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2008-06-03 第169回国会 参議院 環境委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年六月三日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十七日     辞任         補欠選任      佐藤 公治君     大石 正光君      浜四津敏子君     山下 栄一君  五月二十八日     辞任         補欠選任      大久保潔重君     榛葉賀津也君      松 あきら君     加藤 修一君  五月二十九日     辞任         補欠選任      榛葉賀津也君     大久保潔重君  六月三日     辞任         補欠選任      大久保潔重君     西岡 武夫君      山下 栄一君     風間  昶君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松山 政司君     理 事                 岡崎トミ子君             ツルネン マルテイ君                 中川 雅治君                 橋本 聖子君     委 員                 小川 勝也君                 大石 尚子君                 大石 正光君                 大久保潔重君                 轟木 利治君                 広中和歌子君                 福山 哲郎君                 荒井 広幸君                 神取  忍君                 川口 順子君                 矢野 哲朗君                 加藤 修一君                 風間  昶君                 山下 栄一君                 市田 忠義君                 川田 龍平君    国務大臣        環境大臣     鴨下 一郎君    副大臣        環境大臣    桜井 郁三君    大臣政務官        環境大臣政務官  並木 正芳君    事務局側        常任委員会専門        員        加藤 堅一君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      岩橋 理彦君        外務大臣官房参        事官       渡邉 正人君        文部科学省科学        技術学術政策        局次長      川原田信市君        農林水産大臣官        房審議官     佐々木昭博君        農林水産技術会        議事務局研究総        務官       小栗 邦夫君        林野庁森林整備        部長       針原 寿朗君        経済産業省製造        産業局次長    照井 恵光君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       上田 隆之君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      西山 英彦君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    由田 秀人君        環境省総合環境        政策局長     西尾 哲茂君        環境省地球環境        局長       南川 秀樹君    参考人        独立行政法人国        立環境研究所地        球環境研究セン        ター温暖化リス        ク評価研究室長  江守 正多君        名古屋環境局        長        加藤 正嗣君        早稲田大学法学        部教授      大塚  直君        地球環境大気        汚染を考える全        国市民会議専務        理事弁護士   早川 光俊君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付) ○政府参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 松山政司

    委員長松山政司君) ただいまから環境委員会開会をいたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、浜四津敏子君、佐藤公治君及び松あきら君が委員辞任され、その補欠として山下栄一君、大石正光君及び加藤修一君が選任されました。     ─────────────
  3. 松山政司

    委員長松山政司君) 地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として独立行政法人国立環境研究所地球環境研究センター温暖化リスク評価研究室長江守正多君、名古屋環境局長加藤正嗣君、早稲田大学法学部教授大塚直君及び地球環境大気汚染を考える全国市民会議専務理事弁護士早川光俊君の四名に御出席をいただいております。  この際、参考人皆様一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございました。皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、本案審査参考にさせていただきたいと存じます。どうぞ最後までよろしくお願いを申し上げます。  本日の議事の進め方でございますが、まず、江守参考人加藤参考人大塚参考人早川参考人の順でお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、参考人皆様及び質疑者の発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず江守参考人お願いいたします。
  4. 江守正多

    参考人江守正多君) 江守でございます。本日は大変貴重な機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。  私は、いわゆる地球シミュレータという日本が造りました世界最高速のスーパーコンピューターを使いまして、温暖化の将来予測研究をしております自然科学者であります。IPCC皆さん御存じかと思いますけれども、そこに我々の予測計算結果も貢献いたしましたし、あるいはIPCC活動タスクグループのメンバーという形で今回かかわってまいりました。そういった立場から、政策対策に関しては素人でありますけれども科学的な観点から今回審議されております法案に対してコメントさせていただきたいと思います。(資料映写)  ここに出ておりますのは、赤いのが、何回か御覧になった方いらっしゃるかと思いますけれども、赤から黄色が温度が上がるところで、コンピューターでシミュレーションいたしますと、このままほっておけば、何も対策を取らないとこのように地球温度がどんどん高くなっていくということを表しています。  IPCCに何が書いてあるか幾つか御確認させていただきたいと思いますけれども、まず二十世紀後半の地球平均気温上昇、これが人間活動のせいであるということが、可能性が非常に高いと、九割以上自信があるということが書いてあります。これは、各大陸ごとに絵がありますけれども、例えばこれだけ見ていただきますと、世界気温コンピューターで再現します。過去に起こった様々な気温を変える原因コンピューターに教えて計算しますとこのピンクの色のようになって、大体この黒い線、実際観測された線と合うんですけれども、もしも人間二酸化炭素などを出していなかったらという条件で計算するとこの青い線のようになって、全然観測された気温上昇説明できないということで、もうこれは間違いがないというところまで分かっております。  次に、将来の予測ですけれども、もしも何も積極的な対策を取らなければ今後百年で地球平均気温は、一・一度から六・四度という非常に幅がありますけれども、どんどん上がっていくと。この幅は一部は社会発展の仕方によって異なると。対策をしなくてももしかしたらかなり二酸化炭素を出さない世界になるかもしれないし、あるいはどんどん二酸化炭素を出してしまう世界になるかもしれないという、いわゆるシナリオというのによって異なるんですけれども、あるシナリオを決めても科学的な予測によって非常に大きな幅があるということもあります。  そうすると何が起こるかということですけれども、これはよく言われておりますように、項目だけピックアップしてお話ししますと、まず農業生産性が一部の地域で低下すると、温暖化がどんどん進めばかなり多くの地域で低下するのではないか、食料不足の問題ですね。それから、水資源、水不足が訪れるところがあるんじゃないか。それから、逆に洪水の危険性が増える、海面上昇して、そこに強い台風が来ますと高潮も心配しなくちゃいけません。それから、熱ストレスによる健康被害、いわゆる、昨年も多かったですけれども熱中症によって亡くなる方が増えたり、あるいはマラリアやデング熱といった熱帯の感染症の危険にさらされる人口が増える。  それから、最近ホッキョクグマに象徴されますように、生物種が絶滅の危機に瀕する種が増えるということでありますが、これ列挙するのは非常にある意味では簡単なんですけれども、これらがどれほど本当に深刻な問題なのかというのを我々専門家でも十分に整理して、その全体像、深刻さを把握して皆さんにお伝えするというのはなかなか難しい問題だと思っています。ちょっと乱暴な使い方をすると、すぐにそんなことないじゃないかと足下をすくわれるようなことが多々あります。  例えばということでここに少し注意しなくちゃいけない観点を挙げさせていただいたんですけれども、これ我々の研究プロジェクト、今こういうことを整理しておりますが、最初に、まず予測影響予測そのもの科学的に難しくて幅があるということがありますし、それから気候変化以外の要因ですね。被害人口が増えると、十億人になるとか言いましても、それは人口が増えることが予想されるのが主な原因かもしれない。あるいは、次に好影響悪影響。一部の地域では農業生産性が減りますけれども、別の地域では少しの温暖化だったら増えるかもしれない、あるいは暑くて亡くなる方は増えるかもしれませんけど、寒くて亡くなる方は減るかもしれないと、そういうことも考える必要があると思います。  それから、日本への間接影響といいますか、日本における温暖化影響といいますと、どうしても日本気候がどうなってどういう被害があるかということを考えますけれども皆さん御存じかと思いますけれども温暖化日本で深刻な被害が起こらなくても、世界のどこかで、まあ特に途上国が心配されておりますが、深刻な被害があれば恐らくは難民の増加であるとか紛争の増加という形で、日本にも国際社会不安定化を通じて間接的な悪影響があるんではないかと。などなど、いろいろな観点から温暖化悪影響というものは考えていかなくてはいけない。  最後に、価値観に依存する部分ホッキョクグマがいなくなって悲しい人もいれば余り悲しくない人もいるかもしれないといったことも考えなくちゃいけないと。難しい問題だと思っています。けれども、少なくとも言えることは、こういった悪影響が、温暖化が進めば進むほどどんどんその悪影響が増えていきますので、いつかはこれを止めなくてはいけないということだけは科学的にはっきりと言えるんだと思っております。  じゃ、どこで止めるかという話をさせていただきたいと思いますけれども、その前にこの話をいたします。  二酸化炭素、我々が石油、石炭、天然ガスを掘り出して燃やして排出しておりますけれども、その量が最新のIPCCの値によりますと、炭素換算という値で年間七十二億トンであります。そのうちの一部は自然が吸収してくれています。一部は海によって年間二十二億トン、一部は陸域生態系といいまして、陸上の植物が吸収して、その下の土に蓄える、あるいは植物体に蓄えると。一部は森林火災森林伐採によって出ていきますけれども、それを差し引いても正味で九億トン。そうしますと、合わせてこれとこれで三十一億トン。大気に毎年たまる量は、人間が出した七十二億トンから三十一億トンを引きまして、毎年四十一億トンであると。人間が出した量の現在半分弱が自然によって吸収されて、半分強が大気にたまっているということは非常によく分かってきております。  これを踏まえまして、どれぐらい将来排出量を減らせば温暖化は止まるかということであります。温暖化を止めるためには、まず、大気中の温室効果ガスが現在増え続けておりますけれども、これを止めなければいけません、増加を止める必要があります。いわゆる大気中の濃度安定化ということですけれども、本当は全部の温室効果ガスのトータルですが、今は簡単のために二酸化炭素だけ説明しますけれども、今こう増え続けているものをどこかで止める必要があると。こうするためにはどうしたらいいかといいますと、先ほどの説明を思い出していただきますと、これ以上増えませんといった状態では、人間が出した量と自然が吸った量は釣り合っていなければいけない。逆に言うと、自然が吸ってくれる量と同じだけなら出していいというのがここから先の状態です。  それがどれぐらいかといいますと、実はこのようになりまして、これ、世界排出量が現在これぐらいの値だとしまして、しばらく増えて仕方ないかもしれませんが、それからぐっと減らして、これがどこであるのかは、はっきりとは科学的には決まりませんけれども、例えばある時期に半分にしまして、実は更にそこからどんどん減らしていって、いつかは人間は遅かれ早かれ世界中で二酸化炭素をほとんど出さないような社会をつくらないと地球温暖化が止まらないということは分かっております。このときに気温上昇というのは大体止まりまして、ただし海面上昇というのは更にじわじわと何世紀も続くということが予測されています。  次に、じゃどこで温暖化を止めればいいかということであります。これに関しては一部議論の混乱が見られるような気がするんですけれどもIPCCではどこで止めなさいと、何度で止めなさい、どれだけその排出削減しなさいというようなことは申しておりませんで、幾つかの選択肢ですね、これぐらい削減すれば温暖化はこれぐらいで収まりますというのを六つのここではカテゴリーに分けて示しています。IPCCの本文にも、そのどこで止めるかは価値判断を含むので、科学はそれに情報を提供するだけであるということが書いてあります。  これを言わば国際社会が選び取らなくちゃいけないということですけれども、バリの京都議定書のアドホック・ワーキング・グループ議論されていたような数字というのは、この一番低いカテゴリーになります。こちらのグラフは横軸濃度で、その濃度安定化させると何度ぐらいに気温上昇が止まるということです。これも科学的な予測によって幅があります。二〇五〇年半減という目標は、大体このⅠとⅡの間か、ちょっとⅡに入ったようなところにあります。二〇五〇年に半減しても、最終的にはこの科学的な予測に幅がありますので、運が悪ければ四度近くまで地球気温は上がってしまうということをこの図は表しています。  これは、最後に、IPCCは、温暖化の話ばかりしていますので、温暖化が解決されればほかはどうなってもいいのかと思っている方がたまにいらっしゃるので説明しますが、IPCCは、持続可能性地球温暖化防止ということは両立させなくちゃいけないということははっきり書いてあります。例えば、途上国経済発展すれば地球温暖化対策もやりやすくなるし、あるいは地球温暖化が進むと途上国経済発展が妨げられるということが書いてあります。  以上、ちょっとIPCCのことをかいつまんで説明させていただきましたが、これを見て、私自身が今回の審議されている内容に関係して重要な点と思うのは、ここに書いてあるとおりです。  まず、その排出量半減といった大きな目標、これを目指すことは科学的に妥当であります。ただし、半減をいつ達成すべきかは科学のみでは答えられません。また、科学的な不確実性予測が幅がありますので、仮に二〇五〇年に半減を達成しても、世界平均気温が四度近く上昇する可能性まであります。したがって、科学だけでは答えられないといっても、そんなに高い濃度でもいいと言っているわけでは決してありません。そして、半減した後も削減を続ける必要がありまして、究極的には世界排出量をゼロに近づけていく必要があります。つまり、遅かれ早かれ人類は世界排出量がほとんどゼロであるような新しい文明に到達しなくちゃいけない、現在はその転換点なんではないかと、そういうスケールで是非考えていただきたいと思います。  最後に二点、素人ながら、今回の法案に対して以上の観点を踏まえまして簡単にコメントをいたしますと、まず、六%削減に対して、今回審議されております法案及び改正省エネ法案を併せたものが十分な施策かどうかは、私自身専門外につき、ここでは判断することはできないという立場を取ります。ただし、リスク管理という観点から申しますと、二〇〇九年の排出量が、速報値が恐らく二〇一〇年に明らかになると思いますけれども、その時点で効果があったかどうかというのは明らかになると。そのときに効果が十分でなかったと判明したときにどうするのかということを当然よく審議していただきたいというふうに、これは一国民としてもそのように思います。また、第一約束期間中に、二〇一二年までに行うことは、六%を何とか達成することだけではなくて、その先の更に大幅な削減をするための準備、これが同時に進行しなくちゃいけないということは恐らく明らかであろうと思います。  それに関連しまして、その先のこと、中長期の目標に関して一言だけ申し上げさせていただきます。世界排出量を大幅に削減する必要があることは、これはもうだれもが認めると思いますけれども、昨今の議論を伺っていますと、なかなか本当にそれができるのかどうか、論理的に何か難しいところがあるような気がしています。先進国、特に日本技術効率の改善の余地が小さいために大幅削減はできないというような意見があるように思います。つまり、乾いたぞうきんはこれ以上絞れないと。一方で、途上国は経済成長している途中なので、温暖化対策に振り向ける資金がないので大幅削減は不可能と。世界大幅削減しなくちゃいけないのに先進国も不可能で途上国も不可能ですと、これは答えがないということになってしまう、論理的にそうなると思います。  ですので、そうではなくて、先進国技術のみではなく、社会のシステム、ライフスタイル、産業構造社会インフラども転換することによって大幅削減、このためには制度が必要だと思います。そして、途上国対策自分のお金でするのは嫌でも途上国で減らさなくてはいけないことは明らかなので、先進国資金技術を使って、これは先進国の国益にもうまく合致するような形で途上国で大幅に減らすということも先進国削減義務の一つなのではないかというふうに個人的に考えております。  以上です。
  5. 松山政司

    委員長松山政司君) ありがとうございました。  次に、加藤参考人お願いいたします。加藤参考人
  6. 加藤正嗣

    参考人加藤正嗣君) 名古屋市の環境局長加藤でございます。本日は意見陳述機会を与えていただきまして、大変有り難く存じております。  まず、私ども名古屋市の取組の現状について、スクリーンで御説明をさせていただきます。(資料映写)  左の方にちょっと写真を載せておりますが、先週の金曜日、ドイツのボンにおきまして生物多様性条約の第九回締約国会議開催をされました。最終日の三十日、二〇一〇年には日本名古屋開催をするということが決定をいたしました。御尽力を賜りました方々に厚く御礼を申し上げます。  私自身COP9を傍聴いたしまして、近年、地球温暖化の問題と生物多様性の問題、ますます密接に結び付いてまいりまして、大変大きな責任を負ったと感じております。私どもも精いっぱい頑張りますので、お国の方のお力添えもよろしくお願いを申し上げます。  次に、私ども名古屋市は、気候変動枠組条約COP3が京都開催されました平成九年に、CO2を一〇%削減したいということを、目標を独自に設定をいたしました。しかしながら、このころ私どもCO2の問題よりも実はごみの問題の方が大変でございまして、藤前干潟埋立て断念に端を発しまして、ともかくごみを埋めるところがない、そういったせっぱ詰まった状況にございました。平成十一年、非常事態宣言を出しまして、市民に大変御無理を申しまして埋立量を何とか半分以下に削減をするということができました。このときにほとんど無理だと思っておりましたごみを減らすことができたので、これならCO2も減らすことができるかもしれないなと、そういうふうに大変勇気付けられまして、いよいよ二十一世紀に入ってからCO2削減にも本腰を入れるようになった次第でございます。  平成十七年、本格的に市民取組を呼びかけました。「もういちど!」大作戦というのを始めたわけですが、空調の温度をもう一度緩めようという、もう一度という呼びかけとごみのときのパワーをもう一度、そういった思いを掛けたものでございます。  名古屋市のCO2排出量は現在九〇年比で二・五%ほど増加をいたしております。中でも、御覧のように家庭、マイカー、オフィス店舗、こういった部分で大きく増加をいたしております。このため、行動計画では、家庭オフィス店舗、自動車、こういったものを中心に重点に定めながら、学び、実践し、可視化する、こういった大きな流れで施策を組み立てております。  学ぶの中心としてなごや環境大学という取組をやっております。大学といっても、文部省認可大学ではございません。社会人大学とお考えいただけばいいかと思います。愛・地球博開催しました平成十七年に開校いたしました。ここに書いてございますように「まちじゅうがキャンパス」というキャッチフレーズで、特段の施設を持たずに、学校をお借りしたり、ごみ収集現場であったり森の中であったり、そういった町じゅうキャンパスにいたしております。そして、運営市民皆様大学、企業、行政、こういった協働運営をいたしております。そして、既に三年、四年ごとに定着してまいりまして、昨年度は百三十三の講座を開きまして、一万七千人の方々が受講をしてくださいました。こうした講座開催にとどまらず、ステークホルダーによる本音議論、そして本音の納得、これを私ども何よりも重視しているところでございます。  また、下にございますように、幼稚園、保育園、それから小学校、中学校高等学校養護学校、こういったところをも含めた多世代にわたる環境教育にも力を入れているところでございます。  先ほど触れました「もういちど!」大作戦、これではエコライフ宣言というのを市民皆様お願いをいたしました。  二十項目ほどのいろいろ取組メニュー、国の方でやっておられます一日一キロ減らしましょうというメニューによく似ておりますが、そういったものをお示しして、僕はこれとこれをやるよ、私はこれとこれに取り組みますという宣言宣言カードに記入していただくというお願いをしました。大体三年間で千二百回ほど地域説明会を行いながら市民にお訴えをしました結果、現在四十二万人、市民の約二割の方々宣言をしてくださっております。  同時に、エコライフものさしというのも現在作成をいたしました。  と申しますのは、自分がどれだけ頑張ったかというのは分かるんですが、ほかの人と比べてどうなんだろうかということが分かりませんと、効果があったのかどうかよく分からないということで、エコライフものさしというものを作成をいたしました。  これは左側にございますように、電気代幾ら、ガス代幾らという金額を、消費した金額を書いていただきますと、右側の方で大体最後CO2、あなたはどれだけ出しましたよということが分かるような簡便な仕組みをつくりました。そして同時に、平均がどうなんだろうということをつかむために九百世帯ほどの御家庭からデータの提供をいただきまして、平均、まあ家族の人数によって随分違いますので、人数ごとに整理をいたしました結果が御覧のような感じでございます。  そして、これで分かりましたのは、花びらマークの薄い色は平均値ですが、濃いマークはトップ五%の御家庭の数値でございますが、何とトップ五%の御家庭は平均の半分しかCO2を出していないということで、同じように生活しているつもりでも、ちょっとした違いで相当大きな差が出るということが分かった次第でございます。  エコマネー運動というのも愛・地球博のときから始めております。これは市民発の取組で、企業あるいは行政の方からポイントの原資を供出しまして、いろいろ市民に取り組んでいただいた行動に対してポイントを与えております。ポイントを集めると得をするというそういった側面もございますが、それ以上に、取組の成果を見える化する、それが大変市民の背中を押すという効果を上げていると存じます。  それから、都心部に、右上に写真を載せてございますが、御覧のような表示装置を設けまして、ここで市内のCO2濃度を一時間ごとに表示をしております。折れ線グラフは、昼間は光合成がありますのでCO2が減ります。夜間は増えます。この毎年の平均を折れ線グラフで示しましたが、御覧のように、九三年度からデータは取っておりますが、毎年毎年確実に増えております。十年ちょっとで一割近く増えているということが分かりまして、市民共々何とかしなきゃいけないというのを日々思いを新たにしているところでございます。  次に、事業者の方々取組でございます。  大きな企業、中規模の企業、小規模の企業、それぞれ分けて働きかけを行っております。  大手の企業さんに対しましては、条例に基づきまして地球温暖化対策計画書というのを提出をしていただいております。三年分の目標設定をして取組お願いをいたしておりますが、その結果、一番新しいデータでは、三年間で大手の企業さん、大体一割ぐらい温室効果ガスを減らしていただくことができました。  中小企業については、「省エネ対策虎の巻」というものを作成をいたしております。取りあえず、店舗編をまず作りまして、順次、オフィス、病院、ホテル、これらも作っていく予定でございます。これで、お店ごとの業態別、スーパーさん、コンビニさん、いろいろデータを取りましてこれも分かりましたのは、一番少ないお店は平均の大体三分の二ぐらいしかCO2を出していない。同じ御商売をしておられても、エネルギーの使い具合、随分幅があるので、少ないところをまねしていただければ随分減らせるのではないかと、そういったノウハウをとらの巻としてまとめた次第でございます。今後三年間で約二千件ほどの事業所を個別に訪問して、パンフレットを見るだけでなくて、個別にいろいろアドバイスをしていく予定をいたしております。  それで、私どもは二〇一〇年にCO2を一〇%削減しようという目標を立てておりますが、なかなか大変でございますが、こういった取組を進める中で何とか目標を達成してまいりたいと考えております。  さて、このたび国の方で、環境モデル都市という募集を行われ、全国で八十二の自治体が応募をされました。大変全国の自治体はあおられまして、真剣に提案をさせていただきました。私どもも、化石燃料消費五分の一という目標を掲げさせていただきました。私どもは、温暖化防止と同時にエネルギー安全保障という点で、排出を減らしなさいということだけ言われますと何やらしかられたような気分になるのでありますが、従来のように化石燃料が楽に手に入る時代ではなくなるということで、いかに節約をしてより快適な暮らしをするのか、そうした観点から提案をさせていただいております。  それでは、法案の改正案について、三点にわたって意見を述べさせていただきます。  まず、二十条の三についてでございます。今後、大幅なCO2削減を進めるためには、都市構造そのものを見直していく必要がございます。交通体系、水や緑、エネルギー資産の活用など、町づくり全体での取組が不可欠でございます。その意味で、都市計画と実行計画を連携させるという今回の改正案に対して賛同をするものでございます。同時に、自治体の役割が法的にも明確に整理をされた、この点について賛同をいたしております。  また、要望でございますが、化石燃料以外のエネルギー利用の促進、こうしたことを実行計画に盛り込むように定めてございますが、私ども、補助金方式だけでは限界があるであろう、したがいまして市場メカニズムの中に環境保全やエネルギー安全保障の観点を組み込む、そのために、例えば太陽光発電等のコストが多い分については料金転嫁などによりまして国民全体で広く薄く負担していくような、そういった仕組みづくりを進めていただけるよう要望をいたしておきたいと思います。  二つ目は二十四条の関連でございます。指定都市においても推進センターの設置を認めていただく。これは指定都市が従来も協働で要望してまいった経緯もあり、賛同をいたします。それぞれの地域ではいろいろ工夫をいたした取組をしております。したがいまして、推進センターの役割として三つ、行動する市民協働する市民活動の拠点となるように、あるいは情報共有の中核になるように、それから広域的な取組推進センターの間で連携して実施できるように、こういったことへの御支援をお願いをしたいと存じます。  三番目は二十一条の二の関連でございますが、事業所単位の報告からフランチャイズも含めた事業者単位の報告への変更、これにつきましては業務部門における排出削減効果が期待されますので、改正案に賛同するものでございます。と同時に、こうした報告・公表制度で国に集まる情報を広く市民、事業者が共有できますならば大変大きな力となります。環境情報は国民全体の共有財産であるとの立場に立ち、市民、事業者、自治体等がデータを利用しやすいような運用をお願いをいたしたいと存じます。  以上、いろいろ申し上げましたが、私どもも、地方自治体も頑張ってまいりますので、お国におかれましてもどうかお力添えを賜りたいと思います。  参議院環境委員会の先生方のより一層の御指導、御支援をお願い申し上げまして、発言を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  7. 松山政司

