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2008-04-10 第169回国会 参議院 厚生労働委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年四月十日(木曜日)    午前十時一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩本  司君     理 事                 家西  悟君                 谷  博之君                 蓮   舫君                 衛藤 晟一君                 渡辺 孝男君     委 員                 足立 信也君                 大河原雅子君                 風間 直樹君                 小林 正夫君                 櫻井  充君                 津田弥太郎君                 中村 哲治君                 森 ゆうこ君                 石井みどり君                 岸  宏一君                 島尻安伊子君                 中村 博彦君                 西島 英利君                 南野知惠子君                 山本 博司君                 小池  晃君                 福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   舛添 要一君    副大臣        厚生労働大臣  西川 京子君        厚生労働大臣  岸  宏一君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       伊藤  渉君    事務局側        常任委員会専門        員        松田 茂敬君    政府参考人        内閣府政策統括        官        柴田 雅人君        警察庁長官官房        審議官      小野 正博君        警察庁交通局長  末井 誠史君        総務大臣官房長  田中 順一君        総務大臣官房審        議官       榮畑  潤君        総務省行政評価        局長       関  有一君        外務大臣官房審        議官       本田 悦朗君        外務大臣官房参        事官       大江  博君        財務省理財局次        長        藤岡  博君        文部科学大臣官        房審議官     土屋 定之君        文部科学大臣官        房審議官     田中  敏君        厚生労働大臣官        房審議官     荒井 和夫君        厚生労働大臣官        房審議官     村木 厚子君        厚生労働省医政        局長       外口  崇君        厚生労働省健康        局長       西山 正徳君        厚生労働省医薬        食品局長     高橋 直人君        厚生労働省労働        基準局長     青木  豊君        厚生労働省職業        安定局長     太田 俊明君        厚生労働省職業        安定局高齢・障        害者雇用対策部        長        岡崎 淳一君        厚生労働省職業        能力開発局長   新島 良夫君        厚生労働省社会        ・援護局長    中村 秀一君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    中村 吉夫君        厚生労働省老健        局長       阿曽沼慎司君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        厚生労働省年金        局長       渡邉 芳樹君        社会保険庁総務        部長       吉岡荘太郎君        社会保険庁運営        部長       石井 博史君        水産庁漁政部長  佐藤 憲雄君        水産庁資源管理        部長       山下  潤君        防衛省地方協力        局次長      伊藤 盛夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○戦没者父母等に対する特別給付金支給法の一  部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の  締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の  一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付  ) ○社会保障及び労働問題等に関する調査  (年金記録問題におけるいわゆる無年金者への  対応に関する件)  (障害者自立支援制度見直しに関する件)  (母子保健対策等次世代育成支援施策の推進に  関する件)  (若年者及び不安定就労者雇用対策に関する  件)  (後期高齢者健康診査に関する件)  (公立病院等における医師確保対策に関する件  )     ─────────────
  2. 岩本司

    委員長岩本司君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  戦没者父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案及び駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省社会援護局長中村秀一君外八名の政府参考人出席を、また、社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省年金局長渡邉芳樹君外二十五名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岩本司

    委員長岩本司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 岩本司

    委員長岩本司君)  戦没者父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案及び駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 蓮舫

    蓮舫君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新日本蓮舫でございます。  法案審議の前に、今相当現場混乱して、医療機関あるいは自治体窓口、あるいはお年寄りの方が大変混乱している後期高齢者医療制度について二、三確認をさせていただきたいと存じます。  今朝の朝刊各紙でも報道されておりましたけれども、新しい後期高齢者医療保険証が手元に届かない、こういう事例が物すごい勢いで増えている。制度が始まったのが四月一日ですから、もう十日もたっている。毎日新聞の報道では六万件、日経の報道では入手していない御高齢者が数十万人いるんではないか、報道各社調査をしているんですが、厚生労働省保険証が届いていない全体数は把握されていますか。
  6. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) お答えいたします。  現時点におきます後期高齢者医療制度の被保険者証不着件数についてのお尋ねでございますが、現在広域連合に対しまして照会中でございまして、まだ回答が出そろっていない状況でございます。現在、照会中という状況でございます。
  7. 蓮舫

    蓮舫君 本人不在、あるいは施設などに転居をして未着があると聞いているんですけど、今度これは再送するときは、どうやって本人がどこにいるかと確認するんでしょうか。
  8. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 不着ケースの場合は幾つか事例があるわけでございまして、今御指摘になった点は、配達記録郵便で被保険者証本人不在で戻ってきた事例のことを指しておられると思います。このときには、転送先郵便局に登録されている場合にはそちらにお送りするということになりますし、当然ながら御本人からの照会があればそれはお届けするということになります。そうやってもされない場合はどうするかということでありますけれども、それはやはり何らかの手段で現在の住所を捜す努力をしなければならないと、このように思っております。
  9. 蓮舫

    蓮舫君 もう既に制度は始まっているけれども、実態が後手後手になってしまっていて、その負担が御高齢者とか医療機関に押し付けられている、自治体に押し付けられているというのは、所管官庁として私はあってはいけないと思うのですけれども、これ、新しい保険証がないと、御高齢者の方、医療機関にかかったときに全額自己負担になるんですね。  とんでもないことになると思うのですが、これ何らかの対応をすべきではないですか。
  10. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) こういったケースにつきましては、年齢と住所が分かりますとどの広域連合に加入されるかということが分かりますし、また、従前の保険証があれば加入関係もまた分かるわけでございますので、現在一割の窓口負担、これをするように配慮していただくべく関係団体協議中でございまして、今日中にも連絡ができるようにいたしたいと思っております。
  11. 蓮舫

    蓮舫君 是非迅速な対応をしていただかないと、もうこれ以上、御高齢者混乱とか心配とか、あるいは経済的な負担を押し付けてはいけないと思います。  大臣にお伺いしたいのですが、社保庁は昨日、七十五歳以上の後期高齢者医療制度対象者の七百九十三万人に年金から天引きする保険料額を示した年金振り込み通知書送付を開始と、これも報道されているのですけれども、消えた年金未解決でもやっぱり天引きをするとか、さらには、保険証未着窓口での医療費全額自己負担になってもやっぱり天引きは始めるんだというようなこと、私ちょっとこれ信じ難いんですが、後期高齢者医療制度の名前を長寿に改めるという知恵を絞るのではなくて、混乱が起きているのであれば、どうやって対処するべきかという知恵を是非迅速に示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  12. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 保険証の問題は、国保の保険証持っておられますから、差し出されて生年月日見れば七十五以上と分かりますので、これは私も先ほど指示をいたしましたので、それを持っていけばもうその一割負担だけで済む。そうじゃないケースも、それぞれの患者さんの立場に立ってやれるようにというふうに今指示をしているところであります。  それぞれの自治体判断だったんですけれども、これはそんたくするに、お年寄りは転居しないものだという、だけれども、今おっしゃったように老人施設に移ったりするので、そういうところの配慮が足りなかったと思います。  厳正に処分処分じゃない、失礼しました、指導をいたしまして、それで、済みません、処分することが多いものですから。厳正に指導をいたしまして、委員おっしゃるように迅速にこれ対応して、お年寄り方々に御迷惑を掛けないように努力してまいります。
  13. 蓮舫

    蓮舫君 是非指導をしていただきたいと思いますし、その指導に沿って迅速な対応をしていただきたいと思います。お願いいたします。  では、駐留軍関係離職者等臨時措置法について伺いますが、この法律昭和三十三年に時限立法で成立しています。成立に至った簡単な経緯を教えてください。
  14. 太田俊明

    政府参考人太田俊明君) 駐留軍関係離職者等臨時措置法の制定の経緯でございますけれども、昭和三十二年六月の日米共同声明に端を発しまして、駐留軍撤退縮小が開始されて以来駐留軍関係離職者が多数発生したために、これに対処するため、五年に限り効力を有する時限法としまして議員立法昭和三十三年五月に制定されたものでございます。
  15. 蓮舫

    蓮舫君 非常に歴史のある法律なんですね。サンフランシスコ講和条約で、当時日本に駐留していた連合国軍撤退することになったのですが、同じ日に発効した日米安全保障条約で二十六万人もの米軍進駐軍が引き続き日本にとどまることになりまして、それによって軍のために働く労働者必要性が生じることになったのですが、その後だんだん駐留軍撤退していくというような、あるいは国際情勢問題等もありまして、大量の離職者、一時期三十二年では七千七百名もの日本人離職者が出て、やはりそこに対しては国として手当てをしましょうという法律だったんです。  これ、五年間の時限立法でできたはずなのですが、この五年の時限立法だった理由は何だったのでしょうか。
  16. 太田俊明

    政府参考人太田俊明君) 五年の時限立法理由でございますが、元々議員立法で五年とされたわけでございますけれども、これは、駐留軍関係離職者対策国際環境変動等対応して取られる特別の対策でございまして、恒久的に必要な対策ではないために、恒久法としないで期限を限っての時限法とされたということでございます。
  17. 蓮舫

    蓮舫君 最初は期限を限った五年間の離職者措置を受けた対象者は約四万六千人。これだけの数が一気に失業するわけですから、対応するためにこの法律は必要だったと私は思っています。ところが、時限立法といってもその後九回延長措置が繰り返されて、今回は十回目の延長案なんですね。  これ、三回目までの延長の十五年間というのは数万単位で対象者がいたんですが、四回目以降から九回目まで、それぞれ五年ごと離職者措置を受けた人の数を教えていただけますか。
  18. 太田俊明

    政府参考人太田俊明君) 離職者措置を受けた人の数でございますけれども、まず四回目の延長、これ昭和五十三年でございますけれども、五年間で四千七百二名、五回目の延長昭和五十八年でございますが、これも五年間で三千七百十二名、六回目の延長昭和六十三年でございますが、九百五十名、七回目の延長平成五年、三百七十六名、八回目の延長平成十年、百七十五名、九回目の延長平成十五年で、これは平成十八年度までで百六十三名、計一万七十八名という状況でございます。
  19. 蓮舫

    蓮舫君 年々、その対象ごとに数が減っているから延長は必要ないという議論ではなくて、昭和三十三年に進駐軍がいた時代の作られた法律と、昨今では数百名の対象者なんですが、新しい日米安保条約に基づいた日米地位協定で定める在日米軍で働く労働者離職後の対策というのは果たして本当に同じでいいのかという疑問が残るんですが、時限立法を繰り返してきたのはなぜなんでしょうか。
  20. 太田俊明

    政府参考人太田俊明君) これまで、御指摘のように九回延長してきたわけでございますけれども、それぞれの時点で国際的な安全保障環境変化等によって対象離職者発生することが見込まれていたために延長を行ってきたところでございます。  有効期限期間を区切ってきた理由としましては、やはり駐留軍関係離職者対策は、これは国際環境変動等対応して取られる特別の対策ということで、恒久的に必要な対策ではないということで時限法でやってきたということでございます。
  21. 蓮舫

    蓮舫君 今のを聞くと、恒久的な対策ではなくてもいい、いつかはこの法律は必要なくなるんではというニュアンスがあったんですけど、やはり私は、離職者のその後の研修ですとか、あるいは、労働者への対策であれば安定的に恒久法対応するべきだと考えているんですが、延長幅をこれ毎回五年としているのには何か特段の理由があるんでしょうか。
  22. 太田俊明

    政府参考人太田俊明君) 延長期間を五年としている理由でございますけれども、延長期間につきましては、今後の離職者発生等につきまして長期間にわたる見通しを立てることが困難であるということでございますので、当面、対象労働者雇用への影響を中期的にとらえた五年間ということで、当初五年間としたものを中期的にとらえた五年間ということで継承してきたということでございます。
  23. 蓮舫

    蓮舫君 今回法案延長したいとする駐留軍労働者離職者発生する可能性は、何によってもたらされるんでしょうか。
  24. 太田俊明

    政府参考人太田俊明君) この米軍の問題、国際情勢変動によって、米国安全保障政策変更でございますとか部隊撤退縮小等によって離職者発生が予想されるということで、離職者対策が必要であるということでございます。今回は特に、平成十八年に日米両国合意されました再編実施のための日米ロードマップによりまして、沖縄県に所在する施設返還部隊移転等が予定されておりまして、今後、それにより駐留軍等労働者への雇用影響が出る可能性があるということで、今回、五年間の延長をお願いしているものでございます。
  25. 蓮舫

    蓮舫君 日米合意によって米軍再編されると。平成二十六年には普天間飛行場代替施設が完成するなどしまして、第三海兵機動展開部隊要員やその家族がグアム移転をするなど、大幅な人が入れ替わるというか、移動していくわけですね。  再編で、ロードマップ土地返還対象施設に勤務する日本労働者総数でどれぐらいいるんでしょうか。
  26. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 米軍再編によりまして駐留軍等労働者雇用影響を及ぼすと考えられるものといたしましては、沖縄におきましては、嘉手納飛行場以南土地返還される米軍施設におきまして勤務する従業員方々及びグアム移転対象となる在沖米海兵隊部隊が所在する米軍施設において勤務する従業員方々が考えられます。  ただ、嘉手納以南米軍再編の詳細な状況につきましては現時点でまだ策定をされておりませんので、その正確な数を申し上げることは極めて困難であるという前提の上で、今考え得る沖縄施設キャンプ瑞慶覧等々の施設に働いている労働者方々総数参考までに申し上げれば、平成二十年の二月末現在で四千八百十六名でございますが、政府としましては、労働者方々雇用の安定の確保ということで、極力影響を最小限にしたいということで努力しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  27. 蓮舫

    蓮舫君 当然、配置転換等努力はされるんだと思います。それでも、最悪の場合には四千八百十六人が職を失うかもしれない。それで、それのために今回対応する延長法案を出されているということなんですが、ただ、平成二十六年が日米合意ロードマップ出口なんですね。  ただ、現在その基地返還等を見ましても、地元との調整がなかなかうまくいかないで、本当に時間どおりに進むんだろうかという問題は残ると思います。最悪の場合には、二十六年ぎりぎりまで返還交渉が長引いたり、あるいは代替施設の建設、完成等が長引いたりする場合には、二十六年の出口になって大量の離職者発生する可能性は否定できない。  ところが、今回の延長は五年なんですね。平成二十年に延長して五年だと平成二十五年になる。ロードマップ出口は二十六年です。そう考えると、今回、延長幅前例に踏襲して二十五年にするのではなくて、二十六年に措置する方が私は現実的だと思うんですが、いかがでしょうか。
  28. 太田俊明

    政府参考人太田俊明君) 御指摘のとおり二十六年までということでございますので、それまでに出た離職者に対して五年間の対応をしようということで今回五年間お願いしておりますけれども、今回の期限は二十五年までということでございますけれども、またその都度その都度状況が変わりますので、その状況変化を踏まえて、その時点国会の御判断をいただくのが適当ではないかということで五年間ということでお願いしているものでございます。
  29. 蓮舫

    蓮舫君 その都度その都度状況が変わるのは十分理解しています。  ただ、出口平成二十六年で、今回、法改正審議をこうやって委員会国会で行うのであれば、五年間で切れてしまうと二十六年の出口に、また五年後にこの法改正延長審議をしなければいけないということになりますので、ここは前例を踏襲しないで実際にある時間幅に、想定できる状況の時間軸に沿った法案を出すべきだという指摘は是非させていただきたいと思います。    〔委員長退席理事家西悟君着席〕  次に、今回の法案概要では、駐留軍関係労働者雇用状況は本来不安定であるという説明を受けているんですが、基地等で働く労働者雇用というのは本来不安定なんでしょうか。
  30. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 駐留軍等労働者雇用状況についての御質問でございますが、駐留軍等労働者方々はその使用者在日米軍でございまして、今後も、米国安全保障政策変更あるいは機構の改編、部隊撤退縮小、若しくは業務消滅等に伴いまして離職を余儀なくされる可能性が依然としてあり得るというふうに考えております。その雇用は本来的には不安定であるというふうに考えております。
  31. 蓮舫

    蓮舫君 防衛省基地で働く労働者労務管理などを独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構に委託をしています。この機構はどんな業務を主な仕事としていますか。
  32. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構につきましては、駐留軍等労働者の雇入れ、提供労務管理、給与及び福利厚生に関する業務を行うことによりまして駐留軍等及び諸機関に必要な労働力確保を図ることを目的として設立されております。  同機構は、駐留軍等労働者雇用主として労務管理を行う国と緊密な連携を図りつつ、第一に駐留軍等労働者募集配置転換等に係る米軍人担当官との調整等々の業務を行っております。
  33. 蓮舫

    蓮舫君 独法のこの機構基地で働く方たちを募集する業務も担っておられる、主な業務なんですが。ところが、この募集案内ホームページからダウンロードできるんですが、募集案内メッセージに、米軍からのメッセージとして安定した雇用って案内しているんですよ。だけれども、今回の法案延長する理由は不安定な雇用と言っている、どっちが正しいんですか。
  34. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 御指摘のように、駐留軍等労働者労務管理機構ホームページ平成二十年二月十七日まで掲載されました募集案内の中には、米側からの寄稿といたしまして、主に駐留軍等労働者処遇を主眼にしまして、安定した雇用という文言が入っていたというふうに承知しております。  ただし、私、先ほどお話しさせていただきましたけれども、本質的には不安定な雇用でございますが、政府としても駐留軍等労働者の方の雇用安定化ということで様々な施策を展開しておりますので、そういう意味で、現時点においては雇用は安定しているというふうに御理解いただきたいと思います。
  35. 蓮舫

    蓮舫君 本質的には不安定で処遇は安定、これ悩みますよ。しかも、一か月前、衆議院でこの法案審議が始まる始まらないというときに、この機構ホームページから募集案内安定雇用という文言は削除されています。改めて、この、何なんでしょうかね、法案改正審議に合わせてチェックをして、驚いて削除をしたのかなと思えるんですが。  舛添厚生労働大臣労働関係を担当されて、所管大臣なんですが、一か月前までは安定雇用ってこれを案内していた。日本人雇用の問題ですから、今回の法案提出理由は、不安定な雇用だということで延長をお願いされているわけですから、こういう部分はしっかり指導していただきたいと思います。
  36. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 募集を行うときに虚偽広告などしてはいけないと、これは職業安定法四十八条の二というのがございますんで、これに基づいて是正指導を行い、改善させるようにいたします。
  37. 蓮舫

    蓮舫君 よろしくお願いします。  この独法機構なんですが、在日米軍従業員求人募集等を扱っていますが、機構業務である募集から採用までの流れを簡単に教えていただけますか。
  38. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 駐留軍等労働者採用に当たりましては、採用手続日米間で締結している労務提供契約に規定されております。  まず、米側から独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構を通じまして、地方防衛局地方防衛事務所に労務要求が行われます。その労務要求を受けまして、機構は、当該労務要求の要件を満たす者を募集し、求職者を米側に差し向けます。米側は、差し向けられた求職者につきまして面接を行い、当該職務内容及び資格要件等を総合的に勘案の上、採用予定者を決定し、労務管理機構を通じて地方防衛局地方防衛事務所に当該採用予定者を通知することになります。地方防衛局地方防衛事務所は、米側からの採用予定者の通知を受けまして、雇用主として当該採用決定者との間で採用通知書により雇用契約を締結いたします。
  39. 蓮舫

    蓮舫君 アメリカ側から労働者提供の要求があって、その要求を受けて機構募集をして、そして人を面接、採用をして、そしてアメリカ軍基地提供されると。この仕事というのは機構でないとできないんでしょうか。
  40. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) かかる業務は、日米安保条約に基づきます在日米軍の駐留を円滑にするための地位協定の規定を受けまして、合衆国政府日本政府との間で締結されました労務提供契約に基づきまして、労務提供の責務を果たすために継続して確実に行う必要のある業務でございます。    〔理事家西悟君退席、委員長着席〕  同募集業務におきましては、候補者を選定して在日米軍に提示する業務であることから、在日米軍との関係を確保できるように同機構で行う必要があるというふうに考えております。
  41. 蓮舫

    蓮舫君 ところが、この募集案内を見ますと、沖縄はすべて機構を通じて求人募集から採用までが行われているんですが、沖縄を除く地域ではハローワークで求人情報を提供しているんです。また、関東では、米軍ホームページで直接案内して雇用まで行っています。  どうして、これ、ハローワークに任せられる仕事あるいは在日米軍基地が直接行える募集案内雇用までの仕事を、中でも沖縄地区は、独占的にこの機構が行わなければいけないんでしょうか。
  42. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 沖縄県におきましては、過去、求人に対しまして多数の求職者が集中しました関係から、在日米軍から労務要求のある前にあらかじめ駐留軍等労働者への求職者を募集して登録しておくといういわゆる事前募集を実施しております。円滑な労務提供のために沖縄県ではそのような対応をさせていただいております。
  43. 蓮舫

    蓮舫君 円滑な労務提供はハローワークでは行えないということですね。
  44. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) ハローワークを始めとしまして関係部署と密接な調整はさせていただいておりますが、沖縄県におきましてはあらかじめ駐留軍等労働者への求職者を募集し登録して、その在日米軍からの労務要求の都度、これらの登録者の中から在日米軍の資格要件を満たす者を選出して対応しております。決してハローワークで行われないというふうには考えておりません。
  45. 蓮舫

    蓮舫君 米軍募集ホームページ検索しますと、沖縄基地でも求人情報はホームページ日本語で直接軍が行っています。在日米軍が直接行えるのであれば税金を使って機構がその業務を行う必要があるのか、これ疑問が残ります。米軍雇用者の直接契約では、確かに労務関係の問題が生じたときに何らかの感じで調整に入らなければいけない、その部分で機構の存在意味というのは分かるんですが、ただ募集案内とか日本人労働者への就職支援などは本来労働行政が担うものであると思います。  これ、どうして機構に任せるのか、もっと明快な理由を教えていただけますか。
  46. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 独立行政法人労務管理機構におきましては、米側からの求人情報を専門的な知見を有する職員が判断をいたしまして、それに対応する労働力提供ということで募集業務をやっているところでございます。
  47. 蓮舫

    蓮舫君 専門的な知見は私は労働行政の方がプロだと思います、防衛省よりも。じゃ、この専門的な知見を持っているという機構、この機構の役員はどんな経歴の方々ですか。
  48. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 現在、役員は理事長及び理事の計二名おりますが、理事長の経歴は、防衛施設庁長官を退官しまして十八年四月から現職に就いております。理事は東京防衛施設局総務部長を退官しまして現職に就いております。  なお、現在、理事一名、それから監事二名が欠員となっている状況でございまして、民間から起用すべく今調整中でございます。
  49. 蓮舫

    蓮舫君 三月三十一日までは常勤の理事と理事長四人のうち三人が防衛省からの天下りでした。今も二人しかいない常勤の理事長と理事は旧防衛庁からの天下りです。この機構は収入の九九%が国の交付金で賄われているんですが、国からの運営交付金は幾らですか。
  50. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 十八年度に国から独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構へ交付した運営費交付金は四十三億七百万円でございます。
  51. 蓮舫

    蓮舫君 四十三億円の税金がこの機構に投入をされている。支出のうち、機構の仕事である労務管理福利厚生に係る支出は幾らですか。
  52. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 運営費交付金は使途の内訳を特定して交付するものではございませんので、十八年度に独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構が支出した事業費について考えますと、褒賞等々で使われておりますが、物件費としては九億一千百万円という金額でございます。
  53. 蓮舫

    蓮舫君 いや、支出のうち機構の仕事である労務管理福利厚生、本体業務に係るお金は幾らですか。
  54. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 失礼しました。  基地従業員関係の本体業務に係る金額は六億百万円でございます。
  55. 蓮舫

    蓮舫君 四十三億円の国からの税金の運営交付金が来て、本体業務に係るお金は六億、それ以外は全部人件費等です。つまり、税金のうち八割が人件費、機構を維持するための交付金なんですね。これ私、天下り団体だと思いますよ。その団体を維持するための交付金を、税金をもらっているんだと思いますよ。機構の在り方、業務を見直すべきではないでしょうか。
  56. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 先ほど募集について御説明をさせていただきましたけれども、機構は基本的に給与の計算業務とかそのほかの業務も行っておりまして、基本的に、独立行政法人駐留軍等労務管理機構を発足しましたときにおきましては、機関委任事務の見直しでそれまで都道府県等で行っていた事務を国の事務とするということで、平成十四年にこの機構を発足させております。そういう意味で、機構の機能としては存在意義があるというふうに認識しております。
  57. 蓮舫

    蓮舫君 存在意義があるかどうかは国民に判断をいただきたいと思うんですが。例えば、本当に基地労働者のために使われているお金なんか細かく見ていくと、基地従業員が退職する準備の研修費、わずか百万ですよ。四十三億、そのうちのほとんどが人件費、天下り団体、これは自衛隊からの天下りの職員も九人おられます。本当に必要かどうかというのは私は疑問が残るんですが。  しかも、この機構業務と同じような福利厚生事業を行っている財団法人もありますね。駐留軍労働福祉財団、ここは駐留軍の健康保健会館の運営収益を収入としていますが、ここの主な事業は何ですか。
  58. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 駐留軍労働福祉財団につきましては、日米における労働問題及び諸外国における駐留外国軍隊に勤務する労働者の労働問題の調査及び研究、その他駐留軍等労働者の厚生及び福祉の増進事業を行うということで設立された公益法人でございます。  主な事業としましては、調査受託事業のほか、福利厚生事業、それから駐健保会館等の管理事業を行っております。
  59. 蓮舫

    蓮舫君 この財団の役員、理事長、常務理事、監事、どんな最終官職でしょうか。
  60. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 現職の役員は現在八名でございます。最終官職という意味では国家公務員という形でお話をしますと、非常勤の理事長は元防衛施設庁次長、常勤の常務理事は元防衛施設庁総務部付き、非常勤の監事は元防衛施設庁労務部長でございます。それ以外の五名の理事、監事は国家公務員経験者ではございません。
  61. 蓮舫

    蓮舫君 天下りの独立行政法人機構に四十三億円のお金が渡されて、その独立行政法人から更に天下りのこの団体に仕事が委託されて、何か持ちつ持たれつの関係ができているんですけれども。  ここの駐留軍労働福祉財団の仕事というのはホテルや駐車場の管理を行っているんですね。東京都港区芝という大変立派な立地で一泊三千円というホテルの稼働率はわずか二五%です。会議室も五六%で半分以上空いています。独法機構からこの財団法人へ調査、今調査委託が主な業務と言いましたが、調査委託は一年に一回のみ、しかも毎年一冊です、毎年この一冊です。この中身は何かといいますと、アンケート。アンケートの有効回答率は二〇%というお粗末さです。平成十八年度は調査の受注実績もありません。こうした仕事を何も財団に委託するんではなくて、機構が直接行うかあるいは民営化すべきじゃないですか。
  62. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 駐留軍労働福祉財団につきましては、国及び労務管理機構が行う業務を補完する観点から、駐留軍等労働者の労働問題に関する調査受託事業のほか、先ほど御説明しました様々な事業を行っておりますが、この事業は公益法人といたしまして国費以外の経費によりまして実施している事業でございます。また、財団は常勤職員は五人という規模でございます。  いずれにしましても、現在、公益法人改革の観点、それから公益法人の在り方につきましては検討されることになるというふうに考えております。
  63. 蓮舫

    蓮舫君 規模が小さいからいいという議論をさせていただいているんじゃないんです。税金が独法に入って、独法で行える仕事をなぜわざわざ更なる天下り団体に迂回をして仕事を発注するのかということで、機構の仕事にお戻しした方がいいんじゃないですか。
  64. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 調査研究事業を中心に御質問だと思いますけれども、現在その調査研究の事業につきましては競争入札をしておりまして、同財団が最近その受託をしているという状況ではございません。
  65. 蓮舫

    蓮舫君 在日米軍で働く従業員福利厚生や支援、離職対策といいながら、その業務を天下り団体の間でシェアしているなどというあらぬ疑いが掛けられる前に、政府自身がこれは閣議決定をして、独立行政法人と公益法人の整理統合合理化計画を行うと言っているので、是非これ一度防衛省の中で整理されたらいかがですか。  国からの交付金、税金を抑えることが十分私はもっともっと可能だと思います。民間でできることは民間で、労働行政、ハローワークでできることはハローワークで、何も機構を通さなければ支障が生じるものはそんなに多くないと思いますが、いかがでしょうか。
  66. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 先ほど御説明させていただきましたけれども、機構を通してその財団の方に事業を流すというふうな方法は現在ではなされておりません。一般競争入札等々の手法で実施をさせていただいているというふうに理解をしております。
  67. 蓮舫

    蓮舫君 答えていないと思います。独法の仕事を整理すべきではないですかと言っているんです。再度確認します。
  68. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 独立行政法人業務の実態につきましては、防衛省に置かれております独立行政法人評価委員会の方で検討がなされておりますので、今後そのような委員会等々の御指摘を踏まえて検討したいというふうに考えております。
  69. 蓮舫

    蓮舫君 是非、是非積極的な検討をしていただきたいと思います。  次に、労働法の問題について伺います。  駐留軍労働者従業員ですが、この雇用保険、労災保険の事業主負担分はどこが負っているんでしょうか。
  70. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 雇用主としての国で負担をしております。
  71. 蓮舫

    蓮舫君 事業主負担分は防衛省労働者負担分はもちろん従業員が支払っている。つまり、従業員基地で働いていたとしても日本労働関係法令の適用対象ですね。
  72. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 日米地位協定の十二条五によりまして、相互間で別段の合意をする場合を除くほか、労働関係に関する労働者の権利は日本国の法令で定めるところによらなければならないというふうに規定されておりまして、駐留軍等労働者の労働条件は日本国の法令に定めるところによらなければならないと認識しております。
  73. 蓮舫

    蓮舫君 つまり、日本労働関係法令の適用対象だと。  厚労省に伺います。労働基準法三十六条を簡単に御説明いただけますか。
  74. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 三十六条につきましては、まず労働基準法の三十二条におきまして、使用者は、労働者に休憩時間を除いて一週間について四十時間、一日について八時間を超えて労働させてはならないと定められております。そして、この例外規定といたしまして御質問の労働基準法第三十六条において、使用者は、その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、それがない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をして、これを行政官庁に届け出た場合においては、その協定で定めるところによって基準法三十二条に規定する週四十時間、一日八時間の法定労働時間を超えて時間外労働をさせることができるとされております。
  75. 蓮舫

    蓮舫君 駐留軍関係労働者はこの三十六条、いわゆる三六協定は結んでいますか。
  76. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 御指摘の労働基準法第三十六条につきましては、現時点におきまして、駐留軍等労働者に係る時間外労働及び休日労働に伴う労使協定は締結できておりません。
  77. 蓮舫

    蓮舫君 確かに基地等で働く労働者の形態というのが特殊だというのは理解できるんですが、この基地従業員日本人の労働条件を確保すべき責務はどこにあるんでしょうか。
  78. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 駐留軍等労働者につきましては、雇用主日本政府使用者米側といった点で極めて特殊な就労形態になっております。労務管理という観点から申し上げれば、地方協力局の方で担当をしております。
  79. 蓮舫

    蓮舫君 済みません、もう一回確認します。基地従業員の労働条件を守るのはどこでしょうか。
  80. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 基地従業員の実際の使用者である米側、それから雇用主である日本政府日本政府としましては、米側の理解を得つつ基地従業員雇用条件を確保してまいりたいというふうに考えております。
  81. 蓮舫

    蓮舫君 労働基準法では所定労働時間というのは週四十時間と定められています。基地従業員の契約上の所定労働時間は何時間でしょうか。
  82. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 駐留軍等労働者の勤務条件等につきましては日米間で締結されております労務提供契約により定められておりまして、御指摘駐留軍等労働者の勤務時間につきましては、現在、週四十時間制でございます。
  83. 蓮舫

    蓮舫君 時間外労働や休日労働はありませんか。四十時間を超える労働はないですね。
  84. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 時間外勤務及び休日勤務は行われておりまして、平成十八年度における一人当たりの月平均時間外労働及び休日勤務の時間数は約〇・八時間でございます。
  85. 蓮舫

    蓮舫君 時間外労働、休日労働、変形労働時間制はあるということですね。でも、これ労働基準法三十二条では変形労働時間協定を締結しなければならない、法で定めてあるんですね。でも、これ、定められてない。  ほかに、じゃ労働基準法の適用状態にない、達成されていない労働条件ってありますか。
  86. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 駐留軍等労働者の労働条件につきまして労働基準法に合致していない項目といたしましては、現在、臨時従業員に対する年次休暇の付与、時間外勤務等に関する労使協定の締結、就業規則の届出、三点がございます。
  87. 蓮舫

