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2008-04-01 第169回国会 参議院 厚生労働委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年四月一日(火曜日)    午前十時六分開会     ─────────────    委員の異動  四月一日     辞任         補欠選任      風間 直樹君     舟山 康江君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩本  司君     理 事                 家西  悟君                 谷  博之君                 蓮   舫君                 衛藤 晟一君                 渡辺 孝男君     委 員                 足立 信也君                 大河原雅子君                 風間 直樹君                 小林 正夫君                 櫻井  充君                 津田弥太郎君                 中村 哲治君                 舟山 康江君                 森 ゆうこ君                 石井 準一君                 石井みどり君                 岸  宏一君                 島尻安伊子君                 中村 博彦君                 西島 英利君                 南野知惠子君                 山本 博司君                 小池  晃君                 福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   舛添 要一君    副大臣        総務大臣    佐藤  勉君        厚生労働大臣  西川 京子君        厚生労働大臣  岸  宏一君    大臣政務官        財務大臣政務官  小泉 昭男君    事務局側        常任委員会専門        員        松田 茂敬君    政府参考人        内閣沖縄振興        局長       清水  治君        警察庁長官官房        審議官      小野 正博君        警察庁交通局長  末井 誠史君        総務省行政評価        局長       関  有一君        消防庁国民保護        ・防災部長    岡山  淳君        法務大臣官房審        議官       二階 尚人君        厚生労働省医政        局長       外口  崇君        厚生労働省健康        局長       西山 正徳君        厚生労働省医薬        食品局長     高橋 直人君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       藤崎 清道君        厚生労働省職業        安定局高齢・障        害者雇用対策部        長        岡崎 淳一君        厚生労働省職業        能力開発局長   新島 良夫君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       大谷 泰夫君        厚生労働省社会        ・援護局長    中村 秀一君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    中村 吉夫君        厚生労働省老健        局長       阿曽沼慎司君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君        厚生労働省年金        局長       渡邉 芳樹君        厚生労働省政策        統括官      薄井 康紀君        厚生労働省政策        統括官      小野  晃君        社会保険庁長官  坂野 泰治君        社会保険庁総務        部長       吉岡荘太郎君        社会保険庁運営        部長       石井 博史君        農林水産省総合        食料局次長    平尾 豊徳君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○社会保障及び労働問題等に関する調査  (厚生労働行政基本施策に関する件)     ─────────────
  2. 岩本司

    委員長岩本司君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省年金局長渡邉芳樹君外二十三名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岩本司

    委員長岩本司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 岩本司

    委員長岩本司君) 社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、厚生労働行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 蓮舫

    蓮舫君 民主党・新緑風会・国民新・日本の蓮舫です。  昨日、三月三十一日で政府与党公約期限を迎えた年金について、今日は集中的に質問させていただきます。  昨年の七月五日、政府与党連絡会議安倍総理は、私の内閣の責任において必ず早期に解決をし、最後の一人までチェックをして正しい年金をきちんとお支払いしますと発言しています。お配りした資料の一枚目、これは自民党さんのホームページ、去年の夏の参議院議員選挙公約ビラでございますが、一年間で五千万口がゼロになるという図式。二枚目政府与党案は「今後一年で問題解決全額支払い」、ここまで約束をされているんですが、舛添厚生労働大臣にお伺いします。  昨日が期限となりました。五千万件の宙に浮いた記録はどうなりましたか。
  6. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まず初めに、今、蓮舫委員がお示しいただきました我が党の選挙のときに配ったビラにつきまして、いろんな点でこの説明が不十分、また言葉も不正確というようなことがありましたことは、ここで重ねてきちんと国民に謝罪をいたさなければならないと思います。  その上で、昨年七月五日の政府与党のこの公約に基づく工程表は、まずコンピューター上で五千万件を名寄せ作業をやると。これは先般三月に終わりまして、そして今、千三十万人の方々にねんきん特別便を三月末までにお送りしたところでございます。  しかしながら、まだ二千二十五万件というのがコンピューター上の名寄せ解明しておりません。これにつきましては、住基ネットを使う、また国民の皆さんのいろいろな御協力をいただく、そういうようなことで一つ一つ着実に今後ともこの解明努力を続けていって、安倍総理が、今引用なさったように、最後のお一人まで、最後の一円まで確実にお支払いすると。私もそういう決意最後最後まで努力を続けてまいりたい、今その過程であるということでございます。
  7. 蓮舫

    蓮舫君 二千二十五万件がまだ名寄せをしていない、解明をされていない。これは公約違反ですか。
  8. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) コンピューター上で名寄せをするという、その、このビラに書いていることではなくて、正式な政府与党工程表に基づけば、私はこれは公約違反ではないと思います。
  9. 蓮舫

    蓮舫君 確認します。宙に浮いた五千万件の記録、その中で持ち主、本来の持ち主に戻った記録は何件ありますか。
  10. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 戻った記録というときに、最終的に裁定までやってもうお支払いできるというのは、これは今日、三月三十一日付け数字を今集計して、後ほど公表する予定でございますが、三月十四日付けで四百十七万件、これは裁定したんですけれども、ほぼ四百四十万件ぐらいにその後二週間で数字が上がっていると思います。ただし、これはその前に記録確認をして、これ、あなたの記録ですね、じゃ今から手続をしてくださいという方まで入れるともっと増えます。  今、大変申し訳ないことに、記録の確定ができて裁定するまでの時間が半年ぐらい掛かっているので、まあ何とかこれを三か月ぐらいに短縮して、一日も早くという努力を続けているところでございます。
  11. 蓮舫

    蓮舫君 再度確認しますが、その四百十七万件が四百四十万件に増えるかもしれない。じゃ、その方に、未払分年金が戻った方は何人いますか。
  12. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) ちょっと未払分という意味が、もう一度おっしゃっていただけますか。
  13. 蓮舫

    蓮舫君 宙に浮いた記録が戻って、それまでお支払いしていなかった年金が御本人にお支払いされた件数はいかがでしょう。
  14. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これがまさに四百四十万件で、ただ、これはねんきん特別便を送った人はまだ入っていません。というのは、一昨年来この問題が大きくなったときに、みんなもう窓口来てくださって、ほぼそういう人たちです。今から、十二月にもらった方が一月、二月、三月、四月、五月、六月ぐらいにしか残念ながらもらえないんで、それぐらいからはこのねんきん特別便をいただいて回答された方の数が増えるということでございます。
  15. 蓮舫

    蓮舫君 つまり、政府が働き掛けて、ねんきん特別便をお送りして記録が戻った方はまだゼロ人だということを確認させていただきました。  大臣、今二千二十五万件がまだ解明できていない。逆に言うと、記者会見でも何度もおっしゃっていますけれども、三千万件はもう解明できたんだという言い方をされておるんですが、二枚目資料、これは私どもの要請に基づいて社会保険庁さんにいわゆるカテゴライズ、仕切りを分けていただいたんですが、一番上がまさに先ほど大臣おっしゃった統合済み記録、これ日々の業務で統合されたものですから、政府が働き掛けたものではありません。それ以外の、実は四千五百万件はまだ記録がどなたのものか分からないと私ども判断しています。  しかも、この三番目、今後新たな給付に結び付くことは皆無ではないが、可能性は低い記録、これお亡くなりになっている方の記録を三百四十一万件、今後新たな給付にはほとんど結び付かないと仕分けをしているんですが、この私たち部門会議のときに社会保険庁担当者は、これ、じゃ御遺族年金払われていますかという確認をしたら、そうしたら、死亡届出がされているから当然払われているはずという思い込みの極めて激しい答弁をいただいたんですが、実際、遺族年金がこの方たちに払われているか確認はされましたか。
  16. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今の件ですけれども、これ実は私が国民に分かりやすく説明しようと思って、五千万件、中身どうですかと、解明作業しましたと、三千万件は一応解明できましたと、二千万件はコンピューター上では解明できませんと。三千万件のうちの死亡とか脱退一時金とか、こういうのを除くと、先ほど申し上げておりますように、この千二百万件、そして約一千万人の、人でいうとなりましたと。その三千万から千二百万引いた千八百万のうちに、今委員が御指摘になった死亡一時金とか死亡届出云々ということなんで、基本的には死亡が届けられる、それから脱退一時金をお支払いする、そのときにきちんと裁定、認定の作業をしているはずですから、基本的には、それはきちんと正しく給付されているという想定をするんですが、ただ、今委員指摘なさったように、そこで職員がミスしたりとか、そういうこともあり得ます。ただ、パーセンテージからいくと二〇%とか三〇%、そんな数ではとてもないと思いますので、今私がやりたいことは優先順位付けて、早く、そしてより多く、ロットでいうとそこにたくさんあるというところからこの発掘作業をしていくということですから、いずれこういうこともまたその過程でやります。  そういう意味では、そこに皆無ではないが可能性は低い件数と、そういう書き方をしたんで、だからそういう意味であります。
  17. 蓮舫

    蓮舫君 質問にお答えいただきたいんですが、はずというのは社会保険庁ではやってないということだったんですよ、これまで。行っているはずだというのが行われていなかったから五千万件もの宙に浮いた年金記録があって、名寄せ作業も全然進まなくて、二千万件がどなたのものかも分からない。遺族年金というのは、お亡くなりになった届出をすれば自然に発生するものではなくて、御遺族申請しないと年金は受け取ることができないんです。  社会保険庁に伺います。これは、遺族年金はお支払いしていると、全部御確認をされたんですか。
  18. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 死亡届出がなされている記録、これにつきましては、死亡届出時に市町村の窓口等において遺族年金や未支給年金手続案内を行っておりますことから、今後とも新たな給付に結び付く可能性は低いと考えておるわけでございます。ただ……
  19. 蓮舫

    蓮舫君 案内をしたら遺族年金は支給されるんですか。
  20. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 続けて申し上げますが、案内をし、通常ならばその手続を取られておるものと考えておるわけです。ただ、実際にそういう請求をなされなかった可能性が皆無ということではないとも考えられますので、最終的には公示等によって遺族年金等を受給できる方の申出をお受けすると、そういうことも検討したいと考えておるわけでございます。
  21. 蓮舫

    蓮舫君 確認をしていないということが分かりました。  それと、遺族年金が仮に支払われていても、亡くなった故人の記録に今回の五千万件の宙に浮いた記録があった場合には正しい年金はお支払いをされていません。この確認も終えていますか。
  22. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 新たな記録が統合され、仮にそのことによって年金額の変動が生ずる場合には、全体的な記録に基づいて年金額を再計算をし、再裁定をすると、そういうことになるわけでございます。
  23. 蓮舫

    蓮舫君 それは申請を待つということでしょうか、御遺族からの。社会保険庁から積極的に働きかけるとか確認はされましたか。
  24. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 年金額の再裁定については、基本的に御本人からのお申出を受けて再裁定手続を取るということでございます。
  25. 蓮舫

    蓮舫君 ここがかぎなんですよ。結局、どんなに情報をお出しするとかあるいは工夫してお示しすると言いながらも、結局は申請主義という壁があって知らない人は損をしている。ここが問題だと私たちはずっと指摘をさせていただいております。遺族年金の場合には、宙に浮いた記録が統合される可能性は否定できないんです。  平成十八年十二月十一日、広島社会保険事務所から報告を受けた遺族年金に関する事務処理誤りの例、御報告いただけますか。
  26. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  今お尋ねをいただきました件でございますけれども遺族厚生年金裁定する際に亡くなられた方の被保険者期間の一部を年金額の算定の基礎に含めずに裁定を行った、そういう事案であるというふうに承知しております。
  27. 蓮舫

    蓮舫君 一部と簡単に言いますが、これは船員保険、被保険者期間は四十一か月あったんですよ。この記録が抜けたまま遺族年金裁定しておいて、その後、亡くなっただんなさんの奥さんが、たまたまだんなさんが持っていた船員保険年金請求書を発見して申請したから記録が訂正されて再裁定された。  これ、被害額幾らでした。
  28. 石井博史

    政府参考人石井博史君) この時点における未払額は約百十一万円ということになってございます。
  29. 蓮舫

    蓮舫君 細かいケース資料三に付けてございますけれども、これはたまたま奥さんが証拠を持っていたから再裁定された。でも、持ってなかったら裁定されないんですよ。ここの問題意識をしっかり持っていただかないと、私は、新たな給付に結び付く可能性が極めて低いというふうに仕分をするのは私は違うんだと思います。  例えば、この遺族年金のほかにもいろいろな事務処理ミスがあるんですが、これは十八年十二月二十七日、長崎社会保険事務所で起きた事務処理ミス、どんなケースですか。
  30. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  十八年十二月二十七日の長崎社会保険事務局遺族年金に関する事務ミスの件でありますけれども、これは、妻が死亡したことによりまして夫から届出のあった未支給年金裁定請求書にかかわる事務処理の際に、本来であれば死亡した奥様の年金を止めるべきところ、誤って請求者である夫の年金の方を支払停止にしたと、そういう処理を行った、そういう事案であるというふうに承知しております。
  31. 蓮舫

    蓮舫君 妻が亡くなったのに、その届出をした夫を死亡扱いしているんですよ。  被害額幾らですか。
  32. 石井博史

    政府参考人石井博史君) このときの金額は六十三万円余りということになってございます。
  33. 蓮舫

    蓮舫君 資料四枚目と五枚目に付けてございますが、こういうケース、ほかにもあるんです。五枚目、広島のこれ社会保険事務局ですか、ここは夫の遺族年金申請した妻が死亡処理されている。影響額が五十七万円。  つまり、先ほど社会保険庁長官は、遺族年金死亡届がされたときにアナウンスしているから大丈夫だ、支払われているはずだと言いましたけれども、支払われているかどうかも分からない、事務処理がこんないいかげんなことが起きているかも分からない、こういうことを処理をちゃんと確認をしないで新たな給付に結び付く可能性が低いとするのはやめていただきたいんですが、長官、いかがですか。
  34. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 今御指摘のような事務処理誤りというのは皆無ではないということは、それはおっしゃるとおりだと思っておるわけでございます。  ただ、この五千万件の記録解明を行ったその作業における一つの結論としては、私どもとしては先ほど申し上げたような性質のものであると考えておるわけでございます。
  35. 蓮舫

    蓮舫君 大臣、今の社会保険庁答弁で御満足ですか。
  36. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 亡くなられた方の記録について、今委員が御指摘いただいたような様々なケースがあるということ、これはこのこともきちんとやっぱり何とかしないといけないというふうに思いますんで、公示をする、それからその他の方法がないか、更に検討させていただきたいと思います。
  37. 蓮舫

    蓮舫君 そういう部分で総括をさせていただきたいんですが、昨日で期限を迎えた政府与党が一年間で全額支払とまで言ったような、そんな年金、宙に浮いた記録解明作業なんですけれども、やっぱりこれ公約私は守られていないという、そういう判断をしていただかないと、ここから先また間違ったようなそういう処理を進めていくのが、私はお金も人も無駄だと思うんですね。  例えば、ねんきん特別便も、送ればいいんだというように公約がいつの間にかすり替わってはいるんですけれども、実際にまだ半分以上の人が回答していない。あるいは、記録が絶対この方にはあるのに訂正なしというはがきが送り返されている。これは、ねんきん特別便がやっぱり本当に分かりづらいし不親切だし、このやり方ではなかなか私は解決は進まないんだと思います。やっぱり一度どこかで、大臣仕切り直しをしませんか。
  38. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いろんな御批判もいただいていますし、そのたびに改善できるところは改善する。ただ、全体がどういうことであってどういうプロセスでやればいいかということが事前に分かっていれば非常にやりやすいんですけれども厚生年金、昭和十七年から始まって六十五年間の積もり積もったいろんな問題を今一つ一つ解きほぐしていっているところです。  例えば、ねんきん特別便も、これは今でも見付け記録を最初から書いた方が親切じゃないか、私も非常に迷ったんですが、そのときに、成り済ましとか不正とか、特に二次名寄せのときたくさんの人に一時に送ったときのそのときの問題点、そういうことも考えて、これはだから、それがあっちゃいかぬなということがあったんで、今委員おっしゃったように、余り親切でないような形になっている。  だから、そういう点について、仕切り直しというか、私は、一つ一つ指摘された問題をそれは謙虚に批判を受け止めて、改善すべきところは改善していくと、そういう形で今は進めていっているんで、ねんきん特別便にしても、ただ送ればいいという気持ちでやっているわけではありません。必ずフォローをしていって今後とも解明作業を続けていくと、そういう決意でありますんで、今後ともまた批判についてはきちんとこれは対応したいと思います。
  39. 蓮舫

    蓮舫君 公約違反だと私たちは思っておりますが、この件に関しては国民がしかるべきときに御判断をいただきたいと思います。  それと同時に、今同時進行でこの年金に関してはいろいろと新たな問題が明らかになってきている。これはある種、五千万件の宙に浮いた記録名寄せをするときの副産物として出てきたものですから早々に対応しなければいけないと思うんですが、まず総務省にお伺いします。  厚生年金標準報酬月額なんですが、第三者委員会で受け付け相談総数と実際にあっせんされた数を教えてください。
  40. 関有一

    政府参考人関有一君) 総務省年金記録確認第三者委員会に対する申立て件数でございますけれども、三月二十七日現在で四万七千四百件となっております。このうち厚生年金関係申立て件数は一万八千三百七十七件でありまして、これに係るあっせん件数は、三月二十八日現在でございますけれども、四百二十七件となっております。
  41. 蓮舫

    蓮舫君 実際にあっせんされた数は幾つですか。
  42. 関有一

    政府参考人関有一君) 厚生年金関係あっせん件数は四百二十七件でございます。
  43. 蓮舫

    蓮舫君 そのうち標準報酬月額にかかわるものは幾つですか。
  44. 関有一

    政府参考人関有一君) 標準報酬月額等について遡及して記録変更を行っていた事案あっせん件数は、三月二十八日現在で十七件でございます。
  45. 蓮舫

    蓮舫君 簡単で結構なんですが、傾向が二パターンあるんですが、どういう傾向でしょうか。
  46. 関有一

    政府参考人関有一君) 御指摘事案は、申立て者が勤務していた事業所倒産等により厚生年金保険適用事業所でなくなった日以降に申立て者標準報酬月額一定期間にわたり引き下げるケースがございます。  それから、申立て者の被保険者資格一定期間にわたり取り消すケース、つまり、資格喪失日を変更して被保険者期間を短縮するケース、こういう処理が遡及して行われていると認められるものでございます。
  47. 蓮舫

    蓮舫君 いずれも社会保険庁事務所において不適正な手続が取られたと総務省指摘をしているんですが、社員の給料を実際より安く申請することによって事業主負担分厚生年金保険料が安くなるから事業主は納めやすくなる。他方で、社会保険庁にとってみたら、納め続けていただくわけですから、値段が安かろうと高かろうと収納率が下がることはないですから、両者にとっていい話なんですね。  社会保険庁は、第三者委員会あっせんされたこの十七件について社会保険庁のかかわりがあったかどうかの調査をしています。調査結果はどうなりました。
  48. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 御指摘あっせん事案が生じました以降、それぞれの事案について個々に当時の担当職員あるいは当時の関係者から聴取をし、あるいは調査票をもって回答をいただく、そういう調査を行っておるわけでございます。  現在なおその途上にある、やや時間が掛かっておることについては申し訳ないと思っておりますが、正確を期すためにきちんとした手続を取って調査を進めておる、そういう状況でございます。
  49. 蓮舫

    蓮舫君 資料七枚目に、これ社会保険庁が出した「第三者委員会によるあっせんがあった該当事案調査について」というペーパーを付けさせていただいておりますが、三月の下旬までを目途に調査を実施し事実確認を行うこととしている。まだ時間が掛かっているという長官答弁でしたが、既に担当の職員からの聴き取り、聴取は終わっています。  職員標準報酬月額改ざんに直接関与した事例はありましたか。
  50. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 三月までと申し上げておった調査でございますけれども、なお事実の確認等に時間を要しておると、その点は御理解をいただきたいと思います。
  51. 蓮舫

    蓮舫君 私が聞いているのは、職員に聴取は終わりましたね。
  52. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 当初の聴き取りあるいは書面による回答は得たわけでございますけれども、関係する例えば事業主の方々への調査など、事実を確定するための材料をきちんと確保する必要がある。そういう中で、今のお尋ねの件についても確定をしていく必要がある。そういうためにやや時間が掛かっておるということでございます。
  53. 蓮舫

    蓮舫君 ちゃんとお答えいただきたいんです。  職員に聴取は終わったと先ほど長官はおっしゃいました。では、職員はこのあっせんされた十七事案、関与していたんですか。
  54. 石井博史

    政府参考人石井博史君) 調査の状況について若干補足させていただきます。  委員おっしゃるように、また御提出いただきました資料にもございますように、今やっております十七件、第一弾における職員調査は一応終えてはおりますけれども、二の今後の対応というところにも書いてございますように、現在事業主の方々などに調査を掛けておりまして、この方々からの要するにお話、これに関連して、内容によっては更に職員に対する追加的調査をやらなくちゃいけないと、こういうような状況でございます。  なお、調査の内容についてはまた後ほど御報告します。
  55. 蓮舫

    蓮舫君 聞いていないことにお答えしないでいただきたいんです。済みません、時間が限られているんです。  第一のところで、社会保険庁標準報酬月額を遡及して安く改ざんしていたことに対して、処理を行った理由を当の職員に聴き取り、聴取を行っているんです。どういう聴取結果だったんですかと伺っているんです。
  56. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  聴取そのものはおっしゃるように当然やっているわけでございますけれども、その中身については、職員の話そのものが事実にどこまで即したものであるかあるいはないのか、そこら辺の確認も様々な資料に当たりながら見極めていかなければいけないと、こういう状況でございますので、中身については、大変恐縮でございますけれども御勘弁いただければというふうに思います。
  57. 蓮舫

    蓮舫君 職員の話が確かかどうかって、どんな客観的な調査をしているのか、私信じられません。  これ、いつ報告されますか。
  58. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  今も御説明申し上げましたように、事業主の方に対する調査も進めている、そしてその関連で追加調査職員に対して行う必要も出てくることが考えられるという状況でございますので、大変恐縮ですが、現時点でいつごろまでにその調査が終わるか、御報告ができるか、そこら辺の時期はまだお答えすることができないということで御理解をいただければというふうに思います。
  59. 蓮舫

    蓮舫君 こうやって引き延ばすのはやめていただきたいと思います。早く問題があったら解決をして再発防止策を講じないと、事は標準報酬月額ですから、年金をいただくときの年金額に大きな影響が出るんですよ。  いいですか。平成十八年に国民年金保険料の未納者を勝手に免除手続をしたときにも、同じことを社会保険庁は言いました。いや、うちの職員は関与していないし、今調査をしている。でも、実際に調査結果全国で調べたら、不適正な事務処理で約二千人が処分を受けて、しかも調査の結果、八、九割の事務所で事務所長や担当課長、事務所幹部が職員に実行を指示していた、組織的だったことが明らかになっているんですよ。  国民年金で不適正な手続を組織ぐるみでやっていた。じゃ、厚生年金ではどうなのかという実例が第三者委員会あっせんで十七例が実際に出てきた。だったら、これは全国的に調査を行うものだと私は思いますが、大臣、これ指示していただけませんか。
  60. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは今委員、早急に調査するように指示をいたします。委員がおっしゃっているのは群馬の件を念頭に置いたりしておっしゃっているんだと思いますので、私も今のところの報告は聞いていますけれども、周辺の事情も踏まえた上で早急に、こういうことは二度とあっちゃいけませんので、再発防止も含めてきちんと対応したいと思います。
  61. 蓮舫

    蓮舫君 是非、原因追及と再発防止をすると同時に、実際に被害が出ているかどうかのチェックもしないといけないと思います。それ、簡単なんです。二月の四日に、私が予算委員会で補正予算案審議のときに大臣に御提案申し上げましたが、今お送りしているねんきん特別便をうまく活用すれば、御本人が自分の標準報酬月額が正しいかどうか確認をしていただけるんですね。  二月四日の委員会のときの答弁大臣は、今後検討と言われました。どんな検討をして、何を行うことに決まりました。
  62. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) ねんきん特別便も、よく見れば、どれぐらいの月日どこに入っていたということがあるので、細かくやってみれば出ないことはありません。しかし、一応、二十一年四月から送る、つまり一年後から送るねんきん定期便においては必ず入れます。今ちょっとコンピューターのキャパシティーとかシステムエンジニアによるプログラムで若干時間が掛かっています。ただ、今どうしても知りたいならば、電話掛けてくださる、社会保険庁の窓口に言えば、言ってくださればすぐ御確認できるし、ネット活用した方はパスワードを使えばできるようにしてありますので、一年後には確実にやると。それまでは今のような手段でその要求にはお答えするし、懇切丁寧に窓口なんかできちんと対応するように指示はしてあります。
  63. 蓮舫

    蓮舫君 来年からねんきん定期便を出して、ねんきん定期便には標準報酬月額を載せるから待ってくれという御答弁だと思いますが、最大の問題は、ねんきん定期便は年金受給者に送られないんです。年金受給者が知るには自分から窓口に行くしかすべがないんです。それを全員、今三千万人ですか、年金受けている方たち、全員に行けと言うのは、私はこれは無理な話だと思います。今、年金受給者に特別便を送っているんですから、窓口で自分の標準報酬月額出してくれと言ったらプリントが一枚出てきますから、それを入れるだけです。どうしてシステムを開発するとか手間が掛かるとかいうふうに引き延ばすのかが私には分からない。ここは政治判断だと思うんです。  それと、今大臣、窓口に行けと言いましたが、今特に東京とか都心部の窓口、五時間、六時間待ちですよ。昨日、私ども民主党が大臣に要望書を手渡させていただきましたが、驚くべきことに、今社会保険事務所、五時間、六時間待ちで、御相談来た人たち、どうしてそんなに並んでいるのかといったら、コンピューター処理の端末、ウインドウマシンが決定的に足りない。職員がウインドウマシンに行列をしていると。そうすると、お客さんも当然行列をしますよ。平成二十年度の予算案でこの端末を増やすような予算措置もしていない。  こういうことからして、私は社会保険庁の本気が全く感じられないんですが、是非これは、ねんきん特別便、今もう五百億掛けて、税金を掛けてお送りしているんですから、標準報酬月額はお載せして、そして御確認をいただくということをやらないと、私は問題の処理先送りになると思います。いかがでしょうか。
  64. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 先ほどもちょっと申し上げましたけど、事務所に直接来られなくても、ねんきん特別便専用ダイヤルでもお電話くださればそれはお教えいたします。  それと、今窓口の大変な混雑の状況、大変申し訳なく思っていますが、年度末、ほかの、特別便で来られた方以外の方の数も増えていて大変な状況であることはよく認識しております。それで、今要員のシフトを考え、それから週末で開けられる日にちを今増やそうとして、少し増やせるスケジュールが立てられましたので、それは後ほどまた国民に公表して、月一回だけじゃなくて、この日も土曜日が開いています、祭日開いていますというような形で対応していきますので、当面はそういう対応をしたいと思いまして、今の委員の御提案になったことも、どういう形で、紙一枚入れるかどうか、そのことも含めてちょっと検討させていただきます。
  65. 蓮舫

    蓮舫君 是非前向きに検討して、検討する期間は短くしていただきたい。  私ども、ねんきん特別便、去年の十二月から発送する前から、電話番号の欄を載せろ、載せろ、載せろと何度も言っていたのに、いや、それはシステムの開発。システム開発には関係ないですよ、電話番号欄なんて。その結果、何をしていたか。訂正なし、その人の記録があるのに訂正なしって来た方たちにどうやって電話連絡をしているかといったら、一〇四に掛けてその方の電話番号を調べているんですよ。これも一〇四も有料です。税金が使われています。こういう無駄なことをやらないためにも、提案をさせていただいていることは是非取り入れていただきたいということを再度お願いを申し上げます。  それと、私はやはりこのままの形態で社会保険庁が二年後に民営化するというのは断固反対をさせていただきたいんですが、延滞金、これは厚生年金保険料事業主が経済事情によって払えなくなったときに財産を差押えして、また払えるようになったときに延滞金を支払っていただくシステムになっているんですが、この延滞金のシステムを悪用して、差し押さえた事実がないのにオンライン上では差し押さえたことにしちゃっている。延滞金が本来の額よりも安くしている。これは事業主を納めさせやすくして、社会保険庁がまた納付率を下げないようにすることができるという、先ほどの標準報酬月額の改ざんとほぼ似た性格なものなんですが、これ全国何か所で行われて、本来徴収すべき年金保険料、徴収できていない総額は幾らでしょうか。
  66. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 昨年八月に愛知の社会保険事務局で判明した事案を発端といたしまして、全国の事務局に調査をかけました。その結果、昨年十二月二十六日に調査結果を公表しておるわけでございますけれども、不適正な差押えのオンライン入力によって延滞金を減額していたために、追加して延滞金を徴収する必要があることが明らかになった事業所は三千三百三十七か所でございます。また、不適正な差押えのオンライン入力により延滞金を減額した額は、時効消滅が完成したものを含め、約十億八千八百万円でございます。
  67. 蓮舫

    蓮舫君 本来、約十億円を収入としてこれ社会保険庁は当然徴収しなければいけなかったんですが、不正な操作によって徴収できていない。  これ、回収見込額は幾らですか。
  68. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 今減額した額は、時効消滅が完成したものを含めて約十億八千八百万円であるということでございますので、本来ならば、この時効が完成していなければ、この全額について新たに納付を求めるということになるわけでございますけれども、時効で既に消滅をしております分が約三億二千五百万円ございますので、その残りについては納付をお願いをしておると、そういうことでございます。
  69. 蓮舫

    蓮舫君 見込額は幾らですかと聞いているんです。
  70. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 現在、お願いをしておるわけでございまして、現時点で回収見込額が幾らになるということについてはまだ申し上げられる段階にはございません。
  71. 蓮舫

    蓮舫君 既に時効で三億円も消滅させておいて、一方で延滞金を支払ってまじめに払っている事業主がいて、一方では社会保険庁の不正な操作によって払わないで済むところが出て、公平性が担保できないと社会保障制度の持続可能性というのは物すごく難しくなるんです。  残りの七億近く、じゃ幾ら回収できるんですか、まだ分かりませんということなんですが、資料八の二枚目にあります、このとき、去年の十二月二十六日、社会保険庁は、不適正な処理にかかわった職員、事情聴取を行って必要な措置をとるとここでも言っているんですが、聴取を行って必要な措置はとられましたか。
  72. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 現在、昨年公表した調査結果に関係した職員について、その関与の状況と……
  73. 岩本司

    委員長岩本司君) 坂野長官、ちょっとマイクを口にちゃんと付けて御発言願ってよろしいですか。
  74. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) はい。現在、関与した職員等について事実関係を精査しておりまして、その結果に基づいて必要な措置をとるということでございますが、なおお時間をちょうだいしたいと、そのように考えております。
  75. 蓮舫

    蓮舫君 職員が実際にこの不適正な処理にかかわったかどうかの調査結果がまだ出ていないのに、今年の二月一日、追加して徴収すべき延滞金の徴収をするようにという指示を社会保険庁は出しているんですよ。社会保険庁職員がかかわって延滞金の不正なその指示を事業主に出していたら、それは社保庁の職員の責任も問われる。その責任は問わないで、延滞金を納めていなかった事業主から取れるものは全部取ってしまえという、こういう指示というのは正しいんでしょうか。
  76. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 職員が具体的にどのような関与をしていたか、それによって、その職員に対しては必要な措置をとるということになるわけでございますけれども、同時に、この減額を受けた事業主の方に対しては、法律上、本来の手続によらない減額、ある意味では違法な減額でございますので、これについては納付を求めると、これは法の建前からして私どもとしては適切な対応であると考えておるわけでございます。
  77. 蓮舫

    蓮舫君 いや、私はアンフェアじゃないですかと伺っているんです。社会保険庁職員がこういう不適正な、ひょっとしたら法に違反しているかもしれない作業に携わっていたのか、主導していたのかどうかを明らかにしないで、さっさと事業主からお金を取りましょうというやり方はアンフェアじゃないですかと伺っているんです。
  78. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) 繰り返しになりますけれども、この減額がある意味で違法な減額であったという点については私ども調査結果において明らかにしたわけでございますので、この減額を受けた事業主の方に対しては法の建前に照らし改めて納付をお願いする、このことは必要なことであると考えております。  同時に、関与した職員がどのような責任を負うべきか、これはきちんとした事実と証拠に基づいて必要な措置をとる必要があると考えておるわけでございまして、これはそれぞれ必要な手続をとって措置をするものと考えております。
  79. 岩本司

