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2008-05-27 第169回国会 参議院 環境委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十年五月二十七日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十六日     辞任         補欠選任      大石 正光君     佐藤 公治君      山下 栄一君     浜四津敏子君  五月二十七日     辞任         補欠選任      加藤 修一君     松 あきら君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松山 政司君     理 事                 岡崎トミ子君             ツルネン マルテイ君                 中川 雅治君                 橋本 聖子君     委 員                 小川 勝也君                 大石 尚子君                 大久保潔重君                 佐藤 公治君                 轟木 利治君                 広中和歌子君                 福山 哲郎君                 荒井 広幸君                 神取  忍君                 川口 順子君                 加藤 修一君                 浜四津敏子君                 松 あきら君                 市田 忠義君                 川田 龍平君    衆議院議員        環境委員長    小島 敏男君        環境委員長代理  北川 知克君        環境委員長代理  伴野  豊君        環境委員長代理  江田 康幸君        修正案提出者   北川 知克君        修正案提出者   村井 宗明君        修正案提出者   江田 康幸君    国務大臣        環境大臣     鴨下 一郎君    副大臣        環境大臣    桜井 郁三君    大臣政務官        環境大臣政務官  並木 正芳君    事務局側        常任委員会専門        員        加藤 堅一君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       鎌形 浩史君        内閣官房総合海        洋政策本部事務        局長       大庭 靖雄君        金融庁総務企画        局審議官     岳野万里夫君        金融庁総務企画        局参事官     三村  亨君        総務大臣官房審        議官       津曲 俊英君        総務大臣官房審        議官       御園慎一郎君        総務大臣官房審        議官       河内 正孝君        消防庁国民保護        ・防災部長    岡山  淳君        外務大臣官房参        事官       石川 和秀君        外務大臣官房参        事官       山崎  純君        財務大臣官房審        議官       川北  力君        財務大臣官房審        議官       永長 正士君        財務省主計局次        長        木下 康司君        財務省理財局次        長        中村 明雄君        文部科学大臣官        房審議官     布村 幸彦君        文部科学大臣官        房審議官     久保 公人君        文部科学大臣官        房文教施設企画        部技術参事官   岡  誠一君        文化庁文化財部        長        大西 珠枝君        農林水産大臣官        房審議官     佐々木昭博君        林野庁林政部長  島田 泰助君        林野庁国有林野        部長       福田 隆政君        経済産業大臣官        房審議官     伊藤  元君        経済産業省製造        産業局次長    内山 俊一君        資源エネルギー        庁次長      平工 奉文君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       上田 隆之君        資源エネルギー        庁資源燃料部        長        北川 慎介君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      西山 英彦君        国土交通大臣官        房審議官     小川 富由君        国土交通大臣官        房技術審議官   竹内 直文君        国土交通省総合        政策局次長    北村 隆志君        環境大臣官房審        議官       谷津龍太郎君        環境大臣官房審        議官       白石 順一君        環境省総合環境        政策局長     西尾 哲茂君        環境省地球環境        局長       南川 秀樹君        環境省水・大気        環境局長     竹本 和彦君        環境省自然環境        局長       櫻井 康好君        防衛省防衛政策        局次長      松本隆太郎君        防衛省運用企画        局長       徳地 秀士君        防衛省経理装備        局長       長岡 憲宗君        防衛省地方協力        局次長      伊藤 盛夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付) ○生物多様性基本法案衆議院提出) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 松山政司

    委員長松山政司君) ただいまから環境委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、山下栄一君及び大石正光君が委員辞任され、その補欠として浜四津敏子君及び佐藤公治君が選任されました。     ─────────────
  3. 松山政司

    委員長松山政司君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改正する法律案審査及び生物多様性基本法案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣参事官鎌形浩史君外三十九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松山政司

    委員長松山政司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 松山政司

    委員長松山政司君) 地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 大久保潔重

    大久保潔重君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新日本大久保潔重でございます。  今日は、地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改正する法律案について、トップバッターとして質問をさせていただきます。  この地球温暖化対策推進法は、平成九年に京都で開催されたCOP3の京都議定書の採択を受け、翌年の平成十年に、我が国の地球温暖化対策の第一歩として、国、地方公共団体事業者国民一体となって取り組む枠組みとして制定をされました。以後、平成十四年には、京都議定書の締結を受け、目標達成計画の策定や計画実施体制の整備などの改正がなされ、平成十七年の改正では、京都議定書の発効を受け、対基準年度より大幅に増加している温室効果ガスの算定・報告公表制度創設等が定められました。平成十八年には、京都議定書の第一約束期間を前に、京都メカニズムクレジットの活用に関する事項の追加等、それぞれ改正がなされてまいりました。  そして、今回の改正は、伸び続けている国内の、特に業務部門家庭部門における温室効果ガス排出量対策を抜本的に強化するためとの提案説明がなされました。北海道洞爺湖サミットを前に、京都議定書の第一約束期間以降を見据え、また諸外国の動向を踏まえながら、長期的かつ継続的に温室効果ガス排出削減のための基盤を整備する必要があります。  先般、衆議院における法案審議で活発な議論がなされ、修正案という形で今回提案がなされました。今日は、その修正案提出者先生方もこの場にいらっしゃっておりますので、まずはその修正部分について何点かお尋ねいたします。  私は、昨年の夏、初当選をさせていただきました。その参議院選民主党は、脱地球温暖化戦略の中で、CO2見える化、いわゆるカーボンディスクロージャー制度について二つ公約をしております。一つ目は、企業部門においてCO2排出量有価証券報告書に開示することであり、二つ目は、家庭部門において各家庭CO2排出量電気ガス燃料などのエネルギー事業者が通知すること等が盛り込まれております。  これまで、企業には自主行動計画を、そして家庭には自主的な国民運動を呼びかけて取り組んできたものの、具体的にはそれぞれのCO2排出量が分からないために、日本全体としての二酸化炭素排出量は増加の一途であります。公約に基づいて提案されたというこの修正案において、カーボンディスクロージャー制度はその状態を解決するためにどう取り組んでいくのか、また本当に効果があるのか、お尋ねいたします。
  7. 村井宗明

    衆議院議員村井宗明君) 今御質問がありましたカーボンディスクロージャー制度についてお答えします。  元々は確かに民主党公約ではありましたが、このカーボンディスクロージャー制度については、与党、野党、そして大臣の前向きな答弁も含めて、お互いに真摯な議論の下、議員立法にて修正をされました。  今質問者が言われたとおり、地球温暖化最大の他の環境問題との違いが一点あります。例えば、ごみ問題や砂漠化などは目に明らかに見えるんですが、この二酸化炭素というものはなかなか目に見えません。においもありません。そんな中で、CO2の見える化にいかに取り組むのか、それが衆議院環境委員会与野党とも真摯で議論し合ったのが今回のカーボンディスクロージャー制度です。企業部門においては、特に有価証券報告書などを念頭に置いてCO2排出量をどう公開するかについて検討をすること、そして二点目として、家庭部門においては、電気ガス燃料などのエネルギー事業者協力していただいて、それぞれの家庭でのCO2排出量を分かるように努力義務を課そうというのが今回の改正案です。  それに伴って、先ほど環境大臣からもこの場でお話しいただいたんですが、今環境省としても世界へ向けてこの部分を発信し、しっかりと前へ進めていくという話がありました。与野党とも力を合わせて、この二酸化炭素の見える化に向かって突き進むためにこの法案協力いただければと思います。
  8. 大久保潔重

    大久保潔重君 一般国民皆さんCO2というのが本当に見えませんので、そういう意味ではこれを、排出削減ですね、それを国民みんなでやっていくためにも、是非その見える化の推進というのが必要なのであるというふうに私も考えております。  さて、今回の修正案附則の三条についてちょっと質問いたします。  これまでもCO2排出量情報開示においては、一定規模以上の事業者による国への報告義務、また環境報告書という二つ制度が存在をしました。今回の法改正で新たに提案されたのは、今までの制度が不十分だからでしょうか。であるならば、何が不十分なのか、お示しいただきたいと思います。
  9. 村井宗明

    衆議院議員村井宗明君) 今おっしゃられた質問なんですが、国への報告義務部分、そしてもう一つ環境報告書という二つ報告制度企業部門では今まではありました。しかし、衆議院環境委員会の中の参考人質疑の中で御発言をいただいた部分がありました。それは、国への報告義務で出した数字環境報告書に出している数字が一致しない企業が多い、誤差ならともかく三割ぐらい違っている企業も非常に多く見受けられます。  これはなぜそうなったのか。環境報告書は、そもそも出しても出さなくてもどちらでもいい報告書です。その上、全部書かなくても、例えば三つ工場があれば、環境問題に熱心に取り組んでいる二つ工場についてのみ報告し、もう一つには報告しないということがあっても何ら罰せられることがないし、また、具体的な数字がなくても、私たちは一生懸命取り組んでいますということさえ記載してあれば十分でした。  そこが環境報告書では今まで足りなかったところであり、二点目として、国への報告義務も残念ながら一年遅れでの公表になってしまいます。もちろん、国に報告するということも非常に重要なんですが、それよりも直接それぞれの企業が開示する制度になる方がタイムリーな情報公開ができるんではないかということが、与野党とも衆議院環境委員会議論し合った方向です。
  10. 大久保潔重

    大久保潔重君 これまでの制度で不十分な点というのの御指摘いただきました。  今回の修正案附則の三条について先ほど質問しましたけれども、同じくこの修正案において、新たな第二十一条の十一という項目が追加をされております。その中では、例えば電気ガス燃料などのエネルギー供給を行う事業者は、一般消費者に対して各家庭におけるCO2排出量の把握に必要な情報提供をする旨が記載されております。この趣旨は何であるのか、また、これまでの環境家計簿制度では不十分なのか、理由を聞かせていただきたいと思います。
  11. 村井宗明

    衆議院議員村井宗明君) それぞれの家庭CO2排出量の課題ですが、例えばここにおられる環境委員会皆さんでも、御自分の家のCO2排出量は分かるでしょうか。今、政府としては、それぞれの家庭でのチーム・マイナス六%であったり、一人一日一キログラムのCO2削減を一生懸命呼びかけています。もちろん真摯な呼びかけをしているし、その努力は賞賛に値するんですが、例えばここにおられる皆さんでも、そもそも自分の家で何キログラムCO2を出しているのかが分からない状態にあります。環境省としても環境家計簿を付けてほしいということを呼びかけているんですが、具体的に言えば、やはり〇・五%ぐらいの人しか自分の家の環境家計簿を付けてCO2排出量を把握している人がいません。  そんな中で、私たちは考えました。そうです。エネルギー事業者協力をしてもらえば、それぞれの家庭CO2排出量が分かるということです。例えば電気が何キロワット使ったというのが分かれば、それに排出係数を掛ければその電気に基づく家庭CO2排出量が分かるわけです。例えばガスについても、ガス何立方メートル使ったとなれば、それに排出係数である例えば二・二一を掛ければその家で何キログラムCO2排出したのかが分かるわけです。  今回はそれぞれの企業努力義務としましたが、例えば電気ガスでいえば、検針票などに記載してもらう、場合によっては明細書、場合によっては請求書でも結構なんですが、それぞれのエネルギー使用料に基づくCO2排出量を小さくてもいいから記載していただくよう努力義務を付けることによって、今まで家庭では全く分からなかった自分たちCO2排出量が分かるようになる、それが今回の改正案目標です。
  12. 大久保潔重

    大久保潔重君 今回の法改正で、情報提供、その通知方法まで具体的にお示しいただきました。検針票なのかあるいは領収書なのか明細書なのか、是非これを具体的に検討を進めていただいて、そしてしっかりとした情報提供一般消費者に対しても行うことによってお互い排出量削減努力をやっていこうということで、非常に共感するところであります。  せっかくですから、村井議員に最後一点。  企業に対して我が党、民主党公約の中で示しておりました有価証券報告書への記載について衆議院においてはどのような議論がなされたのか、そして、その有価証券報告書への記載についての今後検討すべきことなどありましたら、お答えいただきたいと思います。
  13. 村井宗明

    衆議院議員村井宗明君) 皆さんも、お聞きしたいことがあります。それはこの国を動かす最大のパワーは何かということです。この資本主義の国においては、やはり資本お金が国を動かす最大の力となっています。今や国際金融は国境の壁を飛び越えてあちこちに何百兆円というお金が行ったり来たりして、それが社会を動かしています。  もちろんそれぞれの有価証券報告書には、どの企業がどれだけもうかりそうか、それからどういう実績を上げているのかが記載してあって、それに基づく投資、これが基本であることは言うまでもありません。ただ、この国を動かしているこの資本ルールの中に環境というファクターを盛り込むことが、本当に社会を変えていく、そして未来へ向かっての大きな一歩を踏み出すものであると私たちは確信しました。  二〇〇七年のダボス会議においても、今、気候情報開示委員会という特別な委員会が設置され、環境金融をどう結び付けるのかについて真摯な議論がされています。また、アメリカにおいても同様に、多くの機関投資家CO2排出量情報開示を求めていっています。  まさにこの世界を動かしている金融資本の中に、この動きの中に環境というファクターを入れれば、この国の未来、そして世界流れを変えていき、環境関連投資を増やしていくことができると私たちは考えています。その上で今回はあえて検討ということにさせていただきました。環境というファクターがそれだけ金融流れ全体に影響を与えるほど重要なものなのかどうかについての議論はあると思います。私はそれだけ環境というものが経済と密接な結び付きがあるものだから有価証券報告書も含めて検討していくべきだというふうに今回の文言を入れさせていただきましたが、今後は環境大臣を始めとして金融庁皆さん方と一緒にしっかりと真摯な議論をし、環境金融をどれだけ結び付けていくのか、環境経済の両立を図るルール作りが求められている、そのための検討が今回の附則でございます。
  14. 大久保潔重

    大久保潔重君 経済活動と本当に環境問題というのは一見相反するような部分もございますけれども、しかし地球温暖化の問題も含めて、この環境問題というのは本当に国内においても事業者、各御家庭一体となって取り組むべき問題でありますし、また世界がやっぱり一丸となって取り組むべき問題だと思います。これは本当に一つ方法として、またこれからいろんな克服しなければならない問題もたくさんあるでしょうけれども、是非それはまたいろんな議論の中で方向性を出していければというふうに思っております。ありがとうございました。  次に、政府にお尋ねをいたします。  今回の法改正で、事業者国民日常生活における温室効果ガス排出抑制の取組に寄与する措置の努力義務が明記されております。しかし、イメージがわかないのであります。具体的にどのようなことを考えておられるのか、また排出抑制を支援する役務提供者協力とはどのようなことを想定しておられるのか、お答えしていただければと思います。
  15. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 今般の法律提案におきまして、事業者について二つ指針を作ってその努力をお願いしたいと思っております。  一つは、もちろん物づくりなどの過程において、あるいは車を走らせる過程において出てくるものをいかに減らすかということでございます。  もう一点が、今お話ございましたやはり家庭部門なりの削減を図る上で多くの方々が必ずしも詳しい知識がお持ちではないし、やはり製品なり役務を提供する企業でなければ分からないという内容もあるわけでございます。そういったものを、そういった情報を持っておる企業の方から日常生活における削減に必要な情報を提供してもらって、それで全体としての削減を進めたいということが趣旨でございます。そのためには、製品あるいはサービスを購入する際にできるだけ正確な情報を提供するということでございます。  例えばでございますけれども家電製品などを想定しますと、買換えによりまして一年間どういう形で使えばどの程度CO2排出量削減されるかといったこと、それから製品使用方法によってまたどの程度CO2排出量が変わるのかといったことも必要な情報でございます。それから、もちろんこれ車も同じでございまして、車についてもその方法によって変わるわけでございます。  したがいまして、様々な分野ございますけれども、よりCO2排出量の少ない製品の購入あるいは使用方法、様々なことを見直しまして、是非ライフスタイルビジネススタイルが変わるようにと、そういうふうにしたいと考えております。
  16. 大久保潔重

    大久保潔重君 今回の改正案の中で排出抑制等指針イメージということで以前説明をいただきました。その中で、排出抑制のための対策メニューあるいは排出原単位の望ましい水準などということでありますけれども事業所において事業活動を伴うそういった事柄について今後どのようなベンチマークといいますか、お示しされるのか、ちょっと教えていただければと思います。
  17. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) このベンチマークでございます、今回私ども法律をお通しいただければ是非とも早い時期にその準備に着手をしたいと考えております。  基本的には、排出抑制を努める上でその目標にすべき望ましい水準でなければならないということでございます。国際的な分析もいたしまして、例えばオフィスにおける床面積とかあるいはまた物の一トン当たりの生産とか、そういった各事業分野によってベースになるものは違いますけれども、各事業分野のその事業活動規模活動量を示す適当な指標を作りまして、それに対して温室効果ガスがどれだけに抑えられるのか、どれだけ出るのかということについての水準を示していきたいと考えております。これにつきましては、もちろん経済的な面の勘案は必要でございます。その上で、一般的な事業者最大限効率的な設備導入や適切な方法による利用を行った場合に期待される水準ということでございます。  なお、当然私どもとしましては、その水準数字のみならず、その数字の前提としてはどういう設備導入あるいはどういう設備利用方法と、そういったことも併せて示していきたいと考えているところでございます。
  18. 大久保潔重

    大久保潔重君 そういう水準のみならずということでありますので、是非そういうのを提示していただいて、どんどんどんどん促進していただきたいと思います。  先ほど話のありました、CO2というのが見えないものですから、例えば日常生活における家電製品等先ほどもありましたけれども、そのCO2見える化、この具体的これからの推進に対して政府の御見解があればお聞かせいただきたいと思います。
  19. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 御指摘のとおり、CO2は他の汚染源と全く違う特徴を持っております。見えない、におわない、しかも身近なところでの害がない、健康被害などがすぐ及ぶわけではないということで、全く違う形の物質だというふうに考えているところでございます。そのため、私どもとしましては、具体的に様々な見える化の努力をしていきたいと思っております。  例えば、私ども日常生活におきまして、温室効果ガス排出量削減に関する情報提供の問題、それから消費者選択の材料となるような同種の製品についてのメーカーごとのCO2排出量の違いとか、そういったものなどを踏まえまして、それを例えば具体的にエコポイントに反映すると、そういったことも考えているところでございます。
  20. 大久保潔重

    大久保潔重君 次に、自治体による実行計画といいましょうか、それについて質問いたします。  これまで、都道府県や市町村が率先して削減努力を行うという地方公共団体の実行計画は、どうも内向きな実行計画の印象を持っております。今後はもっと外向きな地方自治体の実行計画を策定する必要があると考えますが、今回の改正で実行計画の、地方公共団体のですね、実行計画の拡充というふうに書いております。具体的な内容があればお示ししていただきたいと思います。
  21. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 委員御指摘のとおり、これまでの実行計画が内向きだったのは事実でございます。これは、印象のみならず仕組みがそうなっておりまして、各県あるいは各市町村の自分たちの事業に関して、全体としてCO2をどれだけ発生しておるか、またそれを踏まえてどう減らすかということで制度ができているわけでございます。したがいまして、市民全体に対してあるいは県民全体に対してどのように協力をいただくかという観点が計画にはなかったわけでございます。  今回、私ども、そういった状況を反省いたしまして、やはり地域全体としてどのように取り組んでいただくかということでのオーガナイザー役ということを各県あるいは特例市以上の市に期待をしたところでございます。例えば、その一つが化石燃料以外のエネルギー利用促進でございまして、太陽光とか風力とかバイオマス、地熱と、そういったことの検討も是非お願いしたいと思っておりますし、また、駅へのアクセス等の改善とかあるいは風の道の確保による地域環境の改善と、それから、当然ながらその地域の事業者との連携による幅広い削減方策の樹立、また廃棄物につきましても、分別収集の強化のみならず、メタン回収とかあるいは熱回収、そういったことを含めて見ていただこうということで、御指摘のとおり、外向きの施策にしていきたいということでございます。
  22. 大久保潔重

    大久保潔重君 是非、そういうことで地方公共団体にもやはり外向きな概念を持って、この削減努力といいますか、政策を是非進めていただきたいというふうに思っております。  今ちょうど答弁の中にバイオマスなんという言葉が出ました。今後、この地方公共団体の計画策定に対して、例えばバイオマスなどの自然エネルギー、これを導入促進、国としてこの計画にどのように関与していくというか、かかわっていこうというスタンスであるのか。と同時に、環境省全体の立場としてこの新エネルギー政策について今後どのように推進していこうと考えておられるのか、お尋ねいたします。
  23. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) まず、国の関与でございますが、私ども基本的には是非各地域でオリジナルに考えていただきたいと思います。もちろん、全体的に私どもこういった法律上細かく案を作ってお示しする以上は、マニュアルを作りまして、またそのデータも国際的な情報も含めてお付けして、各地域での取組が進むようにしたいというふうには考えます。ただ、あくまでそれを踏まえて是非地域で考えていただきたいと思いますし、その中で、特に私ども、今回の新しい条文の中で、県や指定都市などが計画を達成していく上で必要があれば国の役所について必要な協力を求めるといったことも入れたわけでございます。  したがいまして、もちろん私ども、設置段階から国、環境省のみならず各省協力して対応いたしますけれども、その後も、作りっ放しでなくて、各地域で動かす際に、それを動かしていくときに、国の対応が必要な場合には当然国として必要な協力ができるという形で条文上まとめさせていただいたところでございます。  それから、新エネでございます。  新エネにつきましては、何といいましても、長期的に考えれば、日本自身が化石燃料がほとんどゼロに近い国でございます。これから世界の需要が高まる中で、値段も上がっておりますし、やはり日本自身がいち早く脱炭素化、脱化石燃料という姿勢を明確にしていくことが必要だと思います。これはCO2対策としても必要でございますし、ある種、国としての長期的な安全保障という意味でも是非必要なことだと考えております。  環境省自身の予算は少のうございますけれども、私どもも、新エネルギーを地域で導入していくということについては、街区まるごとCO2削減事業といったような形で、ごくわずかでございますけれども支援をしております。また、そういった支援を行う中で、私どもも具体的な各地域の取組を見ながら新しい方策を考えていきたいと考えているところでございます。
  24. 大久保潔重

    大久保潔重君 地方はそれぞれ地域のいろんな実情もございますので、その地域地域に合ったエネルギー政策というのを、国としてもいろんな情報を提示していただいて、御支援をしていただければというふうに思っております。  新エネルギーといいますのは、もちろん環境にいいという問題だけじゃなくて、やはりそれそのものが科学技術の振興であります。我が国は本当に資源に乏しく国土も狭いという状況の中で、やっぱり自然環境に配慮した産業の育成という意味でも、新エネルギーの開発促進といいますか、是非環境省が大きく大きく積極的に関与していただいてその促進をしていただきたいという私の個人的な思いであります。  話が飛び飛びになりますけれども、次にCDMクレジットについてちょっとお尋ねをいたします。  これはクリーン・ディベロップメント・メカニズム・クレジット、この今の現状と国際的な評価はどうなっているのか。そして、環境省内でいろいろ議論されていると思いますけれども、今後積極的な取組になり得るのかどうか。それから、今回の改正案でも植林CDM事業についていろいろ記載がなされておりますけれども、この植林CDM事業の利点と不利益といいますか、メリットとデメリットがあればちょっとお示ししていただきたいというふうに思っております。
  25. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) CDMにつきましては、実は国際的な評価は様々でございます。CDMにつきまして、当然ながら大変、何ですかね、喜んでいる国もございます。やはり現在のCDMといいますのは、実際にCO2などの温室効果ガス排出するとその国が、途上国を想定しておりますけれども、その国に対して協力をするとその国での排出削減努力がクレジットとなりまして、それが商品として出回ると、それを購入するということで、そういう間接的な影響によってその途上国の技術開発を促進し、その削減を図っていこうと、そして先進国だけで下げられない部分についてそういった部分で賄っていこうということでございます。  したがいまして、やはりある部分が商品化いたしまして値段が付いていく、その結果としまして、非常に金の掛かる対策であっても、その一トンを減らすのに例えば二十ドル、三十ドル掛かるものであっても、また逆に一トンを減らすのに一ドルも要らないような対策であっても、同じような値段が付く場合が多うございます。これは様々な場合がございます。  ただ、そういったこともございまして、本当に元々このCDM制度がねらっておった途上国の技術開発に役立つと、途上国を含めた世界的な削減に真に役立つものになっているかどうかについて批判も随分あるということは御承知のとおりでございます。これをとらえまして、温暖化対策というのはマネーゲームじゃないかというような強い批判をされる方も多うございますし、現在の温暖化対策を批判する中で最も多いのがこの分野じゃないかというふうに私自身は承知をしております。  ただ、この分野につきましては、昨日までの環境大臣会合でも実は話題になりました。その中で、これにつきましては、済みません、ちょっとすぐ出てこないんですが、議長サマリーにもその部分が反映されております。  例えば、昨日のサマリーの中では、CDMプロジェクトにつきまして、CDMプロジェクトの推進のインセンティブを与える推進力ということで、炭素に価格を付けるということが大事だという話もございましたし、またもう一つ、このCDMにつきましては、持続可能な開発に貢献できるようにCDMを改良するということの必要性も指摘されたわけでございます。  したがいまして、様々な議論がございます。ただ、私どもとしましては、これまでやはりCDMについては役立っている部分もあるわけでございます。例えば、まず日本の取組でございますけれども、これにつきましては、これまで政府におきましては、二〇〇六年度で約六百四十万トン、それから二〇〇七年度におきましては千六百六十万トンの取得契約をいたしました。五年間で一・六%に当たる約一億トンのCO2部分を購入するという計画でございます。これについては、第一約束期間京都議定書を守るためにもしっかりやりたいと考えているところでございます。  ただ、いずれにしましても、できるだけやはり購入する限りは、政府として安く買うという努力をするのは当たり前でございますので、CDMだけでなくて、京都メカニズム全体の中にございます、例えば枠の余っている国から環境投資をしていただく前提で直接枠を買ってくるようなシステム等がございますので、そういったことも含めてできるだけ幅を広げて選んでいって、できるだけ税金でございますので安く効率的に買う努力はしていきたいと考えております。  なお、森林のお話もございました。  森林自身は非常にその保護が大事でございますし、現在の世界排出量のたしか一七・五%程度が森林破壊からのCO2排出でございます。そういう意味では、やはり森林の問題は大事でございます。  現在は森林については、森林を守ることの価値は制度に反映されませんで、植林をした場合のCDMに活用できるというだけでございます。ただし、これ自身が、それこそ山が燃えたりあるいは山が崩れたりしたらまた消えてしまいますので、そういったことの手続は今回の法改正で行いますけれども、やはり森林植林のみならず、森林保護の扱いということについては、今後のポスト京都も含めて、私どももしっかりした意見を持って世界的な議論に貢献していきたいと考えております。
  26. 大久保潔重