    蓮舫君 労働基準法八十九条では、十名以上を雇用する場合には、この基地従業員って二万五千人ぐらいいますが、就業規則を作らないといけない。作られてますか。
  88. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 就業規則につきましては、昭和三十九年に十章二十九条から成る就業規則本則を策定いたしまして、その附属文書としまして基本労務契約を添付し、これらの文書全体を就業規則として扱い、同年、当該機関委任事務を担っていた関係都道府県より所轄の労働基準監督署へ届出を行ったところでございます。
  89. 蓮舫

    蓮舫君 昭和三十九年、今から四十四年前に結ばれた就業規則は十分今も事足りるんでしょうか。そういう検証は行われましたか。
  90. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 就業規則の一部でありますところの基本労務契約につきましては、随時改正を行っております。今御指摘の労働基準法に合致していない項目もございますので、その点につきまして米側と鋭意協議をしておる状況でございます。
  91. 蓮舫

    蓮舫君 厚生労働大臣にお伺いします。  今るるやり方を聞いていたと思うんですが、審議を、労働基準法が守られていない、特異なケースの労働条件だから米側とやり取りをしている、こういうことでよろしいんでしょうか。
  92. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは政府全体としてアメリカ側にきちんと、これ使用者米軍ですから、我が国の法令に基づいてきちんと労働者の権利を守ってもらうということを言い続けるし、言い続けないといけないと思います。  背景には、戦争が終わって五十年以上たっている、日米安全保障条約日米地位協定、そういう中における思いやり予算の問題も含めて、私は、私の所管ではございませんけれども、日米安保全体、この良好な日米関係を保ち安全保障をしっかりやるためにも、こういう足下の問題についてきちんと政府全体として対応すべきだと思いますので、労働行政を担当する大臣としては、防衛省とも協議をしながら政府全体でアメリカ側に強く働き掛けていきたいと思います。
  93. 蓮舫

    蓮舫君 強く働き掛けていきたい、これはもう私どもも当然のことだと思っているんですが、現下の足下で法律違反の疑いあるいは法律違反の事実がある。労働基準法適用職場なので就業規則作成、届出義務、あるいは三六協定の締結、届出義務、いろんなことを守っていないんですよ。  これ確認しますが、三六協定なしの時間外労働、四十時間を超える労働、休日労働、労働基準法三十二条違反となりますと、刑罰規定というのは、これどうなっていますか。
  94. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) お尋ねの件でございますが、この三十六条の時間外労働協定などの締結、届出をせずに時間外労働などをさせた場合については、労働基準法百十九条一号によりまして六か月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処せられることになります。
  95. 蓮舫

    蓮舫君 駐留軍関係労働者の労働状況を見ますと、この刑罰規定の対象者ではないでしょうか。
  96. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 個別の事案については、具体的な状況を実際に判断をいたしまして対処しているところでございます。また、私どもといたしましては、個別の案件につきましても実際に労働条件を直してもらうということがまず第一に我々は指導をいたしているところでございます。  そういうことで、この問題につきましても政府全体として協議をいたして、少しずつではありますけれども着実に改善をしているという認識をいたしております。
  97. 蓮舫

    蓮舫君 着実に改善しているとはとても私は受け止められないんですね。  法律を読みますと、労働条件は労働者が人たるに値する生活を営むための必要を満たすものでなければならない。ただ、残念ながら今回の今審議をさせていただいている法案延長、この法案とはまた違うんですけれども、対象労働者の働いている環境で労働基準法や労働条件の原則というのをやっぱり私は守られていないと思うんですよ。  これ、先ほど舛添厚生労働大臣に前向きな御答弁をいただきましたが、この問題認識は共有しておりますよね。
  98. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 雇用主が我々防衛省、我が日本国であり、使用者米軍だと。使用者が自主的にこの法令を守らないといけないんで、今、日米合同委員会の中に労務分科委員会というのがありまして、そこに厚生労働省出席して、こういう問題についてコンプライアンスきちんとやってくれということは言い続けておりますけれども、私は、やっぱりこういう日米関係、これは今委員は労務環境についてお話しくださいましたけれども、相次ぐ基地における米軍の海兵隊を含め駐留軍による不祥事、市民が非常に恐怖に思っている。こういうことについては、やっぱり政治的なリーダーシップを発揮してきちんと政治のトップのレベルで解決すべき問題だと、そういうふうに思っております。
  99. 蓮舫

    蓮舫君 いや、確かに今大臣のおっしゃるとおり、昨今の事件等を見ますと、基地勤務のアメリカ兵が日本人を殺害する、あるいは何らかの事件を加害者として起こすなど、あってはならない痛ましい事件等も多発しております。その部分で国民の日米地位協定に対する関心というのは今高くなっていると思いますが、他方で、基地等で働いている労働者の労働条件が守られていないということがあると、これまた日米関係の不安定要素になりますんで、何とか前向きに解決していただかないといけないんです。  ただ、実は今こうして質問させていただいている内容なんですが、今から五年前、平成十五年の四月に我が党の浅尾議員が全く同じことを聞かせていただいています。答弁は五年前と全く同じです。一歩の前進も見られません。当時の坂口大臣、よく相談をし、前進できるようにしたいと答弁しています。浅尾議員が前進がない場合は法律違反が続くと指摘すると、坂口大臣は前進できるように努力しますと再度答弁をしています。でも、五年が経過して、今同じ質疑をやらせていただいています。どんな努力したんですか。
  100. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 五年前からの状況でございますが、平成十六年八月二十七日に妊娠中の業務転換、妊産婦の時間外勤務の制限及び休日勤務の禁止、妊産婦の深夜業の禁止に関しまして労務提供契約の改正をいたしております。平成十八年一月二十四日に週所定勤務時間の四十時間への削減の契協約の改正をしております。平成十九年六月十三日に妊産婦の有害業務の禁止に関する労務提供契約の改正をしております。先月二十八日に年次有給休暇の繰越制度に関する契協約の改正をしているところであります。  今後とも、契約の締結当事者かつ駐留軍等労働者の実際の使用者であります米軍調整を行い、精力的に協議を行いまして労務提供契約の改正をしてまいりたいと考えております。
  101. 蓮舫

    蓮舫君 どんなに労働関係所管している厚生労働大臣が前向きに力強い答弁をいただいても実態が何も変わらないでは、厚生労働大臣の発言が物すごく軽くなるんですね。是非そこは踏まえていただきたいと思います。アメリカとの話合いが前進しない、アメリカがあるからというような逃げではなくて、是非もっと結果を出していただきたいと思います。  是非、最後にお願いなんですが、またこれ五年後に延長が出るんでしょう。そのときに今と同じような質疑が繰り返されないような努力をお願いして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  102. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 ありがとうございます。自由民主党・無所属の会、島尻安伊子でございます。  今回の駐留軍関係離職者等臨時措置法について、それから国際協定締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案、そして加えて、戦没者父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案ということでの関連する質疑を行わせていただきたいというふうに思います。  ただいまは民主党蓮舫議員とのやり取りといいますか質疑を聞かせていただきました。改めて、私、沖縄県選出の国会議員でございますけれども、この基地から派生する様々な問題というのが短絡的に解決できないんだなというのを実は改めて今感じたところでございまして、逆に言いますと、こういった問題、やはりすぐに解決できることできないことというのをもう分けて、できるものはすぐ、しかしながらやはり各方面、いろいろな関係者がいることは本当に精査して吟味をしてからでないと、性急にしては、せいては事をし損じるということもありますけれども、その両面からやはり考えていかなければいけないんだなというふうなことを思った次第でございます。  ただいまの質疑にダブるところもございますけれども、私なりにまた質問をさせていただきたいので、よろしくお願い申し上げます。  まず、駐留軍関係離職者等臨時措置法に関することでございますけれども、私も今回の法案、必ずしも五年間の延長でなくていいのかなというふうに思いました。日米ロードマップ米軍再編実施のためのロードマップがございますけれども、在沖海兵隊のグアム移転等は平成二十六年からということでございまして、単純に考えまして、その延長期間を今回五年じゃなくてもよかったのかなというふうに思うんですが、まずこのことに関しての御答弁をお願いします。
  103. 太田俊明

    政府参考人太田俊明君) 今議員御指摘のとおり、平成十八年に合意されました再編実施のための日米ロードマップにおきましては、二〇一四年、平成二十六年までに嘉手納以南土地返還、在沖海兵隊のグアム移転あるいは空母艦載機の厚木から岩国への移駐が予定されておりまして、これによって沖縄施設あるいは本土一施設で勤務する労働者雇用影響があることが予想されるわけでございます。  このため、政府全体としまして駐留軍従業員雇用の安定確保等について引き続き全力で取り組むこととしておりまして、こうした背景の下にこの臨時措置法延長は必要なものと考えているところでございます。  延長期間でございますけれども、五年間とした理由でございますけれども、離職者発生の規模や発生時期につきましては長期間にわたる見通しを立てることが困難であるということでございまして、当面従来どおり駐留軍労働者雇用への影響を中期的にとらえて延長期間を五年間とさせていただいたものでございます。
  104. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 駐留軍等労働者及び離職者状況についてお聞かせいただきたいというふうに思います。  全国それから沖縄県の状況、どのようになっておりますでしょうか。そしてまた、この度の米軍再編によってどのぐらいの離職者発生するというふうに見込んでおられるのか、御答弁をお願いします。
  105. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 駐留軍等労働者数につきましてお答え申し上げます。  平成二十年二月末現在で二万五千三百七十六名でございまして、本土一万六千四百三十二名、沖縄八千九百四十四名でございます。  平成十九年度におきます駐留軍等労働者の退職者数につきましては、平成二十年二月末現在で二千五百七十九名でございまして、そのうち駐留軍関係離職者等臨時措置法の適用を受ける離職者数は四十八名でございます。  米軍再編による駐留軍等労働者雇用影響につきましては、詳細な計画が現在策定されておりませんので確たることを申し上げることはできません。
  106. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 単純に考えて、この米軍再編によって退職者が多く発生するということは分かるわけでございます。  沖縄駐留軍関係離職者対策においてでございますけれども、その数ですね、これから増えていくその数、そしてまた県内の厳しい雇用情勢の中で、本法律に基づいての地域の事情に応じたきめ細やかな対策というものを行う必要が絶対的に必要であるというふうに思いますが、この辺に関しての御答弁をお願いします。
  107. 太田俊明

    政府参考人太田俊明君) 御指摘ございましたように、沖縄雇用失業情勢、大変厳しい状況がございまして、平成十九年ですと完全失業率が七・四%と大体全国の倍ぐらいでございます。それから有効求人倍率が〇・四二倍、これは逆に全国の半分以下ということで極めて厳しい状況であると認識しているところでございます。  こうした沖縄県の厳しい雇用失業情勢を改善するために、厚生労働省としましては、地域雇用開発促進法等に基づきまして雇用開発促進地域に指定しまして様々な支援を行っているところでございます。  例えば、事業所の設置整備や労働者の雇入れに対しまして雇用開発の奨励金を支給すること、さらには地域において創意工夫の下に雇用創出に取り組む事業を支援する地域雇用創造推進事業の実施、さらには沖縄の若者を雇い入れた場合の奨励金の支給等の重点的な支援を実施しているところでございます。  お話ございましたように、沖縄の厳しい雇用失業情勢の中で駐留軍関係離職者発生しますと再就職は困難な状況にあるということがございますので、今申し上げました地域の雇用開発によります支援の積極的な推進によって沖縄県の雇用失業情勢の改善に努めていきたいと考えておりますし、また、御指摘踏まえてこの法律に基づく支援をきめ細やかに実施しまして再就職の促進を図ってまいりたいと考えているところでございます。
  108. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 様々な施策が講じられているということでございまして、その点については歓迎をしたいと思うんですけれども、一方で、沖縄の経済の構図といいますか、地元に本当にお金が落ちる仕組みというのを考えていかなきゃいけないなと、常日ごろから思っているところではあります。  今回こういったことで離職を余儀なくされる方が多くなると、そういう方々に対して防衛省離職前職業訓練というものを行っているというふうに伺っておりますが、このことについて、例えばどのような職種の訓練の内容が用意されているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  109. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 防衛省で、駐留軍関係離職者等臨時措置法第十条第三項の規定に基づきまして、駐留軍等労働者離職した場合にその者が速やかに他の職業に就くことができることを目的といたしまして、離職前職業訓練を当該労働者の在職期間中に実施しております。  訓練種目といたしましては、大型自動車運転、大型特殊自動車運転、フォークリフト運転、移動式クレーン運転、牽引自動車運転、危険物取扱、コンピューター、英会話、ボイラー及びガス溶接の十種目を行っております。
  110. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 種目、今教えていただきましたけれども、今後、何度も申し上げますけれども、離職者が増える、その中でうまく職場を見付けられるようにするにはやはりもう少しその種目を増やすべきではないかというふうに思います。  この件に関してと、それから当局がその実態に関して離職者のニーズというものをどのようにとらえているのかというのをお聞かせいただけませんでしょうか。
  111. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 訓練種目の実施に当たりましては、駐留軍等労働者方々の意向を聴取した上で実施しているものでございます。コンピューター等要望が多いものをピックアップしているというふうに、選定しているというふうに承知しております。その訓練種目の在り方は、議員の御指摘も踏まえて検討してまいりたいというふうに思います。
  112. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 国の施策でIT津梁パークというものもございまして、やはり今国の施策によって沖縄でのIT関連の事業に力を入れようという動きもございます。是非横断的に、今沖縄でのその方向性といいますか、そういうものを踏まえた上での是非この職業訓練の種目を増やしていっていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。  では、次に移ります。  本法に基づく離職者の再就職の状況を見ますと、今回、離職者票の受給発数に関して、それに対して再就職の件数が少ないという実態がございます。駐留軍労働者の平均年齢は四十二歳。離職をした場合、こういった年齢等から再就職が大変に厳しくなるというふうなことが言われております。  本法の有効期限を単に五年間の延長というものではなくて、これまでいろいろ御答弁いただきましたけれども、その中にあったような現状、現場の状況を分析してその実効性を上げるための検討を行うべきではないか、その上での延長であるべきでないかというふうに思いますけれども、御答弁をお願いいたします。
  113. 太田俊明

    政府参考人太田俊明君) この法律によります特別措置、支援措置の在り方につきましては、現在の形になるまで様々な拡充を図ってきたところでございます。  今回の法改正につきまして、労働政策審議会におきましてもこの制度の見直しについて御議論いただいたところでございますが、制度の内容につきましては今回は特に変更する必要がないという御意見をいただいたところでございまして、今回の法改正に当たりまして、法律上の制度としては見直すことはしていないところでございます。  ただ、しかしながら、御指摘いただいたように大分年齢も高くなってきておりますし、特に沖縄におきましては雇用失業情勢が厳しい中で再就職が特に困難な状況があるということもございますので、この支援措置につきましては、対象者を取り巻く状況等を十分に見極めつつ、またニーズも踏まえて、防衛省とも連携する中で、的確な職業指導あるいは職業訓練を実施するなど効果的な再就職の支援に努めてまいりたいというふうに考えております。
  114. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 ありがとうございます。是非そのように事が進むようにお願いしたいというふうに思います。  ところで、平成十九年の五月に制定された駐留軍等再編の円滑な実施に関する特別措置法というものがございますけれども、この支援措置法と今回のこの本法の違いといいますか、についてちょっとお聞かせいただきたいというふうに思います。
  115. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 駐留軍等再編の円滑な実施に関する特別措置法におきましては、二十五条におきまして技能教育訓練についての規定がございます。これは、米軍再編により影響を受ける駐留軍等労働者雇用の継続に資するように、他の職種等への配置転換を円滑に実施するために、米軍再編による影響を受けない施設等で必要とされる知識、技能の習得のために実施することを考えているものでございます。  今お願いしています駐留軍関係離職者等臨時措置法十条第三項に基づくいわゆる職業訓練につきましては、在職中の駐留軍等労働者方々離職した場合に速やかに他の職業に就くことができることを目的として実施しているものでございます。
  116. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 ありがとうございます。  ちょっと時間も押しているものですから次に移りたいというふうに思います。漁業関係のことについてお聞きいたします。  漁業の従事者が高齢化の傾向にあるということでございまして、国際協定等に関する減船で多くの労働者離職していった場合に、漁業の衰退につながるおそれがあるんではないかというふうに懸念をしているところでございます。将来的な漁業振興の観点からも、漁業離職者対策だけではなくて、新たな漁業の担い手、特に若者といいますか若年の漁業従業者の確保が必要と考えておりますけれども、その対策についてお聞きしたいというふうに思います。
  117. 佐藤憲雄

    政府参考人(佐藤憲雄君) 漁業就業者の確保についてお答え申し上げます。  近年、漁業就業者は、世界的な資源管理の強化に伴います減船の実施ですとか、あるいは周辺水域の資源の悪化等を背景にしまして大変減少傾向をたどっております。また、その中でも約三分の一以上が六十五歳以上ということで、高齢化の一途をたどっているのが現状でございます。  こうした中で今後とも我が国漁業が維持発展していくためには、委員御指摘のように、若年層を中心としました漁業就業者の育成確保、これが大変重要な課題となっております。このため、若い方々が魅力を感じながら漁業に従事できるような環境整備が必要でございますし、また同時に、漁業外からも漁業に参入できるような取組の整備、こういったものが重要ではないかというふうに考えております。  こうした観点に立ちまして、従来から、漁業の就業に関する情報の提供ですとか、あるいは就業を支援するフェアの開催、それから漁業現場での実地研修の実施、さらには漁業経営に必要な資金の無利子融資、こういったものを総合的に講じてきたわけでございます。さらには、二十年度からは、水産高校を対象としまして、水産会社と連携したきめ細かい漁業の実地研修も行うということとしておりまして、こういったものを通じまして漁業就業者の育成確保に万全を期していきたいと、このように考えてございます。
  118. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 ありがとうございます。  次に移ります。戦没者の父母関連の質問でございます。  簡単に現状の把握をしたいというふうに思っております。対象者の平均年齢と、それから本法にかんがみての過去の請求やその支払等の実績、それからこの交付金受領までの手続スケジュール等、その現状をお聞かせいただきたいと思います。
  119. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  戦没者父母等に対します特別給付金でございますが、前回、平成十五年改正分での件数を申し上げますと二百二十二件、国債発行金額は二億二千二百万円と、こういうふうになっております。  戦没者の父母、祖父母の方でございますので高齢化しておりまして、平均年齢九十四歳というような状況になっております。  手続でございますけれども、特別給付金国債の受取、原則として御本人窓口に出向いていただくということが必要でございますが、御高齢でございますので代理人による手続も可能になっております。申請の受付は、法律が公布されましたら、認めていただいて公布できましたら、その日が施行日になっておりますので、その日から開始いたしております。  お手元に国債が行くまでの期間が、国債を作る、印刷するなどの時間もありますので、六か月程度要しておりますけれども、できるだけ早く申請、進達事務等、期間を短縮して、法律が通りましたら、できるだけ早くお手元に申請いただいて届くように万全を期してまいりたいと考えております。
  120. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 現在、父母等の平均年齢は九十四歳、対象者も百二十名程度というふうなことを聞いております。受給者が高齢であるということを考えると、従来のように、その都度書類を整えて請求をして、そこから国債を交付して、それで毎年償還していくというその方法ではもう余りにもちょっと煩雑過ぎるのではないか。特に、今回対象から外れるケースが限られているということもありますので、是非、運用上より負担の少ない方法を検討する必要があるというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
  121. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 御指摘のとおりだと思いますので、都道府県など関係機関の協力を得つつ、例えばあらかじめ前回の請求書に記載事項を印字してお渡しすることができないかとか、工夫を考えさせていただきたいと思います。
  122. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 よろしくお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  123. 山本博司

    ○山本博司君 公明党の山本博司でございます。  議題となっております法案について、舛添大臣並びに関係の参考人にお伺いをしたいと思います。  まず、戦没者父母等に対する特別給付金支給法改正案についてお聞きをいたします。  この法律案は、子孫が絶えたという孤独感に耐えてこられた特別な精神的痛苦に慰藉するためとの趣旨から見れば大変意義あることと思いますので、賛成の立場から質問をしたいと思います。  この法律昭和四十二年に成立したとのことで、戦後二十年が経過したころですが、この法律が提出された経緯についてまず確認をしたいと思います。
  124. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  戦没者遺族や戦傷病者の方々に対する施策というのは、今委員から御指摘ございましたように戦後行われてきたわけでございますが、特にこの法律は、戦没者父母等で最後に残されたお子さんも亡くされたということで、言わば子孫が絶えたという寂寥感や孤独に耐えなければならないという特別な精神的痛苦があること、国としてこのような特別の精神的痛苦を慰藉する必要があると考え、昭和四十二年に戦没者父母等に対し特別給付金ということで国家として公債で給付をし、一定期間その国家としての精神的慰藉の意を表すために創設されたものでございます。
  125. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございました。  法律ができてからおよそ四十年が経過をして、受給者の方たちの平均年齢は今、先ほどもございましたけれども、九十四歳を超えており、御高齢になっておられます。わざわざ出向いて届出をするというのは大変困難なことと思われます。特別給付金国債の償還金を受給する際には様々な配慮が必要と考えますが、具体的にどのような配慮がなされて支給されているのでしょうか、教えていただきたいと思います。
  126. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  特別給付金の国債受取に際しましては、原則として受給者御本人窓口に出向いていただくことが必要になっておりますが、御本人が御高齢等の理由により窓口に出向けない場合、代理人で委任状等を提示することによって御本人でなくても手続等を行うことが可能になっております。また、五年間の国債で、毎年支払期日が到来した場合の国債の償還金を受け取るということになるわけですが、御本人郵便局等に出向いてお受け取りになる以外に、国債を郵便局にお預けいただいて御本人の口座に自動振り込みすることも可能になっております。  いずれにいたしましても、様々な面で、また今度法律を変えていただきますと、申請していただくということはあるわけでございますが、高齢となっております受給者の方々に対するそういう手続面の負担を軽減できるように十分配慮してまいりたいと考えております。
  127. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。これからも十分な配慮をお願いを申し上げたいと思います。  この国債の額面は百万円で、毎年二十万円が支給されることとなっております。平成十年の改正時から額面は据え置かれておりますけれども、これはどういう理由からでしょうか。今回も増額しない理由を伺いたいと思います。
  128. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 額面につきましては、平成十五年のときと同様、委員御指摘のとおり同額の百万円とさせていただいております。これは、前回改正の平成十五年支給以後の経済指標なども勘案させていただきました。消費者物価、十五年度から十九年度まで一・〇倍、一人当たりの国民所得も十五年度から十九年度で一・〇四倍というような状況でございます。その他、公的年金、援護年金などについても同様な状況でございますので、据え置くことで御提案させていただいております。
  129. 山本博司

    ○山本博司君 平成十五年の改正時の対象件数が約三百五十件でございまして、そして今回が百二十件でございます。今回の改正でも、平成二十四年に国債の償還が終了しますが、今後の対応をどのように考えているのでしょうか。精神的痛苦を慰藉するためならば、五年ごと法律を改正するのではなく、制度化して現在支給している人に永続的に支給するということも一つの考え方ではなかったかと思います。  いずれにしても、受給者の皆様に安心感を与えるために大臣から御見解を伺いたいと思います。
  130. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この制度の趣旨は、先ほど局長が答えましたように、本当にお気の毒で、ある意味で子孫が絶えたと、こういうような方々に対する措置でありますし、今おっしゃったように九十四歳平均年齢、百二十名ということでありますので、この大事な役割を果たしている制度でありますこの特別給付金、またこの次の時期が来ればまたきちんと対応したいというふうに思いますし、それから一日も早く皆さん方にこれをお届けすると、そういうために関係省庁と協力して努力をしてまいりたいと思います。
  131. 山本博司

    ○山本博司君 大臣、ありがとうございました。受給者の皆様、本当に喜んでいただけるようによろしくお願い申し上げたいと思います。  さらに、援護関係の法律について一つお伺いをしたいと思います。  中国残留邦人の方たちへの日本人としての尊厳と老後の安定を図るために、新たな支援策を盛り込んだ改正中国残留邦人支援法が昨年十二月、一部施行されました。基礎年金の満額支給と生活保護に代わる生活支援給付金の創設が主な柱であり、昨年の補正予算で大きな一歩が踏み出されましたが、引き続き平成二十年度予算ではどのように措置されているのか、御説明をいただきたいと思います。
  132. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 昨年の臨時国会議員立法により改正していただいた法律に基づきまして、御指摘いただきましたように昨年度の補正予算で老齢基礎年金の満額支給のための保険料追納等に必要な二百五十四億円をお認めいただいております。また、平成二十年度予算におきましては、新たな支援給付の実施のために九十一億円、また地域社会において中国残留邦人の方々が生活していくための支援の実施のために五・六億円、啓発広報の実施五千三百万円など、九十九億円の予算を新たな支援策関連として計上しているところでございます。
  133. 山本博司

    ○山本博司君 御苦労されている皆様に支援が着実に届くような、そういう配慮をお願いをしたいと思います。  次に、駐留軍関係離職者等臨時措置法の改正案についてお聞きをしたいと思います。  厚生労働省所管の各種給付金の支給状況を見ますと、就職促進手当以外の給付金は就業支度金を平成十五年と十八年に一人に支給しただけで、ほとんど支給をされておりません。余り有効活用されていないように思われますけれども、これはどういう理由からでしょうか。職業転換給付金の支給状況について説明をしていただきたいと思います。
  134. 太田俊明

    政府参考人太田俊明君) 過去五年間の職業転換給付金の支給実績についてまずお答え申し上げますけれども、駐留軍関係離職者につきましては、平成十四年度が一億二千三百七十九万円、十五年度が一億四十二万円、平成十六年度は一億三千四百二十二万円、十七年度は一億二千百五十一万円、十八年度が八千八百六十三万円でございます。このうち、御指摘ございました就職促進手当以外の支給実績が、平成十五年度が三十万円、平成十八年度が四十四万円となっております。  それから、漁業関係でございますけれども、これは厚生労働省所管分と国土交通省所管分を合わせた支給実績でございますけれども、十四年度が九千六百五十一万円、十五年度が三千四百二十二万円、十六年度は百八十四万円でございまして、十七年度以降は実績はございません。このうち、就職促進手当以外の支給実績はこの間は出ていないという状況でございます。  今お話のございました職業転換給付金のうち就職促進手当以外は、これは主に離職者の就職活動に係る費用を支援するものでございまして、具体的には、例えば求職者の求職活動に係る交通費や宿泊費を補助するような広域求職活動費、移転等のための移転に要する費用を補助する移転費などがあるわけでございます。  ですから、実際のところは、地元で就職活動するあるいは就職するという方が多いという状況の下で、他地域への広域求職活動費、これ旅費等でございます、それから移転費等引っ越し代がなかったということがございますけれども、今後とも離職者の活動状況とか必要に応じて、これらの手当も有効に活用して効果的な支援を実施してまいりたいと考えているところでございます。
  135. 山本博司

    ○山本博司君 今後、在日米軍、先ほどの話もございましたけれども、再編計画の進展によっては大量の離職者発生することも予想されますので、この給付金の制度の活用を是非ともお願いをしたいと思います。  さて、この在日米軍再編計画では沖縄に所在する部隊を中心に再編の予定ですけれども、今後沖縄での大量の離職者発生した場合、雇用情勢を考えると円滑な転職が進まないことが予想をされます。今後の対策を考える上からも、まず沖縄の現在の雇用情勢とこれまでの離職者対策について、まず説明をしていただきたいと思います。
  136. 太田俊明

    政府参考人太田俊明君) まず、沖縄県における雇用失業情勢でございますけれども、平成十九年におきまして全国が平均で三・九%に対しまして、沖縄は七・四%ということでかなり高い割合でございます。それから有効求人倍率は、全国が一・〇四倍、十九年、ございましたけれども、沖縄は〇・四二倍ということで極めて厳しいという状況でございます。  こうした沖縄県の厳しい雇用失業情勢を改善するために、厚生労働省としましては、地域雇用開発促進法に基づく雇用開発促進地域と指定いたしまして沖縄には各種の重点的な支援を実施しているところでございます。  お話ございましたとおり、沖縄の厳しい雇用失業情勢の中で、多数の離職者発生した場合にはその再就職は困難なものとなると考えられますが、こうした地域の雇用開発に係る支援の積極的な推進によって沖縄県の雇用失業情勢の改善に努めていきたいと考えておりますし、また具体的に臨時措置法に基づく支援につきましては、例えば多数の離職者発生した場合には、沖縄県の中で特別の求人開拓を実施するとか、あるいは当然ハローワーク、全国の情報もございますので、全国的な情報も的確にニーズに応じて提供していきたいと考えておりますし、また各種手当支給しながらきめ細かい職業相談、職業紹介を実施してまいりたいと考えておりますし、またニーズを踏まえて職業訓練も実施するなど、各種支援を的確に実施して再就職の支援を図ってまいりたいと考えているところでございます。
  137. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 先ほど島尻委員にも私はお答えしたかな、ちょっと時間の都合でできなかったので、山本委員、同じ御趣旨でございます。  細かい点は今局長が述べましたけど、これはやはり沖縄全体の雇用情勢をいかに改善するか、これは政府が全力を上げて取り組まないといけないまず課題であると思います。  そして、厚生労働省においては、例えば沖縄の若者に対する奨励金、こういう形できめの細かい政策をやっていく。安全保障の面において大変沖縄日本国全体がお世話になっているわけですから、私は政府全体として、国民全体としてひとときもそのことを忘れてはならない。そういう意味で、政府全体でこれはきちんと対応してまいりたいというふうに思います。
  138. 山本博司

    ○山本博司君 大臣、ありがとうございました。是非ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。  さらに、再編計画では沖縄だけではなくて厚木飛行場から岩国飛行場への空母艦載機の移駐が示されております。岩国基地施設整備が行われていきましたら基地労働者の需要が増大すると思われますけれども、地元との連絡調整についてどのような対応を行っているのでしょうか、お聞きをしたいと思います。
  139. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 御指摘のとおり、空母艦載機の岩国飛行場への移駐等につきましては、抑止力の維持と日本全体における地元負担軽減の観点から是非とも実現しなければならないものと認識しておりまして、これまで累次にわたりまして様々なレベルで地元の岩国市、岩国市議会議員協議会等々、あるいは住民説明会等々でその趣旨を御説明をさせていただいておるところでございますが、駐留軍等労働者につきましては、現時点で具体的にどのような職務が必要となり、その要員をどのように確保するかということが決まっておりませんので、具体的な内容につきましては関係自治体等について御説明はできておりませんで、一部の自治会等の説明会におきまして、一般論としまして、空母艦載機の岩国飛行場への移駐等によりまして駐留軍等労働者の増加が見込まれる旨の御説明をさせていただいているところでございますが、今後、その進展に伴いまして周辺地元自治体等に対しても丁寧に説明をしてまいりたいと考えております。
  140. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。岩国市も新しく体制になりましたので、しっかりとしたやっぱり調整をお願いを申し上げたいと思います。  次に、国際協定締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の改正案についてお聞きをしたいと思います。  まず、十四種類の特定漁業では、国際協定等の規制強化により減船が余儀なくされておりますけれども、これまでの減船の推移について御説明をお願い申し上げたいと思います。
  141. 山下潤

    政府参考人(山下潤君) お答え申し上げます。  国際協定締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の特定漁業に係る減船につきましては、各国が二百海里体制へ移行したことに伴い、昭和五十二年より実施してきたところでございまして、昭和六十三年までに減船隻数は千九百六十二隻、これに伴う離職者は二万百五人発生したところでございます。  その後は、二百海里問題に加えまして、資源問題から漁業に関する国際規制が著しく強化されまして、その影響を強く受ける漁業について、当該漁業の計画的かつ円滑な再編整備を推進するとともに、減船に伴う社会的、経済的影響を緩和するため、平成元年に当該漁業者並びに関連事業者及び従業者に対し総合的な対策を講ずる「国際漁業再編対策について」が閣議了解されたところでございます。  この閣議了解に基づきまして、本法律の特定漁業に係る減船が北洋サケ・マス漁業、遠洋マグロはえ縄漁業などで行われ、その結果、平成元年から平成十三年までの減船隻数は九百二十八隻となっておりまして、これに伴う離職者は一万二千四百九十人発生しているところでございます。なお、平成十四年以降につきましては減船の実施はございません。
  142. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。こうした状況とともに、我が国の水産物の消費が減少する中で、沖合・遠洋漁業は今後も大変厳しい状況に置かれていることと思います。  そこで、これまで特定漁業に従事していた人が、離職をして漁業以外の職業への転職を希望した場合の具体的に地域のハローワークではどのような支援を行うのでしょうか。お答えいただきたいと思います。
  143. 太田俊明

