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2008-03-18 第169回国会 参議院 議院運営委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年三月十八日(火曜日)    午後五時開会     ─────────────    委員異動  三月十三日     辞任         補欠選任         山本 博司君     谷合 正明君  三月十四日     辞任         補欠選任         池口 修次君     大石 尚子君      谷合 正明君     山本 博司君  三月十七日     辞任         補欠選任         大石 尚子君     池口 修次君  三月十八日     辞任         補欠選任         今野  東君     辻  泰弘君      那谷屋正義君     大久保 勉君      中村 哲治君     高橋 千秋君      松野 信夫君     大塚 耕平君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         西岡 武夫君     理 事                 池口 修次君                 小川 勝也君                 榛葉賀津也君                 岡田 直樹君                 世耕 弘成君                 山下 栄一君     委 員                 青木  愛君                 大久保 勉君                 大塚 耕平君                 川上 義博君                 佐藤 公治君                 高橋 千秋君                 辻  泰弘君                 直嶋 正行君                 室井 邦彦君                 礒崎 陽輔君                 神取  忍君                 島尻安伊子君                 西田 昌司君                 長谷川大紋君                 丸川 珠代君                 山内 俊夫君                 義家 弘介君                 山本 博司君    委員以外の議員        議員       大門実紀史君        議員       渕上 貞雄君         ─────        議長       江田 五月君        副議長      山東 昭子君         ─────    事務局側        事務総長     小幡 幹雄君        事務次長     橋本 雅史君        議事部長     東海林壽秀君        委員部長     諸星 輝道君        記録部長     富山 哲雄君        警務部長     井高 育央君        庶務部長     古賀 保之君        管理部長     中村  剛君        国際部長     高橋 邦夫君    参考人        日本銀行総裁候        補者        国際協力銀行総        裁        田波 耕治君        日本銀行総裁        候補者        日本銀行政策委        員会審議委員   西村 清彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○日本銀行総裁及び同副総裁任命同意に関する  件     ─────────────
  2. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) ただいまから議院運営委員会開会いたします。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い理事が一名欠員となっておりますので、この際、その補欠選任を行いたいと存じます。  割当て会派推薦のとおり、池口修次君を理事に選任することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本銀行総裁及び同副総裁任命同意に関する件のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁候補者国際協力銀行総裁田波耕治君及び日本銀行総裁候補者日本銀行政策委員会審議委員西村清彦君の出席を求め、所信を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) 次に、日本銀行総裁及び同副総裁任命同意に関する件を議題といたします。  候補者から所信を聴取いたします。  まず、田波耕治さんからお願いいたします。田波耕治さん。
  7. 田波耕治

    参考人田波耕治君) 田波でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  私は、七年前の平成十三年に国際協力銀行の副総裁を拝命いたしまして、昨年の十月に総裁を拝命いたしました。我が国は、激動する国際経済情勢の中で、エネルギーあるいは企業国際競争力地球環境、さらには開発途上国等に対する経済協力といった喫緊の課題に直面をしております。国際協力銀行におきましては、資源産出国との関係を強化しながら、我が国資源関連企業によるエネルギー資源確保の支援を行い、我が国企業輸出競争力確保海外事業展開を支援することに努めてまいりました。その間、私自身総裁、副総裁を通じまして三十六回の海外出張をいたしまして、例えばIMF世銀総会ダボス会議への出席を含めまして、世界経済をめぐる議論に参加し、日本の立場を説明してまいりました。  現在、世界経済は、新興国が堅調な成長を維持していることもありまして、緩やかに減速しながらも拡大を続けていると見られておりますけれども、サブプライム問題を背景とする米国経済減速金融市場の大きな変動原油価格動向等、下振れリスクが高まっております。  その中で、日本経済は、改正建設基準法の施行に伴う住宅投資の落ち込みは収束に向かいつつあると思いますけれども、石油、原材料高などによって中小企業収益環境は厳しくなっておりまして、物価上昇も見られるところでございます。このように、内外情勢は厳しさを増しております。  しかし、バブル崩壊後の十数年間、何より民間の方々の御努力によりまして、過剰債務過剰設備等の問題がほぼ解消され、企業体質は改善され、金融システム安定性は高まっていると思います。私は、日本経済は、人口減少という課題を抱えているものの、世界経済減速にも対応し、成長を持続する堅固な力があると確信をしております。  金融政策運営の基本的な考え方でありますけれども、このような日本経済の力を発揮させるためには、日本銀行法にありましたとおり、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資するという理念に基づきまして、金融政策運営を行っていくことが重要であると考えます。  その際、内外経済下方リスクあるいは不確実性が高まっているだけに、いろいろなリスク要因を綿密に分析し、予断を排しまして、政策判断を果断に行うことが求められていると思います。  また、国民市場との対話を十二分に行うことを通じて、日本銀行法改正によって高められた金融政策独立性透明性確保し、国民の皆様に信任いただけるよう努める必要があると思います。  日本銀行にとりまして金融市場金融システムの安定を図ることも大きな役割であります。現在、大きな変動を見せておりますグローバルな金融市場の中にありまして、日本は、過去の金融市場の混乱の経験を経て、金融機関市場参加者金融高度化に対応したリスク管理に努めてまいりました。しかし、金融市場はグローバルなものであるだけに油断は許されません。日本銀行金融調節ノウハウ世界中央銀行の中でも優れていると承知をしております。これらのノウハウを十分に活用し、市場動向に細心の注意を払い、金融市場金融システムの安定に努めてまいります。  さらに、銀行券の流通や日銀ネットの運行なども日本銀行の重要な任務であり、業務の適切な執行を行い、資金決済の円滑な確保信用秩序の維持に努めてまいります。  私は、公務員として奉職して以来、現在に至るまで、与えられた職責において全体の奉仕者の一人として最善を尽くしてきたつもりであります。世界経済日本経済の不確実性が高まっている中で、重責を担う機会を与えていただくことになりますれば、私は、日本銀行総裁として、副総裁政策委員、さらには理事を始めとする日本銀行の職員の諸君とともに、日本銀行法に基づきまして、独立性透明性確保しつつ、適切な金融政策運営最善を尽くしてまいる所存であります。  どうもありがとうございました。
  8. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) ありがとうございました。  次に、西村清彦さんにお願いいたします。西村清彦さん。
  9. 西村清彦