    大久保潔重君 CDMのクレジットについて本当に詳しく説明をしていただきました。  先ほども言いましたように、経済活動環境というのは一見相反するところがあるわけでありますけれども、しかし、この環境問題はやっぱり急いでやらなければいけない。ですから、やっぱり経済的インセンティブを与えていくということも非常に大事なことだと思います。  そういう意味では、今回の本改正案の中で、例えば国内排出量取引の問題、あるいは排出される炭素に課税をするような税制といいますかね、いわゆる環境税などについての明記がなされておりませんけれども地球温暖化に対する非常に重要なこれらの政策について今後とも積極的な検討をしていただきたいと思います。  もう時間がございません。最後に、鴨下環境大臣、昨日までのG8環境相会合、本当にお疲れさまでございました。いよいよ七月に迫った北海道洞爺湖サミットで議長国として世界議論をリードしていかなければなりません。地球温暖化対策推進に関して、米国は、主要排出国でありながら削減義務を負っていない中国やインドなどの新興経済国の同意が大前提との主張を展開しております。仲介役としての日本の指導力が試されるわけであります。  政府として、温暖化対策の包括提案でもあります福田ビジョン等を盛り込むことになると思われますが、環境大臣の今後の取組に対する御決意をお聞かせいただければと思います。
  27. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) 昨日閉幕しましたG8の環境大臣会合、これには私は二つの大きく留意する部分がございました。一つは、七月に行われるサミットに向けての道筋をつくるということと、加えまして、来年のコペンハーゲンで行われますCOP15、これに対して我々が貢献できるようにと、この二つを留意して臨ませていただいたわけでございます。  具体的には、二〇五〇年までに世界全体の排出量を少なくとも半減させるいわゆる長期目標につきましては北海道洞爺湖サミットで合意することに強い意思を表明すると、こういうようなことの議長総括をまとめさせていただいたわけでありますし、また、議長総括の中には、世界全体の排出量半減に向けて先進国が大幅な削減を達成することにより主導すべきと、こういうようなことと同時に、具体的には例えば中国、インド、ブラジル、こういうような国を含めた排出量が急増している新興工業国、こういうようなところの排出量の増加のスピードを抑制すべきと、こういうようなこと、あるいは今先生おっしゃったような排出量取引につきまして、炭素に価格を付けることの意味、こういうようなことを我々としてはしっかりとある意味で取りまとめて、そしてこれを洞爺湖のサミットに向けてしっかりと強い形でインプットしていく。そして加えて、これはG8国だけではありません、むしろすべての国が参加をする来年のコペンハーゲンでのCOP15の成功に向けて、この会議が意義あるものにしたいと、こういうようなことを申し上げてきたところでありまして、引き続き、今議長総括でまとめたことにつきましても、政府、それぞれの関係者にしっかりとインプットしてまいりたいというふうに思っております。
  28. 大久保潔重

    大久保潔重君 終わります。
  29. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新日本の福山でございます。今日は四十分ですので、時間ありませんので早速質問させていただきたいと思います。  大久保先生からも最後にお話がありましたけれども環境大臣サミット、鴨下大臣、御苦労さまでございました。私は、野党の立場ですし、温暖化対策を推進するという立場でいつも申し上げますから、国際会議のたびに、日本のポジションはまだまだ足りないと、もっと頑張れというお話をさせていただくのが常でございまして、いつもその話をさせていただいて、今日も同じような話になりますが、まあ言い続けることも重要だと思いますので、大臣、そこはお許しをいただいてお聞き及びいただければと思います。  私は、大臣のポジションはなかなか厳しいところで、経産、環境、官邸、いろんな思惑もあり、当日も、実は二十四日のステークホルダーとの対話でも、経団連さんと経済同友会さんがそれぞれ若干別のトーンで話をされたとかいろんな話が入ってきておりますし、国際会議ですからこちらの思うとおりにいかないのもそれも常でございます。  その中で私は、まあ合意としては今でき得る鴨下大臣の範囲では非常に御健闘されたんだというふうに実は評価をしております。ただ、日本のポジション、ずっと言われてきたポジションから余り変化がないことも事実でございまして、今まで日本のポジションを言っていたことをもう一度確認をしたという評価もできると、ただ確認をしただけだという評価もできるということもあります。  まず、大臣、今御答弁もいただきましたけれども、このG8の環境サミットに対する御自身の御評価をお聞かせいただけますでしょうか。
  30. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) 自分の評価はなかなか難しいものですから、具体的に少しその経緯について申し上げます。  G8のほか中国、インドなど合計十九の国、地域、環境大臣あるいは担当者が集まって、具体的には気候変動、そして生物多様性、3Rのこの三分野について議論をしたわけでありますけれども、今先生御指摘の気候変動に関しましては、これは二〇五〇年までに世界全体の排出量を少なくとも半減させる長期目標を洞爺湖サミットでの合意とすることに強い意思を表明した。また、低炭素の社会の研究ネットワークづくりなどについて、神戸イニシアチブと名付けた今次の会合のフォローアップのための活動と主要国の対話の提案について幅広い支持が得られたわけでございます。  今先生おっしゃっていますように、日本の中にも各種異論のあるステークホルダーもおいでであります。そういう中で、我々は政府の一員として対外的にあるいは国内的にいろいろなメッセージをこの会合で発しようと、こういうような思いで臨ませていただきました。  繰り返しになりますけれども一つは洞爺湖での議長国としての使命、役割が果たせるように、環境分野においてある意味で我々環境の分野に携わっている人間の言わば合意をいかにつくっていくかということと、加えて、G8あるいはアウトリーチ国含めた皆さんとの議論の中では、COP15に向けての言わばすべての国が参加する新たな枠組み、これに対して貢献できるようにと、こういうようなことでございました。  それぞれ御批判もあり、なおかつ不十分なところもあると思いますけれども、一歩でも二歩でも前に進めると、こういうようなことにおいては私はそれなりに前に進んだかなと、こういうふうには思っておりますけれども、まだまだこれはゴールにたどり着くには一合目、二合目かも分かりませんので、引き続き努力をしたいというふうに思っております。
  31. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 その中で長期の半減は何とか洞爺湖でという議論ですが、やっぱり各論の違いで明らかになったのは中期目標だというふうに承っております。中期目標の設定についてはどんな議論がされて、大臣としてはどんな思いだったのか、お聞かせをいただけますでしょうか。
  32. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) 中期目標については、もうかねてから申し上げていますけれども、ちょうど京都議定書におけるマイナス六%を日本がいつのタイミングで打ち出し、なおかつ、それについて国際的な批准に至るまでのプロセスというのはございましたけれども、この中期目標というのはある意味で私は全く同じ意味を持っているんだろうというふうに思っておりまして、この度の環境大臣会合においては、これはIPCCの科学的知見を考慮して実効的な目標を設定する必要があると、こういうような結論に至りました。  また、今後十年から二十年の間に世界排出量をピークアウトさせるためには、先進国が率先して国別総量目標を掲げ対応するとともに、特に排出量が急増している途上国は排出増加のスピードを抑制することが重要との結論を得ておりまして、これはある意味で特に途上国が排出増加のスピードを抑制すると、こういうようなことに中国、インドを始めとして参加した途上国がコミットしたと、こういうようなことは私はかなりの意味を持つことなんだろうと思います。特に、インドについては我々はまだ未知数でありましたけれども、今回インドの環境大臣からそういうような御発言があったと、こういうようなことは大きく評価ができることなんだろうというふうに思っております。  また加えまして、これG8国で、これは議長サマリーですから合意文書じゃありませんけれども、今後十年から二十年間の間にピークアウト、こういうようなことを総理はかねてからダボス会議以降お話しになりましたけれども、これについてもG8で格段の異論がなかったと、こういうようなことも特筆するべきことなんだろうというふうに思っております。  加えて、先生がかねてから御指摘いただいている中期目標については、その書きぶりについても随分いろいろと事務レベルあるいは大臣レベルでも議論があったわけでありますけれども、最終的に実効的な目標を設定すると、IPCCの科学的な知見を考慮してという前提に立ってですが。ですから、読みようによっては先生がかねてからおっしゃっているようなところに徐々にたどり着きつつあるのかなと、こういうふうに思っておりますので、是非、更に我々も頑張りたいというふうに思っております。
  33. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 大臣言われました、中期目標に半歩ぐらい前進だったということは、それは評価をしたいと思いますし、インドが本当に未知数だったところが、大臣おっしゃられましたように新たな計画を出すんだということを発表したことも一つの成果というか一歩だと思いますが、済みません、大臣、私が今聞き間違えたのかどうかはよく分かりませんが、少し最初のころに、今の発言の冒頭ですが、ちょっと確認しておかなければいけないような話をされたように気が付いたので、ちょっとだけ確認させてください。  中期目標議論京都議定書の六%と同じような意味だとおっしゃいましたね。それは、済みません、ちょっと僕、そこは重要なところなので、ちょっと聞き捨てならないなと思ってもう一回確認をさせていただきたいんですが、大臣、もう一回お答えいただけますか。
  34. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) 私の前提の話として、国際交渉において中期目標というのは、かつて京都議定書のときの国際交渉の意味で、日本がマイナス六%を約束したわけですけれども、それと言わば同じような意味を持っているというような趣旨でありまして、中期目標とマイナス六%は何ら関係はありません。
  35. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 もちろん私もそう思っていますが、京都議定書の六%を、今回、二〇五〇年という大きい長期目標の中で議論している二〇二〇年と同じような意味合いだというふうにとらえられるのは、実は日本政府のポジションとしては大分後退をしているポジションだと思います。  それはなぜかというと、あの六%に対して日本政府はずっと、EUが有利だったとかあの六%は京都議定書の交渉上の失敗だったというような議論があります。その意味合いでとらえると、実は中期目標というのは日本としては余り有り難くないという空気にもなりますし、あの京都議定書のときには、まずは取りあえず各国で削減目標をつくりましょうと、第一約束期間はこれで設定しましょうということで、先の話が実はありませんでした。  今回は、二〇五〇年世界半減という大きい目標があった中でのプロセスの中の中間的な意味での中期目標ですから、京都議定書の中の六%とは意味が僕は大分違うと思っていますし、それと同じ意味合いで位置付けをすると、中期目標の位置付けが非常に日本政府としてはネガティブな印象が残る。それは僕は余りいいことではないと思いますので、大臣、私が考え過ぎなんだったら考え過ぎだと、そんな意味合いではないというふうに否定していただくんだったら否定していただいても結構ですが、そこは少し、済みません、もう一度御答弁いただけますか。
  36. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) そういう趣旨では、ちょっと例え方が、私の例え方が不適切だったのかも分かりません。  先生おっしゃるように、これから我々は中期目標については野心的にやっていかなければいけません。ですから、マイナス六%を決めたときと時代状況あるいは長期目標、こういうようなことについても全く違うわけですから、そういう意味においては私は先生と意見を共有しております。ただ、国際交渉という意味において日本がどういう目標を掲げるかと、こういうようなことでいえば、まああのときのマイナス六%と同じような意味で中期目標というのがあるんだと。ただ、中身については全く違います。  それから、今おっしゃった先生の趣旨は、私はほぼ一〇〇%共有した上で話をさせていただきたいと思っています。
  37. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 それならば、大臣のお言葉を信用したいと思いますが、あのときの日本のポジションは元々はゼロ%、プラス・マイナス・ゼロ%のポジションで交渉に臨みました。結果として六%になったわけですが、その間に吸収源やCDMの議論もあって、日本としては実質的にはマイナス〇・六%というところのポジションに落ち着いたわけです。  ただ、さっきから何回も申し上げていますように、日本政府京都議定書に対する評価というのは非常にネガティブな評価が多いので、是非中期目標に関しては、余り京都議定書の六%を引き合いに出して議論を私はしていただきたくないと思いますので、大臣、そこは今の御答弁を信用しますが、よろしくお願いしたいと思います。  また、排出量取引、税制上の問題について、経済的手法の問題についてですが、議長サマリーの中には、排出量取引、税制上のインセンティブ、パフォーマンスに基づいた規制、料金あるいは税及び消費者ラベル等の市場メカニズムは、炭素に価格を付け、価格シグナルを提供することを支援することが可能であるとともに、民間部門に対する長期的かつ確実な経済的インセンティブやCDMプロジェクトの推進のインセンティブを与える潜在力があり、一層の排出削減を進める上で効果的かつ有効な手法との認識が共有されたというふうにサマリーには述べられました。私は、これは日本の中で国論が二分している排出量取引についての評価としては非常に前向きな評価をサマリー上されたというふうに思っておりまして、これは大臣の強い意思の表れかなと思ってこれは大変評価をしています。  しかし、問題はこの表現をいかに日本国内排出量取引導入に対して反映をさせるかというのが重要なポイントだと思っておりまして、おとといでございます、まさに二十六日にG8の環境大臣サミットが終わったその日に例の官邸で行われている地球温暖化問題に関する懇談会において発表された排出量取引制度については、まさにこのサマリー、国際的なところで議論されたサマリーと国内での官邸での議論は全く逆のことが書いてあります。  なぜかといいますと、両論併記があって、この点で欧米でも試行錯誤が続いており、当面は自主行動計画で対応し、予断を持たず慎重に検討すべきという意見とがあったと言って、世界の潮流であるという意見と慎重な意見があり、欧米の動向を注視しつつ我が国の実情を踏まえた国内排出量取引制度について更に検討を継続することとするというふうに先に送って両論併記をしたと。これまさに議長が御苦労された話と国内での議論が余りリンクをしていないと。  日本のこの議論は、延々と私の記憶でも五年ぐらいこの議論を続けています。もうそろそろ国内の決着が必要だと思いますので、大臣はサマリーをまとめられたお立場ですから、その決意、いつもいただいておりますが、もう一度いただければと思います。
  38. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) 我々も、低炭素の懇談会の中間取りまとめを意識しつつこの議長総括にも臨んでおりました。ですから、冒頭申し上げましたように、この議長サマリーを強く国内にインプットしていくというような趣旨もあったわけでありまして、この七パラのところの排出削減のための経済的手法の活用、こういうようなことで、多くのといいますか、ほとんどの国が炭素に価格を付けると、こういうようなことについては御賛同をいただいているわけでありますので、これは、国内のこの問題について多少消極的なステークホルダーの皆さんにもこのことをかみしめていただきたいというふうに私は思っております。  ただ、やはりこの七パラの後ろの方の、後段のところに各国の事情をかんがみつつと書いてありますので、ここがその中間取りまとめと整合を取りつつまとめさせていただいた深い意味もあるわけでありまして、是非、我々としては積極的にこの議長総括、これは各国の言わば特段の異論のないところでまとめさせていただいたことでありますので、国内にも大いに参考にしていただきたいというふうに思っておりますし、私たちとしてもこの取りまとめた責任としてしっかりと国内にも働きかけてまいりたいというふうに思います。
  39. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 ありがとうございます。  また、これも議論になっておりますセクトラルアプローチについてもサマリーにちゃんと表現をされました。私もセクトラルアプローチ、いつも申し上げているように、否定をするわけではございませんが、まさにこの議長サマリーに書かれていますように、ボトムアップアプローチによる削減ポテンシャルとトップダウンアプローチにより計算される必要な削減レベルとの間に生じ得るギャップは環境の十全性を確保するために埋められる必要があると。これらのギャップは政策措置、革新的技術や国民などによるライフスタイルの変革などによる更なる削減の模索によって埋めていくことが可能であると。セクター別アプローチは国別総量目標を設定するためのものでこれを代替するものではないことが明確化されたと。  これサマリーに書かれていまして、これも大臣がこれまでどおり御議論いただいていたことを表現されたと思っておりますので、これも私自身は評価をしておりますが、ここで明らかに、セクター別アプローチというのは一つの国別総量目標を設定するための方法だと、手段だと。それは国別総量目標とは違う、代替するものではないんだと、はっきりとこれ書かれています。やはりこのことは非常に重要だと思いますので、そのことの再度の確認と、それから、例のギャップを埋めることの認識は重要なんですが、ここどうするんだというのが最大の課題でございまして、具体的な手法として。このギャップを埋める政策措置としてどう、何を考え得るのかということについて、大臣の現段階での御所見をお伺いできればと思います。
  40. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) セクター別アプローチの有効性については、多くの国から御評価をいただいたというふうに考えています。特に、今先生おっしゃっているように、このセクター別アプローチは、削減ポテンシャルとトップダウンアプローチによる計算される必要な削減レベルとの間に生ずるギャップ、これが起こり得るんだという認識であります。そして、それは国別総量目標とを代替しないと、こういうようなことを明確に私たちは言わせていただきました。それに対して多くの国がこのことを理解したと、こういうことであります。  ただ、今おっしゃったように、このギャップをどうするのかという話は、これはその前に議論されました経済的な手法の活用に尽きるわけであります。我々は、例えばサプライサイドの中には優れた環境技術たくさん日本は蓄積があります。それから、今度はデマンドサイドの中には大変環境に対して意識の高い国民皆さんがいらっしゃいます。この間をつなぐことがいかに必要かと、こういうようなことがこの行間に書かれていると、こういうことでございまして、これは議長総括をばねに更に、今先生が御指摘いただいたことも含めて、我々としても働きを強めていくと。そして、一つのきっかけとして洞爺湖サミットというのが大きな節目になるんだろうと、こういうふうに考えております。
  41. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 ありがとうございます。  まさにそのギャップを埋めるのが経済的措置で、そのことの具体案を早く日本としてもやっていこうということで、民主党もこの間、実は地球温暖化対策基本法という議員立法の中間報告を出させていただいて、その場でも経済的措置について明確に述べさせていただいたところでございますが。  本法案で、改正法で新しく新設されました二十一条というのがありまして、これは排出抑制等指針公表することになっています。排出抑制等指針には、事業者向けに排出原単位の望ましい水準としてベンチマークが設定をされている予定みたいですが、この位置付けとか内容が非常に重要になります。それは一体どのようなものかと。  それから、これは逆に言うと、ベンチマーク排出原単位の望ましい水準を設定をするということは、国内版のセクター別アプローチというかベンチマークを作っていくということになります。このことは今後の排出量取引制度が例えば導入をされた場合にも非常に大きな要素になると思っているんですが、この改正法二十一条の指針というのは、将来的も含めて、こういった経済的措置に対して視野に入れ、なおかつ有効に活用できるようなものにしようとされるおつもりなのかどうか、お答えをいただけますでしょうか。
  42. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 恐縮です。技術的なことですので、私の方で答えさせていただきます。  まず、この指針でございますけれども、望ましい水準でなければいけないということは当然でございます。具体的にその指針の中身としまして、各事業所、これは工場もございますし、オフィスもございます。また、各業種ごとにできるだけ分かりやすく細かく細分いたしまして、その中でどういう施設がどういう対策が可能なのか、施設の設置、それからその施設の管理方法、そういったことを国際的な水準も見ながら洗い出したいと。その上で、できる限り原単位という形のベンチマーク水準もお示ししていきたいと考えているところでございます。  これは、当然ながら経済的な負担ということは考慮しますけれども一般的な事業者努力可能な範囲でできるだけ頑張っていただくと、そういったことを想定して作りたいということでございまして、そういったことの指導、助言によりまして相当対策の、どこまでやればいいのかということが多くの方に分かっていただけるということで、非常にブラックボックスがなくなると、そういったものにしたいと考えておるところでございます。  ただ、当然ながらでございますけれども、私どもこの法案検討する際には、その後の排出量取引についてとか様々な問題について併せて検討したわけではございませんので、それを想定した作業はしておりません。それにつきまして、当然ながら排出量取引の検討については、つい先日、環境省として大臣の御指示の下、四つの案をまとめたわけでございまして、その検討の際にも当然ながら排出の原単位ということが一つ大きなかぎになるということは入っておるところでございます。ただ、これが同じものになるのかどうかと今聞かれますと、私も実は答えようございませんけれども、いずれにしても、仮に排出量取引が可能になった場合に、それについてそれを検討する上での大きな一歩になるような原単位にしていきたいと考えております。
  43. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 仮の話に逆に大変積極的にお答えをいただいて感謝を申し上げます。  いろんな材料を総合的に組み合わせてこれからの排出量取引なり経済的措置については議論していかなければいけませんでしょうし、そのことの総合的な判断がより公平なキャップを付けるときの議論につながると思いますので、有効に活用ができるようにこの排出抑制等指針の策定に当たっては御留意をいただければなというふうに思います。  そこで、ちょっと事前質問にはなかったんですが、南川局長にお答えをいただきたいんですけれども、これ今、事業所とかいろんなところに対して指針を策定することによってより分かりやすく透明性を高めて頑張っていただきたいというような旨の発言がありました。これに対して、どうなんでしょう、何らかのインセンティブだとか国からの補助というようなことのイメージは将来的には可能なんでしょうか。ただ単に事業者それぞれが努力をしているところに負担だけしろという話もなかなかそこも厳しくて、そこは一体、今すぐ結論出なくてもいいですが、そんなこともやっぱり将来視野に入れた中での議論ということでよろしいんでしょうか。
  44. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 私ども、できるだけ望ましいレベルを目指すための指針でなくてはいけないと思います。その結果として、業者によりましては非常に負担が掛かるというところもあると思います。そういったことがなかなか強制的にできないということもあって、実はその指針ということで技術的な助言をやっていくということにとどまっているというのが残念ながら現状でございます。  そういった現状でございまして、私ども環境省自身ができる支援策というのは非常に限られておりますけれども、是非関係省庁とも相談しながら、より高いレベルの対策が取れるような方策ということは今後の宿題として検討させていただきたいと思います。
  45. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 続いて、今回、自民党さん、公明党さんにも大変協力をいただきまして、衆議院側でこの法案修正協議が調いました。そのことに関しては心から感謝を申し上げます。  その修正協議の中で、いわゆる見える化、CO2の見える化についてですが、事業者による温室効果ガス排出量等にかかわる情報に関して、製品等の利用に当たって情報を使う国民に対してどういうふうにその情報を分かりやすく提供していくかということが重要なんだというふうに思います。製品の製造や使用、廃棄に、総合的なライフサイクルの中で、どうCO2排出量情報を提供していくか、政府として何か具体的な考えがあればお聞かせをいただきたいと思いますし、製造段階でCO2排出量の少ない製品を消費者にどのように積極的に選んでいただくというようなことも含めて、何かあればお聞かせをいただければと思います。
  46. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 私どもやはりこれから対策を進めていく上で、日常生活に伴うCO2などの排出減少、大事だと思います。今回、二十条の六の第二項で、特に事業者自らの排出削減以外に、事業者協力をお願いして製造あるいは役務を提供する際に、そこから出てくるCO2などの削減についての協力をするんだということをお願いする条文を入れておるわけでございます。  これを進めていく上では、例えば電気製品などでしたら、一年間どういう形で使えばどれだけCO2が出るかとかいうことを是非製品タイプごとに示していただくとか、同じ製品であればメーカーごとにそういう違いがはっきり出てまいります。それから、その使用方法によってどのような形の変化があるかということもできるだけ分かりやすく、例えばCO2CO2の単位で示していきたいということで考えておりまして、それによりまして、今の消費者は非常に環境マインドが高うございますので効果があると思います。やりたいけれども何をやっていいか分からないとよく言われますので、そういったことも見える化の効果として非常に期待できると考えております。
  47. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 是非そこは積極的によろしくお願いします。  先般、実は私、温室効果ガス排出量の算定・報告公表制度に関する質問主意書を内閣に提出をさせていただきました。実はこの温室効果ガスの算定・報告公表制度では、排出側の権利や競争上の地位やその他正当な利益が害されるおそれのある場合には、権利利益の保護請求という制度がありまして、CO2排出量を開示をしなくてもよいケースがあります。  実は今回、昨年なんですけれども、三十六件、その権利利益保護請求が認められて非開示になりました。また、八十五事業所においてはその同様の権利利益保護請求があったんですが、これは認められずに開示となりました。この非開示三十六事業所と開示になった八十五事業所の違いは一体何だったのか。そして、この非開示となったところで自治体の条例でもう既に公表されているところが、実は国では非開示になっているところがあります。これは何で自治体の条例では開示となっているのに国では非開示とされたのか、経産省、お答えをいただけますでしょうか。
  48. 内山俊一

    政府参考人(内山俊一君) お答えをいたします。  今回、権利利益の保護に係る請求を認めた事業所につきましては、当該事業所温室効果ガス排出量が公にされた場合、一般に入手可能なほかの情報と照合することなどによりましてエネルギーコストや製造原価が推測可能となり、企業の権利、競争上の地位その他正当な利益が害されるおそれがあるとして当該請求を認めたところでございます。  一方で、経済産業省に権利利益保護請求がなされました事業所のうち八十四事業所につきましては、企業の権利、競争上の地位その他正当な利益が害されるおそれがないと判断をいたしました。  権利利益の保護に係る請求を認めるに当たりましては、経済産業省としましては、各種の情報企業環境報告書などの調査を行うとともに、請求を行った事業者に対し、当該請求に係る温室効果ガス排出量に関する情報公表の有無などに関するヒアリングを実施いたしました。その結果、当該調査及びヒアリングにおきましては、委員御指摘の地方自治体による公表の事実は確認できなかったことから、不開示請求を認めたところでございます。
  49. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 そうすると、自治体の条例に基づいて公表されている事実を認識していれば開示するということになったということですか。
  50. 内山俊一

    政府参考人(内山俊一君) お答えをいたします。  不開示請求の認定に当たりましては、地方自治体による公表の事実は認識しておりませんでしたが、仮に、委員御指摘のように、そうした事実を認識していた場合には、当該公表の具体的内容について精査を行い、開示が適当かどうかの判断を行ったものと考えております。経済産業省といたしましてはそういうふうに考えておるところでございます。
  51. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 ということは、再度、その認識、自治体の条例による開示があったかどうかを確認される御意思はございますか。
  52. 内山俊一

    政府参考人(内山俊一君) 経済産業省といたしましては、地方自治体による公表の事実を確認をし、当該公表の具体的内容について精査をしっかり行っていくということでございます。
  53. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 ということは、もう一回確認をされるということでよろしいんですね。いいんですね、今の答弁は。ちょっと最後、語尾が小さかったので。
  54. 内山俊一

    政府参考人(内山俊一君) 確認をいたしまして、開示が適当かどうかの判断を行っていきます。
  55. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 じゃ、確認をしていただいたらまた御報告をいただきたいと思います。  実は、この今般の改正法では、地方自治体への役割に非常に強い期待をされまして、計画作りの義務化などが進められます。その義務化の中に実はこの開示制度がどの程度それぞれの自治体組み込まれるか分かりませんが、やはり排出量の、何というか、透明性、公明性というのは非常に重要だと思います。  要は、この排出量の算出・報告公表制度が充実をしていかないと、今後国内議論される国内排出量取引制度議論においても非常に、何といいますか、必要な制度として準備をしていかなければいけないと私自身は思っておりまして、別に、開示があったからといって、その多排出事業所等について例えばやり玉に上げたり悪者扱いすることではなくて、そのことによって、どうやってその多排出事業所等について具体的に排出削減方法が講じられるか等々をやっぱり議論していかなければいけないと思いますので、私は、今後の、先ほどまさに、議長サマリーにおいてこの国内排出量取引制度の有効性が確認されたことに合わせて、この国内排出の算出・報告公表制度の拡充は不可欠だというふうに思っているんですが、環境大臣と経産省さん、お答えをいただけますでしょうか。
  56. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) 質問主意書の中身につきましては私も拝見をしまして、先生の趣旨は理解をしているつもりであります。  特に、地方公共団体が自らの事務に関して自らの判断と責任で条例を定めることができると、こういうようなことについては、むしろ国よりも積極的になさるところもこれから出てくるんだろうと思っております。  そして、算定・報告公表制度におけるいわゆる権利利益が害されるおそれがあると、こういうようなことの有無の判断に当たりましては、これは厳正かつ公正、公平な判断を行うことを政府基本方針としているわけでありますから、その判断に当たってどういう判断がされたのかということについての透明性が確保されると、これが重要なんだろうというふうに思っておりまして、環境省としては適切なる運用に努めてまいりたいというふうに考えます。
  57. 伊藤元

