられ、そしてサービスの改善につながっているのか。社会保障審議会給付費分科会でのこれまでの介護保険給付対象の検討状況、どういうものが介護保険の給付の対象になっているのか、その点を厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  145. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  介護保険におきます福祉用具の貸与あるいは購入の対象種目でございますけれども、お話にございました社会保障審議会の介護給付費分科会におきまして、一つは要介護者の自立支援あるいは介助者の負担軽減を図るかどうか、それから治療用の、あるいは医療の観点から使用するものではなくて、日常生活の場面で使用するものかどうかというふうな観点から介護保険の給付対象となるかどうかということの検討が行われておりまして、その結果、介護保険給付対象となるということになれば告示において定めると、そういうことになっております。  それで、介護保険の給付の対象となる福祉用具の種目につきましては、今まで福祉用具の購入の対象種目につきましては変更はございませんけれども、いわゆる貸与、レンタルの種目につきましては、歩行補助つえ、あるいは歩行器の内容の見直しなどを行ってきたところでございます。
  146. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今までお話をお聞きしておりましたけれども、この間、NHKのテレビを見ておりましたら、転倒したときに頭を打ったり骨折をしにくいようなエアバッグがすぐ膨らんで、後ろに転んでも大丈夫だというような用具が開発されたということでありまして、やはりこういうものを介護現場でも場合によっては導入をしていけば大変、骨折等をしないで済むのではないかというふうに思っておりまして、こういう機器類の福祉用具、しかも介護分野に応用できるような用具の開発というのは、あるいは普及というのは大変重要だと思っております。  こういう介護のサービスの質の向上とか、それから介護従事者の業務の効率化に貢献するようなこういう機器の開発というのを進めていただきたいと思うんですが、舛添厚生労働大臣のお考えをお聞きをしたいと思います。
  147. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 福祉用具の開発、これは非常に重要で、利用者にとっても大変利便があります。それから、介護に携わる方々にとってもこの業務を楽にするという意味で大変望ましいと思いますので、更に進めていきたいと思います。  さらに、もう一言加えますと、スウェーデンなんかのような北欧の先進国では、個人個人に合った補助器具というのを作る、しかもこれリサイクルしながら作るというようなこともやっております。これには財源上のいろんな手当ても必要ですけど、できればそういうところまで行くと理想の福祉国家になれるかなという気がしていますので、そういう理想を追い求めていきたいと思っております。
  148. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 最後の質問になりますが、時間余りないんで簡潔にお答えいただきたいんですが、食材費が今高騰しておりまして、介護施設における食事の提供に掛かる費用も、経費も膨らんできておりますけれども、この食事の基準費用額、一日千三百八十円でありますけれども、今後、これの改定ですね、現状に合わせた費用額にするというようなことでの検討はどのように進められていくのか、この点をお伺いをしたいと思います。
  149. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  介護保険施設の食費の基準額につきましては、平成十七年の十月の介護報酬改定で、介護施設における平均的な費用の額を勘案しまして設定をいたしております。  この基準費用額につきましては、現在、介護事業経営実態調査を実施いたしておりますので、その結果なども十分勘案しまして、平成二十一年四月の介護報酬改定時に合わせて適切な額を設定したいというふうに考えております。
  150. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 ありがとうございました。
  151. 山本博司

    ○山本博司君 公明党の山本博司でございます。  本日は、地域介護現場を回る中でお伺いをした介護保険に関する課題について何点かお聞きをしたいと思います。  まず、地域包括支援センターの運営についてお聞きをしたいと思います。  平成十八年四月より、介護保険法の改正に伴いまして、市町村は地域包括支援センターを設置し、本年四月からは本格的な運営が開始されております。原則として保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員の三職種が配置され、医療、保健、福祉の総合的な相談に応じられるために大きな役割が期待をされております。しかし、業務量の多さとか人員の不足などで、介護予防のケアプランの作成に追われて予防プランセンターと呼ばれたり、高齢者虐待の早期発見などの権利擁護の業務が手薄になっているという、こういう指摘もございます。また、公平性、中立性が求められているにもかかわらず、地域によっては、在宅介護支援センターを始めとする関係の諸機関との情報連携がうまくいかず、不公平な運営が行われている場合もあると、このようにも言われております。地域の実情に応じたきめ細かい対応を行うためにも、これらの課題は早急に改善されるべきと考えます。  そこで、地域包括支援センターの運営状況とともに、こうした課題に対する取組についてお答えいただきたいと思います。
  152. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 十七年の改正で地域包括支援センターを設置するということが決まったわけでございますが、昨年の四月の末の時点で大体三千八百三十一か所ということで、ほとんどの市町村に既に設置されております。今年の四月一日からはすべての市町村に設置をされ、まさに本格的な運営がスタートするというところでございます。  今御指摘ございました地域包括支援センターにつきましては、高齢者の生活を支える総合的な機関あるいは相談機関として期待される役割を果たさなければいけないわけでございますが、在宅介護支援センターあるいは民生委員、ボランティア団体など地域における様々な社会資源を有効に活用して、幅広いネットワークを構築、連携していく必要があるというふうに認識をいたしております。  そういう機能をちゃんと果たしていただくために、市町村の担当職員との意見交換会でございますとか、ネットワークの構築あるいは社会資源の連携につきまして先進事例の取組事例を紹介するなど、数回にわたりましていろんな試みを実施いたしております。私どもとしては、都道府県、指定都市、中核市、市町村の担当者の会議などを頻繁に開催をすることによりまして、地域包括支援センターが地域の社会資源と十分に連携をし、その役割を果たせるように今後とも取り組んでまいりたいと思っております。
  153. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。  地域包括支援センター、立ち上がったばかりでございますけれども、まだまだ改善の余地があると思いますので、身近な高齢者の相談窓口としての役割を果たせるような体制整備の促進に是非とも取り組んでいただきたいと思います。  次に、介護施設を回る中で多くの施設から要望を受けておりますのが、たんの吸引についてでございます。たんの吸引はいわゆる医療行為であり、医師や看護師が行うとされており、介護施設においての介護職員が行うことは認められておりませんけれども介護の現場では、夜間を始めとしてニーズが高まっております。目の前で息が詰まって苦しんでいる方がいれば、何とかしてあげたいと思うのが素朴な感覚だと思います。  そこで、まずたんの吸引についての現状ではどのような人たちが認められているのか、御説明をいただきたいと思います。
  154. 外口崇