    参考人西村清彦君) 西村清彦でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  本日は、このように所信を述べる機会を与えていただきまして、大変光栄に存じております。  私は、東京大学で長く理論経済学経済統計学の教育と研究に携わってまいりました。平成十七年四月に日本銀行審議委員を拝命してから約三年間、政策委員会での討議を通じて、金融政策運営を始め、広く政策業務組織運営全般に関する意思決定に参画してまいりました。この度、仮に副総裁を拝命することになりました場合には、これまで蓄積いたしました学問上の知識と日本銀行における実務上の経験を融合して全力で職務を果たしていきたいと思います。  日本経済は、現在、足下のデータを見ますと、減速しつつも、基調としては緩やかなまま拡大を続けております。しかし同時に、米国サブプライム住宅ローン問題に端を発した国際金融市場の動揺、特に米国で顕在化している経済減速傾向の強まり、原材料高背景とする中小企業収益環境の悪化やガソリン、食料品の値上がりなど、数多くのリスク要因を抱えております。こうした中で、日本経済物価の安定の下で経済のしっかりした成長を実現していけるよう、金融政策面でも極めて注意深い政策運営が必要だと考えております。  これまで私は、金融政策決定会合において、執行部から提供される多種多様の情報を基に、自分なりの経済物価現状認識と先行きの見通しを構築し、それに基づいて最も適切と考え政策を提案してまいりました。日本銀行組織としての経済金融情報収集力分析力は極めて高い水準にあると思います。これを十分に生かして適切な政策決定につなげていくことが、副総裁となりました場合の私の第一の役割だと感じております。  そうした丁寧な経済物価分析を前提とした上で、当面の金融政策運営に関する私の考え方につきましては、これまでも講演等を通じて明らかにしております。すなわち、第一に、現在の景気を動かす基本的なメカニズムに変調が見られないのであるならば、これまでの基本的な考え方を維持する、しかし、第二に、先ほど申し上げましたようなリスクが現実化する蓋然性が高まるような場合には、その影響の深さ、広がり、期間を勘案して柔軟な対応を考えていくということです。  また、私は、これまでの経歴を通じて、海外の学界、実業界中央銀行などに多くの知己を得ております。経済金融グローバル化が進展し、しかもその変化のスピードが極めて速い中で、こうしたネットワークを使って日本銀行が国際的な役割を果たす上で貢献していければと考えております。  この三年間の審議委員としての仕事を通じて、日本銀行組織や人についても多くを知ることができました。組織業務運営の面でも、白川さんと協力しながら、総裁を補佐してまいりたいと考えております。  この度の副総裁候補としての御指名は突然のことであり、正直驚いております。しかし、日本経済を取り巻く環境が大変な時期にある中で、現に日本銀行政策の一翼を担っている者として、更なる重責を負う覚悟でございます。副総裁として任命いただけることになれば、私の持つすべての力を今後の五年間に注いで職務を遂行してまいりたいと考えております。  どうもありがとうございました。
  10. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) ありがとうございました。  以上で候補者からの所信の聴取は終了いたしました。  委員会を暫時休憩いたします。    午後五時十三分休憩    〔休憩開会に至らなかった〕      ────・────    〔参照〕    議院運営委員懇談会速記録     平成二十年三月十八日(火曜日)     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         西岡 武夫君     理 事                 池口 修次君                 小川 勝也君                 榛葉賀津也君                 岡田 直樹君                 世耕 弘成君                 山下 栄一君     委 員                 青木  愛君                 大久保 勉君                 大塚 耕平君                 川上 義博君                 佐藤 公治君                 高橋 千秋君                 辻  泰弘君                 直嶋 正行君                 室井 邦彦君                 礒崎 陽輔君                 神取  忍君                 島尻安伊子君                 西田 昌司君                 長谷川大紋君                 丸川 珠代君                 山内 俊夫君                 義家 弘介君                 山本 博司君    委員以外の議員        議員       大門実紀史君        議員       渕上 貞雄君         ─────        議長       江田 五月君        副議長      山東 昭子君         ─────    事務局側        事務総長     小幡 幹雄君        事務次長     橋本 雅史君        議事部長     東海林壽秀君        委員部長     諸星 輝道君        記録部長     富山 哲雄君        警務部長     井高 育央君        庶務部長     古賀 保之君        管理部長     中村  剛君        国際部長     高橋 邦夫君    参考人        日本銀行総裁候        補者        国際協力銀行総        裁        田波 耕治君        日本銀行総裁        候補者        日本銀行政策委        員会審議委員   西村 清彦君     ─────────────   案件日本銀行総裁及び同副総裁任命同意に関する  件     ─────────────    〔午後五時十四分開会
  11. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) ただいまから懇談会開会いたします。  これより候補者に対する質疑を行います。  本日の懇談会の進め方でございますが、まず、大会派順に各会派一名一巡で質疑を行います。その際、発言時間は答弁も含めて約七分程度でお願いいたします。  その後、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行うことといたします。質疑を希望される方は、挙手の上、委員長指名を受けてから御発言いただくようお願いいたします。  なお、質疑及び答弁の際は着席のままで結構でございます。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。直嶋正行君。
  12. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 民主党の直嶋でございます。  私からは、田波さんに質問させていただきたいと思います。  時間の関係もございますので、最初質問をまとめて三問させていただきたいと思います。今委員長からお話のありました時間内にできるだけ簡潔にお答えを賜りたいと思います。  まず最初は、田波さんの経歴を拝見させていただきますと、大蔵省主計局、主税局、理財局事務次官等を歴任された後、国際協力銀行に入行され、現在総裁に就任されておられます。任命理由の中に、金融実務精通とございますが、国際協力銀行日本銀行ではその果たすべき役割も全く異なると思います。御自身経験の中で何が日銀総裁たるにふさわしいと考えておられるか、お伺いをいたします。特に、金融実務精通とされた実績について具体的にお答えを賜ればと思います。  二つ目でございます。  旧日銀法時代は、歴代日銀総裁日本銀行出身者大蔵省事務次官経験者のいわゆるたすき掛け人事が行われてまいりました。それまでの反省に立って新しい日銀法、現在の法律になったと思っております。今回、田波さんが総裁に就任されますと、再びたすき掛け人事が復活することになります。これは、新しい日銀法でいうところの日銀独立性確保する、財政政策金融政策を分離をするという趣旨から申し上げますと、新しい日銀法ではたすき掛け人事と決別することが求められているのではないかと考えておりますが、この点についてのお考えをお伺いさせていただきたいと思います。  三点目でございます。  福井総裁時代目標でありましたデフレからの脱却は実現できたというふうに現在田波さんは御判断されていますか、その御判断をお聞かせいただきたいと思います。  また、現在の円高ドル安の加速が続いている状況についてどのように受け止めておられるか、日本経済への影響とそのために日銀が果たすべき役割についてのお考えをお伺いしたいと思います。  以上でございます。よろしくお願いいたします。
  13. 田波耕治

    参考人田波耕治君) ありがとうございました。三点御質問いただきました。  金融実務精通JBIC日銀役割が違うのではないかという御質問でございます。  これはもちろん中央銀行JBIC役割はおのずから違うところがあると思うんですけれども、私の最近の物の見方というのは、金融というのが非常に言わば実物経済影響を及ぼしてきている。例えば原油高、あるいは金、レアメタル、そういうものと私どもは格闘をしてまいりました。その過程において、世界のお金がどういうふうに回っていくかということが非常に大きなウエートを持っております。このごろよく議論されるソブリン・ウエルス・ファンドの問題であるとか、私どもJBICはまだ始めたばかりでありますけれども世界の中で非常に大きなウエートを持つイスラム金融というようなものにも取組を始めているところであります。そういう意味で、やはり金融というものがもう少し今広がってきているのではないか、つまり実物経済とどういうふうに合わせていくかということは非常に大きな課題ではないかというふうに思います。  それから、私の大蔵省時代金融という意味では、銀行局、証券局にはおっしゃるとおり行ったことはありませんけれども総務審議官というポストがございまして、これはまさにマクロ経済運営をどうしていくかということで、金融政策とは切っても切れないものでありまして、当時、日銀方々といろいろな意見交換議論をしたことをよく覚えております。  それから、旧日銀法と新しい日銀法関係でございますけれども、実は私は大蔵省事務次官になる前に内閣の内政審議室長というのをやっておりました。そのころ、まさに中央銀行をこれからどうつくっていくのかということで、当時、中央銀行研究会と称したと思いますけれども、慶応大学の鳥居先生を座長として言わば将来の日銀法の在り方ということを研究を始めた、その事務局を務めておりました。  そのときに、私なりにいろいろな意味議論が整理されて新しい日銀法になっているなということは、三つの今の日銀法条文にはっきり出ていると思います。一つは二条で、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資するということでございます。つまり、マクロ経済運営というのは大きくやはり財政金融というふうにも言えると思いますけれども、そういうものをひっくるめて日銀最初理念物価の安定だと、しかし国民経済の健全な発展に資するんだという目標を忘れてはいけない。それから第三条で、まさにこれは日本銀行通貨及び金融調節における自主性は尊重されなければならないということがはっきり書かれました。また四条で、日本銀行は、その行う通貨及び金融調節経済政策の一環を成すものであることを踏まえ、それが政府経済政策基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十全な意思疎通を図らなければならない。  この三つ条文によってこの財政金融の問題はかなり整理され、制度化されているというふうに思います。時間がございませんから詳しい説明は省きますけれども、今の政策委員会運営の仕方であるとか政府とのかかわり合いなどは、それではっきり整理されてきているんではないかなというふうに思っております。  それから、デフレからの脱却ですけれども、これは私の個人的な感じではデフレスパイラルという状態ではなくなったと思いますけれども、このデフレとは何かというのは、御高承のとおりどういう指標通貨を見るかということで、いろんな指標があるわけですけれども、非常にざっくり申し上げれば、まだデフレからの脱却ということが完結はしてないんではないかなと私なりに思っております。  それから、円高ドル安の話で、その中で日本が果たすべき役割でございます。  今の通貨はどちらかというとドル安であるということは間違いないというふうに思います。これから日本が、特に世界経済の中で何ができるかということで……
  14. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 日銀の果たす役割を。
  15. 田波耕治