    政府参考人伊藤元君) お答え申し上げます。  温対法上の温室効果ガス算定・報告公表制度に基づいて事業所ごとの排出量を開示することは、事業者が自主的に排出削減の取組を推進していく上で重要であると考えております。しかしながら、事業所ごとの排出量を開示することにより、事業者の権利、競争上の地位その他正当な利益が害されるおそれがある場合には例外的にその情報を不開示とすることが適当と考えております。ただし、そのような場合であっても、原則として企業単位の排出量を明らかにするなど、可能な限り排出量情報の開示が行われていくものと思っております。  今後とも、温室効果ガス算定・報告公表制度の不開示認定につきましては、引き続き厳格な運用をしていくべきであるというふうに考えております。
  58. 福山哲郎

    ○福山哲郎君 両省から積極的な答弁をいただいたというふうに一応判断をしますが、先ほども申し上げましたように、非開示、厳格な運用といいながら非開示だというふうに国が決めたところは、実は地方公共団体の条例でもう表に出しているものが国は非開示だという、非常に矛盾をした結果が起きていることもありますので、これはやはり非常に厳格で透明性な、大臣がおっしゃられたような形の開示の状況をたくさんつくって、たくさんというか充実をしていかないと、国内排出量取引制度のより実効性を上げるためにも私は必要な条件だと思いますので、是非今後も御努力をいただきたいと思います。  まだまだ聞きたいのですが、あっという間に時間が来てしまいましたので、これで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  59. 広中和歌子

    広中和歌子君 民主党・新緑風会・国民新日本広中和歌子でございます。  大臣環境大臣サミットでのリーダーシップに心から敬意を表したいと思います。私もGLOBEという地球環境国際議員連盟の一員として、前日、神戸の同じ会場に行かせていただきました。環境大臣会議に先立ちまして、NPOの方、国際機関の方、大勢御参加になり、そして危機感を共有すると、地球温暖化に対する危機感を共有するということがあって、そしてさらに環境大臣との対話の時間も持てたということ、本当にすばらしいことだと思いました。今昔の感を持ったわけでございます。いずれにいたしましても、これからの大臣の御活躍を、環境大臣としてのリーダーシップを心から期待するところでございます。  さて、この法律でございますけれども、一九九八年、平成十年にできているわけでございますけれども、恐らく京都議定書の発効をにらんで、どうやって、我が国で温暖化に向けてどのような対策を講じるかということで作られた法律だと思います。そして、今またその法律の一部を改正する法律案が出ているわけですが、そうした法律ができたにもかかわらず、京都議定書の約束の六%削減というのが守られていない、その理由について、どのように大臣はお考えになるでしょうか。
  60. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) 今、まさにこの四月から京都議定書の第一約束期間に入ったわけでありまして、もう既に、例えば目達計画の改定等も含めて、より深掘りをして、二〇一〇年目途にしっかりと取組を明確にして、この五年間の約束期間の間にマイナス六%を実現すると、こういうようなことで、産業界も自主行動計画をより積極的に取り組んでくださっているわけでありますので、先生おっしゃるように、これが達成できないというようなことについては、まだ結論を出すというわけにはいかない。むしろ、我々は今まさに、積極的にすべての言わば主体が取り組んで、それに向けて最大限の努力をすると、こういうようなことなんだろうと思っております。  ただ、目達計画の改定に当たりまして、私たちが申し上げたのは、この期間に必ず実現するためには、場合によっては、進捗管理を厳格にして、早期に、例えば半年に一遍あるいは一年に、正確なデータを早く出しつつ、もしそれが達成できないようだったら、より有効な政策的な、あるいは様々な手法を取り入れていくべきだと、こういうようなことを申し上げているわけでありますけれども、今始まったばかりでありますので、各主体の最大限の努力、そして我々の最善の努力、こういうことを尽くしたいというふうに考えております。
  61. 広中和歌子

    広中和歌子君 その危機意識なんでございますけれども、まだまだ十分ではないんではないかと、そのような気がいたします。  日本が公害で苦しんでいたころ、公害問題で苦しんでいたころ、人々のそれに対する怒り、そして国に対する公害対策への要求、そしてまた、それを地方自治体が国に要請するというようなことで、産業界も巻き込んで新たな対策が講じられた。  あのころのことを思い出していただきたいわけでございますけれども、そのときにはまさに経済的な手法が使われたわけでございます。補助金であるとか、それから課徴金、そしてそのほか様々な経済的手法の中で、しかも経済界が当時のGDPで二%を支出すると、公害対策のために支出するというようなことで私たちは公害を克服し、そしてまた、世界に向けて環境の先進国になったと。少なくとも今まではそういうプロセスであったわけです。  これからの日本はどうなんだろうかということでございますけれども、この法律を見ましても、そしてこれまでの経緯、それから、これから先を考えてみましても、果たしてどうなのかということでございます。都市構造であるとかエネルギーシステム、交通体系、産業構造などを変えなくちゃならないと、そして財政、税制、その改革を断行しなければならないと。そうすると、環境省だけでは、環境庁が省になったわけでございますけれども環境省になられてかえってやりにくくなったのかなと思ったりもするわけです。  もっとほかの省庁を巻き込みながら強いリーダーシップを環境省に発揮していただきたいんでございますけれども、そうした体制というのはあるというふうに大臣は認識していらっしゃるか、お伺いいたします。
  62. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) 今先生おっしゃったように、公害問題と比べて、じゃ、国民の意識あるいは国の切迫感といいますか、こういうものがあるのかというような話については私もおっしゃるとおりのところがあるなというふうには思うわけであります。  ただ、先ほど大久保議員からのお話の中にもありましたように、CO2というのは見えませんし、それからにおいもしないし、そして影響が及ぼされることが五年、十年先のことだというようなことで、国民皆さんもあるいは国も、そういう趣旨でいうと因果関係について言わば理解しにくいと、こういうようなことが一つの大きな原因になっているんだろうと思っておりまして、今回の温対法の改正の中でもより見える化、こういうようなものが推進して、多くの人たちがある意味での切実な問題なんだという御認識をいただくと、こういうようなことにおいては私は一歩も二歩も前進したんだろうと思います。  ただ、じゃ、国がそれについてどこまで取り組んでいるのかというのは、これは国民の世論とそれから国の、政府の意識と車の両輪で前に進まないといけないわけでありまして、できるだけ我々としてもそういうところが急速に進むように努力をしたいというふうに考えております。  そういう趣旨でいいますと、今回の温対法改正、これも非常に重要な意味があると思いますし、加えて、政府の中にも、環境省だけではできないことたくさんございますので、総理大臣が本部長を務める、そして全閣僚が本部員を務める地球温暖化対策推進本部があるわけでありまして、こういうようなところに私も積極的に意見を述べ、そして多くの省庁に協力をいただけるような、こういうような努力はしてまいりたいというふうには思いますが、是非、そういう意味で、見える化、あるいは今回の改正に伴って自治体の取組、こういうようなものが一つの大きなうねりになってそういう方向に進みますよう私も努力をしたいというふうに思います。
  63. 広中和歌子

    広中和歌子君 今度の法律で特に自治体に期待したいということでございますけれども二酸化炭素排出というのは地域のエネルギーの供給形態とか交通体系に大きく依存しているわけです。しかし、自治体はエネルギー行政上や交通行政上の権限を持っておりませんよね。こうした権限がない限り、自治体に温暖化対策をやれと言っても、これまでのような普及啓発活動、キャンペーンの域を出ないんではないかと。  本気で自治体に温暖化対策をしてもらおうとするならエネルギー行政とか交通行政の権限を都道府県や大きな都市に分権化していくことが必要ではないかというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
  64. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) エネルギー政策は国の根幹の政策だろうというふうに思いますから、それをいかに分権をして、地方が担う役割と国全体のエネルギー政策、このバランスも必要なんだろうというふうに思います。ただ、先生おっしゃるように、地球温暖化対策というようなことでいうと、地方の取組にもっとより行政的な手法あるいは判断ができるような様々な権限、こういうのを移譲するということも重要だというふうに思います。  ただ、これ、エネルギー政策については私が軽々にこうしろああしろと言うわけにいかないわけでありますから、先ほど申し上げたように、政府全体の中でバランスの取った議論を進めるために、環境省としても言うべきことは言わせていただきたいと、こういうふうに思います。
  65. 広中和歌子

    広中和歌子君 今日、大勢、他省庁の方もいらしていただいて、お答えいただくあるいは聞いていただきたいというふうにお願いしているわけでございますけれども一つ、このことについてお伺いしたいと思います。  一九九〇年以降、石炭火力発電所からの二酸化炭素排出量は一・三億トン増加していると言われております。日本全体の増加量は一・五億トンであるので、増加量のほとんどが石炭火力の増大というふうに言えるんではないかと思います。仮に石炭火力の発電量を一九九〇年レベルに下げて代わりの分をLNG火力で発電すると、そうすると日本の総排出量は七%近く減る計算になるわけです。石炭火力の稼働率を下げLNG火力の稼働率を上げるだけで、二酸化炭素は七%も減ると。国民や産業界が一生懸命努力をするということも大切なんですけれども、我慢には限界があると。やはり、きっちり大きく削減するには、そうした大御所というんでしょうか、大局的に抑えなければいけないんではないかと思います。  こういうことを電力会社に指導はできないのかどうか、環境大臣とそれから資源エネルギー庁にお伺いいたします。
  66. 西山英彦

    政府参考人(西山英彦君) まず、エネルギーの担当者から説明をさせていただきます。  発電におけるエネルギー源の構成につきましては、エネルギー源ごとに供給安定性、環境適合性、経済性などを評価いたしまして最適な組合せを図るということが重要でございます。  そういう考え方の下で申しますと、まず強調しなきゃいけないことは、CO2排出しない原子力発電、これを、安全の確保を大前提でございますけれども、今後とも基幹電源として推進するということでございまして、平成二十年度の電力の供給計画によりますと、平成二十九年度までに原子力発電の発電電力量に占める割合というものは、平成十八年度、今約三一%でございますけれども、これを約四二%に増加するという見通しで、これでかなりCO2削減ができると考えております。  火力発電の全体は、LNG、石炭を含めまして全体として減らすという考え方になっておりまして、平成十八年度から平成二十九年度までの間に、今六〇%であるものを約四九%まで一一%減少させたいというふうに考えております。ただ、この減る割合は、まず石炭を申しますと、石炭の場合が今約二五%から今度二一%まで減らす、それからLNGにつきましては二六%のものを二二%まで減らすということにしたいと考えております。そういう見通しでございます。  LNGは、先生おっしゃるように、CO2排出面では大変優れておりますけれども、長期契約を中心としておりますために燃料の調達が硬直的なところがございますし、それからアジアを中心として世界的にLNGの需要増がありますので、大幅に日本でLNGを調達増させることは容易ではございません。それにスポット価格が今調達しておりますのは原油並みに高くなっております。  他方、石炭にもいい点、悪い点がございます。二酸化炭素排出量は大きゅうございますけれども、他の化石燃料に比べますと資源の安定的な確保とか経済性では優れているわけでございます。そういう意味で、電力の安定的な供給という意味では国民生活に非常に重要なものともなっているわけでございます。  これらの観点を含めまして、最適な組合せを図るということで対応をしてまいりたいと考えております。
  67. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 環境省の立場からで述べさせていただきます。  まず、当然ながら、石炭火力につきましては熱効率の改善を含めて最善の努力をしていただくということが当然必要だろうと思います。私ども把握している範囲では、世界の中での日本の石炭火力の熱効率が極めて高いということは承知をしておりますし、これについては当然一層良くしていただくということが必要だと思います。  それから、先ほどエネ庁からもございましたけれども、石炭火力のみに頼らずに、できるだけCO2排出の少ないエネルギーへの転換が必要でございます。特に、LNGのみならず、原子力あるいは新エネという面で是非力を入れていく必要があると思っています。  この点につきましてエネルギー庁などとよく連携を保っていきたいと考えております。
  68. 広中和歌子

    広中和歌子君 原子力でございますけれども、それを認めていくとして、三一%を四二%にどうやって増やしていくのか。今のキャパシティーをどういう形で広げていくのか、具体的にお話しいただけませんか。
  69. 西山英彦

    政府参考人(西山英彦君) 今、日本には原子力発電の計画は、すべてを合わせますと新しく十三基作る予定がございます。供給計画の中に入っておりますものとしても九基ございますので、この九基の原子力発電所の計画を着実に進めるということでございます。
  70. 広中和歌子

    広中和歌子君 今の原子力の稼働率は何%ですか。稼働率というか、今三一%という数字を出されましたけれど、それは現在占めている実際の数字ですか。
  71. 西山英彦

    政府参考人(西山英彦君) 今現在、柏崎刈羽発電所が地震で止まっている分などを合わせまして十九年度は稼働率六〇%ぐらいでございます。一番いいときで八〇%を超えた時期もございました。
  72. 広中和歌子

    広中和歌子君 ということは、算数でいうと三一%掛ける八〇ということですか。そうすると二四%。
  73. 西山英彦

    政府参考人(西山英彦君) 三一%は、稼働率を含めまして、十八年度は七割の稼働率で三一%動いているということでございます。
  74. 広中和歌子

    広中和歌子君 それから、石炭について非常にこだわっていらっしゃるというのか、非常に使いやすい、使い勝手がいい燃料なんだろうと思いますけれども。  LNGについて、値段が高いというようなこと。値段については、これも私は経済的な手法の一つだろうと思うんですね。ですから、高いものでもあえてそれを使ってCO2削減するという。  国民の心理ですけれども、今ガソリンの値段がすごく上がっていますよね。それが税金で上がれば国民は怒るんですけれども、国際的な市場の変動の結果として今まで百円ぐらいであったものが百五十円近くなっているわけですよね。それに対しては余り声が聞こえてこないと。大変、事業者としては非常に困っているということはもう容易に想像付くわけですけれども、事情さえ分かれば国民というのは納得してもらえるんじゃないか。  つまり、石炭のCO2排出が余りにも多いと、だからより環境に優しいLNGに切り替えるためにこれだけ電力の値段を上げると、そういうようなことで電力会社が運営していただくことができないのかどうかと、そういうことをまずお伺いします。
  75. 西山英彦

    政府参考人(西山英彦君) お答え申し上げます。  まず、国際的なエネルギー情勢からいたしまして、仮に日本が今のような状況で、LNGを値段は構わないからどんどん増やしたいと思ってもなかなかその調達というのは困難なところがございます。これまで日本がかなり大口のLNG調達国でございましたけれども、今、LNGが非常にほかの国からも求められるようになっておりまして、そういう点でまず物理的に難しいということがございます。  それから、値段についての考え方でございますけれども、今は電力については比較的値段が安定しているということで、ほかのエネルギーから電力への転換がむしろ一般の方々も求められているようなところもございますので、電力について上げ幅を比較的小さく抑えているという今の政策も国民に比較的歓迎されているのではないかというふうに考えております。
  76. 広中和歌子

    広中和歌子君 今、CO2削減できていない、だれが出しているかということなんですけれども、産業界はどちらかというと優等生であると、良くやっていると、増加していないということですけれども、増えているのは民生、オフィスビルであるとか業務用のビルとか、それから自動車、そしてまた家庭であるわけです。それは電力使用なんですけれども、その使用に電力会社のCO2排出が負荷されると、そういうことで民生の方でCO2が増えているというふうに言われているわけですけれども、そこのところをやはりきっちり手当てをしなければ、産業界だけに言うのではなくて、やはり私たち一般の使用者が痛みを感じるような政策を考えなければこの状況は変わってこないだろうと思う。  例えば、電気を蛍光灯に替えるとかいろいろな工夫は言われているわけですけれども、まだまだ国民の中に実感がないと、あるいは業務をやっている人たちにその実感がないということであるのだったらば、もっとそれこそ経済的手法で対策を取るように仕向けていくという、そういう政治的な判断が必要ではないかと。  例えばオフィスの、今もう非常にたくさん建っているガラスの建物、私があるビル会社の社長のところに会いに行きましたら、お話を聞きに行ったら、これはほとんど夏でも冬でも暖房費じゃなくて冷房費なんですよと言っていらっしゃいましたけれども。ともかく、ガラスであっても何でも、断熱効果を非常に高めるようなビル、家、そういうものを造っていく、工夫していく必要があるんではないかなと。  そういうことで、国土交通省に伺いますけれども、どのような努力がされているのか、またそれに対して経済的インセンティブ、経済的手法の中でやはりインセンティブを与えることが必要だと思うのでございますけれども、その政策についてお伺いいたします。
  77. 小川富由

    政府参考人小川富由君) お答えをいたします。  御指摘のように、民生の場合、ビルとか建物で使っていくと熱が発生をすると、そういった熱をいかに効率的に使うかというようなことで、例えば外断熱とかいろんな工法提案をされております。そういう断熱性能を上げていく、また機器などの省エネ性能の向上を促進する、推進するということは非常に重要な課題だというふうに考えております。  促進の施策でございます。一つは省エネルギー法、これ今回改正をいたしまして、例えば大規模な住宅、建築物、二千平米以上でございますけれども、これについて省エネ措置が著しく不十分な場合には命令まで掛けて是正をさせる、あるいは一定の中小規模の住宅、建築物についても省エネ措置の届出を義務付けをするといった形で、言わば規制という形の推進をしております。また、これは自治体の方々が建築の行政の一環という形で入っていただくということでございまして、地域におけるエネルギーの、省エネルギーということの意識も高めていただくというようなことになります。  また、経済的なインセンティブでございますけれども平成二十年度の税制改正におきましては、既存住宅についての省エネ改修、これについて所得税あるいは固定資産税の特例措置を講じました。また、業務用のビルでございますけれども、これは現行の優遇措置でございますエネルギー需給構造改革推進投資促進税制というのがあるんですが、その中で高効率省エネルギービルシステムというものを対象に加えていただいて、また期間の延長も行ったわけでございます。  また、融資の方でございますが、これは民間住宅ローンの証券化支援事業、これは以前住宅金融公庫が直接お金を貸していたものを変えて民間のローンを債券化するという事業をやっておりますが、省エネ住宅に対しましては、適用金利を引き下げるということで、省エネ性能の高い住宅の誘導を図っております。  また、今回の二十年度の予算におきましては、先進的かつ効率的な省CO2技術、こういったものを導入しやすくさせるために、先導的な住宅建築プロジェクトに対する支援事業、これは新しい技術を導入するだけではなくて、例えば新しい工法、あるいはこれまで効果があると言われている工法などを評価したり、それを普及、広報したりというようなことを念頭に置いております。  このように、法律あるいは税制、予算において総合的な対策を講じまして、住宅あるいは建築物の省エネ性能の向上を図ってまいっているところでございます。
  78. 広中和歌子

    広中和歌子君 大いに期待しているんです。二百年住宅という話が総理から出たことがございますけれども、やはり家というのは、古くなっても価値が保たれるような最初からいいものを造るという考え方、その中にはやはり省エネ的な要素をたくさん入れますと、住宅としての価値というものそのものの価値が上がるだけではなくて、その価値を維持していくというようなことがあるわけでございますから、省エネという意味からも是非もうちょっと頑張っていただきたいと思うわけです。  それから、再びエネルギー庁にまたお伺いしたいわけですけれども、そうした住宅について、例えばビルなり一般家庭の太陽光発電ですよね、それについての補助というのはもう最近打ち切られたようなんですけれども、どうしてそれをなさったのか。これは、エネルギー庁じゃなくてどちらの管轄か分かりませんけれども、その点についてお伺いいたします。
  79. 上田隆之

    政府参考人(上田隆之君) エネルギー庁の方から答えさせていただきたいと思います。  どうして太陽光補助金をやめたのかという御指摘かと思います。  太陽光補助金でございますけれども、過去約千三百億円ぐらいのお金を投入してまいりました。始めた当時は太陽光発電というのは、大体一家の、一軒当たり七百万円ぐらいしたわけでございますけれども、補助制度の充実がありまして、現在一軒三・五キロワットぐらいのシステムを入れることが多いわけでございますが、大体二百二十万円ぐらいに低下をしております。普及も相当進んだということで、その当時の、平成十七年だったと思いますけれども、後は市場に任せたらどうなんだろうかということで補助金をやめたというふうに承っております。  ただ、この点につきましては、私ども正直申し上げまして、昨今の様々な議論を聞いておりまして、太陽光発電のもっと普及を図るべきであるという御指摘は全くもっともなものだと思っております。  先般、私どもエネルギーの長期需給見通しというのを作成させていただきました。この中で太陽光発電につきましては、現在住宅用は約三十五万戸ぐらいあるわけでございますけれども、二〇二〇年には今の十倍ぐらい、約三百五十万戸というオーダーになるわけでございます、それぐらいにしたいと。二〇三〇年には今の四十倍ぐらいのオーダーにしたいというその目標を立てております。  これはもう非常に高い目標値だと思いますけれども、それに向けてどのような政策措置を講じたらいいのかというようなことにつきましては、現在様々な観点で議論を行っております。新エネルギー部会、私どものあの審議会におきましても御議論をいただいておるところでございますので、太陽光発電の普及に向けましては、今の先生の御指摘も踏まえて、どのようにすべきか真剣に検討してまいりたいと考えております。
  80. 広中和歌子

    広中和歌子君 たしか、太陽光発電の技術については日本は先進国、最先端を行っていて、しかし最近はヨーロッパの国々に抜かれたというふうに聞いているわけですけれども、大変残念なことだと思うんですが、何かコメントございましたら。  それから、太陽光発電を始めとして様々な自然エネルギーを使った発電に対して電力会社がどのような買取り価格で買い取っているか。日本の場合はリミットを設けているようでございますけれども、ドイツの例では、リミットを設けずに買わなければならないということ、そしてその買取り価格というものは高くて当たり前と、そして、だったらば、一般の発電をする人に払うよりも自分たちで発電しようと、電力会社そのものが、そういうような動きになっているということをドイツの方から聞いたわけですけれども、その点につきまして、エネルギー庁からお伺いいたします。
  81. 上田隆之

    政府参考人(上田隆之君) まず、太陽光発電の技術レベルのお話がございました。  技術的には我が国の太陽光発電というのはいまだに世界のトップレベルにあると思います。瞬間風速におきましてドイツに抜かれたのではないかという御指摘は事実でございます。ただ、世界の生産量を見ますと、我が国は世界全体の生産量の現在約四割を占めていまして、主要な会社のうち主要な日本企業のメーカーというのが生産量の非常に大きなウエートを占めているわけでございます。そういう意味で、太陽光発電というのは日本物づくりの技術の粋を集めたものでございまして、引き続きこれを大きく伸ばしていく必要はあると思います。  その伸ばし方の一つとしてよく、委員御指摘のような、ドイツにおいては固定価格買取り制度を行っていると、我が国においてもこういった制度導入するなり検討してはどうかという御指摘を実はよくいただいております。せっかくなので、この固定価格買取り制度について私どもいろいろ勉強はしたりしているわけでございますが、率直に申し上げまして、いい点もあれば非常に問題である点もあるわけでございまして、少しそこの点を御説明させていただければと思いますけれども。  ドイツの固定価格買取り制度というものは、例えば太陽光発電につきましては、現在のところ、約キロワットアワー当たり七十五円という非常に高い値段で、二十年間その価格でずっと買い取るという制度を維持しております。その結果、委員御指摘のように、多くの太陽光発電がそこに生まれましてドイツにおける導入量が非常に進んだというのは率直に申し上げて事実かと思います。  他方で、これには様々なある種の副作用があるというのも事実でございまして、まず第一に、これは非常に七十五円という高い価格で買い取るわけでございます。太陽光の発電コストというのは、ドイツにおけるコストというのは承知しておりませんけれど、我が国の場合、大体キロワットアワー当たりよく四十五円ぐらいであると言われます。それを七十五円という価格で買い取るわけですから数十円ぐらいの利益が出るわけで、かつそれが二十年間ずうっと続いているというシステムになっているわけでございます。したがって、その事業者、発電事業者の方から見ますと非常にリスクが全くないビジネスになっておりまして、そこにコストの削減のインセンティブが働かないという問題がございます。  もう一つは、じゃその電力会社が買い取ったコストというのはだれが負担しているんだろうかということでございますけど、これは電力料金に転嫁された結果、家庭あるいは需要家が負担をしているという構造になっているわけでございまして、かつ二十年間固定価格で買い取りますので、今年買ったら来年も買取り続く、再来年も買取り続けると。来年になると更に新しいのを買取りするということで、実は電力料金が毎年毎年恒常的に上がっていくということにならざるを得ないという側面を持っております。  こういった様々なある種の問題点というのがあることから、実はこの固定価格買取り制度に対しましては、国際エネルギー機関、IEAと申しております国際機関は、こういった高い固定価格買取り制度はむしろ見直して、より市場ベースの政策に移行を検討すべきではないかという勧告を行っているところでございます。  そういう意味で、日本の場合、RPSといいます量を決めて、その量の買取りを義務付けているわけでございまして、ドイツの場合は価格を決めているということで、それぞれ様々なプラスマイナスあるところでございますが、ドイツのものに関してはそういったような指摘もあるわけでございます。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたけれども、新エネ対策そのものは、太陽光も含めて私ども一生懸命やってまいりたいと思いまして、今様々な検討を行わしていただいておる。  ちょっと長くなり、申し訳ありませんでした。
  82. 広中和歌子

    広中和歌子君 もし不備があるんであれば、ドイツを参考にしながら日本制度を変えていけばいいんではないかと思います。いずれにしても、日本の買取り価格というのは非常に低いですよね。二十円か何かじゃないですか。それでは進まないということで、本当にもっと上げていくということ。こうした厳しいというのか懐が痛むような環境政策というのは、やはり国民の理解を得なければやりにくいということが、まあ少なくとも口実になって政策が進まないということがあると思うんです。  そういう中で、環境教育というのが非常に大切だと思うわけです。少なくとも若い世代から環境に対して理解を持つような、そうした環境教育を小学校、中学校、高校と学校教育の中で子供たちに理解してもらうと、教え込んでいくという、そういうことが必要だと思うわけですが、特にまた日本が二〇〇二年にヨハネスブルグ・サミットで提案した持続可能な教育の十年、その日本提案によって二〇〇五年以降世界中で実施されている環境教育、それの実態について御答弁いただけたらと思います。それは環境省とそれから文部科学省、両方でお取り組みだと思いますので、よろしくお願いいたします。
  83. 布村幸彦

