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2008-04-18 第169回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年四月十八日(金曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月十七日     辞任         補欠選任         又市 征治君     山内 徳信君  四月十八日     辞任         補欠選任         梅村  聡君     武内 則男君      遠山 清彦君     鰐淵 洋子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小川 敏夫君     理 事                 神本美恵子君                 藤本 祐司君                 柳澤 光美君                 浅野 勝人君                 中村 博彦君                 荒木 清寛君     委 員                 梅村  聡君                 大久保 勉君                 加藤 敏幸君                 風間 直樹君                 金子 恵美君                 川崎  稔君                 行田 邦子君                 武内 則男君                 外山  斎君                 舟山 康江君                 牧山ひろえ君                 石井みどり君                 塚田 一郎君                 西島 英利君                 野村 哲郎君                 牧野たかお君                 松村 祥史君                 丸山 和也君                 浜田 昌良君                 鰐淵 洋子君                 仁比 聡平君                 山内 徳信君    国務大臣        外務大臣     高村 正彦君        防衛大臣     石破  茂君    副大臣        財務副大臣    遠藤 乙彦君    大臣政務官        外務大臣政務官  小池 正勝君    事務局側        常任委員会専門        員        桐山 正敏君    政府参考人        外務大臣官房審        議官       新保 雅俊君        外務大臣官房審        議官       本田 悦朗君        外務大臣官房参        事官       谷口 智彦君        外務大臣官房参        事官       小原 雅博君        外務省北米局長  西宮 伸一君        外務省国際協力        局長       別所 浩郎君        財務省主計局次        長        香川 俊介君        国土交通省航空        局長       鈴木 久泰君        防衛参事官    小川 秀樹君        防衛大臣官房長  中江 公人君        防衛省防衛政策        局長       高見澤將林君        防衛省運用企画        局長       徳地 秀士君        防衛省経理装備        局長       長岡 憲宗君        防衛省地方協力        局長       地引 良幸君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   諸澤 治郎君        会計検査院事務        総局第二局長   小武山智安君    参考人        国際協力銀行理        事        新井  泉君        独立行政法人国        際協力機構理事  黒木 雅文君        独立行政法人国        際協力機構理事  金子 節志君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成十八年度一般会計歳入歳出決算平成十八  年度特別会計歳入歳出決算平成十八年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十八年度政府  関係機関決算書(第百六十八回国会内閣提出)  (継続案件) ○平成十八年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百六十八回国会内閣提出)(継続案件) ○平成十八年度国有財産無償貸付状況計算書(  第百六十八回国会内閣提出)(継続案件)  (外務省及び防衛省の部)     ─────────────
  2. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、又市征治君及び遠山清彦君が委員辞任され、その補欠として山内徳信君及び鰐淵洋子君が選任されました。     ─────────────
  3. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 平成十八年度決算外二件を議題といたします。  本日は、外務省及び防衛省決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれも省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記を止めてください。    〔速記中止
  6. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 速記を始めてください。     ─────────────
  7. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 柳澤光美

    柳澤光美君 民主党・新緑風会・国民新日本柳澤光美でございます。  今日は、昨年、省庁別審査のときに質問させていただいたODAについて質問をさせていただきたいと思います。  実は、昨年、省庁別審査のときに、重債務貧困国等に対する債務救済情報開示在り方についてお伺いをさせていただきました。これは、平成十四年からいったん返していただいてから救済をするというのが、いわゆる債務救済をそのチェックが掛からない形で起きてしまうので見えにくいんではないかという質問だったんですが、平成十八年、暦年でいえばODA実績はおよそ百十二億ドル、一兆三千億強になるわけですが、そのうち債務救済によるものは三十五億ドル、四千億を超える額になります。前年に引き続いて、約三分の一近くの額が債務救済でされていると。  この最貧国債務問題については、十七年七月に主要国首脳会議等IMF等国際金融機関に対する重債務貧困国債務を一〇〇%削減するということが合意をされました。それに基づいて、我が国でいえばおよそ五十六億ドル、約六千億を超える債務削減を順次実施しているというふうに理解をしております。このように、巨額な債務救済が行われる、また実施される予定になっているにもかかわらず、なかなか、それが一貫して一覧の形で報告がなされていないというふうになっている問題提起でした。  そこで、これ昨年、十九年度は、円借款債権放棄付保商業債権などの放棄など、債務救済の額がどのくらい今、去年は行われたのか、今後どのくらいそれがまだあるのか、数字を教えていただければと思います。
  9. 別所浩郎

    政府参考人別所浩郎君) お答え申し上げます。  先生が今御指摘になりましたような拡大HIPCイニシアチブというものもございますし、また一九七八年の国連貿易会議貿易開発理事会の決議に基づくもの、そういった形で債権放棄を行ってきているわけでございます。平成十九年度につきましては、我が国は九か国に対しまして合計二百十八億円の公的債権放棄をいたしました。  今後でございますが、我が国放棄する債権額などは、正式には債務国との交換公文の締結を行わなければ最終的に確定することはできませんが、ただし現時点で将来的に放棄すると国際的に約束している債権の総額は約千十六億円でございまして、その大部分国際協力銀行ODA債権が占めるということでございます。
  10. 柳澤光美

    柳澤光美君 そういう意味では、大変大きな金が放棄をされていく。債務救済などの情報開示というのは非常に断片的にされているんではないかと、もっと一覧にしてきちんと報告をしてもらえないかという去年お願いをいたしまして、当時、麻生外務大臣から決してごまかしてはいませんよということで、ただ、官報あるいは外務省ホームページ、それからJBIC年次報告等では公表しているけれども、確かに一覧という意味では分かりにくいかもしれないということで、その辺は十分努力したいという御答弁をいただきました。  この一年間どのような検討がされて、今後どうされるのか、お答えをいただければと思います。
  11. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) 御答弁を申し上げます。  我が国は、今委員指摘のとおり、一九九九年のケルン・サミット合意された拡大HIPCイニシアチブなどの国際的合意に基づきまして、二〇〇三年度より対象国への二国間債権放棄してきました。その際、放棄される債権に関連する法律等に従い決算報告書国会に提出するなど、適切な処理をしてまいりました。今先生指摘になられましたとおり、債務国と締結した債権放棄に係る交換公文官報での告示、外務省ホームページ及びJBIC年次報告書での公表などにより国民説明してまいりました。更に一層進めるという御答弁をさせていただきました。  これを踏まえまして、委員の御指摘も踏まえまして、より一層分かりやすい説明を行うために、これまでの債権放棄実績等について債権放棄対象国、金額などを一括してまとめた情報外務省ホームページなどで公表するという方向で、現在検討しているところでございます。
  12. 柳澤光美

    柳澤光美君 ありがとうございます。是非よろしくお願いしたいと。  それともう一つ、私はその中で感じていますのは、大変大きな額がそういう形で債権放棄というか債務救済されると。これが、具体的に国会への報告の場というのがないわけですね。私は、是非国会における財政統制観点からも、この多額の資産がやはり放棄されるわけですから、ただ、これを予算でといっても流れがあって分かりませんけれども、少なくとも終わった後、決算委員会に、こういう形で債権放棄が、こういうところで、こういう理由でこうなって、合計こうなりましたというのを、私は是非決算委員会報告がしていただけないかというふうに思っておりますけど、大臣、いかがでしょう。
  13. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 二〇〇三年度より、我が国は国際的な合意に基づいて債権放棄してまいりました。その際、放棄される債権に関連する法律等に従って決算報告書国会に提出すること等により適切な処理を行ってきました。また、債権放棄実績等については外務省ホームページ及びJBIC年次報告書等について公表してきたところでございます。  我が国が、我が国政府がこのような報告、公表してまいりました債権放棄実績を当委員会に改めて報告させていただくことにつきましては、まず当委員会に御判断いただく必要があるかと思います。
  14. 柳澤光美

    柳澤光美君 ということで、委員長決算委員会としてこれを報告をいただくように、是非理事会あるいは理事懇等で議論いただいて御配慮いただければというふうに思います。
  15. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) ただいまの申出につきましては、後刻理事会で協議いたします。
  16. 柳澤光美

    柳澤光美君 じゃ次に、この四月の初めから新聞各紙に、昨年のODA実績が三〇・一%減って七十六・九億ドル、約七千八百億に減って、三位から五位に転落という記事が幾つか載りました。それに対して、高村外務大臣そして福田総理の方からもODA増額に強い意欲というような報道もされました。  是非今後の、じゃ日本ODAを、増額も含めて、大臣としてあるいは政府としてどのように今考えられているのか、基本的なお考えを少し簡潔にお伺いできればというふうに思います。
  17. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 二〇〇七年の我が国ODA実績でありますが、前年の三位から順位を落として、米国、ドイツ、フランス、英国に次いで五位となりましたが、国際社会の諸課題の解決に貢献し、国際社会における発言力及び信頼を高めるためにODAの一層の活用は不可欠であると思っております。特に本年、我が国は第四回アフリカ開発会議、TICADⅣやG8北海道洞爺湖サミットを主催し、議長国として主導的な役割を果たすことが期待されております。外務省としては引き続きODA予算の確保に向けて取り組み、我が国ODA減少傾向を底打ちさせ、反転を目指す決意であります。  一方、ODAに対する国民の御理解を得るために、ODA効果向上効率化推進を通じた質の向上のための不断の努力が必要であります。こうした取組一環として、外務省は本日、ODA点検改善二〇〇七を公表しました。この報告書では、戦略的なODA実施のための援助政策企画立案機能強化に向けて、新JICA発足を契機とした援助体制整備官民連携推進コスト縮減チェック体制拡充等に取り組んでいくとの方針が記されております。外務省としては、今取りまとめた諸施策を着実に進め、質量ともODAを充実させていくべく努めてまいります。  底打ちさせて反転させようと、決意だけは十分にあるんですが、お金がない中でどうするかということで今呻吟しているところでございますので、どうか応援をよろしくお願いをいたします。
  18. 柳澤光美

    柳澤光美君 大臣の苦しみもよく理解できます。  実は私、今年が決算委員会二年目で、最初の年に、安倍総理以下、テレビ入りのときにもお話しさせてもらったんですが、国の借金が八百兆を超える、地方は二百兆近くで一千兆円。これは、私は民間の出身なんですが、もう民間の企業でいえば倒産に近い、あるいは個人の家計でいえば自己破産に近い、ある意味ではサラ金地獄に入るぐらいの厳しい状況にある。とすれば、今までの取組を全く変えていかないと、特にODAも、それは世界のために貢献をする、それが国策としても必要な部分というのは分かりますけれども、その辺のところを本当にもう一回、ある部分でいけばちょっと背伸びをし過ぎているんで、多少落ちるのはやむを得ないぐらいの感覚が私は必要じゃないかと、余りむしろ見えを張らない方がいいんではないかなということを率直に感じています。  後ほど質問させていただきますが、JICAJBIC一緒になって新JICAになる。それは今までのODA在り方改善するのではなくて、抜本的に改革する取組になるだろうというふうに思っていますから、少なくともサミットがありますし、いろいろ上げたいことはあると思うんですが、その辺のところは是非慎重にしていただくと同時に、むしろもう一度原点から、無駄遣いはもちろんなんですが、どう集中と選択をして、どう効果を上げて効率性を上げるかというところに視点を是非当てていただきたいと御要望を申し上げておきたいと思います。  それから、その一環流れの中で、骨太の二〇〇六において、ODA予算における徹底したコスト削減を前提に費用対効果を最良化する、最大化する観点からコスト削減目標計画を策定するということが決められました。それに基づいて、十九年七月に、JICAにおいても業務経費を毎年度一・三%以上効率化することや、人件費について、十七年度を基準として二十三年度までの六年間に六%以上の削減を行うということも定められました。  これ、工程表に基づいて掲げたコスト削減効率化に向けて、今、数値目標はどのような達成状況にあるのか、簡潔にお答えいただければと思います。
  19. 別所浩郎

    政府参考人別所浩郎君) 御指摘のとおり、外務省は厳しい財政事情の下で効率的なODA実施に努めるべく、コスト削減のため様々努力してまいっております。御指摘のいわゆる骨太方針二〇〇六におきましても、そういった効率化指摘があったわけでございまして、援助形態内容に応じたコスト削減努力を行ってきております。  具体的にでございますが、JICA事業費につきましては、第一期の中期目標期間、これは平成十九年度までのものでございますが、これにおきまして長期専門家派遣人数削減といった個別目標を設定いたしまして、これは達成しております。また、第二期の中期目標期間におきましては、包括的な効率化目標ということで、毎年度業務経費マイナス一・三%、一般管理費マイナス三・〇%ということで設定いたしておりまして、コスト削減取組を引き続き進めていくという考えでございます。  また、無償資金協力コスト削減ということもやっておりまして、コミュニティー開発支援無償平成十八年度から導入いたしまして、現地仕様の設計や施工段階での現地業者の積極的な活用を進めて、例えば平成十九年度の学校建設案件においては平均で約三〇%以上のコスト縮減目標を達成できる見込みでございます。  また、円借款につきましても昨年六月に具体的な取組を公表いたしまして、特に迅速化ということで、場合によっては七年以上掛かっていた一部の事業についてこれを半減させるといった、そういった具体的な目標を設定して取り組んでいるところでございます。  また、これまでの努力に加えまして、本日、ODA点検改善二〇〇七というものを発表させていただいております。こういうものでございますけれども、その中でも、まさにODAの質、ODAコスト総合改善プログラムというものを策定いたしまして、ODA施設案件について、計画段階における再検討案件形成から実施までのスピードアップなどを通じて、今年度からの五年間で平成十九年度と比較して一五%程度総合コスト縮減を図ると、そういうことにしております。点検改善、この紙にはこうしたコスト面取組に加えまして、援助政策企画立案機能強化を始めとしました諸施策を取りまとめております。  こういった努力を通じまして質等向上ということは是非頑張ってまいりたいと思いまして、そういうことを通じて国民の御理解を得ていただくように頑張ってまいりたいと思っております。
  20. 柳澤光美

    柳澤光美君 ありがとうございます。  じゃ、その二〇〇七年の資料をまた是非私の事務所の方にも届けていただければというふうに思います。  今日のメーンなんですが、今年の十月にJICAJBIC一緒になって新JICA発足をします。私は大変期待をしておりまして、この新JICAというのは、たまたまJICAJBIC円借款部分が組織的に一緒になるということではなくて、本当に機能統合されると。ODAが一元的な実施機関によって、無償資金協力技術協力円借款の三つの機能統合することによって相乗効果が生まれ、援助効果の一層の拡大が図られるというふうに聞いておりますし、私もそう思っております。そのためには、今JICAでもそれだけ、コスト削減も全部見直している。とすれば、二つのところが一緒になる中で、業務や組織や人事制度等における統合をできるだけ早く、しかもあるべき形に持っていくことが非常に大事だろうというふうに思っています。  お手元にJICAJBIC基礎データ資料財務省が出されました総括調査票資料を配っていただいているというふうに思いますが、このJICAJBIC統合方向性、あるいは在外事務所における事業実施体制見直しについて細かく出ておりまして、事務所の面積や現地職員処遇において大きなやはりそれぞれ格差が見られる。また、実施体制においても、両法人案件形成体制が異なることから、開発調査円借款に結び付く比率が大変低く、二二%程度だというような具体的な問題提起がされております。  それについてお伺いしたいんですが、一つは、JICAが現在千三百二十六人そしてJBICが八百六十九人、基本的にはJBICの場合には、解体と言うと大変失礼ですけれども、組織的には一部がJICA国際金融の方に動くと。具体的にこれが総人数ではどうなるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  21. 黒木雅文

    参考人黒木雅文君) お答え申し上げます。  職員の数につきましては、JBICの八百六十九名は国際金融経済協力と両方含んだ数でございます。  このJBIC人数のうち、JICAの方に移転される方々は三百二十名ということです。JICAは現在千三百二十六名、JBICから来られる方が三百二十名ということで、合わせますと千六百四十六名でございますが、これにつきましては、人員合理化ということも含めまして、新JICAでは千六百二十人という数を、職員数を予定しております。
  22. 柳澤光美

    柳澤光美君 その中で、実は、お伺いするとこれだけではなくて、いわゆるローカルスタッフ現地等で採用されている方が同数の約千三百人近くいらっしゃると。  その表にありますように、ちょっと順番にちょっと聞いていきたいと思うんですが、例えば事務所、これは十九か所、いわゆる事務所JICAJBICでダブっていると。これについても統合を進めているというふうに聞いておりますが、今のところ十八か所ぐらいはめどが付いたという話も聞きましたが、その辺、簡潔に今の進み状況を教えていただけますか。
  23. 黒木雅文

    参考人黒木雅文君) 先生指摘のように、十九か国で重複しておりますので、そこについては一か国一事務所に集約するということは方針は決まっております。具体的な場所についても十八か所は確定しておりまして、一か所、物件を検討しているところでございます。
  24. 柳澤光美

    柳澤光美君 是非その辺を早急に進めていただきたいと。また、本部にしても、これも統合されていくと。一緒になることによって、ダブっていたところがきちんと整理をされる、それは大きなコスト削減につながりますし、それからあるべきスペース等も、もう一回基準をきちんと決めて進めていただきたいと。  その次に、人員の構成と処遇の問題です。  そこにありますように、現地の、例えば所長等管理職はダブってきますし、受付、運転手等管理的業務要員も重複してきます。しかも、同一職種における両方の賃金格差が二倍近くあるところもあるという例がここで示されています。それからもう一つ、その下の丸で、邦人職員のほかに多数の邦人事業支援要員というのを採用されていると。この方の賃金水準というのは、現地職員に比べたら、現地職員、しかも上級業務要員の十二・四倍にもなると。この辺のところをトータルで今どのように見直そうとされているのかお聞かせください。
  25. 黒木雅文

    参考人黒木雅文君) まず在外事務所から申しますと、本邦から派遣されている職員につきましては、重複するものにつきましてはほかの事務所配置換えをする等の方向検討しております。  それから、現地採用した管理的な業務職員要員につきましては、現地労働法等も踏まえた上で、訴訟リスクを避けつつ、少し時間を掛けながら整理をしていく方針でございます。  それから、現地職員処遇について格差があるということでございますが、これにつきましては、現地職員業務内容見直しあるいは処遇調整ということを両機関の間で協議中でございます。  それから、邦人事業支援要員につきましては、現地職員で代替できる部分につきましては、現地職員の育成を図りつつ現地職員で対応していくという方向検討しております。
  26. 柳澤光美

    柳澤光美君 そのほかにも、ここにあるように、一番最後のところにありますけど、いわゆる調整員事務所だとか在外事務所維持費等にも大きなばらつきがあると。  今日は時間がございませんからここで細かくは聞けないと思いますので、是非、これ二年前から決めて、今年の十月に向けて取り組んできているわけです。事務所が二年前どうなっていて、今まで、現在までのところで今どういう進み具合になっているのか。それから、十月一日に向けてどうそこまでに変わるのか。しかし、その後、積み残すとしても、どの程度計画で、タイムテーブルで進むのか。これに関しては、人員も現在の処遇も、今までの進み具合と、今後最終的にはどこまで持っていくのか。確かに人の問題というのは建物とか何かとは違いますから、非常に、雇用契約もありますし、現地等の環境もありますから、しかも特に処遇制度が、わずかな違いだったらある程度できますけれども、それが二倍もある、あるいは十倍もあるというような中でどう変えていくのか。  もちろん、激変緩和を入れて経過措置を入れるというふうに思うんですが、その辺のところも私はできるだけ早くやった方がいいと。問題を積み残せば積み残すほど物事が複雑になりますから、その辺の計画是非委員長お願いがあるんですが、現状と賃金の実態それから十月までどう動いて、最終的にはどう持っていって、人員人数だとか賃金だとか処遇がどう進めていくかという数字をこの決算委員会に提出を私はいただきたいと。できるだけ早くいただきたいというふうに私は考えますが、どうですか、できますでしょうか。
  27. 黒木雅文

    参考人黒木雅文君) 先生が冒頭におっしゃられた、新JICAになるということで組織、人事、業務、この一体化を早期に図るということで、現在JICAJBICの間で協議を鋭意やっているところでございます。  事務所等につきましては、十月一日、統合の日にできる限り調整した形で実現したいというふうに思っております。  それから、給与等につきましては、これも統合時に一本化すると、人事給与制度につきましても統合時に一本化するということで合意していますけれども、先生指摘のとおり、ある程度調整期間ということも必要だと思っておりますので、これから引き続き協議していきたいというふうに思っております。  先生指摘の現状及び今後の計画につきましては、可能な範囲で作成したいというふうに思っております。
  28. 柳澤光美