    政府参考人外口崇君) たんの吸引につきましては、その医学的専門性を考慮すれば、医師又は看護職員が行うことが原則であると考えております。  一方、在宅における療養患者や障害者に対して介護職員等が行う場合や特別支援学校の生徒等に対して教員が行う場合について、家族の負担軽減や生徒等の教育を受ける権利の実現を図るため、療養環境の適切な管理といった一定の条件の下で、たんの吸引を行うことをやむを得ない措置として容認しているところでございます。
  155. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。  在宅では規制が少しずつ緩和されてきておりますけれども特別養護老人ホームなどの介護施設では、介護職員には認められていないのが現状でございます。しかし、緊急時以外、夜間帯に看護職員を日常的に配置することは極めて困難であります。そこで、制限付きでたんの吸引を介護職員にも求めていくことはできないのでしょうか。  例えば、介護職員への研修を義務付け、当該入居者の家族、身元保証人の同意書の取得を義務付けた上で、夜間帯の看護職員が不在のときに限って認めていただければ、現実に即した形での対応ができると思います。この点についての厚生労働省の御見解を伺いたいと思います。    〔委員長退席、理事谷博之君着席〕
  156. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 介護の現場において介護職員と医療関係職種との間で適切な役割分担と連携を進め、良質な介護サービスを提供することが重要と認識しております。  介護職員と医療関係職種との適切な役割分担と連携の在り方については、御指摘の点も踏まえながら、安心と希望の医療確保ビジョンの会議等を通じて検討を進めてまいりたいと考えております。
  157. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。  現在の制度から見ると、なかなか難しい点が幾つかあると思いますけれども介護の現場の声としては是非とも前向きに検討していただきたいと思います。  次に、訪問介護事業のサービス提供責任者の役割についてお聞きをしたいと思います。  サービス提供責任者の業務内容は、利用者の確保のための営業から訪問介護計画、ヘルパー予定表の作成、さらにヘルパーの研修や労務管理など多岐にわたっており、大変重要な役割を担っております。  ところが、先日の参考質疑でも指摘がされましたように、このサービス提供責任者が急なヘルパーの休みのときに代わりをするなど、ヘルパー不足の穴埋めに追われており、本来行うべき業務が行えない現状があるということでもあります。また、賃金などの処遇面でも厳しい状況があるため、仕事に対する意欲が低下してしまうということでもありました。こうした事態を打開するには、サービス提供責任者の業務に対して介護報酬上で何らかの規定をすべきではないかと思います。  まず、サービス提供者の業務の重要性をどのように考えているのか、お答えいただきたいと思います。
  158. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  訪問介護サービスにつきましては、利用者の方々の状態の変化あるいはサービスに対する希望を十分に把握をして、適切なサービスを提供するということが大事であると認識いたしております。  今お話しございましたサービス提供責任者についてでございますが、当委員会でもいろいろ御議論ございましたように、私どもとしても、サービス提供責任者というのは、訪問介護サービスの提供に当たって、訪問介護計画の作成、あるいは訪問介護の利用の見込みに伴います調整、あるいは利用者の状態の変化、あるいはサービスに関する意向の定期的な把握などの業務もございますし、また、いわゆるヘルパーさんに対しましては、具体的な援助目標とか援助内容の指示、研修、技術指導、業務管理などの業務といった事業所のオペレーションの中でのサービス提供のかなめとして重要な役割を果たしているというふうに私ども認識いたしております。
  159. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。  私もこのサービス提供責任者の方何人ともお会いをしてお話をしました。もう仕事の途中、何本もヘルパーの方から電話があり、また利用者の方からの様々な問い合わせもありました。ほとんど事務作業はもう夜、残業、遅くなってからされているという状況でもございます。こうしたサービス提供責任者の方たちが本来の業務に集中できるように、事務作業とかヘルパーの代行業務に割く時間の短縮など、この環境整備が求められていると思います。  前回の審議におきましても、大臣から、審議会を経て介護報酬に反映させるとの御答弁がありましたが、サービス提供責任者の業務の重要性を介護報酬にどのように反映させるお考えか、改めて大臣に御見解をお聞きをしたいと思います。
  160. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) サービス提供責任者というのは、まさに訪問介護事業所にとってもかなめの役割で大変大切だと思います。こういう方々をめぐる労働環境、待遇、こういうものについてそれなりの評価をすべきだというふうに思っておりますんで、来年四月の改定の時期には適切な対応をしてまいりたいと思っております。
  161. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。是非とも、このサービス提供者の方たちが意欲を持って良質のサービスができるような更なるバックアップをしていただきたいと、強く要望をしたいと思います。    〔理事谷博之君退席、委員長着席〕  次に、都市部における介護人材の確保策についてお聞きをしたいと思います。  午前中も津田委員からの御指摘もございました。首都圏を始めとする都市部、大変介護分野の報酬が他の業種に比べると低くなっているために介護人材離れが進んでおります。また、物価や人件費が他の地域と比較すると非常に高いという状況にもかかわらず、介護報酬の上で地域係数が格差を反映していないために都市部では介護職員不足が顕著になっております。都内のある特別養護老人ホームでは、施設は完成し入居者も決まったけれども、職員が集まらなかったために開設を延期しているという例もありました。  こうした物価や人件費が高い都市部の状況を考慮して、来年の介護報酬の改定には報酬の地域差を見直すべきと思いますけれども、御見解をお聞きをしたいと思います。
  162. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  この点につきましては、午前中の質疑の中でも地域差の問題、議論がございました。現在の仕組みでございますけれども平成十二年の介護保険制度創設時に、いわゆる国家公務員調整手当の率を乗じたものをベースにして勘案いたしまして地域区分の単価が設定されているということでございます。  ただ、平成十七年度国家公務員調整手当見直しも行われますし、また平成二十二年度から、支給割合、支給区分が調整手当とは異なります地域手当が本格的に導入されるということでもございますので、今御指摘のように、給与水準地域差をどういうふうに反映するかということにつきましては、現在、地域ごとの事業所経営状況等を今調査を把握しておりますので、社会保障審議会の介護給付費分科会で十分に問題提起をし、必要な御議論をいただいて、適切な介護報酬を設定していく中で検討していきたいと思っております。
  163. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。都市部においての介護人材確保、これができますように積極的な取組をお願いを申し上げたいと思います。  次に、介護サービス情報の公表制度についてお伺いをしたいと思います。  この制度は、利用者にとって一番適切な介護サービスの選択を支援するために平成十八年四月に創設をされました。ところが、余り利用されていない、使い勝手が悪いとの御意見をどこに行ってもお聞きをいたします。これは前回の審議でも大河原議員が指摘されまして、また渡辺委員もお話がありましたけれども、私も、地元の愛媛県のこの公表制度で情報を検索しようと思いましてセンターのサイトを開きました。ところが、工事中ということで検索ができませんでした。それで、いつからこれが止まっているかと確認をしましたら、四月の十五日から今日に至るまで全く検索ができない状況でございます。  ちょうどこの介護サービス情報の広報の宣伝等には、インターネットでいつでも手軽に情報を入手できると、至るところにこのいつでもということが書かれてありますけれども、一か月間もまるで見れないという、これは果たしてどう思われましょうか。民間では、私もITの業界におりましたけれども、考えられない状況でございます。それだけ使われてない、苦情も来ない、これは中身そのものを含めて大きな問題ではないかと、私もそれですごく感じました。  本来、こういった、先ほども大臣からお話ございましたけれども、大変大事な制度、サービスでもございます。その意味で、もっともっとこうした多くの方々に利用できるような中身の改善も含めて推進をすべきではないかとすごく実感をしております。  また、先ほどもございましたけれども、お金の件でございます。情報公表手数料とか年間約六万円前後掛かる、これに関しましても細かい情報提供をしても活用されていない、無駄ではないかと、こういう指摘もございます。さらに、制度の周知が不十分ではないか、こういった御意見もありました。  そこで、この介護サービス情報の公表制度の利便性を向上させるためにどのような対策を検討しているのか、またこの制度を広く知っていただくための周知策をどのように考えているのか、お答えをいただきたいと思います。
  164. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) これは当委員会でもいろんな議論がございましたし、それから、先ほど渡辺委員に対して大臣もお答え申し上げましたように、この介護情報サービスの公表制度というのをどういうふうに実を上げるかということは大変重要な課題であると思っております。  これは、利用する人にとってはサービスの選択に資する情報を提供する、あるいは事業者に対してはその運営情報、サービスに関する情報が利用者に対しまして公平、公正に提供される場を設けるということで、サービスの質の向上を図るということであろうかと思っております。  御指摘のように、本制度が必ずしもまだ十分に活用されてないという点があるということにつきましては、私ども、国、都道府県を通じまして、利用者、事業者等に対して政府広報あるいはいろんな都道府県等の広報紙、説明会の開催、あるいはケアマネジャーや地域包括支援センター、市町村など関係機関への普及啓発の機会をとらえて、いろんな機会を通じて制度の普及啓発に努めているところでございますが、なかなかまだ必ずしも、今御指摘いただいたように、十分な周知がなされてない面もございます。  したがいまして、今後、先ほど大臣も御答弁いたしましたように、平成二十一年度までに、利用者の介護サービス選択に役立つものであるのか、また、この制度が本当に使いやすいシステムになっているかどうかにつきまして十分に調査、検証し、必要な見直しを行っていきたいというふうに考えております。
  165. 山本博司