    政府参考人(布村幸彦君) お答えいたします。  学校における環境教育につきましては、先生御指摘のとおり、小中高等学校を通じまして児童生徒の発達の段階に応じて社会科、理科などの各教科、また総合的な学習の時間で、学校の教育活動全体を通じて執り行っております。例えば小学校の理科では、自然環境を大切にする心やより良い環境をつくろうとする態度の育成につながる活動、また中学校は、社会科の公民的な分野におきましては地球環境資源エネルギー問題について、例えば酸性雨や地球温暖化の問題を生徒が自ら調べたりする課題学習を行うことなどと取り組んでおります。また、総合的な学習の時間の中では、例えば地球の温暖化問題と自分たちの生活とのかかわりから地球環境を通して身近な環境を見直していくことができるように、課題に応じてフィールドワークを行ったり、インターネットや文献などを活用した調査、実験などのコース別学習を行うという取組も見られるところでございます。  今回、この教育内容の基準となります学習指導要領の改訂を行った際にも環境教育の内容の充実を行ったところでございまして、中学校の社会科公民的な分野では、持続可能な社会の形成の観点から、解決すべき課題の探求という学習を新たに追加したということもございます。  こうした取組の推進、また環境省でも環境教育を推進されておりますので、よく連携しながら環境教育の充実に努めてまいりたいと考えております。
  84. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 私ども環境教育極めて重要だと考えております。  広中委員御指摘のとおり、二〇〇二年のヨハネスブルクでの決定を受けまして、私ども、二十一世紀環境教育プランというものを策定いたしまして、その中で文科省などと連携を取りながら充実を図っているところでございます。  また、学校につきましては、例えばエコ改修ということで、自ら学ぶところ自身がエコになっていくという中での体験もしていただきたいと思っておりますし、また学校以外にも、森林あるいは公園緑地と、そういったアウトドアといいますか、フィールドでの体験活動ということも進めているところでございます。  この環境教育につきましては、昨日行われました神戸での環境大臣会合でも話題になりました。その中で、具体的に、やはり世界的に持続可能な社会を担う人材育成を図るため、国連ESDの十年が重要だということで合意がされまして、そしてこの環境教育の一層の推進のため、関係主体間の協働による取組事例などの各国の優良事例の共有、途上国と先進国間での高等教育機関、国際機関のネットワークによる途上国の人材育成支援が有用だということも合意されたところでございます。  この問題について、更に内外含めて熱心に取り組んでまいりたいと考えております。
  85. 広中和歌子

    広中和歌子君 終わります。
  86. 松山政司

    委員長松山政司君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  87. 松山政司

    委員長松山政司君) ただいまから環境委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  88. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 いつも質問を取っていただいて、遅くまで、ぎりぎりまで御調整をいただいております。御担当の皆さん、また大臣、副大臣皆さんにまず御迷惑を掛けていること、おわびを申し上げて、質問に入らせていただきたいと思います。  今日は温対法の改正ですが、その前に、ミャンマーの台風ですね、サイクロン、そして中国での地震、お見舞いを申し上げたいと思います。  ミャンマーからはこれから具体的な日本に対する援助協力ということが出てくるんだろうと思いますが、中国に限ってお聞かせをいただきたいわけでございますが、今日いただいている時間の中で少し数多く提案議論大臣とさせていただくために、今までそして昨日調整をしていただいた中での数字等を本当はお聞かせいただくところですが、私の方でこの間皆さんから御指導いただいたところについては私の解釈等を含めて数字を申し上げて、時間を省略させていただきたいと、このように思うんです。  中国の四川省で発生した大地震に対して日本政府はいち早く対応されました。中国の公使から、一番先にお見舞いの電話が胡錦濤主席にあったのは福田総理からであったというお話を承りました。また、一番今支援をしていただいているということで感謝の言葉も公使からはございましたけれども、テントが不足だということを非常に言っていらっしゃるわけですね。  それで、外務省の方にテントが不足していると中国政府から具体的な要請があるわけです。感謝しつつも具体的な要請があります。五億円に上る援助をしておりまして、二千百二十八張り、テント、これを用意したんですが、五百万張り、五百万世帯分が必要だと、こういうことなんです。全く足りない。しかも、雨季になるんだそうです、あの地区は。とにかくテントをお願いしたいと、こういうことでございますけれども。  総務省さん、災害国家日本、安心を守るためにいろいろな経験から備蓄をしております。参考のために、テントの備蓄量、これをお話しいただけますか、県と市町村ごとで。簡単にいきましょうか。ここなかなか分かる人がいないので、あえて聞きます。
  89. 岡山淳

    政府参考人(岡山淳君) 先生お尋ねのありました自治体におけるテントの備蓄状況でございますけれども平成十九年、昨年四月一日現在の数字がございまして、自治体が自ら備蓄しております公的備蓄と、自治体が民間業者などと協定を結ぶことによる備蓄である流通在庫備蓄がございますが、合わせまして都道府県で三千六百一張り、市区町村で三万四千九百五十四張りで、合計三万八千五百五十五張りとなっております。
  90. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 約四万近い、四万張りの備蓄があるんですね。どうですか、一割でも、自治体に御協力をお願いして、地元に安心を守るための備蓄を残して、それ以外は急遽中国の皆さんに支援をする。それは草の根の交流じゃないですか。地域と地域が結び付く、助け合う、こういう心が通うものだと思いますが、そういう考えは、協力要請をするという考えは総務省にありますか、簡単でいいです。
  91. 岡山淳

    政府参考人(岡山淳君) こうしたテント等の備蓄物資につきましては、それぞれの地域におきまして災害が発生した場合に備えているものでございますけれども、今回の中国四川大地震に際しまして、国内の自治体においては独自の判断において見舞金や物資の支援を行っている例もあると聞いております。  いずれにいたしましても、中国に対する支援の在り方につきましては、政府において現地における物資の不足状況や受入れ体制などを踏まえましてよく検討をする必要がございますけれども、その中で消防庁としましても必要に応じできることはしっかりやってまいりたいというふうに考えております。
  92. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 自治体の自主的な判断ですが、マスコミによらなければ分かりませんよ、今の話では。自治体では三百数十か所が中国との姉妹都市も結んでいます。そこのホットラインがあるかもしれません。しかし、今の消極的な姿勢でいえば、マスコミの報道以外、五百万世帯分のテントが足りないなどということは、地方自治団体どのようにしてそれを把握するんでしょう。独自の判断を地方自治体にしていただくためにも、そうした連絡網を総務省は緊急に整えることを要望します。  では、外務省、これだけで協力は終わりでしょうか。特にテントについて大至急対応をするという、そのような考えはありませんか。
  93. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、中国側より特にテントが不足しているということで要望ございまして、五億円相当の無償資金協力及び緊急援助物資の中で特にテントに重点を置いた支援をこれまで行ってきております。  今後の支援の在り方ということでございますけれども、テントのほかに、むしろ仮設住宅の需要も高まっているというような情報もございます。したがいまして、今後中国政府側の要望をよく聞きながら、それからその深刻な被災地の状況、そのニーズに応じてどういった支援ができるかというのを積極的に考えていきたいと、このように思っております。
  94. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 もう一回確認します。積極的にというのは、やるということですね。中国側からの要望で追加支援をすると、テントを含めてやるということでいいですか。
  95. 石川和秀

    政府参考人(石川和秀君) 中国側の要望がございますれば、我が国としてできるだけのことはするということでございます。
  96. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 予備費というのが三千五百億あるんです。これは我が国用の予備費ではありますが、各省でそれなりの緊急対応のときに、特に外務省、海外対応ですが、いろんな形で予算の中、やりくりもできますし、緊急支援をしていただきたいと思います。  大臣、どうぞ閣内でも今のような実情、是非お伝えください。テントがとにかくないです。仮設住宅、阪神・淡路三十万ですよ。仮設住宅にしたら五百万世帯ですよ。移動する、ダムが決壊するところもありますから。そんなの待てないですよ。その情報は随分ずれた情報ですね。もっとも私たちは昨日、議員の先生方と、神取先生もいますが、中国公使などと意見交換をしてこうして話をしているということですから、大至急手当をしてください。雨季に入ります。大変なことになります。  さて、大臣、午前中の話で、大臣のG8サミット、議長総括、私は評価いたします。その中での苦渋、これはうんと私も分かります。というのは、こういう表現大臣使いましたね。ゴールまで一合目か二合目ぐらいだと。その決意のほどをここで知るわけですが、私は今回の法改正をする予定になったのは、いわゆる事業者国民生活、このところが九〇年基準にして三〇から四〇近く排出量が増えていると、ここに対する懸念であり、同時に超党派で修正をしたということは実効性を伴うように具体的に入れたわけですね、修正案というのは。  こういったものを考えますと、私はこういった点が抜けていたんじゃないかなと、この法案にもですね。森林についての新しい補てん手続というのはありますが、どうして日本が休耕地、荒れ地にしているようなところに対して、特に稲ですね、減反しているわけです、この減反しているところを起こせば、CO2食べるわけですね。しかも、それをバイオマス燃料に切り替えれば、カーボンニュートラルですよ。排出量が増えたところを削減するという努力のほかに、更に削減するということ可能なんです。農業分野、こういったところについてはカウントされていません。森林は吸収源としてカウントされますが。どうですか、農林省さん。積み上げ方式というものを私は支持をいたしますが、この有効性を持つためにも、農業分野の次期温室効果ガス削減の枠組みの中で目標達成をするために農業部門という部門をきちんと組み入れていく、そして化石燃料削減効果を与えていく、CO2削減する。農林省、どういう見解ですか。
  97. 佐々木昭博

    政府参考人佐々木昭博君) お答えいたします。  農林水産省といたしましては、平成十九年の、昨年六月に策定いたしました農林水産省地球温暖化対策総合戦略におきまして、今先生御指摘の森林吸収源対策として千三百万炭素トン、これを確保すること、そして国産バイオ燃料平成二十三年に単年度で五万キロリットル以上生産するということなどを目標といたしまして、地球温暖化防止策、適応策、そして国際協力等に取り組んでおるところでございます。さらに、本年五月に食料・農業・農村政策推進本部で決定されました二十一世紀新農政二〇〇八に基づきまして、農山漁村地域におけます低炭素社会の実現に向けた取組や、農林水産分野における省CO2効果の見える化を推進し、地球温暖化対策を強化していくこととしております。  今後、この総合戦略に基づきまして、農林水産分野におきます地球温暖化対策を総合的に推進して、地球環境保全に積極的に貢献する農林水産業の実現を図っていきたいというふうに考えております。
  98. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 地球温暖化にも積極的に農業分野が、これが対応するという、そういう取組は聞きました。分かりました。問題はスキームなんですね、大臣。農業分野ってないです、今。どうでしょうか、新たな枠組みに農業分野を入れる。
  99. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 技術的なことについてお答えさせていただきます。  現在は世界的にもこれは農業部門の一環として扱われております。また、我が国の目達計画におきましても、農業部門につきましては産業部門ということで扱われておるところでございます。  これは二つ理由がございまして、バイオマスをエネルギー利用すると、これ大変意味あるわけでございますけれども、これは形状としましては、形、形状、どこで計算するかということですけれども、実際にそのバイオマスエネルギー利用する部門での削減効果になるわけでございます。例えば運輸部門等になるわけでございまして、当該の燃料作物を生産した農業部門の排出削減にはなりません。  それから二つ目には、農業部門のエネルギー起源CO2は約八百九十万トンということでございまして、数億トン単位の排出量が計上される他の部門に比べて少ないということからそうなっておるわけでございます。  ただ、荒井委員から御指摘のとおり、いろいろ次期枠組みについて様々な議論がございます。その中で、実際にニュージーランドからは、次期枠組みの中では是非農業部門を独立すべきだと。もう少し言いますと、農業部門も設けた上で、セクター別にいろいろ積み上げて目標検討すべきだと、そういった指摘もニュージーランドからされておるところでございます。こういった各国の状況もよく見極めながら、日本としても必要な対応を検討していきたいと考えております。
  100. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 農林省に今のを受けてお尋ねするんですね。  今のは、結局バイオ燃料になったら、運輸部門のこれバイオ燃料になりますから、それで走るということになりますね。そういう部門でカウントするから、一部分、産業部門でやるというんですが、そして排出量が少ないから八百九十万トンだということですが、今どういう現状が起きているかといえば、穀物需要の増大でしょう。地球温暖化で穀物が足りなくなっているんでしょう、砂漠化も含めて。しかも、バイオ原料に向けますものですから、高騰している。それから、人口増大がある。飼料や食料の増大も見込まれるし、国際的にはもう逼迫現状です。こういうときに、環境省もよく考えてくださいよ、こういうときに、百万ヘクタールに及ぶ、今二百六十万ヘクタールあるんですが、百万ヘクタール減反させているんですよ。これをバイオ燃料用に直まきして、ぶわっと刈ってもいいんです。値段差はどんどん今縮まりますよ、価格が高騰していますから。それで、田畑を起こすことによって地方が生き返ってきます。二次収入になります。いかがでしょう。  こういう観点でやると、農地の保全という意味合いで、ヨーロッパは麦ですね、生産調整している。そうして、アメリカなんかも、これ、今トウモロコシがあれですから調整どういうふうにするか分かりませんが、サトウキビも、ブラジルもある。日本は米ですよ。そういったところが小さくてもちりも積もれば山となる、そういう対策を講じなくてどうして大臣、私は、先ほどの三合目、四合目に行けるんだろうというふうに思うんですね。意識改革が農家にも、農業にも新しい環境というのを入れたイノベーションが起きるんですよ。是非これは検討するようにお願いしたいというふうに思いますが、こういったことをやることによって、農林省の皆さん、減反政策を変えることができるということです。  これについてどう思うか、見解だけ聞かしてください。燃料にもなる、新しい収入にもなる、地球環境対策になる、こんな農家として誇らしいことないでしょう、収入にもなると。短くてお願いします、簡単に。なるだけでいいですからね。
  101. 佐々木昭博

    政府参考人佐々木昭博君) 農地の生産力を保持しながら活用することは非常に大切だと考えております。ただ、食料や飼料との競合の問題もございますので、ここと競合しない範囲において進めることが必要だと考えております。
  102. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 さらに、農協単位で、農家が生産して、それによってCO2を吸収するということができるわけですね、エネルギーに回した以外にも、緑の光合成分考えたりしてね。その今度は炭素吸収源を農協がまとめて国内CDMなどでこれを買取りをするということも可能なわけです。こういうことを私は積極的に進めてもらいたいと。  では、今回、森林もありますが、林野庁にお尋ねします。  一千三百万炭素を、これを森林吸収源として考えるわけです。日本の国の七割が森林であります。適正な森林経営が行われなければ、吸収源、効果持ちませんからカウントされない。それで追加しているわけですね、追加をしている、二十万ヘクタールの整備を含めて新たに追加している。そこに、間伐含めて木材出てきます。それらをチップで原料、チップにしていく、木質ペレットですね。こうすることによって地球温暖化を守っていく。吸収源として解決しなくちゃいけないことで予算が追加した、これだけだって大変なこと。追加したことによって更に面積は広がって木質チップができてくる。  海外を買って日本を買わないのは、安定したチップの供給量がないからだという。そして、そういうものを仕組みにするお金がなかったからですよ。地球温暖化対策お金も出てきた、面積も丁寧にやろうとしている。二重になりませんか、一石二鳥に。こういうところについてどういうふうに考えているか、もう手短でいいです、お願いします。
  103. 島田泰助

    政府参考人(島田泰助君) 間伐材のうち木材として利用されずに林地内に放置されているいわゆる林地残材などを木質ペレットなどのバイオマスとして利活用することにつきましては、化石燃料への依存を減らし、地球温暖化の防止に寄与するとともに、地域の活性化、また雇用の場の確保にも役立つものと考えているところでございます。  しかしながら、木質バイオマスのうち林地に残されている残材につきましては、収集運搬コストが高いというようなことのため、今の段階ではほとんど利用されておりません。いかにこのコストの縮減を図るかが課題というふうになっていると考えております。  このため、これまでも路網の整備、高性能林業機械の導入の促進を図るとともに、素材生産現場で発生した枝ですとか小さな丸太などを現場で粉砕して使いやすくする移動式チッパーを作るなど、そういうような技術開発にも取り組んできているところでございます。  さらに、二十年度予算におきましては、新たにこのような開発された技術も活用しながら、民間企業からの提案された低コスト化につながる取組を実践し、間伐を促進しつつ木質バイオマスを安定的に供給するモデルを構築することに取り組むことといたしているところでございます。  今後とも、政府全体として取り組んでいるバイオマス・ニッポン総合戦略などを踏まえまして、関係省庁とも連携を取らせていただきながら、川上から川下まで一体となった取組を進めることによりまして、ペレット等の木質バイオマスの利用を積極的に我々も進めてまいりたいというふうにして考えているところでございます。
  104. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 地方が山が生き返ってくるわけですが、私のこうやって意気込みと全然違って、淡々と問題点を指摘し、難しいということを言われるわけですね。恐らく大臣、これがセクター別というものの積み上げの実態なんですよ。  ですから、こういうものを我々議員の皆さんと協議することは、そういう一つ一つをやはり解決していく。それにはやっぱり、どこまで進むかという目標があって、お互いがそれに向くために解決努力をするということだと思いますので、大臣の苦労も分かりますが、どうぞ、我々もその苦労を考えながら、次のような具体的な提案に入ってまいりたいというふうに思うんです。  それはどういうことかというと、今度の総括では、大臣排出量取引や環境税などについては効果的、有効な手段と認識を共有したと、こういうことでお話よろしいですよね。先ほどもお話があったわけです。  そこで、私は角度を変えます。金融庁さん、今、日本には七つのいわゆる取引所があるわけですね。東証、大証、ジャスダック、こういったものがあるわけです。こういったところの金融商品取引法改正を進めて今審議中ですか、審議中ですね。その中で、いわゆる排出量取引、この市場を、金融商品取引法の改正を行って東証が排出量取引をできるようになりますね。確認です。
  105. 岳野万里夫

    政府参考人岳野万里夫君) お答え申し上げます。  今、荒井委員が御指摘になられたとおりでございまして、現在国会で御審議お願いしております金融商品取引法の改正案では、今後、排出量取引に関する検討が深まっていく中で、金融商品取引所が適時に期待される役割を発揮していくことができるように、兼業業務として排出量取引に関する市場を創設することができるようにするという内容でございます。
  106. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 不思議なことに、排出量取引をどうするかという議論をやっているさなかに取引ができる市場の受皿ができるんです。そして、EUは既にやっている、アメリカは州ごとにEUと連携をするかとまで言っている。大きく変わっているわけですね。  外務省さんに調査をお願いしました。大臣、こういう調査なんです。オバマ、クリントン、そして共和党のマケインさん、どういうことをアメリカとしての地球温暖化に対応するかというのを聞きますと、オバマ、クリントン両候補とも公式サイトで、そしてマケインさんも公式サイトで、二〇二〇年までに一九九〇年レベルまで行く。民主党はオバマ、ヒラリー、どっちもそう言っている。そして、マケインは、九〇年レベルなんですが、二〇三〇年に九〇年比二二%削減ということを言っているんですね。これ数字まで挙げている。そして、民主党の方が積極的ですが、五〇年までのいわゆる長期ですね、今言ったのは中期ですよ、長期は八〇%削減、マケインさんだけが共和党六〇%削減。どっちにしても大転換になりますよ、これ、どっちが勝っても。  そうなったとき日本は、今のような排出権取引、何年、今議論しているんですか。それは、産業界の気分も分かる。しかし、こうして我々今、我々の生活者部門まで変えていこうと言っているわけですよ。そろそろ議論を出さないといけないんじゃないでしょうか。中期目標を立てなきゃいけないと私は思いますね。  大臣、改めて御見解、中期目標をどのように数字目標を立てるかどうか、お伺いします。
  107. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) いつもながら荒井先生には大変勇気付けられるわけでありますけれども。  G8環境大臣会合の議長総括において、今御指摘ありましたように、排出量取引や環境税等については効果的かつ有効な手法と、こういう認識を共有したということでありますけれども、今、私たち京都議定書の第一約束期間の中にあるわけですが、マイナス六%を実現しなければいけません。その中では、例えば産業部門、大変、自主行動計画努力をしていただいているわけで、目達計画もより深掘りをすると、こういうことで、すべての主体が努力をすれば多分実現できるんだろうと思います。  ただ、その後の、これから、今先生がおっしゃっているような中期目標あるいは長期のゴールに至るまでのプロセスの中で、じゃ自主行動計画だけでできるのか、それから国民運動だけでできるのかと、こういうような議論は当然あってしかるべきだろうというふうに思っておりまして、その中で、今先生がおっしゃっているような具体的な経済的な手法をどういうふうに入れていくか、こういうようなことは、私は、少なくともこの第一約束期間の間にも削減方向がはかばかしくないようでしたら直ちに入れられるぐらいの言わば準備だけはしておくべきだと、こういうようなことで今環境省の方にはしりをたたいているわけでありますけれども、市場をどこに置いてどういうふうにやるのか、あるいは相対で取引をするときにだれが仲介をするのか、こういうようなことについてもより具体的なイメージを持って、制度について議論をすべき時期が来ていると、こういうような認識であります。
  108. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 大臣が、午前中も、炭素に値段を付けていくんだということなんだと思うんですね。そういう中で、お互い環境というものと共存していくことがお金になる価値になるんだと、生き方が価値になる、お金になると言ってもいいと思います。ただ単に便益とか物ではなくて、考え方が価値になるんですよ。そのときに、いつも日本はアメリカの基軸通貨というものの中でいますね、もちろん軍事力というのは大きな理屈になりますが。今、目の前に、排出量削減する技術は日本なんですよ、まだ。いろんな面で下がってはまいりましたが。それを世界に展開して、世界に貢献しながら、日本もそれで少子化時代、高齢化時代を、年金も含めて安定して生きていけるようなそうした蓄えもしなきゃいけない。世界に貢献し、日本の蓄えにもなるんです。  このときに、円の国際化ということを図らなければならないと私は思っているわけです。このときの、当面の間ですよね、この炭素市場というのは。みんなが目的達成すれば買取りはないんですから。そういうのはもう将来はなくなってほしい、そう願いますが、だからこそ一時的だと思うんです。この一時的な炭素市場の中で、中国は今一八・八%、そしてインドが四・数%持っているわけです。どんどんアジアが排出していく、そういうところの取引で日本の技術や考え方、生き方が生きてくるわけですから。円で、ここは、炭素は円である、世界市場は円で決済する、こういうアジア、いわゆる、言ってみれば国際排出権取引市場、こういったものを構想するべきではありませんか。財務省、どう思いますか、これについては。
  109. 永長正士

    政府参考人(永長正士君) お答え申し上げます。  円の国際化の重要性、もうそれは委員が御指摘のとおりでございます。日本経済が為替変動の影響を極力受けないようにすると。さらには、域内、アジア域内の経済の安定にも資するというふうに我々も認識しております。  御指摘の、排出権の取引自体についての検討段階は、今環境大臣からも御答弁あったとおりでございます。我々といたしましては、円の国際化が極めて重要な課題であるという観点に常に立ちまして、各般の努力をしてまいりたいと思います。
  110. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 平和に環境で貢献するというのが、軍事力に代わる日本の生き方でしょう、これが。やっぱり大臣、我々は今、環境を語りながらそういったことを我々は語っているんだと思うんですね。円が強くなるということは、産業部門にとってこれほど有利なことないでしょう。  経済産業省、どうですか。排出権取引、輸出も輸入もいろんなことありますよ。しかし、トータルで見たら、これは円がきちんと安定する強い基軸になるということは大変なことでしょう。そういう面からも排出量取引、まだ検討するという感じでしょうか、経産省。
  111. 伊藤元

    政府参考人伊藤元君) 先ほど委員御指摘のとおり、G8の環境大臣会合の議長総括におきましては、排出権取引や税制上のインセンティブだけではなくて、パフォーマンスに基づく規制とか料金あるいは税、消費者ラベル等の市場メカニズムの有効性という点が共有されたと認識しております。そうした中で、一つの政策手法として排出権取引制度について検討するため、今年の春から局長の下で研究を鋭意進めているところでございます。  ただ、繰り返しになりますけれども排出権取引制度一つの政策手法でございまして、そのための大前提としては、国際的にすべての主要排出国が参加し、かつ公平なまさに義務を負っていくという枠組みができなければいろいろな弊害も生じるわけでございます。例えば、一方的な枠が形成された場合には、クレジット取得などによりまして資金の一方的な海外流出ということが起こることも懸念されると思っております。加えまして、欧州等におきましても、国際競争とかあるいはカーボンリーケージということについても盛んに議論が行われていることだと承知しております。  こうした中で、まずはいわゆるセクター別アプローチ等のアイデアも活用しながら公平な国際的な総量目標を目指してつくっていくと、その下での主要排出国がすべて参加する枠組みづくりが大前提であると思います。さはさりながら、繰り返しになりますが、国内排出権取引制度につきましても一つの政策手段としての検討は大いに進めていくべきであるというふうに認識をしております。  ちなみに、円の国際化についてでございますけれども、技術が日本発であるということとそれに伴った排出権取引市場がどういう通貨で取引されるかというところにつきましては、やはりかなり金融市場の特殊性とかその中での力学というものが大きく働くのではないかというふうに認識しております。
  112. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 鋭意努力している、研究している、それをえいやっにしなきゃ駄目なんですね。鋭意じゃ駄目なんですね。  今はすべてどちらかというと慎重でありますが、否定的な考え方なんですね。しかし、前向きに考えていったら成功している事例はあまたあるではありませんか。例えば、最大排出国中国に大臣始め安倍さん、そして福田総理とつないで、首相、そして胡錦濤閣下まで入れて、様々な協力関係ということで次期枠組みにこれは協力しましょうとまで言ったわけですね。私も早稲田の講演、胡錦濤閣下の、聞きました。  そういうものを言うと、例えば中国の例で、これはよく経産省聞いてもらいたいんですよ。そのように数字を挙げたり、難しいマイナス要因を挙げるけれども、中国は十一次五か年計画で経済環境の調和を挙げているわけです。排出国すべてが入るように、主要と言うんだったら、中国を私たちは御一緒にやりましょうという巻き込める状況になっているわけでしょう。そういう中で、エネルギーを二〇%五年間で改善すると言っているんです。  そのエネルギー最大の発電分野、これは、今約六億二千万キロワット、日本の二・五倍ぐらいです。そのうちの石炭火力が問題なんです。八〇%が石炭火力、四・八億キロワット。これがいわゆる酸性雨であったり地球温暖化の原因なんですから、それを取ってやるというところに日本は何ができるか。  JBICの融資を含めまして、実は百基、既に経産省さんと中国側が協力して三つの石炭火力発電所を試験してみた。そうしたらリノベーションできる。まあいろいろなところがあるんだそうですけれども、タービンローターというのを交換するということにすると何と年間に十万トンの石炭を節約し、二十万トンのCO2の発生抑制ができる。これ日本数字ですよ、共同研究して。  これを、私から言ったら簡単なんです。排出権取引などを使って、CDMですね、CDMを使ったりして、JBICの金も入れながら、ちまちまやらない、百基すべてを変える。日本がすべて受注する。じゃこれは市場原理に反するかといえば、原子力発電では日中二国間の協定で協力できるようにしているわけですから、同じように二国間協定をやればいい。それが戦略的互恵関係ということではありませんか。こういうことをやっていく。  しかも、IGCCという次世代型の石炭火力の技術は欧米と日本が競っていますが、日本方式の方がはるかにこれは、はるかにといっても本当に一%の争いなんですけれども、これは年間で世界中にしたら大変な排出削減なんですが、この技術は日本が今実験段階ですが、IGCCやっている。  こういったものをやっぱり、があんと国家間で、待ったなしなんだと、今。今やることが一番地球温暖化に対する防止ができるんだと。中国も今やるべきでしょうと。こんなウイン・ウインないと思うんです。こういう考え方について経産省はどう考えますか。
  113. 上田隆之