    委員長岩本司君) ちょっと速記を止めてください。    〔速記中止〕
  80. 岩本司

    委員長岩本司君) 速記を起こしてください。  坂野長官、明確にフェアかアンフェアかはっきりお答えいただけませんでしょうか。何とぞよろしくお願いいたします。
  81. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) フェアかアンフェアかというお尋ねでございますけれども、私ども、先ほど申し上げた答えは、フェアかアンフェアかという次元で私ども判断をし、それに対応した措置をとると、そういう建前にはなっていないということでございます。それぞれの法律に基づき、それぞれの措置をとるという中でそれぞれのお願いをしておるということでございます。
  82. 蓮舫

    蓮舫君 全く理解できないことがあるんですよ。  五千万件の宙に浮いた記録も、標準報酬月額が改ざんされていた事例も、延滞金の不適正な処理においても、社会保険庁はだれも責任を取らないで、そのしわ寄せを全部国民に押し付けているということが本当に公平だとお考えなんですか。
  83. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今様々な問題を御指摘いただきましたけれども、例えばその延滞金の問題にしても、標準報酬月額にしても、これまず調査をしてどこまで職員が関与していたか。職員がそういうことをそそのかしたということがいささかでもあれば、これは厳重に処分をするということであります。その上で、法は法としてこれはきちんと守っていくと。  そういうことで、いろんな事例について、今私自身の下に特別チームを編成して、今のような件についても今調査をやらしているところであります。そういう結果も踏まえまして、厳正なる処分で臨みたいと思います。
  84. 蓮舫

    蓮舫君 大臣の気持ちは物すごく分かりますし、私どもは、年金においては、ここは応援をさせていただきたいんですが、ただ問題は、年金保険料を社会保険庁職員が横領したときにも大臣は全員牢屋に入れるというような言葉で威勢のいい発言をしましたが、社会保険庁がやるのは、調査と称して遅々として進ませないで遅らせて、そして気が付いたらその処理期限を過ぎているということがよくあるんですね。約束して三月末とか、去年の十二月に調査を早急に行うと言いながら、この三月末でまだ何の結果も出してないんですよ。  大臣の指示も聞かないような社会保険庁長官はちょっと首にした方がいいんじゃないですか。
  85. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今、国会において何月というような期限を切ってお約束したことについて、今の御指摘のように守られているかどうか、これ直ちに精査をして、そして、これは相手があったりする話で、何月何日までというのを答えられない問題もありますけれども、できるだけ早期にその締切り期限を過ぎたやつについては調査をさせます。そして、この委員会においても御報告させます。
  86. 蓮舫

    蓮舫君 社会保険庁長官にも確認しておきます。今の大臣の指示、聞きました。
  87. 坂野泰治

    政府参考人坂野泰治君) ただいま拝聴をいたしております。大臣の御指示に従って業務の遂行に当たりたいと考えております。
  88. 蓮舫

    蓮舫君 次に、この五千万件の記録解決させるのと同時に、二度とこういう問題は起こしてはいけないんだという観点で質問させていただきますが、資料の九番目、最後付けさせていただきました年金記録の管理の現状なんです。  五千万件は宙に浮いていて、今これ持ち主をお探しをしている。残るところの二億五千万件は一億人の基礎年金番号に情報一億五千がちゃんとくっ付いているという、社会保険庁はそういう説明をしておりましたが、この二億五千万の中には転記ミスや入力ミスはないんですね。一言で確認させてください。
  89. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  この二億五千万件の記録の中身でございますけれども、端的に申し上げまして、オンラインを導入いたしました国民年金であれば昭和五十九年以降、それから厚生年金であれば昭和六十一年二月以降ということでございますけれども、システム的なエラーチェック、これはかなりのレベルでできるようになってございます。もちろん、それ以前も、紙台帳なり、あるいは磁気テープという形で行われた時代においても重ねてのチェックはしているわけでございますが、そのレベルはオンライン導入後上がっていると。  ただし、そういうようなシステム対応をいたしましても、コンピューターにデータ入力をする例えば段階とか、あるいは更にその前の情報そのものを進達するそういう過程、そういうところでの言わば漏れあるいはヒューマンエラー、そういった点での記録の間違いというのは、これは大変残念なことではございますけれども起こり得るというふうに思っております。
  90. 蓮舫

    蓮舫君 今社会保険庁が最もやってはいけないヒューマンエラーが起こり得るとよく私は発言されたと思います。  平成十八年度分、地方社会保険事務局及び社会保険事務所における事務処理誤りの数だけ教えてください。
  91. 吉岡荘太郎

    政府参考人吉岡荘太郎君) 平成十八年度分の全国から報告を受けましたいわゆる事務処理誤り、公表分、非公表分合わせまして千二百八件でございます。
  92. 蓮舫

    蓮舫君 ヒューマンエラーがまだ千二百八件一年間に行って、これ見付かっただけですからね。ここに千六十一件の公表された資料を私持ってきて、これ全部目を通しました。社会保険庁はまだ精査していないと聞いています。分類とか精査はされましたか。
  93. 吉岡荘太郎

    政府参考人吉岡荘太郎君) 現在、十八年度分の全体につきまして、今後の発生防止の観点から分類、精査の作業をしておるところでございます。
  94. 蓮舫

    蓮舫君 私が一日でできる精査ですよ。社会保険庁まだできていない。千六十一件公表された中で、信じられないミスはいっぱいあるんですけれども、少なくとも別人の基礎年金番号に入れてしまったケースが十八例ありました。これ、どういう理由かと見ると、生年月日、名前、住所、本人確認を全くしないで、ほかの人の、同姓同名の人とかの基礎年金番号に入れちゃったケースですよ。これは極めてまれな事例なんでしょうか。
  95. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  手元に数値などを持っているわけではございませんので、そこは印象ということで御勘弁いただきたいというふうに思いますけれども、そう頻繁に発生していることではこれはないというふうに思っております。
  96. 蓮舫

    蓮舫君 この十八件は、本人遺族からの問い合わせが全部なんです。つまり、年金の被保険者あるいは受給者が事務所に何らかの相談に行ったときに発覚した事例であって、本人が何らかの動きをしなければ自分の基礎年金番号がほかの人に紛れ込んでいるということが明らかにならなかったんですよ。ほかにもこうした事例ってあるんじゃないですか。
  97. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  例えば受給者の方々に対する通知であれば、これは御案内のように、偶数月でございますけれども二月に一遍御連絡を申し上げております。それから、被保険者にかかわります例えば標準報酬であれあるいは資格の得喪の関係の御連絡であれ、これも事業主届出に基づいて社会保険庁処理しているわけでございますけれども、それに基づく結果というものは事業主に連絡をして、そして事業主から被保険者の方に御連絡申し上げると、そういう要するに取扱いになっているということがこれ法令上の処理でございますので、機会あるごとに事業主等に対しては説明会あるいは個別指導において徹底を図っていると、こういうような状況でございますけれども、そういったミスが再発しないように、極力十分な注意を払いながら職務に遂行させるように組織をきちっと締めていきたいというふうに思っております。
  98. 蓮舫

    蓮舫君 事業主にほかの事業主の従業員情報を間違って送ってしまう誤配送も相当あるんですよ。ヒューマンエラーのレベルが本当に低い。生年月日、名前の入力ミス、まだやっている。標準報酬月額を間違って、ゼロ一けた、二けた間違って入力するとか、資格喪失届誤入力、事業主に保険料過払いを請求するとか、今の五千万件が宙に浮いたと思われるような本当に初歩的なヒューマンエラーが、今なおまだ一年間一千件以上単位で起こっているんですよ。  これ、舛添大臣、是非、いろいろやらなければいけないことが本当に出てきましたが、この千件だけでも少なくとも、これはもうサンプリング調査に近いものがあるんで、精査をして、二度とこういう入力ミスを起こさせないんだという体制をつくらないと、社会保険庁二年でこれ民営化するのは私たちは反対ですけれども、私たちの国会の関与が物すごい薄いところになったときにまだこの問題を引きずったら、宙に浮いた年金記録を精査する一方で、また宙に浮いている年金をつくり続けるという負の連鎖になるんです。いかがでしょうか。
  99. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まず、新しくできます日本年金機構、これは厚生労働大臣の指揮監督下にありますから、例えば今日のような国会での審議は今後とも続けられますので、そして、そのことはまず御安心いただきたいということと、この組織をしっかり立て直すという意味で、採用基準を含めて厳格にしていきたいと思っています。  それから、今おっしゃった点、これは今後ともきちんと指導してまいります。ヒューマンエラーがあっちゃいけない、複数の人間で見る、こういうことをやりますが、私は実は毎日この問題に取り組んでいて思うのは、やはり最終的には社会保障番号、ソーシャル・セキュリティー・ナンバー、今は社会保障カードというのがその中間段階でやっていますが、これを最終的に入れる必要があるなという私の今感想を持っています。  ただ、それまでの間やらないといけないことは山積しておりますから、これはきちんと対応してまいります。
  100. 蓮舫

    蓮舫君 カードを導入するかあるいは私たちが言っている歳入庁にするかはまた別なんですけれども、人の問題ですから。余りにも社会保険庁の人の能力、同じことを繰り返す失敗度合いが高いということを、是非これを何とかしていただかないと困るんです。  それと、最後にもう一点、これはちょっとお考えをお伺いしたいんですが、この千件の中にもあったんですけれども国民年金保険料の納め過ぎという報告がありました。国民年金には任意加入制度というのがあって、本来六十歳超えたら保険料は払えないことになっているんですが、二十五年に満たないとか、もうちょっと年金額を増やしたいという人は任意加入制度で六十歳を超えても払い続けることができる。これは四十年で満額になるんですけれども、四十年を超えたときに自分からもう満額申請をしないといつまでも保険料を納め続けなければいけない、過払いになってしまうことがあるんですね。  平成十六年の法改正で、十七年の四月以降は、この四十年を超えた場合には社会保険庁側からもう払わないでいいですよという案内が来るんですが、その法改正以前の方は対象外で、払い続けている人がいるんです。これは、大体、今、六十歳を超えて任意加入で国民年金保険料を支払っている方が約二十七万人。  これはやはりお返しして差し上げないと、法改正をした後は返してもらえるけれども前は返されない。何らかの対応策を考えていただくことは可能でしょうか。
  101. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 済みません。基礎的なところを、繰り返しにならないように気をつけますが。  平成十六年改正前は、任意加入制度については本人の意思によるべきであるということで、確かに、満額の年金額となる四百八十月、四十年に達した後も自動的に資格を喪失させるという扱いではなかったということでございますが、法改正により、平成十七年からは自動的に資格を喪失するというルールにしたところでありますが、その法律条文上も、十七年三月以前に納付されたものについて納付自身は適法なものであるという位置付けで、さかのぼって還付するという扱いとはしていないというのが現状でございます。
  102. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) しかしながら、今委員指摘のように、法の改正前と後で、法は遡求効果はありませんけれども、運用ということで不公平な扱いにならないようにできないかどうか、これは早急に検討させていただきます。
  103. 蓮舫

    蓮舫君 是非よろしくお願いします。  どうしても年金国民全体にかかわることですから、不平等があってはいけないし不公平があってもいけないし、その部分はしっかりと管理監督をしていただきたいと思いますが、余りにも社会保険庁の対応、情報を出さないとかいろんなやり方に私たちは納得できないのと、最後に、昨日の期限を迎えた年金公約ですけれども、私たちはやっぱり守られていないと。そういう部分ではいろいろな提案をさせていただいていますので、是非取り入れていただきたいということを最後に申し上げ、質問を終わります。
  104. 中村哲治

    中村哲治君 民主党・新緑風会・国民新・日本の中村哲治です。  本日、二〇〇八年、平成二十年四月一日から後期高齢者医療制度が始まりました。この制度の開始に当たり、市町村の国民健康保険の中には、従来の老人保健制度よりも交付金が減り、負担が増え、その結果、保険料や保険税を上げた自治体がございます。このような状況について厚生労働大臣はどのようにお考えでしょうか。
  105. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今の問題の御指摘でございますけれども、国保保険料にどういう影響を与えるか。  まず、老人保健拠出金というのがございます。これが後期高齢者支援金に変わるということによって、拠出額が高齢者にかかわる医療給付費の五割から四割にまず減少します。また、従来の退職者医療制度がサラリーマンOBに対する財政調整に限られていたんですけれども、前期高齢者全体に対象を広げた財政調整制度というのをつくりましたので、そのことで各医療保険者は、前期高齢者の加入割合が全国平均であるとみなして財政調整をすることになる──ちょっと複雑なんですが説明させてください、財政調整になるわけで、国保は前期高齢者の加入割合が高い、大体千三百万人ぐらいいると思います。したがって、一般的に交付金を受けることになります。  そこで、医療制度改革の影響という御質問ですけれども、これはやっぱり個々の市町村によって異なります。しかし、総合的に、一般的に申し上げると、新しい後期高齢者医療制度が保険料に与える影響ということについては、全体としては軽減されると。先ほど五割、四割というような話をしました。  しかしながら、個々の市町村の保険料の変化について見ますと、これはそこの人口構成であったり、それから医療費の伸びがどうであったり、それから従来からの赤字がたまっていたりとか、収納率が低下していたり、様々な要因がありますので、これは、全体像は今言った、私が申し上げたような要因を分析した上でないといけませんが、財政調整システムその他から見ると、先ほど申し上げましたように一般的には軽減されると、こういうふうに考えております。
  106. 中村哲治

    中村哲治君 このようなケースについて調査をしているのかということを厚生労働省にあらかじめお聞きをしました。そうすると、今大臣答弁にありましたように、全体として軽減されるケースになるので、増えるようなケースについては調査していないということなんですね。それは本当にそれでいいのかと。  実際、前期高齢者交付金というものが今回制度が創設されることによってつくられるわけですが、これが現実的に幾ら払われるかについては現時点で市町村に知らされておりません。そういうことで、市町村の国保の担当者については、どういう歳入になるのだろうかということが分からないんですね。先ほど大臣がおっしゃったように、歳出のところはそういった形で変更になって負担が減るということになるのですが、歳入についての確定したデータがなかなか知らされないと。国はそう言っているけれども県は違うことを言っているんじゃないかというところで、本当に苦労して、国保の担当者、ぎりぎりの判断をしながら、やはりこれぐらい収入が減るんだろうから、仕方なく市町村民の皆さんの負担を上げないといけないということで、苦渋の思いで条例を改正を出して、議会がそれを苦渋の判断でのむというようなケースが出てきているんです。  しかし、それに対して厚生労働省は、いや、制度は全体軽減になるでしょうから調査していないんですという話なんですね。これは調査すべきなんじゃないでしょうか。
  107. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 先ほど歳出については申し上げました。歳入については、これ全体、一般的なおおむねなんですけれども平成十九年度は退職者医療交付金で約二兆五千億円でした。今回、退職者医療交付金は八千億円に減りますが、先ほど申し上げた前期高齢者の交付金が二兆四千億円ありますから、合計して三兆二千億円と、これが一般的な歳入関係の数字なんですが。  先ほど申し上げましたように、やっぱり個々の市町村については様々に事情があると思いますので、これは少し総務省総務大臣とも相談して、今の言ったような調査が、これは総務大臣のお力を借りないと市町村ですからできませんので、ちょっとできるかどうか、そして何らかの形で要因の分析ができるかどうか、つまり、委員の御懸念のように、個々の市町村に細かい気配りというか政策の手が打てるかどうか、そのことを御指摘だと思いますので、少し総務省と相談をしてみたいと思います。
  108. 中村哲治

    中村哲治君 大臣、新しい制度、それも大きな制度の改正を伴う制度変更を今回するわけです。本当に市町村は困っているわけですね。社会保険診療報酬支払基金から各保険、国保が受け取るわけですけれども、その具体的な額をなぜ知らせないのか。本当に、これはもう事前に総務省厚生労働省がしっかりと相談をして、市町村に迷惑を掛けないと、そういう姿勢が必要だと思うんですが、その点についていかがお考えでしょうか。
  109. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 新しい制度を入れるときは、委員指摘のようにいろんな問題が付随して起こります。完璧な制度というのはありません。しかし、それに対してきめ細かい激変緩和措置をとるとか移行措置をとるということが必要で、私たちの、私の目に漏れているようなことがあれば、それはいけませんので、総務省とも協力して、これを早急に、どういうことができるか、検討してみたいと思います。  そしてまた、この制度が始まったときにも、またいろんな予期しなかった問題も起こる可能性もあります。そういうことについても、きめの細かい対応を一つ一つ取っていきたいと思います。
  110. 中村哲治

    中村哲治君 この調査についても、市町村にそうやっていじめることがないような、そういう措置をお願いいたします。大きくうなずいてくださっておりますので、次のテーマに移ります。  次は、年金記録問題でございます。  年金記録問題、前提として私がまず申し上げないといけないのは、三月十八日に、私たち民主党厚生労働部門・総務部門合同会議での問題があります。その会議の席上、省庁側からの出席者から、政府は毎週、前日月曜日の自民党の会議で、翌日朝の民主党の会議にどの資料を出してよいのか判断を伺った上で民主党の会議資料を提出しているという趣旨の発言をしたということでございます。  そして、そのことについては、私たち民主党のウエブサイトで、年金記録問題に関して自民党の事前検閲に抗議の意志を表明という形での記者会見を行ったことの報告がこのような形で出させていただいておりますので、これは、私たち民主党の事実認識としてこのような認識をさせていただいているということでございます。  そこで、質問なんですが、民主党の会議で提出されている案件について、前日の自民党の会議政府が報告をしているという報道が見られます。事前に月曜日の自民党の検討会で、翌日の民主党の厚生労働省部門・総務部門合同部門会議で要求されている案件について説明しているという事実はありませんか。
  111. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私自身はそういう事実があるということは知りません。また、そういうことをやっているという報告も受けておりません。  しかし、仮にそういうことがあっては、これはいけないことでありまして、私は、厚生労働省の一つの大きな問題というのは、情報を国民ときちんと共有するという姿勢がないことなんです。それは薬害肝炎の問題にしても特にそうなんで、これを今徹底的に改めるということで、広報委員というのを各部局に配属して、直属で任命しました。  つまり、我々は、どの会派を問わず国民の代表ですから、一番情報を知る権利がある。そして、その共通の情報に基づいて、この国権の最高機関で議論をする必要がある。そして、国会だって休会の場合あるわけですから、そのときに対して国民に情報を提供しないといけない。  私は、これが厚生労働省の最大の欠陥だと思っていますんで、今、改革の最初の眼目として、国民と情報を共有せよということを申し上げておりますので、いささかでもそういうことがあって、私の指揮は聞くべきです。厚生労働大臣が、これは民主党へ出しなさい、これは例えば、個人情報が入っているからこれは慎重にしなさいと。それは、私の指示を聞くべきであって、厚生労働省が自民党、与党の指示を聞いて野党に対してこの情報は出す出さないの判断はするべきではないと思っていますから、もし、今委員がおっしゃったようなことが事実であるとすれば、早急にこれは改めないといけないと思っておりますんで、厳重に対応をいたします。
  112. 中村哲治

    中村哲治君 今、大臣はそのようにおっしゃるんですけれどもね、現場でどういう対応がされているのかというと、民主党から要求された案件というのは、これは一般的に重要な案件ですので、そういった判断で前日の自民党の会議にも出していますという判断なんです。そういう言い方なんです。  でも、これはアンフェアです。私たちがピンポイントで要求している資料について、それは一般的な重要な案件なので、ほかの政党にもあらかじめ知らせていいんだと、それは特に与党なのでそういう処理をしてもいいんだという、そういう現場の職員の認識である、認識だと私たちは受け止めているんですね。その点についてはいかがお考えでしょうか。
  113. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) そのこともありますから、大臣に諮る前に族議員に諮るなということを私は言っているわけであります。そのことをきちんと徹底してもらわないといけない。それは私の方針でありますし、私の指示に従って私がどの資料を出す出さないを決めるのであって、与党が決めるわけではありません。  もし、そういうことがなってないとすれば、組織としての体を成していない。これをきちんと変えていく、それは今後ともお約束してやっていきたいと思います。
  114. 中村哲治

    中村哲治君 これ、原口議員はこの記者会見においてこのように言っているんですね。それ読ませていただきます。「原口議員はまた、火曜日に求めた資料について、たとえ事前に提出できる状態であったとしても、月曜日の夕方、自民党の年金問題に関する委員会を経なければ提出できない状況を説明、「言論、政治活動、国会活動への挑戦であると受け止め、これを追及、真実が明らかになるよう国民に問うていきたい」と語った。」と、そういうふうにおっしゃっているんですね。  ここで大きな問題は、事前に報告ができる状態になったとしても、月曜日を待つような、月曜日の自民党の会議を待つような事態になっていないのかどうかということなんです。その点についても、そういうことはないですね。
  115. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) どの党が何曜日にどの時間に会議を開こうと、国民の代表がやるわけですし、政党は、憲法上はないにしろ、例えば政党の助成金、交付金なんていうのは法律上きちんと位置付けられている、そして国民の代表でありますから。  そういうことに対して、先ほど来申し上げているように、個人情報の保護とかそういうことについてはこれは伏せないといけない。それから、例えばですよ、極めて微妙な政治的判断大臣総理大臣で下さないといけないというようなことについては、これは私の指示でやめさせます。しかしながら、議論の共通の土俵となるべき基盤については、政党を問わず、そして国民に広く情報を提供する。そうじゃないと、議論の前提が違ったら答えが違ってくるわけです。  ですから、これは本日私の方から、もしそういうことが事実であるとすればそういうことはやるべきではないと、きちんと指示を出します。
  116. 中村哲治

    中村哲治君 今、事実であるのであればとおっしゃいましたが、確認をしていただきたいことがあります。  それは、民主党の部門会議で要求されていた案件、それについて、前日の自民党の会議で報告されることによって、自民党の検討会で明らかになったという報道がなされるんです。だから、これがアンフェアだと言っているんですね。だから、事実であるのかということに関しては、そういう間接事実を積み重ねていけば、それは事実なんです。じゃ、そこは直接の因果関係ないですと言い切って言われてしまえば、そうなってしまうわけですね。だから、そこはきちっと把握をしていただきたい、それは要請いたします。
  117. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 事実関係も精査した上で、私が基本的に考えている方針できちんと対応していきたいと思います。
  118. 中村哲治

    中村哲治君 よろしくお願いいたします。  それでは、メーンの論点であります倒産会社の被保険者の保護についての質問をさせていただきます。  資料の一のところに書かせていただいておりますけれども、報酬月額算定基礎届というものを一人一人の個人ごとに会社が記入して提出いたします。このような届出書というのは、資格取得届、月額変更届、資格喪失届などがそのほかにもあります。そして、その届出書を受け取って社会保険事務所は台帳を作成すると、職員が記入して台帳を作成するということになります。そして、その台帳を基にしてコンピューター入力をされるということが大体の手順になっております。  この届出書、報酬月額算定基礎届については、社会保険庁に問い合わせたところ、三年で破棄をしていると、原本を破棄をしているということなんですね。破棄を決めているその根拠は何かというと、文書規定だとおっしゃっているんですよ。その文書規定、なぜ三年で破棄をするということになっているんでしょうか。そして、それを決めたのはだれでしょうか。
  119. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今御指摘の報酬月額の算定基礎届につきましては、健康保険法及び厚生年金保険法において、これは法律ですが、保険料の徴収に関する時効が二年と規定されているということで、時効が二年ですから、これは例えば新しく今日四月一日で新入社員たくさん入ってこられる、これ全部出さないといけないですから、一年間に相当な膨大な数の量になるというようなこともありまして、時効が二年だからということで文書管理規定ということで三年というふうにこれは決めてあるところで、だれが決めたというと、今申し上げた健康保険法、厚生年金法の時効二年の規定に基づいて、それより一年余分に取っておけばいいだろうという形で規定を決めたと。これは各省、そういう方向、方針で文書管理規定を決めているというふうに聞いております。
  120. 中村哲治

    中村哲治君 大臣、気付いていただきたいことがあります。それは、取る方の時効の二年から三年を定めているということなんです。しかし、社会保険庁が、また国が、国と交わしている年金の約束、言わば払う方の債務というのは二年どころじゃないわけです。その人一生の期間を見て、何十年にもわたって国は国民に対して債務を積み上げていくわけです。そうすると、自分がどれだけの債務があるのかということを証明するためには、三年じゃ足りないんですよ。ずっと記録を残していかないといけないはず。  視点が取る方だけ考えているんです。自分はきちっと払うためには、その払う額がその額で正しいのか、それを証明するための資料を自分が持っておかないといけないという発想になっていないから、時効の二年という基準を適用して三年になっているんじゃないですか。やはりこれは永久に残すという、そういう考え方を取るべきなんではないでしょうか。
  121. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今の仕組みは、今申し上げたように、新入社員が入ってきたと、標準月額こうですといって送る。それで、これは被保険者になりましたというときに、その資格がありますよということは、被保険者、その新入社員に社会保険庁からお知らせをするわけですね。そのときに例えば来てなかったり間違っていれば、まずその段階で個人がきちんと対応できるはずだというようなこととともに、今、先ほど蓮舫委員の質問でありましたように、いろんな不正を、これは社会保険庁がかかわっているかかわっていないにかかわらず、例えば事業主がやってきているというのがある。それで、ここのところ、厳しく事業主に対して例えば給与台帳をきちんと見せなさいと。架空の従業員をでっち上げるようなケースだってひどい場合はありましたから、そういうことを防ぐために事業主に対する指導強化ということをやっております。  そういう意味で、資格確定の時期、これは先ほど言ったように二年が時効なんです。そこでぴっしりしておれば、先ほど申し上げた、後ほど、それは債務はずっと行きます。そこまでしなくていいだろうという感じ、感じというか、そういう判断です。  ただ、委員がおっしゃったような問題意識を基にすれば、例えば完全に電子データ化するというような、つまり大量な量で、これがもう倉庫いっぱいになって、とてもじゃないけど三年分も置けないというような、三年以上置けないということになれば電子データ化するというような方法もあるかと思いますので、こういうことが可能かどうか、技術的な面、財政的な面、それからそれぞれの事業主の負担というようなことも考えて、ちょっと検討させていただきたいと思います。
  122. 中村哲治

    中村哲治君 大臣、この問題、算定基礎届を始めとする届出書が全部保存しておれば、先ほどのヒューマンエラー関係のことは全部解決するんですよ。  例えば、コンピューターシステムに問題がある場合、コンピューターの入力ミスがある場合、それらについてもすべてさかのぼって証明する証拠になります。コンピューターというのは、どんなシステムであっても、そこに記録されている記録というのは消える可能性があるものです。だから、原記録を残していく必要がある。先ほどおっしゃったように、その原記録の保存の仕方についても、今はスキャナー等々写真に近い形で残していくことがもう技術的には可能です。そして、大容量のハードディスクも非常に安くなっておりますので、そういった技術的にもコスト的にももう可能になっています。だから、やっぱりそれは、ここは事業者に対する負担はほとんどないですからね。社会保険事務所で時系列に従って一枚一枚スキャナーしていって、そしてもう保存していくだけでいいわけですから、これは何も大変なことではないと思うんですが、この永久に保存するということについてはいかがか、もう一度お答えいただけませんでしょうか。
  123. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それは、先ほど申し上げていましたように、今のような電子的なDVD含めて技術が進んでいますから、可能かどうかちょっと検討させていただきますが、ただ私は、やはり各段階で被保険者、つまり国民の方の御協力もいろんなところでいただいてチェックをしていく。    〔委員長退席、理事谷博之君着席〕  例えば、毎年みんなでチェックしていけば、こんなことになっていなかったんですね。今、実は、ねんきん特別便を受け取ったよと言われる方に結構若い方が増えているのは、今の受給者じゃなくて加入者に送っている、それで、なぜなんだろうといってみんな調べていたら、結局、私自身の反省も込めて言えば、若いときに、例えば二十代、三十代で年金のことなんか頭に全くないんですね。そうすると、そういうの来て、はがき一枚出さないといけないのを、確認のはがき出さないといけないのを出していない。そういうことが積もり積もって、今特別便をもらった。何でだというと、いや、実は新入社員のときに出さなかった。だから、これは資格が確定したら社会保険庁から行きます、新入社員に。これでよろしいですかといって、一枚はがき出していただけばそれで確定するんだけれども、出さなかったり手続国民の側で遅れていると、どうしてもそこで宙ぶらりんになっている。  ですから、今委員がおっしゃった技術的なことを、これ永久に保存するというようなことはちょっと検討させていただきますけれども、私はもう一つ、それは、国民の皆さん方にお願いしたいのは、新入社員になって新しい資格として届け来たら確実にチェックしてくださいと。その段階でチェックすれば、第一段階クリアになるんで。これからはもう毎年ねんきん定期便をお送りします。その中に標準報酬月額も書きますから、そこでもチェックできる。  私は海外住んでいたことが長くて、何で海外で日本ほど大きな問題が起こらないのか。海外の人から、あんなにコンピューターが進んでいる日本で何だこれはと言われるので、比較してみたら、やはり若いときから最低一年に一回は自分の年金額はチェックするという癖が付いている。そういうシステムになっている。それを是非確立したい。それによって、ヒューマンエラーの排除ということをやりたいと思います。  もちろん、そのヒューマンエラーの入力ミスについては、人間だからありますよというんじゃ駄目なんで、一人でやって駄目なら二人三人と複数でチェックする。これも既に指示をしているところなんで、そういう総合的な対策で今言った委員問題意識にこたえたいと思います。
  124. 中村哲治

    中村哲治君 今大臣おっしゃったように、すべての原記録を残さないのであれば、毎年毎年国民の皆様お一人お一人に確認をしていただくというのが一つ一番大きな解決策になると思います。だから、私たち民主党は年金通帳、いつでも皆さんが年金記録確認していただける、そういうものが必要だと主張しているんですね。しかし、これは、大臣も現実的じゃないと、自民党ずっと言ってこられたと思うんですけれども、ねんきん特別便を毎年送ると、それも権利関係のものはすべて書いて、標準報酬月額もすべて書いてされるということなんですよね。これは私、年金通帳の方がいいとは思いますけれども、それはもう確実にやられる、いつからどういう形でやられるんですか。何月に出されるんですか。
  125. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 一年後の平成二十一年四月からこれをお送りする。それで、今社会保障カードというのも検討中でありますけれども、いずれにしても、今でもパスワード決めていただけば、コンピューターをお使いになってインターネットをお使いになる方は、それで今のデータが出るという形に既にしてありますし、四月からは郵便の形でも行きますので。  それから、私は、年金手帳が駄目だとか、そういうことは少なくとも私自身は言ったことはありません。いろんなアイデアがあると思いますので、いろんなアイデアでいいものは採用していきたいと思っております。
  126. 中村哲治

    中村哲治君 多分、大臣が言い間違いをされたんだと思いますが、年金通帳ですね。
  127. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) ああ、大変失礼、何て言った。
  128. 中村哲治

    中村哲治君 年金手帳が悪いわけじゃないと。それはそうでしょう、今、年金手帳やっているわけですから。
  129. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 失礼いたしました。
  130. 中村哲治

    中村哲治君 失礼いたしましたと言っていらっしゃるので、もう改めては聞きません。  それでは、具体例を見ながらお話をさせていただきたいと思います。  給与明細書の額から推定される標準報酬月額と、社会保険庁コンピューターシステムに入っている、例えば被保険者記録照会回答票などに示される標準報酬月額、この二つが明らかに食い違っている場合があります。  例えば、添付の資料資料三と資料四を見ていただきましたら、ある方の給与支払明細書と社会保険庁から示された被保険者記録照会回答票というのがあります。そこで、昭和六十三年と平成元年のところを比べていただきましたら、明らかに基本給のところと標準報酬月額の金額が違うと、こういったことが実際行われているわけです。  その原因として考えられるのは、私はイ、ロ、ハ、三つしかないのかなということで思っております。  一つは、イは、会社が意識的に不正をした。それについては、会社の方としては給与台帳や源泉徴収票、県市町民税等の支払の記録等で反証することになると思います。ロとして、社会保険事務所の担当が回収実績を上げるために会社を指導及び不正手続をした。このケースが多いとは思われます。ハとしては、会社は正しく社会保険算定基礎届を申告しているが、会社の資金繰り上、一、二年分を先付小切手で支払ったようなケース、そして、その会社が倒産状態になって社会保険料は未回収の状態になる、で、社会保険事務所の側で権限なく記録を改ざんした。  論理的に考えると、このイ、ロ、ハ、三つのケースぐらいしか考えられないんですが、大臣は、こういう場合、どのような理由で食い違いが起こると考えていらっしゃるでしょうか。
  131. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今委員が挙げられたような理由がまさにあるんだろうというふうに思われます。  つまり、例えばイだと会社が意識的に不正をした、あと、ロ、ハは社会保険庁の関与ということになりますけれども、これはやっぱり個々のケースについてどういうケースだったかということを点検する必要はあると思いますので、今の分類も一つのやり方だと思いますけれども、個別にやっぱり確認してみたいと思います。
  132. 中村哲治

