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2008-04-28 第169回国会 参議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年四月二十八日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月二十一日     辞任         補欠選任         大門実紀史君     仁比 聡平君  四月二十五日     辞任         補欠選任         又市 征治君     福島みずほ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小川 敏夫君     理 事                 神本美恵子君                 藤本 祐司君                 柳澤 光美君                 中村 博彦君                 荒木 清寛君     委 員                 梅村  聡君                 大久保 勉君                 加藤 敏幸君                 風間 直樹君                 金子 恵美君                 川崎  稔君                 行田 邦子君                 外山  斎君                 舟山 康江君                 牧山ひろえ君                 愛知 治郎君                 石井みどり君                 衛藤 晟一君                 塚田 一郎君                 西島 英利君                 野村 哲郎君                 牧野たかお君                 松村 祥史君                 丸山 和也君                 遠山 清彦君                 浜田 昌良君                 仁比 聡平君                 福島みずほ君    国務大臣        厚生労働大臣   舛添 要一君    副大臣        財務副大臣    遠藤 乙彦君    事務局側        常任委員会専門        員        桐山 正敏君    政府参考人        警察庁刑事局長  米田  壯君        総務大臣官房審        議官       御園慎一郎君        総務省人事・恩        給局長      藤井 昭夫君        総務省自治行政        局公務員部長   松永 邦男君        法務大臣官房審        議官       三浦  守君        法務大臣官房審        議官       二階 尚人君        法務省民事局長  倉吉  敬君        外務大臣官房審        議官       猪俣 弘司君        文部科学大臣官        房審議官     土屋 定之君        厚生労働大臣官        房審議官     中尾 昭弘君        厚生労働大臣官        房審議官     荒井 和夫君        厚生労働大臣官        房審議官     村木 厚子君        厚生労働省医政        局長       外口  崇君        厚生労働省健康        局長       西山 正徳君        厚生労働省労働        基準局労災補償        部長       石井 淳子君        厚生労働省職業        安定局長     太田 俊明君        厚生労働省職業        能力開発局長   新島 良夫君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    中村 吉夫君        厚生労働省保険        局長       水田 邦雄君    説明員        会計検査院事務        総局第二局長   小武山智安君        会計検査院事務        総局第五局長   高山 丈二君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成十八年度一般会計歳入歳出決算平成十八  年度特別会計歳入歳出決算平成十八年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十八年度政府  関係機関決算書(第百六十八回国会内閣提出)  (継続案件) ○平成十八年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百六十八回国会内閣提出)(継続案件) ○平成十八年度国有財産無償貸付状況計算書(  第百六十八回国会内閣提出)(継続案件)  (厚生労働省の部)     ─────────────
  2. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十一日、大門実紀史君が委員辞任され、その補欠として仁比聡平君が選任されました。  また、去る二十五日、又市征治君が委員辞任され、その補欠として福島みずほ君が選任されました。     ─────────────
  3. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 平成十八年度決算外二件を議題といたします。  本日は、厚生労働省決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれも省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  6. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 梅村聡

    梅村聡君 お疲れさまでございます。民主党・新緑風会・国民新・日本の梅村聡でございます。  本日は、同じ会派の諸先輩方並びに各委員の方々、質問をさせていただく時間を得ることができまして、まずは感謝を申し上げます。ありがとうございます。  それでは、今年の四月から、実は昨日も山口二区の補欠選挙で、マスコミ等の報道によりますと、やはり大きな一つの争点になったのではないかと言われますこの後期高齢者医療制度の問題、これについて今日は質問をさせていただきたいと思っております。  私も、私事で恐縮なんですが、昨年の、ちょうど一年前までは勤務医という立場で医療現場にいました。この国会という場に来たわけでありますけれども、やはりその当時の同僚ですとかあるいは患者さんからも、この制度についてまだまだ周知徹底が足りないんではないかと、あるいは、今後どういう影響が出てくるか全く予断を許さない、不安に思っているというお声をたくさんいただいていますので、今日はそういった観点からも質問をさせていただきたいと思っております。  まず最初になんですけれども、これまで老人保健法による老人保健制度、これが三月までございましたけれども、今回、四月からは高齢者医療確保に関する法律、こちらの方に衣替えをして、そして後期高齢者医療制度というのがスタートいたしました。  この前後の、改正前、改正後の二つ法案を見比べますと、この一条のまず目的部分でありますけれども老人保健法でありますと、「国民の老後における健康の保持と適切な医療確保を図るため、」という文言がございます。ところが、今回の高齢者医療確保に関する法律の中では、「国民高齢期における適切な医療確保を図るため、医療費適正化を推進するための計画の作成及び保険者による健康診査等の実施に関する措置を講ずるとともに、」というふうな文言になっております。  これ、二つ比べてみますと、「健康の保持」という言葉が抜けて、逆に「医療費適正化」という言葉が加わっているわけでありますが、まずここの意図、目的とするもの、目指すものということを少しお答えいただきたいと思っております。
  8. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 委員御承知のように、特にお医者様でいらっしゃいますからよくお分かりのように、高齢者人口が増えてきている。二〇三〇年にやっぱり人口の三分の一が高齢者と。私は、やはり国民保険制度を何とか守りたい、そうしないと高齢者医療を受けられなくなるわけですから、そうするとやっぱり医療費適正化というのは当然それは政策目標として来ると思います。  ただ、そういう中で、じゃ健康の保持というのはどうだと。これは健康増進法というのがございます。そこに若者も御高齢の方も共に健康の増進に努めましょうと、そういう意味で吸収させていただいたということでございます。やはり国民保険制度を守りたい、そのため財政の問題しっかり考えないといけないと、そういうことがその第一条に重く書かれたという次第であります。  ただ、かといって健康はもう無視していいということじゃなくて、健康増進法皆さん方、若いときから健康に気を付けましょうと、そういうように読み込んでいただきたいと、そういうように思っております。
  9. 梅村聡

    梅村聡君 今大臣の方から、適切な医療費あるいはこれからどんどん増えていく国民医療費に対して、国民保険を守るために必要というお言葉をいただきましたけど、しかしこれ、目的というところにこの言葉が入っています。本来、医療費というのが天井なくてどんどん伸びていっていいというわけでは当然ありませんし、それから、今現在ある無駄というのは、これは当然適正化していかないといけない、それは分かるんですけれども、しかし一方で、医療費というものは総枠があったりとかあるいは上限が何か決められてそこに向かって適正化をしていかないといけないという考えは、やはり私、これ少し高齢者あるいは弱者の切捨てにつながるんではないかなと思っています。  具体的には、やはり必要な医療をどれぐらいのレベル医療、どれぐらいの数の方に提供するかというものを足していったものが総医療費であり国民医療費であるというふうな考えに立っておりますから、特に今、医療崩壊という中で、医療費抑制政策、これは我々の使う言葉ですけれども、そういったものがやはり今の医療崩壊一つの大きな原因にはなっていると思いますので、やはりここの目的というところにその言葉が入っているというのは、医療を受ける方からもあるいは提供側からも、そういった総枠規制あるいは総キャップというんですかね、そういうものをやはり少し思わせるという点で私は少し不適切な表現ではないかなと思っております。  そういう中で、今回、この後期高齢者医療制度スタートするまでに、二〇〇六年の百六十四通常国会医療制度改正関連法案に基づいて、そしてこの四月からスタートしたわけでありますけれども、このスタートまで計算してみますと一年半ございました。周知、いろんな準備等でこれぐらいの期間が必要ではないかなと思いますけれども、私は昨年の七月に大阪選挙区で初当選をいたしました。ところが、昨年の九月ぐらいから大阪府下退職者の方の会であるとかいろんな団体の方から、来年の四月ですから、今年の四月ですけれども、始まるこの後期高齢者医療制度について、講演会といいますか、いろんなことを教えてくれと、そんなこと我々は全く聞いたことがないというのでいろんな御依頼を受けまして、私も大阪府内のいろんなところで講演を行わせていただきました。もちろん厚労省の方にもそのときは説明に来ていただきましたけど。  もちろんそんなに多いサンプルではないですけれども、少なくとも、私が行ったその地元の講演会ではこんな話聞いたことがないと。つまり、そんな制度が始まるということも聞いたことがなければ、そういう法律が通ったという事実も知らないという声がもうこれほとんどだったんですね。  私は、やはりこの一年半、私もテレビを見たりとか医療機関を歩いたりとかしていますけれども、やはり今課題になっている説明ですよね。この制度周知徹底、さらに説明といったことがどういった手段でこれまで行われてきたのか。少なくとも、私は今回の山口補欠選挙でも、自民党伊吹幹事長も認めておられましたけど、やはり説明が足りなかったんじゃないかと、国民が納得しないうちにその話だけがどんどんどんどん進んでいったんじゃないかなと、そういった声が多々あるのは現実であります。  そこで、この一年半、どういった形のPRパンフレットとかポスターとかテレビとかいろんなことがあったと思いますけど、どんな形でPRをされてきたのか、あるいはそれに対してどれぐらいの予算とか付いていたのか、この辺りをお聞かせいただきたいと思います。
  10. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 本当に、この周知広報が欠けていたというのは反省しないといけないというように思います。ただ、広域連合都道府県、こういうところにはきちんと事務レベルでの話は落としておりました。あとはやっぱり国民に対する周知徹底、やっぱり役所の書いた文書が分かりにくいというようなこともありました。それからもう一つは、凍結措置を含めて昨年末にいろいろ変更しました。そうすると、市町村都道府県でも準備されていて急に凍結というようなことで、そういうこともあったと思いますので、これはきちんと反省した上で市町村向けホットラインを開くとともに、二十六日には国民からの電話も受けるホットラインをして、今後ともより分かりやすい形で説明を行っていきたいと思っております。
  11. 梅村聡

    梅村聡君 制度がいろいろ変わったと、あるいは自己負担も変わったということをお答えになっていますけど、それはあくまでも政府の方から変えるという話でありますから、その制度の変更があったからといって周知徹底が不足していたという、私はこれは言い訳にはならないと思っています。  そういった面から改めて、率直な感想で結構ですから、ここまでの周知不足、そういったものが認識として今現在おありなのか、ちょっとそこの感想だけお聞かせいただきたいと思います。
  12. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 先ほど申し上げましたように、きちんと広報を十分やれなかった、やってこなかった、それは十分反省しないといけないというふうに思っています。今後、更に分かりやすいための努力をしたいと思います。
  13. 梅村聡

    梅村聡君 もう既にスタートした制度でありますので、その辺り更に予算措置等やはりしっかりしていただきたいと思っております。  次に、保険料について少し質問をさせていただきたいと思います。  今、各委員皆様方の下に資料をお配りさせていただきました。この中で、これまで厚生労働省は、この新しい後期高齢者医療制度、低所得者の方の負担は減になると、それから高額所得者の方に関しては負担が増になるという説明を、これは一般論だと思いますけれども、されてきたかと思います。これは東京二十三区の例をお配りしていますので、各都道府県それから各自治体によってもちろんいろんなパターンがあるかと思いますけれども、今日は一つの例を持ってこさせていただきました。  この東京二十三区の数字を見てみますと、説明と逆になっているわけですね。低所得者の方がむしろ負担が増えて、そして高額所得者の方がむしろ負担が減ってきていると。これは今までの国民健康保険と比較をしていますから、今までの国民健康保険に対して、保険料に対して例えば公費の助成があったりとかいろんな形が考えられると思うんですけれども、少なくともこの二十三区を見る限り、これまでの厚生労働省説明してきた内容とは少し違うんではないかと。まず、こういったことに対してどういうお考えがあるのかが一点。  そしてもう一つは、じゃこれを見たときに、これは二十三区独自のことだと、各自治体独自のことだからその自治体考えればいいという、そういった対応なのか、それとも、やはりこういったことが起こっていることに対しては国として何か手だてをしなければならないのか、その点について少しお考えを聞かせていただきたいと思います。
  14. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 長寿医療制度保険料負担についてのお尋ねでございますけれども、これトータルで見ますと、従前の水準、つまり国保で納めておられた保険料水準と変わらないわけでありまして、医療給付費の約一割となっているわけでございます。  ただ、地域ごとに見ますと、御指摘のとおり、例えば東京二十三区のように、二つ要因がありまして、一つは、国民健康保険保険料算定方式として全国でも例外的な賦課ベースの小さい住民税額保険料率を掛ける方式を採用しているということ、それからもう一つは、今御指摘ありましたとおり、国保において多額の一般財源が投入されていると、こういうような場合には保険料負担が増える事態が起こり得るものと承知しておりまして、これまでも説明もしてまいりました。  国といたしまして、こういった住民税方式を採用している自治体におきましてこうした事態が起こり得ることにつきまして、かねてからそういった自治体に対して注意喚起は行ってきたわけであります。残念ながら、この保険料軽減のための何らかの措置を講ずるかどうかというのは、ただ基本的には地域の問題でございますので、その地域で判断していただく問題であると考えております。  例えば、東京都の場合ですと、東京都の広域連合議会において、まさに先生がお示しになったこの料率も見ながら議論した上で、最終的には、若干一般会計を入れるということはあったようでありますけれども、その上で全会一致でこの保険料でいこうと、こういう決定をなされたわけであります。  ただ、その際に個別にこれでお困りの方が出れば、それは当然に東京都の広域連合でも個別に対応していこうと、こういう御決定をなされたということを聞いておりまして、そこまでのお話をお伺いしますと、私どもとしてもやはりこれは地域のことは地域で最終的にはお決めになるものだと、このように考えているわけでございます。  まさに、それが私どものスタンスでございまして、こういった広域連合あるいは市町村の窓口におきまして、納付相談あるいは減免制度の活用など、そういったきめ細かい対応を行っていただくようにこれは徹底指導をしていきたいと、このように思っております。
  15. 梅村聡

    梅村聡君 低所得者の方は負担が減る、高額所得者の人はもっと負担が増える、それぐらい負担してもらっても仕方がないという、このあれは国、政府がこれまで説明をされてきたことなわけです。あるいは、自民党福田首相選挙街頭演説等ではそういうふうな発言をされていた。にもかかわらず、それと違う例が出てきたら、それは国は知らない、各広域連合対応することだということは、私はこれは余りにも政府として無責任じゃないかなと思うんですけれども、その辺り、少し御意見聞かせてください。
  16. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) その点につきましては、私ども注意深く御説明申し上げているつもりでありまして、全国の八割の市町村で採用している保険料算定方式によれば、年金受給者に関して言えば平均的には下がる傾向があると。ただし、ということで、東京都二十三区のような場合には、一般会計国保保険料軽減のために入れているところでは上がり得るということは今まで説明をしてきたつもりでございます。
  17. 梅村聡

    梅村聡君 これ以上やってもこれは水掛け論になりますけれども、少なくとも高齢者の方はそういう説明を聞いたときに御自分のこととしてとらえられるわけですよね。つまり、自分のところの広域連合がどうなのかというところまで思いを致して、自分はそうだから納得すると、自分地域はそういうことだから納得するという形にはならないと思いますから、これまでの説明というのがかなり実態と懸け離れている、そういった地域もあるということを指摘させていただきたいと思います。  さらに、この保険料についてもう一問お伺いしたいと思いますけれども、今回、この後期高齢者医療制度の中では、財源の構成としては公費が約五割、それから現役世代からの支援が約四割、それから後期高齢者負担が一割というふうに発表されております。ところが、この中身をよく見てみますと、この後期高齢者保険料負担割合の一割の部分若年人口減少率の二分の一の割合で今度徐々に引き上げていくと、そういったスキームがこの中に入っておるわけであります。  平成十八年、この医療制度関連法案が通った時点ですけれども、この時点での予測では平成二十年で後期高齢者負担率は一〇%、そして一人当たり保険料年額平均は六・一万円だと。ところが、これが平成二十七年になりますと、当然若い方が人口割合が減ってきますから、平成二十七年の段階では後期高齢者負担割合は一〇・八%、そして一人当たり保険料年額平均は八・五万円ということで四〇%上がるという試算を、これ民主党厚生労働部門会議で出していただきました。  実際は、平成二十年、今年の実際のスタート保険料年額平均七・二万円ですから、スタート時点で既にもう一万円以上予想よりも懸け離れている。これ、七年後の二十七年、八・五万円と言っていますけれどもスタート時点がこれだけずれるということは、平成二十七年、本当に四〇%増の八・五万円で本当に収まるのかどうか。さらには、これ若年人口考えていますから、出生率が上がらなければ更に上がるスピードが上がってくるわけですよね。ですから、その計算も、どういった出生率あるいはどういった前提でこの計算をしているのか、この八・五万円から更に保険料は上がっていくことがないのかどうか、そこをお聞きしたいと思います。
  18. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 平成十八年の改正時の試算におきましては、社会保障人口問題研究所平成十四年一月における将来推計人口を基にしておりまして、平成二十年度からの若年加入者数計算いたしまして、こうした若年者減少に伴う後期高齢者支援金負担増の二分の一を後期高齢者自身負担するものとして試算をしておりまして、平成二十七年、二〇一五年度における後期高齢者負担率は、先ほど御指摘あったとおり一〇・八%でございまして、さらに、医療給付費に係る後期高齢者保険料負担は一人当たり平均で年八・五万円との見通しを立てていたわけでございます。  これは、少子化によりまして若年者負担が急増することを、これを緩和する観点からこういう仕組みを導入したわけでございまして、まず大きな傾向として言いますと、仮に出生率が見込みより下がれば後期高齢者保険料は上昇することになり、逆であればその逆の動きになるということでございます。  これから更に具体的にこの額がどうなるかということでございますけれども、これにつきましては、若年者人口、七十四歳以下の医療保険加入者の数でございますので、そこから生活保護の方でありますとか、それから障害者の方がどういう選択されるか、必ずしも、その挙動をこれから見なきゃいけないということで、具体的な数をはじく段階には今至っておりませんが、傾向としては、こういった一〇・八%に伸び、こういった一人当たり保険料も二〇一五年までは増えていくということが見通されているわけであります。
  19. 梅村聡

    梅村聡君 二〇一五年というとそんなに遠い先の話ではないです、七年ですから。七年先でこれ四〇%保険料が上がると。  これ、先ほども大臣からPR不足説明不足というお話聞きましたけれども一般国民の方は知りませんよ。パンフレットとかポスターに四〇%という数字は書かなくていいですけれども、少なくともこれから更に上がっていく可能性があるよと、こういう計算保険料が上がる仕組みが入っているよということをきっちり説明しないと、今の説明だったら、もう全体の一割だけを自分らで保険料出せばそれで済むんだということに、これは国民は理解してしまいます。  ですから、これからこの一・四倍、七年間で四〇%上がるかもしれない。これは上がるかもというよりも、人口全体の統計からやっていますからそんなに大きな差はないと思いますけれども、そういったことに関する説明は今後どうされていくおつもりなのか、そこをちょっとお聞かせください。
  20. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) どなたに質問しますか。
  21. 梅村聡

    梅村聡君 局長にお願いします。
  22. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) こういった仕組みを取ることにつきましては、確かに周知といいますか広報が足りなかったと言われればそうかもしれません。ただ、制度説明国会での議論におきましては、ずっとこういった形で御説明させてきていただいたわけであります。  今後でございますけれども、実は、医療費自体の推計も今動いているわけでありまして、それから先ほどの人口の動き、こういったものを今後、いずれにせよ、また医療費の推計、見通しそのものは社会保障財源をめぐる議論で必要になってくるということも考えられますので、私どもとしては、そういった関係するデータをそろえまして御説明をいずれしたいと思っております。
  23. 梅村聡

    梅村聡君 いずれしたいではこれ困るんですよね、もう七年後に一・四倍ですから。  もちろん、そういった徐々に上がっていく、これは全体の医療費あるいは社会保障の中で考えぬと駄目なことですから、そういうお考えがあるというのも私は一つ考え方だとは思いますけれども、しかし、今一番問題は、こういったことを国民の方にきっちりと御理解してもらっていないと、説明もしていないと。そうやって都合の悪いというんですか、痛みを伴うことに関してはできるだけ隠そう隠そうと、オープンにしないと。私は、そういうところに、今回、後期高齢者医療の、山口二区の話じゃないですけれども一般国民の方の怒りが爆発しているんじゃないかなと。単に七十五歳を切り離した。もちろん、それも一つ保険としては厳しいといいますか、かなり理念としては少しおかしいなとは思いますけれども、それだけじゃなくて、こういったことをきっちり説明できていない。もうそれは、やるかどうか、政府の方のやる気があるかどうかだけの話ですから、そういったことも是非真摯にこれから国民の方に説明をしていただきたいと思っております。  では次に、今度は後期高齢者医療の診療報酬の体系について少しお伺いをしたいと思います。  今回、平成二十年度の診療報酬改正の中で、後期高齢者の継続的な管理の評価ということで後期高齢者診療料というものが設けられました。この診療報酬改定の中で、基本的な考え方というところにまずこういう記述があります。後期高齢者の外来医療に当たっては、治療の長期化、複数疾患の罹患という心身の特性等を踏まえ、慢性疾患等に対する継続的な管理を行うことを評価すると。これが基本的な考え方としてございます。  ところが、その算定要件、つまりこの診療料を算定するための要件として、患者の主病と認められる慢性疾患の診療を行う一保険医療機関のみにおいて算定するというふうな算定基準がございます。この算定要件を素直に解釈すると、主病、慢性疾患の主病を一個に決めろということになるかと思います。  最初の考え方では、複数疾患があるからそれを継続的に診ようという言い方をされながら、実際にはその主病を一個に決めて算定できる医療機関も一個だよと。これ、最初の基本的な概念と実際の算定基準というところに私は矛盾があるんじゃないかなと思うわけです。  例えば、糖尿病がある方で高血圧があってコレステロールも高いと、でも一般、その後に心不全があって、あるいは腎臓が悪い、あるいは変形性のひざ関節症もあると、こういった方を総合的に継続的に診ようというのが今回の後期高齢者医療の中の一つの大きな目玉だったと思うんです。にもかかわらず、この算定からいうと、病気はそれでも一個に決めてくださいねと。これ、かなり矛盾する話だと思うわけですね。  しかも、今の制度でいきますと、一つ医療機関がこの診療料を算定すればほかの診療所はこれを算定することができないわけですね。例えば、生活習慣病を診てもらう、腎臓が悪いから腎臓の先生にも診てほしい、だけどひざの関節も悪いから整形外科の先生にも診てほしいと、そういう場合も、これ多々あるわけであって、これを一つの病気に決めなさい、一つの診療所でこれを受けることにしなさいというのであれば、これ患者さんの取り合いになりますよ。  管理料というものは、そもそも一つが算定すれば同一月にほかの診療所では算定しないということ、これは分かりますけれども、しかし、この後期高齢者医療というのは複数の疾患を継続的に診るということを柱として導入されている診療料でありますから、こういった設定はまず物すごく矛盾するんじゃないかと。少なくとも、複数の医療機関で継続的に疾患を診るという担保が取れれば複数の診療所でも算定できるようにすべきじゃないかなと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
  24. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 御指摘の後期高齢者診療料についてでございますけれども、これは、患者御本人が選びました高齢者担当医が心と体の全体を診て治療計画の作成を通じて、患者と医師の信頼関係に基づいて、外来から入院先の紹介、在宅医療まで継続してかかわる仕組みとして評価を行ったものでございます。こうした取組は、一人の患者さんの全体を診るという立場でございますので、一貫して一人の医者が、医師が行うことが適当であるということから高齢者担当医として一人の医師を選んでいただくことにしたわけでございます。  ただ、後期高齢者が罹患しているすべての疾患について一人の医師がすべての治療を担うということは現実的には難しいという、こういった現実的な配慮から、後期高齢者に対しまして専門的な治療が必要な場合については他の専門的な医師への紹介等を通じて適切な医療が提供されることとなるものと考えてございます。  ですから、一人の患者さんの全体を診る人はお一人ということでございまして、ただ、その人が全部を治療することができないんで、自分の分野でないところは他のお医者さんにかかるということを紹介ということも含めて考えられるわけでありますけれども、それは御本人の選択でやれるわけでありますが、ただ、その人の患者さんがどういう医療を受けているかということを常にやはりウオッチするという意味ではお一人の方に担当医としてなっていただくのが適当であろうと、このように考えたわけでございます。
  25. 梅村聡

    梅村聡君 実際、どの病気が主病かということをこれは決めないといけないので、つまり、患者さんが自分はこの病気が主だということは、そんなことは言えないわけですよ。それは生活、もういろんな内科の病気があって、ひざも痛い、腰が痛いと。じゃ、どれが一番の主なのかと患者さんが選択できると言われても、これ実際選択なんかできないと思うんですね。そんなことを患者さんに丸投げされてもどうしようもないんですよね。  大臣、実はこれ一般の開業医の先生からの声なんですけれども、この後期高齢者の診療料というのは実は六百点という点数があります。いろんな先生方にお話聞くと、この六百点の中に例えば検査であるとか管理料、それから診療料、診察料、いろんなものが入っている中で六百点でやろうということを言われているんですけれども、これは本当に現場の先生方が困っておられます。  何を困っているかというと、これ率直なお声を聞くと、例えば一つ病気があって、慢性疾患があると、月一回クリニックに来られるという方であれば、当然この値段の中でやっていくことができると。だけれども、実際は、先ほども局長からお話ありましたように、幾つもの病気があって、それを一人の先生が診るわけですよね。心臓が悪い、あるいはひざが痛い、腰が痛い、いろんなことがあるという中でどんどん病気が増えてくると、これ六百点の中で、六千円ですね、中でやるというのは非常に難しいと。  本当は高齢者の方は月一回だけ来るというのは、これは非常に危険なんです。これ、服薬指導もありますし、それから患者さんの状態というのは七十五歳を超えますとやっぱり変わりやすいですから、できれば月二回とか三回とか来てもらいたいと。急性に変わると、急性増悪をしたときには別に出来高払で算定できるとは言いますけれども、それでも五百五十点以上のものじゃないと算定できないわけですよね。  そういった形から、今、現場の医師からでは、この六百点という数字は粗診粗療につながるんじゃないかと。つまり、六百点の中でできる人だけを集めて、あるいは六百点の中でできる病気だけを診察すると。それを超えそうになったら、それはよその病院で出来高払で診てもらえというようなこともなされかねないわけなんですね。  そうしたら、何のための、総合的に患者さんを診る、総合的に高齢者の方を管理する制度なのかというのはこれ全く分からないわけです。私は、やはり六百点均一じゃなくて、例えば疾患の数とかその方の状態によって少し点数は弾力的に設定すべきじゃないかと、少し弾力的な設定が必要なんじゃないかなと思いますけれども、この辺り、率直なまず粗診粗療に対するお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  26. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 一つ制度を良かれと思ってやったときに、今委員が御指摘のような、これはもう本当のお医者さんの意見だと思いますので、そういうことがあり得ると思います。  最初は、ちょっとした検査ぐらいはその中へ、六百点へ入るだろうということだったんですが、それから、先ほどおっしゃったように、出来高払でやれるところもあります。ただ、一人のお医者さんが全面的に診るということと、今言った、どこでもかかれるわけですけれども、それの、現実にどこで線を引くのか、どちらがいいのかというのはこれは非常にやっぱり現場の判断次第だと思います。  ですから、今の委員の貴重な御意見も賜って、何らかきめの細かい手が打てるか、そういうことも今後検討課題として、一つ制度を入れてそれは完璧ではないと思います。その実行していく過程において現場の声が一番大切だと思いますし、またいろいろお声をお聞かせいただいて直すべきところは直すと、そういう方針でいきたいと思います。
  27. 梅村聡