    柳澤光美君 ありがとうございます。是非よろしくお願いします。  もう一つ、ちょっと余計なことなのかもしれませんが、私は委員長お願いしたいんですが、大変今回大きな変化を十月まで持っていく、恐らく皆さんの方も新しいJICAに対してきちんとしていきたいと。いろいろお話聞かせていただいて大変前向きなお話も聞いていますし、そのことによって、大変言葉は悪いですが、焼け太りになることはないというふうに私も思っておりますが、むしろ、だからこそ会計検査院に入っていただいて、その間の事情を見ていただくということが私は必要じゃないかというふうに考えておりまして、委員長にお計らいをいただければというふうに思います。
  29. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) ただいまの申出につきましても、後刻理事会で協議いたします。
  30. 柳澤光美

    柳澤光美君 ということで、お話をお伺いする中では、今回JBICの方がどちらかというと機能分化をしてJICAの方と統一されて相乗効果を出すという体制が取られるんですが、その中でも大変うれしかったのは、お話を聞いて、その三百二十名の方が手を挙げて新JICAに行こうと。これは現実として処遇が落ちてくる部分が大分大きいだろうと。でも、新しいODAに積極的に取り組もうということでその体制が取れたというお話を聞いて、私は大変感動をしましたし、敬意を表したいというふうに思っております。  是非、できるだけ早く、組織よりも人が一体化することが一番成果を上げる大きなことで、私も民間でいろんな組織の統合あるいは労働組合等の統合も見てきましたが、大事なことは、まず顔合わせをして顔がみんなで分かる、顔を突き合わせた付き合いで本音で話すこと、その次に、本当に顔合わせの次に心合わせをすること、そしてそこから初めて力合わせが出るという意味では、この新JICA日本ODAを今まで援助量、いわゆる金額で引っ張ってきたんですが、むしろ、お金ではなくて、ODAを援助する人材のODAになっていくんだということを是非大切にしていきたいと。  そこで、一つ、いろいろ聞き取る中でもやり取りがあったんですが、JICAのロゴマークを変えたいという動きがあるということをお伺いをしました。私は、日本ODAというのは、海外百か所あるいは国内十七か所の事務所の看板からホームページ、印刷物等に全部現在のJICAのロゴが使われていますし、学校や医療機器、文房具など、すべての援助品や支援物資にそのロゴが使われていると。新しくなるからということで気持ちは分からないわけじゃないんですが、これだけ経費削減をするという中で、私はやはりロゴは変更すべきではないというふうに考えますが、今どのような考えを持たれているか、お聞かせいただけますか。
  31. 黒木雅文

    参考人黒木雅文君) JICA、今年の十月の統合によりまして、技協、無償、円借款という、一体的に実施するという非常に世界的にもユニークな機関になるということもございまして、こういう新JICAが生まれるという事実と国際貢献に向けた新しいJICAの姿勢を示すということで、ロゴマークの変更は有用なものというふうに認識しております。  したがいまして、現在のところ変更するということで検討しておりますが、他方で、現在使っておりますロゴマーク、JICAのロゴマーク、これとの継続性を確保するということ、それから極力費用を掛けないという大原則の下に検討しております。
  32. 柳澤光美

    柳澤光美君 JBICさんから新しい方が来られる、その中でいろんな気持ちの部分がある。ただ、私は、三百二十名の方は自分で希望をされて来ましたし、ロゴの変更というのを何のためにするのかと。これは、援助を受ける国の皆さんにとっては、むしろロゴが変わってそんなに喜ぶことは全くないわけです。ロゴの変更が相手の皆さんのためではなくて自分たちの気持ちの部分でやるんであれば、私はやるべきではないと。むしろ、マークが変わりましたということを伝えても何の意味もないわけで、実際の行動の中で日本ODAが新JICAになって変わりましたという意味でいくと、このロゴを無理して変える必要がないと。  お話を聞くと看板もすぐには変えませんとか言いますけど、本当に新JICAでロゴを変えたいんだったら、どんな金掛けてでも看板から何からすべて変えるべきです。そうじゃなくて、気持ちの部分だけでロゴを変えるというんであれば、私は、今のロゴに大きな問題点があるなら別ですが、絶対変えるべきでないというふうに思いますが、高村外務大臣、いかがでしょう。
  33. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) 新JICAについての御質問でございますが、ロゴについての御質問でありますが、新JICAは、御指摘のとおり、技術協力、有償資金協力、無償資金協力を一元的に実施する新しい機関ということになるわけです。新JICAにおいては、援助手法の枠にとらわれない新しい形の広い視野に立った統合効果を発揮するということが期待されておるわけでございます。そのために今、新JICA発足に向けて、JICAJBICが一本化に取り組んでいるところなわけです。先ほど御指摘があったとおりでございます。  そんな中で、このロゴマークの在り方につきましては、新JICAの組織の一体感をより醸成するという観点から今議論がなされておりまして、御指摘のように、経費の問題があるというのは御指摘のとおりでございますから、経費の点については十分留意しつつロゴマークについての変更を検討していきたいというふうに聞いているところでございます。
  34. 柳澤光美

    柳澤光美君 私は絶対反対です。  大臣、変えるんですか、本当に。大臣としてちょっと、今日は大変海外出張から帰られてお疲れのようですけど、私は変えるべきではないというふうに思いますが、いかがでしょう。
  35. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今政務官が述べましたように、ロゴマークを変える方向検討しております。  ただ、今委員から御指摘もありました。そういうことも更に考慮しながら検討を進めていきたいと、こう思います。
  36. 柳澤光美

    柳澤光美君 今日結論というのはあれですから、是非もう一度再検討をこの場でお願いをしておきたいと。必要であれば、締めくくりのところで場合によってはその辺も確認させていただこうというふうには思いますが、是非よろしくお願いしたいというふうに思います。  時間がなくなってしまいまして、あと草の根があるんですが、この草の根・人間の安全保障の無償協力に関して、私はこれも新JICAに移行するものだというふうに、はなから思っておりまして、ところがこれは外務省に残されるということで大変懸念をしています。これは、非常にODAの中でいえば現地に近いところで、金額は一千万ですが、今一億まで行っていると。  ところが、これ会計検査院にも入っていただいて、決算報告の中でも毎回指摘されるんですね。この前、十八年九月の会計検査院からの報告においても、贈与契約から二年以上経過しても施設が建設されていない、供与機材については購入契約も締結されているのに、例えばエチオピアの青少年育成センターなど四事業に問題があった。十八年度決算検査報告を見ると、資金贈与から四年以上経過しても施設が全く建設されていないグアテマラのごみ処理施設や、事業実績が当初計画を大幅に下回っているタイの虐待児童のためのシェルターなど、マスコミもそうですが、会計検査院の方からもこの辺は次から次と出てくる。  ただ、私も、なぜかというと悪いところだけ出てきて、たくさんうまくいっているところもあるのは分かるんですが、この辺はせっかくの流れがいつもこのように、施設が長期間に完成しない、あるいはフォローアップが非常に低調だということが指摘をされているのが現実です。  現在それをどのように改善をしてきているのか、しようとしているのか、答弁をいただきたいと思います。
  37. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) 草の根・人間の安全保障の無償資金協力についての御質問でございます。  これにつきましては、今先生指摘のとおり、これまでも会計検査院よりの報告におきまして、事業完了までに一年以上を要している案件が少なからず見られること、フォローアップの実施に一層努力することなどにつきまして御指摘を受けております。先生の御指摘のとおりでございます。  外務省といたしましては、平成十七年度から十九年度にかけ、在外公館に対し、実施案件のモニタリング調査の確実な実施事業完了後のフォローアップ調査の拡充、徹底を指示するとともに、草の根外部委嘱制度を強化してきているところでございます。  そして、御指摘がございました草の根・人間の安全保障無償資金協力の主体、どなたがやるかという御質問でございますが、草の根レベルの住民に直接効果を及ぼすことにより対日理解を促進する効果が特に大きいと認識をいたしております。このようなことも踏まえまして、当該国の政治、経済、社会などの様々な面を多角的に把握している在外公館が中心となって実施することが適当と考えておりまして、したがいまして、本年十月の新JICA発足後も、外交政策遂行の観点から、引き続き外務省実施することとしているところでございます。  外務省としては、今後とも草の根・人間の安全保障無償資金協力実施管理を一層充実強化させるべく努めていく考えであります。
  38. 柳澤光美

    柳澤光美君 政務官、おっしゃってくれていますが、いつもそういう答弁が出て、結果できていない。  特に、外部委嘱員を全部見直しますという中で、もう時間がありませんから具体的には言いませんが、例えば中国であれば、件数も額も増えているのに、いわゆるローカルスタッフも含めて人員は減っている。だから、人員が少ない中で案件をやるだけやって、後フォローが全然取られていない。これは去年、私が強く主張をさせていただいた部分もあるんです。だから、私は、新JICA統合して人材もいる中で、そこがフォローする。私は、ODAはだれがやることを決めて、だれが最後まで責任取るかというシステムを入れないと決して良くならないと。  もう一部資料を添えさせてもらったODAの援助に関しては、サマーワもそうなんですが、せっかくやってあげたのに日本の管理が悪いからこんなことになっているという現地の方のむしろ不満が出てきてしまう。そういうことを踏まえて、済みません、お疲れでしょうが、最後に大臣から、その辺の決意も踏まえて答弁をいただいて質問を終わりたいと思いますが、この後もずっとこの経過は追わせていただきたいというふうに思っておりますので、決意を聞かせていただいて質問を終わります。
  39. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) その国の人のためになると思ってやることでありますから、本当にその国の人のためになり、評価されて、そしてそれが日本の外交手段としても役に立ち、そういうことになるようにフォローアップをしっかりやっていきたいと、そういうふうに思います。
  40. 柳澤光美

    柳澤光美君 終わります。
  41. 舟山康江

    ○舟山康江君 民主党・新緑風会・国民新日本の舟山康江です。  今日は、日米地位協定に基づく在日米軍駐留経費負担等について中心に質問をさせていただきたいと思います。  その前に、冒頭に、昨日、名古屋高裁におきまして、自衛隊のイラク派遣をめぐる訴訟において違憲じゃないかという判決が出ました。  私は、イラク戦争に関しまして、この根拠としては、イラクというのはテロ支援国家であると、あとは大量破壊兵器を持っているということでアメリカの主導で始まったものでありまして、大量破壊兵器は見付かっていないと、そういった様々な事情から各国も撤退していると。根拠そのものが崩れているという意味では、非戦闘地域だからといって自衛隊を派遣していいものなのかどうか、そこ自体、非常に大きな疑問を持つところでありますけれども、それはそれといたしまして、昨日の判決におきましては、バグダッドについて非戦闘地域とは言えない、戦闘地域ではないかというようなことで、これはイラク特措法にも、また憲法九条にも違反する行為ではないかという指摘がありましたけれども、そういった指摘に対しまして、まず石破防衛大臣の御所見を冒頭にお伺いしたいと思います。
  42. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 政府の立場といたしまして、私どもが行っております活動が憲法九条に違反するものだというふうには当然考えておりません。  そのような判決がございましたが、私どもとして、非戦闘地域において活動を行っているもの、非戦闘地域というのは、その地域において国又は国に準ずる組織の間において行われる国際紛争を解決する手段としての武力の行使が行われているというのが定義でございます。私どもは、基本計画におきましてバグダッド空港ということを指定してやっている。そこには当然今は民航機も入っているという状況でございます。その地域において、国又は国に準ずる組織の間において国際紛争を解決する手段としての武力の行使が行われているというふうな判断は現在しておりません。  今回の判決におきまして、バグダッド空港ではなくてバグダッドというふうに、もっと広い地域というふうな指定がなされておりますが、私ども、バグダッド空港以外の地域について、そこが戦闘地域であるか非戦闘地域であるかということを判断をする必要もございませんけれども、私はそこにおいて、政府はそのような判決に示されたような認識は持っておらないということでございます。  加えまして、一体化論も展開をされておったようでございますが、私どもが行っております活動というのは、武力の行使と一体化する、すなわち運んでおります国連の要員でありますとかあるいは多国籍軍の要員でありますとか、そういうような人たちが武力の行使を行っているというふうにも考えておりません。したがいまして、一体化論というものも成り立たないというふうに私自身は判断をしておるところでございます。
  43. 舟山康江

    ○舟山康江君 ありがとうございます。  小泉元総理大臣が、自衛隊が活動しているところが非戦闘地域だとか乱暴なことも言っておりましたけれども、いずれにしても、司法がそういった判断を下したということは、ある意味重く受け止めていただいて、御検討に値するんじゃないのかということを付け加えさせていただきたいと思います。  それでは、本題に戻りたいと思います。  日米地位協定に基づく在日米軍駐留経費負担につきまして、この負担に関しての根拠規定というのは日米地位協定の二十四条、日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、二に、二十四条の二ですね、規定するところにより日本国が負担すべきもの、これは借地料など施設提供に伴う経費だと思いますけれども、それを除くほか、この協定の存続期間中に負担を掛けないで合衆国が負担することが合意されると、こういったことで、昭和三十五年以降、地位協定に基づいて経費負担を行ってきたというふうに理解しています。  このような状況の中で、昭和五十三年以降、基地従業員の労務費の一部、まあ福利費、管理費、六十二億円分でありますけれども、これはこの二十四条に規定するものからは外れているというふうに私は思うんですけれども、これを負担することになった根拠をお教えいただきたいと思います。
  44. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) 在日米軍の駐留経費負担についての御質問でございました。  我が国は、従来から、我が国の安全保障にとり不可欠な日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を確保していくことが極めて重要との観点から、経費負担について対応してまいりました。  具体的には、昭和四十年代後半からの我が国の物価と賃金の高騰や国際経済情勢の変動により、在日米軍の駐留に関して米国が負担している経費が増大してきていることを勘案し、御指摘のとおり、まず昭和五十三年度に福利費等の負担を開始いたしました。これは御指摘のとおりであります。次に、昭和五十四年度に提供施設整備費及び格差給などの負担を開始しましたが、これも御指摘のとおり、五十四年度からであります。  この背景には、先ほど述べたとおりの我が国の物価と賃金の高騰や国際経済情勢の変動がありますが、特に円高ドル安、急激な円高ドル安というのがございました。  これらの条文上の考え方ですが、これら労務費と提供施設整備費の負担は次のように考えております。  まず、格差給や福利費などの労務費に関しましては、日米地位協定二十四条一又は二の規定により、米側又は我が方のいずれに負担義務があると一概には言えるものではございません。私どもの方は、まさに雇用の安定という我が国の政策上の判断を踏まえて我が国が負担しているものでございます。  二番目の提供施設整備費に関しましては、我が国が措置したものについては日米地位協定二十四条二に従いまして我が国として負担してきているところでございます。  以上です。
  45. 舟山康江

    ○舟山康江君 昭和五十三年にこの労務費の一部を負担することになったその背景には、確かにそういった客観的な状況の変化というものはあったというふうに思います。  しかし、このときに、当時の金丸防衛長官でしょうか、官房長官でしょうかが説明していたのは、まさに思いやりの気持ちがあってもいいんじゃないかと、条約上、法的に厳密に根拠があるというわけではないけれども、思いやりという気持ちで若干負担してあげてもいいんじゃないかということでこれが始まったというふうに、各種答弁でもそういうふうに理解をしております。そういった形で翌年から、今御説明いただきましたけれども、格差給、語学手当それから施設整備費も負担することになりました。  更なる経費負担要求にこたえるべく、今度は昭和六十二年から特別協定というものが結ばれるようになりまして、これによって調整手当が追加負担になりました。このとき、当初の期限というのはどのぐらい想定していたんでしょうか。
  46. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) 御答弁申し上げます。  一九八七年、つまり昭和六十二年六月一日に発効した特別協定につきましては、その第四条に「千九百九十二年三月三十一日まで効力を有する。」とございますとおり、当初からこの一九九二年三月三十一日期限となっておりました。
  47. 舟山康江

    ○舟山康江君 恐らくこれも昭和六十年のプラザ合意以降急速に円高が進みまして経費負担が非常にかさんだということで、あとは雇用というある程度長期を要する問題でもあるということから五年間暫定ということで決められたものだというふうに理解しています。  それが、まさに最近暫定という言葉が随分問題になっていますけれども、五年間の暫定ということで取り決められたものが延長、延長というふうに来ていたわけでありますけれども、続きまして平成三年の改定によっては、今度、基本給と光熱水料が追加負担することになった。平成八年の改定以降、訓練移転費というものも追加負担するようになりまして、非常にこの負担額が大きくなっています。  本来の地位協定に、平成十八年度、これは予算の数字ですけれども、本来の地位協定、本文で素直に読める部分というものの負担が二千百七十一億円、それからいわゆる思いやりで少し拡大した部分が九百三十八億円、さらに特別協定に基づく負担というのが千三百八十八億円、合計四千四百九十七億円を支出しています。これに国有地の提供などの支援を入れますと総額六千百四十六億円に上るというふうになっていますけれども、果たしてこの負担が、まさにこの予算の執行、国民の税金の使途として本当にふさわしいのかどうなのかということを検証していきたいと思うんですけれども、この負担の妥当性というところにおきまして、やはり比較になりますのが諸外国の事例というのは一つ参考になるのではないかというふうに思っています。  お手元に参考資料として、一枚紙ですけれども、駐留米軍に対する各国の負担割合というものをお配りいたしました。実はこの表は、四月四日の衆議院の外務委員会で篠原孝衆議院議員が使ったものと同じなんですけれども、この表を見ていただきますと、各国、日本と韓国、ドイツ、イタリア、それからNATO全体ということでまとめております。この表を御覧いただきながら質問を進めたいというふうに思っています。  まず一点目ですけれども、諸外国におきまして基地従業員の労務費を受入れ国が支払っているという事例はあるでしょうか。
  48. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) 我が国以外の国におきます米軍の駐留経費負担に関しまして詳細に申し上げる立場にはございませんし、その意味で単純な比較はなかなか困難な点がございますが、お尋ねの基地従業員の労務費を受入れ国が支払っている事例ということでございますと、韓国は労務費などの一部を負担しているものと承知いたしております。また、ドイツでございますが、米軍に勤務する民間従業員が解雇された場合に、その従業員に支払われる調整金というものを負担しているものと承知をいたしております。
  49. 舟山康江

    ○舟山康江君 今のお答えの中で韓国、ドイツという事例を出していただきましたけれども、いずれにいたしましても、基本的に全額、基地従業員の給与の、労務費のほぼ全額、上限を定めてはおりますけれども、全額を負担しているという事例は恐らく日本以外ないんじゃないかというふうに思っています。  そういったことから、特にこれ予算委員会、外務委員会でも問題になっていましたけれども、そもそも、やはり私は、本来の地位協定に戻って、せめて外国には余り例のない、アメリカには余り例のない、例えば福利費、管理費それから格差給などはまだ分かりますけれども、本給、基本給まで出すのはいかがかな。そもそも、やはり本来の地位協定に戻って負担すべきだというふうに考えておりますけれども、中でも娯楽性の高いもの、例えばバーのバーテンダー、ゴルフ場、ボウリング場の作業員、それからレクリエーション専門職とか宴会係、装飾係、動物世話係なんていうのもありますけれども、ロッカールームアテンダントというのもありました。こういったものについて、ロッカールームアテンダント、何かロッカールームを案内する人なんでしょうか、よく分かりませんけれども。そういういろんな、もうとにかく様々な職種がありまして、それもすべて基本的には日本側が負担しているということになっています。  以前の答弁で、やはり本国並みの待遇をしっかりと確保してあげる必要があるということもありましたけれども、そうであれば、これは日本側が負担するというよりも、やはりアメリカ側、米軍側、米国側が負担すべきものだというふうに私は考えるんですけれども、特にそういった娯楽性が高いものについてまず最優先で見直すという、そんなお考えはないでしょうか。
  50. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) 御指摘の職種を含みます日本の基地労働者の方々は、これは十五条機関という形で基地で働いておられるわけでございますけれども、そもそも地位協定上も、十五条機関も含めまして米軍の要する労働の援助は日本がやるということになっております。  これはもちろん間接雇用のことを定めたわけでございますけれども、我々といたしましては、アジア太平洋地域に冷戦後も様々な不安定、不確実な状況が存在しております中で、安保条約を引き続き堅持しまして抑止力の下で日本の安全を確保することが必要であるという中で、機動性を有する在日米軍の抑止力というものが不可欠な役割を果たしていると認識しております。その中で、我々は米軍の労務費を負担するというのを特別協定上の義務として負っておりますけれども、考え方といたしまして、特定の職種ないし職域に着目してそれを積み上げているわけではございませんで、必要とする労働者の総数に労働単価を掛けた金額というものを負担しているわけでございます。  また、様々なレクリエーション施設ということについての御指摘ではございますが、これは日本だけではなくて、米国内はもちろん、米国が駐留しているそれぞれの国にそういった施設はございまして、そういうところで働いている労働者の給与などをどこが見るかということでございますけれども、総体的に判断して日本が負担をするというのが今の特別協定の考え方でございます。
  51. 舟山康江