    中村哲治君 個別に確認していく必要があるという立場については、その立場も一つの立場だと思います。仮にその立場に立った上で検証していきたいと思います。  まず、国税についての質問をさせていただきます。  国税庁が事業所に対して税務調査を行うときに、社員の社会保険料控除の額が適切であるかどうか等を確認するために、事業所による社会保険料の納付状況を調査するはずだと考えます。もし、この社会保険料の納付状況を調査しないで税務調査帰ってくるということになると、脱税を見逃すことになるんじゃないか等々思うわけでございます。  この点について国税庁は調査をされているんでしょうか。
  133. 小泉昭男

    大臣政務官(小泉昭男君) ただいまの御質問でございますけれども、一般論で申し上げますと、先生御指摘のように、事務量、人員等の制限もございまして、その限られた中での効率的、効果的な調査をやるわけでありまして、所得金額等の確認のために調査が必要と認められる項目を重点的に調査を行うという、こういう方向でございまして、またこの税務調査におきましては、所得金額等の確認過程で必要に応じて社会保険料の納付状況を確認することは考えられるものと思いますけれども、社会保険料の納付状況を調査する、その状況を調査対象とするかどうかにつきましては、個々の事案によりまして調査の必要性が異なりますので、一律に申し上げることはできないと、このように承知をいたしております。  重ねて申し上げますけれども、所得金額等の確認のために必要と認められる項目を重点的に調査を実施するということでございます。御理解をいただければと思います。
  134. 中村哲治

    中村哲治君 端的に申し上げますと、その企業、事業者ごとに何を調査しないといけないかということは個々のケースによって違うということですよね。だから、ある企業にとっては社会保険料のところをしっかり見ないといけないという判断で見るけれども、そうじゃない場合には見ないということでよろしいですね。
  135. 小泉昭男

    大臣政務官(小泉昭男君) ただいまの御指摘の部分でありますけれども、もう先生御存じだと思いますが、処理件数が昨年約三百万件、その中で調査の対象になったのが五%弱でありますので、その中で、御指摘のとおり、どの部分が重要か、どの部分が調査対象かということを判断しながら対応しているということでございますので、そのとおり御理解いただきたいと思います。
  136. 中村哲治

    中村哲治君 イエスかノーかで聞かせていただいて、そのとおりだとおっしゃっていただいたので、そういうことだと認識させていただきます。  この財務省からの答弁に見られるように、納税をしている納税額と社会保険料の納付状況というのは往々にして食い違うことがあるということなんですね。だから、私たち民主党は歳入庁というものを創設して、社会保険料と国税の徴収というのを同時に行ったらそういうことのずれもなくなるだろうと、そういうふうに考えているわけですが、しかしここではその論点については深入りはしません。  ただ、この納税額と社会保険料納付がリンクしていないのであれば、なおさら社会保険庁としては、会社から社会保険庁への支払について原記録を残していく必要があると言えると思います。そうすると、会社の指定口座からの引き落としの場合、その場合は引き落としの証明書が銀行から社会保険庁に送られてくるはずでございます。また、会社が直接社会保険事務所の窓口で払う場合には、領収書の写しが社会保険庁の手元に残ると思います。このような保険料収納の原記録は保存していないのでしょうか。保存していないのならば、その理由は何なんでしょうか。    〔理事谷博之君退席、委員長着席〕
  137. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 納入告知書ですけれども、まず銀行なんかの金融機関での窓口で払った場合は、事業者が領収書を保管する、それで金融機関は領収控えを保管する。これは、それぞれの銀行、その事業主によって何年保管するかはその事業主ないしは金融機関が自由になっています。社会保険事務所の窓口の場合は、これは領収書出しますから、事業主は領収書をもってこれを保管する。それで、社会保険事務所では領収の控え、これ保管期間が三年間であります。  それから、いわゆる口座振替による納付というのがございますけれども、これは社会保険事務所から納付者に、払った人に領収済額の通知書を送付すると。それで、もらったら、事業主は例えばそれを保管する。今度は口座振替ですから、金融機関は口座振替に関するデータを磁気テープデータとして保管していると。磁気テープデータ化できない金融機関で納付した場合には、当該金融機関から社会保険事務所に領収済通知書が送付される。これについても、社会保険事務所については三年間という規定をしております。
  138. 中村哲治

    中村哲治君 その三年の理由はどういう理由でしょうか。
  139. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それは、先ほど申し上げました標準報酬月額のお話のときと同じ理由であります。
  140. 中村哲治

    中村哲治君 これについても、基本的に取る方を考えて二年、取る方の時効が二年だから三年にしておけばいいという、そういう理屈なんですね。  これを権利の保護という形で考えると、その人の一生を終えるまで国はきちっとそれを証明しないといけないということになりますから、これも三年じゃなくて、できるだけ長く保存するという形に検討していただけませんでしょうか。
  141. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、例えば金融機関なんかがそういうものをどれぐらい控え取っているのか、ちょっと検討をさせていただきますが、社会保険事務所についても、今申し上げたように、本人に対してはちゃんと領収書は行っているわけです、すべてね。ですから、そこでもきちんと保管しています。それは自由です、捨てようが保管しようが。そういうこととともに、今申し上げたような点についても、DVDの話も先ほどありましたから、ちょっと検討させていただきます。
  142. 中村哲治

    中村哲治君 私、大臣確認させていただきたいのは、私は金融機関の方の義務や権利者である国民の方の義務を言っているわけじゃないんです。社会保険庁とすれば、社会保険事務所が窓口でお金をもらうか、それか金融機関からの引き落としでお金をもらうかのほぼどっちかなわけですね。金融機関の場合でも、どの人がきちっと納付したかということは社会保険庁にその納付記録をきちっと送ってくるわけです。それは磁気テープの場合もあるでしょうし、書面の場合もあるでしょうし。  そういう記録社会保険庁の方がしっかりと残しておくべきだと申し上げていることなんですが、その確認でよろしいでしょうか。
  143. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 参考のために金融機関と言っただけで、そのことはよく承知しています。  そして、これを公文書と呼ぶかどうかは別として、実を言うと、じゃ例えば薬害肝炎に関するデータというのはどこまで何年間残すのかというようなこともずっと議論がありましたので、今、政府全体として公文書の管理をどうするのか、どういう種類のものは何年残すのか、これは上川陽子大臣を特命大臣としてこの問題は検討を進めておりますので、この件につきましても、そういう役所の文書の保管、これをどうするのかと、そういう中にも一つ検討をする場所がありますので、検討させていただきたいと思います。
  144. 中村哲治

    中村哲治君 具体的にY氏のケースで考えていきたいと思います。  資料二をごらんになってください。  Y氏が自分の年金記録を回復させるために、まず八月四日に社会保険事務所に行っておられます。そのときに担当されたAさんは、今度Bさんに担当が替わったんですが、引継ぎされずにもう一回同じ説明をしないといけなかったと。そして、三回、四回行って、四回目に社会保険事務所から第三者委員会へこの件に関しては送付しましたという、そういうことを発言をいただいたと。そうしたら、同日、総務省の地方第三者委員会に訪問をしたと。結局、延べ十五回にわたって訪問をしなければ進まないというのが現実でございました。  この人は、給与明細も源泉徴収票や市県民税徴収通知書もすべてそろっているケースです。そろっているケースで八か月掛かっております。そろっていない人はどうなるのかということになります。  特に見ていただきたいのは、九回目、十二月四日に県から四名の記録が中央第三者委員会に送られておって、中央の指示としては、倒産会社の社長、役員を調査してその報告を待って決定するということを言われております。しかし、実際に調査が始まったのは十三回目の一月三十日。  丸二か月調査なされなかったということになりますが、なぜこのように時間が掛かるんでしょうか。人員の問題以外に障害になっていることはないでしょうか、総務省に伺います。
  145. 佐藤勉

    ○副大臣(佐藤勉君) 時間が掛かってしまったということに対しましては本当に心からおわびを申し上げたいと思います。  御指摘のような事案につきましては、平成十九年の十二月十九日に公布、施行されました厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律に係る事案でございます。したがいまして、同法の施行をもって初めて記録の訂正に結び付けることができるものであったということと、同法の規定によりまして事業主社会保険庁への保険料納付を行っていたかいなかったかということを確認する必要がありまして、その照会に時間を要するものであることから、申立てから審議において一定の結論を得るまでに時間が掛かってしまったということになったというふうに御報告をいただいております。  いずれにいたしましても、時間が掛かったということに対しまして、総務省といたしましてもいろんな強化をさせていただきながら、第三者委員会の組織の改編も行っているところでございまして、先生のおっしゃられるようなことのないように、また、なるべく早くそういう処理ができるような方策等々を今一生懸命取らさせていただいておりまして、事例が出てまいりますれば、そういうことも早くなるということもございまして、なるべく習熟度の向上によるような政策等々も考えながらやらせていただいているということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  146. 中村哲治

    中村哲治君 これから総務省としても第三者委員会、より審議が加速するようにするという御答弁だということで受け止めさせていただきます。  それでは大臣、今日の大臣の記事が日経新聞にも出ておりましたけれども、現時点ではこのあっせんが出てから六か月ぐらい掛かると、これを今大臣は三か月に短縮するとおっしゃっているんですけれども、できるだけ早く、もう現実に年金が増える方はたくさんいらっしゃるわけですから、こういう仕組みをつくっていかないといけないと思うんですが、それについていつまでに三か月でできるようにするというふうに考えていらっしゃいますでしょうか。
  147. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは総務省とも相談をしないといけないし、それから他省庁にも応援をお願いしないといけない。それで、今委員おっしゃってくださったように、社会保険事務所から進達してから三か月以内に処理ということで、職員のシフト、それから派遣職員を増員するシステム強化、その他様々な方策を取りたいと思います、できるだけ早く対応をいたしたいと思います。そして、しかるべきときに、これはまた年金問題の関係閣僚会議を開きまして、そこの場できちんとこれは対応していきたいと。  だから今、何月何日までということは、他省庁との調整もありますので今すぐ申し上げられませんけれども、できるだけ早急にこの三か月体制を目指したいと思います。
  148. 中村哲治

    中村哲治君 三か月で支給、こう新聞記事に出たらすぐにでももう三か月に短縮できるのかと受け止めますので、ちょっと、やるやると言ってやらないんだというような、そういう意見も私はよく聞きますけれども大臣、やっぱり信頼できるような仕組みをつくっていただきたいと思います。  ちょっと時間も足りませんので、現在、社会保険庁コンピューターシステムの著作権についてはNTTデータが所有しているというふうに聞いております。しかし、ずっとこれ年金についてはコンピューターシステム、歴々とつくってきているわけでございます。元々、NTTデータも民間企業から始まったわけじゃなくて、国営企業の電電公社から始まっていると。そうすると、年金システムのつくり始めた時点を考えれば、この著作権については国有であったはずなんです。なぜ今NTTデータが持っているのか。国有のものがずっと続いてきて、国有のものに更にいろいろな機能が付加価値していくわけですから、NTT民営化の後も、これについては元々は国有のものですから、国有のものに新しい手を加えていくものは、それは当然国有でずっと続いているはずだと思うんですが、いつNTTに払下げをしたんでしょうか。
  149. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それは払下げをしたのではなくて、まず民営化される前ですけれども、これは日本電信電話公社のデータ通信利用規程、これに基づいて、公社が作成したプログラムについてはその著作権は公社に帰属すると、こういう規程でありました。それから、民営化された際に日本電信電話株式会社になりました。この株式会社法附則第四条において、公社の一切の権利及び義務を日本電信電話株式会社が承継するとされているということで、そのまま引き継いでおります。  しかし、これから今最適化計画をやって、新しい記録管理システム、また基礎年金番号管理システムの再構築を行っておりますので、それについてはこのソフトウエアは社会保険庁に帰属させるということであります。
  150. 中村哲治

    中村哲治君 なぜ公社にそのとき帰属してもよかったのかというと、公社は国の機関だったからじゃないですか。もし最初からこれ民間の企業に発注をするということであれば、当然こういう成果物については国がその権利を保有するということになるんじゃないですか。これは公社だったから、つまり国が所有権者であった公社が持っているものだから、そこは問題にならなかったということじゃないんでしょうか。  当然、民営化のときには国の権利から民間企業に移るわけですから、ここについては公社が持っている一切の権利が移るということに逃げるんではなくて、そこについては国民の権利をきちっとチェックしないといけない。社会保険庁としては、そのものに関しては社会保険庁に移管してくれと言う必要があったのではないでしょうか。なぜそれが、検討がなされなかったんでしょうか。
  151. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは先ほど申し上げましたように、著作権というのは知的所有権であって、そういう権利一切について株式会社法の附則において継承する、承継するということに、それは法律で決まっているわけですから、それに従ったということであります。  ただ、NTTデータにこういうものを、国民の大事な年金のソフトウエアを持たせているということは私は決していいことだと思っていませんので、今新しいシステムを構築する、それについてはすべてソフトウエア、こちらが権利を持つと、そういう形に変えていきます。
  152. 中村哲治

    中村哲治君 私は、これは法律で決まっているからという大臣答弁というのは少し納得できないんです。  というのは、民営化法というのはこれ閣法、内閣提出法案ですよね。ということは、内閣がその民営化法を提出されるときに、当然、当時の厚生省はこの件について、いや、システムがNTTデータに著作権移ってもらったら困るんだという形で考えるべきだったんじゃないでしょうか。そこについて検証というか考え方が、そういう発想が浮かばなかったことに社会保険庁、当時の厚生省の問題があったのではないかという指摘なんです。
  153. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) その点は、ですから先ほど来申し上げていますように、法律において一切の権利を継承する。だから、これは郵政の民営化の場合についても、そこできちんと議論をして、どういう形で株式会社にしたときに継承させるかというような議論がしっかりあっている。  そういう意味で民営化するときの枠組みが決まって、この権利がそうなわけで、だからそれは、じゃそのときに、これは閣法であっても国会できちんと議論をして決めるわけですから、私はそういう議論がそのときにあったかどうかも、これは調べてみないと分かりません。議事録を調べ、そういう問題意識があって、与野党を問わずあって、やっぱり議論すべきであったというなら、私は、むしろそこにも一つ国権の最高機関としての問題があるだろうし、それから、そういうことを役所としてこの社会保険庁が今民営化の機会にきちんと取っておくべきだと、株式会社に継承させるんじゃなくて社会保険庁として取っておくべきだという決定をするべきであったかどうかと、このことについても少し検討して議論はしたいと思います。
  154. 中村哲治

    中村哲治君 社会保険庁は、自分たちのものでなかったからシステムの管理について甘かったんじゃないかということも考えられるわけです。  今日はもう時間になりましたから聞きませんけれども社会保険庁が持っているSEという職員がいるのかどうかということも聞いたんですが、いないんですよね。自前でそのシステムの検収、つまり発注したものがきちっとできているのかということを検証する検収ということもできない、そして自分たちのものでもない、そういった体制で社会保険庁コンピューターシステムといったものをちゃんと維持していくことができなかった、そういうことを端的に表している事実だということを最後指摘させていただきまして、時間が参りましたので、私の質問を終了させていただきます。
  155. 足立信也

    ○足立信也君 民主党の足立信也でございます。  我が会派の理事からは、大臣所信に対する質疑年金と医療でいこうと。当然、私は医療の分野をやるべきだとは思いますが、我が党の委員から年金のことを是非やってもらいたいということがございますので、年金のことについてやらせていただきます。  まず私は、大臣もそうでしょうが、ねんきん特別便に対する、どうしてこんなに訂正なしが多いんだろうと、この原因をやっぱりしっかり突き詰めなきゃいけないと思っているんですね。  今まで、三月四日現在で年金受給者が、これ訂正なしが八十一万で、訂正が二十八万。加入者が、訂正なしが一万九千で、訂正が四万六千。計、訂正なしが八十三万、訂正が三十三万と、こういうふうになっているわけですけれども、どうして訂正なしが多いのか。これ私は、よく言われているように、ねんきん特別便が非常に分かりにくいんだという、これが一つ。もう一つは、絶対自分のものは間違いないという確信に基づいて、これは間違いないんだという認識がもう既にあるからだと思うんですよ。  まずその点について、間違いがないと思っているという点について質問します。まずは加入者からです。  昨年の六月五日、参議院に年金問題の審議が移った最初の日、我が党十八人質問者を立てまして、トップバッターで私がやりました。その最初の質問が、一九九七年の基礎年金番号導入後、毎年何件ずつ統合してきましたかという質問なんですよ。それに対して当時の青柳部長は、年度ごとの統合の進捗状況の把握はこれまで怠ってきましたと答弁しているんです。  しかし、これはもう資料が行っているかと思いますが、資料の一枚目でお分かりのように、二十歳から五十五歳までにこういう照会をやられているわけですね。全体としてまずどうするかと全員にアンケート、複数持っていますかどうですかとマル・バツで答えるわけですね。持っているという方に対しては、その内容を聞いて、そして持っていると答えた方が九百十六万人ですよ。突合の結果、複数持っている可能性が高いと、これ社保庁の方で判断した方が九百二万、合計千八百十八万人に照会票を送ったわけですね。送ったんです。そして、結果として千二百五十三万人が回答した。これ表に出ていますね。その千二百五十三万人中三百二十六万人が他の年金手帳記号番号はないと、そして九百二十七万人は統合を完了したということなんです。そのように答弁しているんですね。  そこで、確認します。九百二十七万人は統合を完了したんですか、名寄せで終わったんですか、まずお答えください。
  156. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  今、先生おっしゃいましたように、平成九年の基礎年金番号導入後、平成十年度から十八年度までにかけまして複数の年金手帳記号番号を有するとお申し出のあった方、あるいは私どもの方で複数のものをお持ちではないかというふうに思われる方々、合計一千八百十八万の方々に対して照会を申し上げ……
  157. 足立信也

    ○足立信也君 簡単に結論だけ、もう答弁していますから。
  158. 石井博史

    政府参考人石井博史君) はい。九百二十七万の方についてその手続を進めさせていただいたわけでございますけれども、基礎年金番号への統合を基本的には完了しているというふうに承知しております。
  159. 足立信也

    ○足立信也君 確認します。  九百二十七万人は、では今、宙に浮いた年金記録で問題になっている五千九十五万件の外ということですね。複数持っているわけですから、九百二十七万人ということは恐らく二千万件以上あるわけですけれども、これは五千九十五万件の外ということですね。
  160. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  九百二十七万件の方にかかわる記録でございますけれども、これは平成十年度から十八年度までの間の統合の合計数でございます。それで、その九百二十七万件、九百二十七万人にかかわるその統合済み記録件数というのは、まさに平成十八年度末の集計数、平成十九年三月末の集計数ということでございます。  一方、五千九十五万件の方は、御案内のように、平成十八年六月一日現在の記録件数でございますので、したがいまして、一部、九百二十七万件の中の一部でございますけれども、五千九十五万の方に含まれる部分があると、こういう形になってございます。
  161. 足立信也

    ○足立信也君 じゃ、先ほどの答弁の繰り返しで、確認をしておきますね、九百二十七万人は統合を完了した人だと。  二枚目見てください。これ実例なんですけれども、まず複数持っているということではがきを出し、自分にはこれだけの年金手帳記号番号を持っていますよと、こういうふうに申請した。そして、それに対する、三枚目、回答、平成十六年十一月十五日。これ生年月日が昭和三十二年六月五日ですから、この一枚目の資料平成十六年度の名寄せ対象だったわけですね。いいですか、回答票、この三枚目、平成十六年からの厚生年金平成十六年の国民年金。  次をめくってください。四枚目、厚生年金が一、二、三、四、五、六、これ基礎年金番号に統合されておりません。厚生年金がこうありますよと正確に答えてくれているんですね。  そしてその次、参考。国家公務員共済組合ですから、これは別にこういう記録もありますよ、気を付けてください。回答ですね。  次、六枚目。よろしいですか。照会しました。私にはこういう記録があります。それについて社会保険庁で調べました。今回判明しました厚生年金の番号は別に二つありますと。しかし、まだ統合されておりません。終わりから四行目を見てください。「記録統合の処理は当方で行いますので、記録をご確認のうえ下記照会窓口までご連絡いただきますようお願いいたします。」。そして、照会窓口では、そこの下に年金相談専用と番号が書いていますが、ここに実際に電話をしております。  そして、次めくってください。ねんきん特別便が参りました。基礎年金番号に統合されているのは平成六年からだけでございます。十二年以上全く、統合こちらでしますと言っておりながら、電話も受けておりながら、統合されておりません。  これは平成十六年の名寄せ対象、先ほどの九百二十七万人のうちの一人でございます。回答票には記載されているのに統合されていない理由は何ですか。
  162. 石井博史

    政府参考人石井博史君) 今配付なさいました資料を見ておりまして、詳細なそのやり取りを確かめないうちには軽々に物を申すことは差し控えなければいけないかもしれませんけれども、印象ということで申し上げますと、このケースは、年金記録相談において未統合となっているその年金手帳記号番号の記録が判明したまさにケースだろうというふうに思っておりますけれども、途中までは手順を追って未統合のものが順々に把握されていると。  最後お触れになりました六ページ目の年金加入記録の回答についてという中央年金相談室のこの案内文でございますけれども、ここが一つポイントになっているのかなという感じがいたします。  その文章で、真ん中のパラグラフの下から二行目でございますけれども、具体的にそれまでは九三〇一何々、それから別の番号は何々で管理されていましたので統合が必要になりますというふうに明確に認識していると。その次の行でございますけれども、「記録統合の処理は当方で行いますので、記録をご確認のうえ下記照会窓口までご連絡いただきますようお願いいたします。」。この要するに二行、これがどのような意味をこの時点で持つものとして書かせていただいたのかがポイントかと思いますけれども、その下の枠囲いの中にあります連絡先と担当者名でございますが、ここが恐らく統合関係の照会とそれから統合関係の専用窓口だったろうというふうに考えますと、まさにこの電話番号のところにお掛けいただき、つながって、そして初めて、言わばこういうような取引の下に、ばらばらだった番号というもののまさに統合寸前の状態のものがここにありますということで確認をさせていただいて手続に入ると、こういうことではなかったんだろうかというふうな感じも持ちます。  ちょっと気になりますのが、これは分かりませんけれども、この下の枠囲いのところに年金相談専用と書いてございます、手書きで。それで電話番号が書いてございますが、これは私の記憶によれば一般年金相談の方でございまして、このときに進めていた統合のための専用ダイヤルとは恐らく違ったものなので、一般相談という形になっていたんじゃないかと、そんなふうに考えるわけでございます。  少々答弁が長くなって恐縮でございますけれども、そのような印象を持っておりますが、いずれにいたしましても、ここまで手順が進んでおりますので、これはよく確認をしてみたいというふうに思っております。
  163. 足立信也

    ○足立信也君 もうほとんどの方がお分かりでしょうけれども、これ私の記録です。私電話しました。結果がこうなんですよ。なぜ回答票には記載されていて、私が申請した内容よりも更に詳しく正確に書いております。そして電話をしました。  なぜ統合されていないんですか。理由を答えてください。
  164. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  繰り返しになるわけでございますが……
  165. 足立信也

    ○足立信也君 繰り返しだったら要らないです。  社保庁の方が謝罪に来ました。純粋に社会保険業務センター内での年金相談室と記録管理部の連絡ミスですと、そのように言われました。私、これ先ほどから何度も言っていますように、九百二十七万人の中の一人のことなんですよ。昨年も青柳部長が九百二十七万人は統合を完了したんです、さっき石井部長も後で言い訳がちょっとありましたけれども、基本的に九百二十七万人は統合完了なんだと。  これは私のケースといいますか、このケース、十二年以上厚生年金が浮いているわけですけれども、これは九百二十七万人の一の極めて珍しいケースなんですか。それとも、この一枚目にあるように、これは名寄せ対象であって決して統合ではないと。特に十五年度以降は名寄せ対象としか書いていませんね。これ、九百二十七万人の分はひょっとして統合されていないんじゃないでしょうか。いかがですか。
  166. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  これは委員の方から配付のありました資料の中の六ページの御案内の文章を御覧いただいても分かりますように、これはもう統合するという要するにそのことで御連絡を申し上げているわけでございまして、基本的にはという申し上げ方を先ほどもさせていただいたわけでございますけれども、これは九百二十七万件、基本的には統合をさせていただいているというふうに考えております。  また、委員がおっしゃったようなこのようなケースでございますけれども、これまでのところ、他に私ども承知はしていないということでございます。御参考までに申し上げさせていただきます。
  167. 足立信也

    ○足立信也君 九百二十七万人分の一が私だったということですか。あのね、だれがそんなことを信じられますか。  少なくても去年は虚偽答弁しているということですね、これだけは言えますよ。九百二十七万人は統合を完了した人なんだと、ほかに手帳を持っていない人が残りの二百万人以上であって、これが回答者のすべてだと。少なくとも虚偽答弁してますよ、去年、最初の質問の段階で。舛添大臣に振っても失礼かもしれませんが、どう思われますか。  昨日の通告で、九百二十七万人のうち統合完了は何人で、このような状況で未統合は何人かという通告をしたんですが、ゼロですと答えられました。これも含めて、虚偽答弁に対してはどう思われますか。
  168. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今の足立委員のこの資料を私も初めて見まして、こういうことは絶対あってはいけないというふうに思いますので、社会保険庁の内部のその二つの電話番号の間の、まあ電話番号って、両方の部局の連絡ミスというのが答えだということでありますけれども、こういうことはあっちゃいけないんで、それは今後とも、どうすればこういうことがないかと、それは今組織の立て直しということをやっておりますけれども、現実にまさにそこに一人統合が完了してないという赤裸々な事実が出てきたというのは、これは厳粛に反省してしかるべき対応を取っていかぬといかぬと思いますけれども、私もこういうことがあったというのは非常に驚いています。
  169. 足立信也

    ○足立信也君 私が最初申し上げたのは、自分は間違いないんだと確信を持っているという方が相当いらっしゃるということなんですよ。それ、一つは、受給者は、これ裁定されていますよね、一度。だから私には間違いないという思い込みがあるんです。それから、こういう加入者、これも一例ですけど、ここまでやって、自分から申請して過去の年金の手帳を、私のですけどね、(資料提示)全部書き出して、出してやって、回答票も来て、そして電話を掛けて、統合しますと、されてないと。とんでもないですよね。  これで虚偽の答弁もしていて、九百二十七万人ですよ。みんな複数持っているわけですよ。最低二千万件以上あるわけですよ。五千九十五万件じゃないんじゃないですか。ひょっとすると八千万件ぐらいあるんじゃないですか。あるいは、九百二十七万人は意図的に消された年金じゃないですか、統合しないで。どう思います。
  170. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 意図的に消されたとまではちょっと、そこまで申し上げられるかどうかは別として、こういうケースがあるということを今日初めて聞きましたんで、ちょっとこれはどういうふうに対応するか。  部内の連絡ミスということだけなのか。意図的に組織的に九百二十万人を全く無視したということではないと思いますけれども、それで恐らく、これは私も議事録を精査してみないと分かりませんけれども、きちんとやれているという前提で答えたんだろうと思いますけれども、初めて私もこういう例を今お伺いしたんで、どういうふうに対応するか、ちょっと検討さしていただきたいと思います。
  171. 足立信也

    ○足立信也君 一枚目の紙でありますように、特に平成十五年度以降、これ約六百万人いるんです。これは統合されないでそのまんまになっている可能性が極めて高いと私は思っているんです、自分のことを考えると。これ是非、九百二十七万人はもう既に統合を完了したんだなどと思い込まないで、是非サンプル調査していただきたい。実際にもうあるわけですから。九百二十七万人のうちの一人ですと、そういうふうにうそぶかれても信じられませんよ。サンプル調査の約束をしてください。
  172. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) どういう形が一番結果が出るのにいいのか、サンプル調査も含めて、ちょっと大至急検討さしてください。今の足立委員ケースをちょっとよく、担当も含めて確認をして精査をしてみます。現実にまだそこに名前が書いてある職員がおるだろうし、そういうことも含めてきちんと対応さしていただきます。
  173. 足立信也

    ○足立信也君 先ほど、受給者は裁定されているから確信を持っているということを申し上げました。しかし、この例でありますように、昭和六十一年の国民年金の第三号になる以前は任意加入でしたよね。仮にですよ、夫の厚生年金記録が消えると、妻の年金加入期間がなくなるんですよ。そのことは今受給者の方も忘れられている方が多い。もうそれは亡くなった夫のことだから私はいいわと言われる方が多いんだけれども、夫の厚生年金記録が消えていると妻の加入期間が認められないということですからね。  これ、私の記録だって言ってしまいましたから、十二年以上消えていて、もし仮に私が死んでしまっていたら、二十五年間なくて年金はなしなんですね。これが復活したら二十五年、二十六年になるわけです。厚生年金ですから、それが全部消えていますから、私と同じ年齢の妻も受給資格なしです。そういう実態なんですね、厚生年金については。この点の説明とアピールがないんですよ。  私は、受給者が訂正なしになっているのは、もう亡くなった夫のことだからと言われているのがかなり多いと思う。でも、それによって自分のひょっとすると受給資格すらなくなっている人もいるかもしれないですよ。極めて期間を短縮されている人もいるかもしれない。この点が抜けているんですよ。是非その点も、検討はしてくれると思います。そこで、後でまとめてお聞きしますね。  では、分かりにくいということの具体例をちょっと挙げさしていただきますね。ちょっと大臣に聞くのは申し訳ないかなと思うんですが、その八番を見てください、八枚目ですね。  これ、空白期間がありませんかっていつも聞かれるわけです。これア、イ、ウがありまして、この記録の前の期間に加入歴がないですか、それから、途中段階では空白の期間はないですかと、最後は、この後は加入歴ありませんかと聞かれていますわね。  大臣ね、空白がなければいいんですか。ちょっと慎重にお答えいただきたい。空白がなければいいんでしょうか。これ、大臣名で出しているねんきん特別便ですからね。六の欄と五の欄、五の欄と六欄に空白がなければいいんですか。
  174. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) ちょっとその委員の御質問の意味がよく理解できないんですけれども、要するに、ちょっともう少し御説明していただけますか。
  175. 足立信也

    ○足立信也君 じゃ、九枚目を御覧ください。これが統合された私の記録です。これだけ一遍に増えてしまいましたね。そこで、今このケースだと、二の欄と三の欄になるわけです、資格喪失年月日というのは実際に辞めた翌日になるわけですね。空白がない。例えば、上から何枚目がいいかな、そうです、三の欄の右の、三の数字と二の数字が一致していなければ、一日ずれるとその間は空白になるんですよ。そのことを、空白はなくても年金記録は宙に浮いているんです。  分かりにくいかもしれませんから、戻りますね。もっと分かりやすいのは、じゃ、四枚目を御覧ください。  いいですか、これ回答票なんですけれどもね、これ厚生年金です。上から三番目、三月三十一日に喪失、そして次の欄、四月一日に取得、これ空白ありませんよね。でも、この間一か月年金がないんです。分かりますか。月の最後の日に加入している年金に保険料を払って年金記録が認められるんです。このケース、六十年の三月は年金に加入していないことになるんです。分かります。空白じゃないんですよ。右の欄と左の欄が同じ日でなければつながっていないんですよ。ですから、ねんきん特別便説明に大変大きな間違いがあるんです。それが分かりにくいということなんです。  私の記録として、回答票としてここに厚生年金全部今、四枚目に出ていますね。まるでつながっているように見えます。ですが、私には国民年金もあります。その答えが、九枚目です。いいですか、先ほどと同じところです。六十年の三月三十一日、そして六十年の三月三十一日に国民年金一日だけですよ。しかし、これが一か月分なんですよ。同じことが六十三年の三月三十一日、六十三年の四月一日、国民年金一日なんですよ、一か月分です。  これは、後の問題は別の問題になるかもしれませんが、国立大学の病院というのは日雇の国家公務員です、研修医は。三月三十日と三月三十一日は身分が切れるんです。ですから、日雇にしてあるんです。つまり、三月の月末は厚生年金ではないんです。毎年毎年、国民年金に一日だけ加入しなきゃいけない。これが先日、櫻井委員が何年間か未納だと言っていましたが、私のところは丁寧に、開院以来、全部厚生年金に加入させているんですね。義務化じゃなかったときは、国民年金は抜けます、一日だけの国民年金は。でも、義務化になってからは一日だけでも国民年金に加入させている。かなり丁寧なんです。  問題は、空白がなければいいんではないと、重なっていなければいけない。その訂正が必要だということと、先ほど申し上げました、夫が亡くなったからもう夫のことはいいと、でも残された妻に対する年金の期間が大幅に短縮されている可能性があるということの説明。この点について、是非、前向きな取組をお願いします。
  176. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 具体的に御本人のをお使いいただいてきちんと説明していただき、ありがとうございました。そういう点については早急に訂正をしたいと思います。  実は、そういうこともあるもんですから、作業委員会で何度もそこを練っているんですけれども、残念ながら私自身もそうですが、今委員がおっしゃった特に二番目の問題点については、そういう点の補強をこれはきちんとやっていかないといけないと思いましたので、本当にありがとうございます。その提案を生かしたいと思います。
  177. 足立信也