    ○山本博司君 是非お願いを申し上げたいと思います。私も改善の進捗状況、随時把握させていただきたいと思っております。  最後に、新しい人材の確保についてお聞きを申し上げたいと思います。  前回の質疑でも私は潜在的介護福祉士の復帰促進についてお聞きを申し上げました。介護福祉士資格を取得している人たちがもう一度介護の職場に戻ってこられるような支援を拡充すべきと考えます。その上で、更に介護保険制度を持続可能なものとするためには、やはり新しい人材を絶えず確保、育成することが重要であると思います。  ところが、介護福祉士を養成する四年制大学や短期大学では養成課程入学者の定員割れが相次いでいるのが現実であります。こうした事態は大変残念なことであり、新しく介護職を希望する人たちが増え、意欲を持って働ける介護事業となるように、海外での事例も参考にしながら育成機関への支援も検討していただきたいと思います。  最後に、こうした介護人材の確保に向けた舛添大臣の御決意をお聞きをして質問を終わりたいと思います。
  166. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私も介護の問題にずっと携わってきておりました。十年以上前でしょうか、本当にあの若者が目を輝かしてこういう分野へたくさん進出してきている。ところが、現状を見てみますと、景気が回復してほかにもっと処遇のいい、そして労働環境のいいところがあるとそちらにどうしても流れていってしまう、そういう状況があると思いますから、とにかく待遇、処遇、労働環境、キャリアアップ、こういうものを良くするというのがまず第一だと思います。  その上で、そういうこととともに、社会的にやはり大きな役割を果たしている、そういう社会から評価を受けているんだということもまたきちんと確認する必要があると思いますんで、近々、介護の日の設定に向けて動き始めますんで、何とか一年以内にその介護の日を設定して、そこでそういうことについてのPRもし、また夏の期間にでも集中的にキャンペーンをやってこの仕事の重要性ということを広く訴え、そして希望を持って若者がこの分野に入れるように全力を挙げてまいりたいと思っております。
  167. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございました。  是非ともよろしくお願いをしたいと思います。  以上で質問を終わります。
  168. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  今日は、介護現場で起こっていることを幾つかお伺いしたいというふうに思います。  最初に、訪問看護、訪問介護の駐車問題なんですけれども、二〇〇六年に道交法の改正で違法駐車の取締りが強化されて、零細業者の配達などにいろんな影響が出ている。とりわけ、在宅医療、訪問看護、訪問介護分野では一定時間の駐車が避けられないという性格があります。  二〇〇六年六月に私、質問主意書を出しまして、医療や介護については、駐車禁止規制の除外措置等の趣旨に照らし、その必要性、地域の実情等を勘案し、適切な対応がされるよう都道府県警察を指導してまいりたいと政府は答弁をいたしました。その後、昨年の二月に駐車規制及び駐車許可制度の運用の見直しが行われています。  警察庁にお聞きしますが、規制除外指定の対象として課長通達も出されていますが、どういう場合を例示しているのでしょうか。
  169. 末井誠史

    政府参考人(末井誠史君) 御指摘のとおり、昨年二月に駐車秩序をより一層正常化するため、全国の警察に対して駐車規制及び駐車許可制度の運用の見直しを指示しております。その中で、緊急自動車、道路維持作業用自動車、医師が緊急往診に使用中の車両等、公共性が高く、緊急に、広域かつ不特定な場所に対応することが必要な用務に使用中のもの、身体に障害をお持ちの方等で歩行が困難な方などを駐車規制からの除外措置の対象とするとの考え方を提示しております。
  170. 小池晃

