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2008-06-03 第169回国会 参議院 経済産業委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年六月三日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  五月二十七日     辞任         補欠選任      古川 俊治君     鴻池 祥肇君      松 あきら君     加藤 修一君  五月二十八日     辞任         補欠選任      鴻池 祥肇君     古川 俊治君      加藤 修一君     松 あきら君  五月二十九日     辞任         補欠選任      塚田 一郎君     舛添 要一君  五月三十日     辞任         補欠選任      舛添 要一君     塚田 一郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山根 隆治君     理 事                 鈴木 陽悦君                 藤末 健三君                 増子 輝彦君                 加納 時男君                 松村 祥史君     委 員                 下田 敦子君                 直嶋 正行君                 中谷 智司君                 姫井由美子君                 藤原 正司君                 前田 武志君                 渡辺 秀央君                 荻原 健司君                 塚田 一郎君                 古川 俊治君                 松田 岩夫君                 丸川 珠代君                 松 あきら君                 山本 香苗君                 松下 新平君    国務大臣        経済産業大臣   甘利  明君    副大臣        経済産業大臣  中野 正志君    大臣政務官        内閣大臣政務        官       戸井田とおる君        経済産業大臣政        務官       荻原 健司君        経済産業大臣政        務官       山本 香苗君    政府特別補佐人        公正取引委員会        委員長      竹島 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        山田  宏君    政府参考人        金融庁総務企画        局審議官     細溝 清史君        金融庁総務企画        局審議官     岳野万里夫君        金融庁総務企画        局参事官     私市 光生君        金融庁総務企画        局参事官     三村  亨君        経済産業大臣官        房審議官     鈴木 英夫君        経済産業大臣官        房審議官     高田 稔久君        中小企業庁長官  福水 健文君        中小企業庁次長  岩井 良行君        国土交通大臣官        房審議官     内田  要君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○経済産業貿易及び公正取引等に関する調査  (第四回アフリカ開発会議等に関する件) ○政府参考人出席要求に関する件 ○信用保証協会法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(  内閣提出衆議院送付) ○中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出衆議院送付) ○特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部  を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 山根隆治

    委員長山根隆治君) ただいまから経済産業委員会開会いたします。  経済産業貿易及び公正取引等に関する調査のうち、第四回アフリカ開発会議等に関する件を議題といたします。  政府から報告を聴取いたします。甘利経済産業大臣
  3. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 私は、五月二十八日及び二十九日、横浜にて開催をされた第四回アフリカ開発会議出席をいたしました。  二十八日には、まず、福田総理主催アフリカ諸国首席代表との昼食会出席をいたしました。同昼食会にはアフリカ四十一か国の首脳級出席をし、一時間強にわたり懇談を行いました。  また、当省及び日本貿易振興機構ジェトロが共催をし、一村一品キャンペーン事業拡大・深化に貢献する「アフリカン・フェア二〇〇八」の開会式福田総理及びアフリカ首脳等とともに出席をいたしました。  二十九日には、成長加速化分科会出席をし、アフリカ経済成長加速化に貢献する我が国協力について基調講演を行いました。講演におきましては、我が国企業の対アフリカ貿易投資を促進をし、アフリカ自立的経済発展を促すような協力約束をいたしました。  具体的には、まず、我が国アフリカ向け投資倍増を目指して、円借款の柔軟な適用や貿易投資金融の充実といった支援ツールを通じてハード、ソフト両面インフラ整備に貢献することであります。同日締結をされました日本貿易保険NEXIイスラム投資輸出保険機関ICIEC協力協定による我が国企業の対アフリカ貿易投資のための環境整備が一例であります。  次に、資源起爆剤とした経済発展支援することです。アフリカに賦存する鉱物エネルギー資源開発、有効活用し、自立的、持続的な経済発展を実現するためには、我が国石油天然ガス金属鉱物資源機構、JOGMECやNEXIによる技術協力及び資金協力が大いに貢献できます。昨年、私が南アフリカボツワナを訪問した際には、衛星画像を活用した資源探査等協力に合意しました。これらの資源開発協力と、資源開発自立的な産業発展につなげていく産業協力の双方で、我が国は大いに貢献できるものと確信しております。  さらには、我が国アフリカの間の貿易倍増です。我が国日本貿易振興機構ジェトロ中心として取り組む一村一品イニシアティブは大いに貢献できます。我が国が取り組んできた一村一品キャンペーン拡大・深化させる新たな包括的フレームワークを構築をし、アフリカ産品開発とそのグローバルマーケットへのアクセス支援に取り組みます。  以上のような協力策民間セクターアフリカへの関心を更に高め、アフリカ自立的経済発展に貢献することを期待いたします。  加えて、アンゴラ共和国ガボン共和国ウガンダ共和国南アフリカ共和国ナミビア共和国コンゴ民主共和国マダガスカル共和国ボツワナ共和国及びリベリア共和国首脳等との会談を精力的に行いました。いずれの国からも、我が国による資源エネルギー分野を始めとした協力我が国企業による投資拡大について熱い期待が寄せられました。  今回のTICADを通じ、我が国独自のアフリカ支援策を明確に打ち出すことができたと考えております。また、個別の会談を通じ、アフリカ諸国との更なる関係強化を図ることができました。今後とも、今回の成果を踏まえ、引き続き対アフリカ政策に尽力していく所存であります。
  4. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 以上で報告の聴取は終わりました。     ─────────────
  5. 山根隆治

  6. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 信用保証協会法の一部を改正する法律案中小企業信用保険法の一部を改正する法律案及び中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。  三案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 増子輝彦

    増子輝彦君 おはようございます。  国会もあと残すところ二週間を切ってまいりました。大臣には、この間大変御活躍で何よりでございます。そして、今回の中小企業金融関連法案は、中小企業にとって大変重要な法案だと認識をいたしております。この三法案審査の前に、ただいま大臣から御報告のありましたTICADⅣについて若干質問させていただきたいと思います。  大臣マラソン会談、御苦労さまでございました。大分お疲れのようでございましたけれども。アフリカから四十か国近くの首脳がお集まりになって大変大きな会議であったということで、福田総理も、そして一番直接的関係のある甘利経済産業大臣も大きな成果を求めながらこの会議をしてきたと思っております。  ただいまもいろいろ御報告がございました。やはりアフリカ諸国の現状を見れば、様々な資源、あるいは食料問題、そして気候変動、あるいは貧困、多くの課題を抱えながらも一生懸命アフリカ諸国はこれからの成長を図りながら様々な課題を克服していこうということで一生懸命だということを私も認識をしております。そういう意味では、今回の会議、大いに私も良かったなと思っております。  ただ、若干残念だったのは、期間の限られた時間の中で、四十か国を超える各国首脳との会談がわずか十五分ぐらいずつというふうにお聞きしておりますが、非常にマラソン的な短時間での実は会談があったと。これ通訳を入れますとほぼ半分ぐらいになってしまうのかなということになると、本当に今回のそれぞれ各国首脳アフリカ諸国首脳との会談というものが今回の目的を果たすことができたのか、大臣が今おっしゃられた様々な意義というものについても大丈夫だったのかなと若干心配する点もございます。  大臣大分多くの首脳会談をされたということでございますが、実質的にこの限られた時間の中で各国首脳会談をしたということについて大臣は率直にどのようなお考えを持っているか、お聞かせいただければ有り難いと思います。
  9. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 総理は、恐らく具体的な政策中身で個別に詰めるというよりも、各国から元首が来られたわけですから、一人残らず礼を尽くしたということだと思います。  私の方は、いろいろオファーもたくさん来ましたけれども、しっかり時間を取って、最低三十分、長いところは一時間以上行いました。でありますから、九か国に絞らざるを得ないという状況でありまして、その中で、つまりアフリカ発展中心を担うようなところ、日本との関係が非常に強いところと優先的にさせていただいたわけであります。  いろいろと有意義な会合ができたと思います。私、一つのセッションでも講演をしましたけれども、そこでもお話をしましたしバイ会談でもしたんですが、戦後アフリカとアジアに投じられたODAの総量はほぼ同じですよと。同じなのに片方は飛躍的に発展を遂げ、片方はいまだこういう状況にあえいでいるということの原因は何かというところから分析をしなければならないというお話をしました。それは、自立につながる支援になっているか、それとも、ただ社会保障的に足りない部分を補てんしてあげるということで終わっちゃっているか、その違いをよく分析をしてほしいという話をしました。  アフリカの中にも、極めて意識が高いところとそこまで追い付かないところと、やっぱり指導者によって意識の違いがかなりあるというふうに実感をいたしました。私の言っていることをそのとおりとおっしゃる方もいましたし、問題は、あなたと同じような意識を全員がまだ持ち切れていないことじゃないですかと言ったら、まさにそのとおりだということを言った大統領もいました。  治安を良くしないと民間投資は行きませんよ、民間投資が行かないと自立にはなりませんよと。彼らも、我々は援助よりも投資だと言っているんですね。投資が向かうような環境整備はプライオリティーはどういう順番かということを意識してくれと。まず治安をしっかりしてくれと。治安に関する公務員については給料をもっと払ってもいいじゃないのかと。そして、あとはインフラ整備だと。企業が行っても道路がなければ、電力がなければこれは操業できませんよと。インフラ整備と連動するような支援を組み合わせる、それから、民間企業が行く際の投資をいかに保障してあげるかということだというような話をずっとしてきたわけであります。  今回、一つだけ、注目をされないんですけれども、実は最大、私が注目すべき点だとマスコミに言っていますのは、ICIECというイスラム金融投資保険日本NEXIとが協力協定が結べたんです、MOUを、立ち会いましたけれども。  このICIECというのは、サウジに本拠地がありますが、サウジアラビアが一番出資しているんですが、アフリカイスラム系の国の十九か国が出資しているんです。つまり株主になっているんです。ですから、その保険が付いた投資事業は一件も焦げ付きがないんですね。なぜないかというと、自分株主ですから。だから、なかなか運営が難しくなってくると関係者が本国に駆け込んで、これはどうしてもしっかり仕上げてくれという後押しをするんですね。だから、一件も焦げ付きがないと。自分が当事者ですから。そことMOUを結んだということは、そこへの投資については推進力が飛躍的に付くということになるんですね。このことをほとんどマスコミは注目していませんけれども、私は、これは自立をさせるために民間投資を向かわせる、そのための最大成果だと私は思っているんですけれども。  それを始め、それから衛星探査による資源探査ですね、これについても非常に多くの国が関心を示しまして、自分たちも乗らせてくれというようなお話がたくさんありました。有意義な会合だったというふうに思っております。
  10. 増子輝彦

    増子輝彦君 大臣が、ICIEC関係についてマスコミはほとんど報道されていないと。私も初めてお聞きしましたけれども、大変良かったなと思っております。  ただ、今大臣の御答弁の中にあったように、各国ともそれぞれ意識がやっぱり違うと思うんですね、それぞれ濃淡があると思います。日本に来れば投資をしてもらえる、援助をしてもらえる、だから行ってみようというお考えを持っている方もないとは言えないというようなこともあるんだと思うんです。  今回、福田総理も、あるいは甘利大臣も、ODA、五年間で倍増するんだと、もちろん民間投資も含めてということの表明をされました。これ、やはり民間投資を大きく働かせることによって、それをODAがある意味では支えていくというような形もまた必要なんだと思うんです。要は、ここのところをどのようにスムーズに継続的に友好的にやっていくかということが極めて大事だと思うんです。そういう意味では、このICIECとの関係が構築できているということはまた一つの大きなお手本にもなってくるだろうし、また、日本の税金を使うということについても大変重要なことになってくると思います。是非そこのところをしっかりと踏まえて頑張っていただきたいと思っております。  もう一つは、大臣資源確保ということが何といってもアフリカとの関係は大変重要だと思うんです。前回の私の質問のときにも、この資源外交甘利大臣の大変大きな成果一つだろうと。日本は、中国、ロシア、インドに比べれば極めて資源的な確保外交は遅れているといっても言い過ぎではないわけであります。特に、日本、これらのレアメタル、レアアース等々を含めて、この資源がなければ本当にこれ立ち行かなくなってしまうというような危機的な状況もあるわけであります。  この資源確保ということについても、ただ単に投資をするということだけではなくて、私も前にも申し上げましたけれども、IPUの会議でケープタウンにお邪魔をしたときに、現地の日本の商社の方と自民党の議員の方も含めて三時間ほど懇談をしてまいりましたけれども、投資だけでは駄目なんだと、やはりその投資中身が大事だと。今大臣がおっしゃったとおり、様々なやり方があると思います。インフラ整備もあると思います。貧困を救うという手だてもあると思います。様々な形の中でやっていかなければいけない。そこのところを今後日本民間だけに頼るのではなくて、やはり政府としてもかなり力を入れていかないと、中国、特に中国ですね、中国に大きく現時点でも立ち遅れているということを考えれば、もう中国に負けないで頑張っていくということが必要だと思います。  と同時に、やはり食料難の問題。今回も気候変動関係して温暖化防止に対する関係中心課題だということの話もございましたが、むしろアフリカ各国からは食料関係が大きく出てきて、温暖化防止関係についてはむしろかすんでしまったというようなことがあるように報道もされております。  大臣、もう一度、資源確保外交に対するお考えと、それからこの食料関係する世界の動きの中での問題について、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  11. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 私がアフリカ各国首脳との会談をしていたときのことですけれども、ある国の首脳と話をしておりました。そうしたときに、相手から思わず間違えてチャイナという話が出ました。隣に大使がいて、大使が真っ青になって、ジャパンジャパン。やっぱり中国のプレゼンスがかなり大きくなってきているということを私自身感じました。かなり派手なパフォーマンスをすると。トップあるいはナンバーツーが回っていって、ODAで、表に見える建物、大統領官邸とか国会議事堂とかいう種類のものをぼんともう半年、一年で造ってしまう。物すごく分かりやすいですね。しかし、本当はそれが自立に貢献しているかというと、もっとうまい使い方はあるんでありますけれども、しかし物すごく見えやすいですね。  そういうパフォーマンスを使っていますし、リスクが高いところにもかなり人員を投入できるわけであります。日本は、企業が進出する際に一人でもけが人が出るといきなり止まるということになります。その辺の、これはいい悪いは別として、出方の、パワーの差というのを痛感をいたします。  ただ、私自身は、資源を使って発展をするんであるならば、その返済余力地下に眠っているんだから、円借のその付け方も、従来と同じようなしゃくし定規な付け方、つまり滞ったところにはちゃんと清算ができて、一定の基準にならないともう二度と円借は付けないみたいな見方ではなくて、地下資源を持っている国は資源高騰の影響で返済能力が上がっているということを加味した付保の仕方も検討すべきだということで、そういう方向に少しずつなっているわけであります。  そういう、こちら側からどういうスキームでやっていったらいいか。人材の育成もそうです。私がアフリカ関係者と話して痛感するのは、やっぱり人材の層が薄いということです。旧宗主国は教育には余り力入れていません。インフラ整備もしていないです。そこが問題だと思うんでありますけれども、そこを我々が絵図を書いて、自立的発展スキームはこういうスキームですよということを示して理解をさせると。今幾ら援助がもらえるか、現金が幾ら積まれるかということで即物的になりがちな関係を、地道に五年、十年たって差が付いてくるやり方ということを理解してもらうことが、手間は掛かりますけれども、極めて大切だというふうに思っているわけでありますし、その点をしっかりと説明をしてきたつもりであります。
  12. 増子輝彦

    増子輝彦君 今回のこのTICADⅣの中で、実はアフリカ女性で初のノーベル平和賞をもらったワンガリ・マータイさんも出席をされておりました。マータイさんはいろんなことをインタビュー会議の中で発言をされていたようであります。彼女のもったいない運動も今世界にどんどんどんどん広がっているようであります。私ども福島県にも何度もおいでいただいて、福島県の国際親善大使ということにお引受けをいただいて頑張っていただいておるんです。  このマータイさんが、いろんなことが合意なされたけれども、大事なことは速やかに実行してもらえるかどうかなんだということをはっきりと、昨夜の遅いNHKの番組でもインタビューに答えておられました。各地で彼女はそういう話をされているようであります。と同時に、今回のG8、洞爺湖サミットで行われますけれども、ここでも結局G8で決められたこともなかなか実現ということに立ち行かないと、やはり早く合意されたことは実行すべきであり、なおかつ約束は、決められた、決めた約束は守るべきだと、それによってアフリカ貧困だとか様々な問題を解決していくことも大事だということを強くおっしゃっております。  是非大臣、今回の、これだけの方々がアフリカ諸国から集まってこられて、大きな成果があったというふうに大臣もおっしゃっているとおり、私もそれなりの成果はあったと思います。しかし、問題はこれからのことであって、今後このアフリカ外交資源外交も含めて、様々な形についてしっかりと実行していくことが大事だと思いますので、どうぞ今後ともアフリカに対する様々な約束や合意について速やかに実行していただくように、最大限の努力を今後ともしていただきたいと思います。  次の質問に移らさせていただきたいと思います。  日本の景気がやっぱり極めて深刻になってきていることは、もう何度も何度もこの委員会でも申し上げております。特に一点だけ絞って今日この件について申し上げるとすれば、やはり原油高が本当に大きな国民生活経済産業に嘆きとなっていると。  実は、先週の土曜日、朝早く電話で起こされました。それは、私の友人が百人ほどの社員を使ってクリーニング業を実は営んでいるんです。いや、また六月一日からA重油が十五円上がると、そうすると、大体六十万、月負担増になるんだと。過去、昨年の九月から四回実はもうA重油が上がってきた、その都度六十万ずつ月負担だと。四回目ですから二百四十万、月の負担増になっていると。年間にすると約三千万弱なんですね。もうやっていけないなと、百人の社員を抱え、家族まで含め、ここで身障者の方も十数人使っているんですが、会社がもうやっていけないと、一体どうしてくれるんだというようなおしかりを実はちょうだいをいたしました。  国の政策原油対策等についても、これはもう融資制度しかないんですね、現時点では、何度も申し上げましたけれども。やっぱりここは、大臣、具体的に原油の価格を下げるというような形のやはり政策制度というものをつくっていかないと、多分このままでいくと更に原油が上がっていくことは間違いないと思います。  この原油高大臣、この前も申し上げましたけれども、自分でガソリンを入れられることがあるのかどうか分かりませんが、もう大体これは平均百七十円半ばですよね、東京の一部、高いところは百八十六円も記録しているということでございますけれども。国民にとっても大変なやはり負担だということで、原油高の先行きを見ても、極めて日本経済社会国民生活には大きな負担となって、ますます、特に中小企業、地方は大変な状況になってしまうと。  大臣、何かここで具体的な原油高対策を講じないと本当に日本は沈没してしまうのではないかと、そんな危機感を持っております。これはあらゆる分野に波及していることなんです。大臣、この原油高対策に対して緊急に、具体的にやるお考えはないか、お聞かせ願いたいと思います。
  13. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 原油が異常高騰をしております。  石油関係者のどこに、じゃ利益がたまっているかといえば、ガソリンスタンドは恒常的な赤字の状態です。元売はもうかっているかといえば、元売の営業利益はもうわずかのものだと思います。要するに、上流の原油をくみ出す権利と価格を握っているところが大もうけをしていると。日本で大もうけをしているところはほとんどないわけであります。そうした中で、日本だけではなくて世界中がこの状況に苦しんでいるわけであります。  これには、対症療法とそれから抜本対策の両方を打たなければならない。対症療法は、もう既に委員から御説明がありましたとおり、昨年十二月に取りまとめた緊急対策に基づいていろいろとやっているわけでありますが、あくまでもセーフティーネット保証であるとかあるいは可能な限りの下請適正取引の推進等でありまして、ダイレクトに強烈な効き目を発揮するというものでは残念ながらないということは御指摘のとおりであります。  ただ、いずれにしても、原油が史上最高値を更新していき続けるような状態では、何をやろうともうどうにもならないわけでありまして、途上国は既にもう付いていけない状況になっているわけです。  私は、この危機感を産油国も消費国も共通に共有すべきだということをずっと一人で言い続けてきたわけであります。ダボスから始まってIEF、ローマでの会議でもそうでありますし、あらゆるバイ会談でも言い続けました。最初は私一人が叫び続けているだけでありましたけれども、ようやっと世界中でその危機感を共有し得るような状況になってきたわけであります。  私は、これからOECD、OECDでもこの問題は議論をされます。これは、OECDでもこの問題を共有しようと思っておりますし、帰ってきましたら五か国エネルギー大臣会合あるいはG8エネルギー大臣会合があります。ここで青森宣言として発出をしたいというふうに考えております。  それは、今の油価が異常な高値だということをまず全参加国で認識をしたいと思っております。これに対してどう対処をしていくかということの手法についても認識を共有したいと思っております。  要は、産油国に増産をアメリカが働きかけましたけれども、サウジが三十万BD増産をするという声明を出しても市場が反応をしません。それはなぜ反応しないかというと、先物市場は将来タイトになるということを見越して値付けをしているわけであります。増産もさることながら、今は需給は間に合っているわけでありますから、生産能力を拡大をするということが本当は大事なんだと私は思います。  設備能力がここまでで、現実生産がこうであるとすると、これを引き上げていくと天井が近くなるだけでありまして、生産予備力というのはどんどん小さくなるだけであります。そうすると、将来はいずれこれにぶつかって、需要の方が供給をオーバーすると見越して先物は高値を付けるわけですから、生産、設備に対する投資をして余力を引き上げると。そうすると、今間に合っているし、将来も引き上げるだけの、天井を高くすることによって増産はいつでも対応できるということで、将来タイトになるであろうという見通しが和らぐということが大事なんだというふうに思っております。  IEAに対して、市場の透明性を確保するということでも資金を拠出して、金融関係者とエネルギー関係者との専門家の話合いもスタートさせたわけであります。日本として打てる手は打っているつもりでありますけれども、我々が持っている危機意識を産油国、消費国、すべての国が共有することによって市場が鎮静化してくる、それが唯一の道だというふうに思っておりまして、これからOECDの閣僚会議、それから五か国エネルギー大臣会議、それからG8エネルギー大臣会議に向けてしっかり認識を共有していこうというふうに思っております。
  14. 増子輝彦

