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2008-05-19 第169回国会 参議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年五月十九日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  五月十六日     辞任         補欠選任         大久保 勉君     前川 清成君      仁比 聡平君     山下 芳生君      又市 征治君     近藤 正道君  五月十九日     辞任         補欠選任         牧山ひろえ君     姫井由美子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小川 敏夫君     理 事                 神本美恵子君                 柳澤 光美君                 浅野 勝人君                 中村 博彦君                 荒木 清寛君     委 員                 梅村  聡君                 加藤 敏幸君                 風間 直樹君                 金子 恵美君                 川崎  稔君                 行田 邦子君                 外山  斎君                 姫井由美子君                 舟山 康江君                 前川 清成君                 牧山ひろえ君                 愛知 治郎君                 石井みどり君                 塚田 一郎君                 西島 英利君                 野村 哲郎君                 牧野たかお君                 松村 祥史君                 丸山 和也君                 遠山 清彦君                 浜田 昌良君                 山下 芳生君                 近藤 正道君    国務大臣        法務大臣     鳩山 邦夫君        文部科学大臣   渡海紀三朗君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    泉  信也君    副大臣        財務副大臣    森山  裕君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総長       大谷 剛彦君        最高裁判所事務        総局人事局長   大谷 直人君        最高裁判所事務        総局刑事局長   小川 正持君    事務局側        常任委員会専門        員        桐山 正敏君    政府参考人        警察庁刑事局長  米田  壯君        警察庁交通局長  末井 誠史君        法務省民事局長  倉吉  敬君        法務省矯正局長  梶木  壽君        財務省主計局次        長        香川 俊介君        文部科学大臣官        房総括審議官   合田 隆史君        文部科学大臣官        房文教施設企画        部長       舌津 一良君        文部科学省生涯        学習政策局長   加茂川幸夫君        文部科学省初等        中等教育局長   金森 越哉君        文部科学省高等        教育局長     清水  潔君        文部科学省高等        教育局私学部長  磯田 文雄君        文部科学省研究        開発局長     藤田 明博君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        長        樋口 修資君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   諸澤 治郎君        会計検査院事務        総局第四局長   鵜飼  誠君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成十八年度一般会計歳入歳出決算平成十八  年度特別会計歳入歳出決算平成十八年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十八年度政府  関係機関決算書(第百六十八回国会内閣提出)  (継続案件) ○平成十八年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百六十八回国会内閣提出)(継続案件) ○平成十八年度国有財産無償貸付状況計算書(  第百六十八回国会内閣提出)(継続案件)  (法務省文部科学省警察庁及び裁判所の部  )     ─────────────
  2. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十六日、仁比聡平君、又市征治君及び大久保勉君が委員辞任され、その補欠として山下芳生君、近藤正道君及び前川清成君が選任されました。     ─────────────
  3. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 平成十八年度決算外二件を議題といたします。  本日は、法務省文部科学省警察庁及び裁判所決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれも省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記を止めてください。    〔速記中止
  6. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 速記を始めてください。     ─────────────
  7. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 神本美恵子

    神本美恵子君 民主党・新緑風会・国民新日本神本美恵子でございます。  今日は、文部科学省に絞って御質問させていただきたいと思います。渡海大臣とは初めてやり取りをさせていただきますけれども、前向き、誠意ある御決意、御答弁をどうぞよろしくお願いしたいと思います。  まず最初に、全国学力テストについてでございます。あえてテストというふうに私は申し上げたんですけれども、これは正式名称全国学力学習状況調査ということで、実に昨年度、〇七年度に四十三年ぶり実施をされたものでございます。これは四十三年前に数年間行われましたんですが、様々な問題が生じて学校現場保護者地域の方々の大きな反対、反発の声が高まって中止されたものが再開されたといいますか、四十三年ぶりに行われたものでございます。  そこで、まず最初に、改めてこの全国学力テスト調査ですね、これの調査目的とそれに要した費用についての御説明文科省からお願いしたいと思います。簡潔で結構です。
  9. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) 全国学力学習状況調査目的とそのねらいでございますが、三つほどございます。  まず第一に、国が全国的な義務教育機会均等とその水準維持向上の観点から、各地域における児童生徒学力学習状況をきめ細かく把握、分析することにより教育及び教育施策成果課題検証し、その改善を図ることでございます。第二に、各教育委員会学校等が、全国的な状況との関係において自らの教育及び教育施策成果課題を把握し、その改善を図るとともに、そのような取組を通じて教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立すること、第三に、各学校が各児童生徒学力学習状況を把握し、児童生徒への教育指導学習状況改善等に役立てること、この三点が全国学力学習状況調査目的、ねらいでございます。  また、それに要した費用でございますが、平成十九年度調査実施事業全体に係る予算は、準備経費実施経費合わせて七十七億二千万円でございます。また、平成二十年度調査実施事業全体に係る予算は、準備経費実施経費合わせて五十八億円でございます。
  10. 神本美恵子

    神本美恵子君 今、目的とそれから要した費用について御説明いただきましたけれども、大臣にお伺いしたいと思います。  今御説明あったように、調査目的に沿って行われたわけですが、目的の中には、教育機会均等ということと水準維持向上のために学習状況をきめ細かく調査し、分析し、何のために調査するかというと、目的改善を図るということなんですね。  そこで、今、要した費用は大枠で七十七億、二十年度が五十八億というふうに御説明がありましたけれども、この内訳として、調査に要した費用と、それから、じゃ目的であります改善に要した費用というのはどういう内訳になっているか、一言で、簡単で結構ですのでお願いします。
  11. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) 先ほど御説明申し上げました七十二億二千万円、また五十八億円は調査実施に要する経費でございまして、それ以外に、この調査結果から教育改善を図るための費用ということで申し上げますと、各教育委員会学校教育施策改善に向けた意欲的な取組を支援いたしますために、平成十九年度予算におきましては、すべての都道府県指定都市において調査結果の検証分析を行う検証改善委員会を設け、学校改善支援プランを策定する事業でございますとか、学校改善支援プランに沿って平成十九年度中に先行的に実施する意欲的な取組に対して重点配分を行い、研究実施する事業に計三億九千万円を計上したところでございます。  また、平成二十年度予算におきましては、新たに、調査結果から課題の見られる学校改善に向けた取組に関する実践研究を、二億一千万円を計上しております学力向上支援事業の一環として進めることといたしております。  また、例えば……
  12. 神本美恵子

    神本美恵子君 もう結構です。  調査に要した費用最初七十七億とおっしゃったと思いますが、七十二億ですか、七十二億。
  13. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) 平成十九年度調査実施事業全体に係る予算は七十七億二千万円でございます。
  14. 神本美恵子

    神本美恵子君 七十七億で、改善に掛けた費用は三億ということなんですね。  目的は、調査をしてその結果を基にして改善を図るというふうにしていて、この費用配分といいますか、このことについて本当にこの目的が達成できているのかどうかということについて大臣に御見解をお伺いしたいんですけれども、この昨年度の調査結果の分析が出たのは、調査が四月でしたので、それから約半年後に出ております。小学校六年生と中学校三年生にこれは調査をしたわけですが、御承知のように、それぞれ小学校中学校最終学年で、もう総仕上げといいますか、総まとめに入っている二学期に入ってから結果分析が出て、これを指導方法教育環境整備に生かすといっても、この子たちに対して本当に改善がこういう調査の在り方で図られるのかというようなことを思うわけです。  教育活動というのは、改めて言うまでもなく、もちろんこういう調査、あるいはどこまで到達できたかという調査をするのは日々の教育活動の中でやるわけです。担任として、例えば受持ちの子供でこの子はこういう課題を抱えているとか、ここにつまずきを覚えているというのは、最終学年でしたら特にもう最後の総仕上げですので、日々その課題を把握して改善のために日々取り組んでいるわけですね。  ここに改めて結果が出ましたと、これで改善をしてくださいと、しかも予算はありませんよというような今回の学力調査というかテストですけれども、これで本当にこの目的が、これだけ莫大なお金を掛けて十九年度は達成できたというふうに大臣はお思いでしょうか。
  15. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 担当局からお答えをいたしましたように、目的というのは数点あると思います。全体的にとらえて、例えば都道府県がこの結果を受け止めて考えること、また、それぞれの教育委員会が、市町村なり政令都市もありますが、考えることなり、そういったことにおいてこの結果がどう反映されるかという点が一点ございます。  それから、今委員も御指摘ございましたような、それぞれの子供たちに対してこの調査をどうやって生かしていくかと、これも一つの大きな目的一つでございまして、当然、改善策を講じていくということが必要であります。  この改善策の中には、実は私は大きく言って二種類あると思いますのは、日々授業をやっていただいている先生方は頑張って、その子供たちの例えば傾向なり能力なりというものを担任先生はもちろんつかんでいただいておるわけでありますから、それが新たにこの結果によって確認をされて、そしてまた、考えるところがあればそれを授業で生かしていただく、指導に生かしていただくといったような、こういうとらえ方もできるわけでございまして、そういった点は、その結果をできるだけ早く終結をして、収束をして渡してあげれば生かされる。特に結果を検証する、そういった作業は要りますけれども、それ以外は特に費用の要さないものだと私は思っております。  そういうものと、やっぱり全体を集めて、これを分析して検証をするといった意味費用、こういったものはまた別に発生する費用として用意をしなければいけないといったような趣旨で、ただいま局長お答えをさせていただいたような今予算使い方というものをしておるわけでございます。  ただ、一点、我々も大いに反省をいたしておりまして、昨年は実は発表時期が非常に遅かったんですね、結果的に。これは初年度ということもありまして、様々な採点上の問題もありました。そういうことを反省をして、できるだけ早く結果を現場に反映できるように、今年はもう九月初旬、要するに夏休みが終わったらできるだけ早い時期に結果を公表をして、そして小学校中学校、こういった学校での最後仕上げといいますか、そういったことに使っていただけるべく、我々としても計画を実施していきたいというふうに考えておるところでございます。
  16. 神本美恵子

    神本美恵子君 大臣の御答弁で、私、文科省と例えば学校現場子供たち、それを受ける子供たち保護者との物すごい大きな認識のずれを御答弁の中で今分かった、発見したんですけれども、学校現場子供たちのつまずきや教育課題に対応していくのには費用を要さないというふうにおっしゃったんですね。私は、その課題を見付けて、どういう条件整備をしたらいいかというために全国学力学習状況調査をされるんだろうと思って、この調査そのものにあえてこれまでは反対をしてこなかったんです。過去にいろんな失敗をしたにもかかわらず再開されたこの調査にですね。ですけれども、是非このやり取りの中で大臣には認識を深めていただきたいんですが。  それで、そこにこそ、現場改善にこそ振り向けるべきだということをちょっと申し上げて次の問題に行きたいんですが、実はこの調査が始まる前から、過去の経験から、物すごい過度な競争序列化の中でいろんな不正行為が行われたと。  例えば、四十三年前の調査のときは、成績が振るわない子は明日は学校を休みなさいというような指導学校で行われたり、それから校長先生自ら、机間巡視といって机の間を先生がちゃんと調査を受けているかということで回るんですが、そのときに二番目の解答正解だということを机をたたきながら、というふうに解答を教えていったとか、これは実際にそれが行われたところの記録に残っております。それから、ひどい、ひどいというか、プラカードに正解を書いて机間巡視をした先生がいたとか、本当に様々な、これは調査にならないという不正な行為が行われたというようなことがありましたので、これまで文教科学委員会などで私も序列化や過度な競争にならないようにと、そういう配慮を十分にしてくださいよということを言っておりましたら、それは実施要領の中にも書かれております。そういうふうにならないようにというふうにすることで、結果の公表の仕方を序列化にならないようにということを工夫して、文科省としても実施要領にはっきり書かれておりますけれども。  今回の、昨年度の調査でそういう序列化につながらなかったかということで本当はお聞きしたいんですが、もう時間がありませんので、具体的に昨年度の実施事前対策に走った教育委員会があったということが報道されております。今日、委員の皆さんにはお手元に資料を配付しております。新聞記事で恐縮ですけれども、二ページに書いております。これ〇七年度分ですが、「全国学力調査 町が特訓」ということで、北広島教育委員会で、調査の直前に出題内容が類似した独自の問題集を作成して、時間配分や解き方、児童生徒指導するように各学校長指導し、それがちゃんと行われたかという、その結果報告まで求めていると。これはもう明らかに事前対策ではないかと思うんですね。  それから今年度、〇八年度の調査においては、次の三ページに載せておりますが、今度は滋賀県で、これは県教委が行っている。先ほど局長の御説明で、検証改善委員会を各都道府県に、県教委につくって、そこでこの結果を分析して改善を図る、そういう研究をしているというふうにおっしゃいましたけれども、その検証改善委員会が類似問題を作って、それを指導の手引ということで県レベルで各学校に活用を促したというようなことが報じられております。  これで本当に学力学習状況調査になっているのかと大きな疑問を、冒頭言いましたように、これはテストになっているんではないかと。テスト調査の違いを私も国語辞典で調べてきました。そうしましたら、調査というのは、物事の実態、事実などを明らかにするために調べることなんですね。実態、事実を明らかにすると。こういう事前対策が行われたんでは、本当の実態、事実が明らかにできないのではないかと。一方、テストで見ますと、検査、実験、試験、考査審査。ここに学力テストというふうに、引用のこういう使い方をするというのがあるのもちょっと分かりやすいなと思うんですが、明らかに審査考査になってしまっているのではないかということを思います。  こういう事前対策が行われているということについて、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
  17. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) その前に、一言私の方からも言わせてください。一方的に決め付けないでください。  私は、何もお金が要らないと言っているんじゃないんです。結果は当然、例えばその結果を集計をして分析をして必要なことはやるというためにやっているわけですから、ただ、日々の指導において生かしていただくには、別にこういうことにも役に立つでしょうということを申し上げたわけであります。これを別に反論と取らないで、誤解しないようにしていただきたいと思います。  事前に、今委員が指摘されましたようなこういうことが行われているということは、大変これは私は遺憾なことだというふうに思っております。これはやっぱり学校現場でしっかりとそういう対応はしていただかなきゃいけないし、都道府県教育委員会においても、そういうことにならないようにしっかりとやっていただく必要があるわけでございます。  それから、この序列化という問題に関しては、そのことを避けるために、公表の仕方なりそういったものについてちゃんとしたルールを今作りまして、そしてきっちりとお願いをしているわけでございますから、これは現場のやっぱり意識の問題というのも私はあろうかなというふうに思っております。  今後とも、こういうことが起こらないように我々はより慎重にこの問題を指導していきたいというふうに考えているところでございますが、やっぱり現場で受け止めていただく方もその趣旨をよく考えていただいて、そしてやっていただく必要があろうかというふうに私は考えておるところでございます。
  18. 神本美恵子

    神本美恵子君 現場趣旨をしっかり間違えないようにとらえてと、確かにそのとおりだと思います。しかし、この趣旨趣旨として生かされない、誤ってとらえられるのは何かといったら、やっぱり根本問題は、すべての子供対象にした悉皆調査になっていると、私はそこにあると思うんですね。ですから、これのやり方を見直さない限り、こういう問題は今年度も来年度もずっと続くと思います。  それからもう一つ、この学力調査がどういう問題を引き起こしているかということで、これは、国民教育文化総合研究所日本教職員組合学校現場でこの調査はどうだったかということの実態を調べております。そこから上がってきた声が、後で大臣にもお渡ししたいと思いますが、見ていたら本当にもう子供がかわいそうにと思うような事態もあります。  すべてではないと思いますけれども、例えば問題ができなくて泣き出して、小学校六年生ですよ、六年生が泣き出すというのはどういうことなんだと思いますが、その場で問題用紙をびりびり破ってしまった子がいたとか、それから日本語を母語としない外国籍の子が何人もいる、受け入れている学校がありますが、その子たちは、特にB問題という応用問題にかかわるような長文の問題が出ているとその問題の意味を理解できない、だからほとんど白紙で出さざるを得なかったとか。  それからもう一つ問題は、これは調査ですので、その日いろんな事情で欠席する子がおります。病気であったり用事があったりして欠席した子は当然次の日にその調査用紙で受けられるはずなんですが、調査があったもう翌日には問題と解答がメディアでばっと、新聞公表されておりますので、もうそれを見てしまって次の日の調査が受けられないというような問題が起きたりですね。  それから、もう時間がないんですが、例えば数学Bの問題で、家族でレストランに行き、セットメニューを注文するという問題があった。子供たちセットメニューという言葉自体を知らないと。都会の子以外の離島山間子供たちには、そういう経験がない。これは確かにあり得ることだと思います。私は、すし詰めという問題もこれはどうかなと思ったんですね。ラッシュの電車で、すし詰めか箱詰めか何とか詰めかという三択だったんですね。そういう経験をしたことのない離島山間へき地で生まれ育った子供たちはそんなこと、言葉すら聞いたことがない。  そういうこともありまして、子供たちへの負担とか、それから学校行事様々に変更しなきゃいけなかったとか、教室に書いている学習の結果を、いろいろ掲示物たくさんありますが、そういうのを全部はがさなきゃいけなかったとか、もうありとあらゆるいろんな問題が出てきておりますけれども、先ほど言いましたように、私は、やっぱりこれが悉皆調査であるために序列化競争につながったり、それが事前対策に走るということになっていると思うんですが、これはもう是非サンプル調査にしていただきたい。客観性公平性はもう損なわれているというふうに思うんですけれども。  これについて、ちょっと時間がないんで一人でしゃべりまくっていますけれども、資料の一ページ目に、これに要した費用文科省資料を基にちょっと作り直したんですけれども、例えば今二百三十万人の子供対象に昨年度も、今年度もまた行われましたけれども、これに掛かった費用が、一番左側、調査資材のこん包・保管、これも二十年度の準備経費として一億円、十九年度は二・六億円、それから調査問題の配送・回収、四・七億円、それから採点集計、二十九・八億円、結果の印刷・発送、二・二億円。  これは、単純に受ける対象が少なくなったら、その分、例えば二百三十万人を半分にするとか十分の一にすれば当然この額は減ってくると思うんですね。ここを削減して、その分を具体的な改善策の方に同じ予算を掛けるんであれば回すということが、私は、ああいう事前対策公平性を損なうような、調査ではない、テストになってしまうようなことも防げるのではないかというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  19. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 委員が御指摘になった、様々なそういった御意見が出ていることは我々も承知をいたしております。そういうことができるだけないように改善はしていかなきゃいけないという意識で臨んでいるわけでございますが、この悉皆調査につきましてはいろいろ御意見があるところでございまして、これは中教審でも御議論をいただいておるわけでありますけれども、意見が多少分かれるところだと我々も思っております。  しかし、当初、今日の議論の一番最初局長が話をいたしましたように、その目的というものを達成をしていく方法論についてどうするかということをいろいろと御議論をいただいた上でこういった調査をやろうということで、今やらせていただいている。私は、今このことを急に転換をする必要はまだないと正直思っております。そして、その目的が達成できるようにできるだけ工夫をこれからしていく、また、改善策というものをできるだけ早く現場に返す努力をしていく、また、そのいわゆる改善策というものを有効に我々は打っていくということがいいのであろうというふうに考えておるところでございます。  今後、今御指摘をいただいたような様々な疑念が出てこないように、より一層の工夫を重ねていきたいというふうに考えております。
  20. 神本美恵子

    神本美恵子君 大臣、先ほど最初のあれ、やっぱり誤解じゃないと思います。当分これでやっていくというもう結論をお持ちのようですけれども、今るる言いました悉皆調査であるために行われている事前対策、こういったものが行われた県とそうではない県とでは違った結果が出てくるわけです。もう客観性がそこで損なわれているということを考えると、私は、早急にこの悉皆調査という方法をやめて、国際のPISA調査だって抽出調査ですよね。抽出調査で様々な統計をクロスして、そして課題を見付けていくということが国のやるべき調査であって、このような悉皆調査でやることについては断固もう私は、もう二十年度は行われてしまいましたので、二十一年度に向けて見直しをしていただきたい。そして、その分をやっぱり改善。  例えば、学校現場での指導改善というのは、つい私はおととい福岡の地元に行きまして現場先生の話を聞きましたが、うちの学校は正答率が平均よりも低かったと、何とかしなければと。そういう全国の状況が分かったのは、全国の中で置かれている位置が分かったのはいいけれども、うちのクラスのつまずいている低位の子を一人でも多く、一点でも多く引き上げる、そのことに力を注ぎたい。しかし、平均点を上げるためだったら上位の子に一生懸命学習、力を入れて、こっちを上げるということも必要だと。そうすると、一人でどうしたらいいんですかというふうにおっしゃるんですね。  だから、指導方法の工夫改善、もちろんいろいろやりますけれども、その限界が今来ていて、定数改善をというような、平均正答率よりも低い学校には予算を一・五倍回してくれるならこれは何とかできるなというような現場の声もございますので、私は、当分これでやるというのではなくて、是非とも二十一年度はサンプル抽出で調査をするという英断を是非していただきたいなということを時間がありませんので申し上げて、次の問題に行きたいと思います。  次に、教育振興基本計画についてお伺いをしたいと思います。  これにつきましては、今まさに新聞報道、連日されておりますが、財務省との折衝で文科省も大変頑張っていらっしゃるということを見まして、これ頑張っていただきたいなというふうに思っておりますけれども、文科省としては、この教育振興基本計画の中に、今後十年間で教育関連予算を、対GDP比三・五%というOECD先進国の中でも低い位置にいるこの教育予算をOECD平均並みの五%に引き上げるというように主張されているというふうに報道で聞いております。しかし、それに対して財務省は欧米諸国と遜色ないというふうに反論を、しかも強い反論をしているようですが、これについての大臣の決意を是非お伺いしたいと思います。
  21. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 教育投資をどう考えるかということは大変意見の分かれるところでございまして、いろんな言い分があります。ただ、我々は今どういうふうに主張していこうかということを最終的に様々な党内の御意見、これは与党内で恐縮でございます、政府の決定でございますので、御意見も聞きながら今最終検討に入っているところでございまして、数字がいろいろ走っておりますが、このことを決めたということではありません。  しかしながら、決意ということでありますから、私は、教育投資というのは国家の姿だと思っております。GDPという一つの国力を何にいわゆる国家が政策的につぎ込んでいくか、つぎ込んでいくという言い方は良くないですね、政策目標として充てていくかと。こういう姿を、十年先の目標を作るわけでありますから、しっかりと我々は主張をしていきたい。資源のないこの日本が今後持続的に発展していくためには、やっぱりこの国は人を育て、そしてそこで科学技術を振興し、また、いろいろやらなきゃいけないことはあるわけでありますけれども、教育立国、科学技術立国を目指すというのがこれは私の政治の一つの哲学でございますから、そういった考えをしっかりとこの教育振興基本計画の中にも盛り込んでいきたいと。そのことをこれからも、これはまだ財務省の折衝というのは始まっておりません、中で主張をしていきたいというふうに思っているところでございまして、決意と言われましたからあえて申し上げたわけでございますが、日本の国というのが、この人材という唯一の資源に対してどういう投資をしていくかということが私は大事だと、こういう主張をしていきたいというふうに思っております。
  22. 神本美恵子

    神本美恵子君 それで具体的には、財務省は財務省なりの反論ということで、例えば一人当たりの教育費は欧米と遜色なくアメリカに次いで二番目であるとか、教員一人当たりの児童生徒数も遜色ないとか、具体的な数字を出して言ってきておりますので、これについて文科省としてはしっかりとしたまた数字でもって反論をして、今の大臣の決意を実現していただきたいと思うんです。  これまでずっと負け続けて、負け続けてといいますか、教育予算平成十年度からもう年々低下しているんですね、減りっ放しです。しかも、減っている中身の、先日これも報道であったんですが、地方交付税措置されている教材費、これが基準財政需要額で各地方交付税の中に盛り込まれている、これは教材費ですよと、として使ってくださいねというような意味合いを込めて交付税措置されているものの約三割がほかのものに使われているというようなことや、図書費も同様なことが行われているんですね。これはもう地方自治体の問題だといえばそれまでなんですけれども、こういうふうに実際に教育予算が空洞化しているというか、子供たちのところに行っていないという現実を踏まえて、教育振興基本計画の中には何としても必ず財源確保のための数値目標、この数値目標を入れるように、具体的に書き込むということをお願いしたいと思います。  大臣は科学技術の専門中の専門ですけれども、例えば科学技術基本計画の中には、第一期十七兆円、第二期二十四兆円、第三期二十五兆円というふうに五年ごとの具体的な研究開発のための数値が出てきているわけですね。教育もこういうふうにして計画を立てていかないと、国家百年の計、結果はすぐに出ない教育ですから、是非お願いしたいと思います。  改めて決意、具体的な数字を書き込むということについて御所見をお願いします。
  23. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 書き込むか否かについても含めて、書き込むのは簡単ですよ、書けばいいんですから。だけど、やっぱり今も言われたように、具体的なと言われますが、じゃその中身は具体的に何なのかということをしっかりと、負けっ放しと言われておりますから、勝てるように我々もちゃんと作らなきゃいけないわけでございますから、そのことは御理解をいただきたい。  私は、何も弱気になっているわけではありません。しかし、財務省の言い分の中にも、これは勝手に届いてきているペーパーでありますが、なるほどなと思うところもありますので、そういったところに対してしっかりと我々として主張できるということを責任を持って作っていかなきゃいけないということも御理解をいただきたいと思います。私は今、そのぎりぎりのところで毎日のように汗をかいているというふうに御理解をいただければいいと思います。我々の主張はしっかりとさせていただくということは、今お約束をさせていただきたいと思います。
  24. 神本美恵子