    ○小池晃君 この規定の見直しを受けて、駐車禁止の除外許可をかなり厳格化する傾向が全国で生まれております。実際には緊急往診に限定するという県も現れています。全国訪問看護協会の調査では、昨年九月以降、規制強化によって千六百三十七事業所のうち百九十で駐車許可対象車両の取消し、それから百二十六で駐車違反の摘発を受けておりまして、日本看護協会や日本医師会も警察庁に要望を出していると聞いております。  警察庁としては、こういう要望を受けてどのように対応していく方針なのか、御説明願います。
  171. 末井誠史

    政府参考人(末井誠史君) 先ほど申し上げました見直しの中で、駐車許可制度につきましては、駐車の日時、場所、用務その他その場所に駐車せざるを得ない特別の事情につきまして適切な審査を行う一方で、申請手続が煩雑になることを避けるため、繰り返して特定の場所に駐車する必要がある場合の一括許可の発行、緊急、やむを得ない場合に対応するための夜間、休日における申請受理窓口の整備など、駐車許可制度の運用の弾力化について指示をしているところでもございます。  本年二月、先ほど御指摘の日本看護協会から訪問看護に使用する車両に係る駐車許可の取扱いなどにつきまして要望書の提出を受けましたので、警察庁から駐車規制、駐車許可にかかわる制度に関する考え方の説明を行うとともに、具体的な問題があれば対応方策を協議したい旨伝え、継続的な対話に努めているところでございます。  このほか、各都道府県警察に対しましても、今回の見直しの結果、都道府県公安委規則の改正によって影響を受ける関係団体等につきましては同様に対話を行い、誠実に対応するよう指示をしているところでございます。  今後とも、都道府県警察におきまして駐車許可制度の運用の弾力化の趣旨が生かされ、適切な対応が図られるよう指導してまいりたいと考えております。
  172. 小池晃

    ○小池晃君 私、この問題では厚生労働省が積極的な役割を果たす必要があるというふうに思っております。  例えば、愛知県では県の医療、福祉部局と県警本部が協議を行って、必要な事業に対しては駐車許可を出せるような措置も行っていると聞いております。こうした取組を普及していく必要があるんじゃないでしょうか。  厚生労働省としてはどういう方針で臨むつもりか、まずお答え願いたいと思います。
  173. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) この問題については、私どもは今お話ございました訪問看護協会等々の団体からも陳情を受けておりますし、問題があるということは十分に承知をいたしております。  この仕組みでございますけれども、各公安委員会の規則で規定をされておりますし、また平成十九年二月付けの駐車規制の今の通知については今警察庁の方からお話があったところでございますが、私どもとしては、本年二月の二十九日に各都道府県で訪問看護等の車両が駐車許可についてどうなっているかという実態調査を行っておりまして、今現在その調査結果を取りまとめております。  厚生労働省としては、訪問介護看護等のサービス提供に支障が生じないということが最も重要でございますので、そういう観点で、十九年二月の通知の趣旨、地域の実情も十分考えた上で、都道府県警と連携してこの問題を解決できるように各都道府県の医療、福祉部局とともに対応していきたいと思っております。
  174. 小池晃

    ○小池晃君 大臣、これ現場でどういうことになっているかというと、例えば、駐車許可出す場合に訪問対象のすべての住所と地図を提出しなさいというようなことがあって、非常に煩雑で困っていると、あるいはその三百メートル以内に駐車場がある場合は駐車許可しないというような基準があって、やっぱり医療、介護実態と合わない基準にもなっているんですね。  新潟市は、個人情報の提出はこれそもそもなじまないし、包括支援センターなどはこれは新規でどんどん入ってきますからあらかじめというのはできないと、これ実態に合った基準ではないということで、新潟県に対して改善の要望も出しているわけです。  大臣にこれ政治家として私はお伺いしたいんですが、在宅医療や訪問介護というのはまさに政府として推進をしようという課題であると。ところが、その仕事に従事している方たちが駐車禁止で取締りを受けることに不安を感じながら仕事をしなければならないというのは、私これは問題ではないかと思うんですね。あくまで警察の問題だというふうに言われる方もいるんですが、しかし警察庁も各方面から指摘を受けて改善の姿勢を示してはいるけれども、やはり医療、介護の主務大臣として、是非大臣にきちっと警察に対しても道交法上の配慮を求めるという、こういう働きかけをしていただくべきではないかというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
  175. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) お医者さんに認められて、同じような訪問介護とか医療をやる介護士、看護師に認められないというのは国民の常識から見ておかしい。それで、私は、この問題は私が介護しているときからずっと問題にしてきております。  したがって、今おっしゃったように、いつ新しい方が来られるか分からない、そうすると、また一々その住所を届けないといけないか。やはり、これは国民全体の利益ということから考えたときに、きちんと訪問介護、特に今おっしゃったように在宅を推進しているわけですから、そういう国全体の方針からしても、これは私の方からも国家公安委員長に対してきちんと対処するように申入れをしたいと思いますし、各都道府県の福祉、医療担当部門の担当者が県警本部ときちんと議論をするように、そして、そういう形で柔軟な運営が図られ、国民が不便を来さないようにしたいと思います。
  176. 小池晃

    ○小池晃君 よろしくお願いします。  それから、介護事業所の手数料ということをちょっと取り上げたいんですが、情報公開手数料がこの間、この委員会でも取り上げられたんですが、昨年から事業所の新規指定と更新時に手数料の徴収が始まっております、一部の県で。昨年の時点で、九州、沖縄全県と、奈良、広島、香川、高知。これ金額は、在宅系で新規が一万五千円から三万円、更新時七千五百円から一万一千円、介護事業と介護予防事業のそれぞれについて徴収しているところもあるんですね。  例えば、熊本の場合で、訪問介護と訪問看護を両方やっていて予防事業もやっている事業所だと、これ二万円掛ける二掛ける二で八万円取られるということで、厚生労働省としてはこういう手数料の問題って実態把握されていますか、局長
  177. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  介護サービス事業所の新規指定あるいは更新について、手数料の問題ですけど、これは、御承知のように、都道府県知事などが自治事務として人員、設備、あるいは運営基準を満たしているかどうかということを確認をするということで、各事業所単位に新規指定、更新を行っているということでございます。  この事務の手数料の徴収でございますが、これについてはいわゆる地方自治法の規定に基づきまして各都道府県の責任で条例で定めるということになっておりまして、私どもどういう額になっているかというのは完全につまびらかに把握はしておりませんけれども、現段階で把握しております相当の都道府県におきましては、徴収しているところもございますし、あるいは徴収していないところもあるという現状を把握をしております。
  178. 小池晃