    増子輝彦君 大臣の今の御答弁は過去にも何度かお聞きしました。その都度、大体同じようなお考えを表明されているんですね。しかし、残念ながら、世界の趨勢からいってもなかなかままならないというのが現状であります。  今具体的に行うことは、やはり大臣、例えばガソリンや軽油の価格を具体的に下げる、あるいはA重油やB重油の価格を下げる、その具体的な私は方策が必要なんだと思うんです。ですから、残念ながら、暫定税率、三分の二再議決でまたこれ今後続くことになりましたが、やはりこの際、大臣、一番具体的に分かりやすいのは、暫定税率を三か月なら三か月凍結をするという形の具体的な方法でやれば、取りあえず三か月間は、二十五円、十七円、これ下がるわけです。同じようにA重油やB重油も連動してくるでしょう。  特に、漁業関係者、農業関係者からすれば、全農、全漁連が一括購入をして都道府県のそれぞれの実は組織に流しているんですね。そうすると、結構まだ幅があるんです、ここの幅が。結構な利益を出しているんです。だから、漁業関係者も実は農業関係者も、その幅を全漁連や全農が一人で全部それを確保しないで、それを少し圧縮して我々漁業関係者、農業関係者にも分けてくれということを再三再四言っているんですが、一部は引下げといいますか、その全漁連や全農の幅というものが圧縮されているところもあるんですが、残念ながら全国で見ればそういうことはほぼなされていないと。  先日も外国で、漁業関係者が操業中止をして、もう死活問題だと、捕った魚を全部都市部に行って配ってくる、あるいは農業関係者も農機具を全部集めて国会周辺をデモをしたと、様々な世界での動きが出てまいりました。  そういう意味で、この国で今具体的にやることは、世界のいろんなかかわり合いのあるところに働きかけていろんなことを主張していくということだけではなかなか具体的に価格は下がらない。  ですから、私はもう一度大臣に是非お聞きをしたいと思うんですが、今できることは、一番手っ取り早く効果的で分かりやすいことは、暫定税率の三か月なら三か月の凍結という形での決定ができないのか、また大臣はそれを働きかける意思があるかないか、そのことをお聞かせ願いたいと思います。
  15. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 御承知でおっしゃっているんだと思いますが、三月なら三月下げても、結局は、その間その購入が安くなったということにしかならない、解決にはならないわけであります。今度上がるときの反動の方がもっと大きいと。それと、それによって税収が削減され、税収欠陥が起きる分は、その税を対象とした事業がなくなるわけでありますから、それに対してどう対処をするのかと。最終的には赤字国債を発行せよみたいな話になってしまうわけであります。  ここは、例えば石油エネルギーから他のエネルギーにエネルギー源をスイッチすること、実は、この委員会でもお話ししたかもしれませんけれども、ビニール栽培をしている事業者からの陳情に対して、ヒートポンプへの切替えということのNEDOの補助金を発動をいたしました。これでかなりの数のビニールハウス農業者がそれを導入しました。電気料金というのは原子力等が料金安定化を支えていますから、化石燃料の高騰の影響をダイレクトには受けていないわけでありますから、安定的にエネルギー確保ができるという感謝の意も表明をされたわけでありますが、そういう化石燃料以外のエネルギーにシフトしていくということも大胆に、農林漁業関係でありますから農水省がこれは主でありますけれども、そこはしっかり取り組んでもらうように我々からも要請をしているところであります。  暫定税率を下げることを働きかけるか、意思があるかどうかということに関してお答えすれば、その意思は私自身は持っておりません。
  16. 増子輝彦

    増子輝彦君 大臣、何度もその、農業関係者にヒートポンプの話も聞きました。しかし、それはごくごく一部なんですね。日本全体から見れば、まあやらないよりはやった方がましだというようなことにもなってしまうんでしょう。それはそれとしてやったということにも、そこで満足を得るんでしょう。しかし、暫定税率を仮に三か月間凍結しても大した金額じゃありませんよね。  例えば地域力再生機構をつくるといったとき、一兆六千億の政府保証をするということを打ち出して法案を出してきましたよね。暫定税率三か月間でも下がったら、具体的に日本中の国民が二十五円、軽油が十七円、あらゆる業界団体、国民生活にも大きな貢献があるんです。じゃ、財源はどうするんだと。大臣、だって、今予算でもいわゆる埋蔵金と言われるのが十一・七兆円も一般会計予算に入っているんですから、様々な形の中で、大したお金ではないでしょう、政府からすれば。そのぐらい私はやっていく価値はあるんだと思うんです。  今は緊急事態なんですよ、これ、大臣大臣、本当に末端のところに行ってくださいよ。業界団体、国民生活、あらゆるところが、この原油に対する危機感というのは今のような大臣認識ではないんです。大変な実は状況なんです、これは。  ですから、そういう財源の問題とか、三か月間で効果があるかどうか、その後の反動が大きいと言うかもしれませんが、取りあえず三か月という一つの期限の中でやっていくことによってまた世界のこの原油の動きも変わってくるかもしれません。それは下がるかもしれません。また上がるかもしれません。しかし、今緊急で、それぞれの国民経済産業界の状況ということは大変なことなんです、大臣。そこをもう少し私は認識をしてほしいなと、そんな思いを持っておりますので、是非御検討いただくことは私は価値があると思っております。  時間が大分限られてきましたので、次の質問に入りたいと思います。  中小企業を取り巻く環境は極めて今、先ほど来申し上げているとおり、深刻なんです。特に今、一部金融機関では引きはがし、貸し渋りも出てきたということも具体的にあります。売上げが伸びない、収益は出ない、倒産件数もどんどんどんどん増えてくる、もう本当に大変な状況だと思います。そういう中で、中小企業の現状はどうかという質問をしても多分返ってくる答えはいつものことと同じなのでここの質問についてはいたしませんけれども、とにかく大変であるという状況は、原油高、そしてサブプライムローンの問題に発しての金融機関の様々な問題等もあり、極めて深刻な状況であるということを是非、今まで以上に強く認識をしていただきたいと思うんです。  そういう中で、経済産業省が中心となって様々な政策制度、いろんな金融政策をやっておるわけであります。順序変えますけれども、今回のこの中小三法、金融三法の中で、売掛金債権の回収ということで大きな決断をされたということになっておりますが、実は過去に類似のものがあるんですね。ですから、私は今回の三法はどのような効果を発揮するのかという質問もしたいんですが、まあこれも大体答弁は分かっておりますので結構なんですが、むしろ今回の中小企業三法について、今回と同じような関係であります平成十三年に作られた売掛金債権担保融資保証制度が創設されました。昨年に、流動資産担保融資保証制度へ改組されました。現在、累計で約一兆四千億の融資が行われているということなんです、これは。売掛金債権を担保にして、金融機関がそれを、融資をするということなんです。今回は担保ではなくて現金化をするということ、つまり実質的には余り違わないんですが、この違いは一体どこにあるのか、まずお聞かせ願いたいと思います。
  17. 甘利明

    国務大臣甘利明君) もうお話にもありますが、一言で言えば、融資か現金化かの違い、つまり、返さなきゃならないお金か売掛債権と現金と交換できる手形の割引みたいなことができるということの違いであります。御指摘のように、平成十三年の十二月にこの売掛債権担保融資制度というのが創設をしたわけでありまして、十九年八月には在庫担保というものを加えまして、二つを併せまして流動資産担保融資保証制度というふうに名称を変更したわけであります。  今申し上げましたように、片や融資であり、今回のものは売掛債権を期日より前に現金化をして自己資金を得るという新しい資金調達方法でありまして。最近手形が減ってきました。手形が減ってきて全部現金決済で行われるということは、一つは早く現金が手に入るということにもなると思いますが、実際、物が納入されてからそのお金が支払われるまでの間、最大六十日間あるわけであります。言ってみれば、六十日の手形をもらっているのと同じ、しかし現金化ができないということになっている、割引ができないということになっていますから、これを事実上、手形割引と同じようなことが売掛債権についてその六十日より前にできるようにするということであります。  いろいろな、資金調達のニーズにいろんなツールを作って対応するということで取り組んでいるところであります。
  18. 増子輝彦

    増子輝彦君 大臣ね、この担保を現金化すると、流動資産担保融資保証制度、これも保証協会付けなんですよ。保証協会が保証すれば、実はお金、いわゆる現金化なるんですね。  今回も同じように、一括で保証協会、プール型で中小公庫なんですね。売掛金という形です。それはもちろん手形がどんどんどんどん少なくなっているんです。売掛金が発生するんです。ただ、企業から言わせますと、この担保を現金化するということの従来のスキーム、方法と今回の売掛金を現金化するということ、実質的には何も違いないんですよ。みんなそういう認識を持っているんです。  私も随分、この法案が出るというときから、中小企業者にもこういうことが今度行われるよと言いますと、金融機関の方にもう既にそういう形で保証協会付けでやってもらっているんだと、担保にして、売掛金を、何で同じものつくるんだという声、結構あるんですよ。  それから、金融機関に言わせますと、実はこれはなかなか、担保といってもやるところとやらないところがあるんですが、当初、この担保の現金化といいますか、流動資産のこの保証制度ですが、どのぐらい現金化なるというふうに、これが使われるというふうに思っておられたのか。そして今回、売掛金債権の現金化を一括型とプール型にしますと、どのぐらいのものが大体予想されるのか、そこのところをちょっと教えていただけませんか。
  19. 福水健文

    政府参考人福水健文君) お答え申し上げます。  十三年につくりましたこの融資制度でございますが、これをつくった当初で一兆五千億から二兆円ぐらい、当面目標にしてやっていこうということで、現在六年終わりましたけれども、一兆四千億円程度の規模になってきておるという実態でございます。  それで、今回、先ほど大臣答弁申し上げましたように、借金ではなくて今度いわゆる自己資金になっていくわけでございますが、それについても需要が相当既にいろいろなところでやられておりまして、これを保証を付けることによって更に日本全体で加速できるんじゃないかというふうなニーズもありまして、それを受けまして今回の制度の提案になっているわけでございます。  これにつきましては、現在、この売掛債権の一括の方で約、日本全体で五兆円ぐらいの金額がございます。ただし、この五兆円というのは、支払側の企業の信用力といいますか、がしっかりしているところに限られておりまして、ほとんどが中堅企業以上の大企業で行われているというふうな実態がございます。  したがいまして、私どもは、今回の制度をつくることによりまして、この融資制度と同等程度の規模になるように制度設計しながら、周知、広報しながら進めていければというふうに考えておるところでございます。
  20. 増子輝彦

    増子輝彦君 お答えがないんですが、今回の新しいこの仕組みでいくとどのぐらいの利用が予測されるかということをお聞きしたんですが、お答えがありません。まあいいです、いいです。担保融資保証制度は大体予想どおりだという話ですね、少し少ないですけどね、大体同じなんでしょう。  保証融資制度、これ保証協会が付けますから、相手企業が倒産しても、実際は担保融資ですから何の影響もないんですね、それを受けた企業にとっては。今回も同じなんですけれども、問題は、今回のスキームの中で、支払企業、今長官おっしゃったとおり、割と堅実でしっかりとしたところですよね。そこにわざわざ保証協会付けとか中小公庫付けすると、その分の金利が掛かるわけですよ。掛かりますよね。それはどのぐらいの料率か分かりませんが、安全な支払企業との取引の中で、そんなに無理して金利を、今これだけ厳しい経済環境で金利負担も大きい中で、保証協会に対する金利とか中小公庫に対する金利とか、やる必要がないという企業は圧倒的に多いですよ。相手が危ない会社なら、支払する企業が危ない会社ならば、それは保証協会付け、中小公庫付けは非常にセーフティーネットでいいですよね。ところが、大体、大丈夫な企業に対してわざわざ保証協会付け、中小公庫付けの金利を払うという企業は私は少ないんではないのかなというような気がしているんですよ。ただ、ないよりはましだといえばそれっきりなんですけれども。  だから、ここでどのぐらいの実は、大体見込みとしてあるんだと思うんです。どのぐらいの利用があって、事故率がどのぐらいで、回収率がどのぐらいかということの予測は当然していますよね。それをちょっと教えてください。
  21. 福水健文

    政府参考人福水健文君) お答え申し上げます。  支払企業一社につきまして、それに中小企業、納入企業の方でございますが、こういう納入企業が数百つながっております。したがいまして、一社を対象とすることによって関係される、現金化される中小企業の方は非常にたくさんの数になっていくというところでございます。  先ほど申し上げましたように、信用力のあるところで五兆円ぐらいの既に実態があるわけでございますが、ここに保険を付けることによって、今までは少し問題があるような支払企業につきましても対象になる、現金化の対象になるというふうなことにすれば、そういう支払企業一社することによって、たくさんのそこに関係する中小企業が早期現金化の対象になってくるということで考えているところでございます。  それから金額につきましては、先ほどお答えしたつもりだったんですが、舌足らずで申し訳ございません。金額的には、現在中小企業関係で、その五兆円のうち二千億円ぐらいが中小企業の支払になっているんじゃないかというアンケートの結果でございますが、これを先ほど申しましたように、融資でやっている一兆四千億という数字がありますが、これに早く見合うような金額までこの制度を運営していくというのが私どもの現在の目標、意識でございます。
  22. 増子輝彦

    増子輝彦君 できればたくさん利用していただくといいですよね、せっかくつくった制度ですからね。でも、私はなかなかそう簡単ではないような気がしているんですが、いずれにしても、これを進めていくということであれば、しからば優良な支払企業ということの選定が必要になってまいりますね、両方とも。その要件を満たす中小企業の要件というものはどういう要件を有するのかということをお聞かせ願いたいと思います。
  23. 岩井良行

    政府参考人岩井良行君) お答え申し上げます。  今回の中小企業信用保険法改正によりまして新設する保証制度でございますけれども、通常の保証制度と同様でございまして、その制度の利用を希望する支払企業そのものにつきまして、金融機関と信用保証協会が審査を行いまして選定をするということになろうかと思います。  その際、ある程度の支払の企業を抱えているというような便宜がございませんとその一括支払型を採用するということにもなりませんので、当然その採用される企業といいますのは今申し上げたようなある程度幅広い取引先を抱えているという企業になろうかと思いますけれども、先ほど長官から御答弁申し上げましたように、大企業であればそこのところのリスクが自分で取れるのだけれども、中小企業であるがゆえにそのリスクが取り切れていないと。したがって、多数の取引先を抱えているけれども、大企業と同じような一括型の取引形態に入れていないというようなところが対象になろうかと思います。ただ、具体的にやるに当たりましては、個別の企業につきまして保証協会等が審査をした上で決めさせていただくということになろうかと思います。
  24. 増子輝彦

    増子輝彦君 それでは、この法案が成立して実行されてきたと。事故率はどのぐらい見ていますか。
  25. 岩井良行

    政府参考人岩井良行君) 今手元にきちんとした数字は持ち合わせてございません。後ほど御報告したいと思いますけれども、先ほど来御質問をいただいております、既に行っております売掛金債権を担保として行う融資というようなものにつきまして実績がございます。その実績等も勘案をして、先ほど御質問がございましたような最終的な保険料、保証料に反映していくようなシステムとして具体的に設定していくことになろうかと思いますが、申し訳ございませんが、今申し上げました融資につきましてのデータは今持ち合わせてございませんので、後ほど御報告をさせていただければと思います。
  26. 増子輝彦

    増子輝彦君 多分、私は事故率は極めて低くなるんだと思うんですよ。やっぱり選定する対象となる企業かなり信用度の高い、いい企業だと思うんですね。担保の場合はもうちょっと事故率が高いのかなと思っているんですが。  いずれにしても、この制度が有効かつ中小企業に本当に良かったなと言われるように使い勝手のいいものにしていかないと私は何にもならないと思うんです。大変失礼な表現になりますが、屋上屋を重ねるようなことになってしまったんでは何の意味もないんだろうなというふうに思っております。  そこで、もう一つお聞きしたいのは、万が一これ事故が起きた場合に政府保証というのをお考えになっているんだと思うんですが、その政府保証の大体枠といいますか限度といいますか、それはどのぐらいのことを想定しているんですか。
  27. 岩井良行

    政府参考人岩井良行君) お答え申し上げます。  先ほども御答弁申し上げましたけれども、一括支払契約を結ぶ中小企業に対して信用保証協会が保証をするということでございまして、その背景に中小企業金融公庫が保険という形でこれのバックアップをするという仕組みでございます。その保険の比率でございますけれども、これを七〇%保険で取らせていただくという形で設計をすることとしてございます。その際、一件当たりどれぐらいの金額を想定するかということでございますけれども、これで一括型の保険は十億円というものを受けさせていただくということでございます。  これがそういう保証の形になりますので、保証を保険する保険制度の総枠としては、このために幾らという金額を特別に切り出しているわけではございませんで、ほかの保証に対する保険と同様に、総枠の中で管理をしていくという制度考えてございます。
  28. 増子輝彦

    増子輝彦君 それではもう一点お聞きしますが、保証協会についてはかつては一〇〇%の保証ということでございましたけれども、金融機関との共有責任体制というものが取られるようになって、八〇%保証協会、二〇%金融機関ということになっておりますけれども、この責任共有制度といいますか、これについては極めて、良かったのかどうか分かりませんが、逆に、これによって金融機関が大分貸し渋りとかそういったものに進んでいるという形の数字も出ているんですが、この保証協会の共有責任ということについてどのように今お考えになっていますか、中小企業に対する影響というものを。
  29. 福水健文

    政府参考人福水健文君) お答え申し上げます。  責任共有制度につきましては昨年の十月に導入したということで、金融機関の方に積極的な経営支援を促すという趣旨で導入したものでございます。導入と同時に小規模企業につきましては配慮をしておりまして、引き続き一〇〇%保証が適用される例外を設けると、こういうふうなことで激変緩和の措置も講じながら進めてきているところでございます。  十月に導入いたしましてから半年でございますが、まず、昨年十月導入後、全国の保証協会とか経済産業局の方に相談窓口をつくらせていただきまして、特に十、十一、十二、動向を注視してまいってきております。その間に技術的な問い合わせ等はありましたが大きな問い合わせはなく、責任共有制度の導入に大きな混乱が生じているというふうには承知してないところでございます。  それから一方、実績の方も出てきておりますので実績の方を申し上げますと、全国の保証協会によります平成十九年度末の保証債務残高につきましては、対前年同期比で一〇〇・三%と、あるいは前々年同期比でいきますと一〇二・〇%ということで、過去二年とほぼ同水準で債務保証が、保証制度がされてきておるというふうな状況、実績を踏まえまして、基本的にはこの責任共有制度が円滑に導入されているんではないかというふうに思っております。  ただ、いずれにいたしましても、委員御指摘のとおり中小企業にとりまして円滑な資金調達、供給、命綱でございますので、引き続き中小企業の資金繰りの状況を十分見ながら対応してまいりたいというふうに考えてございます。
  30. 増子輝彦

    増子輝彦君 是非、いい制度をつくったんだけれども、本当に、先ほど来申し上げているとおり、余り利用されなかったということでは何にもなりませんので、是非、保証協会そのものの在り方については、藤末議員からも今後、これからの質問でいろいろあると思いますのでお譲りしますが、是非しっかりと中小企業に目配りをしながら、きめの細かい融資制度をしていただきたいと思っているんです。  そういう中で、実は、平成十年度に、あれは十三年か、例の金融安定化特別保証制度、平成十年ですね、行われて、約、総額、三年にわたって三十兆円の保証枠をつくってやりました。私はあれは非常に実は効果があったと思うんです。今現在も二兆一千億ぐらいのまだ代位弁済金額があって、それの回収ということがなかなかままならないというような状況にあるんですが、総額二十八兆九千億も融資実行が行われたということの中で、これまさに事故率は大体予想どおりだったようですね、事故率については。ですから、大いに私は中小企業に対しても効果があったと思っております。  私は、むしろ今、先ほどの原油対策の話もそうなんですが、こういう、金利政策だとか融資政策も、金利の問題はいいんですが、具体的に価格を下げる、お金を本当に無担保無保証で使わせてもらうというような保証額が多い方が実は中小企業には大変効果があると思うんです。是非、緊急経済対策ということになれば、またこういったことも将来に向けていろいろと検討していってほしいなということを一つ申し上げておきたいと思っています。  と同時に、この金融安定化特別保証制度の中で今まだ回収されていない部分がかなりありますよね。この回収については今後どういう形の中で回収をされていかれるのか、見解、お願い申し上げます。
  31. 福水健文

    政府参考人福水健文君) お答え申し上げます。  回収についてのお尋ねでございますが、回収につきましては二つの方法を取ってございます。まず一点目は、それぞれの保証協会が自ら回収を行うケース。それから二つ目は、全国の保証協会が、いわゆる保証協会サービサーということで回収の専門の株式会社をつくってございます、そこに保証協会が委託して債権の管理、回収を行うケース。この二つの体制で行ってきております。  委員御指摘ありましたように、この特別保証制度の代位弁済額、約二兆五千億円でございますが、現時点では三千六百億円が回収されておりまして、御指摘ありましたように二兆一千億円程度がまだ残っておるというふうなことでございます。先ほど申し上げましたように、保証協会とこの保証協会がつくりましたサービサーにおきまして引き続きこの回収に努めていきたいというふうに考えてございます。
  32. 増子輝彦

    増子輝彦君 これはエンドレスに回収を図るんですか、二兆一千億の、この回収は。
  33. 福水健文

    政府参考人福水健文君) お答え申し上げます。  債権者の破産でございますとか、あるいは行方不明等、そういうことになりまして回収が困難になりました債権につきましては信用保証協会の求償権残高から控除されるというふうなことで、いわゆる償却といいますか、なくなっていっているのが現実でございます。
  34. 増子輝彦

    増子輝彦君 大臣、なぜ私今この質問をしたかと申しますと、先ほどの原油対策なんですよ。結局、中小企業にとってこの平成十年から三年間行われた特別保証制度というのは極めて有効だったんですよ。しかし、結果として、予測された事故率の中でそれが発生をした。しかし、回収率は極めて予想以上に悪いんですよ。本当に悪いんです。今二兆一千億ぐらい未回収と。これ場合によっては、多分、償却して回収できませんよね、長官は言いませんけれども。  この二兆一千億、確かに大きな金額ですよ。だけど、私は、ある意味では原油対策ということになれば、政府がやる気になればできるんですよ、これ。これだけのことをやったんですから、平成十年から三年間にかけて。ですから、今原油対策のことについてはやっぱり緊急に、具体的に何らかの形で、これは期限限定でも私は取りあえずはいいと思うんですよ。  ですから、そういう形の中で政府がやるべきことは、低利の融資だとかいわゆる貸したお金の繰延べということも、ないよりはいいでしょう。確かに、中小企業庁としてもこれを大きな柱としていることも分かっていますが、やっぱり中小企業というのはなかなか体力も弱いし、お金も融資も受けられないし、そして下請としていわゆる元請にその価格の転嫁もできないし、極めて弱い立場にあるんです。これはいいかどうか分かりませんが、いわゆる貸金業法が改正されたことによって、一般金融機関やいわゆる政府系の融資が受けられないところは最後の逃げどころとして実は貸金業のところ、いわゆるノンバンク系に高い金利を払っても行かざるを得ないということも、事実それなりのことの効果もあったと思うんです。今なかなかここも利用されない状況になってきているんですね。  だから、本当に、それこそ日本企業の九九%は中小企業、そのうちの七五%は五千万以下、二十人以下の社員の小規模零細企業なんですよ。ここに対する対策を、今度の売掛金回収、債権回収も私はいいと思うんです。前につくった担保融資制度もいいと思うんです。それらを多面的に活用しながら、中小企業も自助努力をしながら頑張っていくけれども、しかし自助努力でどうしようもない部分、特に今は何といってもこれ原油高なんですよね。ですから、大臣、先ほど私はやる気がないとおっしゃいましたけれども、具体的な形の中で原油が引き下げられるようなものを是非、この政府保証の特別保証制度三十兆円をやったという経験があるわけですから、何らかの形で是非具体的にここを含めてやっていただきたいなと。  中小企業は本当に瀕死の重症です。最後に、大臣、一言その決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
  35. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 正確に申し上げますと、私が提案するつもりがないと申し上げましたのは、暫定税率をもう一度期限を切って廃止するという法案の提案をするつもりは政府の一員としてないと申し上げたわけであります。  中小企業対策については日々いろいろその考えをめぐらせておりまして、抜本対策、この中小企業原油高対策への影響についてでありますが、抜本対策と対症療法といい知恵があればと思っていろいろ考えているところであります。  当面、あしたからの会合、今週ある会合において関係国がすべて協調してメッセージが発信できるように全力で取り組んでまいります。
  36. 増子輝彦