    神本美恵子君 具体的なところまで踏み込む時間がありませんので、是非それを具体化するための反論をきっちり数字で出していただきたいと思います。  次に、公立学校の耐震化についてですけれども、これはもう本当に連日、中国の四川省の問題も報道されておりますけれども、特にもう私は、子供たちが倒壊した学校の下敷きになって生き埋めになっているという報道に接するにつけ、この公立学校日本の耐震化の進捗状況について、ずっとこの七年間、ここに来ましてから取り組んできましたので心痛めているんですが、中国のあれに対して保護者地域の方たちが、こんな学校子供たちは勉強していたのか、まるで、おから工事じゃないかというような大変な住民の怒りが出てきております。  日本の、じゃ公立学校地域の避難所にもなっておりますけれども、ここの耐震状況はどうなのかということで資料をお配りしております。  本当は御説明していただきたかったんですが、その時間がございませんので、委員の皆さんには資料を見ていただいて、この中に、三ページ目に耐震化の状況を書いています。この右上の方に、耐震診断未実施の建物がまだ十三万棟のうちの八千五百九十五棟、まだこれだけは耐震診断すらされていないんです。しかも、一九八一年の新建築基準、それ以前の建物は、阪神・淡路震災の規模の地震があれば倒壊する危険性があると言われている建物の中の八千五百九十五棟、それから耐震診断はしたけれども未改修のものが、その下、白抜きになっています四万五千棟。ですから、これを合わせると、耐震性がない、倒壊のおそれがあるものが五万三千棟まだあるわけですね。  こんな状態で、もしも阪神・淡路震災規模の地震があした起きたらと思うと、本当に中国四川省のあの報道がよそ事とは思えないんですね。あれもよそ事ではありません。もちろん、そういう意味ではないんですけれども、本当に国の公立学校の耐震化についてはもう早急に取り組まなければいけないというふうに思っておりますが、これがなぜこんなに進まないのか、その進まない要因と、それから進めるための取組について、大臣の所見をお願いします。
  25. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 阪神・淡路大震災、私は兵庫県でございますから、ある意味地元でございます。家族は当時神戸におりました。だからというんではないんですが、やっぱり子供たちの命が万が一のことがあってはいけないという危機感は我々は非常に強くしております。  その中で、なぜ進まないのかという最大の理由、幾つかの理由があります、最大の理由はやっぱりなかなか地方が追い付けない。要は、我々、結構政府予算というのは確保されております。しかし、なかなかそれを使い切るだけのことに今なっていない。それは、地方の財政も非常に苦しいというところからきているということ、それから地域の様々な状況があります。これをずっと一月から三月まで掛かって非常に細かく精査を我々いたしておりますから、そのことを基に、どうすれば進むのかということをしっかりとまず責任を持ってお答えをしなきゃいけないというふうに思っております。  ここ数日間、またこれも我々の担当部局を中心にあらゆる選択肢を外すことなく検討を進めるという指示を出しまして、今いろいろ関係機関とも協議をしながら、これは当然、皆さん今よく仕組みは御存じかと思いますが、補助裏は起債が起こされて、それをその交付税を充てるという割と複雑な仕組みになっておりまして、そういったことがちゃんと対応していただけるのかどうか。これは政府としてやることですから、文科省とか総務省とかいうことなく、一体としてどういうことがやれるのかということを責任を持ってお答えすべく、近々その素案といいますか、そういうものをしっかりと作り上げたいというふうに思います。  PFIが使えるかとか、分割で債務繰延べがやれるか、いろんなことを今考えておりますが、こんなことは待っていられないわけですから、本当にスピード感を持って、あらゆる選択肢を外すことなく、具体的な解決策をお示しをしたいというふうに考えているところでございます。
  26. 神本美恵子

    神本美恵子君 この耐震化については、今、近々のうちに具体策を考えるという大臣答弁を是非守っていただきたいなというふうに思います。  どんな方法があるかということについて、民主党としては公立学校耐震化促進法というものを作りまして衆議院の方に提出をいたしておりますけれども、その中で、今おっしゃいました裏負担をどうするかということと、それから補助率かさ上げですね。これは資料の四ページに挙げておりますように、耐震状況都道府県によって非常に格差があると。これ、進んでいるところはこの裏負担の負担率が高いところ、それから、もちろん東南海地震のおそれが言われておりますので、それに対する対策の法律的な裏付けがあるというようなことも含めてこれだけの差が出てきておりますので、補助のかさ上げと、それからこの裏負担の率を上げることと、それから何よりも、私は、まず早急にやるべきは耐震診断、この八千五百棟について早急にまず耐震診断をやるということを大臣の決意で促進していただきたいと。そして、その結果を各学校施設に、住民に分かるように公表させる、これを義務付けすることが大事だというふうに思います。  耐震診断費用は、私の党の試算では、今のこれだけの分計算すると二百五十億ぐらいで全部できますので、それを義務付けをして、そして、その結果を校舎に張り付けなさいと、住民に知らせなさいということを是非やっていただきたいと思います。  質問時間が終わりましたので、大臣の所見、伺う時間があります。一言だけ、三十秒ぐらい、お願いします。
  27. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 今も急いでおるわけですが、それを加速するということで頑張ります。  ただ、義務付けの問題は、これは前に予算委員会でお答えしたんですが、民主党さんもさすがに国が公表をすることを義務付けろとは議員立法でおっしゃってないんですよね。(発言する者あり)おっしゃってないです。民主党の議員立法も義務付けは地方自治体なんです。これは確かにそうなっています。これはやっぱり皆さんもよくお分かりだと思うんですね。地方自治体は大変つらい目に遭うわけですから、この辺のところは調整が要るということもどうか念頭に置いていただきたいと。  それから、あとは工期の問題がありますから、こういったことをすべて考えて、私としては、あらゆる選択肢を排することなくこの問題に取り組んでいきたいというふうにお答えをさせていただきたいと思います。
  28. 神本美恵子

    神本美恵子君 終わります。
  29. 金子恵美

    ○金子恵美君 民主党・新緑風会・国民新日本の金子恵美でございます。大臣、よろしくお願い申し上げます。  質問に先立ち、文科省の汚職事件について一言申し上げたいと思います。  このたびの文科省前文教施設企画部長の汚職事件について、国民の信頼を大きく損ねる事件でございます。また、政官業の癒着の構図そのものが明るみになったものでございました。その真相究明と再発防止には万全を期さねばならないことは申し上げるまでもございません。まだ解明途中の事案でございますが、文科省としても、四月七日に設置した調査チームによる調査をしっかりと行い、徹底した改善の処置を求めたいと思います。  特に、私は、まず一つ目に調査チームの調査機能の強化、そして二つ目には、国立大学法人等施設整備に関する検討会と文教施設企画部はもちろんでありますが、文科省全体の関与の有無の解明、そして三つ目に、歴代文教施設企画部長の高専校長就任の経緯と今回の事態発生との因果関係の有無の解明、この三点について強く求めてまいりたいと思います。  それでは、質問に入ります。  まず最初に、特別支援教育について質問いたします。  平成十九年度から盲・聾・養護学校が特別支援学校になりました。そして、各教員免許状も特別支援学校の免許状に一本化され、従来の特殊学級から特別支援教育へ転換されました。障害のある児童生徒に対しては、その障害の種類、程度等に応じて特別支援学校や、そして小中学校の特別支援学級における指導あるいは通級による指導が行われております。  義務教育段階では児童生徒数の約一・九%、二十・二万人が特別支援教育を受けております。ノーマライゼーションの進展に対応し、障害のある児童生徒の自立や社会参加に向けて、その一人一人の教育的ニーズを把握し、そして生活や学習上の困難に対して必要な支援を行うため、真のインクルーシブエデュケーションを目指していかなければなりません。  特別支援教育については様々な課題がございますが、何点かについて御質問させていただきます。  まず我が国の特別支援教育の目標、どのようなものか、お聞かせください。真のインクルーシブエデュケーションを目指すのか。そして、その目標を目指すためには、現在までのところ予算は十分に確保され、そして予算を効率的に執行されてきたのか、伺いたいと思います。  まず、文科大臣にお願いいたします。
  30. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 障害のある児童生徒が、インクルーシブという言葉が最近は一番使われているようでございますが、その障害の状態に応じて一人一人が適切な指導を受け、そして教育を受け、自立して社会参加をしていくと、これが一つの大きな目的であろうというふうに考えておるところでございます。  そのために何を行うかということで様々な政策が立案をされているわけでございますが、従来の教育の在り方から、特別支援学校そして通級指導という、少し流れが変わったというのが近年の大きな流れの変化だというふうに思っております。  そして、幼稚園、小学校中学校、高校、様々な段階あります、大学もあると思いますけれども、こういった中で一体どういった政策をやっていくかということを考えることが必要でありまして、予算の話があったわけでございますが、例えば平成二十年度でこの特別支援教育関係予算というのは七十六億七千万、前年度比六億五千万の増ということになっております。また、先ほど申し上げました通級による指導ということでは百七十一人の定員増を行っておりますし、そして支援員の配置ということで約三万人分ですね。これは地財措置でございますが、三百六十億円、これは前年度に比べると百十億円の増ということになっておるわけでございますが、こういった財政措置の拡充を行っているところでございます。  これは十分かどうかと言われますと、我々としてはやれることをやっているというふうにお答えをせざるを得ない部分がございます。足らざる部分があれば更なる充実をやっぱり図っていくということではないかと思っておりまして、障害のある子供たちが、生徒一人一人が、この教育ニーズをしっかりと我々も把握をして、今後適切な教育が行うことができるように我々としても頑張っていきたいというふうに考えておるところでございます。
  31. 金子恵美

    ○金子恵美君 同じ質問を財務省にお願いいたします。
  32. 森山裕

    ○副大臣(森山裕君) お答え申し上げます。  特別支援教育につきましては、具体的にどのような教育を目指すかということは文科省でお考えをいただく、検討されるべきことでございますので、財務省としての立場で申し上げることではありませんが、いずれにいたしましても、児童生徒教育的ニーズを的確に把握し、それに応じた適切な教育を施していくということが重要であるというふうに考えているところでございます。  先ほど文科大臣お答えになりましたとおり、平成二十年の予算におきましては新たに発達障害等支援・特別支援教育総合推進事業を立ち上げ、特別支援教育の推進に資する予算計上を行ったところでございます。まずは、この二十年度予算を最大の効果を得られるように適切に執行していただくということが重要であるというふうに考えております。  以上でございます。
  33. 金子恵美

    ○金子恵美君 財務副大臣、ありがとうございます。内容については文科省が決めていくと、それに対して協力をしていくというような意味も含めてでしょうか、内容の政策的なことについてしっかりと御理解をいただいた上で予算を最終的には決めていただくというようなことにもなるのかと思いますけれども、やはり共に、この日本の将来を担う子供たちのためにどれぐらいの予算を使っていくのかという、その教育投資については共に考えていただきたいというふうに思います。  先ほど神本委員からも質問がありましたけれども、GDP比、OECD諸国の中では五・〇%が平均であるのに対して日本は三・五%にとどまっており、そしてまた、今回の教育振興基本計画には是非その教育投資の数値目標というものを盛り込んでいただきたいというような内容がありました。  やはり、量だけではないというふうに恐らく財務省の皆さんはそういうふうにお答えになるかもしれませんけれども、人材育成も含めまして、人的な投資というところはやはり量は本当に関係しているわけでございます。そしてまた、教育の質を向上させるというふうに言いましても、そのためにはお金が必要であるわけですし、いずれにしましても、教員の定数を改善する、量を増やすためにも、そして質を向上させるためにも量は必要であるということでございますので、その辺のところも是非御理解をいただければというふうに思っております。  私も、教育振興基本計画の先ほどの数値目標につきましては、実は渡海大臣に決意をお伺いしたいと思っておりましたが、先に、先ほど神本委員の質問でおっしゃっていただいたと思います。  ただ、一点だけ。もちろん、個別の数値目標も盛り込まれるべきだというふうに思いますので、その件につきまして、特にこの特別支援教育、包括的教育、インクルーシブエデュケーション、この件につきましてももちろんそういう数値目標入れたいという思いがおありだと思いますが、いかがでしょうか、渡海大臣
  34. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) この定数の議論というのは、要はやっぱりしっかりこれこれこういうことだからこういう人間が要るんだという、そういう主張をしなければいけないというふうに思っております。  私は財務省じゃないということを前提でお聞きをいただきたいんですが、しかし政府が持っておる様々な今の行革努力とか、そういったものも完全に無視するわけにはなかなかいきませんよ、それは。今、例えば地方の公務員の皆さんだって大変汗流している。そのことに対して、やっぱり教員だけは特別だと、文科大臣だからそう言えばいいのかもしれませんが、それほど単純に言い切れるものではない。  やっぱり、我々は全体を見ながら、そしてその中で整合性のある合理的な考え方をしていかないと。いや、言うことは簡単ですよ、言うことは簡単だけれども、やっぱりそれはなかなか議論にならない。擦れ違った議論を空中戦でやっているだけでは私はいいものはできないと思っておりますし、それから、これは毎年の概算要求とは訳が違うんですね。ですから、ある意味ではこういった水準をきっちり守るといったような成果目標をしっかり作っていくということであろうと思います。  全体としての投資ということになりますと、これは委員もおっしゃるように、先ほど神本委員もおっしゃいましたが、科学技術基本計画は確かに総額でしか書いていないんですね。中身を一々一々一々、これが幾らこれが幾らというふうには書いてないです。ですから、そこはまた議論のあるところでありますが、そういう設定は可能かなというふうに思っておりますが、個別の問題について一つ一つ数値目標を作るということは、私はなかなかその議論にのせていくことすら難しいものもあると。すべてのせないとは言いません。  そんなことも含めて、今、必死に我々は、我々が目指そうとしている教育の理念を実現をするためには何が必要かということを申し上げているということを御理解をいただきたいと思いますし、書けるものは書かせていただきたいと思っているということをお答えをさせていただきたいと思います。
  35. 金子恵美

    ○金子恵美君 是非、大臣にお願い申し上げますが、ぶれずに、この国の子供たちをどういうふうに育てるかという、その視点を忘れずに教育投資についてしっかりとお考えいただきたいというふうに思っております。  次に、通級指導対応のための教員加配についてお伺いいたします。  先ほど、今年度は百七十一名の加配というようなことでお伺いいたしました。実は、今までもいろいろと加配はされているわけでございますけれども、十七年度までを見ますと、第六次改善計画による措置と、それから第七次改善計画による措置ということでそれぞれ千七百十七人、そして百九十四人、そしてまた平成十八年度は小中学校、これは通級です、小中学校二百八十二人、そして十九年度二百五十八人、そして今年は先ほどおっしゃった百七十一、合計二千六百二十二名の加配というようなことでの通級指導がなされるということでございます。  しかしながら、これ実際にはこの加配数だけでやっぱり十分であったとは私は思えません。  この加配は都道府県の申請に基づいているということでございますが、平成二十年度の政府予算概算要求では特別支援教育の充実のためという枠で九百三名の増員要求が出され、うち六百三十名が通級指導対応のための加配要求でした。しかし、結果は百七十一名にとどまりました。  二十年度、実際に都道府県からの申請数は四千二百ということだと伺っております。それを大きく下回る概算要求、更にその要求を大きく下回る数字でございます。このような現状で通級による特別支援教育を充実することが可能であるとは考えられませんが、更に改善する必要があるという認識はお持ちではないでしょうか。
  36. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) 小中学校などにおける通級指導でございますが、特別支援教育の推進に重要な役割を果たしていることから、私どもではこれまで計画的に通級指導のための定員、教員定数を改善してきたところでございます。  御指摘ございましたように、平成二十年度概算要求におきましては、二十年度から二十二年度までの三年間で千九百人程度の定数改善を計画し、その初年度分として六百三十人を要求したところでございますが、平成二十年度予算におきましては、教職員配置の一部を見直した上で行革推進法の範囲内で教職員定数の改善を行うこととしたところでございまして、特に重要な課題である通級指導の充実につきましては百七十一名の定数改善を図ったところでございます。  二十一年度以降の教職員定数の在り方につきまして、今後よく検討してまいりたいと存じます。
  37. 金子恵美

    ○金子恵美君 子供たちは日々成長しておりますので、必要な時期に必要な教員の配置をしっかりできるように是非お願いをしたいと思います。  次に、特別支援教育支援員についてお伺いします。先ほど、それにつきましても大臣お触れになられました。  これは、小中学校に在籍する発達障害を含む障害のある児童生徒を適切に支援するため特別支援教育支援員の活用に大きな期待が寄せられ、十八年度までは自治体任せであったわけですね。ボランティアでやるところやそれぞれの自治体の取組がなされておりましたが、平成十九年には支援員二万一千人分の約二百五十億円分が地財措置され、そしてまた平成二十年度、今年度は三万人分、三百六十億円予算が計上されているということで先ほどお話があったわけでございますが、これ、今ほど申し上げましたように、自治体でそれぞれの取組が十八年度までなされていたということもありまして、幾らこの地財措置がされたとしても、やはりその財政事情によって格差が生じたままでございます。  学校数に対しての割合、十九年度も格差があるわけなんですが、神奈川県は、その今申し上げた学校数に対しての割合で一五三%となっておりますけれども、低いところではたったの四%の配置ということで、かなりの格差があるというようなことでございます。市町村の厳しい財政事情がこのような現象を生む要因となっているとも考えられますが、それ以外に、支援員の確保が難しい小規模自治体があるというふうにも考えております。ですので、まずは市町村の負担を軽減すること、そしてまた専門性の高い人材をいかに確保していくかというような課題があるわけでございます。  今後の国としての取組、どのような方向性でいくのか、お伺いさせていただきたいと思います。
  38. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) 特別支援教育支援員につきましては昨年度より地方財政措置を行っておりまして、平成十九年七月一日現在の特別支援教育支援員の配置状況は、地方財政措置を行った二万一千人を超える約二万二千六百人が全国で配置しておりますけれども、御指摘ございましたように、都道府県別の配置状況に差があることも事実でございます。今年度は地方財政措置を拡充いたしまして、約三万人の規模で行うことといたしております。  私どもといたしましては、各市町村において支援員が必要な学校への配置が図られるよう、昨年から地方財政措置の趣旨、内容や人材確保の必要性について周知を図りますとともに、各都道府県別の配置データを公表し、積極的な取組を促すなど、きめ細かく取り組んでいるところでございます。  また、この特別支援教育支援員が障害のある児童生徒に対して適切に対応いたしますためには、その専門性の向上を図ることも重要でございます。文部科学省ではこれまで、支援員に対する研修の取組の重要性や具体的な研修内容の例を分かりやすくまとめたパンフレットを作成いたしまして全市町村に配付いたしますとともに、各種会議などを通じてその内容の周知を図ってきたところでございます。  今後とも、特別教育支援員の専門性の向上が図られるよう努めてまいりたいと存じます。
  39. 金子恵美

    ○金子恵美君 ありがとうございます。  今おっしゃられたパンフレットがこちらではないかと思いますが、こちらが配付され、それで、この内容にはもちろん特別支援教育支援員の役割は、食事や排せつ、教室移動の補助といった学校における日常生活上の介助や、そしてLDの児童生徒に対する学習支援、ADHDの児童生徒に対する安全確保などの学習活動上のサポートを行うことなどが示されているわけなんです。車いすを使う児童生徒も含めて支援をしていくというようなことも恐らく含められていると思います。ですので、一番最初にお伺いしました、どのような形で国のその特別支援教育というのが進められていくのか、どういうビジョンがあるのかということも含めてです。  つまり、以前であれば、障害のない子供たち、障害のある子供たちと二つに分け、それを統合するというようなことで統合教育と言われてきましたけれども、今は包括的ということでいろいろな特別支援教育の場があっていいというようなことでございますけれども、やはり通常学校の中にもちろん様々な障害のある子供たちがいてもいいということ、そしてそのための支援員の活用ということになってくると思います。  やはり、食事、排せつ、教室移動、これは特別な技術も私は必要になってくるものだというふうに思っております。私自身も実は介護福祉士を育てている立場ではありますけれども、一方では、そのような技術まではいかないにしても、しっかりとした障害の種別によっての個性というものを知る、そういうことも必要になってくると思いますし、そういった意味では本当に専門性を高めていかなくてはいけないと私は思っております。  その中で、実は支援員の賃金等のばらつきというものがどうなっているのかということはやっぱり懸念されるところなんですが、先ほど申し上げましたように、十八年度までは自治体それぞれの取組があったわけですけれども、例えば、京都府宇治市のいきいき学級支援員、このパンフレットの中にも示されていたと思いますけれども、これは一日四時間、一時間七百円、そして一方では、東京都の港区は、こちらはNPOとの協働で行っているということでしたけれども、一日六時間、一時間千五百円というふうに、とても差があります。この差が教育の格差にもならないだろうかと懸念するところでございますが、御所見を伺いたいと思います。
  40. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) 特別支援教育支援につきましては、全国の小中学校分に相当する約三万人程度が地方財政措置されておりまして、一人当たり百二十万円程度の積算となっております。ただ、特別支援教育支援に対する実際の謝金につきましては、支援員を配置している市町村が支援員と賃金を含む契約を行っておりまして、その職務内容や他の職種とのバランスなどを勘案して、各市町村において御判断をいただいているところでございます。  私どもといたしましては、この特別支援教育支援員の専門性の向上という観点からは、平成二十年度からすべての都道府県対象といたしまして発達障害等支援・特別支援教育総合推進事業というのも行っておりまして、その中で特別支援教育支援員の研修も行うことができるようにいたしたところでございます。  今後とも、この特別支援教育支援員の専門性の向上などに努めてまいりたいと考えております。
  41. 金子恵美

    ○金子恵美君 是非、自治体間の格差が出ないように、それは子供たちに対する格差ということですので、その辺のしっかり取組といいますか、自治体のもちろん現状というものもありますけれども、ニーズもありますけれども、でも、それがしっかり反映された形で今行われているのかどうかというチェックというものは、このパンフレットだけではなく、そしてまた研修だけではなく、その都度やっていっていただきたいというふうにお願いを申し上げます。  次に、養護学校の教室不足についてお伺いします。あえてここでは特別支援学校ではなく養護学校と申し上げさせていただいておりますが、実はその理由は、盲・聾学校以外の養護学校について、特にその教室不足ということが顕在化されているということでございますので、御質問させていただいております。  お手元に資料が配付されているわけです。近年養護学校の教室不足が大変深刻化されておりまして、必要な校舎面積の保有率、これは校舎整備の国庫負担の基準となっているものですけれども、これが平成八年度と十八年度で比べると、高等部では六九%から五八%に下がっておりまして、小中学部では八七%から六三%と低下が著しくなっております。同じ統計から見ますと、小中学校では保有面積が必要面積を上回っていると。そして、義務教育保障の観点から見れば、もちろん特別支援学校においても当然同様の教育環境が満たされるべきだというふうに思っております。また、高等学校においても必要面積を割り込んでいる状態でありますけれども、養護学校高等部のように水準が大きく低下しているわけではない現状もありますが、まずこの件についてどのような御認識をお持ちかお伺いします。
  42. 舌津一良

    政府参考人舌津一良君) お答えいたします。  近年、特に知的障害のある児童生徒等を対象とする特別支援学校におきましてこの児童生徒等の増加に伴います御指摘のような様々な課題が生じているわけでございます。このようなことを踏まえまして文部科学省としてその実態把握を行う必要があるということで、昨年度ヒアリングを行わさせていただきました。そのヒアリングの結果でございますけれども、一部の学校におきまして教室不足のために教室のスペースを区切って使用していると。その結果、スペースで区切った他の教室の子供がたてる音が学習の妨げになる、あるいは時間割の設定が難しいというような、こういうような問題が生じているということを認識したわけでございます。  文部科学省といたしましては、こういうような特別支援学校における教室不足についてその解消を図る必要があるというふうに考えておりまして、各地方公共団体におきまして適切な施設整備計画を策定するようにお願いをしております。文部科学省としては、これらに対しまして国庫補助を行い積極的に支援するというふうに方針を立てておるところでございます。また、あわせまして、近隣の小中学校の余裕教室を活用した特別支援学校の分校あるいは分教室を設置するなど様々な工夫をしていただきたいと、こういうようなことも併せてお願いをしているところでございます。
  43. 金子恵美

    ○金子恵美君 ある養護学校ではトイレが教材の物置場になっているとか、そしてまた廊下に荷物が置かれ続けているとか、そういうことがあるということがマスコミでも取り上げられていたわけでございますので、現状は本当にひどいものでございます。是非しっかりとその教育環境の改善に取り組んでいただきたいとお願いを申し上げたいと思います。  その中で、小中高等学校施設の基準については、文科省令である設置基準により収容定員に応じた校舎面積等が定められているということで、設置者は、設置基準より低下した状態にならないことにすることはもとより、これらの水準の向上を図ることに努めなくてはならないとされています。しかし、特別支援学校については障害の状況等が様々であることを理由にこの同種の省令は整備されておりません。ですので、こういう問題点も指摘されているわけでございますので、是非また更に御検討をいただいてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  次に、続きまして、学校給食費の未納問題についておただしをさせていただきます。  学校給食費の未納問題については、各学校教育委員会が対応に苦慮しているという事例が多く伝えられていることから、平成十七年度、文科省は全国の小中学校学校給食費の徴収状況調査しました。平成十九年一月にその調査結果を公表いたしましたが、調査によると給食費の未納の児童生徒は全体の一%に当たる九万九千人、そして未納総額は二十二億円を超えたということでございました。また、全国の約四四%の学校が未納の児童生徒を抱えている実態も浮かび上がりました。  まず、この問題に対する大臣認識と御見解をお伺いいたします。
  44. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 正当な理由がなくて未納というふうなケースも多々あるようでございまして、アンケート調査をしますと、先生方の受け取り方として、これは、保護者としての責任感や規範意識、原因がそういうことによっているというのも、これは大変けしからぬと言うのが一番いいんでしょうかね。親というのは本来子供を保護する、そういった責務を背負っているわけでありますから、その点からしてもこういったことがあってはならないと考えておりますし、また残念なことは、先ほど来定員の話がいろいろあったわけでございますけれども、本来、教育活動に専念をしていただきたいというのに、こういった未納問題とかで父兄への対応、また最近、モンスターペアレンツ等とのこういう問題も指摘をされておりますが、そういったことで先生方が非常に多忙に追われているということの原因にこの給食もあるわけですね。  まあ件数は大したことないじゃないかというような意見もどこかから聞こえてきておりますが、そういうことではなくて、やっぱりこういうことが起こらないように、これは教育委員会も、それから、教員に負担が掛かるんじゃなくて学校としてもしっかりと対応していただきたいというのが率直な私の気持ちでございます。
  45. 金子恵美