    ○小池晃君 この間、前回も議論ありましたが、介護報酬の問題で収益が悪化している事業所が多いわけで、その上こうした負担をかぶせるということがいいのか。しかも、これは全国一律ではなくて、自治体の財政力によって差が生まれてくるということもこれ問題ではないかなというふうに思うんですね。  これやはりきちっと実態調査をやって適正化図るべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  179. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 現実に手数料がどうなっているかということの実態把握については私ども努めたいと思います。したがって、現実に各都道府県どういうふうな手数料になっているかということについてはつかみたいと思いますが、ただ、この問題、実際は各都道府県で条例で決めているわけでございますし、自治事務でございますので、国としてどこまで、こういうふうにしろとかそういうことができるかというのは大変難しい問題でございまして、ただ、他県の状況がこういう状況になっているということを十分情報提供するということはできるのではないかというふうに思っております。
  180. 小池晃

    ○小池晃君 続いて、これも介護保険サービスの実施に当たって、各自治体で指導監督の内容の問題なんです。規定を過度に厳格に解釈したり、いきなり不適切だからといってやり取りなしに報酬の返還を求める自治体も多いというふうに言われています。  今日は資料をお配りしました。一ページ、二ページ、三ページはこれは大阪府が示しているQアンドAなんですね。これ昨年八月に配布されたものであります。  これ見ていただくと、表紙めくっていただいて最初のページ、身体介護で例えばこういう例があるんですね。通院の帰りに道沿いにあるスーパーや商店に立ち寄って買物をする、これ駄目だっていうんですよ。要するに、帰り道に物を買うというのは、これはまたいったん家に帰ってもう一回行かないといけないというんですね。だから駄目だと。それから、八番見ていただくと、生活費を出金するために金融機関へ行くと。中身見ますと、銀行の中では当該施設のスタッフが対応すべきであり算定できないとなっております。さらに、九番のところを見ますと、認知症の利用者が精神的に不安定になったとき落ち着くために外出すると、こういう気分転換のための外出は介護保険の対象にならないというんですね。  それから、更にもう一枚めくっていただいて、二十五番と三十一番を見ていただくと、最初ちょっと三十一番見ますかね。三十一番、利用者宅における電球や掛け時計の電池の交換は対象となるかと、これは算定できるというんですよ。ところが、二十五番で、季節的に使用する冷暖房機の、だからストーブとか扇風機とかですか、こういうものの出し入れや掃除をすることは可能か、これはできない、介護保険外と考えると。あるいは三十七番、引っ越しの荷造りはこれ算定できないと。事細かなこういうマニュアルを自治体が今出しているんですよ。  実際、大阪府ではこのQアンドAに基づいて、通院の帰りの買物はこれはもう返還命令出ている。あるいは散髪も銭湯もカーペットの敷き替えも返還命令が出ているんですね。  局長、こういう自治体の対応というのは適切なものだとお考えになりますか。
  181. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) この委員会でもいろいろな御指摘がございましたし、また審議会等でもいろいろ議論がございます。  特に、各自治体の指導監督につきましては、業務の標準化を図る、要するにばらばらでやっては困るというふうな御意見もございますので、私どもとしては今年の二月にも担当者会議も開催しまして、あくまでも介護サービス事業者についての行政的な関与につきましては法令に基づいてきちんとやるようにということをお願いしておるわけでございまして、議員御指摘のように、法令に定める基準以上の内容を仮にこういう形で指導しておるとすれば問題であると考えておりますから、全国会議などの場を通じまして指導監督業務の標準化に今後とも取り組んでいきたいというふうに思っております。
  182. 小池晃

    ○小池晃君 大臣、前回、介護の給付費が当初予算も下回って下がっているという実態、私示しましたけれども、やっぱりこういう自治体の過度に、曲解というふうに私は思いますよ、これはっきり言って。こういう形で駄目だ、駄目だ、駄目だ。  これ、大阪だけの話じゃありません。もっとひどいことをやっている自治体もあるわけです。やっぱりこれ、きちっとこういう自治体のマニュアルなんかは全国調査もして、こういうものはきちっと駄目だということをはっきりさせるべきじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  183. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) こういうたぐいのマニュアルについて、それは調査はしてみたいと思います。  介護保険というのは何が目的かというと、介護される人ないしその家族、そういう方が快適な状況になるということが必要で、そのためにお金を使いましょうということですから。かつて、特に生活援助の場合、よく議論あるんですよ。庭の草取りやるのはどうだとか、犬の散歩どうだまでありました。だけれども、百歩譲って言うと、その犬の散歩をやってもらうことがまさに介護を受ける人にとって生きがいであって、それで精神の安定が保てて、例えば認知症の進行が止められるというようなことになったら、結局要介護度が下がるわけです。上がらないわけですから、トータル見たら費用は減るわけですよ。  だから、そういう柔軟な発想を持ってやる必要があって、何でもかんでもお金の計算だけでやるということがどうなのか。それは、もちろん行き過ぎた濫用は避けないといけないと思う。国民の常識という観点からやることが介護においても一番大事だと、そういうふうに思っておりますので、必要な調査はやりたいと思います。
  184. 小池晃

    ○小池晃君 もうまさに今の答弁のとおりに是非行政を進めていただきたいというふうに思います。  最後に、療養病床の削減の問題について、先ほども議論ありましたが、取り上げたいと思います。  厚労省は、二〇〇五年に突然、「療養病床の将来像について」という方針を出して、介護保険の療養病床の全廃とともに、医療療養病床二十五万床について十五万床にするという方針を打ち出しました。これを受けて、現在、各都道府県の医療費適正化計画が出そろいつつあります。  資料の最後のページに、現時点で出されている医療費適正化計画を集計したものを厚生労働省にまとめていただきました。これで見まして、二〇一二年度末での医療療養病床の予定数について、現在策定されている計画を合計すると幾つになるでしょうか。
  185. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 都道府県の医療費適正化計画は、現在、この資料に、案に示されておりますように、三十三都道県において公表されておるわけでございます。  現時点での計画におきます医療療養病床の目標数についてのお尋ねでございますけれども、これはまだ全都道府県がそろっているわけではありません。それから、中に一部回復期リハ病床を含んでいるものもございます。  こういうことで、合算する条件はそろっておりませんけれども、先ほどのありました三十三都道府県での公表数値を単純に積み上げますと、約十七万床になるわけであります。
  186. 小池晃