    増子輝彦君 ありがとうございました。  通告した質問を余りできませんで申し訳ありませんでした。御準備ありがとうございました。  あとは藤末委員の方にお引き受け願って、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  37. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党の藤末健三でございます。  本日は中小企業三法の質疑をさせていただきたいと思います。  私は、中小企業政策におきまして金融は非常に重要な政策だと思っております。このたび、この中小企業三法の改正に当たりましては、関係された方々の御努力を本当に感謝申し上げたいと思います。  しかしながら、今この中小企業状況を見ますと、先ほど増子委員からもお話がございましたように、まずは原油高、あと原料高の問題、そしてもう一つございますのは、まだ拡大するだろうと言われているサブプライムの問題、金融の問題、そしてまだ回復していない改正建築基準法の影響ということでございまして、中小企業の現状というのは非常に厳しくなっているというふうに考えます。  実際に統計を見ますと、二〇〇七年の倒産率は前年比で約五%以上伸びている状況でございますし、中小企業の数も四月の速報を見ますと五パーぐらい減っているという状況でございます。二〇〇八年に入ってからの速報などを見ますと、小規模企業の倒産は何か四割ぐらいにも増えているというようなデータもございまして、これからこの中小企業を取り巻く環境は本当に厳しくなってくるんではないかというふうに考えております。そういう中でこの中小企業金融三法の改正を行っていただいたわけでございますが、まだまだやるべき点は多く残されているんではないかと思っております。  本日、私は三つのポイントから御質問申し上げたいと思います。  まず一つ目は、先ほど増子議員からもお話がございました保証協会の問題。この中小企業金融におきまして、この信用保証協会というのは大きな位置付けがございます。ただ、この保証協会の問題は、昨年も私この経済産業委員会で議論をさせていただきましたが、やはりまだまだガバナンスと申しますか、経営の在り方自体に課題があるんではないかというふうに考えております。その点を一つ申し上げたいと思います。  次にございますのは地方の問題。実際にこの中小企業の問題を見ますと、地方における倒産件数が非常に増えているという状況でございまして、原油高、原料高、サブプライムローンの問題、建築基準法の改正といった影響が特にこの地方の経済に大きな影響を与えているという状況でございます。そのような中で地方の金融システムがどうあるべきかという議論を、これ特に金融庁の方々と議論をさせていただきたいと思います。  そして最後にございますのは、長期的に見た場合、中小企業の金融の在り方、私は大きく変えなきゃいけないと思っております。今、中小企業の資金の調達を見ますと、規模が小さい企業であればあるほど融資、銀行等からの借入れに頼っているという状況でございまして、自分の資本力というのは非常に低い状況になっている。なぜ資本力が低いかというと、銀行の貸出しといったもの以外の直接金融、株式市場から資金の調達をする、またエクイティーを発行して資金を調達するといった資金の調達手段が非常に限られている状況にございます。このような中小企業の資金の調達の多様化ということを今進めなければ、中小企業はこれからどんどんどんどん数を減らしていくということになりかねないんではないかと思っておりますので、その中小企業金融の多様化ということをお話しさせていただきたいと思います。  まず、保証協会の件でございますけれど、先ほど申し上げましたように、昨年のこの経済産業委員会におきましても、この信用保証協会、各地方に五十二協会がございますけれど、その経営の公開、透明性の確保につきまして行うべきではないかと御指摘させていただきましたが、その後どのような対応があったかを確認させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  38. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 信用保証協会の経営情報につきましては、まず、平成十八年度以来、経営計画の公表を指導してきておりまして、すべての信用保証協会の経営計画が公表をされております。また、財務諸表の公表についてでありますけれども、これまで各信用保証協会が自主的に対応してきたところでありますけれども、今般は、信用保証協会の経営の透明性をより一層高めるために、すべての信用保証協会に対しまして、決算確定後に速やかに財務諸表を公表するよう指導を徹底することとしたわけであります。  信用保証協会のガバナンスを向上させていく上で透明性の確保は重要であると認識をしておりまして、今後とも、各信用保証協会の適切な取組を促してまいる所存であります。  確かに、経営状況、ガバナンスとかなり連動していると思います。今まではガバナンスの差がかなり保証協会間であったんではないかと思っておりますので、質のいいところにすべての水準を合わせるようにしっかりと指導していきたいというふうに思っております。
  39. 藤末健三

    ○藤末健三君 ガバナンスの強化の前に、実際にこの財務諸表を公開されている協会というのはどのくらいあるかというのをちょっと、もし中企庁の方、分かる方、教えていただけませんでしょうか。
  40. 福水健文

    政府参考人福水健文君) お答え申し上げます。  五十二協会のうち四十八が公表をしておるということでございます。
  41. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非とも残り四つも公開をするようにしていただきたいと思いますし、また財務データの公開も、先ほど大臣からお答えいただきましたように、各協会で相当違う、レベルが違うような状況でございますので、やはり協会ごときちんとしたものを徹底して公開していただきたいと思います。  これは、もう一つ申し上げますのは、やはり協会が財務状況を公表しないで来たこと自体が私は異常だと思うんですよ。先ほども御指摘いただきましたように、二兆一千億円ものこれは公費を結局は使う話になりまして、やったことはすばらしい、中小企業の問題点を支えていくということでは非常に重要な役割を果たしているとは思うんですが、重要な役割を果たしているこの保証協会が財務状況を完全に公開できていないこと自体が私は問題だと思うんですけれども、長官、いかがですか。
  42. 福水健文

    政府参考人福水健文君) お答え申し上げます。  先ほど四十八と申し上げましたが、十二月、昨年の十二月時点で四十八が公開しておりまして、四件が未公表であったというようなことでございます。  昨年のこの委員会で藤末委員と議論させていただきまして、そういうことも踏まえて、先月でございますか、全国の五十二の協会に対しまして財務諸表等々を公表をするようにというふうな対応も取っていまして、引き続き、この四件はもちろんですが、全般的にこのガバナンス、状況がオープンになるような、そういう指導を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
  43. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非徹底してやっていただきたいと思うんです、これは。正直申し上げて、保証協会というのは地域の中小企業の金融にとってはすごく大事なもの、その保証協会の財務が公開されてなかった、去年時点でされてなかったこと自体にびっくりしたんですけれども、一年たってもまだされていないと、四つも残っているというのは私は異常だと思いますよ、それは。公器ですもん、これ、はっきり言って。なぜ公器たる協会の財務状況が公開されていないのかと。  私は、正直申し上げてこの法律信用保証協会法を読んで思うのは、やはり私は改正すべきだと思うんです、これは。なぜ改正しなきゃいけないかというと、主務大臣のコントロールが利かないんですよ、これ、今の法律では。皆さん読んでください。これできたのが昭和二十八年。何条あるか、四十二条。ほとんど中身ないんですよ、外郭だけ。  例えば何が外郭かといいますと、一つあるのは、私、皆さんのお手元に資料を配らさせていただいていますけれども、信用保証協会の役員、どれだけ、どういう方が着任されているかというのをちょっと調べさせていただきました。トップを見ますと、会長や理事長は五十二協会のうち四十九協会が地方自治体の方、調べますと、副知事をされた方、出納長をされた方、そういう方々がなされている。何と九四・二%が地方自治体の方々であるという状況。あと、専務理事、実際に事務をつかさどる専務理事の方を見ますと、何と二十八人が地方自治体から来られた方であると。それ自体を否定するわけではございませんけれども、やはりガバナンスという意味では、例えばこれ見ていただきたいのは、二百四十六人、五十二協会の役員数を全部合わせると二百四十六人でございますけれども、何と金融機関の経験者は十九人しかいない。一割以下です、これ。八%ぐらいという状況です、これは。  なぜこういうことが起きるかということを考えますと、これは皆様にも見ていただきたいんですけれども、この役員の任命の仕組みはどうやって決まっているかというと、まず一つ法律ではありません。法律じゃない。じゃ、法律じゃなければ政令、省令で決まっているかというと、そうでもないんですね。  どういうふうに決まっているかと申しますと、二ページ目にございますが、何と信用保証協会の定款で決まっている。調べてみますと、ほとんど同じ、信用保証協会は、焼き写したように信用保証協会が発行されているこのガイドラインみたいなものに基づきまして、ほとんど皆同じ定款を持っていると。その定款の、もう皆一緒です、大体。十条、十一条にございますように、定款の大体十一条にございますように、ほぼ信用保証協会の役員、理事及び監事の任命は学識経験者のうちから県知事若しくは市長が任命するとなっていると。信用保証協会の任命権者は県知事若しくは市長という状況になっています、これはすべてそう。それがどういうふうに決まっているかというと、法律でもない、これは独自に協会が作った定款だけで決まっているという状況でございまして、これで本当にガバナンスとしていいかどうかということが大きな問題と思いますが、大臣、この点についていかがですか、ガバナンスの問題。
  44. 甘利明

    国務大臣甘利明君) いかなる機関もしっかりとした外部からのチェックが働くような仕組みになっていなければならないと思いますし、内々でなあなあの体制で行われるような組織、仮にそんなものであったとしたら、それはまさにガバナンスの点では極めてその能力は低いというふうに考えざるを得ないと思っております。
  45. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非ともお願いがございますのは、このガバナンスシステムをちゃんとしていただきたいなということでございまして、これは定款に任せる限り、定款は協会が独自に変更できるわけですよ、これ。先ほど二兆一千億円の焦げ付き、焦げ付きといいますか回収不能な額が出てきましたと。じゃ、将来的に二兆一千億円、例えば特別枠をつくったときの二兆一千億円がもしすべて償却しなきゃいけない、損失に変わらなきゃいけないといったときに、だれが責任を取るかという話です、これは。ちょっと済みません、質問が少しずれますけれども、だれが責任を取るか、はっきりさせてください。長官、いかがですか、これは。
  46. 福水健文

    政府参考人福水健文君) お答え申し上げます。  先ほど増子委員に御答弁申し上げましたが、現在二つ、協会とサービサーの方向で回収いたしております。回収し切れないものにつきましては、先ほど申し上げましたように控除をしておるという、そんな状況でございます。
  47. 藤末健三

    ○藤末健三君 結局その最終的な負担国民が負うんですかね。違いますか。それ以外の方ですか。それだけお答えください。
  48. 福水健文

    政府参考人福水健文君) お答え申し上げます。  最終的には、この保証につきましては保険でカバーしておるということでございます。保険につきましては、現在、中小公庫が運営しておりますが、そこには財政支援措置を講じておりまして、そういうことになろうかと思います。
  49. 藤末健三

    ○藤末健三君 結局は、ですから保険で賄えないところは国が負担する、国の負担イコール国民負担考えていいわけですね。ちょっとイエスかノーかだけお願いします。
  50. 福水健文

    政府参考人福水健文君) お答え申し上げます。  委員のおっしゃるとおりだと思います。
  51. 藤末健三

    ○藤末健三君 公器である上、結局最終的な負担国民に行ってしまうということはもう事実ですね。その中において、ガバナンス、この保証協会で問題が起きましたと、本当に責任はだれが取るんですかという話なんですよ。だれが取られるんですか。任命権者である県知事が取るのかという話。法的には取れません、多分、これは。じゃ、だれが取るんですか、これは。長官、お願いします。
  52. 福水健文

    政府参考人福水健文君) お答え申し上げます。  保証協会でいろんな事象が起こった場合に、その事象の原因がどういうことかというふうなことによっていろいろ状況があろうかと思います。
  53. 藤末健三

    ○藤末健三君 法的には、これはたしか十八条ですね、一義的には役員が連帯責任ですよね、それも多分有限じゃなくて無限のはずです、これは、法的には。その理解でよろしいですか。
  54. 岩井良行

    政府参考人岩井良行君) お答え申し上げます。  信用保証協会の役員につきましての規定は、今御指摘がございましたように、信用保証協会法第十八条に定めがございます。具体的には、役員がその任務を怠ったときには、その役員が協会に対して連帯して損害賠償の責めに任ずるということ、役員がその職務を行うに当たって悪意又は重大な過失があったときに、何か被害が出ている場合には第三者に対してその損害賠償の責めに任じなければならないということが規定されているわけでございます。  その責任の範囲につきまして、それを有限に限定をするというような明示的な規定は御指摘のとおり法律上は書かれておりませんので、今申し上げました役員のなしました行為、損害というものを見据えまして、その間にある因果関係がある範囲において請求がされ得るということを法律制度として決めさせていただいているということになろうかと思います。
  55. 藤末健三

    ○藤末健三君 実際に調べますと、過去三年とか四年見ますと、刑事事件起きているんですよね、詐欺みたいなものが。で、見破れないものがありましたとか。いろんな問題、不的確な保証額を提示していることがあると思うんですよ。  じゃ、それがもし起きたときに、だれがチェックし、その協会の役員に対して責務を負わせるかというのはだれがされることになるんですかね、そうすると。お願いします、それ。
  56. 岩井良行

    政府参考人岩井良行君) 今申し上げましたように、役員は、法十八条におきまして、その任務の遂行につきまして、仮にその任務を怠った場合に損害が出た場合の損害賠償の責任を負うということが規定されてございます。その責任の負い方につきましては、民法の適用がございますので、善良な管理者としての責任というものがあるということが当てはまることになろうかと思います。したがいまして、そこで言うような善良な管理者としての責任を全うできていないということがあれば、役員は連帯して協会に対して損害賠償の責任を負うというのがこの法律の定めでございます。
  57. 藤末健三

    ○藤末健三君 銀行は株式会社化していますので、例えば銀行で背任行為が起きましたと、そのとき銀行の経営者は訴えられたわけですよ、数十億円近いお金を。じゃ、これはだれですか。銀行であれば株主が訴えることができます。じゃ、これはだれが訴えるんですか、問題が起きた場合に。
  58. 岩井良行

    政府参考人岩井良行君) 累次御答弁申し上げておりますように、この法律は役員が協会に対して負う責任を定めておりますので、仮に今おっしゃったような背任その他役員がその任務を怠って損害が発生している場合は、協会がその役員に対して責任を問うということになろうかと思います。
  59. 藤末健三

    ○藤末健三君 協会がということをおっしゃいますけど、協会のだれかということですよ。役員は監査役というか、この監事が監査役だと思うんですよ、民間企業で言うところの。その監査役も含めてすべてが県知事か市長の任命でやるという状況、同じ人間が、任命した人間が、お互いに監視し合うという仕組みは多分あり得ないと思いますよ、これ。  いかがですか。企業であれば外部委員会をつくり、外部委員会にチェックさせているわけじゃないですか。それぞれ任命権者を変えているんですよ、企業は。ガバナンスのために、それぞれ互いにチェックし合うように。それがまずない。まずありません。互いに役員間がチェックし合うシステムもない。役員は県知事か市長という全く責任を負わない人間が任命をしているという状況。それと同時に、この任命された役員は、法上は、十八条上責任を負わなきゃいけない。じゃ、だれが責任を追及するかが全く明確じゃない状況じゃないですか。それでいいんですか。  いや、私は、変えていただきたいんですよ。この法律の解釈はいいですよ。中小企業庁、経済産業省が、主務大臣が責任を持って変えていただかなければガバナンスは回復しないと思いますが、いかがですか、その点。
  60. 岩井良行

    政府参考人岩井良行君) お答え申し上げます。  協会というのはだれを指すのかというお問い合わせでございますけれども、この場合は監事という役割の者がその責めを負うということになろうかと思います。この監事の任命権はだれにあるかといいますと、そこは役員の一部でございますので、定款上地方公共団体の長になっているという仕組みは御指摘のとおりだろうと思います。ただ、監事は信用保証協会の業務運営の適正化を図る上で極めて重要な役職であるということで、常勤化を進めていく等々のやり方一つ大きくあろうかと思います。  またさらに、そういった役員の働き方が十分なされているかどうかということをどのように外部的にチェックをするかという意味におきましては、委員からも御指摘をいただいたことがあるわけでございますけれども、外部の評価委員会というものを機能させるということも一つやり方であろうと考えておりまして、各信用保証協会において策定、実施しているコンプライアンス関連法規の遵守、あるいはこれを確保するための体制及び運営についての評価といったことを外部委員会の皆さんにやっていただくという方向でコンプライアンスの強化に努めているところでございます。
  61. 藤末健三

    ○藤末健三君 監事がチェック機能を持つということは、非常にもう文字どおりだと思うんですよ。ただ、申し上げていますように、監査を行う人間、そして経営の責任を行う人間が同じ任命権者から任命されているというのがまず一つありますよね、問題は。そして、任命権者はだれかというと、県知事であり市長さんであると。その方々は協会に発生した問題について何らの責任を負える立場にないじゃないですか。株主であれば、出した株の分だけ利益が減るわけですよ。県知事と市長は何があるか、彼らに対して。任命だけしてあとは知りませんよって可能じゃないですか。  ということで、これは本当に、もうまずこの定款という非常にあいまいもことした、これは協会が自分で変えられるんですよ、これ。こういうものでガバナンスを決めていること自体が問題だし、そして決められているものが、協会の人たちが自由に何でもできるような仕組みになっているということが大きな問題だと私は思います、これは。その点いかがですか。財務諸表を発表しなきゃまずいんじゃないですかという話を私が一年前に申し上げて、まだ四つの協会がされていないという状況。公器ですよ、協会は、法律で定められた組織ですもの。それがそれでいいかどうかということについて、ちょっと明確な答えを下さい、お願いします。
  62. 岩井良行

    政府参考人岩井良行君) 法令上の仕組みにつきましてまず御説明を申し上げます。  定款そのものでございますけれども、定款そのものは、御指摘のとおり、それぞれの保証協会が自ら定めるものでございますけれども、その定款を定めようとするときあるいは変更しようとするという場合は大臣の認可をするという仕組みでございまして、全く独自に定款の制定ができているという仕組みではないということを法律制度説明として追加をさせていただきます。
  63. 藤末健三

    ○藤末健三君 済みません、それ三十三条の話で、私知っています、それは、大臣が認可されたの。じゃ、こういういいかげんな定款を、任命された大臣が責任取るということをおっしゃりたいんですか、そうしますと。これいいかげんですよ、きっと、正直申しまして。素人の私が見てもいいかげんですよ。これ、もし公認会計士か何かが見たら、多分目玉飛び出ますよ、きっと。という状況じゃないかと思うんです、私は。  それで、これは大臣に、いや大臣に是非これイニシアチブ取って、甘利大臣にお願いしたいことが一つございまして、これ是非ともこのガバナンスの見直しをやっていただきたいと思います、私は。主務大臣として、実際に法律でいきますと三十五条に監督できるという条項があるんですよ、報告を求める。ですから、去年の時点で財務諸表を出しなさいよということを主務大臣名で要求すれば、命令すれば、それは出さざるを得ないようになっています、これはちゃんと。検査させることができるということがあります。あと、報告させることができるとなっているんですよ、命ずることができると、報告を。  ですから、是非ともその報告はまず明確にやっていただきたいということが一つと、それともう一つは、恐らくこれ昭和二十何年かに主務大臣が認可した定款がずっと使われていると思うんですね。是非、ガバナンスという観点からこの定款の見直しを議論していただきたいんですけど、いかがですか、大臣
  64. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 極めて大事な御質問だと思います。こちらからこういう定款にせよということはできないようでありますが、こういう定款にしたいということを、いい、悪い、認可するということは大臣権限としてできるようであります。  ちょっと研究をさせていただいて、定款がガバナンスの確保により資するようにどういうふうにしていくか、少し勉強させていただきたいと思います。
  65. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非深い検討をお願いします。これは、しつこく私やらさせていただきますので。  この法律を読むと、三十五条、三十六条に、主務大臣の権限すごく大きいんですよ、立入検査もできます、主務大臣は。それだけの権限を有しておられますので、この定款というか、もう定款は書き方の問題でありますので、本当に信用保証協会のガバナンスを根底から議論してください。そうしなければ、もし将来いろんな活動をするときに、国民から信用されないような組織が中小企業の金融の大きな一翼を担っておられるという状況は、これは将来的に本当に大きな禍根を残すと思います、私。今直していただかなければ、今。是非お願いしたいと思います。  本当に協会は非常な重要な意味がありまして、あと済みません、ガバナンスの問題、この役員の問題もそうでございますが、やはり中小企業の金融の大きな一翼を担う信用保証協会の役員の方々のうち金融界出身の方が一割以下だという、役員が一割以下だというのはやはり見直していただきたい。これは昨年議論させていただいたときに、明確に覚えているのは、利益相反があるから駄目なんですとおっしゃったんですよ、利益相反がある。金融機関の方々からお金を借りるときに、保証するから金融機関の人はできないということをお答えいただいたんですが、それはやっぱり違います。実際に保証協会の保証している中身を見ると、ほとんどが地元の地銀であり信組なんですよ。だったら、ほかのところから連れてくれば絶対できますよ、それは間違いなく。ほかの地域から呼んででもきちんと金融が分かる人間が必要ですし、また同時に、先ほど非常に重要な役割を担うことが分かりましたこの監事、この監事をやはりきちんと透明な人にしていただきたい。  この監事の名簿を実は見てみますと、本当に監事ができるんだろうかという方がおられます、実際に。元々県立高校の校長先生とか、教育委員会委員長という方もおられるんですよ。その方々がもしかしたら知識があるかもしれないけれども、やはり監事というのは地元の公認会計士みたいな方を入れなければそれはチェックはできないです、間違いなく。ということもございますので、是非これを機に議論を深めていただきたいと思います。私は、検査をしていただければいろんな問題が出てくると思うんですよ。  また、一つこのガバナンスの確立を深く議論していただくとともに、やはり経営の効率も議論していただきたいと思います。ガバナンスを立て直す、きちんとしたガバナンスをつくり、透明化し、やはり経営ができる方を置いていただくということと同時に、経営の効率化という話を是非進めていただきたいと思っています。  特に私が思っておりますのは、地方において併存する保証協会というのがございます。例えば、実名を余り挙げちゃいかぬとは思うんですが挙げさせていただきますと、神奈川県であれば神奈川県の保証協会がある、そして川崎市の保証協会、横浜市の保証協会。大阪も同様です、大阪府の保証協会、大阪市の保証協会。愛知も、愛知県の保証協会、名古屋市の保証協会があると。  ここら辺までは規模が大きいんで、まあしようがないところもあるのかなという気はするんですが、私は一番申し上げたいのは、岐阜県と岐阜市に保証協会があるんですね、岐阜県と岐阜市。実際に、じゃどういう業務になっているかということを調べさせていただきますと、例えば川崎市の保証協会は自分たちが受けたものを全部集めて神奈川県の保証協会にまた投げるんですよ。神奈川県は神奈川県の案件を川崎市に投げると。なぜそうするかというと、二重に保証枠を取るということを防ぐためですよ、二重に保証枠を取るのを。  それから、実際に私が聞いた、これはもう実際の企業の方に聞いた話ですけれども、とにかく川崎、私川崎住んでますんで、川崎の人は川崎市に行って、で神奈川県に行くと。あわよくば二つ取れたら二つから借りちゃうんですよ、二つ保証を取って。  保証というのは基本的に枠がありますので、二重取りはできません。これやっちゃいけません。なぜそういう二度手間が生じるのかという話がございます。いろんな過去の経緯も伺っていますので一朝一夕には変えられないと思うんですけれども、特にこの岐阜の話を見ますと、岐阜の市の保証協会の保証の規模を見ますと、一番小さいです、当然、五十二協会の中で。それは、平成十八年で九百七十三億円という規模でございます。  これは、一番大きな東京都から比べますと約五十分の一なんですね。五十分の一という規模になっている。それなのに岐阜市と岐阜県に保証協会が置かれているという状況。ほかの地域も同じですよ、ある意味。同じように引き受けたものを岐阜市は岐阜県にチェックを入れ、岐阜県は岐阜市にチェックを入れるという二度手間が生じているという状況です。是非この状況も含めて議論、経営効率という意味で議論していただきたいと思いますけど、これ、大臣、いかがでございますか。あっ、副大臣、お願いします。
  66. 中野正志