    参考人田波耕治君) 失礼しました。  日銀の果たす役割ということであれば、やはり一番重要なのは、私自身、九七年のアジア危機、そして金融危機の後に事務次官になりましたので、あの当時、本当に先生方ともいろいろ御議論いただいて、それなりの経験日本あるいは中央銀行もしてきていると思うんです。こういった経験世界中央銀行と共有をして金融秩序の安定に役立てていくということは、まさにグローバル化した社会の中で日本中央銀行が果たすべき一番の使命であるというふうに思っております。  取りあえず以上でございます。
  16. 西岡武夫

  17. 世耕弘成

    世耕弘成君 自由民主党の世耕弘成でございます。私の場合は一問一答でいきますので、各問に簡潔にお答えをいただければと思います。  今の直嶋委員質問、もう少し掘り下げてお伺いをしたいと思いますが、日本経済、やはり今非常に緊張感が高まっていると思います。急速な円高、そして急速な株安、そして一方でコモディティー価格上昇ということで、非常に緊張感が高まってきている。危機の縁にあると言ってもおかしくないかなというふうに思っておりますが、田波参考人は、ちょうど大蔵省事務次官当時に、まさに長銀、山一の破綻も経験されています。あるいは、当時も急速な株安が進んだ時期でありましたし、円の方はこれは逆方向ですが、極めて急速に円安に動いた時期でもありました。今、アメリカはサブプライムローンということで非常に危機状況の中で、FRBの活動というのはかなりアクティブに動いているなというふうにも思いますし、また政府政策とも緊密に連動しているというふうに感じております。  そういう危機を、過去、日本危機経験してこられた田波さんの立場として、この経済的な危機に当たって中央銀行の果たすべき役割とは何か、そして政府との連携はどうあるべきかということについて、まずお伺いしたいと思います。
  18. 田波耕治

    参考人田波耕治君) おっしゃいますように、私が着任したのは九七年、アジア危機がございました。そして、十二月ごろにかけて山一だとか北拓だとかいうところが危機に見舞われて、先生がおっしゃったとおりの事態になりました。あわせて、実体経済もかなり弱ってきたということで、私がおりましたとき、つまり九八年の初めから九九年の半ばでございますけれども、どうやってこの日本発の世界恐慌を避けることができるかというのが実感としてありました。  そういう見方が本当に正しかったのかどうかは後世の史家が見ていただく必要があると思いますけれども、したがって、およそ政策を総動員をしたのがそのときの姿だと思います。ある意味でそのツケもまだ残っているわけですけれども、主として私どもがいたときにやりましたのは、やはり財政それから公的資金の注入という直接的な方法でありまして、その後、世界からのいろいろな要求もあり、金融政策も非常に超緩和の方向に向かっていくわけであります。  そうした反省を踏まえて中央銀行としてこれから何をやっていくかということでありますけれども、やはり日本経済という意味では、まずデフレからの脱却ということが今一番直面している問題だと思います。しかし、その後、やはり九〇年代の終わりの反省を踏まえますと、将来を見据えてどういうふうな金融政策を持っていくのかというような議論、つまり、ある意味ではインフレに対してどうしていくかというような議論もある程度きちんとしていかないとこれはやはり手遅れになるということがあると思いますので、一言で言えば、デフレからの脱却プラスきちんとした物価の安定を図るような政策をやっていかなきゃいかぬということだと思います。
  19. 世耕弘成

    世耕弘成君 二点目は、財金分離についてお伺いしたいと思います。  今回、一連のこの日銀の人事の話の中で、財務省出身者が日銀総裁に就くのは財金分離上駄目だから駄目なんだという、問題があるから駄目なんだという意見が時々聞かれるわけですけれども、まさに田波参考人事務次官の当時に金融監督庁が発足をし、当時大蔵省から金融行政というのが切り離された、財金分離がまさに行われたわけでございます。  まさにそういう意味では、田波参考人、相当この財金分離については御意見をお持ちでないかと思いますので、財金分離とは何かということと、そして今回、財金分離の観点から見て、御自身が財務省事務次官経験者であるにもかかわらず日銀総裁にノミネートされたということについて、どうお考えになっているか、お伺いをしたいと思います。
  20. 田波耕治

    参考人田波耕治君) まさに金融監督庁発足のときに在任していたわけでありますけれども、やはりあの財金の分離でもっていろんな意味の整理がある程度一段落した、同時に金融についてのいろいろな手法も、事前統制型の金融から事後の言わば検査を主体とした行政にはっきり移ったというふうに思っております。その結果、いろいろな意味の進展があったと思いますので、これは一つの時代を画した変革だったというふうに私は今思っております。  私自身のことで申しますと、まさに真っただ中で事務次官を命じられて、正直申しますと相当悪戦苦闘をしたわけですけれども、その過程でやはり、政策をどうやってつくっていくのか、国民方々にどう理解していただくのか、外国の機関とどういうふうに接触をして協調していくのかということは、私だけではなくて、日本金融関係者、中央銀行も相当学んだというふうに私は思っているところであります。  私がこのポストにどうかということについては、ちょっと発言を控えさせていただいた方がよろしいかと思っております。
  21. 西岡武夫

  22. 山下栄一

    山下栄一君 公明党の山下でございます。  国際協力銀行の副総裁総裁と、七年近くの御経験の中で、今アジアにおける日本経済金融影響力は高まる一方だというふうに思うわけです。アジアの代表ということもございますし、今、国際経済、非常に激しくなっておるわけでございますし、リスクも広がっておるわけですけれども、豊富な国際経験の中で日本の独自の役割また使命、どのように感じてこられたかと、また今感じておられるか、端的にお願いしたいと思います。
  23. 田波耕治

    参考人田波耕治君) おっしゃるとおりでありまして、私、国際協力銀行に行ってアジアの現地の方々といろいろ会ったときに一番印象を強く持ったのは、ちょうど九八年当時、私がいたときでございますけれども、いわゆる宮澤構想という構想で、アジア危機、つまり短期資金の出入りによって非常に影響を受けたアジア経済日本は資金を供給してこれで立ち直ったということに対する感謝の念というのは、もう率直に言って面映ゆいほど、日本は有り難かったというようなことを言われもし、感じもしました。  ただ、今はそれからもう十年たって世界が相当変わってきております。原油高によってオイルマネーが非常に大きくなってくる、あるいはロシア経済も立ち直ってくる、その中で中国が台頭してくるという意味で、非常に多様な、地政学的にも相当広い見地から物事を見ていかないと、その中で日本が何をやれるかということもはっきりしてこないように私は思います。  ここはまさに、日本が何をやるのか、もう一つ言えば、将来の高齢化社会に向けて日本がどういう社会をつくっていくのか、その中で金融はどうあるべきなのかと。直接金融、間接金融の話もあります、先物の話もあります、デリバティブの話もありますし、ということをもう真剣に世界のリーダーというようなつもりでやっていくことが、その気概が大事だと思います。アメリカもやはり金融が非常に発達をして証券化も発達をした、それから信用によってお金を借りて消費をするというシステムも非常に行き渡ったわけですけれども、それが一つ今困難に直面していることは明らかなんで、やはり日本はそういう役割がこれからあると思っております。
  24. 山下栄一