    ○小池晃君 約十七万、十七万一千八百五十七ですね。  この数字には、今あったように、大阪、東京を始め十四府県が入っていません。日本医事新報は、このほかに十一件の案段階のものも含めて、二十一万三千二百十五床と集計している。だから、このままだと二十二万床、大体そのオーダーというのは間違いないわけですよ。しかも、今、回復期リハ病棟が入っているという話しましたけれども、二〇〇五年の時点での厚労省の療養病床数には回復期リハ病棟は入っていたわけですから、今現在二万床、これ増えることは間違いないわけです。  結局、大臣、二〇一二年度末の医療療養病床数というのは、回復期リハ病棟も含めれば現在の水準がほぼ維持されることになるという、そういう見通しになってきていることはほぼ間違いないんじゃないですか。これ、現状の認識としてはっきりお答えいただきたい。
  187. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 予定していた想定が必ずしも常に正しいとは限りませんから、そういう意味では、委員が今おっしゃったこともある意味一つの真実かなと思っております。  したがって、現状において、この再編成の問題、療養病床を含めて、どう考えるかともう一遍きちんと推計し直してみたいと思っております。
  188. 小池晃

    ○小池晃君 医療療養病床の削減問題は前回も取り上げましたが、当時の官僚が雑誌に文章も出していて、非常に現場の実態を無視したものだということも取り上げましたが、やっぱりこの実態を見れば、まさに実情に合わない削減計画だったんだということをはっきり認めて、一つの真実だというふうにおっしゃいました。  これ、きちっと見直すということを、はっきり方針転換するということを私責任持って示すべき時期に来ていると考えますが、大臣、いかがですか、重ねて。
  189. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 一つの真実だと申し上げたのには、もう一つの真実もありまして、やはり医療資源、限られた医療資源をどういうふうに配分するか。やはり、急性期の方に少し重めにという一つの理想があったわけですから、こちらの方のやっぱり目的も追求したいと。  そういうことも含めて、今安心と希望医療ビジョンということで長期的な医療ビジョン、どういうふうに日本の医療体制を再構築するか、そういうプランを作りつつありますので、そういう大きな中でこの問題も検討させていただきたいと思っております。
  190. 小池晃

    ○小池晃君 安心を言うのであれば、あの療養病床の大幅削減が不安を広げたんだから、もう実態を見ればこれできないんですから、はっきりこれはもう転換するんだということを私、言うのが本当の意味での国民にとっての安心だというふうに思いますので、きっちり方針は撤回すべきだということを申し上げます。  以上で質問を終わります。
  191. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  まず初めに、ILO百十一号条約について質問をいたします。  ILO百十一号条約に関して、二〇〇八年四月現在、世界百六十六か国が批准をしております。しかし、この条約、雇用及び職業についての差別待遇に関する条約を日本は批准をしておりません。なぜこれは批准ができないのか、教えてください。
  192. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、批准できない理由は、御承知のように、百十一号条約は雇用及び職業に関する広範な差別、性に加えて人種、皮膚の色、宗教、政治的見解などに基づく差別を含む、これを除去するための措置を求めるというふうになっておりますけれども日本でこういう国内法がないということで、今その国内法制との整合性の確保というのが常に国際条約の批准の要件になりますから、そこが今一つ引っかかっているという点ではあります。
  193. 福島みずほ

    福島みずほ君 日本は、国際人権規約B規約、女性差別撤廃条約、人種差別撤廃条約を批准していますし、雇用機会均等法もあります。是非、何が障害になっているのか検討するという、なぜこのことを言うかといいますと、世界でも百六十六か国が批准をしていて先進国である日本が批准をしないのはいかがかと思いますので、是非厚生労働省として百十一号条約、何が障害なのか、あるいは障害がないのか、検討していただきたい、検討チームを発足していただきたいと思いますが、いかがですか。
  194. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これはきちんと検討してみたいと思っております。
  195. 福島みずほ

    福島みずほ君 厚生労働省としてきちっと検討していただくという大臣の答弁を本当にこれから期待をいたします。どこが障害なのか、障害なく批准できるのか、是非検討し、検討結果を教えてくださるよう、よろしくお願いいたします。  次に、名ばかり管理職についてお聞きをいたします。  四月一日に通達が出ました。どのような効果が上がったか、あるいはどのような効果が出たのか、調査をしていらっしゃるでしょうか。
  196. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) お話にありました管理職についての四月一日付けの都道府県労働局長に対する通達でございますが、これは、企業内での管理職が十分な権限あるいは相応の待遇がないにもかかわらず、労働基準法上の管理監督者として取り扱って、中には労働時間が適切に管理されなくて、いろいろな問題が生ずるということがございましたので、その適正化について徹底するように出したものでございます。管理監督者の判断基準の周知でありますとか、あるいは労使双方からの管理監督者についての相談に対する十分な説明というものをすると。あるいは、問題が認められるおそれのある事業所に対する監督指導を実施するというようなことを指示をいたしました。  この管理監督者の範囲の適正化について改めて徹底するように指示をしたわけでありますけれども、これについての効果を直接把握するということは困難でございますが、当然、各都道府県労働局、それから労働基準監督署においては、この通達に基づき適切な対応が取られているものというふうに考えております。  私どもとしては、いずれにしましても、企業における管理職が必ずしも労働基準法上の管理監督者に該当するものではないということについて十分な理解がなされるようにしっかりと監督指導していきたいというふうに思っております。
  197. 福島みずほ

    福島みずほ君 この委員会でも何度も質問しましたが、マクドナルドの店長さんが名ばかり管理職だという判決が出ました。ほかにも、多店舗チェーン店型のもので多くの人たちが問題だと裁判も起きています。それを踏まえて、洋服チェーン店や食品やセブンイレブン含めて、店長はこれは管理職ではないということが出て、これは極めて重要な部分です。  それで、例えば、ここ手元に東京労働局のものがありますが、名ばかり管理職について、経営者と同じ立場で仕事をしているか、勤務時間について厳格な制限を受けているか、その地位にふさわしい処遇を受けているかの三要素を、しっかりマスター労働基準法、平成十八年二月、厚労省発行の中で定義をしていますが、管理監督者としての条件を現時点で再度明示してください。
  198. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 労働基準法上の管理監督者といいますのは、一般的には部長、工場長など、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者という意味でありまして、名称にとらわれず実態に即して判断するべきものということであります。  具体的な判断に当たりましては、労働時間、休憩、休日などに関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な職務に就いていること、それから同様に、労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な責任と権限を有していること、それから現実の勤務態様も労働時間等の規制になじまないものであること、それから賃金等についてもその地位にふさわしい待遇がなされていることということであります。  お話ありました東京労働局作成のパンフレットに記載されているこの三つの項目というのは、この通達に示した判断基準を分かりやすい形で説明したものというふうに考えております。
  199. 福島みずほ