    政府参考人太田俊明君) 今お尋ねありましたように、漁業離職者のうち陸上の仕事への就職を希望する者につきましては、これはハローワークでこの離職者の求職手帳を発給いたしまして、職業転換給付金、各種の手当を支給しながら就職に向けた支援を行うこととしているところでございます。  具体的には、定期的に来所日、来ていただく日を決めてハローワークに来ていただきまして進路選択とか就職活動に関する相談を行った上で、各人の状況を踏まえて求人開拓とかあるいは職業紹介を行ったり、そういうことも行った上で、さらには必要に応じて面接の受け方とか履歴書の書き方とか、そういうことも含めて相談、指導を行ってきたところでございます。  今後、漁業離職者発生した場合には、各人それぞれの状況に的確に対応したきめ細かい職業相談、指導、さらには必要に応じて職業訓練なども行って就職の促進に努めていきたいと考えているところでございます。
  144. 山本博司

    ○山本博司君 いずれの法案も単なる期限延長ということではなくて、国の政策によって離職を余儀なくされているというそれぞれの事情を十分に考慮した上で、大臣におかれましては万全の対策を講じていただきたいとお願いを申し上げます。  最後に舛添大臣の御見解をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  145. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 駐留米軍関係の離職者漁業離職者、これはきめ細かいやっぱり再就職支援ということを厚生労働省としてもきちんとやっていきたいと思います。  それとともに、特に米軍離職者については、我々はやっぱり政治家としてこれからの日米関係をどうするのか、日本安全保障政策、外交政策をどうするのか、そういう国の根幹にかかわる問題について、独立した主権国家の政治家としてきちんと議論をする必要があるということを申し述べておきたいと思います。
  146. 山本博司

    ○山本博司君 どうもありがとうございました。  以上で質問を終わります。
  147. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  戦没者父母等に対する特別給付は、これは一九六七年に始まって、始めた当初は一万七千件、この制度については私どもは、皆さんが受けた労苦から見て当然の改正であるということで、制度創設以来賛成をしています。支給件数については、前回が二百二十三件、今回が約百二十件と減少はしているわけですが、大臣に最初に、今後とも本制度の継続と拡充、この制度のやはりしっかり拡充し継続していくということについて御見解を伺います。
  148. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、制度の意義については先ほど来るる説明をいたしているところでありますので、この特別給付金というのは今後とも、また今度の償還時期が来ましたらきちんと検討して必要な措置はとるべきであると、そういうふうに思っております。
  149. 小池晃

    ○小池晃君 これは、前回、五年前の受給者の最低年齢で七十六歳ですから、今回一番若い方で八十歳を超える、平均年齢は九十四歳ということであります。受給対象もわずかこれ百二十件ということで、前回受給された方には通知をするというふうに聞いてはいるんですけれども、それはもちろんなんですが、やはり受給対象となる可能性のある人にはこれはすべて通知する努力を払うべきじゃないかと思うんですが、どうでしょう。
  150. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  この特別給付金、漏れがないようにということでございます。委員から御指摘ございましたように、政府広報、それから都道府県、市町村の広報を行うとともに、個別の通知もしております。今後は、個別案内後も電話連絡等のフォローの実施も検討してまいりたいと思います。  可能性のある方皆さんに御通知をということでございます。恩給や援護の遺族年金などをもらっている方が五千人程度いらっしゃいます。そういった方々に対しましては可能性がございますので、恩給受給者の方に全員に配っております恩給のしおり、援護年金受給者に配っておりますしおりに活用して、恩給・援護年金受給者全員に特別給付金の制度が周知されるようにしてまいりたいと考えております。
  151. 小池晃

    ○小池晃君 これは是非やっていただきたいというふうに思うんですね。  それで、この戦没者の父母だけじゃなくて遺族や妻に対する給付金もあるわけですけれども、非常にその未支給、未払が多いということが以前報道もされて、そのまま時効になっているケースが多いんだということが問題になっています。  私、実際にお話聞いて、ああこれはやっぱり知られていないんだなというのを痛感した事例がありまして、これは遺族にかかわる特別弔慰金にかかわってなんですが、平和遺族会という団体があって、そこがこの問題で厚生労働省に要請に行かれたと。その方は、自分が対象者だと全く知らないでたまたま同席をしていたと。この方は実は、日本母親大会という、毎年一回開いている二万人近く参加する大きな集会があるんですが、その実行委員長をずっと務めてこられた方なんですね。そういう、何というか、社会運動に携わって、いろんなことを本来知っているような方なんですね。その方が、実際にその交渉に参加している中で、今年三月なんですけど、実は自分のお父様が、木村康子さんとおっしゃるんですが、この方が幼いころに実母と離婚して、再婚後戦死されて、現在はその戦死されたお父さんの遺族はその木村康子さん一人だ。話聞いたら、あっ、これ自分が対象なんだということを初めて知ったというわけですよ。  やっぱりこういう本当に重要な立場で運動に参加されてきたような方でさえ知らない制度なんだなというのを私は改めて痛感をしまして、やっぱりこれは本当にもっともっと周知しなきゃいけないんじゃないだろうか。  この木村さんは今何とおっしゃっているかというと、この給付金というのはまさに父の命を懸けたあかしなんだと、自分が父の子供であったというあかしでもあるんだと、金額の多寡は超えて、やはりこれは本当に大事にしたいんだというふうにおっしゃっていて、手続するというふうに、遺族はこういう気持ちでこのお金を受け取っていらっしゃると思うんですね。  同時に、この申請期間が三年だということがあって、それが過ぎちゃうと五年後、十年後、待たなきゃいけないという問題もあるわけです。やはり高齢の皆さんが多い制度でありますし、やっぱり私は、これ本当にこういう制度があるんだということをもっともっと徹底して知らせていく必要があるし、この時効の扱いなどについてももっともっと柔軟に、本当にすべての人が受給できるように、支給漏れがないようにしていく努力が一層求められていると思うんですが、大臣、この制度の今後の周知徹底、運用の改善についてお考えを聞かせてください。
  152. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今委員のお話を聞いていまして、そういうケースがあるということは、これは本当に周知徹底の努力はまだ足りないというふうに反省しなければならないと思います。政府広報、都道府県、市町村にもお願いして広報紙に載せる、新聞なんかも活用する、それから前回特別給付金を受け取った方々に、今度は個別に更に、申請方法こうですよと、もうだんだんお年召されていきますから、繰り返し行うと、こういう努力は今までも続けてきておりますけれども、今後更にいろんな手段を考えて制度の徹底を図る。  そして、なかなかこの三年の時効制度を今法的に変えるのは非常に難しいですから、むしろ請求漏れを防ぐように更なる広報活動と、これに全力を挙げてまいりたいと思います。
  153. 小池晃

    ○小池晃君 是非これは全力を挙げてやっていただきたいというふうに思います。  駐留軍関係離職者等臨時措置法等については、これは、駐留軍については今後も在日米軍再編に伴う基地縮小移転が考えられ、離職者発生します。私ども日本共産党は、これは日米安保条約反対ですし、思いやり予算ももちろん反対という立場ですが、離職者の再就職対策としての制度延長は必要だというふうに思います。それから、漁業についても、今後の漁業を取り巻く環境を考えると離職者発生予想されるわけで、引き続き対策を取る必要があり、延長に賛成であります。  その上で、今日は最後にちょっと一つ取り上げたいのが、シベリア抑留者の問題なんですね。  今日、私これ持ってまいりました。これは、シベリア抑留死亡者名簿ということで、村山常雄さんという方が昨年出版をされた本なんです。昨日お聞きしたら、厚生労働省でもこれ持っていると聞きました。これ実に千ページを超える、「シベリアに逝きし人々を刻す ソ連抑留中死亡者名簿」。これ、シベリアなど旧ソ連とその支配地域に抑留され苦役を強いられた人は六十万人と言われていて、六万人以上が亡くなったと。これはスターリンによる国際法を無視した強制抑留でありますし、これはもう国家的犯罪、旧ソ連による国家的犯罪だということを我々はかねてから糾弾してまいりました。  この本には、この犠牲者の中で四万六千三百人の方の名前が、これは個人で仕事をされてこういう名簿を作られたんですね。この中にもどういう苦労をされたか書かれているんですけれども、一念発起、一九九六年二月、七十歳の誕生日を期して、パソコンを求めて、過去十年間に報道されたシベリア抑留及び抑留中死亡者に関するあらゆる情報を全国紙のデータベースとかなどに接続して取り組む作業から始めたんだと。一人でも多くの名前を掘り起こそうということで、公式な名簿だけじゃなくて、あらゆる手だてで名簿を入手をする。それから、抑留者がひそかに持ち帰った名簿とか、あるいはロシアの地方機関などからも入手した名簿で整理していった。  これ大変だったそうなんですね。要するに、抑留された方をソ連側が名前を聞き取ると。ロシア語で書き取るわけですよ。そのロシア語で書き取ったロシア語の名前を片仮名に戻すと。そういう形でやってきたものだから、ほとんど読み取れないわけですね。  例えば、こんなふうになっているというのが出ているんですが、ヴォダ・エシモという名前で書いてあると、これいろいろ調べていったら和田義美さんという名前だったというふうに、あるいはトーイヨタキ・ホンデゼロという、とても日本人の名前とは思えないんですが、これは富高平十郎さんという方だったと。そういう一つ一つロシア語で間違えやすいことを変換していって、片仮名にたどり着いて、いろんな資料から漢字まで、そういう作業したのが今日お配りした、一ページちょっとコピーしておりますけれども、左側がその村山常雄さんが作った名簿なんです。それから右側が、今私が言ったようにそのままロシア側、ソ連側が提供した名簿を片仮名で記載している、今厚生労働省が発表している、ホームページ上で出している名簿なんですね。これ、比べていただくだけで、最初の一ページだけなんですけれども、いかにちょっとロシア、ソ連側の提供した名簿というのが不十分であるかというのが分かると思うんです。  こういう本当に気の遠くなるような努力をしながら四万六千三百人分名簿を整理していく。この村山さんはこんな、とてもちょっと本人の名前とは思えないようなもので放置されていたら忍びないと、だからやっぱり自分が努力してつくろうということで一念発起して個人でやられたというんですね。個人でこういうことをやられたというのは本当に私頭下がる思いがするし、本来こういう仕事というのは私は国がやるべきことだったのではないんだろうかなというふうに思うんですよ。  大臣、事前にこれもう見ていただくようにお話もしてありますけれども、この村山さんの仕事に対してどういう御感想をお持ちか。やっぱり今からでも遅くないからこういう仕事を支援するようなことが私はできないものだろうかというふうに思うんですが、大臣の率直な御感想をお聞かせ願いたいと思います。
  154. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) その本も見させていただいて、もうこれ本当に大変な努力で大変な敬意を表したいというふうに思います。私もロシア語やりますから、本当に書いたときに、例えば横浜なんてヨコガマになっちゃうんですね、日本語読みすると。だから、大変な御苦労だと思います。いろんな意味で、日本側の持っている数字とロシア側の数字が、数ですね、抑留者の、違いますので、今、日ロ間で様々な協議をする、こちら側もこっちの持っているのをロシア語に翻訳して向こうに提示する、そういうふうなことで、厚生労働省としてもこのシベリア抑留者問題にきちんと対応してまいりたいと思いますけれども、まずはこれだけのことを本当に個人でおやりになった、大変な敬意を表したいと思います。  私も、抑留者の方が書かれた絵がありますね、いかにひどかったか、これを見て本当にすさまじい状況だったんだなということを思っていますので、厚生労働省の一つの政策としてきちんとこれは局長以下に指示してやってまいりたいと思います。
  155. 小池晃

    ○小池晃君 是非やっぱりこういう仕事を本当に国として、私は国がやるべき仕事ではないかと思うんですが、支援をしていただきたいというふうに思いますし、このシベリア抑留者の方々については、フィリピンなど南方で捕虜になった方々というのは、これは連合軍の捕虜になった方についてはこれは労働証明書が出されましたので日本政府が賃金を支払うという処理をしている。ところが、シベリア抑留者については旧ソ連政府が労働証明書を発行していませんからいまだに未払賃金が支払われていないという問題が残っているわけです。国際法違反の強制抑留に加えて二重の犯罪だと思うんですね。  日本政府も、ソ連への請求権がこれ相互放棄したという立場なんですが、これは日本軍によって徴兵、徴用されて行ったわけですから、私はこれは日本政府の責任で支払が行われるべきだと私どもはかねてから主張してまいりました。本当一刻も早い最終的な全面解決が必要だと。慰労ということで、一昨年旅行券という措置が、法律が通って一昨年行われましたが、私はやっぱりきちっと抑留期間に応じた特別給付金が支払われる、それからこういう全面的な実態調査、個人任せでやるんじゃなくて本当に本格的に、どういう実態だったのか、資料をしっかり保存するという努力をしていく。そして、スターリンの抑留命令が出された八月二十三日には、毎年千鳥ケ淵の戦没者墓苑で追悼集会が行われて、私も谷先生なども毎年出席をしているんですが、政府代表来られていないんですね。こういうところにはやっぱりきちっと政府代表が参加をする、これ、所管でない問題も含まれているのは承知の上ですが、政治家として、大臣、こういう問題に、やはり日本の最終的に戦後処理の私は本当に大事な問題だと思うんですよ。国としての責任をしっかり果たしていくということが求められると思いますが、政治家として大臣の率直な思いを聞かせていただきたい。
  156. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 戦争が終わって六十三年、この問題を含めて様々な戦後処理問題があると思います。これまで内閣を中心に、戦後処理の懇談会がたしか昭和五十年代開かれたり、その後、平和基金をつくったり、いろんな手当てはしていると思いますけれども、残された問題はまだまだ多いと思いますので、私たちが今豊かな生活をこういうふうにして享受できているのは、それだけ戦争中に私たちのはらからが御苦労なさった上でのことだと思いますので、これは全力を挙げて、いろんな、今の委員の御提案も踏まえた上で検討し、政治家としてはやはりきちっとこういう問題を処理するということが必要だと考えております。
  157. 小池晃

    ○小池晃君 歴史に対するこれは責任だと思いますので、必ず前向きに取り組んでいただきたいと思います。  終わります。
  158. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  駐留軍関係離職者等臨時措置法改正案に関してお聞きをいたします。  読売新聞の記事に、基地の外に警備員がけん銃を携行させたと、沖縄で、という記事が出ておりますけれども、これは問題ではないでしょうか。
  159. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) お尋ねの事実関係につきましては、平成二十年二月二十九日、米側から日本人警備員が同月十一日及び十二日に銃を携帯して米軍施設及び区域間を移動したとの説明を受けております。  防衛省としましては、沖縄防衛局から米軍施設及び区域の警備を行うために一部の施設及び区域の間を移動する際に武器を携行させるとの指示を同月十一日付けで発出する予定である旨の通知を受けましたので、同事務所に対して当該指示を発出しないよう申し入れ、また、同月十二日に沖縄防衛局は在日米海兵隊外交政策部に対しまして当該指示の撤回について口頭により申し入れるとともに、同月十三日、改めて申入れを文書により行ったところでございます。  それに対しまして、同月二十七日、沖縄防衛局から外交政策部につきまして同日付けの新聞報道等に係る事実関係について文書により照会をし、同月二十八日、防衛省から在日米軍司令部に対しまして事実関係の確認及び当該指示の撤回について文書により要請をし、沖縄防衛局から外交政策部に対しても、当該指示の撤回について文書により改めて申入れをしておるところでございます。
  160. 福島みずほ

    福島みずほ君 日米合同委員会は、日本人米軍施設外に銃を携行することは銃刀法違反であるというふうに禁じているのではないですか。
  161. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 防衛省から御説明するのは適切であるかどうかでございますけれども、日米地位協定の下におきまして、施設・区域外におきまして銃砲等を携帯し警備に当たるようなことは日米地位協定の下で当然のこととして認められることではなく、また、米軍日本人警備員が銃砲等を施設及び区域外で携帯することを厳に禁じているというふうに承知をしております。
  162. 福島みずほ

    福島みずほ君 日米合同委員会及び日米地位協定上、ごめんなさい、言い直します、条約上も基地の外において携行することはできないわけですから、基地の外にけん銃を警備してやったことは銃刀法違反であるというふうに思います。  問題なのは、そういうきちっとした認識がアメリカ側にないことで、雇用募集におきまして、小型武器使用訓練を要求されることもある、職務中に小型武器の携帯を要求されることもあると必要資格条件に書いてあることです。これは明確に銃刀法違反であり、このようなこと自身も問題ではないかと思いますが、いかがですか。
  163. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 米軍日本人警備員に対しまして、銃砲等を携帯の上、施設及び区域内におきまして警護に当たらせることは日米地位協定上認められるところであり、そのように承知をしております。
  164. 福島みずほ

    福島みずほ君 しかし、この雇用募集にはそのような限定は一切ありません。
  165. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 米軍は、日本人警備員における武器の取扱いにつきましては、日本人警備員が銃砲等を施設及び区域外で携帯することを厳に禁じているというふうに承知をしております。
  166. 福島みずほ

    福島みずほ君 話はかみ合わないんですが、募集要項には、基地の中、外という区別はありません。私は、基地の中においても、この地位協定の三条の一項は、施設及び区域内において必要なすべての措置をとることができると書いてあるだけであって、基地の中においてもけん銃を警備員に、警察官じゃないんですから、持たせることは問題だというふうに考えています。  しかし、今回の問題はそれ以上に、募集の要項に、基地の中、外関係なく、けん銃を所持すると、あるいは使用に関しての、募集要項にそれが書いてあることそのものが、限定付きではなく、極めて問題ではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  167. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 米側は、繰り返しになって恐縮でございますけれども、日本人警備員が銃砲等を施設及び区域外で携帯することを厳に禁じているというふうに承知をしておりますし、そのことはるる御説明をしておるところでございます。  施設及び区域内において警護に当たらせることは日米地位協定上認められるところと承知しておりまして、募集要項の記載におきましても、必ずしもそのような記述がないからといって、施設及び区域内において警護に当たらせることを前提にしたものというふうに理解をしております。
  168. 福島みずほ

    福島みずほ君 募集要項でも限定をすべきじゃないですか。警察官でもないにもかかわらず、少なくとも日本の敷地上においてけん銃を携帯させている、するということ自身が問題なわけだと私は思いますが、せめて基地外においては駄目だということ、基地の外においては駄目だということを記載すべきではないですか。実際、沖縄では基地の外で警備員が、警察官ではないですよ、外で警備員がけん銃を携帯していることが起きているわけです。
  169. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 日本人の警備員が、繰り返しになって恐縮でございますが、施設・区域外で銃砲等を携帯することは米軍が厳に禁じているというふうに承知をしております。  政府としましては、日本人警備員に銃砲等を携帯の上、施設及び区域内において警護に当たらせることは日米地位協定上認められるところと承知をしておりまして、このような警護に当たらせないよう米側に求める考えはございません。  なお、米軍は、日本人警備員による武器の取扱いにつきましては、適正なる規律と訓練を与えることを条件としているというふうに承知をしております。
  170. 福島みずほ

    福島みずほ君 議論がかみ合いません。  基地の外において実際携行しているわけですよね。募集要項にも限定がない。このことについては猛省を促すとともに、日米合同委員会できちっとテーマにしてほしい。いかがですか。
  171. 伊藤盛夫

    政府参考人伊藤盛夫君) 現に、二十年二月二十七日に沖縄防衛局から外交政策部に対しまして、今回の新聞報道に関連しまして、その撤回等につきまして申入れをしておるところでございます。  米軍は、繰り返しになって恐縮でございますが、日本人警備員が銃砲等を施設及び区域外で携帯することを厳に禁じていると承知をしておりまして、そのように禁じているということをその都度確認をしたいというふうに思います。
  172. 福島みずほ

    福島みずほ君 結局、米軍日本人に銃刀法違反をさせたわけですよね。  それから、日米地位協定三条は必要なすべての措置をとることができるとはなっているけれども、警備員が中でけん銃を持つということをそのまま認める規定ではあり得ない。日本国憲法と日本法律も、やはり勾留されるべきだということを社民党としては主張をしたいというふうに思います。  次に、東京大空襲についてお聞きをいたします。  シベリア抑留者の問題も先ほどありましたが、国会の中で質問し、これも極めて重要な問題です。東京大空襲民間被害の実態調査ですが、国は、アメリカ軍による東京への昭和二十年三月十日の空襲及び四月、五月の空襲の民間被害の実情について調査をしたのでしょうか。
  173. 田中順一

    政府参考人田中順一君) お尋ねの昭和二十年三月十日のいわゆる東京大空襲及び四月、五月の空襲による被害状況につきましては、総務省の直接の調査ではございませんが、社団法人日本戦災遺族会が行った調査で承知をいたしております。  当該社団法人におきましては、昭和五十二年以降、一般戦災死没者の慰霊事業の一環といたしまして全国戦災史実調査というのを実施をいたしてきております。この調査によりますと、例えば東京都区部内における空襲における死亡者数であるとか、そういうふうな調査結果を出しておりまして、その限りで私ども承知をいたしております。
  174. 福島みずほ

    福島みずほ君 この担当は総務省ということでよろしいんですか。
  175. 田中順一

    政府参考人田中順一君) 私ども総務省では、一般戦災死没者に対して追悼の意を表す事務、これを所掌いたしております。  今申しました遺族会におきます調査は、私どもと申しますか、当時、最初調査が開始されたころは総理府の所管であったわけでございますけれども、総理府からの委託調査ということで実施しているものでございまして、この調査が、戦災に関する資料を収集、整理して記録にとどめる、これを後世に伝えることによって戦災死没者の追悼に資するということを目的とした調査ということでお願いをしているものでございます。
  176. 福島みずほ

    福島みずほ君 私が聞きたいことは、政府が責任を持って東京大空襲の被害をきちっと調査をしたかということです。
  177. 田中順一

    政府参考人田中順一君) 繰り返しで恐縮でございますけれども、私どもの設置法で所掌いたしております一般戦災死没者に対して追悼の意を表す事務の一環としては、私どもこの調査をさせていただいているということでございます。
  178. 福島みずほ

    福島みずほ君 総務省は実態調査をやったという認識ですか、そうしたら。
  179. 田中順一

    政府参考人田中順一君) 委託調査の格好でやらせていただいております。
  180. 福島みずほ

    福島みずほ君 では、総務省が委託調査という形で東京大空襲の実態調査をやったという理解でいいですね。
  181. 田中順一

    政府参考人田中順一君) お尋ねの趣旨を私が十分理解申し上げているかどうか分かりませんが、繰り返しですけれども、私どもの所掌事務に基づいてこの調査をして、資料を収集、整理をして記録にとどめる、これが私どもの一般戦災死没者に対して追悼の意を表すことであるという認識の下、委託調査をさせていただいたということでございます。
  182. 福島みずほ

    福島みずほ君 なぜこのことを質問しているかというと、実態調査政府自身が責任を持ってやったことはなく、委託調査なんですね。ですから、総務省に聞くと、いや、総務省は実態調査をやるんじゃなくて厚労省だ、厚労省に聞くと、いや、厚労省は実態調査はやっていない、総務省だと。実は昨日そういう事態が起きて、政府が責任を持ってきちっと実態調査をしたかと。でも、今日は、委託で、総務省が委託をしてやったという回答ですので、実態調査はやったというふうに認識してもいいわけですね。  次に、戦災孤児、私たちの周りにも遺族の人や遺児の人や障害を持った人や、たくさんいるわけですが、外国は、イギリスに対する、ナチス・ドイツの大空襲や様々な空襲の問題に関して、民間人であると何とを問わず、外国人であるとを問わず、一般の空襲に対しても、御存じ、個人に対して補償をしています。日本の軍人軍属の人たちに対して一兆円近くきちっと救済すること、これはもちろん必要です。しかし、一般人は、例えば孤児の人たち、両親も亡くなってしまった、自分も重い障害を負った、何一つ救済はないわけです。そして、委託調査はあるけれども、国自身はその調査をきちっとしておりません。これは余りに不公平ではないかというふうに思いますが、これはやっぱり不作為ではないか。大臣、この点について余りに不均衡ではないか。  というのは、戦前は、恩給法と、それから戦争中における被害に遭った者に対する救済法、戦時災害保護法がありました。戦後、この二つは廃止になったんですが、昭和二十八年、恩給法は復活をして、恩給法改正が公布になっております。しかし、戦争中に遭った空襲などによる一般市民被害への国家補償、戦時災害保護法は復活をしないまま一般人は放置されたという事態があります。この点についてはやっぱり余りに不公平ではないかと思いますが、いかがですか。
  183. 岩本司

    委員長岩本司君) 舛添大臣。  時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
  184. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今、外国の例も引かれましたけれども、基本的に、戦病者や戦没者に対する援護年金その他の制度というのは、国が使用者としてその軍隊の、軍人の方々を使ったということの関係でなっているので、我が国には民間の、例えば外国の軍隊による空爆の被害者についての特段の措置はございません。こういうものについてどうするのかと、これはやっぱり我々が、今日はたくさん戦後処理の問題が出てきましたけれども、これはきちんと議論をすべき課題であると思います。  それで、福島委員の今の一つの御提案も受け止めさせていただいて、これは厚生労働省としてというよりは、国会議員として、政治家として、こういう問題にきちんと議論を重ねていって、最終的に戦後処理をきちんとやりたいと、そういう思いであります。
  185. 福島みずほ

    福島みずほ君 終わります。
  186. 岩本司

    委員長岩本司君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより順次両案の採決に入ります。  まず、戦没者父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  187. 岩本司

    委員長岩本司君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  188. 岩本司

    委員長岩本司君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 岩本司

    委員長岩本司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後一時から再開することとし、休憩いたします。    午後零時四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  190. 岩本司

    委員長岩本司君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  191. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 森ゆうこです。どうぞよろしくお願いいたします。  年金の記録問題について質問をさせていただきます。  まず、無年金者の中で記録の訂正が行われて受給権が発生した方はいらっしゃいますか、また、その人数は何人でしょうか、お示しいただきたいと思います。
  192. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  ただいまの御質問の趣旨は、十八年六月末時点で基礎年金番号に未統合の記録が五千九十五万件あって、それ以降、今年の三月十五日時点で四百四十万件の記録が統合されている、その記録に関する御質問というふうなことだというふうに、そういう前提でお答えをさせていただきます。  この件につきましては、先日の委員会でも御説明申し上げておりますけれども、四百四十万件でございますが、内容的には、その記録統合でもって年金受給権に結び付いた方もいらっしゃれば、被保険者の方でその記録統合に結び付いた方、あるいは既に受給権が発生していてその受給権の基礎となっている記録に追加という形で統合された方、様々でございますけれども、その中身については私ども個々に区分して把握しておらないわけでございまして、今の御質問でございますけれども、受給権が発生した方が何名いるのかというのは把握していないわけでございます。  それで、どのような手順を取ることがその無年金の方であって記録統合の結果受給権が発生しました人を把握するすべとして必要かということを説明させていただきたいと思うんでございますけれども、幾つか手順がございまして、まずは統合されました未統合記録の一つ一つについてそれがどの基礎年金番号の記録に統合されたのか、それを把握する必要がございます。さらにその上ででございますけれども、そのような未統合記録が統合された基礎年金番号をお持ちの方の中から年金の受給年齢に達している方というのを抽出する必要があるわけでございます。  そのような形で、一定の数の受給年齢に達しておられる統合ということを見た持ち主の方がいられるわけですけれども、今度はその方々一人一人について、その未統合記録の統合によりましてそれまで年金の資格期間二十五年、これを満たす形になっていなかったのかどうか、そして、それが要するに統合によって満たす形になったのかどうか、一つ一つ拾い出して検証する必要があるわけでございます。  そして、その人数、件数ということでございますけれども、そのようにして手順を重ねた結果、確認された記録の数を積み上げる、そういうような手順を必要とするわけでございますけれども、誠に恐縮ではございますが、現状においては、今申し上げたような手順を組み込んだシステムになってございませんために、申し訳ございませんけれども、記録統合によって初めて年金受給権を得ることになった方を把握することは人数的には困難という状況にあるわけでございます。
  193. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 まず、そういう方がいらっしゃるかどうか。今、人数は答えられないという説明が、先日の津田委員の質問に対する答弁よりもかなり詳しくお述べになられたんですけれども、まずそういう方が今現在でいらっしゃるのかどうか、それだけお答えいただけますか。
  194. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  今も申し上げましたように、システム的に個々具体的にそのような形で受給権に結び付いた方が個々を振り返るような形で特定することができない状況にございますもので、一般論でしか申し上げられませんけれども、そのような形で受給権に結び付いた方はいらっしゃるのではないかというふうに考えております。
  195. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ちょっと混乱してしまうんですが、まず、少し無年金の定義をここでさせていただきたいと思いますが、これまで私が私ども民主党の部会でも度々同様な質問をさせていただいたときに、無年金者、それから現役加入者、そして受給権者、この三つの種類にしか分けて御説明は私はいただいていないと思いますが、今の部長のお話ですと、要するに、無年金者の中でもう既に社会保険庁の方では二種類に分けられていて、そして完全に無年金といいますか未加入だった方、その人たちにはまだ特別便は送られていないけれども、私どもが度々問題にさせていただいております、記録が回復すれば晴れて受給者となっておられるであろう、二十五年の、まあ制度の変遷の時期によってこの資格の必要な年数は変わりますけれども、二十五年の受給の資格要件を満たす方、こういう可能性のある方には既にねんきん特別便は発送されているということでよろしいんですか。
  196. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  ねんきん特別便の発送の対象者という角度からお答えをさせていただきたいと思うんでございますけれども、七月五日の政府・与党の方針にもございますように、一億人の基礎年金番号、それからその下に管理されている記録と五千万件の未統合の記録をコンピューター上で突き合わせをいたしまして、そこで結び付く記録という形で浮かび上がってきた記録、これを持ち主と思われる方に御送付するということでございます。つまり、基礎年金番号をお持ちの方についてはお送りをすると。そういう形で浮かび上がってきたものはお送りするし、それからそういう形で浮かび上がってこなかった方についても、今後、九千五百万人ということになるわけでございますけれども、送付する予定になってございます。  そういうことで、無年金者、取りあえずここでは、受給年齢に達しながらも二十五年という、一般論でございますけれども、一般形で申し上げますけれども、二十五年という受給資格要件に満たないということで受給に至らない、そういう状態にある方というふうに定義させていただきますと、そういう状態であっても基礎年金番号をお持ちの方については特別便のこれは送付対象になるということでございます。  ひっくり返して申し上げますと、特別便の対象にならない、しかしそういう無年金の状態にある方というのはどういう方かというと、平成九年一月の基礎年金番号付番のときにその対象にならなかった、そしてその後も公的年金に加入なさらずに今日に至っているということで、基礎年金番号を付番する対象として機会がなかった、そういうことで推移した方ということになろうかと思います。
  197. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それでは、その二十五年に満たないために今無年金であったかつての加入者ですね、かつては現役加入者であったもう裁定が終わった方、その方にはもうこの三月までに既にねんきん特別便の発送は終わったんですね。
  198. 石井博史

    政府参考人石井博史君) 基礎年金番号をお持ちの、しかし先ほど申し上げた形での定義に該当する方、そのような方が具体的に記録が結び付く形でその方にということで把握され、具体的に特別便が送られているかどうかということについては、これは確認することが現時点ではできませんので、正確に申し上げれば何とも申し上げられませんけれども、一般論的に申し上げれば、年金受給世代の方に対する送付件数というのは三百万というような数字でもございますので、その中には該当する方がいらっしゃったのではないかというふうに考えるわけでございます。
  199. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 昨日は、事務方、説明に来ていただいた方から後でお電話をいただいて、そういう方にも既にねんきん特別便は送りましたという御報告をいただいたんですね。だから、我々が度々問題にして質問していたにもかかわらず、まずその定義をきちんと今のような形でなされておりませんでしたし、ちょっとにわかに理解がし難いんですが。  それにしても、じゃその方たちの中で受給権が発生した人がいるかいないか、これも明言ができないということなんですか、今の時点では、相変わらず。
  200. 石井博史