    委員長松山政司君) ありがとうございました。  次に、大塚参考人お願いいたします。大塚参考人
  8. 大塚直

    参考人大塚直君) 大塚でございます。  本日はこのような光栄な機会を与えていただきましたことを、委員長始め委員会皆様に感謝申し上げたいと思います。  温暖化対策推進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、若干申し上げたいと思います。  まず最初に、温暖化対策の将来目標及び温暖化対策に関する現在の世界及び我が国の状況と、今回のような措置が必要となっている理由について申し上げたいと思います。  二〇〇七年の五月におきまして、我が国で美しい星50が提案されまして、世界全体の温室効果ガス排出量を現状に比べて二〇五〇年までに半減するという長期目標が示されました。  二〇〇七年六月のG8のハイリゲンダム・サミットにおきましても、二〇五〇年までに地球上の温室効果ガス半減させることを真剣に検討するという宣言がなされました。  そして、昨年十二月の気候変動枠組条約第十三回の締約国会議、バリ会合で採択されましたバリ・ロードマップにおきましては、低い水準での大気中の温室効果ガス濃度安定化のためには附属書Ⅰ国、先進国グループとして排出量を二〇二〇年までに一九九〇年比で二五から四〇%の範囲で削減する必要があることが引用の形で確認されています。  今年の五月に開催されました神戸のG8の環境大臣会合におきましても、二〇五〇年までに世界全体の排出量を少なくとも半減させる目標の合意をすることに強い意志を表明しまして、半減のためには先進国が大幅な削減を達成することによって主導すべきであるとしております。  七月に開催されますG8の洞爺湖サミットにおきましては、地球温暖化問題が主要な課題となります。  来年の末にデンマークで開催されます予定の第十五回の気候変動枠組条約締約国会議におきまして、二〇一三年以降の枠組みの取りまとめがございますけれども、それに向けまして今後厳しい国際交渉が続けられることになります。  翻って、今年の四月から京都議定書につきましては第一約束期間が開始されました。しかし、二〇〇六年度の我が国の温室効果ガス排出量は、一九九〇年度に比べて六・二%増加しております。森林吸収源、京都メカニズムを活用するといたしましても、京都議定書の六%削減目標の達成は難しい状況にございます。G8の洞爺湖サミットで各国の意見を取りまとめる議長国としての責任を果たし、またその後の将来枠組みの議論におきましてリーダーシップを発揮するためには、まず我が国として京都議定書目標が確実に達成できるという見通しが必要となります。  このような状況におきまして、京都議定書目標達成計画の見直しを議論するために、二〇〇六年の十一月から環境省の中央環境審議会と経済産業省の産業構造審議会の合同会合が三十回にわたって開催されております。私も委員として出席いたしましたけれども、その最終報告におきましては、現行対策のみでは二千六百万トンから三千六百万トンCO2削減不足が見込まれる、しかし今後、各部門において、各主体が現行対策に加えて追加対策施策に全力で取り組むことによって三千七百万トン以上の排出削減効果がある、それによって京都議定書の六%の目標は達成し得るとされております。これに基づきまして、今年の二月に京都議定書目標達成計画が改定されております。  この六%の削減目標の達成のためには、全部門で排出削減のための一層の取組が必要となることは言うまでもございませんけれども、特に一九九〇年度比で排出量の伸びが著しい業務部門と家庭部門につきまして、早急に、かつ抜本的に対策を行うということが必要でございます。  京都議定書の六%削減目標の達成を確実にするためには、第一に最終報告に盛り込まれた追加的な削減効果を確実に担保するということ、第二に既存対策対策の下位の方のケースから対策の上位の方のケースへ底上げを確保するなど追加的な削減効果の上積みを実施すること、第三に既存対策を不足なく確実に実施することが不可欠な状況にございます。ここに言う既存対策の中には、例えば産業界による自主行動計画などが含まれております。既存対策を進めることも今非常に重要でございます。今般の温対法の改正案におきましては、そのために必要な諸施策の導入が図られております。この改正法案では、追加的な対策だけでなく、既存対策も確実ならしめるという効果も含まれていると考えられます。  次に、改正法案の論点について申し上げたいと思います。  温暖化対策推進法は一九九八年に制定されましたけれども、当初は枠組みのみのものという内容でございました。その後、二〇〇二年、二〇〇五年、二〇〇六年に改正されまして、徐々に内容を伴ったものとなってきております。  今般の改正法案の主要な点は、次の五点にございます。  第一に、温室効果ガスの算定・報告・公表制度の対象の拡大。それから第二に、主務大臣による排出抑制等の指針の策定と国民生活における温室効果ガス排出抑制のための取組の促進。第三に、都道府県、一定の市による地域の計画の策定、これが地方公共団体の実行計画に含ませるということでございます。第四に、植林クリーン開発メカニズムの活用のための手続を整備するという点でございます。これはやや細かい点でございますので、以下は省略させていただきたいと思います。第五に、衆議院における修正点といたしまして、エネルギー供給や事業に伴うCO2排出量の見える化、ライフスタイルの改善の促進等が挙げられます。  以下、若干各点について申し上げて、私なりのコメントをさせていただきたいと思います。  まず第一に、温室効果ガスの算定・報告・公表制度の見直しでございます。  この温室効果ガスの算定・報告・公表制度というものは、いわゆる情報的手法の一つとして環境政策の一つの在り方として注目されているものでございます。二〇〇六年度から導入されましたけれども、各事業所は、自らの排出量を把握するとともに他の事業所の排出量との比較が可能となりました。今後、公表の回数が増えるにつれて、自主的な排出削減を進めるインセンティブになると考えられます。また、各界各層の温室効果ガス排出抑制の機運の醸成につながるということが期待されます。もっとも、二〇〇六年度分の排出量の集計結果によりますと、業務部門のカバー率は約一四%でございまして、産業部門のカバー率約九〇%との間には大きな隔たりがございます。  今般の改正法案はこの算定・報告・公表制度の対象を企業単位、フランチャイズ単位にしようとするものでございます。従来の事業所単位の報告から企業単位、フランチャイズ単位の報告に変えることによって規模が大きくなりますので、いわゆるすそ切りが広がりまして、特に業務部門を中心に対象範囲が拡大する点に今回のこの改正案の意義がございます。一四%から五〇%ほどに業務部門のカバー率が向上することが見込まれております。そして、これによって排出量が見える化をするということによって排出削減対策が一層進むということが期待されるわけであります。  この点につきましては、現行法では事業所単位で排出抑制等の対策が実施されてきたわけでございますけれども、他方で、経営戦略の一環といたしまして企業単位とかフランチャイズ単位で排出量削減するという動きが出てきておりました。改正法案はこの動きを加速させようとするものでございます。また、今般、省エネ法の改正によりまして、エネルギー管理の規制対象者がやはり事業所単位から企業単位、フランチャイズ単位に変更されているということともこの改正は平仄を合わせていることになります。  第二に、排出抑制等の指針の策定及び国民生活における取組推進の点に移りたいと思います。  この点につきましては、まず事業者に対して温室効果ガス排出の少ない設備を選択して排出が少ない方法で使用するように努力義務を課する、そしてこれに資するように主務大臣が指針を策定するということが内容とされております。ここでは、事業者に対していわゆる排出原単位、例えば床面積などの経済活動の量を代表するものの単位量当たりの排出量でございますけれども、この排出原単位による水準あるいは取組内容が用途区分ごとに示されることになります。  次に、家庭部門につきましては、ライフスタイルの転換を進める必要がございます。この改正法案におきまして、事業者に対してはその利用に伴う温室効果ガス排出量の量がより少ない製品の製造などを行う、それから利用に伴う温室効果ガス排出に関する情報の提供を行う、そういう努力義務を課することといたしております。これに資するように主務大臣がまた指針を策定するということでございます。  このような指針等によりまして、業務部門等の事業活動に伴う温室効果ガス排出削減が図られますし、家庭部門における温室効果ガス排出削減が図られるということが企図されておりまして、意義があるものと考えます。  第三に、地方公共団体の実行計画の充実に移りたいと思います。  従来、都道府県、市町村におきましては、自ら率先して削減努力を行う計画としての実行計画を策定することが温対法において既に規定されております。しかし、今回は、都道府県、指定都市、中核市及び特例市につきまして、更に地域の計画、地域温暖化対策推進計画を策定するように定めるものが今回の改正法案でございます。これも実行計画の中に含められるという趣旨でございます。  この地方公共団体の新しい意味での実行計画の中で、都道府県、指定都市、中核市、特例市は、自然エネルギーの導入の促進とか、地域の事業者、住民による省エネその他の排出抑制の推進など、その地域の自然的、社会的条件に応じた温室効果ガス排出の抑制などの施策も定めるということとされます。それから、先ほど加藤参考人がおっしゃったように、都市計画などの策定及び実施に当たっては、地方公共団体実行計画との連携を図りつつ温室効果ガス排出抑制に配慮するということとされております。  なお、改正法案は、現行の都道府県に加えて指定都市、中核市及び特例市においても地球温暖化防止活動推進センターの設置、それから推進員というのを委嘱するということを可能とするということといたしております。  これらにつきましては、中長期的な観点温室効果ガス排出の抑制に効果があるというふうに考えられまして、今後、温暖化対策を念頭に置いた地域づくりが各地で進められることが期待されるわけであります。  第四点は、先ほど申しましたように省略いたします。  第五点は、衆議院の修正において入れていただいたところでございまして、エネルギーの供給や事業に伴うCO2排出量の見える化、ライフスタイルの改善の促進といった取組が今後期待されるところでございます。  最後に、結びに代えて簡単に申し上げておきたいと思います。  京都議定書目標達成計画の最終報告によれば、各主体が現行対策に加えて、この報告に盛り込まれました追加対策とか施策に全力で取り組むことによって六%削減の達成が見込まれます。この改正法案も、この点についてこの最終報告に依拠しております。もっとも、国内排出枠取引とか炭素税ないし道路特定財源の環境税化とか、再生可能エネルギーの固定価格買取り制度とかサマータイム制とか、より抜本的な手法を導入すべきかについては現在、各所で議論がなされているところでございます。  二〇〇六年度の温室効果ガス排出量が一九九〇年度レベルの六・二%増に上っていることからいたしますと、この改正法案とは別に早期の検討が必要であると思われます。具体的には、目標達成計画の進捗管理において毎年、進捗状況等を点検することになっておりますので、この際に法改正を含めて更に検討が必要となると思われます。  以上で私のお話を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  9. 松山政司

    委員長松山政司君) ありがとうございました。  次に、早川参考人お願いいたします。
  10. 早川光俊

    参考人早川光俊君) 早川でございます。どうも、こういう機会を与えていただいて、本当にありがとうございます。  私は、CASAという英語略称で、大阪ベースで環境NGOをやっております。一九八八年に設立しまして、二十年になります。設立直後から温暖化問題を一応主要な活動テーマとして活動してまいりました。私は、法改正に当たって、やはりその前提として私たちが何を考えるべきかということを市民の視点から少しお話をさせていただき、法改正についての意見を言わせていただければと思います。  IPCC第四次報告書の内容は、先ほど江守さんからも紹介ありましたので、多くしゃべるつもりはありません、私、科学者でもありませんから。ただ、私が今回のIPCCの報告書を読ませていただいて思ったのは、今回のIPCCの報告書は、科学者の報告書としては非常に珍しく、温暖化は疑う余地がないという一〇〇%の確信度で物を言っていることであります。その原因についても九〇%以上の確信度で私たち人間活動によるものだという、ほぼこれも断定したということですね。それで、もう一つこの報告書で特徴的なのは、温暖化が加速していることを明らかにしたことだと思います。  これは百五十年の気温の推移、先生方御覧になったことあると思いますけれども、赤いバーが百五十年のトレンド、紫のバーが百年のトレンド、ダイダイ色のバーが五十年、黄色いバーが二十五年、だんだん傾きが激しくなっている、要するに温暖化が加速しているということを明確に表していると思います。過去百五十年間で最も暖かい年が一九九八年、二番目は二〇〇五年。最近十二年のうちの十一年が、百五十年のうちのトップ、上から十二番目のうちの十一番目まで入ってくる、一九九〇年を除けばすべてそうなっております。  これは過去一万年のCO2濃度の推移で、IPCCの報告書の中に出されている図でありますけれども、一番左が一万年前、そして一番右の真っすぐに上へ上がっているところが現在であります。要するに、一万年単位で見れば、大気中のCO2濃度は異常な状況にある、増加傾向にあるということが一目瞭然なわけであります。海面水位も上がっています。真ん中の赤いところが観測値で、右側の青いところが将来予測であります。  どのくらいの気温上昇までが私たち人間を含む地球上の生態系に耐えられるのか、二度だというふうに言われています。この一年間の、私、温暖化対策温暖化交渉、それからいろんな動向を見ていて、この二度というのがほぼ定着してきたと思います。EU自身は、一九九六年、COP3の一年前に、二度という産業革命以前からの気温上昇幅を政策目標に据えていろんなことをやってきているわけでありますけれども、ほぼこの一年、二年で二度というのが一つの目安になってきたというふうに思います。  これはイギリスのグレーンイーグルスの科学者の会議で発表されたものだと認識していますけれども、一番上の青い部分、水不足のリスクはこの右の目盛りで三十五億、百万人のリスクという図ですけれども、二度を超えると三十五億人というレベルに達するわけであります。恐らく、このころ世界人口は八十億ぐらいになっていると思いますけれども、半分近い四割を超える人たちが水不足のリスクにさらされる。  今、九百七十万人の五歳に至る子供たちが毎年命を失っています。その最大の原因は水不足、きれいな水がないことによる高張性脱水性の下痢だと言われています。その状況にこういった温暖化のリスクが加わることの意味を私たちは考えなきゃいかぬのだろうと思います。  これからの予測、一・一度から六・四度。六・四度という気温上昇もびっくりしますけれども、私が非常にショックだったのはこの一・一度という数字です。IPCCの第四次報告書は対策を取っても一・一度は上がってしまうと言っているわけであります。  産業革命以前から二度の気温上昇が人類の生存に危機を、リスクを負わせるという話をさせていただきましたけれども、既に〇・七四度上昇しています。二度から〇・七四度を引いてそこから一・一度を引く、残った幅が極めて狭いということを私たちは認識する必要があるんだろうと思います。  どうすればその危険な温暖化を防げるのか。防げるのかというのは正しくなくて、安定化できるのかということですけれども、先ほど江守さんの話にも紹介あったように、IPCCの第四次報告書は、二酸化炭素濃度では、気温上昇二度から二・四度、二度未満がないのが寂しいんですけれども、二度から二・四度に抑えるためには、CO2濃度が三五〇から四〇〇。現在既に三八〇を超えています。温室効果ガス濃度では四四〇から四九〇。現在四三〇ppmです。二〇一五年までにCO2排出量をピークにして削減に向かい、二〇五〇年までに二〇〇〇年比で五〇から八五%削減と言っています。  これがその先ほども江守さんも紹介したシナリオ一ですけれども、二〇一五年までに世界二酸化炭素排出量、ピークを迎える。日本だけではなくて世界全体ですから、これはなかなか大変なことですね。二〇五〇年においてはCO2排出量は五〇%から八五%削減せにゃいかぬ。これがIPCCの今回の結論です。  一昨年、スターン・レビューというイギリスの財務省が作った、環境省じゃなくて財務省が作ったことに驚くわけでありますけれども、スターン・レビューはこういう図を掲げています。五五〇ppm、五五〇ppmというと、これは温室効果ガス濃度ですけれども、三度以上になっています。それでももう二〇一五年までにピークを迎えないと非常にリスクが大きくなる。二〇四〇年まで排出が増え続けるようだとオーバーシュートですから行き過ぎ、もう間に合わないという結論になっています。  国際交渉の経緯は、もう先生方御承知のとおりなので繰り返しません。  昨年、バリ会議に私も参加しました。バリ会議で決まったことについてももう御承知のとおりです。私は、一番大きかったのは二〇〇九年までに合意するということが決まったことだと思います。国際交渉を、私もCOP2からずっと参加してきていますけれども、やはり終わりが決まることが国際交渉を進める最大の要因になると思っていますので、COP3で決めたから議定書ができた。COP6までに決めると決まったから運用ルールがCOP6・5で一応政治合意ができたというふうに思っています。  そして、先ほども御紹介ありましたように、これは参考知見なんでしょうけれどもIPCCのこういった知見が書き込まれた。これは、単に参考知見だという話もあるし、そうだと思いますけれども、ただこれを書き込むか書き込まないかについてバリの会議は二日間徹夜をしました、ほぼ徹夜をしました。要するに、条約の下での決定にこれは書き込まれなかった。議定書の決定にはこれは書き込まれた。要するに、これを書き込むことの意味が、それだけ二日間のほぼ徹夜の交渉をしたことに表れていると思います。そういう意味では先進国削減目標の決定にこれが書き込まれたことの意味は私は大きいと思います。そしてもう一つは、やはりアメリカや途上国も譲歩の姿勢を示したこと。まだ小さな窓だと思いますけれども、全くの動かない状況から動き出したということを私たちは重視する必要があるんだろうと思います。  残念ながら、日本は、今回のバリでも非常に厳しい批判を浴びました。御承知のとおりであります。要するに、次期枠組みの議論で法的拘束力のないセクター別原単位目標を提案したわけですね。これは、ダボスの会議で福田首相が国別総量削減ということを発言されてから多分ポジションが変わったんだと思いますけれども、バリの段階ではそうとしか思えない提案をしたわけですね。その結果がこの化石賞です。会議二日目です。    〔委員長退席、理事橋本聖子君着席〕  私は、これを、一、二、三位を日本が独占したときに、十数年来のマレーシアの友人にこう言われました。日本は優れた技術もあり、資金もあり、もっともっといろんな意味で温暖化問題で国際社会に貢献して、もっと尊敬される国になれるのに、なぜこんな後ろ向きの発言や行動をしてみんなから非難されるのだというふうに言われました。返す言葉が正直言ってありませんでした。  これは御覧になったことがあると思いますけれども会議最終日にジャカルタ・ポストに世界のNGOが出した一面広告です。今、温暖化問題での悪の枢軸は、残念ながら日本とアメリカとカナダです。私たち日本はそういうふうに世界市民から思われていることということを知っておく必要があるんだろうと思います。  今後の課題、言うまでもなく六%削減を確実に達成することです。私には、今このめどが立たないために、ホットエアを買いあさって数字合わせをしようとしているように思えます。できない分をホットエア、要するにロシアやウクライナやハンガリーなどのそもそも余剰になっている排出枠を買ってきて埋め合わせる、国民の税金を使ってですよね。六%削減をしたということに数字上はなるんでしょうけれども、それでいいんでしょうか。私は、国内対策できちっと削減対策を進めないと、将来の世代に非常に重たい負担を残すと思います。低炭素社会に向かう仕組みをつくらないと、もっときつい義務、行動を将来の世代が負わされるわけですよね。  もう一つの課題は、言うまでもなく高い中長期目標を設定することであります、二〇二〇年目標、二〇五〇年目標。昨日辺りの新聞で、福田首相が、メルケル首相との会談の後の共同記者会見で、中期目標も含めて方針をG8の前に発表するというふうに発言したという報道が流れています。期待したいと思っています。  なぜ六%削減がめどが立たないか。吸収源の三・八%が非常に厳しい、これは前から申し上げておるとおりであります。  もう一つは原子力発電です。原子力発電の是非は別として、八七から八八%の利用率を前提として計画を組んでいること自身が私には非常に無謀に思えます。    〔理事橋本聖子君退席、委員長着席〕  これは、原子力発電所の利用率の推移です。過去最高で八四・二%しかないんです。八七、八八%の利用率を実際に経験したことが私たちはないわけですね。しかも、最近は七〇%前後。去年は、地震の影響もあって、これ六〇%前後に落ち込んでいると思います。  これは、過去造られた原子力発電所の生涯稼働率、利用率を見たものでありますけれども、美浜一号は五〇%を割っています。それだけ故障と事故も多いわけです。最初に造った二十基余りの原子力発電所について言えば、七〇%はとてもいっていない、六〇%前後の稼働率です。  こういった状況で、新規の原子力発電所の新増設がめどが立たない状況で、本当に八七、八八という数字が読み込めるのかどうか真剣に考える必要があると思います。原子力発電所賛成か反対ではなくて、本当に現実的かどうかを考える必要があると思います。  これは、太陽光発電の導入率の推移です。赤が日本で、青がドイツです。買取り補償制度、太陽光発電で発電した電力全量を六十円以上で買い取る制度をつくったドイツは、あっという間に日本を追い越しました。日本は、市民が損を覚悟で三十万戸の家庭の家の屋根に太陽光を付けて世界一を誇っていたわけでありますけれども、もう完全に水を空けられてしまっております。  風力発電、ドイツが二千二百万キロワット超えました。原発二十二基分ですよね。日本は百五十万キロちょっとぐらいです。いろいろ言われますけれども、中国は去年一年間で三百五十万キロワットの風力発電所を造りました。日本のストックの倍以上です。インドは世界四位です。中国は五位です。日本は今世界十三位です。  私は、やはりG8を控えて日本での削減のめどをきちっと立てること、これが第一の課題。そのためには、キャップ・アンド・トレードの排出量取引、環境税、自然エネルギーの買取り補償制度、そして何よりも直接排出で九割を占める産業界の対策の強化というものは直ちに行わないと日本は六%削減が非常に苦しい状況になることは目に見えているというふうに思います。そして、そのための温対法の改正をすべきだと思います。それに見合った温対法の改正をすべきだと思います。  今回の温室効果ガスの報告義務の対象者の拡大、それ自身は賛成です。しかし、権利利益の保護に係る請求によってかなりの部分の、特に鉄鋼ですけれども排出量が公開されていません。本当に公開すべきでないのかどうかをきちっと第三者機関等で審理するなどの改正が必要だと思います。  温暖化センターは今、四十五になりました。特別市などの自治体に拡大すること自体についてはいいことだと思います。しかし実際、温暖化センター、私自身も全国センターの運営委員としてかかわっていますけれども、多くのセンターが資金がないために四苦八苦しています。都道府県から人件費が出ているところはいいんですけれども、全くNGOに任されて人件費が出ていないところはほとんど活動ができないようなところも出てきています。返上するところも出てきています。きちっとした資金の担保を国の制度である以上は付けていただかないと、数を増やしても機能しないことになりかねないというふうに思います。  最後ですけれども、私は、この問題に二十何年かかわってきて、私たち日本人はこの温暖化問題では加害者だということをやはり認識すべきだと思います。二度までは主として途上国影響が出る、二度を超えると先進国も含めて影響が出ると言われますけれども、その途上国と言われる国に八割の人たちが住んでいます。そのことを私たちはきちっと考えなきゃいけない。大臣会合の際に、NGOの国際シンポを開いたときに、小島嶼国の人が来てこう言っていました。私たちは〇・〇一%の温室効果ガスしか出していない、しかし国が今なくなろうとしている。  今進んでいる温暖化、これだけ示して終わりますけれども、六・四度の気温上昇が限りなく可能性が高いです。このIPCCの一番、六・四度という、最高六・四度という排出予測したラインがこれです、排出予測。現在の排出量、この黒いところ、白いところ、まあ研究機関によって違うわけですけれども、最も高い気温上昇を起こす、最も排出量の多いラインに沿って今の排出が続いています。そして、より多くなる可能性があるというのがこの二〇〇五年、二〇〇六年の赤い点です。  是非、審議を深めていただいて、温暖化対策を進めていただくようお願いして、私の発言を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  11. 松山政司