    梅村聡君 是非、もう既に制度スタートしておりますから、現場での混乱というのも実際もう既に起きてきております。ですから、できる限り早く、今日私の質問一つの契機として、是非こういった現場の声に耳を傾けていただいて改革に着手をしていただきたいと思っております。  さらに、今度はこの医療の提供体制ですね、お聞きしたいと思いますけれども、この後期高齢者診療料、今申し上げた六百点という部分ですけれども、これは必要な研修を受けた常勤の医師が一名以上配置されている施設でないとこの診療料を取ることができないという制度になっております。  つまり、この主治医といいますか、厚労省の方は担当医という呼び方をされていますけれども、これは何か研修を受けないとその担当医になることができないわけです。この疑義解釈資料の中で、どこでその研修を受けるかというと、日本医師会、日本老年医学会、都道府県医師会、関係学術団体等が考えられると。最初は四日間研修を受けてもらった上でこの担当医というものになってもらおうという言い方をされていたんですけれども、結局時間切れのような形で、結局四日間も研修するかどうかということも少し今あいまいになってきているわけなんです。  私は、この後期高齢者医療制度の中で唯一評価をするべき点があるとすれば、高齢者の方をやっぱり継続的にしっかり診てあげると。その概念は、保険料の問題とか天引きの問題とかそれから値段の設定の問題とかいろいろある中で、その理念自体は、私はやはりこれから日本が超高齢化社会を迎えるに当たって考えていくべき理念ではないかなと思っています。  ところが、これ実際は、少し研修を受けたら担当医になれると、専門医の方でも研修を少し受ければ全身を診る担当医になれるという形になっているんですけれども、私はこれは逆に、この後期高齢者医療制度の導入を急いだばかりにそのところの部分が、医療の質が担保されていないんじゃないかなと思います。  つまり、専門医の方というのと、それから全身を診る、あるいは高齢者の方の生活も含めてトータルに診るというのは、そんな講習を少し受けただけでぱっとできるものじゃないんです。やっぱり医師の最初の研修の段階から高齢者を全身を総合的に診る。これは体だけじゃなくて、例えば口腔ケアであるとか、生活のそういう指導であるとかいろんなことが知識として必要であるので、例えば、大学の講座でそういったものを扱う講座をつくる、それから臨床研修医のその研修の中でそういったものを入れていく、あるいは現場で働いている方が二年か三年掛けてみっちりとそれを習得することができる。そういった背景をつくらないと、ただ講習を受けただけでこの算定できますと、この診療料が算定できますと、だから患者さんをトータルで診ることができますという考え方は私は余りにも短絡的ではないかなと思っているわけです。  そういった面からいいますと、やはり今度の後期高齢者医療制度、いろんな説明不足、それからPR不足、さらには国民の方が納得していないといういろんな声があるんですけれども、やはりこの担当医の資格一つを取っても若干急ぎ過ぎたのかなと。この保険制度だけをまず最初にありきだと、でも現場はそれに全然付いていっていないと。  私は、やはりこの担当医の問題も含めて一回白紙に戻して、そして二年か三年じっくり国民と一緒に向き合って議論をして、その上で再出発、これはまた全く違う制度になるかもしれませんけれども、新しいものをつくって再出発するというのが私は本筋ではないかなと、現段階の、我々民主党も含めてですね。そういったふうに私は思うわけでありますけれども、この点に関して大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  28. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) そういう点も含めて、私の直属の研究会、長期ビジョンをつくりたいと思って今やっています。その会で先般、北海道で総合医をずっとやっておられる、まさにそれ、総合医が専門だという方をお呼びして、ああ、なるほどいいなと思いました。標榜科の中にも総合科というのを入れたらどうかという指示をしましたし、今それを検討しているところです。  ただ、委員、片一方で、最初からゼネラリストをやるよりも、やっぱりどこか専門を持っていてそこからの方がいいという意見も現場で根強くあります。しかし、やはりこういう総合的に患者さんを診るという立場は私は非常にいいと思いますので、今後、検討課題とさせていただきたいと思っております。
  29. 梅村聡

    梅村聡君 結果として、やはり私は、この制度ですね、後期高齢者医療制度というもの自体をやはり急ぎ過ぎたと。現場の声をやはり聞いていない、それから国民の方とも向き合って議論をしていないということが私はこの制度の今の一番の大きな混乱の大本だと思っています。ですから、我々、これは与党さんの中も見直しとかいろんな声が今聞こえてきていますけれども、一度廃止、そして凍結という中で更に何年か掛けてしっかり議論をしていく必要があるんじゃないかなということを強く訴えをさせていただきまして、私の質問とさせていただきます。  ありがとうございました。終わります。
  30. 外山斎

    ○外山斎君 民主党・新緑風会・国民新・日本の外山斎です。  私からは労災認定と、あと診療報酬改定についてお伺いさせていただきます。  まず初めに、労災、職業病の労災認定について厚生労働省にお伺いいたします。  高度成長時代の労働力の流動化の中で、高速道路、新幹線、地下鉄、ビル建設、ダム建設などの建設現場で出稼ぎ労働者が急増いたしました。そんな出稼ぎ労働者の皆さんは、レッグ式削岩機、エアピック、コンクリートブレーカー、バイブレーターなど、手持ち動力工具を長期間にわたって使用し、我が国の産業発展の担い手として就労してきたわけでありますが、地方では多くの人々が農林業から転職し、体一つで現金収入となるトンネル工夫などとして生計を立ててこられたという歴史があります。  出稼ぎ労働者の中には、長年の労働と長時間の振動工具の使用により、振動障害、じん肺、騒音性難聴などの労災、職業病を背負わされ、次第に仕事を続けられない状態となり、離職して帰郷するという事例も多くあったことは見逃せません。その後、彼らの多くが民間診療医の振動障害検査で振動病と診断され、救済されてきております。  そこで、お尋ねいたしますが、振動障害を労働災害とした経緯をお聞かせください。
  31. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) お答え申し上げます。  労災保険給付は業務と相当因果関係が認められる傷病などを対象としておりますが、特に業務上疾病につきましては、労基法施行規則において対象となる範囲が規定されているところでございます。  振動障害につきましては、昭和二十二年、労働基準法施行規則第三十五条の第十一号に業務上疾病として、削岩機、びょう打ち機などの使用により身体に著しい振動を与える業務による神経炎その他の疾病と明記をしているところでございます。これは、削岩機、びょう打ち機などの機械器具の使用により、身体に振動を与える業務に従事することによって神経炎などの疾病が発生することが海外の文献あるいは国内症例の報告などによって医学的に明らかとされたことによるものでございます。  その後、昭和五十三年に業務上疾病の範囲が抜本的に改正をされた際に、削岩機、びょう打ち機、チェーンソーなどの機械器具の使用により身体に振動を与える業務による手指、前腕等の末梢循環障害、末梢神経障害又は運動機能障害と、これは労基法施行規則の別表の中の第一の二第三号の三という形で規定されておりますが、このように改められまして現在に至っているところでございます。
  32. 外山斎

    ○外山斎君 お答えありがとうございます。  そこで、お聞きしますが、政府はそれら被災労働者を救済する目的で、労働基準法に基づき振動障害の認定基準を、基発五〇一号通達と、その後、基発三〇七号通達を出されておりますが、この五〇一と三〇七を通達した経緯を教えてください。
  33. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) 労災保険給付は、先ほども申し上げましたように、業務と相当因果関係が認められる疾病などを対象といたしておりますが、特に業務上疾病につきましては、労基法施行規則において対象となる範囲を規定するとともに、併せまして業務起因性を認め得る要件を示すべく医学専門家の検討結果に基づいて認定基準を定めまして、迅速適正な認定に努めているところでございます。  振動障害については、まず昭和五十年九月に認定基準を策定をいたしまして業務上外の判断を行っていたわけでございますが、昭和五十二年の五月、その後の医学的知見を基礎として、医学専門家による検討結果を受けて、それまで対象としてこなかったエンジンカッター、サンドランマーなども認定基準の適用範囲に加えるなど、振動工具を取り扱う業務による振動障害全般についての認定基準として改正をし、現在この認定基準に基づきまして迅速適正な運用に努めているところでございます。
  34. 外山斎

    ○外山斎君 お答え、ありがとうございます。  辞書によれば、通達とは、行政機関内部において、所掌事務について行政上の取扱い統一性を確保することを目的として定められると書いております。所掌事務の内容を命令又は示達にするための文書としての三〇七号通達は公正な適用が行われているとお考えでしょうか、お答えください。
  35. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) まさにこの通達は振動障害の認定基準を定めたものでありまして、この認定基準に基づいて適切に運用しているところでございます。
  36. 外山斎

    ○外山斎君 適切に運用しているということですが、しかしそれが正常に運営されていず、適切な治療も受けられないまま苦痛のどん底に投げ出され苦しんでいる患者さんがいらっしゃるという実態もあります。  国の法令は、本来、被災労働者を救済し社会復帰を図るものであります。国の補償行政の精神を理解せず、独自の考えで、いかに労災を認定せず不支給処分にできるかを目標にしているかのような対応を続けている労働局や労働基準監督署があるように感じます。  このような状況では、被災した振動障害患者は治療を受けられず、暮らしも困り果て、悲鳴を上げている状態なわけでありますが、公正公平な労災行政を執り行われるべきと考えますので、以下お尋ねいたします。  昭和五十二年五月二十八日付けで出された基発三〇七号通達、振動障害の基準について示されている内容と、その三〇七号通達が今日まで変更されず、現在も基準として有効であるのかどうかを確認させてください。
  37. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) この通達は現在も有効なものでございます。
  38. 外山斎

    ○外山斎君 もしよろしければ、その内容まで教えていただけると助かります。
  39. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) 先ほど来お答え申し上げておりますように、振動障害の認定基準、これを三〇七号通達でお示ししているものでございます。  この中におきましては、その認定基準としまして、どのような場合に振動障害として認めるかということ、基本的なものとして示しておりますが、まず、振動業務に相当期間従事した後に発生した疾病であること、これを基本的な要件としつつ、なおかつ、次に掲げますいずれかに該当する疾病であるということを二つ目の要件といたしております。  まず、一つでございますけれども、手指、前腕などにしびれ、痛み、冷え、こわばりなどの自覚症状が持続的又は間欠的に現れ、かつ、次に掲げる障害のすべてが認められるか、またその次のいずれかについて著明に認められる疾病であることということで三つ並べておりますが、一つが手指、前腕などの末梢循環障害、二つ目が手指、前腕などの末梢神経障害、三つ目が手指、前腕などの骨、関節、筋肉、腱などの異常による運動機能障害、そして大きな二つ目の疾病としまして、レイノー現象の発現が認められた疾病であること、これを内容といたしております。
  40. 外山斎

    ○外山斎君 また、三〇七号通達と同じ昭和五十二年五月二十八日に、労働省労働基準局補償課長名で各都道府県労働基準局長あてに「振動障害の認定基準の運用上の留意点等について」という題の事務連絡第二三号が出されています。  この事務連絡第二三号の内容、特に、一、通達改正の要点に書かれている(二)認定の要件等並びに、二、認定基準運用上の留意点の中の(三)症状又は障害についての、ニ、レイノー現象の確認という項目についてどのように示されているのか、お答えください。
  41. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) まず、認定の要件の方から申し上げます。  認定の要件等ということで、まず振動業務の従事期間、これはおおむねという、相当期間ということでありますけれども、この相当期間というものの中身としまして、おおむね一年又はこれを超える期間とされております。あわせて、この通達の中では、その期間に満たない事案についての認定の考えを示しているということも併せて示しております。  そして、その二つ目でございますが、振動業務に相当期間従事した後レイノー現象が発現したことが認められたものについては、末梢循環障害、末梢神経障害及び運動機能障害に係る検査を要せず、振動障害として取り扱うことといたしております。また、これに加えまして、特殊健康診断についての規定もあるわけでございます。  このほか、振動業務の関係でレイノー現象が発現した際の扱いとしまして、客観的にレイノー現象が発現したことが認められるものにつきましては、次の場合を除いて鑑別あるいは諸検査を行う必要がないというふうにいたしておりまして、次の場合というのが二つございまして、過去にレイノー現象が発症したことのある事実は確認されたが、時間的経過から見て現に振動障害が認められるものであるかどうか明らかでない場合、そしてもう一つが、当該労働者の既往歴又は振動作業従事前の作業歴などから見て、振動業務以外の原因によるレイノー現象の発症が強く疑われる場合、このようなことも規定をいたしております。  それから、そのレイノー現象の確認といたしまして、これは医師の診断によることとなるわけでございますが、客観的な資料とは何かということも同時に示しておりまして、過去の診療録、本人のものと認められる写真、信用できる他人の証言などを言っておりまして、これらのいずれかの資料によって医師が認められたものであれば足りると、このようにいたしておるところでございます。
  42. 外山斎

    ○外山斎君 お答えありがとうございます。  そこで、お尋ねしますが、この事務連絡第二三号は現在も有効なのでしょうか。
  43. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) この事務連絡につきましては、現在も運用しているところでございます。
  44. 外山斎

    ○外山斎君 じゃ、例えば労災指定医である主治医がレイノー現象の発現を認めたという内容の診断書を付けて労災申請された場合は、第三〇七号通達に付けられている解説の中の、四、症状及び障害についてには、(三)レイノー現象についてという項目があり、そこでは、イ、レイノー現象(いわゆる白ろう現象)は、振動障害に最も特徴的な症状であるので、その発現が確認されたものについてはこのことのみで本文記の二の要件を満たすものとした、ハ、レイノー現象の確認は、医師が視認又は客観的な資料によってその発現の有無について判断したところによるとされていますので、この通達どおりに読めば、おおむね一年以上の振動暴露がありレイノー現象が発現している事案は振動障害と認定されると考えますが、大臣はいかにお考えでしょうか。
  45. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 認定基準については、これは今の委員の御指摘もあり、検討会できちっとこの認定基準についてどういう判断をするかということも検討させておりますけれども、基本的には法律、通達の精神にのっとって適用していきたいと思っております。
  46. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) 少し補足をさせていただきたいと存じます。  確かに振動障害について三〇七号通達、これに基づいて、また二三号事務連絡に基づいてやっているわけでございますけれども、先ほども若干敷衍させていただきましたが、請求人に生じているレイノー現象などの症状が加齢など振動業務以外の原因によって発症したものであること、医学的に判断される場合があるわけでございまして、このような場合はレイノー現象があっても業務上疾病は認められないということがございます。  先ほども若干申し上げましたけれども、当該労働者の既往歴あるいは振動作業従事前の作業歴などから見て、振動業務以外の原因によるレイノー現象の発症が強く疑われる場合、この場合は類似疾病との鑑別とか諸検査を行うということになっているわけでございまして、特にレイノー現象、今振動障害ということでお話がございますけれども、レイノー病そのものというものもあるわけでございますし、例えば糖尿病だとかリウマチだとか、一般的な疾病によってレイノー現象を生ずる場合もあるわけでございますので、そのような観点から、レイノー現象が認められてもこれは別途鑑別を行うと、あるいはそれだけでは先に進まないということがあるわけでございます。
  47. 外山斎

    ○外山斎君 そういうお答えですが、ここでは、先ほども言いましたけれども、レイノー現象(いわゆる白ろう現象)は振動障害の最も特徴的な症状であるので、この発現が確認されたものについてはこのことのみで要件を満たすものという通達があるわけですが、そこはどうこれを読めばよろしいのでしょうか。
  48. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) 御案内のとおり、通達も大変重要でございますが、その上に法律というものがあるわけでございます。労災保険法の第四十七条の二の規定におきましては、「行政庁は、保険給付に関して必要があると認めるときは、保険給付を受け、又は受けようとする者に対し、その指定する医師の診断を受けるべきことを命ずることができる。」とされているところでございまして、この規定に基づきまして、振動障害についても、労働基準監督署長は、類似疾患が疑われるなど医学的な疑問や矛盾が解決をせず、保険給付の請求書に添付された診断書あるいはレントゲン写真などの資料、そして主治医等の意見のみでは医学的な判断資料が十分ではない、そして業務上外の認定を行うことが困難な場合であるなどにおきましてはその指定する医師の診断を受けるよう命じているところでありまして、そのような運用がなされているということでございます。
  49. 外山斎

    ○外山斎君 お答えありがとうございます。  事務連絡二三号の二、認定基準運用上の留意点の中の(三)症状又は障害についてのハによれば、振動業務に相当期間従事した後にレイノー現象が発現したことが客観的に認められた者については、振動障害の認定要件を満たすものとして取り扱うこととされているので、次の場合を除き解説六の類似疾病の鑑別及び別添一の諸検査を行うまでもなく振動障害として取り扱って差し支えないと書かれております。  しかし、宮崎労働局の平成十八年九月十一日に労災申請をした四十代の女性のケースでは、主治医がレイノー現象の発現を認めたとの内容の診断を付けて労災申請しておりますが、この女性Aさんの申請に対して、局医からの意見書により鑑別診断が必要とされ、平成十九年二月に都城労働基準監督署長名での受診命令が出されております。局医の意見の中では、末梢神経障害は軽度、運動機能障害については精査の必要ありとはなっているものの、レイノー現象は認められると書かれております。しかし、診療履歴よりレイノー現象を呈する疾患を疑われる受診歴があるからとの理由で、レイノー現象を呈する疾患の鑑別診断が必要というのが局医の意見でした。  しかし、事務連絡二三号の二、認定基準運用上の留意点の(五)類似疾病の取扱いについてでは、イ、振動障害と類似の症状を呈することのある疾病として十種類の類似疾病が掲げられているが、これは認定の条件として示されたのではなく、医師が当該患者について適正な診断、治療を行うための情報提供という意味で掲げたものであるから、認定要件の整っている事案について認定の資料を得る目的で改めて鑑別診断を求めることは避けられたいと書かれています。  主治医がレイノー現象の発現を認め、局医も認めているのであれば、この事務連絡二三号による鑑別診断を求める受診命令が出された都城労働基準監督署長の判断は間違っていると考えられ、早急に是正されるべきだと思いますが、厚生労働大臣の御見解をお伺いしたいです。
  50. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) まず部長が答弁してから大臣、お願いします。
  51. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) 個別の、個々の認定の話でございますからそこについてはお答えを控えたいと思いますけれども、しかしながら、先ほど来何度か引用させていただいておりますが、事務連絡の第二三号におきましては二つの例外を設けているわけでございます、鑑別、検査を行う二つの例外。  その一つとして、過去にレイノー現象が発症したことのある事実が確認されたが、時間的な経過から見て、現に振動障害が認められるものであるかどうか明らかでない場合というのがございます。そしてもう一つが、その当該労働者の既往歴又は振動作業従事前の作業歴などから見て、振動業務以外の原因によるレイノー現象の発症が強く疑われる場合というのが現にあるわけでございまして、こうした部分を踏まえて対応したものというふうに考えているところでございます。
  52. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今役所の方から答えさせましたように、地域によるばらつきが若干あるんじゃないかという御疑念もあると思いますけど、基本的には振動障害でレイノー現象が起こったのか、ほかの疾患によって起こったのか、それは最終的にはお医者さんに判断していただくという基本になっておりますので、お医者さんの診断というのを第一義的にきちんと信用して対応したいというふうに思っていますが、個々のケースについてそれぞれどういうことであるのか、それはまたケースごとにきめの細かい対応も必要になってくるかと思いますので、そういうことも念頭に置きながら、通達や法律の精神にのっとりまして、基本的にはそういう障害、仕事上の障害で疾病になられた方は基本的に救うんだと、支援するんだと、こういう精神で法律の適用を行いたいと思っております。
  53. 外山斎

    ○外山斎君 そこで、ちょっと大臣にお伺いいたしますが、個別の具体例で若干ばらつきがあるのは分かりますが、労災のお医者さんが診断してレイノー現象が認められると言われているのになぜ鑑別の方が必要なのかということをちょっと私は疑問に思うのですが、そこはどうお考えでしょうか。
  54. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) 先ほども何度か言及させていただいておりますけれども、やはり類似疾病の既往症がある場合など、もう一つの例として相当期間レイノーから時間がたっていると、そういう場合においては鑑別を行うということになっているわけでございまして、その規定に基づいて適切に対応したものであろうかと思っております。
  55. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 先ほどもちょっと申し上げましたけど、認定基準をどうするのか、これいろんな、お医者さん含めて専門家の方々ありますので、この認定基準に関する専門家会議というのを何回か開きまして、それで一応結果を出しました。しかし、委員のような御指摘も受けておりますので、こういう認定基準について、これを適正に適用するにはどうすればいいか、今後ともこういう専門家会議とも諮りながら、いろんな御意見が地方から参ると思いますので、総合的に更に施策を前に進めたいと考えております。
  56. 外山斎

    ○外山斎君 お答えありがとうございます。  振動暴露がおおむね一年以上、それをはるかに超す十年から三十年以上の振動暴露のある被災労働者を振動障害検査した主治医の診断書、いわゆる振動障害診断票に対し、労働局の局医である労災医員が、検査手法、検査評価に疑問があるとして受診命令が出されておりますが、受診命令を指定する医師は宮崎でいえば熊本労災病院で、その鑑別医は、基発三〇七号通達に基づいて行った主治医の診断に疑問があったからとして、主治医の検査結果を検証することもなく、法令にない参考検査方法であるFSBP%という検査方法により独自判断し、業務上疾病に該当しないという事例もありますが、鑑別医の診断は、主治医の診断に疑問があるなら局医とともに主治医を指導するとか意見交換するなど、労災指定医である主治医の尊重を図ることもされておりません。  このような鑑別診断の異常な実態を踏まえ、是正される用意はあるのでしょうか。
  57. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) まず、受診命令の実施に当たりましては請求人に対して受診の趣旨を十分に説明するなど、そういったような指導を徹底しているところでございますけれども、今御指摘もございましたので、いま一度この指導の徹底を図りまして円滑な運用に努めてまいりたいというふうに思っております。  また、FSBP%検査についても話がございましたが、指動脈血圧検査、FSBP%検査といいますのは、振動障害の主な症状であります手の指の血流が阻害されている程度を他覚的に、自覚的ではなくて他覚的に知ることができる検査方法の一つとして一定の評価が得られているものでございまして、個々の事案に応じて医師が有効であると判断した場合に実施する参考検査の一つとして除外する理由はないというふうに考えております。現に、現在の検査手法、検査方法につきましても具体的に掲げております検査はございますが、それ以外の検査につきましては、医師が有効と判断する方法による検査が行われ、その結果を参考にしていくという扱いになっておりますし、その旨明記もされているところでございますので、こうした規定に沿って適切に運用したものということでございますが、先ほども申し上げましたが、趣旨につきまして十分請求人の方に御説明するということは徹底を図りたいと、かように考えております。
  58. 外山斎

    ○外山斎君 FSBP%の話に移りますが、FSBP%はレイノー現象の有無の判定に一応有用な検査方法とも言われております。しかし一方で、レイノー発現者でも三〇%においてレイノーと判定できないとされるデータもあります。この検査方法評価は、北欧など海外では有用とされているものの、我が国ではいまだ定まっていない段階で、参考検査として行われているものです。評価が定まっていないFSBP%による参考検査の結果を基に、本来認定されるべきものが不支給処分にならないよう強く要請しますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
  59. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは本当に専門家の先生方の御意見を会議で集約してやったものでありますんで、そういう検査を除外するという理由にはならないと思います。ただ、その検査も、いろんな検査を使って本当にその方が振動障害であるということを、これはもうそういう障害、仕事からそういうことが起こる場合にはそれは救うと、そういう精神で、今局長が申しましたように、きちんと指導をしてまいりたいと思っております。
  60. 外山斎

    ○外山斎君 ただ、このFSBP%は振動障害認定について絶対なされないといけないものであるとは思っておりません。  そこで、またお聞きしますが、このFSBP%を参考資料として不支給処分にならないよう求めていますが、そこについて大臣はどうお考えでしょうか。
  61. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) 先ほども申し上げましたように、FSBP%検査は現在これは規定の検査方法として位置付けられているものではございませんが、これに限らず、指定されている検査以外につきましては医師がそれぞれ必要と考えた検査を行うという形になっている基本の姿があるわけでございます。その基本の姿にのっとって、一つの方法であるFSBP%検査に基づいて、それも使って得た結果に基づくものでございますので、それ自体を全否定ということにはならないというふうに考えております。
  62. 外山斎

    ○外山斎君 じゃ、例えばほかの検査でレイノーが認められて、ただこのFSBP%を使用したことによってレイノーが認められないという場合も出てくるとは思うのですが、その場合は支給になるのでしょうか、不支給になるのでしょうか、お答えください。
  63. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) 様々な検査の中での全体の中の位置付けがどうなるか、これはあくまで総合的な判断によることになると思いますが、ただ一点申し上げたいのが、レイノー現象というのはこれは発現してからせいぜい十分、二十分の中で消えてしまうものでございまして、とらえ方が大変難しいという問題点がございます。過去に確かにレイノー現象があったとしても、今その時点でレイノー現象があるかどうかということの見極めを付けるのが難しい部分もあるわけでございまして、いろいろな観点から様々な検査を総合的に見て適切な判断をしていく、私どもそれを促してまいりたいというふうに考えております。
  64. 外山斎

    ○外山斎君 分かりました。  それでは、先ほど大臣の答弁の中でばらつきがあるということもありましたが、宮崎では宮崎労働局で不支給処分となった被災労働者を診断した同じ医師が同じ時期に振動障害として診断した五名の被災労働者の場合、それぞれ宮崎以外の他県の労働局、新潟、高知、佐賀、大阪、富山の各県の労働局に振動障害認定の申請をしておりますが、これらの被災労働者は認定され、労災支給対象となっております。どうしてこのような差が生じるのか。  また、申請者ごとに障害の症状が異なることは十分認識されますが、他県では認定されているのに宮崎に住まう人は同様の診断がされているにもかかわらず認定がされない、このように地域間でのばらつきのある行政が行われることは大変おかしいことだと思いますし、公平公正が求められるはずの行政の対応としてはあってはならないことだと思います。早急に改善されるべきだと考えますが、厚生労働大臣のお考えをお聞かせください。
  65. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 一人の同じ医師が例えば別の県を見て結果が違うというのは、それは診た患者さんというか、それの状況によっての判断だと思います。ですから、一概にどうであるかというのは、やっぱり個々のケースを細かく見て、それで行政の対応として、全く同じ診断で、全く、極端に言ったら、ほとんど同一人物というか同一疾病で、それで差があったというのは、これはおかしいと思います。  ですから、そういうことをきちんと今後とも精査しながら、今委員がおっしゃったように、行政のレベルで私は不公平があってはならないと思っていますので、そういうことについてはきちんと指導し、徹底してまいりたいと思っております。
  66. 外山斎

    ○外山斎君 行政の立場でばらつきがあっては困るわけですが、それが明らかに表れているのが宮崎県と他県の比較ではないかと私は思うのですが、このばらつきに対して大臣はいかに指導していくのか、お聞かせください。
  67. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それは、全部の具体的な例を精査をさせてください。そうしないと、同じお医者さんが診ても患者さんが違いますので、どういう判断であったかというのがないと今すぐお答えできませんので、ちょっとその症例について御検討させていただきたいと思います。
  68. 外山斎