    ○足立信也君 厚生年金も含め、消えた年金、それでも天引きかという後期高齢者医療制度のことについて話を移します。  これは、六十五歳以上の国保それから後期高齢者医療制度の保険料、年金天引きが今日からスタート、実際四月十五日がXデーですか、始まるわけですけれども、これは、先ほど来いろいろ質問が出ていますように、三月いっぱいで名寄せを完了する、あるいは去年は一年間で統合を終える、そして最後の一人まできちっとお支払いをする、一年間でということがあったから、三月いっぱいには年金記録問題がもっと解決をして、天引きをしても問題ないというような予想があったからではないですか。この事態で消えた年金、それでも天引きかと。これは大臣自身も予測していなかった事態なんではないですか。  そこで、このまま続けて、その制度が始まっていいのかと。先ほどアンフェアの話が何度か出ましたけれども、消えた、消された、それでも天引きするかということについて考え直す気はないですか。
  178. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 年金問題との今かかわりについて御指摘があったんですが、後期高齢者の医療制度、これは国民皆保険という制度を持続可能なものとしていくという大きな観点からやっていますし、年金からの天引きというのも、それは利用者、徴収者両方の利便、効率、こういうことも考えてやっておりますので、年金記録問題については引き続き努力をしてまいりますけれども、今のこの後期高齢者、この問題については、これはこれでしっかりとまた激変緩和措置、いろんな措置をとっているわけでありますから、国民の皆さんに周知徹底して是非いい制度に育てていきたいと思っております。
  179. 足立信也

    ○足立信也君 個人的な意見というよりも、党内ではかなりの強い意見なんですが、国民健康保険の保険料の納付率を上げるためにどうしたらいいのか。これは、年金から特別徴収するのもやむを得ないんではないかという意見も党内にかなり強いものがありますよ。私自身もそう思っています。でもね、やっぱり消えた年金、それでも天引きかということなんですよ。あるいは、さっきの九百二十七万件、ひょっとすると消されたのかもしれない。九百二十七万人ですよ。それで、消えた年金、消された年金、それでも天引きかということを言っているわけですよ。やっぱり順番がアンフェアだと国民感じますよ。  その点は、しっかりした後期高齢者医療制度をしっかりつくっていくんだというお気持ちは、それは分かりますよ。分かりますけれども、順番がおかしくないかということを言っているんですね。  これ以上は多分、明確な答弁というか、私の方に寄ったような答弁はないと思いますから、次に、私は今日は、後期高齢者医療制度では保険料のことのみ、ちょっとお伺いします。  これは政府の広報です。「後期高齢者医療制度のお知らせ」、三月に新聞に折り込まれておりました。(資料提示)  このQ4、保険料はどのように決まるのですか、答え、アンサー、所得に応じて決まります。これ、正しいですか。
  180. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 後期高齢者医療制度の保険料についてのお尋ねでございますけれども、この成り立ちを申し上げますと、所得に応じて負担していただく所得割額と、それから被保険者の間でひとしく負担していただく均等割額、この二つの合計額になるわけでございます。  ただ、この均等割額につきましても、低所得の方につきましては世帯の所得状況に応じて七割、五割、二割と軽減措置を設けているわけでございます。  御指摘政府広報におきましては、このように保険料の軽減措置も含めた算定方法を端的に、所得に応じて決まりますと書いたものでございまして、その下を見ていただきますと分かりますとおり、算式も示しておりますので、正確性に欠けるものとは考えておりません。
  181. 足立信也

    ○足立信也君 そういうお答えだと思いますが、これは、均等割だけの方というのが六五%になるわけでしょう、推計では。所得割が入る方は三五%。六割以上、六五%の方が均等割だけなんだと。しかも、これ窓口負担のことを考えると、住民税非課税世帯というのは負担も少ないわけですよね。これが所得に応じてですよ。でも、均等割というのは、所得が多くても少なくても均等割って、先ほど軽減措置があると言いました、この件は後で言いますが、みんな掛かるじゃないですか。  それが一言で、保険料はどのように決まるのですかに対する答えが、所得に応じて決まりますと。じゃ、住民税非課税世帯である私のところはひょっとして払わなくてもいいのかなと、やっぱりそう思いますよ、誤解を生むと思います。  そこで、じゃ低所得世帯に対する保険料減免措置というお話を今局長はおっしゃいましたので言いますが、これ政府が出してくる資料でもよく書いてあることなんですが、均等割のみで七割軽減の世帯を今想定しますね。妻の収入が百三十五万の場合、夫は百五十三万まで、合計二百八十八万まで七割軽減ですよね、保険料は、七割軽減ですよ。  しかし、その夫婦が息子と同居した場合、この軽減措置というのは、息子の収入が幾らあったら軽減措置、七割軽減がなくなっちゃうんですか、幾ら収入があったら。
  182. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 七割軽減の場合ですと、息子の所得でいいまして十五万円、これに給与所得控除が付きますので、収入ベースでいうと八十万円になるわけであります。  ただ、この場合、世帯で見る場合、その世帯主、子供が世帯主である場合にその所得に着目して判定をいたしますので、息子の給与収入が八十万円で夫の収入百五十三万、妻の年金百三十五万といった場合に、これが息子が世帯主に判定されるかどうか、それは個別に当たってみる必要があると思います。
  183. 足立信也

    ○足立信也君 今お聞きしたとおり、七割軽減が受けられなくなるのは息子の収入が八十万、五割軽減が受けられる範囲は息子の収入が百二十九万、二割軽減を受けられる息子の収入の範囲は百五十三万、いずれもワーキングプアですね。七割軽減夫婦とも受けられていた、保険料に対して受けられていた二百八十八万までは夫婦とも七割軽減を受けられる保険料、しかし息子さんが仮に百五十四万円の収入があったら、七割軽減一切なしですよ。ワーキングプアの息子、最近は、ワーキングプアといいますか収入が少ないことによって、生涯未婚率もかなり上がっていますよね。百五十四万円あったら軽減措置一切なしですよ。これは世帯分離を、どう言うんですか、導入を誘導しているとしか思えないんじゃないですか。  障害者自立支援法のときも世帯収入で、そして実際にどうだったか。障害を持っている方々が医療を受けるときには、医療機関では世帯分離したらどうですかと言っていますよ。同じこと起きますよ。百五十四万円で一切軽減措置なくなるんですよ。世帯分離、誘導していませんか。いいんですか、こういう形で。大臣、どう思われます。
  184. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この保険料の徴収ということをやるときに、何度も私言っておりますように、細かい配慮、いろんなきめの細かい対応が必要だということを申し上げているんで、だれが本当に世帯を維持しているのか、そういうことも含めてきちんとやらないといけないんで、必ずしも即世帯を分離する方向にという、そういう政策誘導的な目的があってやっているわけでは全くありません。  しかし、委員がおっしゃったような懸念が現実になる可能性は十分あると思いますので、これはこれできちんとちょっと検討させていただきたいと思います。
  185. 足立信也

    ○足立信也君 水田局長に今振らなかったのは、世帯主の判断があるからとおっしゃると思ったんですけれども、私は、息子が百五十四万円だと仮定しているわけですよ。夫よりも多い場合を仮定して今話をしているので大臣にお聞きしたんです。  まさに、医療機関ですらそうしたらどうですかって言い始めているんですよ。これはやっぱり世帯分離を誘導する形になるとしたら、この国の形、非常に寂しいですよ。是非そのことは考えていただきたいと思います。  次に、特定健診、これも今日から始まりますね。特定健診、これは資料は十番目に付けました。よく御理解されていない方いらっしゃるかもしれないので、特定健診、ちょっと言いますね。  対象が四十歳から七十四歳で、糖尿病や高血圧や高脂血症の治療中の方は除外されると。この表にありますように、腹囲が男は八十五、女性九十センチ以上の方で、下に書いてある血糖、脂質、血圧のところの二つ以上該当する場合は積極的支援、一つの場合は、喫煙ありなしで分かれますが、動機付け支援と、こういうふうになっていくわけですね。腹囲に関係なく、BMI、体重割る身長の自乗なわけですけれども、二十五以上の場合は三つ該当したら積極的支援、そして二つ、一つの場合はこういうふうになっているわけですね。  ここで、保健指導、これ保健指導というのは動機付け支援と積極的支援がありますけれども、結果を見せられた被保険者は医療機関に行くことだって当然あるわけですよね。こういう結果だったと、積極的支援が必要だと、どうしたらいいだろうかという話で行くわけです。その保健指導を選ぶか、医療機関への受診を選ぶかは、これは被保険者の判断だと、そのように聞きました。  それでは、この動機付け支援、積極的支援の人数の予測とそれぞれの費用、支援の内容を簡単に教えてもらえますか。
  186. 西山正徳

    政府参考人(西山正徳君) まず、人数でございますけれども、各保険者の健診の受診率によって異なってまいります。国民健康・栄養調査を基に機械的に試算すると、平成二十年度におきます四十歳から七十四歳の被保険者、被扶養者、約五千六百万人のうち、動機付け支援が七百五十万人、それから積極的支援が六百五十万人でございます。  ですから、費用については、これは追随してくるものですから、現時点で幾らというようなことは申し上げられませんけれども、また、その二つの支援の内容の違いでございますけれども、一言で言えば積極的支援が非常に濃密な初回面接から三か月以上の継続的な支援というようなことで、六十五歳以下の方を原則として対象とすると。やっぱり生活習慣病予防というのは若いときから積極的に予防していただくというようなことが重要ですから積極的支援を盛り込んでいると。  六十五歳以上の方は動機付け支援と申しまして、これは六か月間、比較的に簡便といいますか、健康教育を主体とした支援をしていくというようなことでございます。ただ、六十五歳以上の方でも必要があれば積極的支援を受けられると、こんなことになってございます。
  187. 足立信也

    ○足立信也君 時間が相当なくなってきましたので、私の考えを述べることが多くなると思いますが、感想を大臣に聞くような形になってしまうかもしれません。申し訳ないです。  この積極的支援の二つ以上該当というやつは、これはまさにメタボリックシンドロームの診断基準と同じなんですよね。それを突き付けられたら、やはり私は、被保険者としては医療機関へ受診すると思いますよ。そして、相談にもし来られたら、医療機関は、先ほど金額おっしゃいませんでしたが、大体は動機付け支援が一万二千円、そして積極的支援が半年やって三万円というふうにお聞きしました。医療機関はこれ治療にしたいに決まっているじゃないですか。絶対にそれを選びますよ。これは、支援に関しては、保健指導に関しては医療機関に行かないとかいう形がない限り、医療機関としては、ましてや今回、診療報酬で開業医さんかなり厳しくなった、絶対に治療の方向に走ると思いますよ、診療にですね。この点が一つの懸念です。  それから、六十五歳以上は積極的支援に該当しても動機付け支援、ただ一回の面接で終わるということです。これは、今三大疾病、特に脳血管疾患の六〇%、これ七十五歳以上ですよ。それから、心疾患の五二%も七十五歳以上ですよ。六十五歳のときから積極的支援をやれば七十五歳で発病しない可能性が十分あるじゃないですか。なのに、一回の面接の動機付け支援だと、そうするんだと。これはやっぱりおかしいと私は思います。  次に、三月二十七日に突然新聞報道された高度医療の件です。新たな保険外診療。これで是非答えていただきたいのは、私たちが評価療養に民主党が賛成したのは、できるだけ速やかな保険導入が、これが確約ある意味されているからなんですよ。この高度医療を導入することによって、それが将来、保険導入の道筋にどういう関与をしてくるのか、この点、ちょっと明確に、ちょっと端的にお願いできますか。
  188. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 高度医療評価制度ですけれども、これは薬事法の承認等が得られていない医薬品、医療機器の使用を伴う先進的な医療技術を対象として、一定の要件を満たすものを高度医療として認めて保険との併用ができることとする制度であります。この結果、薬事法による申請等につながることが期待されております。要件としては、安全性及び有効性の確保が期待できること、それから医療機関の申請に基づき個々の医療技術ごとにその要件に適合するか否かを審査して認めることとしております。  この高度医療評価制度によりまして、先進的な医療技術について科学的評価可能な臨床データが収集され、将来的な薬事法による申請等にもつながるものとなるため、結果として有用な医療技術の保険導入の迅速化にも資すると考えております。  すなわち、その有効性とか安全性のエビデンスがよく分かってないものはこれは対象となりませんし、それから一般の医療機関でもこれは対象となるものでありません。そして、この制度によって有用な医療技術の普及を迅速化して保険導入への道を広げようと、こういったことをねらいとしております。
  189. 足立信也

    ○足立信也君 将来の保険導入に向けての道筋の中に入っているということを確認したいと思います。  国民の皆さんに理解していただきたいのは、これ、薬価未収載、薬事法で認められていない薬ですから、医薬品副作用被害救済制度の対象にはならないということです。万一不幸な結果になった場合には、その責任と補償は全部病院で決めて計画書を出さなきゃいけない、こういう制度です。このことは理解していただきたいと思います。  せっかく資料を用意しましたので、十一番を御覧ください。この二十年間に、二十年前と比べて医師が減った科、外科、小児科、放射線科、産婦人科です。小児科、産婦人科に関しては今回、診療報酬で手当てがされたと思います。私は、放射線科、これ診断医も治療医も相当不足しています。二十年前より減っているわけですね。  そこで、平成十七年度、十八年度でマンモグラフィーを緊急整備しましたね。これ、実際はアナログのマンモグラフィーが乳がんの検査ですね。アナログは三百七台、デジタルが八十八台、これ、診断できる人が非常に少なくて、機械は入ったけど診断できないという今事態になっているわけですよ。どうしてデジタルを優先させて遠隔画像診断の方向に持っていかなかったのか、これが非常に残念なんです。デジタルであれば遠隔診断できますよ。なぜアナログをこんなに多く入れたのか、値段も一千万も変わりませんよ。これが反省点としてまず挙げられる。  最後に、大臣に感想を求めたいのは、この薬害肝炎の被害者の推計が千人というのがありましたね。これは七%だろうと、カルテ保管。とんでもないですよ。私が今まで勤めた二百床以上の病院は全部、開院以来カルテを保管しています。そのお金が一体幾ら掛かっているかという話なんですよ。全部持ち出しですよ。  例を挙げます。四百床の病院は外部委託費三千万、年間ですよ。そして、八百床の病院は外部委託二千三百万、内部保管経費四千四百万、全部診療以外の持ち出しですよ。そうやって善意で五年以上たったカルテを全部保管しているんですよ。だから、七%なんてとんでもないと私は思っていました。この点について、これは国民の財産ですよ、診療録というのは。これを自主的に残している、しかしそれは三千万以上も掛かっている。この点に関して、大臣、国は何らかの手当てをしないといけないんじゃないですか、国民の財産ですよ。この点に対してお答えだけいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  190. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今回の件で、各医療機関に、一医療機関当たり十万円、それから調査対象患者一人当たり三千円ということでとりあえずの手当てをさせていただいていますが、今の様々な委員の問題提起を受けまして、今後やはりこの医療機関がこういう調査に協力できる体制を更に整えたいと思います。
  191. 足立信也

    ○足立信也君 終わります。
  192. 岩本司

    委員長岩本司君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分から再開することとし、休憩いたします。    午後零時三十七分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  193. 岩本司

    委員長岩本司君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、厚生労働行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  194. 中村博彦

    中村博彦君 自由民主党の中村博彦でございます。舛添大臣の本当に一生懸命の大臣としての御努力に敬意を表させていただきたいと思います。  社会保障費自然増、毎年二千二百億円の抑制、カットが続いてございます。しかし、もう限界に来たのでないかなと、こういうように思うわけでございます。平成十四年から累計で一兆一千億円、平均二千二百億円のカットが続いています。二〇一一年、プライマリーバランス黒字化という目的のために社会保障は本当に削られてまいりました。  私は、一つは、問題点といいますか、やはり社会保障の分野の中にも無駄構造が残っているということも事実だろうと思うんです。やはり国民の目は鋭いものがございます。だから、当然、一方では無駄構造、それと同時に必要な医療、介護、福祉、予算については積極展開をしていっていただきたいと、このように思っておるわけでございまして、無駄構造にも積極的に取り組んでいただきたい。  まず、来年度予算に向けた二千二百億円カットというものに対しての厚生労働大臣の御所見をお聞かせ願いたいと思います。
  195. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今委員指摘くださいましたように、二十年度予算、大変な二千二百億円の財源捻出の苦労をいたしました。厚生労働行政というのは国民の命に直結する課題でございますので、やはり最後のセーフティーネットとしての社会保障、この役割の重要さはきちんと強調しておきたいと思いますし、また委員指摘のように、効率化、無駄の排除、これはやはりきちんとやらないといけません。そして、政府の方針がきちんとありますから、福田内閣の方針に従って私も閣僚としてその方針には従いますが、しかし、やはりもうそろそろ限界に来ているという点では委員と私も共通の認識を持っております。  そういう意味で、平成二十年度の予算は成立したばかりでありますけれども、来年度に向けて、どうすれば国民の命を守れるか、抜本的な改革をやらないといけないと思っています。そういう改革をやりながら、今の二千二百億円についてもきちんとこれは主張していく。そして、これは医療などの分野だけにとどまらず労働環境の整備、非常にフリーター含めて、日雇派遣を含めていろんな問題が出てきています。こういうところにも必要な財源の手当てをしないといけないですから、無駄は排すが、しかし全力を挙げて厚生労働行政がその目的に沿うように努力をしてまいりたいと、そういう思いで平成二十一年度予算に向かって取組を開始したいと思います。
  196. 中村博彦

    中村博彦君 続いて年金の問題でございますけれども、本当に年金問題ぐらい国民を不信に陥れたという問題はございません。年金記録漏れ、年金不明、本当に大変であったと思います。しかし、もちろん解決は付いておりません。  もう何度も何度も大臣はびっくりされたと思うんですね。特別便、そうしたら、何とまたデータ記載などのミスが発覚、こんなことが行政に起こっていいのかと、多分夜も眠れなかったと思います。  そういう中で、大臣、ある意味で今まで部分というのはやはり歴代大臣のツケというものも大変ございました。しかし、一つ、一番舛添大臣となってやらなくてはいけないことは、私は日本年金機構への移行にあろうかと思います。  どうあるべきなのか。社会保険庁を解体してこの日本年金機構に、いよいよ基本計画をこの二十年六月に策定されるんですね。これは、舛添大臣は絶対言い訳はできないと思うんです。どうスムーズに、本当に引き継ぐことができるのか、そして今の社保庁の職員を受け入れてやっていけるのか、これは本当に舛添大臣の後々までの政治生命にかかわる私は政治決断だと思っております。  だから、それだけに、この日本年金機構への移行につきましてはどのような決心、決意で対応されるのか、ひとつ是非御決意をお願いいたしたいと思います。
  197. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは大変恥ずかしいことに、厚生労働省、社会保険庁としては、自らではなくて内閣官房の下に年金業務・組織再生会議というのが置かれておりまして、これは第三者委員会の発想もそうですが、まさに社会保険庁は外からの力でないと変わらないと、こういうことで、今その年金業務・組織再生会議において基本計画を策定いたしているところであります。  しかしながら、新しい組織に生まれ変わるときにどういう経営方針をやるか。これ、経営委員というものを、設立委員と申しますけど、これを決めないといけない。私はまずこれが第一関門。これは、確実に仕事ができる、つまり既得権益を守ったり単に社会保険庁の味方をすると、そういう連中を全部排して、そしてきちんとした委員を今選ぶべく、これは人選を進めております。  そういう設立委員の下で基本計画を策定し、そして採用基準も厳しくし、そしてこの新たなる組織できちんと仕事ができる能力と意欲を持った人間をきちんと採用したいと思っております。さらに、強制力という意味では国税庁の力も借りる、さらに年金保険料の徴収については民間の力も借りる、こういう形で、この新しい組織において国民の信頼を回復したいと、そういう決意で、今委員がおっしゃったように、きちんとした組織に生まれ変わらせたいと、今そのための努力、そして準備を内閣官房とこれは協力しながらやっているところでございます。
  198. 中村博彦

    中村博彦君 もちろんこれは言い訳はもうできぬと思いますので、ひとつ舛添大臣の剛腕を発揮していただきたいと、このように思います。  再三この厚生労働委員会でいろいろな問題提起がされている中で、一番の大きな問題が医療の問題でございます。小児科医、産科医問題、また医師不足、本当に日本に医療の安心が失われてしまったということになろうかと思います。  しかし、もちろん、医師を増やすんだ、これも簡単な発想で、しなくてはいけない発想であろうかと思いますけれども、やはり私はまず一番に医師と他の医療従事者との役割分担の見直し、すなわち看護師、介護福祉士等が行える業務範囲の拡大の措置というものを、これは私は考えていかなくてはいけないんでないかと。  福島県立の大野病院、看護師による内診禁止という事例が出てしまいました。また、神奈川県警による堀病院の強制捜査、いろいろな問題でいろいろな規制が強化された部分がございます。しかしながら、やはりこの医療領域は規制緩和というものが私は必要でないのかなと、こういうように思っておるわけでございます。  医師法十七条、医師でなければ、医業はなしてはならない。それはもちろん、医業をなしてはならないと。しかし、医業というものは百年一日ではないはずでございます。医業について、基礎的な部分については看護の領域に分け与えていく、そして、高度医療というものは時代とともに進歩しておりますので、高度、専門性の医療は医師の権益として頑張っていただくと。私は、そういう流れがこの二十一世紀型の流れでないのかなと、こういうように考えておるわけでございまして、大臣も御存じのとおり、この平成十九年の十二月には、「医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について」というのが出ました。これ本当に私は舛添大臣じゃなかったら出なかったんでないかなと思っておるぐらい、よかったという気持ちいっぱいでございます。  糖尿病など慢性病疾患への生活指導や静脈注射は看護師にも可能になったとか、それから診断書、診療録、処方せんなどの作成は医療クラークが代行できるとか、これはそういう意味ではすばらしいと、こういうように思いますが、しかし、まだまだ救急医療の現場、小児救急医療の現場等ではやっぱり医師と看護師との初期診療の規制緩和というものが私は進んでおらないように思います。  そういう意味で、医師、助産師、看護師等の裁量権、業務見直しについて、平成十九年十二月よりもう一歩、二歩踏み込んでいただきたいと。この辺の所見について、舛添大臣にお聞かせを願いたいと、このように思います。
  199. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この問題は医師不足にどう対応するかという問題でもありまして、私は医師は不足しているという認識でいろんなものを変えていきたいと思いますけれども、例えばアメリカと日本を比べたときに、そんなに患者例えば千人当たりのお医者さんの数って変わらない。だけど、アメリカのお医者さんの方が楽だなというのは、今言った看護師さん、それからフィジシャンなアシスタント、つまり、看護師とお医者さんの中間的な存在の方がおられて、いろいろ医師が医師本来の仕事に集中できるような体制が組んである。  今回、診療報酬改定におきまして、メディカルクラーク、これを置きまして、これでも少し軽減になるということでありますし、先ほどの、昨年末の十二月二十八日、通達を出しました。役割分担できることは助産師や看護師さんにお任せくださいというのを出しました。  今、更にもう一歩進めてはどうかという点につきましては、安心と希望の医療ビジョンということで、私の直属の研究会を持っていまして、これは、各専門家をお招きして今、長期ビジョンの作成をやっております。  その中で、先般、助産師の代表の方、看護師の代表の方に来ていただいて、この程度までなら私たちはできるんです、ここは私たちの要求ですというのがあります。それから一方、やはりお医者さんの方も、いや、この分野は私たちがやらないと駄目だってあると思いますので、これはお医者さんの意見も聞いております。そういう現場の声を反映した形で一つのビジョンを打ち立てる、そのときには更に一歩踏み出せないかと。  それで、もっと委員がおっしゃるようなことが実現できないか、これは検討したいと思います。ただ、基本的には国民の命をどう守るかという視点、これが一番大事ですから、余りにも分業をやり過ぎたためにしわ寄せが患者さんに来るというようなことはあってはこれは絶対になりません。これはもう委員も当然のことだと思いますので、そういう前提を置いた上で更に一歩進めるかどうか、今私の直属の研究会で検討を行っているところでございます。
  200. 中村博彦

    中村博彦君 だから、アメリカには専門看護師制度というのもあるようでございます。そういう医師の領域、看護師の領域、時代とともにやはり専門的に変わってくると思いますので、そういうやはり新しい資格も念頭に入れながら御検討をいただきたいかなと、こういうように思うわけでございます。  今、医師と助産師の関係、医師と看護師の関係等、領域の問題でお話をさせていただきましたけれども、本当に、後ほど議論をさせていただきますが、介護福祉士というのもまさに高齢化社会がゆえにできた職種でございます。それだけに、権益というものが、職域における権益の場が、守備範囲が決まっておらないに等しい存在でございます。  例えば、平成十七年にようやくこの医行為の範囲の解釈というものが行われて、つめ切り、点眼薬の点眼、肛門からの座薬を入れる、そういうことすら医行為に入っておった。しちゃいけない。違法行為だ。それが、平成十七年に医行為の範囲でないという形で認められたわけでございます。しかし、私はやはり医行為の範囲外という意味ではなくして、やはり医行為の基礎的な部分を担当できる領域を持つ介護福祉士、そしてその介護福祉士が少し今までのカリキュラム上レベルが低いなら専門介護福祉士制度をつくって、本当に現場での不安、不信というものを解消をしてほしいと。これ大臣、僕は大臣にだけ、本当に初めて大臣に聞いてほしいなと。今まで大臣たくさんおりましたけれども、余り聞いてもらっても動かぬかなと思っておりましたけれども、今回だけは、私の、この六十五歳が入れ込んでおるぐらい大臣に現場の声を聞いていただきたい。  例えば、大臣、入所者の割合で、老人ホーム、特養ホームですけれども、喀たん吸引は一〇・二%、入所者の。胃瘻は八・六%、褥瘡の処置は七・〇%、点滴四・七%であります。これが実態ですよ。そして、特養ホームの看護職員は、大臣、特養の看護職員の職務は今なお旧態依然として指定介護老人福祉施設の第十八条で健康管理だけをしなさいという項目の中が守備範囲なんですよ。だから、極端に言えば、医師又は看護職員は、常に入所者の健康の状態に注意し、必要に応じて健康保持のための必要な措置を取らなければならないというその十八条の中に職務というものが決められておるわけでございます。こんな状態が特養ホームにおける看護職員でございますから、まさに健康管理の看護職員が特養ホーム定員五十名で二名の看護師さんが人員配置をされておられるわけです。  そこで、考えてみていただくと、本当にいつも違法の世界の中にある、これは一体、頑張るにも頑張れない、これは後でまた触れますけれども、介護職の皆さんが人材流出として本当に現場からいなくなっているというのは、低賃金、労働環境の悪化もありますけれども、魅力ある職種になっていないというところが大変多いわけでございまして、今のような部分について、これは是非とも、この介護職員が行う看護を医療関連行為と改め、その範疇に入れなくて、一歩でも二歩でも医行為の中の基本的な部分を、もちろんカリキュラムを強化してそういう場をつくっていただきたいと思いますが、どうでございましょうか。
  201. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、医療と介護、この二つを長期的にどうするかという大問題にもかかわってきます。例えば、お年を召されて認知症になる、その方は純粋に介護だけでいいんですかと。やはり不断に医療行為が入ってくる可能性が極めて高いと思います。そうすると、例えば保険制度にしても医療保険制度と介護保険制度、この二つあることをどう思うか、それから、今委員が御指摘の医療職種と介護職種の間の役割分担をどうするのか。  私が先ほど医師と看護師の中間的な役割のような方々というような言い方で申し上げたのは、今までの戦後営々と築いてきた医療体制、それに今度介護体制が入りました。やはりいろいろ構造的に大きな改革が必要だろうと思っています。その中に今の職種による役割分担ということもあると思います。  そして、特に介護職の方々の処遇、待遇が非常に良くない、離職率も高い、これ何とかしないといけないと思っています。そういうときに、キャリアアップしようにも役割分担が固定していればできません。したがって、それは訓練の期間を半年長くして、その分医療行為ができるようにまず養成するというようなことも含めて、これは十分検討に値すると思います。  今までは、要するに、たんの吸引にしても、これは在宅の場合はできますね、今おっしゃったようになかなか施設の場合はそう簡単にはできない。そうすると、家族の立場から見て、家族ができること程度しか介護の職員はやれない、それを超えれば看護師さんでありお医者さんでありということになる。そうすると、これは特養から老健から、どの施設にどういう人員を配置しますか、PTさん何人ですか、OTさん何人ですか、ドクター何人ですかと、こういうことの全体にもかかわると思います。  しかし、最終的な視点は、国民が一番いいケアを受ける、一番いい医療を受けるということの体制が必要なんで、私は今委員が提起なさった問題は非常に重要な問題だと思いますし、まさにこういう問題について、安心と希望の長期ビジョンの策定の委員会で早急に中間報告的なものを出して、また、これを広く中村委員始め皆さん方の御批判をいただいて更にいいものにしていきたいと、この問題意識は私も共有いたしますので、今後の重要な検討課題とさせていただきます。
  202. 中村博彦

    中村博彦君 ありがとうございます。  それと、日本は、医師になります場合にも、看護師、それからコメディカルの人々にやはりもう少し枠を与えていく、そういう部分も医師不足の中で広角的に御議論をしていただいて、そういう部分はひとつ舛添革命をしてすばらしい成果を是非出していただきたいなと、こういうように思うわけでございます。  今、触れさせていただきました介護の現場での人手不足、人材流出、低賃金、重労働、本当に施設がオープンしても、今までであれば御存じのとおり入所者が入らない、だから今は定員百人のところを入所者八十人で稼働していますというのが常識でございました。しかし、今は、入所者はたくさんの待ち入所者がいらっしゃいます。しかし、看護職がそろわない、介護職がそろわないから、今定員百名であっても五十名で経営運営せざるを得ないという実態が多く出てきておるわけでございます。この状況、本当に考えてもらいたいわけでございますけれども、この労働現場、介護現場の実態、もう私は余り深く申し上げることもございませんけれども、なぜ他の労働者に比べて、他の業態の皆さん方が男子四十一歳であれば五百万円ぐらい年収いただいておるのに、介護職員については三百万円前後だというような実態、ヘルパーに至ればなおその三百万円を大幅に下回るという、こういうような実態でございます。  こういう実態で、今悲鳴を上げておることは大臣もよく御存じだろうと思いますが、この辺の大臣の御認識をお願いいたしたいと思います。
  203. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今委員指摘のように、介護の現場で働く方々の給与、これが平均的な全産業の給与よりも低い、それはいろんな理由があります。だけど、例えば離職率も非常に高い、定着しない、やはりこの労働条件、働く場所の環境というようなこともいろいろあります。  私は、かつて若い人たちが本当に介護の分野で働きたいと言って目を輝かせて一生懸命やっているのを励まして、そういうところで講義をしたりと、教えたりということをやっていましたので、そういう人たちの所期の希望が途中で挫折するというような形で離職するのは、非常にこれは悲しく思っています。  そういう意味で、昨年八月に、介護福祉人材確保指針ということで、労働環境の整備、それから先ほどの話にもありましたキャリアアップのシステムを少しつくりたいというようなことで今取り組んでいるところでございますし、二十年度予算においてもそういう手当てをやっておりますけれども、しかしまだまだ十分ではありません。少し、この点更に取り組んで、処遇の改善、そして二十一年の改定においては、是非こういう方々の待遇を更に良くするために実態調査をしっかりやった上で来年の改定に結び付けたいと、そういうふうに思っております。
  204. 中村博彦