    委員長松山政司君) ありがとうございました。  以上で参考人皆様からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 おはようございます。福山でございます。  本日は、参考人におかれましては、御多用の中大変貴重な御意見を賜りまして、心から御礼を申し上げる次第でございます。  それぞれの参考人のお話を承りまして、大変刺激にもなりましたし、大変審議に関しまして参考になる御意見をいただいたというふうに思っているところでございます。もうたくさん、専門家の方ですので、時間がありませんので駆け足で行かせていただきます。  まず、江守参考人にお伺いをしたいと思います。  一つは、先ほどの先生の御意見ですと、最後の中長期の排出削減目標について、途上国先進国も今のままでは解がなくなると、でもそうではないことが必要だというふうなお話をされて、まあ御自身科学者でいらっしゃいますからということで若干抑制的な御発言でございましたが、先生は若手の学者等を集められて若手専門家による地球温暖化対策審議会というのをつくっておられまして、将来的に一人当たりの二酸化炭素排出量をこの程度に全地球でしなければいけないというような提言も含めて野心的なことを発表されておられますが、この若手審の報告について若干御紹介をいただければというのが一点。  それから二点目でございますが、科学はもう結論を出したと、あとは制度、政策をどうするかというような趣旨の御発言をいただきましたが、いまだに世間には、環境問題はうそが多いとか、それから二酸化炭素原因は本当かみたいな話があちこち何か訳知り顔の方がいらっしゃるんですけれども、そういった方々に対して、もし科学者の立場として何か御意見があればいただければと思います。よろしくお願いします。
  13. 江守正多

    参考人江守正多君) 御質問ありがとうございます。  まず、第一点目につきましてですけれども、本日、私は国立環境研究所の江守ということで参加して、出席させていただいておりますので若干戸惑うところがあるんですが、私、全く個人的な立場で全く自発的に集まった仲間と地球温暖化政策をどうしたらいいかということを議論して、そして報告書をまとめたものがインターネットなどで公開しております。  これは、全くその立場で、ちょっとその国立環境研究所の人間という立場から外れて申し上げますけれども、若手と申し上げておりますが、私が今三十八歳なんですけれども、私は最年長のグループでありまして、ほとんどが三十歳前後であるけれども温暖化の様々な側面に関して専門的な知識を持っている人たちで相談しました。  その中心メンバーは、実は前回の参議院選挙のときに「京都の約束」という署名運動を行いました。是非、温暖化政策を選挙の争点にしてほしいと、具体的な政策を掲げてほしい、是非その制度をつくってほしい、温暖化対策をした人が得をするインセンティブになるような制度をつくってほしいというお願いをする署名活動を行いまして、その後に、実際に自分たちでもどうやったらうまくいくのか考えてみたいということで話し合ったものです。  具体的なことは今日はちょっと申し上げませんけれども、その中で一つメーンメッセージとして書かせていただいておりますのは、最近いろんなところで申し上げているんですけれども、心技体という、心、技、体ですね。特に、昨今の議論を伺っていて申し上げたいのは、日本技術はトップであるので、もう技術では削減の余地はほとんどない。先ほども申し上げましたけれども、それは確かに正しいんだと思います。しかし、その温暖化削減というのは技術だけでは成すものではなくて、心、すなわちライフスタイルや価値観ですね、それから体と申し上げておりますのは、社会のシステム、制度やインフラだと思いますけれども、そういうところを抜本的に変えていくという次の新しい文明を目指した大きなチャレンジなんだろうというふうに、我々の世代が、の一部でありますけれども、とらえているということを是非参考に申し上げたいと思います。  二点目でありますけれども温暖化科学に関しまして現在でもいろいろな意見があると。特に、極端な意見ほど本が売れる傾向にありますので、私もよく質問されて対応しておりますけれども、これは私は様々なレベルのものがあると考えています。  温暖化科学はまだこういうところは分かっていないじゃないかと言ったときに、既にもう済んだ話を繰り返し繰り返し、何といいますか、言っていると。そういうものはもう世間でもだんだん相手にしないようになっていっていると思いますし、我々も余り相手にしていません。そういうのはほっておけばいいんだと思っていますけれども、一部には、まだ確かにそういうところは分かっていないと、科学的に確かに調べる価値があることを指摘する向きもあります。そういうものは大事だと思って、科学的に是非そういうことはこれから調べていきたいという立場で対応したいと思っております。  特に、後者の意見が出てくる背景には、地球温暖化が余りにも単純化して、余り科学的な細かいことを皆さん理解せずに、何しろよく分からないけど大変だということで語られる傾向があるということに原因があるんじゃないかと考えております。そういったところも配慮していかなければいけないと考えております。
  14. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 ありがとうございます。座らせていただいたまま質問させていただきます。  加藤参考人にお伺いをいたします。  名古屋市の取組に関しては心から敬意を表したいと思いますし、市民を巻き込んでいる活動に対しても本当にすばらしいと思っておりますが、名古屋自身としてのグリーン購入やグリーン契約等についてはどの程度進んでおられるのか。それからもう一点は、市民を巻き込むときに、市民の反応は最初はなかなか積極的ではないというように推察するんですが、この時代というか、こういう時代背景の中でどういう反応が市民からあるのか、お聞かせいただければと思います。
  15. 加藤正嗣

    参考人加藤正嗣君) グリーン購入やグリーン契約ですね。済みません、今日、データはちょっと持ってきておりませんが、一応率先行動をやりましょうという計画を定めまして、グリーン調達の関係にはほぼやるべきことはやっているつもりでございます。それから、グリーン契約の関係では、特に電力購入のも新しく法律でき上がりました。で、この夏から次の期の電力調達の入札を掛けるわけですけれども、その段階から新しい環境に配慮した電力調達の契約を始める予定で進めております。  それから、市民の反応ですけれども、そうですね、正直言って様々でございます。ごみのときはさんざんもめて、いろんな、まあ二年間ぐらいの間、市民がやっぱり鳥はかわいそうだから埋め立てるのやめた方がいいんじゃないかとか、あるいはやっぱりごみはどこかへ捨てなきゃいけないんだからしようがないよ。で、同じ、その両方の思いの中で、絶えず日々新聞を見るたび、人の意見を聞くたびに心が揺れていたと思うんですね。そういう時期が二年間ぐらいあった中で、いよいよ市もとうとうまあ最後の腹をくくって干潟を守るためにごみを減らしてくださいとお願いしたんで、役所に不満はいっぱいあると、だけれども今回はやらなきゃしようがないというふうに市民自身も腹がくくれた。  ただ、CO2の場合は率直に言ってそこまで参っておりません。ですが、先ほども申しました二十項目ぐらいのいろんなチャレンジメニューをお示しする中で、一番へえっていう度合いが高いのが、暖房便座にふたをしましょうというやつがございます。  私どもは、これをやるとCO2どれだけ減らせるよ、幾らお金が、電気代もうかるよっていうのを両方お示ししているんですが、暖房便座ふたをするというのは、確かにふたをしないでおくと、いつまでたっても、どんどん冷えていってしまいますから、どんどん電気食うわけですよね。ふたをしておけば、まあ一定程度暖まればそれ以上電気を食わない。これで年間三千六百円ぐらい得をするよというような話だったかと思いますが、そういったところから少しずつ話をしていけば、ああ何だ、そんな簡単なことでも結構減らせるんだというところまで参っております。  ただ、先ほど環境モデル都市の御提案をしたときに、御説明したときに、全体で化石燃料の消費五分の一にしたいという目標を掲げたと申し上げましたが、やはりこの中で一番個人生活では車が多いんですね。車によるCO2排出量が個人生活ですと四割ぐらいございます。車で一キロ乗るのに消費するCO2と、エアコン一時間使う、それからテレビを五時間ぐらい見る、それから電灯ですと十時間つけるというのと同じくらいのCO2ですので、電気を十時間節約するよりは車一キロ節約する方がうんと簡単なんですが、この名古屋の町、車の町名古屋でなかなかこれができません。でも、いよいよ、早晩ガソリンがリッター五百円ぐらいになってしまうような時代がきっと来ると思うんですね。そうなったときに今の暮らしはできませんよ、それまでに暮らしを変えておかないと大変ですよねというようなお話合いを今進めているところでございます。  なかなか簡単ではございませんが、根気と志といいますか、それでやっております。
  16. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 ありがとうございます。  大塚参考人にお伺いをさせていただきます。  先生の御主張は、国内排出量取引制度も含めて積極的にというように私は承っておるんですが、国内排出量取引制度については両論あります。ただし、将来のことを考えると、私は日本の国益になると思いますし、企業にとってもインセンティブが働くと思っています。確かに、公平性の担保や削減量をしっかりと確保する等の制度設計での留意点はたくさんあるとしても、私は導入をちゅうちょするときではもうないと思っておりますが、そのことについて先生の入れるべきだという、何というか、御主張を是非ここでお披瀝をいただければと思います。
  17. 大塚直

    参考人大塚直君) どうもありがとうございます。  今おっしゃっていただきましたように、私も基本的には今おっしゃっていただいたのと同じ意見でございまして、国内排出量取引についてはいろいろな問題点とか配慮すべき事項は多いわけですけれども、いろいろなことを考えると今制度を検討すべき時期であると思っております。  ただ、先ほど申しましたように、今回の温対法の改正法案の元になっている中央環境審議会と産業構造審議会の合同の会合におきまして、追加対策とそれから既存の対策で何とかみんなで頑張ればやっていけるという数字が出ていますので、これについてまた進捗管理をするということに、目達計画についてなっておりますので、是非その進捗管理のときにやっぱり無理だということが分かったときには、国内排出量取引を含めた対策を取ることに関して導入を御検討いただきたいと思います。  現在はその準備段階だというふうに考えておりまして、先日、環境省の方でも国内排出量取引の検討会で中間取りまとめを出させていただきましたけれども、そこで四つのオプションを出させていただきましたが、従来、排出量取引というとEUの排出量取引だけだというふうに思われていたところがございますけれども、我が国の事情等も考え、かつ公正な考え方として四つのオプションがあるというふうに思われますので、これはたたき台にすぎませんけれども、是非、どういう方法が適切かということも含めて制度設計について議員の先生方が真剣に御議論いただけることになることを私としても願っております。  ただ、今回の改正法案についてはもう少し様子を見て、結果を見て導入について検討していただきたいということが私の意見でございます。  以上でございます。
  18. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 ありがとうございます。  早川参考人、済みません。時間がなくなってしまいました。申し訳ありません。  これで終わります。
  19. 神取忍

    ○神取忍君 ありがとうございます。  自由民主党・無所属の会の神取忍です。  本日は、貴重な御意見をお伺いさせていただきまして、ありがとうございました。  私はスポーツ出身ということで、人の健康は地球の健康からという考えで環境問題に取り組ませていただいております。そういったスポーツの観点から見てちょっと御質問させていただきたいんですけれども、スポーツというのは基本的にルールで競技が成り立っていきます。そういった中で、環境問題におきましても、やっぱり国際ルール、日本のルール、そうしたルールの中で、行っていく上でルールというのは大変大切なものだと私は思っています。  そこで、四人の参考人の方に御質問なんですけれども、今私は、低炭素社会温暖化に対する国際的ルールづくりが日本がもっともっと積極的に行わなければならないと思っています、今が決して消極的とかいうわけではないんですけれども。例えば、排出量取引についてICAPで行われていますけれども、このようなルールづくりにもっと積極的に行動することが日本のためになると考えています。例えば、環境技術協力を排出削減にカウントする仕組みとかを、途上国発展環境保全のためになると私は思っています。  そういった中で、日本が国際ルールとか日本の中のルールづくりについて、日本の姿勢や取組についてこうあるべきという意見があればお聞かせいただきたいと思います。全員に。
  20. 江守正多

    参考人江守正多君) ありがとうございます。  いろいろ述べるべきことあるかと思いますけれども、私の立場から、科学者という立場から一点申し上げさせていただきたいと思います。  国際的なルールを考える上で、科学的な知見を共有していることというのは一つの前提となる大きなルールなんじゃないかというふうに考えています。  つまり、温暖化がどれぐらい深刻かということの認識が国によって、あるいは主体によって異なっていると、そのルールをつくる上で非常に阻害要因になると。極端な場合には、あるルールをつくりたい人は、温暖化はすごく大変だというふうに極端に大きな声で言うことによってそういうルールに持っていこうとする。別のルールをつくりたい人は、温暖化なんて大したことはないというふうに主張して、みんなにそのように思わせることによって別のルールに持っていこうとするということは起こりかねないと思っておりますので、私としましては、健全なルールづくりの前提として、温暖化科学の、正確な科学の共通認識を得るということは非常に重要じゃないかというふうにコメントさせていただきます。
  21. 加藤正嗣

    参考人加藤正嗣君) 先ほど私、地球温暖化防止という視点と同時にエネルギー安全保障という両面で私ども二〇五〇年の提案を考えていると申し上げたんですが、温暖化防止の点だけですと、何となく、よそより余分に減らすのは損だとか、我々、既にこれだけ頑張って省エネやっているのにスタートが同じじゃないじゃないかとかいう損得の気分に非常にとらわれがちになるような気がするんです。  ただ、エネルギー資源をほとんど持たない我が国で、しかも、今まではかなり自由に日本は使えていたんですが、発展途上国がこれからどんどん使う、それから資源持っているところは囲い込みをどんどん進めているという状況を考えますと、できるだけ節約ができる仕組みをつくるということは、ですから、世界に率先して減らすということが別に、情けは人のためならずといいますか、日本の国益自身にも沿うものではないのかなという、そんなスタンスでやっていくことが望ましいのではないかなという気がいたしております。
  22. 大塚直

    参考人大塚直君) ありがとうございます。  おっしゃったとおりで、私も本当にそのように考えております。  今回の改正法案とは直接関係ない話になってしまって恐縮でございますけれども、総理の下の有識者懇談会の下の政策手法分科会でもこの話はかなりさせていただいていますけれども、特にその排出量取引につきましては、今おっしゃっていただいたようにICAPを中心世界的に、世界標準が今決められつつありますので、我が国は今オブザーバーとしてようやく参加できるという状況でございますけれども、このままいくと、ちょっとうかうかしていると、ISOの9000シリーズのように決められてしまって、後から付いていくことに伴う不利益というのはかなり出てくるのではないかということをちょっと恐れているところでございます。  ちょっと具体的な話になりますけれども、国内排出量取引に関して、先ほどちょっとEUの排出量取引だけが必ずしも排出量取引ではないというお話をしましたけれども、具体的に問題となる点、三点だけちょっと簡単に申し上げさせていただきますけれども、一つは、いわゆる費用緩和措置と呼ばれるものでございます。  排出量取引制度に対する批判として一つ、時々言われることが、価格の乱高下があるとか、あるいは価格の高止まりになったときどうするんだという議論がございますけれども、これに関してアメリカのリーバーマン・ウォーナー法案におきましては、費用緩和措置として炭素効率性理事会というのを別につくって、場合によっては、バンキングとかボローイングとかという、ちょっと具体的な話になりますけれども、可能量をちょっとコントロールすることによって価格に対して影響を与える、場合によってはですけれども。一定以上の、高価格が一定以上続くというような場合ですけれども、そういう制度を入れるということを提案しています。EUはこれを入れませんので、入れないでもやっていければもちろんいいんですけれども、その点が一つ問題となる点でございます。  それから二つ目でございますけれども、EUの排出量取引というのは、電力に関していわゆる直接排出という方式を取っていまして、電力会社が電力に関しては基本的に責任を持つという、そういう考え方でございます。これはこれで一つの考え方でいいんですけれども、これは結局、実際に使う例えば産業界とか、消費者も含めて、家庭も含めてでございますけれども、のところの排出というところは、役割分担としては産業界とか家庭とか民生については負わせないということになりますので、ここについては価格転嫁で対処するということになりますので、それだけでいいのかどうかという問題がないわけではありません。  一つの方法としては、むしろ、電力も電力で担当してもらうけれども、産業とか民生とか家庭とかの個々の末端の消費をしていくところでもインセンティブを与えるような、排出量取引ができるような、ちょっと家庭自体、家庭はちょっと小さくてさすがに無理なんですけれども、そういう間接排出という考え方が取るべきかどうかというのが第二の論点としてございます。  第三の論点は、ちょっと、いわゆるオプション4という、先ほどの中間取りまとめで環境省の方でさせていただいたものに出てくるものですけれども、原単位を中心に考えるかどうかという考え方です。これは、それほど私はここでとても評価しているというようなことは申し上げられませんけれども、一つの考え方としてはあるということでございまして、以上三点について、特に排出量取引を我が国から主張していく場合には問題になると思いますけれども。  そういう意味で、排出量取引というのは、ほかの国でいろいろやっているねという話だけでは多分なくて、EUもこれは世界戦略としてやっているわけですから、日本もそれについてどう対処するかということはできるだけ早く態度決定をしていただくことが日本の国益にも資するんじゃないかというふうに考えております。  以上でございます。
  23. 早川光俊

    参考人早川光俊君) ありがとうございます。  私も剣道をやっていましたので、ルールの重要性はよく分かります。剣道なんてルールがないと単なるけんかになりますから、どつき合いになりますので。
  24. 神取忍

    ○神取忍君 そのとおりです。
  25. 早川光俊

    参考人早川光俊君) 温暖化問題についてのルールについては二つあると思っていまして、一つは、今もう既にあるルール、これをきちっと守ることが一つは大事です。これが守られていないという問題があります。  例えば、気候変動枠組条約が一九九二年につくられて、一九九四年から動き出したわけですけれども、二〇〇〇年までに一九九〇年レベルに安定化するという一応のルールをつくったわけですね。日本は全く守りませんでした。もちろん、日本だけじゃありません。だから、そのルールをまず守ること。  昨年のバリで非常に大きな問題になったのが、一つは技術移転という問題です。これも、途上国は、気候変動枠組条約に附属書Ⅱ国、日本などのお金持ちの国は途上国に対して技術移転、資金移転をすべきだというふうに書いてあるにもかかわらずやっていないじゃないかということが問題になりました。  私はリオの地球サミットに行きましたけれども、このとき先進国は、GNP比〇・七%をODAに回すという話をしたわけですよね。現在はどうかというと、下がってしまっているわけですね。少なくなってしまっています。  そういったルールを、きちっとつくったルールをまず守ることがまず第一。そこがまず点検必要かなと思っています。  それともう一つは、新たにつくらなきゃいかぬルール、今最大の国際交渉の課題は二〇一三年以降の削減目標と制度枠組みをつくることでありますけれども、このルールをどうつくるのかという、これも非常に大事な論点でして、これは、私は、まずどのレベルまでならば人間を含む生態系が危険なレベルに至らないのかをまず決める、二度なら二度を決めて、そのための大気濃度がどのくらいなのか、排出はどのくらいなのかという、よく言われるバックキャスティングできちっとルールを決めていく、そういう姿勢を持つべきだと思います。  残念ながら、京都議定書の八、七、六という、EU八、アメリカ七、日本六という数字は、単なる貿易障壁を考えて決まったきれいな数字にすぎないわけですね。そうではなくて、科学が、いや、あるわけですから、科学的根拠、それから公平性、そしてやはりどこまでにすべきかということを軸に据えたルールづくりをやっていくべきじゃないかというふうに思っています。  ありがとうございました。
  26. 神取忍

    ○神取忍君 ありがとうございます。  次に、太陽光発電、自然エネルギーについてお伺いしたいと思いますので、加藤参考人大塚参考人早川参考人にお尋ねしたいと思います。  私も、太陽光や自然エネルギーはこれから低炭素社会を迎えるにおいては大変重要なエネルギーだと私は思っています。そういった中で、先ほど早川参考人がおっしゃったように、太陽光の需要が減って補助金がなくなったりとか、そういった部分で、減っている部分でドイツやヨーロッパに抜かれてしまったと。そういった部分で、やっぱり日本というのは科学技術立国ということもあり、産業振興も含めて国がもっともっとバックアップして取り入れていかなければならないと思うんですけれども、そういった中で、更に普及していくための方法と、あと、まだ使い勝手もこれが悪いんだという部分があれば教えていただきたいと思います。
  27. 加藤正嗣

    参考人加藤正嗣君) 太陽光等々については、私どもこれからもどんどん普及をさせていきたいと思っております。  ただ、私ども、国もそうですが、以前は補助金を出して普及をさせておりましたが、数年前から補助金はやめました。これは、当初は最初の初期コストがかなり高かったんで、補助金でげたを履かせて取り組みやすくしましょうと、で、かなり下がってまいりましたので、それについてはやめたわけですが、今後はそういうイニシャルコストに対する補助金ということではなくって、電力の料金体系全体の中で、やっぱり高い電気、安い電気、いろいろ石炭使うか何使うかというのはいろいろあるわけですが、どうしても今のような料金体系の仕組みですと、安い材料の方から調達しよう、その結果、環境負荷が増えてしまうというふうに傾きますので、何を使おうが消費者に売るときの電気料金というのは全体をそのトータルで原価を考えるというような、したがって、自然エネルギーなんか使って電力の供給コストが高くなるような場合については利用者全体で広く薄く負担をしていくような、そういった仕組みを考えていただく必要があるんじゃないかと思っております。
  28. 大塚直