    ○金子恵美君 今大臣からも御指摘がありましたけれども、調査結果の中でも、保護者への説明や督促の対応者については、学級担任が六二・四%、次いで、校長、教頭が行っている、六一・二%、学校事務職員四三・三%となっているわけでございまして、現実的には、やはり学校現場で、学級担任を含め、校長、教頭あるいは今申し上げた事務職員の皆さんが対応し、そしてやはりその負担を軽減するということがなかなかできない状況にあるというような問題もあります。  ですので、こちらもなかなか国として何ができるのかというようなこと、難しいということかもしれませんけれども、前に通知として「学校給食費の徴収状況に関する調査の結果について」ということを出されまして、その中で留意事項が三項目書かれておりました。一つ目には、学校給食の意義、役割及び学校給食費の重要性についての保護者への周知についてという内容、そして二つ目には、生活保護による教育扶助及び就学援助制度の活用について、三つ目に、学校給食費の未納問題への取組体制についてというようなことでそれぞれの自治体に下ろされたと、教育委員会の方に通知がされたというようなことであるわけでございます。  保護者への周知といいますか認識学校給食法にもあるような給食の重要性について保護者がきちんと理解をしているのかというところが、本当にここもポイントになってくるところだとは思いますけれども、一方では、本当に経済的になかなかこの給食費を払うことが難しいという人たちもいるわけです。  また、そちらの方の人々の方がもしかすると少数派になってしまうかもしれませんが、そちらの方々をどういうふうに支援していくかということで、就学援助制度の活用の問題点について御質問をさせていただきたいというふうに思います。  この制度は、平成十七年の義務教育国庫負担法の改正によりまして、要保護児童への就学奨励法に基づく給付に対する補助はそのままだったんですけれども、準要保護世帯に対する国庫補助は廃止され、そして税源移譲されました。この制度の現状を見てみますと、文部科学省平成十八年六月の就学援助に関する調査結果によると、この受給者数は、平成九年に約七十六万六千人だったのが平成十六年には約百三十三万六千人に増加しております。  また、税源移譲された平成十七年に準要保護世帯の認定基準を変更した教育委員会数が全体の五・九%に当たる百二十三教育委員会になっております。変更内容は、所得基準限度額を引き下げるなどの認定基準の縮小、これをしたのが八十七教育委員会、そして認定基準を変えずに支給額の減額をしたところが十三教育委員会、そしてその両方とも減らすというような形が五教育委員会ありました。このような形で税源移譲がなされて、その結果としてやはり弱者切捨てになっていなかったのかどうか、その辺の御認識はどうか、お伺いしたいと思います。  つまり、給食費の未納問題の解決の前にこの就学援助制度の活用を求めるのであれば、やはり文科省として、先ほど申し上げました自治体の実態を踏まえ、しかるべき適切な措置をあらかじめ講じた上で求めていくべきではないかというふうに思いますが、その就学援助も格差が出ないようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  46. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。  御案内のとおり、就学援助は、教育機会均等の精神に基づきまして、すべての児童生徒義務教育を円滑に受けることができるように配慮し実施すべきものであると考えておりまして、経済的理由によって就学困難と認められます学齢児童生徒保護者に対しましては、市町村が必要な援助を第一義的に与えるものでございまして、就学援助の実施義務は市町村に任せられているという現行制度の構造になっているわけでございます。  文部科学省といたしましては、学校給食費につきましては、学校給食法の規定に基づき、市町村等が行う就学援助のうち要保護者に係る援助について私どもは補助を行っているところでございまして、今委員御指摘のとおり、準要保護児童生徒に対する援助につきましては、市町村が定めます基準によって認定をされまして、地域の実情に応じて適切に実施されているものと承知しております。この準要保護者に対する国の補助につきましては、三位一体の改革によりまして平成十七年度から一般財源化され、地方に税源移譲したところでございます。  私どもが十八年度の就学援助の実施状況調査を行いましたところ、公立の小中学校児童生徒一千三十九万人のうち、学校給食費に対する就学援助といたしましては、百十九万人に対しまして約四百六十億円が地方公共団体、市町村から援助されているところでありまして、この援助人数、援助額とも前年度より増加をしているところでございます。  私どもといたしましては、各都道府県の知事、教育委員会に対しまして、就学援助については所要の事業費が地方財政計画にきちんと計上されておりまして、地方交付税を算定する際の基準財政需要額に算入されておりますことから、このきちんと算入されております基準財政需要額と地方交付税に基づきまして適切に実施されるよう通知を発出しているところでございます。準要保護者に対する就学援助が適切に行われるよう、私どもといたしましても地方の教育委員会等に対しまして促してまいりたいと考えているところでございます。
  47. 金子恵美

    ○金子恵美君 この未納問題というのはいじめにもつながりかねないというようなことでございますので、是非文科省としてもしっかり取り組んでいただきたいと。  今、就学援助のことは分かりました。よろしくお願いいたします。  最後の質問になります。  時間が限られておりますけれども、全国公立学校施設の耐震化ということで神本委員も取り上げていらっしゃいましたので、ほとんど割愛させていただきまして、しかしながら、文科大臣渡海大臣に、やはり決意というようなことでお伺いさせていただきたいと思うんですが、まずは、大臣は地震調査研究推進本部の本部長でもいらっしゃいます。ですので、この様々な、これからの防災ということも含めましてどのように地震防災対策について取り組んでいくかというお考えがあろうかと思いますので、お聞かせいただきたいと思います。
  48. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 我が国は地震大国でございます。その中でやっぱり地震の予知、予測、こういった問題があります。そして、この予知、予測というのは、できたら早く避難をしていただきたいということであります。今防災システムも機能いたしておりますけれども、まだまだ時間的にそれを長く延ばすというのはなかなか難しい。そうなってくると、起こったときに、減災という考え方がございますから、災害が起こったとしても被害が少ないという町づくりをどうやって進めていくか、こういった観点で様々な政策を展開していく必要があろうというふうに思っております。  先ほど、学校耐震化の問題につきましてはいろんなお話をさせていただいたところでありますけれども、子供たちの命が失われるという問題につながると大変でございますから、我々は今も、この危ない、危ないという言い方が正しいのかどうか、Is値〇・三以下と言っていますが、倒壊のおそれが非常に大きいと、こういうものについては五年間で一万棟をやるという計画は立てておりますけれども、それでも遅いというふうに思っておりまして、できるだけ早くこのことが実現をするように、あらゆる選択肢を排除することなく今方策を作っているというところでございます。  これもできるだけ早く作りたいというふうに思っておりますが、工期の問題等もありまして、時間の関係ありまして長くは話しませんが、例えば今から発注しても恐らく夏休みにはできないと思うんですね。そういった問題もありますから、そういったことも全部バランスを取りながら全体的にこの問題を早急に回答を出したいというふうに思っておるところでございます。
  49. 金子恵美

    ○金子恵美君 先週の金曜日、五月十六日の閣議後の記者会見でこのことについて触れられたということを伺っておりますが、その内容は今おっしゃられたような内容であったでしょうか。
  50. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 私は、あらゆる選択肢を排除することなく、これが早急に実施できるようにこれから検討したいというふうに申し上げたつもりでございますが。
  51. 金子恵美

    ○金子恵美君 ありがとうございます。  いろいろと交付税交付金の措置もされているというようなことでございますけれども、予算もあげていると。しかしながら、自治体の方でなかなか受け入れることができない現状、それはやはり自治体の財政事情があるというようなことでございますが、まずはやはり、先ほど神本委員からもありましたけれども、補助率をどうしていくのかということも含めまして、しっかりと取り組んでいっていただきたいというふうに思っております。  実際に、私としては問題点はやはり若干あるんではないかと思いますけれども、平成十八年度当初予算一千四十億円、これは公立学校の施設の耐震化の推進等ということなので、これ全部が耐震化の予算ではないと思いますが、そういうくくりでありました。で、補正額が一千百億、実際に十九年度も同じような形で一千四十億当初はありまして、補正額が一千百十億円なんです。今年度も一千五十億円というふうになっております。  ところが、やはり十八年度の決算を見ますと、前年の繰越しを足して歳出予算現額が二千七百七十三億円に対して、支出済歳出額が一千五百十一ということで、一千二百五億円は翌年度の繰越額になってしまっているというような現状があり、そしてさらには不用額も五十六億円ぐらいあるということなんですが、現状、本当、一言申し上げますと、そもそも補正の時期が遅く、そしてまた議会の方で受けるための補正予算を計上する議会に間に合わないという現状がもしかしてあるとしたらば、これをしっかりと使いこなせないというような原因の一つになっているのではないかとも思いますので、その辺もひとつチェックをしていただきながら取り組んでいただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。  終わります。
  52. 前川清成

    前川清成君 民主党の前川清成でございます。  今日は、先輩、同僚議員の皆さん方の御配慮で差し替えで質問させていただきますことをまず感謝申し上げたいと思います。  今日は、まず最初に、登記特別会計の問題を議論させていただきたいと思いますが、委員の皆さん方も登記簿謄本というのを御存じかと思います。土地であれば、表題部というところに地名と地番と書いてあって、甲区欄というところに所有者が鳩山邦夫だとか、こういうふうに書いています。抵当権の設定がなければこれだけで終わりでございます。  このまさにコピー一枚で終わるんですが、これが一通千円掛かります。私はこのコピー一枚、一通千円は高いなと思うんですが、鳩山大臣はどのようにお感じなのでしょうか。
  53. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) まさに公共料金というか国が決めている料金ですから、それはできるだけ安くしたいというか、安ければ安いほどいいんだろうと、そうは思いますが、登記特別会計という観点で一般会計からも繰入れがあっておりますから、そういう財政の問題も考えますと、やはり物価の状況、登記事項証明書の交付等に要する実際の経費ですね、様々な事情を考慮して決めているわけでございまして、三年ごとに見直しているわけでございます。  今先生がおっしゃった千円という件については、確かに一枚千円いただいているわけですが、オンライン化を進めていこうと、オンライン申請を増やそうということで、オンラインの場合は七百円としているところでございます。
  54. 前川清成

    前川清成君 今大臣の方から、一般会計からの繰入れもあるし、実際の経費も考えてこの千円を決めていると、こういうようなお話がありました。  平成十年の四月一日から、一通当たり千円というふうに値上げされています。大臣は、この値上げのときに法務省がどのような説明をしていたか、値上げの説明をどのようにしていたかは既に説明受けておられますでしょうか。
  55. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 平成十年に八百円を千円にいたしておりまして、そのときに法務省がどういう理由で値上げをすると説明したかは、私は残念ながら報告は受けておりませんが、早い話が、登記のコンピューター化をいたしたものですから、そこにかなりの経費が掛かったから、そういうコンピューター化、IT化するための経費、これをやはりいただこうと、こういう考え方ではなかったかと思います。
  56. 前川清成

    前川清成君 ここにその値上げのときの法務省が作成したパンフレットがあります。これによりますと、平成十六年まで掛けてコンピューター化をしますと、そのためのお金として三千七百十億円掛かりますと、登記簿謄本、抄本の発行は全体の事務量の六七%ですと、今後三年間に予想される謄抄本の請求が二億四千七百万通、ついては、三千七百十億円を全体の六七%を掛けて、さらに二億四千七百万で割ると一通当たり千円になると、こういうような説明をしています。  まさにコンピューター化するための特定財源であって、しかもそれが終わるまでの暫定税率ということでこの一通千円の値上げが実施されました。ところが、既にコンピューター化が終わっているにもかかわらず、今も千円の値段がそのまま続いています。  大臣、先ほど一般会計からの繰入れというお話をされましたけれども、実は登記特別会計、剰余額が三百七十三億円あります。コピー一枚、一通千円のぼろもうけをした結果、三百七十三億円お金が余っていると。私は、もうそろそろこの一通千円、見直さなければならないと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
  57. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) いや、なかなかいいお話を聞かせていただいて。  実際問題として、幾らを設定するかというのは、今、前川先生がおっしゃったように、実際、掛かるであろう費用を申請があるであろう数で割り算をして決めていると、こういうことなんですが、したがいまして、オンライン化をしてそのために金が掛かった、これはしようがないと思います。オンライン申請がまだ十分数が増えていかないから、これを増やすために登記所では千円、オンライン申請は七百円というやり方をしているわけですが、これを更に下げることができるかどうかは、よく省内で検討してみます。
  58. 前川清成

    前川清成君 この登記特別会計そして登記の手数料に関して、もう一点大臣にお考えいただきたいことがあります。  今申し上げたように、コンピューター化するための、言わば利用者の割り勘でこの千円というふうに値上げをしたんですけれども、登記簿謄本、抄本の平成十八年度の発行枚数が七千五百四十五万六千九百五十一通です、約七千五百万通。このうちで、公用で千五百五十二万八千二百二十二通発行されています。率にして二〇・六%になります。この公用はただなんです。閲覧、登記簿謄本見るだけでもこれは一回当たり五百円掛かるんですけれども、この閲覧の場合に、平成十八年、六千七百九十七万四千四百九十五回閲覧されていまして、うち三千五百三十万四千九百十二回、率にして五一・九%が公用でただで見られています。  コンピューター化するための割り勘であるのならば、民間だけが負担するのではなく、公用、お役所も負担するべきではないかなと思うのが一点と、どうして全体の半分以上を公用が占めているのか、この辺を大変不思議に思っています。  この公用というシステムを少し見直さなければならないと考えますが、大臣いかがですか。
  59. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 実は前川先生から質問通告を受けましたときに、公用、つまり役所同士のやり取りが証明書関係でも二割はある、閲覧関係ですと五〇%を超すと。もちろん、オンラインでの閲覧を含めますと公用は四〇%ということになりますが、その説明を聞いたときに、もちろん役所、他の役所からもお金取っているんだろうなと、私はこう言ったんですよ。そうしたら、いやいや、公用はお互いの行政情報のやり取りでございますのでただですと、こういう話で、私も非常に意外に思いましたので、これは、公用である場合もある程度いただいて民間からいただいている料金を下げるというのは一つのいい考えだと私は思います。役所がどう思っているか分かりませんが、私は思います。
  60. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 倉吉民事局長。簡略にお願いします。
  61. 倉吉敬

    政府参考人(倉吉敬君) 申し訳ございません。ちょっと事務当局から、歴史的経緯等もございますので一言だけ、前川先生、御容赦いただいて御説明させてください。  そもそも官公署からの職務上の登記事項証明書の交付請求というのは、その請求の公益性等があるということで、実はこの登記特別会計制度、昭和六十年から始まっておりますけれども、その前から官公署の方は無料にするという取扱いがずっと行われております。  この登記特別会計法、昭和六十年四月にこれは審議されたものですが、この昭和六十年四月十九日の衆議院大蔵委員会の附帯決議におきましても、「公共部門における相互の協力関係は、当面、従前の慣行を尊重するよう努めることと。」、こうされております。  確かに、官公署間ではどうなんだというお話、前川委員の御指摘はよく分かりますし、そういうお考えも十分に成り立つということは私ども承知しておりますけれども、ただ多くは、多くはというか、この官公署からの請求というのを有料にいたしますと地方公共団体の負担になります。すると、地方公共団体はこれをどこかに価格転嫁せざるを得なくなりますから、当然一般国民に掛かってくるということになります。公用請求というのはそもそも公益目的でやられるものですから、結局その利益は国民一般に還元されるということにもなります。  現時点で地方公共団体の財政状況も非常に厳しいということもございまして、今大臣が役所はどう考えているんだというお話でしたが、当面はやはり今の取扱いを維持せざるを得ないのではないかと、こう考えている次第でございます。
  62. 前川清成

    前川清成君 地方公共団体が財政的に苦しいことは分かっているんですが、しかしそのための経費を登記簿謄本の利用者だけが一方的に偏って負担する理由は私はないと思っています。  コンピューター化するためにという理由で千円に値上げをした、コンピューター化の作業は既に終わった。既に終わったにもかかわらず今も千円を取っている。その結果、四百億円近いお金が余っている。  是非、委員長、この委員会で引き続き登記特別会計の問題についても議論をお願いしたいと思います。
  63. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) はい。
  64. 前川清成

    前川清成君 続いて、司法試験の問題を質問させていただきたいと思います。  去年の十一月に法務委員会で時間切れになってしまった二回試験の問題なんですけれども、すなわち、司法試験に合格しますと、すぐに弁護士や裁判官や検察官になれるわけではなくて、私や委員長のころは更に二年間司法修習というのをやって、その司法修習が終わったときにもう一度卒業試験がある。合格者が五百人のころは、この卒業試験、二回試験というんですが、風邪さえ引かなかったら必ず通る試験です。それが、合格者が増加するに従って不合格者、合格留保者が増えてまいりました。去年、六十期だったと思いますが、実に七十一人が不合格になってしまいました。司法試験に合格して、しかも最高裁が司法研修所において法曹になるにふさわしい十分な教育実施したはずなのに、それでも七十一名が不合格になってしまいました。  法的サービスの優劣というのは目には見えません。法律家の質を利用者である国民の利益のためにもきっちりと確保しなければならないはずだと私は思っています。そこで、今日のこの委員会でこの二回試験の不合格者が増えた理由について質問をさせていただこうと思いまして、五月十五日に最高裁に質問通告をさせていただきました。すると、翌日に最高裁から電話が掛かってまいりました。どういう電話かといいますと、二回試験の不合格者が大幅に増加した理由については分かりませんと、しばらく様子を見ていますと答えてもいいですかという電話でした。だれから電話があったのかは、武士の情けですが、名前は申し上げません。  しかし、最高裁が運営している司法研修所です。最高裁の教官が毎日司法修習生に接しています。二回試験は、最高裁が作って、最高裁が採点をしています。それにもかかわらず、平成十三年の五十六期、合格留保者を十一名出して、もう七年たっているにもかかわらず、いまだに理由さえ分からない。そんな無責任な人たちが法曹養成に携わっているのか、そういう能力のない人たちが法曹養成に携わっているのかどうか、この二点、最高裁にお尋ねしたいと思います。
  65. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者大谷直人君) まず、委員の御質問は、その大量の不合格者が出た理由が何かということについてのお尋ねだろうと思いますが、それでよろしいでしょうか。
  66. 前川清成

    前川清成君 聞いてません、それは。
  67. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者大谷直人君) 私どもといたしましては、司法修習生の養成については、これはもちろん国家的な制度として、卒業しましたら法曹として通用する、そういう者をつくらなければならない、そういう意識の下に、日夜、教官が最前線ということになりますけれども、養成をしているということでございます。
  68. 前川清成

    前川清成君 大谷さん、私の質問は、最高裁は無責任な人たちを司法研修所に派遣しているんですか、無能な人たちを教官にしているんですか、そういう質問をしました。質問をよく聞いて、私の問いに答えてください。
  69. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者大谷直人君) 養成に携わっている者につきましては、司法研修所教官ということになろうかと思いますけれども、教官につきましては、第一線の実務家として、これは裁判官だけではなく、検察官、弁護士も含めてでございますけれども、優秀な人材が投入され、教育に当たっていると、そういうふうに思っております。
  70. 前川清成

    前川清成君 大谷さんがお答えになるように、優秀な人たちが熱意を込めて教育に当たっているにもかかわらず、平成十三年以降、合格留保者、不合格者が急増しているにもかかわらず、その理由がいまだにはっきりしない、答えられない、しばらく様子を見たい、これが最高裁の対応であります。  委員長、追って最高裁から詳細な、そして正直な報告を提出するようお取り計りをお願いしたいと思います。
  71. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 最高裁は今の点について答弁できませんか。
  72. 前川清成

    前川清成君 ちょっと速記止めてくださいよ、時間ないから、ロスだから。
  73. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者大谷直人君) 国会答弁でも申し上げましたとおり、この問題につきましてはなかなかすぐにお答えをできるという問題ではないと思います。  ただ、私どもといたしましては、教官にどういう今修習生が状況なのかということについての確認というのは、十分折に触れて行っております。そういうことについて、またどのような形で提出できるか、検討してまいりたいと思います。
  74. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 前川君の申出につきましては、後刻理事会で協議いたします。
  75. 前川清成

    前川清成君 この場でくぎを刺しておきたいと思うんですが、国会で質問されたから二回試験の採点を甘々にすると、で、粗悪品を市場に供給するというようなことは絶対しないというふうに最高裁としてお約束していただけませんか。
  76. 大谷直人

    最高裁判所長官代理者大谷直人君) 先ほども申しましたように、二回試験の趣旨につきましては、法曹として世の中に出ていって仕事をするという者を生む、つくり出す制度でございますので、その最後の関門である二回試験については、従来同様、厳しくその資質、能力があるかどうかを見ていくということについては、これは今後も変わりないところでございます。
  77. 前川清成

    前川清成君 ここで鳩山大臣にお尋ねしたいと思うんですが、四月八日の法務委員会で河井副大臣の方から、司法試験の合格者数につきましては、法曹の質の維持向上、これが法曹人口の拡大の大前提とされているというふうに考えております、こういうふうにお述べになっておられます。この御答弁の具体的な意味が何を指すのか、政策的にどのようなことを選択されようとしているのかがよく分からないので、詳しく御説明をお願いできませんでしょうか。
  78. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 私は、法曹というものは、もちろん検事、裁判官そして弁護士、それは、前川先生のような人格もすばらしく法律の知識もすばらしい、こういう方をつくるために、あるいは委員長のような方をつくるために様々な制度があるわけでありまして、(発言する者あり)もちろんここにおられる丸山先生も同じです。(発言する者あり)行列ができるそうですが。  要は、私の学生時代は司法試験の合格者は五百人だったと思います。私はもちろん合格者ではないわけですけれども。結局、それをいたずらに人数を増やそうとすれば、これを急激にやればどうしても問題が出てくるというのが我々の認識であって、司法制度改革の中で法曹の数は増やしていこう、それはいいんですが、やっぱりそれはあくまでも質の確保というのが大前提であって、今、前川先生は粗悪品とおっしゃったけれども、そこまで厳しい言葉を使わなくても、やっぱり質の低下というのは絶対あってはならない。とにかく弁護士のあるいは法曹の数を増やせばいいという考え方は私は問題があるんではないですかと、法務大臣になってからずうっとこの問題提起をしてきているわけでございます。  河井副大臣がこの間答弁をしたときに、この部分を答弁していますが、例えば閣議決定で平成二十二年ごろに大体三千人の合格を目指すということで、私は、それは数としては三千人まで二十二年ぐらいに持ってくることはいいだろうと。しかし、ずうっと三千人合格させたら多過ぎるのではないか、日本が和の精神を最も大事にする国でありながら訴訟社会になってはいけないと、そういうことも考えるわけですが。  副大臣答弁の中で、閣議決定の内容は、平成十四年に千二百人、平成十六年に千五百人、こうやってこの合格者数を増やすことについては所要の措置を講ずると書いてあります。しかしながら、平成二十二年ごろに三千人程度合格をさせたらどうかという部分については、新たな法曹養成制度の整備の状況を見定めながらと閣議決定による計画についても書いてあるわけですから、質と量は両方伴わなければいけないのであって、量を増やして質が低下してはいけないというのは閣議決定の内容でもあると私は考えております。  新たな法曹養成制度というのは当然ロースクール、法科大学院について述べているものと思いますが、この間、法科大学院についての第三者評価があって、五つの大学、ロースクールが不適格と言うんでしょうか、不合格みたいな、そういう評価を受けているわけでありますから、法曹養成制度もよほど充実をさせていく中で三千人という質の高い法曹を確保していきたいと、こう考えておりますが、やはり二回試験の不合格者という、不合格者と言うのか合格保留と言うのか分かりませんが、二回試験で合格できないというのはやっぱり質の問題であることは間違いないと思います。
  79. 前川清成

    前川清成君 質の維持向上と一方で言いながら、今年から司法修習の期間が一年になってしまいまして、前期修習もなくなってしまいました。私は、これは逆ではないかなと常に思っています。ですから、修習生が訴状の書式も知らずに、判決の書式も知らずに実務修習にほうり出されてしまうという点もありますので、これは考えていかなければならないと、私はそう思っています。  それで、今大臣のお話がありましたので少し進めさせていただくと、大臣今おっしゃったように、法科大学院の不適格認定というのがありました。先日の民主党の法務部門会議文科省の方から、ある大学が、この場所ですので名前は申し上げませんが、司法試験の受験指導に熱心過ぎたと、知財法の授業中も民法を教えていたというような理由で不適格認定を受けました。今までの法学部と違って法科大学院生はすべてが司法試験を受けることを前提にして入学してきていますので、私は、受験指導に熱心なのはむしろ結構ではないかな、こんなふうに思っています。なぜこの大学だけが不適格になったのか。  もっと言うと、むちゃむちゃ熱心だった大学は何の処分も受けていない。それは何という大学かというと慶応大学なんですけれども、慶応大学の植村という教授が司法試験委員という立場にあってあらかじめ司法試験の問題を知り得ていた、知り得ていたことを利用して慶応大学の学生たちに事前にばらしていたということが明らかになりました。さらには、法務省が禁止していた受験指導を慶応大学の教室を使ってやっていた。これほど熱心な受験指導はないだろうと思うんですが、慶応大学には処分はされていません。  この点を今日も質問させていただこうと思いまして通告をいたしますと、またしても文科省の方がいらっしゃいました。これは、慶応大学が組織的に関与していないということが明らかになったので処分しませんでしたと、こうおっしゃいました。私は、その明らかになったという意味がよく分からないので、それは関与していたか、していなかったのかよく分からないんですか、明らかになったんですか、あるいはそうではなくて、関与していなかったことが明白になったんですかとお尋ねをしましたら、後者ですと、関与していなかったことが明白になりましたと、こういうふうにおっしゃいました。  今日は最高裁の小川局長もいらっしゃっていますが、ないことの証明というのは訴訟法上は悪魔の証明と言いまして不可能だと言われています。ついては、文科大臣にお尋ねしたいんですが、この慶応大学の植村教授、司法試験の問題を漏えいしたという疑惑について慶応大学には処分しない、処分しない理由としては、大学自体関与していなかったことが明らかになった、こういう御説明ですが、それは一体どういうようなプロセスを経てどういうような証拠、資料でこのような悪魔の証明が可能になったのか、大臣、お尋ねをいたしたいと思います。
  80. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 弁護士である先生に対して、ないことの証明について、私がこうだから明らかだというふうに申し上げるのはなかなか難しいなと思いながら今話はお聞きをしておりました。  ただ、我々の方としては、この事件を受けて、事件といいますか、この件を受けまして、あらゆる方面にいろんなヒアリングを行いました。これは、もちろん法務省とか法科大学院協会ですね、こういったものの調査の情報というものも参考にいたしておりますが、このヒアリングをした関係者すべてが組織的関与を否定していたということであります。それから、教授自身も他の者の働きかけは否定を御自身がされている。それから、研究科として知っていたとは言えないと、この辺はちょっと詳細は私もこれ以上は今申し上げられませんが、施設使用の状況も法務研究科として知り得る立場になかった。それから、答案練習会を行ったのは十一人の司法試験考査委員のうちの植村教授のみであったと、こういったことから組織が関与した出来事ではないという判断をしたということであります。  以上が私の現在知り得る情報でのお答えでございます。
  81. 前川清成