    中村博彦君 今も大臣の御指摘がございましたように、本当に離職率が高い。もうどこの特別養護老人ホームでも四年たてば、三年たてば、介護職は八、九割まで新しい人に入れ替わるというような実態でございます。そして、介護の世界では優秀な三十代の男性職員が寿退社をする。これはもう有名な言葉になりましたけれども、結婚する、子供ができる、低賃金の介護の現場ではやっていけないんだといって結婚のために退社をするという言葉を寿退社というぐらいに皮肉られているわけでございまして、こういう実態を是非とも大臣、メスを入れていただきたい。  それから、続きまして、これも知っておいていただきたいんですけれども大臣、介護福祉士養成学校というのが社会福祉法人でも多くつくられておるわけでございます。そして、その定員が二万六千九十五定員があるのに対して一万六千六百九十六人しか修学に就いていないんですね、六四%、専門学校が。そして、もう大臣御存じのように、この介護労働人口は今一五%に全職種の中でなってございます。平成十二年が五十五万で平成十七年には百十二万、介護周辺職種が必要だと言われております。しかしながら、魅力ある職場でない。それだけではもちろんございません。汗を流す、そこに喜びを感じない子供たち、学生というのが大変多くなってきておるという風潮もあるわけでございます。戦後教育の風潮もあるんです。  これも、これから介護職というのは一年間に十万人必要なんだそうですけれども、これ、充足するはずがないんですね。これは大臣、本当に考えていただきたいなと、こういうように思っております。  そして大臣、石原大臣と比較するのはいかがなもんかと思いますが、石原大臣じゃないわ、石原都知事が、学校現場に予知なしに行ったそうです。もうびっくりしたと言っておられました。  一度、大臣、グループホームを見てきてほしいんです。これもう、絶対に老健局長だとかにお願いしないで、抜き打ちで近くのグループホームに行ってきていただきたいんです。本当に、グループホームのこのイメージダウン、劣悪労働環境、これ本当にサービスも劣化しておる現況でございます。そして、そこには責任者はおりません。小規模施設ということで、管理者が要らない制度設計になっております。だからプレーイングマネジャーです。  そういう今状態の中で、グループホームというものが経営、運営されておるわけでございますが、これはまさに夜勤一人で見なくちゃいけない。そして、食事は一緒に作って一緒に食べるんですね。これがグループホームと言われておるわけでございまして、このグループホームの最悪の労働環境が介護現場を特筆しておるような形でPRされておるわけです。その現状というものを是非御理解をお願いいたしたいと。  そして、このグループホームは、御存じのとおり平成十二年には六百七十五、五千五百人の入所者でございました。平成十九年には八千七百七十六の事業所ができて、今十二万四千人にも入所者が増えておる実態でございます。だから、ここのサービスが劣化しておるということは、本当にこれは日本の介護が劣化しておるということに等しくなってきておるわけでございまして、歴代の厚労省関係者、事務次官関係者も、このグループホームだけは、当時の局長に勧められたけれども、これだけはミステークだったなと言っておられて昼飯を食べておるそうでございますけれども、どうか大臣、御所見がございましたら、ひとつ。
  205. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私が自分の母親を介護していたのはもうかれこれ八年ぐらい前になりますけれども、そのときにグループホームというのは非常に理想的な形で提示をされた。それは、病院という雰囲気じゃなくて、古い民家なんかを借りて、自宅で住んでいるように、そして環境も良くてアットホームな感じだということで出てきて、私は、これはこれで一つの試してみるに値する可能性があるかなと思いました。  ただ、私の場合は、母親はどうしても医療行為が必要なもので、グループホーム、今のような医療機関との提携というのはまだ完璧じゃなかったので、どうしても老健というようなところに入れざるを得ませんでした。しかし、その後どういうふうになっているか。これは是非時間を見て、そしてまた、委員が御提案のように、なかなかお忍びでというのは行きにくいんですけれども、できるだけそういう状況の中で現場を見て、その上でまた判断をしたいと思います。
  206. 中村博彦

    中村博彦君 確かに、初期の場合、モチベーションの高い方がツーユニットしたい、十八床でやりたい、スリーユニットで頑張りたいというのは、本当にいい施設がございました。しかし、だんだんとその設立時の趣旨と違った形でネットワークされていったわけですね。あのコムスン事件のコムスンでも、何と多くのグループホームを持っておったんですよね。普通はグループホームは地域密着ですから、地域の方がつくって地域の顔で運営されてこそ、ぬくもりが出るんですよね。それは、コムスンがぱあっと全国展開してぬくもりが出るとは大体考えられませんので、そういうグループホームが大変多くなったという御理解を願いたいと思います。  今、私は何が申し上げたいかというと、先ほども触れさせていただいたように、なぜ低賃金、そして人材流出が止まらないか。これは一つに、社会福祉法人というものが、措置時代の残滓の社会福祉法人がそのまま介護保険制度に居座ったわでございます。これは本当に、よく新聞で虐待、身体拘束、私たちも本当にびっくりして、なぜ身体拘束が行われているんだ、今ごろ、なぜ虐待なんだ。  しかし、大体そういう人間的なサービスができないところはトップ不在です。トップはおります。名ばかりの理事長はおります。お飾り的な理事長はおります。しかしながら、本当に二十世紀型の措置時代そのままの社会福祉法人がシーラカンスのように生き延びておるわけですね。これなんですよ。まあシーラカンスになると、非常に価値はあると思いますけれども、まさに社会福祉法人がそういう形で生き延びておるのは、多くの方が何と言っておるかと、不作為の違法でないのかと。普通、上半身に措置時代から介護保険制度になれば下半身は変えなくちゃいけない、頑強なものにしなくちゃいけない、ねえ、櫻井先生。  そういうようなものでございますのに何ら手が打てなかったということでございまして、この社会福祉法人が本当に機能を発揮しておりませんので、今なお成果給を採用していない施設は五〇%超えておるんですよ。全部年功序列ですよ。そして、施設長さんより御存じのとおり二十五年厨房でおった方の方の給料が高い。これは一概に高いから駄目だという意味では言ってはおりません。しかしながら、そういう社会福祉法人が七割もあるということです。それを是非知っていただきたい。  だから、この社会福祉法人をどう変えていっていただくか、この辺についても御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  207. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 社会福祉法人というのは当然公益性を持っていないといけないですけど、やっぱり経営の効率化、それもしっかりやっていただかないといけない。  それで、今委員おっしゃったように、名ばかりの理事長であるとか、それで、全く例えば介護に興味がない、知識もない、しかも経営能力ないと、これは最悪ですね。ですから、非常に介護の現場の知識や情熱がある、しかし経営能力なければ経営能力がある人と一緒に組みでやればいいわけで、そういう意味で、社会福祉法人たりといえども、こういう効率性と、団体としての、経営体としてのガバナンス、これはきちんと確立していただかないと、これからのどんどん増えていく社会福祉サービスのニーズにこたえられないと思いますので、大改革は必要だと思います。
  208. 中村博彦

    中村博彦君 今、今年の十二月を目指して公益法人改革が進められています。そして、社会福祉法人の無責任な理事長、また同時に、制度上は権限だとか責任も明確な位置付けをされておりません。それはやはり不幸なことだと思います。しかし、どちらにしても非課税法人です。しかし、非課税法人に甘えてはいけません。だから、当然、この公益法人改革と比較しながら社会福祉法人改革をお願いいたしたい。  そして、当然、この公益法人改革の中で、役員と理事、監事、評議員は、第三者に対する損害賠償責任というものが明記されるそうでございます。社会福祉法人にはそこに理事長、理事の責任も明確化されておりません。そういう部分についても非課税法人としての責任を是非とも改革する。それがあってこそ高品質サービスがつくれる、職員に魅力ある労働現場をつくる、介護現場をつくる、魅力ある利用者に安心をつくるという形が出てくるわけでございます。まさに、管理者がいないという状況でございます。先ほどのグループホームもそうなんです。この管理者がいない、そこに大きな瑕疵が生じているということを御認識を願いたいと。  そして、もう私が申し上げるまでもございませんけれども、社会福祉法人は、公の支配、公の監督に服することにより、国に代わって公的助成を受けるという形で、憲法八十九条の趣旨にのっとって一九五一年につくられた制度でございますから、ここでもう一度二十一世紀型に改めていただけるようにお願いを申し上げたいと思います。その辺につきまして御感想をお願いいたしたいと思います。
  209. 岩本司

    委員長岩本司君) 局長でよろしいですか。
  210. 中村博彦

    中村博彦君 いや、大臣で結構です。
  211. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今おっしゃいました公益法人改革と並んで社会福祉法人についても同様の改革が必要だと考えておりますので、その点もこれは全体で検討していきたいと思います。  何か、社会保障という名前が付けば、ないし公益という名前が付けば、何でも免罪されるような雰囲気があっては私はいけないと思います。きちんとやっぱり正すべきは正していかないといけない。そういう意味で、第三者に対する責任についてもこれは検討を続けていきたいと思います。
  212. 中村博彦

    中村博彦君 大臣、お手元にお渡ししました地域ケア体制整備構想、この地域ケア体制整備構想が全国に、都道府県に厚労省から発信をされておるわけでございます。そして、各県から数値が出てまいっておるわけでございます。しかし、この「地域ケア整備構想 長期将来推計より」と書いてございますが、大臣、それ大臣に見てもらいたくてここへ出したんです。  大臣、要介護度四、五は、御存じのとおり、地域ケアが進んでおる場合、余り進んでいない場合、いろいろございますけれども、これが不思議なんですね。要介護度四、五は単独、夫婦であれば九〇%施設対象者としてカウントしておるわけですね、櫻井先生。その他、家族と同居している場合は五〇%に減るわけですよ。おかしいんでないですか。介護保険というのは、御存じのとおり、介護をしていただく、そして、本当に極端に言えばびっくりするような想定の下でつくられておるわけですよね。そして、要介護二、要介護一は、この時点でもう対象にしないと、施設入所の対象者にはしないと決めておられる。  これも……(発言する者あり)だからこれは大臣が、これは与党と言われても、これは自民党が調査したものでございませんから。大臣、この要介護度一、二というのは対象にしない、そして要介護三の人は極端に施設の対象にしない。そして、どうでございますか、今度のこの施設対象者というのは、何と驚くなかれ、いつの間にかグループホームやケアハウスや、そういう施設まで施設に入ってきておる。それでは一体、今や三十九万の特養待機者、老健待機者いらっしゃるわけですよね。入所待ちの人は一体いつ施設が整備されるのかと思ってお待ちになっておる。しかし厚生労働省は、もう施設には入れないんだ入れないんだという戦略ばかり取られておる。  これももう私、心を痛めながら出させていただいたんですが、平成十七年、十八年ごろに、この在宅化を進めるために厚労省が引用した偏った施設観です。施設入居には三つの苦難がある。第一の苦難、施設に入る苦難、第二の苦難、長年住み慣れた居住環境の喪失、第三の苦難、地域の暮らしと施設の暮らしの落差。施設での五つの落差。空間の落差、時間の落差、規則の落差、言葉の落差、最大の落差。こう書いていますよね。これは確かに家庭で介護をしていただくには今言うこういう苦難は伴いませんよ。しかし、家庭が核家族化し、共稼ぎのために介護力がないゆえにそういう動きになってきたわけですよね、大臣。それなのに、在宅化を進めんがためにこういう流れをつくっていったわけですよ、大臣。このペーパーを見て御感想をお願いいたしたい。
  213. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この紙の左端に書いてあることは、これはある大学の先生がおっしゃったことをそのまま引用していると思いますが、在宅か施設かというのは非常に大きな問題であって、在宅がすべていいわけではない、施設がすべていいわけではない。例えば認知症のお年寄りにとって何が一番幸せか、そしてこれを介護する家族にとって無理のない介護というのはどういう形態だろうかと。私の答えは、この両方を、つまり在宅施設を上手に組み合わせる、それが一番大事だと。そのためにはいろんな手当てをしないといけないですけれども。  ですから、在宅がすべて良くて施設が全部悪だと、そういうことではないと思いますし、この「地域ケア整備構想 長期将来推計より」ということで、まあちょっと私の説明が足りなければ厚生省の担当者が来ていますから説明をさせますけれども、要するに、地域全体でお年寄り、介護の必要な方の面倒を見ようという観点からいったときに、想定としてそれだけ、例えば徘回する老人がいたときに、前はもうかぎ掛けて施設から閉じ込めて出させないと、抑制ということもおっしゃったけど、だけど、この地域が本当にみんなでそういう徘回するお年寄りの注意を働いていただくならその地域の中を散歩するなり徘回しても問題ないわけですから、そうするとかぎを掛けて施設にという必要はないでしょうと。  だから、これは地域計画を非常に進めるときの理想像を書いているわけで、何も、私の理解ではですよ、いかに施設が駄目かというふうなことを言っているとは思っておりません。一番いい組合せ、これが重要だと思っているんで、施設の利点と在宅の利点、これを組み合わせてやること、こういう理想を追求したいというふうに思います。
  214. 中村博彦

    中村博彦君 元へ返らさせていただきますけれども、この地域ケア体制整備構想が全国からプールをされます。そして、その数値に基づいて、御存じのとおり、医療計画、それから都道府県の医療費適正化計画、それが二十年から五年間の計画ができるわけでございます。都道府県介護保険支援計画も二十一年からの三年計画で、すべてこの地域ケア体制整備構想でできるわけでございます。だから、このデータがすべてを決すると言っても過言でないわけでございます。  こういうように、しかし、是非考えてもらいたいのは、要介護度三というのがもう一〇%しか施設サービス数値目標でないんだよとか、要介護二、一というのは、これは大臣、一体どこで決まったんだと、施設入所はさせないというのは一体どこで決まったんだと、こういうことになるわけですけれども、もう一度やっぱり大臣の視点で考え直してみていただきたい。  そして、この地域ケア体制整備構想では、どこの県に聞いていただいても、厚労省に従順な七、八県を除いては、ブーイング、山のようであります。中に、療養病床の転換推進計画では、これではやっていけないと言うと、これも事実なんです、厚労省へ報告したこの県の担当官に七時間にわたって厚労省お説教したそうです。その県がある。これ言いませんよ。徳島県ではございません。  本当にまさに私は考えていただきたいことは、だから特養待機者三十八万五千、三十九万とも言われていますが、どうやっていくんだと。それと同時に、この地域ケア体制整備構想が出たと。そして、確かに、この地域ケアとは一体何なんだろうと。地域ケアが充実すれば、充実が中程度なら、一体地域ケアで要介護度四や五の方が地域のケアでどれだけケア力が発揮できるかということでございます。  地域ケアというのは、言葉は美しいですけれども、地域のどこに探してみてケアがあるだろうかと。重度化ケアという意味ですよ。見守りケアだとか、安心を美しい言葉で、言葉を出して安心を上手につくり出していくというようなケアは、これは私は地域にケアってあると思いますけれども、重度者に対してどこにケア力ができてくるのか。そういうようなものを考えたときに、本当に今のままでの地域ケア体制整備構想の数値でこの介護療養型老健施設への転換はどのような数値がはじき出されるのか、また医療療養型は最終的にどの程度のベッド数になるのか、これは是非考えてもらいたい。  そして、その上に立って、医療費はどの程度削減されるのか、そして介護給付費はどのような増額が見込まれるのか。このベースになるわけでございますからね、西島先生。このまさに最も今、療養病床の転換で議論が国民間で伯仲しておる数値目標がこのデータの中で作られる恐ろしさを感じておるわけでございまして、何とぞそのベースになる地域ケア体制整備構想をもう一度修正するなりお考えなりして舛添構想に入れていただいたら有り難いかなと、よろしくお願い申し上げて私の質問は終わりますが、最後、御発言をお願い申し上げます。
  215. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) ここに引用された数字は、三十年後の目標値ということで一つの試算値を出していますが、私は事はそんなに簡単じゃないというふうに思っています。先ほど来申し上げていますように、私自身の体験からしても、在宅か施設かと、これは非常に安易に答えの出る問題ではありません。上手な組合せが必要です。  しかしながら、やはりスウェーデンのような北欧諸国を見ていても、バリアフリー一つ取っても、ノーマライゼーションの思想がはっきりしていて、町全体が障害を持った人たちにとって動きやすい仕組みになっています。そういうところはきっちりやっていく。  それから、例えばバスにしても、ノンステップバスでバギーで赤ちゃん連れた方が来られる。そのときに、ノンステップバスだからだれも手伝わない、日本というのはそんなところあるんですよ。だけど、ステップあったって、さっとスウェーデンだったら人が寄ってきて、みんなで助けてあげる。こういう精神もやはり地域全体で取り戻さないといけない。  そういう中で、在宅にしろ施設にしろ、その限られた空間に障害者や高齢者や認知症の方々が閉じ込められるんじゃなくて、自分の住み慣れた地域を自由に動ける、こういう体制づくりをやるということが実を言うと地域ケア体制整備構想であって、単に財源論だけで話をするべきではないと思っていますので、そういうことも含めてきちんと検討してまいります。
  216. 中村博彦

    中村博彦君 大臣、ありがとうございました。
  217. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 自由民主党、島尻安伊子でございます。本日は、舛添大臣始め関係部局の皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。  舛添大臣におかれましては、日ごろから問題解決に向けて取り組む大変な真摯な姿勢に敬意を表します。今のこの厚生労働行政を担っていけるのは、私は舛添大臣しかいないと固く信じているところでございます。  さて、本日は、先日の舛添大臣の所信表明から新待機児童ゼロ作戦などの次世代育成支援対策についてと、それから本日設置された新型インフルエンザ対策推進室、それから沖縄県の北部地区に展開されているドクターヘリの存続に関する問題及び聴覚障害者に係る運転免許制度の改正について、順次お聞きしていきたいというふうに思います。今お話をした順番が前後するかもしれませんけれども、よろしくお願い申し上げます。  それでは、質問に移ります。  まず、新型インフルエンザについてであります。  まず初めに、近年東南アジアを中心に発生している新型インフルエンザについてお聞きをしたいというふうに思います。この件に関しましてはこれまでも多くの議員から質問されたかと思いますけれども、今や国連、WHOでは、新型インフルエンザの発生は、イフ、起こるかもしれないではなく、ホエン、いつの問題とも言われておりますけれども政府の認識を改めてここでお聞かせいただきたいというふうに思います。
  218. 西山正徳

    政府参考人(西山正徳君) 政府の認識ということでありますけれども、私ども、非常に新たな健康危機に関する課題だというふうに思っております。  近年でございますけれども、東南アジア中心に鳥インフルエンザが拡大してきております。WHOのデータによりますと、直近のデータですと、発生国は十四か国、患者数三百七十三人、そのうち死亡者が二百三十六人となっております。  このインフルエンザでありますけれども、一九一八年にスペイン風邪が起こりました。それから四、五十年後の一九五七年、一九六八年にアジア風邪、香港風邪、異常な死者を出したわけですけれども、それからちょうど四十年後が二〇〇八年であります。したがいまして、こういった周期からしても、またもう一点でありますけれども、人類のほとんどが免疫を持っていないというようなことからしても、非常に人から人への感染が懸念されております。非常に高い感染力や病原性を持っているというようなことで、その対策は国家の危機管理上極めて重要であると認識しております。  このため、発生した場合におきまして迅速かつ適切に対応できるよう、内閣官房に設置されました関係省庁対策会議の下、政府一丸となって危機意識を持って着実に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  219. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 本日四月一日ですけれども厚生労働省健康局に新型インフルエンザ対策推進室を設置するということでございますけれども、この大きな目的と、それから、これまで国会などでもう大変に議論された問題でございますけれども、それがどのように反映されたかということをお聞かせいただきたいと思います。
  220. 岸宏一

    ○副大臣(岸宏一君) ただいま局長からは、この新型インフルエンザの問題、重要性、これを申し述べたところでございますが、今先生おっしゃいましたように、この問題につきましては国会やあるいは党においても大変な問題として議論され、情報提供の徹底とか水際対策の強化、ワクチン接種の在り方や医療提供体制の在り方、こういった問題等々を総合的に的確に進めていくべきだと、こういう指摘をいただいたわけであります。それに従いまして、国際機関と連携して情報の集約化を図るとともに、民間の専門知識などを活用しながら水際対策や医療提供体制など多岐にわたる新型インフルエンザ対策を機動的に講じるために、本日、厚生労働省に新型インフルエンザ対策を総合的に推進する対策室を新設いたしました。  今日、先生の答弁のために朝打合せをいたしましたが、その陣容を御説明申し上げますと、総勢二十九名です。それで、室長以下、次長が三名、それから専従として働く職員が十名、兼務が十五名ということで、二十九名の体制で的確な対応を国会や党の御意見を踏まえて取っていきたいと、こういう思いで頑張ってまいりたいと、こう思っております。
  221. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 ありがとうございます。  この新型インフルエンザの爆発的な流行、パンダミックという言葉が最近、(発言する者あり)パンデミック、いや、私言ったつもりでいたんですけれども、失礼いたしました。大変に世界的に脅威にさらされているということでございまして、このような対策室ができたということを私は歓迎したいというふうに思います。  ただ、例えばこの感染者が出たとして、その患者に真っ先に接するのは医師であり看護師であり、また地方自治体の保健所等の公衆衛生当局ということになろうかというふうに思いますが、今回、機動的に行動するという推進室の管理者には特に地方との連携ということを重点に置いていただきたい、なおかつその迅速な対応ということにポイントを置いていただきたいというふうに思うわけでございます。  ややもするとといいますか、この推進室に限ってはそういうことはないと思いますけれども、決して議論だけとか頭の中だけのマニュアル作りに終わることのないようにお願いをしたいというふうに思うわけでございますが、この辺の御決意をお聞かせいただければと思います。
  222. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この新型インフルエンザ対策推進室を設けましたのは、これはもう本当にいつ来るか分からない、そして下手をすると百万の単位の国民の命を奪うような疫病である、危険性もある。したがいまして、きちんとこれは対応できるというための体制を整えたいと思いますから、地方との連携、各省庁との連携、しかし我々がやっぱり第一線に立って頑張らないといけないと、そういう思いで必要な予算措置もとりましたし、きちんとこれはやっていきたいと、まさに国民の命を守るというこの大きな課題が目の前にあるわけですから、全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。
  223. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 ありがとうございます。是非、大臣おっしゃられたように推進をしていただきたいというふうに思います。  それでは次に、聴覚障害者に係る運転免許制度改正についてに移りたいというふうに思います。  皆様のお手元に配られているかと思いますけれども、ちょっとその資料、目を通しながらお聞きいただければというふうに思います。  昨年六月に制度改正が行われまして、聴覚障害者も運転免許を取得できるようになったということでございますけれども、この改正に至った経緯と、それから今後どのような免許制度になるのかということを今後のスケジュールについても含めてお聞きをしたいと思います。
  224. 末井誠史

    政府参考人(末井誠史君) 聴覚に障害のある方の運転免許の取得につきましては、平成十三年の道路交通法改正によりまして、耳が聞こえないことをもって欠格とするいわゆる欠格条項を廃止いたしまして、適性試験により運転免許の取得の可否を決することとしたものでございます。  この改正の際の附帯決議におきまして、障害による機能の喪失を補完する補助手段を用いた障害者の運転免許制度について見直しを行うこととされましたことを踏まえまして、調査研究を実施してきたところでございます。その結果、現行の聴力に係る適性試験の合格基準に達しない方であってもワイドミラーを活用した慎重な運転により普通自動車を安全に運転することができるものと認められましたことから、十九年の法改正におきまして、ワイドミラーの使用と耳が聞こえない方が運転しているということを明らかにしてお互いが注意し合えるよう聴覚障害者標識を表示することにより交通の安全を確保し、運転免許の取得は可能としたものでございます。  スケジュールといたしましては、新たな制度は本年六月一日から施行される予定でございます。
  225. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 ありがとうございます。  今御説明がありましたように今年の六月一日から施行されるということで、昨年六月に聴覚障害者に係る免許制度改正が行われたということでございますけれども、その決定がなされた後、聴覚障害者及び教習所、自動車の免許取得の教習所がありますけれども、そういった教習所などへの周知はどのようになされたのか。そしてまた、当然のことながら新しいテキスト等々が作成されるというふうに思いますけれども、それらの進捗状況についてお聞かせいただきたいと思います。
  226. 末井誠史

    政府参考人(末井誠史君) 警察庁といたしましては、聴覚に障害のある方が新たに運転免許を取得することが可能となったことを全日本聾唖連盟など関係団体を通じて、あるいはリーフレットの配布などにより周知を続けております。また、運転免許を取得するために自動車教習所において教習を受けるに当たりまして、問題がないように指導を徹底しております。  そこで、具体的には、指定自動車教習所の全国組織であります全日本指定自動車教習所協会連合会は、これまで教習の実施方法に関する研修会を実施するとともに、全日本聾唖連盟の協力を得まして、教習を行う際に円滑なコミュニケーションが取れるよう自動車教習用サインを作成しております。また、聴覚障害者用の補助教材の作成を現在進めているものと承知をしております。
  227. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 それに併せて、警察庁として、視覚障害者の受入れ体制の整備及び聴覚障害者の標識に関する広報啓発ということに取り組んでおられるというふうに思いますけれども、これについての進捗状況についてもお聞かせいただけませんでしょうか。
  228. 末井誠史

    政府参考人(末井誠史君) 受入れ体制の整備でございますが、各都道府県警察におきまして、運転適性相談業務の充実や案内板、筆談用ボードの整備など、予算の手当てに今努めているところでございます。また、指定自動車教習所におきましては、先ほど申し上げた教習用サインを徹底するとともに、障害を教習所の職員がより深く理解するための手引書の作成などの取組を実施しているものと承知をしております。  聴覚障害者標識のデザインにつきましては、近々広報を開始いたしまして、更新時講習等、各種講習の機会をとらえまして広く周知を図ることとしておりますが、交通の安全を確保するためには、聴覚に障害のある方が運転していることを他の運転者が認識することが重要でございますので、強力に広報啓発を推進してまいりたいと考えております。
  229. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 今取り組んでいらっしゃるというお話でございますが、今年六月からもう施行されるわけですから、それに遅れることのないように整備をしていただきますようにお願いをしたいと思います。関係団体、教習所などと連絡を密にするということも必要なのではないかなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  さて、この件について、先日、沖縄の浦添工業高校という学校があるんですけれども、そこの情報技術科の生徒たちがコスモポリタン・メーカーという聴覚障害者用のソフトですね、運転免許取得の支援ソフトを開発をしたということでございまして、その資料をお手元に配らせていただいておりますけれども。このソフト開発について指導に当たった知名先生とおっしゃる若い男性の先生がいらっしゃいますけれども、お話をいたしました。沖縄聾学校からの相談があったということでございまして、実際に聾学校や教習所にも足を運んで、試行錯誤を繰り返してこのソフト開発に当たったということでございまして、今回のこのバージョンツーがアップしておりますけれども、今後いろいろまた情報を入れる中でバージョンアップしたものを作っていきたいというふうにおっしゃっておりました。  その話の中で一つ気になったことがありましたが、そのサイン、先ほどサインというお話がありました。例えばストップだとかアクセルを踏むだとか、それに関しての手話があるんですけれども、必ずしも全国でこのサインが統一されてなかったということがあると。せっかく今回このソフトを作ったけれども、全国の、何というんでしょうか、統一サインではなかったということで、またバージョンスリーにはそれを入れてアップさせるんだというお話をなさっておりました。  先ほどいただいた御答弁の中には、今回の教習所で使うサインをもう統一しているというお話でございましたので一安心はしましたけれども、こういった細部への配慮というか、これがますます必要になるのかなというふうに思います。六月からの施行に向けて、気配りといいますか細かいところへの配慮というのはよろしくお願いしたいというふうに思います。  是非、舛添大臣、このようなソフトを開発した指導の先生方それからこの学生さんたちに、障害を持つ人の役に立ちたいというふうに頑張った学生たちにコメントをいただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  230. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 大変すばらしいことだと思います。この資料を皆さんお読みいただければ分かりますように、沖縄はやっとモノレールができましたけれども、鉄道ないんです。そうするとやっぱり車はもう不可欠なんです。耳が不自由ということで運転できないことがいかに大変かといったら、沖縄の方が一番よく分かっている。それから、ここどこか書いていますけれども、法定速度とか乱反射って、これ手話でできますかと、ないんです。これは是非、警察にも頑張っていただいて手話のサインを統一してもらわないと、教えるところで全部違ったら困ります。  それで、ここにあります立派なソフトを作られた、これダウンロードもできるというふうに聞いていますんで、こういうことを沖縄の方がおやりになるというのは、まさにこれがノーマライゼーション、バリアフリーを実現する道でありますので、是非今後とも頑張っていただきたいと思います。
  231. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 大臣、ありがとうございます。  ますます頑張って、また地元の学生たちが一生懸命、また社会貢献という中で力を発揮していくんではないかと思います。ありがとうございます。  それではまた、次に移りたいと思います。  ドクターヘリに関連する質問に移りたいというふうに思います。このドクターヘリの導入促進事業についてでございますけれども、その前に、このドクターヘリの設置の条件となっている救命救急センターと、最近ちょっと目にしましたちょっと新しい言葉なんですけれども、地域救命救急センターについて、この違いについてまず御質問をしたいというふうに思います。  まず、この地域救命救急センターということについての御説明をいただきたいと思います。
  232. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 救命救急センターと地域救命救急センターの違いでございますけれども、まず救命救急センターは、重篤な救急患者に対する全国的な医療体制を確保するため、現在全国に二百施設を超える救命救急センターの整備がなされておりまして、これは人口百万人に一か所を目安に設置をしております。しかしながら、地理的配置を見ますと、比較的人口の少ない地域において最寄りのセンターまで搬送に長時間を要する地域も多数残されております。そこで、新しい概念として出てきたのが地域救命救急センターでございまして、これは小規模、通常の救命救急センターはベッド数二十床以上ですけれども、これを十床程度でもいいということにして、小規模でそしてその地域を優先して整備する、そういった概念でございます。  こういった取組を通じまして、救命救急医療の確保に努めてまいりたいと考えております。
  233. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 御案内いただいたそのペーパーによりますと、この地域救命救急センター、全国に六か所設置する予定ということでございますけれども、この六か所についてはもう決定されたのか、まだ未定なのか、もしこれから決定するとすれば、そのタイムスケジュールについてお聞かせいただけますでしょうか。
  234. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 二十年度予算の事業でございますので、これから応募していただくことになりますけれども、私ども、できるだけ早く各県から要望を聴いて事務的に選定を進めたいと考えております。
  235. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 それでは、救急医療の今後のあり方に関する検討会というのが三月七日に厚労省で持たれておりますけれども、その議事録によると、地理的空白地帯であっても、周辺人口や重症患者の発生数からすると新たに施設を整備することが困難であると考えられる場合には、ドクターヘリや消防防災ヘリなどを活用した救急搬送体制を確立するなどして、センターの整備に替え得る体制を構築する必要性があるという考えでいいかというような問いがその中であったようでありますけれども、そうすると、この地域救命救急センターとそれからドクターヘリの整備はどのような関係になるでしょうか。
  236. 外口崇

    政府参考人外口崇君) ドクターヘリの母体となる病院は一般には救命救急センターでございますけれども、地域救命救急センターもドクターヘリの母体となることは可能でございます。
  237. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 このドクターヘリ事業については、平成十三年度から救急医療体制の更なる充実を図るというために全国展開をなさっているということでございます。救命救急センターに導入が認定されれば、年間一億七千万円の助成が交付されると。しかし、これ、原則一県につき一機ということになっております。  沖縄県の名護市にございます、北部にあるんですけれども、北部地区医師会病院というところに視察に行ってまいりました。ここは現在、この救命救急センターではありませんけれども、病院単体で年間八千万円の予算でヘリを飛ばしているという状況でございます。どのぐらい飛ばしているのかということでありますけれども、昨年の六月に始めてから、昨日ちょっと数を出していただいたんですけれども、ヘリの搬送数はトータルで百五十九件ということでございました。沖縄県の北部地区というのは、以前から産科医などの医師不足などの問題を抱えているところでございまして、いわゆる地理的空白地帯でございます。  一方で、厚生省の進めているこのドクターヘリ事業、沖縄県にどのように展開されるかといいますと、浦添に救急医療センターを認定されているということで、読谷村にヘリポートを置いて運航させるということでございまして、北部地区、今現にヘリを飛ばしているんですけれども、なかなか年間八千万の予算を捻出するのが厳しいということでございますけれども、今もう、現在ヘリが飛んでいるという状況の中でこれを取りやめるというのは大変に苦しい立場といいますか、地元からの要望も大変に強うございますので、その中で置かれたこの北部地区医師会病院は、今もう大変に何とかしたいというふうに思っているところでございます。  沖縄県は、距離にして東西千キロ、南北四百キロというふうに言われておりまして、その中で有人離島だけでも四十一島ある県でございまして、是非厚労省の皆さんにも、一県一機の原則ではございますけれども、こういった状況にあるところでは一県に複数機活用できるようなまた制度の拡充ということも考えていただきたいなというふうに思うんですが、この件に関して御意見を、御意見といいますか御答弁をいただきたいというふうに思います。
  238. 外口崇