    ○副大臣(中野正志君) 委員御指摘のように、四十七都道府県プラス五か所お名前挙げられたところでございまして、合計五十二の信用保証協会があります。御存じで御質問いただいたようでありますが、あくまで各地域の発意によって設立されて、信用保証協会法に基づく認可が行われる法人ということになります。  同一県内に複数の信用保証協会が設立されている場合は、地元自治体あるいは商工関係団体等が中心となりまして、地域の中小企業の育成と支援のためにそれぞれの協会の設立が必要であると歴史的にも判断されたところでありまして、今歴史的な経過というお話もございましたけれども、当時の判断としてはそういうことでありました。現在もそれぞれの協会は、地方公共団体や地元金融機関との緊密な連携の下で、地域の中小企業政策の重要な一翼を担う機関としての独自の機能を果たしていると認識をいたしておるところであります。  他方、御指摘のように、業務の効率化あるいは高度化は大変重要でありますから、信用保証協会におきましてもシステムの共同化に積極的に取り組む、あるいはシステムの開発及び運用コストの抑制を実現すると、そういうことで、効率化のための様々な取組もなされております。国としても、先ほど岩井次長からお話がありましたように、外部評価委員会による業績評価等を指導することによりまして、業務の一層の効率化を促してまいる所存であります。  ぶっちゃまけて言えば、お話しをいただきました岐阜市でありますけれども、確かに保証残高は九百七十三億円、ただ、累計としてはいい形で保証業務を行っている法人でありますということだけ付け加えておきます。
  67. 藤末健三

    ○藤末健三君 いや、本当にもっと前向きにお答えいただきたいと思います。  それは何かと申しますと、この資料にちょっと付けさしていただいたんですが、ある方が信用保証協会の役員の報酬を計算した事例があるんですね。専務理事の場合を見ますと、専務理事ほとんどが自治体のOBの方が多うございますけれど、二年間保証協会に勤務された場合、退職金等を含めると約一年当たり二千万円の支払になっているという計算になっています。二千万円、約一年間で。  何を申し上げたいかというと、保証協会が二つあると、ある市とある県にありますという状況のときに、法律的な手間がまず一つ掛かります、これは一つ。掛かる状況になっているという状況一つありますし、また問題は、役員数がやっぱり多いんですね。役員の給料だけ見ても、これ全部この保証協会の二百四十六人の方々、恐らく年間二千万ぐらいもらっておられると思いますので、一千万としても二十五億円でございますよ、年間。二千万にすると五十億円というお金になるという。  当然、役員の方は必要なので、それをとにかく減らすべきだという話じゃないですけれど、はたから見て納得がいくかどうかですよ、これは。最終的に負債をかぶるであろう国民から見て納得がいくかどうかですよ。その点はやっぱり考えていただかなきゃいけないと思います、私は。いかがですか、それ。やはり、はたから見てこれは私はおかしいと思う国民の方が多いと思います。実績はあるかもしれない。じゃ、実績があればいいのかじゃなくて、実績に見合ったコストパフォーマンスの問題ですから、幾らお金を使ってやるかという。  私はやはり主務大臣である経済産業省、これは主務大臣はほかにいます、財務省も口は出せるし金融庁も口は出せるようになっている、法律上は。ただ、これ多分、もし経産省がなされなければ金融庁が出てきますよ、必ず。金融庁さんに今ここでお願いしてもいいかもしれない。是非やってください。一年ぐらいでというか、半年ぐらいでやってくださいよ。すべてを見直してほしい、根本的に見直してほしいです。そうしなければ、必ず何らかの私は問題が起きると思います。少なくともこのガバナンスシステムでは自分自分をチェックすることはできないんですよ。だれが責任取っていいかも分からない。そういう状況自分を律しながら経営していくことができますか。どんなに赤字は出しても最後は国民負担をすればいいという形になるじゃないですか、これは。  過去の経緯はあるのは存じ上げているし法律の構造も変えにくいのは分かっていますけれど、是非経済産業省が主導を取って、経済産業大臣が主導を取って、皆様が主導を取っていただき、政治家の方々が主導を取っていただき、やはりこれは変えていただかなきゃいけないと思いますが、その点につきましては、大臣、いかがでございますか。
  68. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 御指摘の点、しっかり踏まえまして、抜本的に精査をしていきます。
  69. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非やっていただきたいと思います。抜本的に変えていただくことをお願いしまして、この保証協会の質問は取りあえず終わらさせていただきたいと思います。  同時に、抜本的な見直しの中におきまして私がもう一つお願いしたいのは、今回の信用情報、中小企業の方々の信用情報をCRDとかいう組織などを使って情報を共有化するということを進めることを決めておられるわけですけれど、と同時に、信用情報だけではなくいろんな審査のノウハウ、例えばいろんな中小企業の財務状況を見て、そのデータに基づき信用を付与するとかいうそういうノウハウを共有化する、いろんな協会で共有化するようなことも是非進めていただきたいと思います。それらにより中小企業のこの信用の枠をどう提供するかというノウハウが生まれてくると思いますし、また同時に、中小企業の方々に対するコンサルテーション、いろんなアドバイスをしていただく機能もやはり保証協会に持っていただくべきではないかと思いますので、是非とも抜本的な見直しをやっていただきたいと思います。  恐らく、私の直感でございますけれど、調べてはいませんが、これは昭和二十八年に法律ができたときに恐らく定款を作られ、定款はほとんど変わっていないような気がするんですよ。これだけ会社法などが変えられガバナンスが言われている中で、是非とも保証協会のガバナンス、そして経営効率の問題、洗い出していただきたいと思います。  実際に、この保証協会の話でございますけれど、今の経営状況を見ますと、建設業の非常に大きな倒産の件数の増加等の問題があると思いますが、建設業のデフォルト、いろんな支払ができなくなるような状況につきましてはどういう状況かというのを教えていただけますでしょうか。中企庁の、いかがですか、建設業のデフォルトの関係
  70. 福水健文

    政府参考人福水健文君) お答え申し上げます。  中小企業をめぐる状況、非常に厳しいということでありますが、その中で、建設業につきましてはいろんな要素がありまして更に厳しくなってきている、委員御指摘のとおりでございます。一つは昨年改正されました改正建築基準法の課題がありますという点が一点、それからもう一点は、公共事業を始めとする事業そのものが減少しているというふうなことがありまして、そういう関係で建設業の状況が非常に厳しい状況にあると、そういうふうに認識いたしております。
  71. 藤末健三

    ○藤末健三君 実際に私の方で調べさせていただきましたら、この信用保証協会のセーフティーネット保証という枠がございますけれど、それを見ますと、約半分が建設業。どういう意味かと申しますと、代位弁済の約四〇%が建設業の方々でありますし、保証承諾の枠でいくと四二・八%が建設業ということになっています。  これは何かと申しますと、建設業の方々のこの倒産件数が増え、保証協会の代位弁済の枠がどんどんどんどん建設業の方々に使っていただいていると。使っていただいているというのは変な言い方ですけれど、使われているという状況でございまして、これは国交省にちょっと是非お聞きしたいんですけど、建設業を所管する国土交通省として、私はこの保証協会、保証枠に非常に過大な負担を掛けていると思うんですが、そろそろもう倒産対策を抜本的にやるということと、もう一つは、建設業はこれから公共事業が増えるという見込みはそんなにないと思いますので、建設業界の構造転換を進めることをやっていただきたいと思うんですが、国土交通省の方いかがですか。お願いします。
  72. 内田要

    政府参考人内田要君) お答え申し上げます。  特に地域の中堅・中小建設業者、大変厳しい経営状況に直面しておるところでございます。もちろん倒産対策も、中小企業庁さんと連携しましてセーフティーネット保証、同融資等々、適切に運用してまいる必要があるわけでございますが、御指摘のやはり構造改革でございますね、それを進めていくということが必要であると考えております。  新分野進出でございますとか経営改善、そういうものにつきまして、サービスが各地域で一か所で受けられるように建設業再生協議会というのをブロックごとにつくりまして、ワンストップサービスセンターで、失礼いたしました、都道府県ごとでございます、経産省、農水省等、関係省庁と連携して支援してまいりたいということでございます。  具体的には、中小企業診断士さんのアドバイザーを派遣したりしておるわけでございますが、何とここ三年で相談件数が五倍、アドバイザーの実際の派遣件数が三倍というように非常に需要が見て取れるということでございます。また、新分野進出でございますけれども、農林業とかやはりリサイクル、そういうものに対して先導的取組というものが、事例が出てまいっておりますので、そういうものの普及啓発も図るというようなことを行ってまいりたいというふうに、かように考えております。
  73. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、雇用の一割を負う、あとは中小企業の数でいくと一割を担う建設業界でございますので、うまくやっていただきたいと思います。  先ほど今、国土交通省さんの方から建設産業再生協議会という話が出ましたが、同時に中小企業庁も中小企業再生支援協議会というのを設置されているわけでございます。その中におきまして、私は地方の金融がこの中小企業政策上非常に大きいというふうに考えますが、この建設産業再生協議会や中小企業再生支援協議会に金融庁がまだ入っておられないという話をお聞きしたんですけれども、是非地方の金融を所管する観点から、金融庁の方も加入していただきたいと思うんですが、金融庁の方はいかがでございますか、その点につきまして。お願いします。
  74. 戸井田とおる

    大臣政務官戸井田とおる君) 金融庁といたしましては、中小企業金融の円滑化に向け、より効果的に対応する上では、関係省庁との情報共有、連携が重要と考えております。  こういった観点から、例えば建築確認問題に関しましては、昨年十二月に設置された建築確認問題に関する関係省庁連絡会議及び同幹事会に参画し、情報交換、意見交換を行い、連携を図っているところであります。また、本年の二月二十一日には、金融担当大臣経済産業大臣、国土交通副大臣及び他の関係閣僚出席の下、年度末金融の円滑化に関する意見交換会を開催し、中小企業に関する資金供給の円滑化に向けて各金融関係団体と意見交換を行っているところであります。同日、各金融関係団体に対し、中小企業庁長官からの依頼を踏まえ、中小企業向けの資金供給の円滑化を参加金融機関に周知徹底するよう金融庁から文書による要請を行ったところでもあります。  さらに、地方においても経済産業局と連携し、中小企業金融の円滑化に関する意見交換会を四月から五月に各財務局で開催しており、経済産業局長を始めとする幹部の方々に出席をいただいているところであります。  金融庁といたしましては、中小企業に対する円滑な金融は民間金融機関の最も重要な役割であると認識しております。今後とも、関係各省と連携の上、民間金融機関による中小企業に対する金融の円滑化を図るべく、各般の施策に取り組んでまいりたいと思っております。
  75. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非戸井田政務官にお願いしたいと思うんですが、金融庁の方々とお話しさせていただいて感じますのは、やはり地方における金融機関の意義がどれだけ重いかということをもっと感じていただきたいと思います。それは何かと申しますと、やはり銀行の方々とは多分会われていると思うんですよ、金融庁の方は。じゃなくて、借りている中小企業の方々、最終ユーザーまでやっぱり会っていただきたいんですよ。どれだけ金繰りに苦しんでおられるか。  今、九〇年代後半から金融はいろいろ変わって合併などが起きました。地方の方にお聞きすると、昔だったら三つか四つ回れた銀行が、信組とかが、今は三つぐらいしか回れませんと。二つぐらい回って駄目だったら、それでお金がもう借りれないんですよということをおっしゃっておられたんですよ。実際にそういう状況になっております。  ですから、金融の政策をなさるときに是非とも、その中小企業の方々がどういう立場でどういうふうにお金を求められているかということをやはりつかんだ上で政策を打っていただきたいと思います。  ちなみに、「知ってナットク!」という中小企業の方々向けの金融検査マニュアル別冊というのをいただいたんですけど、こういうものをちょっと見させていただいたり、あと、年度末の金融円滑化ホットラインというのも報告を伺ったんですけど、このパンフレットも、結局、作られたのはたしか十六万部という話を伺って、商工会議所とかで配りましたとおっしゃっていました。  ただ、私の経験でいくと、まず、十六万部は少ない。中小企業は四百三十万社あります。まず、十六万部では少ないし、また、地方の商工会に出られている企業はある程度もう大きい会社、企業でございまして、本当にこのマニュアルを読まなきゃいけない方々は商工会に来られません、絶対。そういうところにきちんとやっぱりアプローチしていただくというのが私は金融庁の中小企業金融行政に必要だと思います。それをまずお願いしたいと思います。  例えば、これは多分いろいろな問題があったと思うんですけれど、この金融の円滑化ホットラインというのが実は昨年度末、三月三十一日まで続けられていて、一回終わったんですよ。また再開するという話になっていたんですけど、何と再開されたのが四月の三十日、実際、一か月間ホットラインが空いてしまったと。  また、これはちょっと失礼なことを申し上げますと、ホットラインに実際に電話をされた方、受付件数を見ると六十九件ということでございまして、さっき国交省さんの話がございましたけど、国交省さんがやっている建設業のいろんな相談窓口は四千件とか五千件なんですよ。けたが百違う。そこはなぜ違うかというと、国土交通省さんの方は建設業の方と直接会ってずっと話を聞いておられるからきめ細かい対応ができると思うんです。ところが、金融庁の方々は、この金融円滑化ホットラインに寄せられた件数が六十九件という、この件数に僕は表れていると思うんですね、中小企業の方々の現状を理解されてやっているかどうかということが、この数字に。本来だったら五千件、六千件行かなきゃおかしいと思うんです、私は。恐らく一%ぐらいしか救っていないと思います、本当に必要な方々に。  ですから、是非とも政務官にお願いしたいのは、金融庁の方々が本当に最終的な資金のユーザーである中小企業の方々の声を聴いていただくようなことを是非やっていただきたいと思います。これはお願いです。そうすれば、どれだけ苦労されているか見られたらやっぱり変わると思うんですよ、金融庁の方々も、考えが。もっときめ細かい金融行政を、地方の金融行政をやっていただけるのではないかと思いますので、それをちょっとお願いだけさせていただきたいと思います。是非、金融庁の方々が、多分お忙しいとは思いますが、銀行に行かれた折にはやはり現地の中小企業の方々、お金を融資させていただく先の方々にも会って話を聞いていただくようにしていただきたいと思います。  それともう一つ、地方の話が出ましたが、先ほども申し上げましたように、これは経済産業省にお願いでございますけれど、今回、省庁の方々にこの中小企業政策をいろいろ教えていただいた中で感じましたのは、中小企業の方がある一つの画面、インターネットの一つの画面に到達して、それですべてが分かるという仕組みになっていない状況でございます。  ですから、例えば中小企業の機構に、まず基盤整備機構に見に行かなきゃいけない、中小企業庁に行かなきゃいけない、金融庁に行かなきゃいけない。金融庁のこの「知ってナットク!」も、ホームページのこんな隅っこにちょこっと載っているんですよ。あれは気付かないです、絶対。知っている人間は探すから気付きますけど、多分普通の人は気付かないと思うんですよ。  だからそういう、省庁にどんどんどんどん分散されている中小企業政策や、例えば税金の申込みとか、あと労務管理の問題、いろいろございます、中小企業。そういう政府関係中小企業のいろんなインターネットのサイトを一つにまとめて、ワンストップで見ればここは分かりますよというのを是非経済産業省に作っていただきたいと思うんですけど、その点いかがでございましょうか。
  76. 甘利明

    国務大臣甘利明君) あまたある中小企業政策にすべて精通している人はいないわけでありますし、まして、利用者にとってそれをどう活用するかということに対して親切な道を開く、ワンストップでアクセスできるということは極めて大事だと思っております。  そういう点から、平成十三年度から、中小企業基盤整備機構は中小企業のビジネス支援サイト、J―Net21と申しますが、これを立ち上げて、中小企業が利用可能な施策の情報のワンストップサービス化を図ってきたところであります。平成十九年度でいいますと二千五百万件のアクセス数があったそうであります。相当利用されているということであります。このサイトでは、毎日、中央省庁を始め独立行政法人都道府県中小企業支援センター、そして主要な商工会議所など、約二百か所のホームページから中小企業に役立つ情報を収集しまして、その内容を簡潔に紹介をするとともに、各機関へのリンクを張っているわけであります。また、納税それから労務管理など、中小企業から寄せられる各種の質問に専門家が回答するという、ビジネスQ&Aと申していますけれども、等、コンテンツの充実に今努めているところであります。  御指摘を踏まえまして、こうしたインターネットサイトの質の向上に努めつつ、中小企業経営者等に対して十分な周知を図って、中小企業に対する情報提供効果をより一層高めてまいるように引き続き取り組んでまいる所存であります。
  77. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非よろしくお願いしたいと思います。  私も中小企業基盤整備機構のホームページを拝見させていただきまして、あれがやっぱり一番正直言ってまとまっていると私も思います。ただ、惜しむべくは、やっぱり建設業の方のところとか、たしか抜けていたと思うんですよ、食品業、あと農水関係の。拝見させていただいて、やっぱり経済産業省の所管の部分しか書けないんじゃないかなというちょっと印象がございましたんで、是非とも、特にあと金融庁との連携も含めまして、今中小企業の方々、本当に小規模の方はもういろんなところに出るお時間がない状況でございますんで、本当にインターネットでぱっと見ればすぐ分かるような仕組みができれば、もうこれだけ既に使っていただいているわけでございますが、もっと利用の数が上がると思いますので、是非皆様におかれましては、ネットを通じた中小企業の方々の支援というのをなさっていただきたいと思います。  同時に、地方の中小企業の話をさせていただきますと、今地方の中小企業のアンケート調査を見まして一つ感じましたのは、二〇〇七年十二月に東京商工リサーチが、中小企業の経営者の方々に、今地方の銀行に求めるのは何かという話を、アンケート調査がございまして、その回答の一位が、やはり担保とかに依存しない融資をちゃんとやってくれという話が一番多うございました。九〇パーたしか近い率だったと思います。  その中で、じゃ担保に依存しない融資をどうすればできるかという話がございまして、その中の課題一つとして挙がったのが、やはり銀行の方が中小企業の技術力や経営者の力や、あと事業の将来性などを目利きする力を養ってほしいという話がございまして、それが大体五九・七%、経営者のうち六割が銀行の方々の目利き力をもっと高めてほしいということをお願いされておられます。  そしてまた、同時に、銀行が中小企業の特に社長、経営者の方々にいろんな相談をする機能が必要じゃないかというアンケート結果も出ておりまして、実際に私が金融の関係者の方々、そしてまた中小企業の方々の話をお聞きしますと、昔は金融機関の方々が融資をするときに財務諸表の作り方とかお金の調達の仕方というのを社長さんにアドバイスをしていたと。それが、今は何か雰囲気が変わって、なかなかそういうアドバイスをしないで、もう機械的に書面でしか審査をしないような状況になっているということをお聞きしておりまして、是非金融庁が、今リージョナルバンクの推進をなさっていただいているわけでございますが、こういう地方の金融機関の方々の人材育成みたいなことを進めていただきたいと思うんですが、その点いかがでございましょうか。
  78. 戸井田とおる