    政府参考人(上田隆之君) 日本と中国の間の省エネルギー協力というのは相当程度現在進みつつあるわけであります。御指摘のとおり、石炭火力その他ビルの省エネルギーあるいはボイラーの省エネルギー、至るところで中国側は日本側の協力を求めてきております。  私ども、こういった協力に応じまして、例えば日本と中国の産業界のマッチングの場であります日中省エネ・環境フォーラムというのを二度ほど開催いたしました。また、プロジェクトをモデル的に行って、それを中国全土に広めていくためのモデル事業というものを中国側との間で進めておりまして、そこの場で知的財産等の問題があれば政府ベースで物事の解決に当たっていくという仕組みも構築しております。こういった考え方を、こういった仕組みを使いながら中国における省エネ協力を積極的に進めてまいりたいと思います。
  114. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 そうやりながらお互いに回せるわけですね。  じゃ逆に、目標を達成できなかったら、財務省さんに聞きます、目標を達成できなかったら最大一・二兆円、国が京都メカニズムで調達するもの掛かるというふうに言っているんですよ。一・二兆円どこから出すんですか、質問いたします、財務省。企業からの増税ですか。
  115. 木下康司

    政府参考人(木下康司君) お答えいたします。  ただいま委員より御指摘ありました一・二兆円ということでございますが、これは昨年十月に財政制度審議会の事務局より示した試算におきまして、前提としては十九年八月の産構審及び中央環境審議会の合同審議会の中間報告におきまして、現行の対策のみでは六%削減目標の達成に一・五%から二・七%分の不足が見込まれるとされていたことを受けまして、その不足を仮にクレジット購入で補完いたしました場合には、既に取得することとされている一・六%と合わせて約二千二百億円から約一・二兆円の負担が生じるという試算を示しまして、これによって国内対策により確実に目標を達成することの必要性を訴えたものでございます。  京都議定書目標達成計画の見直しに関しては、その後様々な追加対策の検討が行われた結果、産構審及び中央環境審議会の最終報告、今年の二月において、これらの追加対策により京都議定書の六%削減目標は達成し得るとされているところでございますので、財政当局としては、政府による追加的なクレジット取得の必要性が生じることのないよう、まずは関係省庁において国内対策の進捗状況を厳格に点検、評価していくことが必要だと、そういうふうに考えております。
  116. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 つまりは、国が目標を結果的に立てる、セクター別でも努力してもらう、そういうことをしても無理なときは税金で調達する以外ないということなんですよね。それを、中期目標を立てたらなおさら、その目標を達成できないとなれば税金で外から買ってくるしかないということになるわけです。結果は、賛成しようが反対しようがすべての方々、企業にツケが回ってくるんじゃないですか。それとも、地球が破滅して我々は死を待つ、その選択をするんでしょうか。  こういったことを考えると、既に環境省さんと経済産業省さんが言っていることは、解決するために前進して歩み寄るということなんですね。歩み寄るというのは言葉は悪いですが、前進する以外にないんです。  それで、発想を変えましょう。海外から買わないで国から調達する。国内CDMという考え方をこれすればいいんですね。海外からそうして買ってくるならば、税金だとするならば生活者に戻しませんか。事業者に戻しませんか。オフィスを持っている方に戻しませんか。どういうことでしょう。テレビ、エアコン、そして冷蔵庫、これが家庭最大排出源です。電気を食います。これを排出を止めるということによって削減されるCO2を買ってやったらいいじゃないですか。キャッシュバックですよ。これを私がずっと言っていること、これが一つです。あと、後ほどお話ししますがESCOですね。こういったことを組み合わせていけばいいんです。財政に頼る、つまり補助金とか控除に頼るという以外のもののインセンティブがあるわけです。やり方があるんですよ。  先ほど経産省は、排出量取引も一つの政策手法である、とんでもない。一つではあるが創造性に富んだ極めて、世界でやっていないものだという意味で言ったら日本全体の株価が上がる、日本価値が上がるような驚くこれは魔法のつえですよ。  そこで、提出者にお尋ねします。修正を掛けた提出者に、北川議員に来ていただいております。  民主党さんは電球ということをすごく強調されておられたと、自公さんは家電に着目されたと、こうも聞いているわけでございますが、日常生活用品等の買換えを省エネのものを買い換えるようにしようというんですが、これは例えば事務所とかオフィスとか事業所ですね、それから家庭、そういうもの、そして具体的にはエアコン、冷蔵庫、デジタルテレビ、照明器具、これは含まれるんでしょうか。具体的にそこをお願いします。
  117. 北川知克

    衆議院議員北川知克君) ただいま荒井委員御指摘の、今回の修正においての電球、家電の部分について、また日常生活製品等の中での事務所関連の家電も含まれるのかということでありますけれども日常生活製品等とは、国民日常生活において利用するような製品やサービスのことでありまして、例えば白熱電球に代替するものとして、蛍光灯だけではなく、今後の技術開発によりもたらされる新たな光源の普及の促進を図るなど、排出量がより少ない製品等が幅広に対象となるような規定ぶりとさせていただきました。  なお、本修正案におきまして、そのような製品やサービスを普及促進するに当たりまして必要な措置を講ずるように努めというものであり、措置の対象者に関しましては限定をしていないところでありまして、したがって御指摘のような事務所等のエアコン、冷蔵庫、デジタルテレビ、照明器具も含まれ得るものと考えております。
  118. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 全くこれは有り難いことなんです。  本来は大臣、あの予算委員会での総理の答弁、そしてこの間の大臣の答弁では検討するということだったわけですよね。これを検討してもらってその排出量国内取引していけばキャッシュバックできるんですよ。エアコンで十一年、二年前のものでいうと六千円の約二トン、今四千円という計算で言ったら八千円のキャッシュバック来るんですよ。これをやらないと意味がないですね。しかも、経産省さんも財務省さんも聞いていただきたいんですね、なぜこれだけ環境というのがすべてのものにつながって今日大勢来ていただいているか。簡単な話なんです。この前もやりましたけど、地上デジタルで、アナログテレビ放送は二〇一一年の七月で停波なんです。ところが、やっと四二%なんですよ、普及率が。国策だから切っちゃいますか、アナログ見られないように。ところが、この家電の買換えということをやっていくことは、つまり省エネが進みつつ、地球温暖化を抑えつつ、地デジの普及率を促すことになるんです。  そうしたら財務省さん、総務省さん、特に総務省さんに聞きたいです。これ目標を達成できなかったら、財務省に予算要求しますか。地デジが見れるように、何かそういうデジタル受信チューナーというものを買いましょうと言って予算立てでもしますか。財務省さん、認められますか、これだけ金がないときに、福祉にも金が掛かると言っているときに。一石二鳥じゃないですか。  総務省さん、環境省さんと一緒になって地デジ推進のためにも家電、特に総務省にとっていえば地デジ対応のためのデジタルテレビ買換えの政策に積極的にかかわるつもりありませんか。かかわるかかかわらないかぐらいでやってください。返答、どっちかでいいです。
  119. 河内正孝

    政府参考人(河内正孝君) お答えいたします。  テレビは国民生活には深く浸透しておりまして、地上デジタル放送を移行した後も視聴者が確実にテレビを視聴することが必要でございます。そのためには、二〇一一年までにすべての視聴者にデジタル放送を受信できる環境、これを整備していただくことが必要であると考えております。  先生御指摘の方策につきましては、今後、関係省庁とともに勉強してまいりたいと考えております。
  120. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 環境というのを入れるといろんなところに関連していきます。B社が、後ほど申し上げますエコポイントという、環境省の言葉で言うとエコポイント、これ、エコ・ファーストポイントキャンペーンと言うんだそうですが、最先端の五つ星ですね、この五つ星の省エネのデジタルテレビを買うと最大五ポイント購入金額の還元をしますというポイント付きの、今、四月二十五、六日から売っているんだそうです。  全体のシェア、今までの動向というのを見たら、圧倒的にその最先端の省エネテレビを買い求めているということで、四つ星、五つ星ですね、統一マークでいうところの。テレビは一六%が最先端の省エネのものに変わっていると。一六%アップだそうです、今までより。一六%アップ。効いているんですよ。エアコンも冷蔵庫も共に、お客様が環境にいいものを買いたいと言っているんです。しかも、それによってキャッシュバックが来るということになりますから、ポイントが付いてくるということになりますので、それがインセンティブになって、買換えで最も消費、熱効率がいいものに変わっているということなんです。  今日、経産省では電気の安全ということで、家電製品が大変な、死者を含めて火災とかになるものの千三百件の中の六百件が家電が原因だということがあるということで見直しをやるというふうに言いますが、そういうものと合わせながら買換えをさせていけることができるんですね。こういったことのやはり我々は知恵を持つべきじゃないかと思うんです。これがエコポイント制度ということにもなるんです。  エコポイント制度で、びわこ銀行というのがローンで、これはこの間も申し上げましたけれども先ほど言いましたように、エアコンでいうと大体一年間に、最新のものに十一年前のものを買い換えると一万三千八百円、年間、十年間で十三万八千円になるわけです。極端に言えば、それを前借りして、銀行から、そしてそれで買い換えることによって払っている電気料金は下がる、その下がった分で払っていくということですから、前倒しなんです。そして、普通の金利は、六%金利があるところを、それを少し安くしてやる。これがエコポイントなんです。  そして、滋賀銀行というのは、百万円なら一万円分CO2を購入するようにカーボンオフセットに使っているんです。ですから、預け入れる人が自分で出した分をどこかで埋め合わせてもらうというので、預金することによって埋め合わせているというのを滋賀銀行は今年始めたばかりなんですね。そして今度、その滋賀銀行というのは環境配慮の企業には優遇金利を付けて去年からやっています。その優遇金利を、企業に出すときの優遇金利を実は今度はそういう預金者からの環境意識によって集めたものでそれを払っていくという、この金融の中の新たな循環ができるわけです。こういう循環を金融庁も財務省も考えながらこれから物事を進めていかなくちゃいけないと思うんです。  私たちが郵政というものをただ単に反対したのではなくて、新しい時代に国民すべての皆様方が郵政にお金を預けた、それはSRIなんです。社会的責任投資をしたんです。そして、国がきちんと環境を含めていいことに使ってくださいよと、そういうCSRをお願いしたという仕組みなんですよ。それを一緒くたに抹殺してしまうということはいかにも乱暴であった。こういうことでエコポイント制度というものが非常に重要なんですが、時間がありませんから金融庁に聞きます。  こうした環境配慮による様々な、生活者、お客様、そして事業主、そういうものを組み合わせていくというところに金融がポイントなんです。具体的に、このような優遇金利など環境配慮型の商品が開発どんどんされていくことを、これを奨励する、そういう金融庁の姿勢はありますか。もちろん、それぞれの会社の自由ですと言うのかもしれませんが、奨励する、そういう姿勢はございますか。
  121. 三村亨

    政府参考人(三村亨君) お答えいたします。  金融庁としては、御指摘の金融機関を始めとした金融機関が、地球温暖化に向けた各種の取組を行っておられることは承知をしております。金融庁といたしましては、企業社会的責任を全うするという観点から、各金融機関が経営判断の下、地球温暖化防止に向けた各種取組を行っていくことは重要であるというふうに認識をしております。  金融審議会におきまして、委員より、一般家庭CO2削減を後押しするような金融商品を考えてもらいたいといったような御意見もございまして、こうした御意見を金融機関との意見交換会等の場におきまして各金融機関にお伝えをし、各金融機関の地球温暖化対策等の一層の取組を要請しているところでございます。
  122. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 分かりました。  それでは、こういうふうになると、今増税路線だ、経済成長で上げ潮だ、無駄を省けばもっとお金は予算としては出てくる、いろいろなことがありますが、私はこういう考え方なんです。いわゆる環境循環経済原理、環境循環経済原理というものが新しく存在しそうな気がします。こういうものを日本が試行錯誤、今真っただ中です。大臣、今の議論も大勢の方の議論も、なかなかかみ合わないところあるかもしれませんが、そこを乗り越えるためのお互いのこれは喜びの汗としたいものです。  そういう観点でいくと私は、どうしても目的・環境国債、お金に余力のある人、環境に意識がある人、そういう方々が、増税でもない、税金でもない、自らの余裕があり意識があれば国債を金利が安めでも買う、こういう安上がりの調達で心のこもった投資、これはないんですね。こういったことをやっぱりどうしても考えてもらいたいというふうに思っていますので、これは理財局ともう四回にわたって何遍もやっていますが、相変わらずこれは無理だというのが返答なので、今日はもう聞きません、時間がないですから。もう考え方変えなきゃいけないですよということを申し上げて、また別途やらせていただきます。  そうしますと、今日お話をさせていただいただけでも、減反をやめてバイオ燃料に米がなる、それによって、地球温暖化と同時に地元の、地方の方々、農家の二次的な飼料にもなる、循環型経済も回ってくる、そして格差対策にもなりますし、デジタル家電を、これを買い換えることによってキャッシュバックの国内CDMを立てれば、そしてESCOのようなやり方をやれば、またこれによって特別財源を捻出しなくてもやりくりの中から生まれてくる。しかも、政府や総務省が地デジ対策のために別途財政支出が必要とするならば、その支出も要らない、買換えはそういうことにつながる。そして中国、隣の国です。最大排出国です。その最大排出している電力の石炭を、問題、悩みを共に取る。それによって日本の産業界も中国の産業界も、そしてCO2対応も、これがかなっていく。  こういうふうに、いわゆるLCAですか、ライフサイクルアセスメントやLCCあるいはBAS、いろんな手法ありますが、もっと広範囲で、相互関連して新たに芽が出て、そういうことにつながっていくというふうに考えているんです。  ですから、従来の産業連関表は意味を成さない、ある部分には、これは予測できる、それが使える。経済波及効果というものもある意味で使えるけれども、それ以上のところに発展していく。そして、そのことに経済活動によって税収が跳ね返ってくる税収弾性値のその扱いというのも、こうした環境循環経済原理というようなものの中では新たな展開、新たな分析手法を必要としているということを私は最後に強調させていただきたいというふうに思います。  予定していたところ、飛ばしたところもありますが、おわびをしながら、五分間、やっと大臣とゆっくりお話しできるようになりました。そのために、随分飛ばした話をやりました。  大臣経済産業省も民生事業部門でどれぐらい最大排出量削減するために必要かというので経産省出しましたよね、これ、二〇二〇年まで、ちょうど中期目標的なものです。家庭で二十六兆七千億掛かるというんですよ、目的達成するためには、買換えしていった場合。一戸当たり十二年間で五十万円出すという計算です。耐えられますかね。産業界も二十五・六兆円。買換えにしたって置き換えにしたって、技術革新を入れるにしても、やり方というのはいろいろあると思うんです。  大臣、そういうところの議論が実はアフリカ会議、そして大臣が中心になって総理を支えていくんでしょう、経産省の皆さんと一緒に、甘利大臣とともに。サミットで、足下の日本のこの第一約束期間の達成と中期目標というものをセクター別も大切にしながら目標を作って、中国と今最も関係が深くていい日本が中国を御一緒に歩んでもらってインドを加え、そしてアメリカも十一月四日の選挙で大転換でしょう、先ほど言いましたように。ここで日本が人類を救うということで、もちろん反対はあると思いますが、大決断をして中期目標を立てるべきと、幅があってもいいですが。  改めて大臣の取り組んでいく道筋と、いつごろまでにどうするかというのと、それは議長国だからそんなこと言わないでまとめていくのがうまいんだというふうな消極的なのか、目標を我が国が言って皆さんも頑張ってくださいよと引っ張っていくのか、みんなを乗せるために黙ってみんなの話を聞いて、それでは足して二で割って、まずは長期目標だけでやって後はまた実務家レベルでやりましょうというのか、この辺の腹は決まっていると思うんですよ。どうですか、中期目標
  123. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) いろいろとお話を承っていて、私もここで言葉が走らないように気を付けながらしゃべらないといけないと思うんですが。  少なくとも先生がおっしゃっていた様々な工夫、特に金融面での構造的なところに環境という考え方を入れていくこと、あるいは排出量取引に円で決済するという話ありましたけれども、私はどなたかの論文の中に、これからの基軸通貨はCO2だというふうにおっしゃっている人がいてね、なるほどなというふうに思ったことあったんですけれども。  そういう趣旨でいうと、ここをバリのCOP13から随分世界は変わってきていると思います。ですから、先生がおっしゃっている具体的な話というのは、これから一つ一つ政府の中で様々な手続しないと前に進みませんけれども、私はあらゆる意味で土壌は整ってきているというふうに思いますので、この七月七日までに中期目標をどうするかというような話については、これは政府全体での決断でありますから、我々は少なくとも環境大臣会合、ここの場においてはそれぞれ環境大臣としての責は各国果たしたというふうに思っております。これから先は政府挙げて首脳がどういうような形でG8全体で決断をしていくかというようなことに懸かると思います。そして、最終的には、来年のコペンハーゲンですべての国が入ると、こういうようなところまで至ってまあ八合目か九合目まで行けるんだろうと思っておりますので、先生からおっしゃられたことを含めて、私も残り少ないこのG8までの期間でありますけれども、できるだけ前に進むように取り組んでまいりたいというふうに思います。
  124. 荒井広幸

    ○荒井広幸君 私も経済は十分熟知しておりませんが、A・C・ピグーという人は、公害がいかに企業にとって不利益なものであり、政府が代わってそれらに課税をしながら対応していくんだと、そしてそれを市場原理に、価格に乗せざるを得ないようにすれば企業も目が覚めていくんだと、こういうことでピグー税ということを言ってきた。そして、カルドアという経済学者は、同時に、あることで、例えば牛肉の例を出している場合が多いんですが、牛肉を買うことによって大勢の利益を得る人がいるが、生産者は打撃を得る。しかし、国民全体で得た利益を、それを打撃を受けた人に提供してもなお余りある余分な価値があればそれは補償原理として成り立っていくものであるということで、いわゆるこの二つは戦後の日本の様々な意味での原理原則に政策手法として使ってきた経済分野の活用方法なんです。  これに環境というのを先ほど大臣がまとめていただきましたが、そういったものを我が国の独創において、それを野心的に、かつ、これはやるんだという決意の下でやったら、必ず中期目標二五から四〇ぐらい、できないことないんですよ。それは企業にとっての確実に利益になりますから。そういう視点を是非大臣にしっかりと意思の中でお持ちいただいていると思いますので、共に一緒に闘っていきたいと、このように思います。  ありがとうございました。
  125. 加藤修一

    加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  G8の環境大臣会合、五月二十四日から二十六日にかけて行われて、鴨下大臣、大変お疲れさまでした。  まず最初に、私は土壌汚染対策法の関係について質問をさせていただきたいと思います。  この関係については私も非常に懸念している、土壌汚染については懸念しておりまして、これは本当にしっかりやっていかなければいけないなというふうに考えておりまして、前回もこの委員会で取り上げさせていただいて、ブラウンフィールド問題は全国で十一万ヘクタールを超える、あるいは土地資産価値は四十三兆円を超える、あるいはそれに伴って対策を考えた場合の対策費用というのは約十七兆円になるというふうに試算をされているということであります。そういった意味では極めて大変な課題を我が国は抱えているという話になるわけでありまして、やはり懇談会のアウトプットのことも非常に大切でありますし、今申し上げたような問題に対しては、子供環境の汚染も含めて極めて十分に対処しなければ大変な事態になりかねないと、そんなふうに考えております。  こういう現状がある中で、明年抜本的な法改正を行うという判断を環境省はされているというふうに聞いているわけでありますけれども、こういう面についての認識と、それから懇談会のアウトプットを踏まえてどういう形で対処を、すなわち抜本的な見直しをするかと、そういった面についての御見解を示していただきたいと思います。
  126. 白石順一

    政府参考人(白石順一君) 御指摘の懇談会報告におきましては、土壌汚染をめぐる現状、あるいは、今年、法施行後五年を経過したわけでございますが、その過程で浮かび上がってきた課題、今後の土壌環境政策の在り方についていろいろ検討された結果が盛り込まれたわけでございますが、今委員の方からも御指摘ありましたように、その報告のポイントといいますと、合理的かつ適切な土壌汚染対策を進めなければということでございまして、具体的には、土壌汚染に関する国民の理解を促進しつつ、指定区域の分類化や土地利用用途を考慮して対策の必要性の判断基準を設定すること、さらに安全・安心な土壌環境の確保という観点から法律の対象範囲の見直しを含めた検討を行うこと、こういったことを通じまして、搬出される汚染土壌の適正処理の確保、あるいはただいま御指摘のありましたブラウンフィールド問題を緩和する効果ということも目指していかなければならないというふうな指摘でございます。  この懇談会報告を受けまして、去る五月二日付けで中央環境審議会に対しまして今後の土壌汚染対策の在り方を諮問させていただいたところでございまして、今後中環審において審議が進められるわけでございます。今後、この審議結果を踏まえまして法律改正を見据えて取り組んでまいりたいと、今このように考えているところでございます。
  127. 加藤修一

    加藤修一君 一つの規制を強めるということになると思うんですね、一言で言いますと。規制を強める場合には当然事前評価、その規制によってどのように経費が掛かる等を含めて、あるいは効果はどういうことになるのかと、そういう事前評価、レギュレーション・インパクト・アナリシスというふうに言っているそうでありますけれども、これは法律でそういうふうにやらなければいけないと、そういうふうに義務化しているわけでありまして、これは規制の導入修正に際し実施に当たって想定されるコストや便益といった影響を客観的に分析し公表することにより規制制定過程、プロセスにおける客観性と透明性の向上を目指すと、そういうふうに官庁の出した報告にはなっているわけでありまして、今回の土壌汚染対策法の見直しの関係につきましては、当然のことでありますけれども、こういう規制の事前評価ということについて、環境省がやった例としてはこれは非常にすばらしいと、このRIAの事例としては成功した事例であると、そういうふうに言われるぐらいにこのRIAについてはしっかりと私はやっていただきたいなと、このように考えておりますけれども、この辺についてはどうでしょうか。
  128. 白石順一

    政府参考人(白石順一君) 御指摘ありましたように、法律又は政令の制定あるいは改廃によりまして規制を新設、廃止すること等を目的とする政策につきましては、去る昨年の十月一日から今御指摘のような事前評価を実施するということが義務付けられております。  土壌汚染対策法につきましても、今後、中環審の答申を踏まえ改正を見据えた見直しということになるわけでございますが、立法化をするということになれば、必要に応じました、さきに御指摘ありましたような事前評価ということも行わなければならないわけでございまして、それについては遺漏なきを期したいと考えております。
  129. 加藤修一

    加藤修一君 それで、前回、環境債務の関係について取り上げておりました。それと、これは懇談会でも環境債務についてはしっかりととらまえるような形でアウトプットがあるというふうに考えておりますけれども、この環境債務のガイドラインをしっかりと作り上げて企業導入しやすいようにしていくべきだと考えております。これについても対応をよろしくお願いしたいと思いますし、それから、CO2が価値化されると、炭素を価値化させるという、値段を付けるという話でありますから、CO2が出るということはそれは債務を持っているのと同じなわけですね、ある意味では。ですから、将来的には、この温暖化対策推進法の関係については、このCO2の関係についても環境債務と、そういうとらえ方をすることも私は必要ではないかなと、このように考えております。  ともかく環境債務のガイドラインをしっかり作り上げて、企業が円滑にこういったことについても導入できるようにしていくべきだと考えておりますけれども、この辺についての見解を示していただきたいと思います。
  130. 西尾哲茂

    政府参考人(西尾哲茂君) 環境債務につきまして先生から御指摘をいただきまして、私どももそれなりに勉強もし、それから関係の検討している委員会の動向も見守ってまいりました。  少し仕分をしてお答え申し上げたいと思うんでございますが、環境債務のうち、特に土壌対策のような費用でございます。国際会計基準や米国の基準で資産除去債務と言われているものにつきましては、その後、むしろ専門家の間で進展がございまして、企業会計基準委員会というところから本年三月に国際会計基準と同様に除去費用をあらかじめ有形固定資産に計上するという資産除去に関する会計基準が公表されまして、これは平成二十二年の四月から実施をしようではないかということで、これに向けて実施に向けてのルールが整備されていくと、こういうことでございます。その中では、こういうものに充てるものはそういう除去に際して法令等におきまして法律上の義務のあるようなものについてきちんと掲げるということで、そのルール作りもなされております。  したがいまして、これが、私どもといたしましては、ここについて重ねてガイドラインをつくるというよりは、こういうものがきちんと周知をされて適切に運営されていくように、必要なことがございますればそういう技術的な面とか周知の面で金融庁にも御協力をして進めていくと、こういうことになろうと思います。その後の、またそれだけで尽くせないような、炭酸ガスでございますとかそういった各種の情報投資家その他のステークホルダーに対して示していくことの重要性、これにつきましては、いろいろな調査も重ねまして更に勉強していくと、そういうことでございます。
  131. 加藤修一

    加藤修一君 法律で義務化するという話になっているということでありますので、まあそれはそれでございます。  ただ、どこかの省が周知徹底が遅れて大変な事態になったケースもございますので、やはりこれは周知徹底をしっかりと環境省も強力に進めていただきたいなと、そんなふうに思います。  それから、この土壌汚染対策法の見直しの関係については、やはり先ほど来お話ししておりますように、極めて大事な見直しになってくるだろうと思っておりますので、これは大臣、よろしくお願いしたいわけでありますけれども、決意のほどをお伺いしたいと思います。
  132. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) 今御議論をいただいております土壌汚染、これの対策法につきましては、施行から五年を経過して、先ほど事務方の方から答弁申し上げましたとおり、法律の対象範囲に加えまして、例えば搬出汚染土壌の適正処理の確保など様々な課題が指摘されているわけでありまして、これ五月の二日に中央環境審議会に諮問をしたところでございます。  今後、この中央環境審議会における審議結果を踏まえまして法律改正を見据えて取り組んでまいりたいと、このように考えているところでございます。
  133. 加藤修一