    政府参考人外口崇君) ドクターヘリの配備につきましては、御指摘のとおり、地域によっては地理的要件あるいは重症者の発生件数等から同一都道府県内に複数か所へ配備することが適当なケースもあると考えておりますが、現在のところ国の補助としては、まずはその普及促進を図る観点から一都道府県当たり最大で一か所への補助を原則としているところであります。  しかしながら、ドクターヘリの効果的、効率的な配備の在り方については今後とも検討を行っていくことが重要と考えており、関係省庁も交え、複数か所も含めドクターヘリの配備の基本的な考え方についてその効果や効率性を勘案しつつ十分に検討を行ってまいりたいと考えております。複数機の配備の問題それから近隣県との連携して共同で持つ在り方、そういったことも含めてよく検討してまいりたいと考えております。
  239. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 ちょっと戻るんですけれども、先ほどの地域救命救急センターの件でございますけれども、この地域救命救急センターでもヘリを持つことができるというお話だったかというふうに思うんですけれども、このときの、ヘリを整備するセンターとして、その認定されたときのスキームといいますか、例えば一県の中に救命救急センターとそれからこの地域救命救急センターというのが一県の中に複数置かれるということが考えられるんだというふうに思うんですけれども、これとそのドクターヘリの設置の関係ですね、ちょっともう一度御答弁いただけたらと思います。
  240. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 救命救急センターあるいは地域救命救急センターを設置する制度とそれからドクターヘリの整備の制度は、これは別の制度でございます。ただ、ドクターヘリを整備する場合は一般的には救命救急センターあるいはそれに準じた地域救命救急センターが母体になるものと、そのように考えております。
  241. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 ちょっと通告外になるかもしれませんけれども、全国で一県の中でドクターヘリを複数機置いているというところはどのぐらいあるんでしょうか。
  242. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今、静岡がそうなんですけれども、これは一県、二機のうちの一機は県の単独事業でやっています。  それで、先ほどの委員問題意識、私も共有していまして、千葉県、この前千葉の南の方の亀田総合病院へ行ってまいりました。北の方には一機はいるんですけれども、大体あれは八十キロぐらいが範囲だと思いますから南まで飛んで来れない。そうするとやっぱり二機あった方がいいんですね。それで結局、アクアラインもありますけれども、あれを越えて神奈川の方から飛んでくる場合もある。  だから、一つは、ちょっと沖縄のことをおいておくと、日本全国でもう県境を越えてヘリが動かないといけない。これは遅々たる歩みなんですけど、まさに朝からございますように、少し頑張って来年度は予算を付けてドクターヘリをもっと増やしたい。大体一機の運営に二億掛かる。一億は国の予算、一億は地元の負担なんですね。だけど、これによる救命率が非常に高まっておりますから、特に離島を抱える沖縄というのは本当に生命線になります。ですから、今、北部の医師会の方々がおやりになっている、これを何とか活用できる形でできないか。  それから、そのヘリポートの、置けるヘリのホームベースというのをどこに置くかということで、基本的には救命センターがあるようなところに置きますけど、そこに置いてそこできちんと管理をしてもらうというようなことで、あとは夜間いろんな規制があって飛べないとか様々な問題がありますけど、私はこのドクターヘリを活用することによって一人でも多くの命を救うことが可能だと思いますので、また皆さん方の御協力もいただいて、できるだけ早期にまず各県全部そろえる、そして沖縄を始め広大な地域を抱えるところには複数あると、この必要性があると思いますので、全力を挙げて取り組みたいと思います。
  243. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 力強い御答弁を本当にありがとうございます。  私もこの北部のヘリ存続のために街頭での署名活動にも加わりましてやってまいりました。もう本当に地元の皆さんの関心がかなり高い。そして、そのニーズがかなりあるということを感じましたし、特に北部、皆様方も御存じかと思いますけれども、やんばるの地域でございまして、そこには観光客も多数見える。その中で、例えば滝の中だとか、森の中だとかでけがをなさったりするときに、やはりこのドクターヘリというのは不可欠であって、本当に観光立県としてこれから頑張っていこうとする沖縄にはやはり必要なものだというふうに私も強く感じておりますので、どうぞ大臣先頭に、このドクターヘリの導入促進についてはまたお力添えいただきたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。  また、次に移りたいというふうに思います。  新待機児童ゼロ作戦ということでございまして、舛添大臣は先日の所信表明で新待機児童ゼロ作戦を明言されました。私といたしましては、そのゼロ作戦はむしろゼロ大作戦と銘打って取り組んでいただきたいというふうに思うわけでございまして、今日はその大作戦への御提言もさせていただければというふうに思います。  その前に、この今回の新待機児童ゼロ作戦について、その具体的な施策についての、この具体的なものについてお聞かせいただきたいというふうに思います。
  244. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、長期的には十年後を目標になんですけれども総理の指示もあって、とにかく今後三年間を重点的にやろうということでまず保育サービスを、これは量的にも質的にも拡大しようということでありますので、家庭的な保育、いわゆる保育ママ、こういう手段を含めて保育の提供手段の多様化を図る、これはもう本当に保育所から始まっていろんなニーズがあると思います。  特に、働いている女性の場合に、この時間帯にこういうサービスが欲しいということがありますから、その保育ママを含めての保育手段の多様化、それから今度学校へ行くようになったときの放課後の児童クラブ、これ学校空いていますから、そこを拡大すると。それから、女性の就業率の高まりに応じて必要となるサービスが中長期的にどんどん増えていくと思いますから、どれぐらい働く女性のために必要かと、この量をきちんと確定したいと。それから、安かろう悪かろう、ただ数増やせばいいわけじゃなくて、やっぱり安心して子供を預けられる、じゃ保育ママさんでいいんですかと、こういう保育所で大丈夫ですかと、常にありますね。ですから、やっぱりお母さん方のニーズ、親御さんのニーズというのは、少々値段高くてもいいから質のいいところだというのがあるんですね。だから、その質もきちんと高めていきたいと。  そういうものをこれから三年間重点的に拡充するということで、厚生労働省としても省を挙げてこの課題に取り組んでいきたいと。そして、これは総理も大変熱を入れておられますので、政府全体の政策として展開してまいりたいと思います。
  245. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 ありがとうございます。  保育ママということが大臣から出ましたけれども、この保育ママの制度に関しましては、私といたしましても大変に評価できる施策だというふうに考えているところでございます。  一方、この保育ママの運用に当たってでございますけれども、各事情に沿って柔軟に対応すべきじゃないかなというふうにも思っております。大臣も御存じだと思いますけれども、この保育についてのニーズというのはもう大変に多岐にわたっております。保護者の生活環境の多様化に伴って様々なケースが考えられる。  逆に、サプライの方じゃなくて保育ママになろうとする人たちの生活パターンというものも様々であろうというふうに思っております。せっかくその保育ママとして仕事を始めたとしても続かなくなったりとか、何らかの障害が出てきたりとか、それが、制度がハードルになって前に進まない、続かなくなるということになると、子供を預ける人も、また保育ママの方も両方が不幸になるんではないかというふうに考えているところでございます。  せっかくの制度でございますから、あらゆるパターンを想定して、それにどう対処するのか。いろいろなものが出てくるかと思いますけれども、それを排除するのではなくて、もう前向きに検討するという心構えが必要なのかなというふうに思うんですが、この辺の件、いかがでしょうか。
  246. 大谷泰夫

    政府参考人(大谷泰夫君) 保育ママ、私どもは家庭的保育というふうに呼んでおりますが、この制度は特定の保育者が家庭的雰囲気の中で少人数の保育を行うものでありまして、個別で柔軟な対応が可能であるという特性がございます。一方で、保育所と異なりまして、家庭的保育者がその居宅等で単独で保育を行うことに伴う安全性とか質の確保、これもまた併せて求められるところであります。  こうした点を踏まえまして、保育の質を確保しつつ、その特性を生かした多様で柔軟な家庭的保育の実施が可能となりますように、今御指摘ありましたけれども、家庭的保育者の要件であるとか、それから市町村の支援体制等、この実施やその運用等を定めます実施基準、それからガイドラインを今後策定するわけでありますが、今御指摘のような観点、十分踏まえて検討していきたいと思います。
  247. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 昨年からこの保育ママの運用について那覇市の案が上がってきているんではないかというふうに思うんですけれども、この件に関しての検討といいますか、進捗状況はいかがでしょうか。
  248. 大谷泰夫

    政府参考人(大谷泰夫君) この家庭的保育の運用について、特に那覇市からの御提案ということの御質問でありますけれども厚生労働省といたしまして、この家庭的保育の当面の運用あるいは今後の制度化に当たって、この事業の実施主体である市町村を始め関係者の御意見を踏まえながら、柔軟な対応をしていきたいという基本的なスタンスで進めているわけでありますが、今御指摘にありました那覇市からも、この家庭的保育制度を活用した認可外保育施設への支援といった形の要望をいただいているところでございます。  この中身についてでありますけれども、認可外の保育施設を、その設備を活用して家庭的な保育を行うということになりますと、この家庭的保育事業と、それからいわゆる認可外の保育施設、区分が明確でなければ、これ混在して非常に不安定になる。また、家庭的保育事業の自立的な運営を確保するということも必要があるということでございまして、現在この具体的な在り方につきまして、那覇市の御提案の趣旨も十分踏まえまして協議を続けているところでありますけれども、その趣旨を生かす方向で持っていきたいと考えております。
  249. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 地方自治体から出るアイデアというのは、やはりその地方の事情にかんがみて出されるものだというふうに思っておりますので、脱法でない限り地方にある程度任せてもいいのかなと私は思っております。こういった柔軟性を持たせることが、むしろ待機児童ゼロ大作戦になるんではないのかなというふうに思っておりますので、今後いろいろな検討をお願いしたいというふうに思っているところでございます。  ところで、沖縄県の待機児童、まあ昔から数が多いというふうに言われておりますけれども、現在その人数は何人で、全国ランキングは何位なのかということをお聞かせいただけますか。
  250. 大谷泰夫

    政府参考人(大谷泰夫君) 沖縄県の待機児童数は、平成十九年四月一日現在で千八百五十人となっておりまして、これを都道府県別で見ますと、二番目に待機児童が多い県というふうになっております。
  251. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 全国二番ということで、一番は多分東京都なのかなというふうに思います。絶対数が多いということなのかなというふうに思うんですけれども。沖縄県はなぜこんなに立ち遅れたのか、改めて御答弁いただきたいと思います。
  252. 大谷泰夫

    政府参考人(大谷泰夫君) 沖縄県におきましては、認可外保育所の施設数あるいは需要児童数がこの認可保育所に匹敵して、全国平均に照らしましてもこの認可保育所の整備が十分に進んでいないと、こういった状況にあることが一つであります。  このように、いわゆる認可保育所の整備が進んでいないという要因といたしまして幾つか挙げられておりますが、一つは、復帰前の施政権の下では一年保育の幼稚園が整備されたのに対しまして、その公的保育施設の整備にいま一つ力が入らなかったという歴史的な経緯があったということを承知しております。  それから二つ目としては、その復帰後も市町村財政が脆弱であって、認可保育所の整備が遅れたという事情もあったかと思います。  また三つ目には、近年、沖縄県におきまして認可保育所の整備には随分御努力いただいているのは事実でありますけれども、全国一の高い出生率といったことを背景に保育需要が高いレベルで推移しているということがあると、この辺の理由が大きいものではないかと考えております。
  253. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 今、合計特殊出生率というお言葉が出ましたけれども、沖縄県、全国が平成十八年度、一・三二の合計特殊出生率に対しまして、沖縄は一・七四ともう大変高いわけでございまして、多良間村というところがありますけれども、そこは何と三・一四ということでございまして、全国一子供が多いということは大変に歓迎すべきことなんだろうと思うんですが、一方で、沖縄の一人に対する平均年収は約二百五十四万円、先ほど中村先生のお話の中に、介護に携わる方の給与についてのお話もございましたけれども、そこから比較をいたしましても、やはり沖縄県の一人の平均年収の二百五十四万というのは大変にもう何とかしなければいけないと改めて思うところでございます。  その中で、そういった収入の中から子供の教育費を捻出していると。かなり逼迫した中での生活を強いられているのが沖縄県の姿でございまして、だからこそやはり国による子育て環境の整備を一番必要としているところは沖縄なんだなというふうに思うところでございます。  一方で、沖縄県の子育ては昔から助け合いといいますか、人の子も自分の子もみんな一緒という中で、私も四人の子育て今真っ最中でございますけれども、こういった沖縄の風習といいますか、子育ての仕方に大変助けられておりまして、しかしながら、やはり例えば認可外保育園に兄弟を二人、三人預けるとなると、その月謝だけでももう大変でもう限界だなという声も聞こえてまいります。  そんな中で、昨年の十一月、沖縄県議会が沖縄振興策として認可外保育園の抱える給食費の格差是正を訴える決議ということを採択して陳情に上がってきておりますけれども、この件について関係部局の認識をお聞かせいただきたいというふうに思います。
  254. 清水治

    政府参考人(清水治君) お答え申し上げます。  認可外保育施設につきまして、給食費などにつきまして財政支援を求める要請が沖縄県等からあることは承知しているところでございます。  沖縄県におきます保育対策につきましては、沖縄振興計画におきまして、一つは認可外保育施設の認可化の促進、また職員に対する健康診断の実施などによる認可外保育施設の質の向上を図ることとされているところでございます。  これらを踏まえまして、内閣府におきましては、沖縄における公立保育所の整備につきまして沖縄振興特別交付金による一定の支援を行っているところでございまして、また子育て家庭の就労支援モデル事業によりまして余裕教室などを活用したモデル的な保育施設の設置を支援しているところでございます。  さらに、厚生労働省におかれましては、認可化促進に加えまして、認可外保育施設の質の向上を図る観点から、認可外保育施設に従事される職員に対する健康診断や保育従事者に対する研修事業などについて施策を講じておられるものと承知しているところでございます。  いずれにいたしましても、引き続きこれらの問題に関心を持ちまして、関係省庁に対しまして一層の取組が行われるよう働きかけてまいりたいと考えているところでございます。
  255. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 是非、引き続きよろしくお願いしたいというふうに思います。  ちょっと時間がないので最後の質問になるかというふうに思いますけれども、現在、幼稚園、それから小中学校の米飯給食の推進のために政府の買い上げている備蓄米が無償提供されるというスキームがございますけれども、まずこの政府備蓄米ということに関しての答弁をいただきたいというふうに思います。そして、ちょっと時間がないのでまとめて御質問いたしますけれども、是非厚労関係の保育施設とか福祉施設にもこの政府備蓄米が無償提供される道筋といいますか、このスキームをつくっていただきたいというふうに思うんですが、この件に関して御答弁をいただきたいと思います。
  256. 平尾豊徳

    政府参考人(平尾豊徳君) お答えいたします。米飯学校給食でございます。  これは、私ども、子供たちが米を中心とする日本型食生活を継承して米の消費拡大を図っていくという上で極めて重要だと考えております。そういう観点から、農林水産省といたしましては、米飯給食の推進を図るという観点から政府備蓄米の無償交付制度を実施させていただいているわけでございます。この政府備蓄米でございますけれども、これは、国が不測の事態に備えまして、品質保持の観点から、低温保管倉庫で一定期間備蓄しているものでございます。先ほど委員から御指摘いただきましたように、これは幼稚園あるいは小中学校の学校給食用に主に無償交付をさせていただいているわけでございます。  御指摘の保育所でございますけれども、これは私ども、実はこの無償交付の対象とすることも含めまして、平成十二年に調査をさせていただきました。その結果、実はその当時全国平均で四・三回というふうなことで相当程度米飯給食が進んでいるというふうなことでございました。一方、小中学校は、実は昭和六十年に目標を週三回と立てて今取り組んでおるわけでございまして、そういう観点から今までの段階では保育所を対象としていなかったわけでございます。  一方、委員からも御指摘ございましたように、沖縄県から実は昨年来御相談をちょうだいしておるわけでございます。その過程で、私ども、意見交換を何回かさせていただいているわけでございますけれども、先ほど沖縄県の予算の中で給食費として保育所の分も計上されたというふうなことを承知しているわけでございますけれども、その後、私ども、沖縄県から具体的な対応について改めてまだ御相談をちょうだいしておりませんので、今後、そういうふうな沖縄県とのやり取りを含めまして、どういうふうなことができるかについて検討させていただきたいと思っております。  以上でございます。
  257. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 その件、今お話しの中で一つ指摘をしたいんですけれども、保育所若しくは福祉施設にこのスキームを別につくってほしいということと、それから沖縄県の認可外の子供たちのための給食費の格差是正のために政府の備蓄米をという話とはちょっと別に考えていただきたいというふうに思うわけでございます。でないと、ちょっとこれが混乱してはうまいこと話が進まないなというふうに率直に思うものですから、これは是非別に考えていただきたい。  今日ここで強く要望したいのは、厚労関係の、結局、幼稚園、小学校、中学校というのは文科省マターでありますけれども、これを、このスキームを保育所それから福祉施設、まあ保育施設ですね、含めてこちらに道を開いていただきたいという要望でございますので、よろしくお願いいたします。  ちょっと時間がございませんので、今日はこの辺で終わりたいと思います。ありがとうございました。
  258. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。    〔委員長退席、理事家西悟君着席〕  今日は、第百六十九国会における厚生労働大臣の所信表明に関連しまして質問をさせていただきたいと思います。  昨年の秋の臨時国会のときにも一度質問をさせていただきましたけれども厚生労働大臣主宰の人生八十五年ビジョン懇談会ですか、こういうものができたということでありまして、今まで何度か会合が開催されたということであります。  これまでどういう議論がなされ、その検討状況について厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  259. 小野晃

    政府参考人小野晃君) お答え申し上げます。  この懇談会は、厚生労働大臣が主宰する懇談会として各分野の有識者十八名の方にお集まりをいただきまして、昨年十二月十九日に第一回の会合を開催して以来、委員からの発表も交えながら、月一回から二回ずつ検討を進めてまいりました。  直近、三月十九日に開催されました第五回会合で、これまでの議論を整理をいたしましたたたき台を基に、ビジョンの取りまとめに向けた議論を行っていただいたところでございます。  これまでの議論の主な内容としましては、第一に、人生八十五年時代を生き生きと充実して過ごすための基礎づくりという観点から、生涯にわたる健康対策や生涯にわたる様々な学習機会の確保の重要性、とりわけ児童、学生、社会人それぞれが老いや病を抱えて生きる方々の療養や生活の場でボランティアとして参加する仕組みの整備の必要ですとか、あるいは、命の有限性と大切さを学び、他者との関係性の上に自らの人生があるということを改めて認識してもらうための生涯教育の推進が不可欠であるというような指摘がなされております。  それから第二に、これからの働き方につきましては、今までのいわゆる短距離走型の働き方と異なるマラソン型あるいはトライアスロン型の職業生涯にしっかり準備、対応ができますように、節目節目での長期休暇取得のための環境整備が重要との指摘がなされておりまして、また、働き方の見直しの前提として、いわゆる年中無休の二十四時間営業などの営業時間やサービス提供の在り方も見直していく必要があるんじゃないかと、こんな意見も出されているところでございます。  それから、人生八十五年時代の課題といたしまして、我が国に根強く存在する年齢により一律に区切る考え方を改めていくことが必要ではないかという観点から、幾つになっても働ける社会づくりに向けた取組ですとか、他者との有意義なかかわりが人生を豊かなものにするという意味で、他者とのつながりを基盤としたコミュニティーにおいて様々な世代の人々が交流し支え合っていけるような地域再生への取組の必要性等について議論がなされているところでございます。  以上でございます。
  260. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 三月に取りまとめをするというような最初のそういうスケジュールであったようですけれども、この取りまとめの状況あるいは今後のスケジュール等ございましたらば、その点も厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  261. 小野晃

    政府参考人小野晃君) お答えをいたします。  非常に扱うテーマが幅広いテーマでございまして、様々な議論、意見をいただいているところでございまして、更に議論を深めてより良い報告書を作っていただくということで、今後につきましては、次回の懇談会を四月中旬に開催をする予定にいたしておりまして、そこで報告書の素案をお出しいたしまして議論をいただくことにしております。そこでの議論を踏まえて、できれば今月中に報告書を取りまとめていただければと考えております。
  262. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 こういう、人生八十五年ですか、八十五年ビジョンということで、大変すばらしいテーマで議論をされているわけでありますけれども、こういうものを、議論を取りまとめされてこれをどのような形で活用していくのか、こういう点に関しまして舛添厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
  263. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私がこの会合をやりたいと思ったのは、年金問題にしても薬害肝炎の問題にしても、今ある問題を処理する、ある意味でいろんな意味での過去から引き継いできた難問を解決する、しかし、それだけでいいんだろうかと。やっぱり夢と希望というのを日本人に与えないといけない。そして、世界で一番長生きできる国民になったということは、やはりそれなりの国民努力があり、この国がすばらしいものを持っているからだと思いますので、それで、しかしいろんな問題に直面している。やはり人生六十年時代から八十五年時代になったら働き方も変えないといけない、生き方も変えないといけない。  今ワーク・ライフ・バランスなんということも言っているのもそういうことの一環でありますので、多岐な人材がそこに入り率直な意見をいただいておりますので、報告書をまとめ、それを基にして本当に日本人がこれからの未来の日本について夢と希望が持てるような、そういう大きな提言をしていく。そして、それに沿った形で必要な、構造的な、抜本的な改革を厚生労働省そのものに対しても行いたいと。そういう思いで今この新しい研究会のビジョンを取りまとめているところでございます。
  264. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 目的の中で、前にもお話聞きましたけれども、ヨーロッパにおける長期休暇とか、そういう課題もあり、またエージフリーの雇用というか、そういう観点もありということで大変期待をしておりまして、すばらしいビジョンがまとめられ、それが活用されることを願っておるわけでありますけれども。  以前、小渕総理がいらっしゃったときに私もちょっと質問をしまして、医療の分野では、最初は延命長寿と、とにかく長く生きていただくためにいろんな医療を活用してきた、あるいは福祉を活用してきた。次には健康長寿ということで、ただ長く生きるだけではなくて、健康で長生きをしてもらおうということで様々な施策が展開されてきた。今度は健康長寿で長く生きると、今度中身が問題だということで、私としては、そういう、長く生きられるようになったらば、やはり自己実現というか、自分のいろいろな思い、希望等を実現するためにそれを、長い人生を有意義に生きていくということで、創造長寿、いろんなものを創造すると、創造長寿ということを考えたらどうかということを小渕総理にも質問をしたことがあったわけですけれども、まさに、いろいろな人生、長生きできて、その中身を充実させるということで様々な御意見を聞きながらまとめられて、これをやはり夢のある形にしていただいて、少し日本も、今なかなかいろんな様々な課題があって日本人も少し希望を失いつつあると、閉塞感にとらわれているということでありますので、そういうものを打ち破るためにも、そういう新しいビジョン、夢のあるビジョン、そういうものをまとめていただきたい。そのように思っておりますので、期待しておりますので、今後の取りまとめ頑張っていただきたいと思います。  次に、福田総理大臣の下に設置されました社会保障国民会議の会合がこれまで何度も開催されているわけであります。社会保障がテーマでありますので、厚生労働省も参加をしているということでありますが、これまでの経緯、議論の概要、今後のスケジュールに関しまして厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  265. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 社会保障国民会議でございますけれども、本年の一月の末に設置をされております。  この国民会議では、社会保障の将来像、あるべき姿、これを見据えまして、給付やサービスはいかにあるべきか、それからまた、その将来像を実現するために政府が担うべき役割は何か、あるいは個人や企業が担うべき役割は何か。同時に、この制度やサービスを支えるための負担をどのように分かち合うか、こういったことにつきまして国民の皆様に社会保障の将来像が具体的に目に浮かぶような議論をしていただくということで開かれておりまして、本日まで二回、親の会議が開かれているところでございます。  また、幅広く国民各層の意見を反映されるようにということで、雇用や年金といった所得確保・保障、それから医療・介護・福祉といったサービスの保障、少子化・仕事と生活の調和について議論する持続可能な社会の構築、この三つの分科会が設置をされておりまして、様々な角度から、それぞれ今一回開かれておりますけれども、御議論をいただいているところでございます。  今後でございますけれども、この分科会の議論と並行いたしまして、国民会議の親会の方は一、二か月に一回程度のスケジュールで開催されまして、六月ごろを目途に中間的な議論の整理、秋ごろに最終的な取りまとめを行う予定であると聞いているところでございます。
  266. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 この会議には舛添厚生労働大臣も参加されていると、そのように聞いておるわけでございますけれども、参加されてどのようなお考えを持っておられるのか、どういう思いを抱いておられるのか、この点をお聞きしたいと思います。
  267. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この社会保障国民会議はいろんな分野の方が参加しておられて、例えば経団連の代表の方もおられれば連合の代表の方もおられる、それから老人施設の関係の方もおられる、それから障害者のお子さんを育てた方もおられる。非常に自由濶達な意見が出ておりますので、まさに国民会議の名にふさわしいと思います。    〔理事家西悟君退席、委員長着席〕  そういう中で、私の分野でもありますので、社会保障は、全力を挙げて事務局もみんなこれを支え、私も自由に意見を述べさせていただいていますので、その成果をきちんと出るような形に努力し、また協力をしてまいりたいと思います。
  268. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 先ほどの人生八十五年ビジョンとも非常にかかわってくる問題だと思うんですね。やはり年金、それから雇用、それから医療、介護の問題等々、本当に今様々な課題を抱えておりますので、衆知を集めていい議論をしていただいて、これを政府の政策の方にしっかり生かしていただきたいと、そういう思いでございますので、また折につけいろいろ質問をさせていただきたいと思います。  さて、舛添大臣、二月末に大臣就任半年たったということでございまして、そのときに大臣の御所見等を述べられておるわけでありますけれども、失われた厚生労働省に対する国民の信頼を回復するため、反省すべきは反省し、改革すべきは改革し、国民の目線に立って新しい厚生労働省の組織に生まれ変わらせると、そのような決意を示されたということであります。  舛添厚生労働大臣として、今後厚生労働省の改革にどのように取り組まれていくのか、その点をお伺いをしたいと思います。
  269. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 先ほど午前中の質疑でもありましたように、私は国民と情報を共有する、その視点が欠けている、そう思いますので、各部局に広報の担当の委員を任命いたしました。そして、その委員を中心になって、いろんな問い合わせがあればそれを窓口にしてきちんとやるんだということで、今ホームページ、もっと見やすく、もっと早く、もっと中身を充実したものにする。それから、テレビに対してどうするか、つまり放送メディアに対して、活字メディアに対してきちんと情報提供しているか、そういうことをきちんとやっていますので、これがまず第一。  それから、やはり一つのシンボルというか、ちょうど日の丸とか君が代と、そういうシンボルがあるように、やはり自分たちの省はこういうアイデンティティーの下に国民のために働くんだと、いわゆるシンボルがないんです、厚生労働省。ロゴマークがありません。これを一般公募いたしまして、連休明けぐらいに国民の皆さんにマークを作っていただくと。どういう思いであるかというコンセプトも、概念も付けていただく、これをまずやりたいと思っています。  それから、私だけが開くことができるメールアドレスでセキュリティーを掛けて、改革ホットラインということで全職員から自由に意見をもらっています。これは各人きちんと部局と姓名をはっきり書いて、そしてこういう意見だということをみんなまじめに、非常に建設的な意見がたくさん出ておりますので、今これを具現化する作業に既に入っております。  それから、やはり最終的には、その前に、それから審議会とか委員会、そういうものが何か役所の既得権益を守るための隠れみのになっちゃいけませんので、そこの人選からして厳しく問いただすということで、基本的に新しい血を入れると。もう何もかも厚生労働省の弁護しかしないような委員にはお引き取り願う、むしろ反対する意見の方も入ってもらうということでやっておりまして、今C型肝炎の問題の検証についても、同じような方針で検証委員会を肝炎の弁護団それから原告団と議論しながら決めております。  そういう意味で、次は、審議会、委員会、検証委員会、そういうのの次はいよいよ本丸の厚生労働省そのものですから、これに対して改革準備室というのを開設しました。これを改革推進室にやがて格上げして、そして人事、組織、機構を含めて新しい時代にふさわしい厚生労働省に生まれ変わらせるために大なたを振るいたいと、そういうふうに思っております。
  270. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 厚生労働省のマークも作っていくというようなお話でありましたけれども、私の今居住している米沢の方では、来年、NHKの大河ドラマで「天地人」というのをやるわけでありますが、直江兼続という上杉景勝の参謀のことが中心になるんですが、そのかぶとの前立てが愛という前立てでございまして、まあマークといえばマークなんでしょうけれども、これ仁愛という意味での愛のようでありますけれども、すばらしい厚生労働省のマークができて、やはり国民を自立させ、また優しく見守っていただけるようなすばらしいマークができればと、そのように思っております。  今大臣の方から厚生労働省の改革準備室ということでお話がありまして、いろんな内部の方で思い、いろいろな改革の案を省庁の方々も抱いているということであると思うんですね。そういうものをきちんとホットラインでお聞きして改革に生かしていくというようなお話だと思うんですが、先ほどお述べになられましたことへもし何か追加することがあれば、この改革準備室についてお伺いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  271. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 準備室に来ています改革ホットラインの職員からのメールの中身ですけれども、ノンキャリの方から非常にたくさん来て、つまりこういうことをノンキャリの立場としては変えたいんだというのがあります。それから、薬事行政の中核にある方々から、こう薬事行政は変えないといけないと。そうすると、アメリカのFDAのようなものにする方がいいかどうか、それから今の私たちが持っている組織をどう変えるか、こういうこともございますし、先ほど申し上げましたような広報の在り方、こういうことを含めてきちんと成果を生かしていって、やがては改革推進室の方に格上げしたいと。全力を挙げてやりたいと思います。
  272. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 広報のことは広報委員会のこともお話ありました。  あと、年金関係特別チームというものも大臣設置されたということでありまして、年金の問題等、今日の委員会でも様々な質問あったわけでありますが、とにかく社会保険庁、様々なことがありまして、もう解体的な出直しをするということになっておりますが、この年金関係特別チーム室の設置の目的と今後の活動についてお伺いをしたいと思います。
  273. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まず、既に年金記録問題の作業委員会というのを、そういう諮問委員会を私の下につくっておりまして、これでいろんな作業を外部の人の力、例えばそこに社会保険労務士の方々もおられます。それから年金問題の専門の評論家の方もおられます。そういう方々と組んでやっておりますけれども、さらに、社会保険庁そのものに食い込んでいって、こういう委員会なんかで各会派からいろんな質問が出ます。そういうことについて、私の体が一つですから、例えばどこどこに視察に行ってワンビシのこの台帳がどうなっているか、お台場の状況はどうなっているか、とても一つの体じゃ足りません。ですから、私の分身として、これは守秘義務を掛けて中にまで入り込めるようにしていますから、具体的に一つ一つ調査をしていく。そして、この二千二十五万件についても、どこでどういう問題があるのか、そのことを報告してもらうということで、これを設置して、今フル稼働で十数名作業をして、先般も報告をいただきましたけれども、大変大きな成果が上がっていると思います。それを活用して、きちんとした年金記録問題への解決に全力を挙げたいと思っております。
  274. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 国民も、舛添大臣にはこの年金記録の問題も含めまして社会保障制度の改革を是非ともしていただきたい、そういう声が大きいと思いますので、しっかり改革に取り組んでいただきたい、また安心の社会保障制度をつくっていただきたいと思います。  次に、薬価制度改定についてお伺いをしたいと思います。  舛添大臣は三月五日に今回の診療報酬改定に伴う薬価改定基準改正を告示をしました。今回の薬価改正の概要について厚生労働省にお伺いをいたします。
  275. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) お答えいたします。  平成二十年度薬価制度改革におきましては、革新的新薬の適切な評価に重点を置きながら、他方で特許の切れた医薬品につきまして後発品への置き換えが着実に進むような、そういった薬価制度とすることを主眼として見直しを行ったところでございます。  具体的に申し上げますと、画期的な新薬などに対します薬価の加算率の引上げ、それから加算要件の緩和を行ったということがございます。また、類似薬がない新薬の算定に用いられる原価計算方式におきまして、その革新性等の程度に応じまして積算に用いる営業利益率に差を設けること、それから後発品が初めて薬価収載された先発品の薬価の追加引下げ率を緩和すること、こういったことを行ったところでございます。
  276. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 画期的医薬品等、やはり患者さん方も、今治らない病気でも新しい薬品開発されればそれで治せるようになるという、そういうことがこれからも出てくると思いますので、そういうものはきちんと認可をしていただいて用いられるようにしてもらいたいと思うんですが、不採算品というのがやはり出てまいりまして、こういうものを再算定していくことになるわけでありますけれども、このようなときにどのような今回改定で配慮がなされているのか、この点をお伺いをしたいと思います。
  277. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) ただいまお尋ねのありました不採算品再算定についてでございますが、これは、既に薬価収載されている医薬品のうち、関係学会等から供給継続の要請があるなど医療上の必要性は高いと、一方で、薬価が低額で不採算に陥っておりまして企業が供給を継続することが困難であるもの、こういったものにつきまして、その原価に基づいて薬価を引き上げる制度でございます。平成二十年度の改革におきましては、これまで製品の原価に基づいた薬価を算定するに当たりまして営業利益率はゼロ%としていたところでございますが、企業の経営効率を精査した上で、全製造業の平均的な営業利益率である五%を上限として認めることとしたところでございます。  このような不採算品再算定の見直しによりまして、臨床上有用で不採算に陥っている、こういった医薬品の安定供給がより適切に確保できるものと考えております。
  278. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 関連あるわけでありますけれども、市場性加算という考え方があるわけでありますが、今回はそういう市場性加算、どうしても必要な医薬品がきちんと用いられるように加算をするわけでありますが、このことに対しての今回の改定での考え方、結果について厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  279. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 市場性加算、お話のありました仕組みでございますけれども、これは希少疾病用医薬品、いわゆるオーファンドラッグとして指定されたものなど、市場規模が小さい医薬品につきまして、新薬の薬価算定に当たって薬価の加算を行う仕組みでございます。平成二十年度の改革におきましては、市場性加算の加算率を引き上げるということをいたしました。  それから、これまで類似の薬理作用を有する医薬品が薬価収載されている新薬につきましては市場性加算の対象にはしていなかったところでございますけれども、薬価算定の比較薬が市場性加算を受けていなければ加算の対象とするよう要件を緩和するということを行ったわけでございます。  このような見直しによりまして、患者数が少なくて有用な医薬品の評価というものがより適切に行われるものと考えております。
  280. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今もお話しありましたけれども、市場規模が小さくてなかなか有用な新薬の保険適用ができない、あるいはそれが用いられなくなってしまうというようなことがないように、いろいろ薬価改定のときにも配慮をいただきたいと思うんですが、こういう希少医薬品について、外国で製造されるようになった場合には日本でも認可されてきちんと使えるように、こういう点をどのように舛添大臣はお考えになっているのか、お伺いをしたいと思います。
  281. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いわゆる希少性な疾病の薬、オーファンドラッグについて、これ市場規模が小さいからといって、これだけ有用なものが供給できないということはあっちゃならないと思いますので、いろんな加算制度を含め、確実にこういうオーファンドラッグなどが供給できる体制を維持し、また拡充していきたいと思います。
  282. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 以前、NHKでムコ多糖症の薬剤が、新薬が開発されたと、日本でも早く使えるようにすべきだというような、そういうテレビが放映されまして、やはりうちの公明党の支持者の方からも、もうこういう大事な薬は早く日本でも認可して、患者さんの数は少ないんだけれどもどうしてもこれでなければ治せない、そういう医薬品があれば早く承認をして日本でも使えるようにと、そういう要望をいただいたことがありますので、こういう大事な医薬品、有効な医薬品はきちんと、市場規模が小さくてもメーカーに供給していただけるように御配慮をお願いしたいと思います。  次の質問で、もう余り時間もなくなってまいりましたけれども、先ほども沖縄におけるヘリコプターを使った救急医療について島尻委員の方から質問がございました。  救急のときにヘリコプター使うばかりではなくて、日常でも診療に、巡回診療にヘリコプターを使っていくという試みもなされているわけでありますが、このヘリコプターを活用した巡回診療の現状と今後の推進策について、厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
  283. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 離島が点在する地域等におきましては、移動手段として船舶を利用する場合には相当の時間を要しますことから、船舶に代えてヘリコプターを活用した巡回診療を実施することが効果的と考えられます。  このため、平成十九年度予算に新たに離島巡回診療ヘリ運営事業の予算を計上したところであり、鹿児島県においてヘリコプターを活用した耳鼻咽喉科の巡回診療が開始されたものであります。この事業については、平成二十年度予算においても引き続き所要の金額は計上されておるところでありまして、今後とも着実に事業を実施してまいりたいと考えております。
  284. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 また、離島等でどうしても地域に拠点病院がないというときに、やはり離れたところの拠点病院に行かなければいけない、そういう場合に日帰りできないということで宿泊施設等を使わなければいけないと、そういうことで、厚生労働省の方も宿泊施設等の整備や支援を行っているということでありますが、この現状について、また今後の対応について、舛添厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。
  285. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 平成十八年度の補正予算におきましてそういうための予算を付けまして、これは島根県の隠岐地域の住民の方々が本州の方に来られたときに使えるようにつくったわけでありますけれども、二十年度予算にも同じような予算を計上しておりますので、今後ともこれは進めていきたいと思います。
  286. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 最後の質問になりますが、ドクターヘリの話が先ほど島尻委員の方からありました。  日中は運航するんですが、夜間の運航はまだ行っていないわけであります。夜間もきちんと運航できるように、モデル事業としてこれを推進を図ってもらいたいという思いがあるわけでありますが、この夜間運航につきまして、厚生労働省の方、どのようにお考えになっているのか。また、消防防災ヘリを担当している消防庁の方のお考えもお聞きしたいと思います。
  287. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 夜間運航に当たりましては、夜間照明付ヘリポートの整備に加え、飛行そのものの安全性、あるいは離着陸場付近における騒音といった種々の課題を克服する必要がありますことから、都道府県、運航会社等の関係者が地域の理解を得つつ慎重に検討していくことが必要と考えております。  また、夜間の救急搬送手段としては他機関のヘリコプター等の活用も考えられますことから、都道府県においては、地域の実情に応じ、関係機関との連携協力によってそうした手段の活用も想定されます。  いずれにいたしましても、ドクターヘリを有効に活用していく中で夜間運航の重要性が増していくと考えられますことから、厚生労働省としても、厚生労働科学研究事業等を活用しながら必要な検討等を行ってまいりたいと考えております。
  288. 岡山淳