    ○外山斎君 行政の取扱い等の不備によって本来受けられるべきはずの労災が認定されず苦しんでいらっしゃる患者さんもいるわけでありますから、どうか通達どおりに公正に実施していただけるようお願い申し上げて、私の次の質問と変えさせていただきます。  通告はしておりませんが、通告していないので大変申し訳ないのですが、昨日の毎日新聞の朝刊に、ジェネリック医薬品、生活保護受給者は使用を、厚労省通知という一面に記事がありました。全額公費負担医療を受けている生活保護受給者への投薬には、価格の安いジェネリック医薬品を使うよう本人に指導することを厚生労働省都道府県や政令都市などに通知していることが分かった、指導に従わなかった場合、生活保護手当などの一時停止や打切りを検討すべきだとしていると記事に載っておりましたが、私は、生活保護手当を打ち切るのは生存権を侵害するものではないかと思いますし、またジェネリック医薬品を強制するのは患者の選択を奪うことになるのではないかと考えていますが、こういった通達を出すこと自体に問題があると思います。大臣のお考えをお聞かせください。
  69. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いわゆる後発の医薬品、ジェネリックについて、どういう態度、態度というか政策を取るか、これずっと議論をしてまいりました。そして、御承知のように、二千二百億円毎年削減しないといけない。それで、片一方は健康保険組合の融通、もう一つはやっぱり薬価、こちらできまして、何とか今年の責任を果たしたわけですが、その中で、同じ効果であれば、それはもう安全性も確認されている、そして安いのを使った方が国民医療費を減らすことができます。それで、目標として、三〇%をこの後発医薬品、ジェネリックに変えようと、これはもう目標を掲げました。  この三〇%という数字は、先進国の中で一番低いレベルにあります。もう少し上げた方がいいんじゃないかという意見がありましたので、三〇という目的を出しました。これは与野党を通じて基本的に皆さん賛成いただいた。その次が、今までは後発医薬品を使うときに、横にお医者さんおられますけれども、お医者さんが使っていいよと書かないと使えなかったんですね。今回は、つまり何も書かなくても薬処方するときに使える。今までジェネリック使うことに制限があった、今度それを取ったと。そういう大きなコンテキストの中で、やはり新しい先発の薬じゃないと例えば私に効きません、これはもうちゃんとやります。ただ、同じ薬で、風邪薬でも何でも、効きますというのは、これは国民みんなそちらを使いましょうという今一つの方向付けをやりました。  そういう中で、生活保護の方についてもということなんですが、私ももう一々すべての通達について大臣は見ません、それはもう局長レベルであったり課長レベルであったりします、それは行政のルーチンですから。しかしながら、私が通達をそういう記事がありましたので見ましたら、やはり文章が余りに役所的でもう何とかしなさいみたいに書いてあるので、先ほど私が指示を出して、今私が申し上げたことをきちんと説明をし、生活保護の方だけにやっているんではなくて国民全体として三割と目標を掲げて、そしてお医者さんが特段書かなければできるんですよと、そのことをもうちょっと懇切丁寧に説明しないといけないんです。そういうのがなくて、とにかく生活保護の方、そういうのを後発医薬品にしなさいみたいな、そう取れるような文章遣いがありましたから、早速、私、午前中指示して、こういう文章を使ってはいけませんと。  それで、この通達を今私が申し上げた国民全体に対してやるのと同じレベルに書き換えろということを今作業をやらせておりますので、早急に、こういう国民の目線に立っていない役人言葉を使って、しかも大きな目標については書かずに、何でもかんでも押さえ込めというようなニュアンスがあるような文章については直ちにこれは改めさせる、今指示を出して作業をやらせているところでございます。
  70. 外山斎

    ○外山斎君 お答えありがとうございました。  それでは次に、診療報酬改定についてお尋ねいたします。  今年三月五日に二年ぶりに診療報酬改定が行われ、平成二十年厚生労働省告示第五九号、診療報酬の算定方法を定める件が公布されました。改定された診療報酬は四月一日より適用となり、間もなく一か月がたとうとしているわけであります。  今回の診療報酬改定では、本体報酬はプラス〇・三八%と八年ぶりのプラス改定と言われましたが、薬価等はマイナス一・二%であり、全体を見るとマイナス〇・八二%となり、やはり診療報酬などの医療費は抑制の方向であることがはっきりしております。また、いわゆる五分間ルールの導入による実質マイナス改定だという声が医療現場からも聞こえておりますが、今回の改定の特徴は、産科・小児科医不足問題、医療崩壊への対応と機能分担医療の推進、さらに、前回改定による影響の調整であると言われております。改定率の調整は、社会保障費の自然増分七千五百億円のうち二千二百億円の削減を義務付けられ、また、財務省から診療報酬本体の引上げに対する抵抗がある中で本体部分のプラス改定となったものです。  しかし、内容をよく見ると、政管健保の国庫負担分を健保組合、共済組合に肩代わりさせることや薬価、診療材料の引下げ等により二千二百億円の圧縮分と本体引上げ財源として約三百億円の上積み分を捻出しましたが、全体としては〇・八二%のマイナス改定です。また、緊急課題として示された産科や小児科を始めとする病院勤務医への負担軽減取組によって病院勤務医には手厚くなったものの、逆に外来に関しては診療所にとって厳しい改定内容となりました。病院勤務医支援にしても、診療報酬の引上げで増えるのは千五百億円規模であり、三十三兆円と言われる国民医療費の規模から見ても〇・五%ほどで、焼け石に水ではないかと考えますが、今回の診療報酬改定のねらいについてお答えください。
  71. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 全体的な数字や何かは委員がおっしゃってくださいまして、本当にありがとうございます。  大変厳しい財政状況の中で何とか国民医療ニーズにこたえたいと。それで、どうしてもめり張りを利かせるしかありません。ですから、産科、小児科、こういうところに重点的に、特に勤務医の方々、そこに対応した。それから、がんとか脳卒中、こういうところにも重点的にお金を入れる。さらに、先ほど申し上げたジェネリック、後発医薬品、これもその一つ措置であります。  いずれにしましても、外来の五分間の問題とかいろいろ現場からまた声も賜っておりますけれども、これはまた次の改定のとき必要ならば改定する。ただ、全体的に、今委員が三十ちょっとと数字をおっしゃった、三十三兆のうちの高齢者医療が十一兆ですね。国家予算が八十兆円ですから、いかにこの医療費が大きいかと。そこで、やっぱり私は高福祉高負担、低福祉低負担だろうと思います。ある程度お金は必要で、今どんどん医療水準が上がってきていますから、相当高い治療も必要だと。  ただ、何といっても国民保険を守っていきたいと、そういうふうに思いますんで、私は、総理の下に社会保障国民会議もできていろんな各層の方々が、連合の代表も入っておられます、経団連の代表も入っておられます。皆さん方で今議論をしておりますんで、給付と負担、どれだけ負担してどれだけ給付をするのかと、これをやっぱり国民的に議論をして、いやもう医療水準ここまで上げた方がいいよと、医療提供サービス上げた方がいいよ、ただ自分たちも負担はこうしますよということであればいいんで、事実をきちんと申し上げて国民の皆さんのコンセンサスを得たいと、そういうふうに思って努力をしてまいりたいと思います。そういう一環としての今年の診療報酬の改定もございました。
  72. 外山斎

    ○外山斎君 医療費が高いということですが、対GDP比で見るとOECD諸国では決して高くないわけでありまして、もっと本来は医療についても質問させていただきたかったのですが、質疑時間が終了になりましたので、以上で私の質問を終わらせていただきます。
  73. 行田邦子

    ○行田邦子君 民主党・新緑風会・国民新・日本の行田邦子です。  昨日の山口二区補選では、後期高齢者医療制度、そしてガソリン税の暫定税率が大きな争点となりました。国の財政が厳しいからといって、なぜ国民にばかり痛みを押し付けるのか、国民負担を押し付けるんだったらもっと税金の無駄遣いを見直すべきではないか、このような国民の皆様の声が結果となって表れました。今、国の予算の使い方が問われているわけです。  本日は、決算ということを念頭に置きまして、医療制度、年金制度の基盤と言える労働雇用について、中でも雇用保険料が原資となっている労働保険特別会計について質問をさせていただきます。  先日、総務委員会の視察ということで京都に行ってまいりました。せっかく京都に行くのであればということで、同じ京都にある、大変失礼な言い方ですが、かの悪名高き、私のしごと館まで足を伸ばしました。敷地面積八万三千平方メートル、建物延べ床面積三万五千平方メートル、建設費五百八十一億円も掛けたにもかかわらず、来館者数が平成十八年度で三十三万人、自己収入が一・四億円。当然赤字なので、運営交付金十四・八億円が国から出ています。  お手元にお配りした資料、一枚目に写真を付けさせていただきました。右上は、しごと探索ゾーンでして、これは旅行代理店事務所の体験をできるのではなくて、展示をしている風景です。右下は、働く人の歴史を人形で表しているもので、一体三百万円もするということで話題になったものです。そして、左上は体験ホワイエですが、私が行ったときは添乗員さんが一人、休憩を取っていました。そして、唯一活気があったのが、学生たちが楽しそうに作業している左下のしごと体験ゾーンです。この写真は、清水焼のお茶わんを学生が作っているところです。  こういったいろいろな職業、特に伝統工芸など、実際に労働を体験できるということは教育として非常に良いことですし、大切なことだろうと思います。子供たちも楽しそうでした。けれども、何でこんなに立派な建物の中で、実際の労働現場とは余りにも懸け離れた空間で行わなければいけないのか。意味はなくはないですが、余りにも費用が掛かり過ぎているとつくづく疑問を感じました。  私は、子供たちに対する職業教育は必要だと思いますが、手法が間違っている。なぜ広大な土地を買って立派な建物を建てて、だだっ広い空間をつくらなければいけないのか、五百八十一億円も掛けるそのコスト意識には理解がし難いものがあります。  この建設費は、能力開発事業という名目で労働保険特別会計から支出をされています。このザ・ハコモノと呼ぶべき私のしごと館の存廃について検討されているようですが、大臣、見直しをすることとなった経緯と進捗状況をお聞かせください。
  74. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私のしごと館、これいろいろ今賜った御批判もありますんで、後ほど詳細は局長に答えさせますけれども、今、きちんと私の下に検討委員会、いろんな専門の方、特に私のしごと館はけしからぬという御意見の急先鋒な方も入れまして、後で委員名簿を御覧になればすぐ分かりますけど、そういう方からも厳しい意見を賜っているところでございまして、ちょっと細かい経緯については局長の方に答えさせます。
  75. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) 私のしごと館につきましては、御案内のように、中高生を中心とします職業意識の形成の施設ということで運営しているわけでございますが、御案内のように、これも昨年の十二月に、いろいろ経緯がございまして、独立行政法人の整理合理化計画におきまして、運営を包括的に民間に委託をして第三者委員会による外部評価を実施をして、その結果を踏まえて一年以内に存廃を含め、その在り方について検討を行うということにされているわけでございます。  これを受けまして、現在、厚生労働省におきまして私のしごと館のあり方検討会を設置をいたしまして、既に三回議論をいただいております。主な議論を申し上げますと、やはりキャリア教育としてのこういった職業体験というのは非常に重要だという意見がある一方で、なかなか収支とコストという部分がいろいろ問題があるんではないかという御指摘もございます。  いずれにしましても、キャリア教育、職場体験そのものにつきましては相当高い評価を得ているというふうに思っておるところでございますが、この検討会の議論を踏まえて、今後は実際に委託ということでございますが、現在、委託の手続を進めているわけでございまして、いずれにしましても、今後このしごと館の在り方そのものにつきましては、閣議決定で示されておりますように、包括的民間委託それから外部評価の結果を踏まえて検討を行うということになっておりますので、検討会において十分御議論をいただくという予定でございます。
  76. 行田邦子

    ○行田邦子君 私も職業教育というのは必要だと思いますけれども、どんなに必要な施策であっても事業であっても、コスト意識を持って行わなければこれは結局、無駄遣いになってしまうと思うんですね。ここまでお金を掛けて豪勢なものを建ててしまうと、民間の委託というのもなかなか私は難しいのではないかなと、引き受けてくれる民間もなかなかないのではないかなというふうに心配をしております。  似たような例についてもう一つ、アビリティガーデンというのがあります。ホワイトカラーの職業能力の向上を目的に、東京の錦糸町の一等地に平成九年に開設されました。建設費は百九十億円です。これも労働保険特別会計からの支出です。  こちらも視察に伺わせていただきましたが、おかしいと思ったのは、ホワイトカラーを対象としている施設なのに土、日が休みなんですね。ただ、中身は細かく見ていませんが、能力開発、職業訓練そしてカウンセリング、行われていることは必要なことだとは思います。かつては企業内で行われていた研修が経費削減でなかなかできなくなっている、そんな中、このような事業には意味があるとは思います。けれども、これもやはり私のしごと館と同じことなんですけれども、費用対効果としてどうなのか、なぜ何かを始めようとするときにいつも、まず土地を買って立派な建物を建てるところからスタートするのか、理解し難いものがあります。  私のしごと館、アビリティガーデン、こういった箱物という目に見える過剰な支出について質問をさせていただきましたが、次は一般国民の目にはなかなか見えない支出について御質問をいたします。  お手元の資料の二を御覧ください。労働保険特別会計からのタクシー代支出について厚労省さんにお調べいただきました。労働保険特別会計から、平成十八年度は二十三億六千万円、十九年度は十六億四千万円、タクシー代が支出されています。十九年度のタクシー使用回数上位二十人を見ますと、一番多い方は年間の百八十二回となっています。三番目の方は百五十一回で、金額は二百五十三万八千三百四十円という多額になっています。  額や回数にも驚きましたけれども、私が疑問を感じるのは、一番右の欄を見ていただきたいんですけれども、人件費は一般会計から出ているにもかかわらず、タクシー代は特別会計から支出されている方が二十人中七人いるんです。一般会計の仕事をしているから人件費は一般会計から出ているんだと思いますが、タクシー代だけは特別会計、これはおかしいと思うんですね。夜だけ特別会計の仕事をしてタクシーで帰るんでしょうか。先日、大久保議員が命名した、昼は一般会計、夜は特別会計、カメレオン職員が国交省だけでなく厚労省にもいるんでしょうか。どういうことでしょうか、御説明をお願いします。
  77. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) タクシーチケットの関係でございますけれども、労働保険の事業に要する費用、これにつきましては事務執行に要する経費ということが含まれるわけでございまして、労働保険料を充てているわけでございます。  労働関係の部局の業務につきましては、労働保険の関係業務とそれ以外の業務が混在をしているというのが実態でございまして、職員につきましては主として労働保険にかかわる者については特別会計職員という仕分でございますし、それ以外の者については一般会計職員という整理でございます。  したがいまして、一般会計職員であっても労働保険関係業務に携わっている方もいるということでございまして、一般会計職員であっても労働保険の事業に携わった者につきましては、特別会計の方からタクシーの代金を支出するということについては特段問題はないというふうに考えております。
  78. 行田邦子

    ○行田邦子君 済みません。先ほど私が申し上げた金額、訂正をさせていただきます。タクシー代の支出ですけれども平成十八年度は二億三千六百万円、そして十九年度は一億六千三百万円、一億六千四百万円と、一けた間違えていました。失礼いたしました。  一般会計から人件費が出ている人でも特別会計の仕事をしている場合がある、その人が特別会計の仕事をして深夜残業になった場合は特別会計から支出をするということであれば、例えば一番目の方、この方、百八十二回タクシー使用していますけれども、この人は四日に三日は特別会計の仕事をしているということになります。だったら、この人は特別会計の仕事の方が多いわけですから、人件費も特別会計から出すべきではないでしょうか。  また、八番目と十四番目の方ですけれども、政策統括官付労政担当参事官室勤務というふうになっていますけれども、この方たちは、それぞれ百三回、それから九十回、年間に特別会計からタクシー代を出しています。この方たちも特別会計の仕事で年間に百三回、九十回も深夜残業をしているのでしょうか。  これは事前通告させていただいてないんですけれども、もしお答えいただければと思うんですが、これら上位二十人の方のタクシー代は一般会計からも支出をされているのでしょうか。
  79. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) この資料にございます二十名の方につきましては、特別会計の方で支出をしているところでございます。
  80. 行田邦子

    ○行田邦子君 一般会計から一切タクシー代を支出をしていないということでよろしいでしょうか。
  81. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) 先ほど申し上げましたが、労働保険関係業務に全く携わらない職員につきましては特別会計から当然支出はしていないわけでございますが、労働保険関係業務を一部行っている職員については一般会計から支出することもあり得るということで、全体といたしましては、労働関係部局支出全体として適正に執行をしているというように考えております。
  82. 行田邦子

    ○行田邦子君 済みません。これ事前通告をしてなかったので、お答えできないのかとは思うんですけれども、是非お調べいただいて、委員会あてに御報告をいただきますよう、委員長、お取り計らいをお願いいたします。
  83. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 一般会計からの支出状況ということですか。
  84. 行田邦子

    ○行田邦子君 はい、そうです。
  85. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) では、ただいまの申出につきましては、後刻理事会で協議します。  これは自主的に出せますか。
  86. 新島良夫

    政府参考人(新島良夫君) それは整理させていただきます。
  87. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 整理、あっ、精査。はい。
  88. 行田邦子

    ○行田邦子君 先ほど御質問をした私のしごと館、そしてアビリティガーデンの費用は、労働保険特別会計の中の雇用安定等二事業予算から支出されています。  ここでお伺いしますが、二事業の趣旨、目的をお教えください。
  89. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この雇用保険の三事業につきましては、昨年の雇用保険改正におきまして、失業等給付の抑制に資するという事業本来の目的に特化するために雇用福祉事業を廃止すると。さらに、事業の必要性や成果の評価などを厳格に精査して既存事業の縮減などの見直しを行っているところでございます。  こうした見直し、さらに景気・雇用情勢の回復なども相まちまして、最近は雇用安定資金の残高が増大をしているところでありまして、先ほど来、特別会計と一般会計、こういうことの問題点ずっと御指摘なさっておりますけれども、雇用保険の二事業のこの保険につきましては弾力的に保険料の引下げを行うと。保険率を千分の三・五から千分の三に引き下げましたし、これ下げたらまたすぐ戻すようになっているんですけれども、下げてよかったら、安くてよければ低くていいんで、それもそのままやるというような形で、もうこれもきちんと今後とも見直していってめり張りの利いた形でこの雇用対策についても施策を不断に見直すと。そして、ただ見直すだけじゃなくて、やはり雇用の問題というのは、私は非常に今フリーターの問題や何かと重要な問題が起こってきていますので、これは必要な充実はしないといけないと。そういうことで無駄を排して必要な施策をやると、そういうことで一歩一歩取り組んでいるところでございます。
  90. 行田邦子

    ○行田邦子君 今大臣からもお話がありましたけれども、この二事業、かつては三事業でしたけれども、この二事業について考えるに当たって収支状況の変遷を見てみました。お手元の資料三枚目を御覧ください。  平成十一年度以降、大体収入の方は五千億円台前半で推移しています。一方、支出の方はというと、平成十一年度は五千四百億円、過去十年間で最も多い平成十二年度では六千億円というふうになっていますが、無駄遣いが指摘されたことが理由かと思いますけれども、支出は徐々に減らされています。平成十八年度には三千五百八十億円になっています。一方、安定資金残高ですが、これは単純に収入引く支出だけではなくて、雇用保険勘定全体での不用金、使わなかった余ったお金の一部をこのお財布にも入れています。この表を見ると、平成十三年度を底に年々残高が増えているのが分かります。平成二十年度では安定資金残高は一兆一千七百億円にも上る予算となっています。この残高は私は過剰なように感じます。  ここで私が何を申し上げたいかといいますと、二事業の安定資金残高に過剰な残高が残っているのであれば、これは一つ、先ほども大臣がおっしゃられましたように、保険料率を下げること、そしてもう一つ考え方はこの残高を今まさに求められている雇用の安定、雇用の創出に使用する、この二つ考え方があるのではないかと思います。ここはしっかりと議論をすべき点かと思いますけれども、私は二つ考え方の後者、今こそ雇用の安定、雇用の創出に対して投資する必要があるというふうに思っております。  私のしごと館やアビリティガーデン、そして過去のレクリエーション施設、一億円以上も掛けたものを一万五百円で売却してしまった、こういったこともありましたけれども、こういった過剰支出の箱物を嫌というほど見せられてしまうと国民の皆様も、雇用保険を払っている事業主の皆様も、もう無駄遣いやめてほしいという気持ちになってしまいますけれども、この雇用安定等二事業の本来の趣旨に沿った適正な使い方をきっちりとお示しすれば国民の皆様も御納得いただけるのではないかと、むしろ御納得いただけるような努力を厚労省としてすべきではないかというふうに私は考えておりますけれども大臣のお考えをお聞かせください。
  91. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 委員の御指摘のとおりで、最初は保険料を下げる方向に少しやったと、それでただ、今、雇用の問題、私も先般、メーデーに参加させていただきました。フリーターの常用化プラン、いろんなことをやっています。特に女性に対して、これはワーク・ライフ・バランスを含めて家庭も仕事も両立できるためにはどうすればいいか、それから高齢者も働ける力を持っている方おられますから。先般、一月十九日に労働政策審議会の一つの部会から「雇用保険制度の見直しについて」というのをいただきました。そこにも、今、私が申したフリーターとか女性とか高齢者、こういう方々に対して今委員おっしゃったように、ただ箱物を造るということではなくて、むしろきめの細かい、例えばジョブ・カード制もそうですけれども、やりなさいということなので、今その方向に進めております。  ただ一つ、先ほどのしごと館も含めて、非常に雇用労働政策で難しいのは、どこまで官がやるのか。それは何もかも民間でやれるならいいんですけれども、私はやっぱりペイしなくても、例えば職業訓練なんかは政府がやるべきものは残っているんだろうというように思いますんで、何でもかんでも箱物を造るというのは論外ですけれども、そういう民ではできない、やっぱり官がやる。例えば、ハローワークというのは民でいいんでしょうかという疑問符は、それは有料職業紹介所、しかしやっぱりハローワークというのは、私は全国レベルでやるべきだし、ILOの考え方もありますんで、私なんかはそういうのを何もかも市場経済原則で、民でいいとは思っていません。しかし、官でやるについてはきちっと襟を正して無駄を排すると、それがなければ国民の理解も得れないと思いますんで、そういうめり張りを利かせながら、必要なところはきちんと残していくという方向で、今委員がおっしゃった方向で進めてまいりたいと思っております。
  92. 行田邦子

    ○行田邦子君 恐らく、大臣と私も同じ思いだというふうに考えましたけれども、すべてのことが民に任せていいということではないと思います。民ができるものは民がやる、民ができないことはやはり官がやらなければいけないというふうに私も思っております。ただ、そのときにコスト意識というものを十分に持っていただきたい、そして国民の目線できちんと考えていただきたい、このことを申し上げておきます。  お手元の資料四に現在の労働者の置かれている状況をまとめてみました。今、働く人の三人に一人が非正規雇用者となっています。  私自身も会社員として十八年間働く中で、二回の転職をして、都合三社で勤めました。三社目の会社では非正規雇用者として働いた経験があります。それまでの約九年間は正社員でした。大学を卒業して一社目に就職した当時は、自分がまさか非正規雇用者になるとは思ってもいませんでした。  特に非正規雇用者の中には女性が多いんです。そして、第一子を出産して働く女性の六割もの人が、職場に復帰せず労働市場から姿を消しています。子供が大きくなって働けるようになっても、職場が見付からない、労働市場になかなか戻れない、戻ったとしてもパート、アルバイトといった非正規雇用の場合が大変多い。  そして、年収二百万円以下の労働者はついに一千万人を超えてしまいました。ニートの数も増えています。フリーターの数も依然多いです。特に年齢が上がってきています。就職氷河期に学校を卒業した方々が定職に就けないまま、行き場を失ったままなんです。これは本当に深刻な問題なんです。彼らがこのまま、もし定職を見付けないまま年を取ったとき、両親が、経済的に支えてくれていた親がいなくなり、そしてこのままだと生活保護者になる可能性もあるんです。  生活保護世帯はついに百万世帯を超えました。生活保護世帯の中には、働くことが可能な人、働く意思がある人ももちろんいるんです。働くことが可能な人、働く意思のある人がきちんと、安定した職場、安定した収入を得られるように、今こそ政治が積極的に手を差し伸べなければいけないと思います。  今、医療制度、年金制度の問題点が様々指摘されていますけれども、これらの医療制度や年金制度を支える働く人たち、現役世代が今このような環境に置かれていては、どんな医療制度も、どんな年金制度も成り立たない。  舛添大臣にお伺いしますが、年金、医療そして労働について担当されているお立場として、どのようにお考えでしょうか。
  93. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 先般、新雇用戦略というのを作りまして、まあ二百二十万人という数字を挙げましたけれども、今おっしゃったように、フリーター、女性、高齢者、こういう方々、それで、フリーターにも年長フリーターっております。きちんとこのきめの細かい施策をやっていきたいというふうに思っています。  どこかの世論調査にありましたけれども、やっぱり常用雇用というのがそれは普通だし、今、年功序列賃金を求めるとか、ずっと同じ会社にいたいという声が高まっています。一時期は、バブルのころなんかはもう働き方の多様化とか雇用の流動化ということで、そうじゃない方向がもてはやされましたけれども、私はやっぱり今の国民のニーズは生活の安定だということにあると思います。そしてまた、これは年金の記録問題、今一生懸命やっておりますので、これは頑張って続けていきたいと思いますし、長期的にどういう年金制度であればいいか、これはもう与野党の枠を超えて国民的な議論が必要だと思います。  医療につきましては、私は思い切った施策をやりたいと。つまり、今まで政府はお医者は足りているという話をしていたけれども、今二十八万のニーズに対して二十六万しかいない、二万人足りないんですね。足りないなら足りていないという事実を認めて、今年は三百九十五人増やしました。しかし、やっぱり小児科、産婦人科を含めて足りないんですよ。だから、これを増やしていく。それから、看護師さん、助産師さん、薬剤師さん、そういう方もお医者さんとチームを組んで、お医者さんが忙し過ぎる、だからこの部分、看護師さんがやれるということであればそこもやっていける。  そういうことを含めて、近々、私の下の研究会、いろんなビジョンがまとまりますので、それに数値目標を付けて、これを国民皆さん方に御提案申し上げたいと思っております。
  94. 行田邦子

