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2008-05-15 第169回国会 参議院 厚生労働委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年五月十五日(木曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  五月十四日     辞任         補欠選任      津田弥太郎君     轟木 利治君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩本  司君     理 事                 家西  悟君                 谷  博之君                 蓮   舫君                 衛藤 晟一君                 渡辺 孝男君     委 員                 足立 信也君                 大河原雅子君                 風間 直樹君                 小林 正夫君                 櫻井  充君                 轟木 利治君                 中村 哲治君                 森 ゆうこ君                 石井 準一君                 石井みどり君                 岸  宏一君                 島尻安伊子君                 中村 博彦君                 西島 英利君                 南野知惠子君                 山本 博司君                 小池  晃君                 福島みずほ君    衆議院議員        厚生労働委員長        代理       山井 和則君    国務大臣        厚生労働大臣   舛添 要一君    副大臣        厚生労働大臣  西川 京子君    事務局側        常任委員会専門        員        松田 茂敬君    政府参考人        財務省主計局次        長        真砂  靖君        厚生労働省医政        局長       外口  崇君        厚生労働省健康        局長       西山 正徳君        厚生労働省労働        基準局勤労者生        活部長      氏兼 裕之君        厚生労働省職業        安定局高齢・障        害者雇用対策部        長        岡崎 淳一君        厚生労働省社会        ・援護局長    中村 秀一君        厚生労働省老健        局長       阿曽沼慎司君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○介護従事者等人材確保のための介護従事者等  の処遇改善に関する法律案衆議院提出)     ─────────────
  2. 岩本司

    委員長岩本司君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、津田弥太郎君が委員を辞任され、その補欠として轟木利治君が選任されました。     ─────────────
  3. 岩本司

    委員長岩本司君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律案及び介護従事者等人材確保のための介護従事者等処遇改善に関する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省老健局長阿曽沼慎司君外七名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩本司

    委員長岩本司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 岩本司

    委員長岩本司君) 介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律案及び介護従事者等人材確保のための介護従事者等処遇改善に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 大河原雅子

    大河原雅子君 おはようございます。民主党の大河原雅子でございます。  本日は介護二法について質疑をさせていただきますが、質問に入る前に、五月二日、三日、大型サイクロンの上陸で甚大な被害を受けましたミャンマーの皆様、そしてまた、中国四川省では本当に巨大地震が起こりまして背筋の寒くなる思い、そしてまた、本当に甚大な被害、今もなお生き埋め状態になっていらっしゃる方々もあると聞いております被災者皆様に対して心からお見舞いを申し上げるとともに、お亡くなりになられた皆様に哀悼の意を表したいと思います。被災者皆様の一日でも早い復旧を願うところでございます。迅速な復旧が行われますこと、また日本政府としても最大限の努力をしていただきたい、私どももその活動を強く進めたいと思っております。  それでは、質疑に移らせていただきます。  介護保険制度という二〇〇〇年から始まりました新たな日本社会保障医療、年金、介護保険高齢期を支える本当に重要なものだと思います。高齢期介護、それまで家族、特に女性、奥さんですとかお嫁さんですとか娘さんですとか、そういう女性たちの肩に担わされてきたということが、社会介護を担っていこうと、そういうことがはっきりと目指されて、この福祉サービス権利として使いこなす、そういう国民の新たな権利が生まれたということで大変期待をしておりました。  私も妹と二人兄弟でございますので、家には今八十を過ぎた母が一人になってしまいまして、一人でおります。幸いにもこの介護保険を使わずに独り暮らしをしているわけなんですけれども、いつ何どき必要になるかも分からない。そういう意味では、四十歳以上から保険料を払って給付サービスで受ける、この安心が、やはり七千万人も保険料を払っていらっしゃる方がいるわけですから、そこの安心につながる信頼をとにかくきちんと確保するということが重要だろうと思います。そして、二〇〇〇年スタート時にはあらゆる試みがされたと思いますが、大きな問題としても民間参入の道を開くということでは競争原理もその中に入って質を上げようということで始まったわけでございます。  だんだんにこの介護保険報酬改正制度改正、それを経て、実は地域では実態として改正ごと制度自体が分かりにくくなっている、複雑過ぎて分からない、当事者の方々はなおさら分からない仕組みになり、また給付が削られていて利用できるサービスもなかなかないというふうに言われてきているわけです。  この今日の質疑のために準備をしてきたわけなんですが、十四日の日経新聞の一面トップに、これなんですけれども介護保険軽度者二割負担を軸にという大変大きな見出しが、これは拡大してございません、そのままの大きさですが、記事が載っておりました。記事によれば、財務省が、介護保険給付抑制に向けて、要介護度の軽い方への給付を減らした場合に保険料国庫負担がどう変わるのかという三つのシミュレーション、試算を行ったということなんですが、財政制度等審議会にこれが示されたということです。  高齢化が進んで社会保障全体にかかわる支出の増大というのが懸念されていること、これはもちろん理解しないわけではありません。しかし、給付抑制負担の増は当たり前だということでありきの検討をされたんではたまらないなと、利用者を無視した問題だというふうに思います。社会保障制度の根幹にかかわる大問題だと私は思いますし、これが厚生労働大臣諮問機関じゃなくて財務省の方の諮問機関からこういうことをされるということについて私は非常に腹立たしい思いがしております。道路は十年で五十九兆円使うというのに、年金問題でも解決しない、後期高齢者医療制度はできた、そこへこのニュースが直撃をしていると思います。もう神経逆なでするというような状況じゃないと思うんです。国民としては断固反対の声を上げざるを得ません。  こんな重大なことを報道をされておりますが、厚生労働大臣舛添大臣としてここにはどのような見解をお持ちでしょうか、まず伺います。
  7. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私もそのデータは、朝起きて新聞で見て、全くびっくり仰天で、全く事前に何の相談もなければ、こういうことが決まったということも知らしていただいておりません。これは財政制度審議会が全く機械的に試算を行ったものであります。  それで、軽度の方だけ今言った措置をとって、そうすると何兆円浮きます、何千億円浮きますという、そういう全く機械的な試算。ここのところ、私が二千二百億円の毎年の削減はそろそろ限界に来ているということをこの委員会を含めて申し上げておりますんで、恐らく財務省のサイドから、まあ逆の意味で、まだまだこれだけカットできるよということをおっしゃりたいんだろうと思いますけれども、全くその記事にあるようなことは厚生労働大臣としては考えておりませんし、そして、制度全体をより良くするためにどうするかという議論はあってしかるべきですけれども軽度の方とか重度の方とかそこだけつまみ食いして、その人たちに対する給付を減らせばこれだけ浮きますからお金が出ます、そういう議論は本末転倒であって、我々国民の命を守る厚生労働省、そして厚生労働大臣として、そういう議論にくみすることはないということをはっきり申し上げておきたいと思います。
  8. 大河原雅子

    大河原雅子君 そういう議論にくみすることはないと強い御発言なので、そこをよりどころにいろいろな今後に向けての提案もさせていただき、現状課題を改善するための議論を是非させていただきたいというふうに思います。  ただ、現状なかなか、繰り返すようですが、二〇〇〇年に制度ができて、制度改正は五年に一遍ですが、介護報酬保険料、こういったものは三年に一遍、先ほど申し上げましたように、介護報酬は切下げの一方、介護保険料は上がる一方、つまり負担は増えているということでございます。ですから、その中身について、国民の本当の思い現状をしっかりと認識をしていただきながらこの介護問題、医療問題、取り組んでいただかなければ困るわけです。  七千万人が加入をしているこの介護保険制度、実際、認定を受けていらっしゃる方は四百五十三万人と伺っております。男女の比でいえば七対三、女性の方が多い。そしてまた、七十五歳以上の、お付けになった後期高齢者皆さん、これは九割に当たるということですね。そしてまた、後期高齢者皆さん利用が九割を超える、そしてまた八十五歳以上の利用、これが四割を超えると。だから、認定を受けて介護保険を使っていらっしゃる方の四割は八十五歳以上の方々ということでは、サービス、要するに使われている中身大変生活のお一人お一人の自立に非常に重要な意味を持つ現状があるということですね。  それから、一つ加えておきますと、認定を受けたけれども実は使っていらっしゃらない方が九十三万人おられるということですね。認定は受けているけど使っていない。使えない現状がどこかにあるんでしょうか。あるいは、使えないサービスはほかから買っている、全部民間で済ませているという方もおられるかもしれません。  そして、利用されているサービスの中ではもちろん在宅サービスが多いわけなので、これは二十六万人の方が、これ今私、昨年の、二〇〇七年のデータでお話をさせていただいておりますが、七割を超えていると。要支援の一から要介護の二までという方々が多いそうなので、言わば比較的介護度の軽い方たち在宅サービス利用して自分らしい生活を続ける。これが本当に介護保険期待されたものだろうというふうに思いますし、私自身を考えても、一人になったときに自分が今いる場所で必要なサービスを受けながら暮らせるということは非常に大きな安心です。家族負担を減らす、子供たちがどこへ独立して暮らすか分からない、そういうことで、非常にサービスのメニューも多様でございますけれども、そういった意味では、在宅を主流にしたいというところでいえば、厚生労働省としても、国としてもこの在宅への支援というのは一番のメーンになるものではないかと。  そしてまた、施設サービス利用していらっしゃる方は要介護度の高い方たちでございますから、そういう方々のためには、もちろん施設整備と、そしてまた安い負担で使えるということが今後も目指されなければならない、そういう課題だろうと思います。これは、もう制度が始まったときから変わっていない目標だと私は思っております。  そういった意味で、今日はコムスン法質疑でもございますので、まずそのコムスンの問題から入っていきたいと思うんですが、一般の企業がここに参入をしてくるとこれまでできなかったサービスができるようになる、それから競い合うことでサービスの質を上げることができると、そういう期待が非常にたくさんあったと思います。そしてまた、このコムスンという会社は、そういった意味では二十四時間のサービス、それから離島へのサービス、そういったものでは優良な会社だと国が後押しをして、後押しと言ったら申し訳ないかもしれませんが、モデル第一号と、介護保険制度スタート象徴のような企業だったと思うんですね。ところが、このコムスンショックというようなことが起こるほどの不正事件を起こした。今回の法改正に至ったわけです。  今回の介護保険制度改正というのは必要だと思います、もちろん。しかし、このような事態を招かないということで作られる改正がどんどん厳しい規制強化ばかりになってしまうということにも私は危惧を覚えております。これまでの現行法では一体どこが足りなくて、そしてこの改正によって何が解決、解消されることになるのか、まず大臣に伺いたいと思います。
  9. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 現行法上、今回のコムスンのような事態が起こったことについて、足りないところが四点あったと思います。  一つは、こういうコムスンのような事業者が法令をきちんと遵守する体制を担保するための制度がないということで、ああいう組織的な不正が防げなかった。それから二番目が、こういう不正を行った事業者本部に対して検査や処分をする権限がなかったと。三番目が、事業所取消処分前に廃止届が出されちゃった、そうすると、結果的に取消処分ができないと、こういう手を使われちゃったわけですね。それから四番目が、今度また同一法人グループ内の別法人事業譲渡をするということで実質的に処分逃れをやると。まあ悪知恵と言ったら悪いのか、こういうことまでは現行法が想定していなかった。  したがって、今回、こういうものに対してやっぱり一つ一つ対応していこうということで、まず業務管理体制整備義務化。それから、先ほど申し上げたように本部に立ち入れませんでしたから、今度は本部等への立入検査権を付与する。それから、廃止届を出して逃げられちゃいましたから、この廃止届事後届出制から事前届出を出してくれということに変更すると。それから、密接な関係にある者が指定取消しを受けた場合の指定、更新の欠格事由化を行うとともに、その事業者に面倒を見てもらっていた利用者が今度困ることに対して利用者対策もきちんとやる。それから、事業者における利用者サービス確保義務明確化というようなことで、こういうことの措置を今回の法改正で盛り込むということによって、コムスンのような今回の不正事案に対して対応しようというところでございます。
  10. 大河原雅子

    大河原雅子君 コムスンヘルパーの数を水増しするとか、資格のない人に架空、名前だけ置くとか、本当に許されない事件が組織的に行われたということはもちろんなくさなきゃいけないことです。  しかし、私、先ほども申し上げましたように、コムスン介護保険象徴のように言われて、もちろん実際コムスンで働いていた現場の職員の方たちは大変私が聞いたところでは評判いいんですね。一生懸命やっている現場のスタッフがいながらこういう状況が起こったと。そういった意味では、利用者側からの評価ももちろんあって、残念だというところもあります。  そして、実際、この事業が立ち行かなくなるということでは、何度も多分聞かれていらっしゃると思うんですが、民間開放した、つまり民間といっても利潤追求型の企業から非営利のNPOの段階までありますので一概に言えないと思いますけれども、いわゆる利潤を上げなければならない企業に道を開いたことでこのことが起こったんじゃないかというふうに思うんですが、この介護保険制度自体スタート時点でそういう利潤を上げる企業を招き入れるほどの制度になっていたのかどうか、それはどう思われるでしょうか。
  11. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 実は、私が母親を介護していたときにこういう介護保険制度がなかったもので、大変苦労いたしました。  それで、それをつくるときにもいろいろ知恵を働かせましたけれども、まず保険制度をつくると。しかし、いい制度つくったんだけれどもサービスを提供する方の数がなくて、保険あってサービスなしということが非常に危惧されたものですから。そして、社協がやっているこれは千差万別で、いいところもあれば悪いところもありますけれども、いわゆる本当に介護をしっかりやろうという経営者ではなくて、とにかく広大な資産を持っているからそういうことにかかわっているというような方のやられている事業が非常に良くないというようなことも聞いていました。  ですから、サービスを提供する方は民間も含めてたくさん入ってくる、そして利用者から見ると多くの選択肢がある、非常に小さなところがあってもいいし大手があってもいい。そういう選択肢を増やして、そしてある程度サービス競争をしてもらって、いわゆる競争のいい面をそこに入れていこうという。ですから、本来の趣旨自体は間違っていなかったと思います。ただ、コムスンについて言えば、やっぱり経営者としていかがなものかなということはあります。  それで、私は実はコムスンという名前に非常に思い入れがありますのは、私は福岡介護をやっていました。福岡の本当に先駆的な介護をなさっていた方の団体名前コムスンだったんです、御承知のように。そして、ところが、どういう経緯か知りませんですけれども、こういう大手に行っちゃった。ただ、コムスンという名前はある意味で私の介護の原点だったものですから、その名前を今度冠した事業者がこれだけの不正を行うということはもう非常に残念に思いまして、やはり企業経営体質、これがやっぱり最大の問題で、民間参入を入れたから即こうなったということではなかろうかなと、そんな感じがしております。
  12. 大河原雅子

    大河原雅子君 スタート当時のことおっしゃいました。サービスなくしてこの制度は成り立たないわけですから、急づくりヘルパーの増員、それから事業者を拡大するという意味で非常にたくさんの方たち参入されたということがあるんですね。確かに、今おっしゃったように、経営者の理念が余りにも利益主義になっている方もそういう中にはおられたかもしれない。  だけれども、今問題にしているコムスンは、そういった意味ではモデルとして認知を恐らく国もしていたはずなんです。だから、この企業が暴利をむさぼらないまでも、株式会社としてやっていくに足る利潤は上がるんだということが見極めがなければ入ってこないわけですよね。  そして、舛添大臣新潟労相会議にお出になっているときに、こちらで参考人の方の御意見を伺いました。そのときに、やはり企業が入ってくる、利潤を追求する営利企業が入ってくるということで、そこでどういうことが起こるんだと。今回のコムスン不正事件ということですけれども撤退をした中には、利潤が上がらない、参考人岩村先生に伺ったときに、企業なんですから、利益が上がらなければ撤退をするだけですねとおっしゃったんです。  私は、この考え方は、やっぱりこのコムスン事件で七万人近い利用者方々が言わば介護難民化しそうになったわけですよね。だから、そういうことを考えると、やはり利潤追求団体企業がこの介護保険制度参入をするということについて、やはりちょっと違うんじゃないのという思いを持っている方、あるいは、やっぱりそうだったじゃないという確信を深めてしまった方、多いと思うんです。  いま一度、大臣、恐れ入りますが、こういうもうからない分野に、と私は思いますが、企業参入させる、そこの視点はどんなだったでしょうか、私見でも結構でございます。
  13. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) その前に、皆さんに快く新潟にお送りいただきまして、ありがとうございました。  実は、その場でも、各国の労働組合それから労働大臣の会合でもありまして、CSR、企業社会的責任というのをいろんな面で議論を深めました。もちろん、企業というのは利潤を追求するということが企業定義そのものでありますけれども、もうこういう本当に企業社会の中で国民とともに生き残っていくためには、きちんとやっぱり社会的な責任を果たさないといけない。  私は、企業経営者というのは、ただ金もうけだけでやっているんではなくて、この業種を自分が選ぶということについて、やっぱり一つ使命感、希望、夢というのがあると思います。それは、かすみを食って生きているわけじゃありませんですから一定利潤は上げないといけない。しかし、なぜあなたはこういう仕事をしているんですかといったときに、やはりそこに社会に対する責任、意識、そういうものがあると思いますから、これはまた今後いろいろ介護保険制度介護そのもの制度を更に改善していくための努力は続けていきますけれども、そういう中で一定利潤はきちんと上げ、しかし社会的にもきちんと責任を果たすという、その両立は十分可能だと思いますし、まさにそれをやる経営者が本当に社会から尊敬される経営者だというように思っていますので、是非そういういい方向での展開ができるように私も努力をして枠組みづくりをやりたいと思っております。
  14. 大河原雅子

    大河原雅子君 今の時点での大臣のお答えはなかなか一致しない部分だなとは思いますけれども、今後これからの質疑でも伺っていきます。  コムスン営業撤退ということで、他の事業者事業継承してから約一年たちます。そこで伺いたいんですが、コムスンサービス提供をしていた以前と、それから現在事業継承されて、利用者には同等のサービスが提供されていなければならないというふうに思うんですけれども、この実態はどうなっているでしょうか。特に、コムスンしか事業者がいなかった地域があると思いますけれども、この地域についてはどうなっているのか、お答えいただきたいと思います。これは局長から。
  15. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) コムスンというのは大変大きな企業でございまして、利用者の方は七、八万人に達するというふうなことでございました。  それで、私どもといたしましても、この事業の継承を円滑にするというのが大変一番大きな配慮事項でございまして、コムスン自体といたしましても、コムスンが設置をいたしました第三者委員会をつくっていただきまして、その中で離島とか山間へき地を含めてサービス提供を継続していただくということで慎重に審査を行っていただいた結果、選定事業者を選んでいただいたという経緯でございます。  事業移行後の状態でございますが、私どもとしては、都道府県と市町村に対しまして、その後、移行先法人サービス提供が十分大丈夫だろうか、あるいは問題が発生していないかどうかということについて逐次報告を求めるようにしております。これまでのところ、特段問題があるというふうにはコムスン側からも、あるいは事業承継側からも、あるいは都道府県からも特に問題があるというふうには聞いておりません。  それから、今委員御指摘がございました、従前コムスンしかサービス提供事業者がなかった地域はどうかというお尋ねでございますが、私ども、例えば狭い地域では、ちょっと具体的なことを申し上げて恐縮ですが、例えば利尻島なんかでは半分は社協がやって半分はコムスンしかなかったというような事例はございますけれども、あと、小さい離島なんかでサービス提供コムスンしかやっていないケースが幾つかあったかと思いますが、それ以外の地域では大体代替できる事業者がかなり多うございまして、そういう意味では選定にそんなに大きな問題はございませんでした。  それから、今申し上げました離島とかへき地のようなところにおきましては、幸いにして事業を継承する、事業を引き続きやっていただく移行先法人が見つかりましたので、そこで適切にサービスが提供されているというふうに私どもは認識をしております。
  16. 大河原雅子

    大河原雅子君 報告は逐次受けているということで事業者、自治体からは報告されているということなんですけれども、私が問題にしているのは、前の事業者さんと今の事業者さんで一体利用していた方たちの声は受け止められているのかどうかということなんです。だから、報告は上がってくるんでしょうが、いわゆるきちんとした実態を調査するということで調査をしていただきたいと思うんですが、いかがですか。
  17. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) これはコムスン第三者委員会のときのどういうところに事業承継をするかというときに、きちんとしたサービスを継続するという条件をあらかじめちゃんと両者の間で決めて対応はしております。  それで、確かに御指摘のように、利用者の方からの直接な声が私どもに上がっているかというと、そういうことにはなっておりませんが、私どもとしては、都道府県なり市町村で十分にこの状態をウオッチしていただいて、もし問題があれば当然すぐに指導するというふうにしたいと思っております。そういう意味で、これからも都道府県あるいは市町村と十分連携をいたしますし、それから移行しました事業者に対しても十分な指導をしていきたいというふうに思っております。
  18. 大河原雅子

    大河原雅子君 実態調査は私は絶対必要だと思っています。というのは、今回大きな企業が入ってきて自治体はそこに任せるというちょっと気持ちになってしまって、自治体が独自にやってきた、社協などがやってきたサービスもかなりなくしてしまった上で入った、そしてそれがなくなったと。いわゆる大規模店舗が入って周りの商店街が駄目になっちゃって、経営立ち行かなくなって大きな店舗が去った後シャッター通りになっちゃった、ああいうような状況がこの福祉の分野でも起こるんじゃないかというふうに思うんですよ。  だから、今もたくさんの企業がありますけれども、先ほど申し上げましたように、企業利潤が上がらなくなる、もうけの見込みがなくなれば撤退をする、そういうことは今後も起こらないとも限らないわけですよね。そういった意味では、是非実態の調査、例えばサービス量がどういうふうに減ったのか、満足度はどうなったのか、そういうことも含めて是非調査をしていただきたいし、この委員会に御報告をいただきたいというふうに思います。  委員長、この調査を是非委員会で報告を、結果を受けていただきたいと思います。
  19. 岩本司

    委員長岩本司君) 理事会で協議いたします。
  20. 大河原雅子

    大河原雅子君 保険あってサービスなしという状態になっては困るということで、多大な事業者、それから人材がその時点で急造されたというふうに思いますけれども、その以降は非常に介護保険制度の見直し、また報酬の切下げ、そういうことがあって、実は事業者自体は非常に経営が厳しい状況になっているということがあると思うんです。  なぜかといいますと、このコムスンがこういう事業譲渡しなきゃならなかったときに、たしかワタミの社長さんが訪問介護事業所、訪問介護の部分は採算取れないから買う意欲は起こらないというようなことをおっしゃっていたと思うんですよね。だから、切下げ切下げで来た中に、やっぱり経営状況事業所を圧迫しているという状況があるんじゃないでしょうか。  それは、事業所だけでなくNPOなどにとっても非常に経営上厳しい状況に置かれる。むしろ育てようと、つくり過ぎちゃったんでちょっと絞っていこうかという、そういう厚労省の意図を感じてしまうんですけれども、厳しい状況に置かれる政策に転換したのはどうしてなんでしょうか。
  21. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 増え過ぎたから絞ろうという考えではございません。むしろ新しい制度を入れてサービス事業者の、これはNPOも民間も含めて参入を増やしていく。しかし、そういう中で、今回の悪質な事例もありましたけれども国民というか利用者の立場から見てこういう事業者のやり方は困りますねということに対してはやっぱり法を改正していかないといけない。それで規制の強化ということを行っています。  私は、何もかも規制をするというのは、これは自由な活動を阻害しますけれども、しかし、介護という本当に一人一人の国民の命に、体にかかわることについて、例えば余りにでたらめな事業者があれば、もうその方々は、東京ででたらめが発覚した、じゃ大阪に逃げていってやれるのかといったら、そういうことはできませんよというのを十七年で入れたわけで、これは、こういうことをやっちゃ駄目ですよというのはもう残念ながら増やさざるを得なかったと。  それは、介護保険制度が今後とも持続可能なものとしていく、そして国民介護保険料を払っているわけですから、そして半分は税金でやっているわけなんで、これは信頼に値する制度だということを担保するためにやっているんで、数の調整をやるためにやっているものではないということは是非御理解賜りたいと思います。
  22. 大河原雅子

    大河原雅子君 もちろん、数を調整するためにやられたらたまらないわけなんですけれども、現実にやはり報酬を切り下げたと、そのこと自体はだれが考えても事業所を圧迫していますよね。  私は、今日資料に付けましたが、これも新聞の見出しで、分かりやすいので、恐縮ですけれども付けました。これで見ていただければ分かりますように、ホームヘルパーを派遣する訪問介護事業所というのは、制度開始直前の二〇〇〇年三月末には九千百七十四か所でその後毎年増え続けてきたが、昨年三月末、前年比で六百六十二減、二万七千二十か所に減った。介護保険制度の中心になるべきサービスを提供する事業所がこのように減少をしているという事実がやっぱりあるわけなんです。  不正を働くような事業所はやはり淘汰されるべきだともちろん思います。でも、一生懸命やっているのにサステーナブルじゃない、莫大な利益を上げるわけではないけれども本当に良心的にやってきて、継続的に地域に密着をしてやっていこうという事業所がどんどんつぶれている現実が今ここにあるわけなんです。  この時点で、やはり報酬切下げが影響しているというふうには大臣思われませんか。
  23. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 実は、本当にこの原因がどこにあるかと、やっぱりしっかり実態調査をやる必要はあると思って、今それをやらせております。また、これは調査結果をしっかりと受け止めて分析をする必要があると思いますけれども、まず一つは、介護現場に来られる人は、つまり人員の不足ということで急激に減っております。それから、今委員がおっしゃったように、経営が困難であると。それから、若干その競争も厳しいわけですから、都市部なんかにおいて、そうすると、これはまさに業績不振で淘汰されるというようなことがあります。  今お示しになった記事にありますように、若干この訪問介護事業者数が減少している。ただ、十九年度について細かく調べてみますと、これはもうあれだけ大きな組織だったコムスン撤退したんで、これの影響がほとんどなんですが、しかし、いずれにしても、介護事業所それから介護現場で働く人たち状況というのは非常に厳しいものであるということは私は認識しております。  さらに、現状をしっかり調べた上でどういう形でこれを改善できるか、それを今大きな一つの政策課題として取り組む体制を整えつつあるところでありますので、必ず介護現場で働く皆さん方が生き生きとして夢を持って働けるような職場づくり、そして経営に当たる方々使命感自分の信念でおやりになっているわけですから、それが経営の面でかなうような、そういう枠組みづくり、それは全力を挙げてやりたいと思っております。
  24. 大河原雅子

    大河原雅子君 まだなかなか通じないかなと思うんですが、これコムスンショックじゃないですね。コムスンでもちろん介護事業所の数は減りましたよ。だけど、地域で本当にコムスンだけの影響だとだれも思っていません。一時期はそう思っても、慢性的にもう経営難になってきている、もう人材が雇えなくなって、確保ができなくなって閉じるところもあるわけなんです。  それと同時に、実は事業所に対していろいろな義務を課す、それにまたコストが掛かるということで、一つ象徴的なものを私は取り上げたいと思います。  介護サービス情報の公表の義務化ということで、〇六年に改正をしたときに義務化がされました。事業者の基本的な情報を開示をするということですよね。事業者は調査と公表にかかわる経費を負担することになりまして、二〇〇八年度一事業者当たりの全国平均額は四万五千四百八十八円というふうに言われているんですけれども、情報公開の対象数、これは昨年の七月現在で情報公開対象事業数は十一万二千百七十一か所ですね。それで、これに平均額、先ほどの平均を掛けてみますと、およそ五十一億円になるんですね。  それで、これは、ちょっと東京都のホームページ、社協のホームページから取ってきたんですが、介護サービス情報の公表制度介護サービス事業所選びを応援しますということなんですけれども、御存じですよね、大臣。  それで、今お話しさせていただいた、これ一件、一つサービスについて先ほどの平均額が掛かるんですね、四万五千円。もし、二つのサービスをやっていたら二つ分掛かる。しかも、それは情報としてインターネット上に提示されるだけなんですけれども、まず先に、この各事業所ごとの負担金の算出の根拠、これと、また集められたお金がどのような目的で使われているのか、どのような使途、どのような状況で使われているのか、このことについて御説明をいただきたいと思います。
  25. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 介護サービスの情報の公開制度でございますけれども、これは、そういう意味では介護事業者にも一定のメリットがあるということで私ども想定をいたしております。  ただ、この経費の問題でございますけれども都道府県の自治事務でございますので、各自治体が手数料を徴収するか否か、その額をどうするかということにつきましては、都道府県の判断で条例で決定をするということになっております。  ただ、この金額が非常に高いという指摘がありますので、私どもとしても、事業者に過大な負担とならないように都道府県に対して十分手数料水準を引き上げるようにという指導をずっといたしております。その結果、それなりの効果は出ておりますけど、まだ十分ではないと思っておりますので、更に指導をしたいというふうに思っております。  それから、御指摘の公表制度の手数料がどういう根拠でなされているかということでございますが、これは各都道府県で調査の事務費用がございます。調査員の研修でございますとか、あるいは調査員の登録の経費、あるいは人件費、それから旅費、管理運営費等、それから公表事務費用としてサービスの情報の入力の費用、あるいは公表システムの運営、補修に必要な経費等々、そういう公表に必要な事務費等を積算いたしまして算定をしているということでございます。
  26. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 実は委員、この制度が入ったときから、これ、私のところにも、もちろん大臣やっている時代じゃありませんけれども、ずっと介護保険制度にかかわってきましたので、いろいろ介護事業者方々からこういう負担どうだというのはありました。  ただ、いつも思いますのは、今日はこの介護の法律の改正なんですが、例えば、いつも私も申し上げていますんで、医師不足とか、医療現場で産科、小児科の話になると、どうしても私たちは産科、小児科のお医者さんと聞いて、訴訟リスクに対してこうしてくれ、どうしてくれというのはあるんですが、逆に利用者国民の声というのも聴かないといけなくて、私がちょっと一歩踏み込んで、若い産科医の勤務医の皆さん、こうしましょうとか、事故原因についてはこうですよと言うと、大臣国民の方を向いていないんですかと、お医者さんの方ばっかり向いているんですかと。今度、介護やる事業者の方向いているんですかと、事業者負担があると、だけど私たち国民はどの介護事業者がどれだけのサービスをしているのか、ちょうど病院探すときにどのお医者さんがうまいか、どの歯医者さんがうまいか教えてくれというのをみんな知りたいと同じように。  そうすると、そこにおいては本来はそれぞれの事業者皆さんが宣伝すればいいんだけれども、過大の宣伝があったり正しくなかったりというふうなことがあってこういう制度を入れたので、確かにおっしゃるように金額が、負担が重過ぎるというのはあると思います。これは、いろいろ指導できるところはやりたいと思いますけれども、その利用する国民の側の声も実はあるんだという、もう当たり前のことなんですけど、それを一言申し添えさせておきたいと思います。
  27. 大河原雅子

    大河原雅子君 大臣、恐れながら、これは国民の声を聴いているのかというのと、どっち向いているんだ、大臣はというのがまさに問われるこれ課題なんですよ。  事業者負担を増やしちゃったということがありますね。もちろん、利用者事業者が的確に、ケアマネさんがどういうサービスをセットしようかという、情報をもちろん開示をすることが義務付けられたのはいいことだと思います。だけど、そういう情報というのは、もう既に自治体のホームページにも実はあるものなんですね。  先ほど局長に、集めたお金の使い道はどうなっているのかということを伺ったんですが、この介護サービス情報の公表制度にかかわるお金の出入りについて、これはなかなか分かりません。  負担金だけが徴収をされていて、もちろん、さっき自治事務だとおっしゃって、これは自治体がやっているからとおっしゃったんですが、それを義務付けたのは国の法律で義務付けているんですよね。だから、それをつくる前に自治体の声を聴いていらっしゃるのか、その上でこれをしているのか。要するに、表示の手数料と調査のお金と、そして調査をする会社指定をしているわけなんです。でも、そこの出入りがどうなっているかについては情報公開がないと思います。  是非、委員長、この介護サービス情報の公表制度についての使途、お金の流れ、それから現状の出入り、毎年これ更新するために事業者にお金が掛かっているわけですから、これについて委員会として資料を提出するようにお願いをしたいと思います。資料要求をお願いします。
  28. 岩本司