    政府参考人石井博史君) 受給権が発生したということを厳密に申し上げますと、これは裁定という行為がなされて初めて要するに受給権発生と、こういうことになるわけでございますけれども、そういう意味からいたしますと、先般来この委員会でも申し上げておりますように、例えば、特別便の送付を契機として記録の確認をいただいて、記録が新たに浮かび上がって統合されたという場合も、まだ統合段階でございまして、その裁定のステップにはまだ時間的に進んでいないという状況にはあるんだろうと思います。  そういうことで、厳密な意味でその裁定がなされているということについては、これは現時点では例としてはないのではないかというふうに思いますけれども、記録の統合ということで、それが正確なものとして扱われていれば、今後受給権に結び付くという方はいらっしゃるんだろうというふうに思います。
  201. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それでは、第三者委員会にお聞きしたいんですが、まず、最新のあっせんデータですね、あっせん件数。そしてその中に、今ほど私の方で質問させていただきましたそういう方が、私は既にいらっしゃると思うんですけれども、そういう方がいらっしゃるかどうか、そしてその人数を教えていただきたいと思います。
  202. 関有一

    政府参考人(関有一君) お答え申し上げます。  現在までに年金記録の訂正が必要であるとのあっせんを行ったものが二千五百三十四件ございます。そして、先ほど来のお話に係る件数ということでございますけれども、年金記録確認第三者委員会では、年金記録に疑義のあるとの申立てがあった期間に係る記録の訂正について、収集した様々な関連資料や周辺事情を検討して、公正な判断を示しているということでございます。  申立てがあった期間について年金保険料の納付状況の把握、これに努めているわけでございまして、お尋ねのような観点でデータを整理してきておりません。
  203. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 いるかいないかぐらいは第三者委員会はお答えできるんじゃないんですか。  この件に関して私は第三者委員会の方に、そもそもこの申立てをされる方の基本のデータ、あっせんをするためにはいろいろなその人の置かれている状況、生年月日、住所、氏名等はもちろんですけれども、これまでの年金の加入期間、そして今現在年金受給者であるのかどうなのかとか、かつて加入していてこれだけの納付月数があるけれども受給が発生していないんだとか、そういうことは基礎的なデータとして、そのあっせんに掛かるときに基本のデータ、フォーマットがあって当然そこに必要な内容は書かれて、それで皆さんはあっせんされるのが普通だろうと思うんですけれども、そういうフォーマットありますよねというふうにお聞きしたら、ありますということで、送ってくださいとお願いして待っていたんですけれども、いまだに送られてきていないんですけれども、どうなっているんですか。
  204. 関有一

    政府参考人(関有一君) 今先生がお求めになった資料が届いていないということにつきまして、私はそういう状況にあるということは承知しておりませんでしたので、至急対応させていただきたいと思います。
  205. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 済みません。知らないというのはどういうことですか。
  206. 関有一

    政府参考人(関有一君) 私どもの担当者が先生とお話をして、そういう要請を受けたということだろうと思いますけれども、そういうフォーマットの要請があり、先生にお届けすることになっているということを聞いておりませんでしたので、先ほどのようなお答えを申し上げた次第でございます。
  207. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 聞いてないって、どういうことですか。報告が上がってないんですか。提出をしていただくようにお願いをしてございますけれども。
  208. 関有一

    政府参考人(関有一君) 個別のデータが入ったものそのものは先生のところにお届けはしていないということでございますけれども、フォーマットといいますか、どんな様式で基本的なデータ整理をしているかという資料についてはファクスで送付をさせていただいたということでございます。
  209. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 いやそれは、私がこれじゃないよということで、質問の通告のときに、そうじゃないものがあるでしょうと、あるっておっしゃったじゃないですか、後ろにいらっしゃる方は。後で送るという話だったじゃないですか。  いただいたものは、そういう今言ったような基本的なデータベース、そのフォーマットになっているものではありませんよ。その途中経過を示すようなものはいただきましたけれども、あっせんに掛かるための基本的な申立て者のいろいろな情報を記入するための基本のフォーマットを送っていただきたいというふうにお願いして、それはあるとおっしゃっていたんですけれども、それは送られてきておりません。どうなっているんですか。
  210. 関有一

    政府参考人(関有一君) 私が承知しておりますのは、先生のところに届いていると思われます様式、それに、様々な申立人から提出されました資料でありますとか、あるいは社会保険庁からいただいた資料でありますとか、あるいは事業主からいただいた資料、そういうものを付けまして個別案件の審理を委員会でやっていただいているということでございまして、このフォーマットのほかに何か様式が整ったものがあるというふうには私は理解をしておりません。
  211. 岩本司

    委員長岩本司君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  212. 岩本司

    委員長岩本司君) 速記を起こしてください。
  213. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 最初に送られてきたそのフォーマットと言われるものですよね、そこには何も書かれていないわけですよ。加入者なのか、それから今無年金なのか、それから現役の加入者なのか受給者なのか、そういう区別もない、本当にその部分だけ、申立ての部分のみの情報しか入っていない、そういうものでこれ裁定が行われているというのも私はちょっと理解できないんですけれども、まあこれを今ここで議論していてもしようがありませんので、次へ行きます。  それで、先ほどの議論がどうしても私は納得できないんです。それで、四月八日の津田弥太郎議員に対する、皆さんのお手元に配付してありますが、答弁、石井部長の答弁ですけれども、私ども、社会保険庁のオンラインシステムにおきましては、年金を受給するために必要な資格期間二十五年、これに要するに満たない方についての実はリストというものをまずは持っておりません、このように答弁をされていました。私はこれは、この答弁は正しくないのではないかと思いますが、いかがですか。
  214. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  この答弁でございますけれども、まさに私ども社会保険オンラインシステムを運用しておるわけでございますが、そういう中にありまして、ここに申し上げているようなリストは私ども保有していないわけでございます。
  215. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それではその次、二枚目の資料でございますが、会計検査院が報告をされました国民年金に関する検査状況でございますけれども、私の方で下線部を引かせていただきました。社会保険庁が納付督励等の業務の際、その対象者の抽出に利用している受給資格判別区分のデータから、六十歳未満の者である第一号被保険者及び第三号被保険者の老齢基礎年金受給資格の有無等について調査したところ、表十のとおりとなっていた。この受給資格判別区分のデータというものはどういうものですか。
  216. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  森委員から提出されておりますその資料、今御覧いただいたページの次のページ、これ昨日委員の方に私どもの方から提供したものでございまして、これを御覧いただきますと、①のオンラインシステム上の受給要件判別区分とは何か、これを御覧いただくと分かりやすいかと思います。  これは、ここにございますように、国民年金の納付勧奨の際などの参考情報として活用するために、国民年金被保険者の、その方々のお一人お一人の年齢と、それからその保険料の納付済み期間、その時点における納付済み期間、それからその時点において今後加入が可能な月数、そういうようなものから将来的に見通して、受給資格の有無というものについて、納付しなければ受給要件に該当しないおそれがあるのかどうか、そういったものを表示したものでございまして、あくまでも納付督励の際のツールでございます。  この一番下にございますように、なお書きがございますけれども、これだけでは老齢基礎年金の受給要件を確定できるものではない。なぜかと申しますと、国民年金の要するに被保険者としての期間を持ってない方も多数おられるわけでございますが、この受給要件判別区分という仕組みの中では、その国民年金の被保険者の期間を持ってない期間はすべて他の公的年金に加入しているというそういう前提でこれは作ってございますので、あくまでもそういう意味で、国民年金の納付勧奨の際の言わば絞り込みツールということで活用するという、そういう必要からのものということでございまして、そういう意味で、老齢基礎年金の受給要件をこれだけで確定できるというものではないわけでございます。
  217. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それでは、催告状を出すときに、このツールを使って一々もうこれ、つまり、なぜこれを使うかというと、催告状を出したときに、もうこれ以上払っても加入資格が得られない方に出してしまいますと、催告状が来たら一生懸命払ったのに年金が受給できないじゃないかということでトラブルになる、それを避けるためにこのようなデータを使って、その催告状を出す人と催告状を出さない人を区別しているわけですよね。区別して出す出さない決めて、実際に出しているわけですよね。  じゃ、データがないということは、催告状を出すときに一回一回、一人一人、その人のこういうデータと他の公的年金の加入状況とを一回一回チェックして、そして催告状を出す出さないを決めていらっしゃるんでしょうか。
  218. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  催告状の送付そのものは、法律の定めによりまして法定納付期間期限ですね、これを徒過した方については例外なく送付させていただくということを基本としてございます。  それで、今委員が送付しない方もおられるのではないかというふうなことをおっしゃったかと思いますけれども、これは、お触れになっておりませんけれども、もしかすると納付拒否者表示に関するお話も少し混じっているのかなというふうに思う次第でございます。  一応その納付拒否者についての扱いを別にいたしますと、あくまでもこの受給要件判別区分表示でやっておりますのは、まずはこの区分表示で国民年金の言わば分野における納付状況というのを確認して、類型ごとに分けて、仕分して取り出して、そして今度はその取り出したものを、委員おっしゃったように、一人一人私ども、実は、他の公的年金の加入状況のあるなし、あるいはその長さ、そういうものを見て、実際に必要な残りの例えば納付していただくべき期間、これを一人一人割り出しまして、その長さに応じて催告状の例えば表現ぶりなどもできるだけその方の実情に合うように決めて送付をすると、そういうようなことをさせていただいているわけでございます。
  219. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 おかしいんじゃないですか。本当にそういうふうにやられているんでしょうか。  ここにも書いてありますけれども、六十歳以降も任意加入しなければ受給要件に該当しないおそれがあるなどの表示をしたもの、だから、ここでは任意加入しなければ無年金であるということをここで意味されているわけですから、そこでその納付、催告状を提出する人を判別しているわけですから、今の御説明はどうもおかしいというふうに思いますが、いかがですか。
  220. 石井博史

    政府参考人石井博史君) 催告状の送付について改めて御説明申し上げますと、先ほど申し上げたように、基本、法定納付期限を要するに徒過した方に対して催告状をまずは少なくとも一回はお送りしております。あと、その後のその方の対応状況に応じて、あるいはまた負担能力に応じてその更なる要するに督促をするしないというものを決めておるわけでございますけれども、今委員の方からお触れになりました部分は、例えば、六十歳までの要するに期間ではその残りの期間丸々保険料をお納めになっても要するに二十五年という受給資格要件を満たすことができないと、こういう方についてのお話でございますね。  私どもは、まさにそういう方もいらっしゃるのではないかということで、それを納付督励の一つのポイントとしてございまして、そういう方には、これ委員も御承知かと思いますが、六十五歳までの任意加入の道が開かれておりますので、そういう方であれば、このままだと六十歳では二十五年を満たすことはありませんけれども、更に任意加入五年の道がございますので、どうぞそちらの方に御加入くださいと、そういう案内を申し上げて要するに御連絡をしていると、こういうことでございます。
  221. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それは催告状を、その社会保険事務所の、社会保険庁の方で送付するたびに一回一回、一人一人丁寧に検討してそしてやっていると。本当ですか。
  222. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  この受給要件判別区分というのは様々な利用の仕方をしてございまして、例えば、年度の初めですと行動計画というのを全国的に作る、そしてそれを各県にばらして、そして更にそれを各県の中の社会保険事務所ごとに行動計画事務所版というのを作る。そのときに、一年を例えば見渡して、前年の実績なんかも勘案しながら一年を見渡して、そしてその勧奨の対象者、これの属性別にどういうふうな働きかけ等したら、申し上げたらいいのか、これを要するに戦略的に考えて、戦略的という言葉はちょっと適当ではないかもしれませんけれども、効率的、効果的な納付の督励をさせていただくためにマスのツールとして使うという場面もございますれば、今度は行動計画、例えば月別に立てておりますが、その月別の行動計画に従って、事務所の中の職員あるいはその国民年金推進員が自分の要するに持分についてのお一人お一人の納付勧奨をするときにも使うと。まさにその場面においては、今委員からお話がございましたように、お一人お一人の言わば納付状況というものを過去の実績というのにも当たりながら判断して対応しているわけでございます。
  223. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 私はその答弁には納得できません。  結局、催告状を送らないというふうに決定した人ですね、その人についてフラッグを立てていつでも取り出せるようにしておくというのは当たり前のことですし、何も目印を付けないまま放置をして一回一回やり直すということもにわかには信用できないんですが、この問題ばかりやっているわけにいきませんので後でまたさせていただきますが。  そういうことで、先日も、天国か地獄かという、無年金だった方が年金の受給権者になる、これは本当に天国か地獄ということで、この方の数字を明らかにするということが更に国民の皆さんへの注意を喚起するという意味で非常に有意義なものであると、それからまた、この方たちに対する対応を丁寧にしていただくという認識を持っていただくためにも私は重要であるというふうに思ってこの質問を度々させていただいているわけでございます。しかし、しょっぱなからこれまで説明してこられた無年金の方に対する定義の説明も今までとは違うという中で、何を信じて審議をすればいいのか困惑するばかりなんですけれども。  その中で、次の資料をめくっていただきたいんですが、そういう苦労をしていらっしゃる国民の皆さんに対して、じゃ今、社会保険庁、社会保険事務所職員のOBの方の受け取っている年金額というのは一体どうなんでしょうか。平均の年金額月額そして最高年金額、これも月額でお答えいただきたいと思います。
  224. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 不十分なお答えになるかもしれませんが、今配付していただきました資料、こういうものと共通的なお答えになりますが、お聞き届けいただければと思います。  御注文のような社会保険庁の事務職員OBの方々年金額というデータは正直申し上げて承知していないわけでございますが、国家公務員OB全体ということで見た場合に、今配付いただきました資料が一つの客観的な資料というふうに私どもも認識しておるわけでございます。  ここに書かれております表の中の一番下の計のところを御覧いただくと一番簡潔かと思いますが、国家公務員共済年金、御本人の選択で繰上げ、繰下げ等々ございますので、そういうものを除いて標準的なところで見た数字が一番下にこう出てまいります。国家公務員共済年金二十二万二千七百二十九円、厚生年金の場合は同様なイレギュラーなものを除きますと十六万八千五百七円、こういう支給額ということになっているところでございます。
  225. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 これを見ていただいても、例えば国民年金の平均五万七千九百七十五円、これは平均ですので、さっきも申し上げました、年金を全くもらっていない人、そういう人もいるという中で、結局、舛添大臣に伺いたいんですけど、共済年金には消えた年金問題というのはほとんどないんですよね。確認しておきたいと思います。
  226. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 基本的には、まあヒューマンエラーがどこかあるということは、ないとは限らないですけれども、国保や厚生年金に比べれば私は数が少ないんではないかと、これは確たる数字を持っていませんので、そういう印象を持っております。
  227. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ほとんどないんですよ。  それで、そういう中で年金記録問題検証委員会報告書を読ませていただきますと、これまでのずさんな管理、それからこの後質問させていただきます横領の問題等々、本当に改めて読み返してみますと驚くばかりなんですが、被保険者等が保有する資料に基づき国民年金の被保険者記録を訂正した事例について、つまり年金の受給者そして加入者が領収書を持っているんだけれども、全く記録が社会保険庁の側にない、これは直近のデータはどうなっておりますか。
  228. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  社会保険庁や市町村の資料では国民年金の納付の記録が確認できませんで、御本人が保管されていた領収書などによりまして年金記録を訂正した件数は、昨年九月までの累計で千五百四十一件というふうになってございます。
  229. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 皆様のお手元にも資料を出させていただいております、実に千五百四十一件。  そして、その次の資料も御覧いただきたいと思うんですが、これは社会保険庁に御提出いただいた、これが発生した理由です。これは読んでいただくとまた時間掛かりますのでその次の質問に移りたいんですけれども、この件数、次の資料皆さん御覧いただきたいと思います。千五百四十一件のうち、一番多い大阪市、百八件。突出して多いんですけれども、この件数の多い市町村について、私はなぜそうなっているのか、調査又は捜査というものをやるべきだと思いますが、大臣いかがでしょうか。
  230. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この今の件数、委員が御指摘なさったように百八件と大阪は非常に多うございます。札幌、尼崎、こういうほとんどこれ大都会で、細かいのは例えば人口一万人当たり何件という、これで比べるのが正確だと思います、ちょっと今そういう手元にございませんけれども、単純にこれは計算してみれば出ると思います。今百八件、確かにほかのところに比べて多くなっておりますので、どういう事情であるのか、少し個々の件数、個々の事例を今積み上げていってそうなっていると思いますので、何か共通の傾向とか共通した原因が何か探れるかどうか、これは検討してみたいと思います。
  231. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 大臣、これは社会保険庁の方に全く記録がないんですよ。全く記録がないんですよ。消えた年金ではないんですよ。いわゆる宙に浮いている年金と言われるものではないんですよ。  それで、これはこの被害者の皆さんが領収書等を持っていなければ全く分からない、そういう記録ですよね。年金です。最初に確認しておきたいんですが、これは本当に完全に消えた年金というふうに言えるんじゃないでしょうか。大臣の御認識、お願いいたします。
  232. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これはもう本当に最後のラストリゾートで本人が持っておられたということですから、そういう意味では、ちょっと原因がどういうことであるか分かりません、しかしこちらに全く記録はない、まあそれは横領のようなことがあったかもしれません、しかしそういう意味では、もう本人の元で、きちんと社会保険庁で管理してなかったという意味ではそれは消えているということだと思います。
  233. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 社会保険庁においてはこれは完全に消えた年金なんですよ。そのことを率直にお認めいただきたいと思いますが、いかがですか。
  234. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いや、それはもうありませんですから、ないということです。
  235. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 素直に消えた年金ですと認めていただきたいと思いますが、これは被保険者が今回の場合のように資料を持っていなかった場合、回復できたんでしょうか。第三者委員会、どうですか。
  236. 関有一

    政府参考人(関有一君) 資料、こういう領収書等を持っていない場合ということでございますでしょうか。  第三者委員会は、こういう直接的な資料をお持ちでない方の件につきまして、申立人の主張しておられることに関連した肯定的な関係の資料それから肯定的な周辺事情、こういうものをお聞きして総合的に判断をしているものでございます。
  237. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 しかし、最近出されているあっせんは、却下されたものがあっせんされたものを上回ると、数として上回っているという状況で厳し過ぎるんじゃないかという指摘もございます。結局、ここで出てきた千五百四十一件の方たちは領収書を持っていたから認められました。なかったら、果たして回復できたのかどうか、全く分からないんです。  そして、先ほど出していただきました考えられる事由について、ある程度推定できるんですね、これ。はっきりとこのせいで記録が訂正が必要となったというわけじゃないんですよ。決まっているわけじゃないんです。ある程度推定できる理由、幾つかあります。最後に横領、これは当初社会保険庁はこの横領というのを出してこなかったんですよ、事由。それを我々の方で、横領も多いんじゃないか、そういう指摘があるということで付け加えさせたものでございます。そういう内容です。  しかも、この年金記録問題検証委員会の報告書を見ていただけば分かるんですが、社会保険庁が挙げてきたこの事由について一つ一つこの検証委員会は、これも考えられるけれども理由はこれだと特定できないし、横領の可能性も否定できないとことごとく反論しているものがございます。  それで、横領の問題。大臣大臣厚生労働大臣に就任されて、国民の拍手喝采で迎えられました。大臣が就任されて公約をされた一番受けたフレーズ、覚えていらっしゃいますよね、この横領の問題について。もう一回言っていただけますか。
  238. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それは委員の方から言っていただかないと、私自身が受けたかどうかというのはちょっと記憶にございません。
  239. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 大臣の公約が消えたんでしょうか。盗人は、その後を覚えていらっしゃるでしょう、どうですか。
  240. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 盗人は牢屋に入ってもらうとたしか言ったと記憶しています。
  241. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 草の根分けても探し出すとおっしゃいませんでしたか。
  242. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それも言ったと思います。
  243. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 盗人は草の根分けても探し出す、そして必ず処罰する、牢屋に入れる、そういうふうにおっしゃったんです。これで国民の皆さんは、ああ、舛添さんならやってくれる、そう期待したんですが。  その過去の年金の横領案件について伺いますが、横領事件等の最新の真正なデータを出していただいておりますが、次の資料をめくっていただいて、お答えいただけますか。
  244. 吉岡荘太郎

    政府参考人吉岡荘太郎君) いわゆる保険料の横領事件につきましては、昨年、社会保険庁職員によるもの、並びに、これは国民年金でございますけれども、市町村の職員によるもの、昨年の秋にそれぞれ五十四件、百一件ということで公表をさせていただいております。
  245. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 この数は、昨年暮れに公表されましたこの調査に基づく横領等の案件の数と同じですか、違いますか。
  246. 吉岡荘太郎

    政府参考人吉岡荘太郎君) 同じでございます。同じものとして御報告いたしておると思います。
  247. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 違うでしょう。一件だか何か増やしているんじゃないの。違うの。  次の資料の一番下の、この平社会保険事務所のものはこの件数に含まれているんですか。
  248. 吉岡荘太郎

    政府参考人吉岡荘太郎君) お答え申し上げます。  平の件につきましては、先般の質問主意書で出させていただいております。ただし、これにつきましては、昨年の保険料あるいは保険給付の横領事件に関しまして、これは過去の処分例を整理をいたしまして御報告申し上げたわけですけれども、そのときにおきまして不適正な事務処理という形で整理をしていたために、先ほど申し上げました件数の中には御指摘の平の事件は含まれておりません。失礼いたしました。
  249. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 なぜ入れなかったんでしょうか。昨年調査をしました。そして、調査の結果上がってきた。その事案をなぜ勝手に、なぜ厚生労働省の方で、社会保険庁の方で分類して、出すものと出さないものを決めてしまったんでしょうか。これで全部ですか。まだ公表されていないものがあるのではないですか。
  250. 吉岡荘太郎

    政府参考人吉岡荘太郎君) まず、社会保険庁の職員に係ります不祥事、処分した者についてはすべて公表をしております。  それから、今の御指摘の件でございますけれども、平の事件につきましては、これは先ほど申し上げましたように、標準報酬に関する不適正処理という形で整理をしたものでございます。  ただ、これにつきましても、当然処分案件としては公表したものでございますが、昨年のまず検証委員会からのお求めがあって、保険料の横領を中心に調べろということがございました。結果的に、先ほど申し上げました、私どもが報告しました数字の中には、保険給付の横領事件も入っております。  ただ、この平の事件につきましては、いわゆる横領ないしあるいは詐取によります給付というよりは、このお手元の公表した資料にもございますように、この中では、行為者、すなわち社会保険庁の職員が自ら何か給付を受けて利得をするといったものは確認できなかった、また結果的に、この取扱いによって何人かの非常勤職員が多めの給付を受けたわけですが、それについても、その職員等の依頼がなかったということをもっていわゆる横領ではないと、不適正事務処理ということで分類されていた。その分類に従って昨年報告したものでございます。
  251. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 勝手に分類して、勝手に問題を全部処理してしまわないでいただきたいと思います。この報告書にも、きちんと過去の事例処分されていないという指摘もありますよ。  それで、お聞きしたいんですが、警察庁、来ていらっしゃっていると思います。大臣の公約に従いまして、盗人は草の根分けても探し出し、そして処罰する、その公約に従ってこの公表された案件はすべて対応していただいていると思いますが、それについて御答弁をお願いいたします。
  252. 小野正博

    政府参考人(小野正博君) 警察におきましては、従来からこの社会保険庁職員の横領事件や市町村の職員による国民年金保険料着服事案につきましても必要な捜査を遂げ、立件してきております。  特に、昨年秋に年金問題が社会問題化して以降、全国警察に対し、告訴・告発事案などに適切に対応するよう指示するなどして、この種事案の解明に努めてきております。  その結果、昨年秋以降で申し上げますと、厚生省の方でお話しの件数につきましては、実は時効に掛かるものも多くございますものですから、私どもといたしましては、社会保険庁関係及び市町村関係の今申し上げた事件につきましては、合計十二件の事件を立件しているところでございます。
  253. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 つまり、すべて処理をしたというわけではないわけですよね。もう一度確認します。
  254. 小野正博

    政府参考人(小野正博君) 事件化なし得るものにつきましては、私どもとしてはすべてなし得たというふうに思っているところでございます。
  255. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 大臣、時効に掛かるものについては警察は何も手を付けておられません。これは大臣の公約と違うんじゃないですか。
  256. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 秋に私が申し上げましたのは、法の枠組みにおいて刑事告発できるやつはやれということで、残念ながら時効にかかわるやつはできませんということはそのときにも既に申し上げております。
  257. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 つまり、大臣の公約も時効だったということを自らお認めになったということでよろしいですね。
  258. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 個々の案件について、日本国は法治国家ですから、法律に基づいて警察庁はきちんと対応する、所轄の都道府県警がきちんと対応する。したがって、法的枠組みにおいてできることについてやったということですから、私は全くその意味においては間違っていなかったと思っております。
  259. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 まあ、それは国民の皆さんが、大臣が本当に公約を守ったのかどうか、また誤解をした国民が悪いとおっしゃるんでしょうか。盗人は草の根分けても探し出す、そして処分すると、そう約束されました。しかし、この委員会の報告書によれば、過去の横領事案、まだ解決されていない、そして被害者の記録が回復されたということが確認できない事案というものが指摘されております。  検証委員会、来ていただいておりますけれども、そうですよね、そうであるということだけ言っていただきたいと思います。
  260. 関有一

    政府参考人(関有一君) 支払ったはずの保険料の記録が社会保険庁の側にないという問題の原因につきましては、事務処理ミスの可能性がありますほかに、横領等が原因の一つになっている可能性を否定することはできないということを検証委員会報告書に書かせていただいております。
  261. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 そして、過去の指摘された横領事案についても、まだ完全にその人の記録が回復されたかどうか記録がなくて分からないと、そして、処理されたのかどうか、当時の関係者に聞いて終わっていますというだけで何も確認するものがない、こういうことまで指摘をされております。  しかも、この検証委員会の報告書では、この検証委員会では残念ながらできなかったと、最後まで。この問題を引き続きやる、横領等の問題を検証する、そのことが実はこれからの第三者委員会等におけるあっせん、これに非常に役に立つからやってほしいという希望が述べられております。  大臣、今引き続きこのような問題を検証している部署はございますか。
  262. 岩本司

    委員長岩本司君) 質疑者が大臣指名されておりますので、御協力よろしくお願いします。舛添大臣
  263. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 省としてきちんと、不明な点が出てくれば、それはどの部署であれきちんと対応するということでございます。
  264. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 きちんと検証しているところはないんですよ。その後放置されているわけですよ。  私は、この検証委員会でも、やはり強制的な捜査権がないためにもう途中で終わっているというものがあるように、そのように受け止めました。私、警察庁が中心となって、この消えた年金の問題、なぜ消えたのか、それを検証するチームを立ち上げて検証していただくこと、これを舛添大臣から公約の実行のために依頼されたらやっていただけますか、警察庁は。
  265. 小野正博

    政府参考人(小野正博君) 今御質問の協力の要請ということにつきましては、仮定の問題でございますので、私といたしましては答弁は差し控えさせていただくべきものというふうに思いますが、一般論といたしましては、もし御協力の要請等がございました場合には、その要請の内容について吟味の上、法令に照らし、また実務運営を踏まえて対応を決すべきものというふうに考えます。  ただ、私ども、先ほど申し上げましたように、従来から必要な捜査は遂げ、立件してきております。また、今後とも刑事事件として取り上げるものがあれば、法と証拠に基づいて厳正に対処してまいりたいというふうに考えております。ただ、その範囲を超えましての調査ということになりますと、果たしてそれが警察のなすべき範囲なのかというようなことも御議論としてあり得ると思いますので、慎重な検討を要するべきものというふうに考えます。
  266. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 もう終わりますけれども、最後に委員長に御要望申し上げたいと思います。  なかなか分からない問題もたくさんございますし、この間いろいろな参考人を我が同僚議員の方から求めていただいております、かつての社会保険庁長官等ですね。一向にこの委員会にお招きいただく様子が見えないんですが、私の方からも参考人招致を再度お願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  267. 岩本司

    委員長岩本司君) 引き続き理事会で協議いたします。
  268. 谷博之

    ○谷博之君 谷博之でございます。  今日は大きく三点にわたって質問をしたいと思っておりますが、まずその第一は、中国残留孤児の老齢基礎年金、厚生年金の不支給処分の問題について御質問をしたいと思っております。  具体的な話を申し上げた方が分かりやすいかと思いますので、プライバシーがありますので実名は伏せさせていただきますけれども、中国残留孤児の方が、その方は中国の大学の准教授、助教授でしょうかね、やっておられた残留孤児の男性の方がおられました。この方が中国人の奥さんと一緒に、一九九三年二月十一日と記憶しておりますけれども、日本に帰国をいたしました。  この方が、中国人の奥様、当然これは御主人と帰国するわけですから、永住帰国ということで帰ってきたわけで、来日したと言った方が正確でしょうかね、したわけですけれども、実はこの方が二〇〇五年の十月に六十五歳の誕生日を迎える、今から約三年前ですね。いわゆる六十五歳の誕生日の前日までに永住許可ないしは帰化された者についていわゆる老齢基礎年金、厚生年金の受給を受けられるという資格が与えられると、こういうことになっているわけですけれども、このことが分かりませんでした。そして、その六十五歳の誕生日の約一か月前にこの御主人、元大学の先生だった方がそのことを聞かされまして、そして手続を取ったけれども、結果的に永住許可が下りたのが誕生日を過ぎた三か月後のことであったということで不支給になってしまいました。  このケースについて具体的にこれから質問してまいりたいと思うんですけれども、もう少し詳しく説明をいたしますと、一九九三年二月十一日に日本に帰国をして、すぐ埼玉県の所沢にあります定着促進センター、ここで六か月間、日本での生活を自立していくための様々な指導を受けたわけでありますけれども、こういうところでも年金制度については一切説明がなかったと。さらに、この定着促進センターを出た後、自分の所在地を決めて生活をしていったわけですけれども、余談ですけれども、この方は大変御夫婦で頑張りまして、約七割ぐらいが生活保護を受けられているという残留孤児の今の生活の実態の中で、自立して御自身で頑張っておられると。しかし、その居住地に移り住んだ後も自立指導員による生活指導というものがこの年金については一切なかったということですね。  この方々は、要するに日本語が大変苦手ですね、中国語でずっと育って今日までやってこられた方ですから。そういう意味では、教えられなければこのことについては分からない。唯一分かった理由というのが、この御主人が、自分の夫の、この御主人の年金のことについて問い合わせをしたときに、このことを六十五歳の誕生日の直前に知らされたと。書類をそろえて大至急申請を出したけれども、今申し上げたように、その許可が下りたのが約四か月後であったと。結果的にこのいわゆる受給資格というものが受けられなかったと、こういうことなんですけれども、この問題について、なぜこうした人たちのために中国帰国孤児定着促進センターで六十五歳前に永住許可を取ることについて説明をしなかったのか、また、居住する市の担当窓口で、請求人が六十歳のときに国民年金加入期間終了のお知らせの通知を受けたときに永住手続の説明をしてこなかったのか。これは非常に問題だと思うんですけれども、これはどのように考えておられますか。
  269. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  今委員からお話がありましたとおり、中国残留邦人の方が帰国して我が国にスムースに定着するために、帰国された方、その御家族に対し、日本語教育を含め生活指導を行っているところでございます。  中国帰国者定着促進センターでは、そういった中で、生活の指導あるいは定着後の必要な知識の指導ということで、国民年金加入手続の指導など、カリキュラムとしてはないわけではございません。国民年金についても説明はしたはずでございますが、御指摘のあった六十五歳の誕生日の前日までに配偶者の方が永住許可がないと、配偶者の方は言わば中国の国籍をお持ちでございます。中国人の方でございますので外国人になるわけで、外国籍の方一般のルールとして、外国の方は、日本に移ってきて年金を受ける場合に、六十五歳の誕生日の前日までに永住許可がないと国民年金の受給権が発生しないと、そういう点まではどうも残念ながら説明していなかったということでございます。  私どもも、委員からこのケースについて御指摘いただいて、大変残念なことだというふうに思っております。今後このようなことがないように、年金制度の概要に加えまして、細部にわたる説明の徹底ということ、また、日本語が十分でないと、そういう御事情の方でございますので、例えば中国語の資料を用意するとか、そういうことを含めましてきちんとやってまいりたいと思います。  本件は本当に残念なケースであると考えております。
  270. 谷博之