    前川清成君 慶応大学の教室は、私が今からこの足で行って勝手に使わせていただくことが可能なのでしょうか。慶応大学の教授が慶応大学の教室を使って慶応大学の学生に対してだけ答案練習会をやっていた。それでありながら慶応大学が関与していないというようなことは、常識的には国民の皆さん方に対して説明が付かないのではないかと私は思います。公正であるべき法律家にとって、そのスタートラインである司法試験が不公正であったかもしれない。これは司法試験やあるいは我が国の司法全体に対する信頼を損ないかねない大変重大な問題だと私は考えています。  それで、昨年の十一月八日と今年の三月二十五日の二度、植村教授を参考人としてお呼びしていただきたい、公明党の遠山清彦議員が法務委員会の委員長をお務めになっていますけれども、法務委員会でその要求をいたしております。ところが、残念ながらいまだ実現することができません。司法に対する公正さを守るためと、トカゲのしっぽ切りにならないように、是非この委員会で真相究明に向けて参考人招致等々実施していただきたいと思いますので、この点も委員長、是非お取り計らいをお願いいたしたいと思います。
  82. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) ただいまの申出の点も後刻理事会で協議いたします。
  83. 前川清成

    前川清成君 次いで、時間が少なくなってまいりましたけれども、裁判員についてお話をさせていただきたいと思います。  来年の五月二十一日から裁判員裁判が施行されることになります。国民の中から抽せんで選ばれた六名の皆さん方が三人の職業裁判官と対等な立場で刑事裁判にかかわることになります。本当に大きな改革だろうと思いますが、まず最高裁にお尋ねをしたいのは、これまでの刑事裁判はこのような大きなドラスチックな改革が必要なほど何か問題点を抱えていたのでしょうか。
  84. 小川正持

    最高裁判所長官代理者小川正持君) お答え申し上げます。  審議会の議論を見ましても、これまでの刑事裁判もそれなりの評価は受けてきていたというふうには思っております。ただ、やはり専門家だけでやってきておりますので、どうしても分かりにくいところがあったりとか、一部の事件でございますけれども長期化したりとか、そういうような問題がなかったわけではないというふうに考えております。
  85. 前川清成

    前川清成君 大きな問題がなかったにもかかわらずこの大きな改革をやる、その結果、国民の皆さん方の御負担、これが大変大きなものになるのではないかというのが私の心配でございます。長期間家庭や仕事をほうり出したまま裁判員として拘束されることになってしまいます。  最高裁が、二〇〇〇年九月十二日に司法制度改革審議会に提出された意見書、この中でO・J・シンプソン事件、陪審員が二百六十五日間隔離されていたというような事実が記載されておりますし、例えばあの麻原彰晃こと松本智津夫さん、これは十三件の公訴事実、検察が四件の公訴事実を取り下げて早期に解決したい、終結したいと、こう考えたんですが、それでも二百五十四回、八年間掛かっています。  最高裁は、裁判員の対象事件のおよそ七割は三日以内に終わりますよ、だから大丈夫ですよと、こういうふうに宣伝しておられるんですが、一割は一週間以上掛かるということをお認めになっています。ましてや、この麻原彰晃の事件とかO・J・シンプソンの事件に、言葉は悪いんですが、市民の皆さん方が裁判員として巻き込まれてしまうとまさに仕事や家庭を崩壊しかねない、そんな大きな負担を市民の皆さん方にお掛けすることになります。  この負担をどうやって回避するのか、最高裁にお尋ねしたいと思います。
  86. 小川正持

    最高裁判所長官代理者小川正持君) お答え申し上げます。  今委員御指摘のように、一定の期間を要する事件が一定数あるということは間違いないことでございます。  まず、裁判所といたしましては、裁判員の負担をできるだけ軽減するために司法研究等をやっておりますけれども、できる限り審理の日数を短縮する工夫とか努力、これは争点の整理でありますとか証拠調べのやり方でありますとか、そうした努力を行っているところであります。  また、委員御指摘のように、裁判員の負担が大きくなりますので当然辞退の申立ても増えるだろうと思いますが、そうした判断に当たっては、裁判員候補者の方に過度の無理を強いることのないような、社会の実相を踏まえた柔軟かつ適切な運用をしていく必要があると考えております。  また、長期間を要する事件では裁判員に選任された方の負担は大きいのは確かでございますので、審理計画を綿密に立てて、裁判員の方の体調管理とか休養を十分取っていただくとか、そういうことも考えながら開廷間隔も検討してまいりたいと思っております。
  87. 前川清成

    前川清成君 ちょっと余り納得できなかったんですが、これまでも審理については十分工夫して計画的にされていたはずなので、裁判員になったらいきなり短期間で終われるのかどうか。それともう一つは、短期間で行うことによって審理が粗雑になってしまっては困るわけであります。  過日、光市の差戻し審の死刑判決がありました。言渡しに二時間ぐらい掛かったと思います。恐らく百ページあるいはそれ以上の判決書きが書かれた、非常に精密な緻密な判決が書かれている。それがこれまでの刑事裁判の特徴だろうと思うんですが、裁判員では、証人の尋問についてはDVDでは撮るけれども速記録は当日には作成しないと、こういうふうに聞いています。そうなりますと、判決起案や評議は、裁判員の皆さん方もそして裁判官の皆さんも自らの記憶とメモだけで行うことになってしまいます。そんなんで本当に緻密な百ページ二百ページというような判決が書くことができるのか。いやいや、もうそういう判決は書かない、書かないのであればどうやってこれまでのような精密な事実認定を維持していくのか、その点のところをお伺いをしたいと思います。  それと、今日はせっかく泉大臣にお越しいただきながら質問できなくなると申し訳ありませんので一言だけ申し上げておきますと、最高裁は、これまでのような供述調書の取調べをやらない、裁判員の皆さん方に何百ページもの調書を読んでいただくわけにはいかない、こういうふうに言っています。そうなりますと、警察における調書の取り方、取調べの仕方も当然異なってくるのであろうと思うんです。  警察において供述調書の取り方について裁判員の実施に向けて工夫されているのかどうか、この点と、最高裁に先ほどの点、お尋ねをいたしたいと思います。
  88. 小川正持

    最高裁判所長官代理者小川正持君) これまでの裁判は、まず検察官立証がありまして、それが済んだ段階で今度は弁護側の立証に入るという形でございますから、それから、審理の開廷間隔も多くの事件では月一回とか二回とかいうような間隔で、半日だとか一日だとかいうこともございますし、一時間、二時間ということもございます。  そういうことで審理が長期化したということはございますけれども、今度、裁判員裁判では公判前整理手続を導入しまして、その段階で証拠も開示も拡充して適切に争点を整理しまして、証拠も整理した上で綿密な審理計画を立てて集中審理で行いたいというようなこと、そういう制度でございますので、従前に比べればより効率的でかつ核心をついた審理が行われると思いますし、これまではややもすると非常に詳細な判決を書いて、詳細過ぎたのではないかという反省もあるわけでございます。  裁判員裁判になりましては、重要な情状事実、それから公訴事実、この点に絞って的確な立証をやっていただいて、そして法廷で心証を取ることのできる審理、ですから、記録を読み返すとかそういうようなことは、もちろん委員御指摘のように非常に複雑な事件はそういうことはあると思いますけれども、基本的な事件では法廷で心証を取っていただいて、その心証が新鮮なうちに評議をしていただくというようなことを考えております。
  89. 泉信也

    国務大臣(泉信也君) 裁判員制度については、いわゆる一般の方でこれまで余り法律になじみのない方が参加をされるということからいたしましても、警察といたしまして、一般国民、裁判官になられる方に分かりやすい、迅速に理解をいただけるような観点から供述調書を作る必要があると、このように考えております。  こうした要請におこたえをいたしますために、十九年の八月でございますが、犯罪捜査規範の一部を改正するということをやりまして、供述調書の作成に当たっては、故意、あるいは着手の方法、実行行為の態様、共謀の事実、こうした犯罪構成に関する事項につきましては特に明確に記載することといたしておりますし、また事件の性質に応じまして必要と認められる場合には、十二分に一般の方々に御理解をいただけるように取り組んでまいっておるところでございます。
  90. 前川清成

    前川清成君 時間がなくなりましたのでこれで終わるんですが、私は、裁判員裁判においては速記録が必要ではないかなと思っています。一九九七年に裁判所速記官の養成を中止したんですけれども、裁判員制度が創設されたのが二〇〇四年、この一九九七年の判断が間違っていたのではないかなと、そういうふうに思っています。是非この点もまた御検討いただくようにお願いをいたしまして、残念ながら時間が参りましたので、これで私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  91. 中村博彦

    ○中村博彦君 中村博彦でございます。  モンスターペアレント、本当に怪物が学校現場を壊してしまいました。学校現場が崩壊し、そして社会が崩壊していっています。戦後教育の大きなツケが今私たちの社会に突き付けられていると思います。モンスターペアレントからモンスターペーシェント。御存じのように、医療現場においてはモンスターペーシェントによって、小児救急の現場一つ取ってみても、一一九番が鳴る、八〇%必要のない一一九番でございます。そして、重症患者が受け入れられない、そんな問題が大きく出てまいっております。また、一一〇番、身勝手な一一〇番、警察業務に関係ない一一〇番が二〇〇四年には八十八万件、二〇〇七年には九十五万件。減るという流れがいまだにございません。本当にこれらの問題が大きくクローズアップされてきています。それによって教育基本法が改正されたと言っても過言ではないと思います。  文科大臣、この非常識な親、非常識な人々に対してやはり教育がどう取り組んでいくか。学校教育も変えていかなくちゃいけない。無理難題を学校に突き付けられて、そして学校教育がゆがんだんです。学校教育の延長線上としてこの保護者教育をどうするのか、それと同時に生涯教育をどのように取り組んでいくのか、御答弁をお願いいたしたいと思います。
  92. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 今委員がおっしゃいましたようなモンスターペアレンツという、そういう、昔はなかった言葉ですよね、はっきり言いまして。こういう問題が学校現場に非常に大きな負担を与えているということは大変我々も心を痛めておるところでありまして、適切な手を打たなければやっぱりいけないと思います。  ただ、親の教育をどうするかと言われましてもこれはなかなか難しいところがありまして、ちょっと手の届かないところにいるようなところもありますから、私は、これは私の個人的意見でありますが、地域の力というのが非常にやっぱり決め手だろうというふうに思っております。  学校支援地域本部というのを今年千八百か所、全国、大体全市町村ということになろうかと思いますが、つくっていただくということで、今もう既に千か所以上手を挙げていただいておるわけでありますけれども、こういった取組一つ取組でありますし、例えば担任の教員だけがこの問題を抱えて実際の教育というものに集中できなくなっているというような状況があってはこれは断じてならないわけでありますから、学校地域また教育委員会、こういったものが総合的に機能して、そしてこういった親に当たっていかなきゃいけない。  親が教育できるかどうか、これはちょっとなかなか難しい問題だろうとは思いますけれども、そういったことによって先生方が本来の授業ができないというふうな、集中できないというような状況はないように我々も頑張っていかなければいけないと考えておるところでございまして、そのための有効な手だてをできるだけ打っていきたいというふうに考えております。
  93. 中村博彦

    ○中村博彦君 転嫁するときに地域にという言葉、必ず使うんですよね。介護の現場も、荒廃してくると介護は地域で、必ず地域に責任を転嫁するところがございます。しかし、わがままな保護者というものは、まずその場で、学校で解決、啓蒙させる、どうかひとつそういうつもりで学校教育を再構築していただきたいと、このように思っております。  給食費の未納者が何と小中学校滞納総額二十二億円、十万人、また保育料の滞納も三十四億円、高校授業料の滞納も五億九千万円、そして、確かに経済的な理由というものがございましたらそれは政治で解決していかなくちゃいけないと思いますが、残念ながらモラル低下によって半数が払われていない、払う必要がないんだ、義務教育は国が持つべきだ、そううそぶくモンスターペアレントもいらっしゃるわけでございます。どうかひとつ、そのような問題点につきましても緊急に御対応をお願いいたしたい。  そして、この給食費未納に対しての対応というのは、生活保護者につきましては教育扶助、学校給食費、それと同時に生活保護に準じた人々には就学援助制度がございます、市町村補助でございますが。しかしながら、この就学援助制度が御存じのように大変な格差が生まれてきておるわけでございます。東京の足立区では、何と就学援助は四七・一五%にも上る。全国平均は一二・八%なんです。こんなにも格差が生まれてきております。  これは本当に、市町村財政ということになるわけですけれども、教育機会均等というところから考えますと、このような就学援助の受給者増、平成十六年で百三十八万人、そしてこの地域間格差、これをどのようにお考えなのか。それと同時に、どう格差を解消していっていただけるか、御決意を大臣にお願いしたいと思います。
  94. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 大臣にということでございますから、私は今お話をお聞きしていまして、機会均等をやっぱり我々は確保しなきゃいけない、これは憲法で与えられた権利でありますから。そのことで就学援助という制度があるとまずお考えをいただきたいと思います。  地域間格差という問題は少し別の観点から考えていかなきゃいけない問題でありまして、そこの例えば世帯構成が一体どうなっているか、そういった問題で、大きくこの就学援助の問題は私は起因していると承知をいたしておりますが、そういうことによって、就学援助を受けている子供が多いという一面だけではなくて、そういった子供が多い地域において教育の機会に差が生まれているということがあってはいけないという観点から、我々は教育の問題を考えていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思っております。  そして、やっぱりこの問題を全体的に解決していくためには、今いろいろやっておりますような、これは政府が一体となって取り組んでおりますけれども、地域間格差、都市と地域といいますか、都市も地域という概念の中に入るんだろうと思います。都会と、田舎と言うとしかられるかもしれませんが、過疎地というか、そういった問題を、我々は政治家でありますから、これは先生にも御協力をいただいていると思いますけれども、しっかりと我々が政治の問題として解決をしていくということが大事であろうというふうに思っております。
  95. 中村博彦

    ○中村博彦君 平成十八年十二月に教育基本法が改正されました。そして教育振興基本計画の策定が義務付けられました。いよいよ五年間で取り組む重点施策が示されて最終案が出されそうになってきておるわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、いよいよ戦後教育の見直しが始まったと。そして、戦後の教育は、ある意味で社会劣化、社会崩壊という一つの側面を生み出してしまったということは否定できないわけでございます。  これから我が国が、資源の乏しい島国日本教育立国をもってこそ世界に生き残れるわけでございます。そういう意味から、戦後のやはり悪しき平等教育、ゆとり教育による学力劣化、これにつきまして、是非この基本計画に積極的に展開、頑張る、指数というものを打ち出していただきたい。大臣教育費、GDP比三・五%から五%と、そのような数値目標を立てられておりますが、あらゆる問題点で積極的に果敢に攻めていっていただきたいと思います。  御感想をひとつ。
  96. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) この質問は何度も出るわけでありますが、教育に対して、例えば投資目標をつくるかどうかというのは随分我々も議論をしてまいりました。一方、最近、投資目標というものを書いてあるものは科学技術基本計画しかないんだという、こういう議論もあるんですね。ただ、私は教育と科学技術というのは非常に似ていると思っていまして、それは何かというと、いわゆる数字と成果というものを短兵急に結び付けることが非常に難しい。見えない部分が多いんですね。  だとするならば、やっぱり投資目標というのも一つの国家の目指すべき目標になり得るというふうに考えまして、今、ただ単にしかし目標を掲げるということではなくて、それは十年後のどういう姿なんだと、例えば初中教育はこうする、幼児教育はこうする、高等教育にはこういったレベルを考えているという成果目標をしっかりと盛り込めるような、そういったものにした上でこれから仕上げていきたい。仕上げるというのは、要するに我が省の考え方を示して政府内で調整に入らせていただきたいというふうに考えているところでございます。
  97. 中村博彦

    ○中村博彦君 この教育振興基本計画の案の中で、重点項目を挙げられております。幼保一元化した中で認定こども園を二千か所と、こういう項目も上がってございます。しかし、私は、なぜ幼保一元化しなかったか、一本にしたらよかったんではないのか。この認定こども園の申請手続が煩雑、運営上のメリットに乏しいと、こういうような結論が出ております。どうかひとつ、この二千か所という目標もよろしゅうございますけれども、是非この幼稚園、保育所、認定こども園を一本化した形でつくっていただけたら有り難いんではないかなと、こういうように考えるわけでございます。  続いて、学校の耐震補強の進捗状況でございます。  先ほど神本議員からもお話がございましたように、今資料委員の皆さんにお配りをさせていただいています。本当に今ニュースを見れば、悲惨な中国の地震での被害状況が伝わってきております。そして、痛ましい小学生、中学生が多く亡くなっておられます。それを考えたときに、我が国の耐震性のなし、未診断というのが五万三千六百三十六棟、四一・四%ございます。耐震化率五八%ということになろうかと思いますが、これはどうされるのか。  この基本計画では危険性の高い一万棟を優先耐震化すると、こう言っておられますけれども、果たして一万棟でいいのか。これはもちろん財源の問題もございます。しかし、子供を育てることがまさに日本国としては最優先課題でございます。それを考えるとき、どうしていくのか。  そして、確かにこの上位と下位の格差がございます。長崎県、徳島県、茨城県、徳島に住む私にとっては涙が出るような数値でございます。これを見たとき本当にどうしたらいいのか、今後の早急な対応というものを考えざるを得ません。  大臣、もう簡単で結構でございますから、お願いいたします。
  98. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 私は、先ほども実はお答えをしたんですが、あらゆる選択肢を排除することなく、早急に具体案を策定をしたいというふうに申し上げております。そのように頑張って、できるだけ促進をさせていただきたいと思います。  ただ、これお金の問題といえばそうなんですが、主に地方の財政をどうやって支えてあげるかという点が一番のポイントだというふうに認識をいたしております。
  99. 中村博彦

    ○中村博彦君 今の格差、これは財源難ということだろうと思います。これをどう対応していくか。これは本当に内閣として取り組まにゃいかぬ問題であろうかと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。  新学習指導要領、これも小学校は二十三年、中学校二十四年、そして前倒し実行ということも言われてございます。本当に、理数教育、外国語教育、そしてスーパーサイエンスティーチャーを養成する、そういうように多くの問題点がございます。しかしながら、福島県の例で見ると、二十代の教員はわずか中学校四・五%、小学校四・二%、二十代教員が本当に少ない、こういう状況下にございます。どういい教員をつくっていくか、大きな問題ではないか、大きな緊急課題ではないか、そういうように思ってなりません。  それと同時に、教員充実ということと不適格教員について、この不適格教員というのがどこの学校にも二人や三人いらっしゃるわけでございます。人間失格、能力不足、この不適格教員についてどう排除するのか、どう分限処分していくのか。やはり教員充実と同時に、この不適格、指導力不足の教員を教育現場から排除をするというのも必要な施策でないかと、このように考えるわけでございまして、その辺の対応についてお答えをお願いいたしたいと思います。
  100. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) お答えを申し上げます。  まず、優秀な若手教員の採用確保についてでございますが、教員の採用に当たりましては、教員の任命権者である各都道府県教育委員会等におきまして、年齢構成が全体としてバランスの取れたものとなるよう配慮しつつ、教員としてふさわしい資質や使命感、意欲、適格性、実践的指導力などを適切に評価し、質の高い教員を確保することが重要と考えております。  このため、各都道府県教育委員会等におきましては、採用選考におきまして、面接試験の工夫改善や、多様な社会体験の評価、社会人経験者を対象とした特別選考など様々な工夫改善を行い、質の高い教員の確保に努めているところでございます。特に英語教員の採用選考におきましては、ヒアリング試験や英語によるディベートなどの実技試験の実施でございますとか、英語の資格を持つことによる一部試験の免除を実施している教育委員会があるほか、理数教員の採用選考におきましては、勤務経験や専門的な知識、経験を有することによる一部試験の免除を実施している教育委員会がございます。  引き続き、質の高い教員をバランスよく確保するよう促してまいりたいと存じます。  次に、指導力不足教員への対応でございますが、教員の指導は心身ともに発達段階にある児童生徒等に対して大きな影響を及ぼすものでございまして、指導が不適切な教員が児童生徒指導に当たることがないようにする必要がございます。  昨年六月には教育公務員特例法が改正されまして、指導が不適切であると認定した教員に対し、指導改善研修を実施すること、また、この研修終了時の認定におきまして指導が不適切であると認定した者に対しましては、免職その他の措置を講ずることなどを規定したところでございます。  この法改正を受けまして、私どもでは各教育委員会がこの法律に基づく制度の運用を適切に行えるよう、今年の二月に指導が不適切な教員に対する人事管理システムのガイドラインを作成いたしまして、各教育委員会に周知をいたしたところでございます。  今後とも、指導が不適切な教員への対応が適切に行われるよう、各教育委員会指導してまいりたいと存じます。
  101. 中村博彦

    ○中村博彦君 いよいよ新学習指導要領で一番変えなくてはいけないものが、私は通知表、通知簿だろうと思います。現在の評価はすこぶる評判が悪い。なぜこんな通知簿になったのか。五段階評価で、そして五は何と九〇%、そして一層努力を要するという一は〇%、これは本当になっていません。これは余り前を見せたらいかぬと言われている。この観点別評価一つ見ても、社会的事象への関心・意欲・態度、これは社会の教科ですが、社会的な思考・判断、資料活用の技能・表現、社会的事象についての知識・理解、四項目に分かれておるけれども、これは鳩山大臣でもなかなか三十人の生徒が、評価は私はできないと思います、こんな項目では。  まさにこの通知簿を変えていただきたい。絶対評価方法の導入から相対評価に、そして親が、保護者が知りたい評価、弱点も知りたい、長所も知りたい、そしてこういう分野はクラスの中で秀でているのだろうか、落ちているのだろうか、それが私は通知簿だと、通信簿だと。私も小学校のとき通信簿もらって母親に見せるのが本当につろうございました。それが今の私をつくるんです。涙や苦労なくて人生が開拓できるはずがないということでございます。  これも大臣、文科大臣、どうぞお答えください。
  102. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) まあそんなに世代は変わらないと思いますが、我々のころの評価が一体どうだったろうなと思いながら今ちょっと考えていたんですがね、たしかやっぱり一点から五点という点数表だったと思います。それ以外に、どういいますか、今で言うと、生活習慣とは違いますね、人間性みたいな評価がございまして、私はいつも常に悪かったのが、協調性が悪い、根気強くないというのが悪くて、私はおばあちゃんに育てられたんですが、紀三朗、ここのところは気を付けなきゃいけないよと言われたのを今思い出しておりました。  先ほど学力調査の実は御質問もいただいたんですが、今自分の子供がどういうところにいるんだろうということについていえば、担任の教諭はつかめるはずなんですね。そういうことを父兄にちゃんと説明するということは可能であろうというふうに思いました。それから、評価の仕方が、今の評価は、今先生がお読みになったその評価表というものを正直余りよく知りませんので、ただ五段階とおっしゃっていましたから、相対評価というのは比べて一番からこうやってずっと例えば並べるとか、そういった意味だとするならば、いい点と悪い点があるだろうなと。だから、自分がどの辺にいるんだということを知るためであれば、序列化しないで方法はあるだろうという、そういう感じがいたしております。なお研究をさせていただきたいというふうにお答えをさせていただきたいと思います。
  103. 中村博彦

    ○中村博彦君 ありがとうございます。  それじゃ、これも皆さんのお手元へ配らさせていただいています。  これも小さいとき母に言われたことでございますが、本を読まなくては駄目だと、本を読んで、もちろん国語を勉強することと知識や人間としての道を知ることだと、そう言って本を買ってくれた遠い思い出がございます。それがまた格差が付いている。これまた徳島県、これひどいんですよね。この表を見ていただくと、図書購入費が一般財源化されました。こんなにも格差が付く。島根県、これ本当にちょっと言いづらいんですよね、青木会長のところでございますから言いづらいんですが。青森県、北海道、こんなにも格差が付いてきた。そして、なぜか分からないけれども、山梨が高いんですね。まさにこの人間力、小さいときから本を読むというのがこれだけ大切だということでございます。  教育費の別項目に流用されているわけです。大半が駄目教員やもうあと四、五年の高給与の教員の給与に消えていっているのが実態でございます。本当に、こういう部分についてもどのように指導されるか。御存じのとおり、図書購入費についても文科省は千八百七十一町村で実態調査をされています。そして、基準の六割に満たない市町村が四四%も占めているということでございます。この実態調査を生かして、ひとつ指導をお願いいたしたい。  教材費もまさにそのとおりでございます。教材を使って、そしてそれぞれの教科を楽しくして勉強するという教材費が、こんなにも格差が生まれているということでございます。  続いて、留学生の受入れについて御質問をしたいと思います。  グローバル社会、この留学生の受入れ十万人計画が、何と昭和五十八年から平成十五年まで二十年間で一万人から十万人の達成を見ておるわけでございます。本当にどうなっているんだ。今回、福田総理は、施政方針演説の中で留学生受入れ三十万人計画というのを発表してございます。二十年で十万人、それを考えたときに、今後十二年間で三十万人に増やすための留学の魅力プランというのは一体どうしたらいいのかということになろうかと思います。  これ、文科大臣、鳩山法務大臣、泉国家公安委員長さん、大臣、今三人だけでございますね。これがトニー・ブレアが作りました、ブリティッシュカウンシルといって、イギリスの留学生、イギリスは留学生制度を全世界にこんなのだよというPR誌でございます。これ、すばらしいんです。留学とは人生への投資、自分をつくる季節です、だから確かな未来をつかめる国へ。また、人種や国家を超えて一人の人間の個性を見詰める、それが英国の流儀です。伝統があるからこそ革新的な発想が生まれる、英国教育、その進化は止まらない。このように、イギリスの留学生政策というのを本当に展開をしております。  我が国も、福田総理が三十万人計画を打ち立てました。これは本当に実行していかなくてはいけない、これからの二十一世紀戦略だろうと思います。その点についてどのようにお考えなのか、文科大臣、お願いしたいと思います。
  104. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 福田総理が施政方針演説において、留学生三十万人計画というものを作りたいということで発表をされました。  これは日本をより開かれた国家にするという、こういう考え方でございまして、我々は今総理のリーダーシップの下、この具体的なプランの実現に向けた方策というものを検討しているところでございます。今日はたまたま鳩山大臣いらっしゃるわけでございますが、先ごろも経済財政諮問会議の中で、やはりビザの問題もあります。また、学生だけではなくて就労ということもあるわけですね、留学した後の。こういった問題も含めて、入口から出口、また出口以降も含めた政策を取らなきゃいけないと思っております。  それと、何よりも大事なことは、そのためには日本の国が、日本の大学等が留学先として魅力的にならなきゃいけないということがあります。そして、そういうことに対してどういう手を打つかということ。  もう一点、これは簡単に言いますが、やはり日本では今、例えば英語で卒業できる大学というのは五つしかないんですね。これじゃやっぱり余りにも三十万人には難しいだろう。この前私は教育大臣会合に出席をいたしました、ベルリンで。フランスの、あのと言うとしかられますが、あのフランスの大臣が、フランスでは英語で全部お受入れします、こういう演説をしておりましたから、そういう時代になったということも踏まえてこれから対応していきたいというふうに考えております。  総理のこれは強いリーダーシップでやっていることでありますから、何としても、我々としては二〇二〇年までに一つの目途としてこの計画を実現をする案を作りたいというふうに思っております。
  105. 中村博彦