    大臣政務官戸井田とおる君) 委員の言われること、我々も政治家として地元に帰ってそういうものを見聞きするとよく分かるわけであります。  地域密着型金融の推進に当たって、職員の資質向上を含む金融機関の整備体制が重要と認識しております。金融庁といたしても、金融機関に対し、目利き機能の向上を始め地域の利用者ニーズに対応できる十分な金融手法や各種事業の知識を持った人材の育成や活用を求めてきたほか、地域密着型金融に関するシンポジウムを開催するなど、先進的な手法の普及を行ってきたところであります。  今後とも、地域密着型金融の推進に向け、職員の資質向上のための金融機関による自主的取組に期待するとともに、金融庁としても地域金融機関の監督上の重要な着眼点として位置付けており、引き続き金融機関の取組を促してまいりたいと思っております。
  79. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非お願いしたいと思います。  私が実際に金融機関の方とお話をしましたら、こういうことをおっしゃっていまして、平成十九年八月から保証協会の保証の枠が今度八割になったと。そうすると、今までは全部保証されていましたので、もうとにかく保証協会の保証があれば判こを押しまくればいいと、何のチェックもしなかったけれども、やはり二割の責任を自分たちの銀行が持たなきゃいけなくなっていろいろ勉強をするようになったということをおっしゃる方がおられまして、是非地域金融が、金融機関の方々がやはり地域の中小企業の方々にアドバイスをしていただくとか、あと相談ですね、簡単に言うと。社長の相談相手ということをおっしゃっていましたけれども、そういう相談に乗っていただくようなことを進めていただきたいと思います。  私が実際に話した方の一人の方がおっしゃっていたアイデアは、中小企業診断士という資格がございますけれども、もっと、中小企業を診断するというんじゃなくて、社長の相談相手みたいな何か資格をつくったらいいんではないかという方がおられまして、ちょっと私もどういうイメージか分からないんですけれども、金融サイドから見た、例えば地方の銀行の窓口、窓口というか融資担当の方々が実際にこういうノウハウやスキルを付けたらあなたはこういう資格を差し上げますよということも一つの一案ではないかなというふうに思いますので、是非そういうことも含めまして研修をされて、その研修の結果こういう資格ですよというゴールも設定いただければ、今の研修ももっと加速するのではないかと思いますので、もしよろしければ御検討をいただきたいと思います。  最後にでございますが、中小企業の金融の多様化という話をさせていただきたいと思います。  政務官にこれはちょっとお願いしたいんですが、今特に新興市場、小規模な成長が著しい企業が上場しているマザーズ、ヘラクレス等、Qボードとかいった市場がございますけれども、株式市場がございますが、今この市場の状況を見ていますと、株価のピーク時のもう本当に五分の一ぐらいですよ。五分の一ぐらいまで落ちておりますし、あと資金の流動、実際に市場からお金が流れている流動を見ますと、もうこれも五分の一ぐらいですね、五分の一ぐらいまで落ちているという状況になっています。  そして、同時に何が起きているかというと、非常に管理が厳しくなっている。JSOXの関係でいろんな情報開示が厳しくなっていて、今新しいマザーズ、ヘラクレスといった市場に上場しようという人が恐ろしく減っている状況になっています。実際、私が知り合いの上場経験者はやめたいというぐらい言っているような状況なんですよ。本当にもう細かいところまで情報開示が求められる。あなたはこういうことをやっていません、私はこういうことをしていませんと、いろんな項目に本当にプライバシーに入るところまで誓約書を書かされるらしいんですよね、上場した会社の社長さんは。何でおれはここまで書かなきゃいけないんだということをおっしゃる方もおりまして、どんどんどんどん会社に対する規制は協会と逆の方向に進んでいると思うんですけれども、どんどん厳しくなっているという状況でございます。  そしてまた同時に、北畑次官の発言も私はあれは賛同しておりまして、やっぱり新しい市場を見ますと、八割ぐらいが本当に一般の短期的な投資家の方々になっているという状況になっていまして、この状況を本当にこのまま座視していいのかどうかということを思っています。  いろいろ、一つありますのが、現状はもう結構でございますので、証券取引所の責任はないのかどうかということをまずお聞きしたいと思います。これだけ市場が低迷し、機能しなくなったと、これは景気の責任じゃありません、絶対。今こそ逆に資金を市場から流さなきゃいけないと私は思います。  それが一つと、それともう一つございますのは、これはお願いでございますけれども、金融庁の方々に先ほどは地方銀行のユーザーである中小企業の方々のお話を聞いていただきたいとお願いをしましたけれども、この新興市場においては、上場している若しくはこれから上場しようとしているベンチャー企業の方の話を金融庁の方に聞いていただきたいんですよ。証券取引所の管理だけではなく、実際にその市場を使う方々の話を金融庁の方に聞いていただきたいと思うんですが、その二点、是非政務官、お答えいただけますでしょうか。
  80. 戸井田とおる

    大臣政務官戸井田とおる君) 委員の言うことはよく分かりますし、また金融庁としてもいろいろ立場もあるんだろうと思います。  御指摘は、新興市場における上場企業等のニーズを的確に把握すべきとの御趣旨と思います。東証を始めとして各取引所においては、上場制度説明のための個別企業訪問、セミナーの開催等を通じて上場企業のニーズを把握し、上場制度整備、運営に当たっての参考としているものと承知いたしております。また、金融庁においては、グリーンシート制度など市場制度整備に際し、発行体企業や取扱証券会社等からヒアリングを実施するなど、関係者の意見等の把握に努めているところであります。  いずれにせよ、金融庁としては、各取引所において新興市場の活性化等に向けた適切な取組が進められていくよう、今後とも発行体企業等を含めた市場関係者のニーズの的確な把握に努めてまいりたいと思っております。
  81. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非政務官の指示で一回ヒアリングだけ掛けてください。五、六社でいいと思うんですよ。多分、皆さん同じ悩みをお持ちなので。  何が大事かというと、やはり金融システムは、金融機関は大事だと思うんです、当然。市場も大事。ただ、一番最後に何が大事かというと、実際にはお金を使ってくださる方が私は一番大事だと思います、これは。その方々の声を聴かずして金融システムはないと思います、私は。  金融は恐らく血管だと思うんですよ、経済の。あと市場は多分心臓だと思うんですよね、血を送り出す心臓。ですから、心臓と血管が幾ら丈夫でも血を使う筋肉がやせ衰えてしまったら、どんな血管が丈夫でも意味ないですよ、心臓が強くても。今そういう状況だと思います。地方の中小企業はどんどんどんどん倒産して苦しんでいると、資金繰りが付かない状況。その中で、いや、じゃ健全な血管作りましょうといっても僕はそれは違う。筋肉がどういう、実際にお金を使う、血を使う方々が何を必要とされているかやっぱり調べていただきたいし、特に成長しているところは今株式市場から資金を調達しようとしているわけじゃないですか。それもどんどんどんどん細っているわけですよ。そうすると、やはり成長している筋肉である企業の方々の話をやっぱり金融庁の方々に聞いていただきたいです、私は。これはお願いでございます。  金融機関だけの話じゃなく、やはり本当に資金を必要とされている中小企業であるし、ベンチャー企業の方々の話を聞いていただかなければ、お金を使うところがなくなってしまえば金融機関でさえも意味がなくなってしまいますよ。特に地方はそうです。地方の中小企業がどんどんどんどん廃れれば、地方の銀行は体力をますます失っていく。地方の企業は、大体小さい企業になるともう九割が地方の銀行から借りておられるんですよ。  ですから、まさしくこの中小企業、特に小さな企業の話、声を聴いていただきたいと思います。これはお願いでございますので、是非政務官、お願いします、これは。金融庁に声を聴いていただければ、本当に苦しんでいる方々の声を聴いていただければ絶対分かると思うんですよね、何が必要か、金融政策で。それをちょっとお願いしたいと思います。  最後でございますが、中小企業の金融の多様化という話でございまして、私は、これは中小企業関係する話ではないんですけれども、今非常に危惧していますのは、今非常に株主重視の世界になっていると。上場している企業の方々はほとんどがとにかく株価を上げようとする。株価を上げるにはどうすればいいかというと、配当を上げ、そして自社株買いをやっていると。  昨年、二〇〇七年のアメリカの上場企業のデータを見たら、びっくりしたのは企業が出したプロフィット、利益よりも自社株買いとあと配当の金額の方が大きかったんですね、統計を見ると。どういうことかというと、企業は借金をしてまで株主にお金を流しているんですよ。そういう状況になっている、アメリカは。ただ、実際に今、日本の動向を見ていると、日本も配当性向はどんどんどんどん上がっています。自社株買いはどんどんどんどん増えているというと、恐らくこのまま行くと、私はアメリカみたいになると思います。  土曜日に私はアメリカのエコノミストとちょうど話をしていまして、相当著名な方です、これは。話をして彼が何を言ったかというと、アメリカはもう危ないと。なぜかというと、次の産業の芽がない、企業が長期的な研究開発をもうやめてしまいましたと。政府は赤字でNASAやDARPAといった組織がまた予算を縮小していると、じゃ次の産業を担う芽をどうやってつくるんだということをアメリカの方がおっしゃっている。  私は、同様に日本も同じ道を今歩みつつあるんではないかと思っていまして、是非ともこの企業の在り方、特にこの株主至上主義的な今のこの市場資本主義といいますか、制度の在り方を是非経済産業省がイニシアチブを取って見直していただきたいと思います。株式市場の整備の問題や政府の融資の問題、あと研究開発の促進をどうするかとか、あと私は、短期的に株で利益を上げる方々については税制的にはある程度、ペナルティーというのは失礼な言い方ですけれども、ちょっと税を高くするとか、そういうやり方がいろいろあるとは思うんですが、その点につきまして御見解を伺いたいと思います、お願いいたします。
  82. 甘利明

    国務大臣甘利明君) その前に、JSOXのお話がありました。SOX法の日本版ということでありますけれども、アメリカではこのSOX法が施行されてもう六年になりますけれども、上場企業の大宗を占める中小規模の公開企業に対しては適用されていません、延期されています。日本は即刻適用されています。これがもう手足を物すごく縛っているんではないかと。昔MOF担、今金融庁担なんという言葉がやゆされるようなことになりはしないかという心配は確かに御指摘のようにあるんであります。例えば、大きな赤字決算をする際に、以前から認識できたはずだということで、これ金融庁から修正を要求されるわけであります。そうしますと、みなし違法配当、課徴金ということになりかねない。そういう手順をたどっていくと、次に監理ポスト扱いになるわけですね。そうすると、怖くてもう大きな赤字決算を出せないと、下手すれば操作をすることを招きかねないということになるんですね。  ですから、私から言わせていただければ、金融庁は本家の適用の仕方をちゃんと、アメリカ、アメリカという話がありましたけれども、むしろ向こうは大多数の中小企業にはまだ適用していない、六年もたつのに、極めて慎重な部分があるわけですね。しゃくし定規にやっていくと副作用の方が大きくなりますよということも、今御指摘がありましたからですけれども、付言をしておきたいというふうに思っております。  そして、長期投資が進むようなそういう環境整備をしっかりしていくと、これ、とっても大事なことであります。対内投資拡大するということが各方面で言われています。これはもう省を挙げてやっているわけでありますが、いい対内投資というのは、それによって生産が増強されたり雇用が拡大されたりするということが大事でありまして、内部留保だけかすめ取っていなくなっちゃったという対内投資は私はそんなにいい投資だとは思いません。法律的には可能であっても、ウエルカムと言っていいかどうかというと、極めて疑問があると思っています。そういういい投資につながるような自らの投資、外からの投資、これが進むような環境整備をしっかりしていきたいというふうに考えております。  税制その他環境整備のツールはたくさんありますし、もう既に整備もしてきているところもありますし、今回私が提案をしておりますのは、海外に留保してある内部留保を差額税額を払わなくて国内のイノベーション投資に向かえるような仕組みをつくっていくということも一つであろうというふうに思っております。
  83. 藤末健三

    ○藤末健三君 どうもありがとうございました。是非よろしくお願いいたします。
  84. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時十九分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  85. 山根隆治

    委員長山根隆治君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、信用保証協会法の一部を改正する法律案中小企業信用保険法の一部を改正する法律案及び中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  86. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 東京都選出、自民党の丸川珠代でございます。  ここまで、午前中、原油高への対策であるとかあるいは信用保証協会の体制についてなど、様々質問がございました。法案についてはまだ質問が出ておりませんので、その辺りもたっぷり聞いてまいりたいと思っておりますが、まず私も原油高対策についてちょっとお伺いしてまいりたいと思います。  原油の元売各社が六月の一日、今月の初めにガソリンの出荷価格を前月比一リットル当たり十二円から十四円値上げをいたしました。都内のガソリンスタンドは軒並み百七十円台で、今ガソリン価格を比較するインターネットのサイトで比べましたら、東京都港区の西麻布にあるガソリンスタンドはリッター百八十九円だそうです。百八十九円です。一体どこまで原油は上がっていくのか、ガソリン価格は上がっていくのかという、本当に憂うつになるんですけれども、ある投資会社のリポートですと、原油価格は半年から二年の間に百五十ドルから二百ドルになるという予測もございます。これ、もし二百ドルになりますと、一バレル一ドルアップで一リットル当たり〇・七円上がるという計算で二百二十円まで行くという、そういう予測になるわけです。  もう既に昨年来の原油それから材料高で中小企業は大変厳しい状況に置かれております。中小企業庁の調査によりますと、サブプライムローン問題の顕在化で原油価格が上昇を始めました去年の夏以降で、中小企業の景況判断のDIが半年で一気に六ポイント悪化しました。特に、価格転嫁が難しい、またインフレによる消費抑制の影響が出やすいサービス業や小売業、大企業との景況感にどんどん差が広がっております。  今回のような景気の転換点においては、中小企業は、たとえ本業に強みがあっても財務基盤が弱い、このために金融環境の悪化の影響をもろに受けてしまいます。企業の資金繰りDIも特に中小企業で悪化しております。サブプライム問題以前の緩やかな景気拡大局面においてもなかなか債権や債務関係の整理が進んでいない中小企業というのは多かったわけですが、今後更なる原油高、原材料価格の上昇などによって景気下降のリスクが懸念される中で、今回のような三法案によって中小企業の資金調達を円滑化して企業の再生を促すことは、本当に時宜を得た適切な方向性だと思っております。  そういう中で、まずこの法案の審議に入る前に、昨年来の原油高、それから建築基準法の改正に対する政府の対策というものを改めて教えてください。
  87. 荻原健司

    大臣政務官荻原健司君) お答えを申し上げます。  ただいま御指摘ございました原油価格の高騰あるいは建築着工件数の減少というのは、中小企業に大きな影響を与えております。その中で、とりわけ資金繰りに影響を来している中小企業にとりましては、金融の円滑化が大きな問題でございます。  我々といたしましては、政府系金融機関や信用保証協会を通じましてセーフティーネット貸付けやセーフティーネット保証等を実施し、影響を受ける中小企業支援してきたところでございます。特にセーフティーネット保証に関しては、対象業種を随時追加するなど、機動的な対応を取ってきたつもりでございます。  こうした対応の結果、政府系金融機関及び信用保証協会が行った実績につきましては、先月の末現在で、原油関連で一万八百七十件、これは総額一千九百二十五億円、そして建築関連で一万二千七百件、二千七百二十億円に及んでおります。とりわけ、年末であるとか年度末の金融繁忙期には、中小企業の資金繰りに大きな役割を果たしてきたと認識をしております。このような対応を取ってまいりました。
  88. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 今政務官からセーフティーネット保証、非常に効果があったということでございましたが、大臣はその効果をどのようにお考えになりますでしょうか。  そして、今後も更に今申し上げたような原油高が見込まれるということになると、更に保証の拡充が必要だという声が出てくるのは必至だと思われます。しかし一方では、保証を拡充するためには信用保険収支の財務基盤の強化というのが必要なのではないでしょうか。と申し上げますのは、昨年度ですね、信用保険収支二千五百億円のマイナスと、三年前の水準まで膨らんでおります。今後のセーフティーネット保証の必要性についてどうお考えになるのか、さらに、信用保険収支の財務強化というのをこの厳しい国家財政の中でどのようにお考えになるのか、大臣にお伺いいたします。
  89. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 現状ではこのセーフティーネット保証がまさに建築着工件数の減少とか原油高に対応する貴重なツールになっているわけでありますが、この対象業種については適宜適切に見直すということにいたしております。御指摘のとおり、そうした中で財政基盤を強化するということは極めて重要なことであります。  このために、平成二十年度におきましても信用保険部門の収支というのは高水準の赤字が見込まれておりまして、財務状況は厳しいというふうに認識をしております。そこで、経済産業省といたしましては、円滑な信用保険制度の運営を確保するために、例えば十九年度でいいますと当初予算それから補正予算を合わせまして約二千五百億円、それから本年度につきましては当初予算で約四百億円を拠出するなど、必要な措置を講じてまいったわけであります。  今後とも、財務当局とも相談しつつ、財政基盤の強化のために適切に対応してまいる所存であります。
  90. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 ありがとうございました。  それでは、法案について、まず信用保証協会法の改正について伺ってまいりたいと思います。  この法改正は、特に地方ではなかなか進まない中小企業の再生や支援の得にくい中小企業の創業に対して信用保証協会のかかわりを強めることによって後押しをしようというものですが、これまで信用保証協会は創業支援に対してどのように取り組んできたのでしょうか。
  91. 福水健文

    政府参考人福水健文君) お答え申し上げます。  日本産業の競争力の源泉というのは大企業に部品とか附属品を素材を供給する中小企業にあるというふうに考えていますし、地域の経済を支えているのもいろんな活動、特色のある、あるいは強みのある事業活動を行う中小企業であるというふうに考えてございます。こうした中小企業の創業を支援するということは私どもにとりましても最も重要な政策課題一つであるという認識をいたしております。  このため、創業につきましては、信用保証協会におきましても、平成十一年九月に創業関連保証制度というのを創設いたして運営してきております。ちなみに、昨年度まで五年間の実績を見てみますと、平均で年に七千件、同じく四百二十億円というのを五年間の平均で実績を上げてきておりまして、保証協会と一緒になって積極的な支援を行ってきているというふうに考えてございます。  また、昨年八月には再挑戦支援保証制度をつくってございます。これは、一度事業に失敗した人が改めて再起業する際の資金調達についても積極的に支援しているというふうなことで、再チャレンジの支援もしているところでございます。
  92. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 それでは、今回の法改正で保証料の一部として新株予約権を得ると、これを後にその企業に買い取ってもらうという仕組みで、中小企業の創業支援にはどのような意義があるんでしょうか。
  93. 福水健文

    政府参考人福水健文君) お答え申し上げます。  委員御指摘の新株予約権の引受け、これを新たに始めるということでございますが、例えば中小企業が発行いたします新株予約権を信用保証協会が引き受けるということによりまして、保証料負担を低く抑えることが可能になるというふうに考えてございます。したがいまして、ベンチャー企業でありますとか創業間もない企業、あるいは新事業に挑戦する方々、そういう資金的な余力に乏しい中小企業の資金調達をより円滑化する効果があるというふうに考えてございます。  このように、これまでの信用保証制度を始めとする取組に加えまして、新株予約権の引受けを行う、こういうことによりまして、創業でございますとか新事業への挑戦、こういうことに取り組む中小企業の方をしっかりと支援してまいりたいというふうに考えてございます。
  94. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 事前にちょっとお知らせしてない質問ですので、可能ならばお答えいただきたいのですが、これ、仮に創業後すぐに大きく成長して株価が上がったとすると、これ、買取り価格が企業にとっては高くなるわけですが、それはつまり事後的に高い保証料をその企業が払うと、そういうことでいいんでしょうか。
  95. 岩井良行

    政府参考人岩井良行君) お答え申し上げます。  今の御質問は、新株を買わせていただくときにどのような値段で買わせていただくかということをどのように決めておくかという問題になろうかと思います。  これから具体的な制度設計をすることになりますけれども、ある程度、多くの場合は、これぐらいの値段で買わせていただくということを事前に決めさせていただくということになりますので、例えば急速にその企業が上場したりして価格が上がったとしても、そのことによって自動的に高いお金をお払いいただくというよりは、あらかじめ収支相償するような形で事前に決めさせていただいたような価格で引受けをさせていただくということになろうかと思いますので、御心配いただいたようなことにはならないものと考えております。
  96. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 ありがとうございました。  次に、再生支援業務の強化についてお伺いしたいと思います。  まず、こちらの再生支援業務について信用保証協会はこれまでどのように取り組んでこられたのでしょうか。
  97. 福水健文

    政府参考人福水健文君) お答え申し上げます。  中小企業の再生、地域の雇用の確保でありますとか地域経済の活性化、そういうことは極めて重要でありまして、昨今、中小企業の倒産件数が増加傾向にある中で、今後ますます必要な政策であるというふうに私ども考えてございます。  信用保証協会と再生との関係でございますが、十八年一月より、求償権放棄でございますとか求償権消滅保証、こういった取組を本格化させておりまして、こういう機能を通じまして中小企業の再生を支援するとともに、中小企業の再生支援、これに関する知見を蓄積いたしておるというところでございます。  全国五十二のすべての信用保証協会に専門部署を設けまして、再生支援、経営支援のための体制の整備を進めてきたところでありますし、更に申し上げれば、全国に中小企業再生支援協議会というものがございますが、ここが策定いたしております再生計画の実現に尽力する一方、この再生支援協議会の活動を通じまして、弁護士とか会計士等専門家の協力を仰ぐなど関係機関との連携体制をもつくってきたところでございます。  以上のように、信用保証協会につきましては、中小企業の再生を支援するための機能と体制を逐次充実させてきておりまして、関係機関とも連携を図りながら、中小企業の再生支援に引き続き積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
  98. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 それでは、今回の改正で、これまでの取組に加えて債権の譲受けや再生ファンドへの出資が可能になるということにはどういう意義があるのでしょうか。
  99. 中野正志

    ○副大臣(中野正志君) 債権譲受けや再生ファンドへの出資は、地域の中小企業者の再生を促進するものでありまして、信用保証協会の保証先を含む中小企業者の倒産が回避される結果として、信保協会の収支が悪化する事態を防ぐことにもなると考えております。  具体的には、事業再生に消極的な債権者が有する債権を信保協会が譲り受けることで、債権者間の調整に手間取っていた中小企業の再生を後押しをして、事業価値の毀損を極力抑えた早期の事業再生が可能になるものと思われます。  また、採算が取りにくい中小企業の再生には、民間の再生ファンドが対応が困難であるため、中小企業基盤整備機構の出資を利用した中小企業向け再生ファンドの設立を促進いたしておるところであります。同ファンドは現時点で十六件が設立されておりますが、信保協会による再生ファンドへの出資を可能とすることによって、中小企業の再生に必要な資金供給が不足する地域において再生ファンド組成への呼び水となることが期待をされます。何とか全国各都道府県で組成ができれば幸いだとも当然思います。  特に、倒産件数が再び増大する中、地域の中小企業への多くの保証実績を持ち、地元金融機関とも密接に連携してきた信保協会がこうした事業再生の過程において果たせる役割は大きいものと考えております。
  100. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 済みません。ちょっとお伝えしている順番と違ってしまうんですけれども、債権の譲受けの方についてまずちょっと伺いたいんですが、要は再生計画に納得していない非メーン行から債権を譲り受けるとなると、ある程度そうした金融機関からも納得の得られる価格で買い取るということが必要になってくるかと思います。  そういう中で、信用保証協会がどういう価格で債権を譲り受けるのが適正だとお考えになりますか。そもそもその適正価格とは何だと思われますか。
  101. 岩井良行

    政府参考人岩井良行君) お答え申し上げます。  信用保証協会が今般の改正によりまして新しい機能を得まして、債権の譲受けをさせていただくということは、中小企業の再生のお役に立つという意味で非常に政策的に意味があることになろうかと思います。  他方で、信用保証協会の本来これまで行っておりました中小企業に対する信用保証をするという本来業務に支障があってはならないということでございますので、そもそもこの法律で本来の信用保証の業務に支障がない範囲でこの新しい業務をやるようにということを決めさせていただいておりますけれども、先ほど御質問いただきました信用保証協会等の財政問題をかんがみますと、中小企業の再生に役に立つものであり、かつ信用保証協会の財政上の問題に影響を与えてはならない、その意味でも適正な価格でなければならないという二つの要素があるものと考えております。  そこで、まずこの保証協会が譲受けを受けようとする債権そのものでございますけれども、これは中小企業信用保証協会がこれまで保証を行わせていただいたというところに限って債権の譲受けを受けるということにしたいと思います。その意味で、この企業がどのような企業であるのかということにつきまして信用保証協会自らが判断ができる材料があるところに限るというところがまず第一前提になるわけでございます。  二番目の要件といたしましては、中小企業再生支援協議会等、公的な場で再生計画が進んでいくということが最近多くなってございます。こうした場で作られました再生計画に従って再生が行われるというものを支援の対象にいたしたいというふうに考えている次第でございます。こうした再生計画では、対象となります中小企業の再生可能性が十分検討された結果、債権のカット率等が決定をされて、中小企業の再生が確保されつつ、関係者の合意ができるという合理的な線が出てくるということが期待されるわけでございます。  ただ、現状を見ますと、そういうような計画が出ましても、その債権がある程度固まりませんと、債権者の数が少し減少いたしませんと再生がなかなかうまくいかないという心配があるものでございますので、今申し上げましたような前提を付けながら、新たに中小企業の信用保証協会が債権の譲受けをできるという形で再生支援が円滑に行われるということを目指して今のような考え方で制度設計をさせていただきたい。  以上のように考えてございます。
  102. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 ありがとうございます。  確かに、話をまとめるために保証協会が高めに買い取って、結局そこでその不良債権が塩漬けになってしまうというのでは駄目でして、やはりあくまで企業の再生が目的だということで、これまで保証した債権に対してということが前提になるような枠組みとおっしゃいましたけれども、信用保証協会の譲り受けるのが回収可能な債権であるということをだれがどう責任を持って判断するのかというところを教えてください。
  103. 岩井良行