    ○舟山康江君 今の御答弁の中にありましたけれども、米国内で、それこそ米国軍に勤務する人のためにどんな娯楽施設を造ろうが何を提供しようがそれは自由でありますし、それを否定するつもりはありません。この米軍基地内にどんなものを造っても私はいいと思います。ただ、その費用負担まで日本国が負う必要性があるのか、そこを、そういった観点に立ちまして、まさにそういった娯楽性の高いものに関して日本が負担する必然性というのが理解できないということなわけです。  先ほどの御答弁いただきましたけれども、労務費に関しては、例えば韓国も一部であるとか、ドイツも退職したときに一部云々という話でしたけれども、まさに丸抱えで、全部その受入れ国の負担で人を雇っていると、いろんな人を雇っているという事例はやはりないということを考えれば、もう一度そこは費用負担について個別に見直す必要性は私は大いにあるというふうに思います。  さらに、もう一つお伺いいたしますけれども、諸外国におきまして家族用住宅の整備が行われているといった事例はありますでしょうか。
  52. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) 家族用住宅の整備が行われているとの事例につきましては把握しておりません。
  53. 舟山康江

    ○舟山康江君 私もいろいろ調べてみましたところ、ほとんど家族用住宅の整備というのは行われているという事例は見付けられませんでした。  実は、これアメリカ国防総省の指令の中で、受入れ国による施設整備それからアメリカ国防予算の中でのその軍事建設費との区分につきましての規定があります。その中には、受入れ国の合意、負担合意が得られない場合に初めて国防予算に組み込むと。つまりは、お願いしても受入れ国が受け入れてくれない場合には、まあ自国の、アメリカの国防予算の中で費用負担をするというふうに決められているようであります。  そして、このアメリカ海兵隊指令の中には、まあこれは日本が要求すればすべて受け入れてくれているという前提だと思うんですけれども、日本を、各国一般的にではなくて、日本による施設整備計画の使途として望ましいもの、本当に御丁寧にも家族用住宅及びすべての地域生活支援用施設、環境あるいは安全性に係る欠陥に起因する既存施設の改築を挙げています。つまり、施設整備はすべて基本的に日本予算でやってもらおうということがこの海兵隊指令の中に書かれていまして、つまりこの背景には、なかなかほかの国に要望しても受け入れてはもらえないけれども、日本はここまで見てくれ、更にここまで見てくれと要求すればすべて受け入れてくれているという前提で、基本的に施設整備はもうそれこそ、その本体にかかわるもの以外でもすべからく日本に任せちゃおうというような形になっているんじゃないかと思います。  そのような背景で、これも既に予算委員会等でも数字が出てきましたけれども、家族住宅が一万一千二百九十五戸建設されて、まあ池子住宅などは一戸平均七千八百万円という、まさに言われればそのまま出してしまうといったその結果が、こういった非常に高級な住宅の建設にもはね返っているんじゃないかというふうに思います。  これ、光熱水費も巨額になっていますけれども、まあ相模原の家族住宅では平均三十一万円、年間三十一万円ということは月に二、三万円ぐらいでしょうか、三万円の光熱水費というのは非常にこれ高額だと思うんですけれども、この光熱水費も諸外国で負担している国があるのかどうか、これも併せてお聞きしたいと思います。
  54. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) 光熱水費を負担している事例についてのお尋ねでございますが、アメリカの国防省の二〇〇二年版の報告書、これは実際二〇〇〇年のデータのようでございますが、我が国以外ではギリシャ、ノルウェー、サウジアラビアなどが光熱費を負担しているものと承知をしております。
  55. 舟山康江

    ○舟山康江君 いずれにしても、これ支援の額などを見ても日本が突出しているわけであります。  先ほど来御答弁の中で、諸外国の事例というのは余り承知していないという前置きがありましたけれども、私はこれだけ、ちょっと先ほどお配りした表を見ていただきたいんですけれども、この各国負担費を比べてみますと、これはアメリカ側の資料なんですが、非常に突出していると言っても過言ではありません。米国軍人数に比べましての対比で見ても非常に多くなっていますし、軍人一人当たりの負担を見ても非常に突出しておりますし、軍人数に対する労働者数の割合も非常に日本は多いという形になっていて、非常にこのバランスが悪いんじゃないかと思います。そういった意味で、様々な国際交渉におきましては、通常、外国とのバランスを考えてとか、そういったことを考慮しながら交渉に当たると思うんですけれども、やはりこれだけ多くの負担をしていて他国のことの詳細は承知していないと、それはちょっと無責任ではないのかなと思います。公の統計もありますし、それこそ具体的に相手国に聞くとか、米国政府に問い合わせするとか、そういうことはできると思います。  当然、あちらの要望で負担する以上はやはり何らかの根拠も必要だと思いますし、しっかりと、やはりそれを負担しているのは我々日本国に住む国民の税金から出ているわけでありますので、それをしっかりと答えられるように把握していくのはこれは責任があると思うんですけれども、そこはいかがでしょうか。
  56. 西宮伸一

    政府参考人(西宮伸一君) お尋ねの点でございますけれども、政府といたしましても、新たな特別協定の交渉を行うに際しましては、必要な範囲で他のアメリカの同盟国におけます接受国支援の在り方などについても調査を行い、右を踏まえて交渉を行いました。ただし、先方からデータがなかなか出てこないとか、外国のことでございますので、一定の限界もございました。  他方、一般論と申し上げますれば、各国が負担する米軍駐留経費というものは、当該各国を取り巻く安全保障環境など種々の要因を総合的に勘案して負担されておるものでありまして、したがって各国が負担する経費を単純に比較評価し、それだけをもって米国との交渉に臨んだというものでもございません。  やはり、在日米軍駐留経費負担につきましては、アジア太平洋におきます安全保障環境、つまり依然として不安定で不確実な状況が存在している中で、我が国の安全保障にとって不可欠な日米安保体制の円滑かつ効果的な運用に重要な役割を果たしているということでございまして、政府といたしましては、他の同盟国における経費負担の状況等を勘案しつつも、こうした経費負担の果たす役割にかんがみ、新たな特別協定に基づく一定の負担を行うこととした次第でございます。
  57. 舟山康江

    ○舟山康江君 確かに、歴史的経緯とかその同盟関係、まさに様々な要因を反映して、国によってそれぞれ違った性格もあると思いますし、一概に比較できないというのは、私もその事情は十分分かります。しかし、それにしても他国の状況を検証してどうなのかという必要性は、これは、それがない、分からない、出してもらえない、それは言い訳にはならないんじゃないかというふうに思います。  しかも、そういった日米同盟の重要性なり、そういった駐留の必要性を言うんであれば、それこそ、例えば土地を提供する、周辺対策を取る、そういったことは分かりますけれども、労務費とか光熱水費とか住宅の整備とか、そこは、その本体とは私はおよそ関係ないような気がするんですね。まさしく何でもありというのであれば、負担するまさに納税者の理解は得られないというふうに思います。  日米関係、私もこれを壊してしまえなんていうことは申しません。日米関係も、成熟し対等な相互関係と言うのであれば、なおさら、しっかりと主張すべきところは主張し、しっかり根拠ある理解が求められるような負担の在り方というのをもう一度考え直すべきだというふうに思います。  そのような観点から、是非これは財務副大臣にお伺いしたいんですけれども、納税者の理解を得るためにも諸外国の事例などを参酌して負担の在り方等を再検討すべきではないかというふうに思います。  実は、これは財政制度等審議会におきましても明確に指摘されておりまして、負担している経費の具体的な内容については国民に必ずしも十分に説明が行われてきたとは言えなかったとか、米軍人の数と対比した労働者の数も諸外国よりも高い水準にある、数や負担の在り方について見直しを行っていくべきではないか、そんなような考え方が示されていることもありまして、まさにこれは本当にしっかりと、再検討をしますという、口だけではなくしっかりと検討をし、反映させていかなければいけないと思いますけれども、財務省としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  58. 遠藤乙彦

    ○副大臣(遠藤乙彦君) お答えいたします。  在日米軍駐留経費負担は、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用にとって重要な役割を果たしていることは委員も御理解いただいていると思います。他方で、今御指摘のとおり、財政制度等審議会の建議にもあるように、聖域なく徹底した歳出の見直しを行っている中で、駐留軍等労働者の人件費を始めとする経費全般を厳しく見直し効率化を行うことは当然であると考えております。  こうしたことを踏まえまして、新たな特別協定におきましては、日本側が負担しております光熱水料等の経費につきまして一定の減額を行いましたほか、在日米軍基地労働者に対して支給してきたいわゆる格差給等、国家公務員の水準を上回る手当等については、現給保障等の経過措置を付けた上でこれらの手当等を廃止することとしたところであります。こうした制度的な見直しによる削減も含め、駐留米軍経費全体としては、二十年度予算は前年度に比べまして約九十億円の減少となっております。  今後、日米間におきましては、より効率的で効果的な負担とするための包括的な見直しを行うこととしておりまして、国民理解と支持を一層得られるよう、引き続き経費の効率化を図っていくことが必要であると考えております。
  59. 舟山康江

    ○舟山康江君 今の御答弁は、私は本質的な解決にはつながらないんじゃないかと思います。もちろん節約をする、それから経費の削減、まあ節約をしていくということも必要ないということは言いませんけれども、それこそ先ほど私も申しましたとおり、経費負担の在り方そのものをもっと抜本的に見直していく必要がある。まさに、聖域なき歳出削減という中で、今必要とされている医療、福祉、教育、いろんなところにこの削減のしわ寄せが来ている中で、やはりここもしっかりと削減しなければいけない。  そういった意味で、光熱費を若干節約したとか格差給を撤廃したとか、そういう問題ではなくて、先ほどから言いますとおり、例えば一部はもう米軍の負担に置き換えるとか、光熱費はもう向こうの持ち出しにするとか、施設整備費もアメリカ側の負担で、責任で直すと。まさに、これは日本だけが特別なことを言っているわけではなく、今お聞きした中で諸外国の事例を見ますと、当たり前の経費負担の区分だというふうに思うんです。  そういった意味で、まさしく抜本的に、そういった九十億円減りましたというそんな表面的な話ではなく、中身の問題としてしっかりと検討するべきだというふうに思いますので、是非、財務副大臣、主導的な立場を発揮いただきまして大いに御議論いただきたいというふうに思います。  続きまして、グアムの移転費の負担の在り方についてお伺いしたいと思います。  米軍再編問題に関連いたしまして、グアムへの移転経費につきましては、日米両国で大枠の合意がなされているというふうにこれは聞いていますけれども、これに当たって、まず国会等でこの合意に至るまで、合意に至るその過程で国会等で事前協議などはあったんでしょうか、大臣にお伺いしたいと思います。大枠の話ですので、大臣に御答弁いただきたいと思います。
  60. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 委員がおっしゃいます事前に国会で議論があったのかということでございますけれども、こういうような協議というものはあくまで行政府の裁量によるものでございます。その後に、これが協定という形でありますとか、いや、今回のグアムの場合に協定という話ではありませんが、あるいは予算という話になりますれば、それは当然国会で御議論をいただくべき筋合いのものでございます。  しかしながら、その事前にいろいろな協議というものをいたしておりますが、それはあくまで行政の権能として行ったものでございまして、国会においてそもそもお諮りをするというような性質のものだとは承知をいたしておりません。
  61. 舟山康江

    ○舟山康江君 いや、しかしこの中に移転経費の総額が決められておりまして、日本側の負担それからアメリカ側の負担のその割合も決められています。更に言えば、どういったものについて日本側が負担するのか、アメリカ側が負担するのか、そういったものも書かれているようでありますけれども、まさしく負担の在り方にかかわるものであればしっかりと、本当にこれは日本が負担すべきものなのかどうかも含めて国会に諮るなり、しっかりと見える議論をしていかなければ、一度決まってしまえばなかなかこれ覆すことは難しいんじゃないかと思うんです。特に、日本国内であればいいですけれども、他国との関係においてこういったものが合意されてしまえば、もうあちらはこれを既定の事実としてその枠内で議論が始まってしまうと思うんですね。  そういった意味では、やはりこういった枠組みを決める際にはしっかりと事前に見える形で、どういう経緯でどうなったのかと、まあ別にこれは外交機密でも何でもないと思うんです、そういった意味では見える議論をしていく必要があるというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  62. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、今、日米の間におきまして、これとこれを、これとこれは日本が持つと、これとこれとこれはアメリカが持つというふうにかっちりしたものが決まっておるわけでもございません。今当局の間において本当にそういうような議論を行っているものでございます。委員指摘のようにもう決まっちゃったとか、あるいは遠い外国の話であるとか、それによってもう日本側の負担がこれで確定したというような状況に今は全くございません。  私どもとしても、日本国民の税金を使うわけでございますから、これが沖縄の海兵隊がグアムに移ると、そのことに限定をしてお支払はするけれどもということは常に申し上げておるところでございまして、それ以外の、本当に日本国民の、納税者の負担に値するというものでなければ、それは私ども政府としても払うつもりはございません。その点はよく留意をしながら政府としてもこれからも議論をしていくわけでございますし、あるいはこの委員会の場において、あるいは外交防衛委員会の場において、あるいは予算委員会の場においてどういうような姿勢で臨むべきかということはもちろん御議論をいただき、私どもとしても真摯にそれに対応していくというのは当然のことでございます。
  63. 舟山康江

    ○舟山康江君 まさに今御答弁いただいたとおり、日本が負担すべきかどうかというところもあると思うんです。場合によっては、もうこれは一切アメリカ側の責任で移転してもらおうということになるかもしれないということも含めてやはり議論をしていかなければいけないと思いますけれども、この中で日本側は、おおむね六割ぐらいでしょうか、負担するという形に取りあえずなっているようですけれども、移転経費を日本が負担する理由というのは、根拠はどこに置いているんでしょうか。
  64. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  海兵隊のグアム移転経費をなぜ負担するかということにつきましては、一昨年の五月一日の2プラス2の合意の前にも国会で議論をされております。それから、JBICの法律を議論いただく場面でいろいろな形で議論をいただいております。さらには、予算の関係でこれからどうするのかというような議論もいただいておりまして、国会で海兵隊のグアム移転をめぐります問題についてはいろんな形で議論をいただいております。  そして、その中で経費負担の理由につきましてもいろんな形でお答えをしておりまして、一つは、沖縄県民の県外移転という要望があり、そしてまた、日本政府もそういった要望を受けて、グアムに移転させることがいいんではないかということ、それから米国政府から、そういうことであれば財政負担をお願いしたいということ、それから日本国内から見れば土地の返還ということでございまして、それがその後の利用につながるというような視点、それから日米間の同盟関係の信頼の維持というような視点、そして抑止力の維持というようなことでございまして、最後は政治的な判断として、その実現のためのインセンティブということで、沖縄の負担軽減に向けての日米双方の決意我が国としての応分の負担を示すということでそういう決意を示していくんだということ、そしてまた、それが国民理解が得られるという見通しがあるので、そこのところを十分に説明をしてやっていくと。それで、具体的な経費の負担に当たっては、予算の中で年度年度で御承認をいただいてやっていくと、そういう考え方の下で経費を負担するんだというようなことがこれまでも国会の中でるる説明をされているというふうに承知をしております。
  65. 舟山康江

    ○舟山康江君 済みません、時間がないので指摘だけにとどめておきたいと思うんですけれども、九七年九月に合意されました日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインの中で、日本に対する武力攻撃がなされた場合の基本的な考え方、指針が示されています。ここで日本とアメリカの役割及び自衛隊と米軍の役割が書かれていますけれども、これ、日本語訳では日本が主体的に行動となっていますけれども、これ原文を読みますと、びっくりしたのは、ジャパン・ウイル・ハブ・プライマリー・リスポンシビリティーと書いているんです。つまり、一義的な責任を持つのは日本であり自衛隊でありという形で書かれています。そういった意味で、まさに我が国の防衛というのは自衛隊が一義的に責任を持っていると思うんですね。  そういった意味で、それも踏まえて、世論の中には米軍が日本を守ってくれているんだからやはり負担をしなければいけないんじゃないかと、そういったものもありますけれども、このガイドラインに書かれているとおり、まさしく自衛隊が一義的責任を負っているという意味も踏まえて、このグアムの移転それから在日米軍の駐留経費の負担もしっかりと考えていかなければいけないというふうに私は思いますので、御指摘をさせていただいて、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  66. 大久保勉

    ○大久保勉君 民主党・新緑風会・国民新日本の大久保勉です。  私は、昨年十一月、決算委員会で山田洋行の水増し請求問題に着手しました。あれから半年間、定期的にレクを行いまして、この問題を調べてまいりました。今回の質問は総括的な質問をということで、最後の質問にしたいと思います。この間、防衛省の若い方は非常に熱心でまじめにやっていました。是非防衛省のトップの方も若い人に見習ってもらいたいなという気持ちで質問します。  まずは、防衛調達改革概要を防衛大臣説明してもらいたいと思います。
  67. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) この間、先生にいろんな御指摘をいただきました。また、私どもの若い者もいろいろな御指導をいただきまして、多くのことが前に進みました。先生の御指摘に、また御指導に心から御礼を申し上げ、見習えというお話でございますが、そういうつもりでやってまいりたいと思っております。  概要についてでございます。  既に先生御案内のことかと思いますが、チェック機能強化をやらねばならないということでございます。  内容といたしましては、輸入商社から提出される見積書などの写しを外国メーカーに送付し、真正性を確認した上で契約すると。あわせて、流通業者を介する場合には外国メーカーの見積書の提出を義務付けるということを原則といたします。今年度から行います。  また、商社などについてでありますが、経理会計システムの適正性、法令遵守体制などに関する輸入調達調査の受入れ義務、これを契約上に規定をするということを図ります。また、違約金の増額、これ今まで倍返しということでございましたが、これを二倍とするなど過大請求事案に対する制裁措置を強化をいたします。  また、一般輸入の適正性を確保するための体制強化でございますが、ここはまた御議論賜りたいのですが、輸入調達専門官三名から十名に増員をするということでございます。また、装備施設本部に一般輸入調達の統括部門を平成二十一年度予算要求を予定をいたしておりますが、そういうものを進めてまいりたいと思います。  以上が一般輸入調達に係る施策でございますが、そのほかにも、装備品のライフサイクルコスト管理を強化するということ、そしてコストを抑制するために達成目標を設定するということ、また研究開発評価プロセスを強化するということ等々を今考えておるところでございます。  これですべてというふうには考えておるわけではございません。また、これも間接調達は対象外とするということではございませんで、間接調達も施策内容等に応じて対象とされるというふうに考えておるものでございます。  繰り返しになりますが、これですべてだというふうには考えておりません。まだまだ考えていかねばならないもの、議論せねばならないもの、多岐にわたろうかと思っております。委員からこれで最後というお話でございますが、どうか今後とも御指摘を賜りますようにお願いを申し上げる次第でございます。
  68. 大久保勉