    ○中村博彦君 先ほどトニー・ブレアの話をいたしましたけれども、このイギリスもまさにそのとおりでございまして、留学生受入れ環境の整備、入国ビザ手続の能率化、就労機会の拡大、奨学金制度等ございます。日本も御存じのとおり、在留期間につきましても九十日から百八十日への延長、それから学位によって就職する職種が限定されておりました。しかし、これも広く広めていきたいと鳩山大臣が考えておられるようでございます。  私は連休に、ハノイ工科大学へ行ってまいりました。ITSS教育能力強化プロジェクト、JICAの協力事業で留学生を受け入れております。しかし、ITの専門職と、日本語を教えてもらいながら日本の留学生として受け入れていただけるのはわずか二十人ぐらいだそうでございます。大変残念がっておられます。この辺につきましても是非ともお考えをお願い申し上げたい、このように思っておるわけでございます。  もう一点、時間がございませんので続けさせていただきますが、今御存じのとおり、日系ブラジル人、これだけ留学生制度が叫ばれながら日系ブラジル人の子供たち教育というのは四人に一人は不就学でございます、外国籍子供日本義務教育は蚊帳の外と。一九九〇年の入国管理法改正で日系人の二世、三世には就労制限のない定住資格が与えられました。だが、労働力に着目した日系人の移入政策だけでございますので、外国人登録は転居届が義務化されていないため、本当に分からなくなっております。この不就学の実態、就学にしても不登校の実態分析、早急な対応をお願いいたしたい、このように思います。  これは日経新聞、読ませてもらいます。  少年院は全国五十二か所にあるが、久里浜だけは今でも特別な存在だ。ここには毎年二十人、三十人ものブラジル人が送り込まれてくるからだ。顔は日本人と同じでも、ほとんど日本語が話せない少年たち。働き口を求めて南米から来日した日系人の子弟である。日本人が見て見ぬふりをしてきた労働市場のひずみがここに見える。久里浜は日本経済の隠れた病巣を映す鏡かもしれない。約一年間の矯正期間を経て、無事に社会に復帰した久里浜の卒業生の言葉が印象的だ。久里浜は私にとって最高の学校でした。日本に来て初めてきちんとした授業を受けさせていただきました、こう言ってございます。  この辺の部分につきましてもどうかよろしくお願いいたしたいと思いますし、この入国問題、鳩山大臣、よろしく御答弁をお願い申し上げます。
  106. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 留学生の受入れのことは文科大臣の方のお仕事だと思いますが、受け入れた留学生が勉強をして、いよいよ卒業して就労という段階になったときに、確かに先生御指摘のように、かつて大学で専攻した科目と就職する会社とが全然関係ないじゃないかということで在留資格を認めなかった、就労を認めなかったという例がございます。  ですが、今ではそういうことはありませんで、そういうことがあったものですから、もう今は企業は、例えばIT専門の企業でもいろんな部門を持っている、あるいは全く文化とか芸術関係の会社であってもITも必要としているということで、大学の専攻した科目と就職先の企業でどういう仕事をするかということには関連性を厳しく求めてはいけないという入管局長の通達を既に出してあるわけでございます。現実に、平成十九年に一万四千五百件の留学生が卒業して就労という資格への変更の申請があったわけですが、一万三千四百件を許可しておりますので、許可率は九二%となっております。  どういう八%の方々が就労を認めなかったかというと、その就労予定の会社がめちゃめちゃで非常に問題があった場合、あるいは実際、企業の実体がないというような場合、あるいは御本人が留学中を含めて素行が極めて善良ならざる部分が目立った場合という、こういうときだけでございますので、大学で勉強した内容と会社の違いによって就労という在留資格を与えないということはもうなくなっていると思います。  また、今ブラジルの件もありましたが、確かに教育が受けられないと犯罪に走ることが多いわけでございまして、現在、外国人受刑者の中でブラジルは、多分中国に次いで二位とか三位という多数に上っていることも事実でございます。
  107. 中村博彦

    ○中村博彦君 広く外国人受入れ、ここで高校駅伝でこの高体連、本当にまた外国人枠を設け制限を、排除するというような動きがございます。高校駅伝で、一区は外国人の留学生を走ることを禁止しようと、そういうような動きも出てきてございます。どうかひとつ、スポーツの名の中において、どの民族もどの国籍を有する人も日本国へ入れた以上は平等で、そして競い合うという土壌を是非ともつくっていただきたいものでございます。  最後に、泉国家公安委員長、お出ましでございます。  これはもう御存じのとおり、現在未解決事件、リンゼイ・アン・ホーカー殺人事件一つ見ても、豊田市の女子高校生殺人事件、舞鶴市の女子高校生殺人事件、本当に未解決な事件が起こっております。また、高齢者対象におれおれ詐欺、振り込め詐欺、そういう詐欺の手口が巧妙化してきている、こういうような状況下でございます。そして、平成十八年では二百五十五億円の被害、平成十九年では二百五十一億円の依然とした被害に遭っておられる方がいらっしゃいます。  このような動向を考えるとき、やはりこの検挙率、これを本当に上げていかなくてはいけない、このように考えるわけでございます。  どうか国家公安委員長におかれては、この問題、社会を不安にする、日本国を不安にする事件について、どうか積極的、果敢に御展開お願いいたしたいと思います。御答弁をお願いいたします。
  108. 泉信也

    国務大臣(泉信也君) 委員御指摘のように、京都の舞鶴市における女子高校生の殺人等の事件、あるいは豊田市における高校生の殺人事件、この本当に短い時間の中でも大変多くの国民に不安を感じさせる事件が起きておりまして、このことに対して我々は全力で取り組んではおりますけれども、なかなか国民の不安を払拭するというところまで行っていないことを申し訳なく思っております。  ただ、過去三年間、いわゆる捜査本部を設けて捜査をやってきました事件、未解決のものは三年間ほぼ二十件前後でございます。これを更に進めていくというためには、警察の組織力あるいは科学捜査を積極的に展開していくということが必要だと思っておりまして、具体的には、専従捜査班を設けて行う、あるいは鑑識活動、聞き込みを行う、さらにDNAの鑑定等の科学的捜査の実施を強めていく、こうした事柄に取り組んでおります。  そしてまた、広く多くの国民の皆様方に御協力をいただかなければならない点もございまして、被疑者の写真等を公開して公開捜査を実施する、あるいは有力な情報を提供していただいた方に些少ではございますが謝礼を支払わさせていただく、これは現在二十三件をこういう案件として掲げさせていただいておりますが、こうしたことで取り組んでおるわけでございます。何としてでも一日も早く問題を解決しなければならない、今後ともそういう姿勢で取り組んでまいります。  また、振り込め詐欺等につきましても、御指摘のように、大変、一つの事件の対応が大方山を越しますとまた違った事柄が出てくるということで、やや後追い的なところがないとは言い切れません。しかし、こうした問題につきましても、今日まで、検挙ということから見ますと、例えば平成十六年は五・一%、十七年は一一・七、十八年は一五・六、十九年は一七・二、そして率としては確実に検挙率を高めてきておると思っております。しかし、被害を十分に抑止するだけの成果を上げていない、そう申し上げなければならないことも事実でございますので、この振り込め詐欺等の被疑者の取締りを更に強化をしてまいりたいと考えております。  なかなか、御承知のように最近の事件というのは難しい局面がたくさんございますので、警察挙げて取り組んでまいる覚悟でございます。
  109. 中村博彦

    ○中村博彦君 三大臣の前向きな御答弁、ありがとうございました。
  110. 丸山和也

    ○丸山和也君 自民党の丸山です。よろしくお願いします。  今日は、特に文部科学省に限ってといいますか、質問をさせていただきたいと思います。  昭和、昭和じゃない、平成ですね、今の前半の質問がなかなかレトロな質問が多かったものですからそう思ったんですけれども、平成十八年の十二月に約六十年ぶりと言われて教育基本法が改正されました。それで、これはよく言われるように、教育は国家百年の計であると、こういうふうに言われておりまして、これは私なりに考えましても、やはり教育の問題というのは百年先を見て定めなきゃならないということでもありますし、いったん定めたものは百年間やっぱりそれは影響もあるんだと、こういうふうにも取れると思うんですね。  そういう意味では、教育の問題というのは非常に大事だし、またそれにかかわる法律というのは憲法にも匹敵するぐらい国家の命運を左右するというか、国家の在り方を示す、また人間の在り方を示す指針ともなるべき非常に大事なものだと思うんですけれども、そういう観点から、先般ですけれども、教育基本法が改正された、ここの改正の眼目というのはどの辺りにあるのかというところをまず大臣からお聞かせいただきたいと思っております。
  111. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 丸山さんから質問を受けてお答えをすることになるとは正直思っておりませんでして、いささか何か懐かしい感じがいたしますが。  国家百年の大計というのは全くそのとおりであります。丸山委員が御指摘をいただいたような認識教育というのは取り組まなきゃいけないんだろう。ただ、大きく言えば、それはやっぱり基本法でそのような理念がうたわれてなきゃいけない。時代の要請に応じてやっぱり変化にも対応していくということは、個々の教育行政なりまた法律で対応していくと、こういう考え方でとらえるべきだろうと思っております。  一年半もなりますか、前の教育基本法の改正というのは、それまでもいろんなことが言われていたわけでございますが、国家社会を形成する国民、いわゆる人材の育成にどう取り組むかといった意味では従来の基本法がそれほど別に間違っていなかったというふうにも思います。しかし、その中にある普遍的な理念ですね、今言いましたような理念は継承しつつも、やはり何か足りなかった部分、またこれから先百年を見据えてどう考えるかということで新しい理念が付け加えられた。四つの新しい理念とよく言わせていただいております、例えば公共の精神であるとか生命と自然を大事にする、伝統とか文化というものを尊重するといった、環境を保全するといったこういう概念ですね、こういうものは前回の教育基本法に付け加えられて今新しい教育基本法で制定をされたと承知をいたしております。  そういった理念を基に、しっかりとこれを実現をしていくために昨年教育三法、学校教育法を始めこういったものが改正をされたわけでございますし、またこの理念を実現すべく十年間の先の教育の姿というものを見据えながら五年間の具体的な計画を立てるというのが今教育振興基本計画ということで、この作成に我々としては全力を挙げて取り組んでいるということでございます。
  112. 丸山和也

    ○丸山和也君 いかにも大臣らしいというか、やや役人的な答弁で、やっぱりひとつぴんとこない点も、満点なんですけれどもちょっと物足りないなと思っておるんですけれども。  とすれば、やはり今回六十年ぶりに改正したというそれだけの重みがやっぱり今の答弁からは出ていないと思うんですね。やはりかつても問題なかった、良かったんだけれども時代に応じていいものを入れたよと。その中に伝統のあれとか道徳とか生命尊重とか自然環境とか、こういうものというのはある意味じゃ別にそういう当たり前のことなんですよね。そういうことが今まで教育の中で、しかも教育基本法という中で重要なあれとして位置付けられていなかったということは致命的欠陥があったんじゃないんですか。だからこそ、今回教育基本法改正の中でそういう点をやっぱり重点的に魂を込めたというか、そういうねらいがあったんではないんでしょうか。私はそう思っているんですけれども、いかがでしょうか。
  113. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) それにほぼ近いお答えをしたつもりでございますが、要は普遍的な理念というのはやっぱりあると思うんですね。国家を形成する人材としてこういったものを目指さなきゃいけない。やっぱり、それだけでは足りない部分があるということで新たな部分がとらえられた。ですから、今申し上げました四点はそういった意味では足りない部分を補強したというふうに解釈をしていただいて結構かというふうに思います。  それから、この戦後六十年の間でいろいろと振り返ってみますと、非常にやっぱり反省すべき点もあったと、そういったところをしっかりと補強をするといった意味で新しい教育基本法は作られているというふうに私は理解をいたしております。
  114. 丸山和也

    ○丸山和也君 分かりました。  それでは、その中で個別にちょっとお聞きしたいんですけれども、御存じのとおり、学習指導要領というのがございますね。この学習指導要領というのは教育基本法の理念を踏まえて、教育基本法の理念を忠実にというか、それをあくまで踏まえて、そのラインにのっとって学習指導要領というものが策定されていると、このように理解してよろしいんでしょうか。
  115. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 指導要領というのは、基本的には、中教審で御議論をいただいて、そして専門家の意見も踏まえて告示として出させていただくものです。これは大臣として別におざなりな答弁はしておりません、そういうものでありますから。しかも、そこにやっぱり客観性といいますか、そういったものがしっかりと私はなきゃいけないんだろうというふうに考えておりますし、当然、基本法に基づいてこの学習指導要領の記述というのは行われているというふうに理解していただいて構いません。そういうふうに考えていただいたら結構かと思います。
  116. 丸山和也

    ○丸山和也君 その中で、今日は二つ、いわゆる道徳教育というものと宗教教育、これについて時間の関係上お聞きしたいと思うんですけれども、まず宗教教育といいますか、これ、義務教育、家庭教育、幼児期教育などと並んで宗教教育などにおける新たな規定に対応した内容の改訂ということで、いわゆる宗教教育にも力点を置くというふうに特に指導要領辺りではうたわれているように思うんですけれども、ここでいう宗教教育というのはどのようなことを力を入れてやろうとしているのか、ここら辺の眼目はいかがなものでしょうか。
  117. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) 改正されました新しい教育基本法の第十五条におきましては、従来から規定されておりました宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活における地位に加えまして、新たに宗教に関する一般的な教養を教育上尊重することが明確に規定されました。このことを踏まえ、今年三月に公示をいたしました新しい学習指導要領におきましては、中学校の社会科において、世界の主な宗教の興りや分布、宗教と社会生活とのかかわりなどの指導内容の充実改善を図ったところでございます。  こうした宗教の役割を客観的に学ぶことは大変重要でございまして、特に国際関係が緊密化、複雑化する中にあって、他の国の文化や民族について学ぶ上で、その背後にある宗教に関する知識や理解を深めることは大変大事なことであると考えているところでございます。
  118. 丸山和也

    ○丸山和也君 基本的にはいいことだと思うんですけれども、やっぱりちょっと私が物足りないというのか疑問に思うのは、世界にこういう宗教があるよと、ここは、例えばイスラムはこれだよと、それからアメリカはこうだよとか、キリスト教にはこういうのがありますよ、仏教にはこういうのがありますよとか、そういう世界の宗教についての解説といいますか、それを知識として、歴史的なものも含めて知識として教えるということのみでは、いわゆる宗教教育ということとはやっぱり違うと思うんですね。  それで、僕はこれ、ここでやっぱり眼目は宗教心を養うということで、別にどの宗教に帰依しなさいとか、宗教の教義を細かく教えて説教するということとは全く違うと思うんですけれども、あくまで人類と宗教とのかかわり、宗教というものが我々の個人個人あるいは社会の中でどのような役割を果たしているかということを単に知識として教えるんじゃなくて、やはり宗教に対する敬う心といいますか、宗教心というか、そういうものを涵養するということが教育的な配慮としてはかなり重要なんじゃないかと思うんですが、広い意味での宗教心ですよ、そういう眼目というのは含まれていないんでしょうか。
  119. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) お答えを申し上げます。  宗教は、人間としてどうあるべきか、与えられた命をどう生きるかなど個人の生き方にかかわるものでございまして、社会生活においては大変重要な役割を持つものだと考えております。  委員御指摘の宗教心そのものではないかもしれませんが、これからの社会を担う子供たちに、命や自然を大切にする心でございますとか、他人を思いやる心などをしっかりと身に付けさせ、豊かな情操をはぐくんでいくことは大変重要と考えております。このため、現行の学習指導要領におきましても、道徳教育の中で、自然の偉大さを知り自然環境を大切にすることや、生命の尊さを理解しかけがえのない自他の生命を尊重すること、また、人間の力を超えたものに対する畏敬の念を持つことなどについて指導をすることといたしております。  また、先般公示をいたしました新しい学習指導要領におきましても、全学年を通じて、自他の生命を尊重する心の育成に配慮するなどの指導の重点を明確化いたしますとともに、先人の伝記や自然、伝統と文化など、児童生徒が感動を覚える教材を活用した指導を行うなどの改善を図ったところでございます。  先生御指摘の宗教心そのものではないかもしれませんが、児童生徒の豊かな情操という観点からその育成に努めているところでございます。
  120. 丸山和也

    ○丸山和也君 まさにそういう方向であると思いますね、私も。そして、そうなるとやっぱり、これは道徳でこれは宗教でというはっきりした区別というのは付かなくなってくるわけですよね。  それはそれでどういう、定義は構わないと思うんですけれども、やっぱり目指す方向が生命とか自然それから宇宙、いろんなものに対する尊厳の念とか、まあ人間だれでもそうですよね、生まれたときから太陽を見たらおてんとうさまをあがめるような気持ちがあったりとか、大自然を見たら心を打たれるとか、星空を見て人類の過去と将来を思い浮かべ何か深遠な気持ちになるとか、こういう理屈を抜きの敬けんな気持ちになるような人間を育てるということがやっぱり僕は一つの宗教心、涵養するということに、今回の眼目にあるんじゃないかと思っていますので、是非そういう方向でやっていただきたいと思うんですけれども。  ただ、やっぱり先ほど言いましたように、単なる宗教の解説とか、またそれを教える教師の態度も単に知識を教えるというだけではなかなか、かえって効果は全く現れないと思いますので、そこで、もう一つ道徳のことにお聞きしてまいります。道徳教育推進教師の養成というのがうたわれているんですけれども、これは具体的にどういうことを考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
  121. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) これは私が言い出したことですから責任を持ってお答えをさせていただきますが、今は、だれが責任を持って、学校でどのように道徳の教育というものをやっていくかということについてだれも責任を持ってないじゃないかと。だから、それはその責任というよりもむしろ中心になってしっかりと、例えばプランニングをして、こういう計画で、うちの学校ではこういうことでやっていこうというふうなことをしっかりとやっていただく中心になる人物をつくらぬといかぬというふうな議論の中から、実はこの推進教諭という、こういう名前の者が、名前の者と言うと失礼ですね、先生を置いていただこうということで今やらせていただいております。  先ほど、これは宗教でも局長お答えをいたしましたが、道徳において随分いろんな議論聞かせていただきました。これはいろんな議論があります。しかし、その一致するところは、しっかりとやらなきゃいけないというのは、これはもうほぼ一致するところでございます。  しかし、じゃ、どうやってやるかということになりますといろんな意見がございまして、私はまだこれが絶対正しいというふうなものはなかなかないと思っておりますけれども、しかしながら、やっぱり皆さんおっしゃるのは、先ほども言いました、要するに感動するような教材を作らなきゃいけない、これはかなり一致しているんですね。  そういったことも含めて、しっかりと、どういう教材を選んでどういう内容を実はこの授業で実践をしていくかというふうなことを責任を持ってその学校において実施をしていただく、そういった先生のことを推進教諭と、そういうふうに呼ばせていただいているところでございます。
  122. 丸山和也

    ○丸山和也君 すると、この道徳教育推進教師というのは、特別の資格を持つとか、あるいは特別の訓練なり修練あるいは修行を積んだ人を特別に採用するとか、教員の中から更にテストを重ねてあるいは認定をしてそういうポジションをつくるということでは特にはないんですか。
  123. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) そういうことではなく、状況を見て判断をする必要もあるかもしれませんが、要するに、だれが中心になってしっかりとやられているか。  今までも道徳の時間は、丸山先生、あったんですよね。ところが、あってもちゃんと行われていないじゃないかという、こういった意見もたくさん寄せられております。これは参議院の文教科学委員会でも随分実は寄せられた意見でございますし、そういったことも踏まえて、ちゃんとそういった教育学校現場で行われるように責任を持っていただくということが第一義的な意味でございます。
  124. 丸山和也

    ○丸山和也君 そうなってきますと、最後に大事になってくるのは、やっぱりそれを推進する教師といいますか先生ですよね。そのやはり人格の向上なくしてそれはあり得ないと思うんですね、究極は。幾ら口でいいことを言ってみたって、いい教材を作ってみたって、その先生が何か学校内あるいは外で善からぬことをやっているとか、どう見たって、いや、この先生が道徳なんて言うのはちゃんちゃらおかしいわというあれでは、やっぱり効果というのはもう全くないと思いますので。  つまるところ、そういう意味での教員の教育といいますか資質の向上、そういう意味での資質の向上、そういうことが極めて重要な課題になると思うんですが、ここら辺についてはどのようにお考えでしょうか。
  125. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) 教員の資質の向上ということについてのお尋ねでございますが、教育がうまくいくかどうかは、直接児童生徒教育に携わる教員の資質能力に負うところが大きゅうございます。私どもでは、養成や採用、研修の各段階を通じて教員の資質向上に努めているところでございます。  例えば、これまでも、教員免許更新制の導入でございますとか、指導が不適切な教員の人事管理の厳格化や、また養成の改善による教員の資質能力の向上、教員の新しい評価システムの構築、こういったことを一体的に進め、優れた人材の確保に努めているところでございます。  また、こうした教育再生を実効あるものといたしますためには、これらの教員の資質向上の取組と相まって、日々子供と直接向き合う教師に優れた人材を確保し、頑張る教員を支援する体制も必要でございます。そうした面からの予算上の配慮というようなことも努めているところでございます。
  126. 丸山和也

    ○丸山和也君 まさに、最後におっしゃった、日々生徒と向き合って、それでやる情熱を持った教師をつくっていくと、まさにそこだと思うんですね。  教育というのは、もちろん知識それから計算能力とか、いろいろそういうのもありますけれども、もう一つの方は、人間教育というのがやっぱり教育一つの柱だと思うんですね。そういう意味では、やはり生徒と接して人間性を通じて学ぶ、要するに言葉とか外形的なものを超えて感じるもの、こういうものが教育の中ではもう極めて重要で不可欠だと思うんですね。  そういう意味では、やっぱり接して感じると。あの先生から受けた印象、私らでもありますけれども、中学校のあの先生から受けたあの印象、これはやっぱり持っていますけれども。生涯、そういう魂の伝達といいますか、松下村塾なんかはみんなそうでしょう。別に立派な教材があったわけじゃないでしょう。あれはやっぱり吉田松陰という人物を見て、そこから国を何とかしなきゃならぬという人がもう雲霞のごとく出たという、これだと思うんですね。  そういう意味で、教育というのは非常に大事だし、国家の仕事の中で僕は最も大事だと思うんですよ。だから、各省庁の大臣がおられるけれども、文科大臣というのが僕は一番偉いと思っているんですよ。それで、(発言する者あり)いや、本当にそうなんですよ。それで、極めて精神的に高いものがなきゃ教育は駄目だと思っていますので、道徳推進教師についても是非中身のあるものに発展させていただきたいと思っています。
  127. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) いやいや、全くおっしゃるとおりなんですよ。ただ、一人一人の先生が結局は最後子供に接するわけですから。  我々が今意図しているこの推進教諭というのは、ちゃんとみんなやっているかということをしっかりチェックしていただくことが非常に私は大事だと思っているんです。やっぱり最終的には、最前線に出ている先生方が情熱を持って子供教育に取り組んでいただく。そうじゃないと、それは一人や二人の、何か上からこうやって、やれと言っている先生がいるということでは良くならないと思います。  それ以外についてはもう全く先生のおっしゃるとおりだと思いますので、そういった教員の皆さんがしっかりとやっていただけるような我々は環境をつくっていくというのが仕事だと思っておりますし、それも文部科学省の大きな役割の一つだろうというふうに考えておるところでございます。
  128. 丸山和也

    ○丸山和也君 すると、福田内閣ではこの教育行政というのにどの程度本気でといいますか、福田さんは認識があるんですかね、大事なものだと思っているのかどうか。ここら辺は、総理といつも接しておられて、福田さんはそういう意味認識が正しいのか、ちょっと足りないのか、全然ないのか、あるいは多少期待できるのか、どういう感じですかね。
  129. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 何をもってやる気があるというのかということだと私は思っております。教育の問題、子供の問題には総理は常に心を痛めておられます。しかし、そのやり方というのはいろいろあるだろうというのが総理の今の私は考え方だと思います。  やっぱりこれは政策でございますから、いろんなことをどういうふうに実現をしていくかというのはいろんな手法があるわけでございまして、ただ、一つ言えるとすると、福田総理というのは、自分でもおっしゃっているように、さあ教育だと、こういうタイプではありませんからそれは見えにくいということはあるかもしれませんが、教育の問題は国家百年の大計であると思っておられると私は感じております。
  130. 丸山和也