    政府参考人岩井良行君) 先ほど申し上げましたように、この再生支援の目的が再生支援を受ける企業の方がまさに再生をされて事業を拡張していかれるということがそもそもの政策目的として期待されるわけでございますし、また中小企業の信用保証協会の財政に悪影響があってはならないという意味でございまして、非常に重要な点でございます。  その意味で、先ほど御答弁申し上げましたような方策を通じて着実に再生支援をしていかなければならないというのは御指摘のとおりだろうと思います。  その際に、先ほども御説明申し上げましたように、再生計画というものができることを期待をしているわけでございます。すなわち、中小企業再生支援協議会等が債務の圧縮やビジネスの立て直し等に関しまして、専門家がこれに取り組んで、具体的にどのような形で再生が可能であろうかということにつきまして十分御検討いただいて計画をお作りいただいたと、そういった計画に基づいて支援をさせていただくということを予定をしてございまして、この限りにおきまして、再生可能性、すなわち債権を回収できる可能性は高いものがその対象になるものというふうに考えておる次第でございます。  また、信用保証協会は平成十八年一月から再生業務に本格的に取り組んできておりまして、これまでにも信用保証協会そのものにも相当ノウハウが蓄積をしてきてございます。このような形で信用保証協会が新たに御協力をさせていただくということになれば、信用保証協会自らも適切な判断を行っていく際の力にもなり得るのではないかというふうに考えてございます。  こうした枠組みによりまして、新たに手掛ける信用保証協会による債権の譲受けというものが中小企業の再生を更に円滑にし、また債権の回収も円滑になって、ひいては信用保証協会の、保証させていただいている企業でございますので、信用保証協会の財務にも良い影響が出るということを期待して業務を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
  104. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 ありがとうございます。  是非、信用保証協会の体制の強化、それから目利きの能力の向上ということも引き続き御努力いただきたいと思いますし、あわせて、やはり最終的にはまた民間の金融機関が再生した企業の面倒を見られるところまでしっかりフォローしていただくということもお願いしたいと思います。  そして、もう一方で、地域再生ファンドへの出資が可能になるという点についてお伺いしたいと思います。  先ほどおっしゃいましたように、地域再生ファンド、恐らくは信用保証協会がかかわることで各都道府県に一つはできるようにということを目指されているんだと思うんですが、全国でまだ十六件しかないということです。そもそも地元の金融機関が中小企業の再生に積極的であれば、そういう仕組みも必要ないのではないかなと思うんですが、現実のところ、そうではないからそういうものをつくっていかなければいけない、再生ファンドで中小企業の再生を各地域で支援していかなければならないということなんだと思います。  ところが、その地域再生ファンドの組成も進まないという地域がある。このファンドの組成が阻害される要因をどのように分析なさいますか。経済産業省とそれから金融庁にお伺いいたします。
  105. 福水健文

    政府参考人福水健文君) お答え申し上げます。  中小企業の再生を図るに当たって、中小機構の方が出資する地域中小企業再生ファンドというのをつくることは、中小企業の財務面での支援を強化するという観点で私ども非常に重要だということで推進している政策でございます。直近で申し上げますと、三月にぎふ中小企業支援ファンドというものが組成されているところでございますが、委員御指摘のとおり、現在、全国で十六か所、ファンドがない地域も見られるのも事実でございます。  私どもの中小機構が出資するファンドにつきましては、地域の金融機関の合意形成というのを前提に組成していくということになっております。現在、その合意形成に至っていない理由、これを端的に申し上げるというのはなかなか難しいところかも分かりませんが、例えば既に民間でファンドが組成されているという地域がございます。それから例えば、地域には金融機関たくさんあるわけでございますが、そのたくさんある地域の金融機関の再生に対する取組姿勢に濃淡があるといいますか、そういうことがございまして、地域金融機関の足並みが結果としてそろわなくて合意形成に至っていないというふうなことが原因に挙げられるというふうに考えてございます。
  106. 三村亨

    政府参考人三村亨君) 金融庁の方からお答えを申し上げます。  中小企業の事業再生は、主要な顧客が地域の中小企業でございます地域金融機関にとって、中小企業成長機会の実現に資する上で重要な取組であると認識をしております。こうした観点から、金融庁といたしましては、平成十五年度より地域密着型金融を推進しているところでございます。  議員御指摘の事業再生ファンドにつきましては、昨年当庁において各金融機関からヒアリングをいたしましたところ、網羅的ではございませんけれども、地域金融機関は中小機構の組成、出資する再生ファンド以外にも、金融機関が独自にあるいは民間のファンドや日本政策投資銀行と共同して組成したファンドを活用しているケースも数多く存在しているものと承知をしており、多様な手法を活用して事業再生に取り組んでいるものと考えております。  しかしながら、利用者のお声をお聴きいたしますと、地域によっては、委員御指摘のように、事業再生等の取組について不十分ではないかといったような声が聞かれるのも事実であり、また金融機関により取組姿勢にばらつきがあるとの御指摘もございます。こうしたことを踏まえまして、事業再生を含め、ライフサイクルに応じた取引先企業支援の一層の強化を地域密着型金融の今後の重点項目の一つとして、各地域金融機関の自主的な取組を促してまいりたいと考えているところでございます。
  107. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 ありがとうございます。  では、今回の法改正によって状況の改善というのは見込まれるんでしょうか。経済産業省と金融庁、それぞれに伺います。
  108. 福水健文

    政府参考人福水健文君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、この中小企業再生ファンドの組成におきましては、地域の金融機関自らがこのファンドの組成に向けて積極的に取り組むということが非常に重要であるというふうに考えてございます。既に十六組成されているわけですが、組成されましたその地域再生ファンドを見てみますと、ファンドによります債権の買取りでありますとかあるいはファンドからの人材派遣、こういうことを通じまして効果的な再生計画が策定されているというふうな事例も出てきてございます。  私ども経済産業省といたしましては、中小機構等を活用いたしまして、こうしたうまくいっている事例、地域でうまくいっている事例につきましてこれを空白地域の金融機関に御紹介するというふうなことを通じまして、この地域再生ファンドの組成の意義につきまして更に積極的に関係に周知いたしますとともに、先ほど御答弁ありました金融庁の方にも私どもの再生ファンドの設立、活動状況等々につきまして意見交換十分させていただきたいというふうに思っております。こういうことを通じまして、地域金融機関が主体的にファンドの組成ができると、こういう努力をより一層積極的に進めていきたいというふうに考えてございます。  今回の法律改正によりまして、保証協会は既に地域の金融機関と信用保証の業務を通じまして非常に密接な関係を持っておられるわけでございますが、この関係も十分生かしながら、今回出資ができるというふうなことで、地域の金融機関に今まで以上に力強く中小企業の再生ファンドの組成を働きかけることができるようになるというふうに考えておりまして、信用保証協会のこういう活動を通じて再生ファンドの組成を一層促進できるようになるというふうに考えておるところでございます。
  109. 三村亨

    政府参考人三村亨君) お答えいたします。  今般の法改正の中には、信用保証協会による再生ファンドへの出資を可能とする改正など、事業再生を促すための措置も含まれていると承知をしております。これによりまして、事業再生のための選択肢が広がるものと認識をしております。  今回の措置を踏まえ、民間金融機関による取組が一層進捗してまいるよう、金融庁といたしましても促してまいりたいと考えております。
  110. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 まさに金融庁の方がおっしゃったように、ファンドがあっても濃淡があると、金融機関のかかわり方に濃淡があるんだということをおっしゃいました。やはり、地域再生ファンドを組成する、あるいはそのファンドを通じて企業を再生するということに当たっては、最終的には地域の金融機関がどれだけ積極的に役割を果たすかということがかぎになるかと思います。目下の経済状況では、中小企業の創業支援や再生支援というものはリスクが高い、小口で余りもうけがないと、手間は大企業と同じように掛かる。だから、なかなか民間は手が出しにくい、出ていかない。そういうところで、公的な機関がより積極的に関与せざるを得ないというような構図になっているのではないかと懸念いたしますが、これあくまでもこうした厳しい局面における一時的な状況であってほしいと思います。  民間金融機関が積極的に関与することで、より早く企業再生や創業が進んで、より自律的に経済が回復、成長する、そういうサイクルがそれぞれの地域で確立されるような働きかけというのがやはり重要になってくるかと思うんですが、そういう金融機関の積極的な取組を促すことについて、金融庁はどのような役割を果たしていこうと思っていらっしゃるか、伺えますか。
  111. 三村亨

    政府参考人三村亨君) 金融庁といたしましても、地域金融機関におきます借り手でございます中小企業の事業再生は極めて重要な課題であると認識をしており、これまでも地域密着型金融の重要な柱としてその取組を促してまいったところでございます。  地域金融機関が事業再生についての取組を今後一層進めていくに当たっては、経営難に陥った企業をどのように具体的に支援をしていくのかといったようなノウハウ等の浸透、定着が重要な課題であると考えており、金融庁といたしましては、例えば、各地域において地域密着型金融に関するシンポジウムを開催をし、事業再生や経営支援の具体的な事例について有識者を交えて金融機関と意見交換を行い、また先般、地域密着型金融の先進的な事例や普及が望ましい事例について取りまとめました地域密着型金融に関する取組事例集を作成、公表いたしましたところでございます。  この事例集の中でも、再生ファンドの活用を含め、各地域の金融機関が取り組んでおられます事業再生の事例を掲載をして周知、広報に努めているところでございます。  今後とも、金融庁といたしまして、引き続き地域密着型金融の推進を図り、事業再生を含め各金融機関の取組を促し、中小企業に対する金融の円滑化を促してまいりたいと考えております。
  112. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 ありがとうございます。  金融庁の取組については、また別の面からも後でお伺いしたいと思っておりますが、続いて今度は、中小企業信用保険法及び中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案について伺ってまいりたいと思います。  これは、中小企業の資産としてより大きなウエートを占めるようになった売掛債権を資金繰りに利用できる枠組みを信用保証協会や中小公庫が支援するというものですが、売掛債権で資金を融通する方法には、これまでの売掛債権担保融資というのがございましたが、これ、手続上債務者に通知が行くので、風評で取引に影響が出ることを恐れて利用できないんだというようなことをおっしゃる中小企業からの声がございました。今回の改正では、こうした風評被害を招くおそれについてはどのように対処なさっているんでしょうか。
  113. 福水健文

    政府参考人福水健文君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、平成十三年に売掛債権担保融資保証制度を創設したときに、その風評被害の課題をどうするか、御指摘を受けまして、我々も活動してきたところでございます。売掛債権を担保とする資金調達を普及させる上で解決すべき重要な課題であるということで、いろいろやってきています。  例えば、全国各地で私どもで開催しております下請振興講習会において説明会を開催したり、また、テレビ、新聞、雑誌等々、広報を行うというふうなことで、中小企業の方はもちろんですが、金融機関の方々に対しましても、いわゆる風評被害防止ということに向けた普及啓蒙の取組、積極的に取り組んできているところでございます。  昨年には、この売掛債権の担保融資保証制度に在庫資産を加えて、流動資産担保融資保証制度ということで拡充いたしております。この制度に加えまして、今回措置しようとしております売掛債権の早期現金化支援体制の利用拡大に伴いまして、この売掛債権を始めとする流動資産を活用した資金調達が一つ中小企業にとって非常に重要な資金調達の正当な手段であるというふうな認識が広がっていくということも強く期待しているところでございます。  いずれにいたしましても、今後とも、この売掛債権で融資を受ける、あるいは現金化する、こういうことにつきまして、引き続き普及啓蒙、努力してまいりたいというふうに考えてございます。
  114. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 やはりこれまでの商慣行に対して価値観を変えるというのは本当に根気の要る仕事だと思いますので、是非頑張っていただきたいと思います。  売掛債権の現金化というのは、大企業のグループ内であるとか、あるいは大企業と大手の金融機関というものの間では進んでいるようですが、やはり信用力に乏しい中小企業では進みにくい面もあるかと思います。けれども、一方で、手元の流動性を必要としているのはむしろ中小企業だからこそ信用保証協会や中小公庫が支援に乗り出すということだと思うんですが、やはりこの枠組みでも民間の金融機関がどのようにかかわってくるかということがかぎになるかと思います。  中小企業、実際にはほとんどが民間の金融機関から融資を受けて仕事をしているというわけですが、金融庁はこの枠組みの中ではどのような役割を果たせるというふうにお考えですか。
  115. 私市光生

    政府参考人私市光生君) お答えいたします。  先ほどから御指摘のとおり、売掛債権の早期現金化というものは、特に中小企業にとって、在庫とか売掛債権等を保有している等の実態にかんがみれば、中小企業の資金調達手段を従来以上に広げる効果があるものと認識しております。  金融庁といたしましては、中小企業等向けの資金供給の円滑化の観点から、従来より、動産・債権譲渡担保融資の活用など不動産担保や個人保証に過度に依存しない事業価値を見極める融資手法の活用を促したところでございますが、主な顧客が中小企業である地域金融機関について見ますと、売掛債権の現金化を含む動産・債権譲渡担保融資は、平成十五年度では件数が一万件、金額が一千百二億円であったものが、平成十八年度には件数一万八千件、金額二千二十九億円とほぼ倍増となっており、幅広く普及しつつあるものと認識しております。
  116. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 ありがとうございます。  売掛債権の現金化というのは中小企業はこれから本当に必要とする手法だと思うんですが、実は既に資金繰りに窮した中小企業の中には、ノンバンク系の売掛債権のファクタリング会社に持ち込んで非常に高い割引料を払って現金化しているところもあると聞いています。この行為自体は売掛債権を現金化する、現金を調達しているということなんですけれども、現実的にこれ、もしこれ借金だと考えたら、置き換えたならば、法外な利子を払っているのと同じことではないかと思います。  こうした実態について政府ではどのように把握をしていらっしゃるんでしょうか。まず、金融庁にお伺いします。
  117. 私市光生

    政府参考人私市光生君) 元々売掛債権の譲渡によるキャッシュフローの確保というものは民間企業の一般的な経済活動でございまして、そうした業務を行うファクタリングサービス等についてその全容を把握することは困難であるということをまず御理解をいただきたいと思いますけれども、その上で、委員御指摘のような、貸金業者等によってそのような業務が実施されていることはどうかということでございますけれども、実際にされているという意味では、全体を把握するということは私どももできておりませんけれども、貸金業者のうち、特に売掛債権の現金化としての経済的側面を有する手形割引に関する業務を貸付けの一環として行っているのが手形割引を主要な業務とする手形割引業者でございますけれども、この十九年三月末の貸付残高は約二千三百億円ということになっております。  それから、当庁としてもこういった実態を全部把握できないわけでございますけれども、適切な各般の施策を取り組むことで中小企業の円滑化に努めてまいりたいというふうに考えております。
  118. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 それでは、経済産業省はこのノンバンクのファクタリングサービスについてどのように把握をなさっていらっしゃるんでしょうか。また、それらと比べて今回の枠組みにはどのような意義があるのかも併せてお伺いしたいと思います。
  119. 岩井良行

    政府参考人岩井良行君) お答え申し上げます。  ファクタリング会社と言われております会社の主な業務は、企業の営業活動によって発生した売掛債権を原則債権者への遡求権をなく買い取るということが大きなものになりますけれども、それに付随した業務といたしまして、回収の保証をする、あるいは回収の代行をするというような業務も考えられるところでございます。  民間企業において行われておりますこうしたファクタリングという事業は、これまでは冒頭申し上げましたような売掛金債権の現金化という部分はなかなか業務としてやれておらず、回収のところを中心に業務を行ってこられたというところが多かったと思いますけれども、最近、その手形割引の資金調達が減ってきているというようなことを踏まえまして、幾つかのパターンでファクタリングが売掛金債権に関しても行われているものと承知しております。  その際、どのような会社がファクタリングをしておられるのかというところで分けていきますと、金融機関系のところがやっておられるというパターンがあろうかと思います。それから、メーカー系あるいは商社系というようなところもあろうかと思います。それから、今御質問が出たような貸金業を営んでおられるようなところがやられているというようなところに分類ができようかと思いますけれども、それぞれのファクタリング会社が民間で行われておられますサービスの特徴を申し上げれば、金融機関系のところは一括決済型契約というものが中心になるのではなかろうか、またメーカー系、商社系は、これいずれも似たところがあろうかと思いますけれども、グループ企業あるいはグループ企業と取引がある企業、大手メーカーの子会社、こういうようなところが中心になりますし、商社系のところは大手総合商社と取引がある企業というようなところに限られてくるというような特徴があろうかと思います。他方、独立系といいましょうか、貸金業をやっておられるようなところは、いわゆる一見取引が中心で、どなたの債権であるかということを必ずしも選ばれないというような特徴があろうかと思います。  今のような四つの分類をもう一度くくって申し上げますと、メーカー系や商社系あるいは金融系のところというのは、どこが支払企業であるのかというところに着目をしておられて、大企業中心に組成をされているというのが一つのポイントだろうと思います。その意味では、中小企業の方の利用が非常に少ないのではなかろうかというふうに思われます。もう一つのパターンは、貸金業を兼営されているような会社が、支払企業がどこであるかということを限定せずに対象とされると。その代わり、サービスに係る割引料が比較的高くて、中小企業の側から見ますと資金調達の際の負担が重くなると、こういう大きく言って二つの特徴があろうかと思われます。  今回御審議いただいております売掛債権早期現金化支援策におきまして、信用保証協会又は中小公庫による信用補完等の支援措置によりまして新たな仕組みができますと、大企業の取引先でなければならないというような、だれが支払企業であるかという限定がなくなりまして、広い範囲の支払企業に関して売掛金債権の現金化が可能になるという点が一点。あるいは、低廉な割引料での売掛金債権の早期現金化が可能になるというところは二点目の点でございまして、今の民間企業でやっておられるある種の限界、限定があるところを、今回の法律的措置によりましてそこを取り払いまして、資金調達の際の負担を軽減し、できるだけ幅広い中小企業の方に御利用いただくような制度として設計したというところでございます。
  120. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 済みません、ちょっと質問の通達をしていないことなんですけれども、今くしくも経済産業省の言葉の中に貸金業という言葉が出てきました。独立系の相手を選ばないファクタリング会社というのが不当に高い割引料で現金化という作業を行っているかどうかということについて、一切その全体の状況が把握できていないということで本当に金融庁はいいんでしょうか。今後、貸金業なのかどうかは別として、そういうことが実態どうなっているのかを調べるおつもりがあるのかないのか、お伺いできますか。
  121. 私市光生

    政府参考人私市光生君) 貸金業が適切な業務運営をするということにつきましては、金融庁としても重大な関心を持っておりまして、貸金業法あるいは利息制限法、その他関連法令に違反するような業者がある場合には適切に対応したいというふうに、これまでも対応してきましたし、これからも対応したいというふうに考えております。
  122. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 銀行にぶら下がっていないので金融庁は監督するつもりがないというようなことは絶対おっしゃらないと思いますけれども、こういう実態がまずどうなっているのかというのは、これお金を融通するという意味では金融庁の範疇かと思いますので、是非まず実態の把握に努めていただきたいと思います。  続いて、そもそも中小企業の資金繰りが最近厳しくなっている背景の一つに、バブル崩壊後の長い景気低迷から立ち直ってくる過程で元請企業の支払サイトが長期化してきたことがあるんじゃないかと思います。景気回復の局面ではある程度こういうことも必要だったのかもしれませんけれども、そのしわ寄せが中小企業に行き過ぎているとすればそれは問題だと思います。  今回の三法案による措置の以前にこうした行き過ぎに対処するべく下請法や独禁法などの制度的な措置が講じられているわけですけれども、こうした既存の制度について公正取引委員会並びに経済産業省はどのような取組を行っているのかをお聞かせください。
  123. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) 下請法に関する御質問ですが、下請法は第二条の二で、親事業者は頼んだ仕事を引き受けたら、引き受けるというか、その結果が出て受領したら、それから六十日の期間内の、それもできるだけ早い時期を支払期日に定めなけりゃならないというふうになっておりまして、それを守らないで遅延した場合には年率一四・六%の遅延利息を払いなさいということになっております。  そういうことで、特に最近下請いじめみたいなことがよく指摘されておりますので、公正取引委員会、この下請法の普及それから遵守、そういうことについての啓蒙活動的なこと。それから、黙っていましたらなかなか下請事業者から公正取引委員会なり中小企業庁にこういうことで被害に遭っていますという情報が入ってこないものですから、毎年、公正取引委員会だけでも約三万の親事業者、それから十七万の下請事業者に対して、下請取引がどうなっているのか、その中に下請法違反的なことがないのかということを我々の方から積極的に掘り起こしのための書面調査をやっております。  そういうことでございますが、今話題になっております支払遅延的なことにつきましては、最近の例を申し上げますと、平成十九年度の実績で、親に対して六十八社、それから支払を受けた下請事業者三千五百二十五名で七千二百四十四万円の、これは遅延利息だけですけれども、元本は当然別途支払、何といいますか、減額があればそれはまた復元させますが、そうじゃなくて、支払遅延の遅延利息に係る額で七千二百四十四万円を払うように指導をしております。そういうことで鋭意取り組んでおるつもりでございますが、これからも同じような努力を続けていきたいと思っております。
  124. 福水健文

