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2008-04-08 第169回国会 参議院 厚生労働委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年四月八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月二日     辞任         補欠選任      舟山 康江君     風間 直樹君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩本  司君     理 事                 家西  悟君                 谷  博之君                 蓮   舫君                 衛藤 晟一君                 渡辺 孝男君     委 員                 足立 信也君                 大河原雅子君                 風間 直樹君                 小林 正夫君                 櫻井  充君                 津田弥太郎君                 中村 哲治君                 森 ゆうこ君                 石井 準一君                 石井みどり君                 岸  宏一君                 島尻安伊子君                 中村 博彦君                 西島 英利君                 南野知惠子君                 山本 博司君                 小池  晃君                 福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   舛添 要一君    副大臣        厚生労働大臣  西川 京子君        厚生労働大臣  岸  宏一君    事務局側        常任委員会専門        員        松田 茂敬君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      堀田  繁君        総務大臣官房審        議官       榮畑  潤君        総務省行政評価        局長       関  有一君        文部科学大臣官        房審議官     藤木 完治君        厚生労働省医政        局長       外口  崇君        厚生労働省健康        局長       西山 正徳君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       藤崎 清道君        厚生労働省労働        基準局長     青木  豊君        厚生労働省職業        安定局長     太田 俊明君        厚生労働省社会        ・援護局長    中村 秀一君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    中村 吉夫君        厚生労働省老健        局長       阿曽沼慎司君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        厚生労働省年金        局長       渡邉 芳樹君        厚生労働省政策        統括官      薄井 康紀君        社会保険庁長官  坂野 泰治君        社会保険庁総務        部長       吉岡荘太郎君        社会保険庁運営        部長       石井 博史君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○社会保障及び労働問題等に関する調査  (不適正な年金裁定実態把握に関する件)  (統合された年金記録内容に関する件)  (歴代社会保険庁長官の責任に関する件)  (食の安全確保に関する件)  (脳科学研究の推進と治療等への応用に関する  件)  (後期高齢者医療制度における保険料負担に関  する件)  (地方における国公立病院医師確保に関する  件) ○戦没者父母等に対する特別給付金支給法の一  部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の  締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の  一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付  )     ─────────────
  2. 岩本司

    委員長岩本司君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二日、舟山康江君が委員を辞任され、その補欠として風間直樹君が選任されました。     ─────────────
  3. 岩本司

    委員長岩本司君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省健康局長西山正徳君外十七名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩本司

    委員長岩本司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 岩本司

    委員長岩本司君) 社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 櫻井充

    櫻井充君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新日本櫻井でございます。  年金の問題を中心に今日質問させていただきますが、その前に、先週の土曜日、診療に行ったら、ちょっと解せないことがありましたんで、まずそのことについて質問をしたいと思いますが。  処方せん書いていたら、僕らは名前、サイン入れるんですが、その下にまたサイン入れろと言われまして、なぜかというと、患者さんに、そのサインがないと、処方せんを切ると、もう何もしないとそのまんま全部ジェネリックに変わるんだそうなんですね、制度が。これって、ジェネリック一般というか普通の薬と完全に差別扱いされているわけですよ。ジェネリックの方が優遇するわけですね、国の制度上。おかしくないですか。
  7. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) その点につきましては、今回の診療報酬改定におきまして、後発医薬品使用促進のために処方せん様式が変更したものでございます。すなわち、これまではジェネリックに変えても、変更していいというときに医師署名を求めていたわけでありますけれども、今回はその処方を変更しては困るという場合に署名をしていただくというふうに変換をしたわけでございます。  これは、ジェネリック、それは先発医薬品と品質、有効性安全性が同等のものとして承認されているものではございますので、患者自己負担あるいは医療保険財政負担の軽減の観点から後発医薬品使用促進に取り組んでいるものでございまして、その一環としてそういった変更を行ったものでございます。
  8. 櫻井充

    櫻井充君 そこだけ聞くといいことのように思えるんです。ところが、じゃ新薬開発はそれで進んでいくのかという問題があります。  例えば、武田なら武田でいうと、僕の記憶が正しければたしか千五百人ぐらい研究者の方がいらっしゃるかと思いますけれども、それで十年で新薬が一割できるかできないか、このぐらい人と時間と金が掛かっているわけであって、私が思うのは、何もジェネリックをそういう形で推進しなくても、保険点数が二年に一度、新薬の場合でもどんどん下がっていくわけです。特許期間中に、八年から十年ぐらいでしょうけれども、その間に十分回収さえできれば、一般的な新薬価格ジェネリックと同じまで引き下げていいはずなんです。  ところが、その期間に十分に回収できないから、そうすると、一般先行医薬品価格をある程度の価格で維持しなきゃいけなくなっちゃうんです。そうすると、どういうことが起こっているかというと、回収期間が十年ではなくて更に長い期間を掛けて回収することになります。そうすると、僕は日本主力産業というのは、自動車とそれから電機とこれから医薬品だと思っていましてね、そういう点でいうと、日本産業を育てていくという観点からすると、僕は大きな間違いなんじゃないのかなと、そう感じるわけです。  それからもう一つ申し上げると、鳥インフルエンザといいますか、新型インフルエンザのときに、プレパンデミックワクチンなどを製造するというときに、現在それを製造している企業だけでやると、年間三千万人ぐらいしか作れないだろうと。そうすると、武田を始めとした大手にそのプレパンデミックワクチンの製造をお願いしないと恐らく対応できないんですよ。そういう観点から考えると、今のような制度設計は僕はおかしいと思います。  もう一つ申し上げると、外来で一々説明しなきゃいけなかったんです。外来で一々説明するということ、それで何でそういうことを医者に押し付けるのか、そこが私はもう一つ理解できません。くそ忙しい中、また雑用が増えるわけです。なぜそういうようなことをして、また勤務医労働条件を悪化させて辞めるような体制をつくっていくのか、私にはこの二点が理解できません。  大臣、いかがですか。
  9. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私は、医者じゃないし薬剤師でもないんで専門的なことは明確に答えられませんけれども、逆に今度は患者立場から見たときに、いろんな医薬業界の方と話したりお医者さんと話して、ジェネリックは非常にいいという方と、いや待てよと、やっぱり新薬の方がいいんだという方とか、いろんな意見があります。それはもういろいろ意見を聞いて、それから今目標として三〇%までジェネリックを取り入れようと。  委員御承知のように、二千二百億円の削減の問題ありまして、この薬価の問題で何とか一千億を手当てするというようなこともありました。そして今まではお医者さんが指定しないとジェネリックにならない、今度は指定しなくてもジェネリックでいいですよと、そういう制度設計に変えました。これ、今のような櫻井委員意見もございますので、これは一年ごと見直すことも可能だと思いますし、例えば非常にお医者さんの立場で見て、これだと本当に効く薬、その患者のための薬が行かないというようなことになれば、それはまた適正に対応したいと思います。  それから、これは日本だけじゃなくてアメリカの私医薬メーカーの人ともいろいろ議論をして、RアンドDに投資したお金をどういうふうにして回収するんだというような話をいろいろなところで議論をし、それで、私は委員がおっしゃるように、産業としてこれからやっぱり日本医薬というのは国際競争力を持って支える産業になるべきだと思いますので同じ問題意識を持っていますが、そこのところを実はこの医薬業界、今言った産業としての医薬業界どうするか、そういう会議も今やっています。そういうところを通じて私も、同じような産業として伸ばしていく、そのためRアンドD回収をどうするか、これは本当に真剣に議論をしていきたいというふうに思っています。  今回は、今言ったいろんな診療報酬改定の問題、薬価基準の問題、ジェネリックを三〇%までしようと、そういう全体の中で決めました話ですけれども、今の委員問題提起を受けまして、これ実施状況を見て柔軟に、余りにお医者さんに過剰に負担が掛かる、そしてまた、実はジェネリックだと効かない、新しい薬だったら効くんだったねというようなことが起これば、これはもう適正に対応していきたいと思います。
  10. 櫻井充

    櫻井充君 是非検討していただきたいと思っているんですが、私は、どうすると公平なのかというと、ジェネリックが発売されたときに先行薬も同じ価格になっていれば全く問題ないんだと思うんですよ。ところが、今の制度上だと研究開発投資が十分に回収できませんから、結果的には先行薬価格を上げておかないといけないと。これを例えば十年なら十年で、何回も申し上げますが、特許期間中に回収できればもうジェネリックと同じ価格でいいと言っているんです。そうすると何にも問題がなくなるんですよ。患者さんたちと僕が話すると、例えば睡眠薬だと、この飲み慣れた睡眠薬を飲みたいと。そして、これは同じ薬ですからと言っても、この紫色のものが欲しいんだとか、この包み紙の薬じゃないと寝れないんだとか、そういう話になるんですよ、これは。  ですから、あとは、別にそうじゃなくてジェネリック使いたい人たちに対してだったら、別に先行薬ジェネリックと、ある時期から条件一緒にしてもらえば何にも問題が起こりません。ですから、そういう点でいうと、その薬価の決め方全体を考えていただきたいなと、それだけ要望しておきたいと思います。  それでは、昨日、予算委員会質疑を聞いていてとても納得のできない答弁がございました。我が党の水岡委員質問したことに対して、要するに標準報酬月額を引き下げたものに対して、これは消えた年金若しくは消された年金ではないのかと。昨日の社会保険庁長官はそれに全く答えておりませんでした。昨日はテレビが入っておりまして、とても委員会を止める雰囲気にございませんでしたから、昨日は筆頭理事としてあの答弁でお許しをいたしましたが、今日は関係ございませんので。  消えた年金か消された年金か、そういうものではないんでしょうか。
  11. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 消えた年金あるいは消された年金かというお尋ねでございます。  この消えたとかあるいは消されたという意味をどういうふうに理解をするかということにもかかわってくるというふうに思っておるわけでございます。  それで、私が昨日申し上げたのは、仮に標準報酬月額が実際の報酬よりも低く記録されている場合には受給額においてマイナスが生じることとなると、そういう具体的な内容として御理解をいただくのがよろしいんではなかろうかと。この消えた年金あるいは消された年金という言葉をいろんな方がいろんな形でお使いになること、それ自体を私は否定するものではございませんけれども、私どもとしては、消えたとかあるいは消されたという言葉を使って、かえってこの言葉によってある意味では誤解を生ずることがないようにしたい、したがって私どもとしては正確に申し上げたいということでございます。  この消されたあるいは消えたという言葉について、私がその内容確定をし、これがこうである、こうではないということを申し上げるのは適当ではないと。ただ、その言葉自体をお使いになること自体は、私は、その定義さえしっかりしておれば私は否定するものではないと、そのように考えておるわけでございます。
  12. 櫻井充

    櫻井充君 じゃ、まあ犯罪者ですか。そのことをやった関係者は罪人ですね。
  13. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 具体的な事案について担当者がどのようなかかわり方をしたか、そういう個々事案に即して個々の事実を確定をし、それに基づいて判断をする必要があるというふうに考えておるわけでございまして、一律に標準報酬月額を引き下げた者がすべて犯罪者であるとか、そういうことにはまだならないと思います。
  14. 櫻井充

    櫻井充君 標準報酬月額が引き下げられたら受給できる年金の額が減るなんてことはだれでも知っています。極めて失礼ですね。そういうことが分からないからああいう答弁されているんですか。我々は知っていますよ。知った上で、だからここに問題があるんじゃないですかと申し上げているわけですよ。  一般論でもう一度お伺いいたします、それじゃ。いいですか。本来もらえるべき人たちがもらえなくなっているんです。これは経営者の方は知っているんでしょう。そして社会保険庁の方もそれは知っているんでしょう。知った上で、そういうことを了解されてやっていたとして、困るのはそのときにきちんとお金を払っていたサラリーマン人たちが困っているんでしょう。そのサラリーマン人たちからしてみれば、自分が知らないところで標準報酬月額を下げられて受給権を奪われているということは、これは消されたとしか言いようがないじゃないですか。なおかつ、そこにかかわった人たちは、当然のことながらこれは公文書偽造でしょう。我々医療業界の人間が公文書偽造したら、これは処分を受けますよ。そういうことと一緒じゃないですか。
  15. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) これまでも申し上げてきているところでございますけれども、例えば第三者委員会であっせんが行われた事案について、それが具体的にどのような事情の下に行われたのか、これについては、担当者と同時に関係する事業主の方などにもいろいろ事情お尋ねをして、そして具体的に事実を確認する必要がある。そういう中で、仮に違法に標準報酬月額引下げ手続が取られていたとすれば、当然それを実施した担当者は厳正な処分を受けるということになるわけでございます。また、犯罪に当たるかどうかは、更にその上で犯罪に当たるかどうかの事実の確定をし、もしそうであるならば、当然私どもとしても必要な手続を取らなければならないものである、そのように考えておるわけでございます。そういう事実の確定について、なお現在調査中であるということを申し上げておるわけでございます。
  16. 櫻井充

    櫻井充君 大臣、これは要するに、今宙に浮いた五千万件が問題になっていますが、昨日、水岡さんが指摘しているとおり、五千万件と全く別問題ですね、これは。全く別問題ですね。そうすると、この人たちは本来は、厚生労働省、まあ社会保険庁でもいいですよ、言い分は、正しく裁定されて、正しく給付されていた人たちなんですよ。でも実際は、宙に浮いた五千万件以外にも正しく裁定されていない人たちがいるということがはっきりいたしました。  それでは、これまで社会保険庁はどれだけ正しい裁定をしてきたんでしょうか。
  17. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  社会保険庁ではこれまで、御指摘になりましたような事務処理ミス、そうしたものを最小限にするために、オンライン化、あるいは基礎年金番号の導入などに取り組んでまいっております。記録処理誤りにつきましても、古い時代のことではございますけれども紙台帳磁気テープにより記録管理を行っていた時期におきましては、基本的には、届け書内容台帳などへ記載した結果について、それを行ったのとは別の、他の職員のチェックを受けるというような形で、ダブルチェックを行うということで誤りの発生の防止について取り組んでまいっておりますし、オンライン化後におきましても、その入力した結果について、処理結果リストというようなものを用いて突合確認を行って決裁を受けるというふうな形で誤り防止取組をしてきているわけでございます。  そのような形で進めてはきておるわけでございますけれども一般的に申し上げれば、コンピューターへの例えばデータ入力、あるいは紙による情報伝達……(発言する者あり)そうした漏れなどについては、やはり個別の事務処理誤りがあれば記録の間違いは起こり得るというようなことでございます。  ただし、この誤りにつきましては、必要な場合にはその記録の訂正を行っていくんだということで、三月までも特別便をお送りして、それを契機にチェックをしていただくというお願いをしておりますし、四月以降も同様に取組を進め、また台帳コンピューターの中の記録との計画的な突合ということについても、方法をきちっと固めた上で不一致な部分については訂正していきたいと、そういうふうに考えているわけでございます。
  18. 櫻井充

    櫻井充君 私は通告しておりますね、昨日、適切な裁定は何件なのかと。ちゃんと通告しているんですから、それに沿って答えてください。
  19. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  端的に申し上げまして、お尋ねのございました正確に記載された記録に基づいて適正に裁定された件数、これについては、何件というふうにお答えすることは現状、誠に恐縮でございますが、できないわけでございますけれども、今申し上げたようなことで、記録そのもの適正化、正確の確保というものに取り組んでいるところであるわけでございます。
  20. 櫻井充

    櫻井充君 そうすると、正確でない裁定があったということでよろしいんですね。
  21. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。(発言する者あり)お答え申し上げます。  昨年の十二月から送り始めて、三月までの間に例えば送った特別便について申し上げれば、受給者分で三百万人でございますけれども……
  22. 岩本司

    委員長岩本司君) 質問にお答えになっていないようでございます。  ちょっと、いったん速記止めていただいてよろしいですか。    〔速記中止
  23. 岩本司

    委員長岩本司君) 速記を起こしてください。
  24. 櫻井充

    櫻井充君 要するに、じゃ件数が分からないということであれば、不適切な裁定があったということでしょう。
  25. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  正確に記載された記録に基づいて適正に裁定された件数については、もう繰り返しになりますけれども、お答えすることはできないわけでございまして、ただ、そうした必ずしも適正に裁定されていないものがあることが要するに推測される事例といたしましては、昨年の十二月からお送りしている特別便、これで要するに一定のものが名寄せの結果浮かび上がってきて、そしてその持ち主と思われる方に送付しているということからも推測することができると、かように考えているわけでございます。数の方は分かりません。
  26. 櫻井充

    櫻井充君 数は結構ですが、要するに全件が適切に裁定されているわけじゃないんでしょう。不適切な裁定があったんでしょう。私はその事実の確認だけですよ。
  27. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  すべてのものが要するに正確に裁定されているというふうには言えない、そういう状況にあることは間違いございません。
  28. 櫻井充

    櫻井充君 最初からそう答弁していただければいいんですよ。  そうすると、この間の議論に戻るんですが、どうして社会保険庁裁定権があるんでしょうか。正しく裁定できていない人たちになぜそういう権限があるんでしょうか。  去年の委員会で、今日、資料お配りしていますが、通知ですね、社会保険事務所長あて通知があって、この通知で要するに問題があるんだということを指摘して、じゃ、是正するようにというような通知がなされているんですよ。去年この質問をした際に、青柳運営部長ですか運用部長かな、運営部長が何て言ったかというと、この当時のものはすべて適切に処理されておりますと、そういうふうに答弁されたんですよ。だから、私は、その根拠がないのにもかかわらずどうしてそれが言えるのかと言っても、多分やったと思いますと、そう答えた。  じゃ、もう一度改めてお伺いしますが、この昭和三十九年当時のものが宙に浮いた年金の中に入っているんですか、入っていないんですか。
  29. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  この昭和三十九年の通知、この中で触れられている九十三万件の記録でございますけれども、当時の詳細な記録が残っておりませんので確定的なことは申し上げられませんが、したがって、すべて処理されているかといえば、それは要するにその資料がないので確認できないということしか申し上げられないわけでございまして、したがって、そのこととの関連で、五千万件の未統合の記録の中にこの中の一部のものが入っているかと、こういうお尋ねでございますが、それにつきましても確認のしようがないということでございます。そこのところは分からないということでございます。
  30. 櫻井充

    櫻井充君 確認のしようがなくて分からなかったものが去年の委員会では断定されていましたよ、ちゃんとやっていると、適切に処理されているものだと考えておりますだったかな。言っていることが違うじゃないですか。  大臣、昨日の質疑をずっと聞いていて思ったことは、要するに五千万件以外でも、正しく裁定されているかのように思われているものも正しくないということがはっきりしたわけですよ。それで、大臣は、全加入者に十月までにねんきん特別便なのかどうか分かりませんが、それを送られるということですけれども、僕は基本的に申し上げて、全員に今送ったら、電話回線パンクすると思うんです、また。  むしろ、やらなきゃいけないのは、今受給している人若しくはもうすぐ受給権が発生する人、この人たちだけ先に処理された方がいいんじゃないですか。そうじゃないと、まあ私なんかのところにも来ましたが、済みません、まだ電話しておりません、申し訳ないです。ですが、私はまだ受けるのに相当時間あるんです。僕らは六十五からしかもらえませんから、どうせ。すると、あと十数年あるんですよ。その人間はどうでもいいと思うんです、私、今のところは。  今やるべき人たちは、今まず、年金を受け取っている人、それから年金を受け取っているだけではなくてこの先年金をすぐに受け取るであろう人たち、まあ五十九か五十八歳か、この人たちだけをまず最初にやってあげる。そのことをしないと、今のように正しく裁定されていなくて本来受け取るべき年金が受け取れなくなる。だから、そちらから最初にやるべきではないですか。
  31. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 三月までに名寄せした分も、年金受給者、今委員がおっしゃったように今年金を受給している、この人たちから順番にやりました。十月までも、この四月と五月にまず受給者をやる、そしてそれ以外が六から十やるという。そういう意味で、年齢順の順番に一応やっています。  それで、この体制の強化、電話体制その他、それは今鋭意やっているところでございますんで、一応昨年の七月五日の政府・与党の工程表に基づいて今のような手順は踏んでおりますので、順番としては受給者の方から御案内が行くという形にはしてございます。
  32. 櫻井充

    櫻井充君 その後からまたやるということですが、多分、今の混雑状況を考えると、とにかく一回そこでやめた方がいいと思うんですよ。その人たちだけちゃんとはっきりさしてあげると、そこに全精力をつぎ込むということにして、それが終わったら次のステップに行くということの方が、今の社会保険庁の体制を見てみると有効なんではないのかなと、私は個人的にはそう思います。  それで、僕は社会保険庁のずっと答弁とかも聞いていて、この人たちにやっぱり年金任せて、無理だなと。幾ら体制が変わろうと何しようと、台帳を作って何してとかいろんな管理をするということが僕は多分無理なんだろうと思うんですよ。厚生労働省でもう年金の管理するのやめられた方がいいんじゃないですか。
  33. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、法律によって今の社会保険庁を新しい日本年金機構に改組するということでいろんな経営陣をどうするか、体制どうするか、それを今法律に基づいて検討しているところでございますし、例えば国税庁の力も借りる、民間の力も借りる、そういういろんな工夫をしてやりますし、最終権限は厚生労働大臣が持つという今の仕組みでございますんで、私はその方針に従ってできるだけの努力を今やりたいというように思っております。
  34. 櫻井充