    委員長岩本司君) 理事会で協議いたします。
  29. 大河原雅子

    大河原雅子君 恐れ入ります。  重ねて伺いたいんですが、この制度、アクセス数は二〇〇七年の五月段階、去年の五月までに二十二万件のアクセスがあったというんです。でも、事業数は先ほど申し上げましたように十一万二千百七十一か所。単純計算しても、一事業者に二回アクセスがあったかないか。それだって、自分のところの情報がどう出ているかなって一回アクセスしたら、それは一カウントですよね。  私は昨日夜開けてみたんですが、東京都の方の公表センターの方から開けてみましたが、非常に使いにくいものでした。何度も何度も検索をやり直さなきゃならない。大臣と私、世田谷に住んでいるわけで、世田谷のホームページなんか本当にすぐに、一覧表でどういうサービスをするか出てきます。  この制度ができたことで、小さな事業者方たちも、金銭的な負担があるだけではない。この調査を受け入れるために、基礎情報は事業所が作ります、その作成。それから、調査員が来るのを迎えてその対応をしなきゃならない。お金も時間も、負担ばかり掛かっていくというのがこの制度なんです。  それで、既に別物ですけれども第三者評価というシステムもある中で、どうしてこういうことを両方並立させるのか。しかも、自治体でやっていることを上回るものでは全くないと私も感想を持ちました。  実際にこの制度ができてどのぐらいの契約に事業者皆さんが結び付いたとおっしゃっているのか、実態はどうなっているのか、調べられているでしょうか。もし調べていないんだったら是非とも調べてほしいです。いかがですか、局長
  30. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 先ほどちょっとお話がございました、事前に自治体と相談したのかというお話でございますけれども、それは私どもとしても、この制度スタートさせるに当たりましては、自治体の意見を十分聴いて、打合せをした上でこの制度スタートをしております。ただ、今の仕組みは私ども万全だとは思っておりませんので、いろんな形で改善をする必要があるというふうに思っております。  特に、今御指摘ございましたアクセス件数につきましても、月二十二万件ということでございますので、それが多いか少ないかというのはいろんな議論の分かれるところだと思っておりますし、それから、どういう情報をどういうふうに提供していくのかということについてはやはりもう少しいろんな工夫をしなきゃいけないと思っておりますし、また、御指摘いただきました、小規模な事業者の方にとって単にコストの面ではなくて時間的にも大変負担があるというふうなお話もございますので、その辺については私どもとしても十分改善する方向で考えていきたいというふうに思っております。
  31. 大河原雅子

    大河原雅子君 これはやはり事業者の方の声としても、非常に改善を求めるというか、廃止を求める、不必要じゃないかと。ここで直ちに不必要だ、要らない、やめろと言うのは簡単過ぎると思いますけれども、調査をやはりちゃんとしていただいて、要らないものはやっぱりなくすべきだと私は思います。  実態調査はなさいますか、どうですか。
  32. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 先ほどの調査機関の費用の問題の公表の問題とかという御指摘もございましたので、この実態についてもう少し十分調べて対応していきたいというふうに考えております。
  33. 大河原雅子

    大河原雅子君 是非、実態調査やってください。やるという御答弁と解釈してよろしいですよね。  それで、是非これが効果ですね、これだけのコストを払ったわけですから、契約に結び付いているのかどうか、事業者のアクセスが多かったのか、じゃ利用者がちゃんとこれを使ったのか、そういうことを調べていただきたいです。  次にもう進みたいと思います。  是非、先ほど要求をいたしました資料、よろしくお願いします。御報告をお願いします。不必要なら廃止をすると、無駄遣いはなくすというのは当たり前のことだと思います。  それでは次に、コンプライアンスを追求するということもありまして、これまで法改正が行われるたびに、今回のこの公表義務化もそうですけれども、事務作業量と事務経費が増えてきたという声が寄せられております。今回、このコムスン、いわゆるコムスン法規制強化改正で更に事務量が増えるというふうに懸念する声が高いです。  例えば、業務管理体制整備義務化について、事業所負担を少なくするような方向性もあると聞いています。それは事務所の規模に応じた対応をするということなんですけれども、この事務量は増えるのか増えないのか。それとともに、規模に応じてどのような体制を取るおつもりなのか、規模の分類や対応の差について御答弁いただきたいと思います。
  34. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 事務処理あるいは事務経費が増えるというのは問題だという御指摘も一方でいただいておりますので、その辺については介護保険制度全般の運営の意味でも私ども重要な関心を持って対応しているつもりでございますけれども、今回の改正でございますが、事業者業務管理体制整備について、やはり指導監督をしていらっしゃる方から最初は一定届出をお願いせざるを得ないというふうに思っております。  そういう意味では、業務管理体制整備状況を市町村なり都道府県が確認するためにはそれは必要だろうと思っておりますが、その際には、事業者の立場に立ちまして過度の負担とならないように、その業務管理体制整備状況についての指導監督に支障が生じない範囲で記載事項も必要最小限のものにするというふうに考えたいと思っております。  それで、今規模の話が出ましたけれども、私どもとしてもこのコンプライアンスの体制整備については当然、小規模のところ、それから中規模のところ、大規模のところ、それぞれ対応、内容を少し変えていきたいと。そうしないと特に小規模の事業所については大変きついことになりかねないので、できる範囲でコンプライアンスを徹底していただくという意味から対応を考えたいと思っております。  これから先の議論でございますけれども、例えば事業所数にして五十以下のところ、あるいは五十から百のところ、あるいは百以上のところというふうな形で区分をいたしまして、それぞれ法令遵守の担当者を選任していただければいいというものから、マニュアルを作っていただくべきものなのか、あるいはさらに内部監査をやってもらうものなのか、その辺については十分めり張りを付けて対応を考えたいというふうに思っております。
  35. 大河原雅子

    大河原雅子君 ちょっとピッチを上げていきたいと思うんですが、今の法令遵守の責任者、イメージがよく分からないんです。  コンプライアンスを守るというのはもう当たり前のことで、総責任者はその事業所企業のトップだと思うんです。ところが、今これを義務付けをして体制整備責任者を位置付けるということなので、特別なことを、例えば研修をする責任者とか計画を作るとか、もちろん名前だけではないと思うんですけれども、そういった意味ではこれは新たな事業所の中にある役割を持つ人ができるということで、特別の費用、例えば介護報酬の加算というものが付くようなものと考えてよろしいんでしょうか。
  36. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 御指摘のように、コンプライアンスの徹底というのは事業体として当然のことでございますので、今あるコンプライアンスを更に徹底していただくということでございます。したがいまして、法令遵守の担当者につきましては特別にその資格要件を課すとか、そういうことは考えておりませんので、それをまた特別な仕事を特にお願いすることから介護報酬の上で評価するというふうなことは現在のところ考えておりません。
  37. 大河原雅子

    大河原雅子君 先ほど規模に応じてこの体制整備責任者を置くということをおっしゃっていましたけれども、例えば、コムスンのときに社長がなかなか呼べなかったということがあるんじゃないんですか。例えばこれは大きくなればなるほどコンプライアンスの責任者を置く、例えば一般企業を考えたら今そういう方って例えば総務部長さんがそういう役割を負って、コムスンのような事件が起こってもそういう、はい、じゃ総務部長行ってきてくださいというようなことになりかねないんじゃないかと私は思いますけれども大臣、感想をどうぞ。
  38. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 社長を逃がすためにコンプライアンス担当者を置くわけじゃなくて、まあこれは事業所の規模によりけりですが、ある程度やっぱり大きくなったらそういうことをきちんと職責としてやられる方がいた方が私はいいというように思います。
  39. 大河原雅子

    大河原雅子君 この方の職責、役割、やらなければならない仕事というのは今のところ項目として出ているわけではありませんよね。先ほど、そういう意味では加算の対象になるような仕事ではない、コンプライアンスは当たり前のことだということを考えれば、そういう仕事にはならない役割だというふうに認識しますが、それでよろしいですか。
  40. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 介護報酬というのはサービス提供の対価として考えるわけですから、これは事業者事業者の内部の問題としてコンプライアンスを徹底して考えていただくということです。  大臣も今御答弁されましたように、ある程度の規模のところですと、当然やはりコンプライアンスについての責任者というのを例えばきちっと定めて内部的にも監査をできるような体制をつくる、あるいはちゃんとしたマニュアル、ガイドラインを作るということは、大きな規模のところでは当然やれるわけでございますし、それは現にやっているわけでございますからそれを徹底すると。  ただ、小さなところではそういうことはなかなか難しいので、その法令遵守の担当者を決めるということだけにするというふうなことはできないかというふうに考えております。
  41. 大河原雅子

    大河原雅子君 小さなところでこの役割を担っているのはもう当たり前にやってきています。更に細々としたことを付け加えれば負担が増えるというのは目に見えているというふうに思います。  次に移りますが、サービス提供責任者というのが前回の法改正サービスの適正化に向けてつくられました。この方の仕事というのは八項目にわたって内容が決められまして、そしてさらに、このサービス提供責任者というのは配置の基準まで、四百五十時間以上に一人、ヘルパー十人につき一人、こういう基準が決められています。しかし、いわゆる報酬が確定をできない、加算というような形で設置がありませんでした。これはなぜでしょうか。
  42. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 御指摘のように、サービス提供責任者でございますけれども、今お話がございましたように、役割としては八項目ぐらいございます。訪問介護計画の作成から介護員に対する研修、技術指導等に至るまで、かなり広範囲の仕事をお願いしている。また、各訪問介護事業所で相当重要な役割を果たしていらっしゃるということは認識をしております。  私ども介護報酬の考え方でございますけれども介護報酬というのは、あくまでも行われた介護サービスに対してどういうふうに対価を支払うかということでございますので、サービスの内容に対して幾らという形で設定されているということでございます。確かに、私どもこのサービス提供責任者が重要な役割を果たしているという認識は委員の御指摘のとおりでございますので、その上で、報酬の上でどういうふうに評価をするということかにつきましてはいろんな御意見がございました、率直に言って。  したがいまして、今後、社会保障審議会の給付費分科会で十分に議論をしていただきたいというふうに考えております。
  43. 大河原雅子

    大河原雅子君 サービス提供責任者の業務内容というのは、人材確保利用者の確保の営業とかそういうこともありますけれども、訪問介護計画を作って、稼働の予定表を作って、ヘルパーさんのほかの方たちの仕事の管理をして、そして請求事務もするとかいろいろあって、実はケアマネジャーと同じような、勝るとも劣らない仕事をしています。もしヘルパーの方の穴が空けば、自ら出向いていってヘルプもすると、ホームヘルプサービスもしてくるんです。だから、もうくたくたなんですよ。そういうことは御認識ですか。  私は、ケアマネジャーにきちんと報酬が付いていて、このサービス提供責任者にそういったものがきちんと与えられていない。じゃ、現状どういうふうにやっているかといえば、与えられている報酬からそれを、言葉は悪いですけれども上前をはねる形でこの方に報いるしかないんですよ。  是非、今後の改定のときにサービス提供責任者をきちんと位置付けるという、報酬の面で位置付けるということも必要だと思いますが、どうでしょうか。
  44. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 今御答弁いたしましたように、サービス提供責任者が極めて利用者の方にサービス提供するに当たって重要な役割を果たしているということは私ども十分認識をしております。特にヘルパーさんの全体のコーディネートといいますか、例えば、ちょっとヘルパーさんが急に来られなくなったときに例えばサービス提供責任者が出向いていくと、そういうピンチヒッターみたいな役割も実際にされておって、大変ないろんな意味での負担になっているということは私ども承知はしております。  ただ、それを介護報酬の上でどう評価するかということになりますと、介護報酬といいますのは、ヘルパーさんの人件費でありますとか、事業所の間接的な経費でありますとか、事務所の経費でありますとかあるいは減価償却でありますとか、そういうもの全体を含めて個々のサービス提供に当たって幾ら対価をお支払いすればいいかという形で設定をいたしているのが今の仕組みでございます。  したがいまして、今後、介護報酬の設定をするときに、もう少し、サービス提供責任者の役割、機能というものを介護報酬の上でどう評価していけばいいのかということについては確かに重要な課題でございますので、今後、審議会で十分御議論をいただきたいというふうに考えております。
  45. 大河原雅子

    大河原雅子君 サービス提供責任者の役割って本当に大きいです。そして、もしこの方が、必置になっているわけですから、疲れ切って辞めてしまえば、小さなところだったらこの事業の継続ということに課題が出てきてしまうわけなんですね。    〔委員長退席、理事家西悟君着席〕  ですから、この問題は本当に急ぎます。この介護人材の法案の中でも来年までに必要な措置をとるということが掲げられている法案を審議しているわけですから、これについては是非とも大臣の姿勢をお示しいただきたいと思います、短く感想、短くです。お願いします。
  46. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 来年四月の改定のときに、このサービス提供者に対してしかるべく介護報酬というのをきちんと設定したいと思っております。
  47. 大河原雅子

    大河原雅子君 次に伺いたいのは、訪問介護サービスにおいて、現場に行くといろんなことが起こるんです。利用者さんの状態がどんどん変わるということで、立てられていたプランを現場で変えざるを得ない場合があります。ケアプランにないサービス利用者の体調などの理由によって変更した場合も、実は適正化の中では不正請求というふうに言われて返還を求めるケースが相次ぎました。変更する際に事前利用者から依頼されて、また利用者の変更をするという確認も持っているのに、ケアマネと事業者の変更承認、これも得た上で不正と見なされた事例があるんです。  こういった利用者の本意から外れた過剰な監査というのがあると思うんですが、厚生労働省はこういった実態を把握しておられるでしょうか。
  48. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 全体として今どういう状況になっているのかという意味では十分把握はいたしておりませんけれども、今委員が御指摘いただいたようなことが個々にあるという話は私ども聞いております。  したがいまして、平成十九年の二月に、実地指導のための基本的な知識あるいは利用者生活実態の把握、サービスの質の確認方法について記載をいたしました介護保険施設等実地指導マニュアルもお示しをして、各自治体に指導を徹底しております。  今御指摘ございましたケアプランの事後的な修正の問題でございますけれども、高齢者の状態像というのは確かに変化しやすいわけでございますけれども、ですから、当初は生活援助だけだったけれども、急に、例えば失禁するというようなケースがあって身体介護である排せつ介助が必要になったような場合があると。そういう場合にサービス内容を変更して利用者支援するということはそれは大変必要なことでございますので、それについては当然、ケアプランに位置付けられているサービスが変わって必要なサービスを修正して位置付けるということがあっても、それは問題がないというふうに思っております。  ただ、それが十分各都道府県なり市町村に徹底してないという面があろうかとすれば、それは私どもとしても、今後とも、マニュアルとかこの解釈の周知徹底を努めて、できるだけそのばらつきがないように標準化を指導していきたいというふうに考えております。
  49. 大河原雅子

    大河原雅子君 標準化というふうなことで、ただやはりずっとの歴史がありますから、国が何か出したときに過剰反応するということもあるんですね。そして、もちろん保険者として見れば、地域の保険の会計を大きく乱したくない、マイナスに持っていきたくない、だから抑制ももちろんしてしまうというところがあります。  そして、ケアマネさんが立てたプランを変更する、利用者の意思で変更するというところ、あるいは変更せざるを得なかったと。例えば、ホームヘルプに行ったんだけれども、今日は買物ということで行ったけれども、実は利用者さんが例えば失禁をしていて身体の介護をしなきゃならないとか、いろんな例があります。あるいは、今独居の方が多いですから、行ってみたら利用者さんが具合が悪くなって救急車を呼ばざるを得ないような事態とか、そういった場合も、笑い話のようですけれども、立てられていたプランと違うわけですから全額自費にしてください、プランとしては認めないと、介護報酬の、それはできないというようなことになっているわけですよね。  だから、そういった意味ではこの介護保険の本旨、利用者のニーズに合わせて変更もやりやすく、そしてもちろん、簡便に不正が行えるような変更は困るわけですから、そこの点をきちんとチェックできるようなことを、地域の声、現場の声を聞いて対応していただきたいというふうに思います。  次に、同居家族がいることでサービスの削減が行われて、制限が行われていることについていろんなところから声を聞いております。そして、今日資料にも付いておりますけれども、通知も昨年十二月二十日付けで老健局の振興課から各都道府県の主管課に事務連絡という形で、同居家族がいる場合における訪問介護サービス及び介護予防訪問サービス生活援助等の取扱いについてというのを出されておりますけれども、市町村は本当に同居ということの、家族がいるということで、昼間はお独りでいらっしゃる方、あるいは週末しか遠くからやってこない御家族や対応者、介護者がいるということも同居とみなして非常に判断を厳しくしているということがあるんですけれども、通知どおりの同居家族がいることを判断基準にしないということを徹底していただきたいと思うんですが、局長いかがでしょうか。
  50. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) この点につきましてはいろんな御指摘をいただいておりまして、私どもいろんな機会を通じて周知をいたしております。それで、今委員がお配りいただいた事務連絡もその一環として去年の十二月に明確にするように出したところでございます。特に、お話ございましたように、一律機械的にサービスに対する給付の可否を決定するというのは極めて問題であるというふうに考えております。あくまでもその個々の利用者状態において、そのケアマネジャーさんが適切なケアマネジメントを行うという前提で必要なサービスが提供されるべきだというふうに考えておりますので、私どもといたしましては、この点については更に各都道府県、市町村に周知徹底を図っていきたいと思っております。
  51. 大河原雅子

    大河原雅子君 それでは、介護サービスを受けるときに重要な要介護認定の調査項目について伺いたいと思います。  資料も配付しております。資料の四です。  削減候補ということで、五月の二日に要介護認定調査検討委員会において要介護度を判定するためのチェック項目、現在八十二項目あるわけなんですが、その三割に当たる二十三項目を対象から外すべきだということが決まったというふうに聞きました。これについてはどのようなことが、これは事実でしょうか。それと、どのような目的でこれをなさるんでしょうか。
  52. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 結論から申し上げますと、まず、今検討会で議論していることは事実でございますが、決まったということではございません。あくまで二十三項目については現在削除の候補の対象になっているということでございまして、これを最終的にどうするかということにつきましては検討会でもこれから十分議論いただきますし、それからまた、また各方面からの御意見を聞いて最終的に判断をしなければならないものと思っております。  なお、今回の考え方でございますけれども、五月の二日に実施されました要介護認定の調査検討会では、現在八十二項目の調査項目、それから新たに加えられました六つの調査項目候補に検討を加えていただきまして、削除しても要介護度判定に影響がない、あるいは認定業務が効率化できるのではないかというような項目の中で、要介護状態の悪化と統計学的に有意に関連している項目を除いてはどうかという候補項目を出しているということでございまして、これから議論をしていくということでございます。
  53. 大河原雅子

    大河原雅子君 今これが確定ではないということでこれからまだ変える可能性があるということですよね。  削除項目には認知症にかかわる項目が入っているというふうに思いますけれども、認知症、もういろんな状況がありますけれども、大変傾向として判定が低く出てしまうということがあります。それで、この介護認定の項目というのは非常に重要な意味を持つわけなので、要介護認定調査検討委員会議論だけで結論にはしないでいただきたいと。是非とも早く、広く様々な立場からの意見を聞く機会を設けるべきだというふうに思いますが、大臣いかがでしょうか。
  54. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) おっしゃるとおりで、やっぱり現場の声、家族の声、これを聞く必要があると思いますね。この中の十四の火の不始末なんというのは、私がコメントするとこの認定委員会に影響を与えるといけませんけれども、彼らは彼らでやっているんでしょうが、例えば火の不始末なんというのはあれですよ、要介護度五で寝たきりなら関係ないんですよ。ところが、要介護度低くて、しかし火の不始末であれば大変これは大きなことになります。だから、こういうことも含めてきちんとやっぱり現場の声を聞いて検討して決めるべきだということが一つ。  それから、まあ完璧な認定項目はできないにしろ、二次審査のときにそういうこともきちんとこれはできるような体制ということも再確認したいと思っております。
  55. 大河原雅子

    大河原雅子君 本当に一人一人の高齢期を支える介護保険制度ですので、こういった認定を受けるときに不公平のないように、そしてその人の現状をしっかりと受け止められる調査項目を作っていただきたいというふうに思います。そのためにも、今広く意見を聞くという、そのことは前向きに受け止めさせていただいて注目をしております。  最後になりますが、財政状況の厳しさを考えれば、介護点数、報酬の切下げというもの、それが大幅になっていくというのはなかなか、しようがないんじゃないと思う人もいるかもしれませんが、ごく少数だと思います。そして、このコムスンの問題も、営利目的の事業者ということでのイメージもちょっとできてしまいました。そして、現実に利潤追求するというのは大変難しい、介護分野というのはやはりなかなか大もうけはできない分野だというのはもう認識がされているというふうに思うんです。  それで、大臣思い出していただけるでしょうか。昨年の十一月に私初めてこの厚生労働委員会で質問に立たせていただいたときに、協同労働というか、雇う雇われるという関係ではない働き方のことをお伺いをいたしました。それで、その後のことなんですけれども、これは協同労働を行う協同組合の法制化ということで超党派の議連ができまして、現在自民党から野党まで百二十八人の議員が加盟をしております。そして、この法制化については全国で一万を超える賛同団体ができております。  そして、四月の十八日でしたか、厚生労働委員会、衆議院の方で大臣質疑の中で、人材確保と労働の現場の改善のためにどういうことを考えているかと聞かれて、こういうふうにお答えになっていたんです。地域全体の介護力を上げる。実を言うと、地域コミュニティーを復活させるということの意味も、介護をめぐって考えないといけない問題だと思いますから、今現代の日本社会が直面している様々な問題がそこに凝縮していると思うというふうにお話しになりました。    〔理事家西悟君退席、委員長着席〕  まさに地域の再生、要するにもうからなくなったからそこから撤退をしてしまうというような企業、そこで働く働き方、働く人に影響が出るということではなくて、その地域にとどまり、その地域だからこそ育てられる働き方というのもあると思うんです。協同労働というのは、私はまさしく大臣が四月十八日に衆議院でおっしゃったそのことを実現するためには大きく力を発揮するものだというふうに思います。  重ねて大臣に、協同労働の法制化を求める動きが出てきましたので、お考えを伺いまして質問を終わりたいと思います。
  56. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) ヨーロッパなんかで協同労働ということでいろんな先駆的な取組があります。そして、これを例えば介護現場にどういう形で生かせるか。そして、既存の会社法とか中小企業組合法とかいろいろあります、その既存の法制度の中でどう位置付けられるか。そして、今御紹介ありましたように議員連盟もできました。それから、この問題に取り組んでおられました連合の笹森前会長は私の昔からの友人でもございますので、笹森さんともまた議論しながら、議連の動きも注目を持って見ながら、こういうのをひとついいアイデアはいろいろ取り組んでいきたいというふうに思っております。
  57. 大河原雅子