    ○大久保勉君 分かりました。でしたら、次回も質問するかもしれませんから。  いろいろ概要を説明してもらいましたが、むしろ作ったことをいかに実行するか、やはりきっちり実現するように大臣自らが細かいところまでチェックしていく体制が必要だと思います。  じゃ、続きまして、外国駐在の輸入調達専門官の人数を十名まで増員する、これは評価できますが、輸入調達専門官のステータスが長期出張扱いということで非常に不安定だと、またそういった調達官が海外メーカーに訪問しても、あなたはだれですかということでなかなか分からないと、こういった問題があると私は思います。  そこで、是非検討してもらいたいのは、輸入調達専門官を大使館付きにするとか、また定期的に、例えば小川事官とか局長クラスの人間が海外メーカーを表敬訪問して、防衛省はこういうことを考えているんだと、将来的にはどういう調達をすると、こういったいわゆるリレーションシップをつくっていく努力が必要だと思います。この点に関して御質問します。
  69. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 昨年の暮れの委員会におきまして委員とそういうような議論をさせていただき、問題意識を共有させていただいたところでございます。その後、外務省とも副大臣間等を中心に調整を進めてまいりました。今年度より専門官に対しまして日本国大使館公使名で書簡を発出をいたしまして、アメリカのでございます、在米の日本国大使館公使名で書簡を発出し、パスポートを併せて提示することにより、この専門官があんただれということではなくて、価格調査を行う防衛省職員であることを確認できる体制を整えるというふうにはしたものでございます。  正直申し上げれば、委員指摘のように、これを大使館付きにできないかということを外務省とも議論をいたしてまいりました。ただ、この職務、つまり調達専門官の職務と申しますのは、防衛省からの指示に従いまして、現地に滞在をし価格調査などに専従するということでございまして、大使の指揮の下で外交に係る所定の業務を行う通常の外交官とは職務の実態が異なっているということであります。これを大使館員とすることは困難というふうに私は聞いておるところでございます。ここのところはなかなか十分結論が出たとは私、考えておりませんが、所管は外務省でございますので、また機会があればお尋ねをいただきたいと思っております。  私ども、それはそれといたしまして、今御指摘のように、小川事官の名前をお挙げをいただきましたが、そういうようなしかるべき者が海外メーカーを訪問をして信頼関係を醸成する、そういうふうにして、あなただれですかと、何しに来ましたかというようなことを言われることがないように防衛省として可能な限りの努力はしていかねばならないと思っております。  この調達専門官が本当に国民の負託にこたえるような仕事ができますように今後とも支援体制を拡充してまいりたい、検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  70. 大久保勉

    ○大久保勉君 長期的な話なんですが、続きましては、防衛調達というのは非常に専門的な部分もございますから、米国国防省ではDESCといいまして、ディフェンス・エナジー・サポート・センターというような組織をつくって、日本防衛省も組織的にかつ長期的な戦略で防衛調達をしたらどうか、そのことがコスト削減になるし、また兵たんを強化するということになると思いますが、このことに関する大臣の御所見を聞きたいと思います。恐らく、大臣、最も言いたいことじゃないかというふうに思います。
  71. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 御配慮ありがとうございます。  DESCの内容あるいはDLA、国防兵たん庁の内容等についてはもう委員御案内のとおりでございますから、私から繰り返すようなことはいたしません。  今、我々の組織においてどうなのかということを考えてみましたときに、主要な装備品でありますとか燃料などの調達につきましては、中央調達機関でございます装備施設本部が基本的には一元的に実施をいたしております。基本的にというふうに申し上げましたのは、例えて申し上げますと、昨年度の油購入費のシェアから申しますと、テロ特措法分を含みますれば中央調達が八八%、地方調達が一二%、これを除きますと中央調達が九二%、地方調達が八%ということでございまして、燃料について申し上げれば装備施設本部が一元的に実施をしておるというふうに評価できようかというふうに考えております。  今後、一般輸入調達での外国メーカーとの直接調達を拡大する、あるいは様々な形態で一括調達を行うことによって経費の低減を図るなど、そういう取得改革を進めてまいりたいと考えておりまして、調達組織につきましてもどうすればよりよい調達組織というものができるのか、委員指摘のようなDESCの更に上といいますか、DESCを含みます組織が国防兵たん庁ということになっておるわけでございますが、そういうものを設けた方がいいのかどうなのか、そちらの方がコスト的に安いのかどうなのかというのは、これは一概になかなか申し上げられないところがございます。  例えば、装備品の調達等々につきましても、商社にこんなに頼るのはいかぬではないかという御指摘も随分ございました。しかし、それはもう一種のアウトソーシングで、ある意味、先を行っているんじゃないかというような話もございました。ここはもっと子細に検討してみなければなりませんが、組織改革の中におきましても、この調達の在り方というものはもう一度議論をしていかねばならぬだろうというふうに考えております。ただ、御指摘の燃料等につきましては、現在のところ、ほとんど一元的に行っているものでございまして、更なる改善につきましてもまた御指摘を賜りたいと思っておるところでございます。
  72. 大久保勉

    ○大久保勉君 そろそろ友好モードはこの辺にしまして、これから徹底的にチェックしていきたいと思います。  まず、資料一というのを御覧ください。こちらは過払い額調査の現状ということで、これは防衛省からいただいたものです。私が題名を作るんでしたら、水増し請求調査の状況です。過払いと水増しは大分、法的な意味が違います。  水増し請求をした先として、過去には富士インダストリーズ、山田洋行、極東貿易、それらが中央調達、地方調達、間接調達、それぞれどういうふうな状況にあるかということで一覧表を作ってもらいました。これを見てもらったら、今どこまで調査が着手されているかということが分かると思います。この点に関して説明お願いします。
  73. 小川秀樹

    政府参考人小川秀樹君) 御指摘の点でございますけれども、数字としてはこの表にまとめたとおりでございますが、そのとおり申し上げますと、まず富士インダストリーズでございますけれども、調査対象といたしまして中央調達、中央の直接調達八件、地方の直接調達四百八十八件、計四百九十六件の契約があるわけでございまして、調査をしました結果、現段階で過払いとして、中央調達数件でございますけれども、約一千万円、地方調達三百数十件で約五億から六億という過払いを認定をしておるところでございます。  二番目の山田洋行でございますけれども、中央調達につきましては、十四年度以降の契約が百二十三件ありまして、それを対象に見積書の写しを外国メーカーに送付する等の調査によって八件の過払いを確認をしております。これ以外に、表にちょっと載っておりませんけれども、十三年度以前の契約に関して過払い八件ございまして、計十六件、金額としては四億三千八百万の過払いを認定をしております。地方調達については、五百九十七件の契約が十四年度以降ございますけれども、調査しておりますが、現時点でいまだ過大請求事案は確認をしておりません。  極東貿易でございますけれども、中央調達は十四年度以降で百五十七件の契約がございますけれども、調査の結果、現時点で過払いを四件、過払い額約二千万円を認定をしております。地方調達につきましては、十四年度以降六百五十一件の契約がございますけれども、調査を進めておりますけど、現時点で過払いを確認した案件はございません。  以上でございます。
  74. 大久保勉

    ○大久保勉君 全体像を見ますと、私のイメージ的にはまだ二合目か三合目、全体の二割か三割しか進んでいないという状況ですが、こういう認識で、小川事官、いいですか、質問通告していませんが。
  75. 小川秀樹

    政府参考人小川秀樹君) 会社によって状況はもちろん異なるわけでございまして、富士インダストリーズにつきましては、一昨年の秋に発覚をしてそれ以降調査を進めておりますので、直接契約の過払いについては大体確定は終わったと思っておるんですけれども、間接契約はまだ残っておると。山田洋行、極東貿易につきましては、それぞれやはり発覚時点が違いますけれども、鋭意進めております。中央調達についてはある程度出てきておりますけれども、地方調達それから間接契約についてはまだこれからと、そういうような状況でございます。
  76. 大久保勉

    ○大久保勉君 二、三割もないかもしれませんね。といいますのは、地方調達、間接調達、膨大な取引に対して、ほとんど全く着手してないという状況です。是非きっちりやってください。  どうしてこんなに遅々として進まないのか。例えば、一つ一つ例を挙げながら質問していきたいと思います。  例えば、山田洋行の中央調達に関してBAEシステムズから大量に調達しておりますが、どうしてここは確認中ということでなかなか進んでいないんですか。このBAEといいますのは、チャフ・フレアという武器を過去に輸入しておりまして、一時、山田洋行がもみ消し調査、もみ消しをやろうとした事例であります。現状を教えてください。
  77. 小川秀樹

    政府参考人小川秀樹君) 御指摘のBAEとの関係でございますけれども、昨年秋の山田洋行の事案発覚以来、逐次、大久保先生にも御報告をしながら進めてきております。クオーテーションの確認で、直接的に山田洋行の中央調達につきまして十四件のクオーテーションをBAEに送付をいたしまして真正性確認を求めてきたところでございますけれども、調査中という返事でずっと回答が来なかった状況でございましたけれども、度重なる督促の結果、先月末から今月初めにかけまして、これら十四件について一定の回答を得たところでございます。ただ、その内容に不明確な点がございまして、現在引き続きといいますか、回答の確認を求めておるところでございます。
  78. 大久保勉

    ○大久保勉君 これは黒に近いグレーということはよろしいですね。
  79. 小川秀樹

    政府参考人小川秀樹君) 山田洋行につきましては、昨年以来、過大請求事案が発覚をいたしまして、先ほど申しました十六件の過大請求事案を確認をしております。今御指摘の点がメーカー、まあBAE社ということの関係でございますと、我々メーカーに対してクオーテーションを送ってその真正性確認を求めておると、そういう関係でございまして、正直言いまして白、黒、グレーというような判断をしておるところではございません。
  80. 大久保勉

    ○大久保勉君 攻め方が非常に弱いですから、まだまだ遅々として調査が進まないという意見もありますし、又はもしかしたらみんなが忘れるころ、ほとぼりを冷ますために調査をゆっくりしているんじゃないかという指摘もありますから、是非きっちりやってください。  続きまして、山田洋行との取引でAVEXという会社を仲介した取引があります。資料の二を見てください。四十五件の契約がありまして、契約金額は十八億七千六百万で、差額というのが、これはどういう意味かといいましたら、海外のメーカーからAVEXが購入して防衛省が買った金額、この差額が九億八千二百万。要するに、AVEXの利益です。AVEXは海外から部品を調達して二倍の値段を付けて山田洋行経由防衛省に納入していたと、こういった実態なんです。  どうもAVEXと山田洋行というのは利益配分契約というのがありまして、この利益の大半が山田洋行にキックバックされると、こういうふうなことが言われております。実際に、山田洋行と日本ミライズは裁判においてこういった契約が公表されております。この認識に関して防衛省質問します。
  81. 小川秀樹

    政府参考人小川秀樹君) 御指摘の山田洋行とAVEXとの利益等の関係でございますけれども、御指摘ありました、現在係争中だと思いますけれども、山田洋行と日本ミライズとの民事訴訟におきまして、両社間の手数料の配分割合について訴訟の当事者から言及されたということは承知をしております。また、一部新聞にも報道されたところでございますけれども、我々防衛省といたしましては、訴訟の当事者ではございません。そこで言及された内容の真偽も含めまして、内容についてはお答えをする立場になく、答弁を差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  82. 大久保勉

    ○大久保勉君 国民の税金を使って防衛調達をしているという意識がないと私は思います。九億八千二百万高く、若しくは不正に、不正をされているんですよ。これを取り戻す意気込みが是非必要だと思います。  是非、AVEX及び山田洋行、告訴したらどうですか。
  83. 小川秀樹

    政府参考人小川秀樹君) 我々といたしましても、山田洋行、過払いの事案が発覚している会社でございます。それから、先生今御指摘されましたような差額についても認識をしておるわけでございますけれども、そういったことを踏まえて何とか事実解明ということで調査努力をしておるところでございます。  ただ、先生にもるる御説明して一定の御理解を得ているかとも思いますけれども、本件の場合、AVEX社作成の見積書が防衛省へ送られてきて、AVEXの川上にあるメーカーの出荷価格との差額というところが大きいということでございますけれども、山田洋行の水増し請求事案を確定いたしましたメーカーの見積書の偽造といった件ではなくて、一種AVEXが間に挟んだ流通業者で、確かに二倍という非常に高い割合がどうかということございますけれども、商社の粗利数十%というのは普通でございまして、そういう中でどの辺りが違法なのか、正直その事実認定に非常に困難があるというところを申し上げさせていただきたいというふうに思います。
  84. 大久保勉

    ○大久保勉君 ちょっと、さっきの答弁で商社の粗利九〇%が普通……(発言する者あり)あっ、数十%。まあ、九〇%と数十%は違いますから、当然九〇%以上というのは極めて高い数字ですから、是非注意してください。  逆に言ったら、輸入調達専門官とか若しくは防衛省の調達官というのは価格に対して節穴、何も見てなかったという事実を端的に表しているんでしょう。又は、今の制度だったらこれは黒じゃないと、つまり詐欺じゃないということは認定できないということで、制度的な欠陥じゃないかと思います。是非ここは改善すべきだと思います。じゃ、お願いします。
  85. 小川秀樹

    政府参考人小川秀樹君) 正直申しまして先生の御指摘にごもっともなところあるかと、そういう反省も踏まえまして、最初に大臣が御答弁しましたような調達の改革の中でいろいろ制度改善を図っております。そういう中で、こういう海外の流通業者を介する場合で流通業者が見積りを出すというような場合についても価格の妥当性の審査を徹底する必要があるということで、今年度からこういう場合におきましても海外製造メーカーの見積書の提出を原則義務付けるということにいたしまして、そういうことによって流通業者の見積価格と海外メーカーの価格との比較検証を徹底して今後取引の適正を期してまいりたいというふうに思っております。
  86. 大久保勉

    ○大久保勉君 時間がないのでちょっと飛ばしまして、資料の三を見てください。  防衛省の方は、山田洋行とか富士インダストリーズみたいな水増し請求の先がないかということで、全取引先に関してサンプリング調査を行っております。その中で、これは防衛省からいただいた資料で、いわゆるグレーゾーンに入った先の一覧表です。かなり、調査の結果、幾つかの社がもしかしたら水増し請求をしていたというようなことが出てきました。例えば、じゃ二番、一番上のアビオール・ジャパン・リミテッド日本支社、一定の回答があったが更に確認する必要があると。これはもう水増しであると認定できそうなんですか、質問します。
  87. 小川秀樹

    政府参考人小川秀樹君) これ、御指摘のとおり、サンプリング調査で回答があった中で、送った見積書が真正であるもの、それから、中に過大請求を認定したものあるわけでございますけれども、それ以外の確認を要するものというものを先生の御要請に基づきまして一覧表にしたものでございますけれども、ここで出ておりますのは十四件でございますけれども、いろんなケースが正直言ってございまして、一件の契約で複数の外国メーカーの製品が含まれていて、一部のメーカーから回答がないということで確認中に入れたものでございますとか、契約相手方と外国メーカーとの間にディストリビューターが介在しておって、そうなるとメーカーからは確認ができないというふうな回答が来るもの、それから、メーカーから回答があったんですけれどもいろんな意味で確認を要する必要があるものと、そういったものが混ざっておりまして、したがいまして御質問の一社一社について具体的な内容を申し上げることは現段階では差し控えさせていただきたいというふうに思っております。
  88. 大久保勉

    ○大久保勉君 こちらはきっちりサンプリング調査してもらいたいと思います。  委員会ではこれ以上はいたしませんので、是非、会計検査院、お呼びしておりますが、会計検査院として防衛調達に関する水増し調査を是非行ってほしいと思います。実際に行う意思はあるか、このことに関して質問します。
  89. 小武山智安

    説明員(小武山智安君) 会計検査院といたしましては、防衛装備品の調達は法令の規定に適合した適正なものであるとともに、公正性と透明性が確保されまして、かつ経済的、効率的な調達が確保されることが必要であると考えております。  今後とも、御指摘の水増し請求の問題を含めまして、国会等の場での様々な御議論も十分に念頭に置きながらしっかり検査をしてまいりたいと思っております。
  90. 大久保勉

    ○大久保勉君 続きまして、防衛大臣の方に資料四に関して質問したいと思います。  資料四といいますのは、一般輸入契約実績ということで、昨年、平成十九年度三百七十四件の調達をしております。これは私の方で作ってもらったものです。  どういうものかといいましたら、一つ一つ予算の金額があります。その予算の金額に対して幾らで調達したか全部決済金額を調査して、一〇〇%というのは全く予算一緒と、通常一〇〇%以下九〇%以上が多いんですが、この数字を見たら全くそういったものがないような状況です。九〇%から一〇〇%は全体で三四%で、予算よりも高い価格で調達したのがおよそ五〇%あります。あるものは予算の七〇%で調達しています。  こういった状況で、本当に防衛省は防衛調達の価格、装備品の価格に関していわゆるマーケットをチェックしているのか、若しくは予算を守るという意識があるのか、私は甚だ疑問なんです。  そこで、防衛大臣にこのことに関する問題意識を質問したいと思います。
  91. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) マーケットをきちんと見るという意識は持たねばなりませんし、予算を守るという意識も持たねばなりません。当然のことだと思います。  マーケットをきちんと見るという意識が今まで厳正にあったかといえば、それは改善の要があるなというふうに私は思っておりますが、このように委員指摘の一〇〇%以上のものというのが相当数あることもこれまた事実でございます。  私が聞いております範囲内において申し上げますれば、予算編成をいたしました後に原材料が上がりましたという、ある意味向こう側の事情によって原材料が上がった、あるいは部品等々の需給の状況が変わった等々によりまして金額が上がってしまったというもの、よって執行額と見積額の乖離が生じたということがあるというふうに承知をいたしておるところでございます。  ただ、これの件数というものを減らしていかねばなりませんので、減らすためにどんな努力ができるか。本当に努力をしても努力をしても減らせなかったかどうかということは私自身問題意識を持ってチェックをしていく必要があると考えております。
  92. 大久保勉

    ○大久保勉君 二つ指摘します。  昨年は為替が急激に円高になりました。ですから、為替、ドルベースのものは円貨で一〇%は値下がりしているんです。それなのに五割が値段が上がっていると。又は、メーカーさんが値段が上がったということでしたら、言い値でいつも買っているということですよね。全く交渉はしていない。これは民間だったら考えられないですよね。やはり、税金を使っているから、じゃぶじゃぶお金があるから、あるだけ使っているんじゃないんですか、大臣
  93. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) お金がじゃぶじゃぶあれば本当によいのでございますが、別にじゃぶじゃぶもございません。  ただ、確かに円高にあれだけ振れておって何だこれはということ。で、もっと安くならないのかということを現場でぎりぎりやったかといえば、それはまだ努力の足らざる部分があるんだろうというふうに思っております。  民間では通らないよということもそのとおりなのでございまして、本当にもっと安くならないか、メーカーの言いなりになっていないかということ、そのことには知識を持った者がもっとたくさんおらねばなりません。調達部門に本当にこれから先は商社の経験がある者も入れていきたいというようなことをリポートの中では書かせていただいておるところでございますが、商社の経験がある者、あるいは委員の御出身の外国為替専門銀行のようなところで本当に会社の利益を懸けて、顧客の利益を懸けて、株主の利益を懸けてやってきた者、そういう人材というのも入れていかなければ、やはり向こうの言いなりになっちゃう部分は全面的には否定し得ないものだと思っております。そういう人材も含めまして、人材の確保も含めまして、今後、納税者のお金をきちんと使うような努力は厳正に行ってまいりたいと思っております。
  94. 大久保勉

    ○大久保勉君 続きまして、財務副大臣そして委員の皆さんに質問したいと思います。  いわゆる、予算でつくった数字に対して五〇%がそれ以上で購入されていたということは、じゃ、私どもが予算委員会予算を審議していますが、全く空洞化しているということでしょう。また、予算をつくった財務省の意向が全く無視されていると。  財務省、これは怒るべきことじゃないですか。また、こういったことを許していたということは問題じゃないでしょうか。質問します。
  95. 遠藤乙彦

    ○副大臣(遠藤乙彦君) 予算要求の積算を行うに当たりましては、所管省庁におきましてできるだけ直近の状況を的確に反映した見積りを取ることは当然のことであると思いますし、また財政当局としましても、予算編成において主要な装備品の過去の調達価格などを聴取しまして、より適切な見積りになるよう努めているところでございます。  他方、実際の予算の執行におきましては、為替レートとか原材料価格の変動等の様々な事情があることから、実際の執行と予算の見積りが一致しないことは一般的に生じるものでありまして、この点は御理解いただきたいと思っております。  いずれにしましても、予算の執行に当たりまして、適法かつ適切な手続にのっとりまして執行時点の状況を適切に反映した価格で調達を行うことは当然のことでありまして、所管省庁の責任の下で適切に執行が行われるべきと考えております。
  96. 大久保勉