    ○行田邦子君 是非、有言実行ということでお願いをしたいというふうに思います。  舛添大臣が、先般、経済財政諮問会議に提出された新雇用戦略、私も拝見いたしました。これ是非実現していただきたいというふうに思っているのですが、思いは同じだろうというふうに思うんですが、やはり国民目線で、そしてコスト意識を持って行わなければどのような施策というのも実現できないというふうに思っております。  そして、今現在、この二事業から支出されている、雇用安定事業、能力開発事業の中身を見てみました。厚労省さんから説明を受けたのですが、事業主向けの助成金、奨励金だけを見ても実にありとあらゆる種類があります。ここで、私が抱いた三つの疑問についてお伺いしたいと思います。  一つ目は、助成金の数の多さです。  事業主向けのパンフレットをいただいたのですが、これを見ると二十五種類の助成金、奨励金があります。更に枝分かれしていて、私が数えた限りでは五十六種類に分かれているようなんですね。多過ぎてよく分からないんです。事業主向けにこれだけ細かく分かれていては、使い勝手が悪過ぎるのではないかというふうに思います。  社会保険労務士さんに話を聞いてみたんですけれども、この雇用関係の助成金というのはすごく複雑で手間が掛かるんで、できれば、本音を言えば、社労士さんとしても避けたい、依頼が来ても避けたい仕事というような声も聞こえてきます。もしこの仕事を受けるのであれば、手間が掛かるので手数料を高く取らざるを得ないという声も聞こえてきます。これでは本末転倒ではないかなというふうに思います。もっと助成金の数と、そして手続を整理できないものでしょうか。  二つ目の疑問は、地方自治体独自の支援事業との重複です。  例えば、中小企業事業主対象にキャリア形成促進助成金というものがありますが、職業に必要な知識、技能習得の職業訓練の経費の一部を助成する制度ですが、これと同じような、全く同じとは言い切れないんですけれども、補助金制度が例えば私の住む埼玉県にもあります。ほかにも重複があるのではないかと思っております。地方自治体と重複が多いものは整理する、又は自治体にお任せするといった見直しの必要があるのではないでしょうか。  そして、三つ目の疑問は、私が何だこれはと一番驚いたことなんですけれども、助成金によって取扱機関が異なるんです。二十五種類の助成金、奨励金の内容や被雇用者の種類によって取扱窓口が全部分かれているんですね。一つ目の窓口は都道府県労働局ハローワーク、二つ目の窓口は独立法人高齢障害者雇用支援機構、三つ目の窓口は独立法人雇用・能力開発機構、四つ目の窓口は財団法人介護労働安定センター、五つ目の窓口は財団法人二十一世紀職業財団と、五つに分かれているんです。このうち、ハローワークは全国数百か所に事業所があります。そして、残りの独立法人、財団法人は全国四十七か所地方事務所を設置しているんです。それぞれに四十七か所地方事務所を設置しています。完全な一本化は無理にしても、何とかまとめられないんでしょうか。全国に事業所を多く持っているハローワークに一本化するか、あるいは全国市町村に窓口をお願いする、この方がよっぽど利用者にとっては便利だと思います。何か分けなければいけない事情があるのでしょうか。  今申し上げた三つの疑問について、大臣のお考えをお聞かせ願います。
  95. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) まず、簡素さという要請ときめの細かさという要請がしばしば両立しない。ですから、本当に中小企業、零細企業でこういうのを欲しいというのをもうニーズが山ほどあります。そうすると、別の方の意見は、たった二十五なんですかと、もっと、二十五だから私のが一般的にはまらないと。もうちょっときめ細かく、例えば鋳物工業をやっている方、この方に対してはこういうのがいいんだということもあるんですね。ですから、その数については今両方の意見があると。ただ、手続を簡素化するとか、窓口を便利に、良くすると、これはやれるべきところはやっていいと思います。  それから、助成金なんかの地方自治体の関係なんですけど、これは実は私はもっと大きな観点から、国と都道府県市町村の役割分担をどうするか、まあ道州制の議論なんかもありますけれども、そういうことをきちんと議論すべきで、まさに後期高齢者の話にしても、名古屋とかああいうところでは地方自治体が独自に助成金渡していたわけですね。今度、都道府県単位になったら、名古屋市だけ愛知県の中で突出させられないって、それを落としちゃう。そうすると、名古屋におった方々は補助金の分まで、市からの補助金の分まで考えたら当然高くなります。だから、そのときに、きめの細かい福祉の作業というのは、私はやっぱり市町村、これが一番いいんだろうと思います。ただ、今度は、後期高齢者について言うと、都道府県にしちゃったものですから、そのきめの細かさがなくなってくる。じゃ、国がどうするか。  それで、これまた国民目線から立ったときに、整理しなさいといっても、私は、埼玉県のやつの方が使い勝手がある、国のやつも使い勝手がある。だから、さいたま市だったら、これはさいたま市の中小企業にやっぱり特例を与えると思うんです、それぞれの都道府県市町村は。そうすると、よその人よりもやっぱり、さいたまで仕事をしているからさいたま市のお金が来るというようなことがあって、これも実はいいんですね。  きめの細かい、本当に地元の住民や地元の企業のためにしっかりやっていただきたいというのは、それは地元で法人住民税も払われている、いろんな税金が払われている。やっぱりそれは地元が還元すべきだという立場で市町村都道府県が行う。我々国はやっぱり一視同仁というか、だからそこが本当にこれは国民の側から、企業の方からも二通り意見があるわけなんで、それをどう調和するか。  そして、これは最終的には国と地方との役割分担という大きな話にもなると思いますけれども、手続の簡素化という、これはやるべきだというふうに思っております。
  96. 行田邦子

    ○行田邦子君 いろんな御意見あるのかとは思いますけれども、私は、やはり国の事業としては余りにも数が多過ぎて、助成金の数が多過ぎて、使い勝手が悪過ぎる。社労士さんもこのことを指摘しておりますし、やはりこれは一度整理するというか、一度助成金の棚卸しというのをするべきではないかというふうに思っております。  少なくとも、今五つに分かれている独立法人等、五つに分かれている窓口の一本化というのはこれは是非検討していただきたいと、ユーザーの視点に立って検討していただきたいというふうに思っております。  この重複について、窓口が幾つにも分かれているという点について具体的に申し上げますと、仕事と育児の両立支援のための助成金として、ベビーシッター費用等補助コースというのがあります。これは二十一世紀職業財団というところが窓口になっています。一方、似たようなものがありまして、別の財団法人こども未来財団と社団法人全国ベビーシッター協会が提携して、ベビーシッター費用の割引券交付事業を行っています。割引券と補助金という違いはありますけれども、どちらもベビーシッター費用の割引という意味ではほとんど同じサービスですね。  そしてまた、育児休暇取得者についても支援が幾つか分かれていて、育休、時短利用者が初めて事業所に出た場合の助成金や、託児所を設けた場合の助成金、それからベビーシッター費用の補助金、これは財団法人二十一世紀職業財団が窓口です。  ところが、育休取得者の代替要員確保の助成金は、これは都道府県労働局かハローワークが窓口になります。利用者の視点で全く考えていないと私は思うんですね。  今申し上げた窓口取扱機関となっている財団法人二十一世紀職業財団についてですけれども民主党の衆議院が行った予備的調査で明らかになったことですが、平成十八年度には役職員が百六十九人いましたが、そのうち五十五人は厚労省職員を含む国家公務員のOBです。国から補助金が六十二億円出ています。  そして、財団法人こども未来財団の役職員数、こちらは三十六人ですけれども、そのうち十六人が役員に相当する方です。随分と役員の比率が高くなっている法人です。六人の常勤役員のうち半分の三人は国家公務員のOBです。国からの補助金は、ここには十一億二千万円出ています。  そして、社団法人全国ベビーシッター協会、こちらの役職員数は十八人、そのうち十一人が役員に相当する方です。こちらも役員の比率が高い法人となっています。こちらには四人の厚労省OBが再就職しています。そして、厚労省から六百万円の特命随意契約の発注も受けています。どうもほかにも随意契約がある可能性もあります。  そして、独立行政法人雇用・能力開発機構、こちらは横綱格なんですけれども、理事が八人いまして、そのうち三人が厚労省のOBです。理事の平均報酬は一年間で一千六百万円を超えています。理事長は二千万円です。この独立法人には、運営交付金と補助金合わせて一千百七十五億円が国から支出されています。こちらは平成十九年度の実績です。  小さな政府、小さな政府ということで政府を小さくしたつもりが、政府の外に前より大きい独立法人や公益法人をつくってしまった、こういうことでしょうか。厚労省OBの安定雇用、安定収入の確保だけではなくて、国民の皆さんの安定雇用にもっと向き合っていただきたい、真剣に目を向けていただきたいというふうに思っております。  雇用の安定、雇用の創出を考えるときに、法律改正も視野に入れなければいけないでしょうし、税制改正も必要かもしれません。もちろん、働く方々に対する支援も必要です。複合的に対応しなければいけない問題ですけれども、今日は時間が限られていますので、労働保険特別会計からの事業主向けの助成金や奨励金に絞って質問させていただきました。  最後の質問となりましたが、ここで視点を変えまして、公務員の早期勧奨退職についてお伺いします。  今私が申し上げた所管公益法人との随意契約、これが一向に減らないという問題、そして天下りも減らない、この問題。随意契約それから天下り、この問題というのはすべて早期勧奨退職につながっているというふうに思うんですね。  なぜ所管公益法人からの随意契約が減らないのか、これは厚労省さんも一向に減っていないようです。十七年度から十八年度に逆に随意契約の金額は増えてしまっています。なぜ減らないのか。天下りもなぜ減らないのか。それは所管の公益法人に天下りがいるから、だから常に一定の発注をしなければいけない。そして、なぜ天下りが減らないのかというと、それは国家公務員の早期勧奨退職という慣行があるから、横たわっているからというふうに私は考えています。天下りを減らすためにはこの早期勧奨退職という慣行をなくさなければいけない、ここにメスを入れなければ一向に公務員制度改革というのはできないというふうに私は考えております。  そこで、所管の総務省そして労働を担当されている舛添大臣、お二人に御所見を伺いたいと思います。
  97. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 答弁は簡潔にお願いします。
  98. 藤井昭夫

    政府参考人(藤井昭夫君) まず、私の方から政府全体としての早期勧奨退職是正についての取組状況について御説明いたします。  政府は、この問題につきましては平成十四年に閣僚懇談会の申合せを行っております。その趣旨は、天下りの弊害を是正し、公務員が志を持って行政に専念できる環境を整備するため、また公務員制度改革の観点も踏まえるということで、早期退職慣行の是正を図る旨の方針を取りまとめているところでございます。  その内容でございますが、原則として当時の現状に比べて平均の勧奨退職年齢を平成二十年度には三歳以上高くするということを目標に、各省がいろいろの実情はあるようでございますが、その実情に合わせながら勧奨退職年齢を段階的、計画的に引き上げるというものでございます。この申合せに沿った各省の取組により、勧奨退職年齢は、政府全体といたしましては、平成十四年の平均のときに比べて、平成十九年では一・四歳上昇しているというところでございます。  まだまだというふうに我々は認識しておるところでございますが、このようなことを踏まえまして、当局といたしましては、各府省に対しまして、残された期間において、例えば昇進年次を延伸するとか、あるいは、本年四月に専門スタッフ職制度というのが導入されているんですが、これは複線型人事を構成するためのものでございますが、そういった制度の活用をすることによって一層の早期勧奨退職の是正を要請しているところでございます。
  99. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 舛添大臣、答弁は簡略にお願いします。
  100. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) はい。  公務員制度全体の改革の中で政府としてそれをやっていく、それから、公益法人の改革につきましても、これはもうやむを得ない理由がない限りは一般競札で、随意でやらないということを原則としてやっておりますし、再就職につきましても、公務員の再就職につきましても、国民から疑義を抱かれるようなことはやっちゃならない、そういうことを原則としてきちんと指導してまいっているところでございます。
  101. 行田邦子

    ○行田邦子君 終わります。
  102. 中村博彦

    中村博彦君 後期高齢者医療制度、現場が大混乱になっています。連日、新聞報道では、御存じのとおり、保険料の徴収金額の間違い、免除者から誤って徴収したり、また、本人の手元には保険証が二万以上滞っている。厚生労働省が頑張る頑張ると言っても、混乱が本当に続いておる現況でございます。  そして、御存じのとおり、この後期高齢者医療制度、二年前に法案が作成されました。そして、御存じのとおり、老人医療費適正化推進費補助金、これは十八年度予算で総額四十二億六千二百万円付いてございます。広域連合は十九年の二月からスタートを切っておるわけでございまして、運営費総額三百四十億円、全国では一千三百十一人が頑張っておるわけでございまして、なぜこんなにもミスが多発しているか、事務ミスというのがこんなにも多発しているか、大臣に御見解を聞きたいわけでございます。
  103. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 一つは、厚生労働省自治体に対する指導、これが十分徹底していなかったということもあると思います。それから、与党・政府凍結措置含め様々な軽減措置をした、そのこともプログラムを組んだりするときの煩雑なことにつながったと思いますけれども、様々な理由がそれぞれの自治体にあると思います。  しかし、国民に迷惑掛けてはならないということで、例えば保険証の届いていない方は免許証、それから昔の保険証、こういうことできちんと診療を受けられるように、きめの細かい対策を取ってまいりたいと思っております。
  104. 中村博彦

    中村博彦君 この広域連合というのは本当に、県でなく広域行政でつくられたために、やむを得なく法に基づいてつくられたんだろうと思うんですけれども、多くの市町村から職員が寄ってきています。そして、その職員というのは一体どういう職員が寄ってきておられると思いますか。市町村からはほぼ優秀な職員は広域連合には出してございません。そこがまず第一点。そして、トップがおりません。都道府県がするなら知事です。しかし、広域連合になると、ある意味で無責任体制になっておる。  そして、御存じのとおり広域連合議会が運営されておる。高知県のように、各市町村から出られているのでなくて代表的な十市町村から出られておる県もあります。だから、二〇〇六年に保険局長は、この運営するに当たっては七十五歳以上の方々の御意見を踏まえて運営すると、こう書かれています。しかしながら、この広域連合議会にしても充て職的な議員が大変多い。大臣、一遍議事録読んでみてください。限られた人が多くの発言に終始をして、本当に充て職的に、後期高齢医療をどうするんだというような認識を持たれておる私は議員は本当にいないんではないかと思われるぐらい形骸化されておる。今から形骸化されたら、これは大変ですね。  これは、広域連合議会の運営一つ取ってみても、広域連合の運営一つ取ってみても、本当に大きい問題がある。寄り合い世帯になっているということを指摘をさせていただきたい。当然、不十分な対応になってきているということを私は申し上げたいんですけれども大臣の御見解はどうでしょうか。
  105. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 一つ一つ広域連合の議会の議事録を精査したり現場を見たりしたわけじゃないので何ともお答えすることはできませんけれども、しかしもしそういう実態があるとすれば、それはきちんと改善しないといけないと思います。
  106. 中村博彦

    中村博彦君 そう簡単に言うんですけれども、これ、一千百万人、そしてこの支払基金でお持ちになっております二百万人の方がこの後期高齢者医療広域連合に入ってくるわけです、担当していくわけでございます。これは、十分な組織体制をしていきませんと第二の社保庁になりかねないということでございます。  そして、もう私が説明するまでもなく、国民健康保険連合会、国保連合会ですね、国保連合会から一千百万人分がこの広域連合で担当をする、そして社会保険診療報酬支払基金分が、二百万人分がこの広域連合で担当するわけでございますが、それじゃ、この一千百万人が減る国保連合会、二百万人分が業務量が軽減される支払基金のスリム化というのは一体どうなっておるんでしょうか。  私は当初からこの支払基金、国保連合会も併せた統一的な組織体制、事務局体制がいいんではないかということを提案したことがございますけれども、まさにまた中間経費が大きな分量になってしまう。そうなってまいりますと、大変なことになる。保険料が給付に使われない、限りなく小さな給付になってくるおそれがある。中間経費が膨大にこの地域連合のために食われてしまうという状況が生まれてきそうに思いますので、このような現況、スリム化の流れというものはどうなっているのか、大臣また担当局長、お答えいただいたら有り難いんですが。
  107. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) ただいま委員御指摘の千百万人が国保連、それから二百万人が支払基金ということでございまして、これは審査支払事務の現在の分担だと思います。これが、今回の新制度導入後は一元的に、選べる体制にはなりますけれども、事実上、国保連が一元的に行うことになろうかと思います。したがいまして、支払基金にとりましてはそれだけの減収になるわけでありますし、仕事の減につながるかと思いまして、これは将来計画の中でそれを反映させるというものになっております。  それから、手数料について割高云々という話がありましたけれども、むしろこの高齢者分につきましては審査手数料も比較的低い額にしている実例が多いかと承知しておりまして、むしろ全体としてはスリム化の方向に向かっていると、このように考えております。
  108. 中村博彦

    中村博彦君 それじゃ、よく分かりました。よく分かったというんではなしに、それじゃ、この支払基金と国保連合会と医療広域連合と、これひとつガラス張りにしていただいて、この中間経費というものが本当にスリム化されているのか。無駄が残って、そして後期高齢者医療広域連合が担当することになったために大きな中間経費が必要になったとならないように、その辺の部分をガラス張りで国民、利用者にお見せをいただきたい、そしてなるほどなということであれば納得するということでなかろうかなと、こういうように思うわけでございます。  それじゃ、続いてお聞かせ願いますけれども、御存じのとおり、被用者保険の被扶養者の保険料徴収は十月分より均等割額の一割徴収が始まります。平成二十一年四月からは、この二百万人の均等割額五割、まあ三千円ぐらいでしょうけれども、が始まります。そして、平成二十二年度からは通常の徴収になりますよね。これ、ある議員は、時限式破壊装置と言っておりますけれども、本当になぜこんなにも六か月置き、六か月置きという形で年金から天引かれていく制度をつくっていったのか。なぜ、すぱっと、いただくものならすぱっとというのが快いんですよ。なぜこんなにも時限的な制度というものをつくったのか、そこをお聞かせを願いたいし、もう少し前向きに検討ができないのかということをお聞かせ願いたいわけでございます。
  109. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 被用者保険の被扶養者であった方の保険料の取扱いについてでございますけれども、これはまず法律上想定しておりますのは、当初の二年間につきまして激変緩和ということで均等割の半額にするということを織り込んでいるわけでございます。これに加えて、昨年の十月の末に与党のプロジェクトチームの決定に基づきまして、当初、二十年の四月から九月までは無料にする、そこから先は半年間は九割軽減という措置が決められたわけでありまして、何と申しますか、そこはよりきめの細かい配慮をすべきという御判断が昨年の秋の段階で加えられた結果、こういった、ありていに言えば三段階と申しますか、こういう形になったかと思います。  ただ、段階的な対応そのものはやはり激変緩和という考え方に基づくわけでありまして、介護保険制度を導入した際にも取られているわけでありまして、これは、今まで保険料を払わなかった方に御負担をお願いするという点と、それから同じ年金収入を得られておって、現に国保保険料を払っておられる方との均衡と、この二つの状態を勘案してバランスの取れたものだと私ども考えているところでございます。
  110. 中村博彦

    中村博彦君 水田局長だけがバランスが取れたというのは分かるんですけれども、やっぱり対象者に対して理解をしていく、そして国民全体の保険でございますから、医療保険でございますから、みんなに理解をしていただくという方策というものを是非考えてもらいたいわけでございます。  これについても、来年の四月一日から、平成二十一年四月一日から、七十歳から七十五歳未満の前期高齢者の窓口負担が現在の一割から二割になりますよね。負担額が倍になる。この辺もやはりどう国民に理解していただくか。そして、前期高齢者、この言葉がいいかどうかは別にして、この七十歳から七十四歳までの方にどう理解をしていただくか、その辺の方策を水田局長考えてもらいたい。
  111. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) これにつきましても十八年の制度改正のときに、六十五歳から七十歳の方は、これは三割の御負担をしていただく、それから医療の需要が増えるに従って、七十歳から七十五歳は二割負担それから七十五歳以上は三割負担と、こういう段階を踏んで御負担をお願いするということで、実はこの四月から七十歳から七十四歳の方につきましては一割負担を二割負担にしていただくと、こういうことを法律上は定めておったわけでございます。  それは先ほど申し上げましたように、その医療需要が高まるに従って段階的に給付率が下がっていくと、こういう仕組みをつくろうと思ったわけでありますけれども、これも先ほど申し上げました与党のプロジェクトチームの御判断によりまして一年間この一割を継続すると、その後につきましては引き続き検討すると、こういう扱いになったわけでございまして、私どもといたしましては、法律上は来年四月から二割になる、その意味で、当初想定していた段階的な適用ということに移っていただきたいと、このように思っているわけでありまして、その点につきましては周知徹底、これからも図っていきたいと、このように思っております。
  112. 中村博彦

    中村博彦君 この年金からの天引き制度、特別徴収、本当に波紋を呼んでおるわけでございます。  ただ、この国保保険料の滞納というのも、大阪東京を中心にして、世帯でいえば二割ぐらいが支払っていない状況なんですよね。こういう、金があっても払わないというのがおりますよね。大臣水田局長、どうしますか、こういう人たちを、これ、本当に。高齢者は天引きされる、金があっても国保払わないんだというような認識の悪い、何というか、ひどい国民、一部国民がいらっしゃるわけですが、こういう人々に対してどういう手を打たれますか。
  113. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) 国民健康保険におきましても、保険料の収納対策というのは大変重要なわけであります。  この人たちが保険料を払わないと、その分がまたほかの、まさに善良なる被保険者負担をするという、こういう形になるものですから、まさに委員御指摘のとおり、保険料を払わない、払える能力があるにもかかわらず払わない、こういう人たちに対しては厳しく当たっていきたいということでございまして、方法といたしまして、そういった保険料滞納者に対しましては、まず短期の被保険者証を出す、それから、一年を超えてそういった保険料滞納状態が続いて特別の事情にない人につきましてはさらに資格証明書を出すと、こういう手段を講じているところでございます。そういうこともあってか、ここ数年は収納率は向上する方向に向かっております。  一方で、お年寄りの方につきましては実は九八%あるいは九九%といった高い収納率を誇っておりますので、こういった資格書を出すとかいう事態も大変限られてくると思います。したがいまして、現実の問題としては、若い世代でその滞納が多いところにつきましてはやはり厳しく当たっていきたいと、このように考えております。
  114. 中村博彦

    中村博彦君 この後期高齢者医療制度というのは本当にいろいろ問題がございますから、早急に現場へ保険局長も赴いて、早急なる対応をお願いしたいと。  これ、民主党の先生方もいろいろ問題提起をされています。六十五歳から七十四歳の障害認定者、従来の制度後期高齢者医療制度の選択ができるというけれども、得心はできないんですよね。本当にそういう問題一つ取っても、是非、現場発信お願いをいたしたい、このように思います。  それでは、続きまして、リハビリテーション問題についてお聞かせをいただきたいと思います。  これ、平成十八年度の診療報酬改定において、呼吸器リハビリは九十日というように疾患別リハビリテーション料の算定日数上限が設定された。それ以上を望む患者さんには、選定医療として全額自己負担をせざるを得なくなったわけですよね。そして、この問題については国民運動になって、平成十九年四月には、算定日数上限について医師の判断と、治療を継続することにより状態が改善できると医学的判断ができる場合については可能になると。しかし、可能になったとしても計画や記録が膨大に必要になっておるわけでございます。十九年また四月よりは、二年に一度の診療報酬改定のルールを破ってリハビリテーションに逓減制の導入が行われた。今年の二十年四月から、診療報酬改定においてわずか一年で廃止された。その代わり、早期リハビリの加算や回復期リハビリテーション病棟入院料への成果主義が導入されたわけですね。  本当にこのリハビリテーションというのは患者にとって重要な生きるための医療サービスであるにもかかわらず、一貫性のない形で制度改正、報酬改定がなされたわけでございまして、今回の診療報酬改定も回復期リハビリテーション病棟では大いに減収になっている。それよりも、脳卒中患者の行き場がないという現実が現れているんです。この辺の問題についてどうお考えでしょうか、大臣
  115. 水田邦雄

    政府参考人水田邦雄君) リハビリテーションに関する診療報酬改定につきましては、実は十八年度の改定以来の基本的な一貫する姿勢というものがございまして、それはやはり早期のリハビリテーションを充実するということでありまして、そこの早期のリハビリを充実することによって後々の介護への負担というものも軽減していこうということであります。十八年当時はまた更にもう一歩進みまして、今、維持期のリハビリテーションにつきましては介護保険の方にゆだねようということで想定をしたわけでありますけれども、なかなか現実がそこに追い付かないということもありまして、平成十九年にこのリハビリテーション料の結果検証に基づきまして、平成十九年におきまして逓減制を導入することによって維持期のリハビリテーションにつきましても可能にするようにしようということを導入するとともに、先ほど委員が仰せになりました算定日数上限で該当する疾病について拡大をしたところでございます。  今回の二十年度の診療報酬改定におきましては、更に十九年度の改定で取られました逓減制とリハビリテーション医学管理料が患者にとって分かりにくいという御指摘があったことでございまして、その見直しを行ったところであります。  具体的に申し上げますと、逓減制に関しましては、今回、改定前におきまして、例えば脳卒中では一単位のリハビリテーションについて発症後百五十日を超えれば報酬点数が下がり、更に百八十日を超えて医学的に改善が見込まれない場合には月単位の包括点数であるリハビリテーション医学料を算定することになっていたわけでございますが、今回の改定で同じリハビリテーションについては発症からの日数にかかわらず一単位につき同一の報酬が算定できることとしたものでございます。  それから、委員の御指摘あった回復期リハビリテーション、脳卒中の患者さんが行きどころがなくなるんじゃないかという御指摘ございました。これ、特殊疾患療養病棟のことかと思いますけれども、これにつきましては、本来この特殊疾患療養病棟は障害者の方でありますとか難病患者、こういった方々のための病棟でありまして、そこに脳卒中の方が入ってこられるということになりますと、本来目的とした患者さんが必ずしも十分な医療が受けられないということで、重度の意識障害の方を除きまして脳卒中の後遺症の方につきましてはこの病棟の基本料を算定できないということにしたわけでありまして、これ、それぞれの病棟間の機能、役割分担ということからしたわけでありますし、また今回こういった措置をとるに当たりましては経過措置を導入して病院の直ちに減収にはつながらないような措置も講じたところでありまして、そういった点で御理解いただきたいと、このように思います。
  116. 中村博彦

    中村博彦君 今や、リハビリ崩壊という言葉が言われています。医療費抑制策ばかりが目立っていると。医療区分一、二の問題につきましては次回に譲ることといたします。  このリハビリ医療費が一九九七年から二〇〇七年間の十年間で約二倍になっている。PT、OT、STのリハビリスタッフはこの十年間で二万八千人から十一万人として四倍に増えているんですよ。よく介護の現場、看護の現場、人材流出、低賃金、労働環境の悪化と言われていますけれども、まさにリハビリの理学療法士、作業療法士の世界も低賃金、以前に比べて賃金減というのが叫ばれておるわけでございまして、今後の養成、需給見通し、待遇についての御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  117. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 今後、高齢化が一層進むにつれまして、リハビリテーションに関する専門職種であります理学療法士や作業療法士の方々が果たすべき役割は高まっていくものと思います。  平成十二年、介護保険ができた年、理学療法士及び作業療法士の需給の推計に関する意見書というものができました。この中で需要に対して供給が不足していたことが報告されているわけですけれども、このときと比べると、現在、平成十九年末現在が理学療法士が約五万九千人、作業療法士が約三万八千人、これが、平成十二年末に比べて理学療法士が約三万二千人、作業療法士が約二万三千人増加しております。養成所の定員についても近年着実に増加しておりまして、両資格合わせて平成十九年度で約一万九千人と、平成十二年度に比べて約二・四倍となっております。  現状においては必要な供給が進んできております。この先の需要については、もちろん地域の偏在とか施設間の偏在とかいうものがございますので、そういった状況を踏まえながら適正に判断していきたいと考えております。
  118. 中村博彦

    中村博彦君 診療報酬とか介護報酬以外で給与の源になるわけではございませんので、その辺の処遇という意味も考えながら診療報酬や介護報酬というものを考えて設定してもらいたいと思います。  それから、今回、理学療法士、作業療法士の国家試験の不適切問題がございました。共通問題七問、理学療法五問、作業療法十一問が不適切問題になって、大変な問題になったわけでございます。もう少しやはり国家試験というものは真剣に、かつ厳正な対応をお願いしたい。これ一体、試験委員というのはどうなっておるんでしょうか。厚生労働大臣の任命だそうでございますけれども、抜本的に見直していただきたい。安易に毎年、需給関係も見ず、安易な質問の中身で繰り返されておるようでございます。今後の国家試験の在り方、今回の言わば不祥事に対する対応というものをどういうようにお考えなのか、お答え願いたいと思います。
  119. 外口崇

    政府参考人外口崇君) まず、今年の国家試験でございますけれども、まず合格率が、理学療法士が平成二十年八六・六%、平成十九年は九三・二%でした。作業療法士が平成二十年は七三・六%、平成十九年は八五・八%となっており、昨年と比べて理学療法士が六・六%、作業療法士が一二・二%合格率が低下しております。  合格基準については総得点の六〇%以上という、これは昨年と同様でございます。その上で、今回かなり合格率が低下している傾向にあったことも踏まえて、受験生のレベルでは難し過ぎると判断された問題につきましては、不正解者のみ採点対象から除外したり、選択肢の表現があいまいな問題についてはいずれも正解とするといった対応により、受験生にとって年度間の試験問題の違いによる不利益ができるだけ少なくなるように配慮をしたところでございます。  もちろん、最近の養成者数の増に伴いまして受験者数も増加しておりますので、受験者のすそ野が広がっているという要因も否定はできませんけれども、今後とも、理学療法士及び作業療法士の確保に向けて適正な国家試験の実施に努めてまいりたいと考えております。
  120. 中村博彦