    大河原雅子君 終わります。
  58. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 おはようございます。民主党の森ゆうこでございます。  皆様のところに今資料をお配りしていると思うんですが、ちょっと順番を変えまして、一番下に一枚だけ新聞の記事がございます。「延命中止 書類送検へ」という記事がございますが、この件について大臣の御所見をまず伺いたいと思います。  富山県射水市の市民病院での延命治療中止問題で、元外科部長が殺人容疑で送検される見込みとの記事が出ました。  私はこの委員会で、大臣が替わるたびに終末期医療の問題について、これは大変デリケートな問題でございます、個人の死生観、家族の心情等、本当になかなか議論することがタブー視されるような部分もございまして、大変難しい問題なんですけれども、それぞれの大臣に伺ってまいりました。  今般、この終末期医療につきまして、後期高齢者医療制度だけに初めて診療報酬が付けられるということで大変な批判を呼んでおりまして、私は、正直申しまして本当に残念な思いでございます。後期高齢者医療制度と一緒に始めてしまったものですから、年寄りは早く死ねというのかというふうに誤解をされてしまった。私は、これは非常にまずかったと思います。しかしながら、この終末期医療の問題については、冷静に議論を我々はしていかなければならない問題でもあるというふうに思っております。  川崎大臣のときにお願いをいたしまして、大臣が号令を掛けていただいて、終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン、これを平成十八年の十二月にまとめていただき、平成十九年の五月に厚生労働省の方で公表されました。  この終末期医療の問題につきまして、大臣の御所見を伺わせていただきたいと思います。
  59. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 終末期医療の問題、そして自分の死をどういうふうに見詰めるか、こういう問題は極めて重要な問題でありまして、いわゆるリビングウイル、これを法制化できないかということを私も大臣になる前に随分取り組んでまいりました。そして、これは国民全体にかかわる関心事であるべきだというふうに思っていますし、いろんなところで取組を既になさっている方もおられます。  そういう中で、まず、個々の事件についてのコメントは差し控えたいと思いますけれども、やはりこれはもう少し議論をきちんとやって、国民のコンセンサスとして、終末期について直面する勇気と、そして周りもそういう理解ということが必要だろうというふうに思います。例えば、介護保険制度があります。それと車の両輪として成年後見制度というのがある。しかし、残念ながら、こちらの方の車輪の方は余りうまく動いていません。ということは、終末期医療との絡みにおいても、どうしても国民の認知度が低くなる。  それで、私は、今大変重要なことを森委員がおっしゃったと思いますのは、この終末期医療、このことはリビングウイルを含めて非常に大事だということの思いがあって、実は後期高齢者医療制度の中にそれが診療報酬という形で入ったんですけれども、意図がたとえ善意であっても結果として全く逆のことが起こることはあり得ると、私はひょっとしたら今回がそういう例ではないかと。  恐らく、森委員も私もリビングウイルということについて非常に重要視している。そういう立場から見て、終末期医療の問題はきちんと取り組むんですよと、これは大賛成だ。ところが、後期高齢者医療についてこれが出てきたものですから、今おっしゃったように、終末期という言葉、後期という言葉、遺言という言葉、安楽死という言葉、こういうのが出てきて、早く死ねと言うのかと、こういうことになって、むしろ今の終末期医療を進める立場から見たら後退させることになっている可能性、危険性があるんではないかというのを私は思っております。  それは、やっぱり御高齢の方々の気持ちを逆なでするようなことがあってはならないというふうに思っていますから、まさに終末期医療を更に進めて国民のコンセンサスを得る。これは、終末期医療というのは七十五歳以上の方だけの関心事であってはならないと思います。  そういう意味で、私は、制度の根幹は理想を持ってきちんとやったものはやるにしろ、見直すべき点がたくさんあるでしょうと、いろんな御批判を受けて、見直すべき点は実情をしっかり今調査して、踏まえた上で改革すると、そういうことを申し上げていますんで、この終末期医療、予期したこととは逆の結果がひょっとしたら出ているんであれば、そこはきちんと立ち止まって、直すべきところは直すべきであると、そういうふうに今考えて、そういう方向で検討を進めさせていただいております。
  60. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 もう少し踏み込んで答弁をいただきたいと思います。  このまま後期高齢者医療制度の中の終末期医療の問題を放置いたしますと、誤解が誤解を生んで、この終末期医療の問題について議論をすることさえもなかなかかなわなくなるという危惧を私は抱いております。本当に、早く死ねと言うのかじゃないんですよね。これはどの年齢においてもいろいろな病気やけがでそういう状況に追い込まれることがあるわけですから、そのときに尊厳のある生を全うするためにはどうしたらいいのかということを本当に真摯に議論しなければならないと思います。  全くこれは唐突に、私はこの後期高齢者医療制度の中でこれをスタートしてしまったということは本当に残念なんですよ。これ、凍結した方がいいと思います。そこまで踏み込んで、やはりこの問題は大変誤解を招いている、本意ではない、これは凍結すべしというふうに大臣の姿勢を私はすぐに示されることが、これ以上この問題についての誤解を大きくしないということで大切なことだと思いますが、いかがでしょうか。
  61. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 先ほど委員が御引用くださいました、昨年五月に、川崎元厚生労働大臣のイニシアチブということで終末期医療の決定プロセスに関するガイドラインというのが出ました。ところが、例えば昨日の衆議院の厚生労働委員会での質疑においても、まさにこのガイドラインが間違っているんだという感じでの御質問があるわけです。つまり、ここに、「生命を短縮させる意図をもつ積極的安楽死は、本ガイドラインでは対象としない。」、なら、こう書いてあるというのは消極的安楽死を認めているんですね、厚生労働省は、こういう質問になって、このガイドラインというこれ自体が大変悪いものであると。私は、森委員はそうじゃなくて、これは大事な第一歩だとおっしゃいましたね。  まさに、そういう誤解が出てきていることは大変遺憾だというふうに思いますんで、私は十分検討させていただいて、今、六月の半ばまでに現状についてあらゆる情報を取れるだけ取ってということでありますから、少し、今日今この場ですぐ言えというふうにおっしゃっていますけれども、ちょっと情勢を少し判断するための材料もいただいて、今の貴重な委員の御提言もいただいた上で、六月の半ばぐらいまでには改善すべきところは改善するということをまず申し上げたいと思います。  ただ、せっかくの終末期医療国民とみんなで考えようという機運にとって逆の効果があると、もたらしているんではないかという危惧については私は共有しているということを申し上げておきたいと思います。
  62. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 そもそも、まず病気の告知、先ほど、お医者さんですからね、櫻井委員から、病気の告知ということを本当にまずするのかどうかということさえも基本的に決まっていない。それから、延命治療、そもそも終末期医療とは何かという定義さえも本当はきちんと決まっていないのだと。これは、時間を掛けて一つ一つ定義付けをしていって、そしてこういうことを決めていかなければいけない、それは国民的な議論をもってということで。  そういう意味では、本当に今回の、何度も言いますが、後期高齢者医療制度の中でいきなり診療報酬にこのことを盛り込んだということは本当に唐突でありますし、大変残念でございます。すぐ凍結するべきだというふうに重ねて申し上げますが、ガイドラインそのものに反対の方もいらっしゃるのかもしれませんが、私は第一歩。そして、このガイドラインの中にできれば医師の免責事項も、漠然とした形でも結構ですので入れるべきではないかと思いますが、この点についてだけもう一言御答弁いただきたいと思います。
  63. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それも実はもう少し国民的な議論をやるべきだと思います。  いつも、厚生労働省だけに限らないんですけれども、役所は審議会をつくる、そこで議論をする、それがあたかも全部の国民の意見であるかのように錯覚しちゃって、さっと進めちゃうんです。ところが、そうじゃなくて、やはり医師の免責事項についても、先ほど来私が申し上げているように、医師の立場に立つのか国民の立場に立つのか。医療事故の究明の委員会についても全く同じです。お医者さんの立場に立ち過ぎるじゃないかと今度国民から言われてしまう。それがありますので、そんなに簡単に免責していいんですかというのがまたあり得るんですね。  ですから、これは問題意識として持っていますが、やはりきちんと国民的な議論をした上で決めたいというふうに思っております。
  64. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 じっくりでいいですから、これはきちんと議論をしていただきたいと思いますし、だからこそ、いきなり診療報酬の中に終末期医療についての報酬を盛り込んだというのは、今の大臣の御答弁からすると全く矛盾していますよ。だから、これは何度もやり取りしてもあれですから、すぐに凍結すべしということは、これぐらいは大臣のリーダーシップを私は示していただきたいと思います。  ということで、介護の問題について質問をさせていただきたいと思います。  いわゆるコムスンの問題につきましては、昨年コムスンの問題が発覚いたしまして、私は、当委員会におきまして同僚委員とともに厳しく対応すべしというふうに求めてまいりました。  平成十七年の改正で事後チェックの規制ルールの確立が図られましたけれども、その法の網をかいくぐる処分逃れというような大変悪質なものでございます。これがなぜいけないかといいますと、もちろん介護保険制度の信頼を著しく損なう。そればかりではなく、不正な例えば介護報酬の請求があった場合には、これは介護保険の財政を、ただでさえ高齢化が進んで厳しくなるのに非常に圧迫するということで、これは厳しく対応していただきたいということを再三申し上げまして、そういう問題意識の下に今回の法案が提出されたものというふうに承知をいたしておりますが。  その聴聞の通知をする前に事業所廃止届が提出されて処分逃れが行われたというのが昨年の事案だったわけでございますが、このような処分逃れに対する対策は十分なのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  65. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) コムスンの問題は、昨年の四月だったと思いますけれども、森委員からこの委員会で厳しい御指摘をいただきまして、こういう処分逃れを許さないような方策を考えるべきではないかという御指摘をいただきました。私ども実態調査をすると同時に、今回、御趣旨に沿ってこういう法案を何とかまとめたということでございます。  今回の取扱いでございますけれども、一番の処分逃れの問題でございますが、前回は取消処分をする前に事業所廃止届が出されまして、結果的に取消処分ができなかったということでございます。  したがいまして、今回の改正では、二つ措置を講じておりまして、立入検査をした後に聴聞をするか否か決定する日を通知した場合に、その立入検査の日から聴聞決定予定日までの間に廃止届を提出した事業者については、もう既に必ず指定、更新しないという欠格事由に該当させるという措置を一方で講じます。それから、事後の廃止届が問題ではないかという御指摘もございましたので、事業廃止届について事後十日ということでございましたけれども事前に一月前に届出をいただくという形で、コムスンのような処分逃れは今回の措置によって防止をされるんではないかというふうに考えております。
  66. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それで、法案の中身なんでございますけれども、実は六十九か所の省令事項にゆだねる部分がございまして、余り細かいことは言いたくないんですけれども、少し確認をさせていただきたいと思います。  まず、「密接な関係を有する者」というふうに規定されているものについてでございますが、法律七十条第二項六号の三のところでございますが、実質的に支配とか重要な影響というような要件が書いてあるわけでございますが、この要件ではあいまいではないでしょうか。具体的にどのようなケースに対応できるのか、今整理しているところを伺いたいと思います。
  67. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) この点につきましては、コムスンの場合、グッドウィル・グループの中の別な子会社日本シルバーサービスという会社に営業譲渡をするということを一方的に発表したわけでございますけれども、それが法律の明文の規定上それは禁止されているわけではないということが問題になったわけでございます。  これは検討会でも、介護保険部会でも御議論いただきまして、やはり同一資本グループに属するようなものについては、これは個別今後詳細に検討しなきゃいけないけれども、実質的に今支配の関係にあるような親会社であるとかあるいは子会社であるとかあるいは兄弟に当たるような会社に譲渡すると、あるいはそういう法人が引き継ぐというふうなことは問題ではないかということで、そういう意味ではそういう密接な関係を有するだろうというふうに推定されるようなものについてはやはり排除していくべきだろうということで、今考えておりますのは、例えば申請されている方との重要な意思決定に日常的に関与している場合、あるいは資本関係がかなりはっきりしていると、例えば二分の一以上株式を持っている場合、そういったようなケースを今考えております。
  68. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 そういうことを詳しく政令で定義をされるというふうな理解でよろしいでしょうか。うなずいていただきました。  それで、今企業の買収、それから合併というのが非常に盛んでございます。そうしますと、合併の形態などによっても対応が異なるというふうに考えますが、そういうことについてはどのようにお考えでしょうか。
  69. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 企業の合併のケースでございますけれども、二つ大きなケースがあろうかと思います。全く新しい会社をつくる場合、新会社を設立するという場合、あるいはもう一つは、Aという会社とBという会社があった場合にAという会社を存続会社にしてBが吸収されるというケースの場合、二つあろうかと思います。ただ、どちらにしても、新設合併の場合には当然新しい法人に変わるわけでございますから新規の指定が必要になります。それから、吸収合併をされる場合でありましても、吸収をされる側の事業所については法人格が変わりますので、また新しく新規の指定が必要になります。  要するに、結論からいいますと、都道府県あるいは市町村が新たに新規の指定をするというケースになります。したがいまして、例えば指定取消処分を受けました事業所の役員であったような人、要するに非常に問題があったという会社に勤めていたような、役員であったような人が新しい法人の役員となるといったような場合については指定の更新拒否ができるという規定がございますので、そういう形で適切に対応をしてまいりたいと思っております。
  70. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 続きまして、「相当の理由がある者」というのが幾つか出てくるんですけれども、監査中に指定取消処分を予想した事業者廃止届を提出すると他の事業所指定、更新が拒否される仕組みがございます。これは指定居宅サービス事業者を例に取ると、七十条二項七号の二でございますけれども、条文には、「当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。」というふうに記されております。この相当な理由とは何でしょうか。どのような状況を想定しておられるのか、また具体的判断基準はどこでどのようにお決めになるのか、お答えいただきたいと思います。
  71. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) この点につきましては、既に改正前の条文で相当な理由という規定がございまして、それを今回も援用しているという経緯がございます。  それで、今回の、ちょっと細かくて恐縮でございますけれども、この七十条の規定でございますけれどもコムスン問題で見られましたように、聴聞通知を出す前に事業者廃止届を提出してきた場合に、今までは何らペナルティーがなかったということでございますので、今回、そういう処分逃れを防止するために新たに設けた規定でございます。  相当な理由というのは、逆に言いますと処分逃れを目的とした廃止届ではない場合ということになるわけでございますが、これは基本的には各都道府県等において個別の具体的な事例に応じて判断することになると思います。余り想定できないんですけれども、率直に言いますと、幾つか考えられますけれども、突然もう本当に資金繰りができなくて倒産してしまったと、元々処分逃れでない意図で倒産してしまったというケースもございます。  そういうふうなことは、私どもとしてもこれから個別の事例を十分収集いたしまして、その情報を、都道府県と情報を共有いたしまして、例えば通知とかガイドラインとか、そういう形でお示しをしていければというふうに考えております。
  72. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 コムスンの例でも、規制強化をしたんだけれどもその網をくぐり抜けるようにしていろいろな処分逃れの形態を考えてくるわけですから、通知等ガイドラインは適時見直していただきたいというふうに思います。  そして、今ほどお話がございました、これはこういう法令遵守のために業務管理体制整備の義務付けというのが今回の法案でなされるわけですけれども、その指導監督というのは国、都道府県、市町村が実施するというわけですが、とりわけ今ほども、実施主体である地方自治体、都道府県においてこの業務を行うための体制というものは整備されているのでしょうか。
  73. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 指導管理体制についてのお尋ねでございます。  今回の改正に伴いまして、企業のコンプライアンスの管理体制について指導監督する仕事でございますが、まず都道府県をまたがった場合、かなり広域的な場合については国がそのコンプライアンスのチェック、監督をするという仕組みでございます。それから、その事業所があくまでも例えば千葉県内にとどまっているというふうなケースであれば、千葉県がその業務管理体制について対応するということでございます。  それで、仮に介護サービス事業所不正事案が発生した場合には、そこは国、県、市町村とも連携を図りまして、事業者本部あるいは事業所に立ち入るということでございます。個別の事案によって連携の方法は変わってくると思いますけれども、基本的には、事業所本部に関していえば国がやる、それから各事業所については指定権者である都道府県、市町村がやるということでございます。組織的な関与が疑われる場合には、当然、特に広域的な場合には国が出ていって対応するということでございます。  こういうふうに、国と県、市町村の役割分担を十分しながら、連携しながら業務を行いたいと思っておりますし、それから、県としてもそういう指導監督が十分できるような体制整備をこれからもお願いしていきたいというふうに思っております。
  74. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ただ、先ほど御説明がありましたように、いろいろ合併の状況とか、結構専門的な能力がないとこれを指導監督するのは難しいんじゃないかなと率直に思います。  それで、例えば東京都豊島区では介護保険Gメンということで、そういう専門の訓練をした方なんでしょうか、監督するためにそういう人を置いて指導監督の体制を整えているということでございますけれども、そういった方策をやはり取るべく国の方でも指導されるですとか、そういう体制つくるべきじゃないでしょうか。
  75. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 業務管理体制、コンプライアンス体制全体を指導監督する業務と、個別のサービス事業者がきちっとサービスを提供しているかどうかということに対する監督と、場合によっては多少その見るところが違うのかもしれません。  御指摘のように、今回新たにコンプライアンス体制のチェックあるいは組織全体としての対応が十分たるかどうかということをチェックするような意味で、国としても、あるいは県の中にとどまっているものであれば県の職員が対応することでございますので、そういう意味で必要な研修が必要であれば私ども考えていきたいというふうに思っております。
  76. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私は過剰な規制というのは好まない方なんですが、しかしこの介護事業者というのは介護保険から報酬を受けるわけです。介護保険というのは税金が五ですね。保険料が五。一対一。つまり、すべて皆さんの公費で成り立っているわけですから、これに対して不正が行われないようやっぱり厳しく私は管理をしていくべきだと思いますし、今の御答弁ですと、なかなか本当に実効が伴うのかというのがちょっと懸念が残るので、大臣、一言よろしいですか、この件に関して。
  77. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 東京のどこかでGメンを設けているということでありますけれども、自治体間のばらつきどうするか。私は、厚生労働省、国がいろいろ指導するのもいいと思うんですけれども介護医療というのはやっぱり自治体が、やっぱり場はその自治体ですから、かなり自治体の自主性ということを期待したいというか、むしろそちらを優先させたいというのが私の本当はそういう考えなんです。もう、はしの上げ下げまで厚生労働省が全部指導する時代は終わったんじゃないかと、そういう認識を持っております。
  78. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それもそうなんですけれども、ただ、例えば、ちょっと東京都民じゃないんで何区と何区がくっついているかよく分からないんですけれども、例えば豊島区で指定を取ったと。道路の向こう側は何になるのかな、その豊島区で指定を取った、その道路を挟んで隣の区の人からサービスをしてほしいという、またしてあげたいと。ほかのところ、その近いところにはないと。そういうときに、そこの区の指定をまた取らなきゃいけないということで、いろんな監督基準ですとかそういうのにやっぱりばらつきがあって、大変これが事業所負担になっていると、そういう御指摘もあるんですね。  ですから、確かにはしの上げ下げまで、私に言わせますと、洗ったはしの滴の落ちる先まで国が口を出す時代は終わったといつも言っているんですけれども、ただ、実際そういうお訴えもありますので、さはさりながら、やはり標準化、ばらつきをなくして標準化に向けて何かお考えになるべきではないでしょうか。
  79. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) もうまさにバランスの問題で、そのナショナルミニマムというか、その標準化、ばらつきのない公平性ということは、それはそれで一つやらないといけないというふうに思いますので、必要なガイドラインを設定する、指導をやるということは、これは怠りなくやっていきたいと思っております。
  80. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ばらつきのない運用をしていただくというそういう努力も必要だと思いますし、何よりも、先ほど六十幾つを申し上げましたが、省令事項を決めるときに、業務管理体制整備に関する事項などいろいろあるわけです。  ですから、自治体や事業者が混乱することのないように、よくあらかじめ周知をして、それからそもそも省令事項の決め方につきましては、絵にかいたもちにならないように、実際に現場の自治体やそれから事業者、もちろん利用者からも意見を聴取してそもそも省令事項を決定すべきと考えますが、これについてはいかがでしょうか。
  81. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 御指摘はまさにそのとおりだというふうに思っております。今回の法案が実際に円滑に実施されていくためには、そういう現場の意見を十分反映させた形で厚生労働省の省令が定められていかなければ実効が上がらないと思っております。  したがいまして、今後、当然、自治体、市町村、都道府県の意見もお聞きをいたしますし、それから事業者の意見も十分お聞きし、またパブリックコメントも実施をして広く国民に意見を求めた上で、必要な手続を通じてこの法案が円滑に実施をされるように考えていきたいというふうに思っております。
  82. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ありがとうございました。是非しっかりと取り組みをいただきたいと思います。  続きまして、衆法の関係で御質問をさせていただきたいと思います。処遇改善策の内容ですが、本来であれば衆議院の皆さんに来ていただけばよろしいんですけれども、これは委員長提案ということで、与野党で合意したということについては評価ができるかと思います。  しかし、その中身が重要でございますが、具体的にはどのような措置を講ずることを厚生労働省として今の時点でお考えなのかお聞かせください。
  83. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 基本的に介護に従事する人材をいかに確保するかということが原点でありますから、この労働環境、職場環境をどう改善するか。それから、転職率、離職率が極めて高いんですね。そういう意味では、キャリアアップのシステム、定着できるようなシステムを考える。それから、やはり労働時間の短縮につながるような形での事務負担の軽減を考えたり、そしてやはり処遇をどうするか。そういう総合的なことをやりたいというふうに思っております。  そういうことを含めて、平成二十一年の改定時に適切な介護報酬を設定できるように社会保障審議会の介護給付費分科会においても今議論をしていただいているところでありますので、全力を挙げてこの介護に携わる方々の職場環境の改善ということに努めたいと思っております。
  84. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 後のスケジュールの部分も言っていただいたのかな。もう少し付け足すことがございますか、スケジュールで。  それで、この法文の中に、これ通告していないんですけれども、「必要があると認めるときは、」という文がなぜか入っているんですよ、これは。与野党で合意するときにこの一文が入ったのではないかと思いますが、つまりいろいろ労働者又は事業者状況を調査をして、検討会等でももんでいただいて、結果として必要がないという結論もあるんですか。そんなのあり得ないと思うんですけれども。ないということを確認したいと思います。
  85. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは議員立法の法律で、与野党合意して決まりましたので私がこの条文の細かい点についてコメントする立場にありませんが、しかしやはりこういう法律が与野党合意の下にできたということは、現状に対して厳しい認識があって、必要であるからできたというふうに考えておりますので、当然しかるべき措置は講ずるべきだと、そういうふうに思っております。
  86. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ありがとうございます。  それで、問題は、その処遇の改善をするためには必ず、私は必ずだと思いますが、介護報酬を引き上げなければならないと思うんですけれども大臣は来年の改定のときに介護報酬を引き上げると発言されておりますが、本当に引き上げるのでしょうか、端的にお答えください。
  87. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、私は現場主義で介護現場を見て、余りにもひどい状況。こういう決められた水準にも行っていないような状況で働いている方々がおられる。ですから、記者の皆さんもおられて、これはひどい、これはもう介護報酬を引き上げたいと、こういう話をしたのが報道されたわけであります。そして、今申し上げたことは変わりありません。  ただ、現状はどうなっているのかというのは今一生懸命精査をさせて調査をしております。その調査結果に基づいてどういう点を改善すればいいのかということがあります。  ただ、もう一つは、保険料を引き上げるとしますね、そのときに、それがそのまま賃金の形で報酬に行けばいいんですけれども、そこにまた経営者の判断とかいうようなことが入ってきます。ですから、そういうことも含めてきちんと議論をした上で、それからまた介護保険料の引上げにつながるということは国民全体に御負担を申し上げないといけないことになる。だから、全体の給付負担の兼ね合いというものは、これは医療の分野も全く同じ問題です、社会保障国民会議、総理の下にありますから、こういう中で精力的に議論をしていきながら、私が申し上げたのは、もうやはり処遇の改善に資するようなことはやらないといけないと、こういう決意でございます。
  88. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 保険料のところまで言っていただいたんですが、保険料については後で議論させていただきたいと思います。  私は、処遇を改善する、本当に改善をさせるためにはやはり介護報酬というものを引き上げなければ、原資がないわけですから、気持ちだけ、一生懸命やってねと事業者がにっこり行ってらっしゃいと送り出す、それじゃ処遇の改善になりませんよ。お金の要ることなんでこれは明言をしていただきたいというふうに思いますし、その結果、じゃ保険料どうするのかとかいうことについてはこの後私は議論をさせていただきたいと思っているんです。  それで、明確に御答弁をいただきたいと思うんですが、今ほど大臣もおっしゃったように、昨年、社会福祉士と介護福祉士の質の向上を図る観点から資格制度の見直しが行われました。法改正をいたしました。先ほど大河原委員の方からもサービス提供責任者のお話もございました。次の改定においては、専門的な資格を持つ方等を報酬上で評価することにより、今現場で働いている方だけではなく、これから福祉の分野で活躍しようと考えている若者が働き続けられるようにする必要があるのではないかというふうに思います。こうすることによって、介護に従事する方々を確保するとともに介護の質を向上させることができるというふうに考えますが、大臣の御所見はいかがでしょうか。
  89. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私も基本的には全くその考えなんで、いろんな意見がございます。今その意見を闘わせて、私たちと同じ考えじゃない方もおられます。そういう方々の意見もきちんと聞いた上で、二十一年四月のこの報酬改定のときには適切にこの方向でまとめたいというふうに思っております。
  90. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 そして、ちょっと追加なんですけれども、先ほど大臣も答弁の中で答えられたんですが、介護報酬を引き上げてもそれが必ず例えば介護福祉士さんの給料に確実に反映されると、事業者が持っていかないで必ずその専門職のところにきちんと付けると、報酬加算というんでしょうかね、必ず給料に反映されるような仕組みを入れて改定をしていただきたいと思うんですが、いかがですか。
  91. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 介護報酬をどうしていくかというのは、今大臣も御答弁いただきましたように、今経営の実態を調査をして、規模の問題とか、あるいはサービスの種別の問題とか、あるいはいろんな地域の問題とか、それぞれかなり地域特性、サービスの内容によって違いますので、その辺をきめ細かく調査をして対応しなければならないと思っております。  それで、先ほどございましたように、サービス提供責任者なんかについて介護報酬上きちんと評価すべきではないかということですが、その評価の仕方についてどういう方法があるかということについてはやはりよく審議会等で議論していただかなければならないと思っております。私どもとしては、当然、大事な仕事をやっていただいているわけですから報酬全体の評価の中で評価をしていきたいと思っておりますし、ただ、本当にこの部分がこの人に当たり、この部分がこの人に当たりというのは、いつも大臣が御答弁されているように、診療報酬と同じでございまして、勤務医の賃金にこの部分が当たるとかなんとかということに報酬の仕組みはできないものでございますから、そういう意味で全体の今の介護事業がどういうふうになっているかというのを十分調査をして、その上で必要な介護報酬議論をしていただくということではないかというふうに思っております。
  92. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 あわせて、雇用管理ということに関しては、報酬の引上げ、賃金の引上げに加えて、しっかりとした従業者の雇用管理を行っていくというのが大事なんですけれども、これが中小零細の事業者が大変多くてこういうことが余りしっかりと行われていないという声をお聞きいたします。これが介護従事者の処遇改善のネックにもなっているのではないかと考えますが、これらの事業者の雇用管理の改善を政府の方で支援するお考えはないでしょうか。
  93. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 特に中小の事業者に対してこういう経営モデルがありますよという経営モデルを示すところから始めたいというふうに思っておりますので、その改善のための努力は引き続き行いたいと思っております。
  94. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それで、先ほども申し上げましたけれども介護報酬を引き上げれば、当然、今の仕組みですと介護保険料に跳ね返ります。介護保険料を上げざるを得ません。この財源をどうするのかという議論をこの後大臣とさせていただきたいんですが、数字のことは政府参考人でも結構でございますが、まず、次期介護保険料の改定につきましては、高齢化率はどの数字を使われるんでしょうか。
  95. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 介護保険料は三年ごとに決まっております。次が第四期ということで、二十一年から二十二、二十三ということでございます。  この保険料どうなるかということでございますが、これは各市町村がそれぞれのサービス提供の見込額というものを計算をいたしまして、その上で必要な保険料額を算定して、それをまとめて最終的に全国的な推計をするという形になっております。  現在、そういう要介護認定者数を見込む際の見込み方についてまだ十分な精査が行われておりませんので、幾らという数字になるかというのは全然申し上げられませんけれども、今の状況で考えますと、前回、三千三百円から四千百円までというかなり大幅な引上げでございましたけれども、最近伸びもかなり落ち着いておりますので、これはそれぞれこれから先各市町村でやっていただくわけでございますけれども、非常に、従来のような大幅な引上げにはならないんではないかという感覚を持っております。
  96. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 済みません、私が質問したのは、高齢化率はどの数字を使うんですかと。  介護保険の財政は皆さん御存じだと思いますけれども、公費が五、国が二五なんですが、二〇はもらって五は調整交付金ですので、国が二五、あと県と市町村、そして残りの五を、五〇%のうち、高齢化率が今一九ということに数字してあります。ですから、高齢化率一九、ですから一九%を第一号被保険者、高齢者が保険料として負担する、残りを若者たちが第二号被保険者として負担するという仕組みですから、この高齢化率を幾つに設定するかというのは第一号被保険者の保険料を設定する大きなポイントですので、高齢化率はどの数字を使うんですかということを聞いたんですよ。
  97. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 各市町村で基本的に算定するわけでございますから、各市町村では当然六十五歳以上の人口というのは推計されるわけでございますので、そういう意味ではそれを、前提を使って各市町村で計算をするということでございます。  ただ、オールジャパンといいますか、日本全国でどうなるかということであれば、仮に推計をするということになれば、当然、国立社会保障・人口問題研究所で出しております将来推計人口を前提にして年齢階級別の要介護認定率というものも考えてというふうなことになろうかと思います。
  98. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 さっき、来期保険料の見込みを余り上がらないんじゃないかなんて、何の根拠もない、そういうことを言っちゃ駄目なんですよ。そういうことを言っているとまたこの間の後期高齢者みたいなことになりますので、根拠のないことは言わないでいただきたいと思うんです。  それで、皆様のところに資料をお配りいたしました。まず、介護保険財政関係資料というのと、続きまして一枚物、今第三期、平成十八年度から二十年度、今年度までの第一号保険料、四千九十円。これは全国平均で、これが基準額でございます。ですから、これ基準額ですので、今多段階設定が可能になっておりますので、普通は六段階、十段階以上のところもあるというふうに伺っておりますが、ここにお示ししたとおりでございます。  それで、余り上がらないんじゃないかというようなお話でしたけれども、それは後で各保険者の状況について細かく聞かせていただきますが。私は、いろんな状況で私なりに分析してみますと、やはりかなり上がるんじゃないかなというふうに思うんですが、介護報酬の引上げによる、ましてや先ほど介護報酬引き上げるとおっしゃったわけですから、介護報酬の引上げによる保険料の急激な引上げを防ぐ方策というものを大臣、今から考えておかないと介護報酬上げられませんよ。そう思いませんか。
  99. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それはもう医療も年金も介護もすべてそうで、社会保障全体で負担給付をどうするのか。私は、これは避けることなくきちんと議論をしていきたいというふうに思っていますので、総理の下にある社会保障国民会議はそういう役割を担っていると思います。そういう場も活用しながら、今委員がおっしゃったように、こういう問題がありますよということを私はもう国民議論をするときが来ていると、そういう認識を持っております。
  100. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今大臣がおっしゃりたかったことというのは増税というような印象で受けましたけれども、そういうことをいきなり言う前に、いろいろな方策、これは全体の本当の元々の財源をどこの、要するに公費を増やせば財源が要るわけですから、それをどこから持ってくるのか。新聞報道ですか、道路財源分捕り合いみたいな、結構だと思うんですよ。そういう財源だけじゃなくて、ほかにもいっぱいあるんですから。この間、高橋洋一さんが財政金融委員会で、もはや埋蔵金じゃない、露天掘り状態、こういうことまでおっしゃっているんですからね、ついこの間まで政府の中にいた人が。  だから、知恵を出して、いきなり国民負担を求めるのではなくて、あるでしょう、いろんなところに。そういうのを探してくれば私はいいと思うんです。  それで、もちろんこれから申し上げることは、どこか税金に、今国の中にある財源からやらなきゃいけないんですけれども、財政調整交付金というものを今この介護保険財政の中で交付しております。この財政調整交付金を弾力的に運用することによって、地域によって恐らくばらつきがまた出ると思います介護保険料の急激な引上げを緩和するという方策が考えられると思いますが、これについてはいかがでしょうか。
  101. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 財政調整交付金についてのお尋ねでございます。  介護保険制度では、保険者である市町村が、それぞれの地域住民のニーズを踏まえまして、介護サービス給付に必要な費用を保険料と公費負担で賄うということになっております。したがいまして、調整交付金がなければ地域介護ニーズあるいはサービス体制に結果として非常に大きな差が出ると、介護保険料に差が出るということになります。  したがって、その地域で出る差の問題でございますけれども、全国的な、市町村の責めによらない理由で格差が生じているケースについては調整をするというのが今回の財政調整交付金の考え方でございまして、具体的には、一つは、七十五歳以上の高齢者の人口構成が大きいか少ないかということ、もう一つは、全国平均に比べて被保険者の所得水準が高いか低いかと、その二つのメルクマールによって調整をするということでございます。  そういう意味で、この調整交付金という趣旨はあくまでも地域間格差、市町村の責めによらない理由で生じている市町村格差を是正するということでございますので、一定のルールに基づいて交付をしているということを御理解いただきたいと存じます。
  102. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 だけども、弾力的に運用できると思うんですよ。  それで、後からの質問に通告してあるんですけれども、この財政調整交付金の交付状況について資料を求めたんですが、残念ながら私が求めている資料がなかなか出てきませんで、仕方がないので私の方で厚生労働省のホームページ、これもしかも平成十四年度調整交付金に係る介護保険データより集計というのを読ませていただくと、もちろん不交付団体は+あります、〇%のところが。それから、大体平均が六%から七%もらっていると。ごめんなさい、資料がなかったの。付けられなかったんです、だから。私が何度も要求した資料を出してくれないんですよ。どうして出してくれないのか分からないんですけれどもね。それで、六%から七%というのが一番多い。中には一一%以上というのもありまして、これは平成十四年です。私はこういうものの最新版が欲しかったんですけれども、いただけませんでした。  細かい保険者ごとの調整交付金の交付割合をまず資料として求めておきたいと思いますが。
  103. 岩本司

    委員長岩本司君) 理事会で協議いたします。
  104. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それで、今もそうだと思うんですよ。いただいた資料は、五%以上というのが千二百二十二保険者、五%未満というのが四百五十二、合計、調整交付金、これは普通調整交付金を交付されているところが千六百七十四保険者いらっしゃるということで、こういうデータを、もしホームページに載っているような平成十四年のようなデータをいただければ、かなりばらつきもありますので、これをもう少し弾力的に運用すれば多少の引上げの要因には対応できるのではないかなと思って、弾力的に運用してはいかがかなというふうに聞いたんですよ、大臣
  105. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 実は、ちょっと直接的にお答えにならないかもしれないけれども、私は実はこういう調整交付金のようなやり方はもうそろそろやめるべきだと思っているのは、市町村の責めによらない理由で格差が生じているというけれども、じゃ、それは何なんですかと。市町村間の競争があっていいんで、ここの市長さんが駄目だからこの町は駄目だというような発想があっていいし、調整交付金を使わなければならないような国の形というのはこれでいいんですかと。だから、今回の後期高齢者だって、市町村ごとに国保をやるから駄目だから都道府県ベースということになっていれば、私はここに中央の役人が入ってくる余地があるんですよ。何もかも霞が関がコントロールする、こういう調整交付金のような仕組み、分からないでしょう、今だって十四年のその資料しかないわけですよ。  だから、こういう伏魔殿的なものがこういうことにかかわりがあるんで、私は国の形を変える方向としては、調整交付金の運用ということにもっと大きく、こういうものを許さなくて、そして、今回私は介護保険のいいのは、介護保険料地域によって差があることはいいことなんですよ。安かろう悪かろうでいいか、高くてもここの市長さんはこれだけすばらしい介護サービスをやりましたよと。だから、先ほど申し上げたように、はしの上げ下げまで厚生労働省が言うべき時代は終わったと。もちろん、ナショナルミニマムは守らないといけないにしても、そういう議論をするということで、運用の弾力性ということの御議論も分かります。ただ、私は、私が今申し上げたような議論もこの参議院の、特に参議院の場ではやりたいというふうに思っております。
  106. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 大臣の、何か結構気が合うななんてそんな気がしてきましたけど、まあ半分賛成で半分反対です。  まず一つ努力をしても解消できない差があるんです。要するに高齢化率ですね。そういう問題がございます。ですから、これはどこかでやはり、その交付税ってそういう考え方じゃないですか、元々。財政調整機能というのはやはり持たせておかなきゃいけない。これはどんなふうにしてその地方がみんな競争し合ったって、やはりこれは、それは大臣のおっしゃったナショナルミニマムという視点からも、これは機能として私は残しておくべきだと思います。余り乱暴過ぎますよ、それじゃ。私もかなり乱暴者ですけど、大臣の方が乱暴者だな。  それで、ただ、これは前にもこの委員会で言ったんですが、そもそも平成の大合併、実は昭和の大合併というのは、私の聞いているところによりますと、国民健康保険の保険者として機能できるだけの規模になりなさいよと。なりなさいよというか、ならざるを得なかったということで私は合併が進んだというふうに聞いております。ですから、大臣のおっしゃったように、介護保険の保険者として国からもう何かいろいろもらわないとやっていけないというようなことでは困るんです。だから、むしろ平成の大合併は、少なくとも介護保険の保険者として成り立つぐらいの、そういうことを目的にして、ただみんなでわあっと集まるんじゃなくて、そういうことを目的としてきちんと再編されていけば、この合併ももっとうまくいったんじゃないかなと。  そして、ナショナルミニマムは保障した上でやはり地域間の競争はもちろん私はあっていいと思いますし、そもそも介護保険が始まるときには、介護保険というのは地方分権の試金石と言われたんですよ。そのとき私、町議になったばっかりで、町の介護保険の審議委員でした。だから、そういう思いスタートしたんですけれども、何か変なところでその財政調整機能であるそのナショナルミニマムを保障する地方交付税までどんどんカットされちゃって、全然おかしなことになっちゃったんですよ。その辺のところをよく考えていただきたいと思いますんで、半分賛成、半分反対です。  それで、さっきもうちょっと大きなところでとおっしゃいましたけれども、今、公費一、保険料一ですが、この割合変えた方がいいんじゃないですか。仮に公費六、保険料四とした場合に、あと財源は幾ら要りますか。
  107. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 数字のところだけちょっと私が申し上げます。これ、私どもは決して変えるべきではないと思っておりますけれども、仮に五対五、五対五ということで、今六兆六千六百億円介護給付費がございます。したがいまして、それは五対五ということであれば、それぞれ三兆三千三百億円ずつというふうなことでございます。  仮に、介護給付費の公費と保険料割合を六対四に変更した場合、機械的に計算をいたしますと、公費が約三兆九千九百億円、保険料が約二兆六千六百億円となりまして、公費について税財源として約六千七百億円が追加で必要になるということでございます。
  108. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 政府のいろいろな、よく探せば出てくるんじゃないの、これぐらいというのが、ごめんなさい、私の意見でございますが、ここで大臣に、六千七百億ですって。そうしたら、これを確保すれば、公費対保険料の割合を変更することも可能ですし、そうしますと、さっき言った介護報酬の引上げだって吸収できると思うんですよ、どうですか。
  109. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) その前に、おまえは乱暴とおっしゃられたんですけれども、私はやっぱり参議院というのはそういう長期的な国家全体の話をする場所だと思っていますんで、今日は森議員と大変いい議論ができているというふうに思っております。  その中で、ただ、実は、介護保険入れるときに、私もこれ全部税金で、保険じゃなくて税金でやったらどうかというのを一時考えて論文に書いたりしたこともあります。ただ、そのときにいろんな反対の意見の方もおられて、要するに自助があって共助があって公助があると。それから、恩恵として、何かお上が恵んであげているんですよという形でじゃなくて、いささかでも保険料を払っている、私は権利であると、こういう意識も持ちやすいとか、いろんな議論がありました。  今はフィフティー・フィフティー、五〇、五〇ということになっておりますんで、この比率を上げるということが、自助、公助という社会全体の助け合いだというところにひびが入らないかということと、それと、最大の問題はほかの社会保障制度、これとの兼ね合いをどうするか。じゃ、医療はどうですか、年金はどうですか、特に基礎年金ですけれども、そういうことの議論にもつながると思いますんで、まさにこれは社会保障国民会議のようなところで議論をして、国民全体でそういう方向でいくと。それで、今の試算だと六千七百億円ですから、この財源は考えないといけないですけれども、それはもうきちんと議論をして、負担給付の関係は国民全体で決めていく。つまり、国会が国権の最高機関でありますから、そこで決めていけばいいと思います。  ただ、余りに公費だということになると、共助、お互いに助け合うんだという共助の概念が薄れるのを若干危惧をいたします。
  110. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 別に六対四にしても共助の考えは薄れないと思いますよ。  私は、そろそろ、何ていうんでしょうか、先ほど資料でお示ししましたが、この後ももう少し聞きたいんですけれども保険料を引き上げるところは限界に来ていると思うんです。それで、そのことについて少しやっておかないといけないんで、残りの質問ちょっと後回しにして、各保険者の状況について皆さんのところに介護保険財政関係資料というのをお届けしたんですけれども、私の方から説明します、時間がないんで。  財政安定化基金というものを、要するにさっき説明があったとおりなんですけれども介護給付費、向こう三年間を見通して保険料を設定するわけですけれども、それが狂った場合に財政安定化基金から借り入れて、そしてそれを今度次の保険料のところにオンして、次の三年間で返していくと、これが基本の決まりなんです。  ところが、第一回目の改定のときに、当初の三年間で見通しを誤ったところがたくさんありまして、大変財政安定化基金からたくさん借りたものですから、これを全部二期目にオンしてしまいますと保険料が余りに高くなり過ぎるということで、政令を改正して六年償還、それから九年償還という特例を認めました。  それで、第二期貸付け保険者総数が四百二十三、今は第三期ですよ、今、第二期貸付け保険者総数四百二十三、そのうち第一期も貸付けを受けている保険者数が二百三十五、そのうち、これやっと出してもらったんですよ、なかなか出してくれなかったんですが、そのうち第一期に受けた貸付金を六年若しくは九年で償還するとした保険者数が九十六。要するに、雪だるまとは言いませんが、こういうふうに借金を抱えている保険者も出てきていると。それから、給付のための基金を積むことができるんですが、それぞれ。それもその基金がゼロになったところがかなり増えているというような状況もございまして、大変財政が厳しい。  そして、皆様のところにお配りをいたしました更に付けております資料ですけれども、これ「税制改正の影響を受けた者に対する介護保険料の激変緩和措置について」という資料なんですが、御案内のとおり、税制改正が行われまして年金課税強化、高齢者への課税強化が行われました。  それで、私これ本当、今日、財務省いないんで、ここは予算委員会じゃないですからね、残念なんですけれども、これは予算委員会で聞くべきことだと思うんですが。  それで、一つ税制をいじりますと、全部これ保険料に跳ね返ってくるわけですよね。だから、これをちょっとさらっと説明していただこうかと思ったんですが、時間がないので皆さん見てください。これ激変緩和措置で、十九年度までの激変緩和措置。まだ更にあるんですよ。これ、平成十八年度以降生じた問題。激変緩和措置が講じられているにもかかわらず、保険料の上昇額が大きかった。これは例が出ておりますが、平成十九年度五千百円、税制改正の影響を受けない世帯は五千百円。でも、税制改正の影響を受けたところは七千八百円。平成二十年度はその人たちは九千二百円、月額、介護保険料。こんなの払えませんよ。  だから、大臣、ちょっと質問飛ばしますけれども、要するに今回の後期高齢者でこれだけ高齢者の皆さん怒っているのは、もちろん後期高齢者とは何事だ、それから早く死ねというのかというのもありますが、税制改正、所得税が今まで課税されてなかった方が課税をされた、それに連動して住民税も上がった。さらには、これ全部その保険料の計算の根拠になっているんでしょう。全部上がってきているわけですよ。  しかし、高齢者世帯というのは年金がほとんどですね。それから、第一号被保険者を見ますと、七割が元々は非課税の世帯なんですよ。そういうところに介護保険料をこれ以上、もちろん先ほどお示しした基準額、これは基準額であって、低所得の方は千円とか、掛ける〇・五で千円とかそういう方もいますよ。でも、例えばこれどうですか、こんな収入の方でもこれだけの保険料を払わなきゃいけないと。これ、もはや限界なんだと思いますよ。  これは、保険料を上げるということは、むしろこれが共助だと。しかも、認定率は一六%でしょう、介護保険。八割の人は使わないわけですよ。医療保険と違います。医療保険はほとんどの人が使いますよ、医療は、一年間のうちに。特にお年寄りになればいろいろ使いますよ。でも、介護は八割の人は使わないんです。だから、私、地元の支持者の皆さん、いや、長生きしていいものだろうか、介護にお世話にならなきゃいけないんだったらもう早く死んでしまいたいとか言うと、そんなことありませんと、八割の人は最後までお元気で暮らせるんだからというふうに言っているんです。  ですから、八割の人は使わない、この介護保険。これ以上保険料上がったらだれも払わなくなるんですよ。だからさっきのことを言っているんでございますけれども、いかがでしょうか、大臣
  111. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) ですから、全体的にこの負担給付の水準をどうするかということがあるわけですよ。  それともう一つは世代間の公正。例えば、今四十歳以上からしか掛かっていませんね。これを例えばドイツのように大人になったら全部に掛けるかと。そうすると、これはぐっと減ります。しかし、今の世代間の公平さを考えたら、私は高齢者の方が若年者よりも益する、つまり利益が多い形に配分が行っているんではないかと思っていますから、したがって四十から今の段階で二十歳にまで下げるというのは反対です。  その中で、しかし今委員が御指摘なさったような個々のケースについていって、これは収入の水準から見て、介護保険料と今度の後期高齢者医療保険料を足してみたときに余りに大きくなると、それはやっぱりきちんと激変緩和をしますし、今見直そうとしているところも、そういうことも含めてであります。  それで、まさに保険の原則が生きているわけで、使わなきゃそれにこしたことはないので、そういう意味で共助ということを申し上げていますが、今の問題の提起をお受けいたしまして、必要な措置が何かできるかは検討させていただきたいと思っております。
  112. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 早くしていただかないといけないと思います。  というのは、介護報酬を来年度上げるのであれば、それに見合いの要するに財源を確保しなければいけないわけですね。だから、今のままだと、何もしなければ保険料を上げざるを得ない。しかし、いろいろお示ししましたように、もう保険料これ以上耐えられないんじゃないだろうかという懸念もある。そうしたら、来年の予算に介護保険料介護保険のところに入れる税金を確保しなきゃいけないんじゃないですか、予算を一般会計から持ってくるのであればですよ。埋蔵金から持ってくるなら別ですけれどもね。そういうことを今決めて、八月の概算要求のときに働きかけなければ介護報酬上げられませんよ。  大臣は、必ずきちんと処遇する、そういうふうにさっき明言されましたが、これは介護報酬を上げなければできません。だから、今そういうことできちんと、なりふり構わず財源を私は確保していただきたいと思いますが、最後に大臣の御決意を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
  113. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 社会保障国民会議、これはあしたも開かれます。きちんと私はそういう場に出まして、社会保障制度の重要さ、国民の最後のセーフティーネットですから、それにどういう財源を充てるのか、そして負担給付のバランスをどうするのかということについて、この社会保障国民会議を中心に、そして、今委員がおっしゃったように、概算要求に向けてしかるべき行動を取ってまいりたいと思います。
  114. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ありがとうございました。
  115. 岩本司