    ○大久保勉君 副大臣財務省は全くこういった調査をしていなかったから節穴でしたと認めてくださいよ。実際に、こういった調査は私の方で依頼して初めてやったということですよ。  財務省はどうして分からなかったか。というのは、防衛予算、項目は見ますが、細目は、一つ一つの部品は見ていません。ですから、もし全体の項目が百でしたら、で、百個あったとしたら、もし一つ一つが二倍になった場合、件数が五十件、それも百ですよね。それでもいいんです。つまり、予算を全部使ったと。ですから、物が二倍でも三倍でも、全体の大枠が予算の以下だったら問題ないということです。だったら、翌年どうするかといったら、買えなかったものを二倍とか三倍の価格で買っていくということですから、全く予算執行調査がなされていないと思います。  副大臣、政治家として是非国民の皆さんに謝ってもらっていいですか。
  97. 遠藤乙彦

    ○副大臣(遠藤乙彦君) 当然、国民の血税を使うわけですから、無駄があってはならないということは当然のことだと思っております。  ただ、実態的に、装備品によりましては数十万点に及ぶ部品もあるわけでありまして、これを一々全部調査することは非常に困難が伴っておりまして、やはり全体の予算状況防衛省からきちっと聴取しながら適切に見積もっているところであります。  また、今後、予算執行調査をやっておりまして、今後是非防衛省の関係につきましても予算執行調査をしっかりと進めていきたい、そしてまた予算編成に反映したいと思っております。
  98. 大久保勉

    ○大久保勉君 副大臣答弁を予想して、資料五の一と五の二を準備しました。まあ数十万円だったらいいんですが、実際どのようなことがなされているかということでサンプルを作ってきました。  ナンバーの二十番を見てください。落札金額は一億四千五百五十三万円。結構大きい数字だと思うんですね。これは、予算に対して一三三%で購入されています。  次に、五十七番、八百八万五千円、富士重工が納入した、契約相手方ですが、一六二%です。その理由が何か。外国メーカー側の事情によるものと推測。外国メーカー側の事情だったらいいんですが、更に推測。これ、何ですか。意味がないんじゃないですか。防衛省質問します。
  99. 小川秀樹

    政府参考人小川秀樹君) 恐縮でございますが、推測という表現が妥当であったかどうかあれでございますけれども、予算編成時に十八年度の米国企業の価格によって積算をしておったわけでございますけれども、執行時に十九年度の価格でもって執行して、その分の価格上昇が一つの大きい要因であったということでございます。
  100. 大久保勉

    ○大久保勉君 何か分かったような分からないような。  じゃ、資料の五の二、次のページを見てください。  逆に、六十八番と七十番は、伊藤忠アビエーションが契約相手方、金額が約六千万と八千万円、これは逆に予算金額の六一%ないし四六%で契約できています。これは非常によくやったと思うんですが、理由は、概算要求時には米軍の需要が減少することを前提に見積もっていたが、契約時にその需要減はなく、更に他の契約と同時期の契約となったため価格減となったと。何かよく分かんないんですが、御説明を求めます。
  101. 小川秀樹

    政府参考人小川秀樹君) この二つの契約、同一の装備品でございますけれども、予算編成時におきましては、執行の折に米軍側の需要が減少して、したがって単価は高くなるという見積りをしておったわけでございますけれども、執行の際、実際には予想されたような需要減が米軍においてなくて単価が見積りよりは低くなったということが外側の事情としてございますけれども、後半に書いてございますのは、この六十八番、七十番の両契約、それと別の調達でやはり同一の標的機用エンジンを調達している契約ございまして、これをいわゆる一括調達、まとめ買いで効率化をして単価を下げる努力ということで、単価が低下したということでございます。
  102. 大久保勉

    ○大久保勉君 要するに、一括調達したら安くなると。じゃ、どんどんやってくださいよ。ですから、こういった細目まで見て予算をつくっていかないと非常に膨大な無駄が発生すると思います。  時間が間もなく終了するということで、最後の質問をいたします。  例えば、平成十四年三月二十日付けでBAEの書簡が山田洋行により偽造された事件に関連して、防衛省内部にも、守屋前事務次官以外にも事件にもみ消しを行った山田洋行の共犯者がいるということが指摘されておりますが、その後、内部調査の結果はどうなっているか、このことを質問して、私の質問は終わります。
  103. 小川秀樹

    政府参考人小川秀樹君) 昨年秋の事案の表面化以来、御指摘のとおり、省内で徹底的な調査をしてきております。その調査の中で確認した中におきまして、山田洋行によるそういう意図的な過大請求の事実を認識しながら隠ぺいを共謀して行ったというような者がいたという事実はないというところでございます。  いずれにせよ、引き続き鋭意調査を進めてまいりたいというふうに思っております。
  104. 大久保勉

    ○大久保勉君 終わります。     ─────────────
  105. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、梅村聡君が委員辞任され、その補欠として武内則男君が選任されました。     ─────────────
  106. 丸山和也

    ○丸山和也君 自民党の丸山でございます。  今日は、外交問題といいますか、そこに絞って何とか、大臣その他にお聞きしたいと思っています。  今日、新聞を見ていましたら、日本経済新聞、大臣が中国の外相、ヤンさんというんですかね、楊と書きまして、と、にこやかでもないんだけれども、握手をされている写真がございまして、記事を読んでみますと、昨日、チベット問題で話をされたということで、直接対話を促すと、こういうふうにされたと。  それで、これは特に通告はしていなかったんですけれども、ちょっとお聞きしたいんですけれども、今チベット問題が非常にオリンピックとの関係でも話題になっているんですけれども、日本のこれ中国との関係で、このチベット問題をどのように基本的にとらえているのかということなんですけれども。  日本は中国とは政経分離それから戦略的互恵関係とか、中身があるようなないような言葉で言っていますけれども、そのいわゆる政経分離ということからいいますと、経済はどんどん進めていこうと、しかし政治上の問題については毅然とした立場を示していこうということだと思うんですけれども。この非常に難しい人権問題と絡んだ、中国の非常に関与の深いというか、中国は内政問題だと言っているようなんですが、この問題について大臣が直接対話を促したということは、どのようなことをしてほしいというか、するようにというふうにお話しされたのか、そこの気持ちといいますか、核心部分をちょっとお聞きしたいと思っています。
  107. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) チベットの地位の問題は、中国の内政問題だと思っております。一方で人権の問題というのは、普遍的な、国際社会全体が関心を持ってしかるべき問題だと、こういうふうに思っております。  そして、まさに中国側と、先般のラサ市で起こった問題については、中国側とダライ・ラマ十四世側の言い分がかなり食い違っているわけであります。そういう中で、私は透明性をもっと高めなければいけませんよと、こういうことを最初の時点から申し上げているわけであります。  昨日は、私はヤンさんと言わないで楊外相と言っていますが、中国読みではヤンさんなんでしょう、直接、今までずっと言ってきたことを直接申し上げたと、こういうことであります。それとともに、透明性をもっと高めた方が中国自身のためになると、オリンピックをやる上にもいいと。そして、それと同時に、ダライ・ラマ十四世側と対話をしたらいいではないかと、条件を付けないで話し合ったらいかがですかということを友人として申し上げたと、こういうことでございます。
  108. 丸山和也

    ○丸山和也君 そこなんですが、それに対して、どうも報道によりますと、中国は、今回のチベットの問題というのはダライ・ラマないしその一派が意図的に起こしたものであって、その背景にはチベットの独立運動を目指しているんだと。だから、その独立を目指すということを放棄することと、それからこういう一切暴動とか策動をしないと、こういうことの条件をはっきりさせるんであれば対話はしていいけれども、その条件を、まさに条件が満たない以上は対話はしないという返事をしていたようなんですけれども。  そうなりますと、せっかく大臣が直接対話をしたらどうかと、これは恐らく、先週でしたかね、中国に行かれましたよね。そのときにもそういう話を、恐らくサジェスチョンといいますか、強い指示をされたと思うんですけれども、聞く耳持たぬというか、余り強く言うと、それはうちのことには干渉してもらいたくないよということで、結局は平行線で、日本としてもそれ以上のことが言えない状況じゃないかと私は今の現状を見ているんですね。  そこで、どうなんですかね。せっかくそこまでおっしゃったんなら、例えば日本国家として、日本外務省としてリーダーシップを取って、例えば日本で両者が会談するような場を設けるとかセッティングするとか、そういう場をつくるというようなところまで日本がやる気があるのか、それとも、まあそんな大変な問題はやっぱり一言注意しておくぐらいにとどめておいた方がいいというような腹なのか。そこら辺の意気込みといいますか、気合の入れ方ということなんですけれども、どのように外務大臣としてはお考えになっているのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  109. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 中国に限らず、どこの国であっても、外国から言われてすぐやったというのは、これは国民感情がなかなかもたないです。日本でもそうなんです。同じやるにしても外国から言われてやったというのはなかなかもたないんで、それは、中国は原則的立場、これは内政でありますよと、それでも対話の窓は開いているとか、そういうことも言っておりましたけれども、原則的立場を昨日は述べられたと。  まあ、私がすぐ言って、私でなくてもだれかが言って、そうですかそうしましょうなんて言う外務大臣は余りいないと思います。そういう中で、やっぱり友人としての忠告をしていく中で、いつの日かやっぱりその方が自分たちにとっていいなと思ってやってくれればいいなと、そういう可能性は私は全く捨てておりません。あると思っています。今の時点で直ちに場所を提供しますよとか、そういう段階ではないと思いましたから、先般そういうことは、昨日は言っておりません。それじゃ、進んだら言うのかとかいうようなことを今申し上げるつもりはございません。
  110. 丸山和也

    ○丸山和也君 まあ今の状況で、日本の姿勢を見ていても、また外務省の力量を見ていても福田さんの姿勢を見ていても、恐らくそこまで突っ込んだことはされないということは私もよく分かっているんですけれども、やはり日本がアジアの中で存在感を示すというか、やっぱり発言するときは発言すると。仲よくはするけれども、相手の好まないようなことでもずばっと言うような、ぴりっとしたところも是非示していただきたいと思いますので、是非高村外務大臣、粘り強く淡々と、水がしみ込むような雰囲気が高村大臣ございますので、そういうことを是非、難しいんでしょうけれども、さすがは高村大臣だからここまでしつこくといいますか、淡々と説得するというような感じが是非出していただきたいと私はもう強く希望しております。  これはもう声高に言ったからって実現するものでは決してないと思いますので、やっぱり相手の心にしみ入るというか、そして静かに説得する方がやっぱり説得力があると思いますので、是非お願いしておきたいと思います。
  111. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 答弁はどうしますか。
  112. 丸山和也

    ○丸山和也君 じゃ、せっかくあれですから、お願いします。
  113. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 静かに、しかし強いメッセージを発出していきたいと、こういうふうに思っております。  水がしみ込むような説得力というのは私より福田総理の方がもっとあると思っていますんで、胡錦濤主席訪日のときにまた総理がしっかりされるだろうと、こういうふうに思っております。
  114. 丸山和也

    ○丸山和也君 じゃ、その点は是非お願いします。  それから、大臣、また後で聞きたいんでいてくださいね。  それから、次の問題ですね。  これも今日の新聞、読売新聞なんですが、「ヤミ金収益日本に返還」ということで、これは日本では初めてのケースだと思うんですけれども、いわゆる五菱会事件で約五十八億円の金がスイスの個人口座に置かれていたと。それを、違法収益っていう、要するにマネーロンダリングですね、違法収益としてスイスのチューリヒ州がこれを差押えして没収したと。しかし、これは本来日本の被害者に返されるべきお金だということで、外務省が中心になって随分努力していただきまして、近々、報道によりますと約三十億円といいますか、半分近い金額が返ってくるべく交渉がまとまりつつあるというふうに報道されております。  それで、私は、非常にこれは結構なことだし画期的なことだと思う反面、五十八億円のうち半分ぐらいをスイスが返さないのかと、五菱会よりあくどいなと、これはちょっと言葉が違いましたけれども、五菱会の上前を行くピンはねするのかというふうに素人的にはびっくりしたんですけれども、これは、例えば約半額、三十億円近い金額しか返ってこないという、そこはなぜそうなのか、あるいはどういういきさつでここまで進展し、またここまで進展しなかったのか、若干事務当局から御説明いただいたら有り難いと思っています。
  115. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) 五菱会事件の件でございます。  二〇〇四年、スイスのチューリヒ州が五菱会の犯罪収益を没収したことを受けまして、日本政府は、没収資産の譲与を受けて被害者に支給すべく、スイス政府と協議を行ってまいりました。結果、今先生指摘になられたとおり、没収資産の約五〇%の譲与を受けるということで一致を見まして、現在、交換公文の署名、締結に向けて必要な手続を進めているところでございます。  なぜ五〇%の返還なのかという御質問でございます。  日本政府は、スイス側に没収資産を日本側に譲与する国内法、国際法上の義務がない中で、日本政府として交渉を粘り強くやってきたつもりでございます。その結果、没収資産の外国への譲与を可能とするスイスの国内法が原則として没収資産の平等分配を定めていることから、被害者の早期救済を図るべく、没収資産の約五〇%をスイス側が日本政府に譲与するということで合意に至ったものでございます。  以上です。
  116. 丸山和也

    ○丸山和也君 そのような手続であったとしまして、返す義務がないところを返してやるんだから五〇%でも有り難いと思えと、平たく言っちゃえばちょっとげすな表現になりますけれども、そういうふうにも取れるんですけれども、これ、例えばそう言うと、まさに交渉の領域だとも取れるんですね。法律上の規定がスイスにあるわけでもなく返さなくてもいいんだと、しかし返すんだと。しかし、元々違法な収益であるということを常識的に考えれば、世界共通の良識的に考えれば、違法なものは国際的にもやっぱり被害者の方には返してやると、そのために各国が協力するという方が僕はより進んだ発想じゃないかと思うんですね。  それで、例えば、これ、いろんな交渉の結果約五〇%に到達したということなんですけれども、これは例えば、最初の例でありますから、これが一つ確実に確定しますと、今後の同じような例が発生した場合、やはりこれが基準になると思うんですね。それで、返ってくるということではいい意味なんですけれども、例えばスイス人の弁護士を雇うとか腕利きの弁護士を雇ってスイス当局と交渉させるとか、もう少し、やっぱり六割七割を返すというような、そういう努力ができなかったのかなと私は思うんですね。そこらは、ですからどうだったんでしょうか。
  117. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) 先生は、まさに腕利きの弁護士で、法律が御専門でいらっしゃいますので。  先ほど申しましたが、スイスの国内法、没収資産の分配に関する連邦法というのがございまして、この中で、第十一条の第二項ですが、当該外国が相互主義を承認する場合に限り、資産は当該外国と分配することができるとございまして、第十二条の第三項で、分配取決めは分配方式及び分配基準を含まなければならない、通例、没収資産はスイスと当該外国との間で平等に分配されると規定されておりまして、この規定に基づいてこのような協議が成立したわけでございます。
  118. 丸山和也

    ○丸山和也君 すると、スイスの国内法で平等に分配するという解釈から基本的に折半ということになったというふうに、そのように理解してよろしいんですか。
  119. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) おっしゃるとおりでございます。
  120. 丸山和也

    ○丸山和也君 じゃ、それ以上そのことは追及しませんけれども。  あとは、できるだけ速やかにその合意文書が交わされて、現実に日本にその収益金が返還されて、そこから日本での分配というのが手続が始まるんだと思うんですが、これはどのような段取りといいますか、で進むのか、簡単で結構ですけれども、見通しをお聞かせください。
  121. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) 御答弁申し上げます。  資産譲与を受けた後、東京地方検察庁において外国譲与財産支給手続の開始決定に向けた所要の準備を経ましてその決定を行う予定であるところ、現時点で把握している被害者と思われる方が三万人以上に上るため、開始決定までには一定の期間を要するものだというふうに聞いております。  なお、開始決定後は、検察官において直ちに支給対象犯罪行為の範囲等について報告を行い、被害者等からの申請に基づいて支給の当否等を裁定して、原則としてすべての裁定、費用等が確定した段階で被害回復給付金の支給を行うというふうになると聞いております。
  122. 丸山和也

    ○丸山和也君 この問題は、最終的にきちっと返還のための配当をするということで着実にやっていただきたいと思うんですけれども、これは、今、要するに犯罪というのは、国内だけでなくて海外にわたってインターナショナルに行われる時代になっています。そして、これまでは犯罪は罰すると、処罰するということが重点であって、経済犯罪でもその違法な収益を返還させるということはなかなかなかったんですね。それで、これは極めて、国内もそうですけれども、最近の傾向として、国内もそうですし、国際的にも違法収益は要するに保持させないと、こういう大きな世界的トレンドの中での一つの、一種の成功例だと思うんですね。  ですから、これを是非、今後のやみ金の防止にもなりますし、やみ金だけに限らず、いわゆるマネーロンダリングの防止にもつながりますし、日本がやっぱり世界と協力して、違法な収益は必ず、日本が逆にあった場合でも外国に返すんだと、お互いにやっていくという意味で国際秩序の確立に大きく貢献すると思いますし、また被害者の救済にも大きく確立すると思いますので、是非一刻も早い実現に今後も努力していただきたいと思います。  それから次に、非常に難しい問題なんですけれども、拉致問題について、いわゆる北朝鮮による拉致問題について少しお聞きしたいと思います。  これは、約二十年前に参議院の予算委員会で初めて日本政府が、当時たしか梶山静六国家公安委員長だったかな、が、いわゆる北朝鮮による拉致と思われるようなことがあるようだという公式答弁といいますか、見解を表明された。約、ですから二十年前ですね。これが最初だと私はお聞きしているんですが、それからだんだんとその真相が究明されて、小泉前々総理が行かれて、その結果五名が帰ってくるというようなことにもつながったわけでありますけれども、全体としては大変な局面になっている。膠着しているといいますか、それ以上の解決がどのようになるのかと、全く分からない状況になっているんじゃないかと私は思っております。  そこで、これも基本的な姿勢なんですけれども、北朝鮮は拉致問題は解決済みだと、これはもう繰り返し言っています。拉致は十三人だったと、そのうち八名は死亡したと、五名はお帰ししたと、すべて解決したと。日本の方は十七名ですか、それから生存を信じて情報を公開せよと言っているんですけれども、きちっとした対応がなされないと。その後、この問題について対話の場が直接的にはほとんどなく、また今後どのようになされようとしているのか見えない状況でございますけれども、基本的に外務大臣はこの問題を今後どのように切り開いていかれようとしているのか、そこら辺の所信をお聞きしたいと思います。
  123. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 拉致問題は、我が国の主権及び国民の生命と安全にかかわる重大な問題でありまして、日本政府としては、北朝鮮側から納得のいく説明がなされていない以上、安否不明の拉致被害者はすべて生存しているとの前提に立って、北朝鮮側に対して、すべての被害者の安全確保及び即時帰国、真相究明及び被疑者の引渡しを強く要求してきているわけであります。  拉致問題を含む日朝関係については、昨年十月の六者会合の成果文書において、日朝双方が平壌宣言に従って早期に国交を正常化するため誠実に努力すること、また精力的な協議を通じて具体的な行動を実施していくことが約束されましたが、北朝鮮が拉致問題の解決に向けて具体的な行動を取ってきていないことから、残念ながら具体的な進展は今得られていないわけであります。  政府としては、引き続き日朝平壌宣言にのっとって、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して日朝国交正常化を早期に実現するとの方針であり、朝鮮半島の非核化とともに、拉致問題を含む日朝関係についても前進するよう最大限努力を行っていく考えでございます。
  124. 丸山和也