    ○谷博之君 国費によって中国から日本に帰国をして、なおかつ、中国の残留孤児に対しては、その後、様々な特殊性にかんがみて、二〇〇八年一月から、この方々に対する老後の生活を保護する新しい施策が今スタートしております。それは、この新しい施策は、結局のところ、残留孤児らによる国家賠償訴訟が提起された、その結果として、ある意味では政治的な解決ということでこういうことがスタートしているわけですけれども、そのときに福田総理自らが、この立法に当たって、皆さんの問題に気が付くのが遅くなって申し訳ないと、こういうふうなことまで発言しておられるわけですね。ですから、そういう意味ではこれは非常に私は重いことだと思うんです。  聞くところによりますと、残留邦人の方々は約六千人というふうに聞いているんですが、この配偶者の方々含めると、やはり関係者というのは相当の人数になると思いますし、こういう方々は、まず何よりも、永住の意思を持って、この方もそうですけれども、誕生日直前にその申請を出して、誕生日の直後に永住許可が下りている。なおかつ、この人は、将来年金が支給されることを期待して、厚生年金をいまだに納め続けているんです、六十七歳、六十八歳になっても。  つまり、そういうふうな該当者に対して、これは、もう一つ申し上げますが、今日の夕方四時から厚生労働省厚生労働省社会保険審査会、これが開かれて、この本人が公開審理を受けることになっておりますけれども、こういう方々は、私はやっぱり法的にも遡及するなりなんなりしてこれは救うべきじゃないかと思うんですけれども、これ大臣、どう思われますか。
  271. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 先ほど、今度の残留孤児の方々に対する新しい制度、私も総理と一緒に立ち会いました。本当にこれ、言葉ができないんですね、日本語が。だから、私たちの国のこれからの在り方としては、外から来られる方々に対して受け入れるいろんな制度をやるべきであるというふうに私は思います。その国の国力、それから国際社会において尊敬されるということは、外国の方々であれ、特に彼らは元々日本人ですから、それに対してこういうふうにきちんと情報が行っていなかったのは、大変これは反省しないといけないというふうに思います。  それで、法的にはこれもう六十五歳の誕生日前ということになっていますから、これは例えば議員立法で何かするというふうなことも考えられるかもしれません。ただ、今委員おっしゃったように、今日もうすぐ、社会保険審査会の方に再審請求出ていますので、ここの審理をひとつ待ちたいというふうに思いますし、法的な枠組みはこういうことでありますけれども、ちょっと検討させていただいて、こういう件について、安易に何でもかんでも政治的にということであってもまたなりません。しかし、こういうケースについて十分な説明責任を国として果たしていなかったというようなことが例えば立証できるということであれば、これは、本人がきちんと説明しているのに全く無視してと、本人の方に瑕疵が多いということになると、なかなかこれはお救いするというときに説得材料が少のうございます。しかし、そうではなくて、今委員がおっしゃったように、これ経過をよく調べて、きちんと国としてのしかるべき対応をやっていなかったということであれば、例えば再審請求においてそういうことを恐らく今日きちんとお述べになると思いますから、そういうことを踏まえて何らかの対応ができないか、ちょっと検討させていただき、またこれは、こういうケースが二度とあってはいけませんので再発防止もやりますけれども、こういうことについて、これは党派を超えて国会議員の知恵で何かできるか、そういうことも含めてまた考えたいと思いますので、またその際には御協力を賜りたいと思います。
  272. 谷博之

    ○谷博之君 いろいろとありがとうございます。  もう一つ私の方からお願いをしておきたいのは、この方の周りにたまたまこういうことについての関心を持っておられた方がおられて、そしてその方々がいわゆる永住許可申請等も含めてお手伝いというか協力した人がいたわけなんですけれども、現実にそうではない、そのことすら気が付かないというか知らないでこういう同じようなケースになっている方が私はいるんじゃないかなというふうに思うんですね。  これはこれから恐らく調べることになると思いますけれども、そこら辺に対する、先ほどの言葉の問題も含めて、文書一つ取っても、日本語が理解できないようなそういう方々に対して、やはりこういう事実があるかないか、それらに対してどういうふうな対応をしていくのか、これをやはり私は取り組む必要があるというふうに思うんですけれども、この点もどうでしょうか。
  273. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それは委員おっしゃるとおりでありまして、先般、中国の残留孤児の方々に対する措置をやったときも、これは与党のPTも含めまして、私も総理と検討をいたしました。そういうことを含めて、政府全体としてきちんとこういうことが伝わるように、関係省庁とも取り組んでまいりたいと思います。
  274. 谷博之

    ○谷博之君 恐らく、私はこういうことを、しかも相当高齢で、あるいはいわゆる残留孤児の皆さん方が第二次世界大戦の戦火といいますか、その直後に中国に残留孤児として残って、そして今日までの六十数年生活をしてきたということですから、年齢的にはもう六十代中以上ぐらいの年齢になっていると思います。その配偶者も当然同じような年代。その子供さんというとそれはまたちょっと年齢的には別かもしれませんが、そういう意味での、相当やっぱりさっき申し上げたように対象者というのはいるような気がいたします。  ですから、ここら辺は、単に今具体的な例を通して申し上げましたけれども、それだけではないということ。なおかつ、これはいわゆる戦後の問題のこういうところも、まだ、いわゆる特別な新しい施策を作ったけれども残っているということを是非御理解をいただいて、そして今の大臣の答弁のように、しっかりとしたこれ取組をしていただきたいというふうに思っております。その動きについてはこれからも注目をさせていただきたいというふうに思います。  実は、私は今日質問をさせていただこうと思った一番大きな柱の一つが、障害者の実は施策のことについてであります。  障害者の施策については、もうこれは前々から私どもが自立支援法の改正法案を提出をして、今の自立支援法の内容についての民主党としての思いをそこに込めているわけでありますが、一言で言えば大きく二つの柱がありまして、一つは現在の応益負担の姿を応能負担の形に戻したいと。それから二つ目は、いろいろ施策を講じておられるようですけれども、基本的に、やはり事業者の皆さん方に対する、いわゆる経営が非常に厳しくなっていることに対する、それを支援をするという、こういう二つの大きな中身になっているわけですが、そういう中で、国としてもいろいろとこの特別対策等をやっておられますけれども、中で、私どもが自立支援法の改正法案を提出した後、この自立支援法の附則にもありますように、三年たっての抜本的な見直しという、そういうことがうたわれておりますので、民主党としてもそういう立場に立って総合福祉的な法律、しかもそれは障害者の大きな制度を改革する、そういう視点からの法律を作ろうということで今作業を進めております。  そんな中で、幾つかの問題点をお伺いしたいと思っておりますが、まず、障害程度区分の見直しについてであります。  聞くところによりますと、障害保健福祉部長の下に私的な勉強会を昨年の二月から設置して、この障害程度区分の見直し作業を進めているというふうにお聞きしておりますけれども、お手元に資料としてお配りいたしましたが、御覧をいただきたいと思います。  二枚目にとじてあると思いますが、障害程度区分勉強会についてということで、ここに趣旨とメンバーが出ております。このメンバーを実は見ていただきたいんでありますけれども、このメンバーの配置というのは、これ非常に私はちょっと偏っているような気がいたします。一言で言うならば、いわゆる障害八団体とか在宅で自立生活をしている障害者の当事者団体あるいは在宅の支援を行う団体等、そういう方々の代表というものがここに入っておりません。このいわゆるメンバーを選ばれた理由、どういう立場からこのメンバーを選んだのか、お聞きしたいと思います。
  275. 中村吉夫

    政府参考人中村吉夫君) お答えいたします。  障害程度区分の見直しを行うため、平成十九年二月より、障害保健福祉部長の勉強会を六月まで六回にわたって開催をいたしまして課題の整理を行ったところでございます。その際には、今お話がございましたような資料のような形でスタートしたわけでございますけれども、その後、関係団体から意見を聴取するため、参加者を逐次拡大し、事業者団体のみならず、当事者団体からも御意見を伺ったところでございます。現在は、障害程度区分を見直すため、実態調査の実施に向けまして関係者の御意見を伺っているところでございますけれども、今後、具体的な見直しの方向性について検討する際にも、引き続き当事者団体を含めまして関係団体から十分意見を聴取してまいりたいと思っております。
  276. 谷博之

    ○谷博之君 今お答えになった内容というのは、いわゆるヒアリング団体の対象として取り扱っているということではなくて、正式のメンバーとしてでしょうか。
  277. 中村吉夫

    政府参考人中村吉夫君) お答えいたします。  勉強会というのは、かなりきちっとした形で委員を委嘱してというよりは、先ほども申し上げましたように、必要に応じて御参加をいただいてお話を伺うというような形で開催をさせていただきました。  なお、先ほど開催の回数を六回というふうに申し上げたかもしれませんが、五回の誤りでございます。
  278. 谷博之

    ○谷博之君 このいわゆる私的な勉強会で議論されている内容についても、ここに資料としていただいておりますが、例えば、障害程度区分はライフステージに応じた様々な支援の必要度を把握できるものとすべきとか、あるいは支援の必要度は障害の程度ではなくニーズと環境因子で決定すべきだということがあります。もう言うまでもありませんけれども、現在の障害程度区分というのは、かなりの部分でその当事者の身体能力、医学的なそういうモデルからスタートしている。しかも、障害者のいわゆる障害程度区分については、百七項目の項目を全部挙げて、それによって程度を区分しているということについて、このいわゆる勉強会の中でも、それではちょっと現実的にそういう立場の方々に対して的確なサービス提供をしているんだろうかということになれば、これはそうではないという議論もあります。  実は私たちも今、この障害程度区分の問題については、極端なことを言えば、こういう障害程度区分というのは要らないんじゃないかというふうに考えております。特に、心身の障害状態と必要な介護の量とは別問題であると。障害程度区分はあくまで支給決定における勘案事項の一つであり、自治体では実質的に障害程度区分に準じた支給量を決めるためにこの障害程度区分というのが使われているというふうに我々は解釈せざるを得ないんです。  そこで、今後、どのように障害特性を反映させた改正をしようとしていくのか、この会議の中でどのような検討をされているか、お答えいただきたいと思います。
  279. 中村吉夫

    政府参考人中村吉夫君) 私どもといたしましては、現在の障害程度区分につきましては、精神障害であるとか知的障害であるとか各々の障害特性をより良く反映されるように、調査項目であるとか判定基準を見直すべきであるという意見が強いと思っておりますので、そうした意見にこたえるために、できるだけ介護給付について適切な給付ができるよう、従来の評価の軸に加えまして、行動支援の問題であるとかあるいは生活自立支援をするための軸であるとか、そういうような軸を、従来の生活介助を中心にした軸に加えて、障害程度区分の基準として作っていったらどうかというようなことで検討をしておるところでございます。
  280. 谷博之

    ○谷博之君 大臣にちょっとお伺いしたいんですが、先ほども申し上げましたように、私たちは、この障害程度区分の廃止も含めて、人と人との協調、それからソーシャルワークを基本とした支給決定、そしてそれらを踏まえて国庫負担の基準の在り方、こういうものを見直していく時期にもうそろそろ来ているんじゃないかというふうに思うんですね。  これは障害別とか種別とか、あるいはその程度などによって、現行のいわゆる医療モデル的なそういう判定から、まさに障害者等が社会や環境との相互関係によって社会モデルを包含する統合モデルに、こういうふうにしていかなきゃいかぬだろうというふうに思っているんですが、ここら辺の見直しも含めて、大臣はどのように考えておられますか。
  281. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 身体、知的、それから精神障害、これ、例えば精神障害の方が外から見えにくいということでいろいろ御不便ありまして、これも今改善をしています。  それで、今百六項目の判定基準で段階を付けてやっていますけれども、本当にその障害の特性に合った調査項目であるのか、判定基準であるのか。これは、昨年末に与党のプロジェクトチームでもそういうことを反映した形で調査項目の見直し、判定基準の見直しということが必要だということの御指摘もあり、我々もそういう方向で、どの項目にするか、どういう項目を加えるか、そして判定基準をどうするかということをちょっとこれ今検討中でございます。与党とも連携を取りながら検討していきたいと思います。  ただ、そもそも区分をしないでいいのかなというときに、その段階の区分ですね、それと、それに見合ったじゃサービス水準、これをどうやるかということは、例えば介護保険についても要介護度を変えてありますね、その状況に応じて。そちらも一つ合理的な意味があるわけですから、今委員がおっしゃる問題のポイントというのは私もよく理解できます。しかしながら、もう少し議論を深めて、できるだけ障害特性を反映し、それが判定基準とサービスの水準に上手に反映できるようなモデルというか基準、これ何とかできないかというふうに今思っております。
  282. 谷博之

    ○谷博之君 当然これも大臣もう御存じだと思いますけれども、特にヨーロッパの、イギリスとか北欧のいわゆるいろんな形を見ておりますと、やはり、まず基本的には障害者本人の意思というものがやっぱり一番前提にあって、そこの障害者を取り巻く家族であり地域の人たちがふだんの障害者の姿というのはどういうものであるかということをやっぱり見た上で、そこで、いわゆる医学的モデルもそうでしょうけれども、そういうふうな社会的なすべても含めてサービスの提供の内容を決めていくと。それがいわゆる障害程度なんだというふうなそういう考え方、そういうものを判定するためのもちろんもろもろの条件整備はしなければいけませんけれども、そういうものが本来あるべきだというふうに思うんですね。  ですから、これは与党の今の動きをという話ですけれども、我々もそれは一生懸命議論して今検討しておりますので、そういう形のものをできるだけ早く我々も形として出したいというふうに思っていますので、これはもう是非注目して、またいろいろと我々の声も聞いていただきたい、このように考えております。  それからもう一点、障害の範囲の見直しの問題についても、これは、これまた政府内部、厚労省内部あるいは与党の内部でも検討されているということでありますけれども、いずれもこれらも含めて全部引き続き検討というふうな内容に現状ではなっているようであります。  我々は、障害の定義というものは非常にこれは難しいわけですけれども、現在の障害者手帳を中心にしたそういうふうな障害者の定義ということをもちろん踏まえつつも、それが少なくとも今問題になっている発達障害とか高次脳機能障害だとか難病の問題だとか、こういう方々に対する定義というものも含めて拡大をしていく、そういう考え方を持つべきではないかというふうに考えております。  そういうことについて、これ大臣、是非、今の障害程度区分もそうですけれども、障害の範囲の規定の問題、障害という定義も含めたその範囲の問題についてもこれはできるだけ早くその方向を出していただきたいと思うんですが、いかがでしょう。
  283. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これ私も同じ問題意識持っていまして、発達障害、アスペルガー症候群、自閉症、こういうのは家族から見ると物すごく大変ですね、本人も大変ですけれども。だから、これを例えば精神障害の中に入れるか。それから、高次脳機能障害、これも精神障害。先ほどのアスペルガーなんかは知的の方に入れてもいいと思いますけれども。それから難病についても、これは病気の種類によって身体障害に入れることができるかどうか。それぞれの患者の、その困っている御本人、家族の立場から見ると、是非支援の手を差し伸べてもらいたいという気持ちがあると思いますし、私はそういうことをきちっとできる社会が本当の意味での福祉先進国であるというふうに思っておりますので、引き続き国民的な議論をし、検討した上で、この障害の範囲の問題についても大変大きな問題であります。先ほど申し上げた与党のPTでもそれは議論になっていますし、今、谷委員がおっしゃったように、民主党の皆さん方も御検討くださっているということで、私は、これは柔軟に、範囲の問題についても、患者、国民、つまりそういう障害、障害というか、そういう今言った様々な発達障害、高次脳機能障害それから難病、こういう方々、そして及びその御家族、そういう方の立場に立った視点から、範囲の問題もきちんと検討していきたいと思っております。
  284. 谷博之

    ○谷博之君 これは今後の緊急な検討課題ということで、我々もその努力をしていきたいと思っています。  続いては、今行われている特別対策の中の、障害者自立支援対策臨時特例基金の関係ですが、これはお手元に資料としてお配りしております。この基金の予算の執行見込みについてということで、これはもう言うまでもありませんけれども、この事業が平成十八年度の補正予算で九百六十億付けられて、平成二十年度末までに支出するということであります。  現在のその執行状況については、ここにありますように、十九年度執行見込みが三百五十億ということで、合計三百八十六億円支出されているということで、執行率が四〇%。これは恐らく厚生労働省側から言わせれば、随分これは努力して使ってきているよということで、二十年度末までということですから、そういうことを言うかもしれませんけれども、しかし、現実にそういう中でこの特例基金がどのように使われているのかということを考えたときに、いろんな障害者の団体からそれらに対しての意見が出ております。  その中で、特に一番切実な問題として今出ていることの一つに、重度訪問介護事業において報酬単価が非常に低いと。その結果、ヘルパーの離職率が高かったり、長時間サービス提供ができない、こういう状況があるわけです。  資料としてお配りしてありますけれども、ホームヘルプの一か月の総派遣時間に対する重度訪問介護の派遣割合と一時間当たりの平均報酬単価ということで、重度訪問派遣割合が高くなればなるほど平均単価が下がるんですね。ですから、こういうことになれば、この割合が高ければ高いほど時給が安いということになれば、ヘルパーの確保が非常に難しくなる。そして、この事業者の負担も増えてくると。こういう状況の中で、ますますこの重度訪問介護の事業者の数が減ったり、ヘルパーの確保が難しくなってきているということでありまして、そういう意味では、特に、これ一つの比較ですけれども、介護保険分野での常勤職員の一年間の離職率一六・八%、この重度訪問介護のいわゆる離職率は二七%。二倍近くの離職率が出ています。  そういう意味で、この部分に、特に重度の在宅のALSなどの患者の、生死にかかわる、そういう事態を抱えておられるような方々に対し、この基金をやはり使うべきじゃないかということで、こういうお声が非常に強く出ているんですけれども、これはどのように考えておられますか。
  285. 中村吉夫

    政府参考人中村吉夫君) お答え申し上げます。  重度訪問介護の報酬につきましては、重度の肢体不自由の方々にとりまして、見守りを含め、長時間のサービス利用が可能となるよう報酬単価を設定するとともに、とりわけ、重度の障害の場合などには加算を設けているところでございます。  障害程度区分六に該当する方につきましては七・五%の加算でございますし、その中でも特に意思疎通に著しい困難を有する方などにつきましては一五%の加算がされております。また時間帯の加算もございまして、早朝、夜間時間帯につきましては二五%の加算、深夜の時間帯につきましては五〇%の加算になっております。  それから委員の方から御指摘のございました平成十九年度から特別対策によりまして都道府県において設置された基金を活用した事業といたしまして重度訪問介護事業所の安定的な運営のための助成等の事業を行えることとしております。この中では従業者の資質向上及び職場定着等に資する独自の取組に要する費用でありますとか、あるいはサービス体系の見直しに伴う重度訪問介護事業所の収入の激変緩和に係る経費なども対象になるわけでございます。二十年度からはヘルパーの資質の向上や人材確保の観点から障害特性に応じて必要となりますサービスについて理解するための熟練指導者の同行による研修でありますとか求人広告の費用につきましても基金を活用できることを明示したところでございます。
  286. 谷博之

    ○谷博之君 いずれにしましても、これはそういう、この一番現場の切実な声としてそういう声があるということをしっかり理解をしていただきたい。これは現実に我々はそういういろんな事業者のところへ行ってこの部分が今最大の課題になっているということを是非、もうお分かりだと思いますが、認識していただきたいというふうに思っております。  時間がありませんので、最後に戦後処理の問題、特に先ほど、午前中、小池委員からシベリア抑留者の問題が出ておりましたが、これについて質問をさせていただきたいと思います。  まず、時間がありませんので簡潔に質問をさせていただきたいと思います、新聞のコピーがあります。これは韓国が昨年日本政府に対して第二次世界大戦中に日本募集や徴用などによって渡ってきた朝鮮人の人たち、ありますが、約七十万人のうち特に旧日本軍の軍人軍属となった二十四万人、この方々の名簿を韓国政府から日本政府に要請があってこれを日本政府は渡しています。しかもそれはその未払になっている賃金の詳細も含めてこれは韓国政府に報告しています。現実には七万人ぐらいというふうに書いてありますが。  これを受けて実は日本と旧ソ連、この間においてもいわゆるシベリア抑留の事実があります。ここでお伺いしたいんですけれども、韓国政府日本政府にそういうことを要求して資料を提出して、なおかつ当時の一円を二百倍の金額にしてその未払賃金を補償しようとしているんです。日本政府は旧ソ連、今のロシアに対していわゆる当時のそのシベリア抑留された人たちの人数とかそれから労賃とか未払賃金とかという、そういうものを請求しているのかどうか。そして政府はいわゆる一般的に抑留者総数が約五十六万一千人、その中で死者が五万三千人と推定していますけれども、この事実を現ロシア政府に確認しているのかどうか、このことをお答えいただきたいと思うんです。簡潔にお願いします。
  287. 本田悦朗

    政府参考人(本田悦朗君) お答えいたします。  戦争が終了したにもかかわらず多くの方がシベリアに強制抑留され、酷寒の地において過酷な強制労働に従事させられたことは誠に同情すべきものであると考えております。他方、賃金など未払の問題につきましては抑留者の属する我が国としていわゆるシベリア抑留者に対して労働賃金の支払を行う法的根拠が存在しておりません。したがいまして、ロシア側に対して御指摘の未払賃金に関する記録を求める必要性は認められないものというふうに思っております。
  288. 谷博之

    ○谷博之君 日本と韓国もまさに日韓条約に基づいて一九六五年に韓国政府は請求権を協定で財産権から放棄しているんですよ。にもかかわらず、韓国政府日本政府にそういうことを要求して、日本政府はそれに応じたわけですよ。そのことは、まさに、政府は矛盾しているんじゃないですか。韓国政府から言われたものに対してそれに応じて、そして、自分たちがロシアに対してそれをなぜやらないんですか。  それから、もう一つついでに申し上げますが、このいわゆる五十六万一千人の数と五万三千人のこの数。これは、私どもも再三再四、質問主意書でもって確認をしているんですよ。しかし、推計という域を出ないで、まさに形としては正式なものは出ていない。こういうものに対して、余りにも韓国政府日本政府のやり方は違うんじゃないですか。  もう一つ言わせていただければ、韓国政府は戦後六十数年たって、海外で戦没したそういう人たちの遺骨収集も含めて大変な力を入れてこれに取り組んでいますよ。日本の今政府は何ですか、そういうことについて。予算もわずかしか付けない。そういうことで戦後の処理はできたと思っているんですか、答えてください。
  289. 荒井和夫

    政府参考人(荒井和夫君) お答え申し上げます。  私どもソ連から帰還した方々からの聞き取り調査などによって、また留守家族からの情報などによって数字を積み上げ、シベリア抑留者の数五十六万一千人、そしてそのうち亡くなった方が五万三千人というふうに推計いたしました。そして、ロシアから提出された資料は、シベリア抑留者約四十七万人、それから死亡者四万一千人ということで差がございます。  ロシアの見解は、今まで出した資料がすべての資料だということでございます。私どもとの間に差がありますので、私たちは機会あるごとにロシア政府に対してまだ未提出の資料があるはずだということでその提出を要求してきておりました。引き続きそういうことを実施したいと思いますし、また今後、更にちょっとやり方を変えて、具体的に、ロシアの名簿に載っていない亡くなられた方を具体的に提示して、ロシアに対して、この人はどうなっているのかというような形でいろいろな資料提出を求めていきたいと思います。  それから、私ども遺骨収集には最大限力を入れていまして、特にロシアにおいては亡くなられた方の遺骨収集が大事だと思っていますので、一体何人いるのか、それからどういう資料がまだ残っているのか、特に埋葬された場所に関する情報について相当何度も何度も繰り返し要求し、もし資料が出てきて、その結果場所が特定できれば、もうすぐにでも行って遺骨収集をしたいということで考えております。
  290. 谷博之

    ○谷博之君 ちょっと今遺骨収集の話出ましたけれども、第二次世界大戦で、沖縄も含めてですけれども、軍人軍属の方が二百四十万人亡くなっていると言われているんですよ。そのうちの遺骨収集されている数は百二十四万人ですよ。半分近くがまだ未収集なんですよ、それが。百十六万ぐらいがまだ恐らく未収集だと思います。  そういうことを考えたときに、韓国政府の例を出しましたけれども、一日一日、時間はたてばたつほど風化していくんですよ。そういうものに対しての政府の姿勢というものが、もう戦後処理は終わったかのようなそういうふうな考え方でいくとすれば、私はおかしい。それは午前中の法案質疑の中でも私は関係していると思うんです。  ここに主な援護施策というのがありますけれども、この中に、恩給法から始まって、戦没者の御遺族の方に対する様々な寄附金の支給行われております。そういう中にこの恩給欠格者、戦後強制抑留者、引揚者、こういう方々も二年前の国会で、いわゆる特別祈念事業というものが議員立法としてこれが成立して、そして三万円から十万円の旅行券ですよね。これはほかのいわゆる法律の内容と、この日切れに対する、あるいはこの恩欠、引揚者に対するもの率直にストレートには比較できないにしても、余りにも私はこの内容というのは整合性が取れないと思っているんですよ。そういうことを含めて、今申し上げたように、せめて歴史的に様々なそういう課題があるものに対して、政府はそういうもっともっと調べる姿勢、あるいはロシア政府に対してもっともっと強くやっぱり当たっていく、そういうことを目の前の韓国はやっているわけですから、そのことをやっぱりしっかり頭に入れてやってもらいたいと思うんですが、大臣、どうですか。
  291. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今日は戦後処理の問題たくさん出てきておりますけれども、自分の国の歴史についてきちんとした認識を持たない国民は滅びる、そういうことがよく言われます。私たちは、今の繁栄、これがあるのはそういう大変御苦労なさった先人たちの犠牲の上にあるわけですから、いま一度振り返って、今委員が御指摘になったような非常に重い御指摘を受けて、私も政府の一員として今後取り組んでまいりたいと思います。
  292. 谷博之

    ○谷博之君 時間がありませんので、最後に一点だけ簡単にお答えいただきたいんですが。  国立感染症研究所が所在するところで大量の人骨が発見をされた、約二十年前でしょうかね。これはいわゆるそこに旧陸軍軍医学校があって、そのところでそういう人骨が発見されておると。  二年前に川崎元厚生労働大臣が、元看護師の証言を受けて、ここにほかの場所にも遺骨が埋まっているということを証言して、それをできるだけ早く調査しようということになっています。簡潔に、二か所あるわけですが、今後の見通しを一言ずつお答えいただきたいと思います。
  293. 外口崇

    政府参考人外口崇君) まず、二か所のうちの国立国際医療センター戸山五号宿舎の方でございますけれども、これは現在職員が十二世帯入居しておりまして、代替の宿舎を確保するなど調査が可能となった時点において対応することとしております。  この代替宿舎の確保現時点でまだめど立っておりませんが、確保ができた時点調査を実施できるよう国立国際医療センターと必要な調整を行ってまいりたいと考えております。
  294. 岩本司

    委員長岩本司君) 財務省藤岡理財局次長。簡潔に願います。
  295. 藤岡博

    政府参考人(藤岡博君) お答え申し上げます。  お尋ねのもう一つの宿舎、合同宿舎若松住宅につきましては、現在居住中でございます。しかしながら、平成十九年六月公表の財務省の有識者会議におけます報告書における宿舎の移転・再配置計画に基づきまして、この平成二十年一月三十一日に廃止決定がなされたところでございます。ただ、今お住まいでございます。これに合わせまして、現在宿舎の入居者に対しましては、平成二十三年七月末までに退去するように要請したところでございます。  入居者の退去が完了するまでの間は、引き続き当該宿舎は宿舎として現に使われているわけでございますので埋蔵物の調査は困難でございますが、退去完了後におきまして何らかの調査を行うことを検討する必要があると考えているところでございます。
  296. 谷博之

    ○谷博之君 終わります。
  297. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございます。自由民主党の南野知惠子でございます。  本日やっと二法案審議が進められました。うれしく思っております。予算委員会やその他の委員会でも、年金問題、後期医療問題、ガソリン税等々、ホットな審議がなされておりました。私は、ここでは本日、少子化対策や医療問題等について御質問させていただきたいと思います。  まず、昨今、産科、小児科、救急といった診療科を中心に多くの地域で医師不足が深刻な問題となっております。地域に必要な医療を確保していくことは喫緊の課題であります。こうした医師不足問題の背景につきまして、厚生労働省は四つ挙げておられると思いますが、大学の医師派遣機能の低下、病院勤務医の過重労働、女性医師の増加に伴う出産、育児等による離職、医療に係る紛争の増加に対する懸念などの複合的な要因があると説明しておられますが、改めて医師不足問題の原因について大臣の御認識をお伺いし、またこのような背景事情に対して政府は具体的にどのように取り組んでおられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  298. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 特に今、委員御指摘のように、医師不足、とりわけ産科、小児科は非常に深刻でございます。私も一月、長野県の飯田市に参りまして、市立病院、この産科の状況を見てまいりました。その他各地、千葉、東京、時間の許す限り現場を見てまいりましたけれども、基本的には今委員がお挙げになった様々な要因がこの医師不足の原因になっていると思います。基本的には、昨年五月に政府・与党でこの緊急医師確保対策を決めましたので、それに基づいて二十年度の予算も確保したところでございます。  地域全体においていかに医療体制を構築するか、そのネットワークがうまくいっていれば、例えば周産期医療センター、これがきちんと整備されていなくても宮崎県なんかは比較的にうまくいっております。  それから、やはり今、産科、小児科はどんどん女性の医師の比率が増えてきております。ですから、そこにおいて例えば保育所を造ってあげるというようなことで働きやすい環境をする。  それから、訴訟リスクの問題、これは福島県の大野病院の件から大変大きな問題になりました。今まさに、この医療事故の原因究明委員会、第三次案まで出てきていますけれども、更にこれはまた御議論いただいて、何とか早く、こういう問題について党派を超えて早くこの委員会を設置したいというふうに思っています。  それから、やはり勤務医の方々は本当に過酷な状況なんで、これは診療報酬におきましてもきちんと手当てをするということでやっております。  それから、これは医師だけじゃなくてあらゆるチームとして医療をやる必要がある。看護師さん、助産師さん、それから今度は医療クラークという事務の方を入れまして、なるべくお医者さんが自分本来の仕事に集中できるようにするということも必要なんで、こういう手当てもやっております。  しかし、何とか四月から、産科閉鎖するというところを緊急に医師を派遣して食い止めるところまで行きました。本当にこれは応急措置でございます。長期的には、医師の数をどれぐらいいればいいのか、どういうふうにして、十年掛かりの養成が必要です。大きな構造的な問題が財源の問題を含めてあると思いますので、私の下に長期ビジョンの研究会をやはり今精力的にヒアリングや現地調査を行っておりますので、緊急措置、それから中期的な措置、そして長期的な措置、こういうパッケージでもって何とか国民の皆さんに安心していただける医療体制の構築に努めてまいりたいと思っております。
  299. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございます。  改善策に本当に努力していただいていることを感謝いたしますし、我々医療界の人間も一生懸命努力していることもお伝え申し上げます。  医師不足、中でも産科医不足、今大臣がお話しになられましたが、お産難民という言葉をどうお考えになるのか。私にしてみたら、これから生まれてくる赤ちゃん、そして新しいお父さんお母さんに対して難民扱いするというのはこれはとんでもないなと思っておりますので、お産難民という言葉が新聞紙上からも消えていくことを願っているところでございます。助産所でのお産、これを体験した人は満足度が高いというふうに言われておりますし、産科医との連携協力関係の下で正常の経過をたどる妊婦さんや母子の健康管理、分娩の管理について助産所を積極的に活用していただけることを今大臣もお話しいただけましたので、確約させていただけることをうれしく思っております。  平成十八年度の医療法改正によりまして、助産所は嘱託医師及び嘱託医療機関を定めることとなりました。産科医療の安全確保の観点からも、医師と助産師の連携協力を図るため、この仕組みは妊産婦さん、生まれてくる赤ちゃんのためにも大切にしていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いしたいと思うところでございます。  さらに、助産師活用の重要性についてはいま一歩進んでいないところがございます。そこら辺の検討についてもよろしく御配慮いただきたいと思います。  また、有床助産所の数についても都道府県によって地域格差があります。この現状もどのようにお考えいただいているのか、御見解をいただきたいと思っております。
  300. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私の持っている数字だと大体七割が正常分娩だと思います。それで、本当に、例えば帝王切開含めて高度な医療技術がなければお産ができない、こういう方でない場合には助産所、助産師の活用というのは非常に有効だというように思っております。  二十年度予算におきましても、まず院内助産所、それから助産師外来、これに必要な施設その他の支援体制を組みましたし、研修の事業なども新たに盛り込んでいるところでございまして、先般、三月二十日には、南野委員も御出席いただきまして、この院内助産所、助産師外来の先駆的な事例の紹介をやり、シンポジウムを行って、普及啓発に努めたところでございます。  有床助産所につきましては、これは助産師外来や院内助産所の開設を進めることによって、医師との連携の下で自立したお産を取る中でも独立した助産所を開設する場合があるということを思いますので、私は、ファーストステップとして院内助産所、それから助産師外来、これをまず充実させる、その中で有床助産所というのも充実していく。  今、本当に残念ながら、助産師の活用が十分いってないんですね。十九条の問題は、これは運用でもうほぼ、ほぼというか、全県やり終えたと思います。したがって、それを超えてやるためには、まず皆さん方に院内助産所、それから外来含めて、これがいかに大事かということを定着させる中で有床の助産所ということも整備ができればと考えております。
  301. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。大臣の御認識、大変うれしく思っております。我々もそういう方向に努力してまいろうと思っております。  そして、次ですが、我が国の出生率、これは平成十七年に戦後最低の一・二六を記録いたし、平成十八年には一・三二とやや増加したかなと思っておりますが、決して楽観できる状況にはございません。少子化による人口減少は労働力人口の減少、年金とか又は高齢者医療又は介護費の拡大など、我が国の経済社会に様々な影響を与えていることは周知のことでございます。政府におかれましても、平成六年のエンゼルプラン以降、各般に対策を講じてきていただいておりますけれども、特効薬が見当たりません。大きな効果を上げることができていないとも言えるのかも分かりません。  多くの国民が子供を二人以上持ちたいと考えているにもかかわらず、子育てしながら安心していく環境が整備されていない、仕事と家庭の調和を図るのが困難である、そういった理由で出産をためらう現状にもあります。こういった問題に対応するために、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議や仕事と生活の調和推進官民トップ会議で議論が行われ、昨年十二月に重点戦略が取りまとめられております。  しかし、今日お手元に資料をお配りいたしましたが、これは内閣府で作成されたものでございますけれども、例えばGDPに占める家族関係の社会支出の割合は、日本の〇・七五%に対してイギリス、フランス、ドイツ、スウェーデンなどの欧州諸国は二から三・五%であり、家族政策全体の財政規模が日本は小さいと言わざるを得ない状況にあります。また、社会保障給付、もう一つのページでございますが、社会保障給付の中で児童・家庭関係給付の占める割合も依然として少なく、もう一目瞭然であります。平成十七年度社会保障給付約八十七兆九千億円のうち児童・家族関係給付費は約三兆六千億円と、四・一%にすぎないのです。  子供は社会の宝であるとよく言われております。本当に宝であるとみんな考えているなら、この割合を増やすべきではないかなと思っております。子供を産み育てたいと思う人たちが安心して希望をかなえられるような社会にするため、子育て減税を含めながら、子育て家庭への経済的支援策、いろいろございますが、その拡充が必要であると考えます。  そういう意味で、内閣府の見解をお伺いし、後で厚生労働大臣の一言いただければうれしいと思います。
  302. 柴田雅人

