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2008-06-10 第169回国会 参議院 経済産業委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年六月十日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月九日     辞任         補欠選任      塚田 一郎君     森 まさこ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山根 隆治君     理 事                 鈴木 陽悦君                 藤末 健三君                 増子 輝彦君                 加納 時男君                 松村 祥史君     委 員                 下田 敦子君                 直嶋 正行君                 中谷 智司君                 姫井由美子君                 藤原 正司君                 前田 武志君                 渡辺 秀央君                 荻原 健司君                 古川 俊治君                 松田 岩夫君                 丸川 珠代君                 森 まさこ君                 松 あきら君                 山本 香苗君                 松下 新平君    国務大臣        経済産業大臣   甘利  明君    副大臣        経済産業大臣  新藤 義孝君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        西村 明宏君        経済産業大臣政        務官       荻原 健司君        経済産業大臣政        務官       山本 香苗君    事務局側        常任委員会専門        員        山田  宏君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      堀田  繁君        総務大臣官房審        議官       津曲 俊英君        経済産業大臣官        房商務流通審議        官        寺坂 信昭君        経済産業大臣官        房審議官     鈴木 英夫君        経済産業大臣官        房審議官     橘高 公久君        経済産業省商務        情報政策局長   岡田 秀一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○経済産業貿易及び公正取引等に関する調査  (OECD閣僚理事会等に関する件) ○政府参考人出席要求に関する件 ○特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部  を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に  基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務  を課する等の措置を講じたことについて承認を  求めるの件(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 山根隆治

    委員長山根隆治君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、塚田一郎君が委員を辞任され、その補欠として森まさこ君が選任されました。     ─────────────
  3. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 経済産業貿易及び公正取引等に関する調査のうち、OECD閣僚理事会等に関する件を議題といたします。  政府から報告を聴取いたします。甘利経済産業大臣
  4. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 私は、六月三日から六日までフランス共和国に出張し、OECD閣僚理事会豪州政府主催WTO非公式閣僚会合等出席するとともに、各国閣僚等会談を行いました。  最初に、OECD閣僚理事会について御報告申し上げます。気候変動経済セッションにおいて、私から、まず、気候変動問題が現下の石油価格の高騰などエネルギー面での課題と表裏一体である旨指摘いたしました。  その上で、気候変動問題の解決に向けた重要な視点として三点述べてまいりました。第一に、経済成長と環境の両立の重要性です。これを実現するため、あらゆる経済産業政策の手段を総動員することが必要です。第二に、とりわけ技術の開発と普及がかぎであることです。第三に、すべての主要経済国次期枠組み参加を促すため、途上国にとっても魅力ある政策パッケージが必要であることです。  これら三点を同時に実現をする一石三鳥の解決策として、セクター別アプローチが有効であることを強く主張いたしました。  このような私の発言内容には各国から多くの賛同が寄せられ、議長総括にも盛り込まれたところであります。  今回は、経済担当閣僚一堂に会し、気候変動問題を経済政策観点から議論する初めての機会でありましたが、大変有意義な議論ができたと認識しております。  また、WTOに関し、OECD閣僚理事会貿易セッションのほか、豪州政府主催WTO非公式閣僚会合主要途上国との意見交換ラミー事務局長とのバイ会談等を通じ、閣僚レベルで集中的に議論を行いました。  中でも、WTO非公式閣僚会合では、一月のダボスでの会議に引き続き、主要国閣僚一堂に会し、ラウンドの今後の進め方を議論いたしました。ラウンドの行く末に悲観的な見解を示した国もありましたが、私から、遅くとも夏までに、可能であれば六月までの閣僚会合開催を目指すべき旨を主張いたしました。その後各国大臣から、今後二、三週間が山場であるとの指摘が相次ぎ、結果として、ラウンド成功に向け政治的意思が必要であること、今週初めから高級事務レベルで集中的な交渉を開始させること、あわせて、閣僚政治レベルでプロセスをしっかりフォローし、交渉に関与していくべきこと等を確認いたしました。  今回の出張の成果を踏まえ、引き続き、気候変動に関する次期枠組みに向けた議論等に積極的に参加するとともに、WTOドーハラウンド年内妥結に向け、引き続き、最大限の貢献をしてまいる所存です。六月中の閣僚会合開催を目指し、今週以降の高級事務レベル交渉に全力で取り組みます。  以上であります。
  5. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 以上で報告の聴取は終わりました。     ─────────────
  6. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会内閣大臣官房審議官堀田繁君、総務大臣官房審議官津曲俊英君、経済産業大臣官房商務流通審議官寺坂信昭君、経済産業大臣官房審議官鈴木英夫君、経済産業大臣官房審議官橘高公久君及び経済産業省商務情報政策局長岡田秀一君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 姫井由美子

    姫井由美子君 皆様おはようございます。民主党の姫井由美子です。  長かった国会もやっとゴールが見えてまいりました。大臣におかれましては、この厳しい国会期間中、積極的に資源外交と、また今回もOECD参加等大変御苦労さまでした。  さて、最後に大変重要な法案がやってまいりましたので、よろしくお願いをいたします。  私は、司法書士になって以来、岡山の方で、高齢者に対しては悪徳商法から身を守るための出前講座、そして高校生、大学生に関しましてはクレジット使い方等に対する出前講座等を通じて社会貢献、ボランティアをしてまいりました。昨年、参議院に当選しましてからも、特に消費者問題、今回議題となります特商法割販法の抜本的な改正につきましては多くの消費者団体待ちに待った改正で、大変うれしく思っております。是非、少しでもいい改正にして、スムーズな運営をしていきたいというふうに思います。  そこで、今日は皆様に、まず最初配付資料の方を配らせていただいております。これは、司法書士会司法書士政治連盟等司法書士関連団体が中心となりまして地方議会請願陳情活動を行い、全国青年司法書士協議会がまとめたものでございます。  見ていただきますと、昨年の六月に消費者のための割賦販売法改正実現全国会議を立ち上げました。その参加団体は、二ページ、次のプロフィールにあるとおりです。今年集まりました全国からの署名、二百六十五万人から集まりました。そして、全国地方議会への意見書採択運動は、三ページ以下にありますけれども、すべての都道府県都道府県議会でこの意見書採択され、さらに、最後のページにありますけれども、市町村議会におきましても、現在において八百八十採択をされております。本当に、私たちすべての国民が待ちに待った今回の議題です。是非この議題につきまして、もちろんいろんな政策、いろんな難問がありますけれども、特に経済産業省の中におきましてこの特商法割販法改正には熱心に取り組まれていたというふうに私も理解をしております。  そこで、改めまして、経済産業省内での消費者行政の位置付けはどのようなものなのでしょうか。また、甘利大臣の中では今回の改正及び消費者行政をどのように位置付けておられますのか、お伺いしたいと思います。
  10. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 経済を発展をさせていく政策消費者保護する政策というのは、対峙しているように見られる方もいらっしゃいますけれども、我々の思いは、これ対立するものではありませんで、悪質な事業者を排除をして健全な市場を育成するということは、より良い消費者とより良い事業者との好循環というのを生み出し、経済成長の基礎となるものであると考えております。経済産業政策上の最も重要な課題一つと認識をしております。つまり、消費者から支持されない商品市場から消えていく、消費者から支持をされない産業は淘汰されていくと。でありますから、産業活動というのは、消費者目線に立つということは、産業自身が発展していくために極めて重要だということであります。  日本は、よく外国消費テスト市場と言われるんですね。それはなぜかというと、消費者の目が厳しいんです。日本で成功したものであるならば、よその市場では必ず消費者に受け入れられるというふうに思われているんです。これはいいことだと思うんです。つまり、厳しい消費者目線がいい商品をはぐくむ、いい産業を育てていくと、そういう関係にこれからもあるべきだというふうに思っております。  そこで、今回の改正法案は、経済産業省消費者保護政策の中核となり得るものであると思いますし、省の総力を挙げて策定をしたものであります。今後も消費者行政重要性は変わるものではありませんで、幅広い分野についての情報を得ながら、その推進に努めてまいりたいと考えております。
  11. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございました。消費者問題と産業は両立するという力強いお言葉をいただきました。  今回の特商法割賦販売法の大きな目的は、象徴的な富士見市の例もありましたように、高齢者をねらってクレジットを利用し必要もない商品を大量販売する、必要もない工事を次々と行う次々販売被害に対処することです。これまで次々販売被害に遭った場合、裁判では、公序良俗に反すると評価されるような特殊事情をこちら側が立証できないと消費者は救済されないという状況でした。しかし、今回の改正で過量販売解除権が導入され、消費者保護の強化が図られたわけです。  この過量販売解除権規定した条文によりますと、客観的に見て著しく過量な販売であれば原則として契約解除できるのですが、販売業者側が、その消費者が特に必要があって購入したことを立証、主張することになっています。つまり、この立証責任販売業者側に転換したものと思われますが、そのような理解でよろしいのでしょうか。
  12. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) お答え申し上げます。  過量販売契約につきましては被害者高齢であるというケースも多いわけでございまして、そのような意味合いにおきまして、契約解除の際の消費者立証負担の軽減、これが重要な課題と考えております。現在、特定商取引法や民法の契約取消し規定、これを根拠として事業者と争う場合には、事業者が悪質な行為を行ったことを消費者側立証する必要があるために特に高齢者の方々には利用が難しい面がある、これは御指摘のとおりでございます。したがいまして、今回は、この過量販売契約解除に関する条項におきましては、そもそも事業者が悪質な販売行為を行ったことを消費者立証しなくても契約解除等を主張することができる、そういった規定としておりまして、消費者の側の立証負担が軽減されるというふうに考えてございます。
  13. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございます。これは本当に、大変消費者にとって有り難いことだというふうに思います。そして、この過量販売解除権は、有効に使うことができれば、先ほども言われましたように消費者保護に大いに資することだと思います。  そこで、私はその適用範囲は広い方が良いと考えております。例えば、一社が一回の契約で著しく大量に契約させた場合、過量販売解除権を行使すればその契約全体を解除できるのでしょうか。また、別の業者が次々と大量の契約をさせる、つまり、一社ごとでは過量とまでは言えなくても合計すると著しく過量な契約をさせた場合なども過量販売解除権は行使できるのでしょうか。
  14. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 過量販売考え方でございます。過量の定義ということでございますけれども、単一の訪問販売業者と一度の契約で通常必要とされます分量、これを著しく超えてしまう量の販売契約などを締結した場合、その契約解除対象となります。このため、消費者は、事業者が悪質な販売行為を行ったことを立証しなくても解除を行うことが可能でございます。  それからもう一点御質問のございました、複数の訪問販売業者とそれぞれ契約締結する場合におきましては、消費者の購入する商品などの合計の分量が過量となってしまうこと又は既に過量であることを事業者が知りながら訪問販売を行った場合に、これもその契約解除対象となります。それぞれ法律条文の中で規定を設けているものでございます。
  15. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございました。安心いたしました。  そして、割販法改正案にも、特商法改正案と同じくクレジット契約の過量販売解除権が導入されております。これは、過量販売解除されるような契約個別クレジット契約締結していたときには、そのクレジット契約も連動して一緒解除できるというふうに理解してよろしいのでしょうか。
  16. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 今回の改正案におきましては、訪問販売業者が通常必要とされます分量を著しく超える商品販売あるいは役務の提供を行う契約締結した場合に、併せて個別クレジット契約締結されておりますときには消費者個別クレジット契約解除することができる、そのような規定を盛り込んでおります。  したがいまして、特定商取引法の過量販売解除権によりまして解除がされるような販売契約個別クレジット契約が利用されていた場合、消費者訪問販売業者とそれから個別クレジット業者にそれぞれ解除意思表示をすることによりまして、いずれの契約一緒解除することが可能となるというふうに考えてございます。
  17. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございました。  そして、今回の割販法改正では、クレジット先ほど言われました、契約取消しが導入され、更に既払金返還責任が定められました。これまでは、悪徳商法被害に遭って契約を取り消したり解除したりすることができたとしても、既に払ったお金は返ってくることはありませんでした。泣き寝入りを強いられる例が大変多かったわけです。しかし、今回の改正は、これが、既払金返還されるということが最も画期的なところの一つであると私は思っています。  さて、このクレジット契約取消し権についてですけれども、販売業者商品販売についてうそ説明があった場合には、クレジット契約不実告知に当たるとして、クレジット契約自体取消しできると考えてよろしいのでしょうか。また、不当な販売方法があったことについて、これはクレジット会社が知っていたかどうかを問わず被害者取消しできるというふうに理解してよろしいのでしょうか。
  18. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 今回の改正によりまして、商品内容、品質、それから性能、あるいはその販売契約締結を必要とする事情など、消費者判断影響を及ぼすこととなります重要事項につきまして、訪問販売業者などが不実のこと、言わばうそでございますけれども、不実のことを告げたために消費者が誤認をした場合、これは消費者が個別のクレジット契約を取り消して既払金返還を受けることが可能となる、そのような規定を設けております。  御指摘のように、商品販売についてうそ説明があった場合でございますけれども、消費者判断影響を及ぼすこととなります重要事項についての不実告知に当たる、そういうケースが大半だと思いますけれども、不実告知に当たる場合には、消費者によりますそのクレジット契約取消しの原因となります。  それから、個別クレジット契約取消し権につきましては、先ほどから御指摘がございます消費者立証負担観点も踏まえまして、加盟店勧誘行為につきまして、クレジット会社におけます加盟店勧誘行為につきましての調査に当たって、個別クレジット業者の過失を問うことなく取り消すことができる、そのような制度としてございます。したがいまして、クレジット会社訪問販売業者等不実告知につきまして知っていたかどうか、これはそれを問うことなく取り消すことができるというふうに考えております。
  19. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございます。  消費者側はどちらかといいますと健全な販売業者かどうかという見極めが大変難しいものですから、販売店あるいは専門性がより高い方でしっかりと取り締まっていただく、あるいはしっかりと注意して販売をしていただくということが望ましいかというふうに思います。  引き続きまして、例えば悪質業者が、先ほど言いましたような違法な販売方法を繰り返し、挙げ句の果てに倒産して逃げた場合、これもよくある場合なんですけれども、これまでは未払残金の支払を拒否できるだけで、消費者は十分な救済が受けられませんでした。しかし、今回、クレジット契約取消し既払金返還責任が導入されるとこのようなケースに有効に対処できるのではないかというふうに思っています。  そして、割販法改正の三十五条の三の十三には不実告知と不告知については取消し権規定されておりますけれども、不退去退去妨害など強引な勧誘方法によって困惑してどうしようもなく契約した場合については特に規定がありません。こういったケースでは、消費者契約法五条を直接適用して個別クレジット契約を取り消し、クレジット会社から既払金返還されるという考え方がありますが、この点をどのように考えておられるのでしょうか、お伺いいたします。
  20. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 販売業者が不退去、その場を去らないとか、あるいは退去妨害といいますか、そういったことによりまして消費者の方が困惑をされてそれで購入した場合につきましては、これは消費者契約法に基づきまして個別のクレジット契約を取り消すことができると考えております。  と申しますのは、消費者契約法には、契約締結について媒介をすることの委託を受けた事業者、この事業者が不退去あるいは退去妨害によりまして契約締結させた場合につきまして契約取消しを認める規定がございます。  個別のクレジット契約に関しましてこのことを申し上げますと、個別のクレジット契約につきましては、クレジット会社契約締結媒介加盟店であります販売業者委託をしているというふうに解釈されております。したがいまして、販売業者の不退去退去妨害によりましてクレジット契約締結されました場合におきましても、消費者はこの契約を取り消した上で既払金返還を請求することが可能というふうに考えております。
  21. 姫井由美子

    姫井由美子君 返還されるわけですよね。返還されるということで大変安心をいたしました。ありがとうございます。  続いて、クーリングオフについてお尋ねしたいと思います。  割販法改正案では、個別クレジット会社クレジット契約書面交付義務を定めて、訪問販売個別クレジット契約締結したときはクレジット契約クーリングオフができるとなっております。  特商法では従来から、販売契約書面記述に、記載不備があればいつでもクーリングオフが可能であると解釈されておりますが、このことが販売業者契約書面記述を慎重にチェックすることに実はつながっています。割販法におきましても、クレジット契約書面記載内容不備があれば同じように相当期間経過後もクーリングオフできると考えてよいのでしょうか。
  22. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) まず、特定商取引法に基づきます販売契約クーリングオフにつきましては、裁判あるいは相談現場などにおきまして、クーリングオフ起算点となります書面不備があった場合にはクーリングオフ期間が進行をしない、経過をしないということで、相当期間経過した後もクーリングオフを行うことが可能とされている、そのような実務が定着しております。この点につきましてはただいま委員が御指摘のとおりでございます。  今般の改正案におきましては、割賦販売法の方に個別クレジット契約クーリングオフ規定を導入することとしております。クーリングオフ起算点となりますクレジット契約書面に法令上記載すべきとされている事項につきまして不備がある場合、この場合には、ただいま申し上げました特定商取引法実務と同様にクーリングオフ期間が進行しないというふうに考えてございます。したがいまして、相当期間経過した後にも、その書面不備とかそういったものがありました場合には、個別クレジット契約につきましてクーリングオフをすることが可能となるというふうに考えてございます。
  23. 姫井由美子

    姫井由美子君 割販法でも同じようにクーリングオフができるということで、大変ありがとうございます。  この度の改正では、個別クレジットについては訪問販売等契約に関して販売方法調査義務規定が置かれております。具体的な内容省令により定めるとなっておりますが、これまで加盟店調査に関して通達で示されていた調査事項があるかと思います。そしてさらに、消費者保護水準がこの通達よりもあるいはもっと水準が高く、低下することのないよう、むしろ一層充実させる方向で省令を定めていただきたいと思っておりますが、この点どのような省令を定める予定なのでしょうか、お伺いいたします。
  24. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 加盟店販売勧誘方法調査義務、いわゆる加盟店調査義務でございますけれども、まず、個別のクレジット業者販売業者加盟店契約締結する際に、例えばその販売業者勧誘マニュアルクレジット業者の方が入手いたしまして、勧誘方法について違法性あるいは問題がないか、そういったことを調査することを考えております。  さらに、加盟店契約締結した後におきましても、フォローアップと申しましょうか、消費者からの苦情が相当数出てきている、そのような販売業者につきましては再度その勧誘方法につきまして調査を行うということが必要ではないかというふうに考えております。  また、個別の販売契約締結する際に、消費者に対しまして、今度は対消費者の方でございますけれども、消費者の方に対しまして電話で状況をお伺いするとか、そういったことによりまして、販売業者勧誘方法等につきましては、違法行為、問題のある行為、そういったものの有無を確認する調査、これも行うことが必要ではないかというふうに考えてございます。  今幾つか申し上げましたけれども、詳細につきましては、今後、消費者の方あるいは事業者の方、さらには学識経験者の方々など各方面の代表、いろんな現場その他を御存じの方々を含めまして各方面から構成されます関係の審議会その他におきまして議論をしていただくというふうに考えてございます。そういった議論を踏まえまして、実効性のある調査が行われますよう、調査事項それから調査方法など、経済産業省令で定めることとしたいと考えております。
  25. 姫井由美子

    姫井由美子君 今回の改正でも、店舗販売やネット販売については契約締結の都度このような販売方法調査義務は適用されないようです。  ただ、割販法改正案の三十五条の三の二十によりますと、クレジット会社にはクレジット利用者の利益の保護を図るために業務を適正化する一般的な義務がございます。したがって、少なくとも顧客から苦情が寄せられたような場合には加盟店販売実態を再確認するなど、業務適正化のための必要最低限の義務付けは必要であると思われます。  このような点に関しまして、経済産業省としてはどのようにお考えでしょうか。
  26. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 今回の割賦販売法改正法案におきましては、店舗販売などの場合も含めまして、クレジット会社消費者からの苦情を適切に処理をするような義務付け規定を設けてございます。こうした苦情処理の一環といたしまして、消費者トラブルの防止のために、必要に応じまして加盟店勧誘方法につきましても調査を実施することが望ましいのではないかというふうに考えております。  詳細につきましては、先ほど申し上げましたように、関係の皆様方から構成されます審議会などにおきまして議論をしていただき、経済産業省令で定めることとしているわけでございますけれども、例えば消費者からの苦情の受付などの社内体制をどういうふうにやっているのかとか、どういうふうに整備を行っているかあるいは行おうとしているのか、あるいは加盟店先ほど申しました勧誘行為等についての調査をするなど、様々な観点からの議論をして具体的に省令で定めていきたいというふうに考えてございます。
  27. 姫井由美子

    姫井由美子君 先ほども申しましたけれども、消費者保護水準が下がらないようにしっかりと審議会等で有効な省令を作っていただきたいというふうに思います。  次に、包括クレジットにつきまして少しお伺いしたいと思います。  カード式の包括クレジットにつきましては、個別の契約締結時の販売方法調査義務規定はなく、一般的な業務運営の措置義務の規定だけがあります。カード方式のクレジットの場合は、個別クレジット訪問販売業者が利用するような厳しい規制は困難でしょうけれども、カード方式でも顧客から苦情があった場合などは悪質業者の排除に向けて調査することが必要ではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。  さらに、このカード決済の場合は、翌月一括払いというマンスリークリア方式が多く、改正割販法ではこれは直ちに適用されることはありませんけれども、今後の課題として、このマンスリークリア方式での被害を防ぐ観点からも引き続き注視する必要があるかと思われます。  この二点についてお伺いしたいと思います。
  28. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 先ほど苦情処理に関しましてお答え申し上げました。主として個別クレジットの場合について申し上げたわけでございますけれども、包括クレジット、カードを使うのが代表的でございますけれども、その包括クレジットにつきましても、個別クレジットケースと同様に、クレジット事業者に対しましては消費者からの苦情を適切に処理するようその義務付けの規定を設けてございます。  これによりまして、必要に応じて加盟店勧誘行為等につきまして調査を実施して、消費者トラブルの拡大が防止されるということを期待してございます。そのような意味におきまして、個別クレジットだけではなくて包括クレジットの場合も同様にその苦情処理というものが義務付けられているところでございます。  それから、もう一点御質問のございましたいわゆるマンスリークリア方式、翌月一括払い方式のものでございます。これは、特に日本の場合、クレジットのカードでございますね、マンスリークリア方式、これはクレジット取引の大部分を占めるものでございまして、それからその性格をよく考えますと、その信用の供与期間、与信の期間が非常に短いわけでございます。その期間が短いということは恐らく現金決済と同様の性格を有していると、そういう取引形態といいますか支払形態ではないかというふうに考えてございます。  したがいまして、非常にその多くの部分を占める、日常的に使われているそういう支払方法でございまして、このような取引を過度に規制をするということになりますと、かえって経済取引を萎縮させ、ひいては消費者の方の利便性を損なうということになりかねないといったような、そういう観点からの検討と申しましょうか見方ということも重要というふうに考えてございます。  そういったこともございまして、今回の改正法案におきまして、マンスリークリア方式、翌月一括払い方式につきましては割賦販売法の規制対象とすることはしておりませんけれども、トラブルといったようなものがどういうふうに今後動いていくのか、そういった消費者トラブルの実態については引き続きよく注視をしてまいりたいと考えてございます。
  29. 姫井由美子

    姫井由美子君 規制をすれば、その規制を擦り抜ける新たな手口が出てくるというのが世の常でございます。先ほど言いましたマンスリークリア方式はもちろんのこと、現金決済につきましても注視する必要があるかというふうに思います。もちろんそれによりまして経済活動が滞るといったことはいけませんけれども、冒頭に甘利大臣言われましたように、適正な、健全な販売業者を育てることによって経済も発展する、消費者保護することが経済産業も活発にする、こういった両輪をしっかりと回していけるようなそのかじ取りが経済産業省に求められているのではないかというふうにも思っております。  そして、このクレジット会社は、これまで販売業者からクレジット申込書が提出されると、今まででしたら無批判に受け入れる傾向があったかのように思われます。その結果、顧客の支払能力を無視をして過剰与信を繰り返してきたという指摘が多く言われております。そこで、今回の割販法改正案は、クレジット契約締結するときは顧客の個別支払可能見込額を超える契約は禁止すると定められたわけです。  個別クレジット会社としては過剰与信を防止するためにどのような事項をどのような方法で調査する必要があるのでしょうか、お伺いいたします。
  30. 橘高公久

    政府参考人橘高公久君) お答え申し上げます。  お示しのように、今回の法改正の前提といたしまして、個別クレジットの利用というものがいろいろ問題を助長しているという観点から、クレジット業者自体といたしましてお買い求めになる消費者の支払能力というものについて合理的な形でできるだけ丁寧に評価をしていただくということを盛り込んだわけでございます。  具体的な情報内容といたしましては、法律上既に例示をいたしておりますものは、消費者、購入者のフローとしての毎年の年収でございますとか、あるいはストックとしての預貯金の残高でございますとか、あるいは、これはクレジット関係が問題となっておりますので、もろもろのクレジット債務の状況あるいはお支払の状況でございますとか、さらにはもう少し幅広い借入れ全体の状況でございますとか、こういうものを例示ではございますが明記をしておるわけでございます。また、このほかに必要な、重要な事項があれば省令で追加をするという立て付けにしてございます。  そして、このような調査を行った上で、個々の契約に当たり、現実には調査可能な情報というものが個々の消費者の状況によって異なりますので、可能な情報を整理をした上で消費者の支払能力をきちんと個別クレジット業者判断をしなければならないという形にしております。  じゃ、どのような方法で行うのかということでございます。  今回の法改正に当たりましては、同じく法律改正事項といたしまして、このような支払能力調査の客観性、正確性を確保する観点から、法律上新たに指定信用情報機関というものをきちんと位置付けることとさせていただいております。これには一定の準備が必要でございますが、ここにしかるべく個々人の消費者情報が適正かつ適法に蓄積をされているという前提で、その信用情報機関の情報を個々の個別クレジット業者は必ず利用しなければならないというふうに法律上義務付けております。  これに加えまして、当然、御本人様との関係があるわけでございます。このようなかなり消費者のプライバシーにかかわる情報でございますし、また利用者の方のそれぞれのお気持ちによってはすべての情報をどうして全部言わなければいけないのかと、やはりそういう消費者の方のお立場もございます。  したがいまして、正確性を期しつつ、現実的に、かつ消費者の気持ちも踏まえて調査をするということからいたしますと、一つは、先ほど申しました年収とか預貯金等々、個々人の一番機微にわたる情報につきましては基本的に自己申告という形にさせていただくと。それからまた、お尋ねをして回答がなかったからといって、それを理由にクレジット契約を結ばないというのではなくて、お答えいただいた情報に基づいて枠がそれなりに計算ができるわけでございますから、その範囲で与信が可能なものであれば与信契約をそのいただいた情報に基づいた枠を計算して付していただくというようなことをしていただくことにしたいと考えております。
  31. 姫井由美子