    ○丸山和也君 そのような見解は、私も新聞でもテレビでも、あるいはいろんな政府の高官からも何度もお聞きしているんですけれども、それを聞いていると分からなくなってくるんですね。  それで、ざっくばらんと言っては申し訳ないですけれども、ざっくばらんなところ、いわゆる日本政府が拉致被害者として認定している人が、大臣、いつごろ帰ってきますかね。そういうめど的なもの、例えば五年以内には大丈夫だろう、あるいは十年以内には大丈夫だとか、全く分からないと。ここら辺はどんなもんなんでしょうか。まあ総理大臣がいたら総理大臣にも聞きたいんですけれども、ひとつどんなもんなんでしょうか。
  125. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) できるだけ早く取り戻したいという以上のことは申し上げられない状況であります。  この問題を解決するのは、金正日委員長が解決しようと決断する以外にこれは解決しないんです。だから、どうやってそういう決断をさせるかということ以外にないわけですね。金正日国防委員長が、解決した方が得だと考えるか、解決しないと損だと考えるか、これは同じことでありますが、そういうどちらかの条件を、そう思わせるように条件をつくっていく以外にないので、幾ら私がどんな決断をしようと帰ってこない。金正日委員長が解決するという決断をしないと帰ってこないわけでありますから、そうさせるためにどうするかということを総力を挙げて考えて、また行動していく。表に見える面もありましょうし、見えない面もあるかもしれない。あらゆるところでそういうことを心掛けていく、いっているつもりでございます。
  126. 丸山和也

    ○丸山和也君 明治新政府のころに、征韓論が非常に沸騰したころに西郷隆盛が、詳しいことは時間がありませんので言いませんけれども、おれが一人朝鮮に行くと、そこで話をしてくると、こう言ったんですね。でも、みんなが止めて、おまえが行ってどうするんだと。彼は決して、朝鮮をたたけという主張じゃなかったんですけれども、後日そういうふうに若干ゆがめられていますけれども、行って話をしてくると。  これは、なぜ出したかというと、小泉さんが行かれました。そして、新聞で見ますと、小泉さんがまた、おれだったらやっぱりもう一度行くなと言われたようにも書かれているんですね。ですから、金正日が本当にそうだと思うしか解決がないんであれば、まあ石頭だと思いますが、どんな人間であれ、会って説得することをやらない限りは、周辺で土俵を幾らつくったって、最終的にはらちが明かないと思うんですね。  そういう意味では、大臣から福田総理に、行ってこいと、是非行ってくれというような、けつをたたくというような、そういうお気持ちは現時点ではおありなんでしょうか。
  127. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 小泉総理が北朝鮮に行って、いろいろ日朝平壌宣言について批判する方もおられますけれども、あの金正日という人に拉致という事実を認めさせて、何人かでも連れて帰ったというのは私は大変大きな功績だと、こう思っているわけであります。  ただ、それは、行くという決断をした小泉さんも偉かったけれども、それに対する、そこまでのおぜん立てをして、行かせる条件をつくらないで、ただ総理行ってくださいじゃ、その場で話して解決すると、そういう話では現実の問題としてはないんだろうと、こう思っております。まさに当時の官房長官を始め、大変な努力をしてそういう条件をつくられた、そして小泉総理がそれに乗っていって拉致された方の、拉致そのものを今まで、今まで交渉で拉致という問題を出しただけで席立って帰ってきちゃったんだ、北朝鮮側は。そういう中で認めさせて、そして戻ってきた。その大きなおぜん立ての部分も、おぜん立てした人があったからそれができたということも御理解をいただきたいと思います。
  128. 丸山和也

    ○丸山和也君 そうなりますと、是非大臣が中心になってこれからおぜん立てをやっていただきたいと、こういうふうに申しておきます。  それと一点、これは外務省というより法務省に対するちょっと質問というより、だったのかも分かりませんけれども、大した質問じゃないんですけれども、私がちょっとあのとき非常に心に引っかかったことが一点だけあります。  数年前に金正日のたしか次男の方でしたかね、金正男さんという方かな、ディズニーランドかなんかに来て……(発言する者あり)長男ですか、不法入国か不法滞在かなんかで一回入管当局に拘束されて、私は、こう言ってはあれですけれども、面白いことが起こったなと思ったんですよ。片や、日本人が拉致されていると。あの人が勝手に入ってきた、いや、そんなことは言っていませんよ。だけれども、むしろこれを厳正に入管当局、法務省が調べて、徹底的にやって、例えば裁判にするとかなんかあるのかなと思ったら、当時は田中眞紀子外務大臣でしたけれども、いやいや、とにかくとにかくもう早くお帰りくださいみたいに、二、三日で帰ったように思うんですね。ああいうときに、僕は、やっぱり何かきちっと、法治国家である日本がきちっと毅然と対応しているのかなという、詳しいことは分からなかったんですけれども、感じを持ったんですね。  ですから、日本の外交というのはやっぱり及び腰であってはいけないし、それから強いところは強いところを示して、何もけんかする必要はないけれども、やっぱりそうしないと、日本外交全体が軟弱というか、なめられてしまうんじゃないかという感じが、私だけじゃなくて一般の人は非常に今感じているんじゃないかと思うんですね。ですから、是非、やっぱり圧力だけでは駄目でしょうけれども、対話と圧力という言葉を標榜している以上、そこら辺も抜かりなく、ぴしっとするところはぴしっとやっていただきたいと、そのように付け加えておきます。  それから、もう一つお聞きしたいのは国連の常任理事国入りの問題でございます。  これは、日本政府がもう随分前から、国連の通常予算の一九・五%ですか、米国に次いで割当てとしてはもう第二位の多大なお金を出しているにもかかわらず常任理事国に入れないということで、非常に具合が悪いんじゃないかということで一生懸命、常任理事国入りを目指して運動したと思うんですね。  ところが、一昨年でしたかね、基本的にこれ駄目になりまして、しかし、日本政府としては、基本的に常任理事国入りをなお追求するという見解であるというやに伺っておるんでありますが、この点の理解は間違っていないでしょうか。
  129. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) なお追求している最中でございます。間違っておりません。
  130. 丸山和也

    ○丸山和也君 そして、そうしますと、前回うまくいかなかった理由もいろいろあると思うんですが、ちまたに言われているところを見ますと、日本だけじゃとても常任理事国入りという運動を起こすのも、また認められるのも無理だということで、G4とか当時言っていましたけれども、日本それからドイツそれからブラジル、インドですね、これをみんなでやろうと、タッグを組んでやろうということでやったようなんですね。ところが、基本的には中国が強い反対を、日本の加盟に対して反対をしたということが一番大きいかと思うんですけれども、ブラジルにはメキシコ、ドイツにはイタリア、それから余り面白くないというそれぞれの国もありまして、うまくいかなかったようなんですけれども。  そして、ちょうどおととしですかね、ボルトン、前国連のあれでしたかね、ボルトンさんが日本に来られたときに、あれは日本単独でやればよかったんだよという発言をたしか日本に来られたときにされたというふうに私も記事で見たんですけれども。  ここら辺を、あの戦略が失敗したのか、そんな単純な問題じゃなかったのか、それからまた、今後なお引き続き常任理事国入りを目指すという場合、日本単独での運動をやるのか、それともやっぱりあのG4みたいなのを組んで、歩調を合わせて四か国としてやろうとされているのか。そこら辺はどういう方針があるのかないかも含めて、基本的なところをお聞きできたらと思っています。
  131. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 国際社会が二十一世紀の課題に効果的に対処する上で、安保理を改革することというのは引き続き国際社会の喫緊の課題でありますし、安保理改革実現に向けた試みは先ほども申し上げたとおり全く終わっていないわけであります。  我が国としては、引き続き安保理改革の早期実現及び常任理事国入りを目指す考えであり、G4各国を含む主要国を始め各国と検討を進めるとともに、国連での議論にも積極的に参加していく考えであります。  中国については、昨年十二月の福田総理の訪中時に温家宝総理より、日本の国連による地位と役割を重視しており、日本が世界の平和と安定のためにより多くの貢献を行うことを望んでいるとの発言があり、日中間でよく意思疎通を図っていくことで一致しております。この一環として、今月十四日、北京において国連改革、安保理改革に関する日中局長級協議が行われたところであります。  今後とも、中国やASEAN諸国を含む各々と様々なレベルで協議等を積み重ねることにより安保理改革に関する各国の理解を更に促進するとともに、より積極的な態度が得られるよう努力していく考えであります。  常任理事国入りを考える場合、日本という国を常任理事国にするかどうかということを今国連で投票したら、三分の二というのは優に取れると思っているわけであります。そうじゃなくて、その前の枠組みですね。常任理事国を幾つ増やすのか、幾つにするのか、そしてその上で、非常任理事国も増やすのか増やさないのか、全体で幾つにするのか、それを各地域に幾つ割り当てるのか割り当てないのか、そういう枠組みがまだできていないんです。枠組みのところで今いろいろやっているわけですね。  だから、ボルトンさんが、日本一つだったら、一国だったら入れたのにと言うのは、日本一つだとその枠組みの議論のときになかなか難しいと思います。アメリカは元々、日本一国については応援するよ、日本ならいいんだけどねと、こういうことを元々言っているわけでありますが、じゃ、みんなが納得するような枠組みをつくることについて世界の大勢が、じゃ、このくらい増やしましょうということについて、アメリカはそんな増やし過ぎだと、こういう面もあるわけですね。  だから、その枠組みをつくるというところがまずしなければいけない。その中で、枠組みをつくった場合に、じゃ、その枠組みの中で日本が常任理事国になれるかなれないか、そういう問題だということを御理解いただきたいと思います。
  132. 丸山和也

    ○丸山和也君 確かに大臣おっしゃるように、単純に日本だけが入れるかという、単純投票すれば確かにそういうウエルカムな判断が出ると思うんですけれども、やはりその枠組みづくりが大変難しいと聞いているんですね。  それで、東京大学の今教授かな、前に国連の方へ行っておられた、国連次席大使やられた北岡伸一さんというんですか、あの方も論文でよく書かれているんですけど、あの方もやっぱりこの枠組み、日本だけが常任理事国というのは、そういう運動をしてみたって枠組みつくるというステージでもう崩れてしまうと、無理だと、だから枠を国連改革という中の全体の中で論じないと駄目なんだということを力説されていまして、そういう意味ではまさに大臣のおっしゃったとおりだと思うんですね。ところが、そうなるとワンステップ、ツーステップ、スリーステップと、結構やっぱり大変な作業であることもまた事実のように、私でもうかがわれるんですね。  でも、やはり常任理事国入りを目指すとなると、やっぱりその枠組みづくりから積極的に、日本が他のいろんな主要国その他の国々と協議をしながら、戦略的にそれはやっぱり運動として、まあオリンピック招致じゃないですけれども、運動として進めていかないと、なかなかこれ風任せみたいになってしまうのかと思いまして、どうも今は完全にもうあきらめてしまっているのかなと。もうエネルギーとして、かつては常任理事国入りというのがあったんですけど、いったんもうあきらめて、今は時期が来るまでしばらく待とうかと。待てば海路の日和ありじゃないけど、そういう心境かなというふうに思っているんですけれども、本当にこれからも運動としてやっていこうという、政府として本当にそういう気持ちがあるんでしょうか。
  133. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 今、具体的にいろいろ動いております。
  134. 丸山和也

    ○丸山和也君 じゃ、是非一歩一歩、成果が出るように頑張っていただきたいと思います。恐らく日本国民も、まあ一部の反対意見はありますけれども、常任理事国入りについては賛成が多数を占めておりますので、これも世論だと思いますので、是非進めていただきたいと思います。  なぜ中国かと私は思ったんですけど、やっぱりアジアにおいて友好国、中国がこれだけ大きな存在になってきて、それで、ただ一国、もちろん拒否権も持って入っていると。それで、日本が金は出しているけど、そういう常任理事国に入っていないというのも極めてやっぱり常識的に考えてもアンバランスじゃないかと思われますので、こういう一般的な世界的世論というのは必ずあると思いますので、是非、多少時間が掛っても、枠組みづくりを含め一歩一歩前進されていただきたいと切に願っております。  あと七分ありましたけれども、大臣もお疲れのようですので、私もここらでちょうど時間となりましたということでさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  135. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 それでは、私から外務省防衛省に分けて質疑をさせていただきます。  まず、ODA実績額の減少で懸念される国際的発言力の低下について、外務大臣にお尋ねいたします。  これは、財政難によりまして一般会計ベースでのODA予算というのは年々削減をされておりまして、二十年度予算は最も多かった平成九年度に比べますと四割削減ということになっております。かつては国際貢献、国際貢献と言えばどんどん予算が付いたという、これもちょっとそれではいけないわけでありますけど、しかし、この四割減というのは相当な数字でありまして、これによって我が国の国際的な外交力といいますか、発言力の低下を心配をしておりますけれども、どういう今そういう外交面での影響を受けておりますでしょうか。
  136. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 途上国の平和と安定や発展のために協力していくことは、我が国自身にとっても利益であり、我が国の外交政策において重要な課題であるわけであります。これまで我が国は、そうした協力のためにODAを積極的に用いて、国際的な評価や信頼、国際社会における発言力を高めてきたところでございます。  二〇〇七年の我が国ODA実績は前年より約三割減の七十七億ドルにとどまり、米国、ドイツ、フランス、英国に次ぐ五位という残念な状況になりました。我が国の開発援助の効果を上げていくため、質の改善に引き続き努めていくことも重要でありますけれども、国際社会の諸課題の解決に貢献し、日本の存在感や発言力を高めるためにODAの一層の活用は不可欠であります。  政府としては、二〇〇五年に表明した百億ドルのODA事業量積み増しの国際公約達成はもちろんのこと、来るべきアフリカ開発会議、TICADやG8北海道洞爺湖サミットにおいてアフリカ開発、平和構築、環境といった国際社会の諸課題の解決に主導的な役割を果たすため、引き続き必要なODA予算の確保に取り組んでいきたいと考えているところでございます。
  137. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 毎年の予算編成というのは、政府で決めます、もちろん与党も了解をして決めます骨太方針予算編成をしていくわけでありますけれども、この骨太方針二〇〇六で、財政再建の観点から十九年からの五年間で一般会計のODAは毎年二から四%削減をすると決めておりますので、これに縛られて予算の編成が行われているわけですね。  しかし、最近は、外務大臣だけではなくて総理もこうした骨太方針二〇〇六の見直しといいますか、そうしたことにも言及されているというふうに承知をしておりますけれども、こうした方針骨太方針二〇〇八では見直して、所要の額を確保しなければいけないと思います。かつてのように日本がトップドナーになるという必要はないと思いますけれども、しかし毎年毎年減らしているという状況は何とか来年度は変えていただきたいと思いますけれども、外務大臣、いかがでしょうか。
  138. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 御指摘のように、一般会計のODA予算は過去十一年間で四割減という厳しい状況にあるわけであります。二〇〇七年の我が国ODA実績は米国、ドイツ、フランス、英国に次ぐ第五位となりました。近年、他国がODA実績を伸ばす中、国際社会の諸課題の解決に貢献し、国際社会における発言力及び信頼を高めるためにODAの一層の活用は不可欠だと思っております。  御指摘骨太方針二〇〇六では、一般会計ODA予算について二〇一一年までの五年間はマイナス四からマイナス二%とされているところであります。一方で、同方針の中に、ODA事業量について百億ドルの積み増しを目指すとの国際公約を着実に実施することとされているわけであります。同じ骨太の中にそういうことが入っているわけであります。  本年、我が国は、G8北海道洞爺湖サミットや第四回アフリカ開発会議、TICADⅣを主催します。両会議でしっかりした成果を上げて、ODAの重要性について国内で一層の理解を得る契機としつつ、外務省としては引き続き必要なODA予算の確保に向けて取り組み、我が国ODA減少傾向を底打ちさせ、反転を目指す決意でございます。  決意決意なんですが、なかなか現実にお金がないということもありますので、この決意を実らすのは容易なことではございませんので、どうか応援をよろしくお願いをいたします。
  139. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 これはしっかり与党としても応援します。  それで、今年はアフリカ開発会議日本で行うわけでありますので、対アフリカ支援ということもこれから大きなテーマになってまいります。この点につきまして、外務大臣の諮問機関であります国際協力に関する有識者会議の本年一月の報告では、対アフリカODAというのは贈与を中心とすべきであると。なかなかそれは、返ってくるということを前提では難しいケースが多いという、こういうことが書いてあります。したがって、対アフリカ支援を中心に無償資金協力というのをこれから軸にしていくべきではないか。OECD等の議論では、世界の潮流もそういう、もう有償協力というのは何かそういうひも付きのようなイメージもあって良くないんだというような議論も潮流になっているということも聞きました。  特に、この対アフリカ支援については贈与を中心にこれから拡充すべきであると考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  140. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 国際協力に関する有識者会議の中間報告では、対アフリカODAは贈与を中心に拡充していく御提言をいただいておりますが、その点については政府としても重視をしているところでございます。ODA予算をめぐる状況が厳しく、全体として削減される中で、アフリカ諸国に対する支援を可能な限り拡充するよう努めております。  政府としては、円借款についても、相手国の債務持続性等に留意しつつ積極的に活用していく考えでありますが、贈与の中心である無償資金協力については、近年既に全世界向け支援総額のうち約四割をアフリカ向けに供与をしているところでございます。  本年、我が国は、五月にTICADⅣ、七月にG8北海道洞爺湖サミットを主催します。議長国として対アフリカ支援についても主導的な役割を果たす考えであります。
  141. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 次に、同じく外務大臣に、留学生受入れ事業におけるフォローアップについてお尋ねをいたします。  財務省実施しました平成十九年度予算執行調査では、外務省及び文科省が実施している留学生受入れ事業につきまして、留学生の選定が外交的な観点から行われていないことや、多くの留学生が出身国や日本ではなく第三国にその後活動の拠点を移している、あるいは帰国後の情報把握が十分に行われていないという、そういう指摘改善に向けての要請がございました。  そこで、まず外務省に、留学生が帰国をした後のフォローアップというのは今きちんとしているのか、この報告を求めます。
  142. 小池正勝

    大臣政務官小池正勝君) 留学生のフォローアップの御質問がございました。  元留学生と申しますのは、知日家、親日家として極めて日本にとって懸け橋として重要な人材でございます。したがいまして、元留学生に対する帰国後の支援というのが重要だと認識をいたしております。  このような観点から、外務省は、帰国留学生会の組織化、留学生の帰国報告会、元日本留学生による留学説明会の実施等に対する活動支援というのを具体的に行っております。さらに、アジア諸国等の元留学生を日本に再度招聘する事業実施して元日本留学生のネットワークの形成ということを進めておりまして、これらの事業を更に進めていきたいと思っております。
  143. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 元留学生の日本での集いは、私も努めて出席をするようにしておりますけれども、是非、本当に親日家をつくるツールとして帰国後のフォローもしっかりやって、これが無駄にならないようにお願いしたいと思います。  また、JICAでも、これは開発途上国における人材育成として研修員受入れ事業実施をしておりますけれども、JICAの方では、帰られた後のフォローアップ、これはどのように取り組んで、あるいはまた改善をしていかれますか。
  144. 金子節志