    櫻井充君 大臣が努力をしたい、それから大臣がこういう考えでやっていきたいという姿勢に対しては評価します。しかし、現実そうなっているかどうかなんですよ。現実なってないから国民の皆さんが苦労しているわけでしょう。だから、本当に厚生省で管理していいかどうかなんですよ。だって、元々できたところから歴史を調べてみたけど、不純な動機から始まっているわけですよ。いつも申し上げますが、花澤課長という方が、お金を集めてじゃぶじゃぶ使えばいい、支払うのはどうせ何十年後になるんだからいいんだと言って始めた制度ですよ。  それから、僕は回顧録、本当に読んでいて愕然とするのは、例えば昭和三十二年以前のものは一回切り捨てているでしょう。標準報酬月額を上げているんですよ、あのときは。それは何かというと、インフレになっちゃってとても対応できないから標準報酬月額を上げちゃえと。でも、あのときに何をしたかというと、台帳をすべて破棄したんですよ。破棄したというのは、記録を要するに戦争で焼失した、それから移動のときになくした、それから管理がずさんだった。だから、せめて、払っている期間ぐらいは分かっているだろうから、標準報酬月額を引き上げて、それで年金受給額を増やしましょうということで対応しているんです。要するに、生まれたときからずっといい加減な制度なんですよ。  それから、昨日、労働組合の話もありましたが、制度設計の中で、現実、事務職員がきちんと仕事ができるかどうかなんか考えないで制度をつくったということも回顧録の中で言っているんですよ。それで、この今年の改正で、昭和四十四年ぐらいだったかと思いますが、この当時の改正で一番画期的だったことは、事務ベースに乗るような制度設計にしたんだと。つまり、そこまでの間は事務ベースに乗らないような、そういう制度設計だったんです。  もう少し申し上げれば、厚生年金から、それから国民年金一緒になった当時も、あれが僕は統合というのか突合というのかよく分かりませんよ。とにかくだれのものなのか、一元管理できるかといったときに、これはできないとはっきり言っているわけですから。できないけれども、それじゃ国民年金がつくれないのかといったら、それはそういうことじゃないだろうから決断をしたと、二年後までの間にその制度をどうするかを考えようと、大英断だと言っていますが、大英断によってまた混乱しているわけですよ。つまり、今までの制度設計を全部見てくると、元々できないものなんです、絶対に。できない制度の中で、社会保険庁がごまかしながら、国民の皆さんをごまかしながらずっとやり続けてきたのが年金なんですよ。  ですから、こういった過去を振り返ってみると、厚生労働省に私は年金を所管する権利などないと思っています。これだけ国民の皆さんに迷惑を掛けているんだから、厚生労働省が潔くやめた方がいいはず。ところが、この年金お金いっぱい持っていて使っているやからがいるから、いまだにね。あの人たちが、どうしても自分たちが集めた金にしがみつきたいだけの話でしょう。  私は、もう一度お伺いしておきますが、厚生労働省がまずこの年金からやめる、管理をやめる、そのことをやらないと抜本的な改革にはならないんじゃないかなと、そう思いますが、いかがですか。
  35. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いろんなアプローチがあると思いますし、一つは、今申し上げた日本年金機構というのを、これをきちんとやる。ただ、全体の省庁の再編成というような大きな課題について考えると、例えば年金省というのを独立させてやるという考え方も、それは十分検討に値するというふうに思います。  それから、元々年金がない、私たち子供が親に仕送りをすると、こういう制度だったのが、社会全体の仕送りという形で年金を入れた、そのときに、諸外国から見たら、あんなに拙速で入れてうまくいくのかなと、こう言われていた点もあることも承知しております。その中で、いろんな継ぎはぎでやってきたことの矛盾がある意味で今出てきている。  ですから、制度の面もそうですが、片一方で、長期的に年金制度をどういうふうにしてやっていくのかと、そういうことも含めて総合的に考える必要があると思いますので、委員の案は案として、これは受け止めたいと思います。
  36. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  もう一つ、僕は合点がいっていないのは、年金の運用利回りなんですよ。バブルの当時も、運用利回りは決して良くないんですね。そのツケが実は今、回ってきているわけですよ。少子高齢化社会だから年金の保険料率を引き上げる、これは確かに理由の一つなんですが、それだけ言っているけれども、実際の問題は何かというと、年金の運用利回りが悪かったと、これがもう一つなんです。ですから、そういうことを全部隠して、少子高齢社会だから皆さんに負担をして、増えることはあきらめてくださいというのは、僕はこれはおかしいと思っているんです。  それで、今回もサブプライムの問題で、たしか年金マイナスになっているはずでして、この損失額を教えていただけますか。
  37. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 年金積立金、公的年金積立金の運用に当たりましては、法律の規定に基づき、長期的な観点、安全かつ効率的な運用ということが定められており、国内債券等を中心として、株式も含めてですが、株式、債券に分散投資しております。  なお、サブプライムのお話がございましたが、関連商品は保有しておりません。たまさか十八年度末まで、経済の動向を反映して累積収益はむしろ黒字の約十三兆円となっておりますが、十九年度に入りまして、第一・四半期の黒字基調は別といたしますと、その後、マイナス基調に転じてきております。十二月段階までの三四半期分、四月からの累積で約八千億円のマイナスということになっておりますので、先ほどのプラスの十三兆円の基調が少しマイナスの方に転じてきております。  三月末までの動向につきましては、四半期ごとの公表ということでございますので、もうしばらくお時間をいただきたいと考えております。
  38. 櫻井充

    櫻井充君 十三兆円の黒字とおっしゃいますが、黒字になるのは当たり前なんです、当たり前。黒字にならないんだったら持つことの意味がないんだから。だから、それが十三兆円黒字になっているのが幾らへこみましたからこうこうこうでと、これは全然違いますよ。  じゃ、運用利回り幾らですか、この十年間で。
  39. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 今手元の数字で申し上げます。  平成十三年度から十八年度、年度末まで出ておりますもので運用利回りを見ております。年金積立金全体を考えますと、ただいま先生御指摘のようにプラスにならなければ意味がないと、こういうことでございますが、そのためには賃金上昇率を上回る実質的な運用利回りがどうかということが年金制度として一番のポイントとなります。十三年度から十八年度末までの平均で約三・六一%の実質運用利回りという実績でございます。
  40. 櫻井充

    櫻井充君 僕が調べたところによると、その前が結構悪かった時期があるんです。その当時、今先ほど安全な債券とおっしゃるけれども、共済年金は赤字になったことが、運用利回りがマイナスになったことは一度たりともないんですよ、共済年金はね。私の認識はそれで正しいと思っていますが、ところが、国民年金や厚生年金、この運用利回りはマイナスになっていることがありますよね、それでよろしいですか。
  41. 渡邉芳樹

    政府参考人(渡邉芳樹君) 市場運用を始めましたのは比較的近年でございますが、先生御指摘のとおり、かつて旧年金福祉事業団という時代に資金運用部から借金をして運用をしていた時期が一時期ございました。そのときの累積の利差損益が現在でも一兆七千億あるというのは先生御指摘になっている背景にある事実であります。それを含めて差引きして先ほどの十三兆円、そしてまた今年度は少し、十九年度は少しマイナス基調ということを申し上げました。  なお、国家公務員共済、地方公務員共済、今では財政一元化も進んでおりますが、御指摘のように国家公務員共済は国債の義務的引受け規定もございまして基本的には内外株式での運用というのは極めて低い状況にございますが、大きな規模であります地方公務員共済は厚生年金、国民年金を上回る内外株式への投資をしているということで、全体といたしますとやや類似のポートフォリオの構造になってきているのが今日的な状況であると理解しております。
  42. 櫻井充

    櫻井充君 いろいろ説明がありましたが、とにかく端的に言えば昔はいいかげんな運用をされていたんですよ。だから、マイナスになっているんですから、実際。そして、国家公務員が加入している共済の年金は、共済年金は黒字なんです。毎年毎年確実な黒字でした。(発言する者あり)そう、確かにそのとおり、記録も消えていません。  結局、自分たちの金は大事に使っているんですよ。人の金は適当に運用しているからこういう問題が起こってきているわけですよ。そうであるとすれば、年金を一元管理するとかそういうことにしないと今のような不公平というのはなくならないんじゃないのかなと、私はそう思いますけれども大臣、いかがですか。
  43. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 年金の運用については私も問題意識を持っていまして、例えばオーストラリアの年金の運用の実績見ると、はるかに日本よりいいです。  それで、これは民主党の経済財政の専門の委員の方々とも常に議論をしているんですけれども、じゃ、どうするか。もちろんハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンなんで、大事な国民の年金を非常にハイリスクのところにやって失敗してはいけません。  ただ、私は改革できるところから改革したいということで、年金の運用委員、これの任命権が私にありますので、今回陣容を一掃しまして民間の能力持った方も入ってもらうというような形で、審議会とか委員会、こういうところから、これは薬害もそうですが、変えていきたいということで、まず運用委員会のメンバーを一新いたしました。そういうところからこの運用の実績を国民の皆さん方に安全性を保ちながらできるだけ利回り良くするように、そういう努力をしてまいります。  ただ、今委員がおっしゃった問題は、要するに共済組合と民間というのは違うということでありますんで、こういうことも含めて、これはやっぱり長期的に、我々は被用者年金の一元化をまずやろうと、共済組合と普通のサラリーマン一緒にまずなる。そして、長期的にはやっぱり、昨日、衛藤委員予算委員会でお話ししましたか、そういう長期的にやはりこの一元化はどうすべきかと、これは議論はきちんとやるべきだというふうに思っております。
  44. 櫻井充

    櫻井充君 時間になりましたんで、私、申し上げておきたいのは、医療は民間保険会社の方がはるかにメディカルロスが低いと言った方がいいのか、それとも彼らの利益が多いので非効率、とにかく民間保険の方がはるかに非効率的だと思っています。ですから、医療の分野、介護の分野は、僕はこれは国がやった方がいいと思っているんです。民間の保険会社が出てくるようなことは阻止すべきだと思っています。  一方で、年金のこれまでのことを見てくると、国がやってろくなことは何もないんです、はっきり申し上げて。ですから、そういう点からいうと、これは僕は民主党の案と若干違いますが、旧自由党が言っていたように、例えば基礎年金だけにして全額消費税で賄ってしまうと、あと残りの部分は私は個人で何らかの形で運用してもらってと、民間に任せるということの方が恐らく効率的なんじゃないのかなと、個人的にはそう考えております。  ですから、社会保障全体の在り方をもう一度舛添大臣の時代に見直していただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  45. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 民主党の津田弥太郎であります。  まず、今、西島委員が外に出ちゃったんですが、予算委員会、昨日の、指摘がございましたあの労使なれ合い、やみ専従問題、これについてお尋ねをしたいというふうに思います。  過去十年間にわたって二つの労働組合が社会保険庁の職員で構成されているわけですが、経営側からいう無許可専従が分かっているだけで二十九名合わせて存在をしていると。公務に従事していないにもかかわらず税金から給与が支払われていたという実態が明らかになったわけであります。これは絶対に許されないことであります。  問題は、なぜ長期間にわたり違法である無許可専従が続いてきたのか。また、そうした実態についてなぜ明らかにされてこなかったのか。このことについて大臣から御見解をお聞きしたいと思います。
  46. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、この年金問題の検証委員会、総務省であったり内閣府であったりいろいろ今行われています中で、いわゆる三層構造が大きな原因だったということで、地方事務官制度がある、そしてそれが、人事権と予算は国が持っているんだけれども指揮命令権が都道府県知事にある、これはもう委員が御承知のとおりです。こういう三つの層で、じゃどういうふうに指揮命令をして監督するのか、これがやっぱり今の無許可専従、いわゆるやみ専従の一つの温床になったんではないかと、そういう問題意識を私は持っていますが、いずれにしても、こういうことは今委員おっしゃったとおり許されないことでありますんで、きちんとこれは対応したいと思っております。
  47. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 これ、この違法に受け取っていた給与の返還という問題ですが、会計法上では過去五年間という縛りがあるようでございます。私は、そういうことでは国民は納得しないと思う。私も納得できない。  昨年の通常国会でも議論したわけでありますが、労働組合の過去の取組において極めて親方日の丸的な体質があったというのは私も事実だと思います。また、労働組合と社保庁の間に結ばれた数々の覚書、コンピューター等の環境の変化がある中で、その五千タッチ云々という、そういう覚書がかなり最近まで既得権として残っていた、これも大変大きな問題であるというふうに思います。  こうした労働組合の過去の取組がどこかで年金記録問題ともつながっているんではないかということも私は否定できないというふうに思います。ですから、今回明らかになりましたこの無許可専従者に支払われた給与については、五年という期限ではなく永久にさかのぼって返還を求めるべきだと思うんですが、いかがですか。
  48. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今委員おっしゃったように、会計法三十条の縛りがあって五年で時効だと。ただ、私はやっぱりこういうものはその不正を働いた時期からそれは国民に戻すべきだと思いますので、自主返納ということを求めたいと思います。ただ、書類が残っているかどうかで、今のいろんな覚書を含めて、十年前まではさかのぼって、書類があるということで取りあえず十年間の調査をしましたから、そこまでについては私は自主返納を求めたいと思います。
  49. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 年金流用禁止法案の私は提案者のときに、この労使関係のあるべき姿についてるる述べた記憶がございます。私は、やっぱり社会保険庁におけるその労使関係の問題というのは、最終的にはやはり一番大事な国民の皆様にしわ寄せを持っていってしまった、そのことが大きな原因だというふうに思うわけでありまして、この労働組合の責任というものについては、これは本当に大きなものがある。しかし一方で、いわゆる経営側、これはもうまさに骨の髄まで親方日の丸に染まり切っている、経営責任を全く果たしてこなかった。これは先ほど大臣もおっしゃったように、検証委員会でまさに一番責任の重いのは歴代の社会保険庁長官であるということを明言をしているわけでございます。  これは大臣、この検証委員会、総務省からの報告というのは、これは総務省からの報告であって、いわゆる厚生労働省あるいは厚生労働大臣として、これはまさに政府としての見解になるわけですが、これはイコールというふうに考えていいのか、それとも厚生労働省としての総務省からの指摘を受けた見解というものがあるのかどうかお聞きをします。
  50. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは昨年十月にこういう指摘を受けたんですけれども委員御承知のようになぜ総務省に検証委員会をと。まあ大変恥ずかしいことに、もう厚生労働省社会保険庁では自浄能力ないだろう、外からきちんとチェックしないと駄目だろうということを政府の方針として決めまして、これで検証をしていろんな今委員がおっしゃったような問題が出てきた。当然これは政府全体としての総括でありますから、厚生労働省もきちんとその総括に従うと、そういうことでございます。
  51. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 ここで問題になってくるのは、最も重い責任があるのは歴代社会保険庁長官だと、そのことが指摘をされたらそれに対して処罰があるのは当たり前でしょう。これがなかったら意味がないんですよ。原因を明らかにしただけじゃ意味がないんですよ。原因を明らかにして、その結果出てきた責任に対して、その責任を具体的に求める、これは当たり前のことじゃないですか。それは厚生労働大臣がやらなきゃいかぬことではないかということを私は思うんですが、いかがですか。
  52. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それはもう各歴代の社会保険庁がきちんと反省していただかないといけない。ただ、問題は、このもう退職なさっている人に対する公務員の規定、それに基づいてその在任の時期の給与の一部について自主的な返納をお願いしてそれを実行していただいたというのがそういう経緯であって、それはもう委員おっしゃるように、きちんと反省をしてもらわないと困ることはもうそれは確かでございます。
  53. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 実は、今おっしゃったその給与の一部返納というのはそのボーナスの一期分の返納ということでありますが、これは検証委員会の最終報告の前にやっていることなんですよ。要は、これはやっぱり厚生労働省としても社会保険庁としても何かやっぱり誠意を示さなきゃいかぬということでやっていることで、これが最終処分、最終判断ということになるのか。少なくとも、昨年の十月に検証委員会でこの問題の五千万件を含めた社保庁の問題の責任が明らかにされたことによる新たな処罰というのは私は承知をしていないんですよ。そこを答えてください。
  54. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 法律の定めに従ってできることは私はやったつもりであります。そして、そういう反省の上に立ってきちんと仕事をしていくと、それが今の私の務めだというふうに思っておりますんで、自主返納を求めましたし、ただ問題は、どの時期にどの長官が例えばどれぐらいの責任があってと、この長官はしっかりやった、この長官のときはもっとひどいことをやった、それの検証がどこまでできるかと、こういう問題にもかかわっておりますんで、私は今申し上げたように、きちんと反省を求め、自主返納を求め、そして新しい体制に向かって今は年金記録問題の解明をやっていくと、これに今全力を尽くす、そういう決意でございます。
  55. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 そうしますと、これまでの歴代の社会保険庁長官、十数人いらっしゃいますけれども、その中で罪の軽重を検証されていると、厚生労働省として。それこそ、死刑から始まって懲役刑まで含めて検討をされていると。まあ私の例えは余り適切じゃないかもしらぬけれども、そういうことで理解してよろしいんでしょうか。
  56. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いや、そういうことを例えば検討するにも、きちんとした材料がないということを申し上げたんです。
  57. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 先ほど大臣は、総務省の検証委員会はこれは政府の見解だというふうにおっしゃった。そこで最も歴代社会保険庁長官の罪が重いというふうになったと。しかし、その報告が出る前に一時金の一期分だけの返納をやった。私はそれでは済まないと思う。例えば、この最も罪の重い歴代社会保険庁長官は、少なくとも退職金は全額返納すべきであります。  驚くことに、歴代社会保険庁長官の退職金を試しに厚生労働省に計算をしてもらったところ、相当な金額になるようでありますが、この歴代社会保険庁長官の退職金の合計は幾らになるんでしょうか。
  58. 吉岡荘太郎

    政府参考人吉岡荘太郎君) 御答弁申し上げます。  昨年夏に賞与相当額の自主返納を要請いたしました最終官職が社会保険庁長官であった者に関する退職手当の総額についてでございますが、それぞれの退職時の在職年数等、一定の仮定に基づき計算いたしますと、その退職金の合計額、約八億七千万円となっております。
  59. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 そうなんです。社会保険庁長官ともなると退職金も大変な金額になってくる。四千万円台二名、五千万円台二名、六千万円台三名、七千万円台五名、何と八千万円台までいる。  これ今、先ほどから、昨日もそうなんだけれども、国民がこれだけ苦しんでいるところで、その最も罪の重い人間はこんな退職金もらってのうのうとしている。これは絶対に許されないですよ。大臣、これ全額返納を求めてください。いかがですか。
  60. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 委員、これは実は、前の塩崎官房長官ともその経緯についていろいろお伺いしました。そして、きちんと厳正に対処するということで、安倍総理大臣、塩崎官房長官の下で、社会保険庁長官、そして職員に対して一定の返納を求めたということでありまして、私はその上に立ってきちんとこれは立て直しを図りたいと、そういうふうに今思っております。  ですから、十月に総務省の検証委員会の報告が出て大きく状況が変わったのではなくて、私は、昨年の夏でしたか、その安倍内閣の下で塩崎官房長官を中心としてきちんと私は政府としては対応したと、そういうふうに考えております。
  61. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 先ほど大臣も、個別具体的にそれぞれの長官の罪の軽重も検討しなきゃいかぬというお話がありました。特に、昭和六十年九月三日に国民年金の普通台帳の廃棄命令を出した当事者の責任というのは、これは私は極めて重い、これは大臣も共通の認識を持っていただけるんではないかと思うんです。  このオンラインへの誤入力、未入力が発生した場合に、本来ならばこの紙台帳記録を調べれば救済できる可能性が高いはずなのに、そうした調査が不可能になってしまう。先般、薬害エイズ事件における元厚生省課長の有罪が確定をしました。これは、与えられた権限を漫然として行使をしない公務員の無責任な怠慢に対して、不作為そのものを犯罪として明確に位置付けたものであります。  翻って、この年金記録問題においては、複数の読み方が可能な漢字の氏名について画一的に処理していたと。その一つを取っても、もし紙台帳を廃棄してしまったならば、将来個々人の年金記録の検証に大きな問題が発生することは社保庁の担当者にとってはこれは自明の理であります。その意味で、当時の二人の課長による廃棄命令というのは、不作為どころかまさに未必の故意に近い作為と言わざるを私は得ないというふうに思います。  大臣、この二人の課長、さらにはこの上司である当時の長尾年金部長、あるいはその上司の正木元長官に対して直接に事情聴取をされたことがおありですか。
  62. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それをいたしたことはございません。
  63. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 これ、さっきからそれぞれの社保庁の歴代長官の問題についておっしゃっているんです。私は、この正木元長官というのは特に重い。退職金も、推定ですが七千万円台もらっているんだ。これ、長尾元部長も含めて事情を聴く、これは当たり前のことでしょう。  これ、委員長、この委員会に是非この正木元長官、長尾元年金保険部長、谷口業務元第一課長に対して、参考人として本委員会への出席を求めたいというふうに思います。よろしくお願いします。
  64. 岩本司

    委員長岩本司君) 理事会で協議いたします。
  65. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 本来ならば、昔の言葉で言えば市中引き回しの上、その後は退職金没収、こうなってもおかしくない連中ですよ、この連中は。そのことについて大臣が全く直接事情も聴いていない。これじゃ話にならない。  そこで、次に移らせていただきますが、政府委員で結構です。重要な問題があります。この消えた年金あるいは宙に浮いた年金について、記録の訂正が行われたことによりその年金受給権が発生をする二十五年間、掛ける十二か月ですから三百か月ぐらいですか、この保険料納付期間が二十五年を満たし、晴れて年金受給権を得ることになった、そういう人は何人いらっしゃいますか。
  66. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  平成十八年六月時点で基礎年金番号に未統合であった約五千九十五万件の記録については、日々の年金相談、それから年金請求時、それから今回のねんきん特別便の送付、そうしたことを契機にして基礎年金番号への統合が進められていると。その数は、御案内のように、本年三月十五日時点におきまして約四百四十万件の記録と、そういう数に上っているわけでございますけれども年金受給権の発生が記録統合の結果によるものかどうか、そこら辺は区別していないわけでございまして、したがって、お尋ね件数については把握してございません。
  67. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 これ、ちゃんと昨日通告しているんですよ。これ、分からないことはないでしょう。  だって、今、現実に記録につながった人の中で私は二十五年を何とかクリアできた人というのは恐らくいるだろうと思う、これだけの数がいれば。しかも、このことは大変重要な意味を持っているんですよ。掛け捨てで終わったのか、それとも記録が戻って何とか受給できるようになるかって、これはもう天と地の違いなんだ、大変な違いなんですよ。  何で分からないんですか。説明してくださいよ。
  68. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  私ども社会保険庁のオンラインシステムにおきましては、年金を受給するために必要な資格期間二十五年、これに要するに満たない方についての実はリストというものをまずは持っておりませんで、したがって、そういうものを仮に持っていれば、そういう方々の要するに中からその統合によって受給権が発生したというような確認ができるという形になろうかと思うんですが、大変恐縮でございますけれども、そういうような一覧は持っていないというようなことでございます。  また、そういう状況でもございますので、なかなか要するにシステム対応というのも技術的な検討をいろいろした上でないと可能かどうかも分からないと、こういうような状況にあるわけでございます。
  69. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 できない。
  70. 岩本司