    姫井由美子君 ここが一番重要なところではないかというふうに思います。しっかりと、過剰与信、しかしそれをどれだけ現実的に実効性あるものにしていくか。また一方で、このカードというものが持つ利便性を失わずにこれを行っていくか。本当にこのやり方、この調査の方法、あるいはこれをどのように改正後混乱なくしていくかというところに懸かっているかと思いますので、引き続きこの部分につきましては私どもも注視していきたいというふうに思っております。  そして、この支払可能見込額の調査事項判断基準を省令で定めるに当たっては、自宅を処分しなければ貯金がある限り契約もしてもよいというような大ざっぱな低い基準ではなく、普通の消費者がまともに払っていけるような、常識的な水準となるような工夫も一方でしていただきたいとお願いをしておきます。  そして、この点に関してですが、例えば長期の分割払とすることで一年間の支払可能見込額を脱法するおそれ、こういったことがあるとき等はどのようにされるのでしょうか。
  32. 橘高公久

    政府参考人橘高公久君) お答え申し上げます。  確かに、法律上過剰与信か否かを判断する基準となる支払可能見込額につきましては、先ほどお示しのありましたような個々人の住宅の、処分しなければいけないとかそういうようなことのないように、除外するものは除外した上で、なおかつ合理的に消費者クレジット債務の返済に充てることができると見込まれます一年間当たりの額を算定するようにということで、一年間単位で考えておるわけでございます。  そういたしますと、個々の個別クレジットなどの場合には元々がかなり長期の契約も可能ということでございますので、そういう何年にもわたるような場合にどのように考えるかという点でございますが、当然そこに対する配慮が必要であると考えております。  具体的には、二年、三年、場合によってはそれ以上のような長期にわたります場合には、分割払の支払期間全体を通じまして、三年なら三年、あるいはそれ以上ならそれ以上、その全体の支払期間を通じまして、それぞれの年度において毎年支払可能見込額の範囲内に収まるであろうというようなところを、先ほど申しましたような消費者の方の御協力もいただきながら、現実的に丁寧に評価をした上で、全期間にわたって無理がないということを判断をしていくことを求めておるわけでございます。  そういう考え方をきちんと運用していただきますれば、長期の分割払であるからといって単に長くすれば規制逃れができるというようなものではなくて、きちんと継続的な監視ができるものと考えております。
  33. 姫井由美子

    姫井由美子君 よろしくお願いをいたします。  先ほど調査の中に借入れという言葉が出てまいりました。次々販売を防ぐためには、今まで何を購入をしてきたかもチェックする必要があるかと思います。先ほど過剰与信の調査に当たり指定信用情報機関の情報調査する義務があるとされておりましたけれども、この信用情報機関の登録情報はどのようにされる方針なのでしょうか。購入商品情報も信用情報として記載する予定なのでしょうか。お伺いいたします。
  34. 橘高公久

    政府参考人橘高公久君) お答え申し上げます。  法律上、指定信用情報機関をきちんと位置付けてそこを利用を義務付けるという以上は、指定信用情報機関における情報がきちんとその業務に有効であり、かつ客観的であり、必要な情報がきちんと蓄積されているということが必要になります。他方で、先ほどの御質問にも触れましたように、情報の性格上、慎重な扱いが必要なものもございます。  そういう観点から、まず基本的な蓄積すべき情報といたしまして、登録を義務付ける情報といたしまして、クレジット債務の額とか支払状況などの、いわゆる支払能力を算定する上で是非とも必要となる数字、これはいただけた情報についてはきちんと信用情報機関の方に報告をして蓄積をするということでございます。  お尋ねのその内容についてでございます。これにつきましては、訪問販売業者から個別クレジット商品を購入するような場合について、確かにその購入した商品について具体的な内容というのを確認をして、次々販売や過量販売につながらないようにしていかなければならないという、これも法律上の要請がございます。この重要な要請がございますものですから、個別クレジットにつきましては、若干機微にわたりますが、消費者が購入された商品自体の情報につきましても指定情報機関に登録をするということを求めていくと、これは省令のような形になってまいりますが、私どもの基本的な考え方としてはそのような方向で現在考えておるところでございます。  具体的な手順につきましては、消費者、学識経験者等お集まりいただいた関係審議会等の場を通じまして、透明な形で進めてまいりたいと考えております。
  35. 姫井由美子

    姫井由美子君 個別クレジット方式につきましてはかなり厳格にしていただけるものと今のお答えで確信をしておりますので、よろしくお願いをいたします。  一方、割販法の三十条の二の二では、カード方式による包括クレジットの場合も、支払可能見込額を調査して過剰与信を防止する義務があるとされております。これは商品販売の都度ということではなく、クレジットカードを交付するときや極度額変更というときのことだとは思いますけれども、この利用者の保護に支障が生ずることがないとは具体的にどのような場合なのでしょうか、お伺いいたします。
  36. 橘高公久

    政府参考人橘高公久君) お答え申し上げます。  法律上は、お示しのような形で、利用者の保護に支障が生ずることがない場合ということでざっくりと書いてございますが、現在私どもが想定をしております例として申し上げますと、実際上ございますのが、例えば消費者が普通にカードを保有をしておられたんですが何らかの理由でたまたま紛失をされてしまったような場合、これは御本人様としても急いで新しいカードをすぐ交付をしてほしいと、しかもそういう方々が通常使っておられたものですから、その利用状況に問題がない限りは改めて一から調査をするという必要は特にないのではないだろうかというような、こういう問題なく使われていたカードが紛失されてお急ぎのような場合。あるいはまた、カードの利用者によっては、いわゆる利用限度額というものについて、小さい形でいいと、非常に少額でいいと、具体的な金額等につきましては今後必要に応じて検討してまいりますが、非常に少額であるような場合には、それほど大掛かりな信用力全体の調査までは必要ないんじゃないだろうかというような場合として一応想定をしてございます。  これは、今申しましたように、消費者の方の、早くしてほしいとか、あるいはこの程度の与信枠に対して余り極端な調査義務というのはむしろ消費者から見て非常に負担感があるというようなこと、そういうお立場と、それからクレジット会社からいたしましても、カードの発行に当たって、今の実務に比べまして過大な手間の掛かるようなことのないように、こういう必ずしも必要のない場合につきましては、現状と負担が増えないような形にしていくというようなことで考えてまいりたいと思っております。
  37. 姫井由美子

    姫井由美子君 いずれにしましても、過剰与信を防止する義務があるということは忘れずにお願いしたいというふうに思います。  そして、クレジット業界にとりましては、悪質販売業者の排除は業界で共通の重要な課題ともなっております。割販法改正案、認定割賦販売協会に販売業者が行った消費者保護に欠ける行為に関する情報を登録し、悪質加盟店を業界全体で排除する制度を計画されているようですけれども、どのような制度を計画されているのでしょうか。  また、加盟店取引をやめたとき初めて登録するというのでは遅いと思われますので、客観的な登録事由が発生したときに早期に登録する制度を検討していただきたいと思っておりますけれども、いかがでしょうか。
  38. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) クレジット業界におけます自主規制団体と申しましょうか、法律上は認定割賦販売協会という言葉を使っておるわけでございますけれども、様々な今回法改正を始めとする制度整備を進めてこれからいくわけでございますけれども、一方で悪質な事業者を排除しつつ、正常といいましょうか普通の事業者に対します過剰な規制にならないように、そういったことを考えていくということも大切なわけでございまして、そのような意味合いにおきまして、業界におけます自主規制ということがこれは大切な要素というふうに考えてございます。  そういうことで、今回業界におけます自主規制を実施する団体につきまして法律上の位置付けを与えて、これを認定割賦販売協会ということで今回提案をしているわけでございますけれども、そういったこれから認定されます割賦販売協会、そのようなものができました場合に、加盟店に関します情報の収集、提供、そのようなことも重要な業務の一つというふうに考えてございます。  個別クレジット業者がそこの団体、その割賦販売協会、自主規制団体に登録されます要件に関しましては、法的義務の履行を図ることが可能な一定の財産的基礎等を有していること、それから十分なコンプライアンス体制が整備されていることなどを定めているわけでございまして、そういったことを考えた上で、今後、具体的な内容につきましては、関係の方々の御意見をよく伺いながら、審議会などの場も活用しながら、経済産業省令で定めていくということとしております。
  39. 姫井由美子

    姫井由美子君 よろしくお願いをいたします。  ちょっと観点を変えて、個別クレジット業者の登録要件ですけれども、昨年、貸金業法が改正され貸金業者の登録要件が純資産五千万円以上へと非常に厳格化されました。このことで貸金業界にいられなくなった悪質な貸金業者クレジット業界に流れ込んでくるという危険性も指摘されております。悪質な貸金業者クレジット業界に流れ込んでこないように登録要件を更に厳格にすることが必要かと思っておりますけれども、この点はいかがお考えでしょうか。
  40. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) ただいまの貸金業法との関係でございます。先ほど登録要件について御答弁申し上げましたけれども、貸金業法の改正におきまして貸金業者の登録要件の強化が図られているわけでございます。割賦販売法個別クレジット業者の登録要件を定めるに当たりましてはこの点も十分踏まえることが重要であるというふうに考えてございまして、今後、関係の皆様方の御意見などを伺いながら経済産業省令で定めていきたいと考えてございます。  なお、先ほどの御質問の関係でちょっとこちらの方を中心に申し上げまして、大変失礼をいたしました。加盟店情報交換制度の具体的な内容についてたしかお答えをしないままに後ろに下がったような気がいたしますので、併せてお答え申し上げたいと思います。  加盟店情報交換制度につきましては、個別クレジット業者加盟店勧誘行為に関します調査義務の履行を支援する上での重要な制度というふうに考えてございます。具体的には、クレジット業者加盟店契約解除したという情報や、あるいは加盟店の違法な勧誘行為についての情報、それから消費者からの苦情に関します情報、そういったもろもろの情報につきましてクレジット業者が、法律上今認定割賦販売協会という言葉を使っておりますけれども、この認定割賦販売協会に報告いたしまして、その協会の方が収集した情報クレジット業者に提供することとしております。  実は、既存の業界団体におきましてもこうした加盟店情報交換制度というものは今もございます。ただ、今後認定されます割賦販売協会、認定の自主規制団体におきまして統一的に運営をすることによりまして、業界が既に行ってきております取組を更に強化するということをねらっているものでございまして、こうした取組によりまして、個別クレジット業者が他のクレジット業者加盟店についての消費者トラブルやあるいは違法な問題のある勧誘行為に関します情報を入手することができるようになりますと、個別クレジット業者調査義務加盟店に関します調査義務の履行を有効なものにするということで、ひいては悪質加盟店の排除につながるというふうに考えているところでございます。
  41. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございます。  今回の特商法改正では、経済産業省の大変な御努力で政令による指定商品、指定役務を廃止されたことが高く評価できるというふうに思っております。指定制の廃止は消費者保護に漏れがないようにするためですけれども、今後、無制限に適用除外を広げないよう慎重に対処されることをお願いいたします。  しかし、権利につきましては指定制が維持されています。このこと、適用範囲に明確にするにはやむを得ないこともあるかもしれませんけれども、例えば形式的に役務提供事業者と勧誘事業者を分離するということで故意に、役務提供契約ではなく、これは役務提供を受ける権利の販売契約であると主張して脱法行為を行うということも予想されるのではないかというふうに思います。  このような脱法行為を防ぐためにも、役務提供と権利の販売をどのように区別をしたらよいと思われていますでしょうか。
  42. 橘高公久

    政府参考人橘高公久君) お答え申し上げます。  特定商取引法上は、現在、現行法も、それから今回改正をお願いしております新しい法律におきましても、いずれもいわゆる権利というものについては一定の定義を行っております。正確に申し上げますと、指定権利という言葉で定義をいたしておりまして、施設を利用し、役務の提供を受ける権利のうち国民の日常生活に係る取引において販売されるものであって政令で定めるものという法文になってございます。  すなわち、特定商取引法上の権利は、具体的には先ほどお示しの役務の提供を受ける権利などのような元々の権利があって、これが販売されるに適当な形、通常はチケットといいましょうか鑑賞券といいましょうか、そのような一定の形を取って流通性が殊更に高いものを抜き出して列挙をし、そして取締りの必要性が高いものとして位置付けておるというものでございまして、いわゆる国語的といいましょうか、一般の国民がイメージされる権利全般をこの指定権利というふうに称しておるわけではございません。したがいまして、先ほど委員指摘ありましたように、役務の提供を受ける権利というものは特定商取引法上はまさしく役務提供契約そのものの内容でございますので、役務提供契約として規制を行っていくという特商法の本来の規制対象として引き続き位置付けてまいるものでございます。  したがいまして、おっしゃったような例えば便法を使って権利の販売であるから別であるというようなことを主張することは認められませんし、また私どももそのようなことのないようにきちんと法執行に当たってまいりたいと考えております。
  43. 姫井由美子

    姫井由美子君 是非よろしくお願いをいたします。  事業者訪問販売に行って勧誘を行う場合、事業者消費者に対して行う勧誘を受ける意思の確認というものが今回努力義務にとどまっております。違反事業者に行政処分を行うような強力な方法も考えられるかと思いますけれども、努力義務にとどめた理由は何でしょうか。また、具体的にどのようなやり取りがあれば意思を確認したことになるのでしょうか、お伺いいたします。
  44. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 訪問販売におけます勧誘のやり方、その取引のルールでございますけれども、既に現行の特定商取引法におきまして、氏名あるいは勧誘をする目的であるという、そういったことについては明示義務が定められてございます。  そういった中で、勧誘を受ける意思の確認につきましては、既にあります規定に加えまして、新たに今回は契約締結しない旨の意思を表示した消費者の方に対しましては、当該契約の再勧誘、改めて勧誘に伺うということを禁止する規定を設けたわけでございます。今あります規定と新たに設けようとしております再勧誘の禁止規定、この両規定によりまして、消費者の意思を無視するような勧誘行為の防止には十分な効果が期待されるというふうに考えたところでございます。そういったことから、勧誘の意思の確認につきましては努力義務として規定することが適当であるというふうに判断をしたところでございます。  それからもう一点の、ではその具体的な意思の確認方法でございますけれども、具体的な意思の確認方法といたしましては、消費者の方の勧誘を受ける意思があるということを確認することを義務付けていると、努力義務でございますけれども、義務付けをしていることでございますので、例えば、今話を聞いていただけますかといったようなそういう問いかけがあった場合に、消費者の方からの明示的に、はいとか構いませんとか、そういった承諾の意思表示が明示的になされるということ、そういった状態といいますか、そういったことを想定しているところでございます。
  45. 姫井由美子

    姫井由美子君 非常に難しいかとは思うんですけれども、しかし、その努力義務ということが多少気になりますので、この辺り、この意思の確認というものがしっかりと行われるように現場の注視をよろしくお願いをいたします。  そして、この次々販売被害のやり方というものは、例えばバス旅行とか食事会で誘い出して展示会に連れていきまして次々に販売をしていくという手口も問題となっています。こういった業者の中には、展示会を数日間続けることで営業所に該当すると主張してクーリングオフ勧誘行為規制を免れようとする例も出てくると思われます。この点につきまして産業構造審議会報告書では、営業所等の範囲を定める省令やガイドラインについて、販売設備の継続性の要件を見直すこと、退出や帰宅に困難を覚えるような閉鎖的な場所に誘引するケースの取扱いを見直すことと指摘されております。  今回の法改正に伴って政省令やガイドラインを見直す際には、現行の訪問販売、この適用対象を広げる方向で積極的に検討していくべきだと思いますけれども、どのような方法で検討されるのでしょうか。よろしくお願いいたします。
  46. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 御指摘産業構造審議会特定商取引委員会、昨年の暮れにまとめられました報告書におきましては、いわゆる展示会商法あるいは呼出し監禁商法、そういったものにつきまして特定商取引法の規制を逃れるための手口があるわけでございますので、そういった手口に対応するために政省令等によります関連規制の強化に取り組んでいくことの必要性が言及されているところでございます。  審議会の中で具体的な方向性まで確定するには至っておらないわけでございますけれども、今御審議いただいております法案の成立後におきまして、私どもといたしまして、関係の皆様方の御意見も伺いながら、規制範囲の拡大などについて検討を行っていく予定でございます。  例えば展示会商法に関しましては、通常の物産展などの一般的な取引というものもあるわけでございますので、そういったものとの関連もよく考えながら、その定義規定におけます営業所等の解釈につきまして現在の適用範囲を拡大する方向で検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
  47. 姫井由美子

    姫井由美子君 今の適用よりも長期間広げるという形でお願いしたいと思います。報告書の指摘を無視することはできないと思いますので、検討を期待をしております。  続いて、迷惑広告メールの対策について一問お伺いしたいと思いますけれども、事前承認を得た顧客以外には電子広告メールの送信を禁止するいわゆるオプトイン規制が導入されました。知らない業者から一方的に送られてくるメールに迷惑している人も多く、また、トラブルに巻き込まれることもあるのでしっかりと運用してほしいと思います。  例えば、チェックボックスがデフォルトオン、既にもう承諾にチェックしてあるケース、また、細かい契約がいっぱいしてありまして、最後の方にちっちゃく書いてあるケース、あるいは無料の懸賞サイトから入っていって最後の方にアダルトサイト関連の広告を受付をすることを承諾するという記載が載っている等、本当に消費者が知らないうちに承諾したことにならないような運用が必要だと思われますが、この点はどのように考えられていますでしょうか。
  48. 橘高公久

    政府参考人橘高公久君) お答え申し上げます。  迷惑メールの規制につきましては、今お示しのように、まず法律上の大きな考え方の変更といたしまして、次から次と送られてくるメールについて受取拒絶の意思表示をした場合に初めて違法の扱いになるというところから、あらかじめ明確な承諾を取っていただくものだけが合法的なものになるということで、これも今までと発想を逆転をすることによって迷惑メール対策をできるだけ進展させたいというのが法律上の枠組みでございます。  今お尋ねの点は、そのような枠組みに基づいて運用をする際の消費者から見たときのかなり具体的な、例えば画面上の扱いでございますとか、そういう詳細についてのお尋ねでございます。  基本的な考え方からいたしますと、消費者に誤認がないということが大事でございます。消費者が自ら意識してきちんと判断をされて、そういう広告メールの受取をされるかどうかということを意思を表示をしていただくということが大事でございますので、そういう観点からは、今幾つかの方式に触れられましたけれども、どれか一つの方式でなければいけないということでは必ずしもないと考えてございます。  実際の画面上の承諾の取得方法などにつきましては、そういう消費者に誤認がないかどうかという形、それから事業者の側から見て、具体的に今提供されているものの中でいいものはどういうものがあるんだろうとか、あるいは事業者側からのお客様に対する適切な情報提供の形としてどういうものが希望されるかという両方の観点から、関係者きちんとお集まりをいただきまして詳細なルールを作っていく。  いずれにせよ、消費者の方にいつの間にか誤認をして知らない間に承諾をしたことになっていたというようなことのないような形にきちんとしてまいることが大事であろうと考えてございます。
  49. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございます。  是非、説明書きと承諾は近くに寄せていただきまして、消費者側に立って、誤認がないように運用をよろしくお願いをいたします。  不当な販売行為があった場合、たとえ販売契約解除しても、その業者が倒産して逃げてしまうと、そういった消費者が救済されないということがあり得ると思われますが、今回はその事態に対処するために特商法改正案に、訪問販売協会が、契約解除取消しがされても消費者に代金が返還されない場合には、業界団体として補償基金から一定の金額を支払うという制度ができるというふうに思われます。この制度は悪質販売業者を業界全体でチェックするという意味があると思われますので、消費者保護のためにも適切な制度化が期待されるところではあります。  ただ、被害者を救済するのに十分な額である必要があり、日本訪問販売協会では約一億円の基金を正会員からの拠出金で集める計画も言われておりますけれども、いろんな意味で会員の中に今からもう不満の声もあるかと聞いております。  今回、この法改正によりまして、経済産業省としましては、こういった団体に対しまして新制度の報告を受けあるいは助言ができるとなっております。より良い制度を高めて、そして消費者保護を図っていくためにどのように経済産業省としてしていくのでしょうか、お伺いいたします。  そこで、またこの補償基金、これは取引先などの一般債権者よりも消費者被害者に対して優先して弁済する制度でなければいけないとも思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  50. 山本香苗

    大臣政務官山本香苗君) ただいま御指摘いただきましたとおり、今般の法改正におきまして、訪問販売協会の業務といたしまして、新たに、クーリングオフの際に支払った代金が倒産とかまた逃亡等によりまして返金されないような場合等に、訪問販売協会の基金から消費者の方に補償金を支払うという業務を追加をさせていただいているところでございますが、この制度設計につきまして、御指摘のとおり、今後協会が詳細を検討していかなくちゃいけないという必要があります。  そこででございますけれども、経産省といたしましても、こうした検討を協会任せにしておくわけではございません。先ほどおっしゃっていただきましたとおり、この第二十九条の四というところで、「必要な情報及び資料の提供又は指導及び助言を行うものとする。」と、経済産業大臣がそういったことをするという規定を新設をしておりますので、制度設計におきましても可能な限り助言なりまた情報提供なりをしっかりと行ってまいりたいと考えております。
  51. 姫井由美子

    姫井由美子君 よろしくお願いいたします。  今日は内閣府の方にも来ていただいております。  今回の特商法割販法改正、これはやっぱり現場の一番最初の相談の窓口が大変重要かと思っております。国民生活センター等の対応や経産省との連携をお伺いしたいと同時に、あるいは国民生活センター、こういった相談、あるいはこの取締りが行われたときに企業名公表の基準、これを、今ある程度明確にされておりますけれども、今回の改正で更に見直されるのか、この企業名公表は慎重さも必要ですけれども、同時に被害を拡大することを防止するためにも大きな効果がございますので、お伺いしたいかと思います。
  52. 堀田繁

    政府参考人堀田繁君) お答えいたします。  今回の特商法改正案、非常に重要な改正だと認識しておりまして、国民生活センターの方では、従来から相談員に対する研修というのをやっておりますけれども、特に今回の法の重要性にかんがみまして、そういった研修を通じまして、まず相談員の方にそういった内容について御理解いただいて活用していただくということが重要ではないかと考えております。それから、一般の消費者に対しましても、国民生活センターのホームページ等によりまして周知徹底を図らせていただきたいというふうに考えております。  それから、企業名の公表ですけれども、国民生活センターの中の規定によりまして、情報提供の一環として企業名の公表ができるというふうになっております。ただ、他方で、営業の自由とかそういったことの関係である程度慎重に運用している面はございますけれども、内閣府としては、今後とも国民生活センターにそうした悪質業者がはびこることがないように活用を図ってもらうようにしていきたいと考えております。
  53. 姫井由美子

    姫井由美子君 一概には言えませんけれども、特に今回この改正の問題となりました富士見市の住宅リフォームの問題ですね、これにつきましては、ほかの個別の販売に比べまして企業名の公表が少し遅れたんではないかというような指摘もされておりますので、是非その辺り、非常にバランス難しいかと思いますけれども、お願いをしたいと思います。  そして、これはまさに、もう日本全国あらゆるところで行われている悪質業者をしっかりと撲滅するための改正ではあります。しかし、全国のこの処理の状況を見てみますと、特に東京、静岡が断トツでこの処分が多い。なぜかというと、やはりよく地元の行政機関が東京、静岡は動いていたんだ。じゃ、ほかの自治体はどうかといいますと、やはりそれはいろんな、人員不足であるとかいろんな予算の問題で動きが鈍いというようなことがあります。  やはりこれは、いかに現場がしっかりと動くかということですので、経済産業省におかれましては、全国に対して現場の消費者行政に対して地方自治体への支援もできるかと思います。この法の執行現場との連携についてどのように取り組まれるのか、最後にお伺いしたいと思います。
  54. 新藤義孝