    政府参考人福水健文君) お答え申し上げます。  仕組みにつきましては先ほど公正取引委員長の方から御説明がありましたので、私どもの下請代金支払遅延等防止法の状況について御説明したいというふうに思っております。  私ども中小企業庁といたしましては、平成十九年度、昨年度でございますが、十三万社に対しまして書面調査を行い、そのうちで九百社に対しまして約二千件の改善指導というのを行ってきております。また、この書面調査については今年度十三万社から十七万社に拡充いたしまして、昨今の状況を踏まえて、下請法による取締りの一層の強化を図っていきたいというふうに考えてございます。  また、この下請法の取締りということに加えまして、中小企業の中長期的な発展のためには、こういう取締りだけではなくて、親事業者と下請事業者の望ましい取引関係をつくっていくことが非常に大事だ、いわゆるウイン・ウインの関係というふうに申しておりますが、これが非常に重要であるということで、現在のところ、素形材でありますとか自動車、最近では建設業でありますとか運送業、十業種につきまして下請適正取引ガイドラインというふうなものを策定しております。その中に、下請取引、親と子の間でうまくいった事例、いわゆるベストプラクティスというふうなものも書き込んでおりまして、こういうベストプラクティスガイドラインにつきまして周知徹底を図っているところでございます。  更に加えまして、今年の四月一日からでございますが、四十七都道府県に下請かけこみ寺というふうなものを設置いたしております。これは、下請の方々、なかなか訴え出たり相談するところがないと、あと、秘密を守ってこれを進めなきゃいかぬ、いろんな課題があるわけですが、そういうことを担保しながら対応していこうということで四十七都道府県に下請かけこみ寺というものを設置いたしております。現在、設置から二か月たっておりますが、既に四百件程度の相談の対応を行っているというふうなところでございまして、今後私どもといたしましても、その相談員の体制強化、整備を進めていきたいというふうに考えてございます。  いずれにいたしましても、私ども中小企業庁は公正取引委員会と十分に連携、連絡を取りながら下請取引適正の推進に万全を期して進めていきたいというふうに考えてございます。
  125. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 ありがとうございます。  公正取引委員会の竹島委員長自ら実は今日お答えをいただきたいと思いましたのは、今国会で審議される予定の独禁法の改正でもこの下請取引の適正化については対象になっておりますが、是非私もこの場で委員長の口からお話を伺いたいと思いまして、わざわざおいでをいただきました。  公正取引委員会関係省庁の連携を強化するというようなこと、それから中小企業庁と公正取引委員会の方から下請業者の人どうぞ申告をしてきてくださいということを呼びかけていると。しかし、現実にはやはり長年の取引の中でお互いさまという気持ちが醸成されていてなかなか言い出せない。もし仮に申告した当初はうまくいっても、最終的に自分たちがどこかでばれて排除されるんじゃないだろうか、いろんな懸念がある中ですくんでしまっている中小企業というのは決して少なくないと思います。  今後、中小企業が安心して相談ができる体制というのを確実につくっていくと、更に解決に公正取引委員会は積極的に関与していくんだという、そういう決意を是非委員長の口からお伺いしたいんですけれども。
  126. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) 御指摘のとおりでして、公正取引委員会、下請問題につきましては、秋にその周知徹底を図るというようなことでキャンペーンを張っているわけでございまして、それだけじゃなくて、いろんな機会に下請法についての研修等々をやってこれからもいきたいと思います。  それから、関連することで大規模小売業者の納入業者いじめという問題がありまして、これもこの数年かなり取り上げてきて、皆様方御存じの大きなところが関与するようなことも事件として取り上げてきております。こういったことが世の中で、何といいますか、意識されますと、下請の世界にもいい影響があるのではないかと、要するに泣き寝入りをするという必要はないんだと。仮に報復があれば、またそれは処罰の対象になりますので、事業者たる者、いやしくも事業をやっておられる方々はそういう理不尽なことで泣き寝入りをするということがないように、もう少しまさに自立の精神を持っていただいて、おかしなことについてはきちっと言ってきていただくというふうになっていただきたいなと。  是非、経産委員会の先生方、公正取引委員会へ幾ら言っても、そんなこと言ったってと思う方も世の中にはおられるかもしれませんが、先生方がおっしゃればちゃんと信用して公正取引委員会でも中小企業庁にでもこういうことがあったよということを言ってこられるんじゃないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  127. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 ありがとうございます。  一方で経済産業省の方は、言ってきてくれというふうに委員長はおっしゃいましたけれども、安心して相談できるという体制、確実につくっていただけますか。お願いします。
  128. 福水健文

    政府参考人福水健文君) お答え申し上げます。  先ほど下請の駆け込み寺という全く同じ思想で、御相談いただいた場合に秘密を守る、それぞれで解決を進めていくというふうな体制をつくり、実行していきたいということでこの四月から進めてきておりますし、私ども全国十か所に経済産業局がございますが、ここでも下請の相談、常に承っておりますし、最近、実績見ても勇気を持って御相談に来られる方が少し増えているんじゃないかというような傾向にもございます。我々秘密を守りながら対応できればというふうに思っていますので、万全を期してまいりたいというふうに考えてございます。
  129. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 是非精いっぱいの御尽力をよろしくお願い申し上げます。  さて、今回の法改正の枠組みというのは、そもそも、特に売掛債権の動産を担保に取れるようにして、銀行の融資に偏った中小企業の資金調達の在り方をいろいろと変えていこうと、多様化していこうという流れの中から出てきたものだというふうに理解をしております。  土地、建物がないとお金が借りられない、あるいは第三者保証がないとお金が借りられないというところから、中小企業も事業に対する評価に基づいて資金が調達できるようにしよう、動産も担保に取れるようにしようという方向にはあるというふうに認識しておりますが、実際にはまだ第三者保証を求められることが多いんですというようなお話も聞いております。  この第三者保証というのは、金融機関の方から見ますと、返済の確実性を増す方法として日本の金融取引の中で定着してきた慣行なわけですけれども、その分、事業が本来持っているリスクをきちんと見ないで貸し付けるというような金融機関の目利き能力を阻害する一因になってきたのではないかという見方もできるんじゃないかと思います。一方で、企業の方から見ますと、事業自体の評価とかかわりなく第三者保証を求められてしまうことで円滑な資金調達に支障を来してきたという面もあるかと思います。そういう理由から、近年こうした慣行を見直す方向で動いてきたんだというふうに思いますが、現在、保証協会や政府系の金融機関では第三者保証に関してどのような対応をしているのか、教えてください。
  130. 岩井良行

    政府参考人岩井良行君) お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘もございましたように、中小企業の経営に直接関係のない第三者を連帯保証人として求める商慣行というものがございまして、その結果、企業の経営悪化がありますと、社会的にも経済的にも重い負担を強いられる第三者の方が存在するということはかねてから問題とされてきたところでございます。また、個人保証、人的保証あるいは不動産の保証というものに過度に依存している金融の体制では中小企業成長を望み難いのではないかということから、私ども中小企業庁といたしましても、個人保証に過度に依存しない金融ということを積極的に推進をしてまいりました。  政府関係がある分野で御質問がございましたけれども、信用保証協会につきましては、平成十八年四月から経営者本人以外の連帯保証人、すなわち第三者保証人を原則求めないこととするという方針に変えておりまして、この結果、信用保証協会における第三者保証人の徴求率は大幅に減少いたしまして、直近、昨年十二月の数字でございますけれども、二・一%という極めて低い水準にまで減少をしてございます。  また、政府系金融機関でございますけれども、国民金融公庫におきましては、第三者保証人を不要とする融資制度というものを持ってございました。それがこれまでは限度枠二千万円であったわけでありますけれども、今年の二月から国民金融公庫の貸付け限度枠の上限であります四千八百万円というところまで枠を拡大をいたしました。また、中小公庫及び商工中金におきましては、原則として経営に関係のない第三者の個人保証を求めてはおりません。  このように、政府系金融機関を中心に第三者保証を取らないという方向で努力をしてまいりましたけれども、今後とも個人保証に過度に依存しない金融を推進をいたしまして、中小企業の資金調達の円滑化を全力で支援をしてまいる所存でございます。
  131. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 それでは、この第三者保証人の問題について金融庁はどのように取り組んでいるのでしょうか。教えてください。
  132. 私市光生

    政府参考人私市光生君) この件についてお答えします。  基本的な考え方は中小企業庁と全く同じでありまして、第三者保証、つまり経営者本人以外の個人による保証というものでございますけれども、やはり経営に責任を負うべきでない第三者に経営失敗の責任を負わせるという点で弊害があるというのと、他方では、債務者の信用を補完して資金調達の円滑化に寄与している場合もあるということでございますけれども、やはり実態を見ますと、いろいろと課題があるように思われます。  そのために、金融庁では、地域密着型金融を推進する中で、度々申し上げているとおり、個人保証に過度に依存することなく、その事業価値を見極める融資手法を徹底するということを何度も何度も各金融機関に対して申し上げているところでございます。  また、さらに今後とも、やはり個人保証に過度に依存しないという意味で、事業価値を見極める融資手法の徹底を、あるいは保証契約に関する金融機関の説明体制の徹底というものに引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  133. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 それでは、金融庁の方が何度も何度もおっしゃって熱心に取り組んでこられた結果、実際に民間の金融機関は第三者保証について見直す方向で動いているのでしょうか。もし現状や実態を把握しているようであれば、具体的に教えてください。
  134. 私市光生

    政府参考人私市光生君) 先ほど申し上げましたとおり、地域密着型金融を推進をするということで、度々地域金融機関に促しているところでございますけれども、これに対しまして、地域金融機関におきましては、財務制限条項を活用した融資とか、あるいは在庫等を活用した動産担保融資等の取組が進められるというふうに承知しております。  その進捗状況でございますけれども、各種取組の件数、金額等の増加が見られるなど、総じて着実に実績は上がっているとは思いますけれども、ただし利用者からは、担保、保証に過度に依存しない融資の推進については取組が不十分という声も聞かれているところでございます。  このため、金融庁といたしましては、今後とも各金融機関の取組を促すために、各地域金融機関に対しまして、そういう取組についての数字について、決算期において開示を要請するとともに、毎年取組状況報告を求め、これを取りまとめて報告、あるいは定期的なヒアリングの中で取組状況をフォローアップということで、各金融機関の取組を今後とも鋭意把握してまいりたいというふうに考えております。
  135. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 この第三者保証の徴求については、金融庁でも実態をちゃんと数としてフォローをしていただければ有り難いなと思います。  恐らく、金融庁がいろいろな場面で、指導をしました、監督をしておりますとおっしゃったときに、それがどのくらいの効果があったのかということを把握して初めてそれは効果があったと言えるものではないかなと思っております。この第三者保証のことに限らず、今までずっとお話ししてきました例えば創業支援であるとかあるいは企業再生の支援についても、金融庁は民間企業に金融庁ができる範囲で指導していますということなんですけれども、現実に指導だけで済む部分とやっぱりもう一押しが必要な場面というのもあると思うんです。  特に、中小企業の金融というのは、もし動産の担保に移っていったり、あるいはコベナンツであるとかABLであるとか、融資後もっとモニタリングをしていかなきゃいけない融資に移っていったりすると非常に手間が掛かる。だけれども、小口であるためになかなか手間ばかり掛かってもうけにならないので、民間企業は出ていきにくいというようなところもあると思うんですが、これは政府一体としてやはり中小企業を応援するという姿勢があってこそ、日本経済全体が元気になっていくということへ結び付くんではないかと思っております。  そういう意味で、金融庁の今後のかかわり方、地域金融機関の指導、コミットメントについて、是非前向きなコメントをお伺いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  136. 私市光生

    政府参考人私市光生君) 御指摘の第三者保証につきまして、定期あるいは必要に応じて随時行うヒアリングとか、あるいは金融サービス利用相談室において利用者の方々からいただいた相談等において実態把握に努めているところでありますけれども、こうした中で、必要に応じ当該金融機関に情報等を還元することとしているほか、第三者保証の徴求における金融機関の説明体制、あるいは優越的地位の濫用などの問題行為が発生されれば、必要に応じ検査監督上の対応を行っているところでございます。  金融庁といたしましては、今後とも個人保証に、あるいは第三者保証含めて、個人保証に過度に依存しないような事業価値を見極める融資手法の徹底、保証契約に関する金融機関の説明体制の徹底等に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  137. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 恐らく、状況をフォローする、数を報告させる、そういうことだけでも金融機関の姿勢というのは大きく変わってくるんではないかと思いますので、是非金融庁の方でもお考えいただければと思っております。  さて、今まで三つの法改正についてお話を伺ってまいりました。これ、いずれも地域の経済を元気にするという意味においても非常に大きな役割を果たす改正ではないかと思っております。  地域経済を支えているものの一つには、地域の核となっている中規模の企業、そして地元の商店ですね、小企業の集まりである商店街というところがあるかと思います。商店街は、地域の経済というだけではなくて、地域のコミュニティーもまた支える存在であって、非常に地域を元気付けるためには重要な存在ではあるかと思うんですが、その商店街に対する支援について、済みません、大臣、どのようにお考えであるか、お話を伺えますでしょうか。
  138. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 商店街は、単に商品やサービスを提供するといった機能だけではなく、御指摘のとおり、祭りなどのイベントであるとかあるいは地域住民の交流に際しても、地域コミュニティーの中核として多様な役割を担っておりまして、商店街の活性化は地域活性化に向けて極めて重要であるというふうに経済産業省としても認識をいたしております。  そうした中でありますが、一昨年抜本見直しが行われましたまちづくり三法の下に、中心市街地の活性化、中心商店街の活性化に向けた動きが全国で始まっております。現在までに三十二の自治体の基本計画が改正中心市街地活性化法に基づく認定を受けまして、これらの自治体も含めまして百一の地域で中心市街地活性化協議会が設立をされております。こうした取組を行う地域に対しまして、専門家の派遣であるとか認定基本計画に基づく商業活性化の事業へ重点的な支援を行っているところであります。  また、中心市街地以外の地域におきましても、空き店舗の活用によるコミュニティー施設や地域農産品を扱うアンテナショップの設置への補助であるとか、あるいはアドバイザーの派遣等、地域の商店街の活性化に向けた支援策を講じているところであります。  今後とも、こうした取組を中心に、地域におけるニーズを踏まえつつ、商店街の活性化に向けた取組を積極的に支援をしてまいる所存であります。
  139. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 ありがとうございます。  高齢化が進んでまいりますと、歩いて楽しめる、歩いて生活できる町をつくっていくということは非常に重要なことだと思います。その中で商店街、元気な商店街というのは核になると思いますので、是非そのサポートをよろしくお願いいたします。  もう一点。そういう高齢化が進みますと、なかなか内需を伸ばしていくというのが難しい中で、中小企業もまた究極的には海外に市場を求めていくという姿勢が求められるようになってくるのではないかと予想されます。中小企業の国際展開についてどのような支援を行っていくのか、最後にお聞かせください。
  140. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 我が国経済社会におきましては、直面する課題が、人口の減少そして高齢化が進展をするということであります。こうした中で中小企業の活力を維持向上するためには、海外への進出であるとかあるいは販路拡大など中小企業の国際展開ということも御指摘のとおり積極的に支援をしていく必要があるというふうに考えております。  そこで、ジェトロの国内外事務所、ジェトロというのは外にはもちろんありますが、国内にもたくさんございますが、この内外の事務所であるとかあるいは中小企業基盤整備機構を通じまして、海外との貿易投資に関する情報提供、相談業務、海外見本市への参加支援等を通じたビジネスマッチングなどの多面的な支援策を展開しているところであります。  経済産業省といたしましては、こうした支援策が各地域の中小企業に一層活用されて円滑な国際展開が図られることになるように、今般、全国で三百十六か所になりました、公募を中心に設置をしたわけでありますが、三百十六か所に設置をしました地域力連携拠点、これらも活用しつつ、今後ともより一層の支援を行っていく所存であります。
  141. 丸川珠代

    ○丸川珠代君 ありがとうございました。  以上で質問を終了いたします。
  142. 松あきら

    ○松あきら君 公明党の松あきらでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  中小企業に関する法案、施策は今日が最後、今国会最後でございますので、しっかりと審議を進めてまいりたい、取り組んでまいりたいというふうに思っております。  さて、我が国の大企業は今やその生産拠点を海外に移す時代へとなってまいりました。以前に私もこうした海外で得た利益に対する控除等の大臣質問も申し上げまして、それでお答えいただきました。そういうことも、大企業に対してはいろいろなことがしっかりと対策が取られている。あるいは、大企業は株式、社債など、もう多様な資金調達手段を持っているんですね。それに引き比べまして、先ほど来出ております、大変に現在苦労している、中小企業は。アメリカのようにこの指止まれの直接金融ではありません、間接金融です、日本は。ですから、中小企業はまさにその融資、資金を調達するにはどうしても金融機関に頼らざるを得ないというわけであります。  そしてまた、その資金調達の成否というものがその会社の存続に非常に大きな影響を及ぼすということでありまして、まさに命綱であるわけでございます。私ども公明党も、昨年あるいはこの三月の年度末にも金融対策あるいは原油高対策等々、大臣にもそして総理にも申入れをいたしまして、与党としてもいろいろ対策を取ってきたところでございますけれども、先ほど来出ております、まさにとどまるところを知らぬ原油高。今日、大臣原油価格は異常というこの新聞のインタビューにもございますように、まさにこうしたもう心配を通り越しているような状況、この原油高。そしてまた、サブプライムローンの問題、まだ片付いていません。それから、鉄鉱石やあるいはレアメタルなどの原材料高等々々で、依然として景気先行き不透明という感は否めないかなというふうに私は思うところであります。  さて、先月二十六日、日経新聞を見ておりましたら、こんな記事が出てまいりました。「貸し渋り再燃を警戒 副大臣ら派遣し緊急要請」と、これは金融庁が出されたことであります。金融庁の事務方を派遣する例はあるが、副大臣ら高官まで派遣するのは異例と、金融庁は昨年秋以降、銀行による中小企業向け融資が前年割れの状態にあることを問題視、立入検査などを今までしていますけれども、これは不良債権の査定だったんですけれども、中小企業への円滑な資金供給を行っているかに比重を移していると、まあすばらしい。そして、中小企業の将来性や経営状態を適切に審査し、積極的に融資できているかを点検するという記事を見て私はうれしくなったわけでございますけれども。  そこで、金融庁に伺います。その中小企業向け融資をめぐる現状についてお伺いをするとともに、全国の地域の金融機関に中小企業向けの貸し渋り、貸しはがしを起こさないように緊急要請をもするということで、どのような具体的な働きかけをなさるのか、この二点について金融庁にお伺いしたいと思います。
  143. 私市光生

    政府参考人私市光生君) お答えします。  ずっとこの委員会でも御議論がされておるとおりに、中小企業の現状というのは大変厳しくなっているというふうになっていますが、金融庁としてもそのとおりに認識しております。  貸出しの現状について見ますと、国内銀行の中小企業向け貸出残高は、平成十九年九月以降、前年同月比マイナスでございますし、それから申すまでもなく、石油価格の上昇に端を発します原材料価格の上昇、あるいは建築着工の落ち込みといったことが、どんどん収益圧迫や資金繰りの苦しさということで厳しさが増しているというふうに考えております。  金融庁といたしましては、去る四月四日に、経済対策閣僚会議において、中小企業の体質強化や地域活性化などを柱とした成長力強化への早期実施策が決定されましたけれども、それに基づきまして、四月以降、各地域において経済産業局とも連携しまして中小企業金融の円滑化に関する意見交換会を開催しております。先ほどお話がありましたとおり、副大臣以下全国各ブロックで会議を開催しておりまして、その中で、各地域の金融機関に対しまして中小企業への資金供給の一層の円滑化、あるいは営業現場も含め金融検査マニュアルの別冊の趣旨を踏まえた対応の周知徹底、あるいは地域密着型金融に関する取組事例集の周知によるノウハウの共有と各金融機関における取組の促進等の要請を行っているところでございます。  金融庁といたしましては、中小企業に対する円滑な金融は金融機関の最も重要な役割であると認識しておりまして、今後とも、民間金融機関による中小企業に対する金融の円滑化を図るべく、各般の施策に取り組んでまいりたいと考えております。
  144. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。最も重要というお言葉をしかと受け止めさせていただきました。  そこで、金融庁の貸出条件緩和債権関係Q&Aというものにおきましては、信用保証協会の保証付債務に関して貸出条件の変更、すなわちリスケを行っても一定の条件を満たせば貸出条件緩和債権に該当しないと言及されております。これは大変結構だと思うんですけれども、しかし現実は、民間の金融機関からの借入れに関してリスケを一回でも、一度でも受けていれば追加融資の申出に関してはもう門前払いを受けると、話も聞いてもらえないのが現状なわけですね。もう悲痛な声が中小企業の方々から上がっているわけでございます。  中小企業に融資を行う際には、リスケが行われているといった表面的な現象によって画一的に扱うのではなくて、経営・財政面、それから、新聞にも書いてありました、また将来性等々特性を十分に踏まえたきめ細かい判断が必要だと思いますけれども、よろしくお願いいたします、もう一度。
  145. 私市光生

    政府参考人私市光生君) 金融庁では、貸出条件緩和債権に関する銀行法施行規則の解釈につきまして、監督指針において基準金利の設定方法の規定の明確化を図るとともに、当該規定に係る関係者からの質問等を取りまとめまして貸出条件緩和債権Q&Aとして公表しております。  このQ&Aにおきましては、信用保証協会保証などの保証等により一〇〇%保証されている貸出金は信用リスクが極めて低いと考えられ、当該貸出金に係る調達コストを確保していれば、当該貸出金に対して基準金利が適用される場合と実質的に同等の利回りが確保されていると判断して差し支えないというふうに回答しております。保証による信用リスクの低下を十分に勘案した上で貸出条件緩和債権の判断を行うということにしております。  また、金融検査マニュアル別冊・中小企業融資編におきましては、中小零細企業等の債務者区分を判断するに当たりまして、これは、取引実績やキャッシュフローを重視して検証するとともに、貸出条件の変更の理由や資金の使途、性格を確認しつつ、債務者区分の判断を行う必要があるということで、一律にやってはいけないと、実態をよく見てほしいと、こういうふうに書いております。  金融庁といたしましては、こういう趣旨を周知させるために、各地において中小企業金融の円滑化に関する意見交換会において、金融機関に対してその趣旨を踏まえた対応を改めて要請するとともに、借り手である中小企業向けの説明会を各地の商工会議所、法人会等の協力を得て開催しているところでございまして、説明会は昨年十二月以降開催しておりまして、五月二十六日現在において百六十九件が終了ということでございます。  いずれにせよ、中小企業に関する円滑な金融は金融機関の最も重要な役割であるということでございますので、金融機関に対しては実態をよく見て判断をしていただきたいと、こういうふうに求めているところでございます。
  146. 松あきら

    ○松あきら君 私、よく分かりませんでした。やはりもう少し短く、分かりやすく、間のだあっとおっしゃっても、本当に、じゃリスケ、まあ分かりますよ、気持ちはね、何でもじゃじゃ漏れでいいとは言えないと。そこはやっぱりある程度きちんと見なきゃいけないけれども、でも単にリスケを行っていれば駄目よということではいけませんよと、リスケがされていてもきちんとこうやっていろんな特性を見てくださいよということを私は申し上げたんで、それに対して本当はどうだったのかなと、多分前向きであろうというふうに、良い方に受け取りたいと思いますが、余り分からない、そこがやっぱり金融庁、せっかくさっき褒めてあげたのに残念ですね。同じこと、中小企業庁、いかがですか。
  147. 山本香苗