    委員長岩本司君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  71. 岩本司

    委員長岩本司君) 速記を起こしてください。
  72. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 もう一回お伺いいたします。  これ、大変重要な問題なんです。掛け捨てになるかならないかというのは大変重要な意味を持っているんです。これからのねんきん特別便、あるいは四月から行く、加入者、受給者に対して、全員に対して行くわけですが、大変これ、二十五年になるかならないかというのは重要な意味を持っているんです。ですから、この消えた五千万件の中から記録が呼び戻ってきた場合に、それが戻ってきて二十五年をクリアできたというのは大変重要な意味を持っているんです。  これは、そのことをきちっと調べるというのはこの問題を解明する上で大変重要な意味を持っているから私は何回も申し上げているのにもかかわらず、そんなのは試算でしかないとかなんとかというのは、大変これは不遜な態度ですよ。大臣、どうですか。
  73. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今どういう形で記録の把握ができているかということを客観的に答えたというふうに理解をしております。今のような委員の御質問にすぐ答えられるような形でコンピューターのプログラムというのが実はきちんと組んであればこれはできると思いますけれども、私が現場にいるわけじゃありません、今そういう答えを聞きましたんで、客観的にそういう状況だというふうに認識せざるを得ません。
  74. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 分かりました。  これは大変重要な意味を持っています。委員長にお願いしたいと思います。これ、厚生労働省、社保庁に対して、今私が申し上げました数字について本委員会に結果を早急に報告するよう求めたいと思います。
  75. 岩本司

    委員長岩本司君) 理事会で協議いたします。
  76. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 それでは、入念照会についてお尋ねをしたいというふうに思います。  例えば、昭和二十三年十一月二十九日、舛添要一さんの誕生日です。この年の生まれの舛添さんは日本に一人しかいないかもしれない。そうすると、五千万件の記録にヒットした場合には入念照会が行われるんです。  ここに風間直樹さんというのいるんです。この方は、実はある勉強会で偽装請負問題を追及している東洋経済の記者。同じ名前で風間直樹、漢字も一緒だね、全部一緒だったよね、いるんですね。  これよく考えていただきたいと思うんですが、同姓同名というのが存在していることは本人に何らの責任はないわけです。何もない。しかし、社保庁の立場に立つと、一対一対応でなければ入念照会は行わないという発想になるわけであり、宙に浮いた年金の被害者の視点に立てば、同姓同名がほかに存在していようがいまいが、あらゆる努力を社保庁が行って記録回復が行われなければならないということに私はなると思う。  そこで、先ほども申し上げました、年金保険料の納付期間が二十五年にわずかに満たない方などを優先して取り組む、そして無年金者を一人でも減らしていく、そういうある面ではポイントポイント、要所要所の取組は私は大変重要ではないかというふうに思うんです、この入念照会について。ですから、これ、特に電話や訪問活動を行うわけで、結果として記録が結び付く確率が物すごく高いんです、この入念照会は。だから、これをもっと幅広くやっていただきたいと思うわけでありますが、大臣の御見解をお聞きしたい。
  77. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 訂正なしという回答をされた方でも、今委員がおっしゃったように、いろんなデータが合ってる、これはきちんと記録一緒になる可能性があるもので、これを夏までの間に何とか頑張ってやりたいというふうに思っていますし、今、大体ラフな数字で試算いたしますと、これまで一次名寄せ分で百八十万件ぐらい発送したうちの、これサンプルですけれども、そのうち回答割合が六割、そしてそのうちの訂正なしが七割ということなんで、ちょっと細かいことは避けますけれども、現時点では三十五万人ぐらいの方に入念照会をすれば、今言ったポイントポイントでやれってことができると思います。これ、何とか夏までに完遂したいと思っております。
  78. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 実は、これ、衆議院の厚生労働委員会で山井議員の質問に対して大臣が、入念照会については実施計画をつくってみたいというふうに、今もそれに近いことをおっしゃっておるわけです。ですから、それ夏ですか、衆議院のときには今月中、つまり三月中というふうにおっしゃったというふうに私は理解をしているんですが、これが八月に延びるということになるわけですか。
  79. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いつまでやるかというのを大体三月中に固めたいということで、今日委員に初めて、初めてというか申し上げているのは、衆議院ではまだそこまで固めてませんで、そして三十五万人ぐらい入念照会して、それをやっていくと八月ぐらいには終わると、そういう意味で申し上げました。
  80. 津田弥太郎

    津田弥太郎君 分かりました。しっかり取り組んでいただきたい。  特に、何回も申し上げますが、二十五年になるかならないかというのは大変重要な意味を持っているわけで、掛け捨てになるかならないかというのは、これはもうまさに生き死に、天と地、そのぐらいの違いがあるわけでありまして、特にそこに重点を置いて取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。  さて、時間がなくなりましたが、資料を見ていただきたいと思います。  四月五日の朝日新聞の「声」欄に、八十一歳の女性の方の声が載っております。これが今本当に記録が消えていた方、そして今御高齢で、そして何とかそれが取り戻せるものなら取り戻したい、特に四月十五日から後期高齢医療の保険金が天引きをされる、したがって何としてもこの年金額が、受給額が増えるにこしたことはないわけでありまして、その切実な声が書かれておりました。  私は、舛添大臣のこれまでの姿勢をすべて否定するつもりはありません。三月十四日の予算委員会で私は、マクドナルドの名ばかり管理職の問題を取り上げました。そのことについて、大臣は四月一日に、全国の労働局に適切なこの名ばかり管理職問題について監督指導を行うよう一斉通達を出されたということについては、私は評価をしたいというふうに思っております。  ただ、この年金制度というこの高齢期の生活保障の根幹となる制度が大きく揺らいでいる現状において、官僚に取り込まれ有効な手だてを講じられないようでは大臣としては不適格である、そのように言わざるを私は得ないと思います。大臣が直ちに政策転換を行うのか否か、大変重要な時期に私はなっているだろうということを申し上げて、私の質問を終わります。
  81. 蓮舫

    ○蓮舫君 民主党・新緑風会・国民新の蓮舫です。  年金について引き続き質問させていただきます。  昨年成立し、同日施行されました年金時効特例法、これまで、社会保険庁のミスで年金記録が訂正されたとしても五年の時効の壁があって、それ以前の前の未払の年金額はいただけなかったものがもらえるようになった。この法律が施行されて九か月がたちました。  今まで何件、総額幾らお金をお支払いしましたか。
  82. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  年金時効特例法につきましては昨年七月の六日に施行されまして、この法律に基づいて本年三月三十一日までに二万八千三百三十四件の支給決定を行ったところでございまして、これによりお払いした金額、あるいは決定した金額、総額で二百十三億一千三百八十八万円というふうになってございます。
  83. 蓮舫

    ○蓮舫君 資料の一枚目に付けておりますけれども、二万八千三百三十四件、総額で二百十三億円お支払いをしている。これ、とんでもない額だと思うんですが、最高額支給された方は何歳で、何か月が対象になって、幾ら支払われました。
  84. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  支給決定金額の最高額になるわけですが、二千八百二十三万円でございまして、九十六歳の方でございます。時効消滅期間は三百六十五か月ということでございました。
  85. 蓮舫

    ○蓮舫君 しかも、対象者の最高年齢を見ると、これ百一歳なんですよ。九十九歳で千六百五十五万円をもらったとか、九十七歳で千四百八十七万円もらったとかいうケースも決して珍しくない。三十年間ずっと年金がもらえなかった。高齢になってようやく未払分を数千万たまっていただいたとしても、その方の体とかどうなんだろうか、もっと前にもらっていたらやりたかったことがあるんじゃないかと。  その意味で、年金が戻ってきたとしても、取り戻せない時間という意味は私は相当大きいと思うんですが、社会保険庁長官、この二百十三億円の重みというのはどういうふうに受け止めていますか。
  86. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) これらは年金記録の訂正に伴って支給されたものであるということで、私ども記録の管理の責任を担う者として非常に重く受け止めなければならないと考えております。  私どもとしては、これまでも申し上げましたとおり、お一人お一人に正しい年金額をお支払いをするために、ねんきん特別便をお送りし、御確認をいただくとともに、私どもとして必要な解明も進めてまいりたいと。そういう努力の中で、できるだけ正しい記録の下に正しい年金をお支払いする努力を続けなければならない、そのように感じておるわけでございます。
  87. 蓮舫

    ○蓮舫君 余り反省の意味合い、深さというのが伝わってこないのが本当に残念なんですが、この法律は昨年の五月三十日に衆議院の厚生労働委員会で審議されたときに、政府・与党は、この法律が施行されたら将来幾ら予算が掛かるんだという推計案を示しました。幾ら示しました。
  88. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  ちょっとお待ちください。  平成十八年六月末時点で基礎年金番号に未統合でございました五千九十五万件の記録でございます。これは、先ほど申し上げたように、日々の年金相談あるいは年金請求時、そういったところで……
  89. 蓮舫

    ○蓮舫君 違います。ごめんなさい。今朝通告したんで間に合っておられないのかもしれませんが、昨年の五月三十日に衆議院の厚生労働委員会でこの法案が審議されたときに、政府・与党は、この法律が通ったときに国庫予算は新たに幾ら掛かるという計算をしています。幾らでしたか。
  90. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは内山議員に対する質問だったと思います。このときに、これは私はまだ大臣ではありませんけれども、時の大臣がお答えしたのは、時の政府がお答えしたのは、時効特例法に伴う給付増として六十億円を見込むと、こういう数字だったと思います。
  91. 蓮舫

    ○蓮舫君 施行から九か月、まだ一年に満たないのに、当時、法律が通ったら六十億で大丈夫だと言っていた額のもう三・五倍お支払いしているんですよ。これ、一年たったら四倍、五倍になってもおかしくない。  つまり、私は、この年金問題は、五千万件の問題も、当時の安倍総理、本来社保庁は五月ぐらいまでかかると言っていたのを、選挙が近いということで、四月だ、三月だってどんどん公約を前倒ししていったり、つまり、相当見込みが甘かったんじゃないかということはまずお認めいただきたいと思いますが、大臣いかがですか。
  92. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この数字と全く違う数字、既に三倍、四倍という今委員がおっしゃったとおりで、私は、先ほど委員がおっしゃったように、何十年にわたるこの社会保険庁の使命感と責任感の欠如、こういうことの結果がここに現れているんで、九十六歳で二千八百万もらったって、これ若いときからいただいておければ相当違っていたはずなんで、こういうことを厳粛に受け止めてきちんと対応して、そういう方がおられれば一日も早く支給決定するように全力を挙げて努力をいたしたいと思います。
  93. 蓮舫

    ○蓮舫君 この年金時効特例法、三万件近くで二百十三億がもう支払われているんですが、じゃ、問題は、宙に浮いた五千万件の記録が御本人に戻ったとき総額幾らお支払をしなければいけないのか、これはやっぱり明らかにしないといけないと思います。  既に四百四十万件が統合されました。この四百四十万件統合されて幾ら支払うことになりましたか。
  94. 石井博史

    政府参考人石井博史君) 四百四十万件についてのお尋ねでございますけれども、この四百四十万件の中身でございますけれども、現に年金を受給している方からの要するに申出によって統合が行われた分、それがすべてではございませんで、被保険者の方からの申出によって統合された分も多く含まれているというふうに承知しております。  裁定変更の申出でございますけれども基礎年金番号に未統合であった記録が統合されたほかに、それとは別に、記録の訂正とかあるいは納付記録の追加とか、そういうような様々な理由で裁定の変更が行われているという実情もあるわけでございまして、しかしながら、どのような理由に基づきその裁定変更の申請が、申入れが行われたのか、そして、それに基づいてどのくらいの金額になるのか、それらについては、大変恐縮でございますけれども、把握する仕組みとなってございませんので、お尋ねの金額については申し上げることができないわけでございまして、御理解をいただきたいと思います。
  95. 蓮舫

    ○蓮舫君 受給者が再裁定をされて幾ら未払い分の年金額をいただいたのか、何で計算してないんですか。これ、まだ四百四十万件しか再裁定されてなくて、残りの四千五百万件、これから記録が戻ったらまた新たにお支払をしなければいけない。つまり、予算が発生するわけですよ。平成二十年度予算で幾ら見込みなのか、二十一年度予算で幾らになるのか、この基礎データがないと、五千万件で幾ら国庫からお支払いしなければいけないのか分からない。そんなのも分からない。四百四十万件は既に再裁定をされている。  ならば、今幾ら払ったのかというのを最低限お出しして、これ五千万件になったら幾らになるのかというのはお示しするのがお仕事じゃないんですか。
  96. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  この再裁定に伴います追加的な支給決定額の総額、これに関するお尋ねは、昨年五月、六月のときのその質疑においてもいろいろな先生方からちょうだいしてはいるわけでございますが、そのときも申し上げましたように、大変恐縮でございますけれども、現時点において社会保険オンラインシステム、直ちにその計算をして御報告をする、そういう仕組みにはなっていないものでございますから、お答えすることは現時点ではできないということでございます。
  97. 蓮舫

    ○蓮舫君 大臣、仕組みをつくっていただきたい。  つまり、今ねんきん特別便の問題も更に注意喚起をして自分の問題だと受け止めるための更なる情報公開をしなければいけないときに、五千万件ある中の四百四十万件が再裁定して、その総額、幾らお支払いになったと。そうしたら、五千万件だったら、もしかして億なのか兆なのか分かりませんけれども、この時効特例法、三万件だけで二百億とか発生しているわけですから、もしかして兆になるかもしれない。その事の問題の大きさが更なる世論の喚起につながって、御自身の問題としてとらえてもらうための一つのきっかけになると思うんですね。この四百四十万件を、それを整理するとかそういう仕組みになっていないというのは、私はこれ職務怠慢だと思います。指示していただけませんか。
  98. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) その点、実は私も同じ問題意識を持って、今残念ながら、委員、窓口に来られて、あなたこれだけ増えますよと、そこから六か月掛かっちゃっているのを今三か月に縮めるように頑張ってやっております。  そのときに、例えば、現場を見ると、例えば蓮舫委員、あなたはこの記録取り戻したために月々三千円増えますというのが分かるとしますね。そうすると、年間幾ら、何年間というのは、これはまあ丸い、ラフな数字でしかできませんけれども、窓口で対応したときに幾ら増えるというのは言えるはずで、言っているはずなんです。ですから、それを、例えばもう手書きのメモで、そして何という担当者がやったという判こでも押して差し上げると。そうすると、一安心、本人もなさるし、ちょっとまた人手や何かを手当てしないといけないですけど、それをコンピューターにでも入力していっていけば総数出ると思いますんで、ちょっと、どういうことが可能か検討さしていただきたいと思います。
  99. 蓮舫

    ○蓮舫君 是非早急に検討というか着手をしていただきたい。今でも再裁定されてお支払いしている方はおられるわけですから、そういうものを積み重ねればいいだけの話で、よく社保庁の方たちに聞くと、また新たにシステム開発しなきゃいけないとか、とにかくお金の掛かることとシステムだけに依存をしている体質がありますんで、そこは是非是正をしていただきたいと思います。  私は、この年金記録問題においては、お金をお戻しするのはもちろんなんですけれども、やっぱり時間は戻らない、百一歳になって一千万、二千万もらって、今まで掛けてきた、これまでの積み重ねというのが全くそこで、何というんでしょうか、無駄になってしまっているようなお金のお支払い方というのは絶対駄目だと思うんです。  でも、先ほど来、津田委員からもありますけれども社会保険庁がその責任の重さを痛感して、だれかがしっかりと責任を取って仕切り直しをしたのかといったら、そこが一切ない。それどころか、〇六年八月、年金記録の強化キャンペーンが始まった夏から去年の夏の参議院選挙が終わった八月までの一年間、この一年間で、厚労省の課長、企画官担当職以上で退職し、公益法人、社保庁関連団体に天下った人は何人ですか。
  100. 吉岡荘太郎

    政府参考人吉岡荘太郎君) お答え申し上げます。  御指摘の期間において厚生労働本省の課長、企画官相当職以上で退職し、関連公益法人等に再就職をいたしました社会保険庁職員のOBにつきましては、昨年末、十二月の再就職状況の公表についての資料にありますとおり、合わせて十六名となっております。
  101. 蓮舫

    ○蓮舫君 この記録問題が大騒ぎになっているときに、社保庁の幹部の人たちはさっさと社会保険庁を辞めて関連の公益法人に天下りをしている、十六人の方が。この十六人の方、資料二枚目です。この中で、社会保険業務センター、四、五、六、七、この人たちはオンラインで記録を管理して、まさにその記録問題の担当にいる方たちが四人天下っていますが、天下る前の退職時の官職を教えてください。
  102. 吉岡荘太郎

    政府参考人吉岡荘太郎君) 今御指摘の昨年八月までの一年間に退職をいたしました十六名の内数でございますけれども、社会保険業務センターで退職したものでございます。その社会保険業務センターにおきます最終官職、業務について申し上げます。記録管理部長、中央年金相談室長、業務審査課長並びに年金番号課長、以上でございます。
  103. 蓮舫

    ○蓮舫君 記録管理部長、中央年金相談室長、記録管理年金番号課長、この人たちは皆五千万件の年金記録の訂正の現場の責任監督者ですよ。記録は全く戻らないけれども現場の監督責任者はさっさと天下っているということが、今社会保険庁がこういう環境に置かれている中でこれは理解が得られると長官は思っておられるんですか。
  104. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 退職については、それぞれの方のそれぞれの事情によって退職をされたものと考えるわけでございます。当然その後任についてはそれにふさわしい人材を充てて、業務の運行に支障のないようにはきちんとしておるつもりでございます。
  105. 蓮舫

    ○蓮舫君 それぞれの事情があれば、この今の段階で社保庁の幹部職員は関連団体に天下るのはしようがない、認められるという理解でよろしいんでしょうか。
  106. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 退職します公務員の再就職につきましては、公務員法の規定に照らして、人事院が審査を行うべきものについては必要な審査を行い、それ以外についてはそれぞれの判断において再就職を行う、そういう制度になっているものと承知をしておるわけでございます。
  107. 蓮舫

    ○蓮舫君 資料三枚目には歴代社保庁長官の天下り人生の天下り先を書かせていただきましたが、トップが天下っていたら組織の幹部もいいんだということになってしまっているんだなと私は理解をさせていただいております。  例えば、私はこの年金記録問題、民主党が常に言わせていただいているのは紙台帳の大切さです。とにかくオンラインのデータ記録が間違っているときはやっぱり原票、紙台帳原簿までさかのぼらないと正しい記録には戻らない。今八億五千万件しかないんですが、この紙台帳にまず戻ってデータをお直しをして、それから名寄せをした方が効率的だと、これは去年からずっと主張させていただいているんですが。  一番上の正木元長官、彼は紙台帳を保存命令ではなくて廃棄命令を出した元長官なんですね。捨てちゃえと、捨ててもいいと。こんな命令を出した人はその後四団体もの公益法人を天下って、最低限得た給与、退職金総額は二億円を下りませんよ。それでもこういう天下りはいいのかと。  私はこれ、社保庁長官に聞いても仕方ないと思いますが、大臣、政治家としてどうですか。
  108. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 公務員制度の在り方全体、これは政府も検討をしているところでありまして、国家公務員法、地方公務員法をどういうふうに変えていくか。そういう中で、私が今申し上げているのは、国民からいささかの疑義も受けるようなそういうような再就職先というのは、これはきちんと考え直さないといけない。特に、今薬害の問題についてそういう問題も起こっておりますので、それは厳しく指導をしているところでございますので、全体の公務員制度改革の中でこの問題をきちんととらえて取り組みたいと思います。
  109. 蓮舫

    ○蓮舫君 あと二年で社保庁は民間団体になるんですが、今政府が検討している国家公務員制度改革、天下り対策、禁止というのは民間団体は対象外です。あと二年したら社会保険庁日本年金機構になったら天下りし放題になるんですよ。だから、ここはもっとしっかりとチェックをさせていただきたいし、私たちは国家公務員制度改革のときにこの社保庁の問題もしっかりと提言をさせていただきたいと思います。  次に、先ほど大臣は津田委員質問に対して、歴代長官、どれだけ判断ができるのか、この人は仕事をしてこの人は仕事をしていない、材料が足りないとおっしゃいましたが、総務省の年金記録問題検証委員会は、基礎年金番号導入、平成九年時から長官を務めていた三人から事情聴取をしています。この聴取の結果、メモはどういうふうに、どこに上げました。総務省に伺います。
  110. 関有一

    政府参考人(関有一君) 検証委員会で三名の社会保険庁長官OBからヒアリングを行いました。その結果につきましては、検証委員会、十月三十一日に最終報告書を提出いたしましたが、そこに……
  111. 蓮舫

    ○蓮舫君 メモはどうしたのかと聞いています。
  112. 関有一

    政府参考人(関有一君) ヒアリングの結果につきまして座長が備忘録的なものをお持ちになっていたということで、それを基に概要を作成をし、三月六日に公表をいたしたところでございます。
  113. 蓮舫