    ○副大臣(新藤義孝君) この特商法は、これは執行は国が行うわけです。しかし、この権限、また事務の一部を都道府県知事に委任することができると、こういうふうになっております。そして、そういう中で、今お話がございましたように、地方自治体において執行件数ですとか取扱件数、ばらつきがあるわけですね。ですから、こういったものをいかに平準化していくか、そしてまた円滑に運用できるかどうか、このことを私たちは指導していかなくてはいけないと、このように思っているわけでございます。  それで、まず経産省といたしましては、全国都道府県の職員さんを対象といたしまして、特商法の執行に関する研修というものをしております。そして、皆さんで同じような知識を持っていただこう、それから経験を共有しようと、こういう工夫をしているわけです。それから、都道府県さんが初めて立入検査を行う場合は私どもの職員も一緒に同行させるとか、こういったようなこともやらせていただいております。  それから、特に今年の三月から、経済産業省、それから地方経済産業局、さらには都道府県の執行当局、これを情報ネットワークを、端末を結びまして、そして必要な情報を共有できるようにしたと、また連携体制を強化したということでございまして、これはしっかりと都道府県、地方公共団体と連携しながらこの執行に努めてまいりたいと、このように思います。
  55. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございました。  せっかくの抜本的、画期的な改正でもありますので、しっかりと運用ができるように、先ほどの、情報も共有をいたしましてしていただきたいかと思います。  今消費者庁の問題が非常に上がっておりまして、今日傍聴されている消費者団体の中にも、やはり消費者問題の窓口は一つに一括してという希望、期待も大きいかと思います。しかし、この消費者庁がたとえできたとしても、それは経済産業省の中の消費者行政がなくなるわけではございませんので、仮に消費者庁の中に消費者行政が幾つか移られることがあったとしても、経済産業省としては、冒頭言われましたとおり、経済消費者保護はこれは車の両輪だということをしっかりと心に留めておきまして、この消費者問題にも、消費者行政にもこれから一層しっかりとやっていただきたいということを最後に要望いたしまして、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  56. 中谷智司

    ○中谷智司君 皆さん、こんにちは。民主党の中谷智司です。  甘利大臣を始め皆様方、どうぞよろしくお願いいたします。  姫井由美子委員に続いて、特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案について御質問をいたします。  悪質業者に厳しい法の網をかぶせる本法律案は、消費行動をめぐる環境が複雑化、多様化する中で消費者保護に大いに資するものであり、評価できます。  まず最初に、行政の取組についてお伺いいたしたいと思います。  経済産業省による悪質業者に対する処分件数は近年増加し、内容も厳格化しています。その背景にはどのような事情があるのでしょうか、また今後どのように取り組んでいかれるか、甘利大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  57. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 先ほど申し上げましたように、産業政策消費者行政は表裏一体であります。であればこそ、最初から商売をやるつもりがない、つまり、最初からだまそう、詐欺を働こうとしている事業者市場から追い出して退出させなければならないわけでありまして、そういう点で厳罰に処せるように、そしてそれがきちんと漏れがないように対応するようにしていかなければならないわけであります。  近年、国及び都道府県におきまして、特商法違反行為に厳正に対処しておりますが、御指摘のとおり処分件数が増加をいたしております。その背景といたしましては、まず事業者消費者のトラブルの総数自身が増加していることが挙げられます。例えば、国民生活センターに寄せられた消費者生活相談のうち、特定商取引に関するとされている相談件数は、十年前は二十万件くらいでありました。ところが、平成十九年度は六十万件ほどでありまして、三倍近い高水準になっているわけであります。それから、訪問販売に係る相談における六十歳以上の言わば高齢者からの相談比率が年々増加をいたしておりまして、最近では五割近くになっております。つまり、社会的弱者をねらった悪質なものが増えているということ、これも背景にあると考えられます。  こうした実情も踏まえまして、経済産業省といたしましては、今後とも国とそれから都道府県と密接に連携をしまして、迅速な情報収集と効果的な法執行を図ってまいります。
  58. 中谷智司

    ○中谷智司君 先ほど姫井委員から御質問がありましたので質問は省略いたしますけれども、自治体に目を向けると、自治体によって取締り件数に大きなばらつきがあります。経済産業省調査によると、私の地元徳島県では特定商取引法違反による行政処分の実績はございません。もちろん、違反がないために行政処分の実績がないのであれば問題はないのですが、各自治体の取締り体制の違いによって行政処分のばらつきが出ることのないように最大限の取組をお願いしたいと思います。  本法律案の中身、特定商取引法についてお伺いいたしたいと思います。  本法律案では、クーリングオフになじまない商品、役務や他の法律において消費者利益保護が図られている商品、役務は規定の一部又は全部が適用除外とされています。具体的には、どのような商品、役務を適用除外とされているでしょうか。
  59. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 御指摘のとおり、今回の改正法律案におきましては、訪問販売などの規制対象につきまして、従来の指定商品あるいは指定役務制を廃止して原則適用方式を採用することとしておりますので、結果的に過剰な規制となったり、あるいは法の適用がかえって消費者の方の利益とならないような商品や役務につきましては、消費者保護を図るというそういう目的にものっとりまして丁寧な適用除外を手当てすることとしてございます。  まず、訪問販売等に関しまして消費者の利益を適切に保護することができると認められる法律、すなわち消費者保護のための措置を講じることが可能となるような法目的であると、そういう法律、それから加えまして、消費者被害発生時におけます是正措置が現に整備されているといった、そういうその二点を満たします法律の監督下にある商品や役務につきましては、訪問販売等に関します諸規定について、これは全面的に適用除外をするというふうに考えております。  それからもう一点、全面的な適用除外ではありませんけれども、例えばクーリングオフ規定などに関しましては、幾つか例を挙げますと、飲食店に路上で勧誘を行うといったようなそういうケースにつきましては、契約締結した後すぐにその全体が履行される、食事が提供されるということが通例であるわけでございますので、そういったような役務の提供とか、それからお葬式のように契約締結して速やかに提供されないとこれはかえって消費者の方の不利益となるような、そういう販売とか役務があるわけでございます。  それから、もう一つだけ例を挙げさせていただきますと、生鮮食料品のように数日のうちに品質が低下する、場合によっては腐敗をするとか、そういったようなもので商品価値が著しく低下する商品、そういったようなものの販売もあるわけでございまして、こういったものにつきましてはクーリングオフなどといったようなものについての部分的な適用除外措置を講ずるという必要があると考えてございまして、今後丁寧に措置をしてまいりたいと考えてございます。
  60. 中谷智司

    ○中谷智司君 適用除外の商品や役務をつくることによって規制の後追い状況を解消しようとする本法律案の目的が損なわれないように、それだけはお願いをしておきたいと思います。  訪問販売における勧誘において、契約締結しない旨の意思を示した消費者には契約の勧誘を禁止をしています。  訪問販売による勧誘が禁止される範囲や期間は具体的にどのように判断するのでしょうか。経済産業省はこの期間について、社会通念上相当な期間と定めていますけれども、だれもがぴんと来る分かりやすい言葉で御説明ください。
  61. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 再勧誘の禁止規定の及ぶ範囲は、契約締結しない旨の意思を表示した消費者本人に対します再勧誘の禁止ということでございまして、ただいま委員指摘のとおり社会通念上相当な期間というふうに私ども申し上げてきているわけでございますけれども、その内容に関しましては、その事業者が勧誘をいたします商品や役務、そういったものの内容によるところがございます。  これはいろんな商品や役務があるわけでございますので、そういう内容によるわけでございますけれども、例えば季節性のあるもの、日本は四季があると、そういうことでありまして、季節性のあるものでございますと、変わり目としての三か月というものが一つ期間というふうに目安としては考えられるんではないかと。それから、季節性は必ずしもないという通常の商品などに関しましては、六か月から一年といったようなものが一つの目安としては考えられるんではないかというふうに思ってございます。  ただ、いろんな商品、役務、サービスによっていろいろな違いがあるのも現実でございますので、こういったことを踏まえまして、再勧誘が禁止される期間考え方につきましては、消費者の方、事業者の方、学識経験者等々、いろんな方々の御意見を伺いながら、そのガイドラインという形で明らかにできるものは明らかにしていくということで混乱の生じないように考えてまいりたいと思っております。
  62. 中谷智司

    ○中谷智司君 ありがとうございます。  本法律案における他の条文も同様ですが、人それぞれによって言葉の理解に誤解が生じないように明確で分かりやすい定義付けを是非ともお願いをしたいと思います。  本法律案の大きなポイントである過量販売についてお伺いをしたいと思います。  先ほど姫井委員も触れられていましたけれども、特定商取引法上の過量販売の具体的な基準についてお聞かせください。商品の性質や購入者の世帯構成などの事情を勘案して判断するというのでは少しあいまいのように思います。これについてお聞かせください。
  63. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 過量販売に関する規定でございます。その一定の量、これ以上の量を販売すると過量に該当するという具体的な基準を設定いたしますと、これ個別の契約ごとに、先ほど訪問販売再勧誘と似たあれでございますけれども、商品や役務の性質、それから購入されようとする消費者の方の家族構成、そういったことによりまして量が異なるという、そういう現実的な問題がございます。  それからもう一つは、あえて具体的な数値を設定いたしますと、そこをわずかに下回る取引をねらう、そういう悪質商法を引き起こしかねない、惹起しかねないと、そういう問題もございます。したがって、非常にそのグレーの濃いものと黒、黒といいますかブラックといいますか、そういったものとの間の基準を定めるということについてはいろんなことを考えていかなければならない難しい点があるかと思います。  ただ、もう一方で、ホワイトといいましょうか、これはもう明らかに過量には当たらないんだというような、この範囲であればおおよそ過量などには該当しないと考えられる量、こういったものにつきましては、既に業界サイドでも自主基準などで定めているというものがあるわけでございますけれども、そういったものが明らかにされるということは、事業者の方が安心してその取引を行う上でも重要というふうに考えてございます。  そういう点での一定の目安といったようなものにつきましては、経済産業省といたしましても、業界サイドの自主的な取組、そういったものを促してまいりたいというふうに考えてございます。
  64. 中谷智司

    ○中谷智司君 今おっしゃられたように、具体的な数値基準を出すと悪質業者がそのすれすれのところをねらって、また更に勧誘をしてくるため問題が起こりやすくなることももちろん想像できます。しかし、過量販売の線引きが本法律案の非常に大切なところであって、線引きの仕方によって効果が変わってくることを考慮をして、是非とも過量販売の具体的な基準を持っておいていただきたいと思います。  消費者に特別な事情があった場合には、過量販売を理由とした契約解除はできないという例外規定が設けられていますが、具体的にはどのような場合でしょうか。
  65. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 消費者に特別な事情があった場合でございますので、その過量販売契約というまれにしか生じないほどの大量の取引を行うに当たりまして、それが消費者の方で特に必要とする事情というものを指すというふうに考えております。  例えば家族構成で、非常に多くの家族の方がいらっしゃるというその家族構成や、あるいは個人の趣味といったそういうような事情によりまして、通常は必要とされないほどの著しい分量消費者が購入しようとする場合、そういった場合にはこの特別な事情に該当すると、そのような場合があるのではないかというふうに考えております。
  66. 中谷智司

    ○中谷智司君 ありがとうございます。  販売業者がきちんと消費者の意向を理解して、決して弱者性を利用することなどないように、どうぞ徹底してくださるようお願いを申し上げます。  続いて、迷惑メールについて御質問いたします。  私のところにも日々大量の迷惑メールが届いて困っているんですけれども、総務省は特定電子メール法、経済産業省特定商取引法を制定しています。迷惑メールの監督省庁が内容によって経済産業省と総務省に分けられているのは非効率ではないでしょうか。甘利大臣の御見解をお聞かせください。
  67. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 情報通信分野に関して、とかく世間では経産省と総務省が領土争いをしているとよく言われるんですが、我が方から領海侵犯をした覚えはないと思っておりまして、この迷惑メール対策に当たりましては、総務省と経済産業省はそれぞれ適切に言わば役割分担をしながら、その中で両省が一体となって対策に取り組んでいるというつもりでございます。  経済産業省の方はといいますと、広告規制の一環としてインターネット通信販売における取引の適正化及び消費者保護ということを図るために、主として通信販売業者対象とした規制を行っております。他方、総務省においてはどうかといいますと、通信規制の一環として、大量の迷惑メールによって電子メールの送受信上の支障が生じることのないように、特定電子メール送信適正化法に基づいて、主としてメールの送信者を対象とした規制を行っていると。つまり、我々は通信販売事業者を、総務省は送信者をという役割分担をしているわけであります。  これまでも、両省で消費者からの申出に関する情報交換を行いますとともに、規制の在り方につきまして相互に連絡を取り合いながら議論を進めるなど、実務レベルでは密接に協力をしているところでありますけれども、今後とも、この迷惑メール対策に万全を期すために両省間の連携はしっかりと取っていきたいと思っております。
  68. 中谷智司

    ○中谷智司君 ありがとうございます。  迷惑メール対策の内容による切り分けが両省庁にむしろ良い相互作用を及ぼして効果が上がるようにしていただきたいと思います。  迷惑メールの約九割は、中国など海外のサーバーを経由し日本に送信されています。海外発の迷惑メールが規制の抜け道であってはならないと思います。違反行為を国際的に排除する連携が重要だと思いますが、経済産業省の具体的な取組について甘利大臣のお考えをお聞かせください。
  69. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 海外のサーバーを経由して送信をされる迷惑広告メールでありましても、広告事業主それから広告受託事業者日本国内に所在をしているという場合には、特商法に基づく行政処分が可能であります。  他方、おっしゃいますように近時の迷惑広告メールというのは、日本国内の事業者が中国に置いたコンピューターを経由して送信をするケースが相当多いです。これは事実でありまして、これらに適切に対応するためには中国当局の協力も不可欠でありまして、昨年秋から、中国当局への迷惑メールについての情報提供体制を構築しております。この結果、中国発の迷惑広告メールの削減効果も出てきていると報告を受けております。  これからも、更に効果が上がっていくようにしっかり取り組んでいきたいと思います。この一年での、確かに減っておりますけれども、まだ相当残っておりますから、しっかり連携は取っていきたいと思います。
  70. 中谷智司

    ○中谷智司君 この迷惑メールについては、今の技術をもってすれば迷惑メールがどのサーバーから送信されているかを突き止めるのは困難なことではないと思います。海外当局との連携を強化するとともに、プロバイダーの調査権限を強化するなど、法の網をかぶせることによって迷惑メール対策の効果を是非とも上げていただきたい、そう思います。  続いて、承諾をしていない者に対する電子メール広告の提供が本法律案によって禁止になります。販売業者などがあらかじめ消費者からの電子メールの請求、承諾を取得していることを立証するには具体的にどのような要件を満たす必要がありますか。
  71. 橘高公久

    政府参考人橘高公久君) お答え申し上げます。  そもそも、今回いわゆるオプトイン方式に法律上するわけでございますが、今お尋ねございましたように、必要なときにきちんとそういう事前承諾なりあるいは消費者からの請求があったということが確認をできないと困るわけでございますし、またその確認に使うデータが適正なものでないと、信憑性の高いものでないと困るわけでございます。  今回の法改正におきましては、消費者からの事前の請求あるいは明示的な承諾を得たことを立証するための要件として、法律上の義務付けを行っております。すなわち、事業者消費者から請求又は承諾を得たことの記録を取り、そしてそれをあらかじめ定められた様式に基づいて保持することということで法律上の義務付けを掛けておるわけでございます。これが今のお示しの法律上の要件でございます。  具体的に、どのような形でどのような様式のデータとして保存すればよいかにつきましては、私どもが一番必要といたしますのは、法執行あるいは法執行の一環としての行政処分の前提として、適正な記録が残されていないということをチェックをしないといけないわけでございますので、そういうのに足りるようなデータがきちんと保持されていないといけないと存じます。  ただ、これは事業者側におきまして一定の設備投資等につながる可能性もございますので、我々の法執行上の必要性、それからデータの保持を必要とする側のコスト、あるいは技術的な対応可能性というようなものを踏まえながら、消費者あるいは法律の専門家も入っていただくグループにおきましてきちんと詰めてまいりたいと考えておるところでございます。
  72. 中谷智司

    ○中谷智司君 ありがとうございます。  迷惑メールについては、もう本当に削除するだけでも大変ですし、あと被害ももちろん増えてきていますので、これに対する対応はきちんとしていただきたいと思います。  それと、先ほど姫井委員も触れられていましたけれども、消費者からの広告メールの請求、承諾は、デフォルトオフ方式にすべきではないでしょうか。これについて御見解をお伺いしたいと思います。
  73. 新藤義孝

    ○副大臣(新藤義孝君) 何回も申しますけれども、今回は、本人からあらかじめ承諾がないと広告メールを送ってはいけないと、これは法律で決めたわけですよね。そして、これオプトインというふうに決めたわけです。  ですから、本人が承諾して、そして請求したんだと、このことをきちんと本人が分かっていなければいけないと。その意味において、ネットの画面上のどこか分からないところに勝手にもう承諾したというような画面があってそのまま送り返されていては困るということでございます。ですから、これはしっかりと明確な意思表示ができるように、ここを工夫することがまず最大のポイントだと思っております。  そして、そのためにはいろんな、ショッピングサイトの中での請求と承諾の方式というのは幾つもやり方があると思うんです。そういう中で、今委員が御心配いただきましたこのデフォルトオンというこのものにつきましても、もしそういうことをやるならば、少なくとも消費者が、これを送り返せば承諾したことになるんですよということが分からなければいけないと。それから、大体物を、送信ボタンで最終的に意思の確定をするわけですから、送信ボタンのすぐそばにチェックボックスを置くとか、こういうような規定が必要だろうというふうに思っています。  ですから、そういう中で具体的なルールをつくらなければいけないと。今現在、有識者等によってそれは検討しています。そして、今後、省令ですとかそういったものを出していく中で、しっかりとこのデフォルトオンにする場合にはこういう形にしなさいというルールを決めていきたいと、このように考えております。
  74. 中谷智司

    ○中谷智司君 ありがとうございます。  今は本当にインターネットが普及をして、平成十九年には、消費者からの申立てのあったものだけでも迷惑広告メール件数は一月に十万件にも上っています。本法律案の施行によって迷惑メールを根絶できるように取り組んでいただきたいと思います。  展示会商法の規制についてお伺いをしたいと思います。  店舗とは二、三日以上の継続的な販売設備であることが要件として通達で定められています。しかし、最近はこの規制をかいくぐる形で四、五日展示を開催しているケースがあります。  今回、店舗要件の通達改正について甘利大臣はどのようにお考えでしょうか。
  75. 甘利明

    国務大臣甘利明君) いわゆる展示会商法でありますが、これにつきまして既に一部が特商法の規制対象となっております。昨今の消費者被害では、おっしゃいますように展示会の開催期間を長くして規制を逃れる事業者が多く見られます。三日以上やっていれば普通のいわゆる店舗販売とみなすということになると、じゃ四日、五日やれば普通の店舗販売だと。さっきの総量規制のときも話が出ましたけれども、分かりやすく決めると、それをかすかに逃れるというやからが必ず出てくるわけであります。こうしたために、訪問販売の定義規定における営業所等の解釈、これを一定の施設については商品等の販売期間を適切な範囲で現在より延長するなど、展示会商法に対する特商法適用範囲を拡大する方向で検討を進めてまいります。  その際に、まじめにやっている者が被害を受けちゃうと困るんで、例えば通常の物産展など、本当にまじめに普通の商売としてやっているんですけれども、店舗販売とみなす日数を拡大するためにそれがそうでない、いわゆる特商法対象になってしまうなんということのないように、一般適正取引にそうした規制が及ばぬように十分に配慮しながら対処していくということを考えております。
  76. 中谷智司

    ○中谷智司君 今、甘利大臣がおっしゃられたように、まじめにお仕事をされている方々は保護をしていくことはもちろんですけれども、この展示会商法による巧妙な手口による消費者被害も多発をしていますので、実際に合った改正をお願いしたいと思います。  従業員商法が適用除外になっていることについてお伺いします。  従業員商法は、呉服、宝石の次々販売の相当な部分を占めています。従業員が商品を購入する意思がない旨を表明しているのに事業者が購入を要求して販売がされている場合や、従業員が必要な量を超えて自社商品を購入させられている場合などについて、特定商取引法割賦販売法で取り締まれる範囲はあるでしょうか。
  77. 橘高公久

    政府参考人橘高公久君) お答え申し上げます。  現在の特定商取引法におきましては、例えば社内販売でありますとか、あるいは組合の内部での組合員相互の互助的な販売会というようなものにつきましては適用除外となっております。  元々の発想といたしましては、むしろこのような社内販売につきましても、本来、その会社のために商品もよく理解した上で日ごろセールス等にいそしんでいる社員にある種報いるために有利な条件で社内的に販売を行うというのが本来想定をしている姿でございます。  そういう観点から、法律上は団体自治というような発想から、内部的な、むしろ利便になるような活動についてまで法の規制を、特に厳しい規制でございますものですから、及ぼすことは必要ないのではないかというのが現在の体系であり、そういう発想自体は今後も維持をするという考え方でございます。  ただ、今委員がいみじくも従業員商法という言葉をお使いになられました。私ども、必ずしもそこまで確立したカテゴリーとして承知をしておるわけではございませんけれども、非常に、むしろ社員であるという弱い立場を利用して経営者あるいは会社が相当強引な販売行為をしているという場合には、今申しましたように、直接特商法、あるいは割販法も同様でございますが、の規定ではないにせよ、その従業員に対して物を購入を強く迫る、従業員が困り果てているにもかかわらず強く迫る、あるいは従業員の給料を全部返済に充てなければいけないような無体な購入を迫るということであれば、これはなかなか社員のためという説明が付くとは思えませんものですから、最終的には個別事案ごとに司法判断というところで積み上げが必要ではあろうと思いますけれども、今申し上げましたような実態があるとすれば、例えば民法上の強迫行為に当たるかどうかとか、あるいは裁判例でも必要に応じてよく援用されます公序良俗違反という考え方などを援用して司法の判断が下される場合もあろうと考えております。特に、そのような経営者側に、事業者側に責任があるというふうに判断をされた場合には、それが例えばクレジット取引であって、クレジット会社がその事業主とつるんで行っているような場合であれば、販売事業会社のみならず、それを支えているクレジット業者にも責任が併せて発生していくというような判断が行われる可能性も、法の趣旨からいけばあり得るものと考えております。
  78. 中谷智司

    ○中谷智司君 このような方法によって一千三百六十六万円という大きな契約を負わされた事例もございます。このような事例にも対応できるように、是非とも御考慮いただきたいと思います。  宝飾品、呉服小売業界における倒産件数は、二〇〇六年には八十一件と前年の三十四件から急増していて、二〇〇七年においても七十八件と高水準にあります。悪質業者へ徹底的な規制を進める一方で、やはりまじめな販売会社に過度な負担が掛からないような配慮も必要ではないかと思いますが、この件についてお聞かせください。
  79. 荻原健司

    大臣政務官荻原健司君) 先生のおっしゃるとおりだと思っております。  やはり悪質事業者にはきちんと徹底した規制を行うと。ただ、一方で、健全なまじめな事業者の皆さんにはやはり過度な負担を掛けないように配慮する必要があるということでございまして、その点は十分に配慮を考えたところでございます。  また、今回、改正法の運用に向けましても、事業の実態などに配慮をいたしましたガイドラインの整備などを進めるとともに、内容について周知徹底をしていきたいと思っております。  いずれにしましても、通常の事業者といいましょうか、健全な事業者の過剰の負担の生じないように取り組んでいきたいと思っております。
  80. 中谷智司

    ○中谷智司君 ありがとうございました。  続いて、割賦販売法についてお伺いします。  加盟店調査義務は、踏み込み過ぎるとクレジット業者加盟店への過度な干渉と受け取られかねません。また、健全な加盟店販売行為を阻害することにもなりかねません。具体的にどのような義務を課そうとお考えでしょうか。
  81. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 加盟店調査義務に関しましては、まず、個別のクレジット業者販売業者加盟店契約締結する際に販売業者勧誘マニュアルなどを入手いたしまして、勧誘方法について違法性がないか、問題がないか、そういったことについて調査をしていただくということを考えております。  それから、その後、加盟店契約締結した後におきましても、消費者からの苦情が相当数あるような販売業者、役務提供業者、そういう事業者につきましては再度、一体どういう勧誘方法をやっているんだろうかといったようなことにつきまして調査を行っていただくということを考えております。  それからもう一方では、対事業者だけではなくて、消費者との間での個別のクレジット契約締結することがあるわけで、あるといいますか、そうなるわけでございますので、その消費者の方に対して電話でどういう勧誘、販売、そういったものをやっているのかというようなことにつきまして実際に聴いていただくというような、そういう電話で聴取するということなどで販売業者勧誘方法などにつきましての違法行為、問題のある行為がどうなっているのかというようなことについての確認もしていただくというようなことを考えております。  ただ、いずれにいたしましても、その詳細につきましては、消費者事業者、学識経験者の方々を始めといたします各方面から構成される関係審議会において議論をしていただきまして、実態を踏まえたより効果の高いそういう方策というものを御検討いただくというふうに考えてございまして、そういった議論の成果も踏まえながら、実効性のある調査が行われますよう、調査事項調査方法につきましては経済産業省令で定めることとしておるところでございます。
  82. 中谷智司

    ○中谷智司君 それでは、クレジット業者による加盟店調査義務が導入されることによってどのような効果が期待されますか。甘利大臣のお考えをお聞かせください。
  83. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 個別クレジット取引は、クレジット業者が自ら勧誘を行うことなく、加盟店消費者に対して勧誘を行うことによって取引が成立するわけであります。したがいまして、加盟店の質を確保する、いい加盟店であれば問題が起こらないわけでありますから、そういう加盟店の質を確保することが消費者保護にとって肝要であります。このためには、加盟店契約締結をし、個別の契約ごとに加盟店勧誘行為等を調査できる立場にあるクレジット業者がしっかりとした社会的責任を果たしてもらうと、これが重要なことであります。ただいま商務流通審議官から説明をしたとおりであります。このことから、今回の改正において加盟店調査義務を導入したものであります。  この調査の結果、加盟店商品や役務を販売、提供する際に悪質な勧誘行為を行っていたことが判明した場合にはクレジット契約締結することを禁止するということといたしております。これによりまして悪質販売業者等による消費者被害の防止がより図られていくものというふうに考えております。
  84. 中谷智司