    参考人大塚直君) ありがとうございます。  RPSとも関連する点でございますけれども、現在この自然エネルギーに関してRPS法というもので対処しているところがございます。これにつきましては幾つかの問題があるわけですけれども、三点申し上げておきたいと思います。  まず再生可能エネルギー、自然可能エネルギーと言ってもいいんですけれども、につきましては、準国産エネルギーという面もありますので、いろいろ問題点はあるんですけれども、そういう観点も含めて、エネルギー安全保障の観点からも、原子力ももちろんあり得るわけですが、再生可能エネルギーはもっと注目してもらっていいものではないかというふうに個人的には考えております。  三点申し上げますが、第一点は、太陽光について補助金のカットということが最近なされてしまったということがございまして、これは経過措置的に補助金を出しておられたので、その期間がたったのでということだけなんですけれども、結果的に太陽光発電が推進されていくドライブはかなり減ってしまったということがあるわけでございます。これは、これから温暖化対策を進めていくという点と、それから先ほどおっしゃっていただいた科学技術立国という観点からしてももう一度復活すべきではないかという問題点があると思います。  第二点でございますけれども、太陽光に限らない問題ですけれども、先ほど申しましたRPS法について、目標値が必ずしも高くないという問題がございます。この目標値については、実は太陽光に関してはほかのものの二倍カウントをしているというようなことにもなっているんですけれども、それでも一・六幾つだと思いましたが、余り目標値が高くないという問題が残念ながらございます。これは、その二年ぐらい前のときの費用便益分析をした結果がこういう数字になっているんですけれども、その後、原子力に関しては、残念ながら耐震構造の問題等もあってますますちょっと造りにくくなっているということもございますし、再度その評価をし直してもう少し高い数字を考えるべきではないかということがございます。  第三点でございますけれども、先ほど早川参考人もおっしゃっていただいた固定価格買取り制度というのは、技術の普及という観点からは非常に効果があると考えられますので、是非検討を真剣にしていただけると有り難いと思います。  ただ、これにつきましては電力会社が大きな負担をするということになりますので、これに関しては電力価格への転嫁の方法も考えないと実際にはうまくいかないということがございますので、その点も含めて検討する必要があると思っております。  以上でございます。
  29. 早川光俊

    参考人早川光俊君) 御意見のとおりでして、再生可能エネルギーは極めて重要だと思います。  私は、温暖化対策は究極二つしかない、省エネとエネルギー源転換。それでエネルギー源転換は再生可能エネルギーだと思っています。  再生可能エネルギーは何がいいか。御承知のように、私は大気汚染問題に取り組んできましたんで、大気汚染物質を出さない、CO2も出さない、それで資源が枯渇しない。そして何よりも気に入っているのは、平和で安全なことです。なぜ平和か。化石燃料は偏在していますから戦争を起こします。風とか太陽光をめぐって戦争は起きようがないですよね。もちろん、ポテンシャルとして大きなものを動かせないとか、集中的にエネルギーが得られないとかというもちろん逆転はあるわけですけれども、やはり一般的にはこれを普及していくことが低炭素社会の一つのキーだというふうに思っています。  現状はどうか。私も、自然エネルギー市民の会って関西につくって、関西に風車を造ろうということで百か所ぐらいの場所を特定して、今調査に入っていますけれども、非常に造りにくい。なぜかというと、先ほど大塚さんが言われたように、RPS法という限界があるからですね。RPS法が私は全部駄目だとは思いませんけれども目標値が余りにも低いことがネックです。  ドイツが二千二百万キロワットの風車を造った資金は八割は市民が出していると言われています。四割個人所有、残りが協同組合形態と投資会社ですけれども、協同組合は個人がつくっていますし、投資会社にお金を出しているのは個人ですから、そういうデータがあります。だから、仕組みがちゃんとできれば私は進むんだろうと思います。  今、太陽光発電、つい最近、知人に太陽光発電の業者を紹介したら、その業者がこう言っていました。発電パネルが手に入らないんだと。今ドイツに行っちゃっているそうです。ドイツで売れるからと。太陽光パネルの製造投資も今中国に行っています。中国で巨大な工場を造りつつあります。風車については、いろんなことがあって価格が上がってしまって、日本市民が風車を手に入れようとすると二年三年待たないと手に入らないという状況。  私は、先ほど大塚さんも言われたように、電気料金を一%値上げしてそれが温暖化対策、再生可能エネルギーの導入に使われるならば、市民はオーケーです、そんなものを拒否する人いないから。今のような電力会社が負担してやっていく制度については無理があります。それで、補助金制度もやはり持続可能ではないんで、きちっと市民が取り組める、損をしない制度をつくる。そして、それはやはりみんなが負担する制度はもうヨーロッパで動いて成果を上げているわけですから、早急に私は導入すべきだと思っています。  以上です。
  30. 神取忍

    ○神取忍君 ありがとうございました。
  31. 加藤修一

    加藤修一君 今日は四人の参考人皆さん、忙しい中ここまで来ていただきまして誠にありがとうございます。感謝を申し上げる次第でございます。  私は、政府はもっと機敏性を考えるべきだと思いますね、一つは。もう一つは、後追い的でなくて、やはり科学的成果を踏まえてビジョンの先取りというのが極めて重要な時代に入ってきていると。  一九九〇年に地球温暖化防止行動計画が作られて、一九九二年に気候変動枠組条約が採択、署名されたわけでありますけれども、これは九五年からはCOP1という形で展開し始めたと。で、九五年から私は何回となくこれは国際会議日本開催すべきであるということを言ってまいりまして、その機敏性という点については甚だ残念だと思ったわけですけれども、九六年の三月に、商工委員会で第三回の締約国会議をやるという答弁を初めて国会で開陳していただいたわけでありますけれども、私はやはり今後は連帯と協力の船、連帯と協力の船に人類が一緒に乗らなければいけないというふうに考えておりまして、ビジョンの先取りという意味では今は超党派の議連ができておりますけれども、国際連帯税という点についてもしっかりとこれは政府は機敏に対応すべき内容だなと、そんなふうに思っています。  非常にシンプルに計算した場合には、例えば通貨取引では約一・三兆ドル一日に動いておりますから、年間に直すと三百二十五兆ドル、それに〇・一五%の課税を考えると、これは日本の消費税の三十分の一程度でありますけれども、約五十兆円になる。だから、スターン・レポートで毎年毎年一%投入していくならば何とか最悪の状態は回避できるという話になっておりますので、全世界で五十兆円を、こういう形を含めていかに資金調達をすることが必要かということだと思います。  それで、江守参考人にお伺いしたいことは、ビジョンの先取りということで科学的成果をいかに活用するかというのは非常に私はますます重要になってきていると思うんですね。地球シミュレーターあるいは人工衛星からの様々な情報を駆使してどういうふうにやっていくかというのは、これは非常に将来の予測を含めて大事である。地球シミュレーターで南米でハリケーンが生じるということが予測されて、現実、それが実際、本来は発生しないハリケーンが発生したという話であります。そのぐらい精緻なモデルになりつつあるなと思います。  私は、先取りのビジョンとしては、地域内の、例えばアジア地域内の多国間の災害保険制度ですね、こういう制度をしっかりと導入することが非常に大事じゃないかなと思うんですね。これは適応政策の一つとして考えていいだろう。その場合に、やはり料率を決める等含めてこれは地球シミュレーターでどういうふうに予測するかという、そういったところからも関係する話なんですね。ですから、そういう社会システムとどう科学的成果をつなげていくかということも極めて重要なわけで、そういった面での今後の政策的な研究を是非進めていただきたいなと、こんなふうに考えているんですけれども、どのようなお考えをお持ちかなと思っていますけれども
  32. 江守正多

    参考人江守正多君) ありがとうございます。御質問とともに大変お励ましいただいたと考えております。  これは私個人の意見といいますよりは、次のIPCC第五次報告書が作られることが決まっておりますけれども、それに向けて世界地球温暖化予測研究コミュニティーが次にどういった予測実験をするかというデザインを既に考えております。その中の一つの大きな目玉としまして、二〇三五年ぐらいまでの近未来の地球温暖化を詳しく予測しようと。これはまさに御指摘のあったとおりに、アダプテーション、温暖化の適応、近未来にどういったことが実際に起こる確率が増えるのかということで、まさに御指摘にあったように、保険でありますとか、あるいはどこにインフラの投資を、途上国のインフラの投資などをすべきか、そういった優先順位を決める、そういった意味での政策に今まで以上に直結するようなシミュレーションを行いたいということになっておりますので、まさに御指摘のとおり、我々科学者としても社会に役に立つような研究をこれまで以上に進めていきたいと思っております。
  33. 加藤修一

    加藤修一君 ありがとうございます。  それでは、大塚参考人にお尋ねしたいんですけれども、産業革命のころと比べて二度Cを超えないようにしなければいけないと、こういうふうに言われているわけですけれども、時間がございませんので簡単にこの辺について、現状としてはこれ二度C未満に抑えるのは難しいのか、もうこれはあきらめた方がいいのか、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
  34. 大塚直

    参考人大塚直君) 若干科学的なことなので私が適切に答えられるかちょっと難しいかもしれませんけれども、先ほど早川参考人からも出していただいていますように、二度Cというのは危険ラインとしては設定されているところでございます。  ただ、この予測に関しましては、先ほど来、IPCCのペーパーから引用されていましたように、かなり数字にばらつきがございますので、先ほどの早川参考人のこれにも出ていますけれども、例えばこの第一のカテゴリーというのでマイナス八五からマイナス五〇、それから第二のカテゴリーはマイナス六〇からマイナス三〇というようなことになっていますし、実際にこの二度Cによってどういうぐらいの温室効果ガス濃度が必要になってくるかということに関しては、非常に明確になっているというわけでは必ずしもないと思います。EUが元々二度Cというのはかなり前からこの議論をしているわけでございますけれども、これに関して細かい議論はいろいろしなければいけないということがあると思いますけれども、一つの目標としては非常に重要なものではないかと考えております。  あきらめるべきかどうかというのは、この二度Cだと結局、四五〇ppmとかという辺りを考えなくちゃいけないということだとかなり大変だということになるわけですけれども、私としては、日本でクールアースの美しい星50で出しているように、むしろ排出量をどうするかという目標を立てることの方が人類にとっては明確な目標だと思いますので、二度Cというのは重要な目標ではありますけれども、先ほどの江守さんもおっしゃっていただいたような、半減する自然の吸収量との関係を考えて、吸収されるものとそれから排出するものとを同じ量にしていくという発想が非常に重要ではないかと思っております。  以上でございます。
  35. 加藤修一

    加藤修一君 早川参考人に、先ほどは、現在は四三〇ppmであるということで、二度Cを超えると、それ以下のときに比べると相当違いが出てくるわけですね。ある意味では不可逆的な現象も生じかねないと、そういった状態になると極めて大変であるということになるわけでありまして、まあ同じような質問です。  それが第一点と、二点目は、先ほど再生可能エネルギー、まあ自然エネルギーの買取り制度の話。改めて確認をしたいわけですけれども、私も、うちの代表が国会で代表質問の中に固定買取り制度、こういったことについても検討すべきだと、そういう発言をしておりまして、私も全くそういうふうに考えておりまして、やはり最終的には国民の皆さんに薄く広く価格転嫁ということで持ってもらうと。今は一般電気事業者は四百五十億から五百億近く義務としてやっている段階ですよね。ですから、ある意味でキャップが掛かってしまっている、それ以上なかなか超せないというそういう状況なんで、これはいら立たしい話なんですね、そういった意味では。  先日、一日のあるテレビの報道、テレビを見ていたら、日本の過去に学んだというドイツの話が出てまいりまして、非常に、非常に悔しかったですね、そういうことを聞いて。ですから、やはり買取り制度といいますか、あるいは固定価格買取り制度といいますか、要するに薄く広く国民の皆さんに持っていただく。先ほど一%という話をされましたけれども、私も全くそのとおりだと思うんですね。その辺について更に補足的なお話があれば、どういうスキームの内容であるかということも含めてお願いします。
  36. 早川光俊

    参考人早川光俊君) 二度の問題については、正直言って今から対策を取れば大丈夫かどうか、私は科学者でないので分かりませんけれども、非常に危機感が強いです。先ほど二度、一・一度上がってしまう、〇・七四度もう既に上がっている。残る枠は〇・一六度になるわけであります。CO2濃度でいえば二度の範囲内、IPCCカテゴリーⅠのもう範囲内に入っている。もちろん地球上の気候系というのは非常に複雑系だと思いますので、すぐに三八〇だから二度上がってしまうわけではなくて、いろんな時間的スパンがあるんだろうと思いますけれども、今は非常に危険なレベルに来ているということを少なくとも認識しなきゃいかぬのかなと思います。それで、ただ、IPCCを読んでいても二度をあきらめているわけではないんで、やはりできる対策をすべて取るということが基軸かなと。ただ、残された時間と幅は非常に小さいというふうに思っています。  再生可能エネルギーについては、昔から先生の御意見は存じ上げていますし、非常に大賛成でして、おっしゃるとおりだと思います。私は日本市民が偉いと思うのは、損を覚悟で三十万戸の屋根にみんな市民が太陽光を乗っけたわけですよね。半端じゃないと思いますよね。だから、制度さえできれば、恐らく市民のそういった行動というのはすぐに組織できる。  私、関西で風車を建てようと思って、今風車が上がっちゃって五億ぐらい掛かるからちょっとちゅうちょしているんですけれども、恐らく五億集めることは、ちゃんと採算性が合う計画さえ作れれば不可能ではないですね。市民がそのくらいの金を出すことは不可能ではない。これまで二十基の市民風車が建っていますけれども資金集めはそれほど苦労していないですね。ただ問題は、リスクがありますし、そして、今の買取り制度がない状況では、電力会社の相対契約で一キロ当たり十円切っちゃうとやはり採算性は出てきませんから、そこをちゃんとしていただければ、私はあっという間に再生可能エネルギーは進むと思っています。  以上です。
  37. 加藤修一

    加藤修一君 まだ数分ございますので、最後になりましたけれども加藤参考人お願いしたいんですけれども生物多様性締約国会議名古屋、確定いたしまして誠におめでとうございます。今、早川参考人に答えていただきましたけれども、ふだんも県民の皆さんと、あるいは市民皆さんと顔を突き合わせて様々な件について議論していると思うんですけれども、いわゆる電気料金に要するに薄く広く乗せることについて、グリーンコンシューマーという考え方も当然あるんですけれども、そういう件について、加藤参考人としては、まあ名古屋市民としては恐らくそういうことについては賛成であるだろうと、そういう感じなのか、それとも、いやいや、なかなかそれは手厳しいですよということなのか、どちらの感覚が強いですか。
  38. 加藤正嗣

    参考人加藤正嗣君) 使い道が明確に示されていて、訳の分からないところへお金が行っちゃうということでなければ市民は理解をすると思います。一昔前ですと、何でも物は安けりゃいいという感じが消費者の間で一般的にかなり強かったですが、それはかなりなくなってまいりましたし、電気やガス代でも、このごろ原材料価格の関係でしょっちゅう変わりますよね、今は電気代幾らだったかというのは自分では分からないくらい。ですから、やっぱり環境対策とかそういったものも上乗せした料金ですよということ、そしてその使い道については、だれかの恣意的な使い道じゃなくて、ちゃんとルールに基づいてやられていますという透明性が確保されれば市民は納得すると思います。
  39. 加藤修一

    加藤修一君 ありがとうございます。
  40. 市田忠義

    ○市田忠義君 日本共産党の市田です。  今日は、お忙しい中を参考人皆さんの貴重な御意見をお聞きさせていただいて、大変ありがとうございます。  まず、江守参考人にお聞きしたいんですが、江守参考人は、気候システムの温暖化には疑う余地がないと、二十世紀半ば以降に観測された世界平均気温上昇のほとんどは人為起源の温室効果ガス増加によってもたらされた可能性がかなり高いというIPCCの結論のメッセージの重要性について述べられました。これらの科学的知見に基づいて、IPCCは、今後の気温上昇を産業革命前に比べて二度以内に抑えなければならないと、そのために先進国が二〇二〇年までに九〇年比で二五ないし四〇%削減、五〇年までに六〇%から八〇%削減するシナリオを提示しました。  先ほど、半減をいつ達成すべきかは科学のみでは答えられない、科学は情報を提供することであるということをおっしゃいましたが、科学者の立場から考えて、今、中長期の削減目標を設定することの持っている積極的な意義についてどのようにお考えか、お述べいただけないでしょうか。
  41. 江守正多

    参考人江守正多君) ありがとうございます。  定性的に申し上げますと、いつか半減、そしてその後更に減らしていって、行く行くはゼロに近づけると。といいますのは、自然の吸収量はその後また減っていくからなんですけれども、もうこれは明らかであります。先ほど、半減はいつ達成すべきかは科学のみでは答えられないと申し上げましたけれども、遅く達成するほど最終的な気温上昇は高くなってしまいます。ですので、先ほどからお話ありますとおり、二度ということにこだわるのであれば、やはり早く半減を達成しなくてはいけないわけですね。  本日は、私の立場からは、その二度であるべきなのか、二〇五〇年であるべきなのかということはちょっと差し控えさせていただきますけれども、何しろ、数十%削減であると。少なくとも、恐らく今世紀以内にはどう考えても半減、そして更に減らしていくということ自体は科学的に間違いないことだと思っています。これを何しろ、小手先の問題ではなくて、私は文明史的な転換であると思っているんです。今の社会の延長上では起こらないことを起こらせようとしている、世界二酸化炭素をほとんど出さないという新しい文明に移行しなくちゃいけない、そういったスケールで是非とらえていただきたいというのが科学からの重要なメッセージであると考えています。
  42. 市田忠義

    ○市田忠義君 ありがとうございました。  早川参考人にお聞きしたいんですが、洞爺湖サミットを前にして今重要なことは、自らの国別総量の数値目標を明確にすることだと私は思うんですが、今になっても産業界のセクター別アプローチに政府が固執して、この数値目標の設定を先送りしていると。昨日の報道によれば、福田総理がサミットまでに中期目標を明確にするということは言いましたが、こういうこれまでの政府の消極的な姿勢についての御意見、それから今後、京都議定書以降の法的拘束力のある中長期目標を明確に掲げた法制度の見直しについて、早川参考人の御意見、お伺いしたいと思います。
  43. 早川光俊

    参考人早川光俊君) 今、ボンで補助機関会合の会合、それから特別作業部会の会合が始まっています。世界のNGOが集まっていろんな議論をしている情報が日本にも送られてくるんですけれども、今世界市民が注目しているのは、G8を控えて日本が本当に長期目標、中期目標をちゃんと出すのかどうかというところですね。  それで、私は、なぜ出せないのかということについては、日本対策が進まないからだというふうに思っています。恐らく、政府のいろんな方とも条約交渉会議でいろんなお話をするんですけれども、かなりの方がそう思っています。要するに、日本削減ができないのに高い目標を言うのはなかなか難しい。自分がたばこをやめないのにたばこをやめましょうと言うのはなかなか難しいみたいな話のように思うんですけれども、そこはやはり、私は、産業界のきちっとした目標を立ててきちっと削減をしていく方策が立たないと、なかなか日本政府として難しいのかなというふうに思っていますけれども。  ただ、この一年間の変化は非常に私にとってみれば大きくて、物すごく前に進んだと思っていますね。長期、二〇五〇年に五〇%以上というのはほぼコンセンサスになってきた。昨日の報道によれば、中期目標日本も言わざるを得ないところまで来た。それは非常に大きい前進で、それは世界全体がそういうふうに動いているんだと思うんですね。  是非、私たちが認識しなきゃいかぬのは、京都議定書を支持する勢力が圧倒的なマジョリティーです。明確にこれを拒否しているのはアメリカだけですから、オーストラリアは変わりましたから。そうすると、アメリカもこの十一月で確実に変わるわけですから、日本も置いていかれないようにした方がいいなというふうに思います。だから、そういう意味では、今、中期目標、長期目標はクールアース50で一定のことは出てきましたので、日本としてどうするのかということをちゃんとしてほしいなというふうに思っています。
  44. 市田忠義

    ○市田忠義君 大塚参考人にお伺いしたいんですが、大塚参考人環境省の有識者検討会の座長として、国内排出量取引制度、四つの方法を提示した中間報告をまとめられました。キャップ・アンド・トレード方式は、総量規制プラス排出枠取引ということで、いかに厳しい排出総量のキャップを事業者に掛け、取引できる排出枠を割り当てるかで削減効果が違ってくると思うんですけれども参考人は義務的排出量取引の初期割当ての方法として、産業部門に関しては自主行動計画を基礎とすると。これは、経団連が自主的に割当ての合意をしたと見ることができるからだというふうに述べておられます。  ただ、自主行動計画に基づいた自主的な割当てで排出量取引による実効ある削減措置に果たしてなるんだろうかという率直な疑問を持つんですが、その辺りの御見解、いかがでしょうか。
  45. 大塚直

    参考人大塚直君) ありがとうございます。具体的な御質問をしていただきまして、どうも大変有り難く思っております。  今御指摘いただいた点についてはそのとおりでございますが、私がそこで申し上げたかったのは、排出量取引を最初に制度を入れたときの、第一期と申しますか、最初の時期では自主行動計画を基礎とすべきだということを申し上げたわけでございまして、それは経団連さんが合意をしておられるからということが、あるいは宣言をしておられるからということが基礎になるだろうということでございます。  それで、実効性ある削減ができるかどうかということでございますけれども排出量取引というのは新しい制度でございますので、第一期におきましてはそれほど厳しい数字を必ずしも出さずにできるところでやるというのがまず最初は大事なところがございまして、EUでも、排出量取引というのはラーニング・バイ・ドゥーイングの制度だというふうに言われていますけれども、走りながら考えていくような制度というところがございますので、第一期においては既に宣言されているところを基礎とするのが適切ではないかということでございます。  それ以外に、初期割当てに関しては、いわゆる過去の排出量を基準とするグランドファザリングという方法とか、あるいは今我が国でもセクター別アプローチとの関係で議論が進んでいる原単位という、ベンチマーキングという制度とか、あるいは最近EUで排出量取引の指令案の方で出てきているオークションの制度とかというのがございまして、最終的には排出枠取引というのは、最も公平な割当てというのはオークションまで行くということが必要になってくると思います。  ただ、先ほど申し上げましたグランドファザリングという過去の排出量を基準とするというのは、既得権の保護になって必ずしも適切ではないのではないかという議論がございますので、できるだけベンチマーキングを当初は使っていく、将来的にはオークションの方に移っていくというのが方向性としては正しいんだろうと思います。  ただ、最初はとにかく制度の受入れ可能性という問題がございますので、その観点からは、先ほどおっしゃっていただきました自主行動計画というので出ている数字というのはかなり貴重な参考資料、基礎になるというふうに考えている次第でございます。  以上でございます。
  46. 市田忠義

    ○市田忠義君 早川参考人にお聞きしますが、最近、排出量取引について産業界にも容認論が出ていますけれども、一方で、この制度の導入が産業界の国際競争力に悪影響を与えるという立場から激しく抵抗する勢力といいますか、立場方々もいらっしゃいます。こういう国際的な流れに抵抗する産業界の一部の姿勢についてどのようにお考えかということと、日本京都議定書以後の先進国としての責任を果たしていく、あるいは第一約束期間目標を確実に達成していくと、そのための早急な国内排出量取引制度や環境税の導入について、早川参考人の基本的なお考えをお聞かせいただけるでしょうか。
  47. 早川光俊