    山下栄一君 ありがとうございます。  先ほど世耕委員質問の中での御答弁にもありましたけれども、これ、今回の総裁候補の御指名といいますか、悪戦苦闘の中の決断だったというお話ございましたけれども、非常に今大事な立場で、また今、日銀理事に対する世間の関心もこれほどまでに高まるかというぐらい高まっておるわけでございます。そういう中で、準備された中での御指名じゃなかったのではないかと思うわけで、引き受けるぞと、このようにお考えになった決め手となったもの、又は現在の御心境ですね、お聞かせ願えればと思います。
  25. 田波耕治

    参考人田波耕治君) ここに出てきたのはなぜかという話だろうかと思いますけれども、やはり私なりに今、先ほど申しました世界経済の中での金融役割というのは非常にもう大きいという意味で、大変マクロ金融については関心を持っておりました。そういった意味で、私がこの今のいろいろな世界の一種のターモイルを一人で救えるというようなそういう出過ぎた考え方は全く持っておりませんけれども、九〇年代の経験と、あるいはその後の国際協力銀行でいろんなことを見てきた、経験をしてきたものが多少なりとももしお役に立つことができれば頑張りたいなというようなのが心境であります。  それからもう一つ、私は中央銀行独立性なり中央銀行の仕組みの動き方というのは、私の先ほど申し上げました中央銀行研究会経験、見聞では、やはり政策委員会を中心に物が議論され決定されていくということでありますので、余り総裁、副総裁だけがということではなくて、中央銀行独立性というのは、私は政策委員会独立性だと思っております。ただ、その中にあって、総裁なり副総裁なりはやはり一種の説明責任を果たしていく、あるいは政策のスポークスマンをやっていく、あるいは直接的にいろんな外国の方々とトップレベルの意見交換をするというような役割があるというような位置付けが個人的には妥当なんじゃないかなというふうに考えている次第でございます。
  26. 山下栄一

    山下栄一君 ありがとうございました。
  27. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) これより自由質疑に入ります。  質疑のある方は挙手をお願いいたします。  辻泰弘君。
  28. 辻泰弘

    ○辻泰弘君 民主党の辻泰弘でございます。田波さんに三点にわたり御質問をさせていただきます。  まず第一点は、総裁人事の在り方についてでございます。  田波さんは昭和三十九年から平成十一年まで大蔵省に在籍されておりますが、その間の日銀総裁の人事は、まさに日銀OBと大蔵OBとの輪番、たすき掛け人事でございました。しかも、大蔵省OBはすべて事務次官経験者だったわけでございます。今回の総裁人事については、マスコミでも財務省の組織を挙げた動きがすさまじかったと指摘されております。  田波さんも大蔵省出身で事務次官経験者でいらっしゃいます。武藤さんの後の田波さんでございます。言わばミスター財務省の後のミスター大蔵省でございます。今回のことについて、田波さんは輪番、たすき掛け人事の復活、新たな始まりという指摘、批判にどうお答えになるでしょうか。あわせて、OBが日銀総裁ポストに就くことの財務省のメリットを御教示いただきたいと思います。  二点目、これまでの御経験に関連してお伺いいたします。  今日、経済グローバル化金融の多様化、複雑化が急速に進展を続ける中で、日銀総裁には高度な専門知識と語学力、国際的な交渉能力が求められると思います。田波さんはこれまで国内中心の御活躍だったと思いますが、日銀総裁という重責を担うに値する金融知識、国際性、語学力を身に付けているという自己評価をお持ちでしょうか。通訳なしの中央銀行総裁だけの議論や交渉の場に臨むこともあると考えますが、日本中央銀行総裁として十分その任を全うできるとの自信をお持ちでしょうか。  三点目、政府政策とのかかわりについてお伺いいたします。  従来から政府日本銀行は一体となった取組を行うとの方針が政府の閣議決定などでも示されてきているわけですが、田波さんは政府財政政策財政運営に対して日銀としていかなる形において一体となった取組を行っていくつもりなのか、御所見をお伺いしたいと思います。  以上でございます。
  29. 田波耕治

    参考人田波耕治君) 最初の人事の在り方でございますけれども、ミスター財務省だ、ミスター大蔵省だというのはちょっと、率直に言って全く私はぴんときておりません、正直言ってですね。どちらかというと、今国際協力銀行JBICと言っているんですけれども世界、中東に飛んだりロシアに飛んだり、アジアの現場で貧困の仕事をしたりしてまいりましたから、余りそういうことを感じるという暇が今までなかったと思いますし、財務省のメリットというのは、どうでしょうか、よく分かりませんけれども、そういう問題のとらえ方はそもそも余り適当ではないと言うのは失礼かも分かりませんけれども、やはりその人間が何をやるかということに私は尽きるように思います。  それから、二番目の質問は非常に厳しいお話でございまして、私は、若いころアメリカに四年おりました。それから、JBICに参りまして七年、その前に大蔵省の顧問ということで世界を飛び回っておりましたんで、多少のことはできると思いますけれども、一〇〇%自信があるのかというふうに言われると、なかなかそういう方々ばかりではない。少なくとも日本人の、何というか、感性としては、自分はもう一〇〇%金融も語学力も間違いなくあるんだということを言い切るような私は余り感性を持っておりませんので、その程度で失礼をさせていただきたいと思います。  それから、政府日銀一体での取組というのも、先ほどちょっと申し上げましたけれども、やはり日銀法にもう非常にはっきり書いてあり、日本銀行は、その行う通貨及び金融調節経済政策の一環を成すものであることを踏まえと、この経済政策というのは当然のことながら政府がやるわけで、政府経済政策基本方針と整合的になるように常に政府と連絡を密にし十全な意思疎通を図らなければいけないと。つまり、金融政策の決定ということと意思疎通ということはおのずから明らかに違うんで、法律ではっきり一体として取り組みなさいと。これはどう考えても金融経済の、広い意味経済の一環でございますから、そこの間のシンクロがうまくいかないということは適当ではないというふうに私は個人的に考えている次第であります。
  30. 西岡武夫

  31. 岡田直樹

    岡田直樹君 多少重複いたしますけれども田波さんの御経験に即して二点ばかりお伺いをしたいと思います。  先ほど、内政審議室長時代に新しい日銀法の在り方を議論されたということを伺いました。また、事務次官に就任された後、平成十年の四月には改正日銀法が施行されておりまして、ここには先ほどおっしゃった日銀自主性透明性、また政府との十分な意思疎通といったことがうたわれておるわけでありまして、私は、田波さんの御経歴を拝見すると、この新しい日銀法の精神を最も理解されている方の一人ではないか、ミスター大蔵省ではなくてミスター日銀法の一人ではないかと、こういうふうに思うわけであります。  民主党の同僚議員はしきりと財金分離について御心配であるようでございますけれども、私は、大蔵省、財務省出身者か否か、あるいは事務次官か財務官かといった問題は本質的な問題ではないと思っております。大蔵次官という前歴は必ずしも日銀自主性を損なわない、そして日銀法の精神に、原則に忠実であるならばむしろ適任であるということを私は思っておりますし、そのことを田波さんにも明確に示していただいて民主党議員方々の御懸念というものを払拭していただきたいと思います。  第二に、田波さん、先ほども世耕先生からもありましたとおり、橋本内閣から小渕内閣にかけて日本が大きな経済危機に直面した時代、一生懸命景気の下支えをしてこられたと思うのであります。その経験に照らして、今の状況金融そして通貨政策どのようにされるか。今だれが日銀総裁になるかということについて世界中が、そして日本国民が注視をしておりますので、先ほどからお話しになっていた以上に強いメッセージというものを国内外に示すような御答弁をいただきたいと思います。  以上であります。
  32. 田波耕治