    中村博彦君 健康時代に入りまして、たばこと国民の健康という大きな問題が新聞紙上をにぎわせているわけでございます。自動販売機での購入についてのICカード、タスポによる成人識別制度が導入されるなど、動きが出てきています。また、神奈川県においては、公共施設での禁煙条例設定の検討がなされてきています。  そして、何よりも大きいのは、考え方を変えなくちゃならないのが、受動喫煙がもたらす健康障害に関しては科学的根拠が希薄であると言われておったわけでございます。しかし、世界保健機構、WHOでは受動喫煙も科学的根拠をもって健康障害を引き起こすことが示されるということで、論争に終止符が打たれたわけでございます。そういう流れの中にあってこの神奈川県の一つの大きな挑戦、国においてはこの受動喫煙防止の取組というものを考えられているか、大臣、どうでございましょうか。
  121. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 神奈川県は条例でこれを禁煙ということで、こういう動きを注目してまいりたいと思います。  それから、健康日本21という施策を健康増進法に基づいてやっておりますので、その中で、未成年者の喫煙防止やいわゆる受動的な喫煙、これの防止に取り組んでまいっております。  それから、先ほど引用なさいましたWHOの枠組条約、たばこ規制に関してございますけれども、その発効とともに、たばこ対策関係省庁連絡会議も設置してこれにも取り組んでまいります。  また、この三月から有識者による検討会も開催しておりまして、喫煙の悪影響から国民を守る、受動喫煙も含めて、そういう対策を更に進めてまいりたいと思っております。
  122. 中村博彦

    中村博彦君 今まで、喫煙と健康の問題に関する中間報告、財政制度等審議会では、たばこは合法的な嗜好品、自己責任で決めるべき、一方的に削減、禁止を求めるものではない。また、平成十八年度税制改正大綱、平成十七年十二月十五日では、たばこの積極的抑制は財政物資という基本的性格にかかわる、健康増進策を総合的に検討した結果を受けて、たばこ税の在り方について必要に応じ検討する、こういうような考え方が出されてはおります。  しかし、先ほども申し上げたように、WHOの見解でも示されたとおり、もうたばこに対する二十世紀型の考え方を改めていただいて、たばこ一箱千円という、そしてたばこはのまないという流れをつくっていただくようにお願いをいたしたい。大臣感想をひとつ。
  123. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 私はたばこを吸いませんですから、これの害というものについて逆によく認識しているつもりであります。  税制改正については、党の税調を中心にこういう議論もきちっとやるべきだというように思っておりますので、税制改正改正として、全体的にたばこ、喫煙の害に対する国民の意識を高め、そしてきちんとした施策を今後とも続けてまいりたいと思います。
  124. 中村博彦

    中村博彦君 財務省は来てくれておるんですかね。どうぞ。
  125. 遠藤乙彦

    ○副大臣(遠藤乙彦君) お答えをいたします。  たばこは特殊な嗜好品でございますので、従来からいわゆる財政物資とされまして、たばこ税を課税することによりまして他の物品に比べ高い税負担を求めてきているわけでございます。  健康対策の観点からたばこ税の税率を引き上げるべきと、先生の御指摘、誠にごもっともだと思いますが、財政物資というたばこの基本的な性格にかかわる問題であると考えております。このため、こうした観点からのたばこ税の在り方の検討につきましては、国際的なそういった流れも踏まえ、あらゆる健康増進策を総合的に検討した結果を受けて、必要に応じ行っていくべき事柄と考えております。
  126. 中村博彦

    中村博彦君 フィリピンの残留日本人二世についてお聞かせをいただきたいと思います。  中国残留日本人孤児の国籍取得は一段落付きましたけれども、海外で孤立している残留日系人は至る所におります。戦後六十年を経て高齢期に差しかかっているわけでございまして、現在、フィリピンには在留日本人二世が約三千人いる、そのうち八百人が無国籍状態にあり、さらにそのうち三百人が死亡か連絡先が不明とのことでございます。父系主義を取ってきた日本の国籍法からも、日本人の父とフィリピン人の女性との間に生まれた彼らは日本人であることに間違いないわけでございます。  そういう意味において、早急に就籍、推認できれば、就籍特別措置、人道的措置を講ずるべきときが来たんでないか、大臣にお伺いをいたしたいと思います。
  127. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、そういう境遇にあられる方についてはきちんと調査をし、そして今委員がおっしゃったような措置をやれればやるべきだというふうに思っておりますので、今後、実態について調査をした上で、どういう支援措置がとれるか、これは検討してまいりたいと思っております。
  128. 中村博彦

    中村博彦君 海外邦人の支援には日本財団も本当に積極的に取り組んでおるわけでございまして、民間との連携も政府が強化して、戦争での被害者というべき人々を積極的にここで対応をお願いいたしたい、このように思うわけでございます。  続いて、新日系フィリピン人というのがいらっしゃいます。残留日系人とは別に新日系フィリピン人という人たちが多数おられる。日本で働き、日本人の男性との間に子をもうけ帰国された方たちでございます。婚姻届を出していない、父親が認知していない日本国籍を取得できない日系人であります。一九九三年から二〇〇六年の十四年間で日本で出生届を出された子供は七万人もおるんです。これらの新日系フィリピン人について、日系人として合理的に推認できれば残留資格を認める国による人道的措置が早急に講じられるように、是非とも積極的な対応をお願いしたい。  法務省でございますか。
  129. 二階尚人

    政府参考人(二階尚人君) 委員御指摘のような方々が我が国に入国、在留しようとする場合は、当然、日本国籍を有する方につきましては日本人として帰国することが可能であり、また、日本国籍を有しない方であっても、両親の一方が日本人であり日本人の子として出生した方は、日本人の配偶者等の在留資格で入国、在留が認められます。このように、委員御指摘のような方々につきましては入国、在留は可能な仕組みとなっていますが、そのような方であることを公的書類により立証することが困難な場合があると承知しております。
  130. 中村博彦

    中村博彦君 今回、新聞報道でございますけれども、「「国籍法」大法廷判断へ」、日本人の父親とフィリピン人の母親の間に生まれた子らが、両親が結婚していないことを理由に日本国籍の取得を認めないのは違憲だとして、この判断が六月四日に判決が出るそうでございます。私は、一つの転機だと思います。どうかこの最高裁の判断を一つの転機として、法務省もまた厚生労働省も国籍取得についてひとつ前向きで御検討をいただきたいと思います。  最後に、厚生労働大臣にこの辺のことについて前向きな御答弁をお願いいたしたいと思います。
  131. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) きちんと調査をした上でこの血縁関係その他が確定された場合には、人道的な観点から、そしてまた日本の国の法律に基づいてこの人たちをどう支援するかということに対してきちんと対応すべきであると考えておりますので、そういう検討を政府としてもやりたいと思います。
  132. 中村博彦

    中村博彦君 前向きの大臣でございますので、どうぞこういう部分についても積極的な御対応をお願いいたしたいと思います。  質問を終わります。ありがとうございました。
  133. 石井みどり

    石井みどり君 自由民主党・無所属の会の石井みどりでございます。  先日、厚生労働省から、医療の安全の確保に向けた医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の在り方に関する試案、いわゆる第三次試案が提出されております。私も、この第二次試案については厚生労働委員会で御質問をさせていただきました。しかし、まだ幾つかの疑念がございますので、御質問をしたいと存じます。  私は、そもそもこの委員会の設置に関して、最初からボタンの掛け違えがあるんではないかというふうに思います。死亡の原因究明、再発防止システムの構築が主眼であったはずなのに、そこに処分、処罰という責任を追及する側面があることが、どうしても医療サイドから見て委員会の本質を見誤っていると思わざるを得ないわけであります。様々、医療関係者からも問題が指摘されております。  私は、この第三次試案は厚生労働省が単独で書いたのではなく、警察庁、法務省と十分に協議をした上で提出されたものだというふうに考えておりましたが、どうもその警察庁と法務省は承知していないのではないかという懸念が現在ございます。この点についてまず御確認をしたいと存じます。  一部の報道によりますと、法務省や警察庁などから厚労省が試案の公表を了解する旨の覚書を得ているというふうな記載がございましたが、これは事実でしょうか。
  134. 外口崇

    政府参考人外口崇君) まず、第三次試案の公表に当たって、御指摘のような覚書を取り交わしたかということですけれども、そういう事実はございません。  それで、この第三次試案につきましては、厚生労働省が作成し、警察庁、法務省との間で協議を重ねてきたものであり、その内容について両省庁の合意といいますか、了承を得て公表したものでございます。
  135. 石井みどり

    石井みどり君 合意をしたということでありますが、これ厚生労働省だけでなく、警察庁やあるいは法務省からもこの第三次試案の内容を十分了解をしているということをお聞かせいただきたいと思います。
  136. 米田壯

    政府参考人(米田壯君) この第三次試案の内容につきましては、警察庁も了解をしております。
  137. 三浦守

    政府参考人(三浦守君) 厚生労働省の方で公表されましたいわゆる第三次試案の策定に当たりましては、法務省といたしましても必要な協議を受けていたところでございまして、その点について私どもとしても了解をしてきたところでございます。
  138. 石井みどり

    石井みどり君 医療事故の原因究明というのは医療の専門家によってなされるべきであります。もう非常に高度に専門的な判断が求められるわけでありますし、医療の不確実性そして複雑性を考慮すると、そこにいわゆる素人の方が入る、この第三次試案でも一般の有識者が入るという記載がなされていますけれども、私はやはり真相究明、本当の原因を究明するんであれば、なぜ医療の素人の方を入れる必要があるのか、どうしてもそこが私はやはり納得がいきません。いかがでしょうか。
  139. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 確かに、この医療事故についてはかなり専門的な判断が必要でございますので、実際、専門家が中心となってやるわけでございますけれども、一方で、医療の専門家の間で常識であることについても、医療者以外には理解が困難であることも多いことであります。また、国民に分かりやすい調査報告書を作成するためにも、一般の有識者の参画が重要と考えております。  また、この委員会が適切に機能するためには、何よりも広く国民の信頼を得るものでなければならず、委員会の中立性と公正性が大変大事だと思います。このためにも、委員会は医療者だけで構成するのではなく、法律家やそのほかの有識者を入れることが必要であると考えております。
  140. 石井みどり

    石井みどり君 どうも、この点についてはいつも水掛け論といいますか、本当に医療が分からない方が入ってなぜそこの事実につながるのかということは、何度もこれ私、伺っていてどうしても納得いかない。当然その専門家もこれは非常に客観的な立場で議論をされる、そしてそれこそ本当に高度な内容が分かる方々ですから、当事者が入るわけではないですから、公正性とか公平性ということは当然担保されるというふうに思いますが、何度伺っても厚生労働省のお答えはそうなので、これがやはり医療界がそれでもって合意をされればいいと思いますが、私の疑念も払拭しない限り、なかなか医療界全体の理解を得るというのはこの第三次試案でも私は難しいのではないかという懸念を抱きます。  こういう委員会に関して、国際的な考え方としてWHOのガイドラインがございます。まあドラフトではありますが、私も久しぶりに辞書を片手に訳して随分頭の訓練にはなりましたが、医療事故についての報告と再発防止の仕組みに関してはやはり国際的なこういうものがあるわけで、このことを担当の省庁としては御承知でございましょうか。
  141. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 御指摘のWHOのドラフトガイドラインでございますけれども、これは二〇〇五年に案として提示されたものでございまして、これはヒヤリ・ハット、ニアミス、そういったものを含む自発的な届出制度として日本の医療事故情報収集等事業もこの中で紹介されております。全体的にはかなり広い範囲の医療事故についての報告と再発防止の仕組みについて述べているものでございまして、これは今考えている第三次試案の内容よりもっと幅広い医療安全対策に資するものとして参考になるものと考えております。
  142. 石井みどり

    石井みどり君 国際的な考え方、国際的なスタンダードとしては、原因究明を行う調査と処分を行う仕組みというのはもう分離するというのがこれはスタンダードでありますけれども、今御答弁がありましたように、いわゆるこれに関しては、このWHOのものに関してはインシデントからアクシデントまで含んでいるという、そしてインシデントに関しては、死亡事故以外のものに関しては日本では既にこれは医療事故情報収集等事業ですか、今御答弁があったような、というふうにシステムがあるとおっしゃっておられますが、やはり先ほど申し上げたように、この医療安全調査委員会が私は調査と処分が一緒になっている、ここにやはりどうしても混乱するというか、医療サイドからの納得が得られないという本質論がここにあるんではないかというふうに思っています。  特に、まず捜査機関の前駆体としての役割を持たせようとしている、その必要はないんではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  143. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 御指摘のように、このWHOの提言の中でも報告制度というのが報告者を罰する権力等のどのような権威からも独立すべきであると、こういった勧告がなされております、提言でございますが。実際、第三次試案の考え方でも、この医療安全調査委員会は医療事故の調査を行うんであって、医療従事者に対する行政処分や刑事処分はこれは医療安全調査委員会が行うということは想定しておりません。その意味で、調査をする医療安全調査委員会、これは報告書を作って公表するということまででございますので、調査と処分は言わば分離というふうに考えてもいいかと思います。  それからなお、第三次試案で示しておりますこの制度につきましては、医療関係者を中心とした委員会からの通知を踏まえて捜査機関が対応するという委員会の専門的な調査を捜査機関が尊重する仕組みを構築しようとしております。そのためには、委員会が適切に調査を行い、故意や重大な過失のある事例、その他悪質な事例に限って捜査機関に対して適時適切に通知することが必要であると考えております。また、逆にこうすることで、捜査機関においては委員会からの当該通知の有無を踏まえて対応がなされることも想定できるわけでございます。  なお、医療死亡事故の中には、故意や重大な過失を原因とするものでありまして刑事責任を問われることがやむを得ない事例というものが、これがやはりどうしても含まれるということは否定できないと考えております。
  144. 石井みどり

    石井みどり君 先ほどの御答弁の中でも国際的なガイドラインというところの御説明もありましたが、やはり事故については、個人の責任追及を行うんではなくてやはりシステムの改善を行うことが重要だということはこの委員会の試案でも出ておりますが、もう現在の医療技術は非常に進歩しておりますし、工学医療事故というのは決して個人の過失だけで起きるものではないと思います。やはり、システムの改善、マネージメントをきちんとしていくということが大事だと思うんですけれども医療事故の多くというのはやはりシステムエラーが原因でありますので、医師や歯科医師等の個人の処罰を中心とした行政処分の在り方も見直すべきではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  145. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 医療事故につきましては、診療行為そのものがリスクを内在しております。また、個人の過ちのみでなくシステムエラーに起因するものが多いと認識しております。そして、その防止に当たってはシステムの改善が重要と認識しております。  このため、今回お示しいたしました試案におきましては、委員会は医療事故におけるシステムエラーの観点からの調査を実施することとしていることから、医療事故に対する行政処分は、これは委員会が行政処分するわけではありませんけれども委員会の調査結果を参考に、システムエラーの改善に重点を置く方向としております。  なお、システムエラーの改善だけでは不十分と認められるときもあり得ますが、その際も、業務の停止を伴う処分よりも再教育を重視する方向で処分を実施することを考えております。
  146. 石井みどり

    石井みどり君 医療機能評価機構が実施している、先ほどもちょっと御説明あった医療事故情報収集等事業ですけれども、この事業そのものも充実させることがやはりインシデントからアクシデントまで含めて日本の医療安全を向上させていくためには大変重要になるかと思いますけれども、その辺りはいかがお考えでしょうか。
  147. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 医療機能評価機構が実施しております医療事故情報収集等事業は、この制度に参加しております医療機関から報告された医療事故情報等を収集、分析し提供することによりまして、広く医療機関医療安全対策に有用な情報を共有するとともに、国民に対して情報を提供することを通じて医療安全対策の一層の推進を図ることを目的としております。  今後とも、医療安全の確保に向けて、この医療事故情報収集等事業も大変大事でございますので、充実していきたいと考えております。
  148. 石井みどり

    石井みどり君 今、お役所言葉で充実とおっしゃったんですが、この第三次試案に出てくる医療安全調査委員会は、やはりこのものがもし本当に今おっしゃるようにきちんと機能すれば、これはやはり医療受け手側からも医療に対する信頼を回復する、そういうことにもつながるかと思いますけれども、やはりこの委員会がきちんと機能するということがこれは前提であります。そのための人材の確保あるいは予算措置と、そういうことをきちんと担保されているのかどうか。  あるいはまた、その透明性というところは、これはやはり公平公正なきちんとした調査が行われればそれが担保できるんだと思うんですけれども、今から設置しようとするこの医療安全調査委員会でございますが、これで失敗をすると本当に国民の方々からの医療への回復ということが極めて困難になるかと思いますが、取組に向けて大臣の御見解を伺いたいと存じます。
  149. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 石井委員と今の局長とのやり取りを聞いておりまして、そもそもこういう医療の安全調査委員会をなぜつくったかというのは、この医師不足、今の医療の問題の大きな一つに訴訟リスク、これが嫌だと。特に、福島県の大野病院の例以来、産婦人科のなり手がいなくなっている。私のところ、もう各地から産婦人科のお医者さんが直接メールで来ます。もうとにかく大野病院の件、これだけでも私は嫌になったというわけです。私も、ですから、いろんなお医者さんたちの意見をしょっちゅう毎日のように聞いています。  ただ、ただですね、片一方で患者の側の、国民のお医者さんに対する不信感があることもまた事実なんです。我々が議論するときに、医療提供者として梅村委員もおられますけれども、どうしてもこの議論をするときに訴訟リスク、じゃお医者さんはどう思っているか、この議論ばっかりしている。そうすると、今度患者の代表から厳しく私が追及される。大臣は医者の味方ばっかりするんですかと、患者どうですか、それは私たちは専門家じゃありません、専門知識はありませんと。しかし、どう考えても常識的に考え国民の目線で見りゃあの医療はひどいじゃないですかというのがあるんです。ですから、本当は医者と患者の間の相互信頼関係をどう築いていくか。そのために医療メディエーターのような制度もこれもいいだろうというふうに思っております。  ですから、この委員会の中に、医療専門家だけでやると、それは国民の側から見たら内輪で自分たちのミスを隠すためにやっているという批判が必ず起こります。ですから、その委員会に国民の代表、法律の代表も入って広く議論をして、そこで一つの案を出す。そして、その調査と処分とはまた別で、基本的にはやっぱり大野病院の例もこれはシステムのエラーの面が大きいわけですから、私は、将来的に安心できるような医療体制の再構築に向かって努力をしたいと思います。  そのときに訴訟リスクの回避というのはあくまで医者の立場からなんですよ。そうすると、訴訟してくださいと、あの医者ひどいじゃないかと、私の家族にこんなことされましたというのがあります。いつか、最近、帝京大学でしたかね、割りばしがこう入ったときに、あれだって専門家から見ての意見もありますよ。だけど、割りばし入っているのにちゃんと検査しないの悪いんじゃないかという意見もあるんです。私は判断付きません。ですから、それは委員会できちんとやって、そして、法廷の場で判事が判決を下すような形は最後の最後で、基本的にはそういうことをやらない。基本的には警察に訴えることはしない。しかし、その中できちんと議論する。  だから、私は、これは訴訟リスクというとお医者さんの立場もあるでしょう。しかし、別の側面も常に厚生労働大臣としては見ていかないといけないですから、できるだけ公平に、そしてお医者の皆さんが訴訟ということで萎縮しないでやれるように、それはWHOのガイドラインもあります。そういうことも参考にしながら、もしこの第三次試案で駄目なら、それは第四次、第五次ということもありましょうけれども、いつまでも延々と議論するわけにはいきません。ですから、是非、更に必要なら議論を深めた上で、国民の方々にも、そして医療提供者の側にも納得できるようないい委員会にしたいと思っております。
  150. 石井みどり

    石井みどり君 大臣、大変な御努力をいただいておりますので、是非この委員会が医療界の理解を得て、協力も得て、本当に国民のための安心、安全な医療確保というところにきちんとつながることを私も希望をいたしております。  それでは、昨今救急医療の崩壊というところがマスコミをにぎわしておりますが、今度はそのことに関して現在の課題と対策等を伺ってまいりたいと思います。  これは、大変申し訳ないんですが通告をしておりませんでしたが、大臣は現在、安心と希望の医療確保ビジョンというところで随分この問題も御議論をされておられますので、大変恐縮なんですが、大臣に冒頭のところをお答えいただければと存じます。  私、本来救急医療システムというのは地域完結が基本原則だと思いますが、完結すべき地域の二次医療圏域というのは現在全国に三百六十五か所ございます。本来は、その二次医療圏域ごとに救急医療の専門医というのはそれぞれ十五名が必要と言われている。全国で言えば、五千五百人の救急医療の専門医が必要と言われているにもかかわらず現在はその半分であります、二千五百人であります。にもかかわらず、昨今の患者さんの意識の変遷ということもあって、年間の救急の件数というのは五百万件を超えている現状がございます。  救急医療というのは本当に地域で人々が暮らす上での安心、安全の最も基本的な項目だと思いますが、なぜたらい回しのような救急医療の崩壊が起こったんでしょうか。大臣はどのように認識をされておられますでしょうか。
  151. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) それはいろんな理由があると思います。  基本的には、医師不足ということがあります。それから、地域のネットワークがきちんと取れていない。一次、二次、三次と上手に連携していけばいいわけですから、産婦人科だって、周産期のセンターがあって、そこにNICUから全部そろっていればそこに行けばいいんです。そのネットワークづくりも必要です。それから、もう本当に基本的にはやっぱり医師不足ということで、先ほどおっしゃったように緊急医が半分しかいない。半分しかいないなら、今の数を倍増せざるを得ませんね。それから、それはもちろん消防庁、それぞれの自治体、こういうところとも連携もしないといけません。  やらないといけない課題は、そして理由はたくさんあると思いますけれども、もう事ここに至った段階では、私は思い切った抜本的な大改革をするべき時期に来ているというように思いますので、先ほどの医療ビジョンの研究、検討会の中で、これは専門家の方々に意見をまとめていただいていますけれども、それをベースにして、政治の言葉としてきちんとどういう方向を示すかということをやっていきたいと思います。  それと、もう一つ大事なのは、先ほど医師が足りませんということを申し上げましたね。じゃ、増やして増え過ぎたらどうするんですかという意見もありますよ。ありますけれども、まさに、要するに週に八十時間とか九十時間とか働いている人がたくさんいるわけですね。これは危険ですよ、そういうお医者さんに、もうろうとしているんだから、診てもらうの。そうすると、彼らをノーマルな状況のワーキング時間というか労働時間にするならば、普通の状態の倍働いているなら、お医者さんは倍要るじゃないですか。そういうことを踏まえて、きちんとこれは新しい医療体制をつくらないといけないと思っておりますので、そういう方向で努力をしてまいります。
  152. 石井みどり

    石井みどり君 まさに医師不足、特に救急医療の専門医は本当に不足しています。理想的な体制で言えば五分の一しかない、二〇%しかいないという状況ですので、これは本当に今大臣が、ビジョンを出して取り組む、抜本的に取り組むというふうにおっしゃったわけですけれども、救急医療のお話をもう少しさせていただきます。  さっき大臣がおっしゃった一次、二次、三次、この特に一次、二次で崩壊してしまった。以前であれば、自分のかかっていた小児科あるいは内科、まず自分のかかっていたお医者さんに夜間とか日曜日とか相談をしていた。それが今、そのまず初期救急、一次のところも壊れてしまった。これはもちろん、今都市型でビル開業みたいなので夜そこにドクターがいないということもありますが、また、みんなが病院へ行きたいというようなところもあると思います。  それから、そのために結局、二次救急が二次救急の役割が果たせなくなった。そのことがすべて断れない三次救急に押し寄せてしまったというところの構造的な課題があるはずで、特に三次救急というのは本当は最後のとりでだったはずなのに、そこすらもはや壊れようとしている。だから、たらい回しなんという随分、五十回断られて五十一回目に受け入れてもらったとかいうような話が出ますが、搬送の問題というのはあくまでもアクセスの問題ですから、根本原因はやっぱり救急体制が一次も二次も壊れてしまった。救急医がいない。  さっき大臣が、週に何十時間もという、本当に、よく民主党の方々は労働環境の質問されますけれども、医者の労働環境こそ最悪、劣悪、何K職場だというふうに思います。平均でももう週八十時間を超えているというようなそういう状況ですので、なぜこれが、抜本的改革というふうにおっしゃったんですが、私はやはり一番は、本当に働いている、もうその使命感によって辛うじて支えられているこの方々に対して、その労働に見合う適切な評価、これをまずしてあげることではないかというふうに思いますが、大臣、いかがでしょう。
  153. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今年もその緊急医それから勤務医に対する診療報酬での手当てということをやりましたけど、それともう一つ委員ちらっと今おっしゃいましたけれども、これは日本国民全体でトリアージ、これをきちんとしないといけない。本当に危ない人が行こうと思うと、なぜたらい回しかと。もう、ちょっと熱が出ただけでそこに行っている子供を診ているということで、特に小児科。  ですからね、例えば兵庫県の県立の柏原病院、これは小児科を守る会というのをお母さん方がつくられて、それで一生懸命活動なさっているんですね。それで、結局医療崩壊を食い止めた。そこで作ったパンフレット、私、そのうち行こうと思うんですけど、行けないんでパンフレットを送っていただいたら、子供の熱が何度のときこうしなさい、顔色がこのときはこうだとフローチャートで書いてある。それ見るだけで物すごいトリアージやっているんですね。それで、例えば産婦人科にしても、正常分娩が七割。この七割の方は例えば助産師さんでもできるわけですよ。だから、そういうことをやって、帝王切開とか非常に難しいときに本当に高度の医療機関で使う。  だから、コンビニ診療をやめましょうというのがその柏原病院なんかの地域の取組。これで相当良くなっています。昼間行けばいいのに、夜になって行く、こういうことをやめてくださいという。そして、本当に急患の人、緊急の人が使えるようなこと。これももう国民のニーズが非常に高まっているので難しいとは思いますけれども、トリアージと。  これは先般、総理が御視察になった世田谷の成育センターなんというのは、子供を連れていくと、まず看護婦さんがそこでトリアージして急患から順にやっていく。これを社会全体でやっていくというのも、実はもう一つの手だと思っております。
  154. 石井みどり

    石井みどり君 アメリカの「ER」というNHKの番組見れば、まず看護師が、資格を持った看護師ですけど、最初にトリアージしていますね。それで振り分けている。あれはアメリカ型のERですから日本とは少し違いますけれども、そういうことを大臣はお考えなんだと思いますが。  今大臣から、私が後ほど質問しようと思った小児救急の一つ回答をおっしゃったんでなんですが、搬送の問題に関してもやはり改善が必要だと思っております。先ほど、搬送というのはあくまでも救急医療機関へのアクセスの一つのツールでありますので、その搬送を支援する体制の改善ということもやはり必要と思いますが、その一つに、救急医療情報システム、私は、広島県、これ相当初期につくったんですけれども、今全国に広がっています。  このシステムが十分有効に活用されていないということでございますが、これに関してのどういう手だてを考えておられるのか、お答えいただければと存じます。
  155. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 御指摘のように、この搬送の問題の中で救急医療情報システムの有効な活用というのも大変重要でございます。そして、この救急医療情報システムについては、本年度、随時更新に必要なシステム改修に対する予算補助措置を講じるとともに、診療報酬改定においても医師の事務作業を補助する職員を配置した場合の評価を創設し、その業務の対象にシステムへの情報入力も該当するとしたところであります。  こういった救急医療情報システムをより使いやすいものにしていくこと、あるいはこれと関連して、受入れ医療機関の円滑な選定を支援するコーディネーターの配置、こういったことも含めて、救急医療に対してこれからやっていくべきことはたくさんありますけれども、こういったことも重要でございますので、体制の確保に努めてまいりたいと考えております。
  156. 石井みどり