    政府参考人(岡山淳君) お答えいたします。  消防防災ヘリコプターにつきましては、今年の三月末現在全国の四十五の都道府県にございまして、計五十二団体に七十機、消防本部が持っておりますのが二十八機、同県が持っておりますのが四十二機の計七十機でございますけれども、配備されております。その任務は、消火、救助、救急、情報収集と多岐にわたっておりまして、出動件数は年々増加傾向にございます。  近年増大する救急需要を踏まえまして、消防防災ヘリコプターの機動力や高速性を生かした救急活動に対し国民から大きな期待が寄せられておりまして、地域の救急活動を確保する上で重要な役割を果たしているものと認識をしております。  夜間運航につきましては、現在埼玉県、仙台市消防局及び東京消防庁の三団体が、操縦士、整備士及び隊員の常駐による二十四時間体制で実施をしております。  また、夜間、自衛隊ヘリコプターが島嶼地域における救急搬送を行う際に、離着陸場所に照明設備がない場合には自動車の前照灯などで明るく照らすようなことをいたしまして、地元の消防機関などが支援活動を行い、救急活動に支障が生じることがないように対応しております。  先生御指摘のとおり、夜間における迅速な傷病者搬送や地震など災害発生時の対応は大きな課題でございまして、また夜間運航に必要となります夜間照明付ヘリポートの整備が重要であると認識しております。こうしたことから、消防庁といたしましては、昨年十月に消防防災ヘリコプターの効果的な活用に関する検討会を発足させまして、消防防災ヘリコプターの救急活動への積極的な活用及び三百六十五日、二十四時間運航体制の構築などに向けまして、夜間運航を実施している団体の取組を参考にしながら、交代制勤務の人員編成はもとより、夜間に離着陸が可能なヘリコプターなどの整備などを含めまして現在検討を進めているところでございます。
  289. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 ありがとうございました。     ─────────────
  290. 岩本司

    委員長岩本司君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、風間直樹君が委員を辞任され、その補欠として舟山康江君が選任されました。     ─────────────
  291. 山本博司

    ○山本博司君 公明党の山本博司でございます。  本日は、中国産の冷凍ギョーザによる中毒問題と、心身障害者扶養保険制度についてお伺いをいたしたいと思います。いずれのテーマも国民の信頼を築くことが重要となりますので、不安解消に向けた取組をお聞かせ願いたいと思います。  去る一月三十日に中国製冷凍ギョーザによる中毒問題が発覚してから、既に二か月が経過をいたしました。日中両国の捜査当局が捜査を進めていますが、何らかの人為的な事件であるという点では一致していながら、いまだに断定的な結論を出しておりません。原因の究明が国民の食に対する信頼を取り戻す第一歩であると考えますが、日中双方で何が課題となって意見が分かれていて原因究明が遅れているのか、進捗状況についてお答えをいただきたいと思います。
  292. 小野正博

    政府参考人小野正博君) お尋ねの事案につきましては、これまで本件ギョーザの流通経路の解明関係者からの事情聴取等の日本国内における捜査が可能な項目につきましてはかなりの部分が終了しているところでございます。今後は、まだ完全に終了していない本件ギョーザと同一製造日のギョーザの鑑定を継続するなど、国内において残された捜査事項について捜査を早急に完遂する必要があると考えております。  これまでの捜査におきまして、密封された袋の内側からメタミドホスが検出されたこと、検出されたメタミドホスには不純物が混在し、日本では入手できる純度の高いメタミドホスとは異なっていること等々が判明しておりまして、日本国内においてメタミドホスの混入した可能性は極めて低いというふうに見解を示しております。  他方、中国側は、中国国内においてメタミドホスが混入された可能性は低いとの見解を示しているところでございまして、現時点におきましては両国間の見解が必ずしも一致していないという状況でございます。
  293. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。  来月とも言われております胡錦濤国家主席の訪日までには何らかの結論が必要ではないかと思いますので、日中間の捜査当局が連携を密にしながら原因を究明していただきたいことを要望いたしたいと思います。  こうした状況の中で、二月二十二日に政府は再発防止策を発表いたしましたが、この副題は「原因究明を待たずとも実施すべき再発防止策」、このようなタイトルで、速やかに実施することを申し合わせております。その中で監視体制の強化策を打ち出しておりますけれども、検疫所における輸入食品の監視体制の強化について厚生労働省としてどのように取り組む考えか、御説明をお願いをしたいと思います。
  294. 藤崎清道

    政府参考人(藤崎清道君) お答え申し上げます。  輸入時の監視体制の強化策につきましては、まず、引き続き、検疫所の食品衛生監視員の増員や検査機器の整備を図ることといたしておりますが、このほかに、まず、一定レベルの検査技術が確立した残留農薬の加工食品における検査の実施、また、有毒有害物質の混入防止に係る輸入者の自主管理の推進を目的としたガイドラインの策定、さらには、輸入業者の自主管理及び検疫所における監視強化に資するための残留農薬検査法の開発等の対応をすることとしたところでございます。  なお、既にこの間行われております加工食品の残留農薬検査の結果につきましては、これまで、昨日現在でございますが、三月三十一日現在でございますが、三百十検体について検査を実施し、そのうち二百八十七件の検査が終了しておりますが、これまでに違反は確認されておりません。  いずれにいたしましても、引き続き、輸入食品の安全確保体制の充実に努めてまいりたいと考えております。
  295. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。  輸入冷凍食品、加工食品の残留農薬検査、これまでは行われていなかった部分でありますけれども、技術的な問題もあると思いますけれども、水際の監視体制、この強化というのは、大変、食品の安全、安心の確保の上では大事でございますので、今後ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。  また、先月の末で都道府県などにあった相談、報告数の集計を終了しておりますけれども、終了結果に関しまして御説明をいただきたいと思います。
  296. 藤崎清道

    政府参考人(藤崎清道君) お答え申し上げます。  三月三十一日、十五日現在の集計結果でございますが、これまで五千九百十五名の方が保健所への相談が全国的に行われております。  この結果、有機燐系の農薬にかかわる中毒であることが確認された患者はございませんで、これまで、事件発覚当初に有機燐系農薬の中毒であると確認された十名の方のみがそれに該当するということでございます。  以上でございます。
  297. 山本博司

    ○山本博司君 有機燐中毒が否定された事例でも、食品を摂取したことで様々な症状が発生をして、医療機関に受診したことも考えられると思います。この内容を十分に精査をして、今後に是非役立てていただきたいと思います。  我が国に中国から輸入される食料品の輸入額というのは、二〇〇七年で約九千百億円にも上り、アメリカに次いで二番目になっており、その額は年々増え続けております。しかしながら、最近の統計数値を見ると、中毒事件の影響が大変出始めております。  財務省が三月二十六日に発表した貿易統計速報によりますと、中国からの食料品の輸入額が五百五十三億円となり、前年同月に比べて二八%減少をしております。また、総務省が三月二十八日に発表した二月の家計調査の速報値では、冷凍を除くギョーザの売行きが約四〇%減少し、冷凍食品も約三〇%減少したことが分かりました。  我が国は、中国産の農作物や製品に大きく依存しており、中国産をやめても国内産を使えば済むという単純な状況ではありません。安価で安全、安心な流通ができるようにすることが求められていると思います。  先日も、和菓子のあんを中国で製造している日本の業者の方から意見を伺いました。コンビニとかスーパーで販売している和菓子を製造する大手の食品メーカーは十勝産などの国内産小豆にシフトして製造をすると言っておりますけれども、全体の製造量から考えた場合、中国産の小豆を使用しなければ生産が追い付かないのは目に見えているということでございます。これから端午の節句を迎え、かしわもちの生産が増える時期でございますけれども、安全が確認された食品は風評などに惑わされることなく流通されるべきであると、こういう御意見でございました。  福田総理は、担当大臣を置くなど消費者行政の一元化を目指して取り組んでおりますけれども、食品の安全を担当する厚生労働大臣として、今後、どのように安全性を確保しようとしておられるのか、大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。
  298. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、先般、二月二十二日の関係閣僚会議でも申し上げましたけれども、まず、保健所から都道府県にきちっと上がってくる、都道府県も厚生労働大臣に上げると、この情報伝達のシステムをしっかりやりたいと。それから、検疫体制の強化を含めて輸入食品の検査体制を強化する。こういう取組によって中国からの食品全体の安全性というものを確保していきたいというふうに思っていますので、引き続き全省を挙げて努力をしてまいりたいと思います。
  299. 山本博司

    ○山本博司君 大臣、ありがとうございました。  こうした問題が発生しますと、真っ先にしわ寄せが来るのが中小企業でございます。影響を少しでも緩和するためにも、様々な支援を政府一丸となってお願いをしたいと思います。  次に、心身障害者扶養保険制度についてお伺いをいたしたいと思います。  障害を持つ子供を育てる親、保護者にとりましての最大の不安は、親亡き後のことでございます。この制度は、障害者の保護者が掛金を掛けて、保護者が亡くなった後、残された障害者に年金が支給される制度であり、昭和四十四年に神戸市で始まった制度が全国に展開をされました。経済情勢の変化などにより、運用利回り率の低下や障害者の寿命の伸長などで財政状況の悪化が指摘されたために、平成十九年九月に厚生労働省の心身障害者扶養保険検討委員会が報告書を取りまとめ、長期にわたって安定的に持続可能な制度に見直すこととなり、本年四月一日、つまり本日より施行をされております。  そこで、まず初めに、この見直しの概要について御説明をいただきたいと思います。
  300. 中村吉夫

    政府参考人中村吉夫君) お答えいたします。  今回の心身障害者扶養保険制度の見直しの具体的な内容といたしましては、一つは、給付面では月額二万円の年金額を据え置くこととしております。二つ目といたしまして、保険料につきましては保険数理に基づき適正な水準に設定しますけれども、既加入者につきましては大幅な引上げとならないよう一定の配慮を行うこととしております。三つ目といたしまして、既加入者や事業者のための公費による財政支援につきましては、その規模は現行と同様、国と地方で四十六億円ずつの負担を維持することとしておりますけれども、支援の期間につきましては延長することとしております。  また、今後の運営の在り方といたしまして、毎年度、財政の健全性を検証し、その結果を公表するとともに、少なくとも五年ごとに、保険料水準等について今後の社会経済状況を十分に踏まえた見直しを実施することとしております。
  301. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございました。  長期にわたって安定的に持続可能な制度と、このように言っておりますけれども、積立不足を補うために公費が投入されております。加入者は今後、公費が削減をされれば、結局この制度はもたないのではないかとの危惧を抱いております。  この危惧に対して、見直しではどのように対処しているのか。途中で公費が打ち切られることはないのか。安心して掛金を払い続けてよいのか。大臣にお伺いをしたいと思います。
  302. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは任意加入の制度でございますけれども、基本的には保険料によって安定的な財政基盤を確立するということでありますんで、そういうことが可能なように毎年度この財政の健全性を検証する、そして少なくとも五年ごとに保険料水準などの見直しを行うと、こういう仕組みを取ってございます。  今回の見直し内容に沿った条例改正というのはほとんどのもう自治体で行われておりまして、厚生労働省としても、各自治体を指導して安定的な運営ができるように努めてまいりたいと思います。
  303. 山本博司

    ○山本博司君 大臣、ありがとうございました。是非とも安心ができる体制の維持をお願いをしたいと思います。  また、一般的に、この保険制度を維持存続するには加入者数を増やすことも重要でございます。そこで、近年の加入者数の推移、実態はどのようになっているのか、お聞きをしたいと思います。
  304. 中村吉夫

    政府参考人中村吉夫君) お答えいたします。  平成十八年度末現在におけます加入者数の実人員は六万六千人となっております。一人二口まで加入できますので、延べ人員は九万四千人になっております。また、受給者数の実人員は三万八千人、延べ人員は四万三千人となっております。  なお、新規の加入者は毎年度一千人前後、延べ人員といたしますと千八百人前後増えておる状況にございます。  また、加入者が扶養しております障害者の障害の種別を見ますと、知的障害者が約六五%、身体障害者が約三〇%、精神障害者が約五%となっております。
  305. 山本博司

    ○山本博司君 是非とも、加入者が増加するように関係団体を通じた周知を行うなど、積極的に取り組んでいただきたいと思います。  最後に、この制度に関しまして、失われた年金が復活するといううれしい話が最近ございました。それは、申請が遅れると、これまで三年を超えた分はさかのぼって年金を受け取れなかったことが、四月から改善をされて、この未受給分が復活するというものでございます。このことは、我が党の市会議員への相談がきっかけで、私も所属しております党の障害者福祉委員会が国に働きかけたほか、我が党の桝屋衆議院議員も予算委員会舛添大臣に改善策を要請したことから前進をしたことでございます。  このことに関しまして、請求が遅れた人に対する対応について大臣から御説明いただければ有り難いと思います。
  306. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これはまあ、親御さんが一生懸命保険金を掛けられて亡くなられる、例えば、知的障害者の方だとその事実が分からない、ほかの家族もそれを知らないというようなことで、今言ったような遅れるというケースができてきます。これは三年間しか遡及して支払われないということになっていましたけれども、これからは、その三年を超えて遡及できるように変えたところでございます。
  307. 山本博司

    ○山本博司君 大臣、ありがとうございました。  そこで、今後の対応ということでお聞きをいたしたいと思いますけれども、この制度の受給者は知的障害を始めとする障害者の方たちでございます。保護者亡き後、御自身で請求手続をするというのは大変困難なことと思います。年金請求の遅延防止策や遅延した場合の救済策をどのように考えているのか、お答えをいただきたいと思います。
  308. 中村吉夫

    政府参考人中村吉夫君) 年金請求の遅延防止策につきましては、一つは、独立行政法人福祉医療機構におきまして、毎年度、実施主体でございます都道府県、指定都市に加入者等の現況確認を依頼し、必要な手続を促すなど、年金請求の遅延防止に努めておるところでございます。  また、本制度の受給者は知的障害者などの障害を持った方でございますので、親族等も加入をした事実を知らない場合がありますので、年金請求が遅れる事例が生じやすいということは御指摘のとおりでございまして、障害者に代わって年金を受給し管理する年金管理者を指定できる仕組みになっております。  今後とも、都道府県、指定都市による現況確認あるいは年金管理者の一層の活用の徹底を図ってまいりたいと思います。  なお、遅延をした場合のさかのぼりにつきましては、先ほど大臣が御答弁を申し上げたとおりでございます。
  309. 山本博司

    ○山本博司君 この制度は今後も見直しが必要だと思いますので、今後もしっかり推移を見守っていきたいと思います。  以上で質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  310. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  通告ちょっとしていないんですけれども、先ほど足立議員の質問を聞いて、私も今日たまたま同じような例を聞いたんです。ちょっと紹介したいんですけれども。  その方は、六十歳の誕生日の直前のいわゆるターンアラウンドで、おととし十一月に来て、それ見たらば自分のかつて勤めていた私立大学の勤務歴が入っていないと。この大学にも問い合わせて私学共済にも確認をして社会保険事務所にも確認して、これ確認されたと。これ、おととし十一月。ところが、またねんきん特別便が送られてきて、全く載っていなかったというんですね。  だから、先ほどそういう実例を紹介されたら、何かごくまれなケースであるかのような、何百万分の一だというような答弁したんだけれども、実はこれ我が党のテレビでおなじみの穀田恵二国対委員長の実例なんですよ。だから、私がよく知っている人でもう次々出てくるわけですよ、こういうケースが。だから私、本当にこれ、先ほど足立議員は照会しただけで統合していないんじゃないかとおっしゃったけれども、まさにそういう事態になっているんじゃないでしょうか。  結局、年金裁定のときまでほっておいて最後に帳じり合わせればいいという、今までそういうことで社会保険庁仕事やってきたわけだけれども、まさにそういう事態が何も変わっていないということなんじゃないですか。  私、それを強く感じたのは、実は私の家にもねんきん特別便が来たんですよ。これ私の妻の分で、一回しか職場変わっていないんだけれども、その前職八年分の厚生年金が全く消えているんですよ。そんな昔の話じゃないですよ。  だから、そういう意味でいうと、本当に社会保険庁のやっぱり仕事の仕方というか、これは政策以前のまさに私は実務の問題だと思っていますが、結局年金というのは、最後年金裁定のときに帳じり合わせると、それまではもう記録がどうなっていても知らない、構わないと。  そういうことでいえば、先ほど足立議員が指摘したように、それまでにもし亡くなったりしたらば大変な損害が起こってくるし、実際、裁定のときに間に合わずに正しい年金が払われていないということが広がったわけでしょう。  私、こういう根本問題やっぱり今も変わっていないんじゃないかというふうに思わざるを得ないんですが、どうですか。
  311. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) また新たにそういう例が出たということで本当に驚いておりますけれども、ちょっとこれは精査をしてきちんと対応したいと思います。  ただ、まさに、今手抜きをしてもどうせ先の話だと、年金の支払自体がね。それから、裁定も先ほど言ったように最後裁定でできると。そういうことの積み重ねがずっと来ているんで、これはもう一人一人の職員のモラルから含めてきちんとやり直さないといけないと思いまして、厳しく指導をしてまいります。
  312. 小池晃

    ○小池晃君 いや、これ職員のモラルの問題というより、やっぱりそういう業務の考え方自体が、これは結局、裁定のときに帳じり合わせるっていうそういう考え方が、私は、いまだに変わっていないから、ごく最近でもこういうこと続いているんだろうというふうに思うんですよ。ここ根本的に見直さないと私この問題解決できないというふうに思っておりますし、何か驚いたとおっしゃるけれども、そんな珍しくないんです、これだけ次々出てくるんですから。本当に深刻な問題だというふうに指摘をしておきたいというふうに思います。これは引き続きちょっとこの問題を取り上げたいと思うんですが。  後期高齢者医療制度が今日から始まると。これ予算委員会でも私取り上げまして、七十五歳という年齢だけで切り離す世界で例のない制度だということも指摘をしましたが。  あのとき予算委員会でも、被用者保険の加入者の場合、七十五歳以上の加入者の場合は、七十四歳以下の扶養家族は被用者保険の資格を失って国民健康保険に加入手続が必要になるということを指摘しましたが、こういう手続が後期高齢者医療制度が始まることによって必要になる人は全体で約何人なんでしょうか。
  313. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) お尋ねの後期高齢者医療制度の創設に伴いまして被用者保険の被扶養者から市町村国保に移行する方の数でございますけれども、約七万人と見込んでおります。
  314. 小池晃

    ○小池晃君 七万人。その場合、その扶養家族は自動的に国保加入の扱いになるのか、それとも御自身で加入手続が必要になるのか、お答えください。
  315. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) ただいま申し上げました被用者保険の被扶養者が市町村国保に移行する際の手続についてのお尋ねだと思いますけれども、まず事業主から健康保険組合等の保険者に対しまして資格喪失届を提出する。次に、当該健康保険組合等から対象者に対しまして資格喪失証明書を交付する。三番目に、当該対象者から居住地の市町村に対しまして、資格取得の届書に資格喪失証明書を添えて提出をするということによって行われるものでございまして、この手続は、被用者保険の被保険者が、市町村国保に加入したことに伴いまして、会社を退職するというようなことに伴った場合、その被扶養者が市町村国保に移行する場合と同様でございます。
  316. 小池晃

    ○小池晃君 いや、私は同様でないと思うんですよ。会社を退職して脱退して国保に加入するのと、国が一斉に制度を変えることによって強制的に出される、そういうことを同列に論じることはできないと思うんですね。  今の説明で分かるように、これは御本人が国保加入の手続をしないと無保険者になっちゃうわけですね。これは七万人の規模で今日発生している可能性があるわけですよ。これ、私は非常に重大な問題ではないかなというふうに考えるんですが、国が責任を持って無保険にならないような措置を講ずるべきじゃないですか。
  317. 水田邦雄

    政府参考人(水田邦雄君) 当省といたしましては、この手続が円滑に行われるように、二月二十日付けで健康保険組合等の被用者保険の保険者に対して通知を発出しておりまして、必要な作業確認をいただくようお願いしたところでありますし、また先日でございますけれども、これまで市町村等からの個別の照会に対しまして、先ほど申し上げました手続を原則としながら、事前に相談があった場合には柔軟な対応をお願いする旨お答えしてきたことがございますけれども、これを各保険者に対して改めて周知徹底を図ったということでございます。
  318. 小池晃

    ○小池晃君 先日といっても、三月二十八日なんですよね、通知出したのはね。それで四月一日でしょ。これでどれだけ対応できるというのか。  大臣、しかも、柔軟な対応をするって、手続柔軟にしたとしても、あくまで御本人が役場に、市役所とかに行って国保加入の手続をしないと、これ保険からはじき出されるわけですよね。私、国の制度変更に伴うものであるのに、こういう仕事を加入者に責任を負わせるのは筋が通らない話ではないかなというふうに思うんですが、大臣、こういう形で無保険者が大量に出てくる。これ、国の責任で、今のような対策では私は手ぬるいというふうに思うんですが、いかがですか。
  319. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、市町村の協力もいただき、きめ細かくこれは制度の周知徹底を図り、やはり国民の皆さん方にも協力していただいて、今委員がおっしゃったような保険でカバーできない人を出さないと、そういう方針でやっていきたいと思います。
  320. 小池晃

    ○小池晃君 国民の協力を得てって、国民からは後期高齢者医療制度にもう大変な怒りの声が上がっているんですよ。そういう中で国民に協力をお願いするって、私、筋違いだと。  今日資料でお配りしましたけれども、これは一枚目、二枚目に載せたのは、茨城県医師会の病院で配られているチラシなんです。「後期高齢者医療制度に反対し、撤廃を求めています。」と、こういう患者さん向けのチラシです。二枚目には医師会としての方針が出ておりまして、後期高齢者診療料については届出を行わない、出来高払で算定する、研修会も行わないと宣言している。  青森県などでも同様の方針を取る医師会が出てきているわけで、まさに現場の診療担当者からこういう厳しい声が上がってきている。実施に協力できないという動きまで広がってきている中で、国民には国保加入の手続を、勝手に被用者保険から外すような制度をつくっておきながら、国民には協力を要請する、現場からはこれだけ怒りの声が上がっている。  大臣、こんな制度をこのまま今日スタートさせて、このまま動かしていっていいというふうにお考えですか。
  321. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私は、この制度の理想をきちんと追求すべきだと思います。それは、例えば今まで息子の被扶養家族になっていた人が自分で払わないといけなくなるんで、その保険料の負担という個人のレベルから見ると、それはいろんな問題だということは、御指摘、いろいろな皆さんが言われるとおりでありますけれども、しかし、国全体のこの国民皆保険をどういうふうにして守っていくか、そしてお年を召された方々が治療も介護も含めてどういう形で一番いい医療を受けるようにするか、介護を受けるようにするか、そういう大所高所に立って制度設計をしたわけですから、私はそういう大きな理想は求めていくべきだと思います。  ただ、いろんな移行に伴う様々な問題がある。これは激変緩和措置をやる。そして、いろんな移行措置をやっておりますから、そういうきめの細かい対応をすることによってこの理想を実現したいと、そういうふうに思っております。
  322. 小池晃

    ○小池晃君 理想を実現すると言うけれども、実際すばらしい医療がこれで提供されるのであれば、それは反対しません。しかし、この医師会のチラシにもあるように、差別医療になるんではないか。  これ、予算委員会で私指摘したらば、そんなことは全く考えていないと大臣言ったけれども、これ、「高齢者の医療の確保に関する法律の解説」、いわゆるコメンタールですね、これ厚生労働省の課長補佐が書いている。ここで何を言っているかというと、年齢別に一番医療費が掛かっているのは後期高齢者だと。ここを適正化しなきゃいけない。特に、終末期医療の評価とホスピスケアの普及が大切であると。高額な医療費は、例えば三日で五百万、一週間で一千万も掛かっているケースがある。そうしたケースは終末期医療に多くある。後期高齢者が亡くなりそうになり、家族が一時間でも一分でも生かしてほしいと要望していろいろな治療がされる。それがかさむと五百万円とか一千万円とかなってしまう。その金額は、税金である公費と他の保険者からの負担金で負担する。家族の感情から発生した医療費をあまねく若人らが支援金として負担しなければならないということになると、若人の負担の意欲が薄らぐ可能性がある。それを抑制する仕組みを検討するのが終末期医療の評価の問題である。こういうふうに書いているんですよ。  私、これ、本当とんでもない話ではないかなと。五百万、一千万の医療を掛けるというのは家族の感情の問題だと。だから、それにこたえるのは、それにお金使うのはやめようじゃないかと、それが後期高齢者医療制度の仕組みなんだというふうに担当課長補佐が本で書いて、これ、コメンタールで、地方自治体みんなこれ買って、これに基づいて業務やろうとしているんですよ。  大臣が言っている、まさに後期高齢者にふさわしい理想の医療とは全く違う中身がやられようとしているじゃないですか。あなたが言っている差別医療ではない、そんなこととは違うことを実際に法案作成した担当者がそう言っているわけですから、私はこんな制度は許されないと思いますが、大臣、いかがですか。
  323. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いろんな観点からの検討が必要だと思います。  要するに、財政的な観点も国家百年の大計で考えないといけない。私は、だから、難病の方々も救わないといけない。先ほどのオーファンドラッグの話もありましたけれども、本当に高価な薬でも命を救うために使わないといけない。しかし、それはみんなの財政で支えていかないといけない。だから、財政のことも完全に抜きにして話はできません。そういう中で、どういう治療をやり、どういう形で終末期を迎えるのが一番いいのかと、こういうことはきちんと議論をしてきたわけでありまして、そして、患者の家族の感情ももちろん大事にしないといけない。  そういう中で、例えば過疎の村で、そして非常に高齢化率が高い、そういうところで、もうこれは市町村単位でやったんではとてもじゃないけれどもその保険の運用ができない、ですから都道府県単位でやると、こういういろんな仕組みをしていますし、まさに、負担は一割、高齢者の、しかし四割は若者が支援する、五割は公費で支援する、こういう形で、長期的に見て御高齢の方々がきちんと財政的にもケアできるような体制という国家百年の大計の下にこの新しい制度を入れたわけであります。どうかそこの理想ということをよく御理解いただければ幸いでございます。
  324. 小池晃