    ○中谷智司君 ありがとうございます。  甘利大臣のお話しされたように、この加盟店調査によって悪質業者を排除して、クレジットを利用した消費者被害を未然に防ぎ、消費者を守ることにつながります。不適切な勧誘があれば適切な対処ができるようにお願いをしたいと思います。  個別クレジット業者による加盟店調査義務特定商取引法類型の取引の場合に限定する理由を聞かせてください。
  85. 山本香苗

    大臣政務官山本香苗君) 個別クレジット業者による加盟店調査義務というものを特定商取引法類型の取引に限定している、すなわち訪問販売等に何で限定しているのかというお問い合わせでございますけれども、その理由といたしましては、まず一つには、個別クレジットに係る消費者の相談のうち七割から八割というものがこの訪問販売等に集中しておることが一つと、もう一つは、訪問販売等というのは急に押しかけてくるという不意打ち性が高くて、消費者の自由な意思表示というものが非常に難しいということが挙げられると思います。  じゃ、それ以外の場合というものはどうするのかということもあるわけでございますけれども、重立っては店舗販売になるわけでございますが、この点につきましては、先ほどの御質問の中にもありましたけれども、今回の改正個別クレジットを行う業者を登録制の対象といたしまして、さらに店舗販売の場合であっても消費者からの苦情の適切な処理を義務付けることとなっておりまして、この点につきましてもきちんと消費者トラブルへの対応を行わせるというような仕組みをつくらせていただいております。
  86. 中谷智司

    ○中谷智司君 ありがとうございます。  消費者の支払可能見込額の具体的な判断基準はどのように設けるのでしょうか。具体的な判断基準を設ける一方で、学生や専業主婦などは収入がなくても支払能力がある、そういう方もいらっしゃると思いますけれども、それらの方への配慮も必要だと思いますが、この件についてお聞かせください。
  87. 山本香苗

    大臣政務官山本香苗君) 続けてお答えさせていただきます。  まず今回の判断基準ということなんですが、今回の改正案におきましては、消費者が居住用資産を処分することなく、また必要最低限の生活維持費を支払原資に充てることなく支払可能と見込まれる額をクレジット業者にしっかりと把握させることとしておりまして、これを支払可能見込額として事業者が算定をし、そしてこの額を超えるようなクレジット契約を禁止することで過剰与信を防止することとしております。  そして、今御指摘いただきました、例えば学生さんであったりだとか専業主婦であったりだとか被扶養者であるというような場合、そういった実態を踏まえて、例えば世帯の収入を当該消費者の収入とみなして支払可能見込額を算定すること等を可能とするなど、一定条件の下で与信が可能となるような制度設計というものをしてまいりたいと考えております。
  88. 中谷智司

    ○中谷智司君 支払見込額調査を適正に行って、支払能力がある人のカード等の利用に支障が出ないようにしていただきたいと思います。  それでは、既払金返還請求についてお伺いします。既払金返還事由を、訪問販売事業者等が不当勧誘等を行った場合や過量販売を行った場合に限定する理由についてお聞かせください。
  89. 橘高公久

    政府参考人橘高公久君) お答え申し上げます。  今回いろいろ御議論いただいておりますように、個別クレジット業者販売事業者、特に訪問販売等特定商取引類型、これの悪質な勧誘を助長するというところに着眼いたしまして、もろもろ幅広い規制の在り方を見直しているという一環といたしまして、ここで今御指摘がありましたような既払金返還につきまして相当踏み込んだ規定をお示しをしているという経緯は御案内のとおりでございます。  しかしながら、それと併せて、やはりなぜこのような規定が法制上可能であるかという背景には、個別クレジット業者販売業者との関係が非常に特別あるいは特殊であるというところも併せて今回の制度設計に当たって大いに関係した部分でございます。すなわち、個別クレジット業者販売業者クレジット契約締結の勧誘等の行為を丸投げといいましょうか、行わせております。したがいまして、個別クレジット業者クレジット契約につきまして、販売業者クレジット業者に代わってといいましょうか、クレジット業者のために活動しているという関係になるという意味で極めて密接な取引関係にあるわけでございます。  このため、販売業者自身の不実告知などの悪質な勧誘行為調査する機会を当然有している、一緒になってビジネスをしているような関係でございますものですから、販売業者が不適切、不適法な行為を行っていれば容易にその事実が分かる、若しくは知るところとなるというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、販売業者が自ら悪質な勧誘行為やあるいは過量販売を行っている場合には、クレジット事業者はそういうことを知りながらみすみすこれを助長していたものであるというところに着眼をいたしまして、個別クレジット業者既払金返還という非常に強いペナルティーを掛けるという形でございます。  なお、先ほどの御質問の中で、これに限るのかと、これ以外にも広げることはどうなのかという御趣旨があったと思います。  典型的には、例えば販売業者自身が債務不履行を行って販売契約解除に至る場合ですとか、あるいは販売事業者が倒産をしてしまった場合ですとか、こういうような場合が現実には存在するわけでございますが、これは今るる申し上げましたような密接な関係から容易に想像できる、あるいは知るところとなるというものといささか異なっていると考えます。すなわち、クレジット事業者クレジット契約締結に当たってこの販売事業者をいろいろ調査をしたといたしましても、なかなか今申しましたような債務不履行が起こってしまうであろうとか、あるいは事業者が倒産してしまうであろうというようなことを把握するということはなかなかそこまでは分からないというのが通例であると考えます。したがいまして、今申しましたような債務不履行や倒産の事実のみでクレジット業者既払金返還を一律に請求できるように、そこまで広げることにつきましては適当ではないというふうに今回は判断したものでございます。
  90. 中谷智司

    ○中谷智司君 店舗販売や通信販売による被害報告されていますけれども、本法律案では、自宅に業者が訪れる訪問販売や路上で声を掛けて客を店に連れ込むキャッチセールスなど特定商取引法に定めた取引に限られて、店舗販売や通信販売を適用外にしたのはなぜでしょうか。
  91. 橘高公久

    政府参考人橘高公久君) お答え申し上げます。  ただいまの御質問は、実は基本的な考え方といたしましては、先ほど山本大臣政務官が御答弁申されました考え方と同一でございますので、ポイントだけ簡潔に重ねて申し上げたいと存じます。  既払金返還につきましては、加盟店の悪質な行為につきまして個別クレジットを行う業者に結果責任ということで大変厳しい責任を問うものでございます。これの背景としましては、これを行うに当たりましては個別クレジットに係る苦情が集中している訪問販売などを対象とするということで、立法事実といいましょうか、保護すべき問題となっている最も深刻なところを対象としたものでございます。裏返して申し上げますと、現実に消費者トラブルが頻発しているというような実態には必ずしもない店舗販売、通常の店舗販売ですとか通信販売等につきましては対象としていないところでございます。  今回の改正では個別クレジット業者を登録制の対象とすると。あるいは、先ほど申しましたような意味では適用外でございますが、店舗販売や通信販売につきましてもいったん消費者から苦情があった場合には適切な処理を義務付けるというようなことから、こういう広い意味での規定を適切に活用することによっての対応はしっかりと図ってまいりたいと考えております。
  92. 中谷智司

    ○中谷智司君 今のお話で、最も深刻なところを対象としているというのは分かりますけれども、店舗販売対象から外したことによって店舗の中でクレジット契約を強要されるようなそんなケースは救済されにくいのではないでしょうか。
  93. 橘高公久

    政府参考人橘高公久君) お答え申し上げます。  おっしゃいますように、そもそも今回の特商法にしろ割賦販売法の見直しにしろ、現在ある民事法制、消費者契約法も含めました民事法制あるいは現行の特商法割販法等で、なおこれは強化する必要があるというところについて見直しを行ったものであります。裏返せば、現在の法制を活用することによってしかるべく対応できるところにつきましては、当然それらを活用していくということになろうかと考えます。  消費者契約法におきましては、契約締結について、いわゆる媒介法律上、媒介という行為を行ってほしいという委託を受けた事業者が、消費者、買手の住居から退去しない、帰らない、あるいは消費者がもう帰りたいと言っているのにこれを妨害をして帰さない、いわゆる不退去あるいは退去妨害に基づいて契約締結させた場合につきましては、消費者契約法上、契約取消しが認められております。  クレジット契約に引き直して申し上げますと、消費者契約法考え方からいたしますと、クレジット事業者クレジット契約締結媒介販売業者委託しているという関係にあるというふうに考えられております。したがいまして、その受託を受けている販売業者が居座った、不退去、あるいは退去妨害をして圧迫を加えたというようなことでクレジット契約が意に反して締結されたような場合につきましては、これは店舗取引でありましても、そういうものも含めて、店舗取引も含めて、消費者契約法の今の申しました媒介法理等に基づきまして消費者がこの契約を取り消すということで、消費者契約法の援用は可能であるというふうに考えております。
  94. 中谷智司

    ○中谷智司君 先ほど販売業者のときにも御質問させていただいたんですけれども、悪質業者へ徹底的な規制を進め、消費者保護消費者利益に結び付けていく一方、やはりまじめなクレジット業者に余りにも過度な負担が掛からないような配慮が必要だと思います。この件について甘利大臣のお考えをお聞かせください。
  95. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 今回の改正案は、被害実態に即した規制強化を図っているものでありまして、健全な事業者に対し過度な影響を及ぼす規制を設けているものではありません。  例えば、過剰与信防止につきまして改正案において導入する措置というものは、支払能力を根拠なく過大に見積もって高額の与信を行うことを禁止するものでありまして、一律の数値基準のみで判断するような総量規制は盛り込んでおらないわけであります。  また、通常のクレジット審査では、購入者の年収、債務の支払状況、販売する商品の価値など様々な要素を総合的に見て支払能力を判断をしております。今回の措置はこうした審査実務を踏まえた内容としておるわけであります。  さらに、今回の改正と併せまして業界の自主的な取組が促進されることによりまして、消費者クレジット取引についての安心感を高めまして、クレジット取引の健全な利用が促進をされるということを期待をいたしております。
  96. 中谷智司

    ○中谷智司君 ありがとうございます。  甘利大臣のおっしゃることはもちろん分かるんですけれども、とはいっても、やはりこの加盟店調査や支払可能額調査など、クレジット業者の負担はどうしても増えると思います。消費者保護はこれはもちろんなんですけれども、まじめなクレジット業者に過度な負担が掛からないこと、そして問題ないクレジット取引にまで影響が出て善良なカード利用者に不都合が出ないような配慮を是非ともお願いしたいと思います。  この法律案は、消費者保護に資するすばらしい法案だと思います。しかし、だからこそ消費者に周知することが何よりも重要だと思います。消費者内容を広めていく方法と取組について、甘利大臣の御見解をお聞かせください。
  97. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 今回の改正は指定制の廃止や、過量販売、この契約解除規定の導入等を含む大規模なものであります。改正内容の十分な周知徹底は重要でございます。そこで、改正内容の周知徹底に当たりましては、消費者はもちろんでありますけれども、事業者消費者相談員、これは各地域の消費生活センターの相談員でありますが、そのメンバーであるとか、あるいは自治体の窓口担当者等、関係する方々に対しまして、説明会の開催であるとかパンフレット等の配布、それから広報サイトを通じた情報公開や消費者相談担当者を対象とした研修の開催等を行っていく予定であります。その際、特に消費者の方々には、消費者被害に遭わないようにするための悪質商法の手口情報や、困ったときにまず相談をしていただく連絡先を重点的に周知することが有効だと考えております。  消費者自身も賢い消費者になって、消費者自身が武装していただくということも大事なことだというふうに思っております。
  98. 中谷智司

    ○中谷智司君 ありがとうございます。  今おっしゃられたようなことをもう徹底して、そして消費者内容を広めていただきたいと思います。  それともう一つ、この法律条文なんですけれども、やはり私は分かりにくいと思います。簡素化して消費者に分かりやすくするなどの配慮も必要だと思いますので、是非ともこれも御検討をいただきたいと思います。  最後の質問ですけれども、本法律案を実際に運用に移す際に、消費者販売業者クレジット業者の混乱を避けるためには、問題が起こったときには現場に合った制度に柔軟に見直しをしていくことも必要だと思いますが、甘利大臣のお考えをお聞かせください。
  99. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 御指摘のとおり、今般の法改正内容を実際に運用するに当たりましては、悪徳事業者法律解釈の抜け穴をねらわれたり、規制内容が事業実態にそぐわなくなるような事態が生じることによって事業者消費者などに混乱が起きないようにするということが重要でございます。このために、政省令の整備のみならず、実際の事業運営であるとか被害実態に合わせた適切な法解釈やガイドラインを用意をいたしまして、その周知に努めてまいります。  また、法施行後も、御指摘のように常に新しいビジネス形態や新たな手口が発生するため、法規制が実態に合うように注視をしつつ、法令の見直しであるとか運用の明確化などに取り組んでまいります。
  100. 中谷智司

    ○中谷智司君 ありがとうございます。  この特定商取引法、そして割賦販売法は、これまで随時法改正を続けてきています。消費行動をめぐる環境が複雑化、多様化する中で、それらに合わせ法改正を続けてきていることは消費者保護消費者利益に資することだと評価をしています。法改正時には予期しない問題が起こることや、施行してみると現場に適さないということも考えられます。これからも、現場を大切にして柔軟な対応をすることによって、法改正によって効果が上がることを期待をしています。  ありがとうございました。
  101. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十五分まで休憩いたします。    午後零時十四分休憩      ─────・─────    午後一時十五分開会
  102. 山根隆治

    委員長山根隆治君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  103. 藤原正司

    ○藤原正司君 民主党の藤原でございます。  大臣、御苦労さまでございます。特に今年の場合はサミットがあるということ、それから資源の高騰あるいは温暖化問題で大臣の担当される、所管される事項が非常に多くて、国際会議の連続だったというふうに思います。先ほどWTO報告をいただいたわけですが、その後、七日の日にエネルギー担当大臣の五か国の会議があったというふうにお聞きしております。この点について少しその課題と成果についてお話をいただきたいと思います。
  104. 甘利明

    国務大臣甘利明君) OECDでの閣僚理事会の後に青森で五か国のエネルギー大臣会合、続いてG8プラス三か国、ですから五か国にプラス、加えて、ですから八と三ですから十一か国の会合がありました。  御質問はそのOECDの気候、エネルギーの部分ですか、それとも……
  105. 藤原正司

    ○藤原正司君 全体については結構です。七日以降の。
  106. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 五か国、青森の方……
  107. 藤原正司

    ○藤原正司君 そうです。青森の方です。
  108. 甘利明

    国務大臣甘利明君) はい。  そこで、まず省エネというものが経済と地球温暖化防止を両立させる極めて効果的な方法であるということで、まず十一か国で合意ができたということは大きな成果だと思います。  今まで京都議定書の枠を超える範囲、つまり京都議定書にはアメリカが入っていない、それから主要排出国のインドや中国が入っていない。そういう入っていない大どころが全部入った枠組みの中で省エネ行動を取りましょうと、国際省エネフォーラムというものを立ち上げて、そこでお互い自主目標を持って自主行動計画に従って省エネに取り組んでいくと、その間に技術の交流とか共有とか研究開発というものを共同でいろいろやっていこうという大きな枠組みができました。昨日イタリアの大臣とバイ会談をその後にやったんですが、あれはすばらしい成果だと、初めて主要国が全部集まった枠組みでの緩やかな合意ができたと、これは画期的なことだという話をしていました。  それともう一点、私の想像を超えて世界の国が意識しているなと思ったのが原子力でありまして、今までイギリスはどちらかといえば原子力に後ろ向きでありまして、三十年間造っておりませんでした。それが、やっぱり原子力を環境と経済と両立させる手法として前向きに取り組むと、かなり全力で取り組むという主張がありました、大臣から。加えて、イタリアというのはむしろ原発に反対していた国だったんですが、今度の政権で新しい大臣から、イタリアとしても原子力発電に取り組んでいくと、日本に対しても全面的な協力をしてくれという要請がありました。  結局、あの十一か国の中だけで原子力発電に対する発言がなかったのはドイツでありまして、ドイツだけはじっとこうしておりましたら、会見で若干意地悪に日本のマスコミからドイツがどうするんですかとやられまして非常に困っておりまして、今のところまでは我々は反対です、将来はどうなるかよく分からないみたいな、ちょっと不思議な発言でありましたけれども、それは相当周りの残りの十か国に押されたという形になったわけでありまして、あそこまで各国が原子力に対して強いコミットをするということはちょっと私の予想を超えていた部分でありました。  低炭素エネルギー社会に向かってみんなで進めていこうと。原子力、省エネ、それからあとCCS、つまり石炭というのはお手軽に手に入る燃料で、これを使うなということはできないだろうと、途上国も含めて。だったら、石炭をクリーンに使うということを考えようじゃないかと。そこでCCSをみんなで取り組むということでも強い支持が得られたわけであります。それらを青森宣言として世界に発信をしたわけです。  来年イタリアがサミット国ですけれども、G8エネルギー大臣会合も自分たちにやらせてくれという発言がありました。昨日イタリアの大臣と話しましたら、青森宣言を引き継いでフォローアップしていくんだというお話までありましたので、かなり良かったんだというふうに思っております。  それから、原油高について議論をいたしました。今の原油高はまさに異常な高騰だと、この状態は異常であるということは全部で意識を共有をいたしました。そのために設備投資が必要だと、つまり生産余力をしっかり持たせると、産油国には。それから、消費国は省エネを徹底的にやっていこうということと代エネを開発をしていこうということで意思統一をされました。  それから、金融の動きについてなんでありますけれども、これは実は財務大臣会合でこの問題に焦点を合わせて議論をすることになっております。そこで、財務大臣会議で金融と市場との、消費市場、石油市場との関係、これについての議論を我々は支持すると、議論することを、そういうコミットをさせていただいたわけでありまして、もろもろにわたってこのエネルギー大臣会合は大変な成果があったというふうに思っておりますし、運営自体が非常にスムーズにいったことにつきまして、各国大臣から日本の事務スタッフに対してもう大変な評価をいただきました。
  109. 藤原正司

    ○藤原正司君 ありがとうございました。  全部、G8プラス3まで御報告いただきましてありがとうございました。  私は、特にエネルギーを始めとする資源の高騰ということに対して、五つの国、エネルギーを一番たくさん使っているそして輸入している国が中心になってこの石油の高騰に関してメッセージを発するということは大きな意味があったと思いますし、特に日本の場合のようにほとんど輸入に頼っている国がこの価格の高騰の中で大変苦労している、だから何らかのことをしなければならないということで、大変大臣が御苦労されていることはよくよく分かっておりますし、高く評価をしたいと思います。  と同時に、今のこの石油を始めとする資源が国際マネーの中で翻弄されて高価格のまま張り付いていくと、このことに対して、ある意味では何といいますか大臣としてもむなしさを感じておられる部分もあるんではないかというふうに思いますし、私も同じ思いを持っているわけでございます。そんな観点から少し今私の思いを申し上げて、大臣のお考えをお聞きしたいと思うわけであります。  実は、日曜日の日に私の学校の先輩の受章記念パーティーがありました。黄綬褒章をいただいたということで、鋳物と樹脂を同時に成形加工できる技術を開発されて、経済産業省からも何かお褒めをいただいたということのようでありますが、その先輩は、学校を卒業してから物づくり一筋でございました。  その先輩の受章の場で一言だけごあいさつ申し上げたのは、日本の国は戦後、物づくりを通じて発展してきた。いい物を安く作るということで、国内外の支持を得て、そして発展してきた。物づくりを通じてお金をもうけてきた。しかし、今翻って考えたときに、お金でお金をもうける風潮が強まっている。そして、いろんな資源が高騰している。こういう中にあって、是非先輩、物づくりの王道をこれからも歩んでくださいという話を私はさせていただきました。  やっぱり日本は、世界で金融で生きる国もあるかもしれませんけど、どこかで物を作らないと生きていけないわけですから、その中で我が国は物づくりで生きてきているわけですから、ここのところを絶対に外さないで、その中心になって経済産業省が是非政策を実行していただきたいということをつくづく思ったわけであります。  この銭で銭をもうけるという一番簡単な手っ取り早い方法が何でこんなに世界をそして日本を、今充満しているんだろうということであります。結局、短期でもうけよう、短期で株主にもうけを配分しようと、そういう何せ実業をやるよりも金融でやった方が手っ取り早いという風潮で、このことがあらゆるものの投機まで進んでいるんじゃないかというふうに思うわけでありますが、私は、このマネーゲームに対して国際社会が何らかの規制を加えないと、これはちょっとおかしくなるんじゃないかと。  経済のために逆に、じゃ、もっと言い換えれば、人類が生きるために経済があるにも、その経済のために逆に苦しんだり、飢餓で死ななければならないというようなことが起きるならば、私はこのマネーゲームに何らかの規制を加えないと、国際社会が規制を加えないと、本当は難しいのかも分かりませんけど、これはえらいことになるんじゃないかと思うんですが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  110. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 金融というのはもちろん重要な、経済上極めて重要な役割を果たしておりますが、それは言ってみれば実物経済を後押ししていくといいますか、仲介していくといいますか、実物経済があってその金融が存在をすると、そういう関係であるべきだと思うんです。ところが、ツールがその主役に躍り出て、それ自身が経済の主体であるかのようになってしまうと、これは実体経済というのをゆがめてしまう原因になりかねないわけでありまして、その役割とバランスといいますか、そこがすごく大事だと思います。  近年、経済がグローバル化をしてくるあるいはIT化をしてくる、そうすると大きさが大きくなる度合いというのが実物経済よりも金融経済の方が大きくなりがちです。しかし、あくまでもそれは実物経済がより高度化してくる中での後押し材料であるという姿を余り逸脱しちゃ経済がゆがんでくるんだというふうに思っております。金融には、リスクマネー供給を通じたイノベーションや事業再編の促進、これは実物経済を高度化していくための後押し材ですね、それから高度な金融商品、サービスの供給を通じた事業リスクの軽減、これも実物経済のリスクをどうやって軽減していくかという、ある意味の健全な発展の促進材のはずなのであります。そういう機能で産業の競争力を強化するという効果があるわけなんです。  しかし、金融が産業と独立に成長して、金が金を生むと、おっしゃるようなマネーゲームが極端に拡大する状況が発生するとすると、例えばサブプライム問題に見られるように実体経済に大きな影響を与え、しかも悪い影響を与えてしまうということが考えられるわけであります。したがいまして、産業と金融の両立をうまく図って、バランスの取れた経済成長実現をしていくということが大事で、それぞれの役割を踏まえてコラボレートしていくということが大事だというふうに思います。
  111. 藤原正司

    ○藤原正司君 ありがとうございます。  もう一度申し上げますが、我が国はまじめに実直に物づくりをした、高い技術を持って安くて性能のいい品物を作ることで我が国は築いてきたわけであります。金融で成り立っている国とは違います。我々が金融の世界に入って、あるいは金融商品の鼻面を引き回そうなんてちょっとでも考えるならば大きな失敗を招くんではないか、我々は実物経済の上に日本経済があるということを是非今後とも貫いていただきたいというふうに思うわけでございます。  温暖化対策について昨日、福田総理が記者会見をされました。温暖化対策問題につきましては、前回の質問の中でも長時間をいただきましてやりましたので、特に質疑を余りやろうとは思いません。しかも、福田総理の見解に論評を加えるつもりもございません。私の立場もございますし、大臣の立場もあろうかと思います。ただ、一言だけ言わせていただくならば、前の質問でも申し上げましたように、京都の二の舞だけはやめといてちょうだいということでございます。  その上で、内容をちょっと見させていただきますと、二〇五〇年までに現状比六〇ないし八〇%の温暖化ガスの削減、これは大変厳しい目標だと思います。この目標を達成するには、私は革新的技術の開発、導入以外にないと絶対に思います。しかも、これにはたくさんの資金が要ります。長い期間が要ります。官民あるいは国際社会挙げての取組が極めて重要であります。  例えば、性能が良くて安くてコンパクトなバッテリーをどうするんだと。例えば、福田総理の、福田さんの計画の中には入っていました太陽光発電を大幅に入れるということだって、これバッテリーの開発が前提になってくる。あるいはCCSどうするんですか。これから化石燃料燃やしていくときにはCCSは不可欠ですよ。あるいは原子力の問題についても、これから安定確保という面から考えると、現在の軽水炉だけではなくてFBRサイクルまできちっとやっていかなければならない。あるいは最も難しいと思われる例えば溶鉱炉についても、コークス還元から水素還元に変えていくとか、革新的技術の開発なくしてゼロカーボン社会といいますか、CO2をほとんどゼロに近づけるような対策というのは取れないわけで、このためには、先ほど言いましたようにお金も掛かる、人も掛かる、期間も掛かる、こういうことをじっくり頭に描いた上で進んでいく必要があると思うんです。  その場合に、経済的措置、例えば排出権取引だとか環境税というのはあくまでも支援措置であって、そのものにCO2を削減する能力はゼロです。具体的な削減手段をあくまでもサポートするものであるということをきちっと考えておかなければならない。したがって、これらの経済措置が例えば短期的な経済的視点から革新的技術の開発を妨げたり、排出権が投機の対象になることは決して許されざるべきことであると思います。これを本当に大事にしておかないかぬと思います。  こういう目線に立って、昨日の福田総理の発表といいますか、あれを考えていく必要がある。ただうのみにしては絶対駄目だというふうに思うわけですが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  112. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 基本的に私は先生と考え方を全く同じゅうしております。是非、その同じゅうをする思いを我が党の中も御党の中も共有を是非したいと思っているんです。  日本は、まじめにやっていないとよくおっしゃる方がいるんですが、まじめにやっています。現状でいえば、エネルギー効率は世界一です。それから、技術開発についてロードマップを作って、こういう技術をいつぐらいまでにこうしないと駄目ですということをちゃんと提示をしているんです。それから、今あるベスト・アベーラブル・プラクティスといいますか、一番最新の技術をどう横展開していくかという提案も全部しているんです。具体的に、二〇五〇年までの絵図を日本ほど具体的にかいている国はないと思います。  それから、排出量取引について、私は総理のあの発言を慎重に読みました。慎重に書いてあります。つまり、設計が大事で、やみくもに排出量取引をぽんと入れるだけでは大変なゆがみをもたらすというような趣旨が書いてある。つまり、EUETS、EUの排出量取引そのものの方式でいったら、実は事態は改善をしないで大変なことになると。  というのは、排出量は取引したって地球全体で減るわけじゃないんです。じゃ、全体の水位をばんと下げてそこまでに持っていくんだと。じゃ、売る人はだれで買う人はだれなんですか、売る基準はだれが作るんですか、神様がいきなり言うんですかということになるわけであります。だから慎重な設計が必要で、それがなければゆがんだことになると。  どれくらいゆがむかといえば、今の商品市場で、石油の市場、現物、先物も含めてすごい値段が、百四十ドルになろうとする、もうむなしさと腹立たしさを私も覚えますけれども、手がなかなか打てないと。これは投機・投資資金が今三百兆円です。三百兆円が市場に向かうわけです、投機の方が主なんでしょうけれども。これが五年以内に三百兆が一千兆になるわけです。一千兆円に対して市場、受け取る方の場が少ないところに向かったら、これは排出量取引市場というのはどんな値が付くか想像すらできません。  今のEUの設計のままだと、恐らく払うのは日本だけです。これがあっという間に、今一トン三千円とか四千円と言われています。私も一応大臣ですから一トン買いましたけれども、四千五百円で買いましたけれども、これが二十倍、三十倍にあっという間になるかもしれない。物すごい金を日本が払うことになりかねない。だから、制度設計はきっちりしないと、地球的にも意味がないし、これによって破綻する国が出てくるという警鐘はあの文章をよく読むと鳴らしているんだろうと思います。  でありますから、しっかり、いろんなツールを使う場合に、それが公平公正であるということを検証できるようにして使うということが大事だと。それは同じゅう思いであろうと思いますし、総理は慎重に、よく行間もしっかり読んでいくと、そこは組み込んであるというふうに私は思っております。
  113. 藤原正司