    委員長岩本司君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分から再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十七分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  116. 岩本司

    委員長岩本司君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律案及び介護従事者等人材確保のための介護従事者等処遇改善に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  117. 石井準一

    石井準一君 自由民主党の石井準一でございます。  介護二法案について質問をさせていただきます。  超高齢化社会という、日本がこれまでに経験したことのない未知の時代を迎えていくに当たり、高齢者の生き方について考えていくことが必要ではないかと思うわけであります。  高齢者の生き方においては、長寿には遺伝学的因子や生活環境も大きく左右するわけでありますけれども、本人の人生に対するたゆまざる努力が大きく物を言うわけであります。加齢とともに老化が進んでいく、目がかすんで長時間の読書に耐えられなくなったり、腰痛で長い距離が歩けなくなったり、多少のことは年のせいにして観念をする。しかし、絶対に譲れない一線があるとも言われているのであります。これは人によって違う。例えば、下の世話、絶対に受けたくない、そうなったら死なせてくれという人もおる。しかし、いつかはこの一線を乗り越える日が来るのであります。  最後の牙城が崩されると極度に落ち込むのが人の常ではありますが、ほとんどの人は新しい状況を受容して再び前向きに生き始めることが大切であります。これが老いの受入れである。老いを受け入れない人は自殺を選択することもあるわけであります。  高齢者には、この老いを受け入れることがまずは必要であると考えます。これを受け入れていく、人の手を借りながらも老後を生き生きと明るく送っていくことが高齢者にとって最も良い生き方であると私は思います。そのために周囲の人々や私たち人間がいろいろな障害を取り除いてやることが大切ではないのでしょうか。  例を挙げますと、常に温かい気持ちで見守ってやること。高齢者の理不尽な言動に対しても理詰めで批判をしたりしない、穏やかな気分で耳を傾けてやる。高齢者は、他人から年寄りと思われたくない。幼児語を使ったり、おじいちゃん、おばあちゃんと呼ばずに、氏名ではっきりと呼ぶことが大切である。また、高齢者の視点に立って物事を考え行動をしてやる。家族介護者が病気や痴呆であるということをできるだけ早く受容し、早く医者の診断を受けさせるようにする。こうしたことが大切であると思うわけであります。  そして、若い人や健康な人は、高齢者が老いの受入れを容易にできるよう、常に心掛けてやらなければならない。高齢者がどうしたら生きがいを感じ、与えられた生命の続く限り生き生きとした人生を送り、世の中の人々の役に立つ生活をすることができるのか、病気を持っていても何か人のためになることはないのか、絶えず考え求めていくことが高齢者の生き方において必要でないのでしょうか。こうすることで何か奉仕の機会が必ず高齢者にも見えてくると私は思います。  寝たきりの老人には他人の奉仕などできないと言ってしまえば、それまでであります。しかし、たとえ寝たきりであっても、口が利ければ介護の人などに対してありがとうと感謝の言葉を述べることができます。言葉は常に非常に大きな力を持っております。たった五文字のありがとうという言葉だけでも一つの奉仕と言ってもよいのではないのでしょうか。特に、最近では報酬ばかりのことが言われておりますが、厳しい介護報酬の中にも気持ちが頼みであると。お世話になった、仕事中にこっそり利用者が褒めてくれる、そうした言葉に支えられているという面も大きくあると言われております。  では、口が利けなければどうするのか。目を使うことであります。他人に対してにっこりとほほ笑みかける、これも立派な奉仕である。これならばどんなに弱い高齢者でもより良く生きる根本原則を実行することができるのではないのでしょうか。病気で身体に障害があっても、自立できなくて他人の介護に頼らざるを得ない人でも、自分現状を素直に受け入れること、すなわち老いの受容が幸福な老後の出発点ではないのでしょうか。  そうしたことを考えると、それをサポートする立場、どのような思いを持って接することが大切であるのか。ふだん何げなく使っている言葉、ケアがございます。改めてケアとは一体何なのかということを考えてみると、案外答えに窮してしまうのではないだろうか。ある意味では、この言葉が非常に便利であるがために、だれでもケアを口にするけれども、実は人によってそのイメージする内容や意味が大きく違っていることに気が付くわけであります。ケアという意味を正面から考え、その意味を掘り下げていくこと、超高齢化社会における医療や福祉、心理や教育といった、最もケアということに深くかかわる分野に従事する人々にとって、日々の行為の持つ意味をもう一度発見をし、その日常に新たな力を吹き込むよりどころにしなければならないと考えるからであります。  ケアという言葉は、狭くは看護や介護、中間的なものとしては世話、最も広くは配慮、関心、気配り。まずは、ケアという概念の広さをいったん受け止めた上で、その豊かさや奥行きに様々な角度から光を当てつつ考えを進め、次第に個別分野のより特定された場面に焦点を当てていくことが適当であると思います。そうすることによってケアという行為がその奥に持つより深い意味が明らかになるように私は思うのであります。言わばケアは人間の世界にあふれているようにも思えるからであります。  そこで、舛添厚生大臣に、高齢者の生き方について、老いの受入れについて、このケアという言葉の持つ意味について所見をお伺いをしたいと思います。
  118. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 少し哲学的な話になるかもしれませんけれども一つのヒントは、江戸時代、これは老いの文化が栄えた時代だと思いますので、私は人生八十五年ビジョンと、八十五まで長生きするときに、生き方、就業等の仕方、子供のときからそれを考えて、きちんと計画も立てるべきだというようなことで、人生八十五年ビジョンというのをこの前取りまとめをしました。  そういう中においても、江戸の文化、例えば安藤広重、これは現役時代は今でいう消防夫さんというか消防士さんなんですね。しかし、非常に絵がうまくて、引退してから絵をかいて、これはフランスの印象派が大賞賛した安藤広重の絵になったと。それから、伊能忠敬、これは商人の家に養子に行って、傾きかけた家業を立て直して、それで自分は天文学をやりたい、自分より若い先生に江戸へ出て習って、そして幕末に外国人が来て仰天したようにすばらしい日本地図を作ったということですから、例えば老いといっても、むしろ老いが本当の人生ですよという生き方が江戸時代にはあったと、こういうことも一つ参考になろうかと思います。  そして、今いろいろ委員が挙げられましたけれども、その江戸時代に比べてはるかにITが進んでいる。今委員はありがとうという言葉が言えなくなったら目でほほ笑むということをおっしゃった。今まぶたの動きでコンピューターを動かせますから、コンピューターのディスプレーにありがとうと書けます。だから、このIT時代は江戸時代以上に老いの文化が栄える技術的な背景が整っているというふうに思っています。  それからもう一つは、北欧諸国、ノルウェーやスウェーデン、特にノルウェーですけれども、もう何十年も前に、たしか三十年以上、四十年近くになりますかね、ノーマライゼーションという、これもなかなか日本語にしにくいんですが、ノーマライゼーションという考え方があった。  それは大きく言って三つの原則があると思いますけれども、残存能力、残された能力の活用。どうしても日本人は、ああ腰が曲がって動けませんねと、お年を召されて目がかすんできましたねとさっきおっしゃった。だけれども、残された能力はあるわけですから、残された能力、例えば私が何かの事故で今五本の指が一本になったと。我々はともすれば失われた四本に注目するんですけど、残された一本に注目する、これで何ができるかというのを考えるのが残存能力の活用で、今一本指があればコンピューターが打てますから仕事できます、例えば書くという。  それからもう一つは人生の継続性、この原則を守っていく。つまり、今日ハンディキャップドパーソンになったら昨日までやっていたことができないんじゃ駄目なんで、だからバリアフリーとかユニバーサルデザインというのはそういうことであって、老いていって心身に障害が生じたときでも継続性を人生で保てるようにやるというのが第二の原則。  それから最後は自己決定の原則であって、これは、自分のやりたいことを、今日私はこれをやりたいんだと、これやりたいんだということをきちんと決める。そのために、介護が必要な身になったから周りの人に迷惑掛けたくない、だから、自分はこうしたいんだけど他人の決定に従うということがあっちゃいけないと思いますので、こういうノーマライゼーションの考え方は老いの社会においてもきちんと適用できるようにしないといけないと、そういうことに思っています。  今ノーマライゼーションという横文字を使いまして、なかなか日本語にしにくい。ケアというのを何とか日本語にできないかと思って相当苦労しましたけれども、結局、ケアという言葉の広い意味合いがありますので、ケアマネジャー、ケアコンフィデンス、それでケアという言葉になったので、これは外来語であっても的確な意味であればいいと思いますけど、私はそのケアのときも、今言ったノーマライゼーションの考え方が反映できるような形の対処の仕方が必要だろうというふうに思います。  いろいろまだお話ししたいことはございますけれども、それだけで答弁時間が終わりますので、取りあえず一端だけをお話しさせていただきます。
  119. 石井準一

    石井準一君 大臣から答弁をいただきました。まさにこうした思いが法案の原理原則として厚生労働行政に反映させていくことを期待をしていきたいと思います。  それでは、介護保険法改正案関係、業務管理体制整備の義務付け、本部への立入検査についてお伺いをしたいと思います。  介護保険法改正案では、介護サービス事業者における法令遵守などを徹底するため、事業者に対し業務管理体制整備を義務付けるとしております。そして、業務管理体制整備状況事業者への不正行為への組織的関与の有無などを調査するため、事業者本部などへの立入検査権を創設するとともに、問題がある場合への対応として、国、都道府県、市町村による事業者に対する是正勧告・命令権を創設することとなっております。  しかし、千葉県を例に取った場合、指導監査担当職員の専任はゼロであります。兼務は本庁、出先機関を合わせて六十一名。政令指定都市である千葉市と船橋市を除く県内五十四ある市町村の職員の内訳を見ても、兼務が百八十名、専任はゼロといった状況であります。  これで実際に正確な情報収集や適切な指導ができるのでしょうか。どのように実効性を持たせていくのか、お伺いをしたい。例えば、調査業務を一定の基準を満たす外郭団体へ委託できるような検討を行うなど、不正請求を抑制する仕組みづくりが必要と考えますが、その点をお伺いをしたいと思います。
  120. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  今回の改正に伴いまして、新たに事業者本部に立入りすることができるということになったわけでございますが、考え方としては、都道府県をまたがって事業所を展開する事業者に対しましては国が担当すると、それから、同一都道府県内に事業所があるということであれば、その事業者に対しては都道府県等が行うという仕分をしております。  個別の事案によって連携する方法は違っておりますけれども、国が業務管理体制の指導監督を行う事業者につきまして仮に指定取消しの事案が発生するといった場合におきましては、国が本部に入りますし、都道府県は市町村あるいはそれぞれで各事業所に立入検査をする。その際には、国、都道府県、市町村間で密接な連携を図ると、そういう役割分担をいたしたいというふうに考えております。  今までの例を見ますと、全国で指定取消しをしている件数でございますけど、年度によってかなりばらつきがございますけれども、おおむね八十件から九十件ぐらいでございます。取消し事案について更に本部に入って組織的関与の有無を確認するということを考えてみますと、全国で今までの例ですと百件未満ぐらいでございますので、実際上指導監督はできるんではないかというふうに思っております。  なお、御指摘いただきました千葉県の事例でございますが、確かに兼務でということでやっておりますが、兼務の内容と、兼務先といいますか、兼務している内容が介護保険サービス事業者指定とか更新という、指導監査とある意味では裏腹の仕事に兼務をしているということでございますので、そういう意味では順次、機動的な指導監督の実施というのは可能ではないかというふうに思っております。  それから、御指摘いただいた第三者に委託の問題でございますけれども、いろいろ研究しなければならないかと思いますが、今回の立入検査の調査の仕事といいますのは、ある意味取消処分するかどうかという公権力の行使に当たる前段階の仕事でもございますので、そういう意味で第三者に委託するというのはなかなか難しいんではないかと考えております。
  121. 石井準一

    石井準一君 答弁をいただいたわけでありますけれども、なかなか地方自治体におきましても行財政改革の中で職員の増員を図れないわけであります。是非ともクリアしなければいけない部分が多いかと思いますが、やはり一定の基準を満たす外郭団体への委託ということも今後検討していただければ有り難いなと。これはやはり千葉県並びに市町村長会からの要望でもあるわけであります。こうした観点からすれば、やはり業務管理体制整備については単に義務付けをするだけではなく、事業者が自主的に法令遵守に取り組むような環境整備をすべきであると思いますので、強く要望をしていきたいと思います。  次に、事務負担増加の懸念についてお伺いをいたします。  介護現場で求められている過大な事務負担介護従事者を追い詰めるという指摘もあります。また、自治体にとっても今回の法改正により膨大な事務処理作業に追われる可能性があります。介護従事者や自治体担当職員が慢性的な残業に疲れ果て、紙を見て人を見ずのようなことにならないように更なる事務負担を招かないような配慮が求められると思いますが、午前中にも大河原委員の方から同等の趣旨の質問があったと思われますが、改めて見解をお伺いをしたいと思います。
  122. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 今のお話でございますけれども事業者のサイドの事務処理負担の問題とそれから自治体のサイドの業務の負担の問題と、二つあろうかと思います。  まず、介護事業者の事務負担の問題でございますけれども、これは国会でも再三御指摘ございますので、私ども事務当局で介護事業者等に対して調査を実施しまして、業務でもう少し書類の簡素化をできるものはないかということで今調整をしております。できるだけ早く結論を出して簡素化するべく、具体化に着手をしたいと思っております。  それから、自治体の監査、介護事業者に対する監査についても書類が多過ぎるという御批判があるのは承知をいたしておりまして、これについてもできるだけ事業者の過度に負担にならないような形ができないかということで近く担当者会議も開きますし、そういう意味で調整をしたいと思っております。  いずれにいたしましても、指導監督に支障が生じない範囲で、事業者とそれから自治体の側にも負担が余り巨大にならないような形で十分調整を進めてまいりたいというふうに思っております。
  123. 石井準一

    石井準一君 次に、適切な事業運営に対するインセンティブの付与についてお伺いをいたします。  改正案では事業規模に応じた業務管理体制整備の義務付けが考えられておりますが、各事業者が更なる法令遵守を含めた業務管理体制整備に取り組むよう促すことが望ましいと思います。  そこで、適切な事業運営を行っている優良な事業者に対し、一つの提案ではありますが、再更新時の事務の簡素化、更新期間の延長、何らかのインセンティブを付与することについてどのようにお考えになっているのか、お伺いをしたいと思います。
  124. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 御指摘のように、介護事業者が適切に事業運営がなされるという前提の下で何らかのインセンティブを付与してはどうかという御指摘もいただいております。  この点につきましては、例えば指定を更新の申請をするときの提出書類を簡素化をするといったようなことは工夫をすればできるんではないかという感じがしておりますが、いずれにいたしましても、サービス提供の指導監督に支障がないという前提の下に検討していきたいというふうに思っております。
  125. 石井準一

    石井準一君 再三言われておりますが、特に介護の世界は中小零細の事業者の数が多く存在するという印象を持っております。であるからこそ、こうしたことを念頭に置きながら、現場にとって過重な負担とならないような一定の配慮を改めてお願いをしていきたいと思います。  次に、事業廃止時の利用者サービスの確保対策についてお伺いをいたします。  ビジネスチャンスを求め民間企業参入介護サービスの量的拡大を実現するには必要ではありますが、せっかくの指定後に問題が起こり、指定取消処分を受けたり、その後の指定、更新ができなくなってしまうことは、事業者のみならず利用者にとっても負担が大きいと思われます。このような場合、利用者側の不利益を被ってしまわないようにする救済策が重要であると思われます。  今回の改正案に、介護事業者に対し、事業の休廃止時における継続的なサービスを提供するための便宜提供を義務付ける、厚生労働大臣などは、関係間の連絡調整、事業者に対する助言、そのほかの援助を行うことができるとされております。介護事業者が義務を果たさないということは、都道府県知事などが事業者に勧告、命令をすることができるわけですが、具体的にはどのような内容を考えているのか、お伺いをしたいと思います。
  126. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 今回の改正法案では、事業を廃止したときにおきます利用者の継続的なサービスの確保というものは大変重要であるので、一義的には廃止を行いました事業者に対して義務を課すという形で考えております。その上で、事業者がなかなか独力で十分にサービス確保のための措置を講じることができないというふうな場合には、都道府県知事が関係者間の連絡調整、助言を行う。また、二つ以上の都道府県にまたがる場合には、厚生労働大臣が広域的な見地から指導、助言をするということになっております。  具体的にどういうことをするかというお尋ねでございますが、例えば、事業者が廃止をする事業の引継ぎ先の事業者を選定する場合に、団体等に対して十分周知をするときに協力をする、あるいは引継ぎ先の選定方法について助言をする、あるいは事業移行を行う場合には移行計画を作成するに当たって助言をするとか、あるいは相談窓口の設置について対応するとか、いろんなことが考えられると思います。これは、私ども今回、決していいことではございませんでしたけれどもコムスンの事例で厚生労働省としても必要な助言ということをやりました。その体験に基づいて幾つかのことを考えていきたいというふうに思っております。  また、お尋ねがございました、事業者サービス確保義務を履行しないといった場合には、御指摘のように、都道府県知事あるいは市町村長による勧告、命令という対象になりますし、また、従わない場合には取消処分を行えるということになろうかと思います。
  127. 石井準一

    石井準一君 事業者の指導、勧告については、自治体ごとに過度なばらつきが生じないよう国としてきちっと対処をしていくことを強く要望をいたしたいと思います。  次に、未収保険料の件についてお伺いをいたします。  介護保険制度で六十五歳以上の高齢者が滞納した保険料は、二〇〇六年度に全国の主要都市と東京二十三区の計七十三自治体で総額約百八十二億円に上ったという記事を目にいたしました。制度発足後初めて不納欠損が発生した二〇〇二年度の十四倍に膨らんでおるということであります。そして、低所得者の滞納が深刻化をしており、低所得者に対しても、低い保険料率とはいえ保険料が掛かっているということ、徴収時効が二年であるということ、今後は質の維持と需要の増加で保険料の引上げが考えられるならば、未収保険料の増加は制度の運営にも影響を大きく与えるのではないのでしょうか。  このような状況をどのようにお考えであるのか、お伺いをしたいと思います。
  128. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  介護保険料の滞納者が増えまして未収納保険料が増加するということにつきましては、御指摘のように、介護保険財政の安定的な運営が損なわれるおそれがあるという問題がございますし、さらには、滞納されている方自体についても十分な給付が受けられなくなるおそれがあるという問題がございますので、各保険者において保険料の収納の確保が図られるということは当然必要なことだというふうに思っております。  保険料が滞納されている場合には、督促をする、あるいは滞納処分という強制的な徴収、強制徴収がいわゆる可能ではございますけれども、本来、介護保険というのは助け合いの制度でございますので、被保険者自らが納めるということが望ましいものだというふうに考えておりまして、平成十七年の十月から、納める方の利便性の観点から口座振替の保険料の支払も認めてきておりますし、また、コンビニエンスストアにおいてもその収納事務を委託をできるというふうなことも実施をいたしております。  したがいまして、保険料の収納の確保につきましては、各保険者についても努力はされておりますけれども、今後とも、口座振替の勧奨あるいは収納事務の委託の活用などをいろいろ工夫をしていただきまして、各保険者において保険料の収納の確保に努めていただきたいというふうに思っております。
  129. 石井準一

    石井準一君 次に、舛添大臣にお伺いをしたいと思います。仕事と介護の両立であります。  非婚化により、在宅介護の担い手が夫や息子に広がりつつあります。働き盛りの男性にとって仕事と介護の両立は難しく、介護を理由に退職を余儀なくされ収入が途絶えてしまったり、女性に比べ近隣と付き合う経験も少ないので地域で孤立しやすく、家の中で行き詰まり虐待へとつながったり、昨今では殺人、心中に至るといったケースが新聞記事に多く出ております。予防策を考える必要があるのではないでしょうか。  こうした状況にかんがみ、仕事と介護が両立できる働き型の実現、介護者を孤立させない仕組みの創設が求められるのではないでしょうか。この辺を大臣の所見をお伺いをしたいと思います。
  130. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 介護のみならず、一般的に仕事と生活の調和、ワーク・ライフ・バランスと、こういうことをきちんとやりたいと思っております。それはさきの新潟でのG8労働大臣会合でも合意されたところであります。  さて、その介護保険制度ですけれども、やっぱり仕事と介護、家庭、これを両立できるようにするということで、地域密着型のサービスということを今度新しくつくりましたので、地域全体で介護を担う家族を手伝うと。それから、地域包括支援センターにおいても、家族などの総合的に相談に応じる体制を実施しております。  さらに、介護休業というのを取れるように介護休業制度が入っておりますから、これは常時介護を要する状態ごとに一回、通算して九十三日まで取得が可能になっておりますので、育児休業とかいうのと同じように介護休業、この制度を広く周知徹底させて、こういうことを利用して仕事との介護の両立ということをやるべきだと思います。  例えば、今、外交官にしてもビジネスマンにしても、海外に赴任してくださいと言うと、子供の教育で駄目だもあるんですけれども、親の介護で行けませんという方があって、これは日本の国際的なグローバルな活動においても影響はありますから、やはり地域全体、国全体で介護と仕事、生活、これを支える体制を今後とも更に充実させていきたいと思っております。
  131. 石井準一

    石井準一君 是非とも、介護者を孤立させない仕組みの創設に取り組んでいただきたいと思います。  次に、介護給付負担金並びに調整交付金に関する自治体の要望についてであります。  午前中にも話あったわけでありますけれども、自治体の要望といたしましては、介護給付負担金については保険者に対して給付費の二五%を確実に配付をし、現行の調整交付金は別枠化で願いたい。また、調整交付金については早期に交付割合や交付金額を決定していただきたいとの要望が我々にもあるわけですけれども、これら自治体の要望に対してどのように考えているのか、午前中の質問にもあったわけですけれども、改めてお伺いをしたいと思います。
  132. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 午前中にも調整交付金についてお尋ねがございました。  調整交付金の現在の仕組みでございますけれども、七十五歳以上の高齢者人口の構成が大きいか少ないかということ、もう一つは被保険者の所得水準が高いか低いかということで、全国的な標準を設定いたしまして、それからの乖離の程度ということで、市町村の責めによらない理由で格差が生じているというものについては財政調整をしようという目的で、調整交付金が地域の格差是正というか役割を果たしているというふうに認識をいたしております。  御指摘のように、調整交付金は現行制度では介護給付費の国庫負担の二五%のうちの五%相当ということで、各保険者に対しましてその五%の枠の内で調整をしておるわけでございますが、自治体からは確かに別枠で公費で措置してはどうかという御指摘もいただいております。  ただ、この問題は公費負担割合をどう考えるかということにもつながるわけでございますし、介護保険制度社会保険制度で運営されているということでございますと、いわゆる五〇対五〇の原則というものもございます。したがいまして、他の社会保障制度との均衡の問題とか、あるいは国、地方をめぐる厳しい財政事情を考えれば、なかなか別枠にするということは困難ではないかというふうに考えております。  一方、またお尋ねの交付時期等々の問題でございますが、今の調整交付金でございますけれども、基本的には年度当初に概算交付ということをやっております。その上で、前年度の十二月から当該年度の十一月分のサービス給付実績が固まったところで各市町村からの報告をお願いをして、最終的に交付金の精算、算定ということをやっておりますので、現在の仕組みとしては今の事務処理を更に迅速化するということについてはなかなか課題が多いんではないかというふうに思っております。
  133. 石井準一

    石井準一君 地方自治体の要望をよく聞きながら対応していただければ有り難いなというふうに思います。  次に、ケアマネジャーの取扱上限についてお伺いをしたいと思います。  地域包括支援センターが行う介護予防プランの作成に際して指定居宅介護支援事業所に委託をする場合、介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーが取り扱う件数の上限八件があります。しかし、これでは地域包括支援センターの業務が過重となるものとなってしまうのではないのでしょうか。委託に際しての取扱件数の緩和についてどのように考えているのか、お伺いをいたします。また、あわせて、介護予防プランの作成委託が円滑に図られるよう、介護報酬について配慮を願いたいとの自治体の声もありますが、これについての考え方をお伺いをいたします。
  134. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  先般の介護保険制度改正におきまして、ケアマネジメントについて介護の予防サービスを効果的に実施をするということと、それから中重度者への支援を強化するという二つの観点から、ケアマネジメントのシステムの機関を分離をいたしました。一つは、まず要支援者に対する予防ケアプランについては地域包括支援センターで作成をすると、それから要介護者に対するケアプランの作成については引き続きケアマネジメント機関がケアプランの作成をするという役割分担をしております。  それで、地域包括が大変忙しくて大変ではないかという御指摘でございますが、一部介護予防プランの作成を委託することができるわけでございますけれども、これは要介護者に対するケアマネジメントの質の向上を図るという観点からいたしますと、余り委託件数を多くしますと質が下がってしまうのではないかということから、委託件数の上限が設けられております。  ただ、私どもとしては、地域包括支援センターの体制整備あるいは職員の資質向上というのは大変重要だと思っておりますので、体制整備計画のフォローアップあるいは職員の研修などの支援を実施をしておりますし、さらに、効率化が支援可能なものがあれば更に検討していきたいと思っております。  それから、ケアプランの報酬の問題でございますけれども、これにつきましては、今事業所の経営の実態あるいは需要者の実態等について調査をいたしておりますので、その調査結果を十分精査をした上で、また社会保障審議会の介護給付費分科会で十分な御議論をいただいて、適切な報酬の設定に努めていきたいというふうに考えております。
  135. 石井準一