    参考人田波耕治君) 最初のお話はやや過分でございまして、実は内政審議室長というところで委員会事務局はやっておりました。したがって、いろいろな御準備だとか何とかはしましたけれども、私はもう意図的に議論委員方々にしていただくと。  というのは、審議の過程で、そういうことを言うのが適当かどうか分かりませんけれども、やはり大蔵省影響が出てきちゃうんじゃないかとか、そういう議論も当時あったわけです、私がということではなくてですね。それを排除するために内閣で委員会をつくって鳥居先生にやっていただいたわけでございますので、これについては私が何らかの言わば一つの方向性をどうかしたという話は全くございません。  ただ、その結果出てきたものが今の日銀法であり、先生おっしゃいました十年の四月というのは、このほかに外為法も改正されました。そういう意味では、日本金融にとって日銀法と外為法の大改正が行われたということは非常に大きな意味のある月だったんではないかなというふうに思っております。  それから、二番目でございますけれども、まさに橋本内閣から小渕内閣にかけて、やはり事象というのはいろいろ重なるものだなと。アジア危機あり、金融の話があり、それから、当時は減税をめぐっていろんな意味で大規模な減税をすべきだと、それから、しかもそれを恒久的にやらないと、将来また増税があるということになるとこれは効かないというような議論がございまして、御存じの定率減税という手段で一応乗り切ったわけでございますけれども、やはりこの時代というのはバブルの崩壊によって右肩上がりの経済が前提として大きな基盤ではなくなったという大変大きな変革の時期だったと思いますので、今、もし私が日銀総裁になりましたら、やはり日銀の優れた調査機能あるいは世界のいろいろな機関との連携を通じて、その辺についてきちんと分析をして、将来についてのいろいろなシナリオをそれなりに勉強していく責務があるなと、そういうことをやりたいなというふうに思っておるところでございます。
  33. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) 次に、山本博司君。
  34. 山本博司

    山本博司君 公明党の山本博司でございます。  三点お聞きをしたいと思います。  第一点目は、G7への取組でございます。  今後の五年間というのは、本当に大変今まで以上に厳しい金融政策が迫られていると思います。すぐこの四月には先進七か国財務相・中央銀行総裁会議、G7がございますけれども、どういう姿勢で臨まれるのか、御見解をお聞きをしたいと思います。それが第一点目でございます。  それから第二点目は、個人消費の拡大に向けてということでございまして、三月の金融経済月報で、企業収益というのは伸び悩みつつも高水準で推移するとする一方で、企業の人件費の抑制スタンスが根強いと、こう指摘してございます。可処分所得を増加させて個人消費を増加させるには、労働分配率を引き上げて賃金への所得還元を進めるべきだと考えますけれども、こういう点についての御見解をお聞きをしたいと思います。  それから三点目は、人材活用ということでございます。  新総裁になった場合の二人の方の副総裁にどういう役割を期待をされて、また五千名以上の大組織のこの日銀組織をどうマネジメントされるのか、田波氏の御所見を三点お聞きをしたいと思います。
  35. 田波耕治

    参考人田波耕治君) ありがとうございます。  最初のG7でございますが、実は非常に率直に申しますと、今このG7に具体的にどういうふうに我が国中央銀行として取り組むのかということについて、何が議論されるかということについてもしっかり受け止めておりませんので明確な御答弁はできませんけれども、やはり今これだけ世界的に金融が揺れ動いている時期というのはかつてないわけでございますから、やはりこういった機会を通じて各国の中央銀行と相互の連携を高めていくと、それで、ボラタイルないろいろな動きを阻止していくんだというようなこの決意が各中央銀行によって行われるということが何より大事かなというふうに一般的には思っております。  それから二番目は、半ば同感するところがございまして、やはり経済が持続的に成長していくためには、私は最終的には個人消費がきちんとした形になるということが非常に大事だというふうに思っております。消費の内容についてはいろいろな形があるんだろうと思いますけれども、そのためにはいろんな手段があるんだろうと思います。金融政策も場合によってはあるかも分かりません。そのほかに、言わば経営に対してのいろいろ問いかけもあるでしょうし、ここがこれからの日本経済の一番大きな取り組むべき課題なんではないかなと私自身は思っております。  三番目の点も実は、余りこのお話いただいてから時間がないもので、ただ、私が今までいろいろ接触してきたところでは、お二人とも大変優れた組織人であり学者であるということでございますので、先ほどお話がございましたように、私が十分な金融知識、そういったものを全部持っているかと言われると、先ほど申し上げましたような話でございますので、是非二人の方々を始めとして皆さんにいろいろ教えていただきながら、自分自身成長していければというふうに思っております。
  36. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) 次に、大久保勉君。
  37. 大久保勉

    大久保勉君 民主党、大久保勉です。  田波参考人に三点お尋ねします。  まず一点目。  日本銀行法の述べている物価の安定とは、生鮮食料品を除くCPI、いわゆるコアCPIで何%をあなたは想定していらっしゃるのですか。また、その目標を達成するためにどのような金利の調整や長期国債買入れ増減等によるマネーサプライの調整を行うのか。  二点目は、あなたは九〇年代後半の日本金融危機を乗り切ったと発言されました。それでは、今回のサブプライムから発生した金融危機に対して、あなたはどのようなリーダーシップを発揮されるのでしょうか。例えば、ベン・バーナンキ氏やポールソン氏にどのようなアドバイスをされるのか、聞きたいと思います。  三点目、これまで十年、どのくらい頻繁に英語で電話会議に参加したり、国際会議議長を英語で行ったりしたことがありますか。バーゼルのBIS会議や他の国際会議出席するためにほとんど毎月海外出張をこなし、かつ、時差ぼけや気候の変化に対応するためにはかなり強靱な体力が必要であると思います。私は今四十歳代ですが、私の世代でも楽ではないと思います。あなたは体力に自信ありますか。  以上、質問します。
  38. 田波耕治

    参考人田波耕治君) 最初の点でございます。言わば、どのくらいのところを物価安定の基準にするんだという御質問だろうと思います。  物価安定というのは、言うまでもなく中央銀行の最大の使命でありますけれども、それじゃ、具体的にどのくらいなのか。その前に、コアインフレもありますし消費者物価もありますし、もろもろの価格、特に最近ではエネルギー価格もございますので、これは正直に言って、どういう仕組みでそういうターゲットを設けていくのかということ自体がまさに非常に難しいので、なかなか具体的なはっきりとした姿になってこないというのが一つの問題になっているのではないかなというふうに思います。  それから二番目の、サブプライム問題に直面しているアメリカにどのようなアドバイスをということでありますけれども、なかなか難しいと思いますけれども、私は、ちょっと中央銀行的ではないかも分かりませんけれども、実体経済日本の場合もやはり実体経済が落ち込んでいくことによって不良債権が増えてきたところが多分にあるもので、やはり実体経済をどういうふうに回復させていくのかということを考えながら直接的な流動性対策とか資本増強の政策を取るということが両輪となっていかないと、なかなか片一方だけではうまくいかないのではないかなというふうに思っております。  それから三番目で、どのくらいやったかということですが、実はJBICというか国際協力銀行の仕事というのは、どっちかというと個別の案件、最近では、エネルギー関係の具体的な案件をどういうふうに形成していくか、そのためには相手の政府のところに出かけていっていろんな意見交換をする、そしていろいろな条件設定をして決めていくと、そういうプロセスが多いわけでありますので、率直に言って、JBIC時代にマルチのそういう電話会議などは余りなかったというふうに思っております。  最後の、体力がどうかということについては、割合私はどっちかというと体育会系だと言われるので、年の割に少しは自信がありますけれども、それは率直に言って、長時間の飛行だとか時差だとかいうことが全然問題ないと言うつもりも全くありません。しかし、それはやはり克服していく手段もあるわけですし、それを果たしていくのが責任であり、自分の言わば、何というか、いろんな意味でのコンディションをきちんとコントロールできて初めて責任のある地位の責任が果たせるんじゃないかなと常々私は自戒をしているところであります。
  39. 西岡武夫