    ○蓮舫君 メモはどういうふうにしたんですか。メモは提出しましたか、社会保険庁あるいは厚生労働省に。大変なこれは材料ですよ。
  114. 関有一

    政府参考人(関有一君) 三月六日に公表をいたしましたので、当然、社会保険庁もそれを入手しておるものと考えておるところでございます。
  115. 蓮舫

    ○蓮舫君 そうすると、社会保険庁はこの元長官のメモを中心に何らかの検討をしましたか。当時の長官はこういう認識だった、当時の組織はこういうふうだった、何が問題だったのか検証したかどうか聞かせてください。
  116. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) このメモにあるような聴取結果も踏まえて検証委員会の報告が最終的に作成をされておるわけでございます。そして、その報告書においてこの記録問題が発生した原因及び今後に残された課題などの整理をされておるわけでございます。したがって、私どもとしてはその報告書全体を受け止めて、その報告書の提言、意見に従って必要な改善措置を講じていく、そういう考え方にあるものでございます。
  117. 蓮舫

    ○蓮舫君 検証委員会の報告書は、一言で言えば、みんな悪かったで終わっているんですよ。歴代長官の責任も重いし幹部職員の責任も重いで終わって、だれもその責任を取っていない。  このメモについて、じゃお伺いをいたします。  平成九年、基礎年金番号導入時に長官を務めていた佐々木典夫さんですが、佐々木さん、その後長官をお辞めになって医療関係の公益法人に理事長として天下って、四年間で給与と退職金で少なくとも五千万円を手にしている人なんですが、その後更に財団法人にも天下っています。この方、聴取でショックだと言われている。何にショックだったと言っていますか。
  118. 関有一

    政府参考人(関有一君) ヒアリング概要を見ますと佐々木元長官は、結果として私にとって非常にショックだったのは、基礎年金番号の導入に関し、過去記録の整理は受給者については照会しなかったのだが、受給年齢の人の記録が五千万件に入っていることである、裁定を受けた人は問題がないと考え疑っていなかったと述べております。
  119. 蓮舫

    ○蓮舫君 裁定を受けた人には間違いがないと信じて疑ってなかったんですよ、そこの作業をしてなかった。これ、どうして信じて疑わなかったんでしょうか。
  120. 関有一

    政府参考人(関有一君) 佐々木元長官の発言、推察になるわけでございますけれども、ヒアリング概要からしますと、裁定を受けた人は社会保険庁として本人から事情を聴き、また社会保険庁記録確認も行われるものでありますので裁定の段階で記録が結び付くと、そういうふうに考えていたにもかかわらずそうではなかった例があったということを言われているものだと推察をいたします。
  121. 蓮舫

    ○蓮舫君 推察だと検証はできないんですね。  これは委員長にお願いをいたしますが、佐々木典夫元長官、参考人の要請します。
  122. 岩本司

    委員長岩本司君) 理事会で協議いたします。
  123. 蓮舫

    ○蓮舫君 二〇〇三年から二〇〇四年に長官だった真野章氏、彼も社会保険庁長官を辞めた後には公益法人、厚労省所管の公益法人に天下っています。この方は、業務課における花形業務は裁定だったと言っています。  これ、ヒアリングの概要に何て書いてありますか。
  124. 関有一

    政府参考人(関有一君) 真野元長官は、地方の職員は記録の管理を行うが、裁定は高井戸の業務課が一括して行っていた、記録の管理は総じて縁の下の力持ち的な業務だった、記録の重要性は当然のことながら、できるだけ早く裁定する、間違いなく早く支払うということにウエートが置かれていたと述べております。
  125. 蓮舫

    ○蓮舫君 更に真野さんは、花形業務は裁定だった、裁定をやることがもう最高ランクだったと。  でも、そこはミスがあったというのが今明らかになっているんですが、ここの高井戸の業務課の問題も検証しなければいけないと思いますが、真野当時の長官記録の重要性を抽象論として言っていたそうなんですが、それはどういうふうに言っていたんでしょうか。
  126. 関有一

    政府参考人(関有一君) 真野元長官は、記録の重要性について常に組織として言い続ける努力をしてきたか、年金記録という地味な作業をやる職員にも誇りを持ってやれと言っていたかということになると、なかなかそうとは言えないと思い、反省していると述べております。
  127. 蓮舫

    ○蓮舫君 大臣、この長官二人の聴取から伺うと、つまり裁定は信じて疑わなかった、記録は大事だと抽象論で言っていた、国民に対してどう思っているか、申し訳なかった、これだけなんですよ。私はこのメモの材料だけでも十二分に検証する価値があると思うんですが、いかがでしょうか。
  128. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私もこのヒアリングのメモを読んで、今委員が指摘のようなそういう点について、裁定ですべて片付くというようなことの認識でやって、念には念を入れるという態度が足りなかったんじゃないかなと、そういうのはこの文面からは表れてくると思います。  したがって、こういうことも含めて、今後二度とこういうことが起こらないように再発防止ということに取り組んでまいりたいと思います。
  129. 蓮舫

    ○蓮舫君 組織の統括、もう一回仕切り直し、二度と起こさないんだという再発防止制度としてやらなければいけないのと、もう一つは、こういうふうにだれも責任を取らないんだけれども、でも、この社会保険庁のミスを処理するのには国民の税金を使わせてください、平成十九年度の補正予算案で二百一億、平成二十年度の予算で三百億、これまでほかにも六十億使っている。五百六十億円税金が使われるんですが、資料の四枚に付けました、十九年度の補正予算で二百一億円の要求をするときに社会保険庁は、財政合理化努力を行う、自分たちも汗をかきます、自分たちも努力をします、だから税金を使うのをお認めくださいという形だけの姿勢は取っておりました。じゃ、これ平成二十年度ではどんな節減努力を行うんでしょうか、長官
  130. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 平成二十年度における財政合理化については、具体的には施設の売却、これは社会保険庁が保有する廃止予定の宿舎の売却などでございますけれども、予算上は約四億円を見込んでいるわけでございます。また、そのほか人員削減、定員の純減によります人件費の節減が十七億円、二十年度で見込まれておるわけでございます。  なお、二十年度予算の積算に当たっては、専門家の意見聴取を行う、あるいは類似業務の実績を踏まえて十分精査するなどいたしまして、できるだけ効率的な予算の積算に努めているというところでございます。  なお、これからも予算の執行に当たってできるだけの節減努力は継続していくべきものと考えております。
  131. 蓮舫

    ○蓮舫君 施設の売却って、それは国民がお支払いした年金保険料で買ったものですよね。それをたたき売りすることが節減努力で、今最も人が要る、そうじゃなくてもどんどん辞めちゃっている、幹部職員は天下っちゃっている、人がどんどん逃げ出している社会保険庁の職員をまた更に純減させて、それが節減努力だと。それで十分真っ当な仕事ができるんでしょうか。
  132. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 売却します施設は、税財源をもって管理をするあるいは保有をするという整理をしておるものでございまして、保険料財源において管理をし保有する施設とは別のものとして整理をしているものを売却をするということでございますし、また人件費の節減で純減を続けるということを申し上げておりますが、これは既に現在七か年計画の下に毎年着実に業務の民間委託等を進めて、その上で純減をするという中で毎年毎年生み出しているものでございます。  私ども、本来私どもが実施すべき業務については、その実施に必要な人員は確保できているものと考えているわけでございます。
  133. 蓮舫

    ○蓮舫君 よく分かりません。天下り団体は幾つも要らないものを整理合理化した方が私はよっぽど節減努力で胸を張れるんだと思っています。いまだに天下り職員の天下り先、公益法人、関連団体、財団法人、全部そのまま温存しておいて、歴代長官、幹部職員は天下っておいて、実際に自分たちの失態であるミスを補てんするのは税金使うけれども、自分たちもちょっと努力をした、その努力は何か、人員削減、これはなかなか私は理解できません。この問題はまた更に追及をさせていただきたいと思いますが。  昨日の予算委員会で、大臣水岡委員質問に対して、今総務省にある第三者委員会であっせんを要求をしている方たち、特に標準報酬月額、厚生年金に関しては二万件近くの相談があって、既に十七件があっせん決定を受けているんですが、ほかに百六十件あるとおっしゃっていたんですが、これは百六十件は疑いがあるということでしょうか。
  134. 岩本司

    委員長岩本司君) 坂野長官、簡潔にお願いします。
  135. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) この百六十件につきましては、私どもの社会保険事務所において第三者委員会への申立てを受けた事案の中で、外形的にこれまであっせんを受けたものと類似している、そういうものを抽出をしているものでございます。まだ第三者委員会で審議をして結論が出ているものではございませんので、この中にはあっせんに至らないものも含まれると思いますが、私どもとしては、外形的に類似したものがあるという中でまずこの百六十件を抽出をして、これについて個別に調査を行いたい、そのように考えているものでございます。
  136. 蓮舫

    ○蓮舫君 外形的にという、これまでに二パターンあるんですよね。損失の期間を短くするとか、あるいは標準報酬月額を故意に下げるという、この二パターンに外形的に類似するものがほかに百六十件あって、これはあっせんがされるかどうかを待っているということなんでしょうが、これ、やはり前回の委員会質問させていただきまして、舛添大臣が早急に検討して調査を指示すると。これ、社会保険庁坂野長官大臣の指示に従って業務の遂行に当たりたいと答弁をしておりました。  三月で自分たちが期限としていた十七件、標準報酬月額第三者委員会であっせんされたもの、この調査終わりましたか。
  137. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 三月の初めに公表しました時点では十六件の案件でございました。それについては、これまでも既に申し上げましたとおり、担当者の聴取、さらに関係する事業主の方々への聴取、そういうことを続けているわけでございます。  ただ、何分にも、記録がもはや廃棄されて残っていない、そういう案件も、古い案件でございます。具体的な事実関係確認になお時間を……
  138. 岩本司

    委員長岩本司君) 蓮舫君、時間がもう来ております。
  139. 蓮舫

    ○蓮舫君 時間になりましたので終わりますが、今、長官、そういうふうに整理をするのはやめていただきたい。何分にも古いというのは、この十六件の中で昭和記録だったものは二件しかない。ほかは全部平成の直近のやつじゃないですか。そういう言い逃れはしないでいただきたい。そして、大臣からの指示を無視しないでいただきたい。すぐ調査報告を出していただいて、社会保険庁職員が携わっているんだったらすぐさま改善策を講じなければいけないということを再度指摘をさせていただきたいと思います。  大臣、何かあれば。
  140. 岩本司

    委員長岩本司君) 大臣、時間が過ぎていますので簡潔に願います。
  141. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) はい、簡潔に終わります。  今御指摘のこの取りあえず十六事案ははっきりしておりますんで、四月中に、それまでに分かる範囲で、事業主とかに協力得ないといけないんで、そこまでは分からないかもしれません、分かる範囲で四月中に公表をさせます。
  142. 蓮舫

    ○蓮舫君 終わります。
  143. 岩本司

    委員長岩本司君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時から再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十八分休憩      ─────・─────    午後二時開会
  144. 岩本司

    委員長岩本司君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  145. 石井準一

    石井準一君 自由民主党の石井準一でございます。  通告に従い、質問をさせていただきます。  つい先日、消費者行政を一元化する新組織、仮称消費者庁あるいは独立行政委員会の立ち上げが発表されました。記憶に新しい中国産冷凍ギョーザ事件を始め一連の食品偽装問題や薬害及び医療機関のたらい回し、またコムスン、NOVAといったサービス業の破綻など、近年立て続けに発覚し、増え続ける企業の不正から消費者を守るためには、消費者サイドに立った強力な窓口の一本化は当然の流れであり、多少時間が掛かっても必ず実現しなくてはいけない重要な課題であります。  よく、消費者も賢くならないとと言いますが、それはそのとおりであります。しかし、安い、手軽、便利なものを選択してしまうのは考えてみれば当然の心理で、そのニーズにこたえようとする企業の努力もよく分かります。しかし、そこに安全性を無視してよいという理由は一つもありません。企業モラルの高い社会に転換していくためにも、これからの消費者行政は、各省庁や関連機関とスムーズな連携を取りながら、素早い対応のできる組織へと改革をしていただきたい。  特に、食料自給率が四〇%を切る我が国においては、輸入食材の安全性は即国民の生命につながるものであります。中国産冷凍毒入りギョーザの教訓にあらゆる角度から検証することで新しい組織の姿が見えてくるのではないかという思いを込めて質問をさせていただきます。  食の安心、安全からであります。  中国産冷凍ギョーザによる健康被害により、国民生活の根幹である食の安全、安心への国民の信頼は大きく損なわれました。このような事件を二度と起こさないように万全の体制を築くことが極めて重要であります。  事輸入食品に関しましては、我が国の食料自給率が年々低下傾向にある中、日本冷凍食品協会によりますと、平成十八年一年間の冷凍食品の消費量は二百六十九万二千五百二十トンで、乳幼児も含めた国民一人当たりの年間二十一キロ消費をしていると言われております。日本の食に深く浸透し、その安全確保の重要性はますます高まっております。再発防止策の検討に際しましては、最終的には事案の原因究明が必要でありますが、それを待たずとも取り組むべき課題も多く、例えば、危害情報を迅速に集約し一元化する体制の改善、整備などであります。  まず、情報の集約・一元化体制の強化、緊急時の速報体制の強化、輸入加工品の安全確保策の強化といった再発防止全般について、その概要をお伺いをいたします。
  146. 堀田繁

    政府参考人(堀田繁君) お答えいたします。  政府では、去る二月二十二日の食品による薬物中毒事案に関する関係閣僚による会合におきまして、「食品による薬物中毒事案の再発防止策について」という取りまとめを行ったところでございます。  本再発防止策は、今回の事案を契機とした国民の食の安全、安心に対する不安をどのように解消していくかといった観点から、原因究明を待たずに、今この時点で再発防止策として何ができるかといったものを取りまとめたものでございます。三つの柱から成っておりまして、第一に情報の集約・一元化体制の強化、第二に緊急時の速報体制の強化、そして第三に輸入加工食品の安全確保策の強化という柱に整理したものでございます。  具体的には、情報の一元化・集約体制を推進するための関係府省におきます食品危害情報総括官の指名、現場からの情報を迅速かつ着実に本省に伝達するための報告ルールの見直し、検疫所に配置されている、配属されている食品衛生監視員の増員、検査機器の整備による監視体制の強化などが盛り込まれております。  現在、政府におきましては、この再発防止策に掲げられた各施策を実施しているところでございます。
  147. 石井準一

    石井準一君 政府におきましては、昨日、中国製ギョーザ中毒事件を受け、再発防止策に伴い、緊急時対応を確認する初訓練をしたという報道がなされております。関係府省に新設した五人の食品危害情報総括官を中心に連絡体制を点検したものだと言われておりますが、この点についてお伺いをしてみたいと思います。
  148. 堀田繁

    政府参考人(堀田繁君) 今申し上げました二月二十二日の申合せによりまして、情報の一元化・集約体制の推進のための関係府省におきます責任者として、新たに各府の局長クラスを指名いたしました食品危害情報総括官を置いたところでございます。  この食品危害情報総括官については、再発防止策において、二つございまして、一つは、情報の集約・一元化体制の強化の観点から連絡会議を定期的に開催いたしまして、平時でも情報の共有を図るというふうにしております。そして第二に、緊急時の速報体制の強化という観点から、緊急の対応が必要と思われる事態が発生した際に招集されまして、情報収集それから分析といったものを行いまして関係省庁で情報の共有を行うということにしております。  これを受けまして、三月五日に第一回目の食品危害情報総括官の会議が開催されまして、原則月に一回開催するといったことが申し合わせておりますし、昨日、七日でございますけれども、緊急時対応マニュアルに沿った訓練を実施したところでございます。
  149. 石井準一

    石井準一君 これまで食品安全関係府省における緊急時の体制は、食品安全基本法第二十一条第一項に規定する基本的事項第四の四に基づく緊急時対応マニュアルとして、食品安全関係府省緊急時対応基本要綱から定められております。その要綱にも緊急時における情報連絡体制、緊急対策本部の設置等が定められておりますが、今回の事件を受け、新たな体制の構築はこれまでの体制とどこがどのように違うのか、これまでの体制では何が不十分であったのか、新たな体制を構築した理由についてもう一度お伺いをいたします。
  150. 堀田繁

    政府参考人(堀田繁君) 今回、関係する省庁が非常に多岐にわたるということで幅広い省庁にも参加していただいているということと、レベルとしても局長クラスに集まっていただいているということでございます。
  151. 石井準一

    石井準一君 次に、食品による薬物中毒が発生した際の保健所の初動体制についてお伺いをいたします。  さきの申合せには、今後講ずるものとして、保健所における二十四時間、三百六十五日の対応体制の確保等を図るよう都道府県に要請をすると記されておりますが、具体的にはどのようにそのような対応体制の確保を図るのか。また、平成十九年度中となっておりますが、これは都道府県への要請を十九年度中に行ったということでよろしいのか。要請を行った際の都道府県等の反応及び現時点での体制整備の状況、今後の進捗の見通しについてもお伺いをいたします。
  152. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) 保健所の休日、夜間におきます体制については、これまでも地域保健に関する基本指針、それから地域健康危機管理ガイドラインによりまして、通常の業務時間以外の時間帯にも、随時連絡を取ることができるような体制づくりを行うよう求めてきております。今般の事案に関しまして、関係閣僚による会合申合せに基づきまして二月二十五日付けで通知を出しまして、二十四時間、三百六十五日の対応体制を確保するよう都道府県等に対して改めて要請したところであります。  そのお尋ねの結果でございますけれども、百三十自治体、都道府県四十七、特別区二十三、政令市等が六十でございますけれども、このうち休日、夜間の対応が、十九年度末で対応が可能な自治体について百二十自治体、百三十のうちの百二十自治体、それから二十年度の早い時期、六月ごろまでですけれども、対応開始予定が七自治体、対応開始時期について検討中が三自治体となっております。  いずれにしましても、私ども、引き続き休日、夜間の体制を整備するよう地方公共団体に要請してまいりたいと考えているところでございます。
  153. 石井準一

    石井準一君 次に、食品による薬物中毒が発生した際の医療機関における体制整備についてお伺いをしたいと思います。  今回の事件を踏まえ、高度救命救急センターはもちろんのこと、三次、二次、一次救急病院において中毒の原因物質を速やかに分析、特定できる機器の配置はどうなっているのか、お伺いをいたします。
  154. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 大規模な中毒事案発生時等におきます医療を確保するという趣旨から、救命救急センター等の医療機関において中毒の原因物質を分析できる体制の確保は重要であると思います。  厚生労働省としては、平成十年に発生した和歌山県毒物カレー事件を踏まえ、十年度補正予算により計七十三か所の救命救急センターに毒物劇物解析機器を配備いたしました。また、その更新時期を迎えた平成十八年度以降も予算補助の対象としているところであります。  また、救命救急センターに限らず、化学物質による急性中毒に関する医療機関からの照会に対し、財団法人日本中毒情報センターにおいて物質の毒性情報や治療方法に関する情報提供を行っているところであります。なお、原因化学物質の分析は、地方衛生研究所等でも対応しているところであります。  厚生労働省としては、こうした体制の確保に対する支援を引き続き行ってまいりたいと考えております。
  155. 石井準一

    石井準一君 次に、輸入食品の安全を確保するためには、水際の検査体制の充実も重要であります。  政府は、今年度、加工食品の残留農薬に係る検査を行う意向を示しておりますが、現在の検疫所の体制では抜本的な拡充は困難であると思いますが、食品衛生監視員の大幅増員や検査機器の拡充を行うべきではないかと思うが、いかがでしょうか。
  156. 藤崎清道

    政府参考人(藤崎清道君) お答え申し上げます。  輸入食品の監視体制の強化につきましては、これまで順次その増強を図ってきておるところでございますが、引き続き、検疫所におきます食品衛生監視員の増員、並びに輸入時の検査件数及び検査項目の拡充に努めてまいりたいというふうに考えております。またあわせて、そのために必要な最新の検査機器の導入などにより監視体制の強化に努めていきたいというふうに考えております。  また、輸入時検査につきましては、食品による薬物中毒事案の発生を踏まえました加工食品の残留農薬検査を含めまして、多種多様な輸入食品について食品衛生上の状況を幅広く監視することを目的として国が年間計画に基づいて実施するモニタリング検査、また、モニタリング検査等において法違反が判明するなど法違反の可能性が高いと見込まれる食品等につきまして、輸入者に対しまして輸入の都度実施を命じる検査命令、こういう形を取りながら、重点的、効果的な検査の実施に努めているところでございます。  先生御指摘のように、この検査体制の強化ということは大変重要でございますので、今後ともその体制の充実に努めてまいりたいと考えております。
  157. 石井準一

    石井準一君 次に、再発防止において重要なのが意識の維持、過去の教訓をどう生かすかであります。  さきの予算委員会でも同僚の森まさこ議員が、あくまでも、保健所に幾ら職員を置いても職員のしっかりとした意識がなければ問題は解決しないという指摘もされておるわけであります。のど元過ぎれば熱さを忘れるとのことわざに象徴されるよう、事件が起こった直後が意識が高まるものの、時間の経過とともに意識が薄れてまいります。意識の維持について、大臣の所見及びその方策についてお伺いをしたいと思います。
  158. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 再発防止、一つはこの制度、システムを整備する、もう一つは、今委員が御指摘のように、それぞれの担当の職員の意識がしっかりと危機意識を持ってもらうということであります。  そこで、この中国の輸入ギョーザの件につきましては、第一線の保健所の現場から本省に情報が速やかに上がってこなかった、こういう問題もございます。これをきちんと上がるようなシステムを見直していくと。それから、検疫所における検査体制の強化、これは今まで答弁あったとおりでございます。  そういうような制度的な手当てをしながら、緊張感を持って、これは危機管理であると、国民の命を守ることであると、そういうことを徹底させて指導をしてまいりたいと思います。
  159. 石井準一