    ○丸山和也君 そこが私、やや、若干心配している点がありましてね。  それで、これたまたま「総理大臣の器」という三反園さんがインタビューした記事があるんですけど、その中に、若干引用させてもらいますけれども、中曽根総理とインタビューしたんですね。  それで、総理に三反園さんが、それだけ総理大臣というのはすごい仕事なんですけれども、今はそういうふうに思われていないような感じがしてならないんですけど。これは一年半ほど前ですから、小泉さんの時代ですね。それは小泉さんが、言いかけてから、次、中曽根さんが、小泉君がそういうふうにしちゃったねと。要するに、テレビショーという存在。毎日テレビに顔を出して、ちょっと言って引っ込んでいく。あれは支持率を高めるために非常にいい作用をしているんだけれども、政治の本質から見たら見る政治にしてしまった、そういうマイナス面が非常にありますねと。じっとすごみを持った政治家でなければ駄目だ、すごみですよと。三反園が、いい言葉ですね、総理大臣の器は品格というのが物を言う、とても大事なんですけれども。中曽根、すごみと渋みはないんだな、日本の文化というものがその程度に今はなってきている。大衆文化、ポピュリズム、そういうものを総理大臣の風格で是正していかなければならぬ。そうなれば、総理大臣教育に一番熱心であるべきなんですと、こう言っているんですね。  それで、あとはちょっと飛ばしますけれども、それから三反園氏が、すごみを相手が感じるようになるためには何が必要ですか。中曽根、それは自分がそういうふうに修行し、歴史と宗教心を身に付けることだと。  こういうことで、私、これたまたま読んでいて、教育ということに対して総理大臣というのは最も力を注がなきゃならないんだということがやっぱり端的に述べられている。それで、自分自身も宗教心と歴史について、総理たるものしっかりと勉強しなけりゃ駄目なんだというふうにおっしゃっているんですね。  それで、私もたまたまちょっと個人的に中曽根さんに会って話聞いたら、やっぱりおっしゃっていましたよ、おれ以降の総理大臣は皆駄目だと。どうして駄目なんですかと。歴史と宗教心に対して勉強が足らぬと。これは率直な意見で、別に人格の誹謗じゃないんですけど、歴史と宗教についてしっかり勉強して、教育に最も力を入れないと総理大臣は駄目なんだよというふうにおっしゃっていました。  そういう意味では、福田さん、もちろん派手なパフォーマンスはありませんけれども、やはり教育に対する情熱というのが外にも分かるように、是非、渡海大臣辺りからもハッパを掛けて、そういう激励をしながら文部科学行政を進めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  131. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 私は福田内閣の一員でございますから、私が不熱心だったら、それは総理は、後ろから足を引っ張っているということであって、昔言った大臣もいらっしゃいますから、そういうことでない限り、総理はああいう人なんですよ、本当に。自分でこう何かわっという、それがとっても苦手で、しかしそこがやっぱり福田総理の一つのカラーでありますから、もちろん申し上げますけどね、やりましょう、やりましょうと言って。  むしろ私は、古い人と言うほど総理を年寄り扱いにするつもりはありませんが、やっぱりいい時代の自分がパフォーマンスでこういうことはやらないんだということを非常に強く持っておられる、これしかられるかもしれません。でも、そういう良さが福田さんの良さなんだと思っておりますから、我々がやっぱり福田内閣の一員として教育政策はしっかりと発信をしていかなきゃいけないと、私は常々このように考えておるところでございまして、御理解をいただきたいと思います。
  132. 丸山和也

    ○丸山和也君 じゃ、渡海大臣、是非頑張っていただきたいと思います。  それから、個々の問題について若干お聞きしたいんですけれども、もう随分久しく前から国際化の時代と言われまして、教育においても国際化に対応しなきゃならぬということで、小学校の五、六年生からですか、英語をもう取り入れるということになったようでありますけれども、この点についていろいろ議論もあったように思うんですけれども。  言葉というのは、単に言語の問題じゃなくて、やはり文化とか歴史とかそういうものとも密着に絡んでおりますので、外国語を学ぶということは、外国の文化、伝統あるいは思考、更に言えば喜怒哀楽まで取り入れていくということにもなると思うんですね。そういう意味では、非常に大事なんだけれども、一方においては非常に警戒すべきことでもあると。何を警戒するかということと、それは極めて自国の文化に対する尊敬とそれから補強といいますか、それを常に涵養していくという、それと、それがないと単に外国文化に埋没してしまうということにもなると思うんですね。  極端な例は、日本もやりましたけど、植民地政策をね、それで創氏改名やったり日本語を押し付けたり、いろいろやりましたよね。あれは極端な例でありますけど、そうでなくても、やっぱりこれだけアメリカの経済が強くなって、英語文明の中で、英語といったって、やっぱりこれはイギリス、アメリカを中心にした一つの文化の表現方法なんですよね。だから、それをどんどんどんどん低学年から取り入れていくということは、彼らの考え方、彼らの喜び方、彼らの悲しみ方を我々が小さいときから学んでいくということなんですよね。  すると、我々自身の固有性というものとの、文化との切磋琢磨がないと、これはやっぱり文化的に衰退するんですね、我が国であれ。そういうところについて、やはり十分危惧しながらやらなきゃならないと思っているんですけど、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
  133. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 丸山委員の危惧はもっともだと思います。  そして、我々も、今私は、最近よく使わせていただいているのは、日本語は言語であり文化だと、外国語は道具だと、こう言わせていただいております、あえて。要するに、コミュニケーションのツールとして、これからはやはり英語を駆使しないとやっぱり生きていけない時代になったと。  しかも、このグローバライゼーションの中で、子供たちは将来どんな仕事をするかも分からないんですね。これは世界の流れ、今アメリカとイギリスの言葉とおっしゃいました。彼らにとってはこれは文化でしょう。しかし、これはもう世界中、残念ながらと言うと語弊があるのかもしれませんが、英語でないと仕事ができないという時代が来ております。そのことに、これからやっぱり国際社会の中で生きていく子供たちがどうやれば対応できるかということの準備を、実は小学生の段階までしてやらなきゃいけないんじゃないかというのが今回の趣旨だと御理解をいただきたい。  ですから、あくまで、例えば難しい文法を教えるとかいろんなことを教えるとかいうことじゃなくて、この間、東大の伊藤先生、経済財政諮問会議でおっしゃっていました。要するに、英語で遊んだらいいんだと、こういうことなんですね。要するに、コミュニケーション能力ということに慣れておくということを主眼に我々はやらせていただきたいというふうに思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。  なお、再生懇では、これでもまだ遅いとかいう議論も出ております。ただ、丸山委員が示された危惧だけは我々は常に持ちながら、日本の文化というものはしっかりと子供たち教育をしていきたいと思っております。
  134. 丸山和也

    ○丸山和也君 ありがとうございます。  まさに、私の体験からしましても、私も三十過ぎてからアメリカのロースクールに行きまして、さんざん苦労をして、それで、やっぱり幾ら勉強しても語学力というのはネーティブにはかなわないわけですよ。それで、帰ってきてからも、私の事務所でも、イギリス人、カナダ人、アメリカ人、イスラエル人、もういろんな人を雇ってやってきましたけど、やっぱり英語で勝負するとなると、細かいところで負けるわけですよ。それで、そのためにまあ雇っているわけですけれども。  やはり語学力で負けるということと、例えば人間力で負けるということとは別なんですね。でも、往々にして、英語が基本言語になってそういう世界で勝負をしていくとなると、やっぱり語学の弱い人間はどうしても口数が少なくなったり引っ込み思案になったり、あるいは自分自身で語学をもっと勉強しなきゃという、そういうコンプレックスがあるため卑屈になりやすい。  だからそこは、例えばキッシンジャーにしたって、あれだけのなまりのある、ブロークンじゃないですけれども随分なまりがひどいですよ。でも、やっぱり国務長官としてあれだけやったと。  だから、英語教育するときは、大事なのは、要するに日本人として文化、伝統、歴史をがっちり持ってアイデンティティーを強固にすると、表現方法の英語は多少下手でも全然恥ずかしくないんだという日本人魂をやっぱり教育の中でたたき込みながら、ツールとしての、おっしゃった、道具としての英語を駆使できるようにすると。ここをやっぱりたたき込む必要が心構えとしてあるんじゃないかと思っていますので、ひとつそういう姿勢でやっていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
  135. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 全く認識は同じだと思います。  事実、私の仕事自身でも、教育大臣会合になりますと、これは実は、日本でやる場合は何とか日本語も使えますが、外へ行きますとすべて英語になります。私は丸山さんのように留学経験はございませんから、もう必死に汗かいて、どうしても無口になるんですね。これはもう全くおっしゃるとおりだと思います。  ただ、やっぱり日本の文化、日本語という我々の母国語をしっかりと教え込むということは、これはやっぱり本当に大事な教育課題であるというふうに認識してこれからもやっていきたいというふうに思います。
  136. 丸山和也

    ○丸山和也君 昨日の読売新聞一面に、中学社会の指導要領解説書と、指導要領のほかに指導要領解説書というのがあるんですね。それで、そこに竹島は日本領と明記すると、こういうふうに書いてあるんですけれども。  これは、あえてどういう意図で今回そういう明記するということになったんでしょうか。まあ私、答えは分かっているつもりなんですけれども、一応お答えいただいたらと、どなたでも。
  137. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) お答えを申し上げます。  学習指導要領の解説と申しますのは、学習指導要領を改訂した際、学習指導要領の記述の意味やその解釈などの詳細について文部科学省において作成しているものでございます。新聞記事の御紹介がございましたけれども、現在、私どもでは今年三月の学習指導要領の改訂を受けまして、学習指導要領の解説の検討を行っているところでございます。  今後、文部科学省において適切に対応していきたいと考えている段階でございます。
  138. 丸山和也

    ○丸山和也君 いや、そういうことを聞いておるんじゃないんですよ、だからね。  私が聞いているのは、これ地理の問題、問題と言うとおかしいけれども、日本の地図ですね、地理として、この領土は日本の領土です、北海道、国後、択捉はこうですよと、そういうことを主眼に、というか念頭に置いているのか。そうじゃなくて、日本の歴史というものをここで教えようとしているのか、ここら辺の観点といいますか、もちろん両方でもいいんですけれども、そこら辺は、これあえてこうしたということはやっぱりあるわけでしょう、理由が、そこをお聞きしたい。
  139. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) 新聞報道につきましては、まだそういうことを決めたという段階ではございませんで、学習指導要領の解説、これはこの記述だけではなくて、学習指導要領の解説全体を今まだ検討を行っている最中でございます。  この報道にもございました我が国の領土や領域をめぐる問題につきましては、教科で申しますと社会科の地理的分野で取り上げているところでございまして、学習指導要領や教科書におきましても社会科の地理的分野の中でどう扱っていくかというのが検討の主眼になっているところでございます。
  140. 丸山和也

    ○丸山和也君 これは結構政治的に問題になっているところですから、非常に取扱いは難しいんだと思うんですけれども、やはり日本の歴史、伝統を教えるということと現代的な政治的イシューは必ずしも切り離せない。まさにこういう問題というのは、やっぱり日本の歴史をどう見るかという問題にもつながってくるわけなんですよね。  ですから、単にこれ社会科の地理的な問題として、一九五二年ですか、李承晩ラインがあって実効支配されて今こうなっていますと、双方で言い合っていますというようなことだけじゃなくて、要するに解説じゃなくて、これをどう見るかという、そういう視点をやっぱり持った教育をする必要があるんじゃないかと思うんで私が取り上げたんですけれども。意味分かりますかね、ちょっと説明が私もうまくなかったんですけれども。  どうも日本の歴史教育というのは、単なる解説に終わってしまっては歴史と伝統を重んじるというところになかなかつながらないので、客観性を持ちながらもそういう配慮も必要だということを申し上げたいと、これ質問ではございませんけれども、そういうことでございます。  それと、大分時間がなくなってまいりましたので、一つ変わった問題をお聞きするんですけれども、日本では年間三万人以上の自殺者があると言われています。もう十年以上続いているんですかね。それで、なかなか減らないと。理由はいろいろあるでしょう。経済的な問題、家庭的な問題、病気、それからそのほかいろいろあると思うんですけれども、いずれにしても、三万人以上の人が十年以上も続いている。これは先進国としてはまさに異常な現象であり、ロシアと日本ぐらいのものなんじゃないでしょうかね。正確なところではロシアの数字分かりませんけれども、ロシア、日本がもう断トツじゃないかと思います。  それで、私が、ちょうど自民党総裁選がありました去年のいつでしたかね、八月でしたかね、九月ですか。そのときに、二人の総裁候補にせっかくだから、一票くれと来られるわけですから、私が、難しい質問はしませんけれども、あなた総裁候補になられたんだから一つだけ質問させていただきたいと、福田候補と麻生候補に同じ質問をした。日本にはこういう問題がある、あなたはこれは政治の問題としてどう考えられますかと聞いたんですよ。  すると、とんちんかんな返事なんですね。私は愕然とした。言っちゃっていいのかどうかな。福田さんが、要するにピント外れな答えが出た。いや、これじゃ私支持しようかと思ったけど、どうしようかなと一瞬思った。それで、麻生さんに同じことを言ったら、いや、ちょっと参りましたね、えっ、そういう答弁したのかねというようなこともありましたけど、まあそれは大事な問題だねと言って、麻生さんはすぐ所信表明の中に入れていましたけれども、あれはまあ、私のパクりですね、言ってみれば。でも、福田さんもすぐその後わざわざ電話が掛かってきまして、いや、非常にあれは大事な問題だと、とにかく政治としてそういう問題にまなざしを向けるということについては十分分かっているからということで安心させていただいたんですけれども。  これは、特に私、そのときは成人の自殺を考えていたんですけれども、やっぱり児童の自殺というのも結構ありますよね、児童の。これについては、まさにこれから大人になって人生を送ろうとしている少年少女が自らの手で、いろんないじめもあるんでしょうけれども、自殺していくという、これ非常に悲しい深刻な問題だと思うんですね。これについて特にどういう対策を取ろうとされているのか、お聞きしたいと思っているんです。
  141. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 簡単な感想だけ私から先に言わせていただいて、実態調査に。  一番言えることは、私は常々言っているのは、やっぱり教員が、先ほど丸山先生がおっしゃいましたね、要するに教員の子供に向かう姿勢が大事なんだと。同じで、子供がどういう状況にあるかということを教員がしっかりとつかまえてほしいと思っているんです。そうすれば自殺の原因というのは結構防げると思うんですね。やっぱりこれは、今いじめられているかもしれない、こういうサインを送っているかもしれないわけですね。忙しくなるとどうしてもそういうとらえ方がなかなかできてない、相談にもちゃんと乗ってやれないというようなことが起こらないような現場をつくるということが非常に大事だというふうに思っております。  なお、いじめ等につきましては、実態調査、かなり方法も変えましたし、そういう状況に応じて全体でどういうふうに対応していくかという今対策を打っているところでございます。  じゃ、ちょっと局長の方から。
  142. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) 児童生徒の自殺予防に向けた取組について補足をさせていただきます。  近年、児童生徒の自殺が相次ぎ、大きな社会問題となるなど、自殺予防の対応は教育上の大変重要な課題と考えております。私どもでは、これまでも命の大切さについて道徳や体験活動を始めとして教育活動全体を通じて指導をいたしましたり、またスクールカウンセラーの配置など教育相談体制の充実を図るなどの取組実施してきたところでございます。  さらに、自殺対策基本法の趣旨などを踏まえまして、児童生徒の自殺予防に資する取組に関する検討会を開催いたしまして、子供の自殺予防のための取組に向けての第一次報告を取りまとめますとともに、この報告を踏まえ、学校現場で活用し得る具体的な自殺予防方策の在り方について専門家や学校現場関係者による調査研究実施することといたしているところでございます。  理由のいかんを問わず、児童生徒が自ら命を絶つということは決してあってはならないことでございます。今後とも、自殺予防に向けた取組を推進してまいりたいと考えております。
  143. 丸山和也

    ○丸山和也君 本当に児童が自ら自殺するというようなことは、ある意味じゃ、悲しいだけじゃなくて文部科学省の恥だと思うんですよね。そういうことが少しでも減るように全力でお願いしたい。  もう時間がなくなりまして、最後に一点だけ要望と質問をさせていただきたいんですが、全国都道府県教育長協議会というところからこういう、要するに教育振興基本計画についての答申がなされたことについて二点、やっぱり一つ予算の問題ですね、対GDP比五%以上の具体的な数値目標を設定し充実してほしい、教育関係予算についてですけれども、それと教員定数をもっと増やしてほしいと、こういう要望が私のところに来ているんで、全議員に来ているんじゃないかと思うんですけれども、この予算の措置と教員定数の措置、これについてどのような方針といいますか、お考えが現在おありなのかお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  144. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 分かりやすいものにするために具体的な数字を盛り込むべく、今鋭意作業をしております。近いうちにお示しできるんじゃないかなと思っておりますが、検討の最終段階に入ったというふうに今日はお答えをさせていただきたいというふうに思います。
  145. 丸山和也

    ○丸山和也君 ありがとうございました。渡海大臣、大分風格が出てきましたので、是非これ引き続いて頑張っていただきたいと思います。  ありがとうございました。     ─────────────
  146. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、牧山ひろえ君が委員辞任され、その補欠として姫井由美子君が選任されました。     ─────────────
  147. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 まず、学校の耐震化問題について私からもお尋ねいたします。  これは、先ほど来、各党からも取り上げられておりまして、もうこれが喫緊の課題であるということは論をまたないわけでございます。したがいまして、重複を避けてお尋ねいたしますけれども、この公立小中学校の耐震化ですね、耐震性がないものと未診断が四一・四%もあるというのは本当にもう驚くべき数字でございます。  そこでまず、文科省に、そうしますと私立の学校の場合にはどのような実態にあるのか、そしてまたこの耐震化の促進については政府としてどう取り組んでいくのか、この点を御報告願います。
  148. 磯田文雄

    政府参考人(磯田文雄君) お答え申し上げます。  私立の小学校の耐震診断実施率は五八・二%、耐震化率は七三・二%でございます。私立中学校につきましては、診断実施率が五六・八%、耐震化率が七四・四%でございます。
  149. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 分かりました。  そこで、大臣に、先ほど来、特に公立学校の耐震化を念頭に置かれておると思いますが、あらゆる選択肢を排除しないで考えていくという話でございました。これは、先ほどの答弁にもありますように、この耐震化が進まない要因というのはもう明らかですよね。せっかく文科省予算を確保しても、きちんと使い切れないといいますか使ってもらえないという、そういうお話でございました。  そこで、あらゆる選択肢を排除しないという考え方は、こういう耐震化が進まない要因をきちんと除いていくというそこに主眼を置いて、来年度以降、あるいは補正予算ということもあるかもしれませんが、そういう中での対応をお考えいただきたいと思いますが、いかがですか。
  150. 舌津一良

    政府参考人舌津一良君) 事実関係でございますので、ちょっと先に説明させていただきます。  まず、耐震化が十分に進まない理由でございますけれども、これは文部科学省として以前調査したものがございまして、それによりますと、まず第一番目に挙げられるのが、御指摘のとおり、市町村における財政上の理由ということでございます。二点目が、いわゆる学校の特性でございますけれども、非常に建物の数が多いというようなこと、それから三点目が、将来学校の統廃合を考えているということで今のところちょっとと、そういうような様々な背景がございました。  それで、対策でございますけれども、文部科学省としても学校の耐震化というのは極めて重要であるという観点から、政府全体として昨年の十二月に、生活安心プロジェクトなどでございますけれども、大規模地震等により倒壊等の危険性が高い公立小中学校施設、これが一万棟あるわけでございますけれども、これについて今後五年を目途に耐震化を図るということで、そういう方針を示しておるところでございます。それに基づきまして、昨年の末の補正予算におきましても、またさらに二十年度の当初予算におきましても所要の額を計上しておりまして、合計で二千二百億強の予算を計上しておるところでございます。  また、制度論としてでございますけれども、この補助率の問題がございますけれども、これも平成十八年度からは、体育館の補助率がそれまで耐震補強につきまして三分の一であったものを二分の一にかさ上げすると。校舎につきましては、以前から通常三分の一のところを二分の一にかさ上げをしておるわけでございますけれども、体育館についても行ったと。  それからもう一つ、補助裏であります地方負担分の財政支援ということで地方財政措置がございますけれども、これにつきましても逐次改善を図ってきております。具体的には、平成十七年度までは地財措置というのは東海地区だけだったわけでありますけれども、十八年度からは、千島海溝、日本海溝の地震の対象地域、それから東南海・南海地震の対象地域、具体的に申し上げれば太平洋側になるわけでございますけれども、それについて地財措置を導入するということ、それから平成十九年度からはその措置を全国に拡大したと、こういうようなことで、できるだけ地方財政の支援を拡充していくというようなことでこれまで来ているところでございます。
  151. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 是非大臣、よろしくお願いします。  そこで、耐震化はもうここまでにしますが、今のお話の中にも小中学校の統廃合のこともございました。  そこで、これは読売新聞ですが、昨年の十一月から十二月にかけて実施をした調査によりますと、少子化によりましていわゆる複数の学年が一つの教室という複式学級が増加をしていると、そして自治体の合併に伴う統廃合などが背景となって、今後三年から五年後には少なくとも千百十七校の小中学校が減少する見通しである、こういう報道がありました。  また、同じくその中には、そういうことで実質的には廃校状態なんですけれども、補助金返還の関係もありましてあえて休校としている学校もある、こういう記事を読みまして、これについてまず確認をしたいわけでありますけれども、文科省としてそういう実態についてきちんと把握をしているのか、また今後、少子化あるいは自治体の合併に伴って小中学校の減少の見通しというのはどのように予測といいますか見通しているのか、御報告を願います。
  152. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) お答え申し上げます。  複式学級がある公立の小中学校の数でございますが、平成十九年度の学校基本調査によりますと三千三百九十校でございまして、過去五年間では三百五校ほど減少をいたしているところでございます。  今後の公立小中学校学校数の見通しにつきましては、現在、全都道府県、政令指定都市教育委員会に対し、今後の公立小中学校の統合予定数について調査をいたしている最中でございますが、公立小中学校の廃校の現状といたしましては、平成十八年度に三百十五校が廃校となってございます。また、休校につきましては、平成十九年度の学校基本調査では、学級数がゼロの学校が四百三十二校となっているところでございます。
  153. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 平成十八年度で、廃校が三百十五校、休校が四百三十二校という報告でございました。  そこで、今日は決算委員会でございますので、そういう廃校なり休校なり、いわゆる当初と違う事態が生じた場合に、この建設時に投入されました補助金の返還、その他の措置につきましてはどう今取扱いがなっているのか、御報告を願います。
  154. 舌津一良

    政府参考人舌津一良君) お答えいたします。  近年、少子化に伴いまして児童生徒数が減少し、廃校や余裕教室が発生しているわけでございますけれども、こういうような地方公共団体が、地域の実情やニーズに応じ既存施設を有効に活用していくということが好ましいというふうに考えているところでございます。  このため、文部科学省におきましては、公立学校施設の転用につきまして、本来、国庫補助相当額の国庫納付が必要であるというふうにしていたところでございますけれども、公共用あるいは公用施設への転用など、一定の要件を満たせば国庫納付金を不要とし報告のみでよいと、そういうような制度の弾力化を図ってきているところでございます。  また、地域再生計画の認定を受けた転用、あるいは地域再生の認定を受けて民間事業者による利用をする場合、こういうような場合、国庫補助事業年度が完了後十年未満の場合でありましても国庫納付金を免除する措置を講じてきておるところでございます。  さらには、廃校した学校施設の有効活用を促進するという観点から、国庫補助事業完了後十年を超える期間を経過したものの転用につきましては、国庫納付金相当額以上の額を公立学校の施設整備のための基金に積み立てまして、これを適切に運用する場合は、有償の貸与あるいは譲渡の場合も含め国庫への補助金の納付を不要とするという取扱いを現在行っているところでございます。  こういうようなことによりまして、補助金納付を要しないケースを増やすというような努力を今行っているところでございます。
  155. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そうしますと、十年を超えたものにつきましては報告のみでいいと、あるいは十年未満の学校についても対応措置がある、こういうお話でございまして、そうしますと、必ずしも、廃校する場合にあるいは他の用途に転用する場合に補助金を返還する必要がない、こういう御報告だったかと思います。  ただ、先ほどの報告ですと、それでも十八年の休校数が、廃校ではなくて休校扱いにしているのが四百三十二校あるということでございますので、ちょっと心配しますのは、この報道にありますように、補助金の返還というのを免れるためにあえて廃校とせずに休校扱いとせざるを得ないという、こういう事態というのは、もうきちんと、そのようなことをしなくてもいいような実際上の扱いになっているのかどうか、重ねてこれはお尋ねしたいと思いますが。
  156. 舌津一良

    政府参考人舌津一良君) いわゆる補助金の返還、あるいはこういうような手続の必要が発生するのは休校か廃校かということではなくて、それを処分するときに発生することでありますので、このことが直接その休校のまま放置されているということにどれだけつながっているかというのは、にわかにそのつながりを把握するのは難しいというふうに思っているところでございます。
  157. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 いずれにしましても、学校として使わないにせよ施設としては公共施設でありますので、有効活用できますようにいろいろ対応を考えていただきたい、このようにお願いをいたします。  そこで次に、これは十八年度決算報告にもあるわけでございますけれども、東京医科歯科大学での随意契約の在り方が不適切であった、このようなことで一億八千四十六万円の支払が不適切であったと指摘をされている問題についてお尋ねをいたします。  これは、東京医科歯科大学でリネン類の洗濯業務や物品の賃貸借につきまして、財団法人和同会というところに随意契約をしておったわけでございます。しかし、この財団法人では自らそういう契約を履行する能力がなくて、実際には大半を下請先に再委託をしていたということもありますし、また、その業務、リネン類の洗濯ですとか物品の賃貸借というのは他の業者でも十分これは実施可能であったのに随意契約を行っていたということでこの契約が不当であるという、こういう指摘でございました。  そこで、会計検査院にお尋ねをいたしますが、新聞報道ではこれ以外にも、医学部を持つ国立大学法人の病院関係の随意契約につきまして、これは不適切ではないかという、こういう新聞報道もございました。  そこで、他の医学部を有する国立大学法人につきまして、リネン類の業務だけではなく売店、レストラン等も含めまして、そうした業務につきまして随意契約が行われているという状況はあったのかなかったのか、また、そうしたことにつきまして会計検査院として何らかの調査をしたということがあるのかどうか、お伺いをいたします。
  158. 鵜飼誠