  40. 西田昌司

    西田昌司君 自民党の西田でございます。御苦労さまです。  いろんな委員から御質問あるんですけれども、非常に無礼な質問もたくさんあり、私も同じ委員として聞いているのに堪えないような気持ちでおります。しかし、そんな中御出席賜って、しかも今回は、新聞辞令という言葉ありますけれども、新聞上、先に不同意だとか、こんな取扱いがされている中出席していただきましたことに、本当に私は心から敬意を表したいと思うんです。  しかし同時に、そういう中出席されたというのには、やはり田波参考人は並々ならぬ決意を持ってこれをお受けになったと思うんです。特に、今回の人事案につきましては、いわゆる財金分離ということを口実にして、余りにも画一的な硬直的な分離論ばかりになって、形式的な話になって、実質上、本当にどういう人物が日銀総裁にふさわしいのかと、こういうことが出ていない。  そんな中、恐らく、田波参考人、さっき一番最初のお言葉の中に、私は全体の奉仕者として仕事をやってきたという役人としてのプライドをお話しになりましたけれども、正にそういう中からお引き受けになったと思います。率直に言って、その引き受けられた決意なり、受けられたときの気持ちをここで表明を是非していただきたいんです。  それともう一つは、先ほどからこの財金分離もそうなんですけど、これは日銀人事に関係なく、すべての分野でそうなんですね。この十年、二十年、日本が改革だといって取り組んできた政策といいますのはすべて、元々日本は官民協力してきて国益を守ってきた良き伝統があったと思うんですけれども、そのあつものに懲りてなますを吹くような形で、逆にすべてを否定してきて、官民協調していくと。政治も与野党、別に対立だけするのが仕事じゃないと。当然のことながら、国益に関する話は協調しなければならないんです。ところが、そういうことが横に置かれて形式論ばかりの対立の構造になっているんですね。  長い間大蔵省の官僚として、そしてその後はJBICの役人としてずっと見てこられて、今の政治の状況というのはまさにそういう本来の協調路線がなくなってしまっているんじゃないかと。  田波さん自身もそういうことに関して、政治に対して物を発言したいし、また発言されるのが日銀総裁になられたときには当然メッセージとして必要でありますし、またここで参考人としても当然私は発言をされるべきだと思いますが、田波参考人の御所見をお伺いしたいと思います。
  41. 田波耕治

    参考人田波耕治君) 実は、いろんな報道は正直言って全く見ておりませんで、先ほど申しましたように、やはりそういうお話をいただいた以上、これをただ固辞をするということが私の今まで生きてきた道かなというような思いで、やはりやれる範囲でやろうというつもりでここに参っております。  それから、財金分離下の政治との関係でございますけれども、政治というわけではありませんけど、私は、中央銀行総裁というのは、今私まだ総裁ではありませんからそういうつもりで言っているわけではないです、全く一般論とするならば、やはり金融政策という重大な責任を持ち、しかもいろいろなデータも集まっているところのトップでありますから、いろいろな事象に対して積極的に、許される範囲で、それによって、やはり金融が変なふうに影響を受けるということは厳に慎まなければいけないと思いますけれども。  かつての、私の拝見しているところでは、中央銀行総裁がやはりもっと財政はしっかりすべきであるというような御発言をされたことも覚えておりますので、その辺は節度を持ちながらやはり中央銀行としての立場を発信していくということは、おっしゃるように一般論としては大切なことだと個人的には思っております。ただ、今はそういう立場に全くおりませんので、その程度にさせていただきます。
  42. 西岡武夫

  43. 大塚耕平

    大塚耕平君 民主党の大塚でございます。  他の委員の御質問に関連して四問と、私自身質問を一問させていただきます。  一問は、直嶋委員の御質問に対する答えの中で、JBICでの御勤務の御経験の中で金融実物経済と深くかかわっていると思うようになったというお話があったんですが、それ以前はそういうふうにはお感じにならなかったのかどうか。特に、旧大蔵省にいらっしゃって、バブルのころにどのようにお感じになっていたのかをお聞かせください。  二点目は、世耕委員の御質問の中で、アジア危機の際に日本が資金供給をしたことで果たした役割は大きかったというふうにおっしゃいましたが、今のサブプライム危機の中で日本は資金供給を世界のマーケットに対してするべきだとお考えになっているかどうかをお聞かせください。  三番目でありますが、山下委員の御質問の中で、新日銀法政策委員会中心だというふうにおっしゃいました。確かに、日銀法第二十一条の役員規定では、審議委員、正副総裁、監事、理事の順で記載をしてあります。他の条文でも同様の記載でございますので、法文上こうした記載順に何がしかの意味があると思うんですが、日銀法改正当時の内閣官房内政審議室長としてどのようにお考えになっているか。それに付随して、政策委員会議長審議委員等の互選で決まるんですが、総裁に御就任になられた暁には、法文上、議長に必ずならなければならないとお考えになっているかどうかをお聞かせください。  四番目は、これはJBICにとっての円高日銀にとっての円高についてどのようにお感じになっているか、お聞かせください。  最後は、五番目は、平成八年四月の理財局長としての田波参考人の参議院大蔵委員会での御答弁の中で、大量の国債の発行というのは市場に対してそれ相応の影響を持ってくる可能性があるというふうに御答弁しておられますが、現在の国債の発行状況日銀の保有状況についてどのように評価され、総裁就任時にはどのように御対応されるかをお聞かせください。
  44. 田波耕治

    参考人田波耕治君) ちょっと最初の点は私の言い方が少しまずかったと思います。  JBICに行って、特に最近年次において非常に印象があるのは、お金というものが、株に行ったり債券に行ったりということもございますけれども、物に物すごく移るようになってきたということが非常に顕著になってきたということでございまして、これはかつてない。ですから、実物経済という言葉が正直言って適当ではないんだと思います。金融実物経済はまさに一体なんですが、物に対する投資みたいなもののお金の動きが非常に激しくなってきたということを言いたかったわけでございます。  二番目のアジア危機に類したときに日本が何を、今、例えば資金供給ができるかということでございますけれども、私がJBICで感じましたのは、日本にそれだけの資金余力があるのかという問題が一つありますけれども。  特に、中東のマネーですね、これが今、彼ら自身もこの運用をどうするかということについて、本当は一つは自分の国の経済発展させるための投資に回したいという気持ちが非常にあるんで、JBICとしてもこういうものをお手伝いしております。  それから二番目には、そのお金が今度はアジアに来ると。アジアの経済成長率というのは非常に高いですから資金の需要というのは非常にあるわけでございまして、何とかそういったお金をアジアに持ってくることを協力してできないのかというような取組を始めているところであります。  三番目の話は、今度は日本にという話があるんですが、これはちょっとJBICの仕事ではないんで、今アジアに何とかしてこのお金を回すようなことが日本の一つの機関としてできることはないんだろうかというようなことを模索しているわけでございます。  三番目の政策委員会と言わば執行議長との関係だろうと思うんですけれども、これは端的に言って、法律に従って、今法律がそういうふうにあるわけですから、粛々として運用をしていくということが課せられた課題だと思います。  それから、円高JBICにとって、日銀にとってというのはちょっと新しい切り口だと思いますけれども、余りそういう意識でJBIC日銀を並べて考えたことがないのと、やはりこの円高、為替レートというのは、そう軽々にいろんな発言をすべきではないというふうに私は思っておりますので、ちょっとその程度にさせていただければと思います。  それから、大量の国債発行が経済に与える影響というのは、私はあると思います。普通の経済理論でも、金利を高める、あるいは将来的にインフレを招くというような話があるわけでありますので、やはり今の日本の国債の発行量というのは、経済運営、その時々の経済運営との関係があることはもちろんですけれども、望ましい水準では決してないというふうに今でも思っておるところです。
  45. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) これにて総裁候補に対する自由質疑は終了いたします。  この後は副総裁候補者に対する自由質疑に入ります。  質疑のある方は挙手をお願いいたします。  大久保勉君。
  46. 大久保勉