    石井準一君 一方で、日本が海外の食品なしにやっていけるのかといえば、絶対不可能であります。日本はいかに中国や他の国から食料を確保するかという危機に直面した場合、この問題は日本の食料安全保障の大きな枠の中で考えていかなければならないことであります。中国と日本という国境を隔てた関係でとらえることではなく、これからは中国にいる生産者と日本にいる消費者が食の安全、安心という信頼関係をしっかりと築いていくことが必要になるのではないでしょうか。  のど元過ぎれば熱さ忘れると言いましたが、この事件が起こった当時から三か月後の現在、冷凍食品の需要と供給のバランスは八割程度回復をしたとも言われております。また、買い控えも大体一週間ぐらいで、家計は楽ではないし、子育ての時間もない、そうした背に腹は代えられないという今の日本の大きな社会の背景もあるということを我々はしっかりと認識をしていかなければならないということを、今回の中国冷凍ギョーザ事件はまさに物語っているのではないかということを痛感させられるわけであります。  次に、危機的な状況にある地域医療、いわゆる公立病院についてお伺いをしていきたいと思います。  日本の経済は今史上最長の好景気と言われておりますが、医療をめぐる環境はこれとは全く逆にますます厳しく、救命救急センターや保健所の人員不足もさることながら、昨今の医師不足、看護師不足は深刻さを増しております。医師確保が困難なことを理由に、地域医療を支える公立病院の中には、特定の診療科の廃止、休止に追い込まれ、経営状況が急速に悪化する病院が生じ、その結果、地域に良質な医療を継続して提供する体制が揺らいでおります。  公立病院は、過疎地や不採算部門を担う地域によって欠かすことのできない存在であることをかんがみれば、こうした事態は緊急に対処する必要があると思います。医師の数が毎年四千人前後増加する中にあっても、四十代前後の中堅勤務医師が病院を離れ開業医になるなど、地域の公立病院からは医師確保の見込みが立たないという悲鳴が聞こえております。医師不足を理由に地域医療がおざなりになることはあってはならないことであります。各地の公立病院が今なお医師及び看護師不足に苦しんでいる現状を政府はどう認識しているのか、お伺いをしたいと思います。
  160. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この医師不足の問題、緊急医療体制の整備、これは喫緊の課題でありまして、先般、一月十五日に長野県の飯田市立病院、視察してまいりました。これも公立病院。たくさんの公立病院が地域の中核的な病院として機能している。そういう中で医師不足、この飯田の市立病院も産科医の不足ということで、せっかく始めた里帰り出産やめないといけないというような訴えがございました。幾つかの病院に対して、これは文部科学省、総務省、防衛省などの協力を得まして、取りあえず四月一日からその閉鎖というようなことがないように産科についてはいたしましたけれども、こういう手当てをするとともに、昨年五月に政府・与党の緊急医師確保対策がございまして、これに基づいて様々な政策を行っているところでございますけれども、この四月からは診療報酬改定、その他勤務医労働条件の改善、待遇の改善、こういうことを含めて様々な対策を講じ、この問題に取り組んでいるところでございます。  私は、やっぱりいろんな措置が必要で、緊急的な、今飯田市立病院のような手当てが必要な部分がある。しかし、長期的にはやっぱり構造的な改革が必要だというように思っていますので、これは、私の下に直属であります医療の長期ビジョン、安心と希望の医療ビジョン、こういう今勉強会で取りまとめを行っているところでありまして、喫緊の課題、中期的な課題、そして長期的な課題、これを上手に組み合わせて新しい政策を策定し実行していきたいと思っております。
  161. 石井準一

    石井準一君 大臣から答弁をいただきまして、ありがとうございます。  地域住民の医療に不可欠な公立病院の存続のため、自治体においてはその経営効率化に向けた努力をしていくべきであります。しかし、公立病院の役割を考えると、ある程度の赤字には目をつぶらざるを得ない面もあります。  総務省においては公立病院経営効率化に向けた検討を行っておりますが、昨年十二月に示された公立病院改革ガイドラインについて、そのポイントをお伺いをさせていただきたいと思います。
  162. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) ただいまお話もございましたが、多くの自治体病院におきまして、現在、経営状況の悪化とか、先ほどもお話ございましたが、ドクターがやっぱり足りない等々によりまして地域医療体制が極めて厳しい状況になっているというふうに思ってございます。  そういう中で、各公立病院がやはり地域医療を支えていくという観点から、安定的な経営ができ、かつ地域に必要なサービスを継続して提供することができるというふうにしていかなければならないんだろうと思っております。  そういう中で、先ほどもお話ございましたが、公立病院改革ガイドラインというのを昨年十一月に総務省で作らせていただいたところでございます。この中では、経営の効率化、再編・ネットワーク化、更に言ったら経営形態の再検討と、三点を一体的に推進していけばどうかと考えてございます。  現在、各地方公共団体に対しまして、こうした考え方を踏まえて公立病院の改革に総合的かつ積極的に取り組むようお願いしているところでございます。そんな現状でございます。
  163. 石井準一

    石井準一君 ガイドラインにおきまして、各自治体は平成二十年度内に公立病院の改革プランを策定するとされております。しかし、公立病院の行き過ぎた経営効率化は病院の倒産を招き、地域医療の崩壊へとつながる懸念も示されております。  もちろん、経営の無駄を徹底的に見直すなど必要な効率化は行っていくべきであると私も思っております。しかし一方で、国としては地域医療確保に向けた交付金等の手当てもしっかりと行っていくべきと考えておりますが、平成二十年度予算では交付税措置でどのような手当てがなされているのか、お伺いをしたいと思います。
  164. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) 公立病院につきましては、確かにへき地医療だとか救急医療だとか、言わば採算が取れないところもやっておるということでございます。採算を取ることが客観的には困難な経費もございます。したがいまして、そういうところにつきましては、各地方公共団体の一般会計が公立病院にお金を出すというふうにされておるところでございます。  平成二十年度におきましても、こうした一般会計から各公立病院に出すお金につきましては地方財政計画に六千七十八億円計上しておるところでございまして、今後、地方交付税の算定を通じて各地方公共団体に対して所要の財政措置を進めていこうというふうに考えておるところでございます。
  165. 石井準一

    石井準一君 どんなに経営効率化を行い交付税措置を充実させても、実際に病院に勤務する医師がいなければ何も始まりません。公立病院の病床利用率の低さが経営効率化を妨げているという指摘もありますが、その背景にはやはり医師と看護師の恒常的な不足があるとも言えます。  医師、看護師不足は一病院、一自治体の努力で解決できるものではありません。公立病院を所管する総務省と医師確保策の音頭を取る厚生労働省が連携を密にし、必要な施策を着実かつ迅速に進めていくべきであると考えるが、大臣の決意のほどをお伺いをしたいと思います。
  166. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 先ほど申し上げましたように、公立病院、大変厳しい状況にあります。これは総務大臣とも緊密に連絡を取って、地域の拠点である公立病院、これが期待されている役割を果たすように全力を尽くしてまいります。
  167. 石井準一

    石井準一君 大臣の決意のほどはお伺いをさせていただきました。しかしながら、一方で公立病院の経営主体である地方自治体に目を転ずれば、財政の健全化指標が導入をされ、公立病院などの特別会計も含めた連結実質赤字比率が四〇%を超えた市町村は財政再生団体に指定されることとなり、多くの公立病院は赤字経営に陥っております。  財政再生団体に指定されることを避けるという観点から、公立病院の廃止や縮小を考える地方自治体が出てくるのは必至であると考えますが、地域の医療供給体制、地域住民のニーズを考えれば、その公立病院が担ってきた医療機能をどう残していくのかということも考える必要があるのではないでしょうか。  そこで、公立病院における指定管理者の活用、民間への移譲について、地域医療の確保と地方自治体財政の両立という観点から、公立病院の指定管理者導入あるいは民間移譲を進めるということについて十分な対応ができているのか、お伺いをしたいと思います。
  168. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) 先ほどお答えいたしました公立病院改革ガイドラインの中での三本の柱の中の一つとして、経営形態をどう考えていくか、各自治体で再検討していっていただくこともあり得るというふうに思っておりまして、それで公立病院改革ガイドラインの中でも、今お話しの指定管理者制度の導入、それから地方独立行政法人への経営移行、そういうふうなことも含めて経営形態を再検討するというのも自治体にお願いしたいと思っておるところでございます。  ただ、いずれにいたしましても、私ども、やっぱり地域医療の拠点として本当にその地域で必要なサービスを行っていただいている公立病院に関しましては、それはなくなるということは地域医療に穴が空くということになりますから、やっぱりそうなっちゃいけないわけでございますから、経営形態を変えるというのも一つの方法でございますけれども、いろんな選択肢の中で、私どもも必要な財政支援をさせていただきつつ、その地域における必要な医療が穴が空かないようにしていかなければならぬと思っておるところでございます。
  169. 石井準一

    石井準一君 公立病院が赤字経営基調となっている理由は、診療報酬医師不足など全国的な問題だけではなく、個々の地域ごとの要因も深く絡み合っている、多様であると思いますが、赤字で財政再建団体になるのを避けたいから公立病院を閉鎖、縮小さえすればいいというのではなく、地域の医療の確保を図れるような方策が不可欠であります。  その意味で、単に公立病院の切捨てとならないよう十分な対応を要請いたしますが、いま一度その取組、そして総務省と厚生労働省の意向が相反することのないよう、しっかりと対応を協議をしていただきたいと思います。いま一度お伺いをしたいと思います。
  170. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) 先生お話しのとおりでございまして、財政健全化法が施行されますが、そういう中で公立病院も含めて公営企業特別会計と一般会計は合わさって財政状況チェックしていくことになるわけでございますが、そのために一方で経営に苦しむ公立病院がなくなってしまうということも、地域医療に穴が空くということにもしそれがなれば、やっぱりそういうことがあっちゃいけないことだろうと思っております。  したがいまして、私ども、公立病院改革の中でも様々な財政支援措置を新たに講じているところでございまして、平成二十年度にも公立病院特例債等々の発行なんかもできるようにする等を通じまして、赤字に苦しむ公立病院がそのゆえに倒れてしまうということがないような財政支援というのをやっぱり続けていきたいと思っておるところでございます。
  171. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 昨年五月に取りまとめました緊急医師確保対策を今、各省協力して連携して進めておりますけれども、特に総務省、文部科学省とは今定期的に連携を取りながら地域医療の確保に向けて努力しているところでございます。引き続き一生懸命取り組んでまいります。
  172. 石井準一

    石井準一君 まさしく地域住民の命を守ってきた病院を支える抜本的な対策を急いでいただきたく、改めてお願いを申し上げる次第であります。  次に、医療安全調査委員会、仮称についてお伺いをしていきます。  医療とはどういうものであるかということについて、患者医師の考え方に大きなそごがあると言われております。医療の安全の確保は我が国の医療政策上重要な課題であり、とりわけ死亡事故についてその原因を究明し再発防止を図ることは国民の切なる願いであります。医療の安全を向上させていくためには、医療死亡事故が発生した際に事故の原因を究明し、再発防止に役立てていく仕組みが必要であります。また遺族には、まず真相を明らかにしてほしいとの願い、そして同様の事態の再発防止を図ってほしいとの願いがあります。  しかし、死因の調査や臨床経過の分析、評価などについてはこれまで行政における対応が必ずしも十分でなく、結果として民事あるいは刑事手続にその解決が期待されているのが現状であります。しかし、これらは必ずしも原因の究明につながるものではありません。また、裁判は長期の審理となり、患者、病院双方に相当な負担が掛かるわけであります。このため、医療の安全の確保観点から、医療死亡事故について分析、評価を専門的に行う機関を設ける必要があります。  新しい仕組みの構築は、医療の透明性の確保や医療に対する国民の信頼回復につながるとともに、小児科、産婦人科、外科や脳外科を始めとして過重な負担が掛かりそうな分野で安心して診療を行える環境づくりにも資すると考えられます。  去る四月三日、医療死亡事故の原因究明、再発防止という仕組みについて、医療の安全の確保に向けた医療事故による死亡の原因究明、再発防止等の在り方に関する試案の第三次試案が公表されました。  医療安全調査委員会、仮称の概要、特に第二次試案との違いについてお伺いをいたします。
  173. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 御指摘の第三次試案では、医療死亡事故の原因究明、再発防止という仕組みについて、平成十九年四月に設置した診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会での議論や、平成十九年十月に公表した厚生労働省第二次試案への各方面からの御意見を参考といたしまして、改めて現時点における厚生労働省としての考え方を取りまとめたものであります。  この第三次試案におきましては、医療死亡事故に関する医療機関からの届出義務の範囲を明確化した上で、医療機関の管理者からの届出を制度化すること。医師法第二十一条を改正し、医療機関が委員会へ届出を行った場合にあっては、同条に基づく異状死としての警察への届出は不要とすること。捜査機関への通知は、故意や重大な過失のある事例、そのほか悪質な事例であると委員会が認めた場合に限ること。医療事故に対する行政処分は、医療の安全の向上の観点からシステムエラーの改善に重点を置いたものとする等を明らかにしたところであります。
  174. 石井準一

    石井準一君 今後、この第三次試案については、パブリックコメントで寄せられた意見を踏まえ、法案として具体化する作業が進められることとなりますが、関係者間の調整も十分に行う必要があるとは承知をしておりますが、安心して診療を行える、受けられる環境づくりのためにもできるだけ早い時期の実現が望まれます。今国会への法案提出を目指すとの報道もなされておりますが、法案提出予定の有無も含め今後のスケジュールについてお伺いをしたいと思います。
  175. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 厚生労働省としては、医療の安全の確保観点から、医療死亡事故の原因究明、再発防止を図る仕組みを設ける必要があると認識しております。  この第三次試案は、医療の透明性や医療に対する国民の信頼の回復につながるとともに、医師等が萎縮することのないよう、医療界からの懸念事項等に対しての厚生労働省の見解を明確化したものであります。  この第三次試案を基に広く御議論いただき、国民の皆様におおむね御理解をいただければ、組織面等必要な検討を加えた上で、可能であれば今国会中の法案提出を目指していきたいと考えております。
  176. 石井準一

    石井準一君 いま一度、第二次試案と第三次試案、そこで協議をされた違いの点をもう一度お伺いをしたいと思います。
  177. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 第二次試案と第三次試案では、第二次試案で具体化していなかったことについて第三次試案は具体化した書き込みがなされてございます。例えば、医療死亡事故に関する医療機関からの届出義務の範囲について、第二次試案では余り具体化してなかったんでございますけれども、第三次試案ではこれをかなり考え方を明確化して記載してございます。  また、医師法第二十一条の考え方についても、二十一条との関係を整理するというような表現であったものについて、これは医療機関が委員会へ届出を行った場合にあっては、同条に基づく異状死としての警察への届出は不要とすることというように、二十一条との関係も明確化してございます。  また、捜査機関への通知についても、故意や重大な過失のある事例、そのほか悪質な事例であると委員会が認めた場合に限ること等、今まで課題であった点についてできるだけ明確化して具体化した記載をしたものでございます。
  178. 石井準一

    石井準一君 ありがとうございます。  医療機関又は行政の方では大体の内容の位置付けは分かるわけですけれども患者側、広くこれを周知さすのに第三次試案ではどのような努力目標があるのか、お伺いをしたいと思います。
  179. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 今回の仕組みの目指すところは、医療関係者にとりましてもまた患者さんの方にとりましても、どちらにとっても役に立つ、プラスになる、そして何といいましても、国民全体にとってこの医療事故の真相究明を通じて再発防止に資すると、そういったことがねらいでございます。したがいまして、医療関係者患者さんの方、両方とものコンセンサスを取ることが重要でございまして、その意味で、第二次試案の方でも普及啓発のこと書いてありますけれども、第三次試案でも、より一層患者さんの方からも御意見をいただいて、パブリックコメント今進めているところでございますけれども、この中身をより具体化してコンセンサスを得るべく取り組んでいきたいと考えております。
  180. 石井準一

    石井準一君 次に、労働者派遣法の見直しについてお伺いをしていきます。  昭和六十年に労働者派遣法が施行されて以来、派遣労働者数は増加をしてきました。仕事内容や勤務時間を選べる働き型であるとして積極的に派遣労働の形態を選択する労働者がいる一方で、正社員の職が見付からなかったためという理由で派遣労働者となっている者も同程度存在をいたします。こうした派遣労働の中で特に日雇派遣、スポット派遣と呼ばれるごく短期の派遣契約を繰り返し、その日暮らしを強いられている若者の存在が社会問題化をしております。派遣法改正の議論を行っていた厚生労働省の労働政策審議会の労働力需給制度部会においては、法改正については労使の意見が対立し議論の集約に至らなかったものの、日雇派遣に関する部分については早急な対応が必要であるとの認識で一致をし、ガイドラインの整備等がなされたと聞いております。  これに合わせて、厚生労働省において緊急違法派遣一掃プランを実施したと聞いております。この緊急違法派遣一掃プランについて説明を願います。  あわせて、プラン実施により実際の派遣労働者にどのようなメリットが生じるのか、派遣元、派遣先にどのような影響を及ぼすのか、御説明を願いたいと思います。
  181. 太田俊明

    政府参考人(太田俊明君) まず、緊急違法派遣一掃プランについてのお尋ねでございますけれども、このプランは、本年二月二十八日に今お話のございました日雇派遣のガイドラインが公布されましたので、これを機に違法派遣を一掃するための取組を強化するものとして策定したものでございます。  その内容でございますけれども、まず、日雇派遣指針、これがガイドラインでございますけれども、ここでは、雇用契約や派遣契約の長期化、就業条件の明示の徹底、安全衛生措置の徹底、派遣元事業主の事業状況に関する情報公開などを規定し、また改正省令では、派遣元事業主からの日雇派遣の報告、派遣先責任者の選任、派遣先による就業の記録の義務化等を規定したところでございます。このプランに基づきまして、事業主に報告を求めて、日雇派遣の把握、さらには法令遵守に関する周知啓発の徹底、事業主に対する指導監督の強化、派遣労働者を始めとする相談体制の充実を行って、違法派遣の一掃に向けて努力してまいりたいと考えておるところでございます。  また、プランに期待される効果でございますけれども、このプランの実施によりまして、まず派遣労働者にとりましては、雇用契約の長期化でございますとか、就業条件の明示の徹底、あるいは安全衛生措置の徹底、さらには派遣元事業主の事業状況に関する情報公開が図られることによりまして労働者の保護の強化が図られることになると考えております。さらには、派遣元事業主や派遣先につきましては、これは当然この省令とかガイドラインを遵守しなければならないわけでございますし、法違反に対しましては重点的に指導監督を実施することができるようになるために、コンプライアンス意識の向上が期待できると考えているところでございます。
  182. 石井準一

    石井準一君 派遣労働者は過去最高の三百二十一万人、二〇〇六年度の調べであります。前年比二六%増、そして会社側のマージンが三割から四割に達しておるという現状であります。    〔委員長退席、理事蓮舫君着席〕  こうした現状に対しどのような取組が必要だと考えておりますでしょうか。
  183. 太田俊明

    政府参考人(太田俊明君) 今のお尋ねでございますけれども、今、厚生労働省の労働政策審議会で中間報告で整理をしているところでございまして、一点目は、今お話のございました日雇派遣などにつきましては労働者保護がより適切に行われるように省令や指針を早急に整備することということでございまして、今お話し申し上げました緊急違法派遣一掃プランを策定いたしまして違法派遣の一掃に向けて全力で取り組んでいるところでございます。  それからもう一つは、今お話のございましたように、やっぱり制度の根幹にかかわる問題というのがあるものでございますから、この点につきましては、厚生労働省に研究会を設けて法的、制度的な考え方について整理を行って、更に議論を深めて、それを踏まえて対応を行っていきたいというふうに考えているところでございます。
  184. 石井準一

    石井準一君 一方、労働者派遣法の改正は、今国会への法案提出は見送られたものの、避けては通れない事項だと考えます。労働政策審議会の中間報告では、登録型派遣の考え方など労働者派遣制度の在り方の根幹にかかわる問題について、学識者から成る研究会において引き続き検討を行うとされておりますが、検討状況と今後、取りまとめスケジュール、その先の法改正の見込みについてお伺いをいたします。
  185. 太田俊明

    政府参考人(太田俊明君) 労働政策審議会の中間報告を踏まえて、労働者派遣制度の根幹にかかわる問題について、二月十四日に厚生労働省に研究会を設けて今鋭意検討を行っているところでございます。既に制度の根幹にかかわるような事項について御議論いただき、またヒアリングなども実施しているところでございますけれども、これらも含めて労働者派遣制度の趣旨、あるいは登録型派遣の考え方、派遣先の責任の在り方、派遣労働者の処遇の在り方等につきまして十分な御議論をいただきたいと考えているところでございます。  この御議論につきましては、本年七月を目途に一定の結論をいただき、その後審議会で労働者派遣制度の見直しについて御検討いただくことを考えておりまして、これを踏まえて、厚生労働省としましては適切に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  186. 石井準一

    石井準一君 最後に、年金問題についてお伺いをいたします。  昨日も予算委員会で集中審議がなされ、午前中も民主党の各委員から大変厳しい議論がなされたところであります。年金特急便については先月までに約千三十万人にお送りしたわけですが、窓口で何時間も待たされた、電話がつながらないといった苦情が多いと聞きます。福田総理も、三時間、四時間待たされると私も嫌になってしまうというような発言もなされております。  今後は、四月から五月までにすべての年金受給者に、また六月から十月までにすべての現役加入者にねんきん特別便をお送りすることになっておりますが、特別便を受け取る方は年金受給者が約三千三百万人、現役加入者が約六千二百万人、今以上に混雑することが想定をされます。また、今月から後期高齢者医療制度が始まり、その保険料は年金から天引きをされます。この観点からも、年金記録問題は一日も早く解決すべき政治的な大きな課題であります。今後の窓口などの業務体制充実の具体策及び一日も早く解決する決意をお伺いをいたします。
  187. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この窓口業務でございますけれども、今、臨時相談窓口を約千席増設いたしました。それから、対応に当たる職員は昨年の十二月で五千四百名でしたけれども、この三月には八千人まで増員しました。それからさらに、全国の社会保険労務士に御協力をいただき、例えば市町村、郵便局、こういうところでスペースを確保する、それから休日に開く日にちも増やすということでございますし、それからオペレーターの相談件数を少し増やしていくというようなことで、混雑の緩和に向けて努力をしてまいりたいと思います。引き続きこの相談体制の拡充に努めて、皆さん方に御迷惑をお掛けしないような体制づくりを努めてまいります。
  188. 石井準一