    政府参考人(柴田雅人君) 今、南野先生のお話にも少し触れておられまして、ちょっと重複するのをお許しいただきたいと思いますが、昨年の末に策定された重点戦略では、今、働き続けることとそれから結婚して子供を持つこと、そのどちらかを犠牲にしなきゃいけないというような状況がありますので、これを解消するというのが最優先課題だということで、二つ大きな柱を立てています。  一つは、働き方の見直しによる仕事と生活の調和を実現するということが一つと、それから、働き方の見直しをしますと、例えば短時間労働とかそういういろんな労働の形態が出てまいります。そういうことに対応した保育サービスなどの子育て支援策を再構築すると、これが重点戦略の大きな柱になっております。  この働き方の見直しにつきましては、今までは労使の自主性にゆだねられていたわけであります。そこは変わっていないんですけれども、今度は政労使トップの合意によって物事を進めようということですから、社会全体を動かす契機になっているというふうになったというふうに考えております。これからは魂を入れていくという段階じゃないかと思います。  それから、保育サービスなどの子育て支援策でございますけれども、今申し上げましたように、短時間勤務なんかの多様な働き方に対応できるように、普通の保育所の整備はもとよりでありますけれども、家庭的保育の活用とかあるいは事業所内保育所の活用とか、あるいは小一の壁とよく言われておりますけれども、義務教育である小学校低学年の生徒のための居場所づくりというのを進めるということでございます。  こういうことを進めることによって、重点戦略では試算もしております。試算の考え方というのは、今申し上げましたように、働き方を見直す、そういうことによって女性の就業率が上昇する、それに伴って保育ニーズが増える、そういうことを計算の前提といたしまして、大体一兆五千億から二兆四千億の費用が掛かるんではないかという試算もこの重点戦略の中では示しております。これは今後財源が必要になってくるときの議論の材料としてお示ししたという形でございますから、そんな形になっております。  それから、現金給付の方でございますけれども、これは児童手当についてもこれは幾つかのケースを試算しております。一万円、二万円、三万円といういろんなケースを試算して所要額をお示ししてございます。今、経済的な支援が大事ではないかということでございますけれども、今後、経済的支援、例えば今児童手当でございますと、新たに今の制度を前提に一律三万円で中学校いっぱいまでということで試算しますと、五兆円前後のお金が必要になってくるということでございます。  ですから、これからどれだけその財源を確保できるかという問題にもなると思いますけれども、我々の考え方としては、この現物給付と現金給付というのをバランス良く展開するということが必要なんじゃないかと。限られた財源の中でどちらを優先するかといえば、やはりまずその現物給付というところから優先していくのかなというような考え方でこの戦略というのは整理されているわけでございます。
  303. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まさに未来への投資として少子化対策を位置付ける必要があるというふうに思っております。  一つは、やはり我々は働き過ぎ、働き方の改革をやらぬといかぬと。ワーク・ライフ・バランスということをやらぬといかぬので、私は先般、就任半年、厚生労働省の職員に、いつまでも真夜中までこうこうと厚生労働省の電気がついている、何やっているんだと、とにかくそういうことであっちゃいけないと。  私は、国会議員というか委員の立場のときには、なるべく早く質問通告する、分かり次第。そして、もう早く帰れと、本来の仕事をしろと、そういうことを言っておりました。本来のというのは、もちろん国会は国権の最高機関で大事です。だから、今はもうこれは非常に変則的でこういう状況ですから、直前にしか委員会が決まりません。だから、例えば、もう前もって、相当前に分かっているときは質問通告を早くするというようなことで、まず隗より始めで、私は厚生労働関係のこういうこともきちんとやっていきたいと。  それで、働き方、これは今私の経験から申し上げましたけれども、いろんなところでやはり労働者の権利を守っていくんだと。とにかく、先般、津田弥太郎委員がおっしゃったように管理者名ばかりであってとにかく働きずくめだと。こういう状況を改めないと、子育ても何もできない。だから、やっぱり働き方の改革が一つ必要だと。  それからもう一つは、子育て支援なんですが、私は、老人の介護に対しては相当進んだと思っております。それに引き換えて、両方今経験しているものですから、子育ての方の支援体制は遅れています。それで、新待機児童ゼロ作戦ということで新を付けたのは、今後三年間で集中的にこれをやろうということで、やろうと思っています。そして、これは社会保障審議会であるとか社会保障全体の国民会議ができましたので、こういう中で議論をしていきたいと思います。  私の所管じゃないですけど、委員、これもう一つ実は私が思っているのは、非常に大きな少子化の原因があると思うのは教育です、教育問題です。つまり、今の教育制度の下で、きちんと子供を例えば私立、幼稚園から大学までずっと私立に行ったら何千万掛かると思いますかということなんです。たしか二千万ぐらい教育費だけで掛かるんです。公立でやったって、やれ補習授業だ塾だ予備校だって入れないと中学校へ上がれない、高等学校へ上がれない。それで、全部国公立でやっても七百万ぐらい掛かるんです。そうすると、二千万掛かる、三人子供つくったら六千万でしょう。そりゃ子供つくれません。そのいい例がというか、そのもっと極端な例が韓国なんですよ。韓国は物すごい受験地獄でもっとお金が掛かる、一人ですよ。もっと日本より少子化がひどくなっている。  ですから、私は、単に厚生労働省管轄のこの問題だけじゃなくて、我々はもっと議論をして、どこに本当の原因があるか、それは住宅の問題とかいろんなこともあると思いますが、私は実はこの背景に教育の問題があるのではないかなということを思っております。
  304. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございます。  今お二方からお話いただきました。魂を入れてくださる内閣府、そして未来への投資をいろいろ検討してくださっている舛添大臣、これがいつ実現するのかというのが問題でありますので、期待して待っております。是非、この丸印も、少子化対策の苦労がうんとうんと大きくなることも予測いたしております。よろしくお願いしたいです。  次に参りますが、母体や胎児の健康確保を図る上で妊婦さんの健診、これは大変重要なものであることはもうすべての方が御存じだと思っております。しかし、昨今、経済的な負担などから妊婦健診を受けずに出産されようとする方が増加しているとも聞いております。また、各地で問題となっている妊産婦さんたちのたらい回し、それに健診費が掛かるため妊婦健診を受けずに、我々の言葉では飛び込み出産、飛び込み入院と言っていますが、そういうことをしようとすることが一つの原因であるということも指摘されております。  受診することが望ましい健診回数というのは、我々医療界の人間だったら全部知っているはずですが、妊娠全期間を通して十四回程度と言われております。公費負担回数の全国平均は今二・八回、平成十九年の八月の調査でありますが、自治体間におきましても格差が生じております。平成十九年度予算におきましては、妊婦健診を充実するための地方財政上の措置を講じ、五回を基準として公費負担を充実するよう自治体に促しておられることを伺っております。  しかし、これではなくなりません、たらい回しは。仮に、標準的な診察回数である十四回まで無料とすると、これは単純に計算すると四百五十億円ぐらい要るんですが、今の厚生省の計算では、子宮がん検診等を含めて千三百億と言われております。言い過ぎたらごめんなさい。しかし、先ほどお尋ねしたとおり、次代を担う子供たちへの投資を惜しんではならないということが今必要な日本状況であると思います。十年で区切るか二十年で区切るか、一度それをしてみる、試してやってみると、そして回復したらまた次に新しい法律で作り上げればいい、法律は生きておりますから変えていかれていいはずであろうかと思っております。  次世代を担う子供たちへの投資は惜しんではなりません。妊婦健診につきましては、国が責任を持って財政支援を行い、望ましい回数を受診できるよう徹底すべきと考えております。地方自治体に任せているからあなたの裁量よという冷たいことを言わずにしていただきたいと思っております。  また、この健診は当然助産婦も行える。また、家庭におけるニーズがあった場合、家庭における健診も必要なときがあります。そういうときのことも御配慮いただきたい。安心、安全のお産を望んでいる一人でございます。
  305. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今委員おっしゃったように、この無料健診、五回までできるんですが、実は二・八回。秋田県なんかは十回やっています。自治体によって差があります。私が就任してすぐ、いわゆるたらい回し事件があって、妊婦さん、奈良から大阪まで搬送されると。この方も実は一度も健診を受けておられなかったと。最初から妊娠しているということをおっしゃっていただければ救急車の対応ももっと適切にできたんじゃないかなということも考えます。  そういう意味で、何とかこの回数を増やせればということで地方財政上の措置を講じていますが、今後またこの問題について来年度予算に向けて努力をしてまいりたいと思います。  それから、昨年の六月に既に、助産師もこの無料健診の券が使えるというか、こういう資源を活用していいんですよということを申し上げていて、なかなか定着しておりません。今の南野委員、それから先般福島委員も御質問してくださったと思いますけれども、こういう委員会審議の場を通じてこのことが相当定着してまいりましたんで、引き続き、助産師のみならず地域の資源を活用できるような公費負担ということで、今おっしゃったように未来への投資でありますから、私はこの日本の国家百年の大計を考えれば、今の委員の四百五十億円というのは決して高いお金ではないというふうに思いますんで、今後引き続き努力を重ねてまいります。
  306. 南野知惠子

    南野知惠子君 舛添大臣の優しさが身にしみてくるようでございます。どうぞそれを実現化していただきたいというふうに思います。こちらにもドクターがおられました。民主党の方にもドクターがおられました。ドクターも一緒になって頑張っていただきたいことだと思います。  次は、少子化の背景の一つとして、最近の都市化、また核家族化に加えて地域の人間関係の希薄化、先ほど舛添大臣は教育ということもおっしゃっていただきましたが、そういう子育て中の親への育児の不安感が、また負担感の増大が、育児の孤立化が挙げられると思っております。  このような事態に対応するため、平成十九年度から、生後四か月までの乳児がいるすべての家庭を訪問し、子育て支援に関する情報提供、また養育関係の把握を行う生後四か月までの全戸訪問事業、いわゆるこんにちは赤ちゃん事業が実施されております。さらに、今国会には児童福祉法改正が提出されておりまして、こんにちは赤ちゃん事業を法律上位置付けようということでございます。子育てに対する孤立感を解消するためには、こんにちは赤ちゃん事業は大変有効であると思いますし、事業の充実を図るべきであると考えておりますが、こんにちは赤ちゃん事業の実施状況、また今後の取組方針についてお伺いいたします。
  307. 村木厚子

    政府参考人(村木厚子君) 先生がおっしゃられましたように、生後間もない赤ちゃんを抱えている家庭、特に核家族化が進んでおりますので、大変母親が周囲から孤立をして、支援がないままでいるという現状が起こっております。それから、虐待による死亡事例も、そのうちの約三割がゼロ歳児が占めているというようなこともございまして、虐待の予防の観点からも、産後間もない家庭への支援というのは非常に大事だというふうに考えております。  御紹介いただきましたとおり、十九年度から生後四か月までの赤ちゃんのいる家庭すべてを訪問するという通称こんにちは赤ちゃん事業という事業を始めたところでございます。この事業を事業化する前から、先進的な自治体で全戸訪問をしていらっしゃる自治体がありましたので、そういったところの事例も集めまして、事例集を作成、配付するなどして自治体に普及をお願いをしたところでございます。  十九年度におきまして、市町村のうちで約六割の市町村がこの事業を実施をしていただいているというところでございます。しかしながら、是非私ども、これすべての市町村でこの事業を実施していただきたいというふうに考えておりまして、この国会に提出させていただきました児童福祉法等の一部を改正する法律案において、この事業を乳児家庭全戸訪問事業として法律に位置付けたいということで法案提出をしております。市町村にその実施について努力義務を課すというものでございます。  また、本年度の予算措置でございますが、子供を守る地域ネットワーク、市町村で関係者のネットワークをつくっていただきますが、これと連携をしてこんにちは赤ちゃん事業を展開をしていただくというようなことをやっていただきますと、次世代育成支援対策交付金の加算ポイントを配分するというような工夫をいたしまして、自治体への普及を図っているところでございます。  こうした取組を通じまして、またこれから自治体の意見なども十分お伺いをしながら、こうした事業の普及に努めてまいりたいと考えております。    〔委員長退席、理事谷博之君着席〕
  308. 南野知惠子

    南野知惠子君 やはりいろいろな県又は市町村、そういった格差がないようにお目配りいただきたいというふうに思っております。  子供の成長におきましては、家庭的な環境の下で親を中心とする大人の愛着関係の形成が重要であるというふうに思っております。家庭的な環境の中で養育する里親制度、養子縁組制度については、家庭的養護の有効な手段として今後更にその活用を図るべきであると考えております。しかし、日本におきましては、こういう里親制度、養子縁組制度が諸外国に比べて余り普及していないのが現状であります。  そこで、親が養育できない新生児を匿名で預かる熊本市の病院の赤ちゃんポスト、こうのとりのゆりかごに昨年五月運用開始以降、計十六名が預けられたと聞いております。県外からも駆け付けてこられております。失われたかもしれない命が救われたという点においては大きな意味があるのではないかと考えております。また一方、病院や熊本市が設置した相談窓口には、全国から望まぬ妊娠などに悩む母親から相談が急増しているとのことであります。  里親や養子縁組制度が余り普及していない現状において、親の養育不安、育児不安、それらの解消のために相談体制を、何らかの理由で親が子供を育てられない場合に子供を保護するような体制がまだ不十分なのではないでしょうか。大切な子供の命を守るためにも、保護を必要とする親や子供の受皿となるような社会的環境の整備が必要だと考えます。  子供への虐待の多さ、今も御報告ございましたが、むごさ、これに驚くとともに憤りに似た感じを持っております。他者への思いやり、認め合う心、それらの希薄感を痛切に痛感するこのごろでもありますが、大臣、御見解を教えてください。
  309. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今、熊本の赤ちゃんポストの例が出ましたけれども、いろんな事情によって保護者が育てられないと。この場合は、もう日本の場合四万人ぐらいだと思いますけれども、とにかく施設に入る。だけど、やっぱり温かい家庭環境の中で里親制度というような形で育てられるという、これは恐らくまだ三千四、五百人のレベルでしか行っておりません。これをこれから受皿として伸ばしていくということが非常に必要だと考えております。  そこで、二十年度予算では、まず里親制度、これは養子縁組を前提としたものとは別の制度ですからそこははっきり申し上げた上で、里親手当を引き上げる。具体的には、月額一人目三万四千円だったのを大幅に七万二千円に引き上げると、こういう形での措置をとりました。それから、これは里親になってくれる方だけじゃなくて、やっぱり地域の皆さん方にも御支援を賜りたいということで、施設とかNPOなどに委託して総合的に実施するような里親支援機関事業というようなことも創設いたしました。そういうことによって、本当に温かい家庭環境の下で大事な私たちの子供が育っていくと、そういう制度の更なる充実を図りたいと思っております。
  310. 南野知惠子

    南野知惠子君 大臣、大切なことだと思います。一人一人の命を大切にすることが少子化の対策にもつながっていくのではないかなと思っておりますが、人工妊娠中絶、これは女性の心身に大きな影響を及ぼします。平成十八年度の人工中絶件数は約二十八万人。この方たちが生まれてくれていたらなと思うこともございます。その二十八万件でありますが、依然として高い水準を推移しております。特に、二十歳未満の人工妊娠中絶件数を見ますと、平成十八年度では約二万七千件となっております。十代の望まない妊娠を予防することは大変重要であります。  安全な避妊についての知識の普及や、女性が主体的に避妊を行うことができるようにするための避妊の知識の普及等を推進していくことが必要であろうかと考えております。女性自身、自分自身の心を見詰め、体の発達、変化を知ると同時に、命の大切さを自覚してほしいと若い人たちに思いますが、学校教育においては適切な性教育の推進として、今後の性教育の、いわゆる生命の、命の教育でありますが、在り方として必要な検討を進めているとされております。  これについての文科省の検討状況、さらに厚生労働省における知識の普及や相談制度の拡充等の取組状況についてお伺い申し上げます。
  311. 田中敏

    政府参考人田中敏君) 文部科学省でございます。  先生御指摘のとおり、学校における性教育は、命の大切さ、これを教えるとともに、性に関する健康問題について児童生徒が正しく理解をし、適切な行動を取れるようなことをするために実施をしているというところでございます。  中央教育審議会からは、子供たちが性に関し適切に理解をし、行動することができるようにするため、心身の発達、発育と健康、性感染症等の予防などに関する知識を確実に身に付けること、生命の尊重や自己及び他者の個性を尊重すること、相手を思いやり、望ましい人間関係を構築することなどを重視をして、体育科、保健体育科などの教科と特別活動等で教える内容を相互に関連付けて指導することが重要であるという答申をいただいてございます。  文部科学省としては、学校において適切で効果的な性教育が行われるように、一般の教員等を対象とした指導講習会の開催、あるいは個々の学校の実情に即して効果的な授業方法の開発あるいは普及を目的とした実践研究、これは研究団体に委託をし実施をしているものでございます。また、そうした実践研究において得られました知見等を活用して、各地域の教員等や指導する者の養成を目的とした性に関する教育普及推進事業ということを各都道府県教育委員会に委託をして実施をしているところでございます。また、現在、全国の学校にとって参考となるような事例集ということを収集、分析をいたしまして、実践事例集の作成ということを手掛けているところでございます。  学校における性教育ということは、児童生徒の発達段階に即した時期、内容ということで実施をすること、あるいは学校全体で計画的に取り組むこと、そして保護者にきちんと説明をして共通理解を図った上で実施することということが重要であるというふうに考えておりまして、そのとおり各学校では実施をされているというふうに承知をしているところでございます。  こうした取組を通じて、今後とも学校において適切で効果的な性教育が行われるよう努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  312. 村木厚子

    政府参考人(村木厚子君) 厚生労働省でございます。  先生御指摘のように、十代の妊娠中絶、まだかなり高い件数がございます。健やか親子21、これは二十一世紀の母子保健分野の国民運動計画でございますが、この中で、思春期の保健対策の強化と健康教育の推進という項目を挙げておりまして、特に十代の人工妊娠中絶実施率の減少というのを目標として掲げているところでございます。    〔理事谷博之君退席、委員長着席〕  具体的な事業としまして、例えば思春期クリニック事業ということで、これは医師や看護師の方ですが、これが電話や面接等で思春期相談を受けると、こういう事業を展開をしております。また、妊娠について悩んでいる者に対する相談、援助事業ということで、これは助産師の方々にも御協力をいただきまして、性に関する健全な意識を持ち、性差を十分に理解してお互いを尊重し合うとともに、責任ある行動の涵養を図るというようなことを目的としまして、その必要な知識を普及を図ったり、またアドバイス、カウンセリングを行ったりというような事業をやっております。また、女性全般、思春期に限らずでございますが、女性の健康支援を行う女性健康支援センターでもこういった思春期の相談に応じるというようなことをやっております。  こうした事業を通じまして、思春期の保健対策にしっかり取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
  313. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございます。  御両者の御意見をお聞きいたしました。厚生労働省方々の場合には具体的に物事を進めてくださっております。教育の段階では私、少し遅れているんじゃないかなというふうに思います。性教育を体育科の先生がなさる、又はかつては理科の先生がしておられたことがありました。理科の先生が性教育されるときは雄しべと雌しべで教えておられる。それはもう古い古いことであろうかというふうに思います。  そういう意味では、今、日本で初めてつくった制度である養護教諭が学校教育の中にあるはずです。それをどうしてお使いにならないかといったら変な言い方ですが、活用していただきたい。そして、その人たちが担任の先生と子供と家庭をきれいに三角関係で結んでいけるような形をつくっていこうとしているのが今文部省における動きであろうかと思っておりますので、そういう形の中で展開していただき、今厚生労働省の御説明にありましたように、いろいろなマンパワーを利用していき、活動をしていただきたい。子供に性教育を教えることは寝た子を起こすということではないということをしっかり考えていただき、ジェンダーフリーのような間違った指導はしないでいただきたいというふうにも思います。  さらに、その次、移行させていただきたいと思います。  子宮頸がんにつきましては、国内では年間約八千名が新たに診断されており、また約二千五百名が亡くなっていると聞いております。昨日もテレビで放映されておりました。子宮がんの原因ウイルスは多くの人は免疫ができてウイルスが体内から消えますけれども、数%の人はウイルスが感染し続けると言われていると聞いております。ワクチン接種を受ければ、ウイルスに対する免疫ができて感染を防ぐことができるわけであります。アメリカやフランスでは二〇〇六年に子宮頸がんを予防するワクチン予防が可能となりました。これはワクチン、ガーダシルが承認されて、ワクチンは今世界で百一か国が承認されております。  私は同じくこの委員会で御質問したと思いますが、昨年の十二月六日に説明させていただいたときには八十五か国だったんです。今百一か国になっているんです。四か月たつ間に十六か国が増えていっている。その国の女性は幸せだなと思います。日本はまだまだ子宮頸がんで亡くなる方たちを減少させることができない。特に、最近は若い人が子宮頸がんにかかっております。それも昨日テレビで放映されております。一般国民は見ていることだと思います。ワクチンの早期承認が重要であると思います。  日本が女性に優しいナンバーワンの国、これはちょっと難しいかも分かりませんが、いいところに入っていただきたい。女性を愛している国が先ほどの三か月間で百一か国まで大きな承認を伸ばすことができたというふうに思います。日本の男性も、大臣以下、優しい方がそろっておられると思いますので、なるべく早く子宮頸がんのワクチンの承認をしていただけるよう、お取り計らいいただきたいと思います。
  314. 高橋直人

    政府参考人(高橋直人君) お答え申し上げます。  御指摘の子宮頸がんのためのワクチンにつきましては現在開発中ということでございまして、現在二社が国内での開発を進めております。それで、薬事法に基づく承認申請も出されているところでございます。また、このいずれの会社につきましても、現在子宮頸がんの原因と考えられますウイルスの感染に対する予防効果が持続するかどうかについて、日本国内での治験を実施しているというところでございます。  私ども厚生労働省といたしましては、引き続き治験が適正かつ迅速に実施されるよう指導いたしますとともに、治験の結果が得られた際には速やかに審査を行いたいというふうに考えております。
  315. 南野知惠子

    南野知惠子君 それはいつごろになるでしょうか。ちょっと突っ込んでお尋ねしたいと思います。待ち切れないと思います。
  316. 高橋直人

    政府参考人(高橋直人君) 治験そのものは、これは科学的なデータにきちんと基づいて行わなければいけません。これは現在治験中でございますので、その終了予定はいついつということはちょっと確たることは申し上げられませんが、その辺は来年、あるいは再来年には掛からないんではないかと、終了がですね、それぐらいの感じで現在私どもメーカーの方から聞いております。
  317. 南野知惠子

    南野知惠子君 二十一年ごろとも聞いておりますが、後ろから資料をお持ちの方、そうじゃないでしょうか、是非いい形でこれを展開していっていただきたいものというふうに思っております。  次は、ちょっと変わりますが、国連ミレニアム開発目標についてお伺いしたいと思います。  二〇〇〇年に、国連ミレニアムサミットにおきまして、開発と貧困、人権などについての国際社会の行動を呼び掛ける国連ミレニアム宣言が採択されました。翌年、この宣言に従ってミレニアム開発目標が取りまとめられており、二〇一五年までに国際社会が達成すべき八つの目標が掲げられております。その目標の中に、DGs四というのが乳児死亡率の削減、それから五というのが妊産婦健診、妊産婦の健康の改善、それから六というのがHIVエイズ、マラリアの感染等でございますが、その他の疾患の蔓延の防止が挙げられております。  日本は、他の援助国に先駆けて、G8九州・沖縄サミットにおいて感染症の重要性を取り上げ、沖縄感染症対策イニシアチブを発表し、国連医療分野への支援に尽力していると聞いておりますし、多くの国々は日本に対して大きな期待を寄せております。また、今年の夏にはそれを受けた洞爺湖サミットが予定されておりまして、ミレニアム開発目標達成のため、日本が一層主導的、積極的に取り組む必要があると考えますが、今後の取組についてお伺いいたします。外務省、お願いします。
  318. 大江博

    政府参考人(大江博君) 今年は国連ミレニアム開発目標の中間年に当たります。そして、今お話があったように、今年は夏にはG8の北海道洞爺湖サミットを日本は主催しますし、その前には第四回アフリカ開発会議、これはTICADⅣと言っておりますけれども、それも日本が主催いたします。我が国は、そのような会議の中で保健分野を開発・アフリカの文脈の中で焦点の一つであるというふうに位置付けておりまして、国際保健協力に関する議論を主導していきたいというふうに考えておるわけでございます。  このような観点から、昨年の十一月、高村外務大臣は、御指摘の国際保健協力に関する政策演説というのをやりまして、国際社会が共有する行動指針の策定を提案いたしました。我が国といたしましては、そのTICADⅣ、G8サミットの開催という機会を最大限に利用して、感染症対策、それから母子保健、保健システム強化のために包括的で全員参加型の協力に向けた指針を打ち出したいというふうに考えております。  保健分野の具体的な成果については、現在、G8保健専門家会合において議論を進めておりまして、まさに昨日、今日とこの会議を東京でやっております。引き続き、厚生労働省等と連携を取りながらG8各国との議論を深めてまいりたいと思います。
  319. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございます。必ず成功していただきたいと思いますし、我々が近しくしている看護連盟、また看護協会、助産師会等々、全国で看護の日とか助産師の日とかいろいろなイベントがございます、その中でG8サミットに向けての地方の方々への見識を広めていくいろいろな活動をしておりますので、是非この成功をお願いしたいと思っております。  次に、看護の問題でちょっとお尋ねしたいんですが、看護、介護の人材の観点からでございます。  看護師数はここ数年の間にもかなり数が伸びてきているというふうに思います。平成十八年には就業看護師等の数は約百二十万人となっております。しかし、二〇〇六年度において新卒看護職員の約一割が離職するとの調査結果もあります。その背景には、基礎教育修了時点で備わっている能力と現場で求められる能力のギャップが大きいことが挙げられております。卒後臨床研修と併せて、卒業時点での能力アップのため看護基礎教育の充実が必要とされるのではないかという話題が今持ち切りであります。実際の教育現場でも約七割の養成所教員が教育期間延長した方がよいと考えているとも聞いております。  今年の一月から厚生労働省において看護基礎教育のあり方に関する懇談会が行われております。検討会の状況及び今後の見通しについてお伺いし、また看護基礎教育を三年から四年にするということについて政府の御見解をお伺いいたします。
  320. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 昨年四月に取りまとめられました看護基礎教育の充実に関する報告書の「将来を見渡す観点からの望ましい教育のあり方に関する抜本的な検討を別途早急に行う必要がある。」との提言も踏まえまして、看護基礎教育のあり方に関する懇談会を設置し、中長期的な視点からの看護基礎教育の在り方について有識者の方々に御議論をいただいており、本年六月を目途に論点整理を行うことを予定しております。  看護基礎教育の修業年限の延長につきましては、看護職員の資質の向上のための方策の一つであると認識しております。一方において、体制の確保や経過措置等を始め、様々な課題も想定されているところでありますが、懇談会における御議論も踏まえ、引き続き検討してまいりたいと考えております。
  321. 南野知惠子

    南野知惠子君 みんながそのように望んでおりますので、その方向で目的が達成されるようにいろいろと御配慮をお願いしたいというふうに思っております。  次は、平成二十一年度の介護診療報酬改定における訪問看護の評価についてお願いしたいと思っております。  高齢者の尊厳を守りながら医療費適正化施策を進める上で、住み慣れた生活の場における医療支援を充実させることは欠かせないことであろうかと思います。更なる高齢化の進行によりまして、在宅で医療生活を送る高齢者が増加しております。在宅で安心で安全な療養生活を送っていただくためには、病状の急変時等、入院が必要となった場合に円滑に入院できるとともに、患者の意向を踏まえた在宅での診療内容が入院先の医療機関で引き続き提供されるようにすることが重要であろうかと思います。その中で訪問看護の果たす役割は大きく、一層の充実が求められております。  しかし、現時点では、訪問看護ステーションの設置数、利用者数共に伸び悩んでおり、訪問看護の推進に向けた抜本的対策が急務であります。訪問看護ステーションにおける看護師の人材を確保するためには、適正な評価を行い、安心して働くことのできる条件を整備することが必要不可欠であると思います。平成二十年度の診療報酬改定では訪問看護の推進について評価がなされておりますけれども、訪問看護ステーションの経営安定化のためにはその介護報酬の抜本的な見直しが不可欠であります。  訪問看護事業については、全国訪問看護事業協会、看護協会など複数の団体がかかわっているところですが、これらの団体への公平な支援と介護報酬の見直しについてお伺いいたします。さらに、訪問看護ステーションの安定的な運営のために、報酬面の評価の見直しだけでなく、国として将来的な訪問看護ステーションの設置目標を掲げ、医療計画や介護事業計画に訪問看護の推進策が盛り込まれ、それが実行されますよう制度的なバックアップを検討すべきであると考えますけれども、政府の御見解をお伺いいたします。
  322. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 訪問看護ステーションについてのお尋ねでございますけれども、今訪問看護ステーションで働いておられる看護師さんの数は二万七千人ぐらいでございます。全体の就業者の方の二%ぐらいということで、必ずしも増えていないという状況でございます。一方、利用者の方はかなり増加しつつあるということで、その意味ではこの訪問看護ステーションをどうやって充実させていくかということは大変大きな課題であるというふうに思っております。  介護報酬でございますけれども、基本的には看護師の賃金なども含めまして、介護サービスによる平均的な費用全体を調査をして、その結果で設定をするということになっております。  お話ございましたように、平成二十一年の四月に介護報酬の改定を予定いたしておりますので、現在、事業所の経営の実態を調査をしております。この実態を十分に調査、精査をいたしまして、社会保障審議会の介護給付費分科会でまた御議論いただきまして、介護保険料の水準等にも配慮しながら適切な報酬の設定に努めていきたいというふうに考えております。  それから、御指摘のように訪問看護の関係の団体について幾つかございますけれども、私どもとしては当然公平公正な立場で対応しているところでございます。  それから、更にもう一点御指摘がございました介護計画における取扱いの話でございますが、介護保険法上は市町村が地域のニーズを的確に把握した上で介護保険事業計画というものを策定するということになっております。その介護保険事業計画の上では、居宅サービスなどの利用見込み量と、それからそのための確保方策というのを定めることにされておりまして、議員御指摘ございましたけれども、この市町村の介護保険事業計画におきまして、訪問看護サービスの利用見込み量、一応延べの利用回数ということで各市町村対応しておりますけれども、そういうものを設定するように、計画の中に盛り込むように対応しておりますので、問題はないんではないかというふうに考えております。
  323. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 医療計画の関係でございますけれども、訪問看護ステーションについては、特に在宅医療分野において診療所、病院、薬局等と連携して必要な役割を担っていただくものと認識しております。そこで、都道府県向けの医療計画作成ガイドラインにおきまして、訪問看護ステーションや診療所などの関係者がどのような連携体制により在宅医療の機能を担っているのか分かりやすく記載することが重要と位置付け、また、計画の進捗状況を評価するための指標についても、例えば訪問看護ステーションの数が考えられる旨を示しております。  この四月から、都道府県が新たな医療計画に基づいて医療連携体制の推進に取り組んでおり、国としても必要な支援に努めてまいりたいと考えております。
  324. 南野知惠子