    大久保勉君 民主党の大久保勉です。  西村参考人に短い質問、二問行いたいと思います。  まず一点目は、田波参考人に行った質問と全く同じ質問をあえていたします。日本銀行法の述べている物価の安定とは、生鮮食品を除くCPI、いわゆるコアCPIで何%をあなたは想定しているのか。また、その目標を達成するためにどのような金利の調整や長期国債買入れ増減等によるマネーサプライの調整を行うのか。  二点目に関しましては、日本金融資本市場透明性、競争力を高めるためにどのような政策が必要であるのか。また、この点に関連し、先進国中央銀行に比べて日本銀行が遜色を持つ点があれば指摘し、あなたがそれに対して何をなし得るか、教えていただきたいと思います。  以上です。
  47. 西村清彦

    参考人西村清彦君) 最初日銀法物価の安定の解釈ということですが、物価安定の理解というところの中で、現在の政策委員会はそれを説明しております。それによれば、それはCPIのインフレーション率で、それでゼロから二%の間、セントラルテンデンシーは一%の間に散らばっているというのが、これが現在のところの物価安定の我々の理解です。  日銀法における物価安定というのは、本来は経済主体といいますか、消費者、そして企業がインフレが起こっているということを意識しなくて経済活動ができる、余計なことを考えなくて済むというふうな状況というのが、これが日銀法の本当の意味での物価安定の理解だというふうに考えております。それを現在のところのCPIの数字に置き換えると、現在のところは今申し上げた物価安定の理解というところに収れんしているというふうに考えて私はおります。  それから、日本の資本市場透明性ということですが、この透明性というのは極めて難しい概念でありまして、これは透明性が今あるかどうかというよりも、透明性を今後どういう形で確保していくかというダイナミックな形で考えていくのが私は望ましいことだと思っております。  というのは、資本市場の変化というのは極めて急速でありますから、昨日まである意味で透明であったものが今日はもう透明でなくなるということが今まさに現実に起こっておるわけです。そういう中で透明性を高めていくというのは、これは透明性がここまで高まったからこれでよいということではなくて、常に透明性を高めて、何か事が起こったときに更にそれに対処できるような十分な情報というものが市場に十分に行き渡ると、これが本当の意味での透明性だというふうに考えております。  そういう意味で、日本銀行はほかの中央銀行と同じく、この透明性を高めるために様々な努力をしているというふうに私は感じております。  以上です。
  48. 西岡武夫

  49. 義家弘介

    義家弘介君 自由民主党の義家弘介です。どうぞよろしくお願いいたします。  西村参考人に二点御質問させていただきます。  まず一点目ですけれども、サブプライム問題に端を発して、米国発の市場の混乱が国際的に波及されることが懸念されている中で、各国の中央銀行当局間の連携、この連携には一瞬の停滞もあってはならない、そんな事態だと考えていますけれども日銀総裁が空席となるリスク、このリスクについてどう考えているのか。また、この度の日銀総裁人事、副総裁人事の混迷が現実に市場に与えている影響をどのように考えているのか、お聞かせ願いたいと思います。  そして二点目、西村総裁候補ですけれども審議委員就任前の著書の中で、不況下におけるモルヒネ経済を乗り越えて、我が国経済が取り組んできた見えざる構造転換の成果と課題を指摘されていましたけれども、現在、このモルヒネ経済からの脱却は成功したと評価されているのかどうか、お聞きしたいと思います。
  50. 西村清彦

    参考人西村清彦君) まず最初のサブプライム問題の各国中央銀行の連携ですが、せんだっても五中央銀行が新たな協調行動を取りました。それに対して二中央銀行、つまり日本銀行とそれからスウェーデンのリクスバンクがそれをサポートするという声明を出しました。これは前回の協調行動と全く同じ形になっております。  私の考えでは、これは例えば五中銀がやったことを我々がサポートしているというよりも、七中銀が協調して一つのことに対処しているということです。それは、五中銀はそれぞれのところでしなければいけないことをしておりますし、二中銀はまだそこまで自分の足下のところで大きな問題が起きているわけじゃありませんので、そうではなくて、それをサポートする。もちろん、足下のところではノーマルな金融調節で対処できますので、そこで対処しているというふうな形になっております。その意味で、各国中央銀行の連携というのは極めて強いきずなの下でなされているというふうに考えております。  日銀総裁空白のリスクということですが、私はそのようなリスクは存在しないと思っております。皆様方の御見識でそういうようなことは起こらないというふうに私は今でも信じております。  それから、モルヒネ経済のことですが、モルヒネというのは、御存じのようにモルヒネを打てば治るというものではありません。モルヒネというのは、そのモルヒネ打っている間に痛みが少ないうちに、その痛みのもとになるところを摘出して、それを一つ一つ治していくということなわけですね。  そういうことから考えれば、私は量的緩和をモルヒネというふうに名付けましたが、確かに量的緩和をやめたことによって、モルヒネは打たなくなりました。しかし、それだからといって日本経済が完全に正常な状態になったというふうには私はとても考えておりません。まだ日本経済は、広い意味考えるならば調整の過程のプロセスにあるというふうに考えております。  そういう中で考えるならば、モルヒネ経済から脱却したかどうかというのはほとんど意味のないことではないかと思っています。モルヒネはようやく何とか脱却できたものの、まだ我々にはこれから大変な努力をしなきゃいけない状況にあるというふうに考えております。  日本銀行は、そういった民間の方々の努力に対してできるだけの支援をするということを今までもやってきておりましたし、これからもやっていくという所存であります。  以上です。
  51. 西岡武夫

  52. 山下栄一

    山下栄一君 西村参考人日本銀行政策委員会の審議委員を丸三年務めてこられているわけですけれども審議委員という政策委員会のメンバーとしての立場と副総裁の立場、日銀執行の責任者としての副総裁のお立場との違いをどのように自覚されておるかということと、副総裁審議委員も両方とも国会の同意を得て内閣が任命するわけですけれども、ところが、審議委員の方は任命要件が法律に書いてあると。経済又は金融に関して高い識見を有する者その他の学識経験のある者と、こういうふうに書いてあるわけですけれども総裁、副総裁はそういう要件書いてございません。  私は、今回の同意人事がもめる理由の一つが、任命の要件が法定されていないということも一つの原因ではないかというふうに思うわけですけれども、その二点、済みません、よろしくお願いします。
  53. 西村清彦