    ○藤原正司君 ありがとうございます。  私は、やっぱり技術です。環境もすべて技術です。技術の裏付けなきものは空論にすぎない。幸い我が国は物づくりを通じて世界にも誇るべき技術を持ってきた。この技術を世界のために使う、日本のために使う、技術的な裏付けを持って温暖化対策を講じていく、これが最善のことではないかなというふうに思っておりますし、是非その線で頑張っていただきたいというふうに思うわけでございます。  さて、本論のこの特商法及び割賦販売法に移らせていただきます。私は田舎の出なもので、金融も、そしてよく分かりません。ですから、質問が一回り後になるかもしれませんが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  まず、訪問販売規制の強化についてでございます。とにかく訪問販売に行ったときにお断りしたら二度目は駄目ですよという規制が入るわけでありますが、この一度目のお断りというところで例えばシールを張って、訪問販売お断りというシールは駄目ですかということを事前にお聞きしますと、それは駄目ですというふうにおっしゃるわけです。要は、断れない人は、品物を売りに来ることを断れない人は、実は訪問すら断れないんです。訪問が断れるような人は品物も断れるんです。ですから、とにかく来たときにもう面談しなくても駄目なんですよという、そういう手段がないものかということがそのシールの発端でございます。  あわせて、秋田県議会が、六十五歳以上で意思表示した人はもう駄目よと、こういうふうに決めようとしていることも含めて、とにかく訪問お断りの意思表示についてお考えをお聞きしたいと思います。
  114. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 訪問販売に関しまして、被害を防止する上で勧誘に関します規律の強化は重要な課題であるというふうに認識してございます。  今回の改正法案を含めまして訪問販売の勧誘規制につきましては、まず訪問販売に来たということ、あるいはその名前、そういったものをまず告げるということが現行制度上ございます。新たに消費者の方に、消費者の方が勧誘を受ける意思があることを事業者が確認するという努力義務規定を今回加えて、あわせて、断られました契約については再勧誘を禁止するということを、そういう手当てを今回行っているわけでございます。  そういう中での、ただいま委員からお話のございましたお断りのシールのようなものをどのように考えるかということでございますけれども、勧誘を受けないというその意思、これにつきましては、消費者の方が事業者に対しまして相対して直接伝えるということを原則としております。ですから、お断りシールのようにあらかじめの拒否の意思表示、これにつきましては、もちろんシールの中身がどういうふうに書かれるかという点はございますけれども、一般的に考えますと、お断りシールと通常言われているようなものにつきましては、意思の表示をどなたがなさっておられるのかという表示主体の問題、それから、いつなされているんだろうかという表示時期に関して不明確な点があります。それから、あわせまして、どの事業者に対して拒否の意思がなされておるのかということについての特定が難しいというような点もございます。  したがいまして、一般的な形で言われていますお断りシールというようなものそのものにつきましては、この本規定におけます意思の表示方法には当たらないのではないかというふうに考えているところでございます。
  115. 藤原正司

    ○藤原正司君 いつ張ったか分からないとかいろいろあるんですが、しかし、それはそのことによる、訪問販売お断りというシールを張って、結果として販売者が来なかったという仮に不利益があったとしても、それは張った人が不利益を受ければいいのであって、ほかの人間が心配すべきことではないのではないかと。とにかく訪問販売は一切私は嫌なんですという意思表示以上に、何か具体的に、この業者は嫌なんですとか、布団は嫌なんですとかいうことまで一々書かなければおかしいというのは逆におかしいんじゃないですか。
  116. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) お断りと申しましょうか、その意思の表示についての考え方先ほどお答え申し上げたところでございますけれども、今回の勧誘規制につきましては再勧誘の禁止という、そういう規定も設けているところでございます。全体として指定制を見直して原則適用方式にすると、そういったものも背景にございまして、そういう規制対象の拡大がなされるという状況の中で、適正な規制の水準をどこに求めていくのかということについて慎重に考えてきたところでございます。一方で、その消費者保護の点がもちろんございます。もう一点では、適切な水準保護規定になっているかどうかとの、そういう観点もございます。  そのような意味合いにおきまして、先ほど申し上げました一般的な形で示されているお断りシールというようなものそのものにつきまして、それで直ちに法律で求めております意思の表示に当たるかどうかというふうな御質問との関係で申し上げますと、それが直ちに意思の表示方法に当たるというふうには考えにくいのではないかということでございます。
  117. 藤原正司

    ○藤原正司君 何度も申し上げますように、物品の購入を断れない人は訪問すら断れないんです。ちゃんと訪問が断れるような人は物品の購入も断れると思います。そういうことを是非考えていただいて、訪問販売お断りの意思表示の在り方について今後特に考えていただきたいというふうに思います。  次に、過量販売契約解除の問題であります。  これは、特に次々販売のときに、先ほど同僚議員の質問に対して、次々販売を知りながら販売した場合と、こういうふうに書いてあります。じゃ、知らなかったと言ってしまえばそれで終わりなのかということです。問題は、例えば高価な羽毛布団を既にもう、たった二人の老人夫婦なのに三枚も四枚も買っていたと、それについて、いや、私は知りませんでしたと言ってまた二枚売り付けると。これはいいのかどうかということです。  問題は、業者が異なる場合の既に販売されている分の把握、この把握義務といいますか、知る義務というのはどちら側にあるんでしょうか。
  118. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 過量販売解除規定に関しまして、今回の改正案におきましては、複数の事業者による場合でありましても、商品やサービスを提供する事業者の方が通常必要とされる量を著しく超える契約となることを知りながら契約を結んでいれば過量販売解除規定対象となるということでございます。  この場合におきまして、事業者が積極的に消費者商品の保有状況などを調べなくても、通常は消費者の方が同じような商品を既に持っているなどその保有状況につきまして事業者の方に告げることで、そのことによりまして事業者は、ああ、もうたくさんお持ちなんだなということは知ることができると考えております。  ただ、今回、この規定に関しまして、事業者の方が消費者の過去の購入量を知るように、そこを調査する、そういったことについての義務付けは行っておりません。  これは、なぜそのように考えたかと申しますと、商品の保有状況、そういったものにつきましては、消費者の方にとってみますと一種のプライバシーの問題がございます。ですから、家の中をずっと探し回るとか、極端なケースかも分かりませんけれども、そういったことを義務付けるというようなことにつきましては、それをまた強引に事業者が調べるということのある種の根拠付けを与えるというような問題があるということもございまして、今回の規定考え方といたしましては、消費者の方が同じような商品を既に持っているんですよというようなことを告げると、そのことによって事業者は知ったと、知った上で過量と言われるそういう量を販売することになっていれば、それはこの新しい規定が生かされてくるというふうに考えているところでございます。
  119. 藤原正司

    ○藤原正司君 分かるんですが、それは善良な人かつ健常な人同士の話合いみたいに聞こえるんです。だまそうとしている人と、だまされているかどうかよう分からぬままに話を聞いて契約しそうな人が話をすると、そういうことになるだろうかと。  今回の法律改正というのは、むしろそういうだまされそうな人に悪いやつがだましに掛かる、これをどう防ごうかという法案ではないか。善良な人が健常な人に対して話をするものではないような気がするんです。だから、それを一歩考えてみると、結局、たくさん売った、過量販売をしたと、次々販売をしたと、知らなかったと言ってしまえばそれで終わりじゃなくて、それをあなたが、結果として過量販売になっておったとしたら、その事実を知ろうとしなかった業者側の責任なんですよというふうにしないと、ちょっと救われないんじゃないかなという思いがするわけであります。  次に入りますと、特別の事情というのがあって、契約解除の条件として特別の事情がある場合は駄目だと、こういうことになっておりまして、先ほど同僚議員の質問に対して、例えば有名な歌手が着物をいっぱい買わないかぬとか、そんな人が訪問販売で買うかどうかは私は知りませんけどね。要は、極めてレアなケースを想定した上で解除の条件にしているわけです。これは逆になくても、いざというときにはまた考えれば、民法でもいろんなものあるんですから、にもかかわらずこういうレアなケースをわざわざ取り上げて条件にすると、これは過量販売を正当化する口実になりはしないかと。この理由で、特別な理由なんです、あの人、歌手なんですと言って、かすか歌手かよう分からぬのやけど、歌手なんですなんというようなことを言って適当にごまかしたりなんかして、正当化する口実になりはしないかという点が大変危惧されるんですが、どうでしょう。
  120. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 今回導入されます過量販売解除権に関しましては、ただし書といたしまして、「申込者等に当該契約締結を必要とする特別の事情があつたときは、この限りでない。」と規定しておりまして、このような場合には契約解除できないということについては御指摘のとおりでございます。  この特別な事情につきましては、一般の消費者が普通の取引では必要としないほどの量の商品契約締結するときにその消費者に大量の商品を必要とすることを求めておりまして、それが客観的に見て妥当だとされる、そういった特別の事情が存在する場合のことでございます。午前中にもお答えいたしましたように、御家族の人数が非常に多いとか、そういった理由が例えば該当すると考えております。  ただ、消費者に特別な事情があることを立証をするといいますか説明する責任主体はどちらかといいますと、これは事業者にあるというふうに考えてございますので、事業者はその特別な事情が存在することを確認して、いざというときにその事実関係というものを事業者の方が説明、証明できなければならないというふうに考えてございます。  したがいまして、安易に過量な契約締結しますとその契約解除される可能性が高くなるということでございまして、そういった面で事業者に対して慎重な対応を促す、そういう効果はあるんではないかというふうに考えてございます。  いずれにいたしましても、このただし書の存在があることをもってして過量販売が正当化されるというようなことにはならないと考えておりますけれども、実態その他につきましてはよく注視をしてまいりたいと考えてございます。
  121. 藤原正司

    ○藤原正司君 くどいようですけど、現実にそういう、何ですか、標準的でないケース、家族構成等に比べて異常に多いとか、それが正当化されるようなケースが具体的にあるんですということで、この法案作成前のいろんな関係者との話合いの中でもたくさん出てきたんですか。それは、考えられるじゃなくて、現にありますということで出てきたんですか。
  122. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 現にあるのかないのかということで考えますと、それは現にこういったケースがあるというようなことで、その場合をどのように考えたらいいのかということで今御提案しているような規定ぶりとしたと。あわせて、その考え方については累次御説明をしているとおりでございます。
  123. 藤原正司

    ○藤原正司君 どうもこれはぴんとこないんですが。  次に、クーリングオフについて、それぞれ、訪問販売の場合は腐り物とか特定の条件を付けてすべて無条件でクーリングオフ、通信販売の場合は返品条件不明示の場合はこれはクーリングオフできる、あるいは店舗販売の場合は原則的に返品はできませんと、こういうふうにそれぞれ取扱いに序列が付いているわけですが、それぞれ序列が付いている考え方について整理してお答えいただきたい。
  124. 橘高公久

    政府参考人橘高公久君) お答え申し上げます。  クーリングオフあるいは契約解除に関する整理の問題でございます。  特定商取引法におきましては六つの行為を、行為類型を法律規定をいたしまして、それぞれ所要の行為規制を掛けておるところでございますが、実はその中におきまして、通信販売とそれ以外、典型的には訪問販売とか電話勧誘でございますが、これとの間では少しく法律上の位置付けを異にしておるものでございます。すなわち、特定商取引法におきまして一般的に訪問販売とか電話勧誘というものについて殊に注意深く行為規制を掛けていくべきであるという背景には、突然訪問があるとか、あるいは突然電話が掛かってくる。そして、訪問販売の場合が典型でございますが、こちらの都合を無視して居座ってしまって、なかなか契約を結ばないと帰ってくれない。いわゆる法律的な整理でいいますと不意打ち性ということ、あるいは御本人の事情を無視して非常に強い勧誘行為が行われるというところに着目したものでございます。  したがいまして、クーリングオフという制度が導入されており、そのクーリングオフは、すなわちそういう不意打ち的な、かつ強引な勧誘に対して冷静に再考する期間を与えて、消費者が一方的な意思で取り消すことができるという保護を与えたものでございます。  それに対しまして、通信販売の方はそのような意味での不意打ち性というのは基本的にございません。あくまでも消費者の方が一定の広告情報等に基づきまして自らの意思でアプローチをされるものでございます。  したがいまして、基本的には考え方としては、これまで民法上の考え方で、返品に関しましては当事者の合意が優先するという考え方で任せておりました。しかしながら、今回、ルールがはっきりしていないことに伴うトラブルというものが放置できない水準にあると判断いたしましたものですから、これにつきましては、当事者の定めがない場合、特約がない場合については、法律消費者に有利な形で解除権を設けたという考え方でございます。
  125. 藤原正司

    ○藤原正司君 ちょっと飛ばしていきますんで、よろしく。  今回の法改正によって、適用を今まで列挙しておったものから原則適用、例外列挙というふうに変わったわけであります。この法の適用が変わったということは、特別に除外すべき理由がある場合にのみ除外するということではないかと思うわけです。  そこで、ちょっと、決して恨みつらみがあるわけじゃないんですが、これまで私どももこの法案を審議するに当たっていろんな方と面談させていただきました。消費者団体の方もおられますし、そことかかわっておられる弁護士の方もおられるわけです。個人的に弁護士の方にお尋ねしますと、これは除外すべきでないとすべておっしゃるわけであります。ところが、今回の法を見ますと弁護士業務は除外されているわけであります。  これは、先ほど言いましたように、特別に除外すべき理由がある場合だけを除外するんです。だから、原則が変わってしまっている中で除外されたというのは、一体どういう意味なんでしょうかということをお尋ねしたい。
  126. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 今般の改正によりまして、言わば規制の後追いという批判がございますけれども、そういった規制の後追いの抜本的な解決を図ることを目指しまして、規制の対象をこれまでの指定商品、指定役務制から対象そのものを原則適用方式といたしまして、原則すべての商品、役務が規制の対象となることとなります。  ただ、今委員指摘のとおりでございまして、今回、適用除外として設けているそういう規定がございます。これは、その規制の適用除外の範囲を、ただ、一方で設けておりますけれども、その適用除外の範囲を不必要に広げることは改正の趣旨に反するというふうに考えてございますので、全面的に適用除外すべきものの要件として私どもが考えておりますのは、既にほかの法律規定によりまして消費者の利益を保護することが認められるものといたしまして、具体的には消費者被害発生時におけます是正措置が整備されていること、それから消費者保護のために是正措置を発動することが可能となるような法目的の合致、この二つの要件を満たすものに限っております。  具体的に、ただいま御指摘のございました弁護士法に関しましては、その考え方といたしましてはこういう考え方でございまして、弁護士に関しましては考え方はそういうことでございますが、弁護士法の規定そのもの、弁護士の職務は弁護士法によって規定されているわけでございまして、一方で、弁護士法は弁護士自治の観点から、主務大臣制による行政処分を弁護士に及ぼすことが不適当なそういう法制になっているということがございます。  したがって、考え方としては先ほど申し上げたようなことでございますけれども、弁護士法そのものがそういうことになっているわけではございませんけれども、弁護士法の置かれております位置付け、我が国の法制度におけます弁護士法の考え方、そういったことに基づきまして弁護士法につきましても適用除外対象としているところでございます。
  127. 藤原正司

    ○藤原正司君 弁護士にお尋ねしますと、もっと分かりにくい答弁でした。  次に、過剰与信の防止に関して質問をさせていただきます。  これは能力以上の、支払能力を超える与信をしていないかどうかということをチェックすると。その場合、指定信用情報機関の情報を基に判断すると、こういうことになってくるわけですが、この指定情報機関というのは、ちょっと質問予告していませんけれども、どういう構成なんですか、どんな組織なんですか。
  128. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 信用情報機関に関しましては、既に幾つかの機関が関係業界の中で設けられております。ただ、現時点におきましてはそこに法的な位置付けがないわけでございまして、これからの信用情報機関の役割の重要性、そういったことにもかんがみまして、今回の法改正によりまして指定信用情報機関、指定制といたしまして、その法的な位置付けを与え、その制度の適正な運用、活用を図りたいと考えているところでございます。
  129. 藤原正司

    ○藤原正司君 ということは、クレジット業界はクレジット業界のそういう信用情報機関がある、金融業界は金融業界の信用情報機関がある、相互に情報の交換はないと。金を借りる消費者は懐は一つと。こういうときに、片側の情報だけで支払能力とかあるいは与信限度を判断できるかというと、片側ですごい借金をしていたということになると、これ話が合いませんねということになると、正しい支払、返済能力というのが把握できなくなる。もちろん、私はクレジット契約しているのにサラ金にまで情報が行くのは嫌だというのは分からぬわけじゃない。分からぬわけじゃないんだけれども、その片方だけの情報をもって返済能力を判断するのも、これもまたいいかげんな話になってくる。  だから、必要以上の個人情報が漏えいすることはおかしいけれども、過剰与信から保護するという面、このバランスをどのように取っていこうとするのか。ここ非常に難しい答弁だと思いますが、お願いします。
  130. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 改正案におきまして、過剰与信防止のための支払能力調査に関して、幾つかの例示を挙げつつ、借入れの状況も調査事項の例示の一つでございますけれども、その調査対象事項と考えてございます。そういった調査可能なものを基礎といたしまして支払可能と見込まれる額を算定することになるわけでございますので、そういった調査をするに当たりまして、信用情報機関、指定信用情報機関の役割というものが大切であるのは御指摘のとおりでございます。  その際におきまして、例えばでございますけれども、クレジット債務の額とそれから貸金債務の額の総額、これを他社の分も含めまして正確に把握させるためには、業態を超えまして、信用情報機関の間で情報交流を義務付けるということが必要となるということは一つ考え方としてあり得ると思います。また、そういう御意見があることは承知をしております。  ただ一方で、消費者のプライバシー意識、私の情報、個人の借入れ状況、そういったものがどの事業者に見られることになるのかどうか、そういったことにつきまして、プライバシーの問題、やや同種でございますけれども、個人の情報保護に関するそういう消費者サイドの方の意識の問題もあります。  そういったことも踏まえまして、両面をどのように調整をしていくのかというのは大変難しい課題でございますけれども、慎重な検討が必要であるというふうに考えてございます。様々な御意見があるということについては承知をしております。
  131. 藤原正司

    ○藤原正司君 難しいでしょうけれども、これ、どういうふうに解決していくか、本当にいろんな知恵を絞り合う必要があるというふうに思います。  最後の質問ですが、今回、認定割賦販売協会というのが法的にきちっと位置付けられました。それからもう一つは、訪問販売協会というのは、これは従来からあったんですけれども、義務が強化されたというふうになっているわけです。  それぞれの団体といいますか協会は、業界の正常化をリードする、そういうために今回法的にも整備されてきたんだろうというふうに思いますが、問題は、それぞれの協会がそれぞれの業界の会社をどれだけきちっと組織化するかということではないかと思います。  この前の参考人にお聞きしたときでも、クレジット業界は四十社しか入っていませんという話がございまして、小さいのはどのぐらいあるか分かりませんという話でございました。ですから、いかにその業界を束ねながら、そして正常化のための自己努力をやっていくかということが大変大事ではないかなと思います。  その場合に、協会に入ったことのメリットと出ることのデメリットがきちっとなければ、もう入っても入らぬでも一緒やったら入らぬとこと、こういうことになってしまうと、この法律の意図したものと全く違う方へ行ってしまう。  この辺りについてどのようにお考えか、お答え願いたいと思います。
  132. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 業界におけます自主的な努力が大切であることは御指摘のとおりでございまして、法制度を始めといたします制度整備に加えまして、業界サイドにおきまして自主規制団体といたしまして十分に機能すると、そのために団体の加入にメリットを感じる事業者が増大して、それで加入率が向上すると、そういう流れ、展開というものになっていくことが大切だと考えてございます。  まず訪問販売協会でございますけれども、これは御指摘のとおり、既にその訪問販売協会には法的な位置付けが与えられておりますけれども、更にその内容を充実したいと考えてございまして、訪問販売協会が不適正な会員の排除を図ることができるようなそういう規定を整備した上で、協会の業務といたしましては、返金トラブルなどを会員が引き起こした場合に消費者に例えば基金をつくりまして補償金を支出すること、そういったことを追加をしてございます。  こういった措置によりまして、個別クレジット業者加盟店調査などをする場合におきまして会員であることが評価されるとか、そういったことの会員にとってのメリット、あるいは消費者の方御自身の安心感、そういったもののメリットが期待されることだと思います。そのことが会員になっているということのプラスの効果として発揮されていくということが大切だと思ってございます。  もう一方の割賦販売協会の方につきましては、現在はまだそういう法的な位置付けが与えられておりませんで、これは新たに今回の改正法案におきまして自主規制団体としての法的位置付けを与えるべく御提案をしているところでございますけれども、そういった協会ができましたときに、悪質の加盟店情報を集約する加盟店情報交換制度を整備することとしてございます。  この制度は、個別クレジット業者の法的義務でもあります加盟店調査義務の履行を強力に支援するものでございまして、クレジット業者にとっては不可欠なインフラになるのではないかというふうに期待してございます。そのことが会員にとってのメリットになるということも期待されるわけでございます。  いずれにいたしましても、こういった協会が単にできるだけではなくて、そのメリットが具体的に意識され、事業者に周知されることによりまして加入率が向上していくということを期待しているところでございます。
  133. 藤原正司

    ○藤原正司君 最後に、この法案を審議してきた私の感想といいますか、思いというものを申し上げたいと思います。  私は、戦争が終わって直後に田舎で生まれました。したがいまして、私の年代は借金を恥ずかしいこととしてとらえてきました。したがって、消費者教育のその一は、金のないときは辛抱するでございました。しかし、今日、金融制度の発展によりまして、金がなくても物が買えるに変わってきました。しかしながら、それは一時的な立替えであって借金に変わりはありません。いずれ利子付きで返さなければならないのに、いとも簡単に金が借りられる、物が買えるということが金を借りているという意識を希薄にさせているんではないか。  また、昔でも金のないとき、よう質屋へ行きましたが、苦労はしましたが、金を借りて物を買いました。しかし、金を借りるということと物を買う、いずれの場合にも当人が相対することで自己規制が働きました。現在、信販制度の発達で、物を買うこと、金を借りることがセットになり、大変便利になりました。一方で、その分自己規制が働きにくくなりました。信販会社と販売会社との関係に直接消費者が介在しないことで、債権債務の関係が分かりにくくなり、このことを利用した悪質商法が急増しております。  今回の改正は、消費者保護観点から相当思い切って踏み込んだ内容でありまして、高く評価するとともに、何としてもこの法案を成立させたいと思っております。しかしながら、便利さと悪質商法の入り込む余地は裏腹の関係にあり、幾ら法律で規制してもイタチごっこの感をぬぐい切れません。やはり根本は、高い倫理観というものがなければ、法律を幾ら整備しても抜け穴は必ずできるものだということを痛感をいたしました。我々は、そういう視点からもこれからこの消費者保護ということにあるいは悪徳商法の撲滅に取り組んでいく必要があるというふうに思っております。  質問を終わります。
  134. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 自由民主党東京選挙区の丸川でございます。よろしくお願いいたします。  まず、この特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法案、非常に画期的な法案を審議する場所に居合わせられて、私、一人の議員として本当に、また消費者として非常に喜ばしいことだなと思います。  この法案、指定制度の廃止、それから既払金返還クレジット加盟店の登録と調査義務といったような、今まで悪質商法と闘ってきた消費者やそれを支えてきた人たちにとっては本当に念願の法改正であろうかと思います。  また、この法案が悪質な勧誘などでトラブルの多い個品クレジット契約において、品物やサービスを売った会社だけではなくて、クレジット契約を結んだそのクレジットの会社にも消費者を守る責務があるんだということをはっきりさせたという点にも非常に意味が大きいのではないかと思っております。  午前中の審議の中でも、例えば過剰与信の禁止については、家を売れば払えるというような基準は認められないということがはっきり示されましたし、また店舗取引やネットの取引でもトラブルがあれば適切に調査しなければならないということは示されました。この法案が真に消費者のために生かされることを願う一人として、午前中の審議になかった点を幾つかまず質問させていただきたいと思います。  いわゆる展示会商法について、既にいろいろ出ておりますけれども、今回の法改正議論の過程でも取り上げられたと伺っております。現実に起こっている悪質な勧誘の状況というものを考えますと、今後更に現行の訪問販売の適用対象を広げるという方針というのは私も非常に積極的に賛成をしたいところでありますが。  改めて伺います。実質的に訪問販売の適用対象を広げるという議論は審議会などでどこまで進んでいるんでしょうか。
  135. 山本香苗