    福島みずほ君 この三つの要件は必要条件でしょうか。この三つ、例えばその地位にふさわしい待遇がなされていない場合は管理者というふうにみなされないということでよろしいでしょうか。
  200. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) この三つといいますか四つについては、これを判断基準として総合的に判断をするということにいたしております。したがって、必ずしも一つでも欠けたとか四つ全部というようなことではありませんけれども、少なくともこれらについて今申し上げたようなものに該当するということでなければならないというふうに思っております。
  201. 福島みずほ

    福島みずほ君 出社、退社が幾らか厳格な制限を受けていないにしても、その地位にふさわしい待遇がなされていなければそれを管理者とみなすことはできないと考えますが、いかがですか。
  202. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 今ほどお答え申し上げましたように、総合的にこれらの要素を判断するわけでありますが、明らかにその待遇等において全く一般の、実際の事案でも多くありますけれども、一般労働者の方が待遇が良かったり、そういうようなものもあります。そういった場合には、やはりそれをもってなかなか管理監督者と言うことはできないだろうというふうに思っております。
  203. 福島みずほ

    福島みずほ君 高校を卒業したらすぐ管理者、管理監督者になる、あるいは数か月働いて正社員になった途端に管理監督者になる、死ぬほど労働時間規制なく働いてもう過労死寸前、もう悲鳴が上がっておりますし、昨日、労働組合は国に改善要請をし、集会もありました。  各地域の労働基準監督署は、労働者からの申告があった場合、上記の三要件に基づき厳格に企業を法違反ということで指導しているのでしょうか。
  204. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 労働基準監督機関におきましては、今ほどから申し上げていますように、管理監督者に該当するかどうかというのは役職の名称のみで判断することはいたしておりません。個別具体的な実態に即してではありますが、申し上げましたような判断基準に着目いたしまして総合的に検討、判断いたしているところでございます。  そして、労働者の方々からの申告に基づく監督指導におきましても、総合的に判断した結果、労働基準法上の管理監督者に該当しないというふうに判断がなされ、労働基準関係法令違反が認められる場合には、是正勧告を行うなどにより必要な改善を行うよう厳正に指導を行っているところでございます。  ちなみに、十八年、十九年におきましてもそれぞれ四百件から五百件の指導、管理監督者に関して指導をいたしておるところでございます。もちろんその中には、お話しありましたように、法違反の是正ということで是正勧告をするというようなものももちろん含めてでございますが、そういうようなことで対応しております。  今後とも、こういった労働基準関係法令上の問題が認められました場合には適切に対応していきたいというふうに思っております。
  205. 福島みずほ

    福島みずほ君 四百件、五百件指導しているということで、これは質問通告していないんですが、そのうち是正命令を出したのはどれぐらいありますか。
  206. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 平成十九年度で、これはまだ二月十五日までということでありますけれども、の集計でありますが、指導件数五百五十五件のうち是正勧告は百四十二件ということでございます。
  207. 福島みずほ

    福島みずほ君 多くの裁判が出ておりまして、小売チェーン店など多店舗展開している業種の企業で管理監督者扱いの適切な基準を作ってほしいという声も大変あります。  御存じ、都市銀行の場合などは一応目安があるんですが、この多店舗チェーン店型について目安を作っていただきたい。いかがですか。
  208. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 多店舗展開している企業につきましてはいろいろこの管理監督者について問題が多いということは認識をいたしております。  これらについても実際には、今申し上げたように監督指導を適切に行っているところでございますが、企業側サイドにおいて十分承知をしていないということであるならば、ひとつ検討をしてみたいとは思っております。
  209. 福島みずほ

    福島みずほ君 是非検討をお願いいたします。  現在、長時間労働を強いられて残業代が払われない多くの、特に今若い人たちから、このままだと過労死をすると、労働基準監督署に駆け込んでも十分やってもらえない、裁判やればエネルギーも時間もお金も大量に掛かってしまうと、名ばかり労基署じゃないかと、名ばかり労働基準監督署じゃないかという意見もありますが、いかがですか。
  210. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 労働基準監督機関は、これは労働者保護機関ということでありまして、保護官署ということでありまして、労働関係法令によって保護されている労働者が適正にその権利なりを維持していくというためにあるわけでありますので、監督署といたしましては適正に法が執行されるように努めているところでありますし、今後ともそういうつもりで運用、運営をしていきたいというふうに思っております。
  211. 福島みずほ

    福島みずほ君 二つ。全国実態調査を是非やっていただきたい。二点目は、労働基準監督官は味方だと思います。是非、これは財務省に実は言うべきかもしれませんが、労働基準監督官、対応してほしい。そして、人員を増やす。いかがですか。
  212. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 労働基準監督官は、一人一人、当然、私が申し上げたような気持ちで法の適正な執行に取り組んでいることと思っております。  それから、体制、人員の関係でありますけれども、これはちょっと今手元に資料はございませんけれども、こういう国家公務員の定員管理の厳しい中ではありますけれども、労働基準監督官につきましては例年増員をしているという状況でございます。  今後とも、必要な体制確保に向けて努力をしていきたいというふうに思っております。  全国調査でありますけれども、私ども、先ほど申し上げましたように、全国の三百幾つかの監督署で全国事業所を毎日監督をしているわけであります。先ほど申し上げましたようにそれなりの実績を持っておりますので、そういったものをまず分析をして、いろいろな対応をまず考えていきたいというふうに思っております。
  213. 福島みずほ