    石井準一君 まさに、公的年金制度は国民の信頼を基礎として常に安定的に実施されるものであり、公的年金制度の運営体制を再構築し、国民の信頼を確保するということが不可欠であります。事業運営に関する様々な問題が生じた社会保険庁を廃し、年金事業の運営業務を行う日本年金機構が平成二十二年一月にスタートする。しかし、本の表紙を変えても中身を変えなければ駄目であると、午前中の議論でもありました。表面的な組織変更の説明ではなく、現行社会保険庁から何をどのように変え、国民の信頼を獲得していくのか、その取り組む内容及び大臣の決意を改めてお伺いをいたします。
  189. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この年金記録問題の検証委員会から御指摘がありまして、まず組織、業務の管理運営に対してガバナンスを確立する、それからこれまでの基本的姿勢を反省した上で意識改革、業務改革を実行する、適切な人材を養成確保するとともに職員の一体感を醸成する、それから職員団体、労働組合、こういうことと適切な関係を保つと、厳しい御指摘を受けたわけでありますので、ただいま内閣官房の下に年金業務・組織再生会議が行われ、ここで新しい日本年金機構の概要について議論をいただいております。  それを踏まえまして、私が任命する設立委員に本当に改革意欲と能力を持つ者のみを採用するというようなことを含めて、国民の信頼を獲得すべく具体的な検討を進めさせているところでございます。  いずれにしましても、新しい組織においてきちんと国民の信頼を獲得できるような年金の業務体制を確立してまいりたいと思います。
  190. 石井準一

    石井準一君 最後になりますが、厚生労働行政について、大臣はさきの大臣の所信表明の中で、中長期的な課題への対応も着実に進めていかなければならない、人生八十五年時代を迎えた今、生き生きと人生を楽しむこれからの日本人の暮らし、生き方、人生設計のイメージを描き、あわせてそれを支える仕組みを提言すべく、各分野の有識者にお集まりいただき、人生八十五年ビジョン懇談会を立ち上げたと言われております。まさに社会保障制度、国民が安心して暮らせる人生設計の中で年金はその根幹を成す大事な部分であります。  いま一度、人生八十五年ビジョン懇談会に、人生八十五年、人生の体系をつくるに当たり、大臣のその決意のほどをお伺いをしたいと思います。
  191. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これまで戦後の日本のシステムというのは、たかだか人生六十年というような形で、例えば定年退職制にしてもそうですし、いろんな制度がそれを中心に成っていった。  しかし、その後、急速な長寿化ということで、今八十五年まで生きる。そうすると、今後六十五歳まで定年退職が延びましても、二十年間これをどういうふうにして生活するかと。仕事を続けるというのも一つの選択肢。しかし、例えばフランスやイタリアのように、もう退職したら年金を中心にして自分の趣味に生きていくというような生き方も一つだと思いますんで、こういうことを含めて働き方の見直し、それから、今ワーク・ライフ・バランスと言っていますけれども、生活との兼ね合い、そういうことをトータルに考えた上で、その八十五年を支えるものとして、年金を含め社会保障制度をきちんとしないといけない。  私は、これまでの日本の改革は、例えば幕末、明治維新、ペリーという外圧がありました。昭和二十年、戦争に負ける。そして、マッカーサーのGHQがやってくる。大改革をやる。しかし、目に見えるような外圧というのが、ペリーもいなければマッカーサーもいません。今回は我々日本人が自らの力で新しい地平を切り開かないといけない。そういう思いを込めまして、単に厚生労働行政、社会保障だけではなくて、新しい国の形をどうすべきか。それは、基本は、日本人の人生八十五年の生き方、働き方、そういうことをきちんと検討し、見直し、そして明るい希望に満ちたビジョンを打ち立てることによって初めて可能だと考えておりますんで、今鋭意そういうビジョンづくりを行っているところでございます。
  192. 石井準一

    石井準一君 最後に大臣の決意を聞かせていただきました。まさに厚生労働行政は国民生活に最も密着をした分野であります。今後の大臣並びに関係各位の御尽力を心からお願いを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  193. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。  本日は、脳科学の振興と脳疾患の治療、そしてまた介護予防等について質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、脳科学の振興と医療への応用について質問をさせていただきます。  神経難病や心の病、あるいは認知症、学習障害、発達障害など、脳神経に関係する疾患の病態解明や診断、治療に、あるいは教育の一部にも関連するわけでありますけれども、様々な課題があるわけであります。こういう課題の解決のために脳科学の発展というものは欠かせないものだと、私はそのように思っております。  文部科学省所管の脳科学研究の推進に関する懇談会がありますけれども、昨年五月に「脳科学研究ルネッサンス 新たな発展に向けた推進戦略の提言」、このような報告書を取りまとめたわけであります。  そこで、その概要につきまして、文部科学省よりお伺いをしたいと思います。
  194. 藤木完治

    政府参考人(藤木完治君) お答え申し上げます。  ただいま先生から脳科学研究ルネッサンスの御指摘ございました。  分子生物学の進展あるいは脳機能計測技術の進歩などによりまして、近年脳の構造や機能の解明が大きく進展する可能性が膨らんできておりまして、またその成果の医療や教育や福祉等の各分野での応用も大きく期待されるようになってきていると認識しております。こういった状況から、文部科学省では、平成十八年に金澤日本学術会議会長を座長となっていただきまして、脳科学研究の推進に関する懇談会を設置して、今先生からお話のありました脳科学研究ルネッサンスを取りまとめたところでございます。    〔理事蓮舫君退席、委員長着席〕  この報告書におきましては、脳科学研究の現状についての分析を基に、まず重点的に研究をすべき領域として四つ挙げております。脳の構造と機能の解明を行う「脳を知る」という領域、それからアルツハイマー病、統合失調症などの精神神経疾患の予防、診断、治療法等の研究開発を行う「脳を守る」領域、そして脳の発達メカニズムの解明や発達障害の予防や治療、その成果の育児、保育、教育への応用等のための研究を行う「脳を育む」領域、そして最後に、脳からの情報で制御される身体補助具等の研究開発を行う「脳に学ぶ」という四領域を挙げまして、それを重点的に進めるべきということを指摘するとともに、これらに共通しまして、研究開発を支える高性能のイメージング技術、あるいは霊長類等のモデル研究動物の開発等を行う基盤技術開発の重要性も併せて指摘されております。  また、そのほか、研究を進める体制といたしまして、大学やその他の関係研究機関による研究ネットワークを形成していくことの必要性、そして従来の枠組みを超えた人材育成の重要性、そして倫理的あるいは社会的側面の検討を含めました脳科学と社会の調和の考え方についても、その重要性が指摘されております。  これらの脳科学に関する研究の推進、あるいは評価、あるいは人材育成、あるいは脳科学と社会との調和等につきまして統合的に検討するために常設の脳科学委員会を設置するということの必要性も併せて指摘されております。  文部科学省におきましては、これらの提言を踏まえまして、厚生労働省などの関係省庁とよく連携いたしまして、この研究に取り組んでいきたいと思っているところでございます。
  195. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今御紹介ありましたけれども、この報告書の中で、「脳を守る」領域で重点的に推進すべき研究領域の一つとして認知症、あるいはうつ病等精神神経疾患の予防、診断、治療の開発が挙げられているわけであります。  文部科学省、そして厚生労働省としてこのような分野の研究をどのように今後推進をしていくのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  196. 藤木完治

    政府参考人(藤木完治君) お答え申し上げます。  「脳を守る」領域につきましての研究の推進方策、文部科学省としてどのように取り組んでいるのかというお尋ねでございます。  私ども、社会の高齢化、多様化などによりまして、認知症、うつ病などの精神神経疾患や心に問題を抱える人の数が増加している。あるいは、そういったことに対して近年の脳科学研究が進展してまいりまして、その原因の解明や予防、治療法の開発の可能性が相当開けてきているというふうに認識しておりまして、まさに先ほどのルネッサンスでは、そういったことからこれらは特に重点的に取り組むべき「脳を守る」領域と特定いたしておるわけでございまして、私どももその研究領域に積極的に推進する必要があると認識してございます。  この領域において、特に文部科学省の行っております主な取組といたしましては、一つには、理化学研究所の脳科学総合研究センターという研究センターがございますけれども、そのセンター、あるいは科学技術振興機構において、アルツハイマー病、あるいは外傷後ストレス障害、あるいは統合失調症のような精神神経疾患を分子機構から解明し、その成果を診断、治療に結び付けるような研究開発を進められております。  また、一般的な科学研究費補助金がございます。これにおきましても、脳研究を特定領域の一つというふうに特定して重点的に推進してきておりまして、アルツハイマー病、パーキンソン病等の病因解明に向けた基礎研究がこれによって行われております。  これらの研究の結果、例えばアルツハイマー病の発症の原因であるベータアミロイドの蓄積が特定の分解酵素の働きが落ちるためであるといったことが明らかになっておりまして、当該疾病の治療及び予防策を見付け出す可能性につながる有望な成果が出つつあるところというふうに認識してございます。  精神神経疾患等に悩む方が増加している中で、非常にこの領域、重要な研究領域であると認識しておりますので、関係省庁ともよく連絡を取りながらこの分野に取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
  197. 中村吉夫

    政府参考人中村吉夫君) お答え申し上げます。  厚生労働省におきましては、新健康フロンティア戦略や自殺総合対策大綱等に基づきまして、認知症、うつ病等の精神神経疾患に関する臨床研究につきまして、厚生労働科学研究の長寿科学総合研究事業やこころの健康科学研究事業などにおいて実施をしておるところでございます。  平成二十年度におきましては、認知症につきましては、長寿科学総合研究事業におきまして認知症総合研究分野として認知症の予防、診断、治療の研究を盛り込むこととしておりますし、うつ病につきましても、こころの健康科学研究の公募課題といたしまして、新たにうつ病の早期発見から職場復帰に至る包括的治療に関する研究を採択することとしたところでございます。  今後とも、引き続き文部科学省など関係府省とも連携しつつ、精神神経疾患の予防、診断、治療の臨床現場での実用化を目指しながら更なる研究の推進に努めてまいりたいと思っております。
  198. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 同報告書ですね、文部科学省の報告書の方では、「脳を育む」領域でも、重点的に推進すべき研究分野の一つとして発達障害の予防や治療ということが挙げられておるわけでございます。  この発達障害、今いろいろ解明が進んでいるわけでありますが、まだまだ解明しなきゃならない、あるいは治療に応用しなければならない、あるいは教育にもかかわってくる問題でありまして、この点、どのように今後研究を進めていくのか、今後の展望等も含めまして、文部科学省、厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  199. 藤木完治

    政府参考人(藤木完治君) お答え申し上げます。  ただいま先生お話しの「脳を育む」研究領域でございますが、この領域に関しましては、脳の発達には感受性期、いわゆる臨界期があること、あるいは発達障害の原因の一部がまさに脳そのものにあることなどが解明されてきておりまして、またそれらの成果が子供の保育や教育がまさに直面している問題の解決に科学的側面から寄与できる可能性が開けてきつつあるのではないかというふうに認識しております。  こういったことから、まさに先ほどルネッサンスで「脳を育む」という領域が大事だという御指摘になっているところでございまして、この領域におきまして文部科学省も様々な取組を行っているところでございます。  具体的には、先ほどの理化学研究所の脳科学総合研究センターにおきまして、あるいは科学技術振興機構におきまして、この臨界期の引き金となる分子に関する研究や、あるいは言語の獲得メカニズムのような脳の発達あるいは学習メカニズムの解明のための研究、そういったことを重点的に進めているところでございます。また、そのほか、科学研究費補助金においても学習や記憶に関する基礎的研究が行われているところでございます。  これらの研究の結果、例えば臨界期の引き金となるような分子が同定され、あるいはその臨界期を早めたりあるいは遅らせたりするといったような研究成果も出つつあって、この臨界期という現象を将来育児や教育に利用できる可能性を示唆するような、そういった有望な成果が出つつあるものというふうに認識してございます。  文部科学省におきましては、子育てや教育を今まで以上に科学的なデータに基づいて様々行えるようになる、そういった可能性がある領域であるというふうに認識しておりまして、これも厚生労働省などの関係省庁とよくよく連携しつつ、積極的に取り組んでいきたいと思っているところでございます。
  200. 中村吉夫

    政府参考人中村吉夫君) お答えいたします。  厚生労働省では、厚生労働科学研究のこころの健康科学事業などにおきまして、発達障害の原因の究明、診断、治療、支援の方法などに関する調査研究を行っておるところでございます。  具体的には、平成十九年度から発達障害者の新しい診断、治療法の開発の研究を行っておるところでございますけれども、これに加えまして、平成二十年度より発達障害の実態把握のための疫学調査や、青年期、成人期の発達障害者に対する効果的な支援方策に関する研究などの研究に取り組むこととしております。  今後とも、引き続き関係府省と連携しながら、発達障害の適切な診断や治療の実用化を目指し、更に研究の推進に努めてまいります。
  201. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 先ほどの報告書の中でもう一つお聞きしたいのは、「脳に学ぶ」領域で今後重点的に推進すべき研究領域の一つとして、脳内情報を解読、制御することによる障害者等の身体機能や認知機能の回復、補完という分野が挙げられておるわけであります。これもやはりリハビリテーション等、あるいは様々な認知機能、高次脳機能障害とかいろいろ認知機能の障害等もあるわけでありまして、こういうものにも応用できるのかなと期待をしているわけでありますけれども、文部科学省、厚生労働省の今後の研究の推進、並びにこれは倫理的、社会的な側面も含んでおりますので、こういう面も配慮してどのように推進をしていくのか、この点を文部科学省、厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  202. 藤木完治

    政府参考人(藤木完治君) お答え申し上げます。  先生まさにお話しのとおり、脳科学の進展によりまして、近年、脳の信号を解読して、その信号によってコンピューター機器あるいは身体補助具を直接操作する、そのような技術が発展しつつございまして、高齢者や障害者の方々が身体機能の改善、回復などを図れる可能性が開けてきているというふうに認識してございます。  先ほどの脳科学ルネッサンスにおいても、これらの研究開発を「脳に学ぶ」領域として重点的に推進すべきというふうに指摘されておるところでございますが、文部科学省としても、急速にこの領域発展しつつあるということだと認識しておりますが、これに積極的に取り組んでいきたいと思っているところでございます。  特に平成二十年度におきましては、新たに脳科学研究戦略推進プログラムというプログラムを新規に開始することになってございますけれども、この中では、脳内情報を解読、制御することによりまして脳の機能や身体機能の回復、補完を可能とするためのいわゆるブレーン・マシン・インターフェースと呼ばれる研究開発に関してその研究開発拠点の整備を行うとともに、競争的研究費などを活用しましてこの分野の研究開発を積極的に推進してまいるという予定にしているところでございます。  そして、このようなことが出てまいりますと、まさに先生お話ございましたように、脳科学研究の結果、心の動きを外部からとらえたり、あるいは外部から脳の機能に影響を与えることといったこともできるのではないかといった観点から、やはり新たな倫理的課題が我々に突き付けられているというふうなことであるというふうに認識しておりまして、脳研究を推し進めるに当たっては、やはりこういったことに対して社会からのやはり信頼を得るということが必要であるというふうに思いますので、そういった倫理的側面に対しても十分な配慮をしながら研究を進める必要があると考えております。  このため、先ほどルネッサンスの中でも脳科学委員会といった委員会を設置するようにという指摘がございますけれども、私ども、その脳科学委員会、昨年の暮れに既に設置してございまして、ここにおきましては、生命倫理の専門家あるいは法律の専門家にも入っていただきながら、こういった倫理的側面に関しても検討を行うこととしておりまして、社会との調和に十分配慮しながら脳科学の研究が進められるように努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  203. 中村吉夫

    政府参考人中村吉夫君) お答えいたします。  脳科学分野における研究の成果が障害者の身体機能や認知機能の回復や補完につながり、障害者の生活を豊かなものにしていくことは極めて重要なことであると考えております。  このため、厚生労働省におきましては、脳内情報処理技術を現場に応用し、考えただけで機器が操作できるようにするなど、障害者の生活を支援する機器の研究開発などの取組を行っておるところでございます。  また、この分野における研究につきましては、先ほど来議論がありますように、特に倫理的、社会的合意に留意することも大変大事でございますので、今後の研究開発の進展に応じて指針などを策定することも検討していきたいと考えております。
  204. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 確かに、脳科学の研究、進んでいけばいろいろなことが、今は不可能なこともできてくる、あるいは障害を克服するために役に立つ技術となっていくわけでありますけれども、自己とは何かとか人間のあるべき姿がどういうものなのかとか、いろんな社会的、倫理的側面も出てまいりますので、こういうものをきちんと配慮しながら研究を進めていただきたいと、そのように思っております。  先ほどから脳科学委員会のことがお話に出ておりますけれども、おおよそのことは分かってまいりましたけれども、今後どのような活動をしていくのか、この点につきまして文部科学省にお伺いをしたいと思います。
  205. 藤木完治

    政府参考人(藤木完治君) お答え申し上げます。  脳科学委員会についての今後の活動の展望ということについての御質問でございます。  脳科学委員会は、先ほど、脳科学研究ルネッサンスの中でまず提言をされたことを踏まえまして、脳科学に関する研究開発計画の作成や推進、それからその評価、あるいは脳科学研究人材の育成や、先ほど出てまいりました脳科学と社会との調和等々の問題につきまして統合的に審議を行うという目的を持って昨年の十一月に設置されております。  この委員会におきましては、実は、脳科学研究の重要性にかんがみまして、昨年十月に渡海文部科学大臣から脳科学委員会が置かれております科学技術・学術審議会に対しまして、長期的展望に立つ脳科学研究の基本的構想及び推進方策についての諮問が行われておりまして、この諮問が行われたことを受けまして、当面はこの諮問に対する答申案の作成に関する具体的な審議を行う予定としてございます。  脳科学は、自然科学から人文社会科学まで大変幅広い分野を包含する分野横断的な総合科学でありますことから、答申案の作成に当たりましても、今後、脳科学委員会において幅広い分野の専門家に参加していただき、そして、多様な観点から十分な時間を掛けて議論を尽くしていただこうというふうに考えてございまして、約一年ほど掛けて第一次答申案の取りまとめをお願いしたいというようなことで考えているところでございます。
  206. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 脳科学に関しましては、主に文部科学省、厚生労働省の方でいろいろな研究を進めていくということでありまして、本年度の予算についても先ほど触れていただいたわけでありますが、追加として、何か脳科学の研究に本年度このように取り組むという事業がありましたらば、厚生労働省、文部科学省にお伺いをしたいと思います。
  207. 藤木完治

    政府参考人(藤木完治君) 文部科学省としてのどのような取組、予算があるのかという御質問でございます。  何度か既にもう触れさせていただきましたので、ごくごく簡単に触れさせていただきたいと思いますが、まず、先ほど、脳内情報を解読、制御することによって脳機能や身体機能の回復、補完を可能とするブレーン・マシン・インターフェースというものを中心とした新たな脳科学研究戦略推進プログラムというものを平成二十年度に立ち上げてございまして、これに平成二十年度十七億円の予算を新規に予定してございます。  また、先ほどから何度か出ております理化学研究所の脳科学総合研究センターにおきましてはこれら様々な分野の研究を総合的に進めておりますけれども、そこにおきましては九十三億円の予算を計上しているところでございます。  そのほかに、先ほどからも科学研究費補助金の中におきましてこの脳研究を特定領域研究として特定いたしまして重点的に進めておりますけれども、この予算として約二十億円程度を想定しております等々、この脳科学研究に多様な視点から取り組み、そして、そういった様々な支援を通じて社会に対して成果が還元されるよう、関係省庁ともこれから努力してまいりたいと思います。
  208. 中村吉夫

    政府参考人中村吉夫君) お答えいたします。  脳科学研究に関する厚生労働省の予算の主なものといたしましては、うつ病などの精神神経疾患等について研究を行うこころの健康科学研究事業がございますが、平成二十年度予算額は約十九億円となっております。  また、長寿科学総合研究の一環といたしまして、先ほどもお話しいたしましたけれども、認知症総合研究分野の取組を行っておりますが、平成二十年度の予算額は長寿科学総合研究事業の予算額約十一億円の内数となっております。
  209. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 認知症も高齢化が進めば増えてくるということでありまして、先ほどもその治療に役立つような研究も進められているということでありますので、期待をしていきたいと思っております。  次に、関係があるんですけれども、難治性の神経難病について質問をさせていただきたいと思います。  一つは、複合性局所疼痛症候群、CRPSと略されておりますが、又は別名反射性交感神経ジストロフィーと呼ばれている疾患でありますけれども、この疾患は外傷とか術後とかそういうときの後遺症として起こってきまして、患部に慢性的な激痛が起こるという病気で、なかなか痛みをコントロールできなくて、また治療法もなかなか進んでおらないということでありまして、生活に支障を来すために解決が求められているわけであります。  そこで、まず、この疾患の患者さんの実態並びに診断、治療の研究の状況について厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  210. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) おっしゃられるとおり、このCRPSですけれども、外傷を契機としまして血行障害と疼痛が持続する疾患であるというようなことで、診断基準もまだ確定していませんし、患者数も不明でございます。  そこで、私ども厚生労働省の科学研究費補助金におきましてこの疾患の研究を行っていまして、診断の目安となる指標を作成する等の成果を上げてきたところでございます。また一方で、この研究の成果については、今年二月に広く専門家が参加するシンポジウムを開催するなど、今後更にこの疾患に関する認知が深まりまして、研究が進展することを期待しているところでございます。
  211. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今も研究が進んでいるということでありますけれども、慢性の疼痛とか四肢の機能障害、硬直等によりまして日常生活に支障が起こる、仕事ができないといった状況があるわけでありますけれども、こういう状況をどう障害認定に反映させるのか、また、自立支援の対策をどう講じていくのか、この点につきまして厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  212. 中村吉夫