    大臣政務官山本香苗君) お答えをさせていただきたいと思います、できる限り分かりやすく。  政府系金融機関は、資産や自己資本に乏しい民間金融機関のみでは十分に資金が供給されない中小企業をしっかりと支援することが設立の趣旨としておりますので、おっしゃるとおり、リスケという表面的な現象のみを見て門前払いをするというような対応を行うべきではなくて、中小企業の実情をきめ細かく見ていくということが必要だと思っております。  そのため、中小企業庁といたしまして、御指摘も踏まえてしっかりと丁寧に窓口で相談体制をつくってまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  148. 松あきら

    ○松あきら君 よく分かりました。  本当に、特に政府系金融機関は中小企業にとって頼みの綱でございますので、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。  先ほど、平成十三年にできました売掛債権担保融資保証制度、これと今回の創設する制度の違い等々をお伺いするつもりだったんですけれども、これはどういう違いかというと、手形の割引と同じようなのが今回、融資というのと、割引と同じようなのが今回、つまり現金化ですね、早期現金化、この違いがあるということで、これはお伺いしなくてもいいかなというふうに思います。  売掛債権担保融資保証制度の創設の際にも大きな課題となったわけでございますけれども、売掛債権には債権の譲渡制限が付されることが多いわけです。今回の制度創設におきましても、債権譲渡制限の縮減のためにどのような取組を行ってきたのか、お聞かせをいただきたいと思います。また併せて、今後の取組についてもお聞かせいただきたいと思います。
  149. 岩井良行

    政府参考人岩井良行君) お答え申し上げます。  御指摘の売掛債権の譲渡禁止特約でございますけれども、まず平成十四年以降、国ですとか地方自治体が物品、役務を調達をする、あるいは官公需工事契約を行うと、こういう際に債権譲渡禁止特約というものを付けないようにということを推進をしてまいりました。  また、経済団体等にも債権譲渡禁止特約を解除するようにということをお願いをしてきてございまして、具体的には、平成十九年三月には、全国五百六十三の事業団体を通じまして、下請事業者への配慮などを要請するとともに、売掛債権の譲渡につき適切に対応すべき旨の通達を発出してございます。また、平成十五年以来、毎年全国各地で開催しております下請振興講習会におきましても説明会を開催しておりまして、平成十九年度は全国二十五か所で実施するなど、こうした働きかけを強めてまいりました。また、テレビ、新聞、雑誌による広報なども行いつつ、中小企業や金融機関に対する普及啓発にも取り組んできたところでございます。  今般、また売掛債権の流動化を更に進めていくという新しい仕組みをお願いをしているところでございますので、この債権譲渡禁止特約の解除等につきまして一層の理解を求めて、売掛債権を活用した資金調達手段ということで、中小企業の資金調達の種類、方法が豊富になるということに役に立つように、引き続きこの面の努力をこれまで以上にやってまいりたいというふうに考えてございます。
  150. 松あきら

    ○松あきら君 似たような制度と言われているわけでございますから、新しい制度をつくって、さらに中小企業の方が良かったなと思っていただけるようによろしくお願い申し上げます。  今秋十月から、この秋の十月から日本政策金融公庫、これがスタートするわけであります。同時に、商工中金は株式会社化をされます。我が党は、かつて民間金融機関が貸し渋りや貸しはがしに遭ったときに、きめ細かい融資によって中小企業を救った中小公庫あるいは商工中金であったことを踏まえて、彼らの中小零細企業に対するセーフティーネットは政策金融の不可欠な役割として残さなくてはならない。  これもう、私、党の経産部会長も当時もしておりましたし、そしてまた役所にも入れさせていただいて、政務官とか副大臣もいたしましたけれども、これ本当に、別に役所側に立って言っているわけでは全然なくて、本当に中小零細企業の方々が悲痛な叫びがあると、そういうことで主張してきたわけであります。特に、今は中小零細企業と言ってはいけない、小規模企業と言わなきゃいけない時代なんです、分かっているんですけれども、その小規模企業の方は政策金融改革の実施によって円滑な金融に支障が出るのではないか懸念がいろいろある、不安がもう募っているわけですね。  ですから、その新機関への改革、改編後も、中小企業金融に引き続きしっかりと取り組んでいくことが重要であるというふうに思っておりますけれども、この点に関しまして大臣の御決意を伺いたいと思います。
  151. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 政策金融改革を受けまして、中小企業金融の円滑化に重要な役割を担ってきました国民公庫と中小公庫は日本政策金融公庫に統合をされ、商工中金は株式会社化されることになったわけであります。  中小企業金融の円滑化という観点から申し上げれば、まず日本政策金融公庫は国民公庫や中小公庫が行ってきた業務をしっかりと継承いたします。また、新商工中金でありますが、中小企業金融機能の根幹を維持する旨が行政改革推進法等で担保されておりまして、いずれの機関もこれまで同様中小企業の方々をしっかりと支えていくということに何ら変わりありません。  実際、新組織の移行に当たりまして、新公庫においては、中小企業の資金需要に機動的に対応できるよう、融資制度について必要な拡充を行っております。また、商工中金におきましても、民営化後も中小企業金融機能の根幹を維持できるよう、特別準備金制度等の必要な措置を講じております。  このような措置を通じまして、中小企業の方々に安心していただけるよう、新機関の改編後も中小企業の資金調達の円滑化に万全を期してまいる所存であります。
  152. 松あきら

    ○松あきら君 大臣、どうぞよろしくお願いいたします。今のお言葉をしっかりと受け止めさせていただきました。中小・小規模企業の方たちのために頑張っていただきたいというふうに思っております。  それから、小規模事業者支援のために都道府県からの補助金、これは例の三位一体改革のときに国から地方に下ろしたわけですけれども、それ以降やっぱり減少しているというふうに聞いております。これはいろんな事情があって、そのままを地方に下ろしたわけではない、あるいは地方は少なくなった、色が付いてないですから、例えばそのお金には交付金の色が付いてないからいろんなことに使えるということで、中小企業の皆様、小規模企業のためのお金を、渡してないと言うと変なんですけれども、なかなか減少している、この実態がある。やっぱりこれは私は良くないと、本当に苦労していらっしゃるわけですから。  ですから、現在の状況と、これに対する国の対策についてお聞かせをいただきたいと思います。
  153. 福水健文

    政府参考人福水健文君) お答え申し上げます。  三位一体の改革、地方の責任を大幅に拡充して施策実施に係ります地方の自由度を高めていこうというふうなことで実施されたわけですが、私どもといたしましては小規模事業者支援の充実への期待、こういうものを持っているところでございます。  しかしながら、各地方、各都道府県の状況の厳しい財政状況の中で、現実には小規模事業者支援のための予算が削減されてきているということも事実でありまして、我々も認識しているところでございます。  こうした現状にかんがみまして、直近では昨年秋に、私どもの大臣から全国知事会の会長に対しまして、この小規模事業者支援を確実に実施するため、私ども国と密接な協力体制の構築と必要な予算の確保ということをお願いしたところでございます。これに対しまして全国知事会長の方からは、三位一体改革後の適切な役割分担による協力関係を構築し、中小企業振興施策を充実強化していくことが重要であって、今後とも中小企業対策に関する国と地方の建設的な関係構築を努めていきたいというふうな回答を寄せられているところでございます。  私ども中小企業庁といたしましても、国と都道府県におきます中小企業支援、こういう連携体制をより一層強固なものにしていくということで、今般、先ほど大臣が申し上げましたが、地域力連携拠点というふうなものも三百十六か所につくったわけでございまして、都道府県との協議あるいは対話の場づくり、こういうことを積極的に進めるということで小規模事業者への十分な対策が講じられるように取り組んでまいりたいというふうに考えてございますし、加えまして、ITの活用でありますとか、今回御審議いただいております金融の迅速化、円滑化等々、あらゆる施策を総動員いたしまして小規模事業者支援に万全を期してまいりたいというふうに考えてございます。
  154. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。  その中小企業数は年々減ってきておりまして、今年は四百二十万社になったそうであります。これは中小企業白書にも書いてございますが、それで見ますと、廃業率は横ばいでありますけれども、開業率は三・五%から五・一%に上昇しているわけですね。政府の創業・ベンチャー支援策が功を奏したのかななんと思ったりいたしますけれども、今後は小規模企業負担の大きかった事業承継制度が改善をされますので廃業率の低下に貢献するのではないかと、これは私は期待をしているところでございます。  これらの推移を見ますと、全国的に中小企業、あるいは経営者の新旧交代劇が今起きているかなというふうに思うわけでございます。そこで、質的変化についてお伺いしたいんですけれども、ここ十年くらいで中小企業の労働生産性は大企業と比較をしてどのような状況になっているのでしょうか。それから、今後、中小企業のイノベーションを活性化するためには、今までリストラで失ってきた人、あるいは団塊の世代の大量退職も始まっておりますけれども、人的資本の蓄積が再び必要ではないかと思います。中小企業経営の中核となる優秀な人材確保、そしてまた、プラス、技術、経験を身に付ける人材育成を支援する取組が一層必要になってくると考えますけれども、いかがでしょうか。また、そこに女性や高齢者の人材活用も是非入れていただきたいと思います。お答えをお願いいたします。
  155. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 二〇〇八年版の中小企業白書におきましても取り上げたところでありますが、中小企業の労働生産性、これは製造業それから非製造業共に大企業に比べて半分以下の水準にとどまっております。また、一九九七年度から二〇〇六年度まで、この十年間の労働生産性の伸び率を見ますと、特に大企業の製造業の労働生産性が大幅に上昇しております一方で、中小企業の労働生産性の伸びは緩やかなものにとどまっているということであります。  中小企業の生産性向上のために、人材の育成、確保というのは重要な課題であります。中小企業人材育成につきましては、全国九か所に設置をしております中小企業大学校におきまして、中小企業の経営者、従業員を対象に、経営課題に適切に対応するための研修を実施をいたしております。また、例えば中小企業のものづくり人材育成につきましては、高専等の設備を活用した中小企業の若手技術者の育成、それから工業高校等における実践的教育プログラムの導入を行う授業を実施をいたしているところであります。  さらに、御指摘がありました団塊の世代を中心とする経験豊かな中高年層に引き続き活躍をしていただくということも重要であります。もちろん、女性の能力の活用も同等に重要でありますが。このために、平成二十年度より新現役チャレンジ支援事業を実施をしまして、団塊の世代の技術であるとかノウハウを中小企業や地域に活用していく取組を進めております。  経済産業省といたしましては、今後とも、予算、税制等の支援策を駆使をしながら、中小企業における人材の育成、確保に取り組んでまいります。
  156. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございました。  最後、ERIAのお話を、決意をお伺いしようと思いましたけれども、時間がございません。  本日、インドネシア・ジャカルタで設立総会が行われております。このERIA、もう今日から出発というまさに歴史的な日であると思います。しっかりと取り組んでいただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  157. 松下新平

    ○松下新平君 どうもお疲れさまです。無所属の松下新平です。  早速ですけれども、本日の議題であります中小企業金融関連法案につきまして、順次質問をさせていただきます。  まず、中小企業をめぐる現状、特に金融環境につきまして甘利大臣にお伺いいたします。  当委員会でも度々取り上げられるとおり、近年、中小企業の景況感は悪化してきております。倒産件数も増加傾向にあり、中小企業は依然として厳しい状況に置かれています。中小企業をめぐる現状、金融環境における問題点についてどのように認識されていらっしゃるか。また、中小企業の資金繰りの改善や再生支援に向けてどのように取り組んでいかれるか、改めてお伺いいたします。
  158. 甘利明

    国務大臣甘利明君) ただいま御指摘をいただいたとおり、中小企業の景況感というものは悪化をしてきておりまして、中小企業は引き続き依然として厳しい状況に置かれております。こうした中、我が国企業数、事業所数でいいますと、九九・七%が中小企業でありますが、この中小企業の事業活動にとって円滑な資金調達というものはまさに命綱と言えるわけであります。したがいまして、中小企業金融の円滑化は我が国経済にとっても極めて重要な基盤的政策であると考えております。  この点、昨今の民間金融機関の中小企業向け貸出残高の推移を見てみますと、昨年九月より前年同月比でマイナスに転じております。また中小企業の借入れ難易度指数というものを見ますと、昨年辺りから弱含んでいるわけでありまして、さらに民間金融機関の貸出し姿勢が、優良先には積極的に、そうでない先には消極的にといった言わば二極化をしつつある、その兆候も見受けられるわけであります。  経済産業省といたしましては、中小企業を取り巻く金融情勢を引き続き十分に注視をしまして、機動的なセーフティーネット等の対応に加えまして、今般の法改正による信用保証その他の支援制度の拡充を図りつつ、中小企業の資金調達の円滑化であるとか再生支援に全力を尽くしてまいる考えであります。
  159. 松下新平

    ○松下新平君 続きまして、信用保証協会法についてお伺いいたします。  まず保証協会の体制についてでありますけれども、保証協会が新たな業務を行うのに伴い、事業再生、創業支援に関する専門人材の育成、確保が重要になってきますが、今後、保証協会の機能強化をどのように図っていかれるのか、お伺いいたします。
  160. 甘利明

    国務大臣甘利明君) ただいま御指摘をいただいたとおり、信用保証協会に新たな業務を追加するに当たっては、事業再生であるとか創業支援、この目利き能力を持った信用保証協会の人材の育成や確保を適切に行うことが重要でございます。  信用保証協会は、すべての協会において経営支援、再生支援の専門部署を設置をし、中小企業者の再生支援業務については過去二年間で約二百五十件の実績、それから創業支援業務につきましては、平成十一年に創設をされました創業関連保証におきまして、年平均で約七千件、四百二十億円を超える実績を積み重ねてきたところであります。このように、従来より信用保証協会の機能強化を図るための体制整備を進めてまいりました。  その上で、今般新たに追加することになる業務にも適切に対応できるように、保証協会の職員の更なる研修の実施、それから再生支援協議会等の外部専門家との連携等、目利き能力の更なる向上を通じた信用保証協会の機能強化に向けて全力で取り組んでまいる所存でございます。
  161. 松下新平

    ○松下新平君 ありがとうございました。  続きまして、保証協会の在り方についてお伺いいたします。  保証協会の新たな業務は、債務保証業務の遂行を妨げない限度において行うことができるとされておりますが、主たる業務である債務保証業務が逆に縮小されるおそれはないのか、お伺いいたします。
  162. 中野正志

    ○副大臣(中野正志君) 今般追加しようとする信用保証協会の新たな業務は、中小企業の再生や創業、新分野への挑戦をより積極的に支援することを可能とするものでありまして、我が国経済の活性化のために重要な役割を果たし得るものであります。  他方で、信用保証協会による債務保証は中小企業者の約四割が利用する重要な制度であります。新たな業務により、信用保証協会の収支が悪化したりしないと、債務保証業務に支障が生ずることがないと、そういうことで、新たな業務は債務の保証の遂行を妨げない限度でのみ行うことができることを本法案で規定をいたしているところであります。  その具体的内容でありますけれども、各信用保証協会の内部留保の一定の範囲内でのみ新たな業務を行うこととする等の定量的な基準を定めることを予定しております。いずれにしても、信用保証協会の的確な業務の実施を確保するべく適切に監督をいたしてまいります。
  163. 松下新平

    ○松下新平君 ありがとうございました。  続きまして、中小企業信用保険法並びに中小企業金融公庫法についてお伺いいたします。  まず、信用保険制度及び信用保証制度についてですけれども、中小企業の急な資金ニーズに対応するため、保証協会にあらかじめ予約料を支払い、保証枠を確保する予約保証制度を新たに導入することが予定されていますが、中小企業の資金調達にどのような効果が期待できるのでしょうか、お伺いいたします。
  164. 山本香苗

    大臣政務官山本香苗君) 先ほどの大臣の御答弁のとおり、中小企業の資金調達は大変厳しい状況にございます。このような状況におきまして、予約保証制度を導入することによりまして、中小企業はあらかじめ信用保証協会による保証を確保することができ、中小企業がいざというときに迅速に資金を調達することが可能となります。  要するに、多くの中小企業の皆さん方が、民間金融機関が晴れの日には傘を貸すものの雨の日には傘を貸してくれないのではないかという不安を抱えておられますが、この予約保証制度の導入によりまして、言わば雨の日に備えてあらかじめ傘を確保することができまして、中小企業の方々が安心して事業に取り組むことができるようになると考えております。  このように、この新しい制度中小企業の安定的かつ迅速な資金調達手段を確保するための方策として極めて重要だと思っておりますので、早めに措置すべく鋭意準備を進めさせていただいております。
  165. 松下新平

    ○松下新平君 ありがとうございます。  最後の質問になりますけれども、保証協会の代位弁済額は、平成十八年度に六千八百五十二億円と依然として高い水準で推移しております。また、信用保険制度の収支状況を見ると、これまで相当額の政府出資が行われてきたにもかかわらず、同年度末の保険準備基金が百十五億円にまで減少するなど、この制度の運営基盤は厳しい状況にございます。  今後どのようにして信用保険制度の収支を改善し財政基盤を強化していかれるのか、お伺いいたします。
  166. 福水健文

    政府参考人福水健文君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、この中小企業信用保険につきましては非常に厳しい財政状況にあるというふうに認識いたしております。このため、いろんな取組をしていく必要があると考えておりまして、例えばでございますが、信用保証協会におきまして、これまで以上に目利き能力の向上というふうな取組を行っていきたいということを考えておりまして、高水準で推移しております中小企業信用保険の事故率への対応を行っていこうということも考えておりますし、また、信用保証協会が代位弁済先から回収に向けた取組、サービサーなどにも委託してその収支の改善に努めていきたいというふうに考えております。  他方で、この信用保険制度中小企業金融における位置付けあるいは政策的意義を踏まえますと、このような収支改善の努力を十分に重ねた上で、収支を補うために一定程度の財政面での支援措置は必要であるというふうに私ども考えてございます。政府といたしましては、円滑な信用保険制度の運営を確保するというため、これまでにも、昨年度におきましては当初、補正両予算を合わせまして約二千五百億円、今年度、二十年度の当初予算でも四百億円を措置しているところでございます。  今後につきましても、この信用保険の財政基盤を強化するために必要な場合には所要の予算措置の確保に全力を続けていきたいというふうに考えてございます。
  167. 松下新平

    ○松下新平君 しっかりよろしくお願いいたします。  大臣におかれましては、明日からパリにおいてOECD閣僚理事会、そしてWTOの非公式閣僚会合、帰国されてからは青森でのG8エネルギー相会合と、立て続けにサミットを前に重要な会合が予定されております。この委員会でも取り上げられました中小企業、大変厳しい状況の中で原油高、悲鳴を上げている状況にあります。国益のために御尽力いただきますようお願い申し上げまして、質問を終わります。
  168. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより三案について討論に入ります。御意見のある方はいらっしゃいますでしょうか。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、信用保証協会法の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  169. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、鈴木陽悦君から発言を求められておりますので、これを許します。鈴木陽悦君。
  170. 鈴木陽悦

    鈴木陽悦君 私は、ただいま可決されました信用保証協会法の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党・無所属の会及び公明党の各派並びに各派に属しない議員松下新平君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     信用保証協会法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 各信用保証協会における再生支援等新たな業務の実施に際しては、中小企業をめぐる各地域の実情や各協会の業務の状況等も考慮しつつ、中小企業再生支援協議会、地域の金融機関等との緊密な連携体制を構築するとともに、事業再生に関する専門人材の育成・確保審査能力の向上に努めること。    また、各協会の財政状況の健全性の確保に支障が生じることのないよう、業務の実施状況について適切な検査や指導監督を行うなど、適宜フォローアップに努めること。  二 信用保証協会による債権の譲受け業務等の実施に当たっては、対象とする中小企業者の要件を具体的かつ明確に定めるとともに、譲受け等の価格については、合理的な基準に基づいて適正に決定すること。  三 信用保証制度の不正利用や詐欺的行為が続発している事態を重く受け止め、これらの行為を未然に防止するため、警察及び金融庁等関係省庁との連携を一層緊密に行うこと。    また、保証に係る情報を共有する保証業務支援機関制度については、情報が適正に管理され、その提供が効果的に行われるよう早急に体制を整備すること。  四 信用保証協会に関しては、いやしくも天下り機関との指摘を受けることがないよう、最適な人員配置等に努めること。また、信用保証協会のガバナンスの一層の強化が図られるよう、適切な指導・監督を行うこと。  五 最近の中小企業を取り巻く環境が悪化していることを踏まえ、中小企業の資金調達の円滑化を一層図ることが重要であることにかんがみ、信用補完制度の持続的な財政基盤の強化のための十分な対策を講じること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  171. 山根隆治

    委員長山根隆治君) ただいま鈴木陽悦君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  172. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 全会一致と認めます。よって、鈴木陽悦提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、甘利経済産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。甘利経済産業大臣
  173. 甘利明

    国務大臣甘利明君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。
  174. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 次に、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  175. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  176. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  178. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。甘利経済産業大臣
  179. 甘利明

    国務大臣甘利明君) 特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  近年、悪質な訪問販売等による消費者被害が増加しており、特に高齢者に執拗な勧誘を行い、到底必要とはされないほどの多量の商品を売り付ける訪問販売や、こうした悪質な勧誘行為を助長するようなクレジット業者による不適正な与信が問題となっております。また、不当請求等のトラブルを引き起こしている一方的な電子メールによる広告や、クレジットカード情報の不正取得も問題となっており、さらに、商品やサービスが多様化する中で、まだ規制の対象となっていない商品やサービスといった規制の抜け穴をねらった悪質商法による被害も問題となっております。  これらの問題を克服し、高齢者の方々を始めとして、国民が安心して生活を送ることができる社会をつくるためには、抜本的に対策を強化することが必要不可欠であります。  こうした認識の下、真に消費者や生活者の視点に立って、悪質商法対策の充実強化を図るため、本法律案提出した次第であります。  次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、特定商取引に関する法律及び割賦販売法の両法に共通する改正として、その規制の適用対象となる商品やサービスにつき、政令によって指定する方式を改め、原則としてすべての商品・サービスを適用対象とする方式への変更を行い、規制の後追いからの脱却を実現します。  第二に、特定商取引に関する法律の一部改正であります。訪問販売によって締結した、通常必要とされる分量を著しく超える量の商品の売買契約等を解除することができることとするほか、契約を締結しない旨の意思を示した消費者への勧誘を禁止します。また、あらかじめ承諾や請求を得ていない相手への電子メールによる広告の禁止や、通信販売において返品条件を広告に明示していない場合に返品することができることとする等の措置を講じます。  第三に、割賦販売法の一部改正であります。個別の契約ごとに与信を行う個別クレジット業者に登録制を導入し、また、その加盟店である訪問販売業者等の勧誘行為の調査を義務付けるとともに、虚偽説明等の不正な勧誘行為があった場合には、消費者は与信契約を取り消し、既払金の返還を求めることができることとします。また、クレジット業者に対し、信用情報機関を利用した消費者の支払能力調査を義務付け、過剰な与信を禁止いたします。あわせて、クレジットカード情報の不正取得に対する罰則等、所要の規定を整備いたします。  以上が本法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
  180. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     ─────────────
  181. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案審査のため、来る五日午前十時に参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  182. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 山根隆治

    委員長山根隆治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回は来る五日木曜日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十六分散会