    石井準一君 来年度から始まる第四期介護保険事業計画においても、施設、居住系サービス整備に当たっては、国の方針において、平成二十六年度の目標数を要介護二以上の認定者数に対する割合を三七%以下とする原則は変えないと聞いております。しかし、入所待機者数や高齢者単身世帯数や高齢者のみの世帯数といった地域の実情を考慮した対応も必要ではないかと思いますが、見解をお伺いしたいと思います。
  136. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 各市町村が第四期、平成二十一年から二十三年度の介護保険事業計画を策定するに当たりまして、平成二十一年の目標数値を設定するということで、そのときの数値が、いわゆる参酌標準と呼んでおりますが、三七%ということになっております。  それを念頭に置きながら、平成二十一年から二十三年までの各年度ごとの介護サービスの見込み量を算定をするということでございますが、御指摘の入所待機者の状況、あるいは諸般の地域の実情もございますので、その辺については弾力的に設定することが可能になっておりますので、十分市町村でそういう事情を勘案していただければと思っております。  いずれにいたしましても、市町村では、こうした考え方に基づきまして、住民ニーズを的確に把握した上で第四期の介護保険事業計画を策定をして、地域の実情を踏まえながら、介護サービス基盤の、いろんな在宅、施設を含めた基盤整備が行われるものだというふうに考えております。
  137. 石井準一

    石井準一君 次に、小規模多機能型居住介護事業所の数が増えないことについてお伺いをいたします。  平成十八年四月施行の介護保険法改正により、従来、介護保険の対象外であった宅老所、いわゆる通い、訪問、泊まりの三つのサービス一つ事業所が行う、を介護保険の対象となる小規模多機能型居宅介護事業所として制度に位置付けて整備を進めておりますが、市町村が設定した介護保険事業計画の整備数に対して実績数が低い状況にあります。  この原因といたしましては、小規模多機能型居宅介護では報酬が定額制であることや、人手不足が言われておる看護師の配置が必要であるなどの人員省令基準の制約があるためと思料されるので、小規模多機能型居宅介護指定を受けやすくなるよう、人員省令基準などを見直す制度改正が望まれると思いますが、この辺はいかがなものでしょうか。  また、一例を取りますと、千葉県におきましては、小規模多機能型居宅介護の実績は千百七十五人、いわゆる十九年度の計画数二千五百十七人に対し進捗率が四七%であったということも指摘をさせていただきます。
  138. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  小規模多機能型の居宅介護でございますが、これは平成十八年度から施行されました介護保険法の中で、地域密着型のサービスの一事業として創設されたものでございます。  御指摘のように、当初市町村が計画された見込み数と比較すると実績は低い状況にございます。ただ、十八年度の事業創設以来の参入状況を見ますと、最近は少し増加しているというような傾向があろうかと思います。  なぜ低いかという理由でございますが、一つは、制度に対する事業者利用者の理解が十分に浸透していないのではないか、あるいは、小規模であるがゆえに利用者の要介護度の変動といいますか、によって収益も変動しやすいというふうな、そういう意味では参入に慎重になるような要素があるのではないかというふうに推測をいたしております。  この小規模多機能の居宅介護につきましては、通いを中心にして泊まり、訪問といった多様なサービス利用者ニーズに応じて適切に組み合わせるという柔軟な対応ができるということで、月単位の定額制ということにいたしております。次期報酬改定の際にも、いろんな介護保険料等の水準も考慮しなければなりませんけれども、適切な介護報酬の設定に努めるべく、社会保障審議会の介護給付費分科会で十分な御議論をいただきたいと考えております。  また、人員基準等の見直しにおきましては、なかなか現時点で見直しをするということは今のところ考えておりませんけれども、御指摘ございましたように新たに創設された事業でもあることでもございますので、今後、事業者あるいは自治体など関係者の意見を十分聞いて対応していきたいと思っております。
  139. 石井準一

    石井準一君 次に、介護人材確保法関係についてお伺いをしていきたいと思います。適切な介護報酬の設定についてであります。  介護現場において適切で質の高いサービスが提供されるには、人材の確保、養成に努めていかなければなりません。近年の介護労働者離職率の高さや人材確保の困難さの背景にはやはり賃金を始めとする劣悪な労働条件があり、本格的な処遇改善を行うためにはやはり介護報酬の引上げが不可欠と指摘をされております。  平成二十一年の介護報酬改定においては適切な介護報酬を設定するよう努めなければなりません。介護報酬の設定に際しましては、国民負担する介護保険料や要介護高齢者の利用者負担の水準に留意する必要がありますが、どのように考えているのでしょうか。大臣のお考えをいま一度お聞かせいただきたいと思います。
  140. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これはもう私も現場いろいろ視察しまして、介護労働者の処遇改善しないといけないというふうに思っております。これは医療の場合もそうですけれども、雇用の契約になっていますから、個々の介護経営者事業所経営者介護に従事する方との雇用契約になっている。そういうことを考えると、経営の実態もきちんと調査しないといけないんで、今経営実態、こちらの側も調査をする。そして、働いている人たちの方も調査する。  そういう中で、事業所間の競争とか労務管理の在り方とかいろんな問題があると思いますけれども、しかし介護労働者の実態介護経営者の方の実態を踏まえた上で、これはやはり、今問題になっているように、そこで働く人が減っている、定着率が低い、こういうことを改善するために処遇の改善、労働環境の改善、きちんとしたキャリアパスを設定すると、そういうようなことも含めて総合的に勘案して来年度の介護報酬改定に適切に対応してまいりたいと、そういうふうに思っております。
  141. 石井準一

    石井準一君 よろしくお願いをいたします。  介護労働者の離職率を下げる方策についてお伺いをしていきたいと思います。    〔委員長退席、理事谷博之君着席〕  介護職員の離職率は約二〇%であり、これは年間五人に一人が辞めていく計算になります。離職者のうち、就労一年未満で辞める人は四二・五%、一年以上三年未満で辞めている人が三八・三%、八割以上が三年勤めていない状況であります。利用者の立場からいたしますと、職員の顔を覚えたところでその職員が辞めてしまうため落ち着いて介護を受けられる環境にあるとは言えないのではないでしょうか。介護労働者の離職率を下げるために方法についてどのように考えているのかお伺いをいたします。
  142. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) 介護労働者の方々の離職率が高いという御指摘、約二〇%でございます。全産業の平均的な離職率は一六%でございますので、それに比べても高いという状況であります。そういう中で、介護雇用管理改善等計画というのを作っておるわけでございますが、その中でも平成二十一年度までに全産業の平均的な離職率まで下げていくというふうな目標も立てているところでございます。そういう中で、雇用管理の改善におきまして、事業主への啓発指導というふうなこと、あるいは雇用管理に関します事業主側への講習、あるいは雇用管理に関する相談、情報提供というふうなこと等、様々な施策を行っているところでございます。  ただ、今のままで十分かどうかということもございまして、この四月から介護労働者の確保・定着等に関する研究会というのを新たに立ち上げまして、その中で、介護労働者の方々がどういう形にすればより長く働きやすい環境ができていくと、そのために国としてどういう支援を必要か、こういったことを今検討しておりますので、更にこういうことの検討結果も踏まえましてより適切な対応をしていきたいと、こういうふうに考えております。
  143. 石井準一

    石井準一君 適切な介護報酬のみならず、職場での環境整備等いろいろな側面から整備を行っていただきたいと思います。  次に、介護職が若者に選ばれるようにする必要性についてお伺いをしたいと思います。  介護福祉士などの養成施設では定員割れが相次いでおり、充足率は約六四%と低く、閉校に追い込まれる学校もあると聞いております。こういったデータから、若い人たち介護現場に希望を持って就けるよう、そのような状況にはないということが分かるわけであります。先ほども述べたように、離職率が高い上に若者の参入が進まない状況下では介護技術の伝承が行われず、介護の質の点からも将来的に大きな不安が残ります。介護職が若年層に選ばれるようにする必要性、介護労働者の高離職率が介護技術に及ぼす影響についてどのように考えているのか、所見をお伺いしたいと思います。
  144. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  介護福祉士を養成する学校の現状につきましては、今委員からお話がございましたように、募集人数も近年若干減少しておりますし、募集人数に対します入学者の割合、充足率につきましては、委員からお話ございましたように、十八年度の七二%に対し十九年度では六四%というふうに減ってきているということで、私ども大変深刻に受け止めております。  原因につきまして一概には申せませんが、元々少子化の影響等により学生さんの数自体が減少するという中長期的な動向に加えまして、他の分野での採用意欲が増大する一方、介護の仕事が敬遠され、そのような進路を選択する若者が減少しているということで、先ほど深刻と申し上げましたけれども、私ども、昨年八月に福祉人材の確保指針を出しましたが、その際も就職期の若年層を中心として国民各層から選択される職業にならなければならないというのを基本といたしておりますので、介護を支える中核人材の確保、また介護サービスの質の確保という観点から、やはり問題だと思っております。  対策といたしまして、福祉人材確保指針で掲げております賃金を始めとした労働環境の整備の推進やキャリアアップの仕組みの構築等を図ることとしておりますが、このほか、今年の夏ころをめどに介護人材確保ということで関係者の方々お集まりいただいて、介護の仕事の意義や魅力を集中的にアピールする。また、若い方々に対して就職案内などについても集中的に活動する月間のようなものを設けたらどうかと。また、大臣からは介護の日の設定についても御指示いただいておりますので、関係の方々と協議し、そういった面でも介護の仕事について若い方々に御理解いただけるように、周知広報を始めとする必要な対策に取り組んでまいりたいと考えております。
  145. 石井準一

    石井準一君 ありがとうございます。  次に、潜在的有資格者の活用についてお伺いをいたします。  資格を有していながら働いていない介護労働者が多数存在すると言われております。介護人材不足が懸念される現在、潜在的有資格者の活用は急務であると思われます。仕事を辞めるに至った理由などを調査をし、復職に導くような施策を考える必要があると思いますが、その辺の厚生労働省の見解をお伺いをしたいと思います。
  146. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  今委員から御指摘ございました、資格を持ちながら介護の仕事に従事されていないいわゆる潜在的な介護福祉士は約二十万人おられるというふうに推計しております。ある調査によりますと、そういった中で将来的に福祉、介護の仕事をしたいと思われている方が四割近くおられるということ、一年以内に介護の方に戻りたいという方が一〇%程度おられるということで、こういった方々に対する働きかけをしていくことが大事ではないかというふうに考えております。  また、そもそもどうしてそういうふうになるかという離職の理由や就業意向の有無等に対する実態調査をきちんとする必要があると考えておりますので、今年度、実態調査を実施するとともに、都道府県の福祉人材センターにおける職場への復帰を希望する有資格者等に対します再研修などの取組を進めてまいりたいと考えております。
  147. 石井準一

    石井準一君 外国人の就労許可政策の中でこうした問題の解決についても進められておるわけでございますが、改めて、やはり高齢者は、我が国の今日の礎を築いてくれたお年寄りに対してはやはり我々の若い者たちが支え、介護していくことが重要ではないかと考えます。二十万人に及ぶ潜在的有資格者の活用を是非とも検討していただきたいと思うわけであります。  次に、介護人材確保法案の影響についてお伺いをいたしたいと思います。  今回の介護人材確保法案が介護労働者の賃金に及ぼす影響について、大臣の所見をお伺いをしたいと思います。
  148. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 介護労働従事者の賃金始めとしましてこの労働条件を改善することが非常に必要であるということでありまして、先ほど午前中もありましたように、必要があると認めるときは必要な措置をとることができると、法案に、法に書いてございます。現状を見れば恐らくそれは必要であろうというように思いますんで、まず今、先ほど申し上げましたように実態の調査をやっております。それに基づきまして、この介護報酬につきましても平成二十一年、来年度の改定時に適切なこの介護報酬の設定をやりたいと。それ以外にも労働条件の改善、それから定着率の向上、こういうことを含めて総合的にこの措置をし、やっぱり介護現場が崩壊しているということが言われないように、そしてこれは我々は介護を受ける身にもなり得るわけでありますから、社会全体で介護をやっていく、介護社会化ということが大きな理念であったわけで、家族だけが介護するということではとてももちません。社会全体で介護をする、そういう立場からこの介護人材確保法案を十分に活用して政策の実を上げたいと、そういうふうに思っております。
  149. 石井準一

    石井準一君 ありがとうございます。  最後の質問になるわけですが、介護保険制度の持続可能性についてお伺いをしたいと思います。  冒頭、多少述べさせていただきましたが、今後、高齢者が増加する中で老後の安心を支える仕組みとしての介護保険制度が果たすべき役割はますます高まっていくものと考えられます。    〔理事谷博之君退席、委員長着席〕  その一方で、高齢者が増えれば介護に要する費用も増大していくことは避けられません。今後、少子化が進み、制度の支えとなる担い手となる現役世代が少なくなっていく中で、いかにして持続的な制度を構築していくのか、これは喫緊の課題ではないかと考えます。介護保険制度を将来にわたって持続可能なものとするためにどのような取組を進めていくのか、お考えを改めて大臣にお伺いをしたいと思います。
  150. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 二〇〇〇年にこの制度が入れられたときにいろんな批判もありました。しかし、振り返ってみると、私はこの介護保険制度というのはうまく機能してきたというふうに思っています。この制度がなかったときに比べればはるかに楽になっています。それは、私はなかったときに母親の介護をしていて制度が入ったら母親はもう亡くなっちゃったもので、非常にそれを自分の体験としても認識しております。  しかしながら、今後、長寿化に伴って介護のニーズがますます高まっていくときに、やはり財源をどうするのか、給付負担ということは、これはほかの社会保障と同じようにきちんと総理の下にありますこの国民会議において、社会保障に関する国民会議において議論をしていかないといけないというふうに思います。  それから、先ほど来も議論ありますように、やっぱり介護保険料でやるということの意味はあるんです。その中で、じゃ税金、税をどういうふうに組み合わせていくかと、これは年金の場合は全く同じ議論があると思います。税か保険か、このことについてもきちんと議論をする必要があって、プラス、マイナスあります。在宅か施設か、これもプラス、マイナスがあります。どちらが良くてどちらが悪いということじゃなくて、ベストミックスというか、一番最適な組合せ方をやる必要があろうかと思います。  そして、若いときからいかに健康寿命を保っていくかと、こういうことを生活習慣病の予防を含めてやることによってはつらつとした長寿社会ができるということを考える必要があると思いますんで、そういう意味で持続可能な介護保険制度をやるためには国民的な議論をして、負担給付について国民的なコンセンサスを得るということが非常に重要だと思いますので、その方向で今後とも努力を続けてまいりたいと思います。
  151. 石井準一