    参考人早川光俊君) 国際競争力を失わせるという議論はかなり古い議論だというふうに思います。私、ドイツの方と話したことがあるんですけれども、十年前にそんな議論があったねという話をしていました。  今、EUの排出量取引が動き始めて、アメリカのかなりの州がこれに連動させて排出量取引を動かそうとしています。昨年一月に、アメリカの各産業トップ企業十社が四つの環境NGOと一緒にブッシュ政権に対して、キャップ・アンド・トレード、要するに排出削減をきちっと量を決めた排出量取引制度を導入すべきだという意見を上げています。ここに名前を連ねたGE、ゼネラル・エレクトリックとか、それからアルコアとかデュポンとかキャタピラーとか、各産業のトップ企業ですよね。やはり、今の世界の趨勢は排出量取引が貿易障壁になるとかいうような意見じゃもうないですね。  それで、むしろ私が一番心配しているのは、ヨーロッパの企業もアメリカの企業も、恐らくヨーロッパが動き始めてアメリカの企業は焦っていると思うんですけれども、やはりこの温暖化対策の一つは企業の存続に懸けた問題であるという認識が一つと、もう一つはこれをビジネスチャンスととらえている。CSRの問題ではないと思います。日本の企業はまだその色彩が強いと思いますけれども、完全にこのままいくとヨーロッパの企業、アメリカの企業に遅れてくる。バリで世界の国が、いろいろ世界の企業が五百社ぐらいが声明を上げましたけれども日本の企業は一社も入ってないんですね。  だから、私は、本当にこのままいくと、この排出量取引制度の世界の動向から日本の企業は取り残されて、やはりむしろそのことが国際競争力を失わせるんじゃないかというふうに危惧します。  それから、もう一つの質問は何でしたっけ。
  48. 市田忠義

    ○市田忠義君 排出量取引制度や環境税の導入について。
  49. 早川光俊

    参考人早川光俊君) 環境税。私は両方必要だと思っています。大きな企業に対しては排出量取引が有効だと思っていますし、それからやはり広く薄く、国民生活の問題も含めて環境税というのは必要だと思っています。  ただ、消費税と同じで、低所得者に非常に負担掛かるところの是正はしてほしいと思いますけれども、私は両方とも入れるべきだと思っていまして、その制度の設計の仕方については既にEUなどで幾つかの経験、また弱点もはっきりしてきていますから、それは両方入れるべきだというふうに私は考えています。
  50. 市田忠義

    ○市田忠義君 あと一分しかありませんが、加藤参考人一言。  名古屋市で地球温暖化対策計画書の届出制度に基づいて燃料等の年度使用量が原油換算、たしか八百キロリットル以上でしたか、の工場、事業所を対象にして届出、やられているわけですが、今後更に事業所の削減効果を上げるために現行の国の報告制度の見直しが必要じゃないかというふうに私は考えるんですが、加藤参考人、この点は御意見、いかがでしょうか。
  51. 加藤正嗣

    参考人加藤正嗣君) 国の制度の見直しが必要ではないかということですか。  そうですね、全体として、やはり私ども届出制度や何かをやった実感としては、データを自ら調べれば自ら改善努力が進むという感じしております。特段の何かプレッシャーを掛けるとかいうこと、もちろん必要ですけれども、それがなくてもデータを調べるだけでも行いがかなり変わってくるという感じがしておりますので、国の制度も順次拡充をされていかれれば、私どももそれにつれて対応してまいりたいと思っております。
  52. 市田忠義

    ○市田忠義君 終わります。
  53. 川田龍平

    ○川田龍平君 参考人方々、今日はお忙しい中、御意見をいただきまして、ありがとうございました。  私自身も三十代でして、江守参考人の、先ほど福山先生の質疑の中で若手専門家による報告書というのがありましたけれども、それに大変近い世代として、同じ世代として共感を持っているんですが、そういった中ででして、それから社会システムの転換、ライフスタイルの転換と産業構造の転換についても先ほど述べられましたが、それについて大変難しいと感じております。  それについて、是非、若手の立場として、こういった今の温暖化の問題について、先ほどは科学者として具体的にはなかなか提案されなかったところもあるかと思うんですが、是非これだけは言っておきたいということがありましたら是非お聞かせください。
  54. 江守正多

    参考人江守正多君) ありがとうございます。  再び個人の立場としてお答えさせていただきたいと思いますけれども一言で言いますと、やはり制度を導入していただきたいということだと思います。  ライフスタイルの転換にしても、どんなに啓発活動を行ったところで、皆さんが勝手に自発的にどんどん対策をするということは限界があると思いますし、企業の取組にしても、やはり自発的にということでは限界があると思いますので、やはり先ほどから申し上げております新しい文明に移行するというスケールの話であるという御認識をお持ちいただいた上で、大胆な制度が必要なんじゃないかなと。これは全く私の専門知識からは懸け離れたところで個人的に申し上げております。  それから、更についでに全く個人的に申し上げますと、やはりこの問題、私は例えば小さい子供がおりますけれども、二〇五〇年に自分の子供が例えば四十代で立派な大人になって社会の真ん中にいると思いますけれども、そのときに彼らが世界排出量をどんな数字を目にしてどれだけ将来の世界に希望を持って生きていけるのかということがいつも気になりながら一人の人間としてこの問題、考えております。
  55. 川田龍平

    ○川田龍平君 ありがとうございます。  加藤参考人名古屋での取組について、特に廃棄物のごみの問題について積極的に取り組まれたということでお聞かせいただきまして、また具体的に名古屋での温暖化対策の話もお聞かせいただきまして、参考にできるところがたくさんあると思うんですが、特にごみ排出について、私自身も、今ごみ排出が、特にごみの廃棄物をまたエネルギーに転換するということについて、今有機物を、ごみの焼却については二酸化炭素の有機物ということで排出を、CO2のそのことをカウントしないとか、いろいろな廃棄物を実は焼却することによってのエネルギー政策というのが出てきていますけれども、それについてどのように考えていらっしゃいますか。
  56. 加藤正嗣

    参考人加藤正嗣君) 今ごみエネルギー利用という点では二つの流れで進めております。  一つは、従前からあったのは、市が収集をしたものを焼却工場で焼却をしますが、その際に発電をしてエネルギーを回収する。これが従来からやっているものでございます。  新しい取組としては、その中で生ごみを分別して、生ごみエネルギー資源として活用する、技術的にはいろいろありますが。こちらについては、現在、名古屋では事業系の取組中心に進めております。と申しますのは、家庭系の場合、工場の設備いじらなくてはいけませんので、いいことだから来年からやりましょうというわけにはいかなくて、焼却工場の設備を更新する時期に合わせてやっていく。  したがいまして、まだ次の、これから工事に、工事というか設計に着手するまではまだ私ども時間がございますので、名古屋市が取り組む生ごみのバイオエネルギー化というんでしょうか、それについては今後の検討課題ということになっております。  ただ、あともう一つ、ごみを焼却したものから発電をしてエネルギーを取るという点ですけれども、これについて私ども二つ課題があると思っておりますのは、確かに電気は取れるんですけれども、回収率が十数%で、火力発電なんかに比べるとうんと低いんですね、発電が目的の設備ではございませんから。ですから、やはり専用施設とそうでないものでは大きなハンディがあるのでということが一つと。  あと、発電だけでなくて、熱は、余熱随分捨てているんですよ。ただ、これも最初からきちんと余熱利用をするように設計をしていませんと、余っているからどこかであしたから使いましょうというわけにいかないんで、今後、設備更新をしていく際には余熱についても十分活用できるような工夫が必要だということで、実はつい先月からそういったことを専門家方々と勉強会を始めたところでございます。
  57. 川田龍平

    ○川田龍平君 名古屋市の六〇%削減戦略の中で、学者の二人の方が提言の中で、原子力発電所は二〇五〇年には廃炉になっているとしていて、太陽光エネルギーへの全面的なシフトをしているということがあるんですが、私は大変面白いと思っていて、先ほど早川参考人からも原子力発電所の稼働率の話についてもありましたが、これは全員の方にお聞きしたいんですが、日本の今の電気の発電に原子力が、これも再生可能ということで今リサイクルも進められてはいますけれども、電源開発も含めてこの原子力政策に負っているところが温暖化対策でも大きくて、特に昨年の七月の中越沖地震における新潟の柏崎刈羽原発での、今停止している状態で、またCDMによってそれをまた補わなきゃいけないということになってきますが、本当にこの今の原子力政策そのものについて、やっぱりどのようにお考えかと。特に、地震国であるという日本における電源について今後どういった方向性を考えていくべきかということについて、参考人それぞれに伺いたいと思います。
  58. 松山政司

    委員長松山政司君) それでは、簡潔に、江守参考人からお願いいたします。
  59. 江守正多

    参考人江守正多君) 私は、一科学者としまして、原子力の安全性ですとか様々な科学的な問題、十分理解できておりませんので、科学者としての専門的な見解としては、原子力に関する政策意見、ちょっと差し控えさせていただきますけれども、個人的に見ておりまして、やはり一つの問題となっているのが、ヒューマンエラーの問題というのがどうしてもありまして、技術的にどんなに安全であるということがあっても、人間がやることなのでたまに間違いがあると。それでは困りますねということで社会の信用が十分に得られていないということが一つ大きいのではないかなと思って個人的には見ております。
  60. 加藤正嗣

    参考人加藤正嗣君) 原子力自体をどう評価するかというのはなかなか私ども自治体として難しい問題でございますので、直接的にはお答えできかねるんですが、先ほど、名古屋市の環境モデル都市への提案で、化石燃料消費五分の一にするためには、エネルギー消費全体を半分に減らして非化石燃料を二倍にすれば数字の上では可能ですよという試算をいたしました。この非化石燃料を二倍にする内訳を、水力なのか、原子力なのか、太陽光なのか、そういった問題になろうかと思います。ただ、二倍にするすべてを原子力というのはなかなか難しいのかなと。  ですから、原子力全体をどう扱うかはお国の方でお考えいただきたいと思いますが、私どもとしては、都市排熱ですとか太陽光とかいったのが少しでも普及できるように努力をしてまいりたいと思っております。
  61. 大塚直

    参考人大塚直君) 原子力政策一般とかかわりますので、個人的意見として限られた範囲の知識の中から申し上げさせていただくにとどめるということで申し上げたいと思いますけれどもエネルギー安全保障の観点とかがございますので、原子力に関してはいろんな観点から考えなくちゃいけないということはあることはあると思います。  温暖化問題に関して、確かに今の国の政策が原子力政策にかなり負っているということもおっしゃっていただいたとおりだと思います。そして、私も先ほど申しましたけれども、今も川田議員からおっしゃっていただきましたけれども、耐震構造の問題が今まで以上に厳しくなってきたということがありますので、原子力の問題というのは新たな段階に入ったということは事実だと思います。ただ、エネルギー安全保障等々いろんな問題がありますので、にわかに何か新しいことを、本当にどういうふうに変えなくちゃいけないかという辺りについては、ちょっと私も今ここで申し上げられるような状況ではございません。  ただ、一つだけ確かに言えるだろうと思うのは、先ほどもちょっと申し上げたように、再生可能エネルギーの位置付けというのはもう少し高くしてもいいのではないかということだけは言えるのではないかと思っております。  以上でございます。
  62. 早川光俊

    参考人早川光俊君) 私たち、CASAのポジションですけれども、基本的ポジションは、今の原子力発電所は三十年の寿命で順次廃止していくべきだという意見を持っています。それで、一番の問題は、エネルギー安全保障、要するに必要なエネルギーを賄えるかどうかという問題ですけれども、二〇〇〇年段階で今ある技術を導入して全部計算してみました。三十年で、原子力発電、今より増やしたり新しく造ったりせずに順次廃止していっても、エネルギーは賄えて、そして九%程度CO2が減らせるという結果にその当時はなっています。  私は、私どもの提案が正しいかどうかということは別として、そういった検討をきちっとして意見交換することが一番大事だと思っています。私は、原子力発電全面反対ではないんですけれども、一番欠けているのは、原子力についてきちっとした議論がなされてないことだと思っています。  それで、もう一つ私が問題だと思っているのは、今私たちは三割近くの電気を原子力に頼っている。私が住んでいる関西地域に関して言えば五〇%を超えています。その電気を私たち使って、ためておけないわけですね。将来世代、私たちの子供たちは放射性廃棄物、廃炉というような負担を負っていかなきゃいかぬ。それが将来世代に対する公平の観点からどうなんだろうかということを私たちは真剣に考えなきゃいかぬだろうと思います。  そういう意味で、原子力問題についていろんな立場からきちっと議論すべきだと思いますし、それがなされてないことが今、日本の原子力政策の最大の問題だというふうに私は認識しています。  以上です。
  63. 川田龍平

    ○川田龍平君 先ほど大塚参考人の方から、温室効果ガスの算定・報告・公表制度の見直しが今回、業務部門を中心に対象範囲が拡大する点について大きな意義があるということを述べられました。  ただ、今、その前に述べられました各事業所からの排出量を把握するということが、ほかの事業所の排出量との比較が可能となり、今後、公表の回数が増えるにつれて自主的な排出削減を進めるインセンティブになるということをおっしゃられたんですが、現時点では非開示になっている部分がありまして、これは特に経済産業省がそういう非開示決定をしているということがあるんですが、それについてどのようにお考えになるか、お答えいただければと思います。
  64. 大塚直

    参考人大塚直君) 現在も事業所の部分では非開示の部分が多いわけですけれども、企業の部分は公開されていることが多いということで、私が申し上げたインセンティブというのはそれなりには働くということはあると思います。  事業所部分について開示を請求しておられる訴訟とかも幾つか起きておりまして、この点に関しては、先ほど早川参考人からもお話がございましたけれども、関連して、これについての判決は、非開示の経済産業大臣の決定についてそれを認めるものと、開示請求の方を認めて非開示決定を取り消してもらおうというものと二種類に分かれている状況にございます。  この問題については、情報公開法との関連で、温対法の中でも、競争上の地位についての権利利益というのを保護するかどうかということが問題になっておりまして、現在の温対法の規定自体は、私は情報公開法から流れている考え方でして正当だと思っておりますけれども、具体的に何が権利利益として、あるいは競争上の地位として保護されるべきかということが個々のケースにおいてまさに考えられるべきだと思います。  ですので、ちょっと個々の事案との関係で具体的にこれを検討する必要があると思いますので、例えばその製造工程が分かってしまうとか、製品の製造の原価が分かるとか、あるいは取引会社との関係で値段が分かってしまうと買いたたかれるとか、そういうことが具体的には問題になると思うんですけれども、それがどの程度重要な競争上の地位かということについて、個々のケースに応じて考えていくべきだというふうに思っております。  以上でございます。
  65. 川田龍平

    ○川田龍平君 もう時間が迫っているんですが、先ほど、国内排出枠取引、炭素税について、再生可能エネルギーの固定買取り制度、サマータイムなど抜本的な手法でということも述べられていたので、是非参考にさせていただきたいと思っています。  それから、最後にちょっと一言だけ早川参考人に聞きたいんですが、先ほど温暖化センターの課題について財政難ということをおっしゃっていましたが、NGOの役割と課題について更にほかにありましたら、是非一言だけお願いします。
  66. 早川光俊

    参考人早川光俊君) 日本のNGOというのは非常にまだ力が弱いということで、私たち認識しています。私たち自身社会的信用がまだ得られてないんだろうと思っています。  ただ、なぜ日本のNGOが力が弱いのかというと、やはり情報公開がきちっとなされていない。だから、そういう意味ではきちっとした情報に基づいて政策提言ができないという問題がやはり非常に大きな問題としてあります。きちっとした情報公開制度をつくっていただいて、それでやっぱりもっと市民を活用すべきだと思います。政府が言う、官僚の方々が言う、企業が言うのでは通らないことも市民が言うと通る。例えばドイツで風力発電所、大きな発電所を二つ造る。市民が造る、企業が造る。企業の方はいまだに裁判やっていますけれども市民の方は皆さんの合意が得られて今着手していますよね。  そういうふうなことをきちっとできるように、立場は違いますけれども、やはり一緒にできることをちゃんと協力してやっていけるような体制ができてほしいなと思います。
  67. 川田龍平

    ○川田龍平君 どうもありがとうございました。
  68. 松山政司

    委員長松山政司君) 以上で参考人に対する質疑は終わりました。  参考人方々一言御礼を申し上げます。  本日は、御多忙の中に当委員会に御出席をいただき、貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)  午後一時まで休憩といたします。    午後零時二十二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  69. 松山政司

    委員長松山政司君) ただいまから環境委員会を再開いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  本日、山下栄一君が委員辞任され、その補欠として風間昶君が選任されました。     ─────────────
  70. 松山政司

    委員長松山政司君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣大臣官房審議官岩橋理彦君外十一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 松山政司

    委員長松山政司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  72. 松山政司

    委員長松山政司君) 地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  73. 轟木利治

    ○轟木利治君 民主党・新緑風会・国民新・日本の轟木でございます。今回の質問をスタートさせていただきます。  私の質問の内容も、今回の改正法案に対しての質問と、それからやはりこれからの温暖化に対する課題等について質問をさせていただきたいと思います。  まず、今回の改正案につきまして御質問をさせていただきたいと思います。  地球温暖化対策推進法の改正、今回で四回目ということでございます。私も、やれることは確実にやっていくと、このことが大事だろうとは思ってございます。そしてまた、今年の二月に合同審議会の最終報告でも、京都議定書にあります六%、これは全力でやれば達成し得るということが言われております。  そこで、この改正に当たって、本当にその六%が大丈夫かどうか、大臣の決意も込めて、お伺いしたいと思います。
  74. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) 我が国が世界の先例となるいわゆる低炭素社会、こういうようなことに転換を進めると、こういうようなことでは国際社会に対して言わば先導的に、まずは自らが率先して京都議定書に掲げる六%削減目標、これを実現するというのは、もう必ずやらなければいけないというふうに私どもは思っております。  このため、あらゆる分野において対策を強化すべく、三月に、今先生御指摘ありました京都議定書目標達成計画改定したわけでありますが、改定した内容においては、自主行動計画、これは産業界の自主行動計画の強化、さらには業務用エアコンあるいは電球型蛍光灯のトップランナー基準の強化、自動車の燃費の更なる改善、さらには一人一日一キログラムのCO2削減のチャレンジ宣言、それからCO2排出量の見える化、こういうような国民運動も含めた強化策が新たに盛り込まれたところでございます。  加えまして、この地球温暖化対策法の改正案においては排出抑制等の指針、こういうのを策定、あるいは地方公共団体実行計画の拡充などの措置も盛り込まれているところでございます。  ただ、先生が御懸念のように、例えば経済活動が活発化した、あるいは様々なほかの要因もありまして結果的に困難になるということも全くないというわけじゃございません。したがって、我々としては適宜適切に計画の進捗状況を厳格に管理すると、こういうようなことを考えておりまして、もし、例えば半年、一年の速報値等でなかなかそういうようなことに、六%削減がままならないと、こういうようなことになれば必要な対策を追加、強化、こういうようなことをしていくと、こういうようなことで、様々な政策を更に加えても必ず実現すると、こういうようなことが私たちの考えでございます。
  75. 轟木利治

    ○轟木利治君 ありがとうございました。大臣の大変強い決意を伺わさせていただきました。  私もやはり国際的に約束したことはきちっと守り通すということが大事ですし、いろんな施策が決まったことは必ず実行していくということだろうと思ってございます。日本人というのは、いろいろこの京都議定書でも議論ありますけれども、決まった以上はやり通すんだというところはやっぱり日本人の優れたところだと思いますし、それがやはり世界に対する模範であろうと思ってございます。  これから幾つかの点についてその確認もさせていただきたいと思いますが、まずその前に、現状の状況を少し確認をしたいと思っております。  二〇〇六年度の排出実績について少し確認をしたいと思いますが、全体では基準年度より増えてしまったというのが結論になりますが、個々の部門で見ていきますと、産業部門で非エネルギーなどの起源の工業プロセスも含めますと約三千万トンぐらいマイナスをしてきておるということ、そのうちの製造業は多分二千万トンぐらいではないかと思いますが、その他の部門はすべて増加してしまっていると。運輸部門で三千七百万トン、業務部門で六千五百万トン、家庭部門で三千九百万トン、エネルギー転換部門で九百万トン増加してしまっているという状況でございます。  こういったことを見ますと、産業部門においていろいろと言われますけれども、産業部門においては真剣に取り組み、またその実績を出しているんだということだと思います。先ほど大臣もおっしゃいましたように、経済活動を考えますと、基準年でございます九〇年から考えますと、大変経済活動は活発化しておる中で実績は確実には出しているんだろうということで評価できるかと思います。  今回、特に法案で改正された部分はこの業務部門、家庭部門、特に排出が増えた部分、これについて改正がなされてきたと、対策が打たれていくということだろうと思います。その中で幾つか御質問させていただきますが、改正案の企業単位、フランチャイズ単位の排出の算定と報告の導入でございますが、今回の改正で業務部門における対象捕捉率が現行の一三%から五〇%程度へ向上が期待されるところでございますけれども、五〇%の目標で本当に十分なのかということと、それから、残る五〇%というのはどういった業種があるのかをお聞かせ願いたいと思います。
  76. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 御指摘のとおり、今回の大きな改正のねらいが業務部門などの対策の充実でございます。その一環としまして、従来、捕捉率が非常に低かった業務部門に対する算定・公表制度につきまして五割程度までカバーできるようにしようということで、企業・フランチャイズ単位の届出を、算定、公表を義務付けたものでございます。  五割が十分かという議論についていろいろ御議論が当然残ると思います。ただ、私ども、残る部門を見ますと、いわゆるチェーン店ではない小売のお店とか、あるいはレストランもそうですし、床屋さんとか含めて個人商店などが非常に多いということがございます。したがいまして、何といっても、ある程度報告いただくには事業者の負担もございますので、その負担との見合いということも含めて考えまして、現状では一三%を五〇%にできればそれでよしというふうに考えて対応したいと思っておるところでございます。
  77. 轟木利治

    ○轟木利治君 残りの五〇%が個人事業者であるということが、中心だということでございますけれども、今回指定されたところだけやればいいんじゃなくて、やはり国民全体、国全体が取り組むんだという姿勢をまた御指導いただければと思ってございます。  それから、次でございますけれども、これちょっと実績の確認になりますが、京都メカニズムクレジットの関係でございますけれども、現在、国内でも自主参加型の排出量取引制度がございます。実績を見ますと、二〇〇六年度で三十一社参加し、その削減量が三十八万トン、取引ができたのが約八万トン、平均価格が大体千二百円程度と聞いております。この実績をどう評価されておるのかということと、今後の課題と特に中小企業に対する対策をどう考えられているかをお聞かせ願いたいと思います。
  78. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 委員御指摘のとおり、最初の、初年度の自主参加型の取引制度におきましては非常によく機能しているというふうに考えております。  御指摘のとおり、私ども当初のもくろみを十万トン程度上回る削減もできたということでございます。  それによりまして、一つには、その排出枠の取引に関連した実務の知見が集積をされました。それから二つ目には、その排出量取引自体が目標達成のための柔軟的な措置、機能的な措置であることも確認されたというふうに考えているところでございます。ただ、今後の課題でございます。幾つかございます。公平性を高めるためのベンチマーク方式の導入ということがやはり必要だということもございますし、今後できるだけその参加者数を拡大して、より実践的な知見を高めていきたい。また、三つ目には、会計処理あるいは税務処理に関する取扱いの明確化と、そういった取引の円滑化のためのルールということもきちんとつくる必要があるという課題が明らかになったわけでございます。  ただ、全体を通しまして、中小規模の事業所において非常に高い削減ポテンシャルがあるということもそこから私ども経験として得られたわけでございます。こういったその中小企業の方々に対する削減を努力いただくようなスキーム、支援スキームを含めて、是非これから考えていきたいと思います。
  79. 轟木利治