    参考人西村清彦君) 最初の、審議委員としての立場とそれから副総裁としての立場ですが、これは明確に違うと思います。審議委員は、それぞれ独立の立場から、日本経済状況、それから今後の見通しについてそれぞれ独自の見方と、それからそれに対する分析を行って、そしてその場その場で最も望ましい政策とは何かということを考え、そしてそれを提案すると、これが審議委員の立場です。  先ほど申し上げました副総裁政策委員という立場もあります。政策委員という立場では、今申し上げたとおりのことを、つまり審議委員と全く同じことを独立した立場で、総裁ともまた副総裁は独立した、それぞれ独立した立場で行います。  そのほかに、中央銀行には、当然のことですが、単に金利を決めるという金融政策若しくはそれに対応する調節方針を決めるということのほかにもっとたくさんのものがあります。日本銀行は、簡単に申し上げますと、お金の管理をしておるわけです。それに対応しての、そしてそのお金の、例えばきれいさとかそういったものもきちんと保たれなきゃいけないですし、それから偽造とかそういうものに対しての十分な対処が必要です。それから、日本銀行はまた同時に決済のシステムに関しても重要な役割を果たさなければいけません。最終的な決済がうまく回るということを確保するのは、中央銀行としての日本銀行の大きな役割であります。  そういうことから考えますと、その立場から、執行部というところの立場からの副総裁というのは、これは総裁を補佐し、執行を円滑にし、そしてその下で日本銀行の様々な業務が滞りなく実行されるということを担保するための役割があると思います。この点は、先ほど申し上げましたように、政策員会審議委員とはかなり違うものであります。  そういう意味で、私は副総裁として総裁を補佐するということを肝に銘じてこれからも全身全霊を挙げて業務に、もし副総裁にお認めいただけるとするならば、全身全霊を挙げてその業務に邁進したいというふうに考えております。
  54. 山下栄一

    山下栄一君 二点目の。いいですか、ちょっと確認。  審議委員は高い識見ということが書いてあるんやけれども総裁、副総裁は書いてない。
  55. 西村清彦

    参考人西村清彦君) 識見ですね。申し訳ございません。  その点については書くまでもないということだったんだろうというふうに私は考えております。  日本銀行総裁、副総裁金融政策それから金融のことについて高い識見持っていないということは、これは想像を絶することでありますので、そのようなことはないというふうに考えております。
  56. 西岡武夫

  57. 大塚耕平

    大塚耕平君 今の山下委員の御質問の御答弁を聞いていて、ちょっと確認をさせていただきたいんですが、先ほども申し上げましたが、日銀法二十一条の役員規定では、審議委員、正副総裁、監事、理事、これが役員だと明記がしてあって、審議委員というのは金融政策に対する判断だけではなくて、政策委員会日銀の最高意思決定機関としてすべてのことに関して役員として責任を持っておられるというふうに私は理解をしておりますが、改めて西村さんのその点についての御認識をお伺いしたいのが一点でございます。  それに付随した質問で、西村さんは一月三十一日の熊本での講演の中で、審議委員会が定期的に公開する政策委員の見通しは参考扱いにすぎず、政策委員会として情報発信の仕組みはまだ発展途上だと、こういうお話をしておられて、どのような点が問題で、副総裁就任の際にはどのように改善していくべきとお考えかと。そして、もし改善策がおありだとすれば、それは本来副総裁を含む執行部が提案すべきものか、あるいは日銀の、ただいま申し上げましたように、最高意思決定機関である政策委員会が独自に判断をできるものとお考えかどうか。  そして最後に、経済情勢に関連して田波参考人が冒頭エネルギー資源のことをお触れになりましたが、最近のエネルギー資源価格の高騰は日本金融緩和とどのように関係があるか、御説明をいただきたいと思います。
  58. 西村清彦

    参考人西村清彦君) まず最初の、政策委員会の位置のことですが、これは大塚先生のおっしゃるとおりであります。もし私の発言がそのように取られていないとするならば、それは私の説明の不足であります。  二番目は、確かに一月三十一日の熊本の講演で、私は現在のシステムが発展の途上であると申し上げました。  これは二つ意味がありまして、一つは、そもそも我々が使っております経済データが、これがまだ発展途上でありまして、御案内のように、GDPの統計とか、それから物価の統計も、これは世界中でそうなんですが、やはりなかなか現実の言わば実感とずれているとか、それからばらつきが大きくなってきておりますので、そのいろいろなばらつきをうまくとらえられていないんではないかという議論があります。  そういう意味で、経済データの発展というものを日本銀行の我々としても促しながら、そしてその下で、更にその中からどういうような情報を取り出すか、この情報の取り出し方についても我々はこれから十分な努力をして中身を改善させていかなきゃいけないというふうに考えております。それが第一点です。  第二点は、その下で日本銀行政策委員会の様々な説明の努力ですが、この説明の努力が、私としては政策委員会は一生懸命やっていると思うんですが、なかなかそうでないふうに、取られていないところもあるようには思いますので、そういうところについて十分な説明の努力をしていかなければいけないというふうに考えております。  御案内のように、政策委員会政策決定というのは、基本的見解、それからその後の政策委員会議長の、これは現在は総裁ですが、これの記者会見、そして議事要旨、この三点セットで発信されております。この発信されているやり方、特に議事要旨の重要性というものを私は非常に重要だと思っておりますし、その旨も講演でも申し上げましたが、これをよく分かっていただいて、かつ、やはり分かりにくいということがあれば、できるだけ分かりやすくすると。  それと同時に、事態が非常に分かりにくいものであるということもやはり本当ですので、やっぱり分かりにくいところはやっぱり分かりにくくしか説明できませんので、それもやっぱり、それを含めてきちんとした説明をしていくと、逃げないで説明をしていくということが重要ではないかというふうに考えております。  以上です。
  59. 大塚耕平

    大塚耕平君 是非、エネルギー価格の上昇金融緩和の関係だけは御説明いただきたいと思います。
  60. 西村清彦

    参考人西村清彦君) エネルギー価格の高騰と金融緩和のことですが、これはこの因果関係分析するのは極めて難しいというふうに考えております。  これは現在のところの様々な、特にエネルギーの高騰というのは、どちらかと申し上げますと比較的最近のことであります。特に、イラク戦争以後のエネルギー価格の高騰というのは極めて目覚ましいものがあります。それが更にコモディティーの価格の上昇という形につながっているという形になります。  それに対しまして、日本金融政策の超緩和という状況というのはそれ以前からもありました。そして、それと同時に、これは日本だけではなくて、ほかの国でも同じようなことが起こってきていたわけです。その裏にあるのは、様々なところでリスクに対する価格の付け方がだんだんゆるゆるになっていったというふうに、まあ余りいい言葉じゃないと思うんですけれども、そういうことがありまして、それがやはり大きな問題があったということだと思います。  どうしてそういったリスクの価格付けがだんだんだんだん弱くなっていったかといいますと、それまでの経済に比べると、これはグレートモデレーションと言われていることですが、経済変動がだんだん少なくなってきているということがあります。日本でもその傾向は若干見られるわけですが、特に米国においてその傾向が極めて明快になってきております。  そういった経済変動が少なくなるにつれて、リスクに対するリスクプレミアムというのが小さくなる。そして、そのリスクプレミアムの小ささというものを前提として、更にリスク等価格付けが行われるという、こういう循環でもって現在のような状況が生じたのではないかというふうに考えております。  以上です。
  61. 西岡武夫

    委員長西岡武夫君) 他に御発言ございませんか。──他に御発言もないようでございますから、これにて候補者に対する質疑を終了いたします。  候補者方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、長時間にわたり御意見をお述べいただき誠にありがとうございました。委員会を代表して御礼申し上げます。  なお、懇談会の速記録は本日の委員会会議録末尾に参照掲載することといたします。  これにて懇談会を終了いたします。    〔午後六時三十三分終了〕