    石井準一君 ありがとうございました。  今回、法改正の要因となりましたコムスンの問題は、実際にコムスンサービス利用していた方々だけの問題ではなく、多くの国民皆様方に対しても介護保険制度自体に対する不安を与えてしまったのではないかと考えております。今回政府から提出された法案は、制度を改善すべき点は早急に改善し、二度と同じような問題が起きないようにしようとするものであると理解をしております。  私も今回質問に当たりいろいろと、高齢者の生き方、老いの受入れ、ケアという言葉の意味、いろいろと勉強もさせていただきました。私は、介護保険制度に対する国民の信頼を回復するという観点からもこの法案を早急に成立をさせ、国民皆様方に安心してもらえるような仕組みをこれからも構築していかなければならないと思っております。  以上、私の思いを述べさせていただき、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  152. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 自民党の衛藤晟一でございます。  大臣、大変お疲れさまでございます。本当に年金、長寿医療制度後期高齢者医療制度、また少子化につきましてもこれからまた審議されるでありましょう保育ママの問題等、いろんな議論がたくさん山積している中でございまして、しかし、非常に私は大臣頑張っておられるので、引き続き本当に思い切ってずばずば発言をされて頑張っていただきたい。  そして、今、日本におけるちょうど社会保障一つの、もう一つの今曲がり角が来たように思います。みんなで少子高齢社会を乗り切るためにといってスタートした平成六、七年ぐらいと、それから、その中で頑張ってきて負担もずっと、国のウエートも増やしてきたのでありますけれども、大変なスピードで社会保障に対する国庫負担も増やしてきましたけれども、そういう中で一回抑制に入ってもう一回ここで腰をためて、本当に少子高齢社会をどう乗り切るかということについてちゃんと考えていかなきゃいけない、そして今までやってきたことをもう一回見直してでもこの社会を乗り切れるという、そういう自信を持ってそういう時代を開いていかなきゃいけないというふうに思っております。  そういう意味で、今大臣本当に健闘中でございますから、引き続き是非力強いリーダーシップを発揮していただいて、将来の本当に高齢化社会を乗り切っていける、安心できる社会を築くその基を、二段階目の基をつくっていただきたいなというように思っている次第でございます。  そこで、まず二千二百億円の歳出削減問題について、先日私も予算委員会におきましても議論させていただいたところでございますけれども、この問題について質問をさせていただきたいと思います。  これまで高齢化の問題で社会保障費の伸びは大変増加してまいりました。平成七年ぐらいから自然増が九千億ぐらいが予想されるという中、そういう厳しい中、このころから本気で少子高齢化社会を乗り切ろうということで、実質的に毎年七千億のアップを続けてきました。そういう意味で私は、非常に日本は未曾有の高齢化社会を乗り切るために頑張ってきたという具合に思います。しかし、そのころは比較的緩やかな形で乗り切れたような気がしますが、特にこの五、六年の間、もうこれでは乗り切れないということで本格的に、九千億アップの中で二千二百億をどうしても確実に圧縮しなければ乗り切れないという中でいろんな制度改革も行われてきました。それが平成十四年から十八年までの五年間であったというように思います。二千億から三千億近い圧縮を行いながら切り抜けてきました。毎年二千二百億の歳出削減努力というのは、やっぱり大変なものであったという具合に思います。ただ、そういう努力を続けてきて、制度的な改革をやってきました。  そういう中で、自然増は九千億台から徐々に下がってまいりました。平成十四年は九千四百、それから十五年が九千百億、十六年が九千百億、十七年が一兆八百億、それから十八年が八千億という具合に、この五年間大体九千億のペースで自然増がありました。  そういう中で、先ほど申し上げましたように、制度的ないろんな削減努力を続けてくる中で、十九年からは七千四百五十億、平成二十年が七千二百億という具合にこの自然増も大分落ち着いてきたというのが正直言って実態だと思います。しかし、それにもかかわらず、平成十八年、二〇〇六年の骨太方針では、平成十九年度以降についても五年間で一兆一千億、といいますと一年間に二千二百億平均という形で伸びを抑制するんだということが決められ、本年もそれが実行されようとしているわけでありますが、これが全体決まるかどうか分かりませんけれども、そういう方向で来ているわけでございます。  そういう中で、私はやっぱり格差問題が起こってきた、大変無理が生じてきたというのが現状だという具合に思っています。しかし一方で、ますます高齢化が進行するということになるわけでありますから、そうなりますと要介護、要支援状態となる高齢者の方々はますます増加していく、そしてまた医療も増えていくということになっていくわけであります。そういう状況の中で、私どもはどうしても各々が地域の中において本当に安心をして暮らしていけるような、そういうことを保障しなければいけないし、またそれを保障できるような費用を財政的にちゃんと担保していく必要があるという具合に思っている次第でございます。  介護現場を見ましても、介護従事者の賃金が低いとか、あるいは離職率が高いなどの問題がもう生じているわけであります。高齢者の生活を支える上で必要な介護サービスの提供基盤が崩れないように何らかの手当てをしなければいけないという時が明らかに来ているという具合に私は思っています。  ところが、昨日の財政制度審議会におきましては、財務省介護給付についても今後高齢化で更に膨脹するおそれがあると、介護保険制度の抜本的改革を行って更に給付費を抑制する必要があるという旨を指摘しているわけでありまして、全く今の状況を認識していないんじゃないのかなと。ただ財政面からだけ考えて、本当に介護というのはどういう具合にやっていけばいいのかという全体の認識が全く財務省は足りないのではないのかという具合に思っている次第でございますけれども、そういう中で財務省がそういう指摘を行いました。  しかしながら、先ほどから申し上げましているとおり、介護分野につきましても食費、居住費の負担の見直しや、それから十八年度の介護報酬改定の骨太の方針二〇〇六が策定された当時と比べますと、先ほど申し上げましたように様々な改革によりまして伸び率が既に相当数抑制されているわけでありますね。そういう状況の中で更に抑制するというのは明らかに限界に来ているという具合に思います。それは、社会保障全般について私は介護だけじゃなくて医療も御承知のとおりでございますし、そしてまた少子化対策もそうでありまして、障害者の問題もそうであろうかという具合に思っています。限界に来ているということを大臣もお感じだという具合に今までは発言されておりますので、そういう中で、舛添大臣も来年四月の介護報酬改定において報酬の引上げも視野に入ってくるという具合に感じておられるという具合に言っています。そういう状況の中で、自然増、二千二百億円削減、この削減の枠が掛けられた状況の中では私どもはこの診療報酬改定も難しくなるんではないのかという具合に思っている次第でございます。  この骨太方針など来年度予算に向けた議論が本格化していますけれども厚生労働大臣としてはどのような考えでその論議に臨むのか、その点について是非はっきりとした御見解を承りたいと、決意のほどを私は承りたいというふうに思っている次第です。どうぞよろしくお願いします。
  153. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 何度も申し上げていますように、基本的には今、衛藤委員がおっしゃった認識と私は同じであります。二千二百億円の削減というのは本当にもう限界に来ております。  そして、そういう議論を今する、そして例えば近々、安心と希望の医療ビジョンということで、今、日本医療体制が崩壊の危機に瀕している。じゃ、どういう手を打つか。十年計画で医師を増やしていく。それからスキルミックス、これはコメディカルの人たちを使ってもっとチームとしての医療を良くする、緊急医を増やしていく、こういうことの案を近々出そうと思っています。これは、まさにこれがないから命が失われているんですよということをお示しする。それはもう早ければ今月末ないし来月の初めにお示しする。それが実態ですよということをまずお示ししたい。それで、そういう議論を真摯にやっているときに、今御引用なさいましたように、介護給付を減らしたらどうなるという全く機械的な数字だけが財務省から出てくる。さらに先般は、働く人たちの大事な雇用保険であるその積立金を取り崩したらどうかと、こういうことも出てくる。  私は、やはり原則に戻って、今、日本社会保障をどうすべきであるかと。それは、負担給付ということを先ほどから申し上げていますように、もちろん無駄や非効率的なものがあればそれは抑制していかないといけないし改善していかないといけない。そして、次の世代にいたずらにこの負担を先送りすることも避けないといけない。しかし、ここまで社会保障について大きな問題が出てくる。そして、格差がこれだけ広まってくる。そして、先般の新潟のG8の労働会議でも、これは先進国全体の問題として認識しないといけない大きな問題でありますから、そういう中でただ財政的な側面からだけの議論はできない。  さらに、もう一つ申し上げさせていただきますと、せっかくの機会ですから、経済成長率が上がって、経済がかつての高度経済成長のときのように目覚ましく発展していく状況であれば、それは自然増ということで税収も増えるでしょう。しかしながら、なぜ今経済がある意味で停滞しているかということの原因分析をやったときに、それはイノベーションがないとかサブプライム問題だとかいろいろ経済的な要因がありますが、もう一つは個人消費が伸びない。  五百兆円というGDPのうちの六割の三百兆円は、これは個人消費です。個人消費が伸びなければ、設備投資があろうが何があろうと、六割の重みを持つ個人消費が伸びないことが経済の足を引っ張っているという認識が必要です。じゃ、なぜ個人消費が伸びないかというと、老後の不安がある、生活の不安がある。まさに、セーフティーネットが張り巡らされていないよと、セーフティーネットに穴が空いてほころびが出てきているよと、したがって自分で貯蓄をしないと先行きが成り行きませんよということになれば財布のあれを締めちゃうことになるわけですね。そういうこともまた経済成長の足を引っ張っていく。  ですから、きちんとしたセーフティーネットで希望と安心が持てる社会保障制度をつくることが生き生きと消費をしていく、そしてそれが経済に資することになると、そういう発想が私は指導者の中の一部の方々には欠けているんではないかなというふうに思っておりますので、そういう観点からも厚生労働大臣として来年度予算の獲得に向けてしかるべき対応を取ってまいりたいと思っております。
  154. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 やっぱり、簡単に増税をしますと国民の持っている懐が寒くなっていく、それが、ですから消費に回らない。それから、安心ができないと貯蓄に回ってしまってやっぱり消費に回らないということで悪循環を繰り返してくるということになると思いますので、大臣の言われておるように、是非ここは本当に頑張っていただきたいと。  現に、もう既に十四年から十八年までのこの制度改革のときの自然増というのは平均九千二、三百億ですね、大体。それがもう二千億ほぼダウンをしているんですね。先ほど申し上げましたように、十九年度の自然増が七千四百五十億、そして二十年度が七千二百億と言われているんですね。ですから、もう既に二千二百億の削減については達成しているわけですね、これはもう。達成しているところにもう一回二千二百億カットしろということは大変なひずみを生じているんだということについて強い気持ちを持っていただいて、財務とも、そして官邸とも、そして今後また方針をちゃんと政府として作るわけでありますから、その中で反映していただけるように十分な御尽力をお願いしたいというふうに思っている次第でございます。  それでは、介護報酬について次に質問させていただきたいと思います。  それで、高齢者の介護不安を解消していくためには介護サービスの充実や発展が不可欠でございます。にもかかわらず、御承知のとおり、現状介護現場は様々な問題を抱えていると言わざるを得ません。特に、先ほど申し上げましたように、介護従事者の処遇が低いために人材確保が困難であると。またさらには、最近やっぱり言われておりますのが、都市部においては現行の介護保険制度における人件費ではやっていけないと。言わば人件費の地域差が十分に反映されていないということで、賃金の高い都市部においてはなお一層人材確保が難しいということになっておりまして、せっかく造った施設も人員確保ができるまで入所者を減員するとか、そうして運営せざるを得ないというような切実な声も聞かれるところであります。  介護サービス事業所が人材を確保できないということになりますと必然的にサービスの提供が抑制されることになりまして、事業所の経営を困難にするばかりか、介護を必要とする人の生活の維持を脅かすことになりまして、加えて従事者の離職が相次ぎますと残った従事者の負担が更に過酷なものになっていくと、そして介護現場が荒れていくという具合になっているわけでもあります。現場が荒れてしまうと、そこから質の高いサービスは決して生まれてこないわけでありまして、介護サービスの担い手であります介護従事者の処遇改善は急務であるという具合に私どもは考えています。  自民党におきましても、二度三度にわたりまして、これは政調会において、部会におきましてもこの議論をさせていただいて、そして来年の介護報酬については必ず上げられるように党一丸となって取り組むということが決められたわけでもございます。与野党ともにそういう認識だというように思います。介護従事者の処遇の改善について、今回の審議されるというその法案も、この処遇改善をしっかりやるという意味が込められた、決意が込められた法案でございまして、私どもとしても全力で取り組んでまいりたいというふうに思います。  介護従事者の処遇を改善するために改善すべきいろんな要素がありますけれども、まずは来年四月に予定されています介護報酬改定におきまして、しっかりと引上げの方向性を打ち出さなければいけないというふうに思っています。舛添大臣は、かねがね介護従事者の処遇を改善するために介護報酬を引き上げる方向で全力を挙げるという旨の発言をなされておりますけれども、その決意につきまして改めてお伺いいたします。
  155. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 先ほど来申し上げていますように、介護労働者をめぐる労働条件、処遇、大変厳しいものがあり、したがってそこに人が来ない、それで経営も非常に苦しくなっている。今、介護労働者の実態について、これは七月ぐらいに実態の公表が、今調査しているのは発表できると思いますし、それから詳細な介護経営実態の方も、これは九月ぐらいには取りまとめられると思います。そういうことでやっておりますので、そういうことを踏まえまして来年四月の介護報酬の改定のときに適切な方針を打ち出したいというふうに思っています。  もとより、介護保険料をどう上げるかということとも絡んできますから、ここは国民皆様方の御理解も得なければなりません。そのためにも、先ほど申し上げたような、全体の予算の中で社会保障給付負担をどうするかと。これは総理の下にある国民会議でも議論をされているところでありますから、そういうことも踏まえながらきちんとこの問題については解答を出したいと思っております。
  156. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 是非、この介護報酬につきましては、もう御承知のとおり、この数年来の介護報酬というのは、当初予想に比べて、制度的な抑制によって、十八年以来の抑制によって、相当その伸びが予想されたにもかかわらず、それが実はもう伸びていない、制度的に抑制され過ぎた状況でございますから、これはもう本当に限度に来ていますので、これ以上介護現場を決して荒らしてはならないわけでありますから、介護報酬についてやっぱり断固たる決意を持って是非臨んでいただきたいと思いますので、要望させていただきます。  それから、介護という仕事は肉体的にも精神的にも非常にきつい仕事であるにもかかわらず、そういう中でやっぱり介護が好きだからと、介護に対して生きがいやあるいは志を持って現場で頑張っていらっしゃる方がたくさんいらっしゃるわけでございまして、こうした方々がやりがいを持って仕事を続けていただくためには、やっぱり介護という仕事がいかに重要であるのかと。それは単に報酬だけじゃなくて、やっぱり社会的な評価もちゃんとその介護という仕事に対して与えられなければいけないという具合に考えている次第でございます。  そういう意味で、介護という仕事がいかに重要であり、そしてやっぱり誇り高いものであるか、貴いものであるかということについて国民皆さんに広く認識していただくことがやっぱり必要ではないのかという具合に思っています。  それらの社会的な認知度を高めていくためにも、私は、例えば介護現場で長年にわたって頑張っておられる方々を表彰するとか、あるいは非常に介護の中で長年でなくてもやっぱりすばらしい介護をやられている方について表彰するとか、そういうやっぱり社会的な認知というか評価をちゃんとやっていく必要があるんではないのかというふうに思っている次第でございまして、それについて舛添大臣の見解をお伺いさせていただきます。
  157. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私はそれは全く同感で、いろんな処遇を改善するとともに、社会的評価を高めるという、認知度を高めるというのは非常に必要だというふうに思っています。本当に希望に燃えて若者がこの仕事に就きたいんだと、そういったときに、それはただ単に給料という面だけではなくて、社会がそういう目で尊敬を持って見てくれるということが必要ですので、福祉人材確保指針というのを昨年八月に決めましたけれども、また夏辺りにでも集中的にこういうことをやる月間を設けたいというふうに思っています。  それから、私は、介護の日というのをこれをもう設けようと思っていまして、既に各団体がいろんな介護の日を設けていますが、例えば今年の後半だったら秋にでももうやれるわけですし、何月何日にするかということを一年以内に決めて、そこでの催しを通じてもこれをやりたいというふうに思っております。
  158. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 介護の日等も是非検討をさせていただきたいと思います。もう私もその質問を予定していたわけでありますけれども大臣が具体的に検討するということでございますから、是非これをやっていただきたいと思います。  さらに、具体的な待遇の問題、処遇の問題と、それからやっぱり生きがい、やりがいの問題、それから、そういう具合に頑張って続けておられる方のために、介護従事者の健康管理対策とか福利厚生についてもやっぱり労働環境全体の整備を推進する必要があるんではないのかなということを考えております。  厚生労働省の見解をお伺いしたいと思います。
  159. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答えを申し上げます。  介護従事者の方の御不満や悩みを調査した結果では、給与面のこともございますが、有給休暇を取りにくいとか、業務負担責任が大き過ぎるとか、仕事がきつくて体力的に不安があるといった理由の割合も高くなっておりまして、今委員からお話がございました適切な雇用管理でございますとか福利厚生の充実が大事ではないかと思っております。介護の分野では中小零細規模の事業所が多いことから、福利厚生の充実といったところでも難しい点がございますので、そういった面での環境整備も必要ではないかと考えております。  先ほど来御答弁申し上げております人材確保指針におきましても、経営者、関係団体、国、地方公共団体が十分連携して、労働環境の整備の推進、それから健康管理対策等福利厚生についても取り組むべしということで、具体的な項目を挙げて行わなければならないことを明記したところでございます。  平成二十年度におきまして、この指針に沿って具体的なことを若干申し上げますと、雇用管理改善に向けました事業主への啓発でございますとか、雇用管理に関する講習を実施するとか、あるいは感染症・腰痛対策やメンタルヘルス対策など健康確保に関する事業主に対します相談、援助事業などの取組も掲げております。  こういった施策を通じて、また、全般的には人材確保指針でそれぞれ規定されていることが確実に実施されるよう取り組んでまいりたいと考えております。
  160. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 ありがとうございました。  そして次に、働く上で介護従事者のキャリアパスを明確にしていくこともやりがいを持って仕事をする上では重要ではないのかという感じがします。例えば、現場の第一線でこの程度頑張ったら次は中堅のチームリーダーになれるんだとか、それから更に経験を積んだら次は責任者という具合になるんだとか、そんなキャリアパスをきちんと構築していくことが介護従事者の方々が自らの将来を見据えながら頑張って仕事を続けていける一助になるんではないのかというように思っています。  このようなキャリアパスの構築について、厚生労働省の見解をお伺いさせていただきます。
  161. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 御指摘のございましたキャリアパスの構築につきましては、人材確保指針でもまさに労働環境の整備の推進と並びまして重点の柱として取り上げているところでございます。具体的には、施設長や生活相談員などの資格要件の見直しを通じました福祉・介護分野におけるキャリアパスの構築、今委員からお話がございましたチームリーダーになれるとか、そういったことも含めてやるべきだというふうにされておりますし、そういうキャリアパスをつくった上で、それに対応した、生涯を通じた研修体系の構築や従事者の方の研修等の充実といったことを掲げてございます。  今後、これらの指針に基づきまして、資格要件における有資格者の位置付け、あるいは各種研修事業の在り方について検討をしてまいりたいと考えております。  また、昨年成立していただきました、可決していただきました介護福祉士の法案におきましても、教育カリキュラムの見直しでございますとか、附帯決議でも、より専門的な介護福祉士について関係団体等で認定資格もつくるべきだというふうなことも附帯決議で御指摘いただいておりますので、そういったことも含めてキャリアアップの道筋を確保をしてまいりたいと考えております。
  162. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 介護従事者の処遇改善人材確保につきましては、今国会でも与野党を通じて、与野党の枠を超えて議論がなされているわけでありますけれども議論の対象が実際に介護に従事する介護職員やヘルパーのみにちょっと限られ過ぎているんではないのかという議論が私ども自民党の方でも広くされてきたわけであります。介護介護職員だけじゃなくて、看護師さん、それから理学療法士、作業療法士、事務職員やそれから厨房の職員さんなど様々な人たちが一体となってチームケアをしているというのが実は介護、福祉の現場でございます。  介護従事者の人材確保という場合、実際に介護を行う介護職員さんやヘルパーさんの方だけじゃなくて、今申し上げましたように、看護師さんや理学療法士さん、それから作業療法士さん、事務職員の方々などの人材確保も重要でございまして、職域の枠を超えて広く介護、福祉に携わる方々人材確保に向けた取組を進めていくべきではないかというふうに考えておりますけれども厚生労働省の見解をお伺いします。
  163. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  先ほど介護職員のキャリアアップについては御答弁申し上げましたが、委員から御指摘ございましたように、これからの介護はチームアプローチでやらなければならないということは各方面で指摘されているところでございます。  私ども介護福祉士等介護従事者に対する養成あるいは研修についてはプログラムございますが、そのほか、施設長や施設の関係者の方々に対します中央人材福祉センターなどの研修事業もやっております。そういった研修事業などについても、今委員から御指摘のありました観点で研修体系の見直しも考えていかなければならないというふうに考えておりますので、関係者の方々とよく御相談しながら、チームアプローチが進むように、そういった部分についても努力してまいりたいと考えております。
  164. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 介護従事者等人材確保のための介護従事者等処遇改善に関する法律案、この法律案は、介護従事者等人材確保をするために処遇を改善するということについて立法府の決意を表明しようとするものだというように思っております。  その具体的な取組につきましては大臣始め政府の対応にゆだねられるということになるわけでございますが、しかし、平成二十一年四月までに残された時間というのは約十か月ということになります。厚生労働省としていつまでにどのように対応しようとしているのか、想定されるスケジュールについてお伺いします。
  165. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  厚生労働省といたしましては、介護従事者の人材確保を図るために、働きやすい魅力ある職場づくりのための労働環境の整備を進めていく、さらには、今お話ございました研修の確保などキャリアアップの仕組みを構築をする、それから、効率的な経営、労働時間の短縮につながる事務負担の軽減等について、今関係局を集めて協議をいたしております。その検討結果に基づきまして、可能なものについてはすぐ実施をいたしますし、それから、予算の必要なものについては概算要求において予算要求をしたいというふうに思っております。  それから、大臣からも御答弁いただいておりますが、介護報酬につきましては、現在、労働者の実態の問題あるいは事業者の経営実態、それぞれについて調査をいたしております。それがそれぞれ七月あるいは九月ぐらいにまとまろうかと思いますので、その結果は詳細に分析をした上で、社会保障審議会の介護給付費分科会で十分な御議論をいただきまして、平成二十一年の四月の改定時に適切な対応をしたいと考えております。
  166. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 時間が本当に限られてまいりましたので、十分な対応を是非お願い申し上げる次第でございます。  来年四月の介護報酬改定において何とか今引き上げようということで頑張っているわけでありますけれども、それを、介護報酬が引き上げられましたとしても、先ほども委員のお話もございましたが、必ずしもそのことがストレートに介護従事者の賃金の引上げにつながるかというと限らない場合がございます。介護従事者の賃金として幾ら支払うということを義務付けるべきであるという意見もございますが、賃金は労使協議で決めるべきでありましょうから、行政が一律に義務付けるということはなじまないかもしれません。  しかし、そもそも介護事業者には中小零細企業が多く、適切な雇用管理すらできていないところが少なくないという話を聞きます。介護従事者の処遇改善を図るためには、経営者にしっかりとした経営をしてもらう必要があるという具合に考えます。このため、例えば厚生労働省として適切な雇用管理モデルを示すなどの対応が必要という具合に思いますが、厚生労働省の見解をお伺いします。
  167. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) 先生おっしゃいますように、雇用管理は非常に重要だろうというふうに考えております。  そういう中で、訪問介護につきましては、既に賃金管理、能力開発等々を含みます雇用管理の好事例等を集めまして、これを情報提供いたしております。それから、介護労働安定センターという外郭団体ございますが、そこではインターネットを通じまして事業主が雇用管理につきまして自ら簡易に診断できるようなシステムあるいはそういう中で情報を入手できるシステム、これも今年度から運用開始しております。  これから施設介護の方につきましてもこういうことを検討し、やっていくというようなことを含めまして、おっしゃいましたように、事業主の方々が雇用管理をきちんとできるような支援、これを十分にやっていく、これを考えていきたいというふうに考えております。
  168. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 介護保険施設におきまして今入所者の重度化が進んでいます。そうしますと、今後ますます医療の必要性が高まるという具合に予想されるわけであります。現に、現時点におきましても大変、そういう状況の中で、医療についての必要性をどうもっと確保するのかということが各介護現場の中で議論されているわけであります。しかし、現状では、医師や介護職員などの医療職にしか医療行為が認められていません。しかしながら、現場においては、例えば特養で、特別養護老人ホームでございましても、健康管理のためという具合にしか医師が非常勤で、嘱託でいるということで、また看護師さんにいたしましても健康管理という中身でございます。  そういう中で、しかし、実質的にはこの医療関係職種に対する負担が増大をしているわけでございまして、医療関係職種、十分に確保できていないというのが現状でございます。そういう中で、介護職員が医療行為に少し手を出さざるを得ないというような現状にあるという声も寄せられているところでございます。  特養などの介護保険施設におきまして、入所者の医療処置の必要性に対応して適切にサービスを提供するためには、医療職と介護職の役割分担を明確にするとともに、医療職と介護職の連携、それからそういう中で介護職員の増員、それから外部からの医療提供の容認、今のところ特別養護老人ホームの中で病気をしますと他の病院に出て、それでそちらの方にかかって、そちらに入院するという形態しかありませんけれども、そういう意味では外部からの医療提供の容認、言わば訪問医療とか、そういうこともちゃんと認めなければいけないというように思っています。  そのことを早急に検討しなければいけないと考えますが、厚生労働省の見解をお伺いします。
  169. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 大変重要な問題提起だと私ども受け止めております。  介護保険施設につきましては、一つは、例えば老人保健施設でございますと在宅復帰を目指すということでございますので、医療提供施設として位置付けられております。それから、御指摘ございましたように、特別養護老人ホームの場合ですと、医療提供施設ではなくていわゆる日常生活の場だということで、要介護者、高齢者の生活の場として位置付けられておりまして、主として配置されておりますお医者さんあるいは看護師さんにつきましても健康管理をメーンにやっているという現実がございます。  今委員御指摘ございましたように、特別養護老人ホームにおきましても大変入所者がだんだん重度化しておりまして医療の必要性が高くなっている、非常に危ない場合には救急車を呼ぶというようなケースも出てきているというふうに私ども聞いております。そういう中で、こういう医療サービスをどういうふうに提供していくのかというのは大変重要な問題でございまして、今まで、私どもとしても、看護師さんによります二十四時間の連絡体制の確保、あるいは、みとりの体制を確保するという意味で重度化対応加算というふうな仕組みもつくってまいりました。ただ、これでもう必ずしも十分ではないと思っておりますので、早急に検討をしたいと思っております。  特別養護老人ホームなどにおける看護職と介護職の役割分担、連携をどうするかということと、さらには、医療サービスの提供を外部の対応を含めてどう考えていくのかということで検討を進めていきたいというふうに思っております。
  170. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 是非お願いいたします。  特養はやはり生活する場でございます。そういう意味では、やっぱり自宅にいるのと同じように、家から病院に入院する場合もあるかもしれませんけれども、しかし家の方に往診という形で今外部からの医療提供は可能なわけでありますから、是非そういう意味では看護職員さんの増員や外部からの医療提供の容認についても早急に結論を出していただきたいという具合に思います。  現在、特養への施設入所を待っている方は三十八万人とも言われています。特に、都市部におきましては特養などの介護保険施設が不足しているという声も聞きます。都市部においては、各地方の方に施設を造ることをお願いをして、そして住民票は都市に残したまま、東京に残したままなんていうような声も聞かれているわけでございます。  この不足している介護保険施設というものを何とか私ども充実をしていかなければならないという具合に思っています。施設サービス在宅サービス利用者が選択できるということがやっぱり介護保険制度制度設計に当たっての基本的な考え方でございました。そのためには、待機者の実態を十分に把握した上で、バランスよくサービスの基盤整備を進めるべきであろうかという具合に思います。  最近は、各地方においても、あるいは非常に施設を充実しにくい都市部においても、なかなか待機者を減していけるような形での施設整備がちゃんと行われていません。それに対して、もうぼちぼち検討を終えて明確な方針を厚生労働省は私は出さなければいけないという具合に思っています。それについて厚生労働省の見解をお伺いします。
  171. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  介護保険制度につきましては、施設サービス在宅サービスというのをきちんと組合せをして、高齢者の生活、暮らしを支えていくという仕組みでスタートしております。衛藤先生も御指摘のように、やはりバランスをうまく取るということが大変重要だというふうに思っております。  介護サービス基盤の整備については、住民ニーズを把握をして、必要な介護サービスの内容や量については介護保険事業計画というものを市町村で作成をしていただくということになっております。現在、今度は第四期のこれから作業に入るわけでございますけど、介護サービス給付状況、あるいは今御指摘ございました特別養護老人ホームの申込者の状況あるいは待機者の状況、あるいは他の在宅サービス状況等を十分各市町村で把握をしていただいて、その上で必要な介護サービスの内容あるいは総量を見込むということが必要だろうと思っています。  いずれにいたしましても、住民のニーズ把握をきちんと行う。また、地域ごとにかなり、都市部の事情とあるいはそれ以外の農村地帯といいますかではかなり事情が違う面もあろうかと思いますので、各地域の実情に応じて施設サービス、居宅サービスのバランスの取れた整備を進めていかねばならないというふうに認識をいたしております。
  172. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 今この三十八万人を超していると言われる施設入所を待っている方々に対して明確なやっぱりもう方針を厚生労働省としては出す時期が来たと思いますので、是非その最終的な検討を来年までに行われる介護報酬改定までにはちゃんと出していただきたいという具合に思っている次第です。  それから、この介護保険制度というのは元々大変な高齢化社会到来の中で、少子高齢化社会到来の中で、家族の力だけではなかなか介護することが大変だと、このままでずっとほっておくと逆に家族崩壊を起こしてしまうというような状況の中で、何とか共助の精神で保険制度を運営していってこれを成り立たしていこうと。ですから、三つの柱によって支えようと。自助努力と、それから保険という形での共助と、そしてまた税を入れて公助という形で支えていこうということでつくったものがこの介護保険制度でございました。  介護を必要とする人々がより良い生活を送るためには、サービスを提供する事業者のみではなくて、家族、親戚、友人、近隣の方々の支えも大切であります。そういう意味を持ってもまた地域福祉を原点とするということは、今まで生まれ育ってきた環境をそのまま施設に引き継げるようにということがこの介護保険制度の理念でもあったはずであります。  したがいまして、介護保険施設に入所した場合でありましても、施設における生活はそれまでの生活と断絶するんではなくて、施設において引き続き家族方々や友人やあるいは近所の方々と交流する機会を確保することが重要であるという認識でもってこの介護保険制度スタートしたわけであります。そのためには、今やっぱり特養などで、介護保険施設における入所者が家族や友人や今まで住んでいた御近所の方等との交流ができるスペースというか空間をちゃんと確保しなければいけないと思っています。また、そういう具合にお互いに、入所者も、そして家族方々も、そしてまた施設の方々も、それが当たり前なんだ、そのことが元々の法の基本的な精神なんだということを認識していただいて、それを担保できるような環境を整備する必要があるという具合に考えております。  厚生労働省の見解をお尋ねします。
  173. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 大臣もお話しいただいていますように、自助、共助、公助の組合せによって高齢者の生活を支えるということだと思います。  それで、特別養護老人ホームなどの介護保険施設におきましては、入所されている方が明るい活力ある生活をしていただくというためには、御指摘のように、家族あるいはお友達あるいは地域方々と交流を保つということは大変重要だというふうに認識をいたしております。そのために、私ども介護保険施設の運営基準におきましても、各施設に対しては家族あるいは入所者との交流の機会を確保するように是非お願いをすると、それから地域の住民の方々との交流を図るようにということで一応基準に対しても定めて、できるだけそういうことをお願いするようにしておりますし、また、交流スペース自体をつくっていくということにつきましては、私どもとしては、地域介護・福祉空間整備施設整備交付金という長たらしい名前ですけれども、そういう一応補助金といいますか交付金の制度がございますので、そういう中で地域の交流スペースを確保するようにやっていただきたいというふうに思っております。  いずれにしても、施設に入ったから施設の中に閉じこもるというんではなくて、外部の地域の方あるいは家族の方、友人の方と交流するような介護サービス拠点が整備されていくように厚生労働省としても力を尽くしていきたいというふうに思っております。
  174. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 是非本気で検討をお願いしたいと思うんですね。  今の特養には、地域方々との交流するスペースを置いているんですね。それは、地域の校区の方々のいろいろな敬老会だとかあるいはいろいろな学校の方とかいろいろな形であるんですけれども、全部マスの対応なんですね。地域のマスの対応でいいんだという具合に思われている。しかし、本当に地域に暮らしていたら、そういうマスの対応と、元々の家族の交流だとかあるいは親戚との交流だとか、あるいはお友達との交流だとか御近所の方との交流というものもずっとあるわけですね。それを本来特養の中にちゃんと持ち込まなければいけないと、それが地域福祉の原点であったわけでありますから、そのことを忘れないでやっていただきたいと。でなければ、本当に任せ切りや、今はもう各施設もずっと町中にできていますけれども、町中でのうば捨て山になりますよということを申し上げているわけでありまして、改めて法を作ったときの原点を思い出してそのことをちゃんとやってもらいたいということでありますから、よろしくお願いいたします。  それでは最後に、今回のちょっとケアマネの問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  いろいろな議論の中で、民間事業者がいろいろ問題があるか、コムスン問題がずっと起こりました。一部でそういうところもあったのかもしれません。しかし、この介護保険制度をつくるときに元々私ども議論をしたのは、民間業者もいろいろ入れてヘルパーさんの派遣等においてもいろいろな方々に参画していただけなければとてもこれはできないだろうということを想定しましたから、そうなりますと、民間方々も入ってもらってちゃんとやっていくということをスタートの条件として挙げてありますね。ですから、そういう意味では、そのことは最初に、民間だけの利益追求だけでいくとこういう問題が起こりますよということは自民党は最初から指摘していたわけであります。  それをできるだけ起こさせないように一体どうしたらできるだろうかというときに、当初からケアマネをちゃんとしない限り、ケアマネに大きな権限を持たせて、そしてそのケアマネの方々に権限を持ってもらって、そしてその独立性と公平性が担保されなければ必ずこういう問題を起こしますよということを指摘しながらこの制度スタートしたわけであります。  そういう意味では、ケアマネの方も、制度スタートのときに非常に整備が不十分でありました。だから、介護認定が間に合わないというような状況の中で、とにかく今までに一回認定した人はそのままスタートするんだと。しかしながら、スタートしながら、このケアマネの独立性と公平性について担保していくんだということが確認されて本来スタートしたはずなんですね。しかしながら、そのことがちゃんとやられていなかったがゆえに、今回このコムスンの問題、私は起こしたと言って過言ではないという具合に思います。  私どもが、言わば大変家事援助等の軽々な認め方をしていったりすると、そこに、言わばだれでもできる、利益が上がるようなところに一気に民間業者が入ってくるかもしれない、そこのところを明確にしていく必要があると。しかし、全体をこれをどうするかということについて、ケアマネがやっぱり相当な権限を持って、そして独立性と公平性を持って対応しない限りとんでもないことになりますよという具合に指摘していたわけであります。またその問題が今回起こったわけであります。  そういう意味で、単に規制強化のみで私は実効は上がらないんではないのかという具合に思っています。今回のこの規制強化につきましては賛成をいたしますけれども、その規制強化のみによっては実効は上がらないということも十分に認識していただきたいという具合に思います。むしろ、やっぱり利用者の立場を代弁する、そういうケアマネがより良いサービスをやられまして、その中でちゃんとそういういろんな業者も自然淘汰されていくというのが本来の姿ではないのかという具合に思っている次第でございます。  しかし、現状では、御承知のとおりケアマネ事業所そのものの経営は厳しい状況にあるという具合に聞いております。まだまだこの介護サービス事業所を併設しているケアマネ事業所の割合は多い、言わば併設型の方が多くて、なかなか制度的にいっても独立性や公平性が担保しづらいという状況があるようでございます。  そういう状況の中で、今回問題起こしましたように、事業所を併設しているケアマネ事業所のすべてに該当するとは言えませんけれども、併設の介護サービス事業所によるところのサービス提供を中心としたいわゆる囲い込みが行われて、良いサービスの選択が阻害されるおそれがあるという具合に指摘されていたところでもございます。  今後、この介護サービスを適切に提供して適正化を進める観点から、ケアマネジャーの独立性とそれから専門性、そして公平性をもっと高めて、中立的な立場から職務に従事できるように政策を明確に進めるべきであるという具合に考えておりますが、厚生労働省の見解をお尋ねいたします。
  175. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) ケアマネジャーについての独立性、それから専門性、それから公正性、中立性を確立すべきだという御指摘は私どももそのとおりだと思っておりますし、制度スタートするときにそういう方向を目指してスタートしたわけでございますけれども、いろんな諸問題があって、サービスの提供という意味で必ずしも十分でなかった面があったことはあろうかと思います。  それで、平成十八年の介護報酬の改定の際に、ケアマネジャーの専門性、中立性、公平性を高める、公正性を高めるという観点から、幾つかの手だてを講じました。質の高いケアマネジメントを実施しているところに加算をするとか、あるいは管理者の任用資格を介護支援専門員にするとか、さらには、今委員御指摘のように、特定の事業所に集中してやっていく場合には報酬上の減算をするとか、そういったような措置を講じましたけれども、さらに、やはり私どもとしては、本来利用者の立場に立ったケアマネジメントが行われるというのが正しい姿だと思っておりますので、中立性、それから公正性、独立性が確保されるような形で今調査もやっておりますけれども、今後、介護報酬の在り方も含めて検討していきたいというふうに思っております。
  176. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 最後になりますが、大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。  介護問題は国民的な課題でございます。平成十二年に介護保険制度が導入されて、大臣からもお話ございましたように、やっぱりそれ以前と比べると、私も平成三年、四年という具合に両親が他界をいたしました。父がやっぱり五、六年ぐらい寝たきりで、それから母も七か月ぐらいでした。やっぱり看護、介護というのは非常に大変でございました。そして、いざとなると、付添いの方をお願いすると大変な金額が掛かります。一か月ぐらいでもう大体手を上げてしまいます。一日の付添いをお願いしたりしますと一日一万五、六千円、三十日たつと四十五、六万と。とてもじゃないですけど、それをずっと継続していくなんということは無理でありまして、そういう意味では私は介護保険制度というのはやっぱりだれにも安定した、安心できる老後を送れるようにということの願いを込めてそういう制度がつくられてきて、やっぱり一定の役割を果たしてきているんじゃないのかなという具合に思います。そういう具合に介護の問題は大変な国民的な今後とも大きな課題であろうかと思います。  そういう意味で、国民自身が介護はやっぱり自分の問題であるという認識を持ってかかわってもらわなければいけないというふうに思っています。介護保険にかかわる可能性はといいますと、最初に議論もいたしましたが、今、現時点においてぱっと縦で切りますと高齢者の二割の方々介護保険にかかわっているわけでありますけれども、しかし、一生ということを通じてみますと約半分の方々介護保険にかかわるようになるという具合に言われているわけでございまして、そんな意味でもやっぱり国民皆さん介護自分自身の問題であるという認識を持ってかかわっていただかなければいけないんじゃないのかという具合に思います。  その意味を持ちましても、先ほど介護の日を決めようかという大臣からもお話ございましたが、そういうような面を含めても、国民の意識の改革というか認識は極めて大事ではないのかというふうに思っております。  舛添大臣の見解をお伺いさせていただきます。
  177. 岩本司

    委員長岩本司君) 大臣、時間来ていますので簡潔に願います。
  178. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 繰り返しになりますが、介護の日は一年以内に必ず設定をして、そこで介護に携わる人たちを表彰する。それから、先般、介護現場を見ましたけれども介護方々努力される、本人も努力されて要介護度が改善されたと、こういう方に対してもきちんとしたお褒めの言葉を差し上げ、そして介護国民課題であるということを広く周知徹底させていきたいと思っております。
  179. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 ありがとうございました。
  180. 山本博司

    ○山本博司君 公明党の山本博司でございます。  本日は二法案の内容についてお聞きするとともに、介護保険制度に関する諸問題についてお聞きをしたいと思います。  介護従事者を取り巻く状況は大変厳しくなっていますので、来年の報酬改定までに一歩でも改善できるように更なる努力が求められていると思いますので、どうかよろしくお願いをしたいと思います。  まず、法案の内容についてお伺いをしたいと思います。  今回の政府から提出された法案では、介護報酬を不正に受給したコムスン不正事案の発生をもとに、有識者会議の報告を踏まえ、様々な改善策を提示していますが、このような不正は二度と許さないという強い姿勢を示すことが必要と考えております。  始めに、コムスン不正事案の主な経緯と、この事件に対して政府はどのように対処してきたのか、お聞きをしたいと思います。
  181. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) コムスンにつきましては、昨年の六月に不正な手段による指定申請の事実が明らかとなりました。それも、結果として調べますと各地で行われておったということでございます。処分前に廃止届が出されまして、結果的に取消処分がなされないということでございました。  したがいまして、私どもとしては、これらの行為は不正又は著しく不当な行為に該当するだろうということで、コムスン事業所について新規の指定、更新はしてはならないというふうなことを各都道府県に通知をいたしました結果、コムスンは最終的には介護サービス事業から撤退をするということになりました。  コムスン撤退に当たりまして、従業員と利用者方々の円滑な移行を図るということで株式会社コムスン第三者委員会というものを設置をいたしまして、その第三者委員会の中で事業移行先の選定が行われました。その選定された事業移行先に昨年十一月一日までに一応事業の移行は完了したという経緯でございます。  厚生労働省としては、この一連の過程で利用者サービス継続というのが一番大事でございますので、対策本部を設置をし、地方公共団体あるいは関係団体への協力要請を行ってきてまいりました。関係者の御協力によりましてコムスン事業移行についてはおおむね円滑に行われたのではないかというふうに思っております。  今回、こういうコムスンの事案が出たことを反省をいたしまして、有識者会議会議あるいは介護保険部会等の議論を踏まえまして、このような制度改正に立ち至った次第でございます。
  182. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。  そもそも営利企業介護保険制度に組み入れたことが問題であるという指摘もございますけれども、既に多くの営利企業介護事業参入しており、法令を遵守して努力している中でありますので、この一事件をもってすべてが悪いというのは一概には言えないと思います。  こうした中、コムスン介護事業から撤退をし、事業が譲渡されましたが、介護サービス利用する人たちに支障が生じることがあってはいけないと思います。  事業譲渡からおよそ半年程度が経過をしておりますけれども介護サービス事業譲渡後も譲渡先において維持をされているのでしょうか。また、事業承継の際の公募参加条件などでは、従業員の雇用と労働条件を維持し、不利益変更は行わないと定めていましたけれども、その約束は守られているのでしょうか。この点につきまして、厚生労働省としての、現状をどのように掌握されているのか、お答えをいただきたいと思います。
  183. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 午前中にも同じような御質問ございましたけれどもコムスン事業移行先の件でございますが、私どもも、コムスンの従業員が、二万人を超える従業員の方がいらっしゃいましたし、それから利用者の方は七万人から八万人ということで大変大規模なことでございました。いろいろ頭を痛めたわけでございますけれどもコムスン第三者委員会を設置していただきまして、サービスを継続して提供できる、あるいは従業員の労働条件を継続できるという前提の下に慎重に審査が行われて移行先が選ばれたということでございます。  事業の移行後でございますけれども、私どもは、都道府県にも市町村にも、十分、もし仮に事業移行先法人サービスの提供にあって問題が生じた場合には速やかに連絡をいただくようにということでずっとやっておりますけれども、現在のところ、移行先の提供するサービスに問題があったというふうなことは報告は受けておりません。したがいまして、いろいろ詳細は十分分かりませんけれども事業先の法人においては十分な対応がなされているんではないかというふうに推測をいたしております。
  184. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。この点につきましても、介護サービス利用者とか、また介護労働者の安心を確保すると、このためにも是非とも今後とも注視をしていただきたいと思います。  次に、今回の閣法の改正案では介護サービス事業者に対しまして業務管理体制整備を義務付けておりますけれども、具体的な内容はどのようになっているのでしょうか。例えば、内部監査の体制整備するようなことになれば、介護事業者の過重な負担となる場合があると思います。また、この義務を違反した場合の処分、対応はどのようになるのでしょうか、お示しをしていただきたいと思います。
  185. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 今回の改正では、事業者の法令遵守、いわゆるコンプライアンスを確保するために業務管理体制整備を義務付けるというふうにいたしております。  全事業者に対して義務付けをいたしておりますが、これは、前にも申し上げましたように、規模に応じて対応を変えたいと思っておりますが、基本的には、法令遵守にかかわります担当者の選任は義務付けをすると、それから事業者の規模に応じてそれはマニュアルの整備であるとか内部監査の実施ということを義務付けたいということを考えております。  それから、御指摘ございました業務管理体制整備の義務に違反している場合には、指導監督権者、これは国あるいは都道府県になろうかと思いますが、改善勧告とか改善命令が掛けられるということでございます。もし仮に事業者が改善命令に従わないといった場合には、指定権者が事業者取消処分ということも行うことは可能にはなっております。
  186. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。  さらに、今回の改正案では、不正行為の組織的な関与を確認をするために新たに立入検査権が創設をされまして、介護事業者本部等にも立入調査が実施できるようになっております。これはこれまでの不足を補うものでありまして重要な改正点ではございますけれども、手続に多くの時間を取られ、介護事業者の過度な負担となることも考えられるのではないでしょうか。また、指導の判断も各自治体や担当者ごとにばらつきが見られる懸念もあるので、一定の基準が必要ではないでしょうか。  この点につきましても、厚生労働省としてのお考えをお聞きをしたいと思います。
  187. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  今回の改正介護サービス事業者に対して業務管理体制整備を義務付けて、それから本部に入る、監査できるということでございますが、これはコムスン事件の反省に立ちまして、コムスンの場合に六本木の本社に入れなかったという経緯がございまして、私どもとしても何らかの不正行為が組織的に行われたかどうかということを確認をするという意味で、事業者調査だけでは不十分だから本部に立ち入るということでございます。したがいまして、過度なことを考えているわけではございません。  立入検査については、個々の事案に応じて必要な調査が尽くされるべきだというふうに考えておりますけれども事業者にとって非常に過重な負担にならないように、そこは考えたいと思っております。  それから、ばらつきの問題でございますが、これは確かにいろいろこれから考えていかなきゃならない問題でございまして、基本的な知識あるいは組織的な不正事案の確認の方法等について各県の監査の仕方についてばらつきが生じないように、マニュアルの策定とか研修とか、そういうものを考えていきたいというふうに思っております。
  188. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。新たな規制がこういう介護事業者の創意工夫を阻むような、そういうことがあってはいけないと思いますので、しっかりとした対応をお願いを申し上げたいと思います。  次に、改正案では、事業廃止時の介護サービス確保対策を充実をさせ、事業者の義務を明確化しております。また、行政が必要に応じて事業者の実施する措置に対する支援を行うことにしております。私も今、中国、四国地域を回っておりますけれども離島とか中山間地帯がたくさんございます。離島山間へき地などの条件不利地域での介護サービスというのは大変厳しい状況に置かれており、日中はできても早朝や深夜のサービスは難しいという場合もあると聞いております。  こうした状況を打開をして支援措置を拡充すべきと、このように思いますけれども舛添大臣の御見解をお聞きをしたいと思います。
  189. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) おっしゃるように、離島山間へき地、なかなかこのサービスの確保が難しい、そういう中で事業者撤退すると。基本的にはその事業者がちゃんと引き継いでやれるサービス体制を整えていることになっていますが、現実にそれがすべて可能かというと、なかなかそれは難しい面があると思います。したがって、そこはきちんと行政が対応するということをやっていきたいと思います。  幸い、今回のコムスンについて調べてみましたら、幸いなことに、その後、穴が空いて大変だというような状況にはなくてほっとしておりますけれども、しかし、具体的なこれから同じようなことが起こったとき、行政がやるべき手としては、引継ぎ先事業者を募集する、ここで例えばコムスンがいなくなる、どなたか来ませんかと、こういうことに対する周知徹底への協力をやっていく。それから、新しい事業者が来たときに、この地域ではこういう運営をすればいいですよというアドバイスを与える。それから、いよいよ後来る方がいないときには、それはもう行政が個々の利用者に対して一人一人丁寧に手を打っていくと、そういう体制利用者が御不便を来さないようにやりたいと思っております。    〔委員長退席、理事蓮舫君着席〕
  190. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。介護保険制度を守るためにも大臣、一層の努力をお願いを申し上げたいと思います。  次に、介護従事者の処遇改善についてお聞きをしたいと思います。  現場介護に携わる人たちの労働条件の改善、これは喫緊の課題であるという点に関しましては委員共通の認識であると思います。  まず、他の産業と比較をしてどうして介護従事者の賃金水準が低い状態が発生をしてしまったのか、厚生労働省としてはこの原因をどのように分析をしているのか、お答えをいただきたいと思います。
  191. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 確かに、介護労働者の賃金が他の職種に比べて低いという御指摘をいただいておりますし、データ的にもそういうことになっております。ただ、その場合に、勤続年数の違いでございますとか幾つかの要因がございますので、なかなか簡単に低い高いということを一概に申し上げることが難しいということも事実でございます。  私どもとしては、昨年社会保障審議会に設置をいたしましたワーキングチームの報告によりますと、賃金水準を含めて介護事業に影響を与えるあるいは介護労働者の処遇に影響を与える要因としてはかなり多くの要因があるだろうと。一つには介護事業所間の競争の問題、あるいは経営のマネジメントの問題、あるいは各事業所の人事管理、労務管理の問題、あるいは他の労働市場との問題、幾つかあろうかと思っております。  したがいまして、現在、今、介護労働者の実態についても調査をいたしておりますし、それから介護事業者の方の経営の実態の調査をいたしておりますので、その調査結果を詳細に把握した上で十分な対応をしていきたいというふうに思っております。
  192. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。  また、介護報酬ということに関しまして言いますと、これまで平成十五年と十八年に二度引き下げられております。これが経営者の裁量の余地をなくしてしまって現在の状況を引き起こしているという、こういう指摘もなされております。この二度の引下げが介護従事者の賃金水準にどのような影響があったと分析をしているのか、お答えをいただきたいと思います。
  193. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 介護労働者の処遇に影響を与える要因としては、今申し上げましたようないろんな形の要因が考えられると思います。  御指摘ございましたように、確かに平成十五年、十八年と二回の介護報酬改定がございました。特に、訪問看護について介護報酬の改定の影響が出ているんではないかという御指摘があるわけでございますが、確かにこれまでの介護報酬改定が結果として介護従事者の処遇に影響を及ぼしているということは否定できない面があろうかと思いますが、一方、最近のデータを見てまいりますと事業者数の増加もございます、ちょっと最近鈍化している面もございますけれども事業所間の競争の問題もございますし、幾つかそれ以外の要因もあるんではないかと思っております。  したがいまして、これが、この原因がこれに、結果に至っているといったような因果関係をはっきり示すような分析は十分できておりませんけれども、今、先ほど申し上げましたように実態の調査をしておりますので、その上で今後の介護報酬改定について十分検討していきたいというふうに思っております。
  194. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。  いずれにしましても、介護労働の専門性を正当に評価をして、介護従事者の生活設計が可能な賃金を保障できるようにする、この介護報酬を次期改定において措置をすべきと、このように考えるわけでございます。  午前中にも何度もお話がありましたけれども舛添大臣介護報酬を引き上げると、こう発言をされたと聞いておりますし、この度、衆議院からの委員長提案の法案もまた介護従事者の処遇を改善すべしという共通の認識の上に提案をされていると思います。介護を担う優れた人材の確保を図るために賃金水準を大幅に引き上げるべきと考えますが、舛添大臣の御決意をお聞きをしたいと思います。
  195. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 先ほど来申し上げていますように、今介護労働者、そして介護経営の実態について詳細な分析を行っているところであります。そういうものを踏まえて、介護の人材を確保し、生き生きと働いていけるためにやはり処遇をきちんと適切なものにする必要があると思っておりますので、来年四月の報酬改定時においてはきちんと対応してまいりたいと思います。
  196. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。是非、実効性のある、そういったものにしていただきたいと思います。  次に、介護従事者の負担軽減策についてお伺いをしたいと思います。  私は、昨年の十二月二十五日のこの本委員会におきまして、介護従事者を取り巻く状況とともに、書類作成などの事務負担の軽減を要望いたしました。その際、局長からは、可能なものから順次検討、実施に努めていきたいと、こういう答弁をいただいておりますけれども、その後進展はあったのでしょうか。取組状況について報告をいただきたいと思います。
  197. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 私も、この当参議院の厚生労働委員会で、十二月だったと思いますが、山本委員から御指摘ございまして、事務負担の軽減について可能なものから順次検討、実施に努めていきたいというふうに御答弁いたしました。  今、まさに介護事業者の業務、それから自治体の監査の実態を把握しまして、簡素化が可能な事務手続、書類についてリストアップをしております。大体事業者団体からのヒアリングも終了しましたし、自治体側からの要望というものも大体あらあら聞きましたので、今やっておりますのは、非常に頻度が多い、必要以上に頻度が多いようなものとか、あるいは他の事務手続で代替可能なものというふうなものを今選ぶべく具体的な作業に入っておりますので、もう少し時間をいただければ、具体的にその部分がこういう事務負担部分が軽減できるということが公にできるのではないかというふうに思っております。
  198. 山本博司