    大臣政務官山本香苗君) 今の御指摘の展示会商法につきましては、御指摘のとおり既に一部特商法対象になっているわけでございますけれども、昨今の消費者被害におきましては展示会の開催時期をちょっとでも延ばして規制を逃れるような事業者が大変多く見られますので、このために、今回様々な審議があった結果といたしまして、訪問販売の定義規定におけます営業所等というところの解釈を、一定の施設につきましては商品等の販売期間を適切な範囲で現在より延長するなど、展示会商法に対する特商法適用範囲を御指摘のとおり拡大していく方向で検討してまいりたいと思っております。具体的なものはまだこの後しっかりと検討させていただきます。
  136. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 いきなりちょっと質問が前後して済みませんでした。  是非、営業所の営業期間というものと、それから、加えて、出ていったり帰りにくい状況で買物をするということについて議論を更に進めていただきたいと思います。  確認ですけれども、今ちょっと政務官おっしゃいましたけれども、今回の改正で店舗取引というのは対象にならなかったけれども、例えばの話、会場に入ると販売員がぴたっと付き添ってお客さんが自由に選べないような状況で商品を売り付けられる、こういうことは改正前の特商法でも対象にできるというふうに考えていいんでしょうか。
  137. 橘高公久

    政府参考人橘高公久君) おっしゃいましたとおり、現在の特商法におきましても、いわゆるキャッチセールスと呼ばれるものあるいはアポイントメントセールスと呼ばれるもの、そういうような形式で営業所店舗に呼び込むものでありましても、一定の要件を満たすものにつきましてはこれは規制対象となっておるところでございます。
  138. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 ありがとうございます。  実質的に自由に買物ができる環境かどうかというところを買う側の立場に立ってしっかり見極めるようにしていただければと思います。  さて、この法改正では、個別式のクレジットについて訪問販売等契約に関しては販売方法調査義務という規定が置かれました。  ここで一点、私が懸念しているのは、過去に実績がない新規の加盟店についてその調査義務が課せられることによって、クレジット会社が取引契約に及び腰になる可能性があるのではないかという点です。これは、先日のこの委員会での参考人の話の中でも、新規加盟店との取引については慎重にならざるを得ないというような意見がありました。  健全な経済活動をしようとする業者までを排除してしまうと、これは買う側にとって、新しい商品に触れたり買いたいものが今度は手に入るというような機会を失われてしまうことにもなりますので、この点は行政としてどのように指導をしていくおつもりがあるか、お聞かせください。
  139. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 加盟店に関します調査義務につきましては被害実態に即した規制強化を図るものでございまして、健全な事業者に対して過度な影響を及ぼす、加盟店の場合も同様でございますけれども、過度な影響を及ぼす規制を設けるという、そういう趣旨ではございません。詳細につきましては、今後関係する皆様方の御意見を伺いながら、各方面からの代表者の方々で構成されます審議会その他におきまして調査内容やその方法を御議論いただき、経済産業省令で定めることとしているところでございます。  御指摘の新規の加盟店の場合でございます。  クレジット会社自身が自らの経営判断といたしまして、やはり全く新しく取引を始められる、クレジット会社がその加盟店との取引を始められる、そういう新規の加盟店契約の際に慎重になりがちな傾向があるということは、これは否定できないと思います。それはもう初めての取引先でございますから、まさに経営判断として慎重になりがちな傾向があるということは否定できないと考えておりますけれども、制度としての調査義務内容といたしましては、そういった点があることも頭に入れながら、一方でその調査の実効性を確保しつつ健全な事業者に過剰な影響が及ぶことのないようにこれは留意をしていかないといけないと思っております。  それから、あわせまして、クレジット業者がその規制の趣旨を超えて、ある種の勘違いと申しましょうか、そういったことも含めましてその規制の趣旨を超えて過剰な対応を行って、結果的に健全な事業者に対して過度な影響が及ぶというようなことになるのもこれは良くないことでございますので、そういったことも含めまして、クレジット業者に対しましては、その調査内容、方法等の内容議論の結果としてまとまったときにはその制度の内容をきめ細やかに周知するよう、これも努めてまいりたいというふうに考えております。
  140. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 きめ細やかな周知というのは非常に大切だと思います。と同時に、こういう調査であったり、あるいは信用情報を確認するというときに、問題があるというのは非常に分かりやすい基準なんですが、問題がないということの基準というのは実は余り共通の認識がないかと思いますので、問題がないというのはどういうバーをクリアしたら問題がないことになるのかという基準が共通の認識としてできていくといいのかなというふうにも思います。  続いて、今回の改正法案で設けられます自主規制団体の認定割賦販売協会、その団体で登録する情報についてちょっとお伺いしたいと思います。  クレジット業界にとっても悪質販売業者を排除するというのは非常に重要な課題、業界の課題だと思うんですけれども、この新しく設けられる認定割賦販売協会で販売業者が行った消費者保護に欠ける行為に関する情報というのを登録して、それを悪質加盟店を業界全体で排除するという、その制度をつくるんだということを伺っておりますが、この制度を運用する際のルールというのが実効性があるものである必要があるというふうに考えます。  この加盟店情報交換制度というのはどのようなものを検討していらっしゃるんでしょうか。というのは、加盟店の取引をやめたという時点で登録をするというのだと、それまでに起きている様々なトラブルというものの情報が行き渡らないことになってしまいますので、例えばクレームが何件来たとか行政処分を受けたとか受けないとか、そういう早い段階からの登録というものが必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  141. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 新しく設けることを予定しております、法律上の言葉で申し上げますと認定割賦販売協会によります加盟店情報交換制度につきましては、個別クレジット業者がその調査義務を履行する上で重要な制度というふうに考えております。クレジット業者が認定割賦販売協会に登録いたします情報といたしましては、改正法案では、会員に対します協会への報告義務といたしまして、利用者等の保護に欠ける行為に関する情報その他利用者等の利益を保護するために必要な情報というふうに規定をしてございます。  したがいまして、単にクレジット業者加盟店契約解除したというそういう情報だけではなくて、違法な勧誘行為についての情報、あるいは問題のあるような勧誘行為についての情報、それから消費者からの苦情に関します情報、そういった情報のうち消費者保護を図る上で必要な情報対象とするというふうに考えているところでございます。  具体的にどういう範囲のものをどの程度登録の対象とするかにつきましては、今後事業者消費者、あるいは学識経験者等各方面の方々から構成されます審議会その他の場を、議論を活用いたしまして、実効性のある加盟店情報交換制度となるように検討いたしまして、経済産業省令で定めることとしたいと考えております。
  142. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 ありがとうございます。是非実効性のある政省令を定めていただければと思います。  続いて、今回の法改正で対策が講じられた迷惑メールの件について伺いたいと思います。  通信販売において一方的に送信されている電子メール広告、いわゆる迷惑メールで思いもしない望まない取引に誘い込まれてしまうというようなケースでトラブルがたくさん発生していますが、これに関しては、オプトイン規制を取り入れるということについては、この午前中の議論でもありましたけれども、どういうものがオプトイン規制なのかということについて、当委員会の参考人の意見聴取についても考え方の分かれるところがあったかというふうに理解しております。是非、消費者にとって実質的な承諾になるような仕組みの運用というのをお願いしたいと思います。  そういう中で、一つ懸念しているのは、迷惑広告メールを出しているような事業者というのは、ネット上で簡単に姿を現したり消したりできるんじゃないかということなんですね。メールの発信者名などを偽るのは非常に簡単なことですが、この改正の実効性を確保するために、メールの発信者や広告主を割り出すためにどのような対応を講じているのかというのを教えてください。
  143. 橘高公久

    政府参考人橘高公久君) お答え申し上げます。  今回の、法律上迷惑メールをオプトイン規制を導入をするわけでございますが、その際の実効性担保についてのお尋ねであると理解をいたします。今回、その点が極めて重要であり、またお示しのようになかなか簡単に情報が手に入りにくい部分もありますものですから、法律上の所要の手当てをさせていただきたいということで盛り込ませていただいております。  すなわち、法律上、私ども法執行当局が一体どこに、一番のポイントは販売事業者が一番の根っこでございますので、販売事業者を捜していかないといけないわけでございますが、そういう際に、それの一番のかなめとなる情報を確保をするために、一つには主務大臣すなわち経済産業大臣が、電気通信事業者その他の者、これは法律上そういうふうに書いてございますが、実際上はインターネットサービスプロバイダーと思っていただければと存じます、このインターネットサービスプロバイダーに、法律に基づいて、この当該問題を起こしている者の氏名とか会社の名称、あるいはその所在地、あるいはそれを特定するために必要な情報、通常はいわゆるアドレスと言われるものなどの電子的な情報でございますが、そういうようなものを提供を求めることができる、法律上は報告を求めることができるという根拠を入れさせていただいております。  また、そのほかにも、販売業者と取引をする者に対して報告又は資料の提出を命ずることができるという点も併せて入れさせていただいておりまして、ネット上の事業者でありましても現実の事務所等を保有するケースが当然ございますので、インターネットサービスプロバイダーを通じた電子的な情報の収集と併せまして、例えば貸しビルの一室を貸しているオーナーに対しまして情報の提供を求めるとか、そのような形で関係者からきちんとした、どこにどういう形で存在するかという情報の提供を求めることができる根拠規定を入れさせていただいております。これを活用いたしまして違反事業者の特定を速やかに行い、摘発に結び付けていきたいと考えておるところでございます。
  144. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 今おっしゃっていただいたことは、この法改正で出てきた返品の新しいルールですね、通信販売業者が広告において事前に返品を受け付けない旨の特約ということを明示している場合を除いては返品を可能にするというそのルールにおいても、例えば返品をしようと思っても受け付けない、支払った代金をなかなか返還しようとしないで行方をくらましてしまうというような業者を捜すときにも非常に役に立つ規定だと思いますので、しっかりと活用していただきたいと思います。  続いて、この特商法の違反行為についての行政処分を行っていく、その執行の面でお伺いをしていきたいと思います。  特定商取引法の違反行為に関して行政処分を行うためには、消費者からの苦情というものを集約して違反行為を発見する必要がまずあります。これ、消費者被害というのはとにかくまず早く発見して被害の広がりというのを食い止めることが何より重要かと思いますけれども、これで役に立つのが国民生活センターが集約しているPIO—NETの情報です。  経済産業省は昨年度からこのPIO—NET情報に直接アクセスできる状態になったようですけれども、それは行政処分の発動には活用できているんでしょうか、現状をお知らせください。
  145. 荻原健司

    大臣政務官荻原健司君) PIO—NETについての御質問いただきました。  このPIO—NET端末につきましては、昨年十二月に、内閣府また国民生活センターの御協力をいただきまして我が省にも設置をされております。霞が関では内閣府に次いで一番多い四台を設置をいたしまして活用いたしております。  当省としては、特定商取引法に基づきます違反の調査を行うに当たりましては、全国消費生活センターに寄せられる苦情相談件数やその概要に関するデータを適宜引き出すなど、PIO—NET情報を十分に活用できていると認識をしております。  いずれにしましても、今後とも、PIO—NET情報を十分に活用いたしまして、この法の厳正な執行に努めてまいりたいと考えてございます。
  146. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 十分に活用できているということでしたけれども、是非引き続きそういう御努力を続けていただきたいと思いますが、そのPIO—NETの端末というものは消費生活センター、国民生活センターなどに設置されておりまして、相談員の方たちが相談を聞いて、それをまとめて登録をして情報を共有するという仕組みになっております。  ところが、このPIO—NETの端末というのが、省庁でも複数台導入しているところがある一方で、肝心の消費生活センターの中に設置されていないところもあるやに伺っております。また、各地の都道府県消費者相談窓口のようなところにもそのPIO—NETがあるところ、ないところがあるようにも聞いているんですが、実際、現場でどのように導入されているかという状況を教えていただけますか。
  147. 堀田繁

    政府参考人堀田繁君) 御指摘のように、国民生活センターとそれから各地の消費生活センターをオンラインで結びますPIO—NET端末でございますけれども、消費者から寄せられました苦情相談を共有化ということで設置をしております。  昨年、PIO—NET端末の設置基準の緩和等も行っておりますけれども、平成二十年三月末までに、消費生活センター等が五百三十八か所ございますけれども、そのうちの約九割に当たります四百八十五か所に設置しております。内訳をちょっと申し上げたいと思いますけれども、四十七都道府県すべてに設置しておりまして、そこが百二十九か所、それから政令指定都市もすべてでございまして、十七政令指定都市で二十七か所、それからあとは市区町村、これは三百二十か所に設置しておる状況でございます。
  148. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 今、消費生活センター、九割設置されているとおっしゃいましたけれども、逆に言うと一割は設置されていないということになるわけですよね。  もう消費者行政議論の中でさんざん出ていることだと思うんですけれども、最前線である地域、各地の窓口でどうやって情報を吸い上げていくのか、それをどれだけ早く情報を分析してその被害の広がりを見付けるか、あるいは問題となっている事案というものを発掘してきて知らせるか、被害を食い止める手だてを打つかというのは、本当にその最前線の情報収集が命綱だということが消費者行政の中に認識されていながら一割に配置されていないというのは非常に問題だと思います。  さらにまた、もう二つ私は問題があると思っておりまして、一つにはそのPIO—NETの速さの問題であります。そしてもう一つは、入力のための人員、人手の問題だと思います。  先ほども申し上げたように、その被害の拡大を食い止めるためには速さが問題だと申し上げましたけれども、内閣府が新しく導入しようと検討しているシステムというのは、聞き取りから登録まで今五十日掛かっているところを一日、二日に短縮できると。これ自体はすばらしいことなんですが、問題は、その相談員が話を聞きながら今そこにある情報の中で、あっ、これは問題だと、これは何か引っかかりがあるぞといって、早めに手を打つ手だてをもう電話がつながっている状態で聞きながらできるシステムになっているかというと、新しいシステムになってもそうではないということを伺いました。  やはり今その場で、電話でつながっている状態でアドバイスをしていけるという環境が整ってこそ本当の情報ツールだと思うんですけれども、この新たなシステムについてそこまでの改善というのは今考えていらっしゃるのかどうか、そのPIO—NETの拡充という点からお答えをいただけますか。
  149. 堀田繁

    政府参考人堀田繁君) 今先生御指摘いただきましたように、相談員が受けた情報をできるだけ即入力できるようなシステムにしたいというふうに思っておりまして、入力期間を大幅に短縮したいというふうに考えております。  それから、相談員の数の問題、それから端末の機器の数の問題、こういった点についても、現在、消費者行政一元化の中で地方消費者行政重要性ということで議論されておりますけれども、そうした議論を踏まえて早急に改善していきたいと考えております。
  150. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 確認しますけれども、その期間を短縮するとおっしゃったのは、入力しながら電話の話を聞けるという意味でおっしゃったんですか。
  151. 堀田繁

    政府参考人堀田繁君) 相談員の方の能力ですね、失礼ですがちょっと若干年配の方とか相談経験の長い方がいらっしゃいまして、まだ必ずしも聞きながら入力できるといったことまでどの程度期待できるかどうか分かりませんが、そういった研修も必要だと考えております。
  152. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 まさに今おっしゃったとおりで、その研修も非常に重要かと存じます。新しいシステムになると、また慣れるのに時間も掛かると思いますし新たな研修が必要かと思うんですけれども、相談件数の割に、今相談件数がどんどん増えているにもかかわらず職員が減っていると。しかも、その書き込む作業というのが非常に大変で、結局、そのために残業をしていたり、そのために電話が取れなかったり、本当はあっせんまで持っていきたいけど助言でとどまってしまったりというようなケースもあるというふうに聞いています。  先日の参考人の意見聴取の中で、PIO—NETを書き込む専任の職員を置いた方がいいんじゃないかというような意見がありましたけれども、これについてはどのようなお考えをお持ちですか。
  153. 堀田繁

    政府参考人堀田繁君) 具体的な点についてどういった改善ができるか、今の段階ではちょっとお答えできないんですが、先生おっしゃったようなのも一つのアイデアではないかというふうに思います。
  154. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 今申し上げたのは参考人の方の意見ではあったんですけれども、その研修に行く、つまり研修に行くということは一人穴が空くということですから、それをまた手当てしなきゃいけないとなると人手がやっぱり絶対的に足りないというのはあるんだと思いますので、是非御検討をいただきたいと思います。  各地の消費者行政を強化する上で、まだほかにも確認しておきたいという点がございます。  先日の参考人の意見聴取の中で、特定商取引法の執行について都道府県にその執行が下りてきている部分があって、そこに対して人手や資金が足りないというような話がありました。政令の十八条によって、都道府県の地域内で違法業務があった場合には都道府県が行政権限を発動して、一方で複数県にまたがっている場合で特に必要を求めるときに国が権限を発動するという六十八条がありますけれども、都道府県、岡山県においては一部の市町村がその執行を実際に担っていると。これは聞いた話ですけれども、これらの担当者というのが問題の業者に立入検査をするための内偵調査のために、例えば張り込みをしたり、あるいは後ろをつけていってこっそりどこに行っているのかを見たり、まるで探偵のようなことをやりながら一生懸命その問題業者の摘発に当たっているというふうに伺いました。  参考人の意見の中では、自治体では人手や資金の面でやっぱりどうしても回らない部分があるという話でしたけれども、全国的に都道府県の執行は増えています。そういう中で、まだ執行をやったことのない県が十あると、先ほどの話もありましたけれども、それが、もちろんそれぞれの都道府県判断もあるかと思うんですが、もしかすると、人手が足りないから、資金が足りないからそこまで回らないで執行ができないんじゃないかと私は懸念をいたします。こういう法の改正をしても、執行力が実際になければ意味がないことと同じになってしまいますので、この点を総務省がまずどう考えていらっしゃるのかということを伺いたいと思います。これは地方の話なので総務省かと思いますが。  また、済みません、加えますけれども、消費生活センターについても実質的に地方公共団体が運営しているというふうに私は理解をしているんですが、こちらの方もやっぱり相談員の研修ができないと、それは予算が足りないからPIO—NETの研修センターに行けないんだというような話を伺います。地方の財政が厳しいのは国の財政が厳しいからで、だから削られているんだと、そのしわ寄せが消費者行政に行っているんだという考えもあろうかと思いますけれども、暮らしの安心や安全というのはお金で換えられる価値ではないというふうに考えますと、消費者行政を先に削るのか後に削るのかといったときに、意識の転換が今後必要になってくるんじゃないかなと思うんですけれども、総務省にお伺いします。
  155. 津曲俊英

    政府参考人津曲俊英君) 地方における消費者行政は、委員指摘のとおり、予算額、担当職員数共に大幅に減少する一方、相談数が大幅に増加して、相談内容も複雑化それから多様化しているとともに、問題も広域化するなど、非常に厳しい状況にあると認識しております。  消費者行政の強化のためには、地域の現場で直接消費者の方々への対応をする地方公共団体の体制の強化が不可欠だと考えております。先般の福田総理から示されました消費者庁の創設に関する指示の中におきましても、地方分権を基本としつつ、地方の消費者行政の立て直し、強化のために、当面、国が講ずべき支援策の在り方について検討するよう求められております。  消費者問題に迅速かつ的確に対応するためには、地方への権限移譲や地方公共団体の体制強化に対する国としての支援策などが不可欠だと考えておりまして、内閣官房とも協力の上、その在り方について検討を進めているところでございます。
  156. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 ありがとうございます。  国と地方ということについて実はもう一点お伺いしたいことがございまして、先日の参考人が指摘している点の中に、違法行為が複数県にまたがっているんだという指摘をしても、経済産業局の方で、いや、そういう認識はしていないというようなことでそれを引き受けなかったり、まあ実際にそれが認識できなければ仕方がない話なんですが、あるいは六十条に基づいて国に申し出たとしても執行が結局は都道府県に下りてくるというような事例があるという指摘を参考人が御自分の資料の中でしていらっしゃいました。  実際にそういうことがあるとするならば、それはもうそのすき間に、まさに国と地方のすき間に落っこちてしまっているというような状況ですから、是非、そういうことが実際にはないように、経済産業省はPIO—NETを見ればどれだけの地域に広がっているかという認識はできるかと思いますので、複数県にまたがっている事例というのを早期に発見して処分の執行というのを徹底していただきたいと思います。  また、割販法の執行においては、産業構造審議会の報告の中で、個別式クレジットに関する行政規制権限を都道府県にも付与すべきだという報告が出てきていますが、これについても、例えばクレジット業者の営業所が一つ都道府県にあったとしたらそこの都道府県が処分するというふうに考えるとしても、加盟店全国に広がっているとすると被害全国に広がってしまう可能性があると。こういう場合もありますので、是非そこは国としてしっかり目を光らせていただきたいと思うんですけれども、経済産業省のお考えはいかがでしょうか。
  157. 橘高公久

    政府参考人橘高公久君) 割賦販売法改正に伴う地方公共団体との連携の強化という観点につきましては、私どもも意識をいたしておるところでございます。  現在のところ、割賦販売法に係る業務につきましては、特商法考え方はそうでございますが、基本的にまずもって国がしっかりと、もちろん局も含めてでございますが、法の執行に当たらないといけないという考え方でございます。  ただ、特商法と同様に割販法におきましても、新しい法律におきましても、現行法でもそうでございますが、法律の執行の一部を都道府県知事に行っていただくことができるという規定になってございます。  特に今回、お示しありましたように、加盟店調査義務の導入ということに伴いまして、加盟店調査義務がきちんと守られているかどうかということに関する、クレジット会社あるいは加盟店に関する様々な立入検査等の法執行にかかわる活動あるいはこれを踏まえた改善命令などにつきまして、それぞれの地域における被害実態により近く、より生の情報を得ておられると考えられます都道府県、もちろん可能な場合には市町村とかの情報も大変大事だと思いますが、基本的に都道府県と連携を図っていくということは、規制の実効性を確保する上で大変有意義であり、かつ重要なことであると考えております。  具体的に、割賦販売法の今回の改正も踏まえました法執行の業務をどのように分担をしていくのか。その場合であっても、我々、基本的には全体をきちんとやっていくという責任は当然国にあると認識をしておりますが、どういう形で都道府県にも担っていただくかということにつきましては、先ほどの総務省の答弁とも関係をいたしますけれども、地方自治体のマンパワー的な状況とかあるいはそれぞれの業務の法執行に関するノウハウ、能力等々もお聞きをしながら、相談の上で円滑に進められるところは進めてまいりたいということで、今後きちんと調整、相談をしてまいりたいと思っております。
  158. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 ありがとうございます。  是非、経済産業省それから地方の経済産業局同士の連携、あるいは消費生活センター、都道府県経済産業省経済産業局の連携というものをしっかりとしていただいて、すき間から漏れ落ちるような事例がないようにお願いをしたいと思います。  さて、先ほど地方分権の前提にというようなお話が少し出ましたけれども、国は今地方分権という大方針を掲げておりますが、そのために、地方における具体的な強化策を講じることができないようなこともあるというふうに聞いております。見た目は両者は不整合な関係にあるようにも見えますけれども、それが実質的にも不整合だったとするならば、それは消費者にとって単なる不利益にしかすぎません。  両者の関係について、内閣府に見解をお伺いしたいと思います。
  159. 西村明宏

    大臣政務官(西村明宏君) 消費者の安全、安心を確保するためには、新組織と地方が一体となって取り組んで、消費者行政の一元化を地域の現場で実効性のあるものとすることが必要であると認識しておりまして、このため、消費者に最も身近な地方の消費者行政の取組強化を図ることが重要であると認識しております。  先ほど総務省からもお話ございましたけれども、福田総理から、第六回の消費者行政推進会議におきまして、地方分権を基本としつつ、地方の消費者行政の立て直し、強化のために、当面、国が講ずべき支援策の在り方について検討するという方針が示されたところでございます。  また、五月二十一日の第七回の推進会議におきまして佐々木座長からも提示されました取りまとめ素案では、消費者センターを法律に位置付けを行うことを踏まえて、国は相当の財源確保に努めるとされ、国がこれまで行ってきた直轄事業、PIO—NETの整備、研修などについても充実するとともに、地方自治体が消費者行政に取り組む誘因を強化するため、地方交付税上の措置や民間が消費者行政貢献しやすくなるような税制上の措置を検討することとされているところでございます。  地方における消費者行政の取組強化につきましては、こうした総理の示された方針や消費者行政推進会議での最終取りまとめを受けて、具体的な施策を検討してまいりたいと思っております。両者がしっかりと連携して、これから内閣府としては支援策を講じてまいりたいと思っております。
  160. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 ありがとうございます。  地方分権を基本としてもう一つ国に是非しっかりやっていただきたいと思うことは、消費者の啓発です。今、法改正消費者の安心、安全な暮らしを守るためにいろいろな措置が講じられ、仕組みがつくられましたが、一方で、それと同じぐらいに大切なのは、消費者自身が自分たちの権利をしっかりと認識して、それを守るために行動をすると、そういう意識を高めることだと思っております。  既に、衆議院の附帯決議の中でも、学校のカリキュラムの中に消費者教育を取り入れていこうということが出てきております。これは非常にすばらしいことだと思います。  では問題は、大人がどこで学ぶのかということだと思います。社会にかかわって生活している人たち、そうした情報に触れる機会も多くて自然と意識が高まりやすいような生活を送っている人たちは特に問題ないと思うんですが、むしろ被害に遭いやすい人たちこそそういう情報に触れる機会が少ないのではないかと思います。  高齢で、あるいは病気がちで自宅にこもりがちであったり、社会的弱者で情報に十分接することができない方たち、相談できる人が身近にいない、そういう方たちがどうすれば啓発情報に触れることができるのか、非常に難しい問題で、行政もすぐにこうすればああすればという手を打てるような問題ではないかもしれませんけれども、ただ、こういう人たちを置き去りにしたままで本当に消費者被害がなくなるかということは、それは決してないことだと思うんです。  一番被害情報や啓発情報から遠い人たちにどうやって手を差し伸べて啓発の機会を提供するのかという点について、お考えをお聞かせいただけますでしょうか。
  161. 西村明宏