    加藤修一君 中環審でこれから審議が始まるということでございますけれども、現状の厳しさも踏まえながらしっかりとこれは対応していくべき大きな課題だと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、生物多様性基本法が今日の委員会で採決されるというふうに伺ってございます。これまた非常に大切な基本法でございまして、関係の皆さんが大変な努力をして作り上げてきた法案でございますし、さきのG8の環境大臣会合でも報告を、大臣からも報告がございましたし、私の方からも報告をさせていただいたところでございます。  それで、まず環境省の方に先にお聞きしたいわけでありますけれども企業立地をしていく場合に、当然これ生態系に対しても様々な影響を与えるケースが決して少なくはないと。  私は群馬県に住んでいるわけでありますけれども、ある企業は、近自然工法といいまして、極めて自然に配慮した工場の造成を行っている。C・W・ニコルさんの意見を聞いたり、あるいは、これ西日本科学技術研究所の福留さんという有名な方でありますけれども、計画立案の初期の段階から様々な意見を伺って、いわゆる造成する場合に、全面的に工場用地を造成するということではなくして、自然の景観とか自然の丘陵とか段差とか、そういったものを全部うまく使いながら工場を造ったというケースでありまして、最終的に、従来のやり方と比べると数億円も浮いたという話なんですね。  そういう近自然工法、いわゆる環境を配慮した、例えば調整池のビオトープ化の関係とか、現地で発生した自然石を利用するとか、造成地の形状の曲線化とか、そういう元々備わっている、自然が持っている、それをうまく使った、あるいは樹木もかなり多く残してやっている、あるいは伐採した木からは散策路の木道などに使っている等々を含めて、自然環境と共生する森の中の二十一世紀型工場ということで、たしか私の記憶では、環境省からも賞をいただいているという、そういうお褒めの言葉をいただいている会社でございます。  そういう近自然工法を含めて、いわゆる生態系になるべく影響が行かない、あるいは生物多様性の関係についても影響が出ないように、なるべくですね、なるべく影響が出ないようにやっていく方法がこれからは非常に、この基本法が通ったことによりまして出てくるのではなかろうかと思います。  そういった関係から、いわゆる生態系に配慮した企業活動ガイドライン、こういったことについても必要ではないかなと。あるいは、これは既にやっているかもしれませんが、公共事業の関係についてもこういったガイドラインの策定ということも必要かもしれません。あるいは、さらに、自然工法という関係で、関係のいわゆる技術とかノウハウというのがもっともっとこれ普及されるように、あるいは新しい工法が開発されるように環境省の視点からも努力をしていくべきではないかなと、このように考えておりますけれども環境省の見解をお聞かせいただきたいと思います。
  134. 櫻井康好

    政府参考人(櫻井康好君) 御指摘の、企業工場の立地に当たっての生態系を配慮する事例、あるいは工事の際に自然の地形に逆らわずに、現地産の石を使うとかあるいは植生を活用するというような近自然工法につきましては、近年、企業による実施事例が徐々に増えつつあるのではないかというふうに認識をしておるところでございます。  一般的に申しまして、企業は商品の生産、取引、消費を通じまして地球環境あるいは地域社会に大きな影響を与えておるところでございますけれども、生物多様性の保全や持続可能な利用推進する上でも大きな役割を果たすものというふうに考えておるところでございます。  環境省といたしましては、今後、企業によります生物多様性に関する活動の先進的な事例の紹介ですとか、あるいは企業による取組の指針となります企業活動ガイドラインの策定など、生物多様性の保全を自主的に取り組む企業を後押しするような施策を充実してまいりたいと考えております。また、その近自然工法など、技術的に自然を再生するあるいは自然を生かしたような工法ということにつきましても、関係の事業者団体などとの連携を図りながらその普及に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  135. 加藤修一

    加藤修一君 よろしくお願いしたいと思います。  もう一つ、別の事例なんですけれども、地元の話をして恐縮なんですけれども。みなかみ町というところがありまして、その北部に広がる約一万ヘクタール、これは国有林なんですけれども、赤谷の森というふうに言っておりまして、これは一つの計画が今推進されている最中なんですけれども、「三国山地/赤谷川・生物多様性復元計画」ということなんですね。  これについて概要を説明していただきたいのと、復元という意味をどういうふうに理解しているか、あるいは今後このプロジェクトをどういうふうに展開されようとしているのか、林野庁の方にお願いいたします。
  136. 福田隆政

    政府参考人(福田隆政君) 委員御指摘の赤谷プロジェクトでございますけれども、国有林野の管理経営に当たり、生物多様性の保全と持続可能な地域社会づくりを目指しまして、私どもの関東森林管理局に加えて、地域住民で組織いたします赤谷プロジェクト地域協議会、日本自然保護協会が中核となりまして、さらに関係の多様な主体の連携の下で進めているものでございます。  具体的な取組といたしましては、当該地域の地形や地質、気象に応じた多様な森林生態系の保全、復元を科学的根拠に基づいて進めるということにしておりまして、一つには、カラマツ、杉などの人工林の抜き切りなどによりまして広葉樹の侵入を促進することにより、天然林、元の天然林の状態に復元を図ると、あるいは動植物のモニタリング調査でありますとか小中学生を対象とする森林環境教育などを行っているところでございます。  このように赤谷プロジェクトでは、多様な主体との連携、自然資源の適切な利用推進など、生物多様性基本法案に掲げられました政策に率先して取り組んできているところでございますけれども、今後とも、先ほど申し上げました多様な主体の連携の下で積極的に取り組んでまいる考えでございます。
  137. 加藤修一

    加藤修一君 生物多様性基本法の関係は、目的の中で、地球温暖化の防止等の地球環境の保全に寄与するということが目的になっておりまして、地球温暖化対策上、これ復元とか、そういう意味はちょっと違った意味ですよという話でありますけれども地球温暖化対応としてどういうふうに考えていくかということが極めて私は、なかなか難しい部分でありますけれども、是非最大努力していただきたいなと、そのように思います。  それから、地球温暖化の問題に入りたいと思いますけれども、一九九〇年に地球温暖化防止行動計画が日本で作られまして、もう二十年近くなるということですよね。一九九七年の十二月にCOP3があったわけでありますけれども先ほど来の議論を聞いておりまして、なかなかいろんな省の中で合意形成という点についてはまだまだこれからの段階なのかなというそういう、印象ですけれども、印象を受けました。  私は、一九九五年に、小川委員がおりませんが、小川委員と一緒に北海道から当選してきた人間なんですけれども、九五年にまず当選して最初に質問したのが地球温暖化問題でありまして、当時はCOP2の段階でありました。地球温暖化の関係でそういう国際会議が開かれていて、IPCCを含めて懸命に温暖化に対処していかなければいけないという話になっていて、ただ、三回目の国際会議をどこで開くかと。これは非常に議論があって、なかなか質問しても明確な答弁がないという段階でありましたけれども、翌年の九六年の三月の二十八日、商工委員会、通産省の時代でありますけれども、当時の塚原大臣にかなりちょっときつい質問の連続の中で、大臣がもう言っていいだろうなというふうに事務方に声を掛けながら、これは、国際間、各国間でいろいろあると思いますけれども、我が国といたしましては積極的に事の重大性から世界に訴えていかなければいけないというふうなことから、第三回については強い関心を持って、日本で何とかやるように努力をいたしてまいりたいと考えておりますというふうに答弁がございました。  これは初めて国会でこういう形で答弁したわけでありますけれども、ただ、その後にまた、産業界を含めましてこの会議に対する日本の主張は何かということを検討いたしませんと、単に主催者になったというだけでは、先ほど大臣が言いましたように重要な会議でございますので等々いろいろと話がございまして、いずれにいたしましても、九七年からもう十年以上たったという段階で、なかなかCO2が減ってこないということに対してはもう皆さんと同じようにしっかりと我々も頑張っていかなければいけないなと、そんなふうに考えております。  そこで、今回の修正案の関係で質問をしたいと思いますが、江田衆議院議員にお願いしたいと思います。  国民の生活様式の改善についての規定がございますけれども、この点については目標達成計画の見直し、この中にも相当あると。例えばどういうことかといいますと、今後総合的に検討が必要とされた重要事項がありますけれども、これはもちろん政府だけが考える話じゃなくて、やはり国民的な議論が必要というふうに考えられると。提案者の一人として、江田議員はこの辺についてはどのようにお考えですか。
  138. 江田康幸

    衆議院議員江田康幸君) 公明党の江田康幸でございます。  提案者として加藤先生の御質問にお答えさせていただきますが、御指摘のように、これ、昨年の冬から、環境省では中環審、また経産省の産構審、これが合同会合におきまして、コンビニなど二十四時間営業の見直しとか、またサマータイムの導入などについての論議が行われましたけれども、直ちに結論を出すことは困難とされて、改定京都議定書目標達成計画において、一つは深夜化するライフスタイル、ワークスタイルの見直しに関して、国民の抜本的な意識改革に向けて、諸外国の状況も踏まえて総合的に検討する。また、サマータイムについても、論点の具体化を進めて、国民議論の展開とともに環境意識の醸成と合意形成を図るということとされたと承知しております。  家庭部門においては、この二〇〇六年度の温室効果ガス排出量も基準年比で三割も増加しているわけで、こういう中で、やはり先生御指摘のように、また国民生活様式の改善を含む国民運動等が大変重要になってくるわけでございます。  恐縮でございますけれども、我が公明党では、将来にわたる世界規模の温暖化防止運動の出発点としていくために、この洞爺湖サミットの開催日の七月七日をクールアース・デーと宣言して、この日を地球温暖化防止のために行動する日というふうに定めようとの提言をしてもおります。また、そのアクションとして、全国のライトアップ施設や家庭などの電力使用を一定時間控えるライトダウン運動を推進する等も提言させていただいているところでございますけれども、特に衆議院修正事項として国民の生活様式等の改善の検討ということを加えましたのは、やはりこれが各界各層の参画によって、様々な場において、例えば先ほど検討課題となった深夜化するライフスタイル、ワークスタイルの見直しとかサマータイムなどに関して議論を起こしていく、また、国民一人一人が地球温暖化問題に対して行動を起こしていくことにつながることを大きく期待してのことでございます。
  139. 加藤修一

    加藤修一君 分かりました。  それで、財務省にお願いなんですけれども、先日、報道によれば、間違った報道だという話でありますが、CO2排出量を競売にすると。競売というのはオークション方式の、これは排出量取引制度国内でしっかりと成立していなければオークション方式も何もないわけでありますけれどもCO2排出量を競売にする、五兆円規模の歳入がある、財務省は検討していると、そんなふうに書かれておりました。確認いたしましたならば、それは間違いであると、事実無根のことでありますよという話でありました。そのぐらいこの関係については過熱しているようなところもあるかもしれないわけでありますけれども。  先ほどほかの委員の方が、一兆二千億円、クレジット購入するに当たりまして、財政審の試算は一兆二千億円と、そういう費用が当然掛かるという話であるわけでありまして、それは当然国民の合意に基づいて購入するしないという話にならざるを得ないと。これは費用の問題ですね、あくまでも。費用としてそれだけ必要になってくるという話、試算でありますけれども、そうなる。これはクレジットに限らず、これからは緩和政策に限らず、あるいは適応政策のことを考えてまいりますと、当然費用ということからは離れるわけにはいかないと。必ず付いて回るのが費用の話でありますので、これは今後、日本全体としてどれだけの費用が地球温暖化の関係で生じるかということについては積算をする必要があるだろうと私は常日ごろ思っております。  それはまだ顕在化した話でないところが大半でありますので、潜在的な財政負担分析をすべきであると、こういうふうに財務省に言っております。財政審の関係のその費用の関係については、当然これは財務省設置法の中における財務省の所掌する範囲であります、当然の話。歳入がどうなる、歳出がどうなる、そういった面でありますので、これは同じように、地球温暖化の関係についても、将来の費用がどのぐらい掛かるか、潜在的にどうなのかという試算をすべきなことは当然の話でありまして、財務省はそういった面についてどう考えるかということが極めて私は重要であると思っております。  これはスターン報告にまつまでもなく、毎年毎年一%、仮にGDPの一%を投入するということになれば、世界で五十数兆円でありますから、仮に一〇%を日本だとすると十兆円という話になってくる。これはやはり、今の地球温暖化直接の対策費から考えても、数倍という話になってしまうわけですよね。それは、地球全体というか世界全体からブレークダウンしてきた話でありますけれども、我が国は我が国としてどういうふうに将来的にそういう財政負担が生じるかということについては、やはりこれから、今、いわゆる今でさえ国の財政というのは相当な借金体質でありますので、そういった面の将来的な、展望じゃないかもしれないけれども、そういう負担をしっかりと試算して、どうやっていかなければいけないか、あるいは国民皆さんにもこの辺についてはやはり知っていただくということも私はあってしかるべきでないかなと思っておりますけれども、この辺についての財務省の見解をお聞きしたいと思います。
  140. 木下康司

    政府参考人(木下康司君) お答えいたします。  御指摘のような分析の重要性については十分認識をしているところでございまして、例えば地球温暖化に対する適応策については、環境省において昨年十月に地球温暖化影響・適応研究委員会が設置され、気候変動の影響とそれに対する適応策の在り方について検討が進められるなど、関係省庁において様々な検討が行われていると承知しております。財政当局といたしましては、効率性の観点からも、まずは環境省始め関係省庁と緊密に連携しつつ、こうした取組の成果の活用を図っていくことが重要であると考えております。  ただ、財政当局としても、地球温暖化に伴う財政負担については強い関心を有しておりまして、例えば昨年十月の財政制度審議会におきまして、いろいろな財政負担、想定される財政負担を示しておりますし、また先日の財政制度審議会においても我が国における排出削減費用について、資源エネルギー庁が出されました長期エネルギー需給見通しに基づく試算を紹介して、これらにより、今後の排出削減に係る負担の在り方についての議論を提起をいたしました。  財政当局としても、今後とも関係省庁における取組と緊密に連携しつつ、地球温暖化に係る財政負担についての検討を深めてまいりたいと考えております。
  141. 加藤修一

    加藤修一君 今までにない答弁だと私は評価したいと思いますね。今まではどっちかというと、ほかの省庁がやるから我々はあんまり関係ないんだというような言い方をしているように私は印象付けられておりましたが、今日はかなり積極的な答弁だと私は思っております。  それで、ついでに質問するわけじゃございませんが、そこまで関心をお持ちで責任持っておっしゃるわけでありますから、財務省としては、関係省というとおかしいですけれども、全省庁に向かって、それぞれの省が所掌しているところで将来的にどのぐらいコストが掛かるかと、そういうことについてもしっかりと、これはデータをそれぞれの省庁が持っているわけでありますからはじけない部分もまだあるとは思います。しかし、そこを乗り越えることを含めてしっかりと、最終的にどのぐらいの費用になるかということについても、周知徹底ということじゃなくて、何というんでしょうね、そういうことをしっかりと言っていただきたいと、このように思っていますけれども、どうでしょうか。
  142. 木下康司

    政府参考人(木下康司君) お答え申し上げます。  先ほど申しましたように、それぞれの各分野において関係省庁がそれぞれの専門性を生かしていろいろな御検討をされていると思います。先ほど申しました環境省もしかり、それから国土交通省におかれましても、社会資本整備審議会河川分科会におきまして水災害分野における地球温暖化に伴う気候変化への適応策のあり方について答申を予定されていると聞いておりますし、あるいは農林水産省におきましても、農林水産省地球温暖化対策総合戦略に基づき、各分野において気候変動の影響評価あるいは適応策の検討等について取り組むこととされていると聞いております。  財政当局としましては、そういう専門家のおられます各省庁の取組の成果について、まず活用を図っていきたいというふうに考えております。
  143. 加藤修一

    加藤修一君 各省と財務省の所掌のその範域が私は詳しく知っておりませんから、そこが限界なのかどうかよく分かりません。ただ、スターン報告のやり方というのは、もう御承知のようにイギリスの財務省がやらせた話で、しかもそれは世界全体の話ですよね。いろいろ評価については格差があるように伺っておりますけれども、ともかくそういう潜在的な財政負担ということについては、費用についてはしっかりと財務省がやらせたという、そういう理解で私はおりますので。  だから日本でできないということもないし、だからイギリスと同じようにやらなければいけないということもないかもしれません。しかし、求められているこういう費用の関係については、私はいち早くそういうことをはじいて、しかもそれが国民皆さんによく分かるように提示するということは、先ほど江田議員が話したこととも決して無関係じゃないと思うんですね。国民皆さんにこういった面についても速やかに、円滑に頭の中に入っていくようにすることは非常に私は大事だと思っておりますので、是非、今日の質疑また答弁のことを踏まえて、今後、積極的な検討をお願いをしておきたいと思います。  次に、時間がなくなってまいりましたのでちょっと質問を飛ばしたいと思いますが、大臣にほかの委員からも度重なる似たような質問が出ておりますので、私もあえて質問するというのは申し訳ないんですけれども。  ただ、中期的な削減の関係とか、ピークアウトはいつからですか、あるいは長期的な削減等々含めて、日英で共同して、国環研は七〇%削減、二〇五〇年には可能であると、そういう試算報告もされていることですし、外交交渉だから先に言ってしまうとなかなか難しいんだという、そういう見方も確かにはあると思うんですね。  せんだって、本会議で私は、排出量の取引制度の関係で中間報告があったということで、それについて質問をいたしました。認識はどうであるのかと、その成果について。それから、産業界はどういう反応をしているんですかと。あるいはさらに、今後どういうスケジュールで進めていくんですかという話をいたしました。  これは、中期目標とも関係は決してしないとは言い難い話でありますので取り上げているわけでありますけれども、今後のスケジュールの関係、それから産業界の反応等を含めて、あの際は御答弁がなかったように私は思っておりますので、そういうことも含めて、もし今発言できるのであるならば是非お願いしたいと思います。
  144. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) 端的にお答え申し上げますが、中期目標につきましては、これ、議長総括の中では、IPCCの科学的知見を考慮して実効的な目標を設定する必要があると、こういうような結論に至ったわけでありますし、加えて、今後十年から二十年の間に世界排出量をピークアウトさせるためには先進国が率先して目標を掲げて対応すると。それとともに、特に排出量が急増している途上国、これについては排出増加のスピードを抑制することが重要であると。この辺りが一番ある意味で重要なところの一つなんだろうというふうに思っておりますけれども、この前提に立ちますと二〇五〇年に世界全体で排出量を半減し、今後十年から二十年の間にピークアウトすると、こういうようなことにおいては我が国の目標設定、当然必要であるというふうに考えております。  排出量取引につきましても、今先生おっしゃったように、検討会で中間取りまとめしました。その中で一から四の考え方を示しまして、これから広く専門家あるいは産業界にそういうような問題意識を投げかけまして、それぞれにお考えが返ってくるように大変期待しているわけであります。  そういうような意味においては、この中期目標の数値をいつどのタイミングで出していくかというようなことは、今先生おっしゃったように国際交渉そのものでありますけれども、大前提として二〇五〇年五〇、あるいは十年から二十年でピークアウト、こういうような中でおのずとあるべき数値というのはあるんだろうというふうに思っております。我々、より野心的な数字をできるだけ早いタイミングで出せるように最大努力をしたいというふうに思っております。  加えまして、その経済的な手法を用意するということは、これはその数値を実現していくためのリアリティーを持たせていくというような意味において国内外に大変説得力を持つものだろうというふうに思っておりますので、この中期目標と同時にそれに至る方法論、こういうようなものも提案するのが本来的だろうというふうに思います。
  145. 加藤修一

    加藤修一君 今大臣の答弁で野心的な数字をできるだけ早い時期に出したいと、リアリティーを持たせながらという話がありました。これは、まあ野心的という内容をどう考えるかに当然よるんですけれども、ただ一般的にとらえるとこれは非常にすごい表現だと私は思います。  千葉でG20が開催されたときに、イギリスの前首相のブレアが参りまして二十分ぐらい講演された中に、もう大臣も知っていらっしゃるに違いないんですけれども、革命という言葉を使った。二〇五〇年に半減という、これはもう先進国にとっては革命だと、革命をするぐらいの話だと、ゼロエミッションだという、そういう話ですよね。この間本会議でもやらさせていただいた内容になってしまうわけでありますけれども、そういう言葉があり、講演があり、意味するところもお互い知っている中で、これはトニー・ブレアも恐らく野心的という言葉は使わなかったにせよ、ほぼ同じだと思うんですね。大臣のおっしゃった今のその言葉というのはもう非常に強烈に私は伝わってきました。  今ここで時間もうございません。時間が来てしまいましたので、別の機会にさせていただきたいと思っておりますが、非常に大事な発言があったととらえて、私も頑張ってまいりたいと思います。  どうもありがとうございます。
  146. 市田忠義

    ○市田忠義君 日本共産党の市田です。  IPCCの最新の知見によりますと、このまま温暖化が進めば突然の回復不能な結果をもたらす可能性があると、そう警告しています。今後の気温上昇を産業革命前に比べて二度以内に抑えるということは人類にとって至上課題であります。昨日終わった神戸で開かれていたG8の環境相会合でも、ドイツ政府の代表は次のように述べています。先進国が二〇二〇年までに九〇年比で二五から四〇%削減する中期目標で合意しなければ、気温上昇を工業化開始前から二度以内に抑える目標は達成できないと、こう述べたわけですが、私は、こうしたIPCCの報告や他の先進国の決意を重く受け止めるべきだと思います。  日本が先進国としての責任、サミット議長国の責任を果たすというのなら、なぜ今に至っても具体的中期削減目標を示さないのか。他の委員質問環境大臣は、これは七月七日までに政府が決めることということもおっしゃいましたし、二〇五〇年半減とすればおのずとあるべき数字云々ということもおっしゃって、具体的数字についてはいまだに示されていないわけですが、政府が決めることだとするならば、環境大臣としてはいまだに中期目標が決まっていないことについてどう認識されているのか、お考えをお聞きしたいと思います。
  147. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) 何人かの委員にもお答えをいたしました。  中期目標につきましては、これは最終的にはCOP15のコペンハーゲンでの最終的な国際交渉でそれぞれの国が仮に合意をするというようなことであればおのずとそれぞれの国の中期目標というのが定まるんだろうと、こういうふうに考えておりまして、まさしく国際交渉そのものなんだろうというふうに思います。  ただ、そのときに私たちがその数値をいつのタイミングで出すかというようなことについては二つの考えがあって、高めの目標を掲げつつリードしていくというやり方もありますし、片や、すべての国が参加をすると、こういうようなことに重きを置きつつ、先生はおのずと類推ができる数字というのがあるという私が何回か申し上げたのを引用なさいましたけれども、そういう意味でいうと、我々はこの数値をある程度持ちつつ、最終的にすべての国が参加する枠組みをつくるために貢献していくと、この二つのやり方があるんだろうと思います。  昨日、ドイツの代表の記者会見での話を伺っていますと、ドイツは前者の方の考え方に沿って自分たちはこうしますと、こういうようなことでお話しになりました。  じゃ、我々が同じようにそういうようなやり方をするのがいいのか、あるいは後者のようなやり方がいいのかと、こういうようなことについては戦略的あるいは高度に考える必要があるのかなと、こういうふうに思っておりまして、その辺りのところの判断は比較的早くすべきだというふうに私は思っておりますけれども、これは政府全体のことでございますので私だけでは申し上げられないということであります。
  148. 市田忠義

    ○市田忠義君 大変ぼかした言い方で、率直に言って日本としての積極的なイニシアチブを発揮するという立場には立っておられないということが少なくとも今の答弁で私ははっきりしたと思うんですけれども。  先ほどのG8の環境大臣会議でも、先進国がまず中期目標を決めるべきだと、長期目標だけ議論するのは現実味がないと、二〇二〇年に何ができるかが大切だと中期目標を重視する意見が相次いだと報道されています。  五月十三日付けの各紙、日本の新聞ですが、政府が洞爺湖サミットに向けて長期削減目標を掲げる方針だという報道が一斉にされましたが、同日付けの日経新聞の社説はその報道に触れて、四十年以上先の約束手形を一枚切ったぐらいでサミット議長国として主導権を発揮できるほど気候変動をめぐる交渉は甘くないと、そう批判をして、二〇二〇年までの中期目標を掲げる必要があると、そう述べましたし、今日の日経の社説に至っては、目標なき無手勝流の限界と、昨日終わった環境大臣会合の内容について厳しい指摘をしています。  政府は中期目標について各国の動向を見極めてということをよく言われるんですが、私は、実際にはセクター別アプローチで削減ポテンシャルを積み上げるという手法に固執をしているからいつまでたっても中期目標が示せないと、これが本当のところじゃないかというふうに思います。  地球温暖化に関する懇談会で、新日鉄の三村社長はセクトラルアプローチが一番いいやり方ではないかと大絶賛しておられます。それもそのはずで、国際鉄鋼協会は昨年度既に、グローバルなセクトラルアプローチが最善であると、そういう見解を示しています。私はこれが事実上、政府の方針になっていると取られてもやむを得ないんじゃないかと。  そこで、私はそのセクター別アプローチを強く主張しておられる鉄鋼分野の実態がどうなっているか事実を確認しておきたいと思うんですが、環境省にお聞きします。  温対法に基づく大口排出事業者排出量算定・報告公表制度による第一回公表報告のあった特定事業排出者一万四千二百二十四事業所のうち、鉄鋼業の占める割合は事業所数と排出量でそれぞれどうなっているか、答えてください。
  149. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) まずは、鉄鋼業である事業所からの報告書件数でございます。四百六十四件で全体の三・三%であります。  また、これら四百六十四事業所からの排出量の合計でございますが、CO2換算で一億九千六百五十三万トンでありまして、全体の報告量が六億五百万トンでございますので、その三二・五%であります。
  150. 市田忠義

    ○市田忠義君 今答弁されたように、全体の三二・六%、鉄鋼分野からの排出量は我が国全体の排出量の中で大変大きな位置を占めているということが明らかにされました。  この鉄鋼分野について甘利経済産業大臣は、四月十八日の衆議院経済産業委員会で、鉄鋼などは今日の時点でも世界一の効率です、そう答弁をして、事実上これ以上の排出量はもう減らせないかのような言い方をされました。鴨下大臣はまさか同じ認識ではないと思いますが、いかがでしょう。
  151. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) 私は、鉄鋼という分野がどういうふうな位置付けになっているかということについては二つの考え方があると思います。確かに、主要排出セクターであることは間違いありません。  ただ、エネルギーとしてCO2を出す場合と原料としてCO2を出すと、こういうようなことにおいてはおのずと工夫の仕方というのに限界があると。こういうようなことについては鉄連側がおっしゃっていることにも一理はあるというふうに思っております。  ただ、全体的にトータルでCO2を下げていくというようなことについては、これはすべてのセクターが取り組まないといけないわけでありますから、鉄鋼という分野が例外というわけにはいきません。そういうようなことで御協力をいただかないといけないと思っておりますけれども、その中で、世界の鉄鋼セクターをどういうふうに位置付けるかと、こういうようなことがこれからの工夫のしどころなのかなと、こういうふうに思っております。
  152. 市田忠義