    石井みどり君 救急に関しては先ほど大臣が小児救急のことを少しお話しいただきましたけど、根っこは一緒でありまして、結局、非常にその評価が低いというところがあろうかと思います。非常に不採算部門であるということで、小児救急に関しても、時間外、夜間、休日ですね、これの救急医療体制、小児の救急医療体制の整備がこの報告を見ますとかなり遅れているということが言えますが、本当に今その一つの対策として非常にいい取組があるというふうに大臣はお答えいただいたんですが、この現状の認識と、そしてそのほかの対策をどのように取られるのか、お聞かせいただければと存じます。
  157. 外口崇

    政府参考人外口崇君) まず、小児救急医療体制の整備状況、現状でございますけれども、昨年末、全国実態調査を行った結果では、常勤又は当直体制により常時診療体制を確保している医療圏の割合が六五%でした。さらに、専門的な処置が必要な場合等に小児科医が速やかに駆け付け対応する体制を確保しているものを加えると、その割合が八九%となります。  厚生労働省といたしましては、引き続き小児救急医療施設の整備についての予算補助等により更なる体制の拡充を図っていくほか、小児救急電話相談事業、いわゆるシャープ八〇〇〇番ですけれども、こういったことを通じた専門家による助言や情報提供により保護者等の不安を解消する方策を推進するとともに、先ほど大臣から申し上げました地域の小児救急医療を支えようとする住民や関係機関による取組事例を紹介する等、引き続き支援を積極的に行ってまいりたいと考えております。
  158. 石井みどり

    石井みどり君 救急に関して、結局やはり、つまるところはお金の問題だと私は思っております。その点、大臣うなずいておられるので心強いんですが、先ほど来何度も出ましたし、それからこの委員会でも、あるいは厚生労働委員会や予算委員会でも繰り返し指摘されていることですけれども、日本の医療は決して高くない、非常に諸外国と比較しても医療が効率的、効果的に提供されている。OECD加盟国中もう対GDP比でも本当に下から何番目、三十か国中二十二番目というような、いろんなことを言われています。  これは、公的医療保険の運営というのは非常に低コストである、そして患者さん、受療者の方々にとっては一番何よりも有り難いのはフリーアクセスであるということ、そして医師の裁量によって必要な医療が提供をされている、そしてこれだけ忙しいドクターでもおおむねクオリティーが担保されているというWHOからもお褒めをいただくような非常にいい医療国民保険制度の下に運営されているわけですけれども、先ほど来出ていますように、大臣もおっしゃる医師不足、こういうことがやはりもう今や日本の医療が本当に危機に瀕している。このことを、私はやはり、つまるところお金の問題だと思っています。  財務省も今日お見えになっていますが、社会保障の歳出改革、削減によって財政収支を図ろうといういわゆる骨太の方針でありますが、毎年二千二百億ずつという、あとまだ二年ございますので、これがやはり私はどうしてもネック、これがやっぱり原因だというふうに思わざるを得ないんですが、大臣はこのことに関して今後どのように対応していかれるのか、お聞かせいただければと思います。
  159. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 最終的な負担国民が負わないといけない、それが消費税の形であれ何であれですね。そうすると、やっぱり国民の納得のいけるような必要な改革はきちんと行っていく。その上で、やはり高福祉高負担、低福祉低負担、給付と負担のバランスというのはそんなミラクルがあるわけではありません。そういうことをきちんと国民に御納得いただくためにも、今非常に不安ですね、医療そのものに対して。その不安を取り除くためには、かくかくしかじかの、例えば医師の数を増やし、コメディカル、医師以外の医療関係者の数を増やし、質を上げ、そしてこれだけの施策をやりますよというメニューを提示したいと思います。そのメニューに基づいて金額を計算すれば、それを国民がそういう施策をやれと、それについてきちんと自分たちも負担はするということをおっしゃっていただければ、それは施策として実ると思っております。
  160. 石井みどり

    石井みどり君 様々な先ほどから大臣からのお答えがございますが、やはり特に医師不足対策は、これはやっぱり即効性という、本当に、ウルトラCはないわけですけれども、やはり、今大臣おっしゃるように、これからどう日本の医療があるべきか、どう負担をして何を受け取っていくかというところを、きちんと、やはりもう一度、国民の方々の合意というところも、コンセンサスというところも含めてもう一度国民の方々にきちんと説明をして、そしてお考えいただいて、どういう医療をこれから選んでいきたいのかということだろうと思います。そうでないと国民の不安は解消されないと思います。  私はやはり、経済財政諮問会議において出てきている議論でありますが、大臣随分、混合診療の解禁ということで、民間議員から、あるいはほかの議員からも責められて、必死で原則自由化というところを守って踏ん張っておられるんですけれども、やはり公的医療費を抑制して、そして膨らむところの医療費に対して民間保険対応するというこの考え方、私たちはやはりどうしてもこれは納得できません。やはり、日本というのは本当に珍しい国で、社会保障に関しては社会主義的な手法がずっと昭和三十六年以来続いてきた。これがやはり安心して国民の方々が働いて国をつくってきた、その大きな要因だと思っておりますが、混合診療の原則自由化、解禁ということを随分この経済財政諮問会議で言われていますが、これに関して大臣はどうお考えでしょうか。
  161. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 必要かつ適切な医療というのは、基本的に国民保険という、これできちんと保険診療によって確保するということが大原則だと思います。命に値段を付けてはいけないと、貧しかったら病院にかかれない、金持ちならば命が助かる、こういう国であってはならないと、これが私の哲学であります。  したがって、そういう観点から見たときに、それはもう先端医療で、特にがんなんかの、この薬使いたいんだと、この医療機器を使いたいんだと、それは今、じゃ評価しましょうと、早くそれを認めましょうと、その評価という形で使えるような形は残してあります。それから、全く大金持ちが道楽でこの医療を使いたい、それは御自由にどうぞと、しかしやっぱり基本的なところは、みんなこれは保険で診れないと国民保険が駄目になりますよと、こういう観点からきちんと議論をしていきたいと思っております。
  162. 石井みどり

    石井みどり君 混合診療に関してのドラッグラグとかデバイスラグに関しては、これは審査を早くすればいいことであって、このことが混合診療の解禁と私は本質は違うと思っているんですが、随分経済財政諮問会議で必ずそれが出ますので、大臣の御奮闘を期待をしたいと思います。  私は、先ほども中村委員から出てちょっとびっくりいたしました。私は超党派でつくっております禁煙推進議連の事務局長をしておりますので、非常に財源として、この二千二百億のシーリング枠を外すんならどこに財源があるか。この前初めて財政金融委員会で、民主党の方の法案で、随分永田町に埋蔵金があるなんというすばらしいお話があったんですが、私は、どうしても財源がないとこのシーリング枠は外せない。そのために、目的税ではないけれども、たばこ課税、これが有効。一番歳入改革として、まず消費税とかなんとかの前にたばこ税の課税。これは、例えば千円なんかになったりしたらこれからスモーカーの方は尊敬されるんじゃないかというふうに思うぐらい、このたばこ税の増税を私は是非希望しておりますが、大臣としてのお考えはいかがでしょうか。
  163. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これはまず党の税調でしっかりもんでもらって、その結果をいただいた上で対応したいと思っております。
  164. 石井みどり

    石井みどり君 それでは最後の質問になりますが、私は政治家にとって言葉は命、まさに言霊であるというふうに思っておりました。政治家になってまだ八か月でありますが、大変反省をしていることがございます。  医療や介護の世界では、前期高齢者あるいは後期高齢者、ヤング・オールドあるいはオールド・オールドという表現をごく当たり前に使います。私も普通に当たり前に使ってまいりました。そのことに対して大変反省をいたしました。  これは、つい先日の朝日歌壇というところに投稿された歌を見ますと、本当に医療者というのは患者さんの心に添って、寄り添って医療を提供しなければいけない、そのことがまさに医療のアートの部分であったはずなのに、私の感度も鈍っていたんだなという思いがいたしました。  というのも、ここで投稿された歌を見ますと、「懸命に生きたる罪か人間の枠外されし後期高齢者」というのがございました。この方は初投稿で入選をされた。こういうふうに思われたんですね。また、手話通訳の方でありますが、「「後期」高齢者手話表現に迷いつつおわりは近いと手を動かしぬ」、後期高齢者の表現するのに、後期高齢者というのはどういう存在かというのを表現するためには人生の終わりが近い人たちのことというふうに表現するしかなかったというふうにおっしゃっています。また、これは伊那谷、伊那市にお住まいの方ですが、「「後期高齢者」言わしておけば言うものぞ奮然として春の雪掻く」というものがございました。  これは、選者のお一人で馬場あき子さんという有名な歌人ですが、この方が、政治は非情と分かってはいても、被保険者証が届いたとき、あなたは後期高齢者の資格を得ましたという文面にかっとした、侮蔑の言葉だとあります。この入選作の背後には、何十倍もの同様の歌、戦中戦後を必死で生きて、今、後期高齢者と呼ばれる人の傷心がある、想像力というものを官僚に求めたいというふうにありました。  本当に、私どもが思い至らなかったまさに反省すべきところだというふうに思っておりますが、こういう歌を聞かれて、大臣、いかが感じられますでしょうか。大臣のお答えをいただいて終わりたいと思います。
  165. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いろんな御批判は厳粛に受け止めないといけないと思います。  それから、ここにも医療提供者の方がおられます。我々が普通に話している例えば医学の用語でも、受け取る人によっては感じが違ってくる。私は、終末期の医療、ターミナルケアというのをずっとやってきましたので、何とか、例えば、これも横文字で恐縮なんですけれども、リビングウイルというのを法制化したいなと思ってずっとやってきておりました、大臣になる前に。  そういう観点から、終末期と言われても別に何ともないし、人間みんな死ぬものですから。そのときいかに尊厳を保ちながら人生を全うするかと、これが大事だという前向きに言っているつもりでも、終末という言葉でそういう感を抱かれるなら、私はやはり、こういう議論というのは、日ごろから国民的に広がりのある議論をしていけば、みんなが終末期とかリビングウイルというのを当たり前のように議論するようになっていればそういう違った感じ方もないと思いますので、そういうことも含めて、これからそういう言葉の使い方もこれはきちんとやっていかないといけない、そういうふうに思います。  ただ、もう一つ、七十五歳以上になって高齢になっていく、そうすると、例えば私はまだ若いと思っていても、いろんなやっぱり、人にもよりけりですけれども、それは六十のときよりも七十五のときの方が体力も落ちています、一般的に。  そういうことも厳然たる事実なので、事実は事実としてきちんと伝えるということもまた一方で必要かと思いますけれども、こういうことについては、やはりそれはメディアの取扱い方というのも一つ大きな感じがあると思いますから、大きなポイントになると思いますので、やはりこれは、私たち政治家のみならず、役人にしてもそれからメディアの方々にしても、国民的な課題として新しい政策を打ち立てるときにはどうすべきか。じゃ、例えば後期高齢者、長寿という名前に変えたけれども、じゃ、変えればいいのかということにもなります。  ですから、そういうことを含めて、いただいた批判に対しては厳粛に受け止めて対応したいと思っております。
  166. 石井みどり

    石井みどり君 ありがとうございました。
  167. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  大臣、お疲れのところ、よろしくお願いいたします。  まず一問目の質問でございますけれども障害者自立支援法に関しまして、その柱の一つは就労支援の抜本的強化でございます。私、今、公明党の雇用格差是正対策本部の本部長をやらせていただいておりまして、大臣にはいろんな提案を昨年からさせていただいておりますが、障害者の雇用促進に関しては、大事なポイントの一つがジョブコーチの拡充、そしてその役割の強化ということだと私は思っております。  大臣御承知のとおり、障害者を扱っている施設というのは元々福祉施設が多いわけで、省庁の縦割りでいうと厚生省の所管でした。ところが、ジョブコーチというのは基本的には労働省、旧労働省の管轄でして、これは厚生労働省になって、お互いに壁を取り払って相互乗り入れしながら障害者一般雇用に移行しやすいようにしていくということが私は方向性として正しいというふうに思っておりまして、障害者自立支援法もそれをうたっているんです。  うたっているんですけれども、批判がこの法律に多い一つの理由は、負担増はやったんだけれども、それは三種の障害者を対象にということで薄く広く負担をちょっと多くしたということをやったんですが、精神それから身体、知的の障害者で福祉施設、福祉工場、小規模作業所等から一般会社に正社員で行く人というのは非常に少ないんです。  これ移行率は、大臣御存じだと思いますが、大体一・六%しかない。年間でいうと、二千人ぐらいしか行かないわけですね。就労できる可能性のある障害者というのは全国で三百六十万人いるわけですが、一般雇用にいるのは今五十万人だけと。福祉の施設にいるのは大体十三万人でして、そこから一・六%しか、だから百人いたら一・六人しか平均で一般雇用に行かないんです。これを改善しないと、何をしても障害者自立支援法への批判というのはやまないと。名前は自立支援といっているのに自立する人少ないんですからね。  そこで私、今日は一点だけ、今現場から伺って問題だと思っている点、指摘をさせていただきます。  それは、平成十九年四月二日付けの厚労省から各都道府県の障害保健福祉主管部長あての通達で、事業所に第一号職場適応援助者、これジョブコーチです、を配置するに当たっては、各事業の人員配置基準に定める人員とは別に配置することが必要であるということが明記されました。分かりやすく言えば、助成金を受けるためには、就労移行支援を行っている事業所の自立支援事業の配置職員がジョブコーチと兼務ができなくなったんですね。だから、自立支援事業の管理者の立場を選ぶか、あるいは地域の障害センターからジョブコーチとしての支援依頼があったときジョブコーチとして働くかというのを、どっちかを選択しなさいという通達が出たわけです。  ところが、大臣御存じのとおり、多くの事業所では人数が足りません。ジョブコーチも一つの施設に二、三人しかいなかったりすると。そうすると、どうしても自立支援の職員の方を取る人が増えるんですね。  私はこのような状況では、今、政府の障害福祉計画で、平成二十三年度中に一般就労に移行する者を四倍以上というふうな目標を掲げております。だから、年間二千人を八千人ぐらい一般雇用に障害者が移るようにしようというのが政府の目標なんですが、我々公明党は一万人にしろと言っているんですけれども。  いずれにしても、このジョブコーチが自立支援の事業と兼務できないという状態だとこの目標を達成できないんじゃないかと私たち考えておりまして、是非大臣のリーダーシップで、ジョブコーチを自立支援事業の定数に組み入れて加算制度を設けるなどの制度の見直し、あるいは兼務を認めるというような措置を検討していただけないかと思いますが、いかがでしょうか。
  168. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 自立支援法上の人員の配置基準ありますね。そうすると、今おっしゃった移行支援の方をどうするか。二本立てでやっている。  それで、一般的に考えれば、兼職したりとかダブルに支払をするというのは非常に難しいことは確かです。ただ、何らかの形でそういうことを改めることができるかどうか、ちょっとそれは検討させていただきたいと思います。
  169. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 是非よろしくお願いいたします。これは現場からの、真剣にやっている団体の現場からの声でございます。  次に、今度は小児ぜんそくの問題で最初は事務方に、厚労省、伺いたいと思いますけれども平成十七年四月に厚生労働省制度改定の通達をしまして医療給付基準の見直しが図られました。簡単に申し上げれば、小児ぜんそくの患者について、主に重度の患者さんを対象に給付を重点化するという内容になっております。  基準が四つありまして、三か月に三回以上のぜんそくの大発作を起こした子供、それから二番目が一年以内に意識障害を伴う大発作があった子供、それから三番目に治療で人工呼吸管理、挿管を行っている場合の子供、四番目におおむね一か月以上の長期入院療法を行う場合の子供ということなんですけれども、まず、この給付基準の見直しが必要であった理由についてお答えいただきたいと思います。
  170. 村木厚子

    政府参考人(村木厚子君) 先生御質問のこの事業でございますが、小児慢性特定疾患治療研究事業に関する御質問だろうと思います。  この事業につきましては、それまで予算事業として実施をしていたところでございますが、制度の改善、重点化を図りつつ安定的な制度として運用をしていくという観点から、平成十七年四月から児童福祉法に位置付けて法律上の制度として実施をするということで、制度の強化をしたところでございます。  そうした中で、従前から実施していた対象疾患を基本としながらも、一つには症状の重さ、それから二つ目には治療の見通し、それから三つ目には治療に掛かる費用、こういったものをそれぞれの疾病の特性というものを総合的に考慮をした上でこの事業の対象を決めるということで、そういう原則を定めながら、専門家の意見も伺いながら、個々の疾患ごとに給付の対象となる具体的な基準を見直したものでございます。
  171. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 それで大臣、この関係で一問お伺いしますけれども、要するに、ぜんそくの治療で予防に重点を置いたということと、それから重度の、今私が自ら基準点申し上げましたけれども、重度の小児ぜんそくの患者さんを助けようということで、それは私分かるんです。それから、入院費に係る予算額が年々この給付基準の見直しの後減ってきましたから、医療費の抑制という観点もあったんでしょう。それは全体として理解できるんですが、私が懸念している点は単刀直入にこの一点なんです。  日本小児アレルギー学会、喘息死委員会の報告によると、大臣のところにデータ行っていると思いますが、小児ぜんそくの発作で死亡した子供の死亡前一年の診断が、軽症あるいは中症、中程度ですね、の子供さんと診断されていた方々が四〇%なんですね。だから、小児ぜんそくの発作で急に亡くなってしまった子供の四割が死亡前一年間の診断は重度になっていないわけです。  重度になっていないということは、今私が申し上げた基準に合致しないので、なかなか入院措置とかも受けていないということでございまして、私の要望は、この軽症、中症のレベルの小児ぜんそくの子供さんたちに対しても予防医療公費助成の拡大が可能であればちょっと検討をしていただきたいと。それは、もう理由は今申し上げたとおりです。四割の子供が軽度、中度で亡くなっているということでございますので、よろしくお願いいたします。
  172. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これ、実は私の家庭の問題でもありまして、私の子供は小児ぜんそくですし、私自身もぜんそくで今も常に常備薬を持っております。  それで、例えば、一々薬の名前は言いませんけれども、いろんな副作用はあるんですが、継続的に管理して投薬を行っていれば、むしろ治療というか、それはまあ治療なんですけど、副作用の心配よりも治療の実の方が上がるんです。それを、しかも、おっしゃるように、軽症でも死に至ることがあります。そのときは、やっぱり常に継続的に医者が管理していないところで、つまり、投薬を途中で中断したり、そういうときにばっと起こったときに、すぐそのときにはこれ薬打ちなさいというのは持っておけばいいですけど、そうじゃないともう止まっちゃう可能性があるんです。圧倒的に年寄りの方、御高齢の方の方が死亡率高いですよ。でも、子供はそういう例があるんですね。  これは、もう保険ももちろんその薬については利きます。だから、必ずしも入院するということは必要ありません。きちっとした投薬計画を立てて、そして予防的にやっていくということがあれば十分救えると思いますけど、安心して、かかるお医者さんによって、この程度の軽度だったら何もしないでいいと、これが悲惨なことになるんで、そういうことを含めてきちんとした対応をやってまいりたいと思います。
  173. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 是非お願いします。今、私、文科省からデータいただきましたけど、児童全体の三、四%がぜんそく持ちということで、十年間で大分増えているということでございますので、よろしくお願いいたします。  続きまして、今度は養子縁組あっせんの問題についてたくさん質問をさせていただきたいと思っております。事務方、御答弁は簡潔にお願いします。  まず、大臣、お時間ないと思うので、私、二〇〇五年、三年前に、この養子、特に海外向けの養子縁組あっせんの問題につきまして包括的に取り上げさせていただきました。恐らく国会では初めて本格的に取り上げさせていただいたんですが、そのとき私が指摘した問題点、大臣、お時間なくて議事録読んでられないと思いますので、三点まとめて申し上げます。  一つ目は、私と当時の政府当局の質疑のやり取りで、毎年何人の日本人の赤ちゃんが外国に養子に出されているか正確に把握されていないことが判明しました。実は、今もそうなんです。間違いなく今も把握されていません。どれぐらいの誤差で把握されていないか分かりません。厚労省数字持っているんです。しかし、その数字が信頼できるというふうに私は思ってないです。それは後で申し上げます。  今日は法務省、外務省も呼んでいますが、法務省の入国管理局も、外国人の夫婦が、入るときには自分たちで来て、出るときに日本人のゼロ歳児を連れて出国する際に適正な養子縁組がなされたかどうかチェックされておりません。今もされておりません。今日はもうちょっと前向きな答弁いただけることになっていますが、これが一点目。  二点目は、当時の読売新聞等の調査報道により、国内の、日本国内の養子あっせん事業者の中に法律で禁止されている営利目的の養子縁組あっせんをしているものがいる可能性が指摘されたと。また、海外養子の、海外に出された日本人の赤ちゃんの追跡調査も全くされていないので、日本人の赤ちゃんで海外で人身売買被害に遭った者がいる可能性が排除できない実態が明らかになりました。これは二点目です。  三点目は、この背景には国内法制度の不備があります。その要因の一つが、後で外務省に聞きますけれども、一九九三年のハーグ条約、ハーグ条約という名前の条約はいっぱいあるんですが、正式名称は国際養子縁組に関する子の保護及び協力に関する条約を日本政府が署名もしてない、批准もしてないという問題がございます。  この問題意識の下に、三年前に尾辻当時厚労大臣にいろいろお願いをして前向きな御答弁を伺ったんですが、まず事務方に聞きますけれども、私の質疑以後、もう三年たっていますが、国内の、日本国内の国際養子縁組をあっせんしている事業者の実態について正確な調査をして結果を公表されたかどうか、これお答えください。
  174. 村木厚子

    政府参考人(村木厚子君) 先生からの御指摘を受け、養子縁組の実態について毎年調査を行っているところでございます。ちなみに、平成十八年度におきましては、第二種社会福祉事業の届出を行っている養子縁組あっせん事業者数は全国で十一事業者、それによって国内にいる子供を国外の養子にあっせんした件数は全国で二十二件ということでございます。
  175. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 今、数字の話が大臣出てきましたけれども、三年前の私の質問ではどういうことを聞いたかというと、日本から一九九五年の一年間に海外に出た養子の数は何人ですかと当時厚労省に聞いたんです。大体今の数字と似たような数字が当時出てきた。ところが、これ今私手元に持っていますが、アメリカの国務省が各国別に一年間にどの国からアメリカに養子が来たかと書いてあるんですね。一九九五年のところを見たら、私びっくりしたんです。アメリカの国務省のオフィシャルのレポート、インターネットに公開している情報で六十名となっている。日本の厚労省が把握している数が、アメリカ以外の国も含めて二十数名だったんです。アメリカだけでもう既にギャップが四十名近いでしょう。だから、絶対正確じゃないよと。それはなぜかというと、これは厚労省の責任だと言っているんじゃないんです。要するに、子供をあっせんして海外に養子に出しているということを届けないでやっている無届け事業者がいっぱいあるんです。まあ、いっぱいといっても十幾つ、全国で確認されているのは。  大臣、先ほど、命に値段付けられないというお話ししましたけれども、手元に「赤ちゃんの値段」という本があります。これは今度お届けしますけれども、これを読んでいただければ、これは読売新聞の高倉さんという記者の方が何年間か掛けて調査報道をやって書かれました。この中には、そういう無届けの業者がやっていると。  それから、私の心配は、国際養子縁組と聞こえはいいですけれども、日本人の赤ちゃんが海外へ出されて、児童ポルノとか人身売買とか、場合によっては臓器売買ですね、臓器を取り出すためだけの目的で子供を海外に養子に出すということが海外では残念ながら事例があるんです。だから、そういう被害に日本のチェックが甘かったら日本人の赤ちゃんがなっていますよということなんですね。  それで、次の質問厚労省、またしますけれども、私は三年前に、こういう海外への赤ちゃんのあっせん事業をしている者を今の都道府県への届出制ではなくて認可制にすることを検討すべきじゃないかと、また、悪質なあっせん業者がいたら摘発をしたり刑事告発するべきじゃないかということを申し上げましたが、この進展状況を教えてください。
  176. 村木厚子

    政府参考人(村木厚子君) この養子縁組のあっせん事業者につきましては、現在、都道府県知事に届出が義務付けられております。無届けで事業を行っている事業者につきましては、把握をし次第自治体に調査をお願いをするということをしているところでございます。また、無届けの事業者を見付け次第自治体において届出を促すほか、社会福祉法におきまして、不当に利益を図った事業者や無届けの事業者に対しては、都道府県知事の業務停止命令、これに反した場合の罰則、それから児童福祉法におきましても、営利目的の養育あっせん行為を禁止する規定があり、罰則を定めているところでございます。これらの規定に基づきまして、都道府県において事業者の指導をお願いをしているところでございます。  先ほど、先生から届出とするか認可とするかということで、認可とすべきでないかという御指摘をさきにもいただいたところでございますが、これは社会福祉事業全般につきまして、事業の継続性、安定性を確保し、事業の適正な運営を確保するために規制をする必要性と、一方でまた、その事業の展開について自主性や創意工夫を可能とする必要性を総合的にバランスを見て決めているということを御理解を是非いただきたいと思っております。  いずれにしましても、大変児童の福祉に直接にかかわる問題でございますので、児童の利益が不当に侵害されることがないように、都道府県とも協力をして指導を徹底していきたいと考えているところでございます。
  177. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 審議官一つだけ答えてください。  私が質問した後に、どこかそういう養子あっせんをしている事業者が、何か法に基づかない、先ほど申し上げましたように、赤ちゃんあっせんしてお金取ったらこれは法律違反なんです。営利目的の養子あっせんはできないんです。でも、それをやっているらしい団体のことはいろんな報道で明らかになっています。  それから、もう一つ問題は、この本にも詳しく出てきますけれども、女性セブンとかの週刊誌で横浜で取り上げられた医者がいるんです。この人はもう自分で堂々と実名で新聞記者の質問に答えて、産婦人科のクリニックやっている、自分はこの二十年間ぐらいの間に五十人の赤ちゃんを、いろんな、まあ望まれない妊娠で産んだ人からもらって、それを、養子を欲しいという親にどんどんあげていたと。これは女性セブンにも出ているし、この本にも出ているんです。一度も横浜市、政令指定都市がこれ義務あるんです、横浜市から一本も電話掛かってこない。逆に、子供が欲しい全国の親から電話が来たり、それから赤ちゃんを産んですぐだれかに差し出したい匿名の人から電話が来たりと。だけど、行政から一本も電話来てないと書いてある。  厚労省は把握していますか、都道府県が何かそういう摘発したりとか調査へ入ったというのを。
  178. 村木厚子

    政府参考人(村木厚子君) この関係事業者に対する適正な指導を都道府県にお願いをし……
  179. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 原則論はいいです、実数を聞いているんです。
  180. 村木厚子

    政府参考人(村木厚子君) また、ガイドラインもお示しをしているところでございます。  都道府県においてこれらの指導、直接に摘発をしたかどうかということについて、私どもで具体的な件数を把握しておりません。
  181. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 じゃ、調査してください。私が質問通告した後に調査すべきでしょう、それは、通告しているんだから。恐らく、多分ないんですよ、ないんです。それは、都道府県の側もそういう意識がないんです、大臣ね。  次に、外務省、来ておりますね。伺いますが、先ほど私が申し上げた一九九三年のハーグ条約の批准に向けての国内法整備へ向けた検討状況及び今後の見通しについてお答えください。
  182. 猪俣弘司