    ○轟木利治君 評価されているということでございますけれども、この制度に参加するというのは、やっぱり今の制度でその設備の補助金が出るということが企業にとっては一つの大きなポテンシャルになっているんではないかと思います。  今後、今、後でもちょっと議論をさせていただきますが、排出量取引、こういった制度の議論がされておりませんので、この補助金制度そのものが今あるがゆえに集まっているけれども、なくなった場合にどうするかというのがまた大きな課題ではないかとは思ってございます。是非、中小企業に対しても対策をしっかり取っていただきたいと思います。  そして、それに関連いたしまして、京都議定書の六%削減で国が想定しておりますCDMによる購入、約一・六%分でございますが、実績を見させていただきますと、二〇〇六年、二〇〇七年、この二年間で約二千三百万トンの予約ができたということを聞いております。これが実際、細かい個々のケースはいろんな商談の問題がありますのでお話しできないかと思いますけれども、トータルとしてどれぐらいの予約額になったのかということと、そして最終的にこの一・六%分、一億トンと言われておりますけれども、予算としてどれぐらいを想定されているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  80. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 全体としまして約二千三百万トン余を購入の契約をしたところでございます。十八年、十九年、二年間の予算につきましては、契約限度額といいましょうか国庫債務負担行為限度額といいましょうか、これが合計で五百二十九億円でございます。  あと、今後五年間で約一億トンのCO2排出分を買うとしますと幾らになるか、なかなか実はこれは計算が難しゅうございます。例えば、よく言われているような、トン当たり二千円で掛ければ約二千億円になりますし、その辺りはっきりしたことは分からないということでございます。  ただ、私ども、このCDMだけでなくてほかにも、いわゆる京都議定書の締約国の中でその排出枠が余ったところから買ってくるシステムとか幾つかございますので、是非お金の掛からないものを購入するということも含めて努力をして、できるだけ予算を少なく済ませたいと思っております。
  81. 轟木利治

    ○轟木利治君 一億トン、値段が定まらないんで確実なことは言えないということだと思いますが、二千円で二千億円ですか、それから三千円でいけば三千億ということになっちゃいますし、これは元をたどればやっぱり国民の税金から出てくるということになります。そういったことを考えると、それを買って、じゃ何かに使えるかといっても、そこで消えちゃうお金なわけですから、可能な限り少なく済むことが一番ベストでしょうし、そのためにやっぱり国民にはっきり、国民の税金を使うということであれば、きちっとした情報も、結果としての情報になるかも分かりませんけれども、提示していただいて、それがまた自分たちに跳ね返ってくるという点で国民に対する意識付けも強くしていただきたいなと思ってございます。  それから、改正法案の二十条の三の関係で、地方公共団体の実行計画の充実の関係でございますが、まず実績の方でちょっと確認させていただきますと、現行法で地方公共団体実行計画という計画を作って実施するようになってございます。その報告によれば、全国に約千八百地方団体があるわけでございますけれども、その実行計画を策定しているのは七百件強にすぎないと聞いております。そうしますと、全体の四割しか実際に計画を策定していないことになっておりますが、なぜこのレベルなのかということと、今後この件についてどう策定していこうと考えられているのか、御質問させていただきます。
  82. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 御指摘のように、残念ながら、現在、二十条の三におきまして、すべての都道府県、市町村に策定をするものとするということの義務付けをしておるわけでございますが、なかなか市町村の場合進んでおりません。御指摘のとおり約四割という策定状況でございます。  これは、中身を見ますと、やはり規模の小さな自治体が少ないということで、都道府県と指定市、中核市、特例市についてはすべて一〇〇%の策定率でございますけれども、それ未満の、人口でいうと二十万未満の市町村については策定率が三四%と極端に悪くなっております。やはり、調べてみますと、ほとんど人がいないとか、市町村によっては環境担当といってもごみ処理の人が数人いるだけというところもございまして、手が回らないというふうによく言われます。  ただ、私ども、是非やはり自らの事業に伴う排出量の把握、計画を作って下げるのは大事でございます。やはり、役所がやらないでだれがやるのかというふうに思いますので、これにつきましては、従来は全体として進んでいないことは発表しておりましたけれども、今後はやっていないところにはできるだけ易しいマニュアルを示して、なおかつ個別に文書を送って指導すると、そういったきめ細かな対応で、余り負担を掛けないで努力していただけるような環境づくりをしていきたいと思っております。
  83. 轟木利治

    ○轟木利治君 同じくその関連でお聞きしますけれども、その七百の市町村では計画をされておるわけですが、その計画された実績の、定量的実績というのはどうなっておりますか。
  84. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 全体を申しますと、基準年度を設定して現状までやっております。これは何年間やっておるかは様々でございますけれども、全体で申しますと、元の基準年から決めて、最近のデータで五%以上CO2などの削減が行っておる市町村、自治体が全体の一二・四%でございます。それから、ゼロ%から五%まで削減をしておるという役所が五六・一%でございます。そして、残りの三一・五%については基準年より増加しておるというのが現状の数字でございます。
  85. 轟木利治

    ○轟木利治君 では、計画を作るだけでなくて、きちっと結果の定量的把握はされていると、そういう理解でよろしいわけですね。  そうしますと、先ほどもちょっとお話もいただきましたけれども、これから家庭も、要は国民一人一人がその意識を持ってこの環境問題に取り組んでいくといったときに、やはりその窓口になるのは各市町村であろうし、そのことがしっかりそういった模範を示して、また啓蒙活動も含めてやっていかなきゃならないという窓口だと思います。そのところが当初の現行法の規定ですら四割しか策定されていないということは非常に問題だと思いますし、多分、計画はされていなくても、その省エネという観点では日ごろされているとは思うんですね。そういったところも含めて、しっかりとしたやっぱり指導なり模範を示すような形で取り組んでいただきたいということを要望しておきたいと思います。  そして、今回、新たに中核都市まで、人口二十万人以上のところを具体的な項目も含めて規定されているわけですが、法律でいけば、この実行計画、現行の実行計画でも事務及び事業に関するという項目が載っておるわけでして、それに包含して全体で取り組めないのかというのが、先ほどの人数の問題含めてスタッフの問題もあろうかと思いますけれども、片やそこまでやって片やそうじゃないという、やらなくていいよということが本当に効果が十分発揮できるのかどうか、少し疑問を感じますので、その点について御説明いただきたいと思います。
  86. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 今回の改正におきまして二十条の三の第三項以降を加えまして、人口二十万以上の市町村、それから、県はもちろんでございますけれども、それにつきましてはその地域全体の温室効果ガス削減対策を立てていただくことにしたいと思っております。  太陽光などの自然エネルギーの問題、それから事業者、住民全体の排出抑制、公共交通機関の活用とか、緑地整備とか廃棄物処理とか、すべて含めた上で都市計画などの見直しも含めてやっていただくということでお願いしたいと思っておりますけれども、これにつきましては、現状を見ましても、二十万以上の都市じゃないとなかなか自らの事業についての計画もできていないという状況でございます。そういった状況にかんがみて、そういった二十万以上の都市について義務的にその策定をお願いしたいというところでございます。  全体見ますと、やはり経済活動の規模とか権限とかあるいは事務処理能力、そういったことがございますし、また実際に都道府県の様々な環境法規についても事務の移譲がございまして、政令市、中核市、特例市はかなり能力も上がってきております。そういうところには幅広い計画作りをお願いしたいと思っております。  それ以外のところにつきましては、まず当面は従来の自らの実行計画を作っていただくことがございますし、あとはやはり都道府県が計画を作る中でそういった小都市との連携ということも図っていただきたいと思っております。
  87. 轟木利治

    ○轟木利治君 是非よろしくお願いいたします。  次に、国民生活にかかわる点についてお聞きしたいと思います。  今回の改正法の二十条の六で、「日常生活における排出抑制への寄与」ということで提示されておりますが、特に消費者に対して、商品を買うときにこの商品がどれぐらいのCO2排出しているものなのかとか、製造工程の中において、そういったことも一つの重要なインセンティブを与える、またそういった意識を与えることだと思いますし、それと、今回、衆議院で若干修正もされましたけれども、国民生活の様式というのもこれから真剣に考えていかなきゃいけないんじゃないかと思います。  そういった意味でも、特に今国民生活の中で言えば、ライフスタイルを考えますと、従来よりもサービスにおいて二十四時間営業が増えたり、それから自動販売機等も多くなってきているような気がします。特にコンビニなんかが二十四時間になっていますけれども、コンビニのスタートはたしか朝の七時から十一時まで、これがスタートだったと思うんですけれども、サービスが過剰になり過ぎているんではないかという気もしておりますし、疑問に感じますのは、二十四時間のコンビニがあって、なおかつ自動販売機があると。  この矛盾も感じますし、特にイルミネーションなんかも、クリスマスのときには大変いいとは思うんですけれども、正月過ぎてもやっているような状態がありますし、まあ夜間電力というのが昼間の三分の一ぐらいしかコストは掛かりませんので安く済むんだといえばそれで終わっちゃいますけど、ただ、意識付けとしてはある程度のこういったことも指導を含めて考えていかなきゃいけないんじゃないかと思いますし、以前たしか、私の記憶が確かであれば、オイルショックの電力が不足してきたときだと思いますけれども、ネオンについては夜の十二時以降は駄目だということも一つの運動としてあったと思いますけど、まあそこまですぐにというわけにはいかないでしょうけれども、そういった指導性を、これからの方向性を考えられているのかどうか、少しお聞きしたいと思います。
  88. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) まず、商品のCO2の見える化でございますが、私ども、今回の改正で日常生活用品等の利用に伴うガスの排出についての情報提供を行うようにしなければならないと思います。  ただ、まずは、利用に際してどれだけガスが出るかということが最初かと思っております。この製品を一時間使えばどれだけ出るとか、あるいは使い方でどれだけ変わるとか、そういったことをはっきり分かるようにするところから入っていきたいと思っております。  その上で、次のステップになりますけれども、製造、輸送などの様々な段階におけるガスの量についても情報提供が行われるようにしていきたいと考えておりまして、いきなりすべては難しいんですけれども、ステップ・バイ・ステップで情報提供に努めていきたいと思っております。  それから、生活様式の問題、私ども、是非対応しなきゃいけないと思っておりますし、衆議院での修正がございました。法案が通りますれば、私どもとしましても、当然ながらその生活様式の問題を更に突っ込んで議論しなければいけないと思っております。審議会では、いろんな御議論ございましてまとまりませんでした。まとまりませんでしたけれども、問題意識は非常に皆、いずれの立場にいようとも大変強いものがございました。やはり、いかに多くの方にそういう問題意識をしっかり持ってもらうかだと思います。  したがいまして、すぐに具体的なアクションなかなか難しいんですけれども、私ども今、例えば大臣の主導の下、ライトダウンを更に広げるとかいうこともやろうと思っておりますし、できるだけ多くの方に御理解をいただいて、この問題の深刻さ、大事さを御理解いただいて、それが進むような素地をまずつくっていきたいと、その上でライフスタイルの見直しをできるだけ速やかに行いたいと考えております。
  89. 轟木利治

    ○轟木利治君 是非よろしくお願いしたいと思います。特に見える化については、民主党としても具体的な法案を修正の中に入れ込まさせていただきますので、実現できるようによろしくお願いしたいと思います。また、これはやっぱり国全体、国民全体でやっていくということですので、そういう点、意識向上、啓蒙活動も含めて御指導願いたいと思ってございます。  改正法案については以上でございまして、今度、地球温暖化の全般について少しお聞きしたいと思います。  まず、地球温暖化に向けて二〇五〇年までに半減すると、これは根拠として排出量を自然界の年間吸収と同レベルにするのがその目標だということでございますけれども、具体的なこの目標の中に、気温上昇が何度まで抑えるだとか、CO2濃度等が目標があるのかということと、いろいろ見ていきますと、二〇五〇年という年数ははっきりしているんですが、基準年がどこにあるのかというのがいま一つはっきりしてないような気がします。この点について鴨下大臣から答弁をお願いいたします。
  90. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) 今先生から、排出量を自然界の年間吸収量と同じレベルにすると、こういうようなことがおっしゃられましたけれども、そのとおりでありまして、二〇五〇年に半減をするというのは、二〇五〇年までに吸収量と排出量のバランスを取ると、こういうようなことがそもそものスタートラインでありまして、これは我が国も、昨年の五月のクールアース50及び本年一月のクールアース推進構想においても、世界全体の排出量半減させると、これを二〇五〇年までに実現させる。そして、それに伴って、多分、気温上昇幅やそれから温室効果ガス濃度に関するこういうようなことというのは、少しタイムラグがあって最終的に落ち着くところに落ち着いていくんだろうと思います。  ですから、この気温上昇幅あるいは濃度というようなことはなかなか、例えば二〇五〇年にといっても、排出量は人為的でありますけれども、そのほかの要素についてはこれは極めて様々な自然的な要因も絡みますんで、具体的な我々が行動としてしていく上ではやはり二〇五〇年五〇%削減と、こういうようなことが一番分かりやすいんではないかというのが国際的なある意味での合意的、合意といいますか、コンセンサスに近いものがあるんだろうと思います。  また、加えまして、その基準年をどこに置くかと、こういうような話でありますけれども、これも我々今考えているのは、二〇五〇年までに半減をさせるというようなことは吸収量に見合うだけの排出量にすると、こういうようなことがそもそもの原点でありますので、あえて例えば何年から半減するとかと、こういうようなことではないということを申し添えさせていただきます。
  91. 轟木利治

    ○轟木利治君 基準年のところはよくちょっと余り理解できないですが、今、取りあえず京都議定書は一九九〇年と言われていますので、それを変えるのか変えないのか、また今後の議論にもあるかとは思いますけれども、また今後いろいろ議論さしていただきたいと思います。  それから、当然この排出問題について、日本の役割といいますか、このことは大変大きく感じます。私は、日本の役割というのは、日本国内の削減というのはもとより、やはり国際的にどう日本が協力し合い、また支援をできるかということが、この大きな二つが柱であろうと思いますけれども環境大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
  92. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) おっしゃるように、世界レベルで排出削減していくという意味において、日本の担う役割、非常に重要だというふうに思っております。  一つは、優れた環境技術を持っていると、こういうようなことで、これは世界の主要先進国の中でも対GDP当たりの二酸化炭素排出量が最も少ない、こういうようなことで、我が国は、自らの排出削減はもとより、世界全体での削減にも積極的に貢献できると、こういうような立場であります。  それからもう一つは、まずはこれ具体的に、先ほど先生もおっしゃいましたけれども、六%削減をきちんとすると、こういうようなことが日本にとって重要なことでもありますけれども、これは国際約束ですから、この国際約束を果たすというようなことで、京都議定書についてはいろいろとおっしゃる方もおいでですけれども、この国際約束を日本がしっかりと守ったということが、これは世界に対しての言わば発信力といいますか、非常に大きなものがあると、こういうふうに考えています。  また、加えまして、世界全体で今後十年から二十年でピークアウトをして、先ほど申し上げました二〇五〇年には少なくとも半減をさせると、こういうような中長期的な大幅削減のために、今、日本は、今回のG8の環境大臣会合でも申し上げたんですけれども、低炭素社会、こういうようなものをつくっていくために様々な取組、特に生産の取組、それから都市や交通、このインフラの在り方、それから先ほどからお話し合っているようなライフスタイル、こういうようなことを含めて、具体的な低炭素社会というのはどういうものなのかと、こういうようなことを日本が具体的なイメージをつくって世界に発信していく、こういうようなことが重要だろうというふうに思っています。  もう一つ、最後に、これ途上国の支援含めまして、新たな枠組み作り、こういうようなことにおいては、今回、環境大臣会合にもアウトリーチ国で例えば中国だとかインド、そういう新興工業国もおいででありましたし、それから、G77の議長国であるアンティグア・バーブーダという島国、カリブ海の島国でありますが、そういうところの代表もおいででありました。そういう中で、先進国たる日本がそういう国の言わば削減努力あるいは適応、技術、こういうようなものにいかに貢献できるかと、こういうようなことによって、そういう途上国皆さんにとってもこのポスト京都の新たな枠組みを作るときに参画した方が自分にとってもメリットがあると、こういうような構造を作っていくというのが日本の大変重要な役割だと、こういうふうに考えております。
  93. 轟木利治

    ○轟木利治君 ありがとうございます。  当然、世界全体で取り組むというのがもう大前提だろうとは思ってございます。そういった意味で、特に日本技術支援を含めて、このことが本来もっと積極的にいろんな形で議論をされ、そして今、日本エネルギーの省エネ技術世界一だと思います。しかし、世界に提供するということは、その技術がもう皆さん利用していくわけですから、日本の宿命としてはそれよりもう一歩先に常に技術を追いかけていかないと、日本はこれはもう公害から始まってオイルショック、こういった長い年数を掛けてここまでの技術をつくり上げてきたわけですから、そういった意味で考えますと、政府の方でも、クールアース構想で国際協力としては百億ドル、五年間とか、それから革新的な技術に対しては今後五年間で三百億ドル投資していくんだということでございます。そのことに対しては大変評価したいと思うんですが、ちょっと個別に聞いていきますと、この百億ドルでどれぐらいの削減ができると想定されているのか。また、国内の革新技術で三百億ドルを投資するということになっておりますけれども、この国内の三百億ドルでどれぐらいになるのかをお聞きしたいと思うんですけれども、国内の技術においては、やるべきことはもう見えていると思います。電力にしてみれば化石燃料を使わない、自動車もそうですし、鉄鋼にしても水素を使っていくということ、それを実際にラインに乗せるまでは大変な人、物、金が必要だと思うんですが、そこ辺りも含めて少し御見解をお願いしたいと思います。
  94. 渡邉正人

    政府参考人(渡邉正人君) クールアース推進構想の現状につきまして御説明申し上げます。  先週開催されました第四回アフリカ開発会議機会に、アフリカ諸国からは、クールアース推進構想への評価とともに、日・アフリカ・クールアース・パートナーシップの立ち上げにつきまして歓迎の声が寄せられました。同じく、五月、気候変動にかかわります中米・カリブ首脳会合では、我が国のクールアース50提案及びクールアース推進構想に賛意をもって受け入れる旨の共同宣言が採択されました。これらのほかにも、本年三月、セネガル、マダガスカル、ガイアナとの間でクールアース・パートナーシップの一環といたしましてノンプロジェクト無償を供与いたしましたほか、現在、インドネシアとの間で気候変動対策円借款の供与に向けまして協議を進めておるところでございます。  我が国としては、引き続き排出削減と経済成長の両立を目指す途上国との間でパートナーシップを推進してまいります。  本件パートナーシップに基づきます支援が具体的にどの程度全世界的な温室効果ガス削減に寄与するかにつきましては、一概に申し上げることは困難でございますけれども、いずれにいたしましても、今後ともパートナーシップの推進を通じまして、途上国排出削減への取組に積極的に協力するとともに、気候変動の深刻な影響を受けます途上国に対しまして支援の手を差し伸べてまいりたいと思っております。
  95. 岩橋理彦

    政府参考人(岩橋理彦君) お答え申し上げます。  二点御質問をいただきました。  まず、今後五か年間で我が国の研究開発に三百億ドルを投入するという件でございます。  この件でございますが、本件は、福田総理が本年一月のダボス会議の特別講演におきまして、気候変動問題に対処する取組の一環としての環境エネルギー分野の研究開発を重視し、今後五年間で三百億ドル程度の資金を投入すると表明されたものでございます。ちなみに、平成二十年度の予算におけます地球温暖化対策に資する環境エネルギー分野の研究開発の投資の総額は、おおよそ六千百億円でございます。仮に一ドル百七円で換算いたしますと、五十七億ドルに相当しております。具体的な予算額については今後検討されるものでございますけれども、若干の増を見込むとすれば、五年間で三百億ドル程度になるものと考えております。  また、総合科技会議におきましては、総理からの指示を受けて、地球温暖化対策問題の抜本的な解決に向けて環境エネルギー技術革新計画を策定し、五月十九日の総合科技会議で決定し、関係大臣意見具申申したところでございます。この計画を踏まえ、温室効果ガス排出を飛躍的に削減するような革新的な技術開発の推進に取り組むとともに、必要な予算の確保に向けて努力してまいりたいと考えているところでございます。  それから二点目でございますが、三百億ドルの投資でどの程度削減できるかというお尋ねでございます。  この三百億ドルは、今御説明申し上げましたように、今後五年間において我が国において地球温暖化対策に資する環境エネルギー分野での研究開発投資の総額として示されているものでございます。もとより、先生も御指摘のように、二〇五〇年に世界全体で温室効果ガス排出半減を目指していきますためには、我が国のみならず、全世界研究開発に取り組み、また国際的な協力枠組みの下に削減を進める必要がございます。  先ほど御説明しました総合科技会議で策定しました環境エネルギー技術革新計画においては、地球温暖化対策に貢献する主要な技術について短中期的なものと中長期的なものに整理し、二〇三〇年ごろまでの短中期的には既存技術の改良、普及が重要であること、また二〇五〇年までの中長期的には革新的な技術開発が必要ということを示しているところでございます。  さらに、技術開発を進めるだけでは実際の削減につながりません。技術開発と普及策を車の両輪として進めることが重要でございます。技術開発と社会への普及策等の進展度合いによって温室効果ガス排出削減量は異なってまいりますので、現時点で国内外の具体的な排出量温暖化ガスの削減量を算定することは難しいものと考えているところでございます。
  96. 轟木利治