    ○市田忠義君 CO2を減らしていく上で鉄鋼も例外ではないということを大臣おっしゃいました。  そこで、次に確認したいんですが、温対法の公表制度による第一回公表に当たって、経済産業大臣が非開示、公表しなくていいと、そう認めた事業所の数と事業者の数、その職種について、経済産業省、述べてください。
  153. 内山俊一

    政府参考人(内山俊一君) お答えいたします。  経済産業省が平成十八年度の温室効果ガス排出量につきまして、温暖化対策法第二十一条の三第三項に基づき権利利益の保護に係る請求を認める決定を行った事業者は十四社、三十六事業所でございます。業種別には、化学工業が三事業所、鉄鋼業が三十一事業所、金属加工業が二事業所となっております。
  154. 市田忠義

    ○市田忠義君 今お述べになったように、排出量報告公表制度の非開示事業所のほとんどが鉄鋼業であります。  気候ネットワークの独自調査データを見ますと、非開示の製鉄事業所CO2排出量の二位から八位までを占めている。上位十事業所日本全体の排出量の一二%程度を占めると推定しています。また、鉄鋼の十事業所は上位二十に入っている。すなわち、非開示の事業所は数でいえば多くはないけれども排出量からいえばかなりの量に上るという私は非常に重要なデータだというふうに思います。削減ポテンシャルを検討すると幾ら言っても、日本全体の排出量で鉄鋼が大きな位置を占めているにもかかわらず、その排出実態さえ明らかにしていないようでは全く説得力がないと。  そこで、お聞きしたいんですが、新日鉄の三村社長は四月五日の懇談会で、世界最高のエネルギー効率にもかかわらず、自主行動計画達成のため約一千億円を負担し、四千四百万トンの排出権購入を予定と、そう説明した資料を配付されて、まるで犠牲者の嘆きのような言い分を述べられたわけですが、私、確認したいのは、じゃ鉄鋼分野の自主行動計画における目標の達成状況はどうなっているか、目標数字と現在の到達数だけお答えください。
  155. 内山俊一

    政府参考人(内山俊一君) お答えをいたします。  鉄鋼業の環境保全に関する自主行動計画の二〇一〇年度における目標は、粗鋼生産量一億トンを前提といたしまして、鉄鋼生産工程におけるエネルギー消費量を基準年の一九九〇年度に対し一〇%削減するというものでございます。この目標の二〇〇六年度における達成状況は、粗鋼生産量が一九九〇年度比五・四%増加する中、エネルギー消費量は同五・二%減となっております。このように、鉄鋼業界は、生産量が増加する中、目標達成に向けて最大限の努力を行っているものと承知をしております。  経済産業省としては、今後とも産業界の自主行動計画の確実な目標達成を確保するため、産構審・中環審合同会合によります厳格な評価、検証を行っていく所存でございます。
  156. 市田忠義

    ○市田忠義君 数字だけお答えくださいと言ったんですが、認識までお述べになりましたが、そういう甘い認識だからなかなか私、削減が進まないと思うんですよ。エネルギー消費量一〇%削減目標のところを五・二%の削減にとどまっていると、しかも前年比では二・二%増になっているわけですね。自ら決めた目標さえ守られていないと。  ここにおられない甘利大臣の名前ばかり出して失礼ですが、これは衆議院経済産業委員会で、我が党の議員の質問に対してこういうことをおっしゃっているんですね。CO2排出量は、たくさん生産するところは出るに決まっているのであって、要は原単位なんです。まるで産業界の代弁者かと思うような答弁であります。鉄鋼分野のエネルギー効率についても、設備投資お金を掛ければまだ削減余地があるとの報道もあります。私は、この甘利大臣の論理でいけば、エネルギー効率さえ良ければ、どんどん生産量を増やしてCO2排出量を増やし続けても仕方がないということを言っているのと同じだと思うんです。これでは私は総量の削減方向に向かわないのは明らかだと。  こういうふうに、産業界、経済産業省がエネルギー効率セクター別アプローチに固執をして、総量での削減目標をあいまいにしているから、いつまでたっても中期削減目標が示し得ない、そういう状況に陥っているんだと思います。G8の環境会議でも、まず国の削減目標を決め、その後で産業別に配分する、セクター別アプローチは中期目標を補完するものとの意見が相次いだと聞いています。当委員会で、三月だったと思いますが、私の質問に対して環境大臣は、セクター別アプローチは国別総量目標全体にとってみると必要条件だが十分条件ではないと、こう答弁されました。  私は、洞爺湖サミット開催を目前に控えて、議長国としてのリーダーシップを発揮するというならば、これは国際交渉の中で決めることだとか、あるいは慎重に各国の動向をよく見極めてだとか、そういうのんびりした構えじゃなくて、文字どおりリーダーシップを発揮するというなら、今こそ削減目標を、中期削減目標を明確にすべきときじゃないか。改めて、環境大臣としての決意をお聞きしたいと。政府が決めることだというのは分かっています。環境大臣が積極的な姿勢をお示しにならなかったら政府を動かすことできないというふうに私は思います。いかがでしょう。
  157. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) 昨日までのG8環境大臣会合の議長総括の中にも、国別総量目標の設定のために、セクター別のアプローチ、ボトムアップの分析が有効な手段となり得る、こういうようなことと、それから、このボトムアップアプローチによる削減ポテンシャルと、トップダウンアプローチにより計算される必要な削減レベルとの間に生じ得るギャップは、環境の十全性を確保するために埋められる必要があると、こういうようなことを申し上げているわけで、それは今先生がおっしゃったこととほぼ私は同義だと思っています。  ですから、環境大臣、特にG8の環境大臣がそろってこういうようなことを申し上げているわけでありまして、あとはそれぞれ今度は首脳レベルでの御決断がこの洞爺湖の中で、様々な多分御意見を持っている首脳が集まられるわけで、決して簡単なことではないと思いますけれども、是非そういうような方向に向けて、世界の、特にG8の意思がそろっていくことを強く望んで、こういうことをまとめさせていただいたわけであります。
  158. 市田忠義

    ○市田忠義君 産業界の自主的な取組にゆだねてきた結果どうなっているかということを見てみたいと思うんですけれども、以前私、この委員会で、電力分野の石炭使用の割合と量の多さについて問題を指摘したことがありますが、今回は電力以外の産業部門全体における石炭消費量について見てみたいと思うんです。  お配りしている資料を御覧になっていただきたいんですけれども、例えばドイツの産業部門における二〇〇五年の石炭消費量は、一九九〇年比で見ますと三五・一五%、すなわち六五%減です。日本は同じ期間に約一八%減っているだけと。アメリカでも同期間に約三七%減っていると。日本は主要先進国の中で産業部門の石炭依存が突出していると、これはこの表から明らかだと思うんですけど、この事実については環境大臣はお認めになりますね、これは国会図書館でいただいた資料で作ったものですから。いかがでしょう。
  159. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) 私も今これ初めて拝見をさせていただいたわけでありますけれども、こういうことが事実だということについては認識をいたしております。
  160. 市田忠義

    ○市田忠義君 もう大臣もお認めになりましたが、この数字が明確に示しているように、日本は主要先進国の中で産業部門の石炭依存が突出をしていると、そう言わざるを得ないというのはもう明白だというふうに思います。  それで、主要先進国で日本だけが石炭依存から脱却できずに、エネルギー転換で世界流れに逆行していると。結局、私は産業界任せがその大きな要因だと思うんです。経団連の自主行動計画に依拠した取組が結局環境より企業の利益を優先させて、燃料として安い石炭依存の産業構造を変えないまま、排出削減どころか排出量の増加に歯止めを掛けられないまま基準年度比でプラス六・二%と、そういう状況をつくり出したと思うんです。この自主行動計画京都議定書目標達成計画の中核に据えられて、目標の数値は産業界任せと。しかも、この自主行動計画というのはペナルティーもないと、目標達成できなくても何のおとがめもペナルティーもないと。  今回の法改正でも自主行動計画が取組の中核に据えられているということには変わりがないわけで、大臣は今の自主行動計画の取組だけで京都議定書第一約束期間基準年度比六%削減を達成できるというふうに考えておられるのかどうか、また次期枠組みでの更なる削減に向かってこの方式でやっていけるとお考えなのか、端的にお答えください。
  161. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) 少なくともこの第一約束期間においては、今京都議定書の目達計画の改定が行われました。その中で、産業界始め各分野においてそれぞれの主体が全力で取り組むと、こういうようなことにおいて達成をするというのは可能と、こういうふうに考えております。  ただ、やはりこれは経済の動向、様々な国民の消費活動の動向、こういうようなものによって影響を受けるわけでありますから、この進捗管理を厳格に行って、場合によって達成に懸念があるような状況のときには、新たなる規制的な手法あるいは経済的手法、こういうようなものも含めて迅速に対応すべきと、こういうようなことが今の認識であります。
  162. 市田忠義

    ○市田忠義君 経済的手法はやがて必要なときが来るという意味の御答弁だったと思いますが、我が国の排出量で約八割を占める産業・公共部門で、今のまま産業界の自主行動計画に依拠していては、私は国内での実質削減による基準年度比六%削減さえ非常に難しいというふうに思います。  最初に紹介した日経新聞の社説では、今や根拠が怪しくなってきた乾いたぞうきん論の影響もあってか、この十一年間、総量削減目標の策定はおろそかになり、排出量取引など市場を介した削減システムの世界的な潮流からも遠ざかったままだったと。今は、経済成長と温暖化防止を両立させる低炭素社会へかじを切り損ねた日本が、サミット議長国として仕切り直すチャンスかもしれない。産業の構造と企業の体質も現状維持を前提とした自主行動の積み上げなどでは、六割とか八割の削減などできるはずはないのだからと、こういう指摘をしています。  私は、将来必要というんじゃなくて、新たな経済的手法の導入は、先の話じゃなくてまさに今決断すべき重要な政治課題だと思いますが、改めて大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  163. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) 再三お話し申し上げているんですけれども、私も第一約束期間はこの自主行動計画プラス目達計画の改定、こういうようなことで実現可能だというふうに信じておりますが、ただ委員も御指摘のように、これから中期目標あるいはゴールである長期のところまでに至るためには、これは自主行動計画だけでは無理だと、こういうようなことでありますから、その時点では当然のことながら排出量取引を含めた強力な経済的手法が必要だというふうに思っております。  加えて、その準備においては早い方がいい。そういう趣旨でいえば、第一約束期間中にもしっかりとこの制度設計については議論を成熟させていく必要があると、こういうふうに考えます。
  164. 市田忠義

    ○市田忠義君 東京都がこの六月の都議会で、大幅なCO2排出削減を実現するために環境確保条例を改正をして、大規模排出事業所に対する総量削減義務と排出量取引制度を新たに導入するということを提案される予定であります。  これに対して東京商工会議所ですが、これを評価する意見をいち早く表明をされました。この東京商工会議所の意見書を見ますと、企業の持つ環境技術を最大限に活用し、成長を図りつつ着実にCO2削減を果たすという、長期的な視点に立つ戦略と実効力のある制度の構築が求められると。そして、この東京商工会議所が構成会員に実施した意識調査、実態調査を見ますと、東京都排出削減義務と排出量取引制度導入に反対する企業、これは私は驚いたんですが、わずか四%。同時に、ここでは国の施策との整合性、積極的な企業への支援策などの要望が出されています。  私は前回の当委員会質疑でアメリカにおける産業界の動向を示しましたが、実は我が党として三月にヨーロッパに環境問題での調査団を派遣しましたが、その際に懇談をしたイギリスの産業連盟、これは日本の経団連に当たるところですが、このイギリスの産業連盟の担当者がこう語っています。気候変動問題の解決には産業界の果たす役割が決定的だと、そう述べて、経済成長と両立すると。むしろビジネスチャンス、新たな産業革命だ、できるところまでやればいいのではなくて必ずやり切らなければならないものだ、むしろその方が長期的にはメリットがあると、そう強調していました。日本経団連と大違いだなと思ってこの話を聞きました。  現に、イギリスでは、政府と五十以上の産業セクターごとに削減協定を結んで、六千の企業が参加をして、二〇〇六年までに二十の部門で生産を増大させながらCO2排出量を減らしたというふうに言われています。ドイツでは、政府と十九の産業団体との間で協定を締結し、二〇一二年までに三五%削減という目標を打ち出していると。  そして、最近、全国知事会エネルギー環境問題特別委員会地球温暖化対策専門部会という長い名前のところですが、ここからの環境省あての要望書、これは大臣もお読みになったと思いますが、こういうくだりがあります。自主行動計画の確実な推進のために削減目標の定量化及び協定等による実効性のある担保など、抜本的な方策を講じることと、そう明記しているわけですが、私は、こうした自治体の声や、真剣に温暖化対策に取り組もうとしている多くの企業の声にもしっかりこたえるならば、これはずっと以前にも質問したことがありますが、国と産業界との公的削減協定締結して、確実で大幅な削減に結び付けていく政策に転換すべきだと思いますが、この産業界と国との公的な削減協定について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  165. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) この目達計画につきましては、毎年二回、今年でございますと六月の終わりから七月の初めにかけてと十二月と、進捗状況を点検いたします。そして、二〇〇九年度には、点検を踏まえた上で一二年までの具体的な見通しをつくりまして、その中で現行の方式だけでは無理があるということになった場合にはまた現行の方式の全体の計画を見直す、政策の追加ということも考えるんだということでございます。  したがって、そういう中で、私どもとしては全体の目達計画の見直しということで検討を進めたいと考えております。
  166. 市田忠義

    ○市田忠義君 時間が来たので終わりますが、大変認識が私は甘いと思うんです。昨年末に世界銀行が公表した温暖化対策を評価した報告書を見ますと、世界CO2排出の九五%を占める七十か国を調査したところ、日本は六十二位、先進国では最下位だったと、こういう事態にあるわけで、私は逆算方式で今やるべきことを明らかにして、もっと緊迫感、切迫感を持って積極的に日本がイニシアチブを発揮して取り組むと、そのことを求めて、時間になりましたので、終わります。
  167. 川田龍平

    ○川田龍平君 大臣会合、御苦労さまでした。  既に多くの委員の方からも質問も出ていますけれども、この中期の目標について私自身も是非大臣に伺っておきたいと思いますが、一番間近には、市田議員に対して二つのやり方、数値を高めにしてリードをする、また、すべての国が参加することに重きを置いて低め、戦略的、高度に考える必要があるということでおっしゃいました。決めるのは政府であるということもおっしゃっておりましたが、この段階において中期目標について数値を示さないのは、大臣自身何か戦略的魂胆があるんではないかと期待したくありますが、大臣のお考えを改めてお伺いいたします。
  168. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) 我々は、二〇一二年までに九〇年比でマイナス六%を実現すると。加えて、第二約束期間、どういう形になるか分かりませんけれども、中期目標を掲げつつ今から十年から二十年の間に世界全体でピークアウトをする、そして二〇五〇年には少なくとも世界で半減をする、もちろん先進国はより深掘りをすると、こういうような条件の下にもう大体の路線は決まっていますので、そういう方向性の中で日本がどこのタイミングで明確なメッセージを出すかと、こういうようなことについては、これはもう最終的ゴールは決まっているわけです。  COP15のコペンハーゲンで全体の合意が調えば、おのずと日本数字は決まるわけですけれども、そういうふうな受け身でいいのかどうかというのは委員もおっしゃっているとおりで、それは、もう少なくともあと一年半しかありませんから、そういう中でどのタイミングで日本がリードをするのか、あるいは全体の枠組みをつくるために、例えば新興国も、今回は中国もインドも環境に対してコミットをするというようなことは表明しました。大変な進歩だと思います。  そういうような全体の合意形成のためにまず努力をして、そして日本日本なりに究極の目的を達成するための中期目標というのを設定するかと、こういうようなことについては、今まさにじっくりと考えて最終的な判断をすると、こういうような時期にあるんだろうと、こういうふうに思っておりますので、是非そのことについては御理解をいただきたいと思います。
  169. 川田龍平

    ○川田龍平君 そうしますと、やはり洞爺湖サミットにおきまして数値目標を、中期の数値目標公表すべきと考えているのか否かについてお伺いしたいと思います。
  170. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) G8の環境大臣会合においては、私が取りまとめさせていただいた議長総括においては、そういう趣旨のことについて触れてあります。ですから、中期目標も、IPCCの知見に沿って実効的な目標を設定する必要性、こういうようなことについて言及をしておりますので、そういうメッセージを強く各国首脳、さらには日本の総理も含めて各国首脳にインプットしていくと、これが私たちの役目だと、こういうことで認識を共有したということでございます。
  171. 川田龍平

    ○川田龍平君 先ほど市田議員からも東京都の例が出ましたけれども、東京都の動きが大変目立っています。排出権取引の動きについて、この東京都の動きについてどのように考えておりますでしょうか。
  172. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 私ども、東京都の動き、大変注目をしております。大規模事業所へのガスの総排出量削減の義務付けとそして排出量取引ということでございまして、本邦初でございますし、更に言いますと、東京都の場合の特徴はいわゆる発電所も実はほとんどございません。それから、工場も対象が極めて少ないと、大部分がこういう業務関係のビルでございます。  それで、海外の例を見ますと、排出権取引、排出量取引をやっている場合には、いわゆる業務用のビルについては大部分電気でございますので発電所に掛けております。したがいまして、そこに掛けないで、業務用のビルで大きなところにその義務付けをして排出量取引を行うというのは、本邦初のみならず世界初でございます。そういう意味で、大変チャレンジングなことを東京都がされようとしております。  私ども、その努力には敬意を表しますし、是非その動向を注視したいと考えております。
  173. 川田龍平

    ○川田龍平君 さて、この改正法について、その目達計画を確実にするために排出量の上限規制、それから自主行動計画の法定化、協定化、また炭素税の導入や再生エネルギーの固定価格買取り制度などの対策を含んでいませんが、今回の法案京都議定書マイナス六%の担保となり得るかは甚だ疑問があります。  二十五日に私も、神戸市で開催された市民版もうひとつの環境サミットに参加してきましたが、その会合で気候ネットワークの浅岡さんにお会いして、NGOのこのサミットに懸ける決意を感じてきました。気候ネットワークさんの方では、気温上昇を工業化前の二度未満に抑えるために二〇二〇年までに温暖化ガスを九〇年比で三〇%削減する、再生可能エネルギーの一次エネルギー比二〇%にすることを盛り込んだ気候保護法というのを提案されていますが、この法案についてどのように考えておられるか、伺います。
  174. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 気候ネットワークから四月に発表されましたエネルギー目標の設定とか、それから報告制度の見直しとか、様々な広範な形で御指摘をいただいております。私ども、この問題について、この提案については真摯に勉強をさしていただいております。
  175. 川田龍平

    ○川田龍平君 本会議におきまして加藤先生もキャスティング、いらっしゃいませんけど、キャスティングの話であったり、それからイギリスの方の法案では五年ごと、またアメリカの方の法案でも一年ごとにそうした排出制限をするというような話も出てきています。こうした、この今の改正法では書かれていない内容についても是非検討していただきたいと思っています。  そして、先ほど広中議員からも話が出ましたけれども、この排出量の九〇年度比の増加分が石炭火力の増加分とほぼ一致しているということをどう考えるか、また石炭による、税による規制の強化というような考えを持つべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  176. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 御指摘のとおり、九〇年以降の伸びの大部分が、原子力の不調などもございまして、結局石炭で代替されているというのが数字としてはございます。  これにつきましては両面から対策が要ると思っております。一つは、やはりできるだけ、もちろん石炭火力について導入する場合には世界最高の熱効率を上げて単位当たりのCO2を減らしていただく、これを更に、現在でもそうでございますけれども、更なる、一層なる努力が必要だと思っております。また、それとともに、原子力あるいは新エネ等のいわゆるCO2の出ない代替エネルギーということへの転換ということも積極的に行っていただきたいと思います。  それからもう一つは、やはり需要があるから供給もあるわけでございまして、需要面で、これは業務、家庭、さらに産業も一部ございますけれども、電力の需要をむやみに伸ばさないと、いかに省エネをするかが大事だと思います。  私ども、電力の方と頻繁にお会いして話をしますけれども、決まったように言われますのは、電力というのは供給義務があると、電力としても石炭を使うのは嫌だからこの時間からは供給できませんということはできないんですということを言われます。決まったように言われますのでそういう言い方にしているのかもしれませんけれども、いずれにしても、ある意味でなかなか否定し難い理屈でございまして、やはり需要のサイドでもどれだけ電気を使わなくて済むかということは非常に大事だと、両面での対策が要ると思っております。
  177. 川田龍平

    ○川田龍平君 石炭だけではなく、二酸化炭素排出する発電ではなくほかの新エネルギーの開発の方にもっと割くべきではないかと思いますが、今現在は事実上、特別会計でほとんどが新エネの方に経産省、環境省の共管で使われているというふうに認識しておりますこの予算ですが、衆議院環境委員会参考人として発言された飯田哲也さんも、石炭税について天然ガスと同コストになる程度まで課税をするべきではないかというような旨も発言しておられますが、それについてはいかがお考えでしょうか。
  178. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 課税の問題、これに限らず税金をどうするか、非常に大事な問題だと思います。需要を減らすにしても、またエネルギー源を替えるにしても、税制をどうするか非常に大きな影響を持ってまいるところでございます。  私ども、まだそこまで実は検討が進んでおりません。現状では、目達計画を見直しまして、その達成状況を今年は二回確認するということで、来年に更なるその見直しと新たな対策を検討してまいります。税の問題についても、そういう中で何が必要かよく検討していきたいと考えます。
  179. 川田龍平

    ○川田龍平君 この問題についても既に多くの委員の方から指摘がされているんですが、二〇〇六年度の排出量のうち、三十六の事業所が一部ガス排出量を非開示、三十三の事業所事業所合計まで非開示、さらに三事業所事業者合計まで非開示という、法制度趣旨を逸脱しかねない対応をされております。  先ほどの答弁で、自治体の公表を知らなかった、これからはそうしたことも踏まえて厳格に対応したいと経産省の方が答弁をされていましたけれども、自治体と関係なく公表すべきではないかと考えますが、その意味で、内閣総理大臣以下各省庁所管の大臣連名による温暖化対策推進法の二十一条の三における権利保護が害されるおそれの有無の判断に係る審査基準について、二〇〇七年四月二十日に環境省の報道発表資料にて、請求を認める決定に係る規定の濫用がないよう厳正かつ公平な判断を行うものとするとあり、さらに、報告に係る温室効果ガス算定排出量情報が通常一般に入手可能な状態にある場合には、又は通常一般に入手可能な情報から当該報告に係る温室効果ガス算定排出情報を容易に推測可能な場合には、公にされることにより、権利利益が害されるおそれがないものと判断されるとしています。  これと現行法の二十一条の三の規定との関係をどう理解するかがありますが、このマスコミ発表の流れでいえば、どう考えても排出量の非開示はあり得ません。この基準が作られた経緯について伺いたいと思います。
  180. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) この基準につきましては、十九年の四月に内閣総理大臣以下関係大臣すべて連名で作成いたしました。私どもとしましては、その権利利益が害されるおそれの有無の基準につきましてはかなり厳しい基準だということで考えておるところでございます。  いずれにしましても、これ、制度としては私どもしっかりしていると思っておりまして、やはり我々政府の中で関係各省、環境省も含めてでございますけれども、その厳格な運用が行われるということが必要でございまして、そういった考え方を忘れないで審査をしていくということかと思います。
  181. 川田龍平

    ○川田龍平君 この趣旨からすれば、自治体の開示があってもなくても国は公表すべきではないかと考えます。  そこで一つの事例ですが、中央環境審議会と産業構造審議会は二〇〇七年の二月から六回にわたって合同で審議会を開催し、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律、化管法の評価や課題の抽出の中での中間的取りまとめが公表されています。その報告書の中で、今後、個別事業者ごとのPRTRデータの提供方法を現在の開示請求方式から国による一律公表方式に改めた場合には、個別管理の実施状況を国民はより容易に知り得ることになり、個別事業者の自主管理へのインセンティブは更に高まることが期待されるとあります。  経済産業省も環境省も両方かかわっていますが、この中間報告は否定されていないと思いますが、CO2の算定・公表報告制度とどう違うのか、お答えください。
  182. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) まず、CO2の関係でございますけれども、私どもできるだけ一般の方が手に入るようにしたいと思っております。そういう意味で、利用しやすいように事業所単位での集計などを一覧性の高い形で公表しておりますし、また個別事業所のデータにつきましても、環境省に開示請求がございましたらデータを入力したCD―ROMをその場で即日手交するといったことで利便の向上に努めております。したがいまして、現行の各種の制度の並びの中では最先端の形での公表、開示などを行っているというふうに考えております。  なお、PRTR法につきまして様々現在検討が行われていると承知をしておりますけれども、まだ途中だということでございますので、それについてはもう少し様子を見た上で考えたいと考えております。
  183. 川田龍平

    ○川田龍平君 経産省さんにもお願いします。
  184. 伊藤元

    政府参考人伊藤元君) お答え申し上げます。  それぞれの法律に基づいた形での制度の運用設計についてはそれぞれ議論があるかと存じますが、少なくとも温対法上の温室効果ガスの算定・公表制度に基づいて事業所ごとの排出量を開示することは、事業者が自主的に排出削減の取組を推進する上で大変重要であるという認識を持っております。しかしながら、事業所ごとの排出量を開示することにより事業者の権利、競争上の地位その他正当な利益が害されるおそれがある場合には例外的にその情報を不開示とするということが適切であると考えております。  ただ、いずれにいたしましても、今後とも、温室効果ガス算定・公表報告制度の不開示認定につきましては、引き続き厳格に運用していきたいというふうに考えております。
  185. 川田龍平

    ○川田龍平君 この非開示問題について都道府県に聞いてみましたところ、例えば岡山県の見解は、JFEに関しては排出量が多いこと、非公開であることの問題意識はある。企業の事情によって経済産業省が法にのっとって非公開を認めている事情も承知している。違法状態ではない。しかし、県としては今年度中に排出量公開の制度化に向けて個別の企業と折衝中であり、とりわけ大規模排出事業者JFEとの協議は丁寧にしている。量的な公開は企業にとってマイナスイメージではなく、年々の企業努力社会的に認められる一助になるという認識で協議中であるということですが、これが普通の感覚であると思うんですけれども、この都道府県の反応をどう受け止めますでしょうか。
  186. 内山俊一

    政府参考人(内山俊一君) お答えいたします。  温暖化対策法では、温室効果ガス排出削減に向けた国の責務を規定するとともに、地方自治体に対しても地域レベルでの排出削減施策の推進とともに、地域住民に対する排出削減施策の情報提供を自治体の責務として規定をしているところでございます。  他方、報告した情報が公開されることにより当該特定排出者の権利、競争上の地位その他正当な利益が害されるおそれがあると判断するときは権利利益の保護に係る請求ができることとなっております。  今後、経済産業省としても、環境省とも連携しつつ、温暖化対策法で定める権利利益保護に係る規定の適切な運用に努めてまいります。
  187. 川田龍平