    政府参考人中村吉夫君) お答えいたします。  身体障害者福祉法におきましては、身体の特定の部位につきまして法で定める一定程度の機能障害がある場合に身体障害として認定し、様々な支援を行うこととしておるところでございます。具体的には、法律及び政令で視覚・聴覚障害や肢体不自由などの機能障害が定められておるところでございます。  このため、複合性局所疼痛症候群であることのみをもって身体障害の認定を行うことは困難であるというふうに考えております。ただ、先ほどお話しいたしましたように、身体の特定の部位について法令で定める一定程度の機能障害がある場合に身体障害者として認定することとなります。  なお、複合性局所疼痛症候群の患者の方々への支援につきましては、療養や生活上での悩みをよく聞き、相談に応ずることが大事でございますので、各都道府県に設置されております難病相談・支援センターで、疾患にかかわらず、患者、家族に対する相談、援助等を行うこととしておるところでございます。
  213. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 このような患者さんが、かぼちゃの会という患者会をつくっておりまして、今からもう四年ぐらい前でありますけれども、平成十六年の十月に当時の尾辻厚生労働大臣に申入れをしまして、私も同席をしたわけでありますけれども、そのときの要望の内容は、CRPSを特定疾患に認定していただきたい、あるいは自立生活の支援をお願いしたい、それから身体障害者としての認定を求めたものでありますけれども、もう四年になりますけれども、その後どのような検討がなされているのか、舛添厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
  214. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) このCRPSにつきまして、平成十九年三月に特定疾患対策懇談会において検討が行われましたけれども、その際に、ほかの二疾患が難治性疾患克服研究事業の対象として選定されたわけで、たくさんございますんで、その優先順位を付けているということでございます。今後とも、また特定疾患対策懇談会において議論をしたいと思います。  それから、ただ、今委員が御指摘のように、身体障害者福祉法において、特定の部位について法令で定める一定程度の機能障害がある場合には身体障害者として認定すると、そういうこととしてございます。  また、複合性局所疼痛症候群の患者の方々への支援につきましては、療養や生活の上での悩みをよく聞き、相談に応ずることが大事でありますんで、各都道府県に設置された難病相談・支援センターで、疾患にかかわらず、患者、家族に対する相談、援助等を行うことを行っております。
  215. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 痛みというものが加わっておりますので、ただ単なる機能障害としての身体障害の認定というよりも、この痛みをどう配慮して身体障害の認定に結び付けていくのかということが大事なまた課題でありますので、この辺も研究をしていただければと思います。  次に、脊髄小脳変性症について質問をさせていただきます。  この疾患は、青年期にも発症をする場合がありまして、今のところなかなか根治ができない、徐々に悪化をしていくわけでありまして、この対策が大変重要となっております。本症の診断、治療の研究の現状について、厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  216. 西山正徳

    政府参考人西山正徳君) この脊髄小脳変性症についてですけれども、御案内のとおり、小脳等の機能が障害されると、運動の調節ができなくなって、動作や歩行、言語、嚥下障害が起こると。患者さんの発生状況についてですけれども、平成十八年度末現在、約二万人というふうなことでございます。  この原因については、一部の患者さんでは遺伝子の異常が原因であると判明しておりますけれども、多くの場合は原因が不明であるということで、専門家の間で研究が進められているところでございます。
  217. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 診断、治療、研究、いろいろ進めていただいておるわけでありますけれども、障害の認定とか自立支援のサービスとかがどのようになっているのか、この点もお伺いをしたいと思います。
  218. 中村吉夫

    政府参考人中村吉夫君) お答え申し上げます。  脊髄小脳変性症につきましては、これによって身体障害者福祉法等に定める一定程度の肢体不自由となった場合などには身体障害と認定され、障害福祉サービスなどの支援が受けられます。また、特定疾患治療研究事業におきまして、脊髄小脳変性症に関する医療費につきまして健康保険の自己負担分の全部又は一部が助成されることになっております。  なお、仮に脊髄小脳変性症の患者さんが障害程度区分認定や要介護認定が受けられない場合でございましても、難病患者等居宅生活支援事業によりまして、ホームヘルプや短期入所などの居宅生活支援が受けられることになっております。
  219. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 二万人という先ほどの患者さんの数が出ておりますけれども、脳科学の発展等で新しい治療法を開発をしていただいて、何とか社会復帰できるように御努力をいただきたいと思います。  次に、言語聴覚士の活動状況についてお伺いをしたいと思います。  国家資格とされました言語聴覚士の養成状況、それから有資格者数並びに就業の状況等について、簡潔に厚生労働省の方からお伺いをしたいと思います。
  220. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 言語聴覚士を養成するための学校及び養成所数でございますけれども、平成十九年四月現在で五十九校、入学定員は二千三百四十三名であります。また、免許取得者数は平成十九年十二月現在で一万二千五百四十三名であり、医療施設に従事する者が平成十七年十月現在で常勤換算で五千七百九十六名、介護保険施設に従事する者が平成十八年十月現在で常勤換算で千二百七十一名となっております。
  221. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 言語聴覚士がかかわっている嚥下障害ですね、そういう検査とか嚥下訓練等があるわけでありますが、こういうものがどのように近年変わってきているのか、増えているのか、その動向について厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  222. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 嚥下障害の関連についてでございますけれども、これについて、日本言語聴覚士協会が会員を対象といたしまして複数回答でその専門領域を調査した結果によりますと、摂食、嚥下を専門領域とする言語聴覚士の割合は、二〇〇三年は約六七%、二〇〇五年は約七五%、二〇〇七年は約七八%となっているものと承知しております。
  223. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 どんどん、そういう高齢化に伴って様々な疾患で嚥下障害等も起こるわけでありますけれども、そういう活動が増えているということであります。  言語聴覚士は嚥下障害の検査とか訓練に携わっているわけでありますけれども、嚥下訓練なんかは医師あるいは歯科医師の指示の下で訓練を行うわけでありますけれども、そういう業務の途中で、やはりたんがたまったりすることがあるわけでありまして、吸引行為というのがそれに付随してくるものとして必要性が高まっておるわけでありますけれども、医療現場ではもうこの言語聴覚士が実際そういうことが起これば吸引行為をするということにならざるを得ないんではないかと私は思っておりますけれども医師あるいは歯科医師の包括的な指示の下で言語聴覚士も吸引行為がきちんとできるように環境整備が必要なのではないかと、そのように思いますけれども、この点どのように検討されているのか、舛添厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
  224. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、たんの吸引についてどうするかと。在宅で例えば家族がやる、これは認めておりますけれども、今のこの言語聴覚士などの場合にどうしてもやっぱり医師との役割分担、今委員がおっしゃったように、医師の適切な監督指導の下に行うのはどうかと、こういう点についても今後検討を進めてまいりたいと思います。在宅においては、もうやむを得ない場合はやれるということになっていますので、少しこれは国民的な議論を行った上で検討を進めたいと思います。
  225. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 やはり業務で訓練をしているときにたんが絡まってしまうとか、誤嚥すれば肺炎になったりすることもあり得るんで、即対応せざるを得ないんですね。だから、現場の状況をよく判断していただいて、こういうものも医師、歯科医師の指示の下で適切に吸引行為もできるようによく検討をしていただきたいと、そのように思います。  以上で質問を終わります。
  226. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  来週から後期高齢者医療制度の保険料の天引きが始まりますが、直前になって長寿医療制度と名前を変えた。大臣、これ何で呼び名変えたんですか。
  227. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、この制度についての説明が十分でない、そしてできるだけ身近で親しみやすいような通称としてこういう名称にするということを総理の方から御提案がございました。  それで、やはり生活を支える医療だと、そして本当に長生きしてよかったなと、そういう意味での長寿を国民が喜ぶことができるような仕組みの一環としてこの新しい医療制度を位置付けたいと。そして、法律自体は御承知のように二年前の六月に成立をしておりますけれども、その後いろんな紆余曲折があり、様々な暫定的な移行措置その他をとっておりますけれども、やはりここに来て周知徹底十分行われていないと、そういうようなことで、総理の指示の下にこの長寿医療制度という通称を提案した次第でございます。
  228. 小池晃

    ○小池晃君 法律の条文、どこ見ても長寿医療制度という言葉はないんですね。こういう名前変えるんだったら法改正必要なんじゃないですか。
  229. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) あくまでこれは通称で、初心者マークというのを若葉マークというのと同じような意味だというように理解をしております。
  230. 小池晃

    ○小池晃君 要するに中身変わらないということで、こういう取り繕いで私はこの制度の本質を隠すことできないというふうに思うんですよ。  資料を見ていただきたいんですが、その実施対策本部がQアンドAというのを出しまして、今まで言ってこなかったような言い訳が始まっているんですね。これ見ますと、保険料が何かすごく安くなるというような数字が出ているんです。国保から後期高齢者になると、例えば基礎年金だけの場合、月額二千八百円が千円になる。これは、二千八百円というのは、これは資産割が入ってない数字ですね。確認です。
  231. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この二千八百円という額でございますけれども、これはそもそも国民健康保険の資産割については入ってございます。ただ、なぜ入れているかといいますと、全般的な傾向を見るためには八割の市町村で採用しているものを入れる必要があると考えたからであります。
  232. 小池晃

    ○小池晃君 私、言い間違えました。資産割が入っている数字ですねと確認したわけです。入っているんですね。  しかし、基礎年金だけの単身世帯でどれだけの人が資産割を払っているかというと、本当に限られたケースだというふうに思う。こういうケースというのは所得割も掛かりませんから、基本的には均等割と平等割だけという方が多いと思うんですね。  お聞きしますが、基礎年金のみの受給者で均等割と平等割だけで月二千八百円の保険料という、そういう自治体はあるんでしょうか。
  233. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) これは、応益保険の方でございまして、全国平均的な保険料率等を用いて算定した後期高齢者医療保険料と、それから約八割の市区町村が採用している方法によりつつ全国平均的な保険料率等を用いて算定した国民健康保険で比較でございますので、具体的な市区町村というよりは全体の傾向をつかむために用いたものでございます。
  234. 小池晃

    ○小池晃君 いや、私の聞いたことに答えてほしいんですけれども、均等割と平等割だけで月二千八百円という自治体はありますかと聞いているんですよ。
  235. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この算定基礎を申し上げますと、被保険者均等割二・三万円、世帯別平等割二・四万円、資産割、世帯割一・九万円、所得割率七・三六%という平均を取ったものでございます。
  236. 小池晃

    ○小池晃君 だから、私言ったことに答えてないじゃないですか。資産割入れればそうなるかもしれないけれども、均等割と平等割で月二千八百円、私ども実際に国保料の算定方式が公開をされている千四百市区町村全部調べました。均等割と平等割だけで二千八百円の自治体は一つもありません。これは本当に極端な形で数字を出してきて、あたかも大幅に保険料が下がるかのように言うのは私フェアではないというふうに思います。  それからさらに、低所得者では負担が軽減され、高所得者では負担が増えるというふうにありますが、これ根拠は何ですか。
  237. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 一般的にはと申し上げておりますのが、先ほど言いました全般的な傾向で見ますと、夫婦の場合、平均の年金収入が五百二十万以下の方であると全般的には下がる傾向にあるということでございます。つまり、逆に言えば、年金収入を御夫婦で五百二十万超えるところは負担が増える傾向があるということを言っているわけであります。
  238. 小池晃

    ○小池晃君 これもそんなことないんですね。実際に私どもは、各自治体が示している保険料の計算式、現状の国保料の計算式とそれから後期高齢者の計算式を当てはめて、実際全部算定してみました。資料で全国八百五区市、町村までちょっとできなかったので市と区でやりましたけれども、こういう形で計算すると、例えば高齢者夫婦世帯の場合、やはり低所得者の方がむしろ負担が、もちろん負担減になるところもあるんですよ、それは否定しません。いろんな自治体があるんです。ただ、こうやって大まかに見てみると、決して政府が言っているように低所得者の方が負担が軽減されて高所得者で負担が増えるなんていう傾向はこれ出てこないんですよ。  大臣、この新たに出したQアンドAでかなりいろんなことを言い出しているんですが、この資料の中でもはっきり言っているんですね。国保料というのは、これは自治体ごとに違うわけだから、保険料の計算方式も違うし、医療費も水準も違うんだから、やはり単純な比較は難しいと一方で言っているわけですよ。そういうふうに言いながら、何かこう数字を見ると、大幅に保険料が下がるようなそういう数字だけ示すというのは私はこれははっきり言ってミスリードじゃないかと思いますけど、大臣、いかがですか。
  239. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは細かく申し上げますと、年金収入、夫婦世帯では五百二十万円程度まで、そして単身世帯では年金の収入金額にかかわらず負担増にならないと、こういうようなことをずっとお伝えしてきたんですけれども、それぞれの人にとって幾らになるんだと。それは、全体五百二十万と言ってどうだというのは分かりませんから、平均値を取ったらどうなるか。だから、その平均値にぴったり合う市町村があるかないかというのはそれは分かりません。しかし、全体の傾向はそうだと。  ただ、委員御承知のように、東京都のように、それぞれ市町村によって特別計算方式をやったりする。そこにおいて今言ったようにかえって裕福な方の方が軽減されるようなケースも出てきています。しかし、東京都は広域連合の中でそういうことに対する是正措置もやっている。ですから、分かりやすく一般的な平均値で、こうですよということじゃなくて、条件をきちんと付けて申し上げておりますので、どうか御理解をいただければと思います。
  240. 小池晃

    ○小池晃君 だから、一般的な平均値じゃないんじゃないですかと言っているんです。これ資産割まで含めて基礎年金だけの受給者を比較するというのは、これは実態を反映していない数字でないですかと。それから、低所得者の方は負担軽減され、高所得者で負担増えると言うけれども、そんなふうに乱暴に言えるんですかと。これは単身者ではそういう傾向が一定あるかもしれない。しかし、夫婦世帯にしてみると、それはないですよ、そういう傾向は、はっきり言って。  だから、私はこういう形で、何か、一方で言っているわけでしょう、単純な比較難しいと。言いながら単純な比較出しているじゃないですか。こういうやり方は私は誤解を招くんじゃないかと。正確にやはり国民に対して説明していく必要あるんじゃないですか。これ見た人は、ああ、もう保険料下がるんだなというふうに思うでしょう。そういう自治体ばかりではないと、むしろ夫婦なんかの場合は逆に増えるケースは多いと、そのことをはっきり率直におっしゃった方がいいじゃないですか。いかがですか。
  241. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いや、同じお答えになりますけれども一般的な傾向を示して、しかしそれは条件を付けてかくかくしかじかということを申し上げておりますし、東京都の例も出した。そして、単身で六・六万円だけ、それから夫婦で厚生年金だけ、十六・七万円ですか、これだとこうだというようなことを話をしているわけで、あくまで一般的な傾向だということですから、それはミスリードではなくて、各市町村によって、個々特別な事情によって違いがありますので、そこは何度も申し上げているとおりでございます。
  242. 小池晃

    ○小池晃君 私はこういう宣伝の仕方というのは、やはり新しい制度を始めるときにフェアなやり方ではないし、むしろ、こういうことをやるから国民は非常に不信感を持ってくるんだと思いますよ。やっぱり事実をありのままに伝えるという姿勢を取るべきだというふうに思います。  天引きは、昨日も申し上げましたけれども、中止すべきだし、後期高齢者医療制度は廃止をするということを改めて求めたいと思います。  あわせて、ちょっと医療に関連して、中央公論の三月号に村上正泰という方が「このままでは医療・介護難民が発生する」という論文を、文章を発表しておられる。今日、資料の五枚目に入れておりますが、この方は今週発売の週刊東洋経済にも同趣旨の発言を写真入りでされていますね。  この村上正泰という方は、いつからいつまで、厚労省のどのポストにあったんですか。
  243. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この村上正泰氏は平成十六年夏から平成十八年夏まで保険局総務課に在籍されていたと記憶しております。
  244. 小池晃

    ○小池晃君 厚労省では医療費適正化計画、後期高齢者医療制度などの改革法案の作成にかかわってきたということですね。
  245. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) この方は保険局総務課の課長補佐をしておられましたので、医療保険制度全般に関する業務に参画しておられたと記憶しております。
  246. 小池晃

    ○小池晃君 この文章の中で村上氏は、三十八万床の療養病床、二十三万床も削って十五万床にしてしまう、今から振り返れば、本当に大丈夫なのだろうかというふうに書いています。  この決定過程についても詳しく述べていて、二〇〇五年十二月の与党の医療制度改革大綱のときには具体的方針なかったけれども、〇六年度の診療報酬改定で急に医療区分一、この点数が出てきて、これでは不採算になるんじゃないかと。そうしたら、介護の世界からも、それまで介護保険制度改正のときは全く議論されていなかった介護療養型病床の廃止が急に老健局から持ち込まれてきたんだと。それぞれ縦割りでみんなが勝手にやっていて、まとまったものを見ると大変なことになっているということに愕然としたというようなことが書かれていて、村上氏は、二十三万床の病床削減が縦割り行政の弊害により細部にわたるまで十分な対応が練り上げられないまま打ち出された、患者の受皿が整備できるのか不確かなまますべてが突然決まったというようなことを書いております。  これ、書いていることがすべて正しいかどうかという、これは分かりませんが、その当時いろんな形で言われてきたことがかなり裏付けられるような話に私は読めた。  大臣、こういうやっぱり政策決定過程の在り方というのは大変問題があるんじゃないかと思いますが、ちょっと大臣、時間ないから大臣に答えていただきたい。
  247. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今この論文を初めて見ますので、きちんと読んでみてどういうことであったかというのをお答えしないと、ぱっと見ただけで時間がありませんので。  ただ、基本的にはやっぱり、例えば分かりやすい言葉で言うと、社会的入院というのをいかに減らしていくか。医療資源というのは限られているわけで、それを最適な配分をすることによって持続的な医療制度、国民皆保険制度を守っていくと、そういう視点が必要なので、ここに書いている縦割り行政ですか、そういうことできちんと政策プロセスがいっていないということが本当かどうか、私もまだ読んでいませんから分かりません。  しかし、厚生労働大臣としてやっぱり考えることは、国民の幸せのためにどういうふうに医療資源を適正に使うかということに尽きると思います。それは財源にしても、野方図に国民にお願いするわけにはいきません。限られた財源を使って最も効率的なことをやる。しかし、例えば療養病床の削減計画にしても、問題があればそこで調整をしながらやっていく。そういうきちんとしたブレーキも掛けながら、そして全体像を見ながら私はやっていきたいと思っております。
  248. 小池晃

    ○小池晃君 しかし、これはブレーキ掛かっていないんじゃないかと。この文章の中でも最後に言われているのは、やっぱり経済財政諮問会議の二千二百億円の削減先にありきでいろんな政策決まっているから大変な事態になっているんだということが書かれています。  今日、資料の最後に社会保障費の自然増をこの間抑制してきたことをグラフに、表にしてみましたけれども、これで見ますと、二千二百億円毎年削ってきたんだけれども社会保障の自然増そのものが年々減少をしておりまして、結局、始めた二〇〇二年と二〇〇八年を比べると、既に自然増そのものが九千四百億円から今年度七千五百億円になっていますから、二千億円近く減っているわけですね。だから、二千二百億円削るというけれども、自然増そのものが二千億円減っている。  だから、私、今までの社会保障改革というのが既に行き過ぎた社会保障費の抑制をつくり出してきて、そこに機械的に二千二百億円掛けるということが大変な被害を生み出しているんだというふうに思うんです。  こういう中で、今年度も二千二百億円削減ということをやられたわけですが、私はこの推移を見るだけでも、これ以上やっぱり二千二百億円の削減というのはこれはやるべきでないし、これははっきり大臣には来年度行わないということを明言していただきたいと思うんですが、いかがですか。
  249. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私も常々二千二百億円の削減はそろそろ限界に来ているということは申し上げてきております。やはり社会保障、これは最後のセーフティーネットですから、これはきちんと守りたい。本当に政府全体の方針として全体の支出を抑制する、そういう一環としてやっていますけれども、しかし予算は毎年決めていくわけですから、その予算編成過程においてそろそろ限界に来ている。そういう意味で、これはきちんと議論して決めるべきだということは申し上げます。そして今、内閣総理大臣の下に社会保障国民会議が開かれて、まさに負担と給付の問題について議論をしていますので、そういう場でも今後とも主張は繰り返し続けていきたいと思います。
  250. 小池晃

    ○小池晃君 もうこれは絶対にやるべきでないということを申し上げたいです。  最後のところで、社会保険病院、厚生年金病院の今後についてちょっと聞きたいんですが、与党が整理機構、RFOに出資する方針決めたということで、大臣は衆議院でも答弁されています。ただ、RFOというのはこれは譲渡、廃止の業務を行うという組織ですから、ここに行っちゃうということは、もはや整理の対象になるんじゃないかということが地域の住民あるいは職員の方から不安の声が出されている。  大臣、はっきり、RFOに出資するからといって決して整理の対象にするということじゃないんだということを明言していただきたい。
  251. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これはもう社会保険庁の改革との絡みも伴って社会保険病院、厚生年金病院、これはもう特別会計で保有しないということで整理をされた。そして、与党の議論では今RFOに移すということでありますけれども、何度も私が申し上げていますように、与党の合意の中でも、そのことがこの地域の医療を損なうことがないように十分配慮をするということですから、その点は明言を申し上げておきたいと思います。
  252. 小池晃