    政府参考人(猪俣弘司君) 御指摘の条約は、先ほど先生の方から話がございました国際養子縁組に関します国際的な協力体制を確立することを目的としております。現在まで七十五か国が締約国になっておりますし、昨年にはアメリカが批准するということでございます。  この条約を締結するためには、委員も御承知のとおり、国内法の整備あるいは中央当局の指定などにつきまして更なる検討を行う必要があります。現時点では国内法整備等のめどは立っておりませんけれども、国際的な養子縁組に関しまして、当事者である子の基本的権利を尊重し、その最善の利益を確保することの意義も考えまして、外務省としましても、関係省庁と連絡を取りつつ、引き続き検討を進めていきたいと考えております。
  183. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 これは外務省だけではできないんですね。大臣、後で感想を伺いますけれども厚生労働省と法務省と外務省、恐らく三年前に私が尾辻大臣に相当強く申し上げたので、その直後には何度か協議が行われたと思います。ただ、その後私も取り上げなかった、関心が元々薄いということもあって、また棚上げになったんですね。  これは後ほど申し上げますが、国内法整備も必要なんです。場合によってはもう議員立法でもやって、やらなきゃいけないと今、私、準備をしているところでありますけれども、ただ一方で、真剣に外務省、厚労省、法務省でこの協議をして条約を批准すると。  アメリカが去年批准して今年から施行とありまして、これは大きいんですね。アメリカ合衆国というのは、先ほどちょっと指摘した国務省のデータベース見ると、数千人規模で、例えば去年一年間の例でいうと、中国本土から五千四百五十三名、グアテマラから四千七百名、ロシアから二千三百名、これは上位三か国ですけれども、養子が来ております。この条約にアメリカが入ると、条約に基づいた基準と手続で養子をモニターし始めますので、養子輸出国であるこういう国々もまたいろんな波紋が起こると思いますが。  次に、法務省、伺いたいと思います。  三年前に私が質疑を、質問をした際の御答弁では、外国人の夫婦が日本人の子供を海外に連れ出すときに、その子供がゼロ歳児であっても、有効なパスポートとビザを所持している限り簡単にできますよと、つまりノーチェックで出していますと。  私は、再度今日お聞きしますが、人身売買防止という観点に立てば、これはもう国際社会で取り組もうということになっているわけです、立てば、その子供と同伴者の関係ぐらい、出国時にちょっとおかしい点があれば、その子は何なんですかということぐらい聞く、チェックをする。私、すべての外国人夫婦に聞けと言っているわけではないんです。ただ、明らかに、アメリカでもロシアでも何人でもいいんですけれども、夫婦二人だけで入ってくる、あるいは別々で入ってくる、帰りにぱっと見たら、日本人の赤ちゃん抱えていると。それを、赤ちゃんのパスポートなんていうのは簡単に手に入りますね、これあっせん事業者が用意しますから、パスポートは。だから、ああ、パスポートですねと。で、子供の家族関係まで立ち入れないといって、そのままノーチェックで出しちゃうんです。  だから、最後のチェックポイントは法務省の入管なんですね。この点、どうですか。
  184. 二階尚人

    政府参考人(二階尚人君) 法務省といたしましても、出国の確認時に違法な行為を行っている者を発見し、所要の対応を取ることは重要であると考えております。  委員の御指摘のように、日本人の乳幼児の出国の際に、その乳幼児を同伴している大人との関係が不自然と考えられる場合には、その関係を尋ねるなどして違法な行為の発見に努めたいと考えております。そして、そのために近日中に全国の地方入国管理局に対し、委員御指摘のような背景を含め通知するとともに、職員向けの研修の場等を通じて周知を図ってまいりたいと考えております。
  185. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 三年前に比べると大分前向きの御答弁でありがとうございます。  法改正とか、これは要らないんです。要するに、出入国管理をやっている現場の担当官が直感、彼らは直感でやっているところもありますから、入管職員がこれはちょっとおかしいと思ったときに、本当に養子ですかと、養子の証明の書類ありますかというぐらい聞くだけで効果が違うと思いますので、是非お願いをしたいと思います。  舛添大臣、いろいろ既に申し上げておりますけれども、この国際養子縁組のあっせん、これが不十分にモニターされているということも含めて、私は大臣の是非リーダーシップをいただきたいと思っていますが、一言所感をいただければと思います。
  186. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) ハーグ条約にしても国内法制の整備が必要ですから、これは法務省、外務省と協議してどういう形で法的な枠組みを整備できるか。先ほど委員がおっしゃったように、場合によっては議員立法ということもあり得ると思いますけれども、こういう形で、先ほどアメリカの国務省の数字とこちらの数字が違うというのは、アメリカの数字が正しいとすれば抜けている部分があるわけですから、対応してみたいと思っています。
  187. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 次に、国内養子縁組あっせんの問題についてお聞きをします。  まず厚労省に、いわゆる要保護児童、十八歳未満の未婚、未成年の母親が出産直後に育児を放棄したり、あるいは親の虐待等で引き離されたりした児童のことを要保護児童というわけですが、平成十八年度のその児童の総数及び施設で養育されている子供の数と里親委託されている者の数と、それぞれお示しをいただきたいと思います。
  188. 村木厚子

    政府参考人(村木厚子君) 平成十八年十月一日現在の数字について申し上げます。  要保護児童の総数、四万二百九十八名でございます。このうち施設に入所している子供は三万六千八百七十四人、里親に委託されている子供は三千四百二十四人でございます。
  189. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 大臣、要保護児童数四万人、施設養護、施設にいる子供たちが三万六千八百七十四人、里親委託が三千四百二十四人と。  私、法務省関係から、家裁の方からデータをもらって、養子縁組で成立した平成十八年の件数は、特別養子、普通養子合わせて千三百十八名になっております。これ何が分かるかというと、日本では要保護児童といういろんな事情で家庭で育てられない子供が四万人もまだいるんですね。ところが、そのうち今の数字ですと九一・五%が施設で暮らしていると。家庭環境、つまり里親のところで暮らしている子供さんというのは八・四%にすぎない。養子縁組は更にその半分しかいないということで、非常に施設偏重主義であります。これは、子どもの権利条約の規定に照らしても、本来はすべてのそういう要保護児童が家庭環境で育てられるべきだというふうに国際社会一致しているわけで、九割以上の子供が施設にいるという日本の状況は極めて問題でございます。  実は、厚生労働省大臣もこれはよく分かっていて、今国会に出された児童福祉法改正案で里親制度の拡充を図るための措置をいろいろと打ち出しております。私、それは一般的に評価しているんですが、一点だけ納得できないところがあります。それは、要保護児童を比較的短期間預かる養育里親への手当は倍増することになっていますが、その要保護児童との養子縁組を前提として預かる養子縁組里親という方々もいるんですね、この方々への必要経費は出しますけれども、手当を今まで月三万四千円だったのをゼロにすると。私はこれはちょっと理解できないと思っているんです。  つまり、日本の里親制度を拡充しようというのはいいんですけれども、それが養子縁組を前提としている里親への支援を打ち切る理由には到底ならないと思うんですが、大臣の御所見をいただきたいと思います。
  190. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは、最終的に養子として迎えるわけですから、そういう意味で生活費とか必要な支援はしております。だけれども、手当としてその親に払う、しかしこっち側は養子じゃなくて、まさに制度として里親として仕事してあげましょうというのとはちょっとやっぱり違うだろうと。むしろ、要するに養育のため、養子として取るのを前提としないで、養育のためだけ制度として一生懸命里親としてやってくださっている方々の手当をその分引き上げたんですね。  私は、だから、そっちをほったらかしてこちらを減らすのなら問題があるかもしれませんですけれども、やっぱり最終的に養子として迎える立場と、そうじゃなくて里親として働いてくれる方はちょっと差を付けた方がいいかなという感じがして、その減らした分をむしろ、確か三万四千円を七万二千円に加算したわけですね。だから、ちょっとこれは、一般的な感覚からしても、そういうところが常識的な判断の落としどころかなというような気はしています。
  191. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 大臣のおっしゃっていることも、私も担当の厚労省の官僚の方とお話をして、全く理解していないわけじゃないんです。  ただ、要は実情は、養子縁組を前提じゃない養育里親の中には、途中で養子縁組やっぱりその子としたいと思う方もいるし、恐らく逆もあるんですね。養子縁組を前提に預かったんだけれども、やっぱり自分たちは無理だと、で、養育里親という役割で終わろうという方々も恐らくいるんじゃないかと。そうすると、途中で養育目的から養子縁組にしたい方とかいうことというのはあり得ると、理論上はですね。それから、実態上もあるというふうに聞いています。それからもう一つは、養育里親なら手当七万二千円だけれども、養子縁組を前提にしたら手当はゼロですよというと、何か私が受ける印象は、もう子供の社会的養護政策としては、養子縁組というのは、ちょっともう横に、わきに置いて、まずは里親、短期間預かる里親だけを拡充しようとしているように思えるんですね。  何が問題かというと、この施設へ預けられている子供たちというのは、大きく分ければ二種類の子供たちなんです。一種類目の子供というのは、児童虐待等の問題のために一時的に預けられている。だから、いずれは実親のところに戻る可能性もある子供たちですね。これは養育里親でも私いいと思うんです。ただ、親が完全にもう子供を養育するという責任とか義務を放棄しちゃっている子供たちがいると。その子供たちは、私は、早いうちに養子縁組に持っていかないと、この子は家庭を知らずに育つんです。  大臣、私、沖縄で、今からもう三年前ですけれども、児童養護施設へ行きました。そこですごく悲しい男の子に会いましたよ。その子、当時十八歳。生まれてからすぐ手放されて、十八歳までずっと施設です。家庭を知らずにもう成人したと思います。何でですかと私、施設の人に聞いたら、何度か養子縁組の話があったけれども、実親が、自分は育てないけれども、親子の縁は切りたくないと実の母親が言ったもんだから、それが最大の法律上の障害になって、彼はもらわれなかった。養育里親も見付からず、十八年間、一日も家庭を知らずに大人になっちゃったんです。この子、高校三年生でした。私は会って涙が出ましたよ。だから、どこか制度に不備があると思っているんです。  是非、これ大臣、今回の法改正ということもありますが、この養子縁組を軽視しちゃいけないと。養子縁組が社会的養護の政策として適切な子供たちもいるんだという認識に立った制度の見直しをちょっと考えていただきたいんですが、いかがでしょうか。
  192. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 一つのやり方は、養子縁組を前提とした里親制度とそうじゃないのの区別を最初からなくしちゃうのも一つかもしれないですね、場合によっては。  ただ、じゃ、ある段階で、今日から私の養子に決まりましたといったら、そこでやっぱり手当を打ち切るのか、それともそれでも続けるのか。そうすると、先ほどおっしゃったように、手当をもらうためにぎりぎりまで養子縁組しないということもあり得ると思いますね。かといって、逆に、養子縁組を前提としない里親制度を増やさなければ、先ほどの今沖縄の例のように、絶対実の親が嫌だと言ったときに、そっちの制度がなければ永遠に家庭の味というのは味わわないで成長しちゃうので、ちょっとこれはいろんな観点から実例に基づいて検証する必要があると思いますので、そういう様々な観点から検証してやはり子供に家庭の体験というのをきちんとやらせる、そういうことを試みたいと思います。
  193. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 大臣の最後の一言、大変心強いです。  それで、実は大臣厚生労働省平成十四年九月五日付けで出した通知があるんですね。これ、タイトルは「養子制度等の運用について」という通知なんですけれども、この通知には明確にこう書いてあるんです。「児童相談所長は、」、児相の所長ですね、「要保護児童対策の一環として、保護に欠ける児童が適当な養親を見い出し、適正な養子縁組を結べるよう努めること。」と明示されているんです、努力規定ではあるんですけれども。  ちょっとここで村木さん、聞きますけれども、この通知の後に児童相談所があっせんを主導して成立した養子縁組というのはどの程度あるのか、実数を示してください。
  194. 村木厚子

    政府参考人(村木厚子君) 平成十四年度から十八年度までの数字でございますが、養子縁組をされたことによって里親委託を解除した子供の総数は千二百十六名でございます。
  195. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 まだ少ないといえば少ないんですが、ただ、全体の養子縁組の数自体が年間千二百とか千三百ぐらいが日本ですから、そのうち二百ぐらいは児童相談所の所長がかかわってやっているということで、ここを私は広げていくということも、養育里親の制度を拡充すると同時に、大臣考えていただきたいんですね。  私の最後の質問になりますけれども、私は、養子縁組のみならず、里親委託も日本は先ほど申し上げたように一〇%以下と成果は芳しくない。オーストラリアでは要保護児童の九割が、そしてイギリスでは八割が里親委託されているわけです。  この原因を考えたときに、一点目はまず制度自体の周知徹底が非常に弱いと。大臣も海外経験があるから御存じだと思いますが、私もイギリス六年住んでいて、イギリスは道を歩いているだけでもフォスターペアレントという、里親募集というような、それをまた促進している団体の宣伝とかをよく看板等で見かけます。日本は、正直言いますよ、犬とか猫の里親募集の張り紙とか看板はよく見るけれども、人間の子供の里親募集の話は全然見ないんですよ。これは制度周知徹底が弱い。これが一点目の問題だと思います。  二点目の問題は、児童相談所の職員の絶対数が私は足りないと思っております。今児童虐待への対応等で非常に多忙を極めている。そんな中で、非常にややこしい複雑な養子縁組とかそういった問題にかかわり合えない職員が増えていると思いますので、ここは予算措置も含めてしっかりやらなきゃいけない。  最後に、日本では重大な法制上の欠陥があると思っています。それは、身分法上の養子縁組の要件を定めた養子法は民法の中にあるんですが、養子あっせんの要件を決めた法律はないんです。ほかの国ではこれはあるんですね。別法で立てられているわけですが、最後の点については、先ほど申し上げたとおり、私自ら議員立法をやって、最後はこれ党派を超えて賛成をしていただいて、日本人の赤ちゃんが幸せな家庭に行けるような体制を整えたいと思っていますが。  大臣、最後に、この二点目の児相の拡充、それから周知徹底についての決意をお聞かせをいただきたいと思います。
  196. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 増員への努力は続けておりますけれども、いかんせん、とにかく全体の予算の制約の中でどこにどういうふうにめり張りを付けるかというのは非常に大きな問題。引き続き、人員の確保には努めていきたいと思います。  それからもう一つ、昔の日本は養子縁組というのは普通だったですね。それで、血縁のない子供とかいうのは幾らでもいたわけで、大体姓が何回も変わっていますよ。それを養子縁組してきた。だけれども、特に戦後になって、ある意味でアメリカ的なファミリー意識が強くなってきて、ところが、現に今アメリカというのはもっと簡単に養子を受け入れる。だから、血縁によらないファミリーというのはあるんですよということをもう少し社会全体が受け入れるということじゃないと、今のお話だと、養子に対する要件の法律を作って、児童相談所を拡充してどうすればと言うけど、やっぱり一般の意識でそこの、ファミリーというのはいろんな形があるんですよと。私の友人のアメリカ人でも、それは白人ですけれども、黒人の子供がいたりアジア人の子供がいて、これ全部自分の子供だと。何の違和感もない。  だから、私はそういう開かれた国に日本がなるべきだと思いますので、そういう国民の意識の改革ということも実はこの裏にあるというふうに思います。
  197. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 終わっていますけど一言だけ。  大臣、こういう言葉があるんです。戦前は家のための養子制度、戦後は夫婦のための養子制度と。私が今求めているのは、子供のための養子制度だということなので、よろしくお願いします。  以上で終わります。
  198. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  私は、弁護士として、また党国会議員団ハンセン病問題プロジェクトチームの事務局長として、ハンセン病問題の早期全面解決のために活動をしてまいりました。今日は、ハンセン病療養所の将来について舛添大臣の認識と決意をお伺いをしたいと思います。  ハンセン病にかかったというだけで社会での生活を強制的に断ち切られ、肉親とのきずなを失い、ふるさとを奪われ、終生隔離されるという我が国の残酷な絶対隔離絶滅政策を断罪した熊本地裁判決から五月十一日で七年を迎えるにもかかわらず、根強い偏見、差別や療養所の将来不安の深刻化、そして社会で生活する方々が十分な医療を受けることもできない現状など、裁判に勝ってもハンセン病回復者の人間回復はなお遠く、その打開を期して基本法制定の機運が高まっているわけでございます。  先週二十四日、ハンセン病対策議員懇談会及びハンセン病問題の最終解決を進める国会議員懇談会の合同会議が開催されまして、ここで八十万筆余りもの要請署名が提出されました。この場で、ハンセン病違憲国賠訴訟全国原告団協議会、全原協の谺雄二会長は、このままでは明治以来の隔離絶滅政策が遂行されてしまうと訴えられました。全療協、全国ハンセン病療養所入所者協議会の神美知宏事務局長は、将来構想ができなければ死んでも死に切れない、最後の闘いだとおっしゃって先頭に立ってこられたわけです。  実際、療養所の入所者は、今年の二月一日現在で二千七百六十四人となり、平均年齢は七十九・六歳です。毎年、二百人近くがお亡くなりになっていっています。この方々に生きていて良かったと感じていただける十分な医療、介護の体制、そして施設丸ごとの社会復帰、これが国民的な願いだと思うんですね。  もとより、この基本法制定は議員立法でありますけれども、この機運を舛添大臣がどのように受け止めていらっしゃるか、まずお伺いします。
  199. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これまでも何度もハンセン病の代表の方々とお会いしましたし、実は今年の初めに鹿児島の施設で胎児標本の慰霊祭にどうしても私行きたいと思って、皆さんをお待たせしていたんですけど、どうも国会日程と公務で動き取れませんでした。  何とか、特に、今おっしゃったように、大変御高齢になっている、いろんな施設についても問題が起こってきたりしている。これはきちんと対応すべきだと思いますので、これは議員立法でおやりになるということですが、そういう法律の制定については関心を持って見守ってまいりたいと思っております。
  200. 仁比聡平

    仁比聡平君 そこで、まず切実な医師の確保についてお尋ねをいたします。  ハンセン病療養所は、かつては療養所とは名ばかりで、患者を強制収容する施設でございました。戦後も、特効薬プロミンの獲得闘争を始めとして、全患協、今の全療協を中心とした激しい要求闘争によって医療の保障を少しずつ積み上げてきたという特別の歴史がございます。  全療協の宮里光雄会長は、要求を積み重ねて築かれてきた療養所の医療や介護が今なし崩しに崩壊していると、隔離政策への責任を果たそうとしない国への厳しい怒りをにじませていらっしゃいました。実際、静岡県の駿河療養所では、〇七年の四月に副園長が退職をされて以来一年間、定員六名に対して三名しか常勤の医師がおらず四十六名のパート医師の日替わりと。とりわけ内科医がいないというハンセン病療養所では私はあってはならないと思いますけれども、そういった状況が続きました。駿河のこの深刻な事態については四月にやや改善を見たところでございますけれども全国十三の療養所で、医師定員の拡充どころか常勤医の欠員が解消されていないという深刻な事態にございます。  平成十七年度のハンセン病問題対策協議会における確認事項の第二項では、厚生労働省は、社会内で生活するのと遜色のない水準医療確保するために、療養所内のプライマリーケア、リハビリテーションなどの充実が必要であり、そのための医師の確保、機器の重点化を図るとともに、療養所内で対応できない専門的な医療については、療養所外の医療機関と連携して行う委託治療の充実を図るものとすると約束をされているわけですね。  この確認事項に照らしても、医師の欠員を招いている国の責任は重大ではないでしょうか。一刻も早く欠員を解消し、更に拡充をすべきであると私は思いますが、大臣、いかがでしょう。
  201. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 今引用くださった駿河、何とか二名、四月、確保しております。まだ実はこれでも一名足りない。先ほど来の議論にもありますように、全体にこの医師の不足という中で、このハンセン病の施設に対するお医者さんの数というのもそういう状況ですから、これは療養所と厚生省とよく話をし、さらに、当面は近隣のお医者さんに委託してもらうというような形で今しのいでおりますけど、何とかこれも今後努力をして拡充していきたいと思っております。
  202. 仁比聡平

    仁比聡平君 せめて定員の確保はと、充足をというのは、これは当然の要求だと思います。施設長協議会の要望書を拝見しましても、国立十三療養所は、入所者を守る福祉、医療、看護に関して新たな問題をはらみ、それらが重大な危機に進展しつつあるというふうに述べていらっしゃるわけですね。少し紹介しますと、高齢化に伴って入所者の九八%が慢性疾患を持って、一日平均の診療件数、これは九〇・七%で、つまり入所者は毎日診療を受けているわけです。  全療協の二月の調査によりますと、入所者のうち寝たきりが二百人で七・三%、食事介助を必要とする方が七百六十四人で二七・八%、そして失禁でおむつを使わざるを得ないという方が五百四十人で一九・六%、そして徘回を含む認知症の方が三百八十人、一三・八%という、こういう実態になってきているわけです。中でも不自由者棟の実態は深刻でございます。職員不足が恒常化する中で、知らない間に大便、小便が出て、以前はインターホンで呼べば三十分で来てくれていたのに、このごろは一時間たっても来てもらえない。気持ち悪いのをぬれたままじっと待っている、そう語られる入所者の方がいらっしゃいます。  在園期間が五十年、六十年という、そういう長きにわたって隔離を続けられて、その間、患者作業で指や手足を失いながら今の療養所をつくってこられたこの先輩方が、なぜこんな思いをさせられなきゃいけないのかと。人手不足だから我慢しろということには私はならないと思うんですね。療養所の医療、介護体制の充実は当然の国の責任だと思います。大臣がこのような入所者の実態を御存じだったか、私はこの実態を調査し、そしてきちんと検証するべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  203. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いろんな調査の報告が上がってきておりますけれども、更にまた調査をし、それからできれば私は先ほど申し上げたように、現場を見たいというふうに思っています。なかなか今のこの国会の日程だとやりくり付きませんですけれども、時間があれば是非行ってまいりたいと思っています。
  204. 仁比聡平

    仁比聡平君 医師だけでなく、職員の拡充が私は必要だと思います。特に強制隔離政策によって家族とふるさとを奪われ、社会復帰が極めて難しい入所者の重篤な後遺症と高齢化、その中でその方々との信頼関係の醸成に療養所の職員は特段の努力を重ねてこられました。入所者からは、生涯この職員さんたちと家族のような思いでお世話になっていきたい、仲間として付き合っていきたいと、こういった声が強く上がっております。  医療職であろうと行(一)、行(二)職であろうとにかかわらず、療養所のすべての業務は入所者との信頼関係なくして成り立たないと思いますが、大臣、いかがですか。
  205. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) こういうハンセン病療養所の職員の仕事は本当大変だと思いますし、それからまたハンセン病の皆さん方との常日ごろの接触、そして本当に今おっしゃったように家族のように仕事をするということですから、それはもう基本的にみんな一生懸命頑張ってくれているし、信頼関係もきちんと確立しているというふうに思っております。
  206. 仁比聡平

    仁比聡平君 職員の多くを占めます賃金職員について少しお尋ねをいたします。  先ほど患者作業のことを少し申し上げましたけれども、隔離政策の下で療養所とは名ばかりだという声がありました。少ない職員に代わって入所者があらゆる作業をさせられてきたわけですね。患者さんの看護や介護、そして亡くなられた僚友の火葬作業までも入所者が自らさせられてまいりました。その中で、末梢神経の麻痺で感覚を失った入所者にとって大変過酷な作業が続けられ、末梢麻痺を起こしても、凍傷を起こしても気付かずに、指の切断も入所者が自ら行うというような残酷な事態が続いたわけでございます。行(二)職、賃金職員という方々は、この患者作業を患者から国に返還するという、そういう闘争の中で、作業返還闘争の中で、国が肩代わりをさせてきたものというふうに私は理解してよい歴史があると思うんですね。  この賃金職員の皆さんは、従前は何年か、例えば十年ほど勤めれば定員化をされてきましたけれども、今定員化の道が閉ざされて将来展望を見出せなくなっているという深刻な事態がございます。法的には賃金職員は日々雇用の形式とされているそうですけれども、そのような不安定な雇用形態では先ほど大臣もおっしゃった信頼関係の醸成も私は困難になっていきかねないと思うんです。  入所者の終生の在園保障という私たちが絶対ゆるがせにしてはならない立場からしても、職員の雇用の安定は不可欠であると私は思いますけれども大臣、いかがでしょうか。
  207. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) この国立の施設、ここに限らず、すべてやっぱり定員の事情というのは大変厳しい。そういう中で、サービスの質を落とさないために今おっしゃった賃金職員という形で、一年以内の任期で一日八時間という、こういうことで採用する。しかし、彼らが、だからといって手を抜いているということを思っていません。それなりに一生懸命やっぱり頑張ってくれているものと、そういうふうに思っております。
  208. 仁比聡平

    仁比聡平君 私も、賃金職員の皆さんがそういった不安定な雇用条件や、あるいは最近、賃金も含めた労働条件の悪化という事態やその懸念というのがある中でも、それがある中でも入所者のことを最優先に考えて必死に努力をしてこられているというふうに私も思います。だからこそ、在園保障を十全ならしめるためにも、雇用の不安定というのはこれは解消しなければならないと思うわけですね。  今実際、医師だけじゃなくて、行(二)職あるいはこれまで賃金職員として担われてきている職種の欠員が常態化をし、更に定数減が行われていくなら、しわ寄せを受けるのは入所者でございます。このことが立ち枯れ政策と厳しく指弾されているわけで、余生を生きていて良かったと思えるように、感じれるようにしていただくためには、政府の立場からしても、必要な人員は国の責任で確保するということが当然ではないかと思いますけれども大臣、いかがですか。
  209. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 定員の増の要求をし、それを確保する、さらには予算確保する、毎年こういうことの努力は続けております。今年も相当頑張りました。しかし、おのずから全体の予算の抑制の中で限度があります。その限度の中で最適なことをやっていきたいと思いますし、今後ともそういう努力は継続してまいりたいと思っております。
  210. 仁比聡平

    仁比聡平君 施設長協議会の要望を拝見をいたしましても、例えばこういうくだりがございます。定員職員と賃金職員との区別なく同様の業務を担っている職場が多いため、定員職員数の急激な減少及び賃金職員から定員内職員への採用の機会が閉ざされることによって士気の低下あるいは入所者を守る福祉、看護の不慮の事故の出来が危惧されているという、こういう声なんですね。  大臣は、こういった声が施設長の中からも上がっているということは御存じでしょうか。
  211. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) いろいろ現場からの声は聴いておりますけれども、そういう声も踏まえて、人員と予算、この獲得に更に努力を続けてまいりたいと思います。
  212. 仁比聡平