    福島みずほ君 これはもう非常に社会問題にもなっていて、実際、救済されないからこそ、申し訳ないが、名ばかり労働基準監督署になっちゃっているんで裁判が起きているわけですよね。裁判が起きて、エネルギー掛けて裁判やらなくちゃいけないというのは、ある意味、行政による救済がうまくいっていないというその証拠だというふうに思います。ですから、是非、人員それから名ばかり労働基準監督署にならないように、そして全国一斉調査は是非やっていただきたい。いかがですか。
  214. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 新聞でも報道がされていますように、すべてが私ども積極的に新聞発表しているわけではありませんが、相当のエリア、カバーをして実際に指導監督をしているわけでございまして、現にそういうことで違反が認められればこれは原則全部きちんと直すということで取り組んでいるわけであります。  そういう意味では、先ほど申し上げましたように、全国の労働局、全国の監督署にいろいろなことで情報も参りますし現に監督もしているということでありますので、そういったものを十分把握、分析をいたしまして対応を考えていきたいというふうに思っております。
  215. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 福島委員だけじゃなくて津田弥太郎委員がたしか御質問なさって、私は直ちに通達を出せと、そして名ばかり管理職、これは厳しく法律に基づいて取り締まれということを言いまして、あれから一月半たちました。かなり効果が出ていると思います。そして、労働基準監督官においても名ばかり監督官なんて言われないようにこれはきっちり仕事をしていると信じておりますし、法律に基づいて厳正なる捜査権限もありますから、やりたいと思います。そして、こういう時代で働く者の権利がきちんと守られないという時代でありますから、必要な人員の増員要求は出したいと思いますし、また御支援いただければと思います。
  216. 福島みずほ

    福島みずほ君 増員要求については応援をいたしますので是非活躍し、かつ先ほど目安については検討すると青木局長言っていただいたことを重く受け止め、かつ是非全国一斉調査をしていただくよう強く要請いたします。大臣是非よろしくお願いいたします。御検討いかがですか。
  217. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 概算要求前にきちんと調査し、必要な手当てをしたいと思います。
  218. 福島みずほ

    福島みずほ君 ありがとうございます。  人材確保指針で示された国家公務員福祉職俸給表など、現状の隔たりを埋める主体についてですが、この指針では経営者、関係団体を責任主体としております。しかし、乖離がとてつもなくあるわけで、経営者や関係団体で可能だとは考えない。いかがですか。
  219. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 委員御指摘は、国家公務員の福祉職俸給表を適用されている方は給与の月額が、これは全国で私ども人事院から伺いましたところ二百七十一名の方が福祉職俸給表を受けておられて平均勤続年数が十六・八年、四十歳くらいの方だというふうに承知しております。  これに対して、御案内のとおり、当委員会でも盛んに議論になっておりますが、福祉施設介護員については給与月額が二十一万と随分乖離があると、ここを人材確保指針で、経営者だけに言って無理なんではないかということですが、やはり勤続年数の違いとかそういうことで、こちらの方の勤続年数、福祉施設介護職員、数十万人おられまして平均五年というところで、そういった点がかなり給与の格差にも出ているというふうに考えております。  もちろん、希望する方が生涯働き続けられるような場にしていかなければならない、それが離職率を防いだりするということでありまして、経営者の方々だけでなく、国も、また地方公共団体も、関係団体もこれに向けて努力していくということが人材確保指針に書いてありますので、そういった点で一生懸命やらせていただきたいと考えております。
  220. 福島みずほ

    福島みずほ君 今回の議員立法もそうですが、是非、ここにあるのは国家公務員福祉職俸給表とはやっぱり隔たりがあるので、是非経営者や関係団体のみの責任でなく、よろしくお願いいたします。  この委員会人件費のマージン率について何度か質問してきました。御存じ昨年十二月十日の分科会で、「適正な人件費配分を促す仕組みについて、分析が必要ではないか。」とあります。有料職業紹介についてのいわゆるマージン率については一割と法律に規定がありますので、単に労使関係だけに任せるのではなく、透明性や人件費のマージン率の情報公開について是非一歩進めていただきたい、いかがですか。
  221. 岩本司

    委員長岩本司君) 簡潔に願います。
  222. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) マージン率について最大の問題は、悪徳業者がいて、これだけのマージン率だからというんで賃金を抑制することにつながるという点は注意しないといけないと思います。むしろ、こういう経営モデルですよというのを介護事業者について出すことによって、事実上きちんとした事業者と労働者の間の契約なんですけれども、しかし方向性を示したいと、そういうふうに思っております。
  223. 福島みずほ

    福島みずほ君 是非、情報開示という点で、やはりどうやって労働条件上げるかというときにはマージン率の公開も一定限度、当事者に開示をするかインターネット上開示するかは別にして、検討をよろしくお願いします。  以上です。
  224. 岩本司

    委員長岩本司君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  225. 岩本司

    委員長岩本司君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、若林正俊君及び島尻安伊子君が委員辞任され、その補欠として丸山和也君及び義家弘介君が選任されました。     ─────────────
  226. 岩本司

    委員長岩本司君) これより両案に対する討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより順次両案の採決に入ります。  まず、介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  227. 岩本司

    委員長岩本司君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、谷君から発言を求められておりますので、これを許します。谷博之君。
  228. 谷博之

    ○谷博之君 私は、ただいま可決されました介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党・無所属の会、公明党、日本共産党及び社会民主党・護憲連合の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。  一、業務管理体制の整備の義務付けに当たっては、指導監督体制の充実強化に努めるとともに、介護サービス事業者にとって過度の負担増が生じないように配慮すること。  二、今回の法改正に基づく厚生労働省令等の制定・改正に当たっては、介護サービスの利用者、介護サービス事業者等関係者の意見を十分に聴く機会を設けること。  三、次期介護報酬改定に当たっては、介護従事者等の処遇の改善に資するための措置を講ずること。なお、地域差実態を踏まえ、必要な見直しを検討すること。また、サービス提供責任者等の処遇に配慮するとともに、介護福祉士等の専門性を重視し、有資格者の評価の在り方について検討を行うこと。  四、介護保険料の算定については、税制等の制度改正が高齢者世帯へ与える影響を十分踏まえ対応すること。  五、今後の介護保険制度の在り方については、国民の老後生活における介護の不安に応えるセーフティネットとして機能するよう、介護報酬の引上げによる保険料の急激な上昇を防ぐための方策を含め、十分な検討を加えること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  229. 岩本司

    委員長岩本司君) ただいま谷君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  230. 岩本司

    委員長岩本司君) 全会一致と認めます。よって、谷君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、舛添厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。舛添厚生労働大臣
  231. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。
  232. 岩本司

    委員長岩本司君) 次に、介護従事者等人材確保のための介護従事者等処遇改善に関する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  233. 岩本司

    委員長岩本司君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  234. 岩本司

    委員長岩本司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十五分散会