    南野知惠子君 利用者が不安のないような形で御計画よろしくお願いしたいと思っております。  次は、道路交通法の一部改正によりまして駐車違反に対する取締りが最近強化されております。訪問看護、介護車両もその対象とされております。しかし、利用者の状態が悪化したり急変したりしたときに、昼夜を問わず駆け付ける緊急時訪問看護の場合には、遠距離の駐車場に止めたのでは仕事がなかなかうまくいかない。利用者の生命の安全にかかわる問題ともなりかねないということでございまして、こうした緊急時の在宅医療、介護車両に対する柔軟な運用について警察庁から都道府県レベルで協議を行うよう要請されているところであります。しかし、現実には県警などに働きかけても状況が改善されない、又は緊急時やターミナルケアの訪問看護に支障ができるということが懸念されております。  訪問看護を利用する患者様方に生命の安心、安全は全国共通に保障されるべきであると思います。訪問看護、介護、助産等の場合には医師と同じように駐車除外として駐車に対する柔軟な対応の配慮をお願いしたく、警察庁の方に御見解をお願いしたいと思っております。
  325. 末井誠史

    政府参考人(末井誠史君) まず、訪問看護等のために使用中の車両が駐車禁止場所に駐車せざるを得ない場合につきましては、訪問先や車両が特定されておりまして、警察署長による駐車許可によって対応してきております。  警察庁では、一昨年、平成十八年六月からの新たな駐車対策法制の施行後の状況等を踏まえまして、昨年二月に全国の警察に対して駐車許可制度の運用の見直しを指示しております。具体的には、審査の迅速化はもちろんのことでございますが、繰り返して特定の場所に駐車する必要がある場合の一括許可の発行、夜間、休日における申請受理窓口の整備など駐車許可制度の運用の弾力化について指示をしており、例えば弾力化の具体的な場面といたしましては、電話やファクスを活用して緊急時に対応することができるようにしている例もございます。  今後とも、緊急時の対応の例も含めて、都道府県警察におきまして駐車許可制度の運用の弾力化の趣旨が生かされるよう、適切な対応が図られるよう更に指導してまいりたいと考えております。
  326. 南野知惠子

    南野知惠子君 緊急時の電話とかファクスとかというのはなかなかしにくいんです。自分がもう介護に行っている、自分がお産に行っておりますから、それを代わりにしてくれる人たちがいないわけでありますので、そういう緊急態勢のときにどのようにするのか、ドクターがお持ちの駐車除外ですか、こういうものについての配慮ももう一踏ん張りよろしくお願いしたいというところでございます。  次に参ります。  長期の在宅療養支援体制におきまして、在宅療養者の社会参加、交流の機会を喪失した家族の介護疲れを防ぐレスパイト機能を持つ療養通所介護の果たす役割の大きいものがあります。しかし、療養通所介護におきましては、重度の在宅療養者や家族のニーズがあるにもかかわらず、施設数が伸びていない。そのような状況にありますので、この背景には介護報酬上の評価が不十分であり、経営状態が非常に厳しいことが挙げられております。がんの末期、難病、中又は重度の要介護者で医療ニーズを併せ持つような重症の在宅療養者が自ら療養の選択肢を拡大できるようにするためには、療養通所介護に係る報酬の見直しが必要だと思いますが、老健局長の見解をお伺いします。
  327. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 療養通所介護についてのお尋ねでございますが、平成十八年の介護報酬改定で通所介護サービスの一類型としてこの療養通所介護というのを創設いたしました。  御指摘のように、現在、介護報酬の請求事業所数が四十六ということで、必ずしも多くない現状でございます。したがいまして、現在、療養通所介護の介護報酬の設定が低いことによってこの事業所数が伸び悩んでいるのかどうかということにつきましても、現在、事業者の経営実態の調査をして、十分実態の把握、分析を行いたいと思っております。  その結果、先ほども申し上げましたように、平成二十一年の介護報酬改定の際に、この調査結果を踏まえまして、国民が負担していただいている介護保険料等の水準にも十分留意しながら、関係審議会で御議論をいただいた上で適切な報酬の設定に努めていきたいというふうに考えております。
  328. 南野知惠子

    南野知惠子君 次の質問に移りたいと思います。  先般、新たな介護療養型老人保健施設のこの人員配置が示されましたが、既存の老人保健施設や特別養護老人ホームなどの介護施設におきましても、より質の高いサービスを提供し、入居者が安心して最期まで療養ができるよう看護、医療の体制が充実することを求められております。しかし、介護保険創設以来、入所者の高齢化、重度化が進む一方で、介護施設における看護師の配置基準は依然として低く、夜間や急変時の対応、みとりの実施について入所者の安全と安心を確保できる体制が整っている状況にはないと思われております。  みとりや入所者の重度化に十分対応でき、入所者のニーズに応じたサービスが提供できるよう、既存の介護施設における看護配置を見直すべきだと思いますが、見解をお伺いし、またあわせて、国として介護施設での看護師確保のための支援を行うべきと考えますが、御答弁をお願いいたします。
  329. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) お答えを申し上げます。  介護保険施設に入所されておられます要介護者が年々高齢化をし、また重度化しているという現状がございます。これにどう対応するかというのは大変私どもとしても重要な課題だという認識をいたしております。  平成十八年度の介護報酬改定におきまして、特別養護老人ホームにおきましては、看護師等における二十四時間の連絡体制の確保などを評価するような、重度化対応加算というような措置も講じております。  それからまた、最近でございますけれども、特別養護老人ホーム等におきまして喀たん吸引あるいは経管栄養などの処置を受ける入所者が増加する傾向にあるということがございまして、社会保障審議会の介護給付費分科会の下に設置をされました介護施設の在り方等に関する委員会におきましても、特別養護老人ホームにおける医療措置の必要性への対応、あるいは介護施設の職員の在り方について検討すべきだというふうな御指摘をいただいております。  したがいまして、私どもとしては、御指摘のような看護職の配置の問題も含めまして、介護保険施設における医療提供の在り方について、入所者に対する現在のサービス提供の実態についても十分把握しながら、関係審議会で十分御議論していただきたいというふうに考えております。
  330. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございます。  次の質問に参ります。  在宅で安心して医療が受けられるためには、看護だけではなく、福祉、介護の体制がしっかりと整備されていなくてはなりません。近年の福祉・介護ニーズの多様化、高度化に対応するため、昨年、社会福祉士及び介護福祉士法の改正を行い、また、福祉人材確保方針も策定されました。しかし、介護人材の確保必要性について、介護の現場でも、そして国会でも指摘されております。  人材を確保するには、一つには新しく人材を集めることと、もう一つは潜在的な有資格者の掘り起こしが必要になってきます。それには、賃金が十分でないなど待遇改善を求める声に対応するとともに、潜在的な有資格者を把握し、福祉・介護分野への戻ってきてもらうような働きかけが必要であると考えますが、政府の取組についてお伺いいたします。
  331. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  昨年八月に見直しをいたしました福祉人材の確保指針において、給与、働きやすい魅力ある職場づくりのための労働環境の整備の推進や、やりがいを高めるための研修等の確保などキャリアアップの仕組みを構築し、経営者や関係団体、国、地方公共団体が十分連携してやっていくと、総合的に進めていく指針の取りまとめを行ったところでございます。  今後、この指針に沿いまして具体的な施策が展開されるよう、平成二十年度においては、雇用管理の改善のための取組や、福祉・介護サービスに関する国民への普及啓発など、人材確保を推進するための予算を確保いたしておりますし、また、さきに予定されております介護報酬等の改定などにおいても十分考慮していかなければならないと考えております。  また、御指摘ございました、介護福祉士の資格を持ちながら介護の仕事に従事していない、いわゆる潜在的介護福祉士、約二十万人と推計されております。先般の資格制度の見直しの際も、委員会でも御指摘いただいております。こういった介護福祉士さんたちが介護の仕事に就くことができるように、定着化と、また再び職場に帰ってこれるための施策を講じたいと思っておりまして、今年度においては、そういった潜在的介護福祉士の離職理由等についての実態調査、それから、都道府県の福祉人材センターにおける、職場への復帰を希望する有資格者等に対する再研修等を行うこととしておりまして、これらの取組を通じまして、潜在的介護福祉士等の就業の支援、定着化に努めてまいりたいと考えております。
  332. 南野知惠子

    南野知惠子君 よろしくお願いします。実行あるのみでございますので、我々その実行を待たせていただきます。  看護の労働環境の整備についてお問い合わせしようと思いましたが、これはもう厚生労働大臣、しっかりと短時間正社員制度御存じでございますので、最後の質問に行きたいと思っております。  年金記録問題につきましては、この委員会でも度々取り上げられていますが、舛添大臣には大変御尽力をいただいております。本当に忍耐強いなと、頑張っていただいている姿に敬意を表します。  今月からすべての受給者へのねんきん特別便の送付が始まりますが、まだ問題は山積している状況であります。舛添大臣には、引き続きリーダーシップを発揮して、年金記録問題の解決に向けて取り組んでいただきたいと思っております。  最後に、舛添大臣に、年金記録問題について国民へのメッセージがありましたらお願いいたします。  これにて質問を終わりたいと思います。
  333. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 四月から九千五百万人の方々にねんきん特別便をお送り申し上げております。届きましたら、御家族の方も含めて是非御覧いただいて、そして、これは国民の皆さんの協力をいただければいただけるほど早く解明できると。  それから、二千万件余の、まだコンピューター上で解明できなかった点につきましても、漢字仮名文字変換のシステムを使ったり、それから住基ネットとの連動を図ったりして、引き続き努力を続けてまいります。  そして、私の下に特別チーム、作業委員会、これ今連日、一生懸命中に入って働いておりますんで、そういう力を得て、最後までこの問題に粘り強く努力をしてまいりたいと思います。  どうか国民の皆さん、よろしくお願い申し上げます。
  334. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。  終わります。
  335. 山本博司

    ○山本博司君 公明党の山本博司でございます。  午後は一般質疑ということで、視覚、聴覚の障害者の方たちの支援策と若年者雇用対策についてお聞きをしたいと思います。  初めに、視覚、聴覚の障害者の方たちへの支援策についてお聞きをいたします。  近年、全国の中途視覚障害者は、生活習慣病の一つである糖尿病の増加から増加傾向にあると言われております。  そこで、まず中途視覚障害の原因疾患はどういったものがあるのか、御説明をいただきたいと思います。
  336. 中村吉夫

    政府参考人中村吉夫君) お答えいたします。  視覚障害の原因疾患につきましては、平成十七年度に実施しました厚生労働科学研究の網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する研究におきまして、新規に視覚障害により身体障害者手帳の交付を受けた方から約二千人を抽出いたしまして調査を行っております。その結果によりますと、視覚障害の主原因疾患の第一位は緑内障二〇・七%であり、続いて糖尿病網膜症一九%、網膜色素変性症一三・七%となっております。
  337. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございました。  やはり糖尿病網膜症が主原因の上位に指摘をされております。  そこで、本年四月から生活習慣病の予防を図るための新しい健診制度である特定健康診査が実施をされることになりました。この特定健康診査における眼科健診の扱いはどのようになっているのでしょうか、お聞きをしたいと思います。
  338. 西山正徳

    政府参考人(西山正徳君) お答え申し上げます。  特定健康診査では、動脈硬化の程度等を把握するために、血圧のリスク要因を複数併せ持つ方で医師が必要と認める場合に眼底検査を実施することとしております。その結果、糖尿病が強く疑われる方に対しましては医療機関での眼科検査を受診していただくことになります。  いずれにしましても、糖尿病によります中途失明の防止は生活習慣病対策の重要な課題の一つでございまして、健康日本21においても糖尿病による失明発症数の低下を目標に掲げて取り組んでいるところでございます。
  339. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございました。しっかり予防の強化をお願い申し上げたいと思います。  こうした生活習慣病の増加が指摘をされている中では相対的に中途視覚障害者も増加傾向にあります。また、それに伴いまして歩行訓練士の需要も増大すると言えるのではないでしょうか。  歩行訓練士といいますのは、白いつえを使用して一人で歩行できるように指導する資格であり、全国で約三百名ほどの方々が活動をされております。私も広島県で活躍をされておられる歩行訓練士の方とお会いしお話を聞く機会がございました。広島市には一人しかそういう方がいなくて大変困っているという、そういうお話でございました。  今後の需要増大を考えましたら、こうした歩行訓練士の人数を増やして支援を拡充すべきであると、このように考えますけれども、この点、お答えをいただきたいと思います。
  340. 中村吉夫

    政府参考人中村吉夫君) お答え申し上げます。  視覚障害者に対する歩行訓練は、地域で自立した生活を送るために大変重要であると考えております。そのため、平成二年から国立身体障害者リハビリテーションセンター学院の視覚障害学科におきまして歩行訓練や日常生活訓練などを担当する専門職員の養成を行っておりまして、平成二十年三月末までに百七十三名の方の養成が終わっております。また、昭和四十七年から社会福祉法人日本ライトハウスに委託をいたしまして、歩行訓練や日常生活訓練などの指導を行う視覚障害者支援施設の専門職員を対象といたしまして研修を実施しております。平成十九年十月までに五百五名の方が研修を修了しておられます。  今後とも、視覚障害者に対します歩行訓練などの支援を行う専門職員の養成に努めてまいりたいと考えております。
  341. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。  次に、視覚障害者の方が多く従事をしておられるあんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師、いわゆるあはき業についてお伺いをしたいと思います。  あはき業を取り巻く状況といいますのは無資格者の横行により大変逼迫をしており、早急な対応が求められております。私も、どの地に行きましても視覚障害者の方にお会いしますとこのことを要望が出る状況でございます。  厚生労働省では、この医療類似行為に対する取扱いについての通知を出しておりますけれども、どのようになっているのか、御説明をいただきたいと思います。
  342. 外口崇

    政府参考人外口崇君) あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律においては、医師を除き免許を有さない者があんまマッサージ指圧、はり、きゅうを業として行うことを禁止しております。  法律の趣旨は、判例によれば、人の健康に害を及ぼすおそれのある行為を禁止するものであると解されております。法律上の違法行為が行われている場合には、各都道府県により衛生規制の観点から指導が行われ、また警察による捜査、取締りの対象となります。  厚生労働省としても、無資格者による違法の疑いが高い事例が存在することを踏まえ、各都道府県に対して医業類似行為に対する取扱い等の通知の発出や全国医政関係主管課長会議を通じて無資格者の取締り等について周知徹底を図っているところであり、引き続き適切に対処してまいりたいと考えております。
  343. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。無資格者が横行することのないように十分対処していただきたいと思います。  次に、聴覚障害者の方たちの就労支援についてお伺いをしたいと思います。  聴覚障害者の方々は約三十六万人、聴力の衰えた高齢者を含めますと約六百万人の方たちがおります。障害者の職業能力開発校や公共職業安定所に手話協力員が配置されていれば、聴覚障害者の方々の就労支援に役に立つと思いますけれども、この手話協力員の拡充についてどのように考えているか、お聞きをしたいと思います。
  344. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) 御指摘のように、聴覚障害者の方の場合、職業指導等を行う際にもコミュニケーションの問題がありまして、手話協力員が必須だというふうに考えております。  現在、二万四千時間分の時間数の手話協力員の予算を措置しておりますが、状況を見ながら必要な手話によります職業指導ができますように今後とも検討していきたいと、こういうふうに考えております。
  345. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございました。  さらに、視覚、聴覚障害者の方々が利用する補助犬についてお聞きをしたいと思います。  先日も聴覚障害者の方たちとお会いをしましたが、サミーという聴導犬と一緒でございました。その方たちのお話では、聴導犬の普及が盲導犬と比べると著しく立ち遅れている、全国でも聴導犬は十三頭しかいません、もっと普及できるように対応してほしいと、このような声がございました。また一方、徳島の視覚障害者の方からは、いまだに盲導犬の入店拒否をされてしまう、身体障害者補助犬法についてもっと啓蒙し遵守してほしいと、こういう御指摘もございました。  補助犬の普及状況と補助犬法遵守への対策について、この点をお聞きをしたいと思います。
  346. 中村吉夫

    政府参考人中村吉夫君) お答えいたします。  聴導犬などの身体障害者補助犬は、身体障害者の自立及び社会参加の促進を図る上で大変重要であると認識しております。身体障害者補助犬は全国で約千頭程度が実働している現状にございます。国民の補助犬に対する認識は必ずしも十分でないというのは、委員の御指摘のとおりであろうと思っております。  施設等において受入れが拒否される事例があったことなどから、昨年、補助犬法の一部改正が行われております。その内容といたしましては、一つは、この四月から都道府県等において相談窓口を設置すること、二つ目といたしまして、十月からは民間企業は勤務する身体障害者が補助犬を使用することを拒んではならないというふうになっております。  なお、都道府県においては補助犬を希望する障害者にその育成費用の一部を助成する事業が行われておりまして、毎年百五十頭程度の補助犬が育成されておるところでございます。  今後とも、ポスター、パンフレットなど様々な媒体を通じまして普及啓発を図り、身体障害者補助犬の役割の重要性につきまして広く国民に理解を深めていただきたいというふうに考えております。
  347. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございました。  是非とも補助犬の普及促進と法令の遵守という形でお願いをしたいと思います。  次に、若年者雇用対策に関しましてお聞きをしたいと思います。  いわゆる就職氷河期と呼ばれる一九九四年以降、フリーターの増大などが社会問題となり、若年者雇用対策が講じられてきました。特に二〇〇三年六月に政府が取りまとめた若者自立・挑戦プランが大きな転換点となって様々な施策が今日まで実施をされております。その施策が景気の回復と相まって大きな効果を発揮していると考えますが、今後もこれまでの施策を着実に推進して更に拡充が必要であると思います。  そこで、初めに、最近の若年層の雇用失業情勢はどのようになっているのか、フリーター及びニートの推移も含めて御説明をいただきたいと思います。
  348. 太田俊明

    政府参考人太田俊明君) 若者の雇用失業情勢でございますけれども、今お話ございましたような景気の回復、あるいは政府全体の施策の効果等々も相まって新規学卒者の就職状況は改善傾向にありますし、また、いわゆるフリーターの数も、ピーク時であります平成十五年の二百十七万人から平成十九年の百八十一万人と四年連続で減少するなど改善の動きが続いているところでございます。  ただ、しかしながら、まだ幾つか課題が残されているところでございまして、一つは、今もお話ございました、就職活動の時期が新卒採用の特に厳しい時期、いわゆる就職氷河期に当たって正社員となれないでフリーターにとどまっている若者、私ども年長フリーターと呼んでおりますけれども、二十五歳から三十四歳の方々につきましては、ピーク時であります平成十六年の九十九万人から七万人しか減少していないという状況もございます。  また、ニート状態にある若年無業者につきましても、平成十四年から十七年にかけて六十四万人で推移した後、平成十九年も六十二万人と、二万人の減少にとどまっておりまして、高止まりしているということでございまして、こういったことを中心として、まだ幾つかの課題が残されているというふうに考えているところでございます。
  349. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。  こうした状況の下で、厚生労働省ではフリーター常用雇用化プランを推進をしております。これまでの実績はどのようになっているのでしょうか、具体的にお答えをいただきたいと思います。
  350. 太田俊明

    政府参考人太田俊明君) フリーターの常用雇用化プランの実績でございますけれども、平成十八年度は、これは目標は二十五万人でございましたけれども、約三十六・二万人の常用雇用を実現したところでございます。  また、平成十九年度におきましては、改善が遅れている年長フリーターへの支援に重点を置いて、やはり二十五万人を目標に常用雇用化プランを推進してきたところでございますが、まだ全体集計中でございますけれども、今、平成十九年の十二月末時点までの速報値が出ておりまして、この時点で約十九・七万人の常用雇用を実現しているところでございます。
  351. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。  地域のばらつきがないような形での推進をお願いをしたいと思います。  さらに、ニートなどの若者の自立を支援するため、NPO法人とか、また民間企業などが参加をした形での、地域若者サポートステーションが設置をされておりますが、設置状況はどのようになっているんでしょうか。公明党としましても、以前より全国で百か所の設置を求めておりますけれども、現状について御説明をいただきたいと思います。
  352. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) この地域若者サポートステーション事業でございますが、平成十八年度からスタートしております。  地域におきます若者の支援機関のネットワークを構築し、その活用を通じてニート等の若者の自立を支援するものでございまして、利用者数、大幅に増加をしてきておりまして、一定の成果は出てきているのではないかなと認識をしておるところでございます。  また、各地域における若者支援を一層活性化させる観点から、平成二十年度におきましては、本事業をモデル事業から本格実施の事業に移行するということと、設置箇所数でございますが、五十か所から七十七か所に大幅に拡充をしまして、また、国と地方の役割を見直しまして、キャリアコンサルタントによる相談などの事業の基盤的事項については国が措置し、地方はその実情に応じた取組を行うよう役割分担をするということで、更に取組を強化することとしております。  それから、本事業につきましては、ニート等の自立支援のための重要な役割を果たしているというふうに考えておりますので、平成二十年度の実施状況等を十分に勘案しながら、引き続き事業の充実等に取り組んでまいりたいと考えております。
  353. 山本博司

    ○山本博司君 この地域若者サポートステーション、地域におけるネットワークの中核として重要な役割を果たしておりますから、積極的な推進をお願いをしたいと思います。特に、島根県ではいまだに地域若者サポートステーションが設置をされておりませんので、早急な対応をよろしくお願いをしたいと思います。  また、ニート対策という点では、サポートステーションなどの施設まで来ることができればまだよいのですけれども、なかなか家庭に引きこもって大変な方々はたくさんいらっしゃいます。そういう場合、現状が掌握できない場合が大変多くあるということで、そうした場合に、家庭を訪問をして現状を掌握をして、必要な支援を行って就労に導いていくという、こういう仕組みが求められていると思います。  この訪問支援事業についての概要を御説明いただきたいと思います。
  354. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) ニート状態にある若者の効果的な支援を図る上では、これらの若者が相談窓口に来訪するというのを待つだけではなくて、潜在的な対象者の家庭環境等に応じまして、支援機関側から家庭や関係機関等に積極的に出向いて、自立支援あるいは相談窓口への誘導を行う、こういった訪問支援が有効な手法であるというふうに考えております。  このため、平成二十年度から地域若者サポートステーション事業の拡充方策の一環といたしまして新たに訪問支援事業をモデル的に実施をし、事業の担い手となる訪問支援員の養成、あるいは訪問支援の実践等を行うこととしております。これによりまして、専門的なノウハウの蓄積、課題の検証等を行うとともに、その成果についてほかの地域若者サポートステーション等に普及させることを考えております。  この事業の実施に向けましては、これまで関係機関との連携の下、訪問支援を行います人材の能力要件、あるいは必要な環境整備、訪問支援を行う人材養成に資するカリキュラム、こういったものの検討を進めてきておるところでございまして、こうした成果も踏まえまして、事業計画を具体化の上、的確な事業実施者を選定して、モデル的な訪問支援の実践、成果の普及促進に努めてまいりたいと考えております。
  355. 山本博司

    ○山本博司君 早期対応を可能とするシステムの構築、大変重要でございますので、この訪問支援事業の拡充に取り組んでいただきたいと要望をいたします。  また、こうした地域若者サポートステーション、また若者自立塾などについては、私もこれまで広島県とか愛媛県の現地を視察してまいりました。そこでNPO法人とか民間企業の方々が自立支援に大変熱心に取り組んでおられました。あるNPO法人の方からは、予算が単年度のために、一年ごとに評価され、状況によっては次年度以降の継続が打ち切られるのではないかという不安を抱えているとの意見もございました。  これまでに数年間のノウハウの蓄積がありますから、利用者に対して年度を超えて継続的に安定的に支援ができるように柔軟に対応すべきと考えますけれども、御見解を伺いたいと思います。
  356. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) 地域若者サポートステーションにつきましては、毎年度の予算に従いまして、企画競争を通じて的確な実施団体の選定、契約を行っているところでございます。他方、本事業を効果的に推進する上では、議員御指摘の安定的な事業運営に配慮するということも重要な要素であるというふうに認識しております。  実施団体の選定に当たりましては、本事業やあるいは類似する事業の実施の実績を勘案しておりまして、この結果、平成十九年度に委託をしました五十団体につきまして、そのうち四十九団体については平成二十年度も引き続き委託をするということになったところでございます。  今後とも、厳格な事業評価を行った上で、安定性、継続性の確保等の観点にも配慮した実施団体の選定方法等の在り方について引き続き検討してまいりたいと思っております。
  357. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございました。  次に、今年度から新たに始まりました制度についてお聞きをしたいと思います。  まずは、ジョブ・カードの制度についてであります。  就労訓練歴が記載をされるジョブ・カード制度は、企業が求職者を客観的に評価するには大きな効果があると考えます。この制度の概要につきまして御説明をいただきたいと思います。
  358. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) ジョブ・カード制度につきましては、フリーターなど職業能力形成機会に恵まれない方々が正社員となることを目的といたしまして、最初にキャリアコンサルティングを受けていただきまして、その後、企業現場での実習それから教育訓練機関における座学と実践的な職業訓練を受講していただきまして、この訓練の評価結果、あるいは御本人の経歴等をジョブ・カードという形で取りまとめまして、これを用いまして就職活動などに活用をしていただく制度でございます。
  359. 山本博司

    ○山本博司君 この制度が成功していくためには、企業の協力が不可欠でございます。企業の実習と教育訓練機関による座学とを組み合わせたこの職業能力形成プログラムの充実が求められていると思いますけれども、こうした取組状況はどのようになっているのか、御説明をいただきたいと思います。
  360. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) 平成二十年度より新たにジョブ・カード制度において創設をいたしております有期実習型訓練の企業の実施状況でございますけれども、現在のところ、平成二十年三月より先行的に実施をしていただいている企業が一社でございます。訓練参加者は十七人。それから、四月中旬より実施していただく予定の企業が二社ございまして、募集人員がそれぞれ十人という状況でございます。
  361. 山本博司

    ○山本博司君 まだまだこれからだと思いますけれども、経団連を始めとした関係団体にも積極的に働きかけて、多くの企業が参加できる対策を取っていただきたいと思います。  いずれにしましても、フリーターを始めとする職業能力形成機会に恵まれない人たちが利用しやすい、魅力ある制度にしなくてはなりません。公明党もこの制度の実現を強く主張してきましたので、利用者を増やし、軌道に乗せることができるよう、全力で支援をしていきたいと思います。  そこで、このジョブ・カード制度の普及に向けた舛添大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  362. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) このジョブ・カード制度の普及のためには、多くの企業の皆さん方が職業訓練の機会を与えていただくことが必要でありまして、この度、日本商工会議所にお願いをいたしまして、中央ジョブ・カードセンターとか地域ジョブ・カードセンター、これ各都道府県で設置、運営しないといけないわけですけれども、これを委託したところでございます。  この地域のジョブ・カードセンター、これは、関係行政機関とか労使団体、教育界などの協力を得て具体的な普及方策、重点分野などを定めた地域推進計画を策定する、それから有期実習型訓練を中心に訓練プログラムを実施する企業を開拓し、訓練のコーディネートなどを行うと、そういう目的のセンターでございますけれども、こうした取組を通じてこの新しい制度を更に発展させ、定着させていきたいと思っております。
  363. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。  イギリスのNVQ制度、これは二十年以上の歴史を持ってこれまでに約五百六十四万人が資格を取得しているとのことでございます。我が国のこのジョブ・カード制度も着実に定着するよう御尽力をいただきたいと思います。  これまで見てきましたように、様々な施策が用意されており、また、ハローワークやジョブカフェ、地域若者サポートステーションなど、求職者に対する各種施設が近年増加をしております。利用者の便宜を図るためには、施設の機能やサービス、支援内容が分かりやすく記載をされているガイドブックとかパンフレットが必要になると思います。そうした観点から、若年求職者への周知広報体制はどのようになっているのか、お示しをいただきたいと思います。
  364. 太田俊明

    政府参考人太田俊明君) 今お話ございましたように、若者に対するサービス、機能とかサービスの内容、これを知っていただくということが大変重要であると考えているところでございます。  したがいまして、私ども各種のパンフレットでございますとか、あるいは厚生労働省ホームページを用いて幅広く周知広報を行うとともに、ハローワークやジョブカフェ等の来所者に対しましては、相談窓口におきまして本人にとって適切な支援サービスの案内、誘導等も行っているところでございます。  今後とも、二十年度からの新規事業も含めまして、若年者が利用可能なサービスの内容を分かりやすく周知するとともに、利用者のニーズや状態等に応じまして適切なサービスに案内できるように努めてまいりたいと考えているところでございます。
  365. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。  以上のように、若年者雇用状況というのは、それぞれの施策というのは功を奏して改善の兆しが見えてきたように思いますが、まだ緒に就いたばかりであり、これからが正念場だと思います。四月四日に発表されました政府の成長力強化の早期実施策にもこの若年者雇用対策が盛り込まれておりましたが、この課題は政府を挙げて取り組むべき課題だと思います。  最後に、舛添大臣に、更なる改善に向けた御決意を御確認をしたいと思います。
  366. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 雇用が安定しているということが社会の安定につながる、フリーターやニート、例えばこういう方々がきちんと結婚して家庭を持つということも困難になってきているわけですから、先ほど申し上げましたようなジョブ・カード制度とかフリーター常用雇用化プラン、そういうものを通じて若者の雇用拡大を図っていっておるところでありますけれども、これは本当に今の日本が抱える大変大きな問題ですので、今後とも全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。
  367. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。  今一貫してずっと若年者雇用対策のお話をしました。もう是非とも、これから大変大事な問題でございますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  以上で質問を終わります。
  368. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  牛丼チェーンのすき家、ここのサービス残業問題で三人の労働者がおととい、仙台労基署に刑事告発しました。経営者は一部上場企業のゼンショーですが、これ支払わない理由として、アルバイトは個人請負で労働者ではないから残業代の支払義務はないと主張している。しかし、この労働者は皆、雇用保険を始め社会保険に加入をしております。  最初に、厚生労働省に確認しますが、事業主が一方で個人請負だと言いながら、一方で雇用保険に加入させると、こんなことが認められるんでしょうか。
  369. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) お尋ねの点は労働者性の問題かと思いますけれども、基準法上の労働者というのは、事業又は事務所に使用されて賃金を支払われる者をいうということでありまして、指揮監督下の労働でありますとか報酬の労務対償性などに照らして判断されます使用従属性の有無、こういったもの等を総合的に勘案しまして個々具体的に実態を見て判断をしているわけでありますが、社会保険につきましては、適用事業所と常用的使用関係にある者に対して適用されるものであるということは承知しておりますが、社会保険に加入している者については、したがって……
  370. 小池晃