    ○川田龍平君 地方自治体の削減の実行計画を立てることがこの改正法で義務付けられておりますが、その削減計画は事業者単位で行われるのに、自治体の中で占める排出量が極めて大きい事業所の総量を知らずにどうやって計画を立てるのかということになります。これについてもお聞きしたいと思いますが、お願いします。
  188. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) まず、今回の非開示の場合でございますが、特定の事業者からのあるガスについてのデータについて非開示の場合はございます。ただ、全体として、工場事業者全体としての温室効果ガス排出量については公表していると、開示請求に応じているというふうに承知をしております。  したがいまして、各地域が、例えば都道府県なり指定都市が、今度新しい法律が変わりますれば、それに応じて実行計画を作る。その中で、その区域の事業者、住民の排出抑制に関して行う活動の促進について様々な連携をしていくということについての大きな支障は出ないというふうに考えておるところでございます。  また、さらに、対策を今後取っていく場合には、企業がその協議会をつくって地方公共団体と連携していく場もあるわけでございますし、また、どうしても国の協力が必要と、もちろん協力しますけれども、国に具体的な協力を要請するということも可能な仕組みになっております。そういう意味で、現行の制度で大きな支障が出ることはないと考えております。
  189. 川田龍平

    ○川田龍平君 大臣に今の件でちょっと。ちょっと途中をはしょってしまうんですが、この公表制度、やはり一律に公表すべきではないかと考えるんですが、いかがお考えでしょうか。
  190. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) 先ほども同様のお話について申し上げましたけれども、最終的には、自治体の中には国よりもより熱心なところもあるわけでありますから、その自治体の取組を尊重するということが第一。加えて、権利利益を侵害するかどうかと、こういうようなことについては、もし判断をするとすれば、より透明性を高めて、そしてその判断のプロセスがしっかりと国民皆さんに開示できるような、こういうようなことを心掛けるべきだと、こういうふうに考えております。
  191. 川田龍平

    ○川田龍平君 テーマを変え、ちょっと違うんですが、先日オーストラリアのNGO団体が発題者にして、日本のNGO団体と共催でタスマニア原生林の伐採とグリーン購入法・紙類基準改定問題と題する院内集会が開催されました。民主党の福山議員がリードする形で、私自身も関与させてもらいながら、短時間でありましたが、タスマニア現地での森林伐採が世界遺産に隣接する貴重な原生林を含む天然林の毎年一万五千ヘクタールという大規模伐採で生物多様性を破壊しているにもかかわらず、オーストラリアの林業基準、すなわちAFSの下、これは括弧付きの合法としてまかり通っている現実を知らされました。  そして、その原生林の最大の輸出先が日本の製紙メーカーです。我が国の製紙原料の六割はリサイクルによる古紙で、残り四割は新しいパルプですが、四分の三が輸入に依存しております。そのうちの七五%が輸入チップで、その三分の一がオーストラリア産で、この六八%が天然木材です。この天然木材の半分はオーストラリアのタスマニア産で占められています。つまり、日本で紙の原料となる木材チップのうち、天然由来のものがほとんどがオーストラリア、その半分がタスマニアから来ています。  また、ある研究では、タスマニアの成熟林においては、炭素吸収量がIPCCの想定の十倍との指摘もありますが、このタスマニアの天然林伐採に対して、現地では反対の声と賛成の声と世論を二分した中で住民同士の不幸な対立を招いているとのことでした。しかも、日本の紙の生産、消費量は世界第三位。一人当たりの紙消費量は二百四十七キロに当たり、世界第六位の規模です。四人家族だと約一トン、直径十四センチ、高さ八メートルの立ち木二十本分に当たります。  これは環境大臣にお伺いしたいんですが、温暖化防止と生物多様性とは密接不可分であり、昨日のG8環境大臣会合の議長総括でも、生物多様性は最優先の政治課題であるとし、違法伐採に取り組むこともうたっていますが、大臣はこのタスマニアの原生林伐採についてはどのような認識を持たれておられますでしょうか。
  192. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) 今お話しになったように、NGOの中に生物多様性保護の観点からタスマニアにおける森林管理について問題視していると、こういうようなNGOがいらっしゃるというようなことは承知しております。  また、タスマニア州政府及びオーストラリア政府の方からは、このタスマニアの森林は州政府法律にのっとって適正に管理をしていると、こういうような旨のことも伺っておりまして、それぞれの見解異なるわけでありますけれども、私たちとしても注意深く見守りつつ、先生おっしゃるように、本来の目的である生物多様性の保護が損なわれないように見守ってまいりたいと、こういうふうに思います。
  193. 川田龍平

    ○川田龍平君 日本の森林問題を統括する林野庁は、このタスマニア問題についてはどのような認識を持たれているのか、また、日本の製紙原料の四分の三が輸入原料で極めて木材自給率が低く、タスマニアの自然破壊による輸入チップで日本の紙生産が行われている現状についてはどのような認識を持っておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  194. 島田泰助

    政府参考人(島田泰助君) 御指摘のタスマニアの原生林の伐採につきましては、現地の環境NGOが、伐採自体については合法であるということは認めつつも、原生林が大規模に伐採されている、また伐採された後そこへ火入れが行われているとか、その後単一の樹種の植林が行われているというような指摘がなされていることは我々も承知しているところでございます。  しかしながら、一方、オーストラリアの連邦政府、またタスマニアの州政府は、現地の森林施業については森林の保護と利用のバランスを取ることを目的とした法規制に基づけば適正に行われているという主張をなされているところでございます。そうした両方の意見が対立しているというような状況であるという事実については私どもも認識をしているところでございます。  また、先生御指摘いただきました海外から多量の部分の輸入に頼っているその現状どうかという御指摘でございますが、我が国の木材需要量に占める国産材供給量の割合、いわゆる木材の自給率につきましては、平成十四年が一八・二%ということで最低を記録をしたわけでございますけれども、その後、国際的な木材需要の動向、それから外材価格が上昇するというような、そういうような中で、国内における間伐材の合板、集成材への利用が増加しているとか、そういうようなことも含めまして、平成十八年におきましては自給率二〇・三%ということで回復の兆しが見えているところでございます。  御指摘のパルプの部分の自給率につきましては、国内における需要の約一八%が輸入でございます。また、国産のパルプにつきましても、紙パルプの原料となる木材チップにつきましてはその約七割が輸入であるというのは御指摘のとおりでございます。  こうしたことについては、国産原料を大ロットで安定的に供給できる体制が輸入品と比べて十分でないというようなことがやはりその大きな原因の一つにあるんだというふうにして我々も考えております。今後、我が国の森林資源、成熟していくわけでございますので、利用可能な資源が充実してくることから、国産材の供給力更に増加するということが期待されているところでございます。  こうしたことの中で、森林施業を集約化して低コスト化による大きなロットでの原木供給の取組を進めること、また、製材、合板用に向けられる原木と併せてチップ用の原木の安定供給を図ることなどに取り組みたいというふうにして思っています。  林野庁としては、こうした取組を通じまして、国産材の利用拡大に更に取り組んでまいりたいというふうにして考えているところでございます。
  195. 川田龍平

    ○川田龍平君 この自給率の低い日本に、タスマニアからの輸出が日本の製紙業界を支え、それがAFSで括弧付き合法性を与えられています。この認証制度世界の現状と、認証制度の格付があるとするとAFSはどのような水準として評価しているのか、伺いたいと思います。
  196. 島田泰助

    政府参考人(島田泰助君) 森林認証制度につきましては、森林経営の持続性、環境保全への配慮などについて独立した民間の第三者機関が独自の基準に基づきまして評価、そして審査を行い認定する制度でございます。我が国を含め各国で使用されているものとしてはFSCと呼ばれる認証制度などがございます。  こうした森林認証制度については、国際的にも民間の第三者機関が独自の基準に基づき審査、認定を行うという、あくまでも自主的な活動でございまして、一般的な需要者がその意義を評価するものであるというふうにして考えてございまして、政府による格付というか、そういうような部分の行為にはなじまないものというふうにして考えているところでございます。
  197. 川田龍平

    ○川田龍平君 果たしてこのAFS認証制度が、グリーン購入法との絡みでもこの認証制度というのが利用されて、古紙が今一〇〇%リサイクルではなくなってきている現状で、この認証制度というのがグリーン購入法との絡みでもあるわけですが、本当にこの生物多様性の保護につながるような認証制度であるのかどうかということが院内集会で厳しく批判を受けていました。  つまり、世界の認証制度は大きく二つの傾向があって、生物多様性の価値に基づいて判断していく、FSCのような、代表される流れがあって、さらにはこういった森林を伐採してでも認証してしまうような制度もあるという中におきまして、やはり環境省が是非、オーストラリアの原生林の自然破壊を止めるために環境省としてグリーン購入法などの制度も使って守っていただけるように努力していただきたいと思っています。  特に、日本の洞爺湖サミットで議長国というような名誉ある地位を今後しっかりと務めていただくためにも、こうした世界の生物多様性の問題についてもしっかりと配慮していただきながら、環境省としてこの問題に是非特別こういうチームをつくって当たっていただけないかと。特にタスマニアの原生林を守るための特別チームみたいなものを環境省に設置して、環境省としての対応を検討していただけないかどうか、大臣に一言いただきたいと思います。
  198. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) グリーン購入法につきましては、先日来、製紙メーカーとの間でいろいろな問題があって、今まさにそれを受けてどういうふうに改善するかと、こういうようなことを検討している最中でございます。また、加えまして、生物多様性については、もうまさに今ドイツのボンでCOP9が行われているわけで、私もお許しいただければ後半に出席をさせてもらおうと思っています。  そういう観点からも、世界の生物多様性に日本が寄与できるように、そして日本政府としても貢献できるように、こういうようなことで最大限我々としても努力をさせていただきます。
  199. 川田龍平

    ○川田龍平君 ありがとうございました。
  200. 松山政司

    委員長松山政司君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  201. 松山政司

    委員長松山政司君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、加藤修一君が委員辞任され、その補欠として松あきら君が選任されました。     ─────────────
  202. 松山政司

    委員長松山政司君) 次に、生物多様性基本法案を議題といたします。  提出者衆議院環境委員長小島敏男君から趣旨説明を聴取いたします。小島敏男君。
  203. 小島敏男

    衆議院議員(小島敏男君) 衆議院環境委員会委員長の小島敏男でございます。  ただいま議題となりました法律案につきまして、提案趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  生物の多様性は、人間の開発行為等により、生物種の絶滅や生態系の破壊、外来種等による生態系の攪乱等、深刻な危機に直面しております。また、地球温暖化等の気候変動は、多くの生物種の絶滅を含む重大な影響を与えるおそれがあることから、地球温暖化の防止に取り組んでいくことも大きな課題となっております。  このような状況の下、生物の多様性を確保するための施策を包括的に推進し、その恵みを将来にわたり受けることができる持続可能な社会の実現に向けた新たな一歩を踏み出す必要があります。そこで、生物多様性の保全及び持続可能な利用についての基本原則を明らかにしてその方向性を示し、関連する施策を総合的かつ計画的に推進するため、本案を提出した次第であります。  次に、本案の主な内容について御説明申し上げます。  第一に、生物の多様性の保全及び持続可能な利用についての基本原則を定めるとともに、この基本原則に沿って、国、地方公共団体事業者国民及び民間団体について、各々の責務を明らかにしております。  第二に、政府は、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する施策を実施するため必要な法制上、財政上又は税制上の措置その他の措置を講じなければならないものとしております。また、毎年、国会に、生物の多様性の状況及び政府が生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関して講じた施策等に関する報告を提出しなければならないものとしております。  第三に、政府は、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、生物多様性国家戦略を環境基本計画を基本として定めなければならないものとしております。  また、都道府県及び市町村は、この生物多様性国家戦略を基本として、単独若しくは共同して、生物多様性地域戦略を定めるよう努めなければならないものとしております。  第四に、国は、地域の生物の多様性の保全、国土及び自然資源の適切な利用等の推進地球温暖化の防止等に資する施策の推進、事業計画の立案の段階等での生物の多様性に係る環境影響評価の推進等に必要な措置を講ずるものとしております。  第五に、政府は、この法律の目的を達成するため、野生生物の種の保存、森林、里山、湖沼等の自然環境の保全及び再生その他の生物の多様性の保全に係る法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしております。  以上が、本案の趣旨及び主な内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。  以上です。
  204. 松山政司

    委員長松山政司君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  205. 市田忠義

    ○市田忠義君 まず、提案者にお伺いいたします。  本法案には、計画の立案の段階での生物多様性の環境アセスの推進が盛り込まれています。政策、計画を対象とする戦略的環境アセスメントというのは既に先進各国で実施をされていますが、日本では昨年四月に導入ガイドラインを策定して、関係省や都道府県等に通知されたところであります。  本法案での計画の立案の段階での環境アセスというのは、計画段階の中でもより早い段階での環境アセスの推進を意図して、政策段階環境アセスにより接近したもので、今後、環境アセス制度の拡充強化につながると考えていいのかどうか、簡潔にお答えください。
  206. 江田康幸

    衆議院議員江田康幸君) 公明党の江田康幸でございます。小島委員長に代わりまして、今の市田先生の御質問にお答えさせていただきます。  本法案におきまして事業計画の立案段階から環境影響評価の推進を位置付けた趣旨は、生物の多様性が微妙な均衡を保つことによって成り立っておりまして、この生物の多様性に影響を及ぼす事業の実施に先立つ早い段階での配慮が重要であるという問題意識に基づいたものでございます。  行政におきましては、昨年四月に環境省が、関係省庁における戦略的環境アセスメント導入のための共通的ガイドライン、これを取りまとめまして、これを受けて、本年四月に、国土交通省において戦略的環境アセスメントの具体化のためのガイドラインをまとめる取組が進んでいるところでございます。  本法案提案者といたしましては、第一にこうした戦略的環境アセスメントの取組が促進されること、第二にその実施事例の積み重ねの中でより一層充実したものとなることが大切であって、本条の趣旨とするところでありますので、このような観点からこの戦略的環境アセスメントの実施を督励してまいりたいと考えております。
  207. 市田忠義

    ○市田忠義君 じゃ、次に環境省にお伺いしますが、この戦略的環境アセスメント導入ガイドラインでは、環境影響を受けやすい地域などへの重大な環境影響をあらかじめその立案段階で回避、低減する可能性を検討するために、複数案を対象に比較評価を行うことになっています。その複数案には事業を行わない案も含まれるのか含まれないのか。含まれるか含まれないだけで結構ですから、環境省どうぞ。
  208. 西尾哲茂

    政府参考人(西尾哲茂君) 結論だけお答え申し上げます。  環境省の戦略的環境アセスメント導入ガイドラインにおきましては、事業を行わない案、いわゆるゼロオプションにつきましては、これが適切な場合には代替案に含み得るものとしております。
  209. 市田忠義

    ○市田忠義君 事業を行わない案も含まれるということであります。  環境省は、国の天然記念物に指定されているジュゴンと藻場の広域的調査を行って、東海岸中部及び西海岸北部で延べ十二頭のジュゴンを確認したとしています。  そこで、これも確認だけなんですけれども、ジュゴンの食跡等が確認された海草藻場となっている東海岸中部には辺野古は入りますか。
  210. 櫻井康好

    政府参考人(櫻井康好君) 環境省平成十三年から五か年間実施をいたしましたジュゴンと藻場の広域的調査の際に行いました実地調査では、辺野古地先海域におきましてジュゴンによる海草のはみ跡が確認をされております。
  211. 市田忠義

    ○市田忠義君 辺野古は入るということであります。  そこで、大臣にお伺いしたいんですが、今年の一月二十四日にアメリカのカリフォルニア州連邦地裁が、沖縄県米軍普天間基地の辺野古沖移設計画に関連して、ジュゴンへの影響調査を実施していないことは文化財保護法違反だとして影響調査を命じる判決を出しました。アメリカの環境団体の担当弁護士は、判決は保護に値するジュゴンを国防総省に保護させることを確実にするものと述べています。日本の保護団体も、国際的な希少種ジュゴンに悪影響を及ぼすことを認め、しかるべき措置を命じた点で画期的な判決と、そう述べています。  そこで、沖縄の危機に瀕しているジュゴンへの影響を避けるよう配慮すべきという内容のこの判決について、生物多様性の保全という観点から、この判決を大臣はどのように受け止めになっているか、お答えください。
  212. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) 本件につきましては、これ米国の裁判所において係争中の事案と、こういうようなことで理解をしておりますけれども環境省としましては、そういう意味においては、本件についての発言は差し控えるべきだろうというふうに思っております。  ただ、一般的に申し上げまして、ジュゴンは非常に希少と、こういうようなこともあって、全体的に多様性を保つという意味において私たちは注意深く見守ってまいりたいというふうに考えます。
  213. 市田忠義

    ○市田忠義君 神戸で行われたG8の環境会議でもこういう議長総括があります。保護地域の重要性が再確認され、世界的な生物多様性を維持するために重要な保護区の生態系ネットワークを発展させる重要性が強調されたという文言がありますが、新基地の建設地というのは大規模な海の埋立てを伴って、ダンプカー約三百四十万台分の砂が投入されると言われています。当然海は汚れますし、砂がたまり藻場がなくなるのは避けられないと。しかも、軍用機の飛行経路、装弾場の設置、船舶用埠頭などを隠ぺいした防衛省のずさんな方法書を基にアセスを実施しても、ジュゴン保護に厳しい態度を取るアメリカの裁判所では通用しないということが明らかになったわけですが、政府は事業を行わない案も複数案に入れるという戦略的環境アセスメントの導入ガイドラインの立場に立って、現在の環境アセスの方法書を抜本的に見直して、絶滅の危機にある沖縄のジュゴンとその生息域の保護を私は図る必要があると思います。  計画の立案の段階での生物多様性の環境アセスの推進が本法に盛り込まれたわけですから、県民の七割もが反対し続けている新基地の建設の中止を決断をして、国際自然保護連合の、〇四年だったと思いますが、その勧告に基づいてジュゴンの保護区を設定すべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょう。
  214. 西尾哲茂

    政府参考人(西尾哲茂君) キャンプ・シュワブ沖に建設いたします普天間代替施設につきましては、既に事業者であります防衛省におきまして環境影響評価法、それから沖縄県の環境影響評価条例に基づきましてこれに関しましての環境影響評価の手続を始めておるわけでございます。もはやある面では事後アセスの段階ということで環境影響評価手続が進められておるわけでございまして、それから、この環境影響評価法及び条例におきましては、御質問いただきましたようなゼロオプションの代替案ということは義務付けられておらないと、こういう状況にございます。
  215. 市田忠義

    ○市田忠義君 新基地建設計画というのは普天間基地の基地機能を更に拡大した恒久的な最新鋭の基地造りであり、住民への爆音被害あるいは墜落の危険と隣り合わせの生活を強いると、こういう状況でありますから、これは環境大臣の管轄ではありませんが、新基地建設計画は中止すべきだということを求めて、時間になりましたから終わります。
  216. 川田龍平

    ○川田龍平君 今法律は、生物多様性や生態系を体系的に保護する法律がない中、NGOの方々が二〇〇三年に野生生物保護基本法案をまとめ、そして、今回民主党皆さんから、現行の自然保護法制では限界があるとして、議員立法として生物多様性基本法を提出され、衆議院環境委員会で協議の上、委員長提案になったということであります。  この法案によって生物多様性と持続可能な利用についての関係がどうなっていくのか、大変大きな関心を持っております。概要によれば、生物多様性に及ぼす影響が回避され、又は最小となるよう、国土及び自然資源を持続可能な方法利用とあります。また、第十五条で、野生生物の種の多様性の保全の一項目めで規制に関する条項を設けながら、二項で生態系、生活環境又は農林水産に係る被害を及ぼすおそれがある場合には、生育環境の保全、被害の防除、個体数の管理その他の必要な措置を講ずるとあります。これは鳥獣法の改正部分を指していると思われますが、その鳥獣法は被害を及ぼすものについて捕獲、捕殺を認めているのですが、このような極めて直接的な形で法律の中に入れることについて、生態系保全の本法案趣旨との関係でどのような協議がなされたのでしょうか。私としては削除すべきと考えますが、いかがでしょうか。
  217. 江田康幸

    衆議院議員江田康幸君) 公明党の江田康幸でございます。小島委員長に代わりましてお答えをさせていただきます。  この野生生物は、生息環境の変化等に伴いまして個体数が異常に増加し、またほかの生物や生態系に影響を与える場合があるほか、また生活環境や農林漁業に被害が及ぶことも少なくないわけでございます。  例えば奈良県の大台ケ原では、シカの食害によりトウヒ林など森林生態系への影響が深刻なものとなっているわけでございますが、木の皮を食べてしまうことで多くの木が立ち枯れしてしまうと、こういうような状況もございます。  このような場合には、政策的にその生息環境の保全、被害防除及び個体数管理を一体的に行って、そうした状況の改善を図ることがこの生態系の保全を始め生物多様性の確保に資するというこの考え方から御指摘の規定を設けることとしたわけでございます。  なお、具体的には、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の第七条におきまして、その数が著しく増加又は減少している鳥獣がある場合、当該鳥獣の生息の状況その他の事情を勘案して長期的な観点から当該鳥獣の保護を図るため特に必要があると認めるとき、数の調整に関する事項を含む特定鳥獣保護管理計画を都道府県が定めることができるものとされております。  特定鳥獣保護管理計画において定める生息環境の保全、被害防除及び個体数調整に関する施策を通じてこの鳥獣の保護が図られて、もってこの当該地域の生物多様性が確保されるものと理解をしております。
  218. 川田龍平

    ○川田龍平君 さて、この生物多様性国家戦略と安全保障国家戦略が具体的ケースでぶつかり合うときには、これは法の趣旨からすると、どんな形でその紛争を処理する制度設計になっているのか、お伺いいたします。
  219. 江田康幸

    衆議院議員江田康幸君) 人類はこの生物多様性のもたらす恵沢を享受することによって生存しているわけで、生物多様性が人類の存続基盤となっていることは御承知のとおりでございます。将来にわたってもこの恵沢を享受できるように、次の世代に引き継いでいかなければならないわけでございます。今般、生物多様性基本法案提案したのもこうした考えによるものです。  一方、一部の国々における核開発問題や核兵器などの大量破壊兵器等の拡散、テロとの戦いなど、我が国は国外から新たな脅威にさらされて国民が不安を感じております。安全保障政策は、専守防衛、非核三原則などの基本原則を大前提として、我が国の平和と独立を守って国民の生命と財産を守るという点で大変重要な基本政策の一つでございます。  生物多様性基本法案では、この国家安全保障との紛争の処理に係る規定はございませんけれども、以上な考え方の下で、具体的なケースごとにこの生物多様性の保全と国家安全保障の双方の観点を適切に考慮した対応策を見出すことができるように、我々政治家も含めて政府や関係者でよく議論していくことが重要と考えております。
  220. 川田龍平

    ○川田龍平君 そのことについて、沖縄の辺野古の普天間基地の代替施設の建設の問題について、先ほど市田議員からも質問がありました。  ちょっと時間がもうなくなってきましたので途中をはしょって質問させていただきますが、アメリカのジュゴン訴訟において、ジュゴン配慮の資料としてジュゴンの生態、文化的価値などの項目を列挙、日本政府環境アセス方法書の抜粋程度という報道がありました。  文化庁にお伺いしたいんですが、そもそも、ジュゴンについて沖縄近海での調査を文化庁としてやったことがあるのかどうか、今後の計画はあるのかどうか、また、文化庁の保護政策としてはどのようなものがあるのか、環境省との連携はどのようにしているのか、これまで文化庁としては沖縄でのこの基地建設とジュゴンへの配慮について同意しているのかどうか、ジュゴンを傷つけることは沖縄の文化を傷つけるという指摘についてどのように受け止めているのかをお聞きしたいと思います。
  221. 大西珠枝

    政府参考人(大西珠枝君) お答えいたします。  文化庁といたしまして、沖縄近海におけるジュゴンの生息地等について独自に詳細な調査を行ったことはございません。また、今後の調査につきまして現在のところは予定しておりません。  なお、環境省等がこれまで実施した調査につきましては適宜情報提供を受けているところでございます。  文化庁といたしましては、文化財保護法によりジュゴンを天然記念物に指定し、捕獲を始めとする現状変更等の規制の対象とし、その保護を図っているところでございます。それから、ジュゴンは希少な海生の哺乳類として天然記念物に指定されているところでございまして、琉球列島の歴史や文化をはぐくんだ重要な要素の一つであると認識しているところでございまして、そういうことで、そのような価値がある文化財を傷つけることがあってはならないと考えております。  以上でございます。
  222. 川田龍平

    ○川田龍平君 環境省は、昨年、レッドデータブックにこのジュゴンを加えましたが、ジュゴンをどのような位置付けで保護しようとしているのか、お伺いいたします。
  223. 櫻井康好

    政府参考人(櫻井康好君) 昨年の八月に公表いたしましたレッドリストにおきまして、ジュゴンを非常に推定の成熟個体数が少ないということから絶滅危惧ⅠA類に位置付けをしたところでございます。  これまでも、沖縄本島の周辺海域におきますジュゴンの生息状況、あるいはえさ場となります藻場の調査を実施をしてきてまいっておりますし、また保護につきましては、漁民を含む地域住民の理解を得るための普及啓発活動を進める、あるいは混獲による、魚を捕るときに混じって捕ってしまうという混獲による死亡事故を防止するために、ジュゴンが混獲された場合を想定したレスキュー訓練も行ってきたところでございます。
  224. 川田龍平

    ○川田龍平君 最後に大臣、この生物多様性基本法が施行することで、この法の趣旨は今まで聞いてこられたジュゴン保護に関して生物多様性の保全という観点でどのような機能を発揮されていくのか、またこの法の成立に伴い関係法の改正とありますが、種の保存法によるジュゴン保護という観点からこの種の保存法の法改正にまで行く可能性について伺っておきたいと思います。
  225. 鴨下一郎

    ○国務大臣(鴨下一郎君) 今先生がおっしゃっているように、沖縄本島周辺海域におけるジュゴン、これは世界的な分布域の北限の個体群と、こういうようなことで、その保護、こういうことについては大変重要であるというふうに認識しています。  今後は、ジュゴンの保護のために漁業者と連携をして、ジュゴンの生育状況に関するモニタリングを行い、必要に応じて種の保存法に基づく希少野生動植物種への指定を含め、適切な対応を検討してまいりたいと思います。
  226. 川田龍平

    ○川田龍平君 ありがとうございました。是非そういった形でジュゴンを保護していただけますようよろしくお願いいたします。  ありがとうございました。本当にありがとうございました。
  227. 松山政司

    委員長松山政司君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  生物多様性基本法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  228. 松山政司

    委員長松山政司君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  229. 松山政司

    委員長松山政司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  230. 松山政司

    委員長松山政司君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、来る六月三日午前十時に参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  231. 松山政司

    委員長松山政司君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  232. 松山政司

    委員長松山政司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十三分散会