    参考人金子節志君) 研修員受入れ事業につきましては、年間約八千人の方々を人材育成のために受け入れております。大半が途上国の現職の政府関係者の方々でございます。このうち約六割は、機構が現地実施しております協力事業の関係者でございまして、帰国後の取組につきまして現地において促進を行っているところであります。また、残る四割の研修員につきましては、機構の協力事業の直接の関係者ではございませんが、必要性を見極めた上で帰国後の取組に対しまして技術的、資金的な支援を行っているところであります。  他方、帰国研修員が国ごとに組織する同窓会というのがございます。昨年度の活動に対して七十四か国の同窓会に対して支援いたしまして、我が国の人的な資産として帰国研修員との関係の維持発展を継続的に図っているところでございます。
  145. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 最後に、外務大臣に。  留学生十万人の受入れ計画というのはようやく達成をしまして、今、今度三十万人ですか、新たなそういう戦略的なこの受入れ計画というのを検討していると、このように聞いております。それは結構なことなんですけれども、やはりこのフォローアップが不十分だという指摘を受けないように、特に外務省は在外公館があって一番そうした帰国をした留学生のフォローアップをできる、しなければならない中心なわけでありますので、しっかり外務大臣が中心となって戦略的なこの留学生受入れ事業の拡充を図っていただきたいと思いますが、決意をお尋ねいたします。
  146. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 予算執行調査では、留学生施策間の連携を強化し、留学生の国別配分等の見直しを図ることが必要、帰国後のフォローアップの取組を充実させることが重要といった指摘を受けているところでございます。  留学生施策間の連携強化につきましては、国費留学生、ODA活用した事業など、各受入れ事業を担当する部署間で応募者に関する情報の共有を進めていく考えでございます。また、国費留学生の国別配分等については、本年度より外交戦略に基づいた戦略的、機動的な配分が行えるよう戦略機動枠を創設し、運用を開始したところでございます。  帰国留学生のフォローアップについてでありますが、日本学生支援機構との連携によって帰国留学生の連絡先等の把握の改善を図るなどの取組を一層充実させるなど、より一層取り組んでいきたいと、こういうふうに考えております。
  147. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 後半は防衛省にお尋ねいたします。  まず、大臣に危機管理体制の再構築についてお尋ねいたします。  昨年十二月の護衛艦「しらね」の火災、あるいは本年二月のイージス艦「あたご」の衝突事故、そしてさらに三月には護衛艦「はまゆき」がホーチミン港で貨物船と接触をするということで、本当にこの国の守りは大丈夫かというふうに言われかねないことが続いているわけであります。防衛省では三月にこれらの事故の原因と再発防止策につきまして報告書を発表いたしましたが、マスコミの論調等も、まだこの原因究明については不十分だと、もちろんこれは海上保安庁の捜査が行われているわけでありますからやむを得ない面もありますけれども、しかしそういう批判もあるわけでございます。  そこで、今後、徹底した原因究明及び再発防止についての石破大臣決意をまずお尋ねいたします。
  148. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 今委員からお話をいただきましたように、三月二十一日に艦船事故調査委員会が行ってまいりました聴き取り等で明らかになりました内容について公表いたしたものでございます。聴取ができていないものが一部ございますので、当然完璧なものではございません。ただ、私、これの公表に当たりまして、何度も何度も省内で会議を行い、本当に今の時点で分かっているもの、そして改善すべき方向について、私としてはできる限りのことを行ったつもりでございます。マスコミ等々におきましていろんな御批判があることは承知をいたしておりまして、完璧なものというのはないわけでございますが、かなり分かる範囲で踏み込んだ調査を行ったと、そして今後とも続けていかねばならないというふうに考えております。でも、その内容を繰り返すことはいたしません。  再発防止についてということでございますが、それは今回の「あたご」の場合には、見張りが不十分であった、あるいは回避措置として不十分なものがあったのではないかという認識を持っております。そういうものはもう全艦艇におきまして徹底をする、そういうことがないようにということを周知徹底をするのは当然のことでございます。考えられる限り、ありとあらゆる措置をとってまいります。  ただ、私、衆議院でも何度かお答えをしたことでございますが、ここ数年、例えば工作船事案というものがあった。海上保安庁法が改正をされ、それを準用する形で自衛隊法というものが変わったと。そうしますと、法律が変わりますといろんな関係の諸規則というのがすべて変わります。あるいは、ミサイル防衛において、海上自衛隊というものがSM3を使って相当の部分を担わねばならぬ、そうするとそこでまた関連のいろいろな規則が入ってまいります。さらには、装備の物すごい近代化が進んでおりまして、そうすると新しい装備に熟練するためにいろんな者を教育の機関に出さねばならないということが起こっております。  任務は物すごく増えると、人は増えないと、責任は重くなるということを考えてみましたときに、何か根本的に考えてみなければならぬことがあるのではないかという認識も併せて持っておるところでございます。その辺りは、もう法律を御審議いただき予算を御審議いただく国会においても是非とも御議論を賜りたいことでございますが、あわせまして、インド洋に六年にわたる長期間、船を出しておるということもございます。そうしますと、私どもの海上自衛隊としてどのような任務を負うべきか、そしてそれをきちんと行うに足る体制というのは何なのかというところまで、本当に抜本的に徹底的にお話をしていきませんと、これはならぬことだと。  何も事故を起こしたことのエクスキューズを申し上げるつもりは全くございません。それは本当におわびをしなければならぬことですし、再発防止に考えられる限りのことをいたします。ただ、私どもとして、何ができて何ができないのかということを政治の立場としてきちんと把握をしておくということも極めて肝要なことだと思っておりまして、私自身はその意識も併せて持ち、取り組んでまいりたいと考えております。
  149. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 大臣おっしゃるように、現場の自衛官の方は今、大変つらい立場だと思うんですね。そうしたことも理解した上で、是非我々もその大臣の取り組む改革をしっかり支援をしていきたいと思います。  次に、昨年の山田洋行における過大請求の問題を発端といたしまして、防衛装備品の調達の在り方、特に過大請求ということがこの国会でももうずっと論議、追及されておるところでございます。そこで、現時点における過大請求の総額を含め、その実態がどこまで今判明をしているのか、概括的に大臣報告を求めます。
  150. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 参事官でいいですか。
  151. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 いいですよ。
  152. 小川秀樹

    政府参考人小川秀樹君) お答え申し上げます。  山田洋行の事案をきっかけに、水増し請求についての調査を進めておるところでございます。  山田洋行につきましては、昨年十一月に二件が発覚をしたことを踏まえまして、さかのぼり得るすべての契約を対象に調査を行っておりまして、十四年度以降の山田洋行との間の契約約六百四十件につきまして海外メーカーに見積書を送付して真正性確認を行いまして、現時点で、その中で七件の過払いを確認をいたしております。その他の調査によって山田洋行について確認したものを含めまして、現在までに十六件約四億三千八百万円の過払いを確認したところでございます。  山田洋行以外の会社でこのような不正行為がなされていないことを確認するため、過去五年に中央調達関係で一般輸入の実績のありますすべての企業百十社を対象に同様の調査をいたしておりまして、その関係では、百八十件の送付の中で調査結果一件、極東貿易という会社の案件でございますけれども、過大請求を確認して公表をいたしました。そのほか、そのサンプル調査で地方調達分についても調査をしております。  極東貿易につきましては一件過大請求が確認されましたので、これについても徹底的な調査を行うということで、過去の契約について海外メーカー送付を調査をいたしまして、結果、現時点で四件の過払い、過払い額約二千万円でございますけれども、確認をいたしているところでございます。
  153. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 過大請求というのは、これはもう明確に犯罪を構成するわけでありますし、こうした過大請求を行った商社に対しましては、そうした刑事告発も含めて厳正な処分を行っていただきたい、このように考えますが、大臣の見解をお尋ねいたします。
  154. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 私どもとしまして、厳正な処分を行わねばならないという認識は委員と同じでございます。  では、具体的に何だということになりますと、これらの企業に対しまして、過大請求が発覚いたしましたときから過払い額等を支払うまでの間、これは取引停止の処分を行うということが第一。第二は、これらの企業との間において、遡及できる限りすべての契約につきまして徹底的な調査を行い、過払い額を算定し、当該企業に対しまして、過払い額そして過払い発生の日から過払い金の支払までの間の遅延損害金、これは年利五%ということにいたしております、さらには違約金の支払、これを請求することといたしております。  山田洋行について申し上げますれば、本年二月の末に、その時点で判明しておりました過払い額合計約四億三千八百万円に延滞金を含めました約五億五千万円につきまして、債権の早期保全を図りますためいったん確定をし、防衛省の山田洋行への支払債務と相殺を行ったところでございます。  また先般、私ども省内に設けました総合取得改革推進プロジェクトチームにおきまして検討いたしましたことを踏まえまして、過大請求事案に対する制裁措置の実効性を高めますために、本年四月以降に締結をいたします契約を対象といたしまして、違約金の増額、つまり今まで倍返しということであったわけでありますが、それを二倍ということで行ったところでございます。  刑事告発についてのお話がございました。これは委員会でも何度かお答えをしたことでございますが、刑事告発に向けて必要となる作業をなお進めておるところでございます。私から昨年の十一月に、山田洋行による過大請求が発覚をいたしました時点で告発についての検討指示をしたものでございますが、何でこういうことになっておるか、まだ告発もできないのかということで、委員は法曹でいらっしゃいますから大変その辺お詳しいかと存じますけれども、告発に必要な事実関係、つまり、事案はどのような全体像であり、具体的な関係者等はだれでありという確認を行っておるものでございます。  つまり、これを詐欺ということで告発をするということになりますと、その構成要件該当性ということにおいて、それがすべて充足をするものなのかということにつきまして関係当局となお調整を行っておるものでございまして、現在検討を進めているというお答えに相なります。  そういうことで、私としてこれをいいかげんに済ませるつもりはございません。これをきちんとした調整を行い、告発に向けた検討というのを進めていきたいと考えております。
  155. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 最後に、大臣に。  今おっしゃった総合取得改革推進プロジェクトチームの三月の報告では、今後二十三年度までの五年間で防衛調達の一五%のコスト縮減という、こうした目標を提示をしております。このコスト削減に向けての今後の見通し、工程について、最後に大臣に御報告を願います。
  156. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 一五%というのはかなり思い切った数字でございますが、このような数値目標というものは、今までいろいろ削減する、削減するとは申してまいりましたが、一五%というような数値目標を設定をいたしましたのは初めてでございます。それに向けて努力をしていかねばならぬということでありますが。  では、一体どうするのだということでございます。これは先ほども議論がございましたが、まとめ買いを一層推進するということが一つございます。そして二つ目は、維持整備方法を見直す、すなわち整備項目でありますとかインターバル、間隔を見直すということ。あるいは、部品・器材の転用というものができないか。当然のことでございますが、民生品でありますとか民生技術の活用ができないか。そして、複数年度契約へ移行すること。そして、仕様の共有化、共通化、仕様の見直し。そのように、考えられるすべてのものを実施をしてまいりたいというふうに思っておるところでございます。  陸海空いろいろな装備を持っておりますが、そこにおいて一括調達あるいは短期集中的な調達を行いますことについても推進をしてまいりたいと考えております。また、必要に応じまして新たな効率化施策を追加する等々の効率化努力を行いまして、一五%を何が何でも達成するように全力を挙げてまいりたいと考えておるところでございます。
  157. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。
  158. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  159. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 速記を始めてください。
  160. 仁比聡平

    仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  私は、米軍機の低空飛行と日米合意についてお尋ねしたいと思います。  昨年十二月七日、広島市で午後一時過ぎ、呉市で午後三時ころ、それぞれの上空をジェット軍用機が爆音を響かせ飛行するという事態が起こりました。私の十二月二十七日付けの質問主意書に対して一月十一日付けの答弁書は、「米側から、お尋ねの日時の間に、米軍所属の航空機が広島市及び呉市上空を高度約千五百フィート以上で通過したとの説明を受けているが、航空機の所属等の詳細については、米軍の運用にかかわる問題であり、政府として承知していない。」と述べています。この答弁書をいただいて、私、どうしてこういう答弁しかできないんだろうかと改めて思いました。  お手元に資料をお配りをしているかと思うんですが、これは、岩国基地の拡張強化に反対する広島県西部住民の会、米軍の低空飛行の即時中止を求める県北連絡会、この両事務局が調査をされた目撃証言、爆音情報、これを地図に落としまして、この問題の機体の飛行経路を示したものでございます。これを御覧いただきますように、この機体は、米軍機は、岩国基地のございます広島湾から広島市の上空を南西から北東方向に飛んで、恐らく広島市北部で8の字を描いて、再び安佐南区の北西から南東方向に飛んでいったということかと思うわけです。  そこで、まず最低安全高度についてお伺いをしたいと思うんですけれども、質問主意書の答弁に言います千五百フィート以上というのは、これは約四百五十メートルになります。ですけれども、最低安全高度というのは海抜ではございません。国土交通省航空局長おいでかと思いますが、航空法施行規則の百七十四条一号のイはどのように規制をしていますか。
  161. 鈴木久泰

    政府参考人(鈴木久泰君) お答えいたします。  航空法施行規則第百七十四条第一号イの規定は、人又は家屋の密集している地域の上空にあっては、最低安全高度は、当該航空機を中心として水平距離六百メートルの範囲内の最も高い障害物の上端から三百メートルの高度以下の高度までは飛行してはならないという規定でございます。
  162. 仁比聡平

    仁比聡平君 私は現地で、この図面でいいますとちょうど破線が実線になる辺り、ここで目撃者の方に直接お話を伺いました。この方は、雲の切れ間からいきなり米軍機が現れて、まるでエスティマのように大きく見えたとおっしゃっておりましたけれども、鳥肌が立って圧倒されたそうです。機体番号や機長も見えそうなほどの高さだったとおっしゃった上で、ちょうどその北側に権現山という山があるんです。標高が三百九十七・四メートルで、頂上近くにはテレビ塔のアンテナがある山ですが、その山頂よりも低いところを飛んだように見えたとおっしゃっているんですね。  今、航空局長からございましたように、飛行する米軍機から見て最も高い障害物、つまりこの権現山より三百メートル上、すなわち七百メートル以上でなければ最低安全高度を守ったとは言えないということはこれは明らかでございます。  平成十一年の日米合意は、在日米軍は低空飛行訓練が日本の地元住民に与える影響を最小限にする、人口密集地域や公共の安全に係る他の建造物、学校や病院などですが、これには妥当な考慮を払うとした上で、米軍は日本の航空法により規定される最低高度基準を用いているとしております。  そこで高村大臣、この飛行は日米合意に反するのではないんでしょうか。大臣
  163. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 日米両政府は、日米地位協定の運用改善として、平成十一年一月に、低空飛行訓練に関する合同委合意合意をいたしました。その中で、在日米軍は、国際民間航空機関日本の航空法により規定されている最低安全高度と同一の飛行高度規制を適用していることとされているわけであります。この点、国際民間航空機関、ICAOや我が国の航空法により規定される最低安全高度は、人口密集地では付近の最も高い障害物の上端から三百メートル、その他の地域では地表から百五十メートルとなっております。  御指摘の米軍所属の航空機について米側に照会したところ、米側から、広島市及び呉市上空を高度約千五百フィート、すなわち約四百七十五メートル以上で通過したとの説明を受けております。したがって、政府としては、米側の説明を踏まえれば、御指摘の飛行は在日米軍による低空飛行訓練についての平成十一年一月十四日の日米合同委員会合意に反しているものではないと認識していますと、こういう説明を事務方から受けているところでございます。  今の委員の御説明を、私はちょっとこの広島の地理的感覚が分かりませんので、ちょっとそごがあるかなと感じましたけれども、広島の、どこがどういうものがあって、どこを通ったかということは正確に分かりませんが、現時点で私が事務方から受けている説明は今申し上げたことでございます。
  164. 仁比聡平

    仁比聡平君 大臣が今、私の質問といいますか紹介とそごがあるかもしれないとおっしゃったとおりだと私は思うんですよね。つまり、米側は千五百フィート以上ですから最低安全高度を守ったというふうに説明をしたのかもしれないけれども、実際にはこの権現山という山があって、そこよりも低く飛んでいるように見えたという目撃証言が幾つもあるんですよ。そうであれば、航空法の規則は守られていないということになります。  安保や地位協定や、あるいはこの航空法の八十一条を適用除外にしているというような問題については、私と大臣、少し立場が違うのかもしれないけれども、低空飛行の問題というのは、これは事実の問題が大変大事、事実がどうだったのかということが問題なのだと思うんです。そういった意味で、この事実がどうだったのかということをしっかり調査することが必要だと思うんですね。  広島市民の皆さんから、今御紹介した市民団体は、落ちてくるのかと思って鳥肌が立った、中学校の真上を飛んでいったと、余りに怖かったので機体を見たのに形が思い出せないといった恐怖や不安の声が次々と寄せられました。広島市や県に対しても問い合わせや抗議が殺到しましたし、写真を撮られた方も幾人もいらっしゃるわけです。  防衛大臣に、石破大臣にお尋ねしたいんですが、防衛省はこの飛行があった十二月七日以降、飛行高度だとか被害や苦情を、目撃情報について調査をされてきたのか、米軍あるいは米側がどう説明するかは別として、市や県への苦情の内容や現場の調査を行うのが私は主権国家として当然のことではないかと思いますが、いかがでしょう。
  165. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 私どもとして、現地における調査は行っておりません。十二月七日の米軍機の飛行、御指摘の飛行でございますが、中・四国防衛局では四十件の苦情を受けております。また、すべての苦情を受けておるわけではございませんので、つまり防衛局に来たものだけではございませんので、関係自治体、これは広島県になりますが、との間でどのような状況であったかを確認し、私どもとしても把握をしておるところでございます。  私ども本省といたしまして、全国から報告されました低空飛行に関する騒音苦情等の状況は集計をし、おおむね四半期ごとに在日米空軍に通知をいたしますとともに申入れを行っておるところでございます。各地におきましてそのような低空飛行による苦情が発生をした場合、必要に応じ、私どもの本省から個別に第五空軍、すなわち在日米空軍に申入れを行っているところでございます。  私自身、この低空飛行というのに実際遭遇したことがございまして、私の選挙区、鳥取県でございますが、それは本当に怖い、恐怖を感じる、いきなり現れて、いきなり低空で飛行してということでございます。もちろん、それは遊びや冗談でやっておるわけではございませんで、その必要性によってやっているものであり、米軍自体も命懸けでやっておるものでございますが、しかしながら、それを受ける側として本当に物すごい恐怖を感じるということは、私自身、身をもって体験をしておることでございます。  今申し上げましたように、主権国家としてきちんとした合意が遵守されるようにということは、その都度きちんと申し入れることは当然であり、私どもとしても、今後もそれに努めてまいりたいと考えております。
  166. 仁比聡平

    仁比聡平君 石破大臣がそのような思いでおられるならなおのこと、この広島の件について、もうしっかり調査をするべきではないかと思うんですね。  参考までにといいますか、元々墜落やガラスが割れるといった物的被害が出なければ、どんな騒音や墜落の恐怖があっても被害ではないというようなお立場ではそもそもないと思うんです。防衛省が、在日米海軍司令官あてに今年の一月十七日付けで出されている要請文などを拝見しましても、精神的な苦痛を、被害といいますか苦情といいますか、として受け止めて、それを踏まえて遺憾の意を表し、最小限にするように米側に申入れをしておられるわけですね。  この広島の件においても多数の住民の声をしっかりつかんで、その精神的苦痛を踏まえた上で米側に対していくということが、私、当然だと思いますが、大臣、いかがですか。
  167. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 基本的に委員のおっしゃるとおりだと認識をいたしております。また、一月十一日付けで知事及び広島市長から要請文書もちょうだいをしておるところでございます。  そこの内容はもう委員よく御案内のとおりでございまして、当省としてこれを極めて重要なものとして受け止めました上で、本年一月十六日、地方協力局補償課長から在日米軍司令部運用部長に対しまして、低空飛行訓練についての合同委員会合意事項の下、安全面に最大限の配慮を払い、地元住民の方々に与える影響を最小限にとどめるよう申し入れたところでございます。その後も機会をとらえて米軍に申入れを行っておることでございまして、これだけ多くの方々から苦情が寄せられるということは、それはそれなりのものがあるのだろうと。断定的なことは申し上げられませんが、これだけの方々がそのような苦情を寄せられたということ、そして広島県知事、広島市長からもそのような申入れが行われたということは、私どもは極めて重要なものだと考えております。  申入れを行っておりますが、本当に今後きちんと遵守され、住民の方々に恐怖、不安を与えないようにしていくのは日本政府の責任であると考えております。
  168. 仁比聡平

    仁比聡平君 であれば、本当にしっかりした調査を今からでも行っていただきたいということを改めて強く求めておきたいと思うんです。  今大臣からもございましたけれども、県知事、市長、それぞれの抗議文も米軍側に出されているんですが、今日までのところ、アメリカからはなしのつぶてということになっているかと思います。一体国が何をやってきたのかということで、防衛省から、十二月七日の問題の飛行の後に、地方防衛局が岩国基地に岩国所属の米軍機ではないかどうかということを確認した後に、本省からアメリカの第五空軍司令部航空機関係部あてに、ほかの基地所属機ではないかということを確認しようとしたんだけれども、何度電話を掛けても担当者が出張で連絡が取れなかったという説明を私は受けたんですが、大臣、これ事実ですか。
  169. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 済みません、私自身ちょっと事実であるかどうか今確認をしておりません。ちょっと担当局長からお答えさせてよろしゅうございますか。もしそうであれば委員長から御指名いただきたいと存じます。
  170. 地引良幸