    大臣政務官(西村明宏君) 消費者基本法におきましては、消費者政策の基本理念として消費者の自立支援が規定されておりまして、消費者生活に関する知識等の普及のためには消費者教育の推進は重要であります。中でも、丸川議員御指摘情報の届きにくい方への啓発活動は重要であると認識しております。  学校や職域に関しましては、それぞれ文部科学省を始め努力していただいておりますけれども、さらにこういった情報の届きにくい方々に対しましては内閣府、平成二十年度から国民生活センターでございますが、そこにおきましては、高齢者、障害者、そして民生委員やヘルパーなどの見守る立場にある方々を対象にいたしまして、消費者問題に関する啓発を促進するため、全国各地の集会所等に講師が出向いてまいります消費者問題出前講座開催してきたところでございます。平成十九年度には、これらの講座を千九百六十一回、人数にいたしまして五万七千二百七名の方に出前講座をさせていただいたところでございます。また、消費者トラブルの予防、拡大防止のために最新の悪質商法などの情報高齢者や障害者を見守る周りの方々に迅速に届けるメールマガジン、見守り新鮮情報を月に一、二度発行いたしております。  これらの啓発活動は、自宅にこもりがちであったり遠出のできない高齢者等への啓発として有効でございまして、引き続き実施していくものでございます。  平成十七年十二月発足の高齢消費者見守りネットワーク連絡協議会を受けて、平成十九年一月に発足いたしました高齢消費者・障害消費者見守りネットワーク連絡協議会では、関係省庁、高齢福祉団体、障害者関係団体、消費者団体等が消費者問題等について情報共有するとともに情報提供を行う仕組みを構築しております。引き続き、連携の強化に努め、高齢者、障害者等を始めとする情報の届きにくい方々への啓発に努めてまいりたいと思います。  こういったインターネット情報等とかやらない御高齢の方もいらっしゃるという話ございますけれども、こういった新聞を取らないまたインターネットを直接やらない方に関しましても、周りがしっかりとそういった情報を受けて、そしてそういった方々に働きかけていくと、そういった形で力を尽くしてまいりたいと思っております。
  162. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 ありがとうございます。  被害に遭ったんだけれども自分の権利を知らなかったがために何もできなかったと、あるいは情報を事前に知らなかったがために被害に遭ってしまってどうにもできなかったということだけは絶対に起きないように、是非啓発にはしっかりと力を入れていただきたいと思います。  消費者行政全般について、これから国として積極的に取り組んでいるということはもう国民みんなが知っていることだというふうに理解をしていますけれども、現場に目をやれば、まだまだ資金的に、人的に絶対的な不足がある一方で、法律の先を行くような取組を見せている業界あるいは企業というものもあります。  一方で、法律の執行と予算と監督がばらばらになっているというような状況も、これまでの特商法議論の中で少し出てきたかとも思うんですけれども、とにかく国と地方、あるいは法律法律、あるいは省庁と省庁のそのすき間に落ちてしまうというものがないように、見過ごされてしまう消費者がないように是非お願いしたいという思いを込めて、最後大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  163. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 悪質な商法というのは弱者をねらい撃ちにします。お年寄りとか障害を持っていらっしゃる方がねらい撃ちにされると。  そうすると、そういう人たちはなかなかパソコンを自由に駆使してという具合にはいきませんから、そういう人たちと接する人、つまり社会福祉にかかわる人たちに啓蒙して、ごく簡単なことを、そういうことがあったときには、法律が変わりましたよねとか、国民生活センターに、じゃ、この件で相談してみたいんで、あなたの名刺をもらえますかとか、その一言だけ言うだけで随分消費者として強くなれると思うんですね。そういう社会福祉事業に携わる方々にもう法律の細かい内容をお年寄りに全部説明してくださいって言ったって、そんなの無理ですから、ワンポイントでこういうことをしてくださいねということをアドバイスするということが大事だと思いますし、恐らく内閣府はいろいろやっておられますから、そういうことも含めて消費者が賢くなると、簡単に、ということが大事。  それから、これは事業全般を萎縮させるわけではありません。健全な事業者、まともにちゃんとやっている事業者の事業はちゃんと拡大していくようにしなけりゃいけない。ですから、当然守るべきことを守ってください。守らないものは、何といいますか、行政の谷間に落ちないようにちゃんとカバーして、きちっと摘発をしていきますよと。いわゆるネガティブ方式、原則すべて適用方式に変わったわけでありますから、そういうことを含めて、悪いやつは許さないと、いい人はどんどん伸ばしてくださいと、消費者は難しくなく簡単なワーディングで賢くなってくださいと、そういうことを併せて消費者行政としてしっかり進めていきたいと思っております。
  164. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 ありがとうございました。  以上で質問を終わります。
  165. 森まさこ

    森まさこ君 自由民主党の森まさこでございます。  大臣、長時間の審議、お疲れさまでございます。今回の特商法割販法の歴史的な改正大臣のリーダーシップによるところと尊敬をいたしております。これまで悪徳商法で亡くなられた方の御遺族や被害者の方、そしてその救済活動に携わってこられた方の思いを受け止める改正だというふうに感謝をしております。  私は金融庁におりましたので金融や貸金業の専門と思われておりますが、実は弁護士十三年間、ほとんどこの特商法割販法にかかわる悪徳商法被害の救済の仕事に携わってまいりました。そういうわけで、本日は理事の先生方の御配慮をいただいて質問をさせていただき、大変感謝をしております。  日本弁護士会の消費者問題委員会の中でも特商法割販法の部会におりまして、そちらで海外の法制度について調査をする仕事をしておりました。解説書を書いたこともございますが、そういった経緯があって、日弁連からニューヨークの方に留学をさせていただいて、そこで特に悪徳商法についての消費者問題の日米比較ということで研究をしてまいりました。そのときに学んできたことが今の大臣の御発言と全く同じでございまして、大変今感動をしているところでございます。  経済成長消費者保護というものが対峙をするものではなくて、これは悪徳な業者を退場させ、そして良質な業者による自由競争を推進をすると、そういうことによって消費者も企業も共に発展をしていくという、そういう理論を学んできたところでございます。しかし、その理論が、果たして現場において大臣の理念が浸透しているかと申しますと、なかなか現場の方では心もとない部分も見受けられます。  例えば、NOVAについてですけれども、私が弁護士一年生になったときに非常に被害が多かったのですが、二〇〇六年に経済産業省の方が処分をするまで十三年間あったわけでございます。このことについては、経済産業省が発表しております文書によりますと、二〇〇七年でございました、失礼いたしました、二〇〇七年のNOVAに対する業務停止命令処分など、経済産業省による悪質業者に対する処分件数は近年増加しているというふうに書いてあるわけでございますが、私たちのようにNOVAの被害者に多く当たってきた者としては、今更という気がするわけでございます。  今、甘利大臣が、先ほどのような理念の下でいらっしゃるという、そういう人的な要因によるものが多いのではないかと、それを省庁全体の手柄のように書かれてしまうと、若干私たちは今後のことについて不安な気持ちも持つところでございます。  そこで今日は、例示といたしまして配付しております資料のように、パロマの事件を取り上げさせていただきます。  先日、製品安全の大使として女優の竹下景子さんが選ばれ、二日後に辞任なさるという事件がありました。竹下景子さん自身には何もないんですけれども、私も尊敬する国民的な大女優であると思いますが、パロマのコマーシャルに長年出ておられたということでございます。  パロマについては、皆様御存じのとおり、ガス湯沸器事故で多数の方が亡くなられております。資料一に、その一番最近の被害者の方の陳述書があります。めくっていただきまして、資料の二の一を見ますと、十七件の死亡事故がありまして、二十名の方が死亡をしております。資料一の被害者の方はこの二十人目の死亡者の御遺族の方でいらっしゃいます。資料の二の二を見ますと、昭和六十年から始まって、死亡も含めた事故件数が二十八件あったということが分かります。資料一の被害者の方はこの二十八件目の被害者の御遺族でございます。昭和六十年から二十年間にもわたって、なぜ人が死亡するという事故がありながら経済産業省が行政処分ができなかったのかということに対して、非常に疑問がございます。  この点について、参考人の方で結構でございますので、なぜ二十年間放置をしていたのか、それから、今回どのような対応をしたのかということについて、御説明をお願いします。
  166. 甘利明

    国務大臣甘利明君) あってはならない事故が発生し、それの迅速な対応ができなかったわけであります。これは大いに反省すべき点でありまして、このパロマのガス瞬間湯沸器の一連の事故について当時の対応を振り返ってみますと、何点かの問題がありました。  まず第一は、製造事業者からの事故報告が不十分であったということであります。二点目は、消費者に対してより積極的にこういう事故がありますということを公開すべきで、事故情報を公開すべきであったということがあると思います。三点目は、省内の情報共有や関係機関との連携が不十分であったことがあります。そして四点目は、事案を個別に処理していたものの、それぞれの情報の集約それから分析、フォローアップが不十分であったことなどが問題点であったと認識をしています。  このために、一連の事故が明らかになりました平成十八年七月に製品安全に係る総点検を実施をしまして、今回の事故の反省を組織全体で真摯に受け止め、問題点を総括をしたわけであります。その上で、事故情報収集と情報公開に関しましては消費生活用製品安全法を改正をいたしました。重大事故発生を知った場合には、事故の原因のいかんにかかわらず製造・輸入事業者報告を義務付けまして、国が積極的に公表する制度を創設をしたわけであります。  また、事故情報の共有や分析等に関しましても、関係局長による連絡会議の定例化、事故情報統合データベースの構築による省内での情報共有の徹底、二点目としては、PIO—NET端末の設置、接続、それから消防、警察等との定期連絡会議開催による関係機関との連携の強化。このPIO—NETの端末の接続、関係機関の情報共有というのは、私が大臣に就任しまして、当時の高市大臣と直接交渉いたしまして、情報がばらばらであってはいかぬと、消費者から危険情報が発せられた場合あるいは事業者から出た場合には関係するところはすぐに共有しなくちゃいけないと、これに協力してほしいということで大臣同士の話合いをしまして接続をさせたわけでありますし、それを基に国民生活センター、経済産業省だけではなくて消防や警察等とも瞬時に事故情報を共有、そして原因の分析、対応ができるようにしたわけでありますし、そのための連絡会議も設置をしたわけであります。  それから三点目として、外部の第三者によります事故原因の判定や処理状況のフォローアップ。  四点目といたしまして、若干先ほど説明しましたけれども、製品安全に係る人員の増強、製品評価技術基盤機構、NITEと申しておりますが、これによる事故原因究明機能の強化などの体制整備などの措置を講じまして、事故の再発防止を有効に機能させるということにさせていただいたわけであります。  過去の悲惨な事故を虚心坦懐、しっかりと受け止め、その反省の下にそのようなことが二度とないように体制をしいていくという決意の下に対応させていただいたつもりでございます。
  167. 森まさこ

    森まさこ君 大臣のおっしゃるとおり、PIO—NETの接続については、私が金融庁にいるときに金融庁側からは見れないということで大変驚いたんですが、甘利大臣が高市大臣にお申出なさったというおかげで、昨年から各省庁からも危害情報が見れるというふうに、これまでなかったのが不思議なほどでございますが、そういう危機管理対応ができるようになったということでございまして、高く評価をしたいと思いますが、実はこのような大臣の大変立派なお取組に、そのお顔に泥を塗るような事態が生じております。  今おっしゃいました緊急回収命令をパロマの事故器について発動したということでございますが、経産省の参考人の方にお答えをいただきたいんですが、今時点での回収率は今何%でございましょうか。
  168. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 今現在、パロマから報告受けておりますその回収率は九九・七%と理解してございます。
  169. 森まさこ

    森まさこ君 九九・七%というとほぼ全部というふうに理解できますが、その母数はどういった数字でしょうか。
  170. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 母数に関しましては、ガス機器の場合にはガス事業法等に基づきまして定期点検を行ってございます。お客様が保有しております機器情報をガス事業者、LPガス事業者が把握しておりますので、全世帯につきまして回収対象機種を保有している可能性の有無の確認ができることになってございます。したがいまして、ガス事業者、LP事業者が保有いたします全世帯のお客様のデータベース等を当時約五千万件をチェックいたしまして、パロマの回収対象機種を保有している可能性がある顧客リストを確認の上で割り出したものでございます。  その上で、当該リストのお客様への訪問、点検によりまして回収対象機種の存在が確認できた件数、これにお伺いいたしましたときにお留守とかそういう御事情によりまして点検が未了の件数を加えたもの、これを母数といたしまして、その後実際に回収が完了した件数、これを分子といたしまして、先ほど九九・七%という数字を申し上げたところでございます。
  171. 森まさこ

    森まさこ君 九九・七%回収しましたということが経産省作成のこの文書にも載っておるわけで、母数については説明がないのでございますが、実は今日お配りをした資料一、一枚をめくっていただきますと、被害者の方の御遺族のお宅にもパロマのガス湯沸器があると。これは事故器ではございません。事故は、アパートに住んで独り暮らしをしていた御子息が亡くなられたという事故でございますので。そうではない遺族の方のお宅にあるパロマの湯沸器も回収されていないし、聞かれたこともないと。そして、ほかの事故被害者の方のお宅にも残っていますと。こういった足下のところを全く見落としているという、そういうことが起きて九九・七%と書かれても、全く信用ができないわけでございます。  私たちは、二十年間、死者が出続けたということを放置していたということも言語道断だと思いますが、今、今後起きないように回収をしたと言っているそのお仕事までもきちっとやっていないということでありますと、本当に消費者の目線で仕事をしているのかということについて疑問を感ぜざるを得ないんですね。  先ほどの竹下景子さんが安全大使になったというそういうことについても、大臣の知らないところで現場の方がお決めになったと思いますが、現場の方が消費者の目を持っていれば、パロマのガス事故で亡くなられた御遺族の方がそういった安全大使のお顔を見てどんなに傷つくか、本当に心の傷に塩を塗り込むようなことをするわけないと思うんですよ。是非、私はこの消費者の目線というのを口だけではなくて徹底をしていただきたいと思っているところでございます。  悪徳商法についてこの特商法は撲滅をしていくと、そういう法律だと思いますが、悪徳業者のそういう監督については今どこがしているんでしょうか。経産省さん、お答えください。
  172. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 悪徳業者といいますか、業の所管あるいは法律の所管、そういったもろもろの制度があるわけでございます。いろんな業種、業態によりまして悪徳業者の存在というものが残念ながらあるわけでございますけれども、例えば訪問販売業という取引形態に関しましては、特定商取引法に基づきまして規制、ルールの整備、そういったものを行っているわけでございますので、特定商取引法に関するものに関しましては経済産業省において法律を所管し、法律の執行を関係省庁の必要に応じまして協力も受けながらやっているところでございます。
  173. 森まさこ

    森まさこ君 今のお答えでは特定商取引法に関するものについては経産省さんが行っているということですが、それではそれに関係しないものについてはどこが見ているんでしょうか。経産省さん、お願いします。
  174. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 繰り返しでございますけれども、現在の行政の機構という観点で申し上げますと、その法律の所管、それから業の所管というものがございます。そのような意味で、先ほど例示として特定商取引法を申し上げたわけでございます。  消費者行政全般に関しましては、内閣府の方にございます。これにつきましては、例えば消費者契約法、これは法律観点からでございますけれども、消費者契約法に関しましては内閣府が全体として見ておると。先ほど来出てございますPIO—NETについての情報管理あるいは情報収集、そういったことにつきましては内閣府で見ておられるわけでございまして、そういう業務の内容、あるいは業の所管、あるいは法律の所管、そういったものにつきましてそれぞれ担当をしているというふうに理解をしてございます。
  175. 森まさこ

    森まさこ君 法律がない部分については内閣府がしているということでございますので、是非その内閣府の方ときちっと連携をしていってもらいたいと。これも言葉どおりでは困るんです。  私が本当に一年生弁護士になったときはちょうどココ山岡事件がございました。そのときにも法律がなかったわけでございます。そのときの教訓で、今、特商法についていろいろな規定が入りましたけれども、法律がないと担当省庁さんはやってくれない、動いてくれないわけでございますが、現実に悪徳商法があり、刑法で言えば詐欺犯になるような事件でございますが、刑法の詐欺は立証が非常に困難です。故意がなければいけませんが、内心の問題でございますので。そうしますと、実際には刑法上の詐欺のような悪徳商法であってもなかなか処分できない。例えば豊田商事という事件がありました。三万人の高齢者の方から三千億円のお金を巻き上げたという大事件ですが、これは経産省さんに所轄があったのではないかと思われますが、行政指導していますと言うだけで、被害の拡大を防げませんでした。  それから、海外商品先物取引、これを標榜する投資詐欺事件も数多くありました。例えばファーストオプション社事件、これでは三十億の被害が出ております。通産省さんは当時、これは無登録業者です、無登録業者については監督が及びませんと、そういう言い訳でございました。  そして、先ほどのNOVA事件、これも三十万人、これは倒産したときですけれども、受講生がいて、外国人講師や従業員の方もいて、特に海外に対しても信用を失ってしまった、そういう事件でございますが。そして、先ほどのパロマ事件。和牛商法事件というのもありました。そういう事件について、法律がないからできないというのであれば、それでもいいでしょう。しかし、その場合には、内閣府さんの方で、国民生活センターさんの方で見ているわけですから、そちらの方の御意見をきちっと聞いていただきたい。例えばNOVAについては、何回も申入れを国民生活センターがしていたわけですよ。ところが、それに対しては全く対応しなかった。どころか、積極的にこれは大丈夫ですというような通達も出して、最後に最高裁にひっくり返されたわけでございますが、どうしてもそういう行動を見ていますと、産業育成だけに偏っているのではないかというふうに見られてしまいます。  先ほど大臣のお言葉のように、本当に悪徳商法には退場していただいて、自由な経済市場を守っていただく、そして消費者保護していただくということを実践をするためには、消費者をきちっと見ている省庁と深い連携をしていっていただくということが大事だと思います。  大臣に一言だけ、今総理が消費者庁の創設ということをお考えでいらっしゃいますので、消費者庁ができましたならば連携をしてやっていっていただきたいので、御決意をお述べいただくようにお願いいたします。
  176. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 福田総理の消費者庁構想の思いは、省庁間のはざまで担当が分からないところに落ちてしまった事件、ポテンヒットと呼びますけれども、ポテンヒットじゃなくてこれはポテンエラーなんでしょうね、そういう守備範囲の間に落ちてしまう見逃しエラー、それから迅速性に欠けるという点、これらをカバーするために情報の一元化を図ってそして対応をきちんと督促し検証するような統合的な仕組みが必要という総理の思いだと思います。  今、まだ事務的に細部の調整中でありますし、全体像としてはいずれ明らかになると思います。今のそれぞれ各省が所管する消費者安全のこの能力を損なわないように、それも活用しつつ、いわゆるそのポテンエラー、あるいはスピード感に欠けるということを克服できる仕組み、しかも行政コストを掛けないコストパフォーマンスのいい消費者行政組織になるように今鋭意話を詰めているところであります。
  177. 森まさこ

    森まさこ君 ありがとうございます。  特にサブプライムローンの問題が起きましてからOECDでも、こういった経済学については産業界、生産者のサイドから考えるのではなくて、消費者サイドから経済原理というものを構築し直すべきではないかという、そういう議論が盛んになっております。それも一つ消費者サイドに偏り過ぎるのも私は、どうしてもアメリカなどでは極端な政策がされがちではありますが、私はやはり大臣先ほどおっしゃったように両立ということ、先ほどOECDの環境の方の御発言でも環境保護経済の両立というお言葉がありました。是非そちらのバランス感覚を働かせていただいて真に消費者保護に向けた経済産業省のお取組をお願いをしたいと思います。  先ほどから、午前中の議論も良質な業者を萎縮しないように、消費者保護も結構だが良質な業者を萎縮しないようにというような御質問、御発言があったように思います。総論はもうそれは当然のことでございますが、それを具体的に条文に落とし込んだ場合にどうやって各条文を作っていくべきか、それが大事なのではないかと思いますが、私はこれを二つの観点に分けて考えていくべきだと思います。  一つは、規制緩和というものが自由な市場、自由な競争を生み出すものだとしたならば、そうだとしても、一定の場合にはやはり規制をしなければならない、そういう場合として今回は個品割賦について届出制を設けたと、これについてはやはり免許制よりも少し緩やかなものにしたと、そういう規制緩和の一定の例外という場合、そういう条文一つあると思います。ただ、これはなるべく抑制的にするべきであって、自主規制、業界の自主努力、それから大臣もおっしゃられた消費者教育というものを充実をしていくことによって補っていくべきだと思います。  もう一つ観点は、規制緩和というその概念そのものに内在をする理論なんですが、事後規制はこれは許される。規制緩和をして自由な競争をするにはルールがなくてはならない。スポーツと同じでございます。ルールをきちんと定めてそこを破った者は厳正に処分していくという、大臣もさっきおっしゃられた悪いやつは許さないと、そういう理論でございます。こちらの後者の方は、例えば再勧誘の禁止や過剰与信の禁止ができましたけれども、それをもし破った場合にどのような行政処分を課していくか、又は刑罰まで与えていくかという問題でございまして、こちらの方が日本では往々にしてあいまいなところがございまして、グレーであるとよく海外から言われます。私はこちらの方は厳しい処分を設けていくことによってよりクリアな市場がつくられ、それを海外に対しても主張していくということができるというふうに思っています。  それでは、ルールを作って厳正に処分をしていく部分について具体的に質問をしたいと思いますが、過剰与信防止義務というものが入りました。これに対してはどのような行政処分を課していくおつもりでしょうか、お願いいたします。
  178. 橘高公久

    政府参考人橘高公久君) お答え申し上げます。  まずもって、個品業者につきまして今回登録制を導入し、それに基づいてきちんとした行為規制を掛けて監督をしていくわけでございます。それで、これに基づきまして過剰与信の防止もその一環としてきちんとやっていく必要があるわけでございますが、法律上、過剰与信防止義務違反がありました場合には、クレジット事業者に対して業務の改善をまずもって命じていくという仕組みになっております。  業務改善の内容といたしましては、事案に応じまして、支払能力の調査ですとか、あるいは過剰与信を行わないような判断を行うことができるようなきちんとした社内ガバナンスの確立ですとか、あるいは現在やっている業務の実際の方法の見直しなどを、個別ケースに応じて必要に応じて具体的に命じていくということになろうかと存じます。このような業務改善命令を行ってもなおこれが遵守されない場合には、業務停止命令あるいは登録の取消しということもできるようになってございます。  いずれにしましても、この改正案に基づきまして、支払能力をきちんと評価せずに高額な与信を行い消費者被害をもたらすようなクレジット業者については、厳正に行政処分を行っていくという考え方でございます。
  179. 森まさこ

    森まさこ君 刑罰の方は付いているんでしょうか。
  180. 橘高公久

    政府参考人橘高公久君) 先ほど申し上げました行政処分前置でございますが、この行政処分に違反をした場合には法定の刑事罰が掛かってくるという形になってございます。
  181. 森まさこ

    森まさこ君 最高刑は何年ですか。  委員長、それでは結構でございます。
  182. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 引き続いて、森君。森君、どうぞ御発言ください。
  183. 森まさこ

    森まさこ君 済みません、通告してなかったので申し訳ございませんでした。  不実告知の禁止などにも刑罰が付いておりますが、改正で、改正前、最高二年の懲役というところが、三年になっております。どうしてこんな年数まで私が申し上げたかと申しますと、違法収益の剥奪の問題に関係があるからでございます。  今回いろいろな改正をしていただきまして、立証責任も転換をしていただいた部分がございますが、消費者弁護士としてかかわらせていただきました経験から申し上げますと、消費者被害の特に詐欺と同視できるような悪徳なものが起きた場合には、消費者の方はもう持っている財産根こそぎ奪われていますので、そこから自力で民民の訴訟対応することが非常に困難でございます。資力だけではなく情報力もないわけでございますし、悪徳な業者が暴力団関係者であるような場合も多いのですが、そういうときには応報のおそれということから泣き寝入りをしてしまうということもございます。  そういった消費者被害の困難性を補うために、組織犯罪処罰法というのが二〇〇五年に改正をされました。この違法収益を剥奪をして被害者返還をするという仕組みが我が国で初めて導入をされたわけでございます。  私がアメリカで最もここを力を入れて研究してきたところでございます。悪いものを許さない、悪いことをした利益は取り上げてやり損にするということは、そこにいる被害者を救済するだけではなくて、再犯の防止につながるわけでございます。  そういったわけで、違法収益の剥奪制度を導入するという議論がございますが、新しい制度を導入するにはいろいろと議論もあるでしょう。ところが、組犯法でもう既にあるわけです。  ここで問題ですが、今回改正されても特商法にはその適用がございません。組犯法は別表制になっておりまして、別表の中で掲げてある犯罪しか違法収益の剥奪ができません。そのメルクマールが最高刑懲役四年となっております。その四年、非常に悪質な命までも失うような悪徳商法が行われた場合もあるから最高四年にしてほしいという議論が審議会でもありました。そうしましたならば、そのときに組犯法を適用して違法収益を剥奪することができます。そうしますと、先ほどのような悪徳業者と一被害者の格差を乗り越えてその損害を回復することができ、さらにそういった悪徳業者が再犯に走る又はその仲間が新しい犯罪をするということを防いでいくことができるわけでございます。  どうぞこの点についてはこの委員会でも附帯決議に入れていただくなどの御検討をいただきたいと思いますが、経産省の方の御見解を伺いたいと思います。
  184. 寺坂信昭