    ○山本博司君 遅いですよね。十二月に話して、五か月以上ですよ。五か月以上たって同じような答弁しか出ないという、現場の本当にヘルパーさんであるとかサービス提供者であるとか、大変な思いで仕事をしているわけですよね。そういう中で、事務負担の量が大変であるということは認識をされているわけですから、それをもっとやっぱりスピード感持って対応していくというのが本来の筋じゃないでしょうか。そのことを申し上げておきたいと思います。  また、介護従事者から身体的負担、特にホームヘルパーの方や施設系の介護職員の方から腰痛の訴えをよくお伺いをいたします。こうした負担を軽減するために、例えば身体への負担を軽減をし介護が容易に行えるリフトなどのサポート用具の開発は大変有効な方法だと思います。そうした技術開発とコスト削減を国としても取り組むべきと考えますけれども、どのように認識をされておるんでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
  199. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 事務処理の問題については、できるだけスピードアップをしてやりたいと思っておりますし、私どもとしては全力を挙げて今やっておりますので、御理解を賜りたいと思います。  それから、今御指摘ございました、IT技術とか新しい技術を活用して、介護する方の身体的負担を軽減するということができないかという問題意識でございますけれども、私どもとしても、日常的に介護をされている方の負担軽減、あるいは利用者方々の立場に立った場合の日常生活上の便宜という二つの面からやっぱりそういう機能訓練に関する広い意味での福祉用具といいますか、そういうものの活用というのは重要であろうというふうに思っております。  IT等の新技術の活用につきましては、率直に言いまして調査研究段階にあるものも多うございますけれども、調査研究に対する助成もやっておりますし、それから新技術の実用化に向けての支援というのも幾つかやっておりますので、私どもとしても、今後そういう福祉用具が現場意味のある形で活用されて、介護従事者の身体的な負担が軽減されるように今後とも努力をしてまいりたいというふうに思います。
  200. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。是非、介護従事者の負担軽減に向けてあらゆる知恵を出していただいて取り組んでいただきたいと思います。    〔理事蓮舫君退席、委員長着席〕  次に、話は変わりますけれども介護施設における入浴設備、近年、レジオネラ症とかノロウイルスなどの影響で、今まで以上に殺菌とか洗浄に注意を払わなくてはならなくなりました。これが施設系の介護従事者にとりましても新たな大変な負担となっております。  そこで、介護施設における入浴設備の殺菌について、どのように規定をしているのかお聞きをしたいと思います。  一般の銭湯とか宿泊施設の温泉などは公衆浴場法が適用されまして、現在では塩素の殺菌の使用を指導されております。これに対して、病院の浴場施設とか特養とかデイケアの施設などでは、こういった社会福祉施設では公衆浴場法の対象外でありますから、殺菌方法の限定はないはずであります。  ところが、地域によってはこうした公衆浴場法の規定と同じく、塩素殺菌の使用を指導されている場合があるとのことでございます。この場合、どういった規定が本来あるべき姿なのか、確認をしたいと思います。
  201. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 介護老人福祉施設の入浴設備につきましては運営基準というのがございまして、その中で入所者の使用する設備として衛生的な管理に努め、衛生上必要な措置を講ずることというふうにされております。  それで、入浴設備につきましては特にレジオネラ症対策が大変重要でございまして、その発生あるいは蔓延を防止するための措置につきまして、平成十五年の時点でレジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針というものを告示をいたしております。  これらの運営基準に基づきまして、あるいは指針に基づきまして適切な措置が講じられるように都道府県等を通じて指導しているところでございます。  それで、浴槽水の消毒でございますが、指針におきましては、塩素系の薬剤を使用する場合の塩素濃度管理方法等について定めるということを行うとともに、塩素消毒以外の方法により消毒を行う場合等においてはそれぞれの場合に応じた適切な維持管理を行うようにというふうに定めておりまして、塩素消毒以外の消毒方法を排除するというわけではございませんので、その辺についても十分周知をしたいというふうに思っております。
  202. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。是非、適切な指導をお願いを申し上げたいと思います。現場では混乱をしているケースも一部あると聞いておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、介護保険制度全般の将来構想についてお聞きをしたいと思います。  今後、高齢化社会が進展をしていく中で、介護保険制度の重要性はますます高くなってきますが、国民に信頼をされ継続性のある制度を維持しなくてはなりません。  そこで、まず、今後の要介護認定者及び要支援認定者の増加の見通しをどのように見ているのか、お聞きをしたいと思います。
  203. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  平成十八年の五月時点における厚生労働省の推計によりますと、平成二十三年度におきます要支援、要介護者でございますが、五百四十万人、それから平成二十七年度におきましては六百二十万人、平成三十七年度におきましては七百八十万人というふうに増加をしていくというふうに見込んでおります。
  204. 山本博司

    ○山本博司君 今お話がありましたとおり、ますますどんどん増加をしていくということでございますけれども、それに伴いまして介護サービスを提供する介護従事者も増加をしていかなくてはならない、このようになると思います。そうした意味でも、将来的にも介護従事者の確保が重要になると思います。潜在的介護福祉士と呼ばれております、現時点介護等の業務に従事していない介護福祉士資格取得者に再び介護の世界に戻ってもらうことが求められていると思います。  そこで、潜在的介護福祉士の方たち介護の職場に復帰をしてもらうためにどのような促進策を考えておられるのか、お聞きをしたいと思います。
  205. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答えを申し上げます。  まず、どういう理由で潜在的な介護福祉士になっているかと、そういったことも調査する必要がございますので、これは介護福祉士に限りませんが、資格を持っている福祉関係の方、約七十七万人おられますが、そのうち二十万人を抽出して調査をしたいと思っています。  それから、資格を持っておられて就労しておられない方については、まず就職説明会の実施等による福祉・介護サービス分野への再就業の働きかけ、それから無料職業紹介等の実施、それから再教育を通じての就業支援、相談体制整備などを行うこととしておりますが、二十年度は特に都道府県人材センターにおいて介護職場へ復帰を希望する介護福祉士等の有資格者に対します再研修、就労希望者への説明会など、再就労支援のための相談の実施を行うことといたしております。
  206. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。働きがいのある、モチベーションの高い職場環境ができていきますと、介護制度社会的な使命から考えますと復帰をする人たちも数多くいると思いますので、どうか復帰促進に向けた取組をお願いを申し上げたいと思います。  次に、療養病床の見直しについてお聞きをしたいと思います。  長期にわたる療養を必要とする患者のための療養病床につきましては、医療保険適用の療養病床約二十五万床と介護保険適用約十三万床がございますけれども、これを再編成をして受皿の整備、これをすることになっておりますけれども、この療養病床の見直しについて、今後の基本的な考え方、どのようになっているのかお答えをいただきたいと思います。
  207. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  療養病床の再編成でございますが、利用者のニーズに合ったサービスを適切に提供をしていくと、医療ニーズの高い方と必ずしもそうではない方に分けて考えていこうということでございます。平成二十年三月まで掛けて計画的に進めていくということでございまして、私どもとしては、その受皿の整備を十分にしていかなきゃならない。その受皿の整備でございますが、先般、介護老人保健施設等の介護療養型の老健施設という形で提示をいたしましたので、これからそういうものについて十分周知をして、入院されている患者さん、あるいは医療機関の関係者に不安のないようにしていきたいというふうに思っております。
  208. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。その利用者方々、支障が生じないような丁寧な説明をして了解を得ていただきたいと思います。  このように、医療介護の見直しということに関しまして、舛添大臣も長期的なビジョンとして介護保険医療保険の統合も含めた議論について言及をされたと伺っております。将来的な社会保障全般の見直しも視野に入れた議論が求められており、現在、福田総理の下でも社会保障国民会議が設置されまして議論が展開をされております。  こうした中、将来的な介護保険制度の在り方について、舛添大臣はどのように考えていらっしゃるのか、最後にお聞きをしたいと思います。
  209. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) どうすれば持続可能な介護制度になっていくのかということ、そして介護保険医療保険、今のままではすぐ統合というわけにはいきません。  しかし、長期的に一つの可能性として、二つの保険制度の垣根を取り払っていくということも国民の観点から見ても十分考えていい選択肢であろうと思っておりますけれども、今委員おっしゃったように、総理の下にあります社会保障国民会議において、こういうことも含めて短期、長期、中期の課題についてきちんと対応してまいりたいと思っております。
  210. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございました。  以上で質問を終わります。
  211. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。  本日は、介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律案に関連しまして質問をさせていただきます。  まず最初に、介護サービス事業者指定取消処分になった事案について質問をさせていただきたいと思います。介護サービス事業者指定取消処分の件数、そしてまた法人種別についての近年の動向についてまず厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  212. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  指定取消処分のありました介護サービス事業者数でございますが、平成十二年度から平成十八年度までの合計でございますけど、四百八十二か所ということでございます。  もう一つお尋ねのございました法人種別ごとの取消しの箇所数でございますが、営利法人が全体の六八・三%で三百二十九か所、医療法人が五十五か所、特定非営利活動法人が四十四か所、社会福祉法人が三十五か所、その他十九か所ということになっております。
  213. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 介護サービス事業者事業取消処分になった事由についての近年の動向はどのようになっているのか、この点もお伺いをしたいと思います。
  214. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  平成十八年度において指定取消処分を受けた七十三の事業所について、これは複数の取消し事由、オーバーラップしているケースもございますけれども処分の原因となった理由を整理をいたしますと、介護給付費の不正請求というのが三十三事業所、それから、人員について基準に満たす員数を満たすことができなくなったという事業所が二十三事業所、それから、設備・運営基準に関する基準に従った適切な運営ができなくなったというのが十八か所、それから、帳簿書類の提出命令に従わなかった、あるいは虚偽報告を行ったというのが十八事業所、それから、不正な手段によって指定を受けた、十六事業所などとなっております。
  215. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 事由の調査、単年度の資料はあるということでありましたけれども、何年か継続して調べているということが調査のデータがないということでしたので、これはしっかり調べていただいて、その傾向に応じた不正の防止に取り組んでいただきたいと思います。  次に、コムスン介護サービス事業取消し事案では、その規模の大きさ、あるいはサービス利用者の事後のサービス確保が大変大問題になったわけでありますけれども、このコムスン事案以前の指定取消処分による利用者サービスの継続の確保等で支障が生じていたのか、またその場合の対応はどうであったのか、この点も厚生労働省に確認をしたいと思います。
  216. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  確かにコムスンの場合には大変規模が大きゅうございまして、従業員が二万人を超える、利用者が七万人を超えるという規模でございましたので、その方々を円滑に新しい事業承継法人につなぐというのは大変難しい問題がございましたが、これまでもコムスンほどの大きいような事業所はございませんでしたけれども取消処分を行いましたときには、各都道府県では当然、利用者サービスの保護といいますかサービスの継続というのは第一に優先しておりますので、処分対象事業者と十分調整をいたしまして、新たなサービス提供事業者を確保して、利用者の方に不安がないような形で事業者指定取消しを行っているということでございます。
  217. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今回のコムスンの事案では、先ほど述べましたけれども事業規模が大変大きかった、それから訪問介護事業の最大手の不正の事案であったということから、サービス利用者のみならず、超高齢社会の老後の不安、国民皆さんが老後に不安を抱いたということで、大変国民に大きな衝撃を与えたものと思います。こういう事案が発生しないように、大臣の決意をお伺いをしたいと思います。
  218. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この介護保険制度は、国民保険料と税金、これによって成り立っている非常に大切な公的な制度でありますので、この介護サービスに従事する事業者、それなりの責任を感じていただかなければならないと思っています。その中でコムスンのような事案が発生したことは極めて遺憾でありますので、今後、今日、今審議していただいています法案を成立させていただいて不正防止に取り組むとともに、そのほか、きちんとこの介護保険制度が円滑にいくように不正に対して厳しい態度を取っていきたいと思っております。
  219. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 次に、介護サービス事業者に対する規制の見直しについて質問をさせていただきます。一問、時間の関係で省略をさせていただきますが。  国や都道府県あるいは市町村による立入検査の実施上の基準といいますか、どういう場合に立入検査を行うのか、この点につきまして厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  220. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 現在でも介護保険施設等の指導監査につきましては、私ども通知を出しておりまして、介護保険施設等指導指針あるいは監査指針というのをお示しをしております。それで、指導監査の実施方法について各都道府県あるいは市町村で実施をお願いしているわけですが、御指摘のように、いろいろなばらつきがあるのではないかというような御指摘もあります。  今回、新たに法令遵守体制を含めて業務管理体制整備の確認といいますか、その立入検査という業務が入りますので、私どもとしても現行の指導監督のケースと同様に、何らかのガイドラインあるいはマニュアルのようなものをお示しをして、ばらつきがないようにしたいというふうに思っております。
  221. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 それにもう一つ介護保険給付等の現状把握のために、保険者である市町村等の担当の職員が受給者の家族、本人等にモニタリング調査をしていったらどうかと。東京の方ではそういうことをやっているというようなお話も聞いておりますけれども、そういうモニタリング調査を行いながら、その結果に応じて事業者の監督や指導に活用する、あるいは介護保険制度そのものの運用に対して改善に資するようなものがあればそれを行っていくと、そういうことができるのではないかと思いますけれども、この点、こういうことを実施することに関しまして、厚生労働省どのようにお考えかお聞きしたいと思います。
  222. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  先ほど申し上げましたように、一応そういう一定の指針も作っておりまして、それを都道府県、市町村にお示しをして、それに基づいて指導監督をするようにということでお願いしていますが、その監査指針におきまして、具体的な監査対象となる事業者を選定する際に、やはり通報とか苦情、相談に基づく情報でありますとか、あるいは保険者からの通報情報でありますとか、あるいは国保連がやっております給付費の適正化システムの分析などを基に、そういう情報を基に監査を実施するようにというふうにしておりますので、今御提案がございましたモニタリングということも一つの重要な御提案だと思っておりますので、効率的に介護サービスの指導監督を実施できるように今後努力をしていきたいというふうに思っております。
  223. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 次に、介護報酬不正利得の返還請求等について質問をさせていただきたいと思います。  介護報酬の不正利得があった場合の保険者による返還請求についてお尋ねしますけれども介護サービス事業指定取消処分の事案でどの程度の介護報酬の不正利得の金額があったのか、また回収がどの程度進んだのか、回収率等はどうなのか、この点、近年の動向についてお伺いをしたいと思います。
  224. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 不正事案というのはあってはならないわけでございますが、平成十二年度から十七年度までに指定取消処分を受けた事業所に対して介護報酬の返還請求を保険者がした金額は総額で五十五億二千八百万円ということでございます。そのうち、実際に回収された金額で、総額で二十三億七千四百万円ということでございまして、回収率は四二・九%ということになっております。
  225. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 様々な理由で回収が進まない、四割程度ということでありますんで、やはり事前防止ということが大変重要になると思いますし、またそういう不正事案でできるだけ回収に努めていただきたいと、そのように思っております。  それからもう一つ、関連してですけれども質問をさせていただきますが、介護サービス利用している本人、家族にとって、介護保険からどのような給付を受けているのか、受けたのか、そういう確認をして、誤請求、誤りの請求をなくすることが大切であると、そのように考えておりますけれども、また、そういうことをきちんとやっていくことによって、より適切なサービスが受けられるようケアマネジャーと計画を練ってもらうようなことも可能であると思うんですけれども、この介護保険制度の保険者による介護サービス利用者に対する介護給付通知ですね、これがどの程度実施されているのか、また、それが誤請求等の事例の発見に、あるいは改善にどの程度貢献しているのか、この点を厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  226. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 私ども介護給付適正化計画ということを今推進をして、都道府県、市町村にお願いをしております。  その中で、いわゆる介護給付費の通知でございますけれども、これも非常に重要なことでございまして、現在把握しておりますところで申し上げますと、介護給付費通知を実施しております保険者でございますが、平成十六年度で四〇%ぐらい、八百八十三保険者、平成十七年度で四八%、八百二保険者、平成十八年度で四九%、八百十七保険者というふうな数字を把握しております。したがいまして、約半数ぐらいの保険者が介護給付費通知を送付しているという現状にあると認識をいたしております。  この十九年度の実施状況については今調査中でございますし、またその結果、過誤申立ての件数あるいは金額については現在調査をいたしておりますので、本年七月、八月ぐらいには取りまとめられるのではないかというふうに思っております。
  227. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 これは非常に私は大事なことではないのかなと、そのように思いますので、保険者によるこういう介護給付費の通知がより以上に行われるように厚生労働省としてもいろいろ検討していただきたいと、そのように思います。  それから、今度は介護保険の別の諸課題について質問をさせていただきたいんですが、平成十七年の介護保険法の一部改正の審議のときに、参議院の厚生労働委員会、附帯決議ですけれども、その中の一つとして、介護保険制度の被保険者及び保険給付を受けられる者の範囲の拡大を含めて検討を行うことと、そのようにされたわけであります。それから、同法改正の法律附則で、平成二十一年度を目途として所要の措置を講ずると、そのようにされたわけでありますけれども、この介護保険の被保険者、受給者の範囲の検討がどのようになされているのか、この点、舛添厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
  228. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) その問題に関しまして昨年五月に有識者の中間報告がまとまりましたが、基本的な状況は、慎重な答えを出すべきだというのは、被保険者の拡大ですね、先ほども申し上げましたように、例えばドイツのように成人以上にする、これは世代間の公平性から見てどうなのかということがありますし、今度は受給者にしても、若年の場合、いまだ特定の疾患については対象になりますけれども、それをぐっと広げることについて、これは負担との絡みがある。全体のこの世代間の公平、負担給付の関係、もう少し国民的な議論が必要な状況にあるというふうに思っております。
  229. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 それから、一昨日の五月十三日に、財務省財政制度審議会軽度者に対する介護給付の見直しによる影響額試算、機械的な試算だということでありますけれども、これを示したわけであります。これは私にとっても大変衝撃的な試案、試算でありまして、こういうことが本当に可能なのかと大変疑問に思っているわけでありますけれども大臣は先ほどもいろいろお話、御所見ありましたけれども、簡潔に御所見をいただければと思います。
  230. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは論外であると思います。つまり、真剣に議論するには値しないと。なぜならば、介護現場を全く知らない人がやっていると。つまり、今医療介護も治療よりも予防と、予防介護というものまで入っているわけですよ。そこを手抜きしようというわけでしょう。そこをほったらかしていて重くなったら、財政的に見てももっと負担になりますよ。だから、こういうような機械的試算をどういう政治的意図があって出されるか分かりませんが、出すことは百害あって一利なし、真剣な議論に値しないと思います。
  231. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 私も、介護保険制度に関しましても医療保険制度に関しましても、やはり介護あるいは医療の王道は予防にしっかり努力して、そういう給付を必要としないような方を増やしていくということが本来のあるべき姿であるというふうに思うので、先ほど財務省から提案されたような試案は本当に考えるに値しないものではないのかなという印象でございます。  今後とも厚生労働省大臣、しっかりこの問題に取り組んでいただきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  232. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  本法案、閣法の方はコムスン不正事件を契機にして必要な措置を盛り込んだもので賛成でありますし、議員立法の方も介護労働者の労働条件の改善を求めるもので、賛成であります。  閣法についてちょっと質問をしたいんですが、一点確認をしますが、今回の改正では、不正行為への組織的な関与があった場合、事業者本部への検査ができるようになると。これ、条文上は関係のある場所というふうにあるんですが、この関係のある場所とはどのような範囲でしょうか。
  233. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 今回の改正では、御指摘のように、介護事業者に対して業務管理体制整備を義務付けたというところでございますが、事業所に対する調査だけでは不十分で、何らかの不正行為が組織的に行われたかどうか等を確認するという意味では、本部等に立ち入って関係者の事情聴取、書類確認等を行うことが必要だという問題意識からでございます。  御指摘の立入検査の対象としては、あくまでも介護サービス事業者の本社あるいは本部あるいは支社を想定しているところでございます。
  234. 小池晃

    ○小池晃君 そうすると、同一法人内という理解の仕方でよろしいんでしょうか。
  235. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 基本的には、その法人のところということでございます。
  236. 小池晃

    ○小池晃君 介護保険全般についてお聞きしたいんですが、資料をお配りしました。これは介護保険給付費の推移であります。  二〇〇六年の介護保険制度の改定で、予防給付の創設などで大幅な給付抑制があったわけです。これ見ますと、制度スタートから二〇〇五年度までは介護給付費は伸び続けております。国庫負担金の増額補正を行わざるを得なかった年もあるわけです。ところが、〇六年度を境にして急に伸び率が鈍化して横ばいになっています。国庫負担の方を見ますと、〇六年度は〇五年度から逆に七百億円減少をし、〇七年度若干増えるものの、〇五年度の水準を下回ったままで推移している。  これ、給付費の方へもう一回戻って具体的に見ますと、二〇〇六年度というのは、六兆五千億円の当初予算を組みながら、補正してさらにそれに追い付かず実績は五兆九千億円ですから、六千億円当初の見込みよりも少ない実績なんですね。それから、二〇〇七年度を見ても、これ六兆七千億円の当初予算が減額補正で、先日やったわけですが、六兆三千億円になって、四千億円減少。すなわち、この二年間で一兆円近く当初の見込みに比べて実績が減っているという事態になっている。  高齢者増えているわけですから、私、これ、ある意味非常に異常事態だというふうに思うんです。政府の予想すら下回っているわけですね。  大臣、私お聞きしたいんですが、これはまさに私、〇六年の制度改定とそれから自治体サイドでの厳しい現場での給付管理の結果がこういうことになっている。これが利用者からはサービスを奪い、まさに介護労働者の待遇を急速に悪化させているのではないかというふうに考えるんですが、大臣、この給付抑制の経過は、これは行き過ぎたものだというふうに大臣思いませんか。
  237. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この数字の動きをきちんと分析してみる必要があると思いますし、今委員おっしゃったように、この一つの要因はやっぱり二〇〇六年度の改革で、いわゆるホテルコストですね、居住費、食費、これの見直しをやったということが一つは響いていると思います。ただ、十八年度についていうと、要するにやっぱり三位一体の改革がございました。それで、施設介護給付費に係る国庫負担割合が、今まで二五からこれを二〇に引き下げました。こういうことも響いているというのが要因だというふうに思いますので、この流れについてはそういう解釈ができるというふうに思います。
  238. 小池晃

    ○小池晃君 ただ、高齢者増えているわけですし、介護を必要とする人は増えているにもかかわらず給付費がこれだけはっきり頭打ちになっているということ自体は、私はこれは行き過ぎたものになっているんじゃないかと思うんですが、大臣、もう一回端的にお答えください。
  239. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それはもっと実態を調べてみないと、例えばそのホテルコストの分がどれだけあるか、それから先ほど言ったように三位一体改革の影響がどれだけあるか。それから、介護認定者の認定者数とか、受給者の伸び率がおっしゃるようにこれは鈍化しています。それはなぜなのか。まさに非常に介護保険制度が定着してうまくいったことの成果がそうなのか、それとも委員がおっしゃったように、何らかの形で抑制しよう、出費を抑制しよう、抑制しようという力がいろんなところで働いてなったのか、これはもう少し細かく見てみたいというふうに思っております。
  240. 小池晃

    ○小池晃君 私は、この間の社会保障制度の改革によって負担増などで、ただ幾ら抑制しようと思っても実際ニーズがあるんで増えている、医療なんかでいえばね。介護についていえば、実際のその給付額自体が本当に減っているというのは、私はこれはほかの社会保障制度でもない現象が起こっているというふうに思いますし、これが今の現場での深刻な事態の原因になっているんだろうというふうに思うんです。  ところが、それに加えて、一昨日、財務省が財政審議会に対して一層乱暴な給付抑制の方向を出した。今日も議論ありましたが、要介護二以下の人をもう対象外とする、あるいは一割負担を二割にする。介護保険給付から外せば二兆九百億円、それから二割負担にすれば二千三百億円の給付抑制だと。財務省、昨日呼んで話聞いたら、いや、それは別に方向を示したわけじゃなくて試算しただけですと言うんですが、試算すること自体が私これ重大な問題だというふうに思うんですね。こんなことすれば、まさに保険あって介護なしという事態になるし、大臣先ほど言われたように、むしろ増悪をして全体の財政膨らませることにもなる。日本の高齢者介護を根底から破壊するような中身だと。しかも、いろいろと見ると、例えばドイツの介護保険と比べて給付が厚いというのを何か根拠にしているようなんですが、ドイツの介護保険というのは公費入っていませんし、それから利用者負担もない、日本と単純に比べられないような制度と単純に比較をしてやっているんですね。  だから、そういう意味でいうと、こういう議論というのは私はとんでもない議論だというふうに思うんですが、もう何回か答えていらっしゃいますけれども大臣、どうでしょうか。
  241. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) その点は小池委員と全く同感でございます。
  242. 小池晃

    ○小池晃君 もうちょっと何か言ってほしかったんですが。  私ね、ちょっとやっぱりこういうのは、ちょっとここでけしからぬと言うだけじゃなくて、大臣、やっぱりそれなりの場で、これ財政審が計算したって先ほどの答弁で言われましたけれども、違うでしょう、財務省が財政審に出したんですから、だからやっぱり何らかの場できちっと言うべきじゃないですか。
  243. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは閣議の場もありますし、社会保障国民会議の場もあります。先ほど申し上げましたように、この問題だけじゃなくて、雇用保険の積立金も取り崩すと、とにかく何でもかんでもなりふり構わず二千二百億円のつじつまを合わせればいいということであったら、数字の議論が先じゃ駄目だと思います。いかにして日本国民の生命を守るかということが優先されないといけないというように思います。  もちろん、負担給付の関係についてきちんと議論をする、無駄な支出を抑える、こういう努力はいたしますけれども、乱暴にこういう数字が出る、そしてこれはひどい話で、私も事前に知りませんよ、せめて政府の一員の閣僚ぐらいに知らせてくれなきゃ、皆さんと同じように朝新聞見て、しかも一つの新聞だけでしょう、常に日経新聞ですよ。こういうやり方がいいのかどうなのかということを含めて、政府の中において問題提起をいたしたいと思います。
  244. 小池晃

    ○小池晃君 この点では同じ意見ですので、是非しっかりやっていただきたい。  行き過ぎた給付抑制がやっぱり労働条件を悪化させているというふうに、先ほど言ったように私は思っているんですが、大臣人材確保のために総合的な対策が必要なんだということでいろいろやっているんだというふうに衆議院でもお答えになっているので、労働環境改善、キャリアアップということでちょっとお聞きしたい。  〇六年度の介護報酬改定の目玉として特定事業所加算というのがあります。これは一定の資格を持つ人材を確保した場合、定期的な研修を実施した場合、あるいは重度者などを見るような取組、積極的な受入れをやった事業者を評価する。この取得状況、どうなっていますでしょうか。
  245. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  御指摘のように特定事業所加算の関係でございますけれども体制の要件、人材要件、重度対応要件によってそれぞれ違っておりますが、特定事業所加算Ⅰの場合は〇・七%、それからⅡというのは体制要件と人材要件に適合した場合ですけれども、四・六%、それから特定事業所加算Ⅲの場合、これは体制要件と重度対応要件に該当する場合でございますが、二・三%ということでございます。
  246. 小池晃

    ○小池晃君 居宅。
  247. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 居宅支援を行った件数のうち特定事業所加算を算定している件数の割合は〇・〇九%ということでございます。
  248. 小池晃

    ○小池晃君 〇・〇九ですから、コンマはるかに以下なんですね、実態としては。全体として訪問介護の特定事業所加算も少ない。なぜ取得が進まないんでしょうか。
  249. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) この要因というのはなかなか大変、何が原因かというのは難しいわけでございますけれども、私どもが聞く範囲で申し上げますと、介護サービス事業所における人材確保が困難な面がある、あるいは各事業所で職員の研修の機会を確保できない、そういう意味では要件を満たすことがなかなかできないという面もある。あるいは逆に今度は利用者のサイドから見ますと、加算部分の利用者負担が増加するということについてなかなか利用者の理解が得られにくいということで、あえて事業所の方が加算の算定を求めないというふうな実態があるんではないかというふうなことが言われております。
  250. 小池晃

    ○小池晃君 もう一つお聞きしたいんですが、人材確保策として助成金事業もあるんですが、介護人材確保施策で最大の予算規模のものが介護基盤人材確保助成金事業、これ、一昨年、昨年と今年の予算額をお示しください。
  251. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) 介護基盤人材確保助成金でございますが、これについては、平成十七年度までにつきましては、雇用情勢が厳しい中で雇用創出効果を見越しまして比較的手厚い雇入れ助成を行っていました。平成十八年度から雇用情勢の変化に伴いまして、対象労働者の重点化、支給対象期間の限定等々を行ったわけでございます。そういう中で、平成十七年度が約五十八億、それから平成十八年度は十七年度の要件のところが多いわけでございますので六十三億でございましたが、平成十九年度からは新しい要件の下の予算計上になっておりまして、十九年度が三十一億、今年度は二十六億という額になっております。
  252. 小池晃