    ○小池晃君 いろんな病院あるんですが、例えば私がかつて医者としてかかわってきたときに、近くにあった、国立王子病院というのがありました。これは統廃合で、その後医療で社会保険北病院というのができたんですね。そういうまさに国立病院の廃止に伴う後医療みたいな病院もあるんですよ。  私は、地域医療が損なわれないようにということを、一般的なその話だけじゃなくて、やっぱりそういう経過もいろんな様々ある中で、歴史がある様々な病院だし、やはり公的な医療機関として維持するということを最優先にこの問題については取り組んでいくんだということが必要だと思うんですが、大臣、いかがですか。
  253. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 何度も申し上げますように、やっぱり地域医療の中核を担っているところ、その病院がなくなれば地域の医療が崩壊する、そういうことがないようにきちんと、これは与党の皆さん方の見解とも同じだと思いますんで、政府・与党一体となってそういう方針でやりたいと思います。
  254. 小池晃

    ○小池晃君 RFOの業務というのは、これは譲渡し又は廃止するまでの間の運営又は管理というのが法律上の任務ですね。  ということは、その病院の将来にかかわる責任というのは、今後もこれは引き続き国が持っていくという理解でよろしいんですね。
  255. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それは、政府・与党全体でこの地域医療の崩壊を食い止めると、そういう観点から、片一方ではしかし社会保険庁改革という観点もあって、厚生年金病院や社会保険病院をきちんと改革しようという今までのニーズもあるわけですから、その両方をきちんと考えた上で、しかし地域医療を崩壊させないと、政府・与党一体としてやっていくということであります。
  256. 小池晃

    ○小池晃君 最後もう一つ。  先ほど、神経難病の質問ありましたけれども、線維筋痛症という病気ありまして、これはアメリカの患者会の雑誌なんですね。物すごく立派な患者会があって、こういうフィブロミアルジア、FMというふうに略していますが、これ、日本でも大体患者数が人口の二%、二百万人と言われている。ところが、日本では余りこれだけの組織があるということにはなっていません。  この問題について、アメリカでは既に治療薬のリリカというのがこれは承認されていますが、これは日本でも一刻も早く使いたいという声があります。これにこたえるべきじゃないかということと、今これ治療薬未承認だし、難病指定も行われていないんですね。これ線維筋痛症の病名では保険請求することもできなくて、ほかの病名とか症状で請求するしかないというのが実態なんです。その結果、正しい治療受けられないという人もたくさんおられるんじゃないか。  私は、この新薬の、早く使えるようにするという願いにこたえることと含めて、国としてやっぱりしっかり応援していくべきじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。
  257. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今年の一月に、患者団体の皆さんから今委員がおっしゃったように早期承認をしてくれということがリリカについてありました。それで、製薬メーカーに確認したところ、今国内メーカーも線維筋痛症に対する薬の開発を始めたということであります。開始するという意向を今確認いたしました。厚生労働省としてもこれを支援していきたいと。  それと、難病支援、先ほどの疼痛症の話もありましたけれども、もう本当にたくさんの疾患がありまして、どういうふうに優先順位を付けるかということでございますんで、これもまた特定疾患の難病の検討会において検討を今後する課題になると思います。
  258. 小池晃

    ○小池晃君 しっかり応援していただきたいと思います。  終わります。
  259. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  社民党は、産声の聞こえる街づくりプロジェクトチームをつくり、今まで岩手、秋田、東京、長野と視察に行ってきました。私自身も、六日、七日、日曜日、月曜日と長野県に行ってまいりまして、舛添大臣が行かれた飯田市とそれから上田市の両方に行ってきました。  本当に医療崩壊、地方で本当に医療が大変になっていて、もうびっくりする状況で、それを医療現場の従事者の人たちが必死で食い止めているということをどこに行っても本当に痛感をします。  頭の下がるような努力をみんなしていて、死に物狂いでやっているけれども、今まさに医療崩壊がもう起きて駄目になるのか、それともそこに税金や人材のための政策をきちっとやって医療崩壊をもうとにかくさせないで立て直しができるか、今まさに岐路だと思っています。だからこそ、もうそのためにも全力を尽くしたいと。  飯田市は行政と医療、市立病院それから開業医の人たちも連携を取って包括的に今頑張っているということで、地域でとにかくみんなでやろうというのは良かったんですが、上田市に行きましたところ、御存じ、上田にあります国立長野病院で麻酔医がもう長年いないと。パートタイマー麻酔科になっている。それから、四人産婦人科が引き揚げるので産婦人科がゼロになると。つまり、これは非常に重要な中核病院であるにもかかわらず、八月の時点で産婦人科がゼロになってしまうと。  ですから、本当に産婦人科だけの問題ではないんですが、厚生労働省資料で、平成二十年三月二十五日現在、分娩休止までの間に対応する予定の医療機関の一つに長野県のこの国立病院機構が入っております。対応としては、文科省、防衛省、大学、各県と産科医療派遣又は近隣医療機関の対応を検討中とあるのですが、これは今どうなっているでしょうか。
  260. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 国立病院機構長野病院の状況でございますけれども、まず昨年十一月の段階では、この三月末に四名の産科医師全員を引き揚げられる状況にありました。その後、派遣元大学との協議によりまして、当面七月末まで派遣を継続していただくこととして引き続きお願いしているところであります。  また、今御指摘のような全国的な実態調査を踏まえて、地域の産科医療を確保するために支援が必要な医療機関として、厚生労働省としては八月以降も長野病院における産科診療が継続できるよう、現在、大学や県など関係者間の調整を進めているところであります。実効性のある措置が講じられるよう、引き続き努力を重ねてまいります。
  261. 福島みずほ

    福島みずほ君 対応が必要な休止医療機関というリストがありますけれども、現場に行くと本当にもう死活問題です。厚生労働省はこの委員会でも集約化と言ってきましたけれども、この長野国立病院は地域周産期母子医療センターなわけですよね。要するに、産婦人科がいなくなれば子宮がんとかがんの治療もできないし、麻酔医がいなければ外科もできないわけですよね。この状況は私はもう人災そのものというふうに思いますが、いかがですか。
  262. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 国立病院機構の長野病院の場合、例えば産科の医療でも今までハイリスクを担当しておりましたし、それから今麻酔のお話がございましたけれども、前は麻酔科医、常勤でおったんですけれども、今なかなか確保が難しくて、今パートでつないでいる状況にあります。これも今関連の大学に麻酔科医の派遣お願いしているところでありますけれども、やはりその地域にとって必要な医療機関でありますので、その確保について、いろいろな方面からの働きかけを組み合わせながら対応していきたいと思っています。
  263. 福島みずほ

    福島みずほ君 八月までに必ず確保はできますでしょうか、どうですか。
  264. 外口崇

    政府参考人外口崇君) もちろん国立病院機構理事長を始め今働きかけを行っていますし、私どもも直接働きかけを行っております。県の方も今動いておりますので、努力を重ねてまいります。
  265. 福島みずほ

    福島みずほ君 地方に行きますと、やはり開業医の皆さんも頑張っているんですが、国立病院、県立病院、特に地域に密着ですと市立病院が地元の中核病院として非常に大きな役割を果たしている。御存じ、どこも赤字だったり財政難で苦しんでいます。今日も他の委員からも質問が出ましたけれども大臣、この国立病院などは少なくとも独立行政法人といっても国立なわけですから、国がもう少し身を乗り出して財政支援をしていく、医療人材の配分に関して国が身を乗り出していくということが必要だと考えますが、いかがですか。
  266. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私もできるだけの手は打っているつもりですけれども、例えばお医者さんの不足ということについて、長野の場合は、飯田の場合は信州大学に派遣していただいた。それから、防衛医官を派遣していただいたところもあります。そういうふうに各省庁連携してもうやっていくしかない。  ただ、あくまで、先ほど申しましたこれはもう緊急措置で、今やらなければ四月から閉鎖とか八月から閉鎖になるんで、それはやります。ただ、やっぱり医師の養成含めて、十年計画の構造的な問題がありますから、これも同時に取り組んでまいりたいと思います。そして、公立、市立、国立を問わず、地域の中核病院を守っていくんだ、そしてきれいな、きれいなというか、きちんとしたネットワークを形成していくんだと、そういう観点からやっていきたいと思います。
  267. 福島みずほ

    福島みずほ君 これはもう力を合わせて税金を投与し、それから配分に関してやはり国がコーディネートをもうすべき段階が来ている。任せておくべきではなくて、国が医者も含めてある程度身を乗り出して人材配置をやらないと、これはもう無理だと思いますが、いかがですか。
  268. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) ただ、私も産科のお医者さんといつも議論をしているんですけれども、例えば、そこに、長野、上田に行け、嫌だと言うんですね。じゃ、どうするのか。ずっといるんじゃなくて、通って行っていいよとか、週三日なら行くよという方がおられて、やっぱりお医者さんが中心ですから、そういうフレキシブルな対応ができないかなと。それで、週三日行く人が二人で行って、家族東京にいるから通いたいと言うなら今新幹線もある、例えばそういうときに交通費の補助をするというようなことでできると思います。ちょっときめの細かい対策も取りたいというふうに思っております。
  269. 福島みずほ

    福島みずほ君 財政上の援助はいかがですか。
  270. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、今緊急医療体制で本年度は百億円予算を組んでおります。ただ、これは産科だけということじゃないものですから、その限られた予算をどう有効に使うかということで、来年度に向けて更なる予算の獲得に尽力したいと思います。
  271. 福島みずほ

    福島みずほ君 今、公立病院は、高知県は県立、市立をPFIにしてオリックスが受注をすると。あるいは民営化したり指定管理者になったり売却をしたり、今非常にひどい、ひどいというか、地域の中で住民のためにということがなかなか果たせない。  自治体病院の疲弊について総務省にお聞きをします。厚労省に私たちは頑張れと言っていますが、先ほども自治体病院に関して交付金を出すという話がありましたが、総務省ももう少し自治体病院に関してきちっと財政上の手当てをしていく。自治体病院、例えば秋田のある市立病院は、院長さんは二億円の赤字で苦しんでいると言っていました。二億円で自治体は苦しんでいるんですね。ですから、総務省は、ここは緊急措置としても命のためにきちっと交付金出してくれ、いかがですか。
  272. 榮畑潤

    政府参考人榮畑潤君) 確かにおっしゃるとおり、自治体病院ですけれど、赤字と、それから人材がやっぱりいなくなっているというふうなことから大変厳しい経営を迫られているということだろうと思っています。  そういう中で、私ども総務省といたしましても、公立病院改革を進めなきゃいかぬということで、昨年の暮れに公立病院改革ガイドラインを作りまして、再編・ネットワークをする、若しくは経営のやっぱり効率化も進めなきゃいかぬというふうなことを考えておるところでございます。  ただ、一方で、公立病院につきましては、確かに救急医療等々、採算を取ることがなかなか大変なところを担当していただいておるところでございます。したがいまして、そういうふうなところにつきましては、各地方公共団体の普通会計、一般会計が公立病院に対して支援するという形になっております。それが平成二十年度におきまして、一般会計から地方財政計画上六千七十八億計上しておるところでございます。  総務省といたしましても、これに対して、地方交付税の算定等を通じまして、各地方公共団体に対しまして所要の財政措置を進めていきたいと思っております。
  273. 福島みずほ

    福島みずほ君 三位ばらばら改悪と町村合併などで自治体病院はどんどんなくなっていっているんですね。ですから、もう本当に総務省は公立病院を育てていくという立場で、これは本当によろしくお願いします。  舛添大臣舛添大臣おっしゃるとおり、超短期、短期、中期、長期ぐらいの、本当にやらなければならないんですが、私はもう思い切って大学の医学部の定員を一・五倍にするとか、これは文科省との交渉があるのかもしれませんが、そういうふうにやるべきときだと思いますが、いかがですか。
  274. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは医師の数はどれぐらいが適当かという話になるんで、医師の数、養成数だけでは済まない問題だと思います。  私は、少し、私の下のビジョン研究会においてもそういうことも議論をしていますが、できればお医者さんの負担が少なくなるように今度は医療クラークを入れました。アシスタント的な職種をたくさん設けることによってお医者さんの本来業務がよくできるようにするというようなことも含めてやっていきたいと思いますので、総合的な対策を皆さんの御意見も踏まえた上で立案したいというふうに思っております。
  275. 福島みずほ

    福島みずほ君 看護師さんや助産師さんの権限の拡大や医療クラークの人の活用はもちろん大事です。しかし、そもそも産婦人科がいなければお産ができないという問題がありますので、私は地方を回れば回るほど、やっぱりお医者さんの争奪戦をやっているという、これはやっぱり異常な事態、もう人災だと思いますので、是非、これは文科省にも質問しますが、一・五倍ぐらい育てるように心からお願いします。    〔委員長退席、理事家西悟君着席〕  メタボについて一言お聞きします。  メタボ健診そのものが私は怪しいと思っています。健康はその人一人一人なのに、なぜ女性は九十センチ、男性は八十五センチなのかさっぱり分からないと。これはちょい太めの人をいじめるだけのものじゃないかというふうに思っています。それで、これがまた極めて問題。だって、その人は健康であればいいわけで、一人一人が生活習慣病をどう克服するかの問題なのに、七十五歳で年齢区切ると同じように、愚行ですよね、腹回り八十五、九十で絞るのは。数字がお好きな厚生労働省は、これ間違っていると思います。  しかも、このメタボ健診で問題なのは、メタボ対策の目標として、特定健診実施率、特定健診指導の実施率、メタボ対象者の削減を総合的に達成するとして、後期高齢者医療を支える保険者からの支援金が広域連合に支払われると。つまり、メタボの健診の結果、成績がいいところ、悪いところ、これは健康保険組合から後期高齢者医療に拠出するお金をここで左右しているわけですね。厚労省は、これを罰かというと、いや、インセンティブだと、こう言うんですが、でもこれはやっぱり変ですね。  若い人たちのメタボの健診の結果が悪いと、なぜ後期高齢者医療制度にそれが跳ね返るのかもさっぱり分からない。何か新たな利権の誕生か、制度が物すごくゆがんでしまうというふうに思いますが、少なくともメタボと後期高齢者をくっつけるのはやめていただきたい、どうですか。
  276. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まず、メタボについては、これは日本内科学会以下八つぐらいの学会の科学的根拠だということで出されました。    〔理事家西悟君退席、委員長着席〕  私もこの基準だとメタボになるということでありますので、そういう科学的だということを内科学会始め専門家の方がおっしゃっているということと、ただ、要するに、いかに特定健診を進めるかと、そういう意味でそのインセンティブを与えるということでありますので、それは促進したところは有利になるよ、そうじゃないと少し、まあペナルティーとまで言う言葉がいいかどうか分かりませんけれども、一つの政策を前に進めるための呼び水だというふうにお考えいただければと思います。
  277. 福島みずほ

    福島みずほ君 そうすると、保険組合は必死でメタボを減らすようにするし、でもおかしいじゃないですか。職業柄太っている人は、お相撲さんたちは別かもしれませんが、要するに、一人一人が健康であることが大事なのに、何でこうやって上から、女子高生のスカートは下から何十センチと決めている校則ぐらい非常にくだらないですよね。これはもうおかしいわけで、どうしてそれと拠出金との関係が連動するのか。私がもし健康保険組合の人間だったら、じゃ、やせている人間を採用せよと言いかねないんですよね。おかしい、これは長い目で見てばかばかしい結果を生むと思いますが、いかがですか。
  278. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) ですから、とにかくやってみましょう。そして、やっぱり生活習慣病、それは、例えば私自身がそれに引っかかると言ったのは、やっぱり運動不足とか、もう少し運動をしていればもっとスリムになる可能性はあるんですよ。ですから、生活習慣病を含めて健康を保つために悪いことじゃないですよ、健診するのは。  ですから、そのインセンティブを与えてやってみて、しかし余りにも弊害があって何の役にも立ちませんと、それでかえってちょっと太っている方がいいんですみたいなことになったら、それは制度を見直すということで、柔軟に対応したいと思います。
  279. 福島みずほ

    福島みずほ君 メタボ健診そのものが怪しいというか問題ということと同時に、今日の私の質問後期高齢者医療制度への拠出金、インセンティブではなく、要するにペナルティーとしてやるわけですよね。連動している、お金の問題になっているということなんです。これはやっぱり非常に変だというふうに思っています。これはやっぱり見直すべきではないですか。何の根拠もないじゃないですか。
  280. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 要するに、人生最後まで見たときに、なるべく健康で長寿を続けていく、そのためには急に七十、八十でやっても間に合いません。やっぱり現役のときからきちんと生活習慣病に対して対策をしていく。それが最終的に老後になったときに健康な寿命を続けることにつながるわけですから。  そういう意味で、そういう方がたくさん増えれば当然医療費も削減されていく。したがって、その成果が上がる方々にはそれはインセンティブとして機能する。何にもしない、生活習慣病ももう気にしないで、たばこは吸いっ放しだ、運動はしない、そういうことであれば、これは長期的に見れば後期高齢者の医療費を増やすことにつながるわけですから、そういう連動はあるというふうに御理解いただければと思います。
  281. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、おかしいんですよ。現役世代の結果を後期高齢者医療制度に出す保険組合の拠出金にしているわけで、高齢者の医療費は削減する、そして若い人たちにはメタボでいじめて、メタボ健診、この薬を飲めとかやってまた新たな利権ができるんじゃないか。やっぱり非常に変な制度で、しかもこれが連動しているというところがおかしいと思います。  済みません、今日は実は介護労働者の労働条件を実は聞こうと思い、次のテーマに行きます。  一言、多くの女の人たちから、若い人から、もう介護労働者の給料が安い、十四万円、十三万円、生きていけないということを特に聞いております。これで、平成十九年八月に出された新人材確保指針によれば、給与を国家公務員福祉職の体系を参考にするということだけれども、何の制度設計もやってないんですね。だとすれば、これは国が給与アップのために何をするのか。制度改革、制度変革が必要ではないかということについて答弁をお願いします。
  282. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 昨年八月に出させていただきました福祉人材、介護人材の確保指針では、委員おっしゃるとおり、給与水準については他の分野における労働者の給与水準や地域の給与水準等も踏まえ、適切な水準を確保すべきこととするとともに、御指摘ありましたように、給与体系の検討に当たっては国家公務員の福祉職俸給表等も参考にすべきものといたしております。  委員からお話ありましたように、給与については経営者が支払うものであり、経営者と労働者の間の個々の契約に、雇用契約に基づいて定められるものでありますから、例えば国家公務員の福祉職俸給表のとおり支払えというようなことはできないわけでございます。  ただ、人材確保のためには労働条件の改善、給与も当然そこに入っておりますので、そこが大事なことは言うまでもありませんので、まずは経営者の方々の経営努力にお願いするとともに、御指摘のございました公的な制度で行われておりますので、そういった制度の中でもよくその点を考えていろいろな施策を打ってまいりたいと考えております。
  283. 福島みずほ

    福島みずほ君 もう何年もこの介護労働者の労働条件を上げるために厚労省はどうするのかと交渉し、質問してきました。今の答弁だったら結局何にもしないということですよ。指針は出しているけれども民事間のものだからということじゃないですか。  民主党が介護労働者について月に二万円お金を出すということの仕組みの法案を出していますが、これは緊急避難的にもうそうすべき段階だとは思います。しかし、これは暫定措置であって、長期的には制度設計をきちっとやらなくてはいけません。厚労省がそのことになぜ踏み切らないのか。ケアマネジャーでも特定事業所加算が受けられるということなんですが、〇・七%しか受けていません。サービス提供責任者の設置を義務付けているけれども、義務にもかかわらず介護報酬は払われていません。介護労働者に関する制度設計が、厚労省は配慮していない、あるいはやる気がないというふうにしか言いようがありません。  この点については私たちも提案をしますが、厚生労働省として、介護労働者の給料をどうやって上げるか、制度設計をできるだけ早く提案してくれるよう強く求め、私の質問を終わります。
  284. 岩本司

    委員長岩本司君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  285. 岩本司

    委員長岩本司君) 戦没者父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案及び駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題といたします。  両案について、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。  なお、戦没者父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案は衆議院において修正議決されましたので、この修正部分につきましても併せて政府から説明を聴取いたします。舛添厚生労働大臣
  286. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) ただいま議題となりました戦没者父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案及び駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  まず、戦没者父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案について申し上げます。  戦没者父母等に対しましては、その置かれた状況にかんがみ、これまで特別給付金として国債を支給してきたところでございますが、今回、これらの方々に改めて特別給付金を支給するため、この法律案を提出した次第であります。  改正の内容は、平成十五年に継続して支給されることとされた特別給付金国債の償還が終了した戦没者父母等に対し、改めて特別給付金として額面百万円、五年償還の国債を支給することであります。  以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要でありますが、平成二十年四月一日から施行することとしておりました改正規定につきましては、衆議院において、公布の日から施行し、平成二十年四月一日にさかのぼって適用することとする修正がなされております。  次に、駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法は、前者が本年五月十六日限りで、また、後者が本年六月三十日限りで失効することとなっております。  しかしながら、駐留軍関係離職者及び漁業離職者につきましては、今後においても、国際情勢の変化等に伴い、なおその発生が予想されることから、両法を延長することとし、この法律案を提出した次第であります。  次に、その内容の概要を御説明申し上げます。  第一に、駐留軍関係離職者等臨時措置法について、有効期限を五年延長し、平成二十五年五月十六日までとすることとしております。  第二に、国際協定締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法について、有効期限を五年延長し、平成二十五年六月三十日までとすることとしております。  最後に、この法律の施行期日については、公布の日としております。  以上が、二法案の提案理由及びその内容の概要でございます。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  287. 岩本司

    委員長岩本司君) 以上で両案の趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十三分散会