    説明員(鵜飼誠君) お答えいたします。  会計検査院では、医学部附属病院を設置している国立大学法人の契約に関しましては、その金額が多額に上り、またその件数も多数となっていることから、従来から重点的に検査実施してきており、特に随意契約に関しましては、合規性、経済性等の観点から、その理由は適切であるか、一般競争契約へ移行できないか等の着眼点で検査してまいりました。  その結果、平成十一年度の決算検査報告におきまして、当時の二十二の国立大学の医学部附属病院における患者給食業務の実施について検査した結果、外部委託の契約方式について随意契約から一般競争契約に移行するための適切な措置を講ずるよう改善の意見を表示したものを掲記しております。  さらに、昨年時の検査の結果、十八年度の決算検査報告におきまして、委員ただいまお触れになりましたとおり、東京医科歯科大学の附属病院での随意契約に関し、業務の請負、物品の賃貸借等の契約の締結に当たり、公正性、競争性及び透明性の確保を図るため契約方式を一般競争契約に改めて契約事務を適切に実施するよう改善させたものを掲記いたしました。  医学部附属病院における契約につきましては、現在、当局において随意契約から一般競争契約への見直しが実施されてきていると承知しておりますが、会計検査院といたしましても、なお一般競争契約に移行できるものが随意契約とされたままになっていないか等につきまして、今後とも引き続き厳正に検査実施してまいる所存であります。
  159. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そこで、そうした会計検査院の指摘も踏まえまして、全国の国立大学法人を所管をする渡海大臣に決意をお尋ねしたいわけでございますけれども、現在、政府におきましては、独立行政法人において、この随意契約の在り方の見直しを行っております。これは当然、国立大学法人におきましても同様の考え方の下、随意契約の見直しをしていかなければいけないと考えますが、大臣としてこの問題への対処指針をお答え願います。
  160. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 何よりも、私は、やっぱりこういった事件とかいろんなものが起こるたびに、透明性をとにかくまず上げなきゃいけないということを考えます。同時に、この随意契約という契約は非常に不透明なんですね。ですから、今言ったように透明性を上げなきゃいけないということがあると思いますし、基本的には一般競争入札という形を取る、こういう方法に切り替えていくべきであろうと思います。  ただ、物によってなかなかそういうものになじまないというのは、私はあると考えております。私も設計事務所で仕事をしておりましたから、要は形の見えないものをどうやってじゃお金だけで契約をするのかという疑問は常に持っておりました。設計料入札というのがあるんですね。これはまだ、例えば絵があって、これを幾らで買うというなら分かるけれども、これから何をやるかよく分からないのに単なる作業料だけで形の見えないデザインをどうやって買うんだというような議論があったわけですね。  だから、物によっては単なる一般競争入札ではなくて公募型とかいろんな形が取れると思いますけれども、いずれにおいても一番大事なことは、やはり透明性を上げていくこと、そして適正な価格でもって発注をされることというのが一番大事であろうと思います。基本的には、随意契約というのは、これを、随意契約というものを、すべての随意契約を見直して切り替えていくという方向で我々も努力をしていきたいというふうに考えております。
  161. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 よろしくお願いします。特に大学病院におきましても、いわゆる大学関係者が就職をしている公益法人との随意契約、こういうところが問題になるわけでありますので、しっかりと今言われた方針でやっていただきたいと考えます。  そこで、先ほども指摘がございましたけれども、私からも、文教施設企画部の前部長が収賄によって逮捕されたと。特にこの方は技官のエースということで期待をされておった方のようでありまして、この影響は大きいわけでございます。  そこで、まず、この施設企画部というのは、いろいろまさに国立大学の施設の管理あるいは増築、改築の発注を行うような部署でございますけれども、毎年どのぐらいの予算を扱う部署であるのか、報告を求めます。
  162. 舌津一良

    政府参考人舌津一良君) お答えいたします。  文部科学省の文教施設企画部で所管しておりますのは、直接的に工事を行うというのは極めてまれでございまして、国立大学につきましては、国立大学の施設を各国立大学法人が工事を発注するわけですけれども、それの前提となる補助金を交付しているという今位置付けになっております。  それで、具体的に申し上げますと、毎年、国立大学に対する施設整備費の補助金の総額でございますけれども、一般会計予算分で申し上げますと約四百億円程度でございます。具体的に、平成二十年度の当初予算額は四百十二億円でございます。
  163. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 いずれにしても、それだけの予算を扱うところのトップがそうした容疑で逮捕されたというわけでございまして、どうしてこのような贈収賄ということに発展をしたのか。もちろん、これはまだ公判がこれから行われるわけでございますけれども、この事件の背景や原因につきまして文部科学省としてはどういう分析をしているのか、お尋ねをいたします。
  164. 合田隆史

    政府参考人(合田隆史君) 今御指摘ございましたように、大島前文教施設企画部長が四月四日に収賄容疑で逮捕され、四月二十四日に起訴、再逮捕され、五月十五日に起訴されたところでございます。  この事件の概要につきましては、警視庁、東京地方検察庁から提供されている情報によりますと、大島前文教施設企画部長が文教施設企画部技術参事官及び同部部長であった平成十六年一月から十九年三月までの間に、贈賄側の被告人である倉重裕一に対し、国立大学法人等の施設整備事業の一覧表を提供するなどの有利、便宜な取り計らいをした謝礼等として計二百七十万円の賄賂を収受したものであるというふうに承知をしてございます。  本件につきましては、大臣の直轄下に調査チームを発足をさせて調査を継続中でございまして、現時点において断定的なことを申し上げられる段階には至っていないわけでございますけれども、現時点までの調査によりますと、今回の贈収賄事件の直接的な原因、背景につきましては、大島前部長と倉重氏との属人的な関係にあると考えられるわけでございますけれども、これに加えまして、国立大学法人の施設整備事業のプロセスの在り方、文教施設企画部に係る人事の在り方、さらには職員への服務規律の徹底の在り方といったようなものが複合的に絡み合って起きたものとも考えられるわけでございます。  いずれにいたしましても、文部科学省といたしましては、この事態を深刻に受け止めまして、再びこのような事態が生じないように綱紀の粛正に一層努めますとともに、引き続き事実関係の確認と再発防止策の検討を進めまして、行政に対する国民の信頼回復に向けて全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。
  165. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今の報告にもございましたように、もちろん属人的な問題もあるにせよ、構造的な問題も背景にあるという、そういうお話でございました。  そこで、大臣、この問題につきましては、文科省の信頼失墜という大きなダメージを受けたわけでございますから猛省を促すとともに、この再発防止に向けまして真摯な改善措置をとっていただきたい。特に政官業のこれは癒着の構造ではないかという指摘もあるわけでございまして、天下りの禁止等も含めてそうした抜本的な改善措置をとっていただきたいと考えますが、大臣の決意を伺います。
  166. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) このような事件が起こったことは大変遺憾でございまして、改めておわびも申し上げる次第でございます。  今お答えをいたしました総括官がチームリーダーでございまして、事件の概要につきましては我々が分かる範囲で今お答えしたとおりでございますが、実態解明ということがまだ完全ではございませんけれども、しかし、これはやっぱり再発防止に向けてということになりますと、制度によるのか、組織によるのか、また個人的な問題なのかということになります。制度はこれは発注のプロセス等の問題であろうと思いますし、組織は人事の在り方でありますし、個人の問題はこれは倫理の徹底ということになるわけでございますが、そういった三点について今我々なりの検討は進めております。  余り細かくは申し上げませんけれども、例えばこれは、発注するべきものが事前に情報として漏れたためにそれが有利に働いたと言われておるわけでありますから、そういったことが起こらないためにその発表の時期はもっと前にできないかとか、そういったことも含めて今検討をいたしております。人事の問題については、もう既にかなり交流は図られているようでございますが、以前に比べましてですね、更なる交流を図って固定化しないということが大事であろうと、こんなことを今考えております。  今後、実態のより詳しい解明に向けて努力するとともに、今後の必要性に応じて第三者の意見も聞きながら、専門家の意見も聞いたりしながらこれらの検討を更に進め、しかるべき時期に事件の全容の、まあ確定とはいかないかもしれませんが、我々がつかみ得た情報とそれから検討、再発防止の検討ですね、これを公表したいというふうに考えておるところでございます。  我々も改めて信頼回復に努力をしてまいる、そういう決意をこの委員会で申し上げたいというふうに思います。
  167. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 最後に、警察庁に一問お尋ねをいたします。  駐車違反の取締りにつきましては、駐車監視員ということで民間への委託ということが行われているわけでありますけれども、パーキングメーター・チケットの管理業務につきましては、交通安全協会、これは公益法人ですね、この交通安全協会への随意契約が多く行われている、こういう実態がございまして、やや問題があろうかと思います。  この業務は十八年度までは公益法人への委託ということで限定されておりましたので、各都道府県警察は地元の交通安全協会とそうした委託契約をしておったということでございます。ところが、昨年の一月にこの施行規則が改正されまして、民間の参入ができるようになったわけですね。ところが、実態を見ますと、十九年度における業務委託につきましては、パーキングメーター等がある四十都道府県のうち三十都道府県の警察本部でこの公益法人との随意契約が継続している、こういう報道がございました。実際、民間と契約をしておったところは小さな県にすぎなかったということでございます。  そこで、国と密接な関係にある公益法人につきましては、今回の道路特定財源をめぐる改革を機といたしまして全面的に各省庁が見直しをしまして、そうした各省庁と関係の深い公益法人との随意契約の在り方につきましても是正をしていくと、このようになっているわけでございます。  そこで、これは都道府県警察とそれぞれの都道府県が所管をする公益法人との関係ではございますけれども、構造は同じでありますから、やはり国と同じ基準でこうした随意契約の在り方も見直し、きちんと競争入札なら競争入札という形で、公平な形で民間の参入も認めていくべきではないか。この点につきまして、国家公安委員会としてしっかりと指導性を持って各都道府県警察に対して指導を行ってもらいたい、このように考えますけれども、所見を伺います。
  168. 末井誠史

    政府参考人(末井誠史君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、パーキングメーター、パーキングチケットの管理業務につきまして、平成十九年一月に道路交通法施行規則が改正されまして、営利企業を含めた法人一般に委託先が拡大をされております。これを受けまして、各都道府県警察においては委託契約の方法の見直しを進めております。  パーキングメーター等を導入しているのは現在四十都道府県ございます。この四十都道府県のうち三十五の道府県が平成二十年度は競争入札を実施したとの報告を受けております。残り五都県につきましても、可能な限り早い段階で競争性のある契約方式に移行するよう指導をしてまいりたいと考えております。  また、都道府県の所管法人をどのように見直すかは、先生からも御指摘ございましたが、各都道府県において適切に判断がなされるべきものと考えておりますが、引き続き警察関係の公益法人に対する監督が徹底されますよう、国家公安委員会の管理の下、都道府県警察を指導してまいる所存でございます。
  169. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 是非、あと、そうしますと五都道府県についてはまだ随意契約が続いているということでございますので、早急にすべてのそうした四十の都道府県でこの競争性のある形での契約が実現するようによろしくお願いいたします。また、我々も各都道府県議会におきまして、この地方の、都道府県所管の公益法人の在り方につきましてもしっかりと見直しをするように取り組んでいくということをこの場をお借りをして申し上げまして、私の質疑を終わります。
  170. 山下芳生

    山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  今日は、養護学校の寄宿舎の役割について、文部科学大臣に質問をしたいと思います。  私が養護学校に寄宿舎があるということを知ったのは一年半前でございました。滋賀県の親子無理心中の事件がきっかけでありまして、一昨年の暮れに、滋賀県で障害を持つ二人の娘さんと四十三歳のお父さんが無理心中する事件がありました。新聞は、障害者自立支援法による負担増とともに、娘さんの通っていた養護学校の寄宿舎が二年後に廃止される問題が背景にあると報じておりました。この心中事件の三年前から娘さんはお二人、養護学校に通うようになったんですが、すぐお母さんが病死をされるわけです。病死、お母さんがされた後、二人の娘さんを寄宿舎に預けて、週末、金曜日になると娘さんは自宅に帰ってこられると。週末はお父さんと娘さん一緒に過ごしていたそうですが、もし寄宿舎がなくなったら、毎日仕事をしながら、二人に食事を作って食べさせて、おふろに入れるなどお父さんの負担がとても重くなることは目に見えておりました。  そういうことがあるんだなと、寄宿舎というのは非常に大事な役割を果たしているなと強く思った次第なんですが、この事件の直後に、ある障害を持つ子供さんを持つお母さんから私、お手紙をいただいたんです。養護学校の寄宿舎が、こうした家庭の負担を軽減するというだけではなくて、子供たちの発達、自立にも大きな役割を果たしているとお手紙には書かれてありました。そして、その方にとっては、もし寄宿舎がなかったら母と娘がこんなに明るく元気に生きていくことはできなかった、是非見に来てほしい、国会で取り上げてほしいという訴えでありました。  もう随分前ですけれども、そういう経過がありましたので、私の頭の中にこの問題がずっと刻まれておりまして、今年になって二月、手紙をくれた方の娘さんが入舎している滋賀県のある養護学校の寄宿舎を見学させていただきました。  学校と寄宿舎は廊下でもうすっとつながっておりまして、そのときは二十三人の子供たちが寄宿舎に入舎しておりましたけれども、十五人、指導員が交代で夜も付添いをされております。居室は大体三人か四人の相部屋、そのほかに暖房で暖かくなっているトイレルームがあったり、おふろや食堂もありました。ちょうど行った時間帯が午後三時ごろでして、養護学校授業を終えた子供たちが電動車いすに乗って廊下をずっと寄宿舎の方に何人も帰ってきておりました。お帰りと声を掛けますと、にっこり笑顔を返してくれたわけであります。  こういう寄宿舎がたくさん全国にあると思うんですが、まず文部科学省に伺いますが、全国の盲・聾・養護学校、今は特別支援学校と呼んでいるそうですけれども、その数、それからそのうち寄宿舎のある学校の数、それから寄宿舎に入居している児童生徒の数、指導員の数、幾らでしょうか。
  171. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) お答えを申し上げます。  平成十九年度の学校基本調査によりますと、平成十九年五月一日現在で、特別支援学校の数は国立四十五校、公立九百五十四校、私立十四校でございまして、合計で千十三校となってございます。  それから、こうした特別支援学校の寄宿舎の数でございますけれども、平成十九年度では三百三十三校となっておりまして、千十三校のうちの三二・九%の特別支援学校に寄宿舎が設けられているところでございます。  また、特別支援学校の寄宿舎に入居する児童生徒の数でございますが、平成十九年度では一万二百二十九名となっております。また、特別支援学校の寄宿舎指導員の数につきましては、平成十九年度は四千八百七十六人となっているところでございます。
  172. 山下芳生

    山下芳生君 一千の特別支援学校の中で三百三十三寄宿舎があって、約一万人の子供さんがそこで暮らしているということであります。  私、その滋賀県の寄宿舎を訪ねまして指導員の先生保護者のお母さんのお話を聞きまして、養護学校の寄宿舎というのが通学困難や家庭事情の対策にとどまらない、障害のある子供たちの発達にかかわる大事な役割を担っていると感じたんですが、まずそうはいっても、家庭の事情をちゃんとフォローできるのは寄宿舎あってこそだということを感じたんです。  例えば、あるお母さんは、親はぎりぎりの追い詰められ方をしている、子供は大きくなる、自分よりもうんと大きくなる、だから腰もそれから股関節も痛くなる、ぷつんと一つ切れたら、そう思うと、あの心中された親子の気持ちはよく分かりますとおっしゃっておりました。親が安心して預けられるところがあるというのは物すごい安心感なんだとおっしゃっていました。  それから、別のお母さんは、障害のあるお姉ちゃんが寄宿舎に入るようになって初めて、弟さんがいらっしゃるんですけれども、この子がお姉ちゃんと僕とどっちが好きと初めて聞いたと言うんですね。それまでは、お姉ちゃんのことに大変やっぱりお母さんが力を入れなければならぬというのが分かるわけで、お姉ちゃんもお母ちゃんも僕が守らなあかんというふうに思っていたんでしょうねと、母子家庭でもあるからというふうにおっしゃっていましたけれども、初めてそういう声が弟さんから出てきた。私もということでお母さんが言うには、あっ、私この子の顔見て今御飯食べているわと、お姉ちゃんが寄宿舎に入った後、初めて弟の顔を見ながら御飯を食べられたと。それまではお姉ちゃんの方ばかり見ていたと言うんですね。  非常にそういう意味では、障害を持つ子供さんを持つ家庭が希望を持って生活する、成長、発達していく上でこの寄宿舎というのは大変大事な役割を担っているなということを生の声を聞いて思ったんですが、渡海大臣の感想をまずお聞きしたいと思います。
  173. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) これは委員が直接お聞きになった話でありますから、本当にそうなんだろうなと。今いろいろお話を聞かせていただいて、やっぱりそれぞれの御家庭で環境は違うとは思いますけれども、そういうことだけではない共通の問題点というのか、今御指摘いただいたのは宿舎が果たす役割ということだと思いますけれども、そういったことをしっかりととらえて、我々はこれからも特別支援教育という問題をとらえていかなきゃいけないというのが私が今率直に感じた感想でございます。
  174. 山下芳生

    山下芳生君 続いて、養護学校の寄宿舎の役割について少し御紹介したいんですけれども。  私は、そういう家庭の事情をフォローする役割にとどまらない、子供たちが自立をし社会参加する力を培う場所に寄宿舎がなっているということに非常に感銘を受けたんです。  私が参りました寄宿舎では、特別なことをやっているわけではないんですね。養護学校から帰ってきたら、おふろに入ったり、それから御飯を食べたり、寝たり、翌朝ちゃんと起きて排せつをして、また元気になって学校に行くと。ごく普通の生活をしていますとおっしゃっていましたけれども、実はこのごく普通の生活の中で子供たちが獲得するものが大変大きいと言うんですね。  ある指導員の方はこうおっしゃいました。ここに入って何かボタンを付けられるようになったとかもあるけれども、価値観が広がることが大きいと言うんですね。自分と価値観が違う人もいるんだと、ほかの障害を持つ子供さんであったり指導員だと思いますが。ですから、御飯を食べたり着替えというのは介助してもらう人があったらできるけれども、しかし豊かな人格をはぐくむというのは、これはだれも介助してくれない、自らそういう環境の中で獲得するものだというお話でした。  健常者と交わることも大事、何かしてもらうことも大事だけれども、同じような障害を持つ対等な子供たちの中で付き合う中で、お互い調整する力、その指導員さんの言葉子供同士で折り合いを付ける力というふうにおっしゃっていましたけれども、これが身に付いていくということが大きいと。これは非常に教訓的だなと聞いたわけです。  それからまた、お母さんはこうおっしゃいました。だれの手からでもちゃんと御飯が食べられるようになること、それからだれの手でもスキンシップで意思を伝えることができるようになること、これがこの子にとってキーワードなんですと。いずれ私の手から離れなければならない、私の方が年は先に取ると。そのときに、私からしか御飯を食べられない、私にしか意思を伝えられない子であってはこの子の将来の自立や社会参加は狭いものにしかならない、だからそうおっしゃるんですね。  確かに、障害の重い子供さんの自立というのはなかなか難しいとは思いますけれども、援助を受ける、受けれるキャパシティーといいますか、お母さんからしか御飯を食べさせてもらえない、お母さんとしか一緒に寝ることができないんじゃなくて、だれとでもそういうことができるようになるということはその子の自立できる可能性を大きく広げることになるんではないかなというふうに学んだわけです。  そういう点で、寄宿舎のほかの子供さんや指導員とのかかわりの中でそういう大切な発達を遂げている子供たちを見て、寄宿舎の果たす役割、これは非常に大事だなと私は思った次第ですが、この点、大臣、いかがでしょうか。
  175. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 私は、ちゃんと行かなきゃいけないと思いますが、残念ながらその現場を見たわけでもありませんけれども、委員がおっしゃっているような問題意識というのは、いろんな議論の中で、自立のため、そして社会参加のために大変寄宿舎が重要な役割を果たしているというレポートは届いておりますので、今おっしゃったような効果というものは寄宿舎は非常に持っているんだろうなというふうに思います。  そういうことを前提に、先ほども申し上げましたけれども、特別支援教育というもの全般についてどういうふうな制度設計をしていくかということを考えていかなきゃいけないというふうに思いますが。
  176. 山下芳生

    山下芳生君 非常に重要な御答弁だったと思います。  実は、文部科学省平成十三年の一月十五日、二十一世紀の特殊教育の在り方についてという報告書の中で、この養護学校の寄宿舎の役割について、今大臣がおっしゃったようなまとめ方をされております。  これ、文部科学省に確認しますけれども、この文書は、新しく学校教育法が変わった下でも、寄宿舎の役割、しっかりと今もこの内容で位置付けられていると理解してよろしいでしょうか。
  177. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) 特別支援学校における寄宿舎の果たす役割について、基本的な考え方は同じであると考えております。
  178. 山下芳生

    山下芳生君 確認させていただきました。  私がこの寄宿舎のある養護学校を訪ねて、もう一つ大事な役割があるなと感じたことがあるんです。これは滋賀ではなくて別の大阪のある養護学校の話なんですけれども、この養護学校は、元々は病弱な子供さんが通うあるいは入舎する学校であり寄宿舎でした。戦後すぐは結核の子供さんたちに始まって、その後、肥満児それから不登校児、発達障害児と、この学校と寄宿舎が受け入れてきた子供たちは時代によって違ってきているんですね。社会の変化に伴って子供たちの抱える心身の困難、その現れ方も変化するんだなということがこの歴史を見ただけでもよく分かりました。その変化に対応してどうすれば子供たちの生きる力、自立する力を引き出すことができるか、この大阪の養護学校と寄宿舎の先生たちは常に模索しながら実践を積み上げて、理論を練り上げてきているなというふうに感じたんです。  最近の具体的な子供さんの事例を聞きました。小学生時代から学校に行けずに、一年前にこの学校に来たときも車いすやベッドの上で嘔吐を繰り返していた中学生のA君。彼は一年たって今は自分の身体症状との向き合い方が分かったようで、もうしゃんしゃんしているというんですね。運動会にも元気で参加されたようで、このA君のお母さんは、我が子が運動会で走る姿を初めて見たと、どきどきしたという感想をお述べになっております。  それからB君。周りが自分をどう思っているか気になって仕方のなかった発達障害、ADHD、注意欠陥多動性障害を持つこの中学生のB君は、運動は全く駄目だった、音楽も非常に苦手だった、でもこの学校に来て一年でこんなに速く走れるようになったよと指導員の先生方に自分で走ってみせるようになった、本人はこの学校に来て良かったと、自然がいっぱいだしと言っているようです。  それからCさん。二年前にこの学校に来た発達障害、アスペルガー症候群というふうに聞きましたけれども、彼女は、当初は自分の心身の症状を認められずに、三十八度を超える高熱があっても平気で何にもないと学校に出てきた、活動していたらしいですけれども、二年たってこの学校の中で、寄宿舎の中でその症状を自覚できるようになって熱も出なくなったと。同じように突然熱が出るような子供に、どうしてあげたらいいのということを先生が今度はこのCさんに聞いて教えてもらうようにまで今なっているという実践例でした。  目に見える障害のほかに、心身の中から出てくる病気のために学校にも行けない、周りにも理解してもらえずに苦しんでいる子供たちたくさんいると思います。親御さんも対応が分からずに必死でもがいている。そんな親子にとってこの寄宿舎のある大阪の養護学校は、まあいっときといいますか親子が離れることによって、家庭も再出発できるし、子供たちも再出発できるという機会を与えてくれているようにも思いますし、また、集団の中で指導員の先生子供たち同士でいろいろこれまでなかったかかわりを持って発達、成長しているんだなというふうに思いました。お母さんたちはこう言っております。やっとたどり着いた学校、ここに来るまでいろんなところに相談したけれどもうまくいかなかったんですね、こんなところはどこを探したってない、心のふるさとです、そんな親子の言葉にこの学校と寄宿舎のかけがえのない役割が示されていると思います。  私は、この学校で培われてきたものとか、それからそういう場所があり、そういう専門家集団がある、そういう点で、これからも培われるであろうものは、これは単に現在障害を持っている子供さんや親御さんだけ、当事者だけではなくて社会全体にとっての宝物だなというふうに思いました。恐らく、これからもいろんな社会の変化に応じていろんな困難や症状を抱える子供が出てくるでしょう。そういうときに、こういう子供たちをゆとりを持って受け入れて、どういう働きかけをすればこの子の成長を促すことができるかというふうに寄り添って実践の中で理論を練り上げていくという機能は、これ非常に今の社会、私たちの社会にとって必要な機能だなというふうに感じたわけですが、その点、新しい症状にも対応する力を持っている、そういう養護学校と寄宿舎の役割、大臣、いかがお考えでしょうか。大臣どうですか。
  179. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 基本的には前二問と同じ認識なんだろうなというふうに思います。  そこの面だけとらえてどうだと言われましたら同じお答えしかできないわけでございますが、そういった機能というものを宿舎は持っているという認識をしっかり持つことと、今おっしゃったのは、やっぱり蓄積しているノウハウ、これはやっぱり人間に生かすべきだと思いますね、何よりも。いわゆる研修をやるとか、これは今でもやっておりますが、特別支援のための人材育成ということに我々は力を注がなきゃいけない。器だけつくったってやっぱりそこでちゃんとした指導者がいなければそれは機能しないわけでありますから、そういったことにも留意しながら、現代でもしっかりとこれ特別支援学校寄宿舎指導指導者講習会とかいうのをやっておるわけでありますが、そういったところにやっぱりそういったノウハウをしっかりと伝えていく必要があるんだろうなと、そのように思います。
  180. 山下芳生