    ○小池晃君 雇用保険。
  371. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) 雇用保険に加入している者につきましては、労働基準法上の労働者であることがほとんどだというふうに思いますけれども、いずれにしても、労働基準法上の労働者であるか否かについては個々具体的に判断をするということであります。
  372. 小池晃

    ○小池晃君 雇用保険に入っているのは労働者に決まっているじゃないですか。保険料、一体だれが払うんですか。こんな単純なこと、すぱっと答えてほしいんですよね、こんなでたらめな主張です、これ。  報道では、これは二月に労基署が是正勧告したけど、企業の側が受取拒否したというふうなことなんですね。すき家というのは、これ全国に九百九十五店舗、七千人近いアルバイトがおります。ゼンショー全体では日本の外食産業で第三位だと言っている。そこがこういうアルバイトを労働者として認めない、こんなことを言っているんですね。  これは、告発を受けた仙台だけではなくて、これはもう全国チェーンですから、当然本社あるいは他の店舗についても調査すべきだと思いますが、いかがですか。
  373. 青木豊

    政府参考人(青木豊君) この労働基準監督官、機関といたしましては、一般的にいろんな情報、申告、相談、投書、そういったものを踏まえまして、労働基準関係法令違反が存すると考えられる事業所を的確に把握して監督指導を実施しているところでございます。その際、法令違反が認められた場合にはいろんな指導、厳しい指導もしますし、そういうことを是正を図らせるということをやっているわけであります。そういったものに対しまして、是正しないというような悪質な事業所につきましては、司法処分を含めまして厳しい対処をいたしているところでございます。  個別の事案については差し控えたいと思いますが、一般論といたしましては、今申し上げましたようにそのようなことで対応しておりますので、事案に応じて、店舗のみならず本社をも含めまして、監督指導を実施する等によりまして遵守徹底を図っていきたいというふうに思っております。
  374. 小池晃

    ○小池晃君 これはまさにそういう事案だと私思うんですよ。  多くの若者がワーキングプアになっている背景に、やっぱりこうした個人請負の形を取る、あるいは全く本当にでたらめな主張で労働基準法を無視すると、こういうことが背景にあるわけで、やっぱりこういうアルバイト、フリーターに対して、短期、不安定な働き方をさせているようなチェーン店、ここに集中的に監督に入っていくということをやれば、そして労基法違反見付かればこれは是正していくということをやれば、私は、こうしたまさに企業犯罪ですよね、これは防げるはずだというふうに思うんです。  大臣、やっぱりこういう今の在り方について厳格な立場でこれは臨んでいく。こういうのを野放しにしちゃいけないんじゃないですか。是正勧告を受取拒否なんて、こういう企業に対して厳しく対応していくべきだと思いますが、いかがですか。
  375. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 労働基準関係法令というのはきちんと守ってもらわないといけない。それで、個々のケースについて、これは労働基準監督機関が厳正な指導をしていかないといけないと思いますんで、そういう立場から今後とも指導監督を強めていきたいと思います。
  376. 小池晃

    ○小池晃君 サービス残業ということで関連して聞きますが、この間、当委員会でトヨタの内野さんの問題取り上げてまいりまして、大臣にも御決断もいただいたことがありました。QCサークルのサービス残業の問題がこの事例通じて明らかになってきた。  このQCサークルの全国普及進めているのが日本科学技術連盟というのがありまして、この会長はだれかというと御手洗冨士夫さんなんですね。この連盟の資料によりますと、全国で十万サークル、八十万人がQCサークルに参加していると。  トヨタの関連企業であるダイハツでも、労働者からQCサークルは労働時間ではないかという声が上がっております。内野さんの例では、前回議論したようにこの未払残業代は時効という扱いにされてしまっているんですが、実態として、指揮監督下にある可能性のあるQCサークルで、隠されたサービス残業というのが十万サークルぐらいでやられている可能性があるわけですね。  これ内野さんのように時効にするんじゃなくて、すぐにやっぱり是正していく、払うべきものは払わせていくというのが労働行政の責任だろうというふうに思うんです。  大臣に、やはり過労死やサービス残業の背景にあるこういうQCサークルの実態について緊急に全国調査なり是正なりをしていく、そういう課題ではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  377. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それぞれの企業がいろんな活動をなさるのは御自由でありますけれども、QCサークルのようなものが労働時間に該当するか否かというのは、先般トヨタの件についても議論しましたし、判決も出ていますように、就業規則上の制裁等の不利益取扱いによる出席の強制がなくて、強制の要素がなくて、しかもその制裁加えない、そして自由参加ということであればこれはいいわけですけれども、そうじゃない場合はやはり個々具体的に労働関連法令に適合させるような形でこれは指導していきたいと思いますんで、個々のケースについて労働基準監督機関においてこういうものは厳しくもし法令違反があれば摘発していく、そしてこれが労働時間と認められるならそれなりの賃金を支払うと、そういう方針で今後とも一貫してまいっていきたいと思っております。
  378. 小池晃

    ○小池晃君 そういうことを進める上でも、やはり緊急に全国調査を私はやるべきだというふうに思います。  それから、雇用対策の問題について次に聞きたいんですが、先日、全労連や首都圏青年ユニオンがネットカフェ前で労働者の聞き取り調査をやりまして、派遣で十三年働いて時給千円、正社員の仕事があればいいけれども、探す余裕もない、仕事を失うのが怖い、あるいは、住居に入るための敷金などまとまったお金がないので抜け出せないと、こういう声がたくさん寄せられています。  最近の朝日新聞でドイツの事例が紹介されておりまして、ドイツでは、雇用保険の加入期間が満たず受給できない場合でも失業給付Ⅱという求職者の基礎保障制度というのがある。これ、月約五万五千円、住宅費や暖房費は別途支給で、仕事にいったん就いたとしても余り収入が多くない、それがやっぱり軌道に乗っていくまでの間、仕事から得るお金に上乗せをし、現金給付して、一定水準の暮らしができるようにすると。その期間に専門家による職業訓練、相談にも乗れるようになっている。  一方で日本というのは、雇用保険の失業給付以外でいうと、生活費支援だと生活保護制度しかないわけですね。やっぱり、いったん仕事に就いて失業者という状態から抜け出したとしても非常に不安定でワーキングプアだと、そこからなかなか抜け出せない、住居に入れないからネットカフェ難民なんということにもなっていくと。やっぱり、そこのところを支えていくという仕組みが今求められているんじゃないだろうか。  だから、こうしたドイツの取組なども参考にして、職業訓練とか能力開発で支援をしながら公的な給付で収入の不足分を補っていくような、そういう仕組みというのはこれは検討する必要があるんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょう。
  379. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) ドイツの制度、これは失業保険Ⅰというのは我々と同じなんですが、Ⅱというのは今委員が御説明になったことで、これも一つの政策だとは思いますが、基本的に社会保険制度としての雇用保険というのは、自らが稼いで自ら働いていく、自らの働きで稼いでいくという、そういう労働者に対して使用者労働者が折半して持つという制度です。  今の制度、今ドイツの失業保険Ⅱのようなものを入れると何が起こるかというと、要するに、非常に生活保護に近くなります。これは、ドイツの場合は全額国庫負担なので、税金ですね。ですから、保険制度ではありません。そうすると、この財源を含めて莫大な財源が要る必要があります。  それから、やはり今はジョブ・カード制とか訓練とか、今委員おっしゃってくださるように、それから先ほどの議論でもありましたように、フリーター常用化プランと、こういうことをやることによって、早くその境遇から抜け出してくださいよと、そういうインセンティブを与えている。だから、まあモラルハザードとは言いませんけれども、今のような全額補助の形でドイツの失業保険Ⅱみたいな形で入っていくと、その境遇から早く抜け出るんだというインセンティブを少し抑えることになるんじゃないかという、そういう心配もあるわけです。  ですから、私はやっぱり、自立のため、そしてきちんと生活できるために訓練をする、ジョブ・カードをやると、そういうところからまず始めたいというふうに思っております。
  380. 小池晃

    ○小池晃君 だから、そういう職業訓練、能力開発はすごく大事だと思いますよ。しかし、それをやっていく上でも、やっぱり暮らしていけるちょっとした支えですよ、全面的に頼るというんじゃなくて。ドイツだって、職に就く意志というのが前提になってこれ給付されているということもあるわけです。  それから、財源のことをおっしゃったんだけれども、雇用保険財源、財政どうなっているかちょっとお聞きしたいんですね。これ、一時期、制度の維持が危ぶまれるほどの事態になりましたが、昨年度と今年度の雇用保険給付の総額と積立金残額は幾らか。あわせて、いわゆる二事業、雇用二事業、旧三事業の今年度の安定資金残高は幾らでしょうか。
  381. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) 平成十九年度につきましては、失業等給付費が一兆六千七百八十三億円、積立金残高が四兆四千四百三十五億円、それから二事業の方の安定資金の残高が一兆四億円でございます。  それから、今年度の予算につきましては、失業等給付費につきましては一兆四千八百五十三億円、積立金残高は四兆九千三百六十二億円、それから安定資金の残高は一兆一千七百六億円というふうになっております。
  382. 小池晃

    ○小池晃君 要するに、雇用保険の積立金って、今年度末には五兆円になるんですよ。給付の三倍以上ですよね。それから、雇用二事業の積立金残高も一兆円を超している。  私、こうしたものをため込む、今そういう時期なんだろうか。私は、こうした財源活用すればもっともっと雇用対策充実できると思うし、ワーキングプアで苦しんでいる人たちの能力を高めてより条件の良い仕事に就けるようにするというのは、日本社会全体の活力にもつながっていくわけですよね。五兆円もの、まあ埋蔵金というのがありますけど、これだって一つの埋蔵金的なものになっている。こんな形で積立金で置いておくんじゃなくて、やっぱり活用していくことが、私はマクロ的に見て経済的に見たって有効なんじゃないかなと。  こういうのをもっと活用していくべきだと思いませんか、大臣
  383. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まあこの緊急雇用創出特別基金というのは十六年で終わる予定だったんですけれども……
  384. 小池晃

    ○小池晃君 それじゃない。
  385. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それじゃなくて……
  386. 小池晃

    ○小池晃君 雇用保険の。
  387. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) ちょっと済みません。
  388. 小池晃

    ○小池晃君 じゃ、もう大臣が先に言っちゃったんで、もう一つあるということを今日言いたかったんですね。  今日は資料でお配りしているんですが、これはこの九年間様々に取り組まれてきた緊急雇用創出特別基金事業、これ今年三月ですべて終了いたしました。この特別基金というのは、これは雇用保険財政とは別に一般会計から出されていて、いろいろ使われて全部終わった。拠出された総額は幾らで実績額は幾らでしょうか。
  389. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) 緊急雇用創出特別基金につきましては、拠出は平成十年度以来累次やってきていまして五千九百六十一億円、それから事業で使ったものにつきましては十九年度までで三千百八十七億円でございます。それから、これ今年度までやっておりますので、まだ終わったわけではございません。
  390. 小池晃

    ○小池晃君 ここでも二千八百億円、三千億円近いお金が結局使われないで残ったんです。それ国庫に返納しちゃうというんですね。これ別に見せ金だったわけじゃないはずでね、こういうものはちゃんとやっぱり使うべきだと思うんですよ。  だから、先ほど言ったように、雇用保険でいえば五兆円の積立てがある、二事業だけでも一兆円以上ある。そしてこの基金、これはまさに一般会計ですから、まあある意味では自由に使える。これだって二千億円。こういうもの使って、やっぱり今の雇用、本当に日本雇用対策貧しいじゃないですか、ヨーロッパに比べれば。そこにこういう財源活用していくというのを真剣に検討していくべきじゃないですか、大臣。いかがですか。
  391. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 先ほど大変失礼いたしました。  特別会計の雇用勘定があります。これの活用、それから、今のはこの緊急雇用創出特別基金、一般財源含めての、これは今説明いたしましたように、元々十六年で終わる予定だったのを十九年まで延ばしたということであります。こういうことは、今特別会計、一般会計、どういうふうにこれは活用できるかということもそれは当然検討いたしますけれども、平成二十年度予算においてきちんとある意味でこの措置をとっておりますので、まずそういうところをしっかりとやっていきたいというふうに思います。
  392. 小池晃

    ○小池晃君 いや、私の提起に答えていらっしゃらないと思うんですがね。  私は、やっぱり雇用情勢だってこの二月、失業率三・九%に上昇してきて、決していいわけじゃないわけですからね。やっぱりそういう意味では、きちっとこうした財源使って雇用対策を充実させていくべきだと、これ検討していただきたいというふうに申し上げます。  それから、後期高齢者の特定健診制度の問題について最後にお伺いしたい。  これ、予算委員会で私特定健診の問題取り上げて、七十四歳までは義務だと、七十五歳以上は努力義務だと、差別じゃないかというふうに大臣に言いました。大臣は、高齢者の健診は今年度すべての広域連合でやるんだというふうに説明をされていました。  しかし、実態はどうかというと、例えば徳島県の広域連合では、高齢者については、直近一年間に一回も受診していない人、しかも歯科も含めて、歯医者さんも含めて一回も病院に行ったことのない人だけに対象を限定していると。その結果、後期高齢者の九七%が最初から健診から除外されるんですね。こういう在り方では結局高齢者に対する差別ということになるんじゃないですか。大臣、予算委員会で答えていただいた。
  393. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 後期高齢者の特定健診のことでございますけれども、既に今生活習慣病で治療を受けている方については治療の一環として必要な検査を受けていただくことが適当であり、重複検査は避けるという必要があるということで私ども申し上げているわけでございます。
  394. 小池晃

    ○小池晃君 七十四歳までは幾ら重複していたって健診受けられるんでしょう。七十五歳、受けたら、何で病院にかかっていたら健診受けられないんですか。これはおかしいじゃないですか。七十四歳までだって、七十五歳過ぎたって、病気であったとしたって同じように健診を受けられるようにする、これをやらないのが何で差別じゃないんですか。これは明らかに高齢者に対する差別じゃないでしょうか、大臣
  395. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは必要な検査はきちんと受けられると、そういう方針でやっていきますんで、それは各地域連合にしっかりとこの指導をしてまいりたいと思います。
  396. 小池晃

    ○小池晃君 だから、言ったでしょう。徳島県では七十五歳以上は九七%、健診対象から除外しているんですよ。これでちゃんと受けられるんですかと。答えてください。
  397. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この制度はこの四月一日から始めたばかりで、まだ十日ばかりしかたっておりません。きちんとこれから指導をして、しかるべき検査が受けられるようにやってまいりたいと思います。
  398. 小池晃

    ○小池晃君 こういう実態があります。是非、全国調査をしていただきたい。  私は、これはねらいははっきりしているんですよ。二月六日の担当者会議で厚労省何と言っているかというと、特定健診は受診率を上げることに重点を置いているけれども、後期高齢者は別だと。対象者を精査して受診率がこれより上がることはない、むしろ下がるんだというふうに担当者は説明しているんですね。  結局、七十四歳までは健診ちゃんとやるけれども、七十五歳以降はもう健診率下がるんだと認めている。健診率というのは向上させていくのが厚労省の政策目標だったんじゃないですか。これを捨てるというのは、まさに私は重大な政策変更だし、高齢者に対する差別だというふうに思います。  この特定健診制度も含めて、後期高齢者医療制度は本当にたくさんの問題がある。これはやっぱり中止し撤回すべきだということを改めて申し上げて、私、質問を終わります。
  399. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  公的病院、自治体病院についてまずお聞きをいたします。  今日は総務省と文科省に来ていただきました。総務省にまずお聞きをいたします。自治体病院が苦しんでいると、この理由は何でしょうか。
  400. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) 自治体病院ですけれども、十八年度決算では全体の八割弱が単年度赤字ということで経営的に大変厳しい状況でございます。これ収入面で、勤務医が退職されるとか、それから診療報酬改定等がございまして収入がやっぱり下がるという一方で、これに対応した歳出の削減合理化の取組がまだ必ずしも十分にはなっていないというふうなことから経営悪化が進んでいるというふうに考えてございます。
  401. 福島みずほ

    福島みずほ君 今おっしゃったとおり、医師研修制度の導入などによる医師不足、診療報酬引下げ、自治体財政の悪化もあると思いますが、これによって自治体病院は苦しんでいる。だとしたら、それに対する処方せんを出すべきだと考えています。  ところが、総務省が去年十二月二十四日、公立病院改革ガイドラインを出していますが、それは苦しんでいる理由の処方せんに合致していないというふうに考えております。医師不足に対して総務省はどのような考えを持っておられるんでしょうか。
  402. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) 先ほども申し上げましたように、公立病院は、経営面と、それからドクターがやっぱりおられなくなっているというところもございまして、大変厳しい状況にございます。  したがいまして、私どもこういうふうなところを改革するべく、公立病院の改革を進めようと思っておるところでございます。この中では、私ども、地域医療体制というのはやっぱりきちんと公立病院を中心にして進めていけるような地域医療体制をきちんと組んでいくということが一つと、それからやっぱり赤字体質というのを変えていかなければならぬと、その両方から公立病院の改革を進めていこうと思っておりまして、具体的には、公立病院の再編・ネットワーク化を進めていく、それから経営の効率化を進めていく等々、地域医療体制と経営の効率化、そういうふうなところを双方を考えながら進めていきたいと思っておるところでございます。
  403. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、自治体病院が苦しんでいる理由が診療報酬の低下と医師不足というふうにおっしゃったでしょう。だとしたら、処方せんはそれに合うものをしなくてはならないのに、答弁が、あるいはこのガイドラインが違う方向に行っているということを問題にしたいと思います。  このガイドラインでは、選択肢として、地方公営企業法の全部適用、地方独立行政法人化、指定管理者制度、民間譲渡等を提示して、診療所化や、要するに診療所にしていく、老健施設高齢者住宅事業等への転換などを含めた見直しを提示をしています。つまり、苦しんでいる理由の処方せんを立てるべきなのに、民営化だとか診療所化という提案をしていて、地域における公立病院のセーフティーネットをむしろ壊そうとしているのではないかと思いますが、いかがですか。
  404. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) 先ほどお答えいたしましたように、公立病院が苦しんでいる原因といたしまして、やっぱり経営の観点ですから、収入面と支出面、両方からそれぞれの原因があるというふうにお話しいたしました。  そういう中で、やっぱり収入面で勤務医さんがいなくなっていくというふうなことに対しまして、やっぱり地域医療体制というのはきちんと組んでいかなければならないと思っておりますから、総務省といたしましても、関係省庁と相談しながらこれまでも医師確保対策というのを進めてきたところでございますし、そういう中で地域医療の体制をきちんと組んでいかにゃならぬと思っておりますが、今度の公立病院改革の中でも、公立病院の再編・ネットワークを進めることによって地域に中核的なところをつくっていって、そこにある程度集めて、お医者さんなんかを集めて、それがまた周辺の公立病院を支えていくと、そういうふうな再編・ネットワークというのをやっぱり組みたいというふうに思っておるところでございます。  こういうようなものを通じまして地域の体制をきちんとつくっていきたいと思っておるところでございます。
  405. 福島みずほ

    福島みずほ君 総務省は、指定管理者制度、民間譲渡、診療所化を積極的に進めようという立場ですか。そうでないんですか。
  406. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) 今回の公立病院改革では、そういうふうな地域の医療提供体制をきちんとつくっていくという話とともに、仮にそういうことがきちんとできたとしても、赤字経営ではやっぱりそこは倒れてしまいます。したがいまして、そこにつきまして経営面もきちんとやってほしいと思っていまして、経営の効率化を進めていきたいと思っております。そういう中で、経営形態を変えていくということもあり得るというふうに思っておるところでございます。経営の効率化を進めるための手法として経営形態を考え直していただくということもこの公立病院改革の中では考えていただきたいと思っておるところでございます。
  407. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、間違っていますよ。  つまり、苦しんでいる理由が診療報酬の引下げと医師不足とおっしゃったじゃないですか。処方せんとして民営化やその赤字を解消するためにやっていくということ、経営基盤を変えていくということだったら、地域から公立病院がなくなって、中核病院がなくなっていくんですよ。総務省のこのガイドラインは、私は方向、要するに処方せんが間違っているというふうに考えています。  先ほど医師確保のために努力しているとおっしゃいましたが、どのような努力をされていますか。
  408. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) 医師確保対策につきましては、これまでも関係省庁と共同しまして何回か対策を取りまとめてきておるところでございますが、直近では、昨年、緊急医師確保対策を取りまとめて、短期的な対策から中長期的な対策まで総合的に幅広く必要な政策を講じておるところでございます。  また、そのほか、これは先ほどもお話しいたしましたけれども、公立病院改革の中で再編・ネットワーク化を推進して地域医療の確保をともかく図っていきたいというふうに思っておるところでございまして、そういうふうな各般のいろんな対策というのは進めていきたいと思っておるところでございます。
  409. 福島みずほ

    福島みずほ君 公立病院守るために民営化や指定管理者制度や譲渡、診療所化、これは間違っているというふうに変えていただきたいんですが、いかがですか。
  410. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) 先ほどもお話しいたしましたように、公立病院の経営悪化というのは、収入面での幾つかの原因とともに、やっぱり歳出面で削減合理化がまだ必ずしも進んでいないと思っておるところでございまして、したがいまして、歳出面の削減合理化を進めていくためにも、経営の効率化というのは私ども必要だろうと思っています。その経営の効率化を進めていく中で経営形態を考えていくというふうなことも十分あり得ることだと思っておりますから、その経営形態の改革というのも含めて経営の効率化というのをこれはやっぱり進めていかなければならないことだろうと思っておるところでございます。
  411. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、実態が分かっていらっしゃらないんですよ。地域は、もちろん経営の効率化というのは否定はしません。しかし、診療報酬の引下げや勤務医がいない、自治体財政の悪化の中で自治体病院は苦しんでいますよ。人件費は掛かる。それを、じゃ売り飛ばせとか、指定管理者制度だ、診療所化と言えば、地域の中で公立病院が本当になくなって、撤退をしてしまいます。総務省のこの考え方は間違っているというふうに思います。  医師確保について関係諸省庁と努力をしているとおっしゃいましたが、総務省の所管に自治医大があります。百名の定員のところを百十名に変えられましたけれども、これは倍にするとか一・五倍にする。なぜなら、へき地医療に関して頑張ってくれるお医者さんを育てるところでもあるので、総務省はもう太っ腹でここは足を踏み出していただきたい。国家補助金収入よりも地方公共団体、各都道府県が主にお金を持っているわけですが、国の拠出金はわずか二十六億なわけですよね、補助金が。ですから、総務省自ら地域医療をやる医師をもっと増やす、是非踏み込んでいただきたいんですが、いかがですか。
  412. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) 自治医科大に関しましては、今もお話ございましたが、平成二十年度から百名の定員を百十名にさせていただいたところでございまして、これは医師確保対策の中でほかのいろんな大学医学部の定員の増と併せて取り組ませていただいたところでございます。  私ども、そういう点では自治医科大のこの定員増、まさに今年度からスタートしたところでございますから、まずこれを着実に進めていきたいと思っておるところでございます。
  413. 福島みずほ

    福島みずほ君 全国回っていますと、医師不足というのはもう本当に深刻です。百名を百十名にしたというだけではもう足りない。総務省は第二自治医大をつくるぐらいの迫力でもってこの地域医療の崩壊を食い止めていただきたい。どうですか。
  414. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) 私どもも、地域医療はやっぱり大変大事だろうと思っておりますから、地域医療を支えていくための様々な取組等これからも進めてまいりたいと思っております。  今お話に出ました、もう一つ自治医科大をつくれというようなお話でございますが、昨年各都道府県に対しましてもまた増員も図ったところでございます。医学部定員の増員も図ったところでございますから、そういうようなものも活用していただきながら、言わば自治医科大というのも含めまして、全体としての医学部定員の扱い、増員ということの中で医師の増員というのは図られていくんだろうと思っておるところでございます。
  415. 福島みずほ

    福島みずほ君 地域医療を担う人、医者を特に増やさなくちゃいけない。それで、国費をそんなに使っていないんですよ。都道府県がお金を出してやっているとおりです。  ですから、総務省は積極的にお医者さんをつくっていく、地域医療を担うお医者さんをつくっていくために総務省の予算を獲得していくというふうにすべきではないですか。
  416. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) 自治体がお金を出しているということでございまして、国、地方合わせまして言わば公のお金でございますから、そういう点では、国費が出ている出ていないというよりは、自治体の支出も、自治体のお金もございますから、それはむしろ国、自治体合わせてどの程度の財源で進めていくのかというのを考えていかなければならないところだろうと思っております。
  417. 福島みずほ

    福島みずほ君 国庫補助金は二十六億なんですね。二十六億は確かに大金ですが、自治医大に対して、二十六億のお金ぐらい、ぐらいと言ってはいけないですが、医師不足は全国やっぱり覆っているわけですよ。だとすれば、必要な医療資源をつくるためのお金をやっぱりつくるべきだというふうに、もう今焼け石に水で、お医者さんがどんどん撤退するか辞めるかしていけば、もうだれもお医者さんになり手がいなくなる。その意味で総務省の英断を心からお願いをいたします。そのための財源確保だったら国会挙げて応援をしたいと思います。  文科省にお聞きをいたします。  五名ずつ定員を増やすということでは焼け石に水で、なかなかもう間に合わないと思います。大学の医学部定員を例えば一・五倍にするなど、必要ではないでしょうか。
  418. 土屋定之

    政府参考人(土屋定之君) お答えいたします。  先生御指摘の地域医療等におきます医師不足の問題への対応につきましては、私どもとしても喫緊の課題と認識しておりまして、政府全体の取組の中で、文部科学省といたしましてもその医師確保対策の充実に努めさせていただいております。  その中で、先生先ほど言及されましたが、中長期的な観点から必要な医師数を確保するための医学部の定員増に現在取り組んでおり、一昨年取りまとめました新医師確保総合対策及び昨年取りまとめました緊急医師確保対策によりまして、全国において三百九十五名の増員が可能というふうに決めたところでございます。この医師養成につきましては、医師が医療現場で活躍できるようになるためには少なくとも十年程度の期間が必要であること、あるいは医師の総数は今後とも基本的には増加が見込まれるというようなことから、医学部の定員の問題につきましては中長期的な医師の需給見通しなどを踏まえた検討が必要だろうと思っております。  こうした中で、今後とも文部科学省としては厚生労働省等の関係省庁と連携しながら、医師確保対策の更なる充実に検討してまいるというふうに考えております。
  419. 福島みずほ

    福島みずほ君 年間三百六十五名増やしたところで間に合わない、お医者さんは一人前になるのに時間掛かりますから、文科省としてやはりこれは定員増に踏み切るべきだ、地方でどれだけお医者さん不足で苦しんでいるか思っていただきたい。それからもう一つ、総務省が出している国庫補助金、自治医大へ出しているのは文部科学省私立大学等経常費補助金等ですから、文科省が踏み切っていただければ総務省は助かると。  文科省、二つ。この自治医大に対する補助金はどうかという点と、それからもう一つは、もう一回医学部に関する定員増についてもう少し踏み切るべきだ、思い切って一・五倍ぐらいにすべきだというのはいかがですか。
  420. 土屋定之

    政府参考人(土屋定之君) 先ほどお答えさせていただきましたように、医師の総数が基本的には供給が需要を上回っておる、どんどん増えていくという状況であるとか養成の期間でありますとかいうようなこと等を踏まえまして、そういう中長期的な見通しの中でやはりこの問題を考えることが必要だろうというふうに思っておりまして、現在可能な対策は既に先ほど申し上げましたように一昨年あるいは昨年の決定対策によりまして講じておるところでございますが、更なることができるかどうかということについては現在これ検討しております。
  421. 福島みずほ

    福島みずほ君 地方に行きますと、麻酔医がいなくなる、産婦人科がいなくなる、外科がいなくなる、内科もいなくなるという状況がもう蔓延していますので、今のような御答弁、医師は足りている、増員傾向にあるということではなく、文科省、総務省、厚生労働省、これは踏み切っていただきたい。  舛添大臣、もっと医者を、地域に大臣は行かれて、地域の医師不足を、この悲鳴を聞かれていると思いますが、どうですか。
  422. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私の直属のこの医療ビジョンの研究会でも、先般地域医療、これを取り上げておりまして、例えば青森のむつ地域、これは比較的うまくいっています。それから、九州だと熊本、これも地域間のネットワークがうまくいっている。こういう例を参考にしながら、いろんな手当てがあると思います。私は医師は不足していると、そういう認識の下に増やすべきだというふうに思っております。したがって、そういう施策を取っていく。  それから、先ほど来申し上げていますように、看護師、助産師含めて、コメディカル、スキルミックスをきちんとやっていく、そういうことで来年度予算編成に向けて大きなかじ取りというか方向転換を構造的にやりたいなと。そうしないと、もう本当に緊急措置だけでは手遅れな状況になっていますので、これは政府全体挙げて、総務省、文科省、防衛省、その他の省と連携を組みながらやっていきたいと思いますので、どうしてもそのためには予算措置が必要です。そういうことを含めて更なる議論を深めていって、そして、ただ医師の数だけではなくて、今言ったコメディカルというか、助産師、看護師、そういう方が医療分野でどこまで入ってこられるか、そういうことも含めて、診療報酬改定も含めて、総合的な施策政府全体として取るべきだと思っていますので、そのために全力を挙げます。
  423. 福島みずほ

    福島みずほ君 文部科学省、やはり助産師さんがいて看護師さんがいてネットワークが必要ですが、産婦人科がそもそもいなければ、やっぱり地域で赤ん坊を産めないんですよね。  文科省として努力をされていることは分かりますが、一・五倍ぐらいというか、やっぱりもっと踏み込んで定員増をしていただきたい。いかがですか。
  424. 土屋定之

    政府参考人(土屋定之君) 医師の不足の問題につきましては、今大臣から御答弁がございましたように、いろんな病院における医師の勤務形態の問題でございますとか、あるいは大学病院の医師派遣機能の低下のことでありますとか、様々な要因が絡んでいるというふうに思っておりまして、これらについても対策を講じながら、全体としての行うべきことを取り組まさせていただきたいというふうに思っております。
  425. 福島みずほ

    福島みずほ君 産婦人科の勤務医が疲弊して辞めていくのは、当直した次の日にやっぱり働かなくちゃいけない、明確にこれは医師不足なんですよね。だとすれば、必要な処方せんは定員を増やすことが、それがすべてではないですよ、それは十分条件ではないが必要条件だと考えています。いかがですか。
  426. 土屋定之

    政府参考人(土屋定之君) 先生も今言われましたように、様々な要因の中で医学部の定員の問題も十分にこれから考えていきたいというふうに思います。
  427. 福島みずほ

    福島みずほ君 増やしてくださるようお願いします。  介護労働者をいつも聞こうと思って時間がなくなるんですが、厚労省は介護報酬を上げようと思っているのか、このままでいいと思っているのか、それをお聞かせください。
  428. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 介護報酬につきましては、二十一年四月にその改定を予定いたしております。現在、経営実態の調査をいたしておりますので、その結果を踏まえまして関係審議会で十分御議論をいただいて、報酬の改定をしたいというふうに考えております。
  429. 福島みずほ

    福島みずほ君 介護報酬を上げれば確かに保険料は上がるかもしれない。しかし、事業者は要するになかなか人件費を上げられない構造がこの介護報酬から規定をされている。  じゃ逆にお聞きしますが、厚労省はどう制度改革を具体的に変えれば、抽象論でなく、介護労働者の給料が上がると思いますか。
  430. 岩本司

    委員長岩本司君) もう時間が来ておりますので、答弁簡潔に願います。
  431. 阿曽沼慎司

    政府参考人阿曽沼慎司君) 介護労働者処遇の改善を図る意味では、いろいろな形の政策を組み合わせてやらなければいけないと思っております。介護報酬についても確かに大きな問題でございますけれども、それ以外にキャリアアップの問題でございますとか、本当に人件費について事業者がどういうふうに考えるかという考え方の問題であるとか、いろんな要素がございますので、そういうものを全部複合的に組み合わせて今後の対策を考えていきたいというふうに思っております。
  432. 福島みずほ

    福島みずほ君 終わります。
  433. 岩本司

    委員長岩本司君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五十八分散会