    ○小池晃君 これは年々大幅に削減されておりまして、今年も五億円削減。この手の助成金というのは余っちゃうこともあるんですが、これについては〇六年、〇七年とも助成実績が予算を相当上回って、使い勝手が良くて歓迎されているわけです。ところが、減額だと。  大臣、先ほどの特定事業所加算もそうなんですが、総合的に労働環境改善だと言うんだけれども、キャリアアップ、雇用環境改善を直接支援する予算をこれ年々削っておいて、どうして雇用環境が改善するとお考えですか。
  253. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 支給実績見ましても、今の数字とともに人数も減ってきています。これは、重点的にやるというふうなことも含めて、予算額だけじゃなくて様々な諸施策をやっておりますけれども、ありていに言えば、全体的な予算の抑制の制限の中でどういうふうにして知恵を働かせるかということをやっているわけであります。そういう意味でも、やはり医療介護に対するきちんとした予算の手当てをやっぱりやるべき時期に来ていると私は考えておりますので、様々な確かに予算の抑制、支給対象人数の抑制、こういうことは掛かってきておりますけど、その中でできるだけのことは今やっているというふうに思います。  ただ、何度も申し上げますけれども、いろんな意味で限界に来ているという認識は持っております。
  254. 小池晃

    ○小池晃君 全体一律に抑制という、おかしいと思うんですね。やっぱり今、介護の労働者の問題、これだけここでも与党からもいろいろ出ている中で、同じようにこれもカットしてしまうというのは、私は間違いだと思うんです。  介護労働者の状況について言うと、一般的にただ悪いというんじゃなくて、最近やっぱり急激に悪化しているというのが特徴です。例えば日本介護福祉士会の調査では、介護職員の転職理由として、二〇〇三年と二〇〇五年に調査やっているんですが、給与が低いからというのを理由にした人は、二〇〇三年は一四・九%で三位だったのが、二〇〇五年は四五%にこれが急上昇して一位になっているんですね。やっぱりよく聞くんですが、介護労働に入ってくる人というのは、入口は志だと、やっぱり自分の生きがいだと、出口は労働条件だと。これは本当に不幸なことだと私は思うんです。  この昨今の急激な賃金低下、労働条件の悪化の原因をどう認識しておられるか、まず最初に大臣に聞きたいんですが、度重なる介護報酬の引下げがやっぱりこの原因であるという認識はお持ちですか。
  255. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 介護報酬、とりわけそれが賃金という形に跳ね返ったときに極めて低いものがあって条件が良くないと、そのことは認識しておりますので、この条件を来年の改定のときにきちんと対応していきたいというのは繰り返して申し上げている次第です。
  256. 小池晃

    ○小池晃君 それはもう待ったなしだと。  それと併せて私お聞きしたいのは、介護報酬引上げ、私は必要だと思いますし、やっていくべきだと思いますが、それは保険料利用料に跳ね返ってくるという面もこれはあるわけですね。先ほどの特定事業所加算が広がらない理由として言われたように、そういう事業所加算を付けると、これは利用者負担に跳ね返るからむしろ事業所の方でちゅうちょしてしまうという問題もあるわけですね。  だから、もちろん介護報酬全体としてきちっと引き上げていくということは必要だと思うんですが、やっぱり今の現状を解決する上で、雇用管理、間接経費などについて、やっぱり介護報酬を上げるということと併せて、それとは別枠で、介護報酬とは別に、まあいろんな手法、具体的にはいろんな議論があると思うんです。そのことによって事業者間の格差が拡大するようなことになってはいけないという問題も私はあると思っているんです。ただ、いろんなやり方を工夫する必要があると思うけれども、基本的な考え方として、介護報酬とやっぱり別枠で、一定の公費で労働条件、雇用管理などに対する費用を支えていくような、処遇改善のための公的な仕組みというのをやっぱり検討すべき時期に来ているんではないかというふうに思うんですが、大臣の認識を伺います。
  257. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それは広く言うと、先ほど来議論がありましたように、保険料と公費の割合をどうするかということにもつながっていく問題だと思います。ただ、これもほかの社会保障制度との見合いということも当然あって、なぜ介護だけかということの説明もしないといけないと思います。  ただ、まさにこういう問題こそ国民的な議論をするべき時期に来ていると思いますので、社会保障国民会議、総理の下にありますこの会議の下でそういうことについてもきちんと議論をしてまいりたいと思っております。
  258. 小池晃

    ○小池晃君 私ども日本共産党は以前から、国庫負担比率を二五%から調整交付金を別枠にして三〇%に直ちに引き上げるべきだということを提言しておりますが、国庫負担の比率の引上げということとは別に、なぜかと言われれば、今の介護労働者の実態というのは本当に深刻だ、待ったなしだと、もう支えるべき土台がどんどん崩れているわけですから緊急に手当てしなきゃいけないでしょうと。だから、その場合に公費負担を広げるというのをやるべきだと思うんですが、それはいろんな議論が必要になってくると思うんで、とにかく緊急にでも、別枠でやっぱり労働条件を改善するような仕組みを検討する必要があるんじゃないかと、そのことについての認識をお聞きしたいんです。
  259. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それは、実は衆議院の方で民主党さんが出されていた三万円を公費で上乗せを給料にするという案もありました。そういうことも含めてのいろんな議論がありますけど、先ほども申し上げていますほかの社会保障制度との絡みとか。そうすると今度は、ちょっと先ほどおっしゃったような、自由な競争サービスの質を上げるという側面がかえって阻害された場合にどうするのかという面もあると思いますが、一つの御提案として、どういう形で、例えばそれを実現するとしたら問題があり、どういうことがメリットであるか、ちょっとそれは検討させていただきたいと思います。
  260. 小池晃

    ○小池晃君 これはやっぱり真剣に検討すべきだというふうに思います。  それから、ちょっと後期高齢者医療制度の問題で、今日、資料の二枚目、三枚目に入れてあるんですが、いわゆる六十五歳以上の障害者の加入問題で、十の県で医療助成を打ち切るということで事実上強制だという大問題になっています。これ昨日も担当者会議が開かれて、厚労省は自治体に考慮を求めるというふうに言っているんですが、これ自治体の責任もあるんだけれども、私は厚労省の責任も大きいんじゃないかと。  この資料の三枚目に、これ二月六日に厚労省が通知で出したものですが、住民へのお知らせのひな形がありまして、そこには、下線引きましたが、何て書いてあるかというと、六十五歳以上の障害者は後期高齢者広域連合の障害認定を受けたものとみなされ被保険者になりますと。確かに法律上の仕組みはこうだと言われればこうなのかもしれませんが、私は、こういう形で住民に通知するようにしなさいという、これ住民が読んで選択できる制度って読めるでしょうか。私は、これは強制的な非常に色彩の強い表現になっていると。こういう周知の仕方、大臣、適切だとお考えですか。
  261. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これはある意味で老人保健制度からずっと引きずってきている問題でもありますけれども、みなされたという形になると、そうじゃないならば自分で行って入らないということを意思表示しないといけないんで、特に障害を持たれた方に対して必ずしも私は親切じゃないと思いますので、この周知徹底の仕方というのは更に改善したいと思っております。
  262. 小池晃

    ○小池晃君 私は、こういうやり方をしているから自治体だってやはり強制加入事実上させるような仕組みをつくって平気でいるような、そういう背景にやっぱりこれで周知しなさいというような姿勢があるんだと思いますよ。ここは本当に見直していただきたい。  それから、最後、ちょっと残る時間で、昨日、肝炎の裁判の原告団の皆さん日本肝臓病患者団体協議会の皆さんが国会に来られて各党ヒアリングをやっているので、ちょっとその件についてお聞きしたい。  最初に、全国C型肝炎診療懇談会が昨年一月二十六日以来開かれていません。これはなぜか。直ちに開催すべきじゃないでしょうか。局長、どうぞ。
  263. 西山正徳

    政府参考人(西山正徳君) お答え申し上げます。  御指摘の懇談会でございますけれども、平成十八年度、全国C型肝炎診療懇談会という名称で、都道府県における肝炎検査後肝疾患診療体制に関するガイドライン、これを取りまとめたところでございます。  お尋ねの全国肝炎対策懇談会は、C型肝炎にとどまらず、総合的な肝炎対策に関して有識者の意見交換を行う場として現在設置をしまして、任命行為も終わりまして、その開催の準備を現在しているところでございます。
  264. 小池晃

    ○小池晃君 これは直ちに、一年以上開いていないわけですから、直ちに開いていただきたい。  それから、四月からインターフェロン治療に対する医療費助成が始まったんですが、最高五万円の自己負担は依然として重いということを、昨日も声が出ています。しかも、根治を目的とする治療に助成を限定しながら助成期間が一年間までということになっているんですね。これは私も経験ありますけれども、実際その治療を始めて副作用でいったん断念してしまうような人は結構多いです。そういう場合に、いったん断念してしばらくたってもう一回治療を始める、そうすると一年超えてしまうということもあるわけですね。  私、これ根治を目的とするといいながら一年間に限るということでは、これは根治できないケースも出てくるのではないかと思うんですが、その点はどうお考えですか。
  265. 西山正徳

    政府参考人(西山正徳君) 私ども、その助成期間につきましては、同一患者につきまして一か年を限度といたしました。この根拠としましては、インターフェロン治療のうち、標準的かつ治療効果の高い治療法でありますペグインターフェロン、これは薬事法の承認事項としまして、薬事法ですね、薬事法の承認期間として治療期間が四十八週というようなことで、四十八週とするか、あるいは一年とするかいろいろ考えましたけれども、取りあえず一年というようなことにさせていただいています。
  266. 小池晃

    ○小池晃君 いや、ですから、今言ったようなケースがあるでしょうと。そういう場合は、実際に途中で中断したような場合、根治できなくなるようなケースも出てくるんじゃないですかと。その点はどうお考えなんですかと。
  267. 西山正徳

    政府参考人(西山正徳君) もちろん、同一期間内に副作用で中断して、それでまた再開するというような場合には、これは対象になるというように考えております。
  268. 小池晃

    ○小池晃君 いや、でもその場合は、その前の一定期間やった部分も入っちゃうわけですからね。そうすると、やっぱりいったん切れるわけですから、一からスタートするのにやっぱり一年の中に収まらないんですよ。そういうことを言っているんですよ、私。  大臣、これはやっぱり極めて不十分であるという部分がたくさんあるんですね。昨日もその原告団の皆さんからは、線引きするなってやってきて、また新たな問題が出ているんだというお話も聞きました。やっぱりこの恒久対策が徹底していない。  昨日ちょっと担当者の方に聞いたけれども、やっぱり肝炎だけ特別な対策を取るには根拠法がなければなかなかできないんだというお話、率直にされていたんですね。やっぱり薬害肝炎被害者の願いというのは、すべてのウイルス肝炎患者の救済にあるわけですから、血液製剤による製剤被害者、感染被害者だけじゃなくて、やっぱりすべてのウイルス肝炎被害者が安心して暮らせる社会をつくるというのがあの議論の私は結論だったはずだし、大臣もそういう趣旨でおっしゃっていたはずだというふうに思うんです。ですから、やっぱり恒久対策をきちっとしていく上でも、根拠法、基本法、これを作っていくことが必要ではないかと思うんですが、大臣の政治家としての見解を聞きます。
  269. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 昨年の秋以来、皆様方のお力をいただいて今年和解が成立し、そして総合的な肝炎対策も行われるようになりました。しかし、これはまず第一歩でありますから、今後更に拡充していかないといけない。原因究明などにつきましては、来週、肝炎の原告団、それから弁護団も加わった形での検討委員会も立ち上げることになっております。  そういう中において、与野党の皆さん方がこの基本法案を作るということで御努力なさっていて、その後いったん途中で止まっている形になっていると思いますが、立法府のこの努力というのは私も見守っていくとともに、更に肝炎対策というのを強力に進めていこうと思っております。
  270. 小池晃

    ○小池晃君 是非、これは各党、党派超えて立法府の責任果たすべきだということを改めてこの場で各会派の皆さんにも呼びかけさせていただきたいというふうに思います。  終わります。
  271. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  閣法と、それから介護労働者の労働条件を向上させるための議員立法、共に必要な重要なことだと思います。  それで、議員立法の方の介護労働者の労働条件を向上させるための施策のための立法ですが、端的に介護労働者の労働条件を向上させるためにどのような施策が必要と立法者は考えますか。
  272. 山井和則

    衆議院議員(山井和則君) 福島委員、御質問ありがとうございます。お答えをさせていただきます。  労働条件の向上、様々な向上がございますが、今一番急務なのはまさに賃金引上げでございます。一般の労働者に比べて三割介護労働者の賃金は低いと言われております。魅力ある職場づくりも重要でありますが、やはり最も急務であるのはこの賃金をいかに引き上げるかということであります。このことに関しましては、高齢社会をよくする女性の会の方々を中心に、十五万人を上回る方々から賃金引上げの署名も行われました。  それで、ではどうするかということでありますが、まず第一に介護報酬を引き上げる、しかしこれだけでは十分ではありません。介護報酬を引き上げても、その部分が介護労働者の賃金に移るかどうかという担保はありません。その意味では、介護報酬を早急に引き上げる、それとともに、それができるだけ高いパーセンテージで賃金の引上げにつながる、そういう仕組みをつくることが賃金の引上げに必要であると考えております。  また、この介護報酬を引き上げて賃金を引き上げる方法につきましては、民主党の法案では、上乗せされる介護報酬の全額を国庫負担とすることにより、利用者の自己負担介護保険料の引上げにつながらないようにしておりました。しかし、この点については衆議院の議論の中で与野党様々な意見がございましたので、このことに関しては、今回の超党派で委員長提案をしております法案では、どういうふうにして介護報酬を引き上げてその財源を確保するかということについてはまだ明確になっておりません。このことについては、今後早急に与野党で協議を行ってまいりたいと思います。  最後になりますが、何より重要なことは、これは決議ではなく法律、法案でございますから、これが成立した暁には、確実に来年の四月の時点では介護職員の賃金が、程度は幾らになるということは当然ございますが、確実に引き上げられるということにならないと、これはすべての政党、すべての国会議員がある意味で法違反を犯したということになるわけですから、まさにこのことに関しては党派を超えて、来年四月にできるだけ多く賃金の引上げが行われるように、党派を超えた議論が必要であると考えております。  以上でございます。
  273. 福島みずほ

    福島みずほ君 はい、ありがとうございます。帰ってくださって結構です。ありがとうございます。  では、大臣にお聞きをいたします。  新潟で行われました労働サミットについてです。所感をお聞きいたします。
  274. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 初日、労使の方々との議論がありまして、その後二日間にわたって労働大臣G8、それからアウトリーチ国としてインドネシア、タイの大臣も加わりまして議論がありました。その中で非常に率直な議論がありまして、例えば、正規、非正規雇用の二極化の問題、それから格差の拡大、こういうことが問題であるという認識がありまして、私の方から、自らが希望しない形での非正規雇用を余儀なくされて働いても生活水準が低いままにとどまっている方々への対応というのは、我が国でも非常に大きな問題になっているというようなことをお話ししました。  そして、初日、本当に激しい形で労使激突しましたけれども、例えば、ディーセントワークという言葉、これは議長総括の文言の中にきちっと入れました。そして、グリーンジョブについても入りましたし、特に今後の取組としてワーク・ライフ・バランス、それから労働災害を含めて労働者の安全衛生、生涯キャリアの形成、それから労働市場の改革、こういうことについてもきっちり入れまして、この新潟宣言を洞爺湖サミットにきちっと伝えていくということは直接官邸で総理にもお願いをしてございますので、私は今回のG8労働サミットは一定の成果を上げたと思っております。
  275. 福島みずほ

    福島みずほ君 議長国としてディーセントワーク、グリーンジョブが入ったことはいいと思うのですが、まず質問です。  このアジェンダ設定が持続可能な社会の実現ということに日本政府は設定をいたしました。むしろG8の国は、いずれの国もグローバリゼーションの中で非正規雇用の拡大に苦しんでいるわけですから、アジェンダ設定を、例えば非正規雇用あるいは格差是正ということに置くべきではなかったのでしょうか。
  276. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 英語で言いますと、レジーリエント・アンド・サステーナブルと、つまり、はつらつとした持続可能な社会ということでありまして、その議題を三つばかり設けましたけれども、第一が、長寿化と調和したバランス良い人生の実現、二番目に、労働弱者、地域間格差に対する政策的な寄与、ここにその問題が入っておりまして、最後の問題は、これは環境問題との絡みで、持続可能なグローバル社会への課題とG8の貢献ということで、この議題の二におきまして、格差の問題、非正規雇用の問題、各国の例を出しながら真剣に議論をいたしましたんで、そのアジェンダ設定においても、私は間違いはなかったと、そういうように思っております。
  277. 福島みずほ

    福島みずほ君 労働組合の側のサミットでは、参加国の中で一番劣悪な状況にあると、日本は労働の質をもっと考えるべきだということが議題になったというふうに聞いております。規制緩和の進み過ぎで労働者の不安定雇用が行き過ぎたのではないか。その点について、大臣、いかがお考えでしょうか。
  278. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いろんな要因がこの今の所得格差、地域格差、労働弱者が生じたことについてあると思います。恐らく規制緩和ということもあるいは一つの、多くある中の要因の一つであるというふうに私は考えております。
  279. 福島みずほ

    福島みずほ君 経営者側は経済のグローバル化に対応するためにむしろ規制緩和が必要だという認識については、大臣はどうお考えですか。
  280. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 規制緩和の必要性がある分野もあると思いますけれども、しかし、何事もやっぱりバランスの問題であって、労働者の権利がきちんと守れない、そして労働者の働き方の柔軟性という名の下に労働者の権利が守られないことはよろしくない。  したがって、柔軟性と安全性と、この二つの言葉を常に私は言い続けて、その調和を経営者側にも取ってもらわないといけないというように思っております。
  281. 福島みずほ

    福島みずほ君 このディーセントワークに関しては、予算委員会大臣に質問し、直接・常用雇用を基本とすべきだと、それこそ人間らしい労働だということでしたが、その日本現状をどのようにその観点から立て直すべきだとお考えですか。
  282. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今三十五万人の常用化プランを推進するということでありますし、いわゆるネットカフェで寝泊まりするような方々に対しても手当てをする、それから日雇い派遣の適正化、ジョブ・カード制度を入れる。そういうこととともに、先般、働く人たちの雇用の安定と労働条件の改善を図るということで、経済財政諮問会議で新雇用戦略ということを提案いたしまして、これを具体化していく。それに更に先般の改正パートタイム労働法とか最低賃金法、こういうのがきちんと適用されるように全力を挙げてまいりたいと思っております。
  283. 福島みずほ

    福島みずほ君 ILOが定める国際労働基準を批准する、国際的な労働者の人権を守るためのスタートラインにきちっと立つべきではないでしょうか、あるいは労働者派遣法の抜本改正についてはいかがお考えでしょうか。
  284. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) ILOの事務局長さんも来られていまして、まさにディーセントワーク、ILOがおっしゃったことであるし、グリーンジョブもそうでありまして、三日間にわたって議論をし、ILOの理念というのはそこに入れたというふうに思っております。  ちなみに、ハローワークなんかにつきましても、ILOの条約があるわけですから、そういう国際的な条約、国際的な取組を無視した形で、ただ規制緩和をすればいいというものではないと思いますから、我々は国際社会の一員としてきちんと労働者の権利を守る義務がある。そして、私はやはり常用雇用というのが普通なんであると。  だから特定の、例えば通訳、ちょうど同時通訳、たくさん新潟に来られました。こういう方がその時間だけ新潟に来られる、これはいいんですよ。だけれども、物のメーキング、メーカーにまで常用雇用じゃないのが当たり前みたいな議論は、私はあっちゃいけないと思っています。
  285. 福島みずほ

    福島みずほ君 舛添大臣と私の考えが極めて一致して大変うれしく思っております。  通訳や専門職の一時的なもの、専門職には派遣とかは可能でも、物のメーキングに関して、製造に関して現在の派遣法は残念ながら規制緩和をしております。大臣と同じ考え方で、ディーセントワーク、グリーンジョブ、それからワーク・ライフ・バランス、片仮名で済みませんが、この実現のために厚労省が、派遣法の抜本改正も含め、共に手を携えてやっていかれることを心から期待をしております。  では、お手元に資料がありますが、財務省財政制度審議会に提出した試算があります。今朝からいろんな議員が質問をしております。二兆九百億円、一千百億円、二千三百億円、それぞれ減らすという機械的な試算というものを財務省はされていらっしゃるわけですが、財務省はこれをどういうつもりでお作りになったか、お聞かせください。
  286. 真砂靖

    政府参考人(真砂靖君) 私どもの資料についてのお尋ねでございますが、これは今週の十三日の財政制度審議会に提出した試算でございます。これはあくまでも財政制度審議会における議論の参考となるように機械的な試算を行ったものでございます。財務省としてこういう形で具体的な提案をしたという性格のものではないという点を御理解いただきたいと思います。  いずれにせよ、介護給付額につきましては、今後とも経済の伸びを上回って伸びるということが見込まれておりまして、給付の増加を放置すればその分保険料あるいは税負担に跳ね返ってくるというような状況でございますので、介護保険制度の持続可能性を高めていくという意味では給付の合理化、効率化努力は避けられないということと思っておりまして、骨太二〇〇六においても指摘されているような必要な改革には取り組んでいかなきゃいかぬというふうに考えているところでございます。
  287. 福島みずほ

    福島みずほ君 骨太方針二〇〇六が出ましたが、毎年二千二百億円の社会保障費削減のターゲットから介護費用は取り除くのでしょうか。どうお考えなんでしょうか。
  288. 真砂靖

    政府参考人(真砂靖君) 骨太二〇〇六におきましては、二〇一一年のプライマリーバランスの黒字化というものを確実にするために歳出全般について抑制努力を進めていく必要があるというふうになっておりまして、社会保障につきましても、現在の九十兆の給付が、もうこれは皆様専門でございますけれども、二〇二五年には百四十一兆まで伸びるという見込みになっております。こうした中で、今後とも持続可能性を高めるという意味では、社会保障のあらゆる制度について必要な見直しを進めていく必要があるというふうに私ども考えているところでございます。
  289. 福島みずほ

    福島みずほ君 道路特定財源などの例えばコスト削減や無駄遣い、一般財源化をして、財務省が毎年厳しいチェックと厳しい視線と厳しい削減、カットをされることを期待をしています。  社会保障費のカットをしたことで全国から御存じ悲鳴が上がっているわけですね。ちょっと申し訳ないが、後期高齢者医療制度で一番問題なのは机の上でカットをしたということだと思うんですね。机の上の試算だけでカットをした。この表を見て、私はやはりびっくり仰天して、何で机の上だけでこういう計算をしてカットするということを上から下ろしていくのかということを大変驚愕をいたしました。  財務省、これは機械的な試算ということですが、これは固執されないということでよろしいですね。
  290. 真砂靖

    政府参考人(真砂靖君) 今回こういう試算を行いました背景としましては二つございまして、今財政制度審議会社会保障について有識者からヒアリングをしているところでございます。その中のお一人が、市長様でございますが、やはり生活扶助の部分については少し見直しをしていくべきではないかという御指摘があったということと、それから、私どもいろいろ調査をしてみますと、ドイツで同じように社会保険方式で介護をやっているわけでございますけれども、ドイツの場合、軽度の部分については必ずしも給付の対象ではないというようなこともございまして、そういった観点から今回軽度についてこういった試算をあくまでも機械的試算として出させていただいたということでございます。
  291. 福島みずほ

    福島みずほ君 これ、日本社会軽度の人から介護保険から除外してくれなんという声は上がったんでしょうか。
  292. 真砂靖

    政府参考人(真砂靖君) 直接、私、それを聞いたことはございません。
  293. 福島みずほ

    福島みずほ君 私たち日本の政治をやって、日本制度でやっていて、無駄やここはおかしいじゃないかというところはやはりそれは是正していくべきだと考えています。しかし、現場から声が上がっていない、生きている人間から声が上がっていないのに、机の上で計算してこれだけ削減してやれというのは、現実に生きている人間にひずみを持つと思います。  財務省に対して、是非こういう社会保障の一律的なカットをされないように陳情したいと思いますが、いかがですか。
  294. 真砂靖

    政府参考人(真砂靖君) 先生のお話もよく頭に置いて今後いろいろ検討してまいりたいと思っております。
  295. 福島みずほ

    福島みずほ君 次に、二千二百億円カット、これはやめていただきたい。いかがですか。
  296. 真砂靖

    政府参考人(真砂靖君) 先ほど申し上げましたように、二〇一一年、プライマリーバランスの黒字化というのは政府で閣議決定している目標でございます。それに向けて歳出改革を継続していくということでございまして、社会保障に限らず、公共あるいはその他の分野でもしっかりとした歳出改革を進めていかなければならないというふうに私どもは考えているところでございます。
  297. 福島みずほ

    福島みずほ君 無駄なところやコストが高いところは削減をすべきです。しかし、社会保障費を形式的にカットすることがもう耐えられないという状況になっておりますので、二千二百億円、是非見直していただきたい。いかがですか。
  298. 真砂靖

    政府参考人(真砂靖君) 同じ答弁になりますけれども社会保障も含め、あらゆる分野の歳出改革努力は引き続き進めていくということが我々必要だというふうに考えているところでございます。
  299. 福島みずほ

    福島みずほ君 社会保障は生きている人間に非常に関係するところなので、こうやってお願いのような追及のような質問し続けているわけです。  どうか、こういう生きている人間にとっての社会保障、そして形式的に机の上で計算をして切り刻んでいくという財務省のやり方は見直してほしいという思いを重く受け止めていただきたいんですが、いかがですか。
  300. 真砂靖

    政府参考人(真砂靖君) 先ほど先生から後期高齢者医療について、まるで歳出の削減を目的とした施策のような御言及ございましたけれども、これは財政的には全く中立的に設計したものでございまして、二千二百の削減とはそういう意味では関係のない世界でございます。  ここのところの二千二百の削減につきましては、例えば二十年度予算におきましても、薬価の引下げ、これは薬の値段が自然に下がっていくわけでございますので、ある意味自然減、あるいは保険料も減ると、後発医薬品も同様でございます。そういった我々も国民生活への影響も十分考えながら二千二百についてはこれまでも進めてきたというふうに考えておるところでございます。
  301. 福島みずほ

    福島みずほ君 後期高齢者医療制度は、医療費の抑制という、適正化という名の抑制から出てきていることはむしろ作成者も述べていらっしゃることだと思います。  道路特定財源の一般財源化も行われますし、是非教育や医療に、社会保障にきちっと振り分けられるように、これは心からお願いをいたします。もうこの変換を求めていくということで、よろしくお願いいたします。  この機械的な試算は撤回ということでよろしいですか、介護保険の。
  302. 真砂靖

    政府参考人(真砂靖君) 先ほど申し上げましたように、私ども、審議会の議論の参考に機械的に試算したものでございまして、何ら提案をこれでもってしたわけでございませんので、したがって、撤回をするとかしないとかいうような性格のものではないというふうに思っております。
  303. 福島みずほ

    福島みずほ君 では、社民党として、これは極めて問題であり、これからこのことが議論の前提にならないようにということを強く要請いたします。  次に、厚生労働省にお聞きをいたします。  先ほど出していただきましたが、今日付けで調査を出しておられます。後期高齢者医療制度保険料試算をやり直すということで、各自治体に対して調査をしていらっしゃいます。これは制度スタート前にやるべきではなかったんでしょうか。
  304. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 実際、本当に、これは各自治体がそれぞれ独自の補助金をやっていたり、それから算定方式にしても東京都のように住民税割りをこの基準にしたりで、まさに千差万別、そして、新しい制度を入れたときには予期せぬことも起こります。  そういうことで、今起こっている現状がどうであるかと。これは先ほど委員もおっしゃったように、全部机上で想定できてそのとおりになれば何の苦労もありません。しかし、やっぱり現実になったときに、我々が予期していなかったことが起こっている。相当ミスも起こりました。保険証が届いていない方もありました。  したがって、そういうことも含めてきちんと精査をしようということであります。
  305. 福島みずほ

    福島みずほ君 かつて厚生労働大臣は、七割ですか、八割、七割は安くなるんじゃないかというふうにおっしゃって、それがどうか、正確かどうかという議論になったことがあります。  今日付けでこういう調査を各自治体に対して出しているわけですね。私はやはり、今からこの調査結果を収集するというのは余りに遅過ぎる。この後期高齢者医療制度は二〇〇六年の六月に採決で成立しているわけですから、制度設計の前にどうなるか、せめてこの二年間、少なくとも法律が例えば成立した直後にでもやるべきだというふうに思いますが、いかがですか。
  306. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) ただ、その後激変緩和措置ということで、例えばサラリーマンの被扶養者になっている方、これは半年ゼロにする、次の半年一割だ、こういう凍結案、激変緩和措置を入れましたから非常に制度が複雑になりました。きめの細かいことをやったがゆえになりました。そして、それは昨年の暮れですから、それは自治体の方も準備は大変だったと思います。そこは大変本当に申し訳ないと思っていますが、しかし、二年前はそういうことをやっていませんから、現実に実行に移してやるというのはほんのこの数か月の話でありますんで、やはり今起こっている事態をきちんと見極めるということが今の段階で必要だと思っております。  そして、七割、八割について言うと、それは国保方式を採用したところが八割ぐらいなんで、大体そういうことではないかなということを、これは外に出ない内輪の会議で私が話したのを外に出した方がおられるということだけであります。
  307. 福島みずほ

    福島みずほ君 結局、今まで五九%しか調査をしていなかったということですよね。
  308. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) ちょっと質問の意味が理解しかねるんですが。
  309. 福島みずほ

    福島みずほ君 新聞報道で五九%しか試算をしていないという記事が出ております。それで、そうなのかということと、それからやはり、例えば今日これが調査で出されているわけですね。今日が木曜日で月曜日締切りだから、木、金、月、三日間でこれ出せと全市町村に言っているわけです。去年暮れに激変緩和措置ということであれば、その時点で、あるいは一月の時点でやればこれ出てきたわけですよね。なぜ今、五月中旬になってこの調査なんでしょうか。やはり遅過ぎたという理解はないんでしょうか。
  310. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いや、むしろ事前にやっても分かりません。なぜかといったら、これは保険料についての実態の調査であります。だから、各広域連合がそれぞれどういう形で算出するかというのをそれは待っておかないといけない。  そして、今度の調査は保険料だけではありません。保険証が到達していない方がどうか、天引きなんかについてミスしているところはないか、そういうことについて包括的に調べるわけです。  そして、十四日の日に広域連合の会議を開きました。その中でも既に申し上げておりますけれども、今日出したのは実際にこういう具体的な紙でやりますからということを出しているんで、数日前からこういうことを調査をやるということは事前に事務方には知らせてあります。したがって、これはもう今動いているわけですから、すぐ答えが返ってくると思います。だから、まさに今の状況を知りたいということなんで、御理解いただければと思います。
  311. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、国民はもう保険料引かれているわけですよ。国民はもう天引きされていて、年金から天引きされているという人も多いわけですよね。そして、国はこれから調査をすると言われると、やはりそれはおかしいと思います。遅いと思いませんか。
  312. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 制度が実際に動き始めたときにどういうトラブルが起こっているかの調査ですから、遅くありません。そして、間違いがあったり、国民が本当に困っていることがあれば、いつ何どきであれこれは改善していくという立場で臨みたいと思っていますんで、そのための情勢を知りたいということであります。
  313. 福島みずほ

    福島みずほ君 おかしいと思います。これはトラブルではなくて幾らかという調査なわけですよね。これはもう既に皆さん引かれているわけですから、もっと早い段階できちっとやるべきだし、それを今調査をするということは、やはり厚労省は具体的な保険料負担がどうなるかをきちっと調査をしないで、やはり見切り発車したという批判を受けざるを得ないというふうに思っております。  また、改めて、今国庫負担割合は後期高齢者一割ですが、二〇一五年には一割八厘ですね。その後二〇二〇年、二〇三〇年どうなるかについても早く試算を教えてくださるよう要請し、私の質問を終わります。
  314. 岩本司

    委員長岩本司君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時散会