    山下芳生君 この大阪の養護学校と寄宿舎の実践というのは専門家の大学の先生方からも非常に高く評価をされておりまして、生きづらさを抱えている子供たちの福祉と教育経験と知恵を蓄積、凝縮している文化センターだという評価ですとか、こうした子供にはじっくりと自分を見詰め、障害を受容していく支援の場が必要だと、独り特別支援学校だけではなく、通常の学校における障害児への支援の在り方にとっても多くの示唆を与えるものとなるであろうと。  今度新しい法律によって、特別支援学校の実践が通常の普通の学校の中で勉強している障害のある子供たちの支援にも大いに役に立つようにしようという法の精神にも、こういう養護学校や寄宿舎の役割は大事になっているという評価だと思いますが、これは大臣、是非一回視察していただきたいと思うんですね。そして、実際に子供たちの姿そして指導員さんたちの思いを直接聞いていただいたら、これは非常に、いろいろあっても、この社会の全体の財産をしっかりと大事にしてこれから生かしていかなければならないという気持ちを私はそういう現場に行って非常に実感したんですが、大臣、いかがでしょうか。
  181. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 既に視察をしなきゃいけないところが五、六か所ぐらいたまっておりまして、お約束して行けていないところが。まあ時間を取って、すべてみんな重要なことでありますから、これが重要でこれが重要でないなんということは言えませんので、まあ国会が終わって時間が許せば、そのように考えたいというふうに思います。
  182. 山下芳生

    山下芳生君 大臣も是非視察に行きたいということでしたので、是非しっかりとその視察を文部科学行政に生かしていただきたいと思います。  今申し上げましたいろいろな養護学校と寄宿舎の果たしてきた役割ですけれども、家庭の事情に対応できる力、それから子供たちの自立や社会参加を培う力、そして子供たちの新しい障害や困難に対応する力、これがあると思うんですけれども、ところがその養護学校の寄宿舎が各地方では残念ながら縮小、廃止される動きがいろいろ行きますと聞こえてくるんですね。  例えば、東京は入舎希望者が大変たくさんで全員入れないんだそうです、今でも。ですから、通年入舎できる子供さんはごく少数で、学期ごとに交代して子供さんを入れている。それでも安心感があるというんですね。いずれまた入れると思うと、お母さんたちは大変安心だというふうに聞きましたし、それからある県の養護学校の寄宿舎は、指導員さんの数がぐっと減っちゃったらしくて、宿直をするのに指導員だけでは足らないので、養護学校の学部の先生の応援まで得なければならないという危機的な事態にもあるというふうに聞きました。  ですから、せっかく大事な役割を果たしている寄宿舎が、そういう地方の財政的な事情が大きいと思うんですけれども、私は、これは財政的な事情で失うわけにいかない、本当に宝だと思うので、是非、全国で今養護学校の寄宿舎などがどうなっているか、全国の実態調査文部科学省としてしていただいて、必要な支援を強めていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  183. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) 各都道府県におきましては、平成十九年度からの特別支援教育への制度改正を受けて、各地域の特別支援教育の在り方の検討が行われております。その中で、寄宿舎も含めて見直しを進めている県も、委員から御紹介がございましたが、あるものと承知をいたしております。  寄宿舎は入居する児童生徒の自立と社会参加を図る上で一定の役割を果たしておりますが、その設置や廃止などにつきましては、設置者である自治体において、特別支援学校の設置状況児童生徒の通学状況などを考慮しつつ、適切に判断されるべきものと考えているところでございます。  私どもといたしましては、今後とも、寄宿舎の状況も含め、各都道府県における特別支援教育の推進体制の状況の把握に努めてまいりたいと考えております。
  184. 山下芳生

    山下芳生君 自治体が決めることだということでしたけれども、私、そういう言い方で逃げちゃいけないと思うんですね。財政困難な都道府県に生まれた障害のある子供は、発達する権利が十分保障されなくてもいいと国政に携わる政治家として言えるだろうか。私は、それは絶対言えないと思います。渡海大臣、是非地方の実態を調べて、国として必要な支援を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  185. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 基本的に言えることは、やっぱり教育機会均等ということであろうと思います。そして、特別な事情にある児童生徒に対して我々はどうやって向き合うかという課題、この二つをしっかりと我々はとらえて、しかるべきことをやらなきゃいけない。  今、地方の問題だということで逃げたと言われましたが、必ずしもそうじゃないんですよね。要は、地方の実態として、地方がやっぱり自分である程度の責任を果たすということをしっかりやらすということをやらない限り、いつまでたったって地方分権なんて言ったってできないですよ。  私はこの間、増田大臣にも申し上げたんです。教育委員会の問題で、これは地方の問題だからと言ったら、いやそうじゃなくて国から下ろせと。地方分権を言っているのを中央集権で下ろすんですかと私は申し上げたんだけれども、ある種の指導はちゃんとやらなきゃいけないと思いますが、やっぱり地方がある程度責任を持ってやるということを地方にもしっかりと申し上げないと、地方は、じゃ地方はできないからと言ったら何でも国におんぶということは、体質は変わらないわけですよ。  この問題は確かに、今委員がおっしゃったように、それだけでいいのかと言われると、我々はすぐそれで結構ですとは言いません。言いませんが、ただ、そういうこともやっぱりしっかりと地方に対しても物を言っていかなきゃいけないところがあるということは、最低限御理解はいただきたいと。我々は、前向きの姿勢で積極的に取り組んでまいります。
  186. 山下芳生

    山下芳生君 障害のある子供たちも、健常児と全く異なることなく人間として発達する権利を持っている。その権利を保障することは、私たち大人たちあるいは社会全体の責務だと。これは国連の子どもの権利条約であるとか障害者権利条約でも確認されていることでありまして、これは逃げるというわけじゃないけどもとおっしゃいましたけど、そういう立場で是非進めていただきたいということを申し上げて、終わります。
  187. 近藤正道

    近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。  今日は法務と文科両方に質問を予定しておりましたけれども、文科の方に集中をして質問をさせていただきたいと思いますし、また一番最後でありますので、かなり私の予定していた質問、前の方がやられまして、少し順序だとかあるいは言い方等が通告とちょっとずれるところが一部出るかもしれませんが、ひとつ御勘弁をいただきたいというふうに思っています。  今日も学校現場のいろんな問題があるいは困難がいろいろ指摘をされました。それをどうやってやっぱり解決をしていくのか。いろんな切り口、方法があろうかと思うんですが、私は最大公約数的には、当面やっぱり教員の数を増やす、教員一人当たりの子供の数を極力やっぱり減らしていくと。それは、教員の質という問題はもちろんありますけれども、大方の先生はやっぱり頑張っておられるわけで、そういう意味では教員の定数改善を実現していくと、それが最も最大公約数的な当面の措置ではないか。そういう意味では、是非この定数改善、戦後ずっと積み上がってきたわけでありますけれども、これをやっぱりこれからも推し進めていっていただきたいというのが私の基本的な立場なんでございます。  そういう意味で、まずお聞きしたいのは、今年から退職教員等外部人材活用事業、非常勤講師を増やす、今年は七千人ということでありますが、この制度が動き出したということでありまして、これは評価をしたいというふうに思っておりますが、この制度のねらいといいましょうか、政策目的について、冒頭お聞かせをいただきたいというふうに思います。
  188. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) お答えを申し上げます。  子供と向き合う時間を拡充いたしますため、平成二十年度におきましては、教職員定数の改善のほかに外部人材の活用を行うことといたしておりまして、委員御指摘ございましたように、退職教員や経験豊かな社会人等を学校に七千人配置することといたしております。具体的には、例えば習熟度別少人数指導の充実や小学校高学年における専科教育の充実、また小一プロブレム、不登校などの生徒指導の充実などに退職教員や経験豊かな社会人を幅広く活用していただきたいと考えているところでございます。  私どもといたしましては、この事業も活用しながら、教員の子供と向き合う時間を拡充することにより、教育の質の向上を図り、国民の皆様から信頼される公教育の確立に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  189. 近藤正道

    近藤正道君 定数改善で是非やっていただきたかったわけでありますが、定数改善の方は約一千、非常勤講師が七千ということでございます。  今日も委員の中から、当初の、交付税措置をしているんだけれども措置率が芳しくないという話がありました。また、地方財政でありますけれども、教材費の交付税措置があるにもかかわらず、それが措置率が芳しくない。つまり、そういう形で基準財政需要額の中に組み込んでいるにもかかわらず、それが満額活用されないで一部が他の用途に流用されている、こういう事態がありました。  問題は、今回の非常勤講師七千、まあ三分の一は国が措置をするという形で交付税措置をしているということでありますが、図書やあるいは教材でこういう事態が起こっているわけで、本当に七千人分全国で措置されているんだろうか。いろいろ聞くところによりますと、それは分かるけれども、それぞれ都道府県の言わば自腹といいましょうか、三分の二ですから裏負担などということじゃないけれども、その負担分がやっぱり賄えないと。それだけ地方はかなり財政的に大変だと。こういう中で、結局、そういう措置をしないで他に流用していると。  七千という、国としては、文科としては措置をしているけれども、七千が措置されていないんではないかということをおっしゃる方が結構おられるわけであります。この辺の実態は皆さんとしてはお調べになったのか。私は、図書や教材、まあこれだって大事なんだけれども、これならまだしようがないのかなという気持ちはないわけじゃないけれども、教員について言えばこれはやっぱり困ると、それは、という思いがありますので、本当に七千人がきちっと措置をされているのかどうか、皆さんはどういうふうに見ておられますか。
  190. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) お答えを申し上げます。  図書費や教材費につきましては、地方交付税が一般財源でございますことから、交付に当たって条件を付けたり使途を制限することはできないんでございますけれども、御指摘のございました退職教員等外部人材活用事業につきましては、事業費の三分の一を国が負担している補助事業でございます。したがいまして、補助事業ということでございますから、これをほかに流用するということは考えられないところでございます。
  191. 近藤正道

    近藤正道君 ただ、今言ったように、自腹の負担に耐え切れなくて、国が予定していた七千人分、これがきちっとそれぞれの都道府県で積み上がっていないんではないかという指摘は結構あるんですけれども、皆さんとしては実態をきちっと把握されたのかどうか、お聞かせください。
  192. 金森越哉

    政府参考人金森越哉君) お答えを申し上げます。  退職教員や経験豊かな社会人等を学校に七千人配置するということで予算措置がなされたものでございます。御指摘ございましたように、三分の一は国の補助でございますけれども、残り三分の二は地方財政措置でございますので、都道府県によりましてはいわゆる裏負担が大変だというところもあろうかと存じます。  ただ、この七千人の非常勤講師の配置事業は、先ほど申しましたような教職員定数のほかに、外部人材の活用を図ることによって教員の子供と向き合う時間を拡充したいということで設けられたものでございますので、そうしたねらいを各都道府県などにも十分御理解をいただきたいと考えているところでございます。
  193. 近藤正道

    近藤正道君 いずれにしても、今局長がお認めのように、一部では必ずしも十分配置ができないと、こういう実態があることはそれは間違いないわけでありまして、是非、今多分調査されているんだろうというふうに思いますが、しっかりやっぱり調査をされて、そして国のねらいがしっかりと都道府県現場に届くと、やっぱり先生がきちっと配置されると、そういう体制を今後是非調査の上取っていただきたい。  これは大臣にお尋ねをしたいというふうに思うんですが、そういうふうにやっていただきたいということと、いずれにいたしましても、今度は道路財源の一般財源化という問題がありまして、各省庁の分捕り合戦などという話も出ているわけでありますけれども、しかし追い風であることには間違いないわけでありまして、そういう様々な条件を活用して、やっぱり教員が一人でも多く子供たちの前に立つと、こういう状況を是非実現するように御努力をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  194. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) まず非常勤でございますが、これは若干地方の議会との関係もあるやに聞いております。要するに、予算をちゃんと用意して、その裏といいますか、我々は三分の一出すわけでありますけれども、そういったことで、確かにまだ七千人全員が配置されているというふうには承知をいたしておりません。今後ちゃんと状況はしっかりと見ていきたいというふうに思っております。  それから、定員の問題でございますが、我々もそのようにいろんな要素がございますから、一々細かくは申し上げませんけれども、例えば学習指導要領が新しく今度なるわけでありまして、先行実施する部分もある、そういったことも含めてトータルとしてどういうように考えていくかという、今必死に作業をいたしております。そして、できるだけ学校現場子供と向き合う時間が多く取れるようにこれからも努力をしていきたいというふうに思っております。
  195. 近藤正道

    近藤正道君 教育振興基本計画のことについてお尋ねをいたします。  もう何人かの委員の方がお聞きしましたんで聞くことがないのかも分かりませんが、ただこれは、今日は十八年度の決算でありまして、この十八年度という年は教育基本法が改正をされたと。私どもはこれについて反対をした立場でありますが、当時、教育基本法の改正に反対をする人の中でもこの教育振興基本計画についてだけは評価する人はかなりいたんですよ。  そういう意味では、教育基本法の言わば改正論議の中でこの教育振興基本計画というのはある意味では別格扱いされておりまして、反対という人でも、これだけはもしうまくいったら、とにかく歴年教育予算が低下をしておりますんで、これに対するやっぱり歯止めにはなると、これは何かある程度評価をしたいなという方はたくさんおられた。  ですから、教育基本法が、まあ私どもの立場ですけれども、改正をされて、私どもは改悪と言ったんですが、なおかつ教育振興基本計画は中身のないものでもしあるとするならば、まさに踏んだりけったりという、こういう思いがするわけであります、私の立場からいきますとね。ですから、この改正という事態を受けて、せめて教育振興基本計画ぐらいはやっぱりしっかりと中身を入れて頑張っていただきたい、こういうふうに思っております。  そういう意味では、先ほど大臣は、これは非常にやっぱり大事だと、国力、GNP、この国力を一体どこに、いつまでどのぐらい振り向けるのかということではまさに国家の意思を表すことなんで、非常にやっぱり重要なことだというふうにおっしゃいました。私も全く同感でございます。  そういう意味では、やっぱり数値目標がなければこれは全く意味のない計画だと、数値目標はまさに必須の問題だというふうに思っています。そういう意味で、大臣が現在のGNP三・五%ではなくて五%だということについては、是非その方向で頑張っていただきたいというふうに思うんです。  ただ、皆さんが、もうみんな聞きますんで、改めて明確に御答弁いただきたいことが三つあります。一つは、何でこの数値目標を入れるということが大事だというふうに大臣はお考えなのか、これが一つ。二つ目は、なぜ三・五%ではなくてこれを五%に増額しようとしているのか、五%の今時点での根拠。それと三つ目、なおかつ、今財務省との間というふうに私言いますけれども、政府の中で改めて文科省が再度、最終段階とは言いながら理論武装しなければならない、その理論武装の当面の一番の課題は何なのか。この三点、簡潔に大臣の思いを語ってください。
  196. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) なぜ大切なのかということは、これはやっぱり国家としての政策選択、要は、我々政治家にとって言うならば、日本の国をどういう国にするかという問題であるから非常に重要であるというふうにお答えをさせていただきたいと思います。  五%はなぜなのかと。これは、科学技術基本計画のときに一%はなぜなのかという議論がありまして、それが国力なんだと、大体世界のグローバルスタンダードだと申し上げました。OECDの平均が大体五%というのがあります。じゃ、アメリカはどうだ、教育先進国はと、いろんな議論がありますけれども、今一番よく言われている教育一つの指標というのは、そうだから五%という数字があるんだろうと。私はまだ明言しておりませんから、そういうふうにこの五%を考えております。  それから、なぜ今理論武装なのかと言われますが、従来から、私は直接やっているわけではありませんが、何か空中戦で勝手に言いたいことを言っていてもしようがないと。要するに、財務省さんが財政審にお出しになるという資料が出てまいりましたから、その資料に対して、やっぱり我々はそれは違うと思うよと、考え方が違うと思うよ、数字も違うと思うよということを実はしっかりとちゃんと位置付けろと。要するに、私はこれから先頭に立って闘うわけでありますけれども、闘うというより調整をするわけでありますが、そのときに簡単に向こうに言い負かされるようなそういうものでは困るということで、私なりの観点からぎりぎり実は内部の最終調整を図っているというところでございます。
  197. 近藤正道

    近藤正道君 期待をしておりますし、是非そういう方向で頑張っていただきたいというふうに思っています。まさに国家は、政治の意思を示すのはやっぱり具体的な数値でありますんで、定数改善等を始めとする教育条件の整備だとか、あるいは教育に掛ける総投資、トータルで具体的な数字をしっかり出して、この根拠の基にやっぱり是非切り開いていっていただきたいと、こういうふうに要望申し上げておきたいというふうに思っています。  その際なんですが、私は、これは文科でもいろいろ議論があるというところなんですが、三から五%という形で整理をする際に、今の行革推進法が、例えば五十五条の三項でしょうかね、児童生徒の減少以上に教職員の数を減らす、あるいは人確法を廃止を含めて見直すと、こういう規定がありまして、これはなかなかのハードルだというふうに思っています。私らはこういう制度はいかがかなと、まさにこの法律こそやっぱり見直さなければならないというふうに思っておるんですが、果たしてこういう制度を維持したまま今の納得のいく、財務省とちゃんと五分に渡り合える基本計画の素案、作ることできるんですか。  私は、これはやっぱりなかなか大変なんではないか。大臣の腹の中では、まあ福田内閣の閣僚ですからそれはなかなか言えないけれども、今あちこちで、例えば厚労省は骨太の例の〇六年のあの二千二百億、これはもう限界だと、変えてもらいたいと、いろんな声も出ています。大臣だってこの人確法の、この五十五条の三項のというのはやっぱり大変問題だよと、これは何とかならぬだろうかみたいな話ぐらいはそろそろやっぱり出しながら私は振興計画の見直しの議論を進められないだろうかと、こんな思いもあるんですが。  その行革推進法の五十五条の三項辺りの見直しの問題等については、大臣はどんなふうな所見をお持ちでしょうか。
  198. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 私はさっきも言いましたが、決して財務省ではありませんが、今日は副大臣が出席をしていただいておりますが、しかし行政改革というのも国家の大きな課題ですよ、やっぱり。これは我々熱心にやってきたんです、今まで。  文部科学大臣になって、私は、やっぱりこの先生方の問題に今真っ正面から取り組んでいるつもりでございます。その中で、やっぱり我々はどういう回答を出せるかということを、去年は我々は突き破ろうということでかなりの闘いを挑んだつもりでございますが、しかし、この全体の状況を見た中で、すぐ先に来る問題ですね。それから、振興基本計画というのは基本的には十年先を見たことですよ。しかも、具体的には五年ですから、行革法は実はあと二年なんですね。そういったことも考えながら、全体的にどういう我々は闘いを挑んでいくかということを考えないと、勇ましく破るんだと言うのは、先生、簡単なんです。でも、やっぱりそれで果たして、まあ先生方には喜んでいただけるかもしれませんけれども、本当に世論も含めて、一方、地方公務員はがんがん減らしている中で、じゃ先生だけはこれに抵触して構わないのかという厳しい声があることもどうか御理解をいただきたい。  そういう全般的な状況を見ながら、やっぱり我々は責任のある対応をしていくということが大事だと今は考えておるところでございます。御理解をいただきたいと思います。
  199. 近藤正道

    近藤正道君 分かるつもりでありますが、大臣が冒頭から、人材こそ唯一の資源だと、こういうふうに強調されますので、これに言わば乗っからせていただいて今の質問をさせていただいたと、こういうことであります。是非、頑張っていただきたいというふうに思っています。  残り時間で、米飯給食の普及拡大について質問させていただきたいというふうに思います。  食料自給率が四割を切る一方で、国民の米飯離れ、余剰米が生じて四割減反、米価の暴落という深刻な事態が生じております。終戦直後の食料難の時代、いわゆる欠食児童救済のために始まった日本学校給食は、一九五〇年代半ば以降、日本で積極的にパン食を導入して、余っている小麦を輸出して日本をアメリカの小麦市場に組み入れるというアメリカの国家戦略、これをやっぱり抜きに語ることはできなかったんではないかと、こういうふうに思っています。米の消費拡大は、国民の健康、医療、農業の問題であるだけでなく、まさに食料主権、食料安全保障の問題でもございます。  こうした中、平成十六年には食育基本法が制定されました。本年一月に公表された中教審の答申の中でも米飯給食の普及啓発がうたわれております。文科省は一九八五年から週三回程度の米飯給食の普及を図ってきており、近年は週二・九四回、これは児童生徒数による加重平均でありますが、二・九四回と、ほぼ目標を達成したことは評価したいというふうに思っています。  しかし、問題は、米産県では米飯給食を非常に積極的に頑張っているんですが、東京とか神奈川とか埼玉とか大阪とか愛知、福岡など、いわゆる大都市圏が軒並み約二・五、週二・五以下にとどまっている。これは食習慣、食文化への影響という点では見逃せない問題ではないかというふうに思っておりまして──質問、時間でありますので、あっ、五十七分ですよ。
  200. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) はい。あと四分あります。
  201. 近藤正道

    近藤正道君 大丈夫ですよね。あと五分ありますよね。
  202. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) あと四分です。
  203. 近藤正道

    近藤正道君 まとめてお尋ねをしますので、答えてください。  特に大都市圏について、何が米飯給食の普及阻害要因になっていると把握されているのか教えてください。  二つ目は、今後、文科省として目標の週三回を下回る都道府県に対してどのように取り組んでいかれるのか、方針をお聞かせください。  そして、文科大臣に是非答えていただきたいんですが、例えば学校給食施設整備に関する安全・安心な学校づくり交付金による炊飯給食施設に対する補助金の割合を現行の二分の一から少し引き上げてはどうだろうかという質問でございます。  そして最後に、より一層の米飯給食普及に向けて週三回という目標を少し引き上げる方向で見直しを行うべきではないかと。  以上四点でありますが、時間の関係で四つまとめてお尋ねをしますので、大臣を含めてひとつお答えをいただきたいと思います。
  204. 樋口修資

    政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。  まず最初に、大都市圏における普及が進まない要因についてお答えを申し上げます。  先生御指摘のように、米どころ、例えば新潟県のようなところでは、もう三回を大きく上回る三・五回以上米飯給食を実施しているところでございますが、残念ながら、東京、埼玉、大阪、神奈川については二・三回から二・七回程度の普及率でございます。  この理由といたしましては、自校の炊飯方式でやっている場合には、専用の炊飯設備やその人的配置が十分確保されていないというケースも多うございまして、新たな炊飯設備の充実のための予算が必要になるということが背景事情にございます。また、設備の整備だけではございませんで、パン給食に比べますと米飯給食は洗米、炊飯、配食、食器の洗浄等のための給食調理員の増員が必要になってくるということでの人件費増という御指摘もこういった府県からは寄せられているところでございまして、共通して財政負担上の問題が挙げられているところでございます。また、地域によりましては地元のパン業者等に炊飯を委託をするというケースが多いわけでございますが、こういったところでは炊飯業者の炊飯能力に限界があるということで、なかなか普及拡大が進まないということがございまして、この財政負担上の問題というものが一つ大きなネックになっているということでございます。  現在、三・〇回を目標として私ども取組を進めておるわけでございますが、こういった大都市圏につきましても、それぞれの給食実施者において週三回の目標を実現するように私ども機会あるごとに促しているところでございます。
  205. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 財政上の問題ということがありましたが、何か最近はパンだと高いので米に変えたというふうなところも出てきているようですから、財政上の問題を一概に理由にしたら非常にばらばらするなと、正直そう思っておりますが、財政上の問題はこれは大事な問題の一つであろうとは思います、給食費の問題がありますから。  もう一つは、今この安全のために三分の一を二分の一ですか、補助金を上げろというお話がありました。ただ、これはやっぱり政策目的と手法というものが必ずしも私は一致しないんじゃないかと思います。耐震の問題とはちょっと性格が違うと、私は率直にそう思っております。  それからもう一点、とにかく私が一番この問題についてやっぱり大事に考えなきゃいけないのは、食文化、食生活というのを日本においてどういうふうに考えるのか、それを給食にどう反映していくかという観点だろうと思います。その中で、やっぱりパンというものも非常に根付いてきているわけですから、それをいったん完全に米に子供のころからやるというふうなことに本当に国民のコンセンサスが取れるのかどうか、ここはやっぱり考えていただかなきゃいけない。  農業政策として子供にお米をということを言う方がいらっしゃいます。いらっしゃいますが、私はそれはちょっと観点は違うんじゃないかな。これは御批判があるかもしれませんが、個人的にはそういうふうに思います。やっぱり子供にとって給食というものがどういう役割があって、そのために今何をすべきかという観点から是非積極的な御意見なり御議論をいただきたいと、そのように思っております。
  206. 近藤正道

    近藤正道君 時間でありますのでやめますけれども、私は決してそんな観点で言っているわけじゃなくて、学校給食を所管している文科省の中教審答申が米飯給食の普及啓発ということを今回うたったと、そしてその少し前に食育基本法が制定されたと、こういうことを受けて米飯給食という声が大きく盛り上がっているんで、それを受けて補助率も上げるとか、そういうこともいろいろ考えたらどうなんですかと。単に皆さんどう考えるじゃなくて、文科省の方向がある程度米飯給食の方向に向いてきたなというふうに、私はいろいろな話を聞いて、法律的にも答申的にもそう思うから大臣の話を聞いているんですよ、意見を聞いているんですよ。
  207. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) うまく伝わらなかったら、申し訳ありません。
  208. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 簡潔にお願いいたします。渡海大臣
  209. 渡海紀三朗

    国務大臣渡海紀三朗君) 先生、それはちゃんと向いているんですよ。それが一つの目標として三回、そしてそれがまだ十分に行っていないところについてはきっちりとやらすようにちゃんと指導していこうというのが現在の我々の方向でございます。
  210. 近藤正道

    近藤正道君 終わります。
  211. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 他に御発言もないようですから、法務省文部科学省警察庁及び裁判所決算についての審査はこの程度といたします。  次回は来る二十一日午後一時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十九分散会