    政府参考人(地引良幸君) お答えさせていただきます。  今の御指摘のところは事実でございます。
  171. 仁比聡平

    仁比聡平君 今大臣、そういうことなんですよ。十二月七日にこの飛行が起こって、もちろん地元は大騒ぎになっているわけですね。つまり、正体不明なわけですよ。岩国じゃないということになったら、一体どこの飛行機なんだと。その時点では米軍機であることも分からないわけですから、まるで正体不明機が飛んだのかというような話になっている。だから防衛省も米軍に尋ねられたんだろうけれども、何度電話を掛けても担当者が出張で連絡が取れなかったというのは一体どうなっているのかと。これ実は、クリスマス休暇でいなかったという、そんな話まであるんですよね。  日米合意にいう苦情処理のための連絡メカニズム、これを充実させていくという議論がありますけれど、米軍担当者が出張中なら、私が質問主意書を出した十二月の二十七日以降に、外務省がやっとアメリカ大使館とやり取りをするまで連絡すら取れないというほどにお粗末なものなのかということがこの件でも問われていると思うんですね。  防衛省が、相手がそんなような状態で連絡が取れないとしても、私、これここの空域は岩国が管制しているわけで、岩国の管制に尋ねればどこの飛行機か分かったんじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
  172. 地引良幸

    政府参考人(地引良幸君) お答えさせていただきます。  岩国の管制には確認しておりますけれども、岩国ではないというふうな回答を得ているところでございます。
  173. 仁比聡平

    仁比聡平君 いや、岩国の部隊に確認したら自分のところの部隊の所属機は飛んでいませんよというのはそれは分かるでしょうが、管制コントロールを岩国基地がやっておるわけですよね、そしたらそこのレーダーには映っているでしょう。まさか正体不明機だったら、そこを飛んでいるはずがないわけですから、私は、こういった場合に正体不明機であるという状態を一か月近く置いておくようなことはせずに、きちんと調べるべきだと強く申し上げておきたいと思うわけです。そんなようなていたらくで政府責任が果たされているとは私は言えないと思います。  資料をもう一度御覧いただければと思うんですが、高村大臣、この8の字のように広島市上空を飛んでいるわけですけれども、ここの、地図で言いますと南の方に原爆ドームの写真を貼り付けておりますが、ここが爆心地になるわけです。まるで爆心地をへいげいするかのような、そういう飛び方だという声がございます。占領意識の表れなのではないのかと、厳しく怒りの声を私に語った方もいらっしゃいました。  広島市長の抗議文の中では、人類史上初の被爆都市であり、世界恒久平和の実現を訴え続けている本市の上空を、軍用機が市民に不安を与える形で飛行するということは、市民感情からしても断じて容認できるものではないと、厳重に抗議されているんですね。  この機体が、被爆地広島市の上空で何の訓練をしたのか、訓練でもないならなぜ飛んだのか、この飛行目的はいまだに明らかではないわけです。これをアメリカ側にただして明らかにするべきだと思いますが、高村大臣、いかがでしょう。
  174. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 在日米軍は日米安保条約の目的達成のために所要の活動を行っているものと認識をしておりますが、本件米軍機の飛行目的等の詳細については、米軍の運用にかかわる問題であり、政府としては承知をしておりません。  委員がこういうふうな問題提起している以上、米側にもう一回聞いてみたいと思います。
  175. 仁比聡平

    仁比聡平君 高村大臣はこの日米合意が成立したというか、実ったときの担当大臣で、たしか、違いましたですか、であったかなというふうに私は思っていたんですが、もう一度聞いてみたいとおっしゃった今の答弁、大変重いと思うんですね。運用だから分からないでいいんだという話になってしまうと、米軍機が飛ぶ以上何でもかんでもすべて一切合財が運用で、もう手を出すなという話になってしまうと思うんですよ。そういう立場を両大臣お取りにはならない、日本政府がそんな立場を取らないということを私はお願いをしたいと思うんですね。  被爆国の外相として、目的すら今のところ国会でも明らかにできていない、そういった飛行を米軍機が行ったと、爆心地の上空を、そのことをどう思われますか。
  176. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 基本的には、米軍の運用というのは教えないんですよ、基本的には。ただ、場合によっては、我々としてもどうしても知りたいというとき聞くということはあり得ることだと思うので、もう一度聞いてみたいと、こういうことを先ほど申し上げたわけであります。  爆心地の方たちの特別の感情というのは、それは当然あるんだろうと、こういうふうにも思います。思います。ただ、そのことで、じゃ爆心地、広島上空だから絶対にいけないのかとか、そういうことになるかどうかということについてもいろいろ考えてみたいと、こう思います。
  177. 仁比聡平

    仁比聡平君 市民感情からしても断じて容認できるものではないという、この市の抗議文というのは私は大変重いと思うんですね。考えられるという際に、そのことをよく考えていただきたいと思います。  この件について様々伺いたいことがまだあるわけですけれども、時間がございませんので、この市民団体の調査で、この機体は厚木基地所属の空母艦載機EA6Bプラウラーであることは私は明らかだというふうに思っております。この部隊がどれほど横暴かということを最後お尋ねしたいわけですね。  我が党の塩川鉄也衆議院議員の要求で提出をされました資料によりますと、群馬で平成十八年の五月の二十三日付け以来、防衛省の関係各機関から、本年一月十四日以降の訓練にかかわるまで少なくとも六回というか六個の固まりといいますか、この訓練に対して文書要請が相次いでなされているわけです。例えば、昨年四月二十三日の沼田市の上空で超音速で飛んでいるんですよ。ソニックブームで学校や民家の窓ガラスが割られると。計十三件の物的被害が出ております。  そういった被害が出ているからこそ、防衛省も文書で要請をしてきたのだろうと思うんですよね。厚木のNLPや夜間訓練、この横暴は言うまでもないわけで、ところが、防衛省が幾ら何回要請文を出しても米軍は訓練やめないし、同じような訓練を繰り返している。日本政府の要請すら聞かない米軍を私は信頼するということにはならないと思うんですよ。もはや容認姿勢は許されないのではないでしょうか。米軍の低空飛行をやめさせて航空法八十一条を適用するべきだと思いますけれども、いかがですか。
  178. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) どちらにですか。
  179. 仁比聡平

    仁比聡平君 高村大臣
  180. 高村正彦

    国務大臣高村正彦君) 一般国際法上、駐留を認められた外国軍隊には特別の取決めがない限り接受国の法令は適用されません。したがって、航空法第八十一条は在日米軍に対しては適用されておりませんが、先ほどから申し上げているとおり、日米間では、日米地位協定の運用改善として平成十一年に在日米軍による低空飛行訓練に係る合同委員会合意が行われました。したがって、既に米軍は、航空法により規定される最低安全高度を実質的に守ることになっているわけであります。守ることになっている以上、守ってもらわなければいけないというのは当然のことだと思います。
  181. 仁比聡平

    仁比聡平君 その守ってもらわなければならないものを守っていないという事態が私は相次いでいる、繰り返されてきているということを今日申し上げたつもりでございます。  日米合意の後、低空飛行は減るどころか合意違反がこれほど繰り返されてきている。それは合意そのものに実効性がないのではないかということを疑わせるものなんですね。  その下で、日米合意が結ばれた当時は山間地での低空飛行訓練が大変な問題になってきました。だけれども、それだけでなく、このような都市部の住宅密集地上での低空飛行訓練が、飛行がこれまでになく行われているようになってきているわけです。  その下で、この無法を繰り返してきた、例えばこの厚木の部隊、これが岩国の移転を強行されるなら、中・四国、あるいはイエロールートというのが指摘をされている九州、被害の激増は明らかでございまして、被害のたらい回しは許されないと思うんですね。
  182. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 仁比君、質問時間を過ぎておりますので、まとめてください。
  183. 仁比聡平

    仁比聡平君 実態調査と低空飛行の中止、そして地位協定の抜本的な改定を強く求めて、今日は質問を終わります。
  184. 山内徳信

    山内徳信君 私は、持ち時間で昨日の違憲判決の問題と防衛省改革の検討結果についてお伺いをしたいと思います。  最初に、イラクにおける航空自衛隊の空輸活動は憲法九条に違反するという判決が昨日、名古屋高等裁判所で判決が出ております。もう既に御承知のとおり、航空自衛隊による米兵の輸送に関して、多国籍軍の武装兵員を戦闘地域であるバグダッドに空輸する活動は武力行使を行ったとの評価を受けざるを得ないと判断し、武力行使を禁じた憲法九条一項に反すると述べ、違憲と認定しました。  私は昨年の民主党提案のイラク特措法廃止法案の賛成討論の中でイラクへの自衛隊派遣の違憲性を指摘しておきましたが、この度の高裁による違憲判決は極めて重い判決であると思っております。  そこで最初に、昨日、官房長官と外務大臣そして防衛大臣の御三名は、国会内でこの件について協議をしておられます。そこで、最初に申し上げたいことは、私は、今の日本は三権分立の制度で国は成り立っております。しかし、違憲判決に対して司法を冒涜するような感じさえ受けるそういう責任者の発言は、これは大変残念であり、そういうことになりますと、三権分立そのものを否定して行政権が頂点に立つんだという、そういう発想につながってしまっては大変だと思うからであります。  ここに町村官房長官いらっしゃいませんから、官房長官の発言はここでは申し上げません。  外務大臣はお帰りになったようでありますが、少なくとも国会議員という立場から日本を代表する外務大臣でございますから、もう少し言い回しとかあるいは品位のある言い方をしませんと外国から物笑いになりはしないかと思うからであります。  少しだけ引用させていただきますと、違憲判断を示していることについて、一人の人、括弧して裁判官の意見と、こういうふうに軽く言っております。そして、外相を辞めて暇でもできたら読んでみる、崇高なものであるかのごとく錯覚を与えて政治利用しようとするのは良くない、こういうふうに述べていらっしゃるんです。  私は、三権分立の立場から、日本外務大臣がこういうコメントを出されることは良くないと思っております。  石破防衛大臣についても申し上げますが、極めて遺憾だと、こういうようにおっしゃっております。そして、難しい言い回しでございますが、判決を導き出す立論過程で、論理構成上必要であったわけではない、傍論部分にすぎず、なぜあえて言及したのかやや理解しかねるとおっしゃっておるわけです。  国民が新聞を通して、テレビを通して、読んだり聞いたりしても、すぐ国民が分かるようにおっしゃってください。非常に難しい言い回しでございます。  そこで最初の質問。  国は裁判中に被告の立場にありましたから、イラクの実態とかそういう状況あるいは空輸活動の内容等を資料を通して、裁判で、空自がやっておる実態を訴えながら、あるいは反論をしてこられたかどうか、最初にお伺いいたします。
  185. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 済みません、御通告をいただいておりませんのでなんというのは余り言い訳にもなりませんが、実際の裁判の過程において国側からどのような提示をしたかあるいはどのような反論をしたかということにつきましては、調査をいたしまして、できればこの持ち時間のうちにお答えをいたしたいというふうに考えております。  ただ、イラク特措法の仕組みは委員もよく御案内のことかと存じますが、そこが戦闘地域ということになりますれば、それは活動を中断するあるいは撤収するということが書いてございます。それは、非戦闘地域という概念を設けておりますのは、それは憲法九条をきちんと担保するために行っているものでございまして、そこが国又は国に準ずる組織の間において国際紛争を解決する手段としての武力の行使ということが行われたというふうに評価をされたとするならば、イラク特措法のメカニズムによれば、それは中断、撤収ということになるわけでございます。  その点は是非理解をいただきたいと存じますし、もっと分かるように話せということでございますが、それは私の言葉の使い方が悪いのかもしれませんけれども、この国が勝訴をした判決において、そこの部分を論理として組み込まなければその結論が導き出せないかといえば、それはそうではないというふうに私は読んで感じたことを申し上げたのでございます。
  186. 中江公人

    政府参考人(中江公人君) 裁判において国がどのような主張をしたかということでございますが、被告、控訴人らの請求に対しまして、国は、平和的生存権に具体的な権利性が認められないなど訴えが不適法、あるいは請求自体に法的根拠がなく、自衛隊のイラク派遣等が憲法に反するかどうかを判断するまでもなく却下あるいは棄却されるべきものであるとの主張をしております。したがいまして、イラクでの自衛隊の活動の実態等についてこちらの方から何か主張、説明をしたということはございません。
  187. 山内徳信

    山内徳信君 やはり裁判でございますから、国が主張したいイラク全体の実態あるいはバグダッドにおけるそういう状況をやはり資料としてちゃんと出して訴えるべきじゃなかったかと、こういうふうな感じも私は持っております。  次に進めてまいりますが、防衛大臣として、今回の米兵の輸送活動を憲法九条が禁止する武力行使と認定されておるわけです、裁判の結果。違憲とする判決が出て、昨日から今朝にかけてテレビあるいは新聞等々大きく報道をしておるわけでございますが、一夜休まれて、昨日のあのコメントと現時点でこの判決についてやはり何か変わるのがあると思いますが、それを率直に聞かせてください。
  188. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 委員が冒頭御指摘になりました、昨日三大臣で会合を持ったかということでございますが、そのような会合自体、私はあったというふうに承知をいたしておりません。少なくとも、私はそのような会合には出ておりません、仮にあったといたしましても。  一夜明けて何か考えは変わったかということでございますが、別に変わってはおりません。  すなわち、憲法九条第一項が禁じておりますところの、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」というのは憲法九条第一項でございます。非戦闘地域であるバグダッド空港、判決ではバグダッドというふうにこう書いてありますが、私どもはバグダッド空港を非戦闘地域というふうに考えておるものでございます。そこには民航機も飛んでいるという状況でございまして、そういうところへ、武器といいますのは銃あるいは弾薬ですね、それを携行した多国籍軍の兵員というものを輸送するということがなぜ武力の行使というふうに法的に評価されるのかということについて、私自身、一夜たちましても何ら考えは変わるものではございません。
  189. 山内徳信

    山内徳信君 この件につきましては、やはり戦闘地域、後方支援だとかいっぱい論議のあったことでございますから、少なくとも今はバグダッドを中心にしてそういう空自の活動はあるわけですが、それは結果としてやはり戦闘行為に結び付いていくという判断をしたんだろうと、こういうふうに思います。  次の質問は、違憲の判決が出たわけであります、その部分についてですね、一〇〇%じゃないわけですが。行政府は司法判断を尊重をしてイラクから自衛隊を撤退させるべきだという、そういうふうな国民の声はこれからますます大きくなってくると思いますが、私は、やはり日本の自衛隊がそういう時期に、あるいはチャンスといいますか、そういう撤退についてもそろそろもう考えていく必要があるのじゃないかと思っておりますが、大臣、いかがお考えですか。
  190. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) るる申し述べておりますように、これは高裁のものでございます。裁判自体は私どもが勝訴をいたしておりますので、これは裁判は勝訴をしたのでこれを最高裁に持っていって判断を仰ぐということができない。非常に一種、勝ってはいるのだけれども、そこにおいて論理的に導くのに必要ではない、その傍論部分を入れられたということでございますから、なかなか国の立場としては厳しいものがございます。ただ、判決としては勝っておる、そのような請求は棄却ということになっているわけでございます。そこの傍論部分を、ましてや高裁の判決というものを、司法の判断がなされた、よってこれに従うべきであるという考え方には私は立っておりません。  私どもとして、今回の航空自衛隊の輸送、それは衆参共にお答えをしたかと思いますが、国連の側から、国連の側から国連の要員を運ぶ場合には、それはいわゆる民間機というものではなくて、いろんな危険を回避できる能力を持った飛行機にしてもらいたいと、こういう要請があって行っておるものでございます。また、多国籍軍の兵員も、それは非戦闘地域、そしてまた武力行使と一体化しないということで行っておるものでございまして、今回の判決によって私どもの方針を変えるというものではございません。
  191. 山内徳信

    山内徳信君 大臣おっしゃっておりますが、裁判は勝訴したと、勝ったとおっしゃっておるんですが、裁判は形式的には勝ったのかもしれませんが、実態はそう簡単に勝った勝ったと言えるようなものではないと思います。少なくとも、やはり憲法九条との関係、そしてずっと今日まで、憲法ができて今日まで日本の歩んできたのはあの憲法の精神であるわけです。ところが、解釈改憲をしたり、あるいは既成事実をつくっていこうとしたり必死に動いてこられたわけですが、やはりもうここまで来れば無理があると、もう無理はこれ以上通らないということだと思います。  したがいまして、改めて憲法九十九条の精神に立たれて、それは天皇陛下も摂政も国務大臣も、国務大臣ですよ、国務大臣国会議員も裁判官も、そして周囲にいらっしゃる公務員も、みんな憲法を尊重し擁護する義務があるわけです、擁護する義務。そういうふうな大前提に立ってみますと、こういうふうにずっと無理をしながら来られたところに、やはりもう限界に来ておると。  したがいまして、勝った勝ったとおっしゃらぬで、やはり実態として日本の若い青年たち、あるいはいわゆる自衛隊、自衛官たち、やはり戦場からもう引き揚げると。外国も引き揚げておるじゃないですか。今のアメリカの大統領の予備選挙も、もうイラク戦争からどうやって抜け出していくかを議論し合っておるわけです。したがいまして、日本もそういうことを真剣に考えていく、そういう時期に来ておるんだと思いますが、どうですか。
  192. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) もちろん、我が国は主権独立国家でございますから、どこかから言われたからやるとか、どこかがやめたからうちもやめるとか、そういうことを言うべきものだと私は考えておりません。  繰り返しになりますが、憲法九条第一項の、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と、これが九条の一項でございまして、では国際紛争とは何ですかということを考えましたときに、国又は国に準ずる組織の間における武力を用いた領土等をめぐる争いということになっておるわけでございます。  では、この判決の中で、それは国際紛争である、国又は国に準ずる組織の間においてというところが、一体なぜ国又は国に準ずる組織の間における争いなのか。そうしますと、今の国際法というのは国際紛争、すなわち国家、主権国家というものを一つの主体として考えておりますわけで、そうしますと、一定の領土があり、そして帰属意識を持った国民があり、そしてまた統治機構があるというようなのは国の要素だということは、これ大体国際法の常識でございまして、そうしますと、そのどの部分が充足をされ、どの部分に国に準ずる組織という主体があり、どのようにして国際紛争が行われているのかということをきちんと議論しなければそれは駄目だろうと私は思っております。  勝った勝ったといって、何も誇っておるわけでも何でもございませんで、これはイラク特措法を作りますときから、そういう議論をずっと行ってきたものでございます。ですから、そこはまた国際法に対する考え方を改めるか、あるいは国際紛争を解決する手段としてという、それは第一次世界大戦のときからずっとございます議論、不戦条約等々からある議論でございます。そこをどうするかということが私は本質論なのだというふうに思っておりまして、我々として、憲法九条の趣旨また委員指摘の憲法九十九条の遵守義務、そのことはよく念頭に置きながらこの活動をしておるものでございます。  御指摘は常に念頭に置きながら、憲法遵守義務、そして憲法九条の精神、それを守るようにしていかねばならないのは国務大臣として、政府として当然のことでございます。
  193. 山内徳信

    山内徳信君 最後の質問にしたいと思いますが、米兵等の輸送活動については、憲法九条一項だけではなく、イラク特措法二条二項の武力行使の禁止、三項の非戦闘地域に限定した活動にも違反していると判断しております。  米兵等の輸送活動については少なくとも即時中止すべきではないでしょうか。いわゆるアメリカ兵を輸送するということは、そのまま戦争行為に結び付いておるということであります。お答えください。
  194. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 先ほど来るる申し上げておりますように、そこにおいて国際紛争を解決する手段としての武力の行使が行われていないことというのがイラク特措法のポイントでございます。ですから、そこが非戦闘地域であるということであり、バグダッド空港にそういう兵員を輸送するということが武力の行使と一体化するという評価は私はなされないものだと思っております。  そこにおいて、本当に国又は国に準ずる組織の間において国際紛争と評価されるような武力の行使が行われているというような状況になりますれば、今のイラク特措法のメカニズムから申しましても、それは中断、撤収というようなことになるわけでございます。  私どもはこの法律の中に、そういう精神、そういう趣旨、そういう歯止め、そういう担保、そういうものを盛り込んでおるものでございまして、仮にそういうことを我々として認識するとするならば、それは法の趣旨に従って委員がおっしゃるようなことになりましょう。しかしながら、今そういうことになっておらないというふうに私は考えておりますし、そもそもイラク特措法そのものが憲法九条の趣旨というものを最大限尊重した、当然のことでございますが、そういう立法の構成になっておるものでございます。
  195. 山内徳信

    山内徳信君 終わります。
  196. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 他に御発言もないようですから、外務省及び防衛省決算についての審査はこの程度といたします。  次回は来る二十一日午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十四分散会