    ○轟木利治君 数字的には目標がはっきりしていないということですけれども、投資する以上は定量効果を含めて費用対効果が求められるわけですから、また、国民に情報公開ということも含めてしっかりフォローしていただきたいと思います。  時間がなくなりましたので、排出量取引制度についてだけちょっとお聞きしたいと思います。  ちょっと二点まとめて御質問させていただきますが、排出量取引制度そのものを否定するわけではございませんけれども、これが排出のメーンの手法とは私は考えておりません。インセンティブを与えるための補完的な制度だろうと思ってございます。そして、最も私は、排出権取引制度で炭素に単価が、価格が付くわけでございますけれども、これが市場において要はマネーゲーム化になっては困るということでございます。当然、何かを生み出してつくり上げていくんじゃなくて絞り出して出してくるという形でございますので、そういったところを考えますと、機関投資家等に対する配慮等も必要だろうと思いますし、価格のコントロールなんかもある程度必要ではないかと思っておりますが、この点について、今現状のお考えをお聞きしたいと思います。
  97. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 御指摘のとおり、排出量取引につきましては、それが非常に重要な一つのスキームだと思っておりますけれども、それのみで何かすべてが解決するということでもないと思います。やはり、幾つ温暖化対策のポリシーミックスの一つとして、ある大手の排出部門の抑制に有用なものというふうにとらえております。したがって、あくまで補完的な、補完と言っていいか分かりませんが、施策の一つであるというふうにとらえております。  それから、当然ながら、私ども、これを検討するときにマネーゲームにすることを期待しているわけでは全くございませんで、むしろいかに実質的、経済的に全体の排出量を減らすかということから制度は仕組まれなければならないということは当然でございます。  したがいまして、午前中の参考人質疑にもございましたけれども、いかに乱高下を避けるかとか、あるいは専門的技術のボローイングとかバンキングとかいうことでの柔軟措置を入れまして、一時的な需給の逼迫に振り回されない、そういった仕組みをつくることが当然ながら必要だろうというふうに考えております。
  98. 轟木利治

    ○轟木利治君 終わります。
  99. 加藤修一

    加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  今、福田総理がドイツということらしいですけれども、報道によれば、メルケル・ドイツ首相と会談後のいわゆる記者会見で、二〇五〇年までの長期目標に加えて中期目標の提示も目指す考えを示したということで、中期目標の設定を検討すると、そういうことでは、やはりサミットまでに提示する方針を明言したなという報道でございますけれども、期待をしてまいりたいと、このように考えてございます。  先日、G8環境大臣会合があったわけでありますけれども、その前のシンポジウムを出させていただきまして、広中委員もお見えでしたが、その中で、私はパチャウリIPCC議長とも、非常に短い時間ではありましたけれども意見も交換させていただきました。その中で、国際連帯税の話と、それから地域内のいわゆる多国間の災害保険制度の関係についてもどういうふうにお考えかということについては、まあ短い時間ですから十分な議論した中でのお答えではなかったわけでありますけれども、非常に積極的なお答えをいただいたわけでございます。  TICADⅣにおきましても、環境気候変動問題への対処分科会におきましても、いわゆるODAということだけじゃなくして、やはりこれからは新しい資金調達のメカニズム、そういった観点からは、やはり国際課税等を含めて、いわゆる通貨取引税ということも含めて検討していくべき、そういう時代に入ってきているんではなかろうかと、こういう問題提起もさせていただいたわけであります。  それで、環境大臣にお尋ねしたいわけでありますけれども、イギリスのいわゆる国際戦略研究所は「戦略概観」ということで、これは二〇〇七年、二〇〇八年もそうでありますけれども、いわゆる安全保障と地球温暖化の問題、気候変動の問題でありますけれども、こういったものについては安全保障という観点から議論をしていかなければいけない。あるいは国連の安全保障理事会、これ二〇〇七年でありますけれども、やはり気候変動は国家や国家間の安全保障のかなめであると、そういう位置付けをされていると。  あるいは二〇〇八年の三月でありますけれども、欧州は気候変動が安全保障に与える影響に対処をしなければいけないということで、強制や暴力によって気候変動の原因や直接的影響を取り除けないのは明白だと、軍事力では低炭素型の世界経済など構築できないし、世界のいかなる武器をもってしてもハリケーンによる都市の破壊や海面上昇は止められないと。いわゆる気候と安全保障に関するこういった分析報告なんかもあるわけでありまして、そういった観点を考えてまいりますと、やはり安全保障政策にどういうふうに気候変動の関係について織り込んでいくかと、それは非常に私は大事なように思います。  そういった観点で、大臣お願いでありますけれども、関係省に働きかけるとか、そもそも大臣はどのようなこの点についての御認識をお持ちか、お聞きしたいと思います。
  100. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) 先生が今、IPCCのパチャウリ議長とお会いになったという話ですけれども、私は、昨年の十二月にIPCCがノーベル平和賞を取ったというのは非常に意味の深いことなんだろうと思います。それはなぜかというと、我々が気候変動に対して正面から取り組まなければ平和に様々な問題が起こると、こういうようなことで学者が取りまとめた言わば科学的な知見、これを我々政策決定者たちがしっかりと受け止めろと、こういうような趣旨が平和賞に値したということでありますから、これをしても極めて安全保障との関連性が深い問題だろうというふうに思っております。  また、今年になって特にそうでありますけれども、それぞれの気候変動に直接あるいは間接的に影響のあることで、例えば穀物価格が上昇したりとか地域によっては小競り合いが起こったりとか、こういうようなことがもう既に起こっているわけでありますから、まさに先生おっしゃるように、気候変動は単なる環境問題ではなく、人類にとって極めて重要な安全保障の問題としてもとらえなければいけないと、こういう時期になったんだろうというふうに思っております。  加えまして、我々は環境省として環境問題を政府にあるいは国際社会に訴えているわけでありますが、やはり国際社会の中で最も優先順位の高いのは安全保障と経済の問題でありますから、そういう趣旨でいうと、今までは環境問題というのは優先順位からいうと三番目か四番目でありましたけれども、これがまさに安全保障と関係が深いと、こういうような認識から私は優先順位が一番、二番に上がってきたと、こういう認識でありますので、そういう趣旨においても、気候に関する安全保障と、こういうような考え方というのは大いに日本の政府内でもそれぞれの関係省庁が連携を取る、こういうような時期に来ているなと、こういうふうに思っております。
  101. 加藤修一

    加藤修一君 そういう御認識の下に、政府の安全保障にかかわるその辺についてどういうふうに考えるかというのがあるんですけれども、申入れということなんでしょうか、どういうふうに考えたらいいんでしょうか。大臣の方から、イニシアティブを発揮するという、そういった点についてはどのようにお考えでしょうか。
  102. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) 今先生からの御指摘もありますので、我々もそういう観点から、例えば関係省庁、どういう連携が取れるのか、あるいは環境という言わば観点から安全保障を政府としてどう考えるのか、こういうようなことについて、我々の環境省の中でも少し検討をさせていただきたいと思いますし、関係省庁にも働きかけをさせていただきたいと思います。
  103. 加藤修一

    加藤修一君 よろしくお願いいたします。  それで、今いわゆる地球温暖化対策をめぐって、各政党の中でも様々な法律についての議論があるように思います。我が党も、基本法ということで議論している最中でございます。ほかの政党もそういう議論をしている、あるいは発表をされた政党もございますし、非常に私は大事なことじゃないかなと思います。  二十一世紀環境立国戦略の関係を環境省が中心になってされているわけでありますけれども温暖化に対しましては低炭素社会をつくると、あるいは資源の枯渇の関係については循環型社会であると、あるいは生態系の劣化、あるいは大変な状況になってきているということで、これは生物の共生社会という、そういう社会を描いているわけでありますけれども、循環型社会については循環型社会形成推進基本法というのがございますし、あるいは生物との共生社会ということであるならば生物多様性基本法などがあるというふうに考えてまいりますと、この低炭素社会に対応する基本法みたいなものについてはまだないと。そういった意味では、そういう基本法ということについてもしっかりと考えていかなければいけないんではないかなと、そんなふうに思っています。  EUの環境政策を考えてまいりますと、昨年が調印五十周年になりますけれども、ローマ条約というのがありますが、環境汚染の事前警告原則とか、未然防止原則あるいは発生源抑止原則、汚染者負担の原則などが、そのEU全体の各国が共通してそれを批准したといいますか、そういうふうになっておりまして、それがローマ条約というふうに言われておりますけれども、一九七〇年代初頭に入りまして、すべての政策はまず環境への配慮からという政策方針をEUは打ち立てたと。また、一九九七年に調印されましたアムステルダム条約では、EUのすべての政策活動には環境配慮を義務付けるというそういう条項も付け加えられておりまして、このことが極めて、環境と経済を考えていく上で非常に強いドライブが掛かることになってきているなという思いがいたします。そういうEUの世界に向けての、国内、EU内もそうでありますけれども、EUの国外に向けてもその環境戦略という意味では極めて強くやってきているように私は思います。  そういった意味では、そういう原則なども踏まえて、かつまた経済との関係性もしっかりととらえた形で日本の将来の先取りの戦略性を位置付けると、そういった観点からも、私はそういう基本法というものについては設定すべきではないか、その下に現在の温暖化対策推進基本法というのをぶら下げるという考え方も成り立つんではないかなと、こんなふうに考えておりますけれども、鴨下大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  104. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) 今先生がお話しになった、いわゆる温暖化対策あるいは低炭素社会に向けての様々な法整備、特に理念あるいはその基本、こういうものを定めるような法律については、これはもうそれぞれ立法府の各党でも御検討をいただいているということも聞いておりますし、あるいは民間でもそういう御提案があるというようなことも伺っておりますので、そういう議論を私たちはしっかりと見守らせていただきたいというふうにも思っております。  加えまして、環境省の方は、今、足下の温対法をしっかりと御審議をいただいてというようなことが、今我々のまさに目の前の課題でありますので、これをしっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。  ただ、全体的にある方向というものを日本が戦略的に持つということは極めて重要でありますので、我々はもう足下の具体的な法案について是非お願いをしているわけでありますが、加えて全体的な構想、こういうようなことについても是非先生方にリードをしていただきたいと、かように思っておりますので、また御指導も賜りますようにお願いいたします。
  105. 加藤修一

    加藤修一君 どうもありがとうございます。  それでは次に、資源エネ庁にお願いしたいわけでありますけれども、午前中の参考人の関係につきましても自然エネルギーあるいは再生可能エネルギーとか、あるいは太陽光、風力発電等々が出てまいりました。その中で、固定買取り制度といいますか、そういったスキームについても様々な参考人の方からお答えがありまして、そういうことを進めるべきである、あるいは質問者からもそういう話がございました。  私も全く考え方は同じでありまして、うちの太田代表が今国会の代表質問におきましても固定買取り制度についての検討という観点からの質問をさせていただいているわけでありますけれども、やはり、今一般電気事業者辺りが四百数十億円、自ら身銭を切ってやっているような状態でありますが、ドイツの状況というのは必ずしもそういう話ではないわけであります。もう皆さん御承知のように、一般の国民の皆さんが薄く広くそれを受け入れて、グリーン電力という形で拡大をさせているということになっているわけでありまして、日本もそういうRPS法の関係も含めてこれを見直ししなければいけないなと私は思っておりますが、今申し上げましたように、一般の国民の皆さんが薄く広く価格転嫁されたものをよしとするという、そういう気持ちも強くあるように私自身思っております。  恐らく、同僚の委員皆さんもそうだろうなということでないかなというふうに勝手に考えておりますが、資源エネ庁の皆さん、こういった面についてしっかりととらまえて、いわゆる太陽光発電なら太陽光社会という言葉まで議論されているようでありますので、是非新しい展開が進むようにやっていただきたいなと思っておりますけど、この辺についてどうでしょうか。
  106. 上田隆之

    政府参考人(上田隆之君) 固定価格買取り制度、それから薄く広く転嫁するということに関するお尋ねかと思います。  私の方からは固定価格買取り制度について申し上げさせていただきたいと思いますけれども、御案内のとおり、これについてはもうたくさんの議論をいただいておるところでございます。私どもも、再生可能エネルギーの導入拡大という観点から、真剣に様々な制度の利害得失というのをしっかり検討してまいりたいと思っております。  ただ、御案内のとおり、ドイツでは、時々申し上げていることですけれども、ドイツの制度につきましては非常に高い値段での買取りということでありまして、それが料金に転嫁されていくということでありまして、電気料金というのが、現在、大体一月ドイツにおける家庭の電気料金というのは、日本円に直しまして九千円ぐらいだと思いますが、そのうち約五百円程度がその転嫁分である。年間にすると六千円程度でありまして、かつ、この固定価格買取り制度によりましてこれらの電気料金がほぼ恒常的に値上げが続いていくというような問題。それから、言い値で買い取る制度になっているものですから、そのコスト削減インセンティブが働きにくいといった課題があります。国際エネルギー機関等でもこういった高い固定価格制度には、これを見直して、より市場ベースの政策への移行を検討すべきという勧告が行われているところでございます。  他方で、私どもも太陽光その他再生可能エネルギーの導入はできるだけ推進したいと思っておりまして、ただ同時に、何と申しますか、新エネルギーに掛かるコストというのをできるだけ最小化しながらその導入を推進していきたいと考えておりまして、様々な観点から検討を進めてまいりたいと思います。
  107. 加藤修一

    加藤修一君 昨日、別の委員会で似たような質問があったわけでありますけれども、甘利大臣もうなずきながら聞いていたような状況もございました。恐らく、こういう再生可能エネルギーが拡大していくことについては非常によしとするというふうに私は理解して見ておりましたが。いずれにいたしましても、再生可能エネルギーを大きな柱の一つにしていくということは極めてこれからの展開にとって重要であると思っておりますので、積極的な取組お願いを申し上げたいと思います。  次に、気候変動対策の関係で、バイオマスの導入という観点からの質問になるわけでありますけれども、西岡秀三先生等がまとめられた、いわゆる手元には二〇五〇年日本低炭素社会シナリオということで、温室効果ガス七〇%削減可能性検討という、こういう研究成果がございますが、今日、皆さんのお手元に資料を配付させていただいております。  左の上の横棒といいますか、そういう図がございますけれども、一番下がバイオマスを積極的に導入したケースでございます。この図表どおりに表現してまいりますと、石油換算百万トンで書いてありますので、三億トンを切っている状況がバイオマスのシナリオのケースである。シナリオAとシナリオBというのが右の方に書いてございますが、シナリオB、二〇五〇年で、例えば産業の関係についてはバイオマス燃料利用率の増加とか、あるいは民生の関係でも燃料系暖房・厨房機器のバイオマス利用拡大とか、あるいは交通関係にはバイオマスハイブリッド自動車の普及、エネルギー供給の関係についてはバイオマス発電のシェア拡大というふうにありまして、全体として二〇五〇年で七〇%削減ということで、バイオマスのケースについても同じようにそういう成果が示されているわけでありますけれども、このバイオマス導入に関してのこういうシミュレーション結果についていかなる認識をお持ちであるかということについて、環境省、お願いいたします。
  108. 桜井郁三

    ○副大臣(桜井郁三君) 今御指摘されましたこの資料でございますが、昨年の二月に発表されました「脱温暖化二〇五〇プロジェクト」、これでは、需要側が四〇%、供給側が三〇%の温室効果ガス削減することが可能であるという試算をしておるところでございます。  今お話しのように、一番目、二番目、三番目とそれぞれのケースがあるわけでございますが、一番下のバイオマスを極端に多く導入するケースでございますが、現状におけるバイオマスの導入割合は極めてわずかですが、このケースでは自動車用エネルギーにバイオマスエネルギーを導入するなど、バイオマスエネルギーのシェアは、運輸旅客部門でシェアを七四%、運輸貨物部門でシェアを九七%高くしております。また、産業部門は現状では四%ほどでございますが、それが一二%ほどに高くなると想定をしております。  バイオマスの導入促進は、低炭素型社会の実現に向けた重要な取組の一つであり、今後とも、中長期的シナリオも踏まえながら、バイオマスの普及を進めてまいりたいと考えております。
  109. 加藤修一

    加藤修一君 バイオマスも最近は食料とけんかするような状況があるようでありますけれども、基本的には、原則として食料とけんかするようなバイオ燃料であってはいけないと私は考えておりますが。  それで、農水省にお尋ねいたしますけれども日本は森林面積というのは六七%、平均的にですね、そういった意味では森林資源が非常に豊富ということが考えられます。次世代型の燃料、バイオ燃料ということで、セルロースを分解して云々という話とか、あるいは更に中長期的には、リグニンということについての分解を含めて森林化学工業をいかに立ち上げるかということにもつなげていくことができるんではないかなと、そんなふうに思いますけれども、その辺についてはどのようにとらえているかということと、それから、欧米のこの分野における戦略的な研究開発の状況ということについてはどのように把握しているでしょうか。以上、お願いいたします。
  110. 針原寿朗

    政府参考人(針原寿朗君) 林野庁でございます。木材の利用に関する御質問でございますが、これまで、木材でございますけれども、まき、炭としてのエネルギー活用あるいは木材としての活用、セルロースを取り出した上で製紙原料としての活用を図るというような活用をしておりましたが、セルロースと並ぶ構成要素でありますリグニンを取り出して活用するという発想に立った利用は今のところ行われていないという状況にございます。  他方で、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、これらを科学技術を更に発達させて総合的に利用するということになれば、例えばリグニンという物質につきましては、燃料用電池の電極になり、IT基盤の研磨剤、バイオプラスチック等広範な分野での活用が見込まれるわけでございますので、これら木材を総合的に活用するということになれば、林業、山村の活性化あるいは地球温暖化対策への貢献、さらには、日本、森林国でございますので、脱石油社会の構築など大きな効用を期待することができるものであると考えております。  そのような観点に立って、セルロースの分解だけではなくて、リグニンを低コストで分子組成を壊さない形で取り出す形の研究、あるいはセルロース、リグニンを総合的に活用するための技術の開発等に努めているところでございます。今年度からは、これらの技術を実用化する前段階として、小型プラントを造りまして実証実験やるというような予算も組ませていただいております。このような事業を積極的に進めまして、木材の総合的な利用に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
  111. 加藤修一

    加藤修一君 これは欧米での取組、戦略的な取組はどうですか。
  112. 小栗邦夫

    政府参考人(小栗邦夫君) 欧米におきます研究開発の取組状況でございますが、欧米におきましては、例えばアメリカにおきましては、政府の主導によりましてバイオマスエネルギー及びバイオベース製品のロードマップ、そういったものを作成するなどによりまして、バイオマス由来の化学工業原料などにつきまして戦略的な研究開発を進めているというふうに承知をしているところでございます。
  113. 加藤修一

    加藤修一君 もう少しその辺、研究して報告をいただきたいと思います。そういう単純なものではないと思うんですけどね。  それでは、同じく農水省に質問ですけれども、食料とバイオマスの競合というのは非常に問題になっているわけでありますけれども、EUでもこれに関しての規制をすべきだという話が出てきているようでありますけれども、バイオ燃料等の関係については、やはり競合する食料等についてはガイドラインというものも考えていくべきではないかなと思っていますけど、この辺についての御見解を示していただきたいと思います。
  114. 佐々木昭博

    政府参考人佐々木昭博君) お答えいたします。  食料価格が高騰している中で、バイオ燃料と食料との競合問題について国際的に議論が行われております。  その中で、例えば米国、ブラジル等は、バイオ燃料の食料価格への影響は小さく、今後も積極的に生産拡大を図る。また、英国等は、食料や環境への影響について十分検証した上で政策を決定することが必要としております。また、発展途上国の中には、バイオ燃料が食料価格の高騰の一因となっており、トウモロコシ等によるエタノール生産に反対する等様々な意見があると承知しております。また、ドイツにおきましては、バイオ燃料が持続的な方法で生産されていることを証明する認証制度を実施することを検討しているということを伺っております。こうした多様な意見がある中で、規制に向けたガイドライン作りについて議論がなされていない状況でございます。  農林水産省といたしましては、食料や飼料と競合しない形でバイオ燃料の生産拡大を図ることが重要であると考えております。諸外国に対しましても、食料と競合しないバイオ燃料の重要性につきまして我が国の考え方を表明しているところでございます。食料サミットにおきましても、若林大臣に御出席いただき、こうした我が国の考え方を主張するなど、国際的な働きかけを行ってまいりたいと考えております。
  115. 加藤修一

    加藤修一君 最後の質問になるかもしれませんが、環境省がいつも言っておりますように、バイオマスはカーボンフリーとかカーボンニュートラルであるということで、私もそういう観点から質問しているわけでありますけれども、いわゆるペレットなどを使っていわゆるエネルギーの自給率を高めている、そういう町もあります。東北で葛巻町のところは再生可能エネルギーの関係、風力の関係とかふん尿の関係で随分と努力しているように思いますけれども、こういった葛巻町のいわゆる現況と、こういう都市、自給率を高める、そういう都市をもっと発展的に進めていくことが大事じゃないか。そういう発展可能性ということについてはどのように環境省お考えか、教えていただきたいと思います。
  116. 並木正芳

    大臣政務官(並木正芳君) 今先生の御質問のとおり、葛巻町におきましては平成十一年、今から九年前ですけれども、新しいエネルギーの町葛巻と、そういう宣言をされまして、その後、風力あるいはふん尿のバイオマスシステム、また、ペレットボイラーやペレットストーブですね、省電力とか、もうあらゆる、太陽光も含めて、そうした再生可能エネルギー推進をしていただいているわけです。  現在、ちょっと恐縮なんですけれども、五年ごとに統計を取られているそうなんで、十五年末の統計しかないんですけれども、自給率として電力では一八五%、エネルギーでは七八%と、恐らく平成十七、十八年に新しい事業も起こしていますので、それ以上に自給率上がっていると思うんですけれども、大変範たるべき町であるわけです。  二代にわたる町長が大変熱心であったということや自然条件等々とも、地域の特性によるものもあるわけですけれども環境省としましても、この再生可能エネルギー推進していくための予算もありますので、こうしたものをフルに活用しまして、先生が御指摘なさったような認識を共有しておりますので、是非それを進めていきたいというふうに考えております。  とりわけ、この今回の法律というのには、地区計画というところでの、積極的に取り組んでいただきたいというようなところも、実行計画を、風力あるいは太陽光、こうした利用促進を位置付けてありますので、こういった法も援用しながら頑張っていきたいと思っております。
  117. 加藤修一

    加藤修一君 よろしくお願いいたします。  以上です。
  118. 市田忠義

    ○市田忠義君 今日は、自然エネルギーの導入促進について質問します。  私の出身の京都府では、舞鶴に火力発電二号機が建設中で、二〇一〇年稼働予定であります。これが稼働しますと、京都府の排出分として二十五万トンもCO2が増えるということになります。一方、京都府の家庭部門の削減目標を見てみますと、二十六万トンと。言わば、こつこつと家庭部門で減らしても火力発電一基分で帳消しになると。これでは住民の努力も自治体の取組も報われないのではないか。個別の京都の問題ですから大臣お答えにくいかもしれませんが、一般論としてこういう事態どのようにお考えでしょう。
  119. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 京都の事例につきましては意見差し控えさせていただきますけれども、やはり全体としまして、石炭火力発電所ができるということの影響は大変大きいと思います。  日本経済全体が、現状で申しますと、事業者関係の排出が八割、家庭二割でございますけれども、多くがそれぞれの分野においてかなり努力をしてエネルギー消費を減らしていると思います。ただ、そうした中で、片や石炭火力ができるというだけで相当CO2が出るというのも現実でございます。大きな問題だと思います。ただ、もちろん舞鶴がいいかどうかという個別の議論は別にしまして、やはり全体の中で石炭火力がある程度必要だということもございますけれども、やはりできるだけ原子力なり新エネルギーといったことでCO2が出ない、少ないようなエネルギー構造に変えていくということがないと、多くの方の努力が、産業も家庭も含めた努力がなかなかその数字として出てこないという点については全く同感でございます。
  120. 市田忠義