    ○小池晃君 私は、その後期高齢者医療、終末期に全力を尽くすのはまさに無駄遣いであるかのような議論というのは、これは年齢による差別であるし、私は、日本社会の本当にお年寄りを大切にしてきた、そういう社会の根底を揺るがすものであると、そういうふうにつながりかねないものであるということは予算委員会でも指摘したとおりであります。  今日始まるわけですから、これは一刻も早い中止、撤回ということを求めていきたいというふうに思います。  それから、あわせて、生活保護の通院移送費の問題を前回質問しまして、大臣は、これ、生活保護の方々が必要な医療を受けられないというような事態を起こさないと答弁された。ところが、今日、資料の三枚目に入れておりますが、実際の現場ではどうかというと、これは静岡市の駿河福祉事務所が出した文書ですが、三番目に書いてあるんですが、今までは公共交通機関を利用していた方はほぼ無条件に支給されていましたが、平成二十年度からは、住所地がへき地であることや検診命令により受診する場合以外は原則として通院移送費が支給されないことになりましたとしているんですよ。  これじゃ、必要な医療も受けられなくなってしまうんじゃないですか。
  325. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) お答え申し上げます。  前回大臣からも御答弁申し上げましたように、今回の移送費につきましては基準を明確にするということで、まず、国民健康保険の給付の範囲の同等のものとして認められるものについては移送費が支給されるということを言っておりますし、それにより難い場合については、身体障害者等で電車、バス等の利用が著しく困難と思われる方などについて例外を認めていると、こういう扱いをいたしているところでございます。  そういう意味から申し上げまして、今資料の御提出のございました説明は、原則としてと書いてございますけれども、非常に誤解を招きやすいものでございますので直す必要があると考えております。こういったことにつきましては、生活保護実施主体である都道府県及び市の方にもう一度きちんと説明をしたいと考えております。
  326. 小池晃

    ○小池晃君 自治体側に問題があるように言うんだけれども、これは確かに問題です、こういう表現は。私も問題だと思いますが、現場でどう言っているかというと、待てども待てども、厚労省から一切説明が来ないと、説明会ではもう移送費は出ませんよというふうに聞いたから、だから取りあえずそういう中身で通知出しましたというふうに言っているんですね。これが自治体の声です。  資料の次、四枚目、五枚目に入れましたけれども、三月二十一日には、埼玉県、千葉県、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、東京都の生活保護担当課長が連名で意見書出しているわけですよ。これ異例のことだと思います。これは、通院移送費は最低生活保障上、欠くべからざるものであるから、実施の連続性に配慮して、支給範囲の運用については自治体の意見を聞いて慎重に対応せよ、相当の経過期間について配慮せよと。  私、こういう自治体担当者の声にはこたえるべきではないかと思いますが、いかがですか。
  327. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 今回の見直しにつきましては、やはり給付の継続性ということもございます。私どもも、現に給付を受けている方もございますので、実施機関に対しましては新しい基準に沿って検討していただくとともに、確かめなきゃならないことなどもあろうと思いますので、そういった意味で、例えば現に受けておられる方の切替えなどについては十分配慮してまいりたいと考えております。  具体的に言えば、問題になりますのは、例えば指導監査の際に、そういうケース、具体的なケースについて、新ルールが適用されてから切替えまでに若干時間が掛かっていることについて指摘するというようなことについてはないように、連続性については実施している自治体の立場も配慮して進めてまいりたいと考えております。
  328. 小池晃

    ○小池晃君 実は、今日入ってきた話で、北海道では道庁の担当者が、これ、各福祉事務所に連絡文書出していまして、六月末まで四か月間周知期間を設けるというふうに出しているんですが、これ、今の御説明と違うんじゃないですか。こういうことをやろうとしているんですか。
  329. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) そのようなことを、私ども、三月に課長会議で御説明しておりますけれども、そのようなことはありませんので、それは何かの間違いではないかと思います。
  330. 小池晃

    ○小池晃君 私、北海道の道庁の担当者に電話で確認しました。昨日、厚生労働省に二回電話で照会をしたと、その方は。そうしたらば、経過措置として平成二十年六月末までを周知期間として、それまでは従来どおりの扱いだというふうに回答を得たんだと。ところが、今日電話をしてみたら、まるで手のひら返したように、周知期間はもうつくらないという答えだったと。どうしたことかというふうにおっしゃってますよ。  大臣、こんないいかげんな対応をしているんですよ、自治体に対して、厚生労働省は。これでいいと思いますか。しかも、今日からこれ実施するのに、まだ通知が出てないんですよ、四月一日。大臣、これ確認したところでは、今日、大臣の決裁を得て通知を出すと言っています。決裁は出さないでいただきたい。こんなでたらめなやり方での、まさに生活の最低保障の、セーフティーネットの問題にかかわることを、こんないいかげんなやり方でやっちゃ駄目ですよ。  大臣、ちょっと大臣に聞いているの。大臣ね、これ、大臣、決裁しないということを明言していただきたい。
  331. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今のような経過がどういうことであるか、ちょっと北海道の例も含めて精査をさせていただきたいと思います。  だから、問題は滝川の、国民がもうこれ驚くような何億円という請求したケースがあった、これはこれできちんと是正しないといけない。したがって、法律に基づいて、ルールに基づいてこうですよということをきちんと通達する、これは厚生労働大臣としてやるべきでありますから、そういうことを含めて、今委員の御指摘の問題についてはきちんと精査をした上でどういう対応を取るか、私は決定したいと思います。
  332. 小池晃

    ○小池晃君 北海道滝川市の例は現状の行政の誤りですよ、これは。今の基準だってあんなでたらめのことできるわけないんですよ。犯罪ですよ、あれは。だから、そういったことを使って、こういうでたらめなことやっちゃ駄目ですよ。  大臣、じゃ、今のお話では、この北海道の道庁に対する対応の結論出るまでは通知は出さないと、そういう理解でいいですね。
  333. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) すべて精査をして考えます。
  334. 小池晃

    ○小池晃君 こんなでたらめなやり方で、まさに憲法二十五条の生存権にかかわることの重大な変更をやってはいけないということを申し上げておきたいというふうに思います。  それから最後に、原爆症の認定問題について、前回も御議論ありました。これも四月、今日から新しい基準ということになっているんですが、この基準には大変大きな問題があるということは、与党の議員からも指摘があったとおりであります。  第一に、与党プロジェクトも全員救済を提言したがんや白血病についてさえ距離や時間の制限があるということ。それから第二に、裁判で判断が確立をしている甲状腺機能低下症や肝機能障害についても積極認定の対象とされていないということ。第三に、個別審査の総合的判断の考慮要素に判定不可能な線量を挙げて、かつ判断の在り方が不明である。こういう問題点があるから、この基準は抜本的に改めなければいけないというふうに思っております。  今日お聞きしたいのは、集団訴訟の原告の皆さんの救済方針なんです。原告はこれまでの審査方針でこれは却下をされているわけですね。で、裁判に立ち上がった、こういう大きな変化をつくり出してきたその先頭に立ってきた方々であります。私は直ちに認定されるべきだというふうに考えます。新しい基準の前文には、被爆者救済の立場で被爆の実態に一層即してというふうに書いてあるわけですから、これに照らせば、真っ先に救済すべきは私は原告だというふうに思うんです。  厚労省としては、この原告の皆さんに対してどのように対処していかれるおつもりなのか、お答えいただきたい。
  335. 西山正徳

    政府参考人(西山正徳君) 原爆症の認定でございますけれども、当委員会でもいろいろ議論がございました。  私ども、この三月に審査会の方で新たな新基準を策定をさせていただきました。これに基づきまして、今のお尋ねですけれども、原告の方についても四月から順次新基準の下で審査を行っていきたいというふうに考えております。また、並行して審査をお待ちいただいている方も多数おられますので、併せて迅速化を図りながら順次進めてまいりたいと考えております。
  336. 小池晃

    ○小池晃君 大臣、原爆のせいとしか思えない疾病を抱えながら被爆の影響はないというふうに却下された方々なわけですね、原告の皆さんというのは。切捨てに怒って命懸けで裁判に立ち上がった方々なわけであります。この見直しの道を開いたのも、まさに原告の皆さんだというふうに思います。こういう方々にまた門を閉ざすということは、私は絶対してはいけないんではないかというふうに考えるんです。  大臣は、この問題について、政治の知恵が働かないといけないと、政治家としての決断が必要なんだというふうにおっしゃっておりますが、私は、だとすれば、原告の皆さん全員をやっぱり認定する、救済するということは、これは政治の判断で決断すべきことではないかと考えるんですが、大臣、いかがですか。
  337. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この問題、再三申し上げていますように、司法の判断とこの新認定基準との食い違いをどうするか、山本委員が先般御丁寧に御質問してくださった点にお答えしたとおりでありますけれども、今までと違うのは、この新しい基準で十倍の千八百人が救われる、もう認定基準に当てはめればすぐお認めします。そうじゃない方々について言うと、個別に総合的な判断を加えて、これはどうであるかということを認定していく。  そして、過去の一審の判決見てみますと司法の判断が一つでなくて様々基準が違う。だから、この司法の判断だと救われる、こっちだと駄目だというケースもある。この五月に一つ高等裁判所の判決が出ますから、この新しい認定基準を司法の方がどういうふうに判断するのか、そういうこともかんがみながら、私は、積極的に一人でも多くの方を救うべきであって、できればそういう方向を目指したいということで、そして御高齢の方が多くてもう一刻を争っていますので、今、鋭意そういう方向でできるだけ多くの方を積極的に救うんだ、その基本方針で今対応していきたいと思っております。
  338. 小池晃

    ○小池晃君 いや、私、そういう一般論というか、できるだけ多くって、原告の皆さんに対して、やっぱりとりわけこういう闘いやってきた人たちについて、二度門を閉ざすようなことをしちゃいけないでしょうと言っているんです。それは政治の決断でしょうと。答えてください。
  339. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いや、今懇切丁寧にお答えしたように、司法の判断もいろいろあって、新しい認定基準では認められるけれども、司法では逆に認められないということもあるんです。  ですから、非常にこの議論をしたときに、新しい基準、与党のPTの方だって、待てよと、あなたのその意見だったら、せっかく司法で救われている方が切り捨てられますよ、どうするんですかと、こういう議論も真剣にやりました。そういう議論の上にできるだけのことをやりたいと。  私は、積極的にできるだけ多くの方を救いたいと、そういう方針で、個々のケースについては個別に総合的に判断する道が残されていますから、それをきちんとやっていきたいと、そういうことを重ねて申し上げておきたいと思います。
  340. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  三月三十一日までに一人残らず救済するとかつて舛添大臣公約をしてくださいましたので、その件についてお聞きをいたします。  ねんきん特別便、社民党にも来ました。あろうことか、衆議院保坂展人さん、年金問題で追及している彼のところにねんきん特別便がやってきました。国民年金しか入っていないことになっておりまして、彼は厚生年金記録が二社分そっくり抜けていると言っております。  質問です。  一体どういう名寄せを行われたんでしょうか。五千万件の名寄せのために幾らのコストを掛け、どのようなプログラムで作業をしたのか、作業工程は適切だったのか検討すべきだと考えます。いかがですか。
  341. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  五千万件の名寄せのためにどのような作業工程を取ったのかということでございます。  まず、金額の方でございますけれども、基礎年金番号に未統合の年金記録とすべての基礎年金番号、あるいはその管理の下にある記録ですね、これとの間の要するに名寄せを行うためのプログラムの開発の経費でございますけれども、これは約十二億三千万円と、こういう金額になってございます。  それから、今回は、名寄せ処理を行うためのプログラム、それからねんきん特別便の作成のためのプログラムなどの開発を行わせていただいたところでございます。  作業工程の関係でございますけれども、今申し上げましたこれら作業の実施に当たりましては、外部の有識者、これは日本経団連の方からもいろいろとお力添えをいただいたわけでございますけれども、そういうところなどを通じての派遣による外部の有識者による工程全体の進捗管理、あるいはプログラム開発の進捗管理、そうしたものも行いつつ作業が進められた、全体としては適切に進んだというふうに考えているところでございます。  なお、今申し上げたような名寄せ処理の結果などにつきましては、社会保険庁のホームページなどで定期的に公表させていただいておるところでございますので、拝見をいただければというふうに思います。
  342. 福島みずほ

    福島みずほ君 名寄せシステムの開発経費も入れて十二億ということなんですか。
  343. 石井博史

    政府参考人石井博史君) そういうことでございます。
  344. 福島みずほ

    福島みずほ君 国会議員含めてもこのように名寄せ作業で来ているわけですね。厚生年金がずぼっと落ちているというのが来ておりまして、どういう形で一体やったのか、ITの研究者や第三者を入れてこの検証をすべきではないか。つまり、元々どんなことをやったらこんなずさんなことになっているのかと思います。  大臣、一件残らず救済するとおっしゃいました。名寄せ作業について必要なことは、プログラムの内容と作業経過、結果を国会に開示する義務があると考えますが、いかがですか。
  345. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 名寄せ自体はこれ一生懸命やって、その結果として、今日お伺いしただけで足立委員も櫻井委員も保坂さんも、それから穀田委員も来られているわけですから、それは一つの結果でありまして、委員が求めていらっしゃる中身というのはちょっとどういうことか私は具体的には分かりませんが、今まで説明してきたように、コンピューター上、例えば三つの要素を入れて基礎年金番号と名寄せができるか、その作業をやってきました。そして、プログラムもそのために組んでいきましたので、そのプロセスについては私は御説明してきたというふうに認識しておりますが。
  346. 福島みずほ

    福島みずほ君 実はこれだけ抜けているということから、概略は、ざっくりしたところは聞いているのですが、実はこちら側はプログラムの組み方やいろんな点が不十分だったのではないかという疑いも持っておりまして、この疑いを晴らしていただくために、もっと細かく開示をしていただくということをお約束していただければ結構です。いかがですか。
  347. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) ちょっと私が誤解しているといけないんで、この名寄せ作業のプロセスについて開示しろとおっしゃったのか。この名寄せ作業は、ある意味でそれが出てきたというのは成功ですね。ところが、その前に、足立委員の場合もそうですが、何らかの理由できちんと名寄せができていなかったということが実は問題なんで、なぜ今の保坂議員や足立委員のとき、どこにどうなったか、これは先ほど足立委員の場合は九百二十七万件の照会まであった、なぜできなかったか、担当者同士の連絡ミスであったということが分かりました。だから、保坂さんの場合に何がどうだったかというのを、まさにこれは今から検証していかないといけないんで、それは今からの作業でやっていくと、そういうふうに理解しましたけれども、間違っていますでしょうか。
  348. 福島みずほ

    福島みずほ君 保坂さんの場合は成功かもしれないんですが、ただ、要するにどういう作業をやったのかという細かい中身の開示をお願いしたいということで、今日は細かく聞く必要はありませんので、そのプログラムの具体的な中身とか細かく後ほど私に開示してくだされば結構です。よろしいですか。
  349. 石井博史

    政府参考人石井博史君) 具体的にどのような内容の開示をお求めなのか、これは後ほどまた伺いたいと思いますけれども、ちょっと基本的なことだけ名寄せのプログラムに関してお話を申し上げさせていただきたいと思うんですね。  それは、今回の作業というのは、コンピューター上での名寄せでございますけれども、結局平成九年一月以降導入した基礎年金番号、これに要するに統合されていない、それ以前に要するに払い出された制度ごとに出されている番号、その番号の下にある記録、これが要するに基礎年金番号導入以前はその基礎年金番号が導入されているということを意識して出されていたわけではございませんので、ある意味で自覚的な統合作業がない限りはばらばらの状態でございます。今回の作業はそういうばらばらの状態のものを基礎年金番号ということでお一人お一人に御連絡させていただいている、その番号のところにコンピューター上で突合するということでございますので、ポイントは、要するにそうやって名寄せをした結果、結び付く可能性があるということで出てきた記録、これがありますよということを名寄せ作業の結果として私ども承知し、そして御連絡を申し上げているということなんですね。  ただ、この点で一つ大変恐縮なのは、結び付く可能性があるということで出てきた記録そのものはそこに書いてないわけでございます。したがって、御連絡をいただくということで、そうすれば具体的にそれが何なのかをお知らせすると、こういう手順で統合は進むということでございます。
  350. 福島みずほ

    福島みずほ君 保坂さんの場合は失敗しているんですね。というのは、国民年金としか書いてないんですよ。名寄せはうまくいってないんですよ。二つの厚生年金は書かれていない。本人がぼうっとしていると見過ごしてしまう中身なんです。  ですから、私がお聞きしたいのは、やっぱり国民年金だけしか書いてないということは、名寄せ作業が不完全ではないか。ですから、細かいプログラムやどういうふうにしているか、ITの専門家に頼めば、私たちも客観的に国会議員として安心できますので、後日きちっと教えてください。よろしくお願いします。──じゃ、今、うんとおっしゃったので、いただけるというふうに思いますし、出された結果をITの専門家にきちっと検証をしたいと思います。  次に、ワンビシアーカイブズについてお聞きをいたします。ワンビシアーカイブズの件で千三百六十五万件の再整理が必要だということが分かりました。これについては舛添大臣も、これは整理の具合が悪いと、整理し直せということを衆議院でおっしゃっていますけれども、結局これは手付かずなわけですよね。これは三月三十一日までにやるといったところで、千三百六十五万件がぐちゃぐちゃのままあるわけです。これについては、私たちは見るのを阻まれたという怨念があります。見せなかったわけですね、去年。大丈夫だから見せなかったんじゃなくて、ふたを開けたら、大臣が御覧になったとおり、ぐちゃぐちゃで駄目だ、これは福田総理もそう言っています。この千三百六十五万件、どうするんですか。  お願いがあります。私、小池さん、津田さん、保坂さん、みんなでワンビシアーカイブズまで行きました。見せてもらえなかった。きちっと情報開示を国会議員にしてください。
  351. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私は一月の十六日に行って、今申し上げたように、例えば引き抜いたやつを元に戻していないというようなことがありましたので、これ早急に何とかせぬといかぬということで、じゃどうするかで、私の案は、きちんと並び替える作業をするにはどうするか、それ見積りをやっています。その後、作業委員会の皆さん方にもこれを諮り、作業委員会の皆さん方にもこれ守秘義務が掛かっていますから、彼らに行ってもらって調査をする。そうすると、番号順に並び替える作業をやるよりもオンラインにインプットした方がお金も結局掛からないじゃないかということで、今その手順については専門家の方々の間で議論をしてもらっています。  それから、先ほど渡辺委員から御質問ありました特別チーム、これも守秘義務が掛かっていますので、実はこのチームにそこに入ってもらってもう少し細かく精査をする。そして、一番コストを掛けないで、一番これからの解明作業に続けるような手順というのを今検討中であります。そしてもちろん、この名寄せ作業過程で出てきて、突き合わせをしないといけないのは、そこに各地域の職員がワンビシに行って見ている、その作業もやっています。  そして、委員の視察の話でありますけれども、衆議院の厚生労働委員会の方々は視察にまとめて行かれました。私は、そういう意味では、例えば参議院の厚生労働委員会、これは理事会でお諮りいただいて、そして御視察なさるということに対しては何の支障もないと思いますので、国民の代表として、もちろん個人情報で守秘義務掛かる、それはもう私を含めて当然そこはきちんとやらないといけないですけれども、是非、例えば厚生労働委員会の理事の先生ないしはオブザーバーの先生方で行かれるというのは私は大変結構だと思います。
  352. 福島みずほ

    福島みずほ君 参議院厚生労働委員会として視察を理事会に諮ってくださるようお願いいたします。
  353. 岩本司

    委員長岩本司君) 理事会で協議いたします。
  354. 福島みずほ

    福島みずほ君 次に、医療事故第三者機関についてお聞きをします。  この検討会の第三次試案が今週末か来週中に出ると聞いています。私は、医療過誤がなくなることがいいと、検証されることはいいと思います。  しかし、警察に通報するという仕組みについて実は大きな懸念を持っております。一般的に問題があれば刑事告訴、告発という制度があり、警察に通報するとなると、事実がきちっと報告されないんじゃないか、事実究明の方が客観的にきちっとできるのか、病院側はやっぱりどうしても刑事捜査の端緒を恐れてきちっと逆に言わなくなるんじゃないかと思います。  この通報のところについて、是非問題ありということで削除、警察との関係はカットしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  355. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 現在、厚生労働省で検討しておる制度でございますけれども、医療関係者を中心とした委員会からの通知を踏まえ捜査機関が対応するという、委員会の専門的な調査を捜査機関が尊重する仕組みを構築しようとするものでございます。そのために、委員会は適切に調査を行い、悪質な事例については捜査機関に対して適時適切に通知することが必要であると考えております。  いずれにいたしましても、これは多くの意見を聞きながら、医療関係者が萎縮することのない制度として、大所高所に立ってできるだけ良い仕組みとなるよう検討を進めてまいりたいと考えております。
  356. 福島みずほ

    福島みずほ君 これは、カルテの改ざんなどの悪質な事例、医療事故のリピーター、故意、重大な過失のみに限定というふうに聞いています。  ただ、重大な過失は裁判にならないと分からないんですよ。それを重大な過失とだれが認定するのか。私は、諸外国にもこういう例はないじゃないですか。第三者委員会は初めてなので、きちっと事実究明はする、民事もちゃんとやる、刑事も刑事告訴、告発という一般法でやる、ここの仕組みを通報、警察への通報とリンクさせると、これは捜査の端緒が自動的に起きる可能性があるので、この警察の通報については限定したとしても見直すべきだと考えますが、いかがですか。
  357. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 重大な過失は、いつも申し上げているように、死亡というのは結果ではなくて、これは通常の医療行為から著しく逸脱している。じゃ、その通常の医療行為から著しく逸脱しているというのはだれが判断するのか。それは医療安全調査会のようなところでぴっしりと決めていただく。しかし、私はやっぱり、極めて抑制的かつ例外的にそういう警察への通報はやらないといけないと思いますし、それはきちんと明記をしたいと思います。  これは石井委員始め皆さんとも議論したんですが、しかしながら業務上過失致死とか傷害というものについて、この刑法を完璧に医療提供者にのみは免除するという形の法体系ができるかどうか。これも全体の、法律の専門家ですから釈迦に説法ですけど、法体系全体を見ないといけないのと、私はお医者さんを信用しないということじゃないですけれども最後のラストリゾートとしてそういう司法の、つまり行政でいうと警察権力というのは最後にあるんだよということの担保を求める家族や国民がまだいるということも事実でありますので、そういう上でのバランスを取って、いささかもこのことによって医療行為、お医者さんが萎縮するようなことのないように、これは全面的に配慮したいと思います。
  358. 福島みずほ

    福島みずほ君 私は刑事処罰に聖域を設けることは法律上はできないと思っています。しかし、必要があれば遺族や一般人は告訴、告発ができるわけで、この仕組み、第三者委員会が警察に通報するという仕組みを設けていることに疑問を持っているわけです。  重大な過失というのは結果ではありません。過失が重大かどうかというところで、その認定そのものもやるわけですから、結局この第三者委員会が事実究明やいろんなことを蓄積していく場ではなくて、やはり刑事告訴とつながると、通報と捜査の端緒と結び付くということで、うまく機能しなくなるのではないかと思っているので御質問差し上げている次第です。ですから、これは試案が出るということですが、懸念があると、問題あるということを強く申し上げておきます。  次に、外国人研修生についてお聞きをいたします。  新聞に労働者として保護ということが出ておりました。研修生に何を期待しているのか。労働力として期待している面があるのですか。
  359. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) お尋ねの外国人研修・技能実習制度でございますが、これは技能移転を通じた開発途上国への国際協力を目的とする制度ということでございまして、そういう意味では労働力という観点での制度ではないというふうに理解しております。労働力対策という意味での制度ではないというふうに理解しております。
  360. 福島みずほ

    福島みずほ君 では、なぜ労働法の適用をするのでしょうか。
  361. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) この研修・技能実習制度につきましては、最初の一年間については研修ということで、これにつきましては就労資格のない在留の関係でございますので、そういう意味では労働者ではないという扱いでございます。  その後の、技能移転という観点から雇用関係の下での技能移転を行うという趣旨で、実習生につきましては労働法規の適用があるという構成をしております。
  362. 福島みずほ

    福島みずほ君 今日は、栃木のイチゴ農園で三百六十五日重労働をしていた中国人研修生も傍聴に来てくれています。  研修生、たくさん今まで問題やりました。時給三百円程度の労働力、あるいはもう三百六十五日朝から晩まで働くと。実質的には単純労働の受入れという形で、技術移転というのはカムフラージュだけでやってきたという面があります。今回、だから一体どうするのか。これ単純労働力としてやっているということというふうに、今まで実はそうだったわけですよ。  政府は、単純労働の受入れはしないという立場に変わりはないんでしょうか。
  363. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) 単純労働力を単純労働力として入れるということにつきましては、やはり労働市場の二重化の問題でありますとか、全体としての賃金の低下の懸念とか、そういうこともあるというふうに考えております。  二月二十九日に出しました雇用政策基本方針におきましても、安易に外国人の労働者の受入れの範囲を拡大して対応するのではないというようなことを明記させていただいているという次第でございます。
  364. 福島みずほ

    福島みずほ君 労働法制は実態に即して適用するというのは今までの厚生労働省の立場です。労働者であれば労働法の適用がある、これはもう不法就労だろうが何だろうが労働法の適用があるというのはお分かりのとおりで、厚生労働省のもう長年の方針です。  では、改めて労働法の適用ありとする意味が分からないので質問しています。
  365. 岡崎淳一

    政府参考人(岡崎淳一君) 受入れの目的をどうとらえていくかということにつきましては、単純労働者を労働力として受け入れることは考えていないということでございますが、一方で、今は技能実習のことをお話しでございますし、それ以外の、例えば身分に基づいて入って就労が可能なところとかいろいろありますけれども、それは在留目的の中でいろいろ労働ができると、労働ができる部分につきましてはそれは日本の労働法をきちっと適用していくということだろうというふうに考えております。
  366. 福島みずほ

    福島みずほ君 研修生に労働者性はあるんですか。
  367. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) 研修生につきましては、先ほど申し上げましたように非就労資格での在留ということでございますので、労働者性は基本的にないということでございます。
  368. 福島みずほ

    福島みずほ君 労働者性はないのに、なぜ労働法の適用をするんですか。
  369. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) 先生御指摘の件は、規制改革三か年計画におきまして、研修生の法的保護を図る観点から実務研修には労働基準法や最低賃金法等の労働関係法令を適用することという指摘がなされておるわけでございますが、この点についてのお尋ねだと思います。  これにつきましては、入管法の在留資格の研修の取扱い、その位置付けとの関係を整理するということで、その研修期間中の取扱いにつきまして検討していくということでございます。
  370. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、よく分からないんですよ。  研修制度は、実質的には単純労働者の多くは受入れとしてやってきて、すさまじい単純労働、アメリカ国務省からもこの人身売買的なものをとても批判されたものです。ですから、労働法を実は適用されるのはいいことだと思います。  しかし、一方で研修生だといって、これは研修・技能だと、技能の移転だといって、一方でこれは、労働者ではないが労働法の適用ありということは、実は研修生は労働者ではないといいながら単純労働の受入れを実質的にはやることになるんですね。だとしたら、その辺のやっぱり矛盾をどう思っているのか。  じゃ、技能移転の研修生は労働法の適用はあるんですか。技能移転の研修生と単純労働の研修生と現実にはいるわけじゃないですか。どういうふうに考えているんですか。
  371. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) 現行の研修・実習制度につきましては、一年目の研修につきましては非就労資格ということで労働者としては扱われないということでございますが、その二年以降の、二年、三年目につきましては実習生という形で、これは雇用関係の下で技能を習得するという制度になっておりますので、労働法は適用になるということでございます。
  372. 福島みずほ

    福島みずほ君 これからどうなるんでしょうか。労働者受入れの制度として研修制度を使ってはいけないと思います。三年間だからいいじゃないかと思うかもしれないけれども、三年間の間に、労働力としてではなくて、人間なわけですからいろんな環境整備も必要です。その辺の覚悟なくして単純労働者として入れるということには反対です。いかがですか。
  373. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) 先ほども申し上げましたように、今制度の見直しを検討している段階でございまして、厚生労働省におきましては昨年の五月に中間報告を取りまとめております。この中では、技能移転というものを通じた国際協力という目的は今後とも維持した上で、一部に見られる劣悪な労働環境あるいは実習環境の改善を図りつつ、技能移転の実効性を一層高めるための措置を講ずる方向で見直しを行うことが適当ということでございます。
  374. 福島みずほ

    福島みずほ君 一部ではなくてほとんどが単純労働の実は移入だったのではないですか。
  375. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) 基本的な制度の趣旨としましては、技能移転を通じた国際協力という観点でございます。
  376. 福島みずほ

    福島みずほ君 単純労働力として見ない技能移転だというんだったら、三年間研修制度として、その制度として技能移転でやるべきで、単純労働の扱いはやめさせるとかそっちの方が良くて、労働法の適用ありとするのは、単純労働ではないとしながら労働力の移入をしていることになるんじゃないですか。
  377. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) 現行制度におきましては、研修、実習が適正に行われるように指導監督をする形で現在も行っておりますが、そういう適正化を図るための措置を現在講じているわけでございまして、今後の在り方としましては、先ほど申し上げたような、その制度の適正化を一層進めるためにどういう観点からの見直しが必要かということで、関係各省で今検討を進めているという段階でございます。
  378. 福島みずほ

    福島みずほ君 研修生は労働者ではない、しかし労働法の適用ありというのはやはり理解できないと。単純労働の移入としてやることについては問題ありということを指摘し、今後も追求していきます。  一点だけ。生活保護の通院の問題はこの委員会でも問題になっています。三万円以上使っている人について既に厚労省は調査済みです。この調査結果を発表してから基準を出すべきではないかというのが一点目。  なぜ三万円以上なのか。三万円以上だったら、不幸にして不正支給の例はあるかもしれません。でも、多くの人はまじめに使っています。三万円以下の人もちゃんと調べてやるべきであって、何の調査も発表しないうちに、同じ市でなければ原則として通院のあれを認めないとするのは順序が逆でないかというふうに思いますが、いかがですか。
  379. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 今回の制度の見直しは、現在、年間百三十万件医療移送費が使われておりますけれども、それは都道府県の間で六十倍を超える格差があると、そういうところに着目し、滝川の事件も小池先生から、あれはもう悪質な犯罪だというお話がありましたけれども、滝川市の方は市としては、中間的な検証でございますが、問題はなかったというふうな見解を出したりしておりまして……
  380. 福島みずほ

    福島みずほ君 いや、ごめんごめん、問いに答えて。
  381. 中村秀一

    政府参考人中村秀一君) 済みません、すぐやめる。  基本的な基準が明確でなかったことが滝川のような事件、その後も事件が続発、岸和田市とか鈴鹿市とか、しておりますので、まず基準を改めるということにしたものでございます。  三万円以上のケースにつきましては、一件当たり医療扶助は年間四千円でございますので、三万円以上というのは、十倍近く使っているものについてサンプル調査を精査してみようということで調査を掛けたということでございまして、ここも分析し、前回小池委員にもお答えしたわけでございますが、この分析結果で更に基準を見直す必要など出てまいりましたら、それはそれとして対応させていただきたいと考えております。
  382. 岩本司

    委員長岩本司君) 福島君、時間が過ぎておりますので、おまとめください。
  383. 福島みずほ

    福島みずほ君 はい。  順序が逆であると、きちっとサンプリングして調査をして結論出すのはいいけれど、最近の厚生労働省はばあんとひどい方針出して後から調査をし、しかも発表しない。あるいは、結果を発表するかもしれないけど恣意的であるということを申し上げます。  外国人研修制度担当窓口を政府はきちっと設置をし、一元化した責任ある体制をつくるべきであるということを申し上げ、私の質問を終わります。
  384. 岩本司

    委員長岩本司君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時二分散会