    仁比聡平君 必要な人員は国の責任で予算、人員の獲得に当然努力するということが、とりわけこの国立ハンセン病療養所において国の責任として求められていると私は思います。入所者は隔離政策の下で、そこでしか生きる場所がないという状況になり、そして高齢化しているわけです。その入所者が、余生を支えられ、家族、仲間として信頼する職員を確保してほしいという要求は私は真っ先に受け止めなければならないものだと思いますので、大臣の格段の御努力を強くお願いを申し上げておきたいと思います。  必要な人員は確保するということを一般論ではなくて現実にどう担保するかが焦点なわけですが、行政(二)職の後補充はしないという政府の、私は頑迷と言われても仕方がないと思いますが、その態度の下で深刻な事態が現実化しております。  お手元に資料を三枚お配りをいたしました。この一枚目の地図を御覧いただきますように、これは国立療養所大島青松園という香川県にございます療養所の地図です。御覧のように孤島でございまして、かつてははしけに引かれた小舟で入所者は隔離をされてきました。岡山県の長島、ここは邑久光明園、長島愛生園という療養所がありますが、二十年前に橋が架けられたことによって、この大島が唯一の孤島の療養所となっているわけですね。その条件の下で、本来なら橋を架けてほしいという願いもある中で、この図面に路線図がかいてありますが、官用船による船便が入所者にとって唯一の社会とのつながりであり、職員にとっても不可欠の通勤手段となってまいりました。この増便はかねてからの強い要求でございます。  ところが、船員さんの定年退職によって、本来八人の定員のところが今現在六名しか現員がいないという定員割れが生じて、二枚目には昨年の四月以降の時刻表がありますが、この大島発、高松発、それぞれ十八時十分、十八時三十五分という、この高松便の遅い便が増便を四月からされていたのが、四月から九月の半年間増便がされていたのが、今年は、三枚目にありますように、六月から八月の三か月間に短縮せざるを得なくなっているわけです。  さらに、この船の船員さん、残る六名の方のうち、これから三年間で三名の職員さんが定年を迎えられるということで、そうなると、この唯一の足としての船、社会への窓口の唯一の船が一体将来どうなるのかと、この入所者の不安は想像に余りあるものがございます。新たな隔離になるのではないかという厳しい声まで指摘をされている中で、私は早急に船員を確保して従前どおりの運航を行うのは当然ではないかと思います。  大臣の答弁を青松園の皆さんはインターネット中継で今御覧になっておられます。大臣、いかがでしょうか。
  213. 外口崇

    政府参考人外口崇君) 大島青松園、今入所者の方約百三十名ほどおられると思います。この大島青松園と御指摘の高松築港の間、それから大島青松園と庵治港の間、この二つの港の間の船便がございます。この船便は大変重要な交通手段でございます。  これまで四月から九月まで六か月間は、このうち大島青松園と高松築港の間については夕方に増便を行ってまいりました。しかしながら、大島青松園と高松築港の間の夕方の便を利用する方がほとんどおらなかったことから、入所者の自治会との話合いを経た合意の上で、本年から夕方の増便を行う期間を六月から八月までの三か月間と計画しているところであります。船は八十六人乗りと百八十人乗りと二隻ございまして、これらの運航をしているところでございます。
  214. 仁比聡平

    仁比聡平君 大臣の答弁の前に、今局長から自治会との合意の上でというお話で、この今年の減便そのものは自治会もいろいろ協議をしてきたところだというのは私も承知をしておりますけれどもね。ただ、その理由について乗る人が少なくなったからというお話については、私は全く納得がいかないですよ。そのことを自治会の皆さんが了承されていますか。そんなことはない。それは高齢化していく中で、行動範囲が狭くなった方はあるかもしれません。だけれども、実際にその便を使って行きたい、高松に行きたいという方は現におられるわけですよね。だから、将来不安が、そして新たな隔離ではないかという声が厳しく出ているわけで、そんなことをこの国会のこの答弁としておっしゃるというこの事態は私は大変遺憾でございます。  大臣にお尋ねをしたいと思いますけれども、この船の船員さんも、入所者の顔を見れば、名前はもちろんのこと、どんな方でどんな不自由を抱えているか十分に知っておられて、厚い信頼関係があるわけですね。だからこそ、大変揺れるその船と桟橋の乗り降り、こういう中でも安心して身を任せることができる。  この職員さんによる、国の責任によるこの船便の確保というのは、これはもう当然のことじゃないかというこの声にどうこたえられますか。
  215. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 運航回数をどういうふうにするかというのは、船員の数とかいろんな条件をまた勘案してそれは自治会の皆さんとよくお話をしてもらいたいと思いますが、これは、船は二隻とも国の船、官の船ですから、民間が金もうけでやっている船ではありません。したがって、そこの乗組員さんもこれは国家公務員、まあ、ちょっとしたら身分違うかもしれませんが、要するに官用船ですからね、官用船として働いているわけですから、そういう信頼関係、そういう乗組員の方々が頑張っておられるわけですから、そういうことはきちんと守っていきたいと思っております。
  216. 仁比聡平

    仁比聡平君 先ほど大臣も、各地の療養所をじかに訪ねたいというふうにおっしゃられました。私は、この大島の船、実際にお乗りになって、この離島の療養所がどんな隔離政策の苦しみを経てきたのかということを御自身で体験をしていただきたいと思うんです。  時間がなくなりましたけれども、大島の方の桟橋については、これは行って御覧になったらお分かりですけれども、もう雨ざらしになっているんです。ここは台風や天候が少し悪化すると接岸できないという状況もございまして、全天候型の浮き桟橋にするとともに、せめて風雨をよけられるようなそういう設計にしてほしいという、そういう強い願いもずっと出ておりますので、今日は答弁求めませんけれども、是非検討をお願いをしたいと思います。  この大島青松園では、入所者の八割近くの方々がこの島で生涯を終えたいとおっしゃっています。それは、ふるさととのきずなが断たれて、五十年以上の療養生活の中でみんなで生きてきたきずなが第二のふるさとになっているからです。開所以来、二千七十三人の方々がこの島で亡くなられて、納骨堂には今年の四月一日現在で千三百九十九柱の遺骨が納められています。自分たちが出ていって後をだれが守るかと、自分も一緒に入るとおっしゃるこの方々の言葉は大変重いと思うんですね。  こうした思いを受け止めて将来構想を具体化することが急務だと思います。議懇の中でも療養所ごとの議員懇談会をつくろうという、そういう動きが強まっておりますし、将来構想の検討委員会などもそれぞれの地域自治体、地元自治体の首長さんたちも先頭に立って立ち上げられつつあるわけですが、大臣が是非直接すべてのハンセン療養所を訪ねて、入所者、中でも自治会そして職員の方々の要望を直接十分に聞いて受け止めていただきたいということをお願いしたいと思いますが、一言答弁をいただいて、質問を終わります。
  217. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 舛添大臣、答弁は簡潔にお願いします。
  218. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) はい。  たしかここは明治四十二年だったと私の記憶が正しければ思います。先ほど申し上げましたように、胎児標本、この最後の慰霊祭はどうしても行きたかったんですが、こういうところを含めて、国会を含め、業務の時間が許す限り行ければ行きたいと思っております。
  219. 仁比聡平

    仁比聡平君 ありがとうございました。
  220. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  まず、今日二十八日、福田首相は、山口補選の敗北を踏まえ、舛添大臣と会い、後期高齢者医療制度について見直すべき点がないか検討するよう指示したと報道されています。舛添大臣、これは事実でしょうか。
  221. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) 総理から午前中御連絡いただきまして、お昼に官邸に参りました。それで、総理といろんなお話をいたしましたけれども後期高齢者医療制度についても何らかの再検討が可能であるか、そういうことも含めて担当大臣としてきちんとこれは検討しなさいと、見直しなさいということではなくて、この制度についてしかるべき検討を加えよということでありますので、もうその後すぐこの委員会になりましたから、これは総理の指示に基づいて検討してみたいと思います。
  222. 福島みずほ

    福島みずほ君 福田首相後期高齢者医療制度について見直すべき点がないかどうか検討するようにという言葉は大変重いと思います。舛添大臣、首相のその指示を受けて、どうされますか。
  223. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは私一人で決めるわけではなくて、与党の皆さん方もおられます。そういうところできちんと議論し、それから総理の下に社会保障に関する国民会議があって、国民の代表の皆さん方が、連合の皆さん方もおられるし、経団連の方々もおられるし、それから一般の有識者の方々もいる、こういう場もお借りをして衆知を集めて、そして今当面は、保険証が届いていないとか、周知徹底していない、いろんな問題があります。できるところからこれは着手して、そして国民の目線で必要な検討を加えていきたいと思っております。
  224. 福島みずほ

    福島みずほ君 年齢によって区分するこの後期高齢者医療制度は早晩破綻すると考えています。野党は衆議院にこの廃止法案を出しております。それは、この制度が廃止しなければますます傷を大きくすると考えているからです。後期高齢者医療制度については周知徹底広報が不足だったというような総括では駄目だと、そうではなく、根本的にこの制度そのものの見直しが必要だと考えますが、今の段階における大臣の見解を教えてください。
  225. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) たくさんいい面も私はあると思います。高齢者一割それから現役四割、公費が五割、こういう形の負担を明確にして、そして国民保険を守っていこうと。それから、先ほど梅村委員でしたかおっしゃったように、総合的に御高齢の方々の面倒を見よう、こういう点はきちんと評価していいんだと思います。その上で、非常に制度が途中でいろんな暫定措置を入れたりして複雑になっております、そして様々な現場からの声もありますので、与党の中村委員からもいろんな指摘を先ほどいただきました、そういうことを含めて総合的に検討を加えたいと思っております。
  226. 福島みずほ

    福島みずほ君 高齢者負担割合は一割ですが、厚労省のデータでも二〇一五年には一割八厘です。大臣、それ以降の負担割合の移行について厚労省はデータを発表しないんですが、発表していただけますか。
  227. 舛添要一

    国務大臣舛添要一君) これは要するに、公費の五割の残りの五割を今、一対四だと。しかし、これは若者の数が増えていくのか減っていくのか、そういうことにもかかわりますし、これからの医療技術の発達によってどれだけまたお金が掛かるか分かりません。さらに、例えば特効薬が生まれて糖尿病というのは世の中から消えたということになれば、一気に減っちゃいます。  そういうことなんで、今から将来推計はできないというふうに思いますが、今仮に、一が一・〇八になってそのときの保険料が幾らになるかというのは、今言った様々な条件によりけりだというふうに思っております。
  228. 福島みずほ

    福島みずほ君 私たちは、この負担割合が拡大するというふうに考えております。  ちょっと、ずばっと言うと、福田内閣は、ばんそうこうを張るふりしてばんそうこう張らない内閣ではないかと私は思っておりました。今回の見直しを指示したことで、ばんそうこうを張るのかどうか。しかし、ばんそうこうではもう間に合わない。根本的な見直し、廃止をすることが最も傷口を少なくすることだということを改めて訴えさせていただきます。  次に、アスベストについてお聞きをいたします。  平成十八年度に成立したアスベスト健康被害救済法の改正が議員立法で提出される動きがあります。労働者遺族への特別遺族給付金の適用期限が平成二十一年三月までと、残り一年になりました。この請求期限の延長、本来なら閣法で提出するべきではないですか。
  229. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) 御指摘のとおり、現在、石綿救済法の見直しについて法案提出の動きがあるのは承知をいたしているところでございます。まず、先週、民主党が、特別遺族給付金の請求期限の延長などの内容を盛り込んだ石綿救済法の改正法案国会に提出したと承知しております。また、与党アスベスト対策プロジェクトチームにおきましても石綿救済法に係る課題について議論が行われており、与党として国会改正法案を提出すべく、請求期限の延長を含め、今後速やかに見直し案を取りまとめていくこととされていると承知いたしております。  厚生労働省といたしましては、これは環境省とも連携をしながら、こうした議員立法の動きも踏まえながら適切に対応してまいりたい、かように考えております。
  230. 福島みずほ

    福島みずほ君 これについては、期限が本当に短いですから延長すべきだということを主張いたします。  今年三月二十八日に、石綿による労災認定を受けた従業員のいた全国二千百六十七事業所の名前を公表をされました。これまで、二〇〇五年に四百十五事業所は公表しましたが、それから二年半も公表がありませんでした。元従業員、その家族あるいは事業所の周辺住民への注意喚起目的としていながら、対応が余りに遅過ぎます。二〇〇五年七月のアスベスト問題関係閣僚会合で国民への積極的な情報提供を確認しているにもかかわらず、情報開示が遅い。国民の安心、安全を守る厚生労働省の不作為は明らかではないですか。
  231. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) 厚生労働省におきましては、平成十七年度の事業所公表以降は、急増した請求の迅速、的確な認定を最優先として取り組みながら、石綿暴露作業に関する情報の周知の在り方を検討し、かつ逐次実施をしていたところであります。  この平成十七年度以降の石綿暴露作業に係る労災認定事業所の情報の公表につきましても、継続して公表を行うことの効果やその及ぼす影響などの観点から検討を行ってきたものでありまして、こうしたことを含めて、様々な情報の周知の在り方を検討してまいりました。検討の際には、実は実際に労災認定に必要な調査について事業主の自主的な協力が得られず、調査に遅延を生ずる場合があったこともございましたし、また、事業主の風評被害の有無だとか、あるいは個人の特定ということでのクレームなどがあったわけでございます。  ただ、あわせまして、労働者や事業主さんなどに対しまして、石綿暴露のおそれのある作業の写真入りの解説資料、石綿暴露が見過ごされやすい従事者の参考となる認定事例なども含めているわけでございますが、こうした資料も作成をいたしましてホームページに掲載もいたしておりますし、また、医療関係者に対しましては、石綿による疾病に係る情報の提供やあるいは診断技術研修、こういったことも行いながら対応してきたところでございます。  特別遺族給付金に係る請求期限が残る一年と先生おっしゃいましたが、そういったふうに迫ってきたことがございまして本年三月末に公表を行いました。今後とも、石綿による疾病の迅速、的確な認定と積極的な情報の提供に努めてまいりたいと考えております。
  232. 福島みずほ

    福島みずほ君 一般の人は、自分がその事業所で働いていたかどうかという情報をもらわなければなかなか分からない。この二年半、情報公開がされなかったということは明確な不作為です。  事業所の公表は今回が最後ですか、これからも行われる予定ですか。
  233. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) まずは、平成二十年三月二十八日に引き続き、そのときに既に公表ということで含めなかった百六十四事業所の情報の公表に向けて今現在作業を行っているところでございますけれども、事業所名公表も含めまして、効果的な周知方法については検討しつつ、情報提供、周知については積極的に対応してまいりたいと考えております。
  234. 福島みずほ

    福島みずほ君 一般の人にとっては、自分が働いていたところがアスベストを出していたところかどうかというのを早く聞いて、あるいは診断書を取るのだって時間が掛かります。間が余りに空いて、間隔が空けば、やっぱり救済あるいは人の記憶の喚起や注意喚起が非常に遅れると。その点で、この間の情報開示が遅れたことは極めて問題です。  次に、石綿対策全国連絡会議によれば、平成十八年度のアスベスト被害に対する補償と救済件数は五千件を超えていますが、本来、補償、救済を受けるべきアスベスト被害の一七%余りにすぎないという報告があります。この救済率についてどのような見解を持っておられますか。
  235. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) まずは、石綿による疾病の労災補償制度、特別遺族給付金についてその周知をしっかり図ることがまず何より肝要というふうに考えております。  そこで、その相談窓口を設けたり、あるいは被災者や事業者に対してはポスターパンフレットを配付したり、先ほど申し上げました情報提供、様々に行ってきているわけでございますし、医療機関関係者に対して技術研修なども行ってきたと。その結果、石綿による肺がん及び中皮腫の労災請求件数は、平成十六年度において二百十件であったわけでございますが、十七年度におきましては千七百八十五件、これはおよそ八・五倍でございます。このように大幅に増加をいたしているわけでございまして、十八年度は千七百八件の請求となっております。このほか、特別遺族給付金もあるわけでございます。  今後とも、労災補償あるいは石綿救済法による救済を受けるべき方々がそれを知らずして請求漏れとなることがないように周知広報に努めていきたいというふうに考えております。
  236. 福島みずほ

    福島みずほ君 質問に対して答弁がずれているので、再度お聞きをします。  一七%余りにすぎないという報告についていかがですか。厚労省は救済率についてどれぐらいを考えていますか。
  237. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) 一七%というのは私どもがつくった数字ではございませんで、その数字の評価については差し控えたいと思っておりますが、ただ、例えばよくございます中皮腫について死亡者というのが人口動態統計などで把握をされております。その数字に比して、まだその請求し、また認定をされた方の件数がそれに満たないという事実はあるわけでございまして、なお請求できる方で請求していない方がおられると、こういう認識は持っているところでございます。
  238. 福島みずほ

    福島みずほ君 一七%というのは、やはり亡くなった人と人口動態調査などで連絡会議計算したんですが、厚労省は実際、人口動態調査やいろんなものから、厚労省自身としては救済率について三、四割というふうに考えていらっしゃいますか。
  239. 石井淳子

    政府参考人石井淳子君) なかなかその数字についてどの程度ということを見極めることは難しいかと思っておりますが、ただ、まだなお請求漏れとなっている方がいると、こういう認識を持っていることだけお答え申し上げたいと存じます。
  240. 福島みずほ

    福島みずほ君 レクに来た人は三、四割というふうに言ったというふうに私は聞いておりますが、三、四割だとすれば、六割、七割の救済がされていない。連絡会議に行けば八三%の人が救済をされていないわけで、さっきの事業所の公表の急いでやることも含め、もっと啓発に努めていただきたいと思います。  次に、これまで地方公務員の石綿被害の認定事例はわずか二例にとどまっております。なぜでしょうか。現在、石綿による疾病で公務災害申請され、本部協議となっている件数と職種を明らかにしてください。
  241. 松永邦男

    政府参考人(松永邦男君) お答えいたします。  石綿関連の疾患の地方公務員の公務災害の認定に当たりましては、これは労働災害補償保険制度におきまして「石綿による疾病の認定基準について」というものが出されておりますが、それに準じて判断がなされているところでございます。  それから、石綿に暴露する作業に主として従事していない場合でありましても、個別事案ごとに被災職員の石綿暴露作業への従事の状況など、こういうものについて調査を行いまして、医学的所見を踏まえた上で公務上であるかどうかということについての判断がされておりまして、公務との相当因果関係が認められるということであれば公務上の災害と認定されているというところでございます。  今、現在、ただ、認定請求がなされました事案につきましては、この公務との相当因果関係、これが認められない事案が多いということから認定件数二件にとどまっているというところでございます。
  242. 福島みずほ

    福島みずほ君 済みません。答えられたことは全部分かっていることで、私が聞いたのは、本部協議となっている件数と職種を明らかにしてほしいということです。
  243. 松永邦男

    政府参考人(松永邦男君) 失礼いたしました。  平成十六年度から平成十九年度末までに基金本部に石綿関連疾病として協議されました件数は六十五件でございまして、主な職種としては、水道事業の職員の方、学校の教諭の方それから消防職員の方、これにかかわるものが多いところでございます。
  244. 福島みずほ

    福島みずほ君 公務員は二件しか認定されていないんですね。石綿被害に遭った人が二人しかいないんでしょうか。  厚生労働省のアスベスト情報によれば、配管、断熱、保温、ボイラー等の作業に入っている人もしっかり被害の認定というふうになっております。先ほどおっしゃった地方公務員に関するこの補償基金の認定が余りにでたらめというか厳し過ぎるんではないか。  先ほど、主たる従事とおっしゃいました。しかし、例えば水道管の切断をやっていれば、それが主たるかどうかは別にして、アスベストを吸い込んだ可能性が極めて強いわけです。主たる業務かどうかという認定基準はおかしいんじゃないですか。民間はその基準でやっているんでしょうか。
  245. 松永邦男

    政府参考人(松永邦男君) 先ほど申し上げましたように、この石綿によります公務災害の認定の申請につきましての、認定の基準につきましては、労働者災害補償保険制度において使われております「石綿による疾病の認定基準について」、これに準じておるところでございます。  その上でちょっと私が申し上げましたのが、この石綿に暴露する作業に主として従事していないという場合もございますが、そういう場合につきましては、これはまさに個別の事案ごとにおきまして、その被災された職員の方の石綿の暴露作業への従事の状況などがどういうものであったか、その作業の状況ですとか従事の期間とか作業環境、こういうようなものにつきまして調査を行いまして、更に医学的な所見を踏まえた上で公務上のものであるかどうかというものの判断がなされるところでございます。
  246. 福島みずほ

    福島みずほ君 私が質問していることに端的に答えてください。  民間企業での労災認定は、主たる業務かどうかということを認定基準にしているんですか。
  247. 松永邦男

    政府参考人(松永邦男君) はい、失礼しました。  先ほど申し上げておりますように、労働者災害補償保険制度におきますのと同じような基準に基づきまして、地方公務員につきましても石綿関連疾患の公務災害であるかどうかということにつきましては判断が行われているものというふうに承知いたしております。
  248. 福島みずほ

    福島みずほ君 アスベストの問題に関しては、国会が早期救済をやれと、これは頑張ってやってきたテーマです。公務員で、全国でたくさん公務員がいるのに二人しか認定事例がいない。  厚生労働省のホームページでは、はっきり作業のリストに上下水道にかかわる作業が掲示されています。これに従えば、水道管工事に従事している地方公務員の公務災害申請は速やかに認定されるべきではないですか。
  249. 松永邦男

    政府参考人(松永邦男君) 御指摘のように、厚生労働省のホームページにおきまして、石綿にさらされるおそれがある作業例ということで、上下水道にかかわる作業と、これが掲載されるということにつきましては基金の方でも当然存じ上げているところでございます。  この公務災害につきましては、先ほど申し上げましたように、被災した職員が石綿暴露作業へどういう形で従事していたかというようなこと、こういうものにつきましてよく調査をした上、更に医学的な所見を踏まえまして災害と公務との相当因果関係、この関係を勘案いたしまして、それに基づいて適切に認定が行われているものというふうに考えているところでございます。
  250. 福島みずほ

    福島みずほ君 民間労働者、船員、旧国鉄、国家公務員等に比べ地方公務員の石綿被害の救済、補償件数が二件、著しく低いのはなぜですか。
  251. 松永邦男

    政府参考人(松永邦男君) 先ほど申し上げましたように、最終的には、認定に当たりましては個別の事案ごとに事実関係等を調査いたしまして、更に医学的な所見を踏まえた上で公務上であるかどうかということが判断されておるところでございます。  ただ、地方公務員の場合につきましては、地方公務員災害補償基金に公務災害として認定の請求がなされた事案におきまして、実態としまして、民間におきます石綿暴露労働者の方とは石綿に暴露する作業の従事状況とこれが異なっております。そういう意味で、その中で災害と公務との相当因果関係が認められない事案が多いということで、結果として認定件数が少なくなっているものだというふうに考えております。
  252. 福島みずほ

    福島みずほ君 厚生労働省のホームページには、上下水道にかかわる作業として、石綿セメント部の切断というふうなこともちゃんと載っているんですね。にもかかわらず、これ実際、地方公務員で二件しかいないと。さっき、主たる業務かどうかというふうにおっしゃいましたが、主たる業務であるということは要件なんですか。
  253. 松永邦男

    政府参考人(松永邦男君) 恐縮でございます。私、主たる業務であるということが認定基準とは申したわけではございませんで、主たる業務でないものにつきましても当然事実関係をきちんと踏まえて調査をいたしまして、更に医学的知見を基に判断が行われているというふうに申し上げたところでございます。
  254. 福島みずほ

    福島みずほ君 しかし、実際、認定するかどうかの事案の認定の中で、主たる業務かどうかということを認定の基準に設けているものもあります。これに関しては、地方公務員の件なんですが、アスベスト被害の地方公務員が二件しかいない。しかも、厚労省がリストに挙げているにもかかわらず全国で二件しか認定がないと。  これは総務省における認定基準が余りに厳し過ぎると思いますが、いかがですか。再考の余地はないんでしょうか。
  255. 松永邦男

    政府参考人(松永邦男君) 先ほど申し上げましたように、この石綿関連疾患の公務災害の認定につきましては、労働者災害補償保険制度におきます「石綿による疾病の認定の基準について」と、これに基づいて、これに準じて判断が行われているところでございまして、公務員だから厳しいとか、公務員だから厳しくないと、そういうことはないものというふうに理解いたしております。
  256. 福島みずほ

    福島みずほ君 今、民間の人たちなどアスベストの救済が進んでいますが、地方公務員についてだけ二件ということで、厳しい認定で排除していると。この点については是非きちっと認定をして、早期救済をしてほしいということを強く要望いたします。  次に、松下PDP偽装請負判決についてお聞きをします。  四月二十五日、大阪高裁は偽装請負に関して直接雇用義務を課しました。今回の大阪高裁の判決をどのように受け止めていますか。
  257. 太田俊明

    政府参考人(太田俊明君) お答え申し上げます。  個別の民事訴訟に係る判決ですので具体的なコメントは差し控えますけれども、私ども、当該判決はあくまでも原告と被告の個別の労働実態を踏まえて、黙示の労働契約の成立を認めたものと認識しているところでございます。  厚生労働省としましては、この偽装請負も含めまして、労働者派遣法に違反する事実が確認された場合には、これまで同様、労働者派遣法に基づきまして厳正に指導を行ってまいりたいと考えております。
  258. 福島みずほ

    福島みずほ君 二〇〇七年六月に請負の適正化を図る指針を出しましたが、その後偽装請負について指導した企業数は幾らで、期間の定めのない正社員になった人は何人ですか。
  259. 太田俊明

    政府参考人(太田俊明君) 偽装請負等の派遣法違反に対しましては、法律の規定に基づきまして指導監督を徹底しているところでございます。  十九年度の指導監督の実施状況につきましては、現在集計中でございます。  十八年度につきましては、全体で六千二百八十一件の文書指導を実施しているところでございます。このうち、請負事業主に対しましては千八百四十三件、それから発注者に対しましては八百三件の文書指導を実施したところでございます。
  260. 福島みずほ

    福島みずほ君 問いに答えてください。  私が聞いたのは、何人、期間の定めのない正社員になったかという問いです。
  261. 太田俊明

    政府参考人(太田俊明君) この数字は、平成十八年十二月に行った文書交付のうちの十九年三月末の状況でございますけれども、請負で働いた労働者の状況のうち、発注者で直接雇用が四百六十七名、うち雇用期間の定めなしが十八名でございます。
  262. 福島みずほ

    福島みずほ君 二〇〇七年六月に指針を出した後の偽装請負について指導した企業数、そして期間の定めのない正社員になったのは何人か、去年のケースですので、大急ぎで数字をまた教えてください。  この判決は極めて画期的です。偽装請負してまで働かせていた偽装の雇用責任を直接認め、みなし規定について判断を下しています。この点について法制度を整理していくべきではないですか。
  263. 太田俊明

    政府参考人(太田俊明君) 御指摘の判決は、原告と被告の個別の労働実態を踏まえて、黙示の労働契約の成立を認めたものと認識しているところでございます。
  264. 福島みずほ

    福島みずほ君 ごめんなさい、そんなのもう分かっていますよ。
  265. 太田俊明

    政府参考人(太田俊明君) 委員が御指摘のように、一定の場合には派遣労働者を派遣先の労働者とみなす、いわゆるみなし規定を導入すべきという意見があるということは、私どもも承知しているところでございます。  私どもとしましては、現在、労働者派遣制度の在り方につきまして、今年の二月から厚生労働省に研究会を設置し、鋭意検討を進めているところでございますので、御指摘の点も含めてその中で十分に御議論いただき、御検討いただきたいと考えているところでございます。
  266. 福島みずほ

    福島みずほ君 この判決は画期的です。日野自動車や宇都宮のキヤノン工場に私たちは行きましたけれど、結局、勧告を労働局が出してくださったことには感謝をしていますが、期間工、期間の定めのある契約社員で妥結をしました。期間の定めのない正社員になることがさっきの数字でも明らかなように、今後もまた明らかにしていただけると思いますが、極めて少ないと。みなし規定を裁判所が直接雇用とみなすというふうにやったことは極めて大きいわけで、労働者派遣事業法の抜本改正の中でこのみなし規定ということを実現すべきだと思いますし、労働局が積極的に期間の定めのない正社員と指導してくださるようお願いをして、私の質問を終わります。
  267. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 他に御発言もないようですから、厚生労働省決算についての審査はこの程度といたします。  次回は来る五月十二日午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時三分散会