    ○市田忠義君 私は原発に依存しろとは言っていないので、その点で同感と言われると困ります。安全の保証がありませんし、技術的に未確立ですから、我が党としては原発から撤退すべきだという考えだということは述べておきたいと思います。  今、原油、石炭など輸入エネルギーの需要が増えて価格が高騰しているわけですけれども、経済基盤安定のためにもエネルギー需給率の引上げが私は不可欠であり、自然エネルギーの抜本的な導入、促進がかぎだというふうに考えています。  そこで確認をしたいんですが、京都議定書目標達成計画における二〇一〇年度新エネルギー導入目標の中で、太陽光発電と風力発電の発電量目標に対して、二〇〇五年度のそれぞれの達成率を述べてください。
  121. 上田隆之

    政府参考人(上田隆之君) まず、太陽光発電でございますけれども京都議定書目標達成計画において、二〇一〇年度までに原油換算で、まあこれ下位ケース、上位ケースとあるわけですが、七十三万キロリットルから百十八万キロリットルを導入することを目標として設定しているところでございまして、二〇〇五年度実績で約三十五万キロリットル、下位ケースとの関係で四八%、上位ケースとの関係では約三〇%ということになっております。  また、風力発電につきましては、同様に二〇一〇年度までの原油換算で百一万キロリットル、百三十四万キロリットルを導入することを目標として設定しているところでございまして、二〇〇五年実績は約四十四万キロリットルということでございまして、下位ケースに対して四四%、上位ケースに対して三三%達成率となっております。
  122. 市田忠義

    ○市田忠義君 今言われたように、太陽光発電は三〇%、風力発電三三%というお答えでした。  一九九〇年度と二〇〇五年度の一次エネルギー供給における新エネルギーの実績はいずれも三%であります。二〇一〇年度の対策上位ケースで四%、二〇二〇年度の最大導入ケースで五%、発電電力量で見る新エネルギーの二〇二〇年度予測を見ますと二%であります。この見通しを見る限り、自然エネルギー導入に本気で取り組んでいるとは到底思えません。  一方、欧州連合ではどうか。二〇二〇年に一次エネルギーの二〇%を自然エネルギーに転換する目標をこれはエネルギー閣僚理事会で決定しています。ドイツでは、電力比で二〇一〇年までに一二・五%という目標を四年前倒しして二〇二〇年までに二七%、三〇年までに四五%という目標が設定されています。アメリカでも連邦下院で二〇二〇年に一五%の自然エネルギー電力供給を義務付けるという全米RPS法が可決をされました。日本ではどうかと。RPS法に基づく導入目標は二〇一〇年度に一・三五%、二〇一四年度で一・六%、主要先進国と比べて一けた少ない数字であります。  そこで確認をしたいのですが、RPS法に基づく〇七年度の義務量と〇六年度のバンキング量について数字だけ述べてください。
  123. 上田隆之

    政府参考人(上田隆之君) バンキング量でございますけれども、いわゆるRPS法におきまして二〇〇七年度に義務対象電気事業者に課せられた義務量の総量は六十・七億キロワットアワーとなっております。また、バンキング量でございますが、二〇〇六年度における二〇〇七年度へのバンキング総量は五十六・六億キロワットアワーとなっております。
  124. 市田忠義

    ○市田忠義君 今お答えがありましたように、法施行後バンキング量の比率がどんどん増えて、〇六年度のバンキング量では、今の数字で分かりますように、〇七年度義務量の九三・二%にまで達している。主要先進国目標と比較して、またバンキング量の比率の高さを見ても、元々義務量自身が低過ぎるということはもう明白だと思うんです。私は大幅に引き上げるべきだということを指摘しておきたいと思います。  次に、太陽光発電についてどうなっているか。お配りした資料を見てもらえば一目瞭然でありますが、国内の太陽光発電の単年度導入実績は、〇五年度をピークに大きく落ち込んでいます。総出荷量のうち輸出分がどれぐらいの割合を占めているかと資料の下の欄に記しておきましたが、〇七年度は約七七%であります。太陽光発電の累積導入量推移を見ますと、二〇〇四年度の途中で日本はドイツに抜かれました。前回の委員会でも議論がありましたが、世界でトップレベルの技術を持って、生産量も世界の約四割を占めているのにもかかわらず、作った製品は国内では売れないと。こんなにひどい話は私はないと思うんですけれども、我が国では二〇〇五年度民間住宅への設置補助が打ち切られて、その後も自然エネルギー導入促進のための抜本的な施策が打ち出されていない。一方、欧州などを中心に自然エネルギー導入のための実効ある施策が打ち出されていることがこういう状況をつくり出したんだというふうに思うんです。  前回の委員会で経産省の担当者の方は、いろいろ太陽光発電についてのメリット、デメリットを述べながら、結論としては、太陽光発電の普及をもっと図るべきであるという御指摘は全くもっともなものだと思っています、これは広中委員への答弁でした。住宅用太陽光発電の設置のための支援制度を取ることについて、前回、経産省の話は聞きましたので、環境省としてはどういう態度か、より積極的に推進する立場に立つべきだと思いますが、御見解をお伺いいたします。
  125. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 日本の場合、太陽光発電は大変特徴がございまして、住宅の屋根に付けるものが八割ということでございます。ドイツなどを御指摘されますけれども、事業者自らが売電するという目的で大規模な太陽光発電所を造っているということで、かなりタイプ違います。  それで、その場合、日本の場合住宅用でございますが、それ自身が屋根に付けるということで、非常にそこに住んでいる方の省エネ意識の向上にも役立つということでございます。したがいまして、その自然エネルギーをつくるだけでなくて、省エネ意識も向上するということで大変意味のあることだと、施策の充実が非常に求められるというふうに感じております。
  126. 市田忠義

    ○市田忠義君 答弁どおり、積極的に施策の充実のために力を注いでいただきたいと思います。  全国には自分たちの努力で自然エネルギーの導入普及に努力されている人たちが大勢いらっしゃいます。例えば、きょうとグリーンファンドというのがあるんですが、一口三千円の寄附を募るなどして、保育所などに既に十一基の太陽光発電を設置されています。時間の関係で詳しい内容の紹介はしませんが、ここの代表の方の切実な要望は、市民で積み上げていこうと頑張っているが、発電した電力を適正な額で買い取ってほしいと、これに尽きます。  自然エネルギーの導入を抜本的に強化しようと真剣に考えるならば、ドイツで自然エネルギー導入を進める大きな力となった固定価格買取り制度、これは加藤委員も先ほど質問されましたが、この導入に踏み込むべきだと思いますが、環境省としてはどういうお考えでしょう。
  127. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 世界の例を見ますと、ドイツのように買取り制度、固定価格買取り制度を行っている国が約二十ぐらいあるとも承知しております。また、片やイギリスのような形で、RPSということで電力関係の会社に義務付けるという国もまた幾つかあるわけでございます。  いずれの方法にしましても、太陽光とか風力とか小水力、そういった地道な自然エネルギーの抜本的充実が必要でございます。どういう方策がいいのかよく検討していきたいと思います。
  128. 市田忠義

    ○市田忠義君 どういう策がいいか検討していきたいと、前向きに検討したいということですか。いいですね。
  129. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) はい。
  130. 市田忠義

    ○市田忠義君 じゃ、確認しておきます。環境省としては前向きに取り組んでいきたいということだと思います。  最後に、もう時間が余りありませんので大臣にまとめてお聞きしたいんですけれども、前回の委員会でも紹介しましたが、全国知事会エネルギー環境問題特別委員会地球温暖化対策専門部会というところから環境省に要望書が提出されています。その中で、こういうくだりがあります。電力会社の買取り義務量の大幅増大や発電コストを考慮した買取り価格の引上げなどによる新エネルギー導入促進、住宅用太陽光発電等の導入支援策の大幅拡大など、新エネルギー導入拡大に係る施策をより一層強化することと、これは知事会が出しているところに大きな意味があると思いますが、こういう要望があります。また、京都でも滋賀でも、エネルギー問題は国で方向性を出してもらわないとどうしようもないという強い要望が出されました。  私は当然の要望だというふうに思うんですが、南川さんからもお答えありましたが、大臣として、これらの要望を真剣に受け止めて電力会社の買取り義務量の大幅増大、買取り価格の引上げ、あるいは住宅用の太陽光発電の導入支援策、これらについて積極的に取り組んでいただきたいと思うんですが、大臣の基本姿勢を最後に伺っておきたいと思います。
  131. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) それぞれ、それぞれのステークホルダーもおいででありますから、私から具体的な話を申し上げるのは今は控えさせていただきますが、基本的な姿勢としては、これは再生可能エネルギー、これから京都議定書の第一約束期間においてもより積極的に導入すべきだというふうに考えておりますし、加えて、これからポスト京都になった場合にはより深掘りをしていかなければいけない。これには大変有力な方法だというふうに考えております。
  132. 市田忠義

    ○市田忠義君 ドイツでは、自然エネルギーの普及によって雇用も二十一万四千人の新たな雇用を生み出していますし、年間一億トンの二酸化炭素削減年間三・七兆円の売上げがあるという報告があります。また、世界全体では自然エネルギーへの投資額は〇六年で約八兆六千億円、年三割を超える急成長分野になっています。世界的に見て、自然エネルギーの普及が本格的な流れになっていることはもはや明白だと思います。日本でも自然エネルギーを利用した市民共同発電事業で合計百八十五基が稼働していますし、参加者は七十一団体、三万人に上っています。  これまで見てきましたように、日本には技術はあると。市民の熱意もあります。意欲的に取り組んでいる自治体もあると。私は欠けているのはそれを生かす政府の施策だと思います。欠けているどころか、実際には意欲的に取り組んでいる市民や自治体の意欲をそぐ形になっているんではないかという感じを持ちます。  原子力と石炭火力を柱とした持続不可能なエネルギー政策から、真に持続可能な経済社会を実現する方向に転換してこそ切迫した温暖化対策のリミットにこたえることができるということを指摘して、質問を終わります。
  133. 川田龍平

    ○川田龍平君 私の方からは、昨五月二十二日に土壌汚染対策法改正案をめぐっての質疑の中で、三重県の石原産業の放射性廃棄物を含むチタン廃棄物のアイアンクレーの問題について質問をしました。昨日、この石原産業が化学兵器に転用可能な有毒ガスを経済産業省に無届けで製造していた問題で、三重県警は化学兵器禁止法違反の疑いで家宅捜索に入るなど、一挙に石原産業のこれまでの様々な問題が明るみに改めて出る形になりました。  表面化するきっかけが住民運動による会社の監視活動と会社自身のコンプライアンスによるものというのも時代を象徴するように見えます。その意味で、三重県行政、政府の役割はとても重要であると思わざるを得ません。  その意味で、監督官庁でもある経済産業省は今回のこの事件をどのように受け止めているのか、お伺いしたいと思います。
  134. 照井恵光

    政府参考人(照井恵光君) お答え申し上げます。  今回の法令違反であります化学兵器禁止法は、世界中の化学兵器の根絶を目的とする化学兵器禁止条約を遵守するために制定、執行されております。  我が国は国際約束の実現に向けて努力を重ねてきたところでございますが、今回のこの石原産業の違反はこれまでの我が国の政府及び産業界への信頼を損ないかねないものであり、極めて遺憾であると考えております。
  135. 川田龍平

    ○川田龍平君 前回、私はこの住民運動をされている皆さんの声を代弁する形で質問させていただきましたが、環境省の答弁としましては、空間放射線量率が製造業者の自主管理基準を超過することが公表されていますので、このアイアンクレーにつきましては放射性物質及びこれによって汚染されたものに該当しているので、廃棄物処理法の廃棄物には当たらなくなるので、その規制から外れております。こうした放射性廃棄物につきましては原子力基本法の下で必要な措置が講じられることが重要と考えている。また、放射線による障害防止の事務を所掌されます文部科学省から求めがありますれば、石原産業の廃棄物処理状況など必要な情報提供を行うとともに、三重県に対しても技術的な助言を行っていきたいとのことでした。  その後、住民グループは三重県と環境省に申入れを行っております。ただ、地元での朝日新聞によると、県環境森林部は、環境省、文部科学省の両省に相談しているが、両省が押し付け合っていて対応方針が定まらないと頭を抱えているとのことです。国の所管は一体どうなっているのだろうということで疑問に思わざるを得ません。  それで、この問題について責任が環境省にあるのか、文部科学省にあるのかを両省にお伺いします。
  136. 由田秀人

    政府参考人由田秀人君) 環境省設置法におきまして、環境省は廃棄物の排出の抑制及び適正な処理並びに清掃に関することの事務をつかさどることとされております。  この廃棄物は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、いわゆる廃棄物処理法に規定する廃棄物とされておりまして、廃棄物処理法では廃棄物の定義を、放射性物質及びこれによって汚染されたものを除くことが規定されておるところであります。  今般、石原産業により酸化チタンの製造工程から排出されるアイアンクレーの空間放射線量率が製造業者の自主管理基準を超過したことが公表されましたが、このアイアンクレーにつきましては、放射性物質及びこれによって汚染されたものに該当いたしますため、廃棄物処理法上の廃棄物には該当しないことになります。  したがいまして、環境省におきましては、こうした放射性廃棄物の取扱いを担当できる立場にはございませんが、アイアンクレーの埋立ての状況や石原産業の廃棄物処理の状況などにつきまして必要な情報提供を行うなど、関係府省と連携して対応してまいりたいというふうに考えております。
  137. 川原田信市

    政府参考人川原田信市君) ありがとうございます。  文部科学省では、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制等に関する法律、いわゆる原子炉等規制法であります、並びに放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律、いわゆる放射線障害防止法でございます、において事業者が行う核燃料物質等の取扱いを規制をしているところであります。  御指摘のアイアンクレーと申しますのは、チタン鉱石を製錬する過程で出てくる廃棄物でありまして、確かにウラン、トリウム等を微量に含んでおるのでございますけれども、原子炉等規制法におきまして規制を受ける下限値というのが設けられておりまして、それをはるかに下回るものでありまして、したがいまして原子炉等規制法の規制対象ではございません。  ただ、我が方が持っております原子炉等規制法の法律の規制対象とはならないのでございますけれども、本件の重要性にかんがみまして、平成三年に、チタン鉱石問題に関連する四省庁、つまり当時の科学技術庁、厚生省、通商産業省、労働省がチタン問題、鉱石問題に関する対応方針という、いわゆる管理に関するガイドラインでございますけれども、これを決めておりまして、事業者にはこのガイドラインを遵守するというように求めているというのが状況でございます。
  138. 川田龍平

    ○川田龍平君 質問時間もなくなってきましたので、ちょっとほかの質問もありますのでこの質問については終わらせていただきたいと思いますが、取りあえず、三重県の住民の方たちはこういった問題に真剣に悩まされていますので、是非、関係省庁お互いに協力し合って、この通達というのも、一九九一年に四省庁通達ということで、これは以前の科学技術庁、それから厚生省、さらには通商産業省の時代、さらに労働省もかかわっておりますが、そういった時代のことでありますが、是非今の省庁間でしっかりと協議を行って、こうした問題に是非対処して当たっていただきたいということを申し述べておきたいと思います。  その次に、温対法についてのことについて質問させていただきますが、算定・報告・公表検討会というのが開かれていまして、算定・報告・公表の制度についての電力の排出係数について伺いたいと思っています。  温対法に基づく事業者別の排出係数の算出方法等に係る検討会というのが、第一回目が昨年の一月三十一日に、第二回目が三月十五日に開催されております。この検討会の目的と、第一回目は公開で、第二回目は非公開で開催されたのですが、なぜ二回目が非公開になっているのかを経済産業省にお答えお願いします。
  139. 西山英彦

    政府参考人(西山英彦君) 御指摘の第二回検討会におきましては、個々の事業者の電気の取引先など、法人などの正当な利益を害するおそれのある情報を用いて審議を行いましたので、このことを理由といたしまして議事を非公開としたところでございます。公表可能な議事概要はすべて公表しております。
  140. 川田龍平

    ○川田龍平君 この電気事業者の排出係数は今後の温暖化対策の基本的な排出量算定に使うための数値で、非公開というのはちょっと納得できるものではないところも実はあるんですが、議事録の開示請求をするとすると、具体的にどのような情報が非開示になるのかを改めて環境省にお伺いしたいと思います。
  141. 南川秀樹

    政府参考人(南川秀樹君) 私ども会議は原則公開にいたしておりますけれども、このときは特に個別の電気事業者から具体的な情報を公にしないということで提供いただいたものがございます。これは、公になりますと事業者の権利利害を害するおそれがあるということで、私どももそれを了解いたしまして非公開といたしました。  ただ、先ほど西山部長からもございましたけれども、議事録は、議事概要は公表しておりますし、私ども、それによって特段その後の行政運用に不都合が生じたということでは考えておりませんし、そういうことがないようにしていきたいと思っております。
  142. 川田龍平

    ○川田龍平君 その第一回目の検討会で出された資料に、事業者別の排出量の算出及び公表についての中で、排出数値の使い方が記されています。例えば、今年度、二〇〇八年度報告について言えば、各事業者は今年の四月から六月末までの間に、ちょうど今の期間に二〇〇七年度の温室効果ガス排出量を報告することとされていますが、電力の排出係数については、二〇〇七年度の係数ではなく、一年前の二〇〇六年度の係数が使われることになっています。  そうしますと、二〇〇七年七月の柏崎刈羽原発の停止の影響による排出係数の悪化が反映されずに、電力由来のCO2排出量について実際よりも少ない排出量が報告されることになってしまいますが、この手法では正確な排出量が算定されないことになってしまいますが、なぜこのような事態が生じるのかをお伺いしたいと思います。
  143. 西山英彦

    政府参考人(西山英彦君) 電気事業者は、温対法に基づきまして特定排出者ということで、毎年度六月末日までに自社の事業所からの二酸化炭素排出量などを国に報告しております。  一方、各電気事業者自身排出係数というふうになりますと、自社の事業所からの二酸化炭素排出量に加えまして、他社から購入したり、それから他社等に卸売したものを差し引くというようなことがございまして、電気の発電に伴って排出量を集計、差引き等して算出するといった追加的な作業がございます。国は、この結果などを収集した上で確認し、そして排出係数を公表しているわけでございます。そうしますと、電気事業者による追加的な作業と合わせますと、おおむね更に三か月程度の期間を要するということで、それで大体九月末ごろに国の排出係数の公表があるということになります。  仮に、特定排出者による前年度の温室効果ガス排出量の算定にその同じ年度の実績に基づく電気の事業者別排出係数を用いようとする場合には、特定排出者による算定、報告は、以上のような作業の更に後になりますのでスケジュールが遅れるということになります。  そういうこともかんがみまして、前年度の係数を使うこととしている次第でございます。
  144. 川田龍平

    ○川田龍平君 努力をすればどうなるものなのかということで、是非、四月から六月までの間に前年度の電力販売量を含め詳細に総量をつかむわけですから排出係数を出すことも可能であると考えられますが、なぜ間に合わないのか。また、二〇〇五年度の排出係数が公表されたのは昨年の三月二十三日で、二〇〇六年度の排出係数の公表が昨年の九月二十七日に公表されています。事業者は毎年六月末までに排出量を事業所管大臣に報告することとされていますが、努力すればできるのではないかというふうに思います。電力会社に対し電力の排出係数の公表を前倒しを要請すべきではないかと考えますが、短くお答えをお願いします。
  145. 西山英彦

    政府参考人(西山英彦君) やはり国としては、先ほど申し上げましたような加除、差引きなどをしっかりやりませんと、それで日本全国でつじつまが合っているということを確認しておりませんと、国民に対してはっきりとした責任を持った報告ができません。  そういうことで、今の作業はたくさんの方を巻き込むものでもございますし、今の形が現状ではベストかなと思っております。これを前倒しするということは、そういう方々に対する作業の必要性があるということと、それからいろいろなデータ入手のタイミングなどもございますので、なかなかこれは困難かと思っております。
  146. 川田龍平

    ○川田龍平君 もう一点、気に掛かることがありまして、第一回目の検討会で電気事業連合会が、CDMの購入というのは非常に大きな金額で、これが係数に反映されないことは経営的にも大きなインパクトを与える、是非係数に反映できるようお願いしたいとありますが、この取扱いについてはどうなったのか、お答えいただきたいと思います。
  147. 西山英彦

    政府参考人(西山英彦君) 先生御指摘のように、電気事業者から第一回の温対法の検討会におきまして、京都メカニズムの活用を係数に反映できるようにお願いしたいという要望がございました。  電気事業者は、この環境行動計画に基づきまして、原子力発電の推進とか火力発電の熱効率の向上などと併せまして、京都メカニズムの活用などによりまして、二〇〇八年度から二〇一二年度までのCO2排出原単位を平均で二〇%程度低減するということを目指しているわけでございます。こうした電気事業者の取組の一部を成す京都メカニズムのクレジットでございますので、CO2排出原単位に反映させることが適当だと私ども考えております。  このため、本年三月に閣議決定されました京都議定書の目達計画におきましても、排出原単位を低減する対策として電気事業者が取得した京都メカニズムクレジットを電気事業者ごと二酸化炭素排出係数に反映させる方策を講じるという記載もございます。これを踏まえまして、二〇〇九年度に公表することとなる二〇〇八年度実績に基づく電気の事業者別排出係数から京都メカニズムクレジットが反映される予定でございます。
  148. 川田龍平

    ○川田龍平君 大臣最後にお伺いしたいと思います。  この私は対応が間違っているのではないかと、正しいかどうかということで、二つの意味でおかしいと思っています。一つは、自らの努力で達成できない、あるいは今回、東京電力の柏崎刈羽原発の事故で、そのことで二千八百万トンのCO2排出されて、そうした不足をCDMでカバーしようとしています。CO2を余分に排出した、当然、排出係数は高くなります。不足分を途上国からCDMで調達する、その分を係数に反映させてあげる、これは排出という現実を覆い隠して、削減のインセンティブを失わないかという懸念があります。もう一つは、このCDMを排出係数に反映させて排出係数を下げた場合、電力会社だけではなく、その係数を活用する全国の事業所全体の排出量の実態を覆い隠します。  大臣、このCDMを排出係数に導入することの一つの問題、大変大きな問題であると思っていただけませんかどうか。特に、この公表制度の信頼にかかわる問題は見過ごすことができないと思いますが、再検討ができないのかどうか。こうした数字のトリックでもって、将来にわたってやっぱり本当に実質的にCO2を減らしていくということについてのインセンティブを是非国内で与えていただきたいと思うんですが、いかが考えますか。大臣お願いします。
  149. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) この算定・報告・公表制度において、電気事業者が排出係数に京都メカニズムクレジットを反映すると、こういうようなことについては我々も想定しているところなんですが、今委員が御指摘になりましたように、実態に即した排出係数や排出量の公表が重要だと、こういうふうに考えています。  ですから、原則として、京都メカニズムクレジットを反映した排出係数や排出量と、それから反映前のいわゆる実排出係数や実排出量も併せて公表するべきだと、こういうふうに考えております。
  150. 川田龍平

    ○川田龍平君 大変ありがとうございました。
  151. 松山政司

    委員長松山政司君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時四十五分散会