    政府参考人寺坂信昭君) 違法収益の剥奪制度につきましては、特定商取引法の分野にとどまりませんで、一般的な消費者救済制度として幾つかの提案がなされているというふうに承知をしてございます。この違法収益剥奪制度につきましては、その被害者の方の個々の損害賠償請求権などとの関係、あるいはその収奪した収益の分配手法など慎重に検討を進めるべき点があるというふうに認識をしておりまして、消費者法制全体の問題として十分な議論が必要であるというふうに考えてございます。  なお、組織犯罪処罰法の関係でございますけれども、今申し上げましたようなことで十分な議論がなされておらず確定的なことを申し上げることはできないことを御理解いただきたいと思いますけれども、御指摘の点につきましては、その要否も含めまして今後十分な検討が必要なものと考えてございます。
  185. 森まさこ

    森まさこ君 今大変な誤解をなさっていると思うんですけれども、前半おっしゃられた一般的な消費者被害等の対応も含めて全体的な議論をなされているというのは、組犯法とは別の行政的な違法収益剥奪の権能を消費者庁がそれを設けようとしている議論の方でございまして、私が質問したのは、もう既にある刑事法上の組織犯罪処罰法に入れ込んでいただけないかということです。それは別に訴訟上の対応などの問題も、今おっしゃいましたけれども、全くございません、民事訴訟の手続に乗るわけでもございませんので。  今実際にその組織犯罪処罰法でやみ金の被害者が救われたわけですね。スイスに渡った五十億のうち約三十億が日本に戻ってまいりました。そこから被害者の方々に今から被害回復の手続が取られるわけでございます。  私は、その戻ってきたお金が、これが全部被害者に渡るかというと、本当に年数がたっておりまして資料も散失しておりますから、残余金が相当生じると思っていまして、組犯法では残余金が一般財源に入ってしまいますので、それを一般財源に今後は入れずに被害者の基金にするべきだというふうに思っております。そのことによって、今日資料にもお配りをしましたが、消費者団体訴権ができたのはいいけれども、日本消費者団体、非常に資力が弱いということで困難な状況にありますが、そういったところへの援助というものも問題なくできると思います。何よりも、被害者のお金ですから、税金で賄う一般財源の中に入れてしまうということ自体が法の趣旨に反するというふうに思っております。  それでは最後に、先ほど自主規制と消費者教育について、これも充実していくべきというお話をしましたが、時間がないので自主規制の方だけお伺いしたいと思います。  今回、クレジット協会についても情報の交換を行っていく、訪販協会についても基金制度を設けていくということで、大変すばらしいお取組ですが、私も産業構造審議会ずっと傍聴をさせていただきましたけれども、協会の方は、もっと自主規制のある協会に入ってもらいたいという話をすると、いや、厳しくするとどんどん抜けていっちゃうから厳しくできないんですという話をしていますが、イギリスなどでは八割入っておりますので、是非その方の協会への加入というものも経産省の方から促していっていただきたいと思います。  時間ですので終わります。ありがとうございました。
  186. 松あきら

    ○松あきら君 公明党の松あきらでございます。後半になってまいりました。どうぞよろしくお願い申し上げます。  消費者の権利を最初に提示したのは一九六二年、ケネディ大統領であります。四つの権利を明言なさいました。それは、安全を求める権利、情報を知らされる権利、選択する権利、意見を反映させる権利、この四つの権利がまさに消費者の権利の基本になっていると、こう言われております。そこにフォード大統領が一九七五年に消費者教育を受ける権利というものを追加されて、そして、以来この概念というのは諸外国においても受け入れられまして、一九八二年には国際消費者機構が消費者の八つの権利と五つの責任というものを提唱をされました。ちなみに日本では、消費者の権利が実際に法律で明文化されましたのは二〇〇四年に成立、施行されました消費者基本法で、第二条第一項の中で具体的に六つの権利を掲げております。  今、種々質問を午前中からやっておりまして、いろいろな局面からの御質問が出ました。やはり一番は今、高齢者皆様の中で大変に被害者が多く出ているという実態であります。七十歳以上の、例えば訪問販売等被害者相談は〇六年では約十三万件に達していたそうであります。販売方法で見ると、一位は家庭訪問販売、二位は電話勧誘、以下、次々販売ですとか販売目的隠匿とか、こうなっているんですね。高齢者はやはりお金、健康、孤独というこの三つの不安を抱えているわけであります。悪徳業者、そういう悪質業者は巧みにここをついて付け込むわけであります。  細かいことはいろいろあるんですけれども時間の関係もありますので一々挙げませんけれども、もうこんな手口まであるのかということをされている現状があります。今の森先生のお話でもいろいろございましたけれども、もっと、本当に普通に生活している高齢者の方が、まさに気が付いてしまったら何百万円も、水道工事で三千円で済むと言われていたのが百万円も取られた、幾ら取られたという、本当に水道管にティッシュを詰め込んで、まさにこういうことをやるんですね、反対に。そういうことまでやるという状況であります。  福田政権、今政府は生活者重視という方向性を打ち出されておるわけでございます。まさに社会的弱者への目配りをする成熟した市民社会を再構築するときである、もう本当に私ども一丸となって再構築をしなければいけないというふうに思っている次第でございます。私は、今回の特商法割販法、もちろんいろいろな御意見はあると思いますけれども、今までは別々にこの法律改正されていたんです。今回初めて一緒にこれが法律改正された。大きな前進であります。私はそこを高く評価をしたいと思っております。  そこで、御質問に入りたいと思います。  これだけの改正をしましても、分かっていて法律違反を行う悪質業者がなくならないわけであります。こういう道を踏み外した事業者はもう厳正に厳しく取り締まるしかないと考えます。人員体制の強化、これは大事でありますけれども、この強化以外にそもそも政府の取締り権限の強化が必要なわけでありますけれども、本改正案ではどのような手当てがなされているのでしょうか、お伺いをしたいと思います。
  187. 橘高公久

    政府参考人橘高公久君) お答え申し上げます。  お示しのように、今回の制度改正に当たりまして、その法執行に当たっての実効性の強化ということは極めて重要な視点であると考えております。そもそも今回、規制の後追いから脱却するということで、原則適用方式でございますとか、あるいはまた最終的には様々な罰則の強化でございますとか、そういうような措置は講じておりますが、それもとにかくきちんとした法執行ができてのことであるというふうに心得ております。  その観点から、今お尋ねがございました点につきましては、まずもって一番大きなものを二つ御説明申し上げます。  第一点目は、販売事業者などに対して法律上の根拠を持って必要な報告、あるいは帳簿、あるいは我々が処分を判断していくのに必要な書類、その他の物件の提出を命じることができると。これは、これまでは基本的には他法との関係なども踏まえますとどうしても任意で御協力いただける範囲でということでございまして、なかなか相手もしたたかでございますので困難を生ずる場面もあったわけでございますが、このような形で法的な根拠をきちんと強化をさせていただきますことによって我々もより厳正な対応ができると考えております。同様に、販売業者等取引をする方々につきましても、これは当然、必ずしも問題のある方々ばかりではないわけでございますが、いろんな意味で取引のある方に対しても、問題となっている販売業者などのその業務とか財産に関し参考となるべき報告又は資料の提出を命ずることができると。これは、例えば金融機関などもここに入ってくるわけでございます。  なお、これに加えまして、迷惑広告メールに対する監督につきましても、販売事業者から更に広告受託者などに広げるなど、所要の手当てをさせていただいているところでございまして、このような手当てをお認めいただきますと、我々の法執行に当たりましてより迅速、的確な形でできるように大いに役立ててまいりたいと考えておるところでございます。
  188. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。  今まで、こうした物件の提出を求めることができるとか、金融機関も含めて資料の提出を求めることができる、これはまさに任意ということで、今までは嫌だよと言ったらできなかったわけでございますけれども、きちんとこれをさせることができるということは私は大きなことではないかというふうに思っております。  次に参りたいと思います。  インターネット等の話、これも午前中からずっと出ております。インターネット取引というものは今後更に急成長をしていくことは間違いないわけでございます。ネット上の取引ではクレジット決済が不可欠であります。韓国ではクレジット決済を義務付けているというふうにも聞きましたけれども、今回の法改正におきましてもクレジット番号の漏えいに対する罰則導入などの手当てを行っておりますが、何でも法律任せで事業展開するのは問題であります。  我が国のインターネットクレジット決済の安全性に関する現状について、また安全性確保に向けてどのような手当てが講じられているのでしょうか、よろしくお願いいたします。
  189. 新藤義孝

    ○副大臣(新藤義孝君) 松先生よく御承知だと思いますが、この消費者向けのインターネット取引の決済手法としては、もうクレジットカードがこれは断トツに最もよく利用されているわけでございます。そして、その利便性を向上させつつ安全な取引契約をしなければいけないと。そして、インターネットで自分で打ち込まなきゃなりませんので、カードの番号だとか有効期限を打ち込まなきゃなりません。これを、番号が漏えいしたり、それからフィッシングといって盗み取るような、だまし取るようなそういう行為が横行しております。ですから、これによって自分が申し込んだ覚えがないのに身に覚えのない請求というものが行われていると、トラブルが増えているわけでございます。  まずは、クレジットカードの各社が自主的な取組としてICカード化、それからさらに、セキュリティコードという簡単に分からないような、本人しか分からないようなものを入れて不正利用防止策を進めていると。それから、大手のカード会社はすべて導入しておりますけれども、不正利用が判明した場合は原則として消費者にお金を戻す措置、チャージバックといいますけれども、こういったものも我が国ではもう取り入れられております。  そして、今般の法改正におきまして、クレジットカード会社がカード番号の保護措置を講ずることを義務付けいたしました。それから、カード番号を不正に第三者に提供したりだまし取る行為に対しては罰則を新設しました。懲役三年、罰金五十万です。  こうした法律の規制をきちっと作ることと、それからカード会社の自主的な取組、これをうまく併せまして、このクレジットカードの安心の、安全な環境整備というものを図っていきたいと、このように思っております。
  190. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございました。法律の規制と会社の自主的な取組、この両建てでやっていくということであると思います。  本日の午前中に、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境を整備する等に関する法律案ですか、これが委員会を通りました。明日の本会議で成立する予定だと思っております。  これは、実は我が党でも山本香苗務官もPTの座長で頑張っておりましたが、私も一緒に取り組んでおりまして、共にこの青少年に、やはりもうインターネットの時代ですから、有害ないろいろなものから、サイトから守っていかなきゃいけない、今回のこの法律案でもまだまだ緩過ぎるとおっしゃる方もいらっしゃるのは分かっていますけれども、でも、まずこれ一歩も二歩も進めなきゃいけない。だったら、これできなかったらいいのか、とんでもないわけで、私はこれはしっかりと成立できるであろう、明日、よかったというふうに思っております。  しかし、参考人質疑で明らかになりましたことは、大手インターネットモール事業者の方が同法案に反対されていたということを知ったわけでございます。インターネットで行われる多様な活動について、倫理面、犯罪防止面、青少年保護、この観点からまだまだ取り組んでいくべき事項多いと思います。もちろんこれは経済産業省だけの問題ではありませんが、しかし経産省にもその取組、御所見、お伺いしたいと思います。
  191. 山本香苗

    大臣政務官山本香苗君) まず、本件につきましてはいろいろと御尽力をいただいておりますことを御礼申し上げます。  御指摘のとおり、インターネットというのが我々の生活の中で欠かせないものになっている中で、インターネットに対する安心感、信頼感を醸成していくことは必要不可欠でありまして、我が省はもちろんのこと、政府全体として取り組んでいくということが喫緊の課題であると認識をしております。  御指摘のとおり、まさに本日、青少年をインターネット上の有害情報から守るための法律案が審議され、この有害情報対策法案の審議の過程におきましても、有害・違法情報の対策の強化、在り方ということにつきましても熱心に議論がなされたと伺っております。  また、御指摘のような様々な問題がございまして、そういう問題は、もう既に出ているものはありますけれども、これからまた今後出てくるようなことも予測されているところでありまして、しっかり取り組んでいかなくてはならないと思っております。  そこで、私ども経産省といたしましても、今後関係省庁としっかり連携を取りながら、安心、安全にインターネットを利用するために必要な環境整備に最大限努力をしてまいりたいと思いますし、実際、先月末から、他省庁とも連携をいたしまして、一か月間フィルタリングの普及キャンペーンもさせていただいておりますし、また先ほど、明日無事成立することを望んでおりますけれども、その法案が成立いたしましたら関係省庁の大臣レベルの会議も設置されると伺っておりますので、しっかり関係省庁と連携を取ってまいりたいと考えております。
  192. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。何よりも関係省庁ときちんと連携を取って、網の目からこぼれ落ちないように対策をこれからも取っていただきたいということをお願い申し上げる次第でございます。  私は、先ほど藤原先生の御質問の最後に大変うんちくのあるお話をなさいまして、心の、胸の奥に響いたわけでございます。やはり、私たちも消費者の一員として、経済社会の一員として、自己責任あるいは自己防衛の意識を持つことも肝要であるというふうに思う次第でございます。  これも何回も朝から出ておりますけれども、規制によって悪質商法を完全になくしてしまうということは、現実社会においては不可能であります。極端な規制はそもそも経済活動を否定してしまうおそれもあるという、これも何回も先ほどから述べられているところでございます。法律規制をしゃくし定規にとらえて、たまたま法規に違反した事業者を過剰に処罰してもいけないし、逆に、常に新手の手口が出現する現実社会におきましては、法の弾力適用をして悪質事業者を迅速に摘発しなくてはならない、こういった場面もございます。  まさに、悪質なものを効果的に抑制できる規制を導入しつつ健全な事業活動をできるようにする、なかなか難しいことでございますけれども、法律の運用は過剰規制にならないように慎重にしつつも、本当に道を踏み外した事業者は大胆に取り締まる、こういう非常に難しいかじ取りを意識をしながら実効性ある消費者保護を進めていかなければならないと思いますが、最後大臣の御決意を伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。
  193. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 御指摘のとおりなんですが、経済というのは原則自由なんですね。ですから、駄目なことだけを決めてそれ以外は自由。つまり、新しい業態が起きてくることは今から想像ができませんから、そこから新しい創業の芽がどんどん出てくるかもしれません。だから、駄目なことを決めてそれ以外は自由というのが経済の原則ルールなんです。  しかし、今回この消費安全というのは反対のルールにしてあります。対象としないのはこれで、それ以外は全部法の対象としますよと。これは経済の原則と真反対なように見えるわけでありますけれども、しかし自由な経済の活力を悪徳事業者が阻害するような、そういうものが出ることによってみんな悪いんだということになって経済が萎縮してしまうのを食い止めなければならないわけであります。  ですから、原則適用というのは、原則、商売は駄目というんじゃなくて、こういうものはちゃんと個別法で対応するからそっちに任せるとして、それ以外の新しいもので悪いことをしようとするやつは、後追いじゃなくていつでも悪いやつは摘発できますよという原則適用。ということは、いい人は胸を張って消費者信頼を勝ち得てくださいということなんであります。  その中には、業界の自主的な努力、つまりそうすることによってこの業界に入っている、名刺にその業界の会員であるということをもって信頼度が上がるように自主的な努力をしてくださいと。そうやって消費者の信頼を勝ち得るように、ここに入っていないと、入るためにはそれなりの自分が努力をしなければいけないわけでありますから、そういう自分が努力をすることによって消費者信頼を勝ち得るというような仕組みも含めて、経済原則の自由と消費者を広範に悪いやつから守るということの整合性が取れるようにしていくつもりでありますし、その運用の面でも、そこは健全な業者が萎縮しないように、悪いやつは抜け穴から出ないようにうまく整合性を取っていきたいというふうに考えております。
  194. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございました。
  195. 松下新平

    ○松下新平君 どうもお疲れさまです。最後の質問となります無所属の松下新平です。  私の下にも消費者被害の声が多数寄せられておりました。残念ながら自らあやめてしまった事例や、こつこつためた老後の資金を一瞬にして奪われる事例など、本当に身のつまされるお話をたくさんお伺いし、今回特商法そして割販法の一部改正成立の見込みとなったことは、一議員としても大変、消費者保護観点からも大きな一歩だと喜んでおりますし、甘利大臣を始め関係される皆さんの御労苦に心から感謝と敬意と申し上げたいと思います。  私も七問ほど用意してまいりましたけれども、六問重複しておりまして、答弁もきちっとした納得のいく答弁をいただきましたので、議席が埋まるまで質問をさせていただきたいと思いますけれども。一問なんですけれども、甘利大臣にお伺いしたいと思います。  今後のことなんですけれども、依然として消費者被害、多数寄せられるわけですけれども、連鎖販売取引、いわゆるネットワークビジネスについてですけれども、それらの特定商取引法の規制類型ですね、この類型について規制を強化するための法改正、この検討はされているんでしょうか、お伺いいたします。
  196. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 今回の改正は、悪質な訪問販売による高齢者の高額クレジット被害や、目下進展著しいインターネット通信販売をめぐるトラブルなどに対応するために提案をしたものであります。今回の改正案が成立をしていただいた後には、まずはその円滑な施行と着実な法執行に努めることが何よりも重要であると考えております。  一方で、今般の改正の主な対象とならなかった規制類型につきましても、消費者相談や消費者トラブルの実態を引き続き注視をしまして、必要に応じて迅速な対応を検討してまいります。  もうちょっと長く答弁しないと埋まらないんでしょうか。
  197. 松下新平

    ○松下新平君 諸外国では、この連鎖販売取引、いわゆるネットワークビジネスが主力になってきていると言われております。日本もこの欧米型に近づいてきているということでありまして、また、特に今回の特商法割販法改正によりまして訪問販売企業にかなりの規制強化になりますことから、このネットワークビジネス等の傾向が強くなってくると予測されております。  先ほど悪徳業者、良質な業者という話もございましたけれども、時代のニーズでもありますし、このような類型についても、一方では健全な環境の整備というのを経産省としてもしっかりお示しいただくことが必要だと思いますけれども、御答弁をお願いいたします。
  198. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 商形態というのはいろいろあると思います。店舗販売は、そこに店舗がずっとあってその地域の人とずっと生活していかなきゃならないから、突然来る人よりは責任を持たなきゃならないと元々商売する人が考えます。しかし、出向かなきゃならない、そういう出向けない人にとっては向こうから来てくれる方が助かるということもあるのでありまして、商形態にはいろいろメリット、デメリットがあります。  ただ、それが消費者を陥れるような行為になってしまってはいけないわけでありますから、ですから私は、国民生活センター、それから各県の消費生活センターにいろいろな苦情なり要望なりあるいは質問なりがいっぱい来ます。それを一元的に共有して、この商形態のこういう部分はいい利点があるけれどもここは改善しなきゃならないということを全部精査をしていくという作業が大事だと思うんです。何か一つあったらこれは全部駄目という決め付けはなかなか、それに利便性を感じている人にとって見ればその道を閉ざしてしまうことになりますから、いい点は伸ばしていって悪い点を改善をすると。それが改善できないような業であるならば、それはやめてもらうしかないということになりますけれども、そういういろいろな消費者利便というものを広範にしっかりと把握する必要があろうかと思います。  でありますから、PIO—NETで端末を関係する省庁あるいは国と地方が共有することができました。これは、消費者が現場で起きている情報を逐一行政当局に伝達できるという意味で極めて良かったと思うのであります。あとは、この情報をいかに消費者利便に活用するか、健全な業の発展に活用するかであろうというふうに思っております。  でありますから、これからしっかり情報を共有あるいは一元化する仕組みがより強化をされていくと思いますので、そういった仕組みを通じて消費者利便、業の発展、消費者安全、それぞれが整合性が取れるような法体系、行政運用にしていきたいというふうに考えております。
  199. 山根隆治

    委員長山根隆治君) いいですか。新藤副大臣、補足御答弁ございますか。  よろしいですか。はい。
  200. 松下新平

    ○松下新平君 通告は以上なんですけれども、議席が埋まるまでちょっと時間をちょうだいいたしまして、委員の皆さんもそれぞれ消費者被害の声を聞かれていると思いますけれども、どうしても後手後手に回ってしまうということは、これ、この法律だけではないわけでありますけれども、やはり私たちが考えるべきは、今大臣の御答弁にもありましたけれども、バランス感覚も大事ですけれども、そういった消費者の皆さんのこの被害、これを関係機関としっかり連携を密にして、速やかに法改正も含めて取り組むことが重要であると改めて思いまして、もうオーケーのサインが出ましたので、以上で質問を終わります。  ありがとうございました。
  201. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方はいらっしゃいますか。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  202. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、鈴木陽悦君から発言を求められておりますので、これを許します。鈴木陽悦君。
  203. 鈴木陽悦

    鈴木陽悦君 私は、ただいま可決されました特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党・無所属の会及び公明党の各派並びに各派に属しない議員松下新平君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 規制の対象となる商品・役務について政令指定方式から原則適用方式へ転換し、消費者被害の後追いから脱却するという法改正の趣旨にのっとり、適用除外を定めるに当たっては、消費者保護観点から規制のすき間が生じないようにすること。また、改正法の施行状況を十分に監視し、新たな被害の発生及び拡大の防止のための迅速な措置を講じられるよう、適用除外の範囲について適宜適切に見直しを行うこと。  二 訪問販売における再勧誘の禁止及び過量販売による契約解除等については、消費者被害の防止と救済の実効性及び事業者の予見可能性を確保するため、ガイドライン等を用意すること。    また、支払可能見込額の調査に際しては、利用者の個人情報の収集を必要かつ十分な最小限のものにとどめるとともに、その管理に万全を期すよう指導すること。なお、健全な取引を行っている事業者に過度な負担を与えないことや個人情報保護等に十分配慮しつつ、業態を越えた信用情報の相互利用の推進など実効的な過剰与信の防止を図るための措置を検討すること。  三 認定割賦販売協会、訪問販売協会等による自主規制機能を強化するに当たり、当該組織の透明性及び規制の実効性が確保されるよう加盟店管理や被害者救済等に係る制度の整備を促し、悪質業者の排除等業界全体の一層の健全化に向けた取組を支援すること。  四 消費者被害の未然防止及び救済のためには、消費者行政の第一線において消費者からの相談、苦情処理及び紛争解決消費者に対する情報提供、啓発及び消費者教育を担う、地方自治体の消費生活センター及び独立行政法人国民生活センターの機能の充実・強化が重要であることにかんがみ、それに要する予算及び人員確保を国の責任において措置すること。    また、法改正の実効性を上げるため、関係省庁、地方自治体、警察、消費者団体等との緊密な連携体制を一層整備するとともに、地域における法の執行体制の充実・強化のための措置を講じること。  五 近年、商品、役務、取引形態等の多様化及び複雑化に伴い消費者トラブルも複雑化、広域化している現状を踏まえ、店舗におけるクレジット取引、インターネット取引、マルチ商法等をめぐる課題への対処を含め、政府全体として、消費者被害防止のための制度全般にわたり、点検及び必要な見直しを行うこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  204. 山根隆治

    委員長山根隆治君) ただいま鈴木陽悦君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  205. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 全会一致と認めます。よって、鈴木陽悦君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、甘利経済産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。甘利経済産業大臣
  206. 甘利明

    国務大臣甘利明君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。
  207. 山根隆治

    委員長山根隆治君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  208. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  209. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。甘利経済産業大臣
  210. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  我が国は、平成十八年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を始めとする我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、同年十月十四日より、二度の延長措置を経て、平成二十年四月十三日までの間、北朝鮮からの輸入の禁止等の措置を厳格に実施してまいりました。しかし、北朝鮮が、六者会合で平成十九年末までの実施を約束したすべての核計画の完全かつ正確な申告をいまだに実施しておらず、また、拉致問題についても具体的な対応を取っていないこと等、北朝鮮をめぐる諸般の情勢を総合的に勘案し、平成二十年四月十一日の閣議において、引き続き、外国為替及び外国貿易法に基づき、北朝鮮からの輸入の禁止等の措置を実施することとしました。このうち、同法に基づき国会承認が必要な措置について、承認を求めるべく、本件を提出した次第です。  次に、本件の要旨を御説明申し上げます。  本件は、外国為替及び外国貿易法第十条第一項の規定による平成二十年四月十一日の閣議決定に基づき、同年四月十四日より同年十月十三日までの間、北朝鮮からのすべての貨物について経済産業大臣輸入承認義務を課す措置を講じたことに加え、北朝鮮から第三国へ輸出する貨物の売買に関する仲介貿易取引について経済産業大臣の許可を受ける義務を課す措置を講じたことについて、同法第十条第二項の規定に基づいて国会承認を求めることを内容とするものであります。  以上が本件の提案理由及び要旨であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
  211. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。御発言のある方はいらっしゃいますか。──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。御意見のある方はいらっしゃいますか。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  